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1973-07-06 第71回国会 衆議院 文教委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年七月六日(金曜日)     午前十時五十分開議  出席委員    委員長 田中 正巳君    理事 内海 英男君 理事 塩崎  潤君    理事 西岡 武夫君 理事 松永  光君    理事 森  喜朗君 理事 木島喜兵衞君    理事 山原健二郎君       有田 喜一君   稻村佐四郎君       坂田 道太君    染谷  誠君       床次 徳二君    丹羽 兵助君       野田  毅君    林  大幹君       藤波 孝生君    増岡 博之君       三塚  博君    山崎  拓君       小林 信一君    嶋崎  譲君       山中 吾郎君    安里積千代君       有島 重武君  出席国務大臣         文 部 大 臣 奥野 誠亮君  出席政府委員         文部政務次官  河野 洋平君         文部大臣官房長 井内慶次郎君         文部省初等中等         教育局長    岩間英太郎君         文部省管理局長 安嶋  彌君  委員外出席者         議     員 木島喜兵衞君         社会保障制度審         議会事務局長  上村  一君         参  考  人         (私立学校教職         員共済組合理事         長)      加藤 一雄君         参  考  人         (私立学校教職         員共済組合常務         理事)     三浦 勇助君     ————————————— 委員の異動 七月六日  辞任         補欠選任   上田 茂行君    稻村佐四郎君   高見 三郎君     丹羽 兵助君   中尾  宏君     野田  毅君   深谷 隆司君     増岡 博之君 同日  辞任        補欠選任  稻村佐四郎君     上田 茂行君   丹羽 兵助君     高見 三郎君   野田  毅君     中尾  宏君   増岡 博之君     深谷 隆司君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十四年度以後における私立学校教職員共  済組合からの年金の額の改定に関する法律等の  一部を改正する法律案内閣提出第一一三号)  教育委員会法案木島喜兵衞君外七名提出、衆  法第一一号)  学校教育水準維持向上のための義務教育諸  学校教育職員人材確保に関する特別措置法  案(内閣提出第六六号)      ————◇—————
  2. 田中正巳

    田中委員長 これより会議を開きます。  昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、参考人として私立学校教職員共済組合理事長加藤一雄君及び常務理事三浦勇助君が出席されております。  なお、参考人の御意見は、委員からの質疑に対するお答えでお述べいただくことにいたしますので、御了承願います。     —————————————
  3. 田中正巳

    田中委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山原健二郎君。
  4. 山原健二郎

    山原委員 ちょっと質問の順序がごたごたしましたので待っていただいたわけですが、社会保障制度審議会の四十八年二月十九日の答申内容につきまして三点ばかりわからないところがございますので、事務局長さんにおいでいただいたのです。  表題とそして私のわからない点をちょっと申し上げます。これは「社会保障制度審議会答申」ですが、「昭和四十四年度以降における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部改正について」の答申でございます。  その中で、「共済年金国民年金時代にふさわしく被用者年金の中核である厚生年金を基盤としたうえ、これに企業年金的性格を加味することとし、恩給法によって制約されている部分は今後これを最小限にとどめるよう根本的に再検討すべき時期である。」まずここで、「再検討すべき時期である」ということを強調しております。  それから次に、「今回の改正は、従前と同じく恩給法改正に応じて余儀なく行なわれるものとはいえ適用範囲拡大その他定見を欠くところが多い。遺族年金受給資格要件の緩和は遅きに失したうらみはあるが、本審議会のかねてからの主張に沿うものである。」まず第一番にここの部分です。  この中で、「適用範囲拡大その他定見を欠くところが多い。」これ三つに分けますと、「適用範囲拡大」、「その他」、「定見を欠くところが多い」、これは何を意味しておるか。具体的に論議がされたところだと思いますが、その点を、審議された中身を明らかにしていただきたいのです。
  5. 上村一

    上村説明員 御質問になりました点にお答えいたします前に、一言申し上げておきますと、この私学共済は、本審議会審議いたしました際には、国家公務員共済それから地方公務員共済公共企業体共済私学共済農林共済、一緒に審議会審議されたわけでございます。そして、その一番もとになります国家公務員共済というのが、何と申しますか、共済の場合、主役でございますので、審議はおもにそれについて行なわれたというふうにお考えいただきたいと思います。  そこで、その五つの諮問された法案についてそれぞれ答申をしたわけでございますが、いまお話しになりました答申の第一段落、それから第二段落、ことに「今回の改正は、従前と同じく恩給法改正に応じて余儀なく行なわれるものとはいえ適用範囲拡大その他定見を欠くところが多い。」という個所でございますが、まずその考え方としまして、共済組合というのはあくまでも社会保障的なものである、それに労務管理的なものが上のせされておるのが現在の共済組合だ、その共済組合が、給付内容考えあるいは適用範囲考えるときに、恩給がこうなったからといって、そのまま、共済独自の検討がされないで持ってこられるところに問題があるのじゃないか。つまり、適用範囲拡大のどこそこがどうこうという議論じゃございませんで、恩給改正になったから、それに右へならえして、共済独自の検討をされないでこういった結論を出されるというのは、定見を欠くのじゃないかというふうな指摘でございます。したがって、個々の拡大の項目がどうだというふうな議論はございませんでした。
  6. 山原健二郎

    山原委員 ちょっと具体的にわかりかねるわけですが、この「定見を欠く」というところですね。この答申について、今度文部省のほう、安嶋さんのほうにお聞きしたいのですが、この答申についての、私学共済の今回の改正にあたって、文部省見解としてはどうなんですか。この見解について反論あるいは同調する意見があるのか、その辺伺っておきたいのです。
  7. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 この社会保障制度審議会意見は、ただいま御答弁もございましたように、そういう意見を付して、現在御審議をいただいておりまする改正案を可としてお認めをいただいたわけでございます。したがいまして、社会保障制度審議会のこの意見につきましては、今後の課題としていろいろな面から検討をしてまいりたいということになろうかと思いますが、その課題検討の場といたしましては、たびたびお答えを申し上げておりまするように、各共済共通課題が非常に多いわけでございますので、公的年金制度調整連絡会議というところにおきまして、各共済共通課題として、この社保審の御意見をさらに検討をしていきたいということでございます。この意見によりまして私どもの原案をどうこうしたということはないわけでございます。今後の課題ということでございます。
  8. 山原健二郎

    山原委員 従来このような答申、たとえば「根本的に再検討すべき時期である。」こういう前文ともいわれるべきところがありますし、それからまた「定見を欠くところが多い」というような答申をしたことがございますか。
  9. 上村一

    上村説明員 これは「根本的に再検討すべき時期である。」というふうにいわれておりますのは、御案内のように、一般国民を対象にした国民年金なり厚生年金につきましては、いま参議院で御審議いただいております法案で相当抜本的な改正考えられたわけでございます。共済につきましてはことしは抜本的な改正が間に合わなかったというふうに当時の審議会の席上で、主として国家公務員共済組合を担当された政府のほうから御説明がございましたので、それを急ぐようなことを強調したということでございます。ただ、こう申しては何でございますが、従前とも各共済通じての問題でございますが、まず恩給改正される案が固まりますと、国家公務員共済がそれに右へならえし、地方公務員がそれに右へならえし、公共企業体がそれに右へならえし、それから私学農林がそれぞれ右へならえされるということについては、恩給に追随するようなことはやめたほうがいいということは、前々からも強調しておるところでございます。
  10. 山原健二郎

    山原委員 ことしは年金の年といわれるぐらい年金問題が重要な比重を占めてきているわけですね。だからいまのお話では、私学共済等はことしは間に合わないというお話でございますが、ほんとう私学共済につきましても私は根本的に考える時期を迎えておると思います。ことしは間に合わないということで、私どもこの法案に対して反対するものではありませんけれども、しかしこの私学現状私学につとめておる教職員現状から見ました場合に、やはり抜本的に問題を検討していくという姿勢ですね。この姿勢は、ことしこの法案審議にあたって確立していただかないと、また来年も同じような状態で進む、従来の慣例とか従来の方式が、そのまま適用されるということではだめだと思うのです。この点については安嶋局長の少しきちっとした姿勢というのを私は伺っておきたいのです。
  11. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 公的年金制度問題点は、この社保審意見にもありますような点、その他がいろいろあるわけでございますが、それにどう対応するかという課題につきまして、さっきも申し上げました公的年金制度調整連絡会議におきまして議論を尽くしておるということでございます。  御承知のとおり、厚年国年船員保険等民間グループ国共済地共済公企体共済等公務員グループ、それから労災グループ、それに私学農林グループ、それぞれに分かれて問題の検討を続けておるわけでございますが、しかしこの間には、もちろん相互に密接な関係がございますし、また相互均衡ということも十分考えていかなければならない。特に恩給というものを別にいたしましても、公務員グループ年金がどうなるかということは、やはり特にこの私共済あるいは農林共済には影響するところが大きいわけでございますから、先般も申し上げましたように、この公務員グループ検討の状況を注目しながら、私学農林グループにおきましても引続き検討を続けてまいりたい、こういうことでございます。
  12. 山原健二郎

    山原委員 その点については、あとでもうちょっと触れてみたいと思います。それから答申の二番目の問題として出ておりますのは、「自動スライド制措置は今回、見送られているが、十分その内容検討したうえ、速やかにその実現をはかられたい。」これは先日来この場の審議で各委員の中から出ておりますから省略します。  その次に、「公的年金における国庫負担については、各制度を通じての共通のルールを確立すべきであろう。」というところなんです。これはどういうことをいっておるのか。またその障害になっておるのは何かということをお聞きしたい。
  13. 上村一

    上村説明員 御案内のように、公的年金制度に対する国庫負担はまちまちでございます。御案内のように厚生年金の場合は二割、それから船員保険の場合には二割五分、国家公務員共済は一五%、それから公共企業体なり地方共済はなし、私学農林はともに一八%ということになって、国庫負担割合そのものに違いがあるという点が一つと、それから国庫負担割合だけに着目をいたしますと、国民年金が一番高くなるわけでございますが、今度は給付を受ける者一人当たりどのくらいの国庫負担がついておるかと申しますと、年金額の少ないところは国庫負担割合は高くても額が少なくなる、そういったことで非常にばらばらだから、やはり一つ社会保障として年金制度が行なわれる限り、公平をはかる必要があるということで、こういう主張をしましたので、これは私学共済にだけいったことではありませんで、すべての共済についてこうういう問題点指摘した、こういう趣旨でございます。
  14. 山原健二郎

    山原委員 いま出されました国庫負担割合ですね、これは厚生年金の百分の二十ということとの関係があると思います。それだけではないということですね。しかし、一つのそれが象徴的な負担割合というものが問題だと思うのですね。  そのことにつきましては、再三本委員会におきましても、私学共済採決をします場合に、附帯決議としてやってきたところです。それがまた依然として解決をしないという問題ですね。この附帯決議は御承知のように各党一致しまして、私の経験ではもう四回くらいやっておると思います。そうすれば、これはいわば国民的な要求ということができると思います。しかも、社会保障制度審議会答申でもそれが要望されておる。それがどうして実現できないのかという点ですね。国会が附帯決議を何べんも全党一致で決定をしながら、依然として何年間も実現をしないというところは一体どこにあるのか。そんな附帯決議をつける意味がないじゃないかという逆説にもなってくるわけです。今度の私学共済採決にあたったても、おそらく附帯決議の問題が出るのではなかろうかと思いますが、そういうことがなぜ実現できないのか。このあたり、やはりこの際はっきりさせてもらいたい。これは文部省からでもいいですが、聞いておきたいのです。
  15. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 私学共済長期給付に対する国庫補助は、ただいまお答えがございましたように現在百分の十八でございますが、これは昨年度百分の十六から十八に引き上げられたわけでございますが、その前は三十年から四十年までは十五でございました。そういったような経過がこの間にはあるわけでございますが、私ども、ただいま御指摘の当委員会附帯決議の御趣旨に従いまして、毎年度少なくとも百分の二十にしてもらいたいという概算要求をいたしておるわけでございます。  その趣旨は、御承知とのおり厚生年金におきましては百分の二十という負担率がありまして、私学共済厚年から分かれたといったような経過も  ございまして、少なくとも百分の二十、こう申しておるわけでございますが、しかし、一方共済組合ということになりますと、厚生年金とはやや事情が異なってまいりまして、国共済地共済等とのバランスという問題も考えなければならないということで、その引き上げがなかなか困難である。しかし現に差がついておるのはなぜかと申しますと、これは私共済組合員にいたしましても、農林共済組合員にいたしましても、やはり公務員に比べまして、やはり給与の水準等が必ずしもそ  こまで行っていないというようなこともございますし、それから私学につきましては、私学の振興上必要であるというようなこともございますし、また負担の軽減をはかりたいというようなこともございまして、百分の十八ということになっておりまして、つまり公務員共済よりは高い比率になっておるわけでございますが、この率の引き上げにつきましては今後とも十分努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  16. 山原健二郎

    山原委員 文部省も、概算要求要求をしてきておると思いますが、いま言った歴史的な経過もあると思うのですし、また大蔵省との関係もあると思います。けれども、その必要性ということですね。これはどんなに弁解をされようとも、これは一致しておるところだと思うのですよね。そうでしょう。各党一致附帯決議を何べんも何べんもつけているわけですからね。そういうこと、結局その実現できない理由というものを取り除かなければこれは実現せぬわけですから、その点をはっきりさせて、そして取り除くためには各党一致して努力をするということもあるでしょうし、他との関係におきましてはこれは技術的な問題もあるわけですから、たとえば農林年金連合審査でもやって、あらかじめかなり煮詰めた話をして、解決をしていくという手だって、技術的には幾らでもあるわけですね。だから、そういうことの努力というものを、これはどうしてもやらなければならぬ問題だと思うのです。  大体いま私学共済組合員はどれくらいですか。そして百分の二十にした場合、どれくらいの経費がかかりますか。計算されておると思いますが、伺っておきたいのです。
  17. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 現在四十七年度の私学共済組合員の数は約二十一万でございます。それからこれは昨年度の概算要求金額になるわけでございますが、百分の二の上積み相当額は約九千五百万円でございます。
  18. 山原健二郎

    山原委員 結局一億に足らぬ金ですよね。だから、そうたいしたことではないわけで、できないことではないと私は思うのですね。今度だって、あと審議される人材確保法の問題では百三十五億の金が出ているわけですから、だから私学の地位というものについては文部省もしばしば強調されてきておりますので、そういう点から考えますと、これは実現できないものでもない、また歴史的な経過とかあるいは技術的な問題などを理由にして、いつまでも遷延すべきものではないと私は思うのです。だから私学というものが、実際に国の文教行政の貧困さの中で、国民教育を受け持っておる率というのは、非常に高くて、それなりの苦労をしているわけでしょう。そういう点から考えますと、これは実現できないものではないと思うのですが、これは文部大臣どうですか。文部大臣のこれに対する姿勢を伺っておきたいのですが、このままで、大体そこそこやっておればいいというようなお考えですか。
  19. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 先日もこの問題につきまして大蔵省側質問がございまして、大蔵省側は、大蔵省側の御返事がございました。文部省としては二〇%要求したわけでございましたけれども実質大体二〇%であったものでございますから、形式は譲って、実質はとらしていただいた。一九・八二%になっているわけであります、調整補助を入れますと。二〇%との差がごくわずかでございまして、金額におきましても、ごくわずかであったと思います。大蔵省大蔵省なりに、先ほどお話が出ておりますように、公務員共済関係もございますし、いろいろ苦慮しておられるところだろうと思います。私は、将来とも私学共済につきまして、実質をぜひ確保していきたい。形式的にも、お話しのようになるたけ早く持っていきたいものだという気持ちは変わらないわけでございます。そういう経緯のあったことをひとつ御理解いただきまして、実質的には大体二〇%を確保しているということでございます。
  20. 山原健二郎

    山原委員 私学共済理事長さんにお伺いしたいのですが、皆さんのほうも、百分の二十を概算要求されておると思います。それで、それが認められた場合、どういう共済組合としての経理内容になるか、あるいは経理内容改善できるか、あるいは厚生活動におきまして改善等の計画をお持ちになっておるか。百分の二十になった場合、どの程度のことができるとお考えになっておるか、伺っておきたいのです。
  21. 三浦勇助

    三浦参考人 先ほど管理局長からも御説明がございましたわけでございまするけれども、さしあたっての概算要求は、百分の十八から百分の二十にするための、その百分の二相当額というものは、四十九年度の概算にいたしまして一億二千万円程度、それから適用除外校がもし加入することに相なりますれば一億一千万円程度、これが四十九年度の概算のおおよその見込みでございます。ただ、ここで百分の二が実現いたしました場合は、私どものほうの長期経理責任準備金にどう影響するかということが大きな問題に相なりますわけでございます。現段階でこの長期給付責任準備金必要額は大体千八百六十億でございます。そして私学共済が現在保有しております保有資産は八百二十七億、それから引き当て金といたしまして計算されるものが八百三十七億、合わせまして千六百六十四億程度でございまするから、この責任準備金必要額から差し引きいたしますと、いまの段階で百九十六億程度責任準備金不足金として計上されるわけでございます。私ども努力いたしまするところもこの辺にあるわけでございます。この百九十六億の財源を得ることによって、将来の法定給付としての長期経理の財政が、堅実になるかならないかの分かれに相なるところでございます。したがいまして、この百分の二の国庫負担率が上昇することによりまして、大体百億程度はこの不足金がカバーされるということに相なるわけでございます。その辺のところがきわめて大きな課題になるわけでございまして、でき得まするならばここで、発足当初、二十年前から厚生年金と同列な形の国庫助成を仰いでまいりましたわけでございまするけれども、四十年に厚生年金のほうの百分の二十の国庫補助実現いたしましたが、私学共済のほうはいわば取り残された形で徐々にお認め願ったわけでございますが、いまだに百分の二十の実現には至らない状態に相なっておるわけでございます。
  22. 山原健二郎

    山原委員 いま百分の二の問題についての経理上の関係お話しになりました。ほんとうにささやかな要求だと思うのですね。だからこれを実現をしていくことは私はぜひ必要だと思います。   〔委員長退席内海(英)委員長代理着席〕 同時に、先ほどから歴史的な経過として、徐々に改善はされているという形なんですよね。けれどもちっとも、いわゆる五人以上従業員を持つ企業体厚生年金よりもいつも差がついておるというような状態、これは私学論をここで言わなければなりませんけれども・それは時間がかかりますから申しませんが、私学に対する見解というもの、実際に国公私立の格差をつけてきたのには、文部省責任も、国の責任も私はあると思うのです。そういう点から考えますと、この程度改善がどうしてできないのか。  私は一昨年この私学共済法案審議にあたりまして質問をしたことがあるのです。それは先ほど名前が出ておりました各種公的年金制度調整連絡会議ですね、ここが出しておる答申の中には、たしか一本化して差別をなくせよという答申があったと思うのです。その答申もおそらく六年間続けられているわけですね、六年か四年か正確ではありませんけれども長期にわたって答申がなされておりますけれども、それが依然として解決しないその隘路、その障害になってしるのは一体何かというと、依然として不明確です。どうしてもわからない。いろいろごたごた言われますけれども、それは基本的な姿勢がかちっとしていないからで、確固たるものを持っていれば、こんな障害は突破できるわけですが、依然として解決をしない、それはどこにあるのか、一体その連絡調整会議はどうなっているのか、この点について、これは安嶋さんのほうに伺っておきたいのです。
  23. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 連絡調整会議は、これは制度の基本を論議しているわけでございまして、ただいま御指摘補助率の問題は、ここでは論議はいたしていないと聞いております。同時に、連絡会議は、お互いに連絡をし協議しということでございますので、そこが結論を出して、各省にこうすべきであるというようなことを言ってくる、そういう性質の会議ではございません。  それから、補助率引き上げの問題につきましては、先ほど申し上げましたように、年来努力をしておるわけでございます。実質的には、大臣からも御答弁申し上げましたように、ほとんど百分の二十になっておるわけでございます。ただ、これも繰り返しになりますが、補助率の問題というのは、金額の問題もさりながら、やはり他共済とのたてまえにおける均衡の問題というのが全体として見ると問題だということでございまして、御承知のとおり、国家公務員共済等の場合は、百分の十五で年来据え置かれているわけでございますが、それとのバランスということがネックになりまして今日まで実現を見ていないということでございます。  それに対しまして、私ども私学共済あるいは農林共済の特殊性というものを主張しながら、今日まで、わずかというおしかりを受けているわけでございますが、努力をし、積み上げをしてまいった、その努力は今後とも続けたい、こういうことでございます。
  24. 山原健二郎

