運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1973-08-30 第71回国会 衆議院 農林水産委員会 第50号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年八月三十日(木曜日)     午後一時三十三分開議  出席委員    委員長 佐々木義武君    理事 仮谷 忠男君 理事 坂村 吉正君    理事 藤本 孝雄君 理事 山崎平八郎君    理事 美濃 政市君 理事 津川 武一君       金子 岩三君    吉川 久衛君       熊谷 義雄君    島田 安夫君       正示啓次郎君    菅波  茂君       丹羽 兵助君    西銘 順治君       長谷川 峻君   三ツ林弥太郎君       湊  徹郎君    森下 元晴君       井上  泉君    角屋堅次郎君       島田 琢郎君    野坂 浩賢君       芳賀  貢君    馬場  昇君       湯山  勇君   米内山義一郎君       諫山  博君    中川利三郎君       瀬野栄次郎君    稲富 稜人君       神田 大作君  出席国務大臣         農 林 大 臣 櫻内 義雄君  出席政府委員         林野庁長官   福田 省一君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部保安課長  相川  孝君         環境庁自然保護         局企画調整課長 新谷 鐵郎君         大蔵省主計局主         計官      宮下 創平君         林野庁林政部長 平松甲子雄君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 委員の異動 八月三十日  辞任         補欠選任   竹内  猛君     芳賀  貢君 同日  辞任         補欠選任   芳賀  貢君     竹内  猛君     ————————————— 本日の会議に付した案件  森林法及び森林組合合併助成法の一部を改正す  る法律案内閣提出第一一九号)      ————◇—————
  2. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 これより会議を開きます。  森林法及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島田琢郎君。
  3. 島田琢郎

    島田(琢)委員 長官北海道知床を御存じですか。
  4. 福田省一

    福田政府委員 お答えいたします。  北海道風倒木が発生しましたあと風倒木処理等北海道に行きました際に、知床半島のウトロまで行ったことがございます。
  5. 島田琢郎

    島田(琢)委員 十五号台風のときのことだとすれば、ずいぶんもう昔になったわけですけれども、そのころの知床秘境といわれてまだ世間にその全貌をさらすような時期ではなかりたと思います。そのころはまだ、知床といいましても、そういうふうなぐあいであまり多く知られていなかったわけですが、最近は「知床旅情」なんといって加藤登紀子あたりが歌ったり森繁久彌なんかが宣伝したりするものですから、最近の知床はたいへんなブームを呼んでいるわけで、おそらくいま長官が行かれたら、あのときの知床と比べてみられて別な感慨をお持ちになるのじゃないか、こう思うわけです。  この知床が非常に大事な地帯といわれて、いわゆる自然の最後宝庫である、こういうふうにいわれておるわけでありますけれども、この知床が実は最近になって非常に大事な自然が破壊されていくという心配が地元に非常に強く巻き起こっております。この間の経過につきましては、長官もすでにいままで参議院でもこの問題に触れておりましたし、あるいはまた衆議院の公害対策委員会でも公害問題のテーマの中で知床に触れておりますから御承知をいただいたと思います。さらにはまた、そうした問題を契機にして現地調査にも林野庁から行っておりますから、詳細に報告を受けて承知をしておると思うのでありますけれども、これから知床の問題をなぜ私が今回取り上げて政府考え方を聞きながら大事なこの自然を守っていくためにやらなければならないかという点を順を追って質問を申し上げながら、私の考え方も述べて、ぜひともひとつこの大事な北の果てといわれておりますこの知床の自然を守っていきたい、そういう念願をこめまして、ぜひともひとつ、この知床宝庫といわれ、秘境といわれるのには、やはり自然を形成している森林というものが非常に大事な資源として存在しているのだという認識の上に立ってぜひお考えをいただかなければならぬ部分がたくさんあるので、この機会にひとつ質問を申し上げていきたい、こういうふうに考えているわけであります。  少し前置きが長くなりましたけれども、まず具体的な問題として——きょうは環境庁もおいでをいただいていると思うのでありますが、この知床の第一の問題点は、知床全体の形状といいますか、形というのは実は半島で非常に薄いといいますか、日光だとか、あるいは大雪山だとか、こういったものとはまた趣が非常に違いまして、半島状で、しかも外観——中に入って見るよりも海から見たほうがいいという人もおるぐらい、非常に神秘な自然な形容をたたえている地帯であります。こういう中にあって、国が公園法に基づいて指定をしたその段階から私どもは若干の疑念を持っているわけであります。というのは、この公園法の中にそれぞれ第一種から第三種までの特別区域、あるいはまた、自然保護関係から特別保護地域というようなものが指定をされております。全体的に言いますと、いま私が申しましたように、特別な地域に限って第一種だとか第三種だとか、あるいは特別保護地区だとかいったような、そういうふうに区分けをするということは、本来、やはりこの指定段階で間違いではなかったかという気が実はしておるわけであります。この辺ひとつ、公園法あるいは自然環境保全法立場から環境庁としてはこの実態についてどういう認識を持っておられるのかをまず一番目に明らかにしていただきたい、こう思うわけであります。
  6. 新谷鐵郎

    新谷説明員 わが国自然公園法に基づきます国立公園は、米国などの国立公園と違いまして、私ども地域性国立公園というふうに言っておるわけでございますけれども、必ずしもその土地を全部国が所有しておるというような形ではなくて、いろいろ民有地もありあるいは公有地もあるという、広い地域にわたりまして地図の上で線を引きまして、それを国立公園として必要な規制を行なっていく、そういうたてまえをとっておるわけであります。  知床半島指定の際のいきさつにつきまして私は詳細は存じませんでしたけれども、しかし、確かに秘境でございますけれどもわが国国立公園指定する場合に一般に常に起こってくる問題といたしまして、やはりそこには地域住民の方が住んでおられるあるいはいろいろな生業を営まれておる、そういうことの関連におきまして、やはり一つ国立公園の中でも一番きびしく規制しなければならない部分、あるいはそれに準ずる部分、あるいはある程度開発との調整考えながら守っていく部分というふうに分けて指定をする、そういう方法は現状ではやむを得ないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  7. 島田琢郎

    島田(琢)委員 そこで、いまの知床半島区分けになりますと、一番突端のほうが特別保護地区、そうしてまん中はもちろん特別保護地区ですが、あとその間に狭まれている部分三種特別地域というのがあります。この分け方がどうも私どもとして見れば、いまおっしゃっている中では、いろいろそこに住んでいる人の問題だとかあるいは施設の関係だとかというようなことが言われておるわけでありますが、そういう関係から判断をして区分けをするということの考え方が私にしてみれば——それは確かに人権とかいろいろな問題がそこに介在しますから、一がいに一元的に取り扱いできないということはあろうと思いますけれども、しかし、全体の景観というものはそういうふうに分かれるものじゃない。しかも、特に海のほうから見た景観というのは非常にすばらしい知床なんですが、それをこういうふうに分けていきますと、第三種だったら。切る人の認識、常識にまかせて択伐でも五〇%でも二五%でもある程度許されるといったようなそういうゆるい規制の中にありますが、そういう地帯だけがどんどん荒らされていくというかっこうになっていきますと、知床全体としては、突先の特別保護地区だけが実は知床景観をささえるものではなくて、この半島全体が実は大事な自然の公園を形成しているわけですから、そういう区分けのしかたというのは私は誤りだ、こういう判断に立っているわけです。重ねて言いますけれども、いろいろいまの説明では、その地域所有権の問題だとかあるいは国有林ばかりとは限りませんから、私有林なんかも入ってきて、その私権侵害というような問題もあるというようないまの説明のようでありますけれども、この地域に限って——私は知床ばかりに限って申すわけではございませんけれども、特にこの公園法だとか環境保全法だとか自然保護立場から考えるなら、こういう地域についてもやはり全体の形容を十分考えた中で許可をしていくあるいはまた指定をしていく、こういうことが必要だと私は思うのです。その辺の見解は依然この法律ができたとき以来変わっていないのですか。
  8. 新谷鐵郎

    新谷説明員 自然保護の問題が最近特に大きな社会的な関心を呼んでまいりました段階におきましては、私どもも、過去に国立公園二十六カ所の指定があるわけでございますけれども、むしろ現在の段階に立ってもう一回公園計画について再検討する必要があるということを考えておりまして、本年度から五カ年計画年平均五カ所くらいずつ公園計画見直しをしてまいりたい、そういうふうに考えております。
  9. 島田琢郎

    島田(琢)委員 見直しをしていきたいというお考えでありますから、どうも追い打ちをかけるような質問をすることはたいへん失礼でありますけれども、私は、この条文をいささか引用しまして、現地事情というものを十分把握していただきたい、こう思うわけであります。  自然環境保全法の第十四条であります。これは地域指定条文でありますが、「その区域における自然環境が人の活動によって影響を受けることなく原生状態を維持しており、」こうなっております。これはまともに言いますと、いま課長説明されたようなことで、人の活動によって影響を受けることのない地域、たとえばさっきの第三種ところは人の活動によって影響を受けるところだから除外をした、こういうふうに聞こえるのですけれども、これは逆に、そういうことのないように指定をして、自然環境保全をする、こういう立場に立ってこの法律の運用を進めるべきではないか、こういう見解を私は一つ持っております。これが質問の第一点であります。  それからもう一つは、保全でありますけれども行為制限。いまと非常に関連のあることでありますが、第十七条に「行為制限」として「原生自然環境保全地域内においては、次の各号に掲げる行為をしてはならない。」こういうふうに規定づけをしておりまして、一から十四まで実はいろいろと規制の条件があります。この場合、特にこれから問題にしようとしております知床の第三種特別地域の中においてこの「行為制限」に反しているような実態があるが、こういうものも第三種である限りこの条文の適用はできないのだというお考えに立っているのかどうか。  この二つをひとつお尋ねをします。
  10. 新谷鐵郎

    新谷説明員 先生の御指摘になりました自然環境保全法の第十四条に規定いたしておりますのは、原生自然環境保全地域に関することでございまして、この原生自然環境保全地域指定は、この法律がことしの四月から実施になりまして、今後これから行なわれるわけでございます。この原生自然環境保全地域につきましては、自然の保護のためのいろいろな施策の中で非常に特別な地位を占めておる施策でございまして、これまで国立公園の中にもそういう原生状態のような地域もあったわけでございますけれども、片一方では利用ということをあわせて考える。保護利用両面考えるというたてまえで施策を講じてまいったわけでございます。しかし、日本の国土の中でいままで全く人為の加わっていない原生林のようなところについて、今後とも人為を全く加えずに後代のためにこれを残しておくような特別な場所があってもいいのではないかという考え方で、新しくこの法律でこのような制度を設けたわけでございまして、したがって、その性格にふさわしい非常にきびしい規制がこの十七条に書いてあるわけでございます。しかし、このような地域は、わが国国土の中で非常に広い範囲にこういう地域を保つというよりも、むしろ限られた地域について特別にこういう厳正な規制をして後代に残していくという考え方でございます。そういう意味では、この地域は非常に特別な位置づけをされるわけでございますが、それ以外の地域につきましては、従来どおり公園のような形で保護利用両面考えながら守っていくということを考えておるわけでございます。
  11. 島田琢郎

    島田(琢)委員 そこで、私は、知床をそういう一つ考え方の上に立って今後自然保護地域としてその範囲の中に入れていくべきだ、こういう前提でもっていま御質問をしております。どうですか。
  12. 新谷鐵郎

    新谷説明員 今後知床国立公園の中での原生自然環境保全地域として、むしろ指定をし直しまして守っていったほうがいいというような部分部分的にはあろうかと思いますけれども、しかし、私どものいまの考え方では、知床半島全体をそういう地域にするというふうにはまいらないであろうという考え方でございます。
  13. 島田琢郎

    島田(琢)委員 私は知床の置かれている立場といいますか、日本人として、たった一つ、もうどこも荒らされてしまったけれども北海道知床だけは残したい。これは国民的な願望であるというふうに受けとめております。したがって、これを一律普遍な形でとらえるということについては、私ども地元として非常に残念に思うのです。ぜひともこれは守ってもらいたいし、またわれわれも守る、そういう立場に立ってこの知床だけは——知床だけという言い方をいたしますと、これは非常に差しさわりがありますけれども、いまどこを見ても自然の美しい景観は見ることができなくなったといわれているときですから、せめてこの知床だけは最後に残った一つのとりでとして考えてもらいたいという願望が強くあるわけです。そういう考え方に立って、ひとつ普遍的なものの考え方でない立場で検討願いたい、こう思います。これは答弁は要りません。  そこで、林野庁長官にひとつお尋ねをいたします。私は現地を見てまいりましたけれども、いまの環境庁とのやりとりの中で非常に残念に思いますのは、いま私が問題として出しました、第三種特別区域になっておりますが、国有林国有林の間に実は十条製紙社有林があります。これが第三種特別区域ということで、実は私どもはいま言ったように半島全体を自然として守ってほしいし、また守っていかなければならない、こう考えていたわけですけれども、この区域だけは実は除外されるような形になった。しかもそこは非常に景観をそこねるような乱開発が行なわれていて憂慮すべき実態にある。ところが、林野庁はこの十条製紙とかなり長期にわたる契約を結んでいる。いままで十条製紙伐採計画に合わせて、その近くにある国有林同時売り渡しを行なってきた。この点については、私どもは諸般の事情がその中にあったにせよ、どうもすっきりした受けとめ方ができない。  そこで、昭和四十八年度、ことしのいわゆる立木販売契約というものはどういうふうになっていて、四十九年度まで契約といいますか、話し合いの中にこの年度まで入っているというふうに私どもは聞いているのですけれども、この辺の事実関係はどうなっているのですか。
  14. 福田省一

    福田政府委員 御指摘の十条製紙山林国有林山林と併存しているわけでございますが、ただいま四十九年度販売契約の資料を持ってきておりませんので、いますぐ照会いたします。  四十八年度までは十条製紙におきまして択伐による伐採をしておったものでございますが、先般調査の際に照会いたしましたところ、十条製紙としてはただいまのところは四十九年度以降伐採計画は持っておらない模様でございます。それから四十九年度以降の国有林伐採につきましては、四十七年度に策定いたしました新しい施業方針に基づきまして、この地区地域施業五カ年計画が立案されておるのでございますけれども、この現状調査した結果、さらにこの点につきましても検討さしているところでございます。
  15. 島田琢郎

    島田(琢)委員 ということは、いまのところ再検討するために売買契約を一時差しとめている、そういうことなんですか。
  16. 福田省一

    福田政府委員 販売計画だけでなくて、伐採計画全体につきましてただいま検討しているところでございます。
  17. 島田琢郎

    島田(琢)委員 私は十条製紙伐採計画、十条そのものの持っている山の伐採状態、さらには国有林併伐をさせるというこの実態などは、いまも申し上げましたとおり、きわめて不明朗な感じさえ一面いたします。いまの長官答弁では伐採まで含めて再検討する、こういうことでありますから、そのことについてさらに言及はいたしません。しかし、十条のこの社有林伐採状態というものを私ども見てまいりました。あとどれくらい伐採計画があるか実態はよくわかりませんけれども、この辺の十条の伐採計画がおわかりになっていればお示し願いたいと思います。  それから、非常に乱伐である。これは第三種だから択伐してもある程度の幅を持たせているのだ、こういう説明がなされているわけでありますけれども実態は、私の見た目では、少なくとも五〇%ではきかない、六〇%も、ところによっては七〇%も、ほとんど皆伐にひとしい状態伐採がなされている。したがって、この山に網の目のようにブルドーザーを通して、そして伐採山出し林道をつけまして、そこを丸太で切ったものを運んでくるわけですから、木々もこれくらいのものが倒されて、頭が折れてしまっていて、とても択伐といったような形容にはなっておらない。これくらいでたらめな伐採は、私はあまり民有林私有林にあっても見たこともないというふうに実は現地で言ってまいりましたけれども、十条のやり方は切ってしまえばいいのだということで、自然保護なんということはさらさら頭にない。こういうやり方国有林併伐までも契約としてやっているのだということは、私は長官みずからも責任があるのではないかというふうに考えております。こういうでたらめな会社国有林の大事な木を売っていく、併伐させているというようなやり方は即刻中止をして——まあ再検討しているということでありますが、再検討した結果、また切らせるなんといっても、私は相当反省を求めなければ十条に売買すべきでない、こういうきつい判断を持っております。長官としてはこの点をどのようにお考えになっているのか。それから、私は五〇%以上も択伐になっている、こういうふうに見てきておりますが、長官はこの実態をどのように把握しておられるのか、その点をひとつお聞かせ願いたい。
  18. 福田省一

