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1973-02-26 第71回国会 衆議院 予算委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年二月二十六日(月曜日)     午前十時六分開議  出席委員    委員長 根本龍太郎君    理事 足立 篤郎君 理事 小澤 太郎君    理事 仮谷 忠男君 理事 田澤 吉郎君    理事 湊  徹郎君 理事 阪上安太郎君    理事 辻原 弘市君 理事 谷口善太郎君    理事 山田 太郎君       赤澤 正道君    荒木萬壽夫君       伊能繁次郎君    臼井 莊一君       大野 市郎君    北澤 直吉君       倉成  正君    黒金 泰美君       小平 久雄君    正示啓次郎君       瀬戸山三男君    田中 龍夫君       塚原 俊郎君    野田 卯一君       福田  一君    保利  茂君       細田 吉藏君    前田 正男君       松野 頼三君    森山 欽司君       安宅 常彦君    阿部 昭吾君       北山 愛郎君    兒玉 末男君       小林  進君    田中 武夫君       中澤 茂一君    楢崎弥之助君       安井 吉典君    山本弥之助君       湯山  勇君    浦井  洋君       津川 武一君    中島 武敏君       岡本 富夫君    安里積千代君       神田 大作君    小平  忠君  出席国務大臣         国 務 大 臣 三木 武夫君         (環境庁長官)         外 務 大 臣 大平 正芳君         大 蔵 大 臣 愛知 揆一君         文 部 大 臣 奥野 誠亮君         厚 生 大 臣 齋藤 邦吉君         農 林 大 臣 櫻内 義雄君         通商産業大臣  中曽根康弘君         運 輸 大 臣 新谷寅三郎君         労 働 大 臣 加藤常太郎君         建 設 大 臣 金丸  信君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長         北海道開発庁長         官       江崎 真澄君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      福田 赳夫君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      小坂善太郎君  出席政府委員         行政管理庁行政         管理局長    平井 廸郎君         経済企画庁総合         計画局長    宮崎  仁君         経済企画庁総合         開発局長    下河辺 淳君         環境庁企画調整         局長      船後 正道君         環境庁自然保護         局長      首尾木 一君         環境庁水質保全         局長      岡安  誠君         外務省欧亜局長 大和田 渉君         外務省条約局長 高島 益郎君         大蔵大臣官房日         本専売公社監理         官       戸田 嘉徳君         大蔵省主計局長 相澤 英之君         大蔵省主税局長 高木 文雄君         大蔵省関税局長 大蔵 公雄君         大蔵省理財局長 橋口  收君         文部省体育局長 澁谷 敬三君         厚生大臣官房会         計課長     木暮 保成君         厚生省環境衛生         局長      浦田 純一君         厚生省社会局長 加藤 威二君         厚生省児童家庭         局長      穴山 徳夫君         厚生省年金局長 横田 陽吉君         社会保険庁医療         保険部長    江間 時彦君         農林大臣官房長 三善 信二君         農林大臣官房予         算課長     渡邉 文雄君         農林省構造改善         局長      小沼  勇君         農林省農蚕園芸         局長      伊藤 俊三君        農林省畜産局長 大河原太一郎君         農林省食品流通         局長      池田 正範君         食糧庁長官   中野 和仁君         林野庁長官   福田 省一君         水産庁長官   荒勝  巖君         通商産業省通商         局長      小松勇五郎君         通商産業省企業         局次長     橋本 利一君         運輸大臣官房審         議官      原田昇左右君         運輸省鉄道監督         局長      秋富 公正君         運輸省自動車局         長       小林 正興君         運輸省航空局長 内村 信行君         運輸省航空局技         術部長     金井  洋君         海上保安庁長官 野村 一彦君         労働省職業安定         局長      道正 邦彦君         建設省都市局長 吉田 泰夫君         自治大臣官房審         議官      近藤 隆之君         自治省行政局長 林  忠雄君         自治省財政局長 鎌田 要人君        自治省税務局長 佐々木喜久治君  委員外出席者         日本専売公社         総裁      北島 武雄君         日本国有鉄道総         裁       磯崎  叡君         予算委員会調査         室長      野路 武敏君     ――――――――――――― 委員の異動 二月二十六日  辞任         補欠選任   安宅 常彦君     兒玉 末男君   阿部 昭吾君     山本弥之助君   田中 武夫君     湯山  勇君   不破 哲三君     浦井  洋君   安里積千代君     神田 大作君 同日  辞任         補欠選任   兒玉 末男君     安宅 常彦君   山本弥之助君     阿部 昭吾君   湯山  勇君     田中 武夫君   浦井  洋君     津川 武一君   神田 大作君     安里積千代君 同日  辞任         補欠選任   津川 武一君     不破 哲三君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  分科会設置に関する件  参考人出頭要求に関する件  昭和四十八年度一般会計予算  昭和四十八年度特別会計予算  昭和四十八年度政府関係機関予算      ――――◇―――――
  2. 根本龍太郎

    ○根本委員長 これより会議を開きます。  昭和四十八年度一般会計予算昭和四十八年度特別会計予算及び昭和四十八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般質疑を行ないます。神田大作君。
  3. 神田大作

    神田委員 まず第一に、私は、農林大臣に対しまして、三月一日から行なわれる恒例の日ソ漁業交渉におけるサケマスあるいはカニ漁業等の問題につきまして、日ソ友好関係の増進の上から、早期妥結を強く望むものでありますが、これらの見通し等につきましてお伺い申し上げます。
  4. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 今回は、三月一日からモスクワにおきまして、カニツブ交渉、それから東京におきまして、日ソ漁業委員会で、サケマス等交渉をいたすわけでございまするが、これは全くの私の感触でございまするが、今回の日ソ漁業交渉は、全般的にはなかなか困難性が多いのではないか、こういうふうに見ております。  昨年十月にイシコフ漁業大臣が見えまして、そのおりに、いまここにおられます足立農林大臣が、友好的にこれからの日ソ間の漁業交渉につとめたいことを申し上げておるのでありまするが、その後の国際的情勢の変化というものはやはり相当影響があるものという前提に立ちまして、慎重に対処していかなければならないと思っております。ただ、サケマスにつきましては、御承知のようにことしは豊漁年に当たるのでございまするから、一昨年当時の日ソ間の協定を前提にいたしまして、大体その見当でいけるのが常識的ではないかと思うのでございまするが、ただ、最近における諸情勢が、ソ連側がそう安易に応ずる気配にはないように見ておるような次第でございます。
  5. 神田大作

    神田委員 サケマスが本年は豊漁期でありますが、しかしながら、年々日ソ漁業交渉等におきまして、日本側要求がなかなかいれられなくなっている。そのために関係者が、非常に漁獲量が減るとか、あるいは区域を制限されて、非常に困難な事態に年々追い詰められておるようでありますが、これにつきましては日ソ漁業条約によりまして、科学的に合理的にこれを進めるということでありますが、日本側といたしましては、これらに対しまして、いわゆる人工養魚とか、そういうふうな人工的なサケマス増殖等につきまして、ソ連側の了解を求め、これと共同して開発するというような話し合いも進んでおるのでありますからして、これらにつきまして、農林大臣としましては、今回はこの問題をどういうふうに推し進めていくつもりであるか、お伺い申し上げます。
  6. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいまお尋ね共同増殖についての作業については、当方からソ連側に提案をすでにいたしております。相当な関心は持っておるようでございまするが、これに対しての回答というものにはいまだに接しておらないわけでございます。  しかし、今回の交渉の過程におきましては、これも大事な相互の論点になるものと思いまするが、日本側といたしましては、常に資源保護のことを強く主張しておるソ連のことでございまするので、それに関連する共同増殖ということについては、当然ソ連側においても理解を示し、また、日本のその面の技術を活用してもらえることが好もしいものと、かように私は見ております。
  7. 神田大作

    神田委員 毎年毎年日ソ漁業交渉はたいへんに苦労をされておるようでありますけれどもソ連にいたしましても、ことさらにこういう問題を毎年毎年繰り返して行なうというようなことではなしに、三年なり五年なり、少なくとも一年置き、そういう程度にこの漁業交渉が行なわれても差しつかえないはずだと私は思うのでありますが、そういう観点からいたしましても、また、魚をとる時期というものは限られており、いつまでも長引くというと、そういう点においても関係者に大きな損害を与えることでありますからして、現在の国際情勢等いろいろ問題はあるでしょうが、この漁業交渉につきましてはどうか友好的に、特段の御努力を願いたい。漁業者立場からいいましても、沿岸漁業が今日非常に不振のおりでもありますし、そういう意味合いにおきまして、農林大臣をはじめ関係者の皆さんの御努力を特にお願いしたいと思いますが、これにつきましての農相の決意をお伺い申し上げます。
  8. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 神田委員のただいまの御発言は、私どもとしても全く同感なところでございます。毎年の交渉が、すでに、日ソ漁業委員会関係だけでも十七回目に相なっておることでございまして、しかも、そのつどたいへんな難航をしておりまして、出漁期ぎりぎりに、あるいはもうかかってからようやく話がつくというような実態は、両国の親善友好関係からもあまり芳しくないことでございまして、日本側といたしましては、長期取りきめのことにつきましては、これを強く要望しておるところでございまして、私としてはぜひそのようになってもらいたいと思いますが、当面、今回の日ソ漁業委員会あるいはカニツブ交渉につきまして、何とか円満に、早期妥結に持っていくように努力をいたしたいと思います。
  9. 神田大作

    神田委員 外務大臣お尋ねしますが、私がただいま申したように、日ソ漁業交渉が長い間いつでも難航しておるというような状態は、日本ソ連国交を回復いたしましてからすでに長い年月がたっておる。にもかかわらず、日ソ間におけるところの平和条約というものが締結されておらない。私は、今日の世界情勢から申しまして、いろいろ困難な事態はあろうけれども日ソとの平和条約を早急に締結すべき時期に来ているというように考えるし、昨年一月にグロムイコソ連外相が来日をしたときに、日ソ外相間においてもこのような問題も話されたとも聞いておりますが、こういう日ソ間における平和条約交渉進展、あるいは外務大臣としての考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  10. 大平正芳

    大平国務大臣 一九五六年に国交が復活いたしまして以来、日ソ間の理解が進み、経済その他の関係もだんだん濃密になりましたことはたいへん御同慶にたえないのであります。そういった関係をより安定した基礎の上に置くために、いま御指摘平和条約締結するということは、われわれにとってもきわめて望ましいことであると考えております。ソ連側におきましても、日ソ平和条約締結ということについては変わらない熱意を持たれております。  したがって、この問題につきましては、去年の十月、私が訪ソしたときに第一回の交渉をいたしたわけでございまして、ことし第二回の交渉モスクワで持つというところまで合意を見ておるわけでございますので、私どもといたしましては、鋭意その方向努力をしてまいるつもりでございます。
  11. 神田大作

    神田委員 聞くところによると、北方の領土問題がやはり平和条約の大きな問題点になっておると思われますが、これらにつきまして、ソ連側としましても、一部妥協の話し合いをしていきたいというような、そういう情報等も聞いておりますが、この問題については、外務大臣としてはどのように考えておられますか。
  12. 大平正芳

    大平国務大臣 ソ連側の領土問題に対する態度は、一九五六年当時と変わったという徴候は私どもまだつかんでいないわけでございます。あの当時のベースの上に平和条約を結ぼうというのがソ連側の依然変わらない考えであるといまのところ承知しております。
  13. 神田大作

    神田委員 この問題は非常に重大な問題でありますし、日ソ平和条約締結する上において、われわれといたしましても、これは看過することのできない問題でありますが、こういう重大な問題等を解決するために、あるいはまた話し合いをするために、田中首相訪ソをするというようなことも取りざたされておりますけれども、もう国交回復をいたしましてから、このような長い期間に条約が結ばれないでそのままおる、領土問題も解決されないでそのままおるというようなことは、シベリアの開発、あるいはまた漁業交渉、あるいはその他のいろいろな貿易関係からいたしましても好ましくないことでありますので、こういう問題は、やはり首相みずからソ連に参って、そして親しく話し合いをする、打開の道を開く、そういう熱意を示すべきであろうと私は思いますが、これらに対しまして、外務大臣はどうお考えになりますか。
  14. 大平正芳

    大平国務大臣 いまの世界は、いわば首脳外交の時代でございまして、一国の最高首脳外交の衝に直接当たられて、それで関係国首脳との間に十分な理解と信頼を持っていただくことが何より大事なことだと思います。いま御指摘の日ソ関係につきましても、そのことは非常に大事なことだと私は考えております。  ただ、田中総理の外遊と申しますか、外国訪問計画につきましては、目下国会が開かれておるわけでございまして、この国会全力投球をされるのが総理としての第一義的な責任であられますので、この国会を終えましたあとで全体のスケジュールを考えさせていただきたいと思っております。いま、どの国にいつごろ行けるかというような点につきましては、まだ答案を持っていないわけでございますが、国会が終わりました段階で考えさせていただきたいと思っております。
  15. 神田大作

    神田委員 いまの外務大臣の答弁からしまして、首相みずから訪ソの意思があるというように理解してよろしいでしょうか。
  16. 大平正芳

    大平国務大臣 田中総理としても、事情が許せば、どこへでもいつでも飛んでいきたいという気持ちには変わりないと私は承知をしておりますが、このスケジュールをどう組むかにつきましては、国会を終えた段階で考えさせていただきたいと思います。
  17. 神田大作

    神田委員 外務大臣はもちろんでありますが、一国の首相が、こういう重大な問題等につきましては、みずから解決の衝に当たっていく。日中の平和条約も五年の間には結ぶ努力をするというような、こういう段階でありますからして、極東の平和を守るためにも、一日も早いこのような平和条約締結は望ましいことでありますので、私は、特段の御努力をお願い申しまして、外務大臣に対する質問は終わります。  次に、私は農林大臣に対しまして、まず第一に申し上げたいことは、世界食糧事情が非常に緊迫しておるというような、こういう状況下におきまして、日本が相変わらず、主食である米は別といたしましても、その他の食糧外国に仰がなくちゃならぬ、いつまでも外国にたよって、日本自給度が上がらぬという、こういうような日本食糧自給率関係につきまして、これをどのように解決するつもりであるか、今後どのようにしてこの自給率関係のバランスをとるつもりであるか、お尋ね申し上げたいと思います。
  18. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいまの御質問にお答えいたします前に、先ほどちょっと私、間違ったことを申し上げておるのです。実は、昨年イシコフソ連漁業大臣の見えましたのは、当時、赤城農林大臣が六月に会われておるので、足立農林大臣でなかった。訂正しておきます。  それから、ただいまの自給率関係からのお尋ねでございますが、これは、いつも申し上げておりますのは、昨年に発表いたしました「農産物需給展望生産目標の試案」というものが、一応現在私どもがこれからの農政を推進する一つの方向としておるわけでございます。その場合に、米とか、野菜とか、果樹とか、肉とか、牛乳とか、乳製品、こういうようなものにつきましては、おおむね完全自給ないし八割の自給を目ざしていきたい、こういうことでまいっておるわけであります。最近における国際的な需給、あるいは気候的な関係からする穀物類不作というものが影響いたしまして、この目標考え直す必要があるのではないかということが各方面でいろいろ論議されております。しかし、われわれといたしましては、FAOがこれからの食糧情勢を推定しておるわけでございまするが、それを参考にして考えまするときに、いまの段階では、昨年は、天候不順のためにいろいろ影響があった異常の年である。したがいまして、ただいま申し上げました指標は十年後を目標にしておるわけでございますが、それを、特にいまこの際手直ししなければならないというような結論には至っておりません。  ただ、私は就任早々に、飼料関係だけはもう少し考えたらばどうかという感じがいたしまして、私の感じとしては、その辺のことだけは指標とは違ったことを申し上げてまいったということは、一応申し上げておきたいと思います。
  19. 神田大作

    神田委員 いまの自給率関係見通しは、農林省としては手直しする必要はないということでありますが、この世界食糧需給関係は、一昨年のいわゆる農作物の不作によるものであると言われますが、私はそればかりではないと思います。やはり食糧需給というものは世界的に緊迫をしておりまして、ソ連、中共あるいはまた東南アジア諸国等におきましても、アメリカからの小麦の輸入等実際行なわれておりますし、また人口はだんだんとふえてくるような状態におきまして、国内における自給度を高めていくということは、日本にとりましても非常に大事なことである。そういう意味合いにおいて、私は日本食糧増産への体制というものをもっと整備する必要があると思うのであります。農林大臣は幾らか楽観的に考えておるように見受けられますが、その点、私との見解は非常に違っております。  特に、いま畜産の危機といわれております。えさの問題でありますが、これがほとんどアメリカをはじめとする外国からの輸入にたよりまして、今度飼料の膨大な値上がりによりまして日本畜産業は壊滅するのじゃないか。幸いに古古米等がありまして、これの放出あるいはまた畜産基金積み立て等によりまして、これの価格を補っておるという状態によってようやくささえられておる。しかし何といいましても、三割からもえさ値上がりするということは重大な問題であります。これはすぐに消費者に還元してくるものでありますし、畜産業者といたしましても三割の飼料値上がり等に対しまして、もう畜産をやってもこれはどうにも割りに合わぬ、これではもう畜産業をやめなければならぬという養鶏家あるいは養豚家あるいは酪農家、そういうものが続出してから手を打っても、これはもう間に合わない。農業というものは工業と違って、やめたり、また始めたりする、そういう簡単なものじゃない。一たん養鶏をやめれば、始めようとしてもなかなか始められないのです。農業というものは、一たん縮小しますると拡大ができない。そういう観点に立って、もっと真剣に日本食糧問題、特に飼料作物等につきまして計画的な施策を施すべきであると思いますが、この点につきまして大臣見解を求めます。
  20. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 神田委員のおっしゃるように、基本的に国内生産でいく、でき得る限り自給率を高めておくということは、これができれば、もう好ましいことはこれに過ぐるものはないわけでございます。ただ、消費者立場からまいりますれば、せっかく輸入のできる安いものがあれば、そういうほうがいいということになりますし、また現に私がいま非常に苦労しておる貿易自由化という関係からも、いろいろ意見が出るわけでございます。その間をうまくあんばいして、そして方針を立てていかなければならないということから、お話しの点については私も同感の点が多々あるわけでございますが、せっかく専門的な高い見識を持っておる方々による指標ができておりまするので、まずそれを基本にいたしまして、そして私も先ほど、えさ関係はもう少し考えたらばどうかという自分の感じがあるということを申し上げましたように、この辺はひとつ考えてみてもらいたいというように思っておるわけでございます。  それから、えさ値上がりによって畜産農家影響を受ける、これはもう現に非常な事態であると思います。そこで、御指摘のような古古米であるとかあるいは麦類早期放出により、あるいは全農、全酪等の安定基金の活用によりこの場を一応しのいでいく。その間に、いまの長期の展望からいたしますると、きょうも朝、宮脇全中会長がゆうべ帰ったからといって連絡でございましたが、アメリカが主として日本飼料輸入しておる相手国でありますが、このほうの作付面積状況というものも大幅に緩和をいたすような見通しでございます。  そういうことを考えていきますると、まず昨年の天候不順影響というものをこの際一応渡りまするならば、そのあとは安い飼料類が安定的に供給されるのではないか。また長い間の取引関係でございまするから、そういう安定供給ということについては強く農林省としても、また今回行かれました宮脇会長にしても、先方に要望しておるわけでございまするし、また発展途上国の一次産品のことを考えまして、今後開発輸入方式によって安くしかも安定的に供給の得られる道筋もございまするので、にわかに、もうでき得る限り飼料類国内自給をすればいいのだと、なかなかこれもそう簡単にいけるものではございません。したがいまして、現在は転作などの場合に極力飼料類をやってもらおうということで、その面の奨励をいたしておるという現状でございます。
  21. 神田大作

    神田委員 飼料の緊迫した当面の対策として、古古米の払い下げあるいは麦類放出等を考えておられるというようでありますが、その後における対策、それからいわゆる大豆の暴騰によりまして大豆かす等が逼迫しております。この大豆の暴騰なども、これは通産大臣にもお尋ね申し上げますが、実際は大豆は不作であるというような情報をつかんで、商社はこれの輸入手当てをしておったわけです。しかし、もう近い将来暴騰するであろうということを見込みながら、いわゆる売り惜しみをした。そのために暴騰を来たしておりますが、そういう点等につきまして、飼料の緊急対策とからんで、通産省としましては大豆の業者による買い占め、売り惜しみ等につきましてはいかなる考えと方策を持っておられるか、お尋ね申し上げます。
  22. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 天候不順等によりまして、世界的に飼料農産物等が不足するという情勢が出てまいりまして、そのころから日本の商社等において、一部買い付けをあせるという動きがあったのではないかと想像されます。しかし、それらはいずれも確証をつかんでおることではございません。世界的な需給情勢から見まして、そういうことは特別の需給逼迫が起こった、そういうことは言えるだろうと思います。  大体大豆の所管は農林省でございまして、通産省は貿易の面だけを管理しているというところになっておるのでございます。
  23. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 今後の飼料増産についての対策のお尋ねでございました。これは四十八年度の予算でお願いしておりますように、新土地改良長期計画の中で草山開発を推進してまいりたい、こういうことで百五十億円ほどの予算を計上しております。また粗飼料の利用及び流通促進のために六十億円の予算をお願いをいたしておるわけでありますが、先ほどもちょっと申し上げましたように、飼料用の穀物は内外の生産性の格差というものが非常にあるわけでございまするから、私も飼料を相当これからつくっていくほうがいいという立場でございまするので、そのためには、技術の向上等を極力はかっていかなければならないということで、その面の施策も考えておる次第でございます。
  24. 神田大作

    神田委員 いま通産大臣が大豆のことは農林省だと言うが、私の聞いているのは、商社が不作を見込んで買いだめ、売り惜しみをしておるというような、問題について、通産大臣としてはいかなる対策を立て、そういうような暴利をむさぼる大手商社を黙過しておるということに対しまして私は聞いておる。これはやはり、ひいては国民生活に大きな影響を及ぼす。とうふが七十円になるとか、納豆が倍になるとか、あるいはえさが高くなるとかいうような問題はそれにからんでおるわけだ。そういう点について、やはり大臣として責任ある態度をとって、このように国民生活に影響のあるものを一部商社が買いだめして、しかも暴利をむさぼるということに対して適切なる手を打つべきであろうと考える。その点についてどう考えるか。まずどのような手を打とうとしておるのか、それをお尋ねしておる。
  25. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 その点は同感でございます。こういう需給が逼迫している、国民生活に非常に重要な物資について、かりにも一部の商社等が買いだめあるいは売り惜しみというようなことで暴利をむさぼるというようなことは、いわば自由の乱用でもありまして、商社の社会的責任も考えて、自重した行動をとるべきであると思っております。  通産省では、商品相場が暴騰し始めましたときから、一部の商社に対しては自粛を要望もしてまいりました。それからそれらの品物につきましては、商品市場における対策として証拠金を思い切って引き上げるとか、そのほかの措置もやってもらってきておるところでございます。しかし、いま当面のこれらの諸物資の問題については、商社及びそのほかに関する規制ということも、将来を考えて、やる必要があると思っておりまして、その内容については通産省及び自民党とも一体になって検討しておるところでございます。
  26. 神田大作

    神田委員 大蔵大臣としては、これは大豆に限らず、木材にしましても、あるいはまた生糸その他、そういう売り惜しみ、買いだめで暴利をむさぼっておる現在の商取引の現状、これは独占禁止法に違反するか、あるいはまた公正取引委員会においてこういうことを徹底的に追及すべきか、あるいはまたその他の規制等もあろうと思いますけれども、現在手がないのだというような形で傍観しておるようでありますが、これは私はゆるがせにできないと思うのです。それで大蔵大臣としては、税制面からいっても、こういうようなばく大な利潤をあげておる大手商社その他のこれらの商取引に対しまして、いかなる考えを持っておるか、お尋ね申し上げます。
  27. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 昨今の投機問題ということには重大な関心を持っているわけでありまして、税の執行の面におきましてはもちろんでございますが、大蔵省としては、まず金融上の措置についてはいわば金融緊急措置令的な考え方と行政上の配慮をこらしまして、まず土地あるいは証券等に対しては相当きつい融資規制を行なっておるわけでありますが、さらにこれを状況に応じて引き締めてまいりたいと思っております。  税の面におきましては、もちろん適正にこの実態を把握して徴税上遺憾なきを期していきたい、これはもう当然のことでございます。
  28. 神田大作

    神田委員 徴税の面から申しましても、われわれの聞くところにおいては、中小企業や、税理士も頼めないような小売り商人等に対しましてはきつい税の取り方をしておる。あるいはまたサラリーマン等につきましては手元に入る前に事業主が差し引いて、もう一銭のゆとりもないきつい税の取り立てをしておる。しかし、こういう大手業者、大企業に対しましては、租税特別措置法をはじめとしてゆるい税の取り方をいままでもやっておったわけですが、このようなことは国民の納税の意識を低め、政治不信の大きな原因になるわけであります。土地、あるいは先ほど申しました大豆、あるいは生糸、その他あらゆる物資を金にまかせて買いまくって、たくさんの利潤を得て、しかも豪華な生活をしておるそういう者たちに対して、やはりきびしい税の適用が私は必要であろうと思います。これらに対しまして大蔵大臣としては、今後どのような態度で臨む考えであるか、重ねてお尋ねを申し上げます。
  29. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 二つの面がございますが、一つは税制の問題で、これについては本委員会でもいろいろの観点から御批判もあり、あるいは論議もあったわけでありますが、政府としては、法人についてはまず課税所得の範囲を拡大するということで、大企業優先といわれたような租税特別措置というものはできるだけこれをこの際廃止、改廃をするということで、法人に対する相当の重課を考えていることは御承知のとおりでございます。  それからもう一つは、税務執行上の行政上の問題の御指摘でございましたが、これにつきましては、昨今のような状況でございますから、ことに税務職員も各省と一致協力をいたしまして、かりにも不当な投機によってぼろもうけをするというような者を租税上浦脱するようなことのないように、これは最善の努力を徹底して行なうつもりでございます。
  30. 神田大作

    神田委員 この点については、国民の多くの要望でありますので、この点ひとつ間違いのないような処理をしていただきたいと思います。  次に、食管問題でありますが、食管問題については、これを今後維持するつもりでおるか、あるいはまた生産調整というようなものを今後も続けていくつもりであるか、続けるとするならばどのような形で続けるつもりであるか、現在の世界食糧事情日本食糧需給関係からいたしまして、農林大臣としてどう考えられるか、お尋ね申し上げます。
  31. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 現在の生産調整は、四十六年二月から一応五年の目標で行なわれてきております。国際的な食糧事情の変化等踏まえて、これからの生産調整のあり方、あるいは食管制度のあり方について考えるかどうか。この点につきましては、ただいまのところ、特に変更する考えは持っておらないわけでございまするが、米穀管理研究会、これは小倉氏を会長にしておるのでございますが、そのほうで需給関係、流通事情の変化に応じて検討をしてもらっておるという事実はございます。しかし、こういうふうに食糧について非常に不安感が出てきておる実情からいたしますると、私は食管制度というものが維持されておったことがたいへんよかったという判断を持っておるものでございまして、いまこの際直ちに何か大きく制度を変えるというような考えは持っておりません。
  32. 神田大作

    神田委員 生産調整の問題について、このまま維持するということになりますと、ことし一ぱいで生産調整は打ち切るということでありますが、これを打ち切るつもりでありますか、それともこれを延長するつもりでありますか。
  33. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 神田委員お尋ねは、先ほど申したように四十六年二月の閣議決定では五年間でございまして、五十年まででございます。そこで、たぶん御指摘は、休耕奨励金の打ち切りのことを言われたのではないかと思うのであります。それで、四十八年度の私ども計画といたしましては、転作を極力奨励をする、こういうことで、休耕奨励金については計画どおりに四十九、五十年にはもう出さないという方針のもとに、現在の生産調整は進められておることを御了承いただきたいと思います。
  34. 神田大作

