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1973-06-21 第71回国会 衆議院 農林水産委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年六月二十一日(木曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 佐々木義武君    理事 仮谷 忠男君 理事 坂村 吉正君    理事 山崎平八郎君 理事 渡辺美智雄君    理事 柴田 健治君 理事 津川 武一君       笠岡  喬君    金子 岩三君       吉川 久衛君    熊谷 義雄君       佐々木秀世君    島田 安夫君       正示啓次郎君    菅波  茂君       丹羽 兵助君    長谷川 峻君      三ツ林弥太郎君    湊  徹郎君       森下 元晴君    井上  泉君       角屋堅次郎君    島田 琢郎君       竹内  猛君    野坂 浩賢君       芳賀  貢君    馬場  昇君       湯山  勇君   米内山義一郎君       諫山  博君    中川利三郎君       瀬野栄次郎君    林  孝矩君       稲富 稜人君    神田 大作君       小害 武喜君  出席政府委員         人事院事務総局         任用局長    渡辺 哲利君         人事院事務総局         職員局長    中村  博君         農林政務次官  中尾 栄一君         農林大臣官房長 三善 信二君         農林大臣官房審         議官      澤邊  守君         農林省構造改善         局長      小沼  勇君         農林省農蚕園芸         局長      伊藤 俊三君        農林省畜産局長 大河原太一郎君         農林省食品流通         局長      池田 正範君         林野庁長官   福田 省一君         労働省労働基準         局安全衛生部長 北川 俊夫君         建設省住宅局長 沢田 光英君         自治大臣官房審         議官      近藤 隆之君  委員外出席者         行政管理庁行政         管理局管理官  吉村 友佑君         経済企画庁長官         官房参事官   熨斗 隆文君         経済企画庁長官         官房参事官   岩田 幸基君         経済企画庁長官         官房調査官   福田多嘉夫君         環境庁自然保護         局企画調整課長 新谷 鐵郎君         外務省アジア局         外務参事官   中江 要介君         大蔵省主税局税         制第一課長   伊豫田敏雄君         農林大臣官房企         画室長     松本 作衛君         食糧庁総務部長 森  整治君         水産庁海洋漁業         部長      大場 敏彦君         通商産業省企業         局商務第一課長 青木 利雄君         労働省職業安定         局失業保険課長 岩田 照良君         建設省都市局都         市計画課長   宮繁  護君         建設省河川局防         災課長     黒坂 正則君         建設省道路局次         長       中村  清君         自治省行政局公         務員部公務員第         一課長     宮尾  盤君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ――――――――――――― 委員の異動 六月二十一日  辞任         補欠選任   井上  泉君     芳賀  貢君   稲富 稜人君     小宮 武喜君 同日  辞任         補欠選任   芳賀  貢君     井上  泉君   小宮 武喜君     稲富 稜人君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申し入れに関する件  参考人出頭要求に関する件  農林水産業振興に関する件      ――――◇―――――
  2. 佐々木義武

    佐々木委員長 これより会議を開きます。  この際、連合審査会開会申し入れに関する件についておはかりいたします。  すなわち、建設委員会においてただいま審査中の公有水面埋立法の一部を改正する法律案について、連合審査会開会申し入れを行ないたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 佐々木義武

    佐々木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、連合審査会開会日時等は、建設委員長と協議の上、追って公報をもってお知らせすることといたします。      ――――◇―――――
  4. 佐々木義武

    佐々木委員長 農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。湯山勇君。
  5. 湯山勇

    湯山委員 林業、特に国有林に働いておる人たち身分、この問題につきましては、農林省あるいは林野庁当局へはしばしばお尋ねしてまいったのですけれども、それらの問題がただ単に農林省林野庁だけの問題ではなくて、もっと大きく、特に人事院あるいは行政管理庁、そういうところの関連において考えられなければ、懸案の解決は得られないというようなことを考えまして、本日は人事院及び行政管理庁からも御出席願ったわけでございますが、御存じのように、国有林に働いておる国家公務員身分といいますか、組織といいますか、これは定員内の、しかも給与法適用者という人たちが六十九名ばかり、これは林野庁長官をはじめとして。定員内で特例法適用者というのが約四万名ばかり、それから定員外常勤作業員というのが百四十二名、それから定員外給与事業費から出る、しかも給与特例法適用者、それで常用作業員というのが一万六千八百七十名、それから定期作業員臨時日雇いと、ずいぶん多様にわたっております。  そこで、一体これはどういうことでこうなっているのか。これは整理しなければならないということでしばしば御指摘申し上げてまいったのでございますけれども、幾らか改善されたところはありますが、まだ根本的な解決に至っていない。そこで、それらについて順次お尋ねをいたしたいと思うのです。  それにあたりまして、四十六年の四月十三日に、この問題について関係省庁統一見解が出されております。これは委員会のほうへ報告になったものと聞いておりますが、「国有林野事業基幹的な作業員勤務形態の取り扱いについて関係省庁と協議いたしましたところ、次のような見解を得ましたので、御報告をいたします。」内容は「国有林野事業基幹的な作業員は、その雇用及び勤務の態様からすれば、長期の継続勤務となっていること等、常勤職員に類似している面があるものと思量されます。しかしながら、これらの基幹的な作業員制度的に常勤職員とすることについては、国家公務員の体系にかかわるなかなか困難な問題でもあるので、慎重に検討してまいりたい」というのが統一見解でございました。  このことは、林野庁長官はもちろんでございますけれども人事院任用局長、それから行政管理庁管理官御存じだと思いますが、御存じかどうかだけ、ひとつ御答弁願いたいと思います。
  6. 福田省一

    福田政府委員 御指摘の点は承知いたしております。
  7. 渡辺哲利

    渡辺(哲)政府委員 人事院任用局といたしましても承知いたしております。
  8. 吉村友佑

    吉村説明員 行政管理庁もよく承知しております。
  9. 湯山勇

    湯山委員 そこでお尋ねいたしたいのは、「常勤職員に類似している面があるものと思量」される、それから「制度的に常勤職員とすることについては」云々とありますが、この中で特に国有林野作業員の中の常用作業員と呼ばれている人たち、これは常勤ですか、常勤ではないのですか。
  10. 福田省一

    福田政府委員 常用作業員常勤職員でございませんで、非常勤職員となっております。御指摘常用作業員については常勤職員ではございません。
  11. 湯山勇

    湯山委員 職員でありますか、職員ではありませんか。
  12. 福田省一

    福田政府委員 やはり国家公務員としての職員でございます。
  13. 湯山勇

    湯山委員 そうすると、常勤常勤でないかということだけが問題ですか、この統一見解では。
  14. 福田省一

    福田政府委員 御指摘のように、定員外作業員の中には一部常勤作業員もございますけれども、一番問題なのは常用作業員でございます。これに常勤職員常勤性を付与するということについていろいろ御検討願ったところでございますけれども、これはやはり日々雇用される作業員ということで、原則としては非常勤職員であるところに問題があるわけでございます。
  15. 湯山勇

    湯山委員 ひとつ人事院のほうへお尋ねします。  職員であることは人事院もお認めになられるわけですね。もう一度申し上げます。いま林野庁長官の御答弁になった常用作業員という人たちです。多年ずっと常用されているこの人たちは、林野庁職員であることに間違いございませんか。
  16. 渡辺哲利

    渡辺(哲)政府委員 常勤作業員林野庁職員であり、国家公務員でございます。
  17. 湯山勇

    湯山委員 常勤常用との違いはどういうところですか。これは人事院のほうの御見解を伺いたいと思います。
  18. 渡辺哲利

    渡辺(哲)政府委員 初めの常勤作業員ことばはいろいろございますけれども、百名前後ございますのは、従来いわゆる常勤労務者といわれていた範疇職員でございまして、これは常勤として取り扱っております。ただ、いま問題になっております常勤作業員は、先ほど林野庁からもお答えがございましたように、日々雇用という形式の非常勤職員であるというふうに理解している次第でございます。
  19. 湯山勇

    湯山委員 よろしいですか。定員外作業員であって常勤職員がおりますか、おりませんか。もう一度申します。この統一見解は、作業員常勤職員にするしないの問題ですね。ところが、林野庁の中に常勤職員であって定員外というのがおりますか、おりませんか。
  20. 福田省一

    福田政府委員 定員外常勤作業員という名前で御指摘常勤職員が約百四十二名おります。
  21. 湯山勇

    湯山委員 そうすると、これは管理庁人事院かどちらへお尋ねしたらいいのか、いま長官がおっしゃったように、常勤職員でしかも定員外の者が百数十名いるということですが、これはこの趣旨から見てもあり得ないことだと思うのですが、どちらかはっきりおわかりの方から御答弁願いたいと思います。
  22. 吉村友佑

    吉村説明員 ただいまの御質問は、定員外職員常勤職員があり得ないのではないかというふうにお聞きしましたけれども定員外職員常勤職員制度上あり得るということになっております。
  23. 湯山勇

    湯山委員 じゃ、その者はこの統一見解ではどういう扱いをされるのですか。これには全然触れていないということになるわけですか。
  24. 吉村友佑

    吉村説明員 先生のおっしゃいました統一見解で取り上げられているのは、常用作業員といわれている非常勤職員であるというふうに了解しておりまして、現在定員外常勤職員とされております、林野庁では常勤作業員と称しておりますが、その作業員については統一見解では触れていないというふうに解釈しております。
  25. 湯山勇

    湯山委員 三人の方にお願いがあるのですけれども作業員ということばをお使いになると、いろいろな意味がありますから、いまおっしゃったように、常用作業員は全部職員だということを皆さんお認めになったわけですから、以後は作業員とおっしゃらないで常用職員、こういうことばでお答え願いたいと思うのです。いいですね。
  26. 福田省一

    福田政府委員 御指摘のように、すべて国家公務員職員でございますので、そのようにお答えいたします。
  27. 湯山勇

    湯山委員 そうお願いいたします。  そこで、林野庁長官常勤職員定員外というのはおかしいのじゃないですか、林野庁としては。
  28. 福田省一

    福田政府委員 いま御指摘の百四十二名、この常勤職員につきましては、昭和三十七年の一月十九日の閣議決定の際に定員内に繰り入れられずに残された経過がございます。
  29. 湯山勇

    湯山委員 いまおっしゃったようなことだと、この統一見解からはずれていると思うのです、いまの人たちは。常勤職員扱いをするしないの問題ですから、はずれておるので、これはたいへん不公平だから、当然是正されるべきものだと思います。このことについての御意見はあとで聞くことといたしまして、現業官庁ということをよくことばとして言います。現業官庁の定義はどういうことであるか、行政管理庁から承りたいと思います。
  30. 吉村友佑

    吉村説明員 行政管理庁といたしまして、特に法令等現業官庁というふうなはっきりした明確な用語を使っているわけではございません。通常現業官庁と称しているものの中には五現業と称するものがありまして、先生御承知と思いますが、林野、郵政、印刷、造幣、アルコール専売、そういうものが五現業というふうにいわれております。
  31. 湯山勇

    湯山委員 そこで、これは人事院行政管理庁にお尋ねいたしたいのですが、俗に現業官庁と呼ばれている、国の経営する企業を持っておる官庁ですが、そういういまおっしゃった五つの現業官庁で、一番現業の中心になる基幹要員、たとえば郵便事業であれば、郵便集配というもの、それを除けば郵便というのは成り立ちませんね。それからたとえば印刷なら、印刷機械を動かすという部分を除けば、これも印刷は成り立ちませんね。そういうこの表現でいえば基幹的なというのじゃなくて、基幹そのもの事業をやっておる人たち林野でいえば主として伐木、これは林野基幹中の基幹であって、こういう作業を除いて国有林野事業というものは考えられない、それを除いては成り立たないというそういう要員定員外に置いておる現業官庁があれば、その職種、どういう仕事というのと、その例をひとつ人事院及び行政管理庁からお示し願いたいと思います。つまり、国有林のいまの常用作業員と同様な、あるいはそういう性格の仕事定員外にしているという例があれば、ひとつお示し願いたいと思います。
  32. 渡辺哲利

    渡辺(哲)政府委員 私どもは、非常勤職員につきまして調査をいたしておりませんので、正確なことはわかりませんけれども人事統計を主管しております総理府人事局で毎年非常勤調査をしておりまして、その非常勤の数について、それぞれ現業あるいはその他で何名ほどというのは、総理府人事局からの御連絡を受けまして承知いたしておりますが、たとえば五現業の中では郵政省等に一万二千名というような数が四十七年の七月一日現在でいることになっておりますけれども、私どもはそれらの非常勤職員がどのような仕事をし、どのような作業を分担しているというようなこまかい点は調査しておりませんので、承知いたしておりません。
  33. 吉村友佑

    吉村説明員 先ほどから申し上げておりますように、定員外職員でも、常勤である者と非常勤である者と二つの種類があるわけですけれども定員外職員常勤職員、これは各省庁少しずつはおります。しかし、そういった職員の方はその省庁の基本的な仕事をおやりになっているということではありません。  それから、先ほど言われました五現業でそういった非常勤職員がどのくらいいるかといいますと、これは一例でございまして……。
  34. 湯山勇

    湯山委員 違うのです。五現業で――林野庁常用というのはする仕事がきまっております。そういうほんとうの基幹作業中の基幹作業、そういうのをやっておる者全部をいまのように定員外にしておるところがあれば、その例をあげてもらいたい。
  35. 吉村友佑

    吉村説明員 いま、先生のおっしゃいましたような範疇に該当する職員はほとんどいないと言っていいと思います。
  36. 湯山勇

    湯山委員 行管管理官に重ねてお尋ねします。それではそういう例は林野庁以外にございませんですね。
  37. 吉村友佑

    吉村説明員 そのように理解していただいていいと思います。
  38. 湯山勇

    湯山委員 いま非常にはっきりしてきたわけですけれども林野庁のこの常用作業員のような、こういう事業の中核になる、それをはずせばその現業というのはなり立たないという、そういう者を定員外にしておる現業官庁はほかにないということですが、林野庁長官もそうだと思いますか。
  39. 福田省一

    福田政府委員 林野庁以外の官庁につきましてはこまかいことは承知いたしておりませんけれども林野庁の中を見ましても、御指摘のように、現場で働いております基幹的な作業員という者は林野庁だけではなかろうかと思うわけでございます。
  40. 湯山勇

    湯山委員 まさにこれは公務員制度といってもいいくらい重要な問題ではないかと思いますのは、いまのこのあり方というのは、学校でいえば校長も大事でしょうし、教頭も大事でしょうけれども教員を抜いたような形、病院でいえばお医者さんや看護婦を抜いたような形の林野庁職員組織になっているといいますか、お医者さん、看護婦定員外学校でいえば先生定員外というような扱いになっているので、これははなはだ不合理、不当だと思いますが、行政管理庁管理官、いまの御答弁といまの実態をあわしてお考えいただいて、どのようにお感じになりますか。
  41. 吉村友佑

    吉村説明員 ただいまの御質問につきましては、私のほうとして不当であるとかないとかいうことはちょっと申し上げられない立場にあるというふうに考えております。常勤あるいは非常勤職員の問題につきましては当庁では所管いたしておりませんので、そういったことを直接ここで申し上げるのは適当でないと考えます。
  42. 湯山勇

  43. 吉村友佑

    吉村説明員 定員内職員であるか定員外職員であるかということにつきましては行政管理庁所管いたしております。
  44. 湯山勇

    湯山委員 そういうのを定員外にするということはどうですか。
  45. 吉村友佑

    吉村説明員 定員内にするか定員外職員にするか、まずそれぞれの省庁任命権者判断いたしまして、その判断に基づいて行政管理庁審査するということになっております。
  46. 湯山勇

    湯山委員 その審査でどうです、適当と思われるかどうか。――いまの管理官のおっしゃることよくわかりました。そこで、いまのように省庁判断によってきたものを、管理庁のほうでこれは当然定員内に入れるべきだ、これは定員外でいいという判断をなさる。そうすると、いまのように病院のお医者さん、看護婦、あるいは学校でいえば教員、それに当たる、林野事業の中ではこれがいなかったらできない者、事務の人はいなくてもいいですけれども、とにかく年じゅうずっと、しかも何十年も続いてやっておる常用人たちを、病院のお医者さん、看護婦学校の教職員郵便でいえば集配ですね、それを定員外にするということについて、それはいいことだとお思いになりますか、あるいはそれはいかぬというように御判断になりますか。一般論としてでもいいですから、お答え願いたいと思います。
  47. 吉村友佑

    吉村説明員 定員内とすることがいいか定員外とすることがいいかということにつきましては、先ほど常勤非常勤の場合で申し上げましたと同じように、適当である、不適当であるということをここで直ちに申し上げるということは適当でないと思いますが、先ほど申し上げましたように、定員内と定員外というふうにわれわれの所管のほうでは分けておりますけれども定員内がよくて定員外が悪いとか、そういう特別な価値判断はいたしておりません。それぞれの業務あるいは職務の性質に応じて定員内、定員外の分類をすることが適当であるというふうに考えております。
  48. 湯山勇

    湯山委員 その業務内容はいま申し上げたわけです。年じゅう国有林野で働いておって、しかも一年きりじゃないのです。十年も二十年もずっと続いて働いている。しかもその人たちをのければ、いまのように学校教員をのけるのと同じように、それは校長とかなんとかあったにしても授業が成り立たない。郵便でいえば集配を除くのと同じですから、これをのければ成り立たない。そういう者を全部定員外に置いておるのですよ。その中の一部じゃありません。全部を定員外に置く、そういう組織というものが一体妥当かどうか。これは条件はいま申し上げた条件しかありません。それでどう御判断になりますか。
  49. 吉村友佑

    吉村説明員 定員内職員にするかどうかは、その職が恒常職常勤職員であるかどうかということを基準にして判断しておるわけでございまして、現在定員外であるからそれはよくないというふうには考えられないというふうに思います。
  50. 湯山勇

    湯山委員 おかしいですね。いま恒常職だということは申し上げた。よろしいですか。恒常職かどうかが判断基準で、恒常職定員内ならこれはもう問題ないです。したがって、他の現業官庁はみなそうしている。林野だけ特別だというのはさっきお認めになったとおりです。そうすれば、答えはそんなにぼやけるはずはないのです。そういうところをはっきり言ってもらうために来てもらったのですから、どうですか、もう一ぺん。
  51. 吉村友佑

    吉村説明員 先ほどから問題になっております作業員につきましては、その作業労務確保上の社会情勢とかあるいは地域的情勢、そういったことで、たとえば請負等で代替するとか、そういった性質労務であるということで、特にその組織恒常的に置く必要が薄いということが第一点。それから事業を遂行する上におきましても、必要に応じて機械化等によって代替し縛る性質を有しておる。そういうようなことから、あらかじめ業務量を確定して必要な定員法令で定めることが適当でない職であるというふうにわれわれのほうは林野庁から従来から説明を受けておりまして、そういうふうに当庁としても了解しておるわけでございます。
  52. 湯山勇

    湯山委員 その報告はいつ林野庁からお受けになりましたか。だいぶ前じゃないですか。
  53. 吉村友佑

    吉村説明員 従来から現在まで同様に説明を受けておりまして、特に変わっておりません。
  54. 湯山勇

    湯山委員 常用の人に基準賃金があるというのを御存じですか。
  55. 吉村友佑

    吉村説明員 そういうことについても説明を聞いたことはございますが、その賃金の問題につきましては、当庁の所管でございませんので、詳しいことはよく知りません。
  56. 湯山勇

    湯山委員 いま形態請負というか何というか、そういうようなこともおっしゃったから聞いたわけですが、これはもう、この常用人たち特例法適用者なんです。だから、それでいまの一つの条件は消えますね。それから、かってに一人でぽんぽん仕事をして、基準額以上の仕事をして出来高払いでもらうというようなことも、それはかなりウエートを持っておった時代もあるのです。しかし、いまはもうそれはほとんどできない。というのは、作業が一人で木を切ってそれでどうだというのじゃなくて、ちゃんとチームをつくりまして、だれは切る、だれはどうするというふうにやっていますから、昔のようにかってにやって出来高払いというようなことはあり得ない。むしろ環境条件さえ整えればちゃんとやっていけるようになっているのです。だから、いまお聞きになったと言われるが、ただ聞いただけと実態とは非常に違っているのと、いまはもう、のことなたでやっておった時代じゃなくて、白ろう病というのを御存じと思いますけれども伐木は全部機械化されている。そうなってくると、いまの管理官がお聞きになっているのと私が言ったのとだいぶ違うでしょう。どうですか。
  57. 吉村友佑

    吉村説明員 ただいま、違うとか同じだということは、ちょっと申し上げかねると思います。
  58. 湯山勇

    湯山委員 林野庁長官、私がいまお尋ねしたことの内容は違っておりますか、間違いを言いましたか。
  59. 福田省一

    福田政府委員 間違ってお言いになっているとは思っておりませんが、まあ……
  60. 湯山勇

    湯山委員 それでいいです。  管理官、そうすると、あなたのおっしゃったのと違いますよね。
  61. 吉村友佑

    吉村説明員 ただいま林野庁長官が間違ってないとおっしゃったのは、恒常的であるということを間違ってないとおっしゃったのかどうか、私のほうはしかと了解しかねておるところでございます。
  62. 湯山勇

    湯山委員 では長官、この常用人たち勤務恒常であるかどうか。恒常というのはどういうのか。どういうのを恒常というのか、私もちょっとわかりかねますけれども通常のあれからいえば、とにかく年間働いて、しかも何年も何年も働いておるのですから、これは勤務恒常言わざるを得ないと思うのですね。とぎれとぎれに、五カ月とか八カ月とかでまた休むというような状態じゃなくて、恒常的に働いている。これはそうでしょう。
  63. 福田省一

    福田政府委員 いわゆる法律用語としての恒常職という意味の解釈についてはあまり正確に私は存じませんけれども実態といたしまして、ただいま御指摘常用作業員の約一万六千名、これは三十六年当時の閣議決定がありました際とはだいぶ様子が違っておりまして、まあ十年以上たっておりまして現場の作業仕組みというものが非常に単純化し機械化しておりますので、年間働いて、しかもそれが十年以上きておるというのが常用作業員の中でもすでに三五%以上ございます。そういう実態をつかまえますと、昔と非常に違ってきているということだけを申し上げます。
  64. 湯山勇

    湯山委員 管理官、これならもう信用するでしょう。いかがですか、恒常職でしょう。
  65. 吉村友佑

    吉村説明員 先ほど申し上げましたとおり、林野庁から御説明を受けておりますのは、恒常的に置く必要な職ではないというふうに説明を受けております。  それからもう一つ、定員内にするかしないかということにつきましては、恒常職であるかどうかと同時に、常勤職員であるかどうかということが一つの要素になっておりますので、念のために申し上げます。
  66. 湯山勇

    湯山委員 恒常であるというのは、いま目の前で長官が責任を持って答弁された内容から、長官恒常であると断言はされなかったけれども、あれでわからぬですか。それでわからぬような管理官だと、きょうは答弁拒否して、局長でも来てもらわないといかぬ、あるいは管理庁長官に来てもらってやらないと困ります。一体どこが恒常でないのですか。耳で聞いただけでなくて、恒常でないというならないということを言ってみてください。それはあまり無責任なことをここで言ってもらっては困ります。
  67. 吉村友佑

    吉村説明員 われわれのほうで恒常的な常勤職員であるかどうかということを判断いたします際に、当然それぞれの職員の所属しておる省庁のほうといろいろと御相談といいますか、検討いたしまして、双方の了解のもとに、そういうことで承知しておるわけでありまして、行政管理庁でかってに非恒常職であるというふうにきめたわけではございませんので、了解していただきたいと思います。
  68. 湯山勇

    湯山委員 私が言っておるのは――もう一ぺんもとへ返りますが、定員内か定員外か、当然定員内でなければならぬのじゃないか。ほかにそんな重要な基幹職員定員外にした例はない。林野庁だけだということはあなたもお認めになったから、それじゃ、定員内でないといかぬじゃないかと言ったら、定員内か定員外かは恒常であるか恒常でないかできめる。それじゃ、恒常じゃないか言ったら、林野庁長官から恒常でないということを聞いておる。そこで、それじゃ林野庁長官、どうですかと言えば、いまのような御答弁なんで、だれが判断したって、いまの林野庁長官答弁恒常でないと受け取る人があったら、これはどこかへ行かないといかぬじゃないですか。そこで、そう言えば、今度はほかのことを出してくる、そういうことではだめなんです。言っていることとはずれないように、判断する立場にある行管ですから、もっと冷静に客観的に判断してもらう。あなたがそう言ったからといって、責任を問われるようなことはないでしょう。だから、びくびくしないで、いま長官が言ったのは、当然恒常です。それなら恒常ですとどうして言えないのですか。言えない理由をひとつ言ってもらいたい。
  69. 吉村友佑

    吉村説明員 先ほど林野庁長官のほうでお答えになりましたときに、恒常職ということについてはよく承知してないということをおっしゃっておりましたけれども、どういうような観点で変わっておるとおっしゃったのか、われわれのほうは先ほど初めてお伺いいたしましたので、どういうふうに変わっておるということ等もまた詳しくお伺いしませんと、その辺について林野庁長官がどういうお考えでお答えになったかということがまだ十分理解できないというふうに考えます。
  70. 湯山勇

    湯山委員 それでは、いま目の前に長官おられるのですから、答弁は待ちますから、ひとつお二人で協議して、しっかりした答弁をしてください。
  71. 福田省一

    福田政府委員 ただいま行管の方とお話し申しましたし、それから林野庁の担当課長とも打ち合わせしたのでございますが、私、先ほど申し上げましたように、常用作業員勤務実態というものは十数年前と非常に変わってきておるということで、私たちといたしましては、それにふさわしいような処遇をいたしたいというふうに考えておるところでございます。  したがいまして、では、それにふさわしい処遇とはどういうことかと申しますと、一応常勤職員に近いようなそういう状態になってきておるものですから、それにふさわしい処遇をしていただきたい、こういう考えが私の中にはあるわけでございます。そういうことに基づきまして各関係官庁といろいろお話し合いをしたわけでございますけれども、四十六年には一応その中で政府統一見解という形で出てまいりました。なかなか困難な問題であるぞ、もう少しよく実態調査し、もっと検討しようじゃないか、こういうことになっておるわけですから、その点をもう少し早く解決していただきたいというふうに各官庁にお願いしておるところでございます。
  72. 湯山勇

    湯山委員 これは簡単にお話し合いのできぬ面もあると思いますから、いまの答弁で一応保留します。  ただ、確認願いたいし、はっきりしたことは、現業官庁で、これだけ重要な基幹要員定員外にしておる官庁はほかには例がないということがはっきりしたこと、それから、その重要な基幹要員である常用職員定員外に置くということについては、恒常勤務かどうかによって内外をきめるのだということがはっきりしたこと、そこで恒常勤務かどうかについては、まだ行政管理庁の十分な了解が得られてない、あるいはまた林野庁行政管理庁との意思が一致していない。そこで、とにかく非常に近いという状態までは行っておるけれども、もう一つその点がはっきりしないので、いま恒常勤務だと断言することもできない、こういうことだと思いますが、現時点の把握はそれでよろしゅうございますか。
  73. 福田省一

    福田政府委員 二つの問題があるわけでございます。一つは常勤性を付与する問題と、もう一つは定員の中に繰り入れる問題、これは似ているようでございますが、違っている点でございます。統一見解の中で検討していますことは、常勤性付与の問題にあるわけでございます。したがいまして、次の段階として、定員内外の問題が出てくるわけでございますけれども、そういうふうに解しております。
  74. 湯山勇

    湯山委員 これはきょうじゃなくて、次の一般質問のときに時間をもらって、その問題をお聞きしたいと思います。  せっかく人事院お見えになっておられますから、時間も参りましたけれども、あと五分ばかりありますから、ぜひお聞きしておきたいことは、この統一見解のおしまいのほうに、いまのような状態の人です、いまのような状態に置かれておる基幹的な作業員と書いてある、職員と呼んでも同じですが、これらの基幹的な職員制度的に常勤職員とすることについては、国家公務員の体系にかかわるなかなか困難な問題だとある。一体、国家公務員の体系にかかわるどう困難な問題か。これは人事院のほうの御所管だと思うのですが、その点をひとつ、この問答をお聞きになられておわかりと思いますから、それに立って御説明を願いたいと思います。
  75. 渡辺哲利

    渡辺(哲)政府委員 現在、国家公務員の体系と申しますと、大別いたしますと、たとえば一般職と特別職あるいは現業職員と非現業職員あるいは定員内職員定員外職員というようないろいろな体系がございまして、それぞれ職務の態様なり責任の態様によって別個の体系を構成しているわけでございます。  ただいまの常用職員といいますのは、統一見解にも述べられておりますように、一応現在の形式は日々雇用非常勤職員ということになっておりますけれども実態を見ますと、統一見解にもございますように、たとえば勤務時間の点あるいは非常に長い間継続して雇用されるというような面から見ますと、常勤職員と類似している面もある。ただ、そういうふうに言いましても、現在定員外常勤職員を置くという制度が一般的にはございませんので、それは解決するのがたいへんむずかしいわけでございます。私どもといたしまして、そういう現在でき上がっております公務員法の体系の中で、何らか特殊な取り扱いをするということはむずかしい問題でございますので、統一見解にもございますように、十分関係省庁寄り合いまして検討いたしたいということでございます。
  76. 湯山勇

    湯山委員 任用局長、いまの御理解は違っているのです。日々雇用が継続するのじゃないのです。常用という人は二カ月更新の形ですかね。日々雇用の継続じゃなくて、二カ月更新で、しかも一年以上たてば、これは共済組合の適用もされます。定期のほうはされないのです。しかし、常用の人は共済組合のほうも適用されるし、したがって長期、短期の給付も受けます。それから、国の経営する企業勤務する職員給与等の特例法の適用も受けております。月ぎめの、いまの二カ月の雇用でも、八カ月で切れるという定期、九カ月で切れるという定期、六カ月で切れるという定期、これは適用になりません。しかし、いまのように、ワクからいってその中に入っているのです。それを認めておられる。だから、日々雇用の偶然の継続というのじゃないのですよ。十年、二十年やって、共済の年金適用になる。だから、これをいまのような把握でなさったのではいかぬので、その人たちをこうするというのが、どこに体系にかかわる困難な問題があるかということをお聞きしているのです。
  77. 渡辺哲利

    渡辺(哲)政府委員 現在、常用職員常勤職員とございますけれども常勤職員と申しますのは、いわゆる二カ月以内の期間を限って、従来常勤労務者ということばを使っておりますけれども、それは確かに二カ月雇用期間がございますが、常用職員と申しますのは、私どもは、一応二カ月というのは雇用予定期間であって、形式的には日々雇用というふうな理解で林野庁からも承っておりますし、また現在の体系ではそういうふうに理解せざるを得ない。いわゆる常勤職員というのは閣議決定で凍結されておりまして、その後の新しい任命はできないこと、現在いる職員に限られております関係もございまして、したがって、現在の体系の中ではどうしても形式的には日々雇用が二カ月間予定されておるというふうに私どもとしては理解せざるを得ないわけでございます。ただ、統一見解にも述べられておりますように、そういう問題がございますから、実態的に常勤職員と似た面もございますので、関係省庁寄り合いまして今後検討をしていくべき問題ではないかというふうに考えている次第でございます。
  78. 湯山勇

    湯山委員 時間がきて恐縮ですけれども、最後に、林野庁長官、いまの任用局長の理解ははっきり違っていますね。それから、常用の人は二カ月間の日々雇用の継続で、そう予定しておっただけで、そうじゃない。これはたいへん大きな違いで、ここが常勤とそうでないのとの分かれ目です。いまの、違いますね、人事院の理解は。これだけ、はっきりしておいてください。
  79. 福田省一

    福田政府委員 先ほど申し上げましたように、法律関係についてはあまり詳細にあれしませんけれども、私の理解では、一応いまの常用作業員国家公務員法上は日々雇用される非常勤職員であるということでございますけれども実態は、雇用の形式は、本人に対して辞令を渡しますその際に、あなたは雇用期間は二カ月ですけれども、黙っているときはそれはずっと更新しますよ、ということになっているわけです。そうしまして、一年も二年も三年もというふうな状態が実態でございます。
  80. 湯山勇

    湯山委員 長官の御答弁ははっきりしています。ですけれども、時間がありませんから、任用局長、いまの点、もう一ぺん検討してください。間違っておったら当然直さぬといかぬことですから、またそれも次の一般質問の機会にきょうの検討の結果に基づいて御答弁願って検討しますから、委員長、御了解願います。  では、おそくなりました。
  81. 佐々木義武

  82. 芳賀貢

    芳賀委員 最初に委員長に申しますが、本日の私の質問はあらかじめ明らかにしてあるわけです。それは昭和四十六年三月二十五日に当委員会において各党一致の林業振興に関する決議を行なっておるわけです。きょうは担当の農林大臣から、林業振興決議の実行についての具体的な政府としての責任ある答弁を求めるということで、きょうあらかじめ農林大臣の出席を求めておるわけでありますが、農林大臣の出席の点についてはどうなっておるか、委員長から御説明願います。
  83. 佐々木義武

    佐々木委員長 芳賀委員に申し上げますが、農林大臣はきょうは参議院の委員会のほうに出席しておりまして、どうしてもこちらのほうに来られませんので、理事会にもおはかりいたしまして、あらかじめ了解の上で、一般質疑ということで、きょうこの会議を開いたのでございますから、御了承いただきたいと存じます。
  84. 芳賀貢

