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-
○
中垣委員長 これより会議を開きます。
本日の
請願日程全部を議題といたします。
今国会、本委員会に付託になりました
請願は五百三十件であります。
各
請願の内容につきましては、文書表で御承知のことと存じますし、また、先ほどの
理事会で協議いたしましたので、この際
紹介議員の説明等を省略し、直ちに採否を決したいと存じますが、御異議ありませんか。
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○
中垣委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
おはかりいたします。
本日の
請願日程中、日程第三ないし第五、第二二、第八〇、第一六一、第一六二、第一七四、第一七五、第一八二ないし第一九〇、第二二〇ないし第二二八、第二五三ないし第二八二、第三二〇ないし第三三七、第三五七ないし第三八八、第四〇二ないし第四一七、第四五七、第四八八ないし第五〇七、第五一四ないし第五一八、第五二三の各
請願は、いずれも採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。
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○
中垣委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
おはかりいたします。
ただいま議決いたしました
請願に関する委員会報告書の作成につきましては、
委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
-
○
中垣委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
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○
中垣委員長 今国会、本委員会に参考送付されました陳情書は、お手元に配付いたしてありますとおり十六件でございます。この際御報告をいたします。
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○
中垣委員長 閉会中審査に関する件についておはかりいたします。
裁判所の
司法行政に関する件
法務行政及び
検察行政に関する件並びに
国内治案及び人権擁護に関する件以上の各件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
-
○
中垣委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
閉会中の委員派遣に関する件についておはかりいたします。
閉会中審査案件が付託になり、委員派遣を行なう必要が生じました場合には、議長に対し委員派遣承認申請を行なうこととし、その派遣期間、人選等につきましては、
委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
-
○
中垣委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
――――◇―――――
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○
中垣委員長 おはかりいたします。
本日、最高
裁判所矢口人事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
-
○
中垣委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
――――◇―――――
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-
○
稲葉(誠)委員 最初にお聞きしたいのは警察ですね。金大中氏の事件に関連をして、昨日来ですか、自衛隊員だったのが、そういう人が金東雲氏から頼まれて金大中氏の見張りをやったとかいうふうなことが伝えられており、警視庁のほうでその取り調べが行なわれたということですが、そのことに関連して事実の関係をまずお尋ねをしたいこういうふうに思います。どうも
中島参
事官あまりしゃべらないのですが、あなた、遠慮しないでもっとしゃべってだいじょうぶですよ。ひとつ差しつかえない範囲で、できるだけ広い範囲でその関係を説明をしていただきたいと思います。
-
○
中島説明員 東京のある私立探偵社がことしの七月中旬ごろ、佐藤と名のる人物から依頼をされまして、金大中氏の所在確認につとめましたが、所在がわからないまま七月末に契約を解除され、その後金大中事件の発生を見まして、びっくりして警察にこの事実を通報し、協力したという話を聞いております。その私立探偵社を経営している人が元自衛隊員であり、またすでに六月下旬に辞表を出し、やめる前の休暇期間中の自衛隊の人が手伝いをしたという話でありますが、この人は八月一日に自衛隊をやめておると聞いております。金大中事件は八月八日でございますので、事件そのものには自衛隊員も直接関係ありませんが、警察といたしましては、この人たちを事件の重要な証人として考えておるわけでございます。
-
○
稲葉(誠)委員 そこで、佐藤という人は金東雲書記官だということがいわれておるようですが、そのことについては、そういうふうに私どものほうで承知してよろしいのでしょうか。
-
○
中島説明員 探偵社の方に金東雲の写真を示したところ、本人に似ているという証言を得ております。
-
○
稲葉(誠)委員 そうすると、この私立探偵社というのはあなたは名前も言わないのですが、新聞などに名前も出ていますね。電話帳にも載っていないし、ビルの外にも看板も何も出ていないところだ、こういうふうに伝えられておるわけです。まずそれがそのとおりかどうかということ、それが一つと、そういうふうになってくると、その佐藤なる人物が金東雲に似ておる、金東雲自身だというふうにおそらく警察では言ったに違いない、こう思いますが、どうしてその人が、広告も何もない、電話帳にも載っておらない、そういうふうなところを、そういう特殊な目的を持ってたずねて依頼をしたのか、こういうことについては、当然探偵社の所長ですか、坪山という人、あるいはもう一人の江村という人ですか、そういう人を調べてわかっているわけでしょう。これは一つのポイントになるわけです。こういうふうなことについては一体どういうふうになっているわけですか
-
○
中島説明員 この探偵社が電話帳に載っていないとか、あるいは広告をしていないとかいうことについては、ただいま私は承知をいたしておりません。佐藤というのがどういう経緯でこの探偵社に依頼をしたかということにつきましては、この探偵社の話によりますと、自分の身元であるとか電話番号などを明らかにせずに、先方からのいわば一方通行的な連絡で依頼をしてきたようでありまして、その時点では佐藤という者の素性についてよくわからなかった、こういうふうに申しております。
-
○
稲葉(誠)委員 これは自衛隊の調査隊というところにいた人のようですね。自衛隊の調査隊にいた人が、そういうふうな興信所だか私立探偵社だか知りませんが、開いたということが、どうして外部の人にわかるのでしょうかね。ここは国会ですから、捜査のあれをやっているところではありませんから、そんなこまかいことはやるつもりはありませんけれども、国民が関心を持っているものですから、ある程度のことはあれしていいし、このこと自身が捜査に支障があるという問題ではもちろんない、ぼくはこう思うのです。ここであなた方が答えると、そのことが現実の捜査に支障があるということなら、これは私は問題だと思うのだけれども、むしろ答えることによって、自衛隊とあるいはKCIAというか、あるいはいろいろなそういうふうなものとの結びつきなどが疑問視されていることが、そういう事実があるならあるとかないとかいろいろあるので、より大きな公益的な目的とのつながりということも考えるならば、これはむしろわかっている範囲で明らかにされたほうが私はいいのだと思うので聞いておるわけです。
-
○
中島説明員 私どもといたしましても、そういう点も含めまして探偵社に何か思い当たる節がないかということなどを尋ねておるわけでありますが、先ほどお答えをいたしましたとおり、なぜこの探偵社を選んだのかよくわからない、こういうことになっております。
-
○
稲葉(誠)委員 佐藤という人と坪山という人とが前に顔見知りだったとか、あるいはどこかで会っていたとか、そういう点については、坪山という人はどういうふうに答えているわけですか。
-
○
中島説明員 そういうことはないというふうに申しております。
-
○
稲葉(誠)委員 そういうことがないのに、一体どうしてこういうふうなものがあるということを佐藤という人、これは金東雲書記官だというふうに伝えられておりますが、これがわかったのですかね。それについてはあなたのほうも非常に疑問に思うというか、むしろ積極的に警察としては解明したいところだ、こういうふうにお聞きしておいてよろしいですか。
-
○
中島説明員 私どもとしてもその点についていろいろ調査をいたしました結果、先ほどのような話になっておるわけでございまして、いまの時点で申せば、この探偵社の話を信ずるよりほかない、こういうところでございます。
-
○
稲葉(誠)委員 そのことは警視庁にはいつごろわかってどういう経過で――これは警視庁が発表したのですか、あるいは発表しないけれどもほかのほうにわかったということでしょうか、そこはどうなんですか。
-
○
中島説明員 警視庁として発表はいたしておりません。
-
○
稲葉(誠)委員 発表しないのがどうしてわかったのだろうか。
-
○
中島説明員 先ほど申し上げましたように、金大中事件が発生して、数日中にこの探偵社のほうからこういう事実があるということで申し出があり、警察に協力していただいた、こういういきさつになっております。
-
○
稲葉(誠)委員 これは防衛庁おいでになっているからお聞きしたいのですが、この江村という人は自衛隊とはどういう関係にあった人なんですか。何か頼まれたという段階では自衛隊員としての身分を持っていた人なんですか。
それから自衛隊の調査隊というのがありますね。調査隊というのは現実にはどういうことをやっているのですか。それと警察との関係ですね、どういうふうになっているのですか、お聞かせを願いたいと思います。
それから、お忙しいでしょうから一緒にまとめてやると、全体として自衛隊員がこういうふうなことに関与していたということに関して、防衛庁としてはどういうふうにお考えになっておられるのかということを、終局的に最後にまとめてお答えを願いたい、こういうふうに思います。
-
○箕輪政府委員 調査隊というのは、内外の治安とか公安関係のことを調べますが、いまいわれております陸曹クラスの方々は、内外の新聞を消化する力もあまりございませんので、そうしたたとえば外国の新聞や雑誌に出ているような公安関係の記事を翻訳いたしましてつづるような、あるいはそういう書類を整理する仕事についていたのでございます。
調査隊というのはそういう仕事をいたしておりますが、今度の事件にそういう現職の者が、たとえ休暇中といえども、退職寸前のときではあったといえども、そういう仕事を休暇中にやっておったということは、妥当な行為ではない、防衛庁はそのように考えております。したがって、この事件は、もう退職しております関係で、どうしても退職して民間人になっている者をいまの防衛庁が捜査するとか調べるとかいうようなことはいまできないわけでありまして、この事情を聞きまして、警察のほうからの御連絡もありまして、内部で、いつこれが退職願いを出しておったか、それから発令はいつであったかというようなこと、あるいは隊内の勤務状況はどうであったかというようなことごとをいま検討いたしておるところでございます。今後二度とこういうことのないようにひとつ規律を守っていきたい、かように考えておるわけでございます。
-
○
稲葉(誠)委員 いま政務次官が言われました調査隊というのですか、これはどの程度の規模なのか、もしおわかりになっておられれば御説明願いたいのが一つと、それから、いま言われた中で、内外の何とかを調べるという話があったでしょう。調べると言ったかどうかわかりませんが、まず内外の内というのは、一体何ですか、これはいやな聞き方ですけれども、それから外というのは何なんですか。具体的にどういうことをやっているのですか。
-
○箕輪政府委員 内外の内というのは、国内のことであります。国内の各都道府県でどういうような公安関係の事件が起きておるかというようなこと、外というのは、大まかに申しますというと、国外の外国の情勢であります。
-
○
稲葉(誠)委員 各都道府県の公安関係のことを自衛隊が、どうしてそれに関連というか、調べなければならぬのですか。
-
○箕輪政府委員 自衛隊の任務の中には、御承知のとおり、防衛出動、治安出動、災害出動等がございます。したがって、内外の公安関係のことは、治安出動ということはまあいままでやったこともありませんけれども、あらかじめ調べておく必要がある、そういうことで、内外の内のほうも調査をいたしておるということでございます。
-
○
稲葉(誠)委員 そうすると、その内のほうで治安出動の問題などがある。これは自衛隊法にありますけれども、公安関係の一体何をどの程度調べているのですか。そこだよね、問題は。だんだん……(「たいしたことはない。」と呼ぶ者あり)たいしたことなくはないよ。重要な問題だよ。たいへんな問題だ。元老、少し黙っててくれなくちゃ……。
何をどの程度調べているのですか。
-
○箕輪政府委員 調査隊は、外部からの働きかけなどに対しまして、部隊の秘密を保持すること、また、部隊を防護するために必要な情報、資料の収集整理及び調査を行なうことを任務といたしております。
また、組織いたしましては、陸上自衛隊及び航空自衛隊に調査隊が置かれておりまして、海上自衛隊には置いておりませんが、陸上と航空と合わせて六百六十人ぐらいでございます。
-
○