    山原委員 繰り返し、巻き返し、これを論議しているようなかっこうになりますけれども、やはり私はなぜ進まないのかという——いろいろ理屈はあると思いますよ。あると思いますけれども、なぜ進まないのかというこの疑念は、まだ晴らすことはできないのです。  それは、その次のところをちょっと読み上げてみますと、先ほど言いました答申の最後のところになりますが、「なお、今回、厚生年金が大幅に改善される結果、本制度年金受給者が著しく不利になるおそれがある。このことは、皆年金下における公平の原則をそこなうので、この点に留意し財政基盤の強化その他基本的な検討が必要である。」こういうふうにこの答申は述べていますね。そうすると、安嶋さんが言われますけれども、やはり社会保障制度審議会答申としては、不利になるということが出ておるわけでございます。これは一体何か。  この点については、文部省はこの間わが党の栗田議員の質問に対しまして、文部省の答弁、正確でありませんが、制度上の問題もあるが、あながち不利にはならないという答弁をしたように思います。そうすると、この社会保障制度審議会答申とは、そういう面では明らかに食い違いが出てくるわけですね。  事務局長のほうに伺いたいのですが、これはどうなんですか。どういうことを意味しているんですか。明らかに不利になるということをはっきり言っていますね、どうですか。
  25. 上村一

    上村説明員 いまの個所でございますが、不利になると断定したわけじゃございませんで、「不利になるおそれがある。」というふうな表現になっております。と申しますのは、審議の過程で、具体的な例をあげてどうなるというふうなことをしてみたわけじゃございませんが、御案内のように、厚生年金年金額のきめ方と共済組合年金のきめ方のたてまえが違う。厚生年金の場合には定額部分というものと報酬比例部分の二つのたてまえになっておるのに対しまして、各種共済組合というのは、すべて報酬に比例するという形でなされております。今回の厚生年金の大幅な改正というのは、その定額部分を倍以上にした。先般の修正でさらに、その額がふえたわけでございます。それから過去の標準報酬を見直して、一定倍率を掛けて、現在の給与の実態に合うようにするという根本的な改正がされたというふうなことなので、根本的な改正がおくれている共済、特に平均標準給与あるいは給与の水準の低い農林私学については、そういう心配が出てくるのではなかろうかというふうなことで問題提起をされたものであるというふうにお考えいただきたい思います。  ただ、年金額が高いか低いかという問題を考えますときに厚生年金の場合には、支給開始年齢が六十歳でございます。共済は五十五歳でございますので、何をもって高いというか、何をもって低いというかについてはいろいろな御議論があると思うのです。
  26. 山原健二郎

    山原委員 そんなふうに言われると、はなはだたよりない質疑応答が続いているということになるわけですね。そんなたよりないものでしょうかね。具体的な審議もしないで「著しく不利になるおそれがある。」そんなことだったら、「著しく」をのけたらよかったですね。「著しく不利になるおそれがある。」と、こう書いてあるわけでしょう。私ども純真ですからね。文章どおり受け取りますよ。しかも最後に、「この点に留意し財政基盤の強化その他基本的な検討が必要である。」私は、答申のほうがむしろこの危惧あるいはそういう心配というものを明確に表現をして、それに対する改善に向かって進めということを言っておると思うのです。あなたの答弁を聞いていると、だんだんだんだん後退して、答申の文章などというものは、これは公表されているものですけれども、中身はさっぱり何もない。聞けば聞くほど後退後退というようなかっこうになってくるわけですね。そんなのじゃだめですよ。第一、私どもが百分の二十にしなさいと附帯決議をいままでつけてきたこと。皆さんの説明を聞いておると、それはあほうがやっておることだということになりかねない論法ですね。百分の二十にするのが悪いのですか。百分の二十にしなさいといままで附帯決議を何べんも何べんもっけてき、それから連絡調整会議もいってきておる、あるいは皆さんも答申しておるという、この幾つかの諸条件を合わせたときに、百分の二十にするというのは、当然の国民要求だというふうに受け取るわけにはいかぬわけですか。そんなことを言ったって、そんなことはできぬのだ。いろいろな条件がある。事務的な、いわゆる技術的なものがあるというようなことで、そんなあほうの言うことは聞くわけにはいかぬという考え方ですか。聞いておったら、そんなふうに受け取りかねない答弁になっているわけですが、そうじゃないでしょう。先ほど私学共済理事長さんも言われたように、それには大きな効果というものがあるわけですから、しかも、これはほんとうにささやかな要求として出されているわけで、これを積極的に解決していくという意欲が、私の質問に対する答弁の中では、文部省、それから社会保障審議会事務局長の答弁も受け取りかねるのですが、そういうふうに受け取ってよろしいですか。これは文部省のほうと事務局長のほう、両方から伺いたいのです。
  27. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 熱意というお話でございますが、先ほどから私は大いに努力したいということを申し上げておるわけでございますので、今後ともその熱意を持ってこの問題に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  28. 上村一

    上村説明員 私は、審議会事務局長でございますので、見解的なことを申し上げるわけにもまいりません。審議会でこうだったということを申し上げたわけでございます。ただ、私学農林については、そういう心配がございますので、このなお書きの部分が入っております。ほかの共済には、そういう点はございません。したがって、私学農林については、もっとがんばってほしいという気持ちが審議会にあるというふうにお考えいただきたいと思います。
  29. 山原健二郎

    山原委員 もう一回確認をしておきたいのですが、いま読みました「本制度年金受給者が著しく不利になるおそれがある。」という点については、文部省は不利にならないという確認ですか。
  30. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 実は、有利、不利の問題と補助率の問題とは、ちょっと別個の問題かと思うのでございますが、先般栗田先生の御質問に私がお答えをいたしましたのは、私学共済年金制度全体と、厚生年金年金制度全体を比較した場合に、現段階ではなお私学共済年金給付のほうが有利であるということを申し上げたつもりでございます。  ただ、この社保審答申にもございますように、ある部分につきましては、今回厚年内容が大幅に改善されました結果、厚生より不利になるという部分が出てきておるということは事実でございます。在職期間が二十年程度で、退職時の給与が九万円程度以下の方につきましては不利というような部分が出てまりいます。この部分につきましては、これは今後各共済共通の問題でもございますので、その辺と十分協議をしながら、その改善努力してまいりたいということを先般も申し上げたわけでございます。
  31. 山原健二郎

    山原委員 私学共済理事長さんにこの点伺いたいのですが、ここに書いてありますね、「今回、厚生年金が大幅に改善される結果、本制度年金受給者が著しく不利になるおそれがある。」ということについて、実際にこの衝に当たっておられる私学共済側としては、どういうふうに受け取っておられますか。
  32. 三浦勇助

    三浦参考人 ただいま管理局長も申されましたように、厚生年金と私事共済年金との対比は、やはり総体的には私学共済が有利だという確信を持っております。  ただ、部分的に切りますと、二十年、十万円以下のころは不利な現象が、計算としては出てまいります。ただ、実際問題として私学共済組合員がどの程度その不利な形での、給付面での適用を受けるかということになると、かなり問題があると思いますので、その点はこれから十分実態に即して検討してまいり、そしてまた文部省の指導を仰ぎながら、関係団体との調整もはかってまいりたい、こういうふうに考えております。
  33. 山原健二郎

    山原委員 いまのお答えは、「今回、厚生年金が大幅に改善される結果、」この点との関係ではどうなんですか。まあ従来的な見解お話しになったと思いますが、ここに書いてありますね、「今回、厚生年金が大幅に改善される結果、」その結果としてはどういうふうに受け取っておられますか。
  34. 三浦勇助

    三浦参考人 新しい厚年給付の実施されたその結果が不利ではないということでございます。
  35. 山原健二郎

    山原委員 不利ではない……。
  36. 三浦勇助

    三浦参考人 はあ。全体として、総体的に見た場合に不利ではない。ただ……。
  37. 山原健二郎

    山原委員 ちょっと語尾がわからない。不利ではないと。不利ではないか。かがついているのですか。
  38. 三浦勇助

    三浦参考人 不利ではないということであります。
  39. 山原健二郎

    山原委員 どうも私は、細部がよくわからないものですから、なお私のほうも検討させていただきたいと思うのですが、実際に私学の問題をこれは論議しなければ、問題にならぬわけですけれども、いわゆる教育基本法の第六条には教員の身分の尊重と待遇の適正が期せられるということが明確になっているわけで、そういう点で私は、この、皆さんが要求し、文部省要求し、われわれも各党が何べんも決議をしてきた百分の二十というものの実現ということ、これに実現の時間的な余裕を置いて、いつかは実現するのだということではなくして、この際、本年は年金の年だと言われているこの時期にやるという決意を、お互いが固める意味で質問しているわけですから、その点で理解をしてもらわなければ困ると思うのですが、そういうことですから、なお全力をあげて努力をし、また多くの組合員の期待もあるわけですから、それを実現してもらいたいということを強く要請をしておきます。  それからもう一つは、私学共済組合の運営審議会の問題でありますが、私はこの前にも要求をしたのですけれども、これもいろいろ理由がつけられましてどうもそういうことには相ならぬという答弁があったのですが、私学教職員組合の代表を参加さすべきであるという主張を持っております。現在、運営審議会は二十一名以内ですか、それで構成をされておりまして、その中には組合員あるいは学校法人の役員、学識経験者というのが入り、これが文部大臣の委嘱になっているわけでございますが、この運営審議会にいわゆる教職員団体あるいは教職員組合というものを入れることができないのか、この点を伺っておきたいのです。
  40. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 前回も御答弁申し上げたかと思いますが、この運営審議会委員の総数は二十一名でございまして、いわゆる三者構成ということになっておりまして、それぞれ七名の委員文部大臣によって任命されておるわけでございます。第一には組合員関係、第二が法人の役員の関係、第三が学識経験者ということでございます。学識経験者は、これは文部大臣がもっぱらその判断によって任命をいたしておるわけでございますが、組合員関係、それから法人関係につきましては、これは法的な制度ということではございませんけれども、実際上私学共済発足以来、私学団体の推薦によって委員を任命するという手続をとっております。その私学団体と申しますのは、全私学連合という団体でございまして、加盟団体といたしましては私立大学連盟、私立大学協会、私立大学懇話会、それから短期大学協会、それから私立中学高等学校連合会それから私立小学校連合会それから私立幼稚園連合会、この七団体をもって構成されております全私学連合の推薦者につきまして、文部大臣が任命をしておるというのが、これは実際でございます。  ところで、この全私学連合にいたしましても、私立大学連盟にいたしましても、これはいわゆる経営者と申しますか、その役員だけをもって構成されておる団体ではございません。もちろん役員も含まれておりますが、役員でない教職員も多数参加をしておる、いわば学校が加盟しておる団体でございます。したがいまして私どもは、役員だけではなくて、組合員自身の意向もこの団体には十分反映されておるというふうに考えておるわけでありまして、したがって、その団体の推薦というものを参考にして文部大臣が任命をするということでございます。  特に先般来御質問のような御趣旨のこともあったものでございますから、推薦団体に対しましては、組合員代表の推薦については、特に組合員の利益が十分代表されるような者を推薦するようにということを私どもからも強く要請をし、その結果出てまいりました候補者を参考にして文部大臣が任命をしておる、こういう手続をとっております。したがいまして、組合員の利益を守りあるいはその考え方を反映するというためには、おっしゃいますように労働組合の推薦者を入れるという必要は必ずしもないわけで、いまやっておりますような方式で、そうした配慮は行なわれておるというふうに理解をいたしております。
  41. 山原健二郎

    山原委員 それは大間違いの考え方ですよ。一年目いただきました「組合の概要」というの、これは私学共済のほうからいただいたのではないかと思います。この四九ページに、現在の運営審議会のお名前が出ております。この中で、いわゆる組合員の代表として出ておる方のお名前とその肩響きを言っていただきたいのです。
  42. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 先生お持ちの「組合の概要」は四十七年度と書いてございますが、四十七年の十月に発行されたものでございまして、その後委員の解任がございまして、この春、一月の二十三日に新メンバーが発令されておりますので、現在は手元にお持ちの顔触れではございません。   〔内海(英)委員長代理退席、委員長着席〕  現在のメンバーについて御説明を申し上げますと、組合員代表といたしましては実践女子学園の職員の永田勝朗氏、それから玉川大学教授の石田氏、学習院大学教授の恒松制治氏、それから立正女子大学短期大学部教授の加藤英氏、昭和第一高等学校教諭の原隆氏、早稲田高等学校教諭の勝山芳郎氏、八幡幼稚園職員の宮崎芳樹氏、この七氏が組合員代表ということでございます。  役員関係といたしましては、千葉商科大学理事長の原田嘉中氏、戸板学園理事長の青木あさ氏、成女高等学校長の中島保俊氏、静岡県精華高等学校長の杉原正六氏、久喜幼稚園長の高橋忠雄氏、工学院大学専修学校長小浪博氏、それから東京文化小学校校長代行の鈴木光雄氏、この七人でございます。  学識経験者といたしましては、文部省管理局振興課長の官地貫一、東海大学教授の水田直昌氏、それから日本私立大学協会事務局長の矢次保氏、日本医師会会長の武見太郎氏、東京都総務局長学事部長の大野邦雄氏、学徒援護会理事長の関野房夫氏、日本私学振興財団理事の西田剛氏、この七名が学識経験者ということでございます。
  43. 山原健二郎

    山原委員 その組合を代表する七名の方は、それぞれ全私学連合会の推薦によるもので、りっぱな方だと思います。ただ、これはいわゆる職員団体あるいは教職員組合というものは、またそれなりの多数の組合員を擁しているわけですね。いわゆる私学共済組合員を擁し、そしてまたその中で、私学の経営者との間にもいろいろな問題も派生をし、その中で苦労しておる、その代表をなぜ入れないのか。これはもう世界の通念でしょう。ユネスコ・ILOの教師の地位に関する勧告にしたって、大体労働組合代表を入れるというのは世界的な通念なんですよ。それでいろいろな立場から意見を出されて、初めて私学共済というものが、より民主的に運営されていくわけですよ。率直に言ったら、これはお名前聞きましても、私わかりませんけれども、大体そこそこ内輪の者が集まってやるというようなものではやはりいかぬですよ。ほんとう私学共済というものを、教職員の福利厚生というものを発展させていくためには、相当のけんけんがくがくたる意見の交換が行なわれていくという、そのほうがむしろ楽しくもありますし、そのほうがむしろ発展をするものなのですよ。だから、たとえば日教組の私学副長というのもおると思います。これは相当数の組合員を組織しておるわけですね。それがまた私学共済組合員でもある。これは入れていいじゃないですか。あるいは私教連の委員長というようなものもおるわけですから、この七名の中に入れてそれらの意見を聞くということ、これは私は必要なことだと思うのですよ。そんなことまで拒否するような姿勢よりも、それを入れていくということが大事だと思いますし、また第一、私学共済の第十二条には、文部大臣は「委員を委嘱する場合においては、一部の者の利益に偏することのないように、相当の注意を払わなければならない。」ということもあるわけですから、二十一名の委員の中に、組合員代表として、相当多くの組織人員を持っておる職員団体あるいは組合の長が入って悪いということがどこにあるか。これはどうしてもわからない。そういう点では、どうも文部省というのは、日教組とかあるいは職員団体に対する見解が、非常に偏狭な姿勢があるんじゃないかということがいわれるわけですよ。どこの共済制度だって、労働組合の代表は入っていますよ。それで初めて、より民主的な発展があると私は考えますので、その点ではこれはぜひ入れたらどうかということを考えますが、何か差しさわりがありますか。私学共済理事長さん、どうですか。
  44. 加藤一雄

    加藤参考人 ただいま局長からお話しになりましたとおりに、運営委員の中にも、組合員を代表して言われる方もありますし、最近はかなり強い意見がありますので、私は、それを勘案いたしますと、そう大きな非民主的なものではないとも考えておりますが、しかし共済組合自体では、その点について推薦権がありませんので、いまお話しのように文部省から各団体に通達があることによって選出されていくのじゃないか、かように考えております。
  45. 山原健二郎

    山原委員 どうですか、この点は。そういう点で改善をしていく——それはもちろんかなり私学共済の中では論議もされておると思いますね。だからいまの構成が、非民主的だなどということを私は言っているのじゃないのです。組合員の持っておる切実な要求あるいは私学の中ではもういろいろな問題が起こっていますね。  この間も栗田さんが質問をしましたけれども、たとえば解職になった場合に、いきなり私学共済を打ち切られるとか、あるいは解雇が行なわれた場合に、裁判が係属中であっても、それがいきなり打ち切られるとかというな、職員あるいは教員としての身分が保全されない不利な面があるわけですね。  そういう面を改善するために努力をしておる職員団体あるいは教職員組合の代表が入るということ、それはいいことじゃないですか。そういう点については、文部省はどうお考えになっておりますか。あくまでもそんなものを入れる必要はない、全私学連合会からの推薦があれば、それで満足すべき状態だというふうな見解をこれからもおとりになるわけですか。これは文部大臣に伺いたいのですが、ILO・ユネスコの精神あるいは国際的な潮流というものを考えました場合に、これは入れていいんじゃないか。そのほうが私はむしろもっと前進すると思います。どうですか。
  46. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 これまでの運営につきまして、管理局長から申し上げたとおりでございます。また、共済側からも、その運営によって特段の支障を来たしているとは思わないというお話もございました。いろいろと御意見もございますし、今後もまたいろいろな御意見が出てくると思います。それらの意見に十分耳を傾けながら、法に示されているとおりの運営が行なわれるように、私たちとしては十分留意してまいりたい、かように思います。
  47. 山原健二郎

    山原委員 この点は、ぜひ考えていただいて、私の見解でございますけれども、これはそのほうがいいと思います。一人、二人入って、その立場で教職員の身分擁護の面で懸命になって働いている職員団体の責任者とか、あるいはそういう者が一人、二人入ったほうが、むしろこれは私はいいと思うのですよ、発展するためにも。これは何人も入ってくるということは別にしまして、それはいわゆる私学共済にふさわしい運営審議会の適切な人員構成をやるということは、これは私学共済の発展のためにも私はいいと思いますので、そういう点でぜひこれからも考えていただいて、これはだめだということだけで論議をしないで、その辺視野を少し広げていただいたほうがいいのじゃないかと思いますので、この点は強く要請をいたしておきたいと思いますから、また検討してください。  それから最後に私学共済内容を充実することに合わせて未加入の問題がございます。未加入問題を考えることは、非常に必要な時期に来ておると思いますが、これは議員立法の問題なんかも論議されておりますが、この点についてはここで聞くべきことかどうかちょっとわかりませんけれども政府として、文部省自身で、この法案提出をするような気持ちがあるかどうか。これは最後に伺ってみたいのです。
  48. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 米加入校問題につきましては、文部省といたしましては前向きで解決すべく、年来努力を続けてきておるわけでございますが、政府部内におきましては、厚生省その他いろいろ意見がござまして、にわかにその意見の一致を見るという段階ではございません。したがいまして、この問題を政府提案という形で国会にお願いするということは、現段階では困難かと思います。
  49. 山原健二郎

    山原委員 とにかくいろいろ申し上げましたが、今日の私学問題の重要性の問題、これはいままでにないそういう時期を迎えているわけですね。私学の問題は、もう教育の問題で口を開けば私学問題が論議をされるという状態、そして私学のほうからも、いろいろ施設その他の改善の問題を含めまして、教職員の待遇の問題、いわゆる教育基本法に従うそういう待遇を適切にしてもらいたいという要請も、ことしほど強いときは私はなかったと思います。  それから、年金問題についてもしばしば申し上げましたように、ことしは年金の年といわれるこの年金問題についても、ほんとうに基本的に考えなければならぬ時期を迎えているわけで、二つのこの面から考えましても、この私学共済の充実、そして百分の二十に象徴される問題も、これはもう強く各党が要求しておるところですから、相当腹をきめてこの問題解決のために努力してほしいということを要請しまして私の質問を終わります。
  50. 田中正巳

