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1973-07-20 第71回国会 衆議院 文教委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年七月二十日(金曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 田中 正巳君    理事 内海 英男君 理事 塩崎  潤君    理事 西岡 武夫君 理事 松永  光君    理事 森  喜朗君 理事 木島喜兵衞君    理事 長谷川正三君 理事 山原健二郎君       有田 喜一君    上田 茂行君       坂田 道太君    染谷  誠君       床次 徳二君    野田  毅君       林  大幹君    深谷 隆司君       藤波 孝生君    三塚  博君       山崎  拓君    小林 信一君       嶋崎  譲君    山口 鶴男君       栗田  翠君    有島 重武君  出席国務大臣         文 部 大 臣 奥野 誠亮君  出席政府委員         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務総局         給与局長    尾崎 朝夷君         文部政務次官  河野 洋平君         文部大臣官房長 井内慶次郎君         文部省初等中等         教育局長    岩間英太郎君         文部省大学学術         局長      木田  宏君         文部省管理局長 安嶋  彌君  委員外出席者         文教委員会調査         室長      石田 幸男君     ――――――――――――― 委員の異動 七月十九日  辞任         補欠選任   有島 重武君     正木 良明君 同日  辞任         補欠選任   正木 良明君     有島 重武君 同月二十日  辞任         補欠選任   高見 三郎君     野田  毅君 同日  辞任         補欠選任   野田 毅君      高見 三郎君     ――――――――――――― 七月十八日  四年制大学における養護教諭養成制度確立に関  する請願外四件(熊谷義雄紹介)(第九三二  八号)  同(小渕恵三紹介)(第九六三七号)  同外四件(竹内黎一君紹介)(第九六三八号)  同外四件(竹中修一紹介)(第九六三九号)  同(津川武一紹介)(第九六四〇号)  同(原田憲紹介)(第九六四一号)  同(近江巳記夫紹介)(第九九二一号)  国立学校設置法等の一部を改正する法律案反対  に関する請願瀬野栄次郎紹介)(第九三二  九号)  同(山原健二郎紹介)(第九六四三号)  同(野間友一紹介)(第九九二二号)  学校教育水準維持向上のための義務教育諸  学校教育職員人材確保に関する特別措置法  案撤回に関する請願多田光雄紹介)(第九  三三〇号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第九三三一号)  同(山田太郎紹介)(第九三三二号)  同外一件(木島喜兵衞紹介)(第九六四四  号)  同(栗田翠紹介)(第九六四五号)  同外三件(山原健二郎紹介)(第九六四六  号)  同(近江巳記夫紹介)(第九九二三号)  同(坂井弘一紹介)(第九九二四号)  同(野間友一紹介)(第九九二五号)  同(矢野絢也君紹介)(第九九二六号)  東海道本線高架事業用地として伊場遺跡の一部  使用に関する請願(斉藤滋与史君紹介)(第九  三三三号)  同(高見三郎紹介)(第九三三四号)  同(地崎宇三郎紹介)(第九三三五号)  同(深谷隆司紹介)(第九六五四号)  千葉市の貝塚群保存に関する請願柴田睦夫君  紹介)(第九三三六号)  同(木島喜兵衞紹介)(第九六五五号)  同(木原実紹介)(第九六五六号)  同(山中吾郎紹介)(第九六五七号)  障害児教育推進に関する請願山原健二郎君紹  介)(第九六四二号)  弱視児童用教科書作成に関する請願山原健  二郎君紹介)(第九六四七号)  学校砂場施設整備に関する請願木島喜兵衞  君紹介)(第九六四八号)  同(西岡武夫紹介)(第九六四九号)  同(三原朝雄紹介)(第九六五〇号)  同(森喜朗紹介)(第九六五一号)  三重県明和町の古里遺跡保存に関する請願(山  原健二郎紹介)(第九六五二号)  浜松市の伊場遺跡保存に関する請願山原健二  郎君紹介)(第九六五三号)  学校教育水準維持向上のための義務教育諸  学校教育職員人材確保に関する特別措置法  案の成立促進に関する請願住栄作紹介)(  第九六五八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 七月十八日  宇都宮大学工学部環境化学科設置に関する陳  情書(第六二一  号)  愛媛大学医学部即時実現に関する陳情書  (第六二  二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  学校教育水準維持向上のための義務教育諸  学校教育職員人材確保に関する特別措置法  案(内閣提出第六六号)      ――――◇―――――
  2. 田中正巳

    田中委員長 これより会議を開きます。  学校教育水準維持向上のための義務教育学校教育職員人材確保に関する特別措置法案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。嶋崎譲君。
  3. 嶋崎譲

    嶋崎委員 きょうは、人材確保に関連する特別措置法案に関連して二、三質問させていただきたいと思いますが、最初に、いままで幾人かの委員の方々から経過についての質疑がありましたけれども、大ざっぱにおさらいをさせていただきたいと思います。  この法案の第一条で、すぐれた人材を確保して、学校教育水準維持向上に資するという目的をうたって、第三条でその優遇措置についての規定が行なわれております。ここで、「義務教育学校教育職員給与については、一般公務員給与水準に比較して必要な優遇措置が講じられなければならない。」この「必要な優遇措置」に関連して附則の第二で「国は、第三条に定める教育職員給与優遇措置について、計画的にその実現に努めるものとする。」こういうことになっております。  最初に、「計画的にその実現に努める」ということについて、文部広報その他ではすでに解説がありますけれども、「教育職員給与優遇措置について、計画的にその実現に努める」という趣旨について、あらためて御説明願いたいと思います。
  4. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 附則の二項は、附則の三項にも対応しているものだと御理解をいただきたいわけでございます。附則の三項は、また、四十八年度の予算におきまして、一般公務員優遇措置に加えて一〇%の改善財源を計上させていただいているわけでございます。それだけで第三条の目的を達成しているわけじゃないんだ、さらに年を追って計画的に進めていくんだという趣旨を、二項で明らかにさせていただいているということでございます。
  5. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そこで、今年度は一〇%約百三十五億円ぐらいの予算措置でやって、大まかに文部省としては三年くらいの計画で二五%ぐらいのアップに持っていこうということなんですか。
  6. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 国の予算に計上いたしました百三十六億円は、地方負担等もございますので年間にいたしますと、千三百二十億円ぐらいになるようでございます。それをさらにどの程度まで引き上げるかということにつきましては、たびたびこれも申し上げているわけでございますけれども文部省内に教職員給与改善のための研究調査会を設けて、鋭意審議していただいておりますので、その結論を待って行ないたいということでございます。いずれにいたしましても、かなり大幅な給与改善を行ないたいというのが政府の強い決意でございます。
  7. 嶋崎譲

    嶋崎委員 最初は五〇%アップで、目標としては裁判官並みというような、かなり大きな期待を持った考え方でこの給与改善に取り組み始めているやに聞いておりますけれども、このことに関連して、過去の経験で少しお聞きしたいのは、大学教官給与に関連して、三本立ての問題になったのは、あれは二十八年でしたか、二十九年でしたか、大学教官高等学校小中学校という三本立ての給与になって、そして大学教官についても裁判官並みということが問題になり始めたのは、あれはいつごろだったでしょうか。
  8. 木田宏

    木田政府委員 大学教官につきまして、給与を高めなければならないということを国会の場でも御相談申し上げましたのは、荒木文部大臣のころだったかと思っております。昭和三十五、六年のころじゃなかったかと思います。
  9. 嶋崎譲

    嶋崎委員 問題になってから、大学のほうではなかなか裁判官並み給与体制に持っていけないまま、毎年毎年人事院勧告が行なわれて、今日まできております。それに関連して大学教官に八%の手当がついたのは、どういう条件で、いつだったでしょうか。
  10. 木田宏

    木田政府委員 ちょっと不勉強なものですから、あとで調べてお答え申し上げます。
  11. 嶋崎譲

    嶋崎委員 大学教官に対して手当の八%アップがついたのは、大学院担当教官に関してだけなんです。私もその時期は忘れちゃったのですけれども自分自身経験で八%アップになったことだけしか覚えていないのですが、いつだったか記憶がありません。  そのことに関連してですけれども文部省は、当時大学教官の特に大学大学院担当教官に関して、大学院という講座を担当しておるということに基づいて、二五%アップするということを申し合わせて、そういう方針を出していたと思いますが、御存じではありませんか。
  12. 木田宏

    木田政府委員 私自身二五%という数字についての記憶がございませんが、大学院担当手当の幅を広げたいということは、もう数年来人事院にいままで御要望申し上げてきたところでございました。
  13. 嶋崎譲

    嶋崎委員 それで、たしか二五%がそのうち一二%になりまして、そして最後八%に落ちついたのですよ。そういう経過があります。  その点に関連して、人事院総裁は、特に大学院担当教官に関連して、教官給与優遇措置ですね、こういう優遇措置がいつ行なわれて、八%というふうに落ちついた根拠を明らかにしていただきたい。
  14. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 何年何月というところまでは覚えておりませんが、とにかく私が昭和三十七年の九月に総裁になりましたそのあとであることは間違いないと思います。結局基本的には、申すまでもありませんけれども、普通の学生に対する教授をされておる人と、さらに高度の大学院学生を相手にして、これに対する教育をされるという責任の違いということが明らかにありますので、他の一般調整額とのバランスなども考えて、八%程度が適当であろうというふうに考えたわけでございます。
  15. 嶋崎譲

    嶋崎委員 戦前の比較は別としましても、大学大学院担当教官ないし旧制の大学教官が、裁判官並みといわれてから非常に久しいと思います。その裁判官並みといわれた大学教官給与について、大学院担当教官にせいぜい八%程度優遇措置しか講じないまま今日まで至っております。これが今日までの人事院勧告実情だと思います。今度の人材確保に関する特別措置法案の中には、最初裁判官並みというたいへん威勢のいいことを言っておりますけれども、いまの大学院担当大学教官ですら裁判官並みどころか、その給与優遇措置として二五%程度が問題になったものが、八%そこそこで今日までとどまってきている、こういう実情の中で、義務教育教員人材を確保するということに、大学教官以上の、いわば校長最後には教育公務員最高俸給にまで到達できる可能性を一方で問題にするとすれば、学長クラスのいわば給与にまでも校長の地位を高めなければならぬという意気込みが片一方にある。ところが、小中学校先生方給与について、人材確保の新しい法律案をつくろうとしてきている文部省側考え方に対して、いままで大学大学院担当教授すら裁判官並みになっていない。その手当は、優遇措置としてはわずか八%程度である。この実情について、この法案を出した趣旨と現状との間に、あまりにもギャップがあると思うが、大臣いかが思いますか。
  16. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 いまのお話を聞いておりまして、やはりこの法律を制定しておかないとなかなか言うたとおりに実現させることは困難だなという感じを深めさせていただいたわけでございます。人事院幾ら給与改善をはかろうといたしましても、やはり国権の最高機関である国会から、このような方針でやれということを明示しませんと、私はなかなかやりにくいのではないか、かように考えるわけでございまして、第三条が「一般公務員給与水準に比較して必要な優遇措置が講じられなければならない。」こう大きな方針国会で示していただくわけでございますので、これを制定させていただけるならば、人事院総裁がたびたび、教職員給与改善が必要だ、こうおっしゃっているわけでございますので、実現さしていくことが可能になっていく、かように考えるわけでございます。
  17. 嶋崎譲

    嶋崎委員 じゃ、総裁にお尋ねをいたしますが、この法案がかりに通ったら、大学教官給与はどのくらい大ざっぱにいってアップするのが妥当だと思いますか。
  18. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 これは各職務評価に関連してくることでございますから、私どもとしては、やはりこの法案が通ったからといって、義務教育先生職務責任に対する評価が高まって、相対的に大学教官評価が落ちてきた、逆転するというようなことは考えておりませんから、したがいまして、この法案に基づいての勧告において義務教育先生方を上げるということになれば、いろいろな連鎖反応から見ましても、高等学校先生にも影響してくる、ひいては大学先生にも影響してくるということが一つあるわけであります。そういう基本のもとに、もちろん大観的にもう一ぺん評価はいたしますけれども、どうしてもそれは上げずにほっておくというわけにはいかないということは、はっきり申し上げられると思います。
  19. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そこで、過去の経過経過として確認をしたいのですが、大学教官裁判官並みと、ここでもいま小中学校先生方裁判官並みということが目標にされておる。つまり、そういう目標を掲げているにもかかわらず、今日までの人勧体制のもとでは、とてもそういう方向にはいかなかった。だから、法律では今度、小中学校先生方アップをしていく突破口をつくれば、それに合わせて全体がアップできるであろう、そういう考え方に立ってこの法案を提出されているということに、教員全体から見ますとそういう法案の位置づけになるわけですね。大臣、いかがですか。
  20. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 たびたび申し上げておりますように、義務教育学校先生給与改善をはかりたい。同時に、これをてこにして、学校教育水準維持向上をはかってもらって、したがって、また関連する高等学校その他の先生方給与改善もはかられる、こういう考え方を持っているわけでございます。
  21. 嶋崎譲

    嶋崎委員 いままでみたいに、人事院勧告の中で、大学教官が、二五%が一二%になって、八%に値切られていったというように、今度もまた値切られぬように、最初文部省で出した五〇%が二五%に押えられてきて、それでまたことしは一〇%から始まっていく。大体これは政治的な評価のしかたであって、教育労働というものの小中学校教師高等学校大学のそれぞれの質を、どういうふうに科学的に認識した上で給与体系をつくっていくかということが、大づかみなワクをきめていって、しかもそのワクが政治的にきめられてくるというようなことで、実際のいわば科学的な調査や科学的な判断とは違ったことでもって値切られていくようなことがないように、ちょっと要望をしてから、深く質問に入っていきたいと思います。  そこで、人材確保というのは、まず一〇%のことし予算が組んである。ここで、文部省にいろいろな給与改善審議会ですか、委員会調査のなにができていますね。そこで検討されて、今後の給与体系について計画的なもろもろの方針が出てくるんだと思いますけれども人材確保という、学校先生方人材を確保するというのは、まあさしあたって一〇%、あとで二五%ぐらいになるかしれませんが、そのぐらいの給与の上げ方で、人材確保のどのくらいの要素になると思われますか。いい教官が、それによって集まってくるということの非常に有力な、いわば条件になると大臣はお考えですか。
  22. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 教育界人材を確保するのは、単に給与だけではございません。もっと、教職というものが国民全体から非常に重要な職種である、とうとい職種である、こういう社会的評価のほうが、より大事じゃないかという感じがいたします。しかし、人材教育界に集中してくることによって、逆にまたそういう評価が高まってくるんだ、かようにも考えているわけでございます。基本的には、やはり教員の資質の問題だ、かように考えますだけに、青年が将来の進路を選ぶ場合の諸条件、これはまあ満たしていかなければならない、その諸条件一つには処遇の問題がある、こう考えているわけでございまして、そういう意味においては思い切った改善をはかりたい、一般公務員に比較して優遇されなければならないという大前提を打ち立てていただきたい、こういう気持ちを持っているわけでございます。   〔委員長退席内海(英)委員長代理着席
  23. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そこでちょっとお聞きしますが、いまの大学の学制で、いま教員養成をしているのは、教育系大学学部ですね。それから一般大学学部ですね。その中で教師就職をする学生卒業生の中の何%ぐらいでしょうか。それを、教育学部系の場合と、それから一般大学学部の場合とを別々に言いますと、どのくらいずつになりますか。
  24. 木田宏

