運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1973-05-10 第71回国会 衆議院 農林水産委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年五月十日(木曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 佐々木義武君    理事 仮谷 忠男君 理事 坂村 吉正君    理事 藤本 孝雄君 理事 山崎平八郎君    理事 渡辺美智雄君 理事 柴田 健治君    理事 美濃 政市君 理事 津川 武一君       笠岡  喬君    吉川 久衛君       熊谷 義雄君    小山 長規君       白浜 仁吉君    正示啓次郎君       菅波  茂君    丹羽 兵助君       西銘 順治君   三ツ林弥太郎君       湊  徹郎君    安田 貴六君       井上  泉君    角屋堅次郎君       島田 琢郎君    竹内  猛君       野坂 浩賢君    湯山  勇君       諫山  博君    中川利三郎君       瀬野栄次郎君    林  孝矩君       稲富 稜人君    神田 大作君  出席国務大臣         農 林 大 臣 櫻内 義雄君  出席政府委員         農林政務次官  中尾 栄一君         農林省農林経済         局長      内村 良英君         農林省構造改善         局長      小沼  勇君         農林省農蚕園芸         局長      伊藤 俊三君        農林省畜産局長 大河原太一郎君         農林水産技術会         議事務局長   中澤 三郎君         食糧庁長官   中野 和仁君         林野庁長官代理 平松甲子雄君         水産庁次長   安福 数夫君  委員外出席者         参  考  人         (日本原子力船         開発事業団理事         長)      佐々木周一君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 委員の異動 五月十日  辞任         補欠選任   森下 元晴君     鈴木 善幸君     ————————————— 本日の会議に付した案件  委員派遣承認申請に関する件  参考人出頭要求に関する件  農林水産業振興に関する件      ————◇—————
  2. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。美濃政市君。
  3. 美濃政市

    美濃委員 本日は、酪農振興の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  まず第一に、本年度加工原料乳保証乳価決定した際、負債整理とそれから畜産振興事業団からの差益四十億、これを出すという内容になっておりますが、負債整理はどういう考え方で、どういう方法で進めようとするのか。もうかなりの日数がたっておりますから、おおよそ計画が煮詰まる時期だと思うのですが、その概要について。  それから四十億円の配分と出し方、これをお伺いいたしたいと思います。
  4. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  お話しのとおり、四十八年度保証乳価決定の際に、酪農緊急対策といたしまして、北海道負債整理自作農資金による借りかえ措置百五十億と畜産振興事業団輸入差益を活用いたしまして四十億の緊急対策事業を行なうということで、ただいま諸般準備を進めておるわけでございます。  まず、負債整理につきましては、御案内かと思いますが、北海道におきまして、道庁におきまして、四十七年の一月と四十八年の一月現在を押えまして、酪農悉皆調査並びに主要な酪農地帯におきます抽出調査を行なっております。本年一月の調査がまとまり次第、その実態を踏まえまして、その最も問題になります融資限度だとか、その他北海道酪農家負債額等実態に合いますような金額をきめたいということで準備を進めておりまして、道庁等の最終の資料が整い次第きめたいというふうに取り進めておるわけでございます。  第二点の緊急対策事業につきましては、最も酪農の現状に合うような事業を取り上げるという視点、及び四十二年、三年、先生十分御案内対策事業等を行ないました。それらの事業に準じまして、またそれを参考にいたしまして、メニューをきめて適切に進めたいということで、各地域等の、あるいは農業団体等の意見の聴取もほぼ終わりまして、メニューを定めたいというふうに考えております。  なお、御質問の中に配分等の問題がございましたが、この点につきましては、保証価格決定経緯を尊重してきめなければならないというふうに考えておりまして、早急に結論を得たいというのが現段階実情でございます。
  5. 美濃政市

    美濃委員 配分について保証価格決定経緯を踏まえてというのですが、そこをそれ以上言えませんか。現時点でそれ以上何か具体的に言えれば、もう少し具体的にお聞きしたい。
  6. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  保証価格決定経緯と申しますのは、やはり加工原料乳数量等を勘案することが重点であるというようなことに相なるかと思いますし、ただ、一面では市乳化促進の努力をしている地域というものもございますので、それに対する配慮も必要ではないかとか、それには生乳生産全体の停滞ということがわれわれ最も心配しておるところでございますので、そういうものに対する配慮も必要ではないかというような、もろもろの諸元がございますが、これをどう組み合わせるかという点について、現在検討を続けておるわけでございます。実際の配分のものさしというようなものは、ただいま申し上げましたように、基本的な方針としては、保証価格決定経緯を十二分に尊重してきめなければならないというように考えております。
  7. 美濃政市

    美濃委員 いまの問題はあとから関連して出てまいりますから、この場合この程度にしておきます。  次に、特に加工乳地帯酪農生産事情はどうなっておるか、どのように把握しておるか、これをお伺いしたいと思います。
  8. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  先生の御質問は万般の総括的な御質問でございまして、むしろ個々の御質問に即して具体的にお答え申し上げるのが筋かと思うわけでございますが、生乳生産全体の乳牛頭数なりあるいは生乳生産というようなものは、御案内のとおり、四十六年には相当落ち込みまして、四十七年も伸び悩んでいる。若干四十六年よりも上回りましたが、なお伸び悩んでいるというのが総体的な状況でございます。ただ、加工原料乳地帯は、生乳生産条件なりあるいは意欲なりという点について最も今後の中心になるような地域でございますし、現にそういう役割りをわが国の酪農にとって果たしてもらっているわけでございまして、したがって、その点は、たとえば北海道を例にとりまして生乳生産量をとりましても、全国が、四十七年の暦年では、対前年比二・四%の伸びであったが、北海道年間を通じまして六・一%だ、あるいは内地ではそれが一・一%だというふうに、加工原料乳地帯としては困難な条件におきましても、その点においては従来のような高い伸び率は示しておりませんが、なお伸びを示しておるというのが概括的な見方でございます。
  9. 美濃政市

