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1973-09-13 第71回国会 衆議院 農林水産委員会 第53号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年九月十三日(木曜日)     午前十一時十二分開議  出席委員    委員長 佐々木義武君    理事 仮谷 忠男君 理事 坂村 吉正君    理事 山崎平八郎君 理事 渡辺美智雄君    理事 柴田 健治君 理事 美濃 政市君    理事 津川 武一君       熊谷 義雄君    島田 安夫君       正示啓次郎君    丹羽 兵助君       西銘 順治君   三ツ林弥太郎君       湊  徹郎君    安田 貴六君       角屋堅次郎君    島田 琢郎君       竹内  猛君    湯山  勇君       諫山  博君    瀬野栄次郎君       林  孝矩君    神田 大作君  出席政府委員         農林政務次官  中尾 栄一君         農林省構造改善         局長      小沼  勇君         農林省農蚕園芸         局長      伊藤 俊三君         林野庁長官   福田 省一君         運輸省航空局技         術部長     金井  洋君  委員外出席者         防衛庁防衛局運         用課長     上野 隆史君         防衛庁経理局施         設課長     伊藤 参午君         防衛施設庁施設         部施設管理課長 松尾 広俊君         沖繩開発庁振興         局振興第二課長 星野 省松君         農林大臣官房審         議官      下浦 静平君         農林省農林経済         局統計情報部長 大山 一生君         林野庁林政部長 平松甲子雄君         労働省労政局労         働法規課長   寺園 成章君         労働省労働基準         局監督課長   岸  良明君         日本専売公社営         業本部本部長 飯田 頼之君         日本専売公社生         産本部本部長 佐々木幸雄君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  農林水産業振興に関する件      ————◇—————
  2. 佐々木義武

    佐々木委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴田健治君。
  3. 柴田健治

    柴田(健)委員 時間的な制約もございますので、簡潔にお尋ね申し上げますから、答弁者のほうも簡潔に明快にお答えを願いたいと思います。  私、先般沖繩林業視察をしてまいりました。内地林業も非常におくれておる、われわれはそういう判断の上に立って論戦を進めておるわけでありますが、特に沖繩林業は、御承知のように、長年にわたって荒廃をしておるわけです。自然荒廃でなしに、これは人為的に荒らされ続けてきたという歴史があることはもう御承知のとおりだと思うのです。四十年にわたるこの沖繩の山の荒れ方というものはたいへんなものだということを私、認識をして帰ったわけです。戦争中のあの山林の被害というものは、戦争準備に追われて防空壕づくりというか、そういうもので山の乱伐というものが続いた。戦争中は戦争被害を直接こうむる。そしてまた、戦後復興について、自分の住宅なりその他の復興資材にある程度乱伐をされる。特に気象条件における悪条件の中で、あの地質の関係もございまして、考えてみると、四十年近く沖繩の山は荒らされ続けてきたということに尽きると思うのです。今度、沖繩県本土復帰ということでいまそれぞれの日本権力構造の中に組み込まれて、林業施策日本森林法に基づく施業計画なりまたはその他森林計画に、一つワク組みの中に入っている。  そういう形の中で、これから、いままで四十年間荒らされ続けてきた沖繩林業を、あの森林地帯をどうするのかという基本構想があってしかるべきだ、そういうことを考えて、林野庁のほうはいろいろ計画を立てておられる。ところが、この計画を見ておると、実際、絵にかいたもちになってくるのではなかろうかという気がいたします。この復帰に伴う特別措置として、国有林では四十八年から五十七年まで十カ年の施業計画を立てた。民有林については四十八年から五十三年、約五カ年の地域森林計画を策定しておる。これがほんとうにこの計画どおりやれるのかどうかという心配は、財政的な問題、機構の問題というように、もろもろのそれをささえていく、実施していく機構が必要だし、また財政措置が必要だと思うのでありますが、この点についての基本的な考え方を聞かしていただきたいと思うのです。これは次官にお願いしたいと思うのです。
  4. 中尾栄一

    中尾政府委員 先生の御指摘の内容はよく私どもも理解のできるところでございまして、十分その公益性を重視いたしまして、今後とも研究課題にしていきたい、こういう考え方でございます。
  5. 柴田健治

    柴田(健)委員 どうもあまり簡単な答弁ですから要領を得ませんが、沖繩林地面積というものは十三万ヘクタール余りあるということにいわれておるのですが、これは台帳面面積だけで、実際は実地調査というものはできておるのかどうか、この点、林野庁長官ひとつ。
  6. 福田省一

    福田政府委員 御指摘のように、沖繩森林面積は十万七千ヘクタールございます。御質問の、要するに測量がちゃんとできておるのかどうかということでございますが、これにつきましては、境界確定本島におきましては一応いたされておりますが、西表につきましてはこの点まだ不完全なところもございますので、この点を速急に確定いたしたいと思っております。  それから、本島につきましても、境界確定はいたしておりますが、まだ計測が完全でございませんので、すでに確定された国有林境界あるいは民有林との境とかあるいはまだ確定されてないところについても、その点を確かめていきたいと思っております。  森林の十万七千ヘクタールの国有林民有林等についてもし御質問ございますればお答えいたしますが、そういうことで、境界は一応本島については確定いたし、西表等については今後早急に確定いたしたい、こういうふうに考えております。
  7. 柴田健治

    柴田(健)委員 どらも台帳面に載ってくる数字とあなたが言われる数字がちょっと違うのですが、それなら国有林公有林民有林と分類して、どういう面積分布になっているのですか。
  8. 福田省一

    福田政府委員 民有林国有林とに分けて申し上げますが、国有林は三万八千九百九十七ヘクタール、民有林が六万八千四百八十七ヘクタール、この民有林の内訳でございますが、県有林が五百二十八ヘクタール、市町村有林が四万四千九百四十ヘクタール、私有林が二万三千十九ヘクタール、国有林民有林を合計いたしますと十万七千四百八十四ヘクタールとなっておりまして、これが昭和四十八年四月一日現在の面積でございます。
  9. 柴田健治

    柴田(健)委員 先へ進みますが、それだけの面積でこれから——今日森林機能のあり方については公益的機能ということばを使っておるわけですが、沖繩林業について公益的機能を十分発揮させるということの立場から申し上げて、沖繩林業はどういう形でどういう方法で育成をしていくのか。たとえば国土保全という立場に立っていくのか、水源涵養林としての育成重点を置くのか。たとえば観光資源または学術研究林または自然保護というような、いまのはやりのことばに基づくそういう方向でこの沖繩林業を進めていくのか。私たちが見ても、木材資源という建築資源としての供給源にはほど遠いという気がするわけですが、どういう分野に力点を置いて沖繩林業育成をやろうとするのか、その点の見解を聞いておきたいのです。
  10. 福田省一

    福田政府委員 お答えいたします。  御指摘のように、沖繩は、戦争被害をこうむりまして非常に荒れております、また戦後その復興用材等乱伐によりまして、非常に林相は悪化しておるわけでございます。数百年前は非常に熱心な林業家がおってリュウキュウマツ等の生育に心を用いた例もありまして、美林もあったわけでございますが、最近は非常に荒れております。平均蓄積ヘクタール当たり五十四立方メートルときわめて低いのでございまして、内地平均に比べますとはるかに少ない数字でございます。こういう状態でございますので、重点的には沖繩振興開発計画、御承知のように、昭和四十七年十二月に決定したものでございますけれども、これに基づいて水資源涵養保健休養等公益的機能重点を置いて林業振興施策を遂行することが一番肝要であろうかと思います。なお、将来のことを考えますと、林業のためのいろいろな造林等についても補助策を講じてまいりたいと考えておるところでございます。  したがいまして、これを要すれば、一つは、水源涵養保安林等整備拡充が第一でございますし、第二は、保健休養林保護、造成及び環境緑化、第三点としましては、人工下種を主体とした人工造林林道網整備、第四点としましては、全森林の半ばを占めておりますところの市町村有林の高度の利用ということを考えていかなければならぬと思っておるわけでございます。一例を申し上げますと、保安林につきましては、現在七千六百八十九ヘクタールという程度でございますけれども、今後は三万四千町歩以上に持っていきたいというような計画をしておるところでございます。
  11. 柴田健治

    柴田(健)委員 私は、焦点をしぼって、たとえば国有林だけにしぼって申し上げると、国有林が先ほど言った三万八千ヘクタール、普通これは三万七千三百四十一ヘクタールほどしかないというのがいままでの数字でありますが、あなたは三万八千ほどあると、こう言う。ところが、今日国有林の中で七千九百十二町歩、約八千ヘクタールというものが米軍訓練基地としてヘリコプター基地があるわけですが、ヘリコプター基地国有林野林地の中に何カ所あると思っておられますか、長官
  12. 福田省一

    福田政府委員 私たちのところに入っておる調査では約三十カ所というふうに聞いております。
  13. 柴田健治

    柴田(健)委員 約三十カ所。私たちが調べたところでは三十二カ所。三十二カ所ヘリコプター基地があるわけですね。長官現地を見られたかどうか知らないが、一番肝心なところをブルで平地にして、そこをヘリコプター基地に使って、海兵隊が朝晩空輸で兵員を送って訓練をしておるわけです。国有林地の中に部落が点在して、私たちが、地図に載ってない部落があるが、あれは何という部落かと聞くと、あれはベトコン部落です、こういう説明です。ベトコン部落、おかしいじゃないか、こう聞くと、米軍海兵隊がこの国有林地の中に小さい家をたくさんつくって、それをベトコン部落と称して、それを目がけて演習をしておるわけですね。こういうことで米軍基地に使っておる訓練場を抜きにして沖繩国有林野林業施策を語るわけにはいかない、こういう実態の中で、あなたは国有林野を守る最高責任者としてどういう考えを持っておられるのか。この基地と、国有林育成するのにはどうしたらいいのか、ちょっとその点の見解を聞きたいのです。
  14. 福田省一

    福田政府委員 御指摘のように、沖繩国有林の中で米軍に提供しております演習地は七千九百十一ヘクタールというふうになっておりますが、このほかに国有林沖繩県に貸付しておるものがございまして、その貸付地内に三百五十ヘクタールございます。これを合わせますと八千二百六十ヘクタールで、御指摘のとおりでございます。  この沖繩において米軍演習地として使用されております国有林野は、先生承知のとおり、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊地位に関する協定の実施に伴う国有財産管理に関する法律第六条、それから国有財産法十五条の規定、これに基づきまして林野庁防衛施設庁に対して有償で使用承認しまして、防衛施設庁が、安保条約の第六条、それから地位協定第二条の規定に基づきまして合同委員会を通じて、昭和四十七年三月十五日に締結された協定によって、米軍の使用する区域として使用しておるものでございます。一応これは政府できめたことでございますので、それに従ってこういう措置をしたわけでございますけれども、冒頭に申し上げましたように、沖繩戦争中、戦後相当荒れたところでございますので、この沖繩復興につきましては、私たちはただいま申し上げた方針にのっとって緑化対策全力を尽くしてまいりたい、かように思っておるところでございます。
  15. 柴田健治

    柴田(健)委員 長官、普通の国有地普通財産か知らないけれども国有林地行政財産です。行政財産責任者農林大臣行政財産は、預かるというのではなしに、それを育成し、強化をして経済効果をあげ、国民のしあわせに役立つように使うのが行政財産の任務なんですね。ところが、行政財産のほうをこういう演習場に使われるということになれば、林業施策そのもの、あの施業計画そのものが遂行できるのか。長官、この点はどうですか。
  16. 福田省一

    福田政府委員 いまお答えいたしましたように、この演習用その他に使用許可しておるところにつきましては、政府として決定したことでございますので、それに従ってまいりたいと思っておるわけでございます。その他の地区につきましては、できるだけ当初申し上げましたような方針にのっとりまして沖繩緑化対策全力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。
  17. 柴田健治

    柴田(健)委員 あなたはそれなら、基地をあのままにしておいて、国有林地施業計画もしかたがないのだ、もうそれは計画だけにしておいて、やれるところだけはやっておこうという考え方にあるように見受けられるのだが、この基地があるために——あれは正直に言って基地じゃないですよ、演習場なんだから、いつでも演習場を変えてくれ、よそへ持っていってやってくれという要求ができると思うのです。建物だとかなんとかいうならばいざ知らず、演習場というものは要求すれば変更できるわけだから、あんなに無差別にそこらじゅう国有林地の中に、何ぼ政府契約したといえども、あなたの立場からいうと、演習場訓練場の縮小だとか、どこか場所を変えてもらうように要求ができるはずだと私は思うのです。そうしないと、沖繩国有林事業計画というものは立っても、それを推進できないじゃないですか。あなたはできると思われますか。
  18. 福田省一

    福田政府委員 現地営林署長からまた防衛施設庁に対しまして、この中で使われております場所にいろいろと地形の変更とかあるいはその他のことがある場合には、これを連絡してもらうように一応要求は出しておりますけれども、御指摘のように、こういった場所につきまして、こういう演習その他に使うことの決定につきましては、政府方針に従わなければなりませんけれども、沖縄の本土全体の緑化につきましては、私たちの主張を通してまいりたいと考えております。
  19. 柴田健治

    柴田(健)委員 今後この問題については、きょうとやかく言うても、一応沖繩林業、特に国有林野の中に三十二カ所ヘリコプター基地がある、訓練場がある、これがある限りはどんなにあなたが気ばっても、沖繩国有林野事業というものはうまくいかないというわれわれの判断なんですよ。そういう立場から申し上げると、これは何とか早く解決しないと、沖繩国有林野事業というものはうまくいかないという気持ちで申し上げるので、今後これをどう撤去していくかということはあなたの責任だと思う。そういう立場で申し上げるわけであります。  それで、有償だというが、どのくらい料金が特別会計に入っているのですか。金額は幾らですか。
  20. 福田省一

    福田政府委員 四十七年度の実績は千七百万円でございます。
  21. 柴田健治

    柴田(健)委員 千七百万でどれだけ被害が大きいかということを考えた場合には、沖繩林業というものは口では一生懸命やるということを言われるが、あれだけの基地がある限りは沖繩林業というものは前を向いて進むことはできない、こういう判断をしておるわけでありますから、これはみんなして沖繩林業を守る立場から、あの訓練場の撤去は強く要求していくべきだと私は思うのですよ。この点について次官に一言だけお答え願いたいと思います。
  22. 中尾栄一

    中尾政府委員 これは農林省だけの問題ではございませんで、国全体としての広い視野で防衛上の問題としてもとらえなければならぬ問題でもありますし、一がいにここで答えるというわけにはいかないだろうと思うのであります。ただ、私どもこの農林省の問題を、小乗的にとらえましても当然のことでありますが、国有地の中に三十二カ所、これは不当であるか、あるいは妥当であるか、これは十分私どもとしては検討していきまして、そしてこれが当然話し合いの上に立って向こうが十分納得でき得る、あるいはこちらが納得でき得る措置において考えていくということの措置は、いまから考えられるのではないかという感じがいたします。  ただ、あくまでも現在の国防上の観念から、こういう条約上に基づいてあるという点だけは、また先生にも御承認のほどお願い申し上げたいと思う次第であります。
  23. 柴田健治

    柴田(健)委員 基地論争についてはいずれまたあらためてやりたいと思いますが、ただ、私は普通財産は、沖繩本土復帰に伴って、沖繩における公用地等暫定使用に関する法律というものが昭和四十六年にできた、この中でそれぞれの大臣が引き続いて管理をすることになっておりますが、国有林地だけはなぜ農林大臣が権限を持たないようにしておるのか。この点だけちょっと疑問になるのですが、この点はどうですか。暫定使用に関する法律の中では、一から七までに掲げる土地については、それぞれ防衛施設庁長官だとか、厚生大臣だとか、通商産業大臣だとか、運輸大臣だとか、建設大臣だとかいう大臣が明記されておるが、普通財産ならそれは防衛施設庁長官と自動的に大蔵省が協定を結んで管理をするということになるでしょう。けれども国有林地行政財産なんだから、農林大臣責任なんですね。この責任のところを訓練場に使われても、何ら農林大臣にはそういう責任を持たせていないというような考え方には、私は疑問があるのですが、この点についての見解次官に聞いておきたいのです。
  24. 福田省一

    福田政府委員 三十一条、琉球政府権利義務承継「この法律の施行の際琉球政府が有している権利及び義務は、別に法律に定めがある場合を除き、政令で定めるところにより、その時において、琉球政府事務又は事業承継する国又は沖繩県その他の法人が、その承継する事務又は事業の目的又は性格その他の事情に応じて承継する。」となっておりまして、これに基づきまして沖繩復帰に伴う琉球政府権利義務承継等に関する政令第一条第四項で、借地県有以外の国有林管理経営事業にかかわる権利義務は、国有林野特別会計に属するというふうになっておりまして、これは特別会計の所管になるわけでございます。
  25. 柴田健治

    柴田(健)委員 千七百万円の補償金というものは、国有林野会計に入っているのですか。
  26. 福田省一

    福田政府委員 さようでございます。
  27. 柴田健治

    柴田(健)委員 それなら、ちょっとおかしいじゃないですか。国有林野なら、これは普通財産と違って、行政財産としての認定をして林野庁のほうの特別会計に入るということになっておるのなら、もっと農林大臣がこの国有林地についての発言権というか、そういうものがあってしかるべきだと私は思うのですが、農林大臣には何もそういう責任を持たせていない。暫定使用については何も持たせていないということはおかしい、こういう気がするのですが、いずれこの取り扱いについてはひとつ内部的に検討してもらいたい、こう思います。  次に、時間がございませんから申し上げますが、いま国有林地とその他の民地、私有地、要するに、民有林地私有地境界線がはっきりしていないということをあなたは言われました。山、特に西表地域にある。これは三カ年で解消すると言われるが、私は現地を見て、三年ではどうにもならぬという感じがしたわけです。計画では三カ年で境界線をはっきりするというように方向は立てておられるようですが、三カ年ではできないのではないかという感じがしますが、三カ年でできる自信がありますか。
  28. 福田省一

    福田政府委員 この境界確定の仕事は、御承知のとおり、現地営林署ではなくて営林局が直接行なうことになっております。この点につきましては、三カ年でこれを完了する予定が立っておりますので、営林局長を中心にしましてこの計画を立てているわけでございますけれども、なお先生のそういった御疑問もございますので、その点はさらにひとつ検討いたしまして、確実にできるように促進してまいりたい、こう思います。
  29. 柴田健治

    柴田(健)委員 次に、八重山、要するに西表八重山八重山開発株式会社、これに部分林契約として八千三百九十六ヘクタール契約しておる。この中身は十条製紙ですが、表面に出ているのは八重山開発株式会社。この部分林契約契約どおりにやっていない。このまま放置しておくと、これは住民にたいへんな誤解を与えるし、かえって行政不信政治不信を与える結果になるおそれがあるという判断に私たち立っておるわけで、この点についてどうするのか。これは昔のことでありますから、なかなか調査も十分にできないかもわかりませんが、契約書の写しを、これは資料提出としてお願いしたいんです。そして、この取り扱いをどうするのかという第一点についてひとつお答えを願いたい。  それから次に、この西表地域には、いろんな形で貸し付けをしておるわけですが、国有林の中でも本島西表を含めて膨大な貸し付けをしておる。その中に先ほど申し上げた米軍が使っておる貸し付けの分が——これは貸し付けじゃないからかってに使っているのですが、それ以外をのけても、たとえば宅地、農耕地採草地植樹用地沖繩県勅令貸し付け地熱帯農業研究施設、その他公用公共用地ということで、種目はたくさんありますが、膨大な面積国有地は貸しておる。この点について、適正なものであるとするならば、それぞれ無償で譲渡してやるとか、県なら県、市町村なら市町村に明確にしてやる必要があるのではなかろうかという、こういう民間貸し付けに対する考え方をひとつ何とかしないと、これまた将来紛争の種になるのではなかろうか、こういう考えを私たち持っておるわけでありますが、あくまでも地元住民と密接になるような、将来そういう第一次産業なら第一次産業に役立って、生産が高まり、そして地元農民のプラスになるというような方向土地利用考えなければならぬのではなかろうか、こういう気がいたしますが、この点についての見解を第二点としてお尋ねを申し上げたいと思うのであります。  以上、二つお答えを願いたいと思います。
  30. 福田省一

    福田政府委員 御要求がございました資料は、さっそく後刻提出いたします。  八重山開発についての今後の取り扱いをどうするのかという御質問でございますが、この八重山開発株式会社との間に締結いたしました部分林の設定は、御承知のように、琉球政府当時におきまして、民間資本協力による森林開発経済振興を考慮して行なわれたものでございまして、昭和二十八年から五十年間を契約期間として、その面積は九千八百四十七ヘクタールということになっているわけでございます。  この契約履行状況は、人口造林地として千二百ヘクタールに琉球松が植えられておるのでございますが、そのほか天然更新によりまして二百ヘクタールの更新が完了いたしております。  それから、更新地状況は、初期の造林地はおおむね良好でございますけれども、最近のものは若干手入れ不足状況があると判断されます。  今後の処置でございますが、手入れ不足のところは手直しをさっそく実行させるように指導してまいりたいと考えております。  それから、部分林契約地の残りの部分につきましては、本年度から実施しております南西島地域の第二次の施業計画の第一次変更計画によりまして、本年度から人工下種により約六百ヘクタールの更新をはかることを予定いたしております。  このような計画に基づきまして実施する場合に、この契約の期間との関係がございまして、この部分林契約を履行することは相当困難と考えられる点は御指摘のとおりでございます。今後の事態の推移を見まして、その措置について相手方とよく話しまして、この問題をさっそく解決してまいりたい、こう思っております。  御参考までに申し上げておきますけれども、この部分林は、契約地に現存します原生林を部分林契約の相手方に売り払いまして、引き続き相手方が造林、伐採をしておるわけでございますが、この伐採について、三十六年から四十七年までの実績を見ますと、売り払い面積が二千三百ヘクタールでございます。このうち千二百ヘクタールは、人工造林によりまして、さらに二百ヘクタールは天然更新によって更新は完了しておるわけでございます。売り払い区域面積の残九百ヘクタール、これは国土保全自然保護等の観点から局所的に伐採を行なわなかったものが百九十ヘクタール、道路の敷地として十ヘクタール、それから現在更新準備中のものが百ヘクタール、伐採未済のものが六百ヘクタール、以上のようになっております。  それから第二点の御指摘の問題点でございますが、貸し付けの問題でございます。  沖繩県に対しまして貸し付けております国有林地は、明治四十二年の勅令によって無償貸付をしておるものが四千四百九十六ヘクタール、そのほか西表島におきますところの西表青年訓練センター建設敷地として二百五十ヘクタール、これがおもなるものでございます。  貸し付け地の内容でございますが、公用公共用、つまり公共事業、これが四件、農業用地として百六十九件、それから植樹用十件、宅地として三件、その他が十九件、合計二百五件で、部分林が一件ということになっておるわけでございます。面積は合計しまして千二百二十八ヘクタール、それから部分林が三百五十八ヘクタールでございます。  この借地県有林の問題は、おおむね地元産業振興地元住民の福祉に役立つようになるわけでありますが、これは実態をよく調査しまして、沖繩県の意見を聴取した上で、国有林管理経営上支障のないようなものにつきましては、借り受け人の希望によりまして、御指摘のように、積極的に払い下げる方針でございます。  次に、西表の青年訓練センターでございますが、これは契約面積が二百五十ヘクタールに対しまして、現実に使用しております面積は研修所宿舎用としてわずかに一ヘクタールでございます。  今後の利用につきましては、早急に利用計画の提出を求めまして、検討した上で、必要最小限の措置確定いたしまして、あとの部分については、返地さしてもらいたい、かように考えておるわけでございます。  以上でございます。
  31. 柴田健治