    木田政府委員 一般大学にありましては、一般大学のすべての学生が、この教師資格を取るというわけでございませんので、私どものほうで持っておりますデータを、学校種別ごとに、免許状を取りました者と、それから教師就職した者という形で数字を御説明しておきたいと思います。  小学校教員について申し上げますと、四十七年三月の卒業生でございますが、いわゆる教員養成大学で、これはまあ卒業生のほとんどが免許状取得するわけでございますが、小学校免許状取得いたしました者が一万二百人、そうしてその年に教員就職いたしました者が六千八百人でございます。比率で大体七割弱でございます。それからこれはその年でございますから、なお卒業教員就職する者は、過年度の率を含めますと八割強になっておるというふうに承知をいたしております。一般大学小学校教員免許状を取りました者は千七百名でございまして、教員への就職者が千七百でございます。なお、ちなみに、短大にありましては免許状取得者が五千四百で、教員就職者が三千百。小学校はこの数字がある意味で非常に整っておるわけでございますが、中学校につきましては、御参考までに申し上げておきますと、教員養成大学学部で四十七年三月、免許証取得いたしました者が一万二千七百、教員就職者数が二千三百。一般大学にありまして免許証を取りました者が四万三千四百、教員就職いたしました者が二千七百。短大中学校免許証を取りました者が三万三千九百、教員就職をいたしました者が五百ということでございます。したがいまして、中学校免許状につきましては九万人取得をして、五千五百人就職をしておるということでございます。  なお、教員養成大学学部免許状取得いたします者が、小学校中学校ともほぼ一万ございますが、これは一人が一枚ということでございませんので、実数は足した数ではないという点は御理解をいただきたいと思います。
  25. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そのデータしかないのですか。たとえば国公私立を含めた一般大学卒業した学生の全体の総数の中で、何%が教師になり、そしてその中で、小学校中学校高等学校教師になったのがそれぞれ何%か。こういうデータですね。  もう一つは、教育系大学並びに学部卒業した学生で、教師になったのは何%で、その中で、小学校中学校高等学校教師になったのが何%ぐらいかというデータはありませんか。
  26. 木田宏

    木田政府委員 ただいま御指摘になりました点は、教員養成大学学部卒業者が、昭和四十七年三月で一万四千六百でございまして、そのうち、就職者というのは、これは年次がずれますので、その年の免許証を取った者で申し上げますと、小学校免許証を取りました者が、先ほどのように一万二百、中学校免許証を取りました者が一万二千七百、高等学校免許証を取りました者が一万六百という数でございます。  一般大学学部卒業者は二十七万八千人でございまして、そのうち小学校免許証を取りました者が千七百、中学校が四万三千四百、高等学校が五万四千九百という数になる次第でございます。  短大にありましては、十二万六千人の卒業生がございまして一免許証を取りました者が小学校で五千四百、中学校で三万三千九百、高等学校短大でございますからございません。  なお、このほか若干の数が特殊教育、幼稚園にございますが、実数としてはそれほどのものでございません。  したがいまして、教員養成大学卒業生はほぼ全員が免許資格を持って就職戦線に出るということになりますし、それから一般大学卒業生等でありますと、免許証取得者が、これは延べ数でございますので、実数での計算がちょっととりにくいのでございますが、二十八万に対して、どんなに少なくても五万から六万という数が免許証を取っておるということでございます。約六分の一ぐらいの見当になっておりましょうか。短大が十二万六千でございまして、免許証を取っております者が約四万と数えられますから、三分の一、こういうことに相なっております。
  27. 嶋崎譲

    嶋崎委員 いまのその数字では、人材確保に関する文部省側データとしては、ぼくは足りないんじゃないかと思うのですよ。というのは、免許状は取っても、教師になったのがその中でどれだけいるかということが、非常に重要になってくると思います。特に免許状の場合には、小学校の一級、二級だけじゃなくて、中学校高等学校と三種類免許を取ったり、あるいは中学の場合二種類ないし三種類免許状を取っていくわけですね。ですから、免許を取ったからといって、その免許を取った人たちが実際に小・中・高等学校教師になっているかというと、必ずしも実情はそうではない。ですから私は、いまデータを出していただいて傾向値として知りたいのは、先に結論を申し上げますけれども、私の判断では、教育系学部卒業生圧倒的部分小学校教員に供給されていると思うのですね。ところが、中学並びに高等学校教員の場合には、一般大学ないし学部卒業生の中から相当部分、六六、七%供給されているんじゃないかと思っています。その点のデータはありますか。
  28. 木田宏

    木田政府委員 学校種別にいまの比率を申し上げておきますと、四十七年三月の卒業生についてでございますが、一万一千六百名の小学校教員就職者の中で約六割に当たります六千八百名が教員養成大学卒業生であります。一般大学は先ほど申し上げましたように千七百名、それから短期大学が三千百名、二五%という数に相なっております。  中等教員中学校でございますが、五千四百六十の教員就職者のうち、教員養成大学卒業生は四二%に当たります二千三百でございまして、一般大学卒業生が二千七百で四九%、約五〇%に当たります。短大からが約五百でございまして、八%見当でございます。  高等学校にありましては、四千七百名の就職者の中で、教員養成大学学部卒業いたしました者が七百名、約一五%でございます。一般大学卒業生が三千七百でございまして、八割を占めておる次第でございます。短期大学はほとんどパーセントになりません。こういう次第でございます。
  29. 嶋崎譲

    嶋崎委員 いまのそのデータを私のほうにお届け願いたいと思います。よろしくお願いいたします。  さて、そこでお聞きしますが、それぞれの大学卒業生が、教師資格を受ける試験の時期はいつですか。単位は全部取っていても、都道府県ごとに登録をいたしますね。そのために試験がありますね。あれはいつですか。
  30. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 就職の時期の制限がございますので、大体七月から八月でございまして、それが第一次の筆記試験と申しますか、それから九月ごろに面接試験をやるというのが普通のタイプでございます。
  31. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そして、教育委員会教員の登録が完了するのはいつですか。
  32. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 県によりまして多少違いがございますが、大体十月から十一月というのが普通だそうでございます。
  33. 嶋崎譲

    嶋崎委員 その登録した先生方が、就職が確定するのはいつごろですか。
  34. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 これは退職者の状況あるいは県の予算の関係がございますものですから、最終的には三月ということになるわけでございます。
  35. 嶋崎譲

    嶋崎委員 四月一日になっても就職が確定してない都道府県がありますか。
  36. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 そういう事態はごくまれだと思いますけれども、たとえば予算が通過しないとか、そういうことになりますと四月にずれ込むということは皆無ではございません。
  37. 嶋崎譲

    嶋崎委員 私の調べたところでは、そういうものじゃなくて、四月一日になって、男の教員はきまっているけれども、女の先生方がきまってないという都道府県は一ぱいあるのですよ。そうして、四月十日ごろになってから女の先生方が発令になるということがあるのです。東京とか大きな都道府県では、そういう場合があるのです。ですから、たとえば東京で就職したいけれども、神奈川に行くとか、それから他の県に行かざるを得なくなった、早く就職をきめたいという実情があります。その点についての実情データございますか。
  38. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 それほど詳しいものは持っておりませんけれども、いま先生御指摘のとおり、退職者の数というのが新採用のきめ手になるわけでございまして、それらが若干最後まで結末がつかないということで、ただいまのようなことになるということは、予想されるところでございます。
  39. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そこでお尋ねしますけれども大学学術局長ですけれども大学はいま企業がいつごろ就職試験があって、学生はいつごろ就職がきまっていると思いますか。
  40. 木田宏

    木田政府委員 ことしまで、いろいろと就職の時期が非常に早うございまして、企業間の争い等、学生教育にも支障が起こるということに相なりましたので、昨年来、強いまあお考え直しをいただいて、ことしから七月一日に解禁ということで、かなり歩調をそろえさせていただいた次第でございます。
  41. 嶋崎譲

    嶋崎委員 それと教員養成とは非常に深い関係があると思いませんか、局長
  42. 木田宏

    木田政府委員 一般学生等につきましては、他の就職の機会との関係というのは、相当大きな影響があるというふうに考えます。
  43. 嶋崎譲

    嶋崎委員 大学側に、大企業、特に大きな企業が、実際は七月といっても、もう大体五月の段階になりますと、来年度の就職の圧力が大学にかかってくるのです、御存じだと思いますけれども。国立大学大学側では、幾度か申し合わせをして、そして企業の就職あっせん並びに圧力を、先のほうに持っていかないと、大学は四年といっても、実質三年しか授業はしておりません。四年目はもう大体全部学生就職がきまっていますから一四年目の授業や講義というものは、ほんとうの実体をなしていないという現状が今日あります。そういう中で、就職が、いま申し合わせで七月一日と言いますけれども、大体七月一日というのは、何もいまおくらしたのではなくて、それ以前に六月段階から始まっている。七月一日にオープンになるわけですよ。そうしますと、就職しようという学生たちの中で、教員免許をとってある、しかし、先ほどの初中局長のお説にもありますように、実際に試験をやって、登録して、完了するのは、十月、十一月ですね。それでも就職きまらないのですよ。三月に入ってもまだ就職がきまらないのですよ。非常に不安定な状態にあります。ですから、教員免許をとったたくさんの学生たちが、教師になるべきか企業に就職すべきかということで、たいへんな選択に迫られているというのが今日の実情です。そして、教育に非常に熱心で、将来おれは教育者として生涯やりたいと思っているすぐれた人材が、いかに大企業にスクープされているかという実情が今日あると思いますが、いかがですか。
  44. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 それは確かにそのとおりだと思います。また、府県におきましても、いかにそういうものと対抗しまして教員のいい方を確保するかということにつきましては、これはいろんな知恵をしぼってやっておるわけでございますが、一つの方法としましては、大体退職者の見込み、それから定数の先行き、大体わかるわけでございますから、特に確保しなければならない方につきましては、お約束をあらかじめするというふうな方法もとっているようでございます。
  45. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そこで、私が文部省のほうに先ほど言ったデータをつくってもらいたいと思います。全国の都道府県で、いつごろ学生就職が、教員になる免許状を持った学生が試験にパスして、そしてどこどこの学校に自分が来年度就職できるということが確認されるのか。これは四月一日ですけれども、しかし内定しますから、大体いつの時期かというのを、全国の各都道府県の実情調査してデータをつくっていただきたいと思います。ありますか。
  46. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 先ほど申し上げましたように、そういうデータはちょっといまのところはとっておりません。
  47. 嶋崎譲

    嶋崎委員 いままでの傾向値でいいです。退職する先生方が多い都道府県や、そういういろいろな実情がありましょうから、大体の傾向値として、試験がいつあって、そうしていつごろ登録が完了して、そうしていつごろ都道府県で大体内定するのかということについての全国の教師採用の条件ですね、これについてのデータを至急提出していただきたいと思います。
  48. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 全国の調査となりますと、ちょっとこれは時間がかかると思います。サンプル調査あるいは非常に大まかな調査と申しますか、そういうものでございましたら、できるだけ早くお手元に差し上げるようにしたいと思います。
  49. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そこで、もう一つお聞きしますが、七月ないし九月ころに行なわれる試験は、だれが問題を出しますか。
  50. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 これは教育公務員特例法の十三条の規定によりまして、選考で行なう、それから選考権者は都道府県の教育長であるということがはっきりしているわけでございますから、これは教育長の権限に属することでございます。
  51. 嶋崎譲

    嶋崎委員 法律にはそう書いてあります。事実上は教育委員会で行なうわけですね。出題者はどなただと思いますか。
  52. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 これは教育委員会に専門家がもちろんおるわけでございますけれども、しかし、ほかの教職員の方々の力をお借りしてやるとか、そういうふうな方法はとられていると思います。
  53. 嶋崎譲

    嶋崎委員 よく実情が私もわからないんですけれどもね。指導主事と管理主事というのがありますね。地方教育行政の組織及び運営に関する法律、この法律の第十九条には「都道府県委員会の事務局に、指導主事、事務職員、技術職員その他の所要の職員を置く。」と書いて、そうしてこの指導主事の要件についてはこの四項にうたってあるわけですね。局長、いいですね。  そこで、ここで最初にちょっとお聞きしますが、教員のこの都道府県に登録する前のあれは何と言うんですか、正確には。資格をきめる試験、あれは名称は何と言ってますか。正確に私知らないんですが、資格認定試験とかいうんですか、何と言うんですか、あれは。
  54. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 これは法令上は、先ほど申し上げましたように、選考の内容でございますから、各県でそれぞれまちまちのことばを使っていると思いますけれども、これはまあ別に法律上の用語があるというものではございません。
  55. 嶋崎譲

    嶋崎委員 一般的には何と言ってますか、各県のやつは。資格認定試験というようなものですか。
  56. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 ちょっとその点は、私も正確な名前はどういうふうに言っているかは存じません。
  57. 嶋崎譲

    嶋崎委員 それならまあそれでいいです。私、何か統一したことばがあるかと思って、非常識だと言われちゃいけませんからお聞きしたのです。  そこで、都道府県ごとに試験が行なわれておりますけれども、その試験問題の作成が、教育委員会ごとにどのような状態で行なわれているかについて、文部省で集約したことはありますか。
  58. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 文部省では、これは先ほどから申し上げておりますように、教育長の専管の権限でございますから、そういうような調べをしているというようなことはございません。ただ、問題がございました場合、それからあるいは選考者とそれから登録者の関係、そういうものについては調べたものはございます。  それから、先ほどの名称でございますが、新採用者選考試験というふうなことばを使っているところもあるようでございます。
  59. 嶋崎譲

    嶋崎委員 法律考え方は、教育の地方分権的な考え方がありますから、都道府県ごとに、いわゆるいまの選考試験ですか、その選考試験は、都道府県ごとの自主性において行なうということでよかろうと思います、たてまえは。実際は、都道府県ごとにだれが出題していると思われますか。
  60. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 先ほど申し上げましたように、教育委員会の中には専門家もおるわけでございます。管理主事などの場合でも、教職の御経験のある、かなり専門的な知識を持っておられる方もございます。それから指導主事は、もちろんその方面の専門家でございます。そういう方々あるいは高等学校とか小中学校先生を委嘱して、そして試験問題をつくっていただく、そういうふうなことでやっているというふうに聞いております。
  61. 嶋崎譲

    嶋崎委員 管理主事が試験に関係するのですか。
  62. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 人事のことは、大体管理課とかそういうふうなところで、指導とは別に行なっているということでございますから、採用の関係は、管理主事が実際の実務は行なう、しかし、試験問題の出題等については、これは原則としてタッチしないというのが普通であろうと思いますけれども、しかし、そういう能力を持っておられる方はいるということを申し上げたわけでございます。
  63. 嶋崎譲

    嶋崎委員 地方教育行政の組織及び運営に関する法律では「指導主事、事務職員、技術職員その他の所要の職員を置く。」と書いていますけれども、管理主事というのは、この中の何になるのですか。
  64. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 これは各県によりまして、一つの職制として管理主事というのがあるわけでございますけれども、身分としましては事務職員というふうな身分でやっているところもございますし、あるいはそういう新しい職制を教育委員会で定めるということも可能でございます。  事務職員として扱わない場合の理由としましては、教員の御経験のある方を管理主事にするというふうなことになりますと、給与上の格差なんかが出てまいります。そこで、各県で教員と同じような待遇をするために、またその交流が容易に行なわれるために、そういうふうな特別の身分をつくるということも可能でございます。
  65. 嶋崎譲

