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1973-03-07 第71回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年三月七日(水曜日)     午前十時四分開議  出席分科員    主査 臼井 莊一君       伊能繁次郎君    塩谷 一夫君       田澤 吉郎君    湊  徹郎君       吉永 治市君    勝澤 芳雄君       北山 愛郎君    久保 三郎君       高沢 寅男君    野坂 浩賢君       米田 東吾君    大橋 敏雄君       松本 忠助君    山田 太郎君    兼務 東中 光雄君 兼務 坂口  力君    兼務 竹本 孫一君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 増原 恵吉君  出席政府委員         防衛政務次官  箕輪  登君         防衛庁参事官  大西誠一郎君         防衛庁参事官  長坂  強君         防衛庁長官官房         長       田代 一正君         防衛庁防衛局長 久保 卓也君         防衛庁人事教育         局長      高瀬 忠雄君         防衛庁衛生局長 鈴木 一男君         防衛庁経理局長 小田村四郎君         防衛庁装備局長 山口 衛一君         防衛施設庁長官 高松 敬治君         防衛施設庁総務         部長      河路  康君         防衛施設庁施設         部長      平井 啓一君         防衛施設庁労務         部長      松崎鎮一郎君         外務省アメリカ         局長      大河原良雄君         大蔵省主計局次         長       長岡  實君         大蔵省理財局次         長       小幡 琢也君         中小企業庁次長 森口 八郎君         自治省行政局長 林  忠雄君        自治省税務局長 佐々木喜久治君  分科員外出席者         議     員 瀬長亀次郎君         外務省アメリカ         局外務参事官  角谷  清君         大蔵省主計局主         計官      宮下 創平君         大蔵省主税局税         制第一課長   伊豫田敏雄君         大蔵省理財局国         有財産審査課長 勝川 欣哉君         林野庁林政部長 平松甲子雄君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     南部 哲也君     ————————————— 分科員の異動 三月七日  辞任         補欠選任   福田  一君     吉永 治市君   北山 愛郎君     野坂 浩賢君   楢崎弥之助君     勝澤 芳雄君   山田 太郎君     渡部 一郎君 同日  辞任         補欠選任   吉永 治市君     福田  一君   勝澤 芳雄君     高沢 寅男君   野坂 浩賢君     北山 愛郎君   渡部 一郎君     松本 忠助君 同日  辞任         補欠選任   高沢 寅男君     米田 東吾君   松本 忠助君     大橋 敏雄君 同日  辞任         補欠選任   米田 東吾君     久保 三郎君   大橋 敏雄君     沖本 泰幸君 同日  辞任         補欠選任   久保 三郎君     楢崎弥之助君   沖本 泰幸君     山田 太郎君 同日  第二分科員東中光雄君、第四分科員坂口力君及  び竹本孫一君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十八年度一般会計予算総理府所管(防  衛庁関係)      ————◇—————
  2. 臼井莊一

    臼井主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  昭和四十八年度一般会計予算中、総理府所管を議題とし、防衛庁に関する事項について政府から説明を求めます。増原防衛庁長官
  3. 増原恵吉

    増原国務大臣 昭和四十八年度防衛庁予算案につきまして、その概要を御説明いたします。  まず防衛本庁について申し上げます。  昭和四十八年度防衛本庁歳出予算額は、八千五百四十九億八百万円で前年度の当初予算額に比べますと一千二百四十二億六千七百万円の増加となっております。  次に、新規継続費は、昭和四十八年度甲IV型警備艦建造費等で三百七十八億七千八百万円、国庫債務負担行為は、航空機購入艦船建造装備品等整備研究開発等で二千四百六十五億一千五百万円を要求しております。  また、昭和四十八年度自衛官定数は、二十六万六千四十六人で、前年度予算定員に比べますと、二千八十三人の増員となっております。  次に、防衛本庁予算案内容について申し上げます。  昭和四十八年度は、第四次防衛力整備五カ年計画の第二年度として、着実に防衛力整備を進めることとしております。  四十八年度予算において特に重点を置いた事項は、次のとおりであります。  第一に、従来に引き続き隊員処遇改善のための諸施策を強化することとし、このため、隊舎の新設、建てかえ、食堂、体育館、プール等整備及び隊員営舎内生活環境改善を一段と推進するほか、航海手当の増額、退職予定隊員に対する諸施策充実等をはかることとしております。  第二に、防衛力を広く国民的基盤に立脚したものとするため、災害派遣その他の民生協力活動を積極的に実施し得るよう施設器材充実救難航空機調達等を行なうこととしております。  なお、施設器材については、施設部隊器材充実に加えて、新たに普通科連隊装備にも施設器材を導入することといたしております。  第三は、航空安全対策推進であり、四十七年度に引き続いて、航空管制のためのGCA、タカン、ラプコン等管制器材整備するほか、飛行点検機調達を行なうこととしております。  第四は、衛生施策推進であり、特に自衛隊における医官の不足を解消するため防衛医科大学校を設置し、四十九年度から開校し得るよう所要経費定員を要求いたしております。  第五に、陸上部隊装備艦船航空機等主要装備については、四次防の整備目標に従い所要整備を行なうことといたしております。  以下機関別内容を申し上げます。  陸上自衛隊歳出予算額は、三千七百三十三億三千百万円、国庫債務負担行為は、四百二十六億円となっております。  その主要な内容について申し上げますと、まず、陸上部隊装備として、従来に引き続き戦車小銃等調達するほか、新規装備品として、七三式装甲車、新牽引車調達することとしております。  次に、航空機につきましては、多用途ヘリコプター十一機、輸送ヘリコプター四機、連絡偵察機  一機、観測ヘリコプター十五機、練習ヘリコプター十五機、合わせて四十六機の購入を予定しております。  海上自衛隊歳出予算額は、二千百四十四億五千三百万円、国庫債務負担行為は、六百四十三億九百万円、継続費は、三百七十八億七千八百万円であります。  その主要な内容について申し上げますと、まず、昭和四十八年度自衛官定数は、艦船航空機就役等に伴い、千百八十四人を増員して四万一千三百八十八人となります。  また、艦船につきましては、護衛艦三千八百五十トン型一隻、千五百トン型一隻、潜水艦一隻、中型掃海艇二隻、小型掃海艇二隻、魚雷艇一隻、輸送艦二隻、支援船六隻、合わせて十六隻、一万一千八百四十三トンの建造を予定しております。  次に、航空機につきましては、対潜哨戒機八機、対潜飛行艇一機、救難飛行艇二機、初級操縦練習機三機、計器飛行練習機一機、対潜ヘリコプター六機、掃海ヘリコプター一機、救難ヘリコプター一機、初級操縦練習ヘリコプター一機、合わせて二十四機の購入を予定しております。  航空自衛隊歳出予算額は、二千四百十億五百万円、国庫債務負担行為は、一千三百二十九億三千二百万円となっております。  その主要な内容について申し上げますと、まず、昭和四十八年度自衛官定数は、沖繩配備のため八百九十九人を増員して四万四千五百七十五人となります。  また、四十八年七月から沖繩防空任務を引き継ぐこととなるのに伴い、沖繩航空機部隊ナイキ部隊航空警戒管制部隊等を一元的に統括し得る指揮機能を現地に置くため、南西航空混成団新設いたします。  次に、航空機購入につきましては、戦闘機二十四機、救難捜索機一機、飛行点検機一機、救難ヘリコプター二機、合わせて二十八機の購入を予定しております。  内部部局統合幕僚会議及び附属機関歳出予算額は、二百六十一億一千八百万円、国庫債務負担行為は、六十六億七千三百万円となっております。  主要な内容は、四十九年度開校を目途とする防衛医科大学校経費各種装備品研究開発費、その他各機関維持運営に必要な経費であります。以上のうち、自衛官定数増南西航空混成団新設及び七三式装甲車調達につきましては、昭和四十七年十月九日に閣議決定された文民統制強化のための措置についてに基づき、国防会議にはかり決定されたものであります。  続きまして防衛施設庁について申し上げます。  昭和四十八年度防衛施設庁歳出予算額は、八百四億六百万円でありまして、これを前年度の当初予算額に比べますと百八億九千百万円の増加となります。  次に、防衛施設庁予算案内容について申し上げます。  四十八年度予算重点といたしまして、最近の基地をめぐる諸般の情勢にかんがみ、周辺住民生活の安定及び福祉の向上に資するための諸施策推進をはかることとし、また、駐留軍従業員福利厚生離職者対策等充実をはかるための予算を計上しております。  以下各項別内容を申し上げます。  調達労務管理事務費につきましては、駐留軍従業員の雇用の特殊性にかんがみ、駐留軍要員健康保険組合臨時補助金及び駐留軍関係離職者等対策費補助金を増額する等従業員対策費として三十六億五千万円を計上しております。  施設運営等関連諸費につきましては、総額六百八十五億三千四百万円で前年度当初予算額に比べますと、九十二億三千七百万円の増加となっております。  このうち、基地周辺対策事業につきましては、基地問題の実態に有効に対処し得るよう大幅な増加をはかり、三百七十四億六千六百万円を計上しております。  その他相互防衛援助協定交付金七千二百万円、一般行政事務に必要な防衛施設庁費八十一億五千万円を計上しております。  以上申し述べました防衛本庁防衛施設庁予算国防会議及び特定国有財産整備特別会計へ繰り入れを加えた昭和四十八年度防衛関係費は九千三百五十四億六千四百万円となり、前年度に対して一千三百五十二億五千百万円、一六・九%の増加となります。  以上をもちまして、防衛本庁及び防衛施設庁予算案概要説明を終わります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  4. 臼井莊一

    臼井主査 以上で説明は終わりました。     —————————————
  5. 臼井莊一

    臼井主査 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北山愛郎君。
  6. 北山愛郎

    北山分科員 私は、特に四十八年度予算関連をして四次防あるいは三次防計画についてお伺いをしたいと思うのであります。  まず最初に、四次防計画というのは昨年の十月九日、たしか四兆六千三百億円というふうにワクが大体きまったわけです。そうしますと、常識的に私考えるのですが、四十七年度防衛費が八千二百十四億、四十八年度で、いま御説明のとおりに九千三百五十四億でありますから、あと四十九、五十、五十一と三カ年に残る分は二兆八千七百三十二億でありまして、これを算術的に平均割りにいたしますと、毎年、四十九年度からは九千五百七十七億、こういうことになるわけです。そこで、したがってことしが九千三百五十四億であれば、大体来年度からは防衛費関係予算というのは横ばいである、このように考えてよろしゅうございますか。
  7. 増原恵吉

    増原国務大臣 北山議員の申されたとおりの計算になるわけでございますが、四次防について若干御説明をしましたときに申し上げたと思うのでございまするが、四次防の四兆六千三百億円というのは、ベースアップ及び年々の物価騰貴等は含んでおらないわけでございます。これは三次防につきましても、最初数字の二兆三千四百億と、そういうものを含めました計数の締めくくりとは違っておるわけでございます。したがいまして、残り分を三年で割った形のものにとどまるというわけにはおそらくまいらない。ベースアップ等を考えまして、実質額は四兆六千三百億円よりも若干上回るということになるものと見込んでおります。
  8. 北山愛郎

    北山分科員 ベースアップの分は大体どの程度に見ておられるのですか。
  9. 小田村四郎

    小田政府委員 お答えいたします。  毎年のベースアップは、御承知のとおり、人事院の勧告に基づいて計算されるわけでございます。したがいまして、防衛庁といたしましては、この五廣の問のベースアップがどの程度になるかという計算はいたしておりません。
  10. 北山愛郎

    北山分科員 いずれにしても給与の改定分は上乗せになる。しかしそれ以外の本体については大体横ばいである。いま物価高お話がございましたけれども、従来の第三次防でも物価高については、これは計画数字を、総体ワクを広げるということで、従来そういう運用をしておられますか、大蔵省主計局の人おられますか。
  11. 長岡實

    長岡政府委員 お答え申し上げます。  第三次防衛力整備計画実行に際しましても、三次防いわゆる二兆三千四百億という経費ワクは、三次防計画策定時の単価で算定をいたしました。その後、実行の段階におきまして、必要に応じまして単価改定等も織り込みました結果、三次防期間、四十二年度から四十六年度までの予算化をいたしました金額を総計いたしますと、二兆五千二百七十二億という結果に相なっております。
  12. 北山愛郎

    北山分科員 いずれにしても、計画としてはことしの九千三百五十億が、それらの事情を別にすれば来年も大体横ばいであって、四十九年からどんどん、十何%もふえるなんということはないわいけですね。
  13. 小田村四郎

    小田政府委員 先ほど大臣から申し上げましたとおり、四兆六千三百億円の中にはベースアップあるいは物価の上昇というものを見込んでおりませんので、したがって、四兆六千三百億円と、いままでの四十七年度、四十八年度の差額を残りワクという計算にはならないわけでございます。四兆六千三百億円と申しますのは、今後の実質ベース防衛費というものを見込んだものでございまして、これが経済規模に比べてどの程度のものになるかということを考える場合のおおよそのめどを立てたものでございますので、年々の予算につきましては、そのときどきの財政経済状況に応じまして、かつまた防衛庁内容充実ということの要求と、両方を考えながら政府決定してまいるわけでございます。
  14. 北山愛郎

    北山分科員 そういういいかげんなことを言われては困るのですよ。やはり三次防なんかも、二兆三千四百億プラスマイナス二百五十億ということで、そのワクに従って実施した、いわゆる達成した達成率というものもすでに予算説明の中にも出ているのですよ。そんなにその年度年度の経済状況なり、自衛隊状況によってふくらましたり縮ませたりできるというなら、世間でいっている四兆六千三百億という数字というものはいいかげんなものだということになる。そうじゃないんじゃないですか。そんなに伸縮自在なものじゃないんじゃないですか。長官いかがですか。
  15. 増原恵吉

    増原国務大臣 もとより伸縮自在ではございませんで、ベースアップあるいは物価水準高騰等がなければ、四兆六千三百億でおさまるようなものにするということできめたワクでございます。したがいまして、いわゆる主要品目などは四次防で大きい全体の教字を定めております。これはもうこれに従って行なうということでございまして、伸縮自在では決してございません。
  16. 北山愛郎

    北山分科員 そうしますと、私が最初申し上げたように、四兆六千三百億というものを基礎にして計算をいたしますと、もうすでに四十八年度までは予算計上されておるわけですから、あとの差し引いた二兆八千七百三十二億というものは、かりに算術的に三カ年平均すれば九千五百七十七億、こういうものが土台になる、このように私は確認をいたします。そこで、要するにこれから受ける感じは、防衛庁予算というものは四十九年度以降はそう伸びないのだ、ふやさないのだ、四兆六千三百億という大体のワクでしょう。ですからそれは五カ年間、四十七年から五十一年までの五年間で四兆六千三百億ですから、大体そういうことになるでしょう。これが人件費その他が多少変わっても土台だ、このように了解いたします。  それから、次にお尋ねをするのですが、四次防の内容につきましては、主要項目が発表されておりますが、内容の詳しい説明というのはまだないわけですね。そこで主として主要項目装備内容についてお尋ねをいたします。  特に金額についてお尋ねするのですが、陸上装備につきましては、装甲車が百七十両、うち新型が百三十六、それから戦車が二百八十、うち新型戦車が百六十、自走火砲が九十門、こういうことになっておりますが、この総体経費はいかがになりますか。——そういうことに時間を費やされては困るので、それではついでに艦船についてもお尋ねをします。  艦船は五十四隻ですね。そのうち護衛艦が十三隻、潜水艦が五隻、補給艦が一隻、その他三十五隻ということで五十四隻ですが、この総体金額もあわせてお尋ねをします。  それから、次は航空機ですが、これは陸上海上航空、全体で四百六十二機整備するということになっております。陸上自衛隊が百五十九機、それから海上自衛隊が九十二機、航空自衛隊が二百十一機、その中にはF4EJファントムが四十六機含まれておりますが、この航空機総体金額をお示しを願いたいのです。ナイキホークがそれぞれ、ナイキが二群整備、一群が準備、ホークが三群整備ということになりますが、そのナイキホーク金額も示していただきたい。
  17. 小田村四郎

    小田政府委員 ただいま先生がおっしゃいましたもの以外にも購入する装備品がございます。そういうものを合計いたしまして申し上げたいと思いますが、陸上装備につきましては、ただいまご質問のございました三つ装備以外のものも含めまして四次防期間中の調達総額をおおむね一千五百億円と考えております。それから艦船につきましては、四次防期間中の調達総額が約二千六百億円でございます。それから航空機でございますが、航空機総額が約六千百億円、さらに誘導弾でございますが、これが約六百億、合計いたしますと、若干端数があるかと思いますが、約一兆一千億ということを考えております。
  18. 北山愛郎

    北山分科員 これはあとでそれぞれの装甲車なら装甲車幾ら、何が幾らというふうにして印刷したものを各委員に配付していただきたいと思うのです。  そこで、お尋ねをするのですが、いま説明の中に四次防期間中に調達すると言われた金額は四兆六千三百億の中に入っておりますね。
  19. 小田村四郎

    小田政府委員 ただいま申し上げました金額は、四次防期間中に契約を予定している金額でございまして、四次防の経費見積もりの中に入っておりますのは、そのうちの四次防期間内に歳出になる額でございます。したがって総額は入っておりません。
  20. 北山愛郎

    北山分科員 いまのお話は、おそらく五十二年度以降にいわゆる国庫債務負担行為とか後年度支出という分のことをいっているのだろうと思うのですが、おかしいじゃないですか。国庫債務負担行為にしても、継続費にしても、予算ですよ。発注ができる。ですから、その金額は、四次防として出す限りは四兆六千三百億の内訳でなければならぬはずなんですよ。それ以外にあるというのはどういうことなんですか。これは四次防としてやるのでしょう。ですから、四次防の計画は四十七年から五年間で、総ワクは四兆六千三百億だ、しかもこの主要項目は、四次防の装備であるとするならばそれはただ注文できる、この期間内に注文できるが、それ以外後年度で払う分が別ワクにあるのだなんというようなことはおかしいじゃないですか。四兆六千三百億というのは四次防分金額である。これは主要項目なんですね。それならそのワクの中にあるのはあたりまえじゃないですか。四兆六千三百億以外にはみ出すなんというようなことはおかしいじゃないですか。どうですか、長官
  21. 小田村四郎

    小田政府委員 所要経費は、四十七年度から五十一年度までの五年間の歳出と申しますか、実際に支出になる額を見積もったものでございます。この点は三次防におきましても同様でございまして、三次防におきましても、二次防期間中に契約したものの歳出額がございます。それから、三次防期間中に契約して、四次防期間中に歳出になるものがございます。これは除きまして、二次防期間中に契約して三次防に入る、歳出になるものも含めて所要経費を算定しておるわけでございます。四次防におきましても同じ方式をとっております。  そういう方式をとりました理由は、その期間における経済規模との対比あるいは総体の他の施策との対比、いずれも実支出ベースで比較するのが一般的でございますので、そういう方式をとったわけでございます。
  22. 北山愛郎

    北山分科員 そういうことをいままでやってきたことが私は問題だと思うのです。二次防から三次防に繰り越しになった分というのは、私の計算では七百六十七億ばかりあるのです。ところが、また三次防の四十六年度から四十七年度、いわゆる四次防に移った分が三千七百七億円あるのです。まだ四次防も何もないですよ。いまだったら、五次防というのはないでしょう。それを後年度へ引き継いでいく、そういうやり方をやるのなら、一体——四次防というものは国防会議決定閣議決定によって三つ要素できまっているわけですよ。総体ワク金額で。一つは、三次防であれば二兆三千四百億プラスマイナス二百五十億、これはみんな知っているわけですね。四次防は今度は四兆六千三百億だ。これが四次防である。しかも期間はそれぞれきまっている。四次防であれば、四十七年度から五十一年度までである。しかも主要項目はきまっておる。そのワクの中でやらなければならぬじゃないですか。それを四次防の主要項目でございますといって、そしてその支払いを五十二年度以降の金を当てにして先食いをしているというようなやり方をやっているから、世間に公表しておるものと実際に運用しているものとは違うのですよ。  さらに、問題になった、いまお話しになった三次防についても、それからたとえばことしの予算でも、すでに五十二年度にはみ出す分があるでしょう。四項目ばかりある。空対空ミサイルAAM7Eというのが五十二年度歳出化されるでしょう。それからF4EJ十二機が五十二年度ですよ。四次防の期間じゃない。それから先の予算先食いしているのじゃないですか。四十八年度からやっているのだ。四十九年、来年、再来年、次次とやっていくでしょう。そのようにして、ドリブルのようにして実施をふくらましている。国防会議決定を経、閣議決定を経て、これが四次防でございます、金額は四兆六千三百億でございます、と言っておきながら、実際はそれから先へ何千億かプラスになっちゃう。そんないいかげんなやり方はないじゃないですか。何次防、何次防というのは、それぞれ、総体金額ワクと、期間と、それから主要項目と、その三つ要素でもってその計画ができている。国民はみんなそういうふうに考えているのですよ。そんな融通のつくような、ずるずる繰り越していって予算先食いをするというやり方は、私どもは絶対に納得できないのです。いままでやってきたかもしれぬ。  去年の春の国会で例の四次防問題が出たときに、私ここで質問したのです。三千七百億という金は三次防から繰り越した、これは何次防になるのですかと聞いたところが、相沢主計局長は、これは四次防になるのだ。そうしますと、それは四十六年度や四十四年度に発注したものでしょう。それは三次防以外はなかったのじゃないですか、四次防というのはまだなかったのだから。ところが、結果において四次防になります——そんなばかなことはないですよ。そういった運用のしかた、それをぼくは改めてもらわなければならぬと思うのですよ。長官どう思いますか。
  23. 小田村四郎

    小田政府委員 これは、長期の防衛力整備計画につきましての基本的な考え方の問題も一つあるかと思いますけれども、防衛力整備計画と申しますのは、中心は、整備計画の大綱、つまり、基本的な考え方を示しておるのが大綱でございます。それから、具体的な調達装備充実するべき内容を示しておるのが主要項目でございます。この二つが眼目でございまして、経費につきましては、いわゆる公共事業系統のワクとは違いまして、おおよそのめどを示すということでございまして、これが他の経済諸施策に支障を与えるかどうかという判断をするための一つのめどでございます。  そういうことで私どもは、やはり長期経済計画におきましても五年間の実支出ベースで考えておるわけでございますので、それにならいまして、四次防の所要経費も同じような方式で考えておるわけでございます。  また、先生仰せられましたように、たとえば五十二年度以降の金額を含めよというお話でございますけれども、それを考えますと、五十二年度以降のその他の防衛関係経費というものは、これは見積もりが実際上ほとんど不可能でございますし、それを見積もることになりますと、五カ年間の計画ではなくて、非常に長期の計画をつくらざるを得ないということになりまして、実務上これは不可能であるということでございますので、いまのような方式をとっておる次第でございます。
  24. 北山愛郎

    北山分科員 しかし、先ほど来から話していることを聞いたって、これは矛盾じゃないですか。私は四次防の主要項目をさっき聞いたでしょう。その金額を聞いたでしょう。一兆一千百億だと言ったでしょう。その分は四次防の主要項目なんですからね。四次防の総体ワクというのは四兆六千三百億だというから、四兆六千三百億の中へ一兆一千百億が含まれているかと言ったら、そうじゃないと言う。おかしいじゃないですか。四次防の主要項目、四次防が四兆六千三百億、しかもその期間は五十一年度まで、こういう三つのことは、これはみんなの常識ですよ。国会だってそう思っているし、国民だってそう思っているでしょう。それをいまのように、そのときどきの経済状況だとか、そんなふうには受け取ってないのですよ。三次防だって二兆三千四百億プラスマイナス二百五十億というところまで、やっぱりある程度めどをつけて、大蔵省との折衝でやっているのですよ。そういうふうにみんな知っているのですよ。いろいろな経過を経て、そして四次防というのは四兆六千三百億に圧縮をされたということもみんな知っているのです。そんなものはいいかげんに伸び縮みしてもいいのだ、そういうことに運用しておるのだ、そんなばかなことでは私は納得しませんよ。長官、どうですか。
  25. 増原恵吉

    増原国務大臣 何と申しますか、これは予算の組み方としての在来のやり方を踏襲をしておるのでございまして、伸縮自在などには決してならぬわけでございまして、いま仰せになりましたように主要品目はきまっておりますので、これは契約ベースとして出まして、支出ベースとしては五十一年度以降、五十一年度過ぎたあと、いわゆる四次防の期間が過ぎたあとになりますが、これを契約をするということについては、主要品目として四次防中にはこれだけのものをやる。それ以上になるわけではございませんで、北山分科員の仰せになるように、そういう考えはいけないという御意見ももちろん私ども成り立ち得ると思いますが、いままで二次防、三次防とそういうふうにやってまいりまして、これは決してそれによって伸縮自在にするためではないのでありまして、経理上、予算編成上の従来の方式に従ってそういうやり方をした、主要品目はやはりきちっときまっておるということであるわけでございます。
  26. 北山愛郎

    北山分科員 これは予算上の都合だとかなんとかいうけれども、正式にきまっておるものを、四次防の大綱とそれから主要項目をわざわざ国防会議にかけて閣議決定をしているのでしょう。それだけきれいなものなんです。その中には、いま言ったように年度がきまっている、それから金額も、一つのかちっとしたものではないけれどもきまっているわけですよ。  たとえば四次防であれば、この主要項目の(備考)のところに「第四次防衛力整備五か年計画の実施に必要な防衛関係経費総額はおおむむ四兆六、三〇〇億円」というふうに、要するにこれはやはり決定事項なんですよ。それから年次もきまっているし、主要項目もきまっているということになったら——けさ、先ほど来御説明のように私は四次防の主要項目内容を先ほど聞いたでしょう。これは四次防の主要項目でしょう。それならば、四次防の四兆六千三百億の中に入っていなければならぬじゃないか。あたりまえじゃないですか。予算の経理がどうであろうが何であろうが、ともかく四次防のワクというものは四兆六千三百億なんだ、そして主要項目はこれだというのなら、その主要項目計算した金額は四兆六千三百億のワク内でなければならぬじゃないですか。はみ出してもいいというのはおかしいじゃないですか。そうすると結局、四次防期間あと予算先食いするのですよ、注文だけしておいて。この項目で注文だけはしておいて、そして先へ先へと予算を先取りしている。  だから、先ほど言ったように、第二次防から三次防に移ったのが大体七百六十七億だった、三次防から四次防に行ったのが三千七百億だった、それだけ繰り越して三千億プラスになっているでしょう。今度はどうなるかわからぬが、そういうふうに先食い先食いしていくならば、閣議決定し、国防会議決定して、天下に公表した金額ワクなりあるいは項目なりあるいは年次なりというものを、いいかげんに運用するということになる、信用できないということになるのですよ。予算上この運用ができないわけがないのですよ、きめ方を変えれば。たとえば項目を中心にしてやれば、これがかりにその期間を経過しても、四次防から五次防——五次防というものはないにしても、かりに五次防があるとして、これが次の期間にずれ込んだとしても、これは四次防の分であるとして経理をしたらいいのですよ。そしてその総体ワクがこの金額である、こうすればいいのであって、いまのようなやり方をしたのでは、ほんとうにそれぞれの金額ワク内でやったのか、主要項目そのままでやったのか、これは非常に疑問になる。  いろいろ例をあげて私は申し上げますが、たとえば具体的に言えばファントムですね。このファントムの機種決定というのは三次防の計画決定するよりはあとになりましたね、四十四年一月になってから決定したのです。三次防の当初計画の中では新機種をきめて、これの整備に着手するとあったわけなんですね。そして四十四年の一月になってから機種、ファントムを新戦闘機にきめて、そして百四機整備するのだということをあとできめたわけです。その金額は約二千億ぐらい、千六百何十億ですか、相当膨大なものです。それを今度は三次防の中では二百三十六億ぐらいしか計上をしないのですよ。おかしいじゃないですか。これは三次防できめた戦闘機整備である。それで、それを三次防期間中には八十二機つくるのだと言っておいて、二百三十六億ぐらいしか計上していない。そしてあとはみんな——その当時は四次防というのはないのですよ。後年度支出に繰り越している。こういうやり方をやっているのですね。私はこの点についてはどうしても納得いきません。いまのファントムについて事情を説明していただきたいのです。いま申し上げたとおりだと思うのだが……。
  27. 小田村四郎

    小田政府委員 まず最初の御質問でございますが、この調達内容及び調達数量について、主要な装備品が四次防で決定されております。ただ、その調達を何年度に行なうかという年次別の割り振りにつきましては、国防会議におきまする正式決定には全然ございません。国防会議決定では、この主要項目の(備考)にございますように「防衛関係経費総額はおおむね四兆六、三〇〇億円程度と見込まれるが、各年度ごとの予算は、その時時の経済財政事情を勘案し、他の一般施策との均衡を考慮しつつ、これを決定するものとする。」こういうふうにございまして、いつの年度に何を幾ら調達するかということは、各年度予算にまかされておるわけでございます。したがって、調達総額のうちのどの程度期間内に歳出に立ち、どの程度が五十二年度以降の支出に立つかということは、この年度予算決定を見なければ確定しないわけでございます。もちろん、防衛庁としては一応の試算はいたしておりますけれども、これはあくまでも試算にすぎないわけでございます。  それから、その次のファントムの問題でございますが、三次防計画策定時におきましては、御指摘のとおり、新戦闘機につきましては機種の決定がございませんでした。そこで、当時の三次防の主要項目を読みますというと、新戦闘機につきましては、将来における防空、要撃能力の向上のため、新戦闘機の機種を選定の上その整備に着手すると、こういう抽象的な表現になっております。  なお、あわせて高等練習機の問題でございますが……。
  28. 北山愛郎

    北山分科員 それは要らないです。
  29. 小田村四郎

    小田政府委員 いや、これは関係がございますので……。
  30. 北山愛郎

    北山分科員 いや、聞いてないことは答える必要はないですよ。
  31. 小田村四郎

    小田政府委員 では、そういうことでございまして、三次防計画では一応新戦闘機といたしまして六十機を予定いたしておりました。なお、関連がございますが、高等練習機といたしまして三十五機を一応……。
  32. 北山愛郎

    北山分科員 それは聞いてないんだ。聞いてないことを答える必要はない。
  33. 小田村四郎

    小田政府委員 関連がございますので……。
  34. 北山愛郎

    北山分科員 関連ないんだ。ファントムのことを聞いているんだから。時間が大事なんだから、聞かないことは答えなくてもいいんだ。それでわかりました。  それで、これは大蔵省主計局お尋ねしますが、従来、何次防というものの達成について、その年度年度期間中の歳出額達成率を見ているのですね。第三次防の達成率につきましては、四十六年度の「国の予算」という説明書二二五ページに、四十二、四十三、四十四、四十五、四十六とあげまして、三次防の二兆三千四百億の計画に対して、給与改定を除いて二兆二千八百十一億である。ですから、その達成率は九七・五%であるというふうにいっている。要するに、三次防の計画期間中に歳出化された予算達成率を見て、それを三次防の達成率としておるでしょう。そうじゃないですか。
  35. 長岡實

    長岡政府委員 お答え申し上げます。  先ほど来の防衛庁のほうの説明にもございましたように、私ども財政当局といたしましては、三次防なり四次防なりの五カ年間の防衛力整備計画期間中に現実に歳出化を要する金額によりまして、後年度の財政負担等の見通しを立てるものでございますから、そういう関係から申しまして、三次防につきましても、三次防期間中の歳出額の総計によりまして、一応計画に対する達成率というものをはかっておる次第でございます。
  36. 北山愛郎

    北山分科員 そうすると、先ほど言ったように、ファントムならファントムにつきましては、これはたしか千六百億以上になりますね。ファントム八十二機というのが三次防で決定した機種と数量なんです。そのうち、三次防で予算歳出化されたものは二百三十何億、一部ですね。あとの大半千四百幾らというのは四十七年度以降になったのですね。そうすると、三次防として発注して、そして実際の歳出上は三次防に入らない。四次防に入ってしまう。おかしいじゃないですか。三次防なんです。四次防というのはそのときはないのですから、その分はみ出している。三次防として発注した千何百億という分はみ出しておるのですよ。達成率のほうは、いま主計局お話しのように、その期間中に歳出化されたもので計算して達成率を見ている。そうしておいて注文はもうやっておるのです。注文するということは一種の予算ですよ。金を払わなくたって、発注できるかどうかという……。三次防としてファントムを八十二機注文している。そのことは、一種の予算の執行ですよ。ただ金を払うのはあとだというだけだ。だから、それは三次防の計画の実施の中に入らなければならぬわけです。そうすると、すでに達成した二兆二千八百十一億円に、ファントムその他を入れて三千七百億円というものがプラスするのですよ。したがって、計画ワクの二兆三千四百億ははるかに、二千億もオーバーしてしまう。そういうことを三次防から四次防の間にやっている。おそらく今度は、四次防から次の期間にもやるでしょう。そうなれば、雪だるま式に、どんどん先のほうの予算先食いしてしまって、雪だるまのように防衛力整備というのがふくれ上がっていく。そういうようなやり方をやっちゃいかぬというのです。
  37. 長岡實

    長岡政府委員 後年度の財政負担を考えます場合に、北山委員の御指摘のとおりに、契約ベースで、国が債務を負担するベースで押える考え方と、それから現実に歳出化される金額で押える考え方とあろうかと思います。もちろん、国が債務を負担するわけでございますから、後年度において歳出化を伴うわけでございますが、第三次あるいは第四次の防衛力整備計画と申しますのは、防衛力整備に関しまする基本的な考え方と、それに基づく主要な項目をいかに整備していくかということが主でございまして、私ども財政当局が見当をつける経費の負担の程度につきましては、ただいま御指摘の点につきましても、たとえば四次防の四兆六千三百億の見当をつけます際には、三次防計画の実施に伴う経費がどの程度四十七年度以降にずれ込むかということも計算に入れまして、これが現実の負担になるわけでございますから、それを含めて、私どもは今後五年間なら五年間にどの程度の財政負担になるかという見当を一応つけまして、四兆六千三百億という総ワク政府として決定されるに至った、かような事情に相なるわけでございます。
  38. 北山愛郎

    北山分科員 とにかく、予算の執行というか、その計画ワク予算の執行上というか経理上、会計上は、その年度内、期間内に歳出化されたもので達成率を見ていきながら、片一方では、防衛庁のほうでは、四次防なら四次防に主要項目としてあげられたものを、四兆六千三百億のワクを乗り越して、期間を乗り越して、そのずっとあと予算先食いしてもかまわないというふうなやり方、このやり方は適当じゃないんじゃないですか。
  39. 小田村四郎

    小田政府委員 御承知のとおり、防衛の装備品調達というのは、非常に長期の期間を要するわけでございます。そのために国庫債務負担行為あるいは継続費等の制度があるわけでございます。しかし、たとえば四次防なら四次防の期間内における主要な装備品調達をどういうふうにするかということにつきましては、これは最高方針として御決定をいただくわけでございます。したがって、後年度に発注いたしますものにつきましては、当然その取得はその期間以降になるということはやむを得ないところでございます。その場合、その経費の見積もりを契約ベースで行なうか、あるいは支出ベースで行なうか、こういう問題があるわけでございます。ただいまの防衛力整備計画におきましては、後年度を含めての見積もりをいたしませんで、経済計画等との関係もあり、その期間内の支出を見積もる、そしてそれによる他の経済諸施策とのバランスが適当であるかどうかということを国防会議で御判断いただく、こういう方式をとっておるわけでございます。
  40. 北山愛郎

    北山分科員 これはやむを得ないんじゃないですよ。計画のきめ方を変えさえすればいいのです。たとえば、三次防としての項目があるでしょう。整備目標がありますね。それをやるのにはこれこれのワクが必要であるときめる。そうすれば、その機種のもので期間内に歳出化されないものは、どこまでも三次防なら三次防として処理すればいいのですよ、かりに期間からはみ出しても。それを次年度になれば四次防に入ってしまう、こういうふうなやり方をしているから間違いなんであって、それは艦船とか飛行機とかが何年もかかることはよくわかっている。だから、むしろ計画を、かりに四十八年度に三次防の分が幾らあり、四次防分幾らある、こういう計画決定をしさえすれば、経理上は一向かまわないのですよ。だからわれわれからすれば、四次防というのは、先ほど言ったように期間がきまっておる。総体ワクがきまっている。機種がきまっておる。ですから、その期間中にきちんとやられるものだと思っておる。ところが、いま説明したように、その金額ワクをはみ出した、その後の予算まで先食いしなければやっていけない。ずるずると三次防から四次防と、何千億もだんだん雪だるまになっている。私が防衛庁から説明を聞いたところによると、主要装備の中で、すでに四次防の五十二年度以降の予算を四千億も当て込んでいるのです。当てにしているのですよ。こんなばかな経理はないですよ。だから長官国防会議あるいは閣議決定、いわゆる防衛力整備計画というものの決定内容を変えればいいのです。運営のしかたを。それはもう総体金額ワク。それからどういうものを装備するか。そのかわりきちっとこの機種、艦船とかあるいは航空機とか、ちゃんと明細を書いて、このものを四次防なら四次防で整備するんだ、その金はそのワクの中でやるんだ、その経理のほうは、かりに期間をはずれてもかまわないんだというふうな計画のしかたをすれば一向矛盾が起こらないのですよ。だけれども、われわれからすれば、四次防なら四次防といえば四兆六千三百億である、期間は四十七年から五十一年までである、その主要項目はこれである、こういうふうにきまっているのですよ。だから、そのように私は先ほど来お尋ねしているわけなんです。主要項目はこれこれでございます、内訳はこうでございます、金額はこうです、と言うから、それは四次防だから四兆六千三百億の中へ入っているのですねと言ったら、そうじゃないと言う。一部はずれ込むと言うのですよ。そんなでたらめなことじゃ、われわれ国民としてこれは信頼置けませんよ。伸縮自在みたいなことを言っている。直してもらいたいと思うのですよ。私はこれは納得できませんよ。
  41. 増原恵吉