    柴田(健)委員 あなた、ひとつ現地の実態を十分認識してもらわないと変なことになると思うのです。きょうは時間がございませんから、飛ばして申し上げますが、とにかくこの貸し付け地については、もっと綿密に調査をする必要がある。やはり人手がないのではないか。それから営林署の職員をもっとふやしていくとか、そういう点に力を入れなければいけないという気がいたしますし、この沖繩は、御承知のように、島から島へ飛行機でも一時間も二時間もかかるというところなんですから、職員の旅費や、そういういろんな手当をもっと考えてやる。特に西表本島についても、ハブというおそろしいマムシがおるわけですが、これらの危険性が高いので、長時間山の中におるというわけにはいかないということを考えた場合には、そういう危険手当とか、その他の職員の待遇改善を考えて、まず人の機構整備というものをもっとあなたは考えてもらいたい、こう思います。この点についてあとから考え方を聞かしていただきたいと思うのです。  次に、林道整備が非常におくれておる。この林道整備がおくれておる上に、私は西表の横断林道の現地を見ましたが、どうもあれは日本列島の中で、林道、農道あらゆる道路の中で一番悪い工事をしておると思う。ブルで押しまくって自然を破壊することおびただしい。あそこは原生林としても優秀な、たとえば天然記念物的な要素を持っておるという地帯だ。その中をあんな工事をさせるなんというのは、およそ優秀な技術者がすることではない。昔の人間ですら、建設機械のない時代でもあんなでたらめなことはしていないと思うのです。私はびっくりしたのですけれども、これはあのままほっておくとたいへんなことになる。しかし、道路をあのままにするのがいいのか、あれを貫通させたらいいのかということで、私は現地でいろいろ見ました。これはどうしても貫通させる必要がある。多少問題はあろうけれども地元住民なり、たとえば沖繩県自然保護委員会というか、文化財保護委員会というか、そういう機関ともよく相談をして、ひとつ自然を破壊しないような工法に切りかえて完成させる必要があると私は思うのですが、長官、この点についてどうですか。
  32. 福田省一

    福田政府委員 第一点の林道一般の問題でございますが、御指摘のように、ここの林道密度は〇・七メートルというふうになっておりまして、本土の二・四メートルに比べますと非常に低い水準でございます。やはりいい林道を早くつくってやらなければならぬというように考えておりますので、この五カ年計画では林道密度を一・一メートルにあげたいということで、四十一キロメートルを計画しているわけでございます。特に、ここは台風常襲地帯でもございますので、林道はそういう点を考慮して、災害を起こさぬような配慮を特にしてまいりたいというふうに考えております。特に排水施設その他については綿密にやってまいりたいということで、特に開発庁にはそのほうの専門の係官も派遣しております。その点につきましては、御指摘の点は十分努力してまいりたいと思っております。  次に、西表の未完成の道路の問題でございますけれども、これは過去におきまして昭和四十四年に着手して、東部五キロメートル、西部四・五キロメートル、幅員五メートル、約十キロ足らずを国有林土地を貸しまして、琉球政府のつけた道でございます。これは道路管理主体のはっきりしない点もございますので、ただいま営林署のほうと県のほうとでこれを打ち合わしております。でき得れば、これを県道として指定をして完成をしてまいりたいというふうに話を進めてまいっているところでございます。  そういうことで、この西表島の林道につきましても、特に御指摘のとおり、ここは自然保護についても非常に関心の深いところでございまして、動物、植物等非常に珍しいものがございます。林道につきましても、その点を配慮して、しっかりした林道をつくるようにいたしたいと思いまして、県とも打ち合わせをせっかくいたしておるところでございます。
  33. 柴田健治

    柴田(健)委員 開発庁が見えておると思うんですが、先ほど言うた林道整備または港湾整備、その中で特に西表の大原地域内における港湾の整備を早急にしてやらないと、あの辺の林業、農業全体の発展を非常に阻害をするのではないかという気がいたしますので、この港湾の整備。  同時にもう一つは、私たち沖繩で今度行なわれる海洋博に伴って、林業、農業というものが、海洋博の建設途上におけるいろいろな弊害と、海洋博が済んだあとの後遺症でどこがしわ寄せを食うか。要するに、農林業という第一次産業に非常に後遺症を与えるのではないか、こういう気がいたします。  海洋博の関係で、第一次産業に与える影響、そしてまた林道整備や港湾整備のあり方を、開発庁、ひとつ簡単に見解を述べてもらいたいと思うのです。
  34. 星野省松

    ○星野説明員 ただいま先生指摘の第一点の、西表の大原地区の港湾のことから御説明させていただきます。  これにつきましては、運輸省で現在予算を計上しているわけでございますが、四十八年度からしゅんせつに着手するということで、現在実行計画を練っておられるというふうに私ども聞いております。さらに、明年度から港湾につきましての長期整備五カ年計画の発足を検討しております。その中で、この大原地区につきましては、仲間漁港という地方港湾名で定期船の港湾施設を中心に今後整備したいということで、検討を進めておられると聞いております。何ぶんにも実際の実行等は運輸省のほうでやっておられますので、詳しい点はそちらのほうにお聞きいただければと思っております。  第二点の、沖繩における海洋博の開催に関連しましての第一次産業、特に農林業等への影響について御指摘がございました。確かに五十年度、沖繩に海洋博を開催することにつきまして、現在それに伴う海上施設あるいは関連の公共施設、港湾、道路等についていろいろな工事をやっておるわけでございますが、その段階で資材あるいは労務、そういうような問題で沖繩における現地産業、特に農林業等についていろいろな影響を与えておるという話は承っております。それにつきましては、現在私どもとして、沖繩は亜熱帯地帯の農林業で、基幹的な作目になっておりますサトウキビあるいはパインにつきましては生産性の向上をはかっていく。さらにそのほかに、特に亜熱帯地帯というところから非常に有利になっております草資源等を利用した畜産関係あるいは野菜につきましても十分予算的な面等を配慮しながら、今後とも十分振興をはかっていきたい、そのような形で現在考えております。
  35. 柴田健治

    柴田(健)委員 時間がありませんから、一歩踏み込んでお尋ねを申し上げることができませんが、海洋博に関連して林業と農業を切り離してというようなこと——沖繩は特に主要農産物はキビとパインだ。キビとパインを、たとえば国有地貸し付けをしてやっておるわけですが、とにかくパイン畑とサトウキビ畑というものを林業との関係で切り離して考えるわけにはいかない。また海洋博との関係もいろいろあるので、これはひとつ農林省の内部で、たとえばこれからの農業をどうするか、林業をどうするか、また林道整備についてはどうするかという、他の産業を無視するわけにはまいりませんけれども農林省農林省部内で綿密な総合的な計画を立てる必要があると私は思う。たとえば国営の基盤整備をやっていく。国有地があるのですから、畜産農場をつくるとかいうように、何か国としてもっと財政的に、また政策的に、行政的にあそこを重点的に開発してやろうという姿勢があってほしい。そのためには、やはり総合的な計画が必要だ。そうすれば、農林省の中で、沖繩の第一次産業を推進するという立場から、総合的な特別委員会というような制度が設けられないものだろうか、こういう気がいたしますが、政務次官、どうですか、この点についての見解は。
  36. 中尾栄一

    中尾政府委員 私は、柴田先生御丁寧に視察をなさいまして、その結果、体験に基づくいろいろな御意見でありますだけに、非常に貴重に拝聴申し上げておりました。農林省としましても、これは農林省独自の立場でも積極的に取り組んで研究課題にしていきたい、こう考えております。  いま沖繩農業の現状と、今後の展望というよりも振興施策というものは一体どうするのかという御質問であったように感ずるのでございますが、最近の沖繩につきましては、観光等の他産業の急速な成長が見られているようでございますが、従来から、御指摘のとおり、サトウキビ、パイナップル等を中心とする農業は沖繩の基幹産業たる地位を占めてきておりましたし、農業経営規模も、沖繩本島は一戸当たり耕地面積で約六十アール、どちらかといえば零細に属するというわけでございまして、宮古、八重山はそれぞれ約百四十アール、二百四十アールとかなり大きいわけでございます。しかし、従来の経緯もありますから、土地基盤整備もおくれておりまして、技術水準も低いし機械化もおくれている。これはもう何はともあれ、この間日本復帰したという一つの条件としても非常におくれておった点も多々あるわけでございまして、沖繩農業は種々の問題に当面しているわけでございます。したがいまして、今後の沖繩農業の開発、振興方向といたしましては、合理的、計画的な土地利用によりまして優良農地を確保して、沖繩がわが国唯一の亜熱帯地帯であるという特殊性を存分に生かしまして、土地基盤の整備や機械化の促進、さらに農業技術の開発、普及というような問題点などを積極的にとらえまして、まず農業生産の基礎条件の整備強化をはかるというようなことによりまして、基幹作目でありまするサトウキビやパイナップルの生産性の向上をはかるとともに、畜産や野菜なども振興しまして作目の多様化を進めていきたいという考え方に立つわけでございます。
  37. 柴田健治

    柴田(健)委員 私は沖繩へ行っていろいろ現地の農民の声を聞きましたが、海洋博はやめてもらいたい、どうも労働賃金は上がる、物価は上がるし、サトウキビをつくる者がおらぬようになっちゃう、パインをつくる者がおらぬようになる、農業そのものの破壊に結びついてくる、こういうことで海洋博から受けるプラス面というものは全然ないというのが、第一次産業に携わる沖繩農民の声であります。こういう立場から判断すると、海洋博というものはどうも沖繩の第一次産業にとっては破壊に結びつく可能性が強い。ところが、農業そのものに今後発展するという要素はいまのところはない。それだけ考えてみると、先ほど次官が言われた農業の基盤整備なり試験機関なりその他もろもろのものが非常におくれておる。ものすごくおくれておる反面、海洋博というようなものをつくると、土地は買い占められるし、賃金は上げられて百姓をしない者が出てくるしという、ちょうど大阪で万博が行なわれて——私は岡山県だが、岡山県まで土地の買い占めが伸びてきた。この土地政策の誤りからくる土地の買い占めというものが至るところに伸びてきた。万博による後遺症というものは農民にしわ寄せがきたという気がするわけですから、海洋博についても、農林省にとっては、それは通産省がやることだからしかたがないと言わずに、海洋博によって第一次産業が将来どう変化していくのか、どう悪い影響を与えられるのかということをよく分析をしていただいて、この点については慎重な態度で、農業振興をはかるという立場で検討してもらいたいと思うのですが、この点の見解を一言だけ、次官、お願いしたい。
  38. 中尾栄一

    中尾政府委員 すでに海洋博は決定しておるというように了解するわけでありますが、確かに御指摘のとおり、そういう一つのプロジェクトをつくるということがときにいろいろのものに波及的影響をもたらす、先ほど先生の御質問の中に御指摘のあったとおりだと思います。後遺症であれ、あるいはまたその他の影響であれ、いろいろの問題をかもし出すということも現実の問題としては考えなければ相ならぬであろうと考えます。そういう意味におきまして、特に沖繩という、先ほど私も申し上げましたように、亜熱帯地域における特殊地帯でありますから、そういう点で、海洋博をやるという意図はわかるのでありますが、同時に、それがいろいろの波及的影響、しかも悪影響をもたらさない方向の中で農林行政は考えていくべきであるという考え方から、これは私ども方向といたしましても、先生の御指摘のとおり、真剣にとらえてみたいと思っておる次第であります。
  39. 柴田健治

    柴田(健)委員 時間がなくなりましたから、次に児島湾の締め切り堤防の無料化問題についてお尋ねを申し上げたいと思うのです。  これは長い間の懸案で、歴史的なことを申し上げると時間が相当かかりますから省略させていただいて、九月三十日に児島湾土地改良区と農林省とのあの管理権の委託についての委託期限が切れる、それまでに解決をしたいというので、今度は管理権を県に委託をしたいというねらいで、八月十八日に岡山県知事に農林省は解決案を示された。それで解決案の中では、締め切り堤防等の管理は県が行なう、二番目は、土地改良区の堤防管理の県移管に伴うあとの補償は行なわない、三番目は、堤防管理の所要経費は国、県、市町村、改良区が負担する。今度は四団体が通常経費の管理費の負担区分を明確にして、比率もちゃんとこういう案にします、こういうことで五つの点についての負担の割合、区分ということで、それぞれ解決案を示された。  いままでの歴史的な経過があるので、県なり市町村はいろいろ物議をかもした、しかし、今度は農林省が本格的に前向きの姿勢で解決する、そういう姿勢が出てきたという受けとめ方に立って、いろいろ文句はあるけれども農林省が示した案を了承しなければならぬだろうということで、市の議会、県の議会、それぞれの県、市の執行部の皆さんは、最善の努力をして農林省側が示した八月十八日の解決案に対して了解の回答がなされたと思うのであります。  ところが、改良区のほうがまだ了解してないとみえて、私の手元に参りました陳情書の中を見ると、これはまたたいへんな要求が出てきたものだ、こう心配しておるわけです。この中身を申し上げる時間もございませんし、また、言うていいか悪いか、なかなか問題のあるところでありますから省略をさせていただくとして、この案はあくまでも貫いていくという考え方に立って説得を続けて、多少時間がずれてもこの基本方針はくずさないという気持ちがあるのかどうか、この点をまず第一点に聞かしていだきたいと思います。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
  40. 小沼勇

    ○小沼政府委員 先生指摘のように、長年の懸案の問題でございまして、児島湾の締め切り堤防の管理方式につきまして、堤防の通行料の無料化をはかるという観点から、県が管理をするということを基本方針といたしまして、現在、関係者、つまり岡山県、岡山市、それに児島湾土地改良区、その三者の意見の調整につとめているところでございます。御指摘ございましたように、これに対して県と市のほうは原則的に同意を得てございますが、児島湾土地改良区は、通行料の収入によります農民負担の軽減の措置が廃止されることによりまして、農民の負担が増高するとか、あるいは権益と利益を損するというふうなことを理由にいたしまして、なお同意していないという状況でございます。  農民負担の増高につきましては、財政措置を講ずる等によりまして軽減をはかる、関係者へのこの方針の趣旨の徹底につとめるというふうにしてまいりたいと思っておりますが、これらにつきまして土地改良区と十分協議もし、同意を得て、御指摘ございましたように、農林省方針の趣旨で解決がはかられるように努力してまいりたい、かように考えております。
  41. 柴田健治

    柴田(健)委員 それじゃ、既定方針は変えないということですな。
  42. 小沼勇

    ○小沼政府委員 既定方針の趣旨で解決がはかられるようにひとつつとめてまいりたいということでございます。
  43. 柴田健治

    柴田(健)委員 そうしないと、これがほごになるとかということになると、県や市はもう大混乱になる。地方公共団体が受ける迷惑というものはたいへんなものだろうということをわれわれは心配しておるからお尋ね申し上げるのでありまして、この案で示した限りは何としても全力投球してやってもらわなければ困る。九月三十日で期限が切れるわけですが、はたしてこういう解決案が出て、十月一日からこの委託管理を受けておる土地改良区と管理委託をしておる農林省との契約が切れる。切れたら自動的に農林省管理に返ってくるわけですが、返ってきたままで依然として農林省は説得を続けていくのか、それとも、新たにまた土地改良区と契約、期限を切ってきめてやるのか。九月三十日までに話がつけばよろしいですよ。この話がつけばよろしいが、つかなかった場合はどうするのですか。
  44. 小沼勇

    ○小沼政府委員 根本はやはり長年の懸案の問題を解決するということでございますので、その解決に時間を要すれば、それに伴いましてこの九月三十日に切れるものについても再延長するということを考えなければならない。九月三十日までに解決すればよろしゅうございますけれども、解決が長引くということになりますれば、契約を延長するという措置を講ずることも考えなければならない、かように考えております。
  45. 柴田健治

    柴田(健)委員 契約の再延長ということになると、またもとに返ってくる可能性があると見なければならぬ。そうすると、この点についてはいつまでたっても解決はしないんじゃないですか。それだったら、農林省は今度はもう再延長しないのだという基本方針に立って、一カ月かかっても二カ月かかってもその間にどうしてもやるのだ、こういう強い姿勢でないと、これは私は解決しないと思うのですよ。再延長したら、またずるずるといかれる。再延長をするにしても、二カ月の再延長とか三カ月の再延長という短期間ならわかりますよ。ただ単なる再延長ということになれば、これはもとのもくあみになってくる可能性もある。これでは未来永劫解決しないという心配も出てくるので、この点の情勢判断はどうしているのですか。
  46. 小沼勇

    ○小沼政府委員 問題を早期に解決したいという考え方でございますので、延長するにしても、期限を切ってやる必要があると思いますが、私どもいまの気持ちでは数カ月の延長ということで、長期にわたって再度延長していくというふうな考え方ではおりません。
  47. 柴田健治

    柴田(健)委員 私は十月一日が一カ月、二カ月、三カ月とずれても、実際の予算の支出というのは明年の四月一日からというので、この十二月に地方公共団体が追加予算で負担区分をきめれば、それは十二月でも解決するほうが正しいと思う、いいことだと思う。だけれども、無期限のいままでのような再延長方式というのは、これは許してはならないということです。そういうことを考えたときに、農林省は本気でやるんだろうか。この案を示す前に、私は今村農政部長に、これは本気でやられますか、こう言ったら、本気でやります、こういうことで私に意思表示をされたのだから、信用した。信用したとたんに、土地改良区のほうから猛然と反対運動を受ける。農林省というものはコンニャクみたいなものだから、あっちに押されたらくにゃりこっちに押されたらくにゃりという可能性がある、いままでの経験から。これはたいへんだという心配のあまりお尋ねを申し上げておるところなんです。私は管理権の問題と堤防の通行料金とは別だと思うのですが、この点は、局長、どうですか。
  48. 小沼勇

    ○小沼政府委員 別といえば別ということになりましょうけれども管理方式がしっかりしていて初めて無料化の問題が実現できるというふうに考えておりまして、一体として解決をしてまいりたい、かように考えているわけでございます。
  49. 柴田健治

    柴田(健)委員 あれができた時分には無料で通しておって、通すとか通さぬとかいうのに、やはり土地改良区の意見だけではなかった。関係住民その他が陳情して、あそこを通らしてくれということで通しておったのを、半年目か八カ月目から料金を取るようにした。その料金を取るのは、農林省土地改良区の要望でのんだのですから、初めから無料で通しておけばよかったのですよ。農林省が、土地改良区の維持管理費を捻出させるために、暗黙の了解を与えたところから問題が発展してきたのだから、罪は農林省なんです、ほんとうは。だから、県、市、国が管理費の負担区分を明確にして運営しておれば、たとえ土地改良区が委託管理を受けても、通行料というものは取らずに済んでおる。国なり県がそういう案を示さなかったところに今日大きな政治問題、行政問題として相当長期間にわたる問題として紛糾してきた原因がある。原因をつくったのは農林省である。農林省が最後はこのけじめをつける責任があるというわれわれ立場をとっておるわけですから、これは何としても九月三十日までに最善の努力をしてもらいたい。もう最悪の場合を除いて、九月三十日までに解決するということで土地改良区の説得に努力してもらいたいということを重ねて申し上げてそれに対する見解を聞いて、終わりたいと思います。
  50. 小沼勇

    ○小沼政府委員 長年の懸案を何とか解決いたしたいということで、現在鋭意努力中でございます。土地改良区の問題、補償要求がかなり大きな金額で出ておりますが、なかなかこれは御指摘のようにむずかしい問題でございますが、私ども関係者と十分協議をして、できるだけすみやかに問題を解決するよう努力してまいりたいと思います。
  51. 柴田健治

    柴田(健)委員 終わります。
  52. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 この際、午後一時に再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時十九分休憩      ————◇—————     午後一時九分開議
  53. 佐々木義武

    佐々木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。竹内猛君。
  54. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私はきょう二つの質問をいたします。  第一は、畜産行政の中で、特に食肉を原料とするハム、プリマハムに起きている問題と、もう一つは、先般行なわれましたたばこの耕作審議会を中心とする葉たばこの問題について、専売の問題について質問したいと思います。  まず最初に、全国の中で大手商社といわれる伊藤ハム、日本ハム、そして丸大、雪印、これとともに五大メーカーといわれるこのプリマハムの中にいま起きている幾つかの問題について、農林省のほうからも、同時に労働省のほうからも、どういうことが起きているのかということを聞きたいと思うし、またプリマハムの工場が存在をしている地域、たとえば鹿児島、愛媛、大阪、高岡、茨城あるいは秋田、北海道、こういうところにそれぞれいろいろ問題が起きておりますが、このようなことについても確かめておきたいと思いますので、このプリマハムの現状、それから問題というようなとについてわかるだけ報告をしていただきたいと思います。
  55. 下浦静平

    ○下浦説明員 お答え申し上げます。  プリマハム株式会社についてのお尋ねでございますが、まず資本構成について申し上げます。  昭和四十八年三月三十一日現在の発行済み株式総数でございますが、これは八千万株でございます。このうちオスカー・マイヤー・アンド・カンパニー、これが二五%の二千万株を持っております。それから伊藤忠商事株式会社でございますが、これが九百三十一万七千株、二・六五%、次に竹岸政則氏、これは社長でございますけれども、六百九十七万五千株、八・七二%、それから株式会社第一勧業銀行四百万株、五%等が主要な株主になっておりまして、株主総数は五千五百五十五名ということに相なっております。  次に従業員数でございますけれども、有価証券報告書によりますと、昭和四十八年三月三十一日現在の従業員数は四千八十一人でございます。このうち作業職員は二千百十人、営業職員、これは営業木部におります職員でございますが、千五百十二名、その他の事務職員、これは主として本社の職員でございますが、四百五十九人となっております。  それから工場でございますが、北海道工場、これは十勝に所在いたしております。札幌工場、秋田工場、新東京工場、高岡工場、大阪工場、四国工場、小倉工場及び鹿児島工場ということでございまして、全国で九カ所に所在をいたしております。  それから業界全体に占めます加工品のシェアでございますが、これは農林省の統計情報部の調査によりますと、昭和四十七年の食肉加工品生産量、これは全体で二十六万九千三百九十トンということになっておりますが、このうちプリマハムの占めますシェアは一五、六%程度と推定されておりまして、業界第二位の地位を占めている、こういうことでございます。  最初に株主のところでオスカー・マイヤー・アンド・カンパニーという外国の資本のことについて申し上げましたけれども、これは昭和四十七年の十月一日に外資導入をやりまして、その導入先の会社でございます。これは第三者割り当てによります増資新株の取得をいたしております。  それから役員の構成でございますけれども、社長は先ほど申し上げました竹岸政則氏でございまして、副社長は藤田三郎氏、この方は伊藤忠商事の御出身のようでございます。四十七年の五月に就任をされております。それから、このオスカー・マイヤー・アンド・カンパニーから、資本参加の関係でドナルド・L・ポールという方とアーブル・L・エリクソンという方が、それぞれ四十七年の十一月から、前者の方が常勤、後者の方が非常勤という形で役員になっておる。取締役につきましては全体で十五名、監査役が三名、合計十八名、こういう構成になっております。
  56. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 農林省としてこのハム行政に対して、何か指導したり介入をするようなことがありますか。
  57. 下浦静平

    ○下浦説明員 ハム、ソーセージの貿易関係でございますけれども、これは先生承知のように、すでに自由化をされております。したがいまして、一般的には、何と申しますか、いまおっしゃられましたようなサイドの話ということはないと申し上げていいのかと思いますが、牛肉調製品でございますとか、ああいうIQ物資で残っております関係の原料の輸入その他につきましては、いろいろ指導が行なわれておるということでございます。
  58. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 岩田三郎という人が首都圏の本部長をしておられるわけでありますけれども、それは農林省と関係がありますか。
  59. 下浦静平

    ○下浦説明員 岩田三郎という方が確かに首都圏事業本部長ということでおられます。この方は農林省とは全く関係がございません。農林省におられたことはございません。全国農業会に勤務をしておられたということを聞いております。
  60. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 わが国の食品産業の大手、しかも伊藤忠という買い占めを盛んにやられる会社がかなり資本を持っている、そういうところでいま労使関係に好ましからざる傾向があります。これは伊藤忠の関係のプリマだけじゃなくて、最近は食品関係の職場にいろいろと合理化がかけられてきて、そして紛争があります。この委員会でもおそらくまた別な問題を提起しなければならないことになると思うのですけれども、最近特にこれがひどくなってきたということが特徴だ。  そこで、この会社に労働組合ができたのは三十六年ごろでありますけれども、その三十六年に結成された労働組合が食品労連に加盟をする、そのことをめぐって内部に紛争が起きて、それ以来今日までの間に、東京においては都労委、それから茨城では茨城地労委あるいは富山でも、そういうふうに各地で工場のあるところ、職場のあるところで紛争が起きております。こういうことについて労働省のほうではどのような調査をされたか、労働省のほうからちょっと問題を伺いたいと思います。
  61. 寺園成章