    田中委員長 小林信一君。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  51. 田中正巳

    田中委員長 速記を始めて。
  52. 小林信一

    ○小林(信)委員 この私学共済組合法というものは、私学の皆さんにとっては非常に大事なものだと思います。それにつきまして、この審議が始まって以来もっと国の負担を多くしてほしいとか、あるいは掛け金をふやさなければならないような情勢もあるとか、あるいは一医療費を国が心配しろとかいうような面でだいぶ御論議があり、これに対する政府側の御意向も承りましたけれども、大事なことは、この共済組合法の運営というものが一体どうでなければならぬか、現在のような状況でいいかどうかということが、もっと検討されてくれば、勢いいまのような政府の——これは文部省とは申しません、政府全体が踏み切るものも踏み切れなくておりますが、そういう運営の実態というものをもう少し深く当事者が検討していけば、これが無理もないことだということになりはしないかという、私はそういう観点から、主として運営面で質問を申し上げたいと思いますが、同僚議員の山口委員もこの点には非常に研究を深くしておるものでございまして、その質問のうちで、理事長さんあるいは常務理事さんに、お見えにならなかったのは非常に残念で、特にそういう点をお尋ねしたいというようなこともありましたが、御本人の都合がつきませんので、かわって私から質問してまいりたいと思います。  先ほど来お伺いいたしましても、理事長さんあるいは常務理事の方たちの答弁が、文部省というものがつくっておるワクの中で動いておるんだというふうな印象が私にはしたのですが、元来、いまの経済事情、それから組合員の生活事情、これはもう私が申し上げるまでもなく、かってない非常に複雑な事情下にあるわけであります。だから、いままでやってきたものを、そのまま踏襲していくというふうな組合の運営でなく、前発言者も申しておりましたけれども、運営審議会内容を充実するというふうなことも私は一つの問題だと思いますが、とにかく、当事者の現在の諸事情から、最も創意くふうが強く要求されておるのではないか、こう思うのです。この点が、創意くふうが生かされるのか。しかし、大事な国の金を使いあるいは組合員の金を預かっておるものであって、赤字を出してはならない、あくまでも健全な財政を保持しなければならぬというようなことをたてまえにして、融通のきかない運営がなされていはしないかというふうな感が私にはするわけなんですが、文部省側は、運営に対してはどういうふうな態度で臨んでおるか。あるいは理事長あるいは常務理事の方たちからは、もう少しこの窮屈さを解いてもらいたいというような御意見があったら、まず基本的な問題としてお伺いしてまいりたいと思います。  文部省からお願いいたします。   〔委員長退席内海(英)委員長代理着席
  53. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 私学共済という事業は、御承知のとおり私立学校職員の相互扶助事業を行ない、その福利厚生をはかるということが第一の目的でございまして、その結果、私立学校教育の振興に資するということでございます。したがいまして、当面の事業目的は、相互扶助事業、福利厚生をはかるということでございます。  相互扶助事業の内容といたしましては、いわゆる短期給付長期給付の事業ということが一番おもな事業でございますが、御承知のとおり、この事業は非常に長期にわたる事業でもございますし、かつまた非常に技術的にも綿密な、厳格な配慮をする仕事でございますから、私立学校教職員共済組合法におきまして、かなり詳細な規定が設けられておるわけでございます。したがいまして、弾力的な運営をはかるということは必要なことでございますが、短期給付長期給付の事業につきましては、一定のきちんとしたルールに従って事を処理していくということが、むしろ事業本来の趣旨を達成する、あるいは効果をあげるという点からいたしまして、必要なことかと思いますが、しかし、その他の面の、たとえば福祉事業等でございますと、これはかなり自由にと申しますか、裁量をもって遂行できる部分があるわけでございまして、文部省もそうした事業の推進には留意をいたしておるつもりでございますが、組合の当局自体もそうした配慮をしながら、現在運営に当たっておるところでございます。
  54. 加藤一雄

    加藤参考人 いま局長からお話がありましたが、われわれも自主的な立場でできるだけ現在の組合員の福祉ということに重点を置き、さらに先ほどからお話がありましたように、年金という問題についても不安のないような情勢に持っていくということに、極力力を尽くしておりますが、ことに福祉の問題につきましては、運営委員会の中に福祉小委員会というものをつくりまして、さらに現在の姿をもう一度検討していこうじゃないかということで、たとえば貸し金の問題の金額問題とか、利子の問題とかあるいは家の問題とかいうことについて、詳細にいま検討しつつあるわけであります。ただ、零細な掛け金の蓄積の財産でありますから、経営に出資もできませんから、よく検討いたしまして、できるだけその線に沿うように努力はしております。また、運用につきましても、運用研究委員会を設けまして、研究して、資金の運用についても詳細に各専門家の意見を聞いてやるというふうにいっておりますので、そう文部省の意向に縛られておるというほどの情勢ではないことを申し上げます。
  55. 小林信一

    ○小林(信)委員 いま局長さんがおっしゃったように、いろいろな規定もある。規則もある。そういうものを逸脱するということは私はいけないと思います。しかし、何となく運営に当たる人たちが、あまり出過ぎてはいけないのじゃないかというような心配をするところを私はこの際は排除して、経済的に実際むずかしいときであります。しかも、私立大学の中には、私ども伺っておりますと、私立の経営が困難であるために、十分な給与をもらっておらない人たちも、たくさんあるやに聞いております。ことに幼稚園等が多い事情等を考えますと、ほんとうに福利厚生というものは、この際、決してワクをはみ出ろということではありません。ワクの中でも、文部省も、そして運営に当たっておる皆さんも、いろいろくふうをされることが必要じゃないか、こういうふうに思うのですが、それにつきましても、局長にお伺いいたしますが、この私学共済組合法の第一章に、「ただ単に相互扶助事業を行い、その福利厚生を図り、」というだけでなく、そのあとに、「私立学校教育の振興に資することを目的とする。」こういうことばがあるのが私は何か気にかかるのですよ。やっぱりほかの共済組合とは違った、私学教育の振興に寄与するとあるところに私は思いをいたして、もっと私が申し上げたようなことが十分その運営に考慮されなければならぬと思っておりますが、この私立学校教育の振興に資することをもって目的とする、これをどういうふうに解釈し、それが運営の中にどういうふうに考慮されておるか。これもやはり両者に私はお伺いしたいと思います。
  56. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 御指摘のとおりのことかと思いますが、そうした私立学校教育の振興に資するということが、具体的にどういう形であらわれているかということになりますと、これは、他の共済組合私学共済がかなり違います点は、やはり財源の負担の問題であろうと思います。  一つは、私学振興財団から補助金を私学共済は受けております。また、都道府県からも補助金を受けております。こうした共済組合はほかにはないわけでございます。  なぜそういうことをやっておるかと申しますと、これは都道府県におきましては、それぞれ管内の私立学校教育の振興をはかる、それは具体的には掛け金負担の軽減という形になっておるわけでございますが、そうしたことが行なわれておる。それから振興財団からの補助といたしましては、恩給財団等の既裁定年金引き上げに伴う原資を見るとか、あるいは保養所等の新設をやります場合に、その経費を補助するといったようなことがあるわけでございまして、これも他共済に例を見ないことでございますが、そうした事業を通じて私立学校教育の振興をはかるということをねらっておるわけでございます。  他共済と違う特色と申しますればそういうことでございまして、そういうことによって私学教育の振興に資しておる。  もちろんそれだけではなくて、本来の事業でございます長期給付、短期給付の事業も、これは私立学校教職員の処遇なり福利厚生が向上する、そのことによって私学の先生方が、安んじて教職に立ち得るということになるわけでございますから、それもそうした効果があろうかと誓えております。
  57. 加藤一雄

    加藤参考人 先ほど申しましたように、私学教職員私学教職員である誇りを持てるような、そういう段階に持っていきたいというのがわれわれの現在の希望でございまして、たとえば先ほど申しまたように、将来安心して教育の事業に専任できる、現状として安い金で保養もできる、レジャーも楽しめるというようなねらいを考えて施設も拡充していきたい、かように考えております。
  58. 小林信一

    ○小林(信)委員 御両者の御意見もごもっともだと思いますが、この法律をつくるときに、当時日本医科大学の学長でありました河野さん、前の理事長さんでありますが、だいぶ苦労をされたのを私も知っております。そうして清水さんが事務局を担当して、この法律を仕上げるのに非常に苦労をされましたが、その当時は、私立学校というものは、私立学校法が出まして、私立学校に対する国の補助というものもいままではなかったものを、私立学校の公益性、そういうふうなものを認めて、国の補助をする対象にした過程から、それを起因としてこの法律をつくり、さらにその法律の中にいまのようなことを入れたように私は記憶しております。   〔内海(英)委員長代理退席〕  この問題点は、一番重点というものは、ほかの共済組合、国立だとか地共済とかいうものと同等に取り扱えという、そういうことが私は大きな趣旨ではないかと思います。したがって、国立あるいは地方共済、こういうものと何ら私立学校共済も変わるべきものではないということが趣旨であって、あくまでも私立学校であるから、私立学校というその特性の中でというふうなものでなく、もっとその私立学校の公共性というものを考えて運営をすべきであるというように、まあその当時を私記憶しておりますが、いまはもう私学というものも何ら国立、公立と変わらない一般概念がございますので、私立共済に対しても、同じような扱いがされておると思いますが、やはりそういう点も私ども考えて、ほんとうに国共あるいは地共というものと同等の扱いで、あくまでもこの福利厚生あるいは相互扶助、それも決して私学という範疇の中でするのではなく、同じ日本の教育に携わる者という立場で考えていかなければならないというように考えておりまして、それには、先ほど申しましたような私学というその特殊な事情というものを——中にはそれは十分な給与で働いておる先生方もございますけれども私学なるがゆえに、ときに高等学校私学に入学する率が少なくなる、したがって、財政的に困難であるとか、あるいは大学の中にも、一人前の教授を雇うことができなくて、中には非常勤講師くらいの者をそろえて大学経営をやっているというふうな大学もあると聞いております。そういう私立学校の特殊性を考えれば、公立あるいは国立の先生方は、一方において身分保障というものは国が責任を負っておる、公共団体が責任を負っておる。ところが、私立大学、私立の学校の中には薄給に甘んじて仕事をしておる人たちもあるとすれば、かえって国立あるいは地方共済以上に、常に運営に当たる人たちが配慮をしていかなければ、この法律の第一章というものは生きてこない。あたりまえ、普通と同じに扱えばいいのでなくて、よけいに心配してやらなければならない。未加入校の問題等も先ほど論議がありましたけれども、こういう問題はもっと積極的に力を尽くしていかなければいけない。こんなふうに私はまず第一番、この第一章の精神というものを理解して、もっと今後その充実に当たっていっていただきたい、こう思うのです。  これから具体的に、運営面で二、三お伺いをしたいと思いますが、これは一つの例でありますが、資産第三、この組合員のために金を貸し出す部類の問題でありますが、ワクは二五%、総資産の中から使ってよろしいということをこの審議の中でも、お聞きいたしましたが、いま実際使っておるのは一二%だ、こういう話もございましたが、いまの時代でもって、かえって二五%をオーバーするような使い方がなされなければ、私はほんとうの運営じゃないと思うのですが、何か私学の人たちが、金なんかはあまり借りなくてもいいという事情にあるのか、何か運営面で窮屈なところがあるのか。運営面と申しますと、貸し出す条件とかそういうものに窮屈なものがあるのか、私はこの点理解がいかないのです。  たとえば、この論議の中の数字の扱い方を聞いておりまして、八十億がいま貸し出されておる、いろいろな名前で貸し出されておると思うのですが、八十億が二五%に対しては、これは昭和四十六年の資産内容考えられたものだそうでありますが、その当時は資産六百七十億、六百七十億の二五%の中の貸し出し金一二%といえば八十億になりますが、現在は、四十八年の現在もし調査するならば、六百七十億でなくて八百二十億くらいになるという話を聞いております。そうすると、運営されておる八百二十億の中の八十億というものは六%くらいにしか当たっておらない、といえば、二五%のワクを持ちながら六%しか使っておらないというようなことは、非常に福利厚生という精神が生かされておらないような気がいたします。  そういう概括的なものをお聞きするよりも、具体的な問題をお聞きいたしますが、いまほかの共済組合で最も重宝がられておりますのは、住宅の資金を借りることであります。これはお互い共済組合の問題だけでなく、国の政治全体の問題であります。いかに住宅を供給するか、確保するか、これは懸命な努力をしておりますが、なかなか思うように住宅問題が解決をしない。そういう中で、一般の働く人たちは、少なくとも自分が自分の家に住みたいという希望から、土地を見つけ、そして住宅金融公庫あるいは共済組合から金を借りて住宅をつくりつつあります。ところがこの数字から見れば、私学の皆さんが住宅をつくりたくないのか、つくる必要がないのか、つくりたくても条件がむずかしいからつくれないのかということを、どうしても私は聞きたくなるのです。金利が高いか、あるいは抵当物件がむずかしいのか、あるいは償還期間が非常に短いというのかというようなことが問題になると思うのですが、この点、ひとつ理事長さんでもけっこうですし、常務理事さんでもけっこうですが、わかったらお知らせ願いたいと思います。
  59. 三浦勇助

    三浦参考人 ただいま先生から御指摘をちょうだいした点は、やはり私学共済の業務を遂行するわれわれの立場といたしましてもきわめて懸念され、改善する方向に努力せざるを得ない課題でございます。したがいまして、ただいま先生の数字よりも少し新しい数字がございますのですが、貸し付けの総額といたしましては七十七億程度のところまでまいっております。そしてその構成割合といたしましては一二%弱でございますが、この規定による構成割合は二五%以内でございまするから、その限度まではまだ余裕がございますわけでございます。この点は、運営審議会の内部におきましても、きわめて強い御意向がございましたので、この福祉事業対策小委員会先ほども申し上げましたような委員会を構成いたしまして、そして目下これに対応する姿勢検討中でございます。たとえば貸し付けの段階におきまして担保処理の緩和とか、それから貸し付け額の適正限度までの積み上げとか、それから処理方法の簡素化とか、それからやはり貸す金も借りる金もこれはみな組合員の金でございまするので、やはりその処理が適正でなければならない、そういった諸般のかかわる問題等を検討すべく、いま運営審議会検討中でございます。  いまのところわれわれとして対処いたしましたところは、現行の貸し付け額三百万円では不十分であるというので四百万円に引き上げること、それから現行の償還回数百八十回を二百四十回に引き上げる。それからやはり返還能力の問題にかかわることが大きな問題でございますので、償還金対給与限度率というものを二二%から二五%に引き上げるといったような措置を講じつつございます。いずれにいたしましてもいま鋭意運営審議会のほうで検討中でございますので、われわれといたしましてもその方向を十分尊重して、適正な対処をしてまいりたいと存じておるわけでございます。
  60. 小林信一

    ○小林(信)委員 文部大臣にも少し聞かぬと、文部大臣が眠くなりそうですからお聞きいたしますが、いまの話を聞いてどう思います。いまのような住宅事情の中で、中小学校の先生なんかは、その共済組合を使って住宅をつくって非常に喜んでいるのですよ。ところが私学共済においては、二五%使ってよろしいものが一二%しか使われていない、余裕があります、いまこういう御説明ですよ。その事情はどういう事情だということを大臣も聞いて——いま対応策を練っておる、審議をしておるというふうなお話ですが、何か時代おくれのような感がいたしませんか、大臣の所感をお伺いいたします。
  61. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 私学共済制度の中におきましても、住宅建設にもっと資金が充てられるように運営の改善を鋭意検討しているようでございます。ぜひその成果を待ちたいわけでございますが、同時に日本の住宅政策全体について、土地の問題がからんできたり、あるいは物価の騰貴がからんできたり、いろいろいたしておるわけでございますけれども、そういう問題について、私、個人的には、住宅問題について特別な国としての助成方策を立てるべきだということを、年来主張しておるものでございますが、今後もさらにそういう方向で努力を続けさせていただきたい、こう思っております。
  62. 小林信一

    ○小林(信)委員 大臣は、よく聞いてなかったわけですね。私の聞いているのは、金はあるのですよ。二五%使ってよろしいという、そういうワクがある中で、使っているのが一二%しかない。どういうわけでせっかくそのワクがあるのに使われないのか、そのことを大臣はどうお考えになるかで、国が補助するとか、国が金を出してやるとかいうことではない。使ってもよろしいという金が使われておらない、何かそこに不審がわきませんかということを私は聞いたわけなんですが、それは大臣では無理だから、局長さん、それを聞いてどうお考えになるか、ひとつお考えを聞かしていただきたいと思うのです。
  63. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 そういう意味でお答えをしたわけでございまして、土地問題等がからんでおるものですから、そういう意味でお答えしたわけでございますが、なお管理局長のほうからお答え申し上げます。
  64. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 御指摘のとおりの問題があるわけでございますが、先ほど組合のほうからも申し上げましたように、四十八年度の事業計画といたしましては、たとえば返済の月数を従来の百八十カ月から二百四十カ月に延ばすとか、あるいは利率も現在年率六%でございますが、文部共済並みの五・八八%に引き下げるとか、そういった改善をはかっておりまして、住宅貸し付けの内容の充実をはかっていきたいということでございますが、全般的に申しますと住宅貸し付けに対する需要が、私の聞いておるところでは従来は必ずしも多くなかったということでございます。多くなかったその原因は何かと申しますと、やはりいま申し上げましたように貸し付け条件がきつかったということがあろうかと思います。ですから、その貸し付け条件は、ただいま申し上げましたように、緩和をするという努力をしておるわけでございます。また貸し付け限度額も引き上げるということを考えておるわけでございまして、そうした措置を講ずることによりまして、むしろ貸し付けに対する需要がさらにふえるであろうということも期待をしておるわけでございます。結果といたしまして、そうした事業がさらに拡充されるということを期待しておるわけでございます。ただ大臣申し上げましたのは、住宅を建てると申しましても、やはり土地の入手というようなことが一般的に非常に困難な事情がございますから、建物の貸し付け金だけを改善をいたしましても、そちらのほうの問題がネックになってなかなか現実問題としてお金が借り出されないというような事情も、一般的な状況としてはあろうかと思います。
  65. 小林信一

    ○小林(信)委員 大臣失礼いたしました。大臣がもっと利子を安くするとかいうわかりやすい答弁をしなくて、高度の点で御答弁があったのですが、これは全く大臣のおっしゃるとおり土地という問題が——金を借りても土地がなければ建てられぬわけですから、これはやはり全般的な土地をいかに確保させるかという高い次元での考慮が必要なんですが、私は非常に次元の低いところで御質問申し上げたので、うまく車が合わなかったと思うのですが、利子を安くしてほしい、あるいは抵当物件をあまりきびしくしないでほしい、あるいは償還期間も長くしてもらいたいというような希望があると私は思うのです。そういうものが一つ障害になっていまのような現象が起きている。非常に金がありながら、住宅問題を解決するという国の施策の中でも、こんなようなネックが至るところにあって住宅問題が解決されておらないとすれば、単に共済組合の運営だけではなく、大きな政治問題だとも考えるわけなんです。  そこで、当事者にお伺いいたしますが、いま土地の問題が出ました。そうすると住宅——私は全般的にお聞きしたかったのですが、一体共済組合のこういう貸し出し金なんかを使うのは、全国平等に行なわれておるが、何か地域的に都会地周辺の人たちが利用して、あるいは比較的いなかのようなところの私学の人たちは、こういうものを使うか使わないかというような、地域的な差というものも実は聞きたかったのですが、そういう統計があったら知らせていただきたいのですが、それはまた次の問題として、いまの問題として大体三百万を四百万にするとか、あるいは償還回数を百八十回から二百四十回にするという回答は得ましたが、利息の問題でもう少し安くできないかというふうなことはまだ答弁がないのですが、そういう点は理事長さんのほうでは、いまの率でいいのか、もっと安くしてほしいのか、どうですか。
  66. 加藤一雄

    加藤参考人 利子のほうの問題は、いま局長からお話があったように、五分八厘八毛まで引き下げていただいたわけでありますから、さらにいまお話しのように努力するという話ですから、交渉して少しでも安くしていきたい、かように考えておりますが、いま全国的に非常に多数申し込みがあることだけは事実でございます。それに応じて、先ほど申しましたように、運営委員のほうの小委員会でさらに分析をして、いかに安く、いかに金額を多くするか、そういう点について、いま審議されておりますので、それに応じて前進していきたい、かように考えております。
  67. 小林信一

    ○小林(信)委員 そういうお話の中からも理事長さんあるいは常務理事さん、いままでの文部省との関係なんというものは払拭してしまって、ほんとう共済組合員の気持ちになって利子は下げてください。下げることをあなた方考えてほしい、あるいは抵当物件の問題も、この状態だというふうなことを強く要請するような姿勢をつくることが、私はいまの時点で一番大事な点だと思うのです。私がいままで受けた印象からすれば文部省という固いからの中で——これは事業と同じですよ。その事業を運営するには、従来の固いからの中で仕事をしておるような気がするのですが、今度はそういう点では理解のある局長さんが出ているのですから、だからひとつうんと注文をして、いまのように二百四十回償還というところまでぜひひとつ実現をしてもらいたいし、利息も世間が六分だからまあそれより少し少ないところで五分八厘なんて、そんなけちくさいことを言わずに、率先して利子を安くするというふうにしてもらいたいと思うのですが、いま理事長さんのお話で非常に希望者は多い、審議会検討する場合に、なぜそれが満足されないのか、これは聞きたくなることです。というのは、条件がそろっておらぬから、その人たちに貸し出すことができないというのですか、ちょっと理解ができませんので、もう一ぺん御説明願います。
  68. 加藤一雄