    増原国務大臣 いま北山委員の仰せになりました問題は、従来われわれがとっておりました考え方よりもそのほうが合理的だから、そういうふうに改めろという御主張であるというふうに理解をいたしました。これは、いま私どもがここでちょっと即答いたしかねるので、将来の問題としては検討をさしていただく。しかし、現在の四次防は、従来の三次防で行ないましたような形で決定をされ、国防会議閣議でも決定をされておるものでございまして、現在の四次防をそういう形で組み直すということは、ちょっといたしかねる問題ではないか。将来の防衛計画、五十二年度以降の防衛計画をどういうふうにつくるか、いま検討中でございまして、四、五年計画のものにするか、一年度ごとの計画でいくことがいいか、これはいま検討中でございまして、五十二年以降のことはまだ申し上げかねる状態でございまするので、現在きめておりまする四次防については、いま北山委員の仰せになりましたように組みかえるということはいたしかねるというふうに、将来の問題としては検討をさしていただきたい、こういうふうに申し上げたいと思うのでございます。
  42. 北山愛郎

    北山分科員 これはもう少しよく討議をする必要があると思うのですよ。私は何かもっと合理的な方法に変えろというわけじゃないのです。これは間違っているのです。先ほど言ったように、大蔵省のほうでは、四次防なら四次防の期間内に歳出化されたものをもって四次防としているでしょう。ところが防衛庁のほうは、先ほど来言っているような、その期間内に歳出化されない分も四次防として主要機種の中に入れているじゃないですか。その期間内に歳出化されないものでも、支出化されないものでも、四次防として項目として入っているでしょう。大蔵省のほうでは、その期間内に予算化されたもの、それを基準にして何次防の金額といっている。防衛庁のほうはそうじゃない。矛盾があるのですよ。それでいいかげんな、便宜的なやり方をとってきているのです。結果としては、いま私が言ったように、こんなことをやっておれば国民はわからないですよ。第三次防というのは二兆三千四百億だな、こう思っている。そしてそれは四十六年度で終わったのだ、こう思っている。四十七年からは四次防だと思っている。そうすると、四次防の中に三次防で注文した相当なものが三千七百億もずれ込んでおるというようなことですね。さらに今度は五十一年から五十二年以降にもまた四千億もずれ込みを予定しているのですよ。だから大蔵省の経理のしかた、考え方と防衛庁の言うことと違うのじゃないですか。
  43. 増原恵吉

    増原国務大臣 これは、いま大蔵省からもお答えをしたのと私どもが申し上げているのと内容は違わぬわけでございまして、四次防として五十一年度までに歳出ベースで使うものが四兆六千三百億円である。しかし契約できるものは、主要品目として国防会議閣議決定を経たという主要なものについてのあれがあるわけでございます。それがなくて契約をやるわけではございません。そういう形とそういう経理のしかたをいままでとることが適当であると考えてまいったのでありまして、これは大蔵省の考えと防衛庁の考えと、その点で違いがあるわけではございません。  将来の問題として、いま北山委員のこれについて検討してみろと言われることについては、私どもも検討をいたしてみたいというふうに申し上げたわけでございます。考え方が変わっておる、あるいは二千億、四千億という大きい金が次の計画にずれ込む、それは主要項目としては国防会議閣議決定を見ておるのでありまして、自由自在にずれ込むというようなことではないということを御理解をいただきたいわけであります。
  44. 北山愛郎

    北山分科員 繰り返すようですが、先ほど来ぼくは主要項目陸上海上、全部聞いたでしょう。その金額は一兆一千百億、これは四次防の主要項目として決定されたものですね。ですから大体四兆六千三百億の中に入っていると考えるのはあたりまえじゃないですか。そうじゃないですか。幾ら入っているか入っていないかわからないじゃありませんか。あとは運用で適当にやっている、そんなことでいいのですか。四兆六千三百億というのは、人件費も入れて五カ年間のいろいろな経費を積み上げた、そうして四次防の主要項目はこれだというから、一兆一千百億なるものは四兆六千三百億の中に当然入っていると考えるのはあたりまえじゃないですか。それは入ってないものもございます、後年度のものもございます、きちっと初めからこの分は後年度だとか、それならまだわかるのですよ。それが内訳がわからないじゃないですか。ですから、いままでの三次防にしても二次防にしても、みんな金額期間とそれから項目と三位一体のものとして受け取っているのですよ。実際運用しているのはそれと違う。しかも大蔵省の考え方は、その期間中の年度内五カ年の中で歳出化されたものを基準にして達成率を見ているということは食い違いがあるのですよ。たとえば四次防の期間中に三千七百億というのは予算化されるでしょう。それは主計局長からいえば四次防に入っているのです。そうするとファントムでいえば、四十六機以外に八十機というものは四次防の中になるわけなんです。われわれからすればそれが四兆六千三百億の内側だ、その中へ入っているのだと思ったら、そうじゃないと言う。何が何だかわからないですよ。四次防の四兆六千三百億というのはどういう金額を積み上げたものかというと、新しい装備、一兆一千百億とかあるいは後方が幾らだとかあるいは人件費幾らだとか、そういうものを積み上げて四兆六千三百億になっているのじゃないですか。だからそれ以外にはみ出すものがあるというふうな答弁では私は納得しませんね。
  45. 小田村四郎

    小田政府委員 先ほどからたびたび申し上げておりますように、四次防で決定になりました所要経費と申しますのは、四十七年度から五十一年度までの歳出の見込みでございます。三次防についても同様でございます。他方、主要項目というのはその期間内に調達をする予定の装備内容でございます。ですから、そこで計上されました金額と、それからその調達に要する契約額と、これは合わないのが当然でございます。その取得が期間後になるものがかなりの数ございますので、これは合わないのが当然でございます。その当然を前提として見込んでおるわけでございます。この点は大蔵省と何ら不一致点はないわけでございます。
  46. 北山愛郎

    北山分科員 私が防衛庁からいただいたあれを見ると、「四次防経費の内訳及び三次防との対比」と書いてあって、四次防、陸上海上航空、技術研究本部とあって、四兆六千三百億、その内訳を三つに分けますと、主要正面、いわゆる装備費ですね、兵器とか弾薬とか、そういうものが一兆一千百億。それから後方というのが、これは維持修理費ですね、教育訓練だとかいろんな施設、一兆六千四百億。それから人件費、糧食費というのが一兆八千八百億となって、それを総計して四兆六千三百億になっている。この資料では一兆一千百億が四兆六千三百億に入っているのですよ。いまのお話と違うのですよ。一兆一千百億というものが四兆六千三百億へ入っている、そういう説明。ところが、先ほどの説明は、そのうち発注するものだけが入っているので、入らないものもあるというのはおかしいじゃないですか。そんないいかげんなことを言われちゃ困る。
  47. 小田村四郎

    小田政府委員 たいへん失礼いたしました。実はちょっと説明が不十分でございましたので、御説明させていただきたいと思いますが、その四兆六千三百億円の中で主要正面と申します一兆一千百億円、これは四次防期間内の歳出になる見込みの金額でございます。先ほど申し上げました約一兆一千億円の調達金額、契約金額と申しますのは、これは主要正面のうち、弾薬を除きました装備品調達金額でございます。装備品につきます四次防期間内の経費見積もりは約一兆円でございます。
  48. 北山愛郎

    北山分科員 まあ、いろいろ言い方を変えるのですが、そうなりますと——時間がありませんが、この問題は私はだれが聞いてもおかしいと思うのですよ。その期間内に歳出化されたものをもって何次防とすると言っておいて、そして主要項目もまた規定しておる。その主要項目については次年度のほうへはみ出すこともあり得るというふうなことでは、これは、われわれの何次防、何次防という防衛力整備計画に対する常識と違うのですよ。ですから私は先ほど来言ったように、経理上やむを得ないとか、運営上やむを得ないとするならば、この整備計画決定するに際して、そういうことをはっきり書いておけばいい。ところが、どの計画を見たって、期間ははっきりきまっておるし、それから金額の総ワクもきまっておるし、それから主要項目はこれこれだと言っておるから、その三位一体のものとして考えているのですよ。実際の運用はそうじゃない。しかも三次防から三千七百億も四十七年度以降にずれ込んでその予算先食いしている。契約だけは、発注だけは前にやっている。だから、その分は三次防の二兆三千四百億に二千億ぐらいプラスしているのですよ。もうすでに発注行為というものは三次防として発注しているのですから、ワクを越しているのですよ。そして今度は四次防にこれから発注していく。また国庫債務負担行為をやっていく。とすれば、五十年度以降の予算先食いするものです。それをすでに四千億も予定しているではないですか。主要正面だけで四千億ですよ。その他のものを入れれば、もっともっとなるでしょう。だから、二次防から三次防には繰り越したものが七百数十億ですよ。それから三次防から四次防には三千七百七億です。今度は四次防から次の段階には四千億どころではない。五千億も先へ押し出していく。それでは、運用を便宜的にいいかげんにやって、予算先食い先食いをやって、雪だるま式にふくれ上がっている、こう考えるのはあたりまえじゃないですか。だから私は、その点については何としてもこれは納得がいかない問題なんです。  そこで、時間が参りましたから終わりますけれども、委員長、この問題は私は保留して、さらに防衛庁にお聞きしたいのは、この四次防の主要項目のこまかい内訳を出してください。そして金額を出してください。全く疑問だらけなんです。いいですか。あしたあたりまでに出してください。そしてこれは予算の総括でやってもらう。こんないいかげんな防衛費の運用をやられたのではかなわないと思うのですよ。そういう点を私、保留し、また要望して質問を終わります。
  49. 小田村四郎

    小田政府委員 ただいま御要求の資料でございますが、四次防の主要項目に掲げられました品目につきましての金額は、できるだけ提出するように努力いたしたいと思いますが、その他の内容につきましては、これは各年度予算できまることになっておりますし、四次防として正式な決定はございませんので差し控えさせていただきたいと存じます。
  50. 北山愛郎

    北山分科員 だから私、それでも普通ならいいと思うのですけれども、先ほど、その他いろいろなものがあるんだ、それで約一兆円なんだ、それ以外にいろいろなものがあって一兆一千百億とかそういうものになるんだというようなお話がありましたから、私、その点をこまかく出していただきたいのです。一向困らないでしょう。
  51. 小田村四郎

    小田政府委員 ただいま申し上げましたように、主要項目で記載されましたもの以外の各種装備品につきましては、具体的に決定いたしておりません。したがって、主要項目に記載されましたものにつきまして提出させていただきたいと存じます。
  52. 臼井莊一

    臼井主査 次に、野坂浩賢君。
  53. 野坂浩賢

    野坂分科員 私は、今日の国際情勢は非常に緊張緩和の方向に向かい、かつ、全世界の平和の声は非常に高まっておる今日、わが国が防衛力を増強する、そういう姿についてはきわめて遺憾に思っております。特に、私の県に美保基地というのがございます。御案内のように、昭和三十一年アメリカ軍の通信施設から自衛隊が管理し、今日輸送航空団としての役割りを果たしておるわけでありますが、ここで長官に質問をいたしたいのは、この滑走路のつけかえ工事を昨年、本年と行なってまいりました。それは長官の前、いまの鶴崎施設庁次長でありますか、当時参事官でありましたが、このつけかえ工事に伴って、その地域、鳥取、島根両県で異常なほどの反対運動が盛り上がりました。島根県の関係市町村は、安来市、東出雲町、八束町等は、町議会で反対の態度を明確にし、鳥取県の米子市、境港市でも反対同盟が結成をされて、きびしく反対の声が高まってきました。そのうちに防衛庁がぜひつけかえ工事を行ないたい、総額六億四千四百五十万だと理解をしておりますが、その予算でやりたいと地元に迫ってきましたけれども、これがなかなか実施に至らなかった。そこで、鳥取県の知事なりあるいは地元の境港市長、そういうところを通じて防衛庁のそれぞれの役人の諸君たちが参りまして、地元との折衝を開始しました。デッドロックに乗り上げて、当時地元選出の国会議員、社会党の国会議員の皆さんと、今後そういう基地のつけかえ工事なり拡張の問題については一切話し合いをする、こういう約束を取りつけられておることは、関係の皆さんは御承知だろうと思うのですが、それらも具体的に実施をしないで強行した。その理由は市長が要望書五項目を出した、そして回答したというところに端を発しておるようでありますが、その五項目というのはどのようなものか、お示しをいただきたい。そして、その回答はどのようなものであったか、お示しをいただきたいと思うのです。
  54. 増原恵吉

    増原国務大臣 美保基地についていろいろの経緯がありますること、私も防衛庁外におって若干は承知をしておりまするが、具体的に正確に防衛局長から御説明させたいと思います。
  55. 長坂強

    ○長坂政府委員 ちょうど六月の末でございましたか、私ども、ちょうどいまのポストに配置されました直後、社会党の地元の議員の先生方が抗議にこられまして、それでお話し合いをいたしまして、御回答申し上げました文書がございます。ただいま手元にございませんので、さっそく取り寄せましてあとでお答えさしていただきたいと思いますが、いろいろきつい御抗議の文書でございましたので、私どもとしては、たとえばジェット戦闘機の配置などということについては考えておらない。あくまでもこれは滑走路を振ることによって滑走路を延ばして、それから将来の民間航空との併用というようなことも考えておるのだというような意味でお答えをいたしておるのでございまして、その内容につきましては、答弁資料の中に実はいま用意してございませんでしたので、詳細は取り寄せましてお答えをいたしたいと思います。
  56. 野坂浩賢

    野坂分科員 あとで資料なり要望項目なり回答文書をいただくとして、いまの美保にありますC46輸送機ですね、これについては今日三十一機というふうに理解しておりますが、そのうち現在飛んでおる飛行機は大体何機でありますか。
  57. 久保卓也

    久保政府委員 航空機は常に整備を繰り返しておりますので、今日ただいまの機数はわかりませんが、われわれ承知しておりますのは、現在総機数三十一機の中で十機が飛べない、したがって二十一機飛べる。近く整備されたもの四機がさらにそこに加わるというふうに聞いております。
  58. 野坂浩賢

    野坂分科員 このC46輸送機と、いまの長坂参事官からお答えをいただいた滑走路のつけかえ工事との関連ですが、この滑走路のつけかえ工事は、たとえば非常に飛行があぶない、民家の屋根にすれすれに飛ぶ、こういうことからつけかえ工事が行なわれたので、飛行機の機種に全然影響がないと考えておりますが、そのとおりですか。
  59. 久保卓也

    久保政府委員 滑走路の工事につきましては、御説のとおりでありまして、機種と直接の関係はございません。
  60. 野坂浩賢

    野坂分科員 C46輸送機というのは、これからもずっと美保基地に御使用になる、将来C46は機種の変更はあり得ないと考えてよろしいですか。
  61. 久保卓也

    久保政府委員 C46は第二次大戦末期の輸送機でありまして、ほとんど耐用命数が尽きようとしております。したがって、四次防の五十一年度末までには三十一機が全部なくなります。美保の分が何年度になくなりますか、大体五十年度もしくは五十一年度ぐらいになくなると思いますが、そうなりました場合には、C46という輸送機は全部なくなってしまいますので、一部現在手持ちのYS11と、それから国産で開発しておりまするC1という輸送機におそらくかえることになるだろうと思います。
  62. 野坂浩賢

    野坂分科員 いまの防衛局長お話でありますが、この基地ができましたのは御案内のとおりに戦争中であります。太平洋戦争の前期でありますが、人口は非常に過疎地に似合わぬ稠密地帯であります。言うなれば大阪空港と伊丹とよく似た関係を持っております。したがって機種の変更については地元民は全然了解をしていない。また境港の市長、米子の市長等の考えも、この機種の変更はない、だから五項目の要望及び回答の中にもそのような事態はない、こういうふうにわれわれは理解しておったのですが、いまのお話では、C46輸送機はなくして、美保基地にはいま問題になっておりますC1ジェット輸送機が配備される、こういう話でありますが、それは地元との話が違うのじゃないですか。
  63. 久保卓也

    久保政府委員 地元との具体的な話し合いは、長坂参事官のほうから答弁していただきますが、C1の輸送機が配置されるであろうということは、私は国会でもすでに昨年来あるいは一昨年来申し述べておるとおりでありまして、この点につきましては、私どもは地元の方も一応御承知の上であろうと思います。
  64. 長坂強

    ○長坂政府委員 先ほど申し上げましたように、正確には文書を取り寄せましてお答えさしていただきたいと思います。おそれ入りますけれども……。
  65. 野坂浩賢

    野坂分科員 C1の輸送機の配備計画というようなものは考えておられますか。四十八年度あるいは四十九年度にも配備される計画があるのですか。
  66. 久保卓也

    久保政府委員 C1の輸送機は、現在岐阜の航空基地でテスト中でありますが、これが最初に配置されるのは、おそらく同じ輸送機の部隊が配置されておりまする入間のほうに先に持ってくるのではなかろうかというふうに思いますが、現在のところ、美保について四十八年度あるいは四十九年度という計画は持っておりません。
  67. 野坂浩賢

    野坂分科員 お話がありましたように、この輸送航空団というのは美保基地に所在をしておりますが、将来輸送航空団というのは各基地に、入間その他に配備をされる、こういう計画とは違いますか。
  68. 久保卓也

    久保政府委員 輸送航空団は二つの部隊を持っておりますが、それが現在美保と入間に配置されております。したがって、年度区分はまだ具体的な計画を立てておりませんけれども、四次防の末ごろになりまして逐次入間、美保あるいはもう一カ所ぐらい考えるかもしれませんが、そういった二ないし三の基地に配置を考えてみたいというふうに思っております。
  69. 野坂浩賢

    野坂分科員 そこで、最近防衛庁としては、具体的にこの五項目の中で、将来美保基地はジェット基地化はしない、戦闘基地化はしない、そして民生安定事業をやる、移転補償等が確かにその項目の中に列挙されておるように承知をしております。いま、機種の変更にかかわりなく、移転の補償なり民生安定の事業を進める、こういうように承知をしておりますが、この移転の補償についていろいろな話が流布されております。これは施設庁長官がいわゆる指定区域というかっこうでやられますが、これは進入表面及び移転表面のそれぞれの投影面と一致する区域内の区域と、こういうふうに定められております。具体的にいって、着陸帯の中心線から何メートル、何百、何千ということがそれぞれの基地に明らかにされておりますが、言うなれば、非常に具体的にいって、幅と長さはどの程度なのか、その中に入る戸数は何戸なのか、お話をいただきたい。
  70. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 ただいまの御質問で、移転表面と進入表面と申しますのは、これは航空法できまっております区域でございます。そこで、われわれのほうの周辺整備法に基づきまして、この移転表面と進入表面の投影面下の区域のうち、施設庁長官がどの区域を指定するかということが個々の飛行場において定められるわけでございますが、美保基地につきましては、この区域をどういうふうに指定して告示するかということは、今後の扱いになろうかと思いますが、一応美保基地は、航空法上のたてまえから申しますと、計器着陸の飛行場でございますので、進入表面といたしましては、着陸帯の短辺から三千メートルの区域、それから移転表面につきましては着陸帯の長辺の部分から三百十五メートルの区域、こういった範囲が移転表面、進入表面となろうかと思います。
  71. 野坂浩賢

    野坂分科員 それで何戸入りますか。
  72. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 したがって、美保におきましてこの投影面下の区域の中で何メートルに指定をして告示をするかということは、これからでございますので、その中に何戸住宅が入るかということは、その結果を待って調査しなければならないと思います。
  73. 野坂浩賢

    野坂分科員 当時私どもがこれに対していろいろ異議を言ったときには、なかなか説明には来なかった。防衛庁説明に来ると言いながら、ついに説明を中止をした。しかし最近は、防衛庁の呉施設局ですか、呉の施設局からは来て、地元と折衝はすでに開始をされておるのじゃないですか。予算の要求としては、大蔵省に対して四百七十五戸の移転ということが具体的にあげられておるというように私どもは承知をしております。したがって、四百七十五戸という算定の基準は、いまお話しになっておりますように、短辺から三千、転移表面の長辺から三百十五メーター、こういうふうな範囲内に入るといわゆる進入表面下というところになりはしないか、こう思うのです。しかも四百七十五戸ということになれば、一応数字があげられております。宅地が幾ら、建物は幾らというふうに防衛庁は算定をされておるというふうに承知をしております。だからそれは、どの部落とどの部落とどの部落なのか、こういう点を、わかっておるはずですから明らかにしていただきたい。
  74. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 昭和四十八年度予算に計上して御審議いただいております美保基地における移転対象家屋数は十戸、宅地五千平米で、約一億をもって実施するということになっておりまして、それ以後の全体の計画についてはまだ確定しておりません。
  75. 野坂浩賢

    野坂分科員 この飛行場の近辺にあります草地その他は七万平米ありますね。これは申告制度に基づいて防衛庁は買うことができると書いてあります。これについてはどの程度四十八年度買い、金額はどの程度をお考えになっているのか。そして、いま十戸で一億円という話がありましたが、それは宅地ということばを使いましたけれども、建物と宅地と、農地もあるはずでありますが、それについては、中身としてどの程度考えられておるのか。たとえば建物は十戸だ、それについては金額幾らだ、ざっと一億一千百万だ、こういうふうに理解しておるのですが、その中身についてお話をいただきたい。
  76. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 先ほども御答弁いたしましたように、美保基地におきまして、施設庁長官が告示をもって、進入表面、転移表面の投影下の地域においてどの範囲を指定するかは、これからのことになるわけでございますが、かりに着陸帯の短辺から千メートルということで考えたならばどういう形になるかというようなことは、一応われわれの事務の積み上げの前提としては考えております。しかし、その中で、周辺整備法に基づきまして、まず家屋の移転と、その家屋が建っておりますところの宅地の買収ということは、当然最初の段階で考えなければならぬわけでございますが、農地等につきましては、これが移転された後もその農地が使用できるような状態であるのかどうか、そういった実態等を考えまして、周辺整備法の五条で、その農地を買収すべきであるか、そのまま存置して使用していただくかの判断が、今後の問題となろうと思います。  現在におきましては、四十八年度予算案では、一応家屋の移転と宅地の買収ということで、先ほど申し上げました約一億を計上しておる次第でございます。
  77. 野坂浩賢

    野坂分科員 先ほどの北山議員の質問の際には、いわゆる先食いをする——全体の計画を立ててその年度は進めていく、こういうやり方ですね、防衛庁は。したがって、四十九年度以降、そういう全体の計画がなければ、四十八年にただ十戸、あとはどうなるかわからぬということではなしに、全体の計画のうちの四十八年度計画、四十八年度の実施、こういうことになると思うのです。それを、全体の計画は全然立てないで、建物の十戸と宅地の幾らか、それで一億円で、あとは全然五里霧中である、こういうふうに考えていいのですか。
  78. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 防衛施設周辺の整備等に関する法律の第五条におきまして、飛行場周辺の、先ほど来申し上げております区域の中の家屋の移転等の措置につきましては、あくまでこれはその地域に住んでおられる方たちの御要望と申しますか、お申し出に基づいて移転補償等の措置をとる次第でございますので、わがほうで何戸移転するというような今後の計画を立てるというたてまえにはなっておりません。  しかしながら、美保におきまして、先ほど申し上げましたように、着陸帯の両短辺から千メートルの進入表面下、あるいは転移表面下の家屋を現状で一応調査いたしました姿では、大体四百五、六十戸余りになっておるというふうに承知しております。
  79. 野坂浩賢

    野坂分科員 先ほどは進入表面の短辺から三千メートルと聞いたのですが、いまは千メートルというお話に変わってきたのですが、どっちなんですか。
  80. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 着陸常の短辺から三千メートルと申しますのは、航空法に基づきますところの進入表面の区域、進入表面下の投影の区域が三千メートルということであります。そして、周辺整備法に基づきまして施設庁長官がその区域の中で移転補償等の対象とする区域を定める、それが美保の場合一応千メートルとしたならばということで御答弁した次第でございます。
  81. 野坂浩賢

    野坂分科員 その指定区域は施設庁長官はいつごろやられる予定でありますか。そうしなければ具体的に進めることはできぬじゃないですか。
  82. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 その区域の範囲をきめますについては、一応周辺住民の方のこむられるところの音響だとか、そういう障害度の実態だとか、あるいはそういう区域の中で、家屋移転等、地域周辺の市町村ないしは具体的にそれぞれの住民の方たちがどういうふうに受けとめられ、要望されるか、その他の諸条件をこれから検討した上できめますので、いまのところいつごろという予定は考えておりません。
  83. 野坂浩賢

    野坂分科員 施設の周辺整備法によって、その指定区域というものは千メートルと三百十五メートル、こういうことを確認をしておきます。  それから、たとえば四十八年度の十戸、これの補償の問題についてもいろいろと言われておりますが、この基準は、建設省等が出しております公共用地の取得に損失補償基準要綱、建設省の直轄の公共事業の施行に伴う損失補償基準、これで進めるのか。また、防衛庁は独自なものを持っておられるのか。おられるとすれば、違った点を明らかにしてもらいたい。というのは、普通であればそういうものは建設省が補償基準に基づいてやる。しかし防衛庁でやれば、高いとか安いとかいろいろ問題があれば、将来それぞれ各省が事業を執行する場合に重大な影響を及ぼすというふうにも理解されるので、この際、この補償基準はこれと同じかということを聞いておきたいと思うのです。
  84. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 飛行場周辺のこれらの建物等の移転の移転補償の額とか土地の買収額の基準算定につきましては、ただいま御指摘の公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱に準拠して各省庁と同様の基準で処理しておりますが、さらに当庁といたしましては、ここに持参しておりますように、特定飛行場周辺の移転補償等算定基準、これに基づいて細部を規定しております。これに基づいた妥当公正な算定を行なっております。
  85. 野坂浩賢

    野坂分科員 時間が参りました。したがって長官に、この際申し上げておきたいと思うのですが、先ほど私が申し上げましたように、美保基地というのは非常に人口の稠密地常でありますし、ジェット機は、旅客機といえども飛来してもらうことは、地元民には非常に迷惑であるという考え方をまず明らかにしておきます。一部のそういう補償なりそういうものに期待をしておる方々もありますが、大勢はジェット基地化反対、これが大多数の声であります。したがって、今日あそこは民間機も併用されているのが現状でありますし、非常に細長い半島でありますから、移転その他についても非常に問題があるところであります。今日ジェット基地化については避けてもらいたいという、そういう点が地元の意向として非常に強い、こういうことを十分に御理解をいただいておきたい、こう思うのです。あと、いずれかの機会でこれらの問題については防衛庁長官と十分議論をさせていただきたいと思います。  以上で私の質問を終わります。
  86. 臼井莊一

    臼井主査 次に、東中光雄君。
  87. 東中光雄

    東中分科員 私はいわゆる関東計画関連しての基地移転、集約費といいますか、この問題でお聞きしたいのですが、最初に、一月二十三日に開かれた第十四回日米安全保障協議委員会の発表文について、防衛庁長官も外務大臣とともに政府代表としてこの委員会には出席をされ、参与されておるわけですので、この点についてお聞きしたいのです。  発表文によりますと、施設・区域に関する事項の討議については、発表をされております文書の第五項の第二パラグラフを見ますと、こういう記載になっています。「米側は、日本における施設・区域の数を削減し残余を統合する努力を払う際には、人口棚密地域において深刻化している土地問題及び安保条約の目的上必要でなくなった施設・区域の返還についての日本政府の要望を考慮に入れていることを説明し」、こうなっておるわけですが、「人口稠密地域において深刻化している土地問題」は別として、その次に「安保条約の目的上必要でなくなった施設・区域の返還についての日本政府の要望」これを考慮に入れているというのですが、一体「安保条約の目的上必要でなくなった施設・区域の返還についての日本政府の要望」というのは、どういう要望を出されておったのか。それを「考慮に入れていることを説明し」と、こういうわけですから、内容をお伺いしたいのであります。
  88. 増原恵吉

    増原国務大臣 この問題についての主管が外務省でございまして、私も会合に出度をいたしたわけでございまするが、人口稠密地域において深刻化しておる土地問題と安保条約の目的上必要でなくなった施設・区域の返還について、日本政府の要望を考慮に入れてやりますという問題は、私も当日聞いておるわけでございます。当日きまりました一応の返還区域の中に、安保条約の目的上必要でなくなった地域、人口稠密地域における深刻化というものを考えて合意をしたというふうに相なっておるわけでございます。
  89. 東中光雄

    東中分科員 私がお聞きしているのは、「安保条約の目的上必要でなくなった施設・区域の返還についての日本政府の要望」、日本政府が要望を出しておったわけでしょう。それを「考慮に入れていることを説明し」と向こうが言うのですから、日本政府がどういう要望を一体出しておったのかお聞きしたい、こう言っているわけです。
  90. 角谷清

    ○角谷説明員 安保条約の目的そのものは、先生御承知のとおり、わが国の防衛並びに極東の平和の維持ということにございまして、この目的に基づきますわが国の基地の施設の提供ということがございますわけでございます。ただ、これも時代並びに国際情勢等の変更によりましては、もちろんすべて従来のものを維持しておくという必要も必ずしもなくなるわけでございまして、そういうような観点、並びにもちろん先ほど御指摘がございましたとおり、都市化というような問題の観点から随時アメリカ側と話し合いをしておりまして、その一環といたしまして、先般の委員会の場におきましても、わがほうのそのような考えを申し伝えまして、その結論といたしまして、発表文にありましたような具体的な基地の返還と申しますか、それが実現化したという次第でございます。
  91. 東中光雄

    東中分科員 問題をそらさないで答えていただきたいのです。私が言っていますのは、「安保条約の目的上必要でなくなった施設・区域の返還についての日本政府の要望」なんですから、これは一体どういう要望を出しておられたかということを聞いておるのですから、問題をそらす答弁じゃなくて、そのものずばり答えてくださいよ。要望してなかったのに、要望を考慮に入れていることを説明するなんというばかなことはないのですから、一体何を要望しておられたのかということを聞いているわけです。日本側が要望したことを、要望したほうがわからぬで、アメリカ側がそれについて考慮しているということを説明したなんということを協定文に書くわけがないじゃないですか。
  92. 角谷清

    ○角谷説明員 先ほど申し上げましたような観点からいたしまして、まず本土の場合は主として横田に集約する、沖繩の場合は主として嘉手納に集約いたしまして、それぞれ合理的な、効率的な使用をさせたいということでございまして、その結果、土地の相当量といたしましては関東平野では約二千二百万平方メートル、沖繩におきましては那覇関係のみで約四百万平方メートル、これを日本側に返還させるということになった次第でございます。
  93. 東中光雄

    東中分科員 大臣、これは答えていただきたいのですが、そんなことを何も聞いていないのです。そんなものは、あとに書いてあるのはわかり切っているのですから。そうじゃなくて、この発表文にわざわざ一つの。パラグラフを設けて、そしてアメリカ側は「安保条約の目的上必要でなくなった施設・区域の返還についての日本政府の要望」これを考慮に入れていることを説明した、わざわざそう書いてあるのですから、安保条約の目的上必要でなくなった施設一区域の返還については、いつでも返還しなければならないというのは、地位協定の二条三項にはっきり明文であることなんです。すぐ返還しなければならないと書いてあるんだから。その明文の規定とは別に一体何を要望しているというのですか。それを聞いているわけですよ。ここにはっきり書いてあるのは、「安保条約の目的上必要でなくなった施設・区域の返還について」なんです。返還については、「返還しなければならない」ときまっているのですから、それを要望した。一体、何を要望されたのかということを聞いているわけです。
  94. 高松敬治

    ○高松政府委員 一般的には、この一月二十三日の安保協議委員会の前からいろいろ事務的な折衝がございました。私どもの立場は、現在の日本における人口稠密化している区域の都市問題、それから安保条約上の目的からいって、非常に価値の少なくなったあるいは使用度の薄いものについては、これは返還を検討してもらいたい、こういうことが私どもの折衝の一つの原則でございました。それからまた、個々の基地についての両方の意見の違い、あるいは個々の施設・区域についての両方の見解をいろいろ折衝し、討議し、そして、具体的にどこを返すという話がきまったわけでございます。したがいまして、ここに書いてあります「必要でなくなった」という表現がちょっとおかしいと思うのですけれども、そういう二つの目的をからめて施設・区域の返還についての日本政府側の要望というものをアメリカ側は考慮に入れて検討して、そして折衝の結果こういうふうにきまったのだ、こういう趣旨であろうと思います。
  95. 東中光雄

    東中分科員 地位協定の二条三項によりますと、「合衆国軍隊が使用する施設及び区域は、この協定の目的のため必要でなくなったときは、いつでも、日本国に返還しなければならない。」こういうふうになっているわけです。これはアメリカ側の義務です。いつでも必要でなくなったら返還しなければならない。ところが、ここには「安保条約の目的上必要でなくなった施設・区域」まさに同じことが書いてあるのです。その返還について日本政府が要望している。これは、この地位協定にきまっておるとなりじゃなくて、地位協定以外の要望をしておるということに——だって、わざわざ要望を入れてあるわけですから、自衛隊が引き継ぎをする体制ができるまではちょっと待ってくれというような要望を出しているのか、一体どういう要望を出しているのかということを私は聞いているわけです。現にアメリカからずっと自衛隊が引き継いでいく形に体制がなっているわけですから、地位協定上のアメリカ側の義務を履行させるというのじゃなくて、特別に要望を日本側が出しておるということ自体に私は非常に疑問を感じるわけです。だから、一体この要望したというのは何なのか。公式の文書でしょう、日本国政府がつくった。意味のない作文をしているわけじゃないわけですから、一体どういう要望を出しておったのかということを、これは明確に答えてほしいのです。
  96. 高松敬治

    ○高松政府委員 「目的上必要でなくなった施設・区域」ということにつきましては、私どものほうから見て、たとえば必要がないではないかと思う施設・区域がありましょうし、しかし米軍側からいっては、やはりその必要があるという施設・区域もありましょうし、その点では、必要でなくなった施設・区域は直ちに返還するという地位協定の問題と実際の交渉の場における問題とは若干違うわけでございます。私どもはそういうふうにこのことばを理解し、必要なくなったものについては返還してほしいということを、日本政府側、私どもも米側に対して非常に強く要望して今度の関東計画というものがきまった、あるいはキャンプ渕野辺の返還というものがきまった、こういうふうに理解しております。
  97. 東中光雄

    東中分科員 それなら、いま言われているのは、地位協定を実際にやれということを言っているだけのことで、何が安保条約の目的上必要でなくなっているかなくなっていないかということについての日米間の見解の相違がある、それはあり得ると思うのですよ。ぼくはそのことについて言っているのではなくて、「安保条約の目的上必要でなくなった施設・区域の返還についての日本政府の要望」ということになれば、いま施設庁長官が言っていることで言えば、その見解の違う部分があったんだったら、具体的に要望した内容を明らかにしてほしい、こう言っているわけです。ただ一般的に、いま施設庁長官の言っているように、必要でなくなったものについて返してほしいという要望をしたというんだったら、これはむしろとんでもないことなんで、地位協定上はいつでも返還しなければならないと書いてあるものを、要望というようなものじゃないでしょう。米側の義務でしょう。その点を聞いているわけです。要望の内容は一体何かということを聞いているわけです。説明じゃなくて、実際要望した内容があるんなら、その事実をはっきりさしてほしい。先ほど言いましたように、自衛隊の移駐の体制ができるまではこれはちょっと置いておいてくれという要望を出しているのかもしれない。私らはわからない。だからそれを聞いているわけです。
  98. 高松敬治

    ○高松政府委員 折衝の過程の中には、正直申しましていろいろございました。これの中身につきましては、一々具体的に申し上げることは、両国間の折衝の問題でございまして、避けたいと思いますけれども、われわれとしては、この二つについて米側に対して要請をしたということで、中身自身から申しますと、あるいは向こうも予期しなかったものが入っておりますし、それからまた、こちらの考えていたものも今度はややペンディングになっているというものもあるのが実際でございます。
  99. 東中光雄

