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1973-03-08 第71回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年三月八日(木曜日)     午前十時十二分開議  出席分科員    主査 臼井 莊一君       伊能繁次郎君    塩谷 一夫君       田澤 吉郎君    湊  徹郎君       楢崎弥之助君   米内山義一郎君       谷口善太郎君    山田 太郎君       渡部 一郎君    兼務 上原 康助君 兼務 大出  俊君    兼務 安井 吉典君 兼務 山田 耻目君    兼務 横路 孝弘君 兼務 和田 貞夫君    兼務 増本 一彦君 兼務 安里積千代君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 増原 恵吉君  出席政府委員         内閣法制局長官 吉國 一郎君         内閣法制局第一         部長      角田礼次郎君         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      須藤 博忠君         防衛政務次官  箕輪  登君         防衛庁参事官  大西誠一郎君         防衛庁参事官  長坂  強君         防衛庁参事官  岡太  直君         防衛庁長官官房         長       田代 一正君         防衛庁防衛局長 久保 卓也君         防衛庁人事教育         局長      高瀬 忠雄君         防衛庁経理局長 小田村四郎君         防衛庁装備局長 山口 衛一君         防衛施設庁長官 高松 敬治君         防衛施設庁総務         部長      河路  康君         防衛施設庁施設         部長      平井 啓一君         防衛施設庁労務         部長      松崎鎮一郎君         外務省アメリカ         局長      大河原良雄君         大蔵省主計局次         長       長岡  實君         大蔵省理財局次         長       小幡 琢也君         運輸省航空局技         術部長     金井  洋君  分科員外出席者         外務省国際連合         局専門機関課長 谷口  誠君         大蔵省主計局主         計官      宮下 創平君         運輸省航空局監         理部監督課長  山本  長君         労働省職業安定         局業務指導課長 加藤  孝君     ————————————— 分科員の異動 三月八日  辞任         補欠選任   北山 愛郎君    米内山義一郎君   山田 太郎君     高橋  繁君 同日  辞任         補欠選任  米内山義一郎君     北山 愛郎君   高橋  繁君     広沢 直樹君 同日  辞任         補欠選任   広沢 直樹君     有島 重武君 同日  辞任         補欠選任   有島 重武君     渡部 一郎君 同日  辞任         補欠選任   渡部 一郎君     沖本 泰幸君 同日  辞任         補欠選任   沖本 泰幸君     山田 太郎君 同日  第二分科員上原康助君、安井吉典君、安里積千  代君、第三分科員和田貞夫君、第四分科員増本  一彦君、第五分科員大出俊君、山田耻目君及び  横路孝弘君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十八年度一般会計予算皇室費国会、  裁判所、会計検査院、内閣総理府経済企画  庁を除く)及び法務省所管並びに他の分科会の  所管以外の事項  昭和四十八年度特別会計予算及び昭和四十八年  度政府関係機関予算中他の分科会所管以外の  事項      ————◇—————
  2. 臼井莊一

    臼井主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  昭和四十八年度一般会計予算中、総理府所管を議題とし、防衛庁に関する事項について、昨日に引き続き質疑を行ないます。安井吉典君。
  3. 安井吉典

    安井分科員 この前、予算委員会でずっと問題になってまいりました岩国並び三沢施設提供の問題につきまして、楢崎委員岩国団長として参り、私は三沢のほうの調査団長で、米内山和田両議員ともども見てまいりました。現地では、防衛施設庁当局側説明を受けながら、案内のほうは米側のバスでやってくれました。ただ、アメリカ側は、案内はするが、説明もしないし質問も受けない、こういう厳重な制限つきであったわけでありますが、午後の二時から四時にわたって一わたり問題点だけ見てまいりました。ハーシ司令官にも会って、お茶をごちそうになってまいりました。北部航空方面隊鈴木司令官にも会って、お話も聞きました。また地元三沢市の小比類巻市長からも地元状況も聞きました。  そういう中で、いま問題になっております日本側提供兵舎改修が必要かどうかという点その他について見てきた結果を取りまとめて申し上げますと、政府が四十八年度に改修予算要求しているのは、日本側提供兵舎二十五棟のうち、十棟の改修費であります。そして順次二十五棟全部を改修するという説明を今日まで受けているわけであります。私どもは、そのうち、程度が中位のものと下位のもの四棟を内部にまで入って見てまいりました。これらは、いずれも昭和二十二年の四月及び十月に建設されたものだそうで、チリ地震で大きな損傷を受け、アメリカ側改修を加えています。その後も、数年間、アメリカ側かなり改修を加えているという実態も見てまいりました。ただ、この改修状況等については、施設事務所があまり正確なのをつかんでいないのか、あるいは説明をしたくないのか、それは明確にされませんでした。そこで、私どもも、改修工事を実施した建設業者、これは現在倒産しているらしいのですが、それに近い人やあるいは基地に常時出入りしている人たちから、当時の話も聞き、それを基礎建物の実際を見た、こういうわけであります。  その結果感じましたことは、今日までアメリカ側が施した改修工事は、基礎工事も一部やり直しをやっているというようであります。柱も補強をし、床や壁は張り直し、配管、電気工事手直しをし、洗面所も、二十二年日本提供したときよりも、米側による改良工事の際に取りかえも行なわれているという状況のようであります。しかし、土台が損傷しているところもあるらしく、一部床が傾斜しているというところも見受けてきたのも事実であります。また、トイレがオープンになっていて仕切りがなくて、みんなこう並んですわってやるというふうな仕組みで、ああいうのは米軍兵士からも抵抗があるようですね。そういう点は私どもも、一部は改修が必要だという感じを受けてまいりました。なるほど、共同使用している別棟の自衛隊の四階建て鉄筋コンクリート兵舎に比べれば、木造二階建て中古兵舎でありますから、改修したらよいのにきまっています。若干の手直しも必要であるかと思うが、しかし、私どもは初めに、比較検討するために、アメリカ建て米軍兵舎のほうを見ました。これは二十七棟建っているわけです。そのうちの一つを見たわけでありますが、一九五三年から五九年に竣工したという建物でありますが、これは木造で、廊下も狭く、建物の中も狭いようで、兵士からも不満も出ているようであります。この純粋のアメリカ資産兵舎と、いま日本政府改修しようという兵舎を比べてみると、そのアメリカ側兵舎より同等以上であることは確かです。それをなぜ改修要求するのか、いささか私ども理解に苦しむわけであります。  これが大体の印象でありますが、この短い時間にたくさんの問題をお聞きするわけにはまいりませんが、私は特に問題にしたいと思うのは、岩国のほうは改築ということばを使っておるが、三沢のほうは改修ですね。この改修改築とどういう使い分けをされているのか、それをまず伺いたいと思います。つまり、改修ということになりますと——改築というのは建て直しだろうと思う。改修はいまある建物をどこか手直しをするという、そういう意味ですか。
  4. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 改築と申しておりますのは、ただいま御指摘のとおりに建て直し、すなわち古いものを取りこわしまして新たにつくるわけでございます。改修と申しておりますのは、既存建物施設等利用できる部分は利用しつつ修理を施していく、こういうことでございます。
  5. 安井吉典

    安井分科員 私の見た限りでは、その改修工事に一平方メートル当たり六万五千三百四円という金額をお考えのようでありますが、そういたしますと、坪当たり二十万円近い額になるわけですよ。いまあるその木造建物坪当たり二十万円近くのお金をかけて改修をするというのは、一体どういうことなのかという印象を受けるわけであります。どうですか。
  6. 高松敬治

    高松政府委員 ちょっと予算の技術的な問題になるのでございますけれども両方とも、改修改築鉄筋コンクリートづくりを予定して予算を計上しております。ただ、岩国の場合には改築ということで八万幾らでしたかという予算単価が認められ、三沢の場合には改修である、それから既存建物利用のできるところは利用し、それから廃材その他の利用を認めて改築の場合の八掛けの予算にする、こういうのが大蔵省の査定でございまして、そういうことで単価がそこで違っておりますし、改築改修ということばもその点で出てきておるわけでございます。
  7. 安井吉典

    安井分科員 それはお話になりませんね。あの建物を見て、あれでどうやって改修をするんですか。改修というのはいまある建物をそれこそ改修するわけですからね。基礎はそのままにして、どうして鉄筋コンクリート建物建てるんです。全く意味のないことではないかと思います。この予算はじゃあ大蔵省がきめたと言うんなら、大蔵省主計局どういうふうにお考えですか。この改修改築の違いは。
  8. 宮下創平

    宮下説明員 お答え申し上げます。  私ども、御指摘のように十億円を計上いたしまして、その内訳として三沢につきましては十棟、五千百二十九平米、単価はいまお話のございますように六万五千三百四円ということで、これは設計監理費等を含めて計上してございますが、ただいま改修改築の話が出ましたけれども、私どものほうの理解といたしましてはRC鉄筋隊舎をつくる。しかし、残材その他利用可能なものがあるということで二割を控除いたした単価で積算してございます。  岩国につきましては、既存隊舎の実績単価等考慮いたしまして要求額を若干査定いたしまして、平米当たり八万一千六百三十円ということで計上してございます。
  9. 安井吉典

    安井分科員 これは防衛庁長官にも伺っておきたいと思いますが、私はいま一応三沢に限定しているわけですが、政府は、三沢米軍を今後何年間駐留させるというお考えですか。
  10. 久保卓也

    久保政府委員 政府がということではございませんが、日米安保条約に基づきまする極東と日本の安全に寄与するという観点から見ますると、私どもの観測から言いますると、当分の間、少なくともあまり短くない期間三沢米軍が必要として駐留を希望するであろう、また日本側としてはそれを支持するのが適当であるというふうに考えます。
  11. 安井吉典

    安井分科員 現在の日米安保条約は一年前に通告をすればそれで廃棄できるわけですよ。鉄筋コンクリートのやつをいまある木造をぶちこわして、そこに建てかえをする。いま伺ったら、現実改築改修とは中身は同じじゃないですか。やはりいまある建物をぶちこわして新しくRC鉄筋建てるのだ、こういうことでしょう。  だから、米軍駐留についての考え方、そこに根本的な問題があると思うのでありますが、それにいたしましても、いわれている地位協定の二十四条の規定の適用という上から、私は重大な問題があると思う。その点をひとつ指摘しておきたいと思います。  それから次に伺いたいのは、これは大蔵省に伺いたいわけでありますが、米軍が初め日本側提供した施設幾度手直しをしてきているわけであります。改修工事をやってきて、おそらく当初提供したものと全く違った形になっているのではないかと私は思う。そういうふうに印象を受けました。これはもとより日本国有財産だと思います。こちらから提供しているわけですからね。その国有財産台帳の上で、現在どういうふうに整備されているのかと聞いたら、二十二年のままでありますと、こういう答弁施設事務所で伺ったわけであります。しかし、現在の国有財産という形は、二十二年の提供時とは全く違ったものになっているわけですね。国有財産管理という上において、日本側提供して後に米側改修を施してきたという、それはいかように扱っているのか、現在の台帳の上にどういうふうにそれが表現されているのか、それを伺いたいと思います。
  12. 小幡琢也

    小幡政府委員 地位協定の第三条によりまして、米側提供区域内におきまして、一切の管理のための必要な措置をとることができるとございますので、日本側提供しました国有財産につきまして米側が手を加えた、こういう場合につきまして、現在はこの地位協定第三条に基づきまして、管理権を一切向こうにまかしておりますので、私どものほうの管理としては、そのままにしておきまして、将来返還になりました場合にこれを整理する、こういう取り扱いにいたしております。
  13. 安井吉典

    安井分科員 それでは国有財産はこれは国民財産でありますから、国民は、現在アメリカ提供している施設現状がどうなっているのかということを知らないわけです。国民に報告する必要はないのですか。全くつんぼさじきになって、アメリカが返してきたらというのは、さっき防衛局長がお答えになったように、いつのことやらわからぬのですよ。そういう政府の御見解じゃないですか。安保でいつまで居すわるのかわからないという状況、そういう中で国民財産アメリカ提供して、それを一体どのようにアメリカが使っているのか、現況はどうなっているのか、それを日本政府は知らぬというのはおかしいと思うのだ。どうですか。
  14. 小幡琢也

    小幡政府委員 この問題につきましては、実は防衛施設庁のほうに使用承認しておりまして、施設庁のほうで提供関係の仕事をやっておりますので、施設庁のほうからお答えいたします。
  15. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 ただいま小幡次長から答弁がございましたとおりで、在日米軍に対して国有財産提供して、財産台帳に基づいて一応管理している直接の責任者防衛施設庁でございますが、しかしながら、提供している期間内にその財産にどういう付加価値が生じたか、そういった点につきましては、返還される時点におきまして、米軍財産の受け渡しをする時点調査をいたしまして、それを明らかにし、その点を記録に登載して、普通財産であれば大蔵省に引き渡す、そういうことで国有財産台帳をその時点で明らかにするというのが通常のたてまえになっております。
  16. 安井吉典

    安井分科員 それはアメリカ側とのそういう約束ですか。アメリカ側改修工事等を施した場合は、その財産そのもの日本国有財産ですから、日本政府に通報するという仕組みにはなっていないのですか。
  17. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 米軍との間に、特に財産変化等についてそのつど通報するということについての取りきめはいたしておりません。これは先ほども小幡理財局次長から答弁がありましたように、提供している間、三条に基づく米軍管理権の中に一応ゆだねているという形でございます。
  18. 安井吉典

    安井分科員 それでは、現在時点アメリカ提供されている資産資産価値というのはどれだけありますかと国会で問われたら、政府答えようがないわけですね。アメリカが返してくれるまではわかりませんと、そう答えるのですか。
  19. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 たとえば提供期間中に在日米軍の手で何らかの価値が加わった場合に、その加えられた価値そのものは、まだその時点においては日本国有財産財産価値には入ってないわけでございまして、それが米軍から返還された時点において、そういったものが日本側付加価値として渡されるわけでございまして、その時点において国有財産価値というものがあらためて評価される。それまでは、一応提供した時点記録に基づいた価値として国有財産を評価しておるわけでございます。
  20. 安井吉典

    安井分科員 そういたしますと、いま三沢建物改修をするということになる。その改修というのは、いまある資材等を使うから、それで改築でない、改修ということばを使ったんだという先ほど御説明ですよ。そうすると、現在あるあの建物の、日本側が実際提供した当時のものと、アメリカが加えたものと、これは両方あるわけですね。それを含めて改築費の中から差し引く、こういう意味ですか。日本が出した資材アメリカが出した資材もいま残っているでしょう。それを使うのだと、こうさっきおっしゃったのだから、その両方を差し引いたものが改修費だと、こうおっしゃるのですか。  いずれにしても、これは今日の段階国有財産がどういう状況にあるか、そのことを国会なり国民の前に明らかにする責任政府は持っていると思います。それはどうですか。
  21. 高松敬治

    高松政府委員 御指摘のとおり、そういう財産管理については防衛施設庁がこれに当たっている。本来ならば御説のとおりに、防衛施設庁としてはそういうふうな状態を常に十分に把握し得るような状況になければならないと私は思います。ただ現実状態は、ある場所については非常によくわかっているものもございますし、それからある場所についてはあまりよくわからないというふうなものもございまして、全部を通じまして、たいへん残念ながら、これがたいへんよく把握されているというふうな状態になっておらないように私自身も思っております。今度の改築につきましても、三沢岩国状態というものを予算要求の前に、一応各防衛施設局を通じて調査をやらせましたのですけれども、その際にも、その点は従来からの施設局の把握のしかたというものは、必ずしも十分ではないというふうなことを私自身も感じたわけでございます。今後はなるべくそういうものの実態をよくつかんで処理をしていく、こういうことにつとめてまいりたい。  それから、そういうふうに付加的につけたものも何も引いてやるのかというお話でございますが、現在まで私どもの承知している範囲では、三沢につきましても、いろいろ表面の塗装であるとかあるいは修理維持管理というふうなことを米軍自身かなり行なって、かなりの手を加えているようではございますけれども、しかし、それはそう大きなものではないというふうに考えております。だから、そういうこともあわせまして、今度の予算の積算を行なったわけでございます。
  22. 安井吉典

    安井分科員 いまの御答弁は、これは全く私は納得できないわけです。というのは、向こうで聞きますと、この予算要求について現地施設事務所はどういう相談にあずかったのかというと、何にも知りませんと言うのですよ。結局アメリカ側外務省との政治折衝なり、あるいは防衛庁の上のほうでかってにきめた数字で、現地なんかを見て、この予算がこうなるんだなんというのをきめたというものでないということは、私はどうも明らかになったように思う。しかも、これだけお金が要るんだとか予算が要るんだといったって、あなた方は、アメリカ側がどんな施設になっているのか何にも知らぬじゃないですか。何にも知らぬで国会予算要求するとは一体何事なのか。現状を何にも知らないでしょう。そういう形で、日本財産が一体どうなっているのかも知らない。それにアメリカがどんな手を加えているのかも御存じない。現在のあの財産状況はどうなっているのかということを何にも知らぬじゃないですか。そういう中で、上の政治折衝だけで、これだけの予算が必要だからというので国会予算要求をする、そういうやり方を私どもは絶対に認めるわけにはいきませんね。大臣、どうですか。
  23. 高松敬治

    高松政府委員 いま三沢事務所の者が、自分たちは何も知らないんだということを申した、こういう話でございますが、私ども仙台防衛施設局に対して、三沢における二十五棟について、その老朽度その他について調査を命じて、その回答をとったことは事実でございます。ただ、それが、この前も申し上げましたように、たしか一月六日にだったと思いますが、予算要求を行ないましたので、非常に短い期間に非常に急いでやった、そういう意味では十分なことはできなかった。現地でもできなかったかもしれませんけれども、従来から把握している状況と、それから現在あるものの状態というものを見て、大体二十五棟のうちの老朽度、老朽しているものはこれくらいだ、一番ひどいのはこれくらいだというふうな報告をずっととりまして、それに基づいて面積を出しているわけでございます。そういうことで、全く何もやらないでそれをやったということではございません。ただ現地としては、それは何棟、どれくらいの広さのものをつくるというところまでは現地の者は知らなかったかもしれませんけれども、そういう調査をやったことは事実でございます。
  24. 安井吉典

    安井分科員 それでは私からお願いしておきたいのですが、なるほどこの十億円の予算要求されたのは一月の段階です。しかし、いまはもう三月、きょうは八日ですね。もうだいぶたっているわけですよ。この間に一体何をしているのです。台帳もきちっと整備されて、現在段階はどれだけのものがある、そのうち日本提供したものはどれだけで、アメリカが加えた改修はこれだけでということをはっきりお出しをいただいて、だから三億四千五百万円という要求は、こういう基礎に基づくものですということをやはりはっきりさせてもらわなければいかぬ。もう二月近くもたって、いまだに何ら国会に対してないじゃないですか。私ども幾度幾度もこうやって議論しているけれども、何ら根拠を出してくれないじゃないですか。やはり現在の財産状況というものを明確な資料として提出をしていただきたいし、それに基づいてこういうものを現実につくるのだという設計、それをやはり示していただかなければ、審議をこれ以上進めるわけにはいかぬと思います。それを一つ申し上げておきます。  それから、時間がなくなってまいりましたので、これは楢崎委員からも続いて岩国を例にとっての質問があると思いますから、それに譲りますが、もう一つこの際伺っておきたいのは、アメリカ側三沢について、その他の施設として要求しているものは何ですか、これ以外に。
  25. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 岩国からP3が三沢へ移転することになりますが、これに関連する施設でございます。
  26. 安井吉典

    安井分科員 私ども向こうへ行きがけに、防衛施設庁等からいろいろ話を聞いた点についてちょっと申し上げると、あるいはまた若干の想像を加えて申し上げると、こういうことになるのではないかと思う。この点については向こうへ行ったってだれも教えてくれない。アメリカ側が言うわけないし、向こう施設事務所の問題ではないし、これはごく中央における高度の判断だろうと思うのですが、岩国格納庫には、アメリカ常駐機はいま一つもいないわけですから、あいているわけでありますが、これにP3Bを入れるとすれば、尾翼が高いため屋根の高い格納庫が必要だから、その格納庫改修も必要ではないか、爆雷倉庫も必要ではないか。それから住宅約二百戸の提供についても要望があるというふうな内容のことを私ども聞くわけでありますが、それが一戸当たり二千万円で、四十億円もの要求額になるのではないか、こういうふうにもいわれているそうでありますが、これはどうですか。だからいまの三億四千五百万円だけじゃなしに、P3の移転に伴って、こういう膨大な額が次々に要求として出てくるのではないか、いわゆるその他の施設という中に。こういうことでありますが、こういうことはないのかあるのか、今後これで終わりなのか、こういうふうな額にふくれ上がるのか、その見通しをひとつお伺いします。
  27. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 三沢につきましては、約三百万ドルというエスチメートを米側は一応出してございますが、これはP3が岩国から移転するに伴いまして、必要な関連の施設の整備費でございます。  なお、ただいまP3の乗り組みの要員に関連します住宅の問題も御指摘ございましたけれども、この住宅の整備もあわせてまた必要になってまいりますけれども、その金額につきましては、幾らという額をまだ算定する段階には至っておりません。
  28. 安井吉典

    安井分科員 いずれにいたしましても、三沢だけでもこれはもうたいへんな額になるということは明らかであります。その点だけ、いまのところはその程度しかお答えが願えないでしょうから、伺うだけにしておきますが、私が最後に指摘しておきたいのは、地位協定二十四条第一項の規定の適用についてです。つまり日本政府は、改修工事費を日本の金で払うのだということで、いま御提案になっている。しかし、この日本提供施設について、アメリカは、チリ地震のときも大幅改修をしている。その後も相当大幅な改修をしている。それを日本政府実態をつかんでいないというが、そういう改修アメリカ側が負担してやっているわけですよ。二十四条第一項の維持費という規定に従って、アメリカがずっと負担してきているわけですよ。それをなぜ今度はアメリカが負担しないで、日本側に負担をさせようとしているのか。それをなぜ日本政府はうのみにしたのか。だから私は、地位協定二十四条一項の拡大解釈だと、こう言うわけです。こういうような予算をわれわれは絶対に認めるわけにはいかぬと思う。現実に、いままではアメリカがずっと改修をやってきたという事実を私は見てまいりましたよ。今度も改修したければアメリカがやればいいじゃないですか。それをなぜ日本政府が負担をしなければいけないのか。私は最大の焦点はここにあると思う。これは負担すべきものではないと思う。どうです。大臣並びにアメリカ局長から伺います。
  29. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 たびたび御答弁申し上げておりますように、地位協定二十四条の解釈といたしまして、米側は第一項に基づきまして、日本側が負担するもの以外の経費を負担するということでございまして、第二項に、日本側が負担すべき経費ということにつきましては、政府としては、従来、施設、区域の新規の提供、追加提供、これに準ずるもの、これは日本側の負担であると、こういう見解をずっととってまいっておりますけれども、ただいま御指摘ございましたような施設、区域の小修理のようなものは、従来米側がやっておるわけでございまして、今後とも、このようなものは米側が負担すべきものという考え方に政府としては変わりはございません。しかしながら、今回米側と話をいたしました改築改修、こういうものは地位協定二十四条二項の規定の解釈といたしまして、日本側が当然負担すべきものである、こういうふうな考え方をとっておるわけでございます。
  30. 安井吉典

    安井分科員 これで終わりますが、小修理などというものじゃないですよ。いままでの米軍の、最近における改修工事の工事を担当した建設業者筋から私ども確めたところによると、おそらく八億円ぐらいの工事を施していますよ。実態をあなた方何も知らぬと言われるけれども、そういうふうな実態のようです。小修理や何かじゃないですよ。維持費そのものをアメリカ現実にこれまで負担をしてきて、なぜこの段階において日本政府が負担をしなければいけないのか。その転換を国会なり国民に納得のできるような説明をあなた方はしていない。この点だけは私ははっきり指摘して、これ以上時間がないから、あとの機会に問題点を保留しておきたいと思うわけでありますが、ただ、先ほど申し上げた台帳ですね。現実台帳と、アメリカがそれにどのような改修工事を今日まで加えてきたかということ、そしていかなる改修改築費をこれから投入しようとするのか、その現実的な問題点が解明できるような資料を御提出願いたいというさっきのことをもう一度再確認をしておきたいと思います。これは、三沢だけじゃなしに、岩国も同時にお願いしたいと思います。いいですね。
  31. 高松敬治

    高松政府委員 岩国につきましては、ある程度米軍が手を加えた、兵舎六棟の手の加え方については、ある程度私どもも承知いたしております。三沢についてはあまり資料がないのでございますけれども、それらは追ってまた調査いたしまして、できるだけ御提出するようにしたいと思います。
  32. 安井吉典

    安井分科員 これも予算委員会、あす、あさってで終わるのですが、——終わるかどうかわかりませんよ。また、これからの四野党の共闘もできたそうですからね。あとこれは何カ月かかるかわかりませんが、しかし、いずれにしても分科会はきょうで終わりなんですが、いつまで出していただけますか。あしたまでどうですか。
  33. 高松敬治

    高松政府委員 あす、あさってと仰せられても、ちょっと無理かと思います。もうしばらく時間をかしていただきたい。なるべくすみやかに提出するようにいたします。
  34. 安井吉典

    安井分科員 これは予算があがるまでに出していただきたい、こういうことにしておきたいと思いますが、どうですか。
  35. 高松敬治

    高松政府委員 そういうふうに努力いたします。
  36. 臼井莊一

    臼井主査 次に、楢崎弥之助君。
  37. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 ただいま安井委員から要求された資料は、まさに四十八年度予算に出てきております十億円と非常なかかわり合いがありますから、私からも重ねて、予算が終了する前に、できれば総括前にひとつ御提出をいただきたいし、再度要望いたしておきます。  それで、航空局のほうが急いでおられるようですから先にお伺いしますが、私が外務省関係の分科会要求をいたしておりました、米軍から四十七年九月に要求のあっておりました、いわゆる訓練空域を十カ所、プラス一修正個所、計十一カ所、これの資料を、地図の上にその訓練空域個所を明示した上、御提出いただきたいと要求をいたしておりましたが、その点どうなりましたでしょうか。外務省にお伺いします。
  38. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 御要求のございました資料につきまして、航空局のほうと相談いたしまして提出できるような運びになりました。
  39. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 航空局見えておりますか。いま提出できますか。
  40. 金井洋

    ○金井政府委員 いま手元に数部ございますので、それはいますぐでもお出しできます。
  41. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 ちょっとそれをいただきたいのですが。     〔金井政府委員、楢崎分科員に書類を渡す〕 これはナンバーの部分とアルファベットの部分とございますが、説明できますか。
  42. 金井洋

    ○金井政府委員 いままでの慣例で、米軍では空軍関係はナンバーを使用して、ネービーとかマリーン関係はアルファベットを使うのが従来からの慣例のようでございます。
  43. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 私がこの前明らかにしました個所は、きょうもう一ぺん、きょうだとこの地図も出ましたから明確にできるのですが、あれは間違いございませんでしたか。
  44. 金井洋

    ○金井政府委員 間違いございませんでした。
  45. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 これでいきますと、このナンバーとアルファベットで、私が指摘した個所を合わせてみてください。たとえばナンバー1は私が指摘したところのどこだというふうに。
  46. 金井洋

    ○金井政府委員 ナンバー1は先日御指摘になった百里の沖合い、それからナンバー2とナンバー3は熊谷の北方空域ということでございます。
  47. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 アルファベットのほうも……。
  48. 金井洋

    ○金井政府委員 アルファベットのほうは、Vというのが百里の沖です。それからアルファベットのS、これは通称チャーリー海域というのが東京からずっと南のほうに、三宅島の近くにありますけれども、そのさらに南にS空域というのがございます。それからMが豊後水道の沖、それからRが島根県の沖、それから、先日先生が御指摘になった伊豆半島上空の二カ所というのは、アルファベットのTとアルファベットのU空域でございます。
  49. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうしますと、この修正分を含めて十一カ所の取り扱いはどのようになっておるのですか。
  50. 金井洋

    ○金井政府委員 これは日米合同委員会の下の民間航空分科会というのがございまして、そのさらに下に事務レベルでワーキンググループがありますので、このワーキンググループは日本側からは運輸省が当たっております。したがって運輸省が事務レベルで、その空域がいいかどうかということを詰めるという段取りになっております。
  51. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 いまお伺いしたところでは、全部これは——まあこれでいきますと、ナンバー2とナンバー3は横田の空域に入りますけれども、それ以外はほとんど全部国際線なり、民航関係と行き合っておりますね。
  52. 金井洋

    ○金井政府委員 御指摘のとおり航空路がございます。各空域とも航空路が通っております。
  53. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 いま具体的に詰めが行なわれておるのは島根沖の関係ですか。
  54. 金井洋

    ○金井政府委員 先ほども申し上げましたように、訓練空域の設定が可能かどうかということは、米軍から出されました時点から全部同じように検討しております。ただ、検討の順序としまして、可能性が高いものから順番に検討しようということで取り上げましたのが島根県の沖合いでございます。そのほかのものについてもまだ現在検討中でございます。
  55. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 せんだってもイベリア航空の衝突事故があったばかりですね。したがって空の安全のために、私どもはやはりいわゆる民間を優先させるべきである、そのためには、一番それの基礎になっておる三十四年のいわゆるATCのアグリーメントを早急に改正すべきである。それは、あの三十四年アグリーメントは軍事優先、安保優先になっておりますから、それが基礎にある限りどうしても米軍要求が優先するという基礎を与えておる。せんだっての大平外務大臣の御答弁では、いま改定交渉中であるという話ですが、そういう民間優先の方向でこれは改定を考えておられるのかどうか、その点、アメリカ局長にお伺いしておきます。
  56. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 昭和三十四年の航空交通に関する合意につきましては、その後のわが国の航空の発展というふうな新しい事態に即応するための改定を行ないたい、こういうことで現在交渉中でございます。
  57. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 私どもとしては、あのアグリーメントは絶対認められない、民間優先の方向へ絶対に変えるべきである、このように考えます。  それでは航空局のほうはよろしゅうございます。  私も、安井委員が指摘されたとおり、岩国に同僚の大出俊君、上原康助君、山田耻目君、四人で昨日行ってまいったところであります。やはり行ってみていろいろと具体的にわかりました。防衛庁長官あるいは防衛施設庁長官あるいは外務省関係、アメリカ局長でもけっこうですが、問題になっている個所を現実に見てこられましたか。
  58. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 私はまだ見ておりません。
  59. 高松敬治

    高松政府委員 私もできるだけ早い機会に行ってみたいと思っておりますが、国会その他がございまして、現在までまだ十分にそれができないところでございます。
  60. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 外務省といたしましては、施設庁現地の関係はお願いいたしておりますので、直接には見ておりません。
  61. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 大体見もしないで、これは何条に該当するとかなんとか言うほうが間違いですよ。  その前に、私は外務省にお伺いしておきたいのだが、言うならば、米軍はあの土地なり施設を借りておるほうです。貸しておるのは日本国民のほうなんです。そして国民を代表するわれわれ国会議員が国政調査権に基づいて、貸しておるものがどういうふうになっておるか見に行きたいというのに、何で借りたほうが条件をつける必要があるんですか。そういう点について、外務省米側のほうに抗議なり何かしたことがあるのですか。見るコースは米軍が指定したコース、質問には一切応じない、何ですか、これは。こういう点、外務省はどう思われますか。
  62. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 私どもといたしましては、二月二十二日に社会党のほうから岩国並び三沢の現場を見たい、こういう御要望に接しまして、米側に対しましてこの御希望を取り次いだわけでございます。米側といたしましては、内部規則に従いまして、この視察団の受け入れということについての考えを固めたものというふうに私ども承知いたしております。
  63. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 いや、あのような条件を米側からつけてきたことについてどう思われますか、そう聞いているんです。
  64. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 岩国並び三沢は、地位協定に基づいて提供されております施設でございまして、米側といたしましては、地位協定三条に基づいて施設、区域の管理権を保有している、こういう立場にあるわけでございまして、その限りにおきまして——もちろん、これは日本側提供している施設ではございますけれども米側現実管理しておりますという態様におきまして、米側が社会党視察団の視察を受け入れたということでございまして、その視察受け入れの態様につきましては、米側が独自の考え方に基づいていろんな注文をつけた、こういうふうに私ども承知しているわけでございます。
  65. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 まるで日本国会米軍は軽視していますよ。平たいことばでいえば、なめていますよ。それを唯々諾々として、あたりまえのような顔をしている外務省の姿勢自身が非常にけしからぬと私は思うのです。  それで、具体的な問題に入りますけれども、十億円のうち岩国関係六億五千五百万、隊舎三棟、面積七千七百九十二平方メートル、これは米軍のほうから隊舎三棟と指定してきたんですか。
  66. 高松敬治

    高松政府委員 米軍のほうの要求がいろいろあったようでございますが、その中で、私どものほうで特に米軍のほうの希望も入れまして、特に緊急を要するあるいは老朽度がはなはだしい、こういうものとして隊舎三棟をまず本年度において建てよう、こういうことできめたわけでございます。
  67. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 どの三棟かきまっていないのでしょう。六棟のうち三棟というんですか。その六棟というのは米軍が指定したのですか。
  68. 高松敬治

    高松政府委員 三棟と申しますより、まず先にきまりましたのは面積でございます。必要な面積というものをまずきめまして、それでそれを三棟に分けてつくる、こういうふうに考えたわけでございます。
  69. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうすると、今度は三棟お建てになるんですか。
  70. 高松敬治

    高松政府委員 岩国については隊舎三棟、こういうことでございます。
  71. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 いや、それはここに書いてありますよ。三棟お建てになるんですかと聞いているんです。改築と書いてある。
  72. 高松敬治

    高松政府委員 はい、三棟を建てます。
  73. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そんなことがきまっていますか。あなた、いまのことに責任持ちますか。いま建っている六棟のうちのどれかの三棟をこわして三棟建てるんですか。
  74. 高松敬治

    高松政府委員 こわす部分につきましては、ここに書いてあります合計七千七百九十三平米、これに匹敵する面積のものをこわす。つまり三沢の場合の二十五棟というのは大体同じような面積でございます。ところが岩国の場合は、ごらんになったと思いますけれども、大きいのもあり小さいのもありいろいろで六棟あるわけでございます。  そこで、何棟こわすかということにつきましては、今後米軍ともいろいろ交渉するつもりでございますが、ただ、いまきまっておりますのは七千七百九十二平米に匹敵する部分のものをこわす、こういうことに考えておるわけでございます。
  75. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 七千七百九十二平方メートルに合うように、もし端数が出たら家をそこから切ってこわしてやるんですか。どうなるんですか、それは。
  76. 高松敬治

    高松政府委員 正確に七千七百九十二平米そっくりというわけにはいかぬかもしれませんけれども、大体これに見合うものをこわしていく、こういうことに考えております。
  77. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 見合うものはどれとどれとどれですか。面積はきまっています。そうしたら出てくるでしょう、そういうお考えだったら。
  78. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 岩国の場合は老朽になった、現在隊舎として使っているものの改築ということでございまして、改築と申しますと、ほとんど発生材等も出ないような状態改築になることが予測されます。そこで現在、それぞれ規模の違います六棟の全体のスペースと、それから当面アメリカ側が緊急度の高いものとしてこのぐらいの規模で隊舎改築をやってもらいたいという点を勘案しまして、それを、従来、米軍隊舎等を移設計画等でやっております前例等を勘案した上で、三棟の規模七千平米強のもので一応予算要求をしたという次第でございます。したがって、具体的に現存します六棟のうちのどれを見合いとして七千幾ら平米というものが三棟として出てきたか、そういうふうな形で詰めた姿ではないわけでございます。
  79. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 まさにそのとおりなんです。これは防衛庁が六億五千五百万円を国会へ通すために、防衛施設庁考えでこういう理由づくりをしたにすぎない。もう一度施設庁長官にお伺いしておきますが、その六棟をこわしてそこに建てるのですか。
  80. 高松敬治

    高松政府委員 こわしたあとに建てるかどうか、その辺もまだ未決定でございます。どの位置にどういうものを三棟建てるかということにつきましては、これからアメリカ側と交渉していく、こういうことになるわけでございます。
  81. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 あなたはさっきから三棟建て建てるとおっしゃっていますが、三棟建てますか。あとで違っておったら、あなた責任問題になりますよ。この辺は重大なところなんです。日本側が負担すべきかどうかという判断のときに。
  82. 高松敬治

    高松政府委員 ちょっと私御趣旨を理解しかねておるのでございますけれども予算で計上しております七千七百九十二平米、総面積これだけのものを三棟この予算が通れば建てるということに相なると思います。
  83. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 ほんとうに三棟建てますね。もう一ぺん聞いておきますよ。
  84. 高松敬治

    高松政府委員 どうもよくわかりませんが、三棟建てます。
  85. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうすると、あと三棟残りますが、四十九年度に出てくるかどうかしらぬけれども、合計六棟建てることになりますね。
  86. 高松敬治

    高松政府委員 現在六棟ありまして、今度三棟を建てるから残りが三棟だ、こういうことには必ずしも相ならない。それは先ほど来申し上げてありますとおりに、あの中には比較的面積の大きい、そして老朽度の進んでいるものもございます。それらのうちどれを選んでどれを助けるか、つまり三棟を建てた場合に残りが四棟になるかもしれませんし、その辺はこれからいろいろ検討するところでございます。六引く三という形ではあるいは残らないかもしれません。
  87. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 あなたは老朽度老朽度のと言っていますが、見てもいないくせにそういうことをよく言えますね。私どもが見てきた限りでは、六棟のうち——大体は七棟ですよ、実際は。このうち一棟以外はあれをこわすとしたらばく大な日本国民財産のこれは消滅になりますよ。まだりっぱな建物ですよ。一棟だけは全然米軍が手を入れていない、いままで。改修を出していないという話である。それ以外は、六棟は金額もわかっておるけれども米軍の負担で改修している。改修されていないものは何かというと、海上自衛隊が共同使用している。米軍はそこに住んでいない。図書館とかその診療所があるだけで。あとは海上自衛隊が寝起きしている。海上自衛隊が寝起きしておるところは非常に老朽化してます。わかりました、それは。つまり、米軍自分たちの住んでおるところはきれいに改修しておる。改修してないところを海上自衛隊に貸しているわけだ。だからその老朽度に応じてなんという話は出てこないのです。あなたは一ぺん行って見てごらんなさい。そしてお建てになる場所はきまってないのでしょう。どこかの建物をこわして、そしてそのこわしたあとに建てるということはきまっていますか。どうですか、その点は。
  88. 高松敬治

