運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1973-03-03 第71回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年三月三日(土曜日)     午前十時三十二分開議  出席分科員    主査 前田 正男君       足立 篤郎君    瀬戸山三男君       藤波 孝生君    阿部 昭吾君       大出  俊君    岡本 富夫君    兼務 佐野  進君 兼務 田中 武夫君    兼務 楢崎弥之助君 兼務 芳賀  貢君    兼務 福岡 義登君 兼務 横路 孝弘君    兼務 石母田 達君 兼務 紺野与次郎君    兼務 坂井 弘一君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 新谷寅三郎君  出席政府委員         防衛庁防衛局長 久保 卓也君         環境庁大気保全         局長      山形 操六君         環境庁水質保全         局長      岡安  誠君         外務省アメリカ         局長      大河原良雄君         農林省畜産局長大河原太一郎君         運輸大臣官房長 薗村 泰彦君         運輸大臣官房会         計課長     杉浦 喬也君         運輸省海運局長 佐原  亨君         運輸省船舶局長 田坂 鋭一君         運輸省船員局長 丸居 幹一君         運輸省港湾局長 岡部  保君         運輸省鉄道監督         局長      秋富 公正君         運輸省自動車局         長       小林 正興君         運輸省航空局長 内村 信行君         海上保安庁長官 野村 一彦君  分科員外出席者         労働省職業安定         局参事官    永揚 久治君         日本国有鉄道総         裁       磯崎  叡君         日本国有鉄道常         務理事     内田 隆滋君         日本国有鉄道常         務理事     原岡 幸吉君         日本国有鉄道常         務理事     阪田 貞之君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団総裁)   篠原 武司君     ————————————— 分科員の異動 三月三日  辞任         補欠選任   阿部 昭吾君     大出  俊君   辻原 弘市君     山中 吾郎君   岡本 富夫君     林  孝矩君 同日  辞任         補欠選任   大出  俊君     阿部 昭吾君   山中 吾郎君     辻原 弘市君   林  孝矩君     瀬野栄次郎君 同日  辞任         補欠選任   瀬野栄次郎君     岡本 富夫君 同日  第一分科員楢崎弥之助君、第二分科員田中武夫  君、芳賀貢君、紺野与次郎君、第三分科員佐野  進君、福岡義登君、石母田達君、第四分科員横  路孝弘君及び坂井弘一君が本分科兼務となっ  た。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十八年度一般会計予算運輸省所管  昭和四十八年度特別会計予算運輸省所管  昭和四十八年度政府関係機関予算運輸省所管      ————◇—————
  2. 前田正男

    前田主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  昭和四十八年度一般会計予算及び昭和四十八年度特別会計予算運輸省所管並びに昭和四十八年度政府関係機関予算中日本国有鉄道関係を議題といたします。  質疑に先立ち、分科員各位に申し上げます。質疑の持ち時間は、それを厳守され、議事進行に御協力賜わりますようお願い申し上げます。  なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は、必ず的確に、要領よく、簡潔に行なわれますようお願いをいたします。  なお、本日は、芳賀貢君の質疑に対し、参考人として、日本鉄道建設公団総裁篠原武司君が御出席になっております。御意見質疑をもって聴取することにいたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。芳賀貢君。
  3. 芳賀貢

    芳賀分科員 新谷運輸大臣にお尋ねしますが、政府は二月十三日に閣議決定で、経済社会基本計画を発表されたわけですが、これは昭和四十八年度から五十二年度までの五カ年計画を基調として、さらに六十年度までの長期目標がうたわれておるわけですが、その中で運輸交通関係といたしましては、全国幹線交通通信ネットワークという政策目標のもとに、一つ国鉄新幹線計画でありますが、これは計画によりますと、五十二年度までに延長千九百キロを完成さして供用するというのが第一点。第二点は、昭和六十年度を目標にして、延長七千キロの建設をはかるという点がうたわれておるわけでありますが、そういたしますと、当然この長期計画あるいは五カ年計画内容というものが、すでに準備されておらなければ、またいつもの経済発展計画と同じように、絵にかいたぼたもちで終わると思うわけですが、これに対応する新幹線基本計画並びに建設計画というものは、すでに用意されておるかどうか、その点についてお答え願います。
  4. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 いまお示しのように、経済社会基本計画に書いてございますように、この五カ年間につきましては、一応いまお示しのような数字で計画が進んでおることは事実でございますが、さらにその後の問題につきましてお尋ねでございますが、この点につきましては運輸省におきましてもいろいろ調査をしている問題もございますけれども、なお、さらに新しい五線をとりあえずきめまして、それについては国鉄及び鉄建公団調査をさしておるのでございます。  その内容を申し上げますと、あるいはこれはもう御承知かもしれませんが、北海道で、盛岡を出まして青函トンネルを通って、そして札幌まで行く新幹線、それから、東京から北陸を回りまして大阪に至る新幹線、それから博多から鹿児島と、博多から長崎に参ります新幹線でございます。以上の五線につきましては、具体的にいま国鉄及び鉄建公団において調査をいたしております。  さらに、その後の新幹線計画につきましては、鉄道建設審議会におきまして、基本計画に組み入れるべき路線調査をすみやかに開始したほうがいいというような建議が昨年ございましたので、これをどういうふうに扱って、今後の全国的な新幹線網調査をするかということについて、いま運輸省において検討中でございます。
  5. 芳賀貢

    芳賀分科員 ただいまの大臣説明に関連して、篠原鉄道建設公団総裁にお尋ねしますが、昨年の十二月の六日に、北海道新幹線計画について篠原総裁談話を発表しておるわけですね。篠原さん、聞いておりますか。——北海道の主要な新聞に掲載されたわけですが、篠原談話によりますと、北海道新幹線計画については、当初の青森札幌間の基本計画をすみやかに変更して、これを北海道第二の都市である旭川まで延長して、旭川起点とした北海道新幹線計画を策定する必要があるという、こういう談話が出たわけです。これはたまたま昨年の総選挙の終盤の時期でありますが、別に篠原総裁として政治的意図談話を発表したわけではないと思うのですが、われわれが奇異に感ずることは、建設公団というのは、すでに基本計画建設計画決定された分に対して、建設面を担当して遺憾なく建設を進めるというのが任務だと思うのです。それを一番先に建設公団総裁が、北海道新幹線は、今度は旭川まで計画延長して、ここを起点にするというような、まことに前向きな発言をされておるわけですが、これは先ほど大臣にお尋ねしました経済社会基本計画に基づく、たとえば千九百キロあるいは六十年目標の七千キロ計画の中に含めての発言と思いますが、いかがですか。
  6. 篠原武司

    篠原参考人 北海道新幹線につきましては、これは青森札幌間を指定されておりまして、ほかの、ただいま大臣から御答弁のありました五線をただいま調査しているわけでありますが、これは昨年の六月二十五日運輸大臣から国鉄と共同で調査するように指示されたものでございます。それで目下これを調査中でございます。しかも、その調査開始後一年以内に報告書を出すということになっております。いまいろいろ取り調べを急いでおりますので、北海道では御存じのように、太平洋回りとか小樽のほうを回るとか、いろいろな案が取りざたされておりまして、こういう問題に対する発言は、私ども非常に慎重にしなければならないし、まだそこまで私ども調査を進めているわけではございません。実は、われわれのほうでいろいろ腹案をつくり、また国鉄でもお考えいただいて、両方で協議いたしまして報告書を出すことになっておりますので、その前にただいまお話に出ましたような発言を軽々にするはずはないのでございます。  ただ、将来の新幹線として、私の個人的見解といたしまして必要であろうということは考えておりますし、それはいま始まったことではございません。実は五、六年前からそういうような話が出ております。それがまた日本列島改造一つ問題点にもなっているというふうに、私は考えておりますが、ただいま御発言のような趣旨でそんなことを私は申したことはございません。
  7. 芳賀貢

    芳賀分科員 それでは十二月六日の北海道新聞掲載篠原談話というのは、根拠がないということですか。
  8. 篠原武司

    篠原参考人 私は新聞記者会見北海道に行ってよくやりますけれども、そういうようなことを言ったことはございません。それから個々に、いろいろな雑談で話をすることはございますけれども、そういうように現在問題になっているものが、どこが起点だとかいうようなことは申すはずがございません。
  9. 芳賀貢

    芳賀分科員 いや、旭川延長は問題がないんですよ。函館から札幌までの区間で、小樽回りにするか、室蘭回りにするかという路線の選定については、地域の住民や団体がこっちに回してもらいたいというような強い運動はあるが、札幌から北へ行くのにどこを回るというような問題は、何もないんですよ。建設公団についても、新幹線計画調査を一部ゆだねてあるというような大臣の御発言があったわけですから、どこまで新幹線計画必要性があるかということについては、当然調査をする必要があるでしょう。北海道新聞全国の代表的な新聞ですが、あなたが発言もしないのに、ことさらに総選挙の中盤を目がけて掲載するはずはないし、まさか、ぼけて発言を忘れたのでもないんでしょうね。どうですか。
  10. 篠原武司

    篠原参考人 私は、特にそういうような選挙に関することは、公団としましては慎重にしなければならぬことは部下にもよく言っております。それから、その時期には、記者会見というような形のことはしたことはございません。だから、個々記者にパーティーか何かでいろいろ話をしたことはあるかもしませんけれども、そういうような運輸省から指示されないものについて、私どもは言うはずはございません。
  11. 芳賀貢

    芳賀分科員 ただ問題は、あなたのこの談話に期待を寄せて、すでに旭川中心にしてその地域市町村長地域の各産業経済団体が、この際ぜひ北海道新幹線基本計画においては旭川起点にするような実現を鉄道建設審議会等において正式にこれを議定してもらいたいという、熱意を持った促進期成運動が展開されておるわけです。ところが、大事な御本尊が、そういうことを言った覚えはないとか、年のせいで忘れたということでは、これは全く国民に迷惑をかけることになると思うのですよ。  しかし、御本人がそういうことは言わぬとか、言った覚えがないというのをこれ以上追及する余地はないが、これは大臣にも申し上げますが、いま大臣の言われた新幹線五線計画についても、一般国民に与える印象は、どうも新幹線計画というのは南重点ではないか。博多から鹿児島とかあるいは長崎が、九州においてはすでに基本計画に入っておる。北のほうは青森札幌どまりというようなことになると、田中首相のいう列島計画というものは何か南重点の構想ではないか。それを受けた経済社会基本計画もそのとおりの計画であるということになるが、これは問題があると思うのですよ。  ですから、調査を行なう場合においては、全国を対象にして将来への長期展望の上に立って、そして新幹線基本計画等についても誤りのない方針を立てていく必要があると思うのです。特に、いま問題を提起しました北海道新幹線旭川起点という問題については、大臣が直接タッチしておらぬとすれば、当局側からでもこの際説明をしてもらいたい。
  12. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 いま鉄建公団のほうからその当時の事情は御説明したとおりだろうと私も思いますが、先ほど御説明いたしましたように、新幹線は順次全国的にこれを広げていかなければならない。ある地区を除外をするとか、ある地区を軽視するということは、もちろんこれは考えておりませんし、全国土にわたりまして必要なところは日本交通路の大動脈として建設をしなければならぬというこは了承しておる次第でございます。運輸省としましては、南に片寄るとか北に片寄るということではなしに、日本全土にわたりまして豊かな国づくりを進めていくわけでございますから、新幹線計画もそういう趣旨にのっとりまして計画を立てるわけでございます。  そこで具体的な問題になりますと、とりあえず新しく調査五線をきめましたが、もちろんこれでおしまいではございません。今後日本全土にわたってどういう順序でどういう幹線をつくっていくかということにつきましては、各方面意見を聞きながら、またその交通に対する需要を考えながら、鉄道建設審議会においても、これは各党の方も出ていらっしゃいますから、そこで十分国民の意思を反映して結論を出していただくように、そこに諮問した上で運輸省といたしましては最終的に決定をしていくということになりますので、いまお話しのようなことにはしないつもりで、またそうあってはならないと思いますし、よく気をつけてこれからも作業を進めていきたいと思います。
  13. 芳賀貢

    芳賀分科員 次に、経済社会基本計画の中で、国鉄在来線については今後複線化電化等を推進する、もう一つ地域開発重点とする新線建設等についてもこれを促進するということがうたわれておるわけで、これは当然なことだと思うわけですが、そういたしますと、従来国鉄中心にとられてきた、たとえば既存の赤字線の撤去の問題とか、あるいはローカル線の小駅の無人化の問題であるとか、あるいはまた国鉄労働者の十六万五千人首切り計画等は、今度の政府の五カ年計画に照らした場合においては、これは根本的に手直しをする必要があるというふうにわれわれは感ずるわけでございますが、この点は運輸大臣として、また経営の担当者である磯崎総裁としてはどう考えておりますか。
  14. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 経済社会基本計画に載せておりますのは、そのとおりの方針でいかなければならぬと思っております。いろいろな問題がございますが、いまお述べになりました地方の、従来でございますと閑散線国鉄の採算が合わないところはなるべくこれを廃止しようという方向でございましたけれども、昨年提案いたしました国鉄再建計画と多少違いますところはその点でございまして、やはり全国土にわたって地域開発を進めていかなければならぬということになりますと、国民最後の足というものは守っていかなければならぬということもございますし、そういう地域開発に伴ってやはり荷動きというものもあるはずでございますし、そういった地方地方開発計画ともにらみ合わせまして、これは現在は非常な赤字であるかもしれませんが、将来そういった地域開発に役立つ、また国民最後の足を守っていくのにどうしても必要だというものにつきましては、政府赤字に対しまして最大限の援助をし、財政的な補助をいたしましてでもこれを残していくというような点を、昨年提案いたしましたところとは多少考え方を変えて今度は提案しておるわけでございます。  それから在来線の問題でございますが、これは営業上の問題もございますので、国鉄総裁から詳しくお答えしたほうがいいかもしれませんが、新幹線がだんだん全国に広がってまいります。そうしますと、おそらく旅客輸送というものは大体新幹線中心になって行なわれることになるわけでございますが、御承知のように国鉄といたしましては……(芳賀分科員大臣、時間が三十分しかないので、こまかいことは……」と呼ぶ)それでは簡単に言います。在来線のほうの通勤輸送とか何かでは在来線が非常に必要になってまいりますけれども、これは強化いたします。しかし全国的に見ますと、国鉄のウイークポイントは貨物輸送の面にあったわけです。新幹線のほうにだんだん旅客輸送が移ってまいりますに伴いまして、たとえば夜なんかは、これはもう在来線のほうも複線電化をいたしまして、貨物輸送最大限カを入れて、そのほうの国民の要望にもこたえる、国鉄財政再建にも役立てさせるというような意味で複線電化も進めるというような意図を持っておるわけでございまして、国鉄総裁からなお営業上必要な問題についてひとつ意見をお聞き願いたいと思います。
  15. 磯崎叡

    磯崎説明員 まず先生の御質問のいわゆる地方交通線ローカル線の問題でございますが、私どもといたしましては、道路輸送でやれるものは道路輸送にすべきだという考え方には変わりないのでございますが、ただ非常に将来性が見込まれるというものにつきましては、今後の問題を考えて、国土の再開発を考えてやるというところが少し変わってきておるわけでございます。したがいまして、線路を撤去するという問題と、それからその地域内の駅を合理化するという問題はおのずから違った問題だと私は思っております。合理化の問題はやはりきちっと進めなければいかぬと思っておりますし、また全体の人員縮減問題も、国民の税金を相当いただく以上、国鉄自体合理化近代化をしていくという方針には変わりないわけでございます。
  16. 芳賀貢

    芳賀分科員 いま磯崎総裁が言われた合理化の問題は、政府側において国鉄運賃法改正法案、それから再建計画に関する法案が提出されて、今月の八日に衆議院本会議に上程されることになるので、それらの点については今後国会の中で十分審議をして、政府並びに国鉄の間違った交通運輸政策を根本的に転換させるという、これは私どもの党の既定の方針ですから、その論議はきょうは避けるといたしまして、最後にあらかじめ問題点を通告してありますが、磯崎総裁が十年来の熱意を持って取り組んできた北海道で生産される生乳国鉄輸送手段による東京地区あるいは大阪等日本の大消費地に対する、いわゆる遠距離輸送の問題については、昨年も国鉄としてたとえば専用のコンテナを建造していく、農林省当局において北海道からの飲用向け生乳輸送の発注があれば、十分対応する準備ができたというお話もありましたが、この際、それらの具体的な体制がどうなっておるかという問題と、もう一つは、農林省大河原畜産局長来ておりますか。——国鉄がそういう万般の準備を整えても、農林省側が大事な生乳をそれによって輸送するという体制ができなければ、入れものはできたけれども中身がないということでは、これは実行ができないわけですし、特に国内的にも国際的にも食糧農産物あるいは畜産物が全面的に窮迫の状態になっておるわけですからして、国内の消費の旺盛な地域生産地帯から迅速に新鮮、良質な生乳を供給するということは行政責任においても果たすべき役割りだと思うわけです。両者からこの点について説明をしてもらいたいと思うのです。
  17. 磯崎叡

    磯崎説明員 北海道生乳輸送につきましては、先生から前からお話がございまして、私どもも相当熱意を持ってやってまいった。端的に結論だけ申しますと、農林省のほうからお話があると思いますが、私のほうは送りたくてしょうがないのです。ただ、実際やってみますと、荷主があまり送ってくれない。私どもの手が届かない、たとえば価格の問題とか配給機構の問題があったんじゃないかと思うのです。私どものほうは荷主から御要請があれば、コンテナ輸送につきましても、またテトラの紙の袋の輸送につきましても、大体もう試験が済んでおりますので、輸送体制は絶対に御心配ない、お引き受けするというふうに申しておりますが、問題は、いま先生おっしゃったように、荷主が使ってくれるか使ってくれないかという問題だと思います。私どもといたしましては、農林省がやれとおっしゃれば喜んでやりたいという気持ちで一ぱいでございます。
  18. 芳賀貢

    芳賀分科員 ついでに運賃がどうなるかちょっと……。
  19. 原岡幸吉

    原岡説明員 列車貨物特急でもって送ることになっておりまして、帯広から東京に来る場Aにはコンテナ運賃といたしまして三万一千八百円、これは冷蔵コンテナ使用料も含めまして三万一千八百円、それから札幌から東京、これは冷蔵コンテナ使用料を含めまして二万八千三百円、これも貨物特急という列車で送れるような体制になっております。
  20. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 北海道からの牛乳の輸送問題につきましては、不足払い制度等が発足いたしました当時からしばしば先生からも御指摘があり、政策的な御提言もあったところでございますが、試験的な実験段階を経まして、現実に生乳製品内地輸送も始まっておるわけでございます。先生御案内のとおり、ただいま国鉄総裁十分輸送車準備をしておるというお話がございましたが、R10型コンテナ、これは十八台ございまして、八日サイクルといたしますと二台はフルに稼働できるという状態になっております。これに対しまして札酪——札幌酪農協同組合は毎日コンテナの五トン車を一両、五トンずつ東京に送っておるわけでございます。あと一台の問題だということでございますが、これにつきましてはホクレン系北協乳東京生乳販売努力中でございますが、日量二トンなしい三トンという段階でございまして、そのコンテナをまだ使用する段階になっておらないで、トラック輸送でフェリーを利用する、それでバター等を混載するというような形になっておりますが、現在ホクレン等におきましては東京における北海道のフレッシュな生乳販路拡大につとめておりまして、その販売努力と相まちまして、日量五トンには遠からず達するのではないかというふうに考えております。
  21. 前田正男

    前田主査 これにて芳賀貢君の質疑は終了いたしました。  次に、佐野進君。
  22. 佐野進

    佐野(進)分科員 私は、大都市交通行政、特に東京都市圏交通行政につきまして質問をいたしたいと思います。  大都市圏における人口及び産業の集中は著しく、特に東京中心とする交通圏は、昭和四十年は二千万人、それが昭和六十年では二千九百万人、同じ期間の就業人口は一千万人から一千四百万人、就学人口は百五十万人から二百万人、このように急増を予測されているわけであります。これら急増を予測されている大都市圏交通事情というものは、年を重ねるに従って混雑の度合いを深めているわけでありまするが、この大都市圏、特に東京中心とする都市圏における交通事情の緩和のために運輸省はどのような対策を持っているか、概念的でよろしいですからまず最初にお聞きしたいと思います。
  23. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 東京首都圏交通問題でございますが、これはいまお話のように各方面でいろいろの研究をされ、われわれに対してもいろいろの提案をしていただいているわけでございます。私たちはそういった提案につきまして慎重に研究すると同時に、実行可能なものから逐次それを実行に移しているというのが現状でございます。もちろんいまお話のように、まだ人口の増加もあり、したがってこのままでは交通難をさらに激化するだろうということが予想されますので、国鉄をはじめといたしまして、営団の地下鉄でございますとか都営の地下鉄でございますとか、こういつたものはそれぞれ特色のある機関でございますから、その特色を生かしながら首都圏交通機関の中核的なものと考えまして、それに民鉄でありますとか、あるいはバス路線でありますとか、それぞれの特色を生かして首都圏交通に一番役立てるような方法、手段というものを考えまして、それをあわせていまの交通対策の重点にして持っていきたいということで、各方面に対しまして鋭意研究を進めると同時に、政府もそれに対して最大限の援助を与え、そうしてあまり皆さんに迷惑をかけないような豊かな交通機関を早く実現したいというので努力をしておるところでございます。
  24. 佐野進

    佐野(進)分科員 私は都市圏におけるところの交通緩和の対策は二つあると思うのです。一つは路面交通に対する緩和対策、一つは路面交通を地下へどの程度吸収して緩和するかという方法、この二つにしぼられてくると思うのであります。  最初に路面交通の問題について御質問したいのですが、今日の路面交通の混雑の原因は、御承知のとおり自動車の急速度におけるところの増加に対応する道路網の整備がこれに追いつかない、いわゆる過度の人口集中あるいは産業集中に伴う必然的な結果としてあらわれてきた弊害であろうと思うのであります。  そこで私は御質問をいたしたいのでありまするが、自動車の台数の伸び数は、私の手元にある資料は昭和三十年度を一〇〇とした場合、東京都においては八九三という指数を示しておるわけであります。道路の延長につきましては一〇〇に対して二〇〇、しかし道路面積は一八〇、このような指数を示しておるわけでございますが、昭和四十七年度現在でこの指数はどのように変化しているか、ひとつ御説明を願いたいと思うのであります。
  25. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 自動車台数の推移でございますが、御指摘のとおり昭和三十年以来毎年著しく自動車の数がふえております。車種ごとに若干の相違はございますが、車種ごとにちょっととってございませんので全体で申し上げますと、昭和四十六年度末の全国の車両数は二千百二十二万三千台、二六一という指数になっております。
  26. 佐野進

    佐野(進)分科員 東京を聞いているのです。わからないですか。
  27. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 ちょっといま手元にございませんので……。
  28. 佐野進

    佐野(進)分科員 私の資料が四十五年度のものですから、できるだけ近い状態で把握して、それを基礎に質問したいと思ったのですが、手元にないようでありますから質問を続けます。  このようないわゆる急激な膨張は、結果的に毎日町に見かけるような自動車ラッシュとなって交通混雑の最大の原因になっているわけであります。この交通混雑の最大の原因になっている自動車数の急激な増加に対応する道路整備が行なわれないわけでありまするから、混雑が激しくなり、結果的に産業活動、市民活動に重大な支障を来たしていることは当然であります。なかんずく一般市民が受けるこのことによる影響はきわめて重大なものがあり、そのことによって受ける精神的、肉体的苦痛ははなはだしいものがあるわけであります。したがって、私はこの自動車の増加が産業活動ということだけでなく、一定の規制を要する、そこに産業活動を擁護するという立場だけでなく、一定の規制を要する段階に来ているように見受けられるわけであります。このことに対して大臣はどのように考えられるか。
  29. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 お話しのように、道路をもっと拡張しろとかもっと新しい道路をつくれといいましても、この首都圏ではもう大体限界に近いのではないかと私も考えます。したがいまして、いまお話しの路面交通につきましても、これはやはり新しい構想をもっていかなければならない。新しい構想というのは何だといいますと、結局この自動車の問題につきましては、いままでの運営のしかたをもっと改めまして、いわゆる公共的な交通機関というものをもっと拡充していくという方向で考えていくのが一番いいのじゃないかと考えるのでございまして、それには単に自動車だけじゃございませんで、鉄道とかあるいは民間の私鉄のような機関、そういったものを有機的に結合いたしまして、そうして最も輸送効果のあがるような方法で、交通を緩和する方向でみんなが協力をして計画を進めていくというようなやり方以外には、路面交通についてはあまりいい案がないのじゃないかというふうに考えておるのであります。
  30. 佐野進

    佐野(進)分科員 このようなことは、いまの大臣の言われることも相変わらず抽象的表現にしかすぎないので、決断と実行をキャッチフレーズにしておる田中内閣のもとにおける大臣としてはきわめて不適切な答弁だと思うのです。私はもう社会的な世論として、いわゆる環七、東京都市圏中心にしての交通事情緩和ということが単に産業活動ということだけでなく、地域住民の利益を守るという意味において、公害問題からもこの面においては規制が叫ばれておるわけですが、環七を二車線にして、いわゆる付近住民を騒音ないしその他の公害から守ろうという意見が出ているとき、環七内、都市中心地帯におけるところの混雑を運輸行政の面からどのようにしようということをいま考えていますじゃ済まされないと思うのです。少なくとも環七以内におけるところの交通規制ないし一定時間帯におけるところの流入規制その他が具体的に検討をなされなければならないときではないか、このように考えて、いま質問したわけですが、これについてはいま少しく明確な御答弁をお願いしたいと思うのであります。  さらに、いま一つの問題としては、交通規制が単に大型トラックあるいは一定産業活動に制約を与えるということだけでなく、一般乗用自動車、いわゆるマイカー等に対する制限という形をとって行なわなければならないということ、これはもう必然的です。そのことが実施されない限り、地下鉄網を幾ら整備しても都心地域におけるところの交通緩和が行なわれるなんというのはナンセンスだ。規制と建設とが両面から行なわれて住みよい都市環境がつくられていくと思うのであります。これらの点についてはいまの大臣答弁では私はきわめて不満でありますので、もう一回御答弁を願いたいと思います。
  31. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 非常に抽象的にお答えしたので不満だったかと思いますけれども、マイカーを、これを端的にことばどおりに制限しろといいましても、これはなかなかむずかしいだろうと私は思います。したがって、これは私のほうの所管だけではなしに、他の官庁にも関係のあることでございますけれども、ある時間帯には一般交通の非常に障害となるような大型のトラックでありますとか、そういったものについて制限を加えるとか、いろいろ考え方があると思います。それは単に私のほうだけの権限だけではできないものですから、こういったことについては従来も非常に各官庁とも協議をして、おそらく総理府を中心にしてそういう交通対策というものに各省が協力をしてやっていると思いますけれども、そういうものをもっと具体的に進めるということが必要であると思います。  私がさっき申し上げたのは抽象的でございましたが、そういう個人個人、一人一人、自分の足をもってやるということよりも、それはなぜそうしなければならぬかといいますと、いわゆる公共的な交通機関というものが少ないからだろうと思います。私は公共的な交通機関、たとえば自動車につきましてはバス路線、そういったものをもっと整備し、使いやすくすることによりまして、そういう交通難を相当緩和できるのじゃないかと考えておるわけでございます。そういう意味で、私は公共的な交通機関をもっと整備する以外にはないのじゃないかということを申し上げたわけで、これは単にバスだけではございません。民鉄についても国鉄についても同じように考えなければならぬと考えております。それは御承知のとおりにもう考えているという段階じゃなくて、いま現にもうやれるだけやっておるという状態でございますから、もし具体的に必要とせば政府委員から御答弁申し上げます。
  32. 佐野進