稲葉(誠)委員 そこで、自衛隊は、警察、検察庁から入管などと一緒になって定期的に公安関係の会議を開いていますね。これはどの程度開いていますか。
-
○箕輪政府委員 公安関係の会議等に自衛隊が参加しておったことはありません。
-
○
稲葉(誠)委員 そんなことはないはずだな。いや、僕も調べますがね。入管は参加しているかな。あるいは僕は入管の掲示板で見たのかな。ありますよ。それは全部じゃないわね。大体は高検管内だな。高検の所在地が多いが、やっていますね。それに自衛隊が入っておったと思うけれども、それはいいです。
そこで、まず外というのはどこなんだ。それから坪山という人は外のどういう関係なのか。第二部とか書いてあったけれども、外というのは韓国、朝鮮、これが中心ですか、必ずしもそうではないかもしれないけれども……。
-
○箕輪政府委員 韓国とか朝鮮半島とかいうことではございませんで、広く世界全般の問題であります。
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○
稲葉(誠)委員 これは世界全般には違いないけれども、そんな遠いところのことを調べるわけじゃない。
それじゃ、坪山という人はどこにいたのですか。自衛隊でどういうことをやっていたのですか。
-
○箕輪政府委員 陸上幕僚監部第二部に勤務いたしておった者であります。
-
○
稲葉(誠)委員 それはそうでしょうけれども、あれでしょう、陸上幕僚監部第二部というのは、情報担当なんですか、ここに何か最終的にはつとめていたというんじゃないですか。
-
○箕輪政府委員 この陸上幕僚監部第二部というのは、情報関係の職務をいたしております。
-
○
稲葉(誠)委員 そこで、その第二部というのは、この坪山というのは一体何をしていたの。四十六年七月からことしの六月までという約二年間つとめておったようですね。それでどういうふうな仕事をやっていたのですか。韓国関係の仕事をやっておったのじゃないですか。
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○箕輪政府委員 坪山というお名前をあげられましたが、坪山さんということは、これは警察庁のほうも警察のほうも、証人ということで、証人の保護という意味で名前をあげておりませんので、的確なお答えはできませんが、それに該当するだろうと思われる人のことを申し上げますと、昭和三十二年三月に入隊いたしまして、三十三年三月二十日に第二十普通科連隊所属、三十七年八月一日東部方面隊調査隊の宇都宮派遣隊勤務、三十九年十一月十四日東部方面調査隊本部勤務、四十六年七月十六日から陸上幕僚監部第二部勤務の後、四十八年六月三十日三佐で退職した、こういうことだろうと思います。
-
○
稲葉(誠)委員 いまのはわかりましたが、第二部というのは情報担当だというんでしょう。それじゃ、名前をあげるのはあれしましょう。ぼくがいま名前をあげたのは、速記で消しておいてくださってけっこうです。その方の人格もありますから、某氏でけっこうなんですが、それは何か情報担当で、情報一班に所属していた、実際には朝鮮関係、韓国関係というか、そういう関係の情報を担当していたんだということが言われているのですよね。そこでお聞きしておるわけです。そこから金東雲氏のいろいろな関係が出てきたのではないかというのが、これは推測みたいになるわけですけれども、それは単に捜査の問題だけじゃなくて、自衛隊がそういう形で韓国のKCIAなりに関連していたということにかりになるとすれば、非常に大きな問題になるわけですよね。それで私はあえてちょっとしつこいかもしれませんけれども、お尋ねをしておるわけです。
-
○箕輪政府委員 その某氏という人は、特別韓国や朝鮮半島の情勢などをやっておったものではございませんで、一般に情勢、資料、文書の作成、資料の分析、整理、そういう仕事をやっておる人たちで、特別韓国問題について勉強する、調査をするというような使命は帯びておりません。
-
○
稲葉(誠)委員 自衛隊の情報としては、やはり一番知りたいのは、ちょっと語弊があるかもしれませんけれども、一番日本に近いところの情報でしょう、外国といったって。そんな遠いところの外国、南極や北極のことを聞いたってしようがない、日本に一番近いところのことをいろいろ知りたいわけですよ。それはぼくはあたりまえだと思う。悪いということはない。そういうことから見て、一番日本に近い国が、どこの国か知らぬけれども、某国だ。その某国のことについて一番情報としては力を注ぐというのは、これはきわめて常識的なことじゃないでしょうか。
-
○箕輪政府委員 もちろん極東の範囲にある国家の情勢の調査をいたしますが、そうじゃなくて、友好国家であってもアメリカの問題だとか、あるいはいま問題になっておりますチリの関係だとか、そういうものも広く一般に情報を収集してこれを整理する、こういう仕事をやっておるんでありまして、くどくなりますが、この某氏が朝鮮関係あるいは韓国関係というものを専門にやっておったものでないことだけは、はっきりと申し上げておきたいと思います。
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○
稲葉(誠)委員 それはチリもそうだし、それからアメリカもそうかもわかりませんが、それは常識的なことで、私が常識的なことを聞いて、あなたのほうからそうだというような形ではっきり言うわけにもいかぬでしょうから、あれですけれども……。
そうすると、問題は、自衛隊の情報関係をやめていった人が興信所を開く、これは何か自衛隊がいろいろなことを興信所というか私立探偵社に頼むということもあり得るのですか。それはそういうことも連絡もあるのですか。
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○箕輪政府委員 自衛隊と民間の興信所とは何の関係もございませんし、過去において調査のあれでいろんなこともありましたが、決して、興信所を頼んだという例は一件もございません。
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○
稲葉(誠)委員 自衛隊に入りたいという人のいろんな身元調査なんかはやはり興信所やなんかを使ってやるんじゃないですか、あるいは警察を使ってやるのですか、自分のほうで独自にやるのですか。身元調査やるでしょう。
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○箕輪政府委員 身元調査はいたします。いたしますが、独自に地連という事務所がありますので、それがいたしておりますし、必要なことについては警察にお願いして頼む場合もございます。民間の興信所を頼んで身元調査をするということはいたしておりません。
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○
稲葉(誠)委員 そうなってくると、防衛庁としても一番問題に思うのでしょうが、防衛庁で情報担当をしていた人が興信所、私立探偵社か何か開いた、そこに頼みに行ったのは、警察ではどうも金東雲書記官に似ておる人ですか、いまの段階だから似ておる人というのでしょうが、おそらくその人のことを言っておるのだと思いますが、その人が一体なぜここへこういう特殊な任務を頼みに行ったのか、こういうことについて防衛庁としてもこれはいろいろ痛くない腹をさぐられるのかもしれぬしするから、徹底的に調べる必要があるのではないのですか。そこら辺についてはどういうふうに認識し、どういうふうにお考えになっておられるでしょうか。
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○箕輪政府委員 いまのいわゆる某氏という人が佐藤何がしという人に頼まれたという、依頼を受けて張り込みをやったということについては警察からもお聞きをいたしております。しかし、それが元自衛官であったということで、いまそれではやめられた元自衛官を防衛庁あるいは自衛隊が調べることができるだろうか、これはできません。したがって、もっぱら警察にお願いして情報をいただくということ以外に、自衛隊には捜査権も何もございませんので、調べることはできないわけでございます。
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○
稲葉(誠)委員 捜査権の問題は、これはやめられた人ですから別として、情報を担当していた人というのがやめられてそういうふうなものを開設した、そこへKCIAに属するといわれる金東雲一等書記官が特殊なこういう問題について依頼に行った、これがどうも常識的な線のように考えられるわけですが、となると、何らかの自衛隊の情報部と称せられるもの、情報担当というのですか、称せられるものと韓国のいろいろな情報、特にむしろ逆に韓国というよりも北朝鮮のというか、あるいは朝鮮半島をめぐるいろいろな情勢を聞くために韓国のKCIAと何らかの接触が自衛隊の情報担当の中にあったというふうに考えられるのが、これが経験不足からくる常識というふうにとられるわけですね。こういうことについて、防衛庁としてはどういうふうに判断をされておるのですか。また韓国のKCIAというものとは絶対に接触しないということなんでしょうか。そこはどうでしょうか。
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○箕輪政府委員 自衛隊の陸と空にございます調査隊、そういうものと外国の情報担当部、そういうものとの交流とか接触とかいうものは、これは一切ございません。(「少しくらいあるだろう」と呼ぶ者あり)ないのです。全くありません。個人としてそういう接触があったかについては私どもは調査することもできませんし、わかりませんが、少なくとも自衛隊という組織、その調査隊という組織とKCIAというものの接触というものは全くありません。
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○
稲葉(誠)委員 だから自衛隊という組織とKCIAとの接触はない、これは組織として接触があったのでは困る、こういうことで、かんぐれば、やめて、そして電話帳にも載っけない、何も看板をかけない形で何かを開いて、そこで接触をしてその情報を自衛隊に流すのだというふうなこともかんぐりかもわかりませんが、これは考えられてくるのではないのですか。そこら辺のことをやらなければ情報というものはとれないのではないのですか、ほんとうの話。そういうことは、私は自衛隊の何とかでございますなんといって情報はとれっこない、情報というものはわかったようなわからないようなかっこうをしていて、そして相手方からいろいろな質問をされれば、そういう事実はございません、知らぬ存ぜぬと言い張ること、それが情報なんで、あなたが知らぬ存ぜぬと言い張るのは当たりまえなんですが、それが情報なんですよ、それでなければ情報の意味がないのですよ、そうじゃないですか。実際はどうなんですか。ぼくはあってもいいと思います。KCIAとの接触あってもいいと思います。なければ情報をとれないのだから、そんなのないというほうがおかしい。
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○箕輪政府委員 なかなか誘導尋問がうまいので――。くどくなりますけれども、全く関係はございません。
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○
稲葉(誠)委員 それは全く関係ございませんというのが、これが筋なんですけれども、関係ありますと言ったらたいへんなことで、しようがない。これはほんとうの話聞くほうが無理だ、無理してここで聞いて、はあそうですと言ったらたいへんなことになる、そういうことないと言うのが忍者の一番大事なことだ。
それでいまのことはいまのこととして、今後の進展にまちますけれども、法務大臣、韓国の国会が開かれておりますね、私もテレビで見た範囲ですから、よくわかりませんけれども、ああいうふうな情勢を見たり聞いたりしておりますと、韓国が金東雲一等書記官というものを日本に来させるということはまずとうてい考えられないのじゃないでしょうか。そこはどうでしょうか。それから金大中氏にしても、日本に来ることを韓国政府が認めるということはとても考えられない情勢じゃないですか。そこは大臣、どういうふうに判断されますか。
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○田中(伊)国務大臣 両君の来日の見通しでございますが、私は、わが国の態度があくまでも強腰で入念に交渉を継続するならは来日必ずしも悲観的ではない、初めからそう言うておるんでありますが、これは来日は可能であるというふうに私は今日もなお考えております。
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○
稲葉(誠)委員 あなたは来日可能だと言っているけれども、来日が可能ということがだんだん遠ざかる方向へ行っているんじゃないですか。結局こういうことですか。まず、本件の解決はうんと時間がかかる、そして冷却期間をうんと置く必要がある、冷却期間を相当長い期間置いてそれから解決をしたいのだということと承ってよろしいでしょうかね。
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○田中(伊)国務大臣 具体的な捜査に関する事柄に私が触れられぬものでございますから、そこで、単なる見通しの問題として考えておることでございますが、来日をしなければ捜査は進まない、少なくとも捜査は終局を迎えかねる。来日をするには二つの方法がありまして、主権の侵犯が明白になったときには返さなければならぬ国際法上の義務を生ずる。その段階が来ますまでにということになりますと、これは捜査のために来日を求める。いずれにいたしましても、来日が得られないということになりますとわが国の捜査は完結しない。そういう抽象論は私の立場で言うて一向差しつかえないと思いますが、そういうことから、熱意を持って、熱心に腰強く来日を求める態度を政府は捨てていないわけでございます。もう見込みはないのだというふうに私は考えない。熱心にやれば見通しはなくはない、悲観的なものではない、こういうふうに観測をしておるのであります。