    高松政府委員 私自身、先ほど申し上げましたように、まだ残念ながら行って見ておりませんですが、私どもは、呉の施設局その他からの報告によっていろいろ判断をしているところでございます。  それで、先ほども申し上げましたように、岩国基地につきましては、確かに米軍は従来からもかなり金をかけた改修を実施している。そういう維持管理なり表面の修理、塗装というのはかなり行なわれている。しかし施設局のほうの技術者の意見によりますと、やはりそういう表面の修理という程度では判断できないので、実際には構造主材の腐食がかなり全般的に進んでいる。米軍がいままでかなり金をかけたものがあることは事実でございますけれども、たとえばそういう費用に多くの金をかけた建物についても、屋根が波打っている、そういうことであって、やはり老朽度かなり進んでいる、こういうのが現地からの私ども受け取っておる報告であります。  それから建て場所につきましては、確かに現在のところはまだ定まっておりません。
  89. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 こわすかどうかもきまってないのでしょう。こわして建てるということもきまってないのでしょう、こわすかどうかも。
  90. 高松敬治

    高松政府委員 老朽度が進んで、隊舎として使用できないということで改築を行なうわけでありますから、したがって、そういう老朽度の進んだ建物は、放置しておいてもかまわぬわけですけれども、こわすことになるであろうと私は考えております。
  91. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 一度あなた行ってごらんになったがいいです。この六棟は、六棟だけがぽつんと建っているのじゃない。同じような建物がたくさん建っている。そのうちの一つを選んだだけです。もしその一つがいけなくなったら、全部こわさなければいけませんよ、六棟以外のその米軍側のやつだって。だから、あなた一ぺんごらんになったがいいです。そしてもしこわさないとすれば、違った場所建てるということがあり得る。あり得ます。全然六棟が建っている場所以外に新築で建てる。もしそうなった際に、それを日本側で負担するという根拠は何ですか、アメリカ局長
  92. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 理論から申しまして、新しく建物建てて、それを米側提供するということはあり得ると思います。これは地位協定二十四条二項によって日本側が経費を負担して、そういうかっこうの提供という形は理論的にはあり得るわけでございます。しかしながら、岩国の場合におきまして米側と話をしてまいりましたのは、老朽度の進みました隊舎等につきまして改築をするということでございまして、古い建物が依然として使われる状況において新築提供ということは考えておりません。
  93. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 新築提供になった場合は、これは日本側の負担ではないですね。
  94. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 先ほども答弁申し上げましたように、理論的には新築提供日本側の負担であって差しつかえないわけでございます。しかしながら、問題になっております岩国の場合には、新規の提供、新築提供ということは、従来の経緯から見て考えておらないということを申しておるわけでございます。
  95. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 新築提供が二十四条二項でできるのですか。新築提供は、これは新しい提供という意味になるのじゃないですか。そうすると二条一項(a)の関係じゃないのですか。新規提供という観念になるのじゃないですか。  それともう一つは、リロケーションの場合をのけて、新しく日本側建てて、二十四条二項で提供するなんというケースは、いままでありましたか。その二点だけ。
  96. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 これも全く理論上の問題としてお聞き願いたいと存じますが、かりに本土のどこかの場所に、地位協定二条一項(a)に基づいて新しく米側に対して施設、区域を提供する事態があるといたしまして、その場合新しい施設の中に新しい建物をつけて米側提供する場合に、二十四条二項に基づいて、その費用は日本側の負担であるということを申したわけでございます。
  97. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 いままでありましたか、そういうケースは。
  98. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 旧行政協定時代以来、日本側施設、区域の提供米側に行ない、地位協定に引き継がれているわけでございますけれども、たとえば三沢におきまして、終戦処理費に基づきまして隊舎等を建て米側提供したという事例はあるわけでございます。
  99. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 地位協定になってそういう事例があるならば、具体的に資料として出してください。
  100. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 地位協定ができましてから十三年でございますけれども、旧行政協定時代に提供された施設が、そのまま地位協定に基づいて提供されているという事態が現実にございまして、したがって、地位協定のもとで新たに新築提供という事例はないというふうに私は承知いたしておりますが、実態につきましてはさらに調べてみたいと思います。
  101. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 行政協定のときは、いわゆる軍費の負担ということで、日米防衛分担金というのがあったわけです。地位協定になって、それはなくなったのです。だから、そういうケースはあるわけがない。そして、新築で提供するのを二十四条二項でやるなんという、そういう解釈がどこから生まれますか。新規提供ですよ、それは。新規提供の場合は二条一項(a)ですよ。ところが二条一項(a)は「現存の設備」なんです。新しく建てアメリカ側にやるなんというようなことはないんだ。どこからそういう拡大解釈をいまごろしてきたのですか。——ちょっと待ってください。時間がないから、私は、いずれ総括のときに場を与えていただくそうだから、あなた方が正式にこの解釈に対する統一見解をお出しになった際に、も一ぺんこれはやります。  では、アメリカ局長に聞きますが、もし新築した場合——あなた理論的にあり得るというが、日本側が新築した場合には、建築は日本側がやるのでしょう。
  102. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 地位協定に基づきまする施設、区域の提供は、二条一項(a)の規定に基づくわけでございますけれども地位協定二十四条は、地位協定二条一項並びに三条に関連いたしまして、日本側施設、区域を提供する場合の経費の負担の問題を規定しているわけでございまして、施設、区域の提供そのものは、あくまでも二条一項(a)に基づくものであるわけでございます。  なお、この二条一項(a)に関連いたしまして、必要な現存の設備あるいは備品、定着物を含むということを念頭に置いて、御質問であったかと存じますけれども地位協定二条一項(a)に「現存の」といっておりますことは、あくまでも設備、備品、定着物ということでございまして、施設、区域そのものは、あるいは施設につきましては、「現存の」という規定は何ら制約がないわけでございます。それで、地位協定に基づいて新築のケースがないのは、たまたまなかったという現実があるわけでございまして、解釈上は、新築提供、追加提供があるんだということが政府の一貫した考え方でございます。
  103. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 過去の審議の経過から、そういう解釈は一ぺんも示されたことはない。一ぺんもないです。いっそういう解釈を示したのですか、国会で。過去、いつ示しましたか。
  104. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 地位協定の解釈につきまして、現在の安保条約が国会で御審議いただきましたころから、この問題について具体的な御討議があったというふうに私承知いたしておりませんけれども政府といたしましては、前々から一貫して、新規提供、追加提供、これに準ずるものの提供ということが、二十四条二項で考えられている経費負担分である、こういう立場をとっているわけでございます。
  105. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 これはお答えのとおり、いままで国会でそういう見解が示されたことはない。いま初めてそういう見解を示した。それはまさに一昨年六月九日のパリのロジャーズ・愛知会談のあの約束に基づいてそういう解釈になったんですよ。初めてですよ、そういう解釈を示したのは。私どもは、これは絶対に受け入れることはできない。これは予算の総括でやります。  日本側が建築する際に、これは当然建築基準法の適用を受けますね。どうですか。
  106. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 米軍施設、区域の中におきましても、日本政府が建築をいたす場合には、建築基準法の基準に従って行ないます。
  107. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうすると、基準法の六条の「建築物の建築等に関する申請及び確認」についての手続、第七条の「建築物に関する検査及び使用承認」をするという、この項目は適用されますね。
  108. 高松敬治

    高松政府委員 当然その規定に従って手続をとって実施してまいります。
  109. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 岩国はゼロメートルですから、いわゆる湿地帯です。あなた行かれたらわかるんだ。そうすると、当然同法十九条の「敷地の衛生及び安全」についてもこれを確認する必要があります。よろしゅうございますね、これも。
  110. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 私も現地の実情はよく承知しておりませんが、建築基準法の定めに従って当然のことだと思います。
  111. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 消防法の適用を受けますか。
  112. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 建物の工事に関しまして、消防法のかかわるところは当然受けることになります。
  113. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 アメリカ局長にお伺いします。これらはすべて立ち入り検査の必要がある、国内法の適用を受けるんだから。したがって、その建築の段階で具体的にきまったときには、われわれは今度は公然と立ち入り検査をする。いいですか、アメリカ局長。今度は視察とか見せてもらうとかいうようなことじゃないのです。いいですか。
  114. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 地位協定三条に基づきまして、米軍施設、区域の管理権を行使いたしております。しかしながら、この管理権を行使しておりまする施設、区域の中におきましても、調査の必要が出てまいります場合には、米側の了解をとりました上で施設、区域内に立ち入ることは従来も行なわれているわけでございます。
  115. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 立ち入り検査ですよ、今度は。従来のような視察じゃないのでございまして、当然の権利として立ち入り検査するわけです。
  116. 高松敬治

    高松政府委員 従来からの取り扱いといたしまして、そういう場合に建築基準法の検査をする権限のあるもの、あるいは消防法にもあるかと思いますが、そういうものの立ち入りについては、事前に米軍に連絡をしてその立ち入りが実施できるようにやっておるところでございます。
  117. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 われわれは、国内法がそのとおり適用されておるかどうか、国会としては調査する必要がある。したがって、その建築基準法で定める云々とは別に、われわれ国会議員も国政調査権に基づいて当然立ち入り検査ができる、そうですね。
  118. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 立ち入り権ということではございませんで、必要に応じて米側の了解のもとに基地内に入ることがあり得るということでございます。
  119. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 米軍の了解がなぜ要るんですか。日本側建て建物でしょう。国内法の適用を受けるといういま御答弁になったとおりだ。国内法に基づいてやればいいんだから。その建築の調査まで何で米軍の許可を必要としますか。
  120. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 地位協定三条によりまして、米軍施設、区域に関して管理権を行使しております。規定によりますと、「管理のため必要なすべての措置を執ることができる。」こういう規定でございまして、したがいまして、米側管理権を行使しておる。その管理権の行使の一態様といたしまして、日本側の国内法との関連におきまして、必要な場合に、米側に対して申し入れをしました上で、米側の了解の上で入ることは認められる、またそういうことが行なわれている……。
  121. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 拒否することはできるんですか、米側が。あなたは了解を求めてとか許しを受けてとかおっしゃるが。拒否できるんですか、国内法に基づいてわれわれがやろうというのに。
  122. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 第三条で、米軍に対して認めておる権限は、米側管理権でございます。したがいまして、米側管理権行使の態様といたしまして、いやだという場合には、それを押し切ることはできないわけでございます。しかし実情といたしましては、米側管理権行使をいたしながら、日本側の要望に応じまして、必要のつど基地内へ、施設、区域内の立ち入りを現実には行なっておるわけでございます。
  123. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 国内法が適正に守られておるかどうかを検査するのに、なぜ米軍の許可が必要なんですか。それは全く安保条約優先じゃないですか、国内法より。あの戦車の問題のときにどういう見解を出しましたか、おたくは。だめですよ、そういうことじゃ。
  124. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 繰り返しになりまして恐縮でございますが、地位協定三条の管理権そのものは米側が行使いたしておりますけれども、この管理権行使の実際の態様といたしまして、しかも米側といたしましては、地位協定に基づきまして国内法を尊重するという一般的な義務を負っておりますので、日本側の希望、要望がありました際には、米側の活動上支障のない範囲において、実際上は基地内への立ち入りを認められておる、これが実情でございます。
  125. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 私は、たてまえを言っておるのですよ。国内法に基づいて、適正に国内法が守られておるかどうかを検査するのに米軍は拒否権がありますか。イエス、ノーを言ってください。     〔臼井主査退席、塩谷主査代理着席〕
  126. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 提供財産の工事の段階現実に工事を終わりまして提供が終わったという段階におきましては、おのずから実際の態様が変わってまいると存じます。  先ほど来御質問ございまして、施設庁当局から御答弁ございましたのは、財産提供するための工事の段階におきましては、建築基準法、消防法その他もろもろの関係国内法令が適用されますので、その段階におきましては、現実施設、区域内に日本の関係当局が事務の必要に応じて入る、そのために米軍との調整が行なわれる。一方、工事が終わりまして財産提供されました後におきましては、この財産の使用につきましては、地位協定三条に基づきまして、米側維持管理責任を持つわけでございますから、その段階におきまして、米側は一般的に国内法を尊重するという義務を負うにとどまるわけでございまして、日本側に立ち入り調査、立ち入り検査権、こういうものがあるわけではございません。
  127. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 問題がやや明確になりました。工事が完成した後は、いままでどおりだ、工事が完成するまでは国内法に基づいて立ち入り調査ができる、そういうことですね、いまの御答弁は。いいんでしょう、大体そういうことで。時間を食ってしょうがないですね、これは。あとで答えてください、先へ進みますから。ずいぶん時間食いましたから、ひとつそのつもりでお願いします。  防衛庁長官にお伺いします。平和時の防衛力の限界でいざござがありました。いまの防衛庁の戦略構想と申しますか、防衛構想と申しますか、それはいわゆる有事の際に自衛隊が独力で、米軍が来援に到着するまでは守らなければならないという構想になっておると思います。独力で守る場合の範囲及びその期間をどのように見ておられますか。
  128. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 防衛庁の法律によって与えられた任務は、直接侵略があった場合にはわが国を防衛するということでございますが、現在私どもが整備をしつつあります段階は、限定されたそういう進攻があった場合に、ある期間対処できるというものを目標にいま整備を進めておるという、まだ段階でございます。そうして、いま御質問になりましたことはたいへんむずかしい問題でございまして、どの期間どのように持ちこたえていくかということについては、明確にお答えをすることが困難でございます。
  129. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 われわれが四次防なりあるいは四十八年度の防衛予算、その中に組まれておる各装備、そういうものの妥当性を検討する際になぜこういう装備が必要なのか、それの判断の基礎の大きな部分をいま私が質問したのは占めるんです。だからそれをわからないでは、一体こういう装備が必要なのかということも出てきませんですよ。もう少し明確にひとつ答えてください。大体の構想がおありのことはわかっているのですよ。     〔塩谷主査代理退席、主査着席〕
  130. 久保卓也

    久保政府委員 全般的に申せば、ただいま長官が言われたところでありまするけれども、われわれの防衛構想というたてまえから申しますると、限定的な侵略事態ということを前提にいたしております。つまり日本のあらゆる地域から侵略がある、きわめて大規模な侵略があるという想定ではありませんで、限定的というのは侵略の態様、目的、手段といったようなものは特定されるであろう。また今日の情勢から見通し得る範囲内においては、大体一地域、一方面といったほうがよろしいのでありますが、一方面を対象にして考えるということであります。  それから守り得る範囲でありまするが、たてまえといたしましては、相手方が日本の本土に上陸してまいりまして、これを意義のある地域を占領して既成事実をつくらせないようにする。ある地域は取られるかもしれませんが、それが意義のある地域占領、しかも既成事実として固定化されるおそれのあるような占領をさせないように、少なくとも対峙をしておる。その間に米側の支援を期待する。それでは米側の支援をどの程度に期間的に考えるか、つまり持久と申しますか、態様をどの程度考えるかというのは、これは相手方の侵略の態様、それから米側の戦略体制、国際環境等によって変わってまいります。しかし、何といいますか、物理的と申しますか計算上で申し上げれば、たとえば第七艦隊などが極東水域にあれば、一週間程度、航空部隊、海兵隊といったようなものの一部も一週間程度にはさしあたっては来れまするけれども、しかしそれでは大きな戦力といいますか、そういうものになりがたいので、一カ月あるいは数カ月といったようなのがそれぞれ意味のある節々になっております。したがって、態様によって異なりまするけれども、一カ月ないし数カ月というのが、われわれがどのような態様であれそれを持久したいという考えをとるわけであります。ただし、これは本来そうあるべきだということでありまして、四次防ではまだなかなかそこまではまいらない、あるいはまた平和時の防衛力ということで御説明をする機会がありませんでしたけれども、その場合といえども、そこまでの力はまだ出てこないであろう。しかし、いま国際情勢を見通したところでは、そういった侵略のおそれというものはないので、いわば平和なときにおいて兵を養うといいますか教育をして、一朝一夕に成らない防衛力を建設をするというようなつもりであります。
  131. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 最低一カ月、できれば数カ月という目標のようであります。一方面と考えた場合。そうすると、いまの四次防完成時ではそれはなかなかむずかしい。当然五次防以降のことが考えられる、それを果たすためには。戦略構想上もそうなっておる。  次にその予算の点から、時間がございませんからまとめて申し上げます。  私が要求した資料のうち、「三次防期間中に契約した主要な装備品のうち、四十七年度以降に取得するもの及び当該装備にかかる四十七年度以降の支出予定額」、それから「四次防期間中に契約する主要な装備品のうち、五十二年度以降に取得するもの及びその支出見込額」、三番目に、「三次防期間中に契約された主要な装備品中、取得が四次防中になるものの予算と四次防経費四兆六千三百億円との関係」についての資料をいただきました。この考え方からいくと、四次防経費は四兆六千三百億プラス五十二年度以降に持ち越される四次防期間中の国庫債務負担行為あるいは継続費、それが四千億となっておりますから、四次防の経費はそれだけで四兆六千三百億円プラス四千億円、すなわち五兆三百億円になる。これに人件費の見込みを三次防の実績からすれば約三千億、並びに装備品の部品の値上がり分を入れると、四次防の最終的な総額見込みは、結局はどんなに低くても五兆五千億、値上がり分がひどければ五兆七、八千億になる、どうですか。大蔵省来ておられますか。
  132. 小田村四郎

    ○小田村政府委員 ただいま御指摘がございました後年度負担のことでございますけれども、この提出申し上げました資料にございますように、四兆六千三百億円の中には、三次防当時に契約したものの四次防中に支払いのたつもの、主要装備品で申しますと約三千百億円でございますが、これが含まれております。ですから、これを先生のおっしゃったような計算で申しますと差し引く必要があるということが第一点でございます。  それから四次防の所要経費と申しますのは、三次防のときも同じでございますけれども、三次防あるいは四次防の期間内に現実に支払いにたつものの見込みを出したものでございます。したがって、契約ベースというものとは違う計算のいたし方をしております。私どもはそのほうが合理的であると考えてやったわけでございますけれども、そういう計算のしかたをしておりますので、四兆六千三百億円が実際にどうなるかということにつきましては、ただいまお話のございましたような人件費の上昇あるいは物価の上昇、こういうものがそれに加わって実際の予算額になる、こういうことでございます。
  133. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 だから四次防の継続費あるいは国庫債務負担分を入れてそれだけで五兆五千億になるじゃないですか。それに人件費の値上がり分三千億、それから部品の値上がり分を入れれば最低五兆五千億になりますよ。  時間がありませんからもう一点聞いておきます。結局防衛構想でも次の防衛計画のいわゆる先取りを考えておる。予算上もこの四次防の国庫債務負担行為あるいは継続費で、五十二年度以降に繰り越すものは四千億、これはあなたの説明からいくと四次防の経費には入らぬという、三次防がそうでしたから。そうするとこの四千億というのは、次の計画を五次防とすれば、五次防の少なくとも先取りでしょう。五次防に繰り越す四千億でしょう。どうです。
  134. 長岡實

    ○長岡政府委員 お答え申し上げます。  防衛力その他の長期計画を策定いたします際に、財政当局の立場から考えますと、債務負担ベースで考える場合と、それから現実に歳出化される金額のベースで考える場合と、考え方としては二通りあろうかと存じます。私どもは、現実日本の国の予算が歳出ベースで組まれておるものでございますから、四次防期間の四十七年度から五十一年度までにどの程度の具体的な歳出化がはかられるかというめどを立てまして、財政的な負担の限界等も考えてまいるほうが的確であろうと思いまして、歳出化ベースでやっております。ただいま御指摘の四兆六千三百億に後年度負担、いわゆる国庫債務負担行為等によって五十二年度以降にズレ込みます四千億を加えて、それだけでも五兆になるというお話でございますが、先ほど防衛庁の経理局長からお話がございましたように、四兆六千三百億の中には三次防からのズレ込みが約三千百億ございますので、四千億追加するということにはならないと思います。また四千億分と申しますか、国庫債務負担行為につきましては、国庫債務負担行為といたしまして、そのつど国会の議決を仰ぐわけでございまして、その時点におきまして、いろいろと御審議をいただくということに相なっております。
  135. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 これでやめます。しかしこの国庫債務負担行為、あるいは継続費の関係が、たとえば三次防の繰り越し分三千億、これが四兆六千三百億に含まれるのですね。それから今度は四次防から五次防への繰り越し分が五次防に含まれる。ここに私は、国民の前に示される三次防二兆何千億、四次防四兆何千億という際の数字と非常にこんがらかるのです。この点はいずれ総括でわが党の同僚議員がやると思いますけれども、その辺の整理をきちんとしておかないと、私はたいへんなごまかしを国民に与えることになると思います。きょうの質問の中で地位協定に関する部分については私ども絶対に承服できませんから、これはいずれ総括段階で場を設けていただけるそうですから、その際にあらためてやりたいと思います。なお装備品の値上がりの分につきましては、残念ながら時間がございませんでしたから、別の機会にこれはやりたい、このように思います。  以上で終わります。
  136. 臼井莊一

    臼井主査 次に、増本一彦君。
  137. 増本一彦

    増本分科員 日本共産党・革新共同の増本でございます。  まず、安保条約とその六条に基づく地位協定の運用の実態や限界について、関係当局からお答えをいただきたいと思います。  せんだっての二月八日にアメリカのボルカー財務次官が参りましたね。この人が軍用機で横田の基地に到着して、そしてそのあとヘリコプターで都内のプレスセンターに来て、大蔵大臣の第一公邸で愛知大蔵大臣と会ったというように新聞では報道をされているようであります。このボルカー次官が横田基地に飛来して横田基地を使用するということについて、まず外務省当局には事前に連絡があったのかどうか、その間の折衝についてお伺いをしたいと思います。
  138. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 ただいま御質問の中で、事実関係につきまして実際と違っております点がございますので、その点まず申し上げたいと存じます。  ボルカー財務次官は横田の飛行場につきまして、それから都心へ入ってまいります場合にヘリコプターを使っておりません。横田から都心との往復につきましては、普通の自動車を使っているということでございますので、この点まず申し上げておきたいと思います。  次に横田の飛行場を使いまして日本に入国するということにつきまして、外務省の事務当局に対しましては事前の連絡を得ておりませんでした。
  139. 増本一彦

    増本分科員 ボルカー次官が来た目的というのは、これは御承知のようにドル問題が非常に緊急の状態になっている。そこで日米間の経済的な問題についての協議に限られていたと思いますけれども、その点についてはいかがですか。
  140. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 ボルカー次官が愛知大蔵大臣とどういう会談をいたしたか、その会談の内容につきましては私どもも直接には承知いたしておりませんけれども、通貨問題に関連しておったということは当然考えられるところでございます。
  141. 増本一彦

    増本分科員 そうしますと、このボルカー次官が軍用機で横田基地に着いて、少なくとも政府のおっしゃった事実関係からいきましても、これは安保条約の第六条の要件を満たしていない施設の使用ではないかというように思いますけれども、その点について政府はまずどのようにお考えになっているか、伺いたいと思います。
  142. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 地位協定第五条には、アメリカの航空機で公の目的で運航されるものは、合衆国軍隊が使用している施設及び区域に出入することができる、こういう規定がございます。したがいまして、米国のボルカー財務次官がアメリカの軍用機を使いまして横田から入国した、そのこと自体につきましては地位協定で解釈できる措置である、こういうふうに考えております。
  143. 増本一彦

    増本分科員 はしなくも政府から、この地位協定の第五条の問題が出ましたけれども、この地位協定の第五条の「日本国の港又は飛行場」というのは、これは地位協定の第二条、第三条を除いたもの、つまり日本にすべて主権や管理権が及ぶ地域の港や飛行場に限られるのであって、そこにまでいわば自由に出入りができる。しかしこの第二条、第三条でいう施設とか区域とは違うものじゃないんですか。横田基地もそうすると第五条に該当する飛行場である、こういう見解に立っての御答弁だと思いますけれども、いかがですか。
  144. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 地位協定第五条二項に「1に掲げる船舶及び航空機、合衆国政府所有の車両並びに合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族は、合衆国軍隊が使用している施設及び区域に出入し、」云々「することができる。」ということがございまして、「1に掲げる船舶及び航空機、」すなわち五条一項の規定を見ますと、「合衆国及び合衆国以外の国の船舶及び航空機で、合衆国によって、合衆国のために又は合衆国の管理の下に公の目的で運航されるものは、」云々ということを書いてあるわけでございまして、民間飛行場の問題とは直接関係ございません。
  145. 増本一彦

    増本分科員 この第五条についてはたいへん拡大解釈される、そして何でも、第二条、第三条の場合以外でも自由に出入りできる非常に屈辱的なアメリカの乱用を許す規定であるように思いますけれども、この第五条の二項でいう「1に掲げる船舶及び航空機、」その他の車両ですけれども、これが第一項の要件を帯びたときに、その着陸した飛行場とかあるいは入港してきたその港、そこから第二条、第三条にいう施設、区域内に自由に出入できるという、そういう規定じゃないのですか。もともと横田基地は第二条、第三条でいう地域であって、第五条そのものがかぶるということではないという、こういう解釈が前提になって五条ができている、そうじゃないのですか。
  146. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 もう一回地位協定第五条の二項を申し上げることをお許しいただきたいと思いますけれども、五条二項には「1に掲げる船舶及び航空機、」云々は「合衆国軍隊が使用している施設及び区域に出入し、」云々「することができる。」ということでございまして、この「施設及び区域」すなわち二条一項に基づきまして日本政府米軍提供している施設、区域、すなわち横田の基地に出入することができる、こういう規定でございます。
  147. 増本一彦

    増本分科員 まあその解釈はおくとしましょう。  このボルカー次官が、では軍用機で横田基地に飛来をした、それについては事前に外務省にも知らされていなかった、こういう御趣旨の答弁がありましたけれども、これはしかし、本来の正常な外交関係ないし外交のルートから見たやり方からしたら、こういうことは当然のことだというようにお考えでしょうか。その点はいかがですか。
  148. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 最近米国政府の要人の訪日がきわめて多いわけでございますけれども、一般的に申しますれば、このような米国政府の要人の来日につきましては、米側から事前にその旨の通報があるのが普通でございます。このボルカー財務次官の訪日の場合におきましては、きわめて特殊な事態のもとに突然行なわれたということで、米側といたしまして、日本側にも十分事前に通報する時間的な余裕がなかったんであるということを後ほど米側から釈明いたしてきております。
  149. 増本一彦

    増本分科員 結局アメリカの基地があって、アメリカが、安保条約の第六条に掲げられている目的それ自体、当否が非常に重大な問題でありますけれども、それはさておいても、こういうように目的が掲げられている施設を他の目的で、しかも外交関係から見ても、政府も認めるように不正常なやり方で突然忍者のようにやってくる。このアメリカ日本施設内にある強大な軍事力を背景にして、そしていろいろ経済的な要求や何かまで日本に押しつけてくる、こういうやり方に対して、一体政府のほうでは、このアメリカのたとえばボルカー次官のような訪日のやり方、そういうものについて、それでは単にアメリカの釈明を聞き入れるというだけでなくて、これはまずい、そういうやり方をやめろというような態度で、アメリカに強力に申し入れたようなことはあるんですか。
  150. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 ボルカー財務次官が横田の墓地を使って米軍の飛行機で入国してきたということ自体につきましては、先ほど御答弁いたしましたように、地位協定に何ら反するものであるというふうには考えておりません。ただし、先ほど申し上げましたように、一般的に事前に、米側からこの種の要人の来日につきましては通報があるのが普通でございまして、その点ボルカー次官の場合には、事前の通報を得なかったということにつきましては、外務省といたしましても米側に対して、かかることが今後ないようにということを十分申し入れてあるわけでございます。
  151. 増本一彦

    増本分科員 この横田基地をボルカー次官が使うということは地位協定に違反しないというけれども、この点については私はやはり問題はあると思うのですよ。もともと地位協定ができたたてまえというのは、これは安保条約の第六条の施設、区域について乱用を許さないように、それを限定すると同時に、政府の言う運用を円滑に日常的にも進めていくということが前提になってきめられていると思うのです。ところが、その正否はともかくとして、この六条に掲げている目的とは何ら関係ない、日本の安全や防衛にも関係ない、ましてや極東の平和や安全にも関係がないこういう目的のために日本施設を自由に使う、これをきびしく規制して、そしてアメリカの行動一つ一つ日本の本来の平和や安全にとってプラスになるのかどうかという立場から、一つ一つ検討しチェックして、そしてそのたてまえを貫いていくというのが、私は政府のとるべき態度だと思うのです。そういう不正常な忍者もどきのやり方に対して、じゃ外務省としてアメリカに抗議をしたのかといえば、その点についてはお答えがないようです。こういうやり方を今後一切やらせないように、政府としても強くアメリカに申し入れるということが私は必要だと思うのです。そのことをひとつ要求して、次に移りたいと思います。  御承知のように神奈川県にはたくさんの米軍基地がありますけれども、そのうちの一つである相模原市内にある相模補給廠の問題ですが、これは昨年戦車や戦闘車両の搬入、そして修理、そしてまた搬送がベトナムに向けて、またべトナムのためにやられるということで、大きな反対運動もあったことは御承知のとおりであります。いわばベトナム侵略戦争のためにフル回転に使われていた補給廠で、依然としていまでも戦車や戦闘車両の修理が行なわれていますけれども、このベトナム協定締結後修理された戦車、現在でもあの戦闘装甲車113やM48も修理をされているそうでありますけれども、こういうものが現在では一体どこへ送られているのか、その点をまず明らかにしていただきたいと思います。
  152. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 昨年の十一月に、相模原の補給廠におきまする戦車等の修理の問題につきまして、米側との間の了解ができましたことを当時政府が発表いたしておりますけれども、その際の米側との了解は、現に相模原の補給廠にありまする戦闘車両の修理は継続されるけれども、新規の搬入は原則として停止される、それから修理済みの車両の搬出を終えた段階で、相模補給廠の戦闘車両の修理機能は大幅に縮小するというわけであったわけでございますけれども、現に同補給廠におきまして引き続いて戦闘車両の修理は行なわれているわけでございます。しかしながら搬出先につきまして、米側としてはどこどこへこれを持っていったということについては、一々日本側には通報し得ないけれども、いずれにしましても、ベトナムの情勢というものがこれに大きな関連を持つということは想像にかたくないところでございまして、私どもといたしましては、ベトナムの和平協定の成立ということに対して、この点を歓迎しているということは、政府がその際にすでに明らかにしているところであります。
  153. 増本一彦

    増本分科員 政府もベトナム協定の締結を歓迎している、こういうようにおっしゃっているわけですけれども、それではこの相模補給廠で修理された戦車や戦闘車両が、今日の段階でベトナムには絶対に送られないということを政府として保証できますか。
  154. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 昨年十一月に、ただいま申し上げました日米間の了解について発表いたします際に、もう一つ、現在計画されている戦闘車両の搬出が終わったあとには、原則としてベトナム向けに輸送されることはないということがございまして、この「原則として」ということを書いてございますのは、一般的に申しますれば、新たにベトナム向けに戦闘車両を搬出するということは考えないけれども、ただベトナム和平協定の中に、規定といたしましては一対一の差しかえという規定がございますので、その関連におきまして、「原則として」ということを書いているわけでございますけれども、ベトナム和平協定の実施の状況、そういうふうなものとの関連におきまして、現実に差しかえの必要が出てくるのかどうかということについては、いまの段階ではまだ判断をすることができない状況でございます。
  155. 増本一彦

    増本分科員 いまの御答弁ですと、ベトナムに戦車を送って一対一の割合で武器交換をする、差しかえをする、こういうような事態が起きたときには、ベトナムに向けて相模補給廠で修理された戦車や戦闘車両を送るということを、政府はそれでは肯定するのですか。
  156. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 考えの問題として、「原則として」ということを申し上げているわけでございまして、現実に差しかえの必要が生じてきている、あるいはそのような事態が生じてきているということを申しているわけではございません。また私ども政府といたしましては、ベトナムの和平協定が誠実に実施され、あの地域に再び戦闘行動などが行なわれないことを深く希望しているわけでございまして、ただいま申し上げましたのは、一般的な考え方を申し上げたにとどまるものであります。
  157. 増本一彦

    増本分科員 私は、その十一月の政府合意の解釈を聞いているのじゃないのですよ。そういう事態になったときには、政府としてはそれを肯定して、ベトナムに向けての武器の搬送に協力をするのかしないのか、それを肯定するのか否定するのか、それはどっちにするんだということを伺っているのですよ。その点はいかがですか。
  158. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 ベトナムの和平協定には一対一の差しかえということについて、関係当事者間の合意が明記されてございます。したがいまして、これもまた考え方の問題でございますけれども考え方としては差しかえということについて、現実の事態が出てまいりました場合に、考え方としてはあり得るということを申し上げ、また日米間が昨年十一月に了解いたしました中には、原則としてはベトナムに新規の搬出を行なわないということでございまして、いまの段階におきましては、こういう一般的な考え方を申し上げるにとどめておきたいと存じます。
  159. 増本一彦

    増本分科員 そうすると、そういう事態が発生したときにはおやりになる方向である、こういうことになるのですか。
  160. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 ベトナムの和平協定が誠実に順守されまして、そのような必要性が生じないことを希望いたしております。
  161. 増本一彦

    増本分科員 では、実際にそういう事態が起きるというのは、いまでも南ベトナム側で、サイゴン政権側で、たとえば新聞の報道によると、解放戦線側の政治犯を海上で処刑をするとか、あるいは解放戦線側の協定によって、固定された支配地域内に戦闘活動をやるとか、いろいろな協定違反の事実が繰り返し繰り返し行なわれて、北ベトナム側からあるいは臨時革命政府のほうから抗議の声明が出されたり、そしてそのことが、せんだってのパリのあの会議でも問題になって、北ベトナムとアメリカ両当事者との間の話し合いも行なわれるというような事態になっているわけですね。  そういうような事態のもとで、もしサイゴン政権が、あるいはそれをこれまでもあと押しをしてきたアメリカが協定を順守しないというような事態になって、あるいはそういう必要から武器をベトナム側に送り込むという必要が出てきたときに、政府としてはそれに協力をしておやりになる、そういう方向だという態度は変えていないわけですか。
  162. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 ベトナムの情勢というものが、日本の置かれております極東の平和と安全に無関係でない状況である場合には、米軍に対しまして修理、補給を行なうことは安保条約上は差しつかえないことであるというのが政府の一貫した態度でございまして、先ほど来繰り返し御答弁申し上げておりますように、差しかえという現実の事態が必要になってまいりました場合に、考えといたしましては、このような差しかえのための戦闘車両を搬出すること自体は、安保条約上差しつかえないことであるという政府の立場でございますけれども、これも繰り返して恐縮でございますけれども、ベトナムの和平協定が関係当事者によりまして十分守られまして、そのような必要が生じないということを深く期待、また希望しているわけでございます。もちろん、一月に和平協定成立後も、ベトナムにおきましていろいろな問題があるということは承知いたしておりますけれども、先般、パリにおきまして国際会議が開かれ、関係国、関係者によりまして、このベトナム和平協定が国際的に支持されたということは、この地域の安定をもたらす上に大きな意味を持っているものである、こういうふうに考えております。
  163. 増本一彦

    増本分科員 いまの局長の御答弁はたいへん重大な内容を持っていると思うのです。二つあると思います。  一つはこのベトナムの和平協定が締結される以前の段階で、政府はベトナムにもいわば安保条約が適用されるかのような、つまり適用範囲に入っているかのようなそういう解釈をずっと押し通してこられた。これは非常に不当な解釈であるということは再三私たちも主張し、政府と論争をしてきたところでありますけれども、少なくともベトナム協定が締結された後、しかも、政府としてこのベトナム協定が締結されたことについて、それを歓迎するということをはっきりおっしゃっている。こういう段階で、いわばベトナムの情勢は和平協定によって固定された、そして安保条約の締約国の一つであるアメリカも、このベトナム和平協定にははっきりと調印をして、そしてそれがこのベトナム情勢を平和に転換して、もう戦争という手段では政治問題を解決しないようにしよう、そしてしかも、アメリカはベトナムから全面的に撤退をするということまで合意をしているわけですね。こういう事態になってもなお依然としてベトナム地域にも安保条約が及ぶような、それ以前と同じような解釈をおとりになる、こういうことなんですか。
  164. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 ベトナムの和平協定が調印され、しかもパリにおける国際会議によりまして、このベトナム和平に直接大きな関連を持ちます世界の関係国が集まりまして、このベトナム和平協定を国際的に支持するということは、非常な大きな意味を持つのであると考えておることは、先ほど御答弁申し上げたとおりでございまして、私どもといたしましては、ベトナム平和協定に基づく規定が誠実に順守され、これがこの地域に平和と安定をもたらすために定着をし、したがって、この地域に再び紛争が発生しないことを深く希望しておるものでございます。したがいまして、先ほど来私が御答弁申し上げておりますのは、考え方の問題でございまして、現実の問題といたしましては、ベトナムに紛争が発生せず、したがって、差しかえというふうな問題が現実的な要請として生じないことを強く希望しているということでございます。
  165. 増本一彦