    佐野(進)分科員 私の申し上げたことは、いま行ないつつあることがまずいということでなく、足りないということを申し上げておるわけであります。したがって、たとえば公共輸送機関についても、ただバスを充実するのだ、ふやすのだといって幾らふやしても、走れないバスをふやしてもしようがないので、走りやすい環境をつくる。いまバスレーンができておりますが、これらについてはもう少し強力な行政指導をするあるいは公共輸送機関を重視するということが事実上大多数の都市住民の利益を守るということであるならば、ここに大都市圏東京都市圏における交通行政の面からいっても、当然先ほど申し上げたようなことを具体的な事例としてとらえながら対処してもらいたい。——これだけやっておるとあれですからやめておきますが、早急に善処されんことをお願いしたいと思います。  そこで、私は前提としていまの御質問を申し上げたのでございまするが、それらの施策を講ずる中において大都市交通の路面上における交通緩和をはかるとともに、近代都市としての交通網を整備する上においては何としても地下鉄網の整備が重要である、これはもう論を待たないわけであります。運輸当局におかれても、これらについては積極的な取り組みをされつつあることについては敬意を表するわけでありますが、しかし何にせよ、計画から実施、さら完成ということになると、時間がかかり過ぎるわけであります。目下運輸審議会において決定されたそれぞれの計画に基づいて事業が進められつつあるわけでありますが、私は東京におけるところの最もおくれた地域であるといわれておるいわゆる墨東の地域における地下鉄網の建設状況について、時間がございませんから簡単でいいですから、ひとつ御説明をお願いしたいと思うのであります。
  33. 秋富公正

    秋富政府委員 ただいま先生から御指摘のように、大都市、特に東京におきます都市交通緩和のために地下鉄建設ということが一番根本的なものだと思っております。また私鉄あるいは国鉄の増強ということも一つでございますが、現在御承知のように東京におきましては百十二キロを建設中でございます。それから着工予定のものが十九キロあるわけでございます。これは私鉄も入っておりますから、地下鉄だけでございますと……。
  34. 佐野進

    佐野(進)分科員 もういいですよ。墨東地域の八号線と十一号線……。
  35. 秋富公正

    秋富政府委員 それからただいま具体的に御指摘のございましたいわゆる八号線と十一号線の問題でございますが、現在八号線につきましては池袋−銀座間、これは四十九年九月に完成の予定でございます。それから成増−池袋につきましては五十一年三月完成の目標でございます。  御指摘の地区でございますが、豊州−東陽町−錦糸町−押上を経て亀有という約十四・八キロでございますが、これにつきましては昨年の三月都市交通審議会において答申があったわけでございますが、十一号線につきましても蛎殻町から大井町、この間につきましてやはり答申があったわけでございますが、この二つにつきましてはいまその具体化について検討中でございます。と申しますのは、現在東京都におきましてはいわゆる十二号線が約三十八キロでございますが、これを昨年の十月に申請を受けたわけでございます。つい最近でございますが、十号線を延伸していく。これは約九キロでございますが、これの免許申請が出ておる段階でございますので、やはり工事費の資金確保、こういったすべての面を考えながら建設というものを積極的に進めていきたい、かように考えております。
  36. 佐野進

    佐野(進)分科員 私はそれに関連して、地下鉄建設を阻害する幾つかの要因について議論を持っておるわけでございますが、そのすべてを申し述べる時間的余裕がございませんから、一点だけ申し上げて質問したいと思うのであります。  それはいわゆる東京という地域、さらに東京都市圏という地域、この二つの地域地下鉄建設については必然的な要因として発生するわけであります。その場合、いわゆる東京という行政圏と東京都市圏という問題二つをどのように関連づけながら効率的な輸送を行なうのかということが、建設に対しては不可欠の要件です。ところがどうしても他府県にわたる、たとえば埼玉なら埼玉、千葉なら千葉、神奈川なら神奈川という形になりますと、そこが障害の一つの要因となって建設計画がおくれる。そのために数年のロスを引き起こすという事態が幾つもあるのです。運輸当局は二都県にわたる路線について至急対策を立てて善処しなければならないが、事実上は運輸省段階においてすべてがストップしてしまう。いわゆる民鉄との関係その他の条件の中でストップしてしまうということがあり得るわけでありますけれども、これらについて、時間がございませんので、基本的でよろしいですから、ひとつお考えをお示しいただきたいと思います。
  37. 秋富公正

    秋富政府委員 ただいま先生の御指摘のとおり、都市地域の足の伸びとともに、地下鉄についても問題が出ているわけでございます。その一つは、先ほど申しました都営十号線の千葉県への乗り入れの問題、こういった点も一つの問題でございます。  現在どういった形かということでございますが、一つは帝都高速度交通営団につきましては、東京都以外の地方公共団体からも出資を仰ぐことができるわけでございまして、千葉県あるいは埼玉県からも出資を仰いでいくというのも一つの方法かと思うわけでございます。しかし一方、いま申しました東京都がいたしております都営を千葉県のほうに延ばしていく、あるいは埼玉県のほうに延ばしていくという問題も考えてみなければならぬと思います。あるいは千葉県営鉄道といったものと東京都の地下鉄をドッキングするというような形も考えられるかと思います。あるいはその地方公共団体があわせまして一つの企業団と申しますか、そういったものを——水道とかガスとかいう場合には事例があるわけでございますが、そういったような形というものも考えられるわけでございます。いずれにいたしましても、私たちといたしましては、やはりそれを利用される方に最も便利だという形でいかにして建設が進められ、運営されるかということを根本的な目標として進めていきたい、かように考えております。
  38. 佐野進

    佐野(進)分科員 そのほかいろいろあるわけですが、時間がなくなりましたので省略いたしまして、次に公営交通事業につきまして若干質問してみたいと思います。  いわゆる公営交通事業全体は、路面交通の渋滞あるいは地下鉄建設、さらにはまたその他の要因によって累積する赤字が四十六年度末において千九百二十九億円あるいは四十七年度においては二千二百億円にも及ぶのではないか。国鉄赤字と比較いたしましても非常に膨大な赤字が発生しつつあるわけでございます。これは先ほど来申し上げている社会的条件の中において必然的に発生している赤字でございまするが、しかし何せ赤字が出ているという事実は、その公営企業体あるいはまた地方公共団体としてはたえがたい苦痛であるわけでございます。そこで、地方公営交通事業の経営の健全化という形の中において、公営交通問題研究会で一定の答申を出しておるようでございますが、この答申について運輸当局としてはどのように受けとめられておるか、ひとつ御説明願いたいと思います。
  39. 秋富公正

    秋富政府委員 私はこれは貴重な御意見だと思っておりまして、十分今後研究していきたいと思っております。  私は、御指摘のように、公営におきましてもいわゆる建設費の金利というものが非常に大きくなってまいりますし、地下鉄はずいぶん合理化されておるといいながらも、やはり近い将来大きな問題になるわけでござしいまして、来年度から建設費の補助を五〇%から六五%に引き上げ、あるいは過去債務につきましても、これは自治省の所管でございますが、国鉄と同様の過去債務に対する孫利子方式というようなこと、あるいは営団につきましては金利を下げる、こういったような対策を政府としては考えておるわけでございます。
  40. 佐野進

    佐野(進)分科員 いま鉄監局長答弁で尊重するという考えでありますから、私もその方向で処理して対処していただきたいと思うのであります。ただ今年度におきましても、昨年度に比較いたしまして公営交通事業の中における地下鉄建設の面につきましては、二分の一補助から三分の二、実質五一%の補助という形になってきておるわけでありますが、実際上の問題といたしまして、今日二千二百億以上も見込まれるこの累積赤字の現況の中で、地下鉄建設していこうとする公営事業体としてはたいへんな努力をしなければならない状況であるわけでございますが、この補助について三分の二をさらに四分の三等に前進する考えがあるかどうか、これは運輸大臣にひとつお聞きしておきたいと思うのです。
  41. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 先ほど局長から申しましたように、四十八年度の予算要求にあたりまして、いまお話しのような点があるものですから、最大限努力をいたしました。いままでと比べますとだいぶこの補助率も上げましたし、それから内容においても八年の分割払いというのを六年にいたしまして、地方公共団体の負担を軽減するために努力したのですが、なおこういった問題についてはますます公共性が強調されてくることは必然でございますから、今後につきましても、いますぐとはなかなかいかぬかもしれませんが、われわれも努力をいたしまして、こういう地方団体が大きな赤字をしょいながらやっておるという状況は、何とかして救済するように努力しなければならぬと考えております。
  42. 佐野進

    佐野(進)分科員 そこで、これらの努力をしていただくと同時に、現に地方公営企業が行ないつつある事業を運輸当局として円滑に実施させるように、この答申の内容に盛られておる中において、できる限り処理をしていくべきではないかと考える点が二、三あるわけであります。  その一つを申し上げてみたいと思うのですが、たとえば許認可制度の整理簡素化ということが強く指摘をされているわけであります。一つ二つの面を取り上げましても、国鉄の場合は国会において議決された事項が直ちに効力として発効するわけでありますが、地方公共団体の場合は、地方議会において議決された事項がまた運輸省においてあるいは経済企画庁において許可を求めるなり認可を受けなければならぬ。このような事例も相当あるわけであります。いわゆる二重行政が端的に行なわれている事項もたくさんあるわけであります。したがって、それらについては、たとえば路線の免許その他は運輸省が行なうことは当然といたしましても、きわめてささいな問題まですべて地方公共団体の持つ権限を運輸省が掌握し、議会において議決を経た後さらに運輸省においてそれの認可を与える、このようなことが幾つかあるわけであります。これらはこの答申の線、その他事業運営の面においてもいろいろな支障を来たす面もございますので、これらについて極力簡素化をすべきだと思うのでありますが、大臣並びに鉄監局長答弁を求めます。
  43. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 この許認可事項につきましては先年、一昨年でございましたか、行管が中心になって許認可事項の大幅な整理をいたしました。しかし今日まだお話しのような点が残っておりますので、実体を伴わないような手続だけの許認可というようなものにつきましては、極力これは整理をしていったほうがよいと考えております。ただ、お話の中になかなかむずかしい問題があると思います。たとえば地方の議会で議決したのだからもう運賃なんかはまかせてしまえ、こういうようなお話も最近出ておりますが、こういった問題につきましては、やはり都市都市との関係もありますし、必ずしもその都市の中だけの問題ではございませんし、交通体系といたしまして一貫して考えないと非常にアンバランスが出てくるという問題もございまして、検討はしておりますけれども、ただ、地方議会で議決したから運賃はもうそのままで、運輸省は黙っていていいじゃないかというようなことにつきましては、非常に慎重に検討しなければならぬ問題があるということでございます。だから、実体を伴わないような形式だけの許認可事項というものは極力廃止していくという方向は全然同感でございます。
  44. 佐野進

    佐野(進)分科員 時間が来ましたので、締めくくりの質問をいたしたいと思います。  いわゆる大都市交通行政の中における特に都市交通問題については非常に重要な課題になっておるので、積極的にこれが解決のために取り組んでいただきたい。特に路面交通の渋滞対策に対しては、運輸当局は、総理府のほうでそれを調整するのだという大臣答弁がございましたが、そのようなことでなく、もちろん総理府あるいは警察当局その他関係地方自治体等とむずかしい調整を要する課題等もたくさんあることはよく知っておりますが、積極的にこれらの点について打開のために努力をしていただくのはやはり運輸当局ではないかと私は考えるのでございますが、それについて大臣のお考えをひとつ最終的にお伺いしておきたい。  それから、鉄監局長に対しては、地下鉄建設についてはとかく関係方面との調整その他が多々あることは私もよく知っておりますが、あなたのところで行なう決断が結果的に地下鉄網の整備をはめじ今日の交通問題を解決する上に非常に大きな役割りを持っておるということでありますので、いろいろの面について事務的、行政的に渋滞を起こさないように勇断をもってひとつ前向きの姿勢で対処していただきたい。  抽象的な要望になりますが、その点を申し述べ、局長答弁を承って、質問を終わりたいと思います。
  45. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 総理府にまかせておるわけでは決してないのでございまして、実際はやはり運輸省が一番責任を持つべき問題が多いのでございますから、お話しのように積極的に今後といえども取り組みます。
  46. 秋富公正

    秋富政府委員 ただいま御指摘の点に対しましては、今後も努力いたしたいと思います。
  47. 佐野進

    佐野(進)分科員 終わります。
  48. 前田正男

    前田主査 これにて佐野進君の質疑は終了いたしました。  次に、大出俊君。
  49. 大出俊

    大出分科員 たいへん短い時間でございますから、少し能率的に承ってまいりたいのでありますが、まず一つは、先月の二十一日の内閣委員会で、ベトナムから岩国に帰ってまいりました海兵隊の航空師団、スカイホーク四十機ぐらい帰ってきております関係で訓練空域、しかも専用の訓練空域を新たに設定してもらいたいという米側の強い要請が根底になりまして、どうも認めてしまいそうに見えるので、また軍事優先という問題が世の中の大きな話題になりますから、せっかく雫石の事故以来、航空交通安全緊急対策要綱をつくった運輸省の立場等も考えまして、あるべき姿ではなかろうということで実は質問をしたのでありますが、きわめて近い時期に結論を出さなければならなくなっているという当時の話でございました。十一カ所旧来からあったのだ、こういうのであります。これはそういいかげんなことを言っても、私のほうも詳細に調べておりまして、十一カ所がどうなっておって何がどうなっておるか知らぬわけではない。しかも機構がありまして、合同委員会の末端機関がどういうふうになっておるかくらいのことも知らぬことでもないので、新たに新たに、こういう言い方を私はしましたら、旧来から旧来からと答えましたが、米軍の司令官の岩国における発表等を見ましても、これは新たな要求であります。そういう意味で、これは一体いつ結論をお出しになるのか、時期的な判断をまずお聞かせ願いたいと思います。
  50. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 お示しの十一カ所でございますが、問題がございます。検討いたしておりますが、非常に困難でございます。なるべく早く結論を出すために努力はいたしておりますけれども、いま具体的にお示しになりました島根県の沖合いの問題、考えるとすればこれが一番考えられる問題。ただ、ここには民間機の航空路がございますから、それに支障がなければこれは不可能ではないと思いますけれども、高度その他を検討いたしまして、可能であるかどうかということをいま技術的に検討をいたしておるのでございます。その他につきましては、これは交渉を受けておりますけれども、非常に困難な状況であるというふうに考えておりまして、その結論もなるべく早く出したいと思っております。
  51. 大出俊

    大出分科員 外務省に承りますが、例のこの間のあなたのほうの答弁によりまして、日米合同委員会の下に事務レベルでいまやっておる、相互の話し合いが進んでおる。やがてこれは一段上に上がるのだろうと思うのでありますが、これはどこまでいま進展しておるのか、その辺のところはどうなっておりますか。
  52. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 この問題は、そもそも四十六年の夏に全日空と自衛隊の事故がありました直後に検討が始められた問題でありますけれども、当時米側は日本側の事情を十分了承の上で、この問題についてできる限り協力をしたいということを一般的に申してきております。  そこで、それを受けまして、日米間で具体的な調整の場が持たれまして、数回の会合を行なっておりますけれども内容が技術的にわたるものでございますから、その後、航空当局において米側と専門的、技術的な見地から話を進めておるという状況でございまして、現在引き続き専門的な検討が行なわれておる、こういうことでございます。
  53. 大出俊

    大出分科員 まず、その機構を知らせてください。合同委員会がありますね。その下に小委員会みたいなものをつくっておりますね。正式名称は何というのですか。
  54. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 この問題は、先ほど申し上げましたように、日米調整会議というかっこうで、運輸省航空局の専門家と米側の専門家との間の会合が持たれておるわけでございます。その間、合同委員会の下部にございます航空分科会という場においての話し合いも持たれておりますけれども、現状はもっぱら日米間の調整会議というかっこうで検討が進められておるわけであります。
  55. 大出俊

    大出分科員 調整会議は米軍と運輸省ですね。そう理解していいですね。
  56. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 そういうことでございます。
  57. 大出俊

    大出分科員 そうすると、この航空分科会は外務省が入りますな。
  58. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 現実の問題としては運輸省の方に分科会の仕事をやっていただいております。
  59. 大出俊

    大出分科員 外務省が入りますなと聞いておるのですが、どうなんですか。
  60. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 形式上は入っておりません。
  61. 大出俊

    大出分科員 合同委員会まで上がらなければ外務省は関係がない、こういうことですか。
  62. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 直接的にはそういうことになります。
  63. 大出俊

    大出分科員 じゃ間接には……。
  64. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 したがいまして、合同委員会に上がってまいりますれば当然外務省は直接タッチいたしますけれども、現状におきましては運輸省当局におかれて米側と技術的、専門的な折衝を行なっておるというふうに承知しております。
  65. 大出俊

    大出分科員 技術的、専門的にやっていて、航空分科会まではあなたのほうは直接的に関係がない、間接的にはあるんですな。もし関係が全くないならあなたに聞いてもしようがない、わからないんだから。
  66. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 技術的な問題につきまして、私どもは全然承知いたしておりません。
  67. 大出俊

    大出分科員 あなたは技術屋じゃないんだから、技術的にわかるわけじゃないんだけれども、あなたは直接的にはというきわめて政治的な発言をなさるのだが、この十一カ所のうちで、可能性があるというのは外務省の立場から見てどこだとお思いになりますか。
  68. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 ただいま御答弁申し上げておりますように、専門的な事項でございまして、この問題は、現在もっぱら運輸省において検討が行なわれておるということでございますので、私ども技術的な内容については詳細承知いたしておりません。
  69. 大出俊

    大出分科員 この間のあなたの答弁では、十一カ所でそれが前からあって云々と答えていたのですが、どうもそこまで何もかもお知りにならぬのなら、少しあなたの答弁がおかしいんじゃないかと思う。というのは、雫石の事故のあとで、運輸省、防衛庁といろいろ相談をされて、米軍もこれは一枚入っている。当時米軍も入っておって、米軍が当時訓練空域を要求した。自衛隊もそうですが、そのときに自衛隊のほうを先にきめて、自衛隊の訓練空域で米軍も協力してやってくれ、こうなっておった。それでやってきたんだ。だから、この航空交通安全緊急対策要綱の一番最後には「上記の諸措置のうち、在日米軍機の運航等に関係ある事項については、米側の協力を求めるものとする。」こうなっているんです。だから、これはつまり防衛庁と運輸省との間のものであって、米軍の場合は協力を求めることになっている。協力を求めたんですよ。協力をして米軍もやってきた。だが岩国で司令官がものを言っているように、ベトナムからスカイホークその他が入ってきて、P3がいなくなると、百機にも及ぶということになってきて、マリーンなんかもそうです、帰ってきているんだから。横須賀では、私の足元だからよく知っている。そうするとあらためてこれは、それまでは自衛隊と共同使用の形で、自衛隊の訓練空域を使っていくことになっていたけれども、ベトナム戦争が終って、みんな帰ってきている、それだからあらためてこうしてくれといっている。島根沖、山口県の沖、あるいは例の司令官が言っている豊後水道あるいは私の足元の横須賀沖あるいは百里であるとか、あるいは埼玉であるとか、あるいは伊豆であるとか、あらためて出してきている。ただこれは、どれをながめてみても、伊豆なんかの場合には民間航空路が錯綜しておって、とてもこんなところは、だれが考えたってやれないです。あるいは埼玉にしてもあるいは横須賀の沖にしても、これはやれない。こんなところに設定したらあぶなくてしようがないです。できない。そうなると、しぼられて残ってくるのはどこかというと島根県の沖、豊後水道という発表を司令官がしているけれども、豊後水道だってそこらじゅう、つまり、飛行場だらけです。実際問題として、とてもじゃないができないと私は思っているんです。思っているんだが、いつでも歯切れが悪い、悪いからこれははっきりさせたいわけであります。  そこで、具体的に聞きます。豊後水道はまず運輸大臣、不可能だと私は断定しているんですが、もしここでやるなんていったら、これは福岡県の築城の飛行場、これは四次防になったら築城はF104フアントムの主要基地の一つですよ。新田原、これも福岡でございますが、ここだって104がおるのですから、自衛隊の。こういう飛行場はたくさんあるわけですから、そこに民間航空路があって、常時便が多い。これは大分−大阪便が走っておるんだから、そんなところに設定できるはずはない。これは運輸大臣、たいへんな責任問題になりますよ。やはりできないと思いますが、いかがですか。
  70. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 豊後水道でございますね。——検討中でございますけれども、いまお話しのように民間航空機の非常にふくそうしておる場所でございますから、われわれの立場といたしましては非常にむずかしいというような感触を持っておるのですが、しかし何か方法はないか、検討中でございます。
  71. 大出俊

    大出分科員 運輸大臣が非常にむずかしいと考えているものを、何か方法を見つけて認めるというばかなことをなさっちゃいけませんよ、国民は黙っていないのだから。だから運輸大臣が非常にむずかしい、航空機が錯綜している場所であるとお考えならぴたりと断わる、そういう立場、これだけ航空事故が起こっているのですから、そういう政府の姿勢が前に出ることがいま必要なんです。これは割り切ってください。  それから島根沖ですけれども、これは大韓航空、KALが通っているのですね。一ころ大韓航空のほうをひん曲げろというべらぼうな言いがかりをつけられたが、そんなめちゃくちゃなことはできない。これはアメリカの言い分ですよ。二つに分けろ、二つにはできない、それじゃ航空路をひん曲げろ、こんなばかな話はない。それで高度で分ける。高度で分けるといったって、二千三百フィート、三百で切ったって四百で切ったって、向こうの要求はてっぺんの一万メートルからずっとおりてきて訓練をやるというんだ。緊急派遣部隊なんだから、そういう訓練が必要なんだ。そんなところで高度で切ったって、そこから上だなんといってもやれるわけはない。だから、そういうばかなことはできませんと断わったらいいでしょう、運輸大臣。それを十一カ所の山口沖の修正個所を入れて島根沖とつなごうなんて騒ぎなんだから、そこいらをいれて、要求してきているものを全部断わるわけにはいかないというようなことで、どこかで少し高度で切っておこうなんという助平根性を起こすのは困ると思うんだ。だけれども、それは立場上そうだというならそうと言っていただきたい。だから大韓航空、KALはそのまま通すのだが、高度で分けるなら高度で分けるんだという構想で話し合いが進んでいるなら進んでいると言っていただけませんか。
  72. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 先ほどちょっと申し上げましたように、十一カ所の中で比較的可能性のあるのは島根県沖だと私も聞いております。ただ、技術的な問題でございますから的確な御答弁ができないかもしれませんが、まだそういうことをきめたわけでもございませんで、いろいろ相手の要望も聞きながら、これはわりあいに並行線でかりにいけば可能性がないことはないというようなことだけでございますから、何か方法はないか、これは考えているのでありまして、ほかのほうをみんな断わるから、一つだけでもなんという考えはございませんで、やはり民間航空の安全を、これは最終的に守っていかなければならぬということは、運輸省としては当然考えるべきことでございますから、その点を確保できるならば、その方法は何かないかというように検討をしておる最中でございます。
  73. 大出俊

    大出分科員 確認を求めたいのですが、十一カ所のうちで可能性があるとすれば島根県沖だろうと私は申し上げたら、大臣は、私もそう思うと言う。それは高度で調整できて安全ならばというふうな可能性だ、こういうお話だったのですがね。したがって、十一カ所のうちで、もう一ぺん言いますけれども、ほかは百里にしても横須賀の私の足元にしろ、これはマリーンの専用訓練空域をほしいというわけですけれども、あるいは埼玉県熊谷あたりの二カ所にしてもあるいは伊豆などの二カ所にしても、あそこも航空路が錯綜していますからね。そうすると、これは埼玉にしても、横田が使いたいというのでしょうけれども、実際に不可能なんですね。そうするとしぼられていくと、いま可能性のあるのは島根県の沖であるという点が一つ、よろしゅうございますか。  それからもう一つ、島根県の沖も、大韓航空との安全が確保されるということで考えた場合に、高度ということになるだろう。それも現在検討中で、高度で分けてみて安全が万々一間違いないという、そういう確認が得られればというところなんだということでいいわけですな。いかがですか。
  74. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 そのように御理解いただいてけっこうだと思いますが、ただ私らのほうは、御心配になりました、さっきお話もございましたが、民間航空の航路を曲げることはしたくはないと考えております。したがって、そういう条件のもとに打開の方法があるかないかということをいま検討しておるということでございますから、御了承いただきたいと思います。
  75. 大出俊

    大出分科員 それで、もう一つ豊後水道ですけれども、これはさっきから万々が一だめだろうと言ったらだめだというように、非常に困難であると大臣がおっしゃった。困難なところをお認めになることはないだろうと私は思うのです。  そこで、念のために防衛庁のほうに聞いておきたいのですが、豊後水道は、どうも仄聞するところによりますと、——仄聞なんて、調べて知っているのだけれども、豊後水道が認められるならば自衛隊も一緒に使いたいと言っているわけだけれども、現地の司令官、エドワード・S・マーフィ大佐という方が、新聞ですが、二十八日に言っていますね。ここで、自衛隊との共同使用をしたいんだ、こう言う。これは米側が共同使用を求めているんじゃないですよ。ここが許可になるならば自衛隊が使いたいということが自衛隊側にあるから共同使用ということを言っている。あなたのほうもここを使いたいなんてやめてください。そうすれば大臣がぴしゃっと割り切れるのですから。いかがですか。
  76. 久保卓也

    ○久保政府委員 豊後水道につきましては米側も要求しているようでありますが、実は自衛隊側も要求しておりまして、航空局長に頼んでいるのですけれども、たいへんに渋い顔をしているものですからなかなか実現困難なのかなといま思っております。
  77. 大出俊

    大出分科員 これは内村さん、もっと渋い顔をしてくださいよ。豊後水道なんかで自衛隊とベトナム帰りの荒っぽい米軍と両方で共同訓練なんかやられてはあぶなくてしようがない。乗っかっている人は知らないからいいようなものだけれども……。だから豊後水道というのは、久保さん、米軍に一生懸命断わろうと運輸省では思っているんだと思うのですよ、大臣答弁から見ても。そこへ自衛隊も使わせようなんで、火をつけたらだめですよ。ひとつ御遠慮願いたいのですが、いかがですか。
  78. 久保卓也

    ○久保政府委員 すべて航空局長におまかせいたします。
  79. 大出俊

    大出分科員 そうなりますと航空局長に一にかかって責任があるわけですから、大臣がきわめて困難だとこの席でおっしゃったのだから、大臣がきわめて困難だと思っているものを、より技術的にお考えになっている局長がまさかオーケーを出すはずがない、こう考えたいのですが、いかがですか。
  80. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 先ほど大臣から御答弁いたしましたとおり、豊後水道、あの辺の空域は、実は非常に民間航空が錯綜しております。そこに私どもといたしましては訓練空域を認めたいという意思はございません。
  81. 大出俊

    大出分科員 局長さんの御答弁で明確になりましたので、これ以上深追いをいたしません。  もう一点だけ承っておきたいのです。別な問題でございますが、山口沖のN空域、これは自衛隊、いま使っておりますね。
  82. 久保卓也

