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1973-07-04 第71回国会 衆議院 文教委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年七月四日(水曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 田中正巳君    理事 内海 英男君 理事 塩崎  潤君    理事 西岡 武夫君 理事 松永  光君    理事 森  喜朗君 理事 木島喜兵衞君    理事 長谷川正三君 理事 山原健二郎君       有田 喜一君    片岡 清一君       坂田 道太君    床次 徳二君       野田  毅君    林  大幹君       藤波 孝生君    前田治一郎君       三塚  博君    山崎  拓君       小林 信一君    嶋崎  譲君       山口 鶴男君    山中 吾郎君       湯山  勇君    栗田  翠君       有島 重武君    高橋  繁君       安里積千代君  出席国務大臣         文 部 大 臣 奥野 誠亮君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房審議室長   亘理  彰君         大蔵政務次官  山本 幸雄君         大蔵省主計局次         長       辻  敬一君         文部政務次官  河野 洋平君         文部大臣官房長 井内慶次郎君         文部省管理局長 安嶋  彌君  委員外出席者         総理府恩給局恩         給問題審議室長 海老原義彦君         文部省管理局福         利課長     五十嵐 淳君         参  考  人         (私立学校教職         員共済組合常務         理事)     三浦 勇助君         文教委員会調査         室長      石田 幸男君     ————————————— 委員異動 七月四日  辞任         補欠選任   上田 茂行君     片岡 清一君   高見 三郎君     前田治一郎君   中尾  宏君     野田  毅君   勝澤 芳雄君     湯山  勇君 同日  辞任         補欠選任   片岡 清一君     上田 茂行君   野田  毅君     中尾  宏君   前田治一郎君     高見 三郎君   湯山  勇君     勝澤 芳雄君     ————————————— 七月二日  学校教育水準維持向上のための義務教育諸  学校教育職員人材確保に関する特別措置法  案撤回に関する請願有島重武君紹介)(第七  九六六号)  同(岡田春夫紹介)(第七九六七号)  同(日野吉夫紹介)(第七九六八号)  同(堀昌雄紹介)(第七九六九号)  同(山口鶴男紹介)(第七九七〇号)  同(岡田哲児紹介)(第八〇三九号)  同(楢崎弥之助紹介)(第八〇四〇号)  同(小林信一紹介)(第八〇九〇号)  国立学校設置法等の一部を改正する法律案撤回  に関する請願外三件(有島重武君紹介)(第七  九七一号)  同外二件(勝澤芳雄紹介)(第七九七二号)  同(勝間田清一紹介)(第七九七三号)  同外二件(土井たか子紹介)(第七九七四  号)  同(中村茂紹介)(第七九七五号)  同外一件(藤田高敏紹介)(第七九七六号)  同(福岡義登紹介)(第七九七七号)  同(村山喜一紹介)(第七九七八号)  同外一件(八木一男紹介)(第七九七九号)  同外一件(藤田高敏紹介)(第八〇四一号)  同(細谷治嘉紹介)(第八〇四二号)  同外二件(小林信一紹介)(第八〇九一号)  同(嶋崎譲紹介)(第八〇九二号)  同外一件(土井たか子紹介)(第八〇九三  号)  国立学校設置法等の一部を改正する法律案反対  に関する請願嶋崎譲君外八名紹介)(第七九  八〇号 は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和四十四年度以後における私立学校教職員共  済組合からの年金の額の改定に関する法律等の  一部を改正する法律案内閣提出第一一三号)     ————◇—————
  2. 田中正巳

    ○田中委員長 これより会議を開きます。  昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野田毅君。
  3. 野田毅

    野田(毅)委員 まず、初歩的な質問から入りたいと思いますが、現在年金制度あるいは健保制度についていろいろな制度があるわけであります。御承知のとおり、厚生年金制度あるいは政府管掌健康保険制度などがあるわけでありますが、このほかに昭和二十九年でございますが、私学共済制度が取り入れられたわけであります。これらの関係は一体どういう形になっているのか、こういう特別の制度を設けた趣旨といいますか、そういうものについて、初歩的な質問でありますが、お伺いをしておきたいと思います。
  4. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 社会保障制度といたしましては、医療保険につきましては、御指摘のように健康保険という一般的な制度がございますし、また年金につきましては厚生年金という制度があるわけでございますが、そのほかに共済組合という制度が御承知のとおりあるわけでございます。国家公務員につきましては国家公務員共済組合法地方公務員につきましては地方公務員共済組合法という法律があるわけでございます。   〔委員長退席、森(喜)委員長代理着席〕  問題を学校教育関係に限って申しますならば、国立学校の教官は国家公務員共済組合法に基づく文部共済組合加盟をいたしております。それから公立学校教職員は、地方公務員等共済組合法に基づきまして、公立学校共済組合加盟をいたしておるわけでございます。私立学校は、国公立学校と異なりまして公務員ではございません。そうしたことから、昭和二十九年以前、つまり私立学校教職員共済組合法が制定されます以前は健康保険法あるいは厚生年金保険法対象であったわけでございますが、しかし私立学校といえども学校教職員という点から考えますと、これは国公立学校教職員に比べて別個のものではないわけでございます。私立学校教育振興をはかるということを考えますと、やはりその中核であるところの教職員処遇福利厚生、やはりこうしたものを充実していくことがきわめて大切であるということで、私立学校教職員につきましては、国公立学校教職員と同じような共済制度を実施したいということで、二十九年にこの私立学校教職員共済組合法が制定施行された、こういうことかと理解いたしております。
  5. 野田毅

    野田(毅)委員 いまお話しのとおり、そういう私学教職員について、やはり一般のそういうものとは違った別の観点からつくられたということでありますが、そうであるとするならば、私学はやはり一応原則的にはすべてこの私学共済適用対象に取り込んで、そのワクの中で判断するというようなことがあってもいいのではないかというふうにも考えられるわけでございます。  そういう理論的な話はともかくとして、現実の問題としてもそういう適用対象除外校があると、同じ法人の中で中学校が入っておらない、あるいは高校以上が入っておるというようなことで、その間の人事異動に関してもいろいろなそごを来たしておるというようなことも聞いておるわけでありますが、こういう具体的な弊害がまだまだほかの面でもあらわれておるのではないかというふうな気もいたすわけでございます。こういう点について、もう少し具体的に御説明をお願いしたいと思います。
  6. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 この私立学校教職員処遇福利福祉等改善をはかるという見地からいたしますと、御指摘のとおり、全員私学共済組合加入をするというのがたてまえでございまして、この私立学校教職員共済組合法のたてまえも、そういうふうにでき上がっておるわけでございます。  ところが、二十九年の一月に発足をいたしました当時、すでに厚生年金あるいは健康保険加盟をしておった教職員がかなりおったわけでございます。その当時の考え方といたしまして、そうした方々期待権と申しますか、あるいは既得権と申しますか、そういうものを保障をしたいということで、そうした方々につきましては選択を認めたわけでございます。そのときの選択単位が、ただいまお話がございましたように、学校単位選択ということが行なわれました。その結果、同一学校法人でございましても、たとえば大学は入っておるけれども高等学校は入っていないというようなこと、あるいは高等学校は入っているけれども中学校は入っていないといったような、そういうきわめて不自然な選択が行なわれたというようなことでございます。そうした点から申しますと、御指摘のとおり同じ法人の内部で、たとえば中学校先生高等学校に移るとか、あるいは高等学校先生が短大に移るとかいったような場合等には、いろいろな支障がある。また社会保険として受ける給付内容も、入っている社会保障制度の種類によって掛け金も違うし、また受ける給付も違う、こういう特殊な状態になっておるのが現状でございます。  そこで二十九年に選択を認めた場合に、ある程度のものはこちらに入ったわけでございますが、入らなかったものがかなりあった。それはなぜそういうことになったかと申しますと、当時は私学共済という制度発足当初でもございました関係上、いささか先行き不安定だというふうに見られておったというようなこと、それから短期給付について申しますと、健康保険組合を結成しておりました大学につきましては、給与水準が高いものでございますから、比較的安い掛金で比較的安い給付が受けられた。それが私学共済に入りますと、そうもいかないというようなこと。それから私学共済に入りますと、すでにございました健保組合が解散をするというようなことになるわけでございますが、そうした場合の残余財産処理等についても問題があった。こうした事情からいわゆる未加入校が今日なお残っておる、こういうことでございまして、それについてまた御指摘のようないろいろな問題が起きておるというのが現状でございます。
  7. 野田毅

    野田(毅)委員 適用除外校は、大体何校くらいありますか。
  8. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 適用除外校の数でございますが、百十五校、学校数にいたしまして全体の一・二%・教職員の数にいたしまして約三万人、全体の一四・一%でございます。これは両方入っていない学校でございますが、短期長期のいずれか一方に入っておる学校等を含めてあれいたしますと、未加入校は百七十一校、全体の一・八%、教職員の数にいたしまして三万六千人、全体の二八・四%というものが未加入校でございます。
  9. 野田毅

    野田(毅)委員 いまお話しのとおり、そういう最初に選択を認められておった、そのときに希望しなかったのが、そのまま未加入校として今日に至っておるということでありますが、そのときの事情はともかくとして、今日に至って、やはり私学共済加入をしたいというふうに希望をしておる学校がかなりあると聞いておるわけでありますが、そういう点は、現実には大体どのくらいの学校が希望しており、それからそれをそういう理事者もあるいは教職員も入りたいというふうに希望しておるなら入れてやってもいいじゃないかという気もするわけです。それを入れてやろうとする場合に、何か具体的な障害といいますか、そういうものがあるならお聞かせを願いたいと思います。
  10. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 未加入校の数は、ただいま申し上げたようなことでございますが、こうした未加入校の中で、相当数加入を希望しておるわけでございます。その総数は、私ども全体の約七〇%というふうに考えておりますけれども、はっきりと加入を希望するという学校数は全体の約四〇%でございます。それから大勢に順応するという学校が全体の一四%ございます。それから加入について態度を検討中という学校が一六%ございます。そうしたものを合わせますと、約七〇%になるわけでございまして、こうした法人につきましては、加入の余地が認められるならば私学共済加入を申し出るであろうというふうに、いま推測をいたしておるわけでございます。中には加入をしないということをはっきりと申しておる法人もないわけではございませんけれども、全体といたしますと、ただいま申し上げましたように約七割程度のものが私学共済への加入を希望しておるというのが私どもの見込みでございますし、また関係者調査によりましてもそうした資料が出ておるわけでございます。  そこで、こうした未加入校私学共済加入するということについて、どういう問題点があるかというお尋ねでございますが、第一そのためには法律改正が必要なわけでございます。法改正ということになりますると、これは政府提案という形でございますれば、政府部内におきまして協議が整うということが必要になるわけでございますが、このことにつきまして、年来社会保障の主管の官庁でございますところの厚生省といろいろ折衝をいたしておるわけでございますが、厚生省考え方といたしましては、これはまあ前から変わっていないわけでございますが、一つには未加入校問題というのは二十九年に一度選択が行なわれかわけであるから、したがって、これはつまり決着済みの問題であるということを申すわけでございます。  それからもう一つは、社会保障制度というのは一元的に運用されるということがたてまえであり、理想である、そういう観点から考えると健保なり厚年なりという制度に一本化していくということが、やはり今後の方向であって、現に健保厚年に入っている者をわざわざ抜き出して私学共済に入れるということは、そうした基本的な方向にも反するのではないかというようなこと。  それから、全員を法的に強制的に健保厚年から抜くということになりますと、特に健保組合につきましては、さっき申し上げましたように、健保組合のほうがその組合員にとってはいろんな点で有利だというようなことがございまして、そうした人々の利益を侵すことにもなるではないか。第一、健保組合を結成している学校の中で、私学共済に積極的に入りたいというようなところは少ないではないかといったような議論等がございましてなかなか話し合いがつかないというのが現状でございまして、問題点と申しますればそういろうことが問題点かと思います。
  11. 野田毅

    野田(毅)委員 いまお話を伺っていまして、文部省局長さんとしては、なかな分思い切ったことをおそらく言えないと思います、やはり厚生省とのいろんなからみ合いもあるでしょうし。しかし、そもそもこういう私学共済制度が存在する理由という点からいうならば、それは同じ年金制度であるとかということを申しても厚生年金制度、別の制度をつくったそのときの趣旨にやはり帰って、もう一ぺん再検討してみるべきではないかというふうにも考えるわけでございます。ここには厚生省の方おられないので、言ってもこれは水かけ論になると思いますので、この問題については一応この程度にしておきたいと思います。  ところで、長期給付の問題でありますが、この長期給付に対する国庫補助率というものは厚生年金のほうでは一応百分の二十でございますか、こうなっておるわけですが、私学共済のほうは百分の十八ということになっており、そこに差がある。しかし、これも単なる国庫補助率の点だけから一がいに判断はできない面がもちろんあるわけであります。そのほかに、本人負担割合というような面から見ると、今度は同じ教職員の間でも国立学校あるいは公立学校あるいは私学というような間で、若干ではありますけれども、やはりそれぞれの間に多少の差があるというわけであります。こういう点について、同じ年金制度であるわけでありますから、やはりできるならば同じような形にしておくのが望ましいのではないかというふうにも考えるわけでございます。これにはいろんな沿革があり、それぞれの理屈づけもあるかもしれませんが、それは一体どういう事情でこういうことになっておるのか、ちょっと御説明をいただきたいと思います。
  12. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 私学共済に対する長期給付国庫補助率でございますが、現在は御承知のとおり給付費の百分の十八でございますが、昨年十六から今日の十八に引き上げられたわけでございます。沿革的に申しますと、発足当初の二十九年度におきましてはこれが一〇%でございました。それから三十年度に一五%に引き上げられ、四十一年度に一六%になり、昨年ただいま申し上げましたように一八%に引き上げられた、こうした経過でございます。  私学教職員給与が、一般的に低いわけでございますが、その特殊事情といたしましては、給与が比較的低い幼稚園教員の占める割合が非常に高いといったようなことがございます。また、私学の経営も、御承知のとおり必ずしも楽ではないというようなこと、それから厚生年金につきましてはすでに百分の二十の補助率が実現されておるというようなことから、年来これを厚生年金並み一に百分の二十に引き上げていただけないかということで概算要求をいたしておるわけでございます。しかし他方、農林年金あるいは国共済地共済等との関連もございまして、今日なお厚年並みというところにはいっていないわけでございますが、今後ともそうした問題につきましては十分検討してまいりたいというふうに考えております。
  13. 野田毅

    野田(毅)委員 いまそういう国庫補助についてのお話があったわけでありますが、私申し上げましたように、本人負担割合の面でもやはり差がある、また給付水準についても厚年等に比べると必ずしも平仄が一致しておらない、ある所得段階で有利、不利の関係が逆転しておるというようなこともあるわけで、やはりさっき申し上げましたように、同じ年金制度なんだから、その辺は平仄を合わせられるんじゃないかというふうな気もいたしますので、その辺はひとつ改善方御努力をお願いしておきたいと思います。  ところで、今回国共済あるいは地共済、そういうような点で年金改定法案が出ておるわけでありますが、そういうような中では退職年金最低保障額引き上げ、あるいは遺族年金受給資格期間短縮ということについて、そういう措置を講ずることを明文化して提案がなされておるわけであります。これはこの私学共済の場合にはどうなっておりますか。
  14. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 私学共済法は、御承知のとおり国共済法主要規定を準用いたしておるわけでございますが、今回国会に提出されておりまする国共済法におきましては、御承知のとおり厚生年金保険における定額部分、それから障害年金及び遺族年金最低保障額引き上げに伴いまして、国共済法自体におきまして、共済組合退職年金廃疾年金遺族年金最低保障額引き上げる、あるいは通算退職年金の額も引き上げる、また遺族の要件も緩和するというような措置が講じられることになっておるわけでございます。先ほど申しましたように、こうした国共済法改正がそのまま私学共済に準用されるということになっておりまするので、それが成立をいたしますならば、いわば自動的に私学共済につきましてもそうした改善が行なわれるということになっておるわけでございます。
  15. 野田毅

    野田(毅)委員 そうしますと、既裁定年金引き上げやあるいは最低保障額引き上げ、また遺族年金受給資格期間短縮というようなものは、長期経理の収支といいますか、財源率に大きな影響をもたらしてくると思うのですが、この点は一体どうなるのでしょうか。またそれについて今後どういうふうに処理していかれるおつもりなのか、御説明を願いたいと思います。
  16. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 今回の法改正によりまして増加する財源率は、千分の二・六五というふうに考えられるわけでございますが、全体として申しますと千分の三・二五でございまして、この中から、先ほど申し上げました国庫補助の百分の十八を差し引きますと、千分の二・六七になります。内容といたしましては、既裁定年金引き上げ最低保障額引き上げ、それから遺族年金受給資格短縮といったようなことがその内容になるわけでございますが、この不足分につきましては、年々国庫補助でもちまして財源調整費というものが支出され、それが積み立てられておるわけでございますし、また利差益というものもございます。利差益は、御承知のとおり財源計算上は五分五厘ということになっておりますが、実際の運用といたしましては七%前後になっておりまして、その利差益も相当な額になっておりますので、さしあたりは、こうした二つの財源でもって改善部分が充当できるというふうに考えております。
  17. 野田毅

    野田(毅)委員 ところで、四十六年度末の長期経理における資産運用状況といいますか、それを少し詳しく御説明をお願いしたいと思います。
  18. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 四十六年度末における長期経理資産総額でございますが、これが約六百七十二億でございます。この資産経理規定によりまして三つに分類されておるわけでございます。  その第一は一号資産と私ども呼んでおりますが、預貯金、信託、有価証券購入あるいは私学振興財団への貸し付け等内容でございまして、総額で五百六十二億ということになっております。  第二は二号資産と呼んでおるものでございまして、不動産あるいは組合の行なう事業のうち不動産取得に対する貸し付けでございまして、これが約三十億でございます。やや詳しく申し上げますと、業務経理に対する貸し付け事業内容といたしましては職員住宅購入でございますが、それが約一億、それから保健施設医療施設宿泊施設等保健経理に対する貸し付けが約十七億、それから土地建物、上水道の利用権等に対するものが約十億、計二号資産といたしましては約三十億のものがございます。  それから三号資産といたしましては、短期経理への貸し付けが約十八億、それから組合員福祉のための貸し付け経理に対する貸し付けが六十一億ございまして、三号資産総額といたしましては約七十九億、こういう形になっております。
  19. 野田毅

    野田(毅)委員 いま御説明をお伺いしておりまして、一号、二号、三号と分けられておるのですが、特に二号、三号資産といいますか、この両面における運用というものが、いわば組合員に対する還元融資的な色彩を持っておると思うわけであります。いまの御説明を伺いますと、総額の六百七十億くらいのうちの八三・数%が第一号資産ということで、組合加入者に対する福利の増進あるいは加入者に対する貸し付けというものが、きわめて割合が低いわけであります。この辺はちょっと低過ぎるんじゃないかという気もいたしておるわけであります。この辺は法定割合では一体どう定められておるのでしょうか。
  20. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 三号資産法定割合は二五%以下ということでございます。それに対しまして現実構成割合は約一二%でございます。
  21. 野田毅

    野田(毅)委員 お聞きのとおりきわめて低い。特に学校先生方が、現場の先生方が安定した気持ちで教育に臨む、あるいはまた一部の誤った思想に毒されない、そういう形で教育に臨むというような形をとるためには、やはりそういう生活上の安定を得なければならない。そこで、こういうような特に共済という面において一番重要なのは、やはり持ち家制度を拡充していくことである。そのためにはそういう加入者に対する住宅貸し付けというものに、もっともっとウエートを置いていっていいんではないかという気もいたすわけでございます。  そこで、この総額六百七十数億あるのですが、そのうちでそういう先生方教職員に対する個人住宅貸し付けというものは一体どれくらいあるのか、さらにまたその貸し付け条件というのはどうなっておるのか、御説明を願いたいと思います。
  22. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 長期貸し付け金が先ほど申し上げましたように約六十一億あるわけでございます。保育資産の全体が先ほど申し上げましたように六百七十二億でございますから、ほぼ一割ということになっておるわけでございます。  この貸し付けの内訳をさらに申し上げますと、約六十一億のうち、四十三億がただいま先生指摘の個人住宅に対する貸し付けでございます。六十一億のうち四十三億が個人住宅に対する貸し付けでございます。それから私ども特殊住宅と申しておりますが、学校法人がその教職員のために宿舎を整備するという関係貸し付けが十三億ということでございます。したがいまして、六十一億の長期貸し付けのうち五十六億が組合員の住宅関係に対する貸し付けである、こういうことになっておるわけでございます。  それから、その条件でございますが、私学共済の場合は返済月数が現在百八十カ月、利率が年六分ということになっておりますが、文部共済、公立共済等に比べましてこの条件は十分ではございませんので、四十八年度からは返済月数の百八十カ月を二百四十カ月、貸し付け利率は六分から五分八厘八毛というところに改善をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  23. 野田毅

    野田(毅)委員 いま貸し付け条件改善を検討されておられるということですから、非常にけっこうなことでございます。ぜひそういう形でしていっていただきたい。一般の住宅金融公庫とか、そういうものに比べても、決して有利な条件であるとは申せないわけであります。しかも、このお金は、いわば自分たちのために積み立てておる金でありますから、その点もあわせて御考慮しておいていただきたいと思うのであります。  ところで、実は昨日いろいろ説明を受けておったのでありますが、この不動産の中で、だいぶ遊休土地があるのではないかなと思われる節もあるのです。これはあまりとやかく申し上げませんが、あまりそういうものがふえておると、確かに安全、有利、確実というような面も必要ではあると思いますが、それが度を過ぎると、今日のこういう御時世であるだけに、やはり何か土地騰貴の一翼をになっておるのではないかというような言い方をされても、ちょっとそういう責めを免れないような面も見受けられますので、やはり土地に対する投資といいますか、土地を取得する場合にははっきりと組合員福利厚生の増進であるとか、そういう点に限って立地条件なりあるいはその土地の地域的な適正配置ということをも加味して、ひとつ計画的につくっていってもらうように努力をしていただきたいと思います。  そこで、先ほど貸し付け条件改善の話が出たのですが、この額のうち、かなりの部分が私学振興財団貸し付けられておるわけであります。その私学振興財団への貸し付けも決して悪いとは申せませんが、あまり度を過ごすと、今度は何か予算の足りない分を、こっちのほうで補っておるのだというような印象も免れない。さらにまた、その財団に対する貸し付け利率についても六・八%ですか、この利率は、一般の資金運用部資金の利率六・五%に比べても高い、こういう気もいたすわけであります。  そこで、大体こういう運用益というものは一体どういうものが一番適正なんだろうか、どういう範囲がいいんだろうか、運用益がどんどんあればあるほどいいというものではないというふうな感じもするわけであります。そこで、私なりの、あるいは一方的な見方かもしれませんが、本来こういうような積み立て金というものについては、運用益は事務費をカバーできる程度あればいいんじゃないか、それ以上もうける必要はないんじゃないかというふうな気もするわけであります。その点、この四十六年度の実績として、資産運用益収入がどれくらいあるのか、それからまた事務費としてどれだけ支出されておるのか、その辺を御説明願いたいと思います。——時間がかかるようでしたら、あとで説明してください。  大体こういうような資産運用状況を通観しておりますと、ややもうけ主義のきらいがあるのじゃないかというふうにも見受けられるものですから、そういう形で質問をしたわけであります。やはり共済制度である以上は、その運用にあたっては組合員福利増進ということを第一義に考えるべきであって、さらにまた、やはり何といっても、学校教職員共済であるのだということを忘れないで運用していってもらいたいというふうに感ずるわけでございます。  それから今度は、短期経理についてちょっと御質問をしておきたいと思います。国公立学校共済短期経理は、大体黒字であると聞いておるのに、私学の収支は決してよくないというふうにもいわれております。こういう赤字と申しますか、収支のよくない根本の原因は一体どの辺にあるのか、御説明をお願いしたいと思います。
  24. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 先ほどお答えできなかった点について最初に申し上げておきたいと思いますが、四十八年度の利差益は約十二億六千万円でございます。従来の四十六年度以前の利差益を累計いたしますと、四十八億円であります。このうち五分五厘はいわゆる法定利回りといたしまして、これは積み立て金準備金の中に織り込まれておるわけでございますが、五分五厘を越えるものがただいま申し上げましたような金額でございまして、これが今回の改定財源その他に充当されるということでございます。  それから不動産の取得等についての御意見は、私どもそうしたお気持ちを体して今後とも運用に当たってまいりたいというふうに考えます。   〔森(喜)委員長代理退席、内海(英)委員長代理着席〕  それから、ただいまお尋ねがございました短期給付の収支の問題でございますが、これは御承知のとおり組合員学校法人が折半負担をするという原則でまいっておるわけでございます。昭和三十七年度以来、赤字が続いておりまして、昭和四十五年度末には約十四億の累積赤字が生じたのでございますが、四十六年の十月から掛け金率を千分の六引き上げました。それからほかにもいろいろ事情がございまして、四十六年度末には単年席で約三億四千万円の黒字が生じております。それから四十七年度におきましては医療費が一二・七%引き上げられておりますが、それにもかかわらず約五億四千万円の黒字が予想されております。したがいまして、四十七年度末の累積赤字は約五億三千万円になるという見込みでございます。  こうした赤字がかって生じましたおもな原因は、やはり給与の比較的低い幼稚園を中心とする女子の組合員割合が、他の共済に比べて非常に高いということ、それから高齢組合員割合が比較的多いということ等が原因であったかと思いますが、ただいま申し上げましたように、四十六年度以降は掛け金率の引き上げということもございましたほかに、給付費の伸び以上に給与が上昇をいたしておりまして、そうした関係から黒字に転じておるということでございます。
  25. 野田毅