    神田委員 生産奨励金は、いわゆる永年転作の場合においては、これは続けるわけであろうと思いますが、いまの経済事情から申しまして、これをこのまま続けるということは金額的に矛盾がある。と同時に、飼料等の先ほど申したような緊急事態、こういうことからいたしましても、飼料作物をつくらせるためには、いまのような価格でもって日本においてはこれは引き合わない。引き合わないものをやれといったところでこれはやれるわけはない。いま現在において、日本農業は、御存じのように専業農業というものはほとんどもう部落においても一、二軒、大部分が兼業でもって他産業に働いて、出かせぎによって収入を得ておるというような状況なんです。これを基本的に、私は、日本の生産体制を根本的に改めない限り、日本農業世界農業と太刀打ちしていけないと思うのです。飼料作物をつくってもらいたいとか、あるいは畜産をやってもらいたいとか、あるいは米をつくってもらいたいといったところで、経済的に引き合わないものをやれといったところで、これはできる道理はない。そういう点において、私は、日本農業の危機というものはひしひしと追い詰められてきておる。この問題をもっと真剣に考え、安心して農業に専従できる、そういう体制をつくれというのが私の考えなんです。これらに対して農林大臣はどのように考えますか。
  35. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 私は、高度成長経済で重化学工業がどんどん発展してまいったものの、現在率直に言って、その反省期にあると思うのです。その場合に、日本において固有の資源をどんどんつくれる産業は何か、こういうことになってまいりますると、いま私の所管しておる農業、林業、漁業、つくる漁業、つくる林業、つくる農業、これはもうおてんとうさまと水と土地とそういうものを相手にして、無限な資源がつくれるわけでございまするから、英知を働かして大いにやるべきである。こういうことになってまいりますると、いまの高度成長経済に対する反省というものは、この農業とか漁業とか林業のほうに当然向けられていかなければならない。その他は娯楽面とかレジャーとかのほうなんでしょうから、それじゃ長い将来日本のためにならないということから考えていくと、ちょうど大きな転換期と、こういうが、私は、農業や漁業、林業に、非常にいい転換期が来ておるのではないか、基本的にはそういうふうに見るのです。しかも、こういう産業が重点的に行なわれていく限りにおきましては、公害問題には縁が遠い。部分的には多少のものがございましょうけれども縁は遠い、あるいは環境保全というところには最も適しておる、こういうことでございまするので、私は、その点の責任を感じて大いに努力をしてまいりたいと思うのであります。  ただ、お話しのように、そうはいっても採算の合わないものは困るではないか、こういうことになりまするが、現在でも食糧自給率は大体七五%見当、この十年後の目標においてもおおむね同じ目標である。そうすると国内でやろうということにつきましては、価格安定政策も十分とりまするし、また、いろいろと国際的にいわれましても、ある程度の保護政策をとりながら進むのが至当ではないか、こういう立場でございまして、神田委員の御意見も十分尊重して今後の農政を進めてまいりたいと思います。
  36. 神田大作

    神田委員 これは非常に大事なことでありますが、私は一言だけ言っておくが、日本農業にとっていい転換期だ、こう言われますが、これは私は農林大臣の言う意味はよくわからぬが、少なくとも国内における自給力を政府・自民党におきましても、八割を確保したいといっているのですが、八割を確保するための施策が不十分である。そのために農業から離れて他産業に行ってしまう。農業では食っていけないから農地が荒廃してくる。そういうような観点に立って、引き合わなければ引き合うように、政府がこれを補完していくことがやはり政治であろうと思うのです。そういう補完をしないで放任しておいて、荒れほうだいにして、おまえら食えなければどこへでも行って食えというようなことであっては、食糧の八割自給なんかはおぼつかない。そういう点において私は少し考えが甘いんじゃないかと思う。  今度ドルの引き下げ、円の切り上げ等によって中小企業が特に非常な危機に立っておる。これは通産相にも御答弁願いたいのですが、日本農業の大部分は中小企業に出かせぎに行っておる。たとえばおもちゃ団地といわれておる壬生等におきましても、たくさんのおもちゃ団地がありますが、これはもろに今度の円切り上げによって被害をこうむる企業。そこに働く主婦は、田植えどきには農家に帰るが、それ以外は出かせぎをしてやっておる、そういう企業がつぶれていく。これはおもちゃにかかわらず、そういうような輸出産業を主としておるところの中小企業は非常な危機に立っておる。これらの犠牲をこうむるのは、もちろんこれは中小企業者であると同時に、そこに働く出かせぎ農民なんです。こういうことに対しましても、もっと農業の基盤を強化して、そういう出かせぎをしなくてもやっていけるのだというような、そういう農業をつくっていくことが大事なことであって、そういうことにつきまして通産大臣並びに農林大臣から、時間もありませんから、ひとつ簡単に御答弁を願います。
  37. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 お説のように、日本の農家は大部分が兼業農家になってまいりまして、工場その他に対する出かせぎ収入というものがその収入の大半を占めておるわけでございます。そういう面からも、いまおっしゃいましたように、おもちゃとか繊維とか雑貨とか、そういうところへつとめていらっしゃる方は、今度はかなりの打撃が来るようにわれわれも心配しております。そこで、そういう人たちに迷惑が及ばぬように、金融や税制やその他の面で極力手を打って、万全の策を講ずるつもりでおります。
  38. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 先ほども申し上げたように、高度成長経済の反省という、こういういい時期をつかまえて農業の振興を考えていきたい。それで、いままではそのために農村人口が太平洋ベルト地帯のほうに流出をしていった、私はそれがUターン現象をぜひ起こしてもらいたいということを期待するわけでございますが、今度の予算でもお願いしておりますように、農村にもひとつ知識集約型のいい工場を誘致をいたしまして、農工一体的な面からも振興をはかりたい。これはヨーロッパにおきましてもその例があるわけでございまして、いいお手本もございまするから、こういう施策も入れながら、同時に農業それ自体の振興もはかっていく。  それで、御指摘になりました農地の荒廃という問題については、これは生産調整の問題から相当起きてきている面もあると思うのでありますが、私は今回の生産調整の場合も、適地適作であるならば、虫食い状態のように放置することは好ましくない、それはそれぞれの県なり地域の事情に応じて、そういうようなことのないようにしていくのがしかるべきである、こういうふうに考えておるような次第でございます。
  39. 神田大作

    神田委員 一言だけ農林大臣に生産調整の問題で聞きたいのですが、今年で生産奨励金を、転作以外のものを打ち切るということになると、いままで耕地を手入れをしておった者が一銭の金も入らぬということになりますと、これはもうそのまま放置され、それこそ原野と同じような形になって、周囲の農地をも荒らすことであります。私は、永年転作等ができなければ、権利の譲渡、耕作権の譲渡、あるいは奨励金の継続その他をやはり推し進めて耕地を荒廃させないようにすべきだ。一ぺん荒廃したものを復活するということは、これはなかなか困難でありますし、不可能であります。五年もそのまま捨てておいてこれを耕地にして耕すというようなことは不可能になってしまう。そういう点において、これだけの耕作できる国土を持っておるのでありますからして、それらを利用することをもっと真剣に考えてもらいたい。一言でいいですから御答弁願います。  それと自由化問題等につきましても、この間の箱根会談等において、日本の独特の作物であるところのコンニャクあるいは落花生、あるいはまた非常に農家に影響を及ぼす加工トマト、いわゆるトマトケチャップ等の自由化アメリカから強く求められておったようでありますけれども、これらに対してはどのような考えを持っておるか。先ほど農林大臣は、もう農産物の自由化はやらぬということでありますが、これ以上農業自由化をやれば、これはたいへんなことになってくるのでありまして、私はそのことについては農林大臣の言うことに賛成でありますが、それらのことにつきましてもあらためて御答弁願いたいと思います。
  40. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 四十八年で休耕奨励金を打ち切る方針でございまするので、ことしは極力稲作転換奨励を行なっていくということは、先ほど申し上げたとおりでございます。四十九年度を見通してみまするに、休耕奨励金が必要がなくなってくる、こういうことになりますると、予算面ではそういうものを有効に使用するということができまするので、これから農村の期待するような施策をさらに考えてみたいと思うのであります。  ただ、ただいまも申し上げたように、荒れほうだいになっていくような実情を何とか防いでいくということにつきましては、かりに転換よりも稲作のほうが適地適作であるというようなことでありまするなれば、それは私としては、その地域、地域の実情に応じて相当弾力的な考えを持っていいように思っておるような次第でございます。  それから、いまの自由化の問題につきまして、貿易自由化という大きな理想について、私もそのことはよくわかる。それからまた、そういう自由化について、国内対策を十分にしたらできるものがあるかないかをよく検討せい。それも私が検討の必要がないと言うこともございませんから、よく検討しましょうと申しております。そこで、いま御指摘になりましたコンニャク、落花生、トマトケチャップ、こういうものにつきましては、この国際収支について現在最も関心のある、あるいは貿易自由化についていろいろ要望しておるアメリカ側としては、これらのものについては特別な意向を持っておるわけではございません。現在、アメリカ側の一番関心事はオレンジとかジュースのことでございまするが、こういう問題につきましては、エバリー特使が参りましたときに、農林省関係者からよくいまのミカンの実情等も申し上げて、現状においては困難であるということを申し上げておるのでございまして、対米関係におきましても、一つ一つ話を詰めてまいりまするならば、相当な理解を得られると私は見ております。
  41. 神田大作

    神田委員 農林大臣にはもっといろいろと御質問がありますが、あとの機会にお願いすることにしまして、建設大臣に、土地の問題とからんで、首都圏、近畿圏等において、住民が非常な住宅難にあえいでおりますが、これらの土地が大手企業によって買い占めをされておる、そのために、サラリーマンが住宅を建てようとしてもなかなか土地が手に入らぬ、そういう問題について、建設大臣としてはどのように考えておられるか。  また、これは経済企画庁長官にも関係があると思いますが、ゴルフ場が、栃木県におきましては九十六カ所、面積にしまして約二万ヘクタール、千葉県等におきましては百二十カ所程度、面積にしまして約三万ヘクタールというような膨大な土地。私の近辺等におきましても、山という山がほとんど全部買い占められている。何に使うんだ、ゴルフ場だ、そういって、毎日毎日不動産業者がかけ回っておる。やがて日本の土地は大企業、大商社によって買い占められてしまうと思うのでありますが、こういう問題につきまして、経済企画庁長官、建設大臣。また、木材の需給が非常に逼迫しておる今日の林業資源からいいまして、農林大臣としてもどのような考えを持っておるか。時間がありませんから、簡単にひとつ御答弁願います。
  42. 金丸信

    ○金丸国務大臣 住宅問題のお尋ねと、土地の問題でございますが、宅地の問題が非常に逼迫しておるということが、住宅問題に相当な影響があるということはいわれるわけでありまして、土地の問題をまず解決するということで、政府は閣僚協議会で土地要綱というような案をつくりまして、目下検討中であります。  なお、この住宅問題につきまして、いまの若い人たちが、こんなことではわれわれは働いても希望がない。働いても希望がないということになると、青年に将来への大きな希望を持たせることはできない。青年に希望がないということになったら、将来の日本はどうなるだろうというようなことを考えてみまして、いま住宅五カ年計画があるわけでございますが、必要があればこの五カ年計画昭和四十九年度には改定して、ひとつこんな考えを盛ってみたい。これももちろん、皆さま方や各層各界の御意見も承って、この不満を解消いたしたいと思うわけでございますが、ひとつ登録制度をとってみたい。いわゆる緊急度の高いものから登録制にして、五年後でもよろしい、七年後でもよろしい、あるいは十年後でもよろしいという人に、いわゆる持ち家住宅というものは国民の八割の人が希望いたしておるわけでございますから、その八割の人が希望している持ち家政策にマッチする上においても、家賃相当額を払いながら二十年後には、二十五年後には自分のものになる、こういうような考え方を持っておるわけでございます。
  43. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 山林林野に対する買い占めによる荒廃というようなことについては、私も憂慮をしておるわけでございまして、現在、保安林については規制措置がございまするが、その他の面ではございませんので、近く森林法の改正によりまして規制措置をいたしたい、こういうことでお願いをする予定にしております。
  44. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 山林原野の一部のものによる買い占め、それはいろいろな目的がございますわけでしょうけれども、特にゴルフ場というような名のもとに不当な買い占めが行なわれるということでございますれば、これに対しては、やはりものごとはほどほどということがございますから、度を過ぎたるものはこれを規制するということは当然のことだと考えます。現に神奈川県あたりでは、ゴルフ場の新設について、これを許可しないという方針が出ているようでございますが、そうしたことも十分参考にいたしまして、いろいろ関係の省庁との間で考えていきたいと思います。
  45. 神田大作

    神田委員 これは非常に重大な問題でありますが、時間の関係で詳しくは私も質問できませんが、このままでいきますと日本じゅうがゴルフ場になってしまう、日本じゅうが大不動産業者の土地になって私有化してしまう。これは重大な問題であります。これは後刻、われわれといたしましても、機会をつくって政府の考えをもっとただしたい。いまの答弁ではわれわれは満足できない。  ただ、委員長にお願いしたいのですが、昭和四十七年以降今日まで、山林原野あるいは農地に適当と思われるような土地を二十ヘクタール以上買い占めしたと思われるような取引の状況、並びにゴルフ場として申請し、それをつくろうとしておるような面積、これを資料として関係大臣から提出されるようにお願いします。ただ一片の答弁ではこれは解決できない問題でありますから、この問題は私は後の機会に御質問申し上げることにして、先に進んでいきたいと思います。  経済企画庁長官にお尋ねしますが、もうこういう状況は二、三年続いておるのです。大臣としては、これら大手業者の土地の買い占めに対して規制をする時期はあったと思いますけれども、これをいままで見のがしておったというようなことに対しまして、世論はきびしく批判しておるようでありますし、また大蔵大臣にいたしましても、税制面においてこれを何とかすると言いながら今日まで野放しにしておる。これが法制化されて実施されるまでには、日本の適当な土地はもうほとんどなくなってしまうという、そういう手おくれの、決断と実行を旨とするというような内閣が、大商社や大不動産業者のこういう無謀な商取引を決断を下さないで見のがしておる。いまから決断してもこれはもう手おくれだと私は思う。しかし、そういうことに対しましてどういう責任を感ずるか、また今後それに対してそういうような対策を立てるつもりがあるのかどうか、簡単明瞭にひとつ御答弁願います。
  46. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 そうした個々の問題については、経済企画庁といたしましてはむしろ所管外といいますか、建設省のことだと思っておるわけでございますが、ただ全般的な問題といたしまして、国土をもっと有効利用する、総合的に開発するということの必要性を痛感いたしまして、近く国土総合開発法という法律を御提案申し上げたいと考えておりますので、その節はひとつどうぞよろしく、一日も早く有効な利用ができますようにこの法案を通過させていただきたいと考えておるわけでございます。御趣旨は私も同感でございます。同感でございますが、役所の大臣として申し上げますと、これはむしろ建設大臣のほうからお答えいただくというのが適切かと思います。
  47. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 土地対策について非常におそかったではないか、その御批判に対しましては私もごもっともと思いますが、同時に、総合的な立場から土地対策については政府をあげて努力いたしておりますことは御承知のとおりで、大蔵省といたしましても、税制だけで土地問題が改善されるとは思いませんけれども、従来からの税制の理論だけにはこだわりませんで、政策的に土地問題改善のために、税制におきましてもあらある知恵をしぼってただいま御審議をお願いしておるわけでございますし、それから金融上の措置につきましては、累次御説明いたしておりますように、これまた相当思い切った措置を現に展開中でございます。
  48. 金丸信

    ○金丸国務大臣 先生のおっしゃられるとおり私も同感でございますが、この問題は非常にむずかしい問題でありますので、今後とも最善の努力をしてこの問題に対処してまいりたいと思っております。
  49. 神田大作

    神田委員 次に年金問題について厚生大臣に一、二お尋ね申し上げますが、現内閣は福祉国家建設を標榜しております。今度五万円年金というようなことを言っております。しかし、実際において五万円の年金を受ける数は非常に少ない。これでもって五万円年金というような大看板をあげられることは非常に不適当ではなかろうか、こういうように私には考えられますが、厚生大臣としては、このことについてどのように考えられるか、お尋ねします。
  50. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 厚生年金につきましては、御承知のように現在は二万円水準の年金でございますが、昭和四十八年度におきましては、この二万円水準年金を五万円に高めようというのでございまして、この五万円年金ということは、厚生年金で申しますと、一定の基準を設けまして、すなわち二十七年厚生年金に加入しておった人の平均標準報酬が現在八万四千円程度でございますので、その六割をひとつ所得としてめんどう見てあげましょう、こういうことで五万円年金というものを立案いたしておるわけでございます。  そこで、その五万円年金という制度が成立したら昭和四十八年度にどういう形になるのか、こういうことになるわけでございますが、これは年度途中に施行されるわけでございまして、昭和四十八年度中に新たに老齢年金をいただけるようになる人、並びに過去から現在年金をいただいておる人、そういう人があるわけでございます。その過去からいただいておる方々、すなわち既裁定年金受給者につきましても、この五万円年金の水準に合わせてここで再評価をしよう、こういうことにいたしておるわけでございます。  そこで、その結果どういうことになるかということでございますが、数字をちょっと申し上げさせていただきたいのでございますが、この制度が通りまして、四十八年中に老齢年金を受ける数は八十万四千人ございます。約八十万人おります。その八十万人のうちで、現在まですでに二十年以上被保険者であった方、その人は老齢年金を本格的に受けられるわけでございまして、その方は四十六万一千人でございます。それから残りの三十四万三千人という方は、二十年まではいってない、すなわち十五年から二十年未満の方でございます。そこで、四十六万一千人という本格的な老齢年金受給資格ある者のうち、間違いなく五万円なり六万円なりという金額をいただける方は八万五千人でございます。四十六万一千人のうちの八万五千人は五万円、六万円をいただける。残りの三十七万六千人の方々はどの程度もらえるかと申しますと、現在のところ平均いたしまして二万二千円程度の年金でございますから、それを再評価いたしますと、四万二、三千円から四万五千円と、こういうことでございます。すなわち、八十万人のうち四十六万人は大体四万四、五千円、その四十六万人のうち八万五千人が大体五万円以上、こういうふうになるわけでございます。残りの三十四万幾らという方々は二十年未満の方でございますが、従来もらっておる年金額を再評価いたしますから、この方々も三万五千円になる、こういう数字になるわけでございまして、大体五万円年金というものができますと、八十万人のうち過半数以上は四万円から五万円、五万円以上、こういう数字になるわけでございます。  しかも、こういう数字の方々は、先生も御承知のように、昭和二十年代に会社、工場に就職した方々でございまして、当時は産業荒廃しておったときでございますから、こういう人数も少ないわけでございますが、老齢化傾向というものがこれからどんどん進むわけでございまして、この制度ができましたら間違いなく五万円以上のものをもらえるという体制に逐年変わっていく、こういうわけでございまして、なるほど五万円の方は八万五千人でございますが、四十六万人という方々は四万円以上の方々でございますから、五万円体制というものの出発としては私はそうおかしなものではない、かように考えておる次第でございます。
  51. 神田大作

    神田委員 厚生年金ですね。われわれはこの五万円年金というものは、二十年加入して五万円年金というように常識的に考えておったところが、二十六年か二十七年じゃないと五万円にならぬ。これは私はそういう意味合いにおいても、二十七年も働いていまの金で五万円もらうというようなことは、なかなかこれは容易なことではないですね。だから、二十年でもって五万円年金をもらえるような、少なくともその程度まで改善すべきではなかろうか。  また、福祉国家と言う以上は、無拠出年金を充実すべきなんだ。たとえば老齢福祉年金あるいは母子福祉年金、児童手当とか、こういう問題が現在のような五千円とか、あるいは月六千円程度、それでもって福祉国家だというようなことを大声でもって言えるものじゃないですね。時間がないから、どうも残念ながら御質問をこまかくするわけにはいきませんが、そういう意味合いにおいて、政府のいっておるいわゆる福祉国家というものは、何かわれわれの要求しておるものとほど遠い。こういうことについて、今後あなたは真の福祉国家として、いわゆる無拠出の年金制度の確立、しかも国庫補助はいま二〇%でありますが、これを引き上げてできるだけ――いま月給袋を見ると、健康保険にしても差し引かれる、厚生年金の掛け金で差し引かれる、いろいろ差し引かれて、十万取ったものが七万ぐらいしか袋に入ってこないというような状態から、やはりそういう厚生年金的なもの、あるいは健康保険の掛け金というようなものは、国でもってできるだけめんどうを見るということでもって初めて福祉国家と言えると私は思うのです。そういうことにつきまして簡単にひとつ御答弁願います。
  52. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 いまお述べになりました御質問のうち、五万円年金というのは、その生活水準を保障するという意味において、今後とも物価スライド制を採用いたしておりますので、ことしの名目の五万円がどんどん変わっていく、こういうふうにひとつ御理解をいただきたいと思います。  それと同時に、無拠出の福祉年金についての御質問がございましたが、なるほどこれをできるだけ上げる、これは私も十分理解できますが、無拠出は御承知のように一般国民の税金でまかなうということであり、しかも国民年金制度をつくりましたときに、本則は拠出制年金であったわけでございます。ところが、それを老齢になっておりますために拠出年金にはいれないという方のつなぎというふうな意味合いもありましてつくった制度でもございますので、一挙にこれを五万円にするというわけにはまいりません。御承知のように三千三百円を四十八年度は五千円、四十九年度は七千五百円、五十年度は一万円ということでございまして、その点は一般国民の税金ということでもございますので、ひとつ御理解をいただきたいと思います。  しかし、いずれにいたしましても、五万円年金、なるほどいますぐいただける方は先ほど申し上げましたような数字でございますが、年金というのはやはり長期的な計画で動いていくわけでございまして、私ども福祉の理想は高く掲げなくちゃならぬと考えておりまして、これで満足しておるものではございません。神田委員の御指摘のように、今後とも前を望んで努力をいたす気持ちであることには変わりませんから、御理解をいただきたいと思う次第でございます。
  53. 神田大作

    神田委員 この問題にはたくさんの問題がありますが、時間がありませんから、後刻また機会を見てお尋ね申し上げます。  それで、せっかくおいででございますから、専売公社の総裁にお尋ね申し上げますが、過般、たばこ耕作審議会によりまして、葉たばこの価格の決定をしたようであります。諮問案の最初の値上げはわずか二%、そして審議の途中において、審議会等においていろいろと問題がありまして七%に上げた。そういうことでもって、一体公社は生産者のたばこ耕作の生産費というものをどのように見ておるのか。生産費所得補償方式をとって、たばこ耕作の完全なる増大をはかろうとしておるのか、それとももうつくらなければつくらなくていいのだ、あとは足らなければ外国から輸入するのだ、そういう考えを持っているのかどうか、それをお尋ね申し上げます。
  54. 北島武雄

    ○北島説明員 お答え申し上げます。  たばこ専売法におきまして、葉たばこの収納価格につきましては、生産費、物価その他の経済事情を参酌して、耕作者に適正な収益を得せしめることを旨としなければならぬ、こういうふうに規定してございます。これに基づきまして、公社といたしましては、多年の積み上げによりまして、審議会において、ある一つの算式がきまっておりまして、それに基づいて毎年算出いたしておるわけでございます。  実は本年産の葉たばこにつきまして、収納価格について審議会に最初御諮問いたしましたのは、おっしゃるとおり、二・二一%の値上げでございました。これは昨年の答申どおりによりますと、それからちょっと低いわけであります。実はこれにはいろいろいきさつもございまして、長い間を通じて、一定の波はあるけれども、全体として適正な価格ができるようにというのがただいまの仕組みなんであります。ところが、私ども算出いたしますと、あまりにやはり現在の状態では問題もございますので、御答申の去年の方式そのままの上に、若干のプラスをいたして御諮問申し上げたわけであります。  審議会におきましてはたいへん御議論もございまして、生産費等の見方についてもいろいろ御意見がございました。普通の諮問期間は二日間でございますが、従来大体四日間かかっておりますが、今度は五日間かかりまして慎重に御審議願って、それで七・一一%という御答申を得たわけでありまして、その御答申に基づいて決定したわけでございます。  ただこれは、一つの原因は、昨年の価格の上げ方が、七・七七%という比較的高いものだった。これはやはり従来の方式に従って計算するとそういうことになる。その方式をまたことし移すと二%程度ということで、ズレがあったわけであります。そこに一つの問題があったかと思います。  そこで、こういった点については、やはり私どもそのときの感覚も十分考えなければなりませんので、今後生産費の算定等については、あとで問題のないよう、十分な調査をいたしたい、こう考えております。
  55. 神田大作

    神田委員 どうも総裁は、去年がこうだからこうだの何だのと言っておりますが、私の生産費の調査によると、第二黄色種でもって少なくとも一ヘクタール当たり二十万三千六百七十二円なんです。これに対しまして、ことし七%値上げしますと、十八万二千九百七十円になる。これは損をしておる。大体専売公社の労賃を見ますと、千五百円から千九百円ぐらいですが、大体いま千五百円や千九百円でたばこつくりに来る人がおりますか。最低二千五百円で、しかも酒さかなつき、さしみつきでなければ、これは来ないのです。そういうような生産費からいいましても、これではもうたばこ耕作を放棄せざるを得ないというようなことになって、重大な問題になってくる。これは日本の特殊な農業といたしまして、これを守っていくという立場に立って、専売益金も上がっておることでありますから、この点は十分考慮願いたいと思いますが、その点について簡単に御答弁願います。
  56. 北島武雄

    ○北島説明員 私どもはやはり国内の産葉というものは、これは安定的かつ経済的な供給源として維持、安定させる必要がある、こういうふうに考えております。  そこで、従来の生産対策が必ずしも妥当ではなかったという点を率直に反省いたしまして、昭和四十八年度から大規模な新しい生産対策を講じようということで、四十八年度予算におきましては四十七億円の新生産対策の経費をお願いいたしておるわけでございます。
  57. 根本龍太郎

    ○根本委員長 神田君に申し上げます。神田君の時間はすでに経過をしております。すみやかに結論を急いでください。
  58. 神田大作

    神田委員 最後に、大蔵大臣並びに専売公社総裁にお尋ねしますが、専売公社の事業というものは、世間でよく非能率だ、こういわれておる。こういう非能率な事業をやらせるのならば民間に移行したほうがいいのじゃないかということをわれわれ聞くのですね。私は、民間移行に対しては、これはそれこそ先ほどの大商社の買い占めじゃなくてもたいへんな問題になると思いますので、こういうことについては、私は、日本のたばこ耕作者の生活を守りながら能率ある、合理的に科学的な処理をすべきであろうと思います。民間への移管というような声のあがらぬように御努力願いたいと私は思いますが、この問題については大蔵大臣並びに総裁はどのように考えられますか、一言ずつ御答弁願います。
  59. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 一言申し上げますが、現状におきましては神田さんの御意見と同じでございまして、いろいろの観点から、その中には葉たばこ耕作者の立場考えまして、やはり私は、いろいろの議論がございますが、専売制度のほうがよろしい、現状においてはかように考えております。
  60. 北島武雄

    ○北島説明員 民営論の一つの根拠である、専売公社なるがゆえに非能率だ、こういったことの御非難を受けることのないよう、しかも独占の上にあぐらをかいて、というようなことのないよう私ども一生懸命勉強いたしておるつもりでございます。このために営々として生産の合理化、組織の合理化等をいたしておるわけでありまして、能率の向上には今後とも一そうつとめたいと存じます。
  61. 根本龍太郎