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○
稲葉(誠)委員 大臣、その見通しというのは、結局この問題は日本と韓国との問題ですよね。ぼくもそう思います。だから、日本はアメリカに対して仲に立ってくれということは絶対に言えないですよ。そんなばかな話はないですから、言えない。ぼくもそう思う。それが、アメリカはこの問題について異常なほど熱心ですね。それは、日本と韓国との間に変なひびが入るということを一番心配しているのはアメリカですね。国連の決議がどういうふうになるかわからないとしても、韓国の軍隊の装備の計画あるいは国連軍、こういうふうなものには変化があります。そのあとを日本がどう埋めるかということがアメリカとしては非常に大きな関心の的です。だから、ここで日本と韓国との間にひびが入っては困るというので、アメリカは、日本と関係ないですが、関係ないにしても韓国に話をして、韓国を説得して二人か一人か知りませんけれども日本に来るようにして、それで何とかある程度の政治的解決というか何かをはかろう、こういうふうなことになるのがどうも一つの解決策じゃないのでしょうかね。アメリカはやはり韓国を説得して、日本に来るような形をとるのじゃないでしょうか。そこら辺については何かどうもはっきりしないのですが、どういうふうにお考えでしょうか。必要な範囲でお答えください。
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○田中(伊)国務大臣 アメリカの動き、わが国から申しますと対米関係等については、外務省の御意見をお聞き願います。
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○
稲葉(誠)委員 それはわかります。法務大臣に聞くのは悪いとも思うのですが、あなたは国務大臣としていろいろあれでしょうからお聞きしたわけです。
そこで、この事件の締めくくりをお聞きするわけですが、警察としては結論はどういうように考えているのですか。ちょっと短兵急な話で質問がおかしいけれども、このままの状態では来ませんわね。あなたは国家公安
委員長じゃないですから、どうもあなたに聞くのは申しわけないけれども、このままの状態では来ないわけですね。どういうようなことになったら、いまの来日を求めている人たちが日本に来るということになるのでしょうか。これは公安
委員長に聞く質問で、失礼だがあなたに聞くのはちょっと悪いと思うのだけれども、これが第一点。
それからもう一つは、そういう人たちが来なくてもある段階で、捜査の結論はこうなんだということが発表できるのでしょうか。ということは、この人たちが来なくても日本の警察としては事実は事実として認定できるのだ、こういうふうにお聞きをしてよろしいのでしょうか。これが第二点です。
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○
中島説明員 私どもは従来からたびたび繰り返しておりますように、金東雲一等書記官の任意出頭を強く求めるとともに、金大中、金敬仁、梁一東三氏の来日を要請しておるのでございますが、現在の段階におきましてもこの態度に変わりはございません。この事件の被害者である金大中氏に来日をしてもらうということは、この事件の捜査に特に肝要なことであると考えておりますので、引き続き強く要請をしてまいりたいと思います。
では一体、金大中氏らが来ない場合にどうかというお尋ねでございますが、仮定の問題でありますけれども、私どもといたしましては現在も行なっておりますように現場を中心とする捜査、車の関係、船の関係、あるいはアンの家と称せられる場所等について、引き続きじみちな捜査を継続いたしているわけでございまして、今後の捜査の進展いかんによることでございまして、いまの段階で特に来日がなくても必ず事件の全貌が明らかになるということを申し上げる段階でもございませんし、来日がなければ事件の全貌はわからないということになると申し上げる段階でもないと考えております。
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稲葉(誠)委員 いまの答えはそれでいいですね。警察の答えはそれ以外にないでしょうね。
そこで法務大臣にお聞きしたいのですが、日本の主権が侵害されたことが盛んに議論になっておりますね。これはいままでで結論が出たということに一応しますが、ちょっとはっきりしない点があるのですけれどもそれはそれとして、ただ韓国のほうでは、日本が外交官で一等書記官の来日を、どういう形でかはっきりしませんけれどもとにかく日本に来いと言う、あるいは金大中氏に日本に来てくれというようなことで、日本が韓国の主権を侵害しているのだという議論が韓国側では盛んに出ていますね。これについては、そういう事実があるというふうにお考えになるのか、あるいはそういう事実はないと考えるのならばないと考えられる根拠はどうか、これを法務大臣にお尋ねしたいと思います。
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○田中(伊)国務大臣 これは先生ひとつ外務省に願いたい。私が行き過ぎてはいけません。
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○
稲葉(誠)委員 あなたはやけに慎重になってしまったが、あなたがあまり慎重になってしまうと、あなたのおもしろみというか人間味が出なくなってあれなんですが、きょうはちょっと調子が狂っちゃうな。そういうことは日本として要求しているわけですね、金大中氏に来てほしいとか――これはちょっと違いますわね。金東雲氏の場合は、警察はどういう根拠で来てくれと言っているのか、要求の根拠はどういうことなんだ。国際法上はどういうところが根拠になっているのだ。ちょっと急な質問で悪いような気がするが、どういうところが根拠になっているの。金東雲氏に来てくれというのは、それは韓国の主権を侵害することになるのかな。警察が要求しているのだろうから……。どうなんだ。
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○
中島説明員 私どもといたしましては、金東雲書記官が本件に加担をしている容疑が濃厚であるということで任意出頭を要求したわけでございますが、たまたま結果的には金東雲書記官がすでに韓国に帰っておるということでございますので、韓国政府の同意を得て任意出頭に応じていただくように要求をいたしておるわけでございます。こういうことでございます。
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○
稲葉(誠)委員 だから、それは一体韓国の主権の侵害になるのかならないのか聞いているのだけれども、だれかわかる人いないかな。答えてくださいよ。だれでもいいや。
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○
中島説明員 ただいまお答えいたしましたとおり、韓国政府の同意を得て行なうわけでございますので、かりに任意出頭した場合でありましても、韓国政府の同意があるということでございますので、主権の侵害にはならない、かように考えております。
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○
稲葉(誠)委員 それは、いまの段階では、外交官ですからね。韓国政府の同意ということを条件としているから、そういう点で主権の侵害にはならない……。これは法律論ですね。しかし向こうでは盛んに主権の侵害論をやっているようですが、それはそれとして、話は別のことにしたいと思うのですが、法務大臣、しばらく話を聞いておいてほしいのです。別のことです。
外国人登録法のことでお聞きしたいのですが、これは刑事局長かどっちかあれですが、旅券を不携帯の場合、これはどうなっているの。犯罪になるの、ならないの。どうなんだ。
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○
竹村説明員 外国人登録法によって外国人登録をしておる人につきましては、登録証明書の不携帯は罪になりますけれども、旅券のほうは罪にならない。ただ、登録していない段階においては、旅券自体は不携帯は罪になります。
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○
稲葉(誠)委員 たとえば外国人が日本に来ていまずね。それで、旅券は持ってくるわけだけれども、旅券は常時携帯義務が――どうでしたっけ。携帯義務があるけれども、常時携帯してなかったときに罪になるのかどうかということです。
それと、もう一つ、呈示義務があるでしょう。旅券を見せてくれと言ったときに、こっちのほうはそれを見せなきゃならない義務があるわけですか。
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○
竹村説明員 外国人登録法によりますと、旅券を持って入国した外国人は二カ月をこえて滞在する場合は登録をしなければならない。登録しますと、その段階から外国人登録証明書の携帯義務が発生しますけれども、旅券のほうは必ずしも携帯しなくていい。したがって、その二カ月を境にしまして、その前の段階は旅券を持たないこと自体が罪になりますけれども、片一方は、二カ月をこえますと、外国人登録証明書の不携帯が罪になるというかっこうであります。
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○
稲葉(誠)委員 そこで外国人登録法を見ますと、とにかくこれは不携帯と呈示義務は十三条でしょう。十三条の違反ばかりでなくて、たくさんの違反が全部並んでいますね。それで懲役または禁錮一年以下か罰金とか、併科もたしかあると思いましたが、外国人登録証を不携帯だということで、一体どうして一年以下の罪になるのですか、そこのところは大臣どういうふうに考えていますか、ちょっとこれはぼくはおかしいと思う。あまりきつ過ぎると思うのです。あなたどういうふうに考えているのですか。外国人登録証というものを持つ人だっていろいろあるわけでしょう。日本に戦前からいる人もあって、自分の意思に反して日本人になり、それから日本人でなくなった人もある。そういう人々まで外国人登録証を持つ携帯義務がある。それをたまたま不携帯だったというと、たとえばふろ屋に来たときに持っていなかった、それでも不携帯だといって、あなたは懲役一年以下、こんなことは全くおかしいというか、日本にいる外国人はいろいろな外国人がいるわけですけれども、それに対して全くこれを取り締まりの対象としてしか見ていないということですよ。これはよく納得できない。しかもこの罰条が全部並べてある。いろいろなものが一ぱい入っている。一ぱい入って全部懲役一年禁錮一年以下の刑ですね。これについて法務大臣、どうですか。あなた先でなくて、事務当局から先に答えて、それに伴って大臣からお答え願いたいと思うのです。
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○
竹村説明員 外国人登録法違反の中には、御質問にありましたように、単に携帯しない――これは一番軽いと思います。という罪からあるいは登録を妨害する罪とか、いろいろ重い段階もございます。ただ、これらを先生御指摘のように、第十八条によりまして、すべてのものが罰則として見ますと、「左の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役若しくは禁こ又は三万円以下の罰金に処する。」こういうふうになっております。どうしてこれを具体的な態様ごとに罰則の中身に軽重をつけなかったかという問題があると思いますけれども、ただよく見ますと、一般に「一年以下の懲役若しくは禁こ又は三万円以下の罰金」というこの罰条自体が他の刑罰法令に比べればきわめて軽い部類に属するのではなかろうか、そういう範囲内において外国人登録法の違反を規律するということになっておると思います。
なお、不携帯につきましては、もちろんこれによってそれ自体で体刑を求刑するとかというようなことはほとんどない。私ども警察庁におって実際に事務をやっておりましても、不携帯は初犯は起訴猶予という例がずいぶん多いし、かりに処罰を求める場合も軽い罰金で済ますという例が多い。これは私どもの体験を通じての感触でございます。
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○
稲葉(誠)委員 いまの不携帯が実際には罰金が多いわけですね。それならば罰金だけの条項にして、別の条文なら別の条文をつくるようにしたらいいじゃないですか。これが非常に悪用されているわけです。
そのことと、きょうは時間がありませんから別の機会にゆっくりお聞きしたいと思いますが、それからぼくが疑問に思いますのは、日本に外国人がたくさんいるでしょう、いろいろ種類がありますけれども、いまお話ししたように戦前からいる人もありますし、不良外国人というのもいますよ。それはそうだけれども、なぜ外国人登録証が不携帯だからといって処罰しなければいけないのかということです。そこがぼくはよくわからないのです。一体法域は何なのかということです。治安対策でしょう。何が法域になっているのですか。ちょっとわからないけれども、そこはどういうふうに考えたらいいのですか。
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○
竹村説明員 結局外国人というものの管理を公正的確にやるためには、外国人は適法に在留しているという証明を常時してもらいたい。特に朝鮮人につきまして、御質問のように、朝鮮の人たちの中には、戦前からずっと日本に住みついておるという人たち、これはわれわれとしても、わが国社会に定着しておるということを踏まえて今後の対象として考える人たちでございますけれども、またこういう朝鮮の人たちの中で、現に密入国をしてきて、この前もここでちょっとお答えが出ましたけれども、潜在的な密入国者の数というものは五万ないし十万というふうにいわれておる。そういった実情を踏まえての外国人の公正な管理という面を考えますとき、いま直ちに外国人登録証明書の不携帯を軽く扱う、必ずしもそういうわけにいかないのではなかろうかというふうに考えます。
