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1973-02-07 第71回国会 衆議院 文教委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年二月七日(水曜日)     午前九時三十九分開議  出席委員    委員長 田中 正巳君    理事 西岡 武夫君 理事 松永  光君    理事 森  喜朗君 理事 木島喜兵衞君    理事 長谷川正三君 理事 山原健二郎君       有田 喜一君    上田 茂行君       坂田 道太君    染谷  誠君       床次 徳二君    中村 拓道君       野中 英二君    深谷 隆司君       山崎  拓君    勝澤 芳雄君       小林 信一君    嶋崎  譲君       山口 鶴男君    栗田  翠君       有島 重武君    高橋  繁君       安里積千代君  出席国務大臣         文 部 大 臣 奥野 誠亮君  出席政府委員         文部政務次官  河野 洋平君         文部大臣官房長 井内慶次郎君         文部大臣官房会         計課長     三角 哲生君         文化庁次長   清水 成之君  委員外出席者         文部事務次官  村山 松雄君         文教委員会調査         室長      石田 幸男君     ――――――――――――― 委員の異動 一月十六日  辞任         補欠選任   山口 鶴男君     山崎 始男君 同日  辞任         補欠選任   山崎 始男君     山口 鶴男君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  文教行政基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 田中正巳

    田中委員長 これより会議を開きます。  文教行政基本施策に関する件について調査を進めます。  文教行政基本施策に関し文部大臣より発言を求められておりますので、これを許します。奥野文部大臣
  3. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 昨年暮れの第二次田中内閣の発足にあたりまして、文部大臣を仰せつかったものでございます。浅学非才でございますが、皆さま方の格別の御指導、御鞭撻を賜わりますよう心からお願いを申し上げます。  それでは、第七十一回国会において、文教各般の問題を御審議いただくにあたりまして、所信一端を申し述べさしていただきます。  わが国教育は、学制百年の歴史を通じてめざましい発展を遂げ、わが国繁栄基礎をつちかってきたのでありますが、急激なる社会経済進展とともに、教育のになう役割りはますます重要なものとなってまいりました。教育問題は、今日の最も重大な課題であります。特に国際化社会において、わが国世界の進運に伍し、限りない未来にわたって発展を続けるとともに、世界の平和と繁栄に寄与していくためには、今日までの成果に安住することなく、教育刷新充実に一段と努力を傾け、国際社会において信頼され尊敬されて活躍できるりっぱな日本人の育成をめざしていかなければなりません。  また、新たな国土総合開発が進められようとしているときにあたり、すべての国民がそれぞれの能力を最大限に発揮して豊かな文化的生活を営むことができるよう、教育学術文化の面から積極的な施策を展開する必要があります。  文教行政をあずかる私としましては、このような時代要請国民の期待にこたえるため、将来への洞察に立って真に国づくり基礎をなす人づくりに最大の努力を尽くしてまいる所存であります。  以下、当面する文教行政の諸問題について申し述べます。  まず第一に、教育改革推進についてであります。  