    ○寺園説明員 御説明申し上げます。  プリマハム株式会社とプリマハム労働組合との間に紛争がございます。大きく分けまして四点について紛争があるというふうに承知いたしております。  四点の紛争の背景となります事情をまず御説明を申し上げたいと思いますが、プリマハム労働組合につきましては、かねてより組合員の一部に組合の行き方に不満を持っておるグループがございました。昨年の春闘に際しまして、有志会という名称を持つグループが結成をされまして、四十七年に行なわれました労働組合のストライキには反対であるというような声明文などを出しております。それから四十八年の三月の初旬には、この有志会が中心となりまして、プリマハム民主労働組合というものが結成をされております。現在、プリマハム労働組合、第一組合と申しますか、従来からあった組合の組合員数は約千名弱というふうに承知しております。それから新しくできましたプリマハム民主労働組合の組合員は三千名弱というふうに承知いたしております。  このような事実を背景といたしまして、四点にわたる紛争がございますが、まず第一の紛争と申しますのは、いわゆる社長声明文問題といわれるものでございます。これは、四十七年の春闘に際しまして交渉が決裂いたしました翌日、社長が社長声明文というものを全事業所に掲示いたしております。その掲示の内容は、会社の回答はもう最終的な回答である、これ以上の上積みはできないというようなことを先に述べまして、問題になりますのは次以降でございますが、このような事態であるにもかかわらず組合の幹部がストライキを打とうとしておるのは、ストのためのストを行なおうとする姿としか映ってきません、お互いに節度ある行動をとられんことを念願いたしますという趣旨の社長声明文を全事業所に掲示をいたしております。これが不当労働行為だということで問題になっておる第一の事件でございます。  それから、第二の事件は、臨時組合費のチェックオフをめぐる問題でございます。この問題は、昨年の四月二十七日にプリマハム労働組合が部分ストを行ないました。その際に、部分ストに参加しなかったスト不参加者について臨時組合費を徴収する、その臨時組合費をチェックオフをしてもらいたいということを会社に申し入れたわけでありますけれども、会社はこれを拒否をいたしました。それが不当労働行為として争われておる第二の点でございます。  以上の第一の点、第二の点につきましては、労働組合から都労委のほうに昨年の八月十九日、不当労働行為の救済申し立てがございました。本年の七月五日に組合の主張を都労委が認めまして、救済の命令を出しております。なお、この救済命令を不服といたしまして、会社側は現在中労委のほうに再審査の請求をいたしております。  それから、紛争の第三点について御説明申し上げますと、今年の賃上げにからみまして、第一組合と第二組合、同様な妥結をいたしたわけでありますけれども、賃上げ分の考課査定分につきまして、第一組合と第二組合との間に差別があるという問題が出ております。この問題につきましても、茨城地労委、富山地労委、鹿児島地労委にそれぞれ不当労働行為の救済申し立てがなされております。  それから、紛争の第四点でございますけれども、冒頭に申し上げました第二組合の結成にからみまして、使用者側がプリマハム労働組合からの脱退を慫慂し、第二組合への加入を勧奨しておるということで、これが組織介入問題として、組織介入問題は第三点と同様に茨城地労委、富山地労委、鹿児島地労委にそれぞれ不当労働行為の救済申し立てが行なわれております。  以上でございます。
  62. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 いま報告がありましたように、大メーカーの中に、特に組合の切りくずしを職制を通じてやっているという事実があらわれてきた。そうして、この中で社長がいろいろと訓辞しておりますけれども、その訓辞を見ると、全くこの労働組合というものを認めないような非常にどぎつい訓辞をしております。プリマ再建への道ということで、これはプリマハムが、先ほど農林省からもお話があったように、大企業の中では比較的資本の投資率が少ない面もある、あるいは工場に対する資本がまだ十分になっていないという面もあるでしょうが、いずれにしても、生産性向上に協力しない者については徹底的にこれに弾圧を加えると言わんばかりの指導をしている。そしてその組合員に対して自主性というものを剥奪する傾向にある。こういう傾向が内部において対立を生んでいることだと思うわけです。  それで、いま報告があった点については大体私どもも聞いているし、それはそれとして、それぞれの機関に提訴しているわけですから、そこで結論がやがて出るわけでありますけれども、少なくとも日本における大手商社といわれるものの中に、そのように労働者を人間として扱わないような状態があらわれてきたということは、これは黙視できないことだと思うのです。そういうことでわれわれはこの問題を特に重大視して、本来社会労働委員会でこれは取り上げるべき問題かもしれませんが、農林業に関係がありますから、この委員会でやはり問題にしていかなければならないわけであります。  そこで、いま話があった賃上げの部分の配分について、A、B、C、D、E、こういうぐあいに賃金の配分をきめて、組合活動をやった者についてはD、Eという最も低い配分しか与えないという、こういうことをやっているわけです。これは現在の労働三法に対して妥当かどうかという点について、労働省のほうの見解を求めたいと思います。
  63. 寺園成章

    ○寺園説明員 先生質問の、賃上げの考課査定分について第一組合と第二組合に差があるという御指摘でございますが、企業の中に複数の労働組合があります場合に、その交渉の経緯、それから交渉内容等によってその妥結の内容が変わってくる。したがって、労働条件も違ってくるということは、一般的にはあり得ることでございます。しかし、両組合の間の労働条件の差というものが、合理的な理由がなくて、単にある組合に所属をしておるということの理由のみをもって差別がされるということでありますと、これは不当労働行為として禁止されているところでございます。  ただ、このプリマハムの事件につきましては、先ほども申し上げましたように、現在この問題が労働委員会にかかって審査中でございます。したがいまして、この問題をとらえてどうこうということは差し控えさせていただきたいというふうに思います。
  64. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 先ほどまだ報告がなかったわけですが、休日の問題。これは組合で十二日の年休をきめて、そのうち十日はこれは中央本部できめる、あとの二日については事業所と支部できめる休み、こういう形になっている。そういう取りきめがあって、そして八月の十四、十五、十六とちょうどこれは旧盆であります。でありますから、農村から出てくる従業員はお盆に帰りたいということで、組合側が八月十四日を中央できめた休みとし、それから十五日もこれは別な形での休みをとっていく、こういう形で休暇を要求をした。しかし、会社はこれについてこれを拒否して、別な日にちをきめた。そこで、八月の十四日に組合の人々が三百四十人ほど休暇届けを出して休む。この中にはもちろん二組の者もいるし臨時もおるようですが、そのときに第一組合の組合員だけが賃金カットをされて圧力を加えられたということがありますと報告されております。こういう取りきめを破り、そしてその第一組合だけを不当に圧迫をするというこの行為は、これは三法に照らして一体どういうことになるのか、こういうことに対する見解を求めたいと思います。
  65. 寺園成章

    ○寺園説明員 いま先生指摘の事実は、私、詳細にまだ承知いたしておりません。ただ、いまお伺いしたところだけで申し上げることを許していただきますと、第一組合と第二組合の間と会社側との交渉の内容、それから現に紛争としてどういうものがかかっておるかというような事柄等を総合的に考えてみませんと、また使用者側のほうの言う第一組合について特別な扱いをしたというその理由等も伺ってみませんと、この問題について具体的にどうということは申し上げかねるわけでございます。
  66. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 いろいろの問題が、仮定の問題やなお調査を求めなければならない問題に関連をしますから、断定をしてしまうことはあるいは困難かもしれませんが、なお私は問題を出したいと思います。  労働組合に会社が事務所を提供はしておりますが、集会をやらせない、あるいは訪問した場合にはその訪問を拒否する、そして掲示板にビラを張らせないという、そういうことがある。要するに、組合としてこれを認めない、本来の組合を認めない、こういうことですね。そして対決をするということになっているわけだ。これも本来ならば当然一定の協約があるわけですから、集会あるいはポスターやそれから伝達事項の掲示、そしてそこへ面接に行った者に対しては、一定の時間をかけてもこれはしかたがないけれども、取り次ぎをする、こういうことは当然やるべきだと思いますけれども、これがやられないということ、拒否しておるということは、組合として認めないということだ。こういうことが事実であるとすれば、これはやはり私は三法に対して違反だと思うのです。この辺はどういう解釈をしたらよろしいか。
  67. 寺園成章

    ○寺園説明員 御質問の集会の問題でございますとかビラ張りの問題、これは会社の施設管理権の問題とからむ問題であろうかと思います。それから訪問者が来たときの取り扱い、これも就業時間をどういうふうに組んでいくかというような問題とからむ問題かと思いますが、施設管理権にからむ問題といたしましては、先生がおっしゃいましたように、労働協約等できめられましたならば、それに従って実際の運用をしていく。もし労働協約がなくても、就業規則それから従来の慣行等に照らして適切なことが行なわれるということが望ましい姿であろうというふうに考えております。
  68. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 さらに問題が深まってまいりまして、この問題が生じてから組合がいろいろな形で会社に抗議をしたりあるいは意思表示をするためにビラを張ります。これに対して——職制といっておりますけれども、それがこれを拒否し、いままでのところに同じような形でビラを張った場合に、その張った者を懲罰にかける。その懲罰委員会というものは、組合の者は一人も入っていない会社の幹部だけが中心になった懲罰委員会で、これに対して懲罰を与えるという、こういう行き方をとっておる。したがって、いままで組合が積み上げてきた慣行というものを踏みつぶされてしまっておるし、それから労働協約はもちろん破棄をされ——破棄というか、無視されてしまっておる。こういう状態が現にあるわけです。こういう問題についてもなお調査を求めたいし、現にこの事実があるのですから、こういうことに対する法律上の解釈を明らかにしていただきたい。
  69. 寺園成章

    ○寺園説明員 第一点のビラの問題でございますが、これは先ほど申し上げましたように、会社の施設管理権の問題とからむ問題でございます。したがいまして、労働協約、就業規則、従来の慣行等を踏まえて適切な処理がなされるべきであるというふうに考えます。  それから懲戒の問題でございますが、懲戒手続につきましても、労働者の重要な労働条件にかかわる問題でございますので、これらが労働協約等によって定められるというのが望ましい姿ではなかろうかというふうに思います。  ただ、懲戒というものの性格からいたしまして、会社側だけで構成される懲戒委員会というものが絶対だめだということまでは断定できないのではなかろうかと思いますが、いずれにしても、これらの問題は労使間で話し合って手続がきめられるというのが望ましい姿であろうというふうに思います。
  70. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 今度は時間外勤務の問題であります。現在、非常にハムの需要が伸びていて、なかなか供給が忙しいという段階で、時間外作業をしなければならない。こういうことであり、そして正式な雇用関係を持っておる者のほかに臨時の雇いも入れなければならない。そういうようなことについても、いままでは組合と話し合いをしてそれぞれのことをきめてきたわけです。ところが、一切そういうことの話し合いはしないで、一方的に二組とだけ話し合いをして、そして時間外の問題あるいは臨時の労働条件、賃金ですね、あるいは一時金、休日、こういうものをやっておる。組合が無視されてしまっておるというこの事実が現にある。これもやはり調査をして一つ判断を願いたい問題であります。こういうことについてはどういうふうに解釈されますか。
  71. 岸良明

    ○岸説明員 いまお尋ねの点でございますけれども、これは先生承知のとおり、労働基準法の三十六条には、時間外労働をする場合には、当該事業場に労働者の過半数を組合員としておる組合がある場合には、書面による協定を結んで、届け出をしなければ時間外労働はできないというのがたてまえでございます。ただ、ただいまおっしゃいました御質問の事実というものが必ずしも明確ではございませんけれども、たとえば当該事業場にあります組合が労働者の過半数を占めておらないというような場合には、当然それについては当該事業場の労働者の過半数を占めるものと協定をする、組合員以外の者を含めまして過半数のものと協定をすれば、所定の手続を踏んで時間外労働ができる、こういうことになっておるわけでございます。
  72. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 まだ数えればキリがないのですが、時間の関係から問題は以上にしておきますけれども農林水産委員会でこの問題を取り上げたというのは、先ほども申し上げたとおりに、日本におけるところの有数の食肉の加工関係の会社の中に、このような前近代的な関係というものが生まれ、しかも二組というものをつくって、そうしてその二組に入らなければいろいろなあれをしない、待遇をしないという形で、職制が非常に強烈に動いているという事実が存在をし、先ほども労働省のほうから話があったように、各地域ごとの職場、地労委なりそれぞれの関係機関に仲裁の提訴をしているという実態があるわけです。こういうような問題をそういう大きな会社が持っている。これは単に伊藤忠の資本あるいはアメリカの資本が入ってやっているそこだけでなしに、ほかにもまだあります。だから、この際、関係官庁としては十分に調査をして、そういうことのないようにひとつしっかりできるだけの指導をしてもらいたいし、特に労働省の場合においては、この問題についてはそれぞれの機関で救済をしている問題もありますけれども、それ以外の点についてもまだ問題も残っておりますので、徹底的に調査をしてほしいということをとりあえず私は要求をして、別の問題に移りますが、この辺で政務次官のほうからも、この点についていまのやりとりの中から若干の感想を述べてもらって、こういうことの起こらないように、そうしてまたそれが他の職場に波及をしないようにするために、どのような手だてをするかということについても、あわせて回答をいただきたいと思います。
  73. 中尾栄一

    中尾政府委員 感想を述べろということでございますが、私も先ほど来のやりとりを、摩詞不思議なことが世の中にあるものだという感じがして聞いておりました。私も昔、日経連の委員をやっておったことがございましたけれども、ほとんど経営者側が労働組合に押え込まれるというケースは相当あるように聞いておりましたが、経営者がこんなに強くて労働組合をむしろ押しぎみであるというケースは非常に希有に聞いたわけでございまして、ほんとうに珍しいケースだなという感じさえ受けたわけであります。しかし、聞いておりますと、確かに労働者の権利というものは権利として当然あってしかるべきものでございますから、いまのようなことが竹内先生の御指摘のとおり遂行されているとするならば、当然調停委員会の中で問題になり、またそこにおいて解決されていくべき問題であろう、こう思いますので、私もその成り行きを存分に研究いたしまして、そうしてそれこそまさにわれわれが客観的な立場でありながらも、なおかつその主管にもなるわけでございますから、公明正大な中立公正な判断を私どもは下していければありがたいことである、こう考えております。
  74. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 労働省のほうに要請しますが、この問題については徹底的に調査をしてもらいたい。そしてまた、いずれ別なところで、今度は社会労働委員会かそういうところでその成り行きについてはもう一度質問をしたいと思うし、それから私の場合には、プリマハムの全体の労働者の意見を聞きたいと思います。そうしてその真意がどういうふうにあるかということも聞かなければいけないから、そういうふうにしたいと思いますが、いずれにしても人間の問題でありますから、そして家庭を持っておりますから、毎日毎日職場で対立をして抗争をしているということは決していいことではない。そういうことの一日も早く終わって生産に全力をあげられるようにするために、それぞれの機関が力を尽くしてやってほしいと思いますから、その点を特に要請をします。その点どうですか。ちょっと回答を一点いただきたい。
  75. 寺園成章

    ○寺園説明員 本件につきまして今後十分調査を進めてまいりたいというふうに考えます。
  76. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 それでは、プリマハムの問題についてはこれで終わります。  専売公社のほうに質問をしますが、第三十一回の葉たばこ審議会が開かれました。私はその審議会に共闘会議の仲間とともに参加をいたしまして、たばこの問題についていろいろと要請をいたしました。特に茨城県は全国でも有数のたばこの生産地でありますから、この問題に対する関心は非常に高いものがあります。その席上に北島総裁並びに川野審議会会長が出席をされまして、共闘会議の全国の仲間といろいろとやりとりをする中で、どうしても国会においてたださなければならない問題があります。でありますから、これも本来大蔵委員会が担当する場所かもしれませんが、特に私は、葉たばこは国が管理をしておるということと同じように、米は食管で国が管理をしておる。そして両方とも国が管理をしていて土地で生産をするものが、かくも価格の決定について差別があるのかという点について、ここでどうしても明確にしなければならない点がありますので、この場所でこの点についての質疑をしていきたい、こういうことでこの問題を議題にするわけです。  まず第一番目の問題は、葉たばこの耕作面積に関する問題であります。公社のほうに伺いますけれども日本の戦後の葉たばこの最高の生産面積がどのくらいあって、現在どれくらいの面積で、そして将来どういうように面積がなっていくのか、そしてそのたばこの耕作に従事をしてきた農民というものは、最高が何人いて、いまどれくらいいて、将来何人くらいになるであろうかという五十三年の見通しがあるわけでありますから、その見通しも含めて報告を願いたいと思います。
  77. 佐々木幸雄

    ○佐々木説明員 日本の葉たばこ生産は戦後どれくらいの最大の面積があったかということでございますが、これは昭和四十一年が耕作面積最大の年でございまして、約八万七千ヘクタールございました。それが最近減少してきておりまして、現在約六万ヘクタール、こういうことになっております。これから将来の問題を推察するのはなかなかむずかしい問題が多々ありますけれども、これから五カ年先あたりの趨勢をいろいろ検討してみますと、やはり現在よりも若干の減になる見通しが強い、こういう状況にございます。ただ、公社といたしましては、いろいろな専売事業運営上、国内産葉たばこの重要性ということを考えまして、本年から従来にないたいへん大きな生産対策を講ずるということで、五カ年間にわたりまして約三百三十億円の金をつぎ込んで、国内葉たばこの安定を期したい、こういうように考えておりまして、そういう面での効果は相当出てくるのではないか、こういうように考えております。  耕作人員は、現在約三万六千名でございますが、戦後特に多かった時期には、ちょっといま資料を持っておりませんけれども、五十万人くらいだったと思いますし、それからこの面積の最大の時期には約三十万人の耕作者があった、こういうぐあいに記憶しております。
  78. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そこで、耕作面積が減る、それから耕作をする農民の数が減るというその最大の原因というものについて、これは農民の責任なのか、あるいはまた公社の指導に何かの欠点があったのか、ほかに何か理由があったのか、この三つのうちのどの点だと思われますか。最大の原因について三つのうちのどれか、この点を明らかにしてもらいたい。
  79. 佐々木幸雄

    ○佐々木説明員 先生のほうから三つのうちのどれかということでございますが、これは単純に、これでございますという言い方はなかなかむずかしいと思います。われわれが見ております範囲では、やはり最近の経済の大きな変動がございますので、葉たばこの生産だけでございませんで、農業全体がたいへんそういうような影響を受けておりますが、そういう社会、経済上の影響というものが非常に大きいだろうというように思います。  また、値段の問題も出ましたが、これも関係ないとは申しませんけれども、この値段につきましては、適正な収益を耕作農家に得さしむるということで審議会の議を経てきめておりますので、いろいろな意見はあるかとも思いますけれども、総体的に適正にきめられておるもの、こういうぐあいに考えております。
  80. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 いまのあれですけれども、これはどうしても納得がいかない。五十万人おったもの、あるいは三十万人近かったものが十数万人に落ちる。それから面積も相当滅ってしまった。それにかわって外葉というものが入ってくる。そうすると、これは日本の農業全体でもそうだけれども土地に生産する国内の生産というものがどうもおもしろくない、だから外国のそれに依存をしようというかっこうではないか、こういうふうに考えられる。  そこで、いま外国から輸入する輸入先、それからそれの価格、それから数量というようなものについて、こまかいことはあとで資料でいただくことにしたいと思うのですが、大筋でいいから、ここでちょっと代表的なことを述べてもらいたい。
  81. 佐々木幸雄

    ○佐々木説明員 お答えいたします。  先生の御質問のような資料は整理してまいっておりませんので、いま持っております資料から簡単に申し上げたいと思います。  昭和四十八年は現在進行中でございますので、四十七年の実績でございますが、輸入外葉の総数量は五千四百万キロでございます。その中でアメリカが一番多うございまして二千六百万キロ、それからいろいろな国からいろいろな種類を入れておるわけでございますが、大きいところを申し上げますと、ギリシアから七百万キロ、ブルガリアから百二十万キロ、ユーゴから七十三万キロ、トルコから五百四十六万キロ、台湾から五十八万キロ、韓国から百十三万キロ、インドから四百四十七万キロ、タイから三百八十五万キロ、メキシコから百八十万キロ、こういうことでございます。そのほかの国からも少量ずつまだ入れております。四十七年の実績はそういうことでございます。
  82. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 価格の問題はどうですか。国内の価格との差はどうなっておりますか。
  83. 佐々木幸雄

    ○佐々木説明員 これは種類によって価格はいろいろでございますので、一律にどうということを申し上げるのはたいへんむずかしいわけでございますし、また、葉たばこの価格を国内のものと比べてどうかと申します場合には、いろいろ種類なりそのものの持つ特徴、そういう品質上の問題をどう国内のものと比較して評価するかというたいへんむずかしい問題がございますので、これにつきましては、相当な区別をして考えなければならぬ問題だと思います。  総括して申し上げますと、国内の葉たばこを農家から買い上げまして所要の処理、すなわち黄色種あたりでございますと、原料工場で処理をいたしまして製造工場で使うという段階、それから外国の葉たばこも、そういうようないろいろな処理を含めまして国内の製造工場で使うと同じ状態で使う場合の値段を見ますと、現在では、国内の葉たばこと外国産の葉たばことの差は、国内葉のほうが輸入します外葉よりも平均いたしまして六〇%程度高いという計算にはなってまいります。これも種類で差がございまして、あるものは二倍近い値段というような見方ができますししますが、大体五割前後というところではなかろうか、こういうぐあいに見ております。
  84. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 諮問によりますと、四十八年には五万九千三百八十六ヘクタールで、四十九年度の耕作面積が六万二百二十ヘクタール、これは大体諮問どおりに答申が決定をしておるわけですが、五十三年になると五万七千四百二十ヘクタールという形で減反の方向がすでに公社のほうから諮問されている。そうすると、いまのお話のように、少なくとも現状よりも耕作面積が減るということは明確なのです。それは公社のほうで明らかにしているわけですから。  そこで、四十八年には国内の葉っぱが一億五千八百万キロ、外国からは四千九百万キロのものが、五十三年には国内の生産が一億一千九百万キロで外国からは一億七百万キロの大体半々になる。五十三年には国内と外国とが半々になってくる。こう見てくると、どう考えても、専売公社の方向とすれば、いまも言ったように、確かに国内のそれよりも六〇%も安いといわれる状況の中で、安い外国の葉に依存しようとする傾向というものは明確になっていると思うのですけれども、これについてはやはり否定されないと思うのです。結局外国のものに依拠しなければならない。そうすると、日本で生産する葉たばこの中に何か欠陥があるのか。ニコチンでも多くて最近の国民の好みに合わない、値は高いし、ニコチンは多いし、そういう欠陥があって外国に依存しなければならないのかどうか、この辺については一体何が根拠になってそういうふうになっているのか、安いから入れるのか、その辺はどうですか。
  85. 佐々木幸雄