    東中分科員 いま施設庁長官お話では、安保条約の目的上必要でなくなったと日本政府が考える施設・区域についての要望、いま抽象的に、まとめとしてはそういう趣旨のことを言われているわけです。ここに書いてあるのはそうじゃないのです。「安保条約の目的上必要でなくなった施設・区域の返還についての日本政府の要望」これは地位協定上きまっていることについて、それを実施しろという要望じゃなくて——実施しろという当然のことをここへ書くわけがないのですから、むしろ何の話をしているのか。こういう要望を出しているということになれば、返還を地位協定上はいつでも直ちにしなければならぬようになっているけれども、それをしばらく置いておくとかなんとかいうことについての要望をしたとしか、この文言からは理触できないですよ、個々の施設についての返還じゃなくて。「安保条約の目的上必要でなくなった施設・区域」といえば、もう返還しなければならぬことにきまっているのですから。きまっているでしょう、地位協定上。
  100. 高松敬治

    ○高松政府委員 ちょっと御趣旨が私によくのみ込めないところがあって、あるいは見当違いの御答弁になるかもしれませんけれども、私どもといたしましては、そういう目的上必要でなくなった施設、あるいはそういう必要性の薄い施設、あるいは一定の場所にそれを集約統合することによって、そういう安保条約上の目的上必要になる施設、そういうものも含めていろいろ要望してまいった、こういうことでございます。
  101. 東中光雄

    東中分科員 この規定は、必要性が薄くなったとか、そういうことを書いてないのですね。「目的上必要でなくなった施設・区域」と書いてあるのです。地位協定でいえば二条三項の前文のほうのことを書いてあるわけです。あなたのいま言われているのは後段のほうですよ。地位協定二条三項の「合衆国は、施設及び区域の必要性を前記の返還を目的としてたえず検討することに同意する。」これは必要性について検討することになるわけですね、薄くなったとか、少なくなったとかいうのは。そのことをいまあなたは言われているのです。発表文にはっきりと書いてあるのは「目的上必要でなくなった施設・区域の返還について」これは返還しなければならぬことにきまっているわけですから。そういう姿勢で、地位協定上アメリカが負っておる義務をゆるめるような形でこの問題がわざわざ公式の発表文に書かれているというところに問題がある、こう言っているわけです。だから、そういう姿勢からリロケーションといわれるような事態に発展していくんじゃないか、ぼくはこう考えざるを得ないわけです。そういう点で、安保条約の目的上必要でなくなった施設・区域は当然いつでも返還すべきである、それが地位協定によってアメリカに課せられた義務である、こういう姿勢をこの条約を認める立場に立って——私たちはこれを認められぬけれども、認める立場に立っても、当然そうやらねばいかぬじゃないか。その点のこの問題についての今後の姿勢ですね、これを防衛庁長官、ひとつはっきりとしておいていただきたいと思います。
  102. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 私、途中からでございますので、あるいは御質問の趣意を十分理解していない面があるかと思います。その点は御容赦願いたいと思います。  私がいま了解いたしております限りにおきましては、一月二十三日の日米安保協議委員会の発表文にございます第五項の「安保条約の目的上必要でなくなった施設・区域の返還」云々、この点につきまして御疑問があるということでございますけれども、この発表文の作成にあたりまして私どもが考えましたことは、地位協定第二条三項に、この協定の目的のため必要でなくなったときは、いつでも、合衆国軍隊が使用する施設・区域は日本国に返還しなければならないということがございまして、この協定の「目的のため」と申しますのは、すなわち安保条約の目的上必要でなくなったときということになりますので、その趣旨を踏まえまして、日本側といたしましては、この協定の趣旨に従い、かつまた、日本の施設・区域の経済上、社会上の問題について十分配慮を行なった上でこの問題に取り組んでもらいたい、こういうことを申したということをうたっておるわけでございます。
  103. 東中光雄

    東中分科員 また同じことを繰り返すので時間がもったいないのですが、では、アメリカ局長にもう一点だけはっきりと聞いておきたいのですが、「安保条約の目的上必要でなくなった施設・区域の返還についての日本政府の要望」とある。返還については、いつでも返還しなければならない、こういうふうに地位協定に書いてあるのに、一体返還についての要望とは何を要望したのかということをさっきから聞いているわけです。地位協定を守れということをこういう両国政府代表の公式文書で要望するなんというのはナンセンスでしょう。一体何を要望したのか、これを聞いているんですよ。
  104. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 私がただいま御説明申し上げました地位協定第二条三項の前に第二条二項がございまして、日米それぞれに施設・区域の返還については絶えずこれを検討しなければならないという規定がございまして、この二条二項並びに三項の規定を踏まえまして、米側に対しまして、現に使用しております施設・区域の使用についてこの規定の趣旨に照らして考える、その点をここにうたったということが発表文でございまして、それ以上の何ものでもございません。
  105. 東中光雄

    東中分科員 あなた、何を言っているんですか。二項なんというのは全然関係ないじゃないですか。三項の後段にも関係がない。ここに書いてあるのは、明白に「安保条約の目的上必要でなくなった施設・区域」この書き方というのは、二条三項の前段のことと全く同じ趣旨の文章を書いてあるでしょう。それは、一方は地位協定と書いてあるけれども、結局は安保条約というところへかかってくるわけですから、同じことを書いてあるわけですよ。それについての要望というのはあり得ぬじゃないか。いつでも返還しなければならないということになっている。こういう姿勢でやっておるのはいかぬ、こう言っておるわけです。もう時間ばっかり取ってかなわぬので、それは答弁になっておらぬということだけはっきりしておきます。  それから、それに続いてこう書いてあります。「ニクソン・ドクトリン及び地位協定に沿って、」次にまあ目的が書いてあるわけですが、何々に「寄与する施設・区域を日本において維持することが米側の意図であることを再確認する」こう書いてある。だから、地位協定に沿ってやるというんじゃないんです。条約上じゃなくて、「ニクソン・ドクトリン」というのが入っているんですが、この「ニクソン・ドクトリン」というのは何のことをいっているんですか。公式文書の中にニクソン・ドクトリンということばが出てきているわけです。長官、これはどういうものとして発表文の中に入れておられるのですか。
  106. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 ただいま御指摘のございました「ニクソン・ドクトリン及び地位協定に沿って、」というくだりは、米側といたしまして、条約上の約束を守りつつ、かつ、海外における軍事的なプレゼンスをできる限り減少させていくという一般的な考え方を基礎といたしまして、不要となった施設・区域はいつでも日本側に返還する、さらにまた施設・区域の必要性については、返還を目的として絶えず検討するということを、地位協定の趣旨に沿って念のため確認しているわけでございます。
  107. 東中光雄

    東中分科員 あなたのいま言われておるのは、その後段に書いてあるんですよ。「義務を遂行する能力はこれによって影響を受けるものではない」というのは、その後段に書いてあるんです。だから、わざわざ前に「ニクソン・ドクトリン」と書いてあるのは、これは結局、昨年の二月のアメリカの国防報告にもあるように、自由世界の防衛上の負担をもっと公平に分けてやる、いわゆる同盟従属諸国に責任分担をさせる。これはニクソン・ドクトリンの、すべてじゃありませんけれども、一つの柱になっているわけですね。それをここへ入れているんじゃないんですか。これははずしているということじゃないでしょう。それは入っているんじゃないですか。
  108. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 ただいま一つの柱だとおっしゃいましたように、まさに一つでございまして、ニクソン・ドクトリンは、別に、条約の約束を守るということも重要な柱になっております。その点を私、先ほど御答弁申し上げたわけであります。
  109. 東中光雄

    東中分科員 条約上の約束を守るということは、わざわざそのうしろに書いてあるんですよ。その。パラグラフのうしろに書いてあるでしょう。だからそれは、ニクソン・ドクトリンの中の一部のそういう文がわざわざ書いてあるんです。防衛費分担、要するに日本の責任分担をふやしていくということを「ニクソン・ドクトリン」という表現で前に書いてある。いまあなたの言われることだったら、うしろにわざわざ内容として書いてあるんですから、それとは別のニクソン・ドクトリンの大きな柱——責任分負あるいは防衛上の負担をいわゆる同盟諸国により一そう負わしていくというニクソン・ドクトリンの、これはいま局長自身も認められたわけですけれども、一つの柱だ、それがここに入れられているということでしょう。この点ははっきりと——それは除外しているということじゃないでしょう。それが入っておるということは明白なんじゃないですか。
  110. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 先ほどの答弁の繰り返しになりましてあれでございますが、ニクソン・ドクトリンの柱を全体としてそこにうたっておるわけでございまして、その一つの柱だけを特に強調する云々ということではないわけでございます。したがいまして、この発表文にございますように、ニクソン・ドクトリン及び地位協定に沿ってということと、それから日本の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するために施設・区域を日本において維持するんだ、こういう考え方を再確認したということをうたっているわけでございます。
  111. 東中光雄

    東中分科員 それじゃこのニクソン・ドクトリンの中には自由世界の防衛上の負担をもっと公平にするという、あなたの言われた一つの、まさに柱だと言われたですが、それもこの中に入っているということ、これは局長認めるんでしょうね。
  112. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 ニクソン・ドクトリンの内容につきましては、ニクソン大統領がグアム・ドクトリンという形でこれを発表いたしまして以来、世上に内容についてはわかっていることでございまして、したがって「ニクソン・ドクトリン」とここにうたっておりますのは、ニクソンのドクトリンそのものを全体として対象としているわけでございます。
  113. 東中光雄

    東中分科員 だから、入っているんでしょう。
  114. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 ですから、切り離してということではございません。
  115. 東中光雄

    東中分科員 入っているんでしょう。
  116. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 入っております。全体として入っております。
  117. 東中光雄

    東中分科員 いまの局長の答弁で、あとの分は、要するにニクソン・ドクトリンの他の部分は文章にあるわけですから、わざわざニクソン・ドクトリンということで、いま言った防衛負担を同盟国に責任分負させるという分だけは、ほかの、それに続く条項にはないわけです。だからニクソン・ドクトリンと地位協定と、わざわざニクソン・ドクトリンということを入れたのは、まさにいま局長が認められたように、防衛分担というものをこういうことばで、それも含めて書いてある、こう理解せざるを得ぬわけでありますが、その前提に立ってこの発表文を見ますと、関東計画関連してこういう条項があります。これは第六項でありますが、委員会は関東計画を了承し、「これに関連して、日本側は米国の施設・区域の統合に対する努力を歓迎し、米側は必要な移転及び建設のための日本政府の協力と援助に対して謝意を表明した。」こう書いています。日本政府は、アメリカから公式に感謝の意を表明されるような協力と援助をしておるということになるわけです。明白にそういう文章になっています。ほかの条項では、代替施設の提供というのは、代替施設の提供と書いてある。あるいは岩国の問題は地位協定に基づいてと書いてある。しかし、この関東計画関連しては、「必要な移転及び建設のための日本政府の協力と援助に対して謝意を表明した。」日本政府は、アメリカから公式に謝意を表明されるような協力——一体どういう協力をやり、アメリカに対してどういう援助をやってきたのか、この点を明らかにしていただきたい。
  118. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 関東計画につきましては、昨年の一月にサンクレメンテの首脳会談におきまして原則的な方向が示されまして以来、一年間にわたりまして日米間に細目の調整のための折衝が続けられたわけでございますけれども、その間米側から非常に多くの要望、希望が出てまいりましたものを、日本側当局において米側と種々折衝の結果、いわゆる関東計画ということで、一月二十三日の協議委員会がその内容で発表に至ったわけでございますけれども、この間に日本側としては、この問題の推進について米側と密接な協力をしつつこの作業を進めたわけでございまして、その点に対する日米間の協力、並びに米側の希望に対しまして、日本側は代替施設の提供ということにつきまして具体的な合意をいたしたわけでございまして、こういう点につきまして、米側は、過去一年間の日米間の協力と、それに対する日本側の配慮というものに対して謝意を表明したということでございます。
  119. 東中光雄

    東中分科員 局長は時間がないらしいんであれですが、あなたがいま言われたのでいくと、その協力、援助は、これは関東計画の、過去のこと、やってきたことに対するものだと、こう言うんですが、関東計画というのは過去のことなんですか。これから計画をつくっていく、将来のことじゃないのですか。
  120. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 先刻の私の御答弁は、過去一年来における日米間の作業の結果として生まれました関東計画そのものを申し上げたわけでございまして、細目の調整が終わり、内容が固まりまして、今後具体的にこれを進めていくという作業が当然残るわけでございます。
  121. 東中光雄

    東中分科員 代替施設の提供が援助であるような言い方をされましたが、同じこの発表文に出ておるキャンプ渕野辺の返還については、「代替施設の提供をまってキャンプ渕野辺を日本に返還する。」はっきりそういうことばを使っているわけです。ところが、この関東計画に関しては、「日本政府の協力と援助に対して謝意を表明した。」こうなっているわけですから、一体何を援助したのか。これはもうすらっと答えてほしいんですよ。何も援助しておらぬのに、わざわざアメリカがこういう公式文書に、謝意を表明するなんということを書きますか。だから、一体日本政府がアメリカ、特にこれは在日米軍に対して協力し援助してきた、アメリカが謝意を表した援助の内容、これをはっきりしてほしい、こう言っているわけです。
  122. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 関東計画の対象として返還されるものの中身といたしまして六項目あがってございますけれども、この返還に伴いまして、米側といたしましては代替の施設の要求があったわけでございますけれども、その日本側の返還要求−米側の代替施設提供要求、こういうものを調整の結果、関東平野計画がまとまったわけでございまして、その過程におきまして日米それぞれの要望をいかに調整するかということは、当然大きな交渉の内容であり、また多くの作業を必要としたわけでございまして、そういうもの全般に対しまして、米側は協力と援助に対して謝意を表明ということであったわけでございます。
  123. 東中光雄

    東中分科員 協力と援助の内容は依然としてはっきりしないわけです。  その前提に一つ聞いておきますが、いわゆる関東計画、ここでことばとしては「関東平野地域における施設・区域の整理・統合計画」ということばを使っています。それを検討し、了承した、こうなっていますけれども、この「整理・統合計画」というのは、いまアメリカ局長の言われたような六つの基地の返還、これだけですか。計画という以上は、計画自体があるわけでしょう。これは全くその一部しか——計画に従ってその返還をやると書いてあるだけであって、計画そのものではないわけでしょう。計画のいわば結論でしょう。計画は何か。その計画内容は、アメリカが謝意を表明するような協力、日本政府の協力と援助というんだったら、その計画の中でアメリカが協力してもらい、援助してもらったというふうにいっておる部分はどういうことなのか、この点を明らかにしてほしい。
  124. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 先ほど私御答弁申し上げました六件は、米空軍関係の施設でございますけれども、そのほかに陸軍関係の施設といたしまして、たとえばキャンプ渕野辺の返還、それに伴います代替施設の提供、こういうものもございます。したがいまして、いわゆる関東平野の計画と申しますのは、空軍並びに陸軍を含めました、関東平野地区にございます米軍の施設全般をさすものでございます。
  125. 東中光雄

    東中分科員 施設庁長官にお聞きしたいのですけれども……。
  126. 臼井莊一

    臼井主査 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  127. 臼井莊一

    臼井主査 速記を始めてください。
  128. 東中光雄

    東中分科員 これは防衛庁長官——日本代表として参加された、主務じゃないかもしれませんけれども、直接の当事者ですから、防衛庁長官にお聞きするのが筋だと私は思っているのですけれども、こういう大きな問題の趣旨ですね、たとえばアメリカ政府が公式に、日本政府の在日米軍基地に対する協力と援助に謝意を表する、こういうふうなことをいうというのは、これは地位協定上の義務を履行したというものじゃないことは明白ですね。地位協定上の義務を履行しているんだったら、アメリカが協力、援助に対して謝意を表する、そんなことをわざわざ書くわけがないのですから。その協力、援助という内容は一体どういうことなのか。これは政府代表として参加され、サインされている防衛庁長官の見解をお聞きして、健康上の都合があるようでございますので、それをはっきりしていただいて、あと事務当局に詰めたいと思います。
  129. 増原恵吉

    増原国務大臣 御承知のように、今度の計画の主要な部分はいわゆる関東計画であるわけですが、これはいわゆる集約移転でございまして、横田へ建物を建てる、もとより返還される部分がうんと多いわけですが、そういうことを伴った両者の相談をした計画決定ということでありますので、私どもは、この問題は、そういう意味の日本政府の、要望をし、相談をし、あるいは移転集約について日本側で、いままでのものは返してもらうが、新しく若干のものを建てるというようなこともあるということもありまして、協力と援助というふうなことばを使ったものであろう。私どもも主務でないので、この点については東中さんほどえらく綿密に考えなんだ点はあれですが、そういうことを協力と援助というふうにいっておるものではないかというふうに考えておるのでございます。
  130. 東中光雄

    東中分科員 もう一点長官にお聞きしておきますが、私は、ことばじりをとらえて言っているのじゃないのです。ここにはっきりと、地位協定に沿ってじゃなくて、ニクソン・ドクトリンと地位協定に沿って検討する。ニクソン・ドクトリンは、先ほどアメリカ局長が言うように、防衛費の分担、責任分担ということが入っている。そして、具体的に進めていく問題については、「米側は必要な移転及び建設のための日本政府の協力と援助に対して謝意を表明した。」全体の文脈からいうと、ニクソン・ドクトリンに沿って、そして日本が協力し援助した、それに対して謝意を表明する、その内容はこうであるという計画が書かれておる。しかし、計画は返還することだけ書かれておって、日本政府がどんなに援助をし、どんなに協力をしたのか。たとえば、この問の総括質問で私お聞きしたときに、約二百二十億の移転集約費を出す、それくらいの金額を準備しておる、こう言っておるわけでしょう。それは何もここから出てこないわけです。この発表文からは、どこからも出てこない。この発表文に出てきているのは、まさに協力と援助ということで出てきているわけですから、そういう意味では、これは単なることばじりの問題じゃなくて、移転集約費の性格そのものがここで、公式の文書ではっきり出されているということなんですよ。そういう点で、それは政府の代表としてやられて、ただめくら判を押していたというわけにはまいりませんので、大きな趣旨ですから、個々のこまかい、渕野辺のキャンプがどれくらいあるとか、どういうふうに返るとかという技術的なことを長官にお聞きしているのじゃなくて、アメリカが協力と援助に感謝するということを言っているようなこういう実態、日本政府は何を協力し援助しているのかということについて、これは長官政府の大きな筋道として当然認識されているべき性質のものだし、それもわからぬけれども、とにかく事務当局にまかしておったんだと言うんだったら、これはもうそれ自体の政治責任が出てくると思うのです。はっきりとそういった面での見解をお聞きしたい。
  131. 増原恵吉

    増原国務大臣 この、初めに引用になりまして、いまも御引用になりました「ニクソン・ドクトリン及び地位協定に沿って、」というのは、これに沿って「日本の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与する施設・区域を日本において維持することが米側の意図である」こういうことにかかっておるわけでございまして、ニクソン・ドクトリンに基づいて日本がいわゆる米国の肩がわりとしての防衛努力をするとかなんとかいうふうな文脈と、私どもは解釈いたしておりません。したがいまして、ニクソン・ドクトリンが協力と援助のほうへ響いてくるとは考えないのでございます。協力と援助は、相当期間にわたりまして関東計画という集約計画、これには多くの土地を返してもらうわけですが、そして中には多くの家もあるわけですが、新しく、若干のものは横田につくって米軍に提供するということも含むわけでございます。そういうことを、日本政府の協力と援助に謝意を表したということばで米側の意向をあらわした。ここのところは、ニクソン・ドクトリンとは文脈上も一向関係はない、私どもはかように考えておるわけでございます。
  132. 東中光雄

    東中分科員 まるきり部分的に分離して読んだらいかぬですよ。その前は、米側は、先ほど第一番目に問題しました「安保条約の目的上必要でなくなった施設・区域の返還についての日本政府の要望を考慮に入れている」ここで、地位協定上は当然返さなければいけないもの、いつでも返さなければならないとなっているものについて、政府は要望を出している。第一点。そして、それを考慮に入れて、今度はニクソン・ドクトリンと地位協定、これに従って「日本の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和」云々ということが米国の意図であることが確認された。米国の意図というのは、だから一この安保条約の目的の内容がここに書かれているわけですけれども、それだったら地位協定だけなんで、ニクソン・ドクトリンというのは、防衛費分担ということも入っている。全体として検討する立場をここに書かれているわけでしょう。基地の移転集約についての検討の立場を五項に書かれておって、六項では具体的な関東計画に入っていっている。そこで感謝をしている。援助、協力に対して感謝をしている。だから、全体として、まあいえば五項は六項の前文みたいな、総論みたいなものであります。明白にそうなっているじゃないですか。私が言うのは、いま防衛庁長官が、二百二十億という数字はあげられませんでしたけれども、米軍住宅建設、そういうものも含めてそれを協力、援助、そういうものを日本がつくるということも含めて協力、援助というふうに言っているというふうに答弁されたと思うのですが、そうでございますか。それだけ確かめておきたいと思います。
  133. 増原恵吉

    増原国務大臣 そういうふうに私どもはこの文章をえらくむずかしく解釈しないで、あっさりと、協力と援助というものは解釈をいたしておるのでございます。
  134. 東中光雄

    東中分科員 あのいわゆる移転集約費、関東計画による二百二十億というものを予算化していくというのは協力、援助になる。地位協定上の義務だったら、それは協力、援助とは言いません。この同じ文章のほかの部分では明白に地位協定の規定に基づき云々と、こう書いてある。そういう性質のものだと思うのですが、あの二百二十億を予算化していくということをきめた根拠ですね。何に基づいてきめたのか、そしてその金額をきめた機関、いつどこできめたのか、その点お聞きしたいと思います。
  135. 高松敬治

    ○高松政府委員 今度の関東計画に基づく基地の施設・区域の整理、統合の一つの特徴は、集約移転することによって非常に広い地域の返還がなされるというところに一つの眼目があるわけでございます。返還される面積が、この前も申し上げたと思いますが二千二百万平米ぐらいになります。それから返還される地域にあります住宅が、大体二千五百十二戸ばかりございます。それを、今度の横田への返還については、二百七十五戸つくるということになっております。それから、建物にいたしましても、現在ある建物の約一六%程度を横田につくって、そうしてほかの区域をあけてそれを返還するというところが、その一bの大きな今度の特徴であると思います。そういう意味で、その協力、援助ということも、アメリカ側に対してそれだけ、二百二十億ということについて、こちらがそういう新たなる施設を提供をするということの反面に、そういうふうな大きな、他のそういう返還を受けるほうの利益が現実に存在している、こういうことに私どもは理解しております。  それから、これがいつきまったかというお話でございますが、先ほどもアメリカ局長が御説明申し上げましたように、一年ばかりかかりましていろいろ検討をいたしてまいりました。正確にきまった時期は私覚えておりませんが、大体ことしの一月ぐらい、安保協議委員会の始まる直前まで、すぐ前までいろいろ両者の問で折衝が行なわれた、こういうことでございます。
  136. 東中光雄

    東中分科員 予算を執行していく、あるいは予算を組んでいく、その前提になる日米間の話し合い、それは法的な根拠でいえば、いま一月ごろにきまったとおっしゃったけれども、それは法的にはどういう根拠に基づいた、どういう性格の日米間の話ができたのか、これをはっきりしてほしい。
  137. 高松敬治

    ○高松政府委員 私、一月ごろと申しましたのは、事務レベルにおける折衝が大体めどがついたのがそれぐらいの時期である、それから安保協議委員会にかかって、それが両者の合意を見た、こういうことでございます。
  138. 東中光雄

    東中分科員 そうすると安保協議委員会できまったというのですか、その二百二十億というのは。安保協議委員会じゃ、発表文には何も出ていない。だから、この発表文以外に何かきまった、約束した分がある、その発表しない、秘密の。したがって、秘密の約束だから密約がある、こういうことになりますね。あるんだったら、何があるのですか。
  139. 高松敬治

    ○高松政府委員 そういう意味ではございません。二百二十億と申しておりますのも、事務段階における、建物の向こうの必要とする数その他をずっと検討してきまして、積算をすると大体それぐらいになるのではないかということで、もとより厳密な両方の約束でも何でもございません。ただ向こうとして、いま各地にいろいろありますもののうち、こういうものとこういうものと、たとえば倉庫なり事務所なり病院なり学校なりあるいは住宅なりというものの必要数はこれくらいである。これについても両方でいろいろ議論してまいりました。で、だいぶん減った分もございます。そういう形で一応事務レベルにおいて結論を出して、それについての予算を積み上げて、大体計算するとそれくらいになる、こういうことでございまして、この二百二十億を必ず、そういう金額的に米側と約束しているとかいうものではございません。
  140. 東中光雄

    東中分科員 これは予算化していくわけでしょう。ところが、きまっているわけでもない。きまっておらなかったら、きまっておらぬものに従って今度は日本政府は、防衛施設庁は作業を進めていく、こういうあやふやなことをやっているわけですか。  もう一点具体的な問題で聞いておきますが、現在横田の基地の中では米軍住宅建設がある。第一期、第二期、第三期、第四期と進んでいますね。第四期がことしの四月から始まる。第三期が去年の四月から始まって、ことしの一月に完成した。これは日米間の何かの協定に基づいてやっているんですか。それともいま言われているような、ばく然とした、別にきまっているわけではない、寄り寄り話し合った——在日米軍施設庁みたいな行動ですね。日本の防衛施設庁でなくて在日米軍施設庁になりますよ、そういう向こうと寄り寄り話し合いをしてつくっていくというようなことになれば。そういうあやふやなことをやっているのかどうか。しかも、そういうことをやる法的な根拠は一体どこにあるのか。地位協定上どこかありますか。
  141. 高松敬治

    ○高松政府委員 予算の問題につきましては、本年度三十六億五千万ばかりの予算を要求しているところでございます。御審議を願っているところでございます。全体計画が一応そういう形でできましたが、もちろんこれは一つの概数的なものでございまして、あとはその単年度年度においてこれからずっと話し合いを詰めていきまして、大体この関東計画は三年計画というふうにいわれておりますけれども、その三年間に個々にその年度の必要な事業を具体化して、そうして予算として審議をお願いしていく、こういうたてまえでございます。たいへんばくとした形ではございますけれども、これからの折衝によって問題がまた次第次第に具体化され、それに応じてまた予算化されていく、こういうことでございます。  それから、あとの問題はグラン伊ハイツの移設の問題だと思いますけれども、これにつきましては施設部長から答弁いたします。
  142. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 関連して御質問のありましたグランドハイツ及び武蔵野住宅の移設につきましては、昭和四十六年八月に日米合同委員会で、代替施設を横田につくることによってグラン声ハイツと武蔵野住宅とを返還するということについて基本方針が合意され、それに基づいて現在の移設工事を実施しているわけでございます。
  143. 東中光雄

    東中分科員 いま言われた一九七一年八月十九日付のグラン伊ハイツの移転に関する協定書というのですか、あなたはいま基本方針と言われましたけれども、こういうものを関東計画ではつくっているのか、つくっていないのか。  それから、この内容は全く公表してないわけですね。なぜ公表しないのか。しかも、それに基づいて現に工事を進め、国民の税金を使っていくわけですから、そういう内容を公表しない、隠したままでやっていくということになったら、これはどうしても納得するわけにはまいりません。  それからもう一つは、そういう協定をつくるというのは地位協定上どこに根拠があるのか、この三点についてお聞きしたい。
  144. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 通常日米間で施設・区域の移転の話し合い等が行なわれます場合には、地位協定の二十五条にきめられております日米間の協議機関としての合同委員会の下部機構がいろいろございます。そういったところで事務的に問題を日米間で詰めまして、大体この方針、この形でいくのが妥当であろうというような話し合いの一応の基礎が固まりました段階で、今度は予算要求をするわけでございます。そうして予算が成立いたしました段階で初めて合同委員会において日米間の合意を取りかわす、そうして工事を実施していくたてまえになっております。  そこで、先ほどから問題になっております関東平野の集約計画というものは、あくまで第十四回の日米安保協議委員会でそういう方向づけと申しますか、方針を日米間で協議し、合意した。それから過去一年間それらについて作業をやっておりましたのも、サンクレメンテの日米首脳会談のあとに、こういうような問題を取り上げて、具体的に日米問で事務的にそれを詰めていった。そういった積み上げのもとに、安保協議委員会で一応方針が合意され、これが来年度予算に第一年度分として計上され、その予算が成立した段階で、具体的な細目の実施についてあらためて日米間の正式合意が取りかわされる、こういう段取りになるわけでございます。
  145. 東中光雄

    東中分科員 時間がありませんので……。いま言われたのでは、事実上の日米間の交渉をやって、そしてまだ取りきめも何もないのに先に予算を組んでしまう、まさに予算の先取りなんですね。そういうことで着手していくということになると、今度は協定を結ぶ。二十五条による合同委員会の協定と言われましたけれども、二条一項(a)にいう施設提供についての個々の協定ではない。ただ地位協定上、二十五条というのは合同委員会の機関を書いておるだけであって、地位協定上に、そういう建設をやっていくというような協定をつくるというようなことはどこにもないわけです。施設の提供については、協定をつくらなければならないということははっきりしている。施設・区域を提供する場合には、ちゃんと協定をつくらなければいかぬとなっているのですから。ところが、施設・区域の提供の実体ですね、金を出す、そのための協定をつくるというようなことは、どこにも書いてない。まさにこれは地位協定を拡大しているじゃないですか。そしてアメリカからは協力と援助に感謝するということを公式文書で書くという事態になっている。  私は、時間がありませんので、質問はこれで終わりますけれども、これはたいへんな問題だ。全く日本の防衛施設庁が在日米軍施設庁になってしまっている。平気でそれが進んでいっている。しかも、それは日本の国民の血税が使われている。こういう事態になっているということを私はゆゆしい問題だと思います。しかも、リロケーションをトータルすれば、ずいぶん大きな金額になります。そういう点を指摘して、時間がありませんので、今後またあらためて追及したいと思います。
  146. 高松敬治

    ○高松政府委員 やり方についてはいろいろあると思います。いま予算の先取りとおっしゃいましたけれども、予算の審議を願って、それが成立したときにはっきりした合意をする。それも、予算の裏づけのない約束をするわけには、正式には合意をするわけにいかないという考え方からいえば一そういう従来からのやり方というのは、予算の先取りという問題ではなかろうと思います。  それからもう一つは、予算が通ることを条件にして合意をする、こういうやり方もあろうかと思います。現実にそういうものも考えられるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、私どもとしては、予算の審議、予算の成立ということが条件になって、そうして具体的にやるということでなければ、それこそまことに予算の審議を無視して、事務レベルなりあるいは政府間でかってにそういう予算の伴う仕事を約束する、こういうことになろうかと考えます。そういう意味では、予算の先取りという問題ではないということを御了解いただきたいと思います。
  147. 東中光雄

    東中分科員 計画内容ははっきりさせない、それから米側との合意は、合意書という形でははっきりきまっていない。事実上きまっているだけで、予算がきまってからやる、まさに予算の先取りじゃないですか。だって、その審議のしようがないじゃないですか。こういう協定があるのだ、そのことがいいか悪いかということは、これは別の問題なんです。だから、そのあとでつくるというその協定が、先ほど言うように、地位協定上の根拠は何もない。二条一項(a)にはわざわざ書いてあるのだから。ところがそれと違うものをつくっている。こういうかっこうになっている。この点を指摘し、また、これからはっきりさせていきたい、こう思うわけです。  質問を終わります。
  148. 臼井莊一

    臼井主査 次に、吉永治市君。
  149. 吉永治市

    吉永分科員 私は、防衛庁長官御病気のようでございますので、時間を圧縮いたしまして、結論的な要旨の御質問だけにとどめたいと思っております。  第一番目に申し上げたいことは、自衛隊教育の基本方針についてでございます。  第二番目の質問事項は、転換期を迎えた基地問題についての御所見でございます。  第三番目には、大きな都会、たとえば東京大震災等の場合においての自衛隊のとる処置の想定についてお伺いをしたい。  第四番目は、自衛隊の離職者の就職審査会の問題について。  この四点について、簡潔にお伺いを申し上げたいと思っております。  まず第一に、長官にお伺い申し上げたいことは、自衛隊教育の基本方針についてですが、自衛隊教育の基本方針は、もちろん国防の本義あるいは国防の基本方針がその根底をなすことは申すまでもございません。昭和三十二年の四月二十日の閣議決定事項によって、国防の基本方針というものは明確にされております。「国防の目的は、直接及び間接の侵略を未然に防止し、万一侵略が行なわれるときはこれを排除し、もって民主主義を基調とするわが国の独立と平和を守ることにある。この目的を達成するための基本方針を次のとおり定める。」一つ、「国際連合の活動を支持し、国際間の協調をはかり、世界平和の実現を期する。」第二、「民生を安定し、愛国心を高揚し、国家の安全を保障するに必要な基盤を確立する。」「国力国情に応じ自衛のため必要な限度において、効率的な防衛力を漸進的に整備する。」四、「外部からの侵略に対しては、将来、国際連合が有効にこれを阻止する機能を果たし得るに至るまでは、米国との安全保障体制を基調としてこれに対処する。」第一次防衛整備目標、第二次防衛力整備計画、第三次防衛力整備計画主要項目、第四次防衛力整備五カ年計画の大綱においても、同様の方針が貫かれておりますことは、御了承のとおりであります。  私がここで申し上げたいことは、この間然するところなき国防の基本方針のもとに、その信念にのっとって自衛隊の教育が確実に厳正に行なわれているかどうかということでございます。ことばをかえて申し上げますると、現在の自衛隊を国防と愛国と任務との使命感に燃え立たせ、身を挺してその使命に殉ぜんとする自覚と誇りを持ち得るような政府の政策と責任ある指導力というものが政府によって全くもたらされてきたかどうかという点でございます。  御承知のように、自衛隊は過去二十年間、政治優先のもとにことさらなる隠忍自重を余儀なくされてまいりました。これはあたりまえのことであり、文民優位の原則は、民主国家の自衛隊として当然のことでございます。ただ、終戦後の時代風潮の中で、あるいは反軍あるいは反戦思想に災いされて、自分の国は自分で守るというその原則を忘れ去って、自衛隊の悪口や旧軍の攻撃をしておけば民主主義的自由主義者として、無定見な一部の知識人が横行しておりました。そういう時期に、ある時期は自衛隊がじゃま者のようにされ、あるときは日陰者のような踏みにじられた境涯に甘んじたことが一再ならずあったように記憶いたします。そうしたことが重なって自衛隊の精神面の枯渇を招いた、精神力の低下を招いた、無気力を招いたと私は考えております。そうした風土の中におきまして、政府指導層、責任ある立場の人たちが、敢然としてこれに立ち向かってその蒙を開くという勇気と使命感とが足りなかったのではないか。そのことを私は考え至らざるを得ないのでございます。  自衛隊の無気力化と精神面の低下が真実のものであるとするならば、私はその責任の一半は政府責任者あるいは自民党自身にあるとさえも考えております。一つの集団、一つの社会、一つの国家において、高々と堂々と掲げ得る建国の理想がなかったら、骨組みを堅確にして不抜の精神と責任ある指導原理を示し得なかったら、その国家、その集団がどういう運命をたどるかは自明の理でございます。申すまでもなく、歴史の実証するところでございます。このことに関しまして、私は長官の真実の御見解を承りたい。それが第一の質問でございます。  第二に、時間が制約されて非常に少のうございますので簡潔に申し上げますが、基地問題について御質問申し上げます。  現実の国際情勢の中でわが国の防衛を全うするために、日米安全保障体制の堅持とその運用の適正こそが最も重要であるという基本的理解の中で、今後いかにすれば日本全体の利益を高めつつ、基地の存在から生ずる諸問題、摩擦を減らせるかという考え方に立って、これからの基地問題を考え、処理し、対処していかなければならないと私は考えております。九十に近い米軍の基地が今日日本に存在するという事実は、否定することのできない現実でございます。このことは、自力だけでは核時代の日本は守り切れないという認識を持つかどうかにかかっておるということも論をまちません。この認識を前提にしてお尋ねをいたしたい。  その一つは、今後の基地対策上に基地の運用と国民生活とが調和し得るような努力を日米双方でもっと徹底的に、もっと計画的に、周密に相談、協議ができないものかどうか。基地周辺の整備、防音、防災等に関しまして、基地周辺の市町村、基地米軍との話し合いに関して、防衛庁、自治省、その他の政府機関がもっと周密に力を入れる余地がないかどうかということであります。  第二番目は、利用度の比較的少ない基地からその一部または全部を返還をする機運をもう少し高め、折衝の度を強くできないかということであります。特に政治上問題のある基地は移転方を促進をするということも、右同様の趣旨において折衝方を強く進められる、そういう努力が必要ではないか。  その三は、一部の基地反対の声のみがまことに針小棒大に誇大宣伝されておる。これに対処しまして防衛庁自体の広報活動、マスコミ対策、あるいは現地における的確なる情報収集が緩慢ではないか、手おくれではないか、後手後手に回っていはしないか、そういう見方が私たちにされるのでございます。現下の国際情勢下において、日米の相互協力、安保条約がわが国防衛の基本方針であって、わが国の平和と安全のために基地の存在とその正しい運営が基本的要請であることを、国民、特に基地周辺の住民に的確にしんぼう強く、日本の世論として、日本の衷情として理解できるような、そういうあらゆる機会を通じての宣伝、情報、説得、そういうものを普遍する努力をいま少し重ねていただきたいということが、私の質問の要旨でございます。  第三の質問、非常時に対処する自衛隊の処置。これは一つの例を東京にとりました場合に、大震災が起きたといたします。これは起きないとは仮定できない。必ずそういうことがあり得る。最悪の事態に対処して、それに対応する未然の措置を講じておくというのが政治の要諦でございましょう。それに対しますところの自衛隊の処置はいかような処置をお持ちになるか。当然、堅確な、的確な構想がおありだろうと思いますが、示し得られる範囲におきまして御解明を願いたい。  その四つ。自衛隊就職の審査会の問題でございます。これは防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案の第三十七条の二によります。防衛庁職員が一人、人事院の職員が一人、総理府の職員が一人、学識経験者が二人、五名の委員が出て、その中から会長を互選するというようになっております。私は、この自衛隊離職者の就職に関しまして、この五人委員会がこの自衛隊離職者に対して適材適所にその就職をあっせんをする、決定をする機関であるのか、あるいはここに就職をしたいという自衛隊離職者の個々の人々が、こういうところに就職をしてよろしいかという申請をしてその許可をするような、いわゆるお役所的な役目をする機関であるのか、その辺のことをお伺い申し上げたい。  商事会社に入った自衛隊の高級幹部、そういう人たちが昨年、一昨年といろいろ取りざたをされました。考えてみますると、自衛隊出身の方々の就職先というものはきわめて不安でございます。これは陸将以上の諸君の就職をしておる状況を見ますと、どの会社に行っても嘱託的な待遇を受けて、肩をすくめた生活をしておる。もう少し、あの有為有能な人々を活用するような、適材適所の国家目的に合するような、国益に合うようなそういう職種の選定、あっせんというものはできないものかどうか、そういうことを意図した機関であってほしい、そういうように考えておる次第でございます。  以上五項目に関しまして、まことに簡単ではございますが、防衛庁長官最初の一項だけでけっこうでございます。あとは関係の局長の皆さんの御所見を承りたいと思います。
  150. 増原恵吉