    ○根本委員長 神田君に申し上げます。  先ほどの資料要求の件につきましては、農林省及び建設省から資料を提出させるよういたしたいと思います。  これにて神田君の質疑は終了いたしました。  次に、山本弥之助君。
  62. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 私は、主として地方行財政に関連いたしまして、自治大臣を中心にお尋ねいたしたいと思います。  まず、さきに決定いたしました四十八年度の地方財政計画は変動相場制に移行しない以前の策定であるわけでありますが、いろいろ経済情勢は激動いたしておるわけであります。今日、地方自治体は、私どもの多年の主張にもかかわりませず、常に自治省の綿密な通牒によりましてその運営を拘束されておるわけであります。今回もおそらく地方財政計画は、策定する前後におきまして、当然自治省からこまかい通達がなされて指導をされておると思うのであります。したがってほとんど、府県にいたしましても市町村におきましても、現在予算の編成期を終わっておると思うのであります。しかし本年度の情勢を見ますと、非常にこの予算に狂いが生ずるおそれが、いろいろな意味で私はあると思うのであります。これにつきまして、どういう影響が出るのか、あるいは変動制移行以前に通達を出された考え方、またその後これに対して自治大臣としてどういう御指導をなすったか。私どもは地方自治体に対するこまかい自治省の指導に対しましては歓迎しないところでありますけれども、今回は重要な時期でありますので、この点につきまして御所見を承りたいと思います。
  63. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 御指摘のように、計画を策定いたしまする最終の段階において変動相場制に移ったわけでございまして、これが示しました地方財政計画にどういう影響を与えるか、これは年度全体を通じてさてどういう影響を与えるかという見通しについては、相当むずかしいものがございます。にわかに把握しがたいわけでありまするが、現在の地方税の税目から見まするというと、比較的影響があると考えられまするものは中小企業の事業税、それから法人関係の税金、これがどの程度落ち込むか、それから軽油引取税に多少の影響があるであろうかと、こんな想像はできるわけでございます。  ところが、年度全般を通じて考えますると、前回のときとは違いまして今度の場合は景気が上向きの傾向を示しております。前は不況のどん底ではなかったかもしれませんが、非常に不況感がびまんしておるさなかであった。この大きな基盤としての違いがあるわけでございまして、多少の落ち込みはある程度吸収できるのではないかというふうに考えておる次第でございます。  なお、地方税の納入方途等につきましては、大蔵省側と詳密な相談をいたしまして、中小企業の事業税、あるいは法人税割りの問題等については延納措置も取り得る、こういう措置を通知をいたしております。また決算を繰り上げるなり中間決算によって延納の相談があれば、その相談には機宜の措置で十分こたえるように、こういう通達を出したような次第でございます。
  64. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 一部の地方公共団体によっては手直しを必要とするところがあるかもわからぬが、年度間を通じましては大体の見通しにおいて誤りがないというふうな御答弁であったと思うのでありますが、この点は、地方行政といたしましては国の財政計画その他に同一歩調をとっておりますので、私、的確な御答弁をいただけるものとは思わないわけであります。  この機会に大蔵大臣にお聞きしたいと思いますが、国の予算におきましてもこの情勢の変化に対応いたしまして、予算の組みかえあるいはその他の要求は野党側からあり、また円切り上げに関連いたしましての特別の審議の機会もあったわけでありますが、私、詳しくお尋ねをいたしませんが、地方公共団体といたしましては、一つは、円の大幅切り上げによるところの税収の減、もう一つは、今日土地あるいは株価の暴騰、それに引き続きまして最近は商品投機という現象、一方では大型予算で一方では金融引き締めというような措置で、大臣の本会議における所信表明でいろいろむずかしい情勢にあることの演説が行なわれたわけであります。事実非常に私は経済情勢はむずかしい情勢になっておると思います。もし税収の減があれば直ちに地方財政に影響いたしますし、またいま言われておるような結果が、いわゆるインフレ、私どもは大型予算、国も地方も非常に大型予算ということでインフレを助長して、いわゆる社会福祉を大きく後退させるんだということを、従来の審議を通じて言っておるわけであります。地方財政も同じことでありまして、ことに公共事業が大きく伸びておりますために、土地の確保も必要になってまいりましょうし、また事業費の単価の上昇ということになりますと、公共事業を遂行するという考え方に立ちますと、勢い予算計上額でインフレ傾向のもとにいわゆる単独事業の持ち出し、あるいは単独事業も例年になく伸びておりますけれども、公共事業の執行に重点を置きますと、非常に単独事業が食われていくという実態に相なるわけであります。個々の三千有余の地方公共団体それぞれいろいろな事情がありますので、非常に大きく影響を受け、また国の財政いかんによっては何らの影響も受けないというような地方公共団体もあるわけであります。またその際には、交付税等の落ち込みによっても当然影響を受けるわけでありますが、いずれにいたしましても、私は今日の経済情勢、歳入の面、歳出の面、両方面にわたりまして、インフレが高進いたしますれば非常に地方公共団体としては執行面で苦しくなる。歳入が落ち込めば、これまた地方公共団体としては苦しくなる。ただいま自治大臣の御説明がありましたように、歳入の欠陥はまず年度間を通じては大きな狂いはないであろうという御答弁があったわけでありますが、しかし、地方公共団体にとりましてはきわめて重要な問題でありますので、そういった複雑な経済情勢に対処して、私は主として地方財政の側におきまして大蔵大臣の御所見を承りたいと思います。
  65. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 地方行政に御経験の豊かな観点からの御質問で、まことに肯綮を得た点をおつきになっていらっしゃると思います。  かねて御説明申し上げておりますように、まず第一に、変動相場移行によりまする経済の見通しというものを相当長期にわたって捕捉するということは、正直申し上げまして非常に困難であるという見方でございますが、それに基づく国の税収入の見通しということにつきましては、ただいま自治大臣から御説明もありましたように、変動相場制というものの与える影響、これは捕捉は困難でございますけれども、たまたま日本の経済全体が相当上向きの状況にあったことと、それから影響を受けるいろいろな産業面におきましては、プラスの面、マイナスの面もあろうかと思うわけでございます。それやこれや考えますと、現状におきましては、私は税収の見積もりということについては、まず大体この辺のところが妥当ではないかと考えておるわけでございます。  それからその次に、したがって地方交付税交付金等につきましては、地方財政計画におきましてこれを基準として遂行されて適当ではないかと私は思いますが、さらに地方によりましては非常に状況が違う、これは御指摘のとおりであると思います。そして、したがってこれに基づいて、たとえば県単の事業がどうなるかとか、あるいは公共事業が非常に大幅になるから、それの県あるいは市町村の負担分がどうなるかというような点は御指摘のとおりでございますが、ある部分については国の負担率を相当変えたものもございますが、いろいろくふうをしておりますし、それから、追っていろいろ御質疑もあろうかと思いますが、地方債の問題等につきましても、大蔵省の立場においても自治省とますます緊密一体の立場に立ちまして、地方公共団体の行政が円滑に執行できますように十分の配慮を用意してまいりたい、基本的な考え方はこういう考え方でおります。
  66. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 御答弁がございませんでしたが、いまの一連の土地から株、あるいは商品への投機現象に伴う諸問題、まあある程度まで過去の四十六年ごろの為替相場の上昇の際には物価を押えるという作用をしたと思うのであります。今回も普通であればそういう作用が行なわれると思うのでありますけれども、どうも最近の経済情勢はそうではなくて、まあいろいろな要因、海外の経済情勢、インフレの要因、あるいは国内における資金のだぶつき、その他いろいろございましょうけれども、今日、地価の上昇に悩まされておる、あるいは建設資材の上昇に悩まされておる地方公共団体にとりましては、このいわゆる大型予算に関連してのインフレの高進、これは予算執行上きわめて重要な問題であるわけであります。このあと段階につきましての御答弁がなかったようでございますが、いずれこの点はまた大きな問題といたしまして論議されると思いますけれども、私は地方行政の立場から、一応大臣のお考えをお聞きしたいと思っております。
  67. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 インフレを押えるということが大きな至上命令でございますから、大型予算と言われますけれども、その点につきましては前々からお答えをいたしておりますように、たとえば公債財源が多過ぎる、あるいは地方債が多過ぎるという御意見もございましょうけれども、現在の金融情勢等から申しまして、むしろ積極的に吸い上げて、そしてこれを内需に転換するという意味で福祉方面に向けていくということは、決してインフレにつながるものではない、こういうふうな考え方でございます。  さらに株価、地価等の異常な現状に対しましては、これは特に相当強力な手を打っておりまして、計量的にその結果というものがどういうふうに出ているかということをまだ御説明できませんけれども、追ってこの影響というもの、政策の効果というものは相当具体的に出てくるものと私は思いまして、なお一そう手をゆるめずにやってまいって、そしてインフレ及びインフレムードというものは何とかして押えるようにできるだけの努力をしてまいりたいと、こう考えております。
  68. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 いずれこの問題につきましては、本会議あるいはその他の委員会で十分討議すべき重要な問題でございますので、私は詳しくこの問題に触れることを避けたいと思います。  ただ問題は、今日地方行政といたしましては、生活関連事業というものを重視しておるということは私も認めるわけでありますが、それ以上に、国の事業にいたしましてもあるいは地方の公共事業にいたしましても、いわば土地の値上がりの中で遂行しなければならない公共事業も、道路その他あるわけでございます。いわば地価に関連いたしまして、これらの労賃、あるいは生産費、あるいはその他資材費が値上がりをしてまいりますと、地方公共団体といたしましては、内部におきましてやっと芽をふいてまいりました福祉施設にその予算を充当して、積極的に福祉を推進する新しい地方行政の、多年地方地域住民が念願をしておりました方向に重点を置いていかなければならない、こういうふうに私は考えるのでございます。これも情勢の推移、政策の適否に関連する問題でありますが、いわば公共事業を削減いたしましても福祉に重点を置くという地方自治体のあり方が好ましいのじゃないか、かように私は考えますが、いわば歳入の面にも問題がありますが、歳入の面につきましては自治大臣から、もし歳入欠陥があった場合にはどういう方策をとられるか、歳出の面におきましては、もしインフレ傾向が助長されるというような傾向になりました場合、福祉に重点を置いて、地方公共団体が公共事業を削っても福祉重点の予算執行を行なうということは好ましいと思うのでございますが、この点につきましても自治大臣から御答弁願いたいと思います。
  69. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 先ほどお答えしましたように、いまの段階ではさしたる影響はなかろうと推測をいたしておりまするが、もしこういう前提でのお尋ねでございますれば、そういう場合には国の補正予算等々と相まちまして、交付税によってめんどうを見るなり、しかるべき措置をとってまいりたいと思います。  それから歳出の面におきましては、福祉優先を内閣としてもうたっておるわけでございまして、当然それらの充実整備のために協力体制をとってまいるようにいたしたいと思います。
  70. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 もう一点だけ確認いたしておきたいと思いますが、交付税によって措置をいたします際に、本年度も交付税の特別会計で九百五十億というのを借りて増額をしているわけです。交付税のあり方につきましてもいろいろ問題があるわけでありますが、ここ多年国の政策によって、景気の調整方策というようなものに関連いたしまして交付税の減額、いわば地方公共団体が国に貸す、また足らないときには特別会計で借りて三税に上のせをしていくというやり方をとっておるのであります。このことにつきまして私は、もし交付税の増配をするというような場合には、四十六年も四十七年もそうでありましたけれども、国でめんどうを見るといいましても、ほとんどその八割は地方公共団体の起債並びに特別会計からの借り入れで措置をするというやり方をとってきたわけですね。いわば地方公共団体の後年度の負担をふやすというやり方をとってきたわけであります。むしろ措置をおとりになる際には、やはり国の一般会計の繰り入れというような措置でおとりを願うことを強く要請いたしたいと思います。
  71. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 九百五十億円を資金運用部資金から借り入れをしなければならない、これはいかにも残念なことであったと思いますが、幸いこれは四十七年度の国税三税の自然増によって解消される、こういう裏づけによって借りたわけでございまして、後年度に対して非常な迷惑をかけるというていのものではないと思います。  なお、今後地方財源充実のために国が一般会計から入れるなり、あるいは地方交付税率を引き上げるなりということが、しばしば地方行政委員会等でも言われるわけでありまするが、幸い四十一年度以来、ほぼ二〇%以上の毎年伸びを示してきたというようなことから、今日までは事なきを得ております。今後の社会経済情勢等々と見合いまして、税制調査会、地方制度調査会等々の意見を十分徴しながら大蔵省側とも話し合いをしてまいりたい、かように考えております。
  72. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 次に、最近、やっと本年度あたりから福祉優先という政治が実現する緒についたように思うのでありますが、地方公共団体は住民の福祉、それとその生活環境の整備をするということが本来の任務であったわけですね。したがって、このことに全力を尽くすというのが地方自治体のあり方なんですね。ところが、経済成長の影響を受けまして地方公共団体は高度経済成長に奉仕をするというあり方に、いわば従属的な、下請機関的な役割りを従来果たしてきたわけですね。このことが、経済成長のいろいろな破綻、ひずみということから、公害をはじめといたしまして、交通難だとか住宅難だとか、あるいは過疎過密というような、地方自治体の健全な発展ということとさか目に出てまいったわけですね。したがって、私は本来の姿に早く返さなければならないというふうに考えておるわけであります。  そこで、いままでの地方自治体といたしましては、経済成長に協力するということがたてまえであったために、われわれの生活を無視し、経済の成長に協力してきたわけでありますが、そのためにややもすれば地方自治体が本来の地方自治体のあり方から離れて運営されるおそれがあったばかりではなく、最も基本的な、地方自治体を国の政治に奉仕させるためには、たとえば区域を変える、運営を変えるというような考え方に立った問題が幾つか出てまいったわけであります。したがって、道州制の問題だとか、あるいは結局過密地帯における府県合併の問題だとか、町村合併というようなことで、住民の福祉よりも経済成長に協力するというあり方で地方自治体を見るという、政治にいろいろな問題、摩擦を生じてきたわけでありますね。私は、今後の自治体は福祉優先の政治に切りかえるということであるならば、本来の自治体がその地域住民に奉仕をするというたてまえに、はっきり地方自治体のあり方をきめていかなければならぬ、こう思うのでありますが、自治大臣はこの点をはっきり腹をきめておられるのかどうか。場合によっては府県合併だとか市町村の合併とか、いわば国の政治に従属するようなことを強化するようなお考えはないと思いますけれども、この点につきまして、御就任間もなくでございますので、お聞きいたしたいと思います。
  73. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 御指摘の点は、要するに地方公共団体の住民意思を尊重しろ、こういうことを強調なすっていらっしゃると思うのでございまするが、私も全くその点は同感でございます。中央が何か合理化のために住民感情と離れた合併であるとか協力体制というものを押しつけてみましても、その成果は容易にあがるものではありません。もとより府県合併などという問題は特にそういう要素が強いわけでありまして、地方制度調査会等においても慎重にこれは検討しなければならぬという回答を得ておるような次第でもありまするし、今後の問題として検討することは、時間的、距離的に日本自体が狭くなったこの場面で必要でありましょうが、それはあくまで住民の自主的意思に基づくもの、こういう形で配慮してしかるべきものだというふうに考えております。
  74. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 自治大臣から答弁がございまして安心したわけでありますけれども田中総理考え方、「日本列島改造論」は、総理に就任する以前の一つの著書でありますので、これが直ちに方針というわけではないと私は思うのでありますけれども、この中に、地方自治体に触れた問題で、高速交通時代になるといわゆる一日生活圏というものが拡大するんだ、これに対応するためには府県の合併だとかあるいは市町村の合併だとかいうことを積極的に進めなければならぬのだという意味のことが書いてあるわけであります。このことは、従来の経済成長型の考え方を踏襲しておると私は思うのであります。これは私は非常に不安に思うわけであります。福祉施設にいたしましても、生活環境にいたしましても、いわば都市間あるいは府県間の交通時間が短縮されたからといって、経済活動をそういう都市間あるいは府県間で行なうという住民は、いわば住民の何割もないのであります。したがって、どうしても地域に密接した生活が営まれるということが必要になってくると思うのであります。  そうなりますと、いまの市町村という区域は、私はやはりこれを堅持してまいり、特殊の場合は合併しなければならぬ機運も出てまいるとは思います。しかし、原則として市町村を中心に今日の自治体が、ほんとうに地域住民の生活環境なり福祉施設の充実をはかっていくということは堅持してまいらなければならぬ、こう私は考えるのでありますが、日本列島改造論の、従来のパターンとあまり変わらない、また場合によっては、工場の分散等におきましても、小さな町村を幾つも相手にして説得するよりも、少し区域を大きくしてきめたほうがいいという安易な考え方で、この本来の今後の新しい動き、福祉社会を建設するという動きに、行政というのはややもすれば逆行するおそれが私はあると思うのであります。このことははっきり自治大臣として、地方自治、住民自治のあり方についての決意を固めておかれないと、この問題は、やはり従来の、上からの行政になると思うのであります。この点、重ねて大臣の決意を承りたいと思います。
  75. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 田中総理日本列島改造における所説は、これは一つの原則的な方向を説明されたものというふうに受け取っております。  いま御指摘の合併等の問題については、先ほども申し上げましたように、あくまで押しつけはしない。自主的に合理化または共同化のために一体になりたいという住民意思があれば、これは助長してしかるべきだと思いますが、自治省として、いまこの段階で強制する意向は持っておりません。  ただ、いま御指摘のような、福祉の事業、いろんな問題が、生活環境の整備等々をめぐりまして、共同で事業を起こしたほうか効率がある問題も多いわけでございまして、そういった問題は広域市町村圏を活用することによって着実に進めていく、また合併とはおのずから別な意味でこれは推進したいというふうに考えております。
  76. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 そういたしますと、従来の府県合併の特例法だとか、市町村合併を推進するような、あるいは府県と市町村の中間団体を強化するというようなお考えはないわけですね。
  77. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 あくまで地方公共団体の自主性に基づいて処理をしていきたい、こういうふうに考えております。
  78. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 自治大臣の今後の地方自治体のあり方につきましての決意を承ったのでありますけれども、私、本来、地域住民の要望に基づきまして、福祉社会の建設に地方自治体が重要な役割りをになうということにつきましては、これはやはり市町村や府県の地域住民の市民運動その他の根強い要望があり、また、その要望によりまして市町村が、国の方針がどうあろうとも、地域住民の生活を守るという立場に立っての、苦しい財政からの先行的なあり方、老人福祉にいたしましても、あるいは児童福祉にいたしましても、すべてそういうところから出てきておると思うのであります。  そうなりますと、この大きく地方自治体の本来の姿に立ち返るという時期を迎えまして、田中内閣組閣早々ではあったとは思うのでありますけれども、当然こういう本来の姿の地方自治体のあり方に必要な地方財政の転換をはからなければならぬ。いわばそういう政治をやってまいりますに必要なのは、やはり何といいましても財政でございます。この財政の転換をはからないで、従来と同じようなあり方で、国の方針に従って地方財政計画が組まれ、それに従って地方自治体が運営するというあり方よりも、むしろ地方財政を大きく変えなければいかぬという考え方に立って、今回の国税、地方税を通じての税制の改正にいたしましても、いわば部分的な改正ではなくて、大きくどういうあり方にいくかという点を決定すべきであったと、かように私、考えるわけでありますが、大臣どうお考えになりますか。  最近決定を見ました経済社会基本計画も、地方財政に触れておるわけですね。その中でいろいろ、税がどうあるべきかということについて、「福祉政策の強化により、地方財政の重要性が次第に高まることに応じてその充実をはかる必要がある。」という項目があるわけですが、この要請にこたえて昭和四十八年度は固定資産税を引き上げたということを触れているわけですね。これは、固定資産税は四十八年度からちょうど評価がえをしなければならぬ時期であって、目新しいことではないわけなんですね。しかしそのあとに、「国、地方を通ずる行財政全般の再検討の一環として地方税の見直しを行なう。」ということを決定していることは、私ども非常に意を強くしておるわけであります。これがどう実行されるかということなんですね。しかも、その将来のあり方につきましても、地方財政の拡充につきまして、やはり同じ考え方に立って、大都市の財源としての新税だとか、あるいは個人課税と法人課税との関連だとか、あるいは補助事業についての超過負担の計画的解消だとか、地方債のあり方だとか、こういった点に地方の自主性を確保するという意味で触れておられるわけであります。私は、当然この計画が福祉優先という考え方に立って計画を策定されたとすれば、福祉を充実する上に重要な役割りを持つ地方財政に触れないということは当を得ないことは当然でありますが、この辺についてある程度まで方向を示しておるということは、意を強うしたわけでありますが、思い切っての地方財政の転換、固定資産税の評価がえの時期に固定資産税を幾ぶん考えたというような程度ではなくて――これは五年計画ですから、まごまごしていると五年すぐたってしまうわけですね。そうすると、福祉行政を推進することに関連しての地方財政の根本的改正ということはなかなか行なわれないおそれがありますね。地方財政はシャウプ勧告以来もう相当の経過をいたしておりますし、部分的改正をいたしておりますけれども、根本的な改正をしていない。地方行政側の立場に立っての税改正はしていないというのが現状でありますので、この際思い切って転換すべきではないか、かように考えるのでありますが、これは自治大臣、これに関連いたしまして大蔵大臣の御所見を承りたいと思います。
  79. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 地方の自主財源を強化すべきである、これはもう私どもも痛感いたします。地方制度調査会においてもそういう答申を得ておるわけでございます。これは先ほど来も申し上げておりまするように、本年度もどうやら地方税関係の伸び率というものは三〇%近いもの、二七%といっておりますが、相当な伸び率を示しておりまするので、まあ何とかこれでつじつまを合わせていこうということで今日に至っておるわけでございまして、地方に超過負担をかけておる分もすみやかに解消するとか、助成補助についての基準単価を上げるとか、そういうあたりに大蔵省筋ともまた関係各省庁とも話し合って、実質的に支障なきを期して努力をしておるような次第でございます。  固定資産税の評価がえの年にたまたま当たったわけですが、四百十一億程度の伸びが見込まれまするし、娯楽施設利用税等におきましても相当な伸びが見られます。しかもこれを県と市町村と五〇、五〇で分けていくとか、画期的とは申せませんが、それなりの税の自然増に見合って手心を加えながら自主財源を強化する方向で動いておりますることは、これは事実でございます。しかし、なお大蔵省当局ともよく打ち合わせをしながら、今後の地方財政状況の推移にまって適宜の措置をとりたい、自主財源を充実してまいりたいという熱意は持っておる次第でございます。
  80. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 国と地方を通ずる税源の移譲あるいは調整という問題であると思いますけれども、これはただいまも御提唱になりましたが、地方公共団体の独自性ということ、これを中心に考えますとますますそうなんでありますけれども、地方としての財政需要に相当やはり地域的格差とでも申しましょうか、これができてくるわけです。そういう点も考えますと、どういうふうに税源の調整をやっていったらいいか、なかなかむずかしい問題かと思いますし、それからもう一つは、行政事務と申しますか、これの配分の問題と相関連して考えなければならない。御提起になりました問題は非常に重大な問題でもありますし、それからいま自治大臣からお話がありましたように、地方自治という点から見れば、これは非常に意欲的な、熱意をもって取り上げるべき問題でございますが、同時に、いま申しましたような点も十分ひとつ考え合わせていただいて、私どもとしても積極的に将来の問題として検討させていただきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  81. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 本年度地方税が相当伸びたといいましても、歳入の中に占める比率は低下しているのですね。四十七年度は例外でありますけれども、本年度の財政計画によりますと、三八%なんですね。四十二年度、四二%から逐次下がってきているわけですね。いかに自主財源が減っておるかということが明らかなわけですよ。  また、大臣も御承知のとおり税収は国が七割、地方が三割という現実でもあるのですね。これはあとで御質問いたします地方行政事務の配分に関連いたしまして税を移さなければならぬということは当然なわけでありますけれども、少なくとも経済社会基本計画にも地方財政の充実をうたいながら、地方税の自主性、自主財源の確保、税制の大幅な改正というようなことについて、これは大きく国の福祉重点の政策の転換に伴いまして、それを担当していかなければならぬ地方公共団体の地方財政を、もう早急に検討するということは必要なんですね。私は自治大臣の答弁、不満でありますが、本気になっておやりになるのか。これは閣議決定の計画だろうと思うのでありますが、いつも狂ってはおりますけれども、私は特にこの中で狂わないように実行願いたいというのは地方財政の充実なんですね。それと基本的な今後の福祉優先に転換する、そしておくれておる施設を、いわゆる社会保障も福祉施設も計画目標に従って地方公共団体が計画を立てなければいかぬということなんですね。そのためには財源に早く手をつけていただく、こういうことだと思うのでありますけれども
  82. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 御激励をいただきましてたいへん力強く思うわけでございます。先ほども申し上げましたように、地方の自主財源を強化していくということには私ども熱意を持っておるわけでございまして、これは国全般の財政にも影響をいたしますので十分大蔵省当局、大蔵大臣とも話し合いの上ですみやかな措置をとっていくようにしたいと考えております。
  83. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 私、将来の税制の改正の方向といたしまして、住民税はもはや今日の地方公共団体の格差からいいますと、個人住民税はやはり軽減の方向、いわゆる減税の方向に向かわなければならない。それによって、村におきましては大きく納税者が減り、税収が減るということがあっても、同じような収入がある者が納税額を多少とも異にするということは、ますます過疎化の現象を促進することになりますので、これはやむを得ないというふうに割り切るべきである。今日普遍的な税源を見つけるということは容易ではない。したがって、この点は思い切って割り切る。そのかわり法人課税につきましては、指摘されておりますように実効税率は先進諸国に比較いたしまして低いわけでありますし、この計画にもうたっておりますように、負担を増さなければいかぬ。もし高福祉、高負担でありまするならば、その高負担は当然法人が負担すべきであるということは私は明瞭だと思うのであります。その点を十分考えて早急にやるべきではないか。そして今日いろんな税源のある大都市、中都市それから多くの過疎地帯の市町村、これらにただいま申しましたように普遍的な税源を見つけることは、もうある段階、いわゆる格差の解消ができなければ期待ができないわけでありますので、この大都市の――東京都にたまたま「大都市財源の構想」という、検討を加えて、この方向で来年あたりから自治省と折衝し、要請したいという案がありますが、確かに今日、考えておる大都市における集積の利益とそれから集積の不利益、これが同時進行している中で、集積の利益を得る者がほとんど公共団体の経費に依存し、不利益を受ける者がその行政の恩恵に浴さないというひずみが生じておるわけであります。このためには、全国画一な税でなくともそういうところから取るということが新しい税の体系であり、新しい、いわゆる田中総理の言った端的な追い出し税なんというようなことではなくて、その都市を自主的に建設していく、いわゆる快適な環境を整備していくということにもつながると私は思うのでありますけれども、その、自主性に基づく新しい税体系への意欲、これを画一的にいままでの考え方でつんでしまうということのないように、自治大臣は特にその点に配意せられまして、大蔵大臣もおられますけれども大蔵省との、国、地方との税の配分におきましても考えていかなければならぬ。そして、法人税の担税余力といいますか、それは国よりも市町村、その次が府県というふうに、市町村に重点を置いた配慮をしなければいかぬのではないか。これは目的税も同じわけでありますが、道路の整備のための目的税は、市町村、が常に不利を見ておる。こういう体系はあってはならないと私は思うのでありますが、これにつきましてお聞かせ願いたいと思います。
  84. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 一つの御意見として傾聴をいたしました。
  85. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 いや、意見じゃなくて、それは一つの世論で、大臣もこの経済社会基本計画をごらんになったと思うのですが、そういう意味のことを書いておるんですね。そして、地方財政を充実するということであれば、そういうのが方向だということを政府みずからがきめておるじゃありませんか。ただ、法人課税をどうやるかという場合に、これは大臣の所管の地方制度調査会におきましても、一つのそういう考え方に立った税として、事務所・事業所税、あるいは追い出し税に関連いたしましていろいろ問題になりました、自治省の提案いたしました都市整備税、これは当該都市の施設の整備にも充当するが、逆交付で、国がおくれておる施設に税金を配分するというのは同じ考え方なんですね。それはあくまでも国が国の立場に立つよりも、地域住民が喜んで納める税をどういうふうに判断するかという、そのことは地方自治体が一番よく知っているわけです。負担の公平があるか、いわゆる税金を納めるのと、公共団体の恩恵を受けることと均衡がとれておるか、そのためにはどういう税がいいかということについては、地方公共団体が一番よく知っているわけなんです。その意見をくみ入れるということだけなんです。御意見じゃなくて、私の前段階の、個人住民税と法人税との税負担をどうするかということは、政府みずからがもうすでにきめていることなんです。これは私の意見じゃなくて、政府がきめていることで、たまたまこの点については私も同感だ。しかし、法人税及びこれに類似するものにどう課税をしていくかという問題ですね。その場合には、早急に大臣が研究されるとするならば、地域住民の要望にこたえたような、苦労をした、地方自治体のどういう税のあり方がいいかということについての検討を早くすべきである、また、そういう心がまえで今後の新しい税体系を考えていくべきであるということに対する大臣の答弁がほしいわけです。
  86. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 わかりました。どうも、時間を節約する意味で簡単にお答えをしたわけでありまするが、個人住民税も、御承知のように住民の負担を軽くするという意味で、免税点を八十万円から八十六万円に引き上げるとか、まあ徐々にではありまするが、そういう配慮もいたしております。そればかりか、これはくどくどしい話は差し控えますが、均等割りにしましても、税率にしましても、比較的低い。これはもう御了承のとおりでありまするから、これは地方公共団体のそれぞれ一翼をになっておるという自覚、責任、こういうものを痛感してもらう意味で今後も続けていきたいと思いまするが、御指摘の法人住民税につきましては、大蔵当局、税制調査会等々とも十分話し合いの上で、適切妥当な措置をとってまいりたいと思います。  それから、事務所税といいますか、大都会における事業所税というようなものについての構想も十分承知はいたしておりまするが、まだ検討の段階でございまして、今後これらについても十分検討を加え、妥当な、納得のいく税金として発足できるという形でない限りは、にわかに決定はいたしかねる、これが今日の実情でございます。
  87. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 地方財政に関連しての地方税制の根本的な改正につきましては、一日も早く自治省を中心に手をつけられて、諮問すべきは諮問いたしまして、本年度私ども対案を出そうと思っておりますけれども、来年度から実現ができますように、積極的に取り組んでいただきたいと存じております。  いろいろ税に関係しましての問題もありますが、いずれ常任委員会で御質問することにいたしまして、先ほど大臣もお触れになりました超過負担の問題でありますが、これはきわめて重要な問題でありまして、今日の国庫支出金に関連いたしまして地方公共団体が仕事をやっていく上には、その事業を消化するために超過負担をやってまいったわけであります。過去におきましても、四十三年、四十四年、四十五年と、超過負担の解消につきましては、自治、大蔵関係大臣との間で一定の基準を設けて解消をしてこられまして、また、四十六年度の調査におきましても、本年から来年にかけて二カ年間、本年は四百五十億と記憶しておりますが、解消をはかっていただいた。このことは、私どももその熱意に敬意を表するものでありますが、しかし、これは施設だけの問題でありますが、将来引き続きこの超過負担の解消について御努力なさるのかどうか。あるいは人件費におきましても、いろいろ超過負担があります。四十五年の全国知事会の調査では約二千億、また、直営事業の負担金が、ことしも二千億をこえていると思いますが、積極的に国の直営事業を進めていくとなれば、優先順位というよりも、残っておる府県は比較的負担に乏しい府県である。そうなれば、そういう直営事業の負担金の問題も、いわゆる超過負担並みの考え方をしなければならないと思いますし、また、今後、厚生省関係のごみ処理あるいは屎尿処理、下水道といったものは、これはどうしても積極的に推進しなければならない。その意味で、予算も相当増額になっておりますが、もともと元が少ないんですから、率だけ上がっているという状態であります。これらも、現実に厳密な意味の超過負担といえるかどうかわかりませんけれども、超過負担に類するような問題に対して、積極的にさらに調査を進められるのかどうか。また、保育所等につきましても、いろいろ厚生省の基準がおありのようですが、ほんとうにいま保育所というものは計画的に――単に共かせぎの者が利用するだけではなくて、どんどんふえてきているわけですね。これを峻別しまして、保育所の数はこれだけだ、だから超過負担をせざるを得ない。あるいは公共団体が必要な施設を年次的に建てていきます際に、数をふやすとなれば、勢い、超過負担どころか、全額当該市町村が持ってやらざるを得ない。順番待ちでは、いつになったら住民の要求にこたえられるかわからぬというのが今日の保育所の整備の問題ですね。  そういった問題を考えますと、単に四百五十億で一応補助単価だとか補助基準というものを是正するのではなくて、全般的に、補助金と関連いたしまして、超過負担と地方公共団体の負担の状況を、いわば超過負担という観念でなくて、ほんとうに仕事ができるのかどうか、一方で財源を与えながら国の方策として推進をしてまいります事業について、積極的に国庫支出金に関連する地方の負担について見直す必要があるのだ、単に局限した問題だけではなくて、全般的にそういうことを見直していく必要があるのではないか、こう思いますが、関係大臣から御答弁願います。
  88. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 ただいまお触れになりましたとおり、まず超過負担の実態調査でございますが、これは御案内のように公立文教施設、高校産振施設、保育所施設、公営住宅、住宅地区改良、警察施設、この六項目について関係省の協力で実態調査ができたわけでございまして、補助単価改善分と補助基準の引き上げ分と、それから単価の改定分と、三つの項目がございますが、単価の改定分等について、四十八年度と四十九年度と二カ年で、この実態調査によりましたものの処理をいたすということで進めておるわけでございます。  それから、わずかなものではございますけれども、実態調査いたしましたもの以外で、たとえば国保関係の保健婦の給与の引き上げというようなことも実行いたしました。  なお、これからあとどういうふうに実態調査をするかということでございますが、ただいまは一応この実態調査ができましたので、二年度で改善をいたしたい、こういう考えでございまして、これからあとのことにつきましては、また関係省と十分御相談をいたしたいと思っております。
  89. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 超過負担の問題については、いま大蔵大臣から答弁のあったとおりでありまするが、さっき御指摘の知事会が調査をした二千億というのは、事務費、人件費、すべての補助対象を含んでおるという意味で、いまお話のあったような六項目とは積算の基礎が全然違うわけでございますから、これは御了承を願いたいと思いますが、私どもも長い間代議士をしておりまして、全く政府の補助対象の計算基準というものが低過ぎる。もうこのことは市町村の大きな悩みでありまして、これはいっときも早く解消しなければならぬ大問題だというふうに痛感をいたしております。したがいまして、いま御指摘の人件費等を含む検討、調査も今後にかけて十分してまいりたいと思いまするし、なお、補助範囲の拡大という点等についても、今後十分検討をしてまいる決意でございます。
  90. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 厚生省所管の施設の分についての御質問にお答え申し上げます。  保育所でございますが、保育所は、御承知のように、地域住民が非常に希望するといったふうなこともありまして、こちらの補助単価におかまいなしに、と言っては失礼かもしれませんが、超過負担をしておるという実情が相当あったわけでございますが、さればといって、熱心のあまり超過負担をしていいということは許すべきものではない。そこで、大蔵大臣がさっきお述べになりました四十六年度の実態調査に基づきまして、保育所の単価の引き上げということに努力をいたしておるわけでございますが、四十七年度におきましては、収容する子供の数に応じ、さらにまた、木造でやるか、ブロックでやるかといったふうな構造別による定額制の補助単価をきめることにいたしまして、九十人収容のブロック構造につきましては、従来二百五十万の補助でございましたが、それを四十七年度では五百四十万に引き上げる。さらに、四十八年度につきましては、近く大蔵省、関係省とも相談いたしまして引き上げまして、超過負担の解消に努力をいたしたいと思います。  それから、ごみ処理などにつきましても、これは市町村の固有事務だからといって投げておくということはほんとうに適当ではないという考え方からいたしまして、従来トン当たり八十三万円でありましたのを、四十七年度では二百四十一万、それから四十八年度におきましては二百五十六万と、こういうふうに引き上げをきめておるわけでございます。今後とも、地元が熱心であるからといって投げておくわけにはまいりません。やはり、施設整備の基準と補助単価というものは一致させるように今後とも努力をいたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  91. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 厚生大臣からきわめて消極的な御意見を承ったわけですが、自治大臣大蔵大臣も、今後調査が完了後積極的にやろうじゃないかと言っているときに、厚生省の国の事務と最も関連があるもの、あるいは地方の固有事務を問わず、今日ある程度まで予算も増額して整備をしていこうという福祉施設、あるいは清掃、環境整備の施設その他はもっと積極的にやっていただきたい。道路五カ年計画とかというのはどんどん改定され、増額になっていきますけれども、地方自治体が保育所の整備計画というものを持たざるを得ないのですね。これは普遍的にあってこそ初めて地域住民の要望にこたえるわけなんですね。モデルじゃないのですね。厚生省の考え方は、保育所だとか、身障者の施設だとか、あるいは精薄の施設だとか、それがどのくらいの必要性があるかどうかということじゃなくて、モデル施設をつくれば事足れりという補助金政策ですね。これでは福祉社会といえないし、福祉が推進されたとはいえないですね。地方の計画に合わして、それにどう国が配慮するかというところで初めて福祉は前進するのですね。このために積極的にやっていただきたい。厚生省の予算が二兆円台を相当オーバーしたわけでありますけれども、実際は、そういうものは地方の要望とはほど遠いですね。しかも、ごみ処理だとか、あるいは屎尿処理にいたしましても、今日地方団体がどれほど苦労しているかということは大臣もおわかりだと思うのであります。その施設の用地を確保するだけでは事足りぬのですね。また、その地域の環境を整備するためには、どうしてもそれに付随した施設を整備するというような配慮がなければ、その地域の環境は整備できないのです。この点につきまして、再度お聞かせ願いたい。  なお、建設大臣に伺いたいが、環境施設の整備の関係、あるいは都市計画の町づくりの関係からいいましても、これは東京都だけではないです。各地方とも、そういったごみ処理施設をつくればいいのだ、屎尿処理施設をつくればいいのだというだけでは事足りぬのです。それに関連して、地域住民が利用する公共施設を付設をするという配慮が、これは当然地方公共団体としては必要になってくるのです。そういたしますと、都市計画段階で、屎尿処理施設といったものをつくる場合には当然配慮しなければならぬ。これは町づくりの一環からいっても重要な問題になってくる。それらはみんな地方の単独事業の中に実施をしなければならぬという現状なんです。これを両大臣からお答え願います。
  92. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 お答え申し上げますが、ことばが多少不十分であったかと思います。私が申し上げましたのは、固有事務であるから超過負担をしても投げておいてもいいというふうな考えは全然持っていない。むしろ、地方の実態に即しまして、施設整備の基準に合わせるように積極的に努力したいということを申し上げたのですが、ことばが多少不十分でございましたが、今後一そう積極的に努力いたしたいと思います。
  93. 金丸信