    ○佐々木説明員 お答えいします。  先生の御質問の中に出てまいりました今度の審議会で、四十九年度の面積を諮問し、その中で五十三年までの数量を出しておるのだが、その数量を見ると、外葉がたいへん多くなって国内葉が減っておる、こういうことでございますが、この諮問をいたします場合のこの資料は、四十九年につきましての具体的な面積をきめるにつきまして、御存じのように、葉たばこの需給関係は、生産をしまして二年間の貯蔵期間を経て使う、こういうような計画でございますので、単年度で事業を見ていくことはたいへん問題がございます。したがいまして、例年五年間の見通しを、こういうぐあいに見ておりますということをつけた資料を説明しながら、来年度の面積をきめていただく、こういうことになっておりまして、その資料のことだと思います。  この資料を見ますと、もちろん国内葉の生産というものが、五十三年には現在よりも若干落ちるというかっこうになっておりますけれども、これは先ほども申し上げましたように、過去の五年間の変化からしますとたいへん小さいものでございます。それから、これは一つ計画ではございませんで、これからの見通しでございますので、各産地の状況を見ますと、やはり都市近郊あるいは工業地帯の近郊の産地が過去たいへん大きな減少をしております。そういうようなことを今度の生産対策で相当に緩和するといたしましても、こういう傾向をここでぴしっと断ち切ることはむずかしいであろう、こういうような想定でつくっておるものでございますので、もちろん生産対策が効果をあげまして、これ以上に国内の生産ができるということでございますれば、それに沿って、逐次また修正をしていくという性格のものでございます。  それから、外葉の問題、輸入葉の問題でございますが、これは国内の生産をそういうように見まして、一方、全体の需要のほうは、製造の数量がふえますので、どうしても原料全体の総量がふえる、こういうことになってまいります。従来のように、国内の葉たばこで、品質上どうしても補てんできないものは外国から買うということと同時に、こういうような趨勢になりますと、総体の数量に減が出ますので、その部分は一部は外葉に仰ぐ、あるいは一部は加工原料と申しますか、現在シートたばこというような、葉っぱそのものでなくて、葉っぱを加工したものを相当使うようになってきておりますが、そういうものを使っていくというようなことで対処せざるを得ないということでございます。  お説のとおり、五十三年を見ますと、相当外国葉の使用量がふえてまいりますけれども、この表の見方も、先生の御説明のように、五十三年を見れば、国内葉と外国葉が半々になっているんじゃないかという御指摘でございますけれども、これは全体の使用量の中での外葉を見ますと、五十三年で、いまの見通しでは、約四割近いものになるのじゃないか、こういうように読んでいただきたいと思います。  それから、外国葉についての問題、特に国内葉とのどういう関係で外国葉をこう多くするのかということでございますが、一つは、日本のたばこ生産も、一人当たりの耕作規模もだいぶん多くなってまいっておりますが、総体としてやはり生産の規模が小さいというような中での葉たばこ生産でございますので、どうしても生産性はあがってこないという要因がございます。そういう面で、先ほど申しましたように、どうしても価格が高くなるという問題が一つあります。  しかし、それだけが原因ではございません。現在、外国から輸入しておりますものも、現在の状態で、現在の数量で輸入しておるということで、それだけの格差が出ておるわけでございまして、これを相当量一カ所で集中して買うという場合に、どういうようなかっこうになるのかという問題もあわせて考えなければならぬわけでございますので、公社といたしましても、現在の産地を安定させていきたい、こういう基本的な考え方に立ちまして、国内葉たばこの生産を見詰めておるわけでございます。  それからもう一つは、国内の葉たばこについて、何か大きな欠点があるのかということでございますが、品質上の問題といたしましては、御存じのように、国内では非常にたくさんの種類が生産されております。そういうようなことで、それぞれの産地で、それぞれの特徴のある葉っぱが出ておるわけでございますが、総体といたしまして、国内の葉たばこは、こういうような農業情勢の中で耕作しておりますので、非常に集約的な葉たばこ生産になっております。そういう関係で、全体としてニコチンが高いという要因はございます。ただ、このニコチンの問題もそれではいかぬということで、現在急速にいろいろと新しい品種を入れまして、低ニコチン品種を導入してきておりますので、現在のところ、地域的な、若干品質上好ましいとか好ましくないとかいう範囲は、従来と比べまして非常に少なくなってきております。そういう状況で、基本的には国内産葉たばこを安定的に生産しながら使っていきたい、こういう考えでおります。
  86. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 この点については、また別の委員のほうから別の機会にさらに話があると思います。  時間がありませんから、先にいきますが、一番の問題は、私は価格の決定にあると思うのです。これは審議会のときにも総裁に対してわれわれは非常に不満を持っておったのですが、同じに国が管理をしている米については雇用労働者の賃金が基準になっている。ところが、たばこの場合には、臨時雇いの賃金を基準にしている。そこに問題があるし、それから決定の方式に関しては、米の場合には生産費及び所得補償方式というものを、十分に補償されていないけれども、ともかくそういうものを、逆算方式ではあるが、とってきている。ところが、葉たばこの場合には、生産費方式をとり、所得の補償というものは考えられない、こういう答弁を共闘会議の仲間に報告された。これがわれわれの非常に不満なところなんです。同じ国が管理をしているものが、米よりもむしろきびしい管理をしているたばこが、なぜ一体日雇い労働者、臨時雇用労働者の賃金でいかなければならないのか。しかも生産費は考えるけれども所得は補償できないのだ。これでは、たばこをつくる者が減るのはあたりまえだ。出かせぎをする、あるいは周囲の工場に行ってしまうのはあたりまえだ。この考え方に立つ限りにおいて、日本におけるところの葉たばこの生産の向上はあり得ないと思う。この点についてはどうですか。これは正しいと思いますか。それとも、これはいかぬ、何とかしなければいかぬと考えていますか。
  87. 佐々木幸雄

    ○佐々木説明員 たいへん基本的な問題でございますし、審議会のときに先生がおいでになったときに総裁がお答えした中のその問題も、たいへんことばが少ないので誤解を招いておる面があるのじゃないかと思います。基本的には 先ほど申し上げましたように、葉たばこの価格をどう見詰めていったらいいのかということが過去にもずいぶん問題になりまして、約十年前の昭和三十八年に生産費方式あるいは生産費・所得補償方式、こういうようなことがたいへん問題になりましたので、公社としては調査会をつくりまして、これあたりについていろいろ専門的に議論してもらった経緯がございます。そこで得られました結論が臨時葉たばこ調査会の答申ということで出ておりまして、現在までその答申の線に沿って価格をきめておる、こういうようなことでございます。これはだいぶ前の話になりますので、現在とはだいぶ情勢が変わったという御指摘があれば、それはそれなりにあるかとも思います。  そのときの生産費・所得補償方式を積極的にとるということにならなかった要因といたしまして、答申にはこういうようなことが書いてあります。三つ、四つありますが、一つは、財政専売をたてまえとする現状からして特別な政策的価格を設定する積極的理由を見出しがたいということがいわれております。それからもう一つ、国際商品である葉たばこに政策的価格をとることは国際市場から孤立的、閉鎖的となり、真の発展にはならないという見方、これが次の大きな項目になっております。それから、たばこは、米のようにほとんどの農家がおつくりになるものと違って、特定の農家がつくられるということでございますので、たばこ農家だけにそういう政策的な価格をとることは、たばこをつくっておられない農家との間に不均衡があるということで、これはそれなりに問題があるではないか、こういうようなかっこうのことが指摘されております。  そういうような当時の葉たばこ調査会の答申を得まして、そのときに、それでは、こういうようなかっこうの算式をベースにしてこれからの価格をきめてはどうかということの御指摘をいただいておりますので、それに沿って現在の価格をきめておるということでございます。  ただ、ここで、先生質問にはございませんが、最近この辺の賃金の問題について、若干問題が出ております。審議会の中でも、たとえば農村の日雇い賃金だけを賃金ベースにするということについては、やはり現在農村の雇用の機会が農業以外の部面にもあるのではないか。この辺のことについて検討していくべきだというような議論も出ておりまして、そういう方向に向かっての検討はやっております。
  88. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 価格の問題についてはとうていいまのようなことではわれわれは納得ができないものですから、今後いろいろな場面でこの点については検討していきたいと思います。  最後に、時間が来ておりますけれども、重要な問題でありますから二、三質問をさせてもらいますが、予示価格の問題です。予示価格制度、それと、現在のように物価が上がり、インフレが進行している中で、今度の場合はそれを補なうような形でやったのですけれども、大蔵省の予算が一ぺんきまってしまった場合には、その後においては改定できないということを言う人がいる。これははなはだ誤ったことであると思う。インフレが進行をし、物価が上がったのは、たばこをつくる農民の責任じゃない、政府責任なんだから。当然大蔵省は物価が上がればそれに向かってスライドをして、農畜産物の価格を上げるのはあたりまえだ。たばこももちろんそうしていかなければならないので、その関係についてはどう考えますか、予示価格と実行価格とのかかわり合いについて。
  89. 佐々木幸雄

    ○佐々木説明員 従来公社の葉たばこ生産の場合には予示価格制度をとっております。したがいまして、正常な情勢でありますれば予示価格でもって収納、買い上げをするということになるわけでございます。先生指摘のように、経済変動がたいへん大きくて、それでは間に合わないというような場合には、本年のように何らかの措置を講ずるということは必要であろうと思います。しかし、われわれは経済変動がこれからもことしのようなかっこうで将来もあることにならないであろうと思います。予示価格制度というのは、本来の予算の問題だけではございませんで、あらかじめ価格を耕作者の方に示すということによりまして、公社並びに耕作者それぞれにその制度に対する一つ考え方というものをそこに出し合うということになりますので、やはりこの予示価格制度ということは将来ともとっていきたい、こう考えております。
  90. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 等級間の格差の問題、価格の格差が非常に大きいのです。米の場合には比較的その差が小さい。たばこの場合にはたいへんこの格差がある。せっかくパーセントが上がっても、格差が出てしまうと所得は小さくなる。そこで、初めからそういうものがあって、格差をつけて、何等級はどれだけ買うかというものが初めにあって、それに合わせてやるのか、それとも品質さえよければ等級はいつでも上がるのかどうなのか。その辺のところはどこに基準とか原則があるのか、その辺どうですか。
  91. 佐々木幸雄

    ○佐々木説明員 たいへん専門的な話になったようでございますが、葉たばこの場合、米と違いまして、確かに等級間の価格の差は大きゅうございます。これは、日本の葉たばこというものはなるべく品質を向上しながらいい原料として使っていきたい、そのためには、耕作者の方々にもいいものは高いですよというようなかっこうでつくっておったのが、従来までの価格の体系でございます。ただ、最近国内の葉たばこはものもたいへんよくなりまして、特に悪いものが少なくなってきた。こういう状況でもございますし、また耕作農家のほうもあまり価格の差があるのは問題だということでもありましたので、最近等級間の格差はずっと縮めてきております。したがいまして、去年の審議会あるいはことしの特別措置という場合あたりから大体中下級品のほうにずっと詰めておりまして、その辺の格差は従来よりずっと少なくなってまいりました。  それから、どの等級がどれくらい出るだろうかということで価格をきめるのかという御質問かと思いますけれども、そういう価格のきめ方は、過去のそれぞれの種類の生産されました等級というものを平年的に見まして、本来ならば、平年作であるならばこれくらいな等級の生産があるであろうということを想定して次の年の価格をきめる、こういう方式をとっております。
  92. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 最後ですから、問題を詰めて質問します。  公社は、五十三年度ごろまでに、これだけの面積が減って、いろいろ事態が変化をしている、前から見ると。それに応じて工場あるいは集荷場、地方局等々の整理を考えられておると思う。こういう問題に対して、たとえば茨城県では友部の乾燥場とかいろいろなところが問題になろうと思うのです。あるいは工場の閉鎖というような問題。それからもう一つは、現在専売公社が持っておる土地で、一時、たとえば十日間くらい使ってあとはほとんど草がはえて遊んでおる広範な土地がある。こういうものは一般の人から見れば、専売公社というのは金があるから遊ばしていてもいいのじゃないか、こういうようにひがんで見る人もあるし、もう少し土地利用というものをうまくしたらいいのじゃないかという声が非常にある。ますますその声は高くなってくると思うのですが、こういう遊休の土地というものについて、これはここですぐ面積の広さを答えてもらうことは困難かもしれないが、あのままでいいと思うのかどうかということを私は聞きたい。  それから、たばこの売りさばき、小売りの基準あるいは例外の問題。何か売りさばき所に対する特別な処置があるのかどうなのか。顔さえきけば許可するのかどうなのかということについていろいろ地方には問題があります。そういう点についての基準。  それから、北海道においてたばこをつくりたいという希望がある。これについて北海道をどう考えるかということで、公社のほうの御答弁。  それから最後に、価格の決定に対するわれわれの不満、これに対して政務次官の答えを求めて私は終わりますけれども、たいへん時間を超過して恐縮です。
  93. 佐々木幸雄

    ○佐々木説明員 公社のほうに対する質問三つあったと思いますが、小売りの関係はあとから専門の方にお願いすることにいたしまして、現在の取扱所、事業所の関係の問題でございますが、これは具体的にはいろいろ事業の推移等をにらみ合わせて考えなければならない問題でございます。ただ、国内の葉たばこの取扱所の関係あるいは国内の生産と関係の深い原料工場の問題。これはいろいろと施設そのものが老朽化してくる場合、あるいは作業環境が悪い場合、あるいは新しい機械を導入したい場合、基本的な工場自身の問題とあわせて総体としてその配置なり規模なりを考えなければならないということでございます。現在取扱所につきましては、たいへん道路事情その他の運送関係が前と変わってまいりましたので、短時日しか使わないというようなところもございますので、それは逐次適正配置にするという考え方をしていかなければならないものだと考えております。  また、それに伴いまして遊休施設の問題がございますが、公社が取扱所を廃止しました場合、その建物なり土地なりを公社の事業上将来何らかに使っていくとかあるいはそこに何らかのものをつくりたいという場合は、公社自身の計画としてそこを考えるということになりますし、そういうような計画のない場合には、適正に払い下げるというようなかっこうをとるわけでございます。  ただ、先生のおっしゃいますお話の中の、現在取扱所で広い土地を持っておって、短時日しか使わないじゃないかというところが若干ございますが、取扱所は、御存じのように、できるだけある程度の規模にいたしまして、稼働期間を長くしていきたいと思っておるわけでございますけれども、やはり取扱所そのものは耕作産地の一つの中心でもございますが、無理に規模を大きくしてというわけにもまいらない面もございますので、その辺が現在若干目立つのではないかと思いますことと、それから取扱所の中でも、公社の生産支所の中に取扱所があります場合、もちろんそれは生産支所、取扱所、倉庫というものがあるわけでございますけれども、そこにある土地の問題につきましては、これはなるべくそこの収納の稼働日数を多くするということで対処すべきだと思いますが、収納時期に相当な車が入ってくるというようなこともございますので、それはそれなりに利用していきたい、こういうぐあいに考えております。  それから、北海道の問題でございますが、北海道でバーレー種をつくりたいという希望が確かに出ております。これは公社のほうでも、北海道でたばこをつくるかどうかということで、過去北海道各地でいろいろ試験をやりました。三年ほどやったわけでございますが、三年間冷害を受けまして、たいへん生産が不安定であるということ、それから、できますものもなかなかこちらの思っておるようなものができないというようなことがございましたのと、現在希望が出ておりますのは、北海道の網走のほうの北見でございます。この地域はオホーツク海方面に近いわけでございまして、夏の時期はたいへん気温が高いのだということはございますけれども、たばこの適地ではないだろう。基本的には、その産地がたばこを取り入れることによりまして、公社のほうだけでなくて、やはり産地のほうも安定した作物としてそれを見ていただける、こういうような確信が持てる場合でなければ入れるべきじゃないじゃないかということで、現在のところそういう御希望に対してはお断わりをしておる、こういう状況でございます。
  94. 飯田頼之

    ○飯田説明員 先生の二番目の御質問でありますたばこ販売の場合の小売り店の指定の問題について、簡単に御説明申し上げます。  たばこの小売り店を指定します場合に基準があるのか、あるいはその例外を認めておるのかという御質問であろうと思います。  まずたばこ販売の売り場の問題ですが、その実態なりそれに対する公社の考え方立場というものを簡単に申しますと、たばこは消費者の方にとりましてどこでも簡単に手に入るという、消費者が手に入れるための消費者利便を考える必要がまず第一と考えております。そういう点からいいますと、売り場の数は多ければ多いほどいいということになります。他面、営業行為をいたしております小売り人にとりましては——現在二十二万程度の小売り人がございますが、その八、九割は兼業いたしております。そういう小売り人の方がやっていける条件といいますか、基盤といったものを考える必要があるので、数が多いほどいいと申しましても、おのずから制限があろうかと思います。それからもう一つ、小売り人を選定します場合の公社の立場を申しますと、専売公社の公共性ということ、これは消費者の方にも小売り人に対してもそういう要請があるわけですが、特にその小売り人の選定をいたします場合には、つまり売り場をきめます場合には、公正、公平でなければならない。恣意に流れるような指定は絶対に許されないというふうに公社の立場として考えております。  それでは、小売り店を許可いたします、まあ指定と申しておりますけれども、指定の条件はどういうやり方になっておるかと申しますと、日本専売公社法をはじめ、いろいろな法令、規定、通達、こういったようなものできめこまかく定めをいたしておりまして、それぞれ判断いたします担当者、指定権者がかってにと申しますか、乱に流れるようなことは絶対にないようなこまかい規定で縛っております。そうやって非常に厳正な運営を考えております。  中身は非常に膨大なものですから一々申し上げませんが、指定の場合の考え方の柱は、一つは小売り人間の距離、一つは見込まれる売り上げ高、この二本が柱になりましてこまかい規定ができておるわけであります。ということで、その規定の中には、場合によれば身体障害者の場合とか母子福祉法に該当するような方の場合とかには制限をゆるめる、これは例外といえば例外かもしれませんが、その規定もあります。それから近来いろいろ人口が都市に集中しまして、都市郊外地域が発展していく、あるいは高いビルができる、団地ができる、こういったような経済的、社会的状況の非常な変化があります。それから交通が非常にふえて、同じ道路をはさんで交通が非常に激しいために、距離がある程度近くても認めるといったような距離の適用除外というような例は認めております。けれども、きめております基準、原則と申しますものは、例外を認めない、こういったようなことで運用いたしております。
  95. 中尾栄一

    中尾政府委員 価格をどういう形でという御質問でございましたが、もう生産工程から販売に至るまでほとんど専売公社は独占的にやっておりますので、われわれ農林省としての意見を取りまとめて、専売公社にはいまから存分に意見を申し上げてみたい、こう思っておるのです。大体私も、少しく私見を述べさせていただくと、専売公社はどちらかといえば大蔵省に弱過ぎる。それで農林省のわれわれの見解というものをもっとぴしっといまから入れさせていかなければいかぬと私は思っておるのです。  先ほど営業、販売の者が中立公正にやっておりますと言っておりましたけれども、実を言うと、これにも疑義がある。たとえば大蔵関係などの圧力がかかると、相当に中立公正ではない。こんなやり方は断じて許さないということで、この問も専売公社の者を呼んで私は特に言いつけたのであります。私などはそういうことをよく頼まれても、販売店をつくるなどということはささいなことですが、そういう点についてはあくまでも中立公正をもって旨とするべきであるというたてまえから、なるべくこういうものにはタッチしない。ところが、ある代議士は、不心得な者がおって、そういうものに非常に圧力をかけるのであります。それはもう私は断じて許してはいかぬという感じがしておりますので、その点は農林省で存分に監督いたしますから、よろしくどうぞ。
  96. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 どうも時間をとって……。
  97. 佐々木義武

    佐々木委員長 諫山博君。
  98. 諫山博

    ○諫山委員 私は、本国会中に当委員会で、福岡県の岡垣射爆場のことで二回にわたって質問しました。自衛隊が岡垣の保安林を射爆場に使用するのは、わが国の独立と安全を守るためにも、また保安林保安林として機能させるためにもきわめてゆゆしい問題だからであります。この点について林野庁長官は、保安林としての機能をそこなわないようにしたい、米軍の射爆で樹木がなくなったところは保安林の状態に戻したい、こういう答弁をしています。一回目も二回目も同じ答弁であります。そして農林大臣もこの趣旨の答弁を繰り返しています。ところが、現在ではこの保安林が自衛隊の射爆場として使用されるようになったのであります。そして林野庁防衛庁に保安林の使用承認を与えています。この経過を見てみますと、林野庁長官が私を欺く答弁をしていたのか、それとも一長官の意思ではどうにもならない田中内閣全体の政策で林野庁長官が変節をさせられたのか、そのどちらかでしかあり得ないと思います。  実は、きょう朝から農林大臣もしくは林野庁長官にこの委員会に出席をしてもらうように要求し続けたのでありますが、参議院との関係でどうしても出席できないということです。  そこで、林政部長に答弁をお願いしたいのですが、林野庁長官が私を欺く答弁をしていたのか、それとも何らかの政治的な理由によって立場を変えたのか、どちらなのかということをお答え願いたいと思います。
  99. 平松甲子雄

    ○平松説明員 林野庁といたしましては、保安林の有する公益的な機能ということに着目いたしまして、保安林機能が最大限に発揮されるというふうな気持ちを抱いておるわけでございまして、そういうふうな気持ちが、先般、林野庁長官が諫山先生に御答弁を申し上げた内容であろうと思います。  そういうような見解を持っておるわけでございますけれども、本年の五月十五日に、岡垣保安林につきまして、防衛上の見地からこの保安林を射爆場として使うという閣議了解が行なわれたものでございますから、その了解の線に沿いまして、福岡県知事に対して、作業許可を与えるというふうな形にして、林野庁として了解をいたしたわけでございます。  その了解の際にも、現在、米軍の射爆によりまして未立木地となっておる四十ヘクあまりの林野敷の中において、射爆場に使う分については二十ヘクというふうに限定をいたしまして、残りの二十ヘクにつきましては林木を植栽するというふうな形の義務づけをするということにいたしまして、こういう使用許可を行ないました上においても、なおかつ当該保安林が最大限の機能を発揮するようにという点の配慮をいたしたものでございます。
  100. 諫山博

    ○諫山委員 さっき指摘しましたように、当委員会で二回にわたって岡垣の保安林保安林として使いたいということが言明されております。ところが、全く農林水産委員会と別なところで、閣議決定という名目で方針が変更されるのであれば、すべての委員会に田中総理が出席をして、政府としての見解はどうだという立場を説明してもらわないと、何のための委員会かわからないという結果になります。この問題で、きょうは農林大臣がおられませんが、政務次官、いかがでしょう。
  101. 中尾栄一

    中尾政府委員 国有林の適正管理に関する政務次官の所見ということのような御質問でございますが、岡垣保安林を岡垣射爆場として使用することにつきましては、御指摘のとおり、また、御答弁をすでに農林大臣も何回かにわたってしておりますが、昭和四十八年の五月十五日に防衛上の見地から閣議了解がなされたわけでございまして、このような経緯を経て福岡県知事による作業許可が行なわれたところでございます。したがいまして、当該保安林管理の責務を負う農林省といたしましては、当該保安林が防風保安林として重要な機能を有していることを十分に考慮いたしまして、これを維持する視点から対処してきたところでございます。今後につきましても、関係機関と密接なる連絡調整をはかりつつ、適正なる管理が行なわれるように、所要の努力をしていく所存でございます。
  102. 諫山博

    ○諫山委員 私が問題にしたのは、委員会としての長官答弁農林大臣答弁が、委員会と全く別なところで一方的に変更されるのであれば、何のための委員会審議かわからないではないかということを聞きたかったのでありますが、さらにこの問題に関連して、札幌地方裁判所の長沼事件判決は、自衛隊は憲法違反だといっています。自衛隊も憲法違反であるし、自衛隊に関連するすべての法律も憲法違反だから無効だというのが判決の立場です。そして、これがわが国の憲法学界の通説に沿ったものであることは、判決直後の学者の意見などを見ても明らかであります。  そこで、保安林の直接の責任官庁である農林省としては、岡垣の保安林を、憲法違反の自衛隊に使用させていることに、いまの長沼判決という新しい段階の中で反省はないのか、次官お答え願います。
  103. 中尾栄一

    中尾政府委員 これは反省がないかという御質問でございますが、反省というよりも、私どもはこれは非常に不当であるということから、あくまでも控訴に踏み切っているわけでございまして、全くもってこのような見解は、先生の御指摘とは異にするものであることを明確にしておきたいと思うのであります。
  104. 諫山博

    ○諫山委員 自民党席からそのとおりという声援が出ておりますが、しかし、農林省が長沼判決を尊重しないというのは、私にはきわめて遺憾です。札幌地方裁判所の判決は、たとえ下級審の裁判ではあっても、判決には間違いありません。そしてこれが上級審の裁判で取り消されない限り、判決としての効力を持ち続けることは、これは常識であります。  そこで、農林省としては、今後の行政の中で長沼判決を完全に無視しながら政治を続けていくつもりか、それとも判決の趣旨とか精神は行政の中で生かしていくつもりなのか、どちらかをお聞きします。
  105. 平松甲子雄

    ○平松説明員 御承知のことだと思いますけれども、裁判所の判決につきましては、一審の裁判所の判決が出ましても、最終決定を見ますまではその判決についての確定力はないということでございますし、私どもといたしましては、いま政務次官からお話がございましたように、札幌地裁の判決には承服しがたいということでございますので、あくまでも従来の政府方針に従って対処してまいるということであろうと思います。
  106. 諫山博