    増原国務大臣 たいへん重要な基本的な五項目の質問をいただきまして、たいへん感謝をいたします。特に第一の問題は、御指摘のとおり、まことに基本的な重要問題でございます。  たまたま私は、昭和二十五年に警察予備隊という形でいまの防衛庁自衛隊が発足をしまするときに、責任者の職を受けました。当時はもとより警察予備隊でございまして、大きい治安上の不安が出てまいって、警察の力の足らないときにこれを補うというものであったのでございます。あと保安庁になりましてもそういうことでございましたが、二十九年防衛庁自衛隊となりまして、現在の直接、間接の侵略に対してわが国を防衛するということになりました。しかし、発足当時から、やはりこれは防衛的なものではないかという意味における批判といいまするかがあったのでございまして、隊員に志願をしてもらう人たちにたいへん気の毒な環境のもとで出発をいたしたことを、忘れることはできないのでございます。  自来、二十九年発足以来、ずいぶん年をけみしてまいりました。しかし、その間におきまして、この重要な国の防衛の問題が、与党、野党の間で基本的に考え方の一致を見ないということで、この年月を過ごしてまいった。吉永委員仰せのとおり、まことに残念なことでございます。  私どもは、隊員の教育の基本ということについては、これはいま吉永委員が御質問の中でお述べになりましたとおりの重要性、重点を置いて考えておるわけでございまして、こまかい具体的なことを申し上げる必要はないかと思うのでございまするが、しかし、そうした中で、御指摘になりましたように、やはり重要な国の防衛の問題について、いまだに与党、野党の問に意見の基本的な食い違いがある。防衛二法は四十六年、四十七年と不成立に終わり、四十八年今回お願いをしているのは三年分を合わせてお願いをしているという状態になっておるわけでございます。  私どもは、防衛庁のたてまえといたしまして、自衛隊法五十二条にありまするような服務の本旨を十分に達することのできまするように、隊員の教育、訓練に専念をいたしておるわけでございまするが、やはり基本は、そういう国の防衛という重大な問題について、重要な決定を国会において決定を遂げていただくという形をぜひお願いを申し上げたい。そういうことによりまして、いまお述べになりました国防の基本方針に盛られました実質を隊員によく理解せしめ、隊員の教育、訓練の徹底、目的の完全な把握、目的に対してあやまらざる勉強努力の推進をさせるようにしてまいりたい。私どもも、もとよりできるだけのそういう方面に対する努力を、御質問の最後にお述べになりましたそういう意味の広報なり説得なりが欠けておるのではないかという御質問がありましたことと関連をいたしまするそういうことに十分努力をいたしまして、自衛隊というものを国民にしっかりと、その必要なるゆえんを認識をしていただきまして、隊員が誇りを持って、力を持って、信念を持って隊務に精進できるよう基礎をしっかりと固めていかなければならぬ、そういう土台をつくることによりまして、そういうことに御協力を賜わることによりまして、私どもが、自衛隊法五十二条に定めました服務の本旨にのっとりますようなこの隊員の教育を具体的に実施をしてまいりたい、かように考える次第でございます。
  151. 長坂強

    ○長坂政府委員 お問い合わせの第二点は、転換期を迎えた基地問題について、特に今後の基地対策について防衛庁としてはどのような姿勢で臨むのかと、こういう御質問だと思いますが、かねがね増原長官からは、この基地問題につきましても、一般社会との摩擦というものをなくす方法はないか、特に一月十九日の高級幹部会同におきましても、一般社会との調和をはかれという御訓示をいただいております。また同日、総理からも、基地問題について適切な処理を誤れば防衛の基盤をあやうくするものであるという御訓示をいただいております。その御趣旨に沿いまして、現在、防衛施設のあり方の検討、それから基本的指針の策定という命令を長官からいただいておりまして、米軍、自衛隊の施設を通じまして、周辺地域の開発状況あるいは関係自治体の要望等を勘案しながら、その合理的な再編成、整理、統合を進めることを目下検討いたしております。  また、いわゆる基地対策につきましても、現行の周辺整備法に基づく対策事業の拡充あるいは補助事業の範囲の拡大等につきまして、関係省庁といま懸命に検討、協議をいたしております。  それから、さらに演習場、飛行場等の基地のうちで特に重点的な基地については、従来の基地対策以上の考え方というものをとり得ないか、そういうものが必要であろうということから、やはり関係各省と真剣に協議を進めておるところでございます。  御指摘の三点の第一点につきましては、以上の御説明で御理解いただきたいと存じますが、利用度の少ない基地の返還あるいは移転の促進等につきましても、やはり基本的な基地のあり方の検討を待ちまして何らかの結論を得たいと鋭意検討を急いでおるところでございます。  なお、基地問題に対処するための広報活動のPR、それは後手後手ではないかという御指摘でございますが、これはよく拳々服膺いたしまして、今後の私どもの施策に生かしていきたいと存じております。よろしくお願いいたします。
  152. 久保卓也

    久保政府委員 総理を議長にしまする中央防災会議で、昭和四十六年に大都市震災対策推進要綱というのをつくっておりますが、それに関連をいたしまして、防衛庁でもやはり中央の計画をつくっております。その内容を申しますると、防衛庁自衛隊が担当いたしまするのは、情報収集活動あるいは人命救助、それから被災者の救護、道路を開くこと、あるいは人員、物資の輸送その他ということでありまするし、これの総体の人員から見ますると陸海空合わせまして約六万弱、航空機にいたしまして三百五十機、車両にしまして約一万両、艦船が約五十隻、こういったものを関東地域に集中をして、大々的に災害対策に当たりたい。  なお、この中央防災会議の下部機構としての都道府県の防災会議におきましても、防災計画をつくっておりまして、たとえば東京都、神奈川その他でありまするが、その中に自衛隊も、それぞれの部隊の関連のものを取り込んであります。  なお、中央の災害対策計画につきまして御興味がございますれば、資料として差し上げてけっこうであります。
  153. 高瀬忠雄

    ○高瀬(忠)政府委員 自衛隊離職者就職審査会の運用の方針につきましてお答えいたします。  自衛隊におきましては、御承知のように停年制というものがとられておりまして、毎年多数の自衛官が、比較的若年で退職をしてまいります。そうしてこれらの、自衛隊でりっぱに教育を受けました者につきましての再就職は、しっかりしたところに就職させたいということで、自衛隊におきましては、隊員に対する技能教育を重視するとか、あるいは公資格を取得する機会を与えるとか、そういったものをやりまして、退職しました隊員がりっぱに就職ができるというようなことで、極力就職援護の面で努力をしております。そうして、先ほどのお話のように、それぞれの隊員がりっぱに就職しまして、適材適所の職場で働くというふうにしたいということを考えております。  一方におきまして、この退職の隊員防衛庁関連の企業に再就職をする場合におきましては、公務執行の適正を確保するという観点から、自衛隊法六十二条にその規定がございまして、これは在職中の職務と密接な関係のある防衛庁の登録会社の役員等に就職する場合には長官の承認を要するということになっております。これが自衛隊法の規定でございますが、この規定の運用は、従前、人事当局が厳格なる審査をいたしておりまして、りっぱにやっておるわけでございますけれども、いろいろな意見がございまして、今回特に就職審査会というものを設置法の中でつくっていただきまして、いまのようなところに就職する隊員が、すなわち防衛庁関連企業に就職するという場合に長官が承認をするということになるわけでありますが、その構成者について、いやしくも国民から疑惑を受けることがないようにしようということで、先ほど先生お話しの五名の委員をもちまして——特に部外からの学識経験者二名を入れまして、五名をもちまして委員会を構成する。そして防衛庁長官の諮問機関として、一般職の場合におきましては第三者の機関である人事院がこれを担当しておりますけれども、防衛庁におきましても、いわば第三者的性格を持った機関をつくりまして、そして公正な審査をしていただこうということを考えているわけでございます。もちろん、先ほど御指摘のように、りっぱに教育訓練を受けた自衛隊隊員がりっぱに再就職をして、そうして適材適所の職場で働くということは大事でございますので、この点につきましては従前どおり努力をしてまいるつもりでございますし、四次防におきましては、再就職のために特に停年退職をするような曹あるいは幹部につきましての再就職のためのいろいろな技能訓練の職場——技能をしっかり身につけるというような観点からいろいろな施策をするということで、この点につきましても非常に努力しているところでございます。
  154. 吉永治市

    吉永分科員 質問も簡潔に過ぎて要を尽くしませんし、またお答えも非常に簡潔であったように思いますが、先ほど申し上げました第一点の自衛隊教育の基本的な問題、転換期を迎えた基地の問題、非常災害時に対処する自衛隊の処置、このことに関しましては、私はあらためて時間をかけて・国民の前にはっきり解明し得る時期を持ちたいと思っております。そのつもりでおりますので一どうか自衛隊幹部におかれましてもそのように御了承願いたいと思います。  私の質問を終わります。
  155. 臼井莊一

    臼井主査 この際、暫時休憩いたします。     午後一時二十七分休憩      ————◇—————     午後二時一分開議
  156. 臼井莊一

    臼井主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続けます。勝澤芳雄君。
  157. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 最近、自衛官の募集について行き過ぎた行為があるということでだいぶ指摘されておるのですが、まずこれについての大臣の所感をお伺いいたしたいと思います。
  158. 増原恵吉

    増原国務大臣 自衛官の募集、特に陸につきまして募集がなかなか容易でないということがありまして、防衛庁の関係係官、いずれも努力と苦労をいたしておるのでございまするが、行き過ぎがあるという御指摘を受けたこともあるわけでございまして、行き過ぎるようなことのありませんように、十分その点は事あるごとに具体的に戒心をさせまして、行き過ぎることのないように、しかも所望の隊員の募集ができるようにということで苦心をいたしておるというところでございます。
  159. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 この募集方法は、概括的にどういう方法をとられておるのですか。
  160. 高瀬忠雄

    ○高瀬(忠)政府委員 募集には普通、採用する相手方によりまして、陸海空のいわゆる二士というものの採用と、それからその他の、大学卒業者の幹部候補生とか、あるいは高等学校を出ました航空学生とか、それから看護学生、いろいろな各種募集がありますが、そういったことによりまして、その態様は若干違いますけれども、二士の募集につきましては、都道府県または市町村に一部委任をいたしまして募集の協力をいただきますと同時に、自衛隊には地方連絡部というものがございまして、実際には第一線の募集に当たっております。  関係のところといたしましては、地方連絡部では、たとえば高等学校とか中学校あたりに行きまして、広報宣伝をするとか、あるいは市街地におきましていろいろな広報宣伝をするというようなことを通しまして、所要隊員を確保しようということで努力をいたしておるところでございます。
  161. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 市町村は、自衛隊の募集について協力するための一部の事務を委託されておるのですが、具体的に一体、市町村の協力する義務というのはどの範囲なんでしょうか。
  162. 増原恵吉

    増原国務大臣 ただいま市町村に委任をいたしておりまする募集事務は、志願票の受理、受験票の交付、応募資格の調査及び広報宣伝などでございまして、これは自衛隊法に基づきまして市町村に委任をされており、市町村としては、こういうことを行なってもらう義務があるものと考えておりまするが、広報宣伝はその範囲がたいへん広いので、当該市町村がその実情に応じて適当な広報をしていただくというふうなことでございまして、広報宣伝についてどういうものをやっていただくというような義務づけというふうな範囲はむずかしいことで、そういう意味の広い、すべて広報宣伝は義務であるというふうには解していないわけでございます。
  163. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 応募資格の調査というのはどういうことですか。
  164. 高瀬忠雄

    ○高瀬(忠)政府委員 応募する者の年齢の制限がございますので、十八歳から二十四歳ということでもって、年齢そのものを、まず範囲の調査をしていただかなければなりませんし、それから自衛隊法には欠格条項というのがございまして、隊員となるために、たとえば禁治産者であるとか、準禁治産者ではないかとか、あるいは犯罪の関係はどうかというようなことの欠格条項に該当するかどうかということの調査も必要でございまして、そのほか本籍地の調査、現住所の調査というようなことをしていただくことにしております。
  165. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 そうすると、これは、ひところ問題になりました自衛官の適格者名簿、こういわれておりますが、これのことですね。
  166. 高瀬忠雄

    ○高瀬(忠)政府委員 従前、適格者名簿というのが問題になりましたけれども、これはその市町村に、たとえば十八歳から二十四歳に該当するような人がどの程度住んでおるかというような調査、すなわちそういった人に対してPRといいますか、自衛隊の広報をするための手段として従来適格者の調査が行なわれたことがあります。それを通称適格者名簿といわれておりますが、これは広報の一手段としてやっておるわけでございますから、先ほどのような調査、いわゆる市町村に委任しておりますいろんな資格の調査というものとは違うわけでございます。
  167. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 時間がないからあれですけれども、結局十八歳から二十四歳までの人で自衛隊員になる資格のある人の名簿を、市町村は強制的に義務づけられておるのですか。
  168. 高瀬忠雄

    ○高瀬(忠)政府委員 いまの適格者の調査は、市町村が独自に広報の一手段としてそれぞれやっているものでございまして、いまお話しのように義務づけられておるというような性質のものではございません。
  169. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 そうすると、市町村ができなければできないと断わることはできるわけですね。
  170. 高瀬忠雄

    ○高瀬(忠)政府委員 ただいまの適格者名簿の現状でございますけれども、従来そういった問題が起こりましたが、広報の手段としては非常に役に立つというようなことで、現在では多くの市町村でそういったものをつくっているというふうに聞いておりますが、いま申し上げましたように、義務づけられたものでないことはおっしゃるとおりでございます。
  171. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 この自衛隊員の募集事務を委託されていることに対して、どの程度の費用が出されておるのですか。
  172. 高瀬忠雄

    ○高瀬(忠)政府委員 募集経費の中で委託費というのがございまして、四十八年度におきましては一億二千五百万円というのが、都道府県または市町村にこの募集事務を実施するために配分されるところの委託費でございまして、これは募集事務を地方公共団体で行なう場合におきますところの旅費、庁費等でございます。
  173. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 大臣、今度円の再切り上げがあるだろうということで、中小企業者はいまたいへん悩んでいるわけです。片方で円の問題で中小企業が危機になっているときに、片方で自衛隊が、いまお手元に差し上げたように、中小企業につとめている人たちに各個的に自衛官募集のためのはがきを出しているわけです。このはがきは前橋の家具工業団地の矢島木工の独身寮に配達されたものなんです。これが静岡で家具の大会があったときに出まして、こういうことを中小企業の特に経営基盤の弱いところにねらい撃ちにやられたら、もう中小企業はたまらぬ、こう言って、こういう行き過ぎた募集はやめてもらいたいという要望が出てきたわけです。私はこれは当然なことだと思う。  それで、まず中小企業庁にお尋ねしたいのですが、中小企業庁は中小企業のために一生懸命やられておると思うのです。一生懸命企業に対してはやっているけれども、その働いている人たちが、こんなような形でひっこ抜かれているということは、これは重大な問題だと思うのです。特にこれは、資料を上げますけれども、待遇をちょっと見てもらいたいと思うのです。あなたのところの中小企業の待遇とこの待遇を比べてみますと、これには、国家公務員で実質給与が五万六千円、ボーナスは年三回。諸手当があって、退職手当は二年満期で十四万円もくれる。いま、どうですか。中小企業でこれだけのものが払えますか。片方は、円問題でたいへんなところになっているのに、片方では、自衛官募集でこういうように各個撃破をやられたら、これはたいへんなことだと思うのですけれども、実情と、これについてのあなたのお考えを少し御説明願いたいと思います。
  174. 森口八郎

    ○森口政府委員 仰せのとおり、昨年の夏以降景気が回復してまいりましたので、労働市況はタイトになっております。したがいまして、なかなか中小企業では働く人を十分に得られないというような状況が最近までの状況であったわけでございます。ただ、中小企業全般として見ました場合には、やはり中小企業における離職率は全般的には相当高いわけでございまして、二十数%というような離職率を示しておるような状況でございます。  私どもは、従業員の定着性を確保する、そして中小企業の生産性を恒常的、安定的にするというようなことが第一の仕事だろうと思っておりますが、そのためにやはり中小企業の生産性を上げて、賃金を上げるということが一番重要なことだろうと思っております。  ただ、最近の労働者の意識調査によりましても、賃金を上げるというだけではなしに、職場の環境をよくする、いろいろな厚生施設をつくったり、あるいは人間関係をよくしたり、そういうような点が重要でございまして、私どもは何よりも中小企業における従業者の定着対策を労働省と相携えて講じていかなければいけないというように考えております。  先生御説示のありました自衛隊員の募集の件でございますが、一般的には、中小企業がこういうような状況で労務者の定着難に悩んでおる状況でございますので、確かに、そういう立場から見ますと、中小企業からは好ましくない状況だというように私のほうは考えております。ただ、募集の方法と、それからやはり労働者には職業を選択する自由があるわけでございますので、それとの両方のかね合いという問題になろうかと思いますが、いま先生から提示されましたように、直接労働者のところにこういうパンフレットを配るというようなことは、私どものほうの立場から見ますと若干問題があるのではないかというような感じがいたしますので、防衛庁ともよく御相談を申し上げていきたいというように思います。
  175. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 中小企業庁の次長、これはあなた、防衛庁の代表じゃないのですよ。中小企業者を守っていく立場なんですよ。中小企業者を守っていくあなたが、中小企業対策を一生懸命やっているのに、一生懸命働いている従業員に——これはパンフレットじゃないんですよ、個人あての手紙なんですよ。中が誇大広告かどうかよくわかりません。わかりませんけれども、これを見たら、こんな待遇の悪いところで、こんな月給の悪いところで無理をするよりも、こっちに行ったほうがいい、給料が多いし、退職金ももらえる、こういう誘いをかけることは、中小企業庁として、中小企業を守る立場であなたはいいと思うのですか。悪いと思うのですか。問題があるとかないとかいうのは次の問題なんです。あなたは、中小企業庁で、中小企業者を守る立場なんです。そこへ国の金をたくさんかけて、そして何とかもっと中小企業の待遇を、労働条件を、あらゆる問題をよくしようとしているわけです。しているわけですけれども、そこへひっこ抜きが来た。これは、やはりあなたは、そういうひっこ抜きはやめてもらわなければならぬのが当然だと思うのですが、若干問題があるとか、防衛庁と相談するとかなんという、そんなものじゃないでしょう。もう一度御答弁を願います。
  176. 森口八郎

    ○森口政府委員 申し上げましたのは、中小企業は、やはりみずから労務者の定着を講ずる考え方をまず持たなければいけないということでございます。ただ、先生がおっしゃいましたダイレクトメールで労働者に直接働きかけるというような方法については問題があるというふうに申し上げたわけでございます。
  177. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 問題があるからやめてもらわなければならぬとあなたが言うべきなんです。それが中小企業庁の立場なんです。  大臣にお尋ねいたしますが、こういう募集のしかたというものを防衛庁はやらせておるのですか。指示しているのですか。
  178. 増原恵吉

    増原国務大臣 こういうやり方を、基本的な指示はしていないようであります。こういうダイレクトメールを中小企業の独身寮におる工員に送るということは適当でないと、私、防衛庁の立場において反省をいたします。実情を私どもはさらによく調査しまして、こういうふうなことはやらせないようにしたい、こういうふうに考えます。
  179. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 大臣から明確な答弁がありました。これは大臣、こういうことなんですよ。私、先ほどちょっと申し上げましたように、この家具をつくっておる人たちが、全国大会だと思うのですが、静岡で会合があった。そのときに、実はこういう問題がある、せっかく工員で集めてきて教育して訓練をしておる、ようやく定着して、これから職工の一人前になろうとする人たちに、こういうのが名ざしでくる。経営者を通してくるなら別なんです。直接本人にきておるわけです。デパートの広告宣伝とは違うわけです。そうして、名ざしできておって、それがあたかも中小企業を直接対象に、しかも独身者に、経営者の了解もなしに、こういうものが出されておる。しかもこの中を見れば、言うならば、おれのほうがいいからおまえこっちへ来いよという誘惑文ですよ。これは、いま大臣が言われましたように、ぜひやめて——中小企業の皆さんがせっかく自分のところで定着させてりっぱに育てようとする人たちですから、特にいま大臣はやめさせる、こういうことですが、もう一度ひとつその点はっきりさせてください。安心させてやらなければなりませんから。
  180. 増原恵吉

    増原国務大臣 実情は、私のほうでももう一ぺん調べさせていただくつもりでございますが、こういう方法はとるべきでないと思いますから、こういう方法は取りやめさせることにしたいと思います。
  181. 勝澤芳雄

    勝澤分科員 大臣が、やめさせるということですから、これ以上は質問する必要もございませんので、私の質問はこれで終わります。
  182. 臼井莊一

    臼井主査 次に、高沢寅男君。  高沢寅男君に申し上げますが、参考人として日本住宅公団総裁南部哲也君が出席されております。  参考人の意見は、質疑をもって聴取することにいたします。
  183. 高沢寅男

    高沢分科員 初めに、防衛施設庁お尋ねをしたいわけであります。日本にある米軍の基地の関係でありますが、この多くは、御承知のとおり旧日本軍の時代に、土地を当時の、強権的な権力で取り上げられて、それが戦後アメリカ軍に接収され、引き継がれ、また場所によっては米軍の接収の際に、さらにまた新たに民有地を拡張して接収されるというふうなこともあって、以来二十数年、そういうふうな米軍基地の周辺で生活をしてきた、そのために多くの有形無形の被害を受けてきておる、こういう基地の周辺の住民の立場があるわけであります。しかもアメリカ軍への基地の提供は、日米安保条約に基づいて政府がやってきたわけでありますから、その点においては、基地の周辺の住民がそういうふうないろいろの被害を受けてきておるということ、それから、いよいよその基地が返還をされるという段階になって、その基地あと地の利用について、その住民たちがこういうふうな利用をしたい、こういういろいろな希望がありますが、そういう希望を実現させていく責任は当然政府にある、私はこういうふうに考えるわけです。  私、これからグラントハイツ及び朝霞キャンプのことについてお尋ねをしたいわけですが、まずその前提として防衛庁長官、あるいは施設庁長官に、いま申し上げたような基地周辺の住民の希望する方向で返還された基地あと地の利用が実現できる、言うならば、こういうことについての政府の責任の立場をひとつお尋ねしたい、こう思うわけであります。
  184. 高松敬治

    ○高松政府委員 あと地の利用の問題につきましては、主務官庁は大蔵省理財局、こういうことになります。ただ、私どもといたしましては、そのあと地の利用の問題につきましては、その地域住民の御要望なり何なりを、私どもの知る範囲において大蔵省にも申し上げ、私どもの意見も申し上げまして、できるだけそういう御要望に沿うように努力をしていきたい、こういうふうに考え、いままでも大体そうやってまいったところでございます。
  185. 高沢寅男

    高沢分科員 そのあと地利用の住民の希望が実現する、その責任については、いま言われた大蔵省のそのための財政裏づけという関係があるわけで、これはまた後ほどそのことでお尋ねをしたい、こういうふうに考えますが、いま施設庁長官のお答えでは、従来もそういうふうにやってきたと言われるわけですが、必ずしもそうでないと私は考えるわけです。そういう立場から少し具体的にお尋ねをしたいと思います。  最初に、グラントハイツの問題ですが、グラントハイツの返還されるそのあと地の処分のしかたについて、国有財産の関東地方審議会が決定をされておる。この決定がいつされて、またその内容がどういうものか、まずお尋ねしたいと思います。
  186. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 御存じのように、グラントハイツ、それから武蔵野住宅というものがございますが、これを合わせまして、米軍が主として住宅施設として使っておりますものを横田のほうに集約するということで、特定国有財産整備特別会計でございますか、それでもってこれを処理するという方針がきまったわけでございますが、それに基づいてわれわれ施設庁のほうといたしましては、昭和四十六年の八月に日米合同委員会で合意をしたわけでございます。その以前に、それの特特会計としての処分計画と移設の計画、そういったものをあわせて審議されたものと思うのでありますが、正確な時期につきましては私承知しておりません。
  187. 高沢寅男

    高沢分科員 その内容は……。
  188. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 地方審議会の内容そのものにつきましては、私どもただいまちょっと資料の持ち合わせがございませんので承知しておりませんが、米軍との問で話し合いまして、四年間の計画でもってこれらの施設を、逐次横田飛行場の中へ代替施設をつくることによっていわば移していく、そうして、それに見合う分をあと地として返還しながら特特会計として処分していく、そういう中身で審議されたものと推測されます。
  189. 高沢寅男

    高沢分科員 基地が返還される、そのあと地の利用について、国有財産審議会でその配分をきめていく、ここのところを——直接の国有財産審議会のほうは大蔵省理財局の所管かもしれませんけれども、防衛施設庁のほうでそのことを御承知ないというのは、はなはだ私はふしぎであります。私、いまそのグラントハイツについて、こういうふうな処置の配分になっておるということを申し上げますが、こういうことで間違いないのかどうかを、ひとつ確認をしたいと思います。  全体の総面積が百八十一万九千六百五十五平米ということであるわけですが、そのうち東京都に対しては、公園の用地として六十万平米、それから道路の用地として十七万一千五百三十四平米、高等学校用地として四万平米、都の公営住宅の用地として十八万九千八百十二平米、東京都に対しては以上の小計が百万一千三百四十六平米。それから練馬区に対しては中学校用地として四万五千平米、同じく練馬区小学校用地として九万二千二百四十四平米、小計、練馬区に対して十三万七千二百四十四平米。板橋区に対して小学校用地として一万二千平米。それから日本住宅公団に対して、賃貸住宅の用地として五十六万九千四百三十五平米。東京都の住宅供給公社に対して、同じく賃貸住宅用の用地として九万九千六百三十平米。以上の合計で百八十一万九千六百五十五平米。こういうふうな内容でよろしいですか。
  190. 勝川欣哉

    ○勝川説明員 ただいま詳細な資料を持ち合わせておりませんので、恐縮でございますが、昭和四十七年二月二十五日の国有財産関東地方審議会におきまして、グラントハイツの転用計画がきまっております。ただいま私、途中で参加しましたので、先生の御質問の詳細は存じ上げませんが、大体御説のとおりと思います。  念のために申し上げますと、大分類で、公園に六十ヘクタール、住宅地区に八十六ヘクタール、道路に十七ヘクタール、学校に十九ヘクタール、合計で百八十二ヘクタールというふうに承知しております。
  191. 高沢寅男

    高沢分科員 いまの数字で合うわけであります。  そこで、グラントハイツのそういうふうな割り振りのもとに開発計画会議がいま進んでいる過程であるわけですね。この計画会議というものは東京都の知事、副知事あるいは練馬区長、板橋区長、また住宅公団の総裁、都の住宅供給公社の理事長というふうな人たちで構成されて、その計画会議に沿って連絡協議会やあるいは調整部会というふうなものがいま行なわれておるという過程であるわけですが、この場所でグラントハイツの利用計画、そのための都市計画ができあがっていく、その時間的な段取りは、一体これからどういうふうに進むのか、この関係は防衛施設庁おわかりになりますか。
  192. 高松敬治

    ○高松政府委員 私のほうでは、四十七年七月に第一次の返還を行ないまして、次々に返還されまして、ことし、四十八年が最終年度でございますが、四十八年度末をもって全部の返還を終わる、こういう段取りでいま仕事を進めております。ただ、そのあと地の利用の問題についての具体的な計画は、私どもは存じておりません。
  193. 高沢寅男

    高沢分科員 そうすると、そのあと地利用の都市計画が固まってくるのは、いま言ったような計画会議の中へ参加された各メンバーの話のまとまりぐあいによる、こういうふうな理解でいいわけですね。
  194. 勝川欣哉

    ○勝川説明員 詳細はつまびらかにいたしませんが、一応この転用方針を受けて、都側でそういう体制で協議していれば、その結論に従って利用計画は定まるだろうと思います。
  195. 高沢寅男

    高沢分科員 そこで、住宅公団の総裁にお尋ねをしたいわけですが、いま申し上げたようなことで、返還されたグラントハイツの利用計画について討議がいま行なわれている過程であるわけですが、その中で、住宅公団としてはグラントハイツのあと地にどの程度の住宅の戸数、それによってそこに入居する人口、こういうふうなものをお考えになっておるか、お尋ねしたいと思います。
  196. 南部哲也

    ○南部参考人 グラントハイツの開発でございますが、これはただいま先生御指摘のように、開発計画でこれをきめるということになっております。したがいまして、私どもといたしましては、この計画で、いまお示しのありました人口からすべてのものについていろいろと御討議を願う、そういうことをたてまえにしておりますので、あらかじめ、何戸建てて何万人入れるというような計画は持っておりません。もっぱらこの計画会議、調整部会で円満に話がついた線で施行していきたい、このように考えております。
  197. 高沢寅男

    高沢分科員 いま開発計画会議で、これは練馬区の区側でも参加されていろいろ討議されている過程であるわけですが、そういう討議の過程で、特に練馬区の立場から見ると、かなり住宅の戸数が出てきて、それでは困る、区のほうではこのくらいの線にしてほしいというふうな数字が出ているというふうに聞いているわけですが、これでは困ると言っているその数字というのは、つまりこれは公団の住宅と都営住宅と都の供給公社の住宅と全体を合わせて二万三千戸で、入居する人員は八万人という、こういうふうな線が出て、それでは困る、区としては約半分にしてほしい、こういうふうに言っているというわけですが、この二万三千戸、八万人というふうな数字は、もちろんその中には、公団としてはこれだけだというものがおそらくあるはずですが、これは決して公団としての最終的な計画数字ではない、こういうことですか。
  198. 南部哲也

    ○南部参考人 用地取得難でございますので、私どもの立場からいたしますれば、できるだけたくさん戸数を建てたいという気持ちはございます。しかし、計画全体を、東京都知事が会長になっておる計画会議できめるということになっておりますので、その計画に従っていきたい、このように考えておる次第でございます。
  199. 高沢寅男

    高沢分科員 そういう会議があって、その会議できまれば当然その線で行なわれることになると思います。しかし、その計画会議の中で、公団側の立場からすればこのくらいの戸数がほしい、こういうふうな建物を建てたい、こういうふうな、その会議へ出される公団側の考えや案というものは当然あるだろうと思うんですね。それがなしで白紙で臨んでいるということなのか、あるいは公団側でやはり一つの案を持ってその計画会議に臨んでいるのか、どっちかだと思うんですね。そこで、案を持って臨んでいるとすれば、その案はどのくらいの数字の案であるのか、お尋ねいたします。
  200. 南部哲也

    ○南部参考人 案といいますか、会議における公団側の立場は、いま申しましたような、できるだけたくさん建てたいという主張はせざるを得ないわけでございまして、原案といたしまして一応考えておりますのは、戸数で一万五千二百戸ぐらいということで、ただいま御指摘のありました二万三千一尺計画人口八万というのに対応する戸数というのは一万五千二百戸ということでございます。
  201. 高沢寅男

    高沢分科員 従来聞いておりました数字が、大体公団側の一つの案の数字として出てきたわけですが、そこで、これに対して地元の住民あるいは練馬の区民、さらには練馬の区議会の中における各党がみな一致した要望の線として、いま区側でもってそれを代表する形で、このグラントハイツの利用計画の中で、住宅の建設については、公団、都営住宅、供給公社合わせて、大体いわれる線の半分の線、全体で一万二千戸、人員にすれば四万三千人というふうな線で押えたい、こういう希望が区側にはあるわけです。これが一つ。  それから、そういう線の希望に伴って、あそこに建てる、高層化する高層の限度も、公団側では二十五階建てぐらいまでお考えになっているということですが、区のほうでは十階建て程度の高さにとどめたいというふうなことがいわれておるわけですが、このことは住宅公団のほうでは御承知になっておるわけですね。それに対して公団のほうでは、そういう区側の希望に対してどういうお考えを持っておられるか、お尋ねします。
  202. 南部哲也

    ○南部参考人 先ほどから申しますように、連絡会議を持っておるのは、そういった問題についてお互いの話し合いを十分その場でしていきたいというのが前提でございます。したがいまして、区側の意見というものに対しまして、私どもの立場といたしましては、これには東京都も入っております、都営住宅の住宅局その他もどのように考えているかというような、やはり全体の話し合いでその問題をきめていく、そのための会議である、このように考えておりますので、私どものほうの主張を、あくまでこれでなければと言って押し通そうというようなことではなくて、初めからその辺は十分話し合いをして、区側の納得のいく線ということでわれわれは考えております。
  203. 高沢寅男

    高沢分科員 区側の納得する線でいきたいといういまのお答えを、ひとつ大事なお答えとして確認しておきたいと思います。  そこで、なお区のほうではこんなようなあれを持っておるわけですね。グラントハイツの周辺の区域は、言うならば非常に環境整備がおくれている区域であるわけです。そこで、グラントハイツのあと地の利用に合わせて、周辺区域もそういうふうな環境整備をやりたい、そうして、良好な住宅環境をつくりたいという区の計画があるわけです。その計画数字的に表現すれば、そういう周辺の整備計画の施行面積は約百三十五ヘクタール、この区域は現在は道路率が五・二%しかない。公園の率はまさにゼロ。こういう状態から、道路率を二〇%、公園率を八%に上げていくという整備をやりたい、こういう計画を持っておるわけですね。  その場合に、区画整理の減歩率の問題が出てくるので、こういうことも考慮して、スムーズに事業が運ぶためには、妥当な減歩率にとどめるために、グラントハイツの返還される土地の中の住宅用に予定される土地の中から少し供出してもらって、それで周辺地区の整備事業の減歩率を妥当な線にしていくというふうなことをしたいという希望が区側にはあるわけです。そこで、具体的には十五ヘクタール程度、グラントハイツの住宅地区から周辺地区の整備計画のほうに土地を出してほしい、こういう希望があるわけですが、これは住宅公団だけでなくて、都なりあるいは供給公社も当然関連する問題ですが、公団としては、少し供出してほしいという区側の希望に対して、どういう考えをお持ちでしょうか。
  204. 南部哲也

    ○南部参考人 グラントハイツの周辺の整備をするということについては、われわれとしても決して異存はないし、むしろ望ましいことだと思っております。ただ、その区画整理の減歩率を下げるために、いまの公団の所有に属する土地を分けてもらいたいという点については、これは先ほどからお話のように、グラントハイツ全体百八十二ヘクタールの中で、住宅地区というのは半分以下でございます。公園が三二%、道路が一九%というように、いわばグラントハイツ全体から見れば減歩率が五割にも近いというような状態になっておる。その中からさらにその近辺の地区の区画整理のほうに分けるということについては、せっかくの区からの御要望ですけれども、ちょっと私どもとしては応じかねるんじゃないか、このように現在のところは考えております。
  205. 高沢寅男