    ○金丸国務大臣 昭和四十六年度の調査によれば、超過負担が約八%あったわけでございますが、そこで、四十八年度、四十九年度、二カ年でこれを解消する予定で来年度予算に入れてあります。
  94. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 建設大臣にお聞きいたしましたのは、そのこと以上に、ごみや屎尿の処理場というものは、それだけつくればいいというものではないのだ。それに付設したものを地域住民のためにやらなければ生活環境はよくならぬ。また、それが親切な行政なんだ。都市計画の町づくりでもそういうことをやり、必要があればそれだけ補助金を拡大するとか、あるいはそれに対する特定財源を考えるとか、交付税の中で見るとか、そういったことも建設大臣としては考えなければいかぬのではないか。いわゆる町づくりの一環としての都市計画の中にそういった事業も加味するような配慮が必要じゃないかということをお尋ねしているわけです。
  95. 金丸信

    ○金丸国務大臣 都市づくりにつきましては、いろいろ配慮をいたさなければならぬことはたくさんあるわけでございますが、その配慮をする場合、自治体の非常な負担というものも考えなければならぬのは当然で、先生のおっしゃるとおり同感であります。
  96. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 この超過負担の問題は、国庫支出金が今後いろいろな意味でふえてまいると思うのでありますが、それに関連いたしまして、補助金のあり方を根本的に洗い直していただくということを強く要望いたしておきます。そして、地方自治体が積極的に仕事のできるように、単独事業を推進できますように御配慮願いたいと思います。  次に、先ほど大蔵大臣からもちょっと触れられたように、地方財政の転換といいますか、税源の配分その他を配慮する際に当然考えなければなりませんのは、行政事務の再配分だと思います。  労働大臣が私どものほうの党の関連で用事がおありのようでありますので労働大臣にお聞きいたしますが、行政事務の再配分という全般的な問題よりも、地方自治法で、自治法改正の際に地方事務官という制度ができまして、今日いまだに、国が人事権を持ち、実際の仕事は府県、市町村でしているというような制度が残されておるわけですね。厚生省の関係では主として社会保険に関連した問題で、労働省の関係では職安に関係した問題だと思うのでありますが、これは直ちに地方事務官制度を廃止するという方向大臣はお考えになっておりますか。
  97. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 山本議員の御質問の、地方事務官を県へ切りかえよ。これはいま御質問がなかったですけれども、時間の関係上、たぶんあとであろうと思いますので、お答えを、お尋ねより少し深く固めて申しますが、御承知のように、臨時行政調査会で、もう九年以上も前に、こうせよというような答申が出たのであります。また、これも山本議員が十分御承知と思いますが、四十三年に、三省庁の覚え書きで、地方事務官をひとつ移せということがあり、こういうようなことが二つの方面からありますので、山本さんはほんとうに温厚で、市長さんもなさって、地方の自治の問題にも詳しいので、私も、これはひとつ何とか新大臣としてやろうというので、臨時行政調査会に聞こうと思ったら、これは私はなはだ知識が足りませんでしたが、もうこれはないのだということでありまして、昨日も臨時行政調査会の答申の内容並びに三大臣の覚え書きはもう十分検討いたして――これは私の意見ではありませんが、しかし、世間では、役所の仕事を批判するのに、定員をふやすのは役所はなかなか理屈をつけてうまいが、減らすとなると、何だかんだと言って減らしたくないというような意見があるということをよくいいますが、そうであったらたいへんだと思いまして、役所なり、また、この二つを見まして十分検討いたしました。  賛成論の方は、いま御承知のように答申が出ておるから、これはやるのが当然だという賛成論者。ところが、反対のほうの意見も聞きますと、御承知のように、労働行政が最近は特に二つの県にまたがるというような関係で、広域的な労働行政をやらなくちゃならぬ、また、労働基準の問題で、これが全国同一な水準でいかなくちゃならぬというような反対の意見。賛否両論いろいろありまして、結論としては、いまさっそくこれをやるというのは、私は意気込んだが、加藤といたしましても、いまさっそく結論を出すという段階でない。  また、三大臣の覚え書きでありますが、あの内容をきのう十分検討したのでありますが、三つの案件が骨子になって、この三つがセットされてできておる。これは山本議員が十分御承知と思いますが、その案件の一つは、地方の基準局を県へ移管せよということ、二つは、そうなると地建とか、通産局とか、海運局とか、陸運局というような地方ブロック局がありますが、労働省にはこれをなくすると何もなくなるので、いわゆるブロックの地方局をこしらえよというのが二つの問題で、三番目が、御承知のように、ブロック地方局ができると、地方事務官を移管せよということ、これが三大臣の四十三年度の覚え書きであります。  かような点からいろいろ考えると、意気込んだが、さっそくこの地方局をいま設置するとなると、御承知のようにいろいろな政治情勢があって、もう地方の役所をふやすのはいかぬというようななかなか困難な問題もあります。しかし、この論は、私は一つの論だと思いますので、山本議員の御意見を、これはおじょうずでなく、ほんとうに尊重いたしまして、関係の省庁ともよく協議いたしまして、御意見に沿うように、十分慎重に、そして早くこれを実行に移すように研究いたしたいと思います。  総評と同盟、四団体と、一時十何分に会うので、御質問の以外を、少しオーバーいたしまして御返答いたしまして相すみません。どうぞよろしく。
  98. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 労働省の所管の職安なんかも、現実に知事の傘下で仕事をしているわけですね。早くきめていただきます。いつまでも自治法改正の残滓が残っておるなんというのはおかしなことでして、人事権と実際の仕事の上における指導権とが分かれるということじゃなくて、慎重でも、これは検討し尽くしている問題だと思います。早急に決定していただきたい。答弁はけっこうでございますから、早急に検討して実現をしていただきたいと思います。  それで、地方財政と関連いたしました行政事務の再配分につきましては、これは福田大臣はよく御存じだと思うのでありますが、行政管理庁もこれにつきましてはいろいろと、ことに臨時行政調査会等におきましても、行政事務の再配分につきましては、長時間かけて作業を進めてまいりまして、その後さっぱり進まないのですね。今日、行政の総合的な運営とか民主的な運営というものが必要であることは当然でありまして、それは末端市町村でやれることは極力これにおろす、それでできないものを府県、国に残す、こういう考え方に立って答申もなされておることは御承知のとおりであります。したがって、この行政事務の再配分は、財源の再配分とも関連しておるわけであります。しかも、この答申は、地方制度調査会も同様でありまして、事務の配分と財政の一致、あるいは責任の所在を明確化するというような、まことに適切な答申であり、これは地方制度調査会も何回も答申をしておりますし、それから、行政管理庁の臨時行政調査会も、これは一つの労作の一部として私はとっておるわけでありますが、これまた何としても進まないのです。有力な福田大臣御在任中に、大蔵大臣もやっておられましたので、行政事務の再配分と関連をして、そしてこの問題を積極的に検討をして、財源の配分は経済社会基本計画からいっても急がなければいけませんので、当然行政事務の再配分もそれに関連して配分をするとなれば、急がなければならぬ問題だと思います。  それに関連いたしまして、先ほどの労働省所管の職安事務、あるいは厚生省所管の保険事務、あるいは運輸省所管の陸運事務所の関係事務、これらも当然早く解決をしまして、地方事務官制度などはもう早く解消すべきではないか。そのことが、人事権と職務上の指導権が一致いたしまして、能率があがるわけなんです。  この件につきまして、福田大臣、自治大臣それから関係大臣の御意見を、時間がだいぶ迫ってまいりましたので、簡潔にお聞かせ願いたいと思います。
  99. 福田一

    福田国務大臣 お話しのように、行政事務の中央地方の再配分の問題、また、事務官制度の存廃の問題、これは相関連する問題でございます。私ども行政管理庁といたしましては、臨時行政調査会の答申を尊重するというたてまえでやっておるわけでありますが、まず、行政事務の再配分の問題につきましては、自治省が中心になりまして、鋭意これが検討を続けておるわけでありまして、自治省の見解では、大体問題になる案件が九十一あると、こう言うのです。それを逐次片づけるということでございますが、率直に申し上げまして、この処理は、まだそうてきぱきと進んでおる状態ではない。二十数件が解決されておるだけで、大部分がまだ残っておる、こういう状態でございます。  それから、もう一つの事務官制度の存廃の問題でございますが、これは運輸省の関連、陸運事務所ですね。これはある程度の前進を見つつあるわけでありますが、労働省、厚生省の関係はなかなかむずかしい。ところが、いま労働大臣から、非常に積極的にこれを解決するという御意見の表明がありましたので、私もたいへん心強く存じておる次第でございますが、労働大臣とも相談し、また自治大臣とも協議いたしまして、進めることができるかなあと、いまこういうような感触を持った次第でございます。なかなかいろいろ複雑な問題があるようであります。  それから、厚生省の問題につきましては、これは医療制度の抜本的改革の問題があるわけであります。これとひっからまる。そういうことで、その抜本改正の成り行きというものを見ておるわけでございまするけれども、いずれにいたしましても、行政管理庁といたしましては、臨時行政調査会の答申を尊重するというたてまえを堅持しておりますので、関係各省と協議いたしまして、御趣旨の線を進めてみたい、かように考えております。
  100. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 行政事務というものは、なるべく住民の関係の深い密接なところで処理されることが望ましいと、自治省としてはこういう観点に立っております。したがいまして、昭和四十三年の八月に、こういった行政事務の市町村への再配分といいますか、分担といいますか、合理化方途については、行政改革本部に、自治省案というものを、御承知のように提出いたしております。  いま福田大臣から御説明がありましたように、いろいろ事情は多岐にわたり複雑であることは、私どもも十分わかっておりますが、これは福田実力大臣に、快刀乱麻を断つように、解決するものはやはり解決してもらうということでありませんと、じんぜんいつまでたってもそのままということになりまするし、さっき労働大臣もだいぶ積極的に発言しておりましたので、閣内で相談をし合いながら、結論を見出すように努力をしてまいりたいと思います。
  101. 齋藤邦吉

    ○齋藤国務大臣 厚生省関係の社会保険の職員の地方事務官の問題でございますが、これは、知事の職務上の指揮下にありまする関係上、待遇問題でいろいろ問題があります。そういう面で、もうやめたらどうだという意見が強く出されておることは御承知のとおりでございます。また一面、保険制度というものが、医療保険、年金、同じでございますが、全国的、統一的な、画一的な運営をしなければならぬという面からいうと、国と地方の事務の配分からいってどうであろうか、こういう意見があるわけでございます。私としても、どっちがいいのか、実際のところ、率直に言まして、非常にむずかしい問題で、悩んでおります。悩んでおりますが、三大臣の調整の案等もありますので、十分慎重にひとつ検討さしていただきたいと思う次第でございます。
  102. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 簡単にお答えいたします。  運輸省関係の問題につきましては、御承知のように、四十三年に三省の覚え書きができておりまして、われわれのほうは、それを誠実に守っておるつもりでございます。私は、端的に申し上げますと、運輸行政、交通行政というものは、やはり全国統一して、一つの基準をもって進めていかないとばらばらになりまして、非常に混乱するのじゃないかと思います。そこで、そういうことを趣旨にして三省間の覚え書きができておると思います。ただ、自治省との間におきましては、福田行管長官がお答えになりましたように、われわれは誠意をもちまして、各府県との間にどういう具体的な事務が移管できるかということにつきまして、事務当局間で鋭意折衝しているということでございます。御了承いただきたい。
  103. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 時間が迫ってまいりましたので、私は、あと三点お聞きしたかったのでありますが、一括簡単に御質問をいたしますので、結論だけお答え願いたいと思います。  一つは、地方公営企業の問題であります。このことは、大都市における水道あるいは病院もやがてはそうなると思いますが、ことに大都市の交通につきましては、これはもう一地方公共団体の企業的な運営ではできない。住民の足を確保するという問題からいくと、これは当然国、公共団体で考えていかなければいけない。すでに、欧州の先進諸国におきましては、ほとんど国でもって交通機関を運営しているという例は多いんです。今回再建法案が出るようでありますが、過去の再建債、八年かかって再建できなかったものをさらに十五年で再建しようということですけれども、これは多少優遇しておりますけれども、依然として従来の考え方を踏襲したにすぎないわけであります。そこで私は、公営企業の考え方を、いわばこれは必要な施設であるという考え方に立って、独算制を廃止する、あるいは運賃も、企業の採算、いわゆる原価計算でやるというようなことも、これはほんとうに適正な運賃というものをきめることになると思うが、どうか。それからもう一点は、地方従事員も、一般公務員並みの待遇を確保しなければいかぬときですね。それからもう一つは、大都市の交通で、こまかい点まで、たとえば運賃を決定するとか、その他バス運行に関連いたしましても、一々運輸省の許可を受けなければならぬというような問題、これらはもう大都市にまかすべきではないか。この三点につきましてお尋ねをいたしたいが、いずれ委員会等もございますので、その際詳しく論議を進めていきたいと思います。  それから、次の一点は過疎対策でございますが、この過疎対策は、私ども議員立法いたしましていろいろ対策を講じておる。過疎債等で配慮をしておる。その中で私、気になりますことは、今日、国の行政の、いわゆる企業能率をあげるということから、過疎の実態を無視する傾向がある。一、二の例をあげますと、小さな問題でありますが、住民の権利義務と密接な関係のある登記所も、これは二人以下の登記所は廃止をする。あるいは国有林が赤字になる。いままでは、ああいう事業は国の一般会計に寄与しておったわけでありますが、これが赤字になりますと今度は縮小をやる。いままで、山村地帯の住民の定着と、それに関連いたしました重要な林野行政が、国の合理化によって過疎を促進するという、これは二つ例を申し上げたのですが、これらは、その事務の重要性から考えて、積極的な過疎対策をして、山村における林野庁の従来の業務以上に、関連し、総合的なものを、市町村との協力のもとに過疎の解消に役立てる。今日、警察だけはどこの村々にも駐在所があるわけでございますが、先ほどの登記所みたいに、権利義務の関係の深いものは、これはある程度まで残しておく。そうして今日、過疎バスが足がなくなる、あるいは無人駅ができるというような中で、これは当然国の配慮として見直していかなければならぬと私は思うのであります。この点につきまして、関係大臣をお呼びして聞きたいと思ったのですが、局部的な問題でありますので、地方自治と関連します自治大臣から一応の方向をお聞かせ願いたいと思います。  それから、もう一点は土地対策。これは先ほど詳しく論議されたわけであります。私は昨年、公有地の拡大促進法の際にも申し上げたのでありますが、もうそのときには地価は上がり、買い占めが進められておったのでありまして、これでは逆に大企業による土地の買い占めを推進する法案になるという心配がある。しかし、一応前向きでやりましたので、これには私どもの党も賛成したわけでありますが、この例からいっても、建設省が実効があがるといっておった公示価格等も役に立たない。資料もいただいておりますが、これは昨年九月から施行したために、まだ実例は少ないわけでありますが、ほとんどこれが効果があがっていないということであります。これは大臣にもそういったことを十分調査を願いまして、今回いろいろ問題になっております土地対策として、税問題につきましても、私どもいろいろ意見がございますけれども、とりあえず、迷わずに、やはり買い手のほうから許可制ということでぶつけていくという英断をしなければ土地問題は解決しない。これは総合的に手を打たなければならぬ問題でありますが、いまみたいに、法案ができましても、本年はやはり野放しだというような考え方では、これは実効はあがらない。このことにつきまして、建設大臣は、住宅だとか、その他道路だとか、直接国有地、公有地を確保するために重要な事業遂行上の関連があるわけでありますから、経済企画庁長官等関係閣僚で推進しておられると思いますが、あくまで許可制を強く推進し、従来の公有地拡大推進法の法律の実績等を踏まえて主張願いたい。  以上五点につきまして、簡単でございましたが、関係大臣から御答弁をいただきまして、私の質問を終わります。
  104. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 公営交通事業の経営の悪化、これは、都市構造の変化、路面渋滞、企業環境の悪化ということで、だんだんここへ来てしまいました。一方、毎年の給与改定による人件費の大幅な上昇、地下鉄の場合は建設費に伴う資本費の増高、こういうわけで、政府におきましても、今回は相当な助成方途を講じ、たとえば元利それぞれのたな上げとか、補給とか、これは法案によって詳しく御審議を願うことになるわけでありまするが、政府は政府として相当な措置をいたしておりまするが、そうかといって、全部これを国で見ろということになりましても、もともとこれらの助成方途そのものが国民の税金であります。しからば、一体、利益を受ける国民の側、いわゆる乗客の側はどうするべきか。これなどは、当然住民の利益享受の立場から負担をするということも、これは企業の原則でございまするから無視するわけにはまいらないと思いまするが、その比率をどういうふうに今後展開していくのか。それぞれの都市責任者においても、これは企業でありまする以上、十分合理化を考えていただかなければならぬと思います。まあ、今度新しく法案で提示いたしまする程度のものが、政府としては、一応できる限りの措置をしたものというふうに考えております。それ以上のことになりまする以上は、やはり、企業体の責任者においても、これを合理化し、整備をし、また、今後の対策等について、国民が納得し得るような経営方途を出していただく努力も十分払っていただかなければならぬというふうに考えております。  それから、独立採算の問題でございまするが、交通事業等におきましては、私どもは、その便利を享受する者がやはり応分の負担をすべきであるという考え方に立っております。特に、都会地の場合、その都市の一般財源で赤字を全部補てんしていくというようなことになりますると、市街地から通勤してくる者の利便のために、いわゆる長距離通勤者の市内に入ってからの交通事業の利用というような場合に、一体この負担比率をどう押え、その公平をどうとらえていくかというような根本的な問題も残されておるわけでありまして、必ずしも独立採算を無視するということはできにくいものがございます。しかし、上水道その他一般会計から補てんしていい性格のものもあるわけでございまして、これらについては、御趣旨の線に沿う努力を続けてまいりたいというふうに思っております。  それから、過疎地域における各種公共施設の問題等につきましては、過疎債、辺地債、こういったものを大幅に増額して今日に至っております。しかも、元利償還は大体その七〇%、八〇%程度までも交付金で見ておるというような実情でありまするが、なお実情に合うような姿でひとつ措置をしてまいりたいと思っております。
  105. 金丸信

    ○金丸国務大臣 公有地の拡大法に関するこの問題に関しまして、先生から許可制にしろというお話があるわけでございますが、わが党の中にもそういう考えを持っている人もあります。しかし、これが時限立法でないというところに一つの問題点もあるという考え方もあるわけでございまして、私個人にも一つの考え方がありますが、ただ、法律はつくったけれども、かご抜けになるような法律であってはならない。  ただいま慎重に検討いたしておりますので、十分検討して、御期待に沿うようにいたしたいと考えております。以上。
  106. 根本龍太郎

    ○根本委員長 これにて山本君の質疑は終了いたしました。  午後二時より再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後一時二十分休憩      ――――◇―――――    午後二時七分開議
  107. 根本龍太郎

    ○根本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、分科会の件についておはかりいたします。  理事会の協議によりまして、昭和四十八年度総予算審査のため、五個の分科会に分かつこととし、分科会の区分は、第一分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、総理府及び法務省並びに他の分科会の所管以外の事項。なお、総理府については、経済企画庁を除くことにいたします。第二分科会は、外務省、大蔵省及び文部省所管。第三分科会は、厚生省、労働省及び自治省所管。第四分科会は、経済企画庁、農林省及び通商産業省所管。第五分科会は、運輸省、郵政省及び建設省所管。  以上のとおりといたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 根本龍太郎

    ○根本委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  次に、分科会の分科員の配置及び主査の選任、また、委員の異動に伴う分科員の補欠選任並びに主査の辞任及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 根本龍太郎