    芳賀委員 私の質疑の中で当然政府を代表した農林大臣の直接の答弁説明が必要になる点が出てくるわけですが、そういう場合にはその部分については保留をして、次回、農林大臣出席の際に明確にしてもらう、そういうことでいいですか。
  85. 佐々木義武

    佐々木委員長 そういうふうに計らいたいと思います。
  86. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、林野庁長官に尋ねますが、一昨年当委員会でいわゆる林興決議なるものを全会一致で行なっておる。これを受けてまた参議院においても同様の内容の決議が行なわれておるわけであります。この林業振興に関する決議の内容というものがその後全国の市町村にも伝わりまして、特に都道府県議会あるいは市町村議会等においても、地方自治法の規定に基づいた議決を経て政府に対する意見書の提出、あるいはまた国会等に対しましても請願の手続等が行なわれておるわけであります。私の知る範囲では、全国の都道府県議会並びに全国の市町村議会等を経て正式に手続されたものが一千件をこえておるというふうに判断しておるわけでありますが、これを受けた政府、農林省においてはどのような件数を処理しておるか、その点をまず説明してもらいたいと思います。
  87. 福田省一

    福田政府委員 お答えいたします。  ただいま林野庁に出されております林業振興決議についての要望で、書類の形で出ておりますものが約八百五十件くらいでございます。先生指摘のように、一千件はまだ私のところではございませんけれども、おおよそ一千件近いものが出ているというように承知いたしております。
  88. 芳賀貢

    芳賀委員 すると、二百件くらいはどうしたのですか。私の手元には都道府県議会あるいは市町村議会の議決を経た林業振興に関する決議の早期実現を求める意見書の提出件数が載っておるわけなんです。あなたのほうは八百件というわけでしょう。あとの二百件はどうしたのですか。これは単純な陳情とか請願ではないですよ。
  89. 福田省一

    福田政府委員 ただいま申し上げました内容は概略申し上げましたので、たいへん恐縮でございます。正確に申し上げますと、県議会から議決されてまいりましたのが三十一件、市町村決議のものが六百五十四件、それから町村決議で同じように分収造林についてだけ独立して参ったのが四十件、合計いたしますと七百四十五件でございます。ただいま手元に届いておりますものを分類しておりませんので、私は約八百件と申し上げたわけであります。
  90. 芳賀貢

    芳賀委員 それが行政上の怠慢ですよ。あなたの言った数字は、ことしの二月下旬に、この問題について全国の代表者が櫻内農林大臣に直接会見した際に、都道府県別の市町村議会等の議決の内容等については大臣に渡してあるわけです。たとえば大臣出身の島根県では十八の市町村が議決している。さすがの大臣もびっくりしたのです。その後、出てきたものを全然整理していないということでしょう。
  91. 福田省一

    福田政府委員 たいへん申しわけないと存じます。速急にいま整理いたしておりますけれども、怠慢であったことにつきましてはまことに申しわけないと思います。
  92. 芳賀貢

    芳賀委員 そういう始末だから、二年たっても大事な国会の意思に基づく議決というものが具体的な実施に入っておらぬということになるわけです。  そこで、きょうは大臣がまだ残念ながら出席をしておりませんので、この決議の内容について逐次項を追ってこちらから質問いたしますから、長官として責任をもって答えられる限りの明快な答弁をしてもらいたいと思います。  林興決議の第一は、特に二年たった現存の時点において、今日ほど国内における森林資源の拡大増強を必要とすることはない。これは昭和三十九年にわれわれが法律として制定した林業基本法にも明らかになっておるが、資源論的立場に立って森林資源を確保するということになれば、何をおいてもまず国有林といわず民有林といわず、全面的に造林の拡大を推進する。それも、民有林等の場合においては、単に民有林所有者の責任と意欲だけに期待することは今日の実情からするとできないわけだ。だから、当然公益的な立場に立って、民有林等についても国が全面的に責任を持って造林の拡大をするのは当然であります。このことが林興決議の第一項に掲げられておる。しかも民有林造林については、特に決議の中で、民有林の造林については、国が行なう分収造林制度というものを十分検討して、これを実現すべきであるという趣旨が明らかにうたわれているわけであります。それが二年たっても全然具体的な対案というものが出てこない。これは一体どういうわけだ。
  93. 福田省一

    福田政府委員 御指摘のように、わが国の森林の造成、基本的には造林の振興が一番大事でございます。民有林の造林と限らず、国有林の造林におきましても、これは当然去る二月にきめました資源の基本計画の線に沿って改正されたものでございますけれども、従来もそういう考え方に基づいて造林振興を考えておるわけでございます。  ただいまのところ、民有林の造林につきましては、先生ただいま御指摘ございましたように、まず直接山を持っておる人がみずから造林するということが基本的に必要なことでございますので、国はそういう造林者に対していろいろと補助あるいは融資その他の税制等の措置を講じてまいっておるわけでございます。  そこで、みずからできない場合、たとえば相当の奥地の水源林であるとかそういうところにつきましては、森林開発公団の分収造林でこれは行なっておるところでございますし、あるいはまた昔の薪炭林のような場所、こういったような場所で非常に造林がおくれておるような場所につきましては、各県が行なっております林業公社あるいは造林公社等の分収造林を推進しているところでございます。あるいはまた森林組合、これの委託造林あるいは協業造林等の推進をはかる、こういった方面に国がいろいろと助成の強化をはかっているところでございます。  そこで、国が直接行ないます分収造林につきましては、いろいろと先生ただいま御指摘のように、だいぶ前から出されている問題でございますけれども、こういった面との整合ということを考えながらただいま検討しているところでございますが、おしかりを受けましたけれども、造林の振興につきましては、このいま申し上げた方策と国がみずから行なう場合との整合、調整についていろいろと今後も慎重に検討してまいりたい、ただいまそう考えておるところでございます。
  94. 芳賀貢

    芳賀委員 いま私が言ったとおり、林興決議の第一には「国土保全、水資源確保、大気の浄化作用など森林機能の充実と林業生産の飛躍的な拡大ならびに森林資源の充実のために、造林の拡大と造林内容の充実をはかること。  そのために、民有林対策として、市町村等の所有する公有林野および中小林家所有の私有林の高度利用を目的とした「国が行なう民有林野の分収造林等に関する制度的措置」を検討し、その実現に努めること。」こうなっておるわけです。これに対して、当時の倉石農林大臣は、委員会に対しまして、ただいまの委員会の御決議についてはその趣旨を十分尊重してこの実現につとめる、そういう趣旨の政府代表の答弁を二年前に行なっておる。しかも、分収造林制度というものはいまに始まった問題ではないでしょう。あなたは林野庁長官だから、若いときから知っているでしょう。  たとえば官行港林といわれた公有林野等百行造林法というものは、これは大正九年七月に制定されておるわけです。これは公有林を対象にしたのですね。民有林の中の公有林を対象にして常行造林を行なう。大正の初年ですから、何でも政府、お上はこれは官と言ったものだ。一般国民は民である、役人は官であるというような、そういう官尊民卑の時代にできたいわゆる常行造林法、これをいまの時代に当てはめれば、国営分収造林法ということになるわけです。この制度昭和三十六年五月まで続いたわけですね。これも、国民が必要でないということで廃止したわけではない。昭和三十一年四月に、森林開発公団法というものができました。これは最初は世銀の借款によって主要なる森林地帯の林道開設のための目的で森林開発公団というものが昭和三十一年の四月にできたわけです。ところが、世銀借款というものがあまり順調にいかなかったわけだ。そこで、今度は、森林公団の延命策として、特に保安林等については森林公団が造林事業を行なうということで、結局無理やり官行造林法の廃止法案というものを三十六年の五月に出して、当委員会においては当時激論をしたわけです。そういう経過で、これはついに自民党の多数で強行採決のような形で大事な官行造林法というのが廃止になって、その後は保安林を中心とした森林に対して、公団造林というものが分収造林の形で行なわれておるわけです。  だから、歴史的には大正九年から国営造林法というもので私有林以外の公有林に対しては事業を行なって、いまちょうど自行造林によるりっぱに生育した森林の伐期に入っていることはあなたも知っているとおり。特に大阪営林局管内や東京営林局管内等においては、林野庁自身もこの官行造林の分収によって黒字を出しておる。地元市町村はこれによって地元公共団体の財政的な利益を非常に亨受しているということになるわけです。したがって、この国会における国営造林制度を検討して実現すべし、このことが全国の都道府県や市町村にも受け入れられて、ぜひこの国営造林制度というものをすみやかに国会議決のとおりに政府において実行してもらいたい、こういう地域からの強い熱望、促進の運動というものが展開されていることは、あなた自身もこの二年間十分承知しておると思うのです。農林大臣が決議の趣旨を尊重して積極的に努力するということを言明しておるにもかかわらず、担当の一番大事な林野庁長官自身がまだ検討段階であるというふうなことは、これはまことにふらちな態度じゃないですか。だから、われわれは、本来であれば、政府から、内閣から、この種の法案というものは少なくとも森林法改正等とあわせて単独に提案すべきものを、熱意がないわけですから、われわれ社会党としては国会の議決に加わった責任もありますから、社会党の議員提案としてことしの四月に国営造林法なるものを国会に上程して、当委員会に付託になっていることは御承知のとおりであります。政府がやるべきことをやらないから、立法府の固有の責任に基づいて議員提案の法律案を出しておるわけです。これをどう受けとめておられるか。こういう点は農林大臣でなければ責任のある答弁はできないわけだが、実際の林野行政を担当する林野庁長官として、いまのような答弁では済みませんよ。これはもう早晩森林法改正法案とあわせて、民有林の国営分収造林法案というものは同時的な審議を当委員会で行なうことになるわけですからして、きょう答弁をごまかしても、数日後の本格的な審議の場においては、どうしても農林大臣あるいは政府からこれに対する明快な方針というものを示されなければ審議は進まぬということになるわけです。一体どう考えておられるのですか。
  95. 福田省一

    福田政府委員 国営分収造林の法案につきましては、この振興について多数の各全国の町村の議会その他から陳情を受けておることは御指摘のとおりでございますし、私も十分承知しておるわけでございます。この法案につきましてただいま先生の御指摘がございましたけれども、ずいぶん長いことかかっているではないか、こうおっしゃいます。確かに非常に重要な問題でございますので、非常に慎重に検討している段階ではございますが、ただ、私がここで申し上げますのは、繰り返して申し上げますけれども、やはり造林の振興というものは、国が、どうしても自分でできないところを応援してやるということが基本的な姿勢ではなかろうかと思っておるわけであります。  そこで、普通の農業とかなんとかと違いまして、森林を育てるということは非常に長年かかるということは私から申し上げるまでもございません。四十年、五十年、場合によっては百年かかるということでございますので、やはり土地を持っている人が自分で植えて管理し、これを子々孫々に伝えてやるということが基本的に山をつくっていく問題点ではなかろうかと思うわけでございます。したがいまして、基本法の第七条にございますように、山を持っている人あるいはその山の関係の団体、こういう人たちが造林その他についての事業をやる場合に、自主的な努力を助長するということがそこにあるというふうに私は解釈しておるのでございます。そこで、これをできないところは国が応援してやる。私は、どうもあまりがんこじゃないかとおしかりを受けるかもしれませんけれども、まずそこから出発しなければならないというふうに思うわけでございます。そこで、その中間には、自分でできない場合には森林組合がいろいろ応援してやる、あるいは奥のほうに行きますと県の林業公社とか造林公社とかがこれを応援してやる、あるいはもっと奥地に行きますと、水源地のようなところは森林開発公団が分収造林という形をとって、さらにできないところがあるとすれば、国が応援してやるということをやはり十分慎重に考える必要があるということで、非常な時間と日数をかけておるものでございます。  御指摘のように、官行造林制度というものがございまして、これはその当時は町村の持っております山が非常に荒れておったということから出発したものでございますから、少し答弁が長過ぎて恐縮でございますけれども、一応率直に私の考えを申し上げたわけであります。
  96. 芳賀貢

    芳賀委員 あなたは自分のことをがんこだと思っているのですか。がんこというのは、背景に信念的なものがあって自説を曲げぬのががんこだ。あなたのは、がんこというのじゃなくて、頑迷固陋というのだ。当然長官の責任でやらなければならぬことをやらないでおるわけでしょう。官行造林にしても、先ほど指摘したように、森林開発公団にこれは昭和三十六年以降肩がわりしたわけでしょう。それも官行造林時代よりも非常に弱い形で森林開発公団に分収造林をやらしておるわけですからね。それも毎年毎年開発公団に対しては林野特別会計等から出資を行なって、そうして開発公団の補強をはかっておる。当然国が直轄でやるべき林道等についても、これも仕事がなくなると困るということで森林開発公団にやらしておる。そういう変形した形で国の行なうあるいは公的機関の行なう分収造林制度というものが今日も続いておるわけです。  さらにまた、長官は、民間でも造林公社等が民有林に対して分収造林の事業をやっておるということを言っておるが、これはわれわれが昭和三十三年に分収造林特別措置法の審議をして成立さしておるわけだ。これは私有林に対しても法律に基づいた分収造林ができるということになっておる。しかも、この推進にあたっては、その後、林野庁長官の通達として、この民間に対する分収造林の特別措置法に基づく造林事業の分収割合については、まず二者契約の場合は土地所有者が分収割合を四割、造林者が六割、ただし北海道については土地所有者が三割、造林者は七割の分収でいくべきであるということを示した。この分収造林法とこれに対する林野庁長官の指導通達によって、これを基礎にして各府県等においては造林公社等の分収造林というのは行なわれておるわけです。  だから、ますますこのような分収造林事業というものは内容も貧弱であり、一番大事な中小林家の私有林等に対する強力な公益的な造林施策というものが実行できないという難点があるわけです。われわれの主張するのは、その分収割合については土地所有者である林家と事業を行なう国が五割五割の分収割合で進めるということを基本にしておるわけです。だから、国営造林でやるか、あるいは公団造林でやるか、あるいは民間の公社造林に依存するかというような点は、むしろ土地所有者である林家等の判断においてこれは行なわれるべきものだと思うのですよ。それを、国の責任を回避して、公団がやっておりますとか公社がやっておりますということで、それを理由にして大正年間から始まったいわゆる官行造林を今日はこれを拡大して私有林も含めた民有林全体に対する国の行なう分収造林制度というものを実現するということは、これは単に国会の意思だけでなくて、国民全体が要求しておる点だと思うのですよ。そういう点がわからぬのですか。
  97. 福田省一

    福田政府委員 御指摘のように、国が行なうこういう分収造林につきましては、繰り返して申し上げますけれども、やはり基本姿勢としましては、造林の振興のために、いま申し上げたまず山を持っておる人がみずからやる、それの足らぬところをいろいろといま申し上げた手段で国がその背景、つまり森林組合の委託造林とかあるいは公社造林とかあるいは公団造林という制度が現にございますが、その中で特に県のやっておりますところの林業公社の造林の成績というものが非常に伸びてまいっております。また森林開発公団の事業も、毎年二万ヘクタールぐらいでございますけれども、順調に伸びてきておる。ただ、一般の民有林の造林につきましては、確かに造林量の減少はございます。その背景には、そういう伐採量の減少等のこともございましょう。しかし、その中でも造林の形態としては森林組合の委託がだいぶ伸びておりますからそういうことでございますので、何べんも繰り返して申し上げてまことに恐縮ではございますけれども、なお慎重に――私は先生のおっしゃることがだめだとか反対だとか申し上げておるのでは決してございません。ただ、そういう姿勢に立って国としてはやはり慎重にこれに対処していかなければならないわけでございまして、ひとついましばらく御猶予願いたいと思うわけでございます。
  98. 芳賀貢

    芳賀委員 何もあなたに、お願いしますとか、どう思いますとかいうことを聞いているのじゃないのですよ。本来これは農林大臣がいまの田中内閣として答弁すべき問題であって、自民党の田中内閣がいま長官の言ったような答弁をするのであれば、やむを得ぬということになるのですよ。ところが、ほんとうに事業を担当する、行政を担当しておる者がそういうへっびり腰の答弁では、これはできることも全然できないでしょう。そういうことを言ったら、あなたが長官在任中は一歩も進まぬということになる。これは、ブレーキをかけるために長官をやっておるということにしかならぬじゃないですか。  次に、お尋ねしたいのは、この大事な国営造林実現のため、国会の議決を全国の市町村等においても大いに推進しておるわけです。ところが、奇妙なことに、全国の森林組合連合会あるいは都道府県連合会が、国が行なう分収造林制度というものはこれは民有林の国営化につながるおそれがあるので、こういう国が行なう分収造林制度というものには反対である、そろいう反対の行動とか陳情というものがいま展開されておるわけです。しかも各都道府県から出される電報の内容等は全く同一の文章によるものであるからして、これは当然中央からこのような電報陳情の指示をしておるということは間違いないわけです。それで、われわれはいろいろ調査を進めておるわけでありますが、おそらくこれについては、いま長官答弁によっても大体わかるわけですが、あるいは林野庁当局がこの種の反対陳情、反対運動に対して指示を与えておるのではないかという説がわれわれの耳にも入っておるわけです。もし、国営分収造林制度というものを抑制するために、森林組合等をけしかけたり、あたかもそれが現地の切実な声であるというような擬装をした運動をするということになれば、これは重大な問題になるわけです。そういうことをやっておるかどうか、この点を明確にしておいてもらいたい。これはもう内容は明らかになっております。
  99. 福田省一

    福田政府委員 そういう点については、林野庁から指示いたしておりません。
  100. 芳賀貢

    芳賀委員 そういう点が判明した場合、あなたはどうしますか。私じゃなくて部長課長がやったかもしれませんなんて、そういう答弁をしますか、そのときには。
  101. 福田省一

    福田政府委員 この件については、部長課長は私が信頼している部下でございますので、絶対にないものと確信しております。
  102. 芳賀貢

    芳賀委員 これは後日、法案審議のような際にまた具体的にこういう問題については実態を明らかにしていきたいと思います。  次に尋ねたいのは、最近、特に営林署所在の地元市町村から、政府として営林局あるいは営林署の統廃合の方針を具体的に地方に流しておるが、こういうような方針がもし強行されるようなことになれば、たいへんな事態になるというような不安と、あるいはそういうことが事実かどうかというような連絡がわれわれのほうにも来ておるわけです。われわれは国会におるわけですからして、そういう動きが具体的にあるとすれば、あるいは農林省の方針の中に示されておるとすれば、地方よりもわれわれのほうが先に承知しておらなければならぬ問題でありますけれども、中央にはそういう動きは全然ない。ところが、地方においては、切実に、特に営林署の統廃合の問題等については、地元市町村等においては非常な心配をしておる、これは一体どういうわけですか。
  103. 福田省一

    福田政府委員 御指摘の各営林局の下部組織の営林署の問題につきましては、昨年の林政審議会の答申を受けまして、その内容を簡単に申し上げますと、従来の国有林の経営におきましては……(芳賀委員「そういうのは簡単にやってください。」と呼ぶ)ということを受けまして、ただいま検討中でございまして、具体的にどこの営林署を廃止するとかいうふうなことにはいたしておりません。
  104. 芳賀貢

    芳賀委員 長官、それは間違いないですか。林野庁として特に地方の営林局等を通じてある程度具体的に営林署の統廃合等の問題について方針を示しておるということはないわけですね。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕 われわれは、万々そういうことはないということを信じておるわけですが、地方にはたまたまそういう説が流れておるわけだから。いまの答弁によると、そういうことはないというようなふうにも受け取れるわけですが、この点は明らかにしておいてもらいたい、林野庁長官として。
  105. 福田省一

    福田政府委員 林政審議会の答申を受けていろいろまだ検討中でございますけれども、そういった問題についてはきめておりません。
  106. 芳賀貢

    芳賀委員 ここではっきりしておきたいことは、たとえば、営林局等の廃止等については、当然、農林省設置法の改正を行なわなければ、これは政府がどう考えても、法律手続を経なければ、営林局を減らす場合も、ふやす場合もできないわけなんです。ただ問題は、営林署等の統廃合は必ずしも法律事項ではないですから、ここにやはり問題があるわけだ。しかし、いま長官の言明によりまして、そういうことは具体的に方針も立っておらぬし、それは示してない、全くの杞憂であるということが明らかになったので、この点はこの際確認しておきます。  次にお尋ねしたいのは、最近、特に田中内閣になりましてから、日本列島改造構想などに刺激されて、森林の買い占めあるいはゴルフ場等に名をかりた乱開発、それを進めるために大事な保安林指定地域の解除等が一連の関係をもって進められておる。はなはだしいのは、林業構造改善計画にまで便乗して、こういう批判を受けるような問題を進めている向きも実は実例としてあるわけです。たとえば、昨年の衆議院決算委員会において、函南町の相当大面積の保安林解除を林野庁が安易に行なったという問題で、時の赤城農林大臣でありますが、追及をされた経過もあるわけです。この保安林解除については全国あとを絶たないわけです。むしろこの際、特に公害を防止する、緑を回復する、水源の涵養あるいは国民の保健、休養等の面から見ても、今日ほど国有林といわず民有林といわず、森林の持つ公益的機能を十分国の責任ではっきりしなければならぬことは、国内問題だけではなくて、国際的な林業、森林の天然資源の面から見てもたいへん重要な点であります。それにもかかわらず、これと背反したような立場で林野庁が――せっかく貴重な保安林としての指定を行なっておる。これの根拠は、保安林整備臨時措置法に基づいて、民有林等においては保安林の指定を行なった場合に、必要な地域においては、これを国が買い上げを行なって保安林の整備、維持管理を行なっておるというのがこの制度内容であります。それを安易に保安林の解除を進めておる。ここは全く逆行したやり方をいまの農林省林野庁がやっておるということになるわけです。解除したあと、どうなっておるかというと、それは、先ほど言ったようなゴルフ場の建設であるとかあるいは別荘地をつくるとかあるいは観光道路をつくるというような、そういう目的に供するために保安林の解除が行なわれておる。こういう点についても私ども社会党としては、多くの実例というものを現地調査によって十分掌握しておるわけです。保安林解除というのは、これは法律でも重要な一定の規定のもとにおいて判断して行なうことになっておるわけであるし、これは森林法とも重要な関係を持つわけでありますから、一体保安林解除に対して、農林省として林野庁としてどういう姿勢と方針で対応しておるかということをこの際明らかにしてもらいたいと思うわけであります。
  107. 福田省一

    福田政府委員 御指摘のように、最近保安林の解除につきましては、その内容がゴルフ場あるいは住宅いろいろございます。ただ、法律の面ではこの保安林は解除できるとなっておりますが、大きな制限がついておることは先生御承知だと思います。この点につきましては、なおこの法律では二つの場合があるわけでございますけれども、そういうことに限らず、もっときびしく、もっと具体的に保安林の解除の基準を定めていくことにただいま検討中でございます。
  108. 芳賀貢

    芳賀委員 何も検討しなくても、いまの保安林整備臨時措置法の目的に合致した運用をやればいいわけでしょう。しかも、国会で抽象論でなくて具体的な問題を指摘されれば、解明ができなくてまことに申しわけありません、今後厳重に注意しますということを繰り返し、繰り返しやっておるじゃないですか。そこに大きな欠陥があるわけです。何のためにそういうことをやるかというと、あるいは政治的な圧力等が加わって不本意ながら林野庁として解除する場合もあると思うのですよ。だから、こういう点は、やはり今後保安林の指定、解除等の問題についてはあくまで厳正な立場を堅持して、全国の森林に対するいろいろな目的からこれは保安林として指定の必要があるという場合は、当然法律の権限を発動してもできるわけだから、あるいは強制介入もできるということになっておるわけですから、いまのような逐次保全林というものを安易に解除して、それが公害の発生源になる、国民の非難を受けるということにならぬように、十分これは注意すべきであると思うのですよ。これは大臣から答弁をしてもらう必要があるのですが、きょうは政務次官がわざわざすわっておられるので、この点については大事な点ですから、答弁をしておいてもらいたい。
  109. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 先生指摘のとおり、保安林の解除の問題をめぐってはいろいろ問題が起こっておることもるる聞き及んでおります。しかし、何はともあれ、その保安林の解除の問題点は、国家の立場だけでなく、地元住民の意見を十分聴取したり、あるいはまたどういう形において解除すべきなのかということを現行法に基づいて十分調査をした上で考えていくべきである。この基本方針は一貫して変わっておらないと思うのでございます。いまからも存分に注意いたしまして、それでなおかつ足りない点がありましたならば、これは当然森林法の改正とかまたいろいろの問題にも波及するかと思いますけれども、しかし、現行法に基づきまして現在の森林を守っていくということには全力をあげていくことを私どもも政府当局として命じたいと思っております。
  110. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、時間の制約もあるので、大事な点だけをお尋ねしておきます。  これは林興決議の第四項になるわけでありますが、外材の輸入の問題であります。これは林業白書によっても、昨年の一年間の木材消費量が一億立方メートルをこえておるわけです。その供給源は国内の供給が全体の四五%、あと不足分の五五%以上は外材に依存しなければ木材の供給を果たすことができないというのが実態であります。ところが、外材依存が六割、七割に高まるとしても、それでは諸外国から不足分をどんどん供給してもらえるかというと、そういうことにはならぬわけでしょう。たとえばアメリカ議会においては、ことしから従来の木材の輸出実績をとりあえず一〇%削減するということを、もう決定しておるわけです。この規制がますます強化されることは言うまでもないわけです。あるいは資源国のカナダ等においても、今後はカナダにおいての一定の製材規格に基づいた製品、半製品を製造して、これを日本に輸出するという強い主張を行なっておるわけであります。あるいは開発途上国においても、国連の天然資源保護の立場から、各国々においても天然資源と森林資源等については、単にこれを経済的な判断からだけで乱伐して輸出するような点については十分反省して、天然資源あるいは自然環境を守るという方向に国連を通じても基本が変わってきておるわけであります。そうなると、石油と同じように、食糧と同じように、木材資源等についても、いままでのように安易な考えで、足りない木材は幾らでも安く買うことができるなんていう考えはもう捨てなければならぬときになっておると思う。そのために、先般、長官も、国会開会中であったにもかかわらず、わざわざ外国の木材事情等を調査に行ってきておるわけです。  こういう木材の需給が国際的に窮屈になるということになれば、当然経済関係というものはいやでも応でも売り手市場ということになる。買い手国が優位性を持つというのではなしに、輸出国が価格においても数量においても優位性を保つ。いわゆる売り手市場、食糧、木材あるいは石油資源等においては、そういう経済的な力関係に今度は変わってしまったわけです。そういう中において、過去一年間木材輸入の中心勢力である大手商社の先般の三月決算を見ても、大手商社だけで木材の輸入販売によっておおむね一千億円をこえる不当利益をあげておるということは、担当の林野庁長官としても十分内容を承知しているところだと思うのです。大手の商社がもうかるということは、不当利益をあげるということは、その分を全部直接間接に国民負担に転嫁するということになるわけです。だから、林興決議にも明らかになっておるとおり、自由化の路線の上に立った無計画な大手商社を中心とした木材輸入の貿易形態というものを根本的に立て直す必要があるということが、林業振興決議の一項目をなしておるわけです。  われわれの主張としては、自由貿易主義でなくて、少なくとも食糧管理制度のもとにおいて輸入の米や麦が国家貿易として取り扱われておると同じように、とにかく年間消費量の五割以上を外材に依存するというようなことになれば、これらの木材輸入というものは、当然国の管理体制というものを強化してわれわれの主張としては、当然これは国家貿易に移行させるべきであるという主張であります。ことしの春の予算委員会の分科会等において私は愛知大蔵大臣にこの点を提起したわけでありますが、大蔵大臣も私個人としては芳賀委員の意見には賛成であるというような――これは個人というただし書きがついておるわけであるから、あれですけれども、今後食糧をはじめ主要な木材あるいは原料等については当然貿易制度についても国の介入した国家管理貿易、あるいは貿易の規制、あるいは木材輸入等に対して国が一定率の課徴金を賦課して、この課徴金の制度によって需給の調整あるいは国内木材等の価格調整等をはかる機能を十分に発揮する必要があるわけです。ですから、ことしの一月の四十八年度予算編成の際にも社会党としては以前からの主張をぜひ四十八年度の予算の編成の中に――たとえば国有林野事業の特別会計制度の場合においてもますます大きな要請が高まっておる。国有林野事業の中で公益的事業を拡大するためには、これは林野事業の収益だけでまかなうことはできない。だから、公益的機能発揮に必要な公害防止とか、自然環境の維持であるとか、保健休養に関するような事業については、必要額を一般会計から国有林野特別会計に繰り入れる。それを受け入れるために、たとえば公益勘定というような新しい勘定科目を設けて、そして有機的に、拡大的に森林政策や林業行政が進むようにしたらどうかということは、ある意味においては、常に強力にこれは推進しておるわけです。この点についても、当然これは農林大臣あるいは財政担当の大蔵大臣から直接明らかにすべき問題でありますが、とにかく何でもかんでもへっぴり腰で仕事をしておる林野庁の姿勢をまず変えなければ、先ほど同僚湯山委員指摘をした問題についても、四十六年四月の政府統一見解というものは、実はいまここで議論をしておる国会が議決した林業振興に関する決議の趣旨を受けて、そうしてその後政府関係機関においていわゆるあのような統一見解なるものがようやく出されたという経緯が実はあるわけであります。  ですから、この際、今後の外材輸入に対してどういうような体制で国民の要求にこたえるかという問題と、貿易制度に対してはどのような形態制度的に変革されなければならないかというような問題、あるいはまた国産材との需給調整、価格安定のための価格調整等の政策については具体的に事態に適合するためにどうするかという点について、対案があればここで示してもらいたいわけです。なければ、残念ながらありませんでも、これはやむを得ぬけれども、以上ただしまして、きょうは私の質問を終わりたいと思います。不明な点はあとで農林大臣から明らかにしてもらいたい。
  111. 福田省一

    福田政府委員 外材の問題につきましては、御指摘のように、昭和六十年ごろの最盛期には六五%近くになる見込みでございます。これは重大な問題でございまして、先ほど先生からもお話がありましたように、アメリカがこういう状態で非常に制限をいたしております。  その隣の国のカナダに交渉に行ってまいったわけでありますけれども、やはり全体の傾向といたしましては、出すほうの国は、従来のような日本の買い付けの方法では困る、必要なときにはたくさん買って、要らないときはさっぱり買わぬ、そういう変動は困るので、やはり長期にわたってそういう姿勢を示してもらいたい、計画的に輸出できるようにしてほしい。それからもう一点は、原料という形でなしに、加工されたものでそれを輸出するようにしたい、それならば幾らでも協力しようということが、カナダの場合にございます。  また南方のほうにおきましても、もう一つ違った点は、切ったあと植えてもらわなければ困る。それからまだ使える木はあるだろう、いい木だけを持っていかずに、もっと使える木を研究して、切ったあとを緑化してほしい、そのための技術援助であるとか資本援助をしてもらいたいという、大体そういったような要請が外部から強いわけであります。  したがいまして、長期にわたって計画を立ててやる。それから、おそらく加工された形で今後購入しなければならぬことになりますから、国内のそういった受け入れ体制を準備する必要があるということ。それから長期に契約しますと、需要のアップダウンによってむだが出る場合もございます。ですから、備蓄の制度を考えなければならぬということがあるわけでございます。それと同時に、国内のそういった林産業、流通業の構造改善をやらなければならない。それからさらに、基本的にはやはり国内の資源の充実を早くするということと、未利用の資材も日本にございますから、そういう方面の開発研究をもっと進めるというようなことが大事でございます。そういったようなことが基本的な考え方でございます。  これらの問題につきまして、ただいま実は――従来、私たちは山林を所有している人とかあるいは加工している人たちを対象にいろいろと相談しておったのでありますけれども、まず末端の消費者だとか、あるいはその途中の加工をする大工さんの代表、いろいろなグループを集めまして研究会をつくっておりまして、近くそのほうから意見をいただきまして、四十九年度予算に間に合うように早急に一つの方針を出したいという状態になっているところでございます。
  112. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 次に、柴田健治君。
  113. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 同僚議員から林業関係についていろいろ御質問がされたので、私は具体的に林業に関する問題で質問を申し上げたいと思います。  まず、マツクイムシがいま発生の花盛りといわれているわけです。御承知のように、昭和二十一年に発生を見、二十三年、二十四年、二十五年がピーク時で最高を記録した。そして四十年代に入って、四十五年からまた発生をした。四十六年、七年、八年ということで、いまピーク時になっており、戦後二回目の最高の被害を受けようとしておるわけですが、私たちはこの二十数年にわたって、マツクイムシの対策、この原因の究明なり、またそれに対処する機能が林野庁にあるのだろうか、どういう疑問を持っておるところであります。聞くところによれば、相当の研究もし、また新しい害虫も発見した、その駆除方法も考えてやっておるのだ、こう言われるとは思いますけれども、なかなかはかばかしくいっていない、どういうわけだろうということで、どうも私たちは林野庁のやり方について不信感を持たざるを得ない、こう思っておるのであります。  現在、マツクイムシの被害面積、同時に被害の数量、その内訳は、民有林、国有林がどういうことになっておるのか、その点をひとつ御答弁願いたいと思います。
  114. 福田省一

    福田政府委員 御指摘のように、最近非常にマツクイムシが発生しておりまして、現在その内容を申し上げますと、主として九州地方、瀬戸内海方面でございますけれども、四十六年度においては被害材積が二十八万九千立方、これが九州。瀬戸内海で十六万七千立方、その他が四万九千立方。合計しますと五十万五千立方という被害材積になっておるわけでございます。四十五年度は三十九万、四十四年度は四十万ということでございまして、だいぶふえてきております。四十七年度の見込みでございますけれども、これが六十万立方メートルくらいになるだろうと推定いたしておるところでございます。
  115. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 地域別に言われたのですが、だんだんふえていく。これはどういう原因なのか。そのつかんでおられるいままでの中身というか、その点、簡単に御説明願いたいのです。なぜふえるのか。
  116. 福田省一