    増本分科員 はっきりしませんね。そうすると、和平協定が成立し、締約当事者の一方であるアメリカがその和平協定に調印をしている段階、ここではもうこの和平協定によって、極東の平和や安全はこれを基準にしてきめていくということをアメリカ自身が認めているのに、それに対して、日本のほうは相変わらず武器をベトナムに送る、その根拠となっている極東の範囲にベトナムを含ませる、そういう考え方を依然として前提としてお持ちになる、こういうことになるのですか。
  166. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 したがいまして、ベトナムの地域に平和と安定がすみやかにもたらされ、和平協定が現実に誠実に実施され、順守されるということを期待したいわけでございまして、そういたしますれば、この地域の紛争の再発生ということは当然防ぎ得るわけでございましょうし、そういたしますならば、安保条約との関連におきまして、ベトナム地域の問題を現実の問題として考える必要はなくなってくるわけでございますし、そういたしますれば、ただいま御議論いただいております戦闘車両の差しかえ云々という問題も生じてこないでありましょうし、したがいまして、先ほど来申し上げておりますことは、あくまでも考え方の問題にすぎない、とどまるということを申し上げておるわけでございまして、現実にそういうふうな事態を想定している、あるいは予想しているということではないわけでございます。
  167. 増本一彦

    増本分科員 それでは、局長考え方の問題ということでおっしゃっているから、そのことを私も受けて考えてみたいと思うのです。  ベトナムの和平協定が完全に順守されるように期待されているということであるならば、アメリカも、援助軍司令部や地上部隊あるいは空軍や一切の軍隊がベトナムから撤退をする、これも協定上の義務として完全に順守されなければならなくなるわけですね。そうしますと、武器の一対一の差しかえというのは、日本が直接ベトナム政府軍に引き渡すために武器を送ってやるというようなことは当然できないことですし、一体どこでどういう手続をとってその武器交換をやるのか。これはもうベトナムに援助軍司令部も地上部隊も一切の軍隊がいないという状態では、その武器交換に日本が協力するといったって、実体上の根拠も、条約上のですよ、それから実際の上からいったってこれは考えられないことじゃないですか。そういう点についてはどういうようにお考えになっておるのですか。
  168. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 ベトナムの和平協定によりますと、新規の武器の搬入、援助、これは禁止されているわけでございますけれども、一対一の差しかえについてはこれを認めるという規定がございますが、それでは、いかなる形でこの差しかえを監視するのかということになりますと、そのために国際監視委員会が四カ国をもって構成されておりまして、この監視委員会は、まさにそういうふうな趣旨のベトナム和平協定の順守を国際的に監視する責務を負っているわけでございます。
  169. 増本一彦

    増本分科員 あなたはもうベトナム和平協定はお読みになったと思うのです。七条のB項の後段ですよ。南ベトナムの二つの当事者は、南ベトナムの二つの当事者の合同軍事委員会及び国際管理監視委員会の監視のもとに、休戦後に破壊、損傷、消耗ないし使い果たした武器弾薬及び軍事資材を一対一の割合で同じ特徴と性能を持つものと定期的に取りかえることが許される、この規定でしょう、あなたのおっしゃっているのも。ここでは南ベトナムの二つの当事者ですよ。つまりサイゴン政権と臨時革命政府ですよ。この二つのものが当事者だが、交換をするという、こういうことで、アメリカもそれについて、アメリカがサイゴン政権のために交換してやるとかそういうことではないわけですね。アメリカはサイゴン政権に対してたくさんの武器や弾薬をいわば貸与したり無償で供与したりいろいろしているでしょう。その貸与されている武器を差しかえるとかということで、これはサイゴン政権とアメリカとの間の一定の取りきめないし条約でやられることでしょう。それと、日本安保条約によって修理をしたり、そしてアメリカに引き渡す、このこととは別のことですよね。中継としてのアメリカがどこでどういうようなことをやるのか、その点についてははっきりとした根拠なり確認というものを政府当局はとっておいでになるのかということを私は伺っているのですよ。
  170. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 相模原の補給廠において修理をいたしております戦闘車両は、これは米軍のものでございまして、したがいまして、政府といたしましては安保条約の規定に従い、米軍に対しまして修理の仕事を行なっておる、こういうことでございます。したがいまして、米側に引き渡しました後に、これを米軍がいかに使用するかということにつきましては、日本政府は直接の関係には立たないわけでございます。  それからもう一つは、ベトナム和平協定の実施に関連いたしまして、米側が規定どおり六十日以内に撤兵し、そのあとベトナムといかなる関係を持ち、また武器の補給についていかなる形が考えられるのかというふうなことにつきましては、現在私ども詳細な事情を承知しておらないわけでございます。
  171. 増本一彦

    増本分科員 これもまた重大ですね。政府はベトナムの和平協定を歓迎すると言い、そしてベトナムは、ああいう悲惨でそして世界史上も全く起こり得なかったような状態をもう二度と繰り返すまい、繰り返さないでほしいということを期待しているわけであります。ところが修理だけは、アメリカの武器を修理するのであって、アメリカがベトナムへ持ち込もうがどこへ持ち込もうが何に使おうが、それはもう一切アメリカのやることであって、あずかり知らないことだというようなことでは済まされない問題じゃありませんか。現にベトナムに113やM48が送られるということで、相模原市民だけでなくて、日本国民がそのことを憂慮し、そういうことはやめなさいといって、昨年あれだけの運動をやったわけですよ。そして政府も、十一月の日米間の合意で、ベトナムには「原則として」というのがついているにしても、送るなということを約束さした。こういう事態のもとで、修理して引き渡した武器がどこへ行くかというようなことは、全然アメリカとの関係でも、チェックをしていない。引き渡したら、あとはアメリカがどんなに自由に使おうが、それはもう全然あずかり知らないことだ、こういう態度では私は絶対に済まされない問題だというように思うのですよ。この点は、ちょっと、もう時間がありませんのであれですが、いま現に修理されて、そしてノースピアからLSTなどに積まれて日本を出て行く、こういう修理された軍需物資あるいは戦闘車両について、それがどこへ行き、何に使われるかということをアメリカにきびしくただして、それをチェックし、もう一切ベトナムなどにたとえ武器交換であろうとも絶対に渡さない、そのための修理は一切やらない、こういう立場を貫くべきだと私は思うのです。そのことが、実はこの国会でも以前決議されたような武器輸出三原則をしっかりと守っていく、そういう立場に立つことだと思うのですが、その点でもう一度政府側の御意見を伺って、次の質問に移りたいと思います。
  172. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 政府は、ベトナムに対しまして、武器を直接輸出するなどということは毛頭考えておりません。また、相模補給廠は米軍の使っております施設でございまして、この施設、区域としての補給廠におきまして、米側が戦闘車両の修理活動を行なっておるわけでございますが、この点自体につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、安保条約上何ら差しつかえないものであるというのが政府考え方でございます。  そこで、現実に相模原で修理されました戦闘車両が、ベトナムへ米軍によって搬出されることになるのかどうかということにつきましては、政府としては昨年の十一月に、原則としてはベトナムへ搬出しないという了解をとっておりますし、また現実の問題といたしまして、ベトナムの和平というものが定着し、その地域におきまして差しかえの問題が生じ、日本が戦闘車両の修理ということに関連いたしまして、関与することがないような事態を希望しておるわけでございます。
  173. 増本一彦

    増本分科員 相模原の補給廠で修理された戦車、それが直接日本がベトナムに輸出したりするものではないから武器輸出三原則に違反しないとおっしゃるけれども、だけれどもアメリカがベトナムにこの武器は送るんだということがはっきりわかっているのに、あるいは知ろうと思えばわかるような状態にあるのに、それを知らぬ顔をして渡すということだったら、これは輸出するのと全く同じ、そういうことだと思うのですよ。局長は肝心なことをお答えになってくださらないのであれなんですが、ぜひこういう日本修理された武器ですね、あとからもちょっと厚木の航空基地内の飛行機の修理の問題についても触れたいと思うのですが、こういうものについてはどこへいって何に使うんだということをはっきりとチェックをして、そしてそういう関係が起きないように、正しく対処をするという立場を私はぜひとも貫いていただきたいというように思います。  時間がありませんので先にいきますけれども、たしか一九七〇年の十二月の二十一日だったと思いますが、この安保協議委員会で日本の基地についてこれを整理縮小するというそういう方向の合意ができましたね。それで横須賀の市民も厚木基地をかかえている大和の人たちもまた綾瀬町の人たちも、この基地周辺の住民はだれもがこれでようやく基地が返ってくるというそういう期待を持ちましたけれども、ところが一向に基地の整理縮小が進んでいないわけですけれども、横須賀基地については、ミッドウェーの母港化の問題などですでに議論がされておりますけれども、この横須賀基地の関連施設である上瀬谷基地にも、上瀬谷の通信隊にも沖繩から第七十二機動部隊が移駐をしてくるというこういう事態にいまなっていますね。この上瀬谷に七十二機動部隊が移駐をしてきた目的はどういう点にあるのか、その点からまずお伺いしたいと思います。
  174. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 ただいま御質問のございました第七十二機動部隊は、海上哨戒を担当いたしております部隊でございますが、上瀬谷に今般移転することになりましたのはその司令部でございまして、司令部機能が上瀬谷へ移ってきたということでございます。
  175. 増本一彦

    増本分科員 これも横須賀の基地機能につながるんじゃないですか。じゃこの七十二機動部隊というのは、哨戒作戦行動をやるというようなお話ですけれども、いま西太平洋地域に第七艦隊やあるいはそれと関連する原子力潜水艦の部隊、そういう部隊が遊よくをしている、こういう原子力艦隊やあるいは原子力潜水艦の作戦行動と呼応して、そして哨戒作戦行動をとる部隊なのかどうか、この点はいかがですか。
  176. 久保卓也

    久保政府委員 少なくともミサイルを積んでおりますポラリス型の潜水艦は、本国からの直接の指令で動いていると思いますので、第七艦隊とは関係ございません。それからいまの七十二機動部隊は第七艦隊の一部でありますので、これは主として沖繩とかフィリピンとかそういったところの哨戒部隊を統合した部隊であると考えます。
  177. 増本一彦

    増本分科員 そうしますと、横須賀がミッドウエーの母港となり、この横須賀基地の関連通信施設である上瀬谷にその哨戒の部隊の司令部まで来る。これだと基地機能はますます拡大強化されるだけであって、横須賀の基地が整理縮小の対象になっていくというような性質のものでは全くない。それに関連する厚木の基地についても、これもアメリカの海軍の航空基地ですね、こういう基地にも大きな影響を与えるというように思うのですけれども、これは昭和四十五年の基地の整理縮小、この日米間の安保協議委員会での合意の線から見てきわめて逸脱した、実際はそういう整理縮小ではなくて、逆にますます拡大強化されていく方向にある。これはもう日米間の合意や取りきめに明白に違反しているということにもなると思いますが、その点についてはいかがでしょう。
  178. 久保卓也

    久保政府委員 そういうふうにはお考えいただかないほうがよろしいと思いますが、米軍の基地の整理統合といいまするのは、言うならば、たくさんある施設を逐次減らしていこうという施設面、物理的な問題であります。それから基地機能あるいは米軍の機能という意味におきましては、これは日米安保条約というものが日本の安全あるいは極東の安全にとって抑止力であるという観点から立ちますと、基地機能を強化するというところまでは米軍はいっておりません。少なくとも基地機能は、抑止力としての機能というものは、維持するというのが米側の大きな方針でありまして、日本全体をとって見た場合の機能というものは変わらない。しかしながら、基地を整理統合する過程でほかのものをなくしていけばある場所にそれがいく、したがって、Aという場所について、たまたまその場所だけが基地が強化されるということは、機能が強化されるということはありましょうけれども、全体として見るならば機能というものは維持される、そしてまた物理的な施設というものはだんだんと整理統合されてまいる、そういうふうに御理解いただきたいと思います。
  179. 増本一彦

    増本分科員 それではこの一九七〇年十二月の安保協議委員会での、あなたがいまお話しになったこの基地の整理縮小という、これは、当然物理的にも、どこどこの地域についてはどうするということの取りきめがあったわけですね。この点では横須賀や厚木はどうだったのですか。
  180. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 昭和四十五年十二月二十一日第十二回日米安保協議委員会で協議された御指摘の、まず厚木について申し上げますと、当時厚木にありました米軍機と米側要員の大部分は、四十六年六月までに移駐するけれども、艦隊航空隊、西太平洋修理部を含むところの施設は、専用区域として存続する。それから飛行場の運営維持の責任は、四十六年六月三十日までに日本政府側が引き受けてもらって、その米軍の専用区域間と飛行場間のお互いの使用、出入を可能にして、米軍の運航上の必要も満たしながら、しかるべき共同使用の取りきめをしよう。この共同使用の取りきめというのは、日本政府側という形で海上自衛隊が使うという形になっておるわけでありますが、厚木飛行場に関しましては、この取りきめのとおり現在その姿になっているわけであります。  それから横須賀及び横浜地区につきまして、十二回の安保協議委員会で協議されましたものは、実はその翌年の三月三十日に日米間で、横須賀及び横浜地区に関しますところの協議の内容の一部につきまして再調整を行なっております。そういたしまして、まず十二月の十二回安保協議委員会で協議されておりました、当時横須賀におった——現在もおるわけでございますが、第七艦隊の旗艦と第七潜水艦群の兵たん補給活動の一部を佐世保のほうに移す、そういったことに伴なって、横須賀にありますところの部隊の規模を大幅に縮小する、したがって、関連して住宅施設その他の支援施設等も整理される方向にいくであろう、また艦船修理部機能につきましても、返還の方向でいくというような取りきめが十二回の協議の内容でございましたが、それが、先ほど申しましたように、三月三十日になりまして、日米の協議で再調整をいたしまして、第七艦隊の旗艦と第七潜水艦群の一部は佐世保海軍基地に移駐するということは当時の状況下で行なわないということに変更いたしました。したがって、それに関連しますところの施設、区域の整理も、その観点に関連するものについては、当時の現状のままでいくんだということになっております。それが現在に続いております。したがって、安保協議委員会で協議された姿で今日に来ているものと、われわれは解釈いたしております。
  181. 増本一彦

    増本分科員 そうなったとおっしゃるけれども、実は十二月二十一日の安保協議委員会での取りきめどおりにやられていないということじゃないですか。たとえば厚木基地の修理機能は縮小して、なくしていくという方向だったわけでしょう。どうなんですか。
  182. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 第十二回の安保協議委員会の協議では、艦隊、航空隊、西太平洋修理部を含む若干の米軍施設は存続するということになっております。
  183. 増本一彦

    増本分科員 では、この翌年の四十六年三月三十日の時点では、佐世保に移る部隊がまた移らなくなった。その間には、当然一定の重大な、事情の変更をもたらすような情勢があったのだと思うのですよ。これはむしろ日本側ではなくて、主としてアメリカ側から起きた事情だと思いますね。それはどういうことなんですか。
  184. 久保卓也

    久保政府委員 私ども仄聞するところによりますと、主として米側予算上の問題のようであります。米側としましては、当初は日本に二つの基地を置くのを節約して一カ所に集約をというような観点もあったようであります。しかしながら、防衛上の観点、軍事的な観点からしますと、佐世保よりも横須賀のほうが望ましいというようなことで、当初の予算的な観点から佐世保のほうへ行こうとしたものを、やはり軍事的見地からもう一度再検討し直したというように聞いております。
  185. 増本一彦

    増本分科員 残念なことに時間が来てしまったので、問題の追及はこれで一応留保しまして、別途各種の委員会で論議をしたいと思います。  ただいえることは、神奈川県下を見ましても、全国どこでもそうですけれども、それぞれがみんな自治体ぐるみで、市長が先頭に立って、基地を返還してくれというように要求しているわけですね。それに正しくこたえる——特に神奈川県の場合には、人口が非常に過密化してきて、過密した都市のまん中に基地があったり、あるいは基地があるために都市計画すら立てることができない、こういう非常にたいへんな状態にいま置かれているわけです。与党の皆さん方の同じ仲間が市長をやったり町長をやっていらっしゃる。そういう人たちまでが基地を返してくれというように言っているわけで、政府は、こういう都市化されてきているところのアメリカの軍事基地の返還について、一体どういう態度とお考えをもって今後進めていらっしゃるか、その点について最後にお答えをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  186. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 現在の政府の立場は、御承知のように、日米安保条約というものはこれを維持してまいるという立場をとっておるわけでございます。したがいまして、安保条約に基づく必要な米軍の基地の提供という必要最小限度のものは、これを提供してまいるという立場をとっておりまするが、いまお申し述べになりましたように、だんだんと年月がたつに従いまして、当初設置したときと非常に事情が変わってまいった。社会的、経済的発展によりまして、やはり施設、区域のあり方に調整を要する側面が生じましたことは御指摘のとおりでございます。  政府は、従来から施設、区域の合理的な整理統合ということに努力をしてきたのでございまするが、特に人口棚密になりました地帯において深刻化しておる都市問題にかんがみまして、御承知のように、去る一月の安保協議委員会で、関東地区の空軍施設、那覇地区の空軍、海軍施設の整理統合、那覇空港の完全返還などについて合意を見たのでございまするが、将来にわたりましてこうした事情を政府としても十分に考えまして、基地の実態をよく見まして、整理統合という方向で地元の人々の要請にこたえるための努力をいたしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  187. 臼井莊一

    臼井主査 この際、暫時休憩いたします。本会議散会後直ちに再開いたします。     午後零時五十九分休憩      ————◇—————     午後四時十二分開議
  188. 臼井莊一

    臼井主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続けます。大出俊君。
  189. 大出俊

    大出分科員 増原長官が前に四次防をめぐる私の質問に答えて、五次防はやりますかと言ったら、五次防も当然検討いたしまして設定をすることになると存じますという答弁がございました。当時新聞にも載りました。そこで中期防衛計画なるものの検討をなさっておりますが、これは一体どういうものでございますか。
  190. 久保卓也

    久保政府委員 昭和三十年代におきましては、統合幕僚会議におきまして長期統合防衛計画それから中期防衛計画というものをやっておりました。ところが四十一年ごろから一応中断したようでありまして、四十五年度につくりましたのが長・中期を合わせました、主として防衛力整備の前提になるようなことを内容にしました統合防衛計画というのをつくった。さらに、四十五年のものの以後中断をしたのでありまするが、やはり長・中期と分けて防衛力整備の前提とします情勢判断とかそれから戦略構想とか、そういったものを含めたものをつくったほうがいいのではないかということで再検討し始めまして、四十七年度から逐次その方向をいま検討しております。したがって、具体的なものとしては四十九年度を目標にしていま勉強しておる最中であります。
  191. 大出俊

    大出分科員 そう答えていただければいいのです。ところで四十九年度を目標にと言いますが、防衛計画そのものは一つの年度を目標にしただけではできない。つまり戦略見積もり、つまり情勢分析ですね。分析をするという立場から見ても単年度で分析はできません。国際的な流れを踏まえての情勢検討ですから。そうなりますと、これは四次防はきまっているわけでありますから五次防につながるもの。そこでその五次防が五年間ということにするにせよ——先般私の質問に長官がお答えになった、それを一、二年にするかあるいは全くの単年度にするかという技術的なものは別として、中身としては四次防から先のものですから、そういう意味ではつながっていくものですから、四十九年度の単年度では終わりません。したがって、私はこのことは、四次防はきまっておりますから五次防につながるもの、こういう理解をしなければならないと思うのでありますが、そう考えるべきではないか。いかがでございますか。
  192. 久保卓也

    久保政府委員 先年末のこの前の国会までは五次防ということばがちらほら出ましたけれども、その後のわれわれ政府部内の検討で、そういった発想でいま態度をきめるのは好ましくないであろう。したがって、単年度であるか、どういうような計画で進むかということをこれから検討したい。しかしながら、防衛力整備につきましては四次防で終わるわけでありませんで、その後のあり方をどういうふうにするか。それは防衛庁内部で申せば、先ほどの中期計画との関連もあわせて検討してまいる、こういうことになろうかと思います。
  193. 大出俊

    大出分科員 そこでもう一つ承っておきますが、時間がありませんから深くは入りませんが、昨年の十一月の二十二日に皆さんのところで四十八年度統合防衛計画なるものをおつくりになった。これは長官が決裁をされている。これは当時一つの新聞だけ取り上げておりました。その周辺を私ずっと当たってまいりましたが、現物を私持っておりません、率直に申し上げて。だが、ここに一つの傾向がある。それは旧来立ててきた防衛庁の分析その他の中で、米中接近という問題あるいは日中国交回復という問題、これらをとらえて非常に変わってきている感じがする。たとえば特殊な例としては台湾の問題。これはニューヨークタイムズが書きまして、五千名ないし六千名の在日、台湾米軍を引き揚げる。翌日このニューヨークタイムズの記事に対してロジャーズ国防長官がこれを否定して、まだ少し早い。あとキッシンジャー補佐官が中国においでになった。おそらくその話はそこであるだろうという記事があった。つまり台湾というものをめぐっても情勢は非常に変わっております、日本の立場から見て。そこらで一つの分析が出てきている。つまり一つの変わった傾向を例にあげているわけでありますが、そういう統合防衛計画をおつくりになるにあたって、旧来とはものの見方を多少変えている特徴をニ、三点あげていただきたいのです。
  194. 久保卓也

    久保政府委員 最大の特徴はやはり日中国交正常化その他の緊張緩和という情勢を踏まえたものであるということが一点であります。  それから二点目の台湾の問題はあまり触れてはおりませんけれども考え方といたしまして、日中国交正常化が行なわれる前に台湾の議会の中で非常に強硬な発言をされた議員もおられるし、さらにまた国内の専門家の中でも、日中国交正常化に伴っての日中間の緊張緩和はあったけれども、かえってまた台湾との緊張が激化したではないかという発想もございます。正しいかどうかは別といたしまして。そういうことを背景にいたしまして、たとえば尖閣列島という問題もございますし、台湾の動きというものを慎重に見ておらねばなるまいということが書いてある程度であります。
  195. 大出俊

    大出分科員 一つの特徴がそこで明らかになってまいりましたが、さて昨年在韓米軍の引き揚げ問題をめぐって、ニクソン大統領直接ではございませんでしょうが、朴正煕韓国大統領との間でやりとりがあった。そんなに引き揚げては困るじゃないかという。いやそうはいかない、引き揚げる、ニクソン・ドクトリンに基づいて。さて岩国であるとかあるいは嘉手納であるとかいう日本の基地を強化する方針を持っている。したがって、朴正煕さんそう心配なさるなというやりとりがございました。外電で幾つも散見された記事であります。その情報を送っております電報を見ております。  そこで、さて台湾の問題。日中国交が正常化された。尖閣列島をめぐって台湾との何となくひっかかるものを感ずる分析をされている。つまり、さらにその一歩先には台湾の米軍が引き揚げる、韓国の米軍が引き揚げるという。極東の在日米軍もあるいはまだ減るかもしれない。関東計画もある。そういう中で日本の自衛隊の役割りというものを見直していくあるいは見直さざるを得ない。つまり何か事があった場合にすぐ間に合うかということで、そういう傾向が、この皆さんの中期計画の検討なり、あるいは昨年十一月十二日の統合防衛計画の中に散見される。それを私、非常に大きな違いだと思うんですよ。そこはどうなんですか。
  196. 久保卓也

    久保政府委員 そこのところはそうなっておりません。現在の四次防でもそうでありまするし、また、私どもが出しました平和時の防衛力でもそうでありましたが、当面、台湾あるいは朝鮮半島をめぐっていろいろな問題が予想されないではございませんけれども、平和的な情勢が今後も続くであろうという判断は、従来と、今日も変わっておりません。したがってまた、自衛隊のいわば有事即応体制ということも、四次防のときに申し上げましたように、必ずしも有事即応にしておりません。教育訓練を中心にしておりますから。したがって、どこかで何かがあったときにそのために自衛隊をどうするというような発想は、今回の統年防、統合年度防衛計画の中でも出ておりません。その点は従来と変わっておりません。
  197. 大出俊

    大出分科員 時間がありませんから、ここで結論を出しますが、つまり、平和への流れ、大きな緊張緩和への流れ、これはお認めになっている。しかし、これはあとで内閣委員会等でやりますが、軍事的に見た場合に、はたして緩和への流れと受け取れるのかどうか。つまり、軍事的に見ると緩和への変化というものは見られない。そういうまとまり方になっている。私はここに一つのポイントがあると思っている。だから、そのことを受けて——リチャード・ハロランという記者は、私も知っておりますけれども、たいへんりっぱな、有能な記者でございます。この方の、日本が初の軍事理論なんという電報ですね、アメリカの新聞が取り上げた、そこにつながる、こう私は見る。だから、そこのところを五次防、つまり四次防から先の問題とからんで、私は非常に重視するので、必ずしも初の軍事理論、それがどういうものが軍事理論かということになると、いろいろありますけれども、そういう傾向が、国際的な平和への流れというものはあるけれども、軍事的に見ると変わらない。そこで、中期防衛計画というものをあらためて議論を始めている。それが将来の、四次防から先につながる。これが、初の軍事理論云々という中で取り上げている問題の根っこになっている、こう見ているのですよ。私はこれは非常に危険だと思うのですが、あらためてここでそういう方向を、このハロランが、軍事理論というものは別として、中に書いてある幾つかの思想、こういうふうに動いているというものの考え方、これを否定されますか。
  198. 久保卓也

    久保政府委員 軍事的にいまの情勢をどういうふうに見るかということについては、実は庁内でもいろいろな異論がございます。制服の中で、いまの情勢の推移の中でもいろいろこういった軍事的な問題点があるではないかと言う者もございまするし、あるいは私どものように、そうはいっても、大勢として見るならばやはり平和的に進むものであるというふうな感想といいますか、意見もございます。そこで、当然防衛庁の中の計画としましては、そういった点が平均化されたぎりなことになってまいりますのであって、御指摘のように、そういった問題点が非常にクローズアップされるようなものには結論としてはなってまいりません。  それから、ハロランの文章といいますか、記事につきましても、その論拠となることが実は考えられませんので、そういった統年防というのは実は毎年つくっておるわけでありまするし、若干のニュアンスの相違というものは年々あるかもしれませんけれども、それを論拠としてああいう記事が出るということは、私ども予想しにくいところであります。
  199. 大出俊

    大出分科員 否定されるわけでありますな。長官が横から、否定しておけとおっしゃったが、否定されるわけですね、いまのところ。では、あとでやりましょう。  そこで、九月以後、横須賀に空母ミッドウェーが来る、防衛庁筋の、と聞いたのですが、情報入手によれば。外務省もきょうお見えになっておりますが、その辺のところはどっちなんですか。ミッドウェーはいま修理しておりますが、修理日程その他から見て、大体九月以降になるのではないか。受け入れ体制その他が現地横須賀でどんどん進んでおりますが、そこをどういうふうにごらんになっておりますか。
  200. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 空母ミッドウェーの横須賀寄港の時期につきまして、私ども、はっきりした情報を持っておりません。ただ、ミッドウェーの乗り組み員の家族は、おそらくこの夏ごろ以降横須賀地区へ居住することになるであろうという程度の話を聞いております。
  201. 大出俊

    大出分科員 次に、岩国の問題でございますが、同僚楢崎委員から質問があったようでありまして、私、見てまいりましたが、どうも私の住んでおる家よりはりっぱな建物がたくさんございました。どうも私の住んでいる家よりもりっぱなものをこわしてということになると、ずいぶんもったいない話でございますが、現地説明を聞きましたら、入っている人に出てくれとも言いにくいから、場所をどこにするかをまずきめてもらって建てるのだという。建てて移ってもらう。建てて移ってもらうということになると、いま住んでいるのはあき家になるということになる。片や、かまぼこ兵舎がずらっと並んで、たいへん条件の悪いところで、かまぼこ兵舎に兵隊が一ぱいいる。だから、あいたんだから、今度そっちにかまぼこ兵舎の人を入れようなんということになると、これは明確に新規提供でございます。新しい建物建てた。いまいる人をどいてもらうのはたいへんだからと、建てた。いまいる人を建てたところへ移した。あとがあいた。私のうちよりもりっぱな建物ですから、こわすのはもったいない。かまぼこ兵舎のほうを入れる。何のことはない、これは新規提供です。たいへん重大な問題だと私は思っております。私が現地説明を聞いた限りそういうことでございますけれども、皆さんは、まず、そこのところをどうお考えになっているかというのが一点。  もう一つ地位協定に触れて承りたいのでありますが、この地位協定の二条並びに三条にいう区域、施設——施設が先でございますから施設、区域にしましょう。施設、区域、この施設というのはどういう解釈をすればよろしゅうございますか。
  202. 高松敬治

    高松政府委員 岩国における建物は非常にりっぱである、こういうお話でございますが、午前中にも御説明申し上げたところでございますけれども米軍は元来、建築物の表面の修理とか塗装とかいうことは非常に熱心でございます。それで、維持管理のためにかなり手を入れていることも事実でございます。そういう意味では、外面的にはわりあいにりっぱに見えるものが多いように思います。しかし、何ぶんにも古い建物であることは事実でございます。それからまた、そういう建物の構造、主材とこういっておりますけれども、そういう主要な材料の腐食が進んでいるということも事実でございまして、やはり建てかえを必要とするものもかなりあるというふうに考えております。
  203. 大出俊

    大出分科員 岩国の町——高松さん、あなた岩国へおいでになりましたか。この施設、見においでになったですか。
  204. 高松敬治

    高松政府委員 残念ながら、まだ行っておりません。
  205. 大出俊

    大出分科員 行っていないでたわごと言っちゃ困るじゃないですか。百聞は一見にしかずというのです。基地へ入っていくまわりの家並みをながめてみると、徳川時代から建てたんじゃないかというふうなうちが一ぱいありますよ、山のように。中のほうがよほど新しい。そういういいかげんなことじゃだめですよ。おそらくどなたも行ったことはないのだと私は思う。行ったことがない者がここでがたがた言ったってしょうがない。そうでしょう。それを論議のほかというのです。百聞は一見にしかずで、私は見てきたんだから。見てきた人間に見てない人間が答えたって、それはだめです。あなた方、行って、報告してください。——あなたは行っていないのだからだめです。見てない人に答弁されたって迷惑。  そこで、楢崎さんの質問との関連で私は承りたいのですが、施設とは一体何ですか。どう解釈したらいいか。
  206. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 地位協定二条、三条という御指摘がございましたけれども地位協定には「施設及び区域」というふうに、必ず一体となって規定されてございます。したがいまして、施設とは何ぞや、区域とは何ぞやということではございませんで、施設、区域というふうに、私ども、一体として考えているわけでございます。  それでは施設、区域というのは何だ、こういう御質問が当然出てまいると思いますけれども、土地もしくは建物、工作物、またはその双方、これを含めまして施設・区域というふうに考えているわけでございます。
  207. 大出俊

    大出分科員 占用水面、抜けていますな。そうなると、これは水面が抜けちゃうんですけれども……。  そこで、もう一つ承りたいのですが、それじゃ二条一項にいう設備とは何ですか。
  208. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 設備と申しますのは建物に付属いたしておりますいわば動産的なもの、これを設備、備品及び定着物と、こういうふうに考えております。
  209. 大出俊

    大出分科員 そうしますと、いま施設説明の中で土地、建物、工作物などとおっしゃいましたね。今度は設備のほうに建物が入るわけですな、設備のほうにも……。
  210. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 ただいま御答弁申し上げましたように、設備と申しますのは、どちらかというと動産的なものでございまして、建物等はむしろ不動産の観念に入るかと存じます。
  211. 大出俊

    大出分科員 それじゃ設備のほうには建物は入らない。よろしゅうございますか。
  212. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 あり得る形は、建物の中に設備がある、こういうことだと思います。
  213. 大出俊

    大出分科員 だから、建物施設に入って、設備ではない、そうなりますね。あり得る形は、建物の中に設備があるのだから、中にあるものが設備なんだから、建物はそれを含んでいる。つまり、建物は設備ではない。そうでしょう。
  214. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 地位協定二条によりますと、施設、区域には「設備、備品及び定着物を含む。」とございまして、ここで規定されております設備、備品及び定着物等は施設及び区域、すなわち建物その他工作物等の中に付着しておるものと、こういうふうに観念いたしております。
  215. 大出俊

    大出分科員 だから、はっきり答えてくれればいいんですよ。あなたは、設備というものは動産的なもの、こう言うのでしょう。動産的という限りは不動産じゃないんでしょう。建物を売買するのは不動産屋がやっているのです。そうでしょう。あなたは設備は動産だと言うのだから。建物は不動産ですよ。不動産は施設だけれども、動産は設備だと、あなたはそう言うのだから、いいですかと念を押しているのです。よければいいと言ってくれればいい。
  216. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 そのとおりだと思います。
  217. 大出俊

    大出分科員 そこで、山内一夫さん、この方は内閣法制局の第一部長さんで、この人が「時の法令」なるものにお書きになった「施設及び区域」という論文がある。ここでお述べになっている中身がございます。読みますよ。「施設とは、土地または公有水面がこれらの運営に必要な現存の設備、備品および定着物と一体的に提供された場合の観念であり、」——あなたの解釈と明確に違う。いいですか。もう一ぺん言いますが、施設、区域の「施設とは、土地または公有水面がこれらの運営に必要な現存の設備、備品および定着物と一体的に提供された場合の観念」言いかえると、これは逆に言うと、土地または公有水面がこれらの運営に必要な現存の設備、備品及び定着物と一体的に提供された場合の観念が施設である。これが定説ですよ。したがって、建物施設じゃないですか。なぜ、そういつも変えるのですか、あなたは。この山内さんの解釈から発展していろいろな解釈が出てきているけれども、これがあくまでも基本です。  午前中の質問の中身を聞いてみましたら、山内さんは既存のと言っている、あるいは現存のと言っている、それを例に出してものを詰めたら、あなたのほうの答弁は、それは設備でございます、施設ではございませんと答えている。冗談じゃありませんよ。そうじゃないじゃないですか。午前中の答弁取り消しなさい。いいですか、山内さんの論文を提起をして、あなた方の意見を聞いたんだ。そうしたら、あなた方は、山内さんの言っている現存のとか既設のとか言っているのは、それは設備であって、施設ではないと答えている。議事録持ってきてごらんなさい。山内さん自身が言っているのは、私が読んだとおりなんだ。設備を含めて施設なんだ。——いいですか。これは午前中のやつは、そういう解釈を議事録上残されては困る。
  218. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 いま御指摘ございました山内さんの論文の中に、「施設および区域の定義は、新安保条約にも、地位協定にも存在しないが、」というふうにまず述べられまして、「合衆国軍隊が日本政府によって使用を許されたところの土地もしくはその上に存する建物または公有水面を中心とし、これらの運営に必要な現存の設備、備品および定着物を含む観念」だと、こういうことを言っておられまして、したがいまして、設備、備品及び定着物を含むことがもちろんあり得るわけでございますけれども、含まない形におきまして建物、工作物というふうなものも施設、区域として観念できるわけでございます。したがいまして、私が御答弁申し上げましたことと、ただいま御指摘ございました山内さんの論文のお考えとは、私は食い違っているとは思っておりません。
  219. 大出俊

    大出分科員 食い違っております。食い違っておりますから、山内さんの御見解はこうであって、あなたの答弁はこうであって——議事録があるのですから、午前中の。ここで議事録はまだ印刷されてないから、見てきたんだから、あなたはそこのところを明確にして文章を出してください、そこのところを。たいへん重要なことですから。あなたの午前中の答弁といまの答弁と違う。山内さんのこの見解に対するあなた方の答弁が、またこの見解と違う。そこのところを整理してお出しを願いたいと思います。非常に重要な問題ですから。よろしゅうございますね。
  220. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 私は、御答弁申し上げておりますことは何ら食い違いはないと考えておりますけれども、整理いたしました上で提出いたします。
  221. 大出俊

    大出分科員 それじゃこの点はひとつ保留さしていただきまして、非常に重要な問題でございますから、あとから理由を申し上げます。法制局をお呼びいただいて、あらためて見解を明らかにしていただきたい。保留をさしていただきたいと思います。よろしゅうございますか。  これは、なぜこういうことを私が言うかと言いますと——あとの質問で明らかにいたします、時間がおそらく切れると思いますので。この地位協定二十四条に基づきまして、経費の分担がきめられております。そこで、日本側が分担をする場合、それは施設、区域の提供にあたって、日本側が分担をして金を出す。これは提供時に日本側が金を出して行なうということであって、それ以外のときに日本側が金を持つ、地位協定はそのことを想定をしていない、こう実は私は考えているわけであります。したがいまして、提供時以外にあるとすれば、一体どういうものを日本側が分担をするのか。地位協定に触れてお話をいただきたい。
  222. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 地位協定第二十四条の二項には、日本側の経費負担のことが規定されてございますけれども、その中に「この協定の存続期間中合衆国に負担をかけないで提供し、」云々、こういうことが書いてございます。したがいまして、二十四条の規定は明らかに、「この協定の存続期間中」、つまり当初一回限りということじゃございませんで、存続期間中に新規の提供もあり得るということを想定しているわけでございます。
  223. 大出俊

    大出分科員 これは、時間がかかりますから、聞くだけ聞いてあとに譲りますが、たとえば土地でいえば、国有地は無償で国が提供する、民有地は国が金を払って無償で提供する。提供してしまって、あとこの協定存続期間中金はとらない、そういうことになるだけであります。  そこで、先ほどの問題とからみますけれども地位協定の二条の一項、二項または三条、ここらを並べて、その中で日本側が金を持たなければならないものがあたかもあるがごとく、諸般の情勢を勘案をしてと、こういう趣旨の回答を楢崎委員に出そうというふうにあなた方はお考えになっている。  そこで、その諸般の情勢というのと、それからどういう場合に、つまり二条、三条を含めまして二十四条二項では、日本側に義務がない。二十四条の一項のところを使って「存続期間中」はという、いまお読み上げになったところを使って日本側アメリカと約束しているのは、アメリカがやる場合はアメリカ日本提供時に責任を負う、こうなっているのだけれども、全部見直して、提供時に日本がやらなければならないと考えられるようなものを、分担はこうなっているのだけれども、諸般の情勢等を勘案をして持たなければならない、こういう趣旨なんですよ。だから、持たなければならぬとするならば、そのケースはどういう場合を具体的に想定して——二条、三条にいう中でも、日本側が持たなければならないというものがあるというのですから、それはどういうケースをさすのかということを具体的に御提示を願いたい。
  224. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 二十四条二項の解釈といたしまして、政府といたしましては、施設、区域の新規の提供、それから施設、区域の追加の提供及びこれに準ずるものとして、提供中の建物、工作物等の必要な改築改修、こういうふうなことは、日本側が二十四条二項に基づいて経費を負担すべきもの、こういうふうに考えているわけでございまして、たとえば従来からリロケーションという形で呼ばれておりまする施設、区域の移転に伴います代替施設提供というふうなことは、まさに二十四条二項に基づきまして、日本側が経費負担して実施をいたしているわけでございます。
  225. 大出俊

