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1973-07-19 第71回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年七月十九日(木曜日)     午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 山中 吾郎君    理事 稲村 利幸君 理事 木部 佳昭君    理事 小坂徳三郎君 理事 坂村 吉正君    理事 松浦 利尚君 理事 小林 政子君       江藤 隆美君    金子 みつ君       中村  茂君    渡辺 三郎君       野間 友一君    有島 重武君       和田 耕作君  出席政府委員         経済企画庁物価         局長      小島 英敏君         環境庁水質保全         局長      岡安  誠君         農林政務次官  中尾 栄一君        農林省畜産局長 大河原太一郎君  委員外出席者         大蔵大臣官房審         議官      旦  弘昌君         大蔵省銀行局特         別金融課長   山田 幹人君         厚生省環境衛生         局乳肉衛生課長 岡部 祥治君         農林大臣官房審         議官      下浦 静平君         農林大臣官房審         議官      山田 嘉治君         農林省畜産局衛         生課長     信藤 謙蔵君         水産庁漁政部長 増満 二郎君         通商産業省化学         工業局化学第一         課長      高橋  清君     ――――――――――――― 委員の異動 七月十八日  辞任         補欠選任   神崎 敏雄君     小林 政子君 同月十九日  辞任         補欠選任   上田 茂行君     江藤 隆美君 同日  辞任         補欠選任   江藤 隆美君     上田 茂行君 同月十九日  理事野間友一君同日理事辞任につき、その補欠  として小林政子君が理事に当選した。     ――――――――――――― 七月十二日  公共料金値上げ反対に関する請願(荒木宏君  紹介)(第八五五七号) 同月十四日  木材建設資材異常価格の引上げに関する請  願(寺前巖紹介)(第八六二七号) 同月十八日  木材建設資材異常価格の引下げに関する請  願(瀬崎博義紹介)(第九四六九号)  同(川俣健二郎紹介)(第九七九五号)  同(田口一男紹介)(第九七九六号)  同(山本政弘紹介)(第九七九七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 七月十六日  物価安定対策早期実施に関する陳情書  (第五二九号)  建築資材異常価格抑制に関する陳情書外三件  (第五三〇号)  生活関連物資投機買占め規制に関する陳情書  (第五三一号)  建築資材異常価格抑制等に関する陳情書  (第六〇六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  物価問題等に関する件      ――――◇―――――
  2. 山中吾郎

    山中委員長 これより会議を開きます。  まず、理事辞任の件についておはかりいたします。  理事野間友一君より理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山中吾郎

    山中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、理事補欠選任についておはかりいたします。  先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山中吾郎

    山中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  それでは、理事小林政子君を指名いたします。      ————◇—————
  5. 山中吾郎

    山中委員長 物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。江藤隆美君。
  6. 江藤隆美

    江藤委員 私は、きょうは酪農の問題、それから豚肉の問題等について、若干ただしておきたいと思います。  乳製品不足払い法及び畜安法で畜産振興事業団が、指定乳製品一元輸入を定めて、そして国内価格の安定あるいは業界振興というのをはかっておるわけでありますけれども、最近、ながめておりますと、こうした規制の網を巧妙にくぐって擬装乳製品というものが大量に輸入をされてくる、そしてその結果、国内酪農というものに多大の影響を及ぼしつつあるという現状を見過すわけにいかないのであります。  そこで、私は、時間もないことですから、端的にお尋ねをしておきます。  擬装乳製品として考えられるのは、ココア調整品あるいはバター入り調整油脂、あるいは乳糖カゼインのたぐいでありましょう。  そこで、まずココア調整品として最近いろいろ問題があるわけでありますが、このココア調整品輸入をされておるその目的は一体何なのか、何のためにココア調整品というのが輸入されておるのか。その使用目的、それから最近の輸入数量、そうしたことをまず農林省お尋ねをいたしておきます。
  7. 下浦静平

    下浦説明員 お答えいたします。  ココア調整品使用目的でございますが、これはそのほとんどがチョコレート製造に使われておる、こういうぐあいに考えております。  それから輸入数量でございますけれども、これは通関統計でございますが、四十七年の輸入実績で申し上げますと一万七千五百三十五トン、それからさかのぼりまして四十六年には一万三千三百四十トン、四十五年には七千七百四十五トン、こういう数字になっております。
  8. 江藤隆美

    江藤委員 ココア調整品チョコレート原料として入ってきておるという話です。  そこで念のために聞いておきますが、チョコレート成分というのは一体どういうふうになっていますか。おわかりでしたら……。準備がなかったら、ちょっと私のほうから申します。チョコレート成分は、砂糖が五〇%、ココア三五%、それから脱脂粉乳が一五%。五〇、三五、一五と、私はこういうふうに考えておりますが、おおよそそういうことで間違いないかどうか。
  9. 山田嘉治

    山田(嘉)説明員 私の承知しておりますところでは、原料全体を一〇〇といたしまして、砂糖が約四十六キログラム、カカオが十八キログラム、それからビタチョコレートが十八キログラム、全粉乳が十七・五キログラム、大体そういうような数字になっておるようであります。
  10. 江藤隆美

    江藤委員 そうすると私が申し上げたのと大差ない、こういうことですね。  そこで、ここに私は現物をちょっと持ってきております。これはココア調整品、最近入ってきております。チョコレート原料ココア調整品が回っているのですね。チョコレートのために回っている。輸入されておるこういうのに一おおよそチョコレートは、ビタチョコを入れて、三五、六でしょう。それから粉乳の割合は一五、六でしょう。おそらく一五、六あればいいですね。逆にココアというのはたった一〇%、そして九〇%脱脂粉乳が入ったのが入っている。だから、これは使用目的が違うのではないかと疑われてもいたしかたない。こういうものが入ってくる原因は一体どういうことでしょう。農林省お尋ねをします。  それから、価格差は一体どうなのか。国内のこういうふうな乳製品と、そしてこうして擬装乳製品として入ってきた場合の価格差は一体どのくらいあるのか。おわかりでしたらお尋ねをしておきます。
  11. 下浦静平

    下浦説明員 私から便宜お答えさせていただきたいと思いますが、一〇%のココアの含有、あと粉乳というような形態の、いわば逆転したような形態のものがなぜ入ってくるかという第一の点でございますが、これは先ほど御指摘になりましたチョコレート成分でございますけれども、その中で使われております諸原料、そのうち砂糖及び乳製品につきましては、国際的にかなりわが国国内価格が高いという点が一つございます。それから昨今では、かなりココア自体価格も国際的に値上がりをしておるということを聞いておりますが、そういう国際的な価格差というものがございまして、わが国チョコレート業界が、四十六年十月からチョコレート自体輸入自由化をされた関係もございまして、なるべく原料の安いものを使用するということからこういった形態のものが輸入をされておる、こういうぐあいにどもは承知をいたしております。  それから、二番目の価格差でございますが、これは全粉乳内外価格差で申し上げたいと思いますけれども、オーストラリア産のものにつきましてのCIF輸入価格、これは通関統計で見ますと二百五十二円でございます。これは一キログラム当たり価格でございます。それから国産品卸売価格でございますが、これは農林省畜産局の調べでございますが、五百三十五円ということになっております。このいま申し上げました二つの価格は直に比較することはできませんので、さきに申し上げましたCIF価格関税諸掛かり等を加算をいたしてみますと、これが大体三百六十五円くらいになろうか、おおむねそういう見当でございます。
  12. 江藤隆美

    江藤委員 そうすると、同じ粉乳チョコレートに使う場合に、国内産を使うとキロ当たりおおよそ五百三十五円だ。ココア調整品で、こういうふうに全く乳製品に近いものを持ち込んできてやると、CIF価格に二五%関税諸掛かりを入れてもなおかつ三百六十五円。ですから、キロ当たり百七十円安いものを使う。だからココア調整品というものが、どんどん乳製品部分の多いものが入ってくる、こういうことになるのだと私は思います。したがっていま入っておるココア調整品というのは、量的にもあるいは質的に見ても、このココアそのもの使用目的ではなくて、その中に含まれておる乳製品部分使用目的として入ってきておるんだ、私はこう考えるのですが、農林省畜産局としてはどういうふうな見解を持ちますか。
  13. 下浦静平

    下浦説明員 私どもも、ココア調整品の中の乳製品目的で入ってくる、こういうぐあいに認識をいたしております。
  14. 江藤隆美

    江藤委員 先ほど答弁がありましたように、四十七年で約一万七千トンですかココア調整品が入っておるのですね。もう一つお尋ねしますが、乳糖カゼインはどういうふうに入っていますか。
  15. 下浦静平

    下浦説明員 お答えいたします。  乳糖及びカゼイン輸入量でございますけれども、四十七年の数字で申し上げますと、乳糖が四万六千三百五十八トン、カゼインが二万八百七十五トンということになっております。それから、四十六年の数字を申し上げますと、乳糖が四万八千九百四十三トン、カゼインが二万四千六百十二トン、こういうぐあいになっております。
  16. 江藤隆美

    江藤委員 このカゼインあるいは乳糖というのが乳業者によって輸入をされておるという話を聞くのでありますが、そのように理解してよろしいですか。
  17. 下浦静平

    下浦説明員 乳糖につきましては、化学的に純粋なもの、それから化学的に純粋でないものということで、それぞれ用途が分かれております。  その前者のほうにつきましては、これは薬でございますが、そういったものの糖衣それから基材という、主として化学薬品用に使われておるわけでございます。それから後者の分につきましては、ほとんどが育児用調製粉乳原料あるいは医薬品用、こういうことでございますので、その後者のほうにつきましては乳業メーカー輸入をするというケースはあると思いますけれども前者のほうにつきましてはやはり薬品業界等輸入をしておるということではないかと存じます。  それからカゼインにつきましては、その用途がほとんど工業用ということになっておりまして、七五%ほどが工業用、その余の二五%弱が食品用に使われておりますけれども、これも、一部アイスクリームに使われておるものがございますが、カマボコ等たん白原料ということで使われておるという関係がございますので、乳業者による輸入というのはさほどの比率ではないのではないかと考えます。
  18. 江藤隆美

    江藤委員 そうしますと、いまお話がありましたが、乳糖脱脂粉乳ですか、それからカゼインは一部、二五%程度食品用、こういうふうな説明ですが、乳糖カゼイン自由化されたいきさつからして、これは工業用である、カゼイン接着用として使う、乳糖薬品添加剤として使う、こういうことであって、乳製品増量剤として使うということではなかったはずです。あるいはアイスクリームやら牛乳還元乳として使うべき性格のものではなかった。そういうことならば、その当時自由化はされなかったのであります。ところが、工業用である、こういう名目のもとに当時は自由化されたいきさつがあると私は承知しておりますが、そのとおりですか。これが一つ。  それから第二番は、いまお話しのように、カマボコ用であれ、粉乳増量剤であれ、あるいはアイスクリームに使うのであれ、それは適当なことですか、どういうことですか。自由化されたいきさつから、私は適当なことではないと思うのですが、そのことについてはどのように理解したらいいのか。
  19. 下浦静平

    下浦説明員 乳糖及びカゼインでございますけれどもカゼインにつきましては、自由化の際には、先生おっしゃいましたようなつもりで自由化をいたした、こういう経過でございます。  それから第二点の、適当であるかどうかというお尋ねでございますけれどもカゼインアイスクリームヘの使用ということにつきましては、農林省といたしましてはあまり適当でないというぐあいに考えておりまして、したがいまして、アイスクリームにつきましてのJAS規格をつくりました際には、このカゼインは除外をいたしております。  それから乳糖のほうの、育児用調製粉乳に便っておる点につきましては、差しつかえないのではないかというぐあいに考えております。
  20. 江藤隆美

    江藤委員 昭和四十四年六月十二日、厚生省環境衛生局長通達を出しました。「牛乳等指導取締について」各都道府県知事政令市長殿、これを読んでみますと、「牛乳又は加工乳に、乳脂肪以外の脂肪カゼインカゼインナトリウム及び乳糖使用することは、乳及び乳製品成分規格等に関する省令(以下「乳等省令」という。)別表二の(五)乳等製造又は保存の方法に関するその他の基準の(1)の規定に違反するものである」、だから乳糖カゼインというものは牛乳または加工乳には入れてはならないと通達を出しておるわけです。  同時に、昭和四十六年六月九日にも、同じく環境衛生局乳肉衛生課長が「牛乳等指導取締の強化について」、こう題して、前者のような内容でもって「今般一部の業者が牛乳中に異種脂肪を混入した疑が持たれた。」だから、このようなことが行なわれることのないように、厳重に追跡調査立ち入り調査をするように、こういう通達厚生省は出しているのです。  私は、本来こういうことは、酪農振興ということを考える農林省がやるべきことであって、農林省がやらないから、厚生省農林省の分野まで出てきてこういうことがやられておるような気がしてならないのです。  もう一回聞きますが、厚生省のこういう通達性格からして、乳糖カゼイン等がそういう乳製品——アイスクリーム脱脂粉乳その他を含む乳製品等に還元されて使用されるということは、正しいことか正しくないことか。好ましいことではないということではなくて、間違いか間違いでないか、いいことか悪いことか、どちらかを、ちょっとはっきりしてほしいと思います。
  21. 下浦静平

    下浦説明員 第一点の御質問の点でございますが、厚生省環境衛生局長から通達が出されたということは、これは食品衛生法に基づく乳等省令ということになっておりますので、有権的に厚生省側通達を出したということでございます。私どもといたしましても、先生おっしゃいましたように、酪農関係を担当をいたしておるわけでございますの女農林省といたしましても畜産局長からほとんど同じ時期に通達を出した、そして指導につとめておる、こういう次第でございます。  それから第二点でございますけれどもアイスクリーム類への混入につきましては、乳等省令上特に禁止をされておりません。したがいまして、これはいい悪いということではなく、私どもといたしましては、適当でないと申し上げるほかはないわけでございます。
  22. 江藤隆美