    ○諫山委員 札幌地方裁判所の判決に確定的な効力がないことはもちろんです。しかし、取り消されるまでは判決としての効力を持つというのは、法律学のイロハです。そこで、田中内閣あるいは農林省がこの判決を無視し続けるという態度をとり続けていくなら、幾ら口先で法治国だ、法律を守りなさいと言ってみたところで、全く説得力はありません。たとえば判決後のある新聞に学校の先生から次のような投書が出ています。政府が長沼判決に従わないという態度をとり続けていることを生徒に一体どう教えたらいいのか困っている、こういう投書がなされているのであります。私は、長沼判決に対する政府のやり方というのは、裁判の命令を完全に無視しているウオーターゲート事件のニクソンと同じだと思います。  そこで、一体、農林省としてはこの判決のすべてに不服だったのか、それとも判決理由の一部には支持できる点があるけれども、結論として賛成できないのか、そのどちらだったのかを次官のほうから説明願いたいと思います。
  107. 中尾栄一

    中尾政府委員 これは何といいますか、基本的な論議になると思いますけれども、私どもはこの判決には全面的に否定でありますから、御承知のように控訴をしたわけであります。控訴した記事はあまり大きく出ておりませんけれども、これはあくまでもわれわれは否定する心でやっているわけでありますから、これは当然のこと、やり直しを請求するという意味で、最高裁まで持っていくという考えでございます。これは御案内と思いますけれども、人が人を裁くという裁判自体が非常に大きな問題があるといわれている中で、こういう一方的な判決というものは、いささかむずかしい問題を提起した社会問題であるとさえ私は考えているわけでございまして、この問題はまた後日に譲りまして、存分に先生と討議をしたい問題だと考えておるわけであります。
  108. 諫山博

    ○諫山委員 長沼事件の判決が、憲法学界の通説に沿ったものであるということは、これまた常識だと思います。しかし、いまの政務次官答弁によりますと、長沼事件の判決には初めから終わりまで賛成できないという立場のように聞こえます。この判決の中で森林法に幾つか触れた部分があります。たとえば「保安林制度の趣旨は」「たんに当該森林の所有者またはその他の権利者の個人的利益を保護しようとするものではなく、その森林付近の地域住民の生命、身体、財産、健康、その他生活の安全等を保護しようとするものである」、裁判所はこういっています。また保安林は「地域住民の利益の保護を目的とするものである」、こういういい方もされています。私は森林法に対するきわめて常識的な、きわめて当然の判断が示されていると思いますが、この判断にも林野庁は賛成できないのですか。林政部長、いかがですか。
  109. 平松甲子雄

    ○平松説明員 いま先生がお読みいただいた部分に続きまして、二十六条の二項の行為は覊束行為であるというところへ続いているわけでございますが、私どもといたしましては、これは自由裁量行為であるというように考えておりますので、いま先生がおっしゃった点と申しますのは、その裁量行為であるか覊束裁量行為であるかということの導入点でございまして、私ども先生が賛成か反対かとおっしゃる点につきましては、判決の中で覊束裁量行為であるといっておる点について、私どもとしては自由裁量行為であるという見解をとっておるわけでございます。
  110. 諫山博

    ○諫山委員 問題をそらさないで答えていただきたいと思います。裁量行為か覊束行為であるかということを聞いているのではありません。森林法にいう保安林というのはこういう趣旨でつくられたのですよということを裁判所はいっているのです。その部分を私は読み上げました。もう一ぺん読んでみます。保安林は「地域住民の利益の保護を目的とするものである」、この判断には賛成ですか、反対ですか。答え直してください。
  111. 平松甲子雄

    ○平松説明員 前後脈絡をした判決文でございますから、一部分だけを取り上げてどうだというお話については、判決の内容との関連においておっしゃるのであれば多少問題があろうかと思いますが、保安林の制度というものの趣旨から申しますならば、保安森林の持っております公益的機能に着目いたしまして、その公益的機能住民経済的利益と申しましょうか、生命、財産に対する相当大きなウエートを持っておるという場合に、その森林公益的機能を補足させようという趣旨に出ているものという点については、そのとおりであろうと思います。
  112. 諫山博

    ○諫山委員 ずばり聞いて、保安林は「地域住民の利益の保護を目的とする」という判示には賛成ですか。
  113. 平松甲子雄

    ○平松説明員 先ほどもお答え申し上げましたけれども、そのくだりをそのままあげてどうだというお話でございますと、判決の中のいろんな問題と関連がございますので、先生の御質問に対する答弁は前回答弁いたした趣旨で御了承いただきたいと思います。
  114. 諫山博

    ○諫山委員 答弁できないことではないでしょう。小学生でもわかる文章です。もう一ぺん読みます。保安林は「地域住民の利益の保護を目的とするものである」、これに賛成か反対か聞いているのです。
  115. 平松甲子雄

    ○平松説明員 いま先生がお読みになった部分が私が先ほど答弁申し上げました趣旨という点であれば、そのとおりでございます。
  116. 諫山博

    ○諫山委員 ようやくこの文章には賛成と言われましたが、次にさっき読んだもっと長い文章はどうですか。もう一ぺん読みます。「保安林制度の趣旨は」「たんに当該森林の所有者またはその他の権利者の個人的利益を保護しようとするものではなく、その森林付近の地域住民の生命、身体、財産、健康、その他生活の安全等を保護しようとするものである」、これは判決の文章ですが、この部分には賛成ですか反対ですか。
  117. 平松甲子雄

    ○平松説明員 いろいろな解釈のしかたがあろうと思いますが、判決の中でいっておられますところの権利というものの解釈の内容になると思いますが、権利というものを、法律保護されておる権利と、そうでないいわゆる常識的に権利といわれておりましても、法律保護されているとまではいえないという権利と、そういうふうなものを全部包含いたした形での権利ということでございましたならば、先生指摘のような形の考え方があり得ると思います。
  118. 諫山博

    ○諫山委員 私が御指摘のとおりじゃなくて、裁判所がこういっているわけです。次官の説明では、この判決には一から十まで反対というふうに聞こえたのですが、判決の中には賛成できる点もあるのですか。それとも林野庁としては、この部分に賛成だけれども、政務次官としては反対、こういうことになるのですか。
  119. 中尾栄一

    中尾政府委員 私どもは裁判所の人間じゃありませんけれども、少なくとも判決文という形ではっきりと出された結論というものに対して、これは全面的に反対、賛成ということばを言うわけでありまして、ごく一部のその中における保安林の説明、概要というものだけを取り上げて、この点を賛成か反対かと言えば、それは賛成の部分もあれば反対の部分もある、これはごくあたりまえのことだと思います。ただ、私どもが結論的に言うならば、これを全面的に反対ですか賛成ですかといった場合に、三分の一は賛成ですが、三分の二は反対でありますなんということの答弁のほうがよほどおかしな答弁になると私は思います。
  120. 諫山博

    ○諫山委員 要するに、私が読み上げた判決の部分については農林省としては異論がないというふうに私には聞こえましたから、そういう立場から質問を続けます。  私はいまの議論を一般的抽象的な議論として農林省にいどんだわけではありません。岡垣射爆場の問題を解決する一つの前提として立場を明らかにしたいと思ったからです。  そこで、保安林制度の趣旨が判決がいっているとおりのものだとすれば、保安林を自衛隊の射爆場に使用させるかどうか、これは地域住民の利益ということを十分考慮してきめなければならない、こういう結論になるわけですが、この点、林野庁の林政部長、賛成ですか。
  121. 平松甲子雄

    ○平松説明員 保安林という一般的な問題としてどうだというお話でございますれば、先生指摘のようなことになるかと思いますが、岡垣の射爆場の自衛隊に使用許可を与えました部分について申し上げますと、当該部分については、米軍の使用時代に無立木地となっておるところでございまして、現在無立木地となっておるという状態から判断をいたしますならば、その点については、作業許可を与えるということによって立木を除去するというふうな形のものとは異質のものであろうというふうに考えるわけでございます。
  122. 諫山博

    ○諫山委員 岡垣射爆場は広大な面積を自衛隊に使用承認しているわけですが、この地域には木が立ってないと思っているのですか。どうですか。
  123. 平松甲子雄

    ○平松説明員 自衛隊に作業許可を与えた面積は三百三十三ヘクタールの国有保安林のうち四十ヘクタールの無立木地のうちのさらに二分の一の二十ヘクタールという部分が作業許可の対象になっているわけでございます。
  124. 諫山博

    ○諫山委員 林野庁が自衛隊に使用承認した面積はどれだけですか。
  125. 平松甲子雄

    ○平松説明員 使用承認をいたしました部分は、作業許可を与えました部分に接続する約三百ヘクタールでございます。
  126. 諫山博

    ○諫山委員 そこには木ははえてないと思っているのですか。木ははえているのですか。
  127. 平松甲子雄

    ○平松説明員 そこには現在松の木が植生いたしております。
  128. 諫山博

    ○諫山委員 私が聞いているのは、こういう保安林を自衛隊に使用させる場合に、判決の趣旨によれば、地域住民の利益を十分考慮しろと書いてあるけれども、そういう考慮はしたのかと聞いているのです。
  129. 平松甲子雄

    ○平松説明員 当該保安林は防風保安林でございますので、防風保安林であるという機能について、いま先生の御指摘のようなことの考慮をいたしました。
  130. 諫山博

    ○諫山委員 林野庁としては全く問題の本質を理解していないと思います。あそこは自衛隊の射爆訓練に貸すのですよ。射爆訓練をすることによって地域住民がどういう被害を受けるのか、そういう問題は考慮しなくてもいいと考えているのですか。
  131. 平松甲子雄

    ○平松説明員 射爆訓練に使用します部分につきましては、先ほどお答え申し上げましたように、二十ヘクタールの分でございまして、あと約三百ヘクタールというのは自衛隊がそういう射爆訓練に伴いますいろいろな用途のために使用するというふうな意味においての使用を許可したわけでございます。
  132. 諫山博

    ○諫山委員 まともな答弁になっていませんが、しかし、別な問題に移ります。  保安林の使用承認というのは、制度の趣旨からして、当然無期限であったり長時間であったりしてはならないと思います。林野庁は一体岡垣の保安林をいつまで自衛隊に使用させるつもりなのか、御答弁ください。
  133. 平松甲子雄

    ○平松説明員 岡垣の射爆撃場として作業許可を与えました部分については五年間の期間を限って作業許可をいたしております。
  134. 諫山博

    ○諫山委員 作業許可を与えた部分についてはと言われましたが、それ以外の広大な面積についてはどう考えているのですか。
  135. 平松甲子雄

    ○平松説明員 残りの約三百ヘクタールにつきましては、期間は一年以内といたしまして、更新期間の終期を、作業許可をいたしております期間の期限と一緒に昭和五十三年の六月七日という形で許可をいたしております。
  136. 諫山博

    ○諫山委員 昭和五十三年六月七日になっていよいよ五年目がやってきた、ところが、防衛庁としてはどうしてもあの射爆場を継続して使いたい、もっと期限を延ばしてくれ、こういう要求があったら、どうしますか。
  137. 平松甲子雄

    ○平松説明員 岡垣射爆撃場の作業許可の期間が五年となっておることにつきましては先生指摘のとおりでございまして、当該期間を五年とすることにつきましては政府間での意思統一もできておりますし、知事から防衛施設庁に対して作業許可を与えます期間も五年ということになっておりますので、私どもは五年後には保安林として木は植生しておるという状態に復元さしたいというふうに考えております。
  138. 諫山博

    ○諫山委員 あなたが考えているのはけっこうですが、しかし、私にはあまり当てになりません。前回、前々回、保安林として使いたいと言いながらも、現実には自衛隊が使っているわけです。  そこで、政務次官にお聞きします。きょうは農林大臣がいないから残念ですが、……。五年たった、自衛隊としてはやはりこの射爆場を射爆訓練にどうしても使いたい、閣議決定、そこまでいきそうだ、こういうときにはどうするのですか。
  139. 中尾栄一

    中尾政府委員 これは私もいま農林省を担当しております政務次官でありますが、五年後のことといいますと、私自身も何とも言いようがございませんが、ただ、おそらく閣議できまっていくことであるとするならば、そのときの日本の国際情勢並びに日本の社会情勢等を照らし合わせた上で妥当な判断がなされるであろう、私はそのように考えております。
  140. 諫山博

    ○諫山委員 林政部長の答弁と幾らか違うようですが、林政部長、違いがわかりましたか。
  141. 平松甲子雄

    ○平松説明員 福岡の防衛施設局長から福岡県知事のほうへ、防衛庁は射爆撃場を今後五年間に限り使用するということで政府の統一方針として確認をするということをはっきり明言をいたしておるところでございます。
  142. 諫山博

    ○諫山委員 そうすると、林野庁としては、何が何でも五年以後は絶対に再更新はしないと責任を持って断言する、こう言うのですか。
  143. 平松甲子雄

    ○平松説明員 世の中はいろいろ変化いたすわけでございますから、どういう状態が起こっても絶対にないという、絶対的なことというのはどういう場合でも言えないと思いますけれども、現在の時点においては、五年たった時点では保安林としての植生が復元するような形にもっていくという決意を持っております。
  144. 諫山博

    ○諫山委員 あなたが幾ら決意しても何にもなりません。政府としてはどういう方針なのかということを知りたいわけです。さっきの政務次官の説明では、それは五年後の政治情勢できまることだというふうに聞いていいのですか。
  145. 中尾栄一

    中尾政府委員 これは五年後になりますと、その間に総選挙もございましょうし、共産党が非常に急増する場合もありましょうし、それは全く予断を許さないのであります。したがって、これだけは政治判断以外にはないということを先ほど申し上げたわけでありまして、これこそ林野庁の一官吏が答えるべき問題ではない。私が農林大臣のかわりに、かわってお答え申し上げているのでありますから、間違いありません。
  146. 諫山博

    ○諫山委員 地元民が完全にペテンにかけられたということがいまの答弁で非常に明らかになりました。福岡県の亀井知事でも、あるいは地元の岡垣町長でも、五年間だから、五年間だけがまんしようではないか、五年間だけは自衛隊に使わしてやろうではないか、こう言っているのですよ。そうして農林省はそういうふうに地元民を信用さしていたのじゃないですか。違いますか、それは。
  147. 中尾栄一

    中尾政府委員 先ほどから申されている点に一つの矛盾があると思うのです。私は五年後のことを何人たりとも予測でき得ないという一つの表現で申し上げたわけでありまして、先ほど先生が言われたように、閣議の決定事項においても、農林省としても五年後には鋭意努力をして、どんなことをしてもその地元住民に返していく基本方針は一致しておるのでございます。一致しておる点を疑義を持って考える場合には、いかなる疑義もこれは生まれてきましょうし、われわれはそれを遂行しようとする意思においては何ら変わりはないのであります。  ただ、そこにおいて、先ほど来先生に申し上げているように、いつの日にか、五年後、六年後ということは予断を許さない。先ほど私が一つ比喩的に申し上げたように、皆さん方の政党が伸びていく場合もあるだろうし、また消えていく場合もある、そういう場合もいろいろあるのだということを想定してわれわれ自身は政治判断というものが行なわれている、現在の政治というものをお考えいただくのは先生方のほうが御理解願えるのではないかということを申し上げたわけでありまして、理屈を言うておるわけではございません。それをひとつ御認識していただいて、官吏においても農林省においても政府においても、五年後にはまともに返していくという姿勢だけは何ら変わるものではないことをここで私どもは申し上げておきたいと思うのであります。
  148. 諫山博

    ○諫山委員 そうすると、五年後に自民党政府が続いている限りは絶対に再更新はしないということは断言できますか。
  149. 中尾栄一

    中尾政府委員 五年後ということでありますから、われわれはその方針で進んでいきます。しかし、世界の情勢、国内情勢、これはもう予断を許しません。いろいろと変わってまいります。そういう場合であってもわれわれは全うしていく方針は貫いていく。しかし、そのことだけは、いわゆるあす、あさってのことは、どこに風が吹いてくるかわからない。たとえば憲法でこれを否定しようとも、憲法の条項の中に地震は来べからず、台風は起こるべからずと書いても、台風は憲法で規制することはできないのであります。それほどきびしいものでありますから、そういうことを私ども考えながら申し上げておることもひとつお察し願いたいと思います。
  150. 諫山博

    ○諫山委員 林政部長に聞きます。  保安林を射爆場に使用させるためには幾つかの条件が要ると思います。その第一は、保安林としての機能を喪失させたり低下させたりしてはならないということです。この点は林野庁長官も認められると思いますが、それでは、岡垣射爆場で自衛隊がどういう射爆訓練を行なっているのか、また将来行なおうとしているのか、御存じですか。
  151. 平松甲子雄

    ○平松説明員 岡垣の射爆撃場として使用されております保安林につきましては、先生承知だと思いますけれども、総面積が三百三十ヘクタール余ございまして、深いところでは海津から奥まで五百メートルあるというような状況でございますから、そういう保安林の実態としてとらえるべきだというふうに考えるわけでございます。  現在、作業許可を与えております部分につきましては、当該部分は、先ほども御説明いたしましたように、米軍の射爆撃によって無立木地になっているというところでございまして、米軍の射爆撃が行なわれておる間においても、背後地にそのために風害が起こったというふうなことは現在考えられないというふうな状況でございますので、当該部分のこの二十ヘクタールについて作業許可を与えるということをいたしまして、しかも残りの二十ヘクタールにつきましては植栽の義務を課し、また作業許可の対象として考えておる二十ヘクタールにつきましても、期間の経過後は植栽をさせるというふうな形のことを、福岡県知事が許可条件として示しておるわけでございます。そういう意味において、当該保安林が防風保安林としての機能を十分果たすようにという配慮をいたしておるつもりでございます。
  152. 諫山博

    ○諫山委員 私の聞いたことに答えてくださいよ。だれかが書いたのを読んだって何にもなりません。私の質問は、どういう射爆訓練がやられているか知っているかと聞いているのです。実弾射撃がやられていますか。どうですか。
  153. 平松甲子雄

    ○平松説明員 使用の状況につきましては、現在防衛施設庁のほうが見えておりますから、防衛施設庁の方から御説明いただいたほうがより正確であろうかと思いますので、防衛施設庁の方に御答弁していただきたいと思います。
  154. 諫山博

    ○諫山委員 私は自分が知らぬから聞いているのじゃありません。あなたが知っているかどうかを聞いているのです。あなたはどういう使用がされているか知らないのですか。
  155. 平松甲子雄

    ○平松説明員 飛行機から模擬爆弾による射撃が行なわれているというふうに承知いたしております。
  156. 諫山博

    ○諫山委員 将来実弾射撃が行なわれる可能性はあるのですか、ないのですか。——私は、いま知っているかどうかを聞いているのです。ささやきはカンニングです。防衛庁にはいずれ聞きます。林野庁が使用内容を知っているかどうかを私は聞いているのです。
  157. 平松甲子雄

    ○平松説明員 自衛隊のほうで射爆撃に使うということでございますので、射爆撃場として作業許可を与えたわけでございますから、射爆撃という範囲に入るものについては、当然そこで行なわれるものだというふうに私ども承知いたしております。
  158. 諫山博

    ○諫山委員 私はいまの経過から見て、林野庁がどういう使い方をされるかということは全く知らないままに自衛隊に使わしているということがわかりました。これは向こうの席から、そんなことは知るはずがないじゃないかと言っているけれども、そうじゃありません。たとえば実弾射撃が行なわれるかどうかということは、火災の危険性が伴うか伴わないかということと関係があるわけです。  要するに、そういう問題は全く考慮せずに一切の射爆訓練を自衛隊に認めた、こう聞いていいのですか。どうですか。
  159. 平松甲子雄

    ○平松説明員 私どもといたしましては、当該保安林の作業許可を与える権限者は福岡県知事でございまして、福岡県知事との間に協議を行なったわけでございますけれども、福岡県知事と私ども、私ども防衛施設庁との間にいろいろ話し合いを持った結果、射爆撃に使用するということでございますので、射爆撃という範囲に入るものが当該行為として行なわれるものだと私ども承知いたしております。
  160. 諫山博

    ○諫山委員 米軍が射爆に使っていた当時、あの付近が射爆によって何回か火災を起こした、広範囲な保安林が焼けたということは知っているでしょう。
  161. 平松甲子雄

    ○平松説明員 私ども承知いたしております限りでは、当該保安林米軍が射爆撃に使用しております間に火災が起こったということは承知いたしておりますけれども、何ぶん米軍の管轄下にございましたしということもございまして、その火災の原因が射爆撃によるものかどうかということについてはつまびらかにしていないわけでございます。
  162. 諫山博

    ○諫山委員 保安林を自衛隊に貸そうというのに、火災が起こったことは知っているけれどもそれが射爆によるものかどうかは知らぬ、そういう立場で貸したというのは、あまりにも無責任じゃないですか。また、実弾射撃が行なわれるのか、それとも模擬弾の訓練が行なわれるだけなのか、そういうことは保安林の維持と関係がないという立場も、あまりにも無責任じゃないですか。  そこで今度は、防衛庁関係者に質問します。  岡垣の射爆場はどの部隊が使用しているのか、あるいは将来使用する見通しがあるのか、御説明ください。
  163. 上野隆史

    ○上野説明員 お答え申し上げます。  岡垣の射爆場を使用いたします航空部隊は、航空自衛隊の第八航空団、第三航空団。第八航空団は築城にございます。第三航空団は小牧。それから第五航空団、新田原、それから第六航空団、小松。なお、沖繩にあります臨時第八十三航空隊も現在使用する計画でございます。
  164. 諫山博

    ○諫山委員 その中で現に使用している部隊はどれでしょうか。
  165. 上野隆史

    ○上野説明員 築城の第八航空団でございます。
  166. 諫山博

    ○諫山委員 射爆にはいろいろな種類があると思いますが、私の調査によりますと、爆弾投下、いわゆる爆撃、さらにロケット射撃、機銃射撃、こういう射爆が行なわれていると聞いていますが、そのとおりですか。
  167. 上野隆史

    ○上野説明員 いま先生おっしゃいましたようなものの訓練弾による射爆を行なっております。
  168. 諫山博

    ○諫山委員 爆弾投下の場合には、どの程度の大きさの訓練弾を使用しますか。
  169. 上野隆史

    ○上野説明員 これは三ポンド、それから二十五ポンドの訓練爆弾でございます。
  170. 諫山博

    ○諫山委員 私は、自衛隊が使用する前に米軍と自衛隊が共用していたころ使われたたまを現地から拾ってきました。これです。これは何というたまですか。
  171. 上野隆史

    ○上野説明員 遠くなのでちょっとよくわからないのですが、大きさなど詳しく拝見しないと何とも申し上げられません。
  172. 諫山博

    ○諫山委員 ちょっと見てください。——わかりましたか。わかったら説明してください。
  173. 上野隆史

    ○上野説明員 これは詳細、ものさしを当ててはかってみませんと何とも申し上げられませんが、おそらく三ポンドの訓練弾であろうと思われます。
  174. 諫山博

    ○諫山委員 その細長いのは何ですか。
  175. 上野隆史

    ○上野説明員 これは機関銃弾ないし機関砲弾のいわゆる不発弾であろうと思います、薬きょうがついておりますから。  こちらのほうはおそらく何かの弾頭部分だろうと思いますが、ちょっといま手持ちの資料ではわかりません。
  176. 諫山博

    ○諫山委員 私が拾ってきたその弾丸というのはいまも使用していますか。
  177. 上野隆史

    ○上野説明員 三ポンドの訓練弾につきましてはいま使用しております。そして、もしかりに私が先ほど銃弾と申し上げましたものが十二・七ミリないしは二十ミリの機関銃ないし機関砲の訓練弾であるとすれば、それは使っております。
  178. 諫山博

    ○諫山委員 実弾の射爆は現在やっていませんか。
  179. 上野隆史

    ○上野説明員 実弾は現在やっておりません。ただ、こういう言い方をするとちょっと誤解を招くかもしれないのですが、たとえば十二・七ミリの機関銃でありましても、これは実弾と訓練弾の差はほとんどございません。ほとんどと申しますのは、実弾のほうがややたまが重いということでございます。これは当然破裂するものではございません。いわば鉄のかたまりが飛んでいくというものでございまして、十二・七ミリの実弾はやや訓練弾よりも重くなっておる。そういう意味では十二・七ミリというものは実弾と訓練弾の区別はないと言ってよろしいかと存じますが、それ以外のものにつきましては、訓練弾のみ使用しております。
  180. 諫山博

    ○諫山委員 三沢射爆場、島松演習場では実弾射爆が行なわれているそうですが、岡垣の射爆場では将来とも実弾の射爆はしないのですか。
  181. 上野隆史

    ○上野説明員 岡垣につきまして将来実弾射爆を行なうという計画は現在のところではございません。
  182. 諫山博

    ○諫山委員 いま一応使用期間がどんなに延長されても五年以内ということになっているようですが、五年以内に実弾を使用する可能性はありますか。
  183. 上野隆史

    ○上野説明員 これは現在時点に立って申し上げますと、少なくとも五年以内にたとえば大型の爆弾の実弾を使うとかあるいはナパームの実弾を使うというようなことは考えられません。
  184. 諫山博