    高沢分科員 公団としては、確かにあそこの住宅用地は金を出して特特会計から買い取りをされた土地であるから、その供出はむずかしいという立場は当然あろうと思います。そこで今度は、最終的には大蔵省の財源の問題に関係してくるわけですが、その問題はあとであわせて触れたいと思います。  次に、朝霞キャンプの返還の問題について触れたいと思うわけです。今回返還が合意された百三十三ヘクタールの朝霞キャンプの返還が具体的に実現する時期のめどはいつでしょうか、防衛施設庁
  206. 高松敬治

    ○高松政府委員 これは、御承知のように、関東地区のいわゆる関東計画の一環として朝霞の南地区の大部分の返還が約束されたわけです。この時期というのは、具体的にまだはっきりはいたしませんけれども、私どもとしては、できるだけ早くこの返還を受けたい。御承知のように、関東計画は三年以内に返還するということになっておりますけれども、朝霞の南地区、特にゴルフ場のあとについては、できるだけ早く返還を受けたいというふうなつもりで現在交渉をいたしております。
  207. 高沢寅男

    高沢分科員 何月ごろまでというめどはありますか。
  208. 高松敬治

    ○高松政府委員 はっきりしためどはちょっと現在のところ申し上げられませんが、いずれにしてもゴルフ場のことでございますから、べーカリーの地区については、あるいは代替施設の完成するまでということで若干残るかもしれませんが、ゴルフ場地区についてはできるだけ早く、そう遠くない時期に返還を受けるつもりで交渉いたしております。具体的に何月と仰せられても、ちょっといま明確なお答えはいたしかねます。
  209. 高沢寅男

    高沢分科員 いまちょっとべーカリーということで触れられましたが、この朝霞キャンプの返還に伴って、横田のほうへ移転して代替施設をつくらなければならぬ、そういう施設はべーカリーのほかに何かありますか。
  210. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 ただいまの御質問は、関東計画全体という意味ではなく、朝霞南地区と限らしていただくとするならば、朝霞南地区は、ただいま施設庁長官から答弁申し上げましたように、ゴルフ場、べーカリー、それから学校施設、極東放送の施設、桃手住宅等があるわけでございますけれども、このうちでいま一応移設ということで米軍と話し合っておりますのは、ベーカリーの施設でございます。
  211. 高沢寅男

    高沢分科員 そうすると、当面のこの返還される区域については、移設を必要とする施設はべーカリーだけ、こういうことですね。  そこで今度は、またその返還されるあと地の利用計画について、地元ではそれぞれ希望があるわけですが、この返還されるあと地の配分ですね。これの計画を国有財産審議会でかけられるのは、これは大蔵省の関係になるかと思いますが、いつごろに予定されるわけですか。
  212. 勝川欣哉

    ○勝川説明員 まだ返還が実現しておりませんので、いまのところはっきりした予定は立っておりません。
  213. 高沢寅男

    高沢分科員 施設庁に対しては、この返還ができるだけ早く確認されて、大蔵省に対しては、できるだけ早くそのあと地の配分を審議会が決定をされるように進めてほしい、こう思います。  そこで、それを進めていただく場合に、地元の練馬区、あるいは埼玉県になりますが、朝霞、新座、和光、こういうような地元の自治体では、ここには住宅公団は来てもらいたくない、こういうふうな希望を持っておるわけです。ここのところは、現在はもうすでにそういう状態になっているわけですから、緑地、空地として確保して、そして基本的にはその緑地、空地として利用し、しかし例外的には子供たちの体育施設や、あるいは義務教育の学校施設等はこれを認めていきたい、こんなような立場をとっているわけですが、住宅公団としては、ここへやはり公団の住宅を建てたい、こういう希望を持っておられるのかどうか、ひとつお尋ねしたいと思います。
  214. 南部哲也

    ○南部参考人 朝霞のキャンプの付近に私ども二、三の団地がございます。したがいまして、現在の状態では、もし国有財産の処分のほうでそのような処分がされるというようなことになれば、そのほんの一部でもいいから住宅用地にいただきたい。地元が空地、緑地には、いまお話があったようないろいろな要望をしておられるということも承知しておりますので、全部を、あるいは大半をというようなことは全然思っておりませんが、ほんの一部くらいをもしお譲りいただけるならばという希望は持っております。
  215. 高沢寅男

    高沢分科員 最後に、これらの問題が全部関連する問題として特定国有財産整備特別会計のことでお尋ねをしたいと思います。  施設庁にお尋ねしますが、これらの基地が返還される場合に、その代替の施設をつくるための費用、それから一方は、返還された国有財産、土地を処分して得ていく収入、この関係においてバランスをとらせるという立場で従来やっておられる、こういうふうに聞いておりますが、そういう立場があるわけですか。
  216. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 特定国有財産整備特別会計は、これは大蔵省のほうがこの会計処分計画等を扱う庁でございまして、その財源処分が、われわれのほうの米軍の施設を移設するに伴います工事等の経費とバランスがとれるかどうかは大蔵省の判断でございまして、そういう点を施設庁としては特に考えながら計画を進めるという立場ではございません。
  217. 高沢寅男

    高沢分科員 じゃ、いまの点について大蔵省の御見解をひとつお願いします。
  218. 宮下創平

    ○宮下説明員 お答え申し上げます。  いわゆる特特会計でどういうものを採択するかというお話でございますが、現在の運用は、処分した財産価額と取得する財産価額がございますが、必ずしも見合わなくても、処分して収入し得る財産がございますれば、一応特特に計上することになっております。ただ、運用といたしましては、たとえば百の施設をつくります、しかしその半分の五〇%くらいは、あと地の処分収入がなければならないというような通常の運用になっておると承知しております。
  219. 高沢寅男

    高沢分科員 ここに四十八年度の特別会計予算で、その特特会計の予算がありますが、この中に一般会計からの繰り入れというのが三十五億計上されておるわけです。この特特会計の一般会計からの繰り入れというのは、これは当然一定の政策目的で処分する財産と別に取得する財産とのこの差額を埋めるために一般会計の財源が入っておる、こう思うわけです。そうすると、この米軍の基地が返還されて、その返還される基地の処分、それから横田へその代替の施設をつくるための必要な経費、これらを特特会計の中でやりくりされる場合に、この一般会計の財源が入るということは当然あり得る、こういうように考えていいわけですね。
  220. 宮下創平

    ○宮下説明員 私、直接特特の担当ではございませんけれども、いまちょっと担当者がおりませんので申し上げます。  一般会計からの繰り入れの必要性につきましては、特特のこの処理の仕組みの関係からして、まず取得財産を特特でつくります、そのために必要な資金が必要でございます。あるいは特特会計で借り入れをしたりする必要もございます。それからまた、先ほど申しましたように、取得する財産のほうが処分する財産よりも大きい場合がございますが、不足するものを一般会計から入れるというように承知しております。
  221. 臼井莊一

    臼井主査 高沢君に申し上げますが、時間が過ぎておりますから結論を急いでください。
  222. 高沢寅男

    高沢分科員 そこで私は、最後に、要望を含めてのあれになるわけですが、先ほどのグラントハイツの利用についても、住宅用地に予定される中から周辺地区の整備に、たとえば十五ヘクタール供出していただくというふうな問題、それから今度の朝霞キャンプの利用についても、これを公園を主体として利用したい、公園を主体ということになれば、これはほとんどが無償払い下げというようなことに従来のあれからすればなりますので、そうすると、そういうような地元の要望を実現していくためには、当然この特特会計へ、その分を埋めるための一般会計からの財源の繰り入れというものがなされて初めてこれが実現するということになっていくと思うのです。そういう点において、これは質問というより、最後にそういうことを私は要望したいと思うわけですが、大蔵省の立場としては、ぜひこの特特会計の中へ、これらの米軍基地の周辺の住民が従来受けてきた多くの被害や迷惑というものを考え、この際、返還される施設をその地域の住民が十分に良好な環境として利用することができるような、そういう措置をとるための財源を一般会計から十分に入れていく、こういうような措置をぜひとってもらうように希望いたしまして、私の質問を終わりたい、こう思います。
  223. 宮下創平

    ○宮下説明員 いまの朝霞地区につきましては、これは関東計画の一環として関連しておりまして、この委員会でもいわゆるKP、CPの所要見込み額として二百二十億というような見積もりが述べられておりますが、この計画の中で処理されるものと了承しておりますので、特別に朝霞の南地区だけのために一般会計から繰り入れを要するというような事態はなかろうかと思います。
  224. 高沢寅男

    高沢分科員 いまの点でもう一つ。  その関東計画の全体の関連はあるだろうと思うのですが、これはおそらくはかの返還される地域でも同じようにそのあと地の利用については、そういう緑地を多くしてほしいとか、みなそれぞれ希望が出るだろうと思います。朝霞は朝霞でそういう希望が出ておるわけです。したがって、これが全体の関連がかりにあるにしても、そういうものを全体を含めて実現をさせていくためには、当然一般会計の繰り入れの問題が出てくるわけです。そういう意味において私は、朝霞のそのことはこれを当然踏まえながら、他の地区でも当然同じ希望があるということを含めて、一般会計の財源を特特会計へ入れるというこのことについては必要な措置を講ずるように大蔵省に希望する、こういうことを申し上げたわけです。  以上で私の質問を終わります。
  225. 臼井莊一

    臼井主査 次に、松本忠助君。
  226. 松本忠助

    松本(忠)分科員 私は、防衛庁の方にまずお尋ね申し上げたいのでございますが、現在、東京二十三区の中に陸上自衛隊の駐とん地は一体何カ所くらいあるものか、そうしてその面積は全体でどのくらいあるものか。立川移駐の問題等に関していろいろ世間を騒がせておる状態がございますので、これらの点について、私ども承知をしておきたいわけでございまして、まずその点からお答えを願いたい。
  227. 長坂強

    ○長坂政府委員 お答え申し上げたいと思います。  東京都の特別区内にございます陸上自衛隊の駐とん地は、市ケ谷の駐とん地、それから芝浦の分とん地、三宿の駐とん地、用賀駐とん地、十条の駐とん地、これは赤羽地区と十条地区に分かれておりますが、そのほか練馬駐とん地、豊島分とん地、総面積は約八十九万九千平米でございます。そのうち十二万平米を除きまして、全部行政財産ということになっておるわけでございます。  市ケ谷駐とん地には東部方面総監部等ですが、所在地の部隊名はまたお問い合わせがございますれば申し上げます。
  228. 松本忠助

    松本(忠)分科員 いま総面積八十九万九千平方メートルという膨大なところが東京都内に、しかも二十三区内にあるわけであります。これはどうしても中心であるところの市ケ谷のようなものは、地の利からいっても欠くことはできないと思いますけれども、実際上、陸上自衛隊が駐とんしている主力部隊は、私どもの知る範囲では、練馬北町の第一師団司令部ではないかと思いますが、この点は確認でございますが、いかがでしょうか。
  229. 長坂強

    ○長坂政府委員 第一師団それから第一普通科連隊等がございます練馬駐とん地は、陸上の主力部隊というふうにお考えいただいてけっこうだと思います。そのほか六本木には陸上幕僚監部、それから市ケ谷には東部方面総監部と普通科連隊、幹部学校等がございます。主力はそういうふうにお考えいただいてけっこうだと思います。
  230. 松本忠助

    松本(忠)分科員 いま主力といわれました練馬は、全二十三区の八十九万九千平方メートルの中で、面積からいったら何割くらいに当たりますか。
  231. 長坂強

    ○長坂政府委員 ちょっといま分析した資料が手元にございませんので、取り寄せまして後ほどお答えいたします。
  232. 松本忠助

    松本(忠)分科員 こまかい数字の点は、私、あとからまた伺うことにいたします。  いずれにしましても、練馬が主力であるということは、もう万人が認めるところであると思います。そのほかいろいろございますけれども、練馬の次に大きいのはおそらく十条の駐とん地ではないかというふうに私どもの調査では出てくるわけでございます。  そこで、十条駐とん地の実態というものを私ども承知をしておりますので、ちょっと長官にも申し上げておきたいわけでありますが、この都内にある駐とん地を、いずれにしても必要だから置いてあるんだと言われればそれまででございますけれども、私は、現在の十条駐とん地、十条地区と赤羽地区と両方ございますが、これらのものがあまり活用されていないように思われるわけです。こういうものはすべからく何らかの方法をもって、たとえば主力部隊の練馬の中に統合するとか、そうして都民のためにこの財産を活用させる。私に言わせれば遊休施設だとしか考えられないわけです。防衛庁の側から言わせれば遊休ではないと言われるにきまっていると思いますけれども、私どもの見たところでは遊休施設としか考えられません。その理由はあとから申し上げたいと思うわけでございますが、こういう点から長官に伺いたいことは、都内にあるこういったものについて統合する考えがあるかないか、一カ所に統合してしまう、そのほうが機構も簡素化されるし、いろいろな面で便利ではないかと思いますので、この点をひとつ伺っておきたいわけでございます。長官のお考えどうでしょうか。統合する意思があるかないか。
  233. 長坂強

    ○長坂政府委員 私から概略お答え申し上げまして、あと必要があれば大臣に締めくくっていただくようにさせていただきたいと思います。  それぞれ市ケ谷その他各駐とん地、これは歴史的な背景もございますし、それから先ほど申し上げましたように、司令部の存するところ、それから主力の部隊の存するところで、三宿などは中央病院とか衛生学校というものでございまするし、それぞれの用途別、機能別と申しますか、そういうようなところで、必ずしも一カ所にしたから能率が上がるというようなことではなくして、また部隊系統も十条などは武器補給処の系統でございますので、現在の駐とん地相互間において整理統合することはなかなか困難であるというふうに感じております。  一応そのようにお答えをいたしまして、またお問い合わせにお答えいたしたいと思います。
  234. 増原恵吉

    増原国務大臣 ただいまお答えをしたとおりでございまして、松本委員ごらんになりまして遊休施設であるとお考えのようでございまするが、私、実は具体的な例をいまよく存じませんが、いま参事官が答えましたように、それぞれの部隊としての任務と必要性を持っておりまして、いままで考えておりますところでは、統合をすればうまくいく、あるいは統合の余地がある広い駐とん地があるというふうにはなかなかいかないというふうにいま聞いておるのでございまして、基本としては、仰せになりますように遊休的なものを都内に置くことは、私どもとしても決して本旨ではございませんので、そういうものについては適当な整理、統合を考えていいと思いまするが、いまちょっと現状を知りませんし、いままで聞いておるところでは、そういうふうには防衛庁等では考えておらないという実情でございます。
  235. 松本忠助

    松本(忠)分科員 長官、現実にその場所を御存じないからそういうふうなお答えが出るのも当然だろうと思いますし、長坂参事官のお話を受けての答弁でございますので理解できますが、実際に十条駐とん地、十条地区または赤羽地区の実態を長官が一ぺんごらんになってみるといいと思うのです。いま十条地区、赤羽地区、総面積をお伺いし、そしてまた、そこが補給処という特殊な車両部隊に使われているわけでありますけれども、そこにいる陸上自衛隊隊員さんの数というものは、まことに微々たるものではないかと思うのです。これは一ぺん長官ぜひ、私御案内しますから、現場を見たほうがいいと思うのです。国会がお忙しいと思います。しかし東京都内でありまして、決して遠いところではないわけです。その東京都内に、私ども一般人が見れば全く遊休の施設としか考えられない広大な土地が遊んでいる、こういう事実を私は目撃しておりますので、長官にぜひとも現場を見てもらって、なるほどこれは松本の言うとおりだ、これはやはり至急に移転なり考えるべきであるというふうに、当然長官に良心があればそのようにお考えになる、このように私、思います。  そこで、実は昨年の十二月でございますが、東京都の北区議会におきまして、定例会で、陸上自衛隊十条駐とん地及び同赤羽地区——この赤羽地区というのは、御承知でございましょうが、旧TODの第二地区といわれているところでございます。この解放に関する決議が採択されまして、北区議会の代表数名が、四十八年、ことしの一月十一日に防衛庁に参りました。そしていまお答えいただきました長坂参事官に面会いたしまして、この決議をお手渡ししたわけでございます。  その決議というのはこういうことでございまして、ちょっとお耳に入れておきますが、    陸上自衛隊十条駐とん地及び同赤羽地区(旧TOD第二地区)の解放に関する決議   北区内には、旧軍用地で未解放の土地として、陸上自衛隊十条駐とん地及び同赤羽地区があるが、該地区は北区の高台地区にあって環境がよく、加えてその広大なる敷地は区内に類例を見ない程である。   恒久平和を願い、緑と広場の乏しさを訴え、住民福祉増進を図るため、各種公共施設の建設を願う北区民にとってこれらの土地は理想的な条件を備えており、この解放は切実な願いである。   よって、本区議会は、区民福祉の向上と平和的発展のために陸上自衛隊十条駐とん地及び同赤羽地区の解放を目ざして格段の努力をする。   右決議する。    昭和四十七年十二月              東京都北区議会 このような決議を満場一致採択したわけでありまして、それを持って一月十一日に防衛庁に伺ったわけであります。  そのときお会いになりました長坂参事官、そこにいらっしゃるわけですが、そのときの御答弁に、区民が開放せられたいという気持ちはよくわかる、上司に伝えます、こういう参事官のお話であったわけでありますが、大臣はこの参事官からの報告を受けているかどうか、この点ひとつ、まず大臣にお尋ね申し上げるわけであります。
  236. 増原恵吉

    増原国務大臣 ちょうどその時分、病気で役所を休んでおりまして、しかとした記憶がないのですが、報告を受けたか受けないか、受けたというしっかりした記憶はいまないわけでございます。
  237. 松本忠助

    松本(忠)分科員 まあ長官にしてみれば軽微な問題だと言われるかもしれませんが、北区民にしますと重大な問題でございまして、非常に関心の深い問題でございます。当然長坂参事官が長官にお伝えになっていると思いますので、あるいはお忙しいので、あるいは病気のあとだったので御存じないのかもしれませんが、いま私、ここでこうして長官の前でこの決議文を読んだわけでございます。もうはっきりとお耳に入ったことと思います。十分御理解いただいたものと私は考えます。  そこで、この参事官のお答えについて、上司に伝えますと言ったけれども、いまのお答えですと、聞いていない、覚えがないというお話でございますが、いま私がこの決議を読みました、これによって長官はどのようにお考えになりますか。
  238. 増原恵吉

    増原国務大臣 こういう駐とん地の問題は、地元の方々と私どもの立場とでかなり逆方向で、いつもむずかしい状態ができるわけでございます。決議でお述べになりましたお申し分は、私重々ごもっともなことであると思いますが、ただ、この駐とん地が、自衛隊にとってもそう重要でないというふうにお認めになってのあれですが、このことは、私さっきも申したように、実情をよく知らない点もございます。いままで聞いておるところでは、何と申しますか、これをほかへ移して集約するというようなことはなかなか困難だというふうに聞いておるわけでございますが、もう一度よく決議の趣旨を承った段階で、具体的にこの問題を検討いたしてみたいというふうに考えます。
  239. 松本忠助

    松本(忠)分科員 長坂参事官も、そのあとで訪問した代表の区議会議員に対していろいろと答えておられるわけでありますけれども、事実その報告を聞いてみますと、結局代替地の問題あるいは移転の費用といったものにネックがあるというお話も当時から伺っております。しかし、地元といたしますと、特に十条地区のほうは町のまん中にでんと控えているわけです。赤羽地区のほうは、言うならば北区としても一番はずれのほうでありますけれども、十条地区というのは全く北区の中心部にそれが横たわっているというような状態で、さきに御理解をいただきまして返還をしていただきましたキャンプ王子とちょうど背中合わせになっている十条地区でございます。現在、キャンプ王子のほうも、今年三月三十一日までには都のほうから北区のほうに移管されてくるということで、ここは森林公園あるいは都民の避難場所、一部はまた身体障害者、身体障害児のための施設等に強化拡充されるということになっております。現在のキャンプ王子というほうは非常に広大な土地でありますけれども、入るのには王子本町三丁目というほうだけしか入れないんです。あとは都営の住宅がありまして、そのへいを破って入れば別でありますけれども。ところが、いま申し上げておりますいわゆる十条駐とん地の十条地区というものは、いまのキャンプ王子と背中合わせですから、上十条一丁目あるいは中十条一丁目という方面から、一朝事があったとき、避難場所として入るにはまことに入りやすい地形にあるわけです。ですから、これが両方完全に開放されますと、まん中を通って上十条一丁目、二丁目のほうから王子本町三丁目のほうに抜けることもできるし、まことに区民のためには便利この上ない状態になるわけです。したがって、十条地区というものをぜひとも開放してもらいたい、これはほんとうに区民の切なる願いであります。いまこの決議にもありましたように、緑の広場ができるということになり、そこに公共の施設が設けられるということになれば、どれほどか区民のためになり、また大いに区民も喜んでくれるかと思います。そこへどうしても自衛隊がすわらなければならないというような理由が、私には全く見当たらないのです。こういう点から重ねてお願いをするわけであります。  なお、もう一つ赤羽地区のほうであります。この赤羽地区というのは御承知と思いますけれども、四十五年ごろまではまだ武器補給処十条支処整備部という看板がありましたが、車両の整備工場、車両のテストコースというものがありまして、お仕事もやっていたようでありますけれども、現在は全く遊休化してしまった。この遊休化された施設をこのまま放置しておくということは、実際もったいない話だと私は思うわけです。もしこの赤羽地区のほうが稼働している、遊んでなんかおりませんというなれば、その実態をこういうわけだというふうにお示し願いたいと思うのです。われわれの観測が違っているのか、あるいはまたあなた方の言われるのがほんとうなのか、私どもにはこの赤羽地区は全く遊休施設であるというふうに考えられるわけです。先ごろまでございましたところの車両のテストロードも、最近は取りはずしになっております。全く使っていない。これをどうしても確保しなければならないというふうに思われるのかどうか、この一点をひとつ確かめておきたいわけであります。
  240. 山口衛一

    ○山口(衛)政府委員 ただいまの松本先生の御質問にお答えいたします。  テストロードの御指摘がございましたが、実はこのほうから先に申し上げますと、付近の住宅、住民に対します騒音その他の問題からいいまして、最近はいわゆる戦車その他自走砲等のキャタピラを使います装軌車、これのテストはやめております。しかしながら、これまでの実績からいいましても、むしろ赤羽地区の整備内容は、装輪車関係が非常に多うございます。  実績から申し上げますと、たとえば昭和四十六年度におきます装輪車の修理の実績は約百七十八両というふうに計算されております。それから四十五年度になりますと装輪車関係の整備、修理は三百九十七両、これに対しましていわゆるキャタピラのついております装軌車、これの修理実績は極力少なくしておりまして、四十五年度の三十九両から四十六年度には二十五両というふうに極力下げておりまして、またそのテストも実は騒音等からやらせておりません。そういう意味からいいますと、装輪車が中心でございますが、それ以外にも先生御承知のとおり、車両関係がここでは主力でございますので、その部品等の実績は、たとえば四十六年度は約四千五百点近いものの車両部品の整備を実はしております。それからまた、その他のヘリポートとかあるいは後送されてきます車両、戦車の置き場所、こういうものに実は使われておりまして、ごく最近、三月に入りましてからの実績を申し上げますと、私どものキャッチしております数量は、大体平均しまして車両に直しまして四百五十両から五百両というものが常時ここに置かれておりまして、これが実績でございます。私ども実はその数字はキャッチしておりますが、そういう意味からいいまして、実はこれに代替する土地がないと、現在のところこれをやめてしまいますと、このような四、五百両の修理というものがたちどころに困却いたしますので、そういうことから、現在その程度の数量は整備に使っておるというふうに御理解をお願いしたいと思います。
  241. 松本忠助

    松本(忠)分科員 長官、いまのお話でもわかるのですけれども、四十五年よりも四十六年が減っておるわけです。特に住民の騒音によるところの被害をなくすために、四十五年はキャタピラのついたものが三十九両だが、四十六年は二十五両だというふうに減っておることも事実でありますし、四十七年度、この三月三十一日まで言うかもしれませんけれども、全く動いておらぬのです。私たち常時そこのそばの団地の人に毎日のようにチェックしてもらっておるのです。ですから、全く遊休施設だと私たちが断言できる材料が整っておるわけです。いろいろと言われますけれども、四百五十ないし五百の車両が常駐しておる。これは雨ざらしです。全く何のために国民の税金を使っているんだろう。雨ざらしになっておるその状態をみんな見ておるわけです。そういう点考えまして、この赤羽地区のほうは遊休の施設だから、やはり国有地をこのままのような状態でおくということは国費の浪費です。これをやめてもっともっと有効に使うべきではないか、私たちはこのように思うわけでございますので、この点もひとつ長官によく現場を見ていただいて、そして裁断を下していただきたいと思うわけです。  時間もございませんので次に進みますが、車両のテストコース、これに隣接をいたしましていわゆる訓練所といっておるものがございますが、野球場であり、競技場であります。こういったものを地元北区のほうで有料で使用させてもらっておるわけであります。しかし、この野球場なり競技場なりというものに対しまして見ておりましても、陸上自衛隊隊員諸君がこの訓練所を使用しているのを見たことがございません。この訓練所は、部隊の訓練に支障のない範囲で北区に使用を認めておる、こういうことになっておりますけれども、使っておるということを、現実に私ども付近の者の報告によりますと、全く見ておりません。陸上自衛隊で使用していない現況から見て、これを地元北区のほうに全面開放してはどうかというふうに私どもは思うわけです。この野球場は、部隊と共同使用というたてまえから使用料を払っておるわけでございます。この使用料の問題につきましても、四十五年三月十七日の分科会におきまして、当時の中曽根防衛庁長官に私お願いもしました。よく調べまして、できるだけ貴意に沿うようにしたい、こういうような答弁がありました。そのときには三十万円でございましたけれども、現在は一体幾ら使用料がなっておるか、これをひとつお答えいただきたいと思います。
  242. 長坂強

    ○長坂政府委員 使用料は、昭和四十七年度分といたしまして、二十五万三千円余でございますが、これは前に、中曽根大臣のときにもお答え申し上げたようでございますが、これは国有財産、土地の使用料として台帳価格の二%としてきめられておるものでございますけれども、中曽根大臣の答弁以来、自衛隊と地元の融和という考慮もございまして、行政目的に反しない限り自衛隊との共催というような趣旨も入れまして、できるだけ地元の負担の軽減をはかるというような方向でくふうを払っておるというふうに現地から報告をいただいております。
  243. 松本忠助

    松本(忠)分科員 四十五年三月十七日のときの答弁に、江藤政府委員からも最小限度の使用料というお話がございました。三十万円から二十五万三千円ということは、四万七千円まけてくれたわけでありますから、御理解があるといえば、たいへんありがたいわけでございますけれども、実際問題としてお使いになっていない。これは、もっともっと全面的に北区に開放するという、この方向をぜひともひとつ考えていただきたい。そこで、結論でございますが、この十条地区あるいはまた赤羽地区、これに対しまして、一体いつになったら開放してくれるのか、この北区の区民の代表であるところの区議会の決議というものを尊重していただいて、ぜひとも近い将来に開放していただく、そして区民のために有効に活用させていただく、いまのような遊休施設であっては、私は国費の乱費だと思いますので、これはぜひとも長官の御理解ある御答弁をいただいて、近い将来何とかこれを東京都に払い下げをしていただく、さらに北区で使わせていただく、こういうようにいくようにぜひとも配慮を願いたいわけであります。この結論をお伺いいたしまして、質問を終わるわけであります。
  244. 増原恵吉

    増原国務大臣 御要望の筋よくわかりました。区議会の決議を持っておいでになりましたことは、私よく聞いておらなかったということでございますが、実情をよく調査いたしまして、御要望に沿えるものであるならば、その決断をいたしたい。どうもここでいつごろまでにどうということは、私は実情を全然知らないものですから申し上げかねるわけでございます。実情を取り調べまして、できる限りは御要望に沿う方向で考えてみたい、こういうように思います。
  245. 松本忠助

    松本(忠)分科員 重ねてお願いするわけでありますけれども、長官御自身がごらんになっておりませんし、長官にこういう問題についてお答えをいただくといっても無理かもしれませんが、いろいろ前後の事情を御承知の長坂参事官、あなたが事務当局としてお考えになった場合に、これはここの線までは何とか答られるという線はありませんか。これは区民のために、ぜひともひとつ私は聞いて帰りたいわけです。
  246. 長坂強

    ○長坂政府委員 お答え申し上げたいと思います。  ことし一月、区の議長さん以下がお越しになりましたときに、この御趣旨はよくわかりますので、大臣に御報告申し上げますというふうに申し上げたのですが、その際にちらっと実は申し上げたことは、やはり防衛庁だけでできることでもない。名古屋の都市計画とか愛知県の都市計画とかいうものはずいぶん計画的に進んでおるけれども、これは全部いままでのことを、では防衛庁で一切ひとりでやってくれぬかと、こう言われてもたいへん困ることでございますけれども、実は昨年の八月、防衛大臣から、私どもは担当としまして、都市部にございますいろいろな施設でございますね、これをひとつ一年がかりでどういう方向で解決するのか、いわゆる都市部の基地問題というのはまた別な問題がございますので、格別意を用いてひとつ検討しろ、一年かかっていいからということを去年の八月言われております。したがいまして、私どもはその御要望の開放を求める地区の声と、それから受け入れ側の地区、そういうものが何か結びつく方法がないかというようなこともあわせ考えまして、大臣からお示しをいただきましたような時期に大臣にお答えをしなければならないという立場にございますので、そのようなことを私どもから大臣に答申いたしましたあとで、また大臣ともお会いいただきたい、このようにお願いいたします。
  247. 松本忠助

    松本(忠)分科員 いまのお答えでわかりました。いずれにしましても、八月までに結論が出るということでございますから、その時点にまた大臣にお伺いし、そしてまたお願いもしなければならぬと思います。ぜひとも、この地元の熱意をひとつ御記憶にとどめておいていただきたいということをお願いするわけでございます。  大蔵省関係にもお伺いする予定でございましたけれども、時間がまいりましたので、いまの答弁を了としまして、私の質問を終わります。
  248. 臼井莊一

    臼井主査 次に、米田東吾君。
  249. 米田東吾

    米田分科員 長官にまず御質問をしたいのでございますが、現在審議中の四十八年度予算が通りますれば、いよいよ第四次防衛整備五カ年計画に入る、四次防は本年度からスタートする、こういうことになると思うのでありますが、その理解でよろしゅうございますか。
  250. 増原恵吉

    増原国務大臣 四次防が決定をされましたのは、御承知のとおり昨年の十月でございます。ただし四次防が決定をされますれば、四十七年度を第一年度とする五カ年計画とするというふうに決定をされたのでございまして、これはあとから、何といいますか、追認の形ではございまするが、第一年度は四十七年度でありまするが——年度ですから仰せのとおりでございます。四十七年度が第一年度でありますが、実質的には四十八年度から四次防が始まるとも言い得るという内容のものでございます。
  251. 米田東吾

    米田分科員 この四次防の整備重点海上自衛隊航空自衛隊に置かれているように理解をいたしておるわけでありますが、具体的に海上自衛隊整備に関しまして、日本海沿岸が重視をされておると理解をいたしております。この四次防の期間でどういう方向に、日本海沿岸の施設あるいは装備等が変わるのか、このことについてまずお聞きをしておきたいと思います。
  252. 久保卓也

    久保政府委員 四次防は三次防の延長といたしまして、三次防でできまする海上自衛隊の勢力の減耗を更新するということを主たる眼目にいたしております。したがいまして、地域的な特色というものはございません。たとえて申しますると、外航護衛隊群というのがございますが、これについて三次防で一群を近代化したのを、四次防で引き続いてもう一群近代化をするというようなもの、それから、あるいは潜水艦が五隻減耗いたしてまいりますけれども、その五隻分をこれまた更新するというような、三次防末の勢力を更新するというものと、若干プラスアルファといったような程度でございまして、地域的な特性はございません。
  253. 米田東吾

    米田分科員 そうしますと、具体的に日本海沿岸の関係では舞鶴基地隊だと思うのでありまするけれども、その機能が他の地域に拡大するということはありませんか。
  254. 久保卓也

    久保政府委員 ございません。
  255. 米田東吾

    米田分科員 そこでお聞きいたしますが、私、昨年の本分科会でも御質問いたしておるわけでありますが、あなたのほうではこの四次防に関連をして、日本海沿岸の中枢といわれる新潟港周辺に海上自衛隊魚雷艇基地を求めておられます。具体的には、一昨年新潟港に併設することを計画されましたが、これはあなたのほうでは放棄されたようであります。昨年は寺泊港に併設を、あるいは新設をしたいという答弁もございましたし、またそういう動きがあったようでありまするが、これも現在はどうなっているのか、私はお聞きしたいところでありまして、いまの答弁で具体的に、防衛庁の施設あるいは基地というものは舞鶴以外には拡大しないのだという答弁でありますけれども、そういうことであれば、事実上、寺泊港あるいはその周辺をねらっての海上自衛隊基地というものは、もう今後あり得ない、こういうことになるのじゃないかと思うのでありますけれども、これはどうなっておりますか、聞かしてください。
  256. 久保卓也

    久保政府委員 魚雷艇は四次防が完成いたしますると九隻になります。  ところで、一昨年御説明いたしましたときには、あるいは昨年もそうであったかもしれませんが、四次防の原案、一昨年の春に発表いたしました原案のときには魚雷艇が三十二隻になる予定でありました。そこで、三十二隻になる予定でありますと、これはいま御質問の日本海のほうに、北のほうから西にわたって配備をしたいという考え方があったわけでございます。ところが九隻になりましたので、その考え方はなくなった。そこで、新潟と申しますのは、三次防で実は北海道の余市と新潟を考えたわけでありまして、したがいまして、一昨年もそういうお答えを申し上げたわけでありますが、現在、隊数が減りましたことと、新潟では寺泊のみならず、なかなか入手できないということで、四次防では舞鶴と余市ということにきめました。あともう一カ所大湊がございますけれども、したがって、四次防の計画の中では、いまの三カ所以外にはございません。将来どうなるかは、いまのところは全然考え方、計画は持っておりません。
  257. 米田東吾

    米田分科員 わかりました。もう一ぺん確認さしていただきますが、そうしますと、昨年まであなたのほうでいろいろ計画をされておりました、固有名詞では寺泊港でありますけれども、この魚雷艇基地計画はなくなった、放棄したということに理解してよろしゅうございますか。
  258. 久保卓也

    久保政府委員 四次防におきましては、基地のそれぞれの手当てをいたしましたので計画をなくしました。将来は魚雷艇をどういうふうに扱うか、これをふやすのか、あるいは現状維持にするのかということを全然検討いたしておりませんので、四次防が済んだ将来のことをどう考えるかは別でありまするけれども、四次防の中ではそういう考え方はございません。
  259. 米田東吾

    米田分科員 将来のことは議論しても全く始まりませんけれども、さしむき、しかし四次防以降五次防というものもあるやに聞いておりますけれども、四次防、この五カ年間の段階では、いまの御答弁ではあり得ないというふうに理解してよろしいと思いますけれども、やはり専守防衛でさらにまた拡大強化しなければならぬ、そのために五次防に引き継ぐというようなことになりまして、五次防の段階で考えられるということになるんですか。そういう含みで、いま将来のことはわからぬとおっしゃっておるんですか。この点、はっきりさしていただきたい。
  260. 久保卓也

    久保政府委員 そういう含みは全くございません。
  261. 米田東吾

    米田分科員 わかりました。  次に、防衛施設周辺整備の関係についてお聞きをしたいのでありますが、この法律はどういう目的の法律でありますか。きょうおいでになっていられるのは施設部長ですか、お聞きしたいと思います。
  262. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 防衛施設周辺の整備等に関する法律の目的は四つほどございますが、この法律の最初に目的として掲げておりますところで明らかなように、自衛隊——これは米軍も含みます。自衛隊等の行為または防衛施設の運用等によりまして、周辺地域等に障害が生じました場合に、その障害を防止するか、あるいは緩和するための必要な措置をとるとともに、また自衛隊の特定の行為等によりまして生ずるところの損失を補償する、こういった目的のもとに周辺整備法が運用されておる次第でございます。
  263. 米田東吾

    米田分科員 わかりました。私も法律の解釈ではいま御答弁いただきましたような趣旨だと思うのでありますが、実際に防衛施設周辺整備法に基づいてあなたのほうでやっておられる事業を見ますと、必ずしも破壊したあとの補修、補強だとか、あるいはあなたのほうの機動性を高めるために必要があってやるとか、そういうようなものだけじゃないように実は見受けるのであります。早い話が、自衛隊のPRあるいは自衛隊の民生対策のためにこの法律が適用されているんじゃないかと思うような感が実はするわけでありますけれども、そういうことはありませんか。
  264. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 どういう点で御指摘があったかは存じませんが、われわれは周辺整備法は、ただいまも御答弁申し上げましたように、自衛隊等の行為による障害あるいは防衛施設の運用に基づく障害というものがあって、それを防止し緩和するための措置をとっておるわけでございまして、したがって、自衛隊等の行為ないしは防衛施設の運用と実際起こっております障害との間に、当然相当因果関係があるものについて、事案としてこれを取り上げておるわけでございます。
  265. 米田東吾