    福田政府委員 御指摘のございました十条製紙の山は、自然公園法に基づくいわゆる第三種特別地域になっているわけでございます。林野庁環境庁の間における扱いにつきましては、先生承知のとおり、第三種特別地域につきましては風景等に配慮して施業するというだけではございますけれども、この地区につきましては、民有林もそれから国有林につきましても択伐を行なうということで環境庁と協議しているものでございます。その択伐の限度は、十条製紙の場合にはその年その場所によって違いまして、毎年協議しておりますが、調査の結果によりますと二〇%ないし三〇%というふうなことで択伐施業してきた、こう申しておるのでございます。しかし、これは全山その年に伐採した率の平均でございます。実際には調査をした者の申し分によりますと、伐採したあと風倒木が出るおそれのあるような場所であるとか、あるいは伐採以前に相当その場所が疎開しておって、前生樹が相当出ている場所については、前生樹が相当伸びられるように、明るく切り開いてやる伐採方式もとっております。これは国有林もそう考えておりますが、そういうふうな場所におきましては平均二〇、三〇%以上に伐採しておるというところも散見されたものであろう。しかし、全体としては、環境庁との間の協議に基づく択伐率範囲におさまっておるというふうには申しております。国有林の場合においても、この地区は第三種地区でございますので、皆伐はしていいということになっておりますけれども、この場所性格考えまして、国有林におきましてもやはり択伐という原則に立っておるものでございますし、四十九年度以降の新しい経営計画におきましても、この伐採計画についてはただいま検討しておるのでございますが、相当の面積皆伐可能ではございますけれども、これをやめまして択伐にし、その択伐率についてもこの現地の実情をとらまえて厳正にしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。  そこで、十条製紙のほうの申し分はただいま申し上げたようなことでございます。四十九年度以降につきましては、ただいまのところまだ正式には返事をもらっておりませんけれども伐採するかしないかについては会社としても十分ただいま検討しておる、かように申しておるところでございます。
  19. 島田琢郎

    島田(琢)委員 私は、あの十条の伐採状態というものは平均に見ても五〇%以上だ。稚樹のいわゆる蘇生なんということはほとんどできる状態にありません。しかも、さっき言ったように、ブルドーザーをかなりこまかく入れておって、そこが大雨にでもなりますと、土砂くずれで土ごと、木ごと流していくというような危険を持っているようなやり方をしているわけでありますから、私はこの十条のこういうやり方についてはやはり行政指導できちっと、長官、やるべきだ。第三種だから皆伐したっていいのだ、こういうことで大事な知床の山が荒らされている、これは許されるべきことでないと私は思っているのです。ですから、懲罰の意味も含めて、今後一切契約はやらぬ、これくらいの姿勢で臨んでもらわなければ困る。この決意のほどはどうですか。
  20. 福田省一

    福田政府委員 御意見の点も十分考えまして、今後の知床森林国有林としての経営のあり方というものを具体的にきめてまいりたい、かように考えます。
  21. 島田琢郎

    島田(琢)委員 そこで、もう一度環境庁お尋ねをしますけれども、いまの問題をお聞きになっていて、これはいままでの第三種特別区域に置いておけば、これは規制がないのですから皆伐してもいい、ただ、自主的にこの地域自然保護景観を保つという意味で、切る人そのもの判断をしてやればいいのだ。こんなことでは、これはもう私どもが大事な国立公園の中においてこういう状態があるということをとめようといったって何の法的根拠もない。だから、私は、前段で知床のそこだけが荒らされるにとどまらず、全体的にそうなっていくことを食いとめていかなければならない。もうすでに相当山は荒らされていますけれども、これ以上荒らさないようにするためにも、これは特別保護区域に昇格させて、きちっと伐採規制を行なうべきだ、こう思っているのです。もう一度再検討するというお考えが示されていますけれども、これは現地をおわかりになっていますか。わからないから私の言っていることがよくわからないのかもしれませんけれども、これはひとつ環境庁現地調査へ行ってください。その考えはありますか。これは長官に言わなければ、課長に言ったって、はい、私、行きますというふうにはいかぬでしょうけれども
  22. 新谷鐵郎

    新谷説明員 御指摘のように、私は現場を直接見たことはございません。そういう点ではそういう現場の感覚があるいは欠けておる点があるかと存じますけれども、第二種地域、第三種地域におきます森林施業の問題につきましては、いろいろ従来から林野庁とお話し合いをしてまいりました経過がございます。しかし、最近のそういういろんな問題がたくさん出てくるという情勢にかんがみまして、林野庁との間にももう少し事前の具体的なその御相談ができるような事務の進め方について最近取りきめをいたしたようなことでございますし、また、先生指摘のありました社有林の許可につきましては北海道知事に法令上権限が委任されておるわけでございますけれども、そして毎年こまかくその社有林についていろんな条件をつけて、道は許可をしてまいったようでございますけれども、その許可の条件があるいは守られていたかどうか、その辺確かに問題があるわけでございまして、今後とも御指摘の線に沿いまして、道のほうで強力な指導ができるように、私どものほうといたしましても指導いたしたいと考えております。
  23. 島田琢郎

    島田(琢)委員 私は、指導だけでは、それはなかなか現地を見張っているわけにはいかぬのですから、できてしまってからでは木というものはもとに戻せないのですね。確かに木はチェーンソーを入れればその木はだめなんです。ですから、行政指導ばかりでは防ぎ切れない。だから、特別保護区域に昇格をさせて、そういう法的な規制を加えればこれはやらないわけですから、それをおやりになる考えがないかということを言っているわけです。  ここに私は写真をたくさん持ってきております。現地でとってきたものであります。これは長官、二〇%や三〇%の択伐状態ではありません。たいへんなものですよ。長官現地事情をよくおわかりにならぬで、報告を受けた段階知床をばく然とお考えになっているから、私の申し上げていることについて実感がわかないかもしれませんけれども、たいへんなものであるということをひとつ指摘をしておきたい。  それから、警察庁から来ていただいておりますが、今度は林道の問題に実は移りたいと思います。  その前に、これも長官にひとつお尋ねをしますが、知床林道は総体でどれぐらい敷設費にかかっていますか。
  24. 福田省一

    福田政府委員 知床林道につきましては、工事費の総計が四億六千五百万余を要しております。
  25. 島田琢郎

    島田(琢)委員 それは違いませんか。——そうすると、知床大橋はどれくらいかかったのですか。
  26. 福田省一

    福田政府委員 この大橋だけは、まだ調べますけれども、三十七年から四十四年にかけての総経費、二十四・四キロメートル、工事費総額が四億六千五百万というふうになっております。
  27. 島田琢郎

    島田(琢)委員 私ども調査をした数字とだいぶ違うようですけれども、四億六千五百万ですか、これは何か落ちているものがあるのではありませんか。これは後ほどひとつ調査をして、それで間違いがないとすれば、その中の工事費の内訳といいますか、だれがやって、そして年次計画で進められてきたその状態というものを後ほど資料として提出を願いたいと思います。この林道が、実は知床景観をそこねるような状態に残念ながらなった。林道そのもの地域の要請もあり、あるいはまたいろんなこれからの観光の問題等に寄与するという意味合いを含めて、この林道が開設された。その開設の趣旨について私は反対するものではありませんが、しかし、おやりになったこのやり方というものが実はいま問題になっている。これを写真に一ぱい持ってきているわけでありますけれども、実に乱開発のモデルケースみたいなやり方をなされている。大雨が降ればそれが沢を伝わってオホーツク海に流れ込んで、いわゆる魚の網を痛めたりあるいはどろ水が海水に流れ込んで、魚のいわゆる生息を妨げるなど、そういう方面にまで大きな公害とも思えるような災害を起こしていくような原因を、この林道敷設の際に実はつくった。この工事の進め方というのはひとり知床ばかりではありませんで、全国的に非常に強く指摘を受けているところで、その面についても今後考え方を改めてやるということをしばしば私どもも聞いておりますけれども、この林道開設の工事の際に支障木が非常にむだにされたというふうな痕跡が明らかにあります。それで私どもは大体八十ヘクタールくらいの面積が林道としてつぶされたと聞いておりますが、石数にいたしまして幾ら少なくとも大体五千立方メートルくらいが支障木として調査をされたと見ております。それがほとんど大半ブルドーザーの下敷き、いわゆる土砂の下敷きになって谷間に落とし込まれている。これは金額にするとたいへんな金額でありますが、こういう状態というものを林野庁としては十分承知をしておりますか。
  28. 福田省一

    福田政府委員 この林道は昭和三十七年から開始いたしまして四十四年に開設完了したものでございますけれども、御指摘のように、確かにこの林道の工法については現在反省しなければならぬ、特に今後の林道のあり方については問題があるというように考えております。従来の林道の考え方におきましては、できるだけ安い工費でもって林道をつくり、できるだけ安く木材を搬出するという考え方が先行し過ぎたといううらみがあるのでございます。この点につきましては、御指摘のように、今後十分配慮してまいりたいと思うわけでございます。  いま御指摘の五千立方の立木が捨てられたというふうなことでございますが、この点についての詳細はただいまここで承知しておりませんけれども、確かに、林道をつくります場合に支障木が出ますれば、この支障木は伐採いたしまして、それぞれ地元等にこれを売却するというのが原則でございます。何か細い、利用価値のないものでございますれば、まとめてこれを焼却するとかその他に利用するということもございましょうけれども、この点につきましてはなお十分調査してみたいと思っておりますが、ただいまのところではこの五千立方の問題については承知いたしておりません。
  29. 島田琢郎

    島田(琢)委員 そこで、この林道は延長にしてどれくらいになっておりますか。
  30. 福田省一

    福田政府委員 お答えいたします。  関連林道といたしまして三十七年から四十二年にかけてつくりました、総延長は十九・一キロメートルでございます。この制度がなくなりまして、その後北見の営林局でつくりました、四十三年から四十四年までは五・三キロメートルでございまして、両方合計いたしますと二十四・四キロメートルという延長になっております。
  31. 島田琢郎

    島田(琢)委員 そこで、そのうちいわゆる十条製紙社有林内につくられた林道というのは何メートルになりますか。
  32. 福田省一

    福田政府委員 ちょっとこの部分につきましてはここに資料ございませんけれども、たぶん作業道は十条製紙の中に入っているかと思いますが、この林道自体は社有林には入ってないかと思います。さっそく調べてまた御回答いたします。
  33. 島田琢郎

    島田(琢)委員 入っておるのですよ。そこで、私ども社有林内につくられた林道、これを含めて全体で七億かかっている、こういうふうに実は調査をいたしております。これはひとつ調査をした上で明らかにしてほしいと思うのですけれども、この林道がつくられる過程で、これは岩倉組が下請をいたしました。ところが、ルシヤ川というのがこの林道の一番終わりのところにあります。ここは十条製紙のいわゆる社有林内にあるわけでありますが、このルシヤ川から、河川敷地内と思われる地帯から無断で砂利が三十八年以降取られている。これが林道に敷かれているという形跡もある。そこで、今回私ども調査でもそういう事実が明らかになったのでありますが、伝え聞くところによりますと、警察庁はこれを送検した、無断砂利採取で送検をしたというふうに聞いております。これはごく最近のできごとだと思うのですが、この事実関係をひとつ明らかにしてほしいと思います。
  34. 相川孝

    ○相川説明員 お答え申し上げます。  実は知床半島におきます自然公園法等の違反事件を斜里警察署において現在捜査、取り調べ中のものがございます。  その状況について申し上げますと、事実関係は、四十八年の六月十九日から翌二十日の二日間にわたりまして岩倉組が国立公園内の特別地域であります斜里郡斜里町ウトロ、ルシヤのテッパンベツ川地域におきまして十立米の砂利を採取いたしまして、この国立公園内の国有林三百五十五号林班内の作業道路に敷いたということであります。このほかに余罪といたしまして、四十五年の十月中ごろからやはり二日間にわたりまして約二十立米、それから四十六年の八月末ごろから三日間約十八立米、それから四十七年の八月末ごろから三日間にわたりまして十八立米くらい、これらの砂利や玉石等を採取いたしまして、やはりこの作業道路に敷いたという事実がございます。  ことしの七月四日でございますけれども、テレビや新聞等でこの事実関係が報道になりまして、警察といたしましては、これを端緒といたしまして関係者の取り調べを進めておったわけです。現在、この岩倉組を法人としまして、それから岩倉組のルシヤの事業所の現場主任であります人を行為責任者といたしまして、近く必要な取り調べを完了して検察庁に送る予定でございます。  適用いたします法条でございますが、これは先ほど申し上げましたように、自然公園法十七条違反、それから北海道の普通河川及び堤防敷地条例というのがございますが、これの十七条に違反するものと私ども判断いたしております。  関係者の取り調べも済みましたので、近々検察庁に送る予定でございます。
  35. 島田琢郎

    島田(琢)委員 現地調査と私ども現地で聴取をいたしました実態とでは、取りました砂利の数量というのが非常に低いように思います。こんなもので幾らも延長できませんね、こんなくらい敷いたって。現地はそんなのじゃありません。もうたいへんな延長です。さっき明らかになっているように、二十四キロにわたって、これは全部そこに敷いたとは言いませんけれども、そればかりじゃない、いわゆる山出し道にも相当の砂利が敷かれている。三十センチ以上敷かれているのです、こんなりっぱな玉石が。それが私どもが一番不審に思ったのです。どうしてこんな山の上までこんなりっぱな砂利が敷かれているのだろう、それが私ども現地に入って第一に一番疑問に思った点なんです。だから、こんなりっぱな砂利はどうしたのか、こう思って聞きましたら、実はルシヤ川から採取してここに入れたのです。これは町が責任を負っているが、町はこれは許可をしたのか、町としては一切許可をしておりません。こういうことが後ほど明らかになっている。それじゃこれは盗難じゃないか、こういうことが現地で私が行ったときにすでに問題になったわけです。いまも事実関係を聞きますと、これじゃトラックに何台分でもない。こんなものじゃないですよ、現地は。私は警察をあおってもっとやれという意味で言っているわけじゃありません。しかし、川そのもの景観を変える。現地の人はことしはこっちのほうに流れてくるが、来年はこっちのほうだ。自然にそうなるのじゃない。砂利をとるものですから、砂利をとるたびに川の流れがあっちに行ったりこっちに行ったりするのです。それは大きな川じゃありませんから、あっちへ行ったから、こっちへ行ったからといって、たいへんな違いがあるとは思いませんけれども、しかし、毎年川の流れがあっちへ行ったりこっちへ行ったりするほど砂利はとられているのですよ。しかもりっぱな砂利です。もうほんとうに東京に持ってきたら庭石になるようなりっぱな石さえこの中に入っている。しかも岩倉組は昭和三十七年以降、この工事を行なってきた段階で、下請というか請負をやってきている。ですから、近く送検をされるということでありますけれども、それで事実関係が全部明らかになった、こんな程度ならまたやってもかまわぬということになりかねないと私は思うのですよ。せっかく現地状態をお調べになったのであれば、十分調査をして、今後再犯のおそれがないように取り締まりをするのがあなた方のおつとめじゃないですか。何か現地から言われたからお茶を濁す程度に、それじゃこれくらいあげておけといったような印象にしか見えないようなことでは私は困ると思うのですよ。犯人をつくれというのじゃありません。しかし、事実こういうことが行なわれている。しかもこの分についてはただで砂利を持っていって、そうして工事費の中にはちゃんと砂利代が入っているのでしょう。長官、どうですか、この分はただだということになっていますか、工事費の中では。
  36. 福田省一

    福田政府委員 この点につきましては、まことに御指摘のとおりでございまして、条例に基づいて当然市町村長の許可を得なければなりませんし、環境庁の出先にもこれを伺って許可を得なければならぬところでございますし、また、御指摘のように、この砂利につきましてもそれぞれ工法の中に入ってこなければならない問題でございます。今後十分注意してまいりたいと思っております。
  37. 島田琢郎

    島田(琢)委員 そこで、いま岩倉組が問題になっておりますけれども、十条にその疑いがありませんか、警察庁。
  38. 相川孝

    ○相川説明員 北海道警察からの私どもへの報告によりますと、岩倉組の自然公園法違反事件につきまして、先ほど申し上げたような内容の連絡がございました。  なお、先生が先ほど御指摘になりました砂利採取が違法ではないか、砂利採取法違反の点につきましては、実は北海道警からの私どものほうへの報告内容に入っておりません。その点、私、確かめてみたいと思います。  それから、再度お尋ねのありました岩倉組以外の関係会社はないかということですけれども、それ以外の報告は現在受けておりませんので、ないものと考えますが、現状はそういうところでございます。
  39. 島田琢郎