    ○根本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ――――◇―――――
  110. 根本龍太郎

    ○根本委員長 質疑を続行いたします。湯山勇君。
  111. 湯山勇

    湯山委員 私は、主として農業問題を中心にしてお尋ねをいたしたいと思います。  世界食糧の危機というものがいろいろいわれておりますし、容易ならぬ情勢であるということは、現実の状態を見ましてもおわかりのとおりだと思います。そういう中にあって、日本農業がどういう状態にあるかということにつきましては、もうすでにいろいろ御指摘がございましたが、米はやはり生産調整を続けていく。選択的拡大の果樹につきましても、ミカンは豊作で、この暴落を一体どうしていくか。あるいは同じ選択的拡大の対象であった畜産、これが畜産の危機突破大会というのをやらなければならない。一方、国民生活の面では大豆の異常な値上がり、とうふ、みそ、そういもうのを一体どうするかというような問題から、モチ米が足りないというようなこと。そして木材もまた足りなくて、これはたいへんだというような事態。  こういう状態で、農業をやっている農民のほうは一体どうなのか。所得の均衡をはかるといっておった基本法農政、これができないために出かせぎをしなければならない。その出かせぎの行き先というものは非常に不安定な職場であって、労災事故も非常に多い。昨年、基準法適用の事業場においてさえも二百六十名をこえる事故死があったというようなこと。そしてそういうことから、出かせぎに行くのをやめてほしいというようなことで農家の主婦が自殺する。農業の負担というものは、出かせぎの反面に主婦の労働を非常に重くいたしまして、農家の主婦の七〇%は農夫症にかかっている。しかしそれを、事前に健康診断をしていって予防するというような手段は講じられていない。いろいろ見てまいりますと、これは日本農業にとってはいまだかつてないたいへんな危機であるということも決して過言ではないと思います。  そういう農政をあずかっておる農林省の役人の人たち、この人たちもまた同じように、農政に対して自信を喪失しまして、先般も、茨城県の食糧事務所の課長ですか、とにかく仕事に希望が持てなくなったというようなことで、他の要因もあったと思いますけれども、自殺をしたということも起こっております。こう見てくると、この課長だけの問題じゃなくて、現在の農林省の役人の人すべてが、農政に対しては自信を失っている、希望を失っている、そういう状態にまで立ち至っておるのではないか。  農林大臣が御就任になってまず取り組んだ問題は、ミカンの暴落対策であり、畜産危機の突破の問題であり、そしてまた木材の不足であり、あるいは大豆の値上がり、こういった前向きものではなくて、うしろ向きのものとばかりずっと取り組んでおられて、そういう点からいえば、農林大臣にはたいへんお気の毒だというようにさえ思われる実情でございます。農林大臣は、いま御就任になって、これからの農政でこういった事態がなくなって、ほんとうに明るい希望の持てる農業というものが、はたして一体実現できるというようにお考えになっておられるかどうか、一応こういうことをお尋ねいたしたいと思います。  それから、大蔵大臣にもこの機会にお尋ねいたしたいのは、今回、四十八年度の予算がいま提案されておりますけれども、これらの予算というものは、これらの財政支出をすることによって、ほんとうに日本農業というものは明るい展望が開かれてくるというようにお考えなのか、農林予算というものはどうもおもしろくないなというようなお感じなのか、率直に伺いたいと思います。
  112. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 湯山委員から、暗い面からの現実の農政についての御指摘があったわけでございます。私も、御指摘になられました一つ一つの事実を否定するわけではございません。しかし、農業基本法制定以来の農政の歩みを見まして、全然うしろ向きのことばかりであったか、こう検討してみまするならば、それなりの成果をあげてきておるという事実も認めなければならないと思うのであります。  そういうことでございまするので、これから湯山委員から具体的にいろいろお尋ねがあると思うので、それにつれて私も率直に申し述べたいと思いまするが、ただ御指摘の中で、農林省の役人も農政に自信を喪失しておるのではないか、あるいはおことばはございませんでしたが、私にも、ミカンであるとか大豆であるとか木材であるとか、そういうようなことに追われておって、一体前途に明るい感じを持っておるのかというお気持ちを含んでのお尋ねであったと思います。  私も就任以来、こういう事態に次々と直面をいたしまして、いま一番大事なことは農民の皆さんが、また農村の全体の空気というものが、国の政治に対して批判だけでなく、何か期待のできるものがあるようにつとめなければならない、こういうことで、そういう心境で鋭意動いてまいりました。また農林省内におきましても、こういう大きないろいろな問題があるだけに、この難関を突破していくならば日本の農政は希望の持てる展開ができるのである、そういうふうに持っていかなければならない、そういうところに努力をしようということで、省をあげて、こん然一体として鋭意つとめておる次第でございまして、このあと湯山委員の具体的な問題については、またお答えを申し上げたいと思います。
  113. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 財政当局といたしましても、なかなかむずかしい問題でございますけれども日本農業を何とかよくしたいという気持ちで、予算や財投の編成に当たっておるつもりでございます。  項目別にこまごまと申し上げるまでもないと思いますけれども、四つの重点を置いておるつもりであります。一つは農業生産の選択的の拡大、一つは農業の生産性の向上、一つは農業構造の改善、一つは農産物の価格の安定。それから予算全体の構成についてよくこういう御批判を受けるわけでございます。食管制度関係以外からいうと予算が少ないではないかという御指摘を受けることもございますけれども、実は農林水産全般、それから農村の生活環境の整備、あるいは水産関係あるいは国際関係というようなことになりますと、いわゆる農林省所管だけではない、ほかの省の所管の中にも相当の予算が組まれておる。こういう点を御理解いただけますと、予算の上におきましても相当の努力をしているということはお認めいただけるのではなかろうか、こう考えております。
  114. 湯山勇

    湯山委員 いま両大臣から御答弁ございましたが、部分的に明るい面がないということを申し上げたわけではなくて、全体としてそういうことを申し上げたので、いま大蔵大臣のおっしゃった構造改善、本来これは基盤の拡大ということが重点であったと思います。これはほとんどできていない。選択的拡大も、いまのように畜産が危機であるし、そしてミカンはこれまた危機を訴えているということですから、はたしてそれを評価していいかどうか、私は問題であると思いますので、これはまた追ってお尋ねすることにいたします。  まず第一は、中心になっている米の生産調整の問題ですが、米が余っているということは、私は、いまの世界食糧情勢その他から見て、日本の一つの強みであるという評価ができるのではないかというように思います。いま米が余っておれば、たとえば米の足りない、食糧の足りないところへ協力の形で送っていくというようなこと、これは施政方針で総理大臣もおっしゃった国際協力の立場からもいま非常に重要なことであって、それは国内価格と国際価格との差が云々ということもありますけれども日本の米がどういう状態にあるかということは、これは簡単に理解のできることであって、そういうふうに回していけば、それはまた新たな国際協力の場ができるわけです。しかし、世界じゅうがいま食糧不足を訴えておるときに、つくれる条件にあるのをつくらないで、つくらないために奨励金などを出して、なおかつ諸外国に対して、特にアメリカに対して、ひとつ小麦をよこせとかあるいはえさをよこせとか、そういうことは、これは逆にいえば、海外へ行っておる商社の側もエコノミックアニマルといわれおるでしょうけれども日本政府のやり方自体もやはりエコノミックアニマルのやり方であって、新たな観点からいえば、そういった面での、つまり余った米についてはあるいは売り渡すなりあるいは贈与するなり、そういう方法での誠意のこもった国際協力、お葬式に花輪を出すというような式じゃなくて、実のある国際協力、そういうことがあって、日本が困ったときにまた援助を受けるということもあるのであって、米が余っているということをそんなに負担に感じる必要もないし、そしてまた、米征伐のためにばく大な政府の資金を出すという必要も私はないと思いますけれども、これは簡単にひとつ御所見を伺いたいと思います。
  115. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 昨年の不作の実情などから食糧問題を考えていきますときに、稲作が日本は順調にいったということは、まことに幸いであったと思うのであります。しかし、湯山委員はもう百も承知で御質問になっておると思うのですが、四十六会計年度で六百二十七万トンも過剰米をかかえておった当時のことを考えますならば、その当時の農村におきまして、倉庫に米があふれて、これをどうするのかというような事態に直面したことを考えてまいりますならば、やはり一応の生産調整の必要があったのではないか。現在大体四十八年度で、過剰米もわずかの原料米を残すだけで処理が済むのでございますから、この時点に立ちますならば、私どもが主張しておる適地適作による合理的な稲作を大いにやる、そういう方向へだんだん考えを変えていってもよろしいと思うのでありますが、非常に過剰米をかかえておったときのことをも振り返って考えていただきまして、一がいに生産調整はもう必要はないんだ、こういう結論に至らないようにしていただきたい、こう思います。
  116. 湯山勇

    湯山委員 私はそういうことに対して、こういう生産調整という方法しかないかどうかということについての検討がもっとあっていいと思います。  そこで、生産調整というのが財政上の見地だけから議論されるというところに問題があると思いますので、別途この問題について伺いたいと思うのですが、たとえば学校給食です。学校給食というのは、単に食糧が足りないのを埋めていくというのではなくて、昭和二十九年にこれは改正しまして、教育の一環として学校給食はやるのだということになったことはもう申し上げるまでもないと思います。ところが、いまのようなことで、一体教育の一環としての学校給食ができるかどうか。これは文部大臣にもお尋ねしたいのですが、米が余っているのに、一体なぜ外国食糧で学校給食をやらなければならないか。そういう国はおそらくないと思います。こういう点が一つあると思うのです。  それから、いま農林大臣は、減反、生産調整の必要を言われましたが、しかし、その生産調整をやられているために父親は出かせぎに行かなければならない、そういう家庭も決して少なくないと思います。今度秋田県で農家の主婦の自殺の問題がありましたが、これも同じようなケースだと思います。そうすると、そういう形で出かせぎをすれば、家庭としては父親のいないという不正常な状態になってきている。まして父親の出かせぎ先というものは、いまのように非常に危険の多い状態である。こういうことを見ていって、一体これは好ましい状態なのかどうなのか。  それからまた一方、休耕奨励金の問題です。たんぼを荒らして、草の茂るのにまかしておいて、それでいて奨励金、奨励の補助が受けられる。こういうことになりますと、結局なまけている人にほうびが出る、こういうことになってくる。中には一人が二反、三反というのはめんどうだから、自分のうちをごっそり休耕しようというような人もあったと聞いておりますが、三ヘクタールばかり休耕すれば百万の金が入ってくる。つまりなまけている人に、働かない人にそういう形で奨励金を出すということになれば、勤労はとうといものだということを教育しなければならないそういう教育の見地から、一体どうなるのでしょう。勤労感謝の日というのはありますけれども、これはそれぞれその意義を説明しなければならない、教育に役立てなければならないが、一体これをどう説明するのでしょうか。  そう見てくると、文部大臣、とにかくこういうやり方というのは教育上決していいことはないということになるでしょう。大蔵大臣も文部大臣をしておられたのですから、あなたはこのことはよくおわかりのはずです。まして外国の小麦を食べさせるために補助まで出している。昨年までは百グラムに六十円ぐらいでしたか、ことしは何か形を変えて出しておりますけれども、それへ向けて、とにかく十億に余る金が出ておる。こういうことが一体すなおに受け入れられますか。この十億円なんて、こんな金こそ、それはそれなりの役目を果たしておるかもしれませんが、要らぬ金だと言えば言えるのじゃないでしょうか。文部大臣から承りたいと思います。
  117. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 学校給食の問題ですが、学校給食が始まりましたのは、昭和二十五年にガリオア資金によりまして小麦粉の供給を受けたことに始まるようでございます。当時は米が不足しておりました。同時にまたパン食が栄養上効果が多いというようなことで、パン食による学校給食が普及してまいったわけでございます。その後米の生産も増大してまいったこともございまして、文部省におきましては、米飯によります場合には栄養のバランスの問題がございますので、学校の設置者がそういう点も判断した上で、自由に、いずれを選ぶかきめてほしいということにしておるようでございます。実際問題として、しかしお米を使うことについてのいろいろな問題点がございますので、なかなか普及しないというのが現状でございます。  なお、農業を行なわないで奨励金をもらうという問題、私は、やはり基本的には、将来の農業に生きがいを感ずるというようなあり方が一番望ましいというふうに考えておるわけでございまして、農業プロパーの政策の問題につきましては、私から特に批判がましいことは避けさせてほしいと思います。いま申し上げましたように、あくまでも生きがいを感ずるような農業施策で進めていきたいというように考えておるものでございます。
  118. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 やはり国の政策として生産調整をやるということに相なったわけでございますから、そういったことを含めて、そして選択的拡大というような政策もあわせ行なわれるわけでございますから、その全体を込めて、農業生産に対する勤労の感謝ということは、私は意義があると思います。
  119. 湯山勇

    湯山委員 農家の子供は、自分がメリケン粉の給食を食べているということ、それは極端に言えばちようど親の首を絞めているようなものです。それで一体そのことが教育になるかどうか、こういうことを聞いておるのです。それから、全体というのではなくて、個々の農家で、いまのように働かないで報奨金をもらっている、こういうこと、これが一体教育になるかどうか、こういうことをお聞きしておるわけですから、文部大臣どうですか。
  120. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 先ほどもちょっと触れましたように、あくまでも農業に意欲を感ずる農業活動、そのことが子供の教育問題にもからみまして大切なことだ、かように考えているわけであります。
  121. 湯山勇

    湯山委員 これはまあ当然だと思いますし、それからそのために十億をこえる金を出すというようなこと。私は給食の補助は悪いとは申しません。いまのようなときに、苦しい中から地方の自治体がミカンのジュースの給食をする、ミカンの給食をする、こういうことになら、百億出しても二百億出しても、それは生きた金です。しかしいま、一体メリケン粉に、十億にもしろ十二億にもしろ補助を出す、そんな金が生きた金だと思われるならば、私はこれはたいへんな問題だと思いますが、御答弁は要りません。大蔵大臣は文部大臣をなさってよくおわかりでしょうから。  さて、そこで問題は米の自給です。一体、主食ということばを農林省も使っておりますが、米というような一部のものではなくて、日本の国民の主食という観点からの主食の自給というのは、農林大臣はどのようにお考えでしょうか。
  122. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 日本国民にとって主食といわれておるのでありますから、文字どおり自給が確保されることが必要なのでございまして、幸いにいたしまして自給関係は一〇〇%満たされておるということで、米に関する限り、農村の努力に対して国民に感謝をしていただきたいと思います。
  123. 湯山勇

    湯山委員 主食の自給
  124. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 主食の自給につきましては、麦類等を頭に置いてのお尋ねであろうと思うのであります。これにつきましては、でき得る限り国内での自給が望ましいとは思いまするが、しかし、国際的に見まして非常に価格の差がある。そういうようなことをも考えていきまするときに、ある程度の輸入というものも、決してこれをはずして考えるべきものではない。私はやはり、いま日本がこうやって受けておる国際環境、国際的に食糧天候不順でできなかったというようなことをも考えていきますときに、日本でもまた、そういう不作であるという場合もあるというようなことを考えると、ある程度の国際協力的な見地を頭に置く、そういう時勢であると思うのです。一切がっさい、もう主食という以上は米でも麦でもみな国内だけでやれ、こういう方針はいかがかと思うので、ある弾力性は持っておっていいのじゃないか、こう思います。
  125. 湯山勇

    湯山委員 主食の自給率はどれぐらいと見ておられますか。
  126. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 米については言うまでもなく一〇〇%でございまするが、麦につきましては、これを大体二、三割見当の目標で今後の十年間を考えておる次第でございます。
  127. 湯山勇

    湯山委員 両方合わせて、主食の必要量が幾らで、そして米と小麦で幾ら、その自給率はこれだけという数字はありませんか。
  128. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これは五十七年の需要量に対する生産量の割合でございまするが、この試算によりますると、米のほうは一〇〇%、小麦は八%、大麦、裸麦は二五%、こういうような数字に相なっております。
  129. 湯山勇

    湯山委員 これは重要な問題で、主食としてどれだけが自給できているかということがつかめていないのです、大臣の御答弁では。それじゃ農政はできない。ただ、米が一〇〇%自給できるとか、そういうことだけで安易に生産調整をやるということは間違いです。FAOにしたって、これからやはり地域的な自給をはかっていくようにということだし、大臣もしばしば自給は高めていくということを言っておられた。いまこういう事態になって、主食の自給率がどれだけかということがわからない、これでは私はだめだと思います。小麦と米というものは主食として代替可能な含水炭素ですから、そういうことを含めて、学校給食で米をやったらどうかということから、試験研究という名目で食管法の特例ですか、財政法十二条の特例ですか、特例で一億ばかり、千トン余りの米を出しています。もう何年もやっておるはずですけれども、その結果、一体小麦の代替を米でやるということについての研究、それは完了いたしましたが、どれだけこれについて成果があがったか。もし、ただ米も給食にやるんだという口実だけでやっておる、そういうことなら、これはやっぱり生きた金じゃありません。この点いかがですか。
  130. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 湯山委員お尋ねは、なかなかデリケートなむずかしいところがあると思うのですね。主食とこう言って、実際上はあるいはそういうお気持ちがあると思うのです。米だけで済ませることも済ませると私は思うのです。したがって、私は先ほど、こういう国際的な開放された日本ということで、国際協力も頭に置いておく、そういう時勢だとは申しましたが、私どもの責任としては、どういう場合にありましても主食が確保されることが好ましい、こういうことになってまいりますると、いまの稲作の状況というものは、それに応ずるだけの農生産の状況にあると思うのでございます。  それから、学校給食についてのお尋ねにつきましては、いわば私ども立場から言えば、米の需給の現状からしてできるだけ多く使ってもらいたい、こう思うのでありまするが、しかし給食の基本の方針が、先ほど文部大臣からも言われております学童の健康というようなことからも、いたずらにでん粉食に偏してもいかがか。そういう点からいくと、パン食などでいわゆる副食などを考えてやっていくような、そういう給食も理解ができるところであります。しかし、私どものほうとしては、湯山委員が先ほど御指摘のように、四十八年度で米加工品の実験校を含んで千五百三十六校、四十七年度での実績で千二百九校と、米飯だけを中心にするものが四十七年度百六十四校、四十八年度では二百十校、こういうことで、農林省立場からは、米食をもっとやってもらいたい、こういうことで実験校に米を無償で提供して協力をしておるという実情でございます。
  131. 湯山勇

    湯山委員 文部大臣にもお尋ねしたいので、さっき言われましたが、栄養の問題は農林大臣少しお考えが間違っているんです。小麦粉の場合は、脂肪分を補給したり糖分を入れたりして、そしてカロリーを高めておるのであって、小麦自体がそういうわけじゃありません。ですから、米の場合で言えば、小麦粉の百グラムに対して米を百三十グラムばかり使って、そしておかずでくふうしていけば、これはちっとも栄養の問題は関係ないことです。その辺はお間違いのないように。そうですね文部大臣。――けっこうです。そのとおりです。  ですから、ほんとにやるんならもっと徹底して米の給食をやる。そうすれば、出かせぎもしなくて済むし、片親がいないという、そういう変則な家庭もできないし、教育的にもそのほうがはるかにいいことは、もうだれが考えたってわかることです。ですからこれは本気でやるのなら、ひとつ本気でやってもらいたい。ただ三年も四年も同じような分量を同じようにやってやるのなら、これは研究じゃありません。研究でないとすれば、食管法にも違反するし、財政法にも違反する、そういうことです。こういうことをするのなら、えさだってただでお出しになっても、こういうことが許されるんなら私はいいと思う。やはり出してもいいわけです。一方は財政法でできないと言う。一方はそういう一向成果のあがらないことを続けておって、しかも研究というので無料にする。それは筋が通らない。しっかりひとつ米の給食をやるのならやると腹をきめてやってもらいたいと思います。  さて、それはそういうことを要望して、次に、ほんとに米が余っているかどうかという問題です。  四十六年が凶作であったということはさっき大臣もお話しになりましたが、いまからの需給です。四十八年の需給計画を拝見いたしました。しかし、これで四十六年のような凶作が二年続いたら一体米の需給はどうなりますか。二年凶作が続くということはないだろうということを言われますけれどもソ連など二年続いて小麦が不作であったということから大量の買い付けを行なっている。これはいろいろ天候その他影響大きいのですから、二年続いて凶作が続くということがないなどと言えば、これはちょっと楽観に過ぎると思います。絶対米は不足しないという保証ができますか、いまの計画を続けていって。これは農林大臣
  132. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 天候の関係でございまするから、絶対に不足をしない、こういうことは私も考えてはおりません。そこで、とりあえずのこの十月末、明年の十月末というものを考えていきますときに、これは数字をお示ししてあると思うのでありますが、五十万トンことしは持ち越す、明年は七十五万トン持ち越すと、こういう計画でございますが、その場合にもし明年不作である。過去における一番悪い指数をとりました場合でも、十一月当初にはすでにその年の生産の米が相当政府の手持ちになっておると思いまするので、おそらく明年平年作を下回るという場合においては、これは心配ないと思うのであります。しかしながら明後年はどうか、こういうことになってきますれば、私は現在やっておる生産調整は単年度、単年度で立てておりまするから、当然そこでは考慮する必要がある、こう思います。
  133. 湯山勇

    湯山委員 明年は、昔の米不足のときの早場米式な方法で何とかいく、もう一つ続けばこれは改めなければならないということ、私もそう思います。しかし、米の生産低下の要素というものは、ずいぶんいろいろなのがありまして、たとえば機械化、コンバインの使用によって、稲が倒れると作業が非常に困難になります。そこで穂肥という最後の肥料をやらないところが多いんです。これが収量に大きく影響を持ってきている。それから化学肥料の使用にたよるために、これは地力が低下するというようなこと。これらは、政府がお考えにならなくても、農民自身はもう考えておりまして、富山県、石川県あたりでは、わらを土地に還元するということを奨励して、これに補助金を出しております。先日も青森県では、もう水田を復元しなくちゃならないというので、反当三千円ばかり出すということについて農林省は何か文句を言っておるようですけれども、これは実態なんです。決して安易に減反が打ち切られたら直ちにもとの生産に復元するというようなことを考えては、たいへんな問題になるということ。  それから、いま一つの問題は、需給がかつかつになってきますと、いまの米の管理のしかた、それではまた別な大きい問題が起きると思います。それは現に、大豆とかモチ米とか、そういうものについて大手商社の買い占め、それがこういう状態を起こしているということ、これはもう御存じのとおりですが、米にだってそういう動きがないとは言えないと思います。現に、新潟のコシヒカリとか、あるいは宮城のササニシキ、こういうものに対してはかなり大手が大量の買い付けに回っている。そうなってくると、需給の総量は勘定は合っておっても、一部の買い占め、売り惜しみ、これは物統令が廃止になっていますから、そういうことが可能です。そういうことによる需給の不均衡、それによる値上がり、こういうこともいまの日本では考えないわけにはまいりません。  それから、小麦の輸入というものがはたして計画どおり、予定どおり入るか入らないか、私はこれも簡単に楽観はできないというように思います。というのは、きのうの新聞ですけれども、林野庁は木材の輸入を自主規制する、アメリカ日本に対して木材の輸出を禁止する法案を出すということが伝えられています。これは御存じと思います。日本は土地が余ってつくれる条件にあるにもかかわらずつくっていない、国際的にはもう直ちに困っているところもたくさんある、そういうようなこと。あるいは他の条件が出てくるかもしれませんけれども外国に依存している小麦というものは、決して安定した供給先ということにはならないと思います。そういうことを考えますと、私はこの生産調整というものは直ちにやめるべきだ、こういうことをひとつぜひ決断していただきたい。いまのようなやり方というものは、つくれるものをつくらないで、主食を外国から入れている。しかもなまけた人にほうびを出す。そのことが実際は農村の崩壊を一そう強めている。  こういうことを見てまいりますと、これは私は、いまの生産調整、米の減産、減反政策というものは後代の歴史に残る悪政じゃないか。後代の歴史家はおそらく、こういう悪政が昭和四十年代の末期にわが国にあったんだと言うに違いないと思うのです。いいですか。実際に米の需給から考えても、それからえさがこんなに不足しているという実態から考えても、教育的にも、そして社会的にも、この悪政は直ちに打ち切るべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  134. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 政府の基本姿勢としては、生産調整の際にでき得る限り転作をお願いしたい、こういうたてまえでございます。最初の生産調整をやるときには甲、乙、丙を差別がつけられない、画一的にならざるを得なかったということは、当時の情勢からやむを得なかったと思うのであります。しかし、その後はでき得る限り適地適作の方針をとっておる。四十八年度の生産調整は、三分の二ぐらいはそのほうに重点を置いておるわけでございまして、今回の転作の場合でも、これはおそらく湯山委員もお認めいただけると思うのですね。飼料作物に十二万ヘクタール、野菜に七万四千ヘクタール、豆類に九万八千ヘクタール等々と、こういうわけで、生産調整で政府の考えている転換を中心に、しかもいま言うようなことを奨励しておるということになると、これが必ずしもいけないということにはならないと思うのであります。  それから、御指摘のように、休田をすぐ米をつくるようにはいけない、これはそういう場合があると思うのです。私は実は湯山委員と共通の面があるのです。非常に心配しておって、ことしあたりの生産調整は、一応過剰傾向はまだ残っておるので、二百五万トンの生産調整はする、こういうことにしておりますが、私はこれを一つの目標といたしまして、画一的な減反のために非常に非能率的な虫食い状態のようなものがあって、それを、生産調整はあるけれども効率的にやるためにはどうだというような、それぞれの地域の実情というものが入ってくるならば、私は、適地適作という方針を一方にはとっておるのでありますから、その辺のことはよく考えていこうというわけで、生産調整が全くいけないように言われたのでは、私としてもたいへん立つ瀬がございませんので、一応お答え申し上げます。
  135. 湯山勇

    湯山委員 根本においては同じようなお考えであるということも、幾らかわかりました。そして、必ずしもいまの計画どおりやるんじゃなくて、状況によってこれは改めるということもおっしゃいましたけれども、しかし、とにかく私は、大蔵大臣もこういう予算を組むのはあまりさっぱりしないと思うのです。休耕報奨金などというものをお出しになるというようなのは、これはやっぱりあまりいいことじゃないと思います。それよりか、こうすればこうなるんだという、もっと希望の持てるようなところへ金を使ってほしいと思うのですが、そういうことを強く要望しますし、なお、しかし、四十八年度の特に休耕報奨を含めた転作については、まだ実施まで間がありますから、あらためて御検討いただきたいと思うのです。  さて、今度はえさ問題等を転作でひとつ進めるということですが、えさは確かに重要な問題であって、私はこのことに関連して、やはり日本農業の一番大きな欠点は経営規模が小さいということである。これはもう言い古されたことばです。農業基本法のねらいもそこにあったし、構造改善のねらいもそこにあった。しかしこれができていない。のみならず、ますますそれと逆な傾向。いまの生産調整による減反もそうですが、なお二毛作地帯の冬作放棄、これが非常に大きいと思います。一体、二毛作地帯で冬作をやっていない面積というのはどれくらいあるか、これは事務当局でもけっこうですが、ひとつ発表してもらいたいと思います。
  136. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 手元に資料がございますので申し上げますが、もし間違っておったら訂正をさせます。  農地面積のうち二毛作可能面積としては、昭和四十四年度に実施した土地改良総合計画補足調査により推定すると、関東以西の乾田約百二十三万ヘクタール、畑約八十七万ヘクタール、合計二百十万ヘクタール程度と見られております。一方、昭和四十七年産冬作作付面積は、田畑合計で六十六万ヘクタールでございます。ですから、この二百十万ヘクタールと六十六万ヘクタールとの差は遊んでおると申しましょうか、活用されておらないと申し上げていいんだと思います。
  137. 湯山勇

    湯山委員 まあ大体、大ざっぱに言えば百五十万ヘクタールが遊んでいるということになるかと思います。かりに麦をつくるとして、一ヘクタール当たり三トンということになると、百五十万ヘクタールあれば四百五十万トン、それだけ麦をえさにするとしても供給可能になってくる。これだけの土地を遊ばせておくというのは、どこか農政に欠陥があるということにはなりませんか。日本農業の最大の欠陥は経営規模が小さいからだ、そういう前提に立ってもなおかつ麦がつくれる。おそらくいまおっしゃったのは麦のつくれる地帯です。これを百五十万ヘクタールも一期作遊ばせておく、四百五十万トンの麦が生産できる、それをほうっておいて外国えさに依存する、そのこと自体何か農政に欠陥があるというようにはお感じになりませんか。
  138. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これがたびたびこの委員会でも御批判を受けました、高度成長経済に伴っての過疎地帯ができたとか、先ほどもお話がございました、出かせぎに三十四万ぐらいが農村関係だけであると思うのでありますが、そういうような事態を起こしたとかいうことで、これはやはり二毛作をやるよりもよりよい収入の場所がある、こういうことが原因であったと思うのであります。まあ、そういうことから現在、農工一体の農村づくりであるとか、あるいは農村の環境整備をよくしてあまり離農しないようにしようじゃないかとか、いろいろなことを考えておる次第でございますが、一応原因を申し上げると、そういうところにあろうかと思います。
  139. 湯山勇