    美濃委員 そこで、私は、加工原料乳地域特に北海道酪農事情が、保証乳価決定現実経営がかなり合っていない、そのために停滞を通り越して、酪農崩壊のきざしが出てきておる。ややもすると酪農が崩壊するんじゃないか、こういう危惧を今回調査をして考えておるので、以下その点についてお尋ねをいたしたいと思います。  まず第一に、特に北海道地域ですが、その中で調査した地域は釧路、根室です。酪農家戸数が大体六千戸、約四十万トンですね。全国乳量の八%を出しておる。これが北海道における一番大きい集団した酪農主要地域であります。まあ全国的にもまた北海道内でも、地域が違えば多少実情の違いはあると思いますけれども、ここの例をまず申し上げたいと思います。  まず第一に酪農振興で考えなければならぬことは、先ほどお尋ねした負債整理ともまた重要な関連があるわけでありますが、大体牛乳生産量一トンにつき負債が十万円に達しておる。これは町村別で違いますが、十万円少し切れているところもあります。最高が十三万円、平均して負債は十万円を若干こえておる、こういう状況であります。でございますから、通例、農業における借り入れ金による、負債と申し上げますが、負債限度は大体年間販売額年間収入金額負債がこえると、負債のために経営収支が非常に圧迫されるというのが原則です。ところが、ことしの保証乳価で送集乳経費を引きますと一トンは四万六千円ですかでありますから、まず第一点として、経営収支負債のために非常に大きく圧迫されておる。保証乳価では地代資本利子あるいは建物の償却等で見ておる資本経費キロ約六円です。そうすると、これを経営単位に当てはめて、百トンの牛乳生産する農家資本経費による負債——これは元利償還であります、資本利子地代償却ですから、元利償還は六十万円でなければ経営収支が合わぬわけです。ところが、平均負債が一トン十万円であり、百トンの生産農家負債はこれまた平均して一千万円をこえておる。まず一千万と申し上げておきます。一千万の負債ができると、これが総合資金であったとしても、利子が五分でありますから、償還に入ると、二十年償還ですから、元金五%払わなければなりませんから、元利で百万払わなければならぬ。百トンの経営農家の一千万の負債というものは、大体農協プロパー資金等で四百万、制度資金で六百万が大体標準として負債になっておる。そうすると、近代化資金利子は高いわけでありますから、平均して借り入れ金に対する元利一二%、利子支払い元金支払いで一千万の一二%の償還を迫られておる百二十万。ここに保証乳価と、私が何戸か農家庭先でも見ました経営収支実態に六十万の差がある。これが第一点。  それから第二の点は、保証乳価は一頭当たり搾乳量五千キロをたてまえとしておりますから、統調経費調査をした経費に基づいて、たとえば購入飼料を、五千キロをたてまえとしておりますから、百トン生産であれば二十頭分、搾乳牛二十頭分の飼料が計算されておる。しかし、現実は二十三頭ないし二十五頭。二十頭で百トンの生産をできる農家はまず百戸に二月くらいですね。大体二十三頭ないし二十五頭飼育しなければ百トンの生産ができないという現実です。そこに百トン単位経営で大体十五万ないし二十万購入飼料費がかかっておる。これが第二の点であります。  それから第三の点は、粗飼料生産です。それでキロ当たりにすると一円九十八銭ですか、約二円ですね。分類された飼料生産肥料費、これが実態は四十万ないし五十万、キロ当たりにすると一円九十何銭でありましたね。百トン単位で約二十万の経費として見積もられているもなが、大体四十万ないし五十万の肥料を購入して、牧草肥料をふっていわゆる粗飼料牧草の確保が行なわれている、こういう実態です。そうすると、百トンの牛乳生産して、いわゆる保証乳価で保障されておる資本経費元利償還ができ、経費収支でそういう差がなければ、家族労賃として計算されておるものは、飼育労働キロ当たり大体十四円ですね。本年度乳価で十四円ちょっとでありますから、それと粗飼料生産家族労働が百トンの経営であれば三十三万、百七十万ぐらいの所得、すなわち生計費が得られなければならぬのだが、その中へ大体百万、経営収支のいわゆる実際がそうである。これはもう五千戸全部平均して——平均化を申し上げているわけで、経営困難な特定農家だけを申し上げているわけではないのです。この主体の平均した経営収支は、百トンの牛乳生産して、平均が七十万の生計費しか得られない、こういう現況になっております。  あるいは一面、元金償還については、資産に対する負債は払っていくわけで、あと残存価格資産が残りますから、あるいはそれは所得の中で払うというあの分類になるかもしれません。ですから七十万というのは、私はあえて所得とは申し上げません。所得とは申し上げませんが、とにかく四千五百時間、五千時間近い労働をして、百トンの牛乳生産し、乳牛頭数では成牛で二十三頭ないし二十五頭。それと育成牛を含めますと三十頭。資産総額から申し上げますならば、これを客観的に時価で評価いたしますと、大体土地が三十ヘクタールくらいありますから七百万ないし八百万、それから三十頭の乳牛頭数で約一千万。並行して畜舎機械、農具が一千万かかります。合計約三千万の資本を投下して、そのうち一千万の借り入れば主として何かというと、畜舎設備機械であります。酪農というものは、この設備は全部を積み上げて、大体の農家乳牛土地は積み上げてつくりあげてきているわけですね。ですから、この設備機械借り入れ金によらざるを得ない。それまで全部自己資金で蓄積してという経営状態には持っていけない。したがって、過剰投資でもなければ、酪農経営規模拡大の避けられない負債なわけです。   〔委員長退席山崎(平)委員長代理着席〕  それがそういう現況におちいって、さらに百トン経営農家を三つの段階で申し上げますと、大体八百万限度負債の人は償還利子が少ないですから、百万ぐらい生計費所得は得られておる。反対に一千万ランクでは七十万、一千二、三百万に達する人がいるわけです。これらの人は五十万ですね。  ある農家庭先を訪問しましたら、後継者がもうやめようか、こう言っている。おとうさん、おかあさん、二十一歳になるむすこさんの三人が、年間に五千時間の労働をやって、一カ月生計費として持って帰れる金は五万円だというのであります。どうですか。五万円という生計費は、生活に使う金は、いまベースアップをした満十八歳の高校卒初任給じゃないですか。今度ベースアップをした高校卒初任給は年にしますと、年額六十万になるんじゃないですか。これはどういうことなんだろうということであります。これでは一家の生計はできません。そこへ追い込まれているわけですね。ですから、私は酪農が崩壊するのではないかと申し上げておる。四十歳をこえる経営主は、やめてもなかなか雇用の対象がありませんから、しがみつこうとするけれども、若い人はそうでない。ある農協へ訪問しましたら、ことしの保証乳価決定を見て、一〇%では経営に自信もないし、意欲が持てないと、もう牛を売った農家がおるわけですね。四百五十戸の組合員中、四十何戸はこれでもう酪農を見切るという状態におちいっておるわけです。  これをどうするかということであります。ですから、まず第一に負債整理条件でも、その中で最高組合プロパーが一千万。一千万借りておる農家というのは百トンじゃありません。思い切って二百トン規模経営拡大した農家がおるわけです。各町村に二戸か三戸おります。大体三十ヘクタールくらい土地を持って、飼育する乳牛頭数が二十五、六頭の農家が一挙に二百トン、成牛で五十頭、育成牛を含めると八十頭にすれば何とかやれるのでないかということでやっておるわけです。この負債総額は四千万に達しております。  この間、飛び石連休のとき調査しましたから、写真も全部とってきましたが、まだ写真が焼けていないのですけれども、四千万に負債が達すると、元利償還が五百万。それから飼育経費ですね。購入飼料代から種つけ料、あの保証乳価の中で分類されておる集計が五百万。二百トンの乳代が一千万、それに多少生体販売をいたしまして、元利償還必要経費だけしかはけない。生計費は一銭もない。この四千万負債をして二百トンになった農家は、土地取得資金も借りなければならぬ。圃場をすぐ倍にしなければならぬのですから、やめる人の土地あるいは草地開発をして、新しく二十ヘクタールないし三十ヘクタールの土地取得する。ただいま申し上げた規模畜舎を建て、それに伴う機械を入れる。負債総額は四千万となる。この農家は現在のところ毎年百五十万ないし二百万赤字であります。赤字の中で経営が続いておる。  そうすると、前にも申し上げたことがありますが、片や乳価というものは国民の食生活、消費に与える影響もあるわけですから、この接点をどうとっておるか。たとえば欧州諸国に例をとれば、西ドイツの畜産経営拡大資金金利一分である。これは私の調査の中では一番安かった。以下それに準じて、たとえば二分五厘金融をとるところは三十年、四分の金融をとっておるところは五十年こういう金融をとっておるわけです。  今回、私はこの経営実態に当てはめて調査した結果、日本の場合、一千万の負債元利で六%支払うと——いわゆる百トンの牛乳生産をするというのは、畜産経営で大体個体販売を若干入れれば約五百数十万の売り上げでありますから、個別経営、一戸の経営としては経営確立ができておるわけですね。労働時間も四千五百時間以上になっておるわけですから、他産業以上働いておるわけです。他産業労働者以上に三千万の資本装備をもって働いておる。それで生活ができぬということはあまりにもみじめだと思うのです。  そうすると、まず第一点に考えなければならぬことは、この酪農の建設あるいは規模拡大に伴う負債は、保証乳価で保証したキロ六円、百トンの経営であれば年間六十万で、元利償還ができなければならぬ。この一千万の負債は私は避けられぬと思うのです。この借り入れなしに酪農規模拡大するとか酪農地域の安定などということはあり得ないと思います。一千万の負債というものは、条件的に派生する避けられない借り入れ金である。   〔山崎(平)委員長代理退席委員長着席〕 そうすると、それは元利で六%償還にしなければならぬ。それをしないで、ただ保証乳価ではキロ六円、百トン経営では六十万を保障して、現実に百二十万、倍の金融条件で過ごしておるということは私は許されぬと思うのですね。  ですから、今回の負債整理については、最高四千万円、二百トン経営になるとプロパーが一千万になっております、これは。ですから、とりあえず六%金融の体系は、この国会中に、法律改正を伴いますから、めどづけをしてもらいたい。法律まで出せとは言いません。しかし、とりあえず負債整理をやると政策に打ち出したのでありますから、一千万であろうと、百トン経営では大体四百万です、これはとりあえず自創資金肩がわりをする。これでも不十分であります。自創資金肩がわりをしても一〇%償還になる、五年据え置き二十年償還という、一〇%の償還ですから、それを六%にするにはどういうふうにすればいいか。たとえば根本的に、一千万なら一千万というものを一本にして肩がわりをする負債特別立法をつくるか、もしくは総合資金約定を二分にすれば償還年限二十五年、四分にすれば五十年、五分の利子を取るといえば百年にしなければならね、現行保証乳価でですよ。現行保証乳価で六%の元利償還に合わすといえば、五分の利子を取りますよといえば元金償還は百年、二分であれば二十五年、どちらをとるか。そういう制度総合資金を改正して、旧債の乗りかえを認める。新しくこれから貸す金はこの条件で貸しますよ、もとのはもと約定ですよということはあり得ないわけですから、こういう点についてどういうふうにお考えになるか、まずその考え方お尋ねいたしたいと思います。これはどうにもならぬですから、このままにしておくということは許されぬことだと思います。
  10. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 酪農の今後の方向としても、実態に即しました多頭化を進めていく、しかもその点、所得なりその他について十分なバランスのとれたものが確保できる経営確立によってこれを進めていく、しかもそのためには適切な金融その他の財政援助なり、あるいは適切な価格決定が必要であるという前提で、酪農中心でございます根釧地帯における酪農現実に即したいろいろなお話をただいま承ったわけでございますが、先生が約五千戸の農家からもろもろ指標を取り上げられました具体的な御議論でございますが、これらについては役所としても諸般の統計というものも一応用意してございますので、先生のそれらの指標をいろいろまた後刻承りまして、十分突き合わせをした上で、この点についての計量的な判断はさせていただかなければならないというように考えております。  ただ、私ども農家経済調査等調査によりますと、先生おっしゃいますように、農業固定資本額はやはり二十頭以上でございますと一千万をこえておりますが、借り入れ金につきましては、これは家計部門なりあるいは他作物部門酪農部門それらを合わせまして、実数といたしまして、四十六年の調査でございますと六百六十万円というような数字が、北海道でございますが、出ておるわけでございまして、先生のただいま御指摘の具体的な数字との突き合わせ等についても、われわれ厳密に検討させていただきたいというように考えるわけでございます。  そういうふうにいたしまして、いろいろ検討しなければなりませんが、先生の御立論の一つといたしまして、保証価格のサイドで地代なり資本利子ですね、その適切な見方の問題と、一方では、酪農の多頭化現実に即しました融資制度改善という二点かと思います。  これは当然の話でございますが、一方では借り入れに見合ったストックがふえており、それが効率的に稼働して所得があがれば、その点については借り入れ金の増大は必ずしもこれをそう否定的に見るべきものではないというように考えますがその点が経営の重圧になっておるというような問題で問題があるのだというような御指摘かと思うわけでございます。これにつきましては、私どもといたしましては、その借り入れのよって来たる原因について、今回も緊急に百五十億の負債整理を行ないますので、その過程で、いかなる理由でこの負債がよって来たか、これは制度資金の不備であるのか、あるいはどういう理由であるかというような点も明らかにいたし、十分明らかにいたしまして、今後の改善等についても検討いたしたいと思うわけでございますし、また、経営の基幹となります固定資本取得の際に、保証価格でも先生十分御案内のとおり、借り入れ金でまかなう部分自己資本でまかなう部分を見ておりますがその借り入れ比率等についての見方が必ずしも適切であるのかどうかというような点についても問題があるというふうに思っております。これについては、四十八年については牛乳乳製品生産費補完調査というものも行なうことになっておりますので、これらを通じまして借り入れ実態なりあるいは資本利子借り入れ利子見方なり、それが現実各種融資制度金利との関係でどうなっているかというような点について明らかにしたいと思うわけでございます。  総括いたしますと、もう負債整理は緊急でございますので、百五十億の実行の過程で、北海道酪農農家負債の現状なり、よって来たる原因を明らかにして、それと各種金融の対応の問題をいたしますとともに、保証価格決定の基礎になります補完的な諸調査も並行いたしましてこれを行ないまして、重ねて今後負債整理等を行なうような問題、あるいは経営規模拡大阻害要因になってくるような条件というものを取り除いていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  11. 美濃政市