    島田(琢)委員 今回の送検は砂利採取法違反ではなくて、自然公園法違反、それから道の条例違反である、こういう立場で送検をした、こういうことでありますが、しかし、これは私は犯人をつくれというのじゃありませんけれども現場にはもっと深刻な事情が起こっているのです。これは警察庁よりもむしろ行政的な指導として今後お考え願いたいという意味で、長官に私は申し上げますけれども、さっき言ったように、いわゆる山出しの林道にたいへんな砂利が敷いてある。相当の急傾斜にバラスが敷かれている、こんなにたくさん。その砂利をどこから持ってきたかといったら、ルシヤ川から持って来た。町はその監督をしているのかと聞いたら、私は知りません無断で敷いたものです、こうなっている。これは林道をきちっとつくって、大きなトラックが入っても、ぬからないようにしようと思ってやったのでしょうが、しかし、そういうやり方というのは、野放図にしておくとたいへんなことになる。この辺は行政的に十分ひとつ指導していかなければならない点だ。これは十条がそういうやり方をしております。この事実はよくお調べになってそういうことのないように行政指導を強めていただきたい。ときによっては、そういうやり方をするのであればもうおまえさんのところ売買契約はせぬぞというぐらいの行政指導を強めていただかなければ、何しろ山の奥でどこからも見えないものですから、行ってみなければ何をやったって表に出るようなところじゃない、そういう観念を強く持っているようです。これはひとつ十分指導を強めていただきたいと思います。  それから、この林道二十四キロの問題、この中が有料道路として利用されているわけであります。総体の工事費がいまのところ四億六千五百万というのと、私どもの七億というのとでは違いがありますから、この点については後ほどひとつ調べていただくということにいたしますが、有料道路として利用していく場合における、いろいろ現地におけるまた不都合などもやはり出てきます。高速道路のようにしょっちゅう車が通っているところでありませんから、料金をいただくにしても非常に高い料金を取らなければならないというようなことで、普通の高速道路からいいますと、小型で三百円というのが知床では四百円、大型になりますと大体六百円というのが七百円、実はこういうふうに高いわけです。それで、林道収入というのは、現地で聞いた話でありますけれども、大体百五十万ぐらいである、年間の有料道路による収益というのが。これは年間といいましても、冬場になりますと閉ざされるわけですけれども、現在のつくられている林道を見ますと、非常に粗雑につくられているところがあって、それがいわゆる赤はだを見せて、しかもそそり立つようなやり方ですから、私ども手にとってみたのですけれども、あそこの土壌というのは山岩、いわゆる岩石といいましても、ちょっとさわるとばらばらと落ちる、俗にいう死に石なんですね。ですから雪が降ったりすると同時に土砂くずれが起きる、それから、雨がちょっと降ってもばらばらと落ちてくる、非常に風化しやすい岩石である、こういう性質を持っております。したがって、これからの、いわゆる補修も含めて維持管理が非常に困難だというふうにこの林道については思われます。それが一年間の林道収入が大体百五十万円。どれぐらいの維持費がかかるだろう、こういうふうに私ども現地の営林署長にもお聞きをいたしましたら、このままですと、やはり年間七百万円ぐらいの維持費はかかるのじゃないかと思う、補修費を含めていくと、やはり一千万はかかるでしょう、こういうふうに実は見ておるわけであります。そうすると、これはたいへんなことなんで、せっかくつくった林道が、維持管理ができなくて、閉鎖同様になるということになると、これまたこの林道は生きてこない、こういう問題があります。これは何も知床に限ったことではないと思いますけれども、全体的にこういうつくられた林道の維持管理の方針というのはどういうふうになっているのですか。
  40. 福田省一

    福田政府委員 関連林道の場合におきましては、維持管理に必要な経費は、ただいま御指摘のような料金をいただいておるわけでございます。確かにほかの場合に比べると少し高いじゃないかという御指摘もございます。四十五年度総計では百八十万、四十六年度で二百七十万、四十七年度は三百六十万、この程度のものでございますので、その点完全に補修し、維持管理すれば御指摘のように相当経費がかかるわけでございます。  関連林道の場合には、これはすでに完了しておりますので、その後出てまいりましたところの公団でつくりました林道あるいは国有林でつくります林道、それぞれ維持管理につきましては、前者の場合は地元市町村、後者の場合には国有林がこれをやっておるわけでございまして、できるだけ交通に支障のないように、また安全な交通ができるように万全を期してまいりたい。林道につきましては特にこういった点につきましての地元からの要望が非常に強いのでございますので、予算要求の面につきましても、四十八年度から維持管理の特に補修費等につきましては認めてもらっておるところでございます。  なお今後もこの点については十分配慮してまいりたい、こう思っております。
  41. 島田琢郎

    島田(琢)委員 非常に問題のある林道のこれからの維持管理というものはたいへんなことだと思います。そのことは私も実はよくわかります。いま長官も非常に現地の要望が強くてつくった。林道をつくれつくれといって、あんなことではだめだというものだから、皆さんにしてみれば、せっかくつくった林道なんだから、少しは現地考え方を持ってやってもらわなければ困るという気持ちも、それはあるのでしょう。しかし、これだけの林道を維持していくということは容易ならぬことですね。ですから、これは、これからの国の予算の中でこうした点がひとつ十分そんたくされるようにしなければいけない問題でありますけれども、この知床林道の将来の利用という問題については、やはり林野庁が十分の関心を持たなければならぬというふうに私ども指摘をしておきたいわけです。  そこで、工事を進めていく段階で、先ほどもちょっと触れましたが、支障木まで巻き込んで谷にどんどん落としていく、それが谷間に流れ込み、海水汚濁をして魚の生息を非常に困難にさせる、しかも産卵に遡上してくるサケやマスあるいはそのほかの小魚、ウグイ、ヤマメのようなものもこの地域から姿を消したといって地元の人たちは嘆いております。なるほど見ますと、砂防堤がすっかり埋まってしまって、上から見ると、もう影も形も見えません。すっかり土砂で埋まってしまっている。しかも依然として赤はだが出ている。しかも毎年林道が少しずつくずれるものですから、またその土砂をブルドーザーを持っていってばあっとその上に落とし込んでいくから、依然として緑化しないで赤はだを見せたまま年じゅうそういう悲惨な状態になっている。こういう一つの補修上における工法なり、あるいはまたそうした赤はだになっているところの緑化というものについて積極的に手をつけませんと、黙っておけば災害は何ぼでも起こってきます。この関係については、これは知床ばかりじゃないと思うのですが、林道の取り扱いといいますか、どういうふうな方針を持っておられるのか。
  42. 福田省一

    福田政府委員 いま御指摘ございました支障木のお話でございますけれども、これは林道をつくる場合の支障木もございますし、たぶん伐採しましたあと、丸太をとったあとに残ったいろいろな末木枝条等も影響しておるものと考えられます。こういったようなものが林地に散在して、谷間にたまっておりますと、集中豪雨等がありますと鉄砲水のような状態になって、下流に大きな被害を与えるということが非常に懸念されますので、こらいったようなものにつきましては、現地でできるだけ集約に採材いたしましてこれを持ち出すように指導しているところでございます。  なお、この場所につきましては、四十八年度以前から、また四十八年度におきましても、林道関係につきましては特に四十八年度は一千九百万円、治山関係におきましても六百万円、合計二千五百万円の工事をいたしまして、いたんだ山はだはこれを修理し、林道も補修しておるところでございますけれども、四十九年度以降におきましても、これにつきましては、ただいまもっと徹底した修理をいたしたいということで予算検討中でございます。  いずれにしましても、この末木枝条とかそういったものは林地に散在させないように、手間はかかりますけれども、また資源の集約利用という点からも、できるだけこれを集めて利用してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  43. 島田琢郎

    島田(琢)委員 そこで、森林開発公団が関連林道については事業をやっているわけですが、これの事業量とか単価、事業費、これをひとつ後ほど資料として出していただきたい。そのほかに、目的あるいはその林道の利用計画、こういったものがあると思います。これは公団がやっておりますすべての林道について、後ほど資料としていただきたい。資料要求をいたしておきます。  知床の問題につきましては、時間の関係もありますから、これで一応の考え方をお聞きいたしましたからやめますけれども、しかし、私はしつこいようですけれども環境庁にもう一度……。  知床をあなたは御存じないから、いま一つはだに触れて実感としてお聞き取り願えない点があるのだと思います。とにかくこの知床、あるいは北海道の中にもう一つ大雪、こうした公園がありますけれども、いまのような状態で一部非常に破壊され、これからもそれが進んでいくのじゃないかという心配を持っている地域が出てまいります。こういう事実をあなたはいまお聞きになっていて、やはり知床に対する一応の認識は持たれたと思うのです。これからこの大事な知床半島を守っていくのは、私は林野庁であると同時に環境庁の役割りだと思うのです。ぜひひとつ国民の大きな期待をになっているこの知床景観をそこねるようなことがないように、行政官庁として十分前向きにとらえていただいて、解決すべき点については真剣に取り組んでいただきたい、こういう要望を申し上げておきたいと思います。  それでは次に、今回の森林法の改正にあたりまして私どもが非常に心配をしている点があります。いま申し上げたような自然景観自然保護という立場もさることながら、一昨年、四十六年の三月に実は本委員会において決議がなされました林業振興に関する問題、政府は一向に重大な決議に対して取り組む姿勢を見せようとしない。そこで、ことしも一月には全国から三十二都道府県の代表が集まりました。一千町村に及ぶといわれる決議文を携えて、それぞれ政府に対して陳情がなされております。林興決議のどこに問題があって政府としてはこれに積極的に取り組もうとされないのか、長官からひとつその問題点を明らかにしていただきたい。
  44. 福田省一

    福田政府委員 林業振興に関する決議につきましては、いままでに全国の各都道府県あるいは市町村等からいろいろとその要望も受けておりますし、国会におきましても、この点について当局はどう考えるのかというふうな御質問をいただいておるわけでございます。この林業振興決議の内容につきましては、私は林野庁をあげてこの内容の実現に実は努力してまいっておるところでございます。衆議院におきましては、それぞれこまかく第一項から第六項まであるわけでありますけれども一つ一つは申し上げませんけれども、たとえば造林の振興にいたしましても、特に民有林の造林の振興ということは、最近の労働力の減少、外材の輸入の増大、いろいろの点を考えましても、非常に重要な問題でございまして、将来の自給率を高めていく上には絶対必要なことでございます。そういう意味で、造林の振興施策につきましては、補助あるいは融資あるいは税制の面等におきましてできるだけの便宜をはかり、四十八年度におきましても、予算においてその大幅拡充をしていただいておるところでありますし、また、奥地林の問題につきましても、公社造林あるいは公団造林等による分収造林の方法によってこれを実現しているところでございます。  なお、この中にございます国営分収造林法案の問題につきましても真剣に私たち検討しているところでございます。  また、この中におきましてたびたび出てきております問題の中の一番重要な点は、林業に関係いたしますところの労働力の問題でございます。国有林民有林を通じまして、この山村地帯から減少してまいっておりますところの林業労働力の拡充に対しましては、鋭意努力していかなければならぬということでございまして、国有林の場合におきましても、その労働条件の改善あるいは労働環境の改善等につきましては、逐次この改善をはかってまいっておりますが、民有林におきましても、こういった面におきましては、むしろ国有林から比べましても非常におくれているという点がございます、特に賃金水準の問題あるいは社会保障の問題等につきまして非常におくれておりますので、この社会保障制度が適用できるように、通年化等についてもいろいろの施策を拡充してまいっておるところでございます。  その他いろいろ国有林の問題につきましては、一般会計からの一般財源の援助の問題等につきましても四十八年度から大幅な拡充をしていただいておりますが、四十九年度はさらにまた抜本的にこの点における改善をはかってまいりたいということで、予算要求もいたしておる段階でございます。  そういうことで、この林業振興に関する決議につきましては、私たちもその内容につきまして非常に重大な問題と考えまして、林野庁全力をあげて、農林省全体としてもこの問題には取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
  45. 島田琢郎

    島田(琢)委員 いまのお話を聞く限りにおいては、真剣に取り組んでいる、こういう説明でありますけれども地元においては、このわれわれの希望するようなことが一向に行なわれないという不満を非常に強く持っております。過般の林興決議に関する全国大会の席上でも、るる各町村代表からこの不満が述べられております。いま、たとえばこの中にあります、いまも触れましたけれども、国が行なう民有林野の分収造林、この問題についても取り組んでいる、こういうことでありますが、具体的にはどういうことに取り組みをなさいましたか。
  46. 福田省一

    福田政府委員 国営分収造林法案の問題につきましては、その内容の中にございますように、一般の民有林におきますところの造林が自力ではできないような場所あるいは相当地域がまとまっておるような場所でなければならぬ、あるいは経済的に相当重要な地帯というふうに幾つかの条件があるわけでございますが、こういった面につきまして、全国の各重要なおくれている地帯の市町村なりその他県を介しまして調査をいたしたり、この問題についての問題点を究明しておるところでございます。  ただ、非常に問題になります点は、そういったいま申し上げた点を煮詰めてまいりますと、ただいま申し上げました森林開発公団で行なっておりますところの水源林造林あるいは各県で行なっておりますところの公社造林による分収造林あるいは森林組合の労務班等によって行なわれておりますところの造林というところと競合いたす面が出てまいるわけでございます。この辺の競合の点をどのように調整していくかということが一番大きな問題の一つでございます。  要するに、私たちの考えといたしましては、民有林の場合におきましては、その山をみずから持っている人たちが、自分たちの自力でこれを造林し、そのあとの手入れを行なっていくということを原則として、それのできないところをいろいろな機関で、国がその背景におってこれを援助してやるという考え方に立っているわけでございまして、そういう点で、どうしてもできないところにつきましては、いま申し上げましたこういう法案についても可能であるかどうかということについても、競合点をよく検討してまいっておるところでございまして、その点については今後十分また真剣に研究していきたいというふうに考えておるところでございます。
  47. 島田琢郎

    島田(琢)委員 この際、いまおっしゃっている実績等の資料を提出していただきたい。資料要求をいたしておきます。  いま森林組合の問題に触れましたから、森林組合の点にこれから触れてまいりたい、こう思うわけでありますけれども森林組合が行なう分収造林あるいは森林組合を通じて出されている補助金あるいは制度資金、こういうものについて、後ほど資料として出していただきたい、こういう要求をいたしておきますが、大まかにおわかりであれば、こうした内容について長官から説明を願いたいと思います。
  48. 福田省一

    福田政府委員 それではお答えいたします。  森林組合に交付されておる補助金の額、それからその使途、また森林組合を経由して交付されている補助金や制度融資についてはどんなものがあるかというお尋ねでございますが、昭和四十六年度森林組合に交付されておりますおもなる国庫補助金の種類、それからその金額は、一つは林業構造改善事業費補助金でございまして、これが十四億七千百万円でございます。それから次に林道事業費補助金でございますが、これが八億円でございます。それから里山再開発事業費補助金が一億四百万円でございます。合計いたしますと二十三億七千五百万円でございます。  それから次に、森林組合を経由しまして交付されておる国庫補助金としては、造林事業費補助金でございまして、これは昭和四十六年度約八十四億円のうちの大部分でございます。  また、森林組合を経由する制度融資といたしましては、昭和四十六年度の農林漁業金融公庫の林業関係資金の貸し付け残高のうち約三三%、金額にしまして約六百三十六億円、これが森林組合からの組合員等への転貸資金として貸し付けられておるものであります。  おおよそ以上のようなものが概要でございます。
  49. 島田琢郎

    島田(琢)委員 後ほどひとつかなり詳しい資料を提出いただきたい、こう思っております。  そこで、森林組合の合併助成法の問題でありますけれども、私は一昨日参考人の御意見をいろいろ聞かしていただいたわけでありますが、こういう中にあって、森林組合が今後やっていく事業の一つに、信用事業、共済事業もぜひとも手がけていきたい、今回の法律改正を一つの契機としてそういうきざしも実は出てきたのでたいへんうれしく思っている、こういう全森連の専務理事の参考意見があったわけであります。私は、こうした点についていろいろな要望のあることについて否定するものでありませんけれども、それよりもまず、森林組合そのものがほんとうにそういうところまで手をつけていって、十分組合機能を果たし得るような状態にいまあるのかどうかという点が一つ疑問に思います。いろいろこの資料の中にもありますけれども森林組合は大から小までいろいろ組合員の規模の問題がありますけれども平均すると三人か四人しか職員がいないような状態の中で、将来の森林組合をどう育成していこうとお考えになっているのかは非常に大事な問題だと思うのですが、これはどういうふうに考えていらっしゃいますか。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
  50. 福田省一

    福田政府委員 ただいま森林組合のこれは長い間の非常に強い全国的な要望事項の一つに信用事業があるわけでございますけれども先生ただいま御意見がございましたように、この信用事業というのは、組合員の保護などの観点から事業の安定的な運営がとりわけ重要でございますが、森林組合の実態について見ますと、御指摘のとおりに、財務とか役職員の執行体制などの事業基盤の面で必ずしもまだ十分とはいえない点が実情であると判断されるのでございます。そこで、この信用事業を安定的に遂行するために、必要な基礎的な要件をまず十分に整えることが前提であるというふうに思います。今回はその制度化を見送りまして、当面は今回御審議を願っていますところの制度改正の早急な実現を得まして、改正制度の適正な運用と、合併促進を通じまして、この基礎的な要件の整備拡充、つまり体質をまず強化するというところから出発しまして、森林組合の要望事項でございます信用事業というのは将来の問題として、まずその基盤を整備するという観点に立って強化育成をはかっていきたいと思うわけでございます。  こんな点はよけいなことかもしれませんが、森林組合の現在の職員数は平均三・四人に対して農協の四十一・三人、漁協の九・二人に比べるとまだはるかに脆弱でございますし、払い込み済みの出資金を比べてみましても、森林組合は二百八十七万円でございまして、農協の三千四百万、それから漁協の一千二百万というものに比べましてもきわめてまだ基盤が弱いというふうに考えるわけでございます。  こういう広域合併というところからまず基盤を整備してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  51. 島田琢郎

