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1973-03-02 第71回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会昭和四十八年二月二十六日(月曜日) 委員会において、設置することに決した。  三月一日  本分科員委員長指名で、次の通り選任され  た。       足立 篤郎君    小澤 太郎君       瀬戸山三男君    根本龍太郎君       藤波 孝生君    前田 正男君       阿部 昭吾君    辻原 弘市君       岡本 富夫君  三月一日  前田正男君が委員長指名で、主査に選任され  た。 ————————————————————— 昭和四十八年三月二日(金曜日)     午前十時三分開議  出席分科員    主 査 前田 正男君       足立 篤郎君    小澤 太郎君       瀬戸山三男君    藤波 孝生君       阿部 昭吾君    辻原 弘市君       野坂 浩賢君    松浦 利尚君      米内山義一郎君    岡本 富夫君       沖本 泰幸君    田中 昭二君    兼務 井上  泉君 兼務 大出  俊君    兼務 木下 元二君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 新谷寅三郎君         郵 政 大 臣 久野 忠治君  出席政府委員         運輸大臣官房長 薗村 泰彦君         運輸大臣官房会         計課長     杉浦 喬也君         運輸省港湾局長 岡部  保君         運輸省鉄道監督         局長      秋富 公正君         運輸省自動車局         長       小林 正興君         運輸省航空局長 内村 信行君         郵政大臣官房長 廣瀬  弘君         郵政大臣官房電         気通信監理官  牧野 康夫君         郵政省郵務局長 溝呂木 繁君         郵政省貯金局長 石井多加三君         郵政省簡易保険         局長      野田誠二郎君         郵政省電波監理         局長      齋藤 義郎君         郵政省人事局長 北 雄一郎君         郵政省経理局長 浅見 喜作君  分科員外出席者         環境庁大気保全         局特殊公害課長 松井 三郎君         運輸省航空局飛         行場部長    隅  健三君         郵政大臣官房資         材部長     田所 文雄君         日本国有鉄道総         裁       磯崎  叡君         日本電信電話公         社総裁     米澤  滋君         日本電信電話公         社総務理事   北原 安定君         日本電信電話公         社総務理事   遠藤 正介君         日本電信電話公         社建築局長   大沢 秀行君     ————————————— 分科員の異動 三月二日  辞任         補欠選任   阿部 昭吾君     松浦 利尚君   岡本 富夫君     田中 昭二君 同日  辞任         補欠選任   松浦 利尚君     野坂 浩賢君   田中 昭二君     沖本 泰幸君 同日  辞任         補欠選任   野坂 浩賢君    米内山義一郎君   沖本 泰幸君     岡本 富夫君 同日  辞任         補欠選任  米内山義一郎君     阿部 昭吾君 同日  第一分科員大出俊君、第二分科員井上泉君及び  第三分科員木下元二君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十八年度一般会計予算運輸省所管及び  郵政省所管  昭和四十八年度特別会計予算運輸省所管及び  郵政省所管  昭和四十八年度政府関係機関予算運輸省所管  及び郵政省所管      ————◇—————
  2. 前田正男

    前田主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  私が本分科会主査をつとめることになりましたので、よろしく御協力をお願い申し上げます。  本分科会は、建設省、郵政省及び運輸省所管について審査を行なうことになっております。  本審査の順序は、お手元に配付してあります日程によって進めたいと存じますので、あらかじめ御了承をお願い申し上げます。  なお、各省所管事項説明は、各省審査の冒頭に聴取いたします。  それでは、昭和四十八年度一般会計予算及び昭和四十八年度特別会計予算郵政省所管並びに昭和四十八年度政府関係機関予算日本電信電話公社関係を議題といたします。  まず、説明を聴取いたします。久野郵政大臣
  3. 久野忠治

    久野国務大臣 最初に、郵政省所管会計昭和四十八年度予算案につきまして、その概略を御説明申し上げます。  まず、一般会計でありますが、歳出予定額は百七億一千七百万円で、前年度予算額八十二億五千六百万円に比較いたしまして、二十四億六千百万円、二九・八%の増加となっております。  この歳出予定額には、人工衛星を利用する電波研究推進に必要な経費二億六千四百万円、総合的電気通信施策強化に必要な経費一億五千九百万円、電波監視新体制の確立に必要な経費一億五百万円、国際放送充実強化に必要な経費二億百万円並びに通信衛星及び放送衛星開発研究に必要な経費八億七千三百万円のほか、海洋開発のための通信方式研究東南アジアケーブル建設計画推進テレビジョン放送普及施策強化有線テレビジョン放送に関する調査研究等に必要な経費が含まれております。  次に、郵政事業特別会計でありますが、歳入予定額は一兆二千九百四十八億七百万円で、前年度予算額一兆一千二百四十九億七百万円に比較いたしまして一千六百九十九億円、一五・一%の増加となっております。  この歳入予定額には、収入印紙収入等一般会計等へ繰り入れる、いわゆる通り抜けとなる業務外収入が四千五百五十三億一千二百万円ありますので、これを差し引いた実体予算、すなわち、郵政事業運営に必要な経費の財源となる歳入は八千三百九十四億九千五百万円でありまして、これは前年度予算額に比較いたしまして八百十九億三千四百万円、一〇・八%の増加となっております。  一方、歳出予定額は一兆三千八十一億三千二百万円で、前年度予算額一兆一千二百四十九億七百万円に比較いたしまして一千八百三十二億二千五百万円、一六・三%の増加となっております。これから業務外支出を除きますと、実体予算としては八千五百二十八億二千万円で、前年度予算額に比較いたしまして九百五十二億五千八百万円、一二・六%の増加となっております。したがいまして、昭和四十八年度歳入歳出予定額におきましては、百三十三億二千五百万円の歳出超過となっておりますが、これにつきましては、前年度からの持ち越し現金を充当することといたしております。  この予算案におきましては、重要施策としております郵便局舎改善集配運送諸施設の整備拡充等郵便送達速度の安定と向上のための施策郵便貯金及び簡易生命保険の増強と利用者サービス向上のための施策並びに国民の増大する余暇利用に対応する施策に必要な経費が含まれております。  なお、局舎其他建設費予定額は五百三十四億円でありまして、前年度予算額に比較いたしますと百四億円、二四・二%の増加となっております。  次に、郵便貯金特別会計でありますが、この会計歳入予定額は九千六百十七億六千万円で、前年度予算額七千七百四十四億七千四百万円に比較いたしまして一千八百七十二億八千六百万円、二四・二%の増加となっております。  歳出予定額は、八千百六十六億五千四百万円で、前年度予算額六千五百十九億九千八百万円に比較いたしまして一千六百四十六億五千六百万円、二五・三%の増加となっております。  次に、簡易生命保険及び郵便年金特別会計でありますが、保険勘定におきましては、歳入予定額は一兆三千七百七億五千八百万円で、前年度予算額一兆一千四百九十八億四千九百万円に比較いたしまして二千二百九億九百万円、一九・二%の増加となっております。  歳出予定額は五千五百二十億二千万円で、前年度予算額四千八百八十一億九千百万円に比較いたしまして六百三十八億二千九百万円、一三・一%の増加となっております。  また、年金勘定におきましては、歳入予定額及び歳出予定額ともに二十九億六千五百万円で、前年度予算額三十億二千万円に比較いたしまして五千五百万円、一・八%の減少となっております。  最後に、日本電信電話公社予算案につきまして、その概略を御説明申し上げます。  損益勘定におきましては、収入予定額は一兆六千六百二十四億七千五百万円で、前年度当初予算額一兆四千四百五十八億四千七百万円に比較いたしまして二千百六十六億二千八百万円、一五・〇%の増加となっております。  他方支出予定額収入予定額同額の一兆六千六百二十四億七千五百万円でありまして、これを前年度当初予算額と比較いたしますと、給与その他諸費、営業費等で一千四百十八億八千二百万円、資本勘定への繰り入れ額で七百四十七億四千六百万円、合わせて二千百六十六億二千八百万円の増加となっております。  資本勘定におきましては、収入予定額は一兆四千五十四億一千三百万円で、前年度当初予算額一兆一千九百七億六百万円に比較いたしまして二千百四十七億七百万円、一八・〇%の増加となっております。  なお、この収入予定額には政府引受債及び政府保証債によるもの四百二十億円、特別債によるもの一千九百八十億円が含まれております。  他方支出予定額収入予定額同額の一兆四千五十四億一千三百万円で、債務償還等に二千百十四億一千三百万円、建設勘定への繰り入れ額で一兆一千九百四十億円を計上いたしております。  建設勘定におきましては、収入予定額支出予定額ともに一兆一千九百四十億円で、前年度当初予算額一兆五十億円に比較いたしまして一千八百九十億円、一八・八%の増加となっております。  建設計画につきましては、電話に対する盛んな需要に積極的に対応するため、一般加入電話三百十万加入増設をはじめとして、事業所集団電話八万五千加入地域集団電話六万加入公衆電話九万個、市外電話回線十三万二千回線等の増設を行なうほか、情報化社会の進展をはかるため、データ通信の拡充強化を進める等の建設工事を実施し、電信電話設備拡充サービス改善向上を強力に推進することといたしております。  以上をもちまして私の説明を終わりますが、なお詳細の点につきましては御質問をいただきましてお答えいたします。
  4. 前田正男

    前田主査 以上をもちまして説明は終わりました。     —————————————
  5. 前田正男

    前田主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力賜わりますようお願い申し上げます。  なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は必ず的確に要領よく簡潔に行なわれますようお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  6. 大出俊

    大出分科員 米澤総裁に承りたいのですが、時間がありませんから、三十分ということですから要点だけにいたしまして、いずれ逓信委員会等でまたひとつあらためて伺わさせていただきたいと思います。  公社料金局その他をつくって、コンピューターに基づく料金請求をやるようになりましてから何年ぐらいになりますか。
  7. 米澤滋

    米澤説明員 最初に入れましたのは東京、名古屋でございますが、もう十年以上たっております。
  8. 大出俊

    大出分科員 その間に料金請求金額が、自分で使った使用経験から見て高過ぎるのじゃないかということで、間違いがあるのじゃないかという問題提起が相当あったのじゃないかと思うのでありますが、そういうことでいろいろ問題が起こったケースはどのくらいございますか。
  9. 遠藤正介

    遠藤説明員 これは古い統計はございませんけれども、この五年間でお申し出申告でございますが、大体一万加入について五・四ないし五・五という件数になっております。
  10. 大出俊

    大出分科員 それはどういう方法で資料を得るのですか。
  11. 遠藤正介

    遠藤説明員 これは現場で、営業でそういう申告がございますと、それを記録いたしておりまして統計資料にいたしております。もっとも全数調査を始めましたのは二年ほど前からでございまして、その前はサンプル調査というものをやっておりますが、数値は大体いま申し上げたような数値でございます。
  12. 大出俊

    大出分科員 サンプル調査から全数調査に変えたということは、相当そういう申し出がある、申告があるということに気がついたわけですな。
  13. 遠藤正介

    遠藤説明員 その点、もちろんそうでございますし、それからこの問題は各局で真剣に取り組まなくちゃいけない問題だということで、全局日常業務にいたしたわけでございます。
  14. 大出俊

    大出分科員 真剣に取り組まなければいかぬ、だから日常業務にするということにしたのはいつですか。
  15. 遠藤正介

    遠藤説明員 全局で必ずやるというぐあいにいたしましたのは四十六年度からでございます。
  16. 大出俊

    大出分科員 それ以前にもだいぶありまして、これはそちらにデータはないのだと思うのですが、おそきに失した感があるのですけれども、ところで誤りがあったということをお認めになって、料金を返納するなりあるいはそこから先の料金にということで組み入れてもらいたいということにした件数はどれくらいありますか。
  17. 遠藤正介

    遠藤説明員 先ほど大体一万件について五・四ないし五・五の申告をいただいておる、こう申し上げましたが、御存じのように請求書の読み方が非常にむずかしかったものでございますから、たとえば七月分と申しましても七月一日から三十日ということではございませんで、料金月というような関係場所によって違っておりましたり、あるいは度数料というものと市外通話料というものがなかなかむずかしいことになっております。そういうようなことでお話しをいたしましておわかりいただいて、申告がございましたけれども請求書の中身で御理解いただく方が意外に多うございまして、この数が一万件あたり五・一五でございます。いま先生のおっしゃいました最終的な事故——事故というものも機械的な事故のほかに人為的な事故がございます。コンピューターに入れるときの技術力のパンチの事故でございますとか見誤りですとか、事務処理誤り、書き間違い、そういうこともございます。そういうものを含めまして、機械的な事故と一緒にしまして一万件当たり〇・二五というのがこの数字でございます。
  18. 大出俊

    大出分科員 これは、一万件当たり〇・二五というのは決して低い数字じゃございませんな。この場合は、料金は支払ったものを返済する、あるいは支払う前に公社が直す、いろいろケースがあると思うのでありますが、その辺のところはどうなっておりますか。
  19. 遠藤正介

    遠藤説明員 まず私どものほうでお話しをいたしまして、納得ができませんときには、私のほうで機械も調べて、なお私どものほうから見ても機械に異常はない、その場合に加入者の方と意見が食い違いましたときには監査装置というものを置きまして、一定期間加入者の方にもメモをとっていただきまして御協力をいただきまして、私どものほうの監査装置とあわせましてその度数計が正しいかどうか一定期間見ます。そして見まして、お互いに納得ずくで照合いたしまして御了承いただく場合もございます。それで機械的な事故が発見される場合もございます。そういう場合には、先生のいまおっしゃいましたように減算措置をいたします。
  20. 大出俊

    大出分科員 泣き寝入りしてしまうのが非常に多いということと、それからいま監査装置ということですが、なかなか現実には監査装置だ云々ということをおやりにならない。これはたいへん国民的に損害をかけておる面があるのじゃないかと思う。したがって、これは法律問題にも触れて、ひとつ根本的は考え直さなきゃいかぬところにきているというふうに思います。どうも遠藤さんの答弁はたいへんいいかげんなんでもう少しものを言いますが、私もこれはずいぶん長らく調べている。件数も非常に多い。いまの数字にあがってくるのはほんの氷山の一角で、手紙ども何通も私のところに来ております。  そこで、これは私の地元の人なんですけれども、これは公社責任も問わなければいかぬと私は思うのですが、四十五年の四月二十六日に朝日新聞に、幾ら言っても公社の側で取り合わない、がまんし切れぬで投書をしているのです。「はびこる機械の神託」「「異常なし」一点張りの電話局」これは横浜市の村田英信さんというお菓子小売り商をおやりになっている方なんです。南区の方ですけれども、この方は過去十年来の電話料金受け取りを持っている。遠い親戚があるわけじゃなし、同じことを十年一日のごとくやってきているお菓子屋である。遠距離をかけたこともない。だから、何年来三千円前後の料金をずっと払ってきている。ところが、とたんに二万円からの請求が来た。そんなばかなことがあるはずがないというので何べん話しても、どうも取り合ってくれぬということで朝日新聞投書しているのですね。これは方々に反響をたいへん呼びまして、この村田さんという人のうちに方々から、全くそのとおりなんだということで手紙が来ている。これはつい最近、今月に入ってから来ている手紙です、この村田さんという投書をした人のところへ。横浜市南区榎町一の十七の村田英信さん。来ている場所は新潟県燕市中太田の小黒正三さんという人です。中を読んでみるというと、この人も何べん言ったって取り合わない。そこで、ここに朝日新聞が「投書を追って」という、ここへ一つの見解を載せているのですね。コンピューターの使い方が根本的に間違っていたという。これは「タイム」「ライフ」なる雑誌予約をした人がいましてね。コンピューターで、予約申し込みをすると、つまり料金を払ってくれというのを三回言うことになっている。そして三回言って払い込みがないというと雑誌を送るのを打ち切る。そしてあとまた入ってくれませんかというのを五回出す。コンピューター操作で出てくるやつをそのまま書いて出しているわけですね。だから、送金をしたんだけれども相変わらず請求が来るというので—これは非常にこまかく書いてあるが、時間がありませんから読みません。  それからまた、いまの電話局のこの人の投書についても、朝日新聞が調べてここに書いてあります。「次に投書のような電話支払い料金の間違いもよくある。これは各電話局度数計写真にとり、パンチしてコンピューター記録させる間にミスが発生する。写真をとる時、度数計のはしっこの数字が不鮮明だったり、よくうつっていない場合だと、パンチする時に誤って打つことがある。いつもの月の五、六倍に電話料がふえている時など、事前に内部で検査して誤りを見つけることもあるそうだ。これも機械の誤差というより、人間の誤った操作から起るミスだからある程度避けることはできない。」というふうに書いて、それにしてもどうもその前後の取り扱いというのは、あまりといえば不十分であるということなんですね。まず窓口がない。一体どこがどう処理するのかさっぱりわからない。だから加入者のほうにすれば、私はいつか冗談に言ったことがありますけれども、この拡充法のときにものを言いましたけれども電話加入をしたら加入者からたいへんな金を預かってなんていうことをやっているような国はないのですから、それをまた時限立法をどんどん延長するのはレアケースで、こんなことはあってはならぬと私は思っておるのですけれども、そうなるとそこらあたりは、これは公社なのですから、もう少し考えてそういう点についてのサービスはしなければいかぬと思うのです。  そこで承りたいのは、これは東京黒川正一さんという方、電話番号を言っておきますが、〇三—七二一—四六六六、これは夫婦お二人、子供さんたちは嫁に行ってうちにはだれもいない。毎月の受け取りがあるそうですが、通常三千円なのです。ところが四十八年二月、本年二月に二万一千円の請求が来ている。まず当局に抗議すると、子供さんがいろいろなところへ電話をかけたんじゃないですかと言ってきた。子供さんがといったって、子供は嫁に行っちゃって一人もいないのだ、こう言うと、それじゃ親戚が遠くにあってそっちにおかけになったんじゃないかと言うのです。よけいなことだというんですね。それで、そんなことを言ったって親戚は遠くにいない、みんな近くにいる、子供も、そう言った。そうしたら、いやいやコンピューターでございますから間違いございませんと言う。結局、あなたのほうが何かの勘違い、お間違えではないですか、でおしまいなんです。夫婦二人で子供は別にいないし、遠くに親戚がない。一体これはどうすればいいんだ、それっぱなしなんです。ちゃんと書いてある。そうすると、長年三千円前後の金しか払ってないのに二万一千円。電話がなければ不便だからしようがない、泣き泣き払っている。この村田さんの場合は、四十五年に払って今日に至っている。これがもし公社の側にミスがあったのだとすれば、朝日新聞が調べているようにマイクロにとる、重なり合ったりあるいは端のところはわからないというようなことで一けた違っていた。二千百円なら話はわかるのですけれども、二千百円という例があるのですから、この人の請求の中には。二万一千円ですよ。こういうことになっていたとすれば、この責任は一体だれが負うのだということですね。ゆゆしき問題ですよ。しかも、いまおっしゃるように一万件の五・四件申告があったという記録がある。この五・四——泣き寝入りや、あるいはしようがないと思っておる、忙しさにまぎれて払っちゃったというようなことがどれだけあるかわからない。しかも、そのことにようやく気がついて、四十六年から全国調査みたいな形にお変えになった。この例は四十五年です。そういう点について、監査をする監査装置をくっつけたからいいわというようなことでほっておかれるつもりですか。総裁いかがですか。
  21. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします  ただいま御指摘がありました例にもありますように、確かにこれまで申告されましてその措置が誤った例がございます。たとえば一昨年の公衆法の改正のときにも質問がございましたが、コンピューターでやっているから間違いないのだということを現場答弁した例がございます。これは非常な間違いでございまして、そういう答弁はおかしいのでありまして、結局正確に申しますと機械的な事故と、それからいろいろ記録をたびたび書くわけでございます。たとえば電話料金というのは基本料もございますし、それからまた度数料もございますし、あるいは一〇〇番にかけるというのがございますから、そういうものを足し算する。あるいはまた電報で一一五で打ったものを足すとかいうようなこともございます。あるいはまた度数計の読み取り、これは過去にはずっと目で見ておったのを写真でとるようにいたしました。それから、その写真をとる場合も、あいまいな場合には二度とるとか、いろいろ改良を加えておりますが、確かにいま御指摘のような例がございますので、特に四十六年の公衆法が通る時点くらいから全国的にこの問題をはっきり把握するように、それからまた、現場でもし問題がありましたならば、責任者、いわゆる現場局長なりあるいは課長が応対いたしまして、そして逆監査装置を入れまして、過去にさかのぼるわけにはいきませんが、それから一カ月か二カ月の間その電話を使っておる方の電話に逆監査装置を入れまして、入れますとそれが何月何日何時にどこへかけたということがすっとテープに出るようになっております。それを二カ月くらいやっていただいて、そうしてそこで納得していただく、あるいは間違いを発見するというような措置をなお強くとるようにしておりますが、今後とも一そうそういうことをいたしまして、現場を督励いたしまして、これは機械事故等に対しましては、度数計そのものの事故というのは非常に少ないのでありまして、これはガスや電気のメーター等に比べまして百倍以上の精度を持っております。それから、大きな交換システムでございますから、保守が全体にいいか悪いかというのは、この度数計の精度に関係ございます。保守の程度は、私が見たところではヨーロッパより日本のほうが最近よくなっておりますから、機械事故そのものは外国のレベルよりも少ないのだというふうに私は思っております。ただ、そこに人為的なものがありますので、そういう点につきましてさらに徹底させると同時に、また申告がありました場合には、その事情をよく伺って、直ちにそういう逆監査装置を入れるなりして処理いたしたいというふうに考えております。
  22. 大出俊

    大出分科員 私はそれじゃ足りないと思うのですよ。これはたいへんな国の責任である。大臣、もし現に一人の国民が不当な料金を払わされていだとすると、その救済は一体だれがするのですか。国がしなければならない。現に私の場合でも、私の事務所におった地主さんという女性、この方は母子家庭ですからおかあさんと子供さんしかいない。子供さんは学生さんで高等学校へ行っていた。いま大学へ行っています。もう三、四年前ですけれども。この方に三万幾らの請求が来ている、三千円くらいしか払ったことがないのに。おかあさんは私の事務所へつとめに来ている、子供さんは学校へ行っている、両方とも昼間いないのです。電話をかけるはずがない。公社にとってはもうからぬ電話ですがね。だが、そういう請求がありましたから、私は所管電話局電話を入れて、どうなっているのか調べてくれ。結局、どうにもこうにもならぬ。見つからぬ。おかしいということは認めているのだけれども、何が原因かが見つからない。適当に割り引くわけにもいかないので実は困っているのです。そのうちに、本人がしかたがないといって払ってしまいました。これは私が見ても、ずっと私の事務所におるのですから、日曜日しか本人は家にいないのだから、わかっている。そんな料金にはならない。だが、私も公社関係の出身だからというので、彼女もそれ以上は先生に悪いというので忙しさにまぎれてそれきりになっておる。これは現に私の事務所におるのです。そうなると私も、計算局がどうなっているか、全く知らないわけじゃない。保土ケ谷計算局ができたときから知っておるのですから、そうするとそういう泣き寝入りしているのがたくさんいる。その救済は何らしない政府、そんなべらぼうな話はないですよ。これは重大な責任問題です。しかも、いままで問題提起がなかったわけではない。しかも、水道だとかガスだとかいうのは目の前にメーターがある。あるのだから間違えたってそれは相互責任かもわからぬ。しかし、電話の場合にはないのです。目に見えるところがない。全く一方的に計算をして一方的に請求してくるわけです。その責任を国民が負わなければならぬというばかな話はない。その責任は一体だれが負う。たいへんな件数があるわけですから、その中にコンピューターといえども——総裁は万全なものではないと言うが、この事故ミスの確率が少ないというだけであって、全くないわけではない。  これはまたほかの例もありますが、東京陸運局に個人タクシーの申請をした運転手さんがあった。スピード違反という事故コンピューターで出る。本人は全くないのだと言う。その事故を調べていったら、前の車を追い越したときのスピード違反という形の違反が一件ある。それをさらに調べてみたら、逗葉道路で追い越しをかけた。前の車が非常におそかったので、追い越しをかけて、またもとのスピードに戻った。その追い越しのとき見つかっているわけです。それで、あとで話し合って警察のほうが了解をして取り消した。それがコンピューターに出ている。それがコンピューターどおりならば、この人は個人タクシー許可はとれない。車庫の用意やなんかしたから生活にかかわる。陸運局長と私いろいろと話をしまして、とうとうその事実が明らかになって許可をしまして、いま個人タクシーをやっておりますが、もしそれがコンピューターでございますから間違いございませんというので突っ放されてしまったら、これはあるいは永久に個人タクシーをやっていないかもしれない。そういう実は大きなミスにつながるコンピューター。これは、この間ハーバード大学のアーサー・ミラー教授が来られて、国民総背番号制の問題等をめぐって東京プリンスホテルで講演なさいましたが、私も行って聞いておりましたが、コンピューターミスというものは取り返しがつかない。そうなると、それに対する救済の方法というものをきめこまかく考えなければ、一体だれが責任を負うのだ、高い料金払ってということになる。  もう一つ読み上げますが、新潟県燕市中太田小黒正三さんという方から、さっき申し上げた投書をした村田英信さんのところに来ている手紙です。これもまさに憤慨にたえぬというわけだ。「拝啓、前略ごめんください。見も知らない私が筆をとってぶしつけな身がってなことをお許し願います。」ということから始まりまして、村田さんという人が四十五年に朝日新聞投書したそうです。それを見てこの人は朝日新聞電話を入れているのです。そうしたら、四十五年に横浜村田さんという人が「声」の欄に投書をされておられる。この人に連絡をとってくださいといわれたという。この人が村田さんという人に手紙を出した。あなたのときはどうだった。私は電話番号変えてもらいたいと思っているのだ。市外の場合なんかえらい金額になる。市外一〇〇番通してかけておりまして、間違いないはずだという。「あなたさまの〇四五(七三一)二六〇五の番号は、そのときの番号ですか。そうしていまは他人さまと同じような料金になりましたか。私は今月もまだ困って余ります。番号を変えてくれといっても変えてくれないのです。いっそ売ってしまおうと考えていましたが、あなたさまがとられた方法であるいはまたよい方法があるかもしれないと思いましたので、ぜひ御指導願いたい。右お願いまで。乱筆ながらよろしく願い上げます。新潟県燕市中太田小黒正三村田英三様」こんなことがいまだにある。これはどうするつもりなのですか、皆さんのほうは。これはついこの間の手紙です。来たばっかりです。二月二十六日の手紙です。今月も困っておる。こういうばかげたことになっていて、申告はこの程度ございますなんていったって、庶民の中で、新潟県の人がだてや酔狂で横浜の南区の人まで手紙出しゃしませんよ。そうでしょう。こういう無責任な話はないと私は思う。これは法的な措置が要ります。そうしてこういう申告があったなら、必ずその原因がわかるような責任をおとりにならなければいけません。これはさっき、できるだけなんてことで監査装置を入れてどうのこうの、こんな無責任なこと許せません。どうしてくれますか。
  23. 米澤滋