    美濃委員 私もこの質問が終わって、あなた方事務当局で必要があれば資料は提示します。どうしてもこれを解決せんならぬといういま私の意気でありまして、決していたずらに事務当局側の、いま言ったようなことに対する不十分さだけを追及して終わらそうなどという意図で言っておるわけじゃないわけです。提示を求められれば、この質問の終わったあと、私の集めてきた資料は全部提示いたしますから。  したがって、まずその負債整理の中で、これは政務次官にお聞きしたいのですが、限度額を引き上げても、四千万の負債になって、二百トン経営しておるもので、約一千万の約一割くらい利子がかかっておるその組合プロパー資金が貸し付けられておるのですから、だから、通例、限度には限度があろうと思いますが、そういうものは一応この際負債整理をやる機会に特認で、その元利六%にはならぬけれども、しかし一割に近い金利というと、一千万あれば利子だけで百万になるわけですから、それではもうどうにもならぬわけですから、そういう点はひとつ特認で処理しよう、この方針をひとつきめてもらいたい。きょう即答できなければ、その方向ですみやかに検討してもらいたい。即答できれば即答してもらいたい、こう思います。
  12. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 美濃先生の先ほど来、からだをもっていろいろと御研究をなさりましたそういう成果も合わせまして、事務当局とも十分に詰めまして、実態に即した方向で検討したい、こう思っております。
  13. 美濃政市