このことについては、一昨年六月に中央教育審議会から答申のあった今後における学校教育の総合的な拡充整備のための基本的施策についての趣旨を踏まえ、教育関係者をはじめ国民各層の意見を聞きながら幼児教育から大学教育に至る教育改革に全力を傾けて取り組んでまいる所存であります。  次に、文部省機構改革について申し述べます。  このことについては、高等教育改革と計画的な整備充実推進する体制整備するとともに、学術振興及び教育学術文化国際交流協力推進する体制整備充実するために大学学術局を廃止して、大学局及び学術国際局新設し、これに伴ってユネスコ国内委員会事務学術国際局において処理することとして同委員会事務局を廃止することとしたいと存じます。  次に、初等中等教育改善充実について申し述べます。  初等中等教育人間形成基礎をなすものであり、次代をになう有為な国民育成をはかる上で、その果たす役割り重要性はあらためて申すまでもないところであります。その振興をはかるため、教育内容指導面改善充実につとめるとともに、新しい学校体系開発等についても、調査研究を積み重ねてまいる所存であります。  申すまでもなく、教育成果は究極のところ教員資質のいかんによるといっても過言ではなく、教職に優秀な人材確保し得るかどうかは、わが国教育の将来を左右する最も重要な課題であります。私は、そのため、教員給与抜本的改善が現下の喫緊の課題であると考え昭和四十八年度を初年度とし、年次計画を立ててこれを実施することとし、このため、昭和四十八年度予算案には、さしあたり、その中心をなす義務教育学校教員給与の一〇%に相当する額の三カ月分の財源を計上いたしております。  また、教員資質向上をはかるためには、教員養成制度改善充実とともに、現職教員研修に力を注ぎ、その意欲の高揚をはかることが重要であります。そのため、教員海外派遣については、これを大幅に拡充するとともに、各種講習研修機会充実につとめていきたいと考えております。また、相当長期研修については、授業を代替するための非常勤講師について、新たに給与費国庫補助制度創設することといたしております。  幼稚園教育普及充実については、国民の強い要請にかんがみ、全国どの地区においても入園を希望するすべての四・五歳児を就園させることを目標として、幼稚園設置促進推進してまいる所存であります。また、公・私立幼稚園父母負担軽減のため、幼稚園就園奨励費補助について、その限度額引き上げ措置を講ずることといたしております。  心身障害を持つ児童生徒に対する教育については、教育機会拡充のため一そうの力を注ぐ考えであります。特に養護学校については、昭和四十八年度中に未設置県を解消し、できるだけすみやかに義務制実施するための努力を傾注するとともに、一昨年開設された国立特殊教育総合研究所と連携して教育を行なう国立久里浜養護学校設置する等その整備充実をはかる所存であります。  僻地教育振興については、教育機会均等趣旨に基づき、従来からも特に努力をしているところでありますが、昭和四十八年度からは、新たに日ごろ文化的な条件に恵まれていない子どもたちに進歩した科学文化に直接触れる機会を提供するため、高度の僻地学校児童生徒修学旅行費全額公費負担とし、その三分の二を国が補助することといたしております。  また、公立文教施設整備については、従来から努力を重ねてまいりましたが、昭和四十八年度においては、かねてからの懸案であった小学校屋内運動場国庫負担率を二分の一に引き上げるほか、児童生徒急増市町村における小・中学校校舎及び都道府県立養護学校の建物については国庫負担率をそれぞれ三分の二に引き上げることといたしております。なお、小・中学校校舎国庫補助基準面積引き上げ教育水準向上をはかり、また、補助単価改定を行なって、地方公共団体超過負担軽減に資することといたしております。さらに過疎地減等における学校統合老朽校舎の改築並びに幼稚園及び特殊教育学校施設整備公警対策事業等についても事業量拡大をはかる等格段努力を注いでまいりたいと存じます。  児童生徒心身の健全な発達にとって重要な役割りを果たす学校給食につきましては、今後ともその普及につとめ、学校給食施設設備改善整備食事内容向上、物資の需給体制整備学校栄養職員配置等について一そうの改善充実をはかってまいります。