    野田(毅)委員 いまの問題に関連して、最後にひとつ御質問させていただきたいのですが、やはりこういう短期経理の問題について、根本的には給与水準の問題がからんできておるかと思います。国公立学校教職員給与水準、それと比較した場合の私学教職員給与水準という格差の問題、こういう問題が根本的には国公立のあり方、あるいは私学のあり方、特に授業料のあり方などの問題にも関連して、非常にむずかしい問題に発展してくるだろうとは思います。しかし、当面の問題として、やはり医療保険について、政府管掌健保というものがあるわけでありますから、こういう給与水準の低いそういう私学共済について、やはりそういう政管健保との権衡上、何らかの将来国庫補助というようなことをも検討してもいいのではないかというふうにも考えるわけでありますが、この点はいかがでしょうか。
  26. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 国共済地共済短期給付等との関連もございまして、非常にむずかしい問題か一と思いますが、私どもといたしましては、御指摘方向で今後とも検討してまいりたいというふう一に考えておる次第でございます。
  27. 野田毅

    野田(毅)委員 終わります。   〔内海一英一委員長代理退席、委員長着席〕
  28. 田中正巳

    ○田中委員長 山口鶴男君。
  29. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 昨日の衆議院本会議が午後八時から始まるというような、たいへん夜おそく開会をされまして、従来の国会の慣例からすれば、上程されるはずのない決議案が急遽上程されることになり、討論にも立つというようなことがありましたので、たいへん準備が不足でございまして、あまり十分な質問はできないと思いますが、若干のことをひとつお尋ねをしたいと思います。  私学共済質問に入ります前に、ちょうど奥野文部大臣、それから管理局長さんもお見えですからお尋ねしておきたいと思うのですが、それは過般当委員会におきまして、義務教育学校の施設費国庫負担法について私若干のお尋ねをいたしました。その際、幾つかの宿題を文部省にお与えしておいたわけでありますが、その点についてお伺いをしたいと思います。  一つは、地方自治体の議会が、地方自治法第九十九条二項による意見書を提出をするということがしばしばあるであろう。場合によりましては、地方財政法二十条による意見書というものもかつて出たことがある。そういった地方自治体の住民の総意を代表する意見というものが文部省に来ながら、一体幾つの意見書が来ておるかも当時文部省はわからぬという状態でございました。そういうことでは不親切ではないか、したがってこれからは、地方自治体からの意見書等が参った場合に、文部省が発行しております広報にその処理状況等を報告するとか、あるいは直接自治体に対して返答するとか、そういう地域住民の意向というものを尊重する文部行政を行なうことが至当ではないかということを申し上げておきました。これに対して、文部省もたぶん御検討したんだろうと思いますが、どのような処理をすることにいたしましたか、御報告をいただきたい。それが第一です。  第二は、文部省が年々地方の教育委員会あるいは学校等通じまして、地方教育費の調査というのをやっておられる。この調査をするにあたって、教育費の基準財政需要額が当該市町村に一体幾ら行ったか、それに対して実支出は幾らであったかということを比較検討して表も出しておられる。しかるに、質問をいたしましたら、どうもこの基準財政需要額を、どうとらえているのかということの計算の根拠もあまり明確でない。この点については、自治省と文部省とが十分協議をした上で、せっかく公費を使って調査をしておられるわけでありましょうから、その調査が正確で、しかも、地方教育委員会なりあるいは地域の学校なりが、はたしてうちの自治体は教育をほんとうに尊重した財政運営をやっているのかどうかということが、正確、的確にとらまえられるような、そういう調査にすべきではないのかということを御指摘を申し上げておきました。たぶんその後文部省と自治省との間に協議等も進んでおるのだろうと思いますが、この点についてどのような協議をし、今後の文部省が行ないます地方教育費の実態調査にどのように生かされていくのか、この点についてまず冒頭お伺いしておきたいと思います。
  30. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 先般、たいへん貴重な御意見をいただいたと思っております。  第一の、正規の地方公共団体の意見書につきましては、文部省から御返事を差し上げております。自来そういうふうにさせていただきました。  第二番目の、教育費に関する調査のうちで、特に地方交付税法上の基準財政需要額とのからみの問題、各地方公共団体の間でアンバランスがあり過ぎる。その後、文部省と自治省との間で再三打ち合わせを事務的にしてくれました。その報告によりますと、調査項目、資料のとり方等については、さほど不都合なものはない、問題は、それに基づいて報告書を作成する、あるいはこれを受けたほうで検収する、そこに問題があるようでございまして、自治省側もそういうことについて協力をしようといってくれているようでございます。これもたいへんよい御指摘をいただいたと思っておるのでございまして、この次には必ず改善された結果が出てまいるもの、かように考えておりまます。
  31. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 明確な御返事をいただきまして、この点は了解いたします。せっかく地方行財政にお詳しい文部大臣が誕生いたしました機会に、自治体の意見書を尊重する、それからまた各市町村の教育費の状況が一体どうなっているかということを的確にとらえて、そして現実義務教育を実施している市町村の教育予算というものが、十分充実されるという方向を、文部省として強く打ち出していただくことを強く期待をいたしたいと思うのです。それ以外のよけいなことにあまり一生懸命にならぬで、そういうことを奥野さんには大いに一生懸命やっていただきたいということをお願いいたしておきましたが、そちらのほうの要望は、その後の国会の推移を見まして、必ずしも十分でない点は遺憾に存じます。  さて、それでは私立学校共済について若干お尋ねをしたいと思います。  今回の法改正の中心は、昭和四十五年度以前に退職をされた方々長期給付年金を二三・四%引き上げる、昭和四十六年度の退職者については一〇・五%引き上げるというのが中心であります。このことにつきましては、国公共済、公企体共済を審議いたします大蔵委員会地方公務員共済身審議いたします地方行政委員会で、私は実は毎年この年金改定率の問題については議論をいたしてまいりました。  昭和四十五年以来恩給法改定一つのルールというものが確立をいたしました。山中総務長官の時代でありますけれども昭和四十五年、昭和四十六年、昭和四十七年、三カ年を通じてやってまいりました恩給改定のルール、それが共済組合にもそのまま右へならえになるわけでありますが、このルールは、若干の前進ではあったと思います、それ以前に比べれば。しかし、重大な欠陥というものがある。大臣もヨーロッパ先進国等の公的年金改定ルール等については御存じだろうと思いますが、すでにそういう国々においては、スライド制というものが確立をしている。ところがわが国の場合は、特に昭和四十五年以前におきましては、予算編成時のどさくさの中で、いわばつかみみたいな形で恩給の改定というものが行なわれる。それに共済のほうで右へならえする、こういった何のルールもない形でやられてきた。  その後昭和四十五年以降一応新ルールというものができましたが、しかし、公務員賃金の本俸の上昇分をまるまる見るという、そういう意味でのスライド制というものにはほど遠い状況であった。公務員の本俸の給与改定率をかりにAとし、消費者物価の上昇率をBとするならば、AマイナスBかける十分の六プラス消費者物価の上昇率Bとして改定率を算出する、そういう方式であったわけですね。それでは結局本俸の上昇分の四割というものがネグレクトされる、こういう形にならざるを得ないわけです。そういう方式ではだめではないかということを繰り返し主張してまいったわけでありますが、なかなか政府はこれを改定しようとなさらなかった。しかし、今年の改定におきましては、従来の方式と異なりまして、公務員の本俸の改定率をそのまま見るという形に踏み切られたことは、私は、これは一歩前進として一応評価をいたしたいと思うのです。しかし、私は、これを実施するのがあまりにもおそきに失したのではないか、こう思います。結局、今回の改定は、公務員給与改定率をそのまま見た、その限りでは一応評価をされるわけでありますが、問題は、それ以前の不利というものは、結局現在の年金を受給しておられる方々についてはそのまま残るという形になるわけです。もちろん、七十歳以上の方方に対する四号俸の措置とか、若干の改定も見ておりますけれども、それをもってしても十分でありません。この点総理府の恩給問題審議室の室長さんもお見えのようでありますが、すでに年金を受給しておられる方の不利というものは依然として残る、この問題について一体どうお考えでありますか、お尋ねをいたしたいと思います。
  32. 海老原義彦

    ○海老原説明員 御説明申し上げます。  恩給におきましては、昭和三十四年の公務員給与がいわゆる二万円ベースでありましたころ、これに少しおくれまして三十七年に合わせたのでございますが、この時点において、いわゆる二万円ベースというもの、公務員給与と全く同じ水準でやっておりました。その後御指摘のようないろいろな事情がございまして、昭和四十三年に恩給審議会の答申が出、この恩給審議会の答申によりまして、原則として物価はすべて見る、物価のほかにさらに公務員給与が物価を上回ることが非常に多いわけでございますが、その上回った分については六割相当分、これは職務給相当分ということで六割を見るという、御指摘のとおりの方式で、昭和四十四年以来四十七年まで増額改定してきたわけでございます。  その結果、昭和三十四年の水準を一〇〇といたしますと、恩給では二・八四倍という水準になっております。それに対しまして、公務員給与は三・二五倍という水準になっております。公務員給与は、現在私どもがいただいております昨年改定のありました最新の給与といたしまして、三・二五倍ということになっております。そういたしますと、公務員給与を一〇〇といたしますと、恩給は八七くらいの水準にある、一三%なお不足しておるという状況でございます。この一三%についてどのように考えるかという御質問でございますけれども、これについては今後十分に検討していかなければならない、かように考えております。
  33. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 かつて総務長官をやられた方もおいででありますけれども、いまお答えがあったような状態ですね。正確に言えば、昭和三十四年を一〇〇とすれば、公務員給与の本俸の実態は三二五・六八ですね。これに対して年金の指数は二八四・〇六、そういうわけでありますから公務員給与の本俸のほうは三・二五六八倍であるのに対して、年金のほうはわずか二・八四〇六倍にしかすぎない、こういうことだと思います。  これについては、この不利は十分お認めになって、その事実を踏まえた上でこれから検討したい、こういうようなお答えだったわけでありますが、一体どうなんですか、いつごろまでにこの格差というものを完全解消する気なんですか。それとも、そういう不利というものは認めつつも、それに目をつぶって、まあまあこの程度の状況になっていればいいというつもりで総理府はおられるのか、この点一体どちらですか。
  34. 海老原義彦

    ○海老原説明員 ただいま御説明申し上げたとおりの一三%の水準の違いということがあるわけでございまして、この問題については、今後十分に前向きに検討いたしたいと考えております。
  35. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 まあ前向きに検討したいということは、ある程度改善をしていきたいということなんでしょうが、そろえるという気はあるのですか、ないのですか、はっきり答えてください。前向きに少しは直していこう、しかし完全にそろえるということはやりたくない、こういうことなのか。あるいはそろえるまで改善をしたいということなのか。いかがですか。
  36. 海老原義彦

    ○海老原説明員 この問題につきましては、事務当局からお答えするのもいささか適当でないかとも思いますけれども、他の委員会での私どもの大臣、総務長官の発言などから、非常に前向きな姿勢で取り組んでいかなければならないと思っております。
  37. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 内閣委員会におけるわが党の大出委員と、坪川総務長官との質疑のやりとりの状況は、議事録で拝見をいたしました。しかし、これは内閣委員会の議論であって、私学共済は、結局恩給ルールに右へならえするわけなんですから、そういう意味では、この文教委員会として、政府の方針を明確に聞きたいと思いまして、実は大臣はどうだと言ったら、大臣はどうも他の委員会に出席で来られぬ、それでは小宮山副長官に出席をしてもらいたい、こう要求したのですが、何か小宮山君も、本日衆議院内閣委員会に出るとかで出席できぬということでございまして、結局、海老原さんしかおいでにならなかった、こういうことなんですけれども、私はこれじゃ困ると思うのですね。  したがって、委員長私学共済は恩給ルールに右へならえして改定をやっているわけですから、文教委員会は文教委員会として、やはり事務当局ばかりではなしに、ただいまの御答弁を聞いていただいてわかると思うのですが、大臣に出てこいと言っても、これは場合によっては無理かと思いますが、そうでなければ、少なくとも政治家である副長官に御出席をいただいて、私学共済としては、将来一体どうなるんだということについて、明確な返答をいただいておきたいと思いますので、本日は無理ならば、次回でもってそのような機会を設けていただくように、強く要請をいたしておきます。いいですね、委員長
  38. 田中正巳

    ○田中委員長 あとで相談をいたします。
  39. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 まあ理事会でひとつ相談をしてください。  それでは、次にお尋ねをしたいと思うのですが、この昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部改正について社会保障制度審議会の答申というのがございます。これを見ますと、「自動スライド制の措置は今回、見送られているが、十分その内容を検討したうえ、速やかにその実現をはかられたい。」とあります。  スライド制の実施につきましては、何回も国会で議論になり、山中総務長官等からそれぞれ前向きの答弁をいただいておるわけです。ただ、スライド制を実施した場合に、この財源率が一体どうなるか、負担区分を一体どうするか、影響するところきわめて大であるので、まず事務的に十分詰める必要がある、こういうことで、公的年金連絡会議というものをつくって、事務的にこれを早急に詰めますという答弁だったわけです。そうして、事務ベースでの論議がある程度煮詰まった段階で、給与関係閣僚会議等にあげて、最終的に政治的な判断をやって、すみやかにこのスライド制実現をはかりたいというのが、歴代の政府の責任者の御答弁だったわけであります。  そういう観点からお尋ねしたいと思うのですが、この公的年金連絡会議でスライド制についてはどのような議論をして、今日までどの程度まで問題が煮詰まっているのでありますか、この点、同じく総理府のほうから御答弁をいただきたいと思います。   〔委員長退席、内海(英)委員長代理着席
  40. 亘理彰

    ○亘理政府委員 お答えいたします。  ただいまお話がございましたように、公的年余につきましては、関係各省の事務当局が集まりまして、公的年金制度調整連絡会議という場で現存検討を続けているわけでございます。これは元来、経済的ないろいろな条件の変動によって、年金の実質価値を担保するための年金額の改定の基準及び方式を求めようということであるわけでございますが、全体としての基準、方式を一挙に求めることはなかなか困難であるということで、四つのグループに分けまして検討を続けておることも、すでに御承知のとおりでございます。  昨年、先生から御質問をいただきましてから以降一年間におきましても、しばしば会議を開きまして、総会、幹事会あるいは小委員会、それぞれ何回か開いております。それから各グループごとにも四、五回ずつ検討を重ねておるのでございますが、現在までの検討状況について申しますと、まず一番大きな民間グループにつきましては、これは厚生年金、国民年金、船員保険の関係でございますが、関係各省のグループにおける検討、さらに社会保険審議会、国民年金審議会等の審議を経まして、現在消費者物価を基準とするスライド制の改正法案を御審議いただいておるわけでございます。  公務員グループにつきましては、これも厚年等におきます消費者物価による自動スライド制が導入されることに関連しまして、公務員グループの各共済におきましても、消費者物価による自動スライド制を規定することの適否について検討いたしたわけでございますが、いろいろな御意見がございまして、結論は得られなかったわけでございます。そこで、先ほどお話がございましたように、本年は、恩給年額の改定にならいまして、公務員給与改善率によって年金改定を行なうということにいたしておるわけでございます。私学・農林グループにつきましては、私立学校教職員、それから農林漁業団体職員の給付体系が会務員に準ずることになっておりますので、公務員グループに準じて検討が進められておるところでございます。もちろん、私学・農林の給与体系等における特殊性があるわけでございますが、さらにこれらの点についても検討を続けておりますけれども、やはり基本的には公務員グループの検討結果を待たないとなかなか進みがたいという実情にあるわけでございます。  労災グループはちょっと特殊でございますが、以上のようなことで事務的にいろいろ勉強をいたしております。昨年も先生からおしかりを受けておりますけれども、なかなか思うように進んでおらないということは遺憾でございますが、実情はそうしたようなことでございます。  ただ、お話もございましたように、民間グループにおきましては、消費者物価による自動スライド制が実現し、それから公務員グループにつきましては、これは制度的なスライド制ということではございませんが、実質的な改定方式の前進があったということはお話しのとおりでございまして、それぞれの制度の目的、沿革を異にいたしますし、給付の体系、財源の体系をそれぞれ異にいたしまして、なかなか簡単に結論は見出しがたいわけでございますが、一歩一歩少しずつでも前進するように、さらに検討を続けてまいりたいと思っております。  なお、私学・農林グループの中におきまして具体的にどういう御議論がございましたかという点につきましては、文部省において幹事官庁をやっていただいておりますので、そちらのほうから申し上げるのが適当かと思います。
  41. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 せっかく総理府の方の御答弁ですから、その私学・農林グループでは今日までスライド制についてどのような議論をし、どのような報告が出ておりますか、お伺いいたしたいと思います。
  42. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 公的年金制度調整連絡会議の概況につきましては、審議室長から御答弁があったとおりでございますが、その中にもございましたように、私学共済は、公務員グループ全体の討議の状況を見なければ、これだけで単独で結論を出すということは困難なわけでございます。御承知のとおり、私学グループの中には、農林共済グループもあるわけでございますが、この両本とも立場は同じかと思うわけでございますが、やはり公務員グループの結論を見て結論を出さざるを得ないという、きわめて抽象的なことで恐縮でございますが、そうしたことが審議の経過内容ということでございまして、そちらのほうの様子を見詰めておるという状況でございます。
  43. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 亘理さんの御答弁も、安鳴さんの御答弁も、たいへん不満であります。山中総務長官が答弁をいたしました際には、少なくとも山中さんの総務長官としての任期中には、公的年金連絡会議の議論を煮詰めてもらって、そしてスライド制については勇断をもって実施をするくらいの答弁まで実はいただいておったのでありますが、山中さんはすでに総務長官の座を去られ、現在坪川さんが総務長官であって、そういう中で、なおかつただいまお答えいただきましたような状況しか、公的年金連絡会議の論議が進んでいないということは、非常に残念であります。一体いつごろまでにその議論が煮詰まるのですか。大いに議論をいただいておることはよくわかるわけでありますが、小田原評定でいつまでたっても答えが出ぬということでは困るわけなんでありまして、一体いつごろまでに議論が煮詰まる御予定でありますか、お伺いをいたします。
  44. 亘理彰

    ○亘理政府委員 それぞれの各種年金におきましては、その沿革、目的、体系を異にしておりまして、技術的にも非常にこまかい点の相違等もございますし、大きくは負担区分をどうするかというふうな問題もございまして、鋭意勉強はしておりますし、これからも勉強はいたすつもりでございますけれども、それではいつまでにはっきりした結論を見出し得るかということについては、明確な見通しを申し上げかねるのはまことに申しわけないと思いますが、そういう実情でございます。問題が問題でございますので、やはり議論を重ねまして、年々少しずつでも前進させていきたい、そういうつもりで努力をいたしたいと思っております。
  45. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 四つのグループがありまして、それぞれ沿革が異なっている、そういう中で統一した一つのスライド制の方式を見出すことがなかなかむずかしいという点は、私どもも決して否定するものではありません。しかし、その中でも、特に公務員グループ等は、昔から恩給法という制度があり、その後国公、地公あるいは公共企業体等の共済組合という形になって現在に至っている、長い歴史を持つ制度でありますから、せめて公務員グループぐらいはすみやかに方式を確立するということがあってしかるべきじゃないかと私は思うのです。この点はどうですか。
  46. 亘理彰