    江藤委員 自由化をしますときに、そういうおそれがないから自由化したのです。おそれがあるのだったら、それは自由化しなかったのです。そうでしょう。だから、たとえば畜産振興事業団一元輸入品目にしておるのはバター、練乳、プロセスチーズ、全脂粉乳脱脂粉乳バターミルクパウダー、ホエイパウダー、こういうものでしょう。あとココア調整品にしろ、バター入り調整油脂にしろあるいは乳糖カゼインにしろ、自由化したのです。それは心配がないからしたんです、その当時。心配があるならば、わが国に生産されてないホエイパウダーあるいはバターミルクパウダ一等がちゃんと入っているのですから、それと同じような取り扱いになったのです。そうでしょう。違ったら違ったとおっしゃってください。  そして、さきに戻りますが、そういうココア調整品という名のもとに、一〇%も粉乳がまじったものが入ってくるということは、私はよろしくないと思っておるのです。このことはどうか。  それから、これは関税局に聞きますが、この前、バター入り調整油脂という名前でほとんどバターに同じものが入ってきて、輸出国に送り返したということがあると私は聞いておりますが、そういう事実があるかどうか。もうバターがほとんどである。バター自由化されていないわけですから、バターの中にマーガリンをちょっぴり入れて、そして法の網をくぐって入ってきた。税関でこれがひっかかって、そして先般産地に送り返した事実があると私は聞いているのですが、そういうことがありますかどうか。このことを関税局お尋ねしておきます。
  23. 旦弘昌

    旦説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘のありました件でございますが、バターに牛脂をまぜたということで輸入申告がございましたものを、税関におきまして分析をしました結果、バター脂以外のものの存在が認識し得ませんでしたので、これはバターであるということでございました。それにつきまして、バター輸入割り当て品目でございますので、その割り当てを受けておりませんでしたので、結果といたしまして、この輸入品を積み戻したという事例がございます。
  24. 下浦静平

    下浦説明員 乳糖カゼインにつきましての輸入自由化の際の私どものつもりといたしましては、確かに先生御指摘のようなつもりでおったわけでございます。したがいまして、カゼインにつきましての用途、これが一部アイスクリームに使われておるというような点につきましては、これは繰り返しになりますけれども、まあ好ましいものではないというぐあいに考えます。  それから、乳糖及びカゼイン輸入量でございますけれども、これは自由化をいたしましてからの推移を見ますと、大体おおむね横ばいで実は推移をいたしております。しかも、四十六年から四十七年への数字を見ますと、若干ではございますけれども減少しておるというようなことでございますので、特に輸入制度といたしまして新しく何かを考えるかということにつきましては、私ども、当面考えておりません。  それからココア調整品でございますけれども、これも昭和四十七年の実績程度のものでございますれば、その後の日本国内におきまする全脂粉乳生産状況、それから価格状況等、それぞれ数量的にはふえてきておりますし、それから価格もいわば強含みというような状況推移をいたしておりますので、ただいまのところではさほどの影響はないのではないかというぐあいに考えております。しかし、これ以上、過去二、三年の経過に見られますような輸入の伸びというものが出てまいりますことは、これも好ましくないと考えておりますので、実は昨年の十二月以来、これらの点につきまして局内で検討を始めたわけでございますが、片やチョコレート生産の問題もございますので、四十七年の実績程度自主規制をするということで当面推移をいたしておるわけでございます。ことしに入りましてから若干昨年の実績を上回って推移をしておるというような事実もございますけれども、なおしばらくこの推移を注目をしてまいりたい、こういうぐあいに考えております。
  25. 江藤隆美

    江藤委員 乳糖カゼイン自由化するときには、これは工業用ですから心配要りませんといって、これは国会にも説明をしておるはずです。ところが現実の問題としては、それが乳製品の中に混入されて使われておる。それでは当初の方針と違うわけだから、当然農林省としてはこれに対して対応策がなければいかぬ、私はこう思うのです。  それからココア調整品についてですけれども、それならお尋ねしますが、畜産振興事業団国内脱脂粉乳をかかえて、売れずに困っておると私は聞いております。一体、畜産事業団がかかえておる脱脂粉乳の量というのは、金額的に数量的にどれほどあるのか。あるいはまた、それに対する年間の金利倉敷料は幾らかかるのか、その点をひとつ御説明を願いたいと思います。
  26. 下浦静平

    下浦説明員 畜産振興事業団脱脂粉乳在庫でございますけれども昭和四十八年三月末現在で申し上げますと約二万六千トンございます。金額的に申し上げますと、これは約百億円ということでございます。それから金利倉敷でございますけれども、これは四十七年でございますが、一年間にかかりました経費は約七億円、こういう実態でございます。
  27. 江藤隆美

    江藤委員 事業団脱脂粉乳を二万六千トン本もかかえて、そうして全く売れる見込みがなくて、百億円も滞貨をかかえ込んで困っておる。金利倉敷経費が一年間に七億円も八億円もかかる。全く売れない、売れる当てはない。その反面、今度は片っ方ではそういうココア調整品という名目で、どんどんと擬装乳製品が入ってくる。その入ってくる量というのはチョコレート使用される量とほとんど同じだ、こういうことでしょう。ならば、農林省のいっているココア調整品輸入をいままでのとおりに野放しにして、去年の程度に押えておったならば、チョコレート生産量はそんなに伸びていないのですから、いつまでたったって畜産事業団のかかえておる在庫というものは減らない。百億の在庫、二万六千トンの在庫というのはふえても減らない、こういうことになる。一体どうされるのですか。
  28. 下浦静平

    下浦説明員 畜産振興事業団脱脂粉乳でございますが、国内の市況が弱いということでなかなか売れないでおったわけでありますが、四十七年度には四千五百トン程度のものが売却できたわけでございます。それから、四十八年度におきましても大体同程度数量のものが売却できる見入みでございます。昨今の状況はそういうぐあいになってきておりますので、できるだけこれをはかすような努力をいたしたいと考えております。
  29. 江藤隆美

    江藤委員 片っ方でココア調整品を野放しにしておいて、二万六千トンもある事業団在庫をはかすことがどういうふうにしてできるのですか。値段を安くするのですか。たたき売りするのですか。それともココア調整品輸入を押えるのですか。一体どういう妙手がありますか。
  30. 下浦静平

    下浦説明員 脱脂粉乳市価が昨今では若干強含みぎみ推移しておりますので、事業団からの売却は、当然その市価をにらんで売却をしておるということでございます。  それから一方、ココア調整品のほうの輸入でございますけれども、これも前年並みくらいに押えてまいりたい、こういうぐあいに考えております。
  31. 江藤隆美

    江藤委員 ココア調整品に対するアメリカ、西ドイツ、イギリス等そういう諸外国の取り扱い、これはどうなっておるのか。これらの国々では、ココア調整品乳製品に準ずるものとして輸入制限を実施しておる、こういうふうに私は承知しておるのでありますが、そのとおりかどうか、これはできましたら大蔵省からお答えいただきましょうか。
  32. 旦弘昌

    旦説明員 お尋ねの件はココア調整品関税分類上のことかと存じますが、その点につきましては、それらの国々もBTNの条約に加盟いたしておりますので、同じ扱いになっております。
  33. 江藤隆美

    江藤委員 日本と同じ扱いという意味ですか。
  34. 旦弘昌

    旦説明員 同じ扱いでございます。BTN条約に加盟しておる国におきましては、わが国と同じ分類になっております。
  35. 江藤隆美

    江藤委員 農林省、そのとおりで間違いありませんか。
  36. 下浦静平

    下浦説明員 関税分類取り扱いは、ただいま大蔵省のほうから御答弁がございましたとおりでございます。
  37. 江藤隆美

    江藤委員 きょう私は問題提起するだけで、あらためてこの問題はゆっくりひとつただしていこうと思っているのです。  ですから、この際、大蔵省に私は意見を申し上げておきますが、ブリュッセル関税分類表の規定によれば、現在輸入されているココア調整品及びバター入りの調整油脂等の擬装乳製品は、当然、乳製品を主成分とする調整食料品に分類すべきものであったと、私はこう思うのです。もう一回申します。乳製品を主成分とする調整食料品に分類すべきであった。そうですね、乳製品が主体ですから、ココアというのはたった一〇%ですから。なるほど分類表によれば、九九・九%が乳製品であっても、これはちゃんとココア調整品ということになっていることは、私は百も承知いたしています。しかし、日本は入れる立場であり、それからもう一つは酪農振興ということに非常な努力を国家が払っているという立場からすれば、当然、農林省大蔵省においてそれらの努力がなされてしかるべきである、私はそう思っているのです。したがって、この規定の不備あるいは解釈上の都合によって、適正な処置がとられておると私は考えられない。ですから、これから先、これらのブリュッセル関税分類表の規定の障害があるとするならば、これは条約等の非常な問題点もあるでしょうが、しかしながら、日本としては国内事情等を勘案して、できるだけ努力する必要がある、これを検討する用意があるかどうか、まず大蔵省お尋ねしておきたいと思います。全くその余地はないのか。
  38. 旦弘昌

    旦説明員 いまの御意見は、おそらく、ブリュッセル関税分類条約の中身を変えるようにわが国政府から申し入れたらどうかという、その可能性があるのかないのかという御質問であろうかと存じます。  実はこのブリュッセル関税分類条約は、わが国は一九六六年、つまり昭和四十一年に加盟しておるのでございます。で、いま問題になっておりますバター等調整食料品あるいはココア粉乳等の調整品というようなものの自由化は、その後に行なわれておるものもございまして、わが国の一つの自由化に伴いますいろいろな問題でございます。  もう一つ、このブリュッセル関税分類条約の中身につきまして、特にこのバターあるいは粉乳等の商品は伝統的に外国の商品でございまして、向こうがいわば本家であるという意味で、向こうの定義がこの条約の本体をなしておる、それに日本が参加したというかっこうになっております一したがいまして、日本の家庭事情といたしましては、いま御指摘のありました点から、この条約の改定を申し入れるということも考えられるわけでございますが、結果といたしましては非常に困難な問題ではないか。日本の特産でありますようなたとえばみそ、しょうゆというようなものの分類につきましては、当方が本家でありますので、当方の意見が通りやすいわけでございますが、本件につきましては日本だけの問題というようにも考えられますので、かなりむずかしい問題であろうかと思います。しかし、御意見は御意見としまして十分検討してまいりたいと思います。
  39. 江藤隆美

    江藤委員 この際に、政務次官がお見えですから……。  私はさっき申し上げましたように、本来入ってはならないココア調整品が大量に入ってくる、そしてチョコレート原料になる。そのかわりに今度は片一方で畜産振興事業団は、売る当てどもない脱脂粉乳を二万六千トンもかかえ込んで、百億円もそのために資金を寝かせてアフアフ言っている。これは異常なことでしょう。片一方はしり抜けにどんどん入ってくる。だからこれは、こういうことをやっておったら、不足払い制度もあるいはまた事業団の一元化輸入というそういう制度も、実際はしり抜けになってくる。かっこうだけはえらい調子のいいことを言っておるけれども、片一方ではそういうふうな脱脂粉乳が、ココアをちょっぴりまぜてどんどん入ってくる。だからこっちでは売れない、事業団のほうは売れないのですね。  もう一つは、こういうふうにバターが九〇%、ほんのちょっぴりマーガリンが入って、そしてバターが入ってくる。これもインチキです。ほったらかしになっている。あるいはまた、乳糖カゼインというのが——審議官は、これは食品衛生上から厚生省はそう言うのですと言うけれども、それはそれとして、これは適当なことではないのです。これを自由化するときには、乳糖カゼイン工業用ですということで自由化をしておるのです。それがアイスクリーム原料になってみたり、あるいは脱脂粉乳の中にまじったり、還元乳として使われておる。そういうことで、国内酪農振興に対する影響というものははかり知れざるものがある。先般、加工用原料乳の保証価格を引き上げるということで、全国の酪農家が東京に集まりました。私どももこの問題について非常な心配をして努力をした。しかし、ちょっぴり引き上げることに容易ならざるものがあるのです。これは御存じのとおりです。しかし、逆に言うと、片一方ではそういうことをいいことにして、片一方では生産者あるいは生産者団体が苦しんでおるのに、法の盲点を巧みにくぐって、そして利益をむさぼる者があるといわれてもしかたがないと思うのです。現実そのとおりである、一万七千トンも入ってくるのですから。  ですから、私はきょう答えを求めようとは思いませんけれども、ひとつ農林省は積極的に、大蔵省とも相談をされて、これらの問題と十分取り組んで、そして、どうしてもいかぬければ関税表を訂正することもいいでしょう、あるいは大蔵省が言うようにそれは条約ですからなかなかむずかしいというのだったら、それなら指定乳製品にして輸入の一元化をはかったらいいと私は思う。そんなことをしたら商社は入れぬようになりますからたいへんですと言うけれども、悪いことを野放しにするよりか、そのほうが国の行政としては正しい。明らかに違法なこと、脱法行為を、それを見て見ぬふりをしておってそうしてやるよりか、一元化輸入化することのほうが、私は政府の姿勢としてはもっと正しいものである、こう思うのでありますが、まず締めくくりとして政務次官のお考えを承っておきたいと思います。積極的に取り組んでほしい。
  40. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 先ほどから、江藤先生並びに農林省大蔵省、さらにまたその関係当局からのいろいろの話のやりとりを聞いておりまして、まだこの話は十分に詰まっておらないなという感じがいたしました。これはさっそくきょう、この委員会終わりましてから、私もさらに事務当局に厳命をいたしまして、この問題点における先生の、先ほど来非常に正義感に立脚された、なかなかごりっぱな考え方をそのまま十分にいただいて、それをもとにひとつ勉強しろということを申しつけたい、こう思っております。  それからまた、さらに商社の件でありますけれども、まあこれは、いろいろの悪徳商社もたくさんおりますが、まだこの問題の原因追及の面において判明をしておらない点がたくさんございますので、その判明次第、またひとつ、これに対しても慎重に対処をしていかなければ相ならぬという感じ方であります。承りますと、一つの商社だけではなくて幾つも関係しておるということを聞いておりますし、そういう点におきましても、先ほど来先生の述べられましたその基本的な考え方に立って考えていくのが政党政治であるという感じ方でございますし、農林当局もその方向で考えたいと思います。
  41. 江藤隆美

    江藤委員 まだ煮詰まっていないというお話がいみじくもありましたが、これは、農林省大蔵省も避けて通っておったから煮詰まらないのです。実際はそういうことですから、その点を十分考慮をいただいて取り組んでほしいと思います。この問題は、あらためて、ゆっくり時間をとりましてやりたいと思います。  最後に私はお尋ねしますが、最近、ことしの春から豚肉の脱税問題、法人税法違反ということが、しばしばマスコミによって報道されてきました。たいへん不愉快であります。中には、これは制度が悪いんだ、こういって開き直った商社もあると私は聞いております。そこで、だんだんやってきておると、もう業界ぐるみだ、これはもう加工業者も商社も一体になって、みんなで一生懸命に脱税をやっておった、こういうことでありますが、農林省に私はお尋ねをいたします。脱税をやっておったとおぼしき商社、加工業者がわかっておりましたら、ひとつ名前を知らしてください。
  42. 下浦静平