    島田(琢)委員 そこで、郡単位といいますか、もっと大きな組合にするための合併助成をこれからやっていこう、こういうふうなことでありますけれども、これはなかなかいまのような状態で、非常に資本装備も低い。しかしながら、この組合員というのは農村のいわゆる農業協同組合の加入者が非常に大きい比率を占めているわけであります。そういう関連も十分ひとつ検討いたしませんと、単に森林組合の脆弱基盤を拡大して、そして大きくしただけでこの組合の強化をはかることができるということは、過疎化が非常に深刻になればなるほど現地においては非常に組合が大きくなって、所在場所が遠くなってしまうというようなことによって起こる不便あるいはまた組合に対する疎遠、そういうものが強まってまいりますから、メリットとデメリットを十分ひとつ検討いたしませんと、単に大きくすれば企業メリットが出てくるのだというふうな単純な計算によって判断するということは、この森林組合に関しては非常にむずかしいと思うのです。農業協同組合の場合でもややそういうことがいえるわけでありますけれども、それでもまだ農業協同組合なんかの場合ですといささか合併をする余地はある。単にいまの小さい組合を大きくするという農業協同組合方式のものの考え方だけで森林組合の大型合併ということをやっていっていいかどうかということは、現地の意見をよく聞いてやらないとあやまちをおかします。ですから、こういう考え方をただ助成法によって押しつけていくというようなことがあっては私は非常にまずいと思うのです。しかも、所有している森林は必ずしもその町村内にあるとは限らない場合もあります。ですから大型化したほうがいいのだという理屈に実はなっているのではないかと思うのですけれども、必ずしもそうならないのですね。ですから、大型化だけを進めれば森林組合の力がついてくるという判断だけではなくて、もっと別ないろいろな要件があるはずですから、その辺が十分検討されておるのかどうか私は疑問に思います。この点についてはどうですか。
  52. 平松甲子雄

    ○平松説明員 森林組合の合併につきましては、先生指摘のとおり、ただ単に合併をするという形式的なことで事業分量をふやせば事足りるというふうに私ども考えておりませんで、やはり先生指摘のように、地域実態に即したような形で事業規模を拡大していく、このようなことを考えていく必要がある、かように考えておるわけでございます。そういう意味からいたしましても、今回合併助成法の改正をお願いいたしておるわけでございますけれども、ただ単に合併だけでそういうことの措置をするということでなしに、合併以前に——合併という形式はとらないけれども、たとえば流域単位で森林組合が協業をしたい、こういうような形で広域に協業するというものには予算措置を講じて協業体制を促進するというようなことを考えておりますし、また、今回の森林法の改正案の中でも森林組合に相当事業の権能を付与するというようなことにいたしまして、森林組合の体質を強化してまいる。しかも社会的な要請に応じていくというようなことを考えておるわけでございまして、森林組合の組合員の要請を十分踏まえながら、しかも社会経済的な要請に応じて、なおかつ森林組合の体質が強化できるというふうなものにつきまして合併を助成してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  53. 島田琢郎

    島田(琢)委員 森林組合の問題につきましては、もう少し私なりの意見も申し上げて考え方を尋ねてまいりたい、こう思っておりましたが、時間がだんだん少なくなってまいりましたので、先に進まなければなりませんが、そこで今度は角度を変えて、保安林の取り扱いについて、私どもはいままで現地状態を見ておりまして、法の不備というものを非常に感じているわけであります。  ことしから一団地の保安林伐採面積を従来二十ヘクタールであったものを五ヘクタールに落として制限を強化した、こういうことがありますけれども、現実には二十ヘクタールでも五ヘクタールでもいまのやり方ですと同じなんですね。たとえばことしAというところを二十町歩あるいは五町歩切った、来年またその続きで五町歩切る。これは畑と違って一年間で輪作形態みたいなわけにいかないのですね。植えていく、切ったら裸同様一年や二年は木がもうこんな小さいから、木が生えておるという状態でないから、それを続けてずっと地続きでやっていきますと、保安林の制限にならぬのですね。いわゆる保安機能というものは回復してないわけですから、そういうやり方というのは非常にまずいのではないか。A、B、Cとあれば、Aをやったら、今度二地区ぐらい飛ばしてDの地区をやるというように、保安林が形成されるまで、そういう有機的にうまく保安機能が保てるようなやり方がなされて初めてこの法の規制というものが生きてくるのだ、こういうふうに私ども現地で見ておった、あのやり方はまずいなと思って見ておったわけであります。この点は今後の改正の中で十分お考えになっておるのですか。
  54. 福田省一

    福田政府委員 ただいま先生指摘のように、従来はまず林道をつけますと、できるだけその林道を使って能率的に伐採しようということに重点を置きまして、ことしはある個所を十町歩切った、その次の年は隣の個所を十町歩切った、いわゆる連続伐採という方式をとってきておったことは事実でございます。先ほど新しい森林施業方針に切りかえたと申し上げましたけれども、そういう点、保安林と限りませず、森林伐採やり方につきましてはそういう点を配慮いたしまして、まず普通林におきましても、皆伐できる場合にしましても最高の限度は二十ヘクタールといたしております。保安林については五ヘクタール。しかもこれを分散して伐採をする。つまり連続しない隣の伐採をします場合には、いま伐採して翌年植えた場所のものが成林してまずうっ閉する。場所と樹種によって違いますけれども、少なくとも十年とかそこらかかるわけでございますから、そういうすでに植えた五ヘクタールなら五ヘクタールの森林がうっ閉しましたあとに、その隣の伐採に移っていく。いわゆる分散伐採方式考えておるわけでございます。しかも沢通りであるとか峰通りというようなところにつきましては、天然林の状態でできるだけこれを残す。そういう場所はやはり渓流でございまして、淡水魚の生息する場所でもございます。そういった点はいろいろと環境等に影響を与えることもございます。また、峰通りはいろいろな鳥とかけだもの等の走る場所でもある、あるいは風衝地帯でもあるというところで、そういうようなところには天然林のまま残すというふうな指導方針にしておりまして、全国のそれぞれの地域におきましてそういった点を配慮した具体的な計画をつくってこれをきめるというふうに今度の森林法の改正の中でも考えておるのでございます。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
  55. 島田琢郎

    島田(琢)委員 いまあらためてこれからそういう点を十分反省しながらやる、こういう長官答弁でありますから、ぜひひとつそういう方向で山が荒らされることのないように、あるいは保安林の機能がそこなわれることのないようにしていただきたい、こう思います。  いままでの数限りない法の違反だとか悪評、こういうものが全国的に林道開設にあたって特に強く出てきている。これは知事の届けだし、あるいは保安林解除の手続という問題についてもほとんど規則どおり守られてきてないという現状がありますから、よほどしっかりした腹がまえで法の改正なりあるいは運用の面に当たってまいらないと、同じような結果を招いていくことを私どもは心配しております。特に山というのは、ふだんは人の目につくところが少なくて、山奥だとかあるいはそこへ入っていってみなければわからない。夏場は特に葉が繁ってうっせきいたしますから、事実の発見が非常にむずかしいわけで、一たん切られてしまうと、畑のようにもとに戻らない。畑は一年、一年の勝負でありますから、畑の作物が全部枯れてしまっても直ちにこれを復元するということが可能でありますけれども、山というのはそういうわけにいきませんから、よほどしっかりした考え方に立って、いまおっしゃっている気がまえをひとつこれからの運用の中に明確に示していただきたい、こう思います。  そこで、大臣にひとつ締めくくりでお尋ねをしようと思っていましたが、だいぶひまでもてあましているようでありますから、せっかく大臣そこにおすわりいただいているのだから、大臣にもひとつお尋ねをいたしたいと思うのであります。  私はいままでの議論、あるいはいままで各代表からいろいろな森林に対する意見が出され、あるいはまた、先般はわが党の芳賀委員ほかの代表から対案として、森林法にかかわる問題の提案が出されている。その盛っております趣旨というものは、お互いにそう大きく変わるものではないというふうに私は思っております。そういう点での理解はしておるものでありますけれども、しかしながら、やってきておる一つの事実というものを見たときに、せっかく国会で御答弁長官以下皆さんがやっておられるけれども現場においては必ずしもそういうふうな状態になっていかない。この辺が非常に、特に農業と違って山の問題というものは非常に傾斜もあり地形の変わったところもあり、交通上にも非常に大きな支障を持っておるところが多いわけで、なかなかうまい状態にいかないという悩みを持っておるということ等については十分理解をしておるのでありますけれども、しかし、今日は荒らされた山をもとに戻す作業というものは非常に大事になっている。私なりの言い方をすれば、もはや山づくりである、造林を含めて山をつくるのである、そういう考え方に立たなければ、これだけ荒らされた山を元の形に戻すということは非常にむずかしい。特に針葉樹に至っては成林するまでは相当の年月がかかっている。こういうふうに長期的な作業というものが常について回る森林の問題でありますだけに、よほど腹を据えた考え方がなければ非常にむずかしいと思います。  農業問題についてはしばしば大臣の見解も聞いているわけでありますけれども、私は初めて森林問題に触れて大臣にお尋ねをすることになったわけでありますが、この森林というのは、いま私が申し上げたように、山をつくって国をつくっていくのだ、こういうものの考え方に立たないと、日本の山というものはたいへんなことになるということが非常に心配されているわけでありますので、この機会に、いままでの反省の上に立って、これから日本のいわゆる森林行政を進めていく最も責任ある大臣の立場として、どういう基本的なお考えをお持ちになっておるのか、ひとつお聞きしておきたいと思います。
  56. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 お尋ねを承りますと、私はやはりこういう場合に古くからいわれておる治山治水ということばが強く頭に浮かんでまいるわけであります。いまは島田委員から、山をつくり国をつくる、こういうふうに御指摘でございましたが、先人はなかなかうまいことを言っておる。治山治水ということは林野行政をやる上において非常に大事なことである、かように認識をするのでございます。最近、林野行政について特に公益的機能というものが重視されるようになった。きょうも知床半島開発問題と申しましょうか、林道の実情からいろいろ御指摘をいただきましたし、また林業振興決議がどうなっておるかということで私どもに対してその考え方を求められるような御発言もございましたが、要は、従来ややもすると経済的機能のほうを重視する開発のほうにはやって、それがために貴重な林野の公益的機能が無視されがちになる、ここに非常に問題があるのではないかと思うのであります。委員会でも申し上げましたように、国土の相当部分を占めておる林野というものは自然の浄化装置である。人間が住んでいく上において、この自然の浄化装置というものを無視していくならば、それによって受ける被害、影響というものはおそるべきものがあるのだ、この浄化装置というものを尊重していきたいということを申し上げたことを記憶するのでございますが、要は、林野の持っておる公益的機能、またわれわれが求めんとする経済的機能が合理的に組み合わされて、行政が行なわれていくことが必要ではないか、かように存じまするが、島田委員の御質問にお答えになるかどうか、私もちょっと危ぶむものではございますが、一応お答えいたしたいと思います。
  57. 島田琢郎

    島田(琢)委員 そこで、基本的な考え方はお聞きいたしました。私もまだ大臣のおっしゃっている点についてはわからない点がありますけれども、それでは具体的にこういう場合大臣としてはどう対処するお考えかを一、二点お聞きします。  その一つは、確かに今日の日本の国土保全、そして環境保全という立場からこの森林というものが資源的にも見直されている、そしてまたその行政のあり方について洗い直しが迫られている。しかし、昨年の夏以来非常に問題になりました木材の不足、国内におきます木材資源の枯渇に端を発しました木材需要に対応できない状態、これが一面で非常にむずかしい問題になっておるわけでございます。時代の要請として緑を守る、それは国民の健康につながる重大な問題だ、こういわれながら、一面では木材が国際的にも非常に問題になっている状態の中にある。こういう場合に具体的に進めていく場合における考え方を大臣として、ひとつ示されてほしいと思うのであります。  それからもう一点は、実は一昨日も岩手大学の船越参考人から参考意見として出されておりましたが、林地の利用計画というものが進められていく中にあって突如として——突如としてという言い方は唐突でありますけれども、たとえばそこに新幹線を通さなければならない、あるいは高速自動車道を走らせなければならない、不幸にしてそれがいわゆる大事な山林のまん中を走らなければならないというようなことがかりに起こってくる。もちろんそこを避けるという手だてが前段で必要ですけれども、そういう地域もある。この場合における自然保護という立場というものは非常に重要な判断が迫られる。こういう場合において、大臣として前段基本的なものの考え方に立ってこれらをお考えになる場合には、具体的にはどういう取り組みをなさろうとしているか、これが第二点目であります。  それからもう一つは、これも船越参考人が言っておりました、今日のようないわゆる山村地域を中心にして起こっている過疎現象というものは、それなりに山を守りきるということが非常に少ない人手によって困難になっている。それともう一点大事なことは、山村住民の生活の貧しさというものがあって、いわゆる切ってならない木も切らなければならないという窮地に立たされたときに、おのずから二律背反の加害者となり被害者となるという状態に今日まで置かれてきた。この辺をやはり政策的に救い上げていくという手だてが具体的に出てまいりませんと、緑を守る、山林資源を大事にしていくということはなかなかむずかしいという状態場所によっては起こり得る、こういう指摘が実はなされている。私はきわめて印象的にこの問題を聞きました。  この三つの問題、取り組みとして非常に大事な点ばかりでありますが、これはひとつ大臣からお答えをいただきたいものであります。基本的なお考えを聞いたあとでの具体的な取り組みということでありますが、ひとつお考えをお聞かせ願いたい、こう思います。
  58. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 非常に大事な問題であり、簡単にお答えすることに戸惑うのでございまするが、私が先ほどお答えいたしましたように、三点とも、一言でいえば、やはり公益的機能と経済的機能をどう調和していくか、その調和点を見出していくところに問題があるのではないかと思うのであります。  もちろん、提示されました問題がそれぞれ個々のいろいろな要素を持っておることは言うまでもございません。木材の場合を考えまするときに、住宅に木材が必要である、そのために乱伐をしたということで、それが後代に大きな影響を与える、こういうことであってはならないのでありまするから、そこにおのずから伐採の限界があると思うのであります。また伐採ということだけでなく、それに伴う造林のやり方があると思います。あるいは適切な間伐をすべき場合もございましょうし、また切った木材を有効に使っていく、そういう道も考えなければならないと思うのであります。  しかし、いずれにしても日本の場合は絶対量が不足してくるのでございまするから、その場合に国際的な関係をどうするか、不足するためにアメリカ、カナダからどんどん輸入をする、その輸入が度が過ぎて、相手国の木材価格を非常に暴騰せしめ、その規制を求められる、こういうこともたいへんな問題であります。その辺をやはりよく考えながらやっていかなければならない。  終局的には、場合によっては住宅に対する大きな要望がありましても、それを計画的に合理的にやる必要も起きてくるのではないか。その辺のむずかしさがございまするので、現に森林開発計画につきましても一応の年度計画をお示ししながら、また海外からの輸入につきましては、それぞれソ連、カナダ、アメリカあるいはインドネシア等の国々との関係などを申し上げてまいったと思うのであります。  それから、新幹線や高速度道路の敷設による大切な林野が荒らされる場合、新幹線、高速度道路、これはいずれも産業の上で、あるいは国民生活の上の必要から要望されてくるものだと思います。それが林野に対しての影響が起きてくる。これもどこで調和をとっていくかという問題だと思うのでございまして、いたずらに新幹線や高速度道路だけを中心に考えていく問題ではないと思います。したがいまして、これらも長期的な計画の上に林野の関係との調整の上に行なうべきである、かように存じます。  いま御質問の中で私が一番お答えしにくいのは、山村の過疎現象がある。山はやはりたんねんに手を入れていく必要があると思うのであります。いわゆる山を愛するという精神がなければ山は育っていかないと思うのであります。ほっておけばいいというような行き方ではいけない。特にこの木材に対する要望が強いということになればなるほど山の手入れや、また造林の必要もある。こういう場合に工場方面にどんどん人が流出をいたしまして、過疎現象を呈して、人手不足でそれに応ずる労力が欠けてくる、これは非常な問題であります。またそうでなく、それらの方々に山を守ってくれ、こう言っても、経済的な問題がそこに起きてくる。ただ山におるだけではたして一般的水準の生活の維持ができるかどうかというようなことが問題になってくると思うのであります。そこで、それらのことに応ずるために、山村における環境整備を考える、あるいは過疎過密の問題については国土開発の均衡ある行き方をして何とか過疎現象をとどめたい、そのためには必要な適切な工場の導入などを考えなければならないというようなことが提案されてきておるのでありまするけれども、しかし、それらのことが御質問に対してしっくりした方策になっておるかというと、私は遺憾ながら現状は必ずしもそうではない。農工一体的な行き方というようなことについてはやや見通しがついてきておるところでございまするが、山間僻地までどういうふうにいまのような現象にこたえて流出する人口をとどめ、また経済的に成り立たせしめるかということについては、非常な努力の必要な問題だと思うのでございます。しかし、それだからといって、これを等閑視するわけにはいかないのでありまして、私どもとしても、そういう奥地、低開発地域についての配慮も十分いたしながら、問題点の解決に努力をいたしたいと思います。
  59. 島田琢郎