    ○亘理政府委員 公務員グループの幹事官庁をつとめております大蔵省から、担当次長が参っておりますので、御答弁いたします。
  47. 辻敬一

    ○辻政府委員 公務員グループにつきましては、先ほど審議室長からも一部お答え申し上げたとおりでございますが、今回厚生年金におきまして、消費者物価による年金の自動スライド制が導入されることに関連いたしまして、実は公務員グループの共済法におきましても、消費者物価による年金の自動スライド制を取り入れることはどうであろうかということにつきまして、検討いたしたわけでございますが、結論が得られなかったのでございます。そこで当面、御承知いただいておりますように、従来どおり恩給の改定にならいまして四十六年度、四十七年度の公務員給与改善率を基準といたしまして、共済年金額の改定を行なうことといたした次第でございます。  なお、年金額のスライド問題につきましては、公務員グループ内の各制度の相違点の調整なども含めまして、今後の共済年金制度全体のあり方についての基本的な問題として今後検討を続けてまいりたい、かようなことでいるわけでございます。
  48. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 どうも残念なお答えであります。そのような状況では、いま世界の国々がいずれも福祉国家確立を理想として施策を進めており、いままでのような経済成長一点ばりから、人間優先、福祉優先の政策に転換をするということにつきましては、自由民主党の諸君も、昨年の総選挙で大いに演説をぶち、また今七十一特別国会の開会冒頭、田中総理もそういう趣旨の施政方針演説をやっておるわけですね。したがいまして、私ども社会党を中心とする野党四党としましては、この際国民年金厚生年金、各種共済組合の抜本的な施策を確立する必要がある、文字どおり社会保障水準の向上、福祉優先の立場に立って、野党四党として厚生年金改正案について提案を申し上げ、また国家公務員地方公務員、公共企業体職員の共済組合法につきましても、野党四党としての対案を示していることは、これは政府もよく御存じだろうと思うのです。この考え方は、消費者物価によってスライドするというような方式では、年金生活者の生活を守ることはできない。少なくとも退職時の給与の六割をすべての人たちに保障する。そうして当然賃金水準が民間において変わっていくならば、その賃金水準の変化にそのまま自動スライドする、公務員の場合も同様に公務員賃金の上昇にそのままスライドする。そういう方式を確立するためには、何といいましても負担区分あるいは年金の現在の積み立て方式ではだめであって、賦課方式に大胆に転換をする必要がある。   〔内海(英)委員長代理退席、委員長着席〕 特に共済組合につきましては、国と組合員の負担が五〇、五〇でありますのを、国の負担の割合を七〇、組合員の負担の割合を三〇というふうに、負担区分を大胆に変えなければならないということも提案をいたしているわけであります。  そこで私は、奥野大臣にお伺いしたいと思うのです。奥野大臣も御存じだろうと思いますが、私も地元におきまして、退職公務員連盟というのがございます。退職公務員連盟の総会等に出まして恩給の改定共済組合改正というのは一体どうなっているのかということについて説明することもございますし、また全国的の、教職員を退職されました婦人教師の会等におきましても、毎年のように私出席いたしまして、その年の恩給改定共済組合改正方向、わが党が国会でどのような立場で議論をしたかということについて報告もいたしております。そういう中でいろいろ伺うわけでありますが、地方の退職公務員連盟へ行きますと、その大多数は学校先生方です。しかも、そういう方々が、いまどうやって生活をしておられるかということを聞きますと、大体が保険の勧誘員なんかを一生懸命やっておられるわけですね。何も保険の勧誘が私は悪いということを申すわけじゃありませんが、そういう苦労な仕事をしなければ老後の生活が安定しない、こういう状況を私は見まして、私もかつて九年間教師をしたことがあるわけでありますが、私どもの大先輩がそういう苦労をしながら生活を続けておられるということを見まして、まことに申しわけがないという気持ちで一ぱいであります。  私は、そういう意味で、特に恩給受給者の中心になっているのがこの学校先生方であるという状況から見て、今日まで社会保障制度審議会がしばしば自動スライド制についても答申しながらさっぱり進んでいない。また私どもが国会で声を大にしてこの問題を主張いたしましても、政府としては、そういうときは調子のいいような答弁をするのでありますが、山中さんの任期中に実施をするというわけにもいかぬで、しかも本名さん、いま坪川さん、すでに二代の総務長官がかわっておるという状況、また野党といたしまして、先ほど来申し上げたような趣旨で、年金の抜本的な改善のために法案を提案している、こういう状況を見まして、国務大臣として、この年金のスライド制についてどのような所信をお持ちでありますか、御決意をひとつ承りたいと思います。
  49. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 いまお話しの退職公務員連盟その他が、つとにスライド制を強調してまいりましたし、私もそういう関係の人たちと絶えず話し合いを持ってきた一人でございます。でありますので、実質におきましてスライド制が実現される、ぜひそういうふうに持っていきたいと思います。今般本俸の改定率、ずばりそれが採用されることになりましたことは、実質的には実現したのじゃないか、私はこう考えるわけでございます。ぜひ実質的に、少なくとも実現されていくように積極的な努力を将来とも払っていくというつもりでおります。
  50. 田中正巳

    ○田中委員長 午後一時再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時六分休憩     —————————————    午後一時十分開議
  51. 田中正巳

    ○田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。山口鶴男君。
  52. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 大蔵政務次官に御出席をいただいておりまして、お尋ねしようと思っておったのですが、何か大蔵委員会の御都合だそうで、一言もお尋ねをしないうちに退席されまして非常に残念であります。いずれまた、次回の審議の際にお尋ねをいたしたいと思いまして、その点は保留をいたしておきます。  それから、辻主計局次長さんお忙しいそうでございますから、辻さんのほうに先にお尋ねをいたしたいと思います。  問題は、ヨーロッパの社会保障のきわめて発達をいたしておりますスウェーデン等北欧諸国あるいは西ドイツ、フランス、イタリーあるいはイギリス等の社会保障の状況に到達いたしまするためには、私は午前中にも申し上げたわけでありますが、何といいましても負担の区分の割合というものを変えなければならない。またヨーロッパの国国ではすでに定着をいたしました賦課方式に、わが国の年金制度も移行していかなければならない。この二つは何といっても私は重要な柱ではないかと思います。  そこで、賦課方式にするかどうかということを辻さんにお尋ねいたしましても、これは事務当局としてはというお話になるだろうと思いますので、それは一応おきまして、せめて負担区分の問題、私立学校共済につきましては、長期は現在百分の十八、国が補助をいたしているわけでありますが、これも歴史的な経過がございまして、昭和二十九年には百分の十であったものが、逐次その後、昭和三十年以降百分の十五、昭和四十一年以降百分の十六、そして昭和四十七年以降現在の百分の十八というふうに、漸次増加していることはけっこうだと思うのです。しかし、厚生年金は百分の二十、国が補助しているわけですね。それから見ますと、百分の十八というのはまだまだ低きに失するのではないか。そう言いますと、いや、国公共済とかあるいは地方共済は百分の十五ではないか、きっとこういう御反論をされると思うのでありますが、これは低過ぎるのでありまして、これを上げることももとより必要だと思うのであります。そういう中で、百分の十八というのは低きに失する、せめて厚生年金並みの百分の二十ぐらいに引き上げることは当然ではないかと思うのでありますが、いかがですか。
  53. 辻敬一

    ○辻政府委員 ただいま御指摘のございましたように、各種の年金に対します国の補助率につきましてはいろいろと差異があるわけでございます。お話にもございましたように、厚生年金は二〇%、国家公務員共済の場合には一五%、私学・農林共済の場合には一八%となっているわけでございます。  まず第一に厚生年金共済グループとの間に差のある理由でございますが、御承知のように共済年金につきましては、年金額算定の基礎給与のとり方が違っておるわけでございます。それからもう一つ年金の支給開始年齢が違っておりまして、共済年金でございますと五十五歳から支給を受けられるわけでございますが、厚生年金の場合でございますと、六十歳からでないと支給を受けられない。つまり五年間支給期間の差があるわけでございます。そういう差を勘案いたしますと、共済年金給付水準厚生年金給付水準より高いわけでございますので、ただいまのお話がございましたように、補助率厚生年金並みにいたしますとかえって均衡がとれないのではないか、かような考えから差を設けているわけでございます。  それから、私学共済の場合には、国家公務員共済よりも補助率が高くなっております。三%上積みいたしておりますが、これは制度内容としては同じでございますけれども給与面などに差がございまして、給付水準面でもおのずから差が生じてくる、そういう均衡を考慮いたしまして、国家公務員共済よりは三%上積みをしている次第でございます。  なお、御承知のように、そのほか私学共済につきましては、財政基盤が必ずしも強固でないというような理由から、財源調整費といたしまして、四十八年度は八千百万円でございますが、別途計上しているわけでございます。
  54. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 給付水準の悪いものの補助率を高くしているんだ、こういう趣旨のお答えだったろうと思うのでありますが、それではちょっとお尋ねしたいのであります。最低保障の問題です。  お尋ねする前に、最低保障のことをちょっと聞いておきたいと思うのですが、この法律案によれば最低保障は三十万二千四百円ということになっていますね。今度の国会におきまして厚生年金の審議を行ない、自民党から修正案が提出されまして、これに関する厚生年金定額部分改正が行なわれたわけであります。といたしますと、この最低保障についても当然修正するのが筋ではないかと思うのであります、がこの点文部省のお考え方をまずちょっと聞いておきましょう。
  55. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 私学共済法国家公務員共済法を天体準用しておるわけでございまして、今回の厚生年金法の一部改正の修正に伴いまして、御承知のとおり国家公務員共済組合法案の修正も行なわれたわけでございます。したがいまして、その修正内容はいわば自動的に私学共済にも適用されるということでございますが、ただいま提出いたしております法案の一部において、それとの関連において修正を必要とする個所があるように思われます。それは第五条の第一項の一号でございますが、「二十二万八百円」とございます。これはその関連からいたしますと「二十四万円」に直す必要があるかと思いますが、その他のところにつきましては、厚生年金法並びに共済法の修正のとおりこれが運用されるということでございます。
  56. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 その点は了解いたします。法律の規定は、こちらの私学共済のほうは国公のほうに準ずるということですから、当然最低保障三十万二千四百円が今度の厚年修正に伴いまして、大蔵委員会で審議いたしました国公共済もこの部分を三十二万一千六百円に改めているはずだと思いますが、辻さんいかがですか。
  57. 辻敬一

    ○辻政府委員 そのとおりでございますして、政府原案では三十万二千四百円が退職年金の最低保障でございましたが、衆議院のほうで三十二万一千六百円と御修正いただいたわけでございます。
  58. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そういたしますと、当初の案でいきますと三十万二千四百円、今回修正されまして三十二万一千六百円。厚年がこれを最低保障として逐次増加をしていくわけですね。ところが地共済——国公済でも同様だと思いますが、従来は三十万二千四百円、今度は三十二万一千六百円、それを最低保障にいたしましてカーブを見ますと、こういう形になるわけですね。したがいまして、厚年ベースが逐次上がっていくのに、地公、国公におきましては最低保障のものがしばらく横へそのまま横ばいいたしまして、それから上がっていくという形になるわけですね。  そういたしますと、辻さん、結局、国公、地公に準じてできておりますし学驚愕の場合におきましても、先ほど給付水準私学共済のほうがいい、厚年のほうが悪い、こういうことでありますが、たとえば年金のもとになります俸給が九万二千円以下でありました場合は、結局厚年のほうがよくて私学共済のほうが悪い、こういう事態が当然起こり得るはずだ、かように思うのでありますが、この点はいかがでございますか。
  59. 辻敬一

    ○辻政府委員 ただいまの問題につきましては、いろいろ御意見のあることは承知をいたしておるわけでございます。いまお話のございました、九万二千円に満たないものの年金額は、厚生年金に比べて低くなるのではないかというお話でございますけれども、先ほども申し上げましたように、支給開始年齢が厚生年金が六十歳であるのに対しまして共済年金は五十五歳でございまして、その間五年の差があるわけでございます。これを考慮いたしますと、六十歳支給開始の俸給月額九万二千円は五十五歳支給開始の俸給月額に引き直しますと五万八千円程度になると考えておりますので、特に国家公務員共済組合の場合は五万八千円以下のものはきわめて数が少ない、最低保障も先ほど御指摘のありましたように引き上げたことでございますので、厚生年金引き上げによりまして共済年金水準厚生年金水準を下回るというふうには考えていないわけでございます。
  60. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それはもう厚生年金共済年金とは、支給開始年齢が違う制度になっているのですから、そのことを取り上げて議論するのは私はやはりおかしいのではないかと思うのです。特に問題は、私学共済の場合は、私学先生方の俸給が安いわけでしょう。いただきました資料を拝見いたしましても、「私学共済と国・公立学校共済との対比表、昭和四十六年度」というのをいただいておりますが、これを見ますと、掛け金の算定基礎となる平均給与月額、私学共済の場合が五万八千六百七十四円、公立学校共済八万七千六百二十三円、文部省共済——国立学校の場合だそうですが、八万二百九十七円、こういうことになっておるようであります。したがいまして、受給者の一人当たりの退職年金の額も私学共済が一番低いわけですね。平均給与月額が低いということは、給与の低い方が多い。そういたしますと、当然、九万二千円以下で退職をされるといいますか、年金の基礎俸給が九万二千円以下という方が、私学共済の場合は相当多いのじゃないかと思うのです。  文部省に聞きましょう。いま私が指摘いたしました、厚生年金よりも私学共済年金のほうが少ないという、きわめて不合理な層の方が一体どのくらいあると御認識になっておられますか。
  61. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 辻次長から御答弁申し上げましたように、制度自体の厚年共済との違いというものがあるわけでございますが、ただいまの御質問に即してお答えを申し上げますと、私学共済退職年金受給資格者約四千五百人くらいと考えておりますが、そのうち約五百名、一一%程度のものが厚生年金の額より下回るというふうに見込みを立てております。しかし、大蔵省からも答弁がございましたように、この制度全体を比較いたしますと、私学共済のほうがやはり厚生年金よりは有利だ、しかし、部分的に見ますと、ただいま申し上げましたような事実が今回生まれてきたということでございます。ただし、私共済だけ実数といたしましてどれくらいあるかということは別の問題でございますが、制度といたしましては、地共済、国公共済につきましても同じような問題があるわけでございまして、今後こうした問題の取り組みにつきましては、関係省庁と十分連絡をとって、前向きに私どもは対処するようにいたしたいと考えております。
  62. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 文部大臣どうなんですか。常識からいえば厚年が一番悪くて、それから共済がいいということになっていますね。しかし、いま安嶋さんもお答えになりましたように、四千五百人のうち五百人、二%くらいの方が、現に厚年よりも不利な年金といいますか、安い年金といいますか、これを受けるという事実というものは、私は目をつぶることができないだろうと思うのです、それは年金の支給開始年齢が低いとか、あるいは制度全体として、それは私学共済のほうが厚年よりは有利になっているということは言いましても、現に私学共済ができたのは、厚年に入っておった方が、私学共済ができて移行したわけでしょう。先ほど自民党の委員の方もお尋ねしておりましたが、いまなお厚年に残っておって、私学共済に移らない先生方もいらっしゃるわけですね。   〔委員長退席、内海(英一委員長代理着席〕 これはやはりすみやかに私学共済のほうに持っていく努力を文部省としてはしなければいかぬと思うのですが、しかし、そういう中で、厚年よりも私学共済のほうが現に年金の額が少ないという方が、数は少ないとはいうものの、一一%もあるという事実は目をつぶることはできぬと思うのです。こういうものについて、大臣どうですか。この際、改善をするという気はございませんか。
  63. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 最低保障の額が引き上げられまして、いろいろふつり合いな問題が出てきていると思います。しかし、いずれにしましても、各共済共通の問題でもございますので、やはり各共済間にわたりましてしさいに検討しながら、どう善処していくかということを検討しなければならない、こう思っておるわけでございます。
  64. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 この問題は、共済制度一つの欠陥だろうと思うのです。こういう点は、やはりすみやかに是正するように、政府の努力を強く要請をしておきたいと思います。  辻さんの時間の関係がありますから、ほかを省きまして、また辻さんにお尋ねしたいと思いますが、短期についても当然国が補助をすべきではないか、現に政府管掌の健康保険に対しては国が、今回定率補助の道を開いたわけですね。ところが、私学共済短期——もちろんそうすると辻さんは、いや国公共済、地公共済についても、短期については労使折半負担で、国の補助が出ていないというようなことをたぶん言われるんだろうと思うのでありますが、しかし、私はこの際、政府管掌の健康保険に定率補助の道を開いた段階で、この私学共済あるいは国家公務員共済地方公務員共済につきましても、当然短期についても、いまや国庫補助の道を開くべき時期に来ているのではないか、かように思いますが、いかがでしょうか。
  65. 辻敬一

    ○辻政府委員 社会保険に対します国庫負担につきましては、いろいろこれまた御議論、御意見があることは十分承知をいたしておるわけでございます。三十七年の八月に社会保障制度審議会の答申がございますが、その中で御承知のように、社会保険は一般の所得階層に対する施策でございますので、国庫負担の優先度から申しますならば、公的扶助、社会福祉、公衆衛生等に比べて優先度は低いのではないかというような答申がございますが、  私ども基本的にはそういう考え方で、原則はやはり保険料で財源をまかなっていただくのが基本ではなかろうかと思っております。もちろんそうは申しましても、たとえば事業主負担がない場合でございますとか、あるいは対象が低所得層に及ぶ場合等につきましては、国庫負担を行なっておるわけでございまして、御指摘のように医療保険につきましても、たとえば事業主負担のございません国民健康保険、あるいはまた低所得層でございます日雇い健康保険につきましては、従来から相当高率な国庫補助を行なっておるわけでございます。それから政府管掌の健康保険につきましても、御承知のような財政状況、それからまた主として対象が中小企業の勤労者であるということを考慮いたしまして、今回一〇%の定率国庫補助に踏み切りまして、別途法律案の御審議をいただいておる次第でございます。  しかし、そういう国庫補助のございます制度に比べますと、共済組合のほうは事情が違うんではなかろうか。給付水準におきましても、御承知のように法定の給付でも、やや健康保険制度よりは高い面がございますし、そのほかに付加給付も行なっておるということがございます。それから、先ほど文部省当局から御説明いたしましたように、私学共済の場合でも、最近は収支がやや改善しておるという状況でございますので、そういうところを総合的に勘案いたしますならば、現在の掛け金負担が均衡を失しているというふうには私どもは考えてないわけでございまして、現在国庫負担を行なってないところでございます。
  66. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 健保の保険料率は、今度幾らになるわけですか。
  67. 辻敬一

    ○辻政府委員 千分の七十三ということで、御提案を申し上げております。
  68. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうしますと、折半負担ですから、組合員の掛け金は千分の三十六・五ということになる。私学共済の場合の短期を拝見いたしますと、出発当初は千分の五十八だったのが、現在は昭和四十六年十月以降七十六になっていますね。折半負担ですから、したがってこれは、組合員掛け金が三十八ということになるわけですね。掛け金の負担を見ますと、政府管掌の健康保険よりは、同じ給料の方はよけい掛け金を負担しなければならぬということになるでしょう。そういうことから考えていけば、当然この際、政府管掌の健康保険が定率補助の道を開いた以上、私学共済に対して、短期については、国が一切めんどう見ませんということでは筋が通らぬと違いますか。
  69. 辻敬一

    ○辻政府委員 先ほども申し上げましたように、給付内容が若干違うわけでございまして、法律で定められております給付につきましても、政府管掌の健康保険、いまの健康保険制度よりは有利な面がございますし、そのほか付加給付制度もございますので、そういう給付水準、掛け金負担を総合的に考えてみますならば、必ずしも現在のところで均衡を失しているとは思えないというふうに考えているわけでございます。
  70. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 大蔵省の性格だろうと思うのですが、結局悪いほうへ悪いほうへと何とか右へならえして、なるたけ国の負担分を安くしようというお気持ちがありありと見えるような御答弁なので、非常に残念なのです。やはりわが国の社会保障が、他のヨーロッパの国々に比べて進んでおるならば、そういう理屈も私は成り立つかと思いますよ。しかしわが国の制度というものが、ヨーロッパの国々より非常におくれをとっている、そういう状況の中では、給付もできるだけ多くする。また国の補助も、組合員の掛け金率等を勘案してできるだけこれを出していく、そうして組合員の負担を軽減していくという方向に努力をすべきではないのですか。私はどうもその点は理屈に合わぬじゃないかと思うのです。文部大臣の御感想はいかがでしょうか。財政局長として財政にも非常にごたんのうだった方ですから。
  71. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 文部省の立場から考えますと、私学共済短期給付の面につきましても、組合員の負担が軽減されることが望ましいわけでございますが、できることなら、文部省の立場からいって前向きでありたいという希望は抱いております。
  72. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 自治省の財政局長、事務次官時代を通じて、大蔵省に強いことでは定評のあっか奥野文部大臣のはずでありますから、大いにひとつ御健闘することを御期待申し上げておきましょう。  それではこれから辻さんにお尋ねしたいと思うのですが、事務費の補助が、私学共済についてはたいへん少ないように思います。いただきました資料を拝見いたしましても、事務費に対する補助、昭和四十八年度の予算では九千四百四十二万八千円であります。お一人あたり一体どのくらいかと文部省にお聞きしましたら、長期について組合員一人当たり百五十一円、短期については二百二十六円だそうであります。一体実費がどのくらいかかっているかということを聞きましたところが、総額で約六億円、組合員一人当たりにつきまして約三千円の事務費が、実費としてはかかっているということだそうであります。厚生年金につきましては、この事務費は国が全額見ていると思います。また、国家公務員共済におきましては、当然国が事務費は全部見ている。地方公務員共済につきましては、当然地方公共団体がこれを措置しているという状況だと思います。そういう状況に比べますと、まさに私学共済の事務費に対する国の措置というものは、最低ではないかというふうに言わざるを得ないと思うのでありますが、いかがですか。なぜこの事務費を、せめて実費まで補助することをしないのか、この点お尋ねをいたしたいと思います。
  73. 辻敬一

    ○辻政府委員 私学共済に対します事務費の補助につきましては、私立学校教職員共済組合法の三十五条にございますように、「国は、予算の範囲内において、左の各号に掲げる経費を補助することができる。」という規定に基づいて補助を行なっておるわけでございますが、ただいま御指摘のございましたように、短期につきましては一人当り二百四十六円ということに相なっております。類似の制度に対します補助単価と比較してみますと、健康保険組合の場合は百八十円でございます。それから国家公務員共済組合の場合には、短期につきまして一人当り百六十円でございます。それから長期短期と両方いたしております現業の共済組合に対しましては百八十円でございます。そういう均衡からいたしましても、必ずしも低い額ではないのではないかというふうに思っております。
  74. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 法律の書き方、それから私学共済よりも悪い例をおあげになったのですが、私が指摘したようなことも事実でしょう。ですから、辻さん、いいほうを見ないで、悪いほうだけ見てこういうのがあるじゃないか、こういうのがあるじゃないか、こればかりでは前進がないような気がするんですがね。もう少しお考えになる気はありませんか。また文部省としての考え方は、一体いかがでございますか。
  75. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 事務費につきましては、確かに御指摘のような問題点がございまして、私ども年年この増額のお願いをいたしておるわけでございますが、実情は遺憾ながら実際の所要額に対する比率が、逐年低下するというような傾向にもございます。これが結局は掛け金の問題にも関連をしてくるわけでございまして、事務費の補助の増額につきましては、今後とも努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  76. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そういう文部省の希望も、辻さん聞いてやってくださいよ。三十分ぐらいでという話ですから、辻さん、もうけっこうです。何といいましても辻さんが首を振らぬことには、国公共済、地方共済私学共済、いずれにしても前進しないわけですから、一番のかなめにある辻さんでありますから、四つかどのちょうどかなめみたいで、名字もよう合っていると思いますから、ひとつ福祉国家実現のために十分な配慮をされるように要望をしておきましょう。それでは次に、海老原さんにお尋ねをいたしましょう。最低保障お話をいたしましたが、最低保障が今度三十二万一千六百円。しかしこれは、これ以降の方々に対しての最低保障ですね。それ以前におやめになった方、現に年金の額を裁定されまして、年金で生活をしておられる方々については、この日取低保障はかかわりないということになるわけですね。恩給の場合、最低保障以下の恩給受給者の方々割合は現在どのくらいでございますか。
  77. 海老原義彦