    米澤説明員 先ほどちょっとことばが足らなかったかもしれませんが、そういう場合には必ず監査装置を入れるように指導いたします。ただ過去にさかのぼるということができないものでございますが、しかし、事故の原因というものがあれば、何月何日にどこにかけたというテープが出てまいりますから、そうすると片方使った方にもそれを記録していただいて、それを照合していくということで原因がわかるわけでございますから、その逆監査装置を必ず入れるということをできるだけ早目に入れたい。申告があったらすぐ入れるというふうにすれば、とにかくこの原因がはっきりしてくる。それによって料金をお返しする場合には直ちにお返しする、こういう措置をとることにしたいと思います。
  24. 大出俊

    大出分科員 私が話をしたのは、これは長野県にも一件あった。これは隣との端末がアースか何かでひっついていた。そうしてそっちのほうが入ってきちゃった。それで起こった。ところが料金は返すわけにいかない。いかないといったって、この場合に公衆法で返すことになっているのです。返したってちっとも差しつかえないじゃないですか。この公衆法の七十八条ですか、「公衆電気通信役務の料金の過払又は誤払があったときは、」何とかと、こうありますね。七十八条の「料金の返還」というところですな。
  25. 遠藤正介

    遠藤説明員 いま法律の条文は正確に覚えておりませんが、私どものほうでいま総裁が申しましたようにはっきりした事故でございますれば、過去の平均料金額に応じて返還をいたしております。
  26. 大出俊

    大出分科員 この七十八条は「料金の返還」「公衆電気通信役務の料金は、左に掲げる場合において、それぞれ各号に掲げるものに限り、これを支払った者の請求により返還するものとする。」こうなっておるのですね。そうしてその十二号に「公衆電気通信役務の料金の過払又は誤払があったときは、過払又は誤払の料金」これを返還する、こうなっておる。一向差しつかえない。ところが、なかなかそれに応じないのですよ。これをどういうふうに指導なすっているのか私はさっぱりわからないのですが、その点はどうですか。
  27. 遠藤正介

    遠藤説明員 先ほど総裁が申しましたように、その原因がはっきりいたしまして、事故であることがはっきりいたしましたときには確かに払っております。それでこれは応対の問題でございますから、先生おっしゃいましたように、機械ですから事故がありませんというようなことを確かに過去は言っておりました。とれを絶対そう言わないで、いま総裁が申しましたように、ともかく監査装置をつけて調べる。そのために監査装置も増量をいたしております。ですから、私どもの今後の指導ではそういうことは絶対にないようにいたします。
  28. 大出俊

    大出分科員 過去はあったって、過去に違いないのですよ。きょうの話をしているんじゃない。しているんじゃないから過去には違いない。違いないけれども、ぼくは二月二十六日の話をしている。きょうは三月二日ではないですか。二月は二十八日までしかない。そうでしょう。三、四日前の話をしているのに、過去なんてたわ言を言われたら困ります。三、四日前のことで、視戚が遠くにあるんじゃないかとか子供さんがいろんなところにかけているんじゃないかと相変わらず現に言っているじゃないですか。四十八年の二月に現に起こっておるんですよ。ていさいのいいことを言っては困ります。現在それを言っております、それを改めますと言わなければいけないのですよ。
  29. 遠藤正介

    遠藤説明員 私のことばが不十分でございましたが、四十六年以前の応対のしかたを申し上げたわけであります。いま先生が御指摘になりました具体的な二、三のケースにつきましては、私記憶にとどめまして、直ちに帰りまして処置をいたしたいと思います。
  30. 大出俊

    大出分科員 そういういいかげんなことを言ってはいけません。二、三件とは何ですか。私の手元に来たのが二、三件であれば、全国にどれだけあるかわからぬじゃないか。私は横浜に住む一代議士ですよ。私のところに二月に二件あるじゃないですか。現に手紙があるじゃないですか。二月に二件あった、二件とも同じことを言っている。当方はコンピューターでございます、子供さんがいろいろなところにかけたんじゃありませんか、子供はいないです。みんな嫁に行っちゃっていない。では親戚が遠くにあって、そっちにかけたんじゃないですか、当方はコンピューターでございます、そうじゃない。冗談じゃないのです。そういうコンピューター答弁をするから事はめんどうになる。いいですか。こういうことが書いてある。「私を正しく使ってください」、だれが言っているか。コンピューターが言っているのです。情報化社会の先端、「私を正しく使ってください」「私はコンピューターの「ビュー太郎」です。」コンピューターのビューちゃんだ。ビュー太郎いわく、私を正しく使わないで人間がかってなことを言っている。私を正しく使うことを知らないで、たわ言を言っている。だから電話料金の間違いたんかごまかして、正しく使っていないでごまかして損害をかけている。それで背番号制度になったらたいへんなことになるんだ。だから私はコンピューターのビュー太郎で、世の中じゅうのコンピューターを代表して申し上げる、こういうわけですよ。そうでしょう。これを一ぺん読んでごらんなさい。四十五年の四月二十六日の朝日新聞の「声」の欄です。天下の電電公社が、総裁、そういういいかげんなことじゃ困るじゃないですか。この責任を負ってくださいよ。まず法的にどうしますか。手続的にどうしますか。過去のことはしかたがない、間違いがあるであろうということはきわめて濃厚であるのに、私も人の名前まで言って例を申し上げましたが、それは母子家庭で二人きりいなくて、両方ともつとめに出て、学校に行って、三万幾らも払わなければならぬほど電話を使うはずはないじゃないですか。だれが考えたって間違いとわかる。それをそのままにしておくというのですか。それこそコンピューター時代なんだから、そこらのところは法的にも道義的にも電電公社責任を負いなさい。
  31. 米澤滋

    米澤説明員 確かにそういう事実があったことは申しわけないと思いますが、現在さらに現場に督励いたしまして、今後そういうことが絶対ないようにすると同時に、これまでありましたことを一ぺん総ざらいしまして、返還要求に対しては直ちにお返しするというような措置をとりたいと思います。
  32. 大出俊

    大出分科員 これは私は全電通の労働組合の皆さんのために一言言っておきますが、職場の電通の皆さんは、私の友だちがたくさんおりますけれども、非常にまじめですよ。ちゃんと管理責任のおありになる皆さんのほうで、事を分けて組合と相談をしてこうだと言えば、ほかの職場ならいざ知らず、全電通の皆さんの場合には、職場の中はぴしっとそろっているのです。電話の早い仕事をみんな一生懸命やっておるから、組合運動も盛んですけれども、そういう不親切なことはしはしません。つまりそれはあなた方が末端にほんとうに事を分けてわかるような、納得し合えるような程度のしかたを親切に考えておやりになれば、こういう答弁はしないわけです。  もう一つは制度の問題ですよ。制度的にそういう誤りのないようにどうするか、あった場合法的な措置はどうするかという点は明確にするということでなければ、国民に対して責任は負えないでしょう。あなた方は、最近これを見てごらんなさい、評判悪いですよ。これまた電話の、「お知らせ」といって各戸に配布したじゃないですか。日本電信電話公社、丸の内営業所長。「六十秒で七円の近郊への通話は、八十秒で七円へと安くなります。」「東京二十三区内の通話は、三分までごとに七円になります。」というようなところから始まって——世の中では何と言っているか。安くなるというところを強調して、高くなる、高くなると言ってきたか。よけいな料金ばかり請求してなんということを町の中では人は言っているのです。そうでしょう。だからそこらのところは、これからたいへん大きな五次計画もあるのですから、おやりになる公社の立場としては、国民に責任を負うという立場をやはり明確にしていただかないといけませんよ。これは郵政大臣、お聞きになっておってどうですか。法的にも道義的にも責任を負ってくださいよ。
  33. 久野忠治

    久野国務大臣 ただいま御指摘の点は、まことに遺憾な事柄であると私は存じます。今後私といたしましては、機械であるからとかあるいはコンピューターであるから誤りはありませんなどというようなことは言わせないように指導いたしたいと存じます。さらに今後ともよく具体的な事例を調査をいたしまして適切な処置をいたしたい、かように思っております。
  34. 大出俊

    大出分科員 調査をされてこういう被害を救済をする、そのための行政的なあるいは法的な措置を検討する、そこまでおっしゃってくださいよ。責任を負わなければいけませんよ、この問題は。個人、個人の権利にかかわる問題です。いかがですか。
  35. 久野忠治

    久野国務大臣 御指摘の意味はある程度理解はできますが、しかし、まず調査をいたしまして適当な処置をいたしたい、かように存じます。
  36. 大出俊

    大出分科員 もう一ぺん聞きます。何の措置ですか。調査をして何の措置を検討するんですか。
  37. 久野忠治

    久野国務大臣 適切な処置をいたしたいということでございます。
  38. 大出俊

    大出分科員 どうせ逓信委員会その他もあるわけですから、また後ほど承って、その調査の結果その他に対する意見を申し上げたいと思いますが、情報化社会云々ということで、背番号制なんという問題が非常に大きな世論喚起の中心になっておりますし、その意味で、先進国であるアメリカの例にしても相当大きな論争を呼んでいるわけでありますから、こういう問題については、特にこれは国民の利害に関する問題ですから慎重を期していただかないといけない。救済措置、これはどういう措置が一番いいかという問題は、皆さんのほうで御検討いただく問題ですから検討してけっこうです。したがって、どうしてもそれは救済をするんだという意思で、そういう誤りがあってはならないんだという意思で御調査をいただきたいと思うのですが、いかがですか。
  39. 久野忠治

    久野国務大臣 御指摘の点は十分配慮して処置をいたしたいと思っております。
  40. 前田正男

    前田主査 これにて大出俊君の質疑は終了いたしました。  次に、由中昭二君。
  41. 田中昭二

    田中(昭)分科員 私は、まず最初に、きのうの逓信委員会で時間的にちょっと足らなかった点で理解しがたい、またもう少し詰めたいことがございますから、その問題からまず入らしていただきます。  といいますのは、日本と中国との間に通信関係の海底ケーブルを敷設するということにつきましては、いままでの当局の努力とまた関係業者の熱心なる熱意によりまして事が運んでおるように聞いておりまして、そのことにつきましては、私はこの通信というものは、かりに国同士の紛争中といえども、いわゆる敵国同士としましても通信はとだえさせないというような重要なものであるというように聞いておりますし、そうであろうと思っております。そこで、きのうお聞きしたことは、この日中の海底ケーブルの敷設については政府も努力をしたい、やりたい、また相手側も視察団まで送って早期にこの問題を解決したいというような動きがあることにつきまして、私、所管大臣の郵政大臣の御見解を聞いたわけでございます。   〔主査退席、藤波主査代理着席〕 それがいまの時点になりますと、聞くところによりますと、もう三月の中旬には中国から電信総局長が来られて、協議が始まっていくというようなことも報道されておりますし、そういうことについて当然当局の、その前後の模様につきましてなり、また今後当事者を指導する上におきましても当然何らかの指導がなされなければならない、またタッチしておらなければならない、こういう意味で御質問申し上げましたところが、当局側からは、はからずも、何のことも存知しておりませんというような返答なんです。私は、その立場がどうかということを考えますと、それもうなずけないわけではございませんけれども、そういう質問をしましたあとに、大臣から、実はこの当事者である国際電電のほうからプランなり何らかのものが提示された、それを見たというような御答弁がございました。  そこで私は、そういう背景がありまして、そういう問題につきまして郵政大臣が、ただ見られた、当局のほうは何も知らない、こういうことでいいのかどうか、その点があるわけでございますが、実際はこの国際電電と中国の業者間の協定になるということで、現時点では言えない。当局答弁は、そういう内容は知らないということであったと思うわけです。  ところが、中国とは、御存じのとおりこの二十数年前、三十年ぐらい前にたいへんな中国国民に損害を与えて、それがわが国が国際復帰する段階におきまして、昨年ようやく中国との正常化を見た。そうしますと、たいへん過去に損害を与えた中国に対して、いままさにこの通信の重要な部分の設定がなされようという、そういうことを考えますと私は、これはただ当事者間の、業者間の協定といえども外交上も、また国際問題からも重大な問題である、こう認識するのは当然だ。そうしますと、郵政大臣としては、先ほどから言いますように、国際電電からそういう認可申請があるまでは言えないとか、ただ見ましたというようなことで、私はそういうことで放置しておく問題ではないという認識であるわけです。そこで、大臣がただ見ましたとか、それも業者間のことでございますから、その許可を与えるまではそのままほっておきますという認識にあくまでも立っておられるのかどうか、その点をまずお尋ねしたいと思います。
  42. 久野忠治

    久野国務大臣 ただいま最後のおことばのように、それをほっておくのかということでございますが、そういうことではございません。まだ実際にはこの協定をどういう形で結ばれるのか、またこのように国際電電が技術の調査団を招致いたしたわけでありますが、その経過、それから話し合われた内容、こういうものについての報告を私は聞いたわけでございますが、しかし相手のあることでございまして、中国側がこれに対してどういう対処のしかたをしてくるのか、どういう考え方に立って日中間の海底ケーブルを敷設しようとしておるのか、そのことについては一言もまだ私は聞いていないのでございます。で、今度新しく電信総局長を私の名前で招待申し上げたのでございまして、昨日申し上げましたように、近く訪日される予定になっておるわけでございますから、その際に中国側から何らかの示唆があるかどうか、その時点になってみないと私はわからないと思うのでございます。でありますから、これは技術的な問題もございますので、ただ単にそのときになって初めて検討を始めるということでは私はおそ過ぎると思いますので、事前にあらゆる場合を想定をいたしまして、技術面からもあるいは敷設をする場合の期間なりあるいはいろいろの面を想定をいたしまして検討しておられる、かように理解をいたしておるような次第でございます。
  43. 田中昭二

    田中(昭)分科員 それは中国側の考え方をまだ聞いてないというようなことに、だからそれを聞いてみなければ検討できないというような意味ですか。私がさっきから申し上げているのは、それは確かに中国側から今度電信総局長が来られるのですから当然お聞きになると思います。しかし私前段を少し長く申し上げたのは、それではかりに中国側の意向としては何も存じてないとするならば、当然わが国としては国際電電の持っております——常識的に、そのときに話し合いがされるとするならば、この海底ケーブルというのはどこの地点にどういうふうに海底線を陸揚げするか、それからまた負担の割合とか、こういう問題を持って話さなければ、その話し合いは私はできないと思うのです。これは常識ですよ。  そこで、きのうも大臣は、私は率直にお答えになったと思うのです。そのわが国側のいわゆる当たるところの当事者の国際電電の基本的なプランを見られたのだから、見られたものをそのままここで発表しろといってもそれは無理だ、こういうふうに私は理解しておった。そうならば、その計画なりプランを見られて、郵政省としては、いろいろなまずい点もございましょうし、いろいろな大事な外交上の問題もございますから、条約の取りかわしなり協定の取りかわしなりということを十分お考えにならなければならない、プランを見ただけではだめだと私は思うのです。その点いかがですか。
  44. 久野忠治

    久野国務大臣 相手国の考えもまだ聞いていないのでございます。これはもちろん、何度も申し上げておりますように、当事者間において協定が結ばれましたものを、私がこれを承認するかしないかという判断をきめることになるわけでございますから、そういうような経過を踏みませんと、最終的な内容は、私はきまらないと思うのでございます。そういう意味から、やはり中国側から今度参られます総局長とお会いをいたしました際にどういう話が出るのか、そのこともまだ予測がつかない段階で、私はこの内容についてとやかく、わがほう側が考えておりまする案について申し上げることは早計ではないか、かように存じましてお答えいたしていないわけでございます。御理解をいただきたいと思います。
  45. 田中昭二

    田中(昭)分科員 どうもこの問題は、一歩も——大臣は、きのうの委員会答弁等から、私は、かえってかたくなっておられる感じがしておる。もう答弁は要りませんが、私は申し上げておきます。  でありますから、結論的に言えば、国際電電からの基本的な計画なりプランを見たと、こう大臣はおっしゃったわけですよ。見たならば、それをそのまま私に教えてくださいと言っているのじゃないのです。そのプランを見て、政府としてはこういう考えを持っておりますとか、これに対してはこういうものでございますから、できればこういう方向で直したいとか、そういうものを持って折衝に臨まなければ、これは子供の使いで悪いと思いますから、そういう点につきましては、また時間がありますときに論議することにします。七日もまた委員会がございますようですから、そっちのほうに譲りまして、次に行きます、時間がございませんから。  たいへん今度は次元が低い話になって申しわけございませんが、実は私は、毎年いろいろな人から話を聞きまして、たいへん政府のやることにはむだが多いということをしょっちゅういろいろ聞きます。郵政省としましては、年に一回のお年玉つき年賀はがき、これはもう国民の中には相当な重大なことのようになって、年中行事になっておりますが、このいわゆる景品ですね、当せんしました景品をもらいに行くというようなことになっておりますが、まず、この景品の種目別、種類別と申しますか、その調達、いわゆる準備した数量、それから実際の景品が当せん者に渡された、交付といいますか、その件数と金額だけでけっこうですから、当局のほうからお答え願いたい。
  46. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 ただいまの御質問は、四十七年、前年の例に基づいてお答えさしていただきます。  御承知のように、前年のお年玉賞品の一等はカセットテープレコーダーでございます。これにつきましては、二千四百五十二個調達いたしまして、実際に交付されました数は二千四百四十六個でございます。それから二等が浄水器でございまして、調達数は一万二千百九十二個、交付数一万二千百七十四個。三等がバドミントンセットでございまして、調達数が十一万六百セット、交付数が十万八千二百四十一セット。それから四等がグリーティングカードと封筒セットでございますが、調達数が百七十八万五千セット、交付数百七十六万二千五百二十一セット。それから五等がお年玉切手シートでございまして、調達数が二千六百二十五万シートでございます。交付数が二千五百七十万二千二百九十八シートというふうになっております。
  47. 田中昭二

    田中(昭)分科員 調達の金額は……。
  48. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 一等のカセットテープレコーダーは……。(田中(昭)分科員「全体でいいです、時間がありませんから」と呼ぶ)カセットテープレコーダーは二万一千七百円、それから浄水器が四千二百九十円、バドミントンセットが四百九十五円、それからグリーティングカードと封筒セットは五十二円六十二銭、それからお年玉切手シートは二円五銭というのが単価でございます。  それぞれその調達数並びに交付数にかけて総額が出るわけでございますが、その総額は、いま手元に計算したものがございませんので……。
  49. 田中昭二

    田中(昭)分科員 私は、ほんとうは、きょうはその景品がたいへん内容が悪い、何か郵政省は、そういう景品は格安品をやっているのじゃないかという批判もございまして、こういう問題まで入りたいのですけれども、ちょっと時間もございませんから——いまの切手シートだけを見ましても、これは概算で二円とすれば、何百万円といういわゆる未交付のものがあるわけですね。取りに来なかったものが、金額にしましても何百万円という金額になるわけです。全体にすれば、私は、おそらく一千万円ぐらいになるのじゃないかと思うのです。こういう取りに来なかった分については、どういうような方法でいままでやっているのですか。
  50. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 ただいま申し上げました一等から三等までにつきましては、契約の際に、残品が生じた場合には購入価格で業者が買い戻すという契約条件がつけてございますので、先ほどの差額——それぞれ六個とか十八個とか二千三百程度の差がございます。これは全部業者に引き取ってもらいます。したがいまして、いま先生のおっしゃった調達数と交付数の差額で処理しなければならないのは、封筒セットとお年玉切手シートの問題だけでございます。  封筒セットのほうは、これは私ども事務用にそのまま使えますので、いわゆる部内の封筒セットとして使う。  それからグリーティングカード等は、いわゆる青少年のアルバイトの方などに、将来ひとつこういうもので出してくれという一つのPR用に使っております。  それから切手シートは、これは他に流用できませんので、全部煮つぶしております。
  51. 田中昭二

    田中(昭)分科員 そういう業務用に使ったり煮つぶしたりすると言いますけれども、こういう処置が一番正しいのでしょうか。ちょっと簡単に、お聞きになってどういう感じなのか、大臣のお考えを聞いておきます。
  52. 久野忠治

    久野国務大臣 私もただいま説明を聞きまして、まあその方式が適切かどうか、的確にまだ判断を申し上げにくい問題でございますが、十分これは協議をいたしまして、適切な処置がとられるように努力をしてみたいと思っております。
  53. 田中昭二

    田中(昭)分科員 まあこまかい問題でございますけれども、そういう問題は、国民の関心もございますから、十分検討もしてもらいたいと思います。たいへん、こういうむだといいますか、国民にいやな感じを与えるというような事例がたくさん——たくさんと言うとあれでございますが、ほかにも過去にも指摘をされまして、その指摘の内容が、その後またどうなったかというのがわからないのがあります。  もう一つ指摘をしておきます。これは昨年の国会でも指摘された問題でございますが、ちょっと古い話で、四十一年に簡易手紙といいますかミニレターといいますか、そういうものを一億枚つくった。そしてそれが一年間で売れたのが約一千万枚ですか、一割ぐらいしか売れなくて、昨年それは会計検査院の指摘もあった。こういうものをつくる場合には、ちゃんと計算をして、適正な方法でつくりなさいという指摘もあっておったようでございますが、その後、昨年の指摘を見ましても、約三千九百万枚ですか、これだけまだ在庫が残っておるということですね。それは御承知でしょう。もう六、七年前につくったものが、昨年の段階において四割近く残っておる。その後、その四千万枚くらいの手紙をどうなさいましたか。
  54. 田所文雄

    ○田所説明員 四十一年の末に九千万枚の在庫が出たわけでございまして、このうち五千百万枚を販売その他に消化いたしまして、最終的に残りましたものは千百万枚でございます。千百万枚を四十七年七月に処分しております。
  55. 田中昭二

    田中(昭)分科員 処分したってどうしたわけですか。ちょっと数字が違うようですね。——まあ、いいでしょう、時間もございませんから。私は去年の国会の会議録を調べて指摘して、三千九百万枚ということを当局も認めているのに、いまお聞きしますと一まあいいでしょう、その問題は間違って説明されたのでしょうから。私が申し上げたいのは、こういう過去にも二回も三回も指摘されながらむだなものがあったということについて、大臣、どのようにお考えになりますか。
  56. 久野忠治

    久野国務大臣 このような事態の起きないように十分指導してまいりたいと思います。
  57. 田中昭二

    田中(昭)分科員 きのうも申し上げたように、郵政の内部のいろいろな労使問題もたいへんなときに、またいろいろな金も要るときに、当局がみずから、要らなくなったものを——結局は最初からいえば要らなかったものをつくったというようなことに対して、ただよく検討しますとか、よく調査しますだけではいけないと私は思うのです。これはいまの報告にいろいろ間違いもあるようでございますから、あとで事務当局からよく聞いて処理してみたいと思います。  次に、私、電電公社のほうにお尋ねすることがございますが、いま各官公庁、公社等の土地の問題、いわゆる社会的にも土地が値上がりしてたいへん問題になっております。その影響で、またいろいろなインフレと一緒に商品投機というようなこともいろいろ論議されておりますが、こういう場合に、私は、官公庁並びに公社等が持っております不動産につきましては、よほどしっかりしておかなければたいへんな非難を受けるのではなかろうか、こう思うわけでございますが、そういう点で、電電公社におきましても実際まだまだ使用も何もしていないという土地が相当あると聞いておりますが、それはどのくらいございますか。広さと帳簿価額でけっこうでございますからお教え願いたいと思います。
  58. 大沢秀行

    ○大沢説明員 お答え申し上げます。  昭和四十六年度末現在で、総面積約百七十三万平方メートル、帳簿価額で二百七十二億四千万円であります。
  59. 田中昭二

    田中(昭)分科員 いまのやつは実際に使用してないものの数量だというふうに理解します。そうしますと、その使用してないものを持っているというのはどういう理由でございますか。
  60. 大沢秀行

    ○大沢説明員 対象となっているものの大部分は、熾烈な電話需要に応じるための電話局等の建設に利用するものでありまして、現在それぞれ基本プランの作成でございますとか設計、局舎建設のための準備を進めているものが大部分でございます。
  61. 田中昭二

    田中(昭)分科員 そういうものが大部分であればけっこうでございますけれども、聞くところによりますと、全然使用、活用方法もわからないような土地があるはずだと思いますが、どうでしょうか。
  62. 大沢秀行

    ○大沢説明員 お答え申し上げます。  ただいま御説明申し上げました未稼働の、買収後一度も使用したことのないものでございますが、遊休となっているものが十七万平方メートル、一億一千万円の価額のものがございます。
  63. 田中昭二

    田中(昭)分科員 そうしますと、当初おっしゃいました、広さだけでいきますと百七十三万の中には、全然活用目的がないものが十七万平方メートルある、そういうことですか。
  64. 大沢秀行

    ○大沢説明員 公社といたしまして地域開発等によります需要の動向の変化などでやむを得ず不要となりました土地につきましては、つとめて事前にその利活用の方法を決定して、遊休状態の発生の防止につとめておるわけでございますが、さらに使用の見込みのない土地につきましては、従来からその整理促進をはかってきたところでございます。今後とも十分努力をいたしたいということでやっております。なお整理方法といたしましては、これを適正な価格による売却または今後公社が必要とする土地との交換等に利用するように考えておるわけであります。
  65. 田中昭二

    田中(昭)分科員 大臣、土地の問題は私がここでいろいろ申し上げるまでもない、御存じのとおりでございます。いまお聞きしますと、相当な面積が未利用になっておる、未活用になっておる、その中でも、ただじっと持っておきたい、これは各省庁でもたいへん土地を手放したくないというような気持ちがあることはしょっちゅう聞きます。しかし、それはあくまでも官庁、公社の立場に立ってのものの言い方であって、その財産は一体だれのものなんだ、官庁、公社といえども、いまおっしゃったように遊ばしておって何も活用がないというような、ただ持っておきたいというのがだいぶあるというんですよ。まずそういう姿は、大臣どうですか、どういうふうにお考えになりますか。
  66. 久野忠治

    久野国務大臣 御指摘の点は、私はいろいろ観点の相違もあると思うのでございます。やはり土地の有効利用の問題というのは非常に大切な事柄であると思います。電電公社におきましても、この点については十分配意して処置されるものと考えておるのでございますが、ただいま御指摘の点につきましては十分調査をいたしまして指導をいたしたい、かように存じます。
  67. 田中昭二