    下浦説明員 豚肉の脱税事件につきましては、ただいま大蔵省関税局あるいは県警等で調査継続中でございまして、農林省といたしましても、その実態につきましていろいろお問い合わせを申し上げたところでございますけれども調査継続中とのことでもございまして、現段階では内容は明らかにすることはできないという御回答をいただいている次第でございます。
  43. 江藤隆美

    江藤委員 私は、それはおかしいと思うのです。  大蔵省お尋ねしますが、明らかにできない理由はどういうことですか。
  44. 旦弘昌

    旦説明員 御指摘の件につきましては昨年末以来調査中でございまして、現在の段階ではほぼ調査が完了しつつありますが、なお、その処分等につきましては、検察当局と関係の官庁と協議しつつございます。まだ結論を得ておりませんし、また大蔵省の内部におきましても結論を得ておりませんので、まだ公表の限りではない、かように考える次第でございます。
  45. 江藤隆美

    江藤委員 この豚肉の脱税問題について、悪いことは、海外の市況が悪いときにはそれで脱税をする、高いときはまた脱税をする、両方で脱税をしている。安いときも高いときも脱税をしている、おまけにもっと悪いことは、たとえばそういうことで豚肉でもうける。その金で牛肉を安く買ったことにする。安く買ったことにして二五%の税金を払う。そして牛肉でもうける。そして今度は、そのもうかった分を積み立てておいて、羊の肉は関税がゼロだから、今度は羊の肉を大量に入れる。こういうからくりをやる。私はもってのほかだと思っている。  豚肉を自由化するときにはいろいろ条件がありました。私は当時大蔵省に対して、この問題については徹底的に反対を唱えたものです。しかし、そういうことは心配ないようにいたします、厳重に関税は取ります、脱税等やらせぬようにいたします、もし国内の養豚業界影響があるようなときには緊急関税の適用もいたします、これが当時の大蔵省の答弁です。だから、自由化する段階においては、生産者も消費者も十分に納得のいくようにこの法の運営をいたしますというのが、当時の大蔵省の言明であります。それが一向にはっきりしない。私は、当然農林省に相談してしかるべきだと思うのです、農林省はその窓口ですから。  農林省もよろしくない。ただ一回か二回大蔵省に問い合わしたら、まだ捜査の段階だから発表ができないといったら、それでもって黙って引き下がってくる。そんなことでは農林省というのはいくじがない。何のために日本の畜産の振興をはかり、養豚の振興をはかろうとしておるのかわからない。また大蔵省も、一番くろうとであり一番事情がよくわかっておる農林省に対して、同じ政府部内でありながら一切の公表をはばかるということは何事だ、と私は言うんです。まるで大蔵省が悪徳商社やら加工業者というようなものをかばっておるんじゃないか、私はそういうふうに勘ぐるのですけれども、一体そういう事実はないのか。大蔵省は、商社や加工業者に遠慮しておるために、農林省と相談したりあるいは内容の公開をはばかる、農林省に対して伝えることをはばかったのではないかと思うのですが、いかがですか。
  46. 旦弘昌

    旦説明員 たいへんきついおしかりでございますが、大蔵省輸入商社等をかばうというようなことは一切ございません。農林省にまだその商社名等を連絡してございませんのは、何ぶんにも調査が、ほぼ終了しつつありますが、まだ調査中でございますので、必ずしも正しい情報を提供することができないというようなこともございますので、そうしております次第でございます。大蔵省といたしましては、先生御指摘がございましたように、豚肉の関税の脱税事件につきましては厳重な態度をもって調査いたしておる次第でございます。その点は御了承いただきたいと思います。
  47. 江藤隆美

    江藤委員 厳重に対処したい、こういうことであります。  関税のみか法人税の脱税の疑いもあるといわれておる。しかも、新聞ではそういう商社名はもう発表になっておる。あるいは逮捕されたものもある。強制捜査を受けたものもある。そういうことはちゃんと明らかになっておる。知らないのは農林省だけだということになる。農林省は、新聞報道を見てようやく自分の所管事項のことを知っておる、こういう情けない状態です。こんなばかな話があっていいはずはない。私は行政の姿勢を問いたい。そういうことは私は正しいこととは思わない。問題の解決に向かって厳正な態度で進もうという政府の姿勢であるとは思えない。農林省大蔵省関係各省、これは経済企画庁を含めて、検察当局を含めて、みんが衆知を集めて、今後このようなことが起こらないように、徹底的にこういうことの禍根を十分断つことができるように協議をし、あるいはまた意見の交換をし、情報の交換をするのがあたりまえだと私は思うのですが、政務次官、違いましょうか。
  48. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 だいぶいろいろとおしかりを受けているわけでありますが、先生御指摘のとおり、商社の中にも、米の買い占めの問題でも示されましたように、非常に不当な商社というものが幾つかあることは、これは否定できないという感じがいたします。それだけに、こういう脱税事件等いろいろと起こってくる問題点は十分深く究明をしていく必要がある。特に米の問題その他の問題に関連して、昨今商社が、巷間、これまことに行き過ぎではないかというような、いわゆる国民的な怒声を浴びている今日でございますだけに、慎重にこれに対処せよ——大臣も、この私、政務次官も、農林省内には徹底さして命令を出しておるのであります。それだけに先生の御指摘の点は、いかような形においてその名前が判明し得ないのか、これも、私もこの委員会後にまた探求をしてみたいと思っておるのでございますが、先生も、後ほどまた時間を改めて討論をしたい、討議をしたいということでございますから、私も、それまでには少しく詰めていただければありがたいことだ、こう思っております。
  49. 江藤隆美

    江藤委員 私は、大蔵省が何といおうとかんといおうと、農林省畜産局は、豚肉の脱税があったなどといったら、生産者、農民に対して申しわけない、どういう手口でやったんだろうか、どういう会社がやったんだろうか、どういうメーカーがやったんだろうか、それくらいのことは必死になって原因を究明することが、当然の行政府の責任だと私は思うのです。ですから申し上げる。  そこで、最後に私は申し上げます。通商産業省に対する商社の提出資料というのがここにあります。商社がいろいろ土地の買い占めをやった、米の買い占めをやった、材木の買い占めをやった、あるいはまたいろいろなことをやりました。そして株の売買までやっている商社がずいぶん多かった。そして国民の批判を浴びておることは、もう御承知のとおり。  そこで、先ほど審議官が、厳正な態度で大蔵省としては臨む、こういうことでしたから、最後に私はお尋ねしたいと思うのですが、農林省にまず、もし明らかに関税法に違反しておる業者が出てきたら、これに対して農林省はどういう姿勢で臨むか。たとえば残存自由化品目、まだありますね。牛肉やら乳製品やら何やらたくさんある。豚肉でそんないいかげんなことをするのに、牛肉の輸入なんかさせる必要はない、乳製品を取り扱わせる必要はない、あるいは米の業者として残す必要ない、私はそう思うのです。一方でごまかしをやっているのに、一方では野放しにしておるということをやっておるから、いつまでも反省の色がなくてそういうことを繰り返しやっておる。そして政府・自民党というのはいつも財界べったりだといわれて、われわれはあらぬ批判を受ける。たいへん残念なことであります。だから、そういうものがあったら、豚肉の自由化によって脱税をしている業者があったら、これから牛肉の割り当てをぴしゃっととめますか。そのくらいの覚悟はあるか、畜産局に聞いてみましょう。あるいは乳製品取り扱いを一切これからやらせない、それくらいの強い行政措置がなかったならば、いつまでたってもこういう問題は片づかないと思うのです。まず農林省にそのことをお聞きしたい。それから大蔵省に聞きます。
  50. 下浦静平

    下浦説明員 お答え申し上げます。  豚肉につきましては、これは先生御承知のとおり、もう自由化をされておりますので、関税法違反というような事実が明らかになりました場合には、それぞれの法律による処分ということになろうかと存じます。  それから牛肉につきましては、これも残存輸入制限品目として残っておるわけでございますが、一義的には、この取り扱い商社の問題は通産省の取り扱いということになっておりますけれどもども、この事件の全容が明らかになりまして、それぞれ方向が明らかになりました段階におきましては、先生おっしゃいましたようなことも含めまして、関係者と十分協議をいたしたいと存じております。
  51. 江藤隆美

    江藤委員 それじゃ最後に大蔵省に聞きます。  今度の関税法違反あるいは法人税法違反、こういうことをずいぶんとやっておる。土地買い占めもずいぶんやっておる。私は、土地の買い占めなんというものは日本の銀行がけしからぬと思う。商社が批判されたけれども、その商社に裏で金を貸して銭をもうけた銀行にあると思うのです。だからそういうことをやる。木材の買い占めをやる。米の買い占めをやってみる。銀行局長お見えですが、そういうものに対していつまでも国が財政投融資をやっておるということは、私はおかしいと思うのです。きょうはほんとうの責任者がお見えでないから、担当課長ですから即答はできないでしょうから、私は要請をいたしておきます。  世上、巷間伝えられたそういう買い占めを行なった商社、なかんずく、本日私が議論をしてまいりました豚肉の関税法違反をしたような商社——、わからなかったら私が教えてあげる。大蔵省はわからぬのだったら、私は商社名を教えてあげます。それらについて国が昭和四十七年度にいかなる財政投融資を行なっておるか、資料として一覧表を出してほしい。そのあとでこの問題は私は議論をしたいと思っておるのです。お答えをお願いいたします。
  52. 山田幹人

    山田(幹)説明員 お答えいたします。  財政投融資ということで輸銀と開銀の金が直接に問題になろうかと思いますけれども、開銀につきましては、商社に対する融資は行なってございません。輸銀につきましては、確かにかなりな融資がございますけれども、輸銀の場合には具体的なプロジェクトに対して行なわれておるわけでございまして、ただいま御指摘のような商社の買い占め資金その他の一般的な資金繰りを助けるために行なわれているわけではございません点を御了承いただきたいと思います。
  53. 江藤隆美

    江藤委員 いまの答弁はおかしい。輸銀がわざわざ札つけて、これは買い占め資金といってだれが融資しますか。しかし、資金繰りそのものを助けて、それが買い占め資金に回っているじゃないですか。そうでしょう。だから、私はきょうは議論しないと言っているんですから、資料として出してほしい。輸銀の融資に対する一覧表を出してもらいたい。できるかできないか、答えてほしい。
  54. 山田幹人

    山田(幹)説明員 手元に先生おっしゃいました四十七年度の数字がございますので、それを申し上げることで、トータルの数字でごかんべん願いたいと思います。
  55. 江藤隆美

    江藤委員 商社別に資料を出してほしいと言っておるわけです。
  56. 山田幹人

    山田(幹)説明員 その点、帰りまして相談いたします。
  57. 江藤隆美

    江藤委員 相談しなければ答えができませんか。
  58. 山田幹人

    山田(幹)説明員 私、新任でございまして、いままでのルール等をよく存じませんものですから……。
  59. 江藤隆美

    江藤委員 それでは委員長にお願いをいたしておきます。これは課長に言いましても、新任だという御本人の御意見がありますので実は無理だろうと思いますから、委員長を通じて、ぜひそのように資料の取り計らいを願いたい、こう思います。
  60. 山中吾郎