    大出分科員 いいですか、あなた、リロケートの場合も、法的根拠は二十四条二項なんですね。そうすると、たとえばP3オライオンの玉つきといわれた時代から変わりましたけれども、やれ格納庫をつくる、何をつくる、こうありました。那覇から移ってまいりまして、やれ岩国向こうに移る、三沢に、というぐあいになっているのも、ある意味ではリロケートなんです。そこらのものをみんな含めて、リロケートといわれるものは地位協定四条があるのですよ。地位協定四条も前提にして、リロケートといわれるものも二十四条なんですね。いいですね、そこのところは。
  226. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 いわゆるリロケーションと申しますものも、経費の負担に関しましては、二十四条二項に基づいて日本側の負担といたしているわけであります。
  227. 大出俊

    大出分科員 とんでもない答弁をなさいますが、時間がありませんから、これはあらためてやりましょう。はっきりあなた方の見解が明らかになれば、それなりに詰めがございますから。  もう一つ伺います。岩国に行ってみましたら、どうも共同使用というのでたいへんに長いものがあるのですが、増原さんに、二4(a)の「一時的に」というのは一体期間は幾らかと聞いたら、立川に触れて、先遣隊が強行移駐した。一年たった。これから三年たって返ってくると、あなたはお答えになった。そうすると、まず三年は一時的にかと言ったら、これは一時的だと申し上げざるを得ません、こう言った。じゃ一年たって、また三年だから四年になるんだが、四年はと言ったら、それも、どうもまことにむずかしい事情でございますが、あえて一時的にと私の立場からすれば申し上げざるを得ません、こういうふうにあなたはお答えになった。じゃ五年はどうなんだ、六年はどうなんだと言ったら、そうたたみかけられても御答弁ができませんと、あなたはおっしゃった。それで文書でお出しをいただくんだ。幾ら待っても、あなたのほうは文書で御見解をお出しにならぬ。  そこで、もう一ぺんここで承りますが、岩国は、三十九年二月一日から四十三年九月三十日まで航空自衛隊岩国基地隊、四十二年十月一日から現在までPS1海上自衛隊岩国分遣隊、こうなっている。そうなりますと、これは五年以上も一時使用になっている。一時的になっていますね。地位協定ができて十二年しかたっていないのに、五年間以上も岩国は一時的にということで共同使用になっている。あなたは四年までしかお答えになっていない。これは五年も一時的ですか。日本語というのは、一時的にというと五年間……。
  228. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 せんだって、いまおっしゃったように申し上げたのはそのとおりでございまするが、これは、そのときのあなたの質問であったか、ほかの方の質問であったか、外務省にも似たような御質問があったわけでございまして、これは本来外務省で基本的にあれしてもらうべきもので、外務省と相談をいたしましてこの解釈をきめようということでやっておるのでございまするが、なかなかむずかしくて、まだ回答を申し上げるに至っていないことはまことに申しわけございませんが、まだはっきりした御回答ができない段階であるということでございます。
  229. 大出俊

    大出分科員 これで終わります。  いままでの御答弁では、三年は一時的と私は申し上げざるを得ませんとお答えになって、四年はと言ったら、たいへんお困りになって、たいへん困りました。困ったが、しかし私の立場では、それもまた一時的にと申し上げざるを得ません。五年は実は聞いてないのです。今度は実際に五年がある。そうすると、五年は、六年は、七年はと——実際にやっているんだから。そうすると、これは十三年間、ひとつ間違うと、さっきの大河原さんの答弁じゃないけれども地位協定の続く限り一時的に共同使用を続けていくというようなことになりかねない。とんでもないことですよ。それでは地位協定の「一時的に」という意味はないじゃないか。二4(a)で何で一体二時的に」ということばを使ったか。「一時的に」ということばを使うことは必要なくなる。そうでしょう。ないと一緒だ。  時間がありませんから、ひとつこの点はあなた方のほうで、今日までの間、地位協定ができて十三年間、一時使用をやってきたケース、期間、これを全個所資料にして出してください。よろしゅうございますか。
  230. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 地位協定二条四項(a)にいう「一時的」とは何だ、こういう御質問でございますけれども、二条四項(a)は、米軍提供されております施設、区域を日本側が臨時に使用することができる旨を規定したものでありますが、その趣旨は、米側としては、当該施設、区域を全体として保持する必要があり、したがいまして、部分的にせよこれを返還することが困難な状況が継続している期間中には日本側の使用を許容する、こういう形のものでございます。したがいまして、ここにいっております「一時的」という概念が具体的にどの程度の期間をさすのか、つまり四年か五年か、もっと長いのか云々ということにつきましては、一がいに言うことはできませず、また、こういう状況のもとで日本側の臨時使用のあり方につきましても、個々の事案ごとに合理的にきめていく、こういう性質のものというふうに考えているわけでございます。  それから、ただいま御要求のありました資料につきましては整理いたします。
  231. 臼井莊一

    臼井主査 もう時間ですから、もう一問で終わりにしてください。
  232. 大出俊

    大出分科員 いまのそれは、あなた方の統一された御見解ですか。増原さんは、外務省と相談をして私に回答する、文書でと言ったら、わかりました、こうなっておるのですけれども、御相談の結果ですか、それは。そう受け取ってよろしゅうございますか。——それでは主査、それは私に文書でお出しいただく約束ですから、長官からひとつお答えいただきたいのですが……。
  233. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 いまのアメリカ局長のあれ、私が実はきょうまで聞いておりませんで、先ほどああいう答弁をしたのでございまするが、この問題、防衛庁の関係の者とも相談をしてもらって、こういうことでよろしいということをきめたそうでございます。私もいま拝見したのでございまするが、こういうことで、文書にして差し出すことにいたします。
  234. 大出俊

    大出分科員 それではそれを文書でお出しいただく。  それで、「三年も一時的か」と新聞が見出しにお書きになりましたが、これは三年も一時的じゃないのだ、今度は。五年も一時的かと書いていただいて、そこから先は六年も七年も八年も九年も十年も、ケース。バイ・ケースで一時的かと、こう今度は書いていただいた——期限がないです、それは。そんなべらぼうなことがありますか、あなた。「一時的に」と文書に書いてあるじゃないですか。そんなことは小学校から教わっているんだ。でたらめを言っちゃいけませんよ。
  235. 臼井莊一

    臼井主査 次に、渡部一郎君。
  236. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 防衛庁、特に施設庁の関係でありますが、私がきょうお伺いすることは、実は昭和四十四年三月の二十九旧以来の問題であります。  これは赤坂のプレスセンター、いま東京の環状三号線が工事の途中であり、また米軍のヘリポートがあり、これをのけようという問題が起こっているところであります。ところが、これは四十四年の三月二十九日参議院の予算委員会第三分科会、二宮文造議員の質問に対して、現防衛施設庁次長鶴崎敏という方がいらっしゃいますか、その方が、赤坂プレスセンターヘリポート移転の見通しでございますが、先ほど申し上げましたように、方針としては、このヘリポートの機能を他に移転することについては米側自体も了承いたしております、こう言っておるわけでありまして、いつの段階でということは言えないが、まあ見通しとしてはそう遠くない時点において候補地が得られるのではないだろうか、こういうお答えをしておいでになります。二宮さんはそれに対して、来年度じゅうにできますか、つまり四十五年度じゅうにできますかと御質問されていますが、それに対して鶴崎さんは、「それくらいには何とかできると思います。」という答弁をされているわけであります。つまり、四十四年において、四十五年に返還ができることを予想しているわけであります。  次に、昭和四十七年三月二十四日衆議院予算委員会第二分科会において渡部通子議員が、当時江崎防衛庁長官に対して質問していることでありますが、それに対する御返事はどういうふうになっているかと申しますと、「大事な問題だと思います。これは至急移転させましょう。」少し飛ばしまして、「私、さっき四、五カ月と言ったらどうもまずいような雰囲気でしたから、まあ少なくとも年内にはと、こういうことならどうだということで相談します、そうしましょうとこう言っておりますから、まあ少なくとも年内にはということで極力早めるということで御了解を願いたい。努力いたします。」と申されておるのであります。これが四十七年の三月二十四日、つまり四十七年の年内には片づけると申されているわけであります。  短い質問でありますからどんどん申し上げますが、この地域は港区の六本木の七丁目にございまして、星条旗社、独身将校宿舎、PX、自動車修理工場並びにヘリポート等が存在するわけでありまして、近所には日本学術会議、あるいは東京大学物性研等がございまして、住民からは発着するヘリコプターの問題あるいは風紀上の問題、騒音の問題、あるいは三号線ができない問題等で、非常に問題の起こっておるところであります。その問題については私議論しようとしておるのではございませんが、たび重なるお約束に対しまして、ともかく何回もイエスと申され、何回も約束をされ、それが四十四年から今日に至るまで、もう四十八年でありますから、四年越しずるずる延びておる。きわめて責任のない状況、そして国民に対する御説明のない状況が続いておるわけであります。非常に遺憾であります。  したがいまして、まず最初に、現在どういうふうな交渉状況になっており、どういう点がネックか、まずそれを局長でも担当の方でもけっこうですから、お述べいただきたい。
  237. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 御指摘の赤坂プレスセンターという施設に関しまして二つの問題が存在しておりますことは、担当者の私として十分承知しておるわけであります。これが現在も、いわゆる都道環状三号線の開通もできない状態であり、また、あそこに所在するヘリポートの移設もできない状態でありますのは、いろいろと込み入った事情が重なって今日に至っておる次第でございます。  たまたま御指摘のありました昭和四十四年に、当時の鶴崎施設部長が、四十五年くらいに解決したい、そういうめどでということを申し上げた時点では、実は四十三年の十二月に第九回日米安保協議委員会というのがございまして、そこで当時の在日米軍の約五十の施設につきまして返還、移設等の方針を日米で協議したわけでございますが、その時点におきまして、この赤坂プレスセンターのヘリポートを代替地を見つけて移設しようじゃないかという日米の方針についての協議があったわけでございます。そこで、それを受けて動いておりました時点でございましたので、何とかそういう努力をもって、四十五年ぐらいには解決したい、そういう答弁になった次第でございます。  ただ、その後、しかるべき代替地を、アメリカ側が求めております立地条件等に合ったもので、都心部にさがすということが非常にむずかしかったわけでありますが、何とかしてこれを解決していきたいということで進めてきたわけであります。ところが一方において、都道環状三号線が、新一之橋から青山墓地のほうへ抜けていく道路がこのヘリポートのまん中を通るというところで、この部分だけが、道路工事がその問題のために進まなくなる見通しが出てきたということで、これを急がなければならぬという問題が出てまいりました。  この二つの問題がからんだために、それではまず都道三号線のほうを早く開通しよう、そのためには、現在地点でヘリポートの機能を何とか維持しながら、まず都道三号線に必要な用地をアメリカ側から返還させよう、そういうことで、そちらのほうに交渉の重点を向けたのが四十四年から四十五年にかけてでございます。そこで、四十五年にアメリカ側も、それではその方向でいこうということにきまりまして、いろいろ詰めておったわけでございます。一方において、ヘリポートの移設を希望する声が依然として存在していることはわれわれも承知しておりまして、この問題も並行的に進めていたわけでございます。     〔主査退席、塩谷主査代理着席〕 そこで昨年三月、当時の江崎大臣がヘリポートのそういう問題を政治的に判断されて、これも促進いたしましょうということでわれわれもそれに進んだわけでございますが、有力なヘリポートの移設用地でありました東京都が埋め立てておりますいわゆる夢の島、十四号埋め立て地に、昨年できましたところの東京ヘリポート、これが、そこに通ずる首都高速九号線というのが相当早く、四十九年ごろにはできる予定でございましたのが、用地取得等で非常におくれて、昭和五十一年度でも完成がむずかしいんじゃないかという状態になったために、これも立地条件の一つとしてアメリカにとっては非常に重要な要件だったわけでありますが、これがおくれていることで今日なお解決を見ない状況でございます。
  238. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 今日までの経過はいま御説明を伺いましたが、そうしますと、この東京都の環状三号線の用地の問題については向こう側も返すことに問題がなかったし、そのままいけば返せる状況にあるし、いまもそれを単独で交渉すればすぐ返せる、こういう意味でございますか。
  239. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 従来そういう交渉を重ねておりましたが、ヘリポートの移設とあわせてさらに促進しようということで、昨年の十月、日米合同委員会の施設特別委員会にヘリポートの移設と都道三号線用地の返還を要求しております。  そこで、いまお話しのような形でこの都道三号線の問題を、従来のアメリカ側理解に従って、昨年十月に要求している当方の要求の中から、この問題はこういうふうに処理していこう、ヘリポートの移設は自後継続して問題を解決しようということになりますと、若干その都道三号線用地を返還さすに伴って、東大側にありますPX及びPXガレージの建物を、反対側のスターズ・アンド・ストライプスのほうに移設をする工事をやってやれば問題は解決のほうに促進されるというふうに考えております。
  240. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 そうしますと、この都道三号「線のための用地は、早急に返還を求めることは可能であるという意味かと思いますが、それはいつごろまでに可能になるか。今度は前のように四年もかかってうしろへ延ばすのではなくて、どうだということを明確に述べていただきたい。
  241. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 いろいろと施設特別委員会なり合同委員会での日米間の書類のやりとりなり、アメリカ側でも上級司令部への意見照会等を伴いますが、何とか土地の返還そのものは、これはただいま申し上げました建物の移設工事等の完成を待つとか、いろいろな問題も伴うと思いますが、少なくともそういう方向で、都道三号線用地は返還するというような方針の合意は何とかしてこの夏くらいまでには、問題を一応切り離した形で解決していくように努力したい。いまいつごろという御質問がございましたので、ちょっと時期的に判断に迷ったのでございますけれども、そのくらいの目標で、何とか都道三号線のほうの問題は基本的合意にこぎつけたいと思います。
  242. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 オオカミと少年という話が昔からあって、あんまり何回もだまされますと、これはもう信用できぬわけでありまして、また、にこにこしながら全く違うことを述べられるんじゃないかとまで私たちは思わざるを得ない。だから今後は、そういうのをきちんとなさるようにしていただかなければいかぬと思うのですね。  もう一つはヘリポートのほうですが、ヘリポートは代替施設がなければぐあいが悪いという意味合いのお話があったわけなんでして、それもちょっとうなずけないわけであります。といいますのは、従来の議事録等を拝見いたしますと、赤坂プレスセンターの中のヘリポート、これはどういうことかというと、米大使館及び日本の中央官庁との連絡用ヘリコプターで、一日二ないし三機程度を不定期に運航しているとしるされております。これはそういうことでございますか。
  243. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 そのとおりでございます。
  244. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 そうしますと非常に妙なことなのでありますが、これは米軍とはいっても、実際的には、アメリカの大使館が日本の中央官庁との連絡用にヘリコプターを飛ばしているということそれ自体がおかしなことですね。ということは、ほかの大使館で日本の中央官庁との連絡にヘリコプターを使っている例はない。もしあったらあげていただきたいし、また、日本の中央官庁同士で簡単にヘリコプターを飛ばすこともまたむずかしい。少なくとも日本の関係法規に沿って、都心の中にヘリコプターを飛ばすなどということについては大きな制約があるのがあたりまえなのに、旧来の占領時代の特権をそのまま維持した形で、こういう都心部のどまん中で、少なくとも墜落などしたら東大の物性研なんかでは液体水素もあれば、コバルト五七などという危険なものもあるのですから、大きな事件が起こるのもわかっているところで、そんなものを飛ばしていることを認めているということ自体が私は問題だと思う。しかもここのところでは、騒音が非常に大きいとかいろいろな問題が起こっているにもかかわらず、このヘリコプターの移転に対して強い姿勢で交渉に当たらないということは、いかに何でもおかしいのではないか。四十七年三月の長官のお答えと比べても非常にまずい態度ではなかろうか。前長官といまの長官とお人が違うから前の長官の時代は前の長官、いまの長官の時代はいまの長官などという論理は許されないのではないかと私は思うのですが、どうでしょうか。
  245. 高松敬治

    高松政府委員 赤坂プレスセンターのヘリポートの問題につきましては、いままで非常に長く時間がかかっておりまして、まことに申しわけなく思います。私もあの位置にヘリポートがあることは非常にぐあいが悪い。これはいつごろでしたか、増原長官からもあのヘリポートの位置はおかしいではないか、こういう御指示を私は受けたこともございます。それで、プレスセンターのヘリポートの移転問題というのは、オオカミと少年とおっしゃいましたけれども、その前のことは私よく存じませんけれども、おそらくはたいへん軽く、移転しようと思えば簡単にできるんだというふうに考えたのだと思います。私自身もこの移転問題というのはそうむずかしいことではない、他に候補地をさがせばあるのではないかというふうに、簡単にできるだろうというふうな感じで臨んだんですけれども、実際にそれをさがしてみますとなかなかむずかしい。自衛隊の市ケ谷のヘリポート自身も最近は発着が非常にむずかしくなってきておる。それから芝浦も非常に家が建て込んでむずかしくなってきた。夢の島を一番適地に考えましたが、これが道路の完成がたいへんおくれるというふうな状態になってまいりまして、最初に考えたことよりも非常にいろいろな悪条件が重なりまして、現在まで延び延びになっておるというところでございます。昨年の十月でしたか十一月でしたか、施設委員会でも私のほうからヘリポートの移転については米軍に対して要求を出しております。米軍のほうでも、いろいろいま検討しているはずでございますが、それについて、まだ回答がございません。しかし、この問題につきましては、もう御指摘のように前からの問題でございますし、それから、あそこにあること自身が私も不適当だと思いますし、これから一そうその促進をはかってまいりたい、かように思うのでございます。  ただ、代替地、これは全然要らないということになれば別なんでございますけれども、現在、横須賀なりあるいは米軍の富士なり府中なり、いろいろの方面からヘリポートを使ってやっておりますけれども、これをどこかに移すということが案外にむずかしい、しかもだんだんむずかしくなってくる。これは都市化現象からいって当然そうだと思いますけれども、そういうふうな状態になりつつあることはひとつ御了解いただきたい。  それからまた、私ども、決してそのための努力をサボっているわけではございません。
  246. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 いま環状三号線のほうについてちょっとめくってみましたら、環状三号線の街路築造事業に関しましては、昭和三十六年三月十一日建設省告示第三百七十一号として事業決定になっているわけであります。ですから、昭和三十六年といいますと、いまからまず十二年前ですね。このおそるべき時間が、この三号線のほうもたっておる。ヘリコプターのほうは、いま御説明いただいた御事情のとおりだと思いますけれども、ともかく住民からこれぐらいうるさがられ、そして日米間の感情をそこねるばかりであり、そしてまた、戦争中の特権的な米軍の感覚をそのまま持ち込むものであり、かつ、周辺の住宅あるいは施設等に重大な脅威を与えるものであり、何もいいところはない。何もいいところはないんだから、これは除くという方向で断固交渉するという決意がきまれば、私はまだ了解ができるのですが、その基礎的なところから怪しかったんじゃないかという不満をいま持っているわけであります。  そこで、前に長官が約束されたことがこうやって延びちゃったわけですから、しょうがないので、現在の防衛庁長官施設庁長官に、これはもう断固、このヘリポートの移設問題、ここを払う問題については、ひとつこれに対して必ずそういう立場で当たるという御確約をいただきたい、そしてまた、いつになるかということは、それはまだ、いまとても話のできる状況でないかもしれませんけれども、ともかく、どういう手順をとってとりあえずやっていきたいという、その御決意のほどを伺いたい。
  247. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 渡部委員御指摘のとおりで、まことに申しわけないことに存じております。従前お答えをいたしました長官にいたしましても、必ずできるというふうに考えましてお答えをしたことは、もう間違いないと思うのですが、事情を御説明しましたようなことで、いまに至って実現をしない、まことに申しわけないと思います。  しかし、ただいま施設庁長官も申しましたように、あそこにヘリポートがあるということは私もやはり適当ではないと考えまして、この促進方を、このたびの着任以来話をしたことがあるわけでございますが、この三号線の問題とは一応切り離して話を進める、このほうが結末を見る見通しが確実度が強いという意味で、切り離して、という説明を先ほど申し上げました。しかし、これは両方ともやらなければならぬことであると思いますので、その点については、私どものほうとしても十分その意味の決意でございまして、これは従来の人が決意がなかったとは私は申し上げたくないのでございますけれども、十分の決意をもちましてこの両方の実現のために努力をする。まことに恐縮ですけれども、いつまでにということは、ちょっとやっぱり、いままだよう申し上げ得ないのでございまするが、なるべく早い時期にこの両者を実現するように懸命の努力をいたしたい、かように考えます。
  248. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 この両方とも撤去するという方向で当たるというただいまの御答弁については、私はけっこうだと存じます。ただ、従来明確に言われておりました期間が、三号線に関しては、先ほどの御説明をなさった方が、夏ぐらいまでの中で努力すると、交渉の立場を説明されましたから、おそらくことしの秋ぐらいまでにめどがつくんだろうと思いますけれども、今度はヘリポートのほうですね、ヘリポートのほうに関して、少なくともいつの時点で、その協議委員会であるかとか対米的な折衝のときに持ち出されるのか。ただ努力だけでは私は困るわけでありまして、いつから、こういう方針で交渉し、いつのどこの会合に話を持ち出し、どういうようにかけ合うのか、その辺も少しお示しをいただかぬと、ただ努力ということではこれはうまくいかないのではないか、こう思うわけであります。少なくともこうやって、議員が二年間に一ぺんずつ質問をする、そのつど長官がかわっては別な説明をする、これはもう何というんですか、適切な用語を知らぬのでありますが、きわめて不当な話だと思うわけです。いかに何でもまずいと思うものですから、御説明をいただきたい。
  249. 高松敬治

    高松政府委員 先ほど申し上げましたように、合同委員会の下の機関であります施設特別委員会というのがございます。私が日本側の議長でございますが、昨年の十一月だったと思いますが、十一月に施設委員会に、正式に議題としてこれを提示してございます。それで、その後も口頭で、これはどうなっているんだということで、米側にいろいろ説明を求めたこともございます。米側としても、そのころ、あちらこちらをいろいろ見て回ったり何かやっていたようでございます。ただ、遺憾ながら現在まで、私の提案に対する回答が参っておりませんので、また近いうちに機会を見まして、これらの回答の促進を求めるというふうな方法をとってまいりまして、なるべく早くこれについての少なくともめどだけは早くつけたいというふうに考えております。二年ごとという御指摘で、私どももまことに恐縮いたしますけれども、そういうことで、できるだけ早い機会にこれができますように、もう正式な手続には一応乗せておるのですけれども、これをさらに強く要求を続けてまいる。それからまた、われわれとしても、米側についてはある程度の協力をしてやることも必要だと思いますけれども、そういうことによってあの撤去を早めていく、こういうことをいまいろいろ検討しているところでございます。
  250. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 そういう合同委員会の議長をつとめられているというすばらしいお立場にあるわけですから、めどをつけたいとおっしゃったのはほんとうだろうと、私、今度は少し信用しかかっております。そのめどをつけたいというのは、意思表示をなさるのはいつなのか、それをちょっと、もう一回しつこくお伺いをしておきたい。めどをつけたいと言ってまた二年たつというようなことがあったのでは、私はもうたまったものじゃないですから、お願いします。
  251. 高松敬治

    高松政府委員 先ほども申しあげましたように、すでに正式に施設特別委員会に提案し、それについての催促も、昨年十二月ごろでしたか一回、私自身でやりました。ただ、それについての回答が残念ながらまだ参っておりませんので、これを早くやる。それから、どういう条件のもとにどういう点が充足されれば、少なくとも米軍としてはここをやるんだ、それから、大体どの方面というふうなこととか、そういうふうなことについての一つのめどを早くつけたい。具体的にこれが移転するのは若干先になるかもしれませんけれども、そのめどを早くつけて、それについての——いつと仰せられてもこの点は……
  252. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 めどをつけるのはいつですか。
  253. 高松敬治

    高松政府委員 なるべく早くやりたいと思います。
  254. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 なるべくというのはどれぐらいですか。
  255. 高松敬治

    高松政府委員 相手のあることでございますから、やってもやってもなかなか正式な回答が来ない。向こうもだいぶんこれには、正直困っております。だから、正式には申せませんが、私自身の個人的な気持ちからいけば、おそくとも夏ぐらいまでには何とかしてこれをめどをつけたい。早ければもう少し早くめどをつけたいというふうに思います。あと、あまり大きなことを言ってもまた私しかられますから、そういうことで、私としては、その点はほんとうに誠意をもってこれに当たってまいりたいというふうに考えております。
  256. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 そうしましたら、めどをつけるのはともかく夏まで、だけれども、それより早く、なるべく数カ月以内というお話でございますから、いま三月です。この合同委員会は一カ月に一回とか、そういうランクでございますでしょう。ですから、いま三月ですから、三月の合同委員会、これからあるのでしょう。三月はもう終わったのですか。——二週間に一回、これは驚いた。二週間に一回ずつあるのだったら、ともかく夏までの間に何回あるわけですか。三月で二回、四月で二回、五月で二回、六月で二回、七月で二回でしょう、十回あるわけだ。その間じゅう議長が叫びながら、それを向こうが無視するなどということは、これは合同委員会じゃないですよ。あなたは請願、陳情を続けて、あわれみを請うていて、向こうはごう然とそれをはね返しているだけで、それは議論する資格がない。そんな合同委員会はつぶすべきだ。これでちょっとわかったのですけれども、ふだんからそういう調子で交渉をやっておられるとすると、これは議事運営に非常な問題がある。日米が対等ではなくて、あなたは議長席についているロボットとしか見えない。そうすると重大な問題である。したがって、私はともかくあなたに、いま三月ですから四月中に、ただいまこういうことになりましたと、少なくとも一カ月に一回ずつは御報告をいただきたい。それは、私は、国民を代表する議員として当局に要求するのは当然じゃないでしょうか。どうでしょうか。
  257. 高松敬治

    高松政府委員 施設特別委員会では、いろいろなことを議題にして議論いたしております。私どもも、この赤坂プレスセンターのヘリポートの問題についても、先ほど来申し上げておるように、いままでも、この点については問題を提起し、それから向こうのほうの回答を督促するということを続けてまいりました。ただ、ここで御理解いただきたいのは、向こう側もかなり一生懸命になってやっておりますけれども、しかし、なかなかそれが実現をしないという事情もいろいろあるということです。現在まで二度も三度もお約束しながら延びているということも、やはりそこに一つのむずかしさを持っていることは事実でございます。その点をひとつ御理解いただきたい。  それから、中間報告の点につきましては、ひとつ私どもを御信用いただきたい。私は八月ごろまでには何とかめどをつけたいと思って考えておりますので、ひとつその点は御信用いただきまして、今週はこうでした、今週はこうでしたというふうな中間報告はしないで、ひとつ私どもにおまかせをいただきたい、かように思います。ただ、めどがつけば、もちろん直ちに御報告申し上げます。
  258. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 長官、では、まとめてもう一回念押しですよ。施設庁長官がそう言われたのだから、私はもうこれ以上繰り返す必要はないけれども、長官として、いままでお二人の方とあなたと三人でお答えになりましたのをまとめて、防衛庁として責任もってそういうふうにやってくださるかどうかですね。私、いま施設庁長官とは多少意見が相違しておりますが、少なくとも何年間も延びたりしないで——毎週報告しろとかそんなことは言っていません。毎週なんて言っていないが、ともかく変化があったらしかるべく報告なりなさってもいいだろうということを含めて、それから、三号線の敷地はすぐ取り返すということで交渉するならば多少早く返せるというお話ですから、すぐ取り返すという方針で、ヘリポートについても断固返すという方針でやるという、先ほどからのお話の煮詰まった三つの結論について、長官としての御決意と確定的な御返事をここでいただいておきたいと思います。
  259. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 両名から申しましたところに従いまして十分督励いたし、私も決意を持った督励をいたすということで、両名の申しましたことの実行のできるように努力をいたしてまいりたいと思います。
  260. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 終わります。
  261. 塩谷一夫

    ○塩谷主査代理 次に、和田貞夫君。
  262. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 長官にお尋ねしたいと思いますが、四次防で海上自衛隊の対潜哨戒機HSS2ヘリコプターに搭載されておるドプラー航法装置AN/APN−130を今回新型化、更新することは内定しておるというように私たちは仄聞しておるわけでありますが、それは事実であるかどうか、まずその点、ひとつお伺いしたい。
  263. 小田村四郎

    ○小田村政府委員 本件、装備局の所管でございまして、いま装備局長参りますまで、ちょっとお待ちいただきたいと思いますが、ドプラー航法装置を四十八年度に新型化するということに内定いたしております。
  264. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 装備局長来ないと、あとは……。どうですか、待ちましょう。——それじゃ装備局長、先ほど長官に質問させていただいたのですが、四次防で海上自衛隊の対潜哨戒機HSS2ヘリコプターに搭載されておるドプラー航法装置AN/APN−130を新型化、更新することが防衛庁として内定しておるように私たち仄聞するところでありますが、まず、そのことが事実であるかどうかお伺いしたい。
  265. 山口衛一

    ○山口(衛)政府委員 お答えいたします。  ただいま先生御指摘のAN/APN−130でございますが、これにつきましては一応予算要求をいたしておりまして、その査定は特定の機種につきましてのみ受けておりまして、いま先生御指摘のHSS2でございますが、これには一応、案としましてはっける予定をしております。
  266. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 一八七に一応内定しているのですな。
  267. 山口衛一

    ○山口(衛)政府委員 内定というか、一八七を要求しております。
  268. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 それじゃ一八七を要求しておるということでありますが、旧型の一三〇を新型化するために、一八七以外に他の機種も一応検討の対象としたのじゃないかと思うのですが、その点はどうですか。
  269. 山口衛一

    ○山口(衛)政府委員 先生おっしゃるとおり、実はいま海上自衛隊のみならず、陸海空におきまして、大体広く言いますと約四種類にわたるドプラー装置を採用いたしております。簡単に申し上げますと、一つは、ただいま先生御指摘のAN/APN−130でございますが、これは実は一八七とは製造会社が違っておりまして、ライアン社の製品でございます。それが一つと、それからもう一つは、ただいまの一八七という製品でございますが、これはシンガーの製品でございます。これにつきましては、中型輸送機の試作機につきまして、四十六年度の予算で二台分予算を実はいただいております。それが第二番目の種類でございます。それの旧型でございますが、これはAN/APNの一五三でございましたか、これがシンガーの旧型でございます。大体同型でございます。それが三番目でございます。それからもう一つは、輸入ドプラーが一つございまして、これは型はカナディアン・マルコニーというもののAN/APNの一七○でございましたか、それが四番目でございまして、こういう四種類のものをこれまでも採用いたしております。  ただ、一八七は二台分が四十六年度予算でつけられてきておるだけでございまして、したがいまして、この四種類につきまして十分審議をいたしました。ただ、この中でライアンの一三〇でございますか、これは実は昭和四十四年に現地におきまして製造がすでに中止をされております。したがいまして、これによってライセンス生産をしております日本の会社におきましては、実は輸入部品がもう補給がつきませんで、この生産がむずかしくなってきております。したがいまして、このライアンにつきましては、新型ライアンというものを考えざるを得なくなっております。これは、聞くところによりますと、AN/APN−182でございます。二型と称しておるようでございますが、これにつきましてもむろん検討いたしました。その点につきまして、値段は、まだここでは申し上げないほうが、わかりませんが、一八七よりも一割弱か以上か、そのくらい高額のようでございまして、それは、しかも回転翼用のみでございました。そういう点からも勘案いたしまして、実は一八七を、四機種につきまして査定を現在受けております。
  270. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 ちょっと念を押しますが、一八七より一八二のほうが一割ほど高いのですか。
  271. 山口衛一

    ○山口(衛)政府委員 まだ一八二につきましては会社同士の商議、ネゴシエーションでございますか、それもやっておりません段階で、私どもとしましてはいろいろと情報をとりまして、どのくらいの値段であろうかというのを聞きまして、私どもに入りました情報では、いま申し上げましたとおり一割弱高いというふうに聞いております。
  272. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 私たちの把握するところでは、一八二のほうが、局長答弁とは逆で、安いように聞いているのです。それは間違いないですか。
  273. 山口衛一

    ○山口(衛)政府委員 ただいま御答弁申し上げましたとおり、実は私どもも、会社と直接こういうものを買うといって当たったわけではございませんので、会社側としましても、明確な価格につきましての表示などはむろん私どもにないわけでございまして、私どもはいろいろの情報をさぐりまして、大体このくらいというふうに聞きました。〔「どうして明確に調べないんだ、おかしいじゃないか」と呼ぶ者あり〕実は先生、これはやはりライセンス生産ということを考えますので、会社といたしましては、ライセンスフィーでありますとかあるいは技術料でありますとか、そのような会社間同士の技術提携契約でございますか、こういうものが当然裏に入るわけでございます。したがいまして、防衛庁としまして、直接にその会社に当たりましてどのような値段でやるのかということを、実は明確に現在はつかめてない段階でございます。会社等に調べさせることは一応いたしましたが、それにつきましても、ただ会社間で契約ができるというような段階になりませんと、なかなかライセンス料とかこういう技術料とかいうようなものにつきましてのネゴでどのくらいまで一体値引きされるのか、どのくらい値段がつけられるのかという点につきますと、なかなか明確に実はつかみ得ない段階でございます。
  274. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 予算要求をする限りは、これはやはり種々検討の上でかくあるべきだと、税金使うわけですからね。まだ把握しておらないんだという中で一八七ということにきめつけて、それを要求する、そこらあたりが問題なんですよ。これは、けさからも問題になりましたように、施設庁のほうが積算もしないで大まかにつかみ予算を組んでくる。同じことじゃないですか。少なくとも、予算要求するということは、やはり種々検討して、このほうが性能がいいのである、このほうが価格的には格安であるとか、このほうが合理的であるとか、いろいろ検討した上で予算要求すべきであるが、なぜこの一八七ということをまっこうから振りかざして、防衛庁として要求する、その機種にきめて要求するというようになったのですか。  いまお聞きすると、価格の点が——私たちの把握するところでは、むしろ一八二のほうが一八七よりも安い、格安である。価格だけを見てみましても、一機当たりの価格は安い、こういうふうに把握しているのですが、あなたのほうは、むしろ逆に、一八七のほうが安い。こういうちんぷんかんぷんな情報の把握の中でやられておる。その他性能とか精度の問題だとか、あるいは一機当たり単価だけでなくて、旧型を新型化することによって、いろいろと付随する経費の点も出てくるわけなんですが、それじゃ、そういうもろもろのものもまだ検討してないのですか。
  275. 山口衛一

    ○山口(衛)政府委員 お答えいたします。  ただいま先生の御指摘になった点は二点あるかと思います。  第一の点は、価格につきまして、実は私どもの把握しておる点がむしろ逆であるという、またそれにからみまして、一八七ということをきめて、今後予算がつけられればそれを実行する体制になるという点を指摘された点が一つと、それからもう一つは、性能その他についての総合的な勘案はどうしたかという点だと思います。  第一点につきましては、私、御答弁します最初にも申し上げましたのでございますけれども、実は一八七というのは、一応積算の一つの基準として、現在の一つのめどとして私どもは立てましたということを実は一応申し上げたわけでございますが、私ども先生の御指摘のとおり、実はまだ予算もむろん実行しておりません、契約もむろんそこに入っておりません。今後その点を十分検討することが必要であるというふうに考えております。  ただ、現在の性能、いまの価格等を勘案いたしまして、現在のところ一割程度のものが——私どもは誤っておるかもしれませんけれども、私どもの情報としては、そのように計算したものでございますから、それを一つの積算に立てざるを得なかったということでございます。今後その点の諸点は十分検討する必要があろうかと思われます。  それから第二の点でございますが、性能面におきまして、実は最初価格の点を触れまして、先生からそういう、逆であるというおしかりを受けたわけでございますが、性能面につきましても、むろん十分検討はいたしました。その点につきまして、もしよろしければごく簡単に申し上げますと、いまの価格の点を除きまして、一八二のほうは、第一に、これが使われるのは回転翼、いわゆるヘリコプターのみに使われるスぺックになっております。したがいまして、これを固定翼に使うには非常に多くの改修その他の基本的な点を変えませんと、固定翼には使えないものでございます。これはヘリコプター用の、一八二は回転翼用のみでございます。その点が一つでございます。  もう一つは、航法関係のいろいろの施設、装置が飛行機に入ります関係から、現在の飛行機の中が非常に、どんどん狭くなります。そうしますと、こういうドプラー装置というものが新しくなりますたびに、重いものを積んでいくわけにはなかなかまいりませんが、重量面からいいますと、一八二のほうは現在約三十二キログラムというふうに聞いておりますが、一八七のほうは二十キロないし二十二キロというふうに実は私どもは聞いております。  それからもう一つの点は、バイト機能といいますか、自己診断機能といいますか、自分で自己調整が可能な機能でございますが、これが一八二のほうには全くございません。一八七のほうには初めてバイト機能が付されております。自己診断機能が付されております。  それからもう一つは、平均故障時間の点を見てみますと、一八二のほうは平均しまして百五十時間というふうに私どもは実は聞いております。ところが一八七のほうは千時間というふうにスペック上私どもは聞いておりまして、この点は、故障が百五十時間に一ぺん起こるのと千時間に起こるのとの格差はかなり大きいというふうに、私どもは性能面で考えております。  おもに以上のような諸点が——ほかにも微々たるもの、幾分違う点がございますが、おもな点だけ性能面で申しますと、実はその辺の諸点を勘案いたしまして……(「三菱からとったんじゃないの、その対比は」と呼ぶ者あり)実はライアンのものは先生御承知のとおり、従来国内のライセンス生産者は三菱電機でございます。それからシンガーのほうは三菱プレシジョンでございます。電機から両方——実は私ども電機のほうがライアンのものを従来からやっておりまして、スペックを持っておりますので、その点実は把握しておりますが、もしまた私ども調査に不十分な点があるといけませんから、十分この点は検討いたしたいと思っております。
  276. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 いい悪いは別として、それだけ性能についていろいろとどちらもメーカーからとって検討しておられるのだったら、価格の点について検討しておらないということはないでしょう。いまのように価格の点についてもこれは具体的に説明してください。価格を具体的に資料をとらないで、予算要求するのは金で要求するのですよ、金額で要求するのですよ。性能について十分にいま説明があったほど、説明されるほど資料を持っておるのに、価格についてまだ検討しておらないとか、様子を知らぬとか、それじゃ話にならぬでしょう、これは。
  277. 山口衛一