    加藤参考人 現状で、いまの回数をふやしたということ並びに利子を下げたということによって、浸透したと思いますが、そういう意味合いからも多数申し込んでおりますから、さらにいまのような努力をいたしまして、文部省ともよく折衝いたしまして、利子を下げるとかあるいは抵当物件などの緩和というようなことを考えますれば、その点はかなり組合員の要望にこたえることができるのではないかと考えております。また学校側にいたしましても、先生方の宿舎をつくるということも非常に要望がありますので、この点もできるだけめんどうを見て、学校側でつくるものは、学校側でその教職員の住宅難の緩和ということにも、われわれ目を向けまして努力いたしております。
  69. 小林信一

    ○小林(信)委員 そのことについてもう一つお伺いしたいのですが、というのは共済組合の運営の面で、いまの償還期間とかあるいは利子とかあるいは抵当物件とかいうふうなものをいま検討したわけですが、常にこれは住宅金融公庫とか住宅公団とかあるいは同じ共済組合、他の共済組合というふうなものと比較をされてやっていると思いますが、そういう点の差というふうなものが何かありましたら、この際明確にしていただきたいと思うのです。
  70. 加藤一雄

    加藤参考人 それは常に各組合とも比較いたしておりますが、ただ利子のほうは、法律的に五分五厘以下には下げられないというような規定があるようでございます。その段階でまあ六分が五分八厘八毛というところまでいったのが現状でございますが、さらに折衝して可能性があれば努力いたしたい、かように考えております。
  71. 小林信一

    ○小林(信)委員 同じようなことを聞いてまいりましたが、私はいまの問題は、単に住宅という問題からそれがどういうふうに貸し出されておるか、利用されておるかという点を一応こうさわってみたんですが、これ一つを見ても、いまの時世の中では、組合員が生きるための要望というか、共済組合員は大きな期待をかけている。かけているけれども、なかなかそれがうまく運営できない。組合員の立場を考えるならば、文部省も当事者も相当思い切った措置をこの際考え、これは単に住宅という問題だけを取り上げたんですが、運営の妙を得て努力していただきたいと思うのです。  そこで、共済組合からもらった資料なんですが、この資料は組合員の皆さんの生活実態というものから、いかに共済組合は活動しなければならぬかという点でアンケートをとったものですが、いつのものかよくわかりませんが、これを見ますと、組合員の男の人の第一の希望は土地及び住宅の分譲貸し付けである。金を借りて、土地を見つけて、家を建てるということよりも、もっと希望することは、土地及び住宅の分譲、貸し付けをやってもらいたい。これが男の人の希望ですね。これが第一位であります。  ところが、私がいままでの文部省なり共済組合なりのあり方から見れば、土地を購入してそれを分譲してやるとか、あるいは土地と住宅を一緒にして、さあほしい者はこれを買えとか、金は貸してやる、償還はこういう条件である、抵当はこうである。抵当の問題なんかいえば、普通は土地をまず確保して、その土地を担保にして家を建てる。ところが、こんなことはとても先生方にできないのです。できないから土地を共済組合が買って、それをわれわれに分譲してほしい。できるならば、土地と、家を建てて、そして土地つき住宅を分譲してほしい。これは当然なことであって、国もやっているわけなんです。共済組合がこの面の心配をする使命というものを持っておるとするならば、当然要求することなんですが、こんなことがあなた方にできますか。失礼な言い分ですが、いままでの伝統からすれば、そんなところまでとても踏み込めないと思うかもしれませんが、要求はこういうふうに第一位でもって要求しているわけなんですが、まず、これは大臣からお伺いしてまいりたいと思います。
  72. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 ちょっとその前に私から御説明を申し上げたいと思いますが、現在の私学共済の事業といたしましては、まだそこまでいっていないわけでございまして、当面は貸し付け金の条件を改善し、その増額をはかるということに重点を置いているわけでございますが、公立学校共済組合におきましては、すでに組合員に対する土地及び住宅の分譲の事業に手をつけております。金額は、まだ公立学校共済組合におきましても、わずかでございます。これは、今後拡充してまいりたいというふうに脅えますが、私学共済も今後の課題として、やはりこういう課題に取り組むべきであろうというふうに考えております。
  73. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 私学共済も、組合員の要望にこたえる方向で努力すべき問題でございますし、また同時に、いま御指摘になりましたもの、私もやはり一番の強い願望だろう、かように考えております。したがいまして、そういう線に沿えるように将来とも基礎の確立をはかると同時に、方向としては努力すべきものではなかろうか、こう思います。
  74. 三浦勇助

    三浦参考人 いまの段階で、ことに若い人たちが、自分の家を持つということは、一つの夢でありますし、生活の目標でございますので、国民的な要望としても当然のことながら、組合員としての要望も、その点は先生御指摘のようにきわめて強い要望でございます。ただ、土地を買いまして分譲するというような形を、われわれの業務の内容として取り入れるには、きわめて慎重な用意が必要でございます。したがいまして、先ほども申し上げましたように、運営審議会の福祉事業小委員会は、そういった組合員大多数の意向を踏まえた上での適切な対応策を打ち出そうという形で検討しているわけでございまして、私ども事務的な立場での事務処理上の感覚からいたしましても、現在の私学共済自体でやるほうがよろしいのか、あるいは別人格の私学共済福祉財団といったような形のものをつくってやっていったほうがよろしいのか、その辺のところを目下勉強中でございまして、いずれまたこれは文部省のほうの行政的な御指導も拝聴しながら、適切に、早急に、ただいま言った運営審議会委員会の意向等も踏まえまして対応してまいりたいというふうに考えておるわけであります。
  75. 小林信一

    ○小林(信)委員 あなたのいま御答弁なさったそこが私は問題だと思うのですよ。もう局長も、すでにほかの共済組合でもそこまで踏み切ったんだということは、私学共済にもやる意思はあるんだということをほのめかしたと同じだと思いますよそれから大臣だってそれを非常に心配しているんだ、そのことが一番大事だ、こう言っているやさき、あなたのほうで、行政指導を仰がなければできぬなんて、そこでもう行政指導が出ているのですから、それをやはり一つの理屈にして、あなたは、委員会でこういうふうに局長言ったじゃないか、大臣、こう言ったじゃないか、そういうことが、あなたが先ほど申しましたように、組合員という立場に立っての運営をやるかやらぬかの問題点だと思いますよ。何かあなた自身の立場を非常に考えてものを言っているような気がしますが、大いにもっと、一人の組合員だというくらいの気持ちでもって、いまのような言質をとらえて、度胸よく運営をしていく、それが私はこういうむずかしい問題を実現をしていく道じゃないかと思います。別人格だとか、行政指導だとか、何かやはりこの際やるには——土地の買い占めをやって金もうけをしろなんて私は言いませんよ。しかし、あの企業家的な根性というものがなければこういう仕事はできないと思うのです。確かに昔のお役人さんが、どこかに土地はございませんかといってさがしたって、そんな土地はめっかりっこない。別人格でそれらにやらせるという、そういう仕事はやりやすいのでしょうが、そんなことをやっていたらだめだと思うのです。  それから小委員会で云々という話がありましたが、その小員会を、そんな御答弁なされば、さっき委員会の、審議会の構成にこういう人間を入れろという御要求がありましたが、そういうものにこだわっているところが、やはり小委員会とかあるいは審議会の運営というものが、文部省の御意思をそんたくしてというふうな形になって、組合員の立場に立てないということだと思うのです。やはりこの際の経済事情、それからこの物価高で苦しんでおる先生たちの生活の事情というものをお考えになるならば、もっと度胸よく運営をされなければならぬと思うのです。私どももちろんこのことは非常に困難だと思いますが、そこまでいけば、この共済組合法をつくった皆さんの先輩河野さんも私はよく知っていますが、その人たちの精神というものが発揮されるような気がいたします。以来確かに組合は存続するけれども、それから少しも進歩しない。きょうのような時世の中にどんどん体制を転換していかなければならぬのに、依然として昔のからに閉じこもっておるような気がするのです。だから当事者がもっと心を入れかえて、そして文部省をゆさぶるようでなければいけない。文部省からあれだけの大胆な答弁があっても、なおかつあなた方は行政指導を仰ぐなんという丁重なことを言っていますが、きょうのような、あなた委員会でもってこう言ったじゃありませんか、だから私どもは踏み切りますよというくらい度胸よくやっていただきたい、こういうことを私はいまの問題からは希望します。  今度は小さい問題ですが、やはりこのアンケートの中で女の先生の立場からすれば何を希望するか、第一が保育所であります。これはもう無理もないと思いますね。自分が子供を産みたい、子供を育てたい、そして自分が職場にありたいというような念願からすれば、保育所というものは必要になるわけですが、このアンケートの女の方の希望の第一位にあげられておるということ、どういうふうに当事者である理事長さんなり常務理事さんはこの点をとらえられておるか、お聞きしたいと思います。
  76. 三浦勇助

    三浦参考人 組合員である女性の方々にとりましては、当面の生活課題としての保育所の重要性は十分に理解できるのでございますが、ただこの問題は、地域性とのかかわり合いから、私学共済が保育所を設置するということはなかなかむずかしい問題があるわけでございます。ただいま私のところの直轄医療機関として、下谷病院を設置して運営しておりますのですけれども、この問題につきましても全国的な規模の私学共済が、組合員を対象として、これを運営していくという面では、かなりこの診療対象の把握に問題があるわけでございます。しかし、これは私学共済の性格上、当然この直轄病院は維持しなければならないというような見解に立って運営しているわけでございますが、保育所も全国組織として、下谷に一つの病院を持つという形とはかなりほど遠いのでございまするけれども、やはりこの全国に点在する私立学校というものの教職員を、どの地域でどういうふうに把握していくかということは、やはり保育所設置の場合の運営にきわめて大きなかかわり合いを持つことでございまして、これもまた十分検討をしつつありますし、また運営審議会等にもはかって対応しなければならない問題であるというふうに考えております。
  77. 田中正巳

    田中委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  78. 田中正巳

    田中委員長 速記をとって。
  79. 小林信一

    ○小林(信)委員 私は大体こういうこまかい問題を——こまかいということはないんですが、組合員の要望を聞いて、そうしてこの審議が始まって以来問題になりました千分の二十にしろとかあるいは医療費一〇%を何とか心配せよというふうな問題を、こういうものを一つ一つ考えてみた場合に、もっと国が相当金を出さなければ、掛け金を増大しなければほんとうに満足できる、時代に沿った共済組合の存在にはならないということを申し上げる意味で私は申し上げたんですが、いま常務理事さんのおっしゃった、検討中でございます、こういうことを最近国会で言うと、政府自体でもあまり答弁にならないことになっているんですよ。審議会にかけましてどうだとか、やっぱりもう即断、こういたします、あるいはできません、ということが大事なんですが、確かにこの保育所難という問題、おっしゃるとおり、これは設置しようと言ったって、散在している各私立学校の女の先生方を満足させることはできないと思うのですが、しかし、それができなくても、その近所に保育所があるならば、その保育所へ預けた場合には、共済組合が設置した保育所に預けたと同じような条件はめんどう見ますという方法もあるでしょう。私はそこを創意くふうをして、もっと組合員の利益をはかるような運営をしなければいけない、こう言いたいんです。  それから、もう委員長からきついお達しがありましたので申し上げませんが、こういうアンケートを見ますというと、全く組合員にかわって皆さんに申し上げたい点がたくさんあるのですね。生活用品等を供給をしてほしい。こんなのは相当高いところで、しかも男女を問わず要求しております。鉄道の弘済会みたいな、物を安く大量に買って、そうして安く自分たちに分配してほしい、こういうシステムだと思うのですが、そういうこともあげてまいりますというと、限りがありませんが、とにかく共済組合に対する信頼感から私はこういう要望が出ていると思います。その信頼にこたえるためにも、勇敢に当事者は当たっていただきたいし、そして文部省サイドでものを考えるのじゃなくて、組合員サイドでもってものを考えていくべきじゃないか、こう思います。  最後にお聞きいたしますのは、会館というのが全国で三つありますね。これでいいのですかね、もっと建てる予定ですかね、どうですか。
  80. 加藤一雄

    加藤参考人 いま先生のお尋ねの件でありますが、現在北海道札幌、それから東京、愛知と三つありますが、さらに福岡のほうに土地をかねてから持っておりますので、土地の福岡方面の、九州全体の私学のほうの要望もありますので、何とかこれをひとつつくりあげていきたい。  しかし、いままでの慣例上、地元の負担というものがありますので、いま検討しながら県あるいは市と折衝をしておる段階で、まだ完全にいつできるというところまでいっておりませんが、いくように努力をしつつある状態であります。
  81. 小林信一

    ○小林(信)委員 健全財政とか、いま持っておる金の範囲内でとかいうことになれば、いま三つしかないのですから、これを私どもが希望するように、各府県に設置してほしいというふうなことは、これはとてもほど遠い希望になるかもしれませんが、いま申しました組合員の生活必需品を、一ぺんに購入して分配してもらい、供給してもらいたいというようなものの満足、あるいは医療の問題とか、いまの保育所の問題とか、あるいは住宅の問題とかいうものを検討してもらうためにも、私は会館が一つのセンターになると思うのです。集会所と宿泊所を持てばいいのでなくて、もっとほんとうに組合の運営が組合員の要望に沿うためには、こういうセンターを私はつくることが第一じゃないか。温泉をつくって、そうして組合員のレジャーに使うなんという、これも私は大事だと思いますが、しかし、その程度ではない。いかに組合の運営を、組合員の要望を可能にさせるためにやるかという点から考えれば、私はこの会館の設置というものが必要だと思うのです。いま理事長さんの御意見を承りますと、その地域から寄付してもらうとか、何か便宜をはかってもらうとかいうふうなことでやっていくとすれば、いつ全国的に設置されるか、これは予測できないわけなんですが、こういう点も文部大臣がせっかくおいでになるのですから、聞きたい、あるいは局長さんからもお聞きしたいのですが、というようなことを考えれば、組合員のいまの生活事情から考えれば、全く思い切った財政的な支出もして、やってもらいたいが、いま聞いておれば、ほかの共済がどうだとか、あるいは厚生年金がどうだとか、保険法での金の出し方がどうだとかいうことにこだわって、お互い寄りかかりながら、お互いが自分の持っておる使命を遂行できないような状態でありますが、この際もっと思い切った脱皮した考え方を文部省も、それから組合の運営に当たる方たちもやってもらいたい。そういう中で千分の二十というものも考えれば、私はもっとらちがあくような気がして申し上げたわけであります。  委員長からきつい要望がございますので——この委員長は、私は非常に言うことをきつく感ずるわけで、ほかの人はどうか知りませんが、至上命令がございますので、申しませんが、いままで未加入校の処理の問題で論議はしましたが、何か上つらをさすったような状態で、これはぜひとも、少し意見をお聞きしたいと思って、ここに資料も持ってまいりましたが、未加入校といっても、もう加入することを希望している学校がたくさんある。それから大勢に応じてもよろしいというふうな、いままで問題になりました慶応大学とか早稲田とかいうふうなものも、すでにもう大勢が出ておるような気がします。何か政府部内でのいろんないきさつから、この問題が解決できないというふうなお話もございますし、また昨今、私学関係する職員団体等も入れてほしいというふうな希望もある。そういうものが相当可能な方向に向かっておるようでございますが、それが解決できないというところを少しお聞きしようと思ったのですが、委員長がああいうことを言いますのは、委員長責任を持つような様子でございますので、以上で私の質問を終わらしていただきます。
  82. 田中正巳

    田中委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。  午後二時三十分より委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。    午後一時十一分休憩      ————◇—————    午後三時三分開議
  83. 田中正巳

    田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては、先刻質疑を終了いたしております。  この際、本案に対し野田毅君外四名より自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党の五党共同提案による修正案が提出されております。
  84. 田中正巳

    田中委員長 提出者より趣旨説明を聴取いたします。野田毅君。
  85. 野田毅

    野田(毅)委員 私は、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党を代表して、ただいま議題となっております昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案に対する修正案について御説明を申し上げます。  案文につきましては、すでにお手元に配付されておりますので、朗読を省略させていただきます。  修正の趣旨の第一は、通算退職年金改定の基礎となるいわゆる定額部分の額を、他の共済制度の例にならい二十二万八百円から二十四万円に引き上げること。  第二は、私立学校教職員のうち、私立学校教職員共済組合法の適用を除外されている者について、当該教職員を使用する学校法人の申し出により同法を適用すること。  第三は、この改正規定により、新たに私学共済組合員となる者の厚生年金保険の被保険者であった期間の長期給付の額及び当該組合員の退職年金等の受給権についての規定を設けること。  第四は、この改正規定により、新たに私学共済組合員となる者で設立されていた健康保険組合の解散等についての規定を設けること。  最後に、この改正規定は、昭和四十九年四月一日から施行すること。ただし、通算退職年金の増額措置については昭和四十八年十月一日から施行することとしております。  委員各位の御賛成をお願いいたします。  以上をもちまして修正案の趣旨説明を終わります。
  86. 田中正巳

    田中委員長 これにて修正案の趣旨説明は終わりました。  別に修正案に対する質疑もないようでありますので、この際、国会法第五十七条の三の規定により、内閣において御発言があればこれを許します。奥野文部大臣
  87. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 急なことでございますので、内閣の意見をこの時間までにとりまとめることができませんでした。あしからず御了承を賜わりたいと思います。     —————————————
  88. 田中正巳

    田中委員長 これより原案及び修正案について討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。  まず、野田毅君外四名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  89. 田中正巳

    田中委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除いて、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  90. 田中正巳

    田中委員長 起立総員。よって、修正部分を除いた原案は可決いたしました。  これにて本案は修正議決いたしました。     —————————————
  91. 田中正巳

    田中委員長 次に、ただいま修正議決いたしました本案に対し、木島喜兵衞君外四名より、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党の五党共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、提出者より趣旨説明を求めます。木島喜兵衞君。
  92. 木島喜兵衞

    ○木島議員 私は自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党を代表して、ただいまの法律案につきまして、附帯決議を付するの動議を提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。    昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   私立学校教育の重要性と私立学校教職員共済組合の実情にかんがみ、政府は左記の事項について検討し、すみやかにその実現を図るべきである。  一 短期給付に要する費用について国庫補助措置を講ずること。  二 長期給付に要する費用に対する国の補助率を百分の二十に引き上げるよう努めること。  三 年金額改定のいわゆる自動スライド制については、給与スライドを採用し、すみやかにその制度化を図ること。  四 長期給付については、厚生年金給付水準を下回ることのないよう必要な措置を講ずること。  五 新法による年金額の最低保障措置を国立学校教職員と同様に昭和三十四年から適用するよう必要な措置を講ずること。  六 私立学校教職員共済組合法の適用外にある私学振興を目的とする関係団体の職員に対し、すみやかに、同法を適用するため必要な措置を講ずること。    右決議する。 以上であります。  その趣旨については、本案の審査に際し、十分御了承のことと存じますので、案文の朗読をもって趣旨説明にかえさせていただきます。  何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  93. 田中正巳

    田中委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  94. 田中正巳

    田中委員長 起立総員。よって、本案に対し、附帯決議を付することに決しました。  この際、本附帯決議に対し政府の所見を求めます。奥野文部大臣
  95. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨について十分検討いたす所存であります。     —————————————
  96. 田中正巳

    田中委員長 なお、ただいま修正議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  97. 田中正巳

    田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
  98. 田中正巳

    田中委員長 次に、木島喜兵衞君外七名提出教育委員会法案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。山原健二郎君。   〔委員長退席内海(英)委員長代理着席
  99. 山原健二郎

    山原委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して質問をいたします。  先ほどポツというのが出てまいりましたけれども、これは句点または読点でございますから、国語の教師をかつてしておりました私としては、こういう日本共産党ポツ革新共同という呼び方についてはいささか抗議があります。そういう不正確な呼び方はすべきではないと思いますので、委員長において先ほどの御発言については訂正方を要請をしておきます。  教育委員会法の改正案提出をされまして、その積極的な意義につきまして私どもも賛同いたしております。教育委員会法が改正をされまして、戦後昭和二十三年に教育委員会の公選制度による発足をいたしまして、しばらくその制度が続き、ほぼわが国の教育行政の中で定着をしつつあった時期におきましてこれが改正をされ、そして任命制に変わったといういきさつがあるわけでございますが、このいわゆる教育基本法の精神に基づけば、当然公選制の教育委員会制度というのが確かに優位性を持っていますし、同時に、それが日本の教育行政の発展のためには非常に有効な役割りを果たし得たものだと思っています。そういう点で、非常に残念な今日の状態になっておるわけですが、この法案の目的、すなわち第一条につきまして、今回提案をされました理由は、「教育基本法の精神に基づき、公正な民意により地方の実情に即した教育行政を行なうために、公選制による教育委員会制度を設け、もって教育の目的を達成することを目的とする。」こうなっております。これはまさに教育基本法の精神にのっとったものだと思いますが、この点について、なお提案者のほうから、一番基礎になる部分でございますから、お考えがありましたら、最初にお聞かせをいただきたいと思います。
  100. 木島喜兵衞

