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大出分科員 ところで、ここに法制局の大先輩の第一
部長をやっておられた山内一夫さんの「
施設及び区域」という論文がございます。三十五年の「時の法令」というところの論文であります。私、いままで防衛関係を十年やっておりますけれ
ども、その山内一夫さんに承っておりますが、これが
基礎になっております。この中から、いろんな諸説ございますが、このワクの中で論ぜられています。だから定説と言っていい。十年間そうですが、私より以前の方もおそらくこれでやってきたんでしょうが、私は三十八年からでございますから。
そこでこの中に「
施設とは、土地または公有水面がこれらの運営に必要な現存の設備、備品および定着物と一体的に
提供された場合の観念であり、区域とは、土地または公有水面が単独で
提供された場合の観念である」こうなっている。だから、区域のほうははっきりしている。土地または公有水面が単独で
提供される、土地と公有水面だけが
提供される。これが区域です。そこで
建物という表現はどこにもない。では、それはどうなつているかという点。先ほど申し上げましたように第二条の一項、この末尾に「当該
施設及び区域の運営に必要な現存の」と、こうなっている。「現存の設備、備品及び定着物を含む」、つまり
施設、区域という観念は、土地と公有水面が切り離されて単独での場合には区域になる。それと土地と公有水面プラス「必要な現存の設備、備品及び定着物」、この「設備、備品及び定着物」これを含んだ場合に
施設という。そうすると
施設というものの中身をこの論文によって整理をすると、
施設の中身は、土地と公有水面プラス「設備、備品及び定着物」これしかない。
建物という概念はどこにもない。もう一ぺん言いますよ。土地と公有水面プラス「現存の設備、備品及び定着物を含む。」つまりこれしかない。これが一体的に運用された場合に
施設という。これが定説なんです。
建物という
ことばはどこにもない。だから、そうなると、
建物というのは「設備」この中に
建物を含むのか、「定着物」これに
建物を含むのか、こういうことにしぼられる。今日までは
建物は「定着物」の中に、立木であるとか
建物であるとかいうものを定着物という、こう言っていた。だがしかし、いずれにしても
建物という概念は「設備」か「定着物」か、どっちかにしか含まれていない。「
施設」の中にはない。
施設が単独ならば区域になってしまう。土地、公有水面、それに「設備、備品及び定着物」これしかない。
そこで、したがって楢崎
分科員の午前中の
質問に返るのだけれ
ども、これを取り上げて
質問をして、「現存の」とあるではないか。——議事録を私調べました。「現存の」とあるではないか。ならば、それは
提供時における
日本側の
責任、
日本側の負担はこのときだけになる。「現存の」であるから、こういう解釈になる。
さて、そうすると問題になるのは、
提供するときに建っていた
建物、備品、定着物、これは
日本側の負担で無償で
向こうに
提供する義務がある、そこだけになる。そうすると、今回の
建物は、設備に入るか定着物に入るかどっちかに入っているのです、ほかに
建物という概念はないのですから。
施設というものは、土地と公有水面、設備、備品、定着物一体となったものが
施設なんだから、ほかにない。そうすると、
建物は設備に入るか定着物に入るか、いずれか。そうすると、設備でも定着物でも、この
地位協定二条一項に明確に明定されておるように、「現存の設備、備品及び定着物」なんだ。
提供するときに存在をするものをさしている。だから、それ以後今日になって、六億五千五百万、片一方三億四千五百万かけて
建物を
建てかえる、このことは、
地位協定にこの解釈に入っていない。これは初めから明確なんです、山内さんの解釈からすると。それ以外ないはずなんだ。この点が先ほど
外務省と食い違いましたから、お答えください。