    田中(昭)分科員 大臣、ここで何でも調査すればいいってものじゃないですよ。私はそういうことを聞いているのじゃないですよ。そういうことだったら、それじゃ郵政省の問題でも、もうほんとうに毎日議論しても郵政省は調査だけで終わってしまうような問題を提起しますよ。大体役所の財産というのをどう思っているのですかと言っているんですよ。それはそれぞれの考え方はあるでしょう。しかし、それぞれの考え方をまず政府がやらなければ、国民としてはいまの行政の中ではどうも動けないじゃないですか。そうじゃございませんか。政府が責任を持って国民の財産を預かっておるのですから、その預かっておる財産について、何も使わない、どうもしないというような土地については、みずからがこの有効活用というものについての姿勢を打ち出すべきじゃございませんか。国民の財産を政府が、当局が自分たちの都合によってかってに使っているというような姿勢であるから、そうであるとすれば、ほんとうに田中内閣はいままでいろいろ批判されて指摘されているけれども、根底からくつがえすことになっていくものだと私は思うのですが、いかがですか。
  68. 久野忠治

    久野国務大臣 私はそういうことではないと思うのであります。これが有効に利用されるように、適切に利用されるように処置をすべきものであると私は思うわけでございまして、そういう意味から調査をいたしまして指導をいたしたい、処置をいたしたい、かように申し上げておるわけでございます。
  69. 田中昭二

    田中(昭)分科員 それじゃ、郵政大臣になられて間もないわけですから、ひとつそういう問題は早急に、これは言われなくても当然公社自体でもほかの役所でも——私はただ公社の問題を一つ取り上げたわけでございますけれども、どうもこういう問題はいろいろないままでの行政機構といいますか、そういうものの中から、大臣がやろうと思っておってもできないというのが現状ですよ。しかし、それをやるとおっしゃるわけですから、私はそれを期待しまして、この問題と、もう一つ事実を御指摘しておきたいと思います。  いまおっしゃった、いわゆる未活用でただ代替地等のために遊ばして持っておるという土地が、私福岡県の選出でございますが、私の選挙区にあるかと聞いておりますが、これはどういうものでございますか、おわかりになっておればお答え願いたいと思います。
  70. 北原安定

    ○北原説明員 お答え申し上げます。  先ほど先生の御質問にございましたのは、おそらく芥屋の私のほうの無線施設の分ではなかろうかと思います。これは現在福岡県にございます。これに対して使用計画がかねてからずっとあるわけでございますが、もしあれならば御説明申し上げたいと思いますが、ひとまず……。
  71. 田中昭二

    田中(昭)分科員 いまお答え願いました場所は、大臣ついでに申し上げておきますけれども、実は福岡県の海岸線に近いところでございまして、国定公園になっているところなんです。いま面積はおっしゃられなかったわけですけれども、相当な面積があるわけです。そういう国定公園というような背景も考えますと、私が先ほどから論議しておりますように、ただ活用するにしてみても、もう十年近く放置されておるというのが現状です。もう少しそういう面を——具体的な事例を大臣に説明しておけばよかったと思いますが、公社監督の大臣として、こういうことを一つの事例として私は申し上げましたから、どうか先ほどの土地の問題についてはきちっとした考え方で進んでいただきたいということを申し上げまして、もう一ぺんそのことについてお答え願いまして、質問を終わりたいと思います。
  72. 久野忠治

    久野国務大臣 ただいま御指摘になりました具体的事実につきましてももちろん調査をいたしますが、その他の事例につきましても早急に調査をいたしまして、適切な処置をとりたい、かように存じます。
  73. 藤波孝生

    藤波主査代理 これにて田中昭二君の質疑は終了いたしました。  午後三時三十分より再開することとし、運輸省所管審査いたします。  この際、暫時休憩いたします。    午前十一時二十三分休憩      ————◇—————    午後三時三十分開議
  74. 前田正男

    前田主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和四十八年度一般会計予算及び昭和四十八年度特別会計予算運輸省所管並びに昭和四十八年度政府関係機関予算中日本国有鉄道関係を議題といたします。  まず説明を聴取いたします。新谷運輸大臣。
  75. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 昭和四十八年度予算の大綱について御説明いたします。  初めに、予算の規模について申し上げます。  まず、一般会計について申し上げますと、歳入予算総額は七億八千四百八十一万四千円、歳出予算総額は、他省所管計上分四百八億四千五百二十万一千円を含み五千六百三十億一千五百二十一万五千円でありまして、この歳出予算総額を前年度予算額と比較いたしますと、一千三百七十七億六千八百六十七万六千円の増加となっており、三二・四%の増加率を示しております。  この増加額の内訳を見ますと、行政費では一千二億四百四十八万二千円、公共事業費では三百七十五億六千四百十九万四千円の増加となっております。  次に、特別会計について申し上げます。  まず、木船再保険特別会計歳入歳出予算額は四億三千九百二十四万八千円であり、前年度に比較して三千五百十一万九千円の減少となっております。  自動車損害賠償責任再保険特別会計歳入歳出予算額は五千七百八十五億四千百九十一万円であり、前年度に比較して一千二百四十七億三千九百七十一万二千円の増加となっております。  港湾整備特別会計歳入歳出予算額は一千八百五十一億八千九百二十二万四千円であり、港湾整備五カ年計画の第三年度として港湾の整備を推進するため、前年度に比較して三百十三億十一万六千円の増加となっております。  自動車検査登録特別会計歳入歳出予算額は八十九億四千八百八十六万四千円であり、前年度に比較して三億九千二百万七千円の増加となっております。  空港整備特別会計歳入歳出予算額は六百七十六億一千九百四十五万一千円であり、空港整備五カ年計画の第三年度として空港の整備を推進するため、前年度に比較して百二十二億九千七百三十五万九千円の増加となっております。  また、昭和四十八年度財政投融資計画中には当省関係分として一兆五千三億円が予定されております。  昭和四十八年度予算におきましては、当省は、次の諸施策に重点をおいて運輸行政を推進いたしたいと考えております。  第一に、今後ますます増大し、多様化する輸送需要に対処し、かつ、豊かで住みよい国土の建設に寄与するため、全国幹線交通体系の整備と地域交通体系の整備を中心とする総合交通政策を展開することとしております。  すなわち、全国新幹線鉄道等の幹線鉄道網の整備、港湾整備五カ年計画の推進、空港整備五カ年計画の推進等をはかることにより総合的視野に立って交通関係社会資本を整備充実するとともに、大都市交通対策の強化、地方交通対策の推進、物的流通の近代化、国民観光対策の推進をはかることにより、国民に対する運輸サービス改善につとめる所存であります。  第二に、各種交通機関が国民の足としてその役割りを果たしていく上において最も重要な使命である人命の安全の確保をはかるため、陸、海、空各般にわたり交通安全対策を強力に推進することとしております。  すなわち、新たに自動車事故対策センター(仮称)の設置、小型船安全対策の推進をはかるとともに、航空路施設の整備充実、海上保安業務の充実強化、鉄道安全対策の強化等につとめることとしております。  第三に、公害の防止と環境の保全をはかるとともに、台風、豪雨等の自然災害による被害を最小限にとどめるため、航空機騒音対策、自動車公害対策、港湾環境整備対策、海洋汚染対策についてそれぞれ格段に強化するとともに、海岸事業五カ年計画の推進、集中豪雨監視体制の強化等をはかることとしております。  以上のほか、海運、造船、港湾運送にかかる諸施策推進、静止気象衛星業務の整備等をはかる所存であります。  次に、日本国有鉄道について申し上げます。  近年における国鉄財政の悪化の状況にかんがみ、国鉄財政の再建につきまして昭和四十四年度以来財政再建計画に基づき種々の施策を実施してまいりましたが、それにもかかわらず、国鉄の経営はますます悪化の一途をたどっております。  政府といたしましては、このような事態に対処し、国鉄財政を再建するため、昭和四十八年度以降十年間を再建期間とする新財政再建対策を策定する必要があると認め、昭和四十八年度は、その初年度として、総合交通体系における国鉄の役割りを勘案しつつ、国鉄の一そう徹底した近代化、合理化をはかるとともに、国の財政措置拡充強化し、あわせて国民の理解と協力による運賃改定を実施することにより、国鉄の体質改善の基礎を確立することを内容として予算を編成しております。  まず、損益勘定におきましては、日本国有鉄道工事費補助金の補助率及び補助期間の拡大を行なうことといたしまして、同補助金七百三億円、財政再建債の対象を拡大することといたしまして、財政再建債利子補給金百九十二億円を含め、収入支出予算一兆七千四百六十八億円を計上しております。資本勘定におきましては、一般会計からの出資を前年度より百四十四億円増額することといたしまして八百億円、財政投融資六千六百七十六億円を含め、収入支出予算一兆二千二百八十三億円を計上しております。工事勘定におきましては、収入支出予算七千二百六十億円を計上いたしまして、山陽新幹線及び東北新幹線等の建設、大都市通勤輸送の改善、主要幹線の輸送力増強、保安及び公害対策の強化、諸設備の合理化、近代化等を推進してまいりたいと考えております。  なお、一般会計に日本国有鉄道合理化促進特別交付金五億円を計上いたしまして、日本国有鉄道の合理化施策の促進をはかることといたしております。  今後、関係各方面の協力を得まして国鉄財政再建に万全を期する所存であります。  なお、運輸省関係予算の部門別の重点施策の概要につきましては、お手元に配付してあります昭和四十八年度運輸省予算の説明及び昭和四十八年度日本国有鉄道予算の説明によりまして御承知願いたいと存じます。  以上をもちまして昭和四十八年度の運輸省関係の予算についての御説明を終わりますが、何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。     —————————————
  76. 前田正男

    前田主査 質疑に先立ち政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は必ず的確に要領よく、簡潔に行なわれますようお願いをいたします。  これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。松浦利尚君。
  77. 松浦利尚

    松浦(利)分科員 まず運輸省当局、大臣にお尋ねをするわけでありますが、御承知のように運輸省所管大学として航空大学があるわけであります。宮崎と仙台のほうにあるわけでありますが、聞くところによりますと、この学校の生徒さんが卒業をしても航空関係に就職ができないという事態が今日では予想されているわけであります。春秋に富む青年が未来のパイロットを希望して航空大学に入ってきております。就職先は航空関係以外にないわけであります。だからといって、今日のように日航その他のたいへんな事故を見てまいりますと、パイロットの訓練というものあるいは試験というものは、通常の大学より以上にきびしい実科が課せられておると思います。しかし、本人たちは、その各会社の就職試験にかりにパスしなかった場合は、パイロットを目ざしての特殊な教育でありますから、行き先がなくなるわけであります。落第、留年という制度が、単位その他において各大学には存在をするわけであります。運輸省では、そういった点については具体的にまだ検討されておらないのじゃないかと思うのでありますが、現実に卒業してパイロットになれなかった人たちの扱いを今後どうなさろうとしておられるのか。まずこの点について、大臣なり御当局から御意見をいただきたいと思います。
  78. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 ただいま先生指摘のように、航空大学校の卒業予定者が就職できないということが、今回発生いたしましたことは事実であります。その不合格者を出しました理由といたしましては、一つには、昨年以来相次いで発生いたしました航空事故にかんがみまして、定期航空会社といたしましては、当局の指導に応じまして厳重に操縦士の適性を審査をする。したがいまして、今度の航大の学生のいわゆる就職できなかったということもその一環といたしまして、非常にきびしい基準によって適性審査をされたということが一つだと思います。  それからもう一つ、基本的には最近の航空情勢というものがだいぶ前と変わってまいりまして、前は、非常に急速に膨張するということで相当数の学生を養成してまいったのでございますが、最近は、国内におけるいわゆる飛行場事情あるいは航空機の大型化の事情等がございまして、それによって副操縦士クラスの数がだぶついてきたというようなことが非常に大きな理由になっております。  そこで、その定期航空路線に就航する航空機の運航に従事する者、これは何しろ人の命を預かる者でございますから、これに対して会社が適正な、厳格な適性と高度の技量を要請するということは、これは当然でございまして、この点につきましては私ども異議はございません。しかし、ひるがえって考えますと、先生おっしゃいますように、航空大学の学生は、私どものいわば子供たちみたいなものでございまして、航空というものを志願し、そのために高校卒業以来二年有半を過ごしております。したがいまして、これをこのままほっておくということは、本人のためにもはなはだ気の毒なことで、また適性というもの、ある程度の教育というものを生かすという意味においても不適当であるということも、一面免れないということを考えます。したがいまして、今後の方向といたしましては、定期路線から排除しなければいかぬというのが今回のことでございまして、かりにまた適性があり、これから追加訓練をして技量が向上するという余地のある者につきましては、やはり留年等というような手段を講じまして、もう一回のチャンスを与え、それまでにみっちり技量をつけ、人格、識見ともにしっかりとした者になって採用をいたすというようなことを考えております。  さらに、ジェット機等につきましては必ずしも適性ではないけれども、あるいは小型機とかそういったプロペラ機等は必ずしも不適性ではないというふうな者もございますが、そういう者につきましては、またその向きの就職というふうなものをあっせんいたしたい。すでに若干、そういうふうなことがある程度可能性も見えております。  それから、さらにまた操縦士として全く不適格であるという者も、中にはあるいはあるかもしれません。そういう者につきましては、たとえば地上のディスパッチャーでございますとか、あるいはフライトエンジニア、あるいはその他の業種というところへの就職をあっせんいたしまして、やはり私どもの航空大学を卒業した者が、何も職がなくて、じんぜんと日を送るということのないように努力いたしたい、こういうふうに考えております。
  79. 松浦利尚

    松浦(利)分科員 これは私がさっきから指摘しておるように、人の命を預かる仕事ですから、安易に試験をしてもらっちゃ困るし、きびしく試験というものはしなくちゃならぬと思うのです。しかし、少なくとも運輸省が管轄する特殊な大学でありますから、入学させる当時に、副操縦士が余っておるならば門を狭くすべきでありますし、入った者に対しては、ジェット時代に備えて、ジェットにふさわしい教育教科というものも課すべきである。いまの航空大学というのは、御承知のようにプロペラ時代に発足したものでありまして、あるいは現在の教科そのものがジェットに不向きであるかもしれません。そういった意味では、この際、航空大学を卒業させるというようなことでなくて、いま言われたように、根本的にやはり航空大学の教科内容等をチェックして、時代にふさわしいパイロット養成の方向にしていただきたいと思うのです。そうしないと、利用するお客さんのほうもたいへんだし、また春秋に富む青年もそういったことでは非常な犠牲を受けるわけでありますから、私は、そういう意味で航空大学のあり方を根本的に改革してもらいたい、時代に即応した大学にしてもらいたい、こういうふうに希望したいと思います。そうして、ぜひ、きびしい航空会社の試験に不幸にして不合格になった者は、やはり留年等の手段によってチャンスを与えてやる。このことについて、ひとつ大臣からも若い者に向かって、さらに、これはくどいようですけれども、確認の意味でお答えを願いたいと思うのです。
  80. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 先ほど航空局長からお答えしたとおりの事情でございますが、私もそのような考えをもちまして、いま御発言のような線に沿いまして、十分これはめんどうを見なければならぬと考えておりますし、また航空局長の、多少ことば足らずであったかと思いますけれども、学校に入ります場合に、はたして適性があるかないかということの判断、これはなかなかむずかしい点があるかと思います。一応そういう試験もして、もちろん適性があるという前提において教育をするわけでございますけれども、この適性がそのままずっと続いていくか、あるいはその適性が失われるような状態になるか。これは他の業種にもいろいろそういうふうなことがあるようでございます。その点につきましては、運輸省としましては、最大限そういう適性検査につきまして間違いのないようにあらゆる努力をこれからもしなければならぬと考えております。  それからもう一つは、やはり航空界がこういうふうに進展をしてまいりますので、こういう操縦士なんかの需給関係は何年か先ということになりますと、的確に把握することが困難な場合もあるかと思いますけれども、その点につきましては、会社側に対しましても十分指導をいたしまして、その間、本年起こりましたようなそういう事態、適性を持っておってしかも就職ができないというような事態にならないように、これを十分に会社等とも協議をさせて、そういう青年の志をつむようなことのないように、これから行政的にも指導していきたいと考えております。
  81. 松浦利尚

    松浦(利)分科員 そこで、大臣の決意はよくわかりましたが、これは一つの例でありますけれども、航空大学に入った子供さんたちは、誓約書を出すことになっております。この誓約書が非常に時代おくれの誓約書でありまして、こういうふうにこれには書いてあります。「このたび航空大学校学生として入学を許可されました。ついては、下記事項を遵守することを保証人二名とともに連署の上誓約いたします。」こういう誓約書があるわけであります。この中に、「校則を守ること」、「授業料を納付すること」、これはいいのであります。ところが三番目に、「修業中不慮の災禍を受けても私はもとより他人をして何ら異議を申し立てさせないこと」という誓約書を入れないと入校が許可されないという、まことに時代おくれの誓約書であります。先ほどからお話があるように、厳密な、極限に近い訓練をしなければ生命を預かることのできない航空業界でありますから、不時の事故ということは当然起こり得るわけであります。そのときには文句を言うな、こういう誓約書になっておるわけであります。近代的な航空という問題を学ぶ学校にしては、少し問題があるのじゃないかと私は思います。これについて大臣の御所見を承っておきたいと思います。
  82. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 非常にいい御指摘を受けたように思います。この問題につきましては、実はそういう御質疑があるということで私も当局から事情を聞きましたところが、いまお述べになったような事情でいままで推移しております。  この問題については、事故が起こります原因でありますが、いろいろのケースがあると思います。ほんとうに不可抗力による場合であるとか、あるいは練習機に何か欠陥があったり、あるいは操縦教官の、ミスがあったりした場合でも、それでも何らの賠償も手当もしないというようなふうに見えます。これは非常に不合理であると思います。でありますから、これは御趣旨の線に沿いまして、いま具体的にどこまでいわゆる補償的な措置がとれるかということはいまここで的確にはまだ申し上げられませんけれども、お話のような方向に向かいましていずれは誓約書の内容も是正をするようにいたしますし、そういう場合にはこれは相当関係当局とも話し合いまして、補償についての内容も是正をするように考慮したいと考えておる次第でございます。
  83. 松浦利尚

    松浦(利)分科員 いま大臣はこういった古い形態の誓約書については改めるということでありますから、ぜひその方向で関係者と十分打ち合わせて改めていただきたいと思います。  最後にもう一つお聞きをしておきたいのですが、運輸省の予算についていまいろいろと御説明がありました。飛行場建設その他について、ばく大な予算があるということはよく存じ上げております。ところが、パイロットの養成というものについての予算増額というのは、あまり重要視しておられないのじゃないですか。そういう点については、率直にいって、エアバスとかあるいは海外線におけるジャンボとか、そういった非常にテンポの早い航空業界に対応する予算としては若干問題があるのではないかと思うわけでありますが、いや、だいじょうぶ、現在の予算でパイロットの養成は十分であると考えられるのか、そういう点について、一応最後に航空関係についてお答えをいただきたいと思うのです。
  84. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 パイロットの養成でございますけれども、パイロットの養成につきましては、先般、これはだいぶ前でございますが、航空審議会の中にパイロットの乗員部会というものをつくりまして、そこでもって全体の需給関係、それから養成のしかたというものを、十分専門家の方々によって検討していただいたわけでございます。その当時の需給状況から見れば、大体年間六百名程度が必要であろうというふうな結論でございました。その六百名を養成する方法でございますが、これは実はいろいろ議論がございました。一つの議論といたしましては、官民一緒になった一本の特殊法人をつくって、そこでもって全体を養成したらどうかというふうな議論もございました。しかし、一方においては、まあ現況を申し上げますと、航空大学のほかに防衛庁に対する委託あるいは防衛庁からの割愛、そのほかに日本航空なり全日空なりそれぞれ自社でもってアメリカのほうに派遣するとか、英国に派遣するとかいうふうな方法でやっておる。こういったいろいろな方法でやっておったところであります。それを統一するかあるいは分割しておくかということでずいぶん議論いたしたわけでございますが、結論といたしましては、必ずしも一本に統一するということは問題がある。むしろその教科内容とか教育程度、そういったもの、いわゆるシラバスというふうなことばで言っておりますが、そういった訓練課程というふうなものについては統一した基準を設けるけれども、それぞれのところでそれぞれの特殊性なり何なりを生かしながらやっていくということが結論としては望ましいのではないか。これはいわゆる一般の大学が一校だけにしぼらず、いろいろな大学があり、それぞれの特色もあり、なおかつ一般的なレベルというものを保持しているというのと同じような意味において、そういうほうがよかろうということでその答申がきまったわけでございます。その結果、航空大学としてはどうするかということになりまして、航空大学といたしましては年間百三十五名の教育をいたしてまいりましょうというふうなことが結論でございました。そのための予算も計上しておりますけれども、たとえて申し上げますと、四十七年度の予算は十七億六千万円程度でございますが、四十八年度につきましては約十九億四千万円、若干ふえております。これによりまして航大の運営、施設の整備をいたしてまいりたい。必ずしも十分とは申せませんかもしれませんが、私どもといたしましてはこれで最大限の努力をいたしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  85. 松浦利尚

    松浦(利)分科員 いまのお話を聞いておっても、やはり予算の伸び率というのは非常に低いですね。航空業界がずっと進歩していくわけですから、教育というのはやはり投資でありまして、私は教育に金を出し渋ってはいかぬと思うのです。やはり航空大学の設備なり何なりをもっと充実したものにして、そこを卒業した者がパイロットになる、あるいはその他の機関でもけっこうですけれども、要するに養成というものに対してはもっと金をかけて、乗客が安心して乗れる、そういうパイロットを養成するために予算というものはあってしかるべきだと思うのです。ですから、そういった意味では、これは今年度の予算ですからこれから審議の過程で修正になるかどうかは別といたしまして、運輸省としても四十九年度については、やはりそういった未来の航空業界というものに対応できるパイロット養成のための予算措置というものをしてもらいたいと思のうです。私は率直に言って、いま航空業界に対する国民の不信というのはつのっておると思うのです。その根源は、やはりパイロットを養成する基盤の弱さがいま露呈してきておるのだと思うのです。大切な問題です。私はこの際、パイロットの試験をきびしくすること、これは非常に重要です。安易ではなくて、きびしい試験をすることは、先ほど言われたとおり大切なことです。しかし同時に、それに向うための教育施設というものを充実することがやはり必要じゃないかと思います。そういう点について、大臣も四十九年度についてはひとつきびしい姿勢で臨んでいただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。  次に、航空関係については一応終わらせていただきまして、けさ労働関係分科会でも指摘をしてきたわけでありますが、どうも最近政府が投資する公共事業に労災事故が続発をしておるわけであります。これは労働省のほうからいただいた資料でありますけれども、新幹線新線工事において、山陽新幹線、上越、東北、この三つだけをひとつ資料にして集約をしてくれ、こういうふうに労働省に言いましたところが、資料をくれました。岡山駅以東の工事で五十三名の死亡事故があります。休業八日以上が一千六百三十六名であります。まだ開通しておりません岡山駅以西について死亡事故が現在まで五十八件、休業八日以上が  一千七百二件、山陽新幹線だけで今日までに何と百十一名の人命が失われております。休業八日以上が三千三百三十八名であります。上越新幹線において死亡事故が二名、休業八日以上が九名であります。たいへんな事故であります。  昭和四十八年度の財投が約六兆九千億であります。しかも新幹線工事はスピードアップされて、どんどんと工事はスピードをかけておるわけであります。労働大臣にも指摘をしておいたわけでありますが、こういった事実を見たときに、極端な言い方をすると人の命が粗末にされておる。こういう状態では民間企業に対してもきびしい指導はできないのじゃないかということを労働大臣に指摘をいたしました。工事をしておるのは鉄建公団であり、下請かもしれません。しかし、発注しておるのは国鉄であります。監督しておる官庁は運輸省であります。しかも起こっております事故は、同じ事故の繰り返しであります。同じ事故が起こっておる。こういう点について国鉄総裁あるいは運輸大臣はどういう所見を持っておられるのか、その点をひとつお聞きしたいと思うのであります。  それから、前もって連絡をしておきまして、きょう私は運輸省のほうから国鉄その他で調べた資料をいただきました。死亡事故その他はたいへん少ないのであります。しかも、この意味がわからぬのでありますが、工事費が四十五年度四千百二十三億円、四十六年度四千六百五十八億円、四十七年度二月末現在で六千二百六十七億円、こういうふうに羅列をしてあるわけです。その下に百億円当たり〇・九七人、百億円当たり一・二〇人、百億円当たり一・〇七人と記載してあるのであります。これは私の読み違いかもしれませんが、百億円当たりの死亡事故、労災事故はこれだけですよという計数ではないかと思うのです。統計として出されたのかもしれませんが、こういった感覚ですね。百億円工事をするのにこれくらい、〇・九七人ですからこれはたいしたことありませんよ、そういう統計の出し方がそもそも私は間違いだと思うのです。こんな資料なら私はむしろ出してもらわなかったほうがよかった。いみじくも私は、これは国鉄当局なり運輸省の姿を暴露しておると思いますよ。何を審議するというのです、これは。この資料をいただいた方にこれは一体何の目的で、何のために出されたのか、その点をひとつ明確にしていただきたい。このことを先にしてからあとの質問に入ります。
  86. 秋富公正

    秋富政府委員 ただいま先生の御指摘の、まず最初に死亡者の数のことでございますが、労働省のほうでお出しいたしました山陽新幹線あるいは上越、東北新幹線は、それぞれの線に工事を着工いたしまして以来現在までの集計の数でございます。私のほうがお手元にお出ししました数字は、四十五年度一年度あるいは四十六年度一年度、四十七年度一年度、こういった数字でございます。  それから、第二に御指摘いただきました百億円当たりの人数というのは何で出したかという点でございますが、この点、私のほうといたしましては、決して数が少ないとかそういう意味ではございませんで、いままでの、四十五年度、四十六年度、四十七年度におきます、先生からお話がございました統計的なものでどういう流れになっているかというものを見たものでございまして、私たちは決してこれをもって人数が少ないとかそういう気持ちは毛頭ないわけでございます。
  87. 松浦利尚