    湯山委員 確かに今日までの高度成長政策というものが、こういうふうにしたという農林大臣の御指摘は私も正しいと思います。水田を一ヘクタールつくっておるのと、いま公務員で四万の給料を取っておる者との年間収入というのは大体とんとんです、総理府の統計で見ましても。もとでいえば、一町歩米をつくっている農家というのは、決して貧農じゃありません。それと四万の給料取りとが同じような状態で、農工一体というので地方へ工場を持っていったとしても、給料を五万以上出せば農業もやる人はありません。ですから、日本列島改造で農工一体で農業が立っていくようにする、そういう甘い考えではとても農業は立ち直りません。  このことはなおまたあとお尋ねするとして、結局冬作をやらないというのは値段が安いからで、所得の均衡ができないというところに大きな原因があります。そこで、いまのような自給度を高めていく、農地を活用するという点からいっても、私は価格政策というものをもっとしっかり確立しなければならないということを申し上げたいと思います。  現在、七割の農作物には価格保障制度があるというけれども、これは全くまちまちです、でたらめです。米だって、当初パリティであったものが生産費所得補償で積み上げになり、今度はまた指数方式になり、農家は計算できない。それからいま問題の大豆、これもいまのような観点に立てば自給可能ですが、これだって補給交付金制度というようなものがあるし、あるいは卵なんかは差額補償だし、その価格保障のしかたというのはまちまちで、決して正しい保障になっていません。  いま暴落で困っているミカンの価格安定対策などというものは、ちょっと普通の人にわからないと思います。たとえばミカンの最低基準価格を上げてくれという陳情と、最低基準価格を下げてくれという陳情と、二通りあります。中には一方を書いておって消して直したのもあります。一体最低基準価格を上げることを生産者は望んでいるのか、最低基準価格を下げることを耕作農民は望んでいるか、農林大臣はおわかりでしょうけれども大蔵大臣はおわかりにならぬでしょう。どうですか。
  140. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 もう少しよくお話を伺わないと正確には理解できないと思いますけれども、価格支持政策に対する要望というものがありますこと、あるいはそれに対する考え方はわれわれまた別に持っておりますけれども、価格支持政策あるいは保障政策という問題の所在は、よく認識いたしております。
  141. 湯山勇

    湯山委員 とにかく最低基準価格というのは下げたほうが農民には有利なんです。これはおそらく、大蔵省の主計局長は農林問題はずいぶんやっていただいたんですけれども、それでもなかなかおわかりになるまいと思う。それくらい複雑なんです、これは。ですからこういうことじゃなくて、もっと簡明率直に生産費所得を補償するということを法律でおもな農産物についてやる。それができれば自由化だってそんなにばたばたすることはないわけです。耕作しておる人に不安がないわけですから。ですから私は、いまのようないろいろな問題を解決していくためには、どうしても主要な農作物については生産費所得補償の価格保障をやるということでなければならないと思います。これは予算の問題、金の問題がありますから、いまここでお答えは聞かないであとでお聞きしたいと思うのですが、ともかくもそれをやらなければいまの農村が立っていかない。いま申し上げましたように一町の米づくりと四万の給料とが大体つり合うというような状態では、それはとても幾らどんなにしたって自給度を高めていくなんということはできないと思います。  そこで財政負担の問題、それについてお尋ねいたしたいと思うのです。  農業者一人当たりの国の予算、そういうものがいま農業白書といわれるものに出ております。これは四十六年のですから、まあ一番新しい分です。これで見ますと、おもな国、農業就業人口一人当たり農業関係予算額は、日本は一人当たり八万六千円、これに対してイギリスは四十五万七千円で、日本の八万幾らに対してイギリスが四十五万をこえています。それからフランスは三十七万四千円、三十七万をこえています。西ドイツは二十二万三千円、それからアメリカに至っては六十二万一千円、これが農業者一人当たりの国の予算の金額です。で、さすがに農林省の白書も、「財政制度の差異もあって、一概に比較できないが、」これはまあそうだと思いますけれども……(「農民の数がまるっきり違う」と呼ぶ者あり)いやいや、そんなことじゃないのです。そういうことじゃだめなんで、「農業就業人口一人当たり農業予算額はわが国は欧米諸国よりかなり低い水準にある。」ちゃんとこれを認めております。  それからなおかつ、諸外国がどうしてそれだけ出しておるかということについての理由も、まことにりっぱな理由が書いてあります。それはどういう理由かといいますと、「一国の農業生産を相当程度の規模で維持することが社会的にも経済的にも必要であるとの認識に立っているからであると思われる。」で、こまかく分ければ、「農業生産は自然条件に左右され易く全く自由な貿易に委ねた場合には輸出国の豊作時には余剰農産物が大量に流入し自国農業のかく乱をみるとともに、輸出国の凶作時には安定した供給が保証されないという性格があること、」「農業の産業としての性格からいったん農業生産を縮小した場合には、その回復にはきわめて長期間を要すること、」「農業による土地利用は自然を保護保全し、国土を災害から守るための重要な役割を果たすものであり、同時に、農業による土地利用の継続は国民全体の生活環境を維持するうえで欠くことができないものであること等の事情によるものと思われる。」全くよく理解しています。それでいて、これだけ政府が考えてもいろいろ事情がある、いまおっしゃったような人口の問題、いろいろあるけれども日本は低いということを、農林省自身が認めなければならない。  こういうことを見ましても、価格保障のためにもっと思い切って金を出す、そしていまのような問題を解決していく、これは私はできないことではないと思います。やらなければならないことだと思います。ことに最後の問題などは、今日のような状態で自然環境、生活環境を維持する上で必要だ。市街化地帯こそ、人が多くなってそして空気がよごれてくる。一体これだけ出てくる炭酸ガスをだれが浄化しますか。酸素に変えていきますか。これはいま植物しかないのです。もし金を出して市街化区域の農地をなくしてしまって、新たに公園をつくる、緑地帯をつくるといったときの財政資金というのは、こんなことじゃ済まぬと思います。私は、もっと先見の明があれば、市街化区域にこそ農地を残す、それによって空気を浄化する、こういうことを考えるのが、これがほんとうの将来を見越しての政治なので、いま農業を追い出すために、どうでもこうでも税金をかけて荒らして、炭酸ガスを酸素に変える、その大事なことのために別途金を出すような、そんなばかなことをやったら、これも後世の歴史に残る悪政じゃないですか。私はそういう点からも、もっと金を出していい。価格安定対策のために生産費所得を補償する、そういう金を出してもいい。当然じゃないでしょうか。御配慮の余地はありませんか。
  142. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 ごもっともなお説でございますが、まあ予算の点はいまも御承知のとおり、一人当たりの予算の額からいいますと少ないわけですけれども農業生産物に対する予算の割合ということになりますと、大体日本はいいところにありまして、二五%という大体西欧とほんとうにいいところに位しておるように思います。  それから価格の支持政策の問題でございますけれども、これにはいろいろのお考えがあること、私もわかりますけれども、たとえば所得補償方式ということに偏した考え方でいきますと、そもそも価格というものは需給関係から適正な基準というものが設定さるべきものであって、それを越える、あるいは消費者物価の関係というようなことからいっても、にわかに価格保障政策で価格支持政策をとるということはいかがであろうか。それよりはやはり、これはそうは言いながら、われわれといいますか、政府のやっていることも十分ではないというおしかりを受けるでありましょうけれども、やはり生産が安定してできるような他の施設等に予算を投入することのほうが、私はもっと実効があがることではないだろうか、私見を交えてでございますが、そんなふうに考えます。
  143. 湯山勇

    湯山委員 そういうことなので、一人当たりというのは個人に渡す金というのじゃないのです。いまおっしゃったようなのも入っておるわけです、大臣の言われたようなのは。だから、これをよくお読みいただけば、私はこの指摘は正しいと思うのは、そういういろんな、おっしゃったような生産物についてのとかいろいろあるけれども、そういう問題はもちろんあるけれども、総括としてこういうことだというのがこの白書の結論なんですから、これを忘れて議論したのでは前進にならないと思います。農林大臣の言われたとおり、それは価格支持でもいいと思います。それから生産基盤、土地改良その他ですが、これは全部国費でやる。生産基盤がよくなるというのは国の力が強まることなんですから、それは全部が国費でやる。これも一つの方法だと思います。いろんなことがありますけれども農業だけの観点からいっても、そういうことは当然やるべきことだ。このことについては御異論はないと思いますが、いかがでしょうか。
  144. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これは私見になって恐縮なんでありますけれども、私もやはり農業関係では基盤整備ということが一番大切なことではないだろうか。同時に、日本の現状からすれば、もう少し集約化されて経営ができるようになり、そして政府は基盤整備に非常に力を入れる、そして専業農家がもっと画期的に広い農地を経営ができるようにするために、たとえば、なかなかむずかしい問題であり、踏み切りもつかぬと思いますけれども、耕作権というようなものをもう少し流動的に考えるというようなことができれば、私は農家のためにも国のためにもいいことではないだろうか、ひそかにそういうふうに考えております。
  145. 湯山勇

    湯山委員 そこで農林大臣お尋ねいたしたいと思います。  農林大臣は米が六百万トンという余剰米をかかえたという現実、その時点からのさっきお話でしたから、その時点からのものについては私も文句は言いません。しかし、重要な日本の国民の食生活をささえている食物について、Aのものについてはかなり行き届いた価格保障をする、Bのものについては全然それよりも、まあ問題にならないような価格政策しかとっていない、こういうやり方が米をつくらせ、そして過剰米をつくらした。こうなってくると、これはやっぱり政策の誤り、政治の責任でしょう。それを一体農民にかぶせて、いま生産調整、減反をやるのは当然だ、こういうことでは私は国の農政ではない、これじゃおさまらないと思います。この点はいかがでしょうか。
  146. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 価格支持政策が、最初から総合的にどれにも一様にやるというような考え方から出発しておれば、御指摘のような問題点はおそらくなかったのではないか。一つ一つがみなつくられたときのいろいろな経緯がございまして、そのために、大きく分けて生産費所得補償方式の部類と、パリティ方式の部類になっておると思うのですね。そこで、おっしゃるような問題点を私も認識しないわけではないのでありますが、それではこれを全部画一的にやった場合にどういう現象が起きてくるのか、こういうと、所要以上の、需要を上回るような供給とか、あるいは物価に対しての刺激とか、いろいろ問題が一応予想されるわけであります。  そういうことで、私も赴任して間がないわけでございますが、いま現在の私の知識程度でこの重要な価格支持政策を、きょうの湯山委員のお話もごもっともな点もあると思うのですが、しかしここで、それじゃ私もそのとおりに全部変えるというような決断もつきかねます。やはりその経緯も頭に置き、あるいは物価に対しての関係とか、需給のぐあいなどに対する影響考えて、これを手直ししたりあるいは価格支持政策を拡充したりすることについては私は異論がございませんが、少しばかり湯山委員のお考えには、どうも、ちょっといまにわかにけっこうですとは言いかねる点がございます。
  147. 湯山勇

    湯山委員 画一的にというのは、米と同じように全部やるというのじゃありません。ものによってそういう形のとれるもの、とれないものがある。ですが、とにかく基本はやはり生産費所得は補償するというたてまえで、そしてまたいまそういうふうになっておるものをできるだけそういうものに近づけていく、こういう努力は、これは農林大臣は政調会長もなさった方ですから、大きい見地から見ればそのくらいのことはおっしゃれるのじゃないか。個々について、乳価についてはこうだ、それからくだものについてはこうだというようなことまで私は農林大臣に求めておるのじゃございませんけれども、いま転作を奨励すると言われても、この価格政策の混乱というものがずいぶんやりにくくしておるということは、これは御理解できると思います、実際にお当たりにならなくても。そういう意味で主要な農産物、どれもこれもということを申し上げてはおりません。とにかく主要な農産物、それについてははっきりした価格支持政策をとっていくのだ、そういう努力をするのだということを御理解願えればいいと思います。  それからもう一つついでに、いまミカンが問題になっておりますが、ミカンについては、さっき基準最低価格のことを申し上げましたが、これも法律でやはり支持価格制度というものをつくらなければ、一々そのときそのときの陳情や、あるいは自治体の熱意とか団体にまかしておいたのではやはりいかぬと思うのです。これも法律でやることについて御検討の用意があるかどうかお尋ねいたします。
  148. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 前段の価格支持政策に対してのお話について、私はお話を聞いておって、現在、私の立場でまず考えなければいけないのは、現行価格制度の適正な運用、何しろ、お話しのように、私も政調会長をやっているときにいろいろ数字が出ますが、それが実際現状に即したものを根拠にしているかどうかというような問題もございまして、私としてはまず第一には、従来行わなれてきた価格支持政策をもっと適正に運用して期待に沿いたい、こう思います。  それから、ミカンの問題につきましては、ほかの先生方にもそういう御希望がございまして、私も一応検討はしてみたのでございますが、何といっても腐敗をする、わりあいに足の速いものである。こういうものを価格支持制度の中でやっていけるのかどうかということ、あるいは温州ミカンといってもこれはほんとうに非常に種類が多いのですね。そういうふうなことを考えていくと、非常にむずかしい点がございまして、そこで、ミカンに対する価格支持政策は加工品のほうでいこう、これならば保存もできることでございますから、適正にやれるということで、ジュースに対してやっておりますのをさらにかん詰めにもやろうというような、ミカンについてはいわば間接的な価格支持政策、こういうことにならざるを得なかったということを御了承いただきたいと思います。
  149. 湯山勇

    湯山委員 それを法律でやる御意思はないのですか。いまの間接のを法律で法定して……。
  150. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これは別に法律によらなくとも、現にそういう制度をとっておるのでございますから、決してミカン生産農家に御心配をかけることはないと思います。
  151. 湯山勇

    湯山委員 それは大臣、やはり少し間違っています。同じミカンをつくっておるところでも、県によってやっておるところとやってないところとあるのです。だから、法のもとに平等だというけれども、この価格支持は平等じゃありません。加工用にしてもですね。だから自治体、地方でできるものを国でできないというのは、これはおかしいので、これは大臣、いまのように牛乳の場合だって原料乳というのでやっておりまして、なま乳じゃできないのです。ですから、一律というか、とにかく法律によってやる、制度があるのなら法律によってやるというのが正しい姿勢なので、それによって生産者も安心できます。しかし、いまのままじゃ安心できない。そういうことで、法律によってやる御意思があるかどうか、これを伺いたい。
  152. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 本年度の予算におきましても、ジュース加工工場を補助対象として、いまの事態に即応してふやしたのでありますけれども、しかし、ジュース工場がはたしておっしゃるように、法律の規制のもとにやる場合に、その体制が整うかどうかということについては、いまちょっとにわかに私の判断ができかねますが、しかし、間接的にジュースやかん詰めに価格支持政策をとるというたてまえには間違いございませんから、そういう体制が整ってなお不安感があるとするならば、法律でやることも私は別に支障はないように思います。
  153. 湯山勇

    湯山委員 ぜひひとつそれはやっていただきたいと思います。やらなければならないということだと思います。  それから、温州ミカンにも品種がいろいろあるというお話がありました。これは本来からいえば政府の責任です。ミカンは日本のが進んでいるというようなことでしたけれども、病虫害の問題にしてもそれから品種の問題にしても決して進んではいない。これはひとついまのような答弁が農林大臣から出ないように、農林省の試験場その他を督励して、もっとほんとうの研究ができるようにしていただきたいと思います。これだけでもずいぶん大きい問題ですが、人によると、アメリカに比べると数十年おくれているといわれています。いまだって日本のミカンがアメリカへいきにくい理由には、日本のミカンにはかいよう病が出ます。こういうことができないで、ただ口だけで交渉したってほんとうの輸出というのはできるものではないのです。だからアメリカへのミカンの輸出というのはほとんどふえていないのです。そしてむしろグレープフルーツのほうはどんどんふえて、もう十万トンぐらいでしょう。今度かん詰めを新たに十万トン温州を確立するというけれども、それに匹敵するグレープフルーツがもう入っている。だからここいらは、もう一つ本気で大臣に取り組んでいただかなければならない問題です。  そこで、時間がありませんから、いまの農業にもっと金を使うべきだということ、そのことをもう一つの観点からお尋ねいたしたいと思います。  高度成長政策でずいぶん農村人口が都市へ流れました。このことは、他産業へ流れていったことは申し上げるまでもございませんけれども、それは単に人の問題だけではないのです。今日高校教育がもうほとんど義務制と同じように九〇%になろうとしています。これは文部大臣御存じのとおりです。それから、大学を出る者も非常に多くなってきています。その教育費というのは、農村から人が出ていくだけじゃなくて、その出ていく人にそうやって、とにかく一町、二町のたんぽをつくり、それから出かせぎしてかせいだ金というのは、みなそういう子供につぎ込んでいる。おそらくいまの農村で資産の蓄積とかいうようなこと、そういうことのできる農家というのはほとんどありません。そこで、そうやってつぎ込んだ金も、それからそれを入れた人も結局農村から離れていっている。カモがネギを背負っていくといいますけれども、まさにそういう状態がいまの農村です。その人がそうやって吸収して、そしてその人に入れた金、それも出ていく。それの還元がなければ幾らどんなにしたって過疎問題というものの解決はできない。その還元を一体どうするか。それは文部省のほうで、いろいろ事業場等でやる職能教育を定時制の単位に認めるなどというのでいろいろなことをなさったけれども、みんなうまくいっていないでしょう。それは大手へ、結局そうやって農家の親たちがこういう苦労しながらつくってかせいだ金、それを子供に入れている、その金と人間とが出ていくのですから、これで農村がよくなるというのは、それは考えられないことです。そこで、さっきの諸外国のように、一人当たりもっといろいろな意味で国の予算を出していく。それならあるいはできますけれども、そうでない限り、いま父兄が出した金を還元するということがない限り、これは幾ら工場を持っていっても、農工一体といっても、農業という産業はそれによって立ち直らない。これは簡単に御理解願える問題だと思います。  そこで、その財源の問題ですけれども、さっきお話もありましたが、一体その利益を受けているのはどこか、そういう教育を受けた農村の子弟をほんとうに雇い入れている、そして教育された労働力を得ているのは一体どこかということになれば、けさも御指摘のあった、やはり大企業、大法人です。こういうところからその税金を取るというのは、自分のところでそういう教育をして、そして働いておる人を育てていく、こういうこととにらみ合わして考えていけば、ある程度納得のできる問題じゃないでしょうか。文部大臣、一体いま私立高校へ一人入れて出すのにどれくらい金がかかるとお思いですか、親の負担は。だれかわかったら、政府委員でもけっこうです。ついでに私立の大学なら一体どれくらいかかるか。
  154. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 大学の経費つっくるんで一人当たり七十万円前後ではなかったか、こう思います。しかし医学でありますとか、あるいは文学でありますとか、科目によりまして相当大きな開きがございますので、一律に申し上げることは適当ではない、かように思います。
  155. 湯山勇

    湯山委員 私はそういう計算じゃなくて、じゃこういうふうにお聞きしたらどうなりますか。子供を一人高校を出すのに父兄がどれくらいの金を負担しておるか、授業料も何も入れてですね。それから大学を出すのに父兄がどれくらい負担しているか。これはおわかりでしょうか。
  156. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 いま手元に資料を持っていないわけでございますけれども、おっしゃっているのは、農業が国全体の生産に貢献している、それに対して国全体から農業に向けられているものは少ないじゃないかという意味合いでのお話ではないかと思うのですが……。
  157. 湯山勇

    湯山委員 違います。
  158. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 違いますか。それじゃ、いまの数字をちょっと手元に持っておりませんので……。
  159. 湯山勇

    湯山委員 それでは政府委員でけっこうです。
  160. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 政府委員のほうも、実は体育関係の者だけしか来ておらないのでございます。
  161. 相澤英之

    ○相澤政府委員 手元に、これは文部省の、父兄が支出した教育費調査報告書というものの四十五年度の分がございますので、それについて申し上げます。  昭和四十五年度における高等学校生徒一人当たり父兄支出の学校教育費調べ、これは学校における教育費だけでありますが、これが平均いたしまして六万八千九百十円でございます。これは直接支出金が三万九百八十円、間接支出金といたしまして授業料等が三万七千九百三十円、それから昭和四十五年度における四年制の大学の昼間部、これの学生生活費でございますが、これは国立、公立、私立、また自宅、学寮、下宿等によりましてそれぞれ分かれておりますが、平均いたしまして私立の場合が三十七万八千五百円。年間です。国立が二十五万百円、公立が二十四万七千六百円、国公私立平均いたしまして三十四万五千五百円ということになっております。
  162. 湯山勇

    湯山委員 大臣、いまお聞きのとおりですね。まああれでも平均ですからね。それで、実際には農村から出てくる子弟というものは、高校だって下宿するのが多いのです。それから、大学の場合はもちろん通えるというのはほとんどないと見ていいのです。それで私学というのでお尋ねしたわけですが、これのまた何倍かになることはもうおわかりのとおり。それを一体どうやって還元していくか。これは農業の保護政策じゃないですよ。当然支出したものを埋める責任があるわけです。だから、そういうことをやっておる国もあると思います。いまどうかわかりませんけれども、イギリスあたり労働党のときに雇用税というのを取って、それをそういう方面に還元したという事例もあると聞いております。だから産業別にいけば、やはり農業のそういうものを一体どう還元していくか。特に農業の場合そうなんです。あなたの言うとおりです。そうなんです。勤労者ですね。みなそうです。当然やらなければならないものを父兄負担にして、特に農業の場合、いま置かれておるような立場で、米をつくろうにもつくっちゃいかぬ、つくるなというし、価格は引き合わないし、一生懸命働いて一町歩もつくって四万の給料にしかならない。そういう状態で、これを保護政策じゃなくて、還元するという考え方は私は成り立つと思うのです。諸外国に比べて一人当たりの負担が少ないこと、そしてそういういまのような状態、そういう社会的な風潮をつくった責任はやはり高度成長政策にある。それを一体どう還元するか。  それから、土地の値上がりの問題、これも一体土地を買い占めて値上げしておるのは大資本です。土地を買い上げられているのは農民ですよ。だからいま、ほんとうに農業考えるとすれば、土地を農業に返す、人を農業に返す、そうして農業へ金を返す、こういうことを本気で考えなかったならば、日本農業というのは幾ら列島改造をやったって、農工一体をやったって、それは絶対だめで、自給率を高めるといったって、それはただ口先だけのことになります。この辺しっかりほんとうに考えていただきたいと思います。これは私が実際に農村を守る、それらの人と話して得た実感です。  もう時間が参りましたから、その点についての御所見を伺って終わりたいと思いますが、ひとつ大蔵大臣、それから農林大臣、文部大臣、三大臣から御所見を承りたいと思います。
  163. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 貴重な御意見をいただきましてまことにありがとうございました。  ただ、私は先ほどもちょっと申しましたように、農業自体を、日本の場合におきましてはもっと集約して、農業所得を上げるということにまず大いに総合的な政策を考えるべきである。それから還元するということは、私は必ずしも農業に還元するのではなくて、地域社会の発展のために還元する、そういう方向考えるべきではないか、かように考える次第でございます。
  164. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 私としては、まことに力強いいろいろ御意見をちょうだいしたわけで、その点では感謝をいたしておるわけであります。  ただ、いまの農村全体がいわゆる三割自治というようなことをいわれて、相当国からの各種の施策による助成を得ておる状況にございまするので、私はその中ででも、国民の皆さんの、農村の皆さんの御期待に沿う努力をいたしたい、こう思っております。
  165. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 文教の責任であります文化の水準につきましても、国土の全域にわたりまして、地域地域の資力のいかんにかかわらず、充実した向上発展が営まれるように努力していくべきだと考えております。
  166. 根本龍太郎

    ○根本委員長 これにて湯山君の質疑は終了いたしました。  次に、兒玉末男君。
  167. 兒玉末男

    兒玉委員 私は、農林大臣にお伺いしたいのでございます。  二月十六日に林野庁が、「森林資源に関する基本計画」並びに「重要な林産物の需要及び供給に関する長期見通し」というものを決定をされまして、現在までの木材増産第一から、自然保護など公益的機能の充実を打ち出したことは、きわめて画期的なことだと思うわけでございますが、今後の国有林の経営の重点といいますか、基本といいますか、特にいままで乱開発によりまして相当の自然が破壊されている、こういう現状から、まず基本的な点について大臣見解を承りたい。
  168. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいまちょっとお触れになりましたように、これからの国有林野事業の関係におきましては、何といっても国土の保全、自然環境の保護というものを念頭に置きましてやっていかなければならない、これはもうおっしゃるとおりでございます。そういう考え方に立っての各種の施策を講じてまいりたいと思います。
  169. 兒玉末男

    兒玉委員 大臣は現在どの程度の認識をお持ちかわかりませんけれども、現在のいわゆる国土の改造計画に伴って、特に高速道路網の建設あるいはレジャー産業の発達によりまして、現在林野庁所管にあるいわゆる自然保護、あるいは自然公園法等によるところの規制区域というものが、あらゆる手段を講じまして、指定解除区内に非常に乱開発の傾向というものが極端に目立っているわけであります。中でも、特にひどい地域を具体的に申し上げますならば、たとえば神奈川県等の場合においては、この五年間に民有林が約一四%、一万七千町歩が、宅地造成なりゴルフ場に転用されましてきわめて重要な問題を提起し、そのほか栃木県六・三%、滋賀県六%、奈良県五・三%など、先ほど申し上げました林野庁の、いわゆる新しい計画に基づくところの公益的な機能を十分考慮するという目的が、具体的にはこういう事実として、緑の資源が破壊されるについて、大臣としては今後どのような御指導なり、政策を持って対処されようとするのか、お伺いしたいのであります。
  170. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 保安林につきましては規制がございますが、そうでない山林、林野について、お話しのような壊廃が目立っておると思うのであります。そういうことでありまするから、今国会で森林法の改正をお願いいたしたいと思いまするが、その中で規制措置を考えたいと思っております。
  171. 兒玉末男

    兒玉委員 もう一度大臣にお伺いしたいわけでございますが、国有林関係の今年度の予算の策定にあたりまして、先ほどの二月十六日の閣議決定の基本に基づきまして、国有林の予算においては林政審議会、これは総理の諮問機関だと聞いておりますが、公益的機能の発揮に要する諸経費は当然一般財源で見るべきだ、こういう答申がなされました。ところが、大蔵大臣の諮問機関でございますところの財政審議会におきましては、公益勘定をつくる必要なし、こういう建議がなされまして、結局、林業の基本的な方針である公益勘定の新設ができないまま、いわゆる赤字予算を組ませることで、この両審議会の意見というものが合致していないのじゃないか。少なくとも乱開発なり今後の国有林のあるべき姿勢から考える場合は、やはり公益的機能を発揮すべきだという林政審議会の主張というものを十分取り入れて考慮すべきではないのか。これに対する大臣の御所見を承りたい。
  172. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 昭和四十八年度の予算におきましては、ただいま御指摘のような考え方を取り入れて、従来、林野事業の中で治山事業なども一切支出をしておりましたのを、今回からは方針を変えて予算計上した、こういうふうに私は思っております。
  173. 兒玉末男

    兒玉委員 時間の関係もございますので、詳細は後日の委員会でただすとしますが、それならば、財政審議会が公益勘定の設置は必要ないという建議をしたことは、農林大臣としてどのようにお受けとめになっておるのか、お伺いしたい。
  174. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 私、いまの御指摘につきまして、よく全文を理解しておりません。同じ政府の中における審議会の関係のことでございますので、少なくとも現実にことしの予算からは、公益的な面については、財政面におきましても、融資面におきましても、考慮を払っていただいておりまするので、もし財政審議会がそういうことを否定しているということでありますると、少し理解ができかねるのでありまするけれども、これはよく調べさせていただきたいと思います。
  175. 兒玉末男