    米田分科員 わかりました。  具体的にひとつお聞きしておきたいのでありますが、新潟の飛行場に航空自衛隊の救援隊の基地がございます。この周辺の整備等につきまして、ここ二、三年この法律に基づいて市道——あるいは県道もあったかもしれませんが、あなたのほうでも援助をしておられるわけであります。今度、聞くところによりますとさらにその路線を拡大して、新潟の地勢でいいますと東南のほうに向くわけでありますが、その道路が、ことしまたあなたのほうの計画の中に、整備をしてやるということになっているというふうに理解をいたしておるわけでありますけれども、新潟のこの基地の周辺の整備について、現在、あなたのほうに持っておられる計画はどういうものがあるか、ちょっと聞かしていただけませんか。
  266. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 ただいま御指摘の地域に存在しております部隊は二つございます。一つは航空自衛隊の新潟救難隊、もう一つは海上自衛隊の新潟基地隊分遣隊、この二つの部隊が比較的近距離の位置で存在しておるわけでございますが、その部隊に車両等が出入をしますために、主要地方道の新潟——村上線というのがございまして、そこから入っていくわけでございます。そこを自衛隊の車両が相当ひんぱんに使用するということで、地域の住民の方たちの利用にそれ相当の阻害を与えている、そういう点で、市道でございますが、その市道に対する舗装を周辺整備法四条に基づいて実施したわけでありまして、今後の計画につきましては、実はその県道の南側に国道七号線というものがございまして、航空自衛隊の新潟救難隊から南下いたしますと、先ほどの新潟−村上線の交差点を通過いたしまして、まっすぐに国道七号線に通ずる道がございます。これがただいま都市計画道路十四号線とたしか記憶しておりますが、そういうことで整備計画が地元で進められております。その一部の拡張整備等は終了しておるわけであります。これが次第に完成しつつあるわけでありますが、これが完成した暁には、国道七号線から最も直距離でもって部隊が進入するという道路になるわけで、この道路について、両自衛隊の車両の使用の状態を見まして、周辺整備法で採択すべき事案かどうかということを今後の問題として検討していく必要はあろうかと思います。
  267. 米田東吾

    米田分科員 実はこの問題は、私、昨年の分科会でもお聞きをしているわけでありますが、いま御答弁いただきましたような趣旨で昨年も御返事をいただきました。いま言われましたように、この基地から南に向けて七号線に通ずる道路の整備ということになりますれば、これは文句はないわけであります。自衛隊あるいは基地隊の活動その他からいきましても……そういうことであれば、これは必要だし、そういう方向で整備に協力するならやってもらいたい、地元のほうでも喜んでおるわけでありますから。  ところが、昨年の段階では、七号線に通すということは明快に言わなかったわけであります。ただ地元のほうで、整備の何かの関係で出てくればやってやりましょうという程度でございました。袋小路のようなこの道路に、自衛隊が協力するといいますか援助をしてやってやるということは、地元にとってはいいことではありますけれども、これはシビアに考えれば、一体何に基づいてやっているのか理解できないわけでありますから、したがって、私はそういう指摘をしたのでありますが、いま御答弁ありましたように、七号線に通す、これはもうぜひそうすべきだと思いますし、そういう計画を前提にしてやられるのであれば、私は大いにひとつやるべきだと思っておりますし、けっこうだと思います。  いまの御答弁で大体わかりましたけれども、あなたのほうでも明確に七号線まで通すんだ、こういう一応の理解、前提でことしの計画については協力をするんだ、そういうことになるというふうに理解していいですか、もう一回ひとつ答えてください。
  268. 高松敬治

    ○高松政府委員 いま施設部長も御説明いたしましたとおり、そういう七号線に拡幅をして通ずるということになりますれば、私どもとしてもこの点は十分に検討してまいりたい、かように考えております。
  269. 米田東吾

    米田分科員 それではちょっと話が前後するのですが、ということになりますると市の都市計画が主体になってくるわけであります。必ずしも、いま答弁されましたように、十四号線として具体的に年次計画を立てて通すというところまでまだいっていないはずであります。したがって、十四号線が国道七号線に通ずるという判断はまだ早計だと思うのであります。しかし、聞くところによりますと、ことしあなたのほうではすでにある程度予算づけを考えておられるわけであります。私が聞いたところでは、一千五百万円程度の財政援助をしてやろう、そういう内意を持っておられるやに聞いておるわけでありまして、これは私はそのことが悪いと言うのじゃないですよ、誤解しないでください。ということであれば、私はやはり七号線まで通すということを、これはあくまでもあなたのほうは堅持をしていただいて、そして七号線まで通す、その問の周辺の整備ということでぜひ出資してもらいたい、こういうことを申し上げておるわけなんでありまして、ことしの計画はどうなっておりますか。
  270. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 ことし昭和四十八年度計画は、これから成立予算の範囲の中で実施計画を詰めることによって計画がきまってまいることになると思いますが、その前提といたしましては、先ほど御答弁申し上げましたように、この都市計画道路十四号線が、地元でお聞きしているところでは、国道七号線まで逐次拡幅していくのだ、そういう前提を踏まえましてこの計画を一応考えておるわけであります。したがって、来年度計画そのものの具体的な規模というものは、これから詰めていく段階になろうかと思います。
  271. 米田東吾

    米田分科員 わかりました。いまの段階、まだ予算も確定しておらぬわけでありますから、その答弁を越えることはできないと思いますが、私どもが理解しておるところでは、ある程度の内示があった、そういうふうに実は聞いたものでありますから、そうだとすれば、国道七号線まで通さなければこれは全くむだ使いになるじゃないか、防衛庁としては。ここは全然必要ない道路ですから、実際問題は。しかし、七号線まで通せばもう最短距離で、これはどうしても通すべき道路なんでありますけれども、そこまでいかないで通すということになると、これはPRじゃないか、あるいはある特定の政治家に何か便宜をはかるというようなかっこうになりはせぬか、こういうことで私、実は申し上げたわけなんでありますから、ぜひひとつ、ことしの予算が確定されれば防衛庁も筋を通して、この国道七号線まで、これは主体は地元の自治体でありましょうけれども、ひとつ筋を通してこの整備について方針を確立していただきたいし、できれば予算確定後、現にいわれておりますところの範囲じゃなしに、もっと皆さんの協力がなされるように私は要望して終わりたいと思うのでありますけれども、一応答弁してくれませんか。
  272. 増原恵吉

    増原国務大臣 いま次長がお答えをしましたように、仰せになったような趣旨に従いまして、七号線に通ずる都市計画路線に結んでいくという形でこの問題は進めていきたい、さように考えます。
  273. 米田東吾

    米田分科員 終わります。
  274. 臼井莊一

    臼井主査 次に、久保三郎君。
  275. 久保三郎

    久保(三)分科員 私は、返還が大体確定している水戸の対地射爆場の問題でお尋ねしたいのですが、まず第一に、この射爆場の返還は、はっきり、いつ幾日に返還というふうにきまったかどうか、いかがでしょう。     〔主査退席、塩谷主査代理着席〕
  276. 高松敬治

    ○高松政府委員 去る一月二十三日の第十四回日米安保協議委員会において、御承知のように本射爆撃場の返還が合意されました。それで具体的な日にちといたしましては、本年三月末、まあ今月の末でございますけれども、それまでには返還されるというふうな、大体いまそういう見通しを得ている状態にございます。
  277. 久保三郎

    久保(三)分科員 三月三十一日までには返還されるということは、三月三十一日前にも返還されるかもしらぬということですが、もう三月に入りましたから、ずいぶん間近な話でありますが、まだ幾日に返る予定というのはわからないのですか。
  278. 高松敬治

    ○高松政府委員 先日、茨城県知事のほうから、三月三十一日を待たずに早期に、もっと早く返還してほしい、こういう御要望が防衛庁長官にございまして、長官も、地元のほんとうにいままでの長い経緯にかんがみても、そういう地元の御要望にできるだけ沿うように手続の促進をはかりたい、こういうふうな回答でございました。それで私ども事務当局としましては、できるだけ早くこれを三月三十一日を待たずに返還したいという方向で、目下手続の促進に事実つとめております。ただ、現在の段階で、それが何日という具体的に申し上げる段階にはございません。
  279. 久保三郎

    久保(三)分科員 いま具体的に何を交渉しているのですか。
  280. 高松敬治

    ○高松政府委員 返還に伴いますいろいろな手続がございます。アメリカ側にもございますし、私どものほうにもございます。そういう手続をできるだけ促進するように日米両方ともやると、こういうことでございます。
  281. 久保三郎

    久保(三)分科員 返還された場合は、これは当然大蔵省の普通財産として引き継がれると思うのだが、そういうふうに了解してよろしいか。
  282. 高松敬治

    ○高松政府委員 一部分は農林省所管の財産がございますが、大部分は御指摘のように大蔵省の所管になると、こういうことでございます。
  283. 久保三郎

    久保(三)分科員 農林省所管の場所というのはどういうところですか。
  284. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 ちょっと手元に正確な図面がございませんが、面積にいたしまして全体千百四十七万平米のうちの四千九百平米でございまして、海岸部分に一部あります防風林の部分じゃなかろうかと思います。
  285. 久保三郎

    久保(三)分科員 施設庁ではよくわからぬのですね。これは農林省所管のものが米軍に貸されているんでありますから、返ってくるときは当然農林省に返る。農林省のどういう財産ですか。
  286. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 農林省の特別会計財産で、おそらく林野財産であろうと思います。林野庁所管の財産であろうと思います。当然、これは返還になりますれば、米軍から返還をまず受けますところの東京防衛施設局が一たん受け取って、直ちにそれを農林省のほうに返還する、そういう手続の段取りになります。
  287. 久保三郎

    久保(三)分科員 東京防衛施設局が米軍から返還を受ける、いわゆる防衛庁が返還を受ける。直ちにというのは、何も手を加えずに直ちにこれは返還するわけですね、それぞれの大蔵省なり農林省に。そうですね。
  288. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 東京防衛施設局長という立場は、安保条約地位協定に基づいて米軍に提供する責任のある立場でございます。それが米軍から返還を受けまして、それぞれ大蔵省所管ならば大蔵所掌の財務局へ、それから農林省であれば、営林財産ならば地方の営林局へお渡しするわけでございます。通常は、直ちにお渡しするたてまえになります。しかしながら、一応返還を受けまして、今度は防衛施設局と、たとえば大蔵財産の場合は財務局との問に、それを引き継ぐにつきましてのいろいろ建物等がございました場合に、お互いにそれをチェックし合う作業も、返還後も伴う場合がございます。そういった場合に、一時防衛施設局が預かっている場合がありますが、原則としては即日お渡しするということになります。
  289. 久保三郎

    久保(三)分科員 その場合、現に米軍から使用を認められている自衛隊の爆破演習場、この区域についてはどういう手続になりますか。これも、われわれの考え方でいけば、いまあなたがおっしゃったとおりの手続になると思うのですね。本来ならば、米軍が日本側に返す前に自衛隊は米軍に返す。そして、さらになったところで東京施設局が返還を受ける。そして関係の省庁と手続をして、それぞれ財産の引き継ぎをする。こういう手順だと思うのですが、その場合、自衛隊の爆破演習場の区域はどうするか聞きたい。
  290. 長坂強

    ○長坂政府委員 お答え申し上げたいと思いますが、いま先生が御指摘のように、この米軍の演習場が全部いわゆる国、大蔵省へ返ります。そうしますと、現在自衛隊は米軍と共同使用をしておりますけれども、その共同使用の根拠がなくなります。したがいまして、何も使うべき権原と申しますか、そういうものは自衛隊は持たない状態になります。そこで、あらためまして今度は、今後自衛隊に使わしてもらいたいという申請を国である大蔵省に申請をいたします。そしてその許可を受けまして使うということになるわけでございますが、ついでですから若干申し上げますと、この事案の中には、いわゆる流通港湾の計画というものが現在進捗中でございますが、この調査期間、それから調査工事の期間というものがまだ二年なり三年なりかかるようでございますので、その期間だけ使わしてもらおう。国から、大蔵省から自衛隊が使わしてもらう期間は、そういう流通港湾の計画の進捗のじゃまにならないようにということを私どもは考えております。その後は使うつもりはございません。  それから、使用の面積は、現在使っておる規模のいわゆる三百三十万平米、全体は千百四十七万平米でございますけれども、そのうちの三百三十万平米、そういうものを使わしてもらいたいというふうに考えて、そういう希望を持ちまして、返還になりましてから手続をすることにいたしたいと思っております。
  291. 久保三郎

    久保(三)分科員 自衛隊が使っている爆破演習場の区域を使わせてもらうように交渉する時期はいつですか。
  292. 長坂強

    ○長坂政府委員 米軍から全面的に返還になりましたあとで手続を進めたいと思っております。
  293. 久保三郎

    久保(三)分科員 交渉が成立するまでの問時間がありますが、その間は自衛隊は使用する権利はないと思うが、そう了解してよろしいか。
  294. 長坂強

    ○長坂政府委員 その御了解のとおりでけっこうでございます。
  295. 久保三郎

    久保(三)分科員 そうすると、返還前に交渉するということですか、あなたの気持ちからいけば。
  296. 長坂強

    ○長坂政府委員 返還後、若干の間隙ができるのはいたしかたないと思っております。
  297. 久保三郎

    久保(三)分科員 それはあなたの話であって、いたしかたないということは、それは許されますか。——理屈ですがね、あなたにそういう権限はないし、米軍から返ってきたものは即刻これは元に返しておくことが当然で、大蔵省なり林野庁が持つのが当然なんです。そうでしょう。共同使用を許されたというのは、日本政府から許されているのじゃない、アメリカから許されている。そうでしょう。その権利権限を持ったものが返すというのだから、契約はもう御破算ですよ。だから、これは一ぺん即刻返す、撤退する、撤去するということが筋です。  それからもう一つ、あなたは、流通港湾の計画が進捗中である、こう言う。これはあなたがきめたのか、あと地利用はあなたがきめたのか、だれがきめたのか。
  298. 長坂強

    ○長坂政府委員 ことばが足りなかったかも存じませんけれども、最初からお答え申し上げていることは、先生のいまおっしゃっているとおりのことを申し上げているつもりでございます。(久保(三)分科員「そのとおりやってもらわなければいけない」と呼ぶ)そのとおりでございます。時間がありますれば補足いたしますけれども……。
  299. 久保三郎

    久保(三)分科員 流通港湾の計画が進捗中であるから、その流通港湾ができ上がるまでは使わせてもらうのだということは、それはどこできめたのか。流通港湾の計画というのはどこできめられたのか、それを聞きたい。なぜそういうことを聞くかというと、県知事や市長じゃなくて、長年にわたって犠牲をこうむってきた住民の立場に立ってものごとを処理することが最も妥当な方法だと考えているわけです。それを流通港湾だの、あとから若干の期間はあるが交渉して使わせてもらうのだとかいうことは、これは茨城県のことばで言うとおっかぶせと言うのだよ。そういうのはだめだ。
  300. 長坂強

    ○長坂政府委員 返還になりました瞬間から一時使用を申請をいたします段階までの事柄につきましては、先生が申されたとおりでございます。  それから、私どもが一時使用の申請をいたします際の年限と申しますか期間と申しますか、これはやはり、現在現地に私ども水戸の施設学校を持ちまして、そして地雷の爆破訓練を従来やっておりました。それで今後も一定期間だけそれは続けさしてもらいたいという希望を持っておるということを申し上げておるわけでございます。永久におるというつもりはございません。
  301. 久保三郎

    久保(三)分科員 茨城県民がだめだと言ったらどうします。
  302. 長坂強

    ○長坂政府委員 防衛のためと申しますか、爆破訓練のためそういう施設学校の訓練課程がございますので、その訓練を防衛庁側、学校側といたしましても希望いたしておりますので、ひとつなるべく御了解をいただきたい、なるべくそういうふうにお願いをいたしてまいりたいと思います。
  303. 久保三郎

    久保(三)分科員 私とあなたの話ならそういうことになる場合もあるかもしれませんが、私は、だめだと言ったらどうするかと聞いているのです。いかがですか。
  304. 長坂強

    ○長坂政府委員 まあそれは、私どもは大蔵省、国に対して一時使用をお願いする立場でございますので、これの申請をどう取り扱うかということは、これは地主と申しますか、財産の所有者である国、大蔵省においておきめをいただくことではないか、このように思っております。
  305. 久保三郎

    久保(三)分科員 では大蔵省に聞きますが、いま参事官の話では、流通港湾の話とかいろいろ出ていますが、一時使用でやってもらうのだという話がありますが、これは正式な話はどこからか出てそういうふうに権威づけられているのですか。これはいかがでしょう、大蔵省
  306. 小幡琢也

    ○小幡政府委員 本地が返還になりましたならば、大蔵省の管理下に属するわけでございますが、大蔵省といたしましては、何ぶん広大な面積でありますし、立地条件あるいは地元の要望等も十分勘案しまして、慎重に検討したいと思っておりますが、防衛庁のほうから、現在使っております部分を暫定的に施設学校の爆破訓練用地として使用したい、こういう御要望は承っております。
  307. 久保三郎

    久保(三)分科員 いまの話だと、要望だけであって、あなたが言う流通港湾の計画などは何にもないのだが、これは理財局で何かそういうのがあるのですか。
  308. 小幡琢也

    ○小幡政府委員 これはだいぶ前から関係団体のほうから、水戸対地射爆撃場の早期全面返還に関する要望という書面をちょうだいしております。たとえば、昭和四十五年十二月二十五日、水戸対地射爆撃場返還推進部長茨城県知事名をもちまして、当省に来ております。
  309. 久保三郎

    久保(三)分科員 あと地利用の問題はそれには入っていないのでしょう。返還を早急に要求する、そういうことでしょう。
  310. 小幡琢也

    ○小幡政府委員 ただいま申し上げました要望の中に、流通港湾としての活用をはかることが適切である、したがいまして、早期かつ全面返還の実現に特段の配慮が望ましい、こういうような書面でございます。
  311. 久保三郎

    久保(三)分科員 正確に申し上げておきますが、そういう要望は単なる県知事だけの話でありまして、茨城県民全体というか、そういうものはまだ合意に達していない。しかもこれは、防衛庁長官いらっしゃるし、大蔵省もいらっしゃるから何ですが、あそこは広大な自然を持ったまとまった国有地なんですね。こういう場所は、言うならば、茨城県はもちろんでありますが、首都圏でもそうですが、日本国全体を見ても、汚されないで保存されているという場所は、もうあそこ一カ所なんです。ほかにはございません、はっきり申し上げて。だから、あと地の利用については、十分そういう特性なり、貴重な緑地であり、自然を保有している土地でありますから、これを中心に利用すべきだという声が茨城県の中にもかなり強く出ております。だから、鹿島港に見られるような港湾をつくってここを利用するという、単純に経済成長のあと追いの形で、ここを掘さくして港にするようなことは、われわれ県民としても反対であるという声が強いわけであります。そういうことを十分勘案しないで、一片のそういうものが団体から来たから取り上げるというような軽率なやり方では、これからの仕事はうまくいかないと思うのですね。これは大蔵省にもよく聞いてもらいたい。何でもいいから団体から書面でも出てくればこれはもう正しいものであるというふうに考えること自体、私は間違いだと思いますね。特に、さっきも申し上げたように、この射爆場は、もともとは付近の農民の土地が戦争中強制買収されて飛行場になり、終戦と同時に対地射爆場になった。単純に土地の移動だけじゃなくて、あそこには貴重な県民の生命というか、命が流れているわけです。血を流し、傷つき、そういうもので終戦後から今日二十七年間苦しめられてきた実は拠点なんですね。だから、この際返還となれば、県民の共有財産として処理される方向が一番いい。それからもう一つは、貴重な自然というものを破壊しないでいくことが一番いいというふうに考えているわけです。そういうものを度外視していろいろなことを考えること自体、私は、住民に対する冒涜であるし、反逆だと思うのです。これを強行する場合にはえらいことになると私は思うのです。だから、単に防衛庁がいま考えているように、爆破訓練所というか、そういうものに継続的に使えるのだというようなことをおっしゃっていますが、これも考え直してもらわなければいけませんね。いろいろな理屈はありましょう。理屈はありましょうが、そういうところではないのです。しかも、さっき参事官はからずも言ったが、流通港湾の計画ができておるようだから、これが進んでいって、いまのところまだ目鼻もつかないようだから、目鼻がついてどかなければならぬときになったらどきましょう。そのときにどけるならいまどいたらどうですか。いかがです。
  312. 長坂強

    ○長坂政府委員 いままで年間二百日くらい爆破訓練をやっております。そうしてその施設学校のカリキュラムと申しますか、訓練課程というものはそのようなものででき上がっておりますので、いま直ちに、従来の使用していた面積、場所のところが使えなくなるということになりますと、訓練にたいへんな支障を来たしますので、私どもとしては、暫定的ではありますけれども、使わしてもらいたいという希望を持っております。
  313. 久保三郎

    久保(三)分科員 暫定的というのは、いつまでなんですか。暫定というと、暫定の期間が切れればやめるということですか。
  314. 長坂強

    ○長坂政府委員 暫定の期間が切れればやめるということになると思います。
  315. 久保三郎

    久保(三)分科員 暫定の期間というのはどの程度期間なんですか。
  316. 長坂強

    ○長坂政府委員 まあ、先ほど来申し上げておりますように、三年ないし四年というようなところに一応のめどを置いていいのじゃないかというふうに考えております。
  317. 久保三郎

    久保(三)分科員 そうすると、日本の土地柄、あれにかわるような土地は要らない、単純にあすこを三年か四年使えば、もうそれでカリキュラムは終わり、そういうことで解釈してよろしいか。
  318. 長坂強

    ○長坂政府委員 その間におきまして適当なところをさがしてまいりたいというふうに思っております。
  319. 久保三郎

    久保(三)分科員 三年か四年たったら見つかるという目当てがあるのですか。
  320. 長坂強

    ○長坂政府委員 一生懸命さがしてまいりたいと思っております。
  321. 久保三郎

    久保(三)分科員 一生懸命さがしてもなかったらどうします。
  322. 長坂強

    ○長坂政府委員 一生懸命さがしますと必ずあると思っております。
  323. 久保三郎

    久保(三)分科員 必ずあるという保証はどこにあるのですか。
  324. 長坂強

    ○長坂政府委員 そう思ってさがしてまいりたいと思っております。
  325. 久保三郎

    久保(三)分科員 そういう子供だましの答弁を聞きに来たんじゃないのです。あなたははしなくも三年ないし四年と言ったが、防衛庁にはどうも三年ないし四年ということばはつきもののようだな。そういういいかげんな話でそこを使おうというのはどうかと思うのですよ。防衛庁長官、いまの話、ぼくがおどけたような質問をするから、おどけたような答弁をしたのだろうと思うけれども、真実はそんなものじゃないですよ。三年ないし四年たったら見つかるだろうと思う、見つかりますというようなことで答弁して場を過ごすのが国会なら、こんな国会は要らない。ほんとうに居すわるつもりなのかどうなのか聞きたいのです。居すわるつもりかどうか。
  326. 増原恵吉

    増原国務大臣 参事官の答弁、初めことばが足りなかったというか適当じゃなかったのであれでございまするが、参事官が初めに申しました趣意は、あと地利用に支障がなければ暫定的に爆破演習場に使わしてもらいたいという趣旨であったわけでございます。したがいまして、これはやはり県民の皆さんの考え方で、あと地利用というものがきまると思うのでございます。それに若干でも支障のない期間があれば使わしてもらいたい。その間に代替地を一生懸命になってさがそうと、こういうつもりで申したのでございまして、流通港湾といったことばは適当でなかったかと思いまして、この点はそういう意味にひとつ訂正をさしていただきたい。しかし、あと地利用に支障があるということで、いわば地元といいまするか、大蔵省でなく地元が反対ということでありますると、これは残念ながら私ども考え直さなければなるまいかと思いまするが、いままで内々いろいろ話をし合っておる段階では、これはまだ確たる計画というものではないようでございまするが、あと地利用のために若干の期間があるのではないか、その間暫定的に使わしてもらう、その問一生懸命代替地をわれわれはさがす、こういう趣旨でございまするので、そのように参事官の答弁を補足いたしまして、御理解を願いたいと思います。
  327. 久保三郎

    久保(三)分科員 長官お尋ねしますが、あと地利用に関連して、いまの参事官の話じゃないが、爆破の訓練場の使用について茨城県知事に要求されたそうでありますが、その際に、さっき参事官はいいかげんなことを言っていましたが、三年ないし四年という話が出たのかどうか。その問に茨城県知事に代替地の取得について協力を求められたのかどうか、いかがですか。
  328. 増原恵吉

    増原国務大臣 あそこの爆破演習場はやめてもらいたいという要望は、前から茨城県知事からありました。やめることについてはひとつ代替地をさがすことに御協力を願いたいという意味のお話を、前々からしておるわけでございます。そういう意味で、代替地をさがすことに御協力を願いたいということは申し上げたかと思います。そういう趣旨でございまして、これは米軍から返還されれば、さっぱりと大蔵省、農林省に返る。そのあとの問題として、私どもはあと地利用に支障がなければ、その問暫定使用をさしてもらいたい、こういう趣旨でございます。
  329. 久保三郎

    久保(三)分科員 その際、知事は約束しましたか。
  330. 増原恵吉

    増原国務大臣 知事とその際、そういうよろしいとかなんとかいう約束はございません。そういうことについてのお約束はございません。
  331. 久保三郎

    久保(三)分科員 時間もありませんから、もう一つ。これは防衛庁からお答えいただくのがいいのか、あと引き継ぎ受ける大蔵省から受けるのがいいのかわかりませんが、広大な土地なんですね、場所は。そこでいまわずかに米軍が一人か二人、あるいは日本人が何人か雇われて管理しておるわけですね。ところが管理しているとはいうものの、かなり荒らされつつある。自然が荒らされている。植物はとられるし、あるいは汚染されるということであって、非常に地元の住民としては心配しているわけです。移管というか返還を受けたあとのこういうものの管理に万全を期さなければならぬと思うのです。管理はだれがだれの責任でやるのか、教えていただきたい。
  332. 小幡琢也

    ○小幡政府委員 返還されましたあと大蔵省の責任でございますので、具体的に返還後の管理をどのようにするか、何ぶん広大な面積でございますので、その対策に現在いろいろと苦慮しているような状況でございます。
  333. 久保三郎

    久保(三)分科員 最後に申し上げておきますが、いまのようなお話では、問もなく、少なくとも三月三十一日には返還になるのですね。そうしたらわがほうの責任でこれは管理しなければいけませんね。ところが、いまの理財局次長のお話ではどうも心もとない。考えてはいるというような、もう考えているどころじゃなくて、大体具体的に予算をつけるなり機構をつくって、そして管理するという体制でなければたいへんなものだと思うのですね。これは話しておきますが、どういうふうになっているのか知りませんけれども、もう少ししっかりやってもらいたい。  それからもう一つ。三年ないし四年爆破の訓練場として使いたいというそういう気持ちはもちろんあるでしょうね、一方的に。しかし、われわれとしては、返還だから、この際はすぱっとさら地で返してほしいというのが県民の要望でありますから、そういう三年ないし四年なんていいかげんな使い方についてわれわれは同意するわけにはまいりませんから、一言申し上げて質問を終わります。  ありがとうございました。
  334. 塩谷一夫

    ○塩谷主査代理 次に、竹本孫一君。
  335. 竹本孫一

    竹本分科員 私は、防衛施設周辺の土地の問題について若干の質問をいたしたいと思います。特に、その周辺の土地を国に提供した、その土地提供者の譲渡益に対する税金の問題が中心でありますけれども、これは単に大蔵省の問題ということでなくて、一体、防衛施設庁としては、その周辺の土地の所有者、特に中小企業の業者等の立場に対してどれだけの理解を持っておられるかということを中心にお伺いいたしたいと思うのであります。  御承知のように、今日の税制では、個人または法人がその所有地を防衛施設の用地として買収してもらった。そして代金を受け取ったときは、その代金でこれにかわる代替資産を獲得する。その場合に、前の土地を売ったということで譲渡益が出ますが、それに対しては、圧縮記帳か、あるいは今度変わりますけれども、一応現行法では千二百万円の特別控除を行なう、そのどちらかを選択するということになっておるわけであります。そこで、これと関連をいたしまして、防衛施設周辺の整備等に関する法律の問題になるわけですけれども、自衛隊がいま使用しておる飛行場の周辺の指定区域、これが飛行機の騒音でやかましくて仕事ができないといったような場合に、そこに所在する個人または法人の所有地を買い入れてもらいたいということを願い出て、それが国によって買い入れられた場合には、その譲渡益については、御承知のように圧縮記帳の特例が適用されません。わずかに六百万円だけ特別控除をしてもらうということになっておるわけであります。その問題をきょうは御質問をいたしたいというわけでございますけれども、Aの土地を売ってBの土地を買った。Aの土地は滑走路とかなんとかいうことでなくて、いわゆる周辺の指定区域であるといった場合には、いまも申しましたように、六百万円だけ控除してもらえる。しかしながら、それだけではたしてAの土地を売った中小の業者が代替地を求めた場合に何ができるであろうかという問題であります。  土地の所有者が法人である場合には、御承知のように、大体約半分は譲渡益に対して税金がかかります。そこで、滑走路の隣で千坪持っている人が土地を願い出て買ってもらう。坪七万円ぐらいとしまして、七千万円で売ってしまったということになりますと、三千五百万円近くのものは税金で取られるわけであります。そうすると、今度は自分が千坪のいままで工場を経営しておったんだから千坪買おうと思うと、半分は税金で持っていかれた結果、五百坪になってしまうわけですね。そういう場合に、六百万円だけ見てやるということで、はたして問題の解決ができるであろうかということであります。すなわち、周辺で騒音にまいってしまって、何とかかわっていきたいといって土地を千坪願い出て買ってもらった場合には、次に移るときには工場は半分の五百坪になるということを覚悟しなければ、いまはどうにもならない、こういうことになっておるのでございますけれども、その点についてどういうふうに一体防衛施設庁あるいは防衛庁としては考えておられるのか、まず、この問題について一般的な御見解をお伺いいたしたいと思います。
  336. 高松敬治

    ○高松政府委員 いま御指摘の点については、私どもも非常に問題がある点だと思います。現在は、お話のように、工場については、土地だけの場合が六百万、それから居住用資産がある場合には一千万、それから居住用資産以外のものもあるという場合には一千二百万ということで、一番最後の場合に至ってようやく一般の認定収用の場合の一千二百万と同じ形になる。そういうことで、この点については私どもも何とか課税上の優遇措置ができないか、せめて収用事業並みにできないかということで関係機関と折衝してきているわけでございますが、なかなかそういうふうにできないので、非常に私どもとしても苦慮いたしているところでございます。  そういうふうに差がつきますのは、一方は、たとえば強制的な収用であり、それからこの周辺整備法による移転は、いわば任意のものである、移転を希望した者についてそれをやるのだから、強制する場合と場合を異にするんだ、こういうのがその理由のようでございますけれども、先ほど御指摘のように、飛行場の騒音その他で非常に被害を受けておる、そのための移転、こういうことになるわけでございまして、この辺、私どもとしてもさらに問題を詰めて、また関係機関と折衝を進めてまいりたい、かように考えておるわけでござ・います。
  337. 竹本孫一

    竹本分科員 そこで、長官いまの御答弁で大体わかるわけですけれども、これからあとは政治判断の問題と思うのですね。事務的に考えれば、一方は土地収用法じゃないが、強制的にやられるんだ、一方は滑走路のすぐ隣だから必ずしも強制ではない、したがって、任意に申し入れた自発的行為である。したがって、強制と自発的な行為とには差がつけられてしかるべきである。金額にすれば千二百万円と六百万円、あるいは圧縮記帳というならば、圧縮記帳と六百万円ということになるわけです。しかしその場合に、一つは国が払う代金についても、これは施設庁長官にお伺いしますが、これが一つの相場だというわけで金を払うわけですね。しかし、いま言ったように、半分は税金で取り上げるということで、実際は半分の値段で買い上げたということになるわけです、受け取るほうからいえば。国がせっかくそういうようにして補償していこうという考えで金を払っても、時価から見れば半分税金を取られて、手取りからいえば半分で買ったのと同じだということになることに対しても、少しこれは政治的な考慮があってしかるべきではないかということが一つ。  それから、長官に特にお伺いしたいのは、いまの御答弁では、いわば任意でという御答弁があった。そのいわば任意というところが問題なんですね。これの政治的判断をお聞きしたいと思うのですけれども、たとえば滑走路のすぐ隣だということで、飛行機がずんずん発着するということで、私も事実を知っているわけですけれども、従業員が夜眠れなくなったのでこの会社はいやだと言ってどんどんみなやめ始めた。従業員にやめられてはしかたがないので、やむを得ず引っ越すわけです。これは事実上の強制ではないかということなんです。確かに任意で申し入れて任意で移転する場合もありましょう。そういう場合に対しては、いま長官の御説明のような事務的説明で十分納得できるのです。しかし、いわば任意であるというけれども、事実上は強制されて、従業員がそこへ住みつかない、とどまるのはいやだと言ってしまえば、いまの状態の中ではどうにもなりませんので、中小企業の事業主は引っ越しをしなければならぬ。その移転する場合に、それをいわば任意という範疇に入ると見るべきであるかどうか、この点について、これは長官からひとつ政治判断として、私は、事実上の強制であると見るべきであって、したがって法の取り扱いというものは、任意という範疇で考えるというわけにはいかないのではないか、強制的に強権で取り上げられる場合も、事実上追い込まれて立ちのく場合も、ほとんど同じ立場ではないか。この点についての政治判断をどう持つべきかという点については、長官からお伺いしたいと思います。
  338. 増原恵吉

    増原国務大臣 御趣旨はたいへんよくわかりました。わかりましたが、私もこの点、実はいままでよく承知をしておらなかったのでございまして、このたびの先生の御質問で内容をつまびらかにしたようなことでございます。たいへんうかつでございました。したがいまして、この点については、所管として大蔵省のほうであれされることになると思いますが、何といいますか、利用者といいますか、最も緊密な関係者として防衛庁としても、その点はどうも合理的といいますか適切であるように思いがたいので、ひとつ十分に大蔵省お話をしてみることにいたしたい、こういうふうに考えます。
  339. 竹本孫一