    ○木島議員 いま御質問のように、戦後の新しい教育は、戦前の教育の反省から出発して、そのことはいまお説のように、教育基本法第十条によってあらわれていることだろうと思うのであります。その思想は、分権化と独立性の二つだろうと思うのであります。教育行政は他の行政と違って。「不当な支配に服することなく、」ということは、独立性を求めているものであろう。議院内閣制のもとにおいては、現在の内閣は政党政治であります。したがって、政党の支配によって教育が行なわれることは、これは戦前の反省から、許されないという立場からの独立性、したがって、教育基本法第十条は教育権、すなわち四権分立的な思想があるのだろうと思います。同時に、国民全体に対して直接責任を負うという「直接」は、他の行政は、国民全体に責任を負うものでありますけれども、特に教育国民全体に直接責任を負うという、「直接」が入ったところに、私は民主制あるいは分権制というものがあるのだろうと思います。このことをもとにして教育委員会ができました。したがって、教育委員会は、中央に教育委員会がなくて地方だけに教育委員会ができたということは、これは分権制を前提にしているからであります。もしそうでなかったら、中央教育委員会等がなければならなかったはずだと思うのであります。そういうことを含めて分権制と独立制、そのことを全うすることをまともに考えるならば、昭和三十一年に修正されたところの法律は、このこと二つを否定することだと思うのであります。そういう意味で教育基本法十条をまともに、すなおに読んで、忠実にそれを実施するところの制度、組織をどうするかという立場から、このような御提案を申し上げた次第でございます。
  101. 山原健二郎

    山原委員 昭和二十三年に教育委員会法が成立をしましたとき、「公正な民意により、地方の実情に即した教育行政を行う」、このことばが出てきましたときに、たいへん新鮮な感覚をもって受けとめたことを覚えております。言うならば非常にみずみずしい感じでいわゆる戦後の教育の新しい発足といいますか、いわばたいへん新しい時代を迎えたというような感じで受けとめた時期があるわけでございます。そういう点で、いまその当時のことを思い起こすわけでございますけれども、当然いま言われましたように私は「不当な支配に服することなく、」というのは、これは一面権力の支配に服することなくということにもなると思いますし、そういう点では戦前の長い教育体制の中で、いわば国家権力のもとにひれ伏してきた日本の教育というものが、ここで非常に新しい花を開くというような感じがするわけです。そういう点で、再びこの問題をこういうふうに取り上げたことに対しまして、私は積極性を高く評価をいたします。同時に、この法案に盛られておる第一条の精神というものは、これから単に国会内だけでなくして、国民的な大きな運動として、いわゆる教育委員会の公選制の復活、このことに向かって、これを契機にしまして進んでいかなければならないと思うわけですが、そういう点でこれを国民的な大運動に展開をしていく。政府のほうでは公選制というのはなじまないという感覚で受けとめておりますので、なかなか成立は容易なことではないと思いますけれども、しかし、そういう国民的な運動を、教育基本法の精神に基づいて発展をさせていくべきであると私は思うのですけれども、この私の考え方に対しまして、提案者の見解を伺っておきたいのです。
  102. 木島喜兵衞

    ○木島議員 お説のように、国民全体に対して直接責任を負うということは、国民の民意が国会に反映するというだけでなくて、直接に、いわば教育行政の主体を国民に置くという立場、そして国民が自分の村、自分の子供、その目前の中で行なわれた教育に対して住民が参加する、国民が参加する、直接的に具体的に自分の意見を反映させるということが、直接責任を負うというところの思想であろうと思います。したがって、そういう意味では、国民がその自覚の中でもってみずからの子供を、みずからの村の教育を、自分たちの力でやるんだという意識が前提でなければならないと思います。そのためには、いま御説のように、そういう国民的な総意が盛り上がることをたいへん期待するし、もしこの法案が通らない場合には、私たちもまたそういう運動を背景にしながら、教育基本法第十条の精神を具体的に実現するために努力をせねばならぬと思うのであります。
  103. 山原健二郎

    山原委員 いまの点につきましては、ただいまの説明で了解をいたしますが、この法案について少しお伺いをしておきたいのです。  この法案二条、三条、四条というふうに続きますけれども、時間の関係もございますので第六条の「委員の解職請求」の問題です。これは私は非常に重要な問題だと思っているのです。現在の任命制の中では、選挙権を有する国民が、これを、委員の中に瑕疵があっても、それをいわゆる解職する権限がないという状態でございます。そういう点で、この委員の解職請求というのは、これは非常に、いわゆる民主政治の根幹になるところだと思いますし、その点について、この条項を入れたということは、意味を持っておると思うのです。この点につきまして、たとえば一項、二項、特に「解職の投票の日から」……との二項のところをちょっと説明をしていただきたいのです。「前項の請求は、委員の就職の日から一年間又は当該請求に係る委員についての第四項の規定による解職の投票の日から一年間は、することができない。」これはもとの法案を持っておりませんので、ちょっとわかりかねるのですが、御説明できますでしょうか。
  104. 木島喜兵衞

    ○木島議員 おっしゃるように、住民が公選をするということを前提としておりますから、したがって、任命制にしたから解職制をなくしたんだろうと思うのであります。この法律は、公選制でありますから、したがって、他の首長と同じように、解職の手続をとるのが当然であろう。同時に、ことにいま、先ほどの御質問にございますように、任命制になってまいりますと、任命された委員は任命された首長に責任を負って、国民に負わなくなるおそれがある。教育委員が上を向くけれども、下を向かないという傾向が出てきはしないか。任命権者に気がねをして、そして住民、国民に気がねをしなくなりはしないか。したがって、そういう面では、なおさらこういう解職制というものの必要性があろうということであります。  いま最後のほうでおっしゃいましたことは、これはきわめて事務的でございますけれども、これは第四項等をごらんいただければ大体おわかりになろうかと思うのであります。
  105. 山原健二郎

    山原委員 この解職請求の問題は、非常に重要なことなんで、ずいぶんいろいろな問題が発生をいたしておりますけれども、現在の任命制下におきましては、どんな問題が起こっても、国民がどうにもしようがないというような事態があるわけですから、この条項の重要性というのは、民主主義のいわば根幹にかかわる問題だと思いますし、また主権在民の立場からいっても、この点は非常に重視すべきところだと思うわけです。  それからその次に、第一一ぺ−ジにございますところの「服務」の第八条のところでありますが、いわゆる秘密の保持の問題でございます。これは当然法律上の構成としては、秘密保持の条項というのは必要だと思うのですけれども、ただ教育行政の場合に、秘密というのがはたしてあるのかどうかということも多少考えられますね。現在任命制の教育委員会の場合には、いわばほとんどが非公開の秘密性を持っておりまして、どういうことが決定されたのだといってもなかなかその内容が明らかにならないというようなことですね。そういう状態があるわけです。またこの教育委員会が秘密を保持しなければならぬということには、かなり限定された問題ではないかと思うのですね。たとえば人事上の問題で——人事の場合だってこれは公然と行なっていいわけですからね。この先生をどこそこの市町村に行っていただくという場合だって、あらかじめ公然とその先生に納得をいただくとかいうようなこともあるでしょうし。また職員団体との間に人事の公開をして、そしてそこでたいへん民主的な人事交流を行なっていくとかいうようなことがあるわけですね。人事の場合だって、これは必ずしも秘密にすべき問題ではないと私は思っておるのですが、もし秘密事項があるとするならば、人事の中の特に問題のある人事ですね、そういうこと、たとえば個人のプライベートなことに関する問題とかいうようなことが論議された場合には、これは秘密にするとかいうようなことが、かなり限定をされないと危険だと私は思うのです。その点についての見解をお持ちでございましたら伺っておきたいのです。
  106. 木島喜兵衞

    ○木島議員 御説のとおりであります。したがって、十二条に「会議の公開」というものの一項を入れたのは、少なくとも教育問題で秘密はないという原則であります。ただ、いまおっしゃるように人事等のプライベートな問題等は、これは常識的な秘密、したがって、法の形の上では入れざるを得ませんけれども、原則的にはいまおっしゃるように秘密はない。秘密はないけれども、プライベートのようなものについては、これは一応の歯どめは必要であろうという意味であって、したがって、この場合よりもむしろ公開の原則の思想のほうが大事でありまして、そのことのためには、原則的には秘密はない、しかし、プライベートという特殊な場合に限定されるという理解でございます。
  107. 山原健二郎

    山原委員 その問題とからんで、あとの第十条、第十二条の、いわゆる「会議の招集」、それから「会議の公開」の問題とが当然からまってくるわけで、ここの原則が踏みはずされるとたいへんなことになるわけですね。それで、かつては教育委員会会議というのは、ちょうどここへ出ておりますように、第十条第四項「前項の告示は、都道府県教育委員会にあっては会議の日の七日前までに、市町村委員会にあっては会議の日の三日前までにしなければならない。」これも私は非常に大事なところだと思うのです。これがいまほとんど行なわれておりません。だから、いわば現在の任命制教育委員会というのは私生児みたいなものなんですね。というのは、会議を開くといっても事前に住民に対して告示をするわけでもありませんし、だからいつ会議をやっておるのかもわからない。教育上の重要な問題を審議する教育行政の中枢部分が、全くいつ会議をやっておるか住民も知らないという、そういう非公然性あるいは秘密性というものが非常にいま災いになっているわけです。だから、当然住民に対して、同月何日から教育委員会はこの議題によって会議を開きますということを公表し、そして同時に傍聴人もそのことを目標として傍聴に来るということが、これまた民主主義の原則であると思うのです。ところが、現在の場合は、そういう密室性といいますかね、そういうところ、そういう陰湿な教育委員会制度というものがどれほど大きな暗い影響を与えておるかわかりませんので、その点で、ここで七日と規定をされたこと、これはまあ日数には一カ月前とかなんとかありますけれども、七日というのはおそらくまあ限度に近いものだと思いますし、市町村の場合に三日前というのも適切だと思いますが、これは教育行政の公開性、明朗性、公明正大性という意味から申しましても、非常に重要な部分だと思うのです。私のこういう見解についてのお考えを伺いたいのです。
  108. 木島喜兵衞

    ○木島議員 御指摘のとおり、公開と告示はからみます。このことの思想の基本は、やはり国民全体に対して直接責任を負うという基本法第十条から出発するものであろうと思います。国民全体に責任を負うならば、そのことは秘密はあってはならないし、同時に、公開は前提であるし、公開のためにはその事前に告示をせねばならない、公示をせねばならないという一貫のものであります。ことにこれがなくなったものは一体何であろうかということだろうと思うのです。三十一年にこのことがなくなったということは、やはり任命制にした、任命制にしたということは、一つには権力が左右できる、それだけに政党や首長や権力の恣意というものが通り得る、したがって、そこに非公開なり秘密というものが重視されてくる、したがって、公示をしないということにつながってくるのだろうと思うのであります。
  109. 山原健二郎

    山原委員 その面でこの条項も私は非常に大事だと思いますし、いままでこの委員会においてもしばしば問題になりました、たとえば長野県の校長会の問題、あるいは北海道の高等学校の職員に対する、いわゆる普通であればマル生といわれるような問題ですね。それから教育委員会が教員に対する処分を行なうとか、あるいは人事異動を発表するとかいうようなときにも、ほとんど委員会というものは決定すればすぐ姿を消してしまうとかいうようなこともありますし、一面、その教育委員会も何か心ならずもやっておるといううしろめたさもあって、だから所在をくらましてしまうというような状態があるわけですね。だから、この告示ということは、これは住民に、いかなる会議が、いつどの場所で開かれるかという点を告示をするわけですから、その点、いま御説明があったように、まさに教育基本法の精神に基づく考え方、これは非常に大事なところだと思います。  引き続いて第十二条にございますところの「会議の公開」の問題ですね。これがまた、この公開性というものが非常に奪われて、喪失をしているわけでございますが、これはまあ任命制の場合にしたって、いわば公的な機関、しかも、教育行政の最高の方針を出す機関、それが公開性を持たないということ自体がこれはもう全くおかしな話です。同時に、それは法律的に公開性というものを明確にすることが大事だと思いますから、ここの辺に、この教育委員会法の提案された法案趣旨が一番明確なところだと思うわけです。これはぜひ強調すべき問題だと考えます。  それから、それと同時に会議録の問題です。会議録は、これは当然公開をし、住民の縦覧に付すというのが原則だと思いますが、この点については、これは文部省のほうに伺いたいのですけれどもね、これは、現在の会議録というものは、たとえば都道府県教育委員会会議録というのは公開されているのでしょうか。おそらくおると思いますけれども、しかし、実際上はほとんど住民も、いまやあまり興味も持たないし、まあ何とか何かきめておるだろうというようなことになってしまって、そういう点からも、この教育上の関心度合いというものが、非常に薄れていく原因になっておると思うのですね。その点で現在の任命制教委になりましてから会議の告示それから会議の公開と、それから会議録、これがどういうふうなことになっておるか、現実の問題としてどうなっておるか、ちょっと私どもも離れておりますので実態がつかめないのですが、御説明いただけますか。
  110. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 御案内のとおり、教育委員会の運営等につきましては、これは教育委員会が独自できめるようなことになっております。現在どうなっているか、私も承知いたしておりませんけれども、現在は公開とかあるいは議事録の公開とか、そういうものはやっているところは少ないんではないかというふうに考えております。
  111. 山原健二郎

    山原委員 これはいずれにしましても、ちょっと聞き漏らしたのですけれども会議を招集する場合ですね、告示は幾日前になっておりますか、現在は告示しなくてもいいのですかね。
  112. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 たてまえとしましては、教育委員会の運営に関しましては、これは各都道府県の、あるいは市町村の教育委員会が独自で定められるようになっております。私、個々の具体的なものは承知しておりませんけれども、公開というふうなことは、ほとんどいたしておらないんではないかというふうに考える次第でございます。
  113. 山原健二郎

    山原委員 これはこの法案趣旨からいうと、公選制ですからね。だから、公選制の場合にはいろいろな人が選挙によって選ばれてくるわけですね。だから、まあ保守、革新と言えば、保守の人もおれば革新の人もおるという状態が出てくるのは当然なんですけれども、いまは地方自治体の首長の好みによったりして、かなりいわば片寄った人選もなし得る可能性があるわけですよね、任命制ですから。また地方議会にかけるわけですから、なかなか思うような幅広い人選をするということも困難だ。だから至るところで教育委員の人選については、首長のほうはこれをきめたけれども、地方議会がこれに反対するというようなトラブルも起こったりするような状態ですわね。しかし、いずれにしても、たとえ任命制の場合にしても、やはり告示をするということ、それはたとえば一週間前とか五日前とかということがあろうと思いますけれども、告示をして、そして何日から開く、場所はどこだ、そして議題はこれだということを発表して、そしてその会議は公開する。もちろん、これにも秘密会というのがありますから、特に秘密に属する問題については秘密会を開くでしょうし、それから同時に、会議を行なった場合には、会議録というものは、これは積極的に住民の要請があれば見せていくという、これくらいの指導は現行法規の中でも私は、文部省として、そういう指導精神というものは明らかにしたほうがいいんじゃないかと思うのですよ。それはまさに民主主義の原則に立つわけですからね。もっとも都合が悪いときには、これは見せるわけにはいかぬという場合もあると思いますが、原則として大半はそう秘密にすべきことばかり話し合っておるわけでもなかろうと思いますしね。その辺の原則というのは、やはり文部省の指導方針としてこれは明らかにしておいたほうがいいんじゃないかと思うのです、この際。それでこの教育行政の暗い側面が、かなり晴れていくと思うのですよね。そういう公開性、明朗性といいますか、公明正大性といいますか、そういうものをこれはぜひお考えになったほうがいいんじゃないかと思いますので、これについての見解を、私はそうしてもらいたいと思いますが、そのほうがまたいいと思っているのですが、どうでしょうか。
  114. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 一般的に申しまして、議決機関、たとえば国会でございますとか、都道府県あるいは市町村の議会でございますとか、こういうところが現在公開のたてまえでございます。また、審議の結果よりは、その審議の過程というものにつきまして非常に重きを置いておられる。これはたいへんごもっともな制度じゃないかと考えております。教育委員会の場合は、以前は公選制ということで、議会側と同じような形をとってまいったわけでございますけれども、しかしながら、これはやはり教育行政の機関でございまして、教育行政ばかりじゃなくて、行政一般につきましては、その審議の過程あるいは施行の過程よりはやはり結論と申しますか、どういうことをするんだということ、そのことが行政の面ではむしろ大事になっておりまして、その審議の過程につきまして、一般的に公表をするというようなことはないわけでございます。しかしながら、教育委員会の場合には、教育委員会自体にこのことはまかせられておるわけでございまして、こういう問題につきましては、教育委員会がその地域の住民の方々の御意見等によりまして、それぞれの方法で住民の意思を反映すると申しますか、そういうふうなことがあってもよろしいのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  115. 山原健二郎

    山原委員 なぜこれにこだわるかと申しますと、私は教育委員会というものの権威のためにも、いわゆる公開制をはっきりしたほうがいいと思うのです。というのは、それは意見の違いはもちろん委員の中にありますけれども、それをお互いに出し合っていく。教育の問題ですから、結論だけが大事なのではなくして、やはり教育を論ずるという場所が、しかもそれなりの権限を持ち、機関としての性格を持っておる教育行政機関の最高合議制の機関でございますから、そういう点ではその審議の過程はほんとうに大事であり、また大事にしなければならないところだと思うのです。またそれぞれの委員がそれなりの教育に関する見識を持っておれば、これはどなたが傍聴されようが自信をもって論議ができる。そのことが委員の勉強になると思いますし、同時に委員会そのものの権威を高める。最終的には採決によって決定されるわけですけれども、しかし、その間に住民の考えているこちら側の意見はこういうふうに出た、こちら側の意見はこういうふうに出たというような、教育を語る場所としても重要ですから、そういう点での告示、それから会議の公開、会議録の公開ということは、これは今後も現法の中でも努力をしていくべきものであり、それがまた教育委員会制度の権威を著しく高めていく結果になるのではないかということを、意見として申し上げておきたいと思います。  それから次に指導主事の問題です。指導主事というのは、各委員会に指導課というようなものがありまして、それぞれ指導主事が配置をされているわけですが、この指導主事の役割り、これはあくまでも教育の指導あるいは研究上の助言という立場をとるべきだと思うのです。これがまかり間違うと、教育委員会から配置されたいわゆる何かの権力を背景にした立場をとると、これがたいへん災いをなすもとになる。単なる指導ではなくして、それが人事その他にも介入をしていく、そういうことになったらこれはたいへんなんですね。だから、指導主事というのはあくまでも教育上技術的な指導あるいは研究上の指導、そういうものが主にならないと、そのワクをはずすとこれはたいへんなことになるわけで、いわゆる管理主事になってしまうという状態が出てまいります。そういう危険性というものをはらんだのがこの指導主事の現実上の実態ではないかと思うのです。教育委員会によりましは、それを非常に、厳重に警戒しておるところもありますし、その辺が少しルーズになってしまうといささか踏みはずしてしまって、これが管理指導の一翼をになうというようなことにもなりかねない。この点を非常に心配しておかなければならぬと私は思うのですが、その点について、提案者のほうで指導主事に対する歯どめといいますか、そういうものはお考えになっておりますか。
  116. 木島喜兵衞

    ○木島議員 その意味で二十条の三項の最後に「ただし、命令又は監督をしてはならない。」と入れたのがそれであります。これも御案内のとおり、指導主事とは専門的な事項についてのいわば指導というよりも、現場の先生と相談をするということが本来の意味だろうと思うのです。教育というものは教師が直接具体的に個々の違う条件の中でもって子供に接する。したがって、画一的な、形式的なことでは実は教育はできない。だからこそ、相談相手という意味の指導主事であって、前に二十三年のときに「命令又は監督をしてはならない。」とあったものが三十一年になくなった。この思想は一体何かというと、中央集権的なもの、教育を通しての国民の思想統制的な意図というものが、この任命制になったところの根底的にある。だからこそ、命令、監督してはならないという条項が削られた。このことが御指摘のとおり、私は個々の現場における具体的な子供に影響を与えるという意味は、きわめて重要だと思うのであります。その意味で、その「命令又は監督をしてはならない。」と入れたことが、いま先生のおっしゃる御質問趣旨と一致しているように考えます。
  117. 山原健二郎