    ○久保政府委員 使っております。
  83. 大出俊

    大出分科員 自衛隊の使っているN空域といまの島根県沖をつなごうというものの考え方がある。これが十一カ所の中に一つ出てきている。ここのところ、こまかいですから、大臣はそこまでお耳に入っていないかもしれませんが、内村さん、よろしゅうございますか、おたくに聞いて。もし差しつかえなければ、つなぎたいというのは、つなぎ方によってはたいへん危険になる、そこで、そこのところをどういうように判断をなさるかということを少し教えていただきたい。
  84. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 この問題につきましてはまだ具体的に検討しておらぬそうでございますので、ちょっとここで御答弁いたしかねます。
  85. 大出俊

    大出分科員 しからば検討の段階になりましたら一これは海兵隊が使うN空域なんですけれども、これもつなぎ方によっては非常な危険を伴う。つまり航空交通安全緊急対策要綱なんかも、たとえば民間航空路横断なんかの場合もずいぶん慎重に考えていますね。そこらのこともございますから、そのつなぎ方というものは一つ誤るとえらいことになるので、検討の段階でそういう無理はなさらぬほうがいいと実は思っている。図面でいろいろ調べてみましたが……。したがって、これは全く検討しないというなら別ですけれども、そうでなければ感触ぐらいは言っていただく必要があると私は思うのですが、いかがですか。
  86. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 私はまだ具体的に聞いておりませんが、要するに、この問題は、私どもといたしましては、いかにして民間航空の安全を確保するかというために交通分離というふうなことを考えておるわけでございますから、しいて防衛庁に対して、こちらは安全であるにもかかわらず無理をしておるという考えは毛頭ございません。しかし、そういう点につきましては民航安全ということを第一に考えまして御相談を申し上げたい、こういうふうに思っております。
  87. 大出俊

    大出分科員 民間航空の安全を——せっかくつくった要綱がございますから、まさに万全の上にも万全を期していただいて、そういう点について運輸省の態度というものをきちっとはっきりさせていただきたい。これはお願いをしておくわけであります。  大河原さん、以上のようなことでございます。まだできませんけれども、直接関係がないとおっしゃっているので、間接的に関係があるだろうと思うのですが、年じゅう折衝しておられまして、米軍に近いですから、そっちのほうから横やりを入れないで静かにしていただいて、断わるものは断わる、こうしていただきたいのですが、いかがですか。ひとつ航空局長にまかしてください。
  88. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 先ほどの御議論でも明らかなように、訓練空域の問題は、航空当局におかれて専門的技術的な見地から米側と折衝されている問題でございますから、この際に航空の安全ということに十分な配慮を払われるのは当然でございましょうし、米側としては、いろいろまた注文、希望があるということは確かであろうと思いますけれども、両者の話し合いがうまくいくことを私どもは期待しておるわけでございます。
  89. 大出俊

    大出分科員 大体焦点がはっきりしたようですが、残るのは高度で分ける、つまり島根県沖が可能かどうかという点、私はそれは断わったほうがいいと思うのです。たとえば二千二百フィートから上だなんていったって訓練形態というものは限られる。そうすると米軍のことですから、また無理をして、てっぺんから、一万メートルから急滑降しておりてくる。緊急派遣部隊だからなんということをやると、騒ぎが起こるだけですよ。だから、そこらのこともひとつ十分御検討いただいて一まあ率直に言ってしまえば、少し上のほうで切ってしまって訓練したくてもできないくらいにしておけば、やれぬでしょうから、そのくらいのことを考えるような——ここまで言ってしまってはいけないけれども、お考えいただきたい。実はそこまで民間航空の安全をお考えいただいて、皆さんが世の中のことをながめたときに、また軍事優先だなんていうことにならぬようにぜひお願いを申し上げておきたいと思います。  次に、実はタクシー、バスその他の問題を承りたいのでありますが、まず第一点、先般の東京、横浜のタクシー料金値上げに伴う——一〇%ばかりの格差ですが、その後、私いろいろ資料をいただいて見ましたが、納得いかない。これを何とかする気はないですか。それも詳しく言いません。あらためて私の委員会で申します。
  90. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 タクシー運賃のきめ方の問題でございますが、現在とっておりますのは、タクシー輸送が通常一つ都市内で輸送されるという実態にかんがみまして、都市単位に事業区域を定めておる。その事業区域内にある事業者の収入、それからコストというようなものはバランスがとれるように運賃を定めておるわけでございます。したがいまして、御指摘のような川崎あるいは横浜というところと東京都区内とは非常に近接しておりますので、その間の交流も非常に多いかと思いますが、これはそういった都市間の輸送と、先ほど申し上げました一般原則である都市輸送の需要とどちらが大きいかというようなことで見るべきだと思いますので、横浜あるいは川崎というようなものについては、そういった実態をよく見まして、今後検討の余地はあると思いますが、現在までのところでは地域ごとに算定しておるという実情でございます。
  91. 大出俊

    大出分科員 地域ごとと言いますが、横浜の場合は六郷の川を渡れば東京なんですよ。羽田に行って横浜のタクシーがとまっていると追い出してしまうのですね。追い出さないと、東京のお客さん、安いほうに乗って行きますからね。一〇%違うんだから。そんなばかなことをして、それで聞いてみれば、この前のおたくの資料によれば——こまかいことを言うと時間がありませんから言いません。あらためて言いますが、実態調査をやったら、一日一社の平均走行キロ数が、東京は三百六十キロで横浜が三百十五キロだった。三百十五キロだったから、三百六十キロとの開き、実績を見て東京をよけい上げた、こう言う。走れないのは走れない理由があるのですよ。走れば会社の収入だってふえるのですし、ハンドルを持つ方の借金だってふえるのだから、走れるほうをよけい上げて走れぬほうを少なく上げる、それが実績だ、そんなばかな理屈は通用しない。経営者の状態は横浜より東京のほうが悪いから上げるといったって、東京のタクシーの例でいえば、走行キロ数は三百六十キロないし三百七十キロになるでしょう。横浜は三百十五キロでしょう。それなら経営は東京がいいにきまっている、話が逆です。そういうことで理由にならない。だから、世上、東常陸運局長の傘下だから政治的に東京はよけい上げたのだろう、こういううわさですよ。うわさだからそう真剣にならぬでもいいです。それではいかぬですよ。納得をするようにしていただきたい。この一〇%格差は懸案にしていただいて調整をする、そういう方向で検討する。そのくらいのことは考えてくださいよ。いかがです。しばらくやってたいへんな目にあっているのだから。
  92. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 ただいまの輸送需要の構造といいますか、輸送の実態という面から見た隣接都市間の運賃格差の問題と、もう一つはコストの面、これにつきましても、最近非常に従来と違いまして平準化されてきておると申しますか、非常に差がなくなってきておるわけでございまして、こういった点から、従来運賃ブロックをいろいるに細分化してやっておりますが、原価計算をやった結果も、だんだん差がなくなってきまして、ブロックを分ける意味がなくなってきているというような地域もございます。したがいまして、そういった一般的な傾向からいたしまして、ただいま御指摘のような線に、需要構造の面からもあるいはまたコストの面からも同一運賃になってきつつあるということでございますので、今後そういう方向で検討いたしたいと思います。
  93. 大出俊

    大出分科員 次に、相乗り問題ですが、これは私はいかがなものかという大きな疑問を持っております、実態を知っておるだけに。相乗りは、川崎なんかでも競輪場へ行っているのは、すし詰めで相乗りで行くのですよ。山のようにつながっていますが、それっというので、ばっと飛び乗って五、六人で相乗りです。それから、横浜なんというのは、東京と違って地域が限られて狭いですから、相乗りというのは方々にあるのです。ところがこれはやみだから、いま運転手の皆さんのほうが遠慮してよけい取らないのです。それはよけい払わなければいけませんけれども、極端によけい取らない。だけれども、これは公認されますとそういう点はどうなってしまうかわからぬですよ。おまけに、ハンドルを持つ人を一つの投機的な気分にさしてはいけませんよ。ほかのところをぶん投げていって、あそこへ行って相乗りをやれば幾らになるという、そういう幾ら世の中ギャンブル経済でも一この間聞いてみたら、株で年間二十兆利益があった。土地は土地で建設省に幾ら利益を計上できるのだというと、七兆から十兆ぐらいだという。学者に聞けば三十兆。GNP百兆円で、土地で三十兆。株で二十兆。だからといって、ハイヤー、タクシーまでそんなことを奨励するようなことをしてはいけませんよ。運政審答申もあるのですから。だからそこのところは非常に神経を使うところですから、ばっと新聞にあんなものを出されると、不用意です。なぜあんなことをするのです。いかがですか。
  94. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 タクシーの相乗りは、競輪場とかあるいはそういったギャンブルの問題と関係なくて、都市郊外部で一時的にこの需要が多いというような場合に行なわれている場合が間々ございますが、そういった点から、利用者の方々は端的に素朴な御疑問として、一台で一人ずつあるいは二人ずつ乗せるのでなくて、相乗り制度を設けたらもう少し効率的な輸送ができるのではないかというような観点から、この相乗りタクシーを積極的に検討すべきであるというような御意見も一般にございますが、これはやはり一時的な需要に対して輸送力が適当でない場合に行なわれるわけでございますので、能率的な観点からは、私どもといたしましては、乗り合いにおいてはバスということが法律でもはっきりしておるわけでございますから、バス輸送体制を強化していく、こういうような方向でこの問題に対処していくというのが第一義的であろうと思います。ただ、一部たとえば駅と団地というような非常に発着が限られているような場合に、あるいは相乗りタクシーという制度が非常に円滑に行なわれ得るのではないかというようなことで、現在検討を進めておるということでございます。
  95. 大出俊

    大出分科員 これは結論です。  いまの話は、いうならば乗り合いという法律上の解釈を拡大解釈しておるのですね。だから、そこらまでいま触れましたからもう言いません。そういう問題もありますので、慎重にお願いしたい。外国のように路線バスで夜間バスを走らせるとか、そちらのほうが重点ですよ。都心だって、バスの末端から自動車かタクシーかということになっているわけだから、そこらは皆さんの立場だって筋が違っちゃうでしょう。だからそこらはひとつ、ああいう不用意な出し方でなしに、お考え願いたいわけです。  それから、いま駅から団地までという話が出ましたので、一点だけバスの問題を聞いて終わります。  具体的な場所を申し上げましょう。東横線の日吉という駅があります。東京から桜木町に行きますと、ちょうど境目に日吉という駅がある。慶応のあるところです。あの日吉から、下田団地あるいは南日吉団地というところに行く、下田住宅行き、南日吉団地行きというバスがある。下田住宅行きは二・七キロ、それから南日吉団地行きは二・二キロです。この二・二キロと一.一・七キロ、つまり三キロ以下のところまで路線バスの料金値上げをして、いま四十円のものをいきなり五十円にするというのはいかがなものかと思うのです。というのは、調べてみたら三十二年から四十年まで十円だ、四十年から四十三年まで二十円、四十三年から四十七年まで三十円、こういうふうに今日まで相当年月来ている。バス料金値上げがあったのだけれども、距離が短いから特別区ということで安くしてきた。ところが今度は、この特別区制というのを廃止して、つまり距離別料金制というものをやめて、地帯制という形に、一区、二区に直したでしょう。そうして特別料金が取れないから一二・二キロしかないのだが、東急バスですけれども、今度五十円にする、こういう矛盾です。いまの団地から駅までなんというのは、特にいま小林さんの口から出ましたが、そういうところはチェックするとたくさんあるのです。距離は非常に短い。そういうところは前の特別区制を生かして、距離別料金制を生かして、安くしておかなければ、ずいぶん不合理な料金になります。どうお考えですか。
  96. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 都市バスの運賃制度については、現在一般的な方向といたしましていわゆる均一制、やむを得ない場合に地帯制というようなことで、非常に単純な運賃制度に極力したい。これは車自体もワンマン化されてきておりますし、また乗客の側から見ましても、非常に単純な運賃制度のほうがいいというようなことで、均一制がほとんど一般化しておるわけであります。したがいまして、先生御指摘のような、たまたま非常に短い運行系統の路線もあるかと思いますが、全体の地帯あるいは均一地帯内におきます平均的な運行系統というようなものを私どもとしても標準的に考えております。  現在、平均乗車キロと申しますか、というようなものが四キロになっております。と申しますのは、それ以下の乗客もかなり多いということでございますし、さらに傾向といたしましても乗車キロは下がってきております。したがいまして、非常に長い二十キロ近いというようなところでも均一の最低の料金路線もあるわけでございまして、確かに短くなった場合と長い場合の公平というような観点からは当然問題があろうかと思います。  これはやはり都市バスの運賃制度がどちらがいいのかというような問題でございまして、私どもといたしましては、単純化した均一制という方向に持っていきたい、こう思っておるわけでございまして、非常に短い路線についての調整問題はまた別個にあろうかと思います。
  97. 大出俊

    大出分科員 時間が終わりましたので、御迷惑をかけますからやめますが、ひとつバス料金の全体の体系をながめて、そのあり方について一ぺんあらためて私の委員会で質問いたしますが、いま調整ということばを最後にお使いになりましたが、御検討おき願いたい。たくさん資料を持っておりますが、あらためて質問いたします。
  98. 前田正男

    前田主査 これにて大出俊君の質疑は終了いたしました。  次に、田中武夫君。
  99. 田中武夫

    田中(武)分科員 きょうは主として国鉄当局にお伺いしたいのですが、率直に言って、最近の国鉄はどこか狂っておる、常識では考えられないような事故ないしミスがほとんど毎日のように新聞に出ておる、こういう状態ですが、一々個々の原因等については伺いませんし、そんな時間もありませんが、根本的に何が原因なのか、何がこんなに国鉄の最近の事故——ミスとでも申しますか、が多いわけですか。総裁はどう考えておりますか。
  100. 磯崎叡

    磯崎説明員 最近いろいろな事故、ミスがございまして、国民に非常に御不安の念をお持たせしておることは非常に申しわけないと思っております。ただ、一々の原因につきましてはいろいろございますが、その共通した原因というものを、たとえば全般的な問題については、特にないということは私は申し上げられませんが、しかしやはり個々の現象について、いまお示しのような結果が起きている以上、やはりこれは一々の原因のほかに何か共通的なものがないかということで実はいろいろ考えておりますけれども、私といたしましては、たとえば労使問題あるいは設備問題といろいろ考えましても、特に最近状況が変わったということがないのにこういう事故があるということは、要するに、私自身の不徳のいたすところだというふうに思っております。そういう抽象論でなしに、私としては全力をあげて事故を防ぐことに邁進すべきだというふうに思っております。
  101. 田中武夫

    田中(武)分科員 今度の国鉄運賃と財政再建促進法ですか、これは非常に大きな問題になります。われわれは絶対反対だ、こういっておるのですが、このような状態ならば国民も納得しないでしょう。根本的に考え直す必要があると思うのですが、どうです。
  102. 磯崎叡

    磯崎説明員 私は、その運賃を上げていただくから云々というような考え方はすべきでないということはもちろん思っております。もちろん私ども交通機関をおあずかりする者としては、あらゆる事柄に先がけて事故防止をすべきなのは当然の責務でございます。したがいまして、いかなる客観条件、いかなる環境に置かれましても事故を防がなければいけない、少なくとも事故を減らさなければいけないとの信念だけは、私ははっきり持っております。
  103. 田中武夫

    田中(武)分科員 俗に国鉄一家なんといわれておりますが、その反面といいますか、そういうことをいわれながらも、いわゆる幹部と職員といいますか、国鉄の上層部と一般職員といいますか、あるいは当局と組合との間に不信感がある。さらに、あとで具体的に触れたいと思うのですが、幹部の独善というか、そういうところにも原因があるのじゃないか。さらに、すべての点、たとえば労使間の中でも、特に国労、動労と、それに入っていないところの一般職員との間、あるいはまた新幹線ローカル線、あるいは旅客と貨物といいますか、ことに貨物の扱いの中における大企業と中小零細企業との間の差別、こういうところに原因があるように思いますが、そういう点はどうですか。具体的にあげてまいってもよろしいのですが、時間の都合もございますので、一、二の例をあげたわけですが、そういったような差別待遇というか、そういうところ、さらに不信感、私はこれが大きな原因であろうと思うのです。いかがでしょう。
  104. 磯崎叡

    磯崎説明員 何と申しましても四十数万の職員を擁する大企業でございます。おっしゃいましたとおり、やはりその組織の中に血が通い、息が通わなければ組織が動かないと思います。単に組織図だけで動いているとは思いません。したがいまして、私ども責任者といたしましては、どうやったら四十数万がほんとうに一つの目的に向かって進み得るかということがあらゆる施策の最重点でなければいけないと思います。したがって、その意味で先生のおっしゃったように、もし幹部の独善のことがあれば、これは改めなければなりません。また、労使問題におけるいろいろなトラブル、あるいは組合相互間の差別等がもしいまなおあるとすれば、これは絶対に廃止しなければいかぬという私は信念を持ってやっているつもりであります。
  105. 田中武夫

    田中(武)分科員 総裁はそういうように言われますが、実際はそうではないんですよ。最近はあまり目立ったというか極端なことは耳にいたしませんが、昨年あたりまでは、いわゆる現場の管理者、中間幹部と申しましょうか、この人たちが、たとえば労使間の問題等で、ほんとうにささいなこと、たとえば組合旗を組合の前に立てたらいけないからはずせとか、あるいはどうとかいったような問題、そういうところに相当神経を使って、高所大所からいわゆる現場管理者としてやらねばならないことを忘れておる。また国労あるいは動労の組合員の家へ、中間幹部というか現場の管理者あるいは助役等々が、暮夜ひそかに訪れて組合を脱退しなさい、暗に差別を口にしています。組合にいるならばあなた損ですよ……。あるいは半強制的に組合脱退届けを書かす。これは昨年実は私も現場に行って調査をしました。また、そういうことを現に行なっておる現場の録音もとった。まあそういう点について、そういった本来の管理者としての仕事以外のことに狂奔しておる。いまは少しやかましく言ってあまり目立たなくなったのではないかと思うのですが、まだまだやっておる。そういうところに一つの原因があるのじゃないかと思うのです。まさか総裁からの命令というか、本社からの指令によってそういうようなことをやっておる、あるいはやらしておるとは思いませんが、いかがでしょう。そういうようなことをやっておって現場職員の高所大所から見たところの管理ということがおるすになる——管理ということばちょっといま使いたくないのですが、まあ掌握といいますか、そこに大きな不信感がある。ちょっとした組合旗をはずせはずさぬで三日も五日もけんかをしてみたり、お互いがかっかする。そういうことで安全な運転ができるのか。あるいは暮夜ひそかに組合員の自宅を訪れていろんなことを言ったり、これに判を押しなさい、こういう事実が幾らでもあるのですが、そういうことを本社が指令しておるのですか、それとも点数を上げるためにいわゆる中間職員というか現場の管理者がやっておるのか、そのような点についてはどうなんでしょう。
  106. 磯崎叡

    磯崎説明員 いま先生のおっしゃいましたようなことが実は一昨年いろいろ具体化いたしまして、そして公労委の決定が出たことはよく御承知かと思います。私は、その際に率直にあやまったわけでございます。その後もちろんそういう一つの風潮があったことは事実でございますので、すぐに手のひらを返したようによくなっておりませんけれども、少なくとも私は、責任をもって、昨年以来現場管理者としての逸脱した行為と申しますか、もちろん現場管理者のやることは、いま先生のおっしゃったとおり部下職員の掌握でございまして、それ以外によけいなことと申しますか、なすべからざることをしてはいかぬということは相当きびしく具体的に指示したつもりでございますし、私は、現時点におきましては、むしろその反動といたしまして管理者の管理が足りないということを実は国会の席上でもときどき先生方から御指摘を受けることもございます。まあ人間と人間の関係でございますから、なかなかきちっと、白か黒かと割り切れないまでも、いまの傾向といたしましては、現時点におきましては、先生のおっしゃったような御心配は、私はないということを確言できます。また、私どもといたしましても、一たん間違ったというふうに認識した以上、それをあえて別な方法でやるということは一切いたしません。それは私ははっきり申し上げます。
  107. 田中武夫

    田中(武)分科員 現にあればどうします。
  108. 磯崎叡

    磯崎説明員 もし具体的にあれば、御指摘いただきますれば調査いたします。
  109. 田中武夫

    田中(武)分科員 ではここでは申し上げませんが、現にそういう事実はまだあります。  それから、これは公式な場で言うのはどうかと思うのですが、私たちはそういうことで俗にいうマル生というのですか、調査をいたしました。その後、私の付近の駅長さんだとかあるいは区長さんだとかいう、何といいますか、先ほど来言っておる中間幹部というか現場の管理者から、暑中見舞いや新年状が全部来るようになりました。それまでは何にもなかったのですよ。中には、謹賀新年で、そのほかに合理化にひとつ御理解をお願いしますとかなんとかいうような文句まで書いてきておるのです。これはほかの先生方には私は聞いておりませんけれども、何かそういうようなこともやれというようなことを言っておるのですか。それとも、あのやろう来てだいぶうるさいことを言ったから少し言っておこうかといって、こういうことで、しておるのかもしらぬけれども、言い合わしたように、新年状と暑中見舞いだけは来るのですよ。それはどうなんです。ほかでもやっておるのですか。(「田中先生がえらいからだよ」と呼ぶ者あり)そういうわけでもないと思うのですが、どうなんです。
  110. 磯崎叡

    磯崎説明員 これはもう私から申し上げるまでもなく、個人の問題でございます。やはり先生方にしょっちゅうお世話になっておるということを知ってやっておるのだと思います。私は何らそういうことを指図する権限はございません。
  111. 田中武夫

    田中(武)分科員 それがほんとうに個人のあれでないということでずっと、私の管轄といってはおかしいのですが、私は兵庫県ですが、姫路から大阪くらいにわたり駅長さんなりそういった人たちから急に暑中見舞いと新年状がふえた。これは一つの笑い話といっては失礼ですが、そういう事態がある。これが言い合わしたようになっておる。どこかでそういう相談をしたのか、あるいはどこか上からそういう指令が出たのかな、こういうように感じたのです。  それはそれといたしまして、ことに私が申し上げたいのは、差別ということばを使いましたが、国鉄とすれば新幹線、なるほどいいし、またしょっちゅう利用さしていただいております。それを成田とかあるいは東北とか北陸とかあるいは山陽を延ばすとか、けっこうだと思います。しかし一面、そういう方面へはどんどん投資をする。しかし、新幹線の神話は破れたりというような新聞の見出しが出るような、絶対事故がないといった——それは事故といってもけが人も何もなかったから幸いですが、そういう点で、その点も反省してもらいたいし、考えてもらわなければいかぬですが、と同時に、そういう方面へ力を入れ過ぎてローカル線、ことに通勤列車、通勤電車等がおろそかになっておる。むしろ新幹線を利用するよりか、国民全体とすれば、通勤電車とか通勤列車、これをもうちょっと考えてもらいたいというのが率直な気持ちではなかろうかと思うのです。そういう点については、合理化だから廃止するんだとかなんとかいうことではなくて、これは当然、新幹線もさることながらローカル線、ことに通勤、通学等々の電車、列車等については十分考えるべき必要がある。定期券が安いから待遇が少々悪くてもいいという考え方ではなかろうと思うんだが、その点はどうです。
  112. 磯崎叡

    磯崎説明員 国鉄の使命と申しますか、これはいま先生のおっしゃったいわゆる都市輸送、すなわち新幹線方式による都市間の迅速な輸送、それからやはり通勤、通学輸送というものが、国鉄の三大使命のうちの二つでございます。一時、たしか昨年の春だったと思いますが、非常にローカル列車を削減し過ぎた、いろいろ各地からお話がございまして、昨年の四月に相当思い切って調整いたしました。その後、各地におきまして若干の御要請がありますが、現時点におきましては、たとえば学校が新しくできた、通勤距離が変わったというときには、極力その御要請に応ずるように通勤列車を配置しているつもりでございます。もちろん一〇〇%といかないまでも、できるだけ通勤、通学輸送には、たとえば学校の終業時間とか始業時間等も考えた上で、あまり駅などでむだな時間を費やすことがないようなことでつくっておるつもりでございますが、ただいろいろ具体的な点になりますと、あるいは不自由をかけておる点があるかと思いますが、全体から見ますと、私のほうといたしましては、ローカル輸送につきましては、お客さんの伸びよりも列車の伸びのほうが多いという、数字だけでございますが、そういうことはしょっちゅう本社でもって全国的なバランスは見ておるつもりでございます。ただ、いかなるところでも一切不便がないとは申し上げられませんので、そういう点につきましては、現場におきまして始終外のお話を聞いて調整するようにさせておるつもりでございます。もし何かそういうお話がございますれば、率直に私どもも、誓って改正すべきものは改正いたしたいと思います。
  113. 田中武夫

    田中(武)分科員 いま私は、不信感は差別と独善にある、こう申しましたが、その差別の一つとしてローカル線新幹線を申し上げたわけです。これはほんとうに真剣に考えてもらわなければならない問題である。このことだけを強く要望いたしておきます。要望というか、むしろ要求をいたしておきます。  次に、国鉄幹部の独善の例なんですが、具体的に申すならば、一つの例として加古川線の合理化の問題があります。一々こまかくは申しませんが、加古川線及びその支線の多くの駅を無人化する、あるいは貨物を廃止する、手小荷物、小口扱い等を廃止ないし二、三の駅でしか扱わないというような問題も起きております。これはたいへんな問題になっておりますが、これは三月一日からということであったのを一カ月延ばしていく、こういうことですが、その一カ月が再検討のための期間であるのかというとそうではなくて、むしろいわゆる反対運動を押えるというか、あるいは分裂させるというか、まあいいことばで言うなら説得工作というか、そのための期間でなければ幸いであろうと思うのですが、あるいはこれはもう大阪のほうにまかしておるんだからというようなことではないかとも思いますが、総裁としていかがですか。
  114. 磯崎叡

    磯崎説明員 元来こういう問題は地方でやっておりますけれども、たまたま加古川線の問題が先般も委員会で御質問がございまして、私も気にしておるわけでございます。もともと加古川線は、御承知のとおり昔の私鉄の買収でございまして、非常に駅の多いところでございます。しかも最近は、貨物といたしましては、あの北のほうの久下村のろう石以外にはほとんど見るべきものがないという状況でございます。ただその意味で、むしろ加古川地帯というのは今後姫路あるいは神戸のベッドタウン的な性格を非常に強く持っておるというふうに考えております。これは県当局でもそういうふうな考え方を持っております。したがって、輸送力の小さい加古川線をできるだけ旅客輸送に便利なようにするということが一番必要ではないかというように考えております。それが独善だとおっしゃられれば、これは別でございますけれども、私どもは私どもなりに数字その他を見てそういう考え方をし、また小口貨物についてはコンテナで十分やれるということでもって、極力加古川線から貨物輸送をやめたい、そして旅客中心、できれば快速列車等を走らせて、そして姫路のベッドタウンあるいは神戸のベッドタウンとしての性格をはっきりさせたいというふうな気持ちから加古川線の合理化に取り組んだものというふうに私は聞いております。  御承知のとおり、実はあの八十三線区二千六百キロのときには鍛冶屋線、北条線も廃止線区に入っておったのですが、それを今度改めて、むしろいま申し上げましたような性格を強めるという意味で、加古川線を前向きで使っていくという考え方から、それにはやはりああいう輸送力の細い線区で貨物列車が走っているということは、非常に旅客輸送のじゃまになる。したがって、極力貨物輸送コンテナ化できるものはコンテナ化してしまって、そしてその他は逆に北へ持っていって、違うルートでもって目的地へ持っていきたいというふうな考え方から発足したものだというふうに考えております。
  115. 田中武夫