    美濃委員 第二の点ですが、第二の点もいま局長さんの考え方もお伺いしましたが、具体的な処理は来年度になるにしても、ひとつこの国会中にめどづけをしたい。一面乳価という問題もありますから、この負債条件一つ取り上げても、資本経費キロ六円引き上げれば、それでもいいわけです。この部分だけですよ。あとからまた物価高の問題や何か申し上げますけれども、それはそれとして、とにかく資本経費地代資本利子、建物償却、この部分キロ六円明年度保証乳価を引き上げれば、現行で返していける。そう負債整理や六%金融をやかましくいわぬでもいい。それは私が申し上げたのは、やはり先進欧州諸国を見ると御存じのように、EC地帯もほとんど乳価は支持乳価もしくは保証乳価の体系をとっておるわけですから、この部分についてはまず現行の日本地代資本利子平均——これは新築をするからそうなるわけです。私は統計部長から聞きましたけれども、統計が把握しておる抽出農家を対象として、畜舎やその他平均価格償却費が計算されている。資本利子の四分というのは、ちょっと具体的に詰めると問題があると思います。四分という金利はないわけです。その試算に対して四分の利回りで計算をしておるという標準、統計が公表しておる標準ケースで、金利の四分については問題がある。利子についてもこれから統計とも話したい。それは評価方法としてはもうちょっと適切な経費として計上すべきだろうと思いますけれども、やはり総体の乳価の中で保証するものは、たとえば畜舎であればいわゆる残存の平均価格償却金利を見るというのがやはり正しいのではないか、正しいと言ってもいいのではないか。標準でなくて新設すると、借り入れ金で新しくつくるわけですから、少なくとも倍になるわけですね。新設借り入れ金が倍になるのだから、そうするとそれはやはり酪農先進諸国がとっておる金融制度を適用して、保証乳価とその設備投資の元利償還とを合わすのが政治であろうと思う。そっちのほうが正しいのではないか。この部分で六円の乳価を上げて、保証乳価で現行金融制度償還さすというには、キロ六円になりますから、やはりかなり高い乳価です。それでもいいのですよ。日本の政府はひとつ勇気を持って、金融制度改善はできぬから、来年は地代資本利子、建物償却費で六円引き上げる。そうすれば、払えますから、問題は解消されるわけです。ことしはいわゆるそこにあるわけです。七十四円という乳価、最低でもキロ十円上げてもらわなければ酪農はやれませんと、あのとおり局長のところにもずいぶん来たでしょう。決してかけ引きや何かで乳価決定のときに北海道から六百人もの酪農家が大臣や政務次官局長のところに陳情に来たのではないですよ。目の色変わっておったでしょうが。農家だから極端なすわり込みをしたり、やかましいことは言わぬけれども、目の色変わってことしは出てきたわけですね。いよいよことしはやれぬというのに、それにたった三円三銭しか上げなかった。その結果、一割くらいの農家経営の自信を喪失しておるということですね。一〇%は早期にやめるという方針をきめてしまった、こういう実態が起きておるわけです。どうにもならぬ。これでは経営の自信を失ったという中で、これを早期にしてやらぬと、たとえば負債整理でとりあえず来年までの間に一千万やって、保証乳価で保障する部分金融制度改善する部分で、まじめにやっておればどうにかこの状態を脱するからという示唆を早期に与えてやらぬと、多くの例ではないが、一戸か二戸は——これは一戸といえども四千万円の負債がある農家が八十頭の牛を農協に売ってしまった。もう土地畜舎は、そんなでかいものは売れないわけです。借金は一ぱいくっついて、そして金融公庫の総合資金の抵当に取っても、売るといっても畜舎なんか売れぬですよ。土地畜舎で残債はあり、八十頭の牛は一ぺんに売ってしまって、昔の夜逃げ同然になってしまって、どこかに出ておるというのも一戸か二戸出てきておるわけです。それも写真にとってきておる。こういうことが次々起きたら、これはこの地域農協もどうにもならぬわけですね。一戸か二戸ですが、これも実際です。二百頭農家が二日か三日のうちに全部牛を売ってしまって、土地畜舎は残してあるから、あと借金のじまいはよろしく頼む、こういう実例が起きておるわけです。  ですから、まず負債整理はわかりました。政務次官がよくその実例を踏まえて検討するというのですから、これはきょうは要請しておきますから、これは検討して、すみやかにその方向で結論を出してもらいたい。  それからもう一つ、明年度保証乳価金融制度改善を、ことしは予算の関係もあり、法律の関係もありますから、この国会中にそれを決定することは無理だと思いますから、明年度に対する方向を示唆してやらなければならぬと思います。この程度のことは最低やれるのだから、やるから、いまそう短気を起こして一ぺんに牛を売ったりなんかするな、こう言って押えなければいかぬです。示唆する方向だけはこの国会中に早期にひとつめどづけをしてもらいたい。大体保証乳価でいくならいく、これでもけっこうです。日本政府がきめるのだから、そんなことにならぬようにそれは保証価格で保障しよう。もう一つは金融制度で、金融制度部分だけは保証乳価元利償還条件を合わせてやる。これを合わせれば六十万浮くわけですから、極端な、もうこれではやれぬという状態になりません。一番大きいわけです。このめどづけについて、ひとつ示唆する方向だけを今国会中にきめなければいかぬ、こう思うわけです。それに対する見解を承っておきたいと思います。
  14. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げますが、われわれといたしましても、保証価格算定の各経費の項目、費目につきまして、多頭化の伸展という点について、その経費見方とか、その他については一そう慎重な吟味をいたして、離農経営の多頭化に即するような保証価格算定を行なわなければならないというふうに考えるわけでございまして、そういう意味で、具体的な経費の項目に即しましてのお話については、われわれとしても明年度保証価格の算定については一そう慎重に、各要素について検討いたしたい。先生借り入れ利子その他の見方償却費の見方という点についての具体的な御提案がございましたが、そういう部分を含めまして、当然われわれとしても、このような酪農の情勢でございますので、検討しなければならぬというふうに考えておるわけでございます。  それから、一方融資制度につきましては、先ほども申し上げましたように、まず累積の負債、これを片づける必要があるということで、今回緊急措置として自創資金による肩がわり百五十億の措置をとったわけでございますが、その場合におきまして、その借り入れ金のよって来たる原因というものについても十分検討いたさなければならないというように考えております。と申しますのは、たとえば先生のただいまの御質疑の中でも出ましたように、今日の北海道酪農の多頭化のてことなっておりますのは総合資金制度でございますが、これらも四十四年の発足当時、その融資限度というものが必ずしも高くなかった。その後大幅に改善されて、融資限度が引き上げられた。この際、なおその不足の部分について、農家が比較的高い金利プロパー資金その他を借りるというような実情があったんじゃないかとか、これは一例でございますが、そういう諸般借り入れ金の大きさだけでなくて、金利の重さというものについてのよって来たる原因等につきましても、今回具体的に道庁とわれわれのほうと、先生が先ほど早急にきめろとおっしゃいました融資限度等を、自創資金の特別な融資限度をきめる際における検討においてもあわせて行ないたいというふうに考えておりまして、これらは一つの例でございますけれども、今後の経営の発展と、現在の制度金融との間の関係というものについては、保証額算定と同様慎重な検討をいたしたいというふうに考えております。
  15. 美濃政市