    嶋崎委員 私たち社会党が、教育委員会法案という議員立法を提出していますが、ここでは指導主事というものを非常に厳格に規定して、教育の地方分権というたてまえから、教育の管理問題と教育の指導、助言の問題というのは、やはり分離して考えなければならない、だから、管理主事と指導主事がごっちゃになって、試験問題もやれば人事もやるというようなことになりますと、人事に不公平が出てきたりすることがあり得る、また思想信条にかかわる問題が関係してくることがあり得る、だから、おおむね管理主事というのは、そういうことにはタッチしないというたてまえが正しいたてまえだと思いますが、いかがですか。
  66. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 私もある県の指導課長をやっていたことがございますけれども、指導主事の職務というのは、ただいま御指摘のように、その純粋性を保つということが適当じゃないかと私は思います。管理主事は、一般的に人事を扱うわけでございますから、採用というふうな特殊な問題等がからんだ場合に、問題作成というふうなことについて取りまとめをするというのが限度ではないかと思います。自分で問題をつくるということは、これはちょっと管理主事としては本来やるべきことではないというふうな感じがいたします。
  67. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうしますと、さっきの局長の、各都道府県ごとに指導主事や管理主事が問題をつくっていることがあり得るという発言は、いまの発言からすれば、都道府県ごとにやっていることとしては好ましくないことをやっていることを是認されているわけですか。
  68. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 指導主事が問題をつくること、そのこと自体は私は別に悪いこととは思いません。それは専門家としての……。それから管理主事は、問題を作成しないのが通常だろうということを申し上げたわけでございまして、その点ではやはり区別をしたほうが望ましいと思います。
  69. 嶋崎譲

    嶋崎委員 その辺の実情も、文部省ではつかんでいただきたいとぼくは思うのです。それぞれの自主性だから、こうせいああせいということではなくて、実際にいま都道府県で、教員の選考試験に際して、どういう過程で問題の作成が行なわれているのか。そして、その問題の全国のデータ文部省にありますか。毎年毎年、各都道府県で行なった選考試験の問題集はありますか。
  70. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 その問題は、私のほうでは取っておりません。ただ、管理主事がタッチすることがあると申しましたのは、純粋に教育的な観点からやる場合と、そのほかに教員としての資質と申しますか、性格調査その他も必要じゃないかと思いますけれども、そういうものは、これは指導主事ではちょっと扱えないわけでございますから、管理主事がやるべきだということを言っておるわけではございませんけれども、そういうふうな別の問題もあるということでございます。
  71. 嶋崎譲

    嶋崎委員 それも文部省のほうで、一度、現在の都道府県で行なっている学校教師資格試験、いわゆる選考試験が、いかに愚劣な試験であるかという実情を、知っておいていただきたいと思います。大学ではこう言ってますよ。どこの大学でもです。民間企業の試験でも、マスコミの試験でも、そういう試験に比べて、学校教師試験がいかに愚劣な試験をやっているか、これはたいへんな評判です、どこの大学に行っても。私、一つサンプルがありますが、きょうはそんなものはあげません。一つの県の名前が出ますからあげませんけれども、そういうことで資格試験が行なわれている。つまり、大学で単位を取得してしまえば、もうこれで教師資格はあるのだ、そしてさらに各県ごとにまた選考試験をやっているのですけれども、その選考試験がたいへん愚劣である。しかし、それを受けて登録するのです。そうしなければ教師になれないのです。そして、きまるのは三月、四月一日でないときまらないのですよ。そこで、やはり都道府県における教員の選考試験というものが、少なくとも人材を確保するというならば、そこにねらいを定めて、少なくともいわば試験とは違った角度から問題が提起され、しかも、すぐれた人材と判定できるような、そういう試験でなければおかしいじゃありませんか、そう思いませんか。
  72. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 先ほど申し上げましたように、これは選考権者が教育長であるということと、それから各府県ともいい先生をのがすようなことは考えておらぬだろう。どの県でもいい先生はのどから手が出るほどほしいというふうな事情がございますものですから、これは各府県におまかせしてよろしいのじゃないかという立場で従来まいったわけでございます。先生の御指摘もございますし、また、参議院でもちょっとこういう話が出たこともございますものですから、私どもがそういう都道府県の選考権に干渉するというわけではなくて、一ぺん参考のためにそういうものを調べてみるということは、やってみたいと思います。
  73. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そのデータも、ことしはいまから始まるわけですから、ことし都道府県で行なわれた試験の内容、それについてぜひデータを文集にして、資料をお届け願いたいと思います。  そこでお聞きしますが、この地方教育行政の組織及び運営に関する法律の第十九条の、指導主事の認定ですね。指導主事の資格要件といいますか、これは、「指導主事は、教育に関し識見を有し、かつ、学校における教育課程、学習指導その他学校教育に関する専門的事項について教養と経験がある者でなければならない。」一般的な規定がありますね。そして「指導主事は、大学以外の公立学校教員をもって充てることができる。」と書いてあります。前段には学習指導、学校教育の専門的事項について、教養と経験のある者でなければならぬといっているわけですね。そして後段で「公立学校教員をもって充てることができる。」と書いてあるのですね。この規定の資格要件からして教員でなくてもいいわけですね。教員経験を持っていなくてもいいわけですよ。かりに公立学校教員経験がなくても、「教育に関し識見を有し、かつ、学校における教育課程、学習指導その他」の専門的な云々とありますね。こういう一般的なものにかなったと考えられれば指導主事に選考されるわけですね。そのために都道府県の指導主事は、どこもかしこもというわけじゃありませんけれども教員経験のない、いわゆる学識はあるといえるかどうかは知りませんが、いわば各都道府県でやっていることですから、文部省がその人事について云々いうことはできませんけれども、客観的に見て、指導主事が公立学校教員経験というものを持たないで、卑俗なことばで言うと、内容の落つる指導主事が任命されているというような傾向はありませんか。そんなことはもちろんないとおっしゃるでしょうけれども……。
  74. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 私の経験で申しますと、これはもう学校のそういう実際に指導の経験のある方で、特にすぐれた方をお願いしているということでございまして、それ以外の方が指導主事になっていられるというのは、私はまだ聞いたことがないわけでございますが、それは私の認識の不足かもしれませんけれども、大体そういうことで行なわれているのじゃないかというふうに考えているわけでございます。
  75. 嶋崎譲

    嶋崎委員 教育委員会法案という社会党の議員立法では、指導主事というものについては特別に厳格な規定をしているわけですよ。「都道府県委員会の指導主事は、市町村の教育委員会が管理する学校に関しても、前項の職務を行なう。」といって、「主導主事は、教育職員免許法の規定による教諭の一級普通免許状を有し、かつ、文部省令の定めるところにより、五年以上校長教員その他の教育に関する職にあった者でなければならない。」「指導主事は、当該教育委員会が任命した教員をもって充てることができる。この場合において、当該指導主事に充てられた教員は、その充てられた期間中、教員職務に従事しない。」こうあります。  こういうふうにわれわれの教育委員会法案に関する議員立法の中では、指導主事というものに対して、非常に限定した、つまり、地方教育行政の組織及び運営に関する法律でいっている一般的な規定だと、人事がいわゆるここでいう専門性とか、それから人格、識見にすぐれているということで行なわれない危険性がありはしないかということから、厳格な規定をしている。ところが、地方教育行政の組織及び運営に関する法律では、非常に一般的な規定をしている。ここのいわば現状の認識の違いがあるのじゃないかなという気がするから御質問を申し上げたのです。  そこで、さっきの問題に返りますが、つまりいまの都道府県の教育委員会でやっているところの試験が、企業やマスコミなんかの試験に比べて程度が低くて、これで資格選考試験になるのかというようなものが行なわれているというような実情と、それから出題者が指導主事が中心であるということが大体常識だと思いますけれども、そういうところに関係があるのではないかという気が私はするのです。実情についてこまかな調査をしたわけではありませんが、ただいえることは、現実の資格選考試験というものがたいへんレベルの低いものをやっているということが、大学の中でも学生の中でも、こんなものが教師資格試験なのかということで冷笑されている。そういう点が人材確保という観点から見ても改めるべき一つの側面ではないかというふうに思うのです。  さらに、これは最初の議論に返しますと、いま就職試験は七月一日からやるのですね。それで大企業は、もう全部大体夏休み中にはみんな就職がきまってしまいます。大きな大学の場合には、夏休み過ぎまで就職がきまっていないというのは学生のどのくらいでしょうか。二割もいないのじゃないでしょうか。ですから、すぐれた教師になろうという教育熱心な学生諸君が、全部単位を取得していても、就職が非常に不安定ということから、実際には人材がどんどん大企業に引き抜かれていってしまっている、こういう実情が現実にあるということです。だから、こういう問題に対して大学学術局長はどう今後考え、また文部大臣もこういう現状をどう改めていくべきかについての御意見をお伺いしたいと思います。
  76. 木田宏

    木田政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、学生の二割、一般大学の場合には一八%が教員免許状取得する、在学中そういう意欲を持っている人たちであるということであります。そういう人たちがやはり魅力を持てるような教育界でなければならない。免許状を持ってさらに就職するということ、あるいは在学中に免許状を取ろうかどいう気持ちを起こさせるような教育界でなければならぬと思います。いま先生がおあげになりましたのは、先生の御経験のあるああいうりっぱな大学学生たちが、教育界に、少なくとも小学校中学校教員に回ろうというような気持ちをより多く起こしてくれる、こういう施策が必要ではなかろうか。今回御提案申し上げております人材確保法律案も、そういう心組みをもって努力している一つの方途ではないかというふうに思うのでございます。今後いろいろな意味でなお努力していかなければ、それは在学者の学生の選択ということを前提にした議論になるわけでございますから、職場自体が魅力を持つというような、そういう方向を考えていかなければならぬ。しかし、もう一つ、これから先の社会を考えますと、私はやや明るい見通しを持ち得るというふうに希望を感じております。それは今回のような措置を講じていくことだけで、そのほかにいろいろと世の中の動き全体が、教育界というものに対する価値を高めてくれるであろうというような動きを感じる、物をつくるよりも、こうした知識をつくるという教育の世界あるいは子供を愛するという教育の世界に、より多くの価値を持ってくれるであろう、そういう社会に日本が進んでいくという希望を持っておりますが、今回の措置もその希望に即した一つの措置であろうというふうに考えております。
  77. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 問題としては二つあると思います。  一つは、これは採用の開始時期でございますけれども、いまのところこれは教育界は被害を受けているというふうなことでございまして、一般の民間企業に対しまして、さらに徹底していただくということは必要じゃないかと思います。  それからもう一つは、これを受け入れる側の、はっきりした予測がつくということでございます。一つは定数の問題があります。来年度の定数がはっきり予測できますと、これはそれだけでもかなりの意味があるわけでございます。現在文部省で定数をつくっておりますのは、一つはそういう意味もあるわけでございます。それからもう一つは、これは退職される方がどれくらいあるかということがわからないと、定数はきまりましても、新採用をどのくらいにしていいかわからないわけであります。そこで、退職される方々についていま勧奨退職という制度があるわけでございますが、これもまだあまりはっきりした目安がつくものになっておりません。そこで、総理も施政方針演説の中で言っておられますように、教員の定年の延長というふうなことも申されておりまして、そして退職される方のルールをどのようにきめるかということ、それがはっきりきまりました場合には定員がきまり、退職者がきまるわけでございますから、新採用はここまではだいじょうぶということになると思います。そうしますと、お約束する時期も早くからお約束できるというふうなことであろうと思います。そういうふうな制度の面、仕組みの面からこれははっきりさしていくということも必要であろうというふうに考えております。
  78. 嶋崎譲

    嶋崎委員 いまの二人の局長の答弁で、大臣はいいです。  私の質問の趣旨は、大学学術局長がおっしゃった、この法案一つのアドバルーンで、今後教育改革というようなものについて、一定の前進的な意味を持つであろうという、そっちの立場じゃなくて、実際に人材を確保するという場合に、給与の問題もあるが、実際に採用する大学の制度、それから地方教育委員会を中心にした採用試験並びに採用制度、こういうものの時期、採用方法、時期の決定のしかた、こういう制度上の問題について、現状に合わせるならばかなり抜本的な改革が必要である。現状で一番問題になっているのは企業のエゴイズムなんですから、大学側も大学自治というたてまえになっていますから、文部省の立場に対して云々言えませんけれども、しかし、大企業に人材を引き抜かれていってしまうという大企業エゴイズム、こういう問題に対しても、文部省側として、国として、つまりこういう法律を出して、先生方給与を改定してまで人材を確保しようという提案をなさるならば、企業のそういうエゴイズムに対して——早くから採用試験をやってくる。大学側は引き延ばそう、引き延ばそうとするけれども、今度は教授会を飛び越えまして学生に直結するんですよ。これは私の経験した大学だけじゃなく、どこの大学でもそうです。ですから、学生と直結していきますから、スクープしていってしまうのです。そのときに、事務職員などとも結びついておりますし、単位みたいなものは知らないうちに出ていくような仕組みにされてしまうのですよ。ですから実際は企業の人事採用のしかたというものは、先行した形で行なわれていく、たいへん大学側も迷惑がっているというのが現状だと私は思います。  そして人材確保の観点から、給与問題で、法律でそれだけのものを打ち出すならば、現在大学からどんどん企業に人材が引き抜かれていくという現状をどうチェックするかということを、国の立場で考えていくことが大事になっているんじゃないかということを、私は申し上げたいわけです。そういう問題についての制度の仕組みを、文部省はやはりつかんでおかなければいけない。  さっきの話は、教育委員会の試験にどんな問題が出て、だれが採点しているか。それからまた大体試験の時期が、登録されてそして就職がきまる時期が、各県ばらばらで、ひどいところは、四月一日になっても、男の教員がきまっても、女の教員がきまらないという実情を、文部省としてはやはりデータをそろえてつかんでおく必要があるのじゃないでしょうか。そういうことを並行しながらやらなければ、一方の給与の面だけでもって、あたかも人材確保できるような一種の政治的なデマゴギーになってしまうと思うのです。そういう意味を持ってきはしないかという点をおそれるがゆえに、そっちの側面について問題を提起させていただいたわけです。  もう一つは、教員の人事の決定の過程で、非常に人的コネクション、教育委員会とのコネクションでもって学校配置がきめられているという実情を御存じですか。
  79. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 具体的に、どの学校に採用するかということは、やはり校長さんとの話し合いということも必要でございますし、あるいはどのくらい、どういう教科の方を採るかというのは、出張所の所長あたりとも相談をするというふうなことがございます。そういうことで私どもは、配置等については、人的な関係というのはできるだけ断って、純粋な形で教員の配置ということをやることが、結局教科の担任の配分なんかが適正に行なわれるという点で、学力の向上、教育効果の増大につながるわけでございますから、そういうことで各県に指導しているわけでございます。私も人事主管課長会議あたりでは、そういうように人事にほかのいろいろな要素が入らないことが一番大事なんだということを、たびたび申しているわけでございますけれども、そういうことを申すということは、その場合に先生の御指摘になったようなことがある程度行なわれているのじゃないかということを感ずるからでございます。
  80. 嶋崎譲