    田中(武)分科員 ちょっと意見を異にしますが、それはあとにして、まず無人化の問題から申し上げますが、無人化をやりますと、わずかの停車時間に車掌が改札係と同じような仕事もしなければならぬ。ここに車掌の労働強化というような問題も出てくると思います。  さらに、PTAのおかあさんたちが強く反対しておる。あの線は、まあ加古川線の本線が多いようですが、小学生あるいは中学生といった低年齢の学童が利用しておるのですよ。駅員が一人でもおれば、あぶないですよ、こういうことだが、無人化になると、その子たちの危険度が高くなるというか、そういうようなことです。あるいは中学でも、今度は高学年になりますとまた違った意味の、風紀の問題も出てくる。そういうような点からも、PTAのおかあさんたちを含めて強い反対をしておるのですが、無人化の問題について、そのような危険ないし労働強化等についてはどういうようにお考えですか。
  116. 磯崎叡

    磯崎説明員 無人化の問題につきまして一番大きな問題として出てきますのは、やはり危険が伴うのではないかという問題が一つと、それから町の方がいろんな意味で——いま先生、風紀とおっしゃいましたけれども、そういった意味で、夜こわいとかいったような問題もございます。その点の問題につきましては、私どもいままでだいぶ経験いたしておりまして、たとえば、必要なところには跨線橋をつくるとかあるいはベルをつくるとか、いろいろなことをやっておりますが、いま先生御指摘の小学校の学童の通学問題が一番私は心配な問題でございます。これにつきましては、加古川線につきましては具体的な駅もわかっておりますし、学童の通学時間もこれはもうはっきりしておりますので、学童の通学時間にはその時間だけちゃんと人を置いてやるというふうな便法をいま考えておるようでございます。私どもといたしましても、お客さんに危険があることはもう一番たいへんなことでございますから、その点は具体的に現場において十分注意をしておるはずでございますし、また、私のほうからも、そういうこまかい点についてまで気をつけるように連絡をしておるつもりでございます。
  117. 田中武夫

    田中(武)分科員 三十分といえばほんとうに時間がない。もうはや五分足らずになったので、かためて伺います。  貨物あるいは小口扱いの件ですが、いまあなたはあのようにおっしゃったけれども、あの沿線及び支線には、伝統ある、たとえば西脇を中心とする播州織り、小野のそろばん、かま、三木の金物等々があります。あるいは名勝旧跡の多いところといいますか、そういう点もあって、また先ほどあなた自体もおっしゃったが、ベッドタウンとして今後そういうような計画も県で持っておる。あるいは工業団地の計画も持っておる。現に知事からも反対の意見書が出てきておるわけなんです。  そこで、これは大臣と双方に伺いますが、二月七日の総括質問のときに、ちょっとこの問題に触れまして、新関西空港の問題とあわせて伺ったわけですが、これは地方自治体、ことに住民の納得がなければやれませんということをあなた答えておられるわけですね。ところが、ここに持っておりますように、これは全部沿線の各自治体の長あるいは議会の反対決議、あるいはここにわずかしか持ってきておりませんが、個々からの反対のはがき一これはもうこのくらい来ております。きょうは二、三枚だけしか持ってきておりませんが、したがって、そういう点を十分考えていただく。また地元等の神戸新聞ですか、大きな関心を持ってこれを続きものでキャンペーンしております。「きしむレール、加古川線に合理化の波」ということで、いろいろとやっております。私自身も通勤時を調査したのですが、東京の国電、大阪の国電並みのラッシュです。ところが粟生から北条線、あるいは粟生から三木へというところでは一時間近くも待ち合わせねばならぬようなダイヤになっておる。だんだん不便になるようにダイヤを組んで利用者を減らしていく。だから必要ないんだというような方向へ持っていくのじゃないかと考える。むしろ私は、無人化あるいは合理化ということでなくて、ここは将来あるいわゆる播磨内陸地帯としてのいろいろな計画を県は持ち、それぞれの自治体は持っておるわけなんです。したがって、積極的に複線電化すべき地帯であると考えておるのです。そういう点を含めて、もう時間も来ましたのでまとめて御答弁を願いたいのですが、大臣と総裁双方から、住民の意思あるいは議会のこれだけの反対等を押し切って、まあ一カ月延ばしたが、見切り発車はいけません。むしろ私のいま言っているような観点に立って、根本的に再検討する。そういうことでなければ、やはり国鉄幹部の独善がまかり通る、そういうふうにいわざるを得ないと思うのです。時間の関係でこれ以上申しませんが、それぞれから御答弁願います。
  118. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 予算委員会で総括質問のときにお話しのあったことを私も記憶しておりますが、国鉄のそういう問題についての基本的な態度は、さっきお話しになりまして、また総裁からも申しましたように、ただ一方的に、自分のほうでこうきめたからこうやるんだということではないということでございまして、そうあってほしいものだと思います。この間、御答弁しましたときにも、国鉄意見を十分聞いておりまして、私が地方自治体と申しましたら、先生地方自治体ではなく住民だとおっしゃった。それで、地方自治体は住民の代表でございますから、もちろん住民を含めて地方自治体の意見をよく聞いた上で、これは判断すべきものだと思いますということを申し上げたことを記憶しておりますが、その点は私、総括質問のときにお答えしたのとちっとも変わりませんで、そういう方針国鉄もやってもらいたい、またやるべきだと考えておる次第でございます。  それから、将来の問題に対しましては、将来非常に大きな計画があるということで、いまからそれを予定をいたしまして準備をするわけにはいかない場合があると思いますが、それは将来そういう計画ができるという前提において考慮しなければなりませんけれども、そういう計画が進んでまいりますと、それに応じたような、対応した交通政策をとっていくのが当然のことでございますから、そういう計画が進展し、具体的に動き出しました場合にはそれに応じたような、さらにあるいは増強しなければならぬかもしれません。これはもう当然のことだと思いますから、そういう計画の進展に見合いまして、輸送手段を考えていくというのはあたりまえのことでございますから、その点は御心配ないようにしていただきたい。
  119. 磯崎叡

    磯崎説明員 いま大臣がおっしゃいましたとおり、私のほうでも地元の方々に深い御理解を得てやっていかなければいけないということは、はっきり考えております。もちろん一人一人が全部というまでにはいかないまでも、地元の方々がやむを得ない、納得したというところまで極力お話をしたいと思っております。  それから前向きの問題でございますが、御承知のとおり、最近福知山線の複線電化を——初め複線でございますが、やることにいたしております。それが済みますれば、そろそろ考えなければならない地区というふうに考えております。  それから、今度の再建計画の中にも、在来線複線電化を相当大幅に見積もっていただいておりますが、それは主としていまおっしゃったような新しい開発地域、そういう方面に対する複線電化ということを相当大幅に予算に見積もっておりますので、それらの一環として考えなければならない地区であるというふうに考えます。
  120. 田中武夫

    田中(武)分科員 それでは一言だけ。いま大臣おっしゃったが、もう将来でなしに現に団地ができ、あるいは工業団地ができておるのですよ。それから総裁、これは加古川線ですが、野口駅、無人化しておるのです。その後加古川市の庁舎ができて、もうそこなんです。それが草ぼうぼうでほうっておかれておるわけですよ。あれなんか駅員がおれば、もっと加古川の市役所の庁舎へ来るのに利用すると思うのです。だから、将来は、そのときにじゃないしに、現に……。それから通勤時が終わると、大きな団地がもう加古川の下のほうにできておって、その奥さんたちが加古川へどんどんお買いものに出てくるわけなんです。そういうような点も見て、決して見切り発車はしない、そして住民の、大臣のおことばをもってするならば地方自治体、これは全部各自治体の長及び議会の反対決議なんです。そういう点も申し上げておきます。  双方から何かあればお答えを願って、終わります。
  121. 前田正男

    前田主査 これにて田中武夫君の質疑は終了しました。  次に、足立篤郎君。
  122. 足立篤郎

    ○足立分科員 与党質問で恐縮なんですが、なるべく簡単に済ませますからおつき合いを願います。  私は、船舶職員法の一部改正案について質問をいたしまするが、まず事務当局からお答えをいただきます。今度提案されます船舶職員法の一部改正案の要綱を見ますと、まず総トン数五トン未満の船舶であって、旅客運送の用に供しないものについても船舶職員法を適用するものとするということで、従来の第二条にあった除外規定を排除するということですが、これはさらに範囲を広げ、取り締まりを強化しようという趣旨のものですか、伺います。
  123. 丸居幹一

    丸居政府委員 ただいま小型船舶はモーターボート、ヨットを含めまして十二万隻でございますが、それが年間モーターボートだけで数万隻ずつふえていく予定になっております。こうしてふえてまいりますと非常に事故がふえてまいります。現に事故がふえております。海上保安庁の統計を見ましても非常に事故がふえております。それらの事故原因を調べてみますと、モーターボートについての知識が全然ないという人が乗っておるわけです。  それからもう一つは、海のルールというものが陸のルールと非常に違っている。それは一番違っているところは、陸は左側通行であり、海は右側通行なんですから、陸のほうにだけなれた人が運転しますと、まつ正面から参りますと、左ヘハンドルをとる、海のほうになれている者は右ヘハンドルをとる、そういうこともありまして正面衝突等もございますし、特にかどを回りますときに陸は左小回り右大回りと教えておるわけでありますが、これが海のほうは右小回り左大回りということになっておりますので……   〔足立分科員「いや、そんなことを聞いているのじゃない。ぼくはなるべく簡単に済まそうと思っているのだ。これは取り締まりを強化しようという趣旨ですかと聞いている」と呼ぶ〕
  124. 前田正男

    前田主査 簡単に願います。
  125. 丸居幹一

    丸居政府委員 そういうこともございまして、五トン未満の船につきまして、そういうルールを教えるくふうを考えましたときに、免許制度が一番適当である、そういうふうに思いますし、そういうことにいたしたわけでございます。
  126. 足立篤郎

    ○足立分科員 これは櫓かいとかオールとか、そういう手動のものは除くのですね。
  127. 丸居幹一

    丸居政府委員 そのとおりでございます。
  128. 足立篤郎

    ○足立分科員 小さなボートまで入れますとこれは数限りなく船舶があるわけです。どんな小さなボートでも、たとえ一馬カ半でも二馬力でも、船外機をくっつければこの適用を受けるわけですね。
  129. 丸居幹一

    丸居政府委員 そのとおりでございます。エンジンがついているのはすべてというつもりでおります。
  130. 足立篤郎

    ○足立分科員 それはエンジンをはずせば櫓あるいはオールでこぐ、エンジンを取りつけたとたんに適用対象になる、船舶としてこれを対象にしていこう、こういう考えですね。
  131. 丸居幹一

    丸居政府委員 そのとおりでございます。
  132. 足立篤郎

    ○足立分科員 漁民とか遊漁者ですね、これは一体どれぐらいあるとあなた方は推定しているのですか。大まかでいいです。
  133. 丸居幹一

    丸居政府委員 漁業関係はいま二十六万隻ほどございますので、ほぼそれの倍くらいに漁民というのは免許の必要な人が出てくるのじゃないかと思います。
  134. 足立篤郎

    ○足立分科員 海上保安庁が去年の七月出している海上保安の現況というのを見ますと、九四ページに「四十六年度末には、レジャーボートの推定保有隻数は十万隻をこえている。」しかし、調査の結果四万九千三百隻であったが、これは調査漏れがあるというようなことが書いてありますが、私はこれを問題にしているのじゃないのです。あとから申し上げますが、そこで今度の出した法案で資格条件を変えまして、一級から四級まで一この四級小型船舶操縦士というのは一体どういう資格なんですか。
  135. 丸居幹一

    丸居政府委員 四級小型船舶操縦士は、五トン未満で沿岸だけを走るもの。沿岸とは大体九キロを予定しております。
  136. 足立篤郎

    ○足立分科員 その資格をとるためには一体幾日くらい講習を受けて、それから何かここに法律に書いてありますが、身体検査、学科試験及び実技試験を受けるということになっていますが、どれくらいの講習を受けてこの試験にパスすることができるのですか。
  137. 丸居幹一

    丸居政府委員 これは養成施設で勉強していただくのが一番とりいいと思いますのでその例を申し上げますと、もう少し短くしたい。省令の段階できめるわけでございますので、いま検討いたしておりますけれども、二十時間以上にはしないようにしたい——学科でございますね。それから実技は十二時間以下にしていきたいというくらいの見当でおります。
  138. 足立篤郎

    ○足立分科員 実は私がなぜしつこく聞くかといいますと、去年私は農林大臣当時、零細漁民からひどい突き上げがありまして、前は旅客運送という除外規定がありましたね。親子でも他人を乗せれば旅客とみなす、夫婦でもだめだ。そこで、私は実は選挙区に浜名湖を持っているものですから、ノリやカキの業者がいっぱいおるわけですね。この連中は、まるでげたをはくように朝から晩まで船をあやつっているわけです。夫婦でやる場合、親子でやる場合、いろいろなケースがあるんです。これは補助者がなければカキでもノリでもどうにもなりません。そうすると、これは旅客運送の用に供するものであるというので、何か私のところへ陳情に来たから話を聞くと、十四日間もぶつ続けに講習を受けて試験を受けなければならぬ。しかも、その内容たるや、ここに借りてきましたが、「実技教習教本」ですか、見ますと、これは高速度のいま八十馬力とか百二十馬力を使ってびゆうびゆう走る、六十キロも出すようなモーターボートのことばかり書いてあるんですね。それで、全く関係ない。しかも、これは六百五十円ですか、定価があるが、もう一つの「実技教育要領」というほうには、やはりモーターボート協会がつくったものだが、値段が書いてないんです。こういうものを買わされて、十四日もひまさえをして、そして自分たちがまるでげたをはくようにあやつっておった三馬力か四馬力の船外機あるいは船内機をつけた漁船が全部この適用を受ける、こんなやり方があるかというので、私は苦情を受けましたので、水産庁長官に命じまして、運輸省と交渉してこい、こんなばかな話はないから一この連中は事故なんか起こす心配はないんです。モーターボートあるいは水上スキーですか、高速で走る一やはり陸上と同じでスピードが問題なんです。これは事故の例もたくさんあるし、われわれも釣りをしているとずいぶん被害を受けるわけです。ですから、交渉してこいと言ったんですが、水産庁長官が、当時太田君ですか、いろいろやりましたけれども、法律が五トン未満というので全部船舶に網をかけているからどうにもなりませんと言って頭をかいてきた。私は、これは改めなければならぬと思っておった。ところが、今度出たのを見ると、旅客のほうもとってしまって、自分の船を個人でやっておってもいかぬ。ということになりますと、かりに聞きますよ。私は釣りマニアですから、浜名湖にもプラスチックの漁船が置いてあります、小さな船ですが。そして、三馬力の船外機をつけてしょっちゅう釣りに行きますが、私もやはりこの四級の資格を持っていないと違反で摘発されて、罰則はどういうことになるんですか。
  139. 丸居幹一

    丸居政府委員 そのとおりでございまして、免許を取っていただかなければならぬということになるわけでございます。その罰則は三万円以下の罰金ということになります。
  140. 足立篤郎

    ○足立分科員 そこで、運輸大臣、私、相談ですが、これはほんとうに官僚的なものの考え方なんですよ。ただマスコミで、こういう海水浴客をプロペラでやったとかなんとか出ますと、わあっと、こういうことになってしまうんです。これはほんとうに実情を無視した話なんです。問題はその船の性能ですよ。五トン未満というと、さっき申し上げた二人乗りのボートまで入ってしまうんです。船外機をつけたとたんに適用対象になり、船外機をはずしたとたんに適用対象外になる。こんな無理なやり方はありません。だから、漁民もたまったものじゃありません。遊漁をしているわれわれとして、これもたまったものじゃありません。私は狩猟関係は詳しいんですが、狩猟はずいぶんやかましくなりまして、狩猟講習を受けて資格を取らなければならぬということになっておりますが、あれは五時間の講習ですよ。それから、陸上を走るポンポンでも、これだけ交通事故の多いときでも軽免許制があるでしょう。これは実技だけやって大体一日講習を受けて終わりです。だから、もしどうしても資格を取らなければいかぬというなら——四級小型船舶操縦士というのは、さっき申し上げたように、ものすごいスピードで走る。これは非常に危険きわまりないんですよ。こういうのを対象にしてものを判断していらっしゃるが、そうじゃない。毎日、自分のうちの作業をやっている、いま言ったノリ業者やカキ業者あるいは遊漁者、そういうものまで全部、みそもくそも十ぱ一からげにこういう高級な講習なり試験なり身体検査まで熱ければならぬ、こういうことはむしろ零細漁民あたりを圧迫することになりまして、私は政治家として絶対これは納得できません。  そこで私は提案をするのですが、これは五トン未満というので、船舶を対象に全部網をかけているからこういう問題が起きるので、危険が起こるのは高速で走る性能を持ったモーターボート等なんですよ。ですから、私どもの常識では二十馬力ぐらいが限界かと思っていますが、百歩譲って十馬力でもいいと思うのですよ。十馬力以下の馬力を持った、動力を持った船外機でもあるいは船内機でも、そんなものはほんとうは講習を受けるくらいで軽免許でたくさんなんです。いまおっしゃった右側を行かなければあぶない。それはそのとおりだ。私どももしょっちゅう走っているから知っていますよ。だからそういう程度のいわゆるマナーを教える程度でこれはけっこうです。技術なんていったって、いまはもう船外機など非常に性能がよくなっていますから、もう一発でかかるようになっておりますし、すぐ覚えるような簡単な操作になっておりますから、こんなものを何時間も何時間も講習を受け試験を受けなければならぬというようなことはもの笑いだ。ですから、軽免許制度というのを考えてくださいよ。法律を改めなければならぬなら、運輸委員会で修正するように、私も予算委員会が終わったら運輸委員になってがんばりますよ。そうでないと、これはほんとうに民業圧迫です。  これは漁民から言わせれば、何か運輸省が外郭団体のモーターボート協会あたりに、こんなものをつくらせて試験をやらせてまるでかせがせているような印象さえ与えている。漁民はそうですよ。だから、そういうみそもくそも一緒にしたようなやり方でなくて、実態に合った、ほんとうに危険のあるものについては徹底的にやる。それは、私どもは芦ノ湖なんかに行ってよくマス釣りをやりますが、近くをわざわざすれすれに高速のモーターボートが水上スキーを引っぱって通りますよ。このやろうと思ってけんかになることもあるのですが、ああいうやつこそ厳重に取り締まっていただきたい。そうじゃなくて、釣りを楽しむものあるいは稼業としてノリやカキを扱うもの、そんな零細な漁民までこれでくくってしまっていじめるようなやり方はぜひ改めていただきたいと思いますが、運輸大臣の御所感を伺いたいと思います。
  141. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 おっしゃることはよくわかるのです。ただ、こういう立案をいたしましたのは、おそらくそういう小型船でも、全部が全部じゃありませんけれども、中に非常に極端に高速で走りまして、そして人命をそこなったというような例が多くあったので、これではいかぬというのでこういったことを主管局のほうでは考えたのだと思います。  いま聞いてみますと、法律は法律でございますけれども、その運用のほうは大体省令以下にゆだねられるという問題が相当あるようでございますから、これは私も実態は大体知っておるのですけれども、それと法規とを組み合わせまして少し考えてみたいと思いますから、もう少し、この法律案、が国会で審議せられます前に、そういったことについてもまたいろいろお打ち合わせをして、あまりこう画一的にならないように、これは何か実態に即したようなものにする必要があるのではないかというような、いまそういう感じを持ったので、一ぺん検討してみます。
  142. 足立篤郎

    ○足立分科員 ものわかりのいい運輸大臣ですからわかっていただくと思うが、隣から聞くものですからだめなんですよ。非常に官僚的になってしまう。これはほんとうに役人の悪いところなんです。だから、いま私が申し上げた点はおわかりいただいたと思うのですが、スピードを出すにも出せないのですよ。三馬力や四馬力の漁船、和船では出っこありませんよ。まず私どもが陸上を歩くスピードとどうでしょうか。おそらくとんとんぐらいでしょう。そんなもので事故を起こせといったって、実際は起こしようがないのです。しかも、これは内水面あたりは特に考えてもいい問題だと思うのですが、そんな小さな馬力を持った船で外洋に出るなんということは考えられません。沿岸九キロ、とても九キロなんて出るものじゃありません。したがって私は、さっきも申し上げたように、百歩譲って十馬力以下のものについては免許が要らないぐらいにしたいのだけれども、法律があるから免許が要らぬというわけにもいかぬかもしれませんが、簡単な講習会程度でいま言ったマナーを教えればもうできるというふうにぜひしていただきたいと思うのですが、再度運輸大臣の御決意を伺いたい。
  143. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 まだ決意を申し上げる段階までいっておりませんが、(足立分科員「わかっていただければ決意するはずです」と呼ぶ)わかっておるつもりです。こういった小型のものにつきましては、エンジンの取り扱いも何もわからぬで乗り出されたのでは、これは人命を損傷するようなことになりますから、やはり海上におきましても人命尊重というところは重点を置かなければならぬと思います。  その免状の出し方でございますけれども、私はいま局長にも言っておるのですが、実際実務をどのくらい修得したか、そういったことをよく考えて、そんなに学科とか実技とかというふうに画一的にほかの高級免許のようなかっこうで与えるかどうかをきめるというような制度は、こういう非常に大衆的で、しかも平水を動き回っておるところですから、おっしゃることもよくわかるのです。そういう点をよく含みまして、法律案が審議されます前に、よく当局とも相談をしまして態度をきめておきたいと思います。
  144. 足立篤郎

    ○足立分科員 もうやめようと思ったのですけれども運輸大臣がいろいろおっしゃるものだからまた言わなければならなくなったのですが、私が一番心配なのは、四級小型船舶操縦士の資格を法律で認めますわな。これがいけないのです。だからいま言ったように、高速のモーターボート等に適用するということでなければならぬ。これは厳重にやっていただいていいと思う。だから、ほんとう言えば、もう一つランクをつくってもらって、軽免許という陸上のポンポンと同じような考え方で、さっき言った免許を受けるのに五時間の講習で免許が受けられるというふうな簡便なものにしてもらって、だれでも受けられるものにしてもらえば、私も受けますし、ノリやカキをやっておる、日常げたのように使いならしておる連中引受けますよ。これはおもにマナーですよ。実技は必要ないのです。そっちのほうがむしろ先生ですよ。毎日乗っておるのだから。そういうふうな方向でひとつ御検討いただきたいし、私の主張がどうしても法律を修正しなければだめだというなら、私は運輸委員会の連中と相談して何とか法律を修正するようにしたいし、役所のほうもまずそういう気持ちになってくださいよ。決してそれで心配はない、それで危険が起こるということはない。たまさか海水浴客のほうが近寄ってプロペラにひっかかったという例はありますけれども、一例があったからといって——これは全国何十万という人ですよ。それを全部法律違反者にするというようなことは、まるで犯罪を製造するようなもので、考え直していただきたい。注文だけつけて終わります。
  145. 前田正男

    前田主査 これにて足立篤郎君の質疑は終了いたしました。  午後一時三十分より分科会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後一時三分休憩      ————◇—————    午後一時三十分開議
  146. 藤波孝生

    ○藤波主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  前田主査が所用のため出席できませんので、その指名により私が主査の職務を行ないます。運輸省所管について質疑を続けます。  紺野与次郎君。
  147. 紺野与次郎

    ○紺野分科員 新幹線の最近の脱線事故を見て国民はいろいろ不安を感じて、新幹線が非常に万能であるかのようにいわれていましたが、これに対していろいろな批判を行ない、かついろいろの意見を述べるようになってきていると思いますけれども、これらの批判や意見を謙虚に聞くという態度をとっておられるかどうか、これを最初に大臣にお聞きしたいと思います。
  148. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 新幹線が今日まであまり大きな事故もなく経過したのですが、先般大阪において、それは主としてATCの故障だといわれておるのですけれども、事故が起こりまして、国民に非常に不安を与えているということはまことに遺憾なことでございます。さっそく国鉄に命じまして、その原因の探求につとめておるわけでございますが、今日までまだ確たる原因が究明されていないのでございます。私は先般も予算委員会で御質問に答えたのでございますが、この新幹線の生命ともいうべき装置でございますから、原因不明のままで過ごすことは絶対にできないと思う。あらゆる方法を講じて、技術陣を動員してでも原因探求につとめてもらいたい、そして国民の不安を解消してもらいたいということを、国鉄に申しておるのであります。同時に、新幹線についてそういう事故調査をする、究明をするということにあわせまして、新幹線網が動き出しましてから相当年月がたっておりますから、この機会に国鉄の技術陣を総動員して、新幹線に対してあらゆる点から総点検をやってもらいたいということを文書をもって示達いたしました。国鉄はそれにこたえまして、事故原因の調査と同時に、全般にわたりまして総点検を始めようというかまえ方で、いま進んでおるのでございます。
  149. 紺野与次郎

    ○紺野分科員 これからつくられる新幹線の問題について、そういう立場を踏まえた上で私は質問したいと思います。  それは東北新幹線の問題でありますけれども、この東北新幹線東京駅から、現在の六番線、七番線ホームから、これにドッキングをして地上通過で神田駅の上を通過して、一時地下に入って、再び日暮里のほうから地上に出て、東京都の過密地帯、北区その他の区を地上通過して、埼玉県の戸田のほうに出るということになっております。これに対して、つまり世界的に最も過密な東京の中でこのような地上通過をやることに対して、住民とともにその通過する自治体はほとんど反対を示し、また住民も猛烈な反対運動を展開しております。千代田区はもちろん、台東区、荒川区、北区、板橋区また埼玉県の沿線市町村は、現在のこの路線計画に対して絶対反対の態度をとって運動しております。そしてその特徴は、自治体自身が反対している。区議会あるいは区長、それから東京都においても美濃部知事がこれに対して、納得いくまで自分は許可しない、反対であるという立場を表明しております。こういうふうな、住民と自治体があげて反対をしているということをあくまでも無視して、そして住民と自治体の反対を押し切ってこれを実行しようとしているのかどうかということ。  それから、この計画自身が非常にずさんではないか。こういう住民の反対運動が出てくるということも、そのずさんさに原因している。昭和四十六年一月十八日に基本計画決定された。そして九カ月後にすでに工事の実施計画運輸大臣によって許可されている。住民の意見が何ら反映されておらない。こういうふうなずさんなものですね。そこからこういうことが起きていると思いますけれども、特に重大なことは、第一ボタンというか、一番のスタートのところになる神田駅の地上通過の場合には、これを見てもらえば非常にはっきりします。これは一番上のレールのソベルでもって二十一メートルの高さ、この構造物によればそういうふうになっている。しかもここの本体からわずか六メートルのところに、こちらの道路のビルディングがあるのですね。わずか六メートル離れてビルディングのわきを二十一メートルの一番上のレールのレベル、そこをまた電車が通る、そういう構造になっている。こういうことは、大きな絶壁をつくって、最も繁華街の神田地域の、いわば地域社会を全く荒廃させてしまうというふうな、非常に乱暴な計画になっている。これに関係する高架下の方々が二十数年にわたってここに財産をつくり営業してきた、そういう方々の権利もじゅうりんされるというだけではありません。地域全体の町の町づくりも犠牲にしてしまう。地域社会を犠牲にするような乱暴な計画にこれがなっているということですね。  それからさらに、これは公害その他によって、北区の方面でも、地上通過、高架でいく場合に大きな問題になるわけですけれども、特にこれが埼玉を通るときには、桜木団地を全くぶちこわしてしまうという計画になっているといわれております。やはり団地は一つ地域社会であって、現在では単に個人の集まりと見るわけにはいかないというふうなことから見て、その団地、これは住宅公団の団地ですけれども、それ全体をつぶしてしまうような乱暴な点もあるわけですね。しかも熊谷市のところでは、日立の工場あるいは新日本製鉄の工場は敬遠をして、また自衛隊がありますけれどもそこを敬遠して曲がっていくけれども、いわゆる住民の居住権や生存権や地域社会の町づくりをしていこうという権利に対しては、全く無謀な態度でふっ切っていくというような計画になっているわけですね。  そういう点から見て、特に千代田区の神田周辺の町会、鍛冶町、外神田、内神田、佐久間町、須田町あるいは鎌倉町というふうなところがあげてこれに対する対策委員会を持って、あくまでも地上通過に反対である。この計画を変えて地下にもぐるようにしてくれというふうに要求しているわけでありますけれども、このような住民を無視する、自治体の態度に対しても無視するやり方であくまでも強行しようとしているのかどうか。この再検討をする必要が断じてあるとわれわれ思いますけれども、どうか。この点について最初に答弁を求めます。
  150. 磯崎叡