また、児童生徒の健康の保持増進をはかる学校保健に関しましては、昨年末、保健体育審議会から児童生徒の健康の保持増進について答申をいただいておりますので、この答申趣旨に沿って児童生徒健康診断の項目及び方法改善を行ない、また移動教室拡充並びに学校環境緑化促進等を積極的に進めてまいる所存であります。  次に、高等教育改善充実について申し述べます。  高等教育改革につきましては、中央教育審議会答申の方向を踏まえ、高等教育基本計画策定につとめるほか、かねてから創設準備を進めてまいりました筑波大学を本年秋開学することといたしたいと存じます。また、いわゆる放送大学実施調査をさらに進めるとともに、新しい構想に基づく教員養成大学大学院、あるいは技術科学系の新しい高等教育機関構想についても調査を進めることといたしております。  これとともに大学院学部学科拡充整備教員資格認定制度拡充その他教員養成・再教育充実大学入学者選抜方法改善留学生交流拡充等について所要改善施策を進めてまいる所存でありますが、社会的要請の特に強い医師の養成につきましては、昭和四十八年度において、旭川、山形、愛媛に医科大学または医学部新設を行なうほか、さらに四つの医科大学医学部創設準備を進めることといたしております。また、新たに公立医科大学に対しても経常費助成措置を講ずることといたしたいと存じます。  大学入学者選抜方法改善につきましては、窮の重要性にかんがみ、特に重要な課題である共通学力検査実施について、かねて国立大学協会が検討を進めている第一次共通試験調査研究促進をはかるため、所要措置を講じてまいりたいと存じます。  次に、学術振興につきましては、学術研究の急速な進展に伴う研究体制複雑化研究組織の大規模化研究施設大型化等に対処し、適切な施策を講じてまいる所存であります。このため既設研究機関充実整備科学研究費拡充等をはかるほか、新たに、国立極地研究所水圏科学研究所及び難治疾患研究所創設するとともに、国立民族学研究博物館創設準備を進める等、学術研究振興格段努力を傾けてまいりたいと存じます。  次に、私立学校振興について申し述べます。  学校教育において私立学校の果たしている役割り重要性にかんがみ、昭和四十五年度に創設いたしました私立大学等経常費補助金について、従来の教員人件費事務職員人件費等積算率引き上げ物件費に相当する教員経費学生経費単価改定などその大幅な拡充をはかるとともに、日本私学振興財団貸し付け金について、貸し付け規模拡大貸し付け条件改善をはかるなど、私立学校に対する助成を大幅に拡充することといたしております。また、私立学校教職員共済組合既裁定年金については、国家公務員共済組合等既裁定年金引き上げに準じて引き上げたいと存じます。  次に、社会教育及び体育スポーツ振興について申し述べます。  これからの社会教育は、学校教育家庭教育との役割り分担を明らかにしながら、幼児期から高齢期に至る生涯の各時期を通じて、人々の心身発達、成熟の度合い及び学習意欲に即応した諸条件整備することが必要であります。  このため、まず指導者のあり方が基本的に重要な課題でありますが、当面、社会教育指導員増員等に意を用いてまいりたいと存じます。次に、社会教育施設整備に関しては、生涯教育重要性にかんがみ、新たに国立少年自然の家(仮称)を設置することとするとともに、公立少年自然の家の整備促進し、婦人教育推進するため、新たに国立婦人教育会館仮称)を設置したいと存じます。また、社会教育中心的な施設である公民館の補助については大幅に増額する所存であります。さらに、社会教育事業奨励援助につきましては、家庭教育相談事業拡充をはかるほか、生涯教育の観点からそれぞれの年齢に応じた事業奨励をはかっております。特に、高齢化社会の中にあって、高齢者が積極的な生きがいを求めて学習する機会を準備するため、高齢者教室の開設を推進したいと存じます。  また、体育スポーツについては、昨年十二月、保健体育審議会からなされた体育スポーツ普及振興に関する基本方策についての答申趣旨に沿って、体育スポーツ施設整備指導者養成確保地域住民スポーツ普及振興等の諸施策推進してまいる所存であります。