    山中委員長 江藤委員の資料要求については、委員長において善処いたします。
  61. 江藤隆美

    江藤委員 これで終わります。ありがとうございました。
  62. 山中吾郎

    山中委員長 次に、渡辺三郎君。
  63. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 私は、去る七月五日の本委員会において、アメリカがとった農産物の緊急輸入規制の問題について質問したわけであります。そのとき最後に、食肉輸入の問題について農林省にその現状、それから実態、あるいは今後の政府の方針をただしたのでありますが、その際、今年度の上半期における牛肉の緊急輸入七万トンの問題などとも関連をいたしまして、これまで長い間懸案事項となっておりました中国食肉輸入解禁にかかわる事項について質問をいたしました。当日は、時間の関係もありましたから、ほとんど十分な質問もできませんでしたし、また十分な答弁も得られませんでした。したがって、この問題については一応留保をして、再質問の態度を表明しながら当日の質問は終わったわけであります。この問題を少し詰めたい、こういうことできようは畜産局長にぜひ御出席を願いたい、こういう要求を出しておったわけでありますが、来ていますか。——それではお伺いをいたします。  前回は、口蹄疫の問題に関する政府、農林省のその後の見解を伺って、きわめて短時間、これに対する答弁をもらったわけでありますけれども、そのときも疑問に感じましたし、それからまた、当日の答弁を基礎にしまして、その後ややこまかく吟味をし検討をしてみましたが、ますます納得できない幾つかの点が出てまいりました。したがって、きょうはこの問題にしぼって質問を申し上げ、政府、農林省のしっかりした方針や決意をお聞きをしたい、こう思うわけであります。  そこで、まず最初に、先日の答弁にありました口蹄疫にかかわるわが国の中国食肉に対する疑問点、前回はおおよそ四つに分けて答弁があったわけでありますけれども、これについて、先日中国を訪問されました農林省調査団が、中国側にその解明を明確に求めたというのは間違いない事実であるかどうか、この点を最初にお伺いをいたします。
  64. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  中国からの食肉輸入の前提でございます口蹄疫問題は、これは家畜衛生の純技術的、学術的問題であるというふうにわれわれも判断しておりまして、その結論のすみやかなることを求めまして各般の努力をしてきたつもりでございますが、御案内のとおり、国交も正常化いたしまして、昨年十一月、各省事務レベルの使節団、農林省ももちろん入っておりますが、中国を訪問いたしまして、一般的な交流をしたわけでございますが、さらに中国からの受け入れの意向もございましたので、先般、農林省の官房技術審議官を長といたしまして、関係各局の専門担当官あるいは専門課長レベルのものを編成いたしまして参ったわけでございます。  今回の中国との技術交流は第一回のことでもございますので、一般的な問題が中心になろうということでございますが、先生御指摘の口蹄疫問題につきましては、かねがねの懸案でございますので、機会が得られれば、われわれが専門技術的にどういう点で疑問を持っておるかという点について、専門的な立場からわれわれが知りたい点と申しますか、あるいは知りたい情報と申しますか、そういう点につきまして明らかにする必要があるということで、先生御案内と思いますけれども、その関係の専門家をチームといたしまして派遣したわけでございます。  会談は、比較的一般論に大半がさかれたようでございます。したがって、両国の技術のレベルその他についての一般的な交流が主体でございまして、家畜衛生なりあるいは畜産部門についての専門的な討議をする時間は、事実非常に限られたようでございますが、その際におきましても、かつて正常化以前の時代におきましてへ民間交流等を通しまして間接的にいろいろ申してございました、われわれの、中国における口蹄疫撲滅についての専門的な知りたい問題点については、先方に対して説明を行なったわけでございます。それに対しては、先方といたしましては、今回この問題にしぼって議論をするという性格ではなかった点もあるかと思いますが、一応その話を向こうが十分聞き取ったというのがありのままの結果でございまして、口蹄疫問題解決のためのわれわれの家畜衛生上持っております疑問点等が、政府の事務レベルで正式にはっきり伝えられたというふうに、われわれは承知しております。
  65. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 わかりました。  この問題が、いわゆる純学術的といいますか、技術的な問題であるという認識、まあこれは当然だと思いますし、私もそうあるべきだと思います。そういうことを前提にしてお伺いをしておるわけでありますけれども、前回は、これは下浦議官のほうから御答弁をいただいたわけであります。でありますから、そういう関係もあって、いまの局長の答弁よりは、この口蹄疫問題にしぼってみますと、やや具体的なお話があったわけです。それを私、四項目控えさしていただいておるわけでありますけれども、この四項目については、日本側として、どうしてもこれが解明しなければいわゆる解禁の措置というものはとれない、こういうふうな前提でもって、この四項目について中国側の明快な見解表明を求める、こういう立場をとったのかどうか、その点を中心にして前回はお伺いをしたつもりなんです。初めは、これに対して中国側は回答をします、こういう約束をいただきましたという答弁だったんですが、私、重ねて質問をしますと、こちら側がそれらについての明快な見解の表明といいますか回答を期待をする、こういうふうに答弁が変わっていったのであります。おそらく後者の言い分が実態をあらわしているんじゃないか、こういうふうに私は当日は思ったわけなんでありますけれども、いま局長の答弁によりますと、非常に一般的な、お互いの交流、話し合いという形でやられた、こういうふうに受け取れるわけです。  そうしますと、これは、口蹄疫の問題について四点について明確に、たとえば文書で中国側の見解表明といいますか回答を求めた、こういうふうな形ではないのかどうか。ただ、かねがね疑問に思っておった点を、交流という立場で日本のほうから向こうに意見を出した、こういうふうなことにとどまるのかどうか、この点ひとつ重ねてお伺いをしたいと思います。
  66. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  今度の技術使節団の先方との会談、性格がただいま申し上げましたように、一般的な技術の交流を今後どうするかという話が主題であったわけでございます。しかしながら、われわれのほうとしては、機会をとらえまして、かねがねの懸案でございます口蹄疫問題の専門技術的な問題を一歩でも二歩でも進める必要があるということで、当方の家畜衛生の専門官が、かつて覚書事務所その他を通じて間接的に向こうに伝えられたと思うわれわれの口蹄疫についての最終判断に必要な、何と申しますか、情報とかデータとかというものについては、こちらから説明をしたわけでございます。この点は間違いございません。
  67. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 それで、この農林省調査団の中には、動物検疫所の所長の三毛さんも行っておられる。ですから、きわめて専門的にこの話は詰められたと思うわけですね。その際に、この日本側の問題提起に対する中国側の態度がどういう態度だったのかということが第一点と、それからもう一つは、これは時間があれば少し申し上げますけれども、今回を除いてこの口蹄疫の問題については、すでに三回わが国から中国に行って、そのつど事情調査をしてきでおるわけですね。したがって、その中でもし問題点が残っておるとすれば、きわめてしぼられていると思うのです。ですから、今回の農林省の訪中団が、かりに口蹄疫問題についてまだ疑問が残っておったとするならば、その疑問を具体的に今度の訪中の中で解明をし、あるいは解決するものは解決をする、こういうふうな態度をおとりになったのかどうか、あるいはそういうことが全然なかったのかどうか、この点を第二点としてお伺いをします。
  68. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  繰り返して申し上げますけれども、専門技術的な四点と先生おっしゃいましたが、その点については当方の家畜衛生の専門家、先生もいま名前をあげました横浜動物検疫所長、これは中央の検疫所長でございますが、これが、日本の家畜衛生上専門的な疑問点と称する問題につきまして、この点についての疑問の解明なり情報の交換なり、あるいはこの問題について専門的に話し合う技術者の交流の用意があるということを先方に伝えたわけでございます。これに対しまして、向こうとしては適当な機会を見て今後検討したいという回答があったわけでございます。先般私どもの審議官が申し上げました、期待するというのも、そういう先方の本問題についての具体的な取り進め方がいずれ行なわれるのではないかというふうに判断して御答弁申し上げたものというふうに考えるわけでございます。
  69. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 いま国交も回復しましたし、この問題については早晩解決をするものというふうに私も思います。思いますけれども、現段階で考えますときに、少なくとも政府の見解は昭和四十一年以降、これまで七年経過をしておるわけですけれども、基本的にはまだ一歩も変わっておりません。それからまた、この問題を解決するための具体的な措置、これもまだ具体的にはとられてきておらない、こういうふうに私は考えるわけですけれども、その点いかがですか。
  70. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  くどいようでございますけれども、まさにこの問題が今回も、清浄国としての日本が偶蹄類について十分な、何と申しますか、口蹄疫から十分に守り得ると申しますか、心配がないというふうな判断をするためには、中国の口蹄疫についての専門的な事項について判断をいたしたい、もうその数点にしぼられているわけでございまして、それについて従来われわれも、情報なりデータが必ずしも十分ではない。その点についてわれわれは十分に知りたいということでございますし、また口蹄疫等の問題につきまして、それぞれの国で家畜衛生についての考え方の相違等があってはいけないので、日本における家畜衛生の現在のレベルなり、どこを問題としておるかというような点についての説明を、昨年の正常化以来、機会があるたびにやっておるわけでございます。そういう意味では、実は民間使節団の家畜衛生の調査なり畜産市場の調査というものの過去の積み上げを踏まえた上で、国として専門技術的な判断をなし得る問題にしぼってその解明につとめておるというのが現段階でございます。われわれといたしましては、今後も機会があるごとにその点の解明、これは具体的には、申すまでもなく専門技術者のお互いの交流等、あるいはこちらも先方さえ許せば専門技術者を派遣するなり、あるいは先方からも家畜衛生の専門家に来ていただいて、情報の交換なり問題点の解明ということをなすべきだというふうに考えておるわけでございます。  まあ、おことばを返すようでございますけれども、過去の三回の民間使節団の調査等も踏んまえた上で最終的な問題がしぼられておるというふうに御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  71. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 いまの局長の答弁を聞いておりますと、それだけを聞いておりますと非常に筋道も立った、そのとおりのように聞こえますけれども、過去における三回の使節団といいますか調査団といいますか、そうした方々の調査の結果も踏まえて、今度は政府が責任を持って、いわゆる政府レベルの技術交流をやって最終的に詰めたい、こういうふうにおっしゃっていますけれども、私は四十一年以降というふうに申し上げましたが、もうすでに七年前の段階で政府が言っておられました幾つかの点、それがやはり同じような形で疑問点としていま出されているわけです。これは七月五日の答弁にもし誤りがなければ、同じような内容のものが依然として出されておるという状態ではないか、このように私は思うのです。  これは農林省当局十分に知っておられて、もう何回も検討されたと思いますけれども、第一回は昭和三十一年の十月から約六十日間、しかも民間使節とは言いながら、日本生物化学研究所の学術部長の高松博士が行っておられて、そうしてその報告書も、正式に昭和三十二年の四月に農林省に提出されていますね。それからさらに第二回のときには、やはり中国の家畜防疫衛生状況の視察というかっこうでの中国訪問が四十年の八月に、これは日中食肉協議会会長という資格ではありますけれども、大石武一さんが団長で行っておるわけです。しかも団員としては麻布獣医大の教授をしておられる入江さん、さらにまた東大の助教授の石田さん、こういう方々が一緒に、この問題の技術的な究明のために向こうに行っておられる。この二回とも、先ほど申し上げましたように報告書が出ておるわけです。さらに第三回目は、これは議事録にもそれをめぐっての質疑応答が、何年か前に国会で行なわれておるわけですが、畜産振興事業団の副理事長の田中良男さんが訪中をしておられる。この田中さんは元農林省畜産局衛課長をやっておられたわけです。もちろん資格は政府代表団というかっこうではありませんけれども、相当の権威のある人が、当時国交回復しておりませんからこういう形をとらざるを得なかったと思いますけれども、相当綿密な調査をして、これもまた、文書でもって報告が出ております。  報告書の写しを私ここに持ってきておりますけれども、この中にはこういうふうに書いてあります。「中国の家畜防疫衛生管理に関する技術水準は極めて高く、且つ獣疫の予防体制も良好であり、完璧な防疫措置がとられている。わずか十数年の短期間に、各種の家畜、家禽の伝染病を撲滅し、或は制圧し得たのは、一にかかって極めて単純なしかも基礎的な防疫の原則を、忠実に実行した結果に外ならないと判断される。」云々、こういうふうに出ておるわけです。  私はなぜこういうことをいま、七年前というふうなことで申し上げたかといいますと、農林大臣がかわったりあるいは局長がおかわりになると、そのつどこの問題に対する見解が少しずつ変わったり、もとに戻ったり、こういうふうな状況を繰り返しておったんでは、国交が回復した今日でありますから事情は急速に変わるかもしれませんけれども、やはり長い間同じところで低迷してきたんじゃないかと思うんですね。前回の質問の際にも私、申し上げたのですが、これは局長からぜひきょうは明確に答弁をいただきたいと思うのですけれども、これは昭和四十一年五月二十六日の参議院の農林水産委員会の議事録の写しであります。この中で、当時の檜垣局長が明確に述べておるわけですが、「今日までの調査の結果から私の判断いたしますところでは、これ以上調査すべき問題は残っていないというふうに考えておりますので、正式に田中副理事長の報告書が出ましたならば、この問題の前向きの解決をはかりたいという気持ちでございますので、理由を明らかにいたしました上で上司の裁断を仰ぎたいというふうに考えております。」こういうふうに、国会の正式な答弁の中で言っておるわけですね。すでに問題は残っておらない、調査すべきことは全部調査したのだ、明らかにそういう趣旨にとれる答弁が行なわれている。でありますから、こういう点については、やはり同じ問題で長い間堂々めぐりをしてきたというような印象は、どうしてもぬぐえないわけですよ。したがって、その点、今日の段階における局長の明確な御答弁をひとついただきたいと思います。
  72. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  事柄の経緯を踏んまえました御質疑なり御疑問でございまして、その点についてはわれわれも、経緯については十分承知しておるつもりでございます。三回の民間使節団の中国訪問調査、特に第三回目の報告というものによりまして、われわれは、中国におきます家畜衛生の状態が急速に改善されておるということについての心証は得ておるわけでございます。  その報告の積み上げでございますが、ただいま先生御指摘の四十一年第三回の民間使節団が帰国したあと、いよいよ専門技術的に、中国の口蹄疫問題についてのシンポジウムが行なわれたわけでございます。これはたしか十月だったと思いますが、全国のウイルスの専門家その他の専門技術者のシンポジウムが行なわれたわけでございます。そこにおきまして、やはり今日四項目とか五項目とかいわれている問題、先生も御案内で、あらためて申し上げるまでもございませんが、口蹄疫ウイルス撲滅の確認、血清学的なあるいはウイルス学的な問題、あるいは口蹄疫の診断方法なり、いかなるワクチンを——生ワクを使用しておるか、不活化ワクチンを使用しておるかということによる違いの問題、あるいは香港は先生御案内のとおり口蹄疫の常在国でございますから、それとの遮断方法はどうなっておるか等の点につきまして、シンポジウムで種々、これには先生お話しの家畜衛生の専門家でございます田中良男氏も参加して議論が行なわれた結果、清浄国としての日本の家畜衛生の立場からは、この点についての専門的な情報の収集と最終的判断が専門的立場からも責任があるということがございまして、その結果今日に至っておる、そういう問題として残されておりますので、先生もお話の国交の正常化した今日でございますから、あらゆる機会をとらえてこの問題の解明につとめていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  73. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 ちょっともう一つ別な角度からお伺いをしておきたいのですが、農林省の家畜衛生試験場、それから農林省畜産局衛生課で監修をしております日本獣医師会発行の「口蹄疫」という本がございます。これは昭和四十年の八月二十五日付で出されておるわけです。  この本によりますと、世界における口蹄疫の流行の状況が記載されております。もっとも、これは一九五九年から六四年の六年間あたりを対象にして、世界の各地でどういう流行があったか、こういうふうな状況が詳細書かれてあるわけですけれども、     〔委員長退席、松浦(利)委員長代理着席〕 直接いま中国の問題を出しておるわけですから、それに関連をして考えてみますと、アジア大陸の地域としては、近東、それから北部及び中央アジア地方、あるいは南アジア地方、東南アジア地方、極東地方、こういうふうに地域を分類しながら口蹄疫の流行の状況を報じております。  もちろん、これには中国は載っておりません。これは国際獣疫事務局に加盟をしておらなかった、こういうような事情もあろうかと思います。しかし、これは、加盟をしておらなかったということをここで申し上げようとは思いませんけれども、中国をめぐるいろいろな事情がございましたから、加盟が事実上できなかった、あるいは中国自体としては加盟しようとする手続をとらなかった、こういうことも事実でありますが、このことのよしあしは別であります。  それからさらに、先ほど申し上げました第五十六回国会の衆議院の農水で、四十二年八月一日岡田局長が答弁しておりますけれども、「オフィシャルな伝染病の情報というものが入ってこない」——中国に関してはそういう点を何か一つ、疑問の点として出しておるようでありますけれども、私どもその後調べた結果では、農林省畜産局には「中国家畜伝染病発生月報」というのが来ておるはずでございます。これはLT事務所を通じて来ておるのかもしれませんが、来ております。ですから、中国側で発行した月報を信用するかしないかは別として、そういう月報はやはり入手できておる、こういうふうに判断するわけでありますけれども、これらをずっと総合してみますと、一九六二年以降中国で口蹄疫が発生したという事実はない、このように今日の段階では少なくとも断定できるのではないか、こういうふうに私は思うわけであります。  ところが、先ほど申し上げましたこの本の中で、たとえばヨーロッパ大陸西部地方では、フランスにおいては一九六四年の発生が五十六カ所、こういうふうになっております。それから南アメリカの地域ではアルゼンチン共和国流行、これがこの報告書の中に出ておるわけでありますけれども、このフランスとアルゼンチン——ほかに流行しておる地域は一ぱいあるわけですけれども、ここから日本は肉を輸入しておるのじゃありませんか。あるいは牛を輸入しておるのじゃありませんか。この点はどうなんですか。
  74. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 後段の事実について申し上げますが、アルゼンチン等については煮沸肉等の輸入のみ認めておりまして、その他は認めておらない。それからフランスにおきましても、生畜については家畜衛生的な輸出検査なり輸入検疫等が十分行なわれますので、これは認めております。中国も同様扱っておりますが、なま肉等については認めておらないというのが事実でございます。  それから第一点の、中国の家畜衛生関係の年報等につきましては、これは民間交流の一環でお持ち帰り願ったものをいただいておるのは事実でございます。ただ、これも、専門家も参っておりますので、時間が許せば御説明申し上げさしていただいたほうがいいのかもしれませんけれども、発生をしないという意味が、患畜があるかどうかということで、ウイルス的に絶滅されているのかどうかということで、いろいろ専門的な問題がございまして、私どもは神経質になるわけじゃございませんが、清浄国としての日本におきましてはその点の究明を十分にする必要があるということで、先ほどからるる申し上げましたような問題点を明らかにするように努力をしておる事情にあるわけでございます。
  75. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 いま御答弁のありましたアルゼンチンの煮沸肉の問題ですが、これはやはり同じ「口蹄疫」という本に書いてある煮沸のしかた、これは農林省が監修をして責任を持っておる本でありますから、この煮沸のしかたどおりの煮沸のしかたをしておらない、こういうふうに私は思うわけです。この本には八十五度で四時間たっても伝染力を持っているというふうに書かれているわけですけれども、アルゼンチンの煮沸についてはいわゆる七十度一分間でよいという煮沸規定にして肉を入れているのではないか、こういうふうに私は思うのですが、その点間違いありますか。
  76. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 専門技術的なことでございますので、畜産局衛生課長から答弁をお許し願いたいと思います。
  77. 信藤謙蔵