    ○山口(衛)政府委員 実はこれは関係会社が相手方の原企業との間に技術提携契約といいますか、ライセンス生産をする場合には、そういう契約を民間同士で結ぶことになります。その場合に、各関係会社同士での間のネゴシエーションというものがあるわけでございますが、私どもは、実は防衛庁が直接買う商品で、そのものを向こうから技術導入をしたりするものではないために、関係会社同士の話し合いが一応ネゴの基礎になるわけでございまして、その際一体どの程度のライセンスフィーとか技術料が取引されるのか、ネゴされるのか、その点につきまして実は不明な点が、私どもにむろんあるわけであります。どのくらい値引きされるか、これはわかりません。ただ現在のところ私どもが把握しました点では、おおむね一八七のほうは約二千万から、二千万をちょっとこえるという程度に実は考えております。というふうにと申し上げますのは、いま申し上げましたとおり、そこでどのような値引きなりあるいは何が行なわれるかということがわかりませんから、そういう点申し上げているわけでございますが、もう一つのほうの一八二のほうは、私どもが聞きました範囲では、これもむろん相手方と直接やったわけではありませんが、二千四、五百万円程度と私どもは聞いております。
  278. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 間違いないですな、いまの。
  279. 山口衛一

    ○山口(衛)政府委員 実は私どもが得ました資料では、そのように私ども考えております。
  280. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 それじゃ単価だけでなくて、先ほど申し上げましたように、旧型と新型と更新すれば、これは付随してくるいろいろな費用がかかってくるわけですね。そういう点は全然検討はしてないのですな。たとえば取りかえることについてヘリコプターの本体自体を改造しなくてもいいかどうか。改造するについてはどれだけの費用がかかるかというような、そういう点も全然検討してないのですな。
  281. 山口衛一

    ○山口(衛)政府委員 お答えいたします。  ただいま先生御指摘のとおり、むろん新しい機体が、機種が入れば、これは配線でありますとか、あるいはバランスでありますとかいう点、機体に関する整備が必要であると考えております。  ただどちらをとるかにつきまして、現在まだ−先ほど申し上げましたとおり十分な総合的な勘案を必要とすると私は申し上げましたが、これによりますと片方が十キロぐらい重いとまたそれによりましてバランスは変わってまいりますが、当然にそれに応じまして機体の整備といいますか改修といいますか、そういう費用がかかるというふうに考えておりますが、まだそこまではこまかく、具体的にどちらが入るかによって変わりますので、実はどっちかの計算をしておりません。
  282. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 そういうような予算要求のしかたというか——これは長官どう思いますか。予算、少なくともあなたのほうは要求しているのでしょう。要求して予算化されておるのでしょう、これは。根拠なしで——なお私はまだもっと話し合いせにゃいかぬけれども、私たちの把握しておる資料といまの装備局長答弁の内容と、単価自身もまるで逆転ですよ。逆なんですよ、これは。これは責任持てますか、長官。
  283. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 ただいま装備局長説明をしましたような事情と段階にあるわけでございまして、契約を明確に結ぶ段階までに、いろいろいま御指摘になりましたような問題についてはさらに十分の検討を加えてやるという装備局長考え方といま聞いておるわけでございます。そういうことであやまちなきを期してまいりたいというふうに考えるわけでございます。
  284. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 それじゃ予算の算出の根拠が、具体的に資料を取りかわした結果、これはああだったこうだったということで、もう一度予算要求のし直しをして、予算の組み直しをするのですか。
  285. 山口衛一

    ○山口(衛)政府委員 お答えいたします。  ただいま先生から値段について御指摘を受けたわけでございますが、私どもといたしましては、繰り返すようで恐縮でございますが、実は、今後予算がもし認めていただければ総合的な勘案をいたすと申し上げたわけでございますが、私どもとしましては、なるべく低いほうの値段でやはりこれは当然契約すべきものだと思います。したがいまして、低いほうの値段で決定したいということが私ども予算要求の趣旨でございまして、実は一八七というふうに出しましたのは、繰り返すようでございますが、一八七が大体いま申し上げました二千万円それ前後と聞きましたので、その予算単価で実は要求いたしました。もしその一八七が非常に高いということになれば、これはむろんその予算単価にはまりませんから、これは当然一八七というのが採用になるということは問題になるかと思います。したがいまして、なるべく低いほうの値段で私どもは調達するのが趣旨でございますので、そういう意味で、予算単価を低い二千万の線で要求しているわけでございます。  以上でございます。
  286. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 楢崎委員の資料要求に基づいていま配付願った資料に基づきますと、HSS2の単価が四十七年度で七億六千五百万円、四十八年度で九億九百万円、一億四千四百万円予算が上がっておるということは、これは航法装置の更新とそれに伴う費用あるいはその他の装置の費用というのをこの中に含んでおるのですが、そのほとんどが航法装置の更新、この価格の上昇が差額の出ておるそのおもな金額でしょう。それには間違いないでしょう。
  287. 山口衛一

    ○山口(衛)政府委員 ただいまの近代化で御指摘を受けました点でございますが、実はこれにつきましてはドプラー航法装置としまして一八七ということを一応安いほうの、また性能も幾分いいというような観点で出しましただけで、ただ、約二十キログラムですか、というような幾分軽いものに今後かえていく、それから安いものにかえたという点で、そのような点に基づきます機体の整備修理費というものが実はここに出ておるわけでございまして、繰り返すようでございますが、一八七と決定してそれに基づきますものをやった次第ではございません。
  288. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 一三〇から一八二に更新する場合と一八七に更新する場合と、単に単価だけの問題じゃなくて互換性があるとないということで、これに付随する経費というのはかなり変わってくるわけです。われわれの把握するところでは一三○と一八二との間には互換性があって、一八七との間には互換性がない、こういうように把握しているわけです。したがって、ヘリコプターの本体自身の改装費も一八二の場合は不必要であるし一八七の場合は必要である。一機につき相当な改修費がかかってくる。あるいはその他地上の支援器材等にかかる問題についても経済性が非常に付随してくるわけです。そういうような点をあわせまして、いま局長答弁されたのは全く逆の一八二よりも一八七のほうが格安である、われわれのほうは、一八二のほうが格安である、こういうように把握しておるわけです。単価の点といま申し上げました付随する経費、これを含めますと、一八七を採用するという点について、まずこの経費の点からいきましても、今回の予算要求のしかたというもの、予算要求の根拠というものはまことにずさんである、こういうように言わざるを得ないわけなんです。その点、いま答弁されましたように、一八七のほうが格安である、これはもう単価の点が、そう答弁したけれども、結果的に再調査をやった結果一八二のほうが安かった——その単価だけでなくて、いま私が一、二申し上げた付随する経費、このような点まだ調べてないということであれば、早急に調べる必要があるのじゃないか、その点どうですか。
  289. 山口衛一

    ○山口(衛)政府委員 お答えいたします。  ただいま先生御指摘のとおり性能、価格、両面むろん十分検討いたします。したがいまして、私どもとしましては、現在までの情報では、実はそういう算定をいたしましたが、予算単価はむろん二千万前後で組まれておりますので、とてもそれでは高いものが、値段としては買えないわけでございます。そうなれば、現在のところ十台でたしか二億七百万という予算がドプラーにはつけられておりましたが、それで十台買えなければ、私どものほうではそのような買えないものは採用するわけにはまいらないというふうに考えております。その点を十分注意しながら、性能を入れまして今後十分検討いたしたいと思います。
  290. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 念を押したいと思いますが、この価格の点について、これはまだ予算審議中でありますから、もう一度私たちの言っておるのが間違いであり、あなたの言っているほうが正しいのか間違っておるのか、これはやはり予算審議上どうしても必要でありますから、単価の点、それから付随する経費の点、もろもろあわせて、一機取りかえるためには一体どちらのほうがどれだけかかって、どちらのほうがどれだけかかるんだ、どちらのほうがこれだけトータルで安くつくんだという資料をもらわないと、われわれ審議するということについても非常に自信のほどがないわけですから、その点早急にそれぞれのメーカーに積算させ、見積もりをさせ、資料をつくってひとつ御提示願いたい、こういうように思うのです。
  291. 山口衛一

    ○山口(衛)政府委員 ただいま先生の言われている趣旨はきわめてごもっともでありまして、私どもも同じような趣旨で、とにかく安くていいものを買うということで予算をつけられているわけでございますから、その予算の範囲内で買えるものということでございまして、いまの点は私どものできる範囲のところで、できるだけ早急に資料をつくってまいります。その点は御提出いたします。
  292. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 価格の点は十分把握されておりませんので、資料要求をしておきたいと思うのですが、主査よろしくお取り計らい願いたいと思います。  さらに先ほど若干説明があったわけなんですが、HSS2のヘリコプターは海上自衛隊だけが使用しているんじゃなくて、アメリカ海軍でもやはり使用しているわけなんですが、アメリカ海軍の場合同種のHSS2の一三〇の新型化更新のために、あなたが御答弁されているように一八七に更新するということをやっておるのですか。
  293. 山口衛一

    ○山口(衛)政府委員 実はアメリカのHSS2型につきまして、いま私手元にどの型を積んでいるか明確にお答えするすべがございません。ただ私どもといたしましては、繰り返すようでございますが二千万くらいのものでなければ買えないという前提で今後検討するということは確かでございますから、その点だけを申し上げておきたいと思います。
  294. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 アメリカの海軍でさえも一八七の採用でなくて一八二を採用しておるのです。HSS2だけじゃなくて他の航空機につきましても、磁気コン。ハス装備の航空機についてはアメリカの場合はすべて一八二を採用しておる。それはやはり単価の点もありましょうし、互換性の問題から派生してくるいろいろ多岐にわたる、付随する経済性の点も出てこようと思いますし、私は、それだけじゃなくて、この一八七と一八二の性能の点について、それだけアメリカのほうが自信を持って採用しているということは、やはり一八二のほうがすでにテストも行ない、自信を持っておるから、一八二を採用しておる、そうとっておるわけなんです。にもかかわらずこの一八七をあえて先ほど若干述べられたような理由で予算要求する、できるならば一八七を採用したい、こういう考え方に立っておられる防衛庁当局のこの確固たる信念、先ほど若干申し上げました中では、経済性のみで、安ければ安いほうに変更することがあるというようなことは言われておりましたが、いま私が申し上げましたような中で一八七というものを予算要求するということになった経緯、その点ひとつ明確にお答え願いたい。
  295. 山口衛一

    ○山口(衛)政府委員 新しい型に変えますときには、価格の点、性能の点、すべて総合的に勘案いたします。したがいまして、実は防衛庁としまして一八七に決定するという信念は持っておりません。性能の点、価格の点、すべてを勘案いたしまして、最も私どもに有効に、安く手に入るものがあれば、価格が非常に高ければ少し性能はがまんしなければいかぬ点がございましょう。その両方の点を十分勘案いたしまして決定したいという考えでございまして、一八七に決定するという信念は持っておりません。その点は申し上げます。
  296. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 それでは念を押しますが、一八七ということに固定しないで一八二に変更される、こういうこともあり得るというように受けとめていいですね。
  297. 山口衛一

    ○山口(衛)政府委員 先生御指摘の価格の、私どもに対する御批判及び性能の再度の吟味をいたしまして、十分性能、価格を満足し得るようなものに再検討するということはやるつもりでございます。
  298. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 念のために申し上げておきますが、去年のたしか秋の国会でも問題になったところでありますが、この一八七というのは磁気コン。ハス装置じゃなくて、慣性航法装置のために設計開発されておる。このことを御存じでしょうか。
  299. 岡太直

    岡太政府委員 いまの一八七でございますけれども、このドプラー航法装置は信号がディジタルに出ておる。従来はアナログでございますけれども、ディジタルの信号が出るので、つまり慣性航法装置などと組み合わすのに非常に都合がいいというふうなことは承知いたしております。
  300. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 時間もありませんので、こちらのほうからの一方的な言い方になるかもわからないが、先ほど申し上げましたようにアメリカの海軍でさえも、少なくともHSS2の装置の新型化のために一八二が先ほど申し上げたように一三〇から更新している。これは事実であるし、こういうことは把握しておられるとおりであるし、それは何を差しおいても機能テスト、フライトテスト、これが行なわれた中での精度性から安全性から採用されておるんだ、こういうように思うのです。それから、先ほど申し上げましたように単価の問題、一三〇との互換性の問題、それに伴うところの諸経費の違い、こういうような点から考えれば、私たちが指摘しておりますように一八七より一八二のほうが単価が安いということであれば、当然一八二が採用されるものだ、あるいはHSS2のヘリコプターのライセンス生産に当っておる三菱電機、それと航法装置の製造に当たっておるメーカー、この関連性からいっても、すなおな姿で見てまいりましたならば、この一八二、こういう機種が採用されるということはだれが見ても必然性が伴うという見方になるわけなんです。これをあえて、先ほどはそういう答弁言われたけれども、やはり一八七ということを根拠にして予算要求しておるというところに、昨年の国会でも問題になったように、何かありはしないか、こういう疑惑の目が届くわけなんです。なければ幸いですが。少なくとも私たちは、あるとは断定しないわけですが、すなおな姿で、いま申し上げましたような結果であれば一八二ということに機種が選定されるだろうな、採用されるだろうな、こういうように見ておるにもかかわらず、そうでないということは、やはり何回となく指摘されておるように、自衛隊の幹部がこれらの軍事生産メーカーに対して天下りをしていくという人事、そういうところからまつわる産量癒着、その中からこういうような機種の決定あるいは予算要求、こういうことになっていっておるのじゃないかという疑惑の念が起こってくるのは当然だと私は思うのです。したがって、いま装備局長が言われましたように、あえて一八七に固執しない、こういうことでありますから、先ほど要求いたしました少なくとも経費についての資料を、私たちはもう一度拝見したいと思いますし、さらにアメリカの実情、実態、こういうものをひとつもう一度検討してもらいたいと思うし、あるいはあなた方自身がみずから精度の問題、性能の問題いろいろな面にわたって探求されまして、私たちがいま申し上げましたように、産軍癒着ということではないかという疑惑の目がなくなるように、確固たる信念で、いさぎよく機種の変更をするということであれば機種の変更をしてもらいたい、こういうように思うわけなんですが、その点につきまして、ひとつ責任者防衛庁長官の確固たる信念を、代表してこの前で明らかにしてほしいと思います。
  301. 山口衛一

    ○山口(衛)政府委員 ただいま先生から、癒着等の御疑念を抱かれましたことはまことに残念でございますが、私ども先ほどお答えいたしましたように、実は性能の面につきましてはかなり多くの項目にわたりまして、四種類の全部の比較もやってみました。それからまた値段につきましては、私どもの情報が誤っているという御指摘がございましたので、これは早急に調べさしていただきたいと思っております。  このような性能、価格、それからいま御指摘がありましたアメリカの実情でございますが、ただアメリカの場合に、どの程度の予算がつけられているかは実はわかりませんが、私どもといたしましては、高いものは買うことは控えたいというのが本旨でございまして、それも性能の面の比較考慮を十分いたしまして、先生のただいまの御指摘につきましては、十分私どもその御趣旨を体しまして検討するつもりでございます。いずれその性能等の内容につきまして資料等、もし私ども提出する機会があればお出しいたしまして、その点の御説明を加えたいというふうに考えております。
  302. 塩谷一夫

    ○塩谷主査代理 この際、楢崎弥之助君より関連質疑の申し出があります。和田君の持ち時間の範囲がわずかになりましたので、簡潔にお願いいたします。楢崎君。
  303. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 昨年の解散前の最後の国会でございますが、いまも和田委員が指摘しましたとおり、公明党の鈴切君がFST2改の慣性航法装置について、いわゆる三菱プレシジョンが出しておりましたKT−74J、これが、いわゆる空幕の某佐官と三菱グループとの癒着によってKT−74Jが内定しておったのがひっくり返った経緯がある。それは、そのとき防衛庁長官覚えておられますか。認められましたね、その癒着の状態を。その佐官の名前は言いません。
  304. 岡太直

    岡太政府委員 その問題につきましてその後調査いたしましたけれども、基一佐ということでございましたが、そういう事実はございませんでした。
  305. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうすると、KT−74Jはさまったのですか。三菱プレシジョンが提案したこのFST2改の慣性航法装置、これはどこへきまったのですか。結局は問題になってKT−74Jにきまらなかったでしょう。
  306. 岡太直

    岡太政府委員 FST2改用の慣性航法装置につきましては、その後いろいろ検討いたしまして、三菱プレシジョンのものでなく、日本航空電子が提案いたしましたフェランティー社のものに決定いたしております。
  307. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そのとおりです。FST2改の機体の担当者である三菱重工業、それに三菱プレシジョンがいわゆる三菱グループとして、あなたは否定されたけれども、天下りの方と空幕の某佐官が密着をしまして、そしてKT−74Jにきまりかけた。これが問題になって、あなた方はあらためていわゆる再審査をした。そして昨年の十二月にこの三菱プレシジョンのKT−74J、それから東芝のLT−33、これはリットン社製、それと日本航空電子工業のMRCA、いわゆるフェランティー社製、これがあらためて入札をして、そしていまおっしゃったとおり、日本航空電子のMRCAにきまった、こういういきさつがあるのです。それと同じことが今度——私は多くを言いません。それに失敗した三菱プレシジョンはこのドプラーに対して一八七を強引にすすめた。本来三菱電機は一三〇のライセンス生産をしているから、三菱電機は大体これをすすめなければいかぬのですよ。一八二は一三〇の後継器としてできておるのですから、ほんとうなれば一八二にいくべきです、和田委員の指摘のとおり。それを今度は三菱電機はどういうわけか知りませんが、まあ三菱グループということで、どういう話し合いが行なわれたか知れないが黙っておって、三菱プレシジョンのシンガーゼネラルのほうの一八七に持ってきた。一八七が一八二よりも性能がたとえよくても、それは慣性航法装置用につくられておるのです。だから磁気コンパスの飛行機に一八七をつければ、当然磁気コンパスの性能で制約されるのです、何もならないのです。性能からいえば米軍が採用しておるとおり、われわれの常識で考えてみても一八七に当然いくべきだ。そこで先ほど言ったFST2改の慣性航法装置と同じようなことでいわゆる三菱に天下り、今度は海幕のほうと密着をして同じようなケースの問題である、私はこれを注意しておきます。だから、あなた方はもう一八七に最初からきめている。しかし、先ほどの装備局長の誠意ある御答弁ですから、それはそのとおり、いまから要するに性能をよく調べられて妥当なものを選ぶべきではないかと思うのですよ。C1にこの一八七をあなたは採用したからと  いうのを一つの理由にあげられておりますが、C1に採用するときには一八二はまだできていなかったのです。だから一八七にきめたんですよ。そういう経過も装備局長ぜひひとつよく御勘案の上、和田委員が指摘したとおりの資料を早急に出していただいて、そうしないとまたこの四十八年度、これは和田委員も指摘したとおり、HSS2、それから今後ずっと続くのですよ、P2Jの問題も出てくるしPS1の問題も出てくる、ドプラーは。だから予算上もこれはいまのままでは、少なくともドプラー装置については、レーダー装置についてはこれでは審議できないことになりますから、いわゆる総括段階までにきちっとしたわれわれが審議するに足る資料を和田委員のもとに提出をいただきたい。再度これを要求して、私の関連質問は終わります。
  308. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 時間がまいりましたので、責任者防衛庁長官にお尋ねしますが、いま装備局長がお答えになったこの内容は、即防衛庁長官答弁であるというように受け取っておいていいですね。どうですか。
  309. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 こういう専門的なものにつきましては、装備局長の補佐を受けて長官が意思を決定するわけでございます。装備局長ことばをおっしゃるように受け取られてけっこうでございます。  いま御注意のありました、いわゆる産軍癒着というふうな意味合いの疑惑を抱かせるようなことがあってはならないという御注意は、重々承るところでございまして、先ほど装備局長が申しましたように、ドプラーにつきましては十分検討をし、さらに御指摘の資料にも基づきまして検討をいたす、そうして御要望の資料はできるだけ早く整えまして提出をする、かようにいたします。
  310. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 長官の答弁で了としますが、申し上げましたように、少なくとも血税であるわけですから、国民が納得できるような予算要求であってほしいと思いますので、少なくともいま言われましたように、国民から産軍癒着という眼で見られないように確固たる信念のもとに、是は是、非は非、先ほどから御答弁されておりますような真摯な態度で、機種を変更するという場合はいさぎよく機種を変更するというように踏み切っていただきたい、こういう点を強く要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  311. 塩谷一夫

    ○塩谷主査代理 この際、大出俊君の保留分の質疑を許します。大出俊君。
  312. 大出俊

    大出分科員 時間が五分ということでございますから、簡単にお答えいただきます。私も簡単に質問をいたします。  要点を地位協定の二条だけにしぼります。法制局長官に承りたいのでありますが、二条の中の一つは、二4(a)のところに「合衆国軍隊が施設及び区域を一時的に使用していないときは、日本政府は、臨時にそのような施設及び区域をみずから使用し、」こうなっていますね。この二4(a)の「合衆国軍隊が施設及び区域を一時的に使用していないときは、」この「一時的に」とはどういう期間をいうのですか。
  313. 吉國一郎

    吉國政府委員 お答え申し上げます。  その「一時的」の意味でございますが、これはこの規定の趣旨からいたしまして、地位協定第二条第四項(a)は米軍提供されております施設、区域を日本側が臨時的に使用することができるという旨を規定いたしておりますので、その趣旨は、米側として当該施設、区域を全体としてなお保持する必要がある、したがって部分的にせよ、これを返還することは困難な状況にある、しかしながら、そういう状況が継続している段階においても、日本側の部分的な使用は許容しようということでございますので、その「一時的」の意味も、その具体的な施設、区域はどういう状況提供されており、その米軍が部分的に使用していない状況はどういう状況であるか、また日本側が一時的に使用しようとする態様がいかなるものであるかということの組合わせによりまして、具体的な事情に応じてきまるもので、一義的に「一時的」を規定するわけにはまいらないのではないかというふうに考えます。
  314. 大出俊

    大出分科員 ずいぶんまああなたはおかしな答弁をするんで、それは答弁になっていない。さんざ論議しているのですから、これは。具体的な例をあげて言いますが、「一時的に」というのは全部じゃないんですな。また全部に近い期間でもないんですな、一時なんですから。よろしゅうございますか。
  315. 吉國一郎

    吉國政府委員 まさに原文もテンポラリーとございますように、全体の中の一部でございます。
  316. 大出俊

    大出分科員 地位協定はいってきましたか。
  317. 吉國一郎

    吉國政府委員 効力を発生いたしましたのは、昭和三十五年の六月二十三日でございます。
  318. 大出俊

    大出分科員 こういう例はどういうことになりますか。昭和二十九年の十二月三十日から昭和三十八年の八月三十一日まで、海上自衛隊教育航空群というのが岩国におりました。二百名。これは共同使用でございます。二4(a)でございます。二十九、三十、三十一、三十二、三十三、三十四、三十五、三十六、三十七、三十八年、九年です。ところで、次、申し上げます。三十九年二月一日から今日まで、三十九年二月ですから、四十、四十一、四十二、四十三、四十四、四十五、四十六、四十七、四十八まで九年。これは両方合わせれば十八年。まん中五カ月抜けている。十八年、行政協定以来。地位協定は十三年間。十三年間のうちで五カ月抜けているだけ。念のためにもう一。へん言っておきます。三十九年の二月一日から四十三年の九月三十日まで、航空自衛隊岩国基地隊がおりました。暦というのは九月三十日の次は十月一日になるのです、わかりますな。九月は小の月でございますから三十一日はございませんから、九月三十日の次は十月一日だ。  さて四十三年九月三十日まで基地隊、翌日の四十三年十月一日から現在までPS1海上自衛隊岩国分遣隊。間が切れてないのですから、これは引き続きですよ、わかりますか。九年間。十三年のうち九年間は「一時的」ですか。しかも私がいま申し上げた昭和二十九年十二月三十日から三十八年八月三十一日までの九年間。この三十八年八月三十一日から三十九年二月一日までですから五カ月ばかり切れているだけ。つまり、行政協定から地位協定十三年間の間で五カ月しか切れていない。あと全部共同使用しっぱなし。全体の中の部分とあなたはおっしゃった。これが全体の中の部分ですか。部分が五カ月なんですよ、あなた。つまり共同使用していないのが五カ月しかないのだ。全部が共同使用しておいて、五カ月だけ。話は逆だ。全体が共同使用で、部分が、使ってないのが五カ月。あなたの解釈からすれば、全体の中の部分、どういうことなんですか、これは。はっきりしてください。
  319. 吉國一郎

    吉國政府委員 結局部分ということばにいたしましても、一時的ということばにいたしましても、結局ことばの問題でございますけれども、たとえば全体が十あるものといたしまして、その九・九九であってもまだ全体ではなくて、部分である。それは、そういう場合には大部分と言うこともあると思いますけれども、とにかく全体、一ではないという意味では部分であるということで、そのような使い方がほかに例があるかということになれば、いろいろまたさがしてみなければならないかと思いますけれども、とにかく「一時的に」ということは、要するに、米軍がその間その全体の使用の間の、ある一定期間を限っては使用していないということを前提にして考える限りは、やはりこの「一時的」に入るということで、いままで使用していたものと存じます。  具体的な例は、私も一々検討したことはないので、いま初めてそういう例があることを承りましたけれども、それは当然やはり日本政府が臨時に使用するということで、インターリムなユースということで使用しているのだと思いますし、その前提としては、合衆国軍隊がその施設、区域をテンポラリーに使用していないという認定を合同委員会においていたしたものというふうに考えます。
  320. 大出俊

    大出分科員 テンポラリーとあるから全体の中の「一時的に」、つまり部分であるとあなたさっき明確に答えたでしょう。逆になることがあるなんて答えないじゃないですか、あなたは。テンポラリーとあるから、全体の中の「一時的」なんですから部分ですとあなたは答えた。そうでしょう。あなた自分でちゃんとお答えになったでしょう。それが逆になることもあるかなんというようなことを言って、途中で今度はやめちゃった、あなたは。全体の中で共同使用をやっていなかったのが五カ月しかないのだ。そういうばかなことがありますか。あなたは法制局長官でしょう。あっさり認めなさいよ。これはおかしいとあなたは自分で言わないのですか。全体の中の部分だ、共同使用というのはあくまでも。そうでしょう。全体共同使用をやっているのですよ。わずか五カ月だけ抜けているのです。だから、あなたの答弁と全く逆なケースですと、はっきりしなさいよ。これから先もあるのだから。
  321. 吉國一郎

    吉國政府委員 私といたしましては、全体に及ぶ場合にはまさに部分じゃございませんけれども、全体のその一部が欠けている残りはやはり部分である、部分ということを言わざるを得ないと思います。
  322. 大出俊

    大出分科員 これは審議できないじゃないですか。長官どうですか、増原さん、私のいまの例をお聞きになっていて。ちゃんと部隊名から年月日まで申し上げている。私はちゃんと直接現地に行って聞いてここに記録してある。これは間違っていない。五分しか時間をいただいていないけれども、これじゃあなたどうしてくれるのですか。こんなばかなことが許されますか。日本語ですよ、ここに書いてあるのは。そうでしょう。昭和二十九年の十二月三十日から三十八年の八月三十一日まで九年間。五カ月抜けた三十九年二月一日から四十三年九月三十日まで航空自衛隊岩国基地隊。九月三十日の翌日の十月一日からPS1海上自衛隊岩国分遣隊になって今日に至っている。切れ目はない。そうでしょう。これは九年間、来年になれば十年になってしまう。地位協定が今日まで十三年しか効力を発していないのですよ。明らかに全体の中の部分は使っていないのだ。共同使用で全体を使ってきた。話は逆でしょう。あなたは常識でお考えになってわかるのじゃないですか。こんなことは三歳の童子でもわかる。これはもう質問にならぬ。
  323. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 私に御質問をいただいたときからたいへんむずかしい問題だと思って、これは私どもだけでは解釈をお示しできないということで御猶予を願った。先ほどの御質問についてはっきりした御返事を私はよう申し上げなかったのは、けさほど私どもの係の者が外務省から連絡を受けた。そのときには、しかしまだ法制局との調整がついたという話を聞いていなかったということで私に申さなかった。先ほどの御質問のあとで、法制局とも協議の上こういうことになりましたというので、私も了承をしたわけでございます。  ただいまの法律的解釈としては、私は法制局長官の申したところにやはり従っていくべきではあるまいか、従うことがいいのではあるまいかというふうに考えるわけでございます。
  324. 大出俊

    大出分科員 これは幾ら五分間とおっしゃられても、あなたのほうの答えが満足じゃないのだから。あなたは全体の中の部分ですとちゃんと手を広げてやったでしょう。全体の中の部分ですとあなたは言った、テンポラリーと書いてあるといって。そうでしょう。全体は昭和二十九年から今日まで、これが全体ですよ。全体の中の部分というのはこうなるわけですよ、いまあなたがやったとおり。それじゃそうなりますか例をあげますよとあげたのです。全体共同使用をやっている。手を広げっぱなしじゃないですか。全体じゃないですか。部分というのは何だといったら、部分というのは話がひっくり返って、逆で、部分の中に全体があるというようなことは世の中にないでしょう。だめですよ、そういうことじゃ。あなた方ひとつ、いまの点はもう一ぺん御相談をしてくださいよ。長官、これは長官だっていまの答弁はなっていないじゃないですか。確信のないことおびただしい。また法制局長官だって、さっきの答え方は何ですか。人が笑っている。みんな政府委員の方々は笑っているじゃないですか。天下の法制局の長官が、人がみんな笑う、いいところを出さぬような答弁をしてはいけませんよ。だからもう一ぺんきちっとやってくださいよ。そしてやっぱり人間のやることだから間違いはあるのだから、改めるべきものは改めなさいよ。そんなことを言ったんじゃ、二4(a)の「一時的」ということばはまるっきり意味がないじゃないですか。これは長官もう一ぺん相談し直してくださいよ。あなたはきょうは知らなかったというのだから、いいですよ知らないで。総括前にもら一ぺん長官、ひとつ外務省その他にお話しいただいて、法制局を今度は入れて——いまの妙な答弁の議事録を見てごらんなさい。人が笑うような答弁をしている。法制局もお入りいただいて、これはそうしてください。世の中にもの言えんじゃないですか、これじゃ。
  325. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 御趣旨を拝しましたので、いま外務省責任者がちょっとつかまりませんこともございまするので、予算審議の終わるまで、総括がまだ残っておるわけでございまするので、総括までにもう一度お答えをさせていただくということにさせていただきたい、かように考えます。
  326. 大出俊

    大出分科員 それじゃ、これは保留いたします。  先ほど問題の焦点もう一点ございまして、せっかく時間をいただいて、時間かかって申しわけないのですが、答弁がああいうことになったのでお許しをいただきまして、せっかくこの分科会にお呼びいただいたわけですから、もう一点だけ聞かせていただきたいのですが、同じ地位協定の二条でございます。地位協定の二条一項「合衆国は、相互協力及び安全保障条約第一条の規定に基づき、日本国内の施設及び区域の使用を許される。」こうなっております。この「施設及び区域」の「施設」、これはどういう観念、どういう概念でとらえたらよろしゅうございますか。
  327. 吉國一郎

    吉國政府委員 これは条約上あるいはこの条約の運用に関する諸般の取りきめでは、すべて施設及び区域と、ファシリティーズ・アンド・エリアズと、一括して使っております。それで、どれが施設でどれが区域であるかということをいろいろ議論したことはあまりないと思いますけれども、しいて申せば、施設のほうは土地、建物等を中心にした概念、区域というのは土地そのものあるいは水面というようなものを中心とした概念で、両方合わせて施設及び区域として、合同委員会等において決定する場合もやっておるのが通常だと思います。
  328. 大出俊

    大出分科員 ところで、ここに法制局の大先輩の第一部長をやっておられた山内一夫さんの「施設及び区域」という論文がございます。三十五年の「時の法令」というところの論文であります。私、いままで防衛関係を十年やっておりますけれども、その山内一夫さんに承っておりますが、これが基礎になっております。この中から、いろんな諸説ございますが、このワクの中で論ぜられています。だから定説と言っていい。十年間そうですが、私より以前の方もおそらくこれでやってきたんでしょうが、私は三十八年からでございますから。  そこでこの中に「施設とは、土地または公有水面がこれらの運営に必要な現存の設備、備品および定着物と一体的に提供された場合の観念であり、区域とは、土地または公有水面が単独で提供された場合の観念である」こうなっている。だから、区域のほうははっきりしている。土地または公有水面が単独で提供される、土地と公有水面だけが提供される。これが区域です。そこで建物という表現はどこにもない。では、それはどうなつているかという点。先ほど申し上げましたように第二条の一項、この末尾に「当該施設及び区域の運営に必要な現存の」と、こうなっている。「現存の設備、備品及び定着物を含む」、つまり施設、区域という観念は、土地と公有水面が切り離されて単独での場合には区域になる。それと土地と公有水面プラス「必要な現存の設備、備品及び定着物」、この「設備、備品及び定着物」これを含んだ場合に施設という。そうすると施設というものの中身をこの論文によって整理をすると、施設の中身は、土地と公有水面プラス「設備、備品及び定着物」これしかない。建物という概念はどこにもない。もう一ぺん言いますよ。土地と公有水面プラス「現存の設備、備品及び定着物を含む。」つまりこれしかない。これが一体的に運用された場合に施設という。これが定説なんです。建物ということばはどこにもない。だから、そうなると、建物というのは「設備」この中に建物を含むのか、「定着物」これに建物を含むのか、こういうことにしぼられる。今日までは建物は「定着物」の中に、立木であるとか建物であるとかいうものを定着物という、こう言っていた。だがしかし、いずれにしても建物という概念は「設備」か「定着物」か、どっちかにしか含まれていない。「施設」の中にはない。施設が単独ならば区域になってしまう。土地、公有水面、それに「設備、備品及び定着物」これしかない。  そこで、したがって楢崎分科員の午前中の質問に返るのだけれども、これを取り上げて質問をして、「現存の」とあるではないか。——議事録を私調べました。「現存の」とあるではないか。ならば、それは提供時における日本側責任日本側の負担はこのときだけになる。「現存の」であるから、こういう解釈になる。  さて、そうすると問題になるのは、提供するときに建っていた建物、備品、定着物、これは日本側の負担で無償で向こう提供する義務がある、そこだけになる。そうすると、今回の建物は、設備に入るか定着物に入るかどっちかに入っているのです、ほかに建物という概念はないのですから。施設というものは、土地と公有水面、設備、備品、定着物一体となったものが施設なんだから、ほかにない。そうすると、建物は設備に入るか定着物に入るか、いずれか。そうすると、設備でも定着物でも、この地位協定二条一項に明確に明定されておるように、「現存の設備、備品及び定着物」なんだ。提供するときに存在をするものをさしている。だから、それ以後今日になって、六億五千五百万、片一方三億四千五百万かけて建物建てかえる、このことは、地位協定にこの解釈に入っていない。これは初めから明確なんです、山内さんの解釈からすると。それ以外ないはずなんだ。この点が先ほど外務省と食い違いましたから、お答えください。
  329. 吉國一郎