特に、体育スポーツ施設整備については、学校体育施設のほか、日常生活の中で気軽に利用できる公共社会体育施設整備格段努力を払ってまいりたいと存じます。また、本年五月には、沖繩県において復帰記念沖繩特別国民体育大会が開催されますが、関係各位協力を得て、本大会の成功を期したいと考えております。  次に、文化振興について申し述べます。  経済的に繁栄するわが国にとっていま大事なことは、国民一人一人が、心を豊かにし、品格のある人間になることだと存じます。それには、文化振興普及のための諸施策格段に進める必要があると考えます。わが国世界に誇る幾多の貴重な文化的遺産を適切に保存し、広くその活用をはかるとともに、伝統を承継しつつ新しい時代にふさわしい芸術文化振興に意を用い、さらに国民各層がこれら芸術文化に親しむ機会拡充したいと存じます。  このため、昭和四十八年度においては、特に地方における文化振興をはかるため、文化会館等建設助成拡充青少年芸術劇場及び移動芸術祭内容規模充実をはかるとともに、新たに文化会館等の行なう文化事業への助成を行なうこととし、さらに広く芸術文化活動促進をはかるため芸術関係団体への助成拡充芸術家等海外派遣増員等を行なうことといたしております。文化財保護施策としては、史跡等の土地の買い上げ及び環境整備、天然記念物の保護増殖、国宝・重要文化財の修理、防災及び買い上げ等施策拡充し、文化財の保存、活用のために努力してまいる考えであります。  最後に、教育学術文化国際交流について申し述べます。  近年わが国国際的地位は、飛躍的に向上し、国際社会においても重要な役割りをになうこととなり、教育学術文化国際交流推進することはますます重要な課題となってまいりました。  文部省におきましては、今日の国際化時代に対応し、抜本的施策を樹立するため、教育学術文化の分野における国際交流について、昨年六月以来中央教育審議会に御審議いただいておりますが、留学生の受け入れ及び派遣学術交流教員海外研修芸術文化交流等の諸事業を、ユネスコ等国際機関を通ずるもの、あるいは、個々の諸外国との間で行なうもの等それぞれ強力に推進するとともに、邦人子女教育援助事業拡充をはかってまいりたいと存じます。また、昨年十二月の国連総会において創設が決定された国連大学のわが国への誘致について努力いたしてまいる所存であります。  以上、文教行政の当面する主要な問題について所信一端を申し述べましたが、その他の諸問題についても、文教委員各位の御協力と御支援を得て、その解決に努力する所存であります。何とぞよろしくお願いいたします。(拍手)     ―――――――――――――
  4. 田中正巳

    田中委員長 次に、昭和四十八年度文部省予算案概要につきまして説明を聴取いたします。河野文部政務次官
  5. 河野洋平

    河野政府委員 予算案概要を御説明申し上げます前に、一言ごあいさつを申し上げたいと思います。  このたび、はからずも文部政務次官を拝命をいたしました。もとより、知識、経験不十分でございますが、誠意をもって一生懸命つとめたいと思いますので、委員皆さま方の御協力を心からお願いをいたします。(拍手)  昭和四十八年度文部省所管予算案概要を御説明申し上げます。  まず、文部省所管一般会計予算額は一兆四千二百億五千二百七十一万九千円、国立学校特別会計予算額は四千六百四十五億三千七百十三万四千円でありまして、その純計額は一兆五千十五億一千六百五十一万一千円となっております。  この純計額を昭和四十七年度の当初予算額と比較いたしますと、二千五百十七億四千百三十九万三千円の増額となり、その増加率は二〇・一%となっております。  以下、昭和四十八年度予算において取り上げました主要な事項について御説明申し上げます。  第一は、教育改革に関する基本施策推進に関する経費であります。  四十八年度は、四十七年度に引き続き、中央教育審議会答申趣旨に沿って、教育改革のための基本的な施策の一そうの推進をはかることといたしております。そのおもなものを申し上げますと、まず教育改革に取り組む文部省行政体制整備についてであります。