    嶋崎委員 いまも局長感じていると言われるのは、途中に政治家が入ったり、それから地方議員が入ったり、有力者が入ったり、こういう形で小中の教員の配置、採用が行なわれているという可能性が、現実にあるというふうに御認識いただいているのじゃないかと私は思います。私は、筑波のときにも申し上げて、局長と十分に議論はできなかったのですけれども、制度が何ぼよくても、制度をささえる人間の行動様式がなっていなければ、どんないい制度をつくったって制度にならないですよ。いまの地方のいわば政治の状況といいますか、それから教育委員会をささえている人たちのビヘービア、行動様式、その行動様式が、ほんとうに教育というものの筋を通す考えで運用されておればいいのです。それは人間社会ですから、なかなか純粋培養みたいにはいきません。しかし、それにもかかわらず、こういう教育委員会における人事というものが、政治的な圧力とか、そういうものと結びつきながら、土地の名望家であるとか、有力者層と結びつきながら事が動いている実情を、かなり深く認識して対処していかなければならぬと私は思うのです。そういう問題がなぜ出てくるかという背景は、試験が七月から九月に行なわれて、十月に登録がきまって、三月ごろから採用されて四月一日というように、すべての民間の就職がきまってしまって、先生になりたい人は、資格は持っているけれども、非常に不安定でどこに行くかわからない、こういう現状が拍車をかけているのです。ですから、そういう意味で、人材確保という観点でわれわれが問題にしていくときには、つまり給与という観点で、一〇%か三〇%になればいい人材が集まるのじゃないかというようなオプティミズム、楽天主義じゃなくて、そういうものを上げてみたって、現実にそういう人的なコネクションで人事の問題が出てきたり、大企業でいい人材が採られて、なかなかいい教師が定着しないとか、そういう諸問題を総合的にとらえていく姿勢ないし施策というものをとらなければ、人材確保という焦点が合った政策にならないのじゃないかという点を指摘したかったわけであります。   〔内海(英)委員長代理退席、委員長着席〕  これについては、実情はわかりません。データはほしいけれどもデータを出せと言ったってわからないことです。しかしその点は、内容に関して、地方の教育行政の内容に文部省が云々するということはないにせよ、現実の実情がゆがめられた教育界の構造を持っているということを、深く御認識いただいて対処をしていただくことと、そういう採用の制度的な問題について、抜本的な施策というものを検討していただきたいということを、要望として申して上げておきたいと思うのです。  いまの教員養成制度に関連して、これは大学学術局長にお聞きしますけれども、御承知のように、原則は二つの原則、つまり中央教育審議会の答申もありますし、それからまた同時に、教員養成に関する審議会の答申もありますし、そういう一連の中で、大まかに戦後の教員養成という観点からしますと、二つの原則、教員大学養成するというたてまえ、しかも四年制という考え方——さっきから出ておりますように、いま短大出の小中学校先生が出てきている、こういう問題を今後どのように改革していくかという問題に関連して、四年制という教育系大学のあり方と、それから同時に、教員大学養成するという原理ですね。それからもう一つは、それに関連して開放制という原理だと思うのです。教育大学学部教師をつくるという考え方と、一般大学並びに学部教員をつくっていくという、そういう意味での開放制という考え方が現実にあって、二つの柱で制度的な運用が行なわれている、これは質問しなくてもそういう考え方だと思うのです。  そこで、これは大臣にお聞きするのか、政務次官にお聞きすると一番よかったのですけれども、中央教育審議会が四十六年の六月に答申をいたしましたですね。その直後に、自由民主党の文教部会から教員養成に関する「戦後の教育の反省と批判の上に」という表題のもとに、自民党が打ち出した教員養成ないし優遇措置方策というものが発表されている。教員養成に関する中教審の答申とこれとを比べてみると、内容的に符合していることがかなりあるというふうに私は思いますが、その点、局長いかがですか。
  81. 木田宏

    木田政府委員 関係者の問題意識に、似た点は幾つかあると考えております。必ずしも同じものだというふうには考えておりません。
  82. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そこで、中央教育審議会でいっているところの教員養成の新大学構想ですね。教員養成の新大学構想という問題に関連して、先ほど最初に私が御質問をして御回答いただきましたけれども、いまの大学制度の教員養成制度のもとで、中学並びに高等学校教師は、一般大学学部卒業生教員免許資格を取った人が、大体六割から八割ぐらいの間を占めているという実情ですね。小学校の場合には、教育系大学並びに学部卒業した学生が大半を占めている。そこには短大卒の免許を取った先生方もかなり多い、そういう実情だと思うのです。  ですから、そこで問題になることは、教員養成大学というふうに問題を立てた場合に、教育系大学並びに学部が、一体どういうところに現在問題点があり、そして今後どこを考えていくことが人材確保にとって重要なのかという点が一つ、もう一つは、一般大学並びに学部における教員養成の今日の制度、これの現状と、その中で何を改革していくことが重要なのか、この点については高等学校もありますし、それから保母さんや幼稚園の先生もありますし、それから盲、ろう、養護、これを含めて教員養成のあり方というものを全体的に問題にしなければならぬと私は思うのです。今度の法案ではさしあたっては義務教育から始まるけれども、ここにいう教育職員というのは、第二条の規定によれば養護教員まで含むわけでありますから、そうしますと、当然養護教員を含めての教員養成のあり方というものが、いかに人材確保と深いかかわり合いがあるかという点についての根本的な検討が併行してなされなければならない。給与の問題ぐらいで事が解決するほど、問題は単純ではないというふうに私は考えるわけであります。  時間もありませんから、きょうは教育系学部にしぼって、いずれ時間があれば各項目全部に即して、特に私は乳幼児教育というものがいまから非常に重要だと思うのです。ですから、保母さん、幼稚園、ここに焦点をしぼって、たっぷり一ぺん議論をさせていただきたいと思うんだけれども、そんな時間もありませんから、教育系大学並びに学部に関連して、二、三問題を出していきたいと思うのです。  そこで、いま言いました自民党が打ち出している新教員養成大学構想、新大学構想というものと、中教審のいっているところの新大学構想、こういう一連の答申や考え方に対して、文部省はいま教員養成に関する新大学構想というものをどう考えているのか、これを最初にお聞きしたいと思います。
  83. 木田宏

    木田政府委員 中央教育審議会並びに教員養成制度審議会、いずれも教育界人材を迎え入れるために、一つ教員養成の課程の中身を充実させるということと、それからもう一つは、幅広くいろいろな経験を持った方々を、教育界に迎え入れる二つの方途をいっておられたわけでございます。  あとの面につきましては、先般の免許法の改正等を中心にいたしまして御論議をいただき、幸いに御承認を得ることができた次第でございます。  教員養成課程そのものを充実するという点につきまして、教員養成制度審議会が建議を出されております。これは初等教員につきましては、その養成目的とする四年制の大学ということを整備してまいりまして、そして教育内容も幅広いものを考えながら、教員養成大学としての充実した教育、これを実施しなければならない。したがってまた、教育実習等についても力を入れなければならぬという御示唆が出ております。一般大学一般大学としての一般的な性格の中で、また教職単位を取れる人のために必要な教職単位を充実させるという課題があるわけでございますが、それに対しまして教員養成大学は、より充実した教員養成教育内容を整備できるようにしたい、こういう方向でいま考えておるわけでございます。教員養成のためには、免許法に定められた所定の教育内容が基礎になりますけれども、それをどういうふうに充実させていくかということを、これからの新しい教員養成の課題としていま検討しておるところでございます。  なお、この機会に、たいへん恐縮でございますが、冒頭にお尋ねになりました大学院担当手当昭和三十八年四月から実施されることになりました。博士課程八%、修士課程四%、こういうことでございました。
  84. 嶋崎譲

    嶋崎委員 この新構想大学というのは既存の教育大学学部を前提にして、教員養成大学をより充実させるという構想に力点があるのか、それとも一般大学学部を単位にした教員養成制度の内容を充実させるという、いままでこの二つの柱がありますね。それを内容を充実させるというところに力点を置いた考え方なのか、それとも地域的に別に教員養成という専門的な短期大学というものをブロックごとにでもつくって、そして新たに教員養成大学という新構想大学をつくる、そういう考え方なのか、その点についての基本的な施策について聞いておるのです。
  85. 木田宏

    木田政府委員 いま新構想というふうにいろいろといわれておりますのは、現実に私どもの課題といたしまして、一つ小学校教員養成増を計画的に考えなければならないということでございます。その意味では、建議にもありましたように、やはり小学校教員養成のための内容というものを中心にして考えていかなければならぬ。今日まで四十七の都道府県に、それぞれ国立の養成大学があるわけでございまするけれども、既存のものの拡充のみならず、大学の事情によりましては、新たに別個の大学を考えるということが必要になってくるであろう。そのときに、教育内容とか教育方法でありますとか、それらの点について、従来のパターンのままで拡大をするということでなくて、改善できる点があるならば改善、くふうを考えてみよう。必ずしもこれまでのやってきた類型にこだわらなくともいいと、いう意味で、どういう教育内容を、どういうふうに教えていったらいいか、これをそれ自体として考えてみたいという考えが一つございます。  もう一つは、教員養成大学には、いままで、ごく一部を除きましては、大学院がつくられておりません。いつまでもなくていいというわけではございませんから、教員養成大学に対する大学院というのをどういうあり方で考えていったらいいか、二つの面から考えている次第でございます。
  86. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そこで、教育系大学実情について、いまおっしゃった意見だと、そういう考え方だと、教育系大学学部を充実させ、よくしていくということは言うまでもない、また一般大学学部の制度や内容を充実さしていくということも言うまでもないが、しかし、小学校教員、これは小学校だけでなくて、中学校にも高等学校にもみんなかかわり合いを持ってくると思うのですけれども、主として当面小学校というふうに考えてみて、そして既存の、いわば大学における教員養成考え方と、開放制という二つの原理、この二つの原理の制度を新たな新構想のいわば大学というようなものも構想をしながら、専門的な単科大学というものをつくっていくということもやぶさかでない、そういうある意味ではフレキシビリティー、柔軟な対応である、こういうふうに認識していいわけですね。  そうしますと、そこで、筑波の議論は長い間やってきましたから、一言だけちょっと確認して先に進ませていただきたいのですが、筑波大学というのは、東京教育大学が構想されたものを練り上げてつくった、これは私は欺瞞だと言いますけれども、まあそういうたてまえだった。では、今度の単科大学というのは、新構想大学、今度は文部省が設置するわけですね、新たにつくるのですから。文部省が設置する大学大学構想並びに大学管理、ここにも、はっきり中教審の答申の中にも言っておるように、大学の管理並びに大学の内容について、新たな検討をする必要があるということに関連して、新構想大学といわれる単科大学がかりにできる場合に、筑波大学構想とは関係があるのかないのか、その点について、たとえば大学に副学長を設けるとか、それから人事委員会の制度を設けるとか、そういうようなことを指導、助言をするというようなことはあるのですか、ないのですか。
  87. 木田宏

    木田政府委員 いま調査会を設けて、新しい教育のシステムを、それに対応する組織をどうするかという御検討をいただいておるところでございますから、その検討の成果を待って、いま御指摘になりました点は考えてみたいというふうに思っております。
  88. 嶋崎譲

    嶋崎委員 ちょっと聞き漏らしたのですけれども、要望はないのですからね。そうしますと、こちらのほうではそういうサゼスチョンはするのですか、しないのですか。
  89. 木田宏

    木田政府委員 どういう教育内容、どういう教官をどういうふうに体制を整えて進めていくかということを、いま関係者に御論議をいただいておるわけでございます。それを中心にして必要な管理運営の組織というのは、おのずから出てくるというふうに考えております。御検討の成果を待ちたいというふうに思っております。
  90. 嶋崎譲

    嶋崎委員 それでは時間があれですから、教員養成大学に関連して教育大学学部の現状と問題点に入ることにしますから、いまのところ、新構想大学という問題、そこちょっと聞きたいところがありますけれども、時間の関係であとでそこから質問をさしていただきますので、よろしくお願いをいたします。
  91. 田中正巳

    田中委員長 午後二時三十分に再開することとし、この際、休憩いたします。    午後零時四分休憩      ————◇—————    午後五時十六分開議
  92. 田中正巳

    田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  学校教育水準維持向上のための義務教育学校教育職員人材確保に関する特別措置法案を議題とし、質疑を続行いたします。嶋崎譲君。
  93. 嶋崎譲

    嶋崎委員 時間が途中こま切れになったので、先でまた時間が切れてしまうこともありそうな気がいたしますので、最初に、直接この人確法に関係はありませんけれども、いま問題になっている歯科大学の関係の問題についてちょっと質問さしていただいて、それから人確法に入らしていただきたいと思います。  十六日の毎日新聞の夕刊に載っているのですけれども、わが党の横路孝弘代議士から、福岡歯科大学の問題について、内閣委員会で質問が行なわれておる模様が、新聞で伝えられているのですけれども、この新聞の解説によりますと、福岡の歯科大事件に関連して、この福岡歯科大学理事に、前文部大臣の劒木さんが理事になられていた経過についての談話が載っております。その談話によりますと「劔木元文相は十六日午後、記者会見し「同大の理事だったことは事実だが、関係者から政治献金を受けたことはない」と次のように語った。」として、次のように報道されております。「認可の直前、文部省の安嶋管理局長から「理事に入ってほしい」といわれ、理事に就任した。ところが、ことし三月の入試で定員の二倍を超える二百七十数人をとったと穂坂同大理事長から報告を受けた。定員の二倍を超えるのは常軌を逸しているので、こんなことでは責任を負えないから、三月三十一日付で辞表を提出している。理事会ではまだ承認していない。」こういう談話が劒木さんの談話として載っているわけであります。  この福岡歯科大学に関連してわが党の横路さんが質問したのは、大学設置基準に関連して、大学設置基準の委員の方々との間にいろいろな不正なことがあった、設置の認可を求めるにあたって、いろいろな贈収賄的なものがありはしないかということに関連しての質問です。  私は文教ですから、その角度じゃなくて、最初に、横路さんが十六日の衆議院内閣委員会で取り上げられて劒木さんがこういう談話を発表しているということを、御存じですか。
  94. 木田宏

    木田政府委員 いまお読み上げになりました新聞は、私も拝見いたしまして、新聞にそういうことが出たこと自体は、読んでおります。
  95. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そこで、ここに書いてあることが事実でしょうか。たとえば、劔木さんが語られた中に「認可の直前、文部省の安嶋管理局長から「理事に入ってほしい」といわれ、理事に就任した。」こういうふうにはっきりいっておられるわけですね、新聞の解説は。こういう事実があったかどうか。この新聞をごらんになって、大臣並びに局長は、こういう事実経過についてどういうふうに判断されておられますか。
  96. 木田宏

    木田政府委員 その点はちょっといま、当事者である管理局長が一番よく知っておることでございますので、私からはどうも適切なお答えができにくい次第でございます。
  97. 嶋崎譲

    嶋崎委員 大臣、こういう事実が新聞で報道されていることは、ごらんになりましたですか。
  98. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 承知いたしております。
  99. 嶋崎譲

    嶋崎委員 これがもし事実であるとすれば、このように私立大学の認可の前に、大学理事文部省の安嶋——当時は管理局長ですから、管理局長といえば大学学術関係の二つの局長一つですね、正確な行政上の組織、メカニズムは知りませんけれども。そういう局長が、認可前に、その大学理事に前文部大臣に入ってほしいと要請をして、そうして理事になった、こういう事実を発表しているわけですね。このことについてどう思いますか。
  100. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 名前を正確には知っていないのですけれども、福岡歯科医大のほかに、西日本歯科医大といいましたか、そういうところから認可申請が出されておったようでございます。いずれにしても、二つの歯科医大を福岡県内に認めることはできないというようなところから、どうしても設立をしたいんなら、やはり両者一本化すべきだというような話は、文部省当局から持ち出しておったようでございますので、そういう関連において起こっている問題ではなかろうか、こう私は考えておるわけでございます。
  101. 嶋崎譲

