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芳賀委員 次に、時間の制約もあるので、大事な点だけをお尋ねしておきます。
これは林興決議の第四項になるわけでありますが、外材の輸入の問題であります。これは林業白書によっても、昨年の一年間の木材消費量が一億立方メートルをこえておるわけです。その供給源は国内の供給が全体の四五%、あと不足分の五五%以上は外材に依存しなければ木材の供給を果たすことができないというのが
実態であります。ところが、外材依存が六割、七割に高まるとしても、それでは諸外国から不足分をどんどん供給してもらえるかというと、そういうことにはならぬわけでしょう。たとえばアメリカ議会においては、ことしから従来の木材の輸出実績をとりあえず一〇%削減するということを、もう決定しておるわけです。この規制がますます強化されることは言うまでもないわけです。あるいは資源国のカナダ等においても、今後はカナダにおいての一定の製材規格に基づいた製品、半製品を製造して、これを日本に輸出するという強い主張を行なっておるわけであります。あるいは開発途上国においても、国連の天然資源保護の立場から、各国々においても天然資源と森林資源等については、単にこれを経済的な
判断からだけで乱伐して輸出するような点については十分反省して、天然資源あるいは自然環境を守るという方向に国連を通じても基本が変わってきておるわけであります。そうなると、石油と同じように、食糧と同じように、木材資源等についても、いままでのように安易な考えで、足りない木材は幾らでも安く買うことができるなんていう考えはもう捨てなければならぬときになっておると思う。そのために、先般、
長官も、国会開会中であったにもかかわらず、わざわざ外国の木材事情等を
調査に行ってきておるわけです。
こういう木材の需給が国際的に窮屈になるということになれば、当然経済関係というものはいやでも応でも売り手市場ということになる。買い手国が優位性を持つというのではなしに、輸出国が価格においても数量においても優位性を保つ。いわゆる売り手市場、食糧、木材あるいは石油資源等においては、そういう経済的な力関係に今度は変わってしまったわけです。そういう中において、過去一年間木材輸入の中心勢力である大手商社の先般の三月決算を見ても、大手商社だけで木材の輸入販売によっておおむね一千億円をこえる不当利益をあげておるということは、担当の
林野庁長官としても十分
内容を承知しているところだと思うのです。大手の商社がもうかるということは、不当利益をあげるということは、その分を全部直接間接に国民負担に転嫁するということになるわけです。だから、林興決議にも明らかになっておるとおり、自由化の路線の上に立った無計画な大手商社を中心とした木材輸入の貿易
形態というものを根本的に立て直す必要があるということが、林業
振興決議の一項目をなしておるわけです。
われわれの主張としては、自由貿易主義でなくて、少なくとも食糧管理
制度のもとにおいて輸入の米や麦が国家貿易として取り扱われておると同じように、とにかく年間消費量の五割以上を外材に依存するというようなことになれば、これらの木材輸入というものは、当然国の管理体制というものを強化してわれわれの主張としては、当然これは国家貿易に移行させるべきであるという主張であります。ことしの春の予算
委員会の分科会等において私は愛知大蔵大臣にこの点を提起したわけでありますが、大蔵大臣も私個人としては
芳賀委員の意見には賛成であるというような――これは個人というただし書きがついておるわけであるから、あれですけれ
ども、今後食糧をはじめ主要な木材あるいは原料等については当然貿易
制度についても国の介入した国家管理貿易、あるいは貿易の規制、あるいは木材輸入等に対して国が一定率の課徴金を賦課して、この課徴金の
制度によって需給の調整あるいは国内木材等の価格調整等をはかる機能を十分に発揮する必要があるわけです。ですから、ことしの一月の四十八年度予算編成の際にも社会党としては以前からの主張をぜひ四十八年度の予算の編成の中に――たとえば
国有林野事業の特別会計
制度の場合においてもますます大きな要請が高まっておる。
国有林野事業の中で公益的
事業を拡大するためには、これは
林野事業の収益だけでまかなうことはできない。だから、公益的機能発揮に必要な公害防止とか、自然環境の維持であるとか、保健休養に関するような
事業については、必要額を一般会計から
国有林野特別会計に繰り入れる。それを受け入れるために、たとえば公益勘定というような新しい勘定科目を設けて、そして有機的に、拡大的に森林政策や林業行政が進むようにしたらどうかということは、ある意味においては、常に強力にこれは推進しておるわけです。この点についても、当然これは農林大臣あるいは財政担当の大蔵大臣から直接明らかにすべき問題でありますが、とにかく何でもかんでもへっぴり腰で
仕事をしておる
林野庁の姿勢をまず変えなければ、
先ほど同僚
湯山委員が
指摘をした問題についても、四十六年四月の政府
統一見解というものは、実はいまここで議論をしておる国会が議決した林業
振興に関する決議の趣旨を受けて、そうしてその後政府関係機関においていわゆるあのような
統一見解なるものがようやく出されたという経緯が実はあるわけであります。
ですから、この際、今後の外材輸入に対してどういうような体制で国民の要求にこたえるかという問題と、貿易
制度に対してはどのような
形態に
制度的に変革されなければならないかというような問題、あるいはまた国産材との需給調整、価格安定のための価格調整等の政策については具体的に事態に適合するためにどうするかという点について、対案があればここで示してもらいたいわけです。なければ、残念ながらありませんでも、これはやむを得ぬけれ
ども、以上ただしまして、きょうは私の
質問を終わりたいと思います。不明な点はあとで農林大臣から明らかにしてもらいたい。