四十七年度においても、文部省機構について一部の整備を行ないましたが、四十八年度においては、高等教育改革と計画的な整備充実推進する体制整備するとともに、学術振興及び教育学術文化国際交流協力推進する体制整備充実するため、大学学術局及び日本ユネスコ国内委員会事務局を廃止して、新たに大学局及び学術国際局設置し、学術国際局ユネスコ国際部を置くことといたしました。  次は、教員資質向上待遇抜本的改善についてであります。教育界にすぐれた人材を誘致するため、四十八年度を初年度として年次計画を立て、教員の処遇の抜本的改善をはかることとし、四十八年度においては、さしあたり、その中心となる義務教育教員給与について、給与の一〇%に相当する額の三カ月分百三十六億円を財源措置として計上いたしました。また、教員資質向上のため、新たに長期研修等充実に必要な代替の非常勤講師の手当について補助を行なうことといたしました。教職員海外派遣については、教職員国際的視野を広めるため、これを大幅に拡充することとしたほか、新たに国立大学教員養成学部学生についても海外派遣を行なうことといたしました。なお、新構想教員養成大学大学院についても調査を行なうことといたしました。  次に、幼稚園普及充実につきましては、四十七年度に引き続き、公・私立幼稚園計画的増設を進めるため、施設設備助成に要する経費増額するとともに、父兄の経済的な負担軽減をはかり、幼稚園教育普及に資するため、幼稚園就園奨励費補助を大幅に拡充するほか、幼稚園教育内容改善等に関する調査研究等を行なうこととし、これらに要する経費四十八億円を計上いたしました。  次に、特殊教育拡充整備につきましては、養護学校新設特殊教育学校幼稚部増設小・中学校における特殊学級増設等を重点として、特に養護学校については、なるべく早い機会義務制に移行することを目途として、養護学校既設置県における新設養護学校施設に対しても国庫負担率引き上げることとするほか、就学援助拡充養護訓練設備整備等をはかることといたしました。また、重度・重複障害児教育内容方法等研究に資する教育の場として、新たに国立久里浜養護学校仮称)を設置するとともに、国立特殊教育総合研究所においては、心身障害児早期教育研究を行なうことといたしました。  次に、高等教育改革に関する施策のうち、筑波大学につきましては、四十八年十月に開学し、第一学群体育専門学群医学専門学群について、四十九年四月から学生を入学させることとして、必要な教職員定員確保施設整備等のため、五十四億円を計上いたしました。  放送大学につきましては、教育実験放送実施委託学習体系モデル試作等実施調査をさらに進め、また、新たに技術科学系の新高等教育機関構想に関する調査実施することといたしました。  また、自然の環境に恵まれた新学園建設のための基本的事項調査、新学園モデルプラン作成等を行なうため、新たに新学園建設等調査費を計上することといたしました。  なお、教育改革基本施策策定に資するため、先導的試行に関する調査研究をはじめ、高等教育改革推進会議研究協議大学入学者選抜制度改善準備調査等実施するとともに、教育改革について国民各層の理解と支持を得るため、教育改革連絡協議会地方における懇談会開催等、広報広聴活動についても配慮いたしました。  第二は、初等中等教育充実に関する経費であります。  教員待遇改善幼稚園教育振興等につきましては、前述したとおりでありますが、その他の当面する諸施策のうち、義務教育学校教職員定数につきましては、引き続き年次計画による定数増員及び特殊学級増設に伴う定数増員を行なうこととしたほか、旅費単価改定等を行なうこととし、給与費にかかる義務教育費国庫負担金としては、前述給与改善分を含め総額七千百六十九億円を計上いたしました。  次に、教材につきましては、義務教育学校教材について引き続き年次計画による充実をはかるほか、新たに、高等学校についてもクラブ活動必修化に伴い、必要な設備整備について補助を行なうことといたしました。  次に、義務教育教科書無償給与につきましては、四十八年度前期用教科書から購入価格を一一・二%引き上げることとし、これに要する経費を計上いたしました。  