    嶋崎委員 文部省が、たとえば福岡に二つの歯科医科大学の許認可の申請が問題になっている。それを調整しなければならないというのはわかるのです。そのときに、大学の管理局長が、前文部大臣一つ大学理事になってほしいというようにして、理事の人選をきめるという事実についてどう思いますか。
  102. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 二つの申請が出ている。それに対しまして事務当局のほうから、やはり一つにしてもらいたい、骨折ってもらいたいというようなことを御依頼申し上げたのではないだろうか、こういうふうに伺っているわけでございます。そういう過程において、いまお話しになりましたようなことは出てきても別にふしぎではないんじゃないかな、こういう感じを持って私はいままでのいきさつを聞いているわけでございます。
  103. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうすると、文部省の学術局長や管理局長が、許認可を申請している大学の人事について、文部省がサゼスチョンして、あなたが理事になりなさいということが、文部大臣としてはおかしいとは思いませんか。
  104. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 経緯は、いずれ管理局長をいま呼んでおるようでございますので、参りましたらわかることだと思うのでございますけれども、詳しくは承知しておりませんが、二つ、いろいろなところからたいへん熱心な御希望があった。一たんはお返ししたような経緯もあるわけでございますけれども、その後教官をそろえて認可申請が出されてくる。その場合には、二つはとても無理だというようなことから、お世話やきをお願いをした。そういう場合に、お世話やきをしている過程においても、もう少し明確な話になったほうがよろしいと思うのでございますけれども、そういう話が生まれてきているんじゃないかな、こういうふうに思っておるわけであります。いずれ管理局長が参りますので、詳しくお答えできると思います。
  105. 嶋崎譲

    嶋崎委員 お世話をするということと、文部省局長が許認可を申請しようという大学について、あなたが理事になったほうがよろしいというサゼスチョンをして大学理事にしているのですよ。これは筑波大学で問題になった参与会の問題と関連してくるのです。一局長が、そういう大学理事の人事について、しかも前文部大臣をさせるということは、しかも、この大学は、その後いろいろな不正問題を起こしてくるのです。そういう理事の人事に介入しているという事実について、大臣は、お世話をする、そういうことはあってもいいというお考えですか。
  106. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 いま申し上げましたように、二つの申請を一本化してもらう、一本化して運営がうまくいかなければならぬわけでございましょうから、そういう意味でお世話役を頼む。したがって、またその責任を果たしてもらうというような意味で、私はそういうことがあってもいいんじゃないかな、こう思うわけでございます。お話しのように、人事に干渉するというふうにおとりになりますと、それはけしからぬことだ、こういうことになってくるわけでございます。したがいまして、そういう経緯の問題でございますから、それは管理局長が参りましてからお答えをしたほうが、誤解がなくていいんじゃないだろうか、こう思うわけであります。御通告をいただいておりましたら、おったわけでございますけれども、いま急にそういう話になったものでございますので、電話で呼んでおるようでございます。
  107. 田中正巳

    田中委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  108. 田中正巳

    田中委員長 速記を始めて。
  109. 嶋崎譲

    嶋崎委員 では、もう一つの例について、大臣大学学術局長にひとつ事実の判断についてお聞きしたいと思います。  松本の歯科大学です。これは信濃毎日新聞の七月十八日号に載った記事であります。これも同じく大学理事という問題と、それから文部省との関係の問題について、一つの新しい疑惑の人事の問題が出ておるのです。  これはどういうことかといいますと、もう新聞で御承知かと思いますが、この松本歯科大学理事について、文部省側が変更届けを保留したというような事実を御存じですか。
  110. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 承知しておりません。管理局の問題でございまして、ちょっとしばらくお待ちしていただいたほうがいいと思うのでございます。
  111. 嶋崎譲

    嶋崎委員 じゃ、見えたらすぐその問題を、時間を少しとらしていただきます。問題点だけサゼスチョンしておきましょうか。  松本歯科大学の問題というのは、文部省の設立認可基準に必要な学校基本財産というものがないにもかかわらず、あるかのように見せかけて法人登記をして、そして大学設置基準の届け出をやったわけですね。これがたいへん問題になりまして、東京地検が捜査した結果、設立準備の主役だった二人の理事を公正証書原本不実記載、同行使の疑いで記訴したわけです。  そこで大学はその責任をとりまして、二人の理事を含む理事長ら五人の理事辞任をきめたのです。つまりこの公正証書の原本の不実記載をめぐって起訴されるという事件があったので、設置基準のときに出していた理事人たちが、見せかけの財産をこしらえて申請したんですから、あわてて理事をやめたわけですね。そこで大学が、あわてて後任の理事をきめたわけです。その後任の理事をきめたことに対して、今度は文部省とその大学側との間にこういうやりとりがあるわけであります。  つまり結論的に言いますと、ここに言っているのは文部省管理局振興課の宮地貫一課長ですが、その方の談話が、これも新聞に載っております。その談話によりますと、「五理事辞任したあと文部省大学側と協議し、後任の理事については、文部省側に候補者リストを示すなどよく相談して決めることを約束した。」ここでいっている意味は、起訴されて、事件が起きて、理事がやめた。新しい理事を選ぶにあたりまして、文部省とそれから大学との間で、次の理事をだれにするかということについての候補者リストを示して、お互いに相談して理事をきめましょうということを申し合わせていた。ところが大学側では、何ら文部省側に相談もなく選考を進め、いきなり四候補を示した。今度は大学側で文部省と関係なしに四理事をかってにきめたわけです。「そのうえ、文部省側が承認しないのに、登記まで済ませてしまった。これは約束違反であり、監督する立場にある文部省として、届け出を受理することはできない」ということで、この届け出に関しての書類が保留されるという事実が伝えられているのです。  さて、いま福岡歯科大学理事の問題と、いまの松本歯科大学理事の選考をめぐって文部省が事前に打ち合わせて、文部省と話し合いができて候補者のリストをつくって、了解の上で理事をこしらえている。つまり大学理事というものを選考するにあたって、常に文部省がその人事について口出しないしは干渉するという事実がこの二つの例で明らかになっているわけであります。その点について大臣は、こういうあり方がいいかどうかということを質問しているのです。
  112. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 松本歯科大学について、事件になりましてから、設置の認可を取り消すべきであるかどうかという議論が起こってまいりました。まさに認可申請の経過から考えますと、私は認可を取り消すべきものだと判断をいたします。判断をいたしますが、二百名にわたって学生がすでに入っている。だから文部省は積極的にお世話をしてあげなさい、そして信頼を取り戻す。認可の取り消しはしない、しかし、積極的に協力してあげなさいよ、こういう指令をしたことがございます。その間の過程におきまして、認可申請に三十億円の寄付が記載されておるわけでありますけれども、事実寄付は求められておりません。関係者の問からこれを帳消しにしたいという希望が私のところにも出されております。私はそれは不穏当だ、寄付すると正式に申し出た以上は、その人たちに寄付を求めるべきだという判断に私は立ちました。  そういう意味で、同時に理事の相談もありまして、管理局長が積極的な相談に乗っているやさきに、いまお話のありましたように、全く別な人をぽんと持ってきたのだろうと思います。私は、そのあり方は不穏当だという感じはいまもいたしております。  いまお話を伺っておりましたけれども、同時に認可の取り消しをすべきであるかどうかというところまで問題がきたわけでございますけれども、私は学生がすでに入っていることだから、やはり協力をして、松本歯科大学を運営できるようにしてあげなさい。積極的に協力をしてあげなさい、こういう指示をいたしました。その過程で、当初は先方側からも協力を求められておったようでございます。そのさなかに寄付の問題もございまして、帳消しにしたいというような希望も出されましたけれども、私はそれは容認できないという判断に立ちました。求めるべきだということを言いました。そのようなやさきに、一方的に何人かの理事を管理局長にもたらされたのだろうと思うのでございまして、私は、これはそのまま受け取っておくことで私学についての文部省責任は果たすことはできない、こう考えるわけでございまして、そのまま受け取れないという話が、いまどうなっているかということは私は知りませんでしたけれども、私はそういう指図をしてまいっておりますので、そういうことはあり得るだろう、それは私は、当然そういう態度を管理局長としてはとるべきだ、こういう考え方を持っておりますので、御理解をあらかじめ得ておきたいと思います。
  113. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうしますと、いまの大臣の……。
  114. 田中正巳

    田中委員長 ちょっと待ってくれ。
  115. 嶋崎譲

    嶋崎委員 もう結論ですから……。  大臣のいまの答弁ですと、大学設置に関連して、大学側から文部省に申請するにあたって、理事会のメンバーについても、常に文部省と打ち合わせをして、事前に人をきめる、そのことが、大学の設置認可に際して、文部省大学側が常にうまくいくコミュニケーションの重要な一つの問題だというふうに、大臣理解しているのですね。
  116. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 私は事態によって違うと思うのです。基本的には私学に干渉を試みるべきではございません。しかし、今度のように認可の取り消しをすべきかどうかという事態の際に、やはり先方側から協力を求められたのなら求められたような話で事を進めなければ、あと、うやむやにしてしまおう、こういう松本歯科大学の姿勢があるとするならたいへん適当でない。そういう際に、管理局長が必要な助言をしていくことは、これは干渉にならない、文部省のむしろ責任ではなかろうか、こういう感じがするわけでございます。すべて一律に御論じいただきませんで、それぞれの大学の具体の事態に応じた措置につきまして、そのことが干渉にわたるかわたらないかというようなお考えに立っていただきますようにお願いをしておきたいと思います。
  117. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そういう……。
  118. 田中正巳

    田中委員長 ちょっと待ってくれ。もう結論結論だと言って、だめですよ、そんなことは。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  119. 田中正巳

    田中委員長 では、速記をとって。
  120. 嶋崎譲

    嶋崎委員 どうもたいへん申しわけございません。いや、こういう問題がまた教育制度に関係があるのです。  さて、午前中の質問で、たいへん中途のところで終わっていますが、ここまできたと思います。教員養成大学という問題に関連して、局長に質問させていただいた。返答として、今後の教員養成というものを考えた場合に、既存の教育大学なり学部教員養成する、その内容をさらに充実強化させていく場合と、それからもう一つ開放制の原理に立って、一般大学並びに学部における教員養成の制度を、内容を充実させ、そして制度的な改革というものを考えていくというケースと、さらに教員養成に関する特殊な専門的な単科大学としての新大学構想というようなものを具体化していくというようなことがあり得る。そういうふうに今後検討していきたいという御回答だったと思います。   〔委員長退席内海(英)委員長代理着席〕  そのときに私ちょっと聞き漏らしたのですけれども文部省教員養成大学の新大学構想のあり方について、何か審議会とか懇談会とかでいま検討してもらっている、何か委員会みたいなものがあるというふうに局長おっしゃいましたが、それはどういうものですか、中教審のことですか、それとも教員養成審議会のことですか。
  121. 木田宏

    木田政府委員 教員養成審議会からの建議もいただきまして、いま予算上、関係者にお集まりいただいて、調査会というふうに略称いたしておりますけれども、新しい教員養成大学の構想を御相談申し上げておる調査会があるわけでございます。そのことを私念頭に置いて御説明を申し上げました。
  122. 嶋崎譲

    嶋崎委員 その調査会というのは、法律的な制度の中で問題になっている調査会ですか。法律的な組織原理に対する保証のある調査会ですか。
  123. 木田宏

    木田政府委員 四十八年度の予算でお認めいただきまして、六月からだったか、五月の終わりからだったかと思いますけれども、関係者にお集まりいただいて会合をしていただいておる、こういう性質の調査会でございます。
  124. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうしますと、その調査会は、単なる諮問機関ですか。文部省で正規に、たとえば中央教育審議会とか教員養成に関する審議会とか、そういうわれわれがオフィシャルに確認できる審議会ではなくて、プライベートな諮問機関ですか。
  125. 木田宏

    木田政府委員 事実上、御相談を申し上げておる集まりでございます。
  126. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうしますと、そういう新しい将来の文部省がつくっていく新構想の教員養成大学というものについて、われわれ国会も何も知らないまま、文部省でいわゆる専門家と称せられる人たちを集めて、そして自主的に討議されているもの  ですか。
  127. 木田宏

    木田政府委員 基本的な方向につきましては中央教育審議会、さらには教育職員養成審議会の建議等の方向があるわけでございまして、それをどういうふうに具体化できるかという具体の問題として検討を御相談申し上げておる次第でございます。その案がまとまりまして、法律をもって措置すべきものについては国会にまた御相談申し上げる。運営上の問題で改善ができる問題については、また予算その他の措置を通じて御相談をすることはございましょうが、文部省のやれる範囲でやれることならば運営上の問題として措置をしていきたい、こう考えております。
  128. 嶋崎譲

    嶋崎委員 ちょっと、では脱線なんですけれども、さっきの質問の最後に、何だかよくわからなかったものですから……。そうすると、その調査会はキャップはだれで、メンバーはどういうメンバーで、そしてその会議予算がきまっているのですから、委員会手当みたいなものが出ているわけですね。正規のものですね。——そうするとキャップはだれで、どういう専門の、どういう委員が集まって、そしてどういう会合でいままでどういう討議をしてきたか、その内容についてお知らせを願いたいし、それの資料を要求したいと思います。
  129. 木田宏

    木田政府委員 名簿関係の経費等はすぐにでも差し上げられると思います。いま御討議をいただいております中身はまだ何らまとまっておりません。一般的な討議の段階でございますので、これはもう少し御意見がまとまりましたならば、いずれ関係者にも御批判をいただくというような機会があり得る、そのように考えておる次第でございます。
  130. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そのキャップはどなたですか。
  131. 木田宏

    木田政府委員 甲南女子大学の学長をしておられます鯵坂二夫という方でございます。元京都大学教育学部教授をしておられました。
  132. 嶋崎譲

    嶋崎委員 ほかに委員は何名くらいですか。
  133. 木田宏

    木田政府委員 二十二名ほどの教育者をお願いをいたしております。大体教員養成大学教官またはその経験者、それから小中学校の現場の御関係の方々、そのほか学識経験の方をお願いを申し上げております。
  134. 嶋崎譲

    嶋崎委員 それならばその調査会のメンバーのキャリアと、それからいままで何回くらい会合があったか、それからどういうメンバーなのかについての資料を提供していただきたいと思います。  さて、そこでもとに返りまして、この新しい教員養成大学については、いまおっしゃったように、文部省のほうで、新しい構想について専門家を集めて、現在調査会で検討中だということで、それが出てきて、その構想をめぐって、また私ども審議させていただきたいと思いますが、その既存の、いままでの教員養成教育大学学部と、それから一般大学学部教員養成制度の中で、何が問題なので、新しい構想の教員養成大学を、新たに設置するということが必要になってきているのか。つまり既存のものを充填するということだけでは事が足りないので、新しい単科大学構想というものを打ち出してくる根拠はどこにありますか。
  135. 木田宏

    木田政府委員 先般教育職員免許法等の一部改正案を御審議いただきました際に、教員養成改善方策についてという教員養成審議会の建議につきましても御検討をいただいたと思うのでございますが、そこにあげてあります教員養成の今後の考え方、この中で全部の学校に一律にということでないまでも、これを受け入れてやってみたらどうか、こういう形でやってみたらどうかというような改善点を、とりあえずこれからつくる新しい大学で取り上げていくということは一つの試みであろうか。ですから、ここに指摘されておりますような改善点というものを、既存の大学との関連を考えながら、既存の大学がすぐ同じものにならなければならぬということはなくて、これを思い切って取り入れた教員養成大学というものをどういうふうにつくったらいいか、こういう方向での御論議をいまいただいておる次第でございます。
  136. 嶋崎譲

    嶋崎委員 それは、ですからいまからの問題になるわけで、そこで二、三お尋ねしますが、現在の教員養成教育系大学の現状をちょっと見てみましても、教育学部が講座学科目が非常に急速にふえている時期があります。昭和三十九年あたりを境にしてだと思いますが、その点について、他のたとえば大学の文学部だとか、それから理学部だとか、経済学部だとか、そういう大学学部と比べて、教育学部が講座学科目制が急速にふえていることについてのデータ、それは文部省にありますか。
  137. 木田宏