    松浦(利)分科員 大臣と国鉄総裁から明確に答弁してください。私はこんなものを要求しなかったのです。私は死亡事故は何人か、それを出してくれといって注文したはずです。ここにもすでに出ておるじゃないですか。人の命を工事総額で割って事故が少ないのだということを言いたかったのだと思うのです。なるほど見てみたら、四十六年度よりも百億円当たりの死亡事故は減っておる、四十七年度二月末現在。これが今日の姿じゃないですか。人の命を軽く見ておる。だから次から次と労災事故が起こるのです。しかも労働省で調べてみたら、なくなった人たちはみな出かせぎの方です。技術を持っておらない全くの出かせぎの方が多いのです。あと時間がなくなりましたから、ほかに一つ質問いたしますので、簡潔に運輸大臣と国鉄総裁から決意のほどを教えてください。
  88. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 その統計資料のほうはよく存じません。もしそういうふうな感覚で出したとすれば、私もその感覚には賛成できません。今日、お話しのように国鉄の鉄道の建設工事の増大、それからその工事が新幹線等においてだんだん隧道工事が多くなりまして、むずかしい工事が多くなっておる。そういう関係で死亡者の数が非常に増大しておるとは思いますけれども、しかし、こういう工事におきましても安全第一でいくべきことは言うまでもないところでありまして、そういうむずかしい工事であればあるほど関係者としましては留意をして、生命を一人でも失わないように措置をするのが当然であると思います。その点につきましては、今後運輸省といたしましては国鉄及び鉄建公団に対しまして厳重注意をいたしまして、最大限安全を守って工事を進めるように指導していきたい考えであります。
  89. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 先ほどの資料につきましては、多分運輸省のほうがお出しになったと思いますが、私のほうは、金でもって人の命を換算するというような考えは全く持っておりません。ただ、先生指摘のように、隧道工事による死傷事故が非常に多いのはまことに残念であります。私自身も、たとえば隧道に入りますときには、まず工事現場責任者に安全装置はどうか、どういうふうな死者があるかというようなことを必ず聞いて現場に入るようにしております。しかし、やはりいまお示しのような数字があることはまことに残念でございます。今後死亡事故あるいは死傷事故について、一人でも二人でも減らすという努力をして、絶対に事故を起こさないということを厳重に徹底させてまいりたいと思っております。
  90. 松浦利尚

    松浦(利)分科員 私は国鉄総裁にたいへんきびしい言い方をするようですけれども、空はあぶないということは知っているけれども、下を走る国鉄はあぶなくないと思ってみんな乗るのです。ところが、最近非常に事故が起きまして、国鉄の信用が落ちておる。一方では、工事をするのにまた国鉄では命がどんどん失われていくということで、国鉄は一体どこへ行くのか。赤字で困っている上に人の命も死んでいくということでは立つ瀬がないわけでございますから、少なくとも工事で人の命をなくすということは絶対ないのだ、交通安全も確保します、こういった行政指導というものをやってもらいたいということを希望します。  最後に、あとわずかですけれども、簡単に御質問します。  それは、全国的に電化が進みまして、いま煙を吐く汽車が走っておる路線というものは少なくなってきておることは事実です。全国至るところ全部が煙の出る汽車であったときはさして苦痛にならなかった煙害問題というものがいま起こってきております。それは、ほかのところは電化されてディーゼルに変わったけれども、あるいは電気機関車、電車に変わったけれども、依然として煙が残っておる。機関区でどんどんと煙を出す。そのために周辺の洗たくものがどうだ、あるいは田畑が被害を受けた、こういう苦情が出てきております。あるいは単線の場合に交差がありますと、そのときに長時間待機をする。待機をするときにどんどん煙を上げて、駅周辺の人家に煙害が起こる。こういった問題で、煙の走っておる路線においては非常に苦情が多くなっておるはずであります。こういった問題について国鉄当局としてはどのように対処しようとしておられるのか、その点を最後にお聞きしまして、きょうここで結論が出なければあらためて委員会等で議論することを申し上げて、御答弁いただきたいと思います。
  91. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 ただいまおっしゃいましたとおり、根本的には動力を近代化するのが一番大事だと思っております。御承知のとおり、日豊線をはじめといたしまして現在五カ所の電化の大工事をやっております。これは線ごとに完成年月が違いますが、根本的にはやはり電化あるいはディーゼル化しかないというふうに思っております。ただ、それができるまでの過渡的な問題といたしましても、御承知のとおり蒸気機関車は命脈が尽きておりまして、大体昭和四十九年度には国鉄から姿を消すことになります。したがいまして、まず極力入れかえ機関車のディーゼル化あるいはいま御指摘のような機関区で使う炭自身をいまほとんど無煙練炭を使っております。日本で一番煙の少ない、また硫黄分の少ないあれを使っておりますけれども、まだ出ますが、やはり極力いままで使っておったような練炭から無煙の良質の硫黄分の少ない練炭に変える、あるいはアッシュが飛ぶ場合には、アッシュが飛ばないようにこまかい網をつけてよけるというような具体的な対策、あるいは機関区につきましては集中煙突をつくりまして、そうして高い煙突でもって排煙するというふうな措置を、電化できるまではとっていくという以外にないというふうに考えております。全国的に若干そういう意味でおくれておることについては非常に御迷惑をおかけいたしておりますが、もうそう長い時間でないというふうに考えております。
  92. 松浦利尚

    松浦(利)分科員 言われることはよくわかるのですが、私の質問にちょっとはずれておりますので、あとは文書で事務当局から私の手元にいただきたいと思います。それは、現在煙害問題でいろいろ先ほど言いましたように問題が起こっております。この煙害問題でいろいろトラブルの起こっている問題についてどう対処するのか、そのことについて、もう時間が来ましたから、後ほど文書でいただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。
  93. 前田正男

    前田主査 これにて松浦利尚君の質疑は終了いたしました。  次に、木下元二君。
  94. 木下元二

    木下分科員 私は、国民の命と暮らしを守る立場から、大阪国際空港問題に関連しまして運輸大臣の所見を伺いたい、こう思う次第でございます。  航空機騒音被害の最も激しい兵庫県の川西市それから大阪府の豊中市の住民二百七十一人の人たちが、現在空港裁判を起こしております。快適で健康な生活を続けたい、こういう、国民としてごくあたりまえな要求、あたりまえな願いのもとにこの裁判闘争をやっておる次第であります。  そこで、まず運輸大臣にお尋ねいたしたいのでありますが、国電並みの間隔で発着をするジェット機の騒音、空港周辺の住民はもう飛行機の音が痛いと訴えております。この飛行機の音が痛いという周辺住民の被害実態というものが理解できるでしょうか。お尋ねいたします。
  95. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 航空機の騒音問題について、全国的に見ましても、伊丹の空港の周辺が一番これは被害が大きいと考えております。  それで、それがどういうふうに人体に影響を及ぼすかというようなことにつきましても、航空局は航空局で従来から何回となく調査をしてまいりました。また、御承知のように航空公害防止協会という協会がございますが、そこでも調査をいたしております。また一面、先般できました環境庁、ここでも調査を進めておるのであります。結論はまだなかなか出ませんけれども、医学的な結論はまだ手元に届きませんけれども、しかし相当国民生活には大きな被害を与えているというような事実は認識いたしておるのでございます。そういうことがございますので、これはまたあとで御質問がいただけるかと思いますけれども、私ども、今度は伊丹の空港を一つのテストケースにいたしまして、新しい組織をつくりまして地元の方々とも十分話し合いをして、そして航空機による騒音被害を最小限度にとどめるように努力しようということでいま案を練っておるところでございます。この点はよく了承しておるつもりでございます。
  96. 木下元二

    木下分科員 国民生活に相当な被害を与えているようだということは言われたわけでありますが、これが、ただ不快感を覚えたりあるいは睡眠を妨害されたりということだけじゃなくて、たとえば聴力がそこなわれたりあるいは流産や高血圧、こういった異常な事態を起こしておる。あるいは伊丹周辺で生まれてくる出生児の体重が、ジェット機が飛ぶようになってから、周辺の都市に比べて一段と低くなっておる、こういうような、まことにおそろしい事態も調査の上にはあらわれておるわけなんですが、こうしたことは御承知でしょうか。
  97. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 先ほどもちょっと申し上げましたが、具体的に、医学的にというのでございましょうか、いまお話のような聴音でありますとか、あるいは妊婦に影響があるとか、いろいろ調査はあるようでございますけれども、まだそれがまとまってわれわれの手元には届いてないのであります。そういったものは、さっきも申し上げましたような方々の機関でいま鋭意調査を進めておるところであると思います。でありますから、結果的にそういったものをよく検討いたしましてこの問題に対処する以外はないと考えておりますが、先生のお調べで、あるいはあなたのほうがそういったものは詳しい其体的な資料を持っていらっしゃるかもしれません。ひとつできるなら御提出をいただきまして、われわれもそういったものを十分参考にして考えなければならぬとは思いますけれども、そういったいろいろな機関で調査しましても、まだ、それが必ず因果関係を持って、医学的にこれがこうだからこうだというようなものが今日までわれわれのところには出てないのでありまして、この点についてさらに関係機関に調査を進めてもらうようにしなければならぬと思っている際でございます。
  98. 木下元二

    木下分科員 たとえば京都大学の山本教授はこのように述べております。聴力についての問題ですが、「断続的な騒音でも一〇五ホン以上では、一時的な聴力損失が起こることを実験で確かめた。これが永続的な難聴につながる恐れもあり、八五ホン以下でなければ安全でないとする研究もある」こういうふうに問題を指摘しております。それから、いま空港訴訟で裁判が行なわれておりますが、付近住民の被害者の方々がいろいろと証言をいたしております。たとえば現に五十歳になった主婦の米田久野さんが言っております。「昭和三十九年にジェット機が飛びはじめてから頭痛、イライラや耳なりなどがはげしくなり、金属音が頭にこびりついて夜もねむれない」こういうふうに先月二十一日の口頭弁論でも証言をしております。こういうふうな事実によって明らかにされております被害についても、大臣は騒音の影響による被害はないと言われるわけですか。
  99. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 ないということを答弁した覚えは私はありません。あると思います。ただ、それがどういうふうに影響をいたしまして、医学的、科学的に見てどういう対策を講じなければならぬかということにつきましては、両方の、騒音と人体との関係、それがどういう条件でということについては、われわれのところにまだそういう科学的な、医学的な調査結果というものが届いておりません。でございますから、それの調査結果をいま待っておるところでございますということを申し上げたのでございます。いまそれがない。必ずそれが、あの周辺に起こりましたところのたとえば乳児に対する影響とか、妊産婦に対する影響というのがすべて騒音の関係から来たのだという判断もまだできないというようなことで、私はそういった問題については、人命を守る立場からもちろんこれは真剣に取り組むべきことは言うまでもございませんが、そういった問題についての科学的、医学的な調査がもう少し進みました段階で、これはおそらく環境庁という役所がございますからこれも当然乗り出してくるだろうと思います、関係省で相談をいたしまして、それに対する対策を至急に講じなければならぬということを申し上げたっもりでございます。
  100. 木下元二

    木下分科員 そうしますと、もう一度確認をいたしますけれども、この空港の騒音による被害というものはあるんだ、ただ医学的な、いろいろな専門的見地からの分析、そういったものが十分にされていない、対策についてもどうした対策をとるかということについて十分検討されていない、そういったことを今後の課題として検討していく、こういうふうに伺っていいわけでございますか。
  101. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 私も、あるとかないとかということになりますと、これは何らかの意味ではあるに違いありません。しかし、いま申し上げましたように、また、いまお述べになりましたように、科学的、医学的にどういう因果関係をもって人体に影響するかということについては、いま公の機関でどこもそういう結論がまだ出ておりませんので、それを待ってわれわれとしてはさらに具体的な検討をしなければならぬということを申し上げているわけでございます。
  102. 木下元二

    木下分科員 ちょっと大臣の答弁の趣旨が変わってきたように思うのですけれども、これは速記で調書ができておるのでわかるわけでございますが、私は初めに騒音の影響による被害はないと言われるのかどうかと伺いましたら、いやそうではない、騒音の影響による被害はあるんだ、こういうふうに言われた。そしてその上で、ただ医学的な見地からの分析が十分にされていないとかいうことで、結局騒音と被害との因果関係はお認めになったのです、いまの御説明では。因果関係はお認めになった上で、ただその因果関係のコースと申しますか、その経路がどうなのか、医学的な見地から十分検討する余地がある、こういうふうに私はいまの大臣の御答弁を伺ったのです。それは私の受け取り方が決して間違っていたとは思いません。これはいまの速記録にはっきり出ておると私は思いますが、こういうふうに理解していいわけでございますね。
  103. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 あると思います。あると思いますが、たとえば非常な騒音で目をさました、これは騒音による影響があったわけですね。だから、そういう意味におきましては騒音の影響というものはある。これはないと言うのがおかしい、だろうと思います。必ずあります。ただ、それがさっき申し上げましたように科学的、医学的に——私は医学のことよくわかりませんけれども、科学的、医学的に分析をして、騒音の結果それによって先ほど御指摘になりましたような乳児に対する影響でありますとか妊産婦に対する影響でありますとか、そういったものが医学的、科学的にどういう因果関係がつくかということについては、私はまだそういう関係は権威ある機関から調査結果をもらっておりませんので、早くこの結果を出してくれることを期待しておるのですと、こういう趣旨で申し上げておるつもりでございます。
  104. 木下元二

    木下分科員 専門的な見地の検討は、これはけっこうでございます。そうでなくて、問題は騒音とそれからその被害との因果関係、これはいまの答弁では認められたのと違うのですか。因果関係はある、こう私は伺ったのですけれども
  105. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 これはことばの問題ではございませんで、被害とおっしゃいますけれども、その被害というのは一体何だということですね。どんな被害か。全然被害がなかったということはありません。その意味において私は被害はありますということを申し上げておるわけです。ですから医学的に見て、騒音のためにどこか悪くなった、また妊産婦にどういう影響があったというようなことにつきましては、これはまだ因果関係について何も立証するようなものがありません。これはあなたも御研究で御承知でございましょうが、各国とも、国際的な機関でありますICAOなんかでもそういう問題についていま取り組んでおるようでございますけれども、そういったことについてもまだ日本と同じような状態であるようでございますから、この点はほうっておくのじゃありません、真剣に研究をいたしましてこれに取り組んでまいりますけれども、この被害というのは一体何だということになりますと、これは全然関係はないということは申し上げられませんということを初めから申し上げておるつもりで、その意味においては影響がありますということを申し上げているわけでございます。
  106. 木下元二

    木下分科員 一応そのように理解しておきます。ここで議論しましても時間が経過するばかりでありますから、次に移ります。  昭和三十三年一月に伊丹空港が全面返還をされまして、三十四年七月に大阪国際空港になったのであります。すでに当時、民家が密集しつつあった地帯であります。大阪へのベッドタウンとしまして市街化が急速に進んでおりました。その後の昭和三十九年にジェット機の乗り入れが行なわれました。運輸省が認められたわけであります。大阪空港のように人家密集地域にある空港にジェット機の全面乗り入れを認めたケースというのは、日本以外のどこかにあるのでしょうか。あるかないか。あるいはおわかりにならなければけっこうです。もう時間がありませんので簡単に……。
  107. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 政府委員から申し上げます。
  108. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 私もいま正確なデータを持ち合わせておりませんが、密集の程度が問題でございますが、人家が近所にあるところで乗り入れておるところはございます。
  109. 木下元二

    木下分科員 まあ、いわゆる人口密集地域というのは社会通念的な概念で言っているのですが、昭和三十九年当時の大阪空港周辺の密集度を度合いとして伺っておるのですが、どうでしょうか。簡単でけっこうです。
  110. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 私も数字的な問題ではお答えできませんけれども、たとえばロンドンのヒースロウとか、あるいは香港あたりとか、そういうところにおいては相当人家の中に入っておるというふうに私は伺っております。
  111. 木下元二

    木下分科員 まあ、ほかの地域のことをいまここで論議することは省きます。  三十九年にジェット機の乗り入れが行なわれるようになったのでありますが、被害が出てくることを承知で行なった空港の拡張、ジェット機の乗り入れ、こういう国の施策は、これは大臣、不法行為と思われませんか。これも一言でけっこうです。思うか思わないか。
  112. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 政府委員から答弁させます。
  113. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 先生指摘のように、昭和三十三年に大阪国際空港が返還されたわけでございます。大体その当時は大阪府当局の強い要請もございまして、ぜひ伊丹を国際空港にしてくれというふうな要望もあってやったのでございます。  その後三十九年に御指摘のようにジェット機が入りました。ただし、その当時においてはそれほどの問題はなかった。ただ、四十五年になりましてB滑走路ができまして、それから相当多くのジェット機が入ってまいりました。それ以後、確かに周辺の住民の方々には相当騒音の御迷惑をかけておるというふうに私ども考えておるわけであります。
  114. 木下元二

    木下分科員 それでは、いま大阪空港の裁判の問題ですが、裁判の中で、運輸行政には問題はない、こういうふうに運輸省、国のほうは主張しておりますが、現在、空港周辺で起こっている多くの問題というのは、騒音の源である空港行政に責任があるのか、それとも住民の要求が不当だといわれるのか、どちらでしょうか。
  115. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 これは裁判上の問題でございますから、その点につきまして、必ずしも裁判所におけるような明確な答弁では私ございませんけれども、私自身の感じを申し上げれば、本来、大阪空港設置当時におきましては、それほどの悪影響は与えなかったであろうと思います。しかし、現時点におきましては、やはり相当な悪影響を与えておる。したがいまして、それにつきましては、やはり国の責任におきまして、空港の周辺の整備をいたしますなり、騒音を軽減する対策を講ずべきであろうと考えております。
  116. 木下元二

    木下分科員 よくわかりました。現在、裁判中でもありますし、裁判の内容に触れたことについては運輸省のほうとしてもお答えにくい点があると思いますが、たとえば、四日市判決などもよくこれは御検討されたことと思いますが、とにかく国民の健康をむしばむような設備を設置することについて、十分の調査もなしにそういった設備をするということは過失があるのではないか、これによって住民に損害を与えた場合には不法行為ではないか、こういう考え方があの四日市判決でも示されておると思うのですが、よく今後の課題としまして御検討いただきたいと思います。  それから、実はここに、「もう飛ばないで」という四百五十円の本があるわけであります。この本は、もうすでにお読みになったことと思いますが、一つだけ私、御紹介をしておきます。詩が書かれております。  ひこうきさん なぜ うるさいの。  ひこうきさん もっと おとなしくしてよ。  べんきょうや ねるときも、うるさくて ねら  れないし、べんきょうが できないわ。  ひこうきさん 小さい音で とんでね。  なぜっていえば うるさいからよ。  ひこうきさん うるさくしてれば テレビが  へんになるし、みんな うるさいってゆうて  わよ。  おねがい ひこうきさん。  ね、おねがい。  ぜったい うるさくしたら いやよ。 これは小学校一年生の詩であります。子供心ではありますが、加害者はジェット機であり、運輸行政であると鋭く追及をしておるのであります。大臣は、これを聞かれてどのように思われますか。
  117. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 今日の伊丹空港の騒音問題が非常に関係の地元住民にいまお読みになったような影響を与えておるということは、地方の自治体の方々からもよく承っておるのでございます。  そこで、問題は、私たちの第一の責務といたしましては、その空港における騒音被害というものを早く最小限度のものにしようという努力をすることが第一でございます。今度の第三セクターというような問題もそこからきておりますし、その前にも地元の要望を受けまして、たとえばジェット機の発着回数を最小限度にするとか、あるいは減便をするとか、夜間の発着はやめさせるとかいうようなことを今日まで実施をしてまいりました。  少し答弁が長くなるかしれませんが……(木下分科員「ひとつ簡単にお願いします。時間がありませんので」と呼ぶ)新しい国際空港を早く結論を得て完成したいというようなことも、これは地元の御要望もありますけれども、われわれとしては、そういうふうな伊丹におけるいろいろな問題の根本的な解決につながってくる問題であると思いまして、新空港の問題にも取り組んでおるということを御承知いただきたいと思います。
  118. 木下元二

    木下分科員 現在の大阪空港を欠陥空港というふうに思われますか、どうですか。これはイエスかノーでお答え願いたいと思います。
  119. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 欠陥空港というあなたのそういうふうな定義のしかた、じゃ、欠陥空港とは何だというふうなことになりますと、これはたいへんお答えしにくいんです。ただ、しかし、先ほどから申し上げておりますように、騒音について、人家の密集地帯で住民に対して相当の影響を持っておる空港でございますから、そういう意味におきましては、この騒音被害というものを最小限度にしなければならぬ空港の一つであるということは間違いのないところでございます。
  120. 木下元二

    木下分科員 環境庁の方がお見えになっておると思いますが、公害課長に伺いたいのですが、環境庁は、この大阪空港をどのようにお考えですか。欠陥空港と思いますか、どうですか。これも一言でけっこうです。
  121. 松井三郎

    ○松井説明員 お答えいたします。  大阪空港は、環境保全上非常に問題がある空港でございますので、この解決のために所要の対策をとらなくてはならない空港であると考えております。
  122. 木下元二

    木下分科員 いや、私がいま聞きました欠陥空港であるかどうかという問いに対してはどうですか。
  123. 松井三郎

    ○松井説明員 欠陥というのはどのようなことかということですが、環境上の問題からすればそのようなことかと思います。環境上は至急改善を要する空港である、かように考えております。
  124. 木下元二

    木下分科員 ちょっと意味がわかりかねたのですが、私の問いは、欠陥空港であるかどうか——だから、その欠陥空港というものがよくわからないし、そういうものには該当しないと言われるならそれでもけっこうですが、ちょっと私の問いに対するお答えを伺いたいのです。
  125. 松井三郎

    ○松井説明員 欠陥空港とか、いい空港とかということになりますと、いろいろな意味やいろいろな角度から検討を要すべき問題でございますので、一般的に環境庁がこれにつきましてそのような見解を述べることは困難でございますが、環境上の問題につきましては、至急改善を要する空港と考えております。
  126. 木下元二

    木下分科員 私がそういうふうに伺いましたのは、前環境庁長官がこの大阪空港を調査されまして、これは欠陥空港であるということをはっきり住民に言われたから聞いているのです。その見方を環境庁長官がかわったことによってお変えになるわけですか。——それはけっこうです。そういうふうに伺っておきます。  もう時間がありませんので、この初めに言われました現在運輸省が考えておられます空港周辺整備第三セクター、その必要性はどこにあるのでしょうか。これも簡単でけっこうでございますから……。
  127. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 第三セクターと申しますか、私どもは、いまこれを大阪空港周辺整備機構、こういうふうに呼んでおりますけれども、その必要性でございますが、まず第一に、現在までも、先ほど大臣からもちょっと御説明申し上げましたが、大阪空港に対する騒音防止については皆無ではありませんでした。つまり公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律というものがございまして、それによって一部手当てはしておりました。しかし、それでは非常に不完全であったと率直にいって言わざるを得なかったわけでございます。と申しますのは、まず第一に、民家に……(木下分科員「詳しいことはけっこうです。時間が迫っておりますので簡単でけっこうです」と呼ぶ)そこで、この大阪空港周辺の騒音被害を軽減するためには、やはりある程度の土地の利用計画を立てて、それによって規制していかなければならない、そのためにはやはり民家の防音工事をしなければいかぬ、そういったことをいたすためには、政府みずからではなかなか能率があがらぬ。したがいまして、こういった周辺整備機構という特殊法人をつくりまして、それによってこういった仕事を実施していこうということが一番大きな意味であろうというふうに考えます。
  128. 木下元二

    木下分科員 実はこういうふうにお尋ねしました趣旨は、「空港周辺整備第三セクター・昭和四十八年度予算要求書参考資料」という運輸省航空局騒音対策課の書類がここにあるわけなんですが、これによりますと、こう書かれておる。第一に、周辺住民運動も日増しに激化しており、現在行なわれている裁判の結果も予断を許さず、四日市公害裁判並みの社会問題になるおそれがあるため——設置の理由ですね。それから第二に、新関西国際空港建設の障害を取り除くため、第三に、土地利用を中心とすと施策が要求されておるということが書かれております。  そうしますと、いまあなたが言われましたけれども、言うならば裁判対策、それから私のほうから言わせれば、これは住民運動の分断ではなかろうか、こういうふうに思わざるを得ないのであります。いま初めに言われた御答弁とここに書かれてある内容とは違うと思うのですが、その点はどうですか。
  129. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 それはいろいろ書いてございますけれども、要するに、言わんとする趣旨は、現在伊丹空港周辺の方々が騒音のために非常に困っておられるのだということがまず第一でございます。したがいまして、そういうふうな騒音を何とかして軽減することをしなければ、住民の方々がお困りだろうという点が第一点。  それからもう一点は、新関西空港でございますが、これもまた大阪空港の騒音対策、これはやはり抜本的に解決するためには、かりに関西に何らかの空港が必要であるとすれば、新しい空港をつくらなければならぬということが第二点。  そういった点から申し上げていることでございまして、いろいろ表現の点につきましては、誤解を生ずる点もあるいはあるかもしれませんが、趣旨はこういうことであると私は存じております。
  130. 木下元二

    木下分科員 裁判対策ということがあるのですが、裁判対策ということは違うわけですか。—これはけっこうです。受けとめ方、取り方の違いと言われるようですから、私の理解は、その書かれてある内容どおり、そういうふうに考えざるを得ないと思うのですけれども……。
  131. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 ちょっと一言申し上げます。  そういう裁判対策とか、地元の住民の反対運動を緩和するための対策だとか、そういうことではございませんで、やはりわれわれ運輸省としましては、国民の利益を守ること、国民の福祉を増進することが役所としては当然のことでございますから、裁判があろうがなかろうが、とにかくそういったものにつきましては、住民の方々が安んじてそこに住んでもらえるような環境をつくろうというのが、この法律案を出しておる趣旨でございます。その点は誤解のないようにお願いします。
  132. 木下元二

    木下分科員 けっこうです。  そこで、この第三セクターの問題について、すでに伊丹市は反対をし、それから兵庫県のほうも、つい先般大阪空港は将来廃止すべきであり、住民の納得がない限り空港設立に協力しない、こう言っておるわけです。これは新聞にも出ました。住民は、この第三セクター設立を納得しておりませんし、県も、市も、反対の意向を示そうとしております。運輸省は、それでもこの第三セクターを強行するという御意向ですか、これも一言でけっこうですから、伺いたい。
  133. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 地元とは、これまでも十二分に打ち合わせてきたつもりでございます。全然運輸省だけが独走しているわけではございません。今後の問題につきましても、地元の住民、したがって、それを代表する方は地方自治体だと思いますが、そことは緊密な連絡をとり、十分の理解を得てこれは進めなければならぬと考えておる次第でございまして、いまもその点について具体的にいろいろお打ち合わせを進めておる最中でございます。
  134. 木下元二