    竹本分科員 長官から非常に前向きな御答弁をいただきましたので、一応満足できると思いますが、もう少し詳しく申し上げます。  まず、基地の周辺の土地の位置づけをひとつもう少し詰めなければいかぬと思うのです。なるほど滑走路が通っている。その隣だ。これは隣の地域のどうにも仕事ができなくなるような区域も、やはり広義の防衛施設の一環として位置づけをしなければならぬのじゃないか。まん中を通っている線のところだけが施設であってあとは全然関係のない他人さまだというような、冷たい、冷厳なる解釈ではなくて、その周辺も場合によっては防衛施設の一環であるという解釈をまずとる。位置づけをする。その区域からやむを得ず引っ越さざるを得なくなって引っ越す者については半分の六百万円というようなことや、あるいは圧縮記帳は認めないというような待遇では、これは協力しようといっても、そういうことをやられると、ひどい目にあったということになって、とにかく移れば工場のスケール、規模が半分になるというようなやり方はあまりにひどい。しかもそれは、いま申しましたように、任意というけれども任意ではないんだ、そういうふうに追い込まれてやむを得ずやるんだ、こういうふうに考えれば事実上の強制であるから、これについてはやはり法のたてまえを変えて、いままでと違ったあたたかい、理解のある、施設・区域を広義に解釈して、それは一つの施設の一環であるという取り扱いができるように、ぜひ前向きに考えていただきたい。もちろんそういうことになりますと、いやそういうことでなくて少し騒がしくてもこれでけっこうだという人もおるでしょうから、その間に区別をしなければいかぬと思うのですね。やむを得ず追い込まれた場合のみをいま私は問題にしておるから、そうでない場合について差をつけるということは、行政としては当然のあり方だと思うのです。したがって、そういう場合に強制に準じて取り扱うべきかいなかということを審査するために特別の機関をつくられてもけっこうです。とにかく私は、全部それをそういうふうにしろというようなむちゃなことは言いませんけれども、やむを得ずかくのごとき気の毒な事態に追い込まれて移転をする、しかも動けば半分になってしまうというようなことはあまりにもひどいという場合が確かに現にあるのですから、そういう場合については特別な措置が講ぜられるように、特別の審議機関その他くふうをしていただいてぜひやっていただきたい、念のためにもう一度それを申し上げたわけでございますが、特にいまの矛盾を申しますと、いろいろと私も調べてみましたけれども、AからBに移った、滑走路の隣の指定区域のAからBのところに移った。このBが問題になるわけです。Bが非常に離れて、過疎地かあるいは一つの大いに工場誘致をやろうというような誘致区域であればこれは全部認めてもらえるのです。これも大蔵省の事務当局の考えとしては、きわめて事務的には正しい考え方だと思うのです。しかし、これも政治的判断が足らないと思うのです。と申しますのは、AからBに移る、そのBの地域が過疎地かあるいは誘致区域かということでありますけれども、これは四十四年の土地税制のときに、御承知のように、なるべく土地を吐き出させようという考え方があったからここへそういう考え方が入り込んできているわけですね。しかし、これはこの場で論ずべき問題ではありませんけれども、土地政策のような重大なる基本政策を税金のいやがらせによって片づけていこうということが初めからナンセンスなんですね。土地政策は土地政策でとればいいんだ。それをやり得ないものが、いやがらせで何とか追い出していこうということが初めから邪道なんですよ。税金というものは、そんなすべての政策要求をになっていくような筋合いではない。税金はやはり財政収入が中心なんだ。せいぜいいって所得の再分配というものがその果たす役割りなんです。それを土地政策もあるいは輸出政策も輸入政策も全部税金で背負っていけということになれば、国税庁長官以外役所は何も要らない。そういうばかなことはないでしょう。ところがこの問題も、いまそういう矛盾が出てきたのは、四十四年の税制改正で土地政策がそこへ突然入り込んできたために、くふうをした結果、何とか遠くのほうへ追い出してしまおう、こういうわけでAからBのほうに移る、そのBの地域が過疎地である場合には全部の振りかえを認めてあげましょう、こういうことにしている。これは土地政策からいえば一応納得できますよ。しかし、これも長官の政治的な判断を仰ぎたいんだけれども、私は、商売をやっている中小企業の場合なんかは、税金がちょっと都合がいいからそれでは遠く何里も離れた過疎地に引っ越していこう、そういうわけにはまいりませんよ。従業員の関係もありますし、原料の関係もあるし、納入の関係もある、事業というのは孤立してあるのじゃないですからね。あらゆる関係が複雑に入り組んだ中で経営をやっているわけですから、なるべくならその近く一なるべくなら現在の従業員がそのまま引っ越しができるようなところへ移らなければ商売にならない。土地政策に協力するために遠くの山の奥のほうへ入っていけといわれても、そんな乱暴な話はないでしょう。だから、土地政策をそんなところへはさみ込んだことが間違いなんだ。これもひとつ、先ほど申しましたように、防衛施設の一環として問題を考えるということとともに、もう一つ重大な政治判断からいえば、土地政策をそんなところへ織り込んできて、その土地政策に強要されて山の奥へ逃げ込まなければ振りかえが認められない、千坪の土地は千坪にしかならない、二千坪にならない、途中でとまったら五百坪だぞ、こういうようなことは、全く実情を知らない観念論だと思うのですよ。だから、やはり千坪の工場は、移っても千坪ほしい、あるいはもっと拡大したいのでしょう。それを移れば半分になる、山の奥まで行けばまた千坪になれる、そんなばかげた土地政策がとんでもないところに入り込んできたということは、土地政策としてもきわめて不健全、不徹底であるし、そんなことをやられたなれば、周辺でどうにもならなくなって移る人にとってはまことにお気の毒である。土地政策をそこまで振り回す必要はないし、これは度を越えておると思いますが、いかがでございますか。
  340. 増原恵吉

    増原国務大臣 その問題までになりますと、ちょっと防衛庁長官の意見を申し述べる範囲を越えたような感じがいたします。承っておって、ごもっともとは存じますが、この問題は、大蔵省へ持ち込みましてお話をすべき問題でございます。大蔵省のほうでいま先生のおっしゃったようなことも十分考えてくれると思いまするが、そういう点も十分に話し合いの中に入れまして、問題を妥当に解決してもらうようにこれから検討いたします。
  341. 竹本孫一

    竹本分科員 これは確かに大蔵省の問題ですけれども、大蔵省は事さえあれば税金を取ろうと思うのだから。タックスコレクターとしての本能において、一応理解できますよ。しかし問題は、前に基地があって飛行機が飛んで騒音でどうにもならなくなったと思えば、庶民はこれは防衛庁としか思わないでしょう。これは事実、防衛施設の周辺に関する法律でいろいろ問題を取り扱っておるわけでしょう、あとに税法がありますけれども。だから、防衛庁に対する正しい理解や協力をしようというような空気をいたずらに混乱させないという立場からいっても、やはり、防衛庁に協力したらひどい目にあった、工場が半分になったというような印象を与えたのではまずい。しかも自分の意思ではなくて引っ越していくのですから。そういう場合に防衛庁は知らぬ顔をしておる。税金は大蔵省だというような立場でなくて、もちろんそういう立場での御答弁だとは思いませんけれども、これは防衛施設に関する問題ですから、大蔵省と協議をされる場合に、あるいは大蔵省が租税特別措置法を改正する場合に協議に応ずるわけでしょう。全然協議がないですか。協議をやるでしょう。なければおかしいですね。そうすると、その協議のときに、大蔵省からいえば、税金を取るのが商売だから、大いに取りたいというのはもっともだと思うのですよ。しかし防衛庁の立場で、いま申しましたように、これは防衛施設の一環ではないか、それからさらに遠くの山のほうに行け、それならおまえは千坪は千坪になるよということを念のために申し添えておくといっただけでは、これはあまりにかわいそうですよ。やはり商売を続けていけるように、あたたかい気持ちでひとつめんどうを見てやるということが必要であろうと思いますが、いかがですか。
  342. 高松敬治

    ○高松政府委員 私どもも基地の周辺整備という立場から考えまして、この問題には矛盾がある。まさしく御指摘のような矛盾があり、あるいはそれに該当するケースも幾つか私どもも耳にいたしております。私どもの立場からいえば、まさにそういう申請主義をとっておるから一般の収用適用事業の場合と違うのだ、こういうところに実は一番問題があって、申請主義といってもこれはちょっと違うのだ、そういうことで大蔵当局、特に国税当局といろいろ話をしておるのでございますけれども、残念ながら現在の段階では、他にも同じような問題もあるそうでございまして、これだけの特例を認めることは困難である、こういうことで、今度本年度六百万円が一千万円に上がるという話を聞いておりますが、収用事業のほうもやはり上がるわけでございますから、問題は依然として残っておる。この問題につきましては、御指摘のように、私どもといたしましても、地元の関係者からの要望も非常に強うございますし、今後とも関係の省庁と十分に協議いたしまして、円滑な移転措置が行なわれますように、何とか前進するように努力をしてまいりたい、かように思っておる次第でございます。
  343. 竹本孫一

    竹本分科員 最後にもう一つだけ、これに関連してですが、いまの六百万円が今回の税法改正では一千万円になるわけですね。そこで一体、これは六百万円を認め、今度一千万円の改正に防衛庁もおそらく賛成をされたから法案が出てくるわけだろうと思いますが、その賛成された根拠はどいうものであるか、そこを伺いたい。
  344. 高松敬治

    ○高松政府委員 いろいろ交渉をいたしたのでございますけれども、先ほども申し上げましたような申請主義と強制ということで、税制上どうしても同一には取り扱えない、たとえば運輸省所管の騒音防止、運輸省所管の民間飛行場の場合にも同じようなことがいえる、こういうふうな状態でございまして、そこで結局、こちらも一千万円に上がりましたが向こうも二千万円に上がる、こういう形になったということでございます。私どもとしては、決して本意ではございませんけれども、実際にそういうことに一応決着がついて、この問題については一応の結論が出た、こういうふうに承知しております。
  345. 竹本孫一

    竹本分科員 長官、事務的バランスも事務運営の一つの原則ですから、これが二千万なら二千万、一千万なら一千万、これもわかりますよ。私がいま尋ねたのは申請主義か収用かというような問題は、いまもう第一巻終わりましたから、次の問題に移っているわけですね。次の問題として六百万円を出された場合、あるいは今度一千万円を出された場合には、どういう計算なりお考えでそういうことをやられたかということを聞いているわけです。というのは、裏から申しますと、いま申しましたように千坪、いまは御承知のように自動車の置き場まで考えなければならぬ時代ですから、千坪くらいは小さな工場でもすぐ要るのですよ。ところが千坪でも、いまは土地の値段がどんどん上がっておりまして、地域によってまた非常に違いますから簡単にはいえませんけれども、たとえば坪五万円ということにしても千坪なら五千万円でしょう。普通にいけば、いまは大体七万円くらいするでしょう。七万円で工場の土地を千坪売りますと七千万円入るわけです。そして、いま言ったように、向こうに行ったときに半分にならぬように考慮して控除してやろうといったときに、いままでは六百万円、今度は千万円です。そうしますと、坪七万円のたとえでいきますと、千坪なら七千万円。そのうち一千万円だけが控除される。残りの六千万円には約五〇%の法人税がかかる。したがって三千万円飛んでしまう。そうすると、向こうへ行ったら大体工場は半分になってしまう、こういうことなんですね。そこで私が言うのは、いま中小企業でも千坪くらいは大体普通ではありませんか。六百万円あるいは一千万円にしてもたいした差はないんだが、中小企業の工場というのは何坪くらいを前提にしてこういう計算をしておられるかということを聞いているのです。それはどうですか。
  346. 伊豫田敏雄

    ○伊豫田説明員 お答え申し上げます。  六百万あるいは一千万の根拠につきましては、これは相当長い歴史を持っておるものでございまして、当初は、基本的に収用の場合につきまして、おおむね収用の場合の売買の事例の八割程度をカバーするということから、七百万当時からきまっておりまして、それを、その後の土地の価格の引き上げ等に応じまして千二百万になり、今回二千万にいたしたわけでございます。それで、六百万の問題を千万に引き上げましたにつきましても、二千万を基準にいたしまして、あとの相対的バランスを保ったということ。さらに深く、一番最初にきめたときはどういう考え方だったかとおっしゃられますと、この問題につきましては相対的なバランスを考えた。言いかえれば、土地の広さというものにこれは応じておりませんで、一回の譲渡につきというふうな控除になっております。したがって、ある意味では慰謝料的な意味を含めて、相対的なバランスから現在の六百万がきまり、今回の千万がきまったと考えております。
  347. 竹本孫一

    竹本分科員 最後に要望しておきますが、長官、いま私が言っているのは、いまの御答弁も、途中から相対的バランスその他を考えて非常に合理的にいっているのですよ。しかしスタートがおかしいのです。途中から非常に正確ですね。米の出来高調査みたいなもので、途中からえらい正確だけれども、スタートが問題なんです。今申しますように、千坪の工場というようなものを大体想定して補償の問題を考えておられるのか、あるいは中小零細企業は五十坪でいいのだ、あるいは百坪くらいのものだ、それならば七万円でも百坪ならば七百万円、千万円見ておけば十分だ、百五十坪分あるのだというようなことになりますが、問題は、いまの近代的な、ことに国際経済競争がきびしくなって、合理化も進もう、産業構造も改革しよう、こういう段階になり、しかも通勤者はみんな自動車を持っているマイカー時代、そのまた自動車の置き場も考えなければならぬということになってきた、そういう新しい条件の中で、一体何坪くらいを前提にして、そのまた何割か、それはまたいろいろ議論がありましたけれども、一番最初のスタートは百坪を前提にするのか百五十坪を前提にするのか、あるいは五百坪、千坪くらいは中小企業でもやはり必要じゃないか、そういうところを前提にするのか、その点が私は根本の問題だと思うのですよ。それを途中の小さなところからスタートして、それで隣のバランスを、それから収用の場合の何掛けだ、こういうような議論をいかに巧みにやられても、それは政治論としては全くナンセンスだと思うのです。私、実は五時から別に用事がありますから質問を終わりますけれども、そういう意味でどうかひとついまの中小企業の現実の要求に立って、やむを得ず引っ越していく場合には、これは法律上は観念的に任意の申し出ということになるのだけれども、社会の常識から見れば、事実上は強制されておるのだから、強制されたものとして、自由意思の入る余地はほとんどないのだから、やはり収用される場合と同じように取り扱う。それも全部ではなくて、特定な慎重な審議、検討を加えた上でめんどうを見てもらいたい。  それから、長官は席をちょっとはずされましたが、いまの六百万円は何坪を前提にしてこういう計算が出てきたかということが問題だと思うのです。隣のバランスばかりいま事務的には言われます。それも正しい考え方の一つではありますけれども、すべてではない。いまは中小企業も、繰り返しますけれども、大体千坪くらいは普通ですよ。それから自動車の置き場を考えるのが普通なんです。そうなると、千坪ぐらいになるとちょっと売っても大体五千万円か七千万円にすぐなるときに、控除が上がって千万円になったということでは少な過ぎるから、根本の前提はどうですかということをいま聞いたのですけれども、あまりはっきりしません。中小企業といえども今日は相当の規模あるいは広さというものが必要な条件になっておるのだ。どうかひとつ、それが大体補償してやれるような——せっかく補償という制度があるのですからね。ないならまた議論の立て方が違いますが、補償しなければならぬとかめんどうを見てやらなければならぬといって見る以上は、見るようなあるいは見てもらったかいのあるようなかまえにしなければうそだ。だからこれは、事務的なバランスの問題だけではなくて、政治的な判断というものが多分に必要であろうと思いますので、長官、大臣においてもぜひその点を考えていただいて、一ぺんこの問題については大蔵当局とも十分協議をしていただきたい。強く要望を申し上げまして、私の質問を終わります。
  348. 塩谷一夫

    ○塩谷主査代理 次に、大橋敏雄君。
  349. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 私は、基地の返還に伴う諸問題を若干お尋ねをしてみたいと思います。  その前に、第四次防衛力整備計画が自衛力の限界あるいは専守防衛の限界を越えているということで、各方面から非常にきびしい批判、非難を浴びていることはすでに御承知のとおりでございます。長官は、この四次防を撤回なさる考えはまずいまも持っていらっしゃらないであろうと思うわけでございますが、私たちはこの問題に強く反対いたします。本日は四次防の中身について論議するつもりはございませんけれども、しかしながら国民のほとんどは、軍事優先ではなくて、いわゆる国民の豊かな福祉社会実現を心からこいねがっているということをまず訴えておきます。  そこで、具体的にお尋ねに入りますが、わが国におきますところの米軍基地の現在の数、それからそれの占める土地面積は現在どうなっているのか、説明願いたいと思います。
  350. 高松敬治

    ○高松政府委員 本年二月末現在の米軍に対する提供施設は、本土で九十施設、面積にいたしまして二億七千六百四十六万平方メートル、それから沖繩で八十四施設、面積二億八千四百五十八万平方メートル、合計百七十四施設、面積約五億六千百四万平方メートル、こういう数字でございます。
  351. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 それでは、その米軍基地が今後わが国のほうに返還されてくるであろうという考えがあるわけですが、その年次的といいますか、ことし四十八年度ではどの程度、四十九年度ではどの程度返還される予定があるのか、そういうのが現在わかっているかどうかという問題ですね。
  352. 高松敬治

    ○高松政府委員 本四十八年度中に返還されますものといたしましては、先般の日米安保協議委員会で合意を見ました、いわゆる関東計画に基づく施設のうち、具体的に四十八年に幾つ返ってくるかということがはっきりいたしませんが、さしあたって確実視されますものは水戸の射爆場、それからおそらく今年中には朝霞の南地域というのも大体返ってまいると思います。  あとは、これは三年間のうちに返還をする、こういうことで、約束はできましたが、具体的に実行されるのは今後三年間のうちいずれかに相なると思います。  それからキャンプ渕野辺が、神奈川県でございますが、これが来年の三月を目途として返還予定になっております。  それで、その後の問題につきましては、現在具体的な取りきめはございませんけれども、いずれにいたしましても、先般の安保協議委員会でも、今後とも基地の返還、縮小については日米ともに検討を続ける、こういう約束がなされておりまして、あの中にもまた検討されるべきものとして、横浜とか佐世保とか幾つかの地点の名前も、あるいは相模原のメディカルセンターというようなものが幾つかあがっているわけでございます。  そういうことで、今後何年間の予定で具体的にこうするということではなしに、今後とも常時検討を続けてまいりまして、そうして逐次基地の返還、縮小ということについて努力してまいるということで、現在日本もアメリカもそういう基本的立場に立ってお互いに検討を進めておる、こういう状態でございます。
  353. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 わが党がかつて米軍基地の総点検を行ないましたが、初めてその実態を明らかにしたことから、米軍も順次返還を余儀なくされた事実は御承知のとおりでございます。  そこで、長官に強く要望したいことがあるわけですが、それは、いまやわが国は社会資本の充実あるいは土地の有効利用、開発問題等々がきわめて重要課題となっているわけでございますが、この米軍基地の返還というものがこれら諸問題に重要な関連と影響を持っておるわけでございます。私はそう思うのです。そこで長官にお願いしたいことは、基地返還問題には特段の配慮のもとにその促進をはかっていただきたい、こういうことです。どうでしょうか。
  354. 増原恵吉

    増原国務大臣 ただいま施設庁長官も基本的なことを申し上げたと思いまするが、基地の整理、統合等につきましては、仰せのとおり格段の努力を払ってまいるつもりでございます。  ただ、一言つけ加えさせていただかなければならぬのは、私どもは日米安保条約というものが日本の安全を確保していくという上に必要であると考えておりますので、その安保条約上必要限度の基地というものはこれを提供をするというたてまえは動かすわけにはまいりませんで、そういうたてまえのもとで、極力、整理、統合可能なものの返還ということに、仰せのとおり努力をしてまいりたい、かように考えます。
  355. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 それでは、米軍基地の返還をめぐって各地で種々問題が発生しておりますけれども、特に市あるいは町等から具体的に返還要求がなされているのは、現在全国で何カ所ぐらいあるのか。
  356. 高松敬治

    ○高松政府委員 かなりの数の地方からの要望、陳情は私ども承っております。ただ、それが全部で幾つあるか、こうおっしゃられても、ちょっとその数字が出ないのでございます。私どもとしても、いろいろそういう要望なり陳情なりというものがございまして、それに対していろいろまた検討を加えているという状況でございます。
  357. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 それでは、数多くあって、こまかい数字はいま持ち合わせていないということでございますが、返還要求がそうした市町村からなされた場合、それを聞きおく程度なのか、それとも、そういうことがあった場合、必ずすぐ何らかの手を打っているのか、基本的な措置の方法があるかどうか。
  358. 高松敬治

    ○高松政府委員 私どものほうに基地についての対策本部を設けております。そこでは、いろんな観点から、今後の基地がいかにあるべきか、あるいは具体的にこの基地についてはどうあっていいのかというふうなことを、昨年の夏に防衛庁長官から命令を受けまして、事務次官を長とし、私が副本部長でございますけれども、その検討を常に続けております。そういう場合に、地元の要望というものも、どういう理由でどういうふうなことでこういう御要望があるか、それから、そういうことについての実際はどうであろうか、基地の重要性なりあるいは基地の機能なり、そういうものともにらみ合わせて、そこに何か調和できるものが発見できないだろうかというふうなことで、いろいろそういうことの材料に実際にさせていただいているわけでございます。
  359. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 いまのお答えは、結局、具体的内容を検討している、そういうことが進められているんだということに理解していいかどうかということですね。  それから、長官に一つお尋ねしますが、確認です、これは。よく、自衛隊は米軍の肩がわりではないとこうおっしゃっているのですが、この御意見はいまも変わりはないかどうか。
  360. 高松敬治

    ○高松政府委員 その前に、事務的に私からいままでの数字を申し上げてみたいと思います。  現在まで米軍から返還になりました土地が、昭和二十七年から四十八年までに十三億三千八百万平方メートルございます。そのうち自衛隊が使用いたしておりますのは、四億七千七百万平方メートルでございます。それで残りの八億六千百万平方メートルというものは、一般の民間の使用その他に供されておる、こういうことでございます。比率にして約四〇%を割ると思います。そういうのが実情でございます。
  361. 増原恵吉

    増原国務大臣 自衛隊整備を、年々お願いをして、いたしておりまするのは、あくまでも独立国として必要な最小限度の自衛力を整備をしたいということでまいっております。そういう意味で年々このいわゆる増強をさしてもらっておりまするが、これは米軍の肩がわりというふうな趣旨のものではございませんで、いわゆるニクソン・ドクトリンが出ました際にそういう声がございましたが、あくまで自衛隊は、独立国日本の自衛、防衛をやるための最小限必要なものをだんだんと整備をしていく、そうして、独力ではいまの情勢のもとで困難であるので、安保条約というものを結んでそういう場合の協力を求める手段を講じておるということでございまして、米軍の肩がわりとして自衛隊整備増強を行なっているということはございません。
  362. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 それでは具体的にお尋ねいたしますが、去年、米軍から全面返還されました福岡県の遠賀郡芦屋射爆場の自衛隊使用について、地元住民はいわゆる人命被害のおそれありということばをはじめといたしまして、数々の問題点を指摘しまして、強烈な反対を示しております。先ほどおっしゃるように、米軍の肩がわりではないというこのことが、直接これに当てはまるかどうかは知りませんが、地元民のこれだけの強烈な反対がある射爆場使用について、長官は地元民の意思を尊重してこれは断念すべきではないか、あるいは他に変更さるべきではないか、私はこう思うのでございますが、どうでしょうか。     〔塩谷主査代理退席、主査着席〕
  363. 増原恵吉

    増原国務大臣 芦屋の対地射爆撃場を自衛隊に使わせてもらいたいということで、地元へお願いをしておることは仰せのとおりでございまして、こまかいことを申し上げる必要はないかと思うのでございまするが、これは自衛隊としてまことに必要な射爆撃場としてお願いをしておるので、米軍の肩がわりというようなこととは全然関係はございません。そうして、地元のお立場というものについては、いろいろの形でお話をよく承っておるわけでございます。われわれも決して無理じいをしていこうというつもりは持っておりませんが、われわれといたしましては、日本全国をいま見渡しまして、対地射爆撃場としての芦屋というものがたいへん必要なものであるために、いろいろわれわれとしての表情を訴えまして、地元の御理解を得たいということに努力をしておる、こういうことでございます。
  364. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 この自衛隊使用については、決して地元民の気持ちを無視し、あるいは軽視し、強行しようという考えは毛頭ない。しかし、この芦屋射爆場というのは自衛隊の立場から見た場合、訓練場として非常に重要な位置を占めている、こういう御答弁のように承ったのですが、もうすでに人的な被害も出ておりますし、そのほか誤射、誤爆、こういう問題も数多く現にこれまであったわけですね。そういう体験、経験の上から、地元民はもうこの際自衛隊の使用はお断わりだ、こういう切実な願いに固まっているわけです。いま、地元の皆さんに十分お話を伺って云々とおっしゃいますけれども、おそらくそれは、直接被害を受けない周辺の町といいますか、そういうところの話は案外スムーズに進んでいるかもしれませんが、肝心かなめの、一番その問題に当たる岡垣町、ここはいま長官が思っていらっしゃるような内容ではないということでございます。私は、地元のその問題を直接このはだ身で見、感じております。へたをしますと、血の雨が降るよな険悪な空気ですらもあります。それだけに、先ほど申し上げましたように、この自衛隊使用については、それこそもう断念なさって、場所を変えられたほうがいいのではないか。たとえば沖繩の無人島などがありますね。ああいう無人島などで訓練をやれば、何のことはないわけですよ。何も住民がいるその中で爆弾を落としたり、あるいは射撃をしたり、危険があるところを選ぶよりは、先ほど言ったような無人島で訓練をすべきだ。私は変地すべきである、こう思うわけですが、いかがですか。
  365. 高松敬治

    ○高松政府委員 芦屋対地射爆撃場の問題につきましては、いま御指摘のように、いろいろ問題があることは私ども承知いたしております。ただ現在対地射爆撃場として使っておりますのは、芦屋はいま使えない状態にございますけれども、水戸が返還になりまして、本土では芦屋と三沢と二つ残る、こういう状態になっております。私どもといたしましては、先ほど大臣からも御説明ございましたとおり、そういう意味で訓練上欠くべからざるところ、少なくとも現在の時点においては欠くべからざるところである、したがって米軍からは四十六年三月返還になりましたが、航空自衛隊としてこれを使用したい、こういうことで関係の五町ともずっと協議を重ねてまいりまして、いろいろ反対のあったことも事実でございますが、昨年の十月に五町との間に一応の話し合いがついた。ただそれにつきまして、その後もいろいろ反対があって、岡垣町もいま非常に混乱をしておるということも私ども承知いたしております。何とかそこをひとつ御理解願って、これの使用ということを実現させていただきたい、こういうことで、非常に憂慮しながらも、そういう希望を強く持っておるところでございます。
  366. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 いま自衛隊としては、訓練場として欠くべからざる位置を占めているところである、だから何としても説得したいというようなお話であるようですが、地元住民の反対の意思は絶対といっていいくらいに強硬なものです。それは形の上では、町議会が全員協議会を開いて意見書を採択しただとか、あるいは福岡の施設局に覚書を持っていったとか、形式の上ではそういうことがなされております。なされてはおりますが、これはあくまでもある意味の、何といいますか、手が打たれてのことであって、ほんとうに住民の意思を尊重した立場での姿ではないのです。たとえば、基地交付金を大幅に引き上げましょう、あるいは補助金を大幅に引き上げましょう、こういうふうに、言うならばあめ玉といいますか、ねぶらせながら、あるいは札束を積みながら、どうだどうだとこられると、町長としてみれば痛しかゆしでしょう。どちらを考えてみても、町の、町民のためではなかろうかと判断に迷うことがあるわけですよ。そういうことで、ある意味では、形式的には一時は話し合いがついたように見えたかもしれませんけれども、現実はそうでないということを裏づけていることは、その岡垣町の町長さんが辞表を二月二十五日の日に提出いたしております。これは実は、反対運動を起こしていらっしゃる住民組織の皆さまからすでにリコール運動が具体的に計画されつつあったわけです。あるいは一月の八日でしたか、辞職勧告まで出されております。そうした事柄があったあとで、また町議会を開いていまいったような形式的なことをなさったもので、ついに責任をとらざるを得ない、そういう羽目におちいられたのではないかと私は思うのであります。ですから、表面的な姿と実態はかなり開きがある、こういうことでございます。この点もう一歩掘り下げて手を入れられないと、取り返しのつかない事件が起こるのではないかと注意を申し上げます。  そこで、かりに自衛隊の使用を認める。かりにですよ、といたしても、地元住民はもちろんのこと、県あるいは関係町、周辺の各町の同意がまず必要であろうと思います。その点についてはいまどの程度まで理解されておるのですか、認識なさっておるのですか。
  367. 高松敬治

    ○高松政府委員 昨年の十月に、岡垣、芦屋、遠賀、水巻、玄海、これだけの関係五町との話し合いが一応成立いたしまして、そして覚書がつくられております。そこに、先ほどおっしゃったようなことも含めまして、いろいろな条件と申しますか、その運用にあたっては地元住民の意向を十分尊重することとし、周辺関係町長と次のような事項を確認し、協定する、こういうことで覚書は作成されている次第でございます。そういう意味で、私どもは、少なくともその時点におきましては、岡垣のみならず、関係の町村との合意はできた、かように考えていた次第でございます。
  368. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 先ほどから申し上げますように、岡垣以外の周辺各町は、あるいは先ほど言ったようなあめ玉的なもの、あるいは札束にある程度迷うということばが適切かどうか知りませんが、そういうものにひかれて同意をした形になっているかもしれませんが、岡垣町はそうではございません。これは直接の被害をこうむりますからね。そういう意味で、この実態をもう少し調査なさる必要があるということをここで進言しておきます。  それから、先ほど申しましたように、現在も町長が辞任をいたしておりますし、そういう現状にある中において、実は一月二十八日でしたか、臨時町議会が開かれて意見書が採択されて、先ほど言いましたように、形式的なことは踏まれております。これは私も承知いたしておりますが、これはあくまでも議員の数の上で強行したという姿でありまして、これからの措置に対して、こういう措置に対して、住民の怒りというものはそれはおそろしいほどのものがございます。これは単に、私、ことばの上で言っているのではなくて、実際地元に行けばおわかりになると思いますが、そういう点をよく承知なさった上で対処なさらないと、先ほど言ったように思いがけない事件に発展するのではないかということです。これは御注意申し上げておきます。  そこで、強力な反対が、どのような反対があろうとも、いわゆる場所をよそにかえるというような考えは全くないのかどうかということですが、その点はどうですか。
  369. 高松敬治

    ○高松政府委員 かわるべき場所、あるいは将来これをかえるべき場所というものにつきましては、いろいろ議論はあると思います。ただ、現実の問題としてはなかなかそれに適したところは非常に少ない。先ほど、どこか離島へでもというお話がございましたけれども、これにいたしましても、おそらくいろんな反対が出るところが非常に多いだろうと思います。私も、この問題につきましては、関係五町の町長、議長とも二回か三回たしかお目にかかったと思いますけれども、いろいろな話も伺いました。それで、地元のほうの考え方あるいはお気持ちというものについても、いろいろ強くお話がございました。私ども、できればそういうところがあれば一番いいと思いますけれども、しかし、そう急にこれを直ちにさがせとおっしゃっても、これはなかなかむずかしい問題であろうと思います。  それで、今度の場合にも、使用を開始してから五年を経過した時点において、施設周辺の開発状況等を考慮して、その後の使用についてはまた関係の町と御協議をいたしますということを私どもは申しておるわけでございます。そういうことで、私も現地をこの間見まして、いろいろ考えもございましたけれども、やはりそれをいろいろ考えて実行していくには相当の年月を必要とする、一朝一夕にすぐいまこれをこの島へ、こういうわけにはとうていまいらぬことでございます。その辺はひとつ事情をおくみ取りいただきたいと思います。
  370. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 長官、いまの答弁の中で、五年間という話が出ております。この五年間でほんとうに打ち切るのならば、地元も百歩譲るでしょう。これは私も話を聞いていますからわかるのですが、五年ということばのその裏に、その時点が来ればまた話し合いをして云々とあるのです。それが半永久的に継続されるような中身になっているわけですよ。だからいまはっきり、それでは芦屋地区について五年間だけ使用いたしましよう、その間かえ地をさがします、こういうふうに長官が御答弁なさるならば、地元も案外すなおにそれを受け入れるかもしれません。どうですか。
  371. 高松敬治

    ○高松政府委員 たいへん歯切れの悪い答弁で恐縮ですけれども、いまほど申しましたように、五年を経過した時点において、施設周辺の開発状況等を勘案して、もう一度そのときにはあらためて御協議いたします、こういうことでございます。
  372. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 それでは五年で打ち切られるということもあり得るのですね。
  373. 高松敬治

    ○高松政府委員 五年後の状況においてあり得るかもしれません。
  374. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 いまのような答弁では地元は納得しないと思います。  それでは時間が迫ってまいりましたので、最後に射爆場として使用されている土地の所有権者の同意もとらなければならぬはずですが、そこには大蔵省所管のものと林野庁所管のものとがあるはずでございますが、この点について関係両省が同意したかしなかったか、これまでのことについて答えていただきたいと思います。
  375. 小幡琢也

    ○小幡政府委員 芦屋対地射爆撃場の土地は、全体で三百十二万六千平方メートルありまして、すべて国有地であることは事実でございますが、実は大部分が農林省所管の国有林野でございまして、大蔵省所管の普通財産は、前面の建設省所管の海浜地と、ここの大部分を占めます国有林との間にはさまれました細長い海岸沿いの土地十二万八千九百平方メートルでございまして、総面積の四%にすぎない、こういう状況でございますので、これにつきましては、やはり大蔵省だけというわけにもまいりませんので、やはり足並みをそらえなきゃいかぬということでございますが、実は去る二月の十二日に、北九州の国有財産地方審議会にこの問題、すなわち防衛庁に使用承認することにつきまして、議題として諮問したわけでございます。しかしながら、この開催までに、実は大部分を占めます林野庁の使用許可が行なわれないということが判明いたしましたものですから、結局、審議会におきましては態度を保留いたしまして、諸般の条件がととのったときに再度審議するということに相なったわけでございます。
  376. 平松甲子雄

    ○平松説明員 岡垣射爆撃場の大半が国有林野でございまして、かつ、森林法上の保安林に指定されておるわけでございます。ここを射爆撃場として使用いたしますにつきましては、森林法上都道府県知事の許可を要するということが一つと、国有財産でございますので、国有財産法に基づきまして農林大臣の許可を要すると、二つの要件が加わっておるわけでございます。森林法上の許可につきましては、都道府県知事がこれを行なうということになっておりまして、福岡県知事が目下森林法上の扱いについて私どものほうと協議をしておられますので、鋭意検討中ということでございます。国有財産としての使用期間につきましては、同じく林野庁長官が許可をするようなかっこうになるものでございますから、保安林の問題について結論を得次第、国有財産の使用許可についても処置をするということになろうというふうに考えております。
  377. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 時間がまいりましたのでこれで終わりますが、諸般の事情を賢察なさいまして、住民の意思を尊重して、射爆訓練の自衛隊使用はこれで断念なさって、代替地をさがされたほうが私はよろしいんじゃないかということをつけ加えまして、私の質問を終わります。
  378. 臼井莊一

    臼井主査 次に、この際、委員外議員瀬長亀次郎君の発言を許します。
  379. 瀬長亀次郎

    ○瀬長議員 私、駐留軍労務者の基本権利についてお伺いしたいと思いますが、その前に確認したいことがあります。それは、四十六年十一月三十日、社労委員会において寺前委員の質問に対しまして原国務大臣が答えているのがあります。「原国務大臣 私どもの見解におきましては、駐留軍の労務者に対して、労働法において十分保護されておると思っております。」さらに最後に、「原国務大臣私は重ねて申し上げますが、基地に働く日本の労務者は、労働法によって保護されていると確信いたしております。」この原国務大臣の確信について、いまでも日本政府の首脳はそう考えているか。特に防衛庁長官からお願いいたしたいと思います。
  380. 高松敬治

    ○高松政府委員 現在においてもそのとおりと考えております。
  381. 瀬長亀次郎

    ○瀬長議員 これは日本国憲法の問題、あるいは労働組合法、基準法その他の問題になると思いますが、とりわけ日本国憲法、これには第二十八条、労働者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。さらに第二十一条では、「集會、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」労働組合法の第一条、これは労働者の基本的権利としての団結権、団体交渉権、罷業権、これをはっきり保障するための労働組合法であり、基準法は労働者の最低の生活を保障するための基準法が出ております。そういった、私のいま言いました憲法の規定、労働法の規定、こういったものは、当然駐留軍労務者も日本国民である以上、これを侵されてはならないということに理解していいかどうか、その点はっきりさせてください。
  382. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 お答えいたします。  先生おっしゃるように、労働者の基本的な権利は保護されていると思います。
  383. 瀬長亀次郎

    ○瀬長議員 そこで本論に入りますが、二月二十四日、沖繩の駐留軍司令官メープルズ、これは中将ですかな——少将だ。屋良県知事に面会を求めてたいへんなことを言っております。  その中で、いわゆる在日米軍規則で禁止されていることである云々ということがありますが、在日米軍規則とはどういう規則であるか、この点につきましては、私、おとといからきのうにかけて——突然あなた方に言ったっていけないと思いまして、施設庁に聞きましたら、それは外務省じゃないかなあと言う。外務省に聞いたら、労働省じゃないかなあと言う。一体どこがどうなっているのか。だれが知っているのか、政府は。しかも日本人の労働者を、間接雇用でもって基地の中に雇用者としてあなた方は提供しておる。この基本的人権に触れるような在日米軍規則があるということです。内容はこれからまた質問します。その米軍規則なるものは一体何であるのか、これを説明してほしいと思います。
  384. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 御質問の在日米軍規則でございますが、この労務者の関係の——先ほど先生おっしゃいました、メープルズが沖繩県に行って話しただろうと思われます関係のものは、在日米軍司令部から各軍の司令官あてに発出されました内部通達をまとめたものでございます。
  385. 瀬長亀次郎

    ○瀬長議員 その軍規則なるものは防衛施設庁のほうでわからないのですか。
  386. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 駐留軍労務者にかかわる分につきましては承知いたしております。
  387. 瀬長亀次郎

    ○瀬長議員 承知いたしております、ですか、おりません、ですか。
  388. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 おります。
  389. 瀬長亀次郎

    ○瀬長議員 おりますか。——それはいま提出できますか。
  390. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 これは米軍の内規でございますので、私どものほうで提出することは差し控えたいと思います。
  391. 瀬長亀次郎

    ○瀬長議員 そこで、内容に触れますが、このメープルズ陸軍司令官、少将ですね、こんなことを書いてあるんですよ、この規則の中に。基地内での組合の集会、デモ指導者は、基本労務契約の規則で解雇を含む最高の刑罰が科される。それから、集会あるいはデモンストレーションはやってはならない、こういうことが米軍規則にあるという。その問題と、特にいま確認されました憲法の規定における基本的人権の保障の問題、さらに労働基本権としての組合をつくる権利、団結権、団体交渉権、罷業権、さらに憲法でも完全に保障している表現の自由、これとの関係はどうなりますか。この軍規則は、完全に日本の憲法ほかそれに関連する労働基本法をじゅうりんしている、私はそう考えますが、どう思いますか。
  392. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、メープルズが話をしただろうと思われますのは、米軍の内規でございまして、したがいまして、直接その規則で拘束されるのは駐留軍の構成員とか軍属とかいうものであると思います。ただ、その規則に基づいて米軍が発します駐留軍従業員に対します職務命令は当然従業員を拘束する。その場合に、いま先生のおっしゃいました基本的人権を踏みにじるような命令が出たというふうには承知いたしておりません。
  393. 瀬長亀次郎