    信藤説明員 御説明申し上げます。  アルゼンチンその他の汚染国から肉を輸入いたします場合には、沸騰水の中に肉をほうり込みまして、その肉が中心温度が七十度一分間に達したときに、これをうちの輸入の基準にいたしておるわけでございます。先生がいま御指摘のものは、口蹄疫の肉ではございませんで、口蹄疫のウイルスが最も増殖をいたします牛の舌の上皮部につきまして、八十五度という高温槽に入れましてそれの死滅を見たわけでございまして、食因の場合と全く相手が違うわけでございますので、その点を御了解いただきたいと思います。
  78. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 それから先ほど申しました、局長からちょっと答弁がありましたが、フランスのシャロレー牛の場合、あるいはちょっと私、聞き漏らした点がありますけれども、どういうことですか、これは。
  79. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  中国との家畜の輸入等との関連で申し上げますと、生畜につきましては、輸出国と申しますか送り出し先国の輸出検査が行なわれる。また、その生畜については家畜衛生上の検査が容易であるということと、それから動物検疫も国内輸入検疫につきましても、従来の例を見ても必要な検疫ということで行なっておるわけでございまして、実は中国につきましても、生畜につきましては四十六年にこの輸入の解禁を行なっておって、フランスの場合と全く同様でございます。フランスからは肉用牛としてのシャロレー等も輸入しておりますが、中国につきましては、全く同一条件で生畜については輸入の解禁を行なっておるということを申し上げたわけでございます。
  80. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 それから、前回の答弁の中で、との国境検疫の問題が出されておったように思います。この場合、中国のいまの食肉あるいは口蹄疫の心配、こういうふうなものに関連して、農林省が言われた国境というのはどこをさして言っておられますか。
  81. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  香港等におきましては口蹄疫の常在地帯というか常襲発生地帯でございます。それとの関係で、中国側におきましてはその境界線における防疫をどういうふうに行なっておるか、あるいは外蒙古その他大陸でございまして、それらについていろいろ過去においての口蹄疫の発生があるということが、国際獣疫事務所等の年報にも出ておる。したがって、それらの広範な国境部における防疫措置についても清浄化の確保の御努力を、中国がなさっております清浄化の程度についての判断を得るためにはわれわれとしても知りたいということで、われわれが承知いたしたい事項の一つとしてあげておるわけでございます。
  82. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 いわゆる香港との境界といいますか、これは比較的容易に実地踏査もできると思うのですよ、やれば。ただしかし、いまおっしゃいましたように、このアジア大陸地域というふうな形でも、北部とかそれから中央アジア地方、たとえば外蒙古であるとかあるいはソビエト連邦、こういった広大な地域においてどのような防疫体制がつくられておるかという点になりますと、これはもう広大な地域でありますから、日本の技術団が実地に踏査をしてくまなく点検をするというのは、事実上私はむずかしいんじゃないかと思うのです。とりわけ、いま局長も言われましたように、北部及び中央アジア地方では、ソビエト連邦の中のアジア地域で、散発的に小さな流行でありますけれども、事実、見られます。そういう点では、十分な日本側の確認というものは必要であろうかと思いますけれども、いま言ったような地域的な事情もあるわけですから、中国側でどのような形で防疫体制が行なわれておるか、こういう点を正式に聞く以外に私は方法はないと思うのです。このことはさしてむずかしい問題ではないのじゃないかと思う、向こう側との交流の中では。だから、こういう問題については一つ一つ、これまでの期間にも相手方との交流の中で確かめ得る問題ではなかったか、こういうふうに私は思うのです。日本の技術者が直接、外蒙古であるとかあるいはまたソビエトの境界線であるとか、そういったところまで行かなければ確認できないなんということではないと私は思うのですよ。その点はどういう方法を考えておられますか。
  83. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  国境における口蹄疫侵入の防遏の措置等につきましては、われわれといたしましても、先生が御指摘のように、あらゆる現地について実地確認というようなことを申しておるわけではないわけでございまして、いかなる体制でその国境周辺の他国に口蹄疫が発生した場合の防疫措置をとっているか、過去における事例とその場合における防疫体制の措置というようなものについて、十分なデータなり説明をわれわれとしていただければ、それについての一つの結論が出るわけでございます。したがいまして、おことばを返すようでございますが、今度の訪中使節団の際にも、この項目についてのデータなりわれわれにお教え願いたい、われわれもこれを知りたいのだということを一項目としてあげておるわけでございます。
  84. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 まだ若干質問はありますけれども、それはあとに回しまして、政務次官が何かはかの委員会へ出られるそうでありますから、次官にこの際一つだけ御質問させていただきたいと思います。  まだ不十分でありまして、十分に議論を詰めておりませんけれども、この問題については相当長い期間にわたるいわば懸案事項であります。しかも、いままで民間とは言いながら、現地をこの問題で視察をされ検討された権威者の方々が、もう防疫措置についてはほとんど万全だ、こういうふうなことを、相次いで報告書を正式に出しておるわけです。農林省も、ほんとうの気持ちはそこまでいっているのじゃないかというふうに私は思います。そういうふうな段階で、何か聞くところによりますと、農林大臣はこの秋、中国をぜひ訪問したい、こういうふうに考えておられるそうでありますけれども農林省といいますか、政府として、この問題について早急に前向きの結論を出す、こういうふうなお考えを固めておられるのかどうか、この点ひとつ政務次官のほうから最後にお聞きしたいと思います。
  85. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 この中国の口蹄疫問題というのはなかなか長い間尾を引いておったことは、先生の御指摘のとおりでございます。何せ昨年までは、日本と中国との間に正常な国交がなかったわけでございますから、それまでの資料そのものはいろいろ不手ぎわもあろうかと思うのです。現在、現実に国交回復後、しからば十分なるデータが得られておるかということになりますると、これまた、まだまだ議論があるのでございます。私も、これは非常に関心を持っておりまして、何回となく事務当局にもこまかいことを問い合わしているのでありますけれども、先生もただいままで、いろいろと御資料を出されまして参考にされておりますけれども、現実には、まだ中国の内部において的確なるデータをとる、的確なる判断の材料というものとしての十分なる資料というものが持ち得ておらないというのが実情でございます。  したがいまして、これは石油たん白の問題一つとらえてみましても、疑わしきは罰するんだというようなところから、石油たん白の問題等も、与野党問わず、問われている段階なのでございまして、少しでも疑念が残るというものを万が一にも輸入して、万が一にも一つのアクシデントが起こったということになりますとたいへんな問題になるということから、慎重に審議をして前向きに片づけていけというのは、私ども至上命令として出しているわけでございまして、決してこれを逡巡したりなにかしているというような段階なのではございません。  したがいまして、先生の御意図は十分わかりますし、これまた食糧事情の上に立ちましても、当然小麦、米あるいはその他の穀物以上に、二〇〇 ○年代を迎えていく世界情勢の中における日本の食糧危機は、いわゆる畜産問題が一番重点なのでございますから、この問題点を十分に私どもは把握をして、把握をしただけでそこにとどまることなく、前向きの姿勢で片づけていけということは指示しているということだけは、御了察を願いたいと思うわけでございます。そういう意味におきまして、先生の御意見は十分に参考にさせていただくことを、ここに報告申し上げたいと思います。
  86. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 時間が参りましたし、この問題、さらにこまかくやりとりをするというわけにもまいりませんし、また、同僚の金子議員のほうから、この問題に関連をして若干の質問の要望も来ておりますから、私は打ち切りたいと思いますけれども、いま政務次官が最後に言われましたけれども、私も冒頭お断わりを申し上げましたように、この問題はきわめて学術的あるいは技術的な、しかも日本人の健康にかかわる問題でありますから、そういう点ではもちろん慎重を期してやらなければならぬということは百も承知の上に質問をしておるわけですが、しかし、少なくともいままで長い間の経過をずっと——私、もちろん、そういうウイルスの問題とかなんとかについてはしろうとであります。しかし、ずっとすなおに、政府との国会におけるやりとりやあるいは事実の経過を見てまいりますと、もはやこの段階では当然早急に、もし残っておる、出すべき結論があるならば出して、踏み切らなければいかぬ、こういう時期に来ているのだ、こういうふうに思うわけです。しかも、最後に次官も言われましたように、食糧の全体的な事情や物価の問題との関連もございます。そういうふうな段階であるだけに、農林省としては明確に詰めるべき点は詰めて、早急に結論を出さなければならぬのじゃないか、こういうふうに思っておるわけでありますので、これ以上こまかい点の質問はきょうはいたしませんけれども、ひとつ最後に局長から、もう一回その点を御答弁いただきたいと思います。
  87. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 先ほどの政務次官の御答弁に尽きておるわけでございますが、われわれといたしましては、これはもう当然のことでございますが、七百万頭の豚の飼養農家なりあるいは三百万頭以上の肉用牛なり乳牛飼養農家に対して、専門技術的に心配ないという判断を承知していただいた上で前向きの各種の措置を進めていくという立場からも、いたずらに専門技術的な中に隠れて問題を遷延するつもりはないわけでございまして、中国側におきましても、われわれのこの立場というものを十分理解していただきまして、結論がすみやかに出るような情報なりデータの相互の交換ということに協力していただくことを願っておるわけでございまして、われわれといたしましても、一日も早く結論が出ることを望みながら事を進めていきたいというふうに考えております。
  88. 渡辺三郎

    ○渡辺(三)委員 終わりますけれども、これは中国側がデータの提出を拒んでいるというふうなところに本質があるのではなくて、日本政府のいままでとってきた対中国政策あるいは社会主義圏に対するいろいろな考え方、こういうふうなものが、何と言いわけをしてみても、長い間ネックになっていたことは否定できない面がある、こういうように私は思うのです。それだけにひとつ農林省としても、こういう時世でありますから検討を早めていただいて、そして明快な結論を早急に出していただくことを重ねて要望して、私のきょうの質問を終わることにいたします。
  89. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員長代理 この際、関連質問の申し出がありますから、これを許します。金子みつ君。
  90. 金子みつ

    ○金子(み)委員 ただいま食肉の問題が出ていたのですが、私は、同じ食肉の関係ですが、きょうは経企庁の方おいでになっていらっしゃるでしょうか。——食肉の問題とそれから物価の関係で、一、二お尋ねしたいと思います。  いまから二日前の十七日の新聞に出ておりましたので、たぶんごらんになっていらっしゃるだろうと思うのでございますけれども、神戸の港にたくさんの輸入食品が積み上げられているという事実でございます。これはコンテナだけで一週間しかそこに置くことができないはずのところを一カ月以上も積んであることや、それからコンテナだけではなくて——倉庫はもちろんのこと入り切れないから、コンテナをそのまま表に積んであるわけですけれども、はしけも荷物を満載したままになっているわけです。  中に入っているものは何かといいますと、それはいろいろのものがあるようであります。たとえば綿花でありますとかそういった品物もございますけれども、私は特にお尋ねしたいと思っておりますことは、冷凍倉庫及び冷凍コンテナ、これが肉を入れているわけですね。肉が冷凍されています。それから魚も入っておるようでございますけれども、これらはもう一週間も二週間もそのまま積み上げられておりますので、一部腐敗し始めている。そして、バッテリーをそばに持ってきて、一生懸命になって電力を送って冷凍コンテナを冷やしているということなんですけれども、それでもやはり一部腐敗が出てくるということでございます。その場合に、ある商社の人たちの言うのには、少々くらい肉が腐っても、値上がりを待って売れば決して損はしない、値上がりを待って売ればいいんだから、それはかまわないのだ、それでも損にはならないということを平気で言っておるということですが、これはいかがでございますか、大手商社のやり方だと思いますが、値上がりを待っている、いわゆる買い急ぎとかあるいは買い占めという問題にはならないのでしょうか、私はそれが非常に大きな意味が含まれておると思うのですが、いかがお考えでいらっしゃいましょうか。
  91. 下浦静平