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○
稲葉(誠)委員 だから外国人登録証明書の不携帯というのは、現実にはほかの犯罪を見つけ出すための手段に使われているのじゃないかと思いますが、いずれにいたしましても、きょうで終わりのようですし、ほかの方の質問もありますので、この外国人登録法の問題は私ももっと研究したいと思うし、いろいろ問題があると思うのです。ことにいま言ったように個別に分けていないために不携帯が非常に悪用されているのです。一番激しいのは、ふろへ行くときに持っていっていないというので逮捕されているのです。学校の先生が教室へ講義しに行くでしょう。夏だから教員室に上着を脱いでいくわけですよ。そうすると、教室で講義しているときに、それが不携帯だからといって逮捕されているのです。こういうことは枚挙にいとまないのです。近ごろ竜ケ崎の例がある。それはこっちはちゃんと調べている。ただちょっと古いけれども、このごろはだいぶ直ってきましたけれども、いずれにいたしましてもそういうのは相当あるのですよ。それからほかにもありますよ。自分の住居と店が違っているでしょう。そうすると、店に住んでいたとなると、表示が住居と違うといって逮捕されている。盛んにそういうことを利用するのですよ。これは入管がやったというわけじゃないけれども、警備が第一線でやられるのかもしれませんけれども、いずれにいたしましても外国人登録法そのものですね。それとその運用、こういうようなことでいろいろ問題があるのです。これは私も今後よく研究して、そしてまたあらためて別の機会に質問をしたい、こういうふうに考えてきょうの質問はこれで終わります。
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-
○
青柳委員 いわゆる長沼裁判というのが出てからもう三週間近くになりますが、参議院の法務委員会その他ではだいぶこの問題について論議を進められたようでありますけれども、衆議院の法務委員会ではあまり深く質疑が行なわれているとも思えませんので、少しくお尋ねをいたしたいと思います。
前回給与法案の際に、先ほどここで質疑をされました
稲葉さんから少しく質疑がありました。しかしその際、特別に
裁判所に対しては御質問なかったようでありますので、最高
裁判所にこれに関連してお尋ねをいたしたいと思います。
あの長沼の裁判を担当された三人の裁判官の任期はあと何年くらい残っておりますでしょうか。それぞれについてお答えを願いたいと思います。
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○矢口最高
裁判所長官代理者 裁判長が福島裁判官、陪席が稲守、稲田、三名の裁判官でございます。
福島裁判官は十一期の裁判官でございまして、約四年半ほど経過されたところでございます。十年の任期としましては、終わりますのは五十四年四月でございます。
左陪席の稲田裁判官は二、三年前に任官された方で、まだ任期がございます。ちょっと正確には記憶いたしておりません。
右陪席の稲守裁判官、この方につきましても、私ちょっと正確な履歴を用意しておりませんので、正確にはお答えいたしかねますが、後ほどでもまた
青柳委員にお知らせいたしたいと思います。
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○
青柳委員 任期がまいりました際に判事が再任される、あるいは判事補が判事に任命されるということが、必ずしもそのとおりに行なわれていないという過去の悲しむべき実績がありますので、このように問題になったというのは、別に間違っているから問題になったという意味ではありませんけれども、非常に大きな反響を呼んだ事案を担当した裁判官が将来任期が満了した際に、好ましからざる人物というような形で排除されるようなことがあってはならないと思いますので、一応任期の点をお尋ねしたわけです。
それから任地の問題でございますけれども、これはいずれも何か慣習的に三年間で任地をかえられるということについて同意書を提出しているというようなことを聞いておりますけれども、この三人の方についてそれぞれいつになればその契約といいますか合意、予約の期限が来て、どこかに転任をさせられる、転地ということがあるのかどうか、その点もお尋ねしたいと思います。
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○矢口最高
裁判所長官代理者 具体的な問題については、個々の人事のことでございますので、このような席でお答え申し上げるのはいかがであろうかという感じがいたしますが、一般的な問題として申し上げますと、これまでの
裁判所の長年の慣例と申しますか慣習でございまして、北海道に赴任される方につきましては二年または三年で、一定の範囲の希望の
裁判所の本庁にお戻しするというようなことで扱っておるわけでございます。これまで本人が北海道へ行って、約束の任期が来たけれども、もう少しおりたいといわれる方があれば、これは格別でございますが、北海道からこちらのほうに戻ってきたいという御希望があります場合には、大体それに沿うようなお取り扱いをしてきておる、これが一般的な実情でございます。
なお、この事件を担当された裁判官方の中には、三年というお約束でおいでになって、もうすでに三年以上たっておられる方もございます。引き続き事件を終わるまで担当させていただくにつきましては、事件の特殊性等を考慮して最後まで担当していただきたいということをお話しし、本人も了承されて担当されておるという状況でございます。そういう状況はすでに終わったわけでございまして、今後お約束に従いまして転出という問題が起ころうかというふうに考えております。
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○
青柳委員 これも杞憂であればそれにこしたことないのでありますけれども、こういう事案を担当したということが事実上の理由で、本人の意に反するような場所に転地を求められる。それにがえんじないということであれば昇給などもおくれるというようなことがあって、結局は本人がいや気をさして裁判官の職をなげうつというような結果になっては困ると思うのです。
私どもはそれについて十分関心をもっていきたいと思うのでありますが、それはそれとして、
裁判所において裁判官が憲法七十六条三項の憲法及び法律に従う、良心にも従うわけでありますが、この法律という中に、
裁判所の判例になっていわば法的効力を生じているようなものも含まれるという解釈もあろうかと思うのです。そういう場合に、自衛隊は合憲ではないというような判例はまだこの長沼裁判以外には出ておりませんけれども、砂川裁判の傍論の中にそれを思わせるようなものも散見いたしますので、これも判例法であるというような拡張解釈をして、それに反するような下級審は取り消される可能性がある。そういう裁判をした人間は本来法律を無視した裁判と言ってもよろしいわけだから、そういう裁判官は裁判官としては適任でない。さりとて懲戒にするというわけにもいかぬし、また弾劾
裁判所でこれをそのまま免官にするというところまでいくことはできない。そこで考えられることは、
裁判所の人事の問題でこれを差別する。そうすれば実質的には
裁判所から排除することが可能な結果になるというようなことも考えられるわけです。
そこでお尋ねしたいのですけれども、自衛隊違憲ということについていままで
裁判所はどういう態度をとってきたというふうに考えられておられるか、それをお尋ねしたいと思います。
-
○矢口最高
裁判所長官代理者 最終的なお尋ねの趣旨がやや不明でございますが、いずれにいたしましても、訴訟法上の判断は、その訴訟の上訴審においてさらに検討されるということが一義ではなかろうかというふうに考えております。
また最高裁の裁判というものが厳格な意味においてはその事件において下級審を拘束する。また一たん最高裁が判断を出しますと、それが同種の事案が上告された場合には、判例変更のない限りという条件がもちろんつきますけれども、同種の判断が示されるであろうという意味において、判例のいわゆる判例制度というものも存在する。しかし、七十六条にいう憲法、法律というものは、あくまでも字義どおり憲法、法律と解すべきものであると考えておるわけでございます。
-
○
青柳委員 この長沼裁判がなされる前から、自衛隊の一部の人々が、これは敗訴する、つまり自衛隊違憲という判決が出るであろうということを先取りして、これは単なる下級審の判断にしかすぎない、したがって上級審にいけば必ず敗れるというような趣旨のPRの文書まで出したと言われておりますけれども、そういうことが何か常識であるように、つまり下級審の裁判であるから上級審で必ず敗れる、自衛隊に関する限りその点は間違いないといったようなことが常識であるかのごとくに宣伝されるということには何か根拠があるように世間では思います。その根拠が果たして妥当なものであるかどうかということは、これはまた別問題でありますけれども、少なくともそう言うからには何か暗黙の了解といいますか、上級審にいけば必ず敗れるのだ、何かそういう実績のようなものでもあるように一般の人には思えるような状況があるのではないかと思うのです。
そこで、もう一ぺんお尋ねするのですけれども、砂川の裁判などはこの自衛隊違憲の議論を解説する上で何ほどかの影響力を持つものというふうに最高
裁判所は考えておられるかどうか、この点お尋ねしたいと思います。
-
○矢口最高
裁判所長官代理者 砂川判決の解釈と申しますか解説ということになりますと、実は私の直接所管ではございませんので、間違ったことを申し上げるのもいかがであろうという気がいたしますので、それはお許しをいただきまして、いずれにいたしましても
青柳委員のいまお話にございましたように、政府においていろいろと控訴をして争っておられるということがございますので、今回の事件としては当事者側でいろいろの日ごろお考えになっておるところを御主張になる、これもある程度はやむを得ないのではないかというふうに考える。結局は私ども具体的事件の控訴審あるいは上告審において最終的の判断が出されるということを待っておるわけでございまして、どういう結論が出されることになるか、あらかじめどうこうというようなことが一切ないことは、これは賢明な
青柳委員として十分おわかりいただいておるところだろうと考えておるわけでございます。
-
○
青柳委員
司法行政でございますので、非常に質疑は限られた範囲内にとどまらざるを得ませんけれども、とかく裁判の傾向というようなものが問題にされて、たとえば不当解雇などというようなものが行なわれたときに、これを取り消す、人事権の乱用であるというようなことで取り消すことが間々ありまして、これは偏向の裁判であるというような批判が出てきたり、あるいは公務員の団体行動に対して、これを刑事犯罪であるということで起訴された者が無罪になるとかいうような問題が起こると、これも偏向裁判であるとかいうふうに、どうも裁判官の行なう独立した裁判の結果が特定の人々に不利であるということが原因でこれに対して攻撃が加えられるというようなことがあり、したがって、それが人事にも何らかの影響を持っていくということがおそれられるものですから、そういうワクの中ではあっても最高
裁判所が人事権を握っているわけでありますから、やはり私どもはこういう長沼裁判のようなものが出てきた場合に、はたして最高裁は厳正に公正に人事を行なっていくかどうかということに対して十分な警戒心を持たざるを得ないということがあるわけです。
いま砂川の裁判が一つの判例法的な影響力を持っているかどうかというようなことについてお答えはありませんでしたが、この点について法務大臣は当事者を代表しておられますのでお尋ねいたしますけれども、砂川裁判が俗に言う統治行為論でありながら、なおかつ明白な違憲性がないから合憲であるという非常に矛盾した論理を用いて結局は安保条約を合憲と判定しているわけです。こういう論理を用いていきますと、自衛隊という法律も統治行為の一部である、そういうものとしてでき上がったものであって、一見明白に憲法違反とは考えられないから、これは結局は合憲である、こういうような類推適用も可能になってくる可能性が論理的には考えられるのですけれども、この点いまどうお考えになっておられますか。
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○田中(伊)国務大臣 砂川事件という具体的事案に関することでございますので、訟
務部長からお答えいたさせます。
-
○
貞家説明員 御指摘のとおり、砂川事件の判決におきましては、いわゆる統治行為論を採用しておりまして、主権国としてのわが国の存立の基礎にきわめて重大な関係を持つ高度の政治性を有する安全保障条約の違憲なりやいなやの法的判断は純司法的機能をその使命とする司法
裁判所の審査には原則としてなじまないという感じをいたしております。
この長沼事件につきましても、国側は第一審におきまして、終始自衛権行使のために保持すべき実力の規模、能力等については国土の安全保障という、まさにわが国の存立の基礎にきわめて重大な関係を持つ高度の政治性を有する問題であるから、いわゆる統治行為として司法審査の対象にならないという主張を一貫して維持してきたわけでございまして、私どもといたしましては、控訴の理由を詳細に述べた準備書面等はまだでき上がっておりません、目下鋭意検討中の段階にございますけれども、この主張を依然としていたしまして上級審においてそれが認められる可能性は大いにあるものというふうに現在のところは考えている次第でございます。
-
○