次に、理科教育設備につきましては、年次計画による整備のほか、学習指導要領改定に即して、小・中学校に引き続き高等学校及び特殊教育学校について基準改定を行ないこれに必要な経費を計上するとともに、産業教育につきましては、一般施設設備等整備を進めるほか、新たに、普通科等における家庭科教育施設整備について補助を行なうことといたしました。  次に、高等学校定時制及び通信制教育につきましては、新たに定時制の第一学年の生徒に対して教科書給与することとするほか、通信制教育運営費補助増額等をはかることといたし.ました。  次に、僻地教育につきましては、新たに、高度僻地学校児童生徒修学旅行に参加する費用について補助するとともに、スクールバス、教員宿舎等施設設備充実につとめる等僻地教育改善をはかることといたしました。  次に、教職員現職教育につきましては、前述のように、海外派遣大幅拡充等を行なうほか、筑波研究学園都市に、教職員長期宿泊研修施設として、四十七年度から国立教育会館分館建設に着手しておりますが、四十八年度後半にはその事業の一部を開始する予定であります。なお、従来からの教職員の諸研修についても引き続きその充実をはかることといたしました。  次に、学校給食普及充実につきましては、学校給食施設について補助対象面積引き上げをはかる等施設整備充実につとめるとともに、学校栄養職員について新たな年次計画をもって増員を行なうことといたしました。また、従来の学校給食用小麦粉購入費補助につきましては、従来の構想を改めて学校給食用小麦粉供給事業費補助として実施することといたしました。なお、新たに、学校給食改善充実に資するため学校給食改善研究指定校事業実施することといたしました。  次に、公害対策につきましては、新たに学校環境緑化を進めるため、大気汚染地区及び市街地区学校校庭の芝張り、校地周囲の植樹を実施するとともに、小・中学校移動教室公害防止工事等の一そうの拡充をはかるほか、学校施設公害対策に関する調査研究を行なうことといたしました。  次に、公立文教施設整備につきましては、小学校屋内運動場児童生徒急増市町村における小・中学校校舎等について国庫負担率引き上げを行なうとともに、超過負担の解消及び物価上昇を織り込んだ建築単価改善小・中学校校舎補助基準面積改定事業量増加構造比率改善等をはかることとしたほか、校地確保のための児童生徒急増市町村公立小・中学校施設特別整備事業について、事業量拡大及び単価改定を行なうこととし、四十七年度に対し、四七%増の一千七十七億円を計上いたしました。  以上のほか、教育内容改善、道徳教育の徹底、生徒指導充実就学援助の強化、同和教育推進等各般にわたる施策拡充に必要な経費を計上いたしました。  第三は、高等教育整備充実に関する経費であります。  国立学校特別会計予算につきましては、四十七年度の当初予算額と比較して六百六十八億円の増額を行ない、四千六百四十五億円を計上いたしました。その歳入予定額は、一般会計からの受け入れ三千八百三十一億円、借り入れ金六十二億円、その他自己収入七百五十二億円であり、歳出予定額は、国立学校運営費四千八億円、施設整備費等六百三十七億円となっております。  高等教育につきましては、前述いたしましたように教育改革施策として、筑波大学創設放送大学等新構想による大学の実施調査等を進めることとしておりますが、一方、従来から懸案の国立学校整備等につきましては、一医科大学及び二医学部創設をはじめ、大学院研究科の設置、学科の新設、改組等を社会的要請も勘案しつつ実施することとし、一千九百人を上回る入学定員の増員をはかることといたしました。また、国立学校における学生、教官当たりの積算校費、教官研究旅費、設備費等の基準経費につきましては、それぞれ改善充実をはかることといたしました。  次に、医学教育充実につきましては、旭川医科大学創設、山形大学及び愛媛大学の医学部創設、東北大学の医療技術短期大学部の創設をそれぞれ行なうとともに、北海道大学をはじめ六大学において学生定員の増員をはかるほか、医科大学ないしは医学部創設準備費を三大学に計上するとともに、医学・歯学及び看護等の大学・学部の設置に関する調査を行なうことといたしました。  