    ○海老原説明員 御説明申し上げます。  恩給制度では、長期在職者について最低保障という制度がございまして、その額は共済と同様に厚生年金の最低額をめどとしてきたわけでございますが、今回の改善措置の場合には、最低保障を特段に恩給のほうでは動かしておりません。  これは御説明しますと、長期在職者と恩給で申しますのは、恩給制度で文官とか教育職員の場合は十七年という年限がございまして、この年限を越える人、十七年以上の人が長期在職者でございます。それから軍人や警察、監獄職員の場合は十二年、准士官以上の軍人ですと十三年というような年限がございまして、この年限を越える人たちが長期在職者、それに満たない人を短期在職者と私どもは呼んでおりますが、この長期在職者に対して十三万四千四百円という最低保障額が従前からあったわけでございます。これは六十五歳以上で十三万四千四百円、六十五歳未満ですと十一万四百円ということになります。この額は、厚生年金の最低額が引き上げられたということに伴ってこれは二倍にふえておりますので、二倍にふやさなければならないという問題があるわけでございますが、そうしますと、二十六万八千八百円、さらに今度の修正を織り込めばもう少し上になって二十八万八千円でございますか、そういうようになるという問題があるわけでございますが、恩給におきましては、長期在職者よりも短期在職者が軍人恩給の場合に圧倒的に多いわけでございます。軍人恩給の九六%を占めるものは短期在職者でございまして、この人たちは大部分兵隊さんでございます。兵の普通恩給は十一万六千五百三十四円でございますが、この額のままであるということになりますと、非常な開きがあって、この短期在職者も含めて何らかの改善をしていかなければならないということで、十分な検討期間が必要なものでございますから、今回の措置には盛り込まなかったわけでございます。  さて、先生質問共済並みの最低保障をしたならば、一体どれくらいの人がかかるかという問題でございますが、三十万二千四百円の普通恩給の最低保障をしたといたしました場合に、文官については約二九・一%、教育職員については一七・六%というような人たちがこの額を下回るということになるわけでございます。
  78. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 待遇職員についてはどうですか。
  79. 海老原義彦

    ○海老原説明員 待遇職員については七七・八%警察、監獄職員については八七・五%、こういった人たちが三十万二千四百円に満たないというわけでございます。
  80. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 大臣、そういう状況なんですよ。私はこれは非常に問題じゃないかと思うのです。先ほど退職公務員連盟の方々の例をあげました。結局長い間教職にあった方々等におきまして、以前に退職された方の中には、非常に低額の恩給しか受けられない、こういう状況の方がたくさんおるわけです。教職員の場合は、改正以前の最低保障三十万二千四百円ですから、それ以下の者が一七・六%でありますが、待遇職員のごときは七七・八%、かって奥野さんも高知県の県警本部長をされたわけでありますが、部下であった警察官の方方も実に八七・五%、こういう人が最低保障額以下の恩給しかもらっていないという状況については、これはやはり何とかしはければならぬ、こういうお気持ちを持つのではないかと思うのです。もちろん主管は総務長官ではありましょうけれども、やはり閣僚の一人として、私は年金が、恩給が——特に本年におきましては公務員給与改定率そのまま織り込まれたということは非常に高く評価はいたしますけれども、なおかつそういう中で非常に低額の恩給しかもらっていないという方がおられるという事実は、これは一日も早く改善しなければならぬだろうと思うのです。いかがですか、大臣としてのお考えをひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  81. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 私学共済の場合には、三十七年一月一日以前の退職者ということになろうかと思います。私もぜひ引き上げをしていただきたい。ただ私学共済だけの問題じゃございませんで、すべての共済に通ずる問題でございますので、ぜひ引き上げ方向で当然努力をしていくべきものだ、かように考えております。
  82. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 とにかくこういう状態で、東京都における生活保護基準が月額約二万三千円くらいですか、そういたしますと、結局年金がせっかく受給になっておっても、生活保護費よりもはるかに低い年金、それで恩給受給者の方の間に、生活保護を受けておられる方も相当いるんじゃないかと思うのです。総理府のほうではどうですか、この恩給受給者でなおかつ生活保護を受けておられる、生活保護基準よりも恩給のほうが低い人がたくさんおるのですから、その割合はどのくらいだと把握をしておられますか。
  83. 海老原義彦

    ○海老原説明員 恩給受給者で生活保護の適用を受けているものがどのくらいあるかという御質問でございますが、これは厚生省で、かつて昭和三十八年に調査をしたことがございまして、そのときの割合から、最近の厚生省調査による公的年金受給者の生活保護の適用者が現在二十三万九千人であるということとのからみで考えますと、約一万人以内の程度である、四%程度であると考えられます。
  84. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そういう数字がございまして、三十八年に調べて、あとそれを類推したというようなことで、どうもたいへん不十分な調査しかないことは残念に思います。できるだけ早急にこういう調査を、厚生省がやるのでしょうが、政府としてもやるように、ひとつ厚生省を督促いただきたいと思うのです。  本来、恩給、共済組合制度のできた趣旨を考えれば、この、かりに四%であろうと、生活保護を受けざるを得ないような方々がおるということは、私は非常に残念なことじゃないかと思うのですね。恩給法の規定からいけば、そのようなことがあってはならぬことになるのじゃありませんか。どうですか総理府。
  85. 海老原義彦

    ○海老原説明員 生活保護と恩給との関係でございますけれども、生活保護と申しますのは、先生御存じのとおり、資産そのほかあらゆるものを活用しても、なお最低生活を維持できないといったような場合に、国民の最低生活を保障するたてまえのものでございます。恩給は、忠実に公務に従事いたしました公務員に、退職当時の俸給とか在職年に応じまして、定められた額を支給するものでございまして、この支給する際には、恩給以外の収入とか、資産の有無とか、そういったものを問うことなく支給しておるものでございます。したがいまして、恩給では、在職年数が非常に短いような場合には支給額も低くなるわけでございまして、先ほど申しましたように軍人の場合、短期在職者が非常に多い。一番短い方は三年で恩給を受けております。これは三年戦争に行きますと、戦務加算というものが九年ついて、合わせて十二年になるというようなことで、非常に短い期間で恩給を受けている方もございます。こういった方々をすべて生活保護基準まで引き上げるということは、恩給制度のたてまえからきわめて困難なことと考えられます。  しかし、先生おっしゃいますとおり、恩給は、忠実に公務に専念した公務員の退職後の生活のささえとなるものでございますから、恩給年額の改善については今後とも十分努力してまいりたいと思います。
  86. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 特殊な制度である、この掛け金もしてない軍人恩給のことについて、私特に申し上げようというつもりではないわけです。十七年なりあるいは十二年なりという、恩給法で定められた年数を忠実につとめ上げて、そうして恩給を受給されておられる方々、そういう方々の中に、非常に年金額の低い方がおる。そうしてそういう方の年金額は生活保護基準よりも低い。そういう中で、他に資産、収入等がなくて、生活保護を受けざるを得ない、そういう立場の人たちが、少数なりともおるということは、これは本来恩給法の精神に照らしてみても、きわめて遺憾なことではないのか。少なくともそういう意味で、この恩給の最低保障については、当然この共済の最低保障ぐらいの額を保障するような制度に一日も早くすることが必要ではないだろうかという意味で、私は申し上げているつもりであります。  そういう意味で、単にこの私学共済のみならず、年金全般についてただいまのような私の意見に対して、大臣としての御所見を承っておきましょう。
  87. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 教育に専念してきた方が、退職後生活保護を受けるというようなことは耐えがたい感じがいたします。そういうことがあるのかないのか私は知りませんけれども、あるとすれば、ないような保障制度に充実していきたい、かように存じます。
  88. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それではまた別な角度からお尋ねをいたしましょう。  この長期給付財源率でありますが、いただきました資料によりますと、五回にわたって計算しあるいは再計算をして、現在の長期給付財源率が、数理保険料率が八二・一八、整理財源率が一七・一〇、合計いたしまして財源率が九九・二八ということになっておるようであります。これに対して国庫補助の一八%というようなものがございまして、現在掛け金率が、長期の場合は千分の七十六ですか、ということになっておるようであります。  この場合、財源率の計算にあたっては当然、この私学共済方々の年齢構成がどうあるか、あるいは平均余命が一体どうかというような各種の統計によって、もちろん平均給与というような幾つかのデータをとりまして、やや複雑な計算をやって、計算をしておると思います。その計算の方式についても若干私勉強したこともございますが、そこでこの場合も当然この計算をするにあたっては、運用する場合の利率は、一定の利率というものを想定して計算していると思うのですが、その財源率計算に使用いたします利率は一体何ぼでございますか。
  89. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 年率五・五%でございます。
  90. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 五・五%ですね。  そこで、私学共済の資金運用につきましての資料を拝見をいたしました。一号資産、二号資産、三号資産等に分けて運用しておるようでございますが、この場合の運用利率は一体幾らでございますか。
  91. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 もちろん年によって違うわけでございますが、大体七%前後でございます。四十七年度の推計といたしましては六・九三八%、四十六年の実績を申しますと七・二〇%でございますが、大体七%前後という率でございます。
  92. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 公定歩合等が変化いたしますので若干異同がある。したがって、最近はちょっと下がった。しかし、将来は現在の金融の情勢を見れば、また運用利率が若干上がるだろうということは想定されると思いますね。一号資産、二号資産、三号資産に分けて、それぞれの運用利率はどうなっておりますか。
  93. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 実はまことに恐縮でございますが、それぞれきちんと分けたものが手元にございません。ちょっと御参考までに申し上げますと、三号資産でございますが、これは主として組合員の住宅のための貸し出しということになっておりますが、そうした特殊性からいたしまして、年率はただいま六%でございますが、これを下げまして五・八八%にしたいというふうに考えております。したがいまして、全体として申し上げますと、やはり一号資産運用利率が高くて三号資産が低いということになろうかと思います。
  94. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それは当然で、けっこうだと思います。三号資産、特に組合が行なう事業のうち、不動産の取得以外の事業に対する貸し付け金とありますが、具体的にいえば、私学共済組合の方方がマイホームを持ちたいというような場合に貸し出しをする、あるいは学校法人学校法人としての社宅といいますか、それを設立したいという場合に、この貸し付けを受けるというようなものが三号資産だろうと思いますから、こういうものに対して運用利率を低くするということは私は当然であり、組合員の人たちの福利厚生の意味から、が三号資産だろうと思いますから、こういうものに対して運用利率を低くするということは私は当然であり、組合員の人たちの福利厚生の意味から、これは大いにまた下げる努力をやっていただきたい、これを強く要請をいたしておきたいと思います。  そこで、この一号資産、二号資産、三号資産、それぞれ法定割合があるようでありますが、一号資産のうち、預貯金あるいは信託投資、有価証券のほかに、日本私学振興財団への貸付金等と、こうあるわけでありますが、できるだけこの私学振興財団への貸し付け金割合等をふやしていくということが、私は私学振興の意味では重要ではないだろうかと思うのですが、これについては一定のワクがあるのですか。そのワクの根拠は一体何ですか。省令だということになれば、その省令を改めて、できる限り私学振興財団への貸し付け率をふやす、貸し付けのワクをふやす、貸し付けのワクをふやすということはやってしかるべきではないかと思うのでありますが、この点はいかがですか。
  95. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 私学振興財団への貸し付けの残高は、四十六年度末で約二百億でございます。一号資産が五百六十二億でございますが、そのうちの二百億が私学振興財団への貸し付けということになっております。この一号資産の構成法定割合でございますが、これは五五%以上ということになっておるわけでございますが、現実には八三・六%、これは振興財団の貸し付けだけではなくて、その他の預貯金、信託等も含めての比率でございますが、八三・六%でございます。この法定割合がただいま申し上げましたように、以上ということでございますから、私学振興財団への貸し付けをさらにふやすということは、これは経理規程の上からは可能でございます。  ところが、実はそこで一つ矛盾がある、矛盾と申しますか、ジレンマがあるわけでございまして、私学振興財団への共済組合からの貸し出し利率は六・八%でございます。さっき申し上げましたように一般の運用利回りが七%ということでございますから、組合といたしますと私学振興財団貸し付けるよりは、その他の部面に一般的に運用したほうがやや有利だというようなことが実はございます。先生指摘のとおり、私学共済長期の慎み立て金が私学振興のために使われるということは、これは当然なことでございますが、一方利率の点においてちょっと問題があるものでございますから、最近はこれを特にふやすというようなことは実はいたしていないわけでございます。
  96. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そういうやりくりの苦労はわからぬではありませんが、しかし、この財源率計算の場合に使う利率が五・五%だということですね。実際の運用利率が一体どのくらいかということをお尋ねいたしましたら、大体七%ということですから、そこに約一・五%差があるわけですね。とすれば、何もそう無理して、預貯金あるいは信託投資、有価証券等に多く回して、そうして本来私学振興のためにある日本私学振興財団への貸し付けのほうを、どうも利率が安いからといって——安いといっても六・八%であるならば、その財源単で想定した五・五%よりは高いのですから、こちらのほうを何もけちけちするという必要はないのじゃないかと思うのです。その点はいかがでしょうか。これが一つ。  それから、三号資産につきましては二五%以下というふうに法定されているわけですね。ところが、現状は一一・九%だ、こういうことであります。私はやはり私学におつとめの先生方福利厚生、また学校法人の社宅を増設して、そういう意味で私学に、他の公立学校よりもはるかに低い給与で、教育のために非常に御苦労いただいている、私学教職員方々福利厚生のために努力をするということは、もっとやってもいいのじゃないか。利率は確かに低くて六%だったものが、今度五・八八%、あるいは将来さらに下げるかもしらぬということでありますけれども、しかし、なおかつ財源率計算の五・五%よりは高いわけですから、その意味では私は三号資産を、法定は二五%以下というのですから、せめて二五%に近づける努力をすべきではないかと思うのです。この点はいかがですか。
  97. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 私学振興財団への貸し出しにつきましては、私が申し上げましたような問題点がございますけれども山口先生のおっしゃるような御趣旨もごもっともと思われますので、今後十分検討さしていただきたいと思います。  それから、三号資産の点につきましては、確かに御指摘のとおりでございます。実際問題といたしまして、文部共済、公立共済等に比べまして、この私学共済貸し付け条件が悪条件でございます。先ほど申し上げましたように利率につきましては六%を五・八八%に四十八年度から直したいということを考えております。ほかに返済の月数でございますが、現在百八十カ月でございますが、これを四十八年度から二百四十カ月に直していきたいと思います。そうした条件の改善をはかることによりまして、同時に貸し付けのワクもふやしていきたいというふうに考えておりますので、御指摘方向で三号資産につきましては努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  98. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 この私学共済長期資金の運用につきましては、大臣、先ほど来私が申し上げたような趣旨で、一号資産のうち日本私学振興財団への貸し付け金をできるだけ増額すること、それから三号資産の状態が法定では二五%以下となっておるのに、実態は一一・九%にしかなっていない。私学にあって苦労して働いておられる教職員福利厚生のためには、もっと三号資産のワクをふやすべきだということを申し上げたわけでありますが、これは大臣としてもひとつ、局長は努力すると答えましたが、大臣としてひとつこの点についても御努力をいただきたいと思うのです。  同時に、この私立学校教職員共済組合という機関があるわけですね。理事長は一体だれですか。
  99. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 加藤一雄という方でございます。
  100. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 当然、この長期資金の運用等議論いたします場合、私は、私立学校教職員共済組合の責任者の方に来ていただいて議論することが必要じゃないかと思うのですが、きょうはお見えになっていないようですね。   〔内海(英)委員長代理退席、委員長着席〕 これはひとつ当委員会でこの問題を議論する間に、当然理事長をお呼びいただいて、そうしてただいま私が議論いたしましたような問題についても理事長としての考え方も確かめておきたいと思いますので、委員長よろしくお計らいをいただきたいと思いますが、いかがですか。
  101. 田中正巳

    ○田中委員長 さよう取り計らうことになっておりますので、適当な機会にあなたにも質問をしていただきたいと思います。
  102. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そこで、この長期給付資産を拝見いたしますと、現在六百七十二億ですか、あるようであります。この財源率計算にあたりましては、当然財源率計算をいたしますときの給与平均額あるいは職員の年齢構成、平均余命等々を考えて計算するわけですが、ベース改定については見込んでないわけですよね。当然年金改定についても見込んでいないわけです。そういう中で今回、従来から見ればやや画期的な、公務員の本俸の引き上げ率がそのまま年金引き上げになったということになりますと、いわば支出というものが相当増加をするというふうに考えなければならぬと思います。そういう中で、財源率計算をいたしましたときの状況と、その後の私学先生方給与改定の状況、それから年金改定の状況等を考えまして、資産全体といたしましては当初財源率計算をいたしましたとき想定した状況で運用されておりますか。そうではなくて持ち出しのほうが多くて、次の財源率計算、あるいは明年にやるという予定だそうでありますが、その場合には、ある程度掛け金率を引き上げなければならぬような状況であるのか、この点はいかがですか。
  103. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 今回の法改正によりまする所要財源率は千分の二・六七ということでございます。内訳といたしましては既裁定年金引き上げによりまして〇・五、それから最低保障額引き上げ分が〇・四六、それから遺族の年限の変更によります分が一・七一であります。この二・六七分につきましては、先ほどお答え申し上げましたことに関連をするわけでありますが、運用上の利差益というものもございますし、かつまた財源調整費の積み立てというものもあるわけでございますので、それで処理できるということでございますが、実は長期的に見ますると、四十六年度末の計数でございますが、長期経理の責任準備金が千四百六十四億円ということでございますが、保有資産は先ほども申し上げましたように六百七十二億円、それから責任準備金引き当て金が五百九十五億円ということでございまして、差し引き百九十七億円の責任準備金の不足ということになっておるわけでございます。先ほどもお話がございましたように現在の掛け金率は、これは四十年にきまった額でございますが、その後事情もかなり変化をいたしておりまするので、四十九年度には再計算をいたしたいというふうに考えております。その再計算の結果掛け金率のアップを必要とするかどうかという点でございますが、これは再計算の結果を見なければわからないわけでございますが、なるたけ増加しないように、かつまた責任準備金の内容が充実されるように何とかくふうをしてまいりたいというふうに考えております。
  104. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 ほんとうはここで辻さんなりあるいは山本大蔵政務次官がおれば一番いいわけなんですが、おりませんので、残念ですが、次の機会にまた山本政務次官お見えのこともあるだろうと思いますから、その際、大蔵省にはお尋ねしたいと思うのですが、大臣、責任準備金が現在百九十七億円不足しているという状況です。今回の法律改正によりまして千分の二・六七、いわば支出のほうが増加をしていくというかっこうになるわけでありますが、四十九年度再計算の時期だそうでありますが、ここで財源率計算をし直して、掛け金率が増加をするということになれば、これは組合員の負担というものがさらに過重になるということだと思うのです。もちろん、私どもが議論しておりますような完全スライド制が確立をする、そういう新たな状況の中で、かりに負担区分をどうするという状況の中であるいは掛け金率が移動するという場合においては、これはあるいは組合員の皆さん方も納得をするかもしれませんけれども、そういう抜本的な制度改正あるいは改善なしに、ただ長期の掛け金が上がっていくということでは、私は組合員の人たちも納得なさらぬだろうと思うのですね。そういう意味では、先ほど来議論いたしました国の補助率が百分の十八であるというものを、やはりもっと引き上げる、そういう形の中で、組合員の負担を増加させることなく、この共済組合の責任準備金は十分積み立てられていく、こういう状況をつくらなければならぬのじゃないだろうかというふうに思います。  短期給付につきましても、会計の状況を拝見いたしますと、かつて赤字が相当ございましたものが、現在は幾らか赤字が減少をいたしておるようであります。しかし、短期につきましても、政府管掌の健康保険法改正によりまして、高額医療についても負担をするとか、あるいは家族の給付率も六割に引き上がり、やがて明年は七割に引き上がるというような形で支出の要因というものもふえていくわけですね。そういう中では、これも先ほど来議論いたしましたが、短期についても事務費を見ることもちろんでありますが、同時に短期についても国庫補助の道を開くべきだ、そういう形の中で組合員負担を増加させるということのないような施策を行なう必要が私はあると思うのです。そういう意味で、文部省としての考え方を聞いておきたいと思います。
  105. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 長期給付につきましては、従来から国庫補助百分の十八を百分の二十に引き上げたいという希望を持ってまいってきているところでございます。それは別にいたしましても、給付内容の向上なしに組合員の負担だけ上がっていくというようなことはとるべきでないというお話がございまして、全く私もそのように考えているものでございまして、ぜひ一そう私学教職員福利厚生に役立つような努力をはかっていきたいと思います。  短期の問題につきましても、かなり大幅な内容改定が行なわれてきているわけでございますが、他面給与の上昇もかなりあるわけでございますので、先ほど来御指摘のように、実態はかなり改善されてきていると思います。今後とも一そう充実したものになってまいりますよう、いろいろな面で努力を払い、検討も続けていきたい、かように思います。
  106. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 質問を保留した点を除きまして、一応終わっておきます。
  107. 田中正巳

    ○田中委員長 栗田翠君。
  108. 栗田翠

    ○栗田委員 かなり前の質問者の方とダブる点もありますので、そこらは整理しまして簡潔に質問させていただくことにします。  まず最初に、文部大臣に伺いますが、本改正案の提案理由の中でこういうことがおっしゃられております。「本共済組合が行なう給付については、国公立学校教職員に対する給付水準と均衡を保つことをたてまえとし、逐次改善が進められ」努力されているということを言っていらっしゃいます。この均衡を保つという状態ですけれども、どのような状態を目ざしていらっしゃるわけでしょうか。具体的に伺わせていただきたいと思います。
  109. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 国家公務員共済組合あるいは地方公務員共済組合の中に、国公立学校教職員に関する共済制度が盛り込まれておるわけでございます。その給付水準と均衡を保つようにしていきたいということでございまして、先ほど来最低保障の問題なども出てまいっておったわけでございます。
  110. 栗田翠

    ○栗田委員 今回の改正によりまして、私学共済組合既裁定年金の最低保障月額ですが、これは平均してどのくらいになるでしょうか。
  111. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 最低保障額は、新法年金につきましては、先般の厚生年金法一部改正の修正のこともございまして三十二万一千六百円でございます。旧法の年金につきましては、昨年同様の額に据え置かれております。
  112. 栗田翠

    ○栗田委員 国公立の場合には、どのくらいになっておりますか。
  113. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 同じでございます。
  114. 栗田翠

    ○栗田委員 私が伺っておりますのは、実際に実施されております支払われた年金ですね。それを一人平均とした場合にどうかということなんです。
  115. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 国公立学校私立学校水準が同じと申しましたのは、これは金額が同じという意味ではございませんで、年金支給の方式が同じということ、つまりその間の均衡をとったということでございます。したがいまして、国公私立学校の間におきまして、基礎となる給与が違いますので、したがいまして、その受ける年金の額というものも、したがって当然に変わってくるわけでございます。先ほど最低保障額についてのお話がございましたからそれをお答えしたわけでございますが、これは同じでございますが、四十六年度の年金でございますが、文部省共済組合の場合は、退職年金の一人当たり額は四十四万六千円でございます。それから公立学校共済組合の場合はこれが五十六万一千円でございます。それから私立学校共済組合の場合は三十二万二千円でございます。その間に額の違いはございますけれども、ルールとしては同じだということでございます。
  116. 栗田翠

    ○栗田委員 そうしますと、金額そのものはかなり差がついておりますが、この一番大きな原因というのは、私立の場合の教職員の賃金が低いということでしょうか。ほかにはどのような理由がありますか。
  117. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 やはり標準給与の額が、一般に低いということがございますが、ほかに比べましてもう一つ特徴的なことを申しますと、女子の組合員がかなり多くて、しかも、その在職年数が短くて、きわめて短期の間に退職をされるというようなことが、他と非常に違う点かと思います。
  118. 栗田翠