    山原委員 文部省のほうにその点でお伺いしたいのですが、私はこの点は非常に厳密にしておかないといけないと思うのです。その意味で、いま第二十条三項のところに非常に明確に歯止めがなされておりますが、これは現実に私ども教育の現場におりまして、このことが非常に大事ですので、それを踏みはずしますと、実際に教育の専門的な指導を受ける側の教員と、そして指導主事との間に、摩擦も起こりますし、不信感も出てくるということで、かえって教育研究というものの指導性が失なわれていくという面が出てきます。これはたいへんなことなんで、この点については文部省の今日の見解はどんなふうになっていますか。
  118. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 私事を申して恐縮でありますが、私も県の指導課長をやっておりまして、ただいま先生が御指摘になりましたような精神で、指導主事の方々に指導をお願いしてきたつもりでございます。その点は、いまも変わっておりません。指導主事は、専門的な事項について指導をするというのが任務でございますから、その範囲を越えて、人事その他まで介入するというようなことは、これは当然慎まなければならないことであるというふうに考えております。
  119. 木島喜兵衞

    ○木島議員 いま岩間局長が御答弁になりましたのは、確かに「命令又は監督をしてはならない。」という条項があったが、それが削られた。したがって、専門的事項の指導をする。したがって、その文だけ、現行の条文だけ見れば、命令、監督は書いてないわけです。しかし、前にあったものを、なぜ三十一年に削ったかというところは、いま問題だろうと思うのです。なぜならば、社会教育主事の場合にもやはり「命令及び監督をしてはならない。」という条項が残っておるわけであります。社会教育主事の場合には、その条項があって、この場合にはないというところの、削られたゆえんは、いま局長が御答弁なさったけれども、その削られたというところにこの本質がむしろあるだろうと私は理解いたします。
  120. 山原健二郎

    山原委員 私もそのところが大事なところだと思っているのです。私も県の教育委員をしたこともあります。これは二十三年から二十七年まで四年間、公選制時代でございましたが、その間指導主事というものの任命もし、また指導課というものも設立をする。一番最初のことでございますから、暗中模索のような状態でやったのですけれども、そのときに私ども考えましたのは、指導主事というのは一番現場の先生にも接しますし、それから子供にも接する機会がある。ときには、みずから自分の教官を、指導的に教室で授業をやって先生に見せるということもあると思うのですよね。そういう場合に、ほんとうにいわゆるぎすぎすした管理意識というものは皆無にしなければならない。そうでなければ、真に現場との触れ合いというものがなくなってくる。だから、ふだんはもっと教育技術面における専門的な知識をうんと勉強して、コーヒーでも飲みながら、ほんとうにのんびりした気持ちでみずからも研究し、そして出ていけば、実際に専門的な立場で指導ができるという体質というものを持たなかったら、これはたいへんなことになるということをずいぶん強調し、論議をしたことがあるわけで、その点ではほんとうに大事な仕事でございますから、その意味ではやはり歯どめというものをしっかりさせて、そして文部省の指導としても、これが管理職的なところへ足を踏みはずさないという原則は、ぜひとも確立をしていただきたい、こう思いますので、これも要請として申し上げたいと思うのです。
  121. 木島喜兵衞

    ○木島議員 そのことにからみまして、いま私たちが出しました中で現在と違う面は、「命令又は監督をしてはならない。」と同時に、現在あります「指導主事は、上司の命を受け、」ということを除いておる点が、目に見えないけれども、いま先生のおっしゃった意味できわめて重要だと思うのであります。「上司の命を受け、」とは教育長であります。その教育長は任命制であると同時に、市町村の教育委員会は、県の教育委員会の承認を得なければならない。そして県の教育長は文部省の承認を受ける。そういう縦の系列の承認、承認がくる。その承認の上司の教育長の命を受けて、そして命令、監督ができるという現在のこの制度は、いま先生御指摘のような非常に危険な思想がこの背景にあると私は考える。したがって、その立場から、目に見えませんけれども、「上司の命を受け、」というものを除き、かつ命令、監督してはならないという条項を入れたというのが、目に見えないところでございますので、補足させていただきます。
  122. 山原健二郎

    山原委員 各県に、いろいろ教育上の歴史があるわけですね。たとえば北のほうへ行けば北方教育というものがありますし、また生活つづり方教育というようなものもありますし、私の県では、戦前からありましたのが小砂丘忠義という人の生活つづり方というものがあります。それからまた上田三郎という人が「闡明」というのを出していますが、ここらの場合、いわゆる県から派遣されてくる、昔は教学課ですから、教学課から派遣されてくる視学との間に——視学はいわゆる上司の命を受けて出てくるわけですね。そしてその教えることは非常に画一的な、全部がそうではありませんけれども、全体として非常に画一的な体制を持ち込んでくる。それに対する教師の反発というものは、これはイデオロギーの問題ではないのです。けれども、現場の子供たちを教えている。しかも子供たちというのが決して豊かな家庭ではないでしょう。山村でもあります。漁村であったりする場合、さまざまな生活様式の中で教育をやっているわけですから、その子供たちに接しておる現場の教師と、上司の命によって出てきた視学、いわゆる指導主事との間には、感覚のずれがずいぶんあるのですね。そこで反発も起これば、そこで見解の相違も起こる、こういうような状態が出てくるわけですね。そういうことを考えますと、指導主事というのは非常に自由な立場でなければならないということですね。権力的な意識あるいは上司の命によっておれは出てきたのだという意識というものを払拭しなかったら、ほんとうの現場の教師との触れ合いというものはなかなか生まれてこない。やはり、ああ、えらい者が来たのだ、場合によっては人事異動の資料にもなりかねないということになってくると、指導、被指導の関係というのは、いわば一つの敵対関係みたいになってくるわけですね。これではほんとう教育の発展というのはないわけですから、いま提案者の御説明、よくわかります。同時に、現在の状態でもその点は十分気をつけていくべきことだと思いますので、その点はお聞きをいただきたいと思います。  それから、時間ももうあまりないと思いますので、二五ページの二十八条の問題ですが、二十八条、二十九条の問題で、教育事務にかかる予算の問題ですね。いわゆる教育財政問題でございますけれども、これはかつて原案提出権というのがありましたね。たとえば都道府県議会に対して、知事との間に都道府県教育委員会が予算上の折衝が成立しない場合、どうしても食い違いが生まれた場合、たとえば高等学校をここへ幾つか設立をしたいという要求に対して、県当局のほうは財源がないのだから、それは認めがたいと言う。これは何もかも衝突をするというわけではもちろんありません。折衝の過程でほとんど解決をしていきますけれども教育委員会独自に持っておる、これはどうしても自分たちの重要方針としてやりたいということ、しかもそれは、住民がそのことを非常に強く要望しておるという問題。ところが一方、首長のほうにとってみると、そんな金はないのだということで摩擦が生じてくる。また問題の認識の違いも出てくるわけですね。その際に、かつてはいわゆる二案提出権と呼ばれる、議会に対して首長側の予算案と、そしてその相違部分についての教育委員会側の予算案とが原案提出が行なわれて、そこで議会の中で論議をされるという事態があったわけですが、これはこの中では、二十九条の第五項の「地方公共団体の長は、教育委員会から送付された原案と内容の異る議案を当該地方公共団体の議会に提出する場合においては、当該議案に教育委員会の送付に係る原案及び前項の意見を附記しなければならない。」ということでわかるような気がしますが、これは前のいわゆる二案提出権と同質のものですか、どうですか。
  123. 木島喜兵衞

    ○木島議員 どんずばりお答えすれば同質のものでございます。   〔内海(英)委員長代理退席、委員長着席〕 最初に申しました教育基本法第十条の趣旨を生かそうとすれば、一つは行政制度からの独立性、分権性という意味におけるところの公選制の教育委員会、もう一つ教育財政からの分権性と独立性というもの、私は十条の「不当な支配に服することなく、」という趣旨からするならば、この二つが元来必要なんだろうと思うのであります。行政制度のほうは分権性、これは任命制になってからちょっと変わりましたけれども、公選制によって分権性なり独立性が一応保持される。けれども教育財政、財政からの独立性、分権性というものはきわめて弱い。これをどうするかということは、むしろ公選制にした後の私はこれからの問題点だろうと元来思うのであります。しかし、それがいま直ちにできないにしても、せめて原案送付権くらいは認めて、その中に求める教育が、財政の面からの集中やあるいは支配から脱するということのためには、最小限二十三年に実施されたところのあの教育委員会制度の原案送付権くらいは必要であろう。その中で議会の中でもって、直接選ばれた議員がそのことを議論してくださる、国民から直接選ばれたところの議員が、やはり議論をするということが趣旨でありまして、そういう意味では、御質問改正前の、三十一年以前のと同じという意味であります。
  124. 山原健二郎

    山原委員 この公選制の場合は、それぞれ選挙ですから、選挙をするためには公約というものが出てくるわけですね。私はこの地域に高等学校を設立して、現在の人口急増に対処したいとかいうような公約、そういうものが行なわれるわけですね。その公約というのは、いろいろさまざまあると思いますけれども、その公約というものに対して選挙民が、この人物は適切な方であるということで投票していくという状態ですね。そうしますと、それで当選をして教育委員会を構成しました境には、それぞれの委員というのは、少なくとも教育行政の施設その他につきましては、みずからの公約を実現していくということに努力をする、これが私は非常に大事なところだと思うのですね。だから、そういう中で一致した、ここへ高等学校をつくろうということになりますと、これは教育委員会の独自の意思なんですね。その独自の意思を貫くために、教育委員会努力をしていく。それが教育行政の発展というものに大きく寄与する要素だと私は思うのです。  ところが、現在の任命制の場合はどうかといいますと、そういう予算上の独自性、独立性というものを持っていませんから、だから結局知事が査定をする場合には、各県の庶務課長が予算の概算要求の査定をして、次には総務部長がやって、次には副知事がやって、そして知事が断を下していくという経過になるわけですね。そうしますと、現在の各都道府県の教育委員会の仕事と予算上の独自性というのは全くありません。だから、県が持っておるいろいろな機関、すなわち農林部であるとかあるいは土木部であるとかあるいは厚生部であるとかいうような、そういう部局と全く違わない同列の場所に置かれておりますから、もう簡単にいえば、土木部とか農林部というようなところよりも弱い立場にならざるを得ない。教育の問題は目に見えませんから、だから弱い立場に立たざるを得ない。言うならば庶務課長段階で予算がぱっぱっ削られていく。少し残った分は、次の総務部長段階で削られるとかいうような形で、まさに任命制教育委員会の存在の意義というものもほとんどないところへきておるんです。だから住民も、教育委員会といったっていま名前もみんな知りゃしません。そしてあまり興味もないから、会をやったって傍聴にもいきませんし、大体ろくなことを決定せぬだろうというようなことになってくる。これはまさに教育の荒廃です。そういうものを引き起こしておるのでございますから、そういう点では私は公選制の復活と同時に、教育委員会教育の面では独自の予算提出権を持つということが、これは日本の教育発展のためにきわめて重要なものだと思うのです。そういう点では、これはもうはっきりさせていかなければならぬと思います。いまの状態では、教育委員会はなくてもいいですよ、率直に言うたら。それくらいに軽く見られているわけでございまして、これでは全く地方自治体の首長の手のひらの中で動き回っておる存在にしかすぎないわけですから、この点は今後ぜひとも考えていかなければならない問題だというふうに思うわけです。  それから最後にお聞きしたいのは、二九ページの第三十三条の「通学区域の設定」の問題ですが、これは提出された木島先生のほうでは、あるいは高等学校の学区制の問題等について、もちろん現在も決定する権限は持っておると思いますが、何か現在の大学区制、中学区制、小学区制というようなものについての権限を、それぞれの教育委員会に大きく与えていくというお考えでつくられたものですか。
  125. 木島喜兵衞

    ○木島議員 前段のお話でございますけれども、さっき言いますように、教育財政の独立性、分権制、このことが行政制度の分権制、独立性ということと同時に絶対に必要であるということから、私は先ほども御説明申し上げたのでありますけれども、こどにいま県の場合のお話がございましたけれども、ことに県の教育長が文部省からの天下り、ないしは知事部局からの横すべりであって、ほとんど専門性がなくなった。このことは一つには教育長の基準がなくなったことがあるわけです。したがって、これを入れたわけであります。専門職でなければできないという、教育長になる資格条件を入れたわけでありますけれども、そうしたことは何かというと、いま財政とおっしゃるならば、多分に知事部局の、知事の善いなりになる、知事の査定でもって教育財政が左右される。そこには独立性もないということも含めて、この法案の中に盛ったということも含めて、もう時間がなくて質問を終わるというお話でございますので、そのことも加えて補足説明させていただきます。  それから高校の通学区域でありますけれども、私は先般質問の中で申したのでありますけれども、憲法の規定からするならば、私は同校はいわゆる義務教育といわれる中に入れるべきだろうと考えております。なぜかと申しますと、「国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。」この「保護する子女」とは民法上も十八歳であります。教育可能体であります。いま「法律の、定めるところにより、」とありますけれども、これは教育基本法で十五歳とありますけれども、これは十八歳までに直せばいいのであって、憲法の趣旨からいうならばこれは十八歳まで、すなわち高校までということを意味するだろう。そして「義務教育は、これを無償とする。」ということは、これは国民の生存権であります。小中学校すら出れなかったならば、それはまともな就職はできない。まともな就職ができなかったら、まともな生存ができない。だから生存権として「義務教育は、これを無償とする。」と、憲法二十六条が規定したと思います。とするならば、今日九〇%、やがて九〇%、九五、九八と高校はいく。そのときに高校出るのがあたりまえで、高校出なかった二、三%の子供たちは、それではまともな就職はできるのか。まともな就職できなかったら、まともな生存ができるのかという趣旨からするならば、私は生存権的基本権の立場からしても、またこれは義務制であるべきだろうと思うのです。もしも義務制になるとすれば、中学校と同じ形、小学校と同じ形になります。したがって、これを三年とするならば、中学校と同じ学校の範囲に高校一つが必要ということになります。そういうことを考えれば、当然小学区制ということが必要になってこよう。そのことは、一つには今日の教育を殻も議しておるものは入学試験、選抜方法だろうと思います。したがって、このことをどう緩和するか、中学校を予備校化しないためにはどうするかということの立場からいっても、小学区制。そしてそのことは、さっき申しました憲法の要請からしてもそうでありますから、男女共学、総合制。なぜかと申しますと憲法は「普通教育を受けさせる義務を負ふ。」と書いておるのですから、普通教育でありますから、職業教育ではございません。したがって、これはいま行なわれている高校の多様化というのと矛盾するものであります。ですから、そういう意味においての普通科を中心にしたところの総合的な教養を養う、将来の変化に順応し、あるいは将来の新しい価値観をつくるところの基礎的な教養をどう高めるか、このことがいま日本の教育に必要なことであろう、そういうことも含めて、小学区制というものを私はこの中に考えております。
  126. 山原健二郎

    山原委員 現在この法案の中では、いわゆる一番重要な地位を占めます教育長の問題についても、その資格というものを規定しておりますが、現在どこの都道府県でも考えてみますと、大体土木部長が教育長になったり、農林部長が教育長になったりするという、そういう例がほとんどでございまして、(発言する者あり)ほとんどとは言いませんけれども、長崎県は違うかもしれませんが、そういうような例が多いわけです。だから、ほんとうに困る場合もあるわけでございます。  ところで、最後に私の述懐を述べまして終わりたいと思うのです。  公選制の場合は、これは最初も申しましたけれども、非常に多彩な顔ぶれが出てくるということは、これはもう考えられることでございますし、そして私の経験から申しますと、私は二十七歳のときになったわけですが、委員長になった方は七十歳を越しておりまして、これは有名な酒造会社の社長さん、全然考え方も違いますしね、そういうものが寄り集まって教育問題を論ずるというたいへん困難な事態に置かれましたけれども、しかし一致する点は、教育環境あるいは教育設備内容の充実ということについては完全に一致するわけですね。そういう経験を踏んでいるわけでございますが、そういう意味で、私は文部省あるいは政府当局、自民党もそうだと思いますが、公選制はなじまないという感じでこの前もお答えがあったわけですけれども、そういう簡単な、主観的な判断ではなくして、やはり教育基本法の精神に基づいて、公選制というものがより住民に密着したものであるという立場でものごとをお考えになっていただいたらいいんじゃないか。だから、きょうこのような提案がなされまして、私の質問も不十分なものでございましたけれども、この法案提出されましたことを契機にしまして、粘り強くこの運動を起こして、そして教育委員会の公選制というものの復活実現のために努力をしていくべきであると私も心にきめまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。      ————◇—————
  127. 田中正巳

    田中委員長 次に、学校教育水準維持向上のための義務教育学校教育職員人材確保に関する特別措置法案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。森喜朗君。
  128. 森喜朗

    ○森(喜)委員 一九七三年というのは、世界的にもそうですが、日本にとってもたいへん大事な年だというふうに私は感じます。明治開国いたしまして昨年で百年を終えたわけであります。教育も百年、鉄道も百年、すべて新しい百年目のことしは第一歩になるわけでございますが、いま私はあえて一九七三年を何か運命的に申し上げるのですが、数奇な年である。一九七三というのは、二でも三でも四でも五でも絶対割り切れない数字なんだそうであります。それだけに、この一九七三年というのは、新しい百年目の第一歩という意味で、いろいろな意味の大事な、日本の将来を形づくるその第一歩の年であろうというふうに、特にわれわれ国政に参画しておる者は、後世の日本民族のためにかまえをしておかなければならぬときではないかというふうに私は考えております。  その中で、特に私ども教育という問題をこの国会で議論をさしていただいておるわけでございますが、どうも教育という問題につくと、教育論争ということよりも、むしろ政治的にイデオロギーが介在をしておるのではないか。国民にとっては、もっと明々白々に、いいことと悪いこと、いい人と悪い人、そういうことをはっきりけじめをつけておくというのが、そういう見きわめをつける人々をつくり上げる、これがやはり一番大事な教育の理念でなければならぬと思います。同時に私は、教育というのは、最終的に教育の要諦というのは、人間と人間との触れ合いだろうというふうに思います。それだけに、人が人を教育するという非常にこわさをわれわれ自身もまた感ずるわけであります。敗戦以来二十七年間、いろいろな新しい教育のよかった点、悪かった点というものが出てきておるわけでありますが、明るい新しい感覚の子供たちも出てきました。しかし、一面、テルアビブ事件に象徴されるように赤軍派、そして学生紛争、大学紛争、同時に、社会では、幼児受難時代といいましょうか、子供の命を何かネコや犬よりももっと落ちるような考え方をされる人々が出てきている。これも新しい戦後教育の中で育ってきた人たち、そういう人たちがおとうさん、おかあさんになっていくという、この時代の中でやはりこれまでの教育というものについていろいろと反省をしなければならぬ点がたくさん出てきておるというように考えます。  そういう、いま前段に申しましたようなことを踏んまえてこれから新しい教育改革というものを手がけていかなければならぬ。しかし、教育の正常化というのは一体ほんとうは何なんだろうかという疑問も出てくるわけでありますが、何もやらないということであってはならない。そこで新しい改革を手がけていこうということで、今回筑波法あるいはただいま議題となっております人確法というものが提案をされておりますけれども、どうもややもするとこれが政治の論争に終始をしてしまって、この国会が始まって、しかももう延長国会もあとわずかになって、実はこの問題をいまごろになって議論をしなければならというところに、私はいまの日本の教育論争の一番不幸なところがあらわれてきておるような気がしてならないわけでございます。おそきに失した感じもいたしますけれども国民が、教育問題になるとなぜこんなに国会で議論をし、そして大のおとなたちがけんかをしなければならぬのかということについては、おそらく世の父兄、そして子供たちまでそういう疑問を持っておるのではないか、そういうことをこの委員会でもっと明々白々にしなければならぬ、そういう疑問に対してこの委員会審議の中でこたえていかなければならぬ、私はそういうふうに思って、この質問をさしていただくことを実はもう毎日指折り数えて待っておったわけでございます。特にこれは与野党を通じてどの先生方も一番感ぜられることは、この国会で筑波法並びにこの人確法に対しての賛否両論のいろいろな御意見、反対の方もおられた、賛成の方もたくさんおられる、そういう中で、まず大臣に、すでにいろいろなところでも御見解を述べておられるわけでありますけれども、まずひとつこの法案提出趣旨並びにそのねらい、そしてこれが新しい教育改革への第一歩であるという関連性、そうしたことをあらためて大臣に御質問を申し上げて、その姿勢見解をお尋ねをいたしたいと存じます。   〔委員長退席内海(英)委員長代理着席
  129. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 今日のみならず、常にそうであるといってもいいのかもしれませんけれども、特に今日ほど教育国民にとって大きな関心が持たれ、同時にまた、これを充実する上において重要な意義を持っているときはないというように考えておるものでございます。同時に、教育は、何といいましても、現実に教育の衝に当たっている教師その人がりっぱな人間である、教育に熱情をささげてもらうことが根本だと考えておるわけでございます。児童生徒がみずから学ぶ意欲を持たなければ、幾ら時間を費やしても教育は実ってこないと思いますし、また、みずから学ぶ意欲を持つには、相手が持たせるだけの相手でなければならないということにもなってこようと考えるわけでございます。そういう意味合いにおきまして、すぐれた人材、教育に熱情をささげ得るような人、これを教育界に迎え入れるということになりますと、いろいろな条件がございますけれども、その中でもやはり最大のものは、処遇の問題になってくるのじゃないだろうか、また、処遇をよくすることによって安んじて教育に当たっていただけるのじゃないだろうか、かように考えるわけでございます。そういうこともございますので、まず処遇の抜本的な改善をはかっていきたい。これは、公務員の給与につきましては、人事院の勧告を待って行なうことになっているわけでございますけれども、国の施策の中で何が重要なのかということになってまいりますと、やはり何をおいても教育の問題じゃないだろうか。父兄にとりましても、自分たちの子供がりっぱに成長していく、また国家社会にとりましても、この国家社会の次代をになうのはいまの児童生徒でございますだけに、その教育がりっぱに行なわれる、これは国の政治を考えます場合に最大の重点の置かれるべき問題じゃないだろうか。そういうふうなことから、将来にわたる国の基本的な姿勢というものを、この際、国権の最高機関でありますところの国会において明確にしていただくということが大切だ、かように判断するわけでございます。  そういう意味合いにおきまして、法律案として教員の処遇についての明確な姿勢を出していただきたい。それが、一つには、義務教育教員の給与は一般の公務員に比較して優遇されなければならない、同時に、この優遇措置は計画的に実現されるものとするんだ、こう書かしていただいていることでございます。将来にわたる国の基本的な政治姿勢、それを国権の最高機関である国会において明確にしていただくということでございます。
  130. 森喜朗