    兒玉委員 時間の関係もございますので、はしょって質問したいと思いますが、大臣、最近非常に都市開発、公害の発生によりまして、国民の考えというものが、いわゆる自然環境のいいところの、いわゆる国有林地帯のスキー関係なりあるいはレクリエーションとしての要求度も高まっているわけです。ところが、本年度の概況を見てまいりますと、国民のそういう公益的な要求にこたえるレクリエーションの場というものが、きわめて私は少ないと思うわけでございます。この点は、先ほどのいわゆる公益的立場を林野庁が十分考慮する、こういう点から判断いたしますならば、まだまだ今度の予算には、わずかに十カ所程度しかそういうレクリエーションの場というものが予算化されていないというふうに聞いておりますし、また、リフトにおけるところの駐車場等の問題についても、一般の私企業者が、国有林関係が国民に安く提供することは営業の阻害になるとか、こういうこと等で、なかなか国有林のそういう活用について大きな障害があるやに聞いているわけでございますが、国民の財産である国有林が国民のレクリエーションの場として、いま一そう拡大し活用されることが目下の急務ではないか、こういうように私は考えるわけでございますが、これに対する御所見を承りたい。
  176. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 兒玉委員の御指摘は、私は基本的には当然そうあるべきだと思うのであります。ただ、予算措置といたしましては、要望を全部認めさせるというようなことについての、いわゆる予算折衝の上での困難性があったと思いますが、駐車場などが安く提供される、そういうことから反対されてできなかったというようなことにつきましては、現在私の存じている範囲では、もしこういうところがあったという御指摘があれば調べたいと思いまするが、現在そういう具体的な事実については記憶はございません。
  177. 兒玉末男

    兒玉委員 大臣にお伺いしたいわけですが、もう一つ、国有林の現在の特別会計というものは非常に赤字である。そのために、国有林労働者の労働条件なり、あるいは合理化政策によって二万数千人が近い将来にいわゆる整理される、こういうようなこともいわれておるわけでございますが、特に、私が一般的にいろいろと聞いておるわけでございますけれども、たとえば国有林のいわゆる立木なりあるいは素材等の販売、赤字といいながらも、私も専門的によくわからない点があるわけですが、たとえば一般入札、指名競争、随意契約、こういう三つの手段で財産の処分がなされておるわけでございますが、たとえばこの随意契約等は、通称、地方の中小企業者に低廉に払い下げるためにやるんだというが、実際はパルプ資本等がその大半を買っておるとか、しかも価格の面において、一般入札というのは公開でありますから、最も零細な国民大衆に提供する場であるにかかわらず、その価格においては、もちろん木材の品質、銘柄等に差はあったにしましても、全体的な場から見た場合にあまりにも格差があり過ぎる。また、聞くところによりますと、こういうような価格を、もう少し適正に、あるいはその相手の対象によって検討するならば、一年間に少なくとも五百億程度の財源が浮くのではないか、こういうことも指摘をされておるわけですが、最後の、このようないわゆる立木なり素材等の価格政策について、もう少し再検討の余地があるのじゃないか。この点についての大臣の御所見を承りたい。
  178. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 先日本会議の決算報告の場合にも、国有林野事業の赤字問題が取り上げられて、いろいろ御論議がございました。いま御指摘のようなことがもしあるとするなら、これは私はたいへん問題だと思うのですね。言うまでもなく国有林材の販売が、会計法、予算決算及び会計令等の法令に基づいてやる、そういう法的な制約がちゃんとあるわけでございまするし、また、もし不当なことがあれば決算で指摘もされるということで、そういうことを頭に置いて行政をやっていく以上、そこに大きな問題が起き得るとは思わないのであります。しかし、もし具体的にこういう点が不当であるということであれば、私としてもぜひこれは調査をし明らかにしたいと思います。  なお、いまの一般競争入札とか随意契約の方法については、たとえば随意契約が問題になると思うのです。これは私が、どういう場合随意契約になるのかということを調べてみましたところ、公用、公共の場合は随意契約である。また、地元農山村の経済助長になるような場合はこれを考慮する。あるいは地元事業の育成のために製材工場など、これは誘致工場の場合が多いそうでございまして、そういう場合に随意契約があるというようなふうに、いろいろと説明を受けておるわけでございまして、何かこう具体的なことがあれば御指摘いただきまして、一応たてまえとして、不当なことが行なわれるというふうなことは私としては考えられないということを申し上げておきます。
  179. 兒玉末男

    兒玉委員 最後の点については、後日の機会に資料をもっていろいろとまたただしたいと思います。次に、国有林関係あと締めくくりとして、この際、せっかく環境庁長官もおいででございますが、先ほど冒頭申し上げましたように、長官は特に環境の自然保護といういわゆるお目付役でございまするが、今度森林法の改正も出ておるわけでございますけれども、最近の都市周辺なりあるいは観光地を主体とする、国有民有を問わず、大手の商社等が名を変え、品を変えて非常に買いあさりをしている。しかも、私の宮崎県の場合でも、もと国有林であり、それが開拓農民の農地に変わり、今回、レジャー産業が全体の約九割、百九十町歩を、農業振興地域の指定地にもかかわらず、農民の経済的な苦境をいいことにして、実は買い占めを行ない、いまだに問題が紛糾しているわけですが、こういうふうに非常に違法な形での買い占めがなされている。ですから、国民の緑の自然を守るということはきわめて大事なことであり、特にスイス等の森林法の場合は、きわめて規制をきびしくして、たとえば保安林でない場合でも、その土地の自然を守るために、樹根等を持ち去ることができないとか、あるいはまた、フランスの森林法等の場合においても、やはり民有林の場合においてすら、伐根を転用することは認めない。また、たとえば許可の場合でも、土地保全、河川の侵食を守るとか、公衆の保健衛生、海岸の砂防、こういうふうなきびしいチェックをしているわけです。この際、せっかく森林法も出されることでありまするが、環境庁長官として、国民のこの自然と災害を守るためにも、やはり思い切った措置をとるべきではないのか。中でも、フランス等の場合は、レジャー関係開発は、現時点では一切認めない、こういうきびしい方針で国民の財産が保護されるようにされているわけでございますが、この点は農林大臣にも関連がありますので、両大臣の御所見を承って、国有林に関する質問を終わります。
  180. 三木武夫

    ○三木国務大臣 兒玉委員の御指摘のように、最近、乱開発というべきことがなかなか目に余るものもあるわけでございます。フランスでも、スイスでも、御指摘になったように、森林地帯の開発には相当きびしい規制を加えておることは御指摘のとおりであります。森林というものの持っておる多面的な価値は御指摘のとおりでありますが、木材の供給ばかりのサイドからは森林資源は考えられないというのが、今日の時代の傾向であることは御指摘のとおりでございます。  そういうことで、われわれとしては、森林法の改正にも、農林省との間に、自然の保護という観点に立って、森林がそういう見地を十分に生かされるような改正をするようにということで連絡をとっておりますが、環境庁としても、自然環境保全法がこの四月から施行されるわけであります。この自然環境保全法には、地域指定を行なうわけであります。これは保安林、非保安林という、そういうふうな区別はないわけでございますから、これは地域指定であって許可制になるわけですから、こういう点からも、乱開発と見られるものに対してきびしい規制を加えていきたい。いまでも自然公園法というのがありますが、さらに、自然環境保全法というものは、そういう自然環境の保全という見地から、乱開発に対してこれを規制する、そういう側面を持っておりますから、そういう点で、御趣旨のような方向で緑の保全をはかりたいと考えております。
  181. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 先ほどもお答えをいたしましたように、国土の保全、自然環境の保護ということは、もうきわめて重要なことでございます。こういう公益的な機能と同時に、木材生産という経済的機能のうまく調和のはかられた開発は好もしいのでありますが、そこへ割り込んできて、ゴルフ場であるとかいろいろなもので乱開発をするというようなことにつきましては、現在の法律上では、山林、林野についての規制措置がないのでございまするから、そこで、森林法による規制も考えたいということを申し上げた次第で、乱開発については、何とかしてこれを防いでまいりたいと思います。
  182. 兒玉末男

    兒玉委員 今度は関連をしながら次に移るわけですが、もう一つだけ国有林について聞きたかったわけですが、けさ実はいただいたわけでございますけれども、この森林資源の基本計画と、長期需要見通しでございますが、この三〇ページの「林産物需給の推移」を見ますと、昭和五十六年度で、国内のいわゆる木林の供給率というものは、現在このような計画にあるにもかかわらず、輸入量との比率は六三・二対三六・八と、依然として国内自給率は四割に満たないという悲観すべき事情にあるし、しかも、こういうことが今日の木材輸入価格の高騰を招いている最大の原因ではないか。そういう意味からも、国内全体における森林の利用区分等を通して、国内における自給体制をいかに強化できるのか、このことに真剣に思いをいたさなければ、今後の住宅事情というものがますます窮迫する事情においてもきわめて重大な課題であり、この点は、できるだけ自給度を高めることに力を注いでもらいたい。こういうことを要望しまして、次の課題に入ります。   これは先ほど湯山議員からも申されましたので、この点、私はきわめてしぼって御質問したいわけでございますが、特に今年度は、三百五十万トンをオーバーする非常なミカンの増産で、生産者の中には自殺をする者まで出るという非常に深刻な状態を招いたわけでございますが、これはやはり農林省の、かんきつ類に対する長期の需給見通し、あるいは各地域における無計画な生産奨励ということが、私は、農民にこのようなしわ寄せをもたらしておるのじゃないかと思う。しかも、ミカンの需要というものはこれからも増大する傾向にあるわけでございますが、やはり農林省が、こういう温州ミカン等の増植を指導すると同時に、価格政策、流通関係における加工、貯蔵、こういうものが並行的に指導されないところに最大の原因があろうかと私は思うわけであります。この点について、先ほどお話がありましたが、少なくとも、生食の場合では最低二十五円、あるいは加工用途の場合においては二十円程度の補償がされなければ再生産できない。さらにまた、いままでの指導の誤りから、かなり来年度も、本年はミカンのなる年であり、来年は裏年でありますけれども、そういう状況から、今年のような状態というものはおそらく依然として続くのじゃないか。こういう対策について、いわゆる現在の安定基金においても、わずかに五億円程度のことでは、とてもじゃないが農民は安心してやれない。ですから、この際、安定基金等については、総生産量の現在のわずか五%程度の基準から、少なくともこれを二五%から三〇%程度に、このようないわゆる加工関係の基準というものを高めて安定をすべきではないのか。こういうことについて、今後の需給見通しと価格対策について、大臣の御見解を承りたいと思います。
  183. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ミカンの大豊作による暴落ということが、今国会におきましてはしばしば取り上げられてまいったわけであります。四十七年度の植栽目標三千ヘクタールが推定五千ヘクタールというようなことから見ましても、計画を上回っておるという事実は認めざるを得ないのでございまして、その辺は、これから適正な指導をしてまいりたいと思います。  隔年結果の表年であるということは、これはもうミカン農家の方も十分御承知のことでございまして、四十七年の実情から、樹勢は相当いたんでおると思います。したがいまして、四十八年は裏年であるが、それでもどういう結果になるかわからぬじゃないかということについては、専門家は、ことしはおおよそ相当減産になるのではないかと、こういうふうに見ております。  また、明年はどうかということになりますれば、それは、この四十七年の苦い経験にのっとりまして、指導するほうも、また農家のほうにおきましても、いろいろ御考慮を払われることと思いますので、まず、ことし、来年、この辺までは、見通しとしては、問題はそう起こらずに済むのではないか、こう思っておるのであります。  それで、その間に加工用の安定基金を拡充していく。これは、先ほど湯山委員にお答えいたしましたとおりに、ジュースあるいはかん詰めにするといっても、それに応ずる体制が十分でなければなかなかできにくいということも御了承いただけるところでございまして、四十八年度においてジュース加工工場も補助金を出して建設をするのでありますが、それの稼働時期、あるいは明年も引き続き必要があればそういうものをふやしていくというようなことによって、初めて加工品に対する価格安定制度が確立していくものと思うので、若干の時間的余裕はお許しをいただきたいと思うのであります。
  184. 兒玉末男

    兒玉委員 大臣に重ねてお伺いしたいわけでございますけれども、今度市場から隔離する措置をとったわけでございますが、たとえば現在の状況からは、来年の再生産への農家の経済状況というものはきわめて深刻な状況になるわけでありまして、私の出身である宮崎県等においても、ミカン専門にたよっている農家はきわめて深刻であります。それで、国の場合は一年間の措置でありますが、宮崎県の場合はこれを二年間にしまして、そしていま金利補給等もやっているわけでありますが、やはりそういうふうに二年程度の期間というものを考えるべきではないのか。  同時に、何といいましても、生食の場合は貯蔵期間が短い。また、生産地から消費地への輸送には特に運賃が高いためになかなか採算がとれない。そういう点から、少なくとも三カ月ないし四カ月程度の貯蔵期間も消えるわけでございますから、この際、このような加工関係に対する安定基金というものを、予算的にも現在は全生産量の三%しか組まれておらないが、これはもちろんその年の生産状況にもよるわけでございますが、やはり本年のような場合は、少なくとも三〇%程度に安定基金というものをふやす措置が緊急に必要だと思うのですが、これらの財政措置についてどう考えるのか。  それから、まだあとにありますが、もう一つは、最近の新聞にも出ておりましたが、アメリカのいわゆるサンキスト・オレンジ等が一〇〇%の資本で日本に進出をする、あるいは自由化を迫っている、こういうこと等が経団連の方針等でも打ち出されておるわけでございますが、こういうことに相なりますと、これはもう生産ミカン農民にとってはきわめて死活の問題であります。この自由化に対する問題と、この二点について大臣の御所見を承りたい。
  185. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ミカンの加工用についての安定基金のことは、先ほども申し上げたとおり、でき得る限りのことはいたしたい、実態に即していきたい、こう思いますが、遺憾ながら、ジュース工場あるいはかん詰め工場が、何といってもことしは異常な豊作ということで、それに見合うようにはなっておらない。せっかく四十八年度予算でもジュース工場などをふやしていこうという実情でございますから、実態に即して、またそういう体制に応じまして、この体制もいろいろ御不満がおありのようでございますが、これも体制も拡充しながら御期待に沿うようにしてまいりたいと思います。  それから、サンキストの一〇〇%出資のジュース工場の問題につきましては、サンキストの副社長が参りまして、多少あっちこっち歩いたようでございますが、私がこのことを耳にいたしまして以来、せっかく宮脇全中会長が渡米されておりまして、昨晩帰られておると思うのでありますが、アメリカにおきましてもこの問題が出て、宮脇会長は懇談をしておるようでございます。したがいまして、それらの報告も十分聞いて、御心配のないように対策を講じたいと思っておりますが、現在のところ、御承知であろうと思いますが、ジュース工場については五〇%の資本出資は自動的に設立ができると思いますが、一〇〇%ということが新聞などでは見られておるわけでございますが、それはできないことでございます。もし外資審議会のほうに申し出があれば、その際に慎重に検討すべきものと思いますが、基本的な姿勢といたしましては、現在国内でミカンに対する緊急対策をとっておる、そういう事情のもとにおきまして、外資による、しかも原料はおそらくアメリカのものを使おうという計画なのではないかと推定するのでありますが、そういうことでは納得のいくようなことでないというふうに見ておるわけでございます。
  186. 兒玉末男

    兒玉委員 大臣の在任中ではなかったわけですけれども、前にグレープフルーツが自由化されたわけですね。これがされるときに、沖繩との取引ということじゃないけれども、グレープフルーツが、たまたまニクソン大統領の選挙区が生産地であり、そのかわり、日本の国産の温州ミカンも要望に応じてアメリカ側のほうが買ってもよろしい、こういうことが当時の新聞に載ったわけです。ところが、私も具体的に聞く機会がなかったわけですけれども、現実に、グレープフルーツの自由化の代償として、日本のミカンのかん詰めなりあるいは生食用としてのミカンがどれだけアメリカから買われているのか、こちらから輸出されているのか、それを大臣はどういうふうに御理解されておるのか、お伺いしたい。
  187. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 グレープフルーツの自由化に伴う、何か取引としてのミカンの自由化というようにいま受け取れたのでありますが、私は、遺憾ながらそういう事実を知らないのであります。現在どの程度出ておるかということについては、手元に資料がございませんが、おそらくミカンは、ハワイ州ぐらいだけから多少買ってもらっておる。それからかん詰めについては若干出ておる、こういうふうに、非常に概略でございますが、認識をしておるわけでございます。
  188. 兒玉末男

    兒玉委員 時間の関係もありますので、あと一つだけ、農林大臣の所管についてお伺いしたいと思います。  この前新聞等を非常ににぎわしました農産物の中で、非常に輸入の比重の高い大豆に関してでございますけれども、いまから十二、三年ほど前、当時私も農林水産委員をしておったわけですが、国内の重要なたん白資源であり、油脂原料であるなたね、大豆等については、これを自由化してはいけないということを強く要望し、同時にまた国内の世論としても、大手の企業は、自由化すれば国民に安い油やしょうゆ等が提供できるということで、盛んに宣伝されておりました。それから今日まで十二年間を経てみますと、二年前になたねも自由化されたわけですけれども、はたしてどういうような状況になっておるか。十年前には、とうふ一丁は大体十円以内で、それがいま六十円。それからしょうゆの場合では、当時の記録を読みますと、一升大体九十円前後であったものが、現在では三百五十円。実に六倍ないし十倍、四倍以上の高値をもたらしておるわけであって、自由化という名は確かにけっこうでありますけれども、国民、庶民にとっては全く無縁のものであるという感をはだで感ずるわけでございます。しかも、この一月の中旬でございましたか、大豆が異常な需要が宣伝されまして、そしてこの暴騰に対して、緊急対策として払い下げを要請したところが、結局、大豆の保有企業である大手の油糧業関係は、一トンもないということを言っているにもかかわらず、これが一カ月足らずして、今度は、特にどういう関係があったかわかりませんけれども、中小の油糧関係が、このような状況に対応して、現在の大企業が大豆の買い占めなり大幅のストックを通じて、いわゆる油の価格の操作をしておるんじゃないかということで、当面一万トン程度の原油の輸入について関税を引き下げろというふうな要求をして、これが新聞等に出ましたが、これにあわてたのかわかりませんが、一カ月前には一トンもないと言ったこの大手の業界が、五万トンの大豆の放出をした。また総理は、中共から緊急に輸入するので心配は要らないというような答弁をされたわけですけれども、現在、中共からの大豆が輸入されて、この価格にはたしてどういうふうな影響を与えているのか。こういう点等から、この際、大手メーカーだけを利するようなこの食品油糧関係の制度というものを、もう少し中小企業並びに国民に低廉な食品が供給されるように、いわゆる国内における大豆なりあるいはなたねなりの増産体制をはかりながら、このような一時的な現象があったにしても、やはり消費者に迷惑をかけるような食品行政というものについては、所管である農林省がもう少し思い切った措置をとるべきではないのか。同時に、新聞等にも報道されておるわけですが、このようないわゆる食用の原油の輸入について関税を引き下げることについて、大蔵大臣の所管であろうかと存じますが、どういうように御理解をされているのか、この際両大臣見解を承りたいと存じます。
  189. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 大豆の暴騰につきましてはたいへん御心配をわずらわしましたが、幸い、緊急対策の御協力によりまして小康を得ておるような状況でございます。  基本的には、これもしばしば申し上げましたが、食品用の大豆、すなわちとうふ、みそ、しょうゆ等については、これをできるだけ国内において自給するように持っていきたいということで、本年、稲作の転換の場合でも、その辺に重点を置きたいと考えておる次第でございますが、これには、急にことしから全量、五、六十万トンできるのだというわけにはいかないと思いまするが、鋭意それにつとめてまいりたいと思う次第でございます。  それから、製油用の大豆の五万トンの放出についていろいろ御意見がございましたが、実は、この製油用と食品用とは若干違いまするので、すぐ右から左に放出をしてもらうというようなてきぱきしたような状況でなかったことは認めます。しかし、食品用のアメリカ五大州周辺のものがなかなか着かない。それから中国ものにつきましては、水分も多いので買い控えもあったということでございますが、こちらから糧油公司に協力方を要請した当時に、直ちに一月、二月と二万トンずつ出すということで、幸いそういう協力を得るということで大豆の暴騰が鎮静化いたしたと思うのでございます。  その製油と食品用の差も若干ございまして、製油メーカーに五万トン、これは未選別であってもまたとうふに加工もできる、こういうことで協力をせよ、こういうことから幸いに協力が得られた、こういう実情にある次第でございまして、基本としては、お話しのとおりに、日本国民の最も関心の深いとうふ、みそ、しょうゆに大きな影響のないように、今後においては細心の注意を払ってまいりたいと思います。
  190. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 大豆油等の食用植物油でございますが、御案内のように、四十六年の六月末に輸入自由化をいたしまして、昨年の四月には一キログラム当たり三円関税引き下げを行ないました。それから、今国会では精製油の関税をキログラム当たり二円引き下げる改正案を御審議を願っておるわけでございます。これ以上の大幅な関税引き下げということになりますと、国内製油産業の最近の状況から見て、影響するところがきわめて大きいと思われますし、また、食用油脂の安定的な供給を確保する上から問題を生ずるおそれもありますので、これ以上の関税の引き下げはただいま考えておりません。
  191. 兒玉末男

    兒玉委員 いま大蔵大臣は、製油業界に非常に影響が大きいということを言われたわけですけれども、前は、製油業界は、相当多量の食料油を東南アジア等の地域に出したようなことを私は聞き及んでおります。そうしてまた、二月二十日の日経新聞によりますと、日本の大手の製油業である日清製油等は、前期より八三%も利益をふやしている。こういう現状から申し上げますならば、国内の経営をささえる中小の製油メーカー等に対しても、われわれはそういうような形をもう少し考慮する配慮が必要じゃないか。この点、せっかくの機会でありますから――当初なたね等の自由化をする場合は、大豆等の場合は大手の製油メーカーでありますし、海岸線に工場をつくってコストダウンも可能であるけれども、特に、国内のなたね等を主として製油する中小メーカーというものは資本力も弱いし、だからといって、これをやめるわけにはいかない。しかも、なたねの生産というものは、確かに価格の面もあるわけですけれども、最近では、観光的な立場からも、なたねの生産ということは各地域においても要望されるし、養蜂業界等においては、ハチみつの原料というものが最近は少なくなっている。これは農業に関する件でありますけれども、そういう観光並びに国内食糧資源の確保、あるいは中小の製油メーカーのいわゆる保護育成という多面性を持つ状況に置かれているわけでありまして、先ほど申し上げたように、一万トン程度の原油を、これを引き下げて、そうして大企業へじゃなくて中小企業にそのような道を講ずることが、消費者大衆へも貢献する道じゃないのか。  もう一つは、大豆の例ではございませんけれども、経済基盤の低い中小企業等に対しては、少なくとも自由化前提とする中において、二カ月程度のストックをする機構を考慮すべきだということを、私は以前から主張してきたわけでございますが、関税の問題と国内の中小企業を保護するという立場からの見地から、再度大臣の御所見を承りたい。
  192. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 関税については、いま申し上げたような考え方でございますが、中小企業の保護助成ということについては十分考えてまいりたいと思います。
  193. 兒玉末男

    兒玉委員 次に、運輸関係についてお伺いをしたいと存じます。  まず第一点は、国鉄に関係することでございますが、大臣並びに本日総裁もお見えでありますので、これは国鉄の、特に事故に関する件でございますが、昨年の十一月六日、北陸トンネルにおきまして、私も出身でありますが、こういうふうなトンネル内の、しかも死者三十名、重軽傷者七百名をこえる大事故は初めてじゃないかと思うのですが、長さにおいては国内では二番目であり、世界で六番目の長いトンネルでございますが、この点について大臣は国鉄当局に対する、たしか事故の報告書を求めておられたわけですが、これはどういうふうな結末になっているのか、お伺いしたい。
  194. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 よく御承知でございますから、北陸トンネル内の火災の事故の状況については省略いたします。  運輸省といたしましては、この北陸トンネルの事故が起こりまして、さっそく国鉄の監査委員会に対しまして特別監査を命じました。その報告が出てまいりましたので、それに基づきまして国鉄に対しまして具体的に、いままでにとった対策、これからとろうとする対策を詳細に報告するように命じたのでございます。二月の八日に国鉄総裁から、現在実施中の対策及び今後とるべき対策につきまして報告がございました。  その概要をかいつまんで申し上げますと、消火器の増備でありますとか、トンネル内の照明設備の改良というような応急対策を、これは本年度末までに完了するということが第一でございます。それから消火せんの設置でございますとか、列車の無線の装備、こういったことにつきましてはさっそく手をつけておりますが、これは四十八年度にでき上がるという報告がございます。なお、地上設備の改善とか、車両の不燃化というようなものにつきましては、これはもうさっそく手をつけておりますけれども、非常に列車の数も多いことでございまして、それを完了するのには、一部あるいは四十九年度にかかるかもしれないと、こういうような報告を受けておるのでございます。私どもといたしましては、できるだけ早くそういう設備面の改善をしてもらいたいということを、国鉄にも申しておる次第でございます。  また人的な方面でございますけれども、乗務員の取り扱い基準を明確にすることとか、部外の関係機関との連絡体制を整えることとか、それから共同訓練を強化するとかいうようなことにつきましては、さっそくこれを実施するという報告が来ておる次第でございます。  なお、少しこれは技術的な問題に入りますので、研究がおくれておるようでございますが、関係の技術者を動員いたしまして、問題になっておりました排煙装置のような問題、こういったものをもっと掘り下げて専門的に検討するということにいたしておるようでございまして、この点につきましては非常に重大な問題でございますから、技術的に遺憾のないような検討を遂げて、結果が出たらばさっそく実施するようにということを、国鉄に申しておるような次第でございます。北陸トンネルのみならず、今後新幹線方面でもトンネルが多くなると思いますし、また青函トンネルのように非常に長いトンネルもこれからでき上がってくることでございますから、この問題につきましては、この北陸トンネルにおける事故を契機にいたしまして、将来ああいった災害が再び起こらないように、万全を尽くすようにということを国鉄当局に指示をしておるような次第でございます。
  195. 兒玉末男

    兒玉委員 この際、総裁にお伺いしたいわけでございますが、国鉄は非常に隧道が多いわけでございます。今回のような轍を踏まないために、いま大臣の御答弁を聞きますと、一応この事故の概況等によって、欠陥として指摘された点を早急に解消するということでございますが、私も、二十数年間の経験を通して非常に大事なことは、事故が発生した場合の緊急連絡、しかも隧道内等の場合においては、普通の客車の場合は電池があるわけですけれども、完全に電車となった場合、こういう場合は全く暗やみになる。こういう場合乗務員が一番困ることは、対向の前後の駅に対して、いわゆる電話による連絡がきわめて重要である。その辺の、きわめてこまかい点でありますけれども、大事なことでありますし、同時にまた、この前の事故の概況等を新聞、雑誌を見ておりますと、現場における救援体制、いわゆる緊急事態に対する情報システム、こういう点に私はかなり戸惑いあるいは指揮系統が十分でなかった。同時に医療関係の体制というものが私は十分でなかった。この点、いま大臣の御報告にはなかったようでございますので、この点、もしその処置があれば総裁のほうからお聞かせいただきたい。
  196. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 まず、昨年の十一月六日の北陸トンネルの事故におきまして、多数の死傷者を出しましたことをたいへん申しわけなく思っております。これはすべて私の責任と思っております。  その後のいろいろな対策につきましては、いま大臣がおっしゃいましたが、多少それを補足する意味で申し上げますと、いま先生の御指摘の外部との連絡通信でございますが、もちろん隧道、あのトンネルの中にも電話設備がございましたけれども、電話機の数が足りないというふうなことでございまして、いま一応電話機を全部設置いたし、また無線を持っておりましたけれども、非常にトンネルが長いと無線が聞こえないというふうなこともございまして、現在、その無線の難聴対策の工事をやっている最中でございます。また電化いたしましたので、停電いたしますと全部まっ暗やみになってしまうというふうなこともございますので、各車両に対する懐中電灯等の備えつけ、あるいは隧道内の照明につきましても、いままでは作業用の照明であったものを、今度は緊急避難用の照明というふうに考え方を変えるという必要がございまして、緊急避難用の照明ということで、スイッチの一斉点滅その他につきましても随時の場所でやれるようにという工事を、現在やっている最中でございます。  また、人的な面におきまして、第一線の現場職員の相互の連絡協調、あるいは救援、誘導等につきましても、あの際は、私といたしましては、あの現場に居合わせた職員は最善を尽くしたというふうに思っておりますけれども、なおその間の誘導、相互の連絡等について欠ける点などもなきにしもあらずというふうにも考えます。したがって、それらにつきましては、やはり平素から訓練その他が大事だというふうに思いますので、各隧道ごとにマニュアルをつくりまして、そしてそれによって訓練すると同時に、部外の消防、警察その他との連絡もよくいたしまして、今後ああいうことのないように、ことにこれから新幹線の隧道が非常に長くなりますので、初めからそういう問題を頭に置いてもちろんやらなければならないと思っております。  ただ、一番問題は、先ほども申し上げましたが、排煙の問題でございます。いろいろ議論がございまして、現在、私のほうでもその道の専門の十数名の方々にお集まり願いまして、列車火災の対策の技術委員会をつくっておりますけれども、はたして自動車トンネルのように換気、排煙をよくするほうがいいのかどうか。火災を大きくするというような意見もございます。排煙の問題については非常にむずかしい問題がいろいろあるようでございますし、ことに道路トンネルと違いまして、私のほうのトンネルは非常に長いトンネルであるという意味で排煙の問題は、青函トンネルのような格段に長いものは別といたしましても、やはり五キロから十キロあるいは二十キロのトンネルがこれから出てまいります。これらの排煙につきましても、技術的に遺憾なきを期さなければいけないということで、いまいろいろ部外の方々のお知恵を拝借して勉強して、またその結論の出次第実施に移してまいりたいというふうに思っている次第でございます。
  197. 兒玉末男