    下浦説明員 お答え申し上げます。  食肉類の神戸埠頭におきます滞貨と申しますか、その問題についてのお尋ねでございますが、これは本年の上半期はかなりの量の牛肉を輸入しようということで、七万トンの大量な外貨割り当てを実はやったわけでございます。それからさらに、先ほども御質問に出ましたけれども、豚肉につきましての関税減免措置、これを三月の三日から実はとっておるわけでございます。したがいまして、かなりの量の食肉類が輸入されつつあるということは事実でございまして、私どもも、港湾におきます冷蔵庫の新設状況等もにらみまして、そういったような措置をとったわけでございますが、基本的には冷蔵庫の建設自身が、この春のセメント不足等もございまして非常におくれたということがございまして、相当な混雑を見たことは事実でございます。ただ、腐敗をしたというような事実は、まだ私ども聞いておりません。  そこで、実は六月の半ばごろから関係各省の間で、倉庫につきましては運輸省が所管でございますので、運輸省、通産省、大蔵省等とも御相談をいたしまして、コンテナのままでの通関と申しますか、動物検疫なり食品衛生上の問題の処理、こういうことをやろう。それから一定期間だけ冷蔵庫に入れます、その後は出しますというような確約のあるものにつきましては優先的に通関をしようというような、実はいろいろな対策をつくりまして、それを実施に移したわけでございます。たしか六月の下旬であったかと思いますけれども、実施に移したわけでございまして、その結果といたしまして、それ以降はかなり荷がはけてきたというぐあいにども聞いておる次第でございます。  なお依然として、御指摘のように神戸港においてそういうような実態があるということでございますれば、私ども、早急に調査をいたしました上で、いろいろスムーズに流れますよう措置をいたしたいと考えております。
  92. 金子みつ

    ○金子(み)委員 冷凍牛肉を積み込んだソ連の船なんかは五月の末に神戸に入っているのですね。ところが、十七日に至ってやっとそれを五分の一だけを積みおろすことができたというような状態になっているようなんですが、こういうのは、いま御答弁がございましたけれども、私は非常に危険だと思うのです。ですから、こういうものをできるだけ早く措置していただいて、こういうことが国民に危険のないようにしていただきたいと思うわけでございます。  それから、それに関連してなんですけれども、経企庁の方に伺いたいのは、先般この委員会で法律ができました。生活関連物資の買占め売惜しみに対する緊急措置に関する法律、できましたね。あの法律の中で価格調査官というものがきめられまして、そして新聞報道によりますと、法律は即日施行でございましたけれども価格調査官はすでに百六十八名任命済みというふうに私どもは伺っております。ですから、価格調査官が活躍をする時期が来ているはずだと思うのですが、こういう場合には価格調査官は活動しないのでございましょうか。これをひとつ教えていただきたいと思うのでございます。
  93. 小島英敏

    ○小島政府委員 法律の施行に伴いまして、先日品目の指定をいたしたわけでございます。それが十四品目指定されておりまして、これについては価格調査官を中心に現在調査を開始したわけでございます。牛肉の場合は買占め売惜しみ法に基づく指定ということになっておりませんので、もし将来牛肉のようなものにつきましても、そのために非常に値上がりしているというようなことになりますれば、指定をする可能性はもちろんあるわけでございますけれども、現在十四品目の中に入っておりませんから、現段階で牛肉についてそういう法律に基づく調査をするということにはならないわけでございます。
  94. 金子みつ

    ○金子(み)委員 その件はわかりましたが、牛肉にしても豚肉にしても、現在こういうことが起こっておりますね。お魚に水銀やPCBの汚染ということが非常に問題になっておりますので、それをしおに、これを機会に肉類に対して非常に売り惜しみをしているという様子が見えているわけですね。こういうようなことがございますから——いま御説明のように、対象指定品目になっていないということでございます。指定品目でなければできないということなんだと思いますけれども、別の方法で、あるいは指定品目を追加するというようなことにでもして、そして牛肉あるいは豚肉の問題肉類の問題についても同じように調査官が査察していただくようにするほうが、国民の安全のためにいいのではないかと私は思いますが、そういうことを考えてみていただくことはできないでしょうか。
  95. 下浦静平

    下浦説明員 肉類につきましては、まず第一にこれは生鮮食料品であるということでございまして、かつ、それも動物性のたん白質でございますので、非常に変質しやすいことがございます。     〔松浦(利)委員長代理退席、委員長着席〕  それから牛肉でございますが、これは昭和四十六年以来、当委員会でもいろいろ御指摘もございました点でございまして、その結果、最近ではその大部分を畜産振興事業団が買うという体制になっております。したがいまして、この政府関係機関たる畜産振興事業団の買い入れということになっておりますので、買い占めとはなかなかなじみにくいという面がございます。  それから豚因につきましては、輸入品はほとんど加工用でございまして、冷凍の形で入ってくるものが大部分でございます。加工用ということで実需者に直に結びついておるものでございますので、これもなかなか買い占め売り惜しみということにはなじみにくいのではないかと私どもは考えておりますが、なお今後、御指摘のような事態が起り得るというようなことがあります場合には、経済企画庁のほうとも十分御相談をいたしたいと存じております。
  96. 金子みつ

    ○金子(み)委員 どうも両方のお役所で、どちらの責任でもないみたいに御答弁いただいて、たいへん残念なんですけれども、私は非常に問題は大きいと思います。穀類だって野菜だって同じように問題はあると思いますけれども、いま局長おっしゃいましたように、肉類は非常に腐敗しやすいし、その腐敗の結果人間の健康に及ぼす影響というのは、穀類や野菜とは全然違った性格を持っておりますから、非常に危険だと思います。そういう意味合いにおきまして、どういうふうな形で進めていただくのがいいのかということは、私のほうで申し上げることではないと思いますけれども、この肉をどっちからも放してしまう、谷間に落としてしまわないで、ぜひ急いでやっていただきたい。いまお魚に対する危機感がございますので、どうしても肉類へ手を出すわけです。その肉類へ手を出すその消費者に対して、業者たちは非常に売り惜しみをしているし、値段を引き上げております。時間がございませんから一々値段を申し上げませんけれども、非常に値上がりがしております。そういうようにして品不足を人為的につくっているという問題がございますから、やはりこれは売り惜しみやあるいは買い占めの考え方と、それからいまの農林省の考え方とあわせて、何かいい方法をぜひ考え出していただきたいということを最後に強くお願いをいたしまして、関連質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  97. 山中吾郎

    山中委員長 次に、小林政子君。
  98. 小林政子

    小林(政)委員 私は、水銀、そしてまたPCBなどによる魚の汚染問題についてお伺いをいたしたいと思います。  いまもう魚の汚染の問題は、非常に大問題になってきております。特に有明海での第三水俣病の発見、そしてまた徳山湾などでの第四、第五の水俣病の危険、こういったものがあらわれてきておりますし、水銀やPCBなどの有害物質によって魚介類全体が全国的な規模での汚染の実態ということが、非常に大問題として憂慮されているところでございますし、このような深刻な不安、この危機感を国民に与えている今日のこの現状の中でもって、魚の汚染をはじめ公害問題の解決について、これは私は民族の将来にもかかわるような重要な問題ではないか、こういうふうに考えております。国民の生活と健康を守る上で、この問題は一刻も解決に猶予の許されない現状であるということが言えると思いますし、このような重大な政治問題となっている魚汚染の事態というものを根本的に解決していく上でもって、政府の責任というものもまた非常に重要だということが言えると思います。  特に日本人と魚との関係ということは、周囲が海に囲まれているという地理的な条件からも、私どもは主要なたん白資源として古くから魚を家庭の中に取り入れてまいりましたし、したがって、国民一人、一日当たりの動物性たん白質の摂取量というのは四十六年度で三十三グラム、このうち水産物によって十七・三グラム、実に五二・四%を占めている。こういう実態から見ても、日本人にとって魚の問題というのはいわば生活必需品ということが常識の問題だろうというふうに言えると思います。また、勤労世帯がどの程度魚を取り入れているか、こういう問題についても、食料費の総支出に占める鮮魚の割合あるいはまた干ものなども含めて水産物の割合というのは、四十八年の二月全国平均で、これは政府の統計で見ましても一二%、副食費の中に占める割合というのは、四十八年同じ二月で、肉類の二二・八%をこえて二四%というトップを占めている。こういう点からも、国民の食生活の中でどれほど魚が重要な位置を占めているかということが言えると思います。  このように日本人にとって食生活上重要な位置を占めております魚介類が、水銀やPCBによって、日本列島の近海ものといわれる魚はほとんど危険ではないかなどということがいわれております。したがって、いままで漁民や沿岸住民の反対を押し切って大がかりなコンビナートなどを設置してまいりました、そして有害物質のたれ流しを続けてまいりました企業並びに高度成長政策をとり続けた政府の責任というものを、ほんとうにいまこそ痛感をすべきではないだろうか、私はこのように考えております。  特に、このような状態の中で、日本人のからだの中に含まれている水銀の含有量というものは国際的にも非常に高くなって、そしてまた、数字は申し上げませんが、水俣病の患者が発見されるというような事態の中で、一そうこの問題の重要性というものがいまクローズアップされてきている。こういう中で魚の水銀問題、PCB問題、汚染問題について、政府はどれだけ積極的な姿勢をもってこの問題の解決に臨もうとされているのか、この点について基本的な考え方というものをまず明確にしていただきたい。どこに原因があるのか、そして今日の一刻も猶予できないこの事態に対して、早急にこの問題をどう対処していこうとされているのか。それらの点について、基本的なお考えをまずお伺いをいたしたいと思います。
  99. 岡安誠

    ○岡安政府委員 先生お話しのとおり、水銀、PCBその他有害物質によります環境の汚染ということが重大な段階に来ております。特に魚につきましてそのような有害物質によって汚染されるということは、わが国の食料事情にとりましては重大問題でございます。政府といたしましては、従来の施策等につきましてやはり手ぬるかったということは反省をいたしておりまして、早急に手を打たなければならぬというふうに思っております。  それから、六月の十四日でございますけれども、政府に水銀等汚染対策推進会議というものを設けまして、環境庁長官が議長になりまして、諸般の対策を協議いたしております。  その内容を簡単に申し上げますと、この際根本的に対策を講ずるという意味から、十四日の会議におきましては十一の項目につきまして早急に推進をするということを決定をいたしております。  その一つは、魚介類について安全基準を設定する。二番目は、有害物資の関係工場に対します総点検を行なう。三番目は、水銀の排出につきまして規制を行なう。四番目は、各種調査を実施する。五番目は、ヘドロ対策を早急に実施する。六番目は、漁民対策を推進をする。七番目は、関連企業対策等も推進をする。八番目は、汚染の原因者の追及を早急に行なう。九番目は、水俣病等の治療対策も推進をする。十番目は、監視体制を強化をする。十一番目は、職場の環境汚染対策を強化するというようなことをきめたわけでございます。  これに基づきまして六月二十四日に、厚生省におきまして魚介類の暫定的安全基準値というものが定められたわけでございまして、それを受けまして、翌六月二十五日第二回水銀等汚染対策推進会議を開きました。  そこで決定いたしましたことは七項目ございますが、その一つは、全国の各魚市場において食品衛生上の監視体制を強化するということでございます。特に、あとから申し上げますけれども、特定の水域の産地市場に対しましては常時厳重な検査を行なうということをきめたわけでございます。二番目は、汚染が基準をこえているときは、地先の漁場と魚種を限定しまして漁獲の制限を行なう。三番目は、水銀汚染につきましては全国的な規模で環境調査を実施することといたしますけれども、水俣湾、八代海、有明海等九水域につきましては九月末日を目途に調査を完了するというふうにきめました。四番目といたしまして、先ほど申し上げました九水域の沿岸に立地する水銀関係工場の点検を急ぎまして、上記環境調査結果とあわせて、汚染源についての統一見解を出すということであります。五番目は、先ほど申し上げました九水域の苛性ソーダ工場のクローズドシステム化につきましては、四十九年九月までの予定を繰り上げまして、本年末までにクローズドシステム化を完了するということをきめたわけでございます。六番目といたしまして、特に河川や一般海域における汚染ヘドロを除去するため、今年度中に計画を樹立しまして、来年度から新たに浄化事業を実施するということでございます。七番目は、魚介類の水銀暫定基準設定の意義が正しく理解されるよう周知徹底をはかるということをきめまして、現在これらの項目につきまして、早急に結論を出すように対策を急いでおるというのが現状であります。
  100. 小林政子

    小林(政)委員 いま長々と、対策推進会議できめられた中身の報告があったわけですけれども、私はそれを全部資料として持っております。問題は、具体的にそれらの問題がほんとうにいまどう推進されているのか、そしてこの問題を具体的にどう解決をされようとしているかという、そういう取り組みの問題を私は一つ一つ聞いていきたいと思うのです。   一つは、これは厚生省にまずお伺いいたしたいと思いますけれども、安全基準の問題については対策の中には確かに入っているのです。しかし、実際にいま店頭にある魚の安全基準をどのようにしてきめて、そしてそれが一体一般の人たちにどう理解されるようなことになっているのか、こういうことになると全く見当がつかないのですね。安全基準そのものを具体的にどうだということをまだきめてないでしょう。この問題については一体どうなのか。そしてこの安全基準をきめる場合、それこそ基準をきめるその中身の基準はどういう点を重視して取り組んでいるのか、それらのの点も含めて、まずお伺いをいたしたいと思います。
  101. 岡部祥治

    ○岡部説明員 まず基準でございますが、先生御承知のように、先ほども指摘ございましたように、有明海を中心としたいわゆる第三水俣病というものが熊本大学から発表されて以来、魚介類に対します不安というものが全国的になってまいりました。したがいまして、これらの魚介類中に含まれます水銀の基準を早急につくるべきであるというようなことから、私どもといたしましては、この発表以来、現在の日本におきます水銀の専門学者を早急に集めまして議論を重ねまして、一応六月の二十四日に暫定的な基準の意見をまとめたわけでございます。それにつきましては、水俣等におきまして現在までに得られました知見、あるいは、現在まだ実施中でございますけれども、国立衛生試験所で行なっております動物実験の二年間の中間的な観察結果、FAO、WHOにおきます暫定的な許容基準、こういうものを踏まえまして、メチル水銀としての毒性を考えまして、週間許容量といたしまして〇・一七ミリグラムというものを定めたわけでございます。学者の中には、この基準さえきめればそれでもって事足れりという御意見もございましたのですが、一応行政的な目安といたしまして、流通いたします魚介類の汚染を排除するという目安といたしまして、総水銀をもって〇・四PPMというガイドラインを定めたところでございます。  この基準に基づきまして、現在、各都道府県の主要な流通市場あるいは、先ほど環境庁から申し上げましたようないわゆる九水域の産地市場におきまして水揚げされるものにつきましてチェックをいたしまして、基準をこえるものが全国に流通しないような措置をとっておる次第でございます。
  102. 小林政子