    ○森(喜)委員 いまの御趣旨、そしてこの法案の資料の要綱を読ませていただいて、われわれはもうそのとおりだというように実は感ずるわけでありますが、どうも世評でいろんなことをいわれている、また私どもにいろんな反対の資料が参りますが、なぜ人事院に勧告をしなさいというようなことを国会で言わなければならぬのか。この法律の名前からして非常に御苦心の点がいろいろあったと思いますが、われわれもその経緯についてはその経過の中でいろいろ承知をいたしている点もございますが、国民にとっては、やはり一番このややこしいといいましょうか、こういう不可解なことをやらなければならなくなったのかということを国民は一番疑問に思っているんじゃないかというふうに感じますが、これは大臣からでなくても初中局長でけっこうでありますが、こういう法律を出さなければならなくなったといいますか、こういう法律の出し方になったというその経過を少しわかりやすく御説明をいただきたいと思います。
  131. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 給与の法律につきましては、さきにいわゆる給与の三本立ての法律がございました。これは高等学校の教員の給与を小中学校の教員の給与と区別したわけでございますけれども、その際には、国会で給与表まで直しました法律を可決されたというふうないきさつがございます。しかしながら、現在この法律を提出いたします際に、給与の基本的な方針というものは法律でもって国会の最高の意思をもって御決定をいただく。   〔内海(英)委員長代理退席、委員長着席〕 しかしながら、今度の場合には義務教育の職員が中心になっているわけでございますけれども教育につきましてもほかにいろいろな職種があるわけでございます。また一般の公務員等の関係もあるわけでございます。教員類似の、たとえば保育所の職員その他もあるわけでございまして、そういうようなものを総合的にやはり検討していただくということは、これは人事院でやっていただくほうが適切じゃないかというふうなことも考えたわけでございまして、現在人事院が公正な機関として給与につきまして一般の公務員の給与を保障しているわけでございますから、そういう機関に具体的なやり方につきましてはおまかせをするというほうが適切ではないかというふうな政府部内の意見がまとまりまして、そこでこういうふうな内容にしまして御提出を申し上げたというふうな次第でございます。
  132. 森喜朗

    ○森(喜)委員 これは民社党なんかの御意見にもあるようでありますが、まっこうから反対する法律でもない、しかし、あえて法律にしなくてもいいじゃないかというような、そんなような御見解を出していただいているようなところもあります。特にこれは、たしか二月ころの内閣委員会で社会党の大出議員が質問なさっておられますが、どうも人事院を無視しているのではないかというような御意見もありますが、その辺は人事院との間にこの政府の御見解について何らかのお話し合いというものがあったわけでございますか、お尋ねをしておきたいと思います。
  133. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 一つ政府考え方になるわけでございますけれども、人事院は自主的な勧告権限を持っておられるわけでございますけれども、国家公務員法に規定されておりますように、官民格差でありますとか、あるいは物価の事情でありますとか、そういうことから給与の改善の勧告がなされるわけでございます。いま政府が政策として考えておりますのは、教員の給与は一般の公務員に比較して優遇されなければならない大方針を打ち出そうとしておるわけでございます。これはやはり方針として打ち出さなければ、人事院の任意の考え方でできる性格のものではないと思います。あるいは、教員については、初任給は別にして、十数年たってくると一般の公務員よりも教員給与が下がっていくじゃないか、そこは是正すべきだというような性格のものなら、私は人事院の自主的な勧告の権限で改善を期待することも不可能ではないと思います。しかし、将来にわたって一般の公務員に比較して優遇されなければならないというような大方針を人事院がかってにできるものなんだろうか、国会がそういう権限、明確な根拠を人事院に与えなくて、人事院がその自主的な権限行使の範囲内でできるだろうか。私はできないと思います。とすれば、非常な越権じゃないかというふうに私は思います。また、私が人事院総裁との話し合いの過程におきまして、そういう方針は法律として宣言されたほうが人事院としてもやりやすいという話のあったことも、経過的にはございました。そういうこともございまして、私は、人事院の自主的な勧告の権限というものはやはり法律の授権の範囲内だと思います。国会から与えられた権限の範囲内だと思います。そうしますと、国家公務員法に、公務員についての給与改善を勧告する、それはどういう場合であるかということが明示されているわけでございます。私がいま申し上げましたような大きな政治的判断について、教員だけ一般の公務員よりもひとつ高い給与改善の勧告をするというようなことは、私はその中から読み取れないと思うのであります。それは明確にしたい。また人事院の立場から考えても、そうしたほうがそういう勧告がしやすくなってくるということも、話の過程でもございましたし、また、まぎれもない法律的な解釈から出てくる結論ではなかろうか、かように思っております。
  134. 森喜朗

    ○森(喜)委員 教職という、これは聖職であるかいなかという議論もずいぶん長い間国会でもされているわけでありますが、いまの大臣の御見解、つまり、教育公務員というのは他の公務員よりもやはり大事な——私が先ほど申し上げましたように、人と人との触れ合い、人間が人間を教育する、それだけに大事なお仕事であります。それだけに、やはり教育者になるということに大きな一つの励みと社会的な位置づけをして差し上げることが大事だと思います。そういう意味で、法律の義務づけを、未来永劫に一般公務員よりも高い優遇措置をすべきであるということを法律ではっきりさせておくことは、私はほんとうにすばらしいことだというふうに思います。本来でありますと、人事院にもう少し詰めてお聞きをしたい点があるのでありますが、きょうは私のほうで御答弁の要求をいたしておりませんので、いずれ他の委員から人事院については少しこまかなことをお尋ね申し上げると思います。そういう意味で、どうぞひとつ、先生方、特に全国の教職員の方々に、そうした政府・与党の考え方というものを、ほんとうに正直申し上げて何ら意図のないものだということを私は率直に信じてほしいな、理解してほしいなという気持ちで実は一ぱいでおるわけでございます。  そこで、先ほどから大臣、局長からもお話がございましたが、計画的な実現をしていくんだということ、これはわが党文教部会でも、また私どもは先般の総選挙においても、先生方の給与を少なくとも五〇%までは引き上げていかなければならぬ、こういうふうに申し上げてまいりました。またその目標に向かって自由民主党文教部会でも進めているわけでございますけれども、今回の措置は一〇%という形で、予算上にはそういう措置をなされているわけでありますが、この計画的実現の具体的な考え方、そしてそれに伴っていろいろな各省との問題があるかと思いますが、その辺は政府でおきめになるまでにどのようなお話し合いがあったのか、もう少しその計画的な内容といいましょうか、また大臣の目標と申しましょうかをお話しいただきたいと思います。
  135. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 四十八年度の予算編成にあたりまして、教員の給与についてどういう態度をとるか、かなり議論のあった点でございまして、最終的に大蔵大臣と私との間で結論を出しますときに、四十八年度については一月から三月まで三カ月分について給与の改善措置を予算化する、それは平均して一〇%乗っけるということになったわけでございます。同時に、これはこれだけで終わらないんだ、将来なお引き上げていくんだということを明確にする、そういう意味において、何という表現を使いましたか、計画的に改善をはかるという趣旨の文書を取りかわしまして、そのことを明確にさせていただいたわけでございます。  文部省の中に、別途、給与に関する調査会を置いておりまして、関係の機関からこれに加わっていただきまして、教員の給与はいかにあるべきかということについて検討が続けられているわけでございます。また、この機関におきまして、関係各団体の意見も今日まで聴取してきているようでございます。なおその話し合いを詰めまして、教員の給与がいかにあるべきかという結論を出してもらいたい、それを将来にわたって実現をしていきたい、実現するについて、少なくとも考え方は法律で明確にしておいてほしいというのが、今回の法提出経過でございます。
  136. 森喜朗

    ○森(喜)委員 私どもも与党という立場で四十八年度予算編成に携わった一人として、そうした大臣のお考え、その経過の中で私は必ずしも足並みが統一されていなかったような気もしてならない。確かに大きな目標、旗を掲げたけれども、現実に予算編成の中でかなりいろいろ議論があったように感じます。これは大臣にもう一つ、最後になったら、きっぱりとした、大臣はきわめて明鏡止水の考え方だろうと思いますが、計画的に目標に到達するまでがんばってあげるんだという考え方を、もう一度ここで私は確認させていただきたい。  同時に、同じ田中内閣の大事な文教を担当されておる大臣として、内閣総理大臣も心を変わらずに、この教職員の給与だけはりっぱに計画的に引き上げ実現して国民の期待にこたえるんだ、そういうお考えを持っておられるかどうか。予算編成の中で大臣はずいぶん総理ともいろいろなお話をなさったと私は聞いておりますけれども、その辺の心がまえを、総理のお考え方もあわせて、ひとつ国会ではっきりと明言をしておいていただきたい。これは私は全国の先生方に対する大きな示唆になるのではないかというように感じます。
  137. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 文部省から大蔵省へ予算要求をいたしましたのは、一般の公務員よりも五割引き上げたいということでございました。予算折衝の過程で五割の引き上げを一挙にすることはとうてい望み得ませんですし、私としてもかなり苦慮してまいったものでございます。同時に、総理の力もおかりいたしましたし、総理自身非常に積極的にこの点について熱意を持っておられました。毎年一割ずつ上げていったらいいじゃないか、こういうこともございまして、そういうことから、私は、一割とにかくことしは乗っけてくれということで話をいたしました。その過程では、大蔵大臣からは、まるい数字で乗っけましょうかということもございましたけれども、私としては、正確にはじいて端数もつけて予算に計上してくださいということを申し上げまして、最後に、一月から三月までの期間について正確にはじいた一〇%の額が上乗せされるということになったわけでございます。
  138. 森喜朗

    ○森(喜)委員 計画的ということをはっきりうたっておられる。一割ということもいまおっしゃった。目標の五〇%からいうと五年かかるわけでありますが、せめて一割ずつ三年間は、予算編成のときにあまりそういうごたごたを起こさずに、ほんとうに総理並びに文部大臣がいまお話しになりましたような考え方を、どうぞひとつ四十九年度の予算編成からスムーズな形で——この法律が通ることは、おそらく、これだけ議論をいたしておりまするに、与野党の先生方みんな、心の底はこのまますっきりと通ってほしいなという気持ちで一ぱいだと私は思うのです。そういうことを考えて、どうぞひとつ来年度の予算からスムーズにこれが目標に到達できるように予算編成をしていただきたいということを、心からお願いを申し上げておきたいと存じます。  同時に、もう一つその中でお聞き申し上げたいのは、これはこの委員会の冒頭の大臣に対する御質問で松永委員からも御質疑がございましたが、義務教育の先生方の一〇%アップ、いわゆる計画的な優遇措置というものに対して、やはり高校の先生や幼稚園の先生方がかなり危惧をされておられる。すでに大臣委員会でも、中身はそれに沿っていきたいんだというお話をなさっておられましたけれども、高等学校の先生、幼稚園の先生、いわゆる義務教育学校の先生方以外の教職員に対してはどうされるのか。この議題が本題に取り上げられましたきょう、もう一度大臣から決意のほどを明確にお答えをいただきたいと思います。
  139. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 お話しのとおり、この法律案が成立するかしないかによりまして教員の給与改善実現程度というものは非常に違ってくる、かように思います。法律ができますと、国権の最高機関である国会の考え、それを背景にして人事院も勧告できますし、また政府もこの問題と予算措置等において取り組んでいくことができるわけでございます。でありますだけに、ぜひこの法案が法律として成立しますよう、心からお願いを申し上げておきたいものでございます。  第二に、法律的には義務教育の教員を中心にうたわれているけれども、ほかのほうはどうするのかというお話がございました。法律も、第一条を見ていただきますと、広く学校教育水準維持向上をはかると書かしていただきました。義務教育学校とは書いておりません。学校教育水準維持向上をはかる、こう書かしていただいたわけでございます。そのことは、幼稚園から大学まで処遇の改善を行なっていきたい、こういう気持ちを持っておるわけでございます。こういう気持ちを持っておるわけでございますが、各省もみんな職員をかかえておるわけでございます。各省もみんな職員をかかえているときに、教員だけを一般の公務員に比較して優遇されなければならない、なかなか反発があるわけであります。率直に申し上げまして非常な抵抗を受けました。義務教育ということになりますと、公務員の中で一つの職種でございます。教員といいますと、いろいろかかわり合いを持つ職種が多いわけでございますけれども、その中で義務教育に従事する職員ということになりますと、一区切りできるわけでございます。そういうこともありますし、同時にまた、やはり小中学校時代というものが将来にわたる人格の基礎がつちかわれるときでございますので、同じ幼稚園から大学までといいましても、大切な時期であることには違いはないと思うわけでございます。そういうこともございまして、義務教育教員の給与は一般の公務員に比較して優遇されなければならない、こう書かしていただいて、同時に、義務教育学校だけでなしに、学校教育水準維持向上をはかるんだ、こういうふうに全体について考えているんだということを明らかにさしていただいたわけでございます。  同時に、予算折衝の過程におきましても大蔵大臣との間ではこの話は詰めておるわけでございまして、法律はこう書かしてもらう、予算計上は義務教育だけだけれども、私は全部やりたいんだ、また、この法律を受けて人事院は勧告をされるだろう、人事院が勧告をされる場合に、私としてはそういうことも人事院に対しては期待をしていきたいと考えているんだ、幸いにしてわれわれの期待するように人事院が義務教育以外の学校について改善の勧告をしてくれた場合には、ぜひ協力を願いたいんだと申しまして、大蔵大臣も同感してくれました。その場合には予備費等からその財源は支出いたしましょう、こうもはっきり言ってくれたわけでございます。  法案につきましてはいま申し上げましたような表現でございますし、同時にまた、予算措置では義務教育教員についてだけしか計上してございません。したがいまして、同じことをそのとおり期待できるかということになりますと問題がございますけれども、これとのかかわり合いにおきまして、たとえば小中学校の先生の初任給が上がる、高等学校の先生の初任給を上回る、当然私は高等学校の先生の初任給もそれとの関連において引き上げる勧告はもらえる、こう考えておるわけでございます。その場合には大蔵大臣も財政的な措置はとります、こう言ってくれていることを御報告させていただきます。
  140. 森喜朗

    ○森(喜)委員 大臣のお考えはよくわかったわけでありますが、やはり先生方にとられては、自分たち同じように児童生徒の教育に携わっておる、誇りを持って仕事をなさっておられるのに、自分たちだけが何かはずされているという、そういうさびしさというものは禁じ得ないと私は思うのです。先ほど木島先生と山原先生の議論を伺っておりましても、高校教育はもうほとんど九五%になるだろうという議論をなさっておられる。そういう中で、高校の先生方に対する励みということもやはり十分考えてあげていただきたい。この法案は、私は、各野党の先生方の良識において、きっとかけ込みでも成立できるんじゃないかというほのかな期待を抱いておるのでありますが、これが成立をいたしましたら、義務教育学校という、こういう名前でくくらないで、広く幼稚園、高校までも含めたそういう先生方の給与の優遇措置をするという、そういう名目に改めていただきたいなということを、幼稚園や高校の先生方の声を私は体してここで申し上げておきたいと存じます。  もう一つ、幼稚園、高校の先生と同時にやはり最近一番問題になっているのは、私学の問題だと思うんです。特に私学私学と、どうも私立大学という問題が先行しておるきらいがある。私の郷里なんか、選挙区の石川県なんか見ましても、私立の高等学校、中学校というのは一番経営が苦しい。またその中に一番先生方の激しい突き上げもある。ところが現実には、なかなか大学まで持っておるような高校もございませんし、経営が苦しい。そこへ片方は例の超勤にかわる四%だとか、やれ今回は一割上げるんだ、さらにこれを三年間続けて上げるんだ、もう義務教育の先生ばかり優遇されて、私学の経営者も何とも言えない気持ちだろうと思うし、先生方自身も、一体われわれはどうなるんだろうかという気持ちがあると思うんです。私立学校の先生方の給与改善について一体どう考えておられるのか。わが自由民主党としましては、塩崎潤議員を中心に、私学助成の問題はいかにあるべきかということをいま議論いたしておりますが、やはり教育の一番責任政府である文部省が、これに伴って私学の教員給与改善というものをどう考えておられるのか、ひとつ大臣からお話を承っておきたいと存じます。
  141. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 お話しのように義務教育中心の給与改善のように受け取られがちだと思います。また、教職調整額にいたしましても、幼稚園の先生に及ぼされていないこともございます。これは公立、私立を通じてございますけれども、この点につきましてもぜひ改善をしたい。人事院当局に対しましても私から強く要請をいたしております。必ず次の勧告の中には、幼稚園の先生方にも教職調整額を支給すべきだという勧告になってあらわれてくるものと確信をいたしております。同時に、私学の果たしている役割りから考えますと、私立の学校につきまして積極的な援助をはかっていかなければならない。現在は、四十九年度まで、いままでの計画が逐次実現されていく過程にあるわけでございます。過程にあるわけでございますが、この内容につきましても積極的にもっと改善をはかっていかなければならない、こう思っております。私なりに具体的なことも考えているわけでございますけれども、積極的にはかっていかなければならない。同時に、年度の中途で給与改善が行なわれる、その場合に私学に対する助成が必ずしも補正されていないということもあるわけでございますけれども、これはぜひ私は年度の中途の改善につきましても何らかの措置でめんどうを見るように、四十八年度からしていきたいものだな、かように念願し、またそういう努力も払い始めているところでございます。
  142. 森喜朗

    ○森(喜)委員 その場合にやはり一番心配するのは、もし人事院がそういう勧告をなさった場合、財政措置というもの、これは心配でございますが、さらに、先ほどお答えでございました義務教育学校以外の先生方に対する勧告があった場合、それに対する地方の負担というものはこれはたいへんなものだろう。私どもも当初年度予算をやるときに、地方の市町村長、知事以下みなそのあたりを非常に心配をしておられる。その辺についての財源措置はどのようになっておりますか。これはおそらく自治大臣等とも十分お話をなさっている、特に文部大臣は自治省については権威のある方でありますから、その辺についてはどのようになっているのか、お答えをいただきたい。
  143. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 地方財政全体の必要な措置をどうはかるかということも、これも大事な問題でございまして、四十九年度以降どうしていくかということにつきましては、税制その他の問題についても考えを及ぼさなければならないかもしれないわけでございますが、自治大臣、大蔵大臣文部大臣、三者の間で相談をし合うということも文書による約束をしているところでございまして、地方財政全体の問題にもあわせて取り組んでいかなければならない、かように思っております。
  144. 森喜朗