    ○瀬長議員 どういう意味ですか。その軍規則は憲法や労働基本権を規定する労働組合法、その他の労働関係諸法規には違反していないのだという解釈に立っておるんですか。
  394. 高松敬治

    ○高松政府委員 ただいま労務部長から御説明申し上げましたように、在日米軍規則というものは、元来米軍の内部通達の集約である。したがって、それは別に日本政府の了解なり合意なりを得てでき上がっているものではない。それから、法的効果というものから申しましても、これはいわば米軍の構成員または軍属、つまり向こう側の者を拘束するのであって、当該規則そのものが、たとえば駐留軍の従業員、労務者を直接拘束するもではない、こういうことでございます。米軍が出した職務命令というものはその限度において拘束する場合があるであろう。ただ、在日米軍規則そのものが駐留軍従業員等を直接拘束することはない、こういうふうに私どもは理解して、そういう意味の御説明を申し上げたわけでございます。
  395. 瀬長亀次郎

    ○瀬長議員 そこで、もう一歩進めまして、メープルズ少将は最高の司令官なんです。この人が、自分たちの内規をたてにとって、日本国民である労働者の基本権利、集会もやってはいかぬ、結社の自由、表現の自由を奪われても何とも言えないということになるとどうなるのか。それとも政府は何とか言ったのか。この問題をはっきりさせてください。  特に説明申し上げますが、労働組合法が琉球政府時代にできた。これは沖繩人民党が提起して、直接私が出しました。一カ年あまりたって労働組合法と労働基準法は通った。ところが、通るには条件があって、アメリカは布令百十六号なるものを出した。その布令百十六号で、すでに御承知のとおり労働基本権を奪ってしまったのです。それで、五万以上に及ぶ基地労働者は組合をつくり、そしてこの布令は、日本国憲法にも反し、労働組合法にも反している。日本国民はそれを守る必要はないと、死文化運動を起こして既得権をかちとったのです。労働組合をつくり、団体交渉をやり、罷業までやった。だが、五月十五日の復帰と同時に、こういったような基地に働いている日本人労務者に対して表現の自由すらないということで挑戦をしておる。県知事は、私は、職務上の関係で直接そういった解決にかかわることはできない、これは基地労働者に、全軍労に通達はするということだけであります。  したがって、これは基本契約に基づきまして労務を提供された特に施設庁あたりで、この基本的人権、労働基本権に関する問題を解決しなければだれがやるのか。問題はここにあります。その点について、特に施設庁長官のこれに対する方針を述べていただきたいし、この基本労務契約にも書いてありますように、これまで、いろんな紛争が起こった場合に、日米合同委員会に期間内にかけることができない場合には、アメリカの担当者の決定が最終的決定になるということまで書かれておる。したがって、日米合同委員会の関係では防衛庁長官も関係しておられると思いますが、いま非常に大きい問題なんです。これは憲法に規定された基本的人権、さらに労働組合法に基づいている労働基本権、これのじゅうりんが平気でなされている。これに対して救済措置を考えておられるのかどうか。賃金遅払いもすでに出ておる。そういった面についての方針を承りたいと思います。
  396. 高松敬治

    ○高松政府委員 先ほども申し上げましたように、私どもはメープルズ少将がどういうふうに申しましたか知りませんけれども、在日米軍規則というものはさように考えております。  それで、先般問題になりましたのは、基地の中で集会をしデモをやるという問題でございます。これは、基地の中でそういうことが許されるかどうか、あるいはそれを禁じた職務命令が違法であるかどうか、こういう問題になってまいりますと、やはり職場が米軍の基地の中であり、それから使用者が駐留米軍であるという特殊な性格からいって、そういうふうな制約を受けることもやむを得まい。たとえば、前に最高裁判所で事務局の職員がはち巻きをしてやるというようなことを禁止した事例がございます。やはりその職場職場の特殊性に応じて、そういうある程度の制約を受けるということもやむを得ないというふうに考えられるわけでございます。  そこで、基地の外での集会、言論の自由ということは問題ないと思いますが、基地の中でそういうふうにデモをやった、集会をやった、ストをやった、こういうことが一つの問題になったわけでございます。その点につきましては、先ほども申し上げましたように、そういう特殊な性格からいって、異なった制約を受けることもやむを得ないのではなかろうかというふうに、私どもは考えておる次第でございます。
  397. 瀬長亀次郎

    ○瀬長議員 そうなりますと、憲法に規定された基本的人権や労働基本権などは、基地の中では踏みにじられてもやむを得ない——基地であっても日本の領土なんです。しかも労務者は、間接雇用で施設庁のほうで提供する。提供された労働者も人間であることは間違いないわけです。その提供した労働者が、表現の自由すら奪われても、それは基地の特殊事情という理由でやむを得ないということになりましたら、四万の基地労働者は、一体どうすれば人間として労働し、報酬をもらい、生きて、人間としての権利——これはなくちゃいかぬわけなんです。表現の自由というのは基本的人権の一番根本なんです。そういった職場で集まることもできない、ものも言えないというところまでやってくるのです。集会は、三名でも四名でも複数になると集会になります。これが軍規則をたてに、しかも県知事に向かって言っておるわけなんです。これがやむを得ないということになると、だれをたよればいいのですか。この点をはっきり言っていださい、法的にも。  さらに、あなた方は労務者を提供した直接の責任者である。日米合同委員会も、こういう場合に開かなくちゃいかぬということまである。そこら辺は、一体責任は県知事にあるのか、さらに労務を提供したあなた方にあるのか。
  398. 高松敬治

    ○高松政府委員 基地内の先般のデモあるいは集会の問題につきましては、私どものほうからも全軍労に対して警告をいたしました。それから県のほうからも警告をしたはずでございます。私どもは、雇用主といたしまして、基地労務者の人権あるいは労働についてのいろいろな権利を十分に守ってまいろう、かように思いますが、ただ、いまのような問題、制限というものは、本土の組合の場合でも同じでございますし、それから民間の事業場においてもいろいろな制約のあるものがございます。そういう点から、いろいろな具体的な態様からいって、基地の中におけるそれはやめてほしいということを警告したわけでございます。
  399. 瀬長亀次郎

    ○瀬長議員 私は逆のことをやってほしかったんですよ。あなた方は、アメリカと一緒になって警告を発したと言う。逆のことを言うのが日本政府の親心じゃないですか。また法律じゃないですか。最初にあなた方確認されたでしょう。基地労働者であっても、憲法、それに基づく労働法で保障されておる権利は認める。原国務大臣もちゃんと言っておる。これが侵されている軍規則があり、軍規則に基づいてメープルズという司令官ははっきり弾圧をしている。この場合に、アメリカと一緒にならないで、なぜ、日本国民の立場に立って、憲法に規定された立場、労働基本権を保障しておる労働組合法の立場に立って、アメリカと折衝しないのか。折衝する道筋もこの基本労務契約に書かれております。集会やっちゃいかぬ、デモやっちゃいかぬということをアメリカもやった。あなた方も警告した。こうなると、日本人の駐留軍労働者は、せっかくかちとった基本権さえ踏みにじられる。憲法が初めて適用されて、沖繩県民非常に喜んでおるわけです。いままでは布令しかなかった。そういった憲法が適用された現在の段階でも、労働組合法、労働基準法、こういったものが適用される段階でも、なお基地ではああいったような人間扱いされない状態を、日本政府は直さなければいかぬでしょう。警告ではなくて、その逆なんです。なぜそれができないかということを聞いておるわけなんですよ。
  400. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 お答えいたします。  先ほど施設庁長官からお答え申し上げましたように、私どもは基本的には、基地従業員の労働権といいますか基本権は守るつもりでございます。ただ、米軍の施設の中でデモをするというようなことは、これは一般の民間の事業場等でも問題になるところでございまして、特に駐留軍の特質と申しますか、軍隊の中でそういうことが制約を受けることはやむを得ないというふうに考えているだけでございまして、全体的に何もしちゃいかぬ、そういうことを申し上げているわけではございません。
  401. 瀬長亀次郎

    ○瀬長議員 あなた方が最初に確認した憲法の問題、労働関係法において権利は保障されている問題を、完全にいまみずから否定しておるわけだ。やむを得ないというのじゃないのです。具体的に私出しておるのです。働く職場でものを言う権利、集まる権利、表現の自由です。これまで軍規則なるもので踏みにじっている場合に、日本政府は一体どうすればいいのか。特に、労働者を提供しておるのはあなた方でしょうが。提供のやりっぱなしで、野たれ死にしょうがどうされようが、基本的人権を踏みにじられようが、労働基本権を踏みにじられようが、やむを得ない、しかもむしろ警告をしたという、これは理解できないのですよ。私も、さらに全軍労に組織された基地労働者も、こういったことを理解することはできないわけなんです。説得力がないのです。
  402. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 基地の従業員の労働基本権を守るということにつきましては、先ほどから繰り返し申し上げましたように守るつもりでございます。それで、そういういわば過激な行動なしでも、そういう不満がいろいろございますでしょうから、そういったものについては、私どもとしていろいろ労働組合なり従業員の方々からなりその実情を伺いまして、ただすものはただすということで米側と当たっているわけでございまして、何べんも申し上げますが、そういう方法で米軍の施設、区域内でデモをするというような方法はとる必要がないようにしてまいりたい。そういうものをやりますと、やはり一般の民間の事業場でも問題になるところでございまして、特に米軍の施設の中では問題になることはやむを得ないと考えますので、そういうことにならないように、できるだけ努力をしてまいりたいというように考えております。
  403. 瀬長亀次郎

    ○瀬長議員 いままでの御答弁ではっきりしたことは、あなた方が前言を取り消して、労働者の基本権利を認めるつもりではある、ここまではいいわけだ。実際には逆をいっている、アメリカと一緒になって警告を発している、これが結論です。  そこで、もう一つお聞きしたいのですが、このメープルズというのは、その日に団体交渉を労働組合とわれわれはやる必要がないしやらぬ、これは日本政府がやるんだと書いてある。この基本労務契約第十六条f項「協議」という中で「A側は、労働組合から要求を受理し、これらの労働組合と会合してその要求事項を討議する。」Aはアメリカですね。そういうふうなことがあるにかかわらず、はっきり軍規則をたてにして、そんなことはできぬ、おまえたちがやれというようなことをメープルズは言っている。これに対しまして日本政府はどういう態度をとられたのか、とるのか、これをはっきりさせてください。
  404. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 基本労務契約の中に第十六条f項というのがございまして、それに米軍は従業員と協議をするという条文が確かにございます。ただ、その規定に基づきまして労働組合のほうから受けました要求について、いまの間接雇用制度のもとにおいては法律上の雇用主であります日本側、施設庁でございますが、施設庁に回付することが適当であるというふうに米側は考えておるわけでございます。従来から、本土でもそうでございますが、間接雇用制度のもとで現地米軍と労働組合との直接交渉する機関はございません。しかし沖繩の現状、復帰後日浅く、いろいろ問題があるところでございますので、とりあえず第一義的には沖繩県並びに沖繩県の労務管理事務所というのがございますが、そういったところの体制の整備と申しますか、それから私ども施設庁と労働組合との交渉回数をもっとひんぱんにやる、その他そういったことを含めまして、いろいろな総合的な施策を強化いたしまして、意思疎通といいますか、米側に十分ただすべきものはただすというふうにいたしたいと思っております。
  405. 瀬長亀次郎

    ○瀬長議員 私、そんなことを聞いているのじゃないのですよ。アメリカ側は、労働組合と団体交渉する必要はない、基本労務契約にうたってあるのだ、日本政府がやれ。ところがここにf項、協議というのがはっきり書かれておるのだ。だからアメリカでも労働組合と協議しなくてはいかぬと書かれているので、そのとおりだなということを聞いているのですね。  ところで、最後に、もう時間が来ましたので、要望とそれから出してもらいたいのがあるが、いまメープルズ司令官が言った軍規則なるもの、これをたてにとっていじめにかかっている。あなた方また、アメリカが言うとおり警告している。これは一体どうすれば手に入るのか。あなた方わからないのですか、これは。われわれはそれを知れば、十分軍規則なるものが、軍の、アメリカに雇われているアメリカ人にこの規則を当てはめるのか、さらに駐留軍労務者にも拡大解釈して当てはめるような性格であるのか、いろいろ憲法や労働関係法に基づいて検討すれば、おのずから警告を発しなくてもいい状態が出てくるはずなんだ。私、おそろしいことを書いてあると思うのです、これは。そういった集会、示威行進、これも禁止するような状況なんですね。これは施設庁にないのですか。ありますか。また、知っているのですか、知らないのですか。
  406. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 先ほどお答えいたしましたように、駐留軍労務者にかかわるかと思いますその米軍の内規につきましては、承知いたしております。
  407. 瀬長亀次郎

    ○瀬長議員 承知いたしておりますから、この規則なるものを提出できますか。
  408. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 これは米軍の内部通達でございますので、私どもとしては提出を差し控えたいと思います。
  409. 瀬長亀次郎

    ○瀬長議員 そうなりますと、これは、米軍は別に秘密とか機密文書ではないと思うのですね。少なくとも私が申し上げているのは、事は日本人労務者なんです。アメリカ人じゃないのです。この日本人労務者が、職場、基地内では集まってもいかぬ、示威行進してもいかぬというふうな内規がある。この内規をなぜ日本国民が、知ってはいけないか。しかも、何もアメリカ人だけに適用するのであればそれは知らぬでもいいでしょう。事は日本人労働者に適用されている内規であり、沖繩基地労働者だけでなしに、全駐留軍労務者に対して適用されている内規である、あなたがさつき言ったように。これを承知しています、承知していますが、その資料を出すわけにいかぬ、ということになるとどうなりますか。
  410. 高松敬治

    ○高松政府委員 先ほど来繰り返し申し上げておりますとおりに、在日米軍規則というものは米軍の内部の通達である、だからそれ自体駐留軍労務者を拘束するものではない、そういうふうに私どもは理解をしております。米軍自身についていろいろなことをきめているようでありますけれども、それ自身が駐留軍労務者を拘束する性格のものではない。ただ、そこにその個々の場合に出される米軍の職務命令というものは、一般の事業場における職務命令と同じようにそれは効力を持ってくる。その職務命令が違法であるか違法でないかということは、私どもも十分に考えて、違法であれば米軍に対して十分に注意も勧告もいたしますし、あるいは撤去も要請します。しかし、それが適法である、違法ではないということになれば、その職務命令は有効と認めざるを得ない、われわれはそういうふうに考えているわけでございます。したがいまして、そういう米軍自身の内部の通達であるものがたまたま私どもが多少は承知はいたしておりますけれども、それを一般的に提出、を申し上げるわけにはまいらぬであろう、かように考えているわけでございます。
  411. 臼井莊一

    臼井主査 瀬長君に申し上げますが、持ち時間が切れておりますので……。
  412. 瀬長亀次郎

    ○瀬長議員 あと一分。  これは問題は、あなたがただしということになるわけなんだが、日本人労務者に関係しているんだ、職務命令その他。そういうことがなぜわれわれに知られてはいかぬのか。あなた方だけは知っている。なぜ日本国民に知らせてはいけないんですか。これを聞いているのですよ。しかも働いている何方という駐留軍労務者は、これによって基本的人権すら縛られている現状があるから、この軍規則なるものを知れば解決の道が出てくる。あなた方だけで知っても困るでしょう。現に雇用されている労働者がどういうものであるか知り、それで国民が知れば、アメリカも法外なことはやらないで済むんじゃないですか。だから私は、要望としてぜひ出してほしいと思います。
  413. 高松敬治

    ○高松政府委員 米軍は、労働者の権利その他の問題につきまして日本国の法令に従うということを原則にいたしております。これは地位協定にも明示してあるところでありますし、基本労務契約にも明示してあるところであります。したがって、私どもとしては、米軍の出した職務命令というふうなものが日本国法令に照らして違法であるならば、それは当然それを是正していくのが私どもの仕事であろうと思っております。しかし、やや意見が違いますところは、その命令が違法であるかどうか、たとえば米軍の施設、区域の中でデモをやることが違法であるかどうかというところが、やや私どもが先生と見解を異にしているところかと思います。そういう点でいまの問題を御答弁申し上げているような次第でございます。
  414. 瀬長亀次郎

    ○瀬長議員 最後に、要望ですが、私言ったのは、違法である違法でないということでなしに、米軍規則なるものをなぜ出せぬのか。簡単ですよ。あなた方に出せないような、アメリカべったりの何かあるんじゃないかというふうな推測をされてもどうにもならぬですよ、いまのような答弁からすると。したがって、時間がまいりましたので、ぜひ検討してもらって、このメープルズの言っている米軍規則なるものを、資料として出してほしいということを要望いたしまして、質問を終わります。
  415. 臼井莊一

    臼井主査 次に、坂口力君。
  416. 坂口力

    坂口分科員 自衛隊基地の問題につきまして二点ほどお伺いしたいと思うわけでございます。  第一の点は、いわゆる自衛隊基地を今後新しくつくられるような場合、このときにその地域の市町村の状態、そういったものをどういうふうに考慮に入れてつくられるのか、その辺のところについてまず基本的なお考えをお伺いをしたいと思います。
  417. 長坂強

    ○長坂政府委員 自衛隊基地新設するという場合、これはその地域の将来の発展性と申しますか、あるいは開発の推移というようなものを十分考慮に置きまして、それと調和のとれるようなあり方をしてまいりたいということを基本にいたしておるつもりでございます。
  418. 坂口力

    坂口分科員 大臣もそういうふうなお気持ち、同じでございますでしょうか。
  419. 増原恵吉

    増原国務大臣 同様でございます。
  420. 坂口力

    坂口分科員 新しく基地ができるような場合には、少なくともその市町村の将来計画というものを十分考慮に入れられて、いまおっしゃったように、地域の発展に支障にならないようにすべきだと思うわけでございますが、問題はその新しくつくられる場合ではなしに、すでにもうつくられている場合でございます。  その問題に入ります前に、せっかくお聞きしたのですから、もう一つお聞きしたいと思いますが、それでは基地決定されるというような場合には、事前に明らかにその市町村に必ず相談があるということでございますね。一つだけ念を押させていただきます。
  421. 長坂強

    ○長坂政府委員 必ず地元の市町村の理事者側とは十分御連絡をいたしております。
  422. 坂口力

    坂口分科員 それは決定される前のお話でございますね。
  423. 長坂強

    ○長坂政府委員 決定される前でございます。
  424. 坂口力

    坂口分科員 そこでお尋ねをしたいのは、その基地がつくられますときには、それが市の決して中心でも何でもなかった、あるいはまた、中心に隣接した場所でもなかった、ところが、その後の市の発展の状況、あるいは交通網の状況もございますでしょうし、いろいろの条件によりまして、市があるいは町村がどんどんと発展をしてくる、そうして何年か後に気づいてみたときには、自衛隊が市のまん中に、中心部に位置するようになる、これはありがちなことだと思うわけであります。そういうケースが生じましたときに、これは将来の問題でございますが、基本的にどういうふうにお考えになるのか、その点をひとつお伺いしたいと思います。
  425. 長坂強

    ○長坂政府委員 新設の場合に、地元とよく地域の発展等の推移を見て、それと将来にわたっても調和のとれるようにということを基本指針にしておりますのと同様の趣旨のそういう気持ちは、私どもは持っております。  ただ、お問い合わせが非常に、何といいますか、一般原則的なことと申しますか、ある意味では非常に具体例でないものでございますので、また一面お答えしにくいところがございます。ですが、それぞれの部隊の特性あるいは性格、任務、そういうようなものと、それからその地域における特色といいますか、そういうようなものを具体的ににらみまして、そして判断をしてまいりたい。もちろん、任務に支障のない限りは移るというようなことも理論的には可能でございますけれども、それが現実の場合になりますというと、今度は部隊の性格によりましては、受け入れ側のほうで問題が生ずる場合もございましょうし、それから、実際にはどのような場所があるか、また値段とかいろいろ地元の調整に困難を伴う事例が多うございますので、気持ちはそういう気持ちではございますが、何と申しますか、直截にお答えをいたしかねるような実情でございます。
  426. 坂口力

    坂口分科員 そういたしますと、その基地の特性、任務、そういったものによっては、いかに現在あります基地が、その市町村にとって、あるいはその都市部にとって発展を妨げているものであっても、それはやむを得ない、こういうこともあり得る、こういう御見解でございますか。
  427. 高松敬治

    ○高松政府委員 いまおっしゃったことが、まさに現在の基地問題の一つの大きなポイントであると思います。確かに、昔はそれほどでなかったところが、いまは非常に都市化現象が起こりまして中心部に近くなる、あるいは中心部にあるというふうな状態になったときにこれをどうするかということが、基地問題としても非常に根本的な問題に現在直面しておると思うのでございます。  それで、一つは、たとえば米軍基地についてでございますけれども、先般の関東計画あるいは那覇周辺地域の整理、統合のように、ああいうふうな形でできるだけそれをコンパクトなものにすると申しますか、集約統合して片方のところはあけていく、そういうことによって都市化現象というものに対処していくということも一つの方法であろうと思います。  それから一つは、ただそうは申しましても、防衛上の機能その他から申しましても、どうしてもそれを処置することができない、あるいは他に移転しようとしても移転する先自身が非常に問題である、むずかしいというものも非常に多うございます。それらのからみ合わせの上に考えてまいらねばなりませんので、先ほど長坂参事官が申しましたように、たいへん抽象的なお答えになるかと思うのですが、もう一つは、私どもとしては、基地周辺の整備事業というふうなものを極力行ないまして、そうしてできるだけそういういろいろな障害なりあるいは騒音その他の被害なり、そういうものを軽減するような措置を講ずる、あるいは望むべくんば、さらにそこの民生安定に寄与できるような仕事を多くする、そういうことによってその問の防衛施設の運用から生ずる障害の緩和と申しますか、そういうふうな方法も一ややこそくではございますけれども、そういうふうな方法も講じていく。まあ、そういうような三つの考え方で、御指摘のような都市化の問題というものを考えておるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、現在非常に私どもの悩みの根本になっている問題でございます。
  428. 坂口力

    坂口分科員 そういたしますと、いま一番最後におっしゃいましたのは、周辺整備ということによって——その基地があることによってその市町村が非常に発展を防げられている、それを周辺の整備によってその市の発展の方向というものを変えられるものならば話し合いのもとに変えてもらうようにいく、こういう御意見でございますか。
  429. 高松敬治

    ○高松政府委員 これはもう万能の方法ということで申し上げているわけでございません。どうにも方法がないという場合に、そういうことも十分に考えてまいらなければなるまい。それからまた、基地の部分的な縮小というふうなことも考えてまいらなければならない場合がある、かように考えているわけでございます。
  430. 坂口力

    坂口分科員 具体的な問題でないので話しにくいということでございましたので、具体例を出させていただきます。  たとえば三重県に久居市というのがございます。ここに自衛隊がございます。これもできますときには決してまん中ではございませんで、中心部に隣接をいたしておりました。ところが、市の発展に伴いまして、いまは市の中心部に実はなってまいりました。これに対して、いままで市民の大きな反対であるとかなんとかいうようなことは起こっていないわけです。しかしながら、市の新しい将来計画というものがだんだん立つに従いまして、この自衛隊がまん中で、あまりにもいいところにあまりにも大きなものがあるものですから、これを何とかしなければならないという気持ちがだんだんとみんなの中に芽ばえてまいりました。これが将来の問題といたしまして大きな問題になる可能性も実はあるわけでございます。  そこで、いまこういうふうな問題を実はお聞きをしたわけでございますけれども、市民感情がいろいろの議論の中で極度に悪化をしましてからこういうふうな問題を取り上げますのは、双方に大きなマイナスであろう。何もない現在私はお尋ねをするわけでございますが、こういった場合に、適当な場所が近くにあれば、これは十分移動、移転の対象になるのかどうか。この点もう一度、具体例を申しましたのでお伺いしたいと思います。
  431. 長坂強

    ○長坂政府委員 率直に申しまして、現在、具体例にあげられました久居の駐とん地につきましては、これは普通科連隊、それから教育大隊などが主体でございまして、あまり公害のないと申しますか、公害を発生する施設ではないと考えておりまして、現在の気持ちを率直に申しますと、現在のところは移転は考えておりませんけれども、いま設問と申しますか、設定されましたそういうような条件のもとで理論的に考えることができるか、こういうお問い合わせだろうと思いますので、それは理論的には、確かにそういった普通科連隊の機能を保持していくことができまして、しかも位置というものが、やはり部隊配置の関係から、あそこら辺には一つ普通科連隊がほしいという、そういう全体的な関連がございますと思いますので、そういうような、位置もあまりかけ離れていない、それから交通その他の便、そういうものも同様であるというようなことでございますれば、理論的には可能であろうと思います。  それから、先ほど来申し上げておりますように、その具体的な価格だとか、代替地の入手条件とか、そういうものがまた現実での問題になってくると思いますが、まあいずれにいたしましても、関係省庁、関係の県市、そういうようなところと理論的には寄り合って相談をして、将来の都市計画というようなものの中にむしろ組み入れていたくだようなことが理論的に可能であれば、そういうことも可能であろう、これは理論上のお話でございます。  以上でございます。
  432. 坂口力

    坂口分科員 理論的には可能だというお答えでございますけれども、現実は違うという意味にもとれますし、前に御答弁いただいた中に、その特性、任務によるということでございました。いまお答えのとおり、別に公害が出ているわけではないわけでございます。公害というものは問題ではないわけですけれども、公害以上に都市計画そのものに今後支障を来たす可能性が十分にある、こういうことを私は申し上げたわけです。その特性、任務による——どういうふうな特性のものは移転ができないのか。移転のできるものはどういうものなのか。その点もう少しこまかく教えていただきたい。
  433. 長坂強

    ○長坂政府委員 たとえば飛行場というようなものは、それを設置する場合に非常に費用もかかっておりますし、それからいろいろな付帯設備というようなものもございますので、飛行場というようなものは、これはどこへ移してもいいようなものであるというわけにはなかなかまいらないと思います。港湾というようなものも、これまた一がいにどこそこへ移すというわけにも簡単にはまいらない。それから、高射群の陣地なども、これもそう簡単にはまいらないと思います。いま例にあげておられますような普通科連隊というようなものは、比較的移動といいますか、移設といいますか、そういうものが可能な基地であろう、そういうふうに考えております。
  434. 坂口力

    坂口分科員 普通科連隊というのは移転の可能なものだということをお聞きしまして、私もたいへんありがたいわけでございますけれども、実際問題といたしまして、特に特別な施設があるわけでもございませんし、ただ隊舎が建っておりまして、多くの方が訓練をなさる、教育をなさるというような場所でございますので、私もそういうふうな場合には適当な土地があれば移転の可能なものである、こう考えておりました。そういう面では一致をしたわけでございますのでありがとうございます。  その次に、この自衛隊は隊舎敷地というのが十三万六千三百十三平方メートルございます。そのほか訓練場が十六万二千五百六十九平方メートルございます。合計しまして二十九万八千八百八十二平方メートルあるわけでございます。これに隊舎の建物ですね。これが別に二万二千二百五十八平方メートルございます。これに対するいわゆる基地交付金の問題でございますけれども、固定資産税の対象物件であるといたしましたら、これは土地だけでも四千百万にはなるわけでございます。このほかに演習場が、これは同じ市内でございますけれども、少し離れた端のほうにございます。これが三十二万九千百二十七平方メートルございます。基地交付金は全部合わせまして年間三百七十一万二千円でございます。これをこの固定資産税の対象物件としての評価と比べますとたいへんな差があるわけでございます。これはいつも議論をされるところであろうと思います。国有財産のいわゆる台帳価格と申しますか、これと市町村の固定資産の評価額というのは、いま申しましたように、たいへん差があり過ぎるわけでございますが、これをどうお考えになっているか、これは自治省のほうでございますでしょうか、ひとつ御見解を承りたいと思います。
  435. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 国有財産の台帳価格は、御承知のとおり五年ごとに評価がえをするということになっておりまして、現在の国有財産の台帳価格は昭和四十六年に改定された分でございます。以前台帳価格と実際の固定資産の評価額との間に相当乖離があるというような事例もあったわけでございますけれども、大体昭和四十六年の改定によりまして、おおむね固定資産の評価額とはバランスのとれたものになっているものというふうに私ども考えております。
  436. 坂口力

    坂口分科員 それがそうなっていないものだから弱っているわけでございまして、たとえばこの久居市の場合にも、訓練場、これが国の評価では、これは坪当たりだと思いますが、六千九百七十円ということになっております。これが市のほうの評価になりますと、ところによって違うわけでございますけれども、五万一千円から六千円の問、こういう額。平均いたしましても三万五千円は切らないという評価なんです。差がなくなるどころではなく、たいへん差がついているわけでございます。おおむね同じだというふうにおっしゃいましたけれども、おおむねということばをどうしても使えないくらいの差がついているわけです。もう一度御見解をお伺いしたいと思います。
  437. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 私どものほうにおきましても、最近の固定資産税の評価がえの時点が昭和四十五年でございまして、その次は昭和四十八年ということになるわけでございますが、四十五年のこの付近の評価額を見ましても、それほど差があるというようなことは考えられませんで、私どもが近傍類地ということで調査をしておりますものを見ましても、固定資産税の評価額とこの演習場の台帳価格との問は、総体的にはバランスのとれた評価額になっておるというふうに考えております。
  438. 坂口力

    坂口分科員 そういたしますと、この市のほうの評価額というものが間違いである、こういうことでございますか。固定資産税の対象としてのこの評価がもしも間違いであればたいへんなことです。私ども、そんなべらぼうな差がついているんだったら、これは言わなければならぬと思うのです。国のほうの台帳価格の評価が正しくて、市町村のほうが間違いである、こうおっしゃるなら、私は徹底的に市のほうに言わなければならないのです。その点、どうでございましょう。同じものを評価しているわけですから、それだけ差があれば、国のほうが絶対正しいんだと言われる限りは、相手は違っているということになるわけですね。
  439. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 演習場の敷地は相当広い面積にわたってあるわけでございます。したがいまして、その近傍類地の固定資産税の評価額をとります場合には、それぞれ高いところもありましょうし、非常に安いところもございます。そういうものを総体的に比較をいたさなければならないわけでございまして、そういう意味では、近傍類地として、宅地として利用されているところもございますし、また山林ということで利用されているところもございますということで、特定の地点をとらえてみますと、非常に高いところもあるだろうと思いますけれども、これを総体的にこの演習場の評価額として見ますならば、固定資産税の評価額とはそう差のない評価額になっておるということを申し上げたわけでございます。確かに、特定地点の場合に限定いたしますならば、おそらく高いところもあるだろうというふうに考えます。
  440. 坂口力

    坂口分科員 国のほうの場合には、その場所場所による差が出ておりませんのではっきりわかりませんが、固定資産税の対象物件としての評価を見ますと、先ほど申しましたように、約五万一千円から六千円というふうな、それぞれの地域による差が出ているわけでございます。そういうふうな差があるものを平均すると大体少なくとも三万から三万五千円にはなる、こう私は申し上げておるわけです。それと国の平均をした六千九百七十円との差があまりにもあり過ぎる、こう私は申し上げておるわけです。この点、いかがでございましょうか。
  441. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 私どもも現地に臨みまして具体的に評価をしておるわけではございませんので、大体、この評価の問題につきましては、市のほうの近傍類地価格というものがどうなっているのかというようなことで聞いております。そういうところから見ますと、確かに特定のところでは、市のほうの評価額が非常に高いというところもございます。しかし、これまで台帳価格というものにつきましては、調整が加えられていまの価格になっております。総体的には、そう均衡のとれない価格になっているというふうには考えておりません。
  442. 坂口力

    坂口分科員 これはものの考え方にもよると思うのです。三万五千円と六千九百七十円、その差は三万円弱しか離れていないじゃないか、五万円も離れているかと思ったら少ないじゃないか、そう言われればそうですけれども、しかし、同じ面積を見てこれだけの差があるというのは、統計学的にも有意の差がある、こう見るのが妥当だということを私は申し上げておる。  それから、いまお聞きした中で、現地には直接は行かないというお話でございましたけれども、これは現地に実際に行かれてされるんではないわけでございますか。いまちょっとそういうおことばがございましたので、お伺いしたいと思います。
  443. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 基地交付金の算定にあたりましては、国有財産台帳に登録された価格ということになっておるわけでございまして、台帳価格のほうの調整にあたりましては、おそらく国有財産当局のほうが、それぞれ現地に当たって調査されておるものと考えておりますが、私どものほうはそれを受けて台帳価格でやっておるわけでございます。そして、この価格につきましては、各県のほうから私どものほうに毎年報告が来ることになっておるわけでございます。
  444. 坂口力

    坂口分科員 この台帳価格については、県のほうから毎年皆さん方のほうに報告がある、こういうことでございますね。そうしますと、もしもこの台帳価格の評価が間違っていたら、これはいつでも変えられるということでございますか。
  445. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 台帳価格が間違っておる、要するに、現実に台帳に登載されているものと私どものほうに報告がありましたもの、そこに間違いがあるということでありますれば、これは修正の手続が必要であろうと思います。ただ、評価額の改定は五年ごとに行なうということになっておりますので、評価額が高いか安いかというような問題になりますと、これは毎年の改定ではなくて、五年ごとに行なわれるということになっておるわけでございます。
  446. 坂口力

    坂口分科員 もう少しこの問題は詰めたいわけでございますけれども、時間がございませんので……。  大臣、これは直接のなにではないかもわかりませんが、いまお聞きのように、基地交付金につきましていろいろな問題があるわけでございます。それから、いまお聞きしませんでしたけれども、同じ場所でも、建物の建っておりますところは、その屋敷内は対象にならないわけでございます。そういうふうな問題もあるわけです。非常に大きな面積の中にぽつりと隊舎が建っている。そうすると、隊舎が建っているからというので、その一円は地方交付税の対象にならないということになっておるわけです。きょうはもう時間がございませんけれども、そういう問題もございます。こういうふうな評価の違いというものに対して、大臣どういうふうにお考えになりますか、ひとつ御意見を承りたいと思います。
  447. 増原恵吉

    増原国務大臣 その点は、どうも私しろうとで、御納得のいくような答弁ができないのは残念ですが、私どもも、基地交付金というものは固定資産税に見合うものにしてもらいたいという、それぞれの地元地元からの要請に応じまして自治省にそれをお願いし、大蔵省にこれをお願いをするという形でいままでずっときておるわけでございます。固定資産税見合いの分とまだいまはっきりは実はなっていないわけですけれども、だんだん固定資産税見合いのほうに近づけてもらっておる。これは私どもさらに努力をして、固定資産税に見合うものに基地交付金をしたいと思っておりまするが、いま承っておりまして、その評価の問題は、私そういう方面全く暗いので、どうもはっきりしたお答えをいたしかねるわけでございます。
  448. 坂口力

    坂口分科員 最後に、もう一つだけお聞きをしたいと思うわけでございますが、自治省の方、いま大臣からも固定資産税のほうにできるだけ近づけるような努力をしてもらうように、自治省その他関係省のほうにも要望したいという、いわゆる防衛庁としての御見解を示されたわけでございますが、これは今後の問題といたしまして防衛庁のほうから、固定資産税の評価に合わせて基地交付金というものは払ってほしいという要望が出ました場合、自治省としてこれを受けていただくという御見解をひとつ承ってしまいにしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  449. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 まず、一つは評価の問題でございますが、固定資産税も適正な時価で評価をしようということになっておりますし、国有財産台帳の価格も同様の趣旨の規定がございます。したがいまして、評価額としましては、両方の評価額がバランスのとれたものであるということが必要であるということは、もう御説のとおりでございます。私どももそういうことで国有財産当局のほうにもそういう形で申し入れをしておるところでございまして、むしろ最近は固定資産税よりもやや国有財産台帳価格のほうが高くなっている状況にもなっておりまして——まだまだバランスのとれていない面もあるいはあるだろうと思いますので、さらに努力をしたいと思います。また、ただいま大臣が申されましたのは、おそらく基地交付金の総額の算定が固定資産税相当額になるようにしたいというお話だと思います。私どもも同様な趣旨で考えておりまして、いままだ基地交付金は残念ながら固定資産税相当額まで到達いたしておりませんので、毎年予算の際に努力をいたしておりますが、その段階まで至っておらないということをたいへん残念に思っておるわけでございまして、さらに努力を続けて、少なくとも固定資産税相当額までの総額を確保したい、こういうつもりでおります。
  450. 坂口力

    坂口分科員 どうもありがとうございました。
  451. 臼井莊一

    臼井主査 次回は、明八日午前十時より開会し、本日に引き続き総理府所管中、防衛庁に関する事項について審査を行ないます。  本日は、これにて散会いたします。     午後六時四十三分散会