    兒玉委員 事故のことばかりで、たいへんいいことでないと思うのですけれども、この前の運輸委員会では、例の新幹線の事故については、まだ具体的な結果が出ていない、その矢先に、また総武線でしたか、千葉県下で踏切の事故が発生しているというふうに、相次ぐ事故でございますが、その新幹線の事故は、その後どういうような経過と対策を検討されておるのか。  それから、一般国民は、本線の場合においてはATCの二重、三重による安全装置で、当局側の説明では心配要らない。だけれども、現実的にいってどういう形で、この二重、三重の装置に故障が発生するかもしれないという不安があるわけですが、これに対してどういうようにその後検討されているのか。  それから、ついででございますけれども、国鉄の踏切事故というのは、ここに国鉄の資料がございますけれども昭和四十五年が千九百六十八件、それから四十六年は千八百二十九件と、これは幾らか減少しておるわけでございますが、中でも踏切警手がおらない、いわゆる第四種それから第三種、これが非常に事故の比率が高いわけでございます。これによって生ずる責任関係はいずれにしましても、この負うところの損害というものは、はかり知れない生命、財産の損害があると思うのですが、これからいよいよ再建計画も説明のなされる段階であり、詳細な内容は後日の委員会で聞きたいわけですけれども、このように、この事故の件数から類推しても、毎日五件以上の踏切事故が発生している統計になりますし、場合によっては、何十人という生命が奪われる。こういうことについて、やはり当面踏切等に対しては、自動車関係を含めた立場から、早急な対策が必要なんじゃないか。  それから、もう一つ総裁にお伺いしたいことは、この前の北陸トンネルの例にかんがみて、いろいろな場合を想定されて、新幹線における隧道の場合、あるいは海底トンネル、あるいは一般の在来線の隧道、こういうふうに通過する車両等の形態というものがそれぞれ異なっているわけでありますから、これに対する日常の訓線ということがきわめて必要ではないかということを、私は痛切に考えるわけでございますが、踏切並びに新幹線、そして今後の事故に対応する中でも、救急の困難な隧道内における訓練というものについて、いま少し積極的な取り組みがきわめて肝要ではなかろうか、私はこういうふうに感じますので、お聞きしたいのです。
  198. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 一つ一つ申し上げます。  先般の大阪における新幹線事故、実は私たちも非常に驚いたのでございます。ATCは新幹線の生命といってもいいようなものでございますから、原因不明とはいえ、これに故障があったという報告は、私も非常に驚きました。この点至急にその原因を調査して今後の憂いをなくするように、国民が安心して新幹線を利用していただけるようにしなければいかぬと考えまして、国鉄にさっそくその調査に取りかかってもらっておるわけでございますが、今日まで、国鉄からの報告によりますと、さだかなる、はっきりとした原因がまだ不明だということでございます。  それで国鉄に対して、これは不明のままで処理をされては困る、どこまでも原因を探求して、どこに原因があったか、今後どうすべきかということについて、技術的に最大限の努力を払って、今後の事故を防止するようにしてもらいたいということを申しておるのでございますが、この点はあとで国鉄総裁から、部内における進行状況を御報告すると思います。  私はこの機会に、これはまだいろいろ考え方があるんでございますけれども、必要かと思いまして、国鉄総裁ともそういう打ち合わせをしておるのでございますけれども、今度のATCのような問題だけではなく、何となく国民全体が、新幹線を利用することにつきましての不安をぬぐえないというような点がございますから、この際、国鉄が技術陣を動員して新幹線の総点検をしたらどうかということをいま話し合っておるところでございまして、これはもう少し具体的なものにいたしまして何とかして総点検をしてもらって、あらゆる点から見て国鉄の新幹線が、今後こういう事故を起こさないように運転ができますような体制を整えてもらいたいと考えておる次第でございます。それから、踏切事故の問題でございますが、これは先生はむしろ私よりも詳しいかと思いますが、御承知のように踏切事故が絶えません。これは非常に残念なことでございますが、しかし結果的に申しますと、それでいいというわけじゃございませんけれども、立体交差とか構造の改善とかいろんな方法を講じまして、関係各省と協力をしながら進めておりますので、踏切事故は逐年減少しておることは事実でございます。  今後どうするか、ことに先生のおっしゃったような第四種の踏切をどうするかというようなことが問題でございまして、これにつきましては、われわれも努力が足りないかもしれませんが、予算の許す範囲で最大限の努力をして、そういう不安心な踏切道というものをなくするように考えていかなければならぬ。この点は事務当局にも、その点の具体的な検討をして、早くそういう無人の踏切道というものをなくするような措置をとるようにということを指示しておる次第でございます。これはだんだん減ってまいりましたけれども、今日なおそういう無人の踏切道というのが、全国でまだ相当の数残っておることは事実でございまして、これにつきましては、いま申し上げましたようなつもりで最大限努力をさせていただきます。  それから、加害者といいますか被害者といいますか、そういう踏切道の事故で災害をこうむった人たちに対する問題でございますが、一応そういう事故が、これは自動車が多いと思いますが、列車と自動車が衝突して事故が起こったという場合に、一応これは御承知のように自賠責の保険がございまして、それによって金額は限定されておりますけれども、それによる損害補償は受けられるということにいま相なっておりまして、先般も死亡または傷害に対する保険金額が少ないじゃないかということを御指摘になった方もいらっしゃいますが、この点は今後前向きでひとつ検討いたしますということをお答えしておったような次第でございます。  それから、国鉄の受けました損害でございますけれども、加害者に対しまして請求いたしましても、これはほとんど取る道がないのが多いようでございまして、これはやはり国鉄自身が、そういう自分の受けた車両その他に対する損失は、自分で負担をしていく以外に現在のところは方法がないかと考えております。  以上、私から、お尋ねの点の要点だけお答えいたしました。
  199. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 ただいま大臣からお話がございましたけれども、まず新幹線の事故につきましてのその後の状況を申し上げますと、ちょうどあれが発生いたしましたのは先週の水曜日でございますが、その後現地におきまして、実際のあの車自体についていろいろなテストをいたしました。いわゆる現車試験と申しますか、いかなるテストをしてもきちっとした結果が出るということで、どうも非常に異常な状況が重なっているのではないかというふうに思われますので、実は今夜とあすの晩、二晩かかりまして、昼間はちょっとテストができませんので、深夜におきましてあの同じ場所を使いまして、同じ車を使って、今晩とあすの晩、二晩、あらゆるケースを想定して実際にテストしてみるつもりでございます。すでに先ほど、関係の技術者を全部出発いたさせましたけれども、やはり現地におきまして、現車につきましてテストをいたしました上で、いろいろな対策が出てくると思います。  ただ私、先般も申し上げましたが、新幹線の安全装置はすべて二重、三重にチェックしてございますが、ああいうふうな車庫から出てくる線路につきましては、実はそれは二重になっていない、一重の非常装置しかないということで、さしあたり全部と申しましても、ああいうところは四カ所ございます。鳥飼というのは大阪方の車庫でございますが、鳥飼と、東京方の三島と品川、それから浜松の工場がございますが、この四カ所でございます。この四カ所につきましては、とりあえずあの信号と申しますか、あそこは非常信号がついておりますが、その非常信号の手前で必ず一たん停止するということをはっきり義務づけるということをいたしました。その後有効な方法があれば、もう一ぺんそれを二重系にチェックするということを、何とかきょうあすじゅうに結論を出せと言ってさっき出したばかりでございますが、必ずや私は、彼ら技術者の面目にかけても何らかの案を持ってくるという確信を持っております。  それから、踏切の問題でございますが、先般の成田線の事故、非常に私どもも残念でございまして、最近はおかげさまで非常に皆さまの御協力によりまして、踏切事故は大体一日五件ぐらいに減りました。一時は、ほとんど一日八件から十件ございました。そうすると必ず死傷者が出るというふうなことで非常に困っておりましたが、その後建設省との話し合いで立体交差が非常に実は進んでまいりまして、その意味で、踏切が減ってきたということと、それからいわゆる警手のいない四種踏切は、警察と地元の方にお願いいたしまして、できるだけ大型車両の通行を禁止する。全部踏切を撤去いたしてしまいますと、地元の方にまた非常に不便になりますので、人、自転車等は通れるけれども車は通れないというふうな、私のほうのことばで車両通行禁止の踏切というものにいたしまして、これはもちろん警察、公安委員会の御承認が要りますので、関係方面と御相談いたしまして、相当な数を車禁踏切といたしております。先般の成田線の踏切も、まさにその大型車両通行禁止の踏切で、通ってはいけないと大きな標識が実は出ておるわけでございますが、わずか幅員二メートル半の道路でございます。運転手がなくなりましたので、あまりもう責めるわけにいきませんが、それをダンプの運転手が通ってきたということで、実はあの付近は最近ダンプが多くて、ちょうどあの前の日に私のほうの責任者から警察署長に、もう少し取り締まっていただかないとあぶないということを申し上げたばかりでございましたが、しかし、私どもだけではなかなか防ぎ切れないので、これはまず自動車運転手の御協力を得ることと、それから取り締まり当局にいろいろお教え願うということでまいる以外にしかたないと思っております。  あの事故につきましては、お見舞い並びに応急のお手当ては私のほうで全部いたしております。ただ相当な被害が、大体年間二億ぐらいの踏切による国鉄の被害がございますが、これはなかなか加害者からいただけませんで、大体被害のままという形になっておるわけでございます。
  200. 兒玉末男

    兒玉委員 大臣、いま総裁からも報告がありましたが、人間の生命というのは金にかえられぬわけです。この点はいかに国鉄の運転士が目を光らせて運転しておっても、飛び出してくるやつはしようがないわけですね。だからこれは、私は、関係の業界に対しても、この際ひとつかなり厳重なチェックをして、そういう事故を再度やれば営業も停止するとか、それぐらいのきびしい措置をしなければ、これからの非常にスピードアップの時代になかなか取り締まりできないのではないか。同時にまた、そういうふうな交通が多いところについては、積極的に踏切設備の改善ということにひとつ努力をしていただきたい。これは要望であります。  これから国鉄の今度の新しい計画が出されるわけでございますけれども、これは内容については、提案のあった後お聞きしたいと思いますが、総括的な問題として、国鉄のこの再建計画は、いわゆる国鉄の今後の経営形態の根本にも関連するところまで発展するであろうというふうに私は考えるわけです。それで三十九年からのいわゆる公共割引による額が約八千億、今度の計画では十兆五千億という巨大な投資をするわけですけれども、それでも五十二年度までに十一万人の従業員を減らすということで節約できる経費、これで大体二兆四千五百億でございますとか、それからいわゆる利用者負担ですが、それだけの努力をしても、一年間にやはり運輸収入の半分近い金利を返していかなければいけない。これについて、われわれは、独算制でも非常に高度の公共性が高いのであるし、列島改造においても、従来の三千四百キロの廃止予定線は、いわゆる工場分散、再配置法から見たオーバーラップによると、ほとんどが該当線区であるということになりますと、現在の二万一千キロの営業キロの中で、通称、お荷物になる、負担になるというのが約一万一千キロあるわけですね。そういう点から考えましても、これが十年後に黒字になりますということは、なかなか断言できないのではないか。  この点は、大蔵大臣にもお聞きするわけですけれども、その中において、いわゆる長期負債に対する解消策ということが明確になされておらないということ、それから、もう一つの課題は、公共負担というのが、これは大蔵大臣御存じだと思うのですけれども昭和三十五年から四十六年まで、たとえば通学定期、学生割引その他、これは身体障害者、傷痍軍人、そういう方たちだと思うのです。それから貨物が、これは昭和三十年から三十九年までの統計でございますけれども、新聞、雑誌、それからこれは等級割引というのがあるわけですけれども、この等級による割引。それから木材等の暫定割引ですね。それから特別措置あるいは災害時のいわゆる救援物資の無料輸送、そういうものの総計が四十六年度末で大体八千億になっているわけです。これは完全な政策割引、公共割引であります。  こういうもろもろの点を考えながらまいりますと、同時にまた、今度の計画の中で特に経済企画庁が今度経済社会基本計画というのをおつくりになったわけです。この中で、私がいろいろ見てみますと、この資料の一二八ページに、「産業連関モデルによる試算結果」というのが出ております。これは部門別生産額が四十年を基準にして、昭和四十七年度対昭和五十年度の比較になっております。これはちょうど五カ年計画でございますけれども、これによりまして鉄道関係、運輸関係部門である公益事業というもののいわゆる五十二年度との構成比を見ますと、伸び率が四十七年対五十二年で一〇・二、このような総生産部門の中に占める比率というものが七・七%となっております。こういう概数から類推し、さらに交通関係国内の輸送需要というのが一四四ページに載っております。この中で、もちろん私鉄を含めた鉄道の関係の輸送人キロでございますけれども、二千九百億人キロが四十六年度の輸送量であります。これは全体の構成の四六・九%でありまするが、この二千九百億人キロが五年後の、いわゆる五十二年、六年後ですね。ことしからいけば五年です。五十二年については三千六百七十億人キロになっております。この倍率は四十六年度の一・三%になるわけであります。ですからおそらく私鉄を含めても、もちろん構成は国鉄がほとんど八割以上でありまするから、その倍率はそう誤差はないと見ます。  ところが、今回国鉄が出しておりますいろんな指数等を勘案して出しました長期収支試算というものを見ておりますと、昭和四十六年の対比で五十二年には総収入が二兆三千九百十二億となっております。それで倍率からいいますと、昭和四十六年度の約二倍近い収入見込みに相なっておるわけです。ところが、経済企画庁のこの総体的な国内における輸送需要の比率から見ますと、この計算において相当なアンバランスが生じるのではないか、私はこういう懸念をするわけです。いずれも試算でありますから、これは経済情勢の推移によって誤差があると思うのですが、少し国鉄の試算が経済企画庁の新社会経済計画よりも水増しをされて計算されているんじゃないか。私しろうとの計算でございますが、このことについて、特にこの際経済企画庁長官並びにお金を出していただける大蔵大臣、今後の大きな展望に立って、国鉄がつぶれるのか、あるいは採算性で突き通すのか、あるいは公共企業体の比重を高めると、いわゆる今日の経済情勢の推移に伴って対応する機関が発展すると、ますます国鉄のシェアというものは狭まっていくのではないか。こういうふうな大局的な見地からこの問題を踏まえていかなければ、今後に大きな禍根を残すのじゃないか。  たとえば、一つの数字で見ますと、建設省が今度第七次五カ年計画で道路整備に約二十一兆円ですか、そういう巨大な道路投資をやっているわけですね。これは同じ人間を運び、物を運ぶ道路政策です。ところが、国鉄の場合は十カ年で十兆五千億、こういうふうな一つの対比から考え、また輸送関係における営業距離に対応する列国の、イギリスなりアメリカなりフランス、ドイツですね、こういう点等から考えても、二万一千キロの営業キロで国鉄の場合は一年間に約六十九億ですか、のばく大な人を運んでおるわけですね。そういう点等のいわゆる投資効果というものを含めて、この際三大臣の御見解をお聞きして私の質問を終わりたいと思います。
  201. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 それでは、まず財政当局としての考え方を申し上げたいと思います。  一言にして言えば、十年間であらゆる努力と協力をして国鉄本来の姿に返したい、これが一言にしての考え方でございまして、ずいぶんいろいろの角度から検討いたしまして再建案をつくったわけでございます。  詳しくは申し上げるまでもないと思いますけれども、骨子としては、四十七年度末の長期負債が約三兆五千億でありますから、その利子の支払いが国鉄の経理を圧迫する要因になっている。このことは事実でございますから、今回の再建対策におきましては、四十七年度末のあらゆる長期債務、世銀の借款だけは除いておりますが、三兆五千二百六十億円の利子相当額については再建債を発行する。これは十年間に約一兆七百億円でございますが、その利子の全額を補給して十年間で約五千三百億円になるわけでございます。これが国鉄の今後の負担を大きく軽減する措置であろうと考えておるわけでございます。  それから、再建期間中の工事費が十兆五千億でございますが、これに対しては十年間に約一兆六千億円の出資を政府がいたします。そのほかに財政投融資として約九兆三千億円を投入いたします。さらに工事費にかかる資金コストが三%となるように、工事費の補助をやはり十年間に約一兆五千億円をする。かくして工事に対する助成を大幅に拡充する。これは国鉄の持てる、日本としての基幹的な大切な輸送機関であるということに着眼いたしまして、政府としては以上のような助成措置を講ずる。この措置は、列国に比べても決して少ないことはないと考えます。そうして国鉄自体の努力と、それから利用者の方々に対する応分の御負担と、三方から解決策を求めようとしているわけでございまして、初年度と申しますか、四十八年度でいえば、運賃の増収が千八百八十八億円、これが一般会計からの助成とちょうど額がほぼ見合うような勘定に相なるわけであります。  それから、公共割引の点にもお触れになりましたが、国鉄の資料から申しますと八千億よりももっと多いわけで、貨物を合わせますと、これは事実でございますが、沿革的に申しますと、国鉄が独占的な輸送機関であった、そういうふうな点から、社会政策的な要請に基づいてこうした諸種の割引を実施してきたわけでありますけれども、最近におきましては、必ずしも独占的な地位は持ちませんし、また経営が極度に悪化しております今日では、国鉄の再建という立場から、こうした運賃の割引につきましては、その見直しが必要になってきたのではないだろうか、こういうふうに考えておるわけでありまして、極力その是正につとめる必要がある、こう考えておる次第でございます。
  202. 小坂善太郎

    ○小坂国務大臣 お答えを申し上げます。  経済社会基本計画では、各交通機関別に経済のマクロフレームをつくりまして、これに基づきまする国民の総生産あるいは個人消費支出などをお互いに関連させながら、時という要素、時系列の分析を行ないまして試算した結果でございます。兒玉委員承知のように、この計画は五年間でございますし、国鉄の計画は十カ年計画でございますが、また私どもの基本計画におきましては、五十二年度の輸送需要予測は私鉄も含んでおりまして、鉄道の総輸送量を掲記しておりまして、特に国鉄について明示をいたしていないわけでございます。このように計画の期間それから輸送量予測につきまして扱いが異なっておりますけれども、たまたまこの両計画は並行して進められてまいりまして、両者の間で常に打ち合わせをやっておりまして、斉合性を保つように検討段階で十分調整をいたしておりまするので、五十二年度の輸送量の予測はおおむね一致しているものと考えております。
  203. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 国鉄の財政再建計画の内容につきましては、ただいま大蔵大臣から相当数字を入れて詳しく説明せられましたので、その点は省略をさせていただきますが、先生御心配していただいておりますように、一体この十年間の見通しというのははたしてだいじょうぶかということ。第一、これはいま経企庁長官も言われましたように、今度の経済社会基本計画におきましては、五年間を対象にして予想しておるわけでございますけれども、国鉄の計画は、財政再建整備法の趣旨によりまして、この十年間に何とかして自立し得るような財政的な基礎を固めるような計画を立てろ、こういうことになっておりますので、私のほうはいまの五カ年計画を、さらにそれに対しましていろいろの要素を加えまして、その後の五カ年間を予想して立てた数字でございます。  この数字につきましては、国鉄当局から場合によりまして補足で説明をさせてもけっこうでございます。しかし、一般的に申しますと、いまお話の中にも出ておりましたが、長期の再建債というものは、国鉄の公共性から生まれた設備投資であるから、これはもっと国が厚い保護といいますか、負担をしたらどうかとか、あるいは地方の閑散線の問題、こういったものは初めから収支償うものでないのだから、これは国が負担したらどうかとか、いろいろの御議論があることはよく承知しております。  ただ、そういった点につきましては、これが問題の焦点になるわけでございますが、われわれ運輸省の当局といたしましては、国鉄全般を通じまして、いわゆる閑散線の問題あるいは設備投資の問題、その他いろいろなマイナス面もございますから、そういったものを全体含めまして、総合的に十年後における国鉄の財政の再建ということを目ざして試算をしておるわけでございます。個々のものをそれぞれ切り離して試算をするということよりも、全体を通じてそういう計画をやったほうがいいということで、十年の後の国鉄の財政状態のあり方というものについて計画もし、それによって試算をしておるということでございます。  一つつけ加えて申し上げますが、これは先生よく御承知のように、国鉄の設備投資というものは、いままでとかく旅客本位であったように感ぜられるのでございます。そのために、一方では非常に道路が発達してまいりまして、自動車輸送がふえてきた、そして貨物運送のほうで非常に押されちゃった、こういうふうなことも事実でございますから、今後この貨物方面の輸送につきましては、設備投資もふやし、そして企業努力もいたしまして、何とかしてこの貨物方面における赤字を解消するように、あらゆる努力をさせていけば、御心配のような点もだんだん解消するのじゃないかということをわれわれ期待しながら、今度の計画をつくっておるということを申し上げたいと思います。
  204. 兒玉末男

    兒玉委員 時間がもうないので、あと二、三点。航空関係もありますが、大蔵大臣にも、私はこれは後日提案されたあとでいろいろ御論議したいと思うのですけれども、国鉄が確かに独占の機関でなくなったということは、私もよく知っておるわけです。そういう点から見ましても、統計が示しておりますように、旅客のシェアが昭和三十年には五五%、それが四十六年には三一%になっております。また貨物の場合は、特に道路整備、高速自動車道のいわゆる整備等によって、この十六年間に五二%から一八%に低下しておるわけです。今度建設省の第七次五カ年計画で、先ほど数字を私は明確に申し上げませんでしたけれども、実にこの四十八年から五十二年の間に十九兆五千億円、こういう巨大な仕事をして道路整備をするわけです。ですからその際に私が考えることは、道路については国民は金を払わぬでも通れるじゃないか、鉄道は毎年二千億近い金を払ってしなくてはいけないのか。同じ輸送するわけでありますし、またこれからシェアの問題につきましても、重要資材等については国鉄に輸送力の余裕がある限りは、同じセメントなり鉄材が、この東海道を二重も三重もダブって輸送されている。私はこういうような輸送分野についても、この際、せっかくの国の貴重な財政投資をする以上は、有効適切なことをやはり根本的に考えていかなければ、国鉄の採算性ということだけでは根本的解決はできない。この点は今後の一つの議題として残しまして、御答弁はけっこうであります。  次に、航空関係について運輸大臣にお聞きします。
  205. 根本龍太郎

    ○根本委員長 兒玉君に申し上げますが、時間はすでに経過しております。
  206. 兒玉末男

    兒玉委員 簡潔に申し上げます。  大臣にお伺いしたいのは、この際、海上も含めてでございますが、今度モスクワにおける事故並びにニューデリーにおける日本航空の事故は、まことにこれは重大な問題であります。同時に、この原因については、すでに運輸省から関係機関には改善命令が出されておるわけでありますし、私もその資料をいただいておりますので、問題は、ともすれば現在の航空機業界というものが、需要の激増に伴っていわゆる乗員の養成、訓練あるいは航空機の整備、あるいはまた人的関係の相互関係、そういう点について欠くる点があるのではないかということが指摘をされておるようであります。ニューデリーの場合は、インド航空の調査委員会の結果では、機内のレコーダーによって分析した結果、これは明らかに操縦ミスというふうな方向づけが、きのうの毎日新聞でも明らかに出されております。モスクワの場合においては、一般の操縦士の常識から考えては考えられないような二つの原因が指摘をされているわけでございますが、いずれにしましても、この二つの事故でもとうとい生命が奪われている現実には変わりはないわけであります。  また同時に、日航の場合は一月の十九日ですか、四日間の間に三件の事故も、アンカレッジなりあるいはアメリカ向けの飛行機が、途中で油圧装置が故障して帰っているというふうに、改善命令が出されておりながら、なかなか実行の面で、次々ミスを起こしているのじゃないか。これは単に日航だけでなくして全日空を含めてでありますが、これに対して、私が聞いたところでは、特に日航の場合に営業に重点が置かれて、営業、いわゆる開発ですね、こういうことに重点が置かれて、肝心のいわゆる整備なり、あるいは乗員の訓練なり、そういう点がともすればなおざりにされてきているのじゃないか。同時に、資料をいただいておるわけでございますけれども……(「委員会でやったらいいじゃないか」と呼ぶ者あり)きわめて大事な問題でございますので……。試験官なりあるいは監査官等の構成にも問題があるのじゃないかということが指摘をされておるわけですが、この航空事故に関する問題。  もう一つは、先般海上保安庁が海上汚染について抜き打ちの一斉検査をされておるわけです。特に、海上汚染ということは、海洋資源の確保という意味できわめて重大な問題であり、わずか五日間の海上の捜査でも、二百件近い違反事項が指摘されておるわけでありまして、おそらくこれは平常時から想像するならば、相当の違法行為がまかり通っておるのじゃないか。これはもちろん海上船舶の油汚染だけでなくして、工場廃液等の汚染もあるわけでございますが、こういうような海上保安庁関係における規制なり監視体制についても、沿岸漁民、国民の資源を守る立場から、この際われわれはもう少し真剣な対策が必要ではないのか。以上大まか二点について御質問を申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  207. 新谷寅三郎

    ○新谷国務大臣 航空事故に対する関係でございますが、昨年相次ぐ航空事故が起こりまして、まことに運輸省としても残念に存じておる次第でございます。こういった事故を再び起こさないように、先生もいまいろいろお述べになりましたが、各事故につきまして原因をきわめまして、そういったことのないような措置を立てるのはもちろんでございますけれども、いまお話しのように、単に乗員に対しましてこういうふうな訓練をしようとか、整備面においてこういうふうなことをしようというだけでは、これは足りないと私も考えておりまして、先般来、日本航空をはじめ航空三社の首脳部をそれぞれ招致いたしまして、この問題について、今日までとった措置、これからとろうとする措置、そういったものについて具体的に、詳細に報告をしてもらうということで報告書が参っておりまして、それに基づきまして、各航空会社に対しまして、今後とるべき措置を指示をいたしておる状況でございます。  なお、一、二の大きな事故に対しましては、まだ結果が出ておりませんけれども、これも結果が出次第に、応急にその対策を講じさせるつもりでございまして、今度は航空法の改正案も提案してございまして、安全運航のためには最大限の努力をしなければならぬと考えておる次第でございます。  海上関係につきましては、仰せのとおりに先般海上保安庁におきまして抜き打ちに全面的に検査をいたしました。相当の成果があがったようでございます。仰せのように、これは海上汚染ということだけではございませんで、今後船の衝突ということによってやっぱり人命の損傷ということも考えられますので、ことしの七月に施行を予定されております海上交通安全法、これがまだ施行前でございますけれども、そういう精神にのっとりまして、潮の早いところあるいは海上の狭いところというふうなものについての航行につきましても、十分注意をするようにということで、あらゆる方面から海洋の汚濁及び海上における人命の安全ということにつきまして努力を続けていきたい。こういった抜き打ち検査はときどきやったほうがいいんじゃないかということを考えまして、人間と費用の許す限り、これを今後も続けていくつもりでございます。
  208. 根本龍太郎

    ○根本委員長 これにて兒玉君の質疑は終了いたしました。      ――――◇―――――
  209. 根本龍太郎

    ○根本委員長 この際、参考人出頭要求の件についておはかりいたします。  明二十七日の北側義一君質疑の際に、日本住宅公団総裁を、また楢崎弥之助君質疑の際に、東京証券取引所理事長の出席を求め、意見を聴したいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  210. 根本龍太郎

    ○根本委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決定いたしました。  次回は、明二十七日午前十時より開会いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時二十五分散会