青柳委員 これは長沼裁判の控訴審の予備審査をやっているわけじゃありませんから、ここで被控訴人側と控訴人側との論争をあらかじめ展開するというような場でないことはよくわかっておりますけれども、いずれにいたしましても、これには学者が非常に異論を唱えておりまして、一方で裁判権になじまないといいながら実際は裁判権を行使して合憲といっておるわけでありますから、やること自体が矛盾をしているわけであります。こういう議論を引用するということになれば、本来政府統一見解が
裁判所でそのまま認められるということが正しいのであって、正しいというか、首尾一貫しているわけでありまして、自衛のための最小限度の実力というものは憲法九条二項にいわゆる戦力ではない、陸海空軍ではないのだ、そういう統一見解でそれをまた
裁判所がすんなりとそのまま認めてくれるというのが一番筋は通るわけであります。そこへ統治行為論などという怪しげな理論が入ってきて、本来裁判権はないのだ、だから請求却下すべき、訴えを却下すべきなんだけれども、請求棄却にするというようなおかしげな論理は、どうも科学的な批判に耐え得ないものじゃないかと思うわけです。そのことを申し上げて、政府とすればやはり、それがどんなに世間の人が不合理だと思おうとも筋だけは通す、つまり憲法九条二項というものの解釈は、自衛のための実力が戦力には当たらない、こういうものなんだ、これで押し通すという、そういうつもりはあるのかないのか。それならば間違っていても筋だけは通るわけです。統治行為論などというものをそこへ介在させること自体が自分たちの信念のなさを暴露しているような感じがせざるを得ないので、その点大臣どうお考えになられますか。
-
○田中(伊)国務大臣 お尋ねに対してお話する私のほうの態度でございますが、具体的事件の
裁判所の判断に関してとかく論及するということは遠慮をいたしたい。しかしながらこの事件は国が当事者でございます。当事者でありますから、第一審の判決に対してはこういう理由で控訴をする、控訴の理由を国会において御説明を申し上げる、御質疑に対して御説明を申し上げるという、その限度において、その限度を越えないように、いわゆる裁判批判にならないようにこれをやっていくという態度が一番望ましいことであって、国会のとるべき態度である、こういうふうに私は承知をしてお答えを申し上げるのでございますが、この国家の存立にかかわるような重大な事項についての判断は
裁判所の判断にはなじまないものであるという、その考え方に立って当事者として事件を推し進めていくということの態度は変わりはございません。その態度を推し進めていく考えでございます。
-
○
青柳委員 そうはっきり大臣からお答えがあったので、それならばそれで、
裁判所は自衛隊が憲法に違反するとか違反しないとかいうようなことを判断するのはもうできないんだ、そういう権限がないんだ、したがって権限のないことを持ち込まれてもお断わりする以外にない。いわゆる門前払いを食わせる。ちょうどマッカーサーの命令で公職追放になったのを最高
裁判所まで訴えていっても、これは超憲法的な力を持った連合国最高司令官のやったことだから、日本の
裁判所はこれについてとやかく判断できない、だからこれは訴えを却下する、だから訴状自体をもう受け取らないという、そういう態度だったわけですね。だから、自衛隊を違憲であるなどという裁判は受け取らない、そういう訴えは受け取らないというのなら、それはそれでそういう
裁判所の態度ははたして憲法に適合しているかどうかということが大きな論点になるのです。それならそれでこの
裁判所は、言ってみれば憲法八十一条の任務を放棄したということで、世間には
裁判所に対して相当の批判が起きてくるであろうと思います。しかしそれはそれで
裁判所はあくまでも押し通されるということであれば、これから後国民は
裁判所に対してどういう態度をとるかということになるわけでありますけれども、ところがいまの大臣のおっしゃるようなののほかに、やはり政府統一見解を支持するというものが付録にくっついているから、本来判断はできないんだけれども、違憲ということが一向明白でないから、結局この自衛のための防衛力とかいうものは憲法九条二項にいう戦力ではない、したがって自衛隊は合憲である。判断できないのだというたてまえと、判断をちゃんとして合憲だという結論を出す、こんな矛盾した話はないわけなんです。だから、なじまないのならなじまないということで訴えを却下してくれというのなら政府の態度も非常にはっきりしているし、またそれを却下すれば
裁判所の態度もそれなりにはっきりするということになるわけです。これは世間の人には一番わかりがいい。それを、本来国会がきめることだ、政府がきめることだ、国民がきめることだ、
裁判所がきめるなんというのはおこがましいといいながら、その
裁判所が合憲だということをきめるわけですから、こんな矛盾した話はないと思うのですが、この点はどうお考えになりますか。
-
○
貞家説明員 いわゆる統治行為というものの内容をいかに把握するかという理論上きわめて困難な問題にお触れになっているわけでございますが、それより前に憲法九条というものが法規違反であるということを否定するというような態度をとっているわけではございません。したがいまして、憲法九条に対する法的判断が裁量の余地がございますけれども、どこまで可能であるかという問題は別にあるわけでございまして、統治行為論と申しますものはおよそ違法、適法の問題を生じないという意味ではありません。かりに違法、適法の問題を生じても、それを判断するのは司法
裁判所ではない。司法
裁判所の審査にはなじまない。結局終局的には主権を有する国民の政治的批判にゆだねられる。直接的には国会、内閣という政治部門の判断が優先して、
裁判所がさらに進んでそれについての審査をするということは司法権に内在する制約を越えているものであるという考え方でございます。したがいまして、政府は憲法の解釈といたしまして抽象的ではございますけれども、基準を定め、これを国会において終始御答弁申し上げているというのは何ら統治行為論をとるということと矛盾するものではないと思うのでございます。なお、統治行為論をとりました場合におきましても、一体わが国が戦争をどの限度で放棄しているのか、あるいは戦力というものの謂はどうかという法律判断が、それらを含めてすべてが
裁判所の審査の権限外にあると見るのか、そうではなくて先ほども申し上げましたように自衛権を有するということ、あるいは自衛権を行使するための手段を保持するということを認めるかどうかということが憲法の解釈として当然出てまいるわけでありますが、さらに自衛権を行使するために現実に保持すべき実力の規模、組織というようなものをいかにするかというような問題につきましては、まさに統治行為といたしまして司法審査にはなじまないということが言えるのではなかろうかと思うのでございまして、この問題はひっきょう
裁判所において統治行為であるかどうか、そして統治行為としてとらえるべき対象は何であるかということは
裁判所の判断にゆだねられるということになるわけでございまして、それをしも
裁判所の審査からはずれるんだというようなことを申し上げているわけではございません。なお、統治行為論をとるといたしましても、長沼事件におきましては自衛隊の違憲であるという主張が結局保安林解除処分取り消しのための公益性という要件を充足しているかどうかという理由として主張されているわけでございまして、統治行為論を
裁判所がとるといたしましても、初めから玄関払いで却下するというような性質のものではありませんので、その理由において違憲性がある、したがって公益性が欠如しておる。したがって、本件処分は違法であるという判断過程を踏むことになる筋合でございまして、玄関払いで済まされるはずであるということにはならないと思うわけでございます。
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○
青柳委員 時間がありませんからこれ以上論争はいたしませんけれども、確かに訴えの形態は複雑でございますから、損害賠償の場合に金を払う義務があるかないか、その判断の過程で憲法問題が起こってくるということもありますから、必ずしも全部却下ということにはならぬかもしれませんが、憲法判断に関する限りはできないのだというのでなければどうしても統治行為論というものの筋が通らないのではないか。つまりなじまないのだ、
裁判所の判断になじまないのだという変なことばがありますけれども、なじまないということは権限がないということだと思うのです。任務にそれは入っておらぬということだと思うのです。そういうようなわかりにくい議論はしないで、任務にあるのだ、あるのだけれどもここは政府の裁量行為、あるいは国会の裁量行為であって、そこまでは立ち入れないのだというのであれば、これはまた幾らか理屈が通ってくるかと思います。
政治家の議論の中に偏向という話がだいぶ出ておりますので、偏向裁判ということについて実は田中法務大臣にお尋ねしたいと思ったのですが、正森議員の質問する時間がなくなりますので、これは次の機会に譲ることにいたしまして、これで終わります。
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○正森委員 私は金大中事件について法務大臣に若干所信を承りたいと思います。
九月十一日の本委員会の質問で、私は外務省の松永条約局長に国際違法行為と国際責任の問題についてお伺いしました。この問題についてもう一度整理しますので大臣に所見を承りたい。
すなわち、国際違法行為が成立するためには、外国の国家機関の人間が関与している場合はもちろんであるが、国家機関の人間が関与していて、権限外の行為であっても国際法上は国際違法行為になる。また、私人の場合でも、国家が防止するのに相当な注意をしなかった場合もしくは相当な注意をしても事件が発生した場合に、これに対して救済を与えなかった場合には国際違法行為として国家責任を負わなければならないということを申しました。そしてその国際責任を解除してもらうためには全部が必要というわけではありませんが、原則として陳謝、原状回復、損害賠償、責任者の処罰、二度とこういうことが繰り返されないという保障というものを求めることができるし、当該違法行為を働いた国家はそれに応じる義務があるということも一般論としては確認してもらいました。
そこで、法務大臣に伺いたいわけですが、法務大臣も、この松永条約局長の確認された筋道を一般論としてはお認めになりますか。
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○田中(伊)国務大臣 私もそのとおりと心得ます。
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○正森委員 一般論としてはそのとおりとお認めいただきました。大臣のそういうお気持ちがたしか九月十三日に参議院の法務委員会で渡辺議員と白木議員の御質問に対して、政治的にはこれ以上立証の必要がない、しかしながら、刑事訴訟法的に考えると、職務行為について立証の必要がある。これは各紙に出ましたけれども、そういう答弁になったと私は私なりに理解しておるのですが、政治上はもうこれ以上立証の必要がないというのは、そういうようなお気持ちがあっておっしゃったこことでしょうか。
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○田中(伊)国務大臣 そういうことを踏まえて私が発言をしたものと……。
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○正森委員 政治上という中には、もちろん外交も政治でございますから、外交ということも入っておりますね。
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○田中(伊)国務大臣 そのとおりでございます。
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○正森委員 そうしますと、外交上、私は三つに分けましたけれども、国家機関の権限内の行為であればもちろん国際違法行為だ、権限外の場合では無過失責任だ、私人の場合でも一定の条件の場合には国際責任があるということになりますと、本件の場合には、韓国人が行なった犯罪であるということは、金鍾泌氏がすでに八月十八日段階の田中総理大臣に対する親書で認めておる。また、わが国の捜査機関の捜査によれば、金東雲一等書記官が関与しているということは、きょうの自衛隊の問題を見ましても、いよいよ明らかになってきております。
そうしますと、さきの一般論からいって、そして大臣のお考えからいうならば、政治上はもう立証を要せずして韓国の国際違法行為であり、国際責任が生じ、その責任を解除するためには、韓国は一定の行為をわが国に対して行なう義務があり、わが国が権利があるということにならざるを得ないと思いますが、大臣の御所見はいかがですか。
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○田中(伊)国務大臣 先ほど先生お述べになりましたように、この問題は、法律的という意味とは反対の意味で政治的――政治的には外交も含まれるじゃないかということ、それはそのとおりなんでありますけれども、政治的にはこれで十分だということを私は言っておる。しかし、外務省が主権の侵犯ではないかといってこれを外交上重要な主張をいたしますには、もう一段進んだ立証が要るんではないか。
政治的には立証せぬでも明らかだというのです。理屈が矛盾しておるようで一向矛盾していないのでありますが、外務省が国際的に、先生仰せのように、国際法上原状回復をやれ、陳謝をしろ、今後再び起こらぬ対策を講ずべし、名誉回復の道を考えろということを万々やっていくには、一段と職務行為の立証ということをせねばならぬのではないか。
しかし、きょうあたりの起こっております事柄で、ちょっとまた前進しておりますね。また政治的には前進をしておる、政治的にさらに濃厚になっておるということでございますが、これは私が説明として言い出したことで、私はそれは当然のことだと考えておるのです。国際法上は一段と立証が要るんだ、しかし、いわゆる政治論、常識論としては、国際法上の判断でない判断、そういう判断といたしましてはもう立証の必要はないことは明白だということを、たいへん強く参議院でも申し上げてきておるので、衆議院で申し上げるのは本日が初めてかもしれませんが、ずいぶん方々で強くそれを申しておるわけでございます。