    島田(琢)委員 これは大臣はたいへん苦しいと思うのですよ。こういう点を十分、今度はせっかくの森林法改正であれば、そういう問題はきちっと、大臣がその具体的な事例に直面したときに困らないように、そういうことを柱として持っておらないと、これはたいへんなことですよ。そういう現象が出てきたときに、話し合いの中で非常に提拠がありませんから、私の気持ちとしてはこうです、こうしなくてはいけないと思いますで実際の問題というのはなかなか解決できない問題に直面するだろうと思う。こういう点が十分今度の法案改正の中で明確にされていないという点は、私どもは非常に大きな一つの不安を持っている点であります。検討願いたいと思います。  時間がなくなってまいりましたので、もう少し質問をしなければならぬ点がありますから、先に進みます。  先ほど森林組合のときに落としておりましたけれども、林業構造改善の問題であります。第一次林業構造改善事業が終わりましていま第二次林業構造改善事業に入っている。私の町も第一次林構をやった町であります。しかし、県はいろいろ聞いてみますと、せっかくの林業構造改善事業が必ずしも生きていない。これは農業構造改善にもいえることでありますけれども、こういう話をよく耳にするわけであります。この際、第一次林業構造改善の総括をひとつしてみたい、こう思います。しかし、時間がありませんで、私はこの問題についてはまた別な機会にひとつ譲りますので、資料の提出をお願いしたい。第一次林業構造改善の全貌、それから第二次構造改善の計画実態、こういうものについてひとつ詳細な資料をぜひ提出願いたい、こう思います。  それから、国有林の売り払いという問題でありますけれども、最近、国有林が独立採算上非常に問題があるということで、国有林の切り売りをしている。これもひとつ全国的にどういう実態になっているかを資料として提出願いたいのであります。  私は、この国有林の売り払いという問題については、国有林野活用法等とのかね合いもありますが、ほんとうに国民の皆さんの財産である国有林の売り払いが、だれが考えても正当なものとしてなされているかどうかという点については非常に疑問があります。しかし、この際、現場では、重ねて国有林を開放してほしいという要望などが起こっていることも私は承知をしている。現に私の選挙区においては、知床公園と並んで大事な公園だといわれております阿寒の公園の一角であります美幌峠、長官はあそこを通ったことはないかもしれませんけれども、これまた非常に景観の豊かなところであります。この峠の頂上付近は一帯がササにおおわれておりまして、林地形成からいうと、必ずしも国有林としてはりっぱな山ではありません。しかし、またササがおい茂って、そこに古木があって景色としては非常にいいところであります。ところが、これが長い間現地では、ササをはやしてただながめてもらうだけでは意味がない、ぜひともあそこを開放してもらって、草地改良を進めて、肉牛を大量に飼って肉資源の基地にしたい、こういうふうな要望が現に起こっております。これは長官の手元にも陳情に行っているはずでありますから、大まかには御承知いただいていると思います。  私は、こういう問題を手がけていく上において、環境庁に帰ってもらいましたから、これは環境庁お尋ねすることはできませんけれども環境庁の所管事項として、林野庁との間における話し合いというものは非常にむずかしい要素をたくさん含むだろう、こう思っております。しかし、一面では、そういう一つ現場の産業振興といいますか、畜産振興、特に肉資源の開発、こういう問題について、時代の要請に的確に対応するためには、どうしてもこうした国有林の開放というものをやってもらわなければ困るという強い要請が出てくる。これはさっき大臣にお尋ねしたと同じような趣旨のものでありますけれども、これらも具体的になってまいりますと、非常に取り扱いが困難になるだろうと思うのです。そういう深刻ないわゆる時代の要請に的確に応ずることのできるような場合における国有林の開放、それはゴルフ場としたって時代の国民の要求であるといえばあるいはそうなるかもしれませんけれども、私は、それとは質的に違う、こう思いますけれども、こういうもろもろのケースというものが出てまいります。この判断基準というのは非常にむずかしいと思うのですが、現在どういう基準に基づいてこの売り払いをおやりになっているのか、そこをひとつお尋ねをしておきたいと思うのです。
  60. 福田省一

    福田政府委員 国有林の売り払いにつきましては、基本的には、御承知国有林野の活用に関する法律がございます。その中で農業構造改善事業に必要な場合、その他公共、公用に必要な場合という場合には国有林を開放することができることとなっておるわけでございます。しかし、基本的には、私たちは、確かに日本の森林国土の全面積の七割を占めているわけでございますけれども、いつも申し上げておるのでありますが、人口が一億をこえているわけでございます。そうしますと、一人当たりの森林面積というのは、世界百四十六カ国のうちで百十番目になっているという状態で、決して森林の面積というのは、一人当たりから見ますと十分とはいえないのでございます。そういう意味から、私たちはできるだけ森林というものは森林状態でよくしてまいりたいというふうに考えておりますけれども、いま申し上げましたように、農業あるいはその他公用、公共用の場合には最小限度にこれを開放していくという考え方でおります。  実は美幌峠も私は以前あそこを通ったことがございまして、まことに景色のいいところでいまでも印象に強く残っているのでございますが、ここの問題につきましても関係省庁とただいま交渉中でございます。  いずれにしましても、そういう林業経営上のことを十分配慮しながら、いま申し上げたいろんな部面に、公益的な面に、森林経営よりもこのほうがどうしても有効なんだという判断ができますれば、国有林野管理審議会という第三者機関もございますので、そこで審議していただきまして、決定して開放していくというふうにいたしておりまして、また一方、できるだけそういうものを財源といたしまして、国有の少ない地帯の保安林の買い入れ等も進めておるところでございます。総体的には、国有林全体、日本の森林全体を見ましても、現在のところでは出たり入ったりしましてそう大きな変化はない状態になっております。
  61. 島田琢郎

    島田(琢)委員 そこで、四十七年度の売り払い実績と四十八年度計画についての資料がほしいわけでございますが、いま、長官、それがおわかりになればお答え願いたいと思います。
  62. 福田省一

    福田政府委員 四十七年度の実績を申し上げます。国有林の売り払い実績面積にいたしまして三千六百二十二ヘクタールでございます。この中には自作農創設特別会計所属がえその他入っております。金額にしまして百十九億七百万というふうになっております。
  63. 島田琢郎

    島田(琢)委員 四十八年度計画。それからいま何ヘクタールと言いましたか。
  64. 福田省一

    福田政府委員 ただいま申し上げましたのは面積が三千六百二十二ヘクタールと申し上げました。これは自創特会も含んでおるわけでございます。  四十八年度計画につきましては、現在のところでは、従来の実績等を踏まえまして、ただいまいわゆる不要存置林野として売り払っていいような場所がだいぶあるわけでございますけれども、なかなか地元との関係、資金の関係等で進まないというようにむずかしいものが残っている点も勘案いたしまして、現在のところではおよそ六十億ないし七十億ではなかろうかと見込んでおるところでございます。
  65. 島田琢郎

    島田(琢)委員 こうした場合の売り払いについて、これは時間がないからきょうはできませんけれども、私はたとえば別荘地なんか、長野にもありますし群馬にもありますね、こういった別荘地の分譲計画というのは、これはもう直ちに中止すべきだ。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕 これは土地騰貴に非常に大きな手を貸したわけですね。これはもう林野庁みずからそこに手を貸したようなかっこうになっちゃった。日本列島改造論とあわせて、この国有林の売り払いというものが不用意に行なわれ、あるいはその目的が必ずしもいま言ったように産業面に的確に反映できるような立場での利用計画というものが持たれていない。そのことが非常に今日の土地騰貴をあおる結果にもなっている。これはもう否定できないところであります。これは直ちに中止をせよ、私はそういうふうに考えます。これは長官、一言でいいのですが、その点についてはどうですか。
  66. 福田省一

    福田政府委員 ただいま申し上げましたように、原則としてそういう公共、公用の目的に合致するものというふうに慎重に対処してまいっておるところでございます。庶民の住宅用地等について都道府県等が非常にしっかりした計画を持っている場合はこれは公共的と見られるわけでございましょう。ただいま御指摘のような場合について、私企業に対して単純にただ高く売れるから売るというようなことは考えておりません。
  67. 島田琢郎

    島田(琢)委員 私は草津営林署管内における別荘地を実は車の中でありますけれども見てきました。非常に私は心外な思いがしているのであります。というのは、道路ですね、これはもう実にきれいに舗装されて、はだしで歩いていいぐらいにきれいになっている。私のところの国道はいまだに全幹線が舗装されていないのです。ほこりをかぶってひどい状態の中に置かれているんです。こういうアンバランスな道路行政、これは別荘地の分譲ですから道路行政と結びつけてものを言うということはできぬかもしれませんけれども、一面ではそういう状態にありながら、この別荘地の中にはそれこそはだしで歩いていいぐらいのりっぱな舗装道路が網の目のようにつくられている。実に私は腹の底から遺憾に思いました。腹が立ったわけであります。これは一つの例でありますけれども、いま長官はこれからの進め方について述べておられますから、十分ひとつその点を腹に据えて、国有林の売り払いについては慎重に対処していただきたい。一面には、先ほど申し上げました直ちに産業振興に結びつくという、そういう事態にどう対処するかというのも非常に注目しなければならぬ点であります。こういう点を十分ひとつ御検討願っておきたいと思います。  私の持ち時間がなくなってまいりましたからこれでやめますが、最後一つ、農林大臣、知床の問題は非常に深刻な状態に置かれていて、現地知床におられる皆さん方をはじめ非常に国民の皆さん方からも知床だけは大事にしてほしい、そしてまた知床は山があって木があって初めて知床のいわゆる自然公園としての意義がある。その山の木がむやみやたらに伐採されていって原形をそこねるようなことになったとしたら、これは取り返しがつかぬ。これは国民みんなで守らなければいけないということで、私どもはこの知床問題を取り上げているわけであります。したがって、所信のほどは先ほど聞きましたけれども、こうした問題に対処するにあたって環境庁の役割りであるというだけで済むものでありません、資源を大事にしていくという立場から農林大臣は非常に責任があると私は思います。決意のほどを最後に一言でいいですから承って、私の質問を終わりたいと思います。
  68. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 知床を長く将来にわたってりっぱな国立公園として守っていきたいということについては、所管は違いましても非常に関係の深い農林省のことでございまして、その熱意に欠けるものではございません。また、きょう御指摘のありました知床地域森林施業、林道の開設等の具体的な事例につきましては、その問題の所在を十分調査をいたしまして、御指摘のような御批判の起こらないように善処をしてまいる考えでございます。
  69. 島田琢郎

    島田(琢)委員 以上で終わります。
  70. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 次に、津川武一君。
  71. 津川武一

    ○津川委員 私は、森林法の一部改正に対して私たちの修正してみたい個所なども指摘しながら質問してみたいと思います。これは森林の持つ経済性を高め、森林を振興して、しかも公益性を広めていきたいという立場からであります。森林組合のことに対しては後刻諫山委員から質問してみたいと思います。  そこで、大臣の提案理由の中にこう説明してあります。「わが国国土の約七割を占める森林につきましては、古来、重要な住宅用資材たる木材の供給を通じ、また、急峻な地形のわが国では国土保全の重要なにない手等として国民生活と深く結びついてきたことは御承知のとおりでありますが、近年、経済の高度成長、都市化の進展等の社会経済情勢の変化に伴い、森林の有する公益的機能の発揮に対する国民的要請が高まる一方、需要の増大に対応して木材の安定的な供給をはかることもまた大きな課題となっているのであります。政府におきましては、このような事情にかんがみ」と、この法の提案をしております。  そこで、この森林法の基本、第一条というものでありますが、そこではこの法律の目的として、いままで主として用材の生産と国土保全ということが掲げてありますが、今度は公益性ということになりましたので、この点も一条において基本的に明確にすることが必要じゃないかと思うわけであります。  もの一つ、第十条、これも今回の改正で林地の開発について環境保全等の配慮をすることができてしまったのに、伐採について明文化されてない。この環境保全などを明確にうたったほうが法としてすっきりするのじゃないかと思うのですが、この点の見解はいかがでございます。
  72. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 ただいまの森林法第一条及び第十条について改正の必要がないかという御所見でございますが、私はその御指摘の点については理解を持ちます。ただ、今回のこの提案理由の中で申し上げておる公益的機能の重視というものが、それではこの森林法条文から欠くるところがあるかということになりますと、そうでない。従来からの森林法の中でも十分その点の主張ができるものである、こういうことで、あえてこの一条を特に直さなければならないというようなふうには考慮をいたさなかったのであります。  それともう一つ、これはよく私、申し上げておるのでありますが、その法律をそのときどきに、しかも基本的な点に触れることを絶えず直していくということはいかがなものであろうか。法律の権威と申しましょうか、そういうふうにいえば直すほうが権威が高まるというふうに御指摘かと思いまするが、できるだけ法律はあまり手を加えずにいきたいというそういう気持ちが私としては若干ございまするので、いま御指摘のような点で特にどうしても直さなければならないということではなかった、こういうことでお答えしたいと思います。
  73. 津川武一

    ○津川委員 後刻、質問が終わるときにもう一回このことを大臣にお尋ねしてみたいと思います。  そこで、公益性の問題ですが、林野庁昭和四十七年十月の森林の公益的機能の計量化調査、いわゆる緑の効用調査というものの中間報告でございますが、ここでそういう公益的機能として水資源涵養、この値段が一兆六千百億円、土砂流出防止二兆二千七百億円、土砂崩壊防止五百億円、保健休養二兆二千五百億円、野生鳥獣の保護一兆七千七百億円、酸素供給四兆八千七百億円、合わせて十二兆八千二百億円、こうなっておりますが、ちょっと気になるのは、土砂流出防止、土砂崩壊防止、これはいわゆる堤防の破壊、洪水などということを考えているのかどうか。私は端的にこの点は、国有林野の去年の七月のあの集中豪雨を見ていても、林野の問題で一番大きくなるのは、土砂の流出、土砂の崩壊、これではなくて堤防の決壊と洪水だと思うわけです。洪水による被害は人命に及んでおる。それから非常に大きな財産に及んでおる。そういう点を考えてみると、はっきりとここは公益性の中においても法の中においても、洪水防止ということを明確にすることが必要だと思うのですが、この見解は、大臣、いかがでございます。
  74. 福田省一

    福田政府委員 御指摘の公益性の内容をいろいろ分析して十二兆八千億円としたものでございます。これは木材の生産機能もこのほかにあるわけでございます。これは公益的ということで一応省いておるわけでございます。  ただいま御指摘の洪水の問題についてはどう考えているかということでございますけれども、このところにあげております水資源の涵養、土砂流出防止、土砂崩壊防止、この三つの機能というものは一番重大な機能であると考えておるわけであります。要するに、森林がもしないとしたならば、台風等によって雨がどっと降ったならば、それが一挙に流れ落ちてしまいます。それを防ぐ機能を森林は持っておる。森林というものは要するにダムの作用をしておるのだ。降った雨をそこにとどめて、地下水として流出させる。その機能をこれは評価しておるものでございます。これは御承知かと思います。別途にダムの必要がないかとおっしゃるなら、ダムはもちろん必要でございましょう。また建設省が行なっております治水対策としてのダムのほかに、林野庁におきましては、そういう山地の崩壊を防止するためのダム、これは実施しておりますが、これは治山事業として実施しておるものでございます。ここにあげております土砂流出、土砂崩壊、これは一応森林がダムの作用をしておるのだ。もし森林がないとしたならば、ダムをつくらなければならぬから、それを金に換算してこう出した、簡単に申し上げるとそういうことでございますので、御指摘の点のダムの必要性を考えてないかとおっしゃる点については、治山事業として十分考えておるものでございます。
  75. 津川武一

    ○津川委員 少し答弁があっちこっちになって食い違っておるけれども、今度皆さんが提案しておる第十条の二の二項の一、皆さんが出しておられる法案の六ページですね、「当該開発行為をする森林の現に有する土地に関する災害の防止の機能からみて、当該開発行為により当該森林の周辺の地域において土砂の流出又は崩壊その他の災害を発生させるおそれがあること。」とあるが、その「災害」というところに水害を含めておると思うけれども、「当該森林の周辺の地域において」となっていて、水害防止、洪水防止という概念が私はどうしても欠けておると思う。したがって、皆さんの計量化の中においても水害、洪水という概念がなくて、土砂、こういうものに限っておるわけですが、この点は含んでおるというならよろしい。含んでおるとするならば、非常に不明確な表現だということを指摘して、ここいらあたりの見解を大臣に伺ってみます。
  76. 福田省一

    福田政府委員 ちょっとくどいようで恐縮でございますけれども先生指摘のそういうことは十分考えておるわけでございまして、雨が降った場合には、水をその森林を通して土地の中に地下水としてこれを伏流させるというのが森林の一番大きな基本でございますし、それから土砂がくずれたり流出したりするのを押えるのも森林の大きな機能だが、その機能というものがあるあるというだけで、いままでどのくらいあるかということをやったことがないので、そこでそれをはっきりさせて、そういう森林を、これは主として森林涵養のためだ、これは主として土砂崩壊、そういうものを目的とする森林をつくる一つ判断の基準をつくるのが目的でございます。それと同時に、一般財源の負担をお願いするということもこの中で考えておるわけでございます。おっしゃるような洪水の防止であるとかということに対する一つの保安林対策であるとか治山対策ということについては十分配慮しておるものでございますが、ここでいう計量化調査というのは、いま申し上げた二つの目的のための一つの手段として実施した調査でございます。
  77. 津川武一