    小林(政)委員 暫定基準が発表されて、科学的な根拠の点からも、学者の中にもいろいろと御意見が出ておりました。したがって、一般家庭の中でも、ただいたずらに不安を持ち込まれるということで、大きな混乱を起こしたわけですけれども日本人の水銀の含有量といいますか、たとえば毛髪の中の水銀量の国別比較で見ても、一九六六年のWHOの調査によれば、日本の場合は六・五PPM、アメリカの場合は二・五三PPM。日本はアメリカの二・五倍なんですね。西ドイツの場合には〇・一〇PPMで、これを基準にすると日本は六十五倍。イギリスの場合は一・五〇PPMで、これを基準にすると日本は四・三倍。日本は非常に高いのですね。  こういうような点からいって、この安全基準というものは科学的な根拠をしっかりと立てたものでなければならないんじゃないだろうか。いまの日本の状態の中で、いまおっしゃった〇・四PPM、こういったようなものではたして完全に安全性が守られるのかどうか、あるいはまた乳幼児とか妊産婦の場合、はたしてこれでもって一切心配はないというような基準と言えるのかどうか、この点についてもう一度お伺いをいたします。
  103. 岡部祥治

    ○岡部説明員 この水銀の基準をつくりますに際しましては、五月末からおおむね一カ月の間に、専門の先生方十二人に毎週お集まりいただきまして、精力的に検討をしたところでございまして、先ほど申し上げましたように、現在まで得られました知見の限りでは、メチル水銀として一週間〇・一七ミリグラム以下であれば十分に安全である。なお、これらにつきましても、それぞれの実験あるいは熊本大学におきます水俣病の研究というようなものの中から十分の安全率を見ておりますので、週間〇・一七ミリグラム以下に押えられるならば十分に安全であると考えております。  なお、妊婦の場合につきましては、専門家会議におきましても、この基準を厳格に適用するような運用が必要であるということが述べられておりまして、これらにつきましても十分な指導が必要であろうと考えております。
  104. 小林政子

    小林(政)委員 安全基準の問題については、一応厳格にこれが守られることが必要であろうというお話ですけれども、実除にこの検査の体制というものは、現状では一体どうなっているのか。少なくとも市場入荷前にそれらのものがチェックされて、それを上回るものについては入荷をさせない、こういったような措置が完全にとられているのかどうか。聞くところによりますと、これはある市場での話でございますけれども、奇形ハマチがその市場の中で発見された、しかもそれが出回ったということで大きな問題にもなっておりますので、中央市場などに入ってくる前に、これらのものについての検査体制というものは一体どこまで厳格に、そしてどのように行なわれているのか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
  105. 岡部祥治

    ○岡部説明員 基本的には、漁獲につきまして当該水域等が十分把握されておりまして、環境調査、生物調査あるいは魚介調査というものが十分行なわれまして、当該海域におきます安全性を十分に把握するということが必要であろうと思います。先ほど申し上げましたように、問題の九水域におきましては、水揚げされたものにつきまして、現在各関係府県におきまして抜き取り検査を十分に行なっておるところでございます。なお、流通市場におきましては、各県で主として流通量の多い、たとえば中央市場等におきまして抜き取り検査をいたしまして、規制値以上のものにつきましてはこれを排除し、また、そういうものが発見された場合には生産地に返しまして、生産地でさらに綿密な調査を行なうということにいたしております。
  106. 小林政子

    小林(政)委員 具体的にその調査ということになりますと、技術者とか専門家、あるいはまたそれに従事する職員その他を含めて、一体どのような人員で、具体的にはどのようなことで調査をされているのか、その点をお伺いしたいと思います。
  107. 岡部祥治

    ○岡部説明員 現在私どもでやっております流通市場におきます検査は、当該市場に入荷いたします魚介類のうちからサンプリングをいたしまして、主として県の衛生研究所におきまして、原子吸光あるいはガスクロをもちましてこれの検査を行なっておるところでございます。
  108. 小林政子

    小林(政)委員 何かたいへん、完全にこの基準を守っていくことによって安全性が守られるのだということですけれども、あれだけの大量の、特に汚染水域あるいはその他を含めての魚は、一体何人でもって調査をしているのか、人員はどうなっているのか、具体的にその点ははっきりさせてもらいたいと思うのです。これでもって完全である、万全を期しているということが、はたしていまの検査体制の中で言えるのかどうなのか、その点。あるいはまた、そうでなければ今後どのような見通しをもって臨もうとされているのか。それらの点について明確にお答えをいただきたいと思います。
  109. 岡部祥治

    ○岡部説明員 現在、各都道府県におきます検査体制といたしましては、先ほど申し上げましたように、各県の衛生研究所等におきまして、ガスクロあるいは原子吸光を用いまして抜き取り検査をやっておるところでございます。それで問題の九水域につきましては、さらにこれが強化をはかりたいということを考えておる次第でございます。
  110. 小林政子

    小林(政)委員 非常にはっきりしないですね。その人員などもどうなっているか。国の責任ではどうなっている、地方自治体では大体どのくらいの規模でやられている、そういう実態を把握されていらっしゃらないのですか。むしろこの問題は、自治体まかせのような形じゃなくて、本来は国が責任をもってやるべき問題でしょう。それらの点について明確に御答弁がいただけないということは、これはちょっと困ると思うのです。
  111. 岡部祥治

    ○岡部説明員 現在私どもの把握しておりますのは、各都道府県におきましてガスクロが百二十五台、原子吸光及びポーラログラフィーが九十台、これに関します技術者が二百四名という数字でございます。
  112. 小林政子

    小林(政)委員 この実態については、いまここでやっていますと時間がなくなりますので、具体的な内容を資料でもってひとつ提出していただき・たいと思います。  先ほど安全基準の問題について質問したわけですけれども、この基準を上回る魚、それを排除するという点について、何ら法的な規制力というものが現在ないのではないか、私はむしろ、有害食品という問題との関連で食品衛生法を適用して、これに対する法的な規制力を持つべきではないかというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。
  113. 岡部祥治

    ○岡部説明員 水銀の現在の基準につきましては、いわゆる暫定的な規制でございます。したがいまして、食品衛生法七条によります基準ではございません。これは先ほども申し上げましたように、現在まで得られました知見というものによりましたということと、もう一つは、本来こういう汚染物質というものが、食品衛生法の基準できめますと、ここまで入っていていいんだという感じにもなるというようなことから、行政指導の目標といたしましての基準でございまして、特にこの水銀につきましては、いろいろな社会情勢から早急に、暫定的でもいいから基準を示す必要があったということから、暫定的な規制値ということでお示ししたわけでございます。
  114. 小林政子

    小林(政)委員 私は、この安全性という問題はそう軽々に取り扱ってもらってはいけないのではないか、やはりもっと深刻過ぎるほど深刻にこの問題については考え、また慎重に対処すべきだ、このように思うのです。何か体制の問題についてもはっきりしない。あるいはまた基準を上回った魚について、これを法規制で取り除いていくというような点についてもはっきりしない。何となくできるところでやっているというような印象しか、残念ながら受けないわけです。私は、もっと具体的に、有害食品というものから国民の健康を守っていくという点で、PCBだ、水銀だという問題は、何としてでもこの基準を上回ったというものについては食品衛生法を適用して、そしてそれに基づいて排除していく、こういうことがきちっと行政の中でやられる必要は当然あるのではないだろうか、今後検討される必要があると思いますが、いかがですか。
  115. 岡部祥治

    ○岡部説明員 あるいは私の説明が不十分でございまして、たいへん申しわけございません。現在確かに食品衛生法の七条による規格、規準としてきめておりませんが、それと同等の効力を有するように、こういう規制値を越えたものにつきましてはこれを排除するということにつきましては変わりございません。したがいまして、先生御指摘のようにさらに十分検討の余地もございますけれども、これが法的な効力を持つ基準ということについてもさらに検討しておるところでございます。しかしながら、現在示しました数値を越しますものにつきましてはこれを流通させないということは、同じような効果を持つように行政的に運用しておるところでございます。
  116. 小林政子

    小林(政)委員 時間の関係で先へ入りますけれども、いま基準の問題あるいは体制の問題について見解を伺ったわけですけれども、これらの問題についてもやはりきちっとした安全性の確保という点に重点を置いて、私は対策について資料等出していただきたいというふうに思います。  先ほどいろいろな項目がずっと並べられたわけですけれども、特に有害物質の関係工場に対する点検も行なうことが言われておりました。  これは通産省、環境庁の方にお伺いをしたいと思いますけれども、政府は三井東圧だとか、大牟田工場、ここなど九工場に対して今年の末までにいわゆるクローズドシステムを採用させて、一九七五年の九月末までに水銀を使わないいわゆる隔膜法への転換をはかっていく、そしてそれを五〇%にしていく、こういうことがいわれているようでございますけれども、私は、この水銀の排出というものをほんとうに押えていく、こういう立場から、そうであるならば、水銀設備の大規模なスクラップ化という点についての計画もどのようにお持ちになっているのか、この点をお伺いしたいと思います。
  117. 高橋清

    ○高橋説明員 お答え申し上げます。  最初に、御指摘のクローズド化でございますが、御案内のように苛性ソーダ工場、約三十八、九ございますが、そのうち、先ほど御指摘の第二回水銀対策会議で指定されました九水域に隣接いたします工場、約十四、五ございますが、その十四、五につきましては、第二回の水銀対策会議におきまして特に本年末までにクローズドシステム化を完了するようにということにきめたわけでございますが、すでにそのうちほぼ半分近い工場は工事を完成しておりまして、また残りの工場につきましても、極力この工事の促進方を通産省といたしましても強力に指導しているわけでございますが、基本的には、水銀排出対策といたしましては水銀を使わない製法、これは隔膜法といわれておりますが、この隔膜法に切りかえることが抜本策でございます。   したがいまして、御指摘のように、私どもといたしましては五十年九月を一つの目標にいたしまして、極力この全工場に対しまして隔膜法に切りかえるように行政指導しておるところでございますが、ただ、残念ながらわが国におきましては、この苛性ソーダをつくる製法は、これまでのところ水銀法を主として使用してまいりまして、実は隔膜法というのは国内にほとんど技術がございません。もちろん通産省といたしましては、この国産化に対しましても十分配意いたしまして、工業化の促進のための補助金等も支出いたしまして国産化の技術の確立に急いではおりますが、残念ながら現時点では、そういった国産技術はなかなか間に合わないのが実情でございます。したがいまして、こういった技術は残念ながら外国から導入するとか、そういったこともございますし、加えましてまた、隔膜法にいたしますと大型のボイラーを設置する必要がございます。そういった関係から、こういったボイラーを設置するためのいろいろな設備をまた新しくつくる必要がございますとか、あるいはそういった関係でのまた地方公共団体の問題とか、さらには隔膜法の場合には金属電極という、何か特殊な電極を採用する必要がございますが、これも残念ながら、いろいろ特許の関係で供給側にも多少制約がございます。こういったようなことで、通産省といたしましても極力関係企業に対しまして転換を急がせているわけでございますが、そういったようないわば物理的な制約というものがございまして、五十年九月を目途に極力ということをいま要請しております。  何も私どもは、五〇%という数字には決してこだわっておりませんで、もちろんその比率が上がれば上がるほどけっこうと思いまして、現在強力に指導しています。  さらに、御指摘のように、当然、切りかえる場合には、基本的には今後新増設する場合には一切隔膜法だということにしておりますが、加えまして既存の設備につきましても、先生御指摘のようにスクラップ化しまして、極力隔膜法に切りかえる、そういったような意味合いから、このスクラップ化も現在要請しておる次第でございますが、先ほど御説明申し上げましたように、新増設の場合、新しくつくるものにせよ、あるいは既存のものをスクラップ化しまして隔膜法に切りかえるにせよ、いずれにいたしましても、いま申し上げましたようないわば物理的と申しますか、技術的と申しますか、そういったような制約がございまして、いまのところ、御指摘のような五〇%でございますとか、一応そういったような数字にはなっておりますが、私どもといたしましては、こういった制約を一つ一つ解決して極力この転換がスムーズに、しかも大幅に進むように、現在行政指導しているところでございます。
  118. 小林政子

    小林(政)委員 電解ソーダの生産能力というのは、七二年の五月現在で、政府の統計で見ましても年産三百七十五万二千トン、しかも隔膜法というのは十六・四万トンで、水銀法というのが九五%を占めているというのが現状だということが報告されていますけれども、これを早急に隔膜法に切りかえていく、そして水銀法の使用設備をスクラップ化していくということを述べているわけです。実際にこのようなことが、非常に困難だというお話がいまありましたけれども、それが完成しない間は水銀は依然として流されていくのか、こういう問題が出てくるわけですけれども、この問題等についてはどのように対処をされようとしているのですか。
  119. 高橋清

    ○高橋説明員 お答え申し上げます。  先生御案内のように、苛性ソーダを製造する場合には食塩の中に水銀電極を挿入して製造するわけでございますが、当面の対策といたしましては、いわば水銀を使います工程の水を外に排出しないような工事をする、これを私どもはクローズド化と呼んでおりますが、この工事を、先ほど御説明申し上げましたように、来年の九月末までに全工場に対しまして完了させる。さらにそれに加えまして、特に九つの水域につきましては、これは徳山湾でございますとかあるいは新居浜沖でございますとか、こういったような特定の水域に面する工場につきましては、来年の九月までというのをさらに繰り上げまして本年末までに工事を完了させる。それも、先ほど御説明申し上げましたように、それはあくまでも一つの目標でございまして、おそくとも本年の末ということでございましたが、実際には、多くの工場はその目標よりも以前に工事を完了する、あるいはすでに完了しておる工場も若干ございまして、したがいまして、当面の対策といたしましては、水銀を製造しております工程の水を外に排出しない、こういったような工事を苛性ソーダ工場に実施させる。そして、長期的と申しますか、抜本的には、こういった水銀を使わない製法に極力早急に切りかえていく、こういったようなことを通産省としては考えております。
  120. 小林政子

    小林(政)委員 環境庁にお伺いいたしますけれども、いま述べられたような、できるだけ努力はしているけれども現状はしかしこうであるという、こういう状況のもとで現在の環境基準というものはどう守られていくのか、そして実態というものは現状どうなっているのか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
  121. 岡安誠

    ○岡安政府委員 まあ水銀のお話だと思いますけれども、水銀につきましては環境基準、排出基準とも、検出されないことというふうになっておりまして、トータル水銀では〇・〇二、アルキル水銀では〇・〇〇一だと思いますけれども、それが限界ということになっております。いままで、そういう環境基準、排出基準につきまして都道府県におきまして検査をいたしておりますが、排出基準につきましては、おそらくはとんどの工場が違反をしていないというふうに思っております。環境基準につきましては、いままでの検査の結果二、三オーバーしているところもございますが、私どもは、現状におきましてはおおむね現在の基準は守られているというふうに考えております。  ただ、お話のとおり、現状のような高濃度の汚染の魚が、個所はそう多くはございませんけれども発見をされているということにつきましては、私ども、今後水銀排出につきましてはよりきびしい規制を加えなければならないというふうに考えておりますし、先ほど通産省からお答えございましたとおり、できるだけ早くクローズドシステム化を完了するということと、さらには水銀を全く使わない工場にすることを推進するということを考えているわけでございます。
  122. 小林政子