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○正森委員 外務省に伺いたいと思います。
いまの大臣の御答弁は政治家としてわからないでもありませんが、私が言っているのは、国際違法行為がすべて主権侵犯になるわけではありませんから、主権の侵犯になるかどうかは一応おいて、しかし国際違法行為だということになれば、国際責任が生じ、その責任の解除のためには一定の行為を行なわなければならない、これは事実でしょう。そして、国際違法行為の中には一定の条件で、行政権を侵犯したとか捜査権を侵犯したということで、主権の侵害になるものがある。しかし主権の侵害になるならないは別として、本件については、私が言った原則を一般論として認める限り、国際違法行為が発生しているということは、もう証明の必要がなく明らかではありませんか。九月十一日にそうお答えになったでしょう。
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○中江説明員 本件にからまる国際違法行為につきましては、一般論として先生のおっしゃるとおりであるということは、前回条約局長もはっきり認めたところですし、私もそう思います。
個々の行為について、それでは一般論で認められている責任解除のための行為をどういうふうに日本と韓国の間で処理していくかという問題につきましては、個々の案件についての事実をはっきりさせた上で必要な措置をとっていく。
ただ、外務省といたしましては、これは申すまでもないことですけれども、金大中氏事件という大きな事件の全般の真相究明、そしてそれの内外に恥じない公正な解決ということを目ざしている、こういうことでございます。
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○正森委員 中江参
事官からいまお話がありましたけれども、私は、一般論が認められれば、本件ではもう国際違法行為として韓国に原状回復等一定の要求をする外交上の権利が日本にはあるというように思います。だから私が三つのことを聞いたのですね。国家機関が関与しておるということがわかれば、それは権限外でも無過失責任だ、そうでしょう。私人だったとしても、一定の条件があれば国際違法行為として責任を負うのですから。本件の場合は、まさに金大中氏が被害者でありながら監禁状態にあるというような状況、金東雲氏の出頭が協力を得られないという状況では、救済行為も行なわれていないし、もうすでに証明は十分じゃないですか。なぜ外務省は国際違法行為として国際責任を追及するという態度をとらないのですか。
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○中江説明員 外務省がいま考えておりますのは、どうもこの件については公権力の行使があった疑いがきわめて強い、ということは、日本側から見ますと、日本の主権が侵された疑惑がきわめて強い、これは不法行為の中でも、先生御指摘のように最もきつい重大な不法行為、その疑惑が強いものですから、その一番の核心のところを究明して、その公権力の行使に基づく日本の主権侵犯という韓国の国際違法行為について、その国際責任を解除するための措置を要求するための真相について、いままで私どもが捜査当局その他から得ております情報ではきわめて疑惑は濃いけれども、いまの段階で韓国に黒白を迫るというところまで十分な捜査の結果がないということで、いましばらくこの真相の究明を続けていきたい、こういう考えでございます。
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○正森委員 中江参
事官の御説明は、説明として承りますが、納得させるものではない。つまり本件は公権力の行使による明白な主権の侵犯だという疑いが濃いから、真想についていろいろ調べて責任解除の一定の措置を要求するようにしたい、こう言われるわけです。しかし問題は、そういうぎりぎりの重大なところまでいかなくても、これは後日わかりますから、現段階で国際違法行為として十分に責任を追及し、責任解除の措置を求めることができる、これが私が九月十一日から言ってきていることです。それをまずやって、さらに調べれば重大な公権力の行使だということが出てくるかもしれないけれども、公権力の行使の点が証明されなくても、日本には国際法上の権利があるんだから、それをなぜ行使なさらないか。これがわれわれから考えてきわめて疑問の点なんです。しかしあなたはよくわかっておられて、なおかつそういう答弁をしておられるのでしょうから、これ以上言いません。
法務大臣に伺いたいと思います。
法務大臣は、刑事訴訟法上は職務行為としての立証が要るという意味のことを参議院でおっしゃったようでございます。私は速記録をまだ見ておりませんが、しかしその議論は、刑事訴訟法のたてまえからいうと必ずしも不要の議論ではございませんか。つまり、刑法の二百二十六条によればこう書いてある。「日本国外ニ移送スル目的ヲ以テ人ヲ略取又ハ誘拐シタル者ハ二年以上ノ有期懲役ニ処ス」これが構成要件なんです。職務行為として国外に移送拐取したかどうかということは、わが国の構成要件上何ら問題にならないわけです。むしろそれは、職務上の命令である、したがって反抗することができなかったのだ、だから刑を軽くしてほしいということは、公訴を提起された場合に被告人の側から弁解として言うべきことであって、公訴官としてはある人間が不法に国外に略取されたということさえ立証すればいいので、職務上の行為であるかどうかということは何ら立証は要らないわけであります。したがって、法務大臣が刑事訴訟法上は職務行為としての立証が要ると言われたのは、法律的に言いますと構成要件の上から不必要なことを言うておられるのではないか、こう思いますが、いかがですか。
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○田中(伊)国務大臣 私の申しておりますのは、くどく申しましたように、政治的にはもう証明は要らぬのだ、つまり明々白々じゃないかということをくどく言うておるのですね。しかしながら、いやしくも日本国が韓国に対して――もう韓国と言っていいのでありますが、韓国に対して、主権の侵害ではないか、原状回復をはじめとする諸般の外交上のあいさつをしろという、そういう程度の要求をいたしますには、たとえば国内法的にいえば刑事訴訟法的に見て完全な、強い立証が要るのではなかろうか。国内法的に見てそういう強い立証がなければ、外国に対して主権の侵犯を主張してその救済の道を考えろということの主張はできぬのではないか。おそらく外務省の考え方もそういう考え方でありましょう。外務省の考え方は二つに分けてものを言うていない。私は、政治的にはこうだ、国内法的にはこうなんだ、しかしこれは、国際法的に外務省がこの重要な主張をするにはいま一段と強い立証が要るんではなかろうかということ、そこに力を入れて述べておるわけですね。そういう趣旨でございますから、昨今のできごとなども、さらに一段強い立証ができたというふうにも考えられます。よく似ている、こう言うのですけれども、似ておるということが、今後の捜査の結果本人たることにまさに間違いがないなんという判断が行なわれますと、一歩も二歩も前進した認定が行なえるのではないか、こう考えるのでございます。
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○正森委員 大臣から真意についての御説明がありましたが、安原刑事局長、刑法二百二十六条の解釈については私が述べたとおりでしょう。
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○安原政府委員 御指摘の略取誘拐罪について、立証に必要な刑事訴訟法上の証拠といたしましては、職務行為であるということの立証は必要ではございませんので、そういう意味では刑事訴訟法上の証拠が必要であるということにはならないと思いますが、大臣の仰せられた趣旨は、いま仰せられましたように、国際法上の主権侵犯という重大な事実をわが国が主張する以上は、刑事訴訟法の立証の程度の厳格な証明が必要であるということを申されたものと理解いたしております。
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○正森委員 それではもう一つ伺いますが、大臣は公権力の行使とか職務行為としてということをおっしゃいました。場合によっては政治的にはそれは要らない場合もある、こうおっしゃいましたが、金東雲氏は駐日韓国大使館の一等書記官ですが、その職務行為としてというのは、李コウ大使といいますか大使館の命令に基づいてやったという意味ですか、それとも、それ以外であっても何らかの上級機関からの命令であればよろしいという意味ですか。
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○田中(伊)国務大臣 どこでもいいんです。どこでもいいが、国家公権力の、具体的に言えば韓国の公権力の命令を受けておればなおさらですし、指示を受けておってもよいのではないか、やれということを示されてやったものだということが立証されればこれは本物であるというふうに考えておるのでございます。
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○正森委員 それでは念のために申し上げますが中央情報部法という法律があります。それの第二条の一項三号には「情報部は、次の各号に定める職務を遂行する。」とあって、「国家保安法並びに反共法に規定された犯罪の捜査。」というのが入っております。そしてその上で、第九条に「〔兼職職員〕」とあってえらいことが書いてある。それの第二項を見ますと「兼職職員の原所属機関の長は兼職職員のすべての身分上の権益と給与を保障しなければならず、兼職職員を転補発令しようとする時は、事前に部長の同意を得なければならない。」つまり外交官としてやってくれ、しかしそれは中央情報部の仕事を兼ねるのだということになれば原所属機関つまり外務省は一々中央情報部長の同意を得なければならぬとなっておって、その三項にはこういう重大なことが書いてある。「兼職職員は兼職期間中、原所属機関の長の指示または監督を受けない。」つまり駐日韓国大使館の外交官は、それがもし中央情報部員であるなら、駐日韓国大使はもちろんのこと外務省の指示も受けない、中央情報部長の指示だけを受ける、これが韓国の明文の規定であります。したがって、もし金東雲氏がKCIAだということになれば、外務省から命令を受けないのが筋なんですね。命令するのは李厚洛中央情報部長だけなんです。彼が言わなければ、それはおれの知ったことじゃないと言い得るように法律でなっておるのです。そういう国なんです。だから現在の立証程度でもう十分であって、それ以上立証しようと思えば李厚洛を連れてきて、おれが命令したということを言わさなければならないというような国柄なんですね。そこら辺をよく御承知になって事案を処理されるべきだというように思います。
それから、なお私は続いて伺いますが、この前の九月二十日に参議院の法務委員会でわが党の渡辺議員が、裵東湖氏にかかる出席要求書について大臣に質問いたしました。これは御記憶のことだと思います。そこで続いて伺いますが、裵東湖氏の件は一九七一年六月二日付で中央情報部五局捜査団司法警察官チョウ・クォン・ピル氏が出席要求書を出したわけですね。これは、大臣の答弁にもありましたように、事実だとすれば主権の侵犯である、こういうことです。私どもはこの原文を外務省に持っていって調べるように申しておきました。ところがまたまた明らかになりましたのは、ここに写しを持っておりますが、一九七三年四月二十六日付でソウル地裁刑事部から、日本語で読みますと尹順烈ですが韓国風に読みますとユン・スンヨルと読むらしいのですが、その女性に対して刑事被告人の召喚状が発せられております。その内容を読みますとこう書いてある。「ソウル地裁刑事部 刑事被告人召喚状 ユン・スンヨル貴下」それから番号が書いてありまして「反共法違反事件に関して一九七三年七月六日十時を公判期日に指定したので本法院第二二一号法廷に出席しなければならない。正当な理由なく出席しないときには逃亡するおそれがあると認定して拘束令状を発付することができる。一九七三年四月二十六日 裁判長判事ユサン 被告人住所日本国東京都板橋区大山金井町五二 ユン・スンヨル」こう書いてあります。これは疑う余地がない刑事訴訟手続であります。念のために韓国刑事訴訟法を見ますと、七十四条にこう書いてある。「(召喚状の方式)召喚状には被告人の姓名、住居、罪名、出席日時、場所および正当な理由がなく出席しないときは逃亡するおそれ〔念慮〕があると認定して拘束令状を発付することができるむねを記載して裁判長または受命法官が記名捺印しなければならない。」明白に韓国刑事訴訟法七十四条の方式に従ったものが、日本国に平穏に居住しておる在日韓国人に来ておる。しかも、これを送り届けたのは東京都港区南麻布一の二の五駐日本国大韓民国大使館が送っておる。ここに封筒があります。つまり、大韓民国大使館外交官としての職責だけでなしに、不法にも韓国の司法機関としての職務を代行しておるということになります。これは一点の疑いもないわが国の主権の侵犯ではありませんか。それについての明白な答弁をお願いします。これが翻訳です。これについても原本は外務省にお渡ししてあります。外務省がリコピーをとられたはずです。いかがですか。
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○中江説明員 ただいま先生御指摘の召喚状は、まさしく私どもへ先般御足労いただいて受け取りました。本書及びそれに基づいてつくりましたコピーで調べましたところ、韓国の刑事手続上の文書であるというふうに認定いたしました。したがいまして、こういう文書を日本の領域内で送達するということについては、日本国政府は何らいままで同意を与えたことがございませんので、その意味におきまして日本の主権を侵して送達されたものである、こういうふうに考えます。