    ○諫山委員 三沢とか島松で実弾射爆が行なわれているのに、岡垣でそれをしないのは何か理由がありますか。
  185. 上野隆史

    ○上野説明員 これは岡垣、それから三沢、島松と比べますと、やはりその周辺におきます人口の度合いといいますか、そういうようなものが岡垣の場合にはやや多い、その密度が高いというようなことも考慮しておる次第でございます。
  186. 諫山博

    ○諫山委員 ことばをかえれば、三沢とか島松より危険度が高いからと聞いていいですか。
  187. 上野隆史

    ○上野説明員 人口密度というものが将来どうなっていくものかわかりませんし、その危険性というものを人口密度だけで判断していいかということも問題があると存じますが、しかし、先生のおっしゃるような意味におきまして、人口がやや多いという点でその危険性が多いではないか、人身に与える危険性が多いではないかというような趣旨でありますとすれば、そういうことになると思います。
  188. 諫山博

    ○諫山委員 もし岡垣射爆場で実弾を使用することがあるとすれば、地元住民との話し合いとか営林署との話し合い、県知事との話し合い、そういったものが行なわれますか。
  189. 上野隆史

    ○上野説明員 これは何と申しますか、純法律的と申しますか規則と申しますか、そういう純理論的な面からだけまず申し上げますと、関係官庁それから地元につきましても、ここは私どもは射爆場として使用を許していただいたわけでございます。したがいまして、射爆場でありますれば、文字どおり射爆撃をやるというために使わしていただいておる。そのために安全な広さも十分とっていただいたというふうに解釈しております。  ただ、先走って申し上げて恐縮ですが、たとえばナパーム弾のようなものをかりにやるといたしますと、これは先生承知のように、佐藤内閣時代以来いろいろ問題があった射爆場でございますので、そういうような点は十分考慮して、慎重なる態度でいかなければならないというふうに、従来防衛庁はそういう態度をとっておるわけでございます。
  190. 諫山博

    ○諫山委員 実弾射爆をする場合にも、法律的にはだれに相談する必要もないというたてまえのようですが、実際には地域住民とか県とか営林署あたりと相談するつもりですか、抜き打ちにやるつもりですか。
  191. 上野隆史

    ○上野説明員 これは、そういう地域住民の方の不安を非常に大きくかき立てるものであるというものにつきましては、当然関係官庁、それからまた、何はさておいてもそういう不安を持たれる地元住民の方の御理解を得るということが先だと思います。ただ、先ほど来申し上げておりますように、そういうような実弾、いわゆる爆弾とかナパーム弾の実弾をあそこで訓練するという計画は現在持っておりません。
  192. 諫山博

    ○諫山委員 そうすると、地域住民としては、住民に相談なしに実弾射撃をしたりナパーム弾の訓練をしたりするようなことは絶対にしない、防衛庁はその点だけは約束できる、こう聞いていいですか。
  193. 上野隆史

    ○上野説明員 これは実弾と申しましても、先ほどのような機銃弾もございますが、いまおっしゃっているようなことがたとえばナパームのようなものであるというふうに了解いたしますが、そういうふうなものにつきましては、関係の諸方面の十分なる御納得が得られるということが前提になろうかと思います。
  194. 諫山博

    ○諫山委員 ナパームについては説明がありましたが、実弾射爆についてはどうですか。説明を避けられているようですが。
  195. 上野隆史

    ○上野説明員 これは、実弾の爆弾につきましては、その破壊力、音響等相当強烈なものがございます。そこで、こういうようなものにつきましては、保安林保安林性をそこなわないということは当然でございますけれども地域住民の方々の不安をなくすようなそういう対策なり何なりを考えなければならないと思います。ただ、これもまた繰り返しになって恐縮ですが、そういうようなたまを使用する計画はありません。
  196. 諫山博

    ○諫山委員 そうすると、爆弾については地域住民に相談なしに実弾射爆はしない、こういうことはいいですね。  それなら機銃掃射とかロケットの射撃はどうですか。
  197. 上野隆史

    ○上野説明員 爆弾その他ナパーム弾といったようなもの、あるいはロケット弾といったようなものにつきまして、これは訓練弾をもって演習をする。実弾は使わないということで、かりに使う場合はどうなんだという御質問だろうと存じますが、これにつきましては、そういうようなことは計画がございませんから、そもそもそういう事態は起こり得ないのでございますけれども、かりにどうだとおっしゃるならば、そういうことは地元の御了解を得てからやる。ただし、先ほど来申し上げておりますとおり、そういう計画は現在持っておりません。
  198. 諫山博

    ○諫山委員 運輸省に聞きます。  岡垣の射爆場は板付空港に着陸する民間機の進入経路、いわゆる玄海進入経路に当たっていると思いますが、いかがですか。
  199. 金井洋

    ○金井政府委員 御指摘のとおり、福岡空港への着陸の経路と玄海進入経路が射爆場の上空を通っております。
  200. 諫山博

    ○諫山委員 私、あそこを何回も通ったのですが、民間機の進入経路というのは、あの射爆場の真上になるのですか。幾らかそれていきますか。
  201. 金井洋

    ○金井政府委員 かつては米軍のR89という射爆場が防衛施設庁から告示されておりましたけれども、自衛隊がその後それを引き継ぎまして、そして、あそこで訓練する飛行パターンというのがありますけれども、その飛行パターンの北側の端すれすれに玄海進入経路が通過するようになっております。
  202. 諫山博

    ○諫山委員 そうすると、パターンのすれすれということになると、もう射爆場の真上を民間航空が通るということになりますね。  そこで、あそこを一日に何機ぐらい民間航空が通っているのかわかりますか。
  203. 金井洋

    ○金井政府委員 日曜から土曜までの曜日によって多少の違いはありますけれども、あの進入経路を使いますのは、日本航空、全日本空輸がおのおの約二十便、合計約四十便が一日にあの上空を通過します。
  204. 諫山博

    ○諫山委員 自衛隊機や米軍機もあそこを通りますか。
  205. 金井洋

    ○金井政府委員 福岡空港へ入る着陸機は、米軍機であっても自衛隊機であっても、もしそれが計器飛行方式、IFRの方式であれば、あの玄海進入経路を通過することができます。
  206. 諫山博

    ○諫山委員 地元の人たちは航空機の事故をたいへん心配しています。岡垣射爆場の上空では自衛隊機と民間航空機が高度を異にして同時に飛行する、こういう状態が毎日生まれると思いますが、そうですか。
  207. 金井洋

    ○金井政府委員 民間機は玄海進入経路を現在約一万二千フィートくらいの高度で通過しておると思いますが、自衛隊機の訓練は七千フィートの訓練とそれから将来は一万一千フィートの爆撃訓練というものが行なわれるように聞いております。ただし、その一万一千フィートといいますのは、私どもが聞いておりますのは、飛行パターンが長軸約九キロ、短軸約七キロくらいのほぼ楕円形の飛行パターンを描いて飛ぶようでございますけれども、実際に模擬爆弾を落とす地点、この地点が大体その飛行パターンの北側に当たりまして、玄海進入経路に近いところでございますけれども、その地点になりますと七千フィートからたとえば二千フィートまで降下して模擬爆弾の発射、それから一万一千フィートの場合には、南のほうから一万一千フィートの高度をとり、そしてその目標地点で大体二千フィート、約六百メートルくらいまで下がって、そこで模擬爆弾を発射するというふうに聞いております。ただし、このいずれの場合でありましても、民間機との高度の垂直間隔を維持して飛んでおりますので、特に危険ということはございません。
  208. 諫山博

    ○諫山委員 私はこの問題で防衛庁からもいろいろ事情を聞いたし、運輸省側からも説明を受けました。そこでの説明は、高度の差があるからだいじょうぶだ、規則どおりに運航していれば衝突はむろんのこと、ニアミスの危険もないというのですが、しかし、規則どおりに運航を続けておれば、世界じゅうで衝突とかニアミスというのは起こり得ないわけでしょう。どうですか。
  209. 金井洋

    ○金井政府委員 もちろん規則どおり飛んでおる場合には、ニアミスというものは起こらないと思います。ただし、飛ぶ場合に、航空交通管制官によって管制されて飛ぶいわゆる計器飛行方式、それと機長が自分の周囲を監視しながら自分の責任において飛ぶ有視界飛行というのがございますが、世界各国、もちろん日本もその例外ではありませんけれども、ニアミスの実例というのは、計器飛行方式で飛んでおる飛行機と、それから機長が自分の責任において飛んでおる有視界飛行方式によるニアミスというのが非常に多いわけでございます。その有視界飛行で飛んでおる場合にも、周囲をよく監視するという規則を十分に守っておればニアミスを避けることはできるわけでございます。御指摘のとおり、規則を完全に守っておればニアミスというものは起こらないと思います。
  210. 諫山博

    ○諫山委員 規則を完全に守っておればニアミスは起こらないはずだということのようです。  ところが、実際どのくらいニアミスがあったかというと、昭和四十五年に報告を受けた件数が二十八、昭和四十六年に四十八、四十七年に三十二、そしてことしは八月までに十五件のニアミスの報告があったと運輸省から聞きましたが、そのとおりですか。
  211. 金井洋

    ○金井政府委員 御指摘のとおりでございます。
  212. 諫山博

    ○諫山委員 その中で正式にニアミスと認定されたのが、昭和四十五年度に八件、四十六年度に十二件、四十七年度に五件、四十八年の八月までに一件、こうなっておるようですが、これもそのとおりですか。
  213. 金井洋

    ○金井政府委員 そのとおりでございます。
  214. 諫山博

    ○諫山委員 このニアミスの中には民間航空同士のニアミスもあるし、民間航空と米軍機あるいは自衛隊機とのニアミスもあるようです。その点はお認めになりますか。
  215. 金井洋

    ○金井政府委員 御指摘のとおり、米軍機あるいは自衛隊機、自衛隊機と民間機、民間機と米軍機、民間機同士と、御指摘のとおりでございます。
  216. 諫山博

    ○諫山委員 規則どおりに運航がされておればこういうニアミスは起こり得ないはずです。それでもなおかつ現実にはニアミスがどんどんふえているというところに問題があるわけです。ですから、規則がこうなっているから、千フィートの高度の差があるからニアミスは起こらないということは、私たちにはとうてい納得できません。  この問題で全運輸労働組合は一九七〇年から七三年にかけて数冊の航空黒書というのを出しております。その第二号にニアミスのことが詳しく出ていますが、御存じですか。
  217. 金井洋

    ○金井政府委員 全運輸の出されておる航空黒書の中身については私どもも存じております。
  218. 諫山博

    ○諫山委員 この航空黒書の中には、運輸省に報告されているニアミスは氷山の一角である、こう書かれています。また、アメリカでも同じことだそうで、たとえば連邦航空局による制裁をおそれて報告されなかったニアミスがたいへん多いということがわかって、アメリカでは問題になった、こういうことも書かれていますが、そのとおりですか。
  219. 金井洋

    ○金井政府委員 御指摘のとおりでございまして、報告された件数の数倍はニアミスが発生しておるというふうに私どもも信じております。それは外国でもそうであるし、わが国の場合にも、私ども自身が調べたものでも、それから全運輸が調べたものでも、報告件数の約数倍程度は起こっているということを信じております。
  220. 諫山博

    ○諫山委員 そこで、防衛庁にもう一回聞きます。  射爆にはいろいろ種類があるわけですが、射爆の種類によって自衛隊機の飛行方法も変わってくると思います。そこで、爆撃投下の方法には急降下爆撃と跳飛爆撃、スキップボンブという種類があるそうですが、そのとおりですか。
  221. 上野隆史

    ○上野説明員 おっしゃるとおりでございます。
  222. 諫山博

    ○諫山委員 急降下爆撃と跳飛爆撃の場合、飛行機はどういう飛行方法をとるのか、御説明願いたいと思います。
  223. 上野隆史

    ○上野説明員 急降下爆撃の場合には、一番高く上がりまして高度が一万一千フィート以内に上がりまして、そこから逐次高度を下げまして、地上おおむね一千フィートくらいのところよりも上のところまで下がります。それから機首を持ち上げまして高度を上げますが、なおそれがさらに一万一千フィートまで上がるには、途中まず機体を水平に戻しまして、そしてある程度水平飛行して、それからまた一万一千フィートまで上がっていく。そしてまた降下をする。そういうパターンを繰り返します。  それから跳飛爆撃につきましては、これは高度がおおむね二千フィートちょっとのところから高度を下げまして、そうしておおむね地上百フィートくらいのところまで下げまして、それからまた徐々に機首を上げていく、そういう飛行パターンを繰り返すわけでございます。
  224. 諫山博

    ○諫山委員 急速に高度を変更するということはわかりましたが、射爆の直後に方向も変換いたしますか。
  225. 上野隆史

    ○上野説明員 一番低いところまでおりまして、それから機首を持ち上げまして、ある程度そのまま直進いたします。そして左のほうに方向を変えつつ上昇するというパターンでございます。
  226. 諫山博

    ○諫山委員 いずれにしましても、自衛隊機の射爆訓練というのは一定の高度と方向を維持しながら爆撃したり射爆をしたりするのじゃなくて、急激に高度を変えたり方向旋回したりする、こういう飛行方法をとることになるわけです。そうですが。
  227. 上野隆史

    ○上野説明員 これは先生おっしゃるようなものではございませんで、その飛行パターンはいまの急降下、それからスキップボミングにつきましてパターンは一定してございます。任意に姿勢、高度を変更するという飛行ではございません。
  228. 諫山博

    ○諫山委員 もちろんパターンは一定しているでしょうが、しかし、急速に高度を変えたり急速に方向を変えたりということはやるのでしょう。
  229. 上野隆史

    ○上野説明員 先生のおっしゃいますその急速という意味が、数字的によく把握できませんとお答えしかねるのでございますけれども、急降下という名前から受けます感じは、自由自在にその方向あるいは進路を変えるというふうにおとりになる向きもありましょうけれども、実際の訓練はそうではございませんで、高度や姿勢が変化をいたしましても、それは一定のパターンに従ってやるものでございます。この岡垣射爆訓練につきましても一定のパターンがあるわけでございます。そのパターンをはずれることはございません。
  230. 諫山博

    ○諫山委員 私も一定のパターンは否定いたしません。しかし、この論争はそのままにしまして、運輸省にもう一ぺん聞きます。  一昨年七月、雫石町の上空で全日空機と自衛隊機が衝突して大惨事が起こりましたが、死者が百六十二名ですね。そのときの事故原因が調査されまして、調査委員会が幾つかの勧告をしています。その第一に「航空機の姿勢をひんぱんに変更する飛行等の特殊な飛行は、原則として航空交通管制区または航空交通管制圏において行なってはならないよう法的に明確化すること。」こういう勧告がなされておるはずですが、その立法措置はとられましたか。
  231. 金井洋

    ○金井政府委員 雫石事故の事故調査報告書に御指摘のような勧告が出されておることは事実でございます。ただ、その前に昭和四十六年八月七日、事故直後に総理府の中央交通安全対策会議におきまして緊急対策要綱というものが決定され、その線に沿って関係省庁は努力しておるわけでございますけれども、その線に沿いまして航空法の一部改正というものを六十八国会に提出いたしましたが、廃案となりまして、本七十一国会にも提出しております。
  232. 諫山博

    ○諫山委員 私が聞きたいのは、この勧告では、航空機の姿勢をひんぱんに変更する飛行または特殊な飛行ということばが使われていますが、いま説明された射爆訓練の場合の飛行方法というのは、これに当たらないでしょうか。
  233. 金井洋

    ○金井政府委員 先ほどの答弁、ちょっと舌足らずで申しわけありませんでしたけれども、緊急対策要綱あるいは事故報告書の中の勧告におきましても、ひんぱんに、そして急激に姿勢を変更するものは、特別な訓練空域を設定して、そこでやりなさいという趣旨のことがございます。この緊急対策要綱の趣旨というものは、そういうふうにひんぱんに姿勢を変える飛行、これは民間の水平で飛ぶ飛行と種類の違う異種交通でございまして、その異種交通を分離するのがその勧告なりあるいは緊急対策要綱の趣旨でございます。その線に沿って現在運輸省は、訓練空域でやるべき訓練訓練空域でやりなさいということで、訓練空域を設定しております。  それは岡垣射爆撃場における自衛隊の訓練飛行は、その訓練空域で行なわなければならない訓練飛行に該当するのかしないのかというのが質問の趣旨かと思いますけれども、結論を申し上げますと、訓練空域でやる訓練には該当いたしません。
  234. 諫山博

    ○諫山委員 私はこの問題に深入りする時間がないのが残念ですが、しかし、航空機の姿勢をひんぱんに変更する飛行という指摘がされている以上、いまの自衛隊側からなされた飛行がこれに当たらないということは、私にはとうてい考えられない。  そこで、これは別の問題にしまして、いずれにしましても、射爆場があって、そこで毎日自衛隊が飛行訓練をやっておる。その上を民間航空が通っておる。しかも民間航空の定期航路になっておる。これは私から見れば、全く驚くべき事態だと思いますが、日本の自衛隊の射爆場でほかにこういうところがございましょうか。
  235. 金井洋

    ○金井政府委員 北海道、それから岩国の北のほう、それから西九州。三カ所ございます。
  236. 諫山博

    ○諫山委員 防衛庁にもう一回聞きますが、さっき農林省側に、保安林をいつまで使用させるつもりかということを聞いたのですが、防衛庁としてはぎりぎりいつまで使うつもりですか。
  237. 伊藤参午

    伊藤説明員 お答え申し上げます。  農林者のほうからもお答えございましたように、私ども岡垣射爆場を五年間に限り使用するということで関係の福岡県知事あるいは林野庁と御相談しておりますので、現在防衛庁は五年間に限って使用するという方針で進めております。
  238. 諫山博

    ○諫山委員 五年間にかわりの射爆場をさがすのですか、それとも、もうここでの射爆はかわりの土地でもやらないのですか。
  239. 伊藤参午

    伊藤説明員 航空自衛隊の機能維持あるいは地上訓練の確保のためには射爆場というものが不可欠なものでございますので、私ども岡垣射爆場を五年間に限り使用するという方針を立てておる現在、他に代替の射爆撃場を求める、あるいはその他の措置を講じて防衛機能の維持、練摩につとめたいと思っております。
  240. 諫山博

    ○諫山委員 ほかに幾ら適当な場所をさがしても適当な場所がないときでも、岡垣をもう一ぺん使わしてくれとは言わないのですか。
  241. 伊藤参午

    伊藤説明員 現在の方針は、先ほども申し上げましたとおり、岡垣射爆難場は五年間に限り使用するということにいたしております。
  242. 諫山博

    ○諫山委員 私はこの問題で防衛庁の責任者と話し合いをしたときに、五年間についてはちゃんと地元の人とも話し合いをし、五年後にどうするかということはそのときの問題だというふうな説明もございましたが、どうですか。
  243. 伊藤参午

    伊藤説明員 先ほどから申し上げておりますとおり、防衛庁あるいは関係機関の方と現在御相談しております。方針は五年間に限り使用するということでございます。
  244. 諫山博

    ○諫山委員 五年間に限り使用するというのは、もっと正確にいいますと、五年間たってももう一ぺん使わしてくれということは防衛庁としては絶対に言わないという趣旨ですか。
  245. 伊藤参午

    伊藤説明員 先生、絶対にというおことばがございますが、そういうことを抜きにしまして、私ども現在五年間に限り使用するという方針で進んでおりまして、五年以後の使用については考えておりません。
  246. 諫山博

    ○諫山委員 私、これは非常にこまかく聞くのですが、防衛庁では違った説明がされたからですよ。五年後はそのときの情勢であらためて判断するのだというようなことは言わないのですね。
  247. 伊藤参午

    伊藤説明員 先ほどからお答えのとおりでございます。
  248. 諫山博

    ○諫山委員 政務次官にお聞きします。  この岡垣の射爆場を自衛隊に使わせることはきわめて不当だと思います。それは長沼判決の立場から見ましても、自衛隊は憲法違反だという結論が出ているし、またこの判決が現在では効力を有するということは初めに述べたとおりです。ですから、憲法違反の自衛隊に保安林を使わせるという問題についてはどうしても再考慮をお願いしたいわけです。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕 さらに、この射爆場を使用することによって地域住民がどのくらい大きな迷惑を受けているかということについて、林野庁としてはほとんど御存じがないように思います。たとえば防潮林だからその面では支障がないというような言い方をされているようですが、しかし、爆音でどれだけ心配しているか、ニアミスの問題がどのくらいおそれられているか。また環境がこの射爆場のために破壊されているのかというような問題を考えますと、町の非常に近いところで自衛隊が縦横無尽に射爆に使う、そしてその上を毎日民間航空が走っているというような状態が現に続いているわけです。そういう中でいまこの射爆場を撤去してもらいたいという大きな運動が起こっております。そういう問題について農林省としては再検討するというか、いままでの措置を反省するというか、そういう気持ちはないのかどうか、お聞きしたいと思います。
  249. 中尾栄一

    中尾政府委員 簡明率直に答えるならば、反省するというよりも、いまとりやめるという意思は目下のところはございません。  先ほど来先生の言われておることもいろいろの重要な意味を持っております。特にニアミスの問題、これがひんぱんに起こるという現実はもう黙過できません。そういう意味におきましても、十分そういうものに対する配慮といいますか、そういう際は存分突き詰めて考えていくべきではないかということで、この問題点はひとつ前向きに運輸省とも取り組んでみたいと思います。  ただ、先ほど来の先生のやりとりを見ておりますると、何やら一つの固執する世界の中に閉じ込もられて、全然相手方の言い分は信用できないという前提に立ってものを申しているような感じも見受けるのでございます。しかし、自衛隊といえども日本人でありますから、お互いの日本人の良識、しかもお互い住民も自衛隊も日本人だという意識の中でおやりになることでございますから、演習場で借りていった射爆場を故意に拡大して、これを危険にさらしたりするというわけがないのでございまして、その点はもう十分信用していただく以外にない。これは政府当局としてのお願いを、これまた先生にお願いしなければならぬという、まことに奇妙な感じがするのであります。  そういう意味におきましては、これは先生の御指摘されました幾つかの問題点は十分配慮の中に、しかも処理でき得る問題点は一つ一つ住民が危険にさらされない方向考えていく、あるいはまた航空問題においてもそういうような問題を積極的に取り上げていくという問題は考えても、一つの射爆場として五年間の契約の中にやっておるという現実の事実は、ぜひともむしろ先生のほうにも御協力願って、国防の必要性という十分なる意味をまた地元の方々にも十分御了解を願いたいと思うのであります。もちろん、五年後に先ほど防衛庁が言いましたように、他にまたそういう場を求めていく場合、これは当然考えられることでございましょう。その場においても当然住民の気持ちを考える。あたりまえのことでございまして、私どもそういう意味においては、これは真剣に考えていく問題としてお約束申し上げますから、その点は先生方の御協力をお願い申し上げたいと思う次第でございます。
  250. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 次に、瀬野栄次郎君。
  251. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 オレンジ、果汁等の農産物自由化並びにチルドジュース工場の問題について、農林省当局に御質問いたします。  このことについては、去る六月二十一日、七月十日、また七月十一日は特に田中首相に質問したわけでございます。最近では八月二十九日に、四度質問を申し上げてまいったところでございますが、この間総理からもいろいろ答弁がございましたし、また特に本日出席の中尾政務次官には、九月までにチルドジュース工場の一元化については必ず解決するというようなことも言われた経緯があるわけでございまして、これを踏まえてただいまから質問してまいりたいと思います。  まず最初に、順序といたしまして、昭和四十七年度のミカンの生産量についてお伺いしたいのであります。われわれが承知しておるところでは、昨年は三百五十六万八千トンというようにかなり大量の生産を確認しておるわけですが、農林省としても最近集計をしておられるわけですから、その最終集計をまず最初に御答弁いただきたいと思います。
  252. 大山一生