    美濃委員 その話が出ましたから、これは負債整理は今年度進めていくわけですね。経済局長も見えておりますから、これは具体的に詰めるということになると、経済局、金貸しのほうになると思うのですが、いま畜産局長も言っておりましたが、私が申し上げておるように、大局は負債整理に入ったという見方ですね。それは組合員勘定というもの——年間供給の生産資金は、御存じのように、組合員勘定というのを使っておりますから、その組合員勘定残を消極的につかむと、これはやはり制度金融機関に対して農協はいわゆる受託窓口ですから、その導入した資金の管理義務を果たさなければならぬということで、たとえばさっき申し上げたように、保証乳価で六十万しか保障されてないのに、百二十万払う。この中で、生活費がなくなってしまうから、プロパーに変えてでも約定償還を続けておるわけですね。それを消極的に組合員勘定だけめくってみたら、これは生活費に食い込んでおるではないか、こうも見えるわけです。しかし、私の言っておるのは、そういう矛盾がなくて、たとえば保証乳価で保障されておる百トンの牛乳を出せば、ことしの保証乳価でいえば百七十万の生計費が払われたとしたならばそうはならないのだ。保証乳価の収入が少なくて、支出が多い、その原因金融条件に一方はある。一方は経費計算の食い違いがある。この中で約百十万の食い違いがあるわけです。ですから、あとから資料も全部お見せしますが、農家が持ってかえった生活に使える金は、百トンの農家で七十万しかない。とても七十万じゃ生活できない、これじゃどうもならぬ。あるいは娘を嫁にやるから何とかしてくれという話が出てくると、それは消費に使う金ではないか。組合員勘定の窓口を重箱のすみをようじでほじくるように消極的に把握すると、これは消費に使った金で、食い込み負債ではないか。しかし、なぜ食い込み負債ができたんだというと、保証乳価で保障しておる家族労賃部分生活費に使われてないということなんですから、そこらまで立ち入って、やはり経営実態を見て、これは組合員勘定の窓口をこそく的につかまえれば、生活費から出た固定化負債というようにも受けとれるけれども、どだいここらは経営の仕組みの中からこういう条件が出てきたのだから、それならやはり政府の借り入れ金のほうを延滞にして、生活費を百七十万出してやればいい。でないと政府の借り入れ金が延滞して払えないということがはっきりするわけですね。私はこの問題をめどづけしてくれなければ、先頭を切って、これは大型をやった農家にそういうばかなことをしないようにしなければならぬ。私自身の組合もことしからそうやろうと、私はまずよその組合でなくて、自分の組合でやらなければならぬと考えておる。  それはなぜかというと、どうしても農民を守らなければならぬですから、保証乳価で保障されていないのですから、だから、六十万だけは回収する、保証乳価で回収された、いわゆる毎月の乳代からキロ六円だけは回収して、償還をして、そうして元本償還に入る、これ以上は農民を苦しめて請求はできない。受託機関の責任にはならないのだ。日本の政治が悪いからこういう問題が起きるのだ。だから、生活費はやはり見る。牛乳生産農家であれば、やはりこの保証乳価で保障されると明示されておる、飼育労賃と粗飼料労賃に該当する部分生活費として農家に渡す。乳代から元利償還を求めるものは大体キロ六円、これを認めておる。そうすると、政府から借りておる資金は元金しか払えないから、元金償還に際する利子は払えない。これは今度は実力でやらなければならぬことになる。皆さん方、検討すると言うからそれを期待しますけれども、いよいよその方向が出なければ、ことしの償還からそれに入らざるを得ないだろうと私は考えております。そうして、組合員勘定の窓口をとっつかまえて、生活費に食い込んでおると、こんなことを言われたのでは、あまりにも農民はみじめです。はっきりさしてください。酪農農民の生活を守るためにそこをはっきりさせる。保証されておる部分だけは払います、それ以上は回収することができないという姿勢をとる、そうすれば今度ははっきりしますから。  何のために総合資金が払えぬのか、マル寒資金が払えぬのか、そこを実務の上ではっきりさそうと思うのですね。なまじっか組合が、公庫や農林中金に対する管理義務、善管義務を果たそうと思って、プロパーで立てかえて、そうして、組合員に証書貸付金で払えぬ部分を貸して、償還させておるところにも問題があると思うのだ。払えぬものは払えぬとしたほうが、皆さん方も来て見たら、はっきりすると思うのです。そこまで立ち入ってものを考えてもらいたいということです。何のために払えぬのかということをですね。  ただ組合員勘定の窓口だけを消極的にとっつかまえて、これは生活費から出た固定化負債ではないか、こういう判断は間違いだということをひとつ私はいま申し上げておきますから、これは政務次官、こういう問題で、もちろん統計で負債を把握する、調査することも必要だが、一ぺんこの負債整理やその他の実情調査をいまやらなければならぬ。ひとつ畜産局と経済局合同で、やはり班長クラスで実態調査をする必要がある。ひとつ調査をするようにさせてくれませんか。調査をすればこれはわかりますから。現地の説明も、私は行けませんけれども、現地の信連支所なりにわかるように説明させますから、何のために借金ができたのかということを。
  16. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 お答え申し上げたいと思います。  北海道におきます酪農経営農家負債内容というものにつきましては、実態的に、先生、先ほど御指摘の点もございますけれども、十分それを勘案しながらも、まだ幾つか不明な点が残される場合もあろうかと思いますから、そういう点は実態調査に関して、昭和四十七年一月及び昭和四十八年一月現在で、北海道が全酪農農家を対象としました悉皆調査及び地帯別に抽出調査を実施いたしまして、目下集計作業中で、近々まとめられる形ではなかろうかと考えております。したがいまして、農林省としましては、この集計結果を待ちまして、自作農維持資金による借りかえ措置を早急に講ずる必要がある段階にあると、このように認識をさしていただいておる次第でございます。
  17. 美濃政市