    ○栗田委員 給付額そのものの問題でもありますけれども、こういうところにあらわれてきます金額の非常に大きな差というのも、一つは、国公の場合と私立の場合のいろいろな教職員の勤務条件賃金の差などもあらわれてきていると思うわけです。いま女子と申しましたが、幼稚園の先生なんかがたいへん多いようです。私も調べましたけれども文部省で出されました資料を見ても、私学共済組合員の平均賃金月額を一〇〇としたときに、幼稚園は五八というたいへん低い額になっております。これは単に年齢が若いというだけではなくて、賃金そのものが非常に低いということではないかと思うのです。私ちょっと調査しましたけれども、  たとえば幼稚園の初任給、これは横浜市のある平均給与ですけれども、初任給が三万八千円、十年間勤務して四万八千円で、仕送りを受けなければ、一人で生活ができない状態が、ずっと続いているという内容になっております。私立の場合に、暮らすこともできないような状態が、幼稚園などには出てきているというよい一つの例ではないかと思うわけです。  小中学校高等学校の場合でも賃金格差というのはございますね。どのぐらいあるのでしょうか。
  119. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 私立学校教職員国公立学校教職員給与水準に差があるということは、これはまあ事実でございますが、しかし、大学につきましても、高等学校以下につきましても、昭和四十五年度以来、人件費を中心とする経常費の補助、あるいは国の補助あるいは都道府県の補助という制度が始まっておるわけでございます。そうしたことによりまして私学関係教職員給与も逐次改善されつつあるわけでございますので、ただいま御指摘のような点は、徐々に改善されていくかと思いますが、現状、四十六年度の学校教員調査によりますると、幼稚園の場合は、公立学校を一〇〇といたしました場合に、私立学校は約六五%、高等学校は公立を一〇〇といたしました場合に私立が約八〇%というようなことになっておりますが、これは学歴等も違うというようなこともあるかと思いますし、あるいは勤務年数も違うというようなこともあるかと思います。学歴と勤務年数とを分析してみないと、ただいま申し上げました差がそのまま給与の格差であるかどうかという点は、これはさらに分析してみなければわからないと思いますが、平均額で申し上げますと、いま言ったようなことになっておるわけでございます。
  120. 栗田翠

    ○栗田委員 勤務年数がたいへん短いということも、私立の場合に、不安定な状態の中で、そういうことが起こってきていると思いますし、学歴の差が出ているとすれば、それは国・公と私立の教育上の格差にも響いてくるだろうと思うわけでございます。いま私がこれを問題にしましたのは、社会保障制度というものの立場から考えても、同じ職種について、同じような仕事に携わっている場合に、その在職中の賃金その他の労働条件が非常に悪いということ自体、不安定ですし、退職後の年金がそれに伴ってまた少なくなっていくということは、その人たちの生活をたいへん不安定にしていると思うわけです。こういう点で、もし在職中の条件が非常に悪いならば、賃金が悪いならば、なおのことそこを補っていくような制度でなければならないということ、このことを私は言いたかったわけでございます。   〔委員長退席、内海(英)委員長代理着席〕  特に教育基本法六条の二項などでも、こういうことをいっております。「法律に定める学校の教員は、全体の奉仕者であって、自己の使命を自覚し、その職責の遂行に努めなければならない。このためには、教員の身分は、尊重され、その待遇の適正が、期せられなければならない。」というふうにいっております。この教育基本法六条の立場から考えましても、社会保障内容に実質的に差がある場合、受ける給付の額などが非常に違う場合、長期の場合も短期の場合もそうですけれども、その場合には、特に国としても援助しなければならないという立場に立つべきだと思うのですが、この点で文部大臣の御意見を伺いたいと思います。
  121. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 私学の財政責任は、やはり私学に属すると思っているわけでございますけれども教育の充実を期しますためには、教職にりっぱな方々が入ってくださらなければならない。それにはやはり処遇を充実していくということだ、かように考えるわけでございます。そういうこともございまして、先ほど管理局長からお答えをいたしましたように、四十五年度以降経常費助成ということに踏み切って、専任教員の給与の二分の一はとにかく四十九年度までに全体的に負担できるように改善をしていきたいということで進んでまいってきているわけでございます。高等学校以下のものにつきましては、都道府県のほうから助成をしていただく、それだけの財源は国全体として配慮していくという仕組みをとってまいってきているわけでございます。
  122. 栗田翠

    ○栗田委員 そうしますと、大いに助成をしていくべきだし、その方向で努力しなければならないというお立場でいらっしゃるわけですね。  それでは次に進ませていただきますが、社会保障制度審議会が「昭和四十四年度以降における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部改正について」という答申を出しております。これは先ほどの質問者も触れておられましたが、この中で二、三伺っていきたいと思います。  一つ、ここでこういう文章があるわけですが、「今回の改正は、従前と同じく恩給法の改正に応じて余儀なく行なわれるものとはいえ」、そのあと、「適用範囲の拡大その他定見を欠くところが多い。」と書かれています。  この「定見を欠く」というのは、一体どういう内容をいっているのでしょうか。文部省としてはどう御理解になっていらっしゃいますか。
  123. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 社会保障制度審議会の答申の中で、共済年金改定が恩給法の改正に準拠しておるわけでございますが、それだけではなくて、企業年金的な性格を加味することが必要であるということを申しておるわけでございます。そうした要素が考えられていないということを、そういうふうにいっておるというふうに理解をいたしております。
  124. 栗田翠

    ○栗田委員 それで、文部省としましては、その点はどうお考えになりますか。
  125. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 基本的にはいろいろ問題があろうかと思いますが、午前中来、いろいろお答え申し上げておりますように、私学共済組合は、国家公務員地方公務員共済組合の方式に準拠をする。それから国家公務員共済組合給付内容あるいは今回の既裁定年金改定といったような問題は、恩給に準拠して行なわれておるということが実際でございます。しかし恩給は、いわば過去の制度でございますし、それから国家公務員地方公務員あるいは私学の教員それぞれ身分、給与その他が違うわけでございまして、それぞれについて、何かその特色を生かした年金制度ができないかということが一つあるわけでございますが、しかしこれは、社会保障制度の一環として、相互に関連をする問題でございます。したがって、総理府に公的年金制度調整連絡会議というものが設けられておりまして、公務員のグループでございますとか、民間のグループでございますとか、あるいは私学共済と農林共済のグループというふうに分かれまして、それぞれ今後のあり方について検討をしておる、しかしまだ結論は出ていない、こういうことでございます。
  126. 栗田翠

    ○栗田委員 共済制度は非常に何種類もあるようでございます。いまも幾つかあげられましたが、一本化せよという要求がかねてからよく出ておりまして、社会保障制度審議会が昭和二十八年に、私学共済制度ができる前年だったと思いますけれども、やはり答申をしていて、一本にしておいたほうがいいのではないだろうかということを、答申していると思います。そういう答申との関係で、一本化したときには、統一した同じ考え方でその制度を進めていけるのだけれども、特に私学共済として独立させているために、その考え方が一定していないのだという立場もあるのでしょうか。それは全く関係ないのでしょうか。
  127. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 長期給付制度と申しますか、年金制度の一元化ということが長期的な非常に大きな目標であろうかと思いますけれども、しかし、この年金というのが、また事柄の性質上、長い過去を背負っておるわけでございます。しかも、それにはいろいろな組合なりあるいは職域の特殊性というものが反映されておるわけでございますから、かりにその年金制度の一元化ということが、将来の大きな理想であるにいたしましても、簡単にこれを一本にしてしまうということは、いま申し上げましたような、過去のいろいろな経過からして、困難な課題が多いわけでございます。したがいまして、現段階では、そういうことも念頭に置きながら、それぞれ組合というものが現にあるわけでございますから、その間の格差なりアンバランスが、さらに大きくならないようなことにも配慮しながら、全体としての水準改善につとめてきておる、こういうことであろうかと思います。
  128. 栗田翠

    ○栗田委員 私、「定見を欠く」という意味がほんとうにわからないものですから、伺ったわけですけれども、いまの問題との関連はあまりないようでございます。  初めの問題に戻りまして、そうしますと、文部省としてはまだいろいろ検討中でいらして、一つのはっきりとした、さっき審議されましたような問題で、結論が出ていないという点があるわけですね。
  129. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 そのとおりでございます。各省と連絡をとりながら検討しておるということでございます。
  130. 栗田翠

    ○栗田委員 次の問題ですが、この答申は自動スライド制を採用するように提言しております。この問題については、先ほど山口委員がかなり詳しく質問しておられましたので、私、一つだけ伺わせていただきますが、それがたびたび出されながら、いままで実現しませんでした最大の支障になっている点ですね、自動スライド制にできない理由というのを教えてください。
  131. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 むしろ自動スライド制の中身が問題であろうかと思います。御承知のとおり、厚生年金では、消費者物価についての自動スライドという方式を今回導入したわけでございます。それから、先ほどもお話がありましたように、従来の公務員あるいは私学共済年金改定は、消費者物価と給与水準の差の六割を基準にして既裁定年金改定を行なってきたわけでございますね。ということは、つまり従来は、消費者物価と給与改定率の両方を踏まえて既裁定年金改定をしてきた。ところが今回は、給与改定率だけを基準にして既裁定年金改定をしたいということでただいま御提案申し上げておるわけであります。ですから、言うならば、給与スライドの方式が導入されたと言っていいかと思いますが、ただそれは制度ということにはなっていないわけでありまして、昭和四十八年度における改定一つの方式としてそういうものが採用されたということでございます。  これを恒久的な制度として、自動的に、今後も一定の給与改定があれば、それに対応してこうした法改正を、毎回お願いしないでもやれるようにするということが、給与についての自動スライド制ということの内容かと思いますが、ただ、そういうふうに割り切ると申しますか、この段階できめてしまうについては、もう少しいろいろ考えてみたい。公務員年金制度内容自体についても検討すべき点がいろいろあろうかと思いますし、また給与スライド制というようなものを採用した場合に、その財源をどういうふうに見込み、それを分担していくかというような問題があるわけでございますから、その辺の確たる見通しがつかない現段階において、制度としてそうした方式を導入することはできなかったということでございます。  ただし、実質的には、四十八年度改定について言えばそうなっておるということでございます。
  132. 栗田翠

    ○栗田委員 いま給与スライド制を制度としてではないけれども、今回は採用されたということですが、スライド制という場合には、給与と、それから物価と生活水準の問題なんかも入ってくると思うわけですが、そういう点を加味して、じゃあ今後財源のめどが立つならば、そういう方向で進めていかれる努力をされることになっておりますか。
  133. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 ただいま申し上げましたように、社会保障制度全般という観点から考えますと、いろいろ問題があるかと思います。文部省としては、大体そうした方向で努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  134. 栗田翠

    ○栗田委員 社会保障制度全般との関連での問題といいますと、どんな点があるのでしょうか。
  135. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 それは、たとえば厚生年金といったような一般的な制度との関連ということもございましょうし、それから国家公務員地方公務員、それから私学先生あるいは農協の職員、そうした職種間のいろいろなバランスの問題、あるいは実態の違いの問題、いろいろ問題があろうかと思いますが、そういうことを十分踏まえて検討を今後していきたいということでございます。
  136. 栗田翠

    ○栗田委員 社会保障制度全般の改善ということが、やはり必要になってくるわけですね。  それで、次に伺いますが、同じくこの答申の中で「国庫負担については、各制度を通じての共通のルールを確立すべきであろう。」というふうに言っておりますが、これは具体的には、その内容としてどういうことを言うのかという点と、どう検討されたかという点について、お答えいただきたいと思います。
  137. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 年金長期給付についての国庫負担の率でございますが、厚生年金につきましては百分の二十ということになっておるわけでございますが、公務員共済につきましては百分の十五ということでございます。ところが、私学共済につきましては、出発の当初は百分の十でございましたが、それが十五になり、十六になり、現在では十八になっているわけでございます。  そういったふうに、国庫補助の率が組合によりまして、あるいは制度によりまして、ただいま申し上げたように違うということを一つ問題点として指摘されておるわけでございますが、ただ、なぜ違うかということの根拠につきましては、先ほど大蔵省の次長から説明をいたしましたように、組合員の実態も違いますから給付内容も違う、そういうところからこうした違いが出ておるということかと思います。
  138. 栗田翠

    ○栗田委員 百分の二十にせよということは、いままで附帯決議でも繰り返し書かれておりまして、この法律の附帯決議は四十四年から毎年これが出ているわけでございます。そうしますと、さっきお答えが確かにございまして、ほかとの均衡の関係とか、職種、いろいろの違いなどがあるからだというふうに説明はされておりますが、すでに四十四年から附帯決議が四回出ておるわけです。その点について、やはりたださっきの御説明だけでは、ちょっと私納得いきかねますし、それからもう一つは、この私学共済法というのが、厚生年金保険法の特例法として出ていると思うのですけれども、そういう点からいっても、国庫補助率が違うという点で、たいへん矛盾を感じているのですが、附帯決議がいままで出されながらさっきのような御説明のままになっているという点ですが、これはどう努力されてきたのか。それともああいう理由でしかたがないというふうに思っていらっしゃるのでしょうか。
  139. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 文部省といたしましては、附帯決議の趣旨に従いまして、毎年百分の二十の要求をしておるわけでございますが、遺憾ながらその要求が認められていないということでございますが、ただつけ加えて申し上げますと、四十八年度財源調整費として八千百万円の予算が補助金のほかについておるわけでございます。これを補助率に引き直しますと百分の一・八二でございます。したがいまして、百分の十八と合わせれば百分の十九・八二ということでございまして、実質的にはほぼ二〇%の補助が行なわれておるということでございます。ただしかし、それでは同じかと申しますと、この財源調整費というのは、これはきわめて臨時的な手当てでございますから、それを恒久的な補助に切りかえていくということは、これは年金長期的な計算を確実にするために必要なことでございますから、私どもはさっき申し上げたような努力をいましておるということでございます。
  140. 栗田翠

    ○栗田委員 文部省が努力していらっしゃることはよくわかりました。  それでもう一つ、この百分の二十の問題で伺うわけですが、いま私立の学校でこの共済に入っていない、私立学校共済に入っていないところがございますね。それも未加盟というのでなくて、大手の私大などでは、自分たちで共済組合のようなものをつくっていると思いますが、そういうところ、たとえば早稲田大学のようなところですが、ああいうところの国庫補助率は百分の二十になっておりませんか。
  141. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 それは厚生年金でございますから、百分の二十になっておるわけでございます。ただし、給付水準は、全体としては私学共済よりも悪いということでございます。
  142. 栗田翠

    ○栗田委員 全体として悪いのに、どうして私学共済に入らないのでしょうか。私の聞いたところでは、給付水準がむしろよいから自分たちでつくっているというふうに聞いたのですが、いかがでしょうか。
  143. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 ただいま年金についてのお話であったものですから、年金について申し上げたわけでございますが、短期給付について申し上げますと、これは学校にもよりますが、未加入校のいわゆる大手は、健保組合というものが結成されておりまして、この組合におきましては掛け金は比較的安い、給付内容は比較的いいという現実にあるわけでありまして、しかも、その健保組合自体が、ある程度資産も持っておるというようなことがあるものですから、私学共済に必ずしも喜んで入らない、こういうことになっておるわけでございます。
  144. 栗田翠

    ○栗田委員 わかりました。  それで大手の私学などが百分の二十、厚生年金並み国庫補助を受けている、助成を受けているという点から考えましても、これはどうしても私学共済もそういう方向ですべきだと思いますが、これは文部省にあまり申し上げても、努力していらっしゃるのに、そうなっていないというのですから、申し上げる相手が違うようですから、ぜひ実現のために一そうの努力をしていただきたいということを申し上げて、この点は終わりますが、続きまして、同じくこの答申で「厚生年金が大幅に改善される結果、本制度年金受給者が著しく不利になるおそれがある。」ということがいわれております。これは具体的にどういうことなのでしょうか。
  145. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 ちょっとお答えする前に、先ほどのお話でございますが、大手の年金について、百分の二十補助しておるとおっしゃいますと、ちょっとこれは誤解を生ずると思います。これは大手ということではなくて、厚生年金という制度に入っておるわけでございまして、厚生年金という制度に対して国が二〇%補助しておるということでございます。  それからただいま御質問になりました、厚生年金制度改善によって、私学共済年金を受ける者の中で、一部厚生年金よりも不利になる者が出るという点でございますが、御承知のとおり、今回厚生年金内容が飛躍的に改善されたわけでございます。これはケースによって非常に異なるかと思いますが、在職期間が二十年で、退職時の給与が九万円以下といったようなケースを考えてみますと、その方については、厚生年金のほうが私学共済長期給付よりも有利になるということになります。つまり、給付の曲線があるわけでございますが、それがちょうどクロスしておるのが、いま申し上げたようなところであります。したがって、その在職期間が二十年より長くなりあるいは退職時の給与が十万、十一万となれば、これは厚生年金よりは私学共済のほうが有利でございます。大部分の方はそういう方でございますから、全体として見ますと、厚生年金に比べて、私学共済のほうが有利だということでございますが、先ほどもお答えをいたしましたように、四十六年度における私学共済退職年金受給資格者、これが約四千五百人あるわけでございますが、そのうち約五百人、二%がただいま申し上げた厚生年金給付よりも少なくなるということでございます。ただしかし、これは私学共済だけの問題ではなくて、これもさっきお話が出ておりましたが、国共済地共済についても同じような問題があるわけでありまして、厚生年金改善に対応して、共済組合側でどういう措置を講じていくかということにつきましては、今後十分検討いたしたいというふうに考えております。
  146. 栗田翠

    ○栗田委員 次に、短期給付の問題ですけれども、累積赤字が十億七千万円かかえられているわけです。これはどうしてこういう赤字が出たのでしょうか。
  147. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 医療の給付を中心といたします給付費の増に対しまして、掛け金収入が少なかったということが、赤字を生んだ直接の原因であろうと思います。
  148. 栗田翠

    ○栗田委員 そのために掛け金率を今度多少上げられたようですけれども組合員の負担がふえたということになると思うのです。さっきも申しましたように、私学の場合、非常に低賃金の方が多くて、全体としても、生活していくのにも不安定である状態だというのがあるわけですね。こういう場合に、この赤字解消のために、政府としてやはり措置をおとりになるべきだと思いますが、いままでどんな努力をしてこられたかを伺いたいと思います。
  149. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 四十六年の十月から掛け金率を千分の六引き上げたわけでございます。ただし、その六引き上げた全部が赤字の解消かというと、そうではございませんで、六のうち四は不足分に対応する分で、二は、これは新たに付加給付を始めておりますので、それに対する財源だということでございます。  短期給付は、これは各共済通じまして、必要経費は組合員と使用者で折半負担をするということが原則なわけでございます。したがって、国共済地共済、私共済を通じまして、折半負担ということでやってきているわけでございますが、当委員会におきましても、短期給付についての国庫補助を検討すべきであるという御決議もございましたし、また先ほど山口先生からお話がございましたように、健康保険につきましても定率の国庫補助という制度が導入されたわけでございます。ですから、そうした事態を考え合わせまして、今後とも私ども前向きで努力をしてまいりたいというふうに考えますが、ただし、それは赤字の解消ということでは必ずしもなくて、やはり給付内容改善ということも必要でございますし、それから組合員の負担をこれ以上ふやさないというような効果もあわせて期待をして、そうしたことについて前向きに検討していきたいということでございます。
  150. 栗田翠

    ○栗田委員 次に、私学共済組合の運営の民主化の問題について伺いたいと思います。  きのう私は、杉並にあります高千穂学園の先生の陳情を受けました。この高千穂学園というのは、明治の中ごろに創立された私立学校だそうでして、小、中、高校、大学と、一貫教育をやっているところですが、最近経営の問題を理由にして高等学校の募集をやめたそうです。高校の先生たちが整理をされようとして、首を切られようとしているわけです。大学のほうは、非常に有利であるからというので、拡張しているという状態だそうです。この首を切られました先生は、四月三十日で資格を喪失していられるんだそうですが、その先生が一人いらっしゃいまして、いろいろお話がありました。この中でやはり私学共済の問題が出ましたが、短期給付にしても、長期にしても、私学共済の場合には、失格、首を切られた場合に、即座に組合員としての資格を失って、五月一日からは健康保険も使えなくなるということだそうだったわけなんです。非常にこれは大きな問題だと思います。特にこの高千穂学園の場合、高千穂学園で六名、関連している愛国学園というのですか、ここでいま十人が裁判闘争をしていらっしゃって、まだ判決が出ないわけです。こういう場合に国公立の場合には、多分身分は継続して保障されると思うのです、その共済組合組合員としてですが……。その辺はどうでしょうか。国公立の場合そうだと聞いておりますが、いかがでしょうか。
  151. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 退職をいたしました場合は、国立学校公立学校私立学校も全く同じでございます。
  152. 栗田翠

    ○栗田委員 退職ではありませんで、整理されているんだけれども本人はまだ首切りに反対して裁判闘争をやっておりまして、判決が出ていないわけです。提訴しているわけです。こういう場合に、国公立の場合には、判決が出るまでは組合員としての身分はつながっていると思うのですが……。
  153. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 やや具体的なお尋ねでございますので、非常にお答えしにくいわけでございますが、一般論として申しますと、国公立学校には公務員法という身分法がありまして、休職といったような制度があるわけでございます。そうした場合には、身分はつながるということでございますが、私学の場合はそうした制度がないわけでございます。その辺に、あるいは御指摘のような問題があろうかと思いますが、ただ実際の対応といたしますと、身分の存否に関する争いは争いとして処理をしていただいて、そしてその結果によってまた私学共済側がどういう対応をするかということが、あるいは問題になるかと思います。そこのところは、私ども確実にはちょっとお答えをいたしかねるわけでございますが、私学共済法におきまして、組合員の資格規定がございますが、これはやはり学校法人に雇用されておって、しかも、その給与を受けておる者という限定があるわけでございますから、それに該当しなければこれは切れる、こういうことにならざるを得ないかと思います。
  154. 栗田翠

    ○栗田委員 たとえば退職が確定しないで、仮処分のような場合になっていたときですね。こういうときは、身分はつながっているとして、国立、公立の場合には支給されているというのが私の調査なんです。いま私のほうは、そういうふうに調べておりますので、確実に退職した場合は別としまして、まだ判決が出ていないわけですね。本人を退職させるかどうか、その退職させた立場が正しいのか、それとも職に残らせよといっている人たちのほうが正しいのかという裁判の判決が出ていないわけですから、これは退職したとみなしてしまうこと自体が一つ問題だと思うのです。それで、国公立共済の場合には、健康保険などは続けて使えるようになっている。私は調査しまして、そういうふうな結果を手に入れたわけなんですけれども、この辺は、具体的な事実をちょっと御存じないようでございますから、ぜひお調べいただいた上でまた——おわかりになりましたか。
  155. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 私立の場合は、先ほど申し上げましたように、公務員制度というようなものがないわけでございます。ですから、退職と申しますか、免職になりますと、それで切れてしまう。これは健保厚年等の場合におきましても、同じ扱いでございます。つまり公務員の身分がない民間の雇用関係におきましては、すべてそうした扱いということでございます。したがいまして、訴訟が別途あるということでございますれば、先ほど申し上げましたように、それはそれとして処理をしていただく。そしてその職員の身分の存続が確認されれば、それに対応する回復措置がとられるということで、これは一応切れるということでございます。
  156. 栗田翠