また、新たに公立医科大学等につき経常費の補助を行なうこととしたほか、国立大学医学部等の関連教育病院に対しても設備費の補助を行なうことといたしました。  また、国立大学付属病院の整備につきましては、三重大学医学部に付属病院を新設するほか、既設病院については、中央放射線部等の中央診療施設に重点を置いて整備をはかるとともに、看護業務要員の増員を行ない、また、非常勤医師給与、夜間看護手当、患者給食費等についてそれぞれ改善を行なうことといたしました。  次に、教員養成改善充実につきましては、前述のとおり新構想教員養成大学大学院について調査を行なうほか、国立大学教員養成学部について特殊教育及び幼稚園教育教員養成課程の新設、小学校教員養成課程の学生定員の増員、付属養護学校等の新設等を行なうとともに、教員組織、設備等充実をはかることといたしました。また、教員資格認定制度拡充し、高等学校教員について種目を増加するほか、新たに特殊教育学校教員及び小学校教員についても実施することといたしました。  次に、国立高等専門学校につきましては、新たに八代・徳山工業高等専門学校仮称)の創設準備費を計上するとともに、既設校についても教官の増員設備充実等につとめることといたしました。  次に、学生の厚生補導につきましては、引き続き多角的かつ総合的にこれを行なうこととし、合宿研修等の拡充体育施設設備整備充実、保健管理センターの新設等をはかることといたしました。  次に、公立大学につきましては、前述医科大学等経常費補助のほか、教育研究設備充実、在外研究員の派遣人員の増員等を行なうことといたしました。  第四は、学術振興に関する経費であります。  学術振興につきましては、まず重要基礎研究推進をはかるため、全国共同利用の研究所として国立極地研究所を、また、東京医科歯科大学に付置して難治疾患研究所を、名古屋大学に付置して水圏科学研究所をそれぞれ創設するとともに、国立民族学研究博物館仮称)の創設準備を行なうこととするほか、近年設置された高エネルギー物理学研究所及び国文学研究資料館の整備計画を進め、その他の既設の研究所についても所要整備をはかることといたしました。また、南極地域観測事業科学衛星及びロケット観測事業等につきましても、引き続き拡充をはかることといたしました。  次に、科学研究費につきましては、すぐれた基礎研究の一そうの進展を期するため、百十八億円を計上し、また、学術国際交流につきましても、諸施策充実をはかることといたしました。  第五は、私学の振興に関する経費であります。  私学の振興につきましては、まず、私立大学等の人件費を含む経常的経費助成について、専任教員及び専任職員の給与費補助拡大をはじめ、教員経費及び学生経費についても充実をはかり、四十七年度に対し四四・一%増の約四百三十四億円を計上いたしました。  また、日本私学振興財団の貸し付け事業については、政府出資金十億円を計上するとともに財政投融資資金からの借り入れ金として二百三十一億円を確保いたしました。  第六は、社会教育振興に関する経費であります。  社会教育振興につきましては、まず、社会教育指導者層の充実をはかるため、四十七年度から市町村に設置している社会教育指導員を大幅に増員するための経費を計上するとともに、引き続き社会教育主事等の養成研修につとめることといたしました。  次に、社会教育施設整備につきましては、公民館、博物館及び少年自然の家を重点として大幅な増額を行なうとともに、国立婦人教育会館仮称)、国立第十二青年の家(仮称)及び国立少年自然の家(仮称)の設置を行なうこととし、四十七年度に対し、六一・二%増の五十二億円を計上いたしました。  また、社会教育事業につきましては、新たに高齢者の学習活動を促進するため、市町村の開設する高齢者教室に対して補助を行なうこととするほか、幼児のための家庭教育相談事業を大幅に拡充するとともに、視聴覚教育指導者研修実施、視聴覚ライブラリー設備充実等につとめることといたしました。  第七は、体育スポーツ振興に関する経費であります。  