    ○森(喜)委員 これまでの大臣お話を伺って、先生方の地位、それから条件、そういうことを考え引き上げなければならない、あるいは計画的に将来五〇%までは引き上げていきたい、あるいはまた、幼稚園、高校、義務教育以外も考えなければならない、私立学校についてもずいぶん考えなければならない、同時にそれについての財政措置考えてやる、全部これはまことにけっこうな話で、一体ここまで議論をしておってなぜ野党の皆さんが反対をされるのか。これはいままでの間はそういう方向で議論をなさっておられる。国民にとってはまことに私はふしぎなことだと思うのです。  そこで、これから少し中身についてお聞きをいたしたいのでありますが、これは私どもの石川県の教組のパンフレットで、「父母版」と響いてありまして、これがみんな家庭に配られるのです。私は郷里から、おまえは先生方の給与をよくしてあげるということを一生懸命に言っておるのに、その先生方が何でこう反対をするのかわからない、こう言われる。それでこうやっていろいろな教組の紙をわれわれのところにわざわざ送ってくるわけです。いま大臣議論をしておって、どなたが考えても、反対するところは何にもない。それなのに一体なぜ先生方がこうやって紙を出して反対をされたり、そしてデモをやったりされるのか、どうもわからない。この国会が始まってから、委員長もよく言っておられるが、とにかく次から次と教職員団体だの学校の先生だのがいろいろ来られて、反対だ反対だと言われて、審議にも委員会にも出られないということで委員長こぼしておられたのでありますが、大臣は、この国会でこういう騒ぎになるのは、一体日教組何を考えておるのか、なぜなんだろうかということを、どういう御見解を持っておられるか、ひとつ伺っておきたいと思うのでありますが……。
  145. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 私、日教組の反対されている理由を三つあげることができるのじゃないかと思います。  一つは、何か給与を上げることによって先生方が文部省べったり、政府べったりの教員になるのじゃないかということのようでございます。私は、やはり政府国民の代表でございますから、政府の言うことについて批判がある場合に大いに批判されればいいと思うのでございますけれども、基本的には協力をしていかなければならない性格のものだと思いますので、別な社会でもつくろうとするのなら格別、そうでない限りは理解できない、こう思っております。  もう一つは、五段階給与を考えているのだ、こういうお話でございます。五段階給与にしようとしますと、それなりに法律案を国会に提出しなければできないのでございます。まだ私自身五段階給与がいいのか悪いのか何にも考えておりません。何にも考えていないし、同時にまた、そんな法律案を国会に出しているわけでもない。何の関係もないのにそのような議論がどこから出てくるのだろうか、私には納得ができないわけでございます。  第三には、給与は交渉によってきめられるべきだという気持ちがあるのじゃないか、かように考えるわけでございます。学校の先生方は公務員でございまして、全体の奉仕者でございます。その給与は国民全体から税金の形で支払われておるわけでございます。したがって、国民の代表者をもって構成されているところの議会においてきめられる。しかし、議会が教員の立場について理解がなければいけませんので、別途、人事院なり、あるいは地方の場合には人事委員会、公平委員会から議会に勧告をするという仕組みまでとられておるわけでございまして、やはりこの方式が現在制度として打ち立てられておることでもございますし、当然この仕組みに従っていくべきものだ、かように考えておるわけでございます。教員の給与は利益の分配じゃございません。一般の労使関係なら、利益の分配、したがって労使交渉、よくわかるわけでございますけれども公務員の場合には、これは全体の奉仕者でございまして、国民全体から税金の形で拠出されておるわけでございます。したがって、国民全体の代表者が構成して、います議会においてきめる、これはやはり筋道だろう。しかも、それにつきまして人事院なり人事委員会、公平委員会というような仕組みまで設けて、その教員の立場を十分守っていこうという配慮もなされているわけではなかろうか、私はこう考えておるわけでございます。
  146. 森喜朗

    ○森(喜)委員 いま大臣お話で、私も何かふしぎでしょうがないし、おそらく社会党の先生方、共産党の先生方、皆さんも実は私はお困り抜いておられるのじゃないかなというような感じがしてならない。率直に言って、もうそれだけお聞きしておけば、これで全部国民の疑いというのは晴れた。しかも国会の権威ある場所で大臣が、五段階はやらない、考えたこともない、そこまではっきりおっしゃっておられるのだから、もうこれですぐにでも採決していいぐらい、私は日本じゅうの先生方がみんな望んでおられるのじゃないかというふうに思うわけであります。   〔私語する者あり〕
  147. 田中正巳

    田中委員長 静粛に願います。
  148. 森喜朗

    ○森(喜)委員 いま日本の多くの人々が、先ほど私が冒頭に申し上げたように、こういう教育という、純真な子供たちに傷がつく、そういう心に傷がつくような一番大事な場所でこういうおとなの論争が続けられるということは、日本にとって一番の不幸なことだというふうに私は思うわけであります。特に私は、一般の大衆の皆さんが、こういう紙が回ってきたりします——私もよく選挙区で国会の報告をしたり演説会をするわけでありますけれども、この話をよくやりますと、必ず質問が出るのです。ストライキばかりやっておるのは先生、お金は要らないと言っておるじゃないか、そんな者になぜ金をやるのだ、そんな金があったらわれわれのもっとほかのところにいろいろな施しをしてもらいたいのだと言う人たちがずいぶんいらっしゃるのですね。そういう国民の声というのはかなりあるわけでございますから、どうも日教組というのは自分かってに、えてかってに、もう無理やりに閉塞的に自分たちのことだけで考えておるような気がしてならないわけでございます。特に国民にこんなビラをまかれて、うまい話には落とし穴がつきもの、五段階差別賃金導入にむけた配分をしようとする、毒入りきびだんごほしくない、こんなばかげたことを習いて、私は国民は納得しないという気がしてならないわけであります。そのあたりの政府のPRもちょっと私は不足しておるような気もするし、それから先生方お一人お一人に私ども尋ねてみると、決して教組が打ち出しているような考え方をだれも持ってない。どうも教組に引きずり回されておるのじゃないか。一部独善的な職業的な専門——何といいましょうか、いわゆるアジテーターによって先生方自身が振り回されているような感じがしてならないのであります。私はそのことが日本の教育にとってまことに不幸なことであろうというふうに感じますが、大臣、念のためにでありますが、その辺の、私の考えていることが間違っておるのだろうか、私どものやっていることが間違っておるのだろうか、私はときどき悩み多いこのごろでございますが、大臣、いかがでございましょうか、もう一度そのあたりについて、一番の私は大事な点ではなかろうかというふうに思いますが、ひとつきっぱりとしたお答え国民に向けてしていただきたい。お願いを申し上げる次第であります。
  149. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 日教組の方々が具体的に現在どういう考え方でおられるかわかりませんし、また私に会いたいというお話でもございますので、そういう機会ができてさましたら、またざっくばらんに話し合う機会があってもいいのじゃないか、こう考えます。  ただ、これまでの私の推測では、文部省の言うことについては何でも反対、政府のことは何でも反対というような傾向が強いように思います。それだけ政府不信を持っておられるということになればそれまでかもしれませんけれども、やはり憲法の精神、たてまえ、これはよく理解してかかってもらわなければいけない、こう考えるわけでございます。その辺に本質的なものがあるのじゃないだろうかという心配を持つわけでございます。憲法の前文にはやはり政府国民の代表なんだということを明確にしているわけでございますので、国民の代表である政府考え方については、一応それなりの態度で受け取ってもらわなければ困るじゃないだろうか、こういう感じを抱くわけでございます。私たちもまた、日教組についていろいろ疑問を持っておられる点についてはざっくばらんに伺いながら、見解の違いは見解の違いとして明確にしていく、そしてやはり基本的には国民の脅えるところに日教組自身も従ってもらうという方向でいかなきゃならない、もちろん政府も当然そういう態度をとらなきやならないと思いますが、不幸な状態が二十数年続いてきている、こう考えるわけでございまして、やはり日教組にも、国民を中心にして考えてくださいよ、日教組を中心にして考えること、あるいは組合を中心として考えることは、できるだけひとつ振り返って改めてもらえないだろうかという希望を私としては強く持っておるところでございます。
  150. 森喜朗

    ○森(喜)委員 いま大臣からも、教組からの申し入れもあるのだというふうにお話しになっておりました。この委員会でも、終始、大臣が日教組の委員長と会うのかどうかという意見のやりとりを私どもも聞いているわけでございます。最近になりまして教組のほうから大臣に対し申し入れがあって、大臣は、ざっくばらんに話し合う機会があれば、このことについて話し合いたいというふうにおっしゃっておられる。しかも、この人材確保法案が国会で議論をきょうからされた、一つの時期だというような感じを持つ、そういう国民もかなりいるというような感じがいたしますが、そう言う大臣が、その後この委員会でいろいろなやりとりがございました中から、心境の変化が多少いろいろな意味であるのだろうかということも、われわれ実は知りたいところでございます。  同時にまた、今度の日教組からの申し入れについては、この法案について何か具体的なお話といいましょうか、あるいは何かそういう申し入れがあるのだろうか、事前に何かそんなお話があったのだろうか、その辺のことについてもお伺いをしたい。  そして、大臣もいま、ざっくばらんに話し合いたい、そういう機会があればということもおっしゃっておられますが、であるとするならば、時期がむしろ私はいまのような気もするし、しかし私は、さっき大臣がおっしゃっておられた、教組が反対する三つの理由の中の一つに、政府べったり云々というようなことがあったけれども、少なくとも国民教育というものに政府は当然責任を持つわけでありますから、一体、社会主義国家、共産主義国家で先生方が好きかってなことを言っている国家なんてどこにもないのですから、そんなことから見れば、日本なんて政府べったりどころじゃなくて、どちらかというと政府と逆行に走っていくような考え方を教職員の指導者がしているということは私は事実であろうと考えますが、そういう事態の中に立って大臣はいまこの時点で日教組委員長に対してどう考えておられるか、この問題についてはどう話し合っていかれたほうがいいか、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  151. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 たびたび申し上げていることをちょっと繰り返しまして恐縮にも感ずるわけでございますが、私は常に、教育の基本は教師にある、教師に人を得ない限り、教育の充実を期することは困難だ、こう思っております。同時に、文部省教育の諸条件を整備していくわけでございますので、当然、文部省と教師あるいは教師の組合協力し合っていかなきゃならない、これは当然のことだと思うのでございます。それが不幸にして今日の事態を招いておるわけでございまして、ぜひこのような関係改善すること、これが教育の振興をはかる基本的ないまの課題だ、ずっと私はそう思ってきているわけでございます。  先般、日教組のほうから初中局長のところへ、文部大臣と会いたいという申し入れがございまして、初中局長のところへ日教組の書記長が伺っておると思います。私は、両者の間で問題を詰めてくださいよ、そして、会った以上は、しょっちゅうざっくばらんに話し合えるような形に持っていこうじゃないか、また、そう持っていけるなら私も積極的に会いますよ、こう出しているわけでございます。日教組大会を控えておりますので、日教組のほうの都合もございまして、日教組大会の前にするか、あとにするか、話もございました。その結果、十六日前後に幸いにして書記長と初中局長との話し合いで、会ったほうがいいという結論が生まれますれば、そういう日が訪れるのじゃないだろうか、こう考えておるところでございます。
  152. 森喜朗

    ○森(喜)委員 大臣は、教組委員長大臣の話し合いは単にお互いの宣伝の場ではない、そんな場にしてはならないということをおっしゃっておられた。いまの大臣の御見解で私はまことにりっぱなお考え方だと思うのです。やはり一回きりじゃなくて、お会いになるなら、常にざっくばらんに、ほんとう国民のために、そして子供たちのために、生徒児童のためにお互いに教育という大事な仕事を預かっているのだということでこれからも話し合っていただきたいな、これは全くそういうお互いにイデオロギーを抜けてほんとうに子供たちのために、天下国家のために、日本民族百年の計のために、私はそうしていただきたいという気持ちで一ぱいでございます。それだけに私どもは、教組自体にも、お互いに環境条件、労働条件、これは要求されるのも当然でありましょうし、そうしたための組合活動であるということは私どもは決して否定するものではないのでありますが、どうも政治的闘争になる、あるいは、たいへん失礼なことでおしかりをいただくかもしれませんが野党の皆さんにむしろ圧力をかけているんじゃないだろうか、そんなことを心配している。これは野党の皆さん方もほんとうに困っておられるのじゃないだろうか、そんなこと考える。  ひとつ初中局長、事前のお話をなさるということであるならば、より意義のある、そして実りの多いこれから会談になっていけるようにどうぞつとめていただきたい。これは国民の皆さんがひとしく考えておられることだと思うので、私からもお願いを申し上げておきたいと存じます。  そこで、姿勢、それから考え方、もう十分お聞きをいたしておりますので、中身については次回他の議員さんからお話があろうかと思いますが、一つだけお伺いをしておきたいことは、今度の一〇%は、これはいろいろな反対の方々の中身にも誤解をされるようなところがたくさんある。たとえば、この間私のところに反対の陳情に来られた方と議論をしたら、この配分を政府が何かいい者をいいところに厚くつけたり、何か政治政策的にあるいは意図的につけるのじゃないだろうか、そんなことを心配しておられるようでありますが、この一〇%というのは、今回この法律が通り、この予算で措置された金額百三十五億、これは一体今回の場合はどういうふうに配分をなさる考えなのか、それをひとつお聞きしておきたいと存じます。
  153. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 法律に書いてあるとおりでございまして、具体的にどういうような給料をつくっていくかということにつきましては、人事院の自主的な勧告、それに一〇〇%従っていきたい、人事院におまかせしたい、こういう考え方でおるわけでございます。
  154. 森喜朗

    ○森(喜)委員 この先生の俸給そして行政職の俸給比較表というのをこう見ておりますと、確かに最初は先生方がいいわけでありますが、これが十五年目ぐらいでございますか、こう交差をしてしまって、最後になると全くたいへんな差ができております。私はこの間、自分の母校の高校の校長先生とも会ったのですが、森君、一体ぼくの給料は幾らだと思うかねとおっしゃって、そんなお話し合いをしておったのでありますが、校長手当もみんな含めて十五万くらいだよとおっしゃった。決してお金で動いているものでもないし、それから経済的なことで教職というものにだれもつかれた方ではない、いまの先生方みんな私はそう信じたいのでありますが、やはりいまのようなこういうバランスがいろいろな形でくずれてきている今日の中で、中学校を出た若者が十年もつとめれば、もう場合によっては校長先生以上の給料を取っておられるようなところだってあるわけでございますから、今回のこの中身は、人事院の勧告に従うということでありますが、私どもとしては全体的な底上げをしていただきたい。そして、できれば次のときには、そういうたるみといいましょうか、たわみといいましょうか、そういう不均衡なところを直していただきたい、そういうふうに考えておるわけでございますが、大臣自身とされては、いま人事院にまかすとおっしゃったけれども、へこみを直そうと考えておるのか、全体的に上げるということを考えておられるのか。特に反対でいろいな陳情に来られる方々、反対運動に来られる方は、その金を何かほかのところへ回されるのじゃないか、どうも政府にべったり、あるいは校長にべったり、体制側にいいところにつけるんじゃないか、こういううがった、たいへんな間違った考え方をしている人たちが非常に多い。これは私は教組の指導者が悪いと思うのです。そういうふうに先生方をあおっているんだと思う。だから、いま人事院に従うんだと大臣はおっしゃるけれども、そこが私はかえって先生方の疑問の解消にならぬような気がしてならない。いま私は私の案として申し上げた。へこみを直すんだとか、一律に上げるんだとか、私は具体的に一つの試案として言ったわけでありますが、やはり大臣としてはどういうことを希望されておるのかということをこの場ではっきりされておかないと、どうも悪い材料で、ためにするための材料のためにあおられた、そういう疑問を持っている先生がたくさんおられる。どうぞひとつきょうはその辺のことをもう少し御自分の考え方をここで示していただきたい、このことをお願いをしておきたいと思います。
  155. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 教員の給与を全体的に上げたい、これが一つでございます。したがいまして初任給も当然上げていくわけであります。もう一つは、いま御指摘になりましたように、十数年たちますと一般の公務員よりも給与が悪くなっていくわけでございます。これは不穏当だ、そういう意味ではいまのままの給料表で一つの欠陥があると思っておるわけでございます。この欠陥は是正しなければならない。この欠陥の是正と、私たちがいま考えているのは、一般の公務員に比較して優遇されなければならないということでございまして、これは何も上のところだけ優遇されなければならないのではございませんで、全体を優遇されなければならないと考えておるわけでございます。全体を引き上げる、同時に、いまの給料表には欠陥があるんだ、その欠陥の是正はこの問題とは別個にやはりぜひやっていかなければならないことだと考えておるわけでございまして、なお具体的にいろいろ検討も続けておるわけでございますので、政府委員のほうから御答弁申し上げます。
  156. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 いま大臣からお答え申し上げましたような点は、これはただいまの森先生の御意見を含めまして国会でもたびたび御議論のあったところでございます。特に内閣委員会を中心にいたしまして、教員の給与のいわゆる逆転現象、これはおかしいじゃないかというふうな御指摘がございまして、これに対しまして人事院は是正する方向でいきたいというふうなことも申しております。  なお、私どものほうでは、現在、給与を含めます待遇の問題につきましては調査会を設けて検討をいたしておる段階でございます。そこで大臣からは慎重な御発言もあったかと思いますけれども、調査会の結論が出ました場合には、その結論に応じまして大臣から人事院の総裁に要望という形で意見を申し上げたいというふうに考えておるところでございます。
  157. 森喜朗

    ○森(喜)委員 ありがとうございました。さらにこまかいこと、さらに人事院の考え方については他の議員から御質問を次の機会にさせていただくことになるかと思います。  私は、今回、最初に申し上げましたように、新しい教育百年へ向かってのスタートの年である、それだけに、自画自賛するわけじゃありませんが、自由民主党が掲げた予算編成を含めて新しい教育への手がかり、きわめて多くの人々から賛意をいただいておる、そしてまた期待を持っていただいておるだろうというふうに思います。特にいま都議会選挙があって、私ども委員会審議の中あるいは夜など演説会等々に行って、都民の皆さんにもお訴えを申し上げる。保守とか革新とは一体何なんであろうか。私はここに日本社会党さんからの一九七三年二月八日奥野文部大臣への申し入れ書というのを持っております。この中には、私が先ほどから質問をし、大臣からそれに対する御答弁をいただいておることは全部盛られておるわけでありますけれども、社会党さんが言われるようなことは政府大臣一つ考えておられないわけであります。大学の改革なんというのは、いまのままにほっておいたっていいとはだれも思っていない。そういう中で、いろいろな参考人の先生方もおいでになったけれども、必ずしもいいとか悪いということは言えないけれども、新しい一つの試行として期待できるんじゃないだろうかということも、筑波について、各先生方、むしろ反対の立場の先生方ですらもそういう御意見を吐いておられたような気が私はするのです。いまのままであってはならない、やはりわれわれ政治家、そして行政に携わる皆さんは、いまから少しでも、一歩でも抜け出すこと、これが国民の期待を受けた立場の者でなければならぬと思うのです。そういう中で新しいものをつくろうとするのが、保守といわれる自由民主党で、何でもかんでもいまのままでいいんだ、動かさないでいいんだとおっしゃっておられるのは、革新といわれる社会党や共産党の人たちだというと、どうも私はわからない。このことを私がいま東京都のこの選挙で申し上げると、みんな一番このあたりにうなずかれるし、おかしいとおっしゃる。自由民主党というのはやはり保守党じゃない、教育については少なくとも躍進、革新政党だ、私はそういうふうにいま思っておるわけでございます。社会の風潮は、父兄というものは、やはり教師の人格や地位というものを一番尊重する、尊敬する。それが教育の一番大事な根源であるというような感じも私はいたすわけでございます。全国の先生方もどうぞ、そういう間違った、あるいはためにするための指導に振り回されないようにしていただきたいということも私は心から願ってやまないわけでありますし、同時に、いい先生、そうして教職に誇りを持つような人々、そしてよき教師を目ざす人たちが将来の日本民族のために集まってこられる、そういうことも考える。  いま申し上げたようなことから、この人材確保法案は何としても通していただかなければならぬ。ここに御出席の文教の先生方はみんな必ず満腔の意で賛意を示していただけるに違いないと私は信じているわけでございます。そうしてほんとうにおとなの論争、政治的な論争がこの教育の場に持ち越されてはならない。子供たちの魂をゆり動かすような教育をやってこそ、ここに百年目の新しい日本の教育というものをつくり上げていく大事な要諦ではないかということを最後に申し上げて、私は質問を終わりたいと存じますが、どうぞひとつ大臣も正しいことは堂々と主張していただいて、そうして国民の疑惑あるいはまた先生方のそうしたいろいろなおそれというものに対して勇敢に立ち向かっていただきたい、このことを心からお願いを申し上げて、質問を終わりたいと存じます。ありがとうございました。
  158. 田中正巳

    田中委員長 次回は来たる十一日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十七分散会