    福田政府委員 一つには、瀬戸内海と九州に特に多いということは特異な現象でございます。それは基本的には、あのマツクイムシは大体二十度以下のところにはあまり発生いたしておりません。したがいまして、関東北部、東北それから日本海側はあまりないわけであります。そういう点が一つございます。  それから、最近の原因といたしましては、台風等が四十六年に非常に来まして、樹勢が非常に弱ったということも推定されますし、また特に瀬戸内海方面には工場が相当出ておる。その煙害によるもので木が弱ったというふうなこともいわれております。  いろいろ原因はございますけれども、瀬戸内海と九州に多いということは、やはりそういった気温の問題であるとかあるいは台風常襲地帯であるとか、それに加えてまた工場の煙害等の相互作用によって非常に発生してきているのではなかろうかと思うわけでございます。
  117. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 駆除計画はどういうことになっているのですか。たとえばいま林野庁で指導しておる計画、個人にはどういうふうにやらしているのだ、木材業者にはどうやらしているんだ、地元の駆除班にはどういうことをやらしているんだとか、林業推進隊にはどういうことをやらしているんだというような計画があるはずだと思うのですが、この駆除計画。それから地上散布でやるのか空中散布でやるのか、そういう点の計画をひとつお話し願いたい。
  118. 福田省一

    福田政府委員 駆除計画をちょっとこまかになりますが申し上げます。  これは農林水産技術会議の特別研究といたしまして、昭和四十三年度から四カ年の計画で、国立の林業試験場で松類枯損原因につきまして試験研究を進めてきましたところが、激害地におきますところの松類の枯損は、先ほど先生もちょっとお触れになりましたけれども、マツノマダラカミキリが媒介する。このマツノマダラカミキリが媒介しますところのその中について見ますと、松の材線虫、これは一匹の虫に一万から二万くらいの材線虫がついているといわれています。これが春先に樹冠の葉っぱを食いまして、そこから材線虫が入っていくということで、木の中のいろいろな導管類をふさぐということから枯損いたしておるということがわかったわけでございます。  そこで、まずこれを駆除する方法でございます。従来はこれにかかった場合には切って焼いたりいたしておりましたし、あるいは薬をかけておったのでありますが、原因がはっきりいたしましたので、まず五月、六月ごろに薬剤を散布しまして、マツノマダラカミキリを駆除するということが基本的な方法でございます。従来は枯れてから伐採しておった。これは予防に重点を置いていかなければならぬということから、いま五月、六月にこの薬剤を散布しまして、もう第一回は五月にやりました。第二回は六月にまた計画中でございます。こういう方法によりまして、予防の万全と、かかったものにつきましては、秋口の場合には、それを伐倒して薬をかけるということにしておるわけでございます。そこで、具体的には公有保安林等の重要な場所につきましては、直接の国営の防除をいたしております。そのために全部国が経費を持ちましてこれを駆除させる。そういった重要な森林地帯はそういたしております。それから民有林でこういった被害が出ました場合には、いろいろと補助をいたしておるわけでございます。  参考までに申し上げますけれども、四十五年度は九億台の予算でございます。九億一千四百万円、四十六年は九億九千五百万円、四十七年は十億一千六百万円という予算を組んでいるわけでございまして、四十二年を一〇〇といたしますと一九二、約倍に予算を増加いたしております。
  119. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 四十八年度のことしの病虫害の防除費は九億八千万ほどですが、これでことしは十分だという考えですか。
  120. 福田省一

    福田政府委員 予算がこれだけあればもうこれで十分なんだ、もうだいじょうぶだということまでは申し上げられませんけれども、重点的にこれだけ計画して、瀬戸内海の十四県につきましては直接国営防除ということまでいたしております。国と県と総力をあげて駆除いたしておりますので、これだけの予算を持ちますならば、発生はまずおおむね食いとめられることは可能だと思っておりますけれども、決してそれで十分だとは実は考えておりません。
  121. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 被害の発生数字を見ると、ことしは六十万立方米というような膨大な数字になっておるようですが、私はこのマツクイムシに対する基本的な考え方があなたは違うのじゃないかという気がするわけです。たとえば人間でいえば、法定伝染病にかかった、たとえばチフスだとか赤痢にかかった。十人発生した。予算の関係やいろいろな関係で八人しか隔離できないし、八人しか治療ができない。二人だけは自宅で寝させておけというのと一緒じゃないか。マツクイムシは植物の法定病として単年度で勝負する、全部撲滅するのだという基本的な考え方がない限り、普通の一般の公共事業のように、まあ予算のあるだけやっておけばいいのだ、残ったらまた明年やればいいじゃないか、こういう考え方があるとするならば、何年たってもマツクイムシの完全防除にはならない、こう私は思うのです。マツクイムシというものは植物の法定病という考え方を持っておるのかどうか、その点、長官、どうですか。
  122. 福田省一

    福田政府委員 このマツクイムシは法定されておりまして、ほかの重要な害虫と同じように特に法律でも指定してございます。
  123. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 そういう考え方なら、単年度で全部撲滅できるはずじゃないですか。翌年へ回さなければならぬというようなやり方をしておってはならぬ。翌年にほとんど回っているから、さいの川原で石を積むように、幾らやってもどんどん翌年には蔓延していくという結果だ。あなたたちは、もう人間の法定伝染病と一緒だ、こういう考え方で、発生したらその単年度で勝負をする、撲滅する。予算が多少窮屈な中では、予備費を使ってでも、二十億要ろうと三十億要ろうとやっていくのだ、そういう考え方でない限りこれは撲滅できないと私は思う。その点はどうですか。
  124. 福田省一

    福田政府委員 御指摘のとおりでございます。ただ、四十八年度から基本的に変えましたということは、従来はマツクイムシの被害にかかって、赤くなって枯れたというところから始末しておったのでありますけれども、今度はこの原因がわかったわけでございまして、四十八年度からは予防対策に重点を置くということにいたしたわけでございます。したがいまして、いま申し上げました重要な十四県に対しまして徹底した予防を講ずることによって、まず先生の御指摘の線に近くなるというふうに考えております。
  125. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 ここであなたと私の質疑の中で、まあ信頼をしてもいいのですが、実際問題として、それなら具体的にお尋ね申し上げますが、いまの補助基準、単価は私たちはおかしいと思うんですよ。ほんとうにやらなければならぬというものなら、国はなぜもっと補助率を上げないか。たとえば国の補助は六分の二ですよ。そうすると五万三千九百円、約五万四千円としても六分の二だと国の補助は一万八千円、あとは全部地元負担。現実に五万三千九百円ではできない。実質はもう十万かかっておる。薬剤の消費量を見ても、林野庁は千二百リットル。しかし現地では千二百ではどうにもならない。実質は二千リットル要る。これだけ単価を低くして、せいぜい六分の二の補助で、実質的にはもう十万かかっておる。補助は一万八千円で地元負担は八万二千円だ。八万二千円地元負担をさせてそれで撲滅できる、こういう算用がどこから出るのか、長官、ひとつ数字的に説明願いたい。
  126. 福田省一

    福田政府委員 ただいま御指摘の単価の問題でございますけれども、一ヘクタール当たりにしまして、地上散布の場合におきましては、いまおっしゃいました五万四千九百三十六円でございますが、これは三回散布するものといたしまして、薬剤費は四万二千円でございます。それから散布費が一万二千九百三十六円、これで五万四千九百三十六円としているわけでございます。これは前年度に比較しますと約二〇七%増というふうになっております。それから空中散布によります場合には、これは二回散布でございますが、薬剤費が四万二千円、それから散布料が六千円、合わせまして四万八千円でございまして、これは前年度はございませんで、初めていま申し上げました予防を重点的にやるということから空中散布を始めたものでございます。そういう単価の内容になっておるのでございます。
  127. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 重要森林地域として、保安林だとか、自然公園だとか、そういう地域には全額国が持つべきだ、こう私たちは思う。ところが、全額持っておるように言われますけれども、実際は持っていない。みな各都道府県が負担をしておる。全額持っていない、そういう実態なんです。それ以外のところをもっと基準を上げたらどうですか。正直言うて、単価基準も上げるが、補助率も上げる、この考えがない限りは撲滅はできないと私は思う。要するに、いま何がネックになっておるのか、皆さんが号令をかける。低い単価で低い補助率でやれやれと言ったって実際にできない。何がネックになっておるのか、労働力が足りないのか、地域的に条件が悪いのか、また、作業する月が非常に悪いのか、そういういろいろな条件の悪いところがあるのかないのか、そういう点はどういう理解をされておるのですか。
  128. 福田省一

    福田政府委員 いま御指摘がございましたように、薬剤散布、つまり、こういうマツクイムシの防除に限りませず、一般に林業作業の場合におきましては、労働力が非常に少なくなってきている。特に過疎地帯におきましてはそういう作業がむずかしくなっているということは実態でございます。ですから、いろいろとそういった働く人の処遇改善あるいは賃金の水準の問題等考えますと、まだまだそういう点では考えなければならぬ点があると思うわけでございます。国費防除と申しましても、国がみずから出かけていってやるわけではなくて、これは現在のところは県に委託しておるわけでございますから、御指摘のような、県によってまたいいろな事情が出てくるかもわかりません。いずれにいたしましても、やはりそういった薬剤散布をする場合に、そういった労働力が完全に確保できるような一つの条件というものを整備してまいるということで、四十九年度も積極的に予算要求もいたしたい、こう考えております。
  129. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 それで長官、マツクイムシを征伐する賃金は、どの程度見ているのですか。
  130. 福田省一

    福田政府委員 お答えします。  剥皮焼却による場合、一人の賃金は千四百六十円という単価になっているものでございます。
  131. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 千四百六十円の六分の二の補助ですよ。実質千四百六十円で作業できると思うとるのか、あなたは。あなたはもう少し実態を知らなければだめですよ。あなたが何ぼ努力しても――どこに壁があるのですか。大蔵省が文句言うのですか。大蔵省に会ったら、いずれ機会をあらためてたださなければならないと思うのですが、千四百六十円であの作業ですよ。あなたあの作業を知っているか。非常に危険が伴う薬剤散布ですよ。近所隣からいろいろな文句を聞く、長時間にわたって、便所へも行かれないというような地帯でたいへんな苦労をしている。ほかの特別な職種においては相当の賃金認めておる職種もあるわけですよ。特別危険手当というようなものも考えてもいいじゃないですか。何も考えずに千四百六十円で、六分の二の補助でやれるはずないじゃありませんか。どうもあんたら雲の上に上がっておるんじゃないかという気がするのですよ。もっと地上のことを、実態を知らないと府県はかないませんよ。私は、この単価基準を大幅に上げること、そうして補助率を上げる。結局いま六分の二というのを六分の四にまず上げたらどうですか、長官、どうですか。
  132. 福田省一

    福田政府委員 不採算林とかその他区分はしてございますけれども、国が三分の二それから県が三分の一、いろいろそういったものもございまして区分しております。  御指摘賃金の問題につきまして、これは予算単価でございます。工程との関連もございますので、先生その点は十分御承知かと存じますけれども、御指摘の点につきましては、工程内容を適正に見て、そして実態に合った賃金にしていただくということにつきましては、大蔵省と真剣に話をしてまいりたいと思っております。
  133. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 あなたはいま問題なことを答弁せられるのですよ。うわべは千四百六十円だけれども、中身はちっと違うのですよということで、どこかでごまかすということになるのですよ。そういうごまかしの行政や政治をするところに、みんながうそやはったりを言う世の中をつくり出してくるのですよ。もっと正直にやったらいいのです。どうせ国は公式論で表面だけやろうとするから、みんなが悪知恵のほうに走っていくということになるのじゃないですか。長官、そう思いませんか。今日ほど山の問題が国民の一つの大きな注視の的というか、山に対する関心の度合いというものが非常に深まってきた、これはいい傾向だと思います。しかし、いままでを忘れてむちゃするからそういうことになってきたので、特に環境保全だとか自然保護だとかいうものは、林野庁みずから先頭に立ってやらなければ、何ぼ厚生省に言ったって建設省に言ったって、農林省みずからが山を守っていくという姿勢がなければならぬ。自然保護のその精神に徹するのは、やはり農林省林野庁だと思うのですよ。そういう気持ちからいったら、もっとマツクイムシの征伐について、おざなりでなしに誠心誠意、単年度でもうなくしていくのだ、この伝染病はなくするのだ、こういう気持ちがない限り、そういう心がまえがない限り撲滅ができないし、またこの賃金を見ても、基準単価を見ても話にならない。単価を変える、補助率も上げる、そういう気持ちでもう直ちに作業を始めます、こういうお答えを願いたいのですが、どうですか、長官
  134. 福田省一

    福田政府委員 すでに四十九年度の予算編成期に入っております。御指摘の線に沿うて、私も常々考えているわけでございますから、積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
  135. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 四十九年度ではもう大幅に考える、こう信じてよろしいな、長官、もう一ぺん。
  136. 福田省一

    福田政府委員 そういう姿勢でひとつ大蔵省と折衝したいと思っております。
  137. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 そこが悪いのですよ。折衝ではなくて、やりますと言うてもらわなければ困るんだ。
  138. 福田省一

    福田政府委員 そういう姿勢でやります。
  139. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 私は、今日、日本の林業が追い詰められたのは、やはり農林省の姿勢、林野庁の姿勢の問題だ。マツクイムシが発生してもなかなか征伐しないし、ほったらかしだ。あなたらは山陽本線にずっと山口まで乗られたら、あの付近は九州にかけて、瀬戸内海沿岸は赤くなっているのですよ。あなたらがあれを見て何も感じないというのはおかしいのであって、感じられても何も手を打つ方法がないのだ、そういう気持ちになっておられるかもしれませんが、これは早急に整備をしてもらわなければ困る。農林省がそういう姿勢だから、府県のほうも、まあぼつぼつやったらいいだろう、こういうことになるわけですね。そういうことを考えて私が申し上げたので、とにかく解決してもらいたい、処理してもらいたい、こう思います。日本の山の面積は、国有林でいまのところ七百八十四万ヘクタール、その中には大学の試験地やその他含めて合計八百万ヘクタールほどあるわけですが、だんだん面積が減っています。公有林というより、都道府県の県有林だとか市町村、財産区が管理している要するに公有林、これが二百七十五万ヘクタールほどある。私有林が千四百六十万ヘクタールほどある。合計二千五百二十二万ヘクタールの林野面積がある。これからどうこれを活用するかということになるわけですが、いままでも活用してきたじゃないか、相当の投資もしたではないか、こう言われるかもわかりませんが、私たちの立場からいうと、十分な活用をしておるとは思えないし、十分な投資をしておるとは思えない。だから、投資を考えるにはやはり計画性がなければならない。計画の上に立って、林業白書等でいろいろ示されておるけれども、人がなければ山というのはほんとうはできない。金を持っていったってどうにもならぬのです。山には相当の労働力が必要なんですよ。今後この二千五百万ヘクタールの日本の林地、国有、民有林を含めて、これに対して十年なら十年間にどれだけの労働力を投下していくか、そうして日本の林業のいろいろな面の公益性を高めていく、そういう中で貴重な、人間生活に必要な建築資源を供給していく、そういう木材資源を供給していく、こういうことを考えなければならぬ。  そういうことを考えたら、まず労働力だと思います。労働力は林野庁ではどういう考え方を持って、どのくらい要るのだ、そうして労働力を確保するにはどういう施策をするのだ、こういう点でひとつ見解を聞きたいのです。
  140. 福田省一

    福田政府委員 ただいま御指摘のありました、日本の森林二千五百万ヘクタール、国有林がそのうち八百万、民有林が千七百万、大ざっぱに申し上げますとそういう状態でございまして、これは二月に資源の基本計画というものを閣議決定していただきまして、いまから五十年先の日本の森林の資源はこういう状態にするのだということを一つきめてあるわけでございます。そういう計画の中で、従来と考え方が違っております点は、いま先生指摘ございましたように、この森林は木材を生産するのも大事なことでございますけれども、それ以外のいろいろな水資源の涵養であるとか、あるいはレクリエーションの場所としての森林の機能であるとか、あるいはその他のいろいろな公益的な機能を重視していかなければならぬということを組み入れておるわけでございます。したがいまして、従来のようないろいろと伐採量とか造林量という形では、一つは減少していく場合もありますけれども、別な面での仕事もふえているというような面で、いろいろ組み合わせも変わってきております。それが基本計画の大ざっぱな内容でございます。  それに必要な労働力をどうするかということの御質問でございますけれども、いま国有林におきましては、先ほど来いろいろ御検討いただいております、定員内職員それから定員外職員、これによりまして現在の仕事をいたしております。これにつきましてはおよそ十年間の見通しをつけているわけでございますけれども、民有林はなかなかこれを把握するのがむずかしい問題で、特にこの十数年の間に労働力が半減しておりまして、四十六年の統計では十七万人ぐらいになった。これは労働力調査に基づいたものでございます。しかし、四十七年は十八万になっております。一万ふえている。中身を見ますと、どちらかというと常用的な、常雇いのような者は大体安定しておりますけれども、臨時的な者、そういった者は減少する傾向にございます。それは労働力調査による一つの傾向でございますけれども、若干内容の減り方のピッチが鈍ってまいっております。そういう傾向がございます。だから、将来これはだいじょうぶだなどと簡単には申しきれないのであります。基本的にはやはり過疎現象に伴って、若干のUターン現象はあっても、やはり林業労働力の確保ということは非常にむずかしいことでございますので、民有林の場合には私たちは三つの対策を現在考えております。  一つは、山で働く人たちができるだけ長い期間働けるように、通年就労ができるような対策、これに対していろいろと助成措置を講じておりますし、今後もそれを強化していきたいと思っております。  もう一つは、林業というのは、御承知のように、なかなか季節性がございますし、一年じゅう安定した仕事がございません。それをできるだけ組み合わして、ある程度地域を流動して働くということによって年間働けるような制度に持っていくという、流動化の対策も一つとっております。  それからもう一つは、一番重要だと思いますけれども、環境の改善ということでございまして、宿泊の設備とかあるいは通勤の設備とか、その他いろいろなこれに対する対策であります。  そういったようなことを考えまして将来の民有林の労働力の確保についても万全を期していきたいと思うのでありますが、いま御質問の何人あったらいいかという問題については、きわめて重要な問題でございまして、基本計画の線に基づきまして検討しているところでございます。
  141. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 長官は尋ねぬことを答えているが、何人要るのだ、こうお尋ねを申し上げたのですが、お答えがないわけです、検討中だ……。日本には雇用安定計画がないから非常に格差がひどくなっている。水は低いほうに流れる、人は賃金の高いほうへ流れる、これは原則ですよ。そういうことを踏まえて考えないと、なぜ山林労働者がだんだん減っていくか。いま、少しく上向きになったと言うけれども、私たちから言わせると、山に対する魅力を失わした、日本の林野の価値観を変えさした、そこに大きな問題があると私は思うのですよ。だから、山の価値観を変えさせなければいかぬ、それは国民全体、どの政党もそうだと私は思う。特に当面の衝に当たる林野庁が山に対する価値観を変えない限り私はだめだと思う。  建設省、見えていると思うのですが、建設省の住宅局長にお尋ねします。外国産と国内産とどこが違うかちょっと聞きたいのですよ。住宅局長、あなたは住宅を建てられるのだが、国内産のいいところ悪いところ、外国産のいいところ悪いところ、それを、局長、簡単に言うてください。
  142. 沢田光英

    ○沢田政府委員 お答えをいたします。  内地産の建築用材、特に住宅用材は構造材が相当部分を占めております。内地産のものは杉とか松とかヒノキでございますが、最近は小径木が多くなっております。したがいまして、なかなかいい用材を得るというのがたいへんだという面もございますし、さらに小径木からきますいわゆる見えがかりの問題、日本の旧来の工法でございますと、いわゆる材木を化粧に使いますので、そういう点ではなかなか今後いい材が取れない問題があると思います。強度上からは、これはもちろん内地材も入りますが、外材もそれほどの差がないというふうに思います。外材は大径木でございますから木取りが自由にできます。同時に節の問題その他の問題がございません。さらにたとえば米ツガのようなものは、これは湿気を吸う性質が特に強いというようなことがございますが、建築的に申しますれば、これを防腐処理あるいはクレオソートを塗るとか、そういうことで技術的に解決ができます。さらにラワンのようなものは、加工して、たとえば合板として使うという性格のものでございますが、造作材に使った場合には虫の問題がございます。これも防腐処理によりしまして対策ができます。したがいまして、強度その他の面においては、住宅に使います木材といたしましては、基本的には差がないというふうに私どもは考えております。
  143. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 住宅局長は外材も国内産も強度の面からいうと差がない、こう言われるのですね。どうも私はおかしいと思うのです。そういう考え方だから日本の林業というものは、国民全般、消費者の立場からいうと、外材で家を建てても国内産で家を建てても同じことじゃないか、こういうことになるわけです。そういう考え方に誤りがあると私は思うのです。たとえば、外材で家を建てて火をつけて焼いてごらんなさい。どのくらい燃えるか。国内産の木造家屋で火をつけて燃やして、同じ家を建てて延焼時間というものはどのくらい違いますか、同じですか、局長
  144. 沢田光英

    ○沢田政府委員 私、そのデータは現在持ち合わせございませんが、個々の材につきまして、日本の中でも樹種によりまして強度も多少違いますし、あるいは吸水性も違いますから、燃焼の度も違います。外材でも同様だと思います。ただし、庶民が建てます住宅につきまして、これを用材として見る場合には、いわゆる効用から申しますと大差がないというふうな意味でお答え申し上げたわけでございます。もちろん各個の材につきましては、それぞれのデータの差はあろうかと思います。住宅の性能といたしましては大差がないというふうなお答えでございます。
  145. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 局長、いま年々消費者がふえる。それは可燃性のものばかりではない。それは室内にいろいろな建材を使うから有毒ガスその他で煙にやられるということもありましょうが、私は、私の経験から申し上げると、外材で家を建てたのは相当火力がきつくなるんですよ。なぜならば、塩分を吸うておるのは特にきびしい。火がついて燃えて、ポンプの水圧を五十五ポンドぐらい上げなければ消えない。国内産のは四十五ポンドで消える。それだけ延焼の率が違う。それなのに住宅局が知らないというのはおかしいじゃないか。人命尊重からいったら、どちらがよく燃えるか、どちらが加熱が高いか、火力が高いか、そういう点を知らないで同じだ同じだといって、木造住宅の建設を進めていくというのはおかしいと私は思う。  それで建設省、木造住宅の耐用年数は二十年でしょう。どうです。
  146. 沢田光英

    ○沢田政府委員 公共住宅のいわゆる家賃計算上の償却年限は二十年、すなわちその範囲内での耐用命数は二十年と考えております。
  147. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 日本の木材は平均四十五年こさなければ伐採できない。建設省のほうは二十年の耐用年数でいく計画を立てている。林野庁のほうは四十五年以上たたなければ伐採して建築材料としての供給ができない。そこに開きがあるわけです。  私は、とにかく人間が住むにおいては、自分の生命を守る安全性からいっても、木造住宅に関する限りは国内産の木材でやってもらいたい。私は消防を四十年やっているのですよ。外材で建てた家がどのくらい早く燃えるか、苦い経験を持っているのですよ。作業場だとか工場は外材を使ってもよろしいが、これからは、貴重な国産の木材だけは、使うところをある程度吟味していく。少々単価が高くなってもいい。昔の家は最低百年もった。長いのは百五十年も二百年ももった。いま建設省の計画を見ると、全国二千六百万世帯を五、六年の間に全部建てかえるような計画を立てておられるが、そういうふうに建設省は独自でかってに計画を立てていく。林野庁のほうは、それは水源林または国民の休養地、自然の緑をふやしていく、いろいろな公益的な役目を持っておりますけれども、終局はやはり木を大きくしてそれを国民生活に供給していく任務もある。そういう立場からいうと、片一方は二十年だ、片一方は四十五年以上でなければ伐採できない。そのアンバランスが、外材ばかり輸入しなければならぬ、建設省のほうは外材オンリーだ、こういうことに突っ走ってしまう。私は、建設省はもっと日本の国内産の木材の価値というものを見直してもらいたい、こういう気がするわけです。住宅局長、どうですか。
  148. 沢田光英

    ○沢田政府委員 まず、住宅の性能の中にはいろいろございますけれども、私どものほうはそれは居住性がいいということが第一でございますが、まず燃えないということも日本の中では大事なことでございます。したがって、できるだけ燃えにくくするということで、私どもは不燃化ということを大いに進めてきております。これがだいぶ進みまして、現在では非木造のものが住宅でも三〇%ぐらいに達してきておると思います。こういう基本の上に立ちまして、残りの木造をどうするか、こういう話でございますが、これもできるだけ燃えないようにしたい。その際に、もちろん内地材で十分まかなえば、それは私どもそれでもけっこうでございます。しいて遠くから材木を入れてそれを使っていくということにも限らぬわけでございます。ただし、日本の木材の需給状況、あるいは森林の行政、出てくる木材の量、こういうものは農林省林野庁のほうで行政をされておりますが、そういう中の計画に従いまして私どもは住宅のほうでそれを受けとめて、それをどういうふうに善用していくかということを考えまして、その間にギャップがあれば、これは技術的な問題として解決をしていきたい、かようにいま考えておる次第でございます。  それから五カ年計画のお話かと思いますけれども、五カ年計画におきましては、いま二千六百万戸あるものを全部建てかえるというよりも、現在あります三百万戸という住宅不足を五カ年に解消し、これをさらに新しい世帯のために供給するということで、九百六十万戸という五カ年計画を立てております。あるいは六十年までに三千万戸ということでございますから、全部建てかえるということではございませんで、そういうことで計画はしておりますけれども、これにつきましては林野庁さんのほうとは、何戸ぐらいどうなるか、したがって木材資源はどういうふうに私どものほうで用材として必要かということは、常々お打ち合わせをしてございます。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕 ちなみに五カ年計画は閣議決定でございまして、その中の説明といたしましても、木材の問題も量的には御相談を申し上げている次第でございます。
  149. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 日本の木材の価値をひとつ変えてもらわないと、いまのような外材と同じような考え方に立ってもらっては困るという気がいたします。林野庁長官、あなたが責任なんですよ。もう少し日本の林業の価値を高めるためには、質がいいんだということをもっと国民に理解をさせる、その先頭に立つのがあなたじゃないか、こういう気がするのですが、林野庁長官、どうですか。日本の林業を発展させるためには、国内産の木材の価値を高める運動を一方ではやる必要があると思うのですが、どうですか。
  150. 福田省一

    福田政府委員 先生指摘のとおりでございまして、実は国産材のよさをひとつ普及宣伝しようということで、普及事業の中でそういった計画もいたしております。そういう御趣旨の線に沿いまして、今後積極的に取り組んでまいりたいと思います。
  151. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 一方では価値を変える運動をしながら、やはり山に魅力を持ってもらわないと、山林労働者を確保するわけにいかない。いまあなたが何ぼ言われても、先ほど芳賀委員やその他の人が言われましたが、いま国有林で働いている労働者の実態を見て、あれが最もお手本だ――あんな雇用関係や仕事の関係では――あなたは、完全に差別雇用をなくせ、こう言うと、いや季節がどうだとかなんとか言って天候に全部責任を負わす。天候の悪いのは、日本列島は昔から気象条件が悪いことはわかっている。天候の悪いことを労働者に転嫁するなんというのは私はひきょうだと思うのです。大体農林省の言うのはおかしい。たばこの葉でもそうです。日本の葉たばこはニコチンが多い。ニコチンを少なくするように農民が最善の努力をしても、ならない。それはなぜかというと、天候が悪い。気象条件、湿度の関係だ。気象条件まで労働者や農民にどろをかぶせて逃げようとするところに問題がある。働く期間が短いから完全雇用はできないなどという考え方、気象条件で、労働者に責任を転嫁する、こういう考え方であれば、日本の二千五百万ヘクタールの開発に林業労働者をどう確保するか、どう期待と希望を持ってもらえるか、魅力を持ってもらえるかということにはならない。まず基本は、いまの国有林の労働者のあれを完全に解決して、新しくやり直していくんだ、いままでの慣例をもうやめるんだ、こういう形で、民有林だろうと国有林だろうと、山に働く労働者はこういう雇用条件でこういう賃金で、福祉政策も他の労働者とは違うんだ、思い切ってやりますという、そういう裏づけというものをこしらえない限りは、どんなに林業の施策の中でいろいろ文章を書いてみたところで、それは実現しない、私はこう思うのです。それから、いまあるお手本を早くやめることです。どうです、長官、これはやめられますか。
  152. 福田省一

    福田政府委員 確かに林業労働というのは、ほかの産業と違って、従来はそういう自然条件に支配されまして、非常に不安定な状態にあったということは御指摘のとおりでございます。私はこういう山村地帯の過疎現象ということを見まして、今後山を造成し緑をつくっていくというそういう基本的なものの考え方でいくならば、やはり山林労働というのは安定して働けるような場をつくらなければならないと思います。そのためには、おっしゃるように、いろいろ水準とかあるいは雇用条件というものをむしろほかの産業よりよくしていかなければ、そこへ戻ってこないだろうと思うわけであります。そういう方向で、私も具体的な施策のつくり方につきましては全力を尽くしてまいりたい、こう思っておるところでございます。
  153. 柴田健治

    ○柴田(健)委員 湯山委員芳賀委員から、国有林の問題を兼ねて、国有林の労働者の雇用条件の問題、またいままでの大臣との話し合い、そういうものをしておる経過があるわけです。その経過を踏まえて早く解決するということにならないと、どんなに山の問題を論議しても前に行かないということになると私は思う。そういうことを考えたときには、ぜひあなたの長官時代に、これだけどんなことがあっても解決して、おれは次の次官になるんだというくらいの気持ちがないと、あなたは次官になれないと私は思うのです。そういうことで、いずれ機を改めてきめのこまかい論戦はしなければならぬ、こう思います。  きょうは時間の関係で、これで終わります。
  154. 佐々木義武

    佐々木委員長 竹内猛君。
  155. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私は国有林の問題やあるいは民有林の問題、こういうものをめぐっていま各地でゴルフ場の建設が非常に盛んになっております。無軌道にゴルフ場がつくられておる。目に余るものがあります。そういう現状に対して、ゴルフ場をつくるということに対して、ゴルフをやることに対して私どもは反対をするものではありませんが、これがいまのように、無軌道に無制限に、とめどなくつくられていくということについては、決してこれを黙って見ているわけにはいかない。そういう立場から、現在起こっておる、社会問題になりかかっているこのゴルフ場の設置の問題をめぐって、あるいは運営の問題をめぐって、各省庁質問をしたいと思います。  きょうは農林省ほか各七つくらいの省庁事務担当の方々に来てもらっておりますから、一つ一つ聞いていきますので、その点について答えられるだけ答えてもらいたい、こういうふうに思います。  まず最初に、経済企画庁にお尋ねをします。経済企画庁は、今日、日本の経済の問題について頭脳的な役割りをしているはずであります。そういう中で、先般はレジャーに関する報告書が出された、あるいはまた経済社会発展計画というものも出されましたが、そういう中で、一体世界に、日本と同じように生産力が伸びた国の中で、ゴルフ場というものがどういうような状態に配置をされておるか、それをまずわかる範囲で聞きたいと思います。わからないならわからないと言ってください。なぜわからないか、その点。
  156. 熨斗隆文

    ○熨斗説明員 世界の各国でゴルフ場がどういう状況になっているかというのは、残念ながらまだ私どもでつかんでおりません。
  157. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 先般、三月二十九日、参議院の決算委員会、そして衆議院においては四月二十三日の物価特別委員会においてこのゴルフ場の問題が議論されたときに、渡辺委員からイギリスの例が引用されたことがあります。その点について承知をしておりますか。
  158. 青木利雄

    ○青木説明員 各国のゴルフ場の数というのはあまりはっきりした数字はわかりませんが、英国の場合千という数字と二千五百という数字と二つございます。それからアメリカの場合には一万を若干こえているだろうといわれております。
  159. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 それで、非常に調査が不十分なわけだから、責任を持って経済企画庁なり管理をするところの省庁、これはあとで整理をしてもらいたいと思いますが、世界のゴルフ場というものがどういうふうになっているのかということをもっと調査をしてもらいたい。  それで、日本においては、たとえばイギリスに例をとってみると、イギリスの場合には国土の八割が農耕地になっておる。その中で千、二千という形になっているけれども、これをかりに二千としてみても、日本のように国土のわずか二〇%までしか農地でない国において、すでに二千をこえるようなゴルフ場が計画をされておるというこの無謀な行き方、こういうものはいいか悪いかということについてもっと真剣に取り組んでもらいたい。予算がないのかあるのか、経済企画庁はこのゴルフ場の問題についてどの程度タッチできるのか、ついでに通産省もゴルフ場についてどういうようなタッチをしているのか、そのことについて報告願いたいと思います。
  160. 熨斗隆文

    ○熨斗説明員 調査その他につきましては今後私どもも一生懸命やろうと思っておりますが、経済企画庁といたしましては、現行の法制のもとではゴルフ場の建設に関しまして具体的にその行為を規制するという手段は現在持っておりません。
  161. 青木利雄