体育スポーツ普及振興につきましては、広く国民日常生活の中で体育スポーツを実践し、健康の増進と体力の向上をはかり得るよう、日常の生活圏域における水泳プール、国民体育館、国民運動場等の体育スポーツ施設を重点として整備するとともに、学校における水泳プール等の体育施設整備推進することとし、四十七年度に対し七一・五%増の七十億円を計上いたしました。  また、体育スポーツ普及奨励事業につきましては、指導者養成スポーツ教室の開設、モデル市町村の設置等を行なうこととするほか、スポーツ団体の助成等についても充実をはかることといたしました。  第八は、芸術文化振興文化財保護充実に関する経費であります。  まず、芸術文化振興につきましては、特に地方芸術文化振興に重点を置き、その拠点となる文化施設建設促進するとともに、これらの施設を利用してすぐれた芸術文化国民が身近に享受できるようにするため、新たに地方文化施設事業に対し助成を行なうこととしたのをはじめ、地方在住の青少年あるいは一般成人の芸術鑑賞の機会を豊富にするため、青少年芸術劇場及び移動芸術祭充実をはかることといたしました。また、芸術関係団体助成芸術家の在外研修等につきましても拡充をはかることといたしました。  また、国立の美術館、博物館における陳列品の購入、特別展の開催、施設整備等につきましても所要経費を計上するとともに、第二国立劇場の設置に関し、引き続き具体的な調査検討を進めることといたしました。  次に、文化財保護充実につきましては、まず、平城宮跡、藤原宮跡及び飛鳥地域の史跡地の国による買い上げを行なうとともに、地方公共団体に対する史跡地の買い上げ補助については補助率を大幅に改善するなど、その推進をはかることとし、また、これらの保存整備、発掘調査等についても所要経費を計上いたしました。  また、国宝・重要文化財等の保存整備につきましては、国有文化財である建造物等の保存修理をはじめ、国宝・重要文化財等の保存修理・防災施設等の整備、天然記念物の保護増殖等についての補助拡充をはかるとともに、国宝・重要文化財等の国による買い上げ促進するほか、無形文化財保護の強化につきましても、所要措置を講ずることといたしました。  なお、国立歴史民俗博物館につきましては、四十七年度に引き続き設置準備を進めるとともに、地方の歴史民俗資料館設置についても引き続き補助を行なうことといたしました。  第九は、教育学術文化国際交流拡大に関する経費であります。  まず、国連国際大学につきましては、昨年十二月の国際連合総会において設置が決定され、具体的に設立準備が開始されることとなりましたので、わが国といたしましては、設立準備に積極的に参加協力することとし、所要経費を計上することといたしました。  次に、留学生教育につきましては、国費外国人留学生について採用数の増員給与増額、私費外国人留学生について医療費補助充実等をはかるとともに、海外派遣留学生増員を行なうことといたしました。  次に、研究者の交流につきましては、在外研究員の派遣、国際研究集会研究員の派遣、国際科学協力事業による派遣等それぞれ人員の増員をはかるとともに、外国人研究員の招致についても人員の増加、滞在費の改善等につとめることといたしました。  次に、アジア・アフリカ諸国への教育協力につきましては、ユネスコを通じて新たにユネスコ技術援助専門家の派遣教育工学セミナーの開催、微生物学国際大学院コースの設置等を行なうとともに、ユネスコ・アジア文化センター等の協力事業拡充をはかることとしたほか、引き続き教育指導者の招致とわが国からの理科教育等の専門家の派遣等を実施することといたしました。  なお、芸術家在外研修芸術関係団体国際交流事業実施、外国人に対する日本語教育振興、海外勤務者子女教育充実等につきましてもそれぞれ所要経費を計上いたしました。  以上、昭和四十八年度の文部省所管予算案につきまして、その概要を御説明申し上げた次第であります。何とぞよろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
  6. 田中正巳

    田中委員長 以上で説明は終わりました。  次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午前十時十三分散会