    美濃委員 いま農林省みずからすぐ調査に行く意思はありませんか。道庁の悉皆調査を見てといことですか。
  18. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 十分事務当局とまた検討してみたいと考えております。
  19. 美濃政市

    美濃委員 悉皆調査の話が出ましたから、この際、ちょっと一言触れておきますけれども、私があくまでも申し上げておるのは、あの終戦後大型化した根室と釧路の実例、これは六千戸で四十万トンと一番大きいです。ですから、平均でやらぬようにしてもらいたい。平均は低いです。たとえば北海道酪農といっても、道南のように、いわゆる戦前から酪農規模がある程度基礎が築かれてきておった、あるいは十勝における、私の地元ですけれども、混同地帯、こういうところの同じ百トンでも根釧よりは少ないです。それを平均すると、私、平均化の資料はちょっと持っておりませんが、いま局長の言う北海道酪農平均は六百万だ、あるいはそうかもしれない。概念的に言うと、北海道酪農家平均化は、根釧から見ると少し少なくて、局長の言う六百万平均くらいだろうというくらいに悉皆調査が出てくるかもしれません。それはしかし、六千戸から集団しているところですから、それはそれ、これはこれで負債整理あるいはそういう条件というものはやはり苦しい条件は同じです。ただ、古いところは畜舎償却済みになっている。ずいぶん苦労して苦労して多少負債が少ないところもあるでしょう。平均化をされると少ないが、平均化で限度額をきめたり、あるいは特認をきめたりしないで、ほんとうに苦しい、一戸や二戸の実例ではないわけですからね。かなり集団した後発地域で装置大型酪農をやったところに大きな借金があるわけですから、そこらが救済できるように、たとえば特認限度額を引き上げたって、ない借金は肩がわりをやる必要はないのですからね。特別に自創資金が膨大に限度額を引き上げたから膨大な資金額が伴うというわけのものではないのですから、実情に合うようにやる、こういうふうにやってもらいたい、こう思います。  それから次の問題は、ことしの物価騰貴に基づく建設費の増大であります。それから、御存じのように、特に北海道地域は雪が降ります。かなり頭数が増加している、そういう条件農家があるわけですね。そして古い物置や厩舎が三つくらいに分かれて、新築するということでしておりますがものすごく省力化されないわけです。冬季間ふぶきが降れば雪が入る。ふぶきの中で搾乳を行なっておる、こういう条件の中で、ことし総合資金を借りて総合畜舎を建てて、そして省力体系、家畜の管理体系をよくしようという計画を立てておった農家はたいへんなことなんです。  それは、ことしの乳価の中でも保障されておりませんし、畜舎でいまどういう現象が起きてきたかというと、木材投機で、木材は倍です、建築材は倍になっております。倍をちょっと越えております。去年セメン一袋四百円がことし千円する。昨年ですと、五十坪、六十坪というような大きな畜舎が一坪五万円で請負のできたものが、ことしは七万円ないし七万五千円ですね。五割建築費が増加しました。そうすると、先ほど申し上げましたように、前年度価格でも借り入れ金収支が合わないのに、ことし五割も建築費が増加したら、これまたどうにもならぬわけですね。それともう一つは、綿類が全部倍になっておる。さらしも前年度より倍、さらし程度は知れたものですけれども、作業衣、地下たび、綿と称するものは全部去年の倍です。こういう条件が投機の中から発生したと思うのです。インフレ経済条件でこんなに一挙に倍になるのじゃないが、投機が綿に加わっておりますから、とにかく投機が働いた物資は倍になったと考えていいわけですね。そういう条件の中からものすごく生産費が上がってまいります。  これはことしの統計を把握して出てくると思いますが、これは牛乳だけでございません、米から全部ですね。米からあらゆる農産物のただいま申し上げたような投機が働いた消費物資もしくは生産資材、一番低いもので五割、大体倍に近い経費の増大であるということですね。農業生産費の増大であるということ、これはたいへんなことだと思うのです。これは統計で把握して出てくると思う。  先ほど申し上げたように、一つは酪農でいえばことしの乳価の値上がりを見て、一割近い農家経営放棄をする心理になっちゃった。二つあるわけですね。一つは負債に苦しめられている条件、もう一つは急激に上がってきた生産経費の増大、これじゃ、もう生活はできないということで、生産放棄が開始されておる。ここらに対して何か的確に、いまどうお考えになっておりますか。明年度の対策、すべての農産物価格対策、米価もあります、すべての農産物に対してそういう現象が起きてきたのだ。これは一体農林省としてこれをどうするか、それに対して政策対応はどうしていくのか、これをお伺いしておきたいと思います。
  20. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 これは非常に私どもも十分意を注がなければならない問題であると考えておりまして、まさに先生指摘のとおり、五割になんなんとする物価騰貴、さらに生産性というものに対するまた伸び悩み、先生の御指摘のとおりの種々の問題を考えますると、たいへんな問題を踏まえていると思うのでございます。私どもはそういうものに十分意をこらしまして、ひとつ対策を練っていくべきである、こう考えておりまして、ひとつその点は存分に検討していきたい、こう考えております。質問そのものは非常に大きな課題でございまするから、農業に従事する、特にまた農政に従事する私ども意欲的な意思だけを伝達さしていただきまして、私どもの答弁にかえさしていただきたい、こう思うわけでございます。
  21. 美濃政市