    ○青木説明員 ゴルフ場を民間企業が経営するその事業面といいますか、この点についてのゴルフ場は通産省が所管しております。現在、ゴルフ場に関しましては、そういう経営者という面からつくられました団体がございまして、これを通じて健全なゴルフの発達といいますか、そういうものについての指導を行なっているという点が一つございます。  それからもう一点、一般会計予算でございますが、今年度に二百万円の予算で会員制レジャーの実態調査するということにいたしておりまして、この調査では、ゴルフ場の施設に関する問題あるいは利用者との関係に関する問題それから会員としてゴルフ場を利用している人の実態、さらに会員権の取引業者、こういうような点について、できれば九月ごろまでに調査をまとめたいということで現在努力しております。ただし、先生指摘の海外のゴルフ場の調査の点までは、本年度におきましては手が伸ばせるようにはなっておりません。
  162. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 通産省はどのような法律に基づいてそれをやっているか、その法律の基礎は何ですか。
  163. 青木利雄

    ○青木説明員 法律的な根拠はございませんが、設置法から、民間企業がゴルフ場を経営するという点につきましては通産省の所管であるということで、所管事業であるゴルフ場事業につきまして、本年度に委託調査費としてその実態調査するということが認められたわけでございます。
  164. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 今度は大蔵省にお尋ねします。  大蔵省は、ゴルフ場の指定地が、ここでやろうというところがおおむねきまって、そして工事が始まり、会員権を募集する、たとえば二百万、五百万というように集めてくる、そしてそれをためて何億という金が入ってくる、こういうような金に対して、あるいは土地を売った者あるいは土地を買った者、こういうゴルフ場に対する税金をどういうふうに取り扱っているか、これについて大蔵省の答えを求めます。
  165. 伊豫田敏雄

    ○伊豫田説明員 お答えいたします。  入会金の性格の問題でございますが、一応返還請求権があるものと考えております。そういうふうな保証金という形のものをどのように課税するかというのは非常にむずかしい問題でございますが、現在のところは、保証金というものはやはり利益ではない、商法上返さざるを得ないものだという考え方に立って、会員権の収入につきましては保証金として取り扱い、現在課税を行なっておりません。  それからなお、ゴルフ場に対して土地を売った者に対する課税でございますが、これは通常の、一般の土地の売買と同様に取り扱っております。
  166. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 それでは、会員権のそういうものについては税金をかけないということですね。
  167. 伊豫田敏雄

    ○伊豫田説明員 現在の法制上は課税に相なりませんということを申し上げております。
  168. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そこで、建設省に尋ねますが、建設省としては、いまの無軌道的にできてくるこのゴルフ場に対して、いま建設省が所管をしておる法律があると思うが、その法律が打ち破られていることを知っていますか、あるいはまた、それに対し注意をしたことがあるかどうか。
  169. 宮繁護

    宮繁説明員 お答えいたします。  ただいまお話しの建設省の関係につきましては、存じておりません。
  170. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 じゃ、ゴルフ場に対して建設省はどのような取り扱いをしているか。
  171. 宮繁護

    宮繁説明員 お答えいたします。  先ほどお話がございましたように、一部のゴルフ場の造成に基因いたしまして周辺の地域に出水とかあるいは土砂の崩壊その他の災害の発生を見ておるところもございますし、また環境の破壊が進んでおるところもございます。現在、こういった災害発生の防止等の観点から一般的にゴルフ場を規制するという法律はございませんで、地方公共団体等におきまして条例で指導をいたしておるのが実情でございます。  そこで、建設省におきましては、今回都市計画法の一部改正の御審議を願っておりますけれども、その法律の中では、いままでの開発許可制度は主として建物を建てる場合の土地の造成を行なう、この造成行為につきまして許可制にしておりましたけれども、今回の改正案の中では、ゴルフ場の造成につきましても都道府県知事の許可にかかわらしめて、災害発生の防止とか環境の保全につとめたい、こういうことで審議をお願いしておる段階でございます。
  172. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 環境庁が所管をしている法律の範囲内で、ゴルフ場の設置に対してどのように取り扱っているか、あるいは取り扱おうとするのか、その点について。
  173. 新谷鐵郎

    ○新谷説明員 環境庁が所管いたしております法律の中で、まず自然公園法の関係でございますが、自然公園法に基づきます国立公園内の特別地域におきますゴルフ場の造成につきましては、環境庁長官の許可を要するということになっております。普通地域につきましては現在規制がございませんですけれども、今国会にゴルフ場等大規模な土地の形状を変更する事業につきましては届け出制をしくという内容の改正案を出しておるところでございます。それから国定公園につきましては、都道府県知事の権限でやはり特別地域につきまして許可制をとることができることになっております。県立自然公園につきましては、県の条例に基づきまして国定公園等と同様の措置をとることができるたてまえになっておるわけでございます。  なお、本年四月から施行されました自然環境保全法の関係では、現在まだ地域の指定は行なわれておりませんが、地域指定が行なわれますと、同様に、国の指定いたします地域につきましては特別地域について環境庁長官の許可を要することとなり、都道府県が指定する地域につきましては条例に基づいて規制を行なうということになっております。
  174. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 自治省に尋ねますが、いま各省から話があったように、現在このゴルフ場については取り扱う基本的な法律を全く持たない、それぞれが若干のタッチをしているという状態であるわけです。そういうときに、各県で条例をつくったりいろいろ指導要綱をつくってやっているけれども、その指導要綱というものは自治省が統一的に指導したものであるのか、それとも各都道府県が自主的につくったものであるのか、その点はどうです。
  175. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 ただいま各省からお答えがありましたように、それぞれの法規によりまして、特殊の地域につきましては規制が行なわれまして、そういう地域にありますゴルフ場については当然その規制がかぶるわけでございますが、御案内のように、白地の地域も相当ございます。そういった地域につきましては、都道府県が条例あるいは要綱で行なっておるわけでございます。  現在各都道府県のその実態を見ますと、自然保護条例というのをつくっております県が四十七県中四十三県ございます。それから県土の開発を直接規制するための条例をつくっておるのが二県ございます。それから土石の採取を禁止するという意味で、間接的にこういった大規模開発を規制する条例をつくっておるところが四県ございます。それ以外に三十一県におきまして、大規模開発につきましてそれぞれ指導要綱をつくって規制をやっておるわけでございます。  これは自治省が統一的に指導したというものではございませんで、各県の実情に応じましてこういったものをつくったわけでございますが、自治省にもいろいろ照会がございまして、われわれのところにもそれぞれの要綱等整えてはございまして、そういったものを各県の要請があればお見せする、そうして指導するということはしておりますが、自治省としての統一的な基準というものを持っておるわけではございません。
  176. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 農林省は、ゴルフ場ができるところは主として山林原野、それから未懇地あるいは水田、畑等でございますが、現在全国でどれくらいの地区にゴルフ場ができており、そしてそれがまたできょうとしておるのかという数字、こういうものをつかんでおり、その面積はどのくらいになるのか、まずその点を最初にお聞きします。
  177. 小沼勇

    ○小沼政府委員 お答え申し上げます。  農地の転用に関連いたしまして、転用許可の場合にゴルフ場の全体の面積も調べております。その報告でございますが、現在、四十六年、四十七年にそれぞれ転用の許可をしましたので申し上げますと、四十六年は四十五件でございまして、二千八百十三ヘクタール、それから四十七年は九十三件でございまして、七千百四十四ヘクタール、そのうちの農地が約一割でございます。
  178. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私の調査というか、いろいろの調べたところによると、四十八年の一月の建設省の数字によると、すでにゴルフ場としてオープンしているものが六百八十一、六万一千四百ヘクタール、それから造成中のものが二百十四、二万六千ヘクタール、それから計画中のものが五百三十二、六万ヘクタール、計千四百二十七カ所、十四万七千四百ヘクタールという数字が出ているけれども、これは建設省、間違いないか。
  179. 宮繁護

    宮繁説明員 四十七年の十二月に各都道府県に照会いたしまして一月にまとめました数字は、先生が御指摘されたとおりでございます。
  180. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そこで、問題は、現在ゴルフ場というものをこのように無軌道につくることについて、これをいまの政府の中で集中的に管理し、指導し、これを取り扱うという場所がないということについて、これはまあここでは政務次官、中尾さんしかいないから、中尾政務次官、農林省としてどうです。こういうことはいいと思いますか、それともこういうことはよくないと思いますか。
  181. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 個人的に私はゴルフをやるわけじゃございませんから言うわけではございませんけれども先生と同様に、私も最近の一億総ゴルフブームみたいな、いささかゴルフ狂にこっているさまというのは見られたざまではない、こう感じておるのでございます。したがいまして、これに対しては徹底的に洗うべきものは洗い、洗い直すものは洗い直していきたい。またそういう担当省があるならば、そういうことを明確に打ち出していきたいという個人的な見解を持っております。
  182. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 中尾政務次官の個人の意見としての話だけれども、これを政府の意見として、やはりこれは政治問題として取り上げてもらわないと、いまここに並んでいる各省の皆さんは、目に余る状態があっても押えることができない。自治省にしてもこれは統一したものじゃなくて、各地区で自主的にやらざるを得ないというような状態、こんなばかなことはないと思う。  そこで、いま社会問題が幾つか起こっているから、そのことについてひとつ解明を求めていきますが、第一に問題になっているのは、最近のことですよ、六月の八日にちょっとした雨が降った。このちょっとした雨で茨城県筑波郡筑波町の神郡六所、この部落にある七十七ヘクタールの、かつて構造改善事業をやって、農林省はここにカキとミカンの観光農園というものをつくるためにこれを許可して、補助金まで出して、そしてその構造改善事業ができ上がったその段階で、一方において山を持っている権利者がその借地権を奪うというようなことがあり、地元の反対を押し切ってここにゴルフ場ができた。そうして七十七町歩全部山を切ってしまった。そのことが、あのちょっととした水で水田が二十町歩流れ、民家に水が入る。そしていまや道路もたいへん混乱の状態にあるということ。これは何も今度だけじゃありません。去年もそうでした。こういう事態が起こっている。あるいはまた中尾政務次官の山梨県の山梨市においては、これは万力山のあの建設場をめぐって、ああいう高いところにゴルフ場をつくるということは危険だということが心配であるにもかかわらず、ことしの十月にはどうしてもオープンをしなければならぬということからして、業者のほうはどんどん事業をやらせる。地元の人は危険だということでこれに反対をする、農民が騒ぐ。そこで中に入った建設主任が自殺をするということが起こっている、このゴルフ場の問題で。あるいはこれは畜産局の関係ですが、茨城県の北茨城市馬飼牧場、これは国有林を払い下げをして、保安林を払い下げをして、三代も続いた畜産の適地が、公害のない適地が、いつの間にか二億円でゴルフ場に売り取られてしまった、こういう事態が起きている。あるいは茨城県の稲敷郡の河内村では、村をあげてゴルフ場の誘導をやって、まだ県が許可をしないにもかかわらず、村長、村会議員あるいは村の役場の職員が一丸となってゴルフに熱を燃やしているのですね。これは一体どういうことですか。自治省はそういうことに対して何か指導ができるのですか。県も許可をしないところに持っていって、その会社から役場が金をもらって、職員に夜となく昼となくゴルフ場の土地買いをさしている。それで交通費もめし代もみんなその会社からもらっている。こんなことでは村の人たちも業者の手先じゃないですか。これはどうですか、こういうことについて黙って見ていていいものですか。
  183. 宮尾盤

    ○宮尾説明員 ただいま御質問の中にありました河内村の件でございますけれども、私ども現在詳細の事実をまだ十分承知をいたしておりませんので、具体的な御答弁にはならないかもしれませんが、職員がゴルフ場のいろいろな建設事業に協力をしておる、こういう点につきましては、一般的にいいまして、村の発展のためにゴルフ場を誘致することが必要であるというような自治体自体の判断がありまして、村がそういう方針で行なっておるものでございますれば、村の職員が誘致のために協力をしていくということは、一般論としては不当なことではないというふうに考えておるわけです。ただ、現実の実情がよくわかりませんので、ただいまお話のありましたような県の許可がまだないとかいろいろな事実をよく調査をいたしまして、検討してみたいと思います。  それから、会社の手先というような印象を与えるようなことは厳にこれを慎まなければなりませんので、そういった点につきましても、今後よく実情を調べまして、私どもの立場で指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  184. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 憲法の第十五条には、二項に、公務員というものはすべての住民の福祉のために動くものであって、一部の者の利益のために動いてはならぬということになっている。このゴルフ場をやる会社は一部の会社ですよ。一部の会社が、まだ許可もできないような状態の中の土地を買うために、地方公務員を使ってやるということは、これは明らかに憲法違反じゃないですか。これは調査してもらいたい。答弁は要らないから、その調査をして、至急に報告をして、こういうことは早くやめさしてもらいたい。そして、きちんとした手続を整理していかなければ――村民の中には反対があるのですよ。そして、問題は、そのゴルフ場がそこに設置されることによって、一体その村の中はどれだけのメリットがあるのか。自治省の皆さんは、この日本の中にたくさんあるゴルフ場の中にあって、どれだけ村が利益をしているのか、どれだけ損をしているのかということについて調べたことがありますか。
  185. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 ゴルフ場があることによるメリット及びデメリットの問題かと思いますけれども、ゴルフ場が置かれますと、当然のことでございますけれども、そこはゴルフ場として評価されますので、固定資産税も上がる、それから娯楽施設利用税、今度の国会におきまして税法改正いたしまして、娯楽施設利用税の半額が地元市町村に落ちるといったような税収面のメリット、それから最近、各県、ゴルフ場をつくります場合に、みんなその会社と市町村といろいろ協定を結んでおりまして、地元の方を優先的に雇用するとかいうようなことで、それなりにメリットがあるということで、各市町村で誘致しておる場合があると聞いております。  デメリットと申しますと、そのゴルフ場が相当広範な自然の区域を改造するわけでございますので、自然破壊につながるおそれがある、それをつながらないように注意しなければならないということであろうと思います。
  186. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そういう解釈は――これはゴルフというものは生産事業じゃないのですよ。私は、生産事業のために土地が利用されるのはいいです。ところが、ほんとうに、このあとで農林省によく尋ねますけれども、せっかく牧野あるいは土地改良をしたようないいところがどんどんゴルフ場につぶされていくということ、そしていま日本は、農業問題からいけば、えさがない、やがて食糧もなくなるであろう。こういうところが、東京都全部くらいいまやゴルフ場になってしまう、こういうことは考えなければならないし、もうかりさえすれば何をやったっていいのだという自治省のいまの考え方、それじゃ、一体ゴルフ場というものは永久に続くのですか。どんどん二千も三千もできていったら、それでもなお地元の利益があるというふうに考えられますか。私はそういうことは実に危険な考え方であると思うし、たいへんな考え方だ。だから、一体日本にはどれだけのゴルフ場があって、どういうような人間がこれに対して関係をしているかということもよく調べて、今後この問題については議論をしたいと思いますが、いまの自治省の考え方というものは、私は賛成できない。特に農村の中でいい土地がつぶれて、そうしてそこへ手伝いに行く女の人がもらう賃金は、それは農業をやっているよりは一時はいいかもしれない。しかし、そのために農業が放棄される。主人が働きに行く。これも農業を放棄してゴルフ場に行く。若干の人間がそこへ行って賃金をもらうということで、金にさえなればいいという、そのものの考え方の中にすでに私は危険な思想があると思う。だから、このことについては今後も議論していくけれども、よく記録にとどめておいて、これからもこの点については私は確かめながら議論していくつもりですが、どうですか、もう一ぺん、それは正しいと思いますか。
  187. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 いま私の答弁が不十分であったせいで誤解を招いたのかもしれませんが、ゴルフ場のメリット、デメリットということで、こういったたことであろうということを申し上げたわけでございますが、最近ゴルフ場の建設が非常に多くなってまいりまして、地方団体にとっては非常に大きな問題になっております。それなるがゆえに、先ほど申しましたように、ほとんどの県ではゴルフ場規制のための条例あるいは要綱をつくって、いろいろな見地から見て、その地域にゴルフ場をつくるのがいいのか悪いのかということを検討した上で、むしろ抑制の観点でこの問題に立ち向かっておるというのが現状でございまして、自治省として決してゴルフ場の奨励というようなことをしているわけではございません。
  188. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そこで、今度は農林省のほうに問題を尋ねるのですが、先ほど言ったような事態ですね。国有林の中の保安林を払い下げて、りっぱな牧場がある者の力によって売り飛ばされてしまう、もうすでに本人が契約する前に何億の金が銀行に払い込まれていたという事実がある、そういうようなこと、あるいは構造改善事業をやって、いよいよこれから実がなろうというのに、それが今度はゴルフ場にひっくり返ってしまって、その結果、ちょっとの雨で水が出るというようなこと、こういうことについて、法律的にはあるいは合っているのかもしれない、しかし、道義的に、こういうことが許されるかどうか、そういう指導は一体いいのかどうなのか。しかも筑波の場合には五千六百万もかけて農免道路というものがそこにできておる。農免道路ができて、いよいよこれが使えるようになるというと、構造改善事業がひっくり返って今度はゴルフ場になる。どう考えたって、農免道路に国の金を入れ、そうして今度はゴルフ場を便利にしてそこに人間が集まるようにする、こういうかっこうになるじゃないですか。だれが見たって、小学生が考えたってそうでしょう。そういうようなことが一体いいか悪いか、まずその価値判断をしてもらいたい。構造改善局長
  189. 小沼勇

    ○小沼政府委員 ゴルフ場を建設する場合に、農地がある場合には農地転用の申請がなされますが、従来からゴルフ場の建設につきましては、できるだけこの農地の転用が少ないようにということで、転用の基準におきましても、他の業種への転用に比べましてかなりきびしく規制をしておりまして、用地の大部分が農地以外でなければ認めないというふうにして指導をし、許可を与えてまいったわけでございます。いずれにしましても、このゴルフ場への転用につきましては、農地にかかる部分につきましてはできるだけ抑制をしていきたいという考え方でおります。  また、農免道路等でございますが、それぞれ地域によって異なるかと思いますが、やはり農業用の道路についての受益が当然その地域にあるわけでございます。本来ゴルフ場のためにつくるものではございませんで、農業の受益のためにつくるわけでございますから、そういう立場から今後も道路等についての施設等を進めてまいるという考え方でおります。  また、ゴルフ場の工事の途中で鉄砲水が出たというふうな事例が茨城県に出ておりますけれども、こういうことは、私どもとしましては全くあってはならないことであろうというふうに思います。できてしまったことについては当然その補償等の措置が要るであろうというふうに思いますが、同時に、今後防災工事をいたしまして、そういうことが再び起こらないようにという指導をしなければならないというふうに考えておるわけでございます。
  190. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 この問題は人災なんですね。だから、事故に関する補償は、それは当然事業主がやるべきであって、そんなことは別に珍しい話じゃない。ところが、その事故が、かりに現在の事態が直ったとしても、やがてまたこれはあのまる裸の中で、七十七町歩にはえていた木が全部切られてしまった。そしてしかも、そこは風化されたところの花こう岩、これから台風が来たり雨が降ったりしたら、また水が出ます。二十ミリであの状態ですから、五十ミリ、六十ミリということになったらもっとひどくなる。そういう状態の中で住民はものすごい不安を持っている。雨が降ったらどうしようかということで、出れない状態にある。そういうところがほかにも、その隣にもある。一体そのようなゴルフ場を経営している人間はだれがやっておるのか。それはちょっと名前を聞かしてもらいたい。
  191. 小沼勇

    ○小沼政府委員 転用の面で承知しておりますのは、茨城県筑波郡筑波町の大字神郡字入山地区でございまして、これについては代表者は、つくばね開発株式会社、赤城正武ということになっております。
  192. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 その人は農林行政の専門家の関係と関係ありますか、兄弟関係、親子関係は。
  193. 小沼勇

    ○小沼政府委員 赤城宗徳先生の弟さんであるというふうに伺っております。
  194. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 それ以上尋ねませんけれども、このゴルフ場という問題は、各地区でいまゴルフ場の誘致運動がたいへん行なわれておるけれども、その中には、本人が承知しているかしてないか知れないが、県知事、国会議員、市長、農業協同組合長、農業委員会長というような名士がずらっと並んでおるのだ。それで、その地元の人が、これはいけないと思っても、こういう人たちがいるから、これに反対ができないということで、まあ不承不承承知するといういきさつがある。だから、ここに並んでいる皆さんは、事務当局の方もおられるけれども、特に中尾政務次官に要望するのですが、ぜひこの問題について慎重に検討をして、そしてゴルフ場などをつくらないようにぜひしてもらいたいし、今後の取り扱いについても慎重にしてもらいたいと思います。  なお、これは大河原畜産局長の関係になると思うけれども、北茨城市に起きているあの問題、これについては早急に調査をして、国有地を払い下げたものを不当に政治の圧力で今度はゴルフ会社に飛ばされることのないようにひとつ指導してもらいたいと思うのです。これはどうですか。
  195. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  御指摘の北茨城市の馬飼牧場の件につきましては、国有林が自作農特別会計に所属がえになって売り渡された土地で、しかも造成草地でございます。したがって、これにつきましては、草地でございますので、農地法によって転用許可の規制すべき点であると思うわけでございますが、われわれの承知しておるところでございますと、県当局並びに市当局もその土地のそのような性格から、転用についてはきびしい規制をすべきであるという方針で現在指導中でございまして、われわれもそのような結果になることを期待しておるわけでございます。
  196. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 もう時間もありませんし、あと島田委員のほうでも質問が残っておりますが、きょうだけでこの問題を終わらせるつもりはない。きょうは皆さんに来てもらって、各省がゴルフに対してどの程度タッチできる範囲があるかということを尋ねたわけであって、今度大臣に来てもらって、これから本格的に取り扱わなければ、この程度のことでおさめるわけにはいかない。とてもそういうわけにはいかないから、もっと大きなチームをつくって、もっと大きなワクをつくっていかなければならない。  そこで問題は、いま農業会議所の調査によると、都市計画区域内において転用できない状態にある土地が、埼玉県だけでも浦和全市の面積ぐらいのものがすでに買収されて、仮手付金を渡してある。これは農地法五条で、いろいろな運動でもっても転用できなかった場合に、その事態をどういうふうに取り扱うかということを構造改善局長に聞きたいし、最近農地法の四十七条から五十七条に及ぶところの未懇地買収、これがほとんど行なわれていないが、これはどういう事情でそういうことをしないのか。現在のように飼料がなくなる、畜産が大事だというときに、そういう問題についてサボっておるということはないかもしれないけれども、あまり関心を示さないというのがどうも感心できない。この二点について尋ねたい。
  197. 小沼勇

    ○小沼政府委員 埼玉県におきましての、おそらく市街化調整区域の中での土地の売買の御指摘であろうかと思うのでございますが、その詳細については存じておりませんが、現に売買がどういう形で行なわれているか、それによって違うわけでございますけれども、もし農地でございますれば、当然転用許可を必要といたしますし、転用許可がなければその売買は無効であるということになるわけでございます。  その意味合いにおきまして、無効売買を事実上やったらどうなるかという話でございますが、もちろん農地法違反でございますけれども、その実態については私どもいまここで承知しておりません。一般論といたしましては、やはり農地法に照らして規制をしていくということでございます。
  198. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 あとで島田委員のほうから発言がありますが、私はこの際、中国の食肉の輸入の問題について農林省のほうに最後にお尋ねしておきたい。  現在、十四日に、遠藤審議官を中心として中国にそれぞれの技術者が伴われて交渉し話をしておるわけでありますけれども、やがて帰ってこられるわけだが、今日までの国交回復の段階において、中国の食肉の輸入の問題で口蹄疫問題として常に押えられてきた。すでに国交回復して一年たつ今日において、口蹄疫がないということを専門の学者が言っておるにかかわらず、依然としてそのような問題で停滞をするのか、それともこれを機会に新しく前向きのほうに進むのか、こういう点についてここで回答を求めながら、この次の委員会で、やがて帰ってこられたときに正式にこの問題についてはさらに詳しく質問もし要求もしたいと思うので、まずとりあえず糸口として畜産局長なり、責任者の政務次官も含めて、これに対してお答えをいただきたいと思います。
  199. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  基本的方針等については政務次官からお答えがあるかと思いますが、先生御案内のとおり、戦後三回にわたり民間使節団の中国に対する衛生状態の調査がございまして、中国においては相当程度衛生状態が戦前に比べて改善されておるというような事態にかんがみまして、四十六年以来成畜の輸入の許可並びに四十七年には煮沸肉についての輸入許可を行なっておることは御案内のとおりでございますが、牛や豚の偶蹄類のなま肉の輸入につきましては、口蹄疫についてはすでに結論が出ているというようなお話もございましたが、純衛生技術的に見まして国際的においてもまだ確認されてない点がございますし、われわれにおいても、これについて専門技術的な断定をするための情報なり資料について数点疑問があるわけでございます。この点について、国交も正常化いたしましたので、専門的な立場から早急に結論を出すという必要があるということで、現在努力中でございます。  御案内と思いますが、昨年十一月、秋の各省事務レベルの技術交流におきましても、わが国の畜産事情はもとよりでございますが、衛生事情、特に動物衛生と申しますか、家畜衛生防疫上の基本方針について詳細先方にも御説明申し上げまして、防疫上の積極的な情報の交換については、先方からも同意を得ておるところでございます。  そういう状態でございますので、今度の農林水産関係の技術交流使節団の派遣におきましても、家畜衛生関係の専門家をそのメンバーに入れまして、先方と家畜衛生について、特に口蹄疫問題がその中心となると思いますが、これらについての今後の情報の交換なり、技術交流の方法についてルールを確立いたしまして、これは申すまでもなく、きわめて専門技術的な問題でございますので、その点について結論を早急に出したいというふうに考えておるわけでございます。
  200. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 基本的な見通しだけを申し上げておきますが、中国におきます家畜衛生状況は、民間団体によって過去三回の家畜衛生調査報告及び国際獣疫事務局等の資料によって、漸次好転しているところから、昭和四十六年に輸入を解禁いたしまして、さらに四十七年に煮沸肉について輸入条件を緩和いたしました。この旨、すでに中国政府には連絡済みでございます。  しかしながら、牛、豚等の偶蹄類の動物の生肉については、先生指摘のとおり、口蹄疫の撲滅が国際的にもまだ確認されておらないという段階でございまして、国内の防疫事情も詳細についてなお不明な点がございますので、その輸入を禁止しまして、防疫の万全を期しておるわけでございます。  先ほどの、またこまかい点になりますが、日中農林水産技術交流代表団に家畜衛生技術者を参加せしめるという局長答弁のとおり、両国の家畜衛生等に関する情報、意見の交換を行ないまして、技術者の交流についての具体的なルールを確立して専門的に進めてみたい、こう考えております。
  201. 佐々木義武

    佐々木委員長 関連して島田琢郎君。
  202. 島田琢郎

    島田(琢)委員 一昨日麦類の答申が出まして、昨日は自民党においてもこれを受けて麦価の決定を見たところでありますけれども、この際、櫻内農林大臣は、これら米価審議会の答申を尊重して具体的に誠意をもって麦作振興をはかりたい、こういうことを新聞記者会見の中でも話をしておるわけでありますけれども、特にこの中で新たに特別作付奨励金、これは仮称だそうでありますけれども、特別作付奨励金制度をつくりたい、その財源措置は一般会計の予備費を流用したい、こういう発言があるわけでありますけれども、この大臣のお考えについて次官としても十分御承知をしている点ですか。
  203. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 大臣の発言につきましての特別奨励金を一般会計から、こういう問題と思います。大臣の発言は、最近におきます国内外の穀物需給の動向及び国内産麦の急激な減少傾向にかんがみまして、麦類の国内生産の振興をはかることが必要であるという趣旨だと考えておるわけでございます。そこで、農林省といたしましては、このような情勢を踏まえて、また米価審議会の答申に沿いまして、ことし秋の麦作付に間に合うように、早急に麦作振興のために方策を検討して、必要な措置を講じてまいりたいという一貫方針で考えていきたいと考えております。
  204. 島田琢郎

    島田(琢)委員 私も過般の麦の質問にあたりまして、特に農業団体から要請の強い反当たりの一万五千円という作付特別奨励金の問題が提起されておりましたので、この点について局長からも答弁を求めたわけでありますけれども、明確でなかったわけであります。したがって、大臣がせっかくこういう発言をされたのでありますが、所管局長としては、具体的にこれらの特別作付奨励金制度のあり方について大臣と相談をしているのですか。だとすれば、いま次官から、かなり煮詰まっているかと思ったら、そうじゃなくて、一般論という考え方で示されたわけでありますけれども、しかし、この際私は、国際的な麦の状態、さらには価格高騰等を考えますときに、国内産麦の最も緊急にして具体的な生産振興策が必要だという観点に立って先般も論議をいたしたわけでありますが、その点がきわめて不明確なまま今回四麦の価格決定を見た、こういうわけでありますので、農相の意向は私ども非常に歓迎するところでありますので、この際麦作生産農家の意欲を来年に向けても盛り立てていくためには、早急にこの考え方が具体化することを望むものであります。局長からでけっこうでありますが、こうした農相の意向をどのように今後発展させていこうとお考えになっているか、簡単でけっこうでありますから、お示しをいただきたい、こう思います。
  205. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 お答え申し上げます。  大臣の御発言の御趣旨はただいま政務次官から答えられたとおりでありますが、私どもはこういった大臣の御意向というものを体しまして、部内で十分検討して麦作の振興に役立てたい、かように考えております。
  206. 島田琢郎

    島田(琢)委員 時間がありませんのでこれを詰めることはできないわけでありますけれども、せっかく大会といいますか、生産農民に農相の前向きの意向が示されておるわけでありますから、これは予備費を流用してもということは、先ほど次官は来年度以降の麦作振興をおっしゃっていましたけれども、ことしの一般会計から予備費流用ということになりますと、むしろことしの麦の問題についてもお考えになっているのではないか、こう思ったのですけれども、その点もまだ明確でないとすれば、これ以上時間がありませんからお尋ねすることはできませんけれども、しかし、何としても麦作振興については真剣に取り組んでいただきたい。せっかくの麦の価格決定にあたって意を決して農林省は取り組んでくれるものという期待を持っておりますので、しっかりした具体的な対策を早急に立ててくださるように、重ねて念を押して、私の関連質問を終わります。
  207. 佐々木義武