    吉國政府委員 いま分科員指摘の「時の法令」の山内一夫、当時の法制局の第一部長でございますが、この論文は、私も読んでおります。私も当時第三部長で、こういう論文ができる前に、法制局の中で、安保条約なり地位協定についていろいろ検討いたしました。国内法の適用の問題も含めましていろいろ検討いたしまして、それをほぼまとめた段階で山内君がこれをまとめまして、まあ私見もまじえてということで、そういう限定つきで「時の法令」に発表して、各省の参考に供したということでございます。  ただいま御指摘になりましたその三ページの施設、区域の定義の問題でございますが、実はその前に、二ページでございますが、二ページの大きな段落の「施設および区域の意義」というところがございます。そこのまた「一」でございますが、そこにこの山内君が書いております。「施設および区域の定義は、新安保条約にも、地位協定にも存在しないが、日本国の安全に寄与し、ならびに極東における国際の平和および安全の維持に寄与するために、合衆国軍隊が日本政府によって使用を許されたところの土地もしくはその上に存する建物または公有水面を中心とし、」それからそのあとに続けまして、「これらの運営に必要な現存の設備、備品および定着物を含む観念である」それで、「以下、」「これらの物件を「土地等」ということばで表現することにする。」ということを書いておりますが、彼自身も、これはもう私、当時議論をした覚えがございますが、施設として提供する場合に、施設、区域の中の「施設」というのには、土地と建物がいわば一体になって、たとえばどこかの宿舎を提供するという場合には、宿舎がその敷地として土地が要るわけですから土地がありますが、その土地の上の建物両方一緒にして、施設、区域の中のいわば「施設」でございますが、施設、区域として提供するんだという議論をしておりました。確かに先ほど分科員指摘のようなところも出てまいりますが、これをいま読んでみますと、どうも前の、いま申し上げました「施設および区域の意義」の総括的な定義をしたところ、前のほうには「建物」を入れておりまして、あとのほうには入っておりませんので、その辺がいわゆる整理不足だったと思いますが、私、この地位協定の第二条の一項の(a)でございますが、ここで「「施設及び区域」には、当該施設及び区域の運営に必要な現存の設備、備品及び定着物を含む。」と書いてございます。この「施設及び区域」の中には、土地、建物、あるいはまた単独に提供される場合には土地、公有水面等もあると思いますけれども、土地、建物には「当該施設及び区域の運営に」というので、建物の「運営に必要な現存の設備」、これは提供のときに——これは原文でもエクジスティングと書いてございますので、提供のときに、そこに現に存するファーニシングズ・エクイプメント・アンド・フィクチャーズとございますので、設備であるとか備品といえば、これは非常に動産的な色彩が強いもの、それから定着物といえば、これはもうそこに、土地であれば土地に立木があるとか、あるいは据え付けられた装飾品があるとかというものが一つの例だろうと思いますけれども、「施設及び区域」というところで建物提供されているものであって、建物がこの現存のファーニシングに入るとは考えておりません。
  330. 大出俊

    大出分科員 「設備」というのは何ですか、中身は。
  331. 吉國一郎

    吉國政府委員 建物でございますと、給水設備であるとか給湯設備であるとかというものが、ファーニシングの中に入るだろうと思います。
  332. 大出俊

    大出分科員 何の中に入るというのか、最後のところ。
  333. 吉國一郎

    吉國政府委員 設備、ファーニシングと書いてございます。
  334. 大出俊

    大出分科員 だから、中身は何だ。
  335. 吉國一郎

    吉國政府委員 中身は、たとえば給水設備、給湯設備と日本語で言うようなものが、この「設備」の一例ではないかと思います。
  336. 大出俊

    大出分科員 それではこうしてください。私も前からこれ全部読んでいる、何べんも。前で言っていることは、二条の全体をとらえて書いておられる。二条の一項全体。つまり施設、区域というものの中に「当該施設及び区域の運営に必要な現存の設備、備品及び定着物を含む。」と書いてあるのですから、つまりこれを含む施設、区域全体をとらえて説明しておられる。そうして最後のところで結論として、これは防潜網の問題もからんでいるからですが、結論としてこういうことになるということをここで書いておられる。前のほうは全体でとらえて論議している。そうしてそれを最終的にこの中身を分けると、つまり施設というものは土地と公有水面である。これは、そうなると区域であります。土地と公有水面は単独ならば区域である。土地と公有水面プラス設備、備品、定着物、これを一体的に考えた場合に、これが施設である。これしか言ってないです。ですから、著しくいまのお話は食い違いがありますから、これもそういいかげんにそこで言われても困る。私も何べんも読んでいるのですから……。したがって、もう一ぺんこれをお読み直しをいただいて、いま二4(a)のところで皆さんのほうでもう一ぺんお答えいただくことになっておりますから、そこのところを整理していただいて、あわせて一緒にお答えください。法制局も入れていただいてやってください。そうしないと、いまの答弁外務省答弁と全然違うのですよ。だから、法制局も入れていただいて、ひとつあわせて二条関係の二つのお答えをいただきます。よろしゅうございますね、時間がありませんから。
  337. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 承知しました。
  338. 塩谷一夫

    ○塩谷主査代理 次に、横路孝弘君。
  339. 横路孝弘

    横路分科員 一昨年の昭和四十六年七月三十日に自衛隊のF86Fと全日空のボーイング727ですね、自衛隊のほうでぶつかっていったこの事故に関連して、昨年の暮れに遺族から訴訟が提起をされているのです。それからまた、先月の二月の二十日に全日空のほうから訴訟の提起が行なわれているわけでありますけれども、長官、事故のとき、自衛隊がこれは全面的に悪かったとおっしゃって、あなた責任までおとりに——ともかくみんな責任をとられたわけです。ところが、これはいつの間にか、いや、問題は自衛隊のほうばかりに問題があるんじゃない、全日空のほうにも過失があるんだ、こういうような主張になって、これは訴訟ざたになってしまった。まことに私は残念であるし、遺憾であると思うのですけれども、この訴訟になった経緯について初めにお答えをいただきたいと思います。
  340. 小田村四郎

    ○小田村政府委員 経緯について申し上げます。  事故が起こりました直後、政府といたしましては、この非常に悲惨な事故に対しまして、まず何よりも乗客の御遺族に対する補償を先決すべきであろうということを考えたわけでございます。で、防衛庁といたしましては、全日空とも協議いたしまして、責任問題についての判断あるいは事故原因の究明等が明らかになるまでの問、とりあえず防衛庁が窓口となって補償問題を処理したいということで、乗客の御遺族の補償問題の処理に当たってまいりました。  全日空との関係におきましては、昨年の九月、非公式に全日空から、機体その他営業損失等を含めまして総額約四十三億円の請求をいたしたい、こういう申し入れがございました。正式の請求書を受領いたしましたのは十一月の中旬であったかと思います。その後十二月の末になりまして、全日空のほうから防衛庁に対しまして、さきに請求をしたけれどもその後何らの意思表示もない、ついては向後一カ月以内に請求金額を支払ってもらいたい、もし支払いが行なわれない場合には、法律的手段をとることもやむを得ないものと考えるという趣旨の請求があったわけでございます。  これに対しまして、防衛庁といたしましては、まず責任の問題を検討するに際しましては、事故原因の究明をしなければならないわけでございますけれども、昨年の七月に発表されました事故調査委員会の事故調査報告書におきましては責任問題には触れておりません。なおまた、その内容につきましても不分明な点が若干ございますので、その究明に努力しておるところであるということで、本問題についてはなお検討中である、こういう回答をいたしたわけでございます。  続きまして、一月のたしか三十一日であったかと思いますが、全日空から防衛庁に対しまして、事故が起こり、かつ報告書が発表されてからすでに半年近くになっておるにかかわらず、いまだに検討が終わらないということは遺憾である、ついては至急賠償金額を払ってもらいたいという趣旨の再度の督促がございました。これに対しましては、防衛庁としては、前回回答したとおりであるという趣旨の回答をしたわけでございますが、防衛庁と全日空との間の応答の経緯はそのようなことでございます。  御遺族のほうでございますが、乗客の御遺族につきましては、遭難されました百五十五名の方のうち、百五十二名につきましては和解が成立いたしております。残る三名の方のうちお一人の方の御遺族から、昨年の十二月末であったと思いますが、東京地裁に賠償請求の訴訟が提起されております。この訴状が防衛庁に送達されましたのは本年の二月九日でございます。  それからもう一つ、保険関係でございますけれども、機体の損害保険につきましては、東京海上ほか数社から機体の保険金を全日空に対して支払った、ついてはこの請求権を保険会社のほうが代位することになったという連絡及び請求が二月の初めにございました。全日空会社及び保険会社から、二月二十日に損害賠償請求の訴訟が国に対して提起されたということを私どもは聞いております。保険会社のほうからはその趣旨の御連絡もございました。ただ、訴訟の内容につきましては、私どもまだ訴状の送達を受けておりませんので、内容は当方としてわかっておらない、こういう状況でございます。
  341. 横路孝弘

    横路分科員 要するに、あなたのいまの答弁を聞いておると、ほっておいたということでしょう。誠意をもって話し合いをしていないわけですね。そうして、その原因は何かといえば、要するに、やはりこの責任の問題にあるわけですね。皆さん方、その事故の責任の問題についてはどういうぐあいに考えておられますか。
  342. 小田村四郎

    ○小田村政府委員 一つ申し落としましたが、請求の内容の金額についても一部検討を始めておりました。おりましたが、これは全日空に対しまして資料の提出をいろいろ求めておりましたけれども、まだその一部という状況になっております。  で、問題は、先生がおっしゃるとおり責任の問題でございます。責任の問題につきましては、まず何よりも事故原因の解明ということが先決でございますけれども、その事故原因の内容につきまして、調査報告書の内容に不分明な点がございますので、これを関係方面に照会するという手続をとります等検討を続けておる段階でございます。
  343. 横路孝弘

    横路分科員 去年の七月二十七日に発表になって、この事故調査委員会というのはもう解散しているわけですよ。皆さん方、不審な点があって照会をしているというのはどの辺ですか。
  344. 大西誠一郎

    ○大西政府委員 お答え申し上げます。  調査報告が出ましてから、この文脈に従いまして慎重に検討いたしまして、幾つかの問題点を整理をいたしました。  要点を申し上げますと、第一点は、有視界飛行状態におきまして計器飛行方式で飛行しておった全日空機と、有視界飛行方式で飛行していた自衛隊機との両者の間に、航空交通安全上の見張りの義務に相違があるのかどうか、あるいはその見張りの義務の範囲はどうであろうかという点でございます。  それから第二点といたしましては、発見視認の時期及び接触の時期につきましては、各種の資料から推定をされまして一つの結論を導き出されておりますが、その推定をするに至った経緯あるいは取捨選択をした事実関係等を照会をいたしたいと考えたわけでございます。  第三点といたしましては、全日空機が七秒前に視認をいたしておりましたけれども、回避をしていなかったという理由といたしまして、訓練機の飛行の形態等があげられてございますけれども、そういう判断をした根拠というような点でございます。
  345. 横路孝弘

    横路分科員 その問題点については、皆さんのほうでどこに照会をしているのですか。
  346. 大西誠一郎

    ○大西政府委員 ただいま先生が御指摘になりましたように、事故調査委員会は報告書を提出いたしまして間もなく解散をいたしております。したがいまして、窓口として、かつて事故調査委員会の事務局として仕事をしておりました交通安全対策室経由で、前委員長の山県先生のほうにお取り次ぎをいただくということで照会をいたしております。
  347. 横路孝弘

    横路分科員 いまのお話の三点ですね。それは、たとえば刑事事件のほうで、まさにいまあなたのほうで問い合わせをしているとおっしゃった点が、隈、市川両氏の弁護団のほうの主張の根拠になって、過失はないという主張になっているわけですよ。もうちょっとはっきり御答弁いただきたいのですけれども防衛庁としてはどういうぐあいにお考えになっているのですか。問い合わせをするといっても、ここに一応の推定原因という  ことでそれなりの結論が出ているわけですね。問題は、あとここから、法律的な責任があるかないか、過失があるかないかという問題になるわけです。皆さん方のほうでは、ここからいま言ったような三点をあげたところを見ると、全日空のパイロットのほうにも過失があるのじゃないかという前提に立っての問い合わせでしょう。だから、こうじゃないかという主張として、皆さん方はどういう主張をお持ちになっているのか、その辺もうちょっと明確にしていただきたいと思います。
  348. 大西誠一郎

    ○大西政府委員 私どもは、この報告書から直ちに責任を引き出そうというふうには考えておりません。しかしながら、主として原因について明らかにするために、各種の事実関係を取捨選択し、また幾つかの推定を取捨選択してここに一つの結論が得られているわけでございますから、その取捨選択したものの中に取り上げるべきものもあるのではないだろうかというようなことで、その経緯について明らかにしていただいて、その上で、私どもがそれを踏まえて責任の問題を考えてみたいというわけでございます。
  349. 横路孝弘

    横路分科員 その三点の問い合わせのうち、二点目の推論をしていた過程の問題というのは、事実についての判断の問題でしょうが、一点の見張り義務の問題というのは、いわば一つは法的な問題ですね。事実の問題じゃないわけでしょう。それから、七秒前に発見をしていながら回避をしなかった云々という点についても、これは一応これに基づけば「あとは事実の問題ではなくて、では七秒前に発見しておったとしてどういう責任があるのか、発見してから回避することが一体可能だったのかどうなのかという、いわばこれは過失についての判断の中身になるわけでしょう。つまり事実の問題ではないわけですね。だから、いま三つの点を照会されているという、一点と三点というのは実は皆さん方の主張であって、事実についての確認の問題ではないと私は思うのですけれども、どうですか。
  350. 大西誠一郎

    ○大西政府委員 御指摘のように、この問題はたいへん微妙なかかわり合いを持っていると思いますが、最初の見張りの問題につきましては、報告書の中で注視野という新しい概念を使っております。なぜそういう概念を使って見張りの義務の内容を論じなければならないかという点が、私どもによく納得できなかったということでございます。  それから、第三点の視認及び衝突の時刻についてでございますが、これについては、フライトレコーダーの記録とか、あるいは送信の状況とか、幾つかのデータから二分三十九秒という時刻をもって衝突時刻と推定をし、それからさかのぼって七秒前に視認をしたであろうという推論、これは推定したというふうに原因のところに書いてありますので、一つの推定だろうと思います。これにつきましても、いろいろの過去のパイロットの経験等から考えますと、はたしてそうであったろうかというような疑問がございますので、おそらく調査の過程におきましていろいろの議論が戦わされて、そこであるものはとられあるものは捨てられたということを私ども想像をいたしまして、その辺の説明を承りたいという趣旨でございます。
  351. 横路孝弘

    横路分科員 ちょっと総理府のほうおられますか。——私のほうも、いまの点じゃなくて、たとえば防衛庁のほうでレーダーの関係がどうだったかとか、管制との交信の程度がどうだったとか、いろいろお伺いしたい点も実はあるわけでありますが、これは解散してしまっておって、昨年の九月十九日でしたか、参議院の内閣委員会で、上田議員のほうから、いろいろ聞きたいときどうするのだということがあって、現実にいろいろ問題点についての問い合わせがあったわけですね。そのときに、では各委員に届けて各委員から答弁をしてもらいましょうということになって、現在まで航空安全推進会議のほうで求めた質問状に対して何も答えていないわけなんですけれども防衛庁のほうでもいま問い合わせしておるというわけなんですが、その辺のところは一体どういうぐあいになっておりますか。
  352. 須藤博忠

    ○須藤政府委員 お答え申し上げます。  全日空機の事故調査委員会は臨時的に設置されたものでございまして、昨年の七月末に報告書を提出して、そこで一応任務が終了したということで解散されたわけでございます。  いま先生御指摘の、参議院の内閣委員会における上田先生の御質問に対して、小宮山副長官は、そういう問題については、総理府が窓口になって、委員であった方にお取り次ぎをするという答弁をされておるわけでございます。それに基づきまして私どもは、直ちに山県前委員長及び元委員であった方に取り次ぎをいたしております。
  353. 横路孝弘

    横路分科員 その防衛庁のものはいついっているのですか。
  354. 須藤博忠

    ○須藤政府委員 正確には記憶しておりませんが、二月の初めごろだったと記憶しております。
  355. 横路孝弘

    横路分科員 その九月に出したものもまだ答弁きていないのですよ。ずいぶんこまかい点にわたる照会なんですけれども、取り次ぐばかりでなくて、あのときの小宮山さんの答弁は、お答えしますというところまで含めて答弁しているわけですが、その辺のところはどういうことになっておりますか。
  356. 須藤博忠

    ○須藤政府委員 先生の御趣旨の点は、さっそく山県前委員長にお伝えいたします。
  357. 横路孝弘

    横路分科員 そこでまた議論をちょっと戻すわけですけれども、見張り義務の問題ですね。先ほどありました計器飛行と有視界飛行の関係、しかも状況がどういうときなのか、特にVMCのときどうなのかとか、いろいろ問題はあるだろうと思いますけれども、私ここで大臣にお尋ねしたいのは、ともかく一年半ほど前はもちろん大騒ぎになったわけでありまして、たいへんな犠牲者を出したわけです。きょうの午前中の議論を聞いてみると、米軍のほうのようでありますけれども、また民間航空路に接近した空域の要求や何かが出てきておりますね。ともかく一年半たつと忘れてしまっておるのか、いまお話ししたように、ともかく責任の基本的なところでどうも防衛庁のほうで争っていくというような姿勢のようであります。一体、ほんとうに責任を感じておられるのかどうか。私は何も全日空の要求どおり全部払えなんということを言っているのじゃなくて、少なくとも過失の割合はどうなのかというあたりで、皆さんのところはそこから先に進んでいない。去年から何回か皆さんのほうに要求があって、最後通告みたいな形で突きつけられながらも、皆さんのほうではなかなか動こうとしないで訴訟の提起になったという経過のようですね、経理局長答弁によると。  増原さん、一年半のことを思い出しながら、一体、現在は防衛庁としてその辺のところどういう責任考えておられるのか、政治的な責任であって法律的な責任は別だというようなことをおっしゃりたいのか、その辺のところをちょっと明確にしてもらいたいと思います。
  358. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 御質問の要点が幾つかあったかのように承りましたが、事故が起きまして以来、航空管制についての措置を全面的に再検討を、これは運輸省で所管をしてやってもらったわけですが、安全対策としての航空管制強化をやってもらったわけでございます。これは引き続いておるわけでありまして、そういう面についてのゆるみ、懈怠みたいようなことは、防衛庁としてはやっておらないわけでございます。責任の問題につきましては、当時私が防衛庁長官をしておりまして、辞任をいたしましたが、当時申しましたように、これは防衛庁のジェット戦闘機が全日空機と接触をしたという事態でありますので、政治責任をとらしていただいて、辞任をさしていただくというふうに申してあるわけでございます。  法律的責任の問題は、訴訟が提起をされたといういまの段階におきましては、私どもとしては、裁判所の判断を仰ぐという方向で関係省と話し合いをしてまいる、こういうことにいたしたいと考えておるわけでございます。
  359. 横路孝弘

    横路分科員 これは徹底的に争っていくというわけですね。
  360. 小田村四郎

    ○小田村政府委員 先ほど申し上げましたように、まだ訴状が送達されておりません。そこで、この訴訟に対してどういう対応のしかたをするかということでございますけれども、これは訴状を拝見した上で、法務省をはじめとして、関係省庁と十分協議をして、今後の対応をきめていく考えでございます。
  361. 横路孝弘

    横路分科員 この推定原因ですね、事故調査報告書を前提にする限り、やはり問題は自衛隊機のほうの、つまり訓練空域を逸脱してジェットルートに入っちゃったということですね。これに最大の原因を置いているわけですよ。全日空機が七秒前にたとえば視認をしていたとしても、いまのたとえば刑法の過失理論そのほかからいってみたって、たとえば結果を回避する、発見してから回避するだけの余裕があるかどうかといえば、七秒間で、これだけのマッハ一近いようなスピードで、しかも向こうのほう、どこに走っていくのかわからない、そういう状況ですから、ちゃんと向こう向こうでもってルートを通っているというなら別ですけれども、どこを飛んでくるかわからないようなやつを、へたに回避したら事故になるという危険性だってあるわけなんで、一体、そういうようなことをパイロットに対して責任として負わすことができるのかということを考えてみれば、少なくとも、ここの推定原因のところの一、二、三というあたりをすなおに読んでみたって、どこからだって全日空機のパイロットに責任なんというのは出てこないんじゃないかと私は思うのですよ。  昔は、たとえば道路の場合、交差点で、こっちが青信号でこちらが赤信号だ、赤信号を無視して走ってきて、交差点のまん中で事故が起きた場合に、青信号でもって走ったほうだって一時は刑事責任に問われることもあったわけです。交差点だって徐行しなければならぬというような理屈があったわけですね。民事責任だってそうだった。ところが最近は、民事も刑事も、これは最高裁のほうで、そんなことまで予測したんじゃとても車なんというのは運転できないから、青信号を守ったほうは、赤のところで、向こうから車が走ってくるのを見たって、これは責任はないですよということに変わっているわけですよ。これは刑事ばかりじゃなくて、民事上の責任だって、いまは、信号を無視して事故を起こしたほうは、全く自賠責だって払われないような状況ですね。それだけきびしくなってきているのは当然ですね。これだけの民間のジェット機のルートの中を走っている、皆さんのほうは訓練空域でもって小回りきく飛行機ですよ。問題は、やはりその辺のところがどうかということでしょう、先ほど指摘された三つの点というのも。結局、そこのところでもって一体どっちに責任があるかという問題になるわけですね。ここでそういう議論をしても、どうせ結論は出ることにはならぬと思いますから、私が要望したいのは、一年半前にあれだけ政治責任とおっしゃったけれども、ともかくそれはなぜ政治責任をとったかといったら、自衛隊機のほうが悪かったからでしょう。別にあれは全然悪くなくて、民間機のほうが悪かったんだということであれば、それは自衛隊とぶつかったって、そんな責任追及ということにならなかっただろうと思うのですよ。その辺のところを思い起こしながら——しかも全日空機の乗員に対しては、会社のほうでもっての手当てだって十分行なわれていないのが悲しいかな現実ですね。皆さんのほうだって、全日空機の乗員に対しては何も払ってないでしょう。遺族だけでしょう、富士のほうの。ですから、その辺のところを裁判で徹底的に争って、こまかい点をほじくり返してこれから裁判ということになると、これは長い裁判になるわけでありますから、そういう解決じゃない別の解決のしかたというものもあるんじゃなかろうかということですね。その辺のところをひとつ、大臣に対してそのことも含めてこれから検討していただきたいということを要望しておきたいと思うのです。いかがですか。
  362. 小田村四郎

    ○小田村政府委員 今後の対応のしかたにつきましては、先ほど御答弁申し上げたとおりで、ただいま検討中の段階でございます。  それから乗務員の御遺族でございますけれども、これは防衛庁といたしましては、事故発生直後に七名の御遺族の方に百万円ずつの見舞金を差し上げております。その後、損害賠償につきまして、これは全日空会社のほうからも、御遺族のほうからもお話がございませんで今日の訴訟の段階になったわけでございますが、今日といたしましては、やはり先生御指摘のような過失割合という点が問題になりますので、やはり裁判の結果明らかになる責任割合ということを待つことになろうか、かように考えております。
  363. 横路孝弘

    横路分科員 これはもっぱらちまたでは、市川、隈二人の刑事裁判が行なわれているでしょう、盛岡地方裁判所で。それに対する防衛庁のバックアップじゃないか、こういわれているわけですよ。つまり、ここでもって過失を全面的に認めてしまったんじゃ刑事裁判のほうが不利になる。したがって、あの刑事裁判をバックアップしてやるためにこの民事訴訟、つまり話し合いに応じないで裁判になったんじゃないか、こういうことになっていて、そのほうがむしろすなおな解釈だろうと私は思うのですよ。だから、そんなのじゃ困るんであって、やはりその辺のところを私は、あの事故の一年半も前のことを思い起こしていただきたいということを考えるわけであります。  そこでひとつ、運輸省のほうにだいぶお待たせしちゃったのですけれども外務省とお尋ねしたいのですが、事故のたびにこの補償の問題で問題になるのは国際条約の関係ですね。四十一年の四大事故のあとにへーグの議定書を批准をして、当時三百万から六百万にたしかなったと思うのですが、いまグァテマラの議定書が、これは三千万ということになっているわけなんですけれども、この辺のところを検討される時期に入ってもいいんじゃなかろうかというように考えるわけなんですけれども、その辺、外務省のほうではどのようにお考えになっているのか。まだ国際的な状況もいろいろあるようで、動いているようでございますけれども、何かジュリストの皆さん方も参加しての座談会等を読んでみると、昨年のモスクワ、ニューデリー等の事故もございましたので、やはりこのグァテマラの議定書をそろそろ批准する準備というのを、運輸省のほうでも外務省のほうでもすべきじゃないかと私は思うのですけれども、その辺のところ、どういうことになっていますか。初め外務省のほうから……
  364. 谷口誠

    谷口説明員 お答えいたします。  外務省といたしましては、グアテマラ議定書はいずれ早い機会に批准しなければならない、そういう認識に基づきまして、現在検討を行なっております。御承知のようにグアテマラ議定書は、第二十条におきまして、その規定から米国が批准しなければ発効しない、そういうふうな要件になっておりますので、各国とも現在米国の出方を見ておるのが現状でございます。現在、グァテマラ議定書につきましては二十八カ国が署名しておりまして、まだどの国も批准しておりません。米国も、現在私どもの得ている情報では、国内法改正の手続関係から、ことし中にはグァテマラ議定書の批准を議会に要求する段階には至らない、そういうふうな情勢でございます。しかしながら、外務省といたしましては、わが国としてはできるだけ早くこの議定書を批准するように、そのためには国内法の作成等急がなければならないので、現在関係しております運輸省と法務省ですね、いろいろ慎重検討いたしまして、準備をいたしたい、そういうように考えております。
  365. 横路孝弘

    横路分科員 外務省のほうもそういう準備のようですが、運輸省のほうもぜひ協力されて、その体制を一日も早くとっていただきたいというように考えますが、運輸省のほう、いかがですか。
  366. 山本長

    ○山本説明員 御説明いたします。  先生も御存じのように、現在航空関係で適用されております条約として、ベーク条約あるいはワルシャワ条約がございますけれども、これにつきまして、国際的にもアメリカをはじめとして批判があるわけでございます。また、日本の国内的な、何といいますか賠償の実例等から見ましても、これでいいかということについてのいろいろな批評があるわけでございます。そういった観点から、現在外務省がいま答弁されましたように、これをやはり批准をする——前向きな形で進めなければならないということで検討しております。現在商法関係の先生方に集まってもらいまして、これの研究会を開き、検討いたしておる最中でございます。ただ、責任原理、この金額だけじゃなくて、責任原理と申しますか、考え自身につきまして、現在の日本の制度と若干異なった考え方をとっておるものでございますから、現在の国内法制との関係をどうするか、こういった点につきまして、法律的な専門的な検討をいたしておる、こういう段階でございます。
  367. 横路孝弘

    横路分科員 もう一つだけお尋ねして、これでやめますが、モスクワの事故に関連して、国際運送約款の関係で、責任の制限条項というのがありますね。条約や適用法令に別段の定めのある場合を除き、この国際条約が適用されるということになるわけですが、そこで、故意あるいは重大な過失がある場合は別にして——故意または重大な過失といいますか、故意にほぼ近いような、その場合は別だけれども、そうでない限りこのへーグの議定書ですか、国際運送約款のほうに基づいて適用になって、六百万で上限が限られるということのようなんですが、モスクワの事故に関連して、その辺はどういうことになっていますか。あの報告書、正式な報告書というのは出ていないようでありますが、少なくともあの報告書を見る限り、どうもかなり重大な過失といえるような過失の指摘がございますね。その辺のところも議論があるところでありましょうが、その辺のところ、どうなっているか、最後にそれだけちょっと御報告をいただいて、私の質問を終わりにしたいと思います。  防衛庁のほうは、いまいわれているように、刑事裁判をバックアップするという意味で民事訴訟を受けて立つのじゃないか、こういう指摘が行なわれているわけでありますが、ひとつそうじゃなくて、われわれのほうでも私たちなりに、先ほど問題になりました点を含めて検討をしているわけなんですが、いずれまたあらためて議論したいと思いますけれども、最後までということじゃない解決の方法もひとつ考えていただきたいというように要望しておきます。  時間が来ましたので、その御答弁だけいただいて、終わりにします。
  368. 山本長

    ○山本説明員 御説明申し上げます。  約款あるいは条約で限度額をきめております金額の是非は別といたしまして、適用関係について御説明申し上げますと、条約あるいは法令で定める場合を除き、次のとおり責任を負う、こういう規定でございますので、その場合に、その事故について、条約の適用あるかないかということでありませんので、条約の適用関係は運送について適用する。したがいまして、その運送といいますのは個人個人について違うものですから、その個々人についてどの条約が適用されるかということが判断されるわけでございます。したがいまして、その条約が適用される旅客につきましては、ヘーグ条約でも挙証責任の転換と申しますか、過失推定主義をとっておりまして、会社のほうは、自分が事故を起こさないことについて完全な措置をしていたと挙証しない限り、そういうことを挙証しなければ会社が責任を負う、つまり、挙証責任を会社のほうに転換いたしておりまして、被害者のほうには挙証する責任はない、こういうふうなことになっております。
  369. 塩谷一夫

    ○塩谷主査代理 次に、上原康助君。     〔塩谷主査代理退席、楢崎主査代理着席〕
  370. 上原康助

    上原分科員 まず最初にお尋ねしたいことは、二月十三日の予算委員会の一般質問の際に、基地被害の問題について二、三点お尋ねをしておいたのですが、確かめておきたいと思うのです。  恩納村の弾薬処理によって相当被害を受けているということを、現地の写真等もお見せしながら、すみやかに弾薬処理をやめさせるということ、あるいは弾薬処理によって与えた被害に対しては補償を行ないなさい、やるべきだということ、さらに金武村における海兵隊の実弾演習によっても同様な被害を受けている、立木なりその他のいろいろな被害があるので、これらについてどうするかというお尋ねに対して、調査をし、どういう補償をすべきか評価をしているんだという御回答が施設庁長官からありました。その後どういう処理をなさったのか、また、この基地被害の問題に対して補償する方向で準備を進めているのかどうか、あらためてお尋ねをしておきたいと思うのです。
  371. 高松敬治

    高松政府委員 先般申し上げましたように、調査をいろいろ進めてまいりました。そのうち金武村の屋嘉訓練場地内の十月五日の火災につきましては大体調査が終わりまして、年度内に——年度内といってもあと幾らもございませんが、年度内には補償金の支払いが行なえるという見込みでございます。  それから、金武村でも、この十三ヘクタール分のほか残りの七十ヘクタール分、それから恩納村地区の五十八ヘクタール分、いずれも同日の火災による立木の被害ですが、これにつきまして調査もほぼ終わりました。ただここの地域につきましては、復帰前に米軍が当該地域の立木について、火災のあった際に賠償したという事情が出てまいりました。それでこの点について、もう少しこれははっきり検討すべきであるということで、目下鋭意検討中でございます。  それから弾薬処理場からの流出土砂による水源の汚濁につきましては、この前も申し上げましたように、沈砂池を四十八年度において設置するということで、これはもう四十七年度で調査も終わりまして、大体そういう設計にかかり、予算が通れば実現できると思っております。  それから廃弾処理の振動音による周辺部落に対する被害、これにつきましては、昨年から本年にかけて大田、瀬良垣、安富祖の三部落において四十五戸それから公民館というふうなものについて抽出調査をいろいろやっております。ただ、まだどうもはっきりしない点もありますので、これについてはさらに調査を進めてまいり、その結果を待って措置をしたい、かように考えております。
  372. 上原康助

    上原分科員 流木補償の問題ですが、きょうはほかの件がありますから再度お尋ねしませんが、一回米軍が補償したからというだけで済ませる問題じゃないと思うのですよ。その点、金武村のものについては年度内にも処理できるという作業が進んでいるようですが、恩納村を含めて全般的に再検討をして、特に水源地の汚染や被害については早急に補償をやるべきだと思うのです。さらにまた弾薬処理そのものを、民間地域に現にあれだけの被害を与えているわけですから、中止をするということを含めてあらためて強く要求をしておきたいと思うのです。  そこできょうは基地労働者の問題について若干お尋ねをしたいのですが、この件についてはたびたび関係委員会でお尋ねをしましたし、いろいろな提案を含めて改善策を要請してきたんですが、御承知のようになかなか前進をしていない。未解決の問題があまりにも多過ぎる。そこでまず第一点目にお尋ねしたいことは、間接雇用に移行されて後いろいろな問題が出ております。私がこまごま申し上げないでも政府関係の皆さんは重々おわかりと思うのです。ですからなぜ今日の事態というものが派生をしたのか。一体その点に対する政府責任といいますか立場というのはどういうふうにお考えになっているのか、まずお聞かせいただきたいと思うのです。
  373. 高松敬治

    高松政府委員 昨年の五月十四日までは直接雇用であった。それが沖繩の五月十五日の復帰以後、日本本土と同様に間接雇用体制に移行いたしまして、日本国の法令が全面的に適用されることになり、労働基本権の保障をはじめ給与その他の労働条件は大体同一になった。こういう点ではいろいろいい点もあるはずであります。しかしながら、こういうふうな制度が根本的に変革されましたために、復帰直後以来いろいろと混乱が生じておりますことは、私どももまことに遺憾に存じております。それで、これまでの間にできるだけそれを何とか正常な形に戻したいということで、極力努力をしてまいりましたが、残った問題も確かにまだ幾つかございます。それらにつきましては、できるだけ早く解消するように、私どもといたしましても総力をあげてこれに対処しようとしているのが現在の状態でございます。
  374. 上原康助

    上原分科員 では具体的にお尋ねしてみたいと思うのです。現在神奈川県下に軍関係労務者は何名いるのか、また神奈川県下には幾つの労管事務所があるのか、お答えいただきたいと思います。
  375. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 お答えします。  約一万四千名。渉外労務管理事務所は四つございます。
  376. 上原康助

    上原分科員 同様に、沖繩の労務者の数は幾らで、沖繩は労管幾つあるのですか。
  377. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 昨年十二月現在で約一万九千名従業員がおりまして、渉外労務管理事務所は二つございます。
  378. 上原康助

    上原分科員 私が何をお尋ねしたいかおわかりでしょう。間接雇用に移行するにあたって、私は何回かこの問題を指摘をしてきたのですよ。皆さんは、あとでお尋ねするのですが、軍用地をどう取り上げるか、自衛隊をどう配備するかについては血眼になっていろいろな御準備を進めてきた。しかしそこで働いている人々については、一体どういう対策、受け入れ体制があるかということについては、各関係大臣とも手抜かりのないようにしますということをそのつど繰り返してきた。しかし実際そうはなっていないわけでしょう。神奈川県下にいま一万四千人のMLCあるいはIHA、船員労務者がおる。これは本土の全体の約二分の一ですね。おそらく私の推測では。沖繩県は一万九千人、五千人多いのです、神奈川県よりも。神奈川には四つの労管事務所が現に大臣あるのです。沖繩の場合には二つしかない。数字が示しているように、やはり労管事務所も二つでは足りないから、せめて三つはなければいけないということをあの事態、あの時点においても私たちは要求し、全軍労も強くその要請は防衛庁にも政府にも出しておったと思うのです。また皆さんは、おそらく琉球政府がどうだったとかいうお答えでしょうが、実際の雇用主は皆さんでしょう、法律上の雇用主は。こういうことをしなかったがゆえに、間接雇用に移行されたことによって直接米軍との交渉権もなくなった。できなくなった。政府政府で一応の労務管理というのは県に委任をしてあるのだからということで、その谷間に突き落とされているのが基地労働者じゃないでしょうか。この責任はきわめて重大だと私は思うのです。これだけ大きな差が出ているわけでしょう。この点についてどうお考えなんですか。
  379. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 先ほど施設庁長官からお答えしましたように、何ぶん復帰後まだ日が浅そうございます。それで、たとえば労管事務所の数それから配置のしかた等につきまして、十分沖繩県と現在なお検討中でございます。たとえば、もう一カ所ふやすべきではないかというような問題について検討中でございまして、その検討の出次第措置を進めたいと思います。
  380. 上原康助

    上原分科員 そこで、労管の機能というのが御承知のようにこういう状態ですから、五月から二月までどの程度賃金の遅払いがあったのかどうか、数字をあげてまず説明いただきたいと思います。
  381. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 お答えいたします。  八月支払い分までは実は残念ながら暫定払いでございました。それで、その暫定払いの清算を十月から十二月にかけて行ないまして、ようやく一月からどうやら軌道に乗りつつあるという状況でございます。それで、大体九月ごろから十三日ごろ通常給与が支払われておりまして、一月は十二日、二月が十二日であったかと思います。
  382. 上原康助

    上原分科員 あまり明白なお答えがないのですがね。大臣、こういうことはおわかりでないかもしれませんが、後ほど若干提案をしたいんですが、労働者が働いて、まともにきまった日に賃金を受けられないということは単に個人の問題でないんですよ。その労働者の生活環境の、生活上の問題だと思うのです。七二年五月、昨年間接雇用に移行された時点において二十日間の遅払い、六月が十五日、七月が六日、八月が五日、九月が三日、十月が三日、十一月分十日間、十二月に至っては二十日間、一月分四日間、二月分も五日間、三月分も慣行として本来十日に払うべきなのですが、どうも十日に間に合わない。防衛庁長官ですか、労務部長は、先だって沖繩に行かれたときに、警備隊労組との団体交渉の場においても、三月からは責任をもって十日に賃金を支払いをしますという確約をなさったようです。しかし残念ながら、こういう先ほど言ったような労務管理の受け入れ体制の不準備がありますから、うまく行ってないんですね。こういう状態なのです。だから全軍労の皆さんや警労の皆さんがストライキをする。いろいろな要求を、強い不満を持つというのはこれは当然なのですよ。あまりにも受け入れ体制そのものが整っていなかったがゆえに、すべて基地関係労働者に大きな犠牲をいましいているのです。加えて合理化と首切りのあらしの中でしょう。これに対しては、政府は、もう少し責任ある労務管理体制というものをしいてもらわなければ困ると私は思うのですよ。防衛庁所管ですから、アメリカに対して言うべきことは言ってやらなければいけない問題だと思うのです。先ほどからのやり取りを聞いておって、大臣は一体どういうお気持ちでおられるのか、その点は単に施設庁長官にまかして、防衛庁長官はもう自衛隊配備、四次防や、そういうことだけに頭を突っ込めばいいというお考えなのか、所見を賜わっておきたいと思います。
  383. 高松敬治