    美濃委員 大体十二時が近づいておりますが、もう一つ、これは新しい政策を検討してもらいたいということなんですが、いま申し上げたこういう地帯の酪農は、御存じのように、草地酪農ですね。そうすると、さっき申し上げたように、飼料生産経費実態が合わないという、いわゆる保証乳価で見積もられておる飼料代の現実は、大体倍使っておる。倍使って、実際はいい草がとれるかというと、七年、八年という永年牧草に金肥をいまトラクターでふっております。ですから、量は金肥をやって確保しても、質的に非常に栄養の低い草になっております。  そこで、これも具体的な組合名その他はあと必要に応じて事務当局に申し上げますが、これは私はりっぱな構想だと思うのですが、ある農協で、これは真剣です、これではもうだめだ、まず第一番に負債の問題と、あと一つは、こんな金肥を使って、量的にはまあまあ確保しても、永年牧草ですから、草が退化してかなり栄養的に質的に低下している。これではどうにもならぬから、土地の要らないてん菜耕作をやってくれないかということに気づいた農協があるわけです。どうしてもやってみたい。それで再トン以上の大畜産農家になっておるから、農家が二月でてん菜をペーパーポットでつくるわけにはいかない。つまり、十勝とか道内の経営面積の少ないところで、ビート作りのできる農家をまず三戸くらい入れてくれないか。それで大体一二十ヘクタール持っておりますから、五年輪作で五ヘクタールでビートをつくる。それは、ビートをつくる農家がてん菜省力用機械一セットをもって、五年輪作で三戸共同で六十ヘクタールくらいビートをつくる。六十ヘクタールというのは、酪農家六戸とてん菜耕作農家三戸をセットにして、そして堆肥を入れて、てん菜をつくって深起こしをしなければ、とてもこの草ではだめだということを見出しておる農協が一つあるわけです。その省力機械のセットを入れる方式、これは国の補助がなければできないから、道なり国なりのそれに対する政策をひとつ確立する。現行制度の中で何ぼでも無限大に援助してくれとは言わぬが、てん菜省カセットを優先して配置するとか現行制度の中における政策の恩典をしてどうしてもそれを確立しなければ、とにかく四十万円、五十万円も永年牧草に無機質肥料をふったのではだめだ、この点も経営の大きな行き詰まりである。二十万円、三十万円という支出農家です。それでいい草がとれるならいいけれども、いい草にならないわけです。それに気づいて、それをいま強く打ち出した農協があるわけです。私は、これをまず全面的にやれないから、それならそれらの農協とタイアップして、私どもの地帯に、よし、それならといって、ビートづくりを専門にやろうという農家がおれば——それはおりますから、すすめれば出てくるんですね、制度さえきちっとやっておれば。この計画はこういう地帯、ここだけでなくて、たとえば道北地帯といって、宗谷管内とかこういう北海道の草地酪農地帯はみな同じ条件だと思うんです。ただ、海岸の地区にごく接近していきますと、潮風が吹いて、てん菜ですから、とれぬことはないけれども、二トンぐらいで、とても収益はあげられませんから、私どもがざっと見てやれるのは、五千戸の農家のうち三千戸はやれる、三千戸の農家はその条件にある、それをやらなければだめだと私は思うんです。当該農家は五ヘクタール牧草をてん菜にしても、てん菜の葉とそれからパルプを還元してやれば、それで永年牧草以上の年間飼料も確保できるわけですね。長期的に草の質がよくなり、できるのですが、この政策もひとつ企画で検討して、そういうものをひっくるめて政務次官お尋ねします。  やはりそういう問題は、企画の調査になります。これはかなり意欲を持ってやるという農協が出てきましたから、それを伸ばすべきだと思うんです。そこで顕著な実績ができると、全部やるようになります。まずモデルを一つつくってやりたいと思うんですね。顕著な実績ができるということは、やらなくてもはっきり言えると思うんです。そうすることによって、先ほど申し上げた経営収支が二十万円、三十万円くらい改善される、やらなければまだまだ悪い方向へ向かっていくということです。永年牧草に無機質肥料だけやって、非常に栄養の低い草を与えていきますと、まだまだ経営収支が悪いほうへ向いていく。ここでこういう意欲のある農協が出てきたから、その計画をひとつモデルをつくってやってみる、これをひとつ検討してもらいたい、いかがでしょうか。
  22. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  北海道におきますビートと酪農経営との結びつきの問題というのは、かねがね従来の長い議論もございましたし、現実の試みもあったようでございますが、最近の多頭化酪農経営における飼料基盤の整備というものを、草地一辺倒というような方向だけでなくて、ただいまお話し申し上げましたような現金支出部分の節約とか、その他の視点からも再検討する必要がある、具体的な事例も意欲も出ておる部分もあるというようなお話でございますので、酪農経営とビート作との結びつき、あるいはシステム化というような問題についてはわれわれのほうとしても、その先生指摘のような具体的な事例について十分実例を聴取いたしまして、検討させていただきたいというように考えております。
  23. 美濃政市

    美濃委員 最初のお話を最後にまたお聞きしておきたいと思いますが、この四十億はいつごろ決定しますか。
  24. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 今月中にはきめたいというように考えております。と申しますのは、一つには先生のかつての御質疑にもございましたが、この財源が畜産振興事業団の四十七年度差益でございまして、この決算が五月には終わります。したがいまして、具体的な金額のめどもつきますので、そういうものを合わせましてきめたいというふうに考えております。
  25. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 美濃政市君、質疑をちょっとお控えください。     —————————————
  26. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 この際、御紹介を申し上げます。  ただいまユーゴスラビア連邦議会議長ミヤルコ・トドロヴィチ氏外議員団各位がお見えになりましたので、ここに諸君とともに心からなる歓迎の意を表します。   〔拍手〕     —————————————
  27. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 質疑を続けます。美濃政市君。
  28. 美濃政市

    美濃委員 この際、農林大臣にお尋ねをいたしたいと思います。  わが国の食糧消費構造の動向から見れば、今後畜産振興を推進することが、国民食生活改善の面からも農業経営改善の面からも必要であろうと思います。  畜産振興をはかるためには、基礎的生産資材である飼料の安定的供給を確保することが第一の要件であろうと思います。しかしながら、昨年夏以来国際的な飼料穀物の需給逼迫等を理由に、わが国の配合飼料価格はトン当たり平均八千円、約二五%も値上がりを見て、畜産経営に甚大な影響を与えております。  この異常事態に対しては議員立法による飼料用過剰米、政府操作麦類の大幅値引き特別売却措置により、当面の価格抑制を行なっているところでありますが、この特別売却措置が終わったあとの国際的な飼料穀物の価格動向が懸念されるところであります。このような状況が続く限り、わが国畜産経営の安定をはかる上に、常に問題点が残っておることとなります。  今回の場合は、世界的な異常気象が飼料穀物需給逼迫の原因となっておるので、やむを得ない事情があると思いますが、やはりわが国の飼料原料の輸入構造にも問題があるのではないかと考えます。  主要原料であるトウモロコシについてみれば、アメリカ一国から総輸入量の二分の一以上を輸入しておる現状であり、最近、タイ国、アルゼンチン等からの輸入も増加しつつあるとはいうものの特定の国に輸入の大半を依存しておるというのは飼料原料の安定的供給という面から再検討すべきではないかと思います。マイロや麦類についても同様輸入先国に偏重があり、今後は、飼料原料の供給の安定をはかる上からも、また同時に、農業面における国際協調の促進という面からも、輸入先の多元化をはかっていくべきだろうと考えます。  このような農業面からの国際協調ということがひいては国際的な文化交流のきっかけをつくることにもなり、国際友好促進のきずなにもなるわけであります。  そこで、私は、一つのアイデアを農林大盛にただしたいと思います。  農林省は、今回の飼料穀物の需給逼迫と飼料価格の高騰という経験にかんがみ、当然将来の対策を検討しておることと思いますが、この際、今後における飼料原料の安定的供給をはかるため、従来の慣習的な特定生産国からの輸入を再検討し、たとえば東欧諸国、特に本日当委員会にその代表が臨席されておられますユーゴスラビアの飼料原料の輸入を考えてみてはどうかと考えます。  ユーゴスラビアは、工業に対する意欲とともに農業振興にも多大の熱意を払われており、また畜産経営も盛んな農民を愛する国であると聞いております。飼料穀物の生産量もかなり多く、輸出意欲もあるやに伺っておりますので、従来輸入実績はないかもしれませんが、このような国から将来安定的に飼料穀物の輸入を行なうようになれば、わが国の畜産振興のためにも、また両国間の友好関係もつちかわれていくということになると思います。けっこうなことだと思われますので、農林大臣の御所見をお伺いいたします。
  29. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 ただいま美濃委員より、適切な御所見を交えての御質問でございました。私もわが国の畜産振興に大いにつとめたい、こういうことでございまするが、お話しのように、飼料の問題についてはなかなか苦労が要るわけでございます。最も必要なトウモロコシ、コウリャン等の濃厚飼料の原料につきましては、これを海外に六三%も依存をしておる、こういうことでございまするし、しかも今回の飼料の値上がりの原因になりましたが、一部の国から多量に輸入をし過ぎておる。たとえばトウモロコシはアメリカより五〇%以上、コウリャンについてはアメリカやアルゼンチンで七〇%、残りはオーストラリア、こういうことでございまするから、海外の価格あるいは輸出動向が、これが直ちに日本飼料に影響あり、また畜産物に影響がある、こういうことでございます。  ただいまもお話しのように、最近二五%もえさが上がりましたが、これはアルゼンチンやオーストラリアの大幅な減産の影響を受けた。さらにはアメリカは減産をしたわけではありませんが、ソ連の食糧事情が天候異変による影響でアメリカに対する大量の買い付けがあった、こういうことでそれが日本飼料に対する大きな影響になってあらわれてきておる、こういうようなことでありまするから、私も、お話しのように、これからの飼料の安定的な供給をどういうふうにするかということについては十分検討しなければならないと思っております。  それがためには、多角的な各国からの輸入の必要がございましょう。しかもそれは安定的に供給されることを配慮しなければならないと思います。また、さらに進んでは、日本として相手国との間で十分な話し合いの上に、いわゆる開発輸入式なものも考えていく必要があるかと思うのであります。  ただいま東欧諸国からの、またきょうおいでをいただいておる特にユーゴスラビアからの飼料穀物の輸入についてのお話がございまして、私としても非常に参考になる御意見として承ったわけであります。なかなか遠距離のことでございまして運賃等のことを考えますると簡単なことではないとは思います。しかし、現に遠くアルゼンチンからも飼料穀物を輸入しておる現状からいたしますると、私としてはよく検討してみたいと思います。  ユーゴスラビアが畜産関係については非常な御努力をされておることを聞いておりまするので、こういう飼料穀物の輸入についての配慮をするとともに、さらには同国の畜産技術などにつきまして、日本が相協力をする、また御指導を受けるというようなことも考えられることでございまして、今回せっかく議員団の皆さまがおいでのおりからでございまするので、ただいまの御質問の趣旨に沿いまして、両国の経済提携の上に何らかわれわれも寄与してみたいと考えておるような次第でございます。  以上、お答えを申し上げます。
  30. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 美濃政市君、質疑をちょっとお控えください。     —————————————
  31. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 ただいまミヤルコ・トドロヴィチ議長外議員団各位がお帰りになりますから、どうぞ拍手をもってお送りください。   〔拍手〕     —————————————
  32. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 美濃政市君、質疑を続けてください。
  33. 美濃政市