    ○栗田委員 私学の場合、公務員ではありませんけれども、先ほどから言っておりますように、同じく教師として身分保障されていかなければならない立場にあります。教員が特に保障されているということは、教師として安定した状態で教育を授けなければならない。それを保障しなければならないという立場だと思うのです。そうなりますと、現在はそういうふうに扱われていないとしましても、それじゃ、いまのような例の場合、どうあるべきだと大臣はお考えになるでしょうか。
  157. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 ちょっと具体のケースを正確に知りませんので、この際論評的なことは差し控えさせていただきまして、将来身分関係が明確になった段階で、またお答えさせていただいたほうがよろしいんじゃないか、かように考えるわけでございます。
  158. 栗田翠

    ○栗田委員 国立、公立の場合に、いまのような例ですね。一度首を切られたけれども提訴中である、裁判闘争中であるという場合に、共済組合員としての資格を継続することができているならば、私立の場合でもそういう状態にしてもよい、そうすべきだというふうにお考えになりませんか。
  159. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 国公立の場合でございましても、給与が支給されていなくても身分が継続されておるという場合は、短期給付対象にいたしておるわけでございますが、たとえば懲戒処分で免職になったというような場合を考えてみますと、これはそれで身分が切れるわけでございますから、国公立の場合であっても短期給付対象にはならない。ただ懲戒免職自体が別途争われておって、それが訴訟の裁判の結果、引き続き身分を有する者というふうに最終結論が出れば、それはそれに対応した回復措置が行なわれるということでございます。その点は私立の場合も同じ扱いになろうかと思いますが、ただしかし、お話でございますけれども国公立学校私立学校は、教育という仕事の点については同じでございますが、身分制度というものが大前提として非常に違うわけでございますから、それを同じに扱うということは必ずしも必要でないと申しますか、適当でないと申しますか、そういうふうに考えます。
  160. 栗田翠

    ○栗田委員 そうしますと、先ほど最初に引用させていただきましたけれども教育基本法の六条で、教員というのは全体の奉仕者であって、自己の使命を自覚して、その職責の遂行につとめなければならないから、このために教員の身分は尊重されて、待遇の適正が期せられなければならない。こういう立場から矛盾があると思うのですが、私はいま基本法の二項だけ言っておりますが、一項はどのような種類の学校であろうともということが書かれておるわけですけれども、そういう立場から矛盾があるのではないでしょうか。
  161. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 ただいま申し上げましたように、教育という仕事に従事するという点では、確かにそのとおりだと思いますが、ただしかし、一方は公務員であり、一方は民法上の雇用契約であるという大前提が違うわけでございますから、そこに若干の差がございましてもこれはやむを得ないというふうに考えます。
  162. 栗田翠

    ○栗田委員 では、この共済制度におきますいまの差ですね、それは当然だとお思いになるわけですね。いまの点です。特に、いま例をあげました高千穂学園の場合、懲戒免職ではなくて、経営上の理由での整理、しかも、いままで小、中、高、大学まで教員を採用してやっていたのに、高校の生徒の募集をやめた。大学は拡張している。こういう中での人員整理ですよね。大体整理そのものがたいへん問題だと思うのですが、こういう中で起こってきているわけですね。それでもこういう差というものはしかたがないというふうにお思いになるのですか。
  163. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 公務員の場合でございましても、御指摘のように、学校自体が廃止になったというような場合、私ども通常廃官廃庁と申しておりますが、そういう場合には自動的に身分が切れるわけでございます。ですから、そういうこととの対比から申しますれば、学校が廃止になってその職員が身分を失うということは、これは私立学校だけのことではなくて、国公立学校についても同じようなことがあり得るということでございます。ただ、実際上の人員のやりくりと申しますか、そういう点は、別途人事行政上はいろいろくふうをする点でございますが、制度のたてまえとしては、いま申し上げたようなことかと思います。
  164. 栗田翠

    ○栗田委員 この整理のしかたは、非常に問題だと思いますし、裁判で結論が出たときには、当然すみやかに回復してもらわなければならないし、そうでない場合でもぜひこれは配慮するような努力をする指導をしていただきたいと私は思います。特に私立学校の場合には、懲戒免職の場合でも、いろいろな首切りがたくさん出ておりまして、現在百三十人ぐらいが首を切られて裁判闘争をやっております。しかもその中では麹町高校のノーネクタイ事件、先生がネクタイしてなかったらそれで首になりましたね。こういう事件だとか、目黒高校では隠しマイク事件、まるでアメリカのどこかじゃないかと思うようなそういう事件もありまして、これは地裁で勝訴し高裁で勝訴して、今度現場復帰しているわけですね。こういうふうに私学の場合、首を切ることそのものがかなり不当労働行為の中身を持ったやり方だとか、非常にずさんなやり方をしている場合が多いのです。そういう点からいいまして、そのような立場で馘首された人が即座に、いままでの掛け金をむだにして、短期給付すらなくなる。裁判の判決が出る以前にそういう状態に置かれて、家族をかかえて非常に困ってしまうという事態は、ぜひ配慮していただかなければならないというふうに思うのです。  次の問題に進ませていただきます。  先ほど私、年金の一本化の問題についてちょっと触れさせていただきましたけれども、いま私学共済制度が持っておりますいろいろな問題、これは先ほどの審議会の答申にもいろいろ触れられておりましたけれども、審議会としても問題があるというふうに思っているわけです。こういう欠陥を持っておりまして、その中でこんなにも物価が上がってインフレがひどくなっている、生活難が日増しに増大しているという状態の中で、ただ国公立に準じて若干の年金引き上げるという状態では、ほんとうに私学教職員の身分を安定させていくという根本的な解決にならないと思います。特に全体の問題としては、先ほどもおっしゃいましたけれども社会保障制度そのもの、全体をいま大きく改善していく必要があるというふうに私思うわけです。  一つは、やはり労働者年金として年金制度を一本化するということをぜひ実現していただきたいということが私どもの主張でございます。  それからもう一つは、長期の場合でもいままでの積み立て方式ではなくて、賦課方式にしていくべきである。これは別にわが党だけが言っているわけではなくて、多くの組合員労働者の方たちからの要求としていままで幾度も出されております。この積み立て方式を賦課方式に変えていくという点につきまして、どんなふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  165. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 長期給付の将来にわたる総給付費給付総額でございますが、これは給付規定、給付方式によって定まるわけでございまして、御指摘のように財政方式が積み立て方式か、賦課方式かということによって異なるわけではないわけであります。つまり、組合員が受ける実質の給付は積み立て方式、賦課方式によって異なるわけではないのでございます。異なるのは、もちろん言うまでもないことでございますが、掛け金の額が異なるということでございます。  実例をもってお答えをいたしますと、御指摘のように、かりに賦課方式といたしますと、昭和四十六年度におきましては学校法人組合員を合わせまして千分の三十六の掛け金率で済むわけでございます。現行はこれは七十六でございますが、これが三十六で済むということがございますが、しかし五年後の昭和五十一年度をとってみますと千分の四十三になります。それから十年後の昭和六十一年度をとってみますと、千分の七十四になります。それからさらに十年後の昭和七十一年度をとってみますと、千分の百五十六になります。それからさらに増高いたしまして千分の三百に達するであろうということが計算上推定されるわけであります。つまり、このように勤務いたしまする時代、時期によりまして千分の三十六——本人分で申しますと千分の十八でございますが、千分の十八しか掛け金を払わなくてもいい組合員と、それから千分の百五十をこえるような掛け金を払わなければならない組合員とが出るわけでありまして、勤務の時期あるいは世代の間によりまして、非常に大きな掛け金の格差があるという問題が一つございます。  それからもう一つは、現在長期給付財源につきましては、保有資産ということで七百億に近いものが積み立てられておりまして、それが私学振興財源に回りましたり、あるいは職員の住宅の建築資金になりましたり、あるいは保養所、療養所の建設の経費に回りましたりしておるわけでございますが、もし今日の積み立て方式を賦課方式に切りかえますと、これは積み立て金はゼロということになるわけでございますから、いま申し上げておりますような各種の事業が全くできなくなってしまう、こういう問題があるわけでございます。そうした点から、これは私学共済だけの問題ではもちろんございませんが、今日の段階で、積み立て方式を賦課方式に切りかえていくということには、非常に問題が多いというふうに考えております。
  166. 栗田翠

    ○栗田委員 財源を全部ゼロにするようなやり方でなくてもできるんじゃないかと思うのですが、では、現行の場合、長期の掛け金の一年間の収入と、年金として支払われているもの、それから住宅の建設費とか、宿泊所なんかもつくっていると思いますが、そういうものに支払われている内訳ですね、それをちょっと教えていただきたいと思います。
  167. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 長期経理の収支でございますが、昭和四十六年度に例をとって申し上げますと、収入が百五十億円でございまして、支出が約三十三億円でございますから、差し引き約百十七億円余の収支差がございまして、これが保有資産として積み立てられておる。その積み立てられたものが、先ほど申し上げましたように、私学振興財団に対する貸し付け等といたしまして五百六十二億、それから組合自身の各種の不動産取得のために約三十億、組合員の住宅資金等に対する貸し付けとして約七十九億が支出されておるということになるわけでございます。
  168. 栗田翠

    ○栗田委員 私どもの主張しています、賦課方式と一口には言っておりますけれども、これはやはり最も合理的なやり方で、調整していくということができるという中身を含んで言っているわけです。ですから、掛け金の率を、積み立てをゼロにするように最初に減らしてしまって、あとだんだんふやしていくというやり方でなくても、ある程度積み立ても残しながら、しかし給付の額をふやすというような中身で調整していくとか、いろいろそれは具体的にやり方はあると思うのですが、いま伺った収支の中身でも、実際に年金として支出されておる分は収入の約五分の一だと思います。これはあまりにも差があるのではないかと思うのです。そのほかいろいろ必要な経費とか貸し付け金どもあるとは思いますけれども、そういう点から言いましても、これだけばく大な積み立てを残しておく必要があるのかどうかといったような問題になると、非常に検討しなければならない点があると思います。そしてこういう中で、掛け金の率はどうするかという問題はありますけれども、同時に、同じような掛け金であっても、給付内容をもっと豊かにするということも可能だということをたてまえにして私は申し上げているわけでございます。  それから第三点ですが、いままで労使の掛け金の負担は折半になっております。諸外国の例を二、三伺いたいと思いますが、たとえばフランス、イタリアの場合はどんなふうになっていますでしょうか。
  169. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 実は、そこまで端的な資料は私ども持ち合わせておりませんので、御必要があれば調べてお答えしたいと思います。
  170. 栗田翠

    ○栗田委員 さっき私、お願いしてあったのですが、それでは通じてなかったのだと思いますが、私が調べたところでは、フランス労使が三対五・七五、イタリアは六・九対一三・七五、日本の場合よりはるかに労働者が少なく、使用者が多い状態になっております。世界第二位の経済大国といいながら、五対五の状態になっているという点でも、これは労使の負担は折半ではなくて三対七くらいにすべきである、これが私の主張でございます。  こういう点で、いままで質問しました中で、ほんとうに社会保障制度としてこの制度改善していくためには、まず労働者年金として一本にすること。現行の積み立て方式をやめて賦課方式、その内容は多少検討の余地がありますが、そういう内容にしていくこと。それから掛け金を三対七の労使の割合にすること。既裁定年金を自動スライド制にしていくこと。この四つの点をぜひ実現させたいということを申し上げまして、質問を終わりまず。   〔内海(英)委員長代理退席、委員長着席〕    —————————————
  171. 田中正巳

    ○田中委員長 この際、参考人出頭要求の件についておはかりいたします。  ただいま審査中の本案について、本日参考人として、私立学校教職員共済組合常務理事三浦勇助君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  172. 田中正巳

    ○田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  173. 田中正巳

    ○田中委員長 なお、参考人の御意見は、委員の質疑によりお述べ願いたいと存じます。  湯山勇君。
  174. 湯山勇

    湯山委員 私学年金につきまして若干お尋ね申し上げたいと思います。  最初に、前質問者の質問を聞いていないので、ダブっておってもう済んでおるようなところがありましたら、委員長のほうで適当に御注意願いたいと思います。  まず、今回提案になっております私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案のことについてですが、社会保障制度審議会の答申がございます。これによりますと、いろいろあるのですけれども、「恩給法によって制約されている部分は今後これを最小限にとどめるよう根本的に再検討すべき時期である。」ということが共済年金共通にいわれておりまして、そのあと、「今回の改正は、従前と同じく恩給法の改正に応じて余儀なく行なわれるものとはいえ適用範囲の拡大その他定見を欠くところが多い。」ということがあります。この「定見を欠くところが多い。」というのは、具体的にはどういうことなのか。これは文部省のほうでは、どのように御理解になっておるのか。どこが定見を欠いておるのかですね。
  175. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 直前に御質問のあった点でございますが、社会保障制度審議会の意見の中に、「共済年金は国民皆年金時代にふさわしく被用者年金の中核である厚生年金を基盤としたうえ、これに企業年金的性格を加味することとし、恩給法によって制約されている部分は今後これを最小限度にとどめるよう根本的に再検討すべき時期である。」こう述べておるわけでございますが、私どもの理解といたしましては、今回の改正は、恩給法による改定部分に限られておりまして、それ以上の、企業年金的性格と申しますか、それ以上の特色が加味されていない、そういう点が定見を欠くところである、こう言っておるのかと思います。そういうふうに理解をいたしております。
  176. 湯山勇

    湯山委員 これはまだもう少しお聞きしたいこともあるのですけれども、すでに御説明があったそうですから、そのあと「遺族年金の受給資格要件の緩和は遅きに失したうらみはあるが、本審議会のかねてからの主張に沿うものである。」これはこの法律にはございませんですね。おそらく国家公務員法か何かでやられたものだと思うのです。これは質問がありましたか。これについてはありませんか。——そこで、私は多少ここで申し上げたい点は、この遺族年金改正というのはかなり大きな改正であって、社会保障制度審議会の答申もこう書いてあるのですけれども文部省からお出しになった法律には、もちろんこれは抜けておることはよくわかりますけれども説明にも何にもこのことについて書いてないので、ですから他の法律で大きく改正しなければならないようなことがこの私学年金については今回改正が行なわれた。しかし、それについての説明が政府の資料にも見当たらないし、もちろん法律にも見当たらない。  そこで、その内容についてですけれども、その内容は、失礼ですが、大臣は御存じでしょうか。大臣からひとつ……。
  177. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 御指摘を受けますと、なるほど提案理由、不備だなという気がいたします。遺族年金、在職一年で遺族年金をもらえるようになるわけでありますから、これはやはり特筆しておくべきだった、かように思います。
  178. 湯山勇

    湯山委員 そこで、ここから向こうは、局長でないとあるいはおわかりにならないかもしれませんが、今度の改正で、一年以上組合員であった者は遺族給付対象になるというのはいいですが、十年以上の者については無条件、それから十年未満の者については、組合員の収入によって生活を維持していたという、そういう関係が要求されておる、これはどういうわけですか。
  179. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 遺族の範囲についての改正は、ただいま先生が御指摘になったとおりでございまして、従来の支給要件は、組合員期間が十年以上ということでございましたが、これを一年に短縮をしておるわけでございますが、ただ、この点につきましては他の社会保険、特に厚生年金でございますが、との取り扱いとの均衡を考慮いたしまして、真にそうした保障を必要とする遺族に限って支給することにしたいということに改正をしておるわけでございます。年限の短縮を行ないますと同時に、従来は配偶者につきましては、生計維持の要件がなかったわけでございますが、生計維持の要件を必要とするようにした、これは他の社会保険制度との均衡を考慮してのことだということでございますが、ただ実際上の扱いといたしましては、生計維持の要件を支給の点につきましてきわめて緩和をいたしまして、実質的には大部分の遺族が入り得るような実施上の取り扱いをしたいということで関係省庁と相談を進めておる段階でございます。
  180. 湯山勇

    湯山委員 この問題は、私はよくおわかりになっておると思ったから、ことばを非常に省略してお尋ねしたので、親とか子供とか孫とかいろいろな関係は、これは生計維持関係があるのは当然です。ただ配偶者の場合に、十年以上の者は生計維持関係がなくても支給対象になる。それから一年から九年、十年未満の者は特に生計維持関係が今度改正になった法律でちゃんと明確にされておる。  そこで、私がお尋ねしたいのは、なぜその九年十一カ月、非常に極端な言い方をすれば、九年十一カ月二十九日と、それから十年一日と、そこで明確に生計維持関係を区分するという必要がどこにあるか。なぜそういうことをしたか。これは他の法律との関連ということを言われればお聞きする余地はないのですけれども、しかし、説明としてはそれでは通らないので、それはこういうわけでこうなったんだということがなければならないのですが、法律はそうなっておりましょう。ですから、十年というところで切って、十年以上の者はもう無条件で遺族年金給付する、十年が一日欠けても十年未満ですから、配偶者の場合やはり生計維持関係が要求される。それは一体どういうわけですか。
  181. 五十嵐淳

    ○五十嵐説明員 お答え申し上げます。  従来の取り扱いが十年以上ということであったのを、一年に短縮いたしているわけでございまして、その点で改正がなされておるわけでございますから、むしろ妻の場合につきましても、一年というところに切ったところに問題があるのではないかというふうに感ずるわけでございます。十年のところをまさに短縮したわけでございますから、そういうふうに理解いたしておるわけでございます。
  182. 湯山勇

    湯山委員 委員長もおわかりにならないだろうと思うのですが、私もわからないので、せっかくそろえたのですから、いままでは一時金で十年未満の人には出ておったのを、今度は年金にしたわけです。年金にして、それはそれでいい。それなら一律に遺族年金が一年以上出るようになって、十年という切れ目がなくなったわけです。にもかかわらずあえてそういう条件だけつけて区別すると理由がわからない。一年に持ってきたというのは、それはけっこうなことで、社会保障制度審議会でも評価しておるのですから、私もそれはいいと思うのです。しかし、十年という区切りを、あえて配偶者に十年未満の者は生計維持関係が要るのだ、それをこえた者は要らない、こういう区別をなぜつけるか。
  183. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 先ほど申し上げたことの繰り返しになるかと思いますが、十年の要件を一年に緩和をしたわけでございますが、しかし、緩和をして全部の方に年金を出すかといえば、実際には年金を受給する必要というものは、やはり最低の生活を保障——最低のと申しますか、ある程度の生活を保障する者に対してそうした年金を支給するということが必要になるわけでございます。先ほどちょっと申し上げましたように、配偶者の要件を新たに定めることによりまして、それに若干の制約を付そうということでございますが、その際の配偶者の収入要件というものは、かなり高いものにしたいというふうに考えております。ですから、おそらく配偶者で相当高給を取っていらっしゃるという方は、実際問題としてかなり少ないわけでございますから、事実上は、若干の収入がございましても、大部分の配偶者が対象になる、そういう扱いをしたいということで関係省庁と打ち合わせをいたしておるわけであります。  それならば、そういう生計維持要件を設けることの意味がないではないかという御反論も当然出るかと思いますが、それはさっき先生御自身がお答えになりましたように、やはり他の共済制度とのバランスを考えると、公務員共済あるいは私共済についてだけそういうゆるい条件を設定することはやはり均衡を失する、こういうことからそうした制限を設け、かつ、それをきわめて弾力的に運用できるように緩和をしておる、こういうことでございます。  先ほどの答弁の繰り返しになっておるわけでございますが、それで御了解をいただきたいと思います。
  184. 湯山勇

    湯山委員 いまお聞きのように、非常にこの説明文部省もやりにくいと思います。そしてまた局長の言われたように、配偶者に非常にたくさん収入があるという場合は、それはまた考えぬといかぬじゃないかということなら、年数で切らないで、収入の額で切ればいいことであって、これもはなはだ筋の通らないことなんです。  そこで、いま局長がああいう御答弁になったので、そうですがでもいいようなものですが、これは非常に大事な問題で、法律ではっきり十年という区切りがあって、十年未満には生計維持関係がちゃんと法定されている、けれども、それは非常に不合理な面も多い、やりにくい面も多いというので、局長関係省と折衝を重ねて、実際には極力緩和して、ほとんどそういうものの適用はしないようにする、非常に極端な場合は別ですけれども、通常の場合、普通の場合は、ほとんど十年未満も十年以上も変わらない扱いをするということですね。  そこで、これは大事な問題ですから、私が念を押しますから、大臣からそのとおりですという答弁をいただけば、私は了解をしたいと思うのです。大臣、これはそういう政治的な問題です。ですから、この十年という区切りは、法律の上にはあるけれども、実際上はこれはないのとほとんど同じような運営をしていくと解釈してよろしゅうございますか。
  185. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 政府部内で相談をしているところでございますけれども、御趣旨のとおりだと考えております。
  186. 湯山勇

    湯山委員 これは大事なんですから、お考えにならずに、そのとおりだというようには言っていただけないのですか。考えておられるというのでは……。大事な問題です。
  187. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 そのとおりに存じます。
  188. 湯山勇

    湯山委員 では、この点は終わります。  その次です。おしまいに「今回、厚生年金が大幅に改善される結果、本制度年金受給者が著しく不利になるおそれがある。」これはどういうふうに不利になるかというのは、おそらく御指摘があったのじゃないかとも思います。たとえばどういう点が不利になるか、御指摘になったような点も含めてひとつ御答弁願います。
  189. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 今回の厚生年金給付の大幅な改善によりまして、在職年限の長短あるいは退職時の給与の額にもよりますけれども、類型的に申し上げますと、在職期間が二十年で、退職時の給与が九万円程度以下のものにつきましては、厚生年金給付のほうが、私学共済組合年金給付よりも高額になるということでございます。四十六年度の退職年金の受給資格者、これは約四千五百人でございますが、このうち約五百人つまり約二%強の者が厚生年金による給付を下回ることになるという推定でございます。   〔委員長退席、内海(英)委員長代理着席〕  ただこのことは、私学共済だけの問題ではなくて、国共済におきましても、地共済におきましても、同じ問題があるわけでございまして、こうした問題にどう対処していくかということにつきましては、それぞれ所管の関係省庁と十分打ち合わせをして、前向きに問題を解決するよう検討してまいりたいというふうに考えております。
  190. 湯山勇

    湯山委員 大要はわかりましたが、今度の改正で、政府案のほうで、これもこの法律には出ていませんけれども最低保障額が三十万二千四百円になっております。いま局長の御答弁になった一一%というのは、私学の退職者で最低保障額が三十万二千四百円未満の人が二%程度あるということでしょうか。あるいはもっと別な計算ですか。
  191. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 そうではございません。
  192. 湯山勇

    湯山委員 私がいま申し上げましたような私学の退職者の人で、年金額が今度政府が出しておる法律の三十万二千四百円の最低保障額に達した人、これがどの程度ありますか。
  193. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 ただいま申し上げましたように、厚生年金を下回る者の数が約五百ということでございますが、このうち最低の保障によりまして底上げになる者が今回の厚生年金法の修正前の約三十万円という金額を基準にして算定をいたしまして、約十八名でございます。ですから今回の修正によりまして三十万の最低保障が三十二万幾らになったわけでございますから、最低保障規定の適用を受け、かさ上げになる者は、若干ふえるはずでございますが、この推計はまだいたしておりません。ただし、これは厚生年金よりも下回っている範囲内のことでございまして、下回っている者の総体は、ただいまの措置によりましては影響は受けないというふうに理解いたしております。
  194. 湯山勇