  208. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 それでは、政務次官にお伺いします。  あなたは先ごろ、オレンジの自由化の問題についてアメリカへ参りました。その際、新聞は、あなたを田中首相の密使だ、あるいは和製キッシンジャーだ、こういうことも書き立てておりましたが、新聞その他で、お帰りになってからお話を聞きますと、オレンジのブレンドジュース導入で日米合弁のジュース生産会社を設立する、こういうことがあなたの理想であった、こういうことのように承っておりますが、お聞きしたいことは、あなたがアメリカへ行って、あなたに対してアメリカの偉い人が何をどういうふうに言ったのか、それに対してあなたがどう答えてこういう結果になったのか。この点についてお答えいただきたいと思います。
  209. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 いまの御質問は、ミカンだけに限っての問題でございますか。――まあ、内容、概要につきましては、またひとつ別個、時間もかかることとて、いまここで簡略に申す以外に方法はないのでございまして、言で申し上げたいと思うのですが、それは、あくまでも自由化というものはでき得ないということをこちらで申し上げ、向こうはその問題点に対して一つの解決点というものをお互いに政治家同士で求めていこう、こういうことであったと考えております。
  210. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 まず、それならオレンジの自由化について聞きますが、あなたは、いま自由化しないという日本の立場を説明した、こういうことですね。ところが、農林大臣と同じような立場なわけでありますが、何回も言われていますように、田中総理大臣は自由化の検討を進めておるわけですね。わが党も、日本の果実、特にかんきつ類を守るために、あくまでも自由化を阻止しなければならない、こういうことを繰り返し主張してきたのでありますが、いまあなたがおっしゃったように、それならば、オレンジの自由化について、絶対しないということを約束してきたのかどうか、ここをはっきりしてください。
  211. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 これはあくまでも、今回の場合は、日本の立場を十分に説明をするという立場で行ったのでございまして、交渉という段階ではありません。したがいまして、向こうのニュアンスというものがそれぞれ違うということも、これまた指摘しなければならぬと思うのです。したがいまして、自由化はあくまでも向こうでは旗を立ててやり続けていく、ただし、こちらの実情はよくわかったというように御解釈願いたいと思います。
  212. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 そうすると、自由化するかしないかということは別の次元の問題で、いまの時点ではそういうことだということなんですね。自由化をしないということを農林大臣はくれぐれも言うているわけですが、同じ閣内で、総理大臣はそういう検討をすると言っているわけですから、このことは日本のオレンジ農民にとって死活にかかわる問題ですね。だから、あなたがわざわざアメリカまで旅費を出して行っているわけですから、ただ、事務的な詰めを行なったということだけではなくて、これについてアメリカは、今後オレンジの合弁会社をつくるといったところで、基本的には自由化を進める、日本にそういう圧力をかけてくると思うのですよ。これに対してあなたは、どこまでも自由化しないと国民に対して約束できるか。そういうことの決意がおありならば、この際お示しいただきたい。こう思うのです。
  213. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 決意は、ここで再三再四私が述べるまでもなく、農林大臣ともども言い続けておることでございまして、絶対に自由化はしない。さらになおかつ、アメリカに対しても、自由化はしない、クォータも伸長はしない、季節自由化もしないと存分に申し入れておるわけでありますから、向こうは、それに対しては、何とかソリューションを別に考えてくれという要求はしておりますけれども、その詰めばまだ終わっておりません。ただ、私は自由化をしないという形でもって総理にも進言申し上げておるし、また、総理自身もその方向で考えておられると私は確信を持っております。
  214. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 そこで、あなたがやってきたものは、オレンジのブレンドジュース導入で日米合弁のジュース生産会社をつくると言っているのですね。そうなりますと、われわれは、これは自由化の一歩手前じゃないか。この前にグレープフルーツその他で外堀を埋められて、いよいよ内堀に入ってきた。その前ぶれを、あなたは自由化阻止の中間的経過だと言いながら結んできたということは、私は重大なことではないかと思うのですね。特に、日本ではかんきつ類をなま実でいま食べているのですね。それをジュースにして、もっともっと消費をふやす、そういうところが非常に大事なこととして言われているわけでありますが、こういうときに、アメリカの、よりおいしいようなこのオレンジを持ってきますと、日本のかんきつ類の評価を落とすことになる、こういうことになるおそれがなしとしないわけでありまして、むしろいま、こういうオレンジジュースの合弁会社をつくるということではなくて、日本のかんきつ類を中心にしたジュースを国民の消費に合うように改良するとか、試験するとか、そういうほうに重点を指向するべきじゃないか、こう考えますけれども、どうですか。
  215. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 先生の御質問は、私自身も、そのまま受け入れられない観点が幾つかあるわけでございまして、これは少しく私も説明を要する感じがするのでございますが、たとえば私は合弁会社をつくれと言うたことはただの一度もないのであります。それは、新聞がそういう言い方をしてとらえたということは、これはむしろそのニュアンスを感じ取ったからとらえたのかもしれません。私がまさに申し上げてみたいと思いますことは、一体しからば、自由化という名において、日本の国がすべて自由化はだめである、クォータはだめである、さらに季節自由化はだめである、すべてを断わりに行ったということは、先ほど私が指摘申し上げたとおりでございます。ただ、それに対して何かお互いに歩み寄るものがなかろうか。たとえて言うならば、自由化という問題は、あくまでもこちらで見た問題点を、向こうがそれに対して、自由化がだめだったらば、日米の貿易のインバランスをどうするか、不均衡をどう是正してくれるか、これが向こうの問題だろうと思うのです。今日まで四十億ドルの不均衡があり、昨今は二十億ドルになったとはいえ、インバランスはいまだ変わっておらないのであります。これをどう詰めるのかということに対する対案は、日本側が一つも示せずに、向こうの言うことは一切断わってくるということは、これはでき得るものではありません。そういう中にあって少なくともブレンドジュースというか、お互いのミカンとオレンジの消費が拡大していくという方向であるならば一つも困ることはないのであって、私は、そういう方向に一つの解決点があろうという問題点を話し合っておるということでございます。その点は、誤解なきように。
  216. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 なかなか高邁な政治論議をお聞きしましたけれども、いまの日米間の不均衡の問題についても、いろいろ見方があるわけですね。ここではそれを論議するのが趣旨でありませんから省略しますが、そうすると、あなたのお話では、日米合弁のジュース会社をつくるのだ、こういうことをあなたは一つも言った覚えはないのに、新聞がそういうニュアンスを感じて、かってに書いたのだ、こういうことと了解したいわけでありますが、これでいいかどうかということと、それからたとえば、ミカンも伸びるし、オレンジも伸びる、そういうかっこうで一致点を見出した、こういう言い方をして、あなたの今回の訪米を評価しておるようでありますけれども、たとえばコカ・コーラの例なんかを見ましても、日米合弁で今日どういう状態になっているかということ、しかもよけいなことを言うようでありますが、あの成分さえわからないようなそういうコカ・コーラが、いま日本の清涼飲料界といいますか、ジュース界をも全く席巻するような形でやられておる、こういう実態を踏まえても、あなたはアメリカのそういうものが入ってきたところで心配がない、両方とも伸びていくのだ、こういう意向をお持ちなのかどうか、お伺いしたいと思います。
  217. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 この問題もそうでございますが、いまのジュースの問題にいたしましても、日本人には飲む慣習というものがございません。現今の段階で、アメリカほど個人消費というものもないかもしれません。そういう点においては、徐々に日本人がジュースを飲んでいけるような方向づけにタイミングは存分に必要ですよ、そういうことで、自由化をきょうあすやってくれなんということはとても無理なことだよということを、一つの大きないわゆる大乗的な見解から私は言うておるわけでございまして、向こうはそれを非常に了として、そのとおりだ、きょうあす自由化を押しつけていくことはやめようという考え方に向こうが立っていることは、私が先ほど指摘したとおりであります。さらに、先ほど言うように、お互いのブレンドジュースというものが実のっていくという可能性があるならば、それはそういう形においての合弁会社というものは民間で考えることであって、それは私どもの関知するところではございませんけれども、そういう方向づけのニュアンスでとったのだろう、こう私は申し述べたのであります。
  218. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 なかなかニュアンスというのはむずかしいもので、あらためてあなたの御発言の中で感じたわけでありますが、何といっても農林大臣はあなたと同じように、自由化はしないのだ。しないならばこれを閣議決定するのかといえば、そうではない。一方、田中総理大臣は、自由化をこれからやっていかなければならない、さらにこれを促進するように検討する。先ごろICとか電算機なんかを自由化すると発表がありました。こういうところに、先ほどあなたのおっしゃった微妙なニュアンスというやつが、実に国民にとってはひっかかるところであります。  そのことはそれなりにして次の問題に進んでいかないと、時間がないので移りますけれども、最近田中総理やその他の政府関係者が四十八年産米、ことしの米価についていろいろな御発言を国会の外側でしていらっしゃる。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕たとえば二、三日前には亀長農林事務次官がテレビでお話ししておったり、そういう状態なわけでありますが、国会では一言の発言もないのに、国会の外側ではこういうものを次から次へ放送していらっしゃる。国会軽視とは言わないまでも、こういう行政府のあり方について、次官はどういうふうにお考えになりますか。
  219. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 おそらくこの間の総理の発言などをめぐってのお考え方だろうかと思いますが、これはもうすでに総理自身もかつて閣議で話し合ったことを吐露しておるというように承っておりますし、何と申しましょうか、閣議で話し合ったこと、あるいは委員会等で話し合ったことを時に記者会見で求められるまま、あるいは一般から御質問があるままにお答えをするという中で出てくることがあろうかと思うのでございます。そのように了解しております。
  220. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 農林大臣にいたしましても、政府の農林関係者にいたしましても、私たちがたとえば米価問題をお聞きする、そうすると、それはひとえに米価審議会の決定を待つのだ、それ以外にはいまのところは何ら考えていません、一貫してそういうことで逃げ切っているのですよ。それに対して、外側では、あれだこれだと放送していらっしゃる。こういうことについてどうお考えになるかということを申し上げているのです。
  221. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 世の中はマスコミ時代でございますから、これは私どもが言うたちょっとしたことばでも、大きくとられたり、小さくとられたりあるいは無視したり、いろいろとあるわけでございまして、そういう点は遺憾ではありますけれども、時にその人の意思でない場合が大きく報ぜられる場合もなきにしもあらずという感じがいたします。
  222. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 時に利あらず何とかという漢文の文句がありますが、あなたの表現の中で、問題の根本が、一番肝心なところがはぐらかされてしまうところに私は非常に危機を感ずるものなわけです。  特に、先般総理が青森で発言した問題として、米価問題については四十八年産生産者米価の決定は、八月初めに米が出回るので、この一カ月間に最終的にきめる方向で農林省が検討している、労働賃金との比較も考え、広範なものを検討していかなければならない。これは新聞の記事でありますけれども、国会の外側では最終決定のそうした米価の時期や値上げ幅やそうした目安などを含めて発言していらっしゃるのに、国会の中では米審待ちだと言っている。こういう政府の態度、これは単に何かそのときの状況でしかたなかんぺということでは過ごされないのじゃないかと思うのですが、そこをもう一回あなたからお聞きしたいと思います。
  223. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 ただいま総理のお話が出ましたが、おそらく青森県下での米価の問題、先ほど言われた問題かと思いますので、それについてどう受けとめているかということを、簡略にお答え申し上げたいと思います。  総理の青森における発言内容につきましては、私自身が直接聞いたわけではございませんから、各種の記事や現地へ照会した結果を総合いたしますと、一つは減反問題、二つは米価問題について御発言になったようでございます。ただ、その米価を二年分きめるというような内容は発言がなかった、こう承っております。
  224. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 国会の外ではどんどんものをおっしゃって、国会の中では、肝心なことは聞いても一つも言わない。知らぬは亭主ばかりなりということばがありますけれども、国権の最高機関である国会に対してはそういう態度をとっていらっしゃる。そこに大きい問題があると思うのです。  特に六月七日には、政府・自民党が、たとえば今回の四十八年産米価について、生産者米価は実質的に一〇%以上の大幅引き上げはやむを得ない、あるいは農民の生産意欲が大幅に低下していることから、事実上の買い入れ制限を撤廃、自主流通米制度を温存しつつ全量買い上げとし、備蓄米制度を確立する。こういうのが政府・自民党の基本方針としてきまった。こういうことまで新聞に出ているわけですね。これも新聞のかってな憶測にすぎない報道だとあなたはおっしゃりたいかもしれませんけれども、それだけはっきりしていながら、国会には何ら知らしていないのはけしからぬと思う。したがって、政府にそれだけの腹案があるならば、ことしの生産者米価をきめる際に、あなた方は何ぼで米価審議会に諮問するのか。この点をこの場でひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。
  225. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 前半の御質問は、私は総理は関係がなかったかと思います。そのように承っております。後半は事務局の答弁にゆだねたいと思います。
  226. 森整治

    ○森説明員 六月七日に、政府あるいは自民党の間で何かきまったというような報道が一部なされたことは、私どもも承知しておりますけれども、私ども、そういうことに関連いたしまして何かやったとかきめたとかいう覚えは全然ございません。
  227. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 政府がきめたものを政府当局が知らない、こういうわけだ。それはそれでいいでしょう。そういうばらばらな政府だということがわかれば、それでもいいわけでありますけれども、国会の外ではいろいろ放送して、国会の中では何ら御発言がない。聞いても、米審待ちだ。  しからば、その米審に対して政府は何ぼでことしの米価をきめるという腹づもりを持っていたのか。新聞では一〇%以上の大幅引き上げだということを言っていたけれども、この腹づもりは一体幾らなのか。この点を国民の前にここで御発表なさるよう、農林水産委員会の権威の関係もありますので、ひとつお知らせいただきたいと思うのです。
  228. 森整治

    ○森説明員 米価の問題につきましては、従来の方式によりますれば、生産費・所得補償方式と俗にいわれておりますが、そういう方式で算定することにしてまいりましたけれども、たとえて言いますれば、生産費がどうであるかということがまだ実は出ておりません。したがいまして、生産費を基礎にいたします計算等、推計はできると思いますけれども、四十七年度の生産費調査の数字も出ておらない関係もございますし、事務的にわたって非常に恐縮でございますが、従来のやり方で計算をいたします数字の基礎というのがまだ出ていない状態でございます。
  229. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 従来の数字の基礎が全く出ておらないで、なぜ一〇%以上の値上げをするなんということを政府は発表できるのですか、そういう決定をすることができるのですか。
  230. 森整治

    ○森説明員 一〇%という記事が出たことは私どもも承知しておりますけれども、私ども全く覚えのないことでございます。実際、一〇%というのは、どこからどういう計算でどういうことから出たのか、われわれもいろいろ調べてはおりますけれども、そういうことを流したところもあまりわからない、こういう状態でございます。
  231. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 そうすると、政府ではそういう基本方針をおきめになった。政府の行政機関である事務当局ではそれを知らない。しからば、政府の一員である政務次官は一体どういうふうに聞いていますか。
  232. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 ちょうど私の渡米中のころにその発言があったというようなことを承ったのですが、私は現実にこの問題点はまだ研究しておりませんし、また聞き及んでおりませんので確答しかねます。ただ、これをすぐに研究してみたい、こう思っております。
  233. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 すぐに研究するといったって、いま質問しているわけですから、これ以上質問は先に行かないわけでしょう。こういう大事なことについて事務当局がわからなかった。政府がきめた。政府の要人である政務次官は渡米中でわからなかったといったら、だれも責任をとる人がおらないということでしょう。こういうことで国会の審議は進められないと思うのですよ。ひとつ政府において適当な方を、責任ある人をここへ呼んでください。それまでは質問をするわけにはいかないので質問を留保したい。――どうですか、答弁を求めます。
  234. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 ただいまの答弁に尽きると思います。
  235. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 ひとつ百歩譲って、それをすぐ明らかにしていただきたいと思います。いいですか。きょうじゅうにでもそれに対する責任ある答弁をいただきたい、この点についてはどうですか。
  236. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 努力をいたし、善処をいたします。
  237. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 努力して善処するといったって、政府の善処する、努力するというのは、何年先のことかわからないじゃないか。こういうふまじめなことでは困るのです。国民が泣くだけです。農民が泣くだけです。  そうしますと、継続する以下の質問がみんなおかしくなってしまうわけだ。だけれども、政府の発表の中だけで聞いても、総理大臣は、たとえば労働者の賃金との比較だとかバランスを考慮して米価をきめなければいけない、こういうことを言っているんだ。ところが、ことしの春闘では都市労働者の平均賃金アップが一九・四%、農業パリティが五月現在で一四・九%だ。あなた方知らないとおっしゃっているが、一〇%以上の米価値上げなどということを言っております。ことばとしては聞こえがいいわけですが、あまりにも問題にならない数字じゃないかと思うのですね。それからもう一つは、農協中央会あるいは農業会議所あるいは全日農、それぞれ大幅の、たとえば四八・八%だとかあるいは八〇・九%アップの米価を要求しているわけですが、これに対する御見解はどうですか。
  238. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 先ほど来のものをちょっといま事務当局とも話し合ったのでありますが、これも全く関係がない。たとえば先ほどの一〇%の問題にいたしましても、どこにおいても全然言った覚えもないし、そういうことは現在出てきてないのであります。したがいまして、あと一回先生方の側のほうでもその真偽のほどをお調べいただくようにまた御努力も積み上げていただきたい、こう思います。いまの問題点は、十分その点を配慮いたしまして、私どもで考慮いたしたいと思っております。
  239. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 さっぱり骨身のない答弁なわけですね。しかもどこがどこやらさっぱりわからない。何かみんなマスコミが一方的に書いたんだというようなことで、国会に真実、正しいこと、皆さんがきめたことを知らせることを避けるような受け取り方しか私はできないわけです。  そこで、米価の問題は、一〇%と言った覚えがない、覚えがあるということでお互いに論議しても始まらないと思いますので、これも残念ですけれども、一応あとに見送ることにしまして、先ほどあなたは内閣総理大臣の、本年度米価を二年分一緒にきめるのだ、青森でのそういう発言は全くなかったということだが、なかったことが実際に新聞に出ているというのはどういうことですか。先ほど質問と同じことです。何もなかったものが国民の前に知らされておる。それで実際農民に大きなショックを与えておる。これだけは事実だな。
  240. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 これは先ほど私がお答えしたことと重複するかと思いますが、これは決して私ども政府機関で、これだけ傍聴者もおり、また同時にこれだけの委員の各先生方の前で無責任なことを言うておるわけではないのでございます。少なくとも新聞機関におきましてもややもするとニュアンスの取り違えもあるだろうし、また錯覚もあるだろうし、いろいろあることはいままでも累積する事実がございます。そういう点では一紙しか取り上げていないということでございますから、今度の問題点もひとつ十分そちらでも御検討願って、そしてまたまみえてみたい、こう思っておりますので、よろしくお願いいたします。
  241. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 それはあとで検討することにいたしまして、減反の問題も総理は青森で言及していらっしゃる。ことし一ぱいで減反、生産調整を打ち切る、こういうことをおっしゃっておる。このことは間違いないと思うのです。これは政府部内の統一した確定した方針なのか、このことについて聞きましょう。
  242. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 お答え申し上げます。  私も直接総理の御発言の場におりあわせたわけではありませんけれども、私どもは、昭和四十六年の二月の閣議了解というものがございまして、休耕奨励補助金は四十八年度限りで打ち切りまして、生産調整は五十年度まで、転作奨励補助金の交付及び稲作転換対策の実施により、稲から需要の増大する他作物への転作を基本に進めてまいることになっておりますので、総理はそういうようなことをおっしゃったのだろうと理解しております。
  243. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 私のほうはテープをとってあるんですよ。総理は減反を打ち切ると言っておるんです。いまあなたはそうじゃないとおっしゃるけれども、そうすると、参議院選挙目当てのほら吹きというか、そういうアドバルーンにすぎなかったのか。総理大臣がそう言っておられるのですから、誤りなら誤りと総理みずから訂正しなければならない。訂正したということも聞いておりません。休耕奨励金については四十八年度限りやめることはわかっております。しかし、総理のことばはことし一ぱいで減反を打ち切ると言っておる。このことをどうかということを聞いておるのです。
  244. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 何回か私も政府の一員といたしまして申し上げているのですが、四十六年の二月の閣議了解事項をあと一回ここで読ましていただきますと、休耕奨励補助金は四十八年度で打ち切る。生産調整は五十年度まで、転作奨励補助金の交付及び稲作転換対策等の実施により、稲から需要の増大する他作物への転作を基本的に進めていくということをここで申し合わせておるわけでありますから、その点を先ほど事務局もまた政府答弁としてもしておるということでございますので、その点を御了解を願いたい、こう思うわけであります。
  245. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 総理の発言は、四十八年限りで単に休耕奨励金を打ち切る、こういうことをおっしゃっているのじゃないのですよ、減反を打ち切るのだ、こうおっしゃっているんだ。そうであれば、総理はみずからこれが誤りであったということを訂正する以外に、あなた方、よけいなことをそんたくしてそういうことを言うということは何ごとですか。
  246. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 総理の減反という意味は、休耕奨励補助金というものを打ち切るということを意味するわけでございまして、その後は転作奨励にウエートを置くという発言は、この閣議了解の趣旨を四十九年度の対策として明確にしたものと私どもは考えておるわけでございます。
  247. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 あなたがどう考えようとかってです。辞書を引いても、減反を取りやめるということは、生産調整の減反の奨励金を取りやめるということとは一致しないのですよ。どんなことを言っても減反を打ち切るということと奨励金を打ち切ることとは違うのですよ。このことが農民に与えた影響というのはたいへんなものなんです。それならば総理にはっきりそれを自分で訂正して答えてもらうしかない。総理が訂正していないのにあなたが訂正するというのは、あなたは何の権限があって、たぶんそうだろうということで言っているのですか。それとも先ほど来のニュアンスとかなんとかということでうやむやにしてしまおう、こういうことなんですか。
  248. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 この点はよく御理解願いたいのでありますが、先生の御質問は、いつも政府の一員としてという形で、私どもが申し上げたことは政府の一員としての発言として取り上げる。総理の言ったことを私も政府の一員として答えておるわけでございますから、その点はいささか言いがかりかと思いますので、先生もまたひとつ十分に御研究願いたい、こう思います。
  249. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 幾ら研究しても私の答えは変わりません。あなたの言うのは何か詭弁を弄されるように思えて、私は率直に申しまして非常に不愉快です。何か自分だけが研究して、こっちの研究不足のような言い方でありますが、私が言っているのはまっとうに、こうおっしゃっているから、これはどうなんでしょう、総理が訂正していらっしゃらないのだから、あなた方がかってに理屈をつけるということは筋違いじゃないか、こういうことも含めて申し上げているわけであります。総理の発言を一々取り上げればきりがないのであります。たとえば野菜転作を奨励するために、現在、党と検討中だ、こういうような発言もあるようでありますが、その具体的な内容だとか、たとえば転作をやるとすれば、また休耕田を復活させなければならない、そういう場合にその対策が一体どうなっているかとか、あるいは転作せよと言えば、そのために価格の問題は一体どうなるのか。私のところの秋田県あたりでは転作したくても、東北地方は大体転作できないんだが、そういうところのことは一体どうするのかというたいへんな問題があるわけです。ただぽんと参議院の応援に来て、アドバルーンを上げて、はいさようならというのがいまの状況なんです。現実に農民は非常に不安におちいっているんだ。これにどうこたえるかということは、具体的にあなた方は案を持っていなければならない。一々詳しいことはいい、簡単に一言で言ってけっこうですから、いまのような総理の減反発言に伴う諸問題についてどの程度検討しておられるのか、お伺いします。
  250. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 四十九年度の生産整調の問題につきましては、ことしの生産調整の実施状況その他諸般の情勢を考えましてきめていかなければならないことでございます。私ども来年度予算ともからみましていま検討いたしておる最中でございます。
  251. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 私は短い時間の中であれもこれもと欲深い質問なわけですが、もう一つ質問が残っているので、そちらのほうに移らしていただきます。  実はそうした政府の農業破壊の自由化政策だとか、あるいは農業そのものを破壊してしまういろいろな減反政策だとか、こういうことの中で出かせぎ者がどんどん出ているわけです。私のところの秋田県、お隣の青森県、岩手県、山形県、これはもういずれも日本の出かせぎ地帯といわれているところでありますが、この方々が出かせぎ現場におきまして事故で死ぬ率が非常に高い。特に最近では東京電力の横浜火力発電所で作業員三人がマンホールの有毒ガスに当たりましてなくなりました。これを伝えた八日付の新聞によりますと、一とおり覚えていただきたいので申し上げますが、「七日午後一時三十五分ごろ、横浜市鶴見区大黒町、東京電力横浜火力発電所構内の第一発電機取水路の第三マンホール付近で、取水路を清掃するためマンホールの底に排水ポンプを据付ける作業をしていた東電の下請け、千葉工業の作業員柴田勇一さんは、マンホール備えつけの鉄ハシゴで深さ四メートルの水面あたりまで降りたところ、充満していたメタンガスで気を失い、にごった水の中に落ちた。これを見た同僚の高橋利一郎さん、村上二男さんは柴田さんを助けようと中に降りたが、同じように気を失って落ちた。横浜市消防局の救助隊員ら三十八人がかけつけ、ボンベを背負った隊員がまもなく柴田さんと高橋さんの遺体を引上げたが、村上さんは見つからず、同五時すぎ、フロッグマンが水中から収容した。」云々というようなことであります。この三人の作業員の方々はいずれも秋田県の湯沢市の出身であります。しかもこの方々がなくなるその情景について、同じく秋田県から一緒に出てきた、三人の仲間である友だちの方、佐藤修治さんという方ですが、なくなる状況についてやっと手記を書いてもらいました。この手記は、文法上も非常にたどたどしいわけでありますが、どういう状況の中でなくなったかということについてお聞き届けいただきたいと思うのです。「私は毎日水路清掃の仕事をしております。三人がなくなった日も同じでした。マンホールの中に入り、水路についているカイガラをとる仕事です。当日は雨がふり、午前中は休んで道具の手入れをしておりました。午後から、昇降口が六ツあり、一号から六号までの名前がついております。午後からこのマンホールの昇降口に午前中手入れした道具はこびの作業をしました。亡くなった勇一さんの仕事が、その時は何をしていたか解りません。私は柴田美良と二人で仕事をしました。第一にマンホールの方に歩いて行ったきがするが、誰がどこに行ったか解らないし、思い出しません。思い出しただけでボッとしてしまいます。たしか周一さんと次藤さんと云う電気の係の人が電気の仕事をしていたところで、そばにいた美良さんに私は「入ってみるか」と云ったら、勇一さんが「くさくてだめだ」と云った。うしろにトランスに線を引いていた次藤さんと周一さんのそばにいた亡くなった柴田勇一さんが中に入っていって「サオをよこせ」と云って中に入っていった。バン線をといてサオを下げてやった。中で勇一さんが「何もない、何もない」と叫んでおりました。私は「よくさがしてみれ」と云った。「何もない、何もない」と云って上ってきました。向こうの方で柴田トシローと赤平末松がマンホールの中でつかう電線に電球をつける準備をしていましたが、そのそばを私はタバコをふいていると勇一さんが「本館の前のマンホールがナジナベ」と云った。」どうしてであろうかという意味です。「私は「どこもおなじナベ」と云ったら、勇一さんは「タバコ吹くなヨ。歩いてはフカすなよ」と云ってサオをかついで歩いていった。七、八十米の所に発電機のキカイを入れてある倉庫の中に水がたまっており、何かマルイものを東京電力の人がだしていました。私はほんの一寸それをみていました。勇一さんが芝生の上をまっすぐに行ってマンホールに入っていきました。私は急いで行ってみると「何もないよ」と云ってよろこんだ声で叫んでいました。そのとき車がきたので私は車の中の高橋和夫さんと話をしていたら、ドブンと音がしました。それと同時にハルオと利一郎が車の上から私をとびこえてはねおり、中へ落ちるように入っていきました。みると勇一が上をむき、利一郎が勇一のクビに左手をまわし、ハルオが右かたに手をかけ「ロープ、ロープ」とさけんでいました。他の人がロープをさがしにいきました。私はマンホールに手をかけると菅原リン次郎さんがものすごい力で私をおしのけ、マンホールに片足をかけました。東電の社員が「入るな、ガスだ、ガスだ」と大声で叫んで走ってきました。中をみると三人共スッカリ見えなく、真黒い水だけでした。三人共毎年この仕事をやっているベテランであり心ゾーマヒだと思ったらこんなことになりほんとうにおそろしい。私たちは特に亡くなった勇一は誰にもいわれなくとも仕事ねっしんでまた私たち飯場仲間が仲良く、これがまたこんなになってしまって……」そこで絶句して書かないでおるわけであります。これはやはりいまの高度経済成長の中で、農村で稲づくりをやれば食える、そういう状況、そういう基盤がどんどん破壊されて、農村から都会に出かせぎに来るわけです。ところが、そこに待ち受けている仕事というものは一番危険な仕事だ、一番危険な作業なんだ。だから、いつの場合も、そうした事故現場の状況は、出かせぎ者がそういうひどい被害にあっているというのが事実であります。  そこで、きょうは、こういう農民の実態、そこへ追い込んでいるいまの農政、そういうことについて次官はどのようにお考えになっているか、お話しいただきたいと思うのです。
  252. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 まあ全般的な農政については私は私見としては持っておるのでございますが、それを一々開陳するということの時間も先生には御迷惑なことでございましょう。ただ、いまの申されましたその内容は、先生と同様に私も非常に一種の感慨を深くするものでございます。  ただ、出かせぎを解消するためには、基本的には、生産性の向上並びに経営規模の拡大等によりまして、農業所得の増大をはかるということが基本的な問題でございますが、地元での就業機会をふやして兼業所得の確保をはかっていくことが肝要である、こう考えております。このためには、何といいましても、農業生産基盤の整備、農業団地の育成、農地の流動化等の対策を講じまして、農業によって他産業従事者と均衡のとれた生活を営むことができるように自立経営の育成をはかる一方、専業的農家を中核として、兼業農家をも含めました集団的生産組織の育成をはかってまいりたい、こう考えておるのでございます。また、農村地域への工業の導入、工場の導入を推進しまして、安定的な就業機会及び所得の確保をこれまたはかっていきたいと考えております。  これらの基本政策とあわせまして、当面出かせぎ農業者の営農改善対策あるいは留守宅対策、安定就労対策等を実施いたしまして、出かせぎ農業者が安心して就労できるように、万全につとめていきたいと考えておる次第でございます。
  253. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 いま次官がおっしゃったようなことは、三十五年ですか、農業基本法以来自民党が一貫して主張してきたところであります。自民党政治の中でこういう問題がますます深刻になり、ますますひどくなっている。機械化の問題にしても、機械化貧乏の中で出かせぎに一そう追い上げられてきているという現状なんです。  その点で詰めるのが本意でありませんので、労働基準局の方が来ていると思いますから具体的に伺いますが、たとえばガス発生の現場には防護施設及び安全装置というものは雇用者の義務であるというふうに労働基準法の中に書いてあると思うのですが、こういう点についてどういう指導や監督をやってきたのか、この現場に対して一体どうであったのか、お伺いします。
  254. 北川俊夫

    ○北川(俊)政府委員 昨年の十月から、労働基準法とは別に、労働者の健康と安全を守るという立場から、労働安全衛生法を施行いたしております。その法律によりますと、ただいま御指摘のような、東電鶴見発電所マンホール内の取水口の清掃というような、酸素欠乏の危険のある事業所につきましては、酸素の濃度、普通ですと二〇%酸素が空気中にはございますが、それが一八%、ひどいときには一〇%を割るような酸素欠乏の場所、作業場というものが出てまいりますので、事前にそういう測定を十分にやり、その中でマンホールに入る。その場合にも、当然命綱あるいはマスク等保護具をつけなければならない。そういうことにつきましては法律で、事業者が労働者に対して十分教育を行なう、あるいは東電の係員が云々というお話がございましたけれども、それを監視する作業主任者というものを置くようになっております。  なお、この当該鶴見発電所に対する従来の基準局の監督といたしましては、四十六年の十二月に発電所それからこの下請事業の関連企業であります東電工業、千葉工業、こういうところの事業主、従業員を集めまして安全の集団指導を行なっております。さらに四十七年七月十九日には定期監督を行ないまして、この問題になりました取水口につきましては、酸素が欠乏する危険があるという指摘をいたしております。なお、下請の東電工業に対しましても、ガスボンベのキャップが破損をしておる、あるいは玉掛けワイヤが不良である、こういう関係の指摘をいたしまして、いずれもその是正について指示をいたしておるところでございます。  なお、一般的に出かせぎの労働者の方が最近都会に出てこられまして、地下鉄工事とかこういう危険な工事に使われる場合が多うございますので、出かせぎに出られる前に、地元の県において、健康診断ないしは危険な作業に対するいろいろの職業講習、こういうものを行なうことにいたしております。
  255. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 東京へ出てきて、死ぬのは出かせぎ農民、もうかるのは大会社。しかもこの場合、マスクや防護施設その他を備えつけなければならない、こういうことをあなたのほうで指示したと言うけれども、それが守られているかどうか、あとの点検、追跡調査が一向行なわれておらない。そういう中で実際そういうものは何もなかった。死んでから酸素ボンベを運んできたそうですよ。こういうやり方で、おたくは何年に一回指導したからいいというようなことで、こういう状態をますます多発させているというのが現状なわけですね。しかもこの東電については、去年も三年前にも同じ現場で――同じ雇い主ですよ。しかもこの雇い主というのは下請の下請のまた下請みたいなものだが、そういうところにしか出かせぎ労働者は働けないわけですね。こういう状況の中では、何年に一回の講習会を開いたとか、現地で講習会を開けばもっとよかったとか、それは確かによかったでしょうけれども、何か強い規制を、単なる指導ではなくて、ほんとうに命を守るというかっこうの規制をしない限り、こういう状況がますます多発するだろうと思います。これについてはどうお考えですか。
  256. 北川俊夫

    ○北川(俊)政府委員 先ほど申しました労働安全衛生法は罰則でその履行を担保しておる法律でございます。したがいまして、私たちは、労働者の安全を守るために使用者が当然なすべきことをやっていないということが明確であるならば、それに基づいて司法処分いたしたいと思っております。  なお、この事件は、御指摘のように、今月の七日に起こりまして、現在捜査の段階でございます。この前指示をいたしました後に、マンホールの中に入る場合の注意等の掲示板への掲載、保護具の整備ということはやっておったようでございますけれども、ただ、この労働者の方々が被害を受けられた場合は、それを使用しなかった。なぜそれを使用しなかったかというような事態につきましては、現在調査を進めておる段階でございます。その結論が出次第、法の違反があれば厳正な処分をいたします。
  257. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 何か労働者がかってに中へ入ってかってに死んだように聞こえます。そういう防護装置がなかったんです。死んでから酸素ボンベを運んできているんだ、実情は。あなた方は指導した、指導したということで、何か責任がないように言っておりますけれども、やはり基準監督署としてはこういう問題について十分な責任があると私は思うんです。しかもあなた方が処罰するなんという場合は、たいてい下請の下請の下請あたりの零細な中小企業の親方を処罰する。この親方自体、自分でねじりはち巻きで働かなければどうにもならないという弱小の基盤の零細企業の親方なんですね。その親の親の親方であるところの本元の東電なら東電を処罰するということは一回もおやりになっていないのだな。これは東電に限らず、そういう点で根本的に責任のある者は一体だれなのかということをいま一度あなたからお聞きしたいと思うのですよ。
  258. 北川俊夫