    高松政府委員 大臣の御答弁の前に私から一言申し述べさせていただきたいと思います。  私は、初めからとにかく一番の問題はこの賃金の遅払いだ。これを何とかすみやかに軌道に乗せなければ、これはもう話にならないというふうに考えました。これを軌道に乗せるべく最大の努力を払えということで、あるいは昨年の十二月末までに、ボーナスの支給時までには正常化できるというふうにも見られた時期がございました。しかしそれも残念ながらできませんでした。せめて本年の三月には、本年度内には、この点については正常化になるように努力を払えということで、内地から応援を繰り出したりあるいは私のほうの者を現在もずっと行きっきりで、詰めっきりでこれの指導に当たり、あるいは原因がどこにあってそういう遅払いになるのかという調査をいろいろやっておりますが、残念ながら、いつも大体十三日ぐらいになるんじゃなかろうかというふうな報告がまいっております。これは上原先生御指摘のとおり、ほんとうの一番の根本的な問題です。これについてはたいへんうまく行ってないのは残念でございまするけれども、私としても相当に力を入れてやってまいりました。今後もこれについて、給与支払い日を何日に特定するかということを当面早く決定するということで、いま組合ともいろいろ協議を重ねているところでございます。  それから労管事務所の増設の問題についても、私もあれだけの数をかかえての組合でございますから、もう一カ所くらいは労管事務所があったほうがいいというふうに考え、いろいろ折衝もいたしました。ただ現在の時点では、あるいは労管事務所をもう一つ増設することによって、給与遅払いが、もう一回そこに困難が起こるのではないかというふうな心配も現地ではだいぶあるようでございまして、そういう点からちょっと行き悩んでおりますけれども、これは、そういうふうな方向に向かって沖繩県とも十分に話を詰めて進めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  384. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 ただいま施設庁長官からお答えをいたしたのが具体的な事柄でございまするが、防衛庁長官、決してこの問題に無関心でおるはずはございません。時々施設庁長官ほかから状況を聞きまして、この問題の解決についての督励をいたしておるという状況でございます。御質問の中に申されましたように、復帰にあたっての準備が万全を期し得なかったが、雇用関係が直接雇用から間接雇用に移るということは、もう当然の本土復帰に伴う組織の変更であるわけでございますので、その点についての労管事務所の、いま御質問の中にありました増設その他のこともしっかりとやるべきであったのでございますが、その点十分の実施ができなかったことはまことに残念でございまするが、その後すべての問題に、いまの賃金の遅払いの問題その他の問題につきまして、だんだん事務もなれてくる、応援も派遣するということとも関連をいたしまして、沖繩における軍の雇用関係が、本土復帰のためにたいへん迷惑を受けるというようなことのありませんように、さらに一そうの督励をいたし、努力させるつもりでございます。
  385. 上原康助

    上原分科員 沖繩の軍関係約一万九千の月の賃金給与額は大体幾らですか。
  386. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 まだ一年問終わっておりませんので、実は平均がよくできておりませんが、五月から始めまして、たしか十二月までの分と申しますか、そういったものの合計といたしましては約二百億だったと思います。
  387. 上原康助

    上原分科員 あまりみみっちいことは言いませんが、二百億払われているわけですね。そうしますと、先ほどの賃金遅払いをした日数は大体九五%は合っているのです。一〇〇%合っているかもしれない。そうしますと、七十日間の延滞、二百億の七十日の利息を払ってください。その御意思があるのですか。個々にじゃなくて、やはりこれだけ労働者に対して損失を与えているわけですから、政府は何らかの形でこれに報いるべきじゃないですか。福祉対策としても当然考えてしかるべきだと思うのです。その意思があるのかどうか。
  388. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 先ほど給与の遅払いの問題につきまして、若干私の説明が不足いたしましたので、補足させていただきます。  先生おっしゃいますように、いろいろ日にちがきまらないで、軍労働者の人々の生活に非常にぐあいが悪い状況が出たということはほんとうに心から遺憾に思っておりまして、それを早く是正するべく、こちらの、たとえば神奈川県とか埼玉県とか、その県庁の中で事務になれた人たち、そういう方の支援を依頼する一方、もちろん、私どもの係の者も出して、沖繩県のふなれな——沖繩県も努力されておりますので、それの支援はいたしております。  それで給与の支払い日の問題でございますが、ただいま米軍に協議中でございます就業規則、これは本土の場合にすでに施行されております就業規則とほぼ同じものを沖繩にも適用したいというふうに考えておりますが、その中の給与の支払い日としましては、月の一日から末日までの分を翌月の十日ないしそのころ支払う。なぜそういうふうに日がはっきりいたしておりませんかといいますと、各地方地方の実情、お祭り等の関係もございまして、労使間で現地できめておるのが実は慣行でございます。したがいまして、ようやくいま軌道に乗ってまいりました給与支払い事務を、何日に払うかということにつきまして、ことしに入りましてから沖繩県庁と関係労働組合との間で協議が進められております。私、一月の二十日ごろに参りまして、三月には軌道に乗せたいと確かに申し上げたわけでございますが、それはその日の確定がまず先決だということでやっておるわけでございます。
  389. 上原康助

    上原分科員 日の確定は通常十日でしょう。何もそのことを聞いているのじゃないのですよ。これだけの損失を与えているんだが、一体これに対して政府は何か責任を感じているのか、感じているなら感じている、感じていないなら感じていないというだけでいいのですよ。どうなんですか。
  390. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 先ほど申し上げましたように、日が確定いたしませんで、軍労働者の方々にいろいろ生活上不便をかけたということについては、まことに遺憾に思っております。
  391. 上原康助

    上原分科員 どうも役人答弁で納得しかねますがね。日は確定されているのですよ。通常十日でしょう。ぜひそれに対する確たる責任をもって補償をやるように要望しておきたいと思うのです。  時間がありませんので、あと一点だけ確認をしておきたいのですが、せんだって労働省関係で第三分科会でしたかお尋ねしたのですが、いわゆる四種の問題、これも長い間の懸案事項ですが、遅遅として解決されていない。旧四種の件ですね。ですから労働省は、いわゆる職安法違反の疑いがあるという点や、四種の実態をつかむということで早急に実情調査をやるという御答弁でしたが、それは早急におやりになりますね。そして防衛施設庁も、基地内での労働をやっている雇用員ですから、これに対してもう少し、従来からの懸案になっている事項を解決をしていく方向でやってもらわなければ困ると思うのです。簡単にひとつ、両方責任をもってこれも進めるという点をお答えいただきたいと思うのです。
  392. 高松敬治

    高松政府委員 四種の問題につきましては、非常にむずかしい問題でございまして、米軍と当該請負業者との間の問題、あるいは当該業者とその従業員である四種労務者との問題ということでございまして、私どもが間接雇用で担当しているものと違うことは御承知のとおりでございます。したがいまして、防衛施設庁としてこの問題について関与し得る範囲というものは非常に少ない。むしろ一般労働行政の中において四種被用者の処遇改善その他の問題が取り上げられていくという筋合いに相なるかと思います。しかしながら、私どもといたしましても、従来からの行きがかりもございますし、まあ労働省になると思いますが、労働省に対しましてできるだけ私どもとしても協力できる点については十分に協力をいたしたい、かように思っておる次第でございます。
  393. 加藤孝

    ○加藤説明員 四種の問題にからみまして、これが職業安定法違反の疑いのあるようなやり方がなされているのではないかということで御指摘をいただきました。私どもとしましては、来週早々に専門官を現地に派遣して調査するべく、現在関係機関と連絡をし合っておる段階でございます。この問題につきまして、ただいま防衛施設庁のほうからお話がございましたが、労働者とそれから事業主との間の問題につきましては、一般的には労働組合と事業主との間で交渉をされるという形の中できまる問題でございます。その場合において、そこに労働法の諸法規に違反する者があれば、これについては私どもとして厳重に取り締まりをしていくという関係にございますが、その両者の関係につきまして、それ以上具体的に違反というような形、あるいはこうすることが望ましいというような形でのタッチがなかなかむずかしい問題がございます。  それから、事業主と米軍との関係の問題につきましては、私どもとして直接これについてどうこうはなかなかむずかしい問題でございますが、ただ労働者の労働条件に関連する問題を含んでおりますので、関係外務省あるいは防衛施設庁とも十分連携しながら、この問題の解決のためにできるだけの努力をしていきたいと考えております。
  394. 上原康助

    上原分科員 時間が来てしまいましたので、またいずれ別の機会にでもお尋ねするのですが、ピンポン玉みたいにあっち飛ばされこっち飛ばされするだけではますますいろいろな問題が解決しない。あるいは本土政府に対する不信なり、いろいろな面が起きると思うのです。四種の問題は、防衛施設庁は関係ないとはいえないと思うのです。それをあわして労働省と協力する、あるいは外務省と関係するなら、そういった面でももう少し人間を大事にする労働行政なり政治というものをやっていただきたいということを、重ねて念を押しておきたいと思います。  そこで、最後に、大臣にお尋ねしたいと思うのですが、いま申し上げましたように、基地労働者というのはますますきびしい状況が本土を含めて出ているわけですね。ドルの切り下げ問題あるいは春闘相場やいろいろな面で問題が出てくると思うのです。アメリカはだんだん安上がりの基地維持ということでどんどん切り詰めてきているわけですね。それに対しては、相当腰を据えて、政府が人員整理の問題なり合理化の問題に対応していかないとどうにもならぬと思うのですよ。ですから、私もきのう岩国まで行ってまいりましたが、ああいう建物をつくってアメリカに与える、そんなむだな国民の税金があるなら、基地で働いてきた労働者に対してもっと手厚い離職者対策なり福祉政策をやっていただきたいと思うのです。私はそれがむしろ筋の通る話だと思う。これまでややもすると、軍事目的のためには多額の税金を注いでおきながら、働いてきた労働者に対する対策というものがおろそかにされてきている。そういう意味で、後ほどまたこまかい点は触れますが、この際、本土を含めて基地関係労働者に対する福祉政策、離職者対策というものを、予算の裏づけの伴う方向でやるべきだと思うのですが、これについてそういうお考えがあるのかどうか、ぜひ大臣の決意を求めて私は質問を閉じたいと思うのです。
  395. 高松敬治

    高松政府委員 いまほどいろいろ御指摘のありました問題、たとえばドルの問題にからんで、今後人員整理がよけい進捗するのではなかろうか、私どももこの点はどういう影響が出るだろうかということで非常に憂慮しております。ただ、現在のところ具体的な動きは出ておりませんけれども、何らかの影響は出てくるであろう。  それから、基地の統合整理に伴う人員の整理というものは、たとえば関東計画においては二千六百人というのがすでに一応発表されておる。今後基地の統合整理を進めていくという政府の方針に従っていけば、そこにまた一つのしわ寄せが出てくるかもしれない。われわれ、これを考えまして、やはり今後、こういう問題につきましてできるだけの対策を立てていくべきである。そのためには、いま御指摘のような予算の裏づけというふうなことも必要でございましょう。これらにつきましては、今後出てくる事態を見定めまして、そうしてこれに対して十分に対処できるような措置をとってまいりたい、かように考えておるところでございます。
  396. 上原康助

    上原分科員 これで終わりますけれども大臣、確認したいのです。予算の裏づけを伴う離職者対策、福祉政策については、防衛庁としての四十八年度の予算には、残念ながら組まれていないのですよね。しかし、基地の縮小計画とかいろいろな面で、労務者に対してはどうしても犠牲というものは出てくるわけですから、全般的に洗い直してやるというお考えがあるというふうに理解していいですね。
  397. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 私もしっかりは覚えてはおりませんが、予算措置が全然ないわけではないと考えておりますけれども、また若干のくめんをする余地がないわけでもないようでございます。決して軍事中心にものを考えるなどという考え方を持っておるわけではございませんので、基地労働者の諸君の福祉のために、防衛施設庁というしっかりした大きい機関をつくって努力をしておるわけでございまして、これで、本土に復帰された方々の、いま申されましたような趣旨における福祉の充実、離職者対策その他十分に努力をしてまいる決心でございます。
  398. 楢崎弥之助

    ○楢崎主査代理 安里積千代君。     〔楢崎主査代理退席、主査着席〕
  399. 安里積千代

    ○安里分科員 簡単な質問にしたいと思っております。  沖繩が昨年復帰いたしまして、五月十五日から、地位協定に基づきまするいわゆる軍用地がアメリカ提供されたわけでございますが、現在の段階におきまして、アメリカ提供されました地域の総面積は幾らになっておりますか。
  400. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 提供施設八十四件で、二億八千四百六十万平米でございます。
  401. 安里積千代

    ○安里分科員 ただいまの数字、私が握っております数字と若干差がありますけれども、それはよろしゅうございます。  これらはすべて提供された土地の総計だと思いますが、その中におきまして、日米双方が共同使用しておりますところの地域の面積は幾らでありますか。
  402. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 日米双方の共同使用の態様が実はいろいろございまして、御質問の趣旨でどの面を取り扱ったらいいかと思うのでございますが、まず、自衛隊、運輸省、沖繩県あるいは電力会社、そういったところが米軍への提供施設をそれぞれ共同使用しているわけでございまして、自衛隊につきましては、面積は一応把握できておりますが、あとの分につきましては、復帰の時点現地の実情を正確に測量することができませんでした。復帰後、逐次現地を測量することによって面積を画定いたしますので、共同使用の総面積につきましては、現在のところまだ把握できておりません。
  403. 安里積千代

    ○安里分科員 では、自衛隊が共用しておるところの面積だけはわかりますか。
  404. 平井啓一

    平井(啓)政府委量 自衛隊の共同使用しております部分の面積は、四カ所で四十三万平米でございます。
  405. 安里積千代

    ○安里分科員 いまのは沖繩でありますが、ついでに、日本本土が提供しております地域の面積は幾らでありますか。
  406. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 提供件数九十件で、二億七千六百万平米でございます。
  407. 安里積千代

    ○安里分科員 そうしますと、沖繩が二億八千万、本土が二億七千万で、本土のほうが狭いのですか。
  408. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 沖繩のほうが広うございます。
  409. 安里積千代

    ○安里分科員 日本本土全体と沖繩を比較した場合に、狭い沖繩のほうが広い地域になっておるということは、沖繩問題、ことに防衛問題を論ずる場合におきまして常に頭に置いておかなければならない問題だと思っております。これは地位協定の第二条に基づくものだと考えておるわけでございますが、一応復帰の段階においてこれだけの膨大なる土地をアメリカ提供したことになるわけでありますが、一体その必要性ということは、どちらが主になってきめる問題でございますか。沖繩にこれだけの膨大なる基地を必要とするというこの必要性につきましては、日本側としてあるいは防衛庁側として、これだけはどうしても必要なんだというような見解でしょうか、それとも、アメリカ側においてこれだけは必要だという立場で、このような本土以上の基地が沖繩で提供されておるんでしょうか。
  410. 高松敬治

    高松政府委員 そういう基地の必要性というものは、アメリカ側日本側両方でその必要性があるかどうかということを考えるべき事柄であると思います。アメリカ側だけの必要性ということでは私はないと思います。確かにいまお話しのように、沖繩における米軍基地が本土に比べて非常に多い。復帰時に若干の返還がございました。それからその後、ハーバービュー・クラブというようなものが返ってきた。それから先般の安保協議委員会において、那覇における空軍施設、補助施設その他が返るように話し合いが一応できましたけれども、これだけでもまだまだ内地府県に比べれば確かに非常に多いわけでございます。もちろん日米安保体制を防衛の基本とするという方針のもとにやっておりますわが国からいえば、こういう基地の存在は、やはり安全確保という点からいって欠くべからざるものでありますけれども、しかしながら、沖繩の現状については、私どももさらに開発計画の進展状況あるいは民生安定の確保という点から、もっとこの整理統合について積極的に米側とも話し合いを進めなければいけない。米側においても現在いろいろと検討しているはずでございます。私ども日本側といたしましても、日本側なりにいろいろ資料を集め検討をいたしております。いずれ日米双方の間で意見の交換あるいはいまおっしゃいました必要性の問題についていろいろな議論が戦わされ、そうして整理統合という方針が次第に実現していくことと私は考えております。
  411. 安里積千代

    ○安里分科員 それから、日本側としてほんとうにあれだけの土地をアメリカ提供することが必要なのか。日本の自主的立場でです。アメリカがどう考えようとそれは別でありますけれども日本の自主的な立場からして、われわれがしろうと目で見ても、こんなことも必要かと思うようなことがざらにあるわけなんです。専門的な防衛の立場から見て、自主的立場からこんなに必要か、これは常識的に考えられるわけですけれどもアメリカの立場を考慮に置かずに日本の立場からどうでしょうか。
  412. 高松敬治

    高松政府委員 私は、いま申し上げましたように、基地の状況から申しまして、これの整理統合というものをさらに米軍と交渉していくべきであるというふうに考えております。したがいまして、いろいろな点からのあるいは開発の問題あるいは民生安定の問題、あるいは軍事的な見地の問題、いろいろな問題のからみはございましょうが、全般的に申しまして、沖繩の基地についてはその整理統合を積極的に進めていくべきである、かように考えております。
  413. 安里積千代

    ○安里分科員 私がお問いいたしましたのは、防衛というところの立場から、あるいはなお多く言えば軍事的な必要性とでも言いましょうか、そういう立場から、それはアメリカの立場じゃなくして、日本の立場から考えてみて、いまの開発するとかなんとかいう問題は別でございます。これに限って、開放して開発に充てるとかなんとか、そのためというのではなくて、防衛のためという立場からこんなものが必要か、こんなに必要でないと思うのか、いやこれだけはどうしても無理もないのだ、こういうふうに思われるかということをお聞きしているのです。
  414. 高松敬治

    高松政府委員 現在防衛庁におきましては、昨年の八月以来基地総合調整本部というものを設けまして、防衛的な立場というものから見て、そういう観点と、そのほかの都市化、開発その他の問題もございますが、それらを総合的に取り上げて検討するということで、現在沖繩についても検討を進めております。いずれそれについてまたいろいろ結論が出てくると思いますけれども、そういう結論を待って私どもとしては考えてまいりたい、かように思うわけでございます。
  415. 安里積千代

    ○安里分科員 何だか奥歯にもののはさまったような御答弁でございまして、もっとあっさりした気持ちで私は御答弁願いたいと思っておるのですよ。しろうと的に見ればあんな膨大な土地は要らない。いわんや専門的に見ればむだが多いんだということが率直に私は出てくるんじゃないかと思うのです。いまのいろいろな御答弁は、どうも相手方のアメリカに気を使ったような御答弁のように感じてしょうがございません。  私がなぜこのことを申し上げるかと言いますならば、明らかに地位協定の第二条におきましては、いずれか一方の国からの要請があるときは、前記の取りきめを再検討しなければならないということがはっきりうたわれておるのです。ですから、日本自体がこんなに不必要だ、こんなに要らないのだという積極的な意欲があり、また要請があれば、アメリカはこれに応じて検討しなければならぬところの義務があると私は思うのです。ただ、それを日本の側においてお互い話し合いましょうというようなことでなくて、もっと主体性を持って要請すれば、アメリカは必ずこれに応じなければなりませんし、応ずれば向こうの言い分というのもお互い出てきて、どこの主張が正しいかも、世論もあるいは世界の関心も注がれるでございましょう。これは一体どこの担当か知りませんけれども——この要請というのはやはり外務当局なんですか。しかしその外務当局が要請するという場合にも、土台をなすのはやはり防衛庁だと思うのです。そういう日本の自主的立場で、協定二条によりますところの要請を具体的にアメリカにやったことがございますか。
  416. 高松敬治

    高松政府委員 二条に基づいて向こうが検討するというより、従来のやり方としては、施設委員会なり合同委員会なりを通じて両方で協議を行なって、返還すべきものは返還する、こういう手続で事実上やっております。それでアメリカに遠慮をして私はものを申し上げているつもりはないのですが、問題は、外務省防衛庁あるいは防衛施設庁とが一緒になりましてこういう作業をやり、最終的には外務省がその衝に当たるわけでございますけれども、私どもとしては、事務的段階においていまそういうことを考えながら仕事を進めているということを申し上げたつもりでございます。ある時期が来ればそれについての政治的判断がなされ、政治的交渉が行なわれる、こういう形になろうかと思います。
  417. 安里積千代

    ○安里分科員 これは、大臣あるいは外務の責任者に対して回答を求むべきものであると思いますし、事務当局に対してこのような質問を申し上げることはあるいはどうかと思うのですけれども、このような沖繩の実態からいたしまして、協定の第二条に基づいて積極的に基地の縮小に対して、しかも具体的に要請をするところの政治姿勢があるかどうか、これは皆さんの事務当局の段階において明言することができぬかもしれませんけれども、しかしあなた方とされましても、協定第二条がある限り、いずれか一方の国から要請があれば再検討しなければならぬということがあるのだから、一応きまったことだからというようなことでは私はいけないと思うのです。ひとつ積極的に、この第二条にありまするところの開放の要請をするような姿勢であってほしい。そのためには日本側としまして、こんなものは必要ないのだというだけの自主性を持って臨まなければならない、こういうことを実は申し上げたかったのです。  同じ第二条の末段には、必要がなくなったときは返還しなければならぬ、返還することに同意するとまでも条項にあるわけであります。その点についてひとつ大臣にかわってお答えができますならば、政府の基地問題の縮小に対する基本的な考えということを述べていただければ幸いです。
  418. 高松敬治

    高松政府委員 大臣にかわって御答弁を申し上げるということはちょっと僭越かと思いますけれども、先般の一月二十三日の安保協議委員会におきましても基地の統合問題が取り上げられ、そしてさらにそのときの発表文の中にもありますように、今後とも基地の整理統合は日米両国間において取り上げて検討してまいるということが約束されておるわけでございます。したがいまして、それに沿って私どもは今後仕事を進め、そういうことによって作業が進んでいくであろうと思います。  ただ、先般、大平外相が発言されておりましたのを聞いておりますと、あまりに夢を与えるだけでも非常に困るのだ、問題は非常にむずかしいので、事は慎重に運ばなければいけないというような御発言がどこかの委員会であったのを私、記憶いたしますけれども、私どもはそういう気持ち、そういう問題のむずかしさを一方には踏まえながら、事務的な段階においては事務的にいろいろ準備を逐次進めてまいっておる、こういうのが現在の段階でございます。  それから二条によってこちらが要求を突きつける、こういうことは従来もそういう形にはあまりなっておりませんで、双方の要求を双方でいろいろ検討して結論を出していく、こういうことで、二条のそういうものを持ち出すまでもなく、話し合いが逐次進められてきているというのが実際であるというふうに理解をいたしております。
  419. 安里積千代

    ○安里分科員 話し合いということ、もちろん交渉の段階で話し合うのです。しかしこれは話し合うところのものじゃないのです。いずれかの国から要請があれば検討するという、非常に積極的なんですよ。だからそれだけの政治姿勢、外交姿勢、こういうことがなければ、ただ話し合うだけでは弱いのです。日本の自主的な立場において積極的に出るだけの権利がちゃんと条約上にはあるわけです。それを活用せられるということが私は望ましいと思います。これ以上のことを長官にお聞きしても無理かと思いますので、いずれまたこの点は外務省当局にもお伺いしたいと思っております。  そこで先ほどいただきました坪数、面積というのは、これは陸上の坪数でしょうか。
  420. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 陸上の坪数でございます。
  421. 安里積千代

    ○安里分科員 そこで、沖繩の復帰によりましてアメリカ提供したものには、陸上の施設、それから訓練区域、水域あるいは訓練区域の空域——訓練区域の水域あるいは訓練区域の空、これは別にいたしまして、陸上施設関係水域というのがございます。先ほどのお話のとおり、これは陸上のいわゆる土地の面積でございます。ところがアメリカ提供したもののうちには、陸上施設関係水域として相当の部面が提供されております。ではこの陸上の、いわゆる土地以外に関連水域として提供されておりまする面積はどのくらいでありましょうか。
  422. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 陸上関連の水域としてございますのが全部で三十六ございますが、それ以外に全く陸とは関係のない洋上にございます水域が三カ所ございます。合わせて三十九カ所でございます。ただいま提供というおことばがございましたのですが、これらの陸と接続した水域及び洋上の水域に領海部分と公海部分とございます。領海部分については提供ということになりますが、いずれにいたしましても水域の御質問の面積につきましては、われわれのほうでは何ぶん膨大な海上のことでございますので、数字としては把握しておりません。
  423. 安里積千代

    ○安里分科員 海上だと把握していらっしゃらないというと、これはちゃんと防衛施設庁長官の名において施設庁が告示したものなんです。ですから、陸上施設関係水域としてあげられておるわけで、施設のそばの五十メートル、百メートルあるいは北緯何度から東経何度と、こういうふうにちゃんと施設庁が告示をされておるわけなんです。告示された施設庁が把握されてないということはおかしいんじゃないですか、その面積を。何カ所ということはわかりますけれども、その広さがどのくらいかも把握されてないというのは、公海だからわからぬじゃおかしいですよ。
  424. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 通常、陸上の場合には図面をつけて面積幾らというふうに数字で表示いたしております。海上水面の場合には特に海上の場合には通常緯度、経度であらわすということになっておりますので、面積としては把握いたしておりません。
  425. 安里積千代

    ○安里分科員 そうしますと、緯度でもって提供——これはちゃんと提供ということばを使っておりますが——しております。そうしますとそこも軍用地、まあ地とは言えぬでしょうけれどもアメリカの軍の支配下にあるわけでございまするから、そこへ入っていくということになりますと、これは不法侵入ということになるわけですね。
  426. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 昨年五月十五日、復帰の時点におきまして、日米において、当時は八十七カ所の陸上施設及びそれぞれの付帯水域また洋上の水域、空域等につきまして、それぞれ提供についての具体的な内容の日米の協議を整えた合意を一件ずついたしました。その際に、水域に関連いたしますものにつきましては、それぞれの該当水域における関係漁業者あるいは航行船舶等の扱いにつきまして、日米間で取りきめを行なっております。その取りきめの中で、水域によりましては漁業の制限は全くないという場所もあれば、たとえば上陸訓練等する場合にあらかじめ演習通報を出して、その時期は水域に入ってもらっては困るけれども、それ以外の時期には入ってもいいと、そういうふうにそれぞれ個々に条件が付してございます。
  427. 安里積千代

    ○安里分科員 北緯何度東経何度というような度数が示されましても一般にわからないのですよ。陸上でしたらどの地域だとわかりますけれども、あの地域にくいが立っておるわけじゃないから、旗が立っておるわけじゃないから、どの地域かということはわからないのですよ。その地域というものは、現地に着いてもわからないということでございましょう。だから場合によっては制限する、あるいはまた常時制限をしておる地域もあります。その地域というものは、一般の住民にとりましてはどこの範囲だかということはわからないことですよ。そうしますと、常時的な制限区域に入っていきますならば、これは不法侵入だということで罰せられる、漁業ができるできぬは別の問題といたしまして。そういう問題も起こるということになりますが、めんどうくさいからお聞きするのですけれども施設庁のほうにおいては緯度で示されておりまするけれども施設庁の中では図面でもってそれは明らかにされておりますか。
  428. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 私どもの役所の仕事を取り運びます便宜上、沖繩なら沖繩の地図の上に、水域を一応落とした事務の取り扱いの便宜上の図面はございます。しかしながら正確に、たとえば海図の上に落としたとか、そういう図面を私どものほうとしては持ってはおりませんです。ただ、先ほどから御質問にありましたように、通常航行船舶とか大型漁船とか、そういう船になりますと緯度、経度というものは慣例として使っておりますので、そういったあらかじめわれわれのほうで告示しております水域の所在については、あらかじめ認識していただくというのが通常になっております。ただ、沿岸の小型の漁船等の方たちがおなれになるまでの間、あるいはそういった面についての周知が十分行き届いてないということであるならば、まさに水域をこの海面のうちのここからだというようなことを物理的に認識するということは、個々の例ではむずかしい場合もあろうかと思います。
  429. 安里積千代

    ○安里分科員 問題は、航海の大きい汽船などのあれはそうでしょうけれども、沿岸の、しかも施設、区域に接続しておるところの地域でございますので、そこは一般の漁民たちがどこからどこまでが制限区域だというような、そんなことを認識するというようなことは、緯度で示されている以上はわかりませんですよ。しかし緯度で示されておるならば——皆さん方がほんとうに一生懸命にお仕事をなさるならば、提供された地域、たとえば海岸から五十メートルだ何だといろいろな表もありますよ。ですから、それが陸上の地域幾ら、そうすると隣接する水域幾らの面積が軍の権限として提供されておるんだということは、やっぱり把握される必要がないでしょうか。それは今後開放される上においても私は大事だ、こう思っておるわけです。  そこで、事務的に地図の上ではあるわけですね。しかし、一般には緯度で示されたところの地域というものは、しかもこれは陸上の施設に接続するものでありまするからわからない。先ほどお話しになりましたところの沖繩の土地の面積というものは、これは御承知のとおり沖繩の施設はたいてい海岸にあります。ですから、この海岸をめぐるところの大部分の地域というものが提供されておるので、この面積もさらに膨大なるものになると思うのです。  そこで、漁業を制限するものもある、しないのもある、あるいはまた使用しておる間は制限するというようなことも確かにございます。いろいろな書き方がございますが、使用する場合に一週間前に通知する、あるいは十五日、こういうようなこともございますが、この通知はどこに対してなされるわけですか。
  430. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 水域で漁業に関係のあるものについては、関係漁業組合に御連絡しておりますが、市町村にもあらかじめ御連絡するようにしております。
  431. 安里積千代

    ○安里分科員 アメリカからは施設庁に通知があるわけですか。私はアメリカからのことをまず聞いておるわけです。
  432. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 沖繩におきましては、那覇施設局にまず通知がございます。
  433. 安里積千代

    ○安里分科員 そうすると、そういう通知がアメリカから施設局に行く。それを施設局は関係市町村あるいは関係漁業組合に知らしめる。これだけですか。そうすると、市町村長はそれをまた一般の人々に知らしめるところの義務があるわけですか。そうして、その水域に入るのはその市町村民だけではない、また、関係漁業従事者ばかりでもないはずです。そうなりますと、はたして市町村長がそれをまた告示するか、あるいは知らしめる義務があるかどうかもわかりませんし、もし怠った場合の責任というものも今度は生まれてくると思うのです。施設庁としては市町村に知らした。市町村としてはどういう処置をとったか知りませんけれども、それがわからずに入った。問題が起こった。市町村長はその責任をとらなければならないというような立場になりますか。
  434. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 一応沖繩におきましては、那覇防衛施設局がまず米軍から通知を受け取るわけでございます。その場合に、個々の訓練場、個々の水域に関しましては、あらかじめ那覇防衛施設局長が関係市町村、関係漁業組合等と、どういうふうな通報のやり方をするかということを復帰後相談しているはずでございます。そして、そのあらかじめ相談したことに基づきまして、個々の通報を受け取った場合に、市町村にお流しして、やはり何と申しましても関係住民の方たちにそういう面をお知らせいただくのは地方公共団体の行政ベースで御協力いただくことが最も適当かと思いますので、お願いしているわけでございます。また、漁業組合が御指摘のように、関係市町村外にわたるものについてもあらかじめ把握しておりまして、それらの漁業組合に御連絡することにしております。また、個々の住民の方たちについての御指摘がございましたが、そういう意味で、ある日突然この水域を使うからということで通報が出るような場合には、確かにあらかじめその水域にそういう演習が行なわれるという認識がない状態で通知するという場合には、そういう問題も起こる可能性があるわけでございます。  そういう意味において、五月十五日復帰の時点後、米軍がそういう施設として使うという陸上部分なり海上部分なりについて告示をいたし、周知をはかって、こういう水域では訓練が行なわれるという状態があるのだ、そして、それは演習通報で通知されるのだ、あるいは常時制限になっているのだ、そういう基礎的な条件というものが前提として認識された上に立って、個々の演習の通報を行なうというたてまえになっております。
  435. 安里積千代

    ○安里分科員 たてまえはというふうに簡単におっしゃいますけれども、私はこの問題は、理屈を言うわけじゃございませんけれども、実際問題になりますとほんとうにトラブルの、あるいはまた問題になる点があるだろうと思います。ですから、なおこれは私自身も検討してみたいと思っております。ただ、ここにありまするところの関連水域につきましては、告示にもありまするとおり、漁業の制限される場合があります。  そこで問題は、こういう制限された地域におきまする漁業の受けましたところの損害というものが当然そこには生まれてくると思います。ですから、そういう制限区域におきまする、ある場合には開放し、ある場合には使うことができない、こういうものに対しましては、当然補償の問題が起こると私は思うのです。土地に対しましては賃料が払われますし、海でございますから地料はございませんけれども、そこに生活の根拠を持っておる者に対しましては、当然それ相当の補償がなされなければならないということが考えられると思いますけれども、そのように解してよろしゅうございますか。
  436. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 ただいまの点は、あらかじめそういうことで制限されている水域に漁業者が入れないということによって生じますところの漁業上の損失でございます。これはそういう水域をあらかじめわれわれのほうで、漁業操業の制限に関する法律がございまして、それに基づきまして、米軍施設としてここは使用されるという告示以外にもう一つ、漁業の操業制限に関する告示もかぶせて出しております。そしてそれを関係漁業者にあらかじめお知らせしているわけでございます。  それで、それに基づきまして、年間制限されました漁業の損失、これにつきましては、その損失に見合うものについて当然当庁として補償することになっております。
  437. 安里積千代

    ○安里分科員 別の問題ですが、沖繩の基地の提供につきましては、賃貸借契約によってやったものと、いわゆる公用地法でやったものがあると思いますが、契約によってアメリカ提供しましたところの地域、それから暫定使用法によりましてやった地域、これはどのくらいございましょうか。また、まだ未契約のものは。
  438. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 民公有地の契約件数にいたしまして全部で三万一千六百件ございます。そのうちで現在契約が整っておりますものが二万九千三百件でございます。それから所在不明の方が四百件ございます。この方たちにつきましては告示をいたしております。それから公用地等暫定使用法に基づきまして、五月十五日復帰の時点から公用地等暫定使用法で使用できるという形で告示をいたし、その後暫定使用法の三条に基づきまして、それぞれの方に通知しましたのが千八百件ございます。なお残りが百件ございますが、この百、件の方につきましては、若干の方はまだ土地の所有についての係争中の方がございますが、大部分の方々については、現在なお何とか円満に契約にこぎつけたいということで、那覇防衛施設局で交渉を続けているところでございます。
  439. 安里積千代

    ○安里分科員 面積。
  440. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 面積は、これはまるい数字で申し上げたいと思いますが、契約を終わっておりますのが一億五千十八万平米でございます。それから暫定使用法で使用の権限を持っておりますのが二千九百八万平米、それから契約交渉中のものが七百八十四万平米でございます。
  441. 安里積千代

    ○安里分科員 これに対しまして、本年度の予算におきまして払われました借料、あるいはまた収用されたものには補償金の形で払われておる。これは、暫定使用法でやられたのも地料として払われておるわけですか、補償の形で払われておりますか。もし区別されておりますならば、地料で支払われた金額、それから補償金として支払われた金額、そして予算に対して何十%これが済んでおるかどうかをお聞きしたいと思います。
  442. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 契約が成立して借料として支払っておりますのが、すでに支払い済みになっておりますのが、二月末現在で百十一億四百万円でございます。それから暫定使用法に基づきまして補償金としてお支払いしておりますのが六億九千三百万円。合わせまして百十七億九千七百万円という数字が、二月末の数字でございます。
  443. 安里積千代

    ○安里分科員 このほかに、いわゆる見舞金として払われたものはこの数字の中には入っておりませんか。
  444. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 現在までに支払われております見舞金、三十五億でございます。
  445. 安里積千代

    ○安里分科員 そうしますと、まだ未契約の分が七百八十四万平米あるということでございますが、じゃ、これはどうなっておるわけですか。契約せずにどういうふうな立場で使われておることになりますか、法的には。
  446. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 予算としてございますが、あと約七%強ぐらいになりましょうか、予算にいたしまして。これは現在まだ未執行の状態でござ  います。
  447. 安里積千代

    ○安里分科員 私がお聞きしたのはそうじゃないのです。契約をしたものがある、それから暫定使用法でとったものがある。そうでない、以外の土地がある、しかしこれはアメリカが使っておる。これは、じゃ法的にどういう根拠に基づいてアメリカ提供しているということになりますか。
  448. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 先ほど申し上げました公用地等暫定使用法に基づきまして、昨年の五月十五日現在から公用地として——公用地の項目がいろいろとあの法律に書いてございます、その中で、復帰後米軍の用に供する土地として必要なものについて告示をいたしまして、五月十五日からその法律に基づくところのいわゆる使用の権限が国に生じているわけでございます。それに基づきまして、安保条約、地位協定に基づいて米軍提供しているわけでございます。
  449. 安里積千代

    ○安里分科員 そうしますと、施設庁といたしましては、アメリカ提供しておる、その地主との間には、別にこれは公用地暫定使用法によって、収用ということばが適当かどうかわかりませんけれども、収用された土地のうちに入ると、こういうわけですか。
  450. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 収用といいますか、公用地等暫定使用法に基づきまして使用できるという権限があるというわけでございます。
  451. 安里積千代

    ○安里分科員 これらのものにつきましておそらく土地の地主がわからないとか、あるいは外国におるというようないろんな状況でまだ完全な手続がなされていない、こう思うわけですけれども、そういったものに対しましても一応の通知がみんないっておるわけですか。あるいはもし送達できなければ公示送達の告示の方法でもされておるわけですか。
  452. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 先ほど申し上げました数字の中で、海外等におられるとかあるいは所在不明とか、そういう方で御通知できない方は一応告示をいたしまして、大方の方は公用地等暫定使用法の三条に基づきまして、こういうことで所有されている土地がこの法律でもって一応国が使っておりますという通知を申し上げております。  なお、残り約百件につきましては、現在その通知をせずに、何とかしてお話し合いで契約に持っていきたいということで努力している数字でございます。
  453. 安里積千代

    ○安里分科員 こめ地料の額についてお伺いしたいと思うのですが、契約によりましては地料の改定期間は一年ごとの改定期間でございますか。
  454. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 通常、円満に契約が成立している方々とは、会計法上の賃借料の支出の根拠となります形としての契約を毎年かわしております。
  455. 安里積千代