    ○津川委員 皆さんのやった計量化調査の中においても、法案の中においても当該森林地域の土砂の流出防止だとかこういうことをうたっているので、ぼくら修正しなければならないと思っている大きな点は、堤防だとか、水害とか洪水ということを考えているわけです。でないと責任論が出ない。米代川の上流の森林開発をやったときに、米代川の開発はこれでは責任がとれない、こういう不明確な点があるから言っているわけです。これはまとめて討論してから、あとでまたもう一回大臣にお伺いします。  その次の問題は、智さんのこれに出てくる野生鳥獣保護ということです。そこで、この野生の実際を見てみますと、鳥獣でいうといろいろな問題が出てまいりますが、私たちの青森営林局の中のカモシカについて、下北地方のあしの会会長の森治という学校の先生はこう言っています。「この地方のカモシカが減ってきたのは事実だ。これは山奥からの森林伐採で だんだん追われてきたためだろう。それに林道が、どんどん造られており、林道を通って山奥に入る野犬に殺されているカモシカも増えてきた」こういう形で皆さんが値段として数えておる鳥獣、けだものがやられております。それから日本の北限のサルは佐井、風間浦、大間でブナ林の広葉樹の花、実、芽などを主食にして生活してきたが、最近彼らが住んでおる易国間川、材木川、大畑川流域を中心に国有林が次々に伐採されてきた。そのために地域に住んでいた約四十匹のサルは姿を消した。こういう事実がわれわれの前に出てきておるのでございます。また日光で、これはこの間参考人に出ていただいた方からもらった資料ですが、宇都宮大学の先生方が「大学の学生をつれて、五月下旬に日光で野鳥の観察をつづけてきたが、今年は戦場ヶ原と日光山内および小倉山ではついにオオルリとツツドリの声を聞くことができなかった。」こう言っております。こういう点がかなり問題になってくるわけです。もう一つ、弘西林道の奥のところでいつも聞こえてくるヤマセミの声がここ四、五年間絶えて聞こえなくなってしまっている。  こういう点でいうと、野生のこういうものをこの法律の中でどのようにして守れるのか。守れるか守れないかということなんです。この点をひとつ明らかにしてもらいたいと思うわけです。いろいろな法律もあるでしょう。たとえば鳥獣保護区域というものがあって、鳥獣保護法もあるだろうけれども、これでそういう国有林野の中が指定できればよろしいし、指定できないとすれば、特別にこの法律で守らなければならない。守れるかどうかの見解をひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。これはけだもののことです。  それから、野生の植物がございます。これも青森営林局の下北郡佐井村福浦、ここだけに自生しておる貴重な植物、オオウラヒダイワタケが最近消滅の危険に追い込まれております。この保護が強く叫ばれておりますが、この保護策を青森営林局と話ししたら、営林局は必ずしも快く応じてきてくれない。そこで、問題が非常にこんがらがってきてしまっているわけであります。もう一つ言うならば、岩木山の国有林野の中に営林局が払い下げて弘南バスがスカイラインをつくりましたので、その周辺からミチノクコザクラというのがなくなっちゃった、こういう情勢です。まだいろいろなところがありますけれども国立公園の日光地域で樹齢約三百年、直径一メートルにも達するミズナラ林が百二十ヘクタールにわたって皆伐されて、ここにカラマツが植えられた。もう一つは、まだ若いミズナラをさらに八十ヘクタール切って、ここにもカラマツを植えている。北海道だけあって内地にあまりないミズナラが、このような形で二百ヘクタールにわたって壊滅しているわけです。  こういう動植物を保護するための具体的な施策をまず林野庁長官に答えてもらって、そのあと櫻内大臣にお伺いします。
  78. 福田省一

    福田政府委員 いま御指摘のございましたカモシカであるとかあるいは下北の北限の日本ザルあるいは日光のオオルリ、これは栃木県の県鳥と思っております。それからいろいろ動植物も御指摘がございました。そういう貴重な動植物につきまして、鳥獣保護区の制度もございますし、あるいは保護林としてこれを保護する場合もございます。あるいは文化財に指定したり、あるいは学術参考林等いろいろな制度がございます。国有林の場合におきましても、もちろん民有林の場合においても関係官庁ともよく連絡をとりまして、これはできることでございますので、これを拡充してまいりたいと思っているわけでございます。  動物のみならず、御指摘のありました野生の珍しいいろいろな植物につきましても、いま申し上げたような学術参考林であるとかミズナラを文化財とすることもございますし、そういったような制度を適用いたしまして漸次これを拡充しつつございます。  そういう問題が出るたびに具体的に調査いたしまして、たとえばいまの下北半島のサルにつきましても、これは数年前からの問題でございましたので、文部省と連絡して地区と動物そのものを文化財として指定してございます。カモシカにつきましては、いま御指摘のように道路をつくると、道路の上と下で連絡がとれなくなって問題があるから、これはトンネルにしたらどうかというような御意見も先般出たわけでございますけれども、いずれにしましてもそういうカモシカはとってはならぬ天然記念物でもございますし、そういう意味では、こういった地区についての林道のつけ方あるいは伐採やり方等につきましても、そういったことに支障のないように指導していけるようになっておりますから、そういったように具体的にきめてまいりたい、こういうふうに考えております。
  79. 津川武一

    ○津川委員 大臣に答えていただく前に、もう一つさっきのミズナラ。これは大事な資源であると同時に、天然林として南のほうの島でも問題になっているが、青森営林局のブナ林の奥のほうを天然保存林として残したい。だが、林野庁はここに入れてくれない。調査に入れないのです。天然記念物の保護条例があるけれども国有林の中にある植物の調査のためにも自由に入れない。ここのところにまた問題がある。この点、林野庁は、そういうことであるならば、環境保全、鳥獣保護のためならば思い切ってそれに応じて共同調査をする、共同のことをやるというなら問題ももう少し解決するが、その点はいかがでございますか。
  80. 福田省一

    福田政府委員 国有林の中には入ってはいかぬと言っているというお話でございますけれども、これはそういう植物の調査とか動物の調査のために入るということであれば、入林許可を与えることになっておりますので、そういうことを言うところがございましたら、直接林野庁におっしゃっていただければ連絡いたします。  それから、ミズナラは東北全般にある樹種でございますので、先生指摘の特に珍しいミズナラということでございますれば、また専門家に頼んで検討いたしたいと思います。  ブナにつきましては、確かにこれは北は函館が北限でございますし、南は、屋久島にはございませんけれども、九州まである、全般にあるものでございます。特に最近はブナに対していろいろと伐採しないでほしいというような要請があるわけでございます。確かにブナを伐採しましたあとの更新ということはなかなかむずかしゅうございまして、確かにブナを切ったあとでササだけになってしまったというような場所もないとは申し上げません。確かにございます。ですからブナの更新につきましてはきわめて厳正な施業方針をとってまいることで、ただいまそういった指導をいたしておりますが、特にブナは国有林が主でございますので、慎重に対処してまいりたいと思います。ブナは全然切ってはいかぬ、こういうことになりますと困る問題が別にあるわけでございます。これはくどくどしくは申し上げませんけれども、ブナにつきましては十分慎重に対処していきたいと思っております。
  81. 津川武一

    ○津川委員 そこで、農林大臣、いま見られていると思うのですが、みなさんの森林の公益的機能計量化調査、この十ページに野生鳥獣保護と書いてあって、野生植物、ここいらにも何か考え方のどこか落ちているところが、ズレがあるんじゃないかということなんです。そこで、フランスの森林法では生物的な体制を変えるようなことをしてはいかぬというふうにはっきり森林保護の中にうたってあるわけです。したがって、こういう鳥獣の保護関連し、野生の鳥獣と植物が入ってないこと、フランスみたいにはっきりとこの中でうたったほうがよろしいんじゃないかと思いますが、地域における生物学的均衡の維持、こういうものに反するものは切らせない、こういうことばまでフランスの森林法は使っております。その点まとめて大臣の方針を伺います。
  82. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 津川委員にお願いしたいのは、この緑の効用調査は、森林の公益的機能計量化調査ということで、ここにいろんな角度から計数を出しておるわけでございます。  そこで、いま貴重な植物などの点についてはどうか、こういうことでございまするが、公益的機能の中の評価の中にどの程度の影響を持つか、これはもう専門的でないとわかりませんので、特に個々の評価額をごらん願いましても非常に大ざっぱなもので、総額で十二兆八千二百億円というふうになっておりますので、ただいま御質問のような、もっとこまかく検討の必要性というものについてはなお考えさしていただきたいと思うのであります。  また、現実の保護の状況からいたしますると、御承知のような保護林制度で、現在の学術参考保護林としては二百七十二カ所、風致保護林としては七百二十三カ所、その他の保護林として八百五十七カ所、全部で千八百五十二カ所の十三万七千ヘクタール、こういうことになっておりますし、また、法律によって保護されておる国有林の現況につきましては天然記念物としての九十二カ所、また、国立公園、国定公園にはそれぞれ特別保護地区第一種、第二種の特別保護地域がある。こういうようなことで、学術研究上の必要な原生林や貴重な野生鳥獣生息地、高山植物の自生地、すぐれた風景地の保護保全等について鋭意努力をしておる、こういうことで、足らざる点についてはなお一そう努力をするということを申し上げておきたいと思います。
  83. 津川武一

    ○津川委員 とすれば、林野庁長官、高校生のサークルが営林署に断わられて入れないことがあったのです。そういうようなことがないようにしておいてくださいね。  そこで大臣、こういうことになれば公益性というものを森林法の第一条でうたったほうが明確化してくる。というのは大臣、法律になってくると大蔵省、お金を出す。たとえばがけくずれの真上に森林がある。民有林なんです。その人は、がけくずれすると人が死ぬ、こういうことを考えて切らないこともあるでしょう。だが、この人はそこから利益を上げるために植えてあった。頼まれれば切らないこともあるだろう。こういう場合は、この森林は国が買うべきだ。  もう一つ民有林で、民間で一生懸命山に木を植える人は、このために水源が涵養されるとは考えていない。問題はそこに植えて、四十年後に切って、孫に財産を残そうという考え方。こういう形の公益性というものは民有林においてはやれない。国有林においてもかなりの点で——独立採算制はやめたけれども、やはり収益を上げなければならぬという立場に出てくる。そうすると、この公益性というものは、どっちかというと、二の次になる心配が出てくる。そこで私は、法の第一条に明記したほうがよろしいと思う。そうすると、大蔵省、ともこれにお金を出す。そこで、こういうために林野庁は木を植えて、売って、そこで作業して施業で事を片づけるような傾向が依然としてまだある。これにかなり大規模な国の投資をすべきだ。それには法を改正したほうができる。こういう点で第一条を改正したほうがよろしい。こういう点で法の改正の問題と費用の問題を大臣はどう考えておるか。ちょうど大蔵省の農林担当の主計官が来ておると思うのですが、こういう点で大蔵省は森林というものをどう見ておるか。私がいま農林大臣と林野庁長官とやりとりしているこの公益性というものを森林にはっきりと認めて、このためにお金を惜しまないという考え方があるのか、これは大臣と大蔵省にお伺いいたします。
  84. 平松甲子雄

    ○平松説明員 大臣からお答えいたします前に、私から一言事務側としてお答え申し上げておきたいと思いますが、森林法というのは、ただ単に木材資源としての森林ということでなしに、水資源であるとかあるいは国土保全の機能を持つ森林であるとか、環境保全の機能を持つ森林であるとか、総合資源としての森林というふうな規定をいたしておるものでございまして、第一条に書いておりますところの「森林の保続培養と森林生産力の増進とを図り」と書いてあります意味は、森林のそういう総合資源としての保続培養であり、あるいは生産力の増進であるというふうに考えておるわけでございます。そしてなおかつ今回の第四条の改正で、全国森林計画においては公益性に考慮を払ったものでなければならないという規定を入れることにいたしたわけでございます。
  85. 津川武一

    ○津川委員 大臣か答える前に——いままで国土保全とか入っておるからというので、そういうふうに答えてきたのです。ところが、それがやられていない。だから法の中に問題があるので、あらためて大臣の見解をお伺いいたします、費用の問題と。
  86. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 いま答弁の中で、第四条のほうに公益的機能の点を修正して入れた、こういうことで一条と四条の違いはありますが……。
  87. 津川武一

    ○津川委員 一条は目的だからね、性格だから。
  88. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 一応いまの御質問の御懸念の点については、今回の修正のしかたについては別として、公益的機能の点については四条へ入れた、こういうことでございますので、一応御了承いただきたい。  それから、財政上の関係につきましては、国費を使う上におきまして、法律が根拠になることは言うまでもないことでございまするから、法律の上に明白な根拠のあるものは、これは財政当局としてもこれについてとやかく言う筋ではない、こういうふうに思います。
  89. 津川武一

    ○津川委員 そこで、その次ですが、私たちは公益性の立場からだけ森林を見るものではありません。やはり国民の必要とする用材を供給するという立場が十分貫かれなければならないのですが、最近、たとえば国有林野でいうと、切る量が非常に多くなるし、山林の林地がつぶれてまいります。いまここで、北海道のこの十年間の資料が私の手元にありますけれども、十年間で、山林山林でなく転用された面積が七千三百八十三ヘクタールございます。  そこで、私たちはこの点を非常に重視しなければいけないと思います。木材に対する国民の需要が非常に多くなった。国内の森林だけでこれを補えない。輸入する。ことしの正月、去年の暮れから見られるように、アメリカなどで輸出を渋る。ソ連材にはつけ込まれて値上がりさせられる。そこで、皆さんはこれから開発輸入などを考えておられるようです。そして森林計画を変えて、新計画と旧計画を変えてみたら、旧計画では到達目標が、外国の輸入というものを一〇%以下なのを、今度は、いまの新法では六十年には六〇%まで輸入を考えておる。こういう形で外材に依存することはしかたないかもしらぬけれども、国内自給をふやすとすれば、いまこそ林業をうんと振興させて、うんと森林地域を広げなければならない、こう思うのですが、この北海道におけるたとえば七千三百八十三ヘクタールはこれでいいのか、全国でどのくらい山林がほかのものに転用されておるか、手元にあったならばこれをお知らせしていただいて、それに対する政府施策を明らかにしていただきます。
  90. 平松甲子雄

    ○平松説明員 ただいま先生から、北海道における森林森林でない形に変わったというものについての面積の御披露があったわけでございますけれども、全国的に見ますと、ここ数年、森林面積というのは、森林森林でなくなると同時に、原野等から森林に変わってくるというものもございまして、ほとんど増減ないという状況でございまして、昭和四十年の森林面積が二千五百九万九千ヘクタールでございましたものが、四十七年には二千五百二十万八千ヘクタールというふうな状況でございますし、民有林森林でなくなったものを四十二年で見ますと四万一千ヘクタール、森林に変わったものというのが四万八千ヘクタールというような状況でございます。
  91. 津川武一

    ○津川委員 わかりました。  先ほどの大蔵省の見方、これをひとつ大蔵省から。
  92. 宮下創平

    ○宮下説明員 お答え申し上げます。  私の理解している限りにおきましては、先ほど森林の公益性の問題が議論されておりましたが、所有者にしてみれば、これを処分して収益をあげたい、しかし一方、公益的な面からの制約を受ける。そういう場合にどういうことになるか。現行の体系でございますと、森林法がございましてその間の調整をはかるような規定がございます。御承知のように、森林法三十五条に損失補償の規定がございまして、「国は、保安林として指定された森林森林所有者その他権原に基きその森林の立木竹又は土地の使用又は収益をする者に対し、保安林の指定によりその者が通常受けるべき損失を補償しなければならない。」という規定がございまして、現に保安林に指定した場合には、不作為義務を課せられたり作為義務を課せられたりして、制約を受けるわけでございまして、そういう土地の公共性から申しまして、何らかの受忍義務が、公益的な見地から申しますと、あると思いますが、通常のそういう受忍義務をこえてその所有者が忍ばなければならないような損失があった場合には、補償することになっておるように承知しております。そういうための予算措置もいたしております。  したがいまして、いま先生指摘のような事案につきまして、森林法の保安林の指定等がございますれば、当然財政的な措置をして補償措置をするということに相なろうかと思います。
  93. 津川武一

    ○津川委員 大蔵省主計官、いま私と農林大臣、林野庁長官のやりとりを聞いていたでしょう。あれほど公益性がある。頂上を守ることは、保安林じゃありませんよ。いま指定されていませんよ。したがって、森林というものをこういう立場で見るのかどうかと私は聞いている。見るとすれば、その分だけ投資をしなければならないのじゃないか。この二つをあらためて返事してください。理屈は要らない。保安林なんかでそらさないでいただいて、はっきり答えていただきます。
  94. 宮下創平

    ○宮下説明員 その種の問題につきましては、森林法以外にも、環境庁の所管するいろいろの自然保護関係法律とか、さまざまな体系がございまして、そこでなおかつ救えない点を御指摘になっているものと思いますけれども、どういう措置をとるかということが立法的に講ぜられますれば、それに応じて財政措置をとることは当然だと考えます。
  95. 津川武一

    ○津川委員 主計官、国会の論議だから、むだな論議をやめて、大蔵省は森林をこういうふうに公益性ありと見るのかどうか、これが一つ。公益性があるものと見るならば、それに必要なお金は使うべきじゃないか、これが二つ。端的に答えてください。
  96. 宮下創平

    ○宮下説明員 公益性の点につきましては、御指摘のとおり、私も森林にそういう公益性があるということは否定いたしておりません。それに対してどういう措置をとるかということが問題でございます。その方法なり制度なりがどういうかっこうでやることが妥当であるかというような議論を踏まえて、その上に立って、妥当なものであれば、財政的にも援助を出す、支出をしていくということであろうかと思います。
  97. 津川武一