    ○北川(俊)政府委員 いろいろの産業の中で、たとえば建設業とかあるいは造船業のように下請が非常に多いという場合には、下請の事業主だけを罰しても実効のあがらないことは御指摘のとおりでございます。したがって、安全衛生の関係の法律では、そういう場合に元請の事業者の責任追及ということをいたしております。  いままで一回もしなかったというような御指摘でございますけれども、安全衛生に関しましては元請責任をずいぶん追及いたしまして、その処罰をいたしました例も幾らもございます。ただ、今回の場合に東電にどれだけの違反があり、かつどういう条文に該当するかは、さっきも申しましたように、調査中でございますので、その結論が出次第、それに基づいて処置をいたします。
  259. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 最後でありますが、簡単に一わたりかけ足みたいなかっこうで、いまの貿易自由化の問題あるいは米の問題、生産調整の問題、農業の荒廃の中から生まれる出かせぎの問題、出かせぎが都市化して労働者になってそこで悲惨な状態を迎える、そういう問題、これこそ全体を見まして、いまの政府・自民党の農業政策が根本的にそういう人たちを生み出しておる、そういう事態をたくさん生み出しておる。このことについてひとつ真剣に、根本的に、抜本的な反省の中から新しい農政を考え出していかなければ、私は自民党政府そのものがやはり国民の批判の中に、大阪の参院補選に見られたように、あるいは最近の総選挙に見られるように、そういうような状態になっていくと思います。そういう点でいまこそ日本の農政を、ただその場限りの、ネコの目みたいにくるくる変えて、そのつど振り回されるのは農民だ、そういうことでないように、ほんとうに長期的な農業政策の基本を打ち出すべきだと思うのですね。先ほど農林次官はいろいろ言いましたけれども、いろいろ言った中で、そういういままでの自民党の基本政策の中でますます農業は深刻になり、破壊されていって、出かせぎもふえているわけですから、そういう政策の中に根本的な誤りがあると私は思うのです。そういったところで、農林次官は私の考え方に御意見があれば、最後にひとっつけ加えていただきたいと思うのです。
  260. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 農林行政のすべての根幹的病根は自民党にあるような御発言でございますけれども、私は必ずしもそう思っておらないのであります。自民党だけが農業行政をするというならば、自民党部会だけでよろしいのでありますが、そのためにこのような委員会があって、各党がここに参画し、そしてその見解を開陳して各省庁に訴えておるわけでございますから、そのお訴えの中で私どもは御支持を得ながら行政に反映しておるのでございますから、先生の御意見を開陳なさったことは存分に、十分にこれをそしゃくして行政の中に生かしていくというのが私どもの行政指導のたてまえだと考えておりますので、必ずしも自民党行政だけに農林省が動いておるというものではございません。その点は決して誤解のないような形においてますます御鞭撻を賜わりまして、農林省ともども農林行政にいそしんでいきたいという心算でございます。
  261. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 いまのお話に対してはいろいろ意見がありますが、私の時間が来ましたので、これで終わります。
  262. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 次に、瀬野栄次郎君。
  263. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 世界の穀物不足と日本の食糧問題、並びにオレンジ、果汁等の自由化問題と、チルド、冷凍果汁工場問題、さらには全農関係の指導監督問題等について農林当局に質問いたします。  まず最初に、世界の穀物不足と日本の食糧問題についてお尋ねするわけでありますが、これは来たる六月二十七日田中総理に当委員会に出席を求めて、土地、米対策、自由化問題について総理の見解をただすわけでございますので、その前提として当局に若干の問題について見解を承りたい、かように思います。  御承知のように、干ばつ、冷夏暖冬、洪水など、世界的な異常気象がにわかに食糧不足ということで表面化してきております。穀物輸出国であるところの米国や台湾は輸出禁止、制限をきめ、また穀物の国際価格はこの半年で小麦、米が二倍以上にも暴騰しておる状況であります。カロリー計算で国民食糧の半分以上を輸入にたよっておるわが国としては、この世界の動きは重大な影響を持つわけです。  そこで、先般FAOの事務局長がいろいろ演説しております。私も指摘したのでありますが、世界の穀物不足の日本への影響性というものを農林省はどういうふうに受けとめておられるか。今後のこともございますので、まずその点の御見解を承りたいと思います。
  264. 松本作衛

    ○松本説明員 ただいまの世界の食糧の需給事情をどう見ておるかという御質問でございますが、御案内のように、昨年秋から大豆、トウモロコシ、小麦等の国際的な価格が急激に高騰してまいっております。この原因につきましては作物ごとにいろいろな理由があるわけでございますが、共通した原因といたしましては、世界的な気象の不順ということに伴いまして農業生産の大幅な減退があったという点が一番大きな問題でございます。  このような国際的な穀物価格の高騰に対応いたしまして、今後どういうふうな見込みを持っておるかという点につきましては、このような天候の異常というものが主として昨年の一時的な原因が多いのではないかという点が一つと、それから穀物の大生産国でありますアメリカ、カナダ等におきまして、このような世界的な需給事情に対応いたしまして大幅に生産の増大をはかっておる、従来の作付制限というようなものを緩和いたしまして生産の増強をはかっておるということによりまして、今年産の穀物につきましては相当大幅な増産が見込まれておるわけでございます。また、昨年不作でありましたオーストラリア、アルゼンチンというような国におきましても生産の回復が見られておりますし、また昨年大量の買い付けをいたしましたソ連におきましても生産が順調に進んでおるというような報道も受けておる次第でございますので、全体といたしまして昨年のような事情は起こらないのではないかというふうに考えておるわけでございます。  しかし、アメリカのミシシッピー川下流における洪水の問題なり、ないしは西アフリカにおきます干ばつによる飢餓というような事情もございますので、こういうふうな世界の食糧需給事情につきましては、いましばらく生産の状況を見守る必要があるのではないかというふうに考えておる次第でございます。このために私どもといたしましては、できるだけこのような世界的な食糧の需給の実態、今年の作柄の動向というようなものにつきまして詳細な検討をいたしますために、おもな生産国に対しまして調査団を派遣いたしまして、現地の実態等も把握しながら慎重に対処してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  265. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いろいろ答弁がございましたが、現在の異常気象というもの、日本ではことしは台風がいまのところゼロだということがいわれているし、また北海道などの状況を聞きましても、いわゆる冷害型ということで、すでにその徴候があって、やはり心配されております。世界的にもこの気象がえらい問題になっておりまして、太陽に黒い雲が出て、フィルターを通している関係から、地球の冷却化時代が来ている。昨年、ことし、二年続いている、こういうこともいわれております。そこで、いまの異常気象というものが一時的かそれとも永続的なものであるか、科学者の意見はいろいろ分かれておるところでございますけれども農林省はこの気象については一時的というような意味のこともおっしゃっておるようでありますが、かなり永続的に考えられるのじゃないか、こういうふうに思うのですが、どういうふうに判断をしておられますか。
  266. 松本作衛

    ○松本説明員 ただいまの気象の状況につきましては、実は気象庁に対しましてもそのような判断につきましていろいろと尋ねておる次第でございますが、気象庁といたしましても、なかなか世界的な気象状況については、十分ここで的確な答えを出すことはむずかしいということを申しております。いずれにいたしましても、最近におきまして世界的な気象状況が不安定になっておるというふうな事実はあるようでございますので、先ほどお話ししました世界の食糧需給の実態調査するという一環といたしまして、気象庁といたしましても、世界の気象状況についてもう少し現地におもむいて調査をいたすというふうな計画も持っておりますので、私どもといたしましては、気象庁とも連絡をとりながら慎重にその判断を見守っていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  267. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 あと重要な問題を控えておりますので、あと一、二点お伺いしておきますが、簡潔に要点だけお答えいただきたいと思う。  今回、米国の輸出規制によるわが国のこうむる影響という問題でありますが、農林省はかなり甘い見方をしているようにわれわれは受けとめておりますけれども、かなりこれは深刻なものがある、かようにわれわれは思うわけです。早急に対策を立てておかないとたいへんなことになるのじゃないか。さっきから言われますように、ミシシッピーの洪水によっていろいろと作付がおくれたり、ペルーのアンチョビーがやはり海流の関係その他でとれないということ、大豆かすその他も相当また高くなってくる。農協にしても七月以降の飼料問題がまた相当心配だし、大豆の不足も先々見えておる。いわゆる商社の対策等もよほど強化していかなければ、たいへんな問題がまた七月、八月、ことしの下半期に起きてくるということはだれしもが感じておることだと思います。そういったことから、この米国の輸出規制、こういったことに関連して今後のいろいろな穀物の見通し、この対策、こういったことについてはどういうふうに考えておられるか、簡潔に御答弁いただきたい。
  268. 松本作衛

    ○松本説明員 先般、アメリカ政府がインフレ抑制対策の一環といたしまして、農産物の輸出規制につきましての権限を大統領に付与するという要請を議会に対していたしておるわけでございます。この要請につきましては、このとおり議会が認めるかどうかというふうな問題が残っておりますので、まだ現実の問題となっておりません。また、この規制の内容等につきましても、どの範囲、契約の時点、いつにさかのぼるかというような問題もございますので、今後、この推移を見守っていきたいというふうに考えておるわけでございます。  ただいま御指摘がございましたように、世界的に食糧の需給事情が逼迫してきておる中におきまして、日本の農産物の輸入が相当程度アメリカに依存をしておるというふうな中で、日本といたしましても、できるだけこのような影響を少なくしていかなければならないというふうに考えておるわけでございますが、従来までアメリカへの手当てにつきましては、小麦、トウモロコシ、大豆等にりきまして、それぞれ最近の穀物価格の高騰に対応いたしまして、相当先々までの手当てをやっておりますので、当面のところ、この輸出規制措置が具体的に発動されたといたしましても、国内的な不安というものは起こらないというふうに考えておる次第でございます。
  269. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、もう一点お伺いしますが、先ほどから申しましたように、世界の食糧危機、アメリカの穀物輸出規制に伴いまして、やはり商社の対策というものを相当強化していかねばならぬと思うわけですね。いつかも指摘しましたように、商社は情報が早い、現地に商社マンを派遣しております。政府の公館においては農業関係の官吏もおりますけれども、われわれが外国を回ってみても、外務省の手先となって日常茶飯事の仕事に追われて、なかなか農業関係の情報を入れるのがおそいということで、以前から数回指摘をしてきたところでありますが、こういう世界の異常気象、また食糧危機というような問題をかかえまして、本年後半のたいへんな問題が予測されますので、商社対策、こういった問題に対して強化すべきだと思うのですが、その点はどういうふうにお考えですか。
  270. 池田正範

    ○池田政府委員 ただいま御指摘の御心配は、私どももそのとおり考えております。特にことしの一月の終わりから二月にかけまして、先行き不安による仮需要が非常に突発的に起こりまして、実際の実需とかけ離れて価格が暴騰した、そのことが非常に大きな問題で現在まで尾を引いておるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましても、そういった投機的な需要が爆発することに対して一番気をつかわなければいかぬというふうに考えておりまして、これらの物資の需給状況とかあるいは価格の動きといったようなものをスピーディーにとにかく把握するということに全力をあげ、いやしくも消費者、実需者に対する、情報不足のために先行き不安が出てきて価格が暴騰するということを特に注意したいと考えて、現在種々の情報の収集に当たっておるわけでございます。  同時に、何と申しましても商社の情報把握力というものは、ただいま御指摘のように、非常に大きなものを持っておりますので、これは需給に関する懇談会等、随時商社との間ですでに開きつつございまして、それらの先行きの見通しを考えながら、随時適切な手を打ちたいというふうに考え、場合によりましては商社に対する協力要請以外に、警告あるいは商品取引所における過当投機等についても随時抑制をしていくというふうに手を打ってまいりたいと考えております。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕  なお、何と申しましても現在国会で御審議をいただいております生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律案、これを早くお通しをいただくことによって、私どもとしては、場合によってはこの法律を活用して、そして適機適確に商社の指導に当たりたいというふうに考えておる次第でございます。
  271. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 四十八年五月十日、当委員会でオレンジ、果汁の自由化問題について、私は中尾政務次官、農林省当局に質問したわけですが、ただいまから、こういったものに関連して、主として中尾政務次官に質問をいたします。  御承知のように、五月七日、ワシントンで日米通商協議が行なわれて、農林省から吉岡経済局国際部長が出席をし、先般帰ってきたわけです。これらの結果報告等をまだ正式に受けておりませんが、この問題は事務レベルで行なわれたわけでありますけれども、これらを含め、今回中尾政務次官はオレンジ等農産物の自由化反対の説得というような意味で渡米をされ、いろいろと対策を立ててこられたわけですが、この内容について、全貌はたいへんだと思いますので、結論的な要点だけ、この席でまず概略報告願いたい。
  272. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 今回の訪米においては、米国行政府及び上院、下院議員の有力者と会見いたしまして、わが国かんきつ農業の現状、特に経営の零細性、耕地の傾斜のきつさ、さらに本年の温州ミカンの価格の大暴落等の実情をつぶさに説明いたしまして、あわせて先日開かれました全国ミカン生産者大会の模様も紹介いたしました。オレンジ、果汁の自由化は、単に経済的問題であるのみならず、政治的、社会的及び農民感情の問題にもなり、きわめて困難である旨を力説をしたわけでございます。これに対しまして米国側関係者は、一様にわが国かんきつ類農業の占める現状、これをめぐる政治的問題について深い理解を示してくださいまして、米国側の日米収支問題に関する世論及び米国かんきつ農民の政治的要求も強いので、わが国かんきつ農業に打撃を与えないで米国のオレンジ及び果汁の対日輸出を増大する方法はないのだろうか、考えてもらいたいという意向は表明しておりました。私は先ほども申し上げたのでございますけれども、自由化問題というものは、相当にアメリカ当局としましてもたてまえ論としての旗はおろさないまでも、決してきょうあすの問題として強硬に持ってくるという問題では解決しませんで、ただ一点それに対しましてもブレンドジュースという問題点は大きな研究課題の一環である、こういうことは向こうでもつぶさに了解し得たという感じがいたしました。
  273. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 あとたくさん問題がありますので、あまりそれを言うと、中尾政務次官腹かくと的確な答弁ができないのじゃないかという心配もありますけれども、私は果樹生産地の国会議員として代表していろいろお聞きしたい、こういう意味できょうの日を待っていたわけでありますけれども、お答えいただきたい。いまもおっしゃったように、五月の十六日、東京の武道館でオレンジ・果汁自由化阻止全国生産者大会が開かれて、私も招かれざる客だったけれども、出席をしまして、大会の模様を一部始終見て激励をしてまいりましたが、ちょうどその大会の二日くらい前に、急遽中尾政務次官の渡米がきまったということで、一般の幹部の中には、ああいう大会も開いて一万二千も集まってやったし、デモもやるのだから、政府も何か手を打っておかないとかっこうもつかないので、とにかく中尾政務次官を派遣することになったのだ、こういうようなことを言っているので、私はそうじゃないと言ってずいぶん説得につとめてきたのですけれども、中尾政務次官は今回の訪米について十分アメリカに説得をし、努力をしてきた、確信を持ってわれわれ果樹農家の意見を伝えて効果があった、こういうふうに思われますか。
  274. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 その成果につきましては、私がここで言うとてまえみそのようになりますけれども、十分なる効果があったと思っております。と申しますのは、私は単に個人で行ったわけではありませんで、農林省からも二、三名のメンバーを連れて行き、同時にまた、行く前に際しまして、十分資料を英文にいたしましたり、また大会の模様等も写真にとってまいりまして、向こうの議員も有力議員でございまするハンフリー、ミルズ議員をはじめ、カリフォルニア、フロリダの上院、下院議員には全員に会ったわけでございます。同時にまた、私個人にとりましても、フロリダ、テキサスという方向に向けてセネター・ベントソンという上院議員ともども二十数分のテレビに出まして、日本の実情を十分に私は伝えたつもりでございます。したがいまして、アメリカ当局は日本の急傾斜地において、しかもオーバープロダクションで何人かの犠牲者まで、はっきり言うならば、自殺者まで出していったこのミカンについて、つぶさに詳細に知り得たということで驚いておったというわけでございます。驚いておったと同時に、それだけに農民にしわ寄せをしていくことだけはわれわれはやめていきたい。しかし、グローバルに考えた場合のインバランスは、何とか日米の間で政治的に是正する方法がないだろうか、これは当然の向こうの考え方でございますが、私はともかく自由化そのものはだめ、自由化に対するワクの拡大、これも絶対だめ、さらになおかつ季節オレンジジュースの輸入、これも絶対だめ、ということはそれぞれ均衡を保って全部言いましたから、したがって、向こうの反応も、すべからくそれはだめなんだということは存分に理解し、また反応したと確信を持っております。
  275. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 アメリカ側はオレンジ、果汁についてはどのくらい日本に買ってもらいたい、こういうふうに言っておりましたか、向こうの話は。
  276. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 果汁の量というものは、直接にどれくらいの果汁をやってくれという形は生まれてこないのであります。なぜならば、御承知のように、私は、果汁の問題にしましても、冒頭から果汁をやったらよかろうというわけではございませんで、ともかく果汁の問題にしても日本の国はオレンジジュースというものを飲む慣習がないのだと言いますと、ある議員、特にハンフリー議員であるとかその他の有力議員は、われわれアメリカでもジュースを飲む慣習はなかったのだ、しかし三十年前から飲み続けて、やっといまここで一週間平均二百CCくらい個人的に飲むようになってきたということからしても、ジュースというものは子供にもいいのだから、学校給食でも飲ませていくような方向で考えていけば、ブレンドジュースの伸長にも通ずるのじゃないだろうか、こういう考え方がいささか支配的であったのでございます。したがいまして、果汁の問題は、ブレンドジュースでアメリカの消費もよければ日本の大きな消費にも通ずるということであれば、当然日本のミカン業者にとってもたいへんな成果になるわけでございますから、そういう方向づけの中で考えていく方途というものも一つの方途である、ソリューションである、このように私は言い続けておるのでございます。
  277. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで政務次官、ブレンドの話が出ましたが、もちろんわが国においても若干のブレンド用の果汁を入れるということは現実にやっておるわけですが、必要最小限度の輸入はやむを得ないとしても、ブレンド用の混合ぐあいですけれども、七対三とか六対四とかいろいろあるわけですが、それを中尾政務次官はそれぞれどの程度まで考えておられますか。
  278. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 私個人には何の見解もありませんが、ただ、日本の量が多いほうがいいということは言うまでもないのでございます。これはサンキストとフロリダとは見解が違うようで、これは民間団体のほうで研究課題にして、私が訪米中にもこれを研究しているようでございます。したがいまして、相当日本の量がはけていける方向の中で歩み寄りということが十分考えられるのではないだろうか。  それからさらに、先ほど申し上げたように、一つ付言させていただければこの果汁の問題が実っていくという方向づけが出てきますと、自由化というものは相当にアメリカの国内においても空気は弱まる、これだけは間違いないことであるということを私は率直に申し述べたいと思います。
  279. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 政務次官、そういうふうに果汁の問題が取り上げられると、アメリカの自由化の問題は弱まってくるとおっしゃるけれども、そういったところが心配なんですが、御存じのように、国内でブレンド用のジュースを入れて、だんだん拡大して販売体制ができていきますと、結局受け入れ体制というものが自然に出てきて、あれよあれよという間に占領される、こういうことになりかねないわけですね。大豆にしても小麦の場合でもみな同じことが言えるわけです。そういったことだから、十分考慮していただかないと、私も本題があとであるものだから、それだけ詰めるわけにはいきませんが、いずれにしても、輸入ワク拡大というものが用途規制までなくなってしまって、行く行くは完全自由化につながるということをわれわれは心配するわけです。それで果汁の輸入拡大というものがオレンジ自由化の阻止の身がわりになる可能性が強い、こういって生産者はたいへん心配しておるのですから、十分に考慮してもらいたい。  さらにもう一点お伺いしたいが、米国議員に会われたわけですけれども、米国議員は、われわれが聞いているところによりますと、このように日本から強い自由化反対の意思が表明されるということになりますと、このままでは振りかざしたこぶしをおろすことができないといって、米国の生産者関係に対しても米国の議員諸公は示しがつかない、こういうことを言っていろいろ問題化している、こういうふうに聞いているわけです。そこで、その辺の印象は議員に会われてどうだったですか。率直にひとつお聞きしたい。
  280. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 先生の御指摘は、もちろんアメリカの議員は上院が百人しかおりませんで、下院のほうが四百数十人と多いわけでございますが、カリフォルニアにしましてもフロリダにしましても上院議員にはほとんど私は会ったのでございます。このフロリダとかカリフォルニアみたいなミカンそのもの、オレンジそのものの生産州というところになりますと、これは先ほど言うたように、同じこの問題のとらえ方でも強腰で考えておる。たとえばガット二十三条の適用までもことばにほのめかすほど、日米間の貿易のインバランスを埋めていくことをわれわれは考えておっても、日本のやり方はあまりにも一方的な考え方だということで言うのであります。しからば、そういう州を離れた議員はどうかというと、それほど大きなターゲットの問題になっておらない。もっと率直に言いますならば、現実に言えば、農産物を全部自由化したところで、アメリカにとってはたいへんなドルの足しにはならぬという。むしろ日本の農民はわれわれにとってはお得意さんだ、ビッゲストバイヤーだ、そういう考え方はちっとも失っていない。したがって、われわれ自身が、このインバランスをなくすために、農産物でだめだというならば、ほかの問題で誠意を示してもらうということを考えられないか、こういうことでありますから、必ずしもグローバルに見たアメリカの政治そのものに、もうミカンが課題になっているという考え方は間違いだと私は思います。その点は州によって違いますが、その州の議員だけの見解によって、これがアメリカの世論になってきておるというふうにお考えになるのは早計かと判断いたします。
  281. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、米国のブレンドによって国産果汁の消費拡大をはかるということは、次官の報告でいろいろうなづけるわけですが、若干のブレンド用の輸入というものは考えられますけれども、わが国の果樹農家を守るためには、ブレンド用には、たとえば熊本のポンカンあるいは愛媛のネーブルまたはハッサクなどすぐれた品種があるわけでございまして、ブレンドすれば日本の風味は十分達せられる、こういうように思うのです。この点も次官はどういうふうに考えておられるか。また、日本のブレンド用のこういったミカンに対して、技術的に限界があるというふうに考えておられるのか。アメリカからのいろいろ強い要求に対しては、日本のミカンを守るために――今後ますます生産過剰の傾向にあるわけですから、全農等商業主義になってしまって、結局輸入拡大というようなことになっていきますと、さっきも言いましたけれども、結局、販売体制ができると、既成の事実をつくっていくということになってしまうという心配もあるので、日本のミカンのブレンド用を開発して、そしてこれに力を入れて日本の果樹農家を守る、こういうふうにぜひやっていただきたいと思うのですが、あらためてこの問題について今回の訪米を機に、どういうふうに印象づけられて帰られたか。また、農林省当局に対して、どういうふうに次官は指導されるのか。農林大臣にもまたどういうような報告をされたのか。その点、簡潔にお答えいただきたい。
  282. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 農林大臣、当局また総理に対しましても、私どもの同僚、先輩議員に対しましても、同じことばしか繰り返しておらないのでございますが、ともかくアメリカが日本に言うてきておるこの自由化という問題は、一つのたてまえ論的なものもある。したがって、あくまでも自由化という問題の旗は決してアメリカはおろさない。これは私のことばではございませんので、ミルズという下院歳入委員長、これも率直にアメリカの議会の空気をそのまま伝えておる。一つの問題点として、振り上げているこぶしはあくまでもおろさないだろう、これは言い続けておるのであります。しかし、そこにタイミングの問題は行政府がきめる問題であって、ミカンの果汁がふえるといったって、日本は飲む習慣もないのに押しつけることはできないし、時間の問題は後々考えていくことであろうという考え方は私どもは考えておるわけでございます。ただ、どういう割合のパーセンテージにこれをブレンドするか、ミックスするかということは、かかって専門的な問題にもなりましょうし、同時にまた全農、日園連、その他の関係もございましょうから、そういう民間団体で存分に農林当局の監督といいましょうか、話し合いのもとに十分話し合って、そして向こうの業者とも十分話し合って、考えていくべきではなかろうか。その問題点に対して、日本が不利益な状況に立ち至るような形で取引すべきではない、これはごくあたりまえのことでございます。  そういう方向で考えておりますので、私はあくまでも指導方針としましては、やはりすべてを断わっていくという段階だけで話し合いが片づくものではない。その前提の中に立って、お互いに消費がふえていくならば問題はないわけでございますから、その消費につながっていくのがブレンドジュースであるとするならば、その問題をとくと研究をせよという行政方針で臨んでいきたいと思っております。
  283. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 七月の下旬には日米首脳会談も行なわれる予定になっておりますが、これに対して農林省は強力な姿勢で臨んでもらいたいと思います。それに対してはいろいろ検討を進められておると思いますけれども、政務次官、どういうふうに検討しておられますか。
  284. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 七月の閣僚会議のときには大臣も出られるわけでございますから、それとともども、私もそれに絶えず臨み、なおかつ向こうの開陳してきた意見とつなぎ合わせまして、あくまでも日本の国益、同時に生産者の利益、こういうものを代弁してこの問題に臨むつもりでございます。
  285. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、園芸局長にお伺いしますが、チルド果汁工場の計画があるわけですが、これについて内容説明いただきたい。
  286. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 本年度の予算においてお認めいただきまして、ミカンの果汁のチルドジュース工揚をつくる、これに対して助成をする、こういうことに相なっておる次第でございます。
  287. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 幾ら助成して、どのくらいの目標でつくる予定ですか。
  288. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 千五百トンの規模で、一億三千万と記憶いたしておりますが、あるいは間違っておりましたら、また後刻訂正いたしたいと思います。
  289. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 国民の税金をたくさん使うこういう大事な事業を、そういうふうに聞いたり、間違っていたらというようなことでは困りますね、日本で一カ所しかつくらぬ問題を。これは国が一億三千万助成をして、三倍以上の四億五千万か五億くらいで日本に一カ所ジュース工場をつくろう、生産者のジュースを冷凍にしたものを買い取って、これを国が一括して製品にして売るということでいま計画しているわけですから、われわれも期待しているわけですからね。  そこで、端的に申しますが、全農は農協果汁株式会社をつくるべくいま準備している。日園連は日本果汁株式会社をつくって、この体制をやるべくすでに準備をしている。十分御承知だと思います。そこで、この果汁工場を日園連と全農でいわば争奪戦が始まっている。そのためのデモンストレーションが、去る五月十六日の武道館における日園連を主体とした大会であったともいわれている。これは私が言うのではなくて、出席した幹部が言っている。政府はこういった問題に対して、しばしば新聞紙上等では一元化ということをいっておられる。この問題が紛糾しているので再検討せよといってやったけれども、結局また当初計画どおり、一歩も進展は見ない。現在も表向きは一本化といっているけれども、歩み寄りは全然やっていない。そういうことになっておりますが、これに対してはどういう考えですか。
  290. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 ただいま先生がお話しのように、このチルド工場の建設の問題にかかわりまして全農のほうから事業をやりたい、それから日園連傘下の県の果実連、果汁連、いろいろあるわけでございますが、そういったところで共同して事業をやりたい。両方の申請が出てまいったわけでございます。ただ、御案内のとおり、ことしの予算は一工場ということに相なっておりまして、私どもといたしましては、やはりこれは生産者のための果汁工場である、チルドジュース工場である、こういう考え方でございますから、両者でよくお話し合いを願いたい、こういうことを申し上げております。過般両者の首脳の方々がお会いになりまして、基本的には一つでいこう、窓口を一本にしてやろうじゃないか、こういうお話し合いになったと報告を受けております。なお、その後それを事務的に移した段階で、いろいろ両方の意見の調整がまだ完全にはついておらないというように聞いております。
  291. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 この問題に対しては、今後の見通しとしてはあくまでも農林省は一元化という方向でいかれるのですか。
  292. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 一元化していくよりほかにないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  293. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 たいへんその辺が歯切れが悪くてちょっと聞こえにくいところもありましたけれども、そこで、いろいろ両者で話し合いが進められておるということでありますが、現在全農はすでに農協果汁というものを売っておりますね。これも現に赤字が出ている。これはいわゆるその前提策としてこういったこともやっているともいわれておりますが、すでに日園連のほうからの品物があまり来ないためにグレープフルーツを入れて、そしてまぜている。だから、日園連のほうではこれはまがいものだ、こういうようなことも言っているようであります。そこで、この紛争といいますか争奪戦が長引けば、結局全農の農協果汁のほうもだんだん原料が足らぬようになってくる、物が足らなくなってくるということで、やむなくグレープフルーツなんかもまぜてくるということでおかしなことになってくる、しかも赤字がふえてくるというような問題があるわけですが、その点は認識しておられますか。
  294. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 全農系統で全国農協牛乳直販会社というものがありまして、ここでジュースの販売をいたしておると聞いております。ことしの五月一日から始めたようであります。昨年から販売いたしております農協牛乳の販売ルートに乗せておるということであります。まだ販売を開始したばかりでありますから、その収支の状況というのはにわかに判断できないわけでありますが、順調な販売の伸びを示しておるということであります。  なお、グレープフルーツのジュースをこれにまぜておるかどうかということは私どもは聞いておりません。
  295. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 園芸局長、監督指導の立場にあるのですから、よく知っていてもなかなか言わないかもしれぬが、しっかり調査をして間違いを起こさないようにしなければたいへんな問題になってくるのじゃないかと私は思います。  それと、農協牛乳の話がいま出たけれども、農協牛乳は発足当時確かに国民にも受けました、またわれわれも歓迎した。スタートは実によかったし、順調に進んできたのですけれども、最近は原料不足でこれまた赤字でたいへん困っておる現状になっておるというのだが、その辺の実態をどういうふうに把握しておられますか、簡潔にお答えいただきたい。
  296. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  御案内のとおり、いわゆる農協牛乳、全国農協牛乳直販会社は昨年二月から発足をいたしまして、発足当時は二万本、通常二〇〇CCでございますが、昨年の八月ではわれわれの報告では四十万本、現在は六十万本ということに相なっております。販売量はときとともに増大しておるというふうに判断しておりまして、その点では所期の目的を達しているというふうに判断しております。  なお、欠損問題でございますが、御案内のとおり、事業年度が七-六になっておりますので、四十七年度の決算はまだ明らかになっておりませんが、昨年の二月から六月までの事業を見ますと、一千万円強の赤字があるというふうに聞いております。しかし、これは創業早々のときでございますし、ただいま申し上げましたような販売量の増加でございますので、われわれとしてはこの事業は、当面の判断といたしましては、順調に伸びるものというふうに思っておるわけでございます。
  297. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 せっかく期待を浴びて出発した農協牛乳ですから、当然順調に伸びるようにやっていただきたいし、またいまおっしゃったように指導してもらいたいと思うのです。公開の席だからあなたはずいぶん遠慮してものをおっしゃっておるけれども、実際に原料不足のために農協牛乳もたいへんなピンチになっていることをわれわれは聞いております。ひとつよく実態を見て、いずれ報告願いたい。これを一々やっておると時間がかかるので、このくらいにしておきます。  そこで、組合貿易の中で、これまた昨年、おととしから私は何回か追及してきたのですが、農協を愛するゆえに、農協のためにだれかあえて発言しなければならぬと思って申し上げておるのですが、グレープフルーツ、これも園芸局長、二けたの赤字が出ているというふうにわれわれは聞いているのですが、結局売り方があまりじょうずでない、そこで赤字になった。要するに、赤字が出るということになれば、農民にしわ寄せがくるし、農民の一番上層部の団体でありますから、これはたいへんな問題である、こう思うのです。  そこで、グループフルーツもなかなか売れないというのです。組合貿易でもってグレープフルーツがそういったことでどのくらいの赤字が出て、どういうふうになっているか、ひとつお答えいただきたい。
  298. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 全農系の株式会社のグレープフルーツの取り扱いの割合は、全輸入量のことしは約六%程度だそうであります。前年が一〇%程度であったようでありますが、若干落ちた、こういうことになっています。グレープフルーツは、輸入自由化後、昨年の六、七月に輸入が集中いたしまして、特にそのときに入りましたものは品質が悪かったということで、卸売り価格が大幅に低下いたしまして、一部で輸入価格を割るような事態が見られたわけであります。そういった段階、ちょうど昨年の七、八月ごろでございますが、一番ひどかったわけでありますが、その後輸入量というようなものにつきましても慎重に考えるというようなことになってまいりまして、最近では順調な販売が行なわれております。各輸入業者とも収支状態は問題ないというように考えておる次第でございます。
  299. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 一応あなたの報告をそのまま受けとめることにして、最後の問題として、昭和四十六年三月十一日、当委員会でグレープフルーツの自由化問題、元全購連と農機具メーカー佐藤造機にかかわる前渡金の焦げつき問題を質問したわけであります。また昭和四十七年四月二十六日に当委員会でグレープフルーツの組合貿易並びにオレンジジュースの緊急輸入の問題、さらに元全購連に対する国税庁の特別調査問題についていろいろ質問したところでありますが、当時の赤城農林大臣は「いま御指摘のように、全農は、商売で営業する団体でございません、農民のための組織でございますから、その経営等につきましても、公正に、疑惑などが起こらないように、そうして農民のためにこれを発展することを私どもは期待しておるのでございまするから、農林省といたしましても、十分その趣旨に沿うて指導監督をいたしていきたい、こう考えております。」という答弁をいただいて、その後もいろいろ追及してきたところでありますが、実はいまの問題と関連してきのう私あっちこっちから電話をいただきまして、きのう六月二十九日付の発行による週刊朝日一二一ページに、たまたまきょう質問するのに符合するかのように、こういう記事が出まして、ぜひひとつ農民のために上層部の姿勢を正してもらいたい。いわゆるいまの全農は発足して一年目であるが、組織づくりで、異動異動で部局の異動ばかりが多くて、なかなか落ちついて仕事ができない、職員自体も不満、農民のために働こうと思ってもなかなか仕事ができない、落ちつかない、そんな状況で、上の人たちのいわばなわ張り争いが起きているということで、皆さんも十分知っておると思うのですが、たいへん憂慮されている。ちなみにこの記事を読みますと、「合併の全農で派閥争いにからんだ辞表騒動劇」「全販連と全購連が昨年三月末に合併してできた全国農業協同組合連合会(全農、三橋誠会長)で、派閥争いがからんだ幹部の辞表騒動が起った。旧全購連と旧全販連の幹部が、それぞれの思惑からドロ仕合をくりひろげており、新日鉄の”ノーキョー”版だとの声もきかれる。ことの起こりは旧全販連出身で全農のナンバースリー、吉原静雄専務が、五月後半に、「ある幹部(旧全購連出身)が子会社から金を集めては、自分のポケットにいれている。こんな人とは一緒に農協活動はできない」と、三橋会長(旧全購連出身)に辞表を出したこと。吉原氏がこれを知ったのは、昨年末の国税局の特別調査で注意があったからという。三橋会長は騒ぎが大きくなるのを恐れて、六月初めに三役会議を開いた結果、「疑惑のある幹部にはなんらかの措置をとる」と約束して、辞表の撤回を要請。吉原氏もこれを受けて辞表をひっこめた。大手商社並みのマンモス全農の内紛の裏には、全農の裏ガネの資金源になっているとみられる旧全購連出身幹部を追払うのがねらいではないか、とのうがった見方も出ている」、そこで吉原専務の場合はそういうことですが、元全販連の某常務もすでに六月一日で、名目は病気ということでやめておられます。全購連で牛耳ろうとするような動きが全農の中にあるというようなことでたいへん心配をしているやさきにこういう記事が出たわけですが、このことに対してはどう受けとめておられるか、どういうように処理しておられるか、見解を承りたい。
  300. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 御指摘の問題につきましては、具体的な内容は承知しておりませんけれども、全農は、昨年三月の全購、全販の合併以来今日まで、人事の交流あるいは組織の整備等通じまして会内の融和につとめてきており、さらに内部監督なども十分行なわれてきておりますので、このような事実は全く存しないものと考えておるのでございます。しかしながら、いま御指摘のとおり、かりに週刊誌に報道されているような記事が真実であるとするならば、農民のために農民によってつくられておる少なくとも全農という指導的立場であり、農協系統の中脚おいてもいわゆるリーダーシップを持っていかなければいけない全国連としましてはまことに遺憾きわまりないことである、このように考えております。
  301. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 これ以上答弁が出るかどうかわかりませんが、時間の制約もあるので、私は指摘しておきたいと思うのです。  御承知のように、さっきから申し上げましたチルド果汁工場の問題と、日園連と全農の関係、これらの問題は農林省も頭の痛いところかもしれませんが、われわれはほんとうに農民のためにひとつ有効な一億三千万の補助、また総工費が五億くらいでできるというこれをやってもらいたい。しかし、農民にとってはそんなことよりも、ほんとうに果汁の自由化を阻止して、日本の果汁の販路拡張をしていただきたい。いわゆる日本のジュースの嗜好も変えていただきたい。水俣病問題等ではたいへん被害を受け、一方農民も生産調整で塗炭の苦しみを受け、この上果汁問題でやられたのでは、農業のビックスリーという米、果樹、畜産の三つがことごとくくずれていく。こういうことになってはたいへんな事態です。  そこで、農民の零細な金を集めている団体である全農、この指導監督は農林省にあるわけです。大臣もしばしば言っている。当然のことですが、よく実態を見ていただかなければ困るのです。監査もやることになっている。ずいぶん知っておられても、公開の席では圧力がかかってなかなか言えないという立場ではないかと私は思うのですが、これに対しては十分対処しないと、これはたいへんな第二の共和製糖事件になりかねないという心配も私はするんです。そういう意味で、この問題については、御存じのように、飼料で全農もたいへん苦しい立場になられた。また農薬がそう、肥料がそう、農協牛乳も原料不足からたいへん苦境に立たされておる、こういうふうに聞いております。もちろんマンモス全農でありますから、簡単につぶれるわけはないにしても、農民の零細な金です。しかもブレンド用の果汁が結局日園連との関係で原料が入ってこなければ、グレープフルーツをまぜて売らなければならぬということも起きてくる。そこで、御存じのように、いわゆる農業四団体の行司役であるべき全中が全農のほうに肩を持ったような動きをしているのを見るにつけ、こういったところをよくひとつ指導をしてもらいたい。また農民の期待にこたえるようにしないと、上が腐ると下も腐ってくる。たまたまそういった状況下にいま申し上げたようなことが報道された。これは一昨年以来私がしばしば警告してきた問題であります。この問題を警告すると、相当選挙に影響したり、いろいろ圧力やら妨害電話がかかってくるので、やめたほうがいいという人もいますけれども、だれかが勇気を出してこういった問題を思い切って指摘しなければいけない。農業がたいへんな危機にあたっておるときに、ほんとうにこの問題を解決して、全農の中の組織も明朗にしていかなければ、全農が合併して一年の間に部や課が異動ばかりして、職員もなかなか落ちついて仕事ができない。そういったことで、農民のためにこたえられないといって不安感を漏らしておるのも事実であります。そういったことでは相ならぬから、そういうことを踏まえて、もっと農林省が掌握していただいて指導監督してもらいたい、こういうふうに思うのです。中尾政務次官、どうですか。
  302. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 むしろ先生の激情あふるると申しましまうか、その勇気というものは私も一緒に分かち合いたいという気持ちでございます。ともかく農民のためによかれかしという気持ちで、またそういう構成でつくられていく農協あるいは全農系であれ、また日園連であれ、そういう諸団体がともかく派閥抗争問題に明け暮れているというような、よく最近の会社などで見られるような事実があるとするならば、これはもう農民のため何をもってからだを張ることができるかという感じがいたしますので、私ども農林省の監督を十分に徹底させまして、私どもの生きるべき道をお互いに再確認し合って反省の材とし、また戒め合っていきたいと思っております。その点は先生の御意思を十分に反映さ迂るつもりでございます。
  303. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間が経過して申しわけないのですけれども、最後にも一点申し上げておきます。  大阪のある農協だと思います。私がいま調査しておりますけれども、いわゆる職員の五億円の使い込みがいま問題になりつつあるのです。伏せてあるのじゃないかと思いますが、いずれこれは明るみに出ると思いますけれども、五億円の使い込みがあるということを聞いております。真偽のほどは私はいまから調査をするわけですが、一昨年来農協のこげつき問題その他たくさん出ております。今回農協四法が通っていよいよ為替業務をする。まさに金集めも起きているし、土地ブームもいま問題が起きているということで、十分注意してかからないとたいへんな問題ができて、農協そのものがたいへんな塗炭の苦しみにおちいるということにもなりかねない。  それから、先ほどから言いましたように、全農のほうもよく指導して、経営の内容組織なんかもよく見ていただきたい。確かに最近は経営がずさんで、肥料、農薬あるいはさっき申し上げました飼料の問題、また農協牛乳が行き詰まる。だから今度は農協果汁をつくってこれに乗り出す。そのほかに全農としては経営がずさんだということをいわれるので、地域開発等にも力を入れつつあるわけですね。本来農民のための一番の上層団体がそういったことでは、これは農民に対して申しわけない。国会でこんなことをだれも指摘せずに何をしているのだといわれたときに困る。そういったことを十分に踏まえて、農民のためにほんとうにすきっとした経営をするように農林省も今後指導監督してもらいたい。このことを強く言いまして、残されたいろいろな問題はこのことを踏まえてあらためてまた質問することにして、きょうは時間が参りましたので、警告を発して私の質問を終わります。
  304. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 先ほど私が申し上げました数字が若干違いましたので、訂正させていただきます。  チルドジュース工揚は年間千八百七十五トンの能力でございます。
  305. 佐々木義武