    木下分科員 もう時間がありませんので、最後に大臣に対して要望だけしておきます。  私は、この第三セクターによる対策というのは、住民がいますぐ実施を要求している緊急対策、これに目をつぶるものだと考えます。五千三百億円にものぼる多額な費用を投入して住民追い出しの第三セクターをつくる、そういうことよりも、費用もかからないし、しかも、効果的な方法というのは、この航空機発着のきびしい規制、ジェット機、大型機の乗り入れを禁止をする、そして夜間の発着を全面禁止をする、こういうふうな措置をさしあたりとることが何よりも私は必要だと思うわけです。私は、運輸省が住民を追い出すような第三セクターをやめて、公害の元凶である伊丹空港を撤去せよ、これは住民の声であり、要求であり、意見であると思うのです。そしてこれはいま大きく広がりつつあります。私は、この住民の意向を十分に第一に尊重をされて措置をされるように、運輸省に強く要請をいたしまして、終えたいと思います。
  135. 前田正男

    前田主査 これにて木下元二君の質疑は終了いたしました。  次に、田中昭二君。
  136. 田中昭二

    田中(昭)分科員 航空問題につきましてお尋ねしたいと思います。  いまの委員からもたいへん航空機の騒音の問題についてお話があっておりましたが、最近航空機事故等がだいぶん起こりましたね。ほんとうはこういうことが起こってからあとで考えるということではいけないのですけれども、政府は、人命尊重、また人間の豊かな生活を保障するという立場でなければならない。そういう意味では、ようやく行政指導らしいものをされておるようでございますが、その一方、航空輸送につきましてはたいへんな需要の増大というものもあるわけでございます。それについてまた空港整備というものにがんばっておられるということも私たちも承知しておるわけでございますが、その際、一番大事なことは、やはり人命の尊重、公害の防止という立場を忘れては何のための行政指導か、また整備かということになるわけでございますが、人命の尊重、公害の防止ということについて、当局としては断固としてそれに沿って整備を行なっていかれるかどうか、その点をまずお聞きしておきたいと思います。
  137. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 ただいまの点、まことに先生のお説のとおりであると思います。運輸省といたしましては、空港整備にあたりまして十分その点を配慮していくことといたしております。
  138. 田中昭二

    田中(昭)分科員 そうしますと、ことばを返すようでたいへんあれでございますが、事情があるかと思いますから、具体的事実をあげながらお尋ねしていきたいと思います。  いま空港整備がそういう立場に立って行なわれておるということでございますが、私のおりますところに福岡空港というのがございます。これは昨年米軍から返還されまして、七月に民間空港として開港しております。それと前後しまして空港整備が行なわれておるわけでございますが、その整備の一環事業としまして、航空燃料のタンクを移動したわけでございます。ところが、この航空燃料のタンクの建設場所がたいへん危険が予想される。  具体的に大臣は御存じないと思いますから、少し説明を加えますと、いま新しく整備しておりますタンクは、一つの道をはさんで四、五十メートルのところにもう民家があるのです。こういうことになりますと、先日も何か自衛隊の航空燃料が流れて火事を起こして焼けたり、アメリカでは爆発しまして死傷者を出しておる、こういうことを考えますと、こういう場所にそういう給油タンクをつくるということは、私はどうも先ほどおっしゃったことと違うような、たいへん人命軽視の危険な場所に航空局は建設を強行している。強行しているということばは悪いのですが、そういうふうに思うのです。いまの福岡空港の給油タンクの建設場所をどのような意味で御決定なさったのか、それをお聞きしたい。
  139. 隅健三

    ○隅説明員 運輸省の計画といたしましては、将来福岡空港を九州地区の民間航空の基幹空港として整備する方針を持っております。従来米軍管理下に置きましたために、やむを得ず現在まで東側部分だけを民間航空の専用地区といたしまして、部分的に整備をはからざるを得ませんでしたけれども、今後は、東側の県道の拡幅だとか、駐車場の整備に加えまして、地元地方公共団体が行なっております周辺地区の開発状況、または西側地区における米軍の残留施設、それから自衛隊の施設の移設、移転状況等を考慮しながら、西側地区にも民間航空の施設を併設していくことといたしまして、福岡空港の用地の有効な活用をはかっていくものでございます。したがって、その観点から、将来の空港のマスタープランといたしまして東側地区、特にその南のほうは先細りになっておりますし、また、その北部のアラート地区には現ターミナルビルの拡張と整備地区を予定しておりますので、現在建設中の東側、いま先生が御指摘ございました青木町の前面の地域に貯油タンクを敷設することが適当であると考えた次第でございます。  なお、福岡市の御好意によりまして、福岡市の空港消防出張所を場内に設置する際にも、市当局が御希望になった場所の一つが、この現在の給油施設のすぐそばということからも、当該場所が適当であると判断したのが理由の一つでございます。
  140. 田中昭二

    田中(昭)分科員 いや、いまのお話では、それは航空局の一方的な言い分ですよ。市がそういうことを了解したとかなんかということをおっしゃいますけれども、その市の了解をとる前に、航空局は地元住民とも約束をちゃんとしているんですよ。そういうことをよくお考えになってお答えいただかなければ、次の質問ができませんからね。  それでは、大臣わかりにくいと思いますけれども、いまのお答えは、いまある東側のこれが狭隘だから反対側の西側のほうに何か整備をする。それはマスタープランとかなんとかおっしゃったのですけれども、西側を整備するために東側に給油タンクをつくらなければならない、こういうふうにおっしゃったことになるわけですね。それでいいですか。
  141. 隅健三

    ○隅説明員 西側のほうの開発につきましては、まだ具体的な規模までは策定をしておりませんけれども、方向といたしましては、西側のほうの整備を考えておりますので、先生の御理解でけっこうだと存じます。
  142. 田中昭二

    田中(昭)分科員 問題は、その場所がたいへん人家に近い。ですから、ただ市にもいろいろ話したとか、そういうことで、これは解決しない問題だと思うのですね。現場の状況は、いま言いましたように、その新しい給油タンクができましても、そこから四、五十メートルのところに人家があるわけですよ。それでは人命の尊重というようなこと——騒音でも困っているのですよ。新しいものをつくる場合に、なぜしいてそういうところにつくらなければならないのか。  そこで、一番大事なことは、その場所につくることについて、航空局はどのような努力をし、地元住民の理解を得ただろうか。一歩下がっていえば、そういうことになるわけですよ。その辺のことをはっきり答えてください。
  143. 隅健三

    ○隅説明員 運輸省といたしまして、福岡空港の返還に際しまして最も苦慮いたしましたことは、空港用地のうち約四〇%をこえる民有地の借り上げの問題がございました。当時一、二の土地返還の訴訟が係属中でございました。これらを解決しながら、円満に借地契約を締結するために、約四百人にのぼります地主の大半をもって組織なさっておりました地主組合を中心といたしました板付基地対策協議会、これは現在、福岡空港地域対策協議会と名前を変えておりますが、この協議会と交渉するということになりました。  この協議会は、土地契約問題のみならず、空港周辺の開発整備等の種々の問題についても、これは借り入れの契約条件として持ってきておりましたし、また福岡市当局も、もっぱらこの団体を交渉当事者として理解を示しておりました。運輸省といたしましても、同協議会との間に長い交渉を続けてきたわけでございます。  いま御指摘の給油施設の設置の問題につきましても、この協議会を通じてお話をいたしました。給油施設の保安装置の強化であるとか、あるいは周辺環境整備対策の趣旨においても、当初の予定よりもかなり位置を後退させたりあるいは消防法の基準を大幅に上回る安全措置を講じたり、防壁だとかスプリンクラーだとか街灯の設置、植樹の要請等も受け入れまして、その協議会の御了解を得るに至ったものでありまして、運輸省といたしましては、地元にも同意が得られたものと理解しておりました。
  144. 田中昭二

    田中(昭)分科員 そういう協議会の了解を得たとかなんとかいうけれども、それは実際現場のことを御存じなくて、ただ自分たちがやったことは筋を通してやったのだというが、それであるならば、ああやってすわり込みをやって新聞にも堂々と出て、市議会でも問題になって全国放送もされて、反対運動が起こるというようなことが起こらないはずじゃないですか。それじゃ、あなたたちはそういう反対運動を知っておりましたか。
  145. 隅健三

    ○隅説明員 運輸省といたしまして、現在青木町の住民の方々から強い反対が出ておることは承知をいたしておりましたし、また空港事務所のほうからも報告を受けております。こういうことで、先般福岡市当局にも東京へ出てきていただきまして、その間の経緯、それから反対の理由をいろいろ伺ったところでございます。運輸省といたしまして、まことに残念ではございますけれども、反対があったという事実を考えますと、従来の理解が必ずしも十分ではなかったということを反省しております。
  146. 田中昭二

    田中(昭)分科員 問題は、その反省が大事なんです。反省したからといって、いまできている給油タンクに不慮の災害がないという保証じゃないわけです。これはあとの問題になってくるわけです。騒音の問題でも、これだけ住民の反対があっている。また、もしもちょっとした災害でこれが爆発なり引火したらたいへんなことになることを考えますと、この辺で、人家から離れた空港のあき地はまだたくさんあるのですから、そういう人家のないようなところに給油タンクを持っていくようなお考えをされたほうが、今後の当局の御心配もなくて済むのじゃないかと思いますが、その点、どうでしょうか。工事をやめていただく検討をしたらどうですか。
  147. 隅健三

    ○隅説明員 その点につきまして、いままで申し述べましたとおり、場所の問題としては、やはり将来の空港整備にあたっての用地の有効利用であるとか、福岡市空港消防出張所の施設というような観点から、運輸省といたしましては適当な場所であるという考え方を——非常に考えにくいのでございますけれども、あらためて地元住民の方々と十分かつ具体的な話し合いをいたしまして何らかの解決点を見出すべく、これからも最大限の努力を払ってまいりたいというふうに考えております。
  148. 田中昭二

    田中(昭)分科員 当局はそういうふうにお考えになっているそうですが、大臣、これをお聞きになっておりましてちょっとわかりにくかった点があったかと思いますが、これはやっぱりおやめになったほうがいいんじゃないですか。どうですか。
  149. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 具体的事情はよく知りませんが、いまの質疑応答を通じまして大体把握したつもりでございます。これについて、私ももう少し具体な事情を調べまして考えてみたいと思います。  将来につきましては、いまおっしゃったような観点から、地元の住民に不安を与えないような方法で今後の問題は処理をしなければならぬと思いますが、現在起こっております問題につきましては、事務当局の意見も聞き、また地元のそういう情勢もよく調べまして善処をしたいと考えます。
  150. 田中昭二

    田中(昭)分科員 いまの大臣のお答えで、地元住民が不安がないようにしたい、こういうことでありまして、当局も、もう一ぺん話し合いでもしてみたい、そういうことだということを確認しまして、この問題につきまして——また、地元も、こういう簡単なことでは私は納得しないと思うのです。だれが考えてみましても、そういう住民の強い反対意見があるものを運輸省当局がやるということについては、私はどの立場に立っても賛成できない、許すことはできない。この問題については、私もまた住民の意見を聞きながら進めていきたい、こう思います。  航空問題はそれで終わりまして、次に鉄道の問題でございますが、いまわが国の鉄道の輸送の問題、それからまた騒音の問題、用地、輸送の需要に応じて新線を延ばしていくというような問題については、たいへんいろいろな住民問題が起こっております。そこで、政府の考えております輸送力増強、サービス改善というようなことによって、何カ年計画かによって市街地の鉄道の高架化というものが進んでおるように聞いております。  そこで、私の選挙区の福岡でございますが、ここに西日本鉄道というのがございまして、これが市外地から市内地に入るところまでを高架にするという計画があったわけでございますが、踏切事故等の問題から考えれば、これは私も前から主張しておりまして、踏切事故をなくすには高架しかない。そこの踏切事故だけは、高架にすることで、なくなるのですから、これはたいへんいいことだと思って推進もしてきたつもりでございます。  ただ、今度は、この高架の事業がたいへんおくれて住民が困っておるということがあるのです。その辺のことで、どうしてそういうふうにおくれておるのか、また事情はいろいろありましょうけれども、時間もございませんから簡単に、当初の予定からどのくらいおくれておるものか、それをお聞きしたいわけでございます。
  151. 秋富公正

    秋富政府委員 先生の御指摘のとおり、踏切事故による交通事故を防ぐためにいわゆる連続立体交差ということを運輸省としましても促進いたしているところでございまして、その一つといたしまして、ただいま御指摘の西鉄大牟田線の高架工事でございますが、運輸省といたしましては、昭和四十六年十月に工事の認可をいたしております。このときに、西鉄と建設省の間で取り結びました協定書によりますと、五十年の三月に工事完成ということでございまして、これは三キロ二百四十メートルを高架にすることで十五カ所の踏切道を除去するものでございます。  御指摘のようにどうしておくれてきたかということでございますが、これはいわゆる用地買収の問題につきまして、その半分は大体市が買収するということで進めております。それから残りの約半分はいわゆる区画整理区間でございまして、これを進めているわけでございます。市の買収区間は詳しく申しますと千四百十九メートルでございます。この間につきまして、五百四十メートルにつきましてはすでに市の買収も終わっておりまして、これは四十六年から着工いたしまして四十七年の三月までに約五百四十メートルにつきましては工事を完成いたしました。また、四十七年度におきましては、五百八メートルというものにつきましてことしの三月までにとの工事を完成するということでございまして、これも非常に順調に進んでおりまして、現在市が買収する区間ではあと二カ所、約百三十メートルが残っておるだけでございまして、このほかにつきましては、非常に工事も順調に進んでおるわけでございます。  問題は、いわゆる区画整理区間の千八百二十メートルの問題でございまして、これにつきましては、昨年の三月十六日にいわゆる区画整理が決定いたしたわけでございます。この点につきまして、地元におきましても鋭意その工事の進捗に努力しておるわけでございますが、いまだ現在までにはっきりしていないために工事がおくれているわけでございまして、ただいまの見込みでございますと、明確ではございませんが、大体一年くらいおくれるのではないかとわれわれも憂慮しているところでございます。
  152. 田中昭二

    田中(昭)分科員 私が聞いたところでは、約二年おくれているというのですがね。一年でもいいんですが、一年おくれたことによってどういうことが起こっておると当局はお考えになっていますか。あくまでも鉄道会社のほうじゃなくて、関係の住民がどういう問題で困っていると思われますか。
  153. 秋富公正

    秋富政府委員 私も実は地元でございませんものでございますから、個々の具体的な問題については、はたして明確に答えられるかどうかと思いますけれども、一番大きな問題は、十五カ所の踏切道の除去ができないということが一番大きな交通安全上の問題でございます。  それから第二は、すでに工事をいたしておるところにつきましては、それだけの工事をしたままで放置した状態で使用できないという問題は、いろいろと環境の問題その他において大きな問題がある、かように考えております。  それから、いわゆる区画整理の点につきましても、その地元におきます住民の不安といったようなものについて、私どもとしましてはこの点を憂慮しておるわけでございます。
  154. 田中昭二

    田中(昭)分科員 福岡県のことでございますから御存じないといえばそれでもいいのですけれども、やはり工事がおくれたということについては、ちゃんとしっかりした考え方をもって対処してもらわなければ、大事な国の金なり地方公共団体の金も支出するわけでございますから、そういう点では、ただここでいまあなたがおっしゃったようなことだけではなくて、たいへん住民の生活に悪影響を与えるような問題が起こっておる。大臣、これはちょっと考えてみましても、工事が行なわれますとほんとうに道は悪くなりますし、騒音は出ますし、雨が降っても道路がたいへん悪くなって交通安全上たいへん問題があるわけです。そういうことはもう金に換算できないような被害を受けておると言っても私は間違いないと思うのです。  そこで、そういう点はまたよく指導してもらうことにしまして、かりにこれが予定どおりにできまして、この高架事業について——私はきょうはひとつ提案になるかどうか知りませんけれども、いまから簡単にお話し申し上げますから、大臣も聞いていただいてひとつ判断していただきたいと思うのですが、この高架事業がかりに百億円でできたとします。そうしますと、この費用負担は、御存じのとおり、建設省との申し合わせによりまして、国、公共団体が大体九三%負担するわけですね。それは間違いございませんね。そうしますと、西日本鉄道は七%、かりに全体の工事が百億としますと、七億円の負担をするということですね。そうしてこれは一応西日本鉄道の設備でございますから、これは百億という資産が投下されまして、西日本鉄道の財産には、公共事業の投資で圧縮記帳ができますから七億円の帳簿記載になって、それがそういう処理になるわけです。実際は百億円かかったわけですね。そうすると、西日本鉄道のほうからすれば、それは七億円金を出しまして実際は百億円の資産を取得したことになるわけです。そうでしょう。それはそれで一つおきます。  そうしますと、それができますと、この輸送力もたいへん増強しますし、先ほどの十何カ所での踏切事故もなくなります。輸送のスピードも上がって、結局西日本鉄道自体としては、それは自分のほうで必要だからした仕事じゃないのだから、七億円金がかかりますと、当然輸送コストというものに響いてきまして運賃値上げ、いわゆる輸送も潤滑になりましたし、輸送力も増大しましたし、当然運賃は上げてもらわなければならない、こういうことになるわけです。そうですね。まあ運賃値上げにならなくてもけっこうですよ。結局、そこで今度は高架になりますから、その高架の下の利用が問題になる。国や公共団体の金を九三%出資して、その高架下を利用する場合、その利用することについての権限は全部西日本鉄道にある。自分はその百億の七%しか出してないのですよ。ところが、いまこれだけ土地の問題、特に市街地を鉄道が高架を走るわけですから、わずかな高架下の利用面積にしましても、地元住民としては、これが空閑地で残されようと何であろうと、できれば駐車場にも使いたいでしょうし、子供の遊び場にでもなるかどうか知りませんけれども、そういうことが考えられる。やはり地元住民としてはそういうことを言いたくなる。だけれども、その高架下は、そういう住民の要望に対しては全然配慮がなされない。全部西日本鉄道がそこに商店をつくるなり何なりして、またここで金もうけをしていく。金もうけされることはいいのですけれども、そういう九三%にも当たる国民の血税でできたものが、高架下の利用については何の権限もない。そうしますと、その地域の住民はいわゆるその鉄道を使うことによって運賃は上がって、自分たちの納めた税金を高架に使って、その下の利用もできないということ——大臣、大体いま私が言った建設省の申し合わせ事項は間違いないのですから、ひとつ私の立場に立って、私のいま言わんとすることを理解していただいて、お考えをお聞きしたいと思います。
  155. 秋富公正

    秋富政府委員 これは建運協定、運輸省ということですから、私がまず最初に事務的にお答えさしていただきます。  いわゆる先生指摘のとおり、運輸省と建設省の間に四十四年にこの協定を結びまして、連続立体化につきましての取り結びをやったわけでございます。そのときにおきまして、いわゆる鉄道事業者の負担分といたしましては鉄道の受益相当額ということになっておりまして、何が鉄道の受益相当額かというときに、いま先生指摘のいわゆる高架化というもの、それからあとは踏切除去につきましても……(田中(昭)分科員「時間がありませんから、事務当局からの話はけっこうです」と呼ぶ)
  156. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 研究不足でございまして、おっしゃることは実は知らなかったのですが、これにつきましては、おそらく西日本だけではなく、全般の問題かと思います。いま局長が申しましたように、これは建設省と運輸省が入りまして覚え書きを交換して、この方式でもって四十四年以来ずっときておるということでございましたので、具体的にはあまり知らないでおりましたが、きょういろいろお話を聞きまして考えるべき点があると思いますから、これは私もひとつ宿題にしていただいて検討したいと思います。
  157. 田中昭二

    田中(昭)分科員 やはりそういうふうに大臣よくわかっていただくと思うのです。たいへんおかしいのですよ。利用する人にとっては、輸送の速度は上がったかしりませんけれども、自分は運賃を上げられた上に、自分の税金でつくってあげたその高架下の利用もできないということは、ひとつ考えてもらいたいと思います。  そこで、時間がございませんから次に移りますが、これはやはり鉄道関係でございます。私まだ勉強不足でございますが、国鉄のほうでアジア幹線鉄道網というのがございまして、ここにはアジア幹線鉄道網計画調査特別委員会というものがあって、そこから毎年、実際の当事者は国鉄ですか、派遣されて行っておる。これは海外に対する技術協力というような面もございましょうし、たいへんけっこうなことだと思います。  聞いてみますと、シンガポールからイスタンブールですか、たいへん膨大な計画になっております。この際アジアの状態、また中国の状態、またベトナムに平和がきたというようなことから考えますと、当然そういう面でのわが国の協力なり援助というものが考えられるのじゃなかろうか。  聞くところによりますと、そういうアジア幹線網の援助と同時に、中国に新幹線網を敷くという構想があると報道もされておるようでございますが、この点につきまして、かりにそういう構想があるとするならば、大臣としてはどのようなお考えなのか、お聞きしておきたいと思います。
  158. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 このことも聞いております。アジア幹線鉄道網計画につきましては、これはもう御説明するまでもなく、よく御存じでございますから詳しくは申し上げませんが、そういうことで専門委員会ができておりますので、その専門委員会の要請によりまして、お話しのように調査団を派遣しておる。これは御承知の海外技術協力事業団の事業として、国鉄の専門家が毎年派遣されて調査に当たっておるということだそうでございます。この点につきましては、将来ともおそらく調査がさらに継続されるだろうと思いますが、私の聞いている範囲では、まだなかなか実を結ぶまでには至ってない。なお、各国間の問題もあるものですから、いろいろの関係があってなかなか具体的な結果を得るに至ってないということでございますけれども、日本のいまの置かれた立場からいいまして、こういったものに対しては多少経費がかかりましても、やはり具体的に協力を惜しんではいかぬ、私はそういう態度で今後とも臨んでいかなければならぬと思っております。  それから中国のことにお触れになりましたが、まだ中国から正式には何ら今日まで要請はございません。ありました場合には、もちろんこれも技術的に協力をし、技術援助をするということは当然のことだろうと思いますから、これも積極的な立場をとって協力をしていこうという考えでございます。
  159. 田中昭二

    田中(昭)分科員 時間がございませんから結論を急げということでございますので、最後にもう一問。  中国から要請があれば考えるということでございますが、ちまたに報道されたものを見ますと、何か北京から上海、広州ですか、そういうところまで新幹線の計画があるのだというような報道もされたことを私記憶があるのです。こういうことは、ほんとうに政府がやりたいと思っておるならば、もう国交正常化もできた上でございますし、また過去に中国に被害を与えておるというようなことから考えてみましても、私は、そうゆうものについてはさらに積極的に進めてもらうことがわが国の立場ではなかろうかと思いますから、その点だけ最後に簡単にお答えを聞きまして、終わりたいと思います。
  160. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 お話しのとおりだと思います。わが国の態度としましては、そういう積極的な態度をとっていくべきだと思います。ただ、中国側にいろいろの計画もあるでしょうし、いろいろな考えもあると思いますので、先方がまだ十分計画も熟さないという時期にこちらがあまり積極的になって、国交の上からいって非常に悪い結果を招いても困ると思います。やはり国交が正常化して、お互いにいま大使もきまったようでございますが、そういった中で、こういった必要な問題が順次取り上げられていくと思いますので、そういう要請がある場合には少しもちゅうちょすることなく、積極的に取り組んでいくというような姿勢でもって臨むのが適当じゃないかと思っておるのでございます。
  161. 田中昭二

    田中(昭)分科員 終わります。
  162. 前田正男

    前田主査 これにて田中昭二君の、質疑は終了いたしました。  次に、野坂浩賢君。
  163. 野坂浩賢

    野坂分科員 限られた時間ですから、一、二の問題について運輸大臣にまず質問いたしますが、まず質問の前に運輸大臣に、運輸行政に対する姿勢についてお伺いをしたいと思います。  田中総理も、今日の高度経済成長政策によっていわゆるずっとひずみが出てきた、言うなれば過疎と過密が出てきた、今回は福祉元年といわれるそういう姿勢に変わって、生産第一から福祉第一に経済政策も変えていきたい、こういうふうに言っておるようであります。したがって、運輸大臣としては、この運輸行政をつかさどるにあたって、住民の不便、福祉、そういうものの立場に立って住民の不便を解消する、こういう運輸行政の立場でこれから取り組んでいかれるのかどうか、まず聞いておきたいと思います。
  164. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 日本全体の問題としましては、いま一番困る問題は、非常な過密地帯と非常な過疎地帯とに極端に分かれまして、お互いにそれぞれの悩みを持ちながら困っておるという状況だと思います。田中総理が再三申しておりますように、やはり過密現象、過疎現象というものをこれ以上激化さしてはいけない、そうして過密地帯は過密地帯、過疎地帯は過疎地帯の対策を講じまして、日本国土全般にわたって国民の福祉を増進させるようなあらゆる対策を講じていくのだ、こういうのがやはり現内閣の一つの方針だと思います。運輸行政におきましても、もちろんこの方向でいろいろ施策を練り、また、今度の予算におきましてもあとう限りそういう方向で予算も要求し、新しい施策も講じておるのでございます。その点はお話しのとおりの方向で進んでおる。私も、所管事項の説明のときにも、そういう姿勢で安全と、公害をなくすること、それから過密地帯、過疎地帯のそういう両極端になっているのを解消して、全国民に対して豊かな国土を建設してもらえるような、交通機関としてはそういうサービスの提供を念願しながら対策を進めていきたいということを申し上げたのでございます。
  165. 野坂浩賢

    野坂分科員 いろいろお話があったのですが、運輸行政の上ではよりよいサービスを提供するということと、もう一つ基本的に地域の住民には不便をかけない、こういう立場が必要だろうと思いますが、そのように確認していいのですか。
  166. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 この点につきましては、予算のほうで詳細ごらんくださいますとこれを感じとっていただけると思いますが、昨年提案いたしました運輸省の案では、ともかく国鉄の問題にいたしましても、赤字線はだんだんやめていこう、不経済線はなるべく縮小していこうという方向で考えられておったことは事実でございます。今度は、昨年当委員会におきましても、また、運輸委員会におきましても、いろいろ委員の方々から御議論をいただきまして、そういうことでは困るじゃないか、やっぱり公共機関として一番中核になっている国鉄などは、そういう採算点をある程度度外視してでも地域住民のためになるような交通機関というものは、最小限度確保するような対策を講じなければいかぬというような御議論が圧倒的であったと聞いております。そういう点をいれまして、今度の予算編成にあたりましては、去年と違いまして——これは選択の問題は起こります。どうしてもこれは道路運送のほうに転換したほうが地域住民のためにもいいのだというものは、これは地域の住民の方々の御同意を得ましてそのほうに転換するということは考えなければなりませんけれども、そうでないところは、これは全体として国が相当大幅な助成をし、補助をいたしまして、そういう閑散線といいますか、そういう地方の閑散線、ローカル線でありましても、それを維持していこうというような方向に変わったことは御承知のとおりでございまして、この問題は単に国鉄だけではございません。地方の路線バスなんかにつきましても、これは希望をいえば限りない問題でございますけれども、われわれできるだけこの点に力を入れまして、昨年よりかだいぶ予算額もふやしまして、そういうバス路線についての配慮もしておるという点をひとつ御理解をいただきたいと思うのです。
  167. 野坂浩賢

