○湯山
委員 では、まだこまかいところがありますけれ
ども、大筋は長官の御
答弁と
大臣の御
答弁で了解することにいたしまして、最後に、私は水産業全般についてひとつぜひ申し上げたいことがあります。
〔
山崎(平)
委員長代理退席、
委員長着席〕
瀬戸内海
汚染の問題はいまいろいろ申し上げました。しかし、関連してさっきも御指摘がありましたが、今度のPCB
汚染の発表、これは私は評価する面もありますけれ
ども、やはり
農林省といいますか、水産庁の発表としてはいただけない点もあるというのは、どこがどう
汚染しているということの発表であるし、それについて
厚生省は妊産婦とかあるいはそれをたくさん食べる人は食べないほうがいいというようなことで、
調査されたことはいいことですけれ
ども、ただあれだけの発表では、国民の魚を食べることに対する不安を増大するということでとまっていると思います。もしほんとうに発表されるのであれば、そのときには、これこれはこういう
措置をした、ちょうどビキニの放射能マグロのときは市場でガイガー計数器を当てて全部のけたから、それから出てきているものはだいたいじょうぶですという指示があって、安心して食べたものです。今度はそれがないものですからみんな心配して、きのうですか、松山で食べたのに、この魚、瀬戸内海のじゃないだろうな、こういう調子です。発表があるときには、水産庁は、
政府は、学者じゃないのですから、それについてはこういう
対策をしたから、出ておる魚は食べていいという点までやらないと、いまのような下安を増すばかりで、そうなってくると、それは
漁業者もその
影響を受けます。食べるほうもそうなんです。
しゃくにさわるということばがありますが、しゃくというのは胃けいれんのことで、何だか不愉快になると胃けいれんを起こすというのが、しゃくにさわるということばだそうです。パブロフの条件反射で見ましても、犬の胃液を出しておるのが、前へネコを連れていくと胃液がぱっととまります。
とにかく、せっかく魚を食べるときに、心配しながらびくびくして食べたのではちっとも栄養にならない。それが人間の精神と生理との結びつきで、だから、安心して食べるように
対策を立てて発表するというのが政治のあり方だと思います。ただ残念ながら、いまそうなっていないということは遺憾ですけれ
ども、これについてはすみやかに、これは食べてもいいのだ、とにかく店に出ている魚は、安心して食べられるということだけはまずやることが必要だと思います。それをやっていただきたい。
それから同時に、いまの
漁業者に対する
補償というものをしっかりしていただく。これはひとつお願いしたい。
それから第二点目は、赤潮の問題やそのほかを通じてですが、私は、
日本の
漁業に対する研究が、率直に言わせていただけば、まだまだ足りないと思います。それはどういう点かといいますと、赤潮なんか、徳川時代から、もっと前からあったものです。にもかかわらず、今日なおその赤潮
対策というものが情報交換程度にとどまるというようなことは、これはいかにも情けない。およそその
発生原因、種類、そういうふうなものは、簡単にもう調べがついて、
発生すればこうすればいいとかいうことが、特に
日本の場合はできていなければならないのが、それがまだできていないということもはなはだ残念だと思います。
それだけじゃなくて、イワシなんかも、これだけ長い間
日本人の大事な食料になっていながらそうなんです。十四、五年ごとに周期があってやってくる。そのイワシのそういうことが十分把握されていないから明治三十三年から大正三年までがとれなくて、大正四年から
昭和九年までがとれて、
昭和十年から二十三年までがとれなくて、二十四年から三十四年までとれて、三十五年から四十七年、昨年までとれなくて、ことしからまたとれそうだ。これだけ周期があれば、これはどういうことだという研究は当然できておってしかるべきであるにもかかわらず、それができていない。
まだ言いたいことはたくさんありまして、日ソ交渉でももっとしっかりした資源に対する研究が
日本でできておれば、あんなに
農林大臣は御苦労なさらぬのじゃないかと思います。押され押されて、結局妙な妥協しかできないというのもはなはだ残念で、何か資源の
調査については押されているような感じがします。これはもっとしっかりした研究が要ると思います。
聞くところによると、ウナギがどこで卵を産むかというのはまだわからないのでしょう、
日本のウナギは。ヨーロッパのはわかっています。アメリカのもわかっています。ウナギをこんなに食べる
日本のウナギがどこで卵を産むかわからないなんというのはウナギ国
日本の恥で、フランスから輸入してくるというようなときに、
日本のウナギはどこで卵を産むか、そんなことわかりません、これも情けないです。
それからまだ言いたいことがあるのです。ノリをあれだけ食べる
日本。アマノリです。アマノリの優生世代、貝の中でやる時代がございますね。胞子をつくって貝から抜け出す。あれは
一体だれが見つけたかといったら、イギリスの女の人でしょう。それができたためにあの網でやるのができて、そしてうんとノリの養殖というのは改善されて、生産も多くなりました。あれだけ長い間食べて、世界でノリを食べるのは
日本人だけというようなその
日本でその研究もできていない。ただとにかくとればいい、とればいいというので、そっちはうんといきました。そのために、エコノミックアニマルということばは商社の進出にもいわれておりますから、いまはそうでないかもしれませんが、数年前の
日本漁業にはそういう批判もありました。
だから、こういう研究をもっともっとやっておれば、今日の赤潮の問題そのほかいろいろな
汚染の問題、それらはもっと解決のしかたもあった、
対策もあった、
日本人全体を魚を食べる不安におとしいれずに済んだというふうに思います。
そこで最後ですけれ
ども、非常に迂遠なようですけれ
ども、今日あるいはこれからあと、国際的な領海の問題その他を含めて、
日本の
漁業の前途は決して明るいものばかりじゃない、むしろきびしいものがあると思います。そういうときですから、私は、もっともっと研究に力を入れて、さっきの三十五億ぐらいあれば、これは研究費に回して、そういう基礎的なしっかりした研究をもっとやらないといかぬということをいま痛感しておりますので、ぜひひとつそういう点で
行政も力を入れてやっていただきたいということを最後に御要望申し上げたいと思いますが、それにつきまして長官なり
大臣の御
答弁をいただきたいと思います。