    小林(政)委員 当面、今回の調査は、時間との関係などで一応九水域に限定をしたわけですけれども、しかし、これをもっと調査対象を拡大していくという考え方があるかどうか。それからまた、排出基準はほとんど守られている、しかし環境基準についてはいろいろ問題のあるところもあるということですけれども、私はむしろ、現状でほんとに完全に守られているんだろうかということを、質問していながら非常に不安を持ちますね。実際に排出する基準は、それぞれの工場から出すものは適正な基準内であっても、それがやはり地域に相当工場があって流れ出るわけですから、その場合の環境基準というものは、いまの基準というものではたして妥当なんだろうかどうかという点も含めて、見解をお伺いしたいと思います。
  123. 岡安誠

    ○岡安政府委員 環境調査の点でございますけれども、私どもは、先ほど申し上げました九水域だけ調査するということではございません。全国的に総点検をすることにいたしております。九水域はその中でも特に早めて結論を出すということをいたしているわけでございまして、私どもは水銀、PCB等につきまして、全国の都道府県につきまして総点検をすでに開始いたしております。  それから基準の点でございますが、先ほど申し上げましたとおり、ほぼ排水基準は守られているであろうというふうに考えますが、二、三の公共用水域につきましては環境基準オーバーのところが見られるということを申しました。これはやはり私ども、ほぼすべての工場が排水基準を守っていると思いますけれども、二、三違反の工場があるかもしれない。これは把握いたしておりませんけれども、そういうような問題。また、お話の特に公共用水域につきまして、水量が少ない場合におきまして拡散、希釈等が十分行なわれない場合に問題があるというようなこともございますので、私どももさらに排水基準、環境基準等につきましては見直しを行なうべく、現在中央公害対策審議会の水質部会に諮問をいたしております。この結論を待ちまして対処をいたしたい、かように考えております。
  124. 小林政子

    小林(政)委員 これも、先ほどのずっと述べられた対策の中に入っておりますが、いわゆる高濃度の汚染水域における魚の場合ですね、この場合には、冠は、その漁獲については禁止をすべきではないだろうか。そして、それに対してはきちっと、漁民の補償というものを当然やらなければならない。しかも、その問題については、発生源の企業が責任をもって行なうということは当然のことですけれども、政府の責任によってそれを確実に守らせていく。こういう汚染水域における漁獲の禁止という点について、現在そういう問題が起こっているところが現実にあるのかどうか。あるいはまた、これは魚を売っている魚屋さんについても、実際には売り上げの減少という問題が起こってきておりますし、現実にはそのために非常に損失をもたらしているというのが現状ですし、これらの問題等についても、私は、原則として公害を主として出している発生企業が責任を持つべきだと思いますけれども、しかし、政府の責任においてこれを完全にやっぱり守らしていく、こういうような体制というものが現在どうなっているのか、この点についてお伺いをいたします。
  125. 岡安誠

    ○岡安政府委員 先ほど申し上げました政府の対策会議の決定事項にも書いてございますとおり、私ども、漁場の調査の結果、基準をオーバーするような魚が発見されたような漁場につきましては、これは漁獲をやはり中止すべきであるというふうに考えております。ただ、お話が、法的に禁止する手段が整備されているかという御質問とすれば、これは現在整備されておりません。私どもは、とりあえずはやはり自主規制といいますか、そういう方法によらざるを得ないというふうに考えております。その場合の損失等につきましては、当然やはり汚染源が負担すべきであるというふうに考えておりますし、今回行ないます環境調査の一環といたしましても汚染源調査をいたしますので、漁場の汚染状況とあわせまして汚染源は明らかにいたしたいというふうに実は考えております。  それから、汚染魚が発見されたこと等によります損失の問題が、漁民のみならず関係企業にございます。それに対しましては、政府としましてすでにつなぎ融資を決定いたしておりまして、これによりまして、とりあえず被害漁民並びに関連企業の損失を補てんするということにいたします。  それらの融資の返済等につきましては、先ほど申し上げましたとおり、汚染源を確定し、汚染源者が利子並びに元本を負担するという原則によって対処いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  126. 小林政子

    小林(政)委員 水銀を排出したりあるいはPCBその他の有害物質を排出している企業が操業を続けながら、実際には、生涯をかけてその仕事に専念をしてきた漁民の人たちに対して、危険な魚だからということで禁止しろということは、私は、これはもう全くの片手落ちにもなるものだというふうに考えます。しかし、生命の安全という点を考えれば、まず根本的には、やはりこれらの一般の有害物質たれ流しをほんとうに厳密に規制をして、絶対出させない、こういう体制を政府がほんとうに責任をもって万全を期してやっていくことと同時に、現在汚染をされている中で、その漁獲については補償問題等も含めて安全性を守っていくということが、私はもう当然のことだと思うのです。政府はいまいろいろと安全基準の問題や、あるいはまた検査の体制の実態だとか、幾つかの項目をずっと対策として述べられておりますけれども、その中でのお話を聞いておりましても、具体的にこういうことをやってこうなんだということで、ほんとうに国民が安心するような御答弁がずばりと出ていない。ほんとうに政府はどこまでこの問題について真剣に取り組んでいるのか、一体これでもって国民の生命の安全、あるいは将来にわたる民族の問題にまで言及して安全なんだろうかという点については、やはり政府の責任を明確にした上で対処をしてほしいというふうに、この点は強く要求をいたしておきたいと思います。  いよいよ時間がなくなりましたので、最後に……。  このような汚染魚問題などで、魚の消費量だとかあるいは売れ行きというようなことについても、とかくいろいろと問題が出てきておりますときに、サケ、マスは一応、数少ない非汚染の魚というふうなこともいわれております。このサケ、マスの漁獲量は現在一体どのくらいになっているのか、そして市場の入荷の実態はどうなっているのか、それは例年に比べてどのような状態にあるのか、その点についてお伺いをいたしたいと思います。
  127. 増満二郎

    増満説明員 お答えいたします。  サケ、マスの漁獲量でございますが、大きく分けまして、北洋を中心にしますいわゆる北洋サケ、マスといっております、沖合い漁業でとれますサケ、マスと、それから北海道、本州沿岸において漁獲されておりますものと、二つに分かれるわけでございます。  沖合いのいわゆる北洋サケ、マスにつきましては、先生御承知のように、日ソ漁業条約によりまして、毎年日ソ間で漁獲量の割り当て量が決定される、こういう国際的な制約がございまして、本年につきましては、日本割り当て量は九万一千トンということでございます。  その漁獲の見通しでございますが、大体そういうことで、最初本年の北洋サケ、マスの漁獲は、漁場形成がちょっとおくれまして、例年でございますと五月の下旬に船が港に入ってくる、こういうことでございましたが、五月中に入った船は非常に少なかったというふうな事情がございまして、ちょっとおくれておるということでございますけれども、大体七月あるいは八月の上旬くらいまでに漁獲量が、先ほど申しました日ソ漁業条約できまりました割り当て量のレベルに達するんじゃないだろうか、こういうふうに見ております。  それから沿岸の問題につきましては、秋口から年末にかけて漁獲されるわけでございます。近年の漁獲量の推移を見ますとおおむね安定的に推移しておる、こういうことでございますので、本年の漁獲量も従来程度の水準になるのではないだろうか、こういうふうに見ております。  それから市場の入荷でございますが、これは卸売市場法に基づきます正確な数量は、まだ五月の分までしか私どものほうに入っておりませんので、正確な数量は把握してございませんけれども、水産庁で、東京の築地の市場におきます入荷量の推移を、非常に概要でございますが調査しておりますが、それによりますと、北洋ものが入荷しだしました五月の終わり、六月の初めごろから今日まで週ごとの日の平均で、おおむね七十トンから百トンの間というような範囲で推移しておる、こういうふうに見ております。
  128. 小林政子

    小林(政)委員 漁獲高についてはおおむね従来どおりということが見通しとして言えるのではないだろうか、あるいはまた市場の入荷量等についても、それはいわゆる平均といいますか、それをそう大きく上回ったり下回ったりというようなものではないのではないか、こういうことが言えると思うのですけれども、そのような状態にもかかわらず、サケ、マスの値段が急騰しているんですね。これをちょっと調べてみますと、七月十三日付の日刊食料新聞を見てみますと、塩サケについては、丘十尾というのですね、それで、昨年七月の上旬には五百四十五円のものがことしはこの七月で千二十円、いわゆる八七%も上がっているわけです。それから冷凍ベニザケの場合を見ましても、これは四尾ですけれども、やはり昨年の七月上旬で七百円だったものがことしの七月上旬で千二百五十円、七九%上がっているんです。  そうすると、私やはり、この漁獲量と市場への入荷の状況、そういうものから見ても、横ばいといいますか、そういままでと大差がないのに、ここへ来て汚染魚問題がクローズアップをされて以来、非汚染魚ということもあるのでしょうけれども、非常に価格が急騰したという点ですね、この点についてどのようにお考えになられていますか。
  129. 増満二郎

    増満説明員 お答えいたします。  一口にサケ、マスと申しましても、ベニサケとか、マスとサケとか、いろいろ違いますので一がいには申せませんけれども、先生御指摘のように、本年のサケ、マスの価格が従来に比べまして相当上がってきておるということは事実でございます。  その原因でございますが、いろんな要素がからみ合っておるというふうに見ております。一番基本的な問題としましては、先ほども申しましたけれども、需給関係で、供給の面でいきますと、漁獲量の大宗を占めます沖合いの北洋の部分が、日ソ交渉等によりまして決定されて、需要の動向に必ずしも即応できない、需要が強いから供給をふやすとか、そういう形になかなかいかない、資源問題等で。そういう形になっておるということが基本的な事情にございますほか、先ほど申しましたように、本年のサケ、マスの供給につきまして、漁期の当初に漁場の形成がおくれたということで、最初の価格が非常に高い水準で推移したといったようなこともございます。さらにサケというものは、先生御承知のように、非常に国民の需要が一般的に強くて、先ほど来問題になっております今回の魚の問題が出る前から、相当需要が強い高級魚として扱われてきている、こういう背景もあると思います。そういうことに重ねまして、先生御指摘のような問題もあるというふうに理解しております。
  130. 小林政子

    小林(政)委員 この問題についていろいろと、とかく町の中でもいわれているわけですけれども、遠洋もののサケ、マスの荷受けについては、むしろ、ある特定のところが仮需要なども見込んで買い占めをやっているのじゃないか、あるいは市場操作によって価格がこんなに急に上がったのじゃないだろうか、こういうようなことがいわれておりますけれども、そういう事実が一体あるのかないのか。  時間がないので、続けて二、三一緒に質問いたしますけれども、一体どう見ているかということが一うと、それから数少ない非汚染魚ですから、汚染魚問題等でいろいろと国民の不安を買っているときに、むしろ政府が責任をもってそういう数少ない非汚染魚といわれているサケ、マスを、やっぱり価格の安定をはかって、そうして食膳に供給していくというような積極的な姿勢をとるべきだと思うけれども、その点はどうなのか。あるいはまた政府は、サケ、マスの冷凍ものの在庫量などについて具体的に調査をされたことがあるのかどうなのか。私は、とかくこの問題についてはいろいろな要素が含まれて価格が急騰している、こういうことが言えると思いますけれども、この問題について責任ある調査を一体されたことがあるのかどうなのか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  131. 増満二郎

    増満説明員 特定のところが買い占めているのじゃないか、どう思うか、この点につきましては、これはそういうことはないのじゃないかというふうに思っております。魚は、これを保管しますには冷凍保管費用というのが、柄も大きいですし、相当かかるわけでございまして、年間の時期的な需給調整ということはそれはあると思いますけれども、そういつまでも冷凍保管しておくというわけにまいりませんですから、そういうことはないだろうと思いますが、なお価格の動向をよく見ていきたいと思っております。  それから、数少ない非汚染魚であるからとおっしゃられまするが、私どもは必ずしもそういうふうには思っておりません。先ほども厚生省のほうにいろいろ御質問もございましたが、よく厚生省のほうとも、あるいは総理府のほうとも相談をいたしまして、魚の消費について、そのほかにもいろいろ周知徹底といいますか、PRといいますか、そういうことについて十分やっていきたいと思います。先ほど環境庁の水質保全局長のほうからもお話がございましたように、私どもとしては、たとえばPCBについてみますと、六月四日に精密調査をいたしまして、どの海域のどの魚が汚染されているかというこまかい調査を発表して、そういうところは、先ほどお話がありましたように漁獲の自主規制をする、こういうことでやっておりますし、水銀につきましても、できるだけ早い機会に黒と白をはっきりさしていくという形で考えております。サケ、マスだけが非汚染魚だというふうには必ずしも考えておりません。
  132. 小林政子

    小林(政)委員 ともかく八七%だのあるいは七九%だのと異常に急騰していることは事実でございますし、私は、この問題についてやはり政府が責任をもって立ち入り調査を行なう、そして物価局が関心を持って価格の動向をきちっと把握する、そういう考え方を持つべきだというふうに思います。本来であれば、六月というのは、魚の量は大量にむしろふえる時期でありますから、その時期に価格がこんなに暴騰しているということも、異常な事態だというふうに言わなければならないんじゃないかというふうに考えるわけであります。その点についてお答えをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  133. 小島英敏

    ○小島政府委員 生鮮食料品につきましては、野菜などにつきましても、御存じだと思いますけれども、入荷量が一割減ると値が倍にも三倍にもなるということがよくあるわけでございまして、特に生鮮食料品の相場というものは、量の減少の割合から見るとどうも非常識なぐらい上がりがちなものであると思います。そういう意味で、確かにサケ、マスについて、先生おっしゃるように相当値上がりしていることは事実でございますから、警戒をしなければいけないと思いますけれども、直ちにこれをもって買い占めがあるというふうにはなかなか言えない性格のものであると思います。  そういうことでございますけれども、もちろん、私どものほうといたしましても、個々の品目の値上がり状況というのは常時チェックをいたしまして、もし法律の適用が必要であると思われるようなことがございますれば、これはさっそくにそういうことも考えたいというふうに思います。
  134. 山中吾郎

    山中委員長 次回は、来たる二十三日月曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時五十二分散会