    木田政府委員 その関係データもお示しを申し上げることができると考えております。教員養成大学教育大学というふうに呼称も変えさせていただきまして、そして教員養成を充実するための教官を鋭意充実するという努力を政策的にも進めてまいりました。したがいまして、他の学部に比べまして、かなり教官の増その他を意欲的に進めてきたということはございます。
  138. 嶋崎譲

    嶋崎委員 私、孫引きの資料ですから、文部省のファースト資料がいただきたいものですから  そこで、昭和三十六年の段階とでもいいましょうか、大体昭和三十六年、七年ぐらいの段階の大学の文学部、理学部、経済は比較的似ていますから経済学部、そういう点での学部講座学科数、それと四十一年を境にして昭和四十一年から四十二年ぐらい、ないしは最近の幾つかの他の学部と比較してみての講座学科数、それがどんなふうに変化しているかについてのデータをわかりやすく、読めるデータにして提出をお願いできますでしょうか。たとえば私は国大協の資料で見ていますから、これはセカンドソースですから、はたして正しいかどうかわかりませんから、文部省のほうで一たとえば国大協の資料によりますと、教育学部昭和三十六年段階では、講座学科の数が三十三だったのですね。これは講座学科目が千四百七十六ですか、この数字ちょっと読みにくいのだけれども、それが教育学部では、この三十三という、これは何でしょうかね。教育学部の講座学科目で、一四七六(三三)と書いてありまして、それが六十四に倍増しているのですよ、四十年を境にしまして。これはこういう趣旨ですか。一四ページです。一四ページのこの「国立大学講座及び学科目」のこの表です。この表で昭和三十六年から四十一年にかけて急増していますね。千四百七十六が二千八百九十一になって、そしてカッコの中の三十三が六十四になっていますね。これは講座ですか、科目ですか。
  139. 木田宏

    木田政府委員 いまおあげになりましたこの数は学科目の数で、カッコの中がおそらく講座ではないかというふうに考えます。  それで、先ほど御要請になりましたデータでございますけれども、これは学生の増募との関係がございますから、いまさっき御要請になりました他の学部と比較してどうこうというデータがなかなかとりにくい。で、ここにあがっておりますのも、それぞれの年次におきます講座学科目の数があがっておるということでございまして、教員養成大学は全科を一学部でかなり用意しなければならぬという性格がございますから、どうしても学科目を整備いたしてまいりますと、学科目の数としては非常にふえてくるということがございます。そして、教官一人当たりの学生数という点で、先ほどのお尋ねにお答えをさしていただきたいと思いますが、教員養成学部教官一人当たりの学生数が三・七でございまして、国立大学全部の平均が四・〇人になっておりますから、平均よりは低いほうであるというふうに申し上げることができるかと思う次第でございます。
  140. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうしますと、この一四ページに国大協が出しているこういう表ですね。この表は科学的な根拠はないのですか。
  141. 木田宏

    木田政府委員 科学的な根拠がないというわけではございませんで、この国大協の一四ページの表にも一講座当たりの教官数とか、一教官当たりの学生数というのがあがっておるわけでございますから、それでそれなりの比較はできようかと思う次第でございます。  それから、先ほどカッコの中が講座というふうに申し上げたのでございますが、これはカッコの中は一学部当たりの平均数という説明がついているそうでございます。  なお、この点は、比較をしていただきます際に、たとえば一四ページの表の一教官当たり学生数という点をずっと見ていただきまして、教育学部がこの表の中では非常に高く出ておる、他の学部のほうが低く出ておるという点が見えるのでございますが、これは大学院のあるところと大学院のないところとをみんな込みにして書いてありますから、その意味ではちょっと事情が違うのではなかろうかというふうに考えるのでございます。先ほど私、教官一人当たり学生数三・七で、大学全体の平均が四・〇だと申し上げましたのは、大学院をはずしまして、学部レベルだけで比較いたしました場合の数値でございます七この国大協の表は大学院を加えておりますので、ちょっと比較が不正確にもなるし、それなりの意味もないわけじゃございませんけれども、多少説明を加えなければならぬ、このように考えます。
  142. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうしますと、国大協のこの表は、何をデータにしてつくったというふうに文部省はごらんになりますか。「昭和三十二年以後ほぼ五年毎に、講座学科目数、大学院教官定員、学生入学定員、一講座(学科)当教官数、教官学生数を示し、文学部、理学部、経済学部、農学部と対比した。数値は概数である。」とは書いてあります。しかし、ここに出されたデータは、何を根拠にしてこの表がつくられたというふうに御判断ですか。
  143. 木田宏

    木田政府委員 これはおそらく国大協で、関係大学からこうしたワク組みでデータをお集めになったものだというふうに考えております。ですから、一、二のズレがございましても、概数であると書いてある点は用心をしておられると思いますが、大体そう大きな隔たりのないところではないかというふうに考えます。
  144. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうしますと、私どうもこの表は、資料のいわば原点が非常に不明確なものですから、信用していいのかどうかわからなかった、だから、これで立論していいかどうかわからなかったものですから、それでいまこのデータの客観性について質問してみていたのですけれども、かりにこれが一つ傾向値としていえるとすれば、教育系大学教育学部というのは、経済学部と比較的似たところがありますけれども、講座並びに科目ですね。あそこは科目制をとっておりますから、科目が非常に急速にふえているわりには教官がふえていない。同時にまた、教官の配置状況についても非常に問題点がたくさんあるということになりそうに思われますけれども、たとえば次の一六ページの「C大学、M大学教育系学科目と教官」という表を見ますと、これは歴然としているのは、C大学の場合、昭和三十二年当時と四十六年当時を比べてみますと、教授はふえておりますけれども、助教授、講師、助手の層はふえておりませんね。また同時にM大学の場合でも、教授はふえておりますけれども、若手教官はふえておりませんね。つまり科目制ということと教員養成大学との関連が非常に問題になってくるのだと思いますけれども、つまり学芸大学教育大学に名前が変わっていく、そして教育系大学のあり方というものについての改革が行なわれていく過程で、非常に急速に学科目制を前提にして科目がふえてきている、しかし、教官定員がふえない、そういう形で、他の大学学部に比べて、教員養成大学というものは、ちょっと乱暴な言い方をすると、まま子扱いされているというその状況がここに見られるわけです。  同時に、たとえば一七ページの国大協の表でいきますと、大学院の設置状況を見ますと、旧制大学には教育系大学院はありますけれども教員養成大学大学院というのは、出てきたのはたった二つしかない。今度筑波にできますけれども……。ですから、教育系大学院というものが非常に設立が少ない、準備されているものが少ない、こういう点も同時に問題なわけですね。  こういうふうに見てまいりますと、その教育大学の現実の大学の整備状況ということを判断してみますと、昭和三十九年あたりを境にして、国立学校設置法の改正が行なわれ、そして文部省の省令でもってカリキュラムや課程についてのいろいろな指導が行なわれ、そして教育大学の中に、教育系学部の中で学科目が非常にふえてきますね。ふえているけれども、専門家がいないために、非常に少ない教官でもってやらされていくというような形が急速にふえてきている。ここで出されているこの国大協の調査データに基づいて判断をいたしますと、そういう状況がふえてきているというふうに読み取れるわけです。そういう個々の判断については、大学学術局長はどういうふうに御判断なさいますか。
  145. 木田宏

    木田政府委員 御案内のように、国立の教員養成大学は、戦後発足当初、昭和十八年に旧制の師範学校等が専門学校レベルの師範学校になった、それを受けた。そしてそれを新しい大学の中に一緒に包含するといったような歴史的な経緯もありまして、教官組織とか施設設備が、戦前かられっきとした講座制をとっておりました大学学部等とはやはりおのずから違うという歴史的な背景を持っておるわけでございます。また教員養成が、かなり幅広い総合的な学問領域の教官を、幅広くそろえなければならぬ。学部の性格が、他の学問領域を専門的にしぼった学部とおのずから違うというようなことなどがございまして、学科目を非常に数多く配置しなければならぬ。しかも講座制でなくて学科目制であります関係上、いま御指摘になりましたように歴史的な過去からの蓄積がないという点は、御指摘のとおりかと思うのでございます。  そういうことがございますから、教員養成大学としての整備充実に、文部省としては戦後ずっとかなりな力をさいてまいりました。特に昭和四十年代に入りまして、教官の整備につきましても、それは確かに振りかえではないかというようなこの数字の上での御意見もございますが、学科目制をとっております関係上、教授のポストをふやしていくといったようなことを通じまして講義内容の充実につとめてきた次第でございます。ただ御案内のように、大学院がまだ修士で二大学しかできてございません。それ以外は、旧制大学に設けられておる教育学の大学院でございまして、今後教員養成大学にどのような大学院をつくるかというのは、これからの大きな課題だと考えておる次第でございます。
  146. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そこで、私はこの国大協での提起されている問題に関連して二、三質問さしていただきます。  まず、法律論でいきますが、大学設置基準の第三条、第四条、第五条では大学学部というものに関連して——第三条ですね。「学部には、専攻により学科を設ける。」「前項の学科は、それぞれの専攻分野を教育研究するに必要な組織を備えたものとする。」つまり学部は、「専攻分野を教育研究するに必要な組織」と、「教育研究」というふうにうたっています。  そして第四条では課程という問題、これは筑波の第一学群の課程ということにも関係してくるわけですけれども、この課程というのは「学部種類により学科を設けることが適当でないときは、これにかえて課程を設けることができる。」ここでつまり講座制から課程制というものの二つの考え方、二つの仕組みを三条と四条で説明しておるわけですね。  そして第三章の第五条に入りまして、この学科目制は——第三条に相当する場合ですね。「学科目制は、教育上必要な学科目を定め、その教育研究に必要な教員を置く制度とする。」ですからここでは、「教育上必要な学科目を定め、その教育研究に必要な教員を置く制度とする。」こう書いてありますね。そしてその次に今度は「講座制は、教育研究上必要な専攻分野を定め、その教育研究に必要な教員を置く制度とする。」この大学設置基準でいっておる第五条の考え方は、あらわれ方としては、学科目制をとる場合もあれば講座制をとる場合もある。しかし、学科目制の課程の場合は、これは教育上必要な見地から考えて、教官は研究教育だ。そして講座制の場合は研究教育上の科目であると同時に、学科であると同時に、教官は研究教育上の教官を配置する、こういう考え方ですね。しかも、この前に、やはり憲法二十三条の学問の自由だとか、それから大学の基本的なあり方というものを前提にした上で、学部制と学科制という二つの現象形態といいますか、あらわれ方を規定したものだというふうにまず確認ができると思いますが、いかがですか。
  147. 木田宏

    木田政府委員 学部に専攻により学科を設けるという考え方は、主として特定の専門領域を中心にした学部教育学部学科のことを考えておると思うのでございます。   〔内海(英)委員長代理退席、委員長着席〕  学科目につきましては、学生教育という観点を中心にして必要な整備を考えていくということが主眼になっておる。したがいまして、学科目制と、それから講座制——講座制は主として学部、学科、講座ということで、ちょっと極端な言い方になりますけれども、戦前からの大学院大学を中心にした考え方で書かれておるし、それから学科目制というのは、この基準ができたときの考え方は、やはり専門学校等から大学に上がってまいりましたその教育領域あるいは一般教育の領域、教育という観点から教官の整備を考えていくという場合の考え方でその区分ができておる、このように考えております。
  148. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そこで、教育系大学学部ですね。これは教養部、ここでいう学科目制ですね。教養部は、いま筑波でもたいへん問題になったアンダーグラデュエート・スクール的な性格を持った教養部というものを考えると、講座制ではなく科目制という学科制の制度をとってきた、その教養部のいわば科目制のあり方と、教育大学学部教育学部の場合は、教養部と同じように講座制ではなくて学部学科制という考え方で、教育系教員養成学部の科目は、そういう仕組みに制度化されているというふうに判断してよろしいでしょうか。
  149. 木田宏

    木田政府委員 概観して、そういうふうな御理解のことでいいのではなかろうかというふうに考えます。
  150. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そこで、私がたいへん問題になりはしないかと思うのは、この大学設置基準でいっておる学科目制と講座制という考え方は、やはりいままでの、戦前までの大学から新しい大学に切りかえていく過程で、そして憲法二十三条にいうような学問の自由を前提にして、そしてその上に立って科目制をとる場合もあれば講座制をとる場合もある。片一方は教育に力点があった、片一方は研究教育というふうに性格を規定し直さなければならないという、こういう考え方に立っておるのだと思います。  ところがいまの局長の説明にもありますように、昭和三十八年を境にしまして、国立学校設置法の一部を改正する法律の第七条に学科目制をとる大学についての科目について——国立学校設置法第六条の二、第七条ですね。第六条の二並びに第七条には、「学科及び課程」という六条の規定と、それから七条の講座に関する条項と二つありますね。そしてここでは第七条を読んでいただけるとあれですが、「国立大学学部又は学科に講座又は学科目を、国立大学の教養部に学科目を、国立大学大学附置の研究所に研究部門をそれぞれ置く。」と書いて、第二項で「前項の講座、学科目及び研究部門の種類その他必要な事項は、文部省令で定める。」これが国立学校設置法の三十八年の改正の趣旨ですね。これに基づいて文部省昭和三十九年の二月に一般に省令カリキュラムといわれておるものが出されておるという点が——ここでこの国大協の言い方は、私はどういうふうに理解してよいかどうもわからないのですが、それに関連をして質疑させていただくのですけれども昭和三十九年二月に、国立大学の学科及び課程並びに講座及び学科目に関する省令というのを文部省がお出しになっているわけですね。そしてこの省令でもって、いままでの学科・講座制という考え方を、学科・科目制ないしは課程制という考え方を、教育系大学に適用しながらカリキュラムを再編成しているのではなかろうかと思うのです。ここの教育六法はそういう大事なものが載っていないものですから中身はさっぱりわからないのですけれども、この法令集の編集もちょっと考えたほうがいいですね、これは余談ですが……。  そこで、このことに関連してですけれども昭和三十九年に省令カリキュラムが出されて、そして教育系大学学部にものすごく科目がふえ始めたわけですね。たとえば国語第一、第二は、国語学とかその他三つも四つも、こういうふうなものが要るのではないかと出してくる。そうしますと、教育系大学では科目がだんだんとふえてくるわけですね。つまり教員になるための資格、そういうものを持つためには、これだけの科目を勉強しなければだめだということで、だんだん科目が専門化され、個別化されてくるわけですね。しかも、それが特色のある教育系大学だけじゃなくて、どこの大学にも大体この程度の科目を履修しなければならないという教養学科の課程がずっと広がってまいりますね。そのことが実は最初の、ここでもいっているように、科目は非常に急速に講座というかっこうで——三十三のさっき言ったやつですね、いわば教育系学部の科目は非常に急速にふえているのに、それに見合った専門的な教官がふえない。だから、単位は一ぱいとることになっているけれども、一人の教官が幾つかの科目を担当しなければならないという仕組みになってきているのじゃないでしょうか。その点はどうなっているのですか。
  151. 木田宏