    ○安里分科員 毎年かわしておりますことは、契約するごとに新しく更改と申しますか、変わるごとに地料の額というものは結局検討されて毎年変わることがある、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  456. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 通常、土地等の貸借契約に基づきましてそれぞれの借料を算定いたします場合には、その年度当初の土地なり建物の適正な基準、よりどころとなるべき評価を立てまして、たとえば農地の賃借料、山林の賃借料というものをその所有者の方と協議させていただいて、その年度の契約に入ることになっております。
  457. 安里積千代

    ○安里分科員 四十八年度の予算要求におかれましては、その地料の改定、値上げというようなものがどの程度考慮されて組まれたものであるかどうか。
  458. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 来年度の借料の予算につきましては、四十七年度に比して、最近の沖繩のそれぞれの土地等の変動の状況を一応予測しながら予算要求大蔵省にいたしまして、一応政府原案といたしまして、来年度は、借料、平均いたしましてでございますが、四十七年度に比して約一六%のアップということで計上、審議願っていることになっております。
  459. 安里積千代

    ○安里分科員 この点は、当事者であります地主の皆さん方の要求にははるかに及ばないところの金額だったと承っております。また、施設庁とされましてもある程度、いま査定されましたところの一六%以上を必要とするというようなお立場になって見られたのではないかと私は見ておりますが、財政上の都合であるいはこうなったろうとは思いますけれども、それはそれといたしまして、御承知のとおり、今度は沖繩におけるその後における非常な地価の状況というものが生まれてきております。こういうことが配慮されますと、来年度に対しましてはいまの一六%ということも、すでに要求をする地主の側からしますならば、これも不満。そこへ持ってきて、いまのいろいろな異常な状況が出てまいりました。そうしますと、この問題については、地料額につきましては再検討を加えなければならないところの数字が生まれてくるのではないか、このように思いますが、いかがですか。
  460. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 これは、財政当局といろいろと折衝した結果、現状におきましてこの一六%の借料のアップは一応妥当だろうということで計上しております。四十八年度に入りましてからいろいろ、ただいま御指摘のような近傍の土地の変動等の事態を踏まえて、今後の借料の算定の資料といたしたいと思います。
  461. 安里積千代

    ○安里分科員 最後に一つだけあげておきます、時間もないようでございますので……。  これは、現在の施設庁があるいは直接関係ないとけられたら困るわけでありますけれども、軍用地その他の問題に対します、またこれを返還したというような場合における補償関係は施設庁の関係でございますので、申し上げるわけでございますけれども、旧西原飛行場の敷地につきまして、もちろん復帰前においてアメリカが開放した土地でございますが、これは日本軍によって戦争の末期において収用された。ところが、完成しないうちにアメリカが上陸いたしまして、アメリカがこれに拡大して飛行場をつくった。そこでアメリカは復帰前に返還をいたしました。地主の要求に従いまして、アメリカに復元補償を要求いたしまして、満足でございませんけれども、一応補償しましたが、その場合において、アメリカ自身がやったものからは、これはアメリカ責任があるけれども日本軍時代にやったものに対してはアメリカは補償するわけにいかないということで、これは除かれておるわけです。しかし、いずれにいたしましても飛行場として軍が取り、日本が取り、それでアメリカがこれに追加したという状況にあります。このために、ずっと前からこの補償、ことに公共施設などの破壊によります補償というものを要求されております。こういったことも、私は戦争のあと始末といたしまして——もちろん復帰前にアメリカが返した地域でございますけれどもアメリカ自身が、これは日本軍時代にやったものだから日本のほうで責任を持てということで、自分たちが追加したものに対しましては補償したのですけれども、あとがございません。これに対しては、やはり政府とされまして何らかの補償の措置をとるべきでないか、私はこう思います。詳しいいろいろな数字的な問題などはお手元にいろいろな要求書が来ておると思っておりますので、これに対するお考えをお聞きいたしまして、一応私はこの問題に対する質問を終わっておきたいと思います。
  462. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 旧西原飛行場の問題につきましては、私ども事情は一応お聞かせいただいて承知いたしておりますが、ただ、ただいまも御説明がございましたように、いろいろ経過等に複雑な問題がございます。この事案をどういうふうに取り扱っていくのか、障害の存在する点はあるとしても、これをどういう形で採択していくのか、あるいはどこの役所がこの問題を担当するのか、これらの点についてまだもう少し詰めなければならない点があろうかと思います。
  463. 安里積千代

    ○安里分科員 終わりますが、いずれにいたしましても、これは日本政府責任においてなさなければならぬ問題でございますので、問題を提起しておきますので、ぜひこれが具体化されるように、皆さんのほうでも御協力を願いたいと思います。  終わります。
  464. 臼井莊一

    臼井主査 次に、米内山義一郎君。
  465. 米内山義一郎

    米内山分科員 大臣が御退席のようですが、私はきょうは議論にわたることはお尋ねするつもりはありませんので、御答弁防衛施設庁長官からいただきたいと思います。  まず第一にお尋ねしたいことは、私は青森県出身の代議士ですが、三沢にある対地射爆場と申しますか、われわれが天ケ森射爆場と言っているものを、政府としてはことし、来年、再来年、まあ両三年のうちに手放す方針でございますか。
  466. 高松敬治

    高松政府委員 いまのところそういう方針はございません。
  467. 米内山義一郎

    米内山分科員 まあ手放すというと、ちょっとこういうところで言うことばじゃないようですが、あれを廃止するとか移転するとかという意味なんですが、手放す方針がない。それが困難な理由はどういうところにございますか。
  468. 高松敬治

    高松政府委員 その前に、そういう方針はない、こう申し上げましたが、問題は、むつ小川原総合開発計画の工業地区の中にあの射爆場が現在ある。したがいまして、これにつきましては、防衛庁としてはそういう計画が進んでいくならばこれに協力せざるを得ないというふうに考えております。  ただ、開発計画策定の際にも、了解事項の中に入っておりますけれども、「防衛施設については、その重要性にかんがみ防衛機能を阻害することのないよう措置するものとする。」という条項がございまして、私どもとしては、代替施設の取得というふうな問題も考えなければいけないかというふうなことも考えておりますが、そういう意味で、代替施設も含めまして、それを、おっしゃる手放すつもりはない、こういう意味で申し上げたわけでございます。
  469. 米内山義一郎

    米内山分科員 そうしますと、昨年の九月十四日の閣議口頭了解という、私ども聞いたことのないものだと思うのですが、あの閣議の方針に対しては、防衛庁としては条件づきの賛成という意味ですか。
  470. 高松敬治

    高松政府委員 いわゆる閣議了解でそういうことが了解されているということでございます。
  471. 米内山義一郎

    米内山分科員 いや、私の聞いているのは、了解されているということじゃない。了解事項に対して、この射爆場を撤去するには他に適当な代替地があった場合には賛成、まあ協力するという意味と解していいのですか。
  472. 高松敬治

    高松政府委員 どうしてもこれをどけなければいけないということになれば、防衛庁としては代替地の取得を考慮してほしいと、こういうことでございます。
  473. 米内山義一郎

    米内山分科員 しかし、あの射爆場はいわゆる安保条約によってアメリカ提供しておる。現在は共用されている事態です。これは国際関係も含むものでして、そういうことを考えてみると、そういう情勢がここ数年の間に米軍の了解を得た上に可能だという見通しがございますか。
  474. 高松敬治

    高松政府委員 現在米軍が使用している唯一の本土内における射爆場でございます。したがいまして、米軍にもいろいろなあれがあろうと思いますけれども、ただ、代替の射爆場ができるならば、その点では交渉は可能であるというふうに私ども考えております。
  475. 米内山義一郎

    米内山分科員 実は昨日、三沢の北部方面軍司令官に会いまして、あの使用状況を聞いたんです。現在は米軍はあそこを使っていないけれども、そのお話によると、いまは三沢にいる自衛隊だけじゃなしに、全日本の飛行機があれを使わなければ訓練ができないというようなことを承ったんですが、実情はそういう状態ですか。
  476. 長坂強

    ○長坂政府委員 お答え申し上げます。  本来はここは千歳の第二航空団、それから三沢の八十一航空隊、それから松島の第四航空団といったところの部隊の使用に当てられておるところでございますが、たまたま最近に起きております事象としましては、水戸対地の射爆場が一応クローズになっております。それからもう一つ九州の岡垣、芦屋の射爆場というのが昨年の三月末日に日本政府に返還になりまして、自衛隊の使用が、いろいろな事情から延び延びになっておりまして、まだ開始されておりません。したがいまして、そういうようなごく最近の特異な事象と申しますか、一昨年以前にはなかった事象がからまっておりますので、いま御質問のような状況があると言っていいかと思います。
  477. 米内山義一郎

    米内山分科員 次に、その射爆場から北のほうに高射砲と申しますか、対空機関砲と申しますか、これの射撃演習場がございます。これも手放すつもりでございますか。
  478. 長坂強

    ○長坂政府委員 先ほど来、うちの防衛施設庁長官が申し上げているような三沢の対地射爆場と同様の考え方に基づいておりまして、手放すつもりはないということを一応お答え申し上げることができようかと思いますし、それから例のむつ小川原湖の開発計画との関連では、先ほど防衛施設庁長官から申し上げましたような代替施設ということをめぐってのやはり問題がございます。  以上でございます。
  479. 米内山義一郎

    米内山分科員 そうしますと、射爆場のほうは  アメリカとの関係があるからむずかしいと思いますが、射撃場のほうは青森県知事が責任をもって青森県内に代替地、いわゆる安全性の高い、防衛庁のほうでも使いやすいようなものを提供するといえば可能ですか。
  480. 長坂強

    ○長坂政府委員 可能でございます。
  481. 米内山義一郎

    米内山分科員 もしそれが不可能な場合に、青森県の工業開発のために、たとえば佐渡島でもいいし、ここにおられるわが党の楢崎君の県でもいいし、あるいは山田氏の山口県あたりでも、青森県の工業開発をやるためによそへ適地を求めるということは、いまの情勢下に可能だとお考えになりますか。
  482. 長坂強

    ○長坂政府委員 たとえ話で申しますと、ちょうどピッチャーだけがあってキャッチャーがないような、出ていってくれというところはありましても、現実には受け取ってくれるというところはなかなかむずかしいのではないか。そこでこれも土地縁と申しますか、因縁ありまして青森に行っておるわけでございますので、まあひとつ何ぶんよろしくお願いしたいというようなところでございます。
  483. 米内山義一郎

    米内山分科員 引き受けるわけにはいきませんけれども、結局、私はなぜこういう質問をしたかと申しますと、一応閣議があの二つの軍事施設を含めて、工業開発地域として線引きをしたわけです。それに基づいて開発が現実に進んでいるわけですね。ところが、住民からは土地を買収するが、国の持っているものは出したくない、出すことは困難だとか、いつになるかわからぬ、こんな開発はないと思ったから、実は聞いたわけです。  それだけわかれば、私の質問はこれで終わりました。  どうもありがとうございました。
  484. 臼井莊一

    臼井主査 次に、山田耻目君
  485. 山田耻目

    山田(耻)分科員 分科会のしんがりになりまして、たいへん時間も経過をしてまいりまして、御苦労をかけるわけですが、簡潔に二つばかりの問題についてただしていきたいと思います。  第一は、岩国に昨日参りまして、現地の住民なり自治体の代表である市長なり、それぞれ会いまして、市長からも要請を受けたわけでありますが、いまの岩国米軍基地はきわめて危険である。市の全く中心部に近いところにあるものでありますから、あそこにございます工場の煙突も、飛行機が飛しょうするのに不都合だということで高さが制限をされていくような状態で、岩国市内に飛行機が落ちて住民が殺傷されましたのは、昭和二十六年でございましたが、それ以後は、岩国市内で飛行機事故を起こしたことはございません。しかし、周辺地域には、ことしになりましても数回、そうした飛行機事故を起こしておるような状態です。  だから、現在の基地を沖合いの瀬戸内海に移設をしたい、こういう要望があるわけです。この基地移設の要望に対して、防衛庁はどういう考え方をお持ちなのか、この構想と見解についてお伺いをいたします。
  486. 高松敬治

    高松政府委員 いまお話がございましたように、かねてから私どものほうに対しましても、地元岩国市あるいは岩国市議会から、沖合い移設についていろいろ陳情がございました。強い御要望がございました。ただ、この埋め立ての実施につきましては、何ぶんにも膨大な経費を必要とする。それから技術的にもいろいろ問題があると思われますので、十分にこれをこれから調査、検討してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  487. 山田耻目

    山田(耻)分科員 この基地移設につきましては、山口県民並びに岩国市民に非常に期待と、片側には不安を与えているわけです。いまおっしゃっていましたように、この基地移設ということになりますと膨大な予算が要る。この膨大な予算の内容もお聞きしたいと思うのでございますが、そういうことで、実際の実現について危惧をされる市民。もう一つの側面的な不安というのは、現在の岩国米軍基地を移設という名において拡張する、そういう不安があるわけです。  今日、私は時間がございませんから、それぞれの中身についてうんと詰めていきたいのですけれども、それが十分できませんので、まず前者のほうの基地移設について、もう一言聞きたいのですけれども、ことし防衛庁並びに施設庁大蔵省との予算折衝の過程の中で、私、大蔵委員をいたしておりますけれども、承知しております限りでは、一月八日の予算内示の段階では、大蔵省はこの岩国基地移設の調査費計上について拒絶をいたしております。予算の決定段階に入りまして、一月の十三日の夕方から十四日にかけての最終決定でも拒絶をされております。こういう点について大蔵省主計局からお見えだと思いますので、そういう基地移設のための調査費の防衛庁要求に対してどういう措置をおとりになったのか、お尋ねをしたいと思います。
  488. 宮下創平

    宮下説明員 お答えいたします。  ただいまお話のございましたように、岩国飛行場につきましては、岩国の臨海工業地帯に隣接して所在しておるために、地元からこれを沖合いに移設してほしい、そのための調査を行なってほしいという要望がございまして、これを踏まえまして防衛施設庁におきまして、四十八年度予算の概算要求に際しまして約八百億円の調査費の要求がございました。あ、失礼いたしました。八百七万円の調査費の要求がございましたが、財政当局としてはその要求は認めてございません。  ただ、防衛施設庁として通常の業務調査の一環として、一般の旅費、庁費の中で海面の埋め立てがはたして可能かどうかという点について検討することは可能であろうかと存じております。
  489. 山田耻目

    山田(耻)分科員 調査費の計上は拒絶をした。ただ一般調査として、基地周辺の調査として防衛施設庁が行なう行為については、それは認めておるけれども、基地移設の八百七億の調査要求については拒絶したといういまの答弁でございますが、施設庁はいかがですか。
  490. 宮下創平

    宮下説明員 ちょっと先ほど私、八百七億と申し上げたようで、取り消さしていただいて八百七万円と申し上げましたが、いま先生は八百七億とまたございましたので、ちょっと訂正させていただきます。
  491. 山田耻目

    山田(耻)分科員 これは私が間違えました。
  492. 高松敬治

    高松政府委員 いま宮下主計官から御説明があったとおりでございます。
  493. 山田耻目

    山田(耻)分科員 そういたしますと、私、どうも防衛施設庁は、国の財政法であるとか国の予算であるとかというものに対して、きわめて軽視をなさっておるのか、隠し予算というのをお持ちなのか、私は少しふに落ちない。追及をしたいわけでありますが、いまの大蔵省の最終査定の段階で、いま主計官が申し上げたように拒絶をいたしております。  しかし、同じ一月十三日に鶴崎次長から岩国市長に対して、「岩国飛行場沖合移設に関する調査について」「かねてご要望のありました岩国飛行場沖合移設の調査につきましては、昭和四十八年度において着手する予定であります。」その金額は八百万円であります。このように岩国市長に対して伝えております。しかも、こういう公文書が出ております。一体これはどういうことですか。私、昨日、岩国市長をただしましたところ、実は一月十三日に、岩国市長と岩国市議会議長と基地移設特別対策委員会の委員長と三者で施設庁に請願に参って、その席上で鶴崎次長からこれをもらったと申しております。これは一体、長官、どういうふうになるのですか。
  494. 高松敬治

    高松政府委員 先ほど主計官から御説明がありましたとおり、いわゆる調査費というものは認められなかった。ただ、その防衛施設庁の一般の庁費、旅費というものの中でその可能性その他について調査をするということは差しつかえない、こういうことになりました。そこで、私のほうといたしましては、地元から非常に要望の強いところでもあり、とにかくどういうふうになるのか、その具体的なことについて調査をしよう、こういうふうにきめまして、地元からの御要望もありましてそういう文書を出した、こういう次第でございます。
  495. 山田耻目

    山田(耻)分科員 一般調査費から、出張旅費だとか現地と打ち合わせるとか、そういう目に該当する問題というのも、基地移設の調査費ということでは予算上認められていないわけです。それはいま大蔵主計官が申したとおりです。それをなぜ公文書で、「岩国飛行場沖合移設に関する調査について」、明確なんですよ。いまあなたがおっしゃっているような一般調査費じゃないんです。私は、岩国は西日本最大、将来は日本最大の基地になるであろうと想定されますこの岩国基地、それは施設庁としても、その周辺の一般調査費をお持ちになるということは認めます。しかし、問題になっております岩国基地沖合移設に関する調査について、こういう公文書をなぜ出したんですか。これを出しましたためにどういう反響が地元に起こっておりますか。この公文書が明らかになって、そうして岩国の基地沖合い移設はきまったということによって、いま私が第二番目の側面として申した基地拡張という意見と、これは基地そのものに反対をする革新グループに対する押えつけのアドバルーンである、こういう言い方すら出まして、現地住民の間には今日たいへんなトラブルが起こっておるのです。一体、予算措置もないのにこういうことをおやりになったことに対して、施設庁長官としてものの言いようがありはしないかと思うのです。こういう公文書を出したことを適当と思われますか。いかがでございますか。
  496. 高松敬治

    高松政府委員 その文書の表現があるいは誤解を招くのかもしれませんけれども、今年四十八年度においてわれわれの実施したいと考えております調査は、その岩国沖合い移設を決定的に前提としているものではない、むしろ沖合い移設が可能であるかどうかということを調査するものだ、このことは岩国の市長も地元の人も十分に了解をしておられるはずであります。
  497. 山田耻目

    山田(耻)分科員 私は、この公文書の主文並びに内容について誤解を生ずるようなものは一つもないと思うのですよ。もう一度言いますが、「岩国飛行場沖合移設に関する調査」こうなっている。はっきりしているのです。どこに誤解がありますか。そして、いま大蔵主計官は、岩国基地沖合い移設についての調査費をつけた覚えはないと言うのです。だから私は、財政法上どうなるのか、予算上どうなるのかと、あなたに伺っているわけです。
  498. 高松敬治

    高松政府委員 誤解を生ずると私が申しましたのは、岩国の飛行場の沖合い移設を前提にして、あるいはそれが決定されたということを前提にして、そうして調査に関する費用をつけたんだ、こういうふうに思われるならば、それは誤解である。われわれの考えておりますことは、それから地元もこれは御了解になっておると思いますけれども、そういうことの可能性の有無をまず検討すると、こういうことである、ということでございます。
  499. 山田耻目

    山田(耻)分科員 長官、どうも私の言っていることが言いようが悪いのか、どうもすっきりした返事が伺えませんけれども、こういう公文書をお取り消しになる気持ちはございませんか。この公文書に関する限り、岩国の基地を沖合いに移設をする調査、四十八年から着手するとなっているのです。そういう予算大蔵省は一文も組んでないのです。基地周辺の一般調査というのは、予算としてはあなた方の使う分が組まれておりますけれども、あれほど表面化し、問題になり、あなた方も大蔵省に対して予算をつけてくれと陳情したのでしょう。要求したのでしょう。その折衝もしたのでしょうが。断わられたのでしょうが。にもかかわらず、岩国基地沖合い移設に関する調査、四十八年から実施をする。あなた方が大蔵省要求した八百万円は、そのまま岩国市にこの金でやる、こう言っているのでしょう。私は誤解はないと思う。だから、こういう公文書というものをお取り消しになる用意はないのかと私は言っているのですよ。いかがですか。
  500. 高松敬治

    高松政府委員 私ども考え方は、先ほども申し上げましたように、大蔵省のそういう意味予算取り扱い上の調査費というものは計上されなかったけれども防衛施設庁予算の範囲内で、庁費、旅費によって実行上——実行上と申しますか、そういうことでこの沖合い移設についての調査を実行する、こういうことでございます。したがいまして、私、もし誤解を招くとすれば先ほど申し上げたようなことで、沖合い移設が決定的前提であると、こういうふうに思われる余地があるならば、それは違います、そういうことではなしに、まずそういう御要望も非常に強いので、その可能性についてわれわれとしても見当をつけてみたいということで、そういう調査を四十八年から着手する予定でございます、こういう文書を出したわけでございます。
  501. 山田耻目

    山田(耻)分科員 私は、あなた方が一月八日に予算折衝をなさるときに、この防衛庁予算の項の中に特記事項として八百七万円を計上してほしい、大蔵省はだめだといっておるのですよ。それで一月十三日、十四日にも、その交渉の最終決定の段階でもだめだった。  ところが、今度は防衛庁施設庁岩国市に対して、断わられたこの予算要求金額と全く同じ八百万円をやろう、そうして公文書をつけて出している。調査費八百万。この公文書の中に金額は明記してございません。明記してございませんけれども、飛行場の沖合い移設調査、四十八年度実施します、予算はと聞けば八百万でございます、それは施設庁予算でやりますと。一体、国会とか予算委員会とか予算編成とか、そうして予算総則とか、何のためにあるのですか、こういうものは。あなた方がかってにおやりになるということは許せないのです。だから私は、問題の発生の原因はこの公文書ですから、この公文書をお取り消しになる用意はないかと言っているのですよ。あやまちをおかしてはいけません。いかがですか。
  502. 宮下創平

    宮下説明員 先ほど私が、特記された要求は認めていないということは申し上げました。ただ、ということで後段に、防衛施設庁として通常の業務調査の一環として、一般の旅費、庁費の中で海面の埋め立てがはたして可能かどうかを検討するということは可能であろうかということを申し上げましたが、この通常の業務調査の一環としての一般の旅費、庁費と申しますのは、先生方十分御承知のことかと思いますが、一般的に人当庁費あるいは人当旅費という形で、特定の調査目的を掲記いたしませんで、人当的に各官庁にそういう経費が計上してございます。これは施設庁がその必要を認めました場合におきましては、岩国の可否について現地におもむき、しかるべく調査をするというようなことは可能であろうと思います。
  503. 高松敬治

    高松政府委員 御指摘の文書につきましてはもう一回検討いたしてみますが、私の承知している限りでは、この文書では、先ほど来私が申しているような意味合いでつくったものでございます。ただ、その点についてもし現地に誤解があるとすれば、そういう誤解のないように、もう一回現地にもよくその趣旨をお話しをする、こういうことにいたしたいと思います。
  504. 山田耻目

    山田(耻)分科員 それじゃ、長官、この公文書はあなたもごらんになったと思う。これは明らかに首題として「岩国飛行場沖合移設に関する調査」、こういうことになっておるのですよ。いま主計官が言ったように、この調査費は特記事項はだめだという、組んでないというのです。組んでないということは明確なんですよ。それを今度はあなたのほうで、一般の調査費を適用して、何とか、要求した、拒絶をされた、それと全く同じ金額を示しながら一般調査費の中に食い込んで実施をしようとしておる。これは詐欺的行為です。予算の当否というのは、何をするかということにかかっているのです。何をするかということは、拒絶されたのです。ところが、裏側からこっそり同じ金額を計上しながら運用していく。これでは、国家予算に対する国民の不信というのは強まる一方ですよ。  だから当面、この岩国基地沖合い移設についてという公文書については、いま御検討いただけるという御返事でございましたので、検討していただいて、そうしてこの首題に関する公文書は、取り消していただくように現地に指導していただく。そうして基地周辺の調査について、施設庁としては四十八年度も引き続いてやる、あるいは新しく行なう、こういう公文書ならば、私は性格は違うと思うから、そのようにお取り直しをいただきたいと言っておるのです。  私は、決してわからぬことをあなたにお願いしておるわけじゃない。当然のことだという立場から申しておる。そうしなければ、国の財政というものを国民理解するときに、特に施設庁というのは隠し財源を持ち、国の言うことも聞かぬで好きかってなことをやっておる、こういうふうに理解されることのこわさを承知するからです。だから、誤解じゃない、表向きそのままのこの公文書というものは、誤解でなくて、全く制度上も運用上も間違いを起こす、そういう立場からお取り消しの検討をいただきたい。現地に対しては一般調査だということで訂正を願いたい。
  505. 高松敬治

    高松政府委員 御職旨はわかりました。繰り返してたいへんくどいようでございますけれども、そういうふうに、たとえば正式の調査費ということになりますのは、大体実施することをむしろ前提にしての調査費が計上されるというのが一般でございます。そういう形ではない、これは明確でございます。ただ、先ほども申し上げましたように、施設庁の庁費、旅費の範囲内でその移設の可能性についてあらかじめ検討したい、予備的な検討を行ないたい、こういうことでそういうふうなことをやりますというのがその文書の目的であると思いますけれども、ただ、いまいろいろお話しのありましたような誤解を生ずるといたしますれば、もう一回私としてもこれを検討してみます。それから地元に対しても、そういう、これが決定したということを前提の調査費ではないということはすでに地元も十分御承知だと思いますけれども、なお念を入れてその辺を申し上げたいと思います。
  506. 山田耻目

    山田(耻)分科員 この事項についてはこれで終わりますが、長官、くどいようですけれども、「岩国飛行場」——これは主文ですよ、内容ですよ。「岩国飛行場沖合移設の調査につきましては、昭和四十八年度において着手する」となっておる。だから、あなたの言い分は通らないですよ。この公文書に関する限り通らない。だから、この公文書をもう一ぺん再検討することが一つ、これはよろしゅうございますね。  そうして、「着手する」と書いてございますから、現地は議論が二つに分かれておる。あなたの言うようなことを言う人もないことはないのですよ。しかし、大勢は、沖合い移設の調査にことしから着手をしていただくことになった、これはそうなるんです。そのとおりなんです。そのとおりなんですよ。だから、私は、誤解を招いてはならぬし、結果として国会審議を軽視することにもなるし、われわれはたいへんな侮辱を受けることになるから、この際、こういう公文書は検討の結果訂正をなさるようにお願いをしたい。一つも私は無理を言ってない。これはよろしゅうございますね。
  507. 高松敬治

    高松政府委員 検討をいたしてみます。
  508. 山田耻目

    山田(耻)分科員 どうですか、これを見せましょうか。だから、これはほんとうは、誤解のすべてを招いておるから一応撤回なさって、そうしてあなた方のおっしゃっておるような一般調査だ、こういうことで岩国市に通達をなさるということが一番正しいのですよ。そういうことをやってくれますか。
  509. 高松敬治

    高松政府委員 検討いたしてみますが、その結果どうするかということについては考えさせていただきたいと思います。
  510. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 関連。これは検討の余地ないのですよ。はっきりしておる、主題からかれこれ二、三行で。何を検討するのですか。だからこれは当然です。あなたがいま答弁なさったこととこの内容は違う文章だから、これを一応撤回して、あなたが答弁でおっしゃっているとおりのことをお出しなさいと、まことにもっとものことを山田委員は言っているのです。それを、いまから検討して何かにするような、そんな検討した上でどうするかわからぬような答弁なら、これはだめです。分科会は終わりませんよ。
  511. 高松敬治

    高松政府委員 私は、先ほど来御説明申し上げておるような趣旨でその文章がつくられたというふうに考えております。ただ、そういう文章がそういう誤解を招くようなものであるかどうか、その点を検討してみたい、こういうことを申し上げたわけであります。
  512. 山田耻目

    山田(耻)分科員 私もたいへん穏やかに穏やかに話をしようと思っているのですけれども、それは長官、この文書には誤解は全然ありません。だれも誤解するものはいないのです。こういうことを出したから両論に分かれておるわけです。だから、こういうことをお出しになった施設庁自体が、今日、片側では予算についての疑惑を生み、片側では一般地元市民の皆さんの中にたいへんな混乱を生んでいる。だから、これは一応没にしてもらって、そうしてあなたがいままでおしゃべりになったようなことを公文書に書いてお出しなさいと、こう言っておるわけです。だから、それはそのとおりに措置をするとおっしゃっていただければ、私はやめていいのです。
  513. 臼井莊一

    臼井主査 山田君に申し上げますが、時間がまいりましたから……。
  514. 山田耻目

    山田(耻)分科員 いや、これじゃ何にもならぬ。——たいへんすみません、ああいう答弁で長くなりまして。  もう一点、これは簡単にお伺いしたいと思いますが、岩国基地は、日本の海上自衛隊が共同使用いたしておりますけれども昭和三十八年十二月五日、当時の防衛庁事務次官の加藤陽三さんが、この岩国基地は、米軍が撤退をしたら、自衛隊は共同使用という名を使わずに当然所有者岩国市に返還をする。同じく三十九年二月十四日に施設庁長官の小野さんのほうからも、同様のことがなお詳しく書かれて、岩国市の転用要望については所管省である大蔵省に十分地元に返還の意思を伝えます、米軍の返還が明らかになったときには事前に岩国市に通知をいたします、こういう詳しい書類が出ておる。そうして去年の八月三十日になりまして、同じく防衛事務次官の島田さんのほうから、米軍が撤退してもこの岩国基地についてはどのように使うかあらためて検討する、こう出ております。そして、これもまた山口県ではたいへんな問題になりまして、いろいろと議論が沸騰いたしました結果、県知事からもう一度島田事務次官に対して再質問して、それは三十八年に出された加藤事務次官の解釈とは違うじゃないかという質問をいたしたら、それから三カ月たちました四十七年、去年の十二月八日に、取り消しますと、加藤事務次官が出しましたその解釈どおりに訂正をすると、こういう訂正文が出ております。  私は、こうした一連の動きをながめてみまして、全く、防衛庁のものの考え方の中に、非常にアメリカに追随をする姿が露呈されておるとは申しません、非常に不安定である、そういう感じをひとしお強く受けるわけです。しかし、そういう訂正公文書も出ておりますので、今日ではこのとおり山口県民は理解してよろしいかどうか、お伺いしておきます。
  515. 長坂強

    ○長坂政府委員 この加藤書簡の、米軍が撤退した後も共同使用の名に隠れて自衛隊が使用を継続するという考えはございませんというとおりでございます。
  516. 山田耻目

    山田(耻)分科員 何か歯にものがはさまったような答弁ですが、時間もございませんから、加藤書簡のとおり、その後島田さんが再訂正された書簡のとおり、そうして小野施設庁長官が出されたように、この土地は貴市の意思に沿うように返還を大蔵省にも進達をする、こうなっておりますから、これらを含めての、いまの書簡のとおりだということだというふうに理解をいたします。  それからもう一件、時間もございませんで恐縮ですが、岩国米軍基地の中に、膨大な米軍基地ですけれども、今日五百六十八万九千二百五十九平米。ところが、この中に二百十六万七千七百五十五平米の民有地がある。パーセントで見ましたら三八・一%の民有地があります。  この岩国基地の前身は、昭和十四年の十二月に日本海軍呉鎮守府の航空隊がここに移駐をしました。したがいまして、海軍省なり大蔵省のほうから昭和十三年から土地買いが始まりました。そうして十八年にかけて土地を買っていきました。しかし、この当時この地域は農地とアシのはえた沼地でした。そのために、海軍省なり大蔵省が買ったところと買わないところが明確に残っているわけです。ところが昭和二十一年、終戦と同時に英連邦軍の飛行隊とアメリカの海兵隊の飛行隊とがここに同居してまいります。自来その地域が一括して、国のあたかも財産のごとき状態を呈しながら岩国基地は構築をされていくわけです。  だから、ここには地位協定等から生まれてくる法律百四十号等に基づいた所要の措置が講ぜられていないまま今日に放置されている。だから、岩国市役所のを見ますと、ここにはちゃんと土地台帳、法務局の土地台帳にも私有地として明確に残っております。昭和二十六年の固定資産評価がえのときに、畑が一反一万五千円、たんぼが一反二万四千円として評価がえをされております。だから、これから類推をいたしますと、昭和二十五年までには旧地主に対して固定資産税がかけられていたと考えられます。ところが、残念ながらこの帳面というのは、いわゆる徴収の台帳というのは十年間が保存でございまして、すでにございません。こうした沼地であろうと荒廃地であろうと、私有地は私有地、国有地じゃありません。だからこれに対して、膨大な地域ですから、御精査をいただいて、そうして時価で買い上げる方針なのか、それとも賃貸借損害補償、こういう措置をなさるおつもりなのか、その方法として個別折衝をなさるつもりなのか、私は筆ごとに意見を添えて施設庁から資料としてお出しをいただきたいと思います。きょう論議する間がございません。資料としてお出しをいただいて、この私有地の処理に対して施設庁の方針をお示しをいただきたいと思います。これは御返事はいただければいまいただきますし、資料としてはお出しをいただきたいことを要求しておきます。
  517. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 ただいま御指摘で民有地ということでございましたが、私どものほうでは、一応国有財産台帳に載って国有地と取り扱っていた土地のことだと思います。  これはただいまお話にございましたように、現在の岩国飛行場の用地になっております土地が、昭和十四年に海軍の岩国航空基地となるに伴いまして、昭和十三年からいろいろ買収があった経緯を承知しております。そういった買収になった土地で、登記簿上民有名義のままになって現在に至っている問題であるというふうに当方としては考えておるわけでございます。  いずれにいたしましてもだいぶ前のことでございますし、不分明の点もありますので、現在当庁といたしましてはそれぞれの公図だとか、登記簿あるいは相続人等に関する調査、または旧軍の当時の買収を挙証するような資料の調査とか収集整理、そういった調査を進めているわけでございます。何ぶんにもそういった問題の土地が、名義人にいたしまして八百人に近く、また筆数にいたしましても四百筆というような膨大なものでございますので、これらの調査かなり日数がこれからかかろうかと思いますが、鋭意こういった点の実情を明らかにしていきたいと思います。  そこで、御指摘のございましたそれらの土地を買収するとかあるいは賃貸借するとか、そういった問題は、いずれにしましても、これらの調査が終わった結果を待った上でなければ、扱いについてはわからないわけでございます。  また、ただいま資料として筆ごとということでございましたが、何ぶんにもただいまそういうことで調査中でございますので、そういった筆ごとの資料というものについてはまだ整っておりませんので、お出しするようなものはございません。
  518. 山田耻目

    山田(耻)分科員 あなたのほうは国有財産である、いわゆる土地台帳国有財産への切りかえができていなかった、こういう御趣旨のようですけれども昭和十三年から土地を買い始めて、昭和十六年、十七年と買っておるようですが、そのものは約六〇%国有地として登記されておる。ところが、登記をされていなかった土地に対して、昭和十七年十二月十四日許可、昭和十七年より昭和二十年まで「荒地免租年期」という表示がしてあるのです、この法務局と岩国市の土地台帳には。だから、ここは荒れ地としても、もうどうしようもないということで免租の決定がなされておる。ここは国有地じゃないのです。そうして、同じく昭和十八年十二月二十日に「荒地免租年期満了賃貸価格設定」という判を押してあります。だから、いま私が申し上げました四百筆に及ぶ膨大な土地については、これは国有地じゃないのです。ないから、各筆ごとに昭和二十六年に賃貸借価格決定と記入してあるのです。だから、そうなりますと、少なくとも二十六年にその決定の記号がついておりますから、それ以前は賃貸借として何らか残っていた、あるいはこの人は固定資産税を払っていた、こういうふうに類推するのは、どちらかの側についたという立場じゃない、客観的にそういう証拠が出ているのですから。  だから私は、いま調査をするという立場ですからそういう客観的な問題をしっかり踏まえていただいて、これはもう国が買うておったのだという横車を押さないように、私は厳格な調査をお願いをすると同時に、その調査の結果を資料として出していただきたい。これはお願いしておきます。
  519. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 調査につきましては鋭意促進いたすつもりでございます。  なお、私は筆致四千筆と御答弁申し上げたと思っておりましたのですが、ただいま四百筆というふうにございましたので、もし私が間違って申し上げておるとするならば、四千筆に訂正させていただきます。(山田(耻)分科員「あなたは四百筆と言ったよ」と呼ぶ)そうでございますか。失礼いたしました。
  520. 臼井莊一

    臼井主査 時間が過ぎましたから、結論をお急ぎください。
  521. 山田耻目

    山田(耻)分科員 それでは、時間もございませんから、これで終わります。  最後に、さっき時間を長時間要しました、いまの四十八年一月十三日付、防衛施設庁次長鶴崎敏さん、この人のこの問題についての内容の訂正文ができ上がりましたら、それを伺ってきょうは終わりたいと思います。——見出しはこれでよろしい。誤解を招かないように一般の調査であるということを内容に盛ったものを、いままとまっておれば伺いたいし、まとまっていなければ再度公文書を出す、こういうことをひとつ表明願いたい。
  522. 高松敬治

    高松政府委員 その点につきましては検討いたしまして、そういう誤解を招くことのないような文書を出すようにいたしたいと考えます。
  523. 山田耻目

    山田(耻)分科員 以上で終わります。
  524. 臼井莊一

    臼井主査 以上で総理府所管中、防衛庁に関する事項についての質疑は終了いたしました。
  525. 臼井莊一

    臼井主査 この際、おはかりいたします。  昭和四十八年度一般会計予算中、皇室費国会、裁判所、会計検査院、内閣総理府及び法務省所管並びに他の分科会所管以外の事項、なお、総理府につきましては、経済企画庁を除く所管昭和四十八年度特別会計予算及び昭和四十八年度政府関係機関予算中、他の分科会所管以外の事項に対する討論採決は予算委員会に譲ることに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  526. 臼井莊一

    臼井主査 御異議なしと認め、さよう決しました。  これにて本分科会の議事は全部終了いたしました。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  分科員各位の熱心な御審議と格別の御協力によりまして、本日、ここに、本分科会の議事がすべて終了することになりましたことを深く感謝いたします。ありがとうございました。本日は、これにて散会いたします。     午後十時十二分散会