  306. 小宮武喜

    小宮委員 私はまず長崎県の総合開発事業について若干質問します。  四十八年度の予算で、水資源開発分については、全体実施設計費として九千万円、それから土地造成分については調査費として一千万円、計一億円の予算がついたわけでありますが、いよいよ本事業を推進するにあたって問題となっておるのが漁業補償の問題であります。この件については漁業団体もいろいろ難色を示しておりましたけれども、最近漁業団体の協力も得られるという見通しがついてまいりましたが、いずれにしても問題は漁業補償額の問題でありまして、漁民としては県に対して漁業補償はどうするのかということを言うし、県としては国が幾ら漁業補償をしてくれるのかということで、これはもう三方三すくみという状態で、なかなか前進をしていないというような状態でございます。  そこで、この長崎県の南部地域総合開発事業に対する国の漁業補償の問題についてはどうなっておるのか、どうするのか、ひとつ政務次官から御答弁願いたい。
  307. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 この問題はひとつ事務局から答弁させたいと思いますので、よろしく。
  308. 小沼勇

    ○小沼政府委員 長崎南部の総合開発事業に伴います漁業補償の問題でございますが、御承知のように、四十八年度に全体実施計画に着手したものでございますが、今後事業の実施にあたりまして漁業補償の解決が前提でございますので、いま御質問がございましたように、目下漁業補償に関する基礎調査を地元の長崎県の協力を得まして実施中でございます。この結果に基づきまして漁業補償の基準になる額を算定をいたしまして、それをもとに交渉いたしまして解決する、そういう手順がございますので、目下その調査を実施しているという段階でございます。
  309. 小宮武喜

    小宮委員 調査中ということでございますけれども、四十九年度予算も大体八月中には大綱をきめておかねばならぬという問題もありますし、その間漁業補償額をめぐって今度は漁民との交渉も出てくるわけですから、その意味で、やはり時間的な制約は当然出てきますね。そうした場合に、いま調査中だということですが、いつまでにその調査を終わって具体的な補償額はきまるのか。要するに、いつごろその補償額がきまるのか、その点をひとつ明らかにしてもらいたい。
  310. 小沼勇

    ○小沼政府委員 私どもといたしましても、できるだけ早く漁業補償をきめたいということで、長崎県のほうとも相談をして進めてまいるつもりでおりますが、いついつまでということでございませんが、とにかくできるだけ早くきめて工事に入る準備をいたしたい、かように考えているわけでございます。
  311. 小宮武喜

    小宮委員 もう少し時期的なものを、何月何日までということは無理にしても、やはり考え方としては四十九年度の予算編成までに間に合うようにというふうには理解しますけれども、一応大体いつごろまでと大まかなところでも言えないかどうか、どうですか。
  312. 小沼勇

    ○小沼政府委員 いまお答えいたしましたように、できるだけ早く漁業補償についての額を円満に妥結していただきたいということで鋭意努力いたしたいと思っております。
  313. 小宮武喜

    小宮委員 具体的にいつごろまでにということはなかなか言えないようですから、それなりに理解はしますが、それでは、四十九年度の予算編成にあたって、この開発事業の水資源のものですね、水資源分についてはいま全体設計費がついたわけですから、今度はその具体的な工事着工の費用を大蔵省に要求するのか。それからまた、土地造成分については、いまは調査費ですから、今度は全体設計費を大蔵省に要求するのか。一応その点についての農林省の考え方を伺っておきたいと思います。
  314. 小沼勇

    ○小沼政府委員 四十九年度の心づもりでございますが、四十八年度は全体実施設計費が九千万、これは淡水湖の造成と畑かんの事業についてでございます。それから調査費で土地造成事業が計上されておりますが、補償等の問題が解決いたしますれば、こういう事業はできるだけ早くやっていただいたほうがいいと思いますので、四十九年度から具体的に事業を実施すべく予算を要求してまいりたい、かように考えております。
  315. 小宮武喜

    小宮委員 それから、特にもう一点確認をしておきますけれども、大体予算の編成までには漁業補償の問題は明らかにして具体的な交渉に入られるということですね。そうしないと、大蔵省に予算要求する場合にいろいろな支障が出てくると思います。したがって、そういうようなことで理解し、また農林省としても努力してもらいたい。すでに障害になる問題もないわけです。漁民の方々も一部反対があったのが、いまでは皆さん方が大体理解して、協力しようという体制まできておるのです。ただ、漁業補償額がきまらないということによって次の予算編成の場合に支障になるようなことになっては困ります。また支障になるような問題は私はないと考えておりますが、要するに、問題は漁業補償の問題ですから、特にその点お願いしておきたいのであります。  それから、淡水湖の総貯水量は幾らで、この中で都市用水と畑地かんがい用水の比率はどうなりますか。
  316. 小沼勇

    ○小沼政府委員 計画段階の数字でございますが、水の開発で、淡水湖の造成が一応一万ヘクタール、それから淡水湖の面積が四千七百ヘクタールでございまして、そこから生じます開発水量は百十万トンと見ております。その中で畑地かんがい用水が日量でいいますと七十万トン、それから都市用水が日量で四十万トンという計画でございます。
  317. 小宮武喜

    小宮委員 この畑地かんがい用水の対象農家は大体幾らで、総事業費は幾らになりますか。
  318. 小沼勇

    ○小沼政府委員 戸数は後ほど申し上げますが、畑地かんがい事業は一応国営事業分で、概算でございますが、百三十三億円ほどを見込んでおります。
  319. 小宮武喜

    小宮委員 この事業費の国、県、地元の負担分は幾らですか。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
  320. 小沼勇

    ○小沼政府委員 ちょっといま手元に資料を持ち合わせておりませんので、後ほどお答え申し上げます。
  321. 小宮武喜

    小宮委員 時間がありませんので、私のほうも進めなければならぬから聞きますが、地元では国営の負担以外に県営や団体営の負担の分もしなければいかぬということになります。したがって、地元の負担だけは幾らになりますか。――ちょっとあとで、そちらのほうで質問を聞いておって調べてください。そうしないと時間がもったいないから。  それから、この問題についても地元では非常に問題が起きておるのです。地元負担金が高くなるということです。この畑地かんがい事業についても、これは土地改良事業申請は、土地改良法に基づいて、対象農家三分の二以上の同意を必要とするのだけれども、なかなか地元負担が大きくなるということでやはり問題が起きております。そのために、三分の二の同意を取りつけることが非常にむずかしいというような問題も起きておりますけれども、それも聞いてもわからぬでしょうから、そういうようなことで、県のほうでも大体地元負担を一〇%ぐらい軽減しようということで、その分だけ地元負担を軽くして、県がそれを肩がわりをしようというような動きも現在出ておりますけれども、いろいろそれでもまだ問題があります。国営の場合の国の負担率はこれは絶対ふやすことはいかぬわけですか。これは政務次官、どうでしょうか。この畑地かんがい事業における国営の場合の国の負担率をもっとふやすことはできぬかということです。
  322. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 この地元の問題、ひとつ関連さして答えさしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
  323. 小沼勇

    ○小沼政府委員 御承知のとおり、国営事業の場合に七五%国が負担するという形になっております。
  324. 小宮武喜

    小宮委員 不十分だけれどもしょうがないですな。  それから、水産庁おりますか。第五次漁港計画で、この長崎市の三重町に予定されておる長崎漁港の増設計画についてひとつ具体的な計画の内容について説明を願いたいと思います。――それもまだわからぬのですか。着工時期、完成時期、計画。
  325. 大場敏彦

    ○大場説明員 申しわけありません。私、担当の部長ではございませんので、いま至急関係者を呼ばせていただきます。
  326. 小宮武喜

    小宮委員 それでは次に進みますから、あとで答弁してくださいよ。  今月の八日に長崎市は集中豪雨によって死者五名、それに重軽傷者もまた多数出したわけですが、物的被害が十億をこしておるわけです。その中で特に災害のひどかったのが長崎市の潮見町というところですが、ここではちょうど天草の災害と同じように山津波で非常にべらっとやられたわけですね。ここではあとの復旧工事について皆さん方非常に不安がられておるわけですが、これについてまず、それでは林野庁から聞きましょう。  ここの潮見町の今度の治山ダムの建設についてはどういうふうになっておりますか。
  327. 福田省一

    福田政府委員 長崎の潮見町のことにつきましては、ただいま資料を持っておりませんので、至急調べましてお答えいたします。
  328. 小宮武喜

    小宮委員 あなたのところは知っているはずですがね。私からも連絡してあるのだから、どういうふうにするかということで、まあ、あとで……。  それでは建設省、この山津波によって河川が全部破壊されたり、その土砂がみんな水田に流れ込んでおるわけです。だから、河川の護岸工事はどういうふうにしますか。それで土砂はだれが取り除くのですか。
  329. 黒坂正則

    ○黒坂説明員 お答えいたします。  潮見町地内の普通河川の潮見川で、いま先生のおっしゃったように、上流から土砂が流れて、護岸を決壊いたしました。それで土石流によりまして重傷者二名、住宅二戸が倒壊したわけでございまして、これの災害復旧につきましては、大体現地の準備が今月の末にできる予定でございますので、私のほうの災害査定を六月の末から七月の上旬にかけて行なう予定でございます。これは潮見地区だけでなく、長崎県全部についての査定をいま言ったような日程で行なうわけでございます。それで、この潮見川につきましては、五百メートルの護岸が決壊したわけでございますが、いまの報告によりますと、ほぼ五千万ぐらいの被害報告と聞いております。そこで再度、災害防止の立場から、災害関連事業というものによりまして、一定計画で復旧しようということで検討しておりまして、これは月末からの災害査定で決定したいと思っております。  農地に入りました土につきましては、農林省のほうからひとつお答え願いたいと思います。
  330. 小宮武喜

    小宮委員 建設省、あなたのほうは非常に不親切で困るよ。  もう一つ例を申し上げますが、長崎の三十四号線の国道が決壊して、それで下のミカン畑、ビワ畑に多量に流出したわけですよ。そこでその土砂はだれが取り除くのかと私は電話で建設省へ聞いたら、それは私のほうではわかりません、農林省に聞いてください。少なくとも国道は皆さん方建設省の管理でしょう。建設省の国道が決壊し、その土砂が農地に入ったのを、あたかもわれ関せずえんというような気持ちで、それは農林省ですよ、こういうような不親切な態度がありますか。少なくとも皆さん方は、これはもう天災じゃなくて人災だから、当然建設省として自分たちの道路が決壊したんだから、そうであれば、所管農林省でございますから、農林省に連絡をとって、農林省で早く除去してもらうようにいたしましょうというぐらいの親切さがなければいかぬ。それは農林省ですから私は知りませんというような電話の応待をしたのが建設省におるよ。したがって、それは農林省がやるにしても、おれのところは関係ないんだ、そういう考え方が、どうもこれは建設省の連中ばかりでなくて、各官僚がおれのところは関係ない、自分たちに責任ない――そこの農家の人たちは、ミカン畑、ビワ畑に何十立米という土砂がくずれてきた、だれがそれを取ってくれるのか。建設省に行けば農林省へ行け。農林省へ行けば何とかかんとかということで、一つも進まぬ。こういうようなお役所仕事というのはもっと改めてもらわなければ困る。だから、そういうような意味で、いまの三十四号線の国道の決壊の問題にしても、あまりにも不親切です。したがって、建設省としても自分たちの責任ですから、やはり農林省に対して、これは私のほうの国道が決壊してこういうようになりましたから、あなたのほうでひとつ何とか頼みますというぐらいの、やはり側面からも協力してもらわぬと困りますよ。  それはそれとして、ひとつ農林省答弁してください。
  331. 中村清

    中村説明員 先生から御照会がございまして、係のほうで、はなはだ応接に適当を欠いたという点につきましては、おわびを申し上げます。  ところで、いまお話がございました五月八日の集中豪雨でございますけれども、これは先ほど先生からお話しになりましたように、長崎市内だけでも死者が五名出た、あと道路欠壊が十六カ所、これは全部長崎市内でございますけれども、あるいは橋梁の流失が二カ所、家屋全壊が七カ所、がけくずれが九十一カ所という非常に大きい災害でございまして、いま御指摘の国道三十四号線の日見トンネル付近の災害でございますけれども、連続雨量が二百二十五ミリ、最大時間雨量が七十二ミリ、こういった災害によりまして、約三十メートルの区間にわたりまして盛り土になっております道路の部分が崩壊をしまして、それで下にある果樹園のほうに流出の土砂が流れ込んだ、こういうことでございます。下の果樹園の方、はなはだお気の毒でございまして、私のほうも何とかと思っておりますけれども、いま申し上げましたように、非常な異常天然現象による災害でございまして、したがいまして、道路につきましては公共土木施設災害復旧事業費で災害の復旧をしましょうということになっております。道路の設置、管理の瑕疵という問題がかりにございますれば、それは国家賠償という問題で国から当然賠償すべき問題でございますけれども、いま申し上げましたように、異常天然現象ということで、これはそのようなケースには該当しないのではないかというふうに考えております。  なお、果樹園の災害復旧についてどういうふうに考えるかということは、これは私ども農林省にお願いすべき立場かもしれませんが、この問題につきましては、農林省のほうから御答弁があるかと存じます。
  332. 小宮武喜

    小宮委員 少なくともこれは天災というより、やはり三十四号線の国道建設にあたっては九地建が管理監督してやったわけですよ。だから、私に言わせれば人災です。  それと同時に、今度は農林省にお聞きしますが、農林省にその土砂をどうしてくれるのかと言ったら、農林省のほうは、除去する費用が十万円以上だったら半分見ますという話でございます。それが九万九千円の場合にはどうなるのか。国道がこわれて、それが各個人の畑に押し流されてきた。そうすると、その費用が十万円以上なら半分補助するというけれども、九万九千円の場合にはだれがするのか。個人が九万九千円払って自分で土砂をのけなければいかぬのか。そういうような問題がこの問題に発生している。いかがですか、農林省は。
  333. 小沼勇

    ○小沼政府委員 御指摘の国道の崩壊によりまして下部の農地が大体〇・一八ヘクタール、それから排水路が七十メートル程度が被災したようでございます。これにつきましては、公共土木施設の災害復旧と調整をはかりながら農地の排土及び水路の復旧の方法についていま至急検討しておりますが、復旧計画ができ次第、早急に査定しまして復旧工事をいたしたい、かように考えております。おそらくこの場合には十万以下ということはないと思います。かなりの額になるのじゃないかと思いますが、これにつきましては査定をして復旧工事をいたしたい、かように考えております。
  334. 小宮武喜

    小宮委員 この工事の土砂の除去費が、この場合は十万円以上であってそれは問題ないとしても、一般的なものとして、国道が決壊して流れてきた、その除去費用が十万円以上でなくて九万九千円の場合、これは九万九千円ですから、農林省としては全然助成もしません、あなたでやりなさいということになるのじゃないですか。私の指摘はこの工事が十万円以下とか以上とかで言っておるのじゃないのです。そういうような考え方というものは、国のつくった道路が決壊して流れてきた、それで九万九千円の場合は、あなた、自分でかってに自分の金で払ってしなさい、何の罪もない農家の人に自分で負担しなさいということでしょう。これは政務次官、やはりもう一ぺん考え直してもらわなければいかぬ。むしろそういうような制度は現在のあり方としては問題があると思うのです。こういうようなものは改正してもらわなければいかぬと考えますが、どうでしょうか。これは政務次官から。
  335. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 詳細はあとでまた事務答弁をさせるといたしまして、基本的な考え方は、先生のおっしゃるとおりだと思います。そういう意味におきましては、先ほど先生の御質問にるる答え得なかった問題点が多々あるかと思いますから、これはさっそく本省のほうで十分に地元のことをとらえまして、個人的に先生に漸次お答えをしていきたい、こう考えております。  同時に、先ほど先生の御指摘のとおり、そういう被害をこうむった方々に、九万九千円の場合どうするのだ、まさか四捨五入して繰り上げて十万円にするという性質のものではございませんから、そういう点も存分に踏まえた考え方に立って考えていきたいと思っております。
  336. 小沼勇

    ○小沼政府委員 十万円以下の場合につきましては、先生指摘のとおり、小災害復旧事業によりまして起債措置が認められておりますが、それによって進めるということになろうかと思います。
  337. 小宮武喜

    小宮委員 それは公共施設の場合はいいけれども、個人の場合はなかなかそうはいかぬです。この人はいま現在困っている。長崎はいまはビワの盛りを過ぎましたけれども、ちょうどビワがなっておった。そこにみんなくずれてきたものだから、ビワの被害、それからミカンの樹体の被害、こういうような補償はどこに持っていけばいいのですか。この苦情はだれが補償してくれるのですか、答弁してください。泣き寝入りですか。
  338. 小沼勇

    ○小沼政府委員 この小災害復旧事業におきましては、工事費が三万から十万のもの、小災害でございますが、これは地方公共団体が復旧事業を行なう場合に起債を認めることになっておりまして、市町村がそういう場合にも行なうようになっているというふうに理解しております。
  339. 小宮武喜

    小宮委員 ビワとかミカンの補償の問題はどうなりますか。どこに苦情を持ち込んでいけばいいですか。
  340. 小沼勇

    ○小沼政府委員 一般にそういうものを対象にした助成対策はないようでございます。
  341. 小宮武喜

    小宮委員 だから、いま政務次官が言われたように――たとえば十万円以下のそういう除去に要する費用なんか、個人で負担しなさい、自分の責任でもない、国道がこわれて、それでミカン畑もビワ畑もみんな損害をこうむった、その土砂の除去の費用まで自分でやりなさい、また樹体だとか現に実っておるビワの損害だって持っていき先がないわけです。そういうような制度自身に私はやはり問題があると思うので、これは政務次官も先ほど言われましたけれども、十分検討してもらわぬと、いまの制度の中ではやはりそういう零細な農民は泣き寝入りする以外にないのです。だから、向こうに行っても、いや、うちは違う、こちらに行けばあちらへ行ってくれということで、持っていき先がないものだから、泣いて訴えてきておるわけです。だから、こういった問題を、各地方自治体にもいろいろ話をしますけれども、やはり国として、特に国道あたりが決壊したことによる被害ですから、十分考えてもらわなければ、零細農民は非常に困っておるのです。したがって、この除去作業の問題あるいは先ほど申し上げました、たとえば山津波によって潮見川の土砂が水田に流れ込んだ問題、これはちょうど天草の災害のときに私は調査に行きましたけれども、ああいった二トン、三トンという大きな石ころもみんな入り込んでおるのです。これもそういった個人でやれといったってどうにもなりません。こういうような問題も、だれが除去するのか、その費用は、それは県、国にも、長崎市にも話はしますよ、しかし、その場合に、やはりこの費用の負担の問題、こういった問題が出てくるのです。そういうような問題について、明快に御答弁を願っておかぬと、潮見町でも、水田においてかなりの部分にみんな流れ込んでおる。河川は護岸がくずれるし、橋は吹き流されておるし、そういうようなものの復旧について、もう少し農林省も建設省も、林野庁は治山、ダムの問題ですが、ひとつこれは積極的に前向きで取り組んでもらわぬと困ると思うのですが、ひとつそういうような問題で、いまここで御答弁できなければ、あとで私のところに、調査した結果こういうような方法で復旧をやります、これはこういうような負担をいたします、だれがめんどう見ますという問題を含めて、ひとつ私のところへ連絡してください。そうしなければ、ここでなかなか答弁ができないようですから、その点ぜひともお願いしておきます。――皆さん方、私の質問は前回の質問の積み残しですよ。前回、農林水産委員会で生産者米価の問題で理事会でもめまして、田中総理大臣を出席させるかどうかでもめて、一応打ち切ったわけです。したがって、そのときの質問の積み残しです。ですから、各省にはその際質問通告は全部やって、各省は大体持って返っているのですよ。だから、その意味では、今度の場合も一応その旨は伝えてあるのですから、ひとつ皆さん方、各省もう少し真剣に取り組んでもらわなければ困りますよ。  それからもう一つは、外務省、これは長崎県の五島の福江湾に韓国の木材運搬船が沈没したわけですね。もうすでに一年以上湾内に沈んだままにしてある。ちょうど湾内は、タイのえさのエビ漁業が非常に盛んなところなんです。そのために、現在までエビの漁がされないということで、すでに四千万くらいの損失もこうむっておる。この船をいつ引き揚げてくれるのか。これは水産庁も外務省も一応調査に行っておるはずです。その後どうなっておりますか。
  342. 中江要介

    ○中江説明員 お答えいたします。  このマノ号の問題というのは、先生も御指摘のとおり、現地のエビ漁業に非常に大きな影響を与えておりまして、これが沈んだ船を一日も早く引き揚げることによって再び漁業が再開できるようにという点については、外務省も水産庁その他と協力いたしまして何とか早い解決をと思っております。  ただ、これは思っておるばかりでほうっておるわけではございませんでして、その後もいろいろ事態の進展といいますか、発展がございましたので、それを簡単にちょっと御紹介しておきますと、ことしの一月に、ソウルにあります日本大使館の後宮大使のほうに訓令を出しまして、これは当事者間の話だけではらちがあかない、したがって外交的な努力をしなければいかぬというので、いままでの経緯と現地漁民の窮情を詳しく後宮大使に知らせまして、訓令を出しまして、韓国政府に協力を要請したわけでございます。その訓令に基づきまして、二月十九日に現地からその交渉の結果をいってまいりました。  それによりますと、まず二月九日に交通部の海運局に大使館から申し入れまして、そうしてできるだけ協力するように要請した。また二月十六日には外務部のほうにも話をして、これは外交上の考慮から、交通部によく話を通じて、単なる技術的なものでなくて、外交上の問題としてその重要性を認識してもらいたいということを申し入れました。それから三月五日には、他方釜山の総領事からも報告が参りまして、そうして韓国の交通部長官のほうでは、盛昌海運という会社も道義的な責任を感じているので、これは誠意をもって当たりたいという返事をしているという連絡がございました。  向こうに、法律的にはいろいろ見解の相違があるかもしれませんが、道義的な責任を感じて誠意をもって解決に当たりたいという話があるものですから、それを直接確かめたいということで、これは先生も先刻御承知と思いますけれども、五月七日から十二日まで長崎県の漁業協同組合連合会の会長、理事外三名の方が韓国に行かれました。それで各方面と話をされたわけですが、大使館からも書記官二名、通訳一名を同行させまして、話し合いの円滑な進行にお手伝いさせていただいたわけでございます。  その結果得られましたのは、とにかく漁民が困っている実情をよく見てもらいたい、道義的な責任といって、口だけでは足りないので、まず実情をよく認識して、そうしてどういうふうにするのが誠意ある解決かということについては、まず見てもらいたいということを強く申し入れられたわけでございますが、先方は、盛昌海運の社長が当時外遊しておりましたので、帰って来次第日本におもむいて実情を見るということについての返事をいたしまして、五月末ごろまでには誠意ある回答をいたしますという返事をしておりました。それが今月の初めに返事が参りまして、盛昌海運のほうから長崎県の尾島水産部長のほうに、近く日本におじやましてその沈んだ船がいかように日本の漁民の方々に御迷惑になっておるか、その窮状をよくつぶさに見て、そうしてどういう解決策をするのが一番いいか考えたい、こういうところまできております。  来日されるという手紙、これは私信で参っておるようでございますので、その内容のこまかいところまでは存じておりませんけれども、私どもの得ておりますところではそういうところまできておりますので、盛昌海運の方が日本に来まして、長崎県で現地を見て、漁民の方々の窮状を直接見て、そうして具体的な運びになることを期待している、こういうような現状でございます。
  343. 小宮武喜

    小宮委員 この韓国船の第一マノ号というのは、すでに所有権は日本人に移っておるのじゃないですか。
  344. 中江要介

    ○中江説明員 これは昨年の五月二十六日付の譲渡契約によりまして、豊川さんとおっしゃる方に移っている、向こうはそう言って、したがって所有権に基づいて云々という立場にないというのが向こうの主張なんでございますけれども、この譲渡契約書の効力について、私こまかいことは専門家でないのでよくわからないのですが、いろいろ問題があって、先ほども申し上げました長崎県の漁業協同組合の方が向こうに行かれたときもこの法律論争をずいぶんやられたらしいのですけれども、らちがあかない。法律的に論争を続けているばかりがものの解決に資するゆえんでもないので、そこで、その法律論はともかくとして、道義的責任を感じているというのなら、それに応じた誠意ある措置をとってもらいたいということで今回日本に来てもらうという話になった、こういうふうに聞いております。
  345. 小宮武喜

    小宮委員 道義的な責任は感じておるということだけれども、道義的な責任ですから、こちらに来られて漁民の窮状を見られるのはけっこうですが、その場合に、結局、先ほど申し上げましたように、漁民が四千万円からの被害を受けておるということについての補償の問題、それからこの韓国船の引き揚げの問題、こういうような問題は何ら触れられていないわけですね。したがって、調査に来られても、そういった具体的な問題になるといろいろ問題がまた起きると思うのですが、道義的な責任とこの引き揚げについての法律的な責任というか、法律的な立場からすれば、大体いまの所有者が責任を持って引き揚げなければならないのか、その点は明らかでないですか。
  346. 中江要介

    ○中江説明員 どうも日本の国内法上のステータスとか、あるいは契約の法的解釈の問題とか、補償の手だてがあるかどうかというのは、私、直接担当のあれでもないと思うのでございますけれども、外務省として非常に関心を持っておりますのは、日韓間の漁業というのは、日韓国交正常化以来、一般的に非常にスムーズに進んでいる、こういう小さな事件がそれの阻害になっているということは両国にとって非常に残念なことである、したがって韓国の政府当局のほうでも、日本の政府当局と同じように、本件の持つ外交的な意味合いをよく認識して、政府としてできるだけの力添えというのでしょうか、問題解決を促進する手だてをとるという点では、こちらにあります韓国大使館とも、また現地の大使館でも韓国政府と緊密に連絡をやっておるわけで、その点は向こうの政府も認識しておると思うのです。  先生が直接いまお尋ねの補償の数字の問題といいますか、これはむしろ日本の関係官庁のほうから御答弁いただいたほうがいいんじゃないかと思います。
  347. 小宮武喜

    小宮委員 そうすると、いまの補償問題で水産庁の見解はどうでしょうか。
  348. 大場敏彦

    ○大場説明員 いま御指摘の事件でございますけれども、沈没地点が地元漁業権の設定されている区域内でございますから、一般的に組合が、現在その所有権を持っておるのは豊川清という人でございますけれども、その豊川清という人に対して、本人の費用で引き揚げを請求することが当然できる、こうい考え方であります。  それからまた、同時に、沈没によって発生した損害の賠償の請求の相手方につきましては、豊川清という人に所有権が移転するまでは前の所有者であった海運会社、それからその後は豊川清という人だろうというように私は存じております。
  349. 小宮武喜