    木田政府委員 ちょっと誤解があるのではないかと思います。いまおあげになりました国立学校設置法の六条の二でございますが、「国立大学学部に、文部省令で定めるところにより、学科又は課程を置く。」こう書いてございますのは、工学部に電子工学科、電気工学科、機械工学科というふうに学科があるということを、その学科名を書いておるわけでございます。ここで「課程」と申しておりますのは教員養成学部には小学校課程、中学校課程、幼稚園教員養成課程、こういうものがある。これは教育学部の場合には工学科というわけにはまいりませんので、幼稚園教員養成課程とか小学校教員養成課程、特殊教育教員養成課程、こういう意味での区分があるということを明示をしておるわけでございます。そして第七条でそれぞれの学部、学科に今度は「講座又は学科目を、」こう書いてございますのは、教官の組織を書いておるわけでございます。ですから、学科目に応じて教官がそこに配置されるということでございまして、学科目の看板だけがあって教官がいないという学科目はないわけでございます。教官の組織としての学科目がふえたということでございますから、名目だけの学科目ということではございません。それを明確に省令の上で各大学の御要請によって予算をつけているわけでございますが、明確にしておくということであります。ですから、学科目が多いということと、学生がどう履修するかという問題とは全然別なことでございます。
  152. 嶋崎譲

    嶋崎委員 わかりました。私はどうもここがよくわからなかったものですから……。  そうしますと、教育系大学学部における課程というのは、省令でいっている課程は、小学校、それから中学、それから高校、それから養護、特殊も含めて盲、ろうの課程ですね、その課程に即して学科目が、小学校の場合の幾つかの科目が、それぞれの課程に応じてある、その科目の内容は、この省令でいっているものではないわけですね。この昭和三十九年の二月の国立大学の学科及び課程、並びに講座及び学科目に関する省令、ここでいっているのはその中の細部についての問題じゃないわけですね。
  153. 木田宏

    木田政府委員 この昭和三十九年の二月の省令は、それぞれの大学の講座、それから学科目というのを、個別にみんな拾い上げて並べたものでございます。でございますから、私どもの手元に持っておりますのは、このくらいのでかいものになるわけでございまして、大学の講座の戸籍簿みたいなものになっている次第でございます。
  154. 嶋崎譲

    嶋崎委員 どうもここがよくわからなかったものですから……。  そうしますと、一九ページに国大協の見解として述べられていることはどうなんですか。最後のほう、一九ページの下から六行目に、「その意味で、課程・学科目制には学問研究の保証が欠落しているというべきであり、また「教育上」の必要といっても、教育そのものの本質より、計画養成目的養成的な意味での「必要」が優先・独走する危険を内包しているのである。」こういっていますね。「さらに、教育系学部における課程・学科目制の固定は、教員組織、教員負担、予算措置および施設の基準面積、設備基準などの上での「格差」形成の要因となっているということができる。」こう述べています。いまのところわかりますね。局長、一九ページの一番下のパラグラフ、教員組織、教員養成課程の問題点として省令カリキュラムというものが出てきたから、教員養成に主としてあずかる教育学部は、課程・学科目制に組織されることにワクづけがつくられて、そして他の学部と違う特殊な構造が与えられた、こういって、そのことが結局は学科目制というのは、教育を中心にしてカリキュラムの編成が行なわれて、そして学生はそれを選択科目でとっていくんでしょうけれども、そこに力点がかかってきて、いわゆる教育研究という観点よりも、教育的見地からカリキュラムがふえてきて、そしてここでいっている学問研究の保証というものが欠落していくという情勢、そういうようなことがっくり出されてはいないかという趣旨の批評ですね。これは当たっているのですか、当たっていないのですか。
  155. 木田宏

    木田政府委員 この批評は、ちょっといただきかねると思っておるのでございます。昭和三十九年に学科目省令等を明確にいたしました。そして教員養成大学に対しまして、必要な学科目の整備、すなわち、教官の拡充をしてまいりました。そのときに教員養成大学というのは、かりに百名なら百名の教官がおって、好きな学科目を構成しておればいいのだということになりますと、これは計画的に整備し拡充するということができないわけでございます。ですから、小学校教員養成するための必要な学科目というものをどれだけ考えなければいけないか。それはどの小学校教員養成課程につきましても、同じような基準があるべきである。  そこで、三十九年のこの当時に、現有の体制を全部明確にいたしまして、そしてそれぞれ加えなければならぬ、整備しなければならぬという課題を明確にした、そして共通の目標を持って、そこに各大学が整備をすべく努力をする、そういう方向で私ども予算を拡充をするということにいたした次第でございます。ですから、教員養成大学小学校教員養成課程、中学校教員養成課程、あるいは特殊教育のそれぞれの養成課程に対して、ある学科目の体制を念頭に置きながら整備をしてくる、その限りにおきましては、各大学とも同じような目標を持っておるということは言えようかと思います。しかし、これはやはり教員養成大学が、教育内容として、これだけのものは少なくとも整備しなければならぬという基準を追っかける限り当然のことでありまして、これをある数で、好きなように研究者が研究をするんだからということでは、やはり教員養成大学にならないのではないかというふうに思っております。そういう点から考えますと、この一九ページに御指摘になりました批評はやや当たらない。私は教員養成大学はやはり必要な教育体制を学科目として整備をしていくということがまず第一に必要だというふうに考えます。それに対してどのような今度は研究余力を持たせるかという点は、今後の課題であるというふうに考えております。
  156. 嶋崎譲

    嶋崎委員 時間がだいぶあれですから、管理局長が見えたようですから、問題点だけをあと指摘して、いまの教育系学部結論を急ぎたいと思うのですけれども、私はこの国大協の「教員養成制度に関する調査研究報告書」を綿密に読んでみまして、このあとそれぞれについてまたこまかに質問をしたいし、ここに出ているいろいろなデータ、たとえばこの点はどうですか、二二ページ「教育系課程別学生学校種別免許状取得の状況」という表がありますね。この表の中でたとえば一つ例を申し上げますと、小学校養成課程というのがありますね。この小学校養成課程で卒業者が八千三百十三であって、そして小学校の一級、二級免許をとったのはほとんど一〇〇%に近いくらいとっていますね。ところが、中学の一級、二級は五千と千ですから、大ざっぱに計算して小学校課程の先生方が約七六%くらい中学免許をとっているわけですね。同時に今度は高等学校の一級、二級免許を見ますと、これはちょっと計算してみると、五九%くらいになるんですね、四千八百九十九という数字が、この八千三百十三というこれの割合でいきますと。  こういうここに出ている表を大ざっぱに見ますと、私の判断するのには、いまの問題と関連づけて、私はまだ結論を持っておりませんから、わからないのですけれども教員養成大学の非常に大きな問題点になるんじゃないかという点が確認できればそれでいいのですけれども、つまり教育系学部がおっしゃるように確かに教員養成をやっていくためには、科目が計画的でなければならない。だから、先生方が好きな科目だけやっていて、おれの単位をとれば教師になれるというようなことであってはならないのですから、当然計画的に、教員養成ということで学科や科目というものを考えてしなければならぬと思う。  ところがそういう計画的な教員養成の科目を設定していても、実際に学生が今度教員資格をとるときに、単位の取得状況というものを見ますと、ここに出ている表の意味は、専門的な勉強をせぬわけですよ。簡単に言えば、おれは小学校教師になる免許に必要な単位だけとっちゃう。小学校だけじゃなくて中学校教師になる免許もとりたいんだ、高等学校教師になる免許もとりたいんだというふうにして、学生諸君が科目を見て、そして単位履修に必要なものだけをとって、ねらいはたくさんの免許をいかにとるかというところに集中していって、そして結局たとえば小学校先生になるのに、小学校のいわば免許状に必要な単位は全部とっているかもしれないけれども、たとえば児童心理だとか、それから子供の生理とか、そういうものについて深く研究していくというような方向にいかずに、形だけの単位をそろえれば、資格さえとっちまえばいいというかっこうで運営されているというのが、どうもこの表の持っている意味のように私は読み取れるわけです。  そうなりますと、つまり文部省の側が各大学について省令カリキュラムというものを考えながら、教員養成に対して計画的なものを打ち出しているにもかかわらず、大学側の受け入れ体制がそれに対応した教官や、それからまたいろいろな諸条件が十分でないまま、学生のほうは幾つかの免許に必要なものだけを拾っていっちゃって、そしてたとえば専門的な研究をやろうとする教官がいないとか、専門的な研究教育をやっている学者がいないとかいうようなことも関連し合って、それでこの単位取得資格をとるところに力点がかかって、教員の専門性という観点から単位を履修していくというような傾向になってこないんですね。それが相互に何か関係しておりはしないだろうかという、これは私、しろうとですからわかりませんけれども、この表の言っている意味は。  この表のあとに今度は「教育系卒業者免許状取得」をあげていますね。その下には「教育系卒業者免許状取得」のH大学の場合をあげていますね。この表がどういうデータに基づいているか、正確かどうか、私もその点確かめられないのですけれども、この一連の表を基礎にして解決をしてきたこの考え方は、結局は免許状をとることに力点がかかって、教師の専門性という観点からの履修の課程にならない。それがどこからくるのだろうかということについていまの教育系大学学部のその学科制というものと、関係がありはしないかというふうにここでは言っているのじゃないかと思うのです。その点のつながりは、局長どう思いますか。
  157. 木田宏

    木田政府委員 いま詳細にこれを読み通しているわけじゃございませんので、ここに書かれておること自体がどうかということは別にいたします。  御指摘がありました小学校教員養成課程の学生が八千人であって、それは小学校教員免許状を持っておるが、ほかにそのうち六千人は中学校免許状もとり、五千人は高等学校免許状もとっておる。一人で免許状を三枚もとっておる。これは確かに問題ですから、小学校教員養成課程に入った学生は、小学校教員としての充実した勉強をして卒業し、小学校先生になってもらうというのが一番願わしいというふうに考えます。しかし、学生側の希望もあることでございますから、学生側はできるだけ高等学校免許状も持っていて高等学校に行きたいという希望があって、それをある時期かなり大目に見てきたということがございます。最近、学生の指導上も、それらの点をもう少しただ必要な単位数だけ百二十四単位でなくて、百八十単位もそれ以上も学生が単位だけをとりまくるというような指導のやり方は少し考え直さなければいけないのじゃないか。  と同時に、小学校教員につきましても小学校教員全科でありますが、全科を全部のべつまくなしにやるというのでは、やはり学生に対する魅力もないから、人文系とか、自然系とか、芸能系であるとか、それぞれにウエートを置きながら全科を履修する、こういうような指導のしかたをしなければなるまい、こういう方向に教育大学の関係者の反省と改革の方向が向かっております。この表は必ずしも教官が貧弱だからということではなくて、学生の、できるならば、中学校高等学校で教科別の先生になりたいという気持ちがこの数字になってあらわれておるというふうに考えております。
  158. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そこで、もう時間がありませんし、あまり長い時間とってもあれですから、ここで国大協の調査研究報告書ですね、これの「教育系大学学部の整備状況」、それから「教育系大学学部における課程制の問題」、それから「教育系大学学部における教育体制」、そうして最後に「教育系大学学部に関する今後の課題」というふうにして締めくくられている。それぞれの章について、私はまだ高等学校のところまで精読しておりませんから、あとはいずれまた勉強させてもらって質問さしていただきたいと思うのですけれども教育系学部のこういう国大協で提起をされているこういう問題について、これに対して文部省の側はこういう立論のしかた、こういうデータのとり方、それからここで言っている課題、こういう問題に対してどういうふうに考えるのかについて、できれば、あわてませんけれども一つの回答の文書を、私たちが勉強していくために必要な資料として、文部省側考え方をこれに基づいてお出し願えるかどうか、たいへんごめんどうでしょうけれども、細部にわたるとなかなかわからない問題が多いものですから、そういうことは可能ですか。
  159. 木田宏

    木田政府委員 かなり詳細な報告につきまして、一々の項目を批評するというふうなことになりますと、かなりの作業量でもあり、また慎重な論議を重ねなければならぬので、右から左に御要請に応ずるということも至難のことではなかろうかと思います。  ただ一般的には、教員養成大学教官が、教官の立場でもう少し研究ということを中心に教員養成を考えたいというお気持ちがこの報告の中にあるのではないかと推察するのでございます。しかし、教員養成ということにつきましては、教官が自分の専門とすることを研究するという角度だけで問題を取り上げていくわけにはいくまい。やはり小学校教員としての教育の中身を整備し充実していく。それを基本にして考えるべきものだというふうに、非常に大ざっぱな概括意見でございますけれども、私ども考えておるところでございます。
  160. 嶋崎譲

    嶋崎委員 最低、この教育系学部に関するところ、これについていずれ課長とでも、呼んで議論させていただくことにしましょうか。  それはそれでいいのですが、最後一つお聞きしますけれども、憲法二十三条にいう学問の自由というのは、小.中・高等学校教育とどうかかわっていると思われますか。大臣いかがですか。憲法二十三条にいう学問の自由という憲法上の要請は、小中学校教育とどのような関係があるかという点についての意見を……。
  161. 木田宏

    木田政府委員 小中学校教育とどうかかわるかということでございますが、一般的には、ポポロ判決にも出ておりますように、憲法二十三条の学問の自由は、大学という教育研究の場において一番その実質を確保さるべきものであるという考え方を私どももまたとるわけでございます。  小中学校教育は、教育そのものの場でございまして、学問研究の場ではございませんから、その意味では憲法二十三条の規定は間接的でしかないと考えます。個々の教員あるいは個々の学生が、市民として学問の自由を持つという点は、小・中・高等学校大学あるいは一般の市民も通じて同じかと考えます。
  162. 嶋崎譲