    磯崎説明員 東北新幹線のルートにつきましてはいろいろ先生からもお話がございましたし、私のほうの案もずいぶん詳しく御説明申し上げましたが、私どもといたしましては、まず東京駅で東海道新幹線と結ぶことは、これは東北新幹線としての生命であるというふうに考えております。したがって、東京駅で東北、東海道が連絡するということは、将来の東北地方の発展の非常に大きな問題であるということを考えました。まずそれが第一点でございます。しからば、東京駅に入るということを前提にいたしました際に、もしかりに東京駅からすぐ地下に入るということになりますと、これも何べんも御説明申し上げましたが、相当な、三本ないし三本以上の道路をとめてしまわなければならないということになるわけでございます。これは非常に大きな問題になりますので、私どもといたしましては、地上から地下に入る際には極力道路交通を阻害しないということを前提といたしまして、秋葉原にございます私のほうの貨物を全部移して、そしてあの秋葉原の構内でもって下に下げる。それによって道路に対する支障を極力少なくするという意味でもって、東京から秋葉原の手前までは地上通過、秋葉原の構内でもって地下に入る。これはもっぱら東京の都道、区道その他の道路交通を阻害しないということを第一の目的とした問題であり、次に今度の新幹線にあたり、いまたまたま埼玉県とおっしゃいましたが、新しい用地をなるべく使わない、なるべく国鉄の現有地を使ってやりたいということでもって、いまの在来線の上ないしは下を使ってやるというふうな結論に達したわけでございまして、これは私のほうの技術者がいろいろくふうし、いろいろ考えた末の結論でございます。
  151. 紺野与次郎

    ○紺野分科員 あなたは二月七日の予算委員会の中島議員の質問に対して、住民との話し合いをやる。そして話し合いをかってに破ってやることはしないということを言いましたけれども、それはどうですか。
  152. 磯崎叡

    磯崎説明員 先ほど先生がおっしゃいましたように、やはり極力地域の住民とのお話し合いはしてやってまいりたいというふうに思っております。
  153. 紺野与次郎

    ○紺野分科員 それから二月九日に佐藤政務次官と会ったときに、佐藤政務次官は、住民と自治体との了解なしには工事をしない、準備工事も自治体と住民の了解を得てすべきであるということを言っております。それから同じ日に、国鉄の内田常務は、本体工事は住民の了解なしにはしないということを言っておりますけれども、これはどうですか。
  154. 磯崎叡

    磯崎説明員 政務次官がどうおっしゃったか、私その場におりませんでしたから存じませんが、その点につきましては、先ほど先生の御引用になりました二月七日でございますか、私が御答弁申し上げたときの速記録に入っておりますが、国鉄の用地内における工事については、国として正式な手続を経てこの問題が決定され、しかも予算が国会において承認されているという現状をとらえまして、少なくとも国鉄用地内における工事については始めておりますということをはっきり申し上げております。ただその際にも、なるべく老朽取りかえその他から始めてまいりますが、いやしくも国鉄用地内における工事につきましては、これはすでに始めておりますということははっきり申し上げております。したがって、政務次官がおっしゃった点、少し私どもの申したことと違いますが、私は国会においてはそういうことははっきり申し上げております。また内田理事が申し上げたことは、私が先ほど申し上げた点と同じ意味であるというふうに考えます。
  155. 紺野与次郎

    ○紺野分科員 それでは、本体工事は住民の了解なしにはしないということですね。
  156. 内田隆滋

    ○内田説明員 ただいま工事を日暮里等でやっておりますが、これはすべて準備工事でございまして、本体工事にかかる前には十分住民の皆さま方とお話し合いをして、協議がととのったところでやると申し上げたわけでございまして、そのとおりでございます。
  157. 紺野与次郎

    ○紺野分科員 そうしたら、あくまでも自治体やあるいは住民の反対があっても強行するということですか。
  158. 磯崎叡

    磯崎説明員 私どもは極力反対のないようにこちらから十分御説明いたします。そういう前提でございます。
  159. 紺野与次郎

    ○紺野分科員 もしあくまでも反対があった場合はどうですか、自治体、東京都、各区に。
  160. 磯崎叡

    磯崎説明員 これはいろいろ時間がかかる問題かもしれませんが、私のほうとしてはあらゆる努力をいたしまして私のほうの計画を御説明し、御了解いただけるものというふうに確信いたしております。
  161. 紺野与次郎

    ○紺野分科員 東京都及び住民のいまのような一九七〇年代の新しい発展した社会情勢、過密状態のもとで大都市部に乗り入れをするという場合の考え方は、六〇年代と違って、権利意識の点からいってあるいは技術の点からいって、いろいろの点においてとうてい六〇年代的な東海道新幹線式にやるということは許さないという態度をとっております。そういう点から見て、その納得を得られなければできないというふうに了解いたします。  なお、そういう点から見て、東京南鉄道管理局から昨年十一月に神田駅ガード下の人たちに対して、三月三十一日までに、東北新幹線をつくるのに支障があるから出てもらわなければいけないという通達をよこしております。これはもう既成事実として、このことをあくまでも強行するという態度でこれを出していると思います。全く一片の通告によって、長年の間に財産を構築したこれらの人たちを追い出す、こういうことはできないと思いますけれども、これを撤回する意思はありませんか。
  162. 内田隆滋

    ○内田説明員 これは一つの予備手段でございまして、今後高架下の皆さまとよく打ち合わせをいたしまして、どういうふうにしておのきいただくかということにつきましては十分お打ち合わせの上やってまいりたいと思います。
  163. 紺野与次郎

    ○紺野分科員 これは本体工事それ自体ではありませんか。ここの上に地上通過をする構築物をつくるというのですから、全くこれは本体工事そのものと考えていいと思います。あなたがさつき言ったことから見ても、それはやるべきではないと思いますが、どうですか。
  164. 内田隆滋

    ○内田説明員 われわれとしては工事の準備工事だと思っております。
  165. 紺野与次郎

    ○紺野分科員 かりに準備工事だとして、どうしてもそれができなかった場合には、この前あなたにお会いして申し上げましたけれども、結局二重投資になるわけですね。もう国鉄用地の上ではどんどん実際上工事を進めていくということになれば、まさに国費を乱費する。結局は二重投資、三重投資になるという結果になると思います。そういうことが許されるかどうか。やはり住民と自治体と十分な話し合いの上でそういう準備工事、本体工事というものの実行をしていくというふうにすべきではないかというふうに思いますが、どうですか。
  166. 内田隆滋

    ○内田説明員 お説のとおりだと思います。ということは、自治体のお話し合いがなければ東北新幹線というのは進められないというふうには考えます。しかし一方ではわれわれは、これは運輸大臣の認可を得まして、こういうことでやりなさいというふうに許可を受けておるわけでございますから、国鉄建設の工事を担当する私どもといたしましては、所定の期限の中でこれをあくまでも遂行する任務がございます。そういう意味ではかたい信念を持って、また住民の方々の御意見をよく承って、いわゆる地域社会の破壊、そういうようなものについても十分の配慮をいたしまして、これを推進していく覚悟でございます。
  167. 紺野与次郎

    ○紺野分科員 現在、工事を指令した地図があるそうですけれども、それは黄色い色を塗り、赤い色を塗っている地図だそうです。それには、ここは取りのけ、ここは新しい建設だというふうな色分けをしている工事地図があるそうでございますけれども、これはありますか。
  168. 内田隆滋

    ○内田説明員 どういう御趣旨でございますか、もう一ぺん。
  169. 紺野与次郎

    ○紺野分科員 現在は準備工事と称してどんどん進めていっている、いわゆるこれは取りのけたりいろいろする工事の図面である。それから本体工事として建設をしていく工事はこれだというふうな設計をした地図です。もしあればこれはひとつ国会のほうの運輸委員会やなんかに提出していただきたいと思います。
  170. 磯崎叡

    磯崎説明員 私のほうといたしましては、都、区、その他いろいろ住民の方々にお見せした地図以外のものは全部部内の勉強の過程でございます。したがってそれはお出しするわけにはまいりません。
  171. 紺野与次郎

    ○紺野分科員 ではさらに、地下化の問題ですけれども、この間政務次官に会った二月九日ですが、鉄道監督局の施設課長でございますね、この方がこう言っている。地下化は絶対できないかということに対して、それはこうすればできると言っているのです。つまり、東北新幹線を、東海道新幹線はいま地上へ上がってきておりますけれども、たとえばこれを地下にもぐらして、品川駅付近からかりに地下へ乗り入れをして東京駅の下へ持ってきた場合、これと接続するようにすれば東北新幹線は地下で行くことができるということを言いました。ですから、つまりいま地下でできない、できないといっているのは、六〇年代につくられた、地上に上がってきてとまっている東海道新幹線ですね、それに無理やりに——これからあなたは二十一世紀の国鉄をつくると言っているのですけれども、二十一世紀どころじゃなくて、バックして、六〇年代のこの終着駅にくっつけてドッキングするために、どうしても六番線、七番線から出なければならないという前提に基づいているから、これは地下になかなか入れない。しかし、二十一世紀の過密地帯にほんとうに公害のない線をつくろうとするならば、現在すでに横須賀線、それから東海道線が地下三十一メートルのところを通って、総武線も地下にもうできております。乗り入れされております。在来線ですらそうです。そうするとあなた方が一番もうかっているといわれている新幹線が、改良工事としても東海道新幹線をつまり地下乗り入れをして、そしてちょっとくふうをすれば十分にドッキングをしながら、そうしてこれはやることができるということが技術的にいわれております。どうですか、そういう可能性は。そしてまたそういうふうに住民の要求というものを前向きに解決するように、私は現在の計画というものを再検討して、そうして地下化をそういう形でやれば住民の反対もなくなる、それからまた公害もなくなる、いろいろの点でやっぱりこれからの問題解決に役立っていくと思うわけでありますけれども、かたくなに、ただここだけで、いまのままだけにくっつけてやればできないのだ、できないのだというだけでは、これは東京都民を敵にし自治体を敵にして、そうしてまかり通るような、全く時代に逆行した線路になってしまうということになると思いますけれども、これについてはどうでしょう。
  172. 内田隆滋

    ○内田説明員 われわれは東京駅につくることにつきまして、あらゆる角度から検討いたしました。そういうような可能性、いわゆるいま先生がおっしゃったような可能性につきましても十分な検討をいたしました。やはり東海道新幹線というのは、お客さんに利用していただかなければならないし、また都民のために一番便利な交通機関でなければならないというようなことを考えますと、やはりいまの案が一番いいのだという結論に達しておるわけです。この場合に、いわゆる東海道、東北を通る住民の方々に全然ゼロではない、相当の御迷惑がかかるということも一応勘案いたしまして、いまのルートを決定しております。たとえばそういう意味では、先ほどの繰り返しになりますけれども、この計画を変更する意思はございませんし、これを推進するために住民の皆さまとあらゆる御協議を申し上げ、納得をしていただき、またわれわれとしてできることがあるならばそれをさしていただくというようなことで、この工事を進めてまいりたいというふうに考えております。
  173. 紺野与次郎

    ○紺野分科員 だからさっき施設課長が言ったように、実際には可能だというふうに技術者は言っているわけですけれども、このことをあなたは無視している。現に東海道線その他の改善工事で地下に乗り入れされているわけですから、だからこれを十分に、やはり技術部の人たちがすでにわれわれに言っているような方向で解決するようにやるべきであるということを、私たちは地域の皆さんの、あるいは自治体の方々の希望とあわせて強く要求したいと思います。そしてあくまでもそれができなかったならば——パリとかロンドンとかモスクワとか等々を調べると、みんなターミナルシステムです。またニューヨーク等を見れば、グランドセントラルはずっと過密地帯は地下を通ってきております。そういうふうな点から見ても、いまの過密のまん中にあくまでもこれを乗り入れて、いまのままでやらなければならぬというふうなことはこれはあり得ないわけでありまして、それをあくまでも主張するのは、安上がりに、やはり東京駅を中心として存在しているたくさんの本社、財界、大企業、こういうところの立場で、あそこに何でもかんでも持ってこなければいけない、一日経済行動圏でやるためには、自分の玄関の前に是が非でもこれを持ってこなければいけないというふうなことにあなたたち自身がもう強く拘束されてやっているのではないか。住民の立場も考えるならば、とにかく地下にもぐって、そうして新幹線のどうしてもドッキングが要るとなれば、東海道線から改めて、そうしてこれを接続するように地下でやるべきであるということを重ねて要求し、それができなければターミナルシステムでやるべきであるというふうに思います。これについての再度のお答えをいただきたい。
  174. 磯崎叡

    磯崎説明員 先生、非常に外国をごらんくださってたいへん御卓見だと思います。ただ私たち日本国鉄をずっと運営してきた者といたしまして、まず第一の地下でドッキングしろというお話でございますが、現在東京駅には一日二千数百本の列車が出入りしている。これは世界一でございます。世界に全然例のないほど御承知のように過密な輸送であります。その下に大きな地下駅をつくることは技術的に不可能でございます。だれが言ったのか知りませんけれども、もしそういうことが可能だということを申したとすれば、きわめて現実を見ない言い方である。輸送の責任を持って在来線で何十万というお客を運んでいるわれわれといたしましては、その下に、在来線を動かしながら大きな地下駅をつくるということはこれは絶対不可能でございます。  それから第二に、しからばターミナルステーションにしろ、これは確かに御卓見と思います。ただ、ヨーロッパの鉄道はどうして早く衰退したかと申しますと、これは全部ターミナルステーションにしたからだといわれております。ターミナルステーションと申しますのはきわめて不便な、そして連絡の悪い、相互の鉄道の能率を非常に阻害した、昔のパリならパリの地区地区ごとに独立しておった時代の遺物でございまして、そしていま何とかこのターミナルステーションをくっつけたいというのがヨーロッパの鉄道の悲願でございます。したがいまして、いま先生の御指摘のように、確かにフランスにおきましてもイギリスにおきましても、あるいはアメリカにおきましても、大体ターミナルステーションのシステムでございますが、これで非常に困っているわけでございます。したがいまして、私ども、いみじくもおっしゃったように、来世紀の鉄道というところに飛躍したいと思っている者といたしましては、ターミナルシステムこそ非常に鉄道としてはまずい運営のしかたの、非常に不便な鉄道であるというふうに考えておりますし、またこの説はどなたにお聞きくださってもみな同じことを申し上げるだろうというふうに思います。
  175. 紺野与次郎

    ○紺野分科員 現に、先ほど言いました地下の総武線、それから東海道線等々、横須賀線も入ってきているわけですから、できないというのは全くそれは事実によってうそだということを示していると思います。ですから、当然各ターミナルを地下で結ぶということも可能でありまして、世界的な過密地帯の中に公害をまき散らし、多くの被害をまき散らすような地上通過という、これは古い過去への逆行でありますから、それをやはり改めて、地下での結合ということをやはりあらためて研究してもらうように強く要求いたします。
  176. 藤波孝生

    ○藤波主査代理 これにて紺野与次郎君の質疑は終了いたしました。  次に、坂井弘一君。
  177. 坂井弘一

    坂井分科員 重大な海難事故が発生しておりますので、緊急に質問いたしたいと思います。  事故発生の日時は、去る二月二十一日、推定午後十一時五十分から十二時ごろと思われます。この発生した場所は山口県の火振埼南東約五キロということでありまして、第八若吉丸、これが遭難の船であります。この第八若吉丸という貨物船のちょうどそのうしろを大宝丸が、やはり貨物船でありますが、航行しておったところで、この第八若吉丸が突然沈没をした。それを目撃をして、反転いたしまして、サーチライトを照らして捜索をいたしましたがつかめない。そこでこの大宝丸は、やはり山口県の室津港、ここに急遽直行いたしました。そこから電話でもって第六管区海上保安本部上関航路標識事務所、ここに通報した。その時間が二十二日の午前二時半ごろ、こういうことであります。そこで、二時半ごろにその通報を受けました標識事務所の佐多所長が徳山海上保安部に二時三十五分ごろに報告をした。こういうあらまし経緯でございますが、その報告を受けた徳山海上保安部はその後どういう救援活動を行なったか、まずそこから伺いたい。
  178. 野村一彦

    ○野村政府委員 ただいま先生の御言及されました第八若吉丸の遭難の件でございますが、御指摘のように二月二十二日の二時三十五分ごろ、上関に入港しました大宝丸という船から、上関の航路標識事務所を経由しまして徳山海上保安部に、ただいまお話しのような、遭難船らしきものを認めた、自分も引き返して約四十分ほどその付近を捜索したけれども、何も手がかりを得られなかったのでここに入港したという届け出がございました。そこで、電話を受けましたのが航路標識事務所長でございまして、これはいわば灯台関係の事務をやっております。救難の担当ではございませんので、海上保安部の当直の保安官に直ちにその電話を取り次いだわけであります。徳山海上保安部の担当官はさらに詳しい状況を聞きたいということで、その大宝丸の船長が上関の潮旅館という旅館から電話をしたということを聞いておりましたので、そこに連絡をしまして同船長と連絡をとったわけでございますが、すでにこの大宝丸の船長は出て、その旅館におりませんでした。そこで当然その時点におきまして、たとえばその旅館におもむいてみて、そうしてさらにその船長の行くえをさがし求める、あるいは隣の保安部に連絡をとる、そういう措置を講ずべきであったわけでございますが、非常に立ち上がりがおくれましたということは、私どもこれは率直に事実として認めざるを得ないと思います。そういう意味で、以下とりました活動を申し上げますけれども、まず前提としまして、非常に立ち上がりがおくれたということについては、これはもう弁解の余地はございません。率直に私どもの不備ということを認めざるを得ないと思いますので、この点私どもとして深くおわび申し上げます。  そこで、その情報を入手したわけでございますが、保安部の担当者は、火振埼の沖から上関までは十六海里ほどあります。午前二時半に上関に入港するのは、この大宝丸のスピードから見て無理ではないか、場所という問題にちょっと疑問があるということ、それから大宝丸は一応さがしたけれども何も捜索の手がかりとなるようなものがなかったということ、それから、もしそういう事実があったならば、真夜中でございますけれども、付近には航行船が多数あるにもかかわらず同じような情報が入ってこないということから、この届け出は信憑性が薄いと判断をいたしまして、そうしてさらに関連の情報入手を待つことにしたということで、担当者としては一応そのまま、これを翌朝午前八時ごろ——同朝でありますが、八時ごろに担当課長に報告をしました。担当課長もその部下からの報告を聞きまして、それを上司の部長に報告をしなかったということで、まことに立ち上がりがおくれたわけであります。その後、二十五日の夜でございますが、遭難をされた方の親戚に当たります、同じような仕事をしておりました親族の方から九州の若松海上保安部に自分の僚船、きょうだいの船が行くえ不明になったという手配の電報を受けました。若松海上保安部からその連絡が当然各隣接の保安部にあったわけであります。徳山保安部の担当課長もこの情報を受けたわけでございますが、この情報を、全く新たな海難ではなかろうか、つまり、二、三日前に電話を受けておりました、当直からの報告を受けたこの海難事故のことに思い至らずといいますか、新たな海難の捜索要請があったというふうに考えまして、それから直ちに沿岸の手配を行なったわけでございます。そこで二十六日の早朝からは航空機二機と巡視船艇十隻を出しまして、若松港から兵庫県の高砂港に至る問の、通常、船の通っております航路付近の捜索を行なったわけでございます。その後、二十六日の午後二時三十分ごろ、漁船が、これは一般の漁船でございますが、山口県の笠戸島の火振埼沖合いで、その船に乗船をしておった船長の長男、これは非常に幼児でございますが、この方の遺体を底びき網ですくい上げたということでございます。直ちに付近を重点的に捜索を実行をしておりましたところ、三月二日に、その遺体発見現場付近で沈没船の船体が確認をされました。そこで以後二十七日、二十八日、それから、いま言いました船体の発見場所付近を巡視船艇及び航空機で捜索をいたしておりまして、目下専門の潜水夫等を動員いたしまして、そして沈んだ船体の付近に潜水夫をもぐらして捜索をいたしておる、こういうことでございます。ともかく私どもの立ち上がりが非常におくれたということにつきましては、重ねておわびをいたします。
  179. 坂井弘一

    坂井分科員 いまお話を伺っておりますと、これはまことに申しわけない、立ち上がりがおくれたということですが、単なるおくれだという問題じゃ済まされない問題です。少なくとも大宝丸の、目撃した船の高橋船長が、いまお話しのように潮旅館に急遽直行いたしまして、そこから連絡をしてその状況を伝えておる、通報しておる。それが先ほど申しましたように、通報を受けた上関航路標識事務所の佐多所長からは徳山海上保安本部に対してかなり詳しい報告がなされた。その報告を受け取ってそのまま握りつぶしてしまって、そしていまのお話によりますと、二十五日、その家族から、帰ってこないのです、どうなっているか調べてほしい、遭難したんじゃなかろうかという報告を受けた。それからようやく捜索を開始した。つまり、最初に目撃した高橋船長が海上保安本部に通報したが、捜索をしないでそのまま放置した。それで六人の犠牲者、まず絶望でしょう、結果としてはそういう結果になる。そのあと、その身内から通報があって、そして捜索を開始した。それが二十六日。そうなりますと、日数の計算でははっきり出ますけれども、幾日間放置したのですか。
  180. 野村一彦

    ○野村政府委員 その報告を受けた時点が二十二日の早朝でございますので、二十二、三、四、五と、二十五日の夜まででございますので、大体四日間でございます。
  181. 坂井弘一

    坂井分科員 五日から六日間ですね。報告を受けた場合には、これは記録がちゃんとあるはずだ。それはどうなっていますか。
  182. 野村一彦

    ○野村政府委員 これは、当直の保安官はそれぞれ当直の日誌というものを持っておりまして、そしてこういう海難情報が外部あるいは他の海上保安官署から来た場合は、その概要等を書きとめて、そして所要の手配をするというのが通常の状態でございます。
  183. 坂井弘一

    坂井分科員 では通常の状態でなかったわけですか。
  184. 野村一彦

    ○野村政府委員 結局、まず第一は、その当直保安官がいろいろ一応の判断は申したようでございますが、先ほど申し上げましたように、信憑性が薄いという判断をして、それを、夜中であっても、すみやかに上司である警備救難課長に報告しなかった。それから警備救難課長に報告をしたのが午前八時でございます。それから警備救難課長が上司である部長に報告をしなかったということで、これはまことに恥ずかしいことでございますけれども、常態ではございません。
  185. 坂井弘一

    坂井分科員 常識的に判断しましたも、異常と申しましょうか怠慢と申しましょうか、あるいけ海難救助に対するそういう責任の衝に当たるべきこの人たちの認識の欠如と申しましょうか、とにかくこれは私は普通には考えられない事件ですね。課長は報告を受けたが部長には報告しなかった。しかし日誌はあるんじゃないですか。少なくとも当直日誌等の中に、そうした海難の通報を受けた場合にはこれを記録しなければならぬということは義務づけられているはずですね。少なくとも私はその記録はあると思う。部長に報告した、しなかったはさておいて、記録はあるのですか、ないのですか。
  186. 野村一彦

    ○野村政府委員 その点につきましては、ただいま、ここを管轄いたしております広島の第六管反海上保安本部のほうで詳細に調査をいたしておりますが、私どもの推定では、当然記録簿に記録太れておると思います。その記録簿が上司に提出太れなかったといいますか、上司がそれを見なかったと申しますか、その辺の事情は目下調査をいかしておりますが、記録そのものはあると確信しております。
  187. 坂井弘一

    坂井分科員 海上保安庁が報告を受けたのは、いつですか。
  188. 野村一彦

    ○野村政府委員 この事件が事件として報告をされましたのは二日の朝でございます。
  189. 坂井弘一

    坂井分科員 高橋船長が現場を目撃しておるわけです。沈んでいくのです。船は一たん反転しているのです。サーチライトを照らして一応は救助活動をなさっているのです。その状況は報告しているのです。その状況については上関航路標識事務所に報告している。しかもこれはただごとならぬというわけで室津港にわざわざ直行いたしまして、夜中の二時三十五分、そういう時間に潮旅館に立ち寄ってすぐそこから電話でもって、すわたいへんだ、状況はこうこうですけれども、私は目撃したんだということを言っている。現場の状況があいまいだったので直ちに救援活動に移らなかったかのごとき——あなた、許されますか。どうにも私は理解できないのです。もう少しはっきりしてください。
  190. 野村一彦

    ○野村政府委員 この点につきましては、再々申し上げますように、通常の私どもの勤務体制といたしましては、当直海上保安官がその情報を得ましたならば、それに基づいて判断をする。しかも自分一個の判断でそれについて的確な判断ができない場合、特に本件のように、その情報にも疑問点があるけれどもとにかく重大な情報である、船が沈んだという重大な情報である場合には、当然これは上司に報告をし、そしてもよりのそれぞれ海上保安官署に連絡するというようなことで立ち上がるのが当然でございます。そういう意味で、私どもも何ゆえにこういう立ち上がりがおくれたかという点につきまして、いま所轄の管区本部で詳細な調査をしておるところでございます。私ども自身も、実はこの情報を受けまして、非常に日にちが経過しておるということを知りまして、全く常識では理解できないし、びっくりしたわけでございます。これは全く初歩的な判断のミスあるいは立ち上がりのおそさというものでございまして、全く海上保安庁としては手落ちと言うほかはございません。
  191. 坂井弘一

    坂井分科員 これは押し問答になりますからあえて言いませんが、大宝丸という船の高橋船長というれっきとした船長なんです。しかも自分が目撃しておるわけですね。その船長からの通報を、疑問がある通報だ、こういう処理のしかたがありますか。これはさておきまして、先ほど、二日の朝海上保安庁は報告を受けた、こういう話ですが、二日の朝報告を受け取って、捜索を開始されたのが二十六日、これはどういうことになりますか。
  192. 野村一彦