    ○大山説明員 四十七年度産ミカンの実収につきましては、先般申し上げましたように、市場のほうの出荷量等から産地戻し等のかっこうのチェックも経ました結果といたしまして、先ほど先生が言われましたように、三百五十六万八千トンという結果が出ております。
  253. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林省は当委員会でも昨年からことし、もうそれこそ十数回にわたってこういう問題を論議した際に、三百二十万トンあるいは三百三十万トンというようなことが報告されてきたわけですけれども、私は本年の三月、五月の委員会の節も、おそらく予想としては三百五十万トンを下らぬのじゃないか、こういうことを言った際、そういったことに対してはあまり肯定をしたような答弁はなかったわけです。実際にはこのように予想以上の三百五十六万八千トンという収穫があったわけでありますが、当初農林省が予想したのとかなり開きがあった。こういったことについて、今後生産者も不安を持っている点がございますので、その原因は端的にどういうところにあるのか、いわゆる調査のミスなのか、それとも調査がずさんであったのか、それとも天候の関係で好転したのか、ずいぶん差があったが、どういうふうに反省しておられるか、その点お伺いしたい。
  254. 大山一生

    ○大山説明員 昨年のミカンの生産量につきまして、十二月一日現在三百三十一万五千トンという予想をしておったわけでありますが、実収は三百五十六万八千トンということにふえたわけでございます。いろいろの理由があると思います。しかしながら、統計的に見た場合においては、過去に予想し得なかったような天候に恵まれたということが非常に大きな原因であったと思っております。と申しますのは、ミカンの予想収量につきましては、始めましてここで五、六年たっております。しかし、米のように二十数年間にわたって予測をやり、その経験を持っている統計といたしましても、昨年の場合、九州で最終実収と予想との間において五ポイントの差が出ているというようなこと、これはやはり天候によるものが非常に多かったというふうに考えているわけでございます。  しかし、天候ということだけに理由をつけることもさることながら、われわれといたしましては、今後とも、いわば予測というものは、予測の時点においてその後天候が通常の状態で推移するならばという条件でやるわけでございますけれども、実収との間においてなるべく差のないようにしたいということで、本年度のミカンの予想にあたりましては、昨年までやっておりました基準筆、これは四百八十三筆でございますが、ことしから千十六筆にふやしております。それからまた、意見を聞くべき面接調査をする対象の団体等もふやして正確を期するとともに、主産県おきまして、作柄を報告する場合にあたっては、その地方の学識経験者からの意見も聞いて、その検討会の意見を十分尊重して出すというかっこうで、さらに万全を期して本年度に対処しておるような次第でございます。
  255. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 まあ、天候のせいにするのは都合のいい言い方でありますけれども、こんなことで予想がくずれておったんじゃ、これは農家もたいへん心配なんですね。毎年毎年、幼齢木が成木になっていくわけだし、裏年の関係もありますけれども、あまりにも差が大きい。真剣になっておるこういう問題に対して、私は統計情報部の報告がどうも心配でならぬわけです。そういうことを一々言ってもしようがありませんが、いずれにしても、かなり予想より上回っている、こういうことであれば、今後のミカン対策に重大な影響を及ぼすわけでございます。調査する個所も千十六筆にふやした。農業団体についても、意見を聞くべきところをふやした。これは当然のことで、いままでもそういったことも当然すべきであります。主産県の意見を聞くのも当然であります。ことしからはこういったことで十分対処されると思いますけれども、これでは何のための統計をやっているか。また、当局としても、今後計画を立てるについてもなかなかたいへんだ、こういうふうにも思われて、将来が心配でなりません。こういったことについては、十分対処していただきたいと思う。天候、天候と逃げられても困るわけです。大体五月の花芽を見れば予想がつく。そしてまた、サンプル調査をすれば、どのような収穫があるかという予想がわかってくるわけです。  そういう意味で、昭和四十八年度の予想収穫量についてはどのくらいになるかということでありますが、一部干ばつによる被害も若干ありましたけれども、最近の雨で回復しているわけでありまして、かなり樹勢も回復しております。ミカンはことしも当たり年といわれて、史上二番目の大豊作というようにもいわれております。昨年に次ぐ豊作、これはまず間違いない。ことしはもともと裏年であったわけでありますけれども、いわゆる幼齢木がだんだん成木になってきたという関係もあったり、生育期になってまいりまして、昨年を上回る量がとれるという見通しが、われわれしろうとから見ても考えられるわけでありますが、そういったことを踏まえて、ことしの収穫予想量をどういうふうに見ておられるか、お答えをいただきたい。
  256. 大山一生

    ○大山説明員 四十八年産のミカンにつきましては、八月一日現在におきまして予想をいたしておりますが、三百二十八万三千トンというふうに見込まれているわけでございます。これは八月一日以降の気象条件が平年並みに推移するということを予想しておりますので、八月一日以降の干ばつでありますとか、あるいは摘果の進みぐあいというようなことによって変化する可能性はありますが、現在のところで予想しておりますのは、三百二十八万三千トンでございます。
  257. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 昭和四十七年度産ミカンの収穫量及び出荷量の農林省統計情報部の調査によると、そういう数字が出ておるわけで、前年対比九二%というふうになっておりますけれども、一応裏年でありながらもかなりの作柄が見られておるわけですが、将来推移はことしもおおむね三百五十万トンはこす、こういうふうに、大体いまのところ天候に大きな支障はない限りは見ておられるものか。その点の見通しはどういうふうに見ておられますか、かいもく見当つきませんか。
  258. 大山一生

    ○大山説明員 統計では数字を扱っておりますので、予測といいますか、その見通しというのは非常に申し上げにくいことではございますが、先ほど申し上げましたように、八月一日現在の予想収穫量であるということでございますので、八月一日以降の干ばつによる被害、これは先般八月十日現在で干ばつについての一応の中間取りまとめをいたしたわけでございますが、大体全国的に集結を見ていると考えられますので、現在取りまとめを急いでおるわけでございます。その中で、八月十日現在においては、干ばつによるミカンの被害は約七万トンというふうに見込まれております。この数量はふえるであろうということが予想されるわけでございますが、しかし、また一方、摘果の進みぐあいでありますとか、そういったことによっても変化する。それからさらに言いますと、普通の年でありますと肥大がとまるような条件下でも、昨年のような気象条件が続けばさらに肥大が大きくなるということ、あるいはまた逆に、ことしのような干ばつ年において急に高温がくれば裂果を生ずるというような問題がございますので、現在のところで、この三百二十八万トンが幾らふえるとかあるいは幾ら減るであろうということは、ちょっと統計的に申し上げかねるというのが現状でございます。
  259. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 伊藤局長、いま統計情報部のいろいろの統計を聞いておられたと思うのです。当該届長としてあなたも等閑視しておるわけではありませんし、重大な関心を持ってあなたはあなたなりにいろいろ先を見通しされておられると思いますが、いずれにしても、数字にあらわれたデータを見ましても、前年比で九二%、すなわち三百二十八万三千トンという数字が八月二十七日公表で出されておりました。もちろんこれは八月一日現在の統計でありますが、昨年を上回ることはもう当然、いや昨年に次いで史上第二の大豊作、今後の推移を見ていけば、特に八月が一番重大なときになりますが、若干干ばつがあったにしろ、数年来増産体制で推移してきましてミカン園がふえてきておりますし、さらには作柄の不良をしのいできたという努力等もありまして、かなりの量になるのではないかと思っておりますが、局長としてはどういうふうな見通しを立てておられるか。史上第二の豊作といわれるように自覚しておられるか。場合によっては昨年よりも上回る大豊作、また昨年に近い豊作と思っておられるか。その点お伺いしておきたい。
  260. 伊藤俊三

    伊藤(俊)政府委員 私どもといたしましては、やはり統計の数字を信ずる以外はないわけでございまして、三百二十八万三千トンという数字が一応出ております、それを基準にものごとを判断していかなければならないと考えております。  ただ、これはかねてからこの委員会でも私、お答え申し上げてまいったわけでありますけれども、私どもの局といたしましても、ことしの作柄がどの程度になるかということについてはかなりの関心を持っておりまして、ことしの三月以来、試験研究機関でありますとか県でありますとか、関係団体の専門家の方々にお集まりいただきまして、ずっとミカンの生育の状況を私どもなりにフォローしてきております。私どものこういった研究会での学識経験者のお話を承っておるところによりますれば、ことしは裏年であって前年に比べて着果数が少ない、花の勢いも若干弱いというようなことで、前年よりはやはり若干低いんではないかというようなことと見込んでおります。ただ、その後非常に好天がございまして、また同時に干ばつもございまして、そういった点がこれからどういうことになるか、統計の数字もよく考えてわれわれとしては判断をしていかなければならぬ、かように思っておる次第でございます。
  261. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 将来のことだからはっきり答弁できないかもしれませんけれども、ちょっとたよりない答弁で不満足なんですけれども、私たちとしては、おそらく昨年と同じ数量までいかなくても三百五十万トンはまずこすのではないか、場合によっては昨年を上回る数字が出てくるんじゃないか、かように実は思っております。その理由はいまいろいろと申し上げてきた中に申し上げたわけですが、やはり数年来増産体制でやってきたミカン園が、ことしはかなり面積がふえて成木になっておりますし、天候の被害といっても、現地をずっと見て回っても、それほど樹勢に影響はない、かように見ております。一部ひどいところはありますけれども。そういったことで、以下こういったことを踏まえて本論の問題に入っていきたい、かように思うわけです。  御承知のように、現在こういった過剰生産ぎみのミカンに対して、消費者はもちろん喜んでいただくわけですけれども、果樹農家としては昨年に次ぐいわゆる大暴落によって、おそらくこのままではミカンは第二の米といわれながらたいへんなときを迎えるということで、いろいろと動揺を来たし、不安を隠せないものがあることも事実であります。こういったことからいまから逐次質問してまいりますが、ひとつあらゆる対策を立てて、毎回申しますように、米、畜産、果樹という農業のビッグスリー、三つの柱の中の重大な柱である果樹に対して十分なる対策を立てていただきたい、かように思うわけです。  そこで、伊藤局長にお伺いしますけれども、果汁輸入は四十六年に初めて三百トンが特別に緊急輸入されて、その三百トンの輸入についても当時何回となく国会で論議をしたところでありますが、昨年は五百トンの輸入でございました。ことしは一挙に倍増して一千トンという輸入になったわけです。先日、八月二十九日のときにも農林大臣にこういった問題について問題提起をし、本日の委員会でいろいろと質疑をするということで留保しておいたわけですが、この一千トンを輸入した、いわゆる昨年から一挙に倍増、四十六年から見ると三倍以上になっておるわけですが、これについての理由を明らかにお答えいただきたい。
  262. 伊藤俊三

    伊藤(俊)政府委員 四十八年度のオレンジ果汁の輸入ワクにつきましては、最近のかんきつ果汁に対します需要がたいへん増大してきておりますこと、それから、フレーバーの点ですぐれております外国産果汁を国内産果汁にブレンドいたしまして、品質のすぐれた果汁を供給することによりまして、国産果汁の消費の一そうの拡大が期待され得ること、さらには、懸案の日米果汁産業の提携というようなことも考慮いたしまして、ブレンド用果汁の特別輸入ワクを設ける必要があること等を勘案しまして、一千トンに決定いたしたものでございます。
  263. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 えらくすぱっと答えられたが、この一千トンの輸入については、今回は大幅なオレンジ果汁のワク拡大がなされたわけで、この背景には私たちは多くの危険性と疑問を実は持っておるわけです。田中首相は一千五百トンと、こういうふうに言ったらしいのですが、田中総理の一千五百トンに対して農林大臣は、各団体にも一千トンでということで話を進められたということをわれわれは聞いておるけれども、その辺は政務次官、あなたはどういうふうに理解しておられますか。ひとつ農林大臣にかわって政務次官からお答えいただきたい。
  264. 中尾栄一

    中尾政府委員 千五百トンという数字は私も伺っておりません。
  265. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 伺っておってもなかなか公開の席でおっしゃれないかもしれませんけれども、田中首相は千五百トンと言ってずいぶん張り切ったらしいのだが、農林大臣がそれは一挙にはたいへんだからというので千トンにしたという経緯がいわゆる関係者の間で言われておるわけです。政務次官も知っておられるが知らぬととぼけておるかしらぬが、けしからぬ話だと私は思う。  そこで、伊藤局長は、今後一そう消費の拡大とかいろいろ言われたが、これはあとにも尾を引く問題であるけれども質問の順序として、このまま無秩序ないわゆるワク拡大をしていくということになりますと、三、四年後にはおそらく自由化も同然の状態になってしまう。まことにけしからぬ話だと私は思う。こうなると、来年はまたふやすということになりかねない。いわゆる無節操な対米追随じゃないか。中尾政務次官も、ことしは、あのミカン全国大会のあとでアメリカのほうへいろいろと交渉に行ってこられたわけですが、どういう交渉をされたか知らぬが、こういうことを見ますると、ワク拡大によって自由化につながるようなことがどんどん進んでいっている。これはたいへん問題である。いわゆる自由化につながるというか、自由化のなしくずし、こういったことが言える、私はかように思うわけです。そこで、果樹農家等もたいへん動揺し、先々心配をするわけですけれども、来年度、また再来年度と、これは二、三年するうちに、先ほどから申し上げますように、おそらく相当量の輸入を政府はしていくということになりかねない。こういったことはどういうふうに考えておられるのか。来年は来年、そのときはそのときで、いまのところはわからないと言われるのか、どういうことなのか。これはもう全く歯どめなくいくのじゃないか、際限なくいくのじゃないか、こうなったらたいへんであるというふうに思うわけです。その点政務次官から。
  266. 中尾栄一

    中尾政府委員 これは先生も御認識願えると思いますけれども、ワクの問題と自由化とはおのずから性格を異にするわけでありまして、この間のアメリカの自由化、いわゆる英語でいいますリベラリゼーションというものは、私も、向こうに参りましても、徹底してこれに反対いたしまして、少なくともこの問題は解決し得たと確信を持つのでございます。  同時にまた、先生が申されましたように、私もこの席上で、帰ってまいりましてからの次の委員会で、少なくとも九月にはブレンドジュース並びにその他の関係する一元化をはかっていくということを明確に打ち出したのでありますが、その後、伊藤局長に相当労をわずらわせまして、この 一元化につとめてでき得たことも御認識は願い上げたいと思うのでございます。四十八年度のオレンジ果汁の輸入ワクにつきましては、第一に、最近のかんきつ果汁に対する需要が著しく増大してきているという点、また第二点は、フレーバーの点ですぐれた外国産果汁を国産果汁にブレンドをして、品質のすぐれた果汁を供給することにより果汁消費の一そうの拡大が期待されているという点、またさらには、第三点といたしまして、懸案の日米果汁産業の提携を考慮して、ブレンド用果汁の特別輸入ワクを設ける必要があることなどを総合的に勘案した結果、一千トンに決定したものでございます。自由化とは全く関係ないわけでございます。  なお、果汁の自由化につきましては、わが国農業の中でもきわめて重要な地位を占めております国内かんきつの生産及び現在育成中の果汁産業に重大な影響を与えるおそれがあるので、これを行なう考えは全くございません。そういう意味におきましては、なしくずしという先生のおことばを返すようで恐縮でございますが、そのような方向では毛頭考えておらないという点だけを御指摘申し上げたいと思う次第であります。
  267. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 問いに対する答えが的確でないのですけれども、これにばかり時間をかけていくわけにいきませんが、私は三年前の、いやというほど思い知らされましたグレープフルーツの自由化、この問題を思い起こすわけであります。おそらくこのままでいったら、アメリカの強い攻勢に、だんだんと自由化のなしくずしをするためのワクの拡大をしていくということで、グレープフルーツの二の舞いをするんじゃないか、かように思えるわけです。そのときになっていまの農林大臣や政務次官とか局長がおるかどうかわかりませんけれども、そのときはそのときだということでは農民はたまったものではない、こういうふうに思えてしようがない。そういったことと考え合わしたときに、重大な警告を発しておきたい、かように思うわけです。  そこで、昨年夏の日米通商協議の際も米国の執拗な自由化攻勢があって、いろいろと輸入ワクの拡大、こういったことで措置がとられてきた事実等を踏まえますと、これが逐次こういうようなことになりまして、先行き不安を感ずるわけです。そういったことに対して十分当局の反省と、また農家を守るための対処方針を明確にしていただきたい、かように思うわけです。  それで、次にお尋ねしたいことは、成長途上にあるわが国の果汁飲料市場が大混乱に将来おちいっていくんじゃないか、かように思うのに、いま政務次官の発言がありました中に、日米産業の提携、いわゆる果汁消費を拡大するというようなことが述べられましたが、私は、強力な外資によって弱肉強食の危険が起きてくる、また、かんきつ農業だけでなくて果樹全体にも波及していく、こういったことを考えてみますときに、憂慮にたえない、かように思うわけです。  それで、後ほどるる聞くわけですけれども、いま政務次官からその話がありましたので、あえてお聞きしますけれども、今回の割り当ての中で三百五十トンという足立構想のいわゆる別ワクというのが約束されておる。これが、前回も前々回も私、質問してまいりましたこの三百五十トンの別ワクなるものが、結局日米技術提携の名に隠れてサンキストがこれに乗り込んで来て、最初は技術を提供するというようなことから始まって、だんだんにあれよあれよといううちにサンキストのラベルが張られ、占領される。一歩占領の足を踏み込み、あっという間に全部占領されて、日本の果汁というものが全くアメリカ資本に牛耳られてしまう、こういうことになりかねない。せっかくいま搾汁工場をつくって各地で意欲を燃やしつつあるときに、たいへんなことになる。この点は絶対に心配がないのか。その点はどういう意味を日米技術提携とおっしゃるのか、明確にお答えいただきたい。
  268. 伊藤俊三

    伊藤(俊)政府委員 三百五十トンにつきましては、農業団体一本で受けるというようなかっこうにいたしております。技術的にはあるいはフロリダあるいはサンキスト、いろいろなところとの提携もあろうかとも思うわけでありますが、私どもといたしましては、農業団体がかなり団結をいたしておるように見受けております。そういうようなことでございますから、ただいま先生御心配のような点はないんではないかというように考えております。
  269. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 私が言ったことに対しては心配ないものと思う——ちょっと最後のところが、語尾がわからなかったですけれども……。
  270. 伊藤俊三

    伊藤(俊)政府委員 先生がおっしゃいましたような御心配はないものと私ども考えております。
  271. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 御心配はないものと思いますじゃ、あれなんですが、政務次官、その点どうですか。
  272. 中尾栄一

    中尾政府委員 これは先生、やはり何といいましょうか、基本的には、対米関係でありましても、その心がまえの問題というのが基本になると思うのです。これは従属ということばでそれを表現する人も中にはいるかもしれません。しかし、絶対にいまの日米関係の中における経済力のバランスというものから考えましても、アメリカは一方的に日本の商品を——ついこの間までは四十億ドルものインバランスを持っていた国でございまして、日本のほうが経済的に強いという立場にあるわけでございますから、そういう点ではやはり譲るべきものは譲ってやるが、譲るべきものでないものは譲らぬという心がまえの基本が必要だと思うのであります。そういう意味におきましては、私は、いま局長が答えましたように、これは譲るべきでない、あるいはまた同時に、サンキスト云々と先ほど申しましたが、私はそんなことは絶対あり得ないことである。すなわち、私どもが一歩たりともこの問題点は譲歩はしないという問題では、譲歩しないということばを思うということばに置きかえて私は申し上げておきたいと思うのでございます。
  273. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 ただいまの件については、言うまでもありませんけれども農林大臣もことしの二月二十三日の参議院の農林水産委員会でもいろいと言明しているわけです。また当委員会でもしばしば発言になっておりますし、私たちがくどく心配するのも、御承知かと思いますけれども、全農と組合貿易が、世界最大のジュースメーカーである米サンキスト生産者協同組合とジュースの製造などについて技術提携を行なう方針を固め、同組合の意向を打診しているということが実は昨年来からしばしば報道機関でも報道され、われわれもまたそういうようなことをキャッチし、心配してきたところでございます。ただいまこれについても詳しくお聞きする考えでありましたけれども、明確に局長並びに政務次官答弁がございましたので、こういったことについてはぜひひとつ十分心して対処していただく、かように生産者のためにお願いをするわけです。そういったことで私ずいぶん懸念しましたので、あらためて公開の席で質問申し上げてお答えをいただいたわけでございますが、アメリカが農産物の自由化を迫っていることはひしひしと感じております。  さらに申し上げたいことは、御承知のように、十二日から東京芝公園の東京プリンスホテルで三日間、これは日本が主催をして、御承知のごとく、世界貿易の拡大を目ざす新国際ラウンドの開始を正式に宣言するための関税貿易一般協定会議が開催されておるわけであります。私もとの会議の模様をテレビ、新聞あるいはまた関係者からもいろいろお聞きしているわけですけれども、十二日のアメリカの首席代表のシュルツ財務長官が、演説の中で、かなり日本に気を配っておるような発言でありますけれども、農業問題について発言をしておる中に、世界の食糧は今後とも供給不足状態が続くとの見通しを示すとともに、米国は信頼できる供給者であると述べ、農産物の生産と貿易のもっと合理的な形態が必要であると、農産物貿易の自由化を強調しております。これは欧州共同体、すなわちECと日本などが自国の農業保護を主張して厚い壁を築いていることに対しての直接のいわゆる批判を避けたいという米国の配慮の発言であることもうかがえるわけですが、さらには、米国がなくては世界は飢えるとの強い自己主張を打ち出したのもうかがえるところでございます。こういったことからずっと見てまいりますと、おそらく今後強く日本に自由化を迫ってくることも将来とも考えられる。もちろん日米協調しながら日米の提携はしていくことはよくわかりますけれども、このオレンジ果汁の自由化については、前から申し上げておりますように、農家に壊滅的な打撃を与えるということでわれわれはたいへんこれを心配し、申し上げておるわけです。そういったことで、このガットの会議でアメリカのシュルツ財務長官がいろいろこう言っていることに対して、農林省はどういうふうに受けとめておられるか。農林大臣がきょう御出席でないけれども農林大臣も出席されたわけでありますが、これに対してどういうふうに所見を持っておられるか、この点もあわせてお伺いしておきたい。
  274. 伊藤俊三

    伊藤(俊)政府委員 私どもまだシュルツ財務長官がいろいろ発言されたことについて詳しく承知をいたしておるわけではございません。私どもといたしましては、国内におきましてでき得る限りの生産というもの、国内産の農産物の生産をできる限りやっていくというようなことをしたいと思っておりますし、また同時に、輸入の自由化の要請につきましては、私どもとして守らなければならない線はどうしても守っていかなければいけない。ことにただいまお話がございましたオレンジでありますとか、オレンジ果汁の問題でございますとか、こういったことにつきましては、どうしても私どもはこれを自由化することはできないという立場で貫いていきたいと、かように考えている次第でございます。
  275. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 去る十日、十一日の二日にわたって熊本県の熊本市で、御承知のように、第二十二回全国柑橘研究大会が開かれました。私は、こっちで農林委員会があってちょうど質問を行ないました関係から、出席できませんでしたけれども、今回は初めての試みでございまして、いま九州のミカン地帯においては今後のミカン問題に対して重大な関心を高めつつありまして、四百万トンを乗り切ろうという、そして一致協力して暴落を回避しようというようなことが大きな主要議題となりまして、研究大会が開かれたわけです。すなわち四百万トン時代にどう対処するか、これをメインテーマとした全国の果樹研究連合会、また熊本県の果樹研究同志会の主催によりまして、これは農林省、熊本県、各農協連等後援のもとに開かれたわけで、農林省からも出席をいただいたわけであります。大会には全国二十六府県から集まられて、生産農民二千人が参加して四分科に分かれ、四十七年度ミカン暴落の背景を分析するとともに、販売の有利性を追求するためにはどうすればよいかということで真剣な討議がされ、おそらく昨年の生産実績から見て近く四百万トンの大台になることはまず間違いない。これに対する生産体制を、また今後の販路拡張等をどうするかということが討議されたわけです。  農林省もこれに対して、出席されて、十分検討されておると思いますけれども、こういったことで、先ほど局長からもいろいろ答弁がございまして、果汁消費を拡大する、また今後の果汁需要の増大をはかっていく、こういう発言があった。そのためにアメリカからブレンド用の果汁を輸入するんだというようなお話でございましたが、私はもっと国内産の芳香のすばらしい、たとえばポンカンとかあるいはネーブルだとか、ほかにも若干あるわけですが、こういったかんつき類を選抜し、それを積極的に育成して産地化する方策を講じていくべきである、かように思うわけですが、こういったことに対して、今回の熊本における第二十二回大会を踏まえて、四百万トンを乗り切ろうという農民の意欲に対し、今後増大するであろう果汁、いわゆるジュースの需要並びにミカンの需要に対してどういう対策を立てておられるのか、ひとつ明確に御答弁をいただきたい。
  276. 伊藤俊三