    嶋崎委員 私は、こう考えるのです。ここでまた、長い議論をしても始まりませんが、小中学校教育の場合でも、たとえばおっしゃるように、小学校教育課程は小学校教育、つまり子供たちの発展の段階に応じてそれをエデュケートしていくことが教育の課題なんですから、それに応じた教育というのは、当然それ自体学問の自由と直接関係はないと思います。しかし、子供の生理というものをわれわれはどうつかむかということについて、学校教師は一定の専門性を持たなければ、ないしは子供の発展段階というものに対する科学的な認識を持たなければ、それに対して引き出す、エデュケートしていくことはできないと思うのです。そうなりますと、当然大学のアカデミックフリーダムで問題になっているところの生理学、そういう学問的な成果と、小中学校教師教育とは密接不可分だと私は思うのです。つまり学説がいろいろあるわけですから、たとえば自然科学の場合は別としても、いろいろな一つの科目をとらえる、学科目の中身をつかむための方法論というものを考えてみますと、その基礎になるものは大学に有るアカデミックフリーダムの中でいろいろな学説の対立があるということが、実は小中学校教師の場合でも、その意味での学説的なものを踏まえて、子供のいわば発展段階をとらえるとらえ方について意見の違いが出てくるのはあり得ると思うのです。  そういう意味で、学問の自由と憲法二十三条でいっているのは、大学だけではなくて、イギリスでいっているようなアカデミックフリーダムの考え方をとるべきなんで、小・中・高等学校の場合でも、大学におけるアカデミックフリーダムの中でつくり出された成果といいますか、そういうものが教育研究の研究者のいわば教育理念であったり教育の方法であったり、そういうものを媒介にすることによって、非常に多様な子供たちの発展段階をエデュケートしていくやり方というものがきまっていきやしないだろうかというふうに私は考えるわけであります。ですから、昭和三十九年の憲法調査会の答申の中で、憲法二十三条でいうところのアカデミックフリーダムというのは大学の問題なんであって、高等学校小中学校とは関係がないという断定をしていく考え方、この考え方ははたして妥当であるかどうかという点がひとつ論争的な問題としてあるのではないかと私は思います。  そういうふうに考えてまいりますと、教育系大学学部教官も、学問研究の自由というものを前提にした教育研究の主体であり、そうでなければならない。同時に、そのことはストレートに教育の内容にあらわれるのではなくて、確かに教育というものと自分の研究領域でやっていることとは切り離されながらも、その教育的な見地に際して結びついていくというつながりをもってあらわれるというふうに私は思うのです。これは私の考え方ですよ。  ですから、ここの国大協でいっている趣旨は、結局教育系大学学部というのは、教育に力点を置いて、極端にいうと教育研究という観点を持たなくてもいいというような方向に教育系大学のあり方というものが規定されてきたら困りますよという意味の警告だと私は理解するのです。そういう意味で、教養学部と同じように、教育系学部というのは、学科目制の形をとっていくのが、小中学校高等学校の教科の課程としていいのかどうか。こういう問題は教員養成のあり方の問題として今後非常に問題になりはせぬかというふうに考えるわけであります。  あれやこれやで、さっきの質問もあとでもうちょっとやりたいものですから、ここで締めくくりたいのですけれども、午前中の質問で私が言った、いまの教員養成というものを考えたときに、たとえば先生方給与を一〇%上げれば人材が集まるであろうという楽天主義、オプティミズムは、現在の制度の中ではそうはなりませんよというふうに私は判断する。一つの側面の一要素であるかもしれない。しかし、そのほかに、たとえば入社試験の時期とそれから学生採用の時期をどうするかという問題、それから教員資格をとった人たちが三月なら三月の段階で、非常に不安定な状態になるという制度的な仕組みの問題、こういう問題について、かなり抜本的な改革をやらなければ教師人材というものは確保できないのではないか。  同時に、いまの教育系学部のあり方、それからあとでまた問題になる一般大学学部教員養成のあり方を見ましても、ここでは単位を取得して資格をとることに狂奔する学生が大半を占めていて、ほんとうに教育熱心になろうという教師が、小学校教員の単位だけとって、あとは小学校教育についての専門的な科目を深めて教師になっていくという単位の履修の仕組みになっていない。こういう問題についても根本的な大学のあり方というものを考えないと、ただ給与を一〇%上げたところで、いい人材が確保できるというほど単純ではないというふうに私は考えるわけであります。  ですから、この一〇%から三〇%になるとか、これも作業は非常にあいまいなもので、大学の場合でも、最初私が申し上げましたように、大学院担当教員裁判官並みにすると叫んでから、もう十年以上たっている。しかし、大学院担当教員は、わずか八%程度でお茶を濁されている。そういう、いままでやってきた人事院勧告のあり方、またそういうものに対して、文部省も努力してきたんでしょうけれども、実際には、いわれた願望と現実のギャップが起きてきている。  そういう一連の過去の経験、それから現状の仕組み、それから大学教員養成制度のあり方、こういうものを考えてみると、この法案で大きくいっている、日本語として「すぐれた人材」という日本語はないと思うのです。人材というのはすぐれている者をいうので、だから、すぐれた、すぐれた人材、二つのことばを同時にしゃべっているようなものだと思うけれども、ほんとうに人材を確保していくという観点で今日の教育問題に対処していくには、大臣が本会議で言われたような、選挙公約で云々というようなことじゃなくて、抜本的な制度、それから現実の運用のあり方、それから教員給与教育労働の位置づけとか、全体を総合的に考えていかないと、今日のような情勢のもとでは学校教育にいい人材が集まるという楽天主義はとてもむずかしいのではないか。いままでの先生方人材ではないという意味じゃなくて、よりいい先生を集めるには、それはあまりにもオプティミズムなんじゃないかという意味で、私は教員養成のこの法案の出し方そのものが非常に一面を強調しているのではないかというふうに考えるわけであります。  こまかな問題まだまだ質問したいことがありますけれども、時間もとりますから、この問題はこの辺でやめさせていただきます。  最後に、ほんとうは人事院にお聞きしたがったのですけれども一つだけ大臣にお聞きしておきますけれども、先進国、たとえばアメリカとかフランスとかイギリスとかというような国々では、初任給の給与から一番高い給与の格差というものは、先進国では大体どのくらいになっているという御判断でしょうか。日本と比べてみて、ヨーロッパの場合には、年功型の格差というものがぐっと縮まっているというふうに私は判断いたしますが、これは大臣ですか、初中局長でもいいですけれども、外国と比較して日本の今日の年功序列型賃金体系が、教育労働というものの科学的判断に立ってどういう実情になっていると思われますか。
  163. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 日本の場合には二・七五倍、ILO・ユネスコでは、二倍というような勧告があるようでありますが、詳細は政府委員から御答弁申し上げます。  ただ、一つお願い申し上げておきたいのは、私たち決して楽天主義じゃございません。楽天主義じゃございませんから、国の最高権威である国会において、教職員給与一般公務員に比較して優遇されなければならないという基本方策をきめてください、この旗じるしをきめていただいたら、教員給与を大幅に改善していくことができるという、やはりこの旗じるしをくれなければ、私たちは目的を達成するために非常な困難を感ずる、こう考えますので、ぜひ御協力をお願い申し上げます。
  164. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 先に数字を申し上げますと、小中学校の場合は、日本が二・七五倍、アメリカが一・五倍、イギリスが一・八倍、フランスが二・三倍、これが一番日本に近いわけでございますが、西ドイツが一・六倍ということでございます。  この格差の問題は、やはり国々の社会保障でございますとか、あるいはその社会の資本の充実でございますとか、そういうものと深く関連するところがあるのじゃないか。たとえば日本の場合には、老後の心配は自分でやらなければいかぬというような問題があるわけでございまして、そういうものがやはりこういう問題にも反映せざるを得ないというふうな道理だろうと思います。
  165. 嶋崎譲

    嶋崎委員 その点についても、年功型賃金のあり方の問題と、それから職能給に関連してそれをどう位置づけるか。また、教育労働という場合に、熟練労働と非熟練労働、つまり専門的な教師と単純な教師との教育労働の科学的な判断をどうするか、そういうことを含めて教師給与のあり方というものは検討していかなければならぬ。単に日本の歴史的な伝統が、今日年功序列型だからやむを得ないのだという観点で処理していいのかという問題点もありますし、年功序列と職能給の歴史的な給与体系の変化も——日本経済の高度成長の過程と賃金体系というのは、ずいぶん変わってきているわけですから、そういう意味で、単に社会保障制度との関連で、日本の場合にはその格差が大きくていいという肯定的な議論には必ずしもならない。だからいまだに校長さんの給与が低いところにいて、初任給を少々上げてみたって、民間から見てまだ低いといわれるような実情が残っているわけで、やはりほんとうに教員人材を確保するために給与というものを改定するならば、相当科学的な、それはいまの体制のもとでは、人事院のほうで科学的検討をやって、大ワクをどう具体化するかということになるのでしょうけれども、これを議論していたってまただいぶたくさん議論しなければならぬことがありますから、私はもう述べませんけれども、問題は、一〇%というような法律的なワクで事が始まったからといって、人材がそう集まってくるというふうに私はいまのところ考えるわけにいかない。プラスアルファの一つの要因であっても、それだけでもって事が処理されるほど単純ではないというふうに考えるわけであります。  まあそれはここでおくといたしまして、そこで、たいへんお待たせして申しわけございません。七月十六日の毎日新聞の夕刊に、福岡歯科大学の事件に関連して、劔木元文相が、この福岡歯科大学の認可の直前に、文部省の安嶋管理局長から、理事に入ってほしいと言われ、理事に就任したという趣旨の談話が載っているわけであります。これは、それで理事になられたケースですね。  もう一つ、松本歯科大学のほうは、まあ大学の持っている特殊な事情というものを捨象しまして、大学制度理事会という点と文部省との関係という観点から見ますと、松本歯科大学の場合は、今度は大学内部で問題を起こしたものだから、理事をやめたのを、新たに大学側で補充した、その補充にあたって、文部省大学側が事前にもっと話し合った上で候補者のリストをつくってくれればいいのに、その話し合いをしないで理事をかってにきめたということがたいへん問題だという趣旨の発言が、文部省の管理局の振興課の課長の談話として載っているわけであります。  私はこの二つの場合を比較してみて、共通している事態は何かというと、片一方の福岡の場合は、文部省大学理事会に、人事について候補者を推薦してきめたという例ですね。松本歯科大学の場合は、今度は、話し合いでリストでもってきめようとしたのに、大学が自主的にきめたということについて、事前に連絡がなかったことがおもしろくないという趣旨の発言なんですね。というこの二つに共通していることは、大学設置にあたりまして、私立大学理事というものを、文部省の管理局長や課長の立場でその人事に介入しているということが、この二つに共通していることとしてわれわれ印象づけられるわけであります。  そこで、この大学理事というものは、筑波の場合にもたいへん議論になりましたように、大学のいわば設置基準に際しては、どういう科目でどんな先生方がというようなことが問題になるわけであります。そういう、つまり人事に干渉する可能性というものを含んでいる。実際やるかやらないかは別として、そういう危険性というものが一方にあるのじゃないかというふうに想像されるわけですね。ですから、文部省大学理事の決定に際して、事前に打ち合わせて候補者をきめていくというようなこと、文部省局長や課長が、外に向かって明らかになるような事実が公にされているという、この二つのケースについて、実はちょっと質問をさせていただいたわけでございます。  そこで、最初の福岡歯科大学について、劔木さんが歯科大学理事に就任するにあたって、管理局長理事に入ってほしいというような要請に基づいてなされたという談話ですね、この劔木さんの談話が事実なのかどうかということを、お聞きしたいのです。
  166. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 具体的なお尋ねは、福岡歯科大学の劔木理事就任の問題でございますが、御承知のとおり福岡歯科大学の設立の経過を申し上げますと、当初福岡歯科大学という構想と西日本歯科大学の設立という構想の二つの構想がございまして、ほかに福岡県からは、高宮学園という学校法人がございまして、そこが第一歯科大学をつくりたいという申請を出しております。また福岡県内にはこのほかに九州大学学部がございますし、県立の北九州の歯科大学がございます。申請のとおり認可されますならば、福岡県内において五つの歯学部ができるということになるわけでございます。これは大学の配置、立地、そうしたことを考えますと、必ずしも適当ではないということで、設立の企画の段階におきまして、農地転用の協議というものが農林省からあるわけでございます。これは敷地の関係でそうした協議があるわけでございますが、西日本の歯科大学と福岡の歯科大学、両者から農地転用の申請が文部省に来たわけでございます。それをきっかけにいたしまして、私ども二つの大学の統合ということが望ましいのではないかという指導をいたしました。その間におきまして、いろいろな関係者が関係をしたわけでございますが、最終的な段階におきまして、劔木さんが両方の構想をおまとめになるという事態があったわけでございます。  そこで、これはちょっと正確な時期について私自身記憶がございませんけれども、四十七年の五月ころであったかと思いますが、そうした経過があったものでございますから、新しくできる福岡歯科大学の円満な運営と申しますか、二つの派が合流しているわけでございますから、それを一体的な運営をはかっていくためには、やはり劔木先生のような取りまとめに重要な役割りを果たされた方が、役員としてお加わりになることが、福岡歯科大学の将来の発展のためにも必要であろう、そういう考え方を持ちまして、設立者側にもそうした意向を伝え、劔木先生にもそうした意向を伝え、そしてお入りをいただいたということでございます。しかし、こうした例は一般的な例ではないわけでございまして、福岡歯科大学がただいま申し上げましたような非常に特殊な設立の経過をたどったということから、そういう特殊な事態に対応して起こった特殊なケースであるというふうに御理解をいただきたい。私どもは、これは強制したわけではもちろんございません。助言として申し上げておるわけでございまして、それが受け入れられたということでございます。私どもといたしましては、決して出過ぎた助言をしたというふうには考えていない次第でございます。
  167. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうしますと、それは確かに特殊な事情かもしれませんが、幾つかの歯料大学の申請があって、設置基準の認可をとるために競っている。それで土地というようないろいろな問題が内包している。そういう場合に、それを一つにまとめたほうがいいということの指導、助言はあっても、その中間に政治家が入っていたというのです。ところが、そういうことをまとめるために、打ち合わせするということがかりにあるにしても、元文部大臣だったその政治家が、私立大学理事に、そのまとめることから越えて入って、そしていま設置基準の申請をやってくるというと、文部省側では、まとめてきたのだから、それを受け入れて許可しやすい条件が出てくる、そういう過程をとっているのじゃないでしょうか。ですから、問題は、特殊であれ一般的であれ、私立大学のいわば理事会というもののあり方を、文部省側はどう見ているかということに深くかかわっているのじゃないかと私は判断するのです。ですから、これはいま福岡歯科大学の場合に出たのですけれども、たとえば大学設置委員のメンバーと地元の大学のいわば理事会とが、コネコネの関係でやっている例を幾つか私まだあげることができます。  たとえば、長野県の本州大学、あそこで県知事が中に入ったり、それから県会の議長が理事になっていて、経済学部が産業社会学部に変わっていく課程で、これまた設置基準の委員との関係がいろいろむずかしい問題が起きて、地元の新聞をたいへんにぎわしております。  それと同じように、信濃毎日で言っている松本歯科医大のこのケースも、特殊なケースということになるのでしょうけれども、あまりにも大学設置という問題と関連して特殊なケースで、大学理事会の人事の問題について、文部省が相互にかかわり合いを持ち過ぎていないだろうかという点を私は追及したいと思うのです。今後、こんな事態は特殊だ、特殊だといっていますけれども、私立大学の場合に、理事会というものをどういうふうに構成するかという問題は、大学教官のあり方、講座のきめ方、そういうようなものと、最初理事のメンバーがどういうふうに選ばれたかという問題と非常に深い関係を持っていると判断されます。ですから、文部省側が特殊だといいながらも、そういう理事の選任に対して、理事を選ぶ過程で文部省がいつも人事的にサゼスチョンしていくというようなことがこういう特殊ケースを媒介にして行なわれるということになったら、大学の自治という問題に関連して、非常にゆゆしい問題に発展しやしないだろうかというふうに考えるわけであります。その点、大臣最初の答弁の中では、特殊なケースだということを強調しておられるのですけれども、はたしてそれが特殊だというケースとしてとらえられるのかどうか、私はたいへん疑問に感じるわけであります。ですから今後とも、こういう新しい大学をつくるにあたって、大学側は理事を選任したりしていく場合に、いつも文部省と事前に連絡をとりながらやっていくということが今後もあるのかどうか、その点いかがですか。
  168. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 基本的な趣旨は私も同感でございます。私学の自主性を尊重するということは、これは大原則でございます。したがいまして、法人の役員の人事についても、私学の自主性が尊重されるべきであるということも当然かと思います。ただ、しかし大臣からもお答えを申し上げたかと思いますが、松本にいたしましても、福岡歯科にいたしましても、これは全く異例のケースでございます。したがいまして、文部省としては異例の対応をしているということでございます。その対応のしかたは、私どもは決して妥当性を越えるそういう対応はいたしていない。もちろん、違法の対応もしていないというふうに考えております。今後前例になるというような御心配もあるようでございますが、そういうことはございません。かつまたほかにこういう例があるわけでもございません。一般的な原則はただいま嶋崎先生のおっしゃった通りだと思います。
  169. 嶋崎譲

    嶋崎委員 えらい特殊なケースばかりがこれからふえてくる可能性があるように私は思いますので、特殊、特殊で事が処理されるのじゃなくて、常にその原則的な大学における自主性、自治というものを前提にしてきちんとした処理をしていただくこと、こういうことが新聞でいつも話題になるようなそういう処理のしかたは厳に慎んでいただきたいということを申し述べさせていただきます。  これで終わります。
  170. 田中正巳

    田中委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時五十八分散会