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○正森委員 わが国は韓国との間に逃亡犯罪人引き渡しの条約もなければ司法共助の取りきめもありません。したがって、こういうことが公然と行なわれておるということは、少しきついことばで言えば、日本国が韓国の属国とみなされておる、まさにそうです。韓国の司法権がわが国の同意なしに行使されておるということにほかなりません、したがって、治安担当の関係大臣として、外務省に対して厳重な措置をとるように要求されるのがわが国の主権の立場を守る上から当然のことであると思いますが、いかがですか。
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○田中(伊)国務大臣 お説はごもっともであると存じます。先般の事件があり、今回の本日御発言の事件があり、かかる公権力の行使がわが国の了承なしに行なわれておる、こういうことが明白になりますならば主権の侵犯は動かないものとなる。これは外務省は腹をきめて、しっかりした態度でこれに対して外交上の善処をされんことを要望します。
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○正森委員 いま大臣からそういう答弁がありましたが、警察庁に伺いたいと思います。
何日か前の新聞を見ますと、捜査官の交換をするということも出ております。しかしこのように金東雲氏の容疑が深まり、そして韓国がわが国に対して主権を無視して司法権を行使しておるというようなことが明らかになった段階で、捜査官が捜査におもむき、そして金東雲氏と会う、あるいは、実際は被害者なのに被疑者として事実上扱われておる、そういう金大中氏と会うということになれば、会ってみたところで、その発言の証拠能力というのはきわめて疑いがあるし、わが国は、現段階では原状回復として金大中氏の来日をいまだ公式には求めておらず、捜査に協力のためといって求めているのであるから、捜査官が行くということは逆に金大中氏の来日をおくらせ、困難にさせるものであるというように思われますが、捜査当局は捜査官を交換するつもりが現在でもあるのかどうか、あなたの答弁を伺いたい。
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○
中島説明員 金大中氏については、現在どういう状況にあるか詳しいことは承知いたしておりませんが、いずれにいたしましても、私どもといたしましては、金大中氏が任意に供述できる環境において事情を聴取することが必要であり、そういった観点からも金大中氏に日本に再来日していただいて事情をいろいろ伺いたい、かように考えておるわけでございまして、捜査官の交換の話につきましては、韓国側から正式にそういう話があったということを私ども外務省を通じて聞いておりませんし、私どももそういうことを要望いたしておりません。現在のところ、そういう考えはありません。正式にそういう話があれば、その段階で慎重に検討したい、かように考えております。
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○正森委員 それでは、金大中氏関係については聞きたいことがありますが、時間がありませんので公安調査庁関係のことに移らせていただきます。
最初に大臣及び
公安調査庁長官に伺いたいと思いますが、四月十八日に当法務委員会におきまして私が、国家公務員法百条、罰則でいえば百九条になりますが、国家公務員の秘密を守る義務について質問をいたしました。そのときに川井
公安調査庁長官は、公安調査官がいろいろだれが共産党員であるとか、こういうことをやったとかいうようなことをお調べになる、そういうプライバシーにかかわることを警察との条文に基づく情報交換ではなしに、他の官庁や民間団体にお漏らしになるということはこの守秘義務に違反するという趣旨の答弁があったと思いますが、それは現在でもそう伺ってよろしいですね。
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○川井政府委員 原則論として、そのとおりであります。
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○正森委員 法務大臣、いかがでございますか。
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○田中(伊)国務大臣 長官の答弁どおりです。
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○正森委員 それでは伺いますが、島根の公安調査局に林輝昭という人物がおりますか。おりましたか、あるいは。
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○川井政府委員 おりました。
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○正森委員 それでは申し上げますが、グリコというのは
江崎グリコ株式会社というのですね、そこの山陰事業部との関係で事実上秘密を漏らす行為を行なっております。ここに現物がありますから読みます。
「第二係長林輝昭殿大田市大田町山陰事業部総務課長岡田弘治四三・一・一一」つまり四十三年一月十一日発の手紙であります。「本日は御苦労様で御座居ました。その折、見せて頂きました名簿中当社員三浦勇については私達も意外に思っています。もっとも三年位い前に民青ではないかと疑いを持ち、直接本人に当り、本人もその誘いに乗ってはいるが自分としてはきっぱり手を切ると言いました。その後反共グループの世話役を買って出ている位いで昨年の組合役員改選でも反共派の代表として執行委員に選出され現在に至っております。来たる一月二十六日改選が予定されており、再選の見込みが濃厚であります。以上の状況で、党員が事実とすれば早急に政策を考えねばなりません。批判グループの指導者もまさかと言っています。つきましては甚だお手数乍ら、三浦に関する活動状況大至急御通報頂きます様お願い申上げます。尚、日時がはっきりして居りますれば出勤簿との照合の便もあり幸いに存じます。」これはグリコの山陰事業部の総務課長、労務担当の岡田弘次氏からあなたのほうの職員である公安調査庁の島根の第二係長林輝昭にあてられた手紙、カーボンで切って、わざわざ複写をつくった、そのうちの一つが私の手に入っておる。そうすると、明白にあなた方は職務上知り得た秘密によって作成した名簿をグリコの労務担当に見せて、これが共産党員だぞということを言っておったことになるではありませんか。こういうことをあなた方はやるために国家の税金を使っておるのですか。
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○川井政府委員 私が調査した結果によりますと林調査官が当時島根の局におりまして、このグリコの会社の中における党組織の実態を調査したいということで、その調査の具体的な方法をいろいろ考えた結果、知り合いを通じまして、当時総務課長であった岡田という人と連絡ができましたので、その岡田という人に数回連絡をとって、そしてその工場内における党組織の実態並びにその活動の模様というようなことについて通報を受けて協力を得た、こういうことでございます。
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○正森委員 あなたはそうおっしゃっていますけれども、この手紙によりますと、あなた方のほうが調べた名簿を見せて、三浦勇というのがおるぞ、言われたほうはびっくりぎょうてんして、これは反共グループの旗がしらだ、三年前に民青をやっておったかもしらぬけれども、信じられぬ、なお詳しい情報を御通報いただきますれば出勤簿などを照合する、こういう内容になっている。つまりあなた方のほうから、おれたちの調べたところでは三浦は党員だ、おまえは知らぬのか、気をつけろ、こういうことになっておるのです。この総務課長があなたのほうに情報を渡したのではない、明白にそういう内容になっている。もってのほかじゃないですか。私どもの調べたところでは、林輝昭係長が接触した数は少なくて、その部下と思われる一見朝鮮人風の男、もう一人は小柄な男、この二人が、名前はあまり言わないで、岡田弘次総務課長に接触しております。ただ名刺を渡したのが林輝昭であったから、林輝昭も接触しましたけれども、手紙は林輝昭さんに出された、こういうことになっているのです。いいですか、私はこれだけで言うているのじゃないのですよ。この岡田弘次本人に会って確かめた上で質問しておるのです。しかもこの手紙の後段にある三浦に関する活動状況についても通報してもらい、いろいろ調べたということも言っております。明白にこれは国家公務員の守秘義務の違反ではありませんか。単に情報をとったのじゃない、自分のほうから知らして、それがなければ、三浦というのがかつてどういう人物であったかというようなことは、岡田弘次は全然知らなかったといっている。どうです、国家公務員法違反としてあなた方は告発し、処罰されますか。少なくとも、絶対にこういうことをしてはならないといって通達を出されますか。そのいずれかをとらない限り、長官としてあなたは法律に対する順法精神がきわめて薄いといわなければなりません。明確な答弁を願います。
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○川井政府委員 林調査官について調査した結果によりますと、手紙を一、二回もらったことがあるけれども、処理してしまって現在手元にないということでありますし、それからそもそもどういう関係で接触をしたのだということにつきまして、詳細な調べをした結果によりますと、この会社の中における当時の細胞支部組織というふうなものについて若干のものはわかっておりましたけれども、なお数名の者についてそのおそれというか、疑いがありましたので、それらの数名の者についてメモにして、岡田課長に会ったときに、こういうふうな人たちの内部における活動の実態はいかがなものであろうかというようなことについて教えてもらいたい、こういうふうに申し込んだ結果、協力しましょうということで、いろいろの話があったのだ、自分はそういうふうに記憶しているので、それ以外のことにつきまして調査した結果を詳しく相手方に知らせて、それを向こうもまた労務の対策にするというふうなことをした覚えは全くない、こういう主張でございます。
なお、この件は御承知のように当時新聞にも報道されておりまして、その岡田という課長の談話の中にも、島根公安調査局の林係長が私に接触をしてきた、こういうふうな趣旨のことが出ておりますので、このような当時の岡田さんの談話とあわせて考えてみましても、こちらのほうからそういう目的をもって接触をしていった、こういうふうに信じていいのではないか、こう思うわけであります。
そこで、いま御質問の点でございますけれども、調査官が第三者を協力者といたしまして獲得いたしまして、その協力者を通じてさらにその背後にある組織活動の実態を解明しよう、こういうふうな機会に、その手がかりとして、差しつかえない限度におきまして、若干の事項をその中間の協力者に協力を求めるということは、この調査の構造なり、調査というものの性格からいいましても、程度を越えてはもちろんいけませんけれども、その限度を守る限りにおきましては、私はそれは許されるのではなかろうか、こう思っております。
そこで、私のほうで調べたこの林調査官の申し立てによりますれば、私の判断のところでは、この程度でありまするならば、その守るべき限度を越えている事案ではないのではないか、こういうふうに私は考えてきたわけであります。
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○正森委員 いまの答弁はもってのほかの言い方だといわなければなりません。そういうことをおっしゃるだろうと思うから、私は最近岡田弘次氏に実際に会って当時の状況を詳しく聞いてきたのです。そうしますと、ここに書いてありますように、おたくのほうが名簿を見せて、三浦勇のことについて問いただし、自分のほうの調査では党員だ、そうしてその後三浦に関する活動状況を通報しておられます。これがもし国家公務員の守秘義務違反でないというなら、あなた方はだれでもかれでも、あれは党員でないかこれは党員でないか、われわれのほうでは党員だ、その活動状況はこうだ、こういって調べたことを全部いわゆる協力者と称する会社の労務担当の課長あるいは官公庁の総務課長、その関係の課長というようなものに通報できるということになります。それでは国家公務員法の百条や百九条などはあってなきがごとし、そんなことを一体あなたは公式に解釈としてなされるつもりか。ここにちゃんと証拠物件があるのです。この人はどうですかというような聞き方じゃないのです。名簿にはっきり党員となっておって、それで、それはどうも違うと言えば、活動状況を詳細に知らしておるのです。そのことまで私は本人に会って確かめてきておる。そんなことが守秘義務違反でなしにできるということになれば、何でも言えるということになるじゃないですか。何が守秘義務だ、大臣どう思われますか。
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○田中(伊)国務大臣 漏らしたとせられておる大事な秘密の内容、限度、はたして協力者もそういうものを漏らす必要が当時あったかどうかというような事柄は、申しわけないが私はきょう初めて承った。初めて聞いて直ちに判断ができかねるごとく複雑でございます。したがって、ただいま長官がお答えをいたしましたお答えを信じて、まあその限度であるならばと、こう思うのですがね。思うのですが、長官からいま申し上げますように、詳細を直ちにここで判断するということは幾らかいたしかねるところがございます。また御質問は重大なことでございますので、長官からもう一度答弁をさすことにいたします。