    ○津川委員 はっきり公益性を認めたでしょう。とするなれば、これは一円出してもいいですよ、五兆円出してもいいですよ、認めたからにはそういうことでお金を使うべきだ、こう思いませんか。いかがです。
  98. 宮下創平

    ○宮下説明員 たびたびおことばをお返し申し上げるようで恐縮でございますけれども、公益性を認めたからといって直ちに国の支出になるかどうか、そこはストレートに結びつくものかどうか、よく検討してみなければならないと思います。公益性があるから直ちに国の財政援助というようにつながる場合は、当然その財政援助をやらなくちゃなりませんけれども、その間に種々の行政的な措置でございますとか行政指導とか、そういうことが当然あり得るかと思われます。したがいまして、万般のそういう施策を総合して判断して、初めて財政的に国がそれじゃ金を出すかどうかということがきめられるものだ、そのように私は理解しております。
  99. 津川武一

    ○津川委員 一主計官でだめならば、私は論争は続けないが、大蔵大臣に後刻質問主意書で、公益性の問題とそれに対する国のお金の使い方をやりますから、大蔵大臣によく話をしておいてください。  そこで、その次に、国内自給を高める点で、いま林地がふえもしない、減りもしない、大体固定している、こういう話ですが、大臣、これから国内自給をふやすとすれば、いまある木をうんと育てていくことも必要ですが、新しく林地をふやすことも必要と思うのですが、この問いかが考えているか。林地をふやしていく大臣の方針があったら聞かしていただきます。
  100. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 長期的に見てまいりますれば、現在私どもの持っております計画では、五十六年度では四千九百万立方メートル、六十六年度では五千八百万立方メートル、これは非常に遠い将来でございますが、九十六年では九千四百万立方メートルというようなことで国内供給量をふやしていく考え方に立っておるわけであります。これがために現在では、水田転作などで造林の実施をしてまいりまして、その面からも若干ふえておる面はございます。しかし、今後の造林ということについては、ただいまお示ししたような国内供給量をふやしていく上からきわめて重要なことでございますので、それらの施策につきましては十分措置をしてまいりたいと考えます。
  101. 津川武一

    ○津川委員 これは農林大臣のところへ届いていますか。「森林法及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律案について」、衆議院農林水産委員会調査室、四十八年六月八日の三四ページに、皆さんのところは九十六年まで立てても、森林面積は現在と同じではありませんか。だから、やはりふやす必要があると思う。ふやすために努力していただく必要がある、こう思うわけですが、その一つのあれとして、先ほど北海道でつぶれていっている問題もあるけれども、この間から問題になっておるあのゴルフ場、朝日新聞によると、全国のゴルフ場が六百八十、栃木県では既設の十五ゴルフ場に加え六十三の新設、八月十日現在でゴルフ場用地九千百二十ヘクタール。私たちの党の千葉県委員会が足をもって調べたところの一覧表がここにあります。これでいくと、既設のゴルフ場は千葉県に四十四カ所、五千二百八十ヘクタール、増設中のゴルフ場八カ所、それから造成中のゴルフ場六カ所、計画されておるゴルフ場百十二カ所、合わせて百六十二カ所、この面積二万二百四十九ヘクタールになっています。ゴルフ場は緑の砂漠といわれておるし、こういう点でいくと、こういうところこそが林業の適地じゃないか、農業の適地じゃないか。こういう点で、私は、林地をふやすために、さがせばかなりある、こういうものに対する施策を講ずるならばあるのじゃないか、こんなふうに考えておるのですが、これだけできたゴルフ場に対してどんなふうに考えておるか。計画中のゴルフ場が至るところにあって、千葉県の場合もこの面積が一万四千二百五十八ヘクタール、こういうものを阻止し、既設のもので調整して、林地なり農地、農用地にするということがいま考えられませんか、櫻内農林大臣、いかがでございますか。
  102. 福田省一

    福田政府委員 大臣がお答えになります前に私からあれしたいと思いますが、御指摘のように、確かに原野もございます。いわゆる放牧共用林野等で、昔から馬なんか放しておったところで、いま牛は飼っておるけれども、だいぶ遊んでおるところがあるわけでありまして、それから入り会い林野関係で、これは法律がございまして、いろいろ整備をやっておりますけれども、そういった面でこれからいろいろ造林していただけるところ、またいかなければならぬところがあると思っております。ただ、基本計画で一応森林の移動はないものとして、先ほど御説明がございましたように、コントロールはいたしておりますけれども、これは積極的にやってまいりたいと思っております。  ゴルフ場の問題につきましては、実はいま御指摘のように、関東近県はものすごい計画があるわけであります。私が栃木県の林務部長をやっておりましたときに九つしかなかった、それがいま聞きますと百近く計画がある。森林組合が崩壊しかけているというものがあるようでございまして、大問題でございまして、いま栃木県では受付をストップしております。ですから、ゴルフ場につきましては、栃木県あるいは林野に上がっておりますものは、保安林に関係するゴルフ場が百数件ありますけれども、全部これを洗いまして、きびしい規制をつけているわけでございます。たとえば森林の残存率を少なくとも四割ぐらいにする、あるいは傾斜は二十五度以上ぐらいのところはやめて、コースとコースの間は二十メートル幅の森林を残す、あるいは治山事業をやったところについては十年たたなければゴルフ場を設けてはいかぬとか、現にある程度仕事にかかっているところさえそういう規制をしております。今後は一応森林法の改正等を待ちまして、ゴルフ場、宅地造成その他についてのきびしい開発規制の基準を適用してまいりたいということで、受付をストップしておるわけであります。  そういうことですから、総括して申し上げますと、今後造林していただける場所というのは水田あるいは原野、そういったようなところに相当あるわけでございますし、ゴルフ場につきましてもいま申し上げたようなきびしい規制を今後してまいりたい、こう思っております。  なお、これは面積ばかりでございませんで、森林の蓄積の内容にも問題があると思います。現在日本は御承知のように二千億立方メートルでございいますけれども昭和九十六年には三十六億立方にしたい、こういう計画で進んでいるものでございます。
  103. 津川武一

    ○津川委員 大臣、いかがです。
  104. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 ゴルフ場につきましては、これもこの席でもお答え申し上げましたが、林野についての規制というものが現在ないおりでございますので、そういう点から今回の改正法で開発許可制をお願いしよう、こういうことにいたしております。また保安林につきましては、ただいま長官からお答えいたしましたように、最近のゴルフ場の状況というものは多過ぎるのではないかということで、極力規制をいたしておるようなわけでございます。  ただ、御指のように、千葉県の実情はどうか、こういうことになりますと、それぞれ適正な手続においてゴルフ場の開発が行なわれておると思うのでございまして、もしそのことが、林野の開発が認可制でないというようなことに原因しておるとするならば、早く今回の法改正をお願いしたいという気持ちがいたす次第でございます。
  105. 津川武一

    ○津川委員 ゴルフ場についていえば、福島県の原之町のところにあるのは、ここでも問題になりましたけれども、発起人が京成電車の社長、それから三井不動産の社長、こういう人たちがやっている。私たちのほうでいま問題になっているゴルフ場は、実験農場のところは弘南バスの社長が責任者です。青森県の大鰐の町にあるゴルフ場の発起人は森下仁丹の社長、こういう点で具体的に企業が入ってきておるので、この企業と戦って農用地を守るということでなければならないと思うわけです。  そこで、この中で、千葉県の柏市田中にある太平洋クラブのゴルフ場、これは何と千二百ヘクタールです。こういうものは直ちに、行ってみて、縮小させてもよろしいし、規制して林地なり、農用地として適用するなり、これは住宅地になってもいいと思います。そういう点で私たち共産党は、今度第二次土地改革の具体的構想というものをつくってみたわけです。大臣はこういうもの、お手元にありますか。——後刻届けますから、これを見ていただきたい。住宅土地として使ってもよろしいし、農用地としても使ってよろしいし、こういう点で具体的な計画を立てる方針があると思います。この点で大臣の御所見をもう一回。  それから林野庁長官に、いま大体林地が減りもしない、固定している。今度の新計画の中で皆さん計画を立てておったが、こういう情勢なので、積極的に林地を拡大するというふうに、私、答弁を受け取っていいかどうか。この点を林野庁長官。  大臣に対しては、このゴルフ場、関東、東京周辺で私たち一万七千ヘクタールかというふうに推定しておったわけですが、千葉県と栃木県を見たら、栃木県が一万、千葉県が二万です。関東周辺というと五万ヘクタールに及んでいるのじゃないかと思われます。こういう広大な地域なので、これに対する農林大臣の所信をあらためて伺います。
  106. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 千葉県あるいは栃木県の例をもってお話しでございます。私もゴルフ場が非常に乱設されておるという事実を認めておる一人でございまして、それがためには農林省としては、農地とか保安林とか、そういうものがかりにもゴルフ場として利用されるようなことがないように、十分注意をいたしてまいっておるわけでございますが、この上は国土総合開発法による土地利用計画の樹立とか、あるいは先ほど申し上げた森林法改正による開発行為規制というようなことによりまして、御指摘のような度の過ぎた乱設というものはこれを防いでいき、またその土地はより有効に使われるべきものではないか、かように考えております。
  107. 津川武一

    ○津川委員 大臣の気持ち、わからないわけではありませんが、そういう意味もありまして、私たちはこの法案を衆議院では通過させたい、こう思っているわけですが、きょうはいろいろなことでこれは継続審議になる、こういうことになると、待っておれない。大臣、待っておれない。そこで、少なくともいま計画中のものは閣議ではかるなりして直ちにストップをかけて、法案が通過しようがしまいが行政上の指導としてやるべきだと思うのです。これが通過するのを待ってという話だと何かおかしくなってしまう。この点の計らいはどうでございます。
  108. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 私としては可能な限り乱設を防いでまいりたい。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕 また、それとともに、先ほどから申し上げておるように、この際においては土地を有効に公益的に活用いたしたい、こういう考えに立っておりまするが、しかし、合法的に合理的に処理されていくものについて、これを規制する余地があるかどうか、これはよく検討さしていただきたいと思います。
  109. 津川武一

    ○津川委員 農林大臣、金丸建設大臣は企業が買った土地を住宅用地だとか公用地、農用地に吐き出させるように企業に話しているわけです。農林大臣はいかがでしょう。これだけ、五万ヘクタールとも思われる。しかも計画中のものがある。これに対して金丸大臣に負けないような施策を講じてみませんか。いかがでございます。
  110. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 これはいわば世論とか、可能な行政的な指導とかいうような点から乱設を防いでいく余地はあろうとは思います。しかし、いまここで責任を持ってお答えする上におきましては、何らかの根拠なくしては言えないことでございまするから、私としてもよく検討さしていただきたい。こういうふうにお答えをいたしたわけでございます。
  111. 津川武一

    ○津川委員 私は、具体的な提案を金丸建設大臣みたいになさったらいかがですかと言ったわけです。どうか金丸建設大臣に相談して、どうしてやったのか、手をよく聞いて、そういうふうなことをやってみるお気持ち、あると思うのですが、いかがでございます。
  112. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 津川委員からではないが、ときおり農林大臣はまじめだと言われている。私もまじめに考えますと、可能なことと不可能なことがあるし、やれないことをやれると言ってもまことに恐縮なことでございまするので、御指摘のことは私も、ゴルフ場の乱設はいかがか、こういう見地には立っておるのでありまするから、でき得る限りそういうことのないように、またそのような土地がより有効に使われるようにいたしたい、このように思うわけであります。
  113. 津川武一

    ○津川委員 じゃ、それはまた後刻機会があれば蒸し返すことがあるかもしれませんが、進みます。  私たちは第一条と第十条の修正を考えているわけです。十条の二の一項の一、「国又は地方公共団体が行なう場合」はこの開発規制からはずれているわけです。これはやはり国有林野についてもやらなければならぬと思います。この点は後刻また論議をいたします。この点は私たちは修正して、ここは省いたほうがいいんじゃないか、こういうふうに考えているわけですが、これはまた議論いたします。  それから第二項、法案で言うと五ページの「都道府県知事は、前項の許可の申請があつた場合において、次の各号のいずれにも該当しないと認めるときは、これを許可しなければならない。」といって次の三項目を書いてあります。許可しなければならないということになると、これは乱開発促進法になります。やるといったら必ず許可しなければならない。次の三項目に該当する場合許可してはならないということになればいいけれども、次の三項目に触れなければ許可しなければならぬ。私たちのは、次の三項目に触れたら許可してはいけない。許可しなければならないとなりますと、これは乱開発を進めることになる。しかも悪いことには、六ページの一、「当該開発行為をする森林の現に有する土地に関する災害の防止の機能からみて、当該開発行為により当該森林の周辺の地域において土砂の流出又は崩壊その他の災害を発生させるおそれがあること。」おそれです。これはよろしい。三項目、「当該開発行為をする森林の現に有する環境の保全の機能からみて、当該開発行為により当該森林の周辺の地域における環境を著しく悪化させるおそれがある」場合。こういう点なんだな。この公益性というもののところに「著しく」ということばをわざわざつけて、他のほうの「土砂の流出又は崩壊」そこには「著しく」をつけない。第三項目ではこういう規制のときにおいて「著しく」ということばをつけている。この三項目の「著しく」は取るべきだと思うのです。こういう点が、その公益性のことに対してどうしても副次的に考えておる、二次的に考えておる、軽視しておる、こういう考え方なんです。農林大臣、いかがでございます。
  114. 福田省一

    福田政府委員 確かに御指摘のとおりでございまして、この三つの基準を示してこの場合には「許可しなければならない」としたのはどうもおかしいんじゃないか、これは逆じゃなかろうかという御指摘でございます。この法案の意図しますところは、行き過ぎを是正する、極端な乱開発の行き過ぎを規制したいという趣旨に出ているものでありまして、これは社会通念上当然守るべきことじゃないかという観念が入っているわけでございます。ですから、極端にこれを規制しなければならぬということがはっきりしている場合におきましては、義務づける場合に保安林等の制度を運用したい。こういう考え方が裏にあるわけでございます。  それから、著しく環境をそこなう、これはなかなかむずかしい基準でございます、確かに御指摘のように。三つのうち国土保全と水資源の問題はわりあいに根拠がございます。いままでいろいろと保安林等を通じまして、どれくらいやったら水が出るとか、どれぐらい開発したらどれぐらいの土砂の崩壊が起こるかという根拠はございますけれども、この環境という問題につきましては、なかなかに新しい問題でございまして、たとえば非常にやかましい音が出る場合とか、あるいはほこりとか有毒なガスが出る場合とか、風致を害する場合とかいうような、いろいろな新しい問題でございます。ですから、この点につきましても一つの行き過ぎを是正したいということで、これは具体的にはどれくらいの森林の残存率を規制したらいいかということで考えておりますけれども、要するに三つの場合ともあれだけでなくて、一つの指導基準というものをつくってこれを示す考え方をいま準備しているところでございます。とにかく行き過ぎました点を是正したいというのがこの考え方でございまして、もっときびしく当然やらなければならぬという点においては、保安林制度等におきましてきびしくやってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  115. 津川武一

    ○津川委員 林野庁長官答弁、なかなか能吏だけあってじょうずだと思いますがね。逆にこうですよ。著しく環境を悪化させない、ただ、環境を悪化させるおそれのある場合は認可しなければならない。いいですか。この法律のねらっているのはそこなんです。「著しく」ということばは、それを省いて環境を悪化させるおそれがあるときには認可しなければならないのです。これがこの法律ですよ。この「著しく」をだれが判定するかということになる。だから、ここでぼくが修正をしなければならぬというのは、どうしてもこの法律はまかりならぬというのはそこなんです。櫻内農林大臣、いかがでございますか。農林大臣に意見を言わせてくださいよ。
  116. 平松甲子雄

    ○平松説明員 現在の改正法案で私どもが提出をいたしております書き方と申しますのは、ほかにも例がございまして、都市計画法であるとかなんとか、そういうところにはみな同じような形で、許可しなければならないというふうなかっこうになっておるわけでございまして、これは許可権者が恣意的に運用するということを避けるというようなことで規定しておるわけでございます。この環境の悪化ということにつきましては、何らかの行為をすれば必ず環境条件に変化を起こすというようなことになりましょうから、そういう点につきまして「著しく」というふうな形で、ある程度社会的に認容できないというふうな形のものを、片っ方で制限をしますほうは、所有権者が所有権に基づく当然の義務として受忍をすべきである、片っ方はその開発によってやはり社会生活を営んでいく上で生活環境上受忍できないという形にまで及んでおる。そこで社会的な均衡がはかられるというふうな形でございまして、そういう点につきましては先生御心配のような面もあろうと思いますので、私ども自然環境保全法の運用の実績なり、あるいは学識経験者なりの御意見を聞いて、そのことについて統一的な基準を出しまして、都道府県知事に指導をしてまいりたいというふうに考えておるわけであります。
  117. 津川武一

    ○津川委員 どうもこっちで聞いているほうはじれったいといえばじれったい。著しく環境を悪化させるおそれがなくて、環境を悪化させるおそれある場合は認可しなければならないというこの法律の改正案をどういうふうにするかと言っているのです。農林大臣、いかがでございます。
  118. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 これは私、正直に申し上げますが、法律の文章というものはなかなか常識的には読みにくいのでありますが、こういう場合のたとえば「これを許可しなければならない。」という表現については、法制局などの……。
  119. 津川武一