    ○野村政府委員 先ほど私ちょっとはっきり申さなかったと思いますので重ねて申し上げますと、第八若吉丸の捜索を徳山その他の海上保安部が始めたという報告を受けのは二十六日、これが捜索が開始されてすぐ無電によって知ったわけでございます。ただこの前にいまおっしゃった大宝丸の高橋船長から上関の航路標識事務所に、遭難船があるという情報を受けて、そして徳山保安部がそれに対して対処しなかったという事実があったということを知ったのが二日でございますので、二十六日に現場機関が捜索を開始した報告は直ちに受けております。
  193. 坂井弘一

    坂井分科員 それでは、直ちに捜索を開始しなかったということの報告を受けたのが二日、それから海上保安庁はどうされましたか。
  194. 野村一彦

    ○野村政府委員 私のほうは、延べ船艇にしまして、海上保安庁の船艇で十九隻、それから海上保安庁の航空機で四機を動員いたしまして、その遭難地点と目される付近の海面を中心に海空で立体的な捜索を開始して、そして今日に及んでおるわけでございます。
  195. 坂井弘一

    坂井分科員 それを聞いておるわけじゃないのです。そういう救援活動を具体的に始めたのは二十六日の朝から……。私が聞いておるのは、二日の朝、海上保安庁が、こういうような事故があった、これははなはだ疑わしいかもわからぬ、しかしまあそういうことがあったんだ、通報しなかったんだということの報告を受けた海上保安庁は、そのことに対してどういうふうな具体的な方法なり処理をされたか。海上保安庁はどうされたかということを聞いておるわけです。
  196. 野村一彦

    ○野村政府委員 私どもといたしましては、事故の救難は事故の救難でやりますと同時に、部内の立ち上がり、出先機関の立ち上がりがおそかったということに非常に問題を感じまして、現在、本庁のほうから指示をいたしまして、所轄の第六管区本部長に命じまして、二十二日の情報を得たときから、それから後の親族から遭難船の情報を受ける二十五日の晩までの間、なぜそれの結びつきができなかったのか、あるいはどういう事情で上司に報告がされなかったのか、あるいは上司がそれを重大な問題として手配をしなかったという原因がどこにあるのか、どういう部内の情報連絡の体制が行なわれておったのか、そういう点について専門的に第六管区本部長をして調査をさしており、それから部内の監察の意味、業務の迅速化という意味から調査をいたしております。
  197. 坂井弘一

    坂井分科員 おかしいじゃないですか。運輸大臣、よく聞いていただきたい。私は、その原因究明をするということはそれは大切だと思いますよ。どういうわけでそのような処理をしたか、通報しなかったのか、これは重大な部内の責任である。当然でしょう。しかし、それよりもっと先にやらなければならぬことがあるんじゃないですか。少なくともそういう情報があっともかかわらず、徳山海上保安部において救難活動に入らないままに放置された。もしかしたらこれはえらい事態になるかもわからぬということで直ちに救援活動を開始すべく具体的な手を打つのが第一じゃないですか。しかるに、部内においてそのような通報がなされながらなぜそのままにしておったか。これは部内の問題として当然検討しなければならぬでしょうけれども、まず何よりも現場第一ですからね。人命に関する問題です。情報が薄いか濃いかは別として、少なくとも大宝丸という船長から通報があったということがあとになってわかった。二日にその報告があった。海上保安庁は直ちに行動を起こすべきだと私は思うが、その点についてはどうですか。
  198. 野村一彦

    ○野村政府委員 前に申し上げましたように、二十五日にその親族の方から若松海上保安部に連絡があり、若松海上保安部からは瀬戸内海沿岸の各海上保安庁関係部署に消息不明船の手配があったわけでございます。したがいまして、これを受けて当然第六管区及びその管下の徳山海上保安部も、若松港から兵庫県の高砂港に至るのがこの遭難した船のいままで通常通っておった航路でございますから、それの沿岸に二十六日に航空機二機とそれから巡視船艇十隻を出動させてこれの捜索、これはこれとしてやっております。その点につきましては、おくれましたけれども、この二十五日の情報以後、手配と出動はすぐやっておるわけでございます。
  199. 坂井弘一

    坂井分科員 私は二十五日以後のことを言っているのじゃないのです。それは当然でしょう。まだやっておるでしょう。しかし少なくとも二十二日に通報を得ながら行動を開始しなかった、救援活動を始めなかったのですね。これはいま大臣お聞きのとおりですけれども、こういう非常に重大な人命救助に当たるべき海上保安庁あるいは保安本部が、そうした非常に確実性の高い通報を得ながら放置した、これは私は重大な責任だと思う。大臣、お聞きになってどうですか。たいへんな責任だと思う。
  200. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 海上保安庁におきましても、あらゆる場合に人命の安全を確保するということがやはり第一義的な問題だと考えます。その意味におきまして、いま事件の内容を、詳細に存じませんでしたが、この質疑応答によって承知いたしました。これはお話のようでございますと、もう全く言うべきことばがないと思います。ただわれわれの責任といたしましては、この事件について十分に調査をいたしまして、適当な措置をとるということはもちろんでございますが、部内を引き締めまして、各管区に対しまして厳重な通達をいたしまして、今後こういうような問題が再発しないように、全員人命の安全の確保ということにつきましては心を新たにして事に当たるように最大限努力をしなければならぬということを痛感した次第でございます。被害を受けられました方々に対してまことに申しわけないと思いますが、これを契機にいたしまして、今後のあらゆる措置を講じさせたいと考えます。
  201. 坂井弘一

    坂井分科員 まず五人は絶望だと思われます。で、この遭難船は引き揚げるのだろうと思うのですけれども、この事故にあいました遭難者の家族はたいへんな不安だろうと思うのです。一日も早くこの救援活動に最大限努力をしなければならぬ。と同時に、少なくともいま一人の犠牲者が出ておるわけです。その遺族に対しても、やはりこれだけの重大なミスがあるのですから、国としても当然それにこたえる道もあろうかと私は思うのです。そういう点についてはお考えになっていらっしゃいますか。
  202. 野村一彦

    ○野村政府委員 現在の時点におきましては、私どものあらゆる能力、それから民間のサルベージあるいは潜水の能力を動員いたしまして、発見されました沈没船及びその付近の海面を捜索して、行くえ不明の方々を一刻も早く捜索するということだと思います。  その後の問題といたしまして、本件につきまして私どもとして、遺憾の意と申しますか弔意を表明する方法につきましては十分誠意をもって検討したいというふうに考えます。
  203. 坂井弘一

    坂井分科員 それから、重大な問題を提起しておきましょう。遭難した日、またこの場所における当時の気象状況、これは南東の風四ないし五メートル、つまり穏やかです。突然消えた、これはちょっと考えられない。つまり、あるいは衝突ということもこれは十分考えられるのです。そうであれば相手船がある。そういうことに対する調査といいますか、そういう方向での検討、調査も、お考えの中で進められておるかどうか、伺っておきたいと思います。
  204. 野村一彦

    ○野村政府委員 ただいま先生のおっしゃいましたように、これは兄弟三人でほぼ似たような船を持って業務をやっておられる方でございますが、真夜中とはいえ、そのようなわりに平穏な天候のもとでその一隻だけが突然沈んだということは、普通の状態においては非常に少ないケースであろうと思います。しかも、その潜水調査等の結果によりましても、あるいはこれが何らかの原因で単に沈没したものか、あるいは思わざるどこかの船と衝突をしたのかどうかという疑問を感ぜられる節も実は現在までの調査でなきにしもあらずという点でございます。この点につきましては、これはこれでさらにそういう意味の調査、捜査を継続して、そして海難事件と衝突の問題と両面から原因の究明に当たりたい、かように考えております。
  205. 坂井弘一

    坂井分科員 それから、この問題、こうした事件、海難事故にかんがみて私は一つ申し上げておきたいのですが、一般的にこういう事件、事故に対する通報ですね。この通報のあり方として、たとえば現場を目撃した、明らかに沈没をしておる、しつつある、そうした場合の通報のあり方、もしそういう現場を確認しながらも通報しなかった場合、それはどうなりますか。通報しなくてもいいのか、あるいはどうしても通報しなければならぬというような、たとえば海難救助法等において、あるいは船舶安全法等において、そういう義務づけ規定があるのかどうか、これを一つお聞きしたい。
  206. 野村一彦

    ○野村政府委員 通報ではございませんが、船員法の第十四条に、船長は、自分の指揮する船舶に急迫した危険がある場合等を除いては、他の船舶または航空機の遭難を知ったときは、人命の救助に必要な手段を尽くさなければならないという、これは船長の義務として課せられておるわけでございます。そういう点について、私どもこれをさらに周知徹底をはかりたいということでございますが、一般の船の通報の義務ということについては、法的な根拠は現在においてはございません。
  207. 坂井弘一

    坂井分科員 大臣、お聞きのとおり、通報の義務ということは法的には裏づけがないわけですね。こういう場合、少なくとも目撃しておる、明らかに沈没、助けてくれ、船長はその状況の描写をしておりますね。まあそういうことらしいんだ。そこで反転して捜索をした。そういう場合において、法的には電話で通報してもよし、しなくてもよし、こういうことです。まさに人が一人死なんとしている、それを見たというのです。そういう場合において、私は知りませんよと手をこまねいていても、何らその目撃した人に対して責任を法的には負わせられない。これは少しおかしいのではないか。そういう点を考えて、そういうようなことに対する通報のあり方、これをもう一ぺん御検討されたらどうですか。いかがです。
  208. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 この点については、おっしゃるように、これは海上だけではなく、陸上におきましても同じような問題が起こり得ると思います。関係省と相談をいたしまして、適切な措置をとらねばならないと考えますので、この点は宿題にしていただきたいと思います。
  209. 坂井弘一

    坂井分科員 時間が参りました。  私は重大な関心を寄せまして、この事故にかんがみて、これからのそうした海難救助あるいは当然人命にかかわる重大な問題でもございますので、どうした方向にこの事件が解決をされ、かつまたこれからの海難救助のあり方に対して、それが改善され、万全を期する方向に向かっていくか、大いに関心を持って注目をしていきたいと思います。  以上で終わります。
  210. 藤波孝生

    ○藤波主査代理 これにて坂井弘一君の質疑は終了いたしました。  次に、楢崎弥之助君。
  211. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 一般質問で三光汽船の問題を取り上げたわけであります。三光汽船の実績を調べてみますと、四十七年度九月期の決算しか正式にはわかっておりません。それで見ると、株式運用益が五十五億円、売船益が三十八億円、そして海運益が二十八億円。株式運用益が五十五億円でトップ。こういう船舶の会社が実績の中で株式運用益が最高にくるというようなあり方をどのように運輸省は判断されますか。
  212. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 海運会社のいろいろな、つまり仕事のやり方でございますが、会社によりまして非常に多様だと思います。  御承知のようにこの三光汽船は、先般御指摘もございましたが、非常に日本の海運業者といたしましては独特の変わった経営のしかたをしておることは事実でございまして、この内容におきましても、いまお話しのような利益を得ておるということも、調べた結果わかりました。これはしかし、問題は、そういうふうに利益をあげることがいいか悪いかといいますことよりも、そういうような形において利益をあげ得るような仕組みになっておることについてのいろいろな関係の法制の整備が十分であるかどうかということになってくるのではないかと考えるのでざいごます。  先般御質問がありましてから、私もこの問題について、海運関係の法規をずっと調べまして、どういうことになっているかということを研究をしてみたのでございますが、海運関係の法規では、これは御案内でございましょうけれども、海上運送法におきましても、それから船舶建造の調整増置におきましても、これをチェックするような糧輸大臣の権限というものはないようでございます。ことに三光汽船につきましては、御承知のようにこれは集約体ではないものですから、集約体の海運業者とはだいぶ扱いが違いまして、全然政府の手を離れて、自分の手で資金を集めて、そうして造船をし運用しているというようなかっこうでございますから、正規にいろいろな報告をとることにつきましても、なかなか集約体と違って困難性があるような状態でございます。しかし、利ども海運政策を預かっている者といたしましては、こういう異例の海運業者があらわれまして、そうして思うままに活動することによりまして、本来の海運政策が曲げられるようなことがおるかないかということが一番の問題でございまして、この点については、各方面からいま調査も進めておりますけれども、しかしこの問題について最大の関心を持ちまして今後対処しなければならぬと思っておる次第でございます。
  213. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 私どもから見ると、これは証券業者ですね。株の利益が五十五億、それで持ってお  るようなものですから、それは大蔵省との関係も出てきましょうけれども、幾ら昨年五月に株の売買を定款の中にうたったといっても、今日のような異常な高株価が及ぼす影響を考えてみると、やはりこういう三光汽船のような会社の証券部門というものは、それは独立させるべきである、このように思うのですね。これは大蔵省の関係になりますから、もうこれ以上言いませんけれども。  それで、三光汽船が裏船主であると思われる、八万トンないし九万トンクラスの中型タンカーの造船申請があっておると思いますが、何隻で、その金額はどのくらいになっていますか。
  214. 田坂鋭一

    ○田坂政府委員 昨年末から三光汽船の関係いたします八万トンないし九万トンの船舶建造の許可申請が参っておりますが、総計五十六隻、総トン数二百七十一万トン、船価二千百七十億でございます。
  215. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 いまの五十六隻は三光汽船が船主ではない。そうですね。——商社が肩がわりしている。この中型新造船はどういう形で外国に売られようとしておるのですか。その辺の形をひとつ解明していただきたい。
  216. 田坂鋭一

    ○田坂政府委員 外国船主と商社の契約によりまして、商社が引き受けまして、商社が日本の造船所に発注いたしておるわけでございます。国内の関係では商社と造船所との契約、こういうことでございます。
  217. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 いま私は裏船主が三光汽船と思われると言ったのですが、その三光汽船との関係はどういうふうになっておりますか。
  218. 田坂鋭一

    ○田坂政府委員 三光汽船は、商社から外国船主に引き渡されるわけでございますが、私どもの聞いておるところによりますと、その外国船主から三光汽船がチャーターしてまいりまして、また運航すべき外国船主に再チャーターに出すというふうな形であるというふうに伺っております。
  219. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 つまりこういうことですか。その契約上の船主から三光汽船が一応用船する、そしてそれをヨーロッパの海運会社に又貸しする、そういうことですね。
  220. 田坂鋭一

    ○田坂政府委員 そういうことでございます。
  221. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 こういうあり方というのは、一体運輸省としてどういうふうに判断されるわけですか。
  222. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 この問題につきましては、海運造船合理化審議会という諮問機関がございますが、長い間ここでいろいろな経緯を経まして、こういう行き方がいいかどうかというようなことについて審議せられたのでございます。詳細は私はよく存じませんでしたが、調べてみますと、四十五年の十一月かの海運造船合理化審議会で、こういう外国船主が注文をいたしまして、またそのでき上がった造船をサブチャーターするというような、そういうようなやり方は、これは古い昔といいますか、まあ十数年昔は、あまりこういう形はなかったのでございますけれども、世界の海運界の情勢、それから世界の経済界の情勢、先生の非常に強調しておられます為替なんかの問題に関連いたしまして、日本の船主もそういうような形をとることにつきまして、むしろこれは積極的に考えたほうがいいのだというような意味の答申がございまして、大なり小なりこれはいまの中核の六社の人たちもある程度、こういうような方向で外国のペーパーカンパニーといいますか、そういうところが注文をいたしまして、それをサブチャーターするというような形をとっておるところが海運業者には相当多いという状況でございまして、この点につきましては、いろいろ批判があると思いますが、しかしこの数年来そういったことについては、むしろある程度積極的に考えたほうがいいというような海運造船合理化審議会の答申もありまして、運輸省といたしましても、そういう方向で処理をしてきたということでございます。
  223. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そのペーパーカンパ二一の問題はあとでやりますが、今度の三光汽船の造船計画は、安い用船料等の関係もあって、OECDの船舶部門から非常に非難を受けておる、外信の報ずるところによりますと。一方においては、円対策もこれあり、これは造船の許可をされる方針ですか。
  224. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 その許可をするしないの前に、ちょっと事情を私の知っておる範囲で申し上げますが、三光汽船が中心になって、先ほど船舶局長も御報告しました五十六隻、これは本来ヨーロッパ市場で働くためのタンカーでございまして、それでOECDでは、先般、昨年でございましたか、OECDの会議東京でございまして、その際にやはり三光汽船のような乱暴なことはということで批判がましい意見が一部から出たということでございますけれども、その後、欧州方面の造船界が、海運の景気というのは、非常に高低、上がったり下がったりするものですから、ヨーロッパが非常に好況になりまして、ヨーロッパの造船所に非常に造船の注文が殺到したのです。それでむしろヨーロッパの造船所のほうが、五十三年まではもう船台がないというような状況になりまして、日本のほうが五十二年ならまだできるというような状況になったものですから、OECDとの関係は今日大体解消しているのじゃないかと思います。私のほうで運輸省で調べております問題は、いまの御質問の要点でございますが、三光汽船の出してまいりました資料によりますと、どうも用船料が低過ぎるということがあるようでございまして、そうなりますと三光汽船は、五十六ぱいの中で、いまの予定では四はいだけ自分でサブチャーターして動かすという計画らしゆうございますが、その他はヨーロッパ船主に用船する、ヨーロッパ船主が使うということに計画はなっておるようでございますけれども、しかし世界の海運市況に対しまして、マーケットと違った著しい低用船料になりますと、これはやはりマーケットに対していろいろ影響を及ぼしますので、その低用船料がはたしてどういうふうな影響になるか、それでいいのか、またそれはなぜどういうわけでそういう低用船料が出るのか、そういったことにつきまして事務的に検討をさせておるのでございまして、私どものほうのたてまえから申しますと、御承知のように臨時船舶建造調整法というのがございます。そこでは、そういうふうな造船に対しまして、運輸大臣が許可にあたりましてチェックをするというような権限は与えられていないのです。いないのですけれども、そういうふうな配船許可という問題がございますから、そういう行政処分をいたします際に、やはり大きな意味で海運政策の見地からあとに禍根を残さないようにというので、念を入れまして許可にあたりましていまのような調べを進めておるという段階でございまして、それを最終的にどうするかということにつきましては、調査の結果が出ますまではまだきめておりません。
  225. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 大体いつごろまでにその結論を出される方針ですか。
  226. 佐原亨

    ○佐原政府委員 先ほど大臣からも御説明がございましたが、三光汽船は集約会社ではございませんので、諸般の報告、届け出もあまり運輸省とは円滑でございませんでした。したがいまして、この五十ぱいの建造申請も出そろいましてから、われわれ三光に用船料の低過ぎる点、あるいは場合によっては、船価も低過ぎるのじゃないかということで一応調査を始めたのでございますが、その段階では企業の秘密であるということでわれわれ把握できませんでした。今度の建造許可をペンディングにしておる段階になりましていろいろな資料を出し始めてきて、審査に着手したのはごく最近でございます。したがいましてまだしばらく時間がかかるのじゃないか。しばらくがどのくらいかという点は、ちょっと私もここであと一カ月とか半月とか、そういう断言するだけの自信はございませんが、なるべく早目にやりたいとは思っておりますが、相当むずかしい問題がからんでおりますので、もうちょっと時間をかしていただきたいと思います。
  227. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 はたして五十六隻全部つくるのかどうかというのも、実際にこれは私は問題、があろうと思います。安い時期に船台を確保しておいて、高くなって船台の権利をそっくり他に売りつけるという可能性も、ああいう会社ですからなきにしもあらず。十分その辺も検討の中に入れて結論を出される必要があろうと思います。  もしこれが実際には向こうに渡らないということになりますと、海上運送法四十四条の二との関係はどんなふうになりましょうか。
  228. 佐原亨

    ○佐原政府委員 四十四条の二と申しますのは、でき上がった船を売船に出すときの許可制でございます。したがいまして、建造段階でもしストップになれば、臨時船舶建造調整法で結論が出なかったということに終わるわけでございまして、四十四条の二は発動されない、こういうことになるわけでございます。
  229. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 お答えのほうがたいへん親切ですので時間をどんどん食うわけでございますが、いわゆるチャーターバック方式のことについて残った時間お伺いしてみたいと思うのです。  現在、輸出された中古船、それをチャーターバックしておるのは売却中古船の中の何割ぐらいになっておりますか。
  230. 佐原亨

    ○佐原政府委員 集約会社でございます中核六社からの資料によりますと、隻数で五十一隻、重量トンで九十八万五千でございます。これは六中核体が用船しておる全船腹量のうちの八・一%でございます。
  231. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 集約会社の分しかそのデータがないのでしょう。大体二〇%から二五%くらい占めておるのではなかろうかということがいわれておるのです、全体的に。あるいはもっと多いかもしれない。それでやはりこのチャーターバック方式というものをきちんとしておく必要があろうと思うのです、いろんな問題点が含まれておりますので。  このチャーターバック方式について、昨年十月に大蔵省から外国為替管理法に基づいた通達が出ておるはずですが、どういう内容の通達ですか。
  232. 佐原亨

    ○佐原政府委員 輸出船にかかわるチャーターバック用船を規制する省令がございまして、一応日銀の承認を得る制度が創設されたわけでございます。ただし現在の海運界の事情から申しまして、昨年の円切り上げ、あるいは人件費の高騰その他から、日本の船舶の中で一定トン数以下の不経済船と申しますか、競争力がなくなりまして、とても経営がやっていけないという船が逐次ふえておりますので、これを海外に売りまして、売りっぱなしの場合もございます。それから海外へ売って安い三国人の船員を乗せましてチャーターバックして運航する、そうすると、どうやら採算が合う。こういうような背景が裏にございまして、各船会社ともそういう傾向を増大しつつございます。そういったわけで、チャーターバックの問題は一がいにここでストップをかけるというわけにもまいりませんので、大蔵と話し合いまして、経営の合理化に資するような場合にはこれを運用上なるべくゆるめてもらいたい、こういう打ち合わせをして現在運用しているような次第でございます。
  233. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そのとおりであろうと思うのです。  それで、いまの大蔵の通達に対して運輸省と海運業界が反発して、そういう例外的な措置をあれされたのだと思いますけれども、先ほど大臣のほうからちょっとおことばの中に出ました、結局相手側の外国会社というのはペーパーカンパニーの場合が非常に多い。その際は、何のことはない、使用形態はちっとも変わらないで、ただぱっぱっといくだけの話で、右から左に銭を移すだけのことなんでして、こういう問題が含まれておるのですが、このチャーターバック方式について、ペーパーカンパニーというのはどのくらい把握されておりますか。
  234. 佐原亨

    ○佐原政府委員 これも中核六社の関係しかわかっていないわけでございますが、ペーパーカンパニーをたとえば日本の船主が海外の法人に出資をしてつくるという場合には、日銀の窓口の規制を受けるわけでございます。その限りにおいてわかっておるのは、中核六社グループで全世界で約八十八くらいの。ペーパーカンパニーがございます。それで、三光につきましては、調べの結果、三光が正式に出資しておりますのは一社だけでございます。三光が出資をしてつくっておるペーパーカンパニーは一社だけでございます。
  235. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 すると、どのぐらいのうちの……。
  236. 佐原亨

    ○佐原政府委員 五〇%だと思います。
  237. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それで、チャーターバック方式と呼ばれるこの用船契約、一概に言えないという話でしたが、ある程度一つの基準というものを明確にここに出して規制するとかあるいは指導するとか、そういう行政指導の点は考えられておるのですか。さっきおっしゃった大蔵の通達に関連する考え方だけですか。
  238. 佐原亨

    ○佐原政府委員 チャーターバック、先ほど裏船主を使った仕組み船主方式というのは二つのねらいがあるわけでございまして、一つは先ほど言いました最近の船員費の高騰から競争力がなくなってきた、これをそのままやっておったのでは海運業として成り立ちませんので、売船なりあるいはチャーターバックという形で運営を続けようというねらいと、それからもう一つは、これは最近のドル問題ともからみまして、通貨が非常に不安である間は、ドルコスト船をかかえておきますと、円が切り上げになっても影響を受けませんので、その二つの面から促進されておるものかと思います。ですから、通貨が安定になりました場合にどうするかということは考えたいと思いますが、それまでの間は一がいにこれをストップすることはかえってどうかと思われますので、いま直ちにこれを規制する考えは持っておりません。
  239. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 これはいろいろメリット、デメリットがあろうと思いますね。たとえば、外国の安い賃金の船員を雇い入れる、そうすると、今度は日本国内の海員の関係も出てくる、あるいはそういった低開発国と日本との固定資産税の差を見てやるとか、あるいはいまおっしゃったような、こういう通貨の不安定な時期ですから、その為替差損を少なくするためにいろいろな方式があろうと思いますけれども、これはやはり野放しではいけないと思うのですね。それで、時間が来たようでございますが、結局外国にダミーをつくって、その種のことをやる。そうすると、売船価格というのは適当につけられるわけでしょう、ダミーであれば。だから、極端にいえば、ダミーだからというのでかってに高くつけて、それで好決算を粉飾する一つの手だてに使われる可能性がある。そういう点はどうでしょうか。
  240. 佐原亨

    ○佐原政府委員 船舶の売船価格が高いか安いかということは非常にむずかしい問題でございまして、個々のケースによって高い場合もあるし安い場合もある。海運というのは、商機を逸しますと商売成り立ちませんので、目の前に荷物がある、いま船があれば非常にもうかるということであれば、少々高くても買う場合がございます。マーケット次第でございますので、それを一律に規制することは非常にむずかしいと思います。おっしゃるように、ダミー会社をつくって架空の数字でやるということが観念的には不可能でないと思いますが、現実にこれがそうだといってきめつけることはたいへんむずかしい問題だと思います。したがいまして、先ほどの海運法四十四条の二の売船許可のときはチェックいたしますが、売買価格はチェックをいたしておりません。
  241. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 これでやめますけれども最後に、三十九年以来いわゆる集約会社と申しますか、国から補助、援助をやっておるわけですけれども、この利子補給は大体いつごろまで続けるつもりなんですか。
  242. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 利子補給の問題、これはいまの計画造船のことを言っていらっしゃると思いますが、これは実は私個人としましては、ここで転換期に来ておるのじゃないかという感じがしておるわけでございます。たまたま運輸省のほうでも昨年、さっき申しました海運造船合理化審議会のほうに、いろいろ新しく考えるべき要素が世界海運に出てまいりましたので、一体日本の外航海運政策はどうしたらいいかということについて、えらいかたい形の諮問ではございませんが、それの政策の見直しをお願いいたしまして、いましきりに委員会で検討してもらっておるのでございます。  それと並行いたしまして、こういう非常にいろいろな問題をかかえておる日本の海運、それから変転しつつある世界海運の中におきまして、計画造船の政策というものは一応ここで見直し、再検討したほうがいいのじゃないか、私はそういう考えでいるわけでございます。
  243. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 以上で終わります。
  244. 藤波孝生