    小宮委員 最後に構造改善局に質問します。  今度の災害で、赤道といわれておる農道が決壊して、道路下にある人家を一軒全部流失さしたわけです。そして一人なくなったわけですが、農道について災害の場合は補助対象になりますか。
  350. 小沼勇

    ○小沼政府委員 補助の対象になります。
  351. 小宮武喜

    小宮委員 まだありますけれども先ほど私が言った建設省、水産庁、構造改善局、いろいろいま言われましたが、質問に対して準備ができなかった分については、調査した結果をあとでひとつ連絡してください。  これで質問を終わります。
  352. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 次に、米内山義一郎君。
  353. 米内山義一郎

    ○米内山委員 私はこれまでむつ小川原開発について、予算委員会の段階で五回、この委員会で二回ほど政府に質問してきたわけです。その後、速記録をいろいろ点検し、かつ青森県において農地法がどのように正しく適用されているかという現実、あわせて点検しますと、ますます疑いが強くなってきております。言うなれば、前二回のこの委員会での私の質問に対しまして、農林省は重大な問題について重大な虚構の答弁をしている、こう私は断定せざるを得ない実情にあります。農林当局もその後調査もされているであろうが、もしいままでの答弁に間違いがあったならば、この際釈明してもらいたい。うそでないというなら問題は別ですが、もし間違いがあったということをその後発見しているとするならば、この際釈明してもらいたい。
  354. 小沼勇

    ○小沼政府委員 間違いがある答弁をしたつもりはございません。
  355. 米内山義一郎

    ○米内山委員 いままで農林省は私に対しては、事前審査の内示というものは交渉を始めてもいいことだ、そういう意味だという答弁をし続けてきております。ところが、青森県では――これは青森県と同じです、青森県のむつ小川原開発公社というのは、県の出捐金によってでき、その大部分の職員は現職の県庁職員の出向になっていますから、県そのものと見てもいいのですが、この公社がこういう色刷りの文書を出しております。それによりますと「十二月十四日、むつ小川原開発に伴う農地転用事前審査の申請に対する転用許可の内示が出された」。あなた方によると事前審査の内示だというが、青森県に言わせると、許可の内示だという。たいへんな意味の違いがあります。しかもこれをさか手にとって買収行為を始めている。私はこの点は問題だと思うのです。農林省は国会ではこういう答弁をし、県に対してはこれで買収してもいいという内示を与えたんじゃないかという疑いを私は持たざるを得ない。この点、いかがです。
  356. 小沼勇

    ○小沼政府委員 いまお述べになりました公社のパンフレットに許可の内示をしたというふうな書き方がしてございますが、私どものほうで許可の内示をしたのではございません。いま御指摘のように、事前審査の申請、事前審査に入りますということについて申し上げただけでございまして、許可の内示をしたということは毛頭ないわけでございます。ただ、公社だより、むつ小川原開発についてのパンフレットでは、閣議口頭了解にはいろいろ留意すべき事項が含まれておりますので、そのことなども記載されておると思います。また、農地転用の事前審査の申し出に対する内示という言い方で、留意すべき事項をいっております。その内示ということにつきましては、許可の内示ではなしに、事前審査ということでございますが、ことばに正確性を欠くという点は、確かにそういうおそれがあると思いますので、こういうことのないように青森県と連絡いたしまして、指導に遺憾のないようにしていきたいと存じております。
  357. 米内山義一郎

    ○米内山委員 それでは、農林省のたてまえの答弁が正当だとすれば、青森県のこの文書は虚構だということに当然ならざるを得ないわけです。しかもこれは用地買収のために、うしろには買う値段を書いてありますから、こういう虚構を前提にして買収行為をやった。言うなれば一つの詐欺行為だ。これは農地法以前の問題でして、いわゆる公序良俗に反する青森県のやり方だと私は思うわけです。さらにこの上に農地法の違反を犯している場合にはどうなるかという問題点をお尋ねしたい。農林省は私に対して、事前審査の内示を出した段階は交渉の段階ではないかという問いに対して、交渉して許可の停止条件を付した契約は差しつかえありません。こう答弁いたしております。再度同じことを私も繰り返して聞いておるが、農林省もそういう答弁を繰り返しておりますが、このことには間違いありませんか。停止条件さえ付してあれば、結局はまだ移転登記をしていない、あるいは代金の全額を払っていない、土地の引き渡しもしていなければ、証書面で、契約の面で停止条件さえあればやってもいいということですか。たとえば一千万円の契約をして、九百九十九万九千円払って千円さえ払っておかなければいいというしゃくし定木の解釈なんですか。その点を重ねてひとつお尋ねをします。
  358. 小沼勇

    ○小沼政府委員 農地法による転用目的での所有権の移転は、御承知のとおり、許可を要することといたしております。許可を条件といたしましてその効力を生じさせるという趣旨の売買契約を締結するということは可能でございます。その契約に基づきまして代金の相当部分、たとえば八〇%ぐらい支払われたといたしましても、そのことをもって直ちに売買は完了したというふうにはならないのではないかというふうに考えております。  ただ、この合意によりまして、耕作をやめて買い主に土地を引き渡したというふうに認められるとき、あるいは所有権の移転登記を完了したというふうなときには、確かに違反するというふうに見られますし、そういう疑いが濃いというふうに考えられます。
  359. 米内山義一郎

    ○米内山委員 実は私、この農地法を全部といっていいくらい裏表読んでみたが、農地法の中には停止条件ということばは一行も出てこない。農地法にないことばをあなた方が用いるのですが、それでは、それが合法だという、違法でないという法律的な根拠は何ですか。
  360. 小沼勇

    ○小沼政府委員 民法上の停止条件と、それからこの農地法に基づきます転用の規制、許可を必要とするという場合の条件とは若干異なるのではないかというふうに解釈しているわけでございますが、農地法では、むしろ契約書に書いてあろうと書いてなかろうと、やはり許可を要するわけでございますから、法定の条件というふうに理解すべきではないかというふうに思っております。その意味で停止条件ということばの使い方が明確を欠いていた面があるかと思いますが、最高裁の判決でも内容が漸次変化してきておるようでございますが、解釈といたしまして、やはり停止条件といま使っておりますのが法定の条件であるというふうに理解をしていくのが妥当であろうというふうに考えております。
  361. 米内山義一郎

    ○米内山委員 そうしますと、いまのあなたの答弁の根拠になっているのは、これでしょうか。昭和三〇年(オ)第九九五号、同三三年六月五日第一小法廷判決、これが根拠ですか。法律解釈の根拠になっているのはこの判例ですか。
  362. 小沼勇

    ○小沼政府委員 最高裁判決の三十六年の九二三号でございます。
  363. 米内山義一郎

    ○米内山委員 そうしますと、いままでのあなたの答弁認めていくとすれば、停止条件を付しているから差しつかえない、こうおっしゃっておる。今回も前回のその答弁認めておられる、訂正していない。ということは、契約に停止条件が付されなければ、効力がそれでもあるということですか、それならばないということですか。
  364. 小沼勇

    ○小沼政府委員 先ほどもお答え申し上げましたが、むしろ法定の条件ということになりますと、契約書に書いてなくてもその条件は必要であるということになると思います。
  365. 米内山義一郎

    ○米内山委員 そこで、むつ小川原開発株式会社が地権者との間に売買契約をしておる。その契約書にはあなたの言う停止条件がついておりますか。
  366. 小沼勇

    ○小沼政府委員 条件が付されております。
  367. 米内山義一郎

    ○米内山委員 その契約書というのは、あなたが見たのですか、聞いたのですか。
  368. 小沼勇

    ○小沼政府委員 売買契約書の例を見ております。
  369. 米内山義一郎

    ○米内山委員 私もその契約書を見ていますが、これにはついていません。
  370. 小沼勇

    ○小沼政府委員 おそらく農地と非農地とは別になっているんじゃないかと思いますが、農地のほうにはついているはずでございます。
  371. 米内山義一郎

    ○米内山委員 まあ開発会社には二通りも三通りもの契約書が用意されていろいろやっているかもしれない。これは一つの現品です。ついていません。  そこで、はなはだ法律がましいことを言ってすまないような気がしますが、当然あなた方もこのことは知っているはずだが、昭和三十二年(オ)第九二三号、同三十六年五月二十六日第二小法廷判決というものには、「農地の売買契約において「知事の許可を得ることを条件とする」ことの意義」、それに対する判決要旨というものは、「知事の許可を得ることを条件として農地の売買契約をしたとしても、いわゆる停止条件を附したものということはできない。」、こういう最高裁の判決例があるわけですが、この問題とからみ合うときに、あなた方はこういう法律解釈と別個にこの農地法を運用しておられるかどうか、非常に疑問がある。この証書には確実に停止条件はついていない。もし証書が二通りも三通りもあれば別ですが、契約証書に停止条件が付されていない場合でも有効か、この判例と照らして御答弁を願いたい。
  372. 小沼勇

    ○小沼政府委員 お答えいたします。  停止条件が文章上はっきりと明記されていなくても、農地転用の場合に許可を要するということが法的条件ということになっておるという解釈によりますので、その点では、文章上停止条件が書いてなくても、これは差しつかえないということは先ほど申し上げたとおりでございます。
  373. 米内山義一郎

    ○米内山委員 そうすると、いま申し上げたこの判例とはかなり違った解釈のもとに運営されていると言って差しつかえないですか。
  374. 小沼勇

    ○小沼政府委員 三十六年の第九二三号でございますが、「知事の許可を得ることを条件として農地の売買契約をしたとしても、いわゆる停止条件を附したものということはできない。」ということでございますが、これはむしろ民法の第百三十条の規定による停止条件の意味でないかというふうに思うのでございまして、農地法のたてまえから生じます転用許可が条件になるというのは、むしろ法的条件というふうに御理解いただきたいと思うのです。
  375. 米内山義一郎

    ○米内山委員 私は法律家でもないから別にあなたとここで論争する腹は毛頭ない。法律に対する最終的な解釈権はあなたにもぼくにもないのだから、この点は別なところでやる。そのために、きょうあなた方のいまの段階における解釈のしかた、法律の読み方をここで速記録に残しておきたいために質問しておるわけです。  そこで、こういうふうな証書まで書いて、そうして金を八割払って、おまけに証書の内容を見ると、あとで何も文句をつけられないようになっています。移転登記はしていませんよ、だが、売った土地の形質も変えないという契約があり、許可が出れば文句なしに登記までできるはんこを取っている、こういう行為を単なる折衝行為と見ますか、それとも法律行為と見ますか。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
  376. 小沼勇

    ○小沼政府委員 契約を締結するわけでございますから、その意味では法律行為になるわけです。
  377. 米内山義一郎

    ○米内山委員 そうしますと、この法律解釈をどうお考えになります。昭和三十八年十二月二十七日、第二小法廷決定のこの判示と申しますか、「農地法第五条第一項違反を処罰する同法第九二条の法意」それで決定要旨「農地法第九二条が同法第五条第一項を処罰するのは、同条項所定の権利の設定移転のためになされる法律行為を対象とするのであって、その効力が生ずるか否かはこれを問わない。」、こうある。これが法律行為であるとすれば、明らかに九十二条の罰則が適用されるべき性質のものだと私は思うが、あなた方はどう思うか。
  378. 小沼勇

    ○小沼政府委員 判決の趣旨にもございますが、法定の許可なくして転用目的で農地を売買した者は権利移転そのものにある限り罰則の対象になるわけでございますけれども、問題はこの売買の事実の認定であろうと思います。むしろ売買契約をするということで売買が完了したわけでないわけでございますから、農地転用の許可以前に売買の契約を結ぶということについては、何らこの判決と矛盾するものではないというふうに解釈をいたします。
  379. 米内山義一郎

    ○米内山委員 なかなかおもしろくなってきましたね。  そこで、売買は形式のものか、実質のものかということです。実は住民が立ち退き、家をほぐし、耕作をやめ、金は八割受け取った段階は、国税庁としては売り買いが成立したものとして課税せざるを得ないという段階です。というのは、あとの残金の二〇%は大体国税庁の取り分なんだ。こういうふうにして金の一部をひっかけておいて、百年待っても売買契約が成立しないのだから、税金が取れないということになると、国税庁が困る。これはきわめて常識的な国税庁の考えだと思うが、あなた方のほうは少しおかしいと思いませんか。私はその点はおかしいと思います。  そこで、さらに現地の状況を詳しく申し上げますが、農地法第一条というものは、いわゆる農業生産を確保していくことと農民の地位の向上というものが農地法そのものの精神だし、目的なわけです。この開発買収のために広大な土地がそういう形で売られてしまって、実際上耕作が放棄されている。  その極端な事例を一つ申し上げるならば、昭和四十六年度の国の予算で、この開発区域内のある開拓組合に国が牧草収穫関係の助成をしております。ところが、この助成を受けた開拓組合が四十七年に解散した。助成を受けて買った機械は新品同様だ。そして組合を解散して、新品同様の機械をくじの入札で第三者に売り渡している。これに対してことしの三月に会計監査が立ち入ったのです。行ってみたところが、組合の事務所がほぐされている。解散しただけじゃなしに、事務所の建物がない。会計監査だから、一切の収支関係の証拠書類を必要とします。求めます。組合が解散したから何もないということになるのですね。そういうふうな解散を青森県知事が許可している。  ここまで実態が進んでもあなた方はこれを実質的な買収でないと言えるか。形式的には買収完了していないかもしれぬ。実際的には、農地法の上から見ると、買収は行き過ぎておる。事実を通り越しているのがこの現状なんです。だから、私は単に証書とか形式論じゃなくて、実情からいって、この問題は農地法違反の疑いが強いと考えるのですが、あなた方はそれでもかつこれは合法だ、適正なやり方だと断言できるならば、いまここで断言してもらいたい。
  380. 小沼勇

    ○小沼政府委員 開拓組合の解散につきましては、いま方々で開拓組合が解散をして一般の農協と統合するような事態がございますので、ここの場合にはどういう経過でそうなったかという点についてもつまびらかでございませんので、それについてお答えすることはできませんけれども先ほどお答え申しましたように、やはり形式的にどういうふうにこの契約が行なわれ、またその内容においてどの程度その履行がなされているかということを十分判断しなければならないと思うのでございますが、先ほど言いましたように、やはり八〇%ぐらい金がたとえば支払われたといたしましても、そのことでこの売買が完了したというふうにはなかなか言えないのではないかというふうに思います。  ただ、御指摘のように、耕作をやめて買い主に引き渡したというふうな状況、あるいはもう移転登記をしたというふうな場合には、これはやはり農地法の五条に違反する売買という疑いが濃いわけでございますが、私どもとしましてはいま申しましたような判断をしているわけでございます。
  381. 米内山義一郎

    ○米内山委員 そうすると、あなた方の解釈というものは、あくまでも買収を完了しなければ法に触れないということと理解していいですか。
  382. 小沼勇

    ○小沼政府委員 契約の内容を見てみますと、農地法の許可があるまで所有権の移転はしない、それから土地の引き渡しはしないというふうに契約ではうたっておりますので、その間は農家が使用収益することが当然できるわけでございますから、先ほど申しましたようなことで農地法に違反している段階というふうには認められないわけでございます。
  383. 米内山義一郎

    ○米内山委員 では念のために聞いておきますが、この土地は売って金を受け取った土地だが、完了してない。そうだとすれば、その土地の所有者はだれになります。
  384. 小沼勇

    ○小沼政府委員 これは移転登記しておりませんければ、農家が所有者だということになります。
  385. 米内山義一郎

    ○米内山委員 そうすると、買ったつもりの開発株式会社は、この土地に対して所有権の行使は不可能なわけですね。
  386. 小沼勇

    ○小沼政府委員 できないわけでございます。
  387. 米内山義一郎

    ○米内山委員 そうしますと、こういう事態がすでに起きています。売った人はことしの牧草の一番刈りをしないわけです。売らない人は一番刈りをしたわけです。刈られない牧草はかたくなるのです。これは害虫から見ると、食べられなくなる。隣の畑には刈ったあとのおいしい若芽が出る。害虫はそっちに移動します。隣の被害者がこれを防除するために、その開発会社のものでもない、所有者自体がもう売ったつもりの荒れ地をかってに耕起して、開発が済むまでは自分の被害を防除するために耕すことは正当防衛だと思うが、これはどういうものですか。
  388. 小沼勇

    ○小沼政府委員 農地法の転用の許可があるまでは、売買の契約をいたしましても、それが完結したわけじゃございませんから、この間農民は使用収益をすることができるわけでございます。したがいまして、農家としては、そこで耕作する、あるいは牧草を植えるということは一向に差しつかえないわけでございます。
  389. 米内山義一郎

    ○米内山委員 それは売った人は差しつかえないが、売った人が放棄したのを隣の人は農業上の自分の被害を防ぐために隣の畑を耕さなければならない事態が出てくる。これは農業防衛のための正当防衛の行為だと思う。ところが、この契約書には他人に貸してはならぬというような意味のことが書いてある。これは農地の荒廃を招く以外の何ものでもないので、さらにこのあとにもっと深刻になります。耕さない畑ではミミズがふえる。ミミズを食うためにモグラがふえる。モグラを食うためにキツネが寄ってくる。そのキツネはモグラだけを食っていればいいが、カボチャからスイカから野菜まで食うというような被害が起きるのです。これは一町歩や二町歩の問題でないですよ。五千ヘクタールという日本に例を見ない大地域に、二千ヘクタール、三千ヘクタールというものにこういう事態が出る。これに対して住民が農地を守る、農業を守るためにやる行為はどうなるのです。あなた方は農地法の精神に基づいて行政をやるならば、こういうものの対策を明確にして指導する必要があると思うが、どうです。
  390. 小沼勇

    ○小沼政府委員 農地法上のたてまえから申しますならば、農用地の使用を農家がやめるというふうなことがございましても、そのこと自体は農地法の規定に違反するものではございません。しかし、いまいろいろ御指摘のような事態が発生して、農業上の土地利用に支障を与えられるようなことになるということでございますと困りますので、そういうことがないように特段の配慮をするように、県あるいは関係機関を私どもとしましても十分指導をしてまいりたいと考えております。
  391. 米内山義一郎

    ○米内山委員 農林事務次官名で農林省昭和四十八年四月二十日に通達を出している。「農林地の確保のための措置について」ということで、いろいろ書いてあるが、その中の「農地法の励行」ということをついこのごろやっているわけです。「農地法の違反またはそのおそれがある場合は、農地法第八十三条の二の規定による違反是正のための措置命令または同命令もしくは同法第九十二条の規定による罰則の発動を前提とした勧告その他の措置を講ずること」、罰則の適用までいかないが、いわゆる違反のおそれのある場合、この条項によってあなた方は通達どおりやる腹があるかね、この開発に。
  392. 小沼勇

    ○小沼政府委員 農林地の確保の問題はたいへん重要でございますので、先般、通達を出したわけでございます。そこで、やはり事前にその情報を把握いたしまして、事前に対処をするということが必要であろうということで、大規模な土地の購入等の情報について中央まであげてくるように、そういう指導をしているわけでございますが、御指摘のようなおそれのある場合あるいは事実そういうことが起こっているというふうなことがありますれば、それについては十分規制法の適正な適用によりまして措置をしていかなければならないというふうに考えまして、その通達を出したわけでございます。
  393. 米内山義一郎

    ○米内山委員 そういう影響を受けてか、青森県の県警が農地法違反を本格的に捜査するということになったわけです。これはなかなかりっぱでしょう。ところが、五反歩か一町歩のものはやるかもしれないが、これにはおそらく青森県の警察も手をつけまい。元来、取り締まりというものは、なわが短いものだから、大きいものには捕繩はかからないのです。法律というものはクモの巣のようなもので、チョウチョウとかトンボはひっかかるが、トビやカラスはひっかからないというとおりだ。日本最大の農地法違反が黙認されているという現状に対して、あなた方はどう思いますか。
  394. 小沼勇

    ○小沼政府委員 先生、御承知かと思いますが、大規模に土地を購入している不動産会社等の場合にも、それが登記をしている地目が山林原野であるために、登記をしているというふうなものもあるようでございましたが、これについては調査をいたしまして、知事の勧告で是正をさした例もございます。いずれにしましても私どもとしましても、農林地確保の立場から農地法の適用をしっかりやってまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  395. 米内山義一郎

    ○米内山委員 そこで、土地ブローカーということばが出たが、問題になっているむつ小川原開発会社というものは、第三セクターとかなんとかいうハイカラな名前がついているが、定款から見ると、土地ブローカーと何ら営業内容が違わないのです。看板、名称だけは違うけれども、実質的には用地を取得し、造成し、これを分譲するという、これじゃあ土地会社じゃないですか。これだけが法律上の何かの特権を持っていますか。農地法以上の特権を持つ、特殊な法律に規定された会社と理解していますか。もし、そうだとしたら、その法律上の根拠を明確にしてもらいたい。
  396. 小沼勇

    ○小沼政府委員 法律上特別のものではございません。
  397. 米内山義一郎

    ○米内山委員 では、悪いことをしても許されるという、いわゆる特免措置はないわけですね。法律のもとには平等だ。大きい悪いことをした者は大きく処罰されるという常識でわれわれは理解してもいいですか。
  398. 小沼勇

    ○小沼政府委員 一般の会社と変わりございません。
  399. 米内山義一郎

    ○米内山委員 そこで、転用許可の内示の段階の問題を少し掘り下げていきたいと思います。  これに対しては農林省が東北農政局長に対して通達を出して、そして農地転用の申し出の指導をしたわけです。ところが、いまの段階では、農林省通常の取り扱い通常の処理の要領に基づけば問題はありません。手続としては問題がない。だが、これに関する限り異常なんです。小さいものにはかなりきびしいことを要求している。小さいものは、かりに多少たちの悪いものでも及ぼす影響は少ないのです。こういうばかでかいものは、少し悪くても周辺に影響が大きいのです。それだけにこの内示する段階でかなり厳密に審査を要する。審査する手間がないのならば、提出させる書類だけでも通常より精密でなければならない。これに対しては非常に手抜きがされている。手抜きがされているばかりでない。秘密にされている。このブローカー会社に秘密などあろうはずがない。軍需会社でもない。ところが、あなた方はこの内容を私にはっきり言えない。言わなかったじゃないですか。たとえばこの手続要領に基づく様式第六号の書式さえ正確に書いてあり、そしてそれが秘密にされないでわれわれの目に触れるならば、いまの開発計画の内容というのは、国会議員である私にもわかり得るはずです。ところが、私は知ることは不可能だ。ましてや現地の住民は不可能です。これがいまの実態なんです。  そこで、この様式六号の中に示されなければならない事業計画、特に重要な事業計画ですね。それからさらには、この開発を進めていく上には官庁の許可を得べき事項もある。たとえば石油精製工場をつくるには通産大臣の許可が要るでしょう。あるいは工業用水を取るために小川原湖の水位を一メートル上げるとすれば、私の経営している土地改良区の承認を得なければならない、同意を得なければならない。私の土地改良区は、距離は離れているが、農業水利の問題は標高の問題なんです。遠いといったって、沼の水位を高めれば、私の経営している農民のたんぼは排水不能になる、こういうふうなことです。平水より水位を下げれば、今度はひでりが起きる。直接的な線引きの中じゃないが、農業に対してこういう直接的なあれがある。これの同意のない限りこの開発は土地を買ったって一歩も進むものではない。これを強制的にやる法律的な手段はあり得ないのです。こういう不可避な条件ども明示せいと書いてあるのです。この様式六号にそういうものは明確に書かれております。  それからさらには、これに必要とする計画図面、一万分の一でもいいし二千五百分の一でもいいが、どこの地区にどういう工場を配置して、何年に着手して何年に終わるか、さらにこの地区に――五千ヘクタールといえば広大な地区なんですよ。これ以下の町村もあるのです。どこにどういう掘り込み港湾ができるか。そうすると役場へ行く幹線道路の位置が変わるのです。それが村民全体の生活に関係があるのです。行政機能にも及ぶのです。こういうことは判断の基礎的な材料です。こういうものは明示されていますか。こういうことは普通の要領においては要求されている。普通の場合はこういうものが不備であれば却下されているのです。この計画にそういう要件を整えていますか。
  400. 小沼勇

    ○小沼政府委員 事前審査の際に添付すべき書類等については、図面を含めまして必要な書類を要求するようにいたしております。  なお、いま御指摘のございましたその土地改良区の関係等、いろいろ各法律関係のものもございましょう。各法律制度によって許可を要するとかいろいろな場合があると思いますが、そういうものにつきましては、これは事前審査でございますから、あと本審査の段階でやはり十分チェックをしていかなければならないというふうに考えております。
  401. 米内山義一郎

    ○米内山委員 この事前審査というのをあなた方は隠れみのにしている。事前審査だから大事なんです。特にむつ小川原の場合大事です。事前審査のときに重大な要件を抜きにして、広大な土地が売り買いされて、これならいやだと言っても、もとに戻ることが不可能になってからどうします。たとえばあなた方もちゃんと条件につけているが、土地を売る人の生活再建対策なんというものは、その人が北海道だの九州へ移ってしまってから、本審査のときにそれが出て何の役目があるのです。手紙の出し場もなくなってから生活再建対策なんということはあり得ないのです。これだけ中央の役人というものは農民の実情を無視しておる。おかしいのです。あなた方は、せんじ詰めていけば法律違反になるから、いまそこまで議論を持っていきませんが、あなた方はそれでいいと思っていますか。
  402. 小沼勇

    ○小沼政府委員 住民対策要綱についてもごらんになったと思いますけれども、生活再建措置を明らかにすることを条件としてつけてございますので、具体的にどういうふうにするかということをやはり私どものほうといたしましてもチェックをしてまいりたい、かように考えておりますし、また、先般もお答え申し上げましたが、県及び直接の関係者のほうにおきましても十分この住民対策について配慮をするようにいたしておりますので、いま御指摘の点につきましては円満に解決されるように、私どものほうといたしましても指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  403. 米内山義一郎

    ○米内山委員 経済企画庁も、この前の委員会で、開発計画の内容には定まったものはないと答弁しておるのは事実ですよ。県知事も近ごろ計画に定まったものはないと言っておる。そうすると、あなた方は、内示を与えた計画は、だれの計画に内示を与えたか。むつ小川原開発会社、いわゆる第三セクターの独自の計画に事前審査の内示を与えたのか。
  404. 小沼勇

    ○小沼政府委員 これにつきましては、御承知のとおり、閣議口頭了解がございましたが、その前にむつ小川原開発会社が――これは政府関係省で構成しておりますが、そこで協議をいたしました事項に沿うてやるようにいたしたわけでございますから、会社ではございませんで、そういう開発計画を認めて事前審査について受け付けるということをいたしたわけでございます。
  405. 米内山義一郎

    ○米内山委員 あなたは元来おとなしいものだから、おとなしい答弁をしておるが、どうも苦しそうだ。というのは、あなた方農林省とむつ小川原開発会社の間になれ合いがあるのです。これは国家公務員法違反であることは明らかであると私は思う。この前、農林省の農地局長がこの会社に天下りして常務取締役をやっておることを私は指摘した。そのとき農林省国家公務員法の百三条でいう密接な関係がない、こう答えた。人事院は、この法律は密接な関係がなければ発動しない、こういう答弁をしておられる。密接な関係とは何だ。親類関係じゃないでしょう。わいろをくれたりもらったりという関係ではないはずだ、公務員だから。業務上、公務上の権限の問題、そうだとすると、この定款を見ても、農林省の農林局長というものは疎遠な関係じゃない。そこで、この関係は、この法律上密接な関係であるかないかをひとつ聞きたい。
  406. 小沼勇

    ○小沼政府委員 私が答弁すべきかどうか迷うのでございますけれども、便宜私から答弁をさせていただきます。  むつ小川原株式会社は昭和四十六年三月二十五日に設立されまして、会社の定款によりますと、その営む事業はむつ小川原地域の大規模工業地域の開発に寄与することを目的とする土地の取得、造成、分譲及び公害防止のための廃棄物共同処理施設の設置等ということになっております。したがいまして、当該会社の設立について農林省の許認可等は要らないわけでございます。また岩本氏の就職時までに農林省との間で取引関係、監督関係等、具体的な関係もなかったものでございます。農林省と当該会社とは国家公務員法第百三条第二項に規定する「密接な関係」はなかったものとして処理したわけでございます。「密接な関係」ということについては、就職時において当該省との間に許認可等の監督関係、工事発注、物品納入等の取引関係があった場合には、密接な関係ということが言えましょうが、就職時においてそういう関係がなかったという解釈をしております。
  407. 米内山義一郎

    ○米内山委員 あります。たとえば、むつ小川原の十省庁会議ができたのはそのはるか以前なんです。そのとき農林省を代表してこの局長が開発の仕事に参与した。その後奉職した。しかし、そのときはまだ農地転用の申請も出なかったから、密接な関係はないという意味らしいのですが、これは法律を見てもそう書いてない。ただ、あなた方はそうかってに思っているかもしれないが、高級公務員と営利企業との間を遮断をする、切り離しをするという人事院国家公務員法の第一条を中心に考えるときは非常な疑問がある。  そこで、きょうは人事院がお見えならば、いまの構造改善局長の「密接な関係」というものの考え方を全面的に支持されるのか。いわゆる国家公務員法の番頭である人事院は、この法律の運用にあたって農地局長のような考えでいままでやっているのか、そういう解釈が正当なのかをあらためて伺いたい。
  408. 中村博

    中村(博)政府委員 お答えいたします。  そもそも国家公務員法の百三条二項で、いわゆる天下りを禁止してございますのは、一つは、国家公務員が在職中にその職務に関連してある特定企業のために便宜を計らう、そして情実関係を結んで退職後に当該企業へ行こう、そういうような形で業務の不適正執行が行なわれる。これは国民生活にゆゆしき一大事でございますので、そのようなことを禁止するためにこの百三条二項というものが置かれておる。したがって、その基本的な趣旨は、現在の職員がその公務を適正に執行する、そのことを確保することにある、かように理解してございます。しかし、公務員も退職いたしますれば、これはまさしく一個の国民でございます。したがいまして、国民に担保されております職業選択の自由でございますとかあるいは勤労の権利、こういった最低の基本的人権というものは尊重されなければならぬわけでございます。したがいまして、百玉条の三項で人事院の承認にかかわらしめられておるという立法の御趣旨は、その両者の調和点をそこで見出そうという御趣旨である、かように理解いたしておるわけでございます。  そのような観点から申し上げますと、「密接な関係」というものをどう理解するかということでございますけれども、「密接な関係」は、先ほど農林省からの御答弁にもありましたけれども、たとえて言えば、営業を認可するとか許可するとか、あるいはまた検査をするとか、あるいは監査をするというように、所管関係、権力関係が常にその企業にかぶさっておる場合、そのような場合には、その権力を利用して先ほど申し上げましたような意図のもとに公務の不適正執行が行なわれるおそれがあるわけでございます。それからまた、ある企業と契約を結ぶような地位にある者、そういう場合にはやはりその契約を通じて公務の不適正執行が行なわれるおそれがあるわけでございます。したがいまして、所管関係で密接な関連というのは、いま申し上げましたように、その当該職員が退職前五年間に在職いたしました職務、その職務と当該営利企業との間にいま申し上げましたような監督関係あるいは契約関係があったかなかったかということで、まず第一義的には判断されるべきもの、かように考えております。しかし、その場合でも、たとえば単純な届け出でありますとか、あるいは登録といったような事例にも見られますように、この場合には恣意が働く余地がございません。したがいまして、その関係に非常に濃淡があるわけでございます。その濃淡を私どもはいま百三条三項の法の趣旨に従っていろいろ検討してまいっておるわけでございます。  ただいまのむつ小川原の場合には、先ほど農林省から御説明がありましたように、岩本氏は在任中にはいま申し上げました意味での所管関係もございませず、かつまた契約関係もないわけでございます。したがいまして、その意味でこれは法の百三条二項の禁止する場合における営利企業ということには相なってまいりません。したがいまして、この場合には百三条二項はかぶらない。したがって百三条三項もかぶらない、かように解しておるわけでございます。
  409. 米内山義一郎

    ○米内山委員 濃淡の問題とおっしゃるが、うんと濃いのです。血よりも濃いのです。というのは、この人が在任中に十省庁会議の中に参画しておる。その十省庁会議がむつ小川原開発株式会社を生ませた産婆なんです。そういうことで政府機関側の出資もあるのです。これは非常に濃厚です。しかも予想されたことだ。このあとでは汚水処理とかなんとかということが始まるかもしれない。最初の出発は農地法上の問題、許可を得ること、そこにいままで許可権のあった者が、許可を申請する段階で会社にわかりつつ行っている。農林省を首切られて拾われたというなら別ですよ。これならば情実は多少あっても、後輩の局長に頼んでというような腹組みはあるものなんです。私は、濃いも濃い、血よりも濃い、黒いも黒い、炭よりも黒い関係だと思うのです。  きょうはこれだけ申し上げて、私の質問は終わります。      ――――◇―――――
  410. 佐々木義武

    佐々木委員長 この際、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  すなわち、畑作物共済及び園芸施設共済に関する臨時措置法案について参考人の出席を求め、その意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  411. 佐々木義武

    佐々木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選、出席日時及びその手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  412. 佐々木義武

    佐々木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後五時四十八分散会