    伊藤(俊)政府委員 私どもといたしましては、ミカンの需要と供給のバランスをとるということが非常に重要である、そういった面で、昨年あるいは本年、あるいは今後のミカンの生産の問題というもの、あるいは消費の問題というものにつきましてたいへんいろいろ研究いたしておるわけでございます。  私どもといたしましては、まずはミカンの生産というものが大体計画的になされるということが必要であるということで、植栽の面からまずはきちんとしていくということが必要だと思っております。  と同時に、生産されますミカンというものの摘果の問題がどうしても必要である。昨年四十七年産のミカンは若干摘果が不十分であったというような声も出ておるわけでありますが、やはり摘果というものを十分にやっていく必要がある。それがまた樹勢を非常に強くしていくということにもなるので、これはぜひやっていかなければならない。私どもは実は、ことしのミカンにつきましても、八月の末に各県の関係者を集めまして最後の仕上げ、摘果の問題なんかについて十分指導をいたしておるわけでございます。  それから、同時に、収穫後の果実の出荷というものが計画的に出荷されるというようなことでなければならない。それで、そういった意味での計画出荷、それから共同予措というようなことをぜひやっていかなければならない。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕 また、計画出荷のための出荷調整の協議を関係団体あるいは市場関係者というものと一緒になってやっていく必要があろう。  そういった計画生産、計画出荷のほかに、さらにやはり需給調整というものが必要であるので、そういう意味で、果汁でありますとか、かん詰め加工による消費というようなもので需給調整をはかっていくというようなことが必要であるし、そういった意味でのこういう加工原料用の価格安定のための基金制度が設けられているわけでありまして、こういったものを十分活用していきたいというように思っております。  また、同時に、本来の消費の拡大をはかるということ、ただいま先生からもお話がございましたように、果汁として消費の拡大をはかる、これはたいへん将来希望が持てる分野であるというように思っております。ことしの果汁の消費の状況というものを見ましても、これからもっともっと伸びるのではないかというような期待を私ども寄せておりますので、そういった果汁につきまして、果汁をつくるための施設としての果汁工場の建設といったことにつきまして助成をしていく。さらにまたその消費の形も、チルドジュースでの消費の形を考えて、大都市で消費していくということも考えて、そのための工場の建設というものも私ども進めてきておるような次第でございますが、さらに、私どもとしては、来年度は学校給食も実はやってみたいというように考えて、予算要求もいま大蔵省に対してしておるような次第でございます。
  277. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いろいろ申されたけれども、アメリカから果汁を芳香果汁として輸入する、若干の輸入はやむを得ないとしても、その量の問題は自由化につながるということでわれわれは指摘しておるわけですが、純国産の温州果汁というものを生産することに力を入れるべきじゃないかということ、これについては答弁がないのですけれども、そこを聞きたいわけなんです。いわゆるその基本姿勢をお聞きしたいわけです。簡潔にお答えください。
  278. 伊藤俊三

    伊藤(俊)政府委員 ただいま先生のお話がございましたような温州ミカンを原料としました果汁の生産というものを大いに私どもやっておるわけで、そのために果汁工場の建設ということもやっておるような次第でございます。  また、ただいま申し上げましたような学校給食というようなこともぜひ考えたいと思っておるような次第でございます。
  279. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 それでは、昭和四十八年度輸入オレンジ果汁の団体割り当て量、すなわち従来の五百トンと今回増ワク分の五百トン、合わせて一千トン、これの配分をひとつ明確にお答えいただきたい。
  280. 伊藤俊三

    伊藤(俊)政府委員 一千トンの果汁につきましては、次のように割り当てることにいたしております。一つは、五百トンにつきましては昨年度の割り当て実績どおりに割り当てる。それから残余の五百トンのうち三百五十トンにつきましては、先ほど来お話し申し上げております日米果汁産業の提携によるブレンド果汁を製造することを考慮して農協系に割り当てたいと思っております。それから百五十トンにつきましては、民間資本系及び全清飲系に昨年度の割り当て実績を考慮して配分いたしたい、こういうことでございます。
  281. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 その割り当てた根拠をちょっとお答えください。
  282. 伊藤俊三

    伊藤(俊)政府委員 ただいま申し上げましたように、昨年の実績ということも十分考慮しながら、また農協系につきましては特別ワクを考えている、こういうことでございます。
  283. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 昨年の輸入ワクの拡大をきめたときに、当時の足立農相が生産者団体と公約をして、やむを得ず拡大した場合は、その量は生産者団体を窓口に一本化して配分するということがいわれておった。ところが、いまの配分計画では、前回時間がなくてお聞きできなかったけれども、結局いとも簡単にこれが破られている、こういうように思うわけです。すなわち、足立前農相の公約どおりとすれば、純増分の五百トンについては生産者団体への配分とならなければならない、こういうふうにわれわれは理解して今日まで推移してきたわけですけれども、現実には業者にも配分されている、公約が無視された、こういうことになっているけれども、将来のこともあるので、そういった面も含めてお答えいただきたい。  またその実績についても、実績というけれども、四十六年度からの実績を見ても、その後四十七年または四十八年度にだんだんと生産量また搾汁がふえてきているという点も考え合わせると、五百トンの割り当てについても、単に従来の実績とばかり言えない面も出てきている。その辺はどういうように考えておられるのか。来年度あたりは是正して考えるつもりはないのか。いろいろ立場もあろうかと思うけれども、その点はどういうように考えておられるか、お答えいただきたい。
  284. 伊藤俊三

    伊藤(俊)政府委員 私どもといたしましては、今回の農協系のものにつきましては、大体三百五十トン程度でよかろうというように考えておるわけであります。  それから、来年以降の割り当ての問題につきましては、その時点におきましてしかるべき方法で配分をいたす必要があろうかと思っておる次第でございます。
  285. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 予想したような答弁しか出ないですけれども、それ以上のことはここでは言えないかというような予想もされますので、それではそれらの問題を踏まえて、チルドジュース工場の一本化問題についてお伺いしたい。  チルドジュース工場の一元化問題については、七月十日の当委員会でも私が質問をした際に、先ほども申し上げましたように、中尾政務次官も九月中に解決するということでございました。一本化については必ず九月中に解決をすると約束して今日まで進んでこられたわけですが、冷凍果汁生産問題が先般話し合いがつかずに農協かんきつ果汁対策協議会が持たれて、ついに八月二十八日の発起人会で一本化構想が白紙になった。私たちも当時、たいへんなことになったな、一時はどうなるかということで憂慮したわけでありますが、九月五日の全体会議で、伊藤局長が出席の上、いろいろあっせんをされたように聞いております。そして一本化を強力に要請した結果、前回の発起人会で全農が独自の工場をつくる、直販を全農が行なうというようなことが問題となったということでいろいろ紛糾したわけでありますが、そういった経過があったけれども、急転直下一本化してまとまったということであります。当時の状況を見ましたときに、実にあっけなく、また急な解決で、われわれも一時ぼう然としたが、喜んだわけでありますが、その間何か割り切れないものを感ずるわけです。  そこで、このことについて政務次官あるいは局長のどちらからでもけっこうですが、その間の経過をひとつ明らかにしていただきたい。
  286. 伊藤俊三

    伊藤(俊)政府委員 この問題について特にそうむずかしい経過があったわけではございませんで、八月末の発起人会の準備会でございますか、そこではどうも両者の意見が分かれる、またそれぞれ言い足りないこともあったというようなこともございまして、話が一応くずれたようなかっこうになったわけでありますが、私もこれをたいへん心配をいたしまして、何とかまとめてほしいということを関係の団体の方々にもお話をいたしまして、なお九月五日には私自身この協議会に出席をいたしまして、全農系統あるいは日園連系統の方々に、どうか一緒になってこういった事業をやってほしいということを御要請申し上げましたところ、皆さん方、それほど言うならとにかく一緒になってやろうじゃないかということをお話し合いくださいまして、さらにその後引き続いて発起人会を開いて一本化の話がまとまった、かような次第でございます。
  287. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 ここでこまかいことは取り上げませんけれども、熊本県の果実連なんかも当時は全農のいろんな言い分等に対して相当批判を持ち、しかもほかの果実連においてもそのやり方に対しては納得いかない点が多々出ておることを承知しております。そして結局九月五日にまとまったということでありますが、実際にこの問題が一元化されて一息ついたものの、いま伊藤局長はそう心配ないようなことでなったようにおっしゃるけれども、それを一々ここで根掘り葉掘り言おうとは思いませんが、実際この一元化問題が白紙に返りすったもんだした、これは何と何が一番問題になったのか。われわれも一応は承知しておりますけれども局長はどういうように受けとめておられるか、明らかにしてください。
  288. 伊藤俊三

    伊藤(俊)政府委員 全農系統と日園連系というのは、それぞれ組織化されましてからの歴史的な過程も違いますし、またジュースということにつきましての経験なり歴史なりというものも若干違うわけでございますが、全農系は組織というものを非常に強く持っておるわけでございます。そういったそれぞれの立場がやはり微妙に食い違いまして、なかなか話がむずかしかったように私どもは伺っておりますが、ともかく小異を捨てて大同につこうではないかというような両方の方々のお話がございまして、幸いにしてまとまった、こういうように考えております。
  289. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、一応一本化がまとまったということでけっこうなことでありますが、それはそれとして、それではチルドジュースの新会社はどういうふうな構想になるのか、また農林省はどういうように指導しておられるのか、その点明らかにしてください。
  290. 伊藤俊三

    伊藤(俊)政府委員 五日に決定を見ました新会社は、社名を株式会社協同果汁ということにしまして、資本金八億円ということで、日園連、全農から果汁を製造しております県の段階の農協連合会、それから全中及び農林中金が出資しまして、まず京浜地区でチルドジュースの製造販売を行なうことにしておるわけでございます。
  291. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 事業内容は、どういう内容が考えられておりますか。
  292. 伊藤俊三

    伊藤(俊)政府委員 事業内容は、チルドジュースの製造、販売、輸入果汁の輸入業務等となっております。
  293. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 その二つですか。
  294. 伊藤俊三

    伊藤(俊)政府委員 その他これに付帯する業務ということになっております。
  295. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 新会社の設立の準備は九月末で、新会社の発足が十月の二日か三日ごろのように聞き及んでおりますけれども、この点はそういうような方向で進むのですか。
  296. 伊藤俊三

    伊藤(俊)政府委員 ただいま私どもの聞いておりますのでは、十月二日に設立総会をやるというように聞いております。
  297. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 このチルドジュース工場の建設場所は、具体的には進んでおりますか。農林省に向こうからいろいろと相談があっておるのですか。その辺の場所の選定等については、どういうようになっておりますか。
  298. 伊藤俊三

    伊藤(俊)政府委員 私どもはまだ聞いておりません。
  299. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 チルドジュース工場の新会社の構想が大体これで概略明らかになったわけですが、十月二日発足の予定で進める、おそらく場所もまだきまっていない、こまかいこともいまからだと思いますけれども、会社だけは発足して進める、こういうように理解していいですか。
  300. 伊藤俊三

    伊藤(俊)政府委員 さようでございます。
  301. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、一本化しないと、いわゆる足立構想によるところの別ワク三百五十トンが浮いてしまうということで、局長としても、また当局は必死に一本化をはかられたと思うし、またそうであったろうかと思うのです。ああいった経緯を見ましたときに、私も重大関心を持って見守ってきたわけでありますが、あえてこの機会にお聞きしておきますけれども、この設立にはかなり心配が内蔵されておるわけです。  そこで、現実にこの会社がスムーズに稼働できるかどうか。これは将来の問題だと思うのです。もちろん果汁輸入一元化は、日米通商協議会の約束でもありますし、当然のことでございます。このチルドジュース工場を成功させなければならないし、また必ず成功してもらいたいというのがわれわれの切なる願いでもあります。ところが、さっきから申し上げますように、いままでの経緯やら会社の構成内容というものを見てみますと、かなり無理をして解決したという感じも実際受けるわけで、そういったことを思うときに、将来のため手放しで安心できないという感を持たざるを得ない面もあるわけです。よって、真に農家のため、日本農業の発展、振興のためにも、ぜひひとつ十分な農林省当局の厳格な指導監督をお願いしたい、かように私は思っておるわけですけれども、これに対する今後の進め方、また農林省として指導監督にあたって、この一元化問題については、中尾政務次官もしばしばお答えいただいたように、関心を持っていただいておるわけですが、十分ひとつ見守って進めてもらいたいと思うが、大臣にかわって政務次官、九月中に解決するということを約束して、一応九月中に解決できたわけですが、将来の見通しも含めて政務次官の所見を伺っておきたい、かように思います。
  302. 中尾栄一

    中尾政府委員 これはもう先生の御指摘のとおりでございまして、六月以来産みの苦しみを約三カ月か四カ月いたしまして生まれた新会社でございます。その間に、二転、三転、たいへんな難産をしてやっとできたわけでございますだけに、それだけにまた、それぞれの諸団体の集まりであるということを勘案いたしまして、いろいろの問題点もまだ全部解決されているというわけではございませんので、十分監督をしていきたいと思っておる次第でございます。  また先ほど先生の御指摘のございましたように、アメリカそのほかの国におきましても、果樹、ミカンの問題等も決して自由化の旗を下げたわけではございません。あくまでもそのアクセルを踏んでいる最中でございます。それだけに私どもも、譲るべきものは譲るが、譲れないものは絶対譲っては相ならぬ、この基本哲学の上に立って考えていくと申しているわけでございまして、その一連の関連からこの考え方が生まれたということにもなるわけでございますから、そういう意味におきましても、十分監督の上に監督を重ねまして、期待でき得る会社に育てていきたいと思っておる次第でございます。
  303. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 中尾政務次官から決意を伺ったわけですが、ぜひそういうふうに育てて、りっぱにしていただきたいと思います。  そこで、あえてお聞きし、またこの機会にこういったことも農林省当局が十分監督指導してもらうためにも申し上げておきたいし、十分おわかりかと思うけれども、農家を守るため、また将来のために、私もこの席で申し上げておかなければ片手落ちになると思うので申し上げるわけですが、一本化すれば、今度は各県とか団体のほうのメリットという問題が起きてくるわけです。たとえば全農では農協ジュースを売り出している。日園連もまたジュースを計画しておられる。さらには愛媛の果実連では、すでに定着しておるところの「ポンジュース」というものが相当販路を開拓して、これが八つの農協が主体となって売り出されておるということも御存じのとおりであります。また熊本県では「ハイ・ジューシー」という果汁がすでに昨年から農林省の補助によって搾汁工場ができて、本年度は皇太子、美智子妃殿下も視察をしていただきまして、ますます拡大され、活発に生産がなされつつあります。  こういったことが各地に見られてきた現在において、各県の自己主張というのが強いのも事実であります。県単位の利益、将来どうなるかということも、これは不安の一つの要因になるわけです。こういったことがいつも、いま申し上げた団体あるいは各県においても頭にあるということ、これは十分検討してかからねばならない、こういうふうに私は思うわけでございます。そういったことを考えましたときに、一本化をしていく、これは当然であるが、そういった各県の状態、団体の状態を今後うまく調整していかなければ、将来ともいろいろまた問題が起きてくるのではないか、こういうことを考えてなりませんが、この機会に、先のことでありますけれども、十分そういうことも踏まえての検討であろうと思いますが、あえてお聞きしたい。これは局長からでもひとつ御答弁いただきたい。
  304. 伊藤俊三

    伊藤(俊)政府委員 ただいま先生からいろいろお話がございましたそういった点は、十分私ども考えていかなければならない。それぞれおい立ちなり業績なりというものは違っておるわけでございますから、それが大同団結をするようなかっこうになるわけでございまして、そういった点も十分考えてやっていかなければならないと思っております。
  305. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、四十六年、四十七年、四十八年と果汁がだんだん伸びてきたことも当然です。先ほどから答弁ありますように、果汁の需要も伸びてきておる。  そこで、農協がしぼったものを各県で使うか、またはメーカーで使うかということも、将来いろいろと問題になってくると思う。チルド工場に思ったとおり果汁が集まってくるか、こないかという心配はないかという問題であります。こういうような心配を想定した場合に、当然当局としてもいろいろと対策を立てていかなければならぬと思いますが、その点の対処方針はどういうように考えておられますか。
  306. 伊藤俊三

    伊藤(俊)政府委員 そういった原料確保の問題は当然考えていかなければならないと思います。しかし、構成員が大体原料をつくっておるわけでございますから、その工場を盛り立てる盛り立てないというのは、構成員の方々次第にもよるわけでございまして、私どもとしましては、この工場がうまく機能しまして、そしてミカンの生産者のためになる、日本のミカン産業の発展にこの工場が寄与することを切に期待をいたしておるということでございます。
  307. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 現段階ではその程度しか言えないと思いますけれども、これも私、各県の実情を政務次官やら当局にも国民の声として聞いてもらいたいために申し上げるのですが、実際に愛媛の「ポンジュース」、これはかなり定着もし、また国民になじんできております。また販路も相当拡大されておりますが、各県としてはやはり愛媛の「ポンジュース」に追いつき追い越せといいますか、それ以上に発展していきたいということも事実であります。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕 そういったことをずっと思いますときに、反面そういった各県のいわゆる自己主張というものが当然あるであろうし、または県単位の利益、メリットの問題ですね、それから将来どうなるかというようなことについても相当問題が起きてくるのじゃないかと思いますので、そういったこともよく考えて対処してもらわなければ、将来にまた別な問題が起きてくる、かように心配して申し上げるわけであります。  そこで、もう一点お伺いしますが、新会社の技術提携問題、これはさっきからちらちら出ておりますけれども、技術提携の問題についてはどういうふうに当局は指導をし、今後進めていこうとされておるか、その対処方針についてお伺いしておきます。
  308. 伊藤俊三

    伊藤(俊)政府委員 いずれ新会社が設立されますれば、そういった点についてどういう方向で行くか、新会社自体がまずきめていくことになろうかと思います。そういったものを受けまして、私どもまたいろいろ考えていったらよかろうかと思っております。
  309. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 最後に一、二点お伺いして終わりますが、ミカンジュースの消費拡大方策ともなるところの問題について、公取並びに当局にお伺いするわけです。公正取引委員会見えていますね。——いない。困りましたな。  それでは、せっかくの機会ですから、最後の締めくくりとして一点伺っておきます。  ただいま申し上げましたように、ミカンジュースの消費拡大方策として私は公取に質問を予定しておったわけですが、これは次回に譲って詳しくまた公取といろいろ論議することにいたします。当局もこれはぜひ知っておいてもらいたいわけでありますけれども、現在果汁飲料等の公正規約というのがあって、レストランのメニューには正確な解釈としては適用されないということがいわれておりますので、指導を怠っているということで、公取に対して本日は規約の目的とか精神に対して公取の意見をただしたかったわけです。  といいますのも、先ほど申しますように、ミカンが昨年も実績が三百五十六万トンと相当上回った数字となったし、ことしもおそらくは昨年に次ぐ第二番目の生産ということで、十日、十一日に熊本市で開かれた第二十二回全国柑橘研究大会においても、四百万トンを乗り切ろうという決意が述べられて、販売の有利性を追求するにはどうすればよいか、また価格暴落回避など、いろいろ検討されている。片や今回果汁輸入が昨年の五百トンが一挙に倍増して一千トンになってきた。このまま推移すると、先ほど申しましたように、自由化がなしくずしになっていくのではないかという懸念がある。そこで、ますます果汁の需要を拡大する、消費は広げなければならぬ、こういったことで、当局からも先ほどからしばしば答弁をされておるわけでございます。  そういったことをずっと踏まえてまいりますと、将来ミカンがどんどん成木になり、果汁の生産がふえる。今度チルドジュースの工場ができて将来は三つ四つ工場ができることになっておりますが、どんどん搾汁工場がふえていく。こういうことを考えると、消費拡大をぜひ考えていかなければ対応できない。生産過剰はますます強くなっていくという心配があるわけです。ところが反面、いま私たちがずっと検討し、いろいろ当局に対策を講じてもらいたいし、また公取にもぜひ力になってもらいたい問題は、一々詳しく申し上げられませんけれども、いわゆるレストランでコーヒーを注文したお客さんにインスタントコーヒーを出す店がないのと同じように、ジュースを注文したお客に安易に濃厚ジュースを薄めてジュースといって出すのはどうかと思うということでいろいろ批判されておるし、今後本格的な一〇〇%ジュースを提供すべきじゃないかという声が主婦連はじめ消費者団体からあがっているのも事実であります。そういったことで、従来のジュースのあり方というものはほんとうの一〇〇%ジュースじゃない。現在のレストランのメニューはこれを変えるわけにいきませんので、そのままとして、一〇〇%天然の濃厚ジュースを、いままでの行政指導じゃなくて、もっと強力にメニューの中に入れてお客さんに提供すれば、お客さんも、いままで飲んでいる清涼飲料水とは違って、果汁が入ったいわゆるレストランメニューによる一〇〇%果汁のジュースを飲むようになりますと、相当の量が今後消費できる。現にテストケースとして若干の店がこういうことをやっておりますが、相当消費が拡大される。しかも最近のお客さんの嗜好から見れば、いままでの清涼飲料水じゃなくて、一〇〇%の天然ジュースというものを注文するお客が多くなってきている。こういったことを見ましたときに、こういったところに公取からもっと強力ないわゆる指導また力をいたしていけば、今後相当量の果汁の消費が拡大できるということでございます。こういった問題についていろいろ今後、生産がかなり過剰ぎみであるミカンに対して、どうしてもこういったところに公取の力を尽くしてもらいたいし、公取としても十分今後強い姿勢で臨んで消費者にこたえていただきたいし、またミカン果樹農家に対しても十分手を打っていただいて農家の期待にこたえてもらいたい。公取のいわば怠慢というか、公取のいわゆる指導の弱さ、盲点というのがここら辺にあるということを指摘せざるを得ないのです。  こういったことで、最後に政務次官にお伺いします。締めくくりとしてお答えいただきたいけれども、こういった問題を提起して、この問題に関する質問は留保しますが、農林省ももっと公取と密接な連絡をとって、いわゆるジュースの今後の消費拡大、こういったことにつき、いわゆる清涼飲料表示問題も含めて今後推進をはかっていくならば、今後相当消費拡大がなされていく。そうして国内の果汁の生産と相まって、いわゆる輸入果汁を制限し国内果汁を守る、こういう方向であってほしい、かように実は思っておるわけです。  時間も参りましたし、一番大事なところをきょうは明確にしたい、こう思っていままでいろいろと質問してまいったわけですが、連絡不行き届きで公正取引委員会が見えておられないようでありますので、次の機会に質問を留保しまして、最後のそういった点について農林省見解、対処方針といいますか、それを承って、私の質問を終わることにいたします。
  310. 中尾栄一

    中尾政府委員 消費の拡大というのは、これは一番基礎的に考えていかなければならぬいまからの課題だと思います。そういう意味におきまして、先ほども局長のほうからも言いましたように、学校給食の問題であるとか、そういうことも当然加味されていかなければ相ならぬ問題である、このように考えております。  同様にいま先生の御指摘の、公取などを通ずる消費拡大の道、そのルーティングもこれまたあわせて考えていかなければ相ならぬという感じがいたします。ちなみに現在、確かにおっしゃるとおり、レストランや喫茶店でサービスしておりますジュースは、これはまさにジュースならざるジュースでありまして、そういう意味におきましては、ほんとうの生ジュースと申しましょうか、そういう先生の御指摘のなまジュースそのものが販売される形になりますと、国民の健康にもまたあるいはあらゆる意味における消費の拡大にも通じていくということからも非常な意味があると思いますので、そのようないわゆる奨励、激励は、私ども農林省協力一致してやっていきたいと考えておる所存であります。
  311. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 では、時間も参りましたので、以上で終わります。      ————◇—————
  312. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 この際、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  農林水産業振興に関する件、すなわち、飼料価格及び畜産経営問題等について、来たる十八日、火曜日、参考人の出席を求め、その意見を聴取することとし、参考人の人選等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  313. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後五時四分散会