    ○藤波主査代理 これにて楢崎弥之助君の質疑は終了いたしました。  次に、福岡義登君。
  245. 福岡義登

    福岡分科員 私は列車の車両の屎尿処理問題についてお尋ねしたいと思います。  この問題は、過ぐる四十三年の三月十四日に本分科会で時の運輸大臣中曽根さんに善処方を約束を求めたのでありますが、その後五年の歳月が経過いたしております。実情を調べてみますと、ほとんど進んでいないという状態であります。まず遺憾の意を表明しなければならぬと思います。  まず、経過と現状を申し上げて大臣の見解を求めたいと思うのでありますが、先ほど申し上げましたように、昭和四十三年三月十四日の本分科会で、私は東海道線に例をとりまして、一日当たり東海道線で大腸菌などの細菌が国鉄列車の便所から三トンないし六トンまき散らされておるという事実を具体的に示しまして、その影響をこれもまた具体的に指摘をしました結果、これに対して中曽根運輸大臣は、「いまの問題はひとつ本格的に取り組んでみたいと思います。」というお答えをされました。説明員であります国鉄の林常務は「全部やりますと、大体現在で車上」、つまり車両ということだと思うのですが、「車上が百九十億くらい、地上」これは基地のことだと思うのですが、「地上が百十億くらい、両方で三百億くらい金がかかる」という説明をされまして、「いまの国鉄の投資規模の中でなかなかむずかしい問題だと思います。しかし、御趣旨に沿いまして十分努力したい、こう思っております。」こう答えられております。  そこで、私は国鉄の財政その他の問題を指摘をしまして、最終的に次のような大臣の見解を求めたわけであります。「少なくとも昭和四十三年度ではある程度の調査費くらいを考えて、三年計画か五年計画か適当な計画を立てていただきたい。」こういう提案をしたわけであります。これに対しまして、中曽根運輸大臣は「御趣旨に沿って検討してみたいと思います。」こういう回答をなさいまして、続けて「なお私は、そのほか、地方その他の駅の公衆便所ですね、あれも場所によっては非常に不潔なところがある。ああいうものも総裁に頼んで清潔にしてもらうようにしたいと思っております。」こういう回答をなさった。駅の便所の関係はきょうはさておくといたしまして、そういういきさつが五年前にある。  そこで、車両の現状はどうなっておるかというととを調べてみましたら、便所がついておる車両総数が一万七千二百三十三両であります。このうち、二百六十六両だけがいわゆる処理装置がその後つけられたものであります。新製車両も含んでわずかに二百六十六両しか処理装置がつけられていない。全然進んでいないと言っても私はいいのじゃないかと思うのであります。さらに、昭和四十七年度といいましても、あとわずかしかございませんが、昭和四十七年度に処理装置を取りつける見込みであるものが五百三十二両であります。合計いたしますと七百九十八両ということになるわけであります。全体車両の五%にも及ばない、こういう状態なんです。当時中曽根運輸大臣答弁されましたように、何カ年計画を立てていただきたいという私の提案に対して、検討するという約束をされておるのでありますが、その後どういう計画が立てられておるのか、五カ年計画になっておるのか十カ年計画になっておるのか、そこのところだけ、結論だけ言ってもらいたい。ないのならないでいいです。あればあると言ってもらいたい。
  246. 秋富公正

    秋富政府委員 数字の点でございますから、ちょっと私から申し上げます。  先生御指摘のあれでございますが、新幹線六百七十四両、これは全部つけてあるわけでございます。在来線でございますが、御指摘のとおり一万七千二百三十三両でございますが、現在そのうちすでに汚物処理装置つき車両八百両でございますが、それ以外に、基地の関係で現在すぐには使えないので、すぐに装置が取りつけられますように汚物処理の準備工事……
  247. 福岡義登

    福岡分科員 発言中ですが、時間が三十分しか割り当てがないのです。だから、何カ年計画があるかどうかということだけ、数字はみんな知っているのですから、何カ年計画は立ててある、ないかあるかということだけ聞きたい。
  248. 秋富公正

    秋富政府委員 これは具体的に何カ年計画ということはございませんが、四十四年が一億五千七百万に対しまして、四十七年度におきましては二十一億実際に計上してございます。それから来年度におきましては二十八億汚物処理のために予算を計上いたしております。
  249. 福岡義登

    福岡分科員 来年度二十八億ということになりますと、物価上昇その他がありますから、当時の三百億くらいという予定からいきましても十カ年でもできないのです。いままで五年たつんですよ。十五年でもできないということなんです。それで運輸大臣いいと思われますか。
  250. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 当時の中曽根運輸大臣とあなたとの質疑応答をいま伺ったわけでございますが、これは列車に乗る方だけでなしに、沿道の方々にも非常に迷惑をかける問題でございますから、これは早急におっしゃるように計画を立てまして、逐次これを実現していくという方向で検討させます。  それで、今度の国鉄の財政再建十カ年計画をいたしましたのも、そういう面におきましても、国鉄が財政再建をして、国民の方々にサービスをもっと手厚くするというようなことも一つの目的でございますから、それに沿う意味で早急にこれは国鉄とも相談いたしまして、年次計画を立てさせるように検討いたします。
  251. 福岡義登

    福岡分科員 五年前に同じようなことを中曽根運輸大臣がおっしゃっておるわけですね。国鉄の財政がこういう公衆衛生にまで投資できないというほど窮屈な財政状態に置いてこられた運輸省の責任というものも当時も指摘しましたし、いまも私は指摘しておる。  しかし、それよりも私がきょう問題にしなければならぬと思いますのは、財政再建十カ年計画が出ておる、その中で、当然十カ年計画でこういう処理をいたしますという計画があるのならば、これは私はよろしくお願いいたしますということで終わっていいと思うのです。いまお話を聞きましたら、来年度二十八億しかないというんですね。二十八億ペースでいっても二百八十億にしかならぬ。しかも当時の三百億です、五年前の。そして二〇%か幾らか物価上昇もしておるのです。そうすると十カ年計画でもできない。当時私が問題を提起してから起算をすれば十五年でもできないということになるのですね。その点の責任を運輸大臣どう考えられますか。
  252. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 この具体的な計画につきましては国鉄総裁からお答えするそうでございますが、さっき申し上げましたように、そういう点について年次計画があるかないかにつきましては、私事はよく承知しなかったわけですけれども、年次計画を立てるように国鉄にもよく話をいたしまして、そういう方向で至急に検討いたしますということを申し上げたわけです。五年前にも同じことを言ったじゃないかということでありますが、この点は運輸省といたしましても申しわけないと思っております。  それで、財政再建十カ年計画を立てますにつきまして、あらゆる問題についてすべて十カ年間の計画を具体的に非常にはっきりと立てておるかといいますと、なかなかそこまで手が回らぬ点がございまして、予算がきまりましてから、そういったことにつきましては逐次計画にのせて具体化していくことと私は思っておるのでございます。国鉄が十カ年間に財政再建するということになりますと、こういった問題はある意味における公害の問題でございますから、これは優先的に解決してもらわなければ困る問題の一つであると思いますので、さっき申し上げたような姿勢で国鉄にも取り組んでもらうように努力をいたします。
  253. 磯崎叡

    磯崎説明員 実はこの問題、私も四十三年のお話しのときのことをよく覚えております。その後四十四、四十五、四十六といろいろやってまいりまして、十カ年計画の中のこまかい点までは運輸省に私のほうの意向を御説明してございませんでしたので、この席になって運輸省にはたいへん申しわけないのですが、大体私のほうでは、昭和五十三年、あれを始めて十年間で主要長距離列車と申しますか、これは全部かえたいというような計画でございます。その後のそのほかの普通列車等につきましては、少し便所が多過ぎるとか、あるいは通勤電車にどうするか、いろいろな問題がございますので、まだ長距離列車以外のものについては計画を立てておりませんが、大体十カ年計画の前半でおもな列車を全部してしまいたい、主要幹線は全部直してしまいたい。ただ、なぜおくれておるかと申しますと、これはもう先生承知かと思いますが、車のほうはわりあい簡単なんです。車を直すこと、あるいは新製車両を直すことはわりあい簡単でございますが、問題は基地でございます。あのとき申し上げた、たとえば向日町にはまだ着工できません。どうしても地方自治体が私のほうの用地の中に処理施設をつくること自体を許可してくれないということで、基地問題が非常にやかましくなっております。現在すでに使っておりますのは、御承知新幹線を別にいたしまして、大阪の宮原を去年の一月から、それから千葉県の幕張を去年の七月から、それから問もなく、四十八年度末か、四十九年度には品川と南福岡というように、地方自治体と話のできたところは、私のほうの用地の中でつくりますのでわりあい簡単でございますが、なかなか地方自治体との話がつきません、それで困っております。さらに、現在東北、常磐、上越等の基地につきましても、青森とか、仙台とか、東北地方に五つの基地を物色いたしまして、それをやるつもりでございます。なお、これが大体順調にできますれば、主要な長距離列車は今度の計画の前半にはやってしまいたいというふうに考えておりますが、まだ実はこの点、運輸省に御説明しておりませんので、非常に申しわけございませんでしたが、私のほうなりの考え方でございます。
  254. 福岡義登

    福岡分科員 大体わかりましたが、私は運輸省なり、国鉄の責任追及だけをきょうしようと思っておるわけじゃないんです。しかし、相当の責任は感じてもらわなければいけない。いま総裁がおっしゃったように、基地問題が、列車の便所だけでなくて、他の家庭の屎尿処理問題でも非常にむずかしい事情であることは私もよく承知しているのです。だからといって放置できるものではない。しかも、五年経過しておるのに二百六十六両しかできていない。基地に至っては一つか二つしかできていない。むずかしさはわかるけれども、ほとんど進んでいないという事実だけは指摘せざるを得ないです。また、責任を感じてもらわなければいかぬと思いますね。  責任問題はその程度にするのですが、私はここでひとつ提起したいと思っておりますのは、いまのような屎尿処理装置といいますか、設備といいますか、こういうものではやっていけない時代になりつつあるんじゃないか。下水道を幾ら整備してみましても、終末処理場をつくるのにいろいろ問題もあるし、そこで私は当然運輸省なり国鉄当局がほんとうにこの問題を真剣に考えておられるとすれば、これだけ技術が進んだ時代ですから、別の方法というものが研究中であるのではないかという期待をしておったんですが、それもないようです。たとえば、アメリカは、家庭の場合、バーナー方式、正確な言い方かどうか知りませんが、バーナーで屎尿を焼いて捨てるというやり方をやっている。それからスウェーデンでは、これも正確な表現かどうかわかりませんが、電気焼却方式というのでやっておるのですね。それは家庭でやっておるわけです。列車の便所ではないのですね。ただ、スウェーデンの場合は電気焼却だから、バーナの場合は私も専門的な知識がないからあまり突っ込んだ意見は述べにくいのですが、バーナーの場合は少し危険性があるのではないかと感覚的に思います。しかし、電気焼却方式が可能ならば、これは私は相当いけるんじゃないかと思いまして、関係の向きに照会をしてみました。そうすると、直ちに日本の家庭には持ち込めない要素がある。というのは、スウェーデンでやっておる電気焼却方式というのは三百六十ボルトの電圧を使っているわけですね。ところが日本の家庭には二百二十ボルトしか入れられない。ところが列車は高圧線が通っているんですからね。高いやつを下げて、三百六十で使おうということはそうむずかしい技術は要らない。たとえば、そういうような電気焼却方式がもしできるとすれば、これは私は非常に簡単にできるんじゃないか。しかもいまこまかいデータを頼んでおるのですが、燃焼率九五%とこういうのですね。そうするとあと灰が五%残るだけである。そうするといとも簡単というか、お金が幾らかかるかと思って聞いてみましたら、家庭で使っておるのが二十四、五万円から三十万円ぐらいで施設できるらしい。日本で水洗便所をやると十四、五万円かかりますね。列車ですからそのままにはいかぬでしょうが、かりに三倍かかるとしましても六、七十万円、高くて八、九十万円でできるのではないかと思うのですね。もしそういうことならば、これは相当積極的に取り入れるべきではないかという気がするのですが、その辺もし研究された形跡あるいは今後の方針があれば聞かしていただきたいと思います。
  255. 阪田貞之

    ○阪田説明員 ただいまの電気による燃焼式の問題でございますが、先ほどの汚物処理方式にはタンク式、消毒式、燃焼式と一応ございます。各国はどういう様式でやったかということは一応調べてみたのでございますが、ただいま御指摘の、お話しくださいました電気燃焼式につきましては、まだ私どものほうにカタログが届いておりません。電気燃焼式でやったらどうかという研究はいたしております。  御提案の電熱による燃焼式につきましては、一番問題になりますのは、家庭と違いますのは、列車ですと連続的にお客さんがお使いになります。そうすると、これを焼くのに約五分かかります。そうするとお客さまとお客さまの間に五分間の時間が常になければ焼くだけの時間がとれないじゃないかというのが一つの問題。それをさらにもう少し高熱でやろうといたしますと、どうしても相当高ボルトの電源を必要といたします。そういう電源の問題がございますが、もう一つは、最近例の北陸火災で、できるだけ発火の源を手元に持ちたくないという気持ちもございますが、この排気ガスがかなりの高温になりますので、この排気ガスに対する煙突等の遮熱の問題がだいぶこれは問題になってくるのではないかと思います。というようなことがいろいろ予想されまして、さらに勉強はいたしますが、現時点において家庭用のものがそのまま車両用にできるかどうかという点につきましては、たいへん問題が多いんじゃないかというような気がいたしております。
  256. 福岡義登

    福岡分科員 ここで技術論争をやる意思は全然ないのです。ただ技術がいろいろ進んでおる時好ですから、必ずしも新幹線でやっておるような循環式あるいは基地が必要だというようなやり方がけに固執する必要はないのではないか、そういう諸外国の例なども積極的に参考にしながら計画を立てていただきたい、こういうことなんです。一つの問題提起なんです。  そこで、簡単な話ですからそれで終わりなんですが、大体いつごろまでにこの計画を——運輸大臣さっきおっしゃいましたが、早急に計画を立ててやるというお話なんですが、その辺のめどを、またきょう言うておいて五年先になっても同じだったということでもあれですから。
  257. 磯崎叡

    磯崎説明員 私のほうから御答弁申し上げたいと思います。  先ほど申しましたように、いろいろ基地に問題はございますけれども、一応いまの方式でいくといたしますれば、いまの私ども計画では、大体今度十カ年計画の前半で長距離列車を終わりたいという気持ちでございます。車のほうはさっき申しましたようにわりあい簡単でございます。四十三年以後新製車両は全部新しいものにいたしております。全部新しいものを取り付けたものと、いつでも新しいものにかえ得るような準備工事をしてあるものとございますが、その後在来線につきましても、その工事はわりあいに簡単でございますが、問題は基地の問題で、これもいま先生のおっしゃったとおり、やはり私どもの責任でございますので、極力地方自治体と話を進めて、なるべく予定どおりやりたいというふうに思っております。
  258. 福岡義登

    福岡分科員 終わります。
  259. 藤波孝生

    ○藤波主査代理 これにて福岡義登君の質疑は終了いたしました。  次に、横路孝弘君。
  260. 横路孝弘

    ○横路分科員 タクシーに小型と中型というのがあって、東京の場合ですと大体中型で、しかもセドリック、クラウンという大型のものが走っておるわけですが、これからお尋ねするのは、いま私のところの北海道札幌で料金値上げの申請が出ておって、それにからみながら、実はタクシーを利用している側からは非常に不満があるわけなんです。その不満は何かというと、北海道の場合は、冬になりますと雪が積もりますから道路状況が悪くなるということで、小型車が中心になるわけです。この小型車のほかに、特に札幌オリンピックを中心として中型車がかなり認められまして、各業者で四台程度ずつ中型車を入れ、最近ずいぶんふえてきておるわけです。中型車については運転する側からも、事故のときのむち打ちその他の関係で、小型車から中型車にかえてくれというタクシーのほうの労働者の要求もあるのですけれども、問題はどこかというと、札幌の中型車として走っているもので一番多いのはいすゞのフローリアンですね。このいすゞのフローリアンというものは——大臣、車のことはおわかりになりますか。
  261. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 あまり詳しくないです。
  262. 横路孝弘

    ○横路分科員 あまり詳しくないですか……。あとでそれはおいおいやっていくことにして、ともかくこれは現状を見れば小型車と変わらないわけですよ。乗ったほうは料金を払う段になって、しまったとか、とめてしまってからしまったということになるわけです。とめてしまって中型車だから断わるというわけにはいかないので、トラブルが絶えない。いまこれが実は非常に問題になっておりますので、この問題に関連をしてお尋ねしていきたいと思うのです。  運輸省、小型と中型の区別というものは一体どういう基準が設けられておるのか、指導されておるような基準みたいなものがあったら、その辺のところからお伺いしていきたい。
  263. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 運賃の適用対象になります車の大きさでございますが、御指摘のとおり中型運賃とそれから小型運賃というふうに分かれております。各陸運局長運賃認可においてその適用方法を定めるわけでございますが、運輸省方針といたしましては、定員つまり利用者の立場に立ちまして、その車に何人乗れるか、こういう観点から中型と小型の区分を考えて指導しておるわけでございます。具体的には運転手を入れまして定員六名の車、これについては中型運賃を適用する、こういうことにいたしております。
  264. 横路孝弘

    ○横路分科員 全国の陸運局、同じことになっておりますか。
  265. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 各陸運局の基準を取り寄せて見ましたところ、東京陸運局におきまして基準がやや違った、つまり大きさで考慮する、きめるというようなことがございますが、全般的には全部定員でやっております。ただ、東京におきましては現実にフローリアンという問題が起きておりませんし、また、小型車自体があまりないというようなことで問題になっておりません。
  266. 横路孝弘

    ○横路分科員 広島の陸運局の場合——いま各地でかなり問題になっているところがあるのです。名古屋あたりでも問題になっているのです。このフローリアンを中型認定しているのはおかしいではないかというのですよ。広島ではやはり一時フローリアンが中型だということで料金の認定があって、これはやはりおかしいじゃないかということになって、定員のほかに、たとえば車の中における幅そのほかの広さの概念を取り入れてこれをはずしたケースがあるでしょう。
  267. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 広島におきましては、ちょうど中型と小型のいわばまん中辺のあれに当たるいすゞフローリアンというものは非常にまぎらわしいので、そういったことについては行政指導でなるべく認めないような方向といいますか、そういった指導をして、現在問題は起こっておらないようでございます。
  268. 横路孝弘

    ○横路分科員 つまり広島のほうはそういうことで行政指導で現実にはずしているわけです。ところが札幌はだめなんです。もう何回も何回もいままでやってもだめなんですよ。札幌の中型車の現状はどうなっていますか。
  269. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 問題の札幌におきます車の数は四千二百二十九両ございまして、そのうち大型車十六両、これは非常にわずかなものでございますが、いま御指摘の中型は千六十両、そのうちフローリアンが八百三十四両、八割はフローリアンであります。それから小型車が三千百五十三両となっております。
  270. 横路孝弘

    ○横路分科員 大臣、いまお話あったように、もう東京は現実にフローリアンがないわけです。広島は問題になったときに、まぎらわしいという乗客からの苦情が絶えない。手をあげてとめてみて、しまったといってもなかなか断わるわけにもいかないです。断われば運転手との間にトラブルになるわけです。ということで広島のほうは行政指導で変えた。ところが札幌の場合は、現実に八割ですね。つまり千六十の中型車のうち八百三十四、私のほうの調査だともうちょっとフローリアンが多いようですけれども、いずれにしても八割くらいの中型車は現実にフローリアンが使われているわけです。  そこで、確かに定員の員数からいうと六人乗りになるわけですけれども、大きさを見てみると、むしろ中型というよりもフローリアンというのは小型の範疇に入りますね。たとえば幅とか高さとか、それから室内といいますか、車の中の長さ、幅、高さというのを調べてみると、現実にどうかといえば、これはもうむしろ完全に小型のほうに入っちまって、セドリック、クラウンなんかに比べると問題にならないくらい小さいわけですね。その辺のことを考えてやってもらわなければ困るのでありまして、どうしてこんなに札幌の場合はがんばっておるわけですか。
  271. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 小型であるべきか中型であるべきかという点は、確かに先生御指摘のとおり利用者から見て、小さい車、したがって安い運賃のほうの車かと思ってとめたら中型運賃の車であったというようなことで、従来からトラブルがあったということも聞いております。そういった問題につきましては、いわゆる車体表示といいますか、そういったような方法でむしろ解決できる。それからもう一つ、中型を逆に大きさだけで問題を考えますと、それが大きさだけから見て、たとえばフローリアンは当然小型車であるべきだということになりますと、型の大きな車で定員を逆に少なくいたしまして、そうして今度は利用者のほうから、大きな型だから大ぜい乗れると思ったら定員が少なかったというような問題等も派生してくる。  それからもう一つ問題点といたしましては、やはり中型車の運賃を取る以上、東京のようにもう少し大きなトヨペットですとかクラウンですとかセドリックとか、そのほかいろいろあると思いますが、そういった大きさの中型車と、それからフローリアンのようなやや小さな型の中型車とが札幌のように一緒になっている場合には、運賃上利用者から見ておかしいんじゃないかという疑問があったようでございます。しかしこれにつきましては当然、運賃はその地区の原価計算からはじき出すわけでございます。札幌のようにフローリアンが中型車であるというようなことは、結果的には運賃原価上は、これは低いほうに働くことになるわけでございまして、そのこと自体、同じ中型車であれば直ちにより大きいほうがいいんだということにも必ずしもならないわけでございます。したがって、そういった問題につきましては、外形的な大きさで考えるのがいいか、あるいは定員で考えるのがいいかというような問題については、確かに基本問題として御指摘のとおりあると思うわけでございます。こういった点については実情に合うように指導いたしたいと思うわけでございますが、ただいま御指摘のように、どうして札幌だけがそういった問題が起きているかという点について、業界内部のいわゆる意見の対立あるいはその背景にあるものというようなものがいろいろ混在しておるようでございまして、こういった点については一般的な行政指導というような面から、今後よく関係者の意見も聞いて調整したい、こう思っておるわけでございます。
  272. 横路孝弘

    ○横路分科員 外形じゃなくて中身が、すわるスペースが大体狭いでしょう。フローリアンの場合は排気ガスだってそうでしょう。千六百ccですよ。クラウン、セドリックというのは二千ですね。それから、たとえば外形ももちろんそうですよ。外形もそうだけれども、大体中の座席はどうなっているかおわかりですか。
  273. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 同じような大きさで一方は小型車になっており、フローリアンが中型車になっておる。これは私も非常に疑問だと思って調べさしたわけでございますが、フローリアンの場合には運転者のハンドル位置というようなものをかなり右のほうへずらしまして、いわゆる前に運転手を入れて三人乗れる。つまり六人の定員が認められるような座席構造になっておるわけでございます。
  274. 横路孝弘

    ○横路分科員 横造でなくて、乗っている人の身になってみれば、ともかく小型車と同じスペースで料金だけ高いのを取られるわけでしょう。だから業界の内部の問題なんというのは関係ないことなので、問題はだれかといえば利用する側にあるわけなんです。しょっちゅうトラブル絶えないですよ。新聞の投書なんというのはもう毎年毎年、あらゆるところにともかくこのトラブルが出ているのですよ。要するに、とめてみて気がついて、そこでもってトラブルになる。それから運転者のほうだって、こういう中型車じゃいやだと言っているのですね。だからそこのところ、広島でできたものがどうして札幌でできないのですか。
  275. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 先ほど、その幅の問題でございますが、ハンドル位置を右にずらして——いわゆる前の座席の幅が小型車と同じの場合におきましては、定員を六人もらいたいといっても与えないわけでございますので、当然六人乗れるように定員の幅はなっておるわけでございます。排気量とかそういった点は一応問題はないかと思います。
  276. 横路孝弘

    ○横路分科員 だから私が言っているのは、つまり広島でも混乱があったわけでしょう。いまたしか名古屋でも問題が起きているはずですよ。そういう現状なんですから。いいですか、これはもうちょっと言えば、実はこのフローリアンを使っているところというのは、札幌の自動車協会の会長の会社が一番多いわけですよ。たぶんそういうのはあるでしょう。いすゞの系統というのはどうなのかということを考えれば、いろいろな政治的なつながりというのは出てくるわけですよ。しかし運輸省のほうは、陸運局のほうはそういう政治的なつながりでこれを認めていないわけですか。そう勘ぐられてもしようがないような現実の行政指導しかやっていないわけですよ。問題は、業界のほうのそういうつながりがあるからということであなたたちは認めないのではなくて、やはりこれは国民の立場に立って、利用者のほうを考えてやってもらわなければ困る。それは乗れるようになっているといったって、現実のスペースは、ともかくうしろならうしろの座席のスペースというのは狭いのですから、中型車でなくて小型のスペースなんです。それは六人乗れるように道路運送車両法ですか、そちらの範疇でそうなっているかもしれませんけれども、それとまたこれは別ですよ。この小型、中型というのはつまり陸運局のほうで認定できるのだから、そこをどれだけの幅以上ということにして中型、小型の区別をつけるなり何なり、そういうようなことを考えれば十分これはできるわけですよ。だから広島で現実にやっているものがどうして札幌でできないのか。自動車協会の責任者がこのフローリアンを使っている。先ほど、業界のいろいろな問題がありましてとおっしゃったけれども、そういうものだったらますますそれは言語道断ですよ。
  277. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 私が申し上げましたのは、業界の内部で——運賃申請中でございますが、その際に適用になる車が、フローリアンの場合にこれは中型であるか小型であるか、こういうことについて業界内部に意見がある。しかもそれについてはただいま先生御指摘のように、いすゞであるとかあるいはその他の車種との間において、それの販売政策等もあるいはからんでいるのではないかというような点がございますので、私どもといたしましては、問題は運賃、これでございますので、そういった点についてのいわゆるトラブルがある問はこの運賃についての改定は留保したいという基本態度で今後調整をはかっていきたい、こう思うております。
  278. 横路孝弘

    ○横路分科員 それはもちろん運賃も上げてもらっては困りますけれども、これははずしてもらわなければ困るのですよ。つまり利用者との間にトラブルがますます起きますよ。その報告が来ておりませんか。利用者からともかく陸運局のほうに苦情が殺到しているはずですよ、一般の市民から何回も何回も言われるのですから。おかしいじゃないか。だからわざわざ最近は小型乗り場、中型乗り揚と区別して何とかやろうとしているようですけれども、それだってなかなか実は現実の問題としてうまくいかない。だから問題は、国民の側に立ってあなた方はどういう指導を行なうかということですよ。広島の場合はそれをやったわけでしょう。札幌の場合はいろいろ何か配慮されて、まさか陸運局というのはいすゞの下請作業をやっているわけでもないでしょうから、やはり国民のサイドに立って、だめならだめという方針、これは基本的な原則として持ってもらいたいと私は思うのです。運賃の問題は別にしてですね。それははずして運賃値上げを認めろということをこちらのほうは言っているわけじゃないですよ。だからそういう声があって、いままさに向こうで消費者のほうの一つ運動みたいになって、けしからぬじゃないかという声になっているから実は皆さん方にお話しをしているわけです。私も調べてみるとまちまちで、こんなにフローリアンを使っているところはどこにもないわけですね。前に広島であったけれども、それは行政指導でもって是正されたわけですから、なぜ札幌ではそれができないんだろうか、こういうことなんです。だからそれは大臣、皆さんのほうでともかくこの車そのものの外見的なサイズ、排気ガスの量、それから定員は別にして、室内の広さ、こういうのは、いわゆる中型、東京都内を走っている車と全く違うのですから、一回り小さい車ですから、その辺のところを、いわゆる定員という概念だけではなくて別な概念を持ち込んできちっと全国的にやらぬと、片一方では行政指導をやっております、片一方はこうですということじゃ困りますし、しかも利用する側がそういうことでトラブルが絶えないんだということを皆さんのほうは頭の中に置いてもらわなければ困りますね。
  279. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 横路先生のおっしゃったことはよくわかりましたが、事情を具体的に調べまして私も検討させていただきます。
  280. 横路孝弘