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○川井政府委員 私どもいまの岡田さんという方に会って最近話を聞いておりませんので、その辺のところは必ずしもはっきりいたしませんけれども、先ほどあげました新聞の当時出た談話によりましても、林係長のほうが私に接触をしてきた、初めは出勤簿など見せて云々ということで協力した、こういった趣旨の談話を発表せられておりますので、いま現在、かなり年数がたっておりますけれども、岡田さんがその件についてどういうふうなことを言っておられるか、私は必ずしもつまびらかにいたしませんけれども、この当時出た談話から考えてみますると、こちらのほうが数名のメモを持ってまいりまして、そして岡田さんに接触して協力を求めて、出勤簿その他向こうの資料を見せていただいて、そして協力を求めたという筋は、大筋においては私は間違っていないのではなかろうか、こういうふうに思うわけであります。
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○正森委員 その手紙を見ますと、活動状況を詳細に通報していただきたいということで、岡田さんはその後通報を受けたけれども、三浦については結局はよくわからずじまいだったということを言うておられます。そうだとすると、単に名前を知らせて、これについていろいろ教えてほしいという程度じゃなしに、自分たちの知っていることを積極的に漏らしたということになります。いいですか。そういうことが妥当だとか、やってもいいというようなことになれば、事実上調べたことは何をいってもいいということになります。あなた方が確証を持っておるものであっても、念のために確かめたい、確証のないものはこれこれこういうことがわかっておるけれども、これこれこうこうだということになれば、そんな秘密を守る義務なんかないじゃないですか。どこに歯どめがありますか。どこに歯どめをかけようとされるのですか。その歯どめの限界はどこですか。長官のおっしゃるようなことだったら、事実上公安調査庁は、共産党員あるいはその関係者の調査については歯どめは要らぬということになるのですか。それならそれでそう答えなさい。何ぼ何でもそんなことされたんじゃ、こっちも黙っておられぬな。
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○川井政府委員 いま私初めてこの手紙を見たのでありますけれども、これにはいろいろなことを教えてくれ、連絡をしてほしいというような趣旨の、おそらく局に対する会社側からのむしろ逆の協力要請がこの手紙の中にあらわれている、こういうふうに思います。これについて林係長の、局の側から会社側に対しまして、こちらのほうからどの程度の情報を与えて、そして向こうに協力したといいますかという点については、具体的には私必ずしもはっきりしていないと思います。これについて、事実関係でありますが、職務上知り得たいろいろな具体的なこの資料に基づいて、協力者といえども第三者であるその岡田課長にいろいろなことを具体的に通報したということであれば、これは先ほどあげられました国家公務員法の条文に該当するおそれが出てくると思いますので、これは今後十分に注意しなければならない、こう思います。
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○正森委員 一応そういう答弁がありましたが、そこにお示ししたものから見ますと、情報提供者からあなた方が資料を得られたというようなものではなしに、それはわれわれはけしからぬと思いますが、破防法でできるとおっしゃるならばあれですが、そうではなしに、自分たちが知り得たことを積極的に渡して活動をしておられるということになれば、やはり国家公務員法は守ってもらわなければならぬということで姿勢を正していただきたい、こう思います。
時間があまりありませんので、もう一、二点伺います。
ラジオ関東というところがあります。そのラジオ関東でいろいろ裁判事件がありましたが、その裁判事件の中からあらわれてきたところによりますと、私は昭和四十八年一月二十二日第一回の審問速記録というものを持っております。事件名で言いますと、昭和四十七年不第五十、第八十一、八十八号事件となっています。それを見ますと、ラジオ関東の元取締役であった土居虎雄という人が証言をしております。それを見ると、これは四十四年三月三日の役員会でラジオ関東の中の共産党員約四十名――党員及びシンパということになっておりますが、ABCDEと格づけされて――どれがAか、どれがDかよくわかりませんが、格づけされて氏名が報告されております。そしてその件について、当時役員会に出席した土居虎雄氏がこう言っております。「益井専務が」――当時の常務ですが、「公安調査庁へ行って調べてきたということで、私も実はそれをメモしました。」こう言っております。つまりラジオ関東の益井常務が公安調査庁へ行って、四十名にのぼる共産党員とその同調者の名前を調べてきて、それを役員会に報告しておる。それに基づいて十三名の不当配転がこのリストの中から行なわれておる。これが審問の中で明らかになっております。あなた方は使用者側からいえば、おたくの組合にはこれこれこれこれが党員ですよ、シンパですよ、こう言って教えるのですか。教えても国家公務員法違反にならないのですか。
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○川井政府委員 私はまだ就任日が浅いのでありますけれども、かなり法律を厳格に解釈するたちでありますので、ただいま御指摘のような調査の結果得たいろいろな具体的な情報、そのことをみだりに第三者に漏らすということはいけないと思います。ただ具体的なラジオ関東の問題につきましては、私まだその実態を承知しておりませんので、いずれあらためた上でまたお答え申し上げたいと思います。
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○正森委員 それでは、重大なことですけれども、あらためて厳重に調べていただきたい。それが事実だとすれば、四十名からの人間を公安調査庁から調べてきたといって常務が堂々と重役会で言うておる。それも同じ役員だった人間が、その後会社の内紛もあってやめて証言しているのですから、自分の目の前で起こったことを言うているのです。もってのほかでしょう。こういうことがかりそめにもないように、四十四年といえばあなたが就任される前ですけれども、姿勢を正していただきたい。そうでなければ、人民に対しては法律でびしびしやるけれども、自分たちは秘密を守る義務なんかない。西山記者が何といいますか。西山記者は懲役でやられておるのです。まさに公安調査庁の職員が裁判されなければいけない事案です。
ほかにたくさんあるのだけれども、時間がありませんから、もう一つだけ言っておきます。
電電公社、これは北陸の電気通信関係で発見された書類であります。電電公社おりますね。これはこの間逓信委員会で土橋議員が聞かれたからよく御存じでしょう。私は時間がありませんから、これについて全部を聞くことはいたしません。しかしこれを見ますと、「青年層職員の最近の傾向とこれが対策について」ということで一々事例をあげて、Aの例、Bの例というようにして載っておる。実に詳細に労務対策が書かれている。
この労務対策について全部聞こうとは思わないけれども、その中で黙視することのできないことが書いてある。
たとえばHという人の例では、「公安ならびに警備当局と密接な連絡をとり、必要な情報交換を行ない対策措置している。」はっきりこう書いてある。
その次にJ例。「公安関係、警備当局と連絡情報交換。」とはっきり書いてある。
その次にKという人の場合ですが、そこでも「公安警備当局への報告等による、密接な連絡と情報交換を行なっている。」こう書いてある。
そして、その最後のところが問題です。「以上の施策などは、何も目新しいものではなく、すでに各局で実施されているものばかりであるが、」こう書いてある。
具体的に三つの例を上げて、しかもそれは目新しいものではない、こう書いてある。実に重大だといわなければなりません。あなた方はそういうことをやっておられるのか。やっていないなら、なぜこんなものがわれわれの手に入るのか、答弁してください。
-
○
山本説明員 お答えいたします。
電電公社といたしましては、御指摘のようなことは一切やっておりません。先般の逓信委員会で土橋委員からも御質問がございましたおりにお答え申し上げましたが、ただいまお持ちのプリントにつきましては、私どもあの席で初めて見せられたような次第で、北陸通信局が厳重に調査をいたしました結果といたしましても、公社で作成した事実はないということでございましたので、一切公社は関係ないというお答えを申し上げた次第でございます。
-
○正森委員 そういうことをおっしゃるが、しかし、ここにあなた方の現金出納簿と思われるものがある。整理番号第二十一号、現金出納簿三ページ、これによると、三千百六十七円なりの支出が行なわれている。飲み屋へ行って飲んだ領収証、それを見ると、「新湊警察署長
谷川刑事との特別調査に関する懇談会」こう摘要に書いてあって、支出されておる。いいですか。これを見てごらんなさい。あなた方はこういうことで警察と接触して、そして情報を得ておるのでしょう。それはあなた方のほうの公金支出に関する書類でしょう。
-
○
山本説明員 ただいまお示しいただきましたのは領収書でございまして、初めて見るような次第で、私どもも真偽のほど、つまびらかにいたしておりません。したがって、本件に関してはよく調査をいたしたいと思います。
-
○正森委員 調査をするということですけれども、私どものほうはこの「青年層職員の最近の傾向とこれが対策について」をおたくのほうの課長が勤務時間中に読んでおるところまで現認しております。あなた方が出されたものに間違いがない。また、この領収証については、ここの飲み屋のおかみにまで当たって確かめております。したがって、これも絶対間違いがありません。あなた方が幾ら国会でうそを言っても、事実は動かすことはできない。
そこで、公安調査庁の長官と
中島参
事官に伺いますが、こういうように摘要にちゃんと「長
谷川刑事との特別調査に関する懇談会」と書かれている。官庁同士でこういうことで秘密を漏らし合い、そして飲み食いする、そういうことが一体許されるのかどうか。あなた方の見解を伺いたい。
-
○
中島説明員 赤旗の記事によりますと、その懇談会は昭和三十六年のことのようでございまして、現地について調査いたしましたが、当時の署長、次長などの幹部もすでに退職いたしておりますし、また何ぶん十二年前のことでございますので、関係者も分散いたしておりまして、現在までのところ、そのような事実があったかどうか判明いたしかねている状況でございます。長
谷川という刑事がおったのかどうか、特別調査というのは何をさしておるのか、あるいは懇談会そのものが料亭であったのかどうか、そういうことについて一切判明いたしておりませんので、それについて事実を前提とした答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
-
○正森委員 公安調査庁と警察に再度申しますが、この「青年層職員の最近の傾向とこれが対策について」にも、しばしば公安警備当局との情報交換ということが出ております。これは最近の資料ですが、それについて思い当たるところはありませんか。思い当たるところがあるなしにかかわらず、たてまえとしてそういうことはいたさないというように答えられますか。それについて最後に承って、時間ですから、私の質問を終わります。
-
○
中島説明員 ただいまの、公安警備関係で密接な情報連絡というお話でございますが、先ほどからのお話を承っておりますと、公社の労務対策に資するための情報を提供するということを警察が行なっているんじゃないか、そのために連絡をとっているんじゃないかという御趣旨の質問のようでございますが、そういうことであれば、そういう情報連絡はいたしてない、かように存じております。ただ、警察といたしましては、一般に広く治安を維持するために、いろいろな問題で関係官庁、公社等々とも密接に連絡をとり合っておるところでございまして、そういう意味で申し上げれば、電電公社の場合もいろいろと密接な連絡をとっておる、そういうことはあろうかと思います。
-
○川井政府委員 私はいま御指摘の文書は知りませんし、また私のほうの役所もそういうものは入手していないようであります。いずれにいたしましても、いまの北陸電電の件でしょうか、これについて私どもは、新聞に出た当時からずいぶんいろいろ調べさせましたけれども、私のほうは直接の関係はないように思います。
それから、最後の締めくくりでございますが、国家公務員法に違反するようなことは、私はさせないつもりでございます。
-
○正森委員
中島参
事官、労務対策としていろいろ情報を提供するというようなことはない、しかし一般的に電電公社とも接触はあるんだという意味のことを言われましたけれども、一般的に接触があるというのはどういう意味ですか。警察法二条であなた方がいろいろと情報収集されることはわかりますけれども、労務対策でもない、しかし一般的にしょっちゅう接触しておると言ったら、何のために接触するのかという疑いを持たざるを得ません。それも何か重大な刑事事犯が発生するおそれがあるというようなことで、それで情報を交換することは考えられるけれども、それ以外に労務対策でもなく一般的にしょっちゅう接触しておる、それは一体何をするのですか。
-
○
中島説明員 警察法二条で警察の責務が定められておりますが、警察の責務といたしましては、犯罪の予防から交通安全の取り締まり、その他公共の安全、秩序を維持するということで広い責務を持っておるわけでございます。したがいまして、防犯上の観点から連絡をとるということもありますし、交通安全の観点から連絡をとるということもございますし、いろいろそういうことはあろうか、かように存じます。
-
○正森委員 それでは、そういう意味であって、それ以外の何か特別の意味を持っておる労働対策とか、あるいは思想対策とかそういうことではない、思想が思想にとどまる限り、そう言えますか。
-
○
中島説明員 思想対策のために連絡をとるというようなことはありません。
-
○正森委員 終わります。
-
○
中垣委員長 本日はこれにて散会いたします。
午後一時一分散会