    野坂分科員 いまお話がありましたように、路線のバスそのものについてお尋ねをしたいのですが、特に過疎のバスについてお尋ねをしたいと思うのです。  いま運輸大臣がお話しになりましたように、去年の九月だったと思いますが、地方バス路線運行維持対策要綱というものが出されました。また、同交付金の要綱というものが示されておりますが、これの趣旨は、非常に過疎地域においては会社の運営そのものが困難になって、休廃止といいますか、廃止をする路線が多くなってきた。その廃止をとめるための一つの政策だと思うのですが、この目的は、会社経営の自立ということが重点に考えられておるのか、あるいは住民の足を守る、言うなれば住民の福祉、こういう立場に立ってこの要綱ができたものか、この点についてお答えをいただきたい、こう思います。
  168. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 ただいま先生指摘の、昨年九月四日付で地方バス路線運行維持対策要綱というものを定めましたが、その中におきまして明確にしておりますとおり、地域住民の福祉を確保するということがこれの目的でございます。
  169. 野坂浩賢

    野坂分科員 そうしますと、この中で、第一種生活路線あるいは第二種生活路線、こういうのがありますね。これは知事が指定をしたということが前提条件になっておりますが、いままでの過疎と過密というのは政治的な問題、経済的な問題から起きた政治の責任を一面持っておるわけですが、そういうところで暮らしておる住民は、だんだん世の中が近代化されるに従って便利になっていくというのが、これは常識でありますね。ところが、いままでバスが運行しておったものが、経営の合理化なり経営の不採算という立場で切られる。それでも住民は反対をしてこれを守っていく。こういう折衝をしておったわけですが、住民福祉の立場に立つこの要綱そのものが五人以下は切り捨てろ、こういうふうな半ば政府が公認をして廃止をすすめるということになりがちですね。五人以上、十五人ということになれば、五人以下には補助はしない、切ってもやむを得ないという、実質的にはそういうことになると思うのですが、大臣はこれについてどのようにお考えですか。
  170. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 政府委員から御答弁させます。
  171. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 この新しい特別対策を定めましたもとは、ただいま先生指摘のとおり、全国のバス事業がいわゆる過疎化あるいはマイカーの発達というようなことに伴いまして、非常に経営状況が悪くなってきておったということは現実の姿でございます。したがって、民間企業等におきましては、路線の休廃止ということをぜひやってもらいたいというような強い要望が数年来あったわけであります。地元の住民の利便あるいは福祉の確保という観点からは、生活最後の足でございますので、当然そう簡単に休止または廃止を納得できるものではありません、これは当然のことだろうと思います。こういったことでここ数年来、廃止させてもらいたい、あるいは廃止することは認めがたいというような、地元との間に非常ないわば摩擦があったわけでございます。こういった状況にかんがみまして、新しい運行維持対策というものを樹立したわけでございまして、その対策におきまして、国があるいは地方公共団体と一緒に協力いたしまして路線の維持をはかる方法ということを念頭に置きまして具体的な対策を立てたわけでございます。ただいま先生指摘の五人以下の密度の問題について、これを切り捨てる方策ではないかというようなきびしい御指摘があったわけでございますが、この対策要綱については、まず第一に補助を要しないで、いわば運賃政策だけでやっていける路線、非常に利用度が高いといいますか、密度が高い路線、これを十五人をこえる路線ということで線を切ったわけでございます。   〔主査退席、藤波主査代理着席〕 これ以下の路線につきましては、どのように路線を整備して、そうしてこれに対して補助金をやって維持さしていくかということを考えたわけでございます。  十五人以下の、いわゆる密度の低い路線につきましては、企業採算だけではやっていけないということで、これに対しまして国も助成をするわけでございますが、その際に、いまある路線すべてあるいは今後新しく延びる路線すべて、十五人以下の路線であれば全部をそのまま認めるということじゃなくて、やはり重点的に路線の再編成ということをすることによって、より運行回数をふやすこともあるいはできるかもしれない、そういうようなことで、中身をもう少し利用者の実態に合うように、いわば再編成をしていただきまして、そうして重点的にその路線を維持していこう、そういう考え方でございます。したがって、十五人以下の密度の低い路線につきましては、五人以下という、きわめて低い路線というようなものについては、あるいは不幸にしてやめなければならない場合も起こる。十五人以下の場合に、特に密度の低い五人以下についてはそういう場合も起こる。こういったものの対策としては廃止代替バスというようなものを市町村においてかわりに走らせるという場合が従来からもあったわけでございますので、そういったものにつきましては、その代替バスの車両購入費という形で補助をしていくということでございます。そういうことで、五人から十五人という間の路線については、路線を整備いたしまして、そしてこれについて補助金を出していく、こういうような考え方に立ったわけでございまして、いずれにいたしましても、全体の目的にあるように、バス事業をそのままほうっておきますと、全体的に過疎化現象が蔓延いたしますので、この路線を重点的に整備して、そして維持をはかっていこうということでございまして、切り捨てていこうということではございません。
  172. 野坂浩賢

    野坂分科員 局長のお話では、いわゆる運行を維持する、そういう要綱ですね。しかもいまお話がありました路線の再編成ということですけれども、たとえば鳥取県における日ノ丸バス等は、二十三路線切る、こういう申請をしようとしておるわけですね。そういたしますと、いま運輸大臣がお話になった冒頭に、そういう過密、そういうところではなしに、そういう不便なところも不便のないように、在来路線というものは、国鉄でももしできないところはバス路線にでもかえていく、こういうお話があったわけです。しかも維持要綱ですから、いままであったバス路線そのものが切られるということになれば、所得の低いそういう住民というものは都市のほうに出かけることはできない。モータリゼーションといっても、その自動車を買うこともできない、歩いて出ろ、この近代化した時代にそういうことに結果的にはなりはしないかと思うのですが、どのようにお考えですか。
  173. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 五人以下の路線、これは非常に乗客の少ない路線でございますが、そういった路線について、これをいかなる場合でも絶対的に維持しなければならぬというような意味にとられますと、不幸にして廃止される場合があり得るわけでございますので、そういった場合の補助として、先ほど来申し上げました代替バスの購入費、いずれにいたしましても地方の住民の足でございますので、こういった廃止というようなことを事業者が一方的に採算上の見地からだけでやめるということは許されないわけでございまして、地元との間にいろいろな方法によってこれを維持すべく協議が持たれるわけです。具体的には各県に過疎バス対策協議会というような、関係者からなる協議会をつくりまして、どういうふうにすれば最もこのバス路線が維持しやすいかというようなことについて、その協議会を経まして、その結果、ある路線はたとえば不幸にして切られる場合もある。そういった際に、市町村が肩がわりに自家用バスを走らせるという例がかなり従来からあるわけでございます。こういったものについては購入費補助でまかなっていこうという、全体としてお考えになっていただきたいと思うわけであります。
  174. 野坂浩賢

    野坂分科員 代替バス、確かに逃げ手としてはそういうことがあると思うのです。しかしそれは会社がもうかっておるところもあるのですよ。もうかっておるところはやめないのです。もうかってないところだけはやめよう、これが私企業の、資本主義の姿ですね。そういうところは町村がバスを購入すれば購入費は出してやる、しかし運営そのものは困難になってきますね。その町村はそれによって非常に財政的に困難をきわめてくる、しかし住民の足を守るためにやむを得ない。そうすれば財政的には負担がある。そういうことを見捨てないで、国としてはそういう不便をかけない、住民の足は守っていく、こういう立場で指導もしてもらわなければならぬ。さらにいわゆる自動車会社は、そういう意味ですから、それならば補助金をということが具体的に出てくる可能性があります。そうするとまた町村は対策協議会の中で出していかなければならぬ。国は知らぬ顔をする、五人だよ、こういうかっこうになってくれば、血の通う運輸行政、そういうことには、運輸大臣の先ほど冒頭に私にあった答弁と相矛盾をしてくる、私はそう思います。それについては、この要綱についての運用面でも運輸大臣としては考えていくべきだ、こう思うのですが、どうです。
  175. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 方針としてはおっしゃるとおりだと思います。私は法規は詳しく調べたわけじゃございませんが、そういう地方の旅客を運送しておりますバス路線、そういったものを開設する場合も廃止する場合も、おそらくこれは陸運局の監督を受けまして、それについて許認可の仕事があると思います。でありますから、そういう意味でただ黙ってもうかるところだけやって、損なところはどんどんやめていくということには仕組みはなっておらないと思います。でございますから、そういう問題については、これは具体的な路線によって、いまおっしゃるような地域住民の最後の足を守っていくのだ、そういう考え方で陸運局も指導をしなければならぬと思うのです。ですから廃止の許可願いがありましても、それは簡単に、そうですかというわけにはいかぬだろうと思います。そういう場合にはどうしたらあなたがおっしゃるように、最後の住民の足を守るにはではどうするんだということで、やはり地域の市町村なりそれから関係の会社なり、また運輸省の立場から陸運局なりで十分具体的な協議を遂げまして、そうしてやはり最後まで最小限度の住民の足だけは守っていくというような考え方でみんなが相談をしてきめてくれるように、私たちもそういうふうな気持ちで指導して参りますが、この点は、これからもそういう問題が多くなると思いますし、先生のおっしゃるようなことを全国的にやっていこうとするのには予算額が足りないと思います。そういった問題につきましても、今度は予算額でいって四十七年度は四億くらいが十二億になったので、運輸省は相当、これは二倍半にもなったんだと喜んでおるのでございますけれども、そういうことをもっと全国的にやっていくのには、もう少し予算的措置も考えていかなければならない面もあると思います。それは努力をいたします。
  176. 野坂浩賢

    野坂分科員 いま運輸大臣がお話しになったように、この補助金というものは昨年度四億七千万が十二億八千万になった。それだけ過疎バスも進行しておるという一面を持っておるわけです。したがって、最後の足を守るといういまおことばだったのですが、最後の足を守るために陸運事務所なり町村なり県なり、そういうことにだけ監督機関で制限をするということでなしに、もう一面、側面としてはたとえば補助金、そういうものもやはり考えていかなければ、最後の足は刀で切るというかっこうだけで責めつけるということよりも、やはり運輸省としてはあたたかい手を差し伸べていく、こういうことが一面必要でなかろうかと思うのですが、どうでしょう。
  177. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 ただいま私がお答えしましたのもそういう趣旨でございますから、さっき申し上げましたように、今後も引き続き地方の実情を見ながら努力を続けてまいります。
  178. 野坂浩賢

    野坂分科員 先ほど来の質問者からそれぞれ国鉄の問題なり飛行機の問題等のお話があったのですが、言うなればバスなり列車というのは必須輸送機関ですね。したがって、私企業といえどもバス事業は非常に公共性を持っておる、こういうことは否定できないと思いますね。国鉄の場合は、今度国鉄再建法というものが世の批判を浴びて出てきておる。たとえば公営企業というようなものについては公営企業の再建に関する法案というようなものが出てきておる。これは公共性が同じだという認識に立っておるのですから、それらの点について全国的にバス会社、バス事業というもののあり方についてはどのように将来展望をしていかなければならぬのか、こういうものを運輸担当の最高責任者としてはお考えであろうと思うのですが、どのように対処されるつもりですか。
  179. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 おそらく先生の御質問の趣旨はそういうふうに、地方で過疎バスの問題があちらこちらに起こってくる、これはやはりどうしたって民営にまかしておいてはうまくいくはずはないじゃないか、したがって、このごろはやりの公社、公団とかいろいろ、そういうふうな公の性格を持ったような経営機関にまかしてひとつ思い切ってやったらどうか、こういうふうな御趣旨を持っての御質問ではないかと考えるのでございますが、そうでなかったらまたあとで御訂正いただきたいと思いますが、そういう考えもあることはあると思います。しかし、ただいまの段階では民鉄なりあるいは地方のバス会社なりも、営利企業ではございますけれども、一面におきまして公共的な交通機関の一翼をになっておるという、そういう見地から関係法令はでき上がっておるわけでございます。ただ、採算上もうかればそのほうだけやって、もうからないところはもうどんどんやめていこうというようなことは許されないことになっております。でありますから、これは基本的に将来バス会社の問題あるいは民鉄会社の問題、こういった問題について基本的な考え方の変更があり得るかどうかということにつきましては、いま私は主管大臣といたしましてそういう方向へ持っていくのがいいというわけにはまいりません。現在の法令のもとにおきまして、おっしゃるような最大限の効果をあげるような努力をいたしまして、結果的には、さっき申し上げましたように、地方の国民の最後の足だけは奪わないような最小限度の措置を講じると同時に、もっともっとやはり地方も、過疎地も開発されていくと思いますから、それに応じたような運輸政策というものを具体的に漸次実現していくというような方向で努力を続けていくということが、われわれとしてはなし得る最大限の動きじゃないかと思っておるわけでございます。
  180. 野坂浩賢

    野坂分科員 いま公社、公団方式というようなものについてのお話があったわけですが、そのことにはまた触れることにいたしまして、具体的に申し上げまして、たとえばこの第二種整備地域ですね。県で分けられていますね。自動車局長はよく御存じですが、ああいう姿を見ましても、二〇%以下の競争率といいますか、そういうときになって補助金を出す、こういうことになっておりますね。それはそれぞれということになっておるんですね。二社あれば二社それぞれ、三社あれば三社それぞれだ。この過疎バスの場合は、ここに一つの自動会社がある。ここにありますと、適正な運賃料金というときに、いろいろ話があるわけです、業者が競願をするわけですから。そうすると、これは路線の中に入れろ、競合する中に入れろ、こう言ってくる。そうなってきますと競合率がそれぞれ二〇%になるということは今日非常にむずかしくなってくるわけです。片一方の場合は一社だけでも二〇%になるかということになれば可能性が非常に多くあるわけですが、それぞれあるということになると、指導性を持ってされても、今日、たとえば日ノ丸の場合と日交の場合は三十四対八十七ということになっております。一方は二〇まで下げることができる。しかしまた片一方競合路線で入ってくれば、逆に片一方は上がってきて、下がるということにならぬわけです。そういう場合はやはり一社でも二〇なり三〇ということになってくれば、それなりに会社の存立と住民福祉の立場で政府としては何らかの助成方策、そういうものを考えていかなければ、勢い、先ほど言いましたように、切っていかざるを得ないということに会社は居直ってくる、こういう可能性が非常に強いわけですが、それらの点についてはこの要綱の中でいろいろと運用面で配慮できるかどうか。してもらわなければならぬ、こう思っておるのですが、どうでしょう。
  181. 小林正興

    ○小林(正)政府委員 非常に具体的な御指摘がございましたが、この新しい維持対策要綱におきましては、集約整備地域内における企業の集約によって、まず企業の基盤というものを強固にするという前提で考えておるわけでございます。ただいま御指摘のような事例は、いわゆる乙種整備地域の場合だろうと思います。この場合に、一つのブロックの中に二つの企業がございまして、その路線の競合率が二〇%以下でなければ、この乙種の補助の対象にならない、これについての御議論だと思うのでございますが、もともと、先生も御承知のとおり、昭和三十年代まではバスは非常に好況でございまして、いわゆる路線の競願合戦ということが各地にあったわけでございます。特に御指摘の鳥取県というところはそれの最もはなばなしい地区でございまして、現在全国のバス路線網というものは非常に競合度合いが、そのときの歴史的な事情を背景にして多いわけでございます。こういった現状を直ちに是認しましてそのままであっていいかどうか、こういうようなことをもともと考えたわけでございます。こういった点から、先ほど申し上げましたようないろいろな集約、これは合併に限りませんが、いろいろな系列化とかそういった集約を、ぜひ企業基盤の確立という観点からまずやっていただきたい。こういうことで、それを一つの前提的な問題といたしたわけでございます。その際競合率が二〇%以下でいいかどうかということは、やはり理論的に二〇%か、一〇%か三〇%かというような問題は出るわけでございませんで、およそ全国の各ブロックにおきます、を前提として、競合率がどうか、乙種の場合にはどうかということもいろいろ具体的にも試算したわけでございますが、ただいま御指摘の鳥取県の例は、最も競合率の多い例でございまして、お話しのとおり、それぞれ別に見ましても三〇%以上という現状になっておるわけでございまして、現在の要綱ではこの乙種整備地域ということで、これに伴う補助というわけにはまいらないわけです。ただいま御指摘のように、しからばさらに若干の路線の競合の整理をいたしまして、二〇%以下に片側がなった場合に、これは補助の対象にするほうが合理的ではないかという御指摘だろうと思いますが、この点につきましてはなお検討の余地があろうかと思いますけれども、先ほど申し上げましたような同一ブロックを前提として、その中における複数企業の集約の方向における合理化を考えておるわけでございますので、はたして一方だけ補助金を出すことが公平になるか。先ほど来申し上げておりますとおり、特にこの補助が地域住民の福祉の観点からいたされておる以上、競合率を片側の企業だけから見て、そちらの企業にかかわる路線については補助を出そうというようなことは地域住民の公平をそこなうおそれもあるいはあるんじゃないか。なお、そういったおそれもございますので、ただいま御指摘のような点については、今後なお検討をいたしたいと思います。
  182. 野坂浩賢

    野坂分科員 割り当ての時間がきておりますので、結論を急ぎますが、もっと具体的にいいますと、たとえば私のところは、鳥取県は一キロ当たり競合路線が六円三十銭なんですね。それから単独路線というのは九円四十銭なんです。だから過疎の人たちはよけい払っておるのでございますね、言うなれば。他の中国五県その他はもっと高いのが今日の現状ですが、それほどきびしい状況です。そうすると、いまその地域、地域で集約をする、一元化をするということは一つの方法だろうと思うのです。  この要綱の六にも、集約が実質的な競争制限の忌避、避けるべきだということが書いてありますが、実際になった場合にはまたいろいろ問題があろうと思うのです。たとえば岩手県の場合は県も出資をし、会社は現物のものを出し、そして一つの公社というかっこうの中で運営をしようということが、過疎地域においてはやはり出てこざるを得ない、こう思うのですね。それで委員会をつくられて、これから具体的に進めようという動きがありますね。これは過疎地域においては当然そうしていかなければ、一社になっても再び二三とか二五とか、不採算路線というものは陸運事務所その他の指導なり要請があったにしても、今日の経済実態と会社存立の意味から切っていく、こういう危険性と可能性は増大をしてくるということが現今考えられるわけです。将来の展望として、運輸大臣が先ほど触れられましたように、これからの過疎地域における公共性を持つバス事業としては、住民の足を守るという立場に立ってそれしかないのじゃないか。公社、公営で国が助成をし、県が出す、そういう姿の中でやっていかなければ最後の足は守れない、こういうふうに私は思うの  です。運輸大臣はこの方向は是かあるいは非か、こういう点についてもう時間が来ておりますから、ごく簡単に、明確にお答えをいただきたい。
  183. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 最後の仰せになった結論でございますが、これはいまここで端的に結論を出すわけにはいかないと思いますが、先ほど申し上げましたように、方向といたしましては同じような方向で考えていかなければならない。われわれといたしましても最大限、現行法のもとにおきまして可能な限りの努力をいたしてまいりますということで、私の気持ちは御了承いただきたいと思います。
  184. 野坂浩賢

    野坂分科員 あなたの気持ちはわかっても、いい結論が出なければそういうふうには進まぬのです。言うなれば、私の言った意味もよくわかっていただけると思うのですが、具体的に例をあげましたように、過疎地域における交通機関、特に必須輸送機関であるバス事業、そういう状況と過疎地における住民の最後の足を守っていくという立場に立って一元運営を進めるとしても、最終的に非常にそういう人たちに迷惑がかかっていくということは、いままでの長い討論の中ではっきりしてきたと思うのです。そういう意味で将来のそういう県におけるのは、岩手県のような方向というものが私は望ましいと思うのです。またそうしていかなければ守れないのじゃなかろうかと思うのですが、そういうことを各県、各自治体にあるいは運輸省も将来を展望してそのような方向を進められるよう検討されるべきであろうと思うのでございます。いかがです。
  185. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 そういう方向に向かいまして検討も進めておりますし、施策も講じておるつもりでございます。ただ現実の問題としては、いまのやり方で足りないということだろうと思います。それで形の上ではなく、現行法のもとにおきまして、われわれとしてはそういう県、市町村あるいは運輸省、そういったものが一体になりまして足りないところを補い合って、そして住民の最後の足を守っていこうという方向で最大限努力するのは、これは当然のことだと思っております。
  186. 野坂浩賢

    野坂分科員 抽象論なりあなたの気持ちだけでは解決をしない具体論ですので、私どもはいま申し上げましたように、過疎地域におけるバス事業、しかも公共性を持つ、そういう意味、そういうことも含めて今後そのような方向で議論を進めていきたいというふうに考えております。時間がありませんからこれ以上申し上げませんが、場を変えて運輸大臣とさらに議論を尽くして、住民の福祉と利益を守っていくために大いに議論をして、その方向に進めるようにぜひ強く検討を要望しておきます。
  187. 藤波孝生

    藤波主査代理 これにて野坂浩賢君の質疑は終了いたしました。  次に、井上泉君。
  188. 井上泉

    井上(泉)分科員 時間がありませんので、三つの問題について質問をいたしたいと思います。  まず私鉄に関連をした国鉄の新線建設の問題でありますが、御承知の高知県には循環鉄道がないということで、阿佐線、窪江線の開設というものが非常に強く望まれておるわけです。その中で阿佐線の問題では現在工事は安芸から東部のほうに向かって、それから牟岐から室戸岬の方向、こういうように徳島と高知と両方から進められておるわけですけれども、徳島のほうは既存の路線からそのまま進められておる。ところが高知の場合には阿佐線が、土佐電鉄という地方鉄道が安芸まであるわけです。だからそれを飛び越して建設を進められておる。そういうことから、土電の安芸線は長い間そういう中で、将来廃止されるであろうという運命の中に、従業員も非常にさびしい思いの中で今日まで仕事に励んできたわけです、地域住民の足を守るために。ところが、現実にいよいよこれがいま鉄建公団のほうで測量を始めておる、こういうことになっておるわけですが、一体、安芸線の売却ということ、つまり、安芸線を国鉄が買収をして、この新線建設に現在の国鉄路線とそのまま接続をするような、こういう工事というものは早急になすべきことであると思うが、このことについては運輸大臣もあまり承知をしてないと思いますので、鉄監局長からこの安芸線の今日の状態、そしてまた、これに対する運輸当局としての考え方、これをひとつ明確に承りたいと思います。
  189. 秋富公正

    秋富政府委員 ただいま井上先生から御指摘のように、阿佐線につきましては、昭和四十年以来、工事を徳島県側と高知県側の両方から進めておるわけでございます。ただいま御指摘の後免—安芸間についてでございますが、それは現在、鉄道建設公団におきまして、工事実施計画の作成、準備中でございまして、まだ運輸省のほうまで申請が出ていない段階でございます。現在、公団においては、いろいろの案を検討している段階でございますが、その一つの案といたしまして、ただいま御指摘のございました土佐電鉄の鉄道用地の一部を利用するということも検討している由を聞いております。まだ具体的な成案はできていないということでございます。
  190. 井上泉

    井上(泉)分科員 鉄建公団のほうから具体的な計画は聞いてないというけれども、やはり、この線はこういうふうにせよ、この線はこういうふうにせよと運輸省なりあるいは国鉄から鉄建公団にそういうのを指示するのとは違いますか。鉄建公団が独自でやるんですか。
  191. 秋富公正

    秋富政府委員 この点の手続的問題でございますが、私のほうといたしましては、いわゆる基本計画、整備計画というものは運輸大臣から指示いたしますが、それに基づきまして、工事実施計画といいますものは、AB線、CD線、いわゆる鉄道建設公団がいたしておりますものにつきましては、鉄道建設公団が自分でつくりまして、これを運輸省に申請するという手続を踏むわけでございます。
  192. 井上泉

    井上(泉)分科員 それでは、鉄建公団が、いわばAB線、たとえば阿佐線については、こうこうしたいという申請に基づいて作業をする、こういうことになるわけですか。
  193. 秋富公正

    秋富政府委員 そのとおりでございます。
  194. 井上泉

    井上(泉)分科員 そうなりますと、この前関係者と一緒に参ったときに、鉄建公団のほうでは、やはり運輸省あるいは国鉄がこの路線をやれと、こういう指示の中で作業を進められるからということでありましたし、私も前に運輸委員でおるときにもそういうふうに承知をしておったのですが、いま運輸省のほうでそのことについては主体性がないようなことでは非常に困るわけですが、これは運輸大臣、一体どうですか。
  195. 秋富公正

    秋富政府委員 ただいまの点につきまして補足いたして申しますと、運輸省には協議というようなことはありませんで、運輸省には申請をするのでございますが、国鉄とは鉄道建設公団は協議をするという手続を踏むわけでございます。現在の阿佐線につきましては、その一つの段階としまして、鉄道建設公団の支社と国鉄のほうの四国総局との間で協議いたしまして、現在それは鉄建公団の本社に来ておりますが、まだ本社間の協議は始まってない、かように聞いております。
  196. 井上泉

    井上(泉)分科員 それでは、その鉄建公団のほうと運輸省のほうでまだ話し合いがされてないということは、安芸線の売却については運輸省としてはまだ白紙の状態である、こういうわけですか。
  197. 秋富公正