    湯山委員 そこで、この最低保障額の適用を受ける人がまだ私学関係にもあるということで、この最低保障額というのは妥当だとお考えになりますか。つまり現在、各種年金共通に最低保障額提案されておりますが、三十万二千四百円あるいは今度修正になって、衆議院段階だけはなりましたが、とにかく三十二万何がしという最低保障額というものは、一体妥当な額であるというように、文部省では、主管省ではお考えになっておるのか。これは低過ぎるとお考えになっておるのか。これは高過ぎるというようにお考えになっておるのか。この最低保障額についての御所見を伺いたい。
  195. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 今回修正後、最低保障額が新法年金につきましては三十二万千六百円になったわけでございます。この額が高いかどうかというお尋ねでございますが、その判断は非常にむずかしい点でございますが、私どもといたしましては、これはやはり他の共済あるいは社会保険制度全体とのバランスということから考えなければならない課題かと思います。そういうバランスという観点から考えますれば、厚年も、それから各共済も、もちろん私学共済も含めてでございますが、同じ額になっておるわけでございますから、つまり均衡がとれておる、そういう意味において妥当な額だというふうに考えます。  ただ、将来ともこれでいいかどうかということになりますと、これはいろいろ問題があろうかと思います。
  196. 湯山勇

    湯山委員 月額にすると、大体二万七千円ですね、今度改正になったとして。二十年つとめた人で最低保障額にひっかかるとして、いま二万七千円という額で一体生活ができるだろうかどうだろうかということについてはどうお考えでしょうか。
  197. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 先ほど山口先生から総理府の恩給審議室長にお尋ねのあった点でございますが、そのときは総理府からお答えがあったわけでございますが、いまの先生の御質問にお答えいたしますれば、この生活は相当苦しい生活はであろうというふうに私も考えます。
  198. 湯山勇

    湯山委員 それについて二つお尋ねしますが、一つは生活保護との比較です。東京都は一級地ですからかなり高いと思いますけれども、東京都のたとえば六十歳なら六十歳の一人です。生活保護費は一体幾らぐらいか御存じでしょうか。
  199. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 実は私、そこまで承知をしてないわけでございますが、先ほどの山口先生の御質問でございますと、二万三、四千円ぐらいであったかと思います。
  200. 湯山勇

    湯山委員 参考人にお尋ねしますが、いまの点、参考人、御存じでしょうか。
  201. 三浦勇助

    ○三浦参考人 実は承知しておらないわけでございます。大体ただいま管理局長が述べられた程度と存じます。
  202. 湯山勇

    湯山委員 実は私も、いまとっさで数字を持ってまいりませんでしたが、大体年金というのは夫婦一緒にいるというのがたてまえですね。だから最低保障額では二人生活しなければならないというのが、年金ではたてまえだと思うのです。そうすると、東京都の場合だと、夫婦二人ですと、年齢によって違いますけれども、大体月四万切れるというのはありません。これは一級地ですから、二級地で一人で大体これと似たようなものじゃないかと思うのです。だからこの年金というのは、こうして今度改正になったとしても、なおかつ生活保護よりも条件はよくない。生活保護と年金とは、それは趣旨が違うといえば違います。けれども、とにかく最低生活を保障するということは、やはり基本的にはあっていいことであって、そういう点で非常に低いということ、これが一つあります。  それから第二は、私学年金年金計算の基礎になる標準報酬の下限、これは幾らになっておりますか。
  203. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 下限は昨年改正をいたしまして、たしか一万八千円から二万六千円に引き上げたはずでございます。
  204. 湯山勇

    湯山委員 三十万二千四百円、それじゃなくて、今度改正になったのでもいいのですが、とにかく厚生年金最低保障額算定の基礎になった報酬の比例部分ですね、その基礎の金額は幾らになっておるか。
  205. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 厚生年金の標準報酬の最低の二万円を積算の基礎にしておると聞いております。
  206. 湯山勇

    湯山委員 私学の標準給与で二万円というのはないわけですから、掛け金から考えて実際は二万円以下があるかもしれませんけれども、とにかく標準給与は二万六千円ですから、二万六千円以下の給与ということは、この制度では考えられないということになりますが、それはそう解釈してよろしゅうございますか。
  207. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 昨年度の十月からは二万六千円以下というものはないわけでございます。それ以前は一万八千円というものがあったわけでございます。したがいまして、御承知のとおり、退職前三年間の標準給与というものを積算の根拠にとりますから、昨年の秋から三カ年以内にやめた方については、その標準報酬の積算の中に二万円以下のものが若干含まれるということは理論的にはあり得ることでございます。
  208. 湯山勇

    湯山委員 今度改正になりましたから、二万六千円以下というものは昨年十月以降は考えられない。しかし、最低保障額をきめるための報酬比例分の給与は二万円、つまりこれの私学年金の標準給与の下限よりももっと低いところをとって最低保障額というのはできておるわけです。厚生年金はそれでいいのです。二万がありますから。しかし、私学の場合は、幾ら何でもそういうことは考えられないところですから、これはたてまえが違うといえばそれもありますけれども、昨年の一万八千円のときならそれはそれでいい。しかしそれがすでに二万六千円になっておるわけですから、この計算にあたっては、とにかく二十年間やって平均が二万円などということは考えられないことですから、少なくとも二万六千円まで持っていくということが合理的であって、これは当然制度がそうなっておるのですから、理論的には私そうなければならないと思うのですが、どうでしょうか。
  209. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 確かに御指摘のような問題があろうかと思いますが、しかし、最低保障は、厚生年金もそうでございますが、各共済通じての保障ということになっておるわけでございます。したがいまして、湯山先生指摘のような理論でまいりますと、国家公務員の場合にもこの金額を適用することは適当ではないということになるわけでございます。国家公務員の行(二)の最低の俸給はたしか三万二千円程度であったかと思います。そういたしますと、私学共済の二万六千円よりももちろん高いわけでございますが、また別個にその最低保障額を定めるかという問題がそこに出てくるわけでございます。確かに御意見としては私よく理解できる点でございますが、扱いとしましては、必ずしも各共済ごとに、標準給与あるいは俸給表の最低のものをとって、それから積み上げておるということではなくて、社会保障全体を通じて最低の額を保障するということで、従来からやっておるというふうに御理解を賜わりたいと思います。
  210. 湯山勇

    湯山委員 つかぬことを聞いて失礼ですけれども厚生年金には最低保障額というのはございますか。
  211. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 最低保障額というのは厚年ではないそうでございますが、ただ、計算をした最低額が三十万二千四百円、今度改定になりまして三十二万一千六百円、これが厚年の最低標準報酬を基礎とした最低額ということでございます。
  212. 湯山勇

    湯山委員 私は、この委員会のここ限りにおいて、局長の御答弁は、それはそれでわかります。しかし、基準になっている厚生年金には、最低保障額というのはないのです。だから社会保障制度全体、年金制度全体の大体基準が厚生年金に置かれるというような考え方、そこが基盤になる。私学年金もそこから飛び出してきたものですから、そこが基盤になるということはわかりますけれども、しかし、基盤になる厚生年金には最低保障額はない。そういう制度はない。そうすると、私はこの前も年金のときちょっとお尋ねしたし、ほかのところでもお尋ねしたのですけれども、いまの私学の場合にしても、国家公務員にしても、地方公務員にしても、その他にしても、最低保障額というものを持っていないものから何か割り出してきて、かってにいまのような計算で最低保障額をつくって、それにこだわって今度各省間の、どうとかこうとかいいながら、動かないものをここでこしらえたような印象を与えている。それはないのです。おっしゃったような基盤はないのです。だから、これをきめるのは、他にならうとか、そういうものがどこかに法律か憲法であって、ならわなければならないというシステムじゃなくて、お互い国家公務員私学地方公務員教職員が集まって、これはこうするというものができなければ、こんなのをやったってこれはわけがわからない。幽霊ばかりで、いつも寄っかかってやっているから、つかまえどころがないのです。訪ねていっても何にも正体がない。これは私は、一ぺん言わなければならぬ。そうしなかったら、年金というものの最低保障も、他のいろいろなものも、結局本来の年金の役目を果たさないものになってしまうのです。だから、いままでの御答弁で他の制度、他のことをいいますけれども、それは国家公務員共済が基準かといったら、そうでもない。それなら私学が基準かといったら、そうでもな全農林年金が基準かといったら、そうでもない。みんな寄っかかっていく。厚生年金には最低保障はない。これは皆さんがそういう亡霊にとりつかれたようになって、ほんとうにこの問題を大事だと思って真剣に取り組むという役所がないということが、一番大きな欠陥じゃないかというように思います。  そこで、この問題は確かに、文部省全体の仕事としては大きい仕事ではないと思いますけれども、しかし、今日の私学の果たしている使命というもの、それから一方においては世界の大勢が、教育界には人材を集めなければならぬ。これはどの国もずいぶんやっていまして、ずっと前のジョンソン大統領が、教育振興のために一挙に教育予算を倍くらいにしたことがありました。私はあの当時のことを読んでみて、ずいぶんアメリカもしっかり力を入れているなということを感じましたが、しかし日本では、まだ私学年金最低保障額が生活保護にも足りない。そしていまのような、厚生年金の一番低いものよりもまだ低い。厚生年金よりも不利な条件にある。そういうことをほっておって、他のところがそうだからといって、それで済ましていいものかどうかということについては、これは単にそれだけの問題じゃない非常に重大な大きい問題だというように思います。  そこで、これは大きい問題ですから、大臣はその点についてどうお考えなのか、ひとつ伺いたいと思います。
  213. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 大臣のお答えの前に、簡単にちょっと申し上げたいと思いますが、先生お話よく私理解できます。がしかし、申しますと、厚生年金制度というのは、社会保障制度のいわば一般法あるいは最低の水準を確保するという法律でございますから、各共済とも一応それにならったんだ、こういうことであろうかと思いますが、ただ御指摘のような問題点は、確かにあろうかと思います。各共済共通の問題として、今後どうするか、よく検討をいたしたいと思います。  それから厚年を下回るものが出るということについては、これは先刻来御指摘のとおりでございますが、各共済ともそういうものが出るわけでございまして、これもひとつ各共済とも相談をいたしまして、前向きにどう対処していくか検討いたしたいというふうに考えます。
  214. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 厚年について、最低保障という表現を使っていないことから、どれをよりどころにするやらわけのわからぬようになっておるというお話、それは私なりに理解できます。それは厚生年金の場合は、定額比例部分と報酬比例部分とになっておりますし、報酬の場合には下限、上限、一応きめておるわけでございまして、おのずから最低保障額になってくるんじゃないか、こう思うわけでございまして、最低額も最低保障額もことばの使い方だけじゃないだろうか、こんな気持ちもいたすわけでございます。なお、しかし、全体的に統一のとれた年金制度が生まれるように改善、努力していかなければならない点は私も同感でごいます。
  215. 湯山勇

    湯山委員 そこで、ことしは暫定的にいまのような御提案なり、そしていまのような程度でやむを得ない部分もあると思います。けれどもそういうことから考えますと、いまおっしまように、これは私学年金を含めて、共済年金全体が、来年はもう抜本的な改正に取り組まなければならないところへ来ておると思います。そこで、そういう来年抜本的に年金については改正と取り組むという御決意が、大臣にはおありになるかどうか、重ねて伺いたいと思います。
  216. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 私はやはり年金制度社会保障制度の根幹をなすものだというふうに思います。だれもが生涯とも安心して生活できる社会にしていく、これは政治の根本だと思いますので、いずれにいたしましても年金制度につきましては、そのような方向を願いながら努力をしていかなければならない最重要課題だ、こう思っております。
  217. 湯山勇

    湯山委員 ことし厚生年金が、かなり大幅に改定になりました。しかも、あれだけ大きな改正をしながら、なおかつ国会審議の段階で幾つかの修正がなされた。これは非常にいいことだと思います。そして厚生年金が、ああいう大改正の中でなおかつ修正されたことが、金額にしてはわずかにしても、二万円そこそこにしても、やはり私学年金へもはね返ってきて、とにかく衆議院段階では、その分だけ最低保障額引き上げになり、またそれに伴って遺族年金その他に波及してきている。これは非常にいいことだったと思うのですけれども、しかしいまのように見ていきますと、じゃ、これで私学年金というものが、このままずるずるいっていいか。そうじゃなくて、むしろそれに上回った改正を、抜本的に来年はしなければならないということが大臣のおことばの真意だと思いますので、ぜひひとつそれを取り組んでいただきたいというように思います。  それから次は、少し小さい問題ですけれども、せっかく社会保障制度審議会の答申もそうですし、それから大臣の御提案説明も、恩給法の改正にならったということですが、既裁定年金の今度の最低保障額の適用について、旧法あるいは私学恩給といいますか、新法になる以前の人たちの年金については、そういう措置がとられていない。これはかえって古い人ですから、当然そうしなければ趣旨が一貫しないと思うのです。国家公務員の場合には、新法ができた昭和三十四年から適用になっている。私学の場合は新法になった昭和三十七年以降にしか適用になっていない。そうでしょう。そうでしょうから、先に念を押しておきたいと思うのです。
  218. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 御指摘のとおり、新法年金につきましては、最低保障の方式がございまして、その金額は修正の結果約三十二万円になったわけでございますが、旧法期間につきましては、これは御承知のとおり旧法規定自体におきまして、最低保障という考え方がなかったわけでございます。これは私学共済の旧法期間だけではなくて、国共済地共済の旧法期間におきましても、同じように最低保障という考え方がなかったわけでございますが、昨年の年金改定の際に、初めて旧法期間の最低保障額というものがきめられたわけでございますが、これは新法期間がただいま御指摘のように改正されたのに比べましてそのまま据え置かれておるわけでございますが、これはただいま申し上げましたように、沿革的に旧共済規定におきましては最低保障に関する規定がなかったということと、それは私学共済だけではなくて国共済地共済についても同様であるということから、他の共済制度との均衡を考えた結果、昨年の額に据え置かれておるということでございます。  ただ、新法期間の最低保障額につきましても、いろいろ御指摘があったわけでございますが、旧法期間につきましては、金額から申しますと、それ以上の開きがあるわけでございますので、この点につきましても今後改善する方向で各共済と十分連絡をとりながら進めてまいりたいというふうに考えております。
  219. 湯山勇

    湯山委員 大臣、いまの点は非常に重要な問題で、古い人で年金の低い人が取り残されたまま来ておるのです。制度の問題なんか言えば、それは何ぼでもあるのですよ。この制度だって、新法というけれども、それになってから大きい改正がずいぶんあっておるわけですし、だから、これを残して、一方で物価、賃金が上がった。そこでせっかく二三・四%今度上げるといいながら、その古い連中はみんな残してあるのです。昭和三十七年以前のはほうっておく、こんなことが許されていいのでしょうか。そんなことを除いて、いまの情勢の中で社会保障をやっていくんだという中で、その十一万から十三万ぐらいにしかなってない三十七年以前の人、これをほうっておいて、あとは最低三十万にいく、その他の人も二三・四%上げてやる、ここから向こうはほうっておく、これは許されることかどうか。しかも、この人たちは私学教育のためにずっとやってきた人です。いま局長は、事務的に、制度がどうとか、切りかえがどうとか言われるが、しかし、もっと大きい立場から、残していいとお考えなのか、これは何かしなければならぬとお考えなのか、大臣から伺いたい。
  220. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 先ほど山口さんからもお尋ねがございまして、それ以前の問題、恩給法の関係やら他の共済制度関係やら、いろいろある。当然そういう方々についても、改善措置を推し及ぼしていかなければならない、他の諸制度と一緒にぜひ改善に向かって努力をしてきたい、こう申し上げたわけでございますし、そのとおりに考えております。
  221. 湯山勇

    湯山委員 先ほどちょっと申し上げた、厚生年金がああいうふうにぎりぎりになって、定額部分が千円に引き上げられた。そこで、共済国家公務員が三十四年なら、他の地方公務員も三十七年でしょう。そうですね。地方公務員の三十七年。それから私学の三十七年。農林年金がいつでしたか。三十九年ですね。厚生年金はそういう区別がありますかどうですか。局長、どうですか。
  222. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 ただいま御指摘のような違いは新法、旧法の切りかえの時期が、各共済で違っておりまする結果、そうなったわけでございまして、新法期間、旧法期間というそれぞれの扱いが、その間に相違があるわけではございません。それが第一。  それから第二は厚生年金関係でございますが、厚生年金は御承知のとおり新法、旧法という関係がございませんから、したがっていまのような問題を生ずる余地がないということかと思います。
  223. 湯山勇

    湯山委員 そこで、私学年金というのも、初め厚生年金から来たのですね。厚生年金から飛び出してきた。農林年金も同じです。厚生年金は、今度の改正になったものは最初から適用です。その辺、おかしいでしょう。  そこで、私はもう一ぺん、これを通す前に、ぜひひとつ大臣に英断をもって修正してもらいたいのは、大蔵省と、むずかしければ、せめて国家公務員にそろえる、三十四年なら三十四年に。これも不合理ですけれども私学地方公務員農林年金、とにかく一つ国家公務員がこうあって、あとずらずらっとこう来ておるのですから、それまでそろえるという程度の修正は、そんなにむずかしくないし、財源的にどれぐらいかかりますか、おそらく私学全体で一億もかからないでしょう。これは、せっかくここまで来ておるのですから、ここもひとつ修正して、どうでしょうか、せめて三十四年まではそろえるというぐらいは、自治省は、大臣はお手のものですから、自治省もお話しいただくし、私学はもう大臣直接ですから、あと農林大臣とも話していただいて、せめてこれは、国家公務員の三十四年ぐらいにそろえようじゃないかというぐらいなことの修正は、今度やっていただけないでしょうか。いかがでしょうか。
  224. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 いまおっしゃったような問題もございますし、より根本的には、過去のものにつきましても改善をはかっていくということでございますので、全体的にひとつ考えさせていただきたいと思います。
  225. 湯山勇

    湯山委員 もうきょう上がるのなら、すぐ相談していただかぬといかぬので、それを話していただくのなら、大臣はおっていただかなくてもけっこうでございますが、どうでしょうか。早急にそういうことはできないですか。
  226. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 今回は、ぜひ政府提案の法案につきまして御審議を進めていただきますように、お願い申し上げたいと思います。いずれにいたしましても、なかなか大問題でございますので、引き続きまして、そういう改善については努力をしていくつもりでございます。
  227. 湯山勇

    湯山委員 これは今度ぽっきりのものでして、今度の修正はあとに尾を引くようなものではありません。このまま通してくれとおっしゃいますが、それはそうですが、しかし、本来ならば私学年金はすでにここにお出しになっている以外のところで修正されておるんです。御存じでしょう、大臣。政府提案のとおりじゃありませんよ。もうすでに議員立法で最低保障額が修正になっておるわけです。ただ、大臣のほうはよっかかっておるから、こうやってのんきにおられますけれども、せっかくよそでは苦労して修正しておるのですから、せめて一つくらいどうですか。いまの三十四年にそろえることくらい、いまから今晩一晩くらいかかってやって、そしてあと農林大臣と自治大臣とで大蔵省へ、これだけやってやろうということで乗り込んでいって、額は少ないと思います。非常に少ない額だと思うのです。いかがでしょうか。これをやってもらえば、もうあと質問しなくていいんです。   〔内海一英)委員長代理退席、委員長着席〕
  228. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 他の委員会にかかっている法案との関係も御承知のようにあるわけでございまして、全体的に関係をするわけでありますし、また予算とのからみ合いの問題もございますし、でございますだけに、予算の成立した今日におきましては、ぜひ引き続いての努力にさせていただきますようお願いを申し上げておきます。
  229. 湯山勇

    湯山委員 大臣、それはあまり大臣としてはいただけない答弁で、ひとつ大臣、ファイトを燃やして、農林年金はまだ上がっていないのです。おそらく来週になります。それから、国家公務員は上がりましたけれども、これはほっておいていいんです。それにそろえるのですから、これに手をつけなくていい。あと上がっていないここと、農林と、地公に関係あるのですから、とにかくそういうのなら、ではひとついまから走ってみよう。走っていただいて、できなかったらこれはもうやむを得ませんけれども、どうでしょうか。いまからひとつその三人の大臣を糾合していただいて、もうわずかなことですから、三十七年からやるのを三十四年まで三年間、こう持っていくというだけのことですから、ひとつぜひ御尽力いただきたいと思うのです。もう来年と言わずにとにかくきょうやってみる。いかなかったらおわびなんかしなくて、こっちが御苦労さまと言いますから、どうでしょうかね、大臣。
  230. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 政府から提案申し上げておるわけでございますので、あとの修正問題につきましては、ひとつ国会の場で御検討いただく以外に、私それ以上に申し上げることは困難じゃないかと思います。
  231. 木島喜兵衞

    ○木島委員 ちょっと関連して。  いま湯山さんおっしゃるように、これは政府のほうも修正しなければいかぬ。それからいま与野党で、全校加入の道の議員修正を考えておりますね。いま最後に大臣おっしゃった国会でというのは、そのときに議員の修正で、与野党の修正で一致すれば、そのことはたいへんありがたいという意味に理解してよろしいのですか。
  232. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 予算に関係しますものにつきましては、閣議を経て御返事をしなければならぬわけでございますので、そういう場合には、またそれなりに私として善処していきたいと思います。
  233. 田中正巳

    ○田中委員長 速記をとめて。   〔速記中止〕
  234. 田中正巳

    ○田中委員長 速記をとって。
  235. 湯山勇

    湯山委員 大臣の御答弁のお気持ちもわかりました。委員長にもお願いして、ぜひ文教がこれだけのことを今度やったというのをひとつ見せるように御尽力願いたいと思います。  それから、せっかくそこまでいきましたから、私はもう質問を終わりたいと思うのですが、最後に掛け金の引き下げの問題です。  私学年金の掛け金率は、他に比べて高いとはいえません。それはよくわかります。けれども、そのためには私学振興会からの交付といいますか、負担があるはずですが、これはどうなっておりますか。
  236. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 私学振興財団から私学共済に対しまする補助金は、四十七年度既年金者の年金の増額分、これは旧恩給財団の分でございますが、六千六百三十九万円ございます。それから整理資源といたしまして一億八千万円。それから事務所の増改築に対する補助といたしまして千九百六十万円、合計二億六千六百万円余を支出しておるわけでございます。昭和四十八年度におきましても、約二億八千八百万円程度の補助が私学振興財団から共済組合に対して行なわれる見込みでございます。
  237. 湯山勇

    湯山委員 共済財源をそういう形で受けるということは、私はあまりいいことではないと思うのです。やはり国負担をふやして、そして現在の一八%なら一八%を、二五%なりあるいは三〇%にふやして、そしてそういう関係からのいまの負担をなくして、それはそれでまた別な使い道があるはずですから、そういう方法をぜひやってほしいということをかねがね考えておったわけです。他の年金ではそういう関係はほとんどないと思いますので、私学だけがそんなに振興財団から財源あるいは助成を受けているというのは不自然なので、当然これは国が持つべきものだと思うのです。  そこで、来年度、これはもういまどうこう申しませんから、来年度抜本的な改正のときには、そういうところから、あるいは事務費あるいは給付に要する費用、整理資源、そういうものの負担をしなくていいような国の負担、それをひとつ明確にして、すっきりしたものに今度はぜひしていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  238. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 私学振興財団の補助でございますが、これは国の負担分とは全く別個の性格のものであると考えております。国の負担が少ないから、私学振興財団が肩がわりをしている、そういうことではございません。国の補助は国の補助として、先ほど来お話がございましたように、百分の二十をさしあたり目途に増額をはかっていきたい。そのほかに、私学振興財団に余裕がございますれば、さらに補助をいたしまして、今度は法人なり個人組合員の負担の軽減に資していきたい、こういう考え方でございます。肩がわりではございません。
  239. 湯山勇