    ○津川委員 「著しく」が入っていなければ許可してもいいのです。一項目に入ってなくて二項目、三項目に入ってくるから。
  120. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 二と三とに「著しい支障」とか「著しく悪化」、こうなっているわけですね。これはこういう法律表現だというふうに私は理解をして、それで先ほど長官の御説明のようなことで、そういうものかということで私は理解をしたというわけで、いろいろ御議論をしてみましても、私としてはちょっと御議論に対する法律的な十分の知識がございませんから、長官や部長のほうのお答えでひとつ御了解願いたいと思います。
  121. 津川武一

    ○津川委員 それではまずいのだ。そこで、これはこの次の質問者でもいいですから、うちの諫山委員質問するときに庁議を十分してはっきりさせておいていただきたいと思います。私はこれでは済まないと思います。繰り返しますけれども、環境を悪化させるおそれがあっても認可しなければならぬというのがこの法律をたてにとってやられる。それで私はこれは乱開発法律だ、ここまで言いたい。そこで、次の私のほうの諫山委員質問のときに庁議の決定を待ってからやります。  ところが、林野庁はなかなかそうは言っていないのだな。これは認可してしまいそうなんだ。というのは保安林の状況です。これもひどいです。四十八年六月から八月の三カ月間の官報、全部私たち拾ってみました。そしたら保安林の指定したものが八十七件、解除四百三十七件なんです。これはわれわれが拾ったのだから数字に間違いあったらそれでもいいが、大勢としたら解除が多い。これはなかなかにめんどうな話だ。こういうことになりますので、林野庁は解除のほうに傾くのだな、開発認可するほうに傾くのだな。その点が非常に心配になってきている。解除の理由としては林道その他の敷地百四十三件、道路が百九件、農道が十五件、指定理由の消滅六十五件、これはいいですよ、指定理由の消滅。ところが、その他が百五件。このその他の百五がたいへんなのです。電気事業関係で四十八件。通信施設関係の十二件、こういう形で、何というのか、保安林の解除を見るとちょっとこわいのだ。したがって、私はさっきの十条の二の二項というものが心配になってくるわけです。まして著しく環境を悪化しないものは認可しなければならないとなってくると。  そこで、具体的な一つを言うと岩木山、あのふもとから弘南バスによる観光道路によって保安林十六ヘクタールを解除しています。そのためにいまどんなことになっているかというと、ここでは道のまわりにほとんど草がはえていなくなりました。国有林野の中のあの岩木山の山はだにがけくずれが始まっております。ミチノクコザクラという高山植物はもう見たくても見れなくなってきております。こういうことなんです。あの大事な環境がこういうふうに破壊されてしまっているというところに非常に大きな問題がある。  もう一つの問題は、三百年来山を管理するために表参道の登山口がある。あれをつけたために全然草地になってしまって、ほんとうの山に入って山を育てる農道がつぶれてしまう、こういうことなんです。  したがって、まず保安林の全体のことを聞く前に、この岩木山のスカイライン、それは子供さんたちもお年寄りも岩木山から広大なながめを見られるという役得はあります。これは私は否定しません。だが、このことによって広域の林道のまわりの草が枯れてしまって、がけくずれになって、ミチノクコザクラがなくなってしまって、基本的に山に入っていく農道がなくなってしまうことはいけない。これはいま保安林の解除を取り消せといってもしようがない。そこで、このスカイラインのまわりを林野庁がどうして植林して保存して昔の状態に返すのか。ミチノクコザクラというものをさがして、まだ残っておるからこれを育成していくのか。山にほんとうに入る農道というものを育てていくのか。この三つに対する対策、まず岩木山の問題、林野庁長官に答えていただいて、保安林解除についてまた質問していきます。
  122. 福田省一

    福田政府委員 岩木山のスカイラインの問題について御指摘がいまございましたけれども、確かに林道を作設する場合にはそういったような原則として、そういう植物とか、先ほど御指摘のありました動物とかということを配慮した線のとり方ということは絶対必要だと思うわけであります。その前に道をつけるかつけないかの問題からまず出発しなければならないと先生はおっしゃるかもしれませんけれども、やはり林道をつけるといたしますならば、そういったような自然保護、換言すれば、そういった植物なり動物なりの保存ということを配慮したまず線の選び方、次には工法の問題になると思います。従来非常に安い単価で土捨てなんかをかってにやってきておったということによっていろいろな植物がこわされたりあるわけでございますから、今後はそういった意味で林道の線を選ぶ前と、それからその工法についてはきびしい規制をし、それに必要な予算措置はしてまいりたいというふうに考えております。  それから、いま保安林の解除につきまして一番件数の多いのは御指摘の道路でございます。林道はわずか何メートルとる場合にも必ず一部の保安林を解除しなければなりませんし、また電灯線なんかを引く場合にも、その敷地を鉄塔を建てる場合には解除しなければならぬという問題があるわけでございまして、こういったことにつきまして非常に件数が多いわけでありますが、全体としましては、保安林は解除しましたものよりも指定してふえてきております。今後は特にそういった水源涵養、それから土砂流出、土砂崩壊、そういう一号、二号、三号の保安林のほかに特に保健保安林の指定を強化してまいりたいということを考えておりまして、今後はそういった必要最小限度の解除はいたしますけれども、大きく見まするならば、保安林の指定は今後相当拡大してまいる計画にいたしておるものでございます。
  123. 津川武一

    ○津川委員 そこで、保安林の解除、非常に申請者の言いなりになっておるところがあるのです。だから、十条の二のさっきの二項の「著しく」というところが心配になってくるのです。そこで、農道というものをやると、林道をやると——あなた、弘西林道、覚えているでしょう。あれは三菱製紙がバルブ資材を持ってくる。だれが何と言っても、地元のほうに下がっていっても、全部三菱製紙に行っておる、こういう形になっておると同時に観光道路になっておる。観光道路になることは目に見えている。そこの点できのうもおとといも金精峠の道路のことが問題になっているわけなんです。したがって、林道をやるときにこういうまわりに対する長期的な見通しをチェックする、こういうことをやるならば話がわかるが、これはいかがでございますか。林道だからといって必ずやらなければならぬ、必要だから保安林を解除したといっても、それはだめです。保安の役割りを果たすということでなければならぬ。その出てくる農道が何に使われるか、林道が何に使われるかはよく調査していく、こういうことを私にはっきり約束できるかどうかということです。長官、どうです。
  124. 福田省一

    福田政府委員 弘西林道につきましては、先生十分御承知のとおり、弘前地区それから西津軽地区からあの強い長年の要望もございました。もちろんあの地域森林開発ということも当然ではございます、林道であるからには。あの地区の一般的な経済その他の交流ということの使命の点も重視いたしまして計画したものでございます。ただ、あの辺には天然のサルとか、先ほど来出ております珍しい動物なり植物があるわけでございますし、それからブナ林等もございまして、その保存については、今後経営につきましては十分配慮いたしてまいりたいと思っております。  ただ、あそこは販売計画がどうなっておるか、私はまだ詳しく一部承知しておりませんが、御指摘のとおり、三菱製紙に対する販売の計画もあるようであります。これは販売の計画全体につきましては公正を期することで、国有林全体の販売計画については、私は今後十分考えてまいらなければならないと思っております。もしその点について問題点がございますれば、調査の上善処してまいりたい、こう思っております。
  125. 津川武一

    ○津川委員 そこで、農道の場合、弘西林道、私、去年の八月か九月入ってみました。そうすると、ずたずたにこわれておるのです。保安林の役割りも全然なくなって、上のほうから来ると、そこでがけくずれが相当大きくなっておる。十月開通式をやろうという話だが、そのときまでに林道を整備して開通式をやるなり、そうしてあの林道開設のためにどれだけ障害があるということをよく検討して、障害排除の保証がつけられるかどうかということをお伺いするわけですが、これはいかがでございますか。
  126. 福田省一

    福田政府委員 弘西林道が完成間近くなりまして、その時点で昭和三十七年に集中豪雨がございまして相当大きな被害が出たことはまことに残念でございます。さっそくあの地区に対する治山事業その他林道の復旧事業はいたさせましたけれども、今後もその点について十分配慮して、特に維持費等につきましては、そういった事態が来ないように十分補修維持については予算等の配慮をしてまいりたい、かように思っております。
  127. 津川武一

    ○津川委員 美濃委員から私に端的なるアドバイスがありまして、さっきの「著しく」というのを、きょうは三十分早くやめて質問を保留していくようにということがありましたので、私も修正の重点なので、これはそういう形で質問を三十分保留して、あと残ったものを簡単に言います。  そこで、もう一つの問題は、国有林の排除なんだな。十条二の一項の一「国又は地方公共団体が行なう場合」は、この開発規制から省くというのです。林野庁は省かれるわけです。さあ林野庁、どんなことをやってもいいかということになるのかということです。というのは、去年の七月の集中豪雨を見ると、各地で林野庁が怨嗟の的なんです。弘前営林署のところへいくと、四年にわたって千四百ヘクタール切っちゃった。どっと来たのです。目屋ダムが破れちゃった。そこで、いままだあの木が一年、二年、三年だから、また来るとまた破れてしまう。ところが、あの地域の人たちは第二ダムをつくれといっておるが、林野庁はみんなの意見を聞くのかどうかという問題です。というのは、いじ悪く言うわけではないけれども、「現代林業」を二万部あのとおり焼いたり捨てたりしてしまった事件。林野庁にはこういう体質があるのですよ。日本列島改造論を批判したからといって。あの本はああいうふうなかっこうでした。これは十分林野庁に責任がある。林野庁の中にはそういう態勢がある。そこで心配になる。ここで林野庁、今度私はこの修正案をここで出そうと思っているが、林野庁がこれから木を切る、切ったものは植える、いいと言っている。そうは済まされない。数字はこの次の時間にあげるけれども……。青森営林局の計画は今度ことしから一一%減らしてそれでもって上げるのです。その切り方にも気をつけると言っているけれども、それでもだめです。どうしてもここのところはもっと減らさなければならない。こうして仕事が減った分だけここにダムをつくるとか砂防工事をするとかいうことで、うんと林野庁の仕事をふやすことが必要になってきた。この点からいうと、防災の関係でもっと大事に考えなければならぬ問題は保育の問題です。国有林野の保育費、保育面積の推移は昭和四十二年に三万七千ヘクタール、四十六年に一万八千ヘクタール、こういうことなんですね。経費にしても昭和四十二年は三億三千三百三万円、昭和四十六年には二億八千七百万円、こういう形で落ちてきているのです。保育のためにはもっとお金を出すべきだというのが問題になるわけです。そうすると、私は一一%はもっと減らしていっても林野庁の仕事はあり余るほどある、こう思っているわけです。そこで、これから林野庁で切って植えていく点、これは民主的にやるのかどうか、これが一つ。  第二番目には、目屋ダムの上にもう一つ私は第二ダムをつくる必要があると思っている点が二つ。  三つ目には、保育のためにもっともっと——四十六年度だから、七年、八年は変わってきていると思うけれども、こういう状態があるから、こういう点に対する林野庁長官の方針を聞かせていただきます。
  128. 福田省一

    福田政府委員 確かに国有林地元関係の人たちの意見を聞かずにかってなことをやっている、国有林一家けしからぬというふうなことをいわれておることはよく承知しております。そこで、私たちも十分反省しなければならぬと思っております。制度上は一応地域施業計画をつくります場合に、全国八十の経営計画があるわけでございますが、地元の意見を聞かなければならぬということで、現地審議会等で説明はいたしております。しかし、やはりこれは不十分な点がございます。計画をつくってしまってから説明会をやる程度で形式的な点があるというふうに反省はいたしておりますので、今度の制度の中では、地元市町村、自然保護その他関係のいろいろな方々の意見を入れるようにしてまいる考えであります。現に、たとえばこの自然保護問題で一番最初に問題が出ました秩父の国有林におきましては、伐採量は三割に減少いたしております。一割どころではありません。現地に行きまして営林署を中心にいたしまして市町村の方、あるいは町の議会の方、あるいは学識経験者、自然保護関係の人たち、また逆に木材製材加工をされている人たち、全部のグループが現場に行きましてこういうふうな切り方をするのはどうですかという意見を聞きまして、それらをもとに、いたしまして経営計画をつくっているわけでございます。すべてそういうふうにすればそういったことは皆さん納得していただけると思うわけでありますから、形式的なことは省いていきたいと思います。  それから、ダムの問題につきましては、具体的な問題でございますので、現地の実情をよく調べて御趣旨の点に沿うて実施してまいりたい、かように思います。  最後の問題でございますが、保育は、先ほど御指摘がありましたように、平均して二割、最盛期の三割は伐採量が減少しております。したがいまして、新植面積は減るわけでございます。新植面積が減れば新値の部分における保育は減るわけでございます。しかし、これは皆伐をして植えたあとの保育でございますけれども、天然林の手入れということはやはり逆に必要でございます。択伐作業をいたしますにしても、禁伐いたしますにしても、いずれ森林に病虫害が発生したりいろいろの問題が出てまいりますので、そういったものを除いてやるという程度の手入れは必要でございます。そういう意味での保育はここではあがっておりませんし、これはどんどん拡充していかなければならぬ。そういう意味では人手はかかるわけでございます。そういう点は具体的にそれぞれの地域において計画を組んで実施してまいりたい、かように思います。
  129. 津川武一

    ○津川委員 あと五分ばかり質問して次に二十分ばかり留保いたします。  最後質問は、この法案の一番大きな森林計画の策定です。そこで、いままで切ると主として針葉樹を植えておる。ところが、国際的に国民の生活が高度になっていくに従って、家を建てるだけでなく、家具などといういろいろな点で材木が必要になってくる。ブナだとか広葉樹林の需要がうんと大きくなっていく。したがって、私は切った分に針葉樹を植えるだけでなく、広葉樹、ブナなどというものも積極的に植えていく、種をまくべきだと思うのです。ところが、広葉樹、ブナをまくと採算がとれるまでに百五十年くらいかかる。そこで、いま経済性を主張されて独立採算性を押しつけられたり、皆さんのほうが非常に苦しい立場にあるから、天然の種がはえて伸びるのを待って広葉樹を育てる、こういう状況になっておる。これではいけないと思う。そこで、私たちも、これはまた大臣にもがんばっていただいて、そういう点の林野行政の予算をふやして、ブナを積極的に育成し、苗木をつくってブナ林を目的意識的に育てていくべきだという点がありますかという点が一つ。  第二番目には、さっきのナラ、これはキノコ栽培をすると、これほどいいほだ木はないのです。これはとてシャンなほだ木なんです。これは三菱製紙にブナとともにパルプに持っていかれてしまっている。したがって、私はこれからブナはまだ切るとしても、先ほどから問題が出ているからいいとして、ナラはこういう点で皆伐からここは残さなければならぬと思っているのです。これが二つ。  三つ目に、地元における林業、造材などという木材加工業を育てる場合、いまブナはピアノもできます、どんな家具もできます。そこで、こういう点で地域に支持してもらう意味において材木の払い下げ、いろいろな利用、こういう形でブナで木材、木工の工業を興こして、そこでまた大きな地元の仕事がふえる、山村の問題も片づくのじゃないか、このように私は考えているわけです。  この三点を答えていただきます。
  130. 福田省一

    福田政府委員 ブナは確かに原則としていまのところは天然更新ということを考えておりますけれども、やはりブナでも土地の肥えたところになればよく育つわけでありまして、御承知かと思いますけれども、凾館のガルトナーのブナというものは実にりっぱにはえているわけであります。ドイツなんかは、御承知のように、ブナの造林地が一ぱいございまして、非常にドイツ人はブナを愛しているということはまことに有名でございますけれども、そういう意味で、ブナにつきましては御指摘の線に沿うて天然更新以外にもやはり考えていきたいと思っております。  それからナラは確かにシイタケが最近輸出などで相当盛んになってきておりますので、これはパルプに売るだけではなくて、シイタケの原木として一番大事なものでありますので、昔からありますところの薪炭林、これは木炭を焼かなくなりましたので、ほとんどパルプに回っておりますけれども、シイタケほだ木林というような形で、これをひとつ検討していきたいということで、計画の中にこれを保存していくように検討させたいと思っております。  それから木材加工、ブナを中心とした加工、これは全国組織としまして昔からブナ材協会というものがありましたけれども、広葉樹協会という名前に変えまして、ブナ中心ではございますけれども、ほかの広葉樹の加工等についてもこれを育成してまいりたいと思っております。四十八年度の予算からこういった意味で広葉樹林の計画ということで、四十八年度は約三千二百ヘクタール、四〇%の補助の予算を見ておりますし、四十六年度に四千二百ヘクタールくらいありますから、決して針葉樹だけでなく、広葉樹も重視してまいりたいと思っております。
  131. 津川武一

    ○津川委員 これであと時間を保留いたしまして、さっきの「著しく」という点をこの次の機会にもう少しやりたいと思いますので、農林大臣、庁議をまとめておいてくださって、私に答弁できるようにひとつお願いいたします。  終わります。
  132. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。      午後五時十分散会