    ○横路分科員 しかも、これはやはり企業のほうでは車は使いたいと思うのです。なぜならば安いからですね。ほかの中型車よりはだいぶ値段が違うんでしょう。
  281. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 値段の点については、私ども現在調べておりません。
  282. 横路孝弘

    ○横路分科員 たしかフローリアンあたりになると、ほかに比べてともかく表の表示の価格は二、三十万違うんじゃないですか。だから企業のほうとしてはそういう安い車を入れて、そして高い料金を取って客を運びたい、こういうことになるわけでしょう。しかし、ともかくいまお話ししたように、大臣のほうで検討されるということでありますから、ぜひそういうことにお願いをしたいと思うのですが、それは各陸運局に対して皆さんのほうで基準というのは通達か何か出しているわけじゃないでしょう。全くまかせておいて定員で押えているだけの話ですか。先ほどの定員六人というところを押えているというのは、何か法律的な根拠があってそういう指導をされておるのですか。そこのところはどうなっておりますか。
  283. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 これ本来運賃の認可権全部が各陸運局長におりておりますので、法制的には陸運局長の判断でやるわけでございます。ただ、そういった点については従来からいろいろな新型の車種が出るつど、また逆の問題等、大きさだけでやることによってトラブルが起きた例も古くはございます。そういうようなことがございますので、現在では定員で見るような指導をいたしておるわけでございます。
  284. 横路孝弘

    ○横路分科員 その基準を含めてひとつ検討していただく。もっとも問題が起きているところはそんなにないので、ここだけですからね。あと私のほうで聞いているのは、名古屋のほうで若干問題が起きているということなんですね。その基準を再検討されるということで、この問題、基本的にとにかく消費者というか、利用者を保護するということでの解決を皆さんのほうから札幌の陸運局に対して指導してもらいたいと思います。その点について大臣にもう一度重ねて約束してもらいまして、私の質問を終わります。
  285. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 先ほど申し上げましたように、具体的な事情を私よく知りませんので、よく事情を調べまして検討をしたいと思います。
  286. 横路孝弘

    ○横路分科員 いや、事情を知らないって、話は大体聞いてるんでしょう。全然してないですか。
  287. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 そういった各地にトラブルが起きているというようなことについて、たとえば先生のおっしゃる名古屋あるいは広島等について、私どもは現在までそういう問題について起きていることを承知しておりません。ごく最近、札幌においてのみこのフローリアンをめぐって業界内部に、運賃申請とからんで、いわゆるいすゞのフローリアンは従来どおり中型であるべきだという主張と、それからいすゞ系以外の人たちの小型であるべきだ、そういう問題がさらに販売政策等ともからんでおるのではないかというようなことが現地から私どもに報告があった程度でございまして、全国的にこれが大きな問題になっているということは承知いたしておりません。
  288. 横路孝弘

    ○横路分科員 その消費者のほうの声というのも十分調べて、いまその業界の中で何か問題があるというようなお話でしたけれども、その辺のところもどういうことなのか。さっき言ったように、メーカーとの関係で何かがたがたあって、それで陸運局のほうでその辺の関係に巻き込まれておってこれの結論が出せないようでは、これは全く消費者保護以上にまさに問題で、癒着の問題になりますから、その辺のところを皆さんのほうで十分検討をして、この問題を、ともかく消費者を保護する、市民を保護するという立場に立ってひとつ再検討してください。お願いします。  終わります。
  289. 藤波孝生

    ○藤波主査代理 これにて横路孝弘君の質疑は終了いたしました。  次に、石母田達君。
  290. 石母田達

    石母田分科員 私は、きょう、港湾問題について質問したいと思います。  三十分というきわめて限られた時間でございますので、回答のほうも簡潔にお願いしたいと思います。  それでは初めに、私はいま港の中で非常に関心を持たれている一つとしまして、港湾運送事業法の「改正」というものがいま政府計画されている、これによってどうなるかという不安が非常に港の中で大きくなっております。そして、港湾運送事業法の問題については、すでに昨年のいわゆる八・一八といわれている運輸政策審議会港湾運送特別委員会の報告、さらにその前の六・一六に示された運輸省方針、さらに昨年の十月に海事新聞、その他関係者に示されまして「港湾運送事業法改正の方向」ということについての運輸省港湾局の見解、こういう内容が港湾の中で運送事業に携わり、またそれに従事している労働者に大きな反響を与えているわけです。この法案の「改正」という問題が今度の国会でどう取り扱われようとしているのか、提案するつもりであるのかどうか、その点について初めにお伺いしたいと思います。
  291. 岡部保

    ○岡部政府委員 ただいま先生の御指摘のございました港湾運送事業法の改正問題でございますが、もう先生十分御承知と存じますが、最近の港湾におけるコンテナ化あるいは大型の荷役機械の導入等の物流の合理化と申しますか、輸送革新の現状に対応するためには、港湾運送事業の今後あるべき姿というものは全面的に検討する必要があることは、もう確かな問題だと存じます。  そこで、このために、先ほども先生から御指摘ございましたように、運政審に設けられた特別委員会において一年以上の期間をかけて討議された報告においても、港湾運送事業の今後進むべき方向といたしまして大きく二点にしぼって申しますすれば、第一点としては、コンテナ埠頭その他のいわゆる専用埠頭における大型荷役機械について免許制度の合理化をはからなければいかぬのではないか。それから第二点といたしましては、岸壁の整備に伴いまして、経岸荷役、いわゆる岸壁を経由する荷役の比重が非常に増大いたします。そのようなことから、港湾運送事業の業務形態の変化が当然あるわけでございます。そこで、この変化に対応いたしまして、船内あるいは沿岸の一本化というような問題も必要となるかと存じます。また、それ以外の現行の細分化された業種区分というものもある程度統合整理をする必要があるかと存じます。このようないわゆる事業遂行上の制約を緩和するというような意味での改正を必要とするのではないかという感じがいたします。これらの方向の御指摘が特別委員会でございました。もちろんこれ以外にもあったわけでございますが、大きく見ましてこの二点をあげたわけでございます。そこで、このような状況を踏まえまして、事業法自体もいろいろな面から見直す必要がありますので、法改正について検討を始めておるところでございます。  そこで、先ほども御指摘のございました十月に海事新聞等に出ました私どもの法改正の考え方というようなのも、現実にわれわれが部内で検討した一つの作業が新聞にあらわれたわけでございます。ただ、現段階といたしまして、ほんとうにどういう姿の法改正、ほんとうの法文の改正という意味ではどういうものにするべきかというところはまだ議論が尽きておりません。と申しますのは、理論的に考えますのと現実の姿というものにマッチさせたものという考え方と、この辺に相当な大きな隔たりがあるわけであります。したがって、その辺をどういうふうにするかというあたりこれは残念ながらまだ結論を得ておりませんので現在検討中でございまして、これは本国会に御審議をいただけるかどうかという点を、ここでもうこうやっていただけるのだという断言が私の立場で残念ながらできない段階でございます。
  292. 石母田達

    石母田分科員 そうしますと、今国会に提出したいけれども、するまでに至っていないというふうに理解してよろしゅうございますか。
  293. 岡部保

    ○岡部政府委員 さようでございます。
  294. 石母田達

    石母田分科員 それでは、いま審議会の指摘があったことに基づいてそうなされているという発言がありましたけれども、この特別委員会の報告の冒頭に、この報告をまとめたのは「運輸当局の原案(通称「六・一六試案」)を審議した結果、ほぼ原案どおりにまとめたもの」であるというふうに書いてありますけれども、これに間違いありませんか。
  295. 岡部保

    ○岡部政府委員 ただいま御指摘の六・一六という当局側一つの試案と申しますか、これは審議の過程で確かにだいぶ御審議が煮詰まってきたということで、事務当局としてひとついままでの審議の経過をまとめたらどうかということでまとめたものが六・一六ということでございまして、この現実の報告文案には、いま先生のおっしゃいましたようなそういうものが報告自体に載っておるわけではございませんで、現実の審議経過としてそういうことがあったというふうに御了解いただきたいと思います。
  296. 石母田達

    石母田分科員 結局、運輸当局がかなり指導権を持って審議会に提案し、その経過の中で出して、そしてその結果こういう報告ができた。また十月のこの基本方針を見ても、運輸省当局、港湾局の考え方というふうに私どもはとっていいと思います。そこで、その基本的な考え方の中に、「コンテナ埠頭、サイロ埠頭その他政令で定める埠頭で私人が保有(借受を含む。)するものにおける港湾運送事業(検数事業等を含む。)を特定港湾運送事業として業種を新設し、次のような規制を行なう。」というところで、こういうところにおいてはいわゆる事業経営については許可制をして、「保有者の承諾の有無」を要件とするとか、運賃、料金などについては届け出制にするとか、あるいはまた他のところでは免許基準の規制を弾力的にゆるめていくというような問題がありますけれども、これはいまあなたたちが考えておられる法改正の基本ではありますね。
  297. 岡部保

    ○岡部政府委員 いまおっしゃいましたのは、たしか十月時点で私ども局の内部でいろいろ検討いたしましたことに載っておる事実でございます。それで、いまお話のございましたコンテナ埠頭あるいはサイロ埠頭等、いわゆる大型機械荷役を行なう埠頭、あるいは専用埠頭と申しますか、そういうような埠頭においての港湾運送事業のあり方というものが、どうもいままでの公共埠頭が中心である一般の埠頭のあり方とは違うのではなかろうか、特にここではっきり申せることは、いわゆる港湾運送事業というものの考え方が、一つの需給調整と申しますか、こういう感覚が非常に強く働いております。ところが、こういう特殊な埠頭におきましては、すでにもうでき上がるときからどういう能力というのが、逆に言えばきまり切っておるような埠頭ができ上がっておる。そういうことから需給調整という観念がむしろなくなっていかなければならないというような法律、いわゆる事業法としての感覚で変化が明らかにあるわけでございます。したがって、そのような観点から申しますれば、どうもほかの一般の埠頭における港湾運送事業と何らか変えるべきではなかろうかというようなことから、こういう一つ考え方を出したわけでございまして、いわゆる認可を受けておる事業ではなくて、むしろ許可制の事業にまで踏み切れるのではなかろうかとか等々、いろいろなことを考えておるわけでございます。ただ、現段階でもしも法改正をまとめるとしたならば、ここでこういう内容を持ったものに法律をするのかという最終的な御質問であったかと存じますけれども、これにつきましては、先ほども申しましたように現実の問題と、それからこういう一つの筋論というところで非常にいろいろな問題点がからんでおりまして、現段階ではまことに申しわけございませんが、これの考え方でもう貫いていくのだというところまで決心をいたしておりません。  以上でございます。
  298. 石母田達

    石母田分科員 それではちょっと論議になりませんから……。しかしこれまで運輸省の港湾局が示された基本的な方向というのは、ここにいま示された考え方、特にあなた自身が、また岡田港政課長が海事新聞などに発表されている論文などを見ましても、結局こうした特定港湾運送事業あるいは専用埠頭というものがどんどんふえている。そうしてそういうものをいわゆる大企業、大船会社というものが専用する率が非常に大きくなっている。こういう中で免許基準の規制をゆるめるとか、あるいは運賃、料金の届け出制をやるとか、あるいはそれに対してのいろいろな点での便宜をはかっていくとか、こういう問題がいままでの港湾運送事業法の拘束をできるだけここでゆるめていくということによって、結果として、あなた自身も言っているように、こうした港湾利用者の側に大きなメリットが生ずる。また一方、その結果港湾運送事業者、あるいは港湾労働者に大きな打撃が集中する。現にはしけなどはその最も集中的なものだと思いますけれども、そういう事態を一体どう考えられるか。これは大臣を含めてお答え願いたいと思います。
  299. 岡部保

    ○岡部政府委員 まずもってこまごまとした点としてお答えをさせていただきたいのでございますが、ただいま先生のおっしゃいました問題、確かに新しいいわゆる流通の近代化と申しますか、輸送の革新というものに応じて、港湾の施設というものも近代化されていく、合理化されていく、それに伴いましてこれは利用者の面で非常に利益を受ける。それではそこの場を労働の場としておる港湾労働者のほうは非常なしわ寄せを受けるであろう、あるいはもう少し範囲を広げて、港湾運送事業という面で見ても相当なしわ寄せを受けるではないかというお説だと思いますけれども、私は必ずしもそうであるとは考えておりません。確かにそういう面がいま御指摘のございましたはしけの問題ではもう明らかに出てまいります。ただ全般的な運送事業として、また全体的な港湾運送の労働面として私どもの考えておりますのは、確かに一面そういう面がございますが、全般的に申しますれば、現段階においてはいわゆる港湾における輸送量というもの、貨物量というものは増加傾向にあるわけであります。したがいまして、いわゆる港湾運送事業の事業内容というものは増加の傾向にあるわけでございます。したがって労働者の労働条件を向上させて、むしろ安定した労働力の固定と申しますか固着と申しますか、そういうものがあるべきではないかとすら私どもは考えておるところでありまして、また運政審のほうにもそういう問題がある。たとえば労働時間の短縮であるとか労働条件の向上であるとか、そういうような問題も出て言及されておるところでございます。ただ一番問題なのははしけでございます。これは先生のおっしゃいましたとおり、いわゆる構造的に今後これから回復していく、いわゆる景気の変動によって、景気がいい悪いという波によって変わるというような問題じゃございません。構造的に今後非常に衰退していくであろうということがどうも考えられる。その点については、われわれとしては何とかこれが変なことにならないようにお手助けをする方法を考えなければならないということを努力いたしているところでございます。
  300. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 具体的には局長から申したとおりでございますが、要するに、最近の海上輸送の荷物の分量が非常にふえてまいりまして、輸送の方式も変わってまいっております。港湾設備そのものもそれに応じて変わってくるのが当然のことだと思いますが、そういう中で、これは港湾運送事業法というものが成立以来、非常に今日まで日本の貧弱なといいますか、あまり設備のよくない港湾においてその能率を発揮できたのは、ああいう法律のもとで関係者が一生懸命になって努力してくれた結果だと思いますけれども、しかしこういうふうに港湾の設備が非常に変わってまいりまして、荷物の種類も変わる、また設備も非常に近代化されたものになってくるということになりますと、やはりそれに応じたような港湾運送事業法というものを全面的にこれは立て直さなければならぬという考えでございまして、運政審の結論も、結論らしいものは一応出ておりますけれども、なお、さらに私どもとしましては、さっき局長が申しましたように、この改正によりまして非常に不利な立場に置かれるような労務者もおられるわけでございますから、そういった労働力を今後港湾においてどういうふうに活用していくのがいいかというような問題を含めまして、今後の港湾運送事業のあり方というものをきめていきたいということで、いま、まあ縦横十文字にあらゆる方面からそれを検討さしておるのでございまして、成案を得ればこの国会には提案をするつもりでおりますけれども、御承知のようになかなか複雑な事業でございますから、それに対応するような適切な法律案というのが、はたして短時間にできるかどうかということについては、ちょっと自信がございません。その場合は一年待っていただきまして、この次の国会には必ずそういった要望を受け入れたような、実態に合うようなものを法律案として成案を得て提出をしたい、こういうかまえ方でございます。
  301. 石母田達

    石母田分科員 時間がありませんので、できるだけ簡潔にお答え願いたいのですけれども、そうしますと、先ほど、いままで交渉の中でも局長自身も答えられているように、メリットが港湾利用者にあるから港湾利用者にも一定のいろいろな負担もしてもらわなくちゃならぬ、こういうことですから、そういう近代化近代化と言うけれども、あなたたちの言うようなこうした大きな「サイロ、鉄鋼ふ頭に代表されるように、メーカー等が中心となり工場、大型車用船とあわせて専用ふ頭を整備し、港湾荷役処理を生産流通過程の一環としてとらえ、ふ頭を生産販売活動の一大拠点(センター)として機能させていこうとする動きが目立ってきている」、それに対応した近代化というものを皆さんが進めている政策というものは、メリットを一番やはり受けるのはだれかということに対しては港湾利用者であるということを、いままで言っていたでしょう。そういうことについて、この場でそうなるかどうか、イエスかノーかで、きちんとしていただきたいというふうに思うのです。
  302. 岡部保

    ○岡部政府委員 どうも厳密なる返答を迫られたのでつらいのでございますけれども、要するに、どれが一番であるかということではなくて、これで非常に大きなるメリットを受けるのが利用者であるということは、イエスでございます。
  303. 石母田達

    石母田分科員 そうしますと、今度が、先ほど労働者のほうにもしわ寄せが来るということとは限らないというようなことも言われましたけれども、前の国会といいますか、六十八国会の、昨年の五月十九日の内閣委員会におきまして、当時の丹羽国務大臣が「輸送方法の近代化によりまして、そしてそれの影響を一番受ける港湾労働者の将来の諸種の待遇の問題、これはやはり何らかの解決策を求めなければならぬことは当然でございます。」という答弁をしております。この当時の政府のこういう見解と、先ほどあなたたちが答えられたものは、一体どういう違いがあるか。なぜそういう変化をしておるのか、お伺いしたいと思います。
  304. 岡部保

    ○岡部政府委員 私は変化をしているとは考えておりません。ただいま申しましたように、非常にしわ寄せを受ける部門があります。もう明らかにございます。それの極端な例が、私は、はっきりはしけであると申し上げたわけであります。それで、それ以外にも、確かにある意味での一つのしわ寄せというものがあり得ないかといったら、ここで絶対にあり得ないと断言はいたせません。ただ現実の問題として、むしろ優秀な労働力を、しかも優秀な労働条件で確保しなければならないという問題、そういうことで、そういう労働条件の向上ということをあわせて考えなければ、これはえらいことになるということは、裏を返せば、そういうことが必要であるということであることを私自身ここで申し上げているようなことでございます。したがって、決して致命的なというか、どうもうまいことばが見つかりませんが、ほんとうにそういうしわ寄せを受けて、非常にたいへんなことになるという部門が明らかに港湾労働の中にはあります。それから全般的に見て、確かに非常に問題が大きいということから、当然こういう港湾運送事業法自体も見直さなければならないというところに来ておるということを申し上げられると存じます。
  305. 石母田達

    石母田分科員 大体そういうことで、いまの改正の基本方向、政策、あるいはこの近代化というようなもの、その中で最も大きなメリットを受けるものは、いわゆる港湾利用者といわれる大企業、大資本でありまして、反対に一番影響を受けるものがはしけあるいは港湾労働者であるという方向は、明らかになったと思いますが、さて国の政策になりまして、その一番犠牲を受ける、しわ寄せを受けるはしけの業者並びに港湾労働者に対する政府の対策というものはきわめて貧困というよりは、私は、非常になおざりにしておるということを、私自身が横浜でありますので、非常に憤激をして見ていたわけであります。今回、国会に入りまして、そのことについて、私は、どうしても政府の見解を追及したい。現に一月七日の毎日新聞にありますように、「港湾合理化の犠牲者出る」、こういう見出しのもとに、菅沢さんという川崎の方が自殺をいたしました。まだ松の内であります。その記事によりますと、「菅沢さんは昨年八月末、二十五年間、ハシケの船長として勤めていた東京港区内の運輸会社を、船舶部門合理化のため解雇され、翌月から月額七万円の失業保険を受けていた。  昨年十二月二十日、菅沢さんは友人の紹介で川崎市内の運輸会社に再就職したが仕事が合わず、正月明けの四日に退職した。五日午後、同市内の職業安定所に今後の生活を相談に行ったが、沈んだ表情で帰宅したため、妻の昭子さんが心配してたずねたところ「しばらく働いていたため、今月の失業保険の支給が遅れる」と言ったという。」「同署」——同署というのはこれは警察署でありますが、「同署は再就職がうまくいかなかったことと保険直の支払いが遅れそうなことなどから発作的に自殺したとみている。」、こういう悲しい犠牲者が出ているわけです。これはいわゆる整備計画の中で近代化を進めるにあたって、はしけを八十一万トン余削っていく、しかもその削る率をどんどん早めていくというような方向のために六千五百人の退職者が出るのではないかということが発表されております。こうした、このはしけの業者あるいは労働者というようなものだけではなくて、いま港湾に働く人々の労働条件というのは、他の産業に比べてきわめて低いのであります。長時間の労働、安い賃金、そして徹夜しなければ食べられない状況、こういうようなところで、港湾運送事業の六大港の調べを見ましても、入職率よりも離職率、これが入職率三八%に比べて離職率が四四%、そして全産業——製造業、運輸通信業、いずれも入職率が離職率を上回っているのに、港湾運送事業だけがこうした傾向を見せるという中にも、前国会で問題になりましたように、炭鉱に次ぐ重労働、過酷な労働条件にあるということがはっきりしていると思います。こうしたはしけの業者あるいはまた港湾労働者に対する政府の対策が非常におくれている、きわめて貧困であるということは先ほど指摘いたしましたが、この問題について先ほど申し上げました、内閣委員会でもかなり論議されました。  まず一つは、港湾労働者の年金についてぜひこれを検討したいということを、当時の政府委員であります労働省の職業安定局長が、道正さんという人ですけれども、言っております。これが一体どうなっているかということが一つ質問であります。  もう一つは、こうした港湾労働者の労働条件の改善のために、港湾利用者を含めた四者によるいわゆる四者協議会といわれております、そういう場をつくりたいということを、また大臣が述べておりますけれども、それが一体どうなっているかということ。  第三点は、今回の予算の中で三億五千万の余剰はしけの買い上げ、これはトン当たり二千二百円にしかすぎません。そうしますと、運輸省が要求したトン当たり五千四百円の半分にも満たない。こういう状況の中で、今後どのような価格で余剰はしけの買い上げをしようとしているのか。その実施の時期はいつなのか。また、港湾利用者からも負担させるということは、どういう方向でいま指導されて、どの点まで詰められているのか、こういう三つの点について質問したいというふうに思います。
  306. 永揚久治

    永揚説明員 港湾労働者に対します年金制度につきましては、昨年の十一月の十七日の港湾調整審議会、これは総理府に設けられておる審議会でございますけれども、そこから大臣あてに出されました建議の中で、港湾労働者の安定的確保、定着性の向上、こういったような観点から、特別の年金制度の創設をできるだけ早くするように検討しろ、こういう建議があったわけでございます。何ぶんにも昨年の暮れに出た建議でございますし、しかも年金制度の中身につきましては、港調審の建議の中でもはっきりしたこういう形だというふうな御議論もなかったわけでございます。  諸外国の事情を見てみますに、いろいろな形があるわけでございます。多くの場合は、労使が自主的に、団体協約によってそういう制度を設ける、こういう国が非常に多いわけでございます。日本の場合に、どういう形でこれをやっていくか、そういったことにつきましては、何しろ年金制度ということになりますと、保険財政的な運営、こういうことになろうかと思います。したがいまして、そういった財政的なバックの検討ということもございますので、建議の中では早急に検討するようにというふうなことになっております。労働省といたしましても、こういった建議をいただきましたので、これにつきましては、建議にしるされましたとおり、できるだけ早急にこれの構想といったようなものを進めていきたいと思っております。
  307. 岡部保

    ○岡部政府委員 あとの二点についてお答え申し上げます。  第二の、例の四者協議制に対する考え方でございますが、これにつきましては、労働組合側で労使のほかに船社等を含めた利用者、それから官庁を加えた四者協議制をとるべきではないかという御主張であることは理解いたしております。私ども考え方は、こういった労働条件の改善には、私ども官庁が入るのがいいのかどうかは別にいたしまして、現実に船社、荷主等の利用者の理解が必要であることは、それこそ十分理解できるところでございます。そこで、この観点から利用者を含めた協議の場ができることは決しておかしいことではないし、有益だとは思いますけれども、これは何ぶんにも構成する母体それぞれの考え方等ございますので、これに対してこういうものをすべきであるというようなことを、役所サイドで申し上げるのはいかがかと存じます。したがって、関係当事者の合意が得られることが前提であるという考え方で、私どもむしろ見守っておるという態度でございます。  それから第三点のはしけの買い上げの問題でございますが、はしけの買い上げにつきましては、これはなかなかむずかしい問題でございます。ただ財政当局とも四十八年度予算の要求の際にいろいろ相談をいたしまして、財政当局の御理解もいただきまして、現在御審議いただいております予算案の中で三億五千六百万ほどの予算をとりましてこういう問題のはしけの買い上げを実施しようということで考えております。ただ、ここで考えておりますものも、国民の血税からあがります財政資金を投入する以上は、国が補助するという範囲においては、公正な評価をしたものの買い上げに金を出さざるを得ない。しかも国だけでこれをまかなうのでは、とてもできない。したがって港運事業者あるいは利用者である船社、荷主サイドの協力を得まして金を集めてこれを買い上げていくというシステムで考えておるわけでございます。  したがいまして、いつごろから買い上げを始めるかという御質問でございましたが、何はともあれ、予算が成立いたしまして新年度予算が執行になりましてから、具体的に国の費用を使えるという正式の手続を経まして実際の金が支出できるということになりますので、現実に買い上げるという時点はだいぶ先になるのではなかろうかと存じます。ただこれの準備をなるべく早い機会に、新年度に入りましたら進めたいと考えておるところでございます。
  308. 石母田達

    石母田分科員 最後に、年金の問題については、昨年の五月で、国会で若干の時間をいただきましてというふうになっておりますから、審議会になってからこうだというのではなくて、港湾労働者の切実な要求でありますこの問題について、真剣にもっとやっていただきたい。  同時にまた、いまの余剰はしけの買い上げの問題については、これは再三交渉の中で申し上げましたから繰り返しませんけれども、この予算がきわめて僅少であったということから、これでは買い上げの補償にもならぬじゃないかという声が非常に出ております。そういう点で、港湾利用者の負担分を増大させて、きちんと業者の要求にこたえる方向で解決していただきたい。  最後一つ。実は横浜で港湾問題で非常に大きな問題になるのがノースピアなんです。アメリカにああいうふうに占領されまして、バースが七バースで、ちょうど港の中心でありまして、そして毎日毎日三十ぱいぐらい沖待ちしているのです。ですから、運輸省としてああいうふうな基地に接収されているノースピアの返還を求めるという意思があるのかどうか。つまり港の機能を発揮させるという点から見ましてどう思われるのか、運輸大臣最後答弁をしていただきたいと思います。
  309. 新谷寅三郎

    新谷国務大臣 この問題は運輸省としての希望よりも、やはり日米合同委員会の問題であると思いますから、これについて積極的な発言は控えたいと思いますけれども、私どもはやはりアメリカとの間の安保条約を基礎にしてやっておることでございますから、それにかわるような埠頭がないというにかかわらず、横浜港がこうだから返せというわけにはいかない。これからもいろいろ折衝があると思いますが、横浜港は何といっても日本の玄関口でございまして、一般船舶が十二分に活用すべき港でございますから、そういう点を考えながら今後外務省とも打ち合わせまして、できるだけ横浜港の機能が発揮されるように配慮したいと考えておりますが、いま返すか返さぬかというそういう端的な御質問に対しましては私からはお答えが非常に困難でございます。
  310. 石母田達

    石母田分科員 回答には非常に納得いきません。この問題についてはあとでまたいずれの機会に質問を留保して続けたいと思います。  質問を終わります。
  311. 藤波孝生

    ○藤波主査代理 これにて石母田達君の質疑は終了いたしました。  次回は来たる五日午前十時より開会し、引き続き運輸省所管を審査することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時三十一分散会