    湯山委員 いずれにしても、結局は落ちつくところは組合員のところへいって、そして他に比べて年金設計を見ますと、結局ぐるぐる回っていくと、それが組合員の負担率の軽減に回っておるわけです。しかしそれなら、国の負担をいまおっしゃったようにふやせば、その分は浮いてくるわけですから、年金のほうへ入っていくのが浮いていくわけですから、それはそれでもっと有効な使い道がある。ですから、いまおっしゃったように、百分の二十五、私どもは百分の三十くらいは国が持つべきじゃないかというように思うのですけれども、しかし、いまのところ十八までしかいっていないのですから、一挙に三十というのはむずかしいかもしれませんけれども、とにかく来年度はひとつ国の負担を、いまお話があったそうですからよしますが、ふやしまして、そういう関係のもっと有効な使い道があれば使うというような方向に持っていっていただきたいと思います。  では、以上で終わります。
  240. 田中正巳

    ○田中委員長 高橋繁君。
  241. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 今回提案になっております私立学校教職員共済組合年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案、いろいろ朝来から審議をされております。重複を避けまして質問をいたしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  まず、大臣に最初にお聞きしたいのですけれども、この私立学校教職員共済組合の目的が、他の共済組合とやや異なっておる点があるわけです。ということは、私立学校に勤務する教職員対象として相互扶助事業を行ない、その福利厚生をはかり、私立学校教育振興に寄与することを目的として設立されたものである。いわゆる私立の学校に在職する教職員の相互扶助と福利厚生をはかって、さらに私立学校教育振興に寄与する、こういう点から考えて、この共済組合の目的がそうした私学振興という面に寄与するという面からいって、大臣どのようにそれを理解をされておりますか、お考えになりますか、最初に御答弁をお願いいたしたいと思います。
  242. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 私学振興をはかるということも法律に明記しているわけでございますので、私学に従事される教職員の将来にわたる生活の安定それに十分寄与するように配慮していかなければならないということは、仰せのとおりだと思います。
  243. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 大臣の、私学振興に寄与するというその目的に沿ってやらなければならないということからまいりますと、先ほど来も多少問題になりましたが、私学の全学校加入という問題にならなければ、その目的を達するということにはいかないのじゃないかというように私は考えるわけですが、その点の御理解はどうでございますか。
  244. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 そのようになったほうが望ましいとは思いますけれども、いやだという方を無理に引っぱってきても振興にならない、そういうことで、かつて選択を認めた。選択を認めた際に、入らない方がいらっしゃったということで、今日になっておるわけでございます。しかし、今日の事態におきましては、この私学共済のほうに入っていきたいという学校が、残っている学校のうちでもふえてまいってきておりますので、私たちとしましても、ぜひそういう道が開かれるようにしたいものだと念願をしているわけであります。
  245. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 この私学共済に入るのがいやだと言っているといまおっしゃいますが、現時点でいわゆる適用除外を受けている学校で、実際は積極的に加入したい あるいは検討されているいろいろな学校があると思いますが、いわゆる未加入学校の状況をどのように把握をしていらっしゃいますか。
  246. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 未加入校の問題でございますが、学校数といたしまして百七十一校、比率で一・八%、それから教職員の数といたしまして約三万六千人、比率で一六・四%のものが未加入ということでございます。  その実態をどういうふうに把握しているかというお話でございますが、まず短期について申しますと、百七十一校の未加入校のうちに、政管健保に入っておりまするものが六十七校、それから組合健保健保組合を結成をいたしておりまするものが八十四校でございます。この政管健保に入っておりまする学校は、大部分が私学共済短期給付の適用を受けたいというふうに希望いたしておるわけでございますが、健保組合を結成しておりまする八十四校につきましては、その大部分が必ずしも私学共済に入りたいという意向を示しておりません。朝来御指摘がございましたように、比較的大規模の大学が中心でございまして、したがって、その平均給与もわりあいに高い。したがって、比較的低率の掛け金率でもって、比較的内容のいい給付を行なっておるというようなこと、また健保組合も長い歴史を持っておりまして、したがって、かなりまとまった資産も持っておるというようなことから、私学共済短期給付に全部が入りたいというような状況にはなっていないわけでございます。  それから年金制度につきましては、未加入校の大部分が厚生年金に入っておるわけでございますが、先ほど来御指摘のように、今回の厚生年金内容改善によりまして、一部私学共済よりも厚生年金のほうが有利であるという部分が出ておりますが、しかし、全体といたしましては、私学共済のほうの給付厚生年金よりいいわけでございますので、私学共済加入したいという希望のものが、短期の場合に比べて多いわけでございます。しかし、それでも私学共済に必ずしも入ることを希望しないというような学校があるわけでございますが、これは、学内年金という制度を持っておりまして、厚生年金に若干上積みをした給付大学限りで行なっておるという例があるわけでありますが、ただ、最近の傾向といたしましては、各大学とも経営がかなり苦しくなっておりまして、全額学校法人負担による学内年金制度というものを維持することが困難になってきておる、それをやめざるを得ないような傾向にきておるということでございまして、そういう点からも、長期給付について、厚生年金よりはやはり私学共済のほうに入りたいというものがふえてきたというような状況でございます。
  247. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 未加入学校についていま説明がありましたが、そうした実態は、文部省としては最近調査をされたことはございますか。
  248. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 未加入校加入希望の状況でございますが、文部省が直接その調査をしたということはございませんけれども私学の間で共済組合加入したいという組織がございまして、そこの調査によりますると、まあ大勢順応とか検討中といったようなものを含めてではございますが、約七割のものが私学共済に入りたいといっておるようでございます。
  249. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 いまお話のありました私大連盟ですかで調査をされたのが私の手元にありますが、それによりますと、加入希望校が四十七法人八十九校あるわけです。加入について検討中の学校が五法人で十一校、大勢に順応する学校が六法人で十四校、加入しない学校がわずかに五法人で二十校あるわけです。そのうち、未回答がありますが、その未回答の学校は、私学共済短期加入しているのみの学校であるとか、あるいは長期のみ加入している学校であって、まあたしかことしの二月の調査であっただろうと思うのですが、加入しない学校がわずかに五法人二十校であるということになると、ほんの一握りの学校だけがはっきりと加入しないということを表明をしておるということになると、もう一〇〇%近く加入を希望しているということになるんじゃないかと思うわけであります。いろいろ昨年もずっとこの未加入学校の問題については国会でも論議をされてきておりますし、そうした世論も高まりつつあります。また、文部省としても、そうしたこの未加入校加入について、組合設立の趣旨に基づいて全面加入が望ましいということで、その実現に向かって努力を重ねてきた、こうおっしゃっておりますが、どのような努力をされてきましたか、具体的に、ありましたらお教え願いたいと思うのです。
  250. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 この問題の解決につきましての文部省の基本的な考え方は、やはり未加入校全員加入ということでございます。しかし、全員加入と申しましても、いま申し上げましたように、私学共済自体におきまして、加入を希望しないというものがあるわけでございますから、それを強制的に入れることに関するいろいろな問題がございます。  それからもう一つは、厚生年金健康保険を所掌いたしまする厚生省、これは社会保障制度全体を見ておる役所でございますが、厚生省におきまして、この問題はすでに決着済みの問題である一か、あるいは私学側にも異論があるではないか上いったようなこと等いろいろございまして、厚生省当局とも私もいろいろ話し合いをしておるわけでございますけれども、なかなかその間の了解というところまで立ち至らないということでございます。
  251. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 厚生省といろいろ話し合いを進めてまいってきておるというお話ですが、もう厚生省がメンツだけの問題にこだわっているのじゃないかという感じもしますが、そういうことはないのですか。
  252. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 やはり厚生省は、制度の基本に触れる問題だという理解を持っておるようでございます。
  253. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 二十九年に決着がついているというのですけれども、二十九年当時のいわゆる未加入の状態というものは、その当時加入しなかったということは、初めて設立をされる私学共済の将来というものが、一体ほんとうに安定をされた運営というものがなされていくだろうかという心配が一つあっただろうと思う。あるいは掛け金の負担の増額によってそれぞれ生活に影響を来たすとか、あるいはたいへんに平均給与の低い幼稚園をかかえているとか、あるいはそれぞれ各学校で持っている財産の譲渡の問題であるとかいうことが問題になって、未加入に加わったというようなことがあるわけで、最大の理由は、私は私学共済の将来の不安感というものがあっただろうと思うのです。ところが、もう現在に至っては、かなりの安定した経営をなされておるということから考えて、私はやはり厚生省が、医療保険制度年金制度の抜本改正ということを考えて、いまさらそうした問題について、私学共済に入れるということが非常にまずいということを先ほどもおっしゃっておったのですが、そういうことから考えてみても、その当時のいわゆる未加入校考え方というものが、いまずいぶん変わってきているということから考えると、私は文部省がもっと積極的に、加入したくない学校についても、一応啓蒙なり指導なりをされて、そうしてこの未加入校もなくしていくという方向に努力をもっとされてもいいじゃないか、このように考えるわけですが、局長、もう一度どのように……。
  254. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 まあ古い話でございまして、その間そうした接触をずっと厚生省と保っておるわけでございますが、先ほど来申し上げたようなことが問題で、なかなかお互いに了解点に達しないということでございます。一方、私学側に対する啓蒙もというお話でございますが、最近は関係の方が非常に事柄をよく存じておられまして、別にものを知らなくて入りたくないと言っているような事態ではないのでございます。いろいろ御承知の上、簡単に申しますれば、有利か不利かという判断をなさいまして、そしてわが校の場合には、私学共済に入ることは必ずしも有利でないという判断から、依然として入るつもりはないという学校が、あとを断たないということかと思います。
  255. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 総理府の中に、いわゆる公的な年金制度の調整連絡会議ですか、あれは現在も持たれているわけでございますか。
  256. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 現在も持たれております。
  257. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 その中で、いわゆる私学共済農林年金、これが一つのグループになっておるし、あるいは民間のグループあるいは公務員グループあるいは労災グループですか、四つのグループに分かれて、いろいろと年金問題等について調整や連絡会議を持たれておるようでありますが、その中で、この私学共済の問題については、かなり論議をされておりますかどうか、その辺についてお聞きいたしたいと思います。
  258. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 午前中、内閣の審議室長から御答弁がございましたように、公的年金制度調整連絡会議は、四つのグループに分かれて検討を進めておるわけでございますが、第一は民間グループ、これは厚年、国年、船員保険でございます。第二は公務員グループ、これは国共済地共済、公企体共済でございます。それから第三は私学・農林グループ、第四が労災グループの四つでございます。各共済ともそれぞれ沿革も違いますし、また置かれておる経済的な諸条件が違うわけでございますので、その類似したものを集めていま申し上げたようなグループをつくりまして、それぞれで今後の年金のあり方について検討をしておるということでございますが、しかし私学・農林グループは、やはり公務員グループの全体の動きが固まってまいりませんと、結論が非常に出しにくいということでございます。現行の制度自体がほとんど同じ体制をとっておりますので、私学共済、農林共済だけが、国共済地共済、公企体共済と違った改正を行なうということも問題がございますので、現段階ではただいま申し上げましたように、公務員グループの審議の結論を見守りながら、検討を続けておる状況でございます。
  259. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 その調整連絡会議が、私はそういうことはないと思いますけれども、かえって私学共済の未加入の問題について、ブレーキをかけているようなことはないかどうか、そういう心配はありませんですか。
  260. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 そのようなことは全くございません。
  261. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 今回政府が担当しました厚年あるいは健保、こうしたものの改正が、未加入問題の解決を、やや困難ならしめているという心配はありませんか、どうなんですか。
  262. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 先ほどから申し上げておりますように、長期給付につきまして、厚年よりも私学共済が下回るという部分が出てきたわけでございますが、私学の未加入校私学共済加入を希望しておられる方々の意見をあらためて聞いたわけでございます。今回厚年改正によって、こういう事態が新たに起きたけれども、それでもなおかつ、私学共済への加入を希望されますかということを、あらためて聞きましたところ、その辺にもかかわらず、従来どおりの体制で私学共済加盟をしたい、こういうふうな申し出をしておられます。ですから、ただいま御指摘の心配は、現実にはなっていないというふうに私ども理解をいたしております。
  263. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 大臣にお聞きいたしたいのですが、最初に御答弁願いましたね。私立共済の目的、私学振興という面からいって、やはり未加入校をだんだんなくしていくという方向に行かなくちゃならない、私はそう判断します。前の高見文部大臣も、できるだけ早く未加入の問題については解決をいたしたいというようなことを委員会でも述べておりますが、そういう共済組合の目的からいって今後に未加入問題をなくしていくように御努力をなされるかどうか、どういうお考えでありますか、その辺についてお答えを願いたい。
  264. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 未加入校の中で、七割も私学共済に入りたいという希望を表明しておられるわけでございますので、文部省といたしましては、ぜひそれが可能な方向に持っていきたい、こう考えているわけでございます。不幸にして政府提案の中にそれを盛り込むことができなかったわけでございますけれども委員会におきましても、いろいろ御心配いただいているようでございますので、私はその実現を期待している一人でございます。
  265. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 未加入の問題はそれくらいにいたしまして、あと午前中から健保改正による一〇%の国庫補助によるところの、私学共済に対する国庫補助の問題であるとか、あるいは年金の問題等、るる審議をされましたので、その問題は省略いたしまして、せっかく三浦参考人がいらっしゃっておりますのでお聞きしたいのですが、設立当初心配されておった問題が、順調に推移されているようでありまして、本年度さらにかなりの機構改革を抜本的に行なったようであります。その機構改革の内容について、資産運用の面であるとか、あるいは広報相談の問題であるとか——この広報相談の場合は、特に組合員との直接の接触を保つ大切な機構になっていくのじゃないかということが予想されるわけであります。そうした新しい課の新設に踏み切ったわけですが、その辺のお考えをまずお聞きいたしたいと思います。
  266. 三浦勇助

    ○三浦参考人 お答え申し上げます。  昭和二十九年一月に発足いたしまして、ちょうど十九年経過いたしますわけでございますが、発足当初は加入校三千校、加盟組合員五万程度発足いたしたわけでございます。現在一万一千校、二十二万の組合員、扶養家族十七万を入れますと、三十八万程度給付対象をかかえているところまで発展いたしてまいりましたわけでございます。  したがいまして、業務処理上も、従来はそろばんとペンでやっておりましたが、やはり電算機を入れてこれを処理せざるを得なくなりましたので、この四月から稼動に踏み切りましたわけでございます。したがいまして、従来の業務処理姿勢とはおのずから違ってまいりますし、それから、かたがた、ただいま先生から御指摘のありましたとおり、資産運用課と広報相談課を設置いたしましたわけでございます。  やはり私学共済の基本的な業務といたしましては、法定給付短期給付と、長期給付を的確に処理してまいること、それからもう一つ福祉事業を適正妥当な方向に充実強化していくこと、この三本でございます。  この長期給付の面は先ほど来諸先生方からの御質疑もあり、そしてまた大臣、管理局長からるる御説明のあったところでございますが、この長期給付の根底をなすものは何といいましても財政的な基盤の確立でございます。私どもといたしましては、加入いたしましてから給付が終わるまでサイクルを八十年と考えております。したがいまして、現時点での財政面の確立と、やはり八十年の将来を見越しての上の責任準備金の積み立てでございます。しかしながら、ただいまのところ保有資産といたしましては、先ほど管理局長は四十六年度決算をおっしゃられておりましたが、私のところ、いま資料がないものでございまして、四十七年度決算になるであろう数字で申し上げますと、保有資産といたしまして八百二十七億程度でございます。それから引き当て金といたしまして八百三十七億程度、合わせまして千六百六十四億程度でございますが、標準保険料方式で数理的に計算いたしました責任準備金の額といたしましては、千八百六十億程度でございましょうか。したがいまして、どうしてもそこに百九十六億程度の不足金が出るわけでございます。これがいま私どもといたしまして、国の助成金百分の二十をお願いしなければならない一つの大きな理由でございます。しかし、ここへ参りまして千六百六十四億程度資産が一応計算されるということは、この私学共済の財政的な基盤がやや確立してきている。二十年前に加入するしないでいろいろ問題があり、加入できなかった学校先生方のお考えも——二十年前の方々のお考えそのままで、いま加入するしないの問題を論議することは、少し無理ではないか。やはりいまの時点では、未加入であった学校でも、どうしても入りたいというきわめて強い要請もあるわけでございます。  これは少しわきにそれましたが、私のほうといたしましては、この八十年の将来を見越した上での保有資産として現在持っております八百二十七億というものを、きわめて有効に管理し、これを利殖していくこと、これがきわめて大事な仕事だというふうに自覚しております。経済的な変動のきわめて大きいときに、この程度の規模の資産運用ということも並みたいていのことではないのでございますので、新たに資産運用課というものをつくり、そしてここで専門家の意向もくみ入れて、間違いないような運用のしかたをしてまいりたい。そういたしませんと、この二十年、いままでは、先ほども管理局長からお話のありましたとおり、長期給付等は大体その保有資産の果実でまかない得る三十六億程度で処理してまいりました。しかし、二十年をこえますと、受給対象者がずっとふえるわけでございます。これはたいへんなことになるわけでございます。したがいまして、将来に向かいまして八百億程度資産運用に間違いないような、万全の体制をとってまいりたい。  外からのお知恵を拝借する人といたしましては、不動産研究所の方とか、あるいはこういう業務に携わっておるところの三菱信託のようなところのその仕事を処理しておる人とか、あるいは日証金融会社のそういう面を担当しておる人とか、そういう人々に構成メンバーにお入り願いまして、そしてわれわれも参加いたしまして妥当な方針を打ち出し、そして具体的に、間違いのない適切な資産運用処理をしてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  それからもう一つ、広報相談課といいますのは、電算機導入によりまして各法人学校等においての業務処理の体制が、全然変わってまいりました。ですから、この面での業務処理上の、専門家を統一したような形での業務処理体制をつくるためのPRも必要だということもあり、あわせて具体的には、自分が退職する場合に年金が幾らになるのだというような、きわめて直接的な相談等も、切実な問題でございますので、これに対応する姿勢を打ち出してまいりたい、それで広報相談課をつくりましたわけでございます。  そしてまた、全国会員を一丸としてのPRの方法といたしましては、いままでは理事長名で書類をその団体の理事長あるいは学長等に届ければ、それで事足れりという姿勢をとっておりましたが、これではどうにもならぬ。ほかの書類と一緒に破かれる危険が十分にあるからということで、一学校ごとに事務処理の登録担当者をつくりまして、そのリストによって万全の連絡をとってまいる、そういうことを具体的にやってまいりましたわけでございます。  以上、主として機構に伴いましての要点だけを御説明させていただきます。
  267. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 説明によると、たいへん大事な問題をかかえて処理をしていく課であるように拝聴したわけですが、聞くところによりますと、そうしたせっかくの資産運用課、広報相談課ができても、その責任者である課長の配置がいまだできておらないということになりますと、そうしたりっぱな機能が、うまく働いていかないのじゃないか。これは人材がないのか、あるいはどういうお考えで配置をされてないのか、簡単でけっこうですから……。
  268. 三浦勇助

    ○三浦参考人 ごもっともでございます。ただ、電算機を導入して、業務の体制を切りかえるということは、ほんとうにむずかしいことでございました。一方では、常時の業務をやりながら、電算機というきわめて扱いにくい機械を導入していくのでございます。したがいまして、本来ならば四月一日稼働当初に、新機構に基づいての人事の配置をしたかったのでございますが、ここでいままで担当していた仕事の配置を全然切りかえますと、その電算機の移行過程での事務上の渋滞、混乱を来たす、こういう考えでございまして、暫定的なな人の張りつけをいたしまして、電算機稼働が安定するまで、そして大体その時期を八月未程度と見込んでおりますが、その段階で本格的な人の配置をしてまいりたい、こういう理由でございます。
  269. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 四月に電算機を入れたようでありますが、そうしますと、まだ電算機の稼働も、順調なすべり出しとはいえないという段階で、その機械操作が安定した段階で、八月ごろその配置を考える、こういうふうに理解してよろしいですか。
  270. 三浦勇助

    ○三浦参考人 そのとおりでございます。
  271. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 もう一つ、昨年であったと思いますが、沖繩復帰がなされて、沖繩の私学共済がこちらに合併といいますか、あるいは吸収といいますか、されてきたわけであります。当時たいへん事務的にも、あるいは長期の問題だけやって短期がないとか、あるいは掛け金の料率も、アメリカ方式でやっておった関係で、非常に難点があったようでありますが、その後沖繩の復帰に伴って、沖繩私学共済は順調にすべり出しておりますかどうか、その点について……。
  272. 三浦勇助

    ○三浦参考人 きわめてと言ってもよろしいですか、資産の継承等もきわめて順調にまいりましたし、それから新政府からの助成金もちょうだいしております。私どものほうの給付の面におきましても、かなり緻密な配慮をいたしまして、ことに短期給付等につきましては、交通不便の諸島所在の学校等にも渡るように、医療給付の届かない面は医療箱とか、その他のものの現物を配るというような配慮までいたしまして、かなり気持ちの上ではこまかい配慮をしているつもりでございます。  以上でございます。
  273. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 医療の関係で、いわゆる検診事業ですが、沖繩は本土よりも医療体制というのが二〇%ぐらい不足しているのですか、そういう状況の中で、そうした健康の問題、検診事業の問題は、御心配ないですか。
  274. 三浦勇助

    ○三浦参考人 その面も、地元医療機関と密接に連絡をとっておりまして、着々と効果をあげているように考えております。担当課長が地元へ参りまして、地元民との接触の上で、そういう配慮もしております。それから沖繩には本土にないような病気もございますので、それに対する配慮等もとっているわけでございます。
  275. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 先ほどちょっと落としましたのですが、いわゆる新しい機構改革によって資産運用あるいは広報相談課というものができたことによって、学校においては園長さんが一人で事務をやっているところもあるだろうし、そういった末端の各学校で、たいへん事務繁雑になって、多忙をきわめる心配がないか、そういう点についてもう一度確認しておきます。
  276. 三浦勇助

    ○三浦参考人 先ほども申し上げましたように、その辺きわめて懸念される向きもあったわけでございまして、地元の事務処理能力といいますかA、B、Cと分けまして、そしてCのクラスから実質的にいわば講習的な連絡会議を持ってやろうという計画を立てまして、来月から全国で六十六カ所ぐらい、主として先ほど申し上げました登録事務担当者でございますが、この人々を対象としての連絡会議を設けるわけでございます。それにはおそらく、そういう事務処理面での疑問等をお持ちになられた方等も参加してもらう。それからもう一つは、地域的になおそのグループをつくりましで、その事務担当連絡会議に出席した事務担当者を中心としてのいわゆる自習会といいますか、研修会といいますか、そういうようなものも自主的な形で持っていただこうという配慮までしたいと思っております。
  277. 高橋繁

    ○高橋(繁)委員 わかりました。あと資産運用面については、どうかひとつ具体的な施策のもとに、りっぱな運用ができるように要望をいたしておきたい、このように思います。  あとは、いろいろ午前中から具体的な数字の問題等について審議されましたので、私の質問は以上で終わります。      ————◇—————
  278. 田中正巳

    ○田中委員長 この際、参考人出頭要求の件についておはかりいたします。  ただいま審査中の本案について、来たる六日、参考人として私立学校教職員共済組合理事長加藤一雄君及び同常務理事三浦勇助君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  279. 田中正巳

    ○田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は来たる六日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十七分散会