    秋富政府委員 そのとおりでございます。
  198. 井上泉

    井上(泉)分科員 そこで、これは大臣に見解を承りたいのですが、そういう白紙の状態で、一方、鉄建公団は測量をしておる、あるいは路線の中では、二十キロ、四十キロの路線があっても、そのうちの公団として使用可能キロ数は四〇%だとかいうようなことでいろいろ取りざたされますと、これはそこで働いておる者にいたしましてもたいへんな動揺をするし、そしてもちろんその会社側としてもほんとうに心痛の種だと思うわけです。そういう長い間地元住民の足を守るために果たしてきた役割りを、そうして国鉄の新線建設という大義名分の前に姿を消していくわけですから、そこにはいままでの営業に対する補償をするなりあるいは従業員の問題そういうようなものがあるわけですから、そういう問題については、これは運輸省のほうでもっと積極的に、私は鉄建公団がそれの窓口といっても、鉄建公団にそういうことについての指示をすべきではないか、そういうことについては会社側あるいは労働組合、あるいはその他の関係者、県市、地域市町村、こういうものと早急に話し合いをして、この路線がこうなるのだという方向ぐらいは示してやるのが、やはり運輸省としての当然の行為だと思うわけですが、その点についての大臣の見解を承りたい。
  199. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 これは国鉄の場合もほかの場合もそうですが、結局法制上は公共企業体ということになっているわけでございます。これは昔のように、鉄道省があって自分でいろいろな計画をきめ、実行し、運営し、管理しというのとは、いまの公共企業体というものが非常に法制上も変わってきておることは御承知のとおりでございます。したがいまして、監督官庁としての運輸省がみずからいろいろの具体的計画を立て、そしてそれを公共企業体に対してこのとおりやれというような仕組みにはなっていないと思います。もちろん、たとえば公共の安全を害しましたり公益を害するようなことがありますと、許認可の場合にそれを考慮しなければならぬことはもちろんでございますけれども、いま鉄監局長の申しましたように、やはり計画は、鉄建公団と国鉄の間では、これはどうせ国鉄が管理運営することになるのでございますから、その営業上どうなるかというようなことについて十分協議を遂げてあらゆる計画をきめるということになると思いますけれども運輸省に対しましては、いま申し上げたようなたてまえから、運輸省自体が計画をきめてそれを国鉄ないし鉄建公団に対してこうやるべきであるということは、たてまえとしてはしないほうがいいし、またそれはできないのではないか、こう思っております。
  200. 井上泉

    井上(泉)分科員 これは局長のほうで答弁をしてもらいますが、そうすると運輸省は高見の見物、こういうことに聞こえるわけです。その高見の見物であってはならないわけで、やはりこれは鉄建公団なりあるいは国鉄あるいはその地元の各関係の沿線の市町村、こういうものとの話し合いというものは早くすべきであるというので、これはやはり運輸省の監督官庁としての行政の権限でできることだと思いますが、その点についてどうですか。簡単にひとつ、時間を割り当てられておりますので……。
  201. 秋富公正

    秋富政府委員 私は現在土佐電鉄があそこの間を、いわゆる赤字にもかかわらず、地元住民の足の確保というためにやっていることはよく承知いたしております。また、そこに約百名ぐらいの従業員が従事しているということも承知いたしております。これを今後いかに持っていくべきか、いかにして地元の足を確保すべきかということとともに、これはいわゆる民鉄関係を預かっております私といたしましても、今後いかに持っていくべきかということは十分頭にあるわけでございますが、ただ、表向きこれを行政指導するということがはたしていいものかどうかということにつきましては、なお今後十分慎重に検討していきたい、こう思うわけでございます。
  202. 井上泉

    井上(泉)分科員 またこの安芸線の問題につきましては後日委員会等で論議をして、なおまたそのときには鉄建公団、国鉄等にも同席を願って行ないたいと思います。  それでその次に空港の整備の問題ですが、これはもう羽田でもあるいは伊丹でもどこでも、空港の騒音というものが非常にやかましくなってきておるわけで、現在伊丹なんかはもうジェットがこれ以上乗り入れては困る、こういうような地域住民の強い反対もあるというようなことを聞いておるのですが、そういう中で高知空港がジェットの離着陸のできるような空港に整備をしよう、拡張しよう、こういう計画が進められておるということですが、これについてどういう計画になっておるのか、そしてまた本年度はこれに対してどれだけの予算というものを考えておるのか、これをひとつ簡単に御説明願いたいと思います。
  203. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 高知空港の整備についてでございますけれども、高知空港は御承知のように現在千五百メートルの滑走路等の施設を備えております。ただその需要が増大してまいりますので、就航機材の大型化あるいは高速化、そういうことにつきまして、県の御当局のほうから非常に強い要請がございます。それに対処するために、第二期の空港整備五カ年計画、これは四十六年度から五十年度まででございますが、そこにおきましてジェット機の就航を可能とするような二千メートルの滑走路等を基本施設といたしまして、さらに保安施設としてILS、VOR、DME、こういった空港保安施設を整備するということで計画をいたしております。そこで、いま申し上げましたのが五カ年計画でございますけれども、四十八年度におきましては滑走路の新設に伴う用地造成、これは水路つけかえ等の補償工事がございますが、その用地造成とVOR、DMEの整備等を行なうことにしております。予算といたしましては、四十七年度予算が約四千八百万円、それに対しまして四十八年度の予算は約三億九千百万ばかりでございます。
  204. 井上泉

    井上(泉)分科員 この問題も論議をするとたいへん時間をとりますので、はしょって質問をいたすわけですけれども、このジェットの騒音については、これはこの前ここで実際の騒音の実地検証、実地測定をやって、その結果は運輸省のほうへも入っておると思いますが、いま地元のほうではそういう関係で非常に強い反対が出ておるということと、もう一つは朝日新聞の四十七年一月六日に載っておる記事ですが、私切り抜いて持っておりますが、そこでQSTOLという、どういう型か知らぬけれども、これが百三十人乗りで、フランスのエアロスパシアルという会社では百三十人乗り、こういうふうなもので開発を進めて、大体これがアメリカでもイタリアでもそれぞれ七四年から七五年にはこういう新しい騒音の非常に少ない七十ホン以下、そして滑走路も短くいける、こういうふうな、そして国内線向きとして百人、百五十人乗りとしてできる、こういうことが載っておって、そのときに運輸省の談話としては、これが実現すれば国内線はすべてこれになるだろう、こういう見解を表明をされておるわけですが、これはあなたが表明したかどうかは知りませんけれども、こういうふうなものが現在開発を進められておるかどうか、その点についてお聞きしたいと思います。
  205. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 QSTOLというのは静かなSTOLということでしょうけれども、こういったものの計画は開発が進められておるというふうに聞いております。ただ現実は、QSTOLの前にSTOLというのがございまして、STOLというのは短い離着陸距離で上がったりおりたりできる、こういうものでございますが、これもいわば開発中でございます。現在すでにできておりますのは二十人乗り程度のものでございまして、さらにこれを大型化するために開発をしておる。これがまだ実用段階になってないわけでございます。そこでSTOLと申しますのは比較的短距離の間に早く上がってしまうというために、普通の飛行機に比べまして大きな馬力が要るわけでございます。したがいまして、ほうっておきますと普通の飛行機よりも騒音が大きいから、さらにエンジンの騒音を少なくしていこうというものでございますから、これは新聞の記事を私よく存じませんけれども、そう簡単に百五、六十人乗りのQSTOLが開発されるとは実は思っておりません。それでむしろエンジンの騒音につきましてはSTOLのみならず、一般的に航空機エンジンの騒音の低下ということにつきましては、いま世界的に非常に問題になっております。国際民間航空機関、いわゆるICAOといっておりますが、そこで各国ともに協議いたしまして、常にエンジンの騒音をどうしたら減らすことができるかということを考えておるわけでございます。そこで現在は騒音証明制度というようなものをつくりまして、いわゆるある二、三の機種につきましては現在騒音証明について取り上げて、大体ホンにいたしましても百ホン前後、出てもちょっと出るという程度まではきております。さらにいまございますボーイング727とか、そういうもののエンジシの改良もいたしまして、それを大体九十ホンくらいに下げようという努力も続けられておりますが、これも数カ年かかるのではないかと思います。私の承知しておりますのは大体こんなようなことでございます。
  206. 井上泉

    井上(泉)分科員 そのジェットの騒音が、これは田畑をつぶすということとはまた別に、それに対する反対とは別に、騒音公害でたいへんだということは、伊丹とかあるいは羽田でも、いわば実験済み、とても羽田や伊丹ほど採算がこれは及ばないと思うけれども、しかし、やはり騒音ということはかなり地域の住民に強い反対の意識を与えておるし、そういう中で少なくとも三億九千万、約四億の予算が計上されておる、あるいは県当局としても強い希望意見がある。こういうふうなことでありましても、やはり地域住民を騒音についても納得さすだけのものがないと、実際面で拡張工事というものが行なわれるようにはなかなかなり得ないと思うのですが、その点について騒音の公害に自信があるかどうか。その点ひとつ航空局長の見解を伺いたい。
  207. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 実は高知県当局のほうから空港の拡張をしてほしいというふうな御要請がございました場合に、私どもが一番気にしたのは騒音問題でございます。したがいまして、拡張するのはけっこうでございましょう、確かに需要が年々多くなっておりまして、四十四年が四十三、四万、四十五年度が五十七万、四十六年六十一万くらいの乗降客数でございます。それから想定いたしますと、五十五年度にはおそらく三百五十万程度になるのではないかということから考えますと、輸送量から考えましても大型化する必要があるという必要性は私ども認めますけれども、ただ先生指摘のような騒音問題というものは非常に問題である、したがって適当な位置を得、住民の方々の了解を得られませんと、これはできませんよということは再三申し上げたわけでございますけれども、高知県といたしましては騒音の問題については万全を尽くして対策をする、したがいましてこれについてはぜひ拡張整備をしてほしい、こういうふうな御要求がございました。そこで高知県のほうとしては、具体的に飛行場周辺の土地を都市計画上どういうふうにするかとか、あるいはそれを買収していかれるとかいうふうないろいろな具体策は考えておられるようであります。なおこの点につきましては今後県の御当局と御相談しながら進めてまいりたい、こう思っております。
  208. 井上泉

    井上(泉)分科員 それでは、この空港の全体計画として運輸省航空局のほうで予定をしておるものをつくるための予算額というか、そういうものは概算でどれくらいですか。
  209. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 空港整備計画全体を申し上げますと五カ年間で大体五千六百億……。
  210. 井上泉

    井上(泉)分科員 そうではなく、高知の空港の場合です。
  211. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 たいへん申しわけございませんが、ただいま全体の数字を持ち合わせておりませんので、後ほど……。
  212. 井上泉

    井上(泉)分科員 次に、これは大臣にお伺いしますが、日中の国交回復がされて、まず最初に、日中の航空協定ということがいま問題になっておるわけですが、その航空協定を結ぶにあたって、日航の台湾路線というものを、どういうふうに運輸当局は、大臣としては考えておられるのか。その点をひとつ……。
  213. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 これはどういうふうにあらわれてまいりますか、今日までの段階では、御承知かと思いますけれども、昨年の十一月に運輸省のほうから、これは外務省が窓口になっておりますが、外務省といってもよろしいのですが、外務省から中国側に対しまして日本側の一応の意見を申し出たのでございますが、それに対しまして返事がございませんでしたが、数日前にそれに対する返事が参りまして、その返事はまだ仮訳でございまして、非常に詳細に把握することがまだできない点もございますが、大体申し上げますと、肝心な部分といいますか、具体的な部分、路線の問題でございますとか以遠権の問題のごときは空白でございまして、返事が来ておりません。おそらくこれは早く航空協定を締結するための交渉をしようという意思表示だろうと考えておるのでございまして、近いうちに、三月の、もう四、五日のうちに外務省の係官が中国に参ることになっておりますが、その際に運輸省の航空局からも所管課長を派遣をすることにいたしておるのでありまして、いまお尋ねのような問題につきましては全然まだ交渉の場にのぼっておりませんし、私から申しますと、これは日中間の航空路をどうするか、お互いにどういうふうな条件で航空路を開設するかという問題とはちょっと違った次元の問題じゃないかと考えております。おそらくこの点は問題になるとしますれば外務当局が中心になりまして、外務大臣が諸般の状況を考えてどう処理するかということをきめられる問題ではないかと思っておるのでございます。
  214. 井上泉

    井上(泉)分科員 もちろん外交交渉の中でその話はされるでありましょうけれども、やはり所管の運輸大臣として、日中の航空協定を結ぶにあたって、向こうへ出したけれども白紙の状態で明確な返事がないということは、やはり日本側の台湾問題についての明確な態度がないからこそそういう結果になっておるのではないか。日本も、国交が回復されて台湾は中国の不可分の領土であるということを認めておるその不可分の領土である台湾に日本の飛行機が、つまり中国の領土に対して、国土に対して飛行機を飛ばしておるわけですから、この問題について日本側としてははっきりした意思がなければ、これは航空協定というものに対して中国に柔軟な姿勢があるかとかいろいろなことを考えてもだめだと私は思うのですが、これについて運輸大臣は、台湾は中国の領土である、これに対して日航が飛んでおるということ自体についてどういうふうに理解をしておるのか。これはやはり政治的な判断というものが対中国との間における非常に大切な要素になると私は思いますので、その点ひとつ大臣から御見解を承っておきたいと思います。
  215. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 先ほど申し上げましたように、これは運輸大臣として私は航空行政を担当しておるわけでございますが、運輸大臣としてその外交問題についてはっきりとした意見を申し述べる、いまはそういう時期ではないと考えております。この点は日本政府全体として考える政治問題であろうと思いますから、日本政府全体としてのそういう外交問題に対する処し方は、これは外務大臣が窓口になって、外務大臣が責任者として考えるべき問題でございます。私どもは航空行政に携わっておるという立場からそれに対して助言をし、また必要な協力をするという立場ではないかと考えております。
  216. 井上泉

    井上(泉)分科員 それは非常に慎重な答弁であるわけですが、しかしやはり運輸大臣という、航空行政を担当しておる者としては、いわゆる台湾が中国の領土であって、そういう中国の領土に対していわゆる無協定のまま日本が飛行機を飛ばしておるのだ、そしてこの問題は解決せねばならないという理解、認識、これがあなたにないというと、これはたいへん問題になろうと思うのですが、そういう点については理解をしておられるのかどうか、認識をしておられるのかどうか、そのことについて簡単に表明をしていただきたいと思います。
  217. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 その問題は、日中国交回復をいたしまして、従来の台湾との間の条約並びに協定がどういうふうになったかということについては私も十分理解をしておるつもりでございます。したがいまして、今日、日本と台湾との間の航空路というものを一体どういうふうに考えるかということにつきましては、これはそういう法律上の問題、国際法の問題というようなものから離れまして、これは両国が政治的に話し合ってきめるべき問題である、こういうふうにいま申し上げておるわけでございます。
  218. 井上泉

    井上(泉)分科員 それじゃ、そのことはそういうことで運輸大臣の答弁を理解しておくといたしましても、さしあたって、この間中曽根通産大臣が中国に行ったときもいわゆる特別便で乗り入れたわけけです。それからあした大相撲の協会が行くわけですが、それも乗り入れるわけでしょう。そこで四月十五日から広州で交易会が始まるわけですが、この交易会が始まることは承知しておると思いますが、これには日本から千数百人の貿易商社員が行くわけですが、それに対する便宜を与える意味においても、やはり中国に対して直接に、これは個別になるわけですけれども運輸省としては航空機の乗り入れを——直接広州の飛行場へ入れるのかあるいは上海に行って上海から広州へ入れるのか、これはどちらでもいいわけですけれども、これは香港へ着いて広州へ入るとかいうような不便さを離れて、やはり日本側の友好の姿勢として、中国側に対して、多数の日本商社の方が行かれるのだから、ひとつ便利をはかるために中国へ臨時便を出せるようにお願いしたい、こういうふうな要請を運輸当局としてなすことが、私は商社の人たちにとってもまた日本国と中国との関係からいっても好ましいことだと思うのですが、その点について中国側と交渉する意思があるかどうか、このことをお答えいただきたい。
  219. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 この問題も、これは交易会にどのくらいの日本人が渡航するかというような問題、これはおそらく通産省において想定し、計算をする問題だと思います。したがいましてそれを受けまして、それをどこにどういうふうにして運ぶかということはこれは外務省の問題でございます。われわれといたしましては、そういう要請がありました場合には、外務省が先方と交渉をして、それじゃこういう場所に臨時便を何便出してもいいということになりますれば、それに応じた対策をわれわれのほうで航空会社に対してとらしめるということがわれわれのほうの仕事になると考えております。でございますから、まああまりかどばった答弁にならないようにいたしますと、要するにこういった問題につきましては外務省が窓口でございまして、外務省が中心になって向こうと外交交渉をし、その結果を通産なりわれわれのほうに言ってこられた場合には、それに対しては最大限の努力をしなければならぬ、協力をしなければならぬということだけははっきりと申し上げられるわけでございます。そういう場合に考えられるのは、そういう臨時的なものでございますから、要するにこれは定期航空路とは違いまして、いわゆるチャーター便でいくわけでございましょうから、定期航空路の問題とはこれはちょっと違った感覚で考えてもいいんじゃないか、こう考えております。
  220. 井上泉

    井上(泉)分科員 もう時間がありませんので、時間は守りますが、通産の分科会で通産大臣にもそのことを言ったところが通産大臣は検討します、こういうふうに言っておりました。現実にもう千数百人の者が行くわけですから、それを外務省がどうこうではなしに、やはり航空行政をあずかっておる者として、やはりそういう問題を運輸大臣から閣議へ出しても、あるいは外務大臣に話をしても、これはおれの領分を侵したというようななわ張りのおしかりは受けないと思うわけです。やはり同じ閣僚ですから。そういう点でやはり航空協定を前進させる意味においてもそういう臨時便で、チャーターでお願いする、こういうことは非常にいいことだと思いますので、そういうことはぜひひとつ運輸大臣として取り上げていただきたいということ。これを要望すると同時に、今度は日中の航空協定ができた場合における飛行機の運航の形態その他については、これは外務省のベースでどうこうというだけではなしに、今度は何便入らすかということになって、こういう協定を結んだ場合に、今度運航させるについては運輸省所管というものがまかされてくると思うのです。そのときに、いま外国線の場合は全日空、日本航空、この二社があるわけですから、その点についてどういう配慮をなされておるのか、そういうこともその時点になって検討するということではなしに、いまもそのことは運輸大臣の頭の中に、そういう場合はどうだろう、こうだろうというお気持ちもあろうと思いますので、私の要望する点が理解がいくかどうか、そういうことを取り上げてくれるのかどうか、あるいはまた航空協定ができたあとにおける就航の航空機はどういう方法にするのか、これはなかなかいま答弁せよと言うたところで無理だと思いますが、さしあたっての広州の交易会へ目がけての日本国民の便をはかるための、そしてまた中国との友好の姿勢を示すためにもそういう申し入れを運輸大臣としても閣議の中なりあるいは外務大臣なりにお話をするようにお願いをしたいと思うわけですが、その点についての御見解を承って私の質問を終わりたいと思います。
  221. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 私は決して消極的な考えで申し上げているわけじゃないのであります。やはり外交上の問題でございますから、ルートだけははっきりして、窓口ははっきりしておきませんと、外交交渉の中で乱れを生じてまいりますから、そういうことがあってはいけないと思いまして先ほどから申し上げておるわけでございます。外務省もそういう交渉をし、そして中国側もそれを受け入れることについて腹をきめて、そして外務省を通じて要請がございますれば、最大限それを実現するための努力はもちろんしなければならぬと思っております。
  222. 藤波孝生

    藤波主査代理 これにて井上泉君の質疑は終了いたしました。  次に、沖本泰幸君。
  223. 沖本泰幸

    沖本分科員 私は、主といたしまして大阪の城東貨物線建設促進に関しまして御質問したいと思います。  分科会であり、地域的な問題ということになりますけれども、これは地域的ということよりも、現在過密化している都市交通の問題、こういう観点でとらえていきたい、こう考えておるわけでございます。歴年この問題についてずっと御質問してきておるわけですが、いたずらに質問を発するばかりで、形としては何ら解決のめどが出てこない、こういうかっこうになっておるわけでございます。  振り返ってみますと、この城東貨物線を電化あるいは客車化あるいはスラブ化、高架にしていく問題というのは、もう二十年にわたって交渉が続けられてきているわけです。そして現在の列島改造論にも見られるように、極端な大都市の過密状態を大阪は起こしてきているわけです。こういう点を考え合わしていきますと、大阪市内部の人口がだんだん減ってきてひどいドーナツ現象を起こしながら、周辺に向かって都市化が進んでいっている。そして昼間人口が、市中の中心部がどんどんふくれ上がっていく。ですから、周辺からはどんどん市内に昼間は出てきて夜は帰っていく。こういうことで、三十年当時は一日に三十七万くらいしか入っていなかったのですが、現在はもう百万を突破して二百万にだんだん近づいてきつつある。こういうような激しい現状を呈してもおりますし、御存じのとおりに、第三次国鉄の長期計画の中には含まれておったわけです。そして万博にはおそらくつくであろうということがいわれておったわけですけれども、第三次長期計画が根本から変えられてしまった、こういうことになってきておるわけです。  地元のほうはこれに対して利用債を十億五千万、高架工事に伴う経費として九億四千万の負担をして、積極的にこの問題に取り組んできております。こういう地方が多額の資金を投入して、それが長い間かかってなかなか日の目を見ない。そういう問題に対しまして国鉄のほうとしても、ことしの二月二十三日に関係七市、大阪府、大阪商工会議所が、国鉄の幹部の方とお目にかかった中のお話でも、利用債の発行条件として、この発行条件も改定してほしい、今後も利用債はもっと考えてほしい、こういうふうな御発言もあったということになるわけです。  こういうものをじっと考えていきますと、まあくだけたことばで申し上げますと、幾らか出しなさい、負担しなさい、そうすればやってあげるということで、やってもらえるということで出したわけです。ですが一向にそのめどがつかないままに放置されてきておる。出した金というのは、地域の住民の方々が出している金であるということになるわけです。で、今度それをもっと進めてください、こんな長いことかかっちゃ困る、実際に都市交通上非常な困難が生じておるのでやってほしいということを申し上げると、もう少しまだ出しなさい、こういうことをいわれたんでは、地元の人たちはもう立つ瀬がない。これは大きな問題だと考えられるわけですね。いわゆる雑なことばでまた申し上げますけれども、それはそのめどが立たないなら、一たん返せばいいじゃありませんか、あらためて考えましょうという点もあるじゃないか。こういうふうに申し上げると、それじゃお返ししましょう、いつ考えるかはわかりませんと、こういうふうなかっこうになってしまったんでも困るわけですね。地元の方々は具体的な計画というものを明らかにしていただきさえすれば、応分のことは考えて努力していくということもいっているわけです。しかし具体策については何らお示しになるどころか、一つもなくて、そして何とかまたあとも続けて負担をしなさい。こういう話では聞こえませんというのが現在の状況でございますし、そういう問題をなおざりにできないから、みんなが寄ってたかって一生懸命になって何とか進めなければならない、こういうふうな事態に追い込まれてきている。  その反面、列島改造論に伴いまして、赤字路線というのは以前はうしろ向きにいろいろ議論がされたわけですけれども、国鉄側のほうは、現在は赤字路線はむしろ前向きに問題を消化していこうというふうな姿勢が見えますし、国鉄の再建計画の中にもそういうものがどんどんあらわれてきつつある。そういう内容のものと、現在もう二十年にわたってこの問題を議論し続けてきながら、ひたすら問題を解消したいと考えておる大きな過密都市の問題と比べていただくと、これはおのずから問題が変わってくると思うのですね。おまけに現在の城東貨物線というのは単線で、完全に都市の中心部を一本筋でずうっと土手ができて、そして都市化ができない、都市の再開発計画も何も立たないというような現状に現地ではなってきておる。ただそれだけで、国鉄の御都合だけで、これはちょっとまだ計画が立ちませんとかなんとかと、こういうような話でほっとける問題ではない、こう考えるわけです。その上、磯崎総裁も、総武線がちゃんとなり、首都圏の交通問題がちゃんと整備されていけばさっそく手はつける、こういう御回答が去年もされておったわけなんです。すでに首都圏の交通問題はほとんどめどがついた、ほとんど片づいたのじゃないかと考えられるわけです。そういうものが片づきましたから、さて、これから考えましょうという問題じゃなくて、もっともっと具体化された問題がここに生まれてきておって当然ではないか、こう考えるわけです。また以前からの過密の問題を考えていきますと、総武線よりもむしろ大阪の城東貨物線、いわゆる大阪の外環状線と考えておるものを具体化することのほうが緊急性が高く、あるいは採算の面からも十分考えられる点が、大阪府も大阪市もいろいろと検討し、そろばんも置いてみて間違いがないというような点を出してきているわけですね。そうしますと、首都圏の交通を整備していくという点よりも、むしろ緊急性というものから考えると、大阪のほうがもっと重大ではないか、こういうふうに考えられるわけです。それがそうでなしに、総武線のほうが先にいっているということは、私は多分にそこに政治性というものが加味されてきたのではないか、こういうふうに考えざるを得ませんし、また地元の人たちはほとんどそういう観点でこの問題をとらえておるわけですね。そういう点を考えていただきますと、ただ私たちが御質問するなり、地元の方が関係当局にいろいろと陳情して推進していくということよりも、運輸省としてこの問題はもっと真剣に考えてもらわなければならない問題ではないか、こう考えるわけでございますが、大臣としてはこれに対してどういう御見解をお持ちでございますか。また今後どうしようというお考えをお持ちか、その点をお伺いしたいと思います。
  224. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 私は実は隣の県でございまして、この問題は前々からよく承知しております。この問題については今日まで延びておりますことについては、国鉄総裁からいろいろ事情をお話しすると思いますけれども、私どもとしましては、国鉄総裁を前にしてこういうことを言うと、言い過ぎると言われるかもしれませんけれども、今日まで近畿圏というものが、首都圏と比べますと、交通網の問題につきましても相当おくれておるということは私は身をもって感じておるわけです。この問題もその一つだと思いますが、一昨年の十二月でございましたか、都市交通審議会の大阪圏部会で大阪府並びに大阪市の地域計画の一環として、これらの調整をはかった上で前向きに建設を考えたほうがいいというような答申があるということを聞いております。私も、そういう点を彼此勘案いたしますと、いろいろな事情はあるでしょうが、こういった問題については、市や府と十分連絡をとりまして、一方でいうと地域住民の利益のためにもなりますし、あるいはまた、都市のまん中を通るわけですから、それについての地域住民との関係もいろいろまた生ずるかと思いますので、それらの問題の調整をはかりながら、なるべく早く前向きに、着手ができるような方向で検討してもらいたい、私はそういうことを考えますが、国鉄のほうからいいますと、今日までこれはじんぜん日を送っていたのではないと思います。やはりそれにはそれの事情があったと思いますが、その辺の事情は総裁からお聞きいただきたいと思いますけれども、とにかくこういった問題は、大阪圏といいますか、近畿圏の輸送体系を整備いたします上には、私自身としてはこれは必要なことじゃないかと思っておりますので、国鉄ともその点はよく話し合いまして、少しでも早く御趣旨の方向で検討をしたいと思っておる次第でございます。
  225. 沖本泰幸

    沖本分科員 大臣はよく御存じなわけですけれども、大阪と奈良の国道にいたしましても、そのほかの自動車道路も、現在ほとんど通勤時には麻痺状態を起こしてきておるわけですね。そういうものを緩和するためにも——大阪のほうは私鉄のほうがうんと通勤なり通学なりの輸送面を担当する分野が大きいわけです。東京の場合は、すでに国鉄のほうが都心あるいは都内の大きい交通の流動に対して、通勤、通学の役目を多く果たしておる。こういう場面は、全然い雲泥の違いがあるわけですね。そういう点を考えてみても、こういう交通量をもっとスムーズに流していくという点からも、もう限界を越えたような状態に来ておることになる。  まあ言わずもがなのことを申し上げておるわけですけれども、そういう点を考えてみましても、真剣に取り上げていただかなければならないし、また、先ほど申し上げましたとおりに、総裁に対しては非常に痛いお話を申し上げるわけですけれども、住民の大切なお金、あるいは赤字で苦しんでいる地方の自治体のお金を十億なり九億四千万なり、相当高額な金を投じておる。あるいは建設費に対する金も出しておる。一部はやっていただいたということですから、全然見込みのないということではなくて、やることはやるのだけれどもといって、一部はできておるわけです。それでいままでお預けを食って、そのままじっと待たされている。そしてお答えは、何ぷんとも財政が苦しいので、こういうお答えが年々返ってくる。こういうことであってはならないと思うわけです。そういう点もやっぱり、地方自治体を動かすについても、あるいはその地域の住民を納得させる点についても、これは思い切って早急に手を打っていただかなければならないことになると思うのですが、そういう点について、この利用債を寝かしているという点について、大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  226. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 私の考え方は、国鉄と別に相談したわけじゃないのですけれども、私も近畿圏のことは一応承知しておるものですから、先ほど申し上げましたように、いろいろの困難があると思いますけれども、地域のほうと十分に協議を遂げて、支障のない形でなるべく早くこれに手をつけるように努力をしてもらいたいということを、国鉄にも申そうと思っておるところでございます。ひとつそういう点について、地元の府や市が国鉄と十分な協議を遂げまして、国鉄が今日までなかなか進行させなかったということについても理屈があると思いますから、そういう難点を話し合いによって克服して、そして少しでも早く着手ができますように、地元のほうでも、ひとつ地方自治団体が大いにこれから努力をしてもらいたいと思います。
  227. 沖本泰幸

    沖本分科員 大臣はけっこうでございます。  今度は総裁のほうに御質問いたしますけれども、ことしに入りまして、地元の各団体代表が陳情に伺っていろいろお願いしておるわけですけれども、返ってきている御返事は、一番近い例から見てみましてもことしの二月二十三日で、ついこの間です。関係の七市、大阪府商工会議所がお伺いしたわけですが、それに対するお考えは、国鉄常務会での意見決定が必要である、いつのころに必要か、その次に運輸指数、公共性、企業性、総合的に検討した上で進めていきたい、こういうお答えがあるのですが、これは私はちょっといただけないと思うのです。  そしてその次に出ているのが、先ほど申し上げたとおり国鉄利用債の発行条件についても改定してほしい、こういうふうなお答えが返ってきているわけです。総裁がおっしゃっておられる、応分のことを見るならばということになるわけですけれども、そういう点が先ほど大臣に申し上げたような内容になるわけですから、すでに大阪府は数年前から、ずっと前からこの問題に取り組んで、ここに出ているところの結局、運輸指数、公共性、企業性等というようなものは総合的にもう数字を出してきているわけです。それが実態がどうかという点は、総武線をやっておってもこういう検討はできるわけですから、ちゃんと総武線ができました。さあこっち向いてこれから検討しまして、それからひとつ考えてみましょうというのはいただけないのです。こういう点、お答えとしては非常に不信を招くお答えではないか。通り一ぺんの扱い方の冷たい話じゃないですか、こういうふうに私は考えるわけです。この点について、これは毎年総裁に御質問していることでもありますし、またかという調子で私も取り組まなければならない。しまいには非常に頭に来てしまうというような状態になるわけですけれども、そういう点について具体的にどうしてやるというような率直な答えを総裁からお聞きしたいと思うわけです。
  228. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 この問題は私の副総裁時代からの問題でございまして、毎年この分科会で必ず沖本先生から御質問なされまして、私もいままでの経過は全部、私自身が一番知っていると思います。去年申し上げましたように、東京付近の通勤問題が大体見通しがつく。これは先般ある新聞で、私は東京の通勤には投資しないと言ったといわれた。私はそうではなしに、東京付近の複線化等は一応見通しがついたと申したので、何も東京付近にもう一切投資しないのだと言ったわけではございませんで、これから相当、いままで国鉄として手を入れられなかった大阪付近の通勤輸送を、ぜひやらなければいけないということを強く言ったつもりでございます。現にこの問題、あるいはそのほか三カ所ばかり非常に地元から強い御要望がございまして、今度の再建十カ年計画の十兆五千億円の中の大都市通勤輸送の投資としては、まずこの大阪問題をまっ先に考えなければいかぬということははっきりしておるわけでございます。まあ昨年東京付近の見通しがついたと申し上げましたので、私どもといたしましては、ことしはいわば調査費的なものをきちっと組みまして、ことしというのは四十八年度でございますね、調査費的なものを組んで、いよいよ本格的にこの問題に取りかかろうと思っておるわけでございますが、御承知のとおり東大阪市の高井田付近の高架化はすでにできたわけでございます。これはいつでも複線にできるような高架化になっておることは御承知のとおりでございます。  その他ずっと最近の事情を、この間おいでになった方の御意見を伺いましても、全部高架化にしてくれというほとんど強い御要望です。したがって、高架化にする際には、たとえば加美付近の問題になりますと相当土地が要るということで、どうしても都市計画と一緒にやっていかなければできない面も相当あるのではないか。あるいは高架化にしましても市街地を相当通りますので、用地の広さ、その他もいろいろ問題もございます。それと同時に、高架化にする場合には建設省から相当金をもらえますので、建設省の正式な承認も要るということになります。そういったことの全部につきまして、四十八年度からいよいよ実際の工事を始める前の公共団体とのいろいろな折衝を始めてまいりたいというふうに思っております。  これはこまかいことになって恐縮ですが、単線のものを複線に高架化にする場合には、うちはやはり半分金を出さなければいけないということになります。もちろん建設省が半分出してくれますので、まず建設省が正式な調査費をつける必要がございます。これは四十九年度で私は間に合うと思います。その建設省が調査費をつける前の一応うちと地方公共団体との下打ち合わせでございますね、こまかい下打ち合わせ、いわゆる設計協議に入る前の下打ち合わせをぜひことしから始めたい。それをしまして、こまかい事務手続になって恐縮ですが、御承知のとおり市が三つございますので、各市と相談いたしまして、そして、ことにか美の付近で相当広い数百万平米の土地が要るというようなこともございますので、そこらについても地元の相当の御協力を得なければならぬということも含めまして、それから駅の場所どもちょっとまだ地元で少しごたごたしている点があるようでございますから、ごく初め私どもがつくった案ではまずいという点もあるようでございますので、そういう点についてもいろいろ工事をやる前の下打ち合わせをしなければならない段階になっております。四十八年度予算では二億入れてございますので、それを使いまして、これはいわばうちで言う調査費のようなものでございますが、調査費と申しますよりはむしろ地元とのいろいろな協議でございますね、それをやりまして、そして建設省に正式に話を出しまして、いわゆる複線、高架化として建設省に取り上げてもらうわけでございます。そして建設省として正式に調査の費用をつけてくださいますと国の予算がつくわけでございます。  そういう段取りで、いよいよ去年お約束いたしましたように、ことしからやっと実際に前向きでこの問題に取りかかれるということで、私も多年の先生に対する借金をここでそろそろお返しできるような気がいたしております。そういう意味で、これからいろいろ事務的に、いわゆる工事をする前の下打ち合わせでございますね、ただ普通の複線化と違いまして、高架という非常に大きな問題が含まれておりまして、しかも単線のものを複線、高架にするという問題で非常に大きな、距離も長いし金額も大体五割くらいふえるのじゃないかと思っております。そういう意味で非常に大きな問題でございますので、その工事に入る前の下打ち合わせをことしからやってまいりたい、そして建設省に正式に取り上げてもらうというような段取りにいたしたいと思っております。たいへんおそくなりまして申しわけございません。
  229. 沖本泰幸

    沖本分科員 時間も五分程度しかありませんが、地元のいろいろな問題をいままでずっとためてきていますから、それからいわゆる国鉄のおっしゃっている応分のことも考えおるというわけですが、しかしその青写真だけを示してくれれば、それに応じてそれだけのことを考えていくし、都市の再開発もそれで興していけるということですから、その付近の中のどこかの市が反対しているとかどうとかいうことではないわけですから、それをやるにしても、まあ高架にすれば騒音の問題やいろいろなことで、その線路に沿う住民の方の御賛成、御反対いろいろあるとは思いますけれども、その問題もやはり前向きに取り組んでいけるのじゃないか、こういうふうに考えております。また杉本町と結んでいただければ、これはもう大きな役割りを果たしていく、こういうふうな点で地元のほうでは非常にこの問題では真剣になっているわけです。そういう点を御考慮に入れていただいて、まず国鉄の意向なり青写真なりをお示しいただいて、それに地域の各都市が協力できるような方向に持っていっていただきたいわけでございます。  それからもう一つは、短いことで、これは将来に向かってのあれですけれども、南港から杉本町へ迂回していただく、これもいろいろ地下にしなければならないとか、採算がどうとかこうとかというお話もありましたけれども、この問題もあわせてやっていただければ、外環状線が完全にくっついたような形で気持ちの面も片づくのではないか、こう考えるわけでございますが、両方あわせてお答えをいただきたいと思います。
  230. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 城東貨物線の利用債は大体吹田市に全部使って用地を買収いたしまして、吹田市の都市計画と合わせて用地の確保をしたわけでございまして、これは決してむだに使ったわけではございません。  それから全般的には、いま先生のおっしゃったように、そういう前向きの姿勢で地元といろいろな御協議に入ります。  いまおっしゃったのは、やはり高架にしますと、騒音、日照権問題がまたいろいろ問題になりますので、それらにつきましてもうまくお話し合いをいたしまして、場合によっては地元の当局にいろいろごあっせん願わなければならないというふうに思っております。したがって、これは今後大体調子よく進め得るというふうに私は思っております。  ただ、杉本町から先の問題になりますと、ちょっと私のほうで御答弁申し上げるのは適切かどうか、あるいは私鉄でやるというような問題もございますし、国鉄でやるには、実は敷設法の改正が要るというような議論もございますので、そういった問題でもって、むしろ運輸省当局なりあるいは大阪府、大阪市等で行政的な面で一ぺん御検討願わなければならない問題だというふうに考えております。
  231. 沖本泰幸

    沖本分科員 以上で終わります。
  232. 藤波孝生

    藤波主査代理 これにて沖本泰幸君の質疑は終了いたしました。  次に、米内山義一郎君。
  233. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 お尋ねします。  九月の十四日閣議口頭了解事項ということに文書の上ではなっていますが、むつ小川原開発についての運輸省港湾局にかかわることをお尋ねいたしたいと思います。  きょうは、この開発に賛成するとか反対だというようなことを抜きに、純粋な技術的な問題をお尋ねしたいと思います。  閣議了解は何を根拠になされたかというと、政府がこれを青森県に押しつけたものではないということはわれわれも理解しております。そうしますと、文書や手続の上からいって、閣議了解の根拠になったものは、青森県のむつ小川原開発第一次基本計画案なるものが根拠だと思っています。その点に間違いございませんか。
  234. 岡部保

    ○岡部政府委員 そのとおりでございます。
  235. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 そうしますと、この文書の中で、いろいろ開発の中身もありますが、大体これは石油を二百万バーレル、つまり年に換算しますと一億キロリットル、日本の現在の消費量のおよそ半分、四日市の五倍というような量になるわけです。これを搬入するために、当初はこのほか鉄とかアルミ等もありましたが、陸奥湾を使うということから出発しておったのです。  陸奥湾を原料搬入港にする、さらには大きなタンカーを入れる。そういう海というものは日本に三つしかない。その一つに陸奥湾があるということは、これは田中総理の日本列島改造論にも書いてあります。ところがその時点になりまして、いわゆる陸奥湾ははずした、そうして掘り込み港湾を六ケ所村につくる、こういうことになって、このむつ小川原開発第一次基本計画概要図というものが添付されている。このことも含めて、十一省庁会議の中で運輸省がこの計画の内容を了承したものだか承認したものだか、ということをお尋ねしたい。
  236. 岡部保

    ○岡部政府委員 ただいまの点につきましては、この県の第一次案というものをそのまま了承したということではないかと存じます。十一省庁でいわゆるむつ小川原の総合的な開発の会議というものを持っておりますが、そこでいろいろ議論がございました。現実にたとえば、先ほどお示しのございました何方バーレルというものを石油として考えるというような点については、いろいろ議論がございました。結論は十分出ておりません。しかしながら、いわゆる石油シリーズと申しますか、石油系統の一つの工業というものを、差しあたりの工業開発の業種として考えるということは確かに議論が出ております。  それから次に、第二点としてお示しございましたこの図面の問題でございます。これにつきましても、その図面自体が了承されたということではございません。あの地域をいわゆる大規模工業基地としての開発をしていこうという考え方は全く同意を得たわけでございますが、そういうところでとどまっております。
  237. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 わかりました。おそらくはそういうものだろうと私も考えておりましたが、ところが最近になりまして、青森県知事が公式にこういうことを言った。この計画案の中にある二百万バーレルという石油シリーズ、これはだれから見ても巨大過ぎるのですね、この問題につきましては、あれは中央の開発屋が雷いたものだというふうに言いたしました。そうしますと、この開発というものは国家的開発といいますか、いわゆるナショナルプロジェクトといって出発していながら、地元の主体者である県知事がこういうふうに閣議了解を経た——これを了承されたとは私も承知しませんが、そこまできたものを、いまどきになって、こういうものは中央の開発屋——これは県知事に言わせると、開発屋というのはあるいは下河辺さんかもしれませんが、こういうふうな事態になっているのです。  それからもう一つ重大なことは、この掘り込み港湾の設計内容といいますか、たとえば、ちょうどこれは鹿島とよく似ていますから、潮流の関係も、潮が南から北へ流れるのが圧倒的に多いし、それからもう一つは、砂の堆積も非常に多いところはもう皆さんのほうでも十分御承知のこと。そこに口をつけるときに南のほうへ向けて、鹿島とちょうど逆な口をつける、こういうふうにまで具体的に言いだしたのですから、港湾局のほうのある程度の設計といいますかレイアウトというものがあって、それが公式であるか非公式であるかは知りませんが、そういう話し合いの上に県知事がこういうことを言いだしたものだろうと実は私は思っていますが、そういう事実ございますか。
  238. 岡部保

    ○岡部政府委員 ただいまのお話で、私どもが県当局といろいろお話をしておるというのは事実でございます。また、県当局が、これが港湾になりますれば当然港湾管理者になる立場であろうという考え方でございます。そこで、私どもの考え方の基本的な一つの原則でございます、あくまでも港湾の計画というものは港湾管理者が立てるべきものであるというたてまえ、そこでもちろん全国的ないろいろなバランスであるとかあるいはその他等々、国としていろいろ県に対して助言をしたり何かすることはございますけれども、あくまでもこの港湾計画は、港湾管理者となるであろう県が主体者となってお立てになるべきである、そのためにいろいろな調査とかあるいは作業というもののお手伝いは私どももいたします、まずそういう一つの原則があるということ。  それから次に、現段階で、いま一つ具体的に例をもってお示しになりました港口の形がどういうふうになるかというようなところ、そこの辺の問題までは全く詰まっていないということが事実でございます。これは私どもなぜそういうことをはっきり申し上げるかと申しますと、いま申しましたように、原則的に県が管理者の立場で計画をお立てになる、こういう大事業でございますから、これを当然運輸大臣としては、この計画がほんとうに間違いないかどうかということをチェックする意味もございまして、港湾審議会というのが中央にございます、この審議会に付議いたしましてこの意見をまず聞くということを、このような大規模の港湾の計画を決定する際の一つの手続といたしております。したがって、まだその段階ではない。ただこのあたりにこういうようなものをつくりたいという絵でございましたら、これはもう幾らでもあるわけでございます。したがって、まだまだこれからで、現地の調査もまだ完了したわけではございません。こういうもので詰めて具体的な計画が固まっていくというふうに御了解いただきたいと思います。
  239. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 実は四十六年に県知事がわざわざ記者会見をしまして、掘り込み港湾の一部には四十八年度には着工したいということを発表しておるわけです。ところが何も着工せぬ。四十七年にやらないばかりか、四十八年には港湾をつくるという予算はゼロなわけです。四十六年段階で、来年から港湾に取りつけるような見通しが、何かしら若干の手がかりくらいあったものでしょうか。
  240. 岡部保

    ○岡部政府委員 まず一つの意欲といいますか、こういう港湾をつくりたいという意欲と、それから具体的に計画を、ほんとうに技術的にも詰めた意味での計画が固まるということ、それからそれを固めるための調査といういろいろなものが入りまじっておりますので、いろんな、先生のおっしゃったような意味も出てくるかと思います。ただ、これを少し第三者的に冷静に並べ立てて見ますならば、現段階ではまだ調査段階だということがはっきり言えると存じます。そこで結局調査というものが、ほんとうに全部技術的にもうこれで文句なしというところまで調査をやって、それからぱっと次の段階の事業実施というものに移るかと申しますと、その点は若干のダブリがあるわけです。調査をしながら今度は着工に踏み切りますと、これの、たとえば防波堤を建設いたしますためにここに相当な鉄筋コンクリートのケーソンを据えなければならぬ。そういうコンクリートのケーソンをつくるヤードをつくらなければならない。そういうような準備の工事をやります。そういういろいろな準備工的なものには、調査が完全に終わるまでにも着工しなければならぬということは当然あるわけでございます。現実にほかの港でもそういう例はございます。ただ現段階ではどうも、もう一年、昭和四十八年度、いま御審議いただいております予算の内容といたしまして、港湾局の予算ではもう一、二年調査費でこれを進めていきたい、調査に徹底いたしたいという考え方でございます。
  241. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 それは、先ほどの局長のお話に別に反駁するわけじゃありませんが、港湾の設計といいますか、そういうものは港湾管理者である県知事が主体となるとおっしゃった。だが、いかに県知事であろうが、管理者であろうが、こんな大規模な港をつくるということは、漁港と違いまして、自分の屋敷の中に池を掘るようなものじゃない。しかも青森県には、だれが考えてもこんな港湾を構想し、調査することさえ技術的な能力ないですよ。設計する能力もちろんないですよ。したがって、この計画というものは局長のほうが主体になるわけです。希望を聞くぐらい聞くでしょう。まあそういうふうなことで、単に港湾管理者だからというようなことだけじゃなしに、もっと客観的に自然条件というものを見きわめる必要がある。  そこで申し上げますが、実は私はこの掘り込み港湾から一キロ半くらい離れたところで生まれて幼少年時代を送ってます。そういうふうなあれから見ますと、この鷹架層というのと尾駮沼というところは、われわれ子供のときイワシを煮るかまの石を切ったところです。これは鷹架層というので地質図にも出ておりますことは御存じだと思います。さらにそれだけではなしに、具体的にこまかな調査をしなくとも、県庁がこの両方の湖に長大な永久橋をつくっております。さらに、鷹架層の河口部に、これは農林省関係の仕事ですが、防潮水門をつくっている。それだけの工事をするには、地耐力を調査するために三十メートルか四十メートルのボーリングをやっているわけです。さらに六ケ所村もこの地域に学校を建てていますし、防衛庁も飲用水の井戸を掘っているものがことごとくこの鷹架層というものにぶつかっている。決して一メートルや二メートルのものじゃないんです。これのあれはシールですから、ハッパをかけるにはやわらか過ぎる、サンドポンプで掘るには都合が悪い。それからもう一つは、この港湾を図面にかいている場所は、海からわずかの部分は平地です。ところが、これを見ますと、大体七〇%ぐらいの掘り込み港湾の岸はいきなり四十メートルの急勾配の地形が多いんです。そうすると、かりに安く掘れたとしても、その後の工業港湾としての利用効率というものはきわめて悪い。私ら、鹿島に行って住金の工場を見ると、掘り込み港湾のメリットというのは全部出ますね。工場のそばに接岸して、水平に原料が工場に流れる。それと逆なんです。この点をどの程度に御認識なさっているか、まず承りたい。
  242. 岡部保

    ○岡部政府委員 全く技術的な観点でございますので、技術的な御説明に終始させていただくことになると存じますけれども、ただいま先生がおっしゃいましたこの地域のまず港湾をつくる場所はどこが適当であるかという問題がまず導入部でお話がありました。それから、いま県で考えておる地域があまり適当でないということで、その理由として、例の鷹架層のことと基礎地盤の問題あるいは地形の問題等での御意見があったわけでございますけれども、非常におことばを返すようになりますけれども、私どもいままで検討いたしまして、もちろんこれからも調査を続けますから、これから新しい事実が出てくれば別でございますが、現在までの私どもの考え方であれば、港湾の位置としては適当ではなかろうかという考え方であります。と申しますのは、これにはただいまお話ございませんでしたことに若干及び過ぎるかもしれませんけれども、私ども当初考えましたときには、もう少し小川原湖の周辺を港として活用するということが考えられるという考え方がございました。これは地形上は非常に平たんなところでございます。そういう意味では適当だと思います。しかしながら、このところで相当大規模な掘り込み港湾というものをつくるということを前提にいたしますと、外海に直接面しておる地域でございますし、この掘り込みの適地というものをどこに考えたらよいかというのは相当な問題でございます。しかも相当に中の内陸地を掘り込んでいくということになります。そういたしますと、小川原湖の周辺、比較的近いというところでは、実は小川原湖に対する透水の問題、いわゆる海水の透水の問題が非常に心配になったわけでございます。この点については、蔵田先生等にいろいろお願いして調査もしていただいておりますが、どうも小川原湖のたとえば東部地区であるとかあるいは近傍の北部地区における大規模な掘り込み港湾の建設は、小川原湖を淡水化いたしまして一つの水資源上に利用させていただきたいという考えから見れば、どうもいわゆる水質を維持する、低い塩分濃度を維持するという面で技術的に問題がありそうである。  そこで、それでは一体どこがあるかと申しまして選ばれたのが鷹架沼、尾駮沼の周辺であるわけでございます。そこで鷹架沼、尾駮沼を中心とする地区のいわゆる鷹架層の、三紀層の分布というもの、これがほんとうに先生のおっしゃるとおりたいへん問題でございます。そこで現在いろいろ調べまして、鷹架層の上限が一体どのくらいの深さにどこであるんだというようないわゆるコンターラインと申しますか、こういう等深の線を引きました図面までつくりましていろいろ調査をいたしました。この考え方でまいりますと、確かに一部先生のおっしゃりましたように、港湾を建設するときにかたい地盤を掘さくしなければならぬという部分は出てくると存じます。ところが、比較的それほどの問題はなくここででき得るという、まあ荒い検討でございますが見当がついたわけでございます。  そこで次に、地表面のいわゆる地形の問題を問題にいたしたわけでございますが、実は先ほどお話ございましたように、たとえば工業用地にしてそこに工場が張りついて、そこの出入りの貨物というものが、非常に平らでなければおかしいじゃないか、あるいは工場の施設というものも平らなところでなければなかなかできないという問題が現実にございますけれども、ここでさしあたりまず考えております例の石油関係のいわゆる石油シリーズと申しますか石油関係の工場の場合でございますと、どうも必ずしもこの地形が二十メートルないし六十メートルの台地であるということ、しかもその地域で非常に高低差があるということはそれほど支障にはならないんではなかろうか。たとえば業種別に地形をほんとうに利用しての工場のレイアウトを考える、しかもその一つの工場の中では、同一工場内でも施設別に地形を利用してのレイアウトというのは考えられる。たとえばタンク等は高いところに上げまして、それから逆に工場内でのいろいろなプロセスは自然流下方式でおろしてくるというようなことが石油関係であれば十分できるんではなかろうかというような考え方、こういう考え方もございまして、いまのところいまの位置についていわゆる掘り込み港湾として相当大規模なものというものはまず差しつかえないだろうという考え方でございますが、それの詳細のこまかい港湾施設としてのレイアウトは、先ほど申し上げましたように、まだ十分きまったということでにございません。
  243. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 ただ、私が疑問を持つことは、確かに油だからパイプで送るから高くてもいいというけれども、原料よりも大量に必要なのは工業用水でしょう。それを毎日、これは製品にあらわれるものじゃなくてコストにあらわれる、それを四十メートルも六十メートルも上げるということは簡単じゃないだろう。そういう点からも考えるし、それからもう一つは、海の水が浸透する可能性、小川原湖の淡水化を阻害するというような。しかし最初は地下をくぐっているんじゃないかということを疑ったのですが、それはないことが明らかなんです。そうするとこの沼は、小川原湖はほとんど海と水平です。決して水平の中では水は抵抗の多いほうに流れ込まないでしょう。問題は沼の水位をどの程度下げるかによって問題が出るのでして、まだまだこれは私らとしては皆さんのほう、あるいは石油関係では通産のほう、かなりな範囲から検討しない限り結論は出ないと思うのです。  それからもう一つは、この小川原湖のいまの掘り込み港湾の南端は、実を言うと小川原湖がかつて海の一部であったときの海のあとです。だからこれは赤川という小学校の場所はすでにそういうふうなあれが出ていますから、ここは五十メートルぐらい掘ってもこまかい砂と責がらの粉末しか出てこない。だから掘ることと埋め立てることを一緒にできますし、そうして周辺が水平だとすればそっちのほうもいいんじゃないか。と申しますのは、実はいまになってから変なことを言いますけれども、青森県知事がこの問題を県民に宣伝するとき何と言ったか。向こう百年間は特に手を加えなくても世界の経済競争にうちかっことのできるコンビナート、こう言い出した。わざと高いのに工業用水まで六十メートルも上げるようなところにつくるということは、その思想とは相反する、あなた方たって調査完了しないことをぼくは知っていますから、何のためにこんなものを含めて閣議決定、了解になったか。こういう架空なものが前提になって開発が進められていく。だから、うそを前提にして対話ができないでしょう。まだ確定しないものを前提にして対話しようといったって、これはおかしい。だまし合いになりますから、そういうふうなことですから、こういうようなものはやはりめくら千人目あき千人といいますから、なるたけ公明に、原子力ほど秘密なものじゃないですから、公開主義で今後ひとつ前向きにやられることを希望して、きょうの私の質問を終わります。
  244. 藤波孝生

    藤波主査代理 これにて米内山義一郎君の質疑は終了いたしました。  次回は明三日午前十時より開会し、引き続き運輸省所管審査することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後七時二十七分散会