    美濃委員 以上で終わります。
  34. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 野坂浩賢君。
  35. 野坂浩賢

    ○野坂委員 いま、それぞれ質問、答弁がございました。特に酪農問題について十分に対処をしていくという御答弁もございましたが、大臣がおられませんので、私はとりあえず政務次官にまずお尋ねをします。  その一番初めは、いま酪農でもお話がありましたように、異常な経営実態だ、こういうのが現状であります。私が四月四日この委員会で農林大臣に、農業基本法に基づく自立経営農家はどのような農家の姿なのか、こう質問をいたしましたら、耕種農業、いわゆる水稲作付面積は大体六ヘクタール、それからもう一つの例は、酪農の場合は大体四十頭で草地面積三十ヘクタール、要するに、これが自立経営農家の姿で、この方向に基づいて進めていきたい、こういうお話がございました。  私も資料をいろいろさがしてまいりましたが、なかなかございません。きょういただきましたが、水稲作付面積の農家戸数といいますのは、全農家が四百七十二万九千、これは四十五年であります。五ヘクタール以上のものが約一万二千五百です。そうしますと、大臣が示しております自立経営農家というのは四十五年ですでに〇・三%しかありません。それから酪農の場合には、現実に二十四万九千の酪農戸数に対して三十頭以上というのが二千三百、ちょうど一%しかありません。これを見て、農業基本法に定めてある自立経営農家ということを進めるということでありますが、だんだんなくなっておるというのが現状なんですから、どのようにしてこの基準にまで引き上げるつもりなのか、そして自立経営農家を育成していくつもりなのか。この数字とあなた方が答弁されておる数字とはあまりにも懸隔がありますし、大臣が言いますその方向に進めていくという施策があれば最初にこの際承っておきたいと思うのです。
  36. 小沼勇

    ○小沼政府委員 自立経営農家につきましては、基本法にもうたわれておりますように、今後育成をしていくことで従来も進めてまいりましたが、御承知のとおり、一応自立経営農家の四十六年度の下限の農業所得は百六十六万というのがベースになっております。このベースから計算をいたしますと、生産調整の奨励金を含めた場合でございますが、その全体のシェアは戸数で大体四・九%ということでございます。その意味では自立経営農家を育成する点については幾つか難点があり、なかなか進まないという面がございます。その点は御指摘のとおりでございますが、ただ、今後進めていく場合に考えられますのは、単なる自立経営農家だけではなしに、多くの兼業農家もございますので、それを含めまして、自立農家中心にこの生産組織を育成していくということをあわせて進めていく必要があるのではないかというふうに考えております。御指摘のように、非常にきびしい情勢の中でございますが、やはり高能率、高生産性の農業を展開していく中核は自立経営農家でございますので、それを中心にやってまいりたいということでございます。  そこで、そのためにいかなる施策があるかということでございますが、その基本になりますのはやはり土地でございますので、御承知のとおり、その土地につきましては、土地改良長期計画を五月一日に閣議決定いたしましたが、その土地改良長期計画に基づきまして圃場整備あるいは畑地かんがい、草地造成等基盤の整備を計画的に推進していかなければならない、かように考えております。また、農業団地を形成し、構造改善事業をはじめとする一連の生産構造施策を一そう拡充してまいらなければならない、かように考えておりますが、あわせて各個別の農家土地取得につきましては、農地等の取得資金あるいは農地保有合理化法人によりまして、土地を買い入れて規模拡大をしようとする農家に売る、あるいは貸すという措置もあわせて進めてまいりたい。現に、農地の一般の自然的な移動では、若干ずつ上層のほうに土地が移動はしておりますけれども、それほど顕著ではございません。そこで、取得資金、合理化法人等によりまして、積極的に規模拡大をしようとする農家土地を与えていくという施策を強力に進める必要があろうかというふうに思っておりますが、ただいままで申しましたような施策をあわせて総合的に展開していくことが必要である、かように考えている次第でございます。
  37. 野坂浩賢

    ○野坂委員 個人の自立経営農家は非常に困難になってきたので、新たな段階として生産組織を整備していきたい、その手始めとして新土地改良計画あるいは構造改善事業、圃場整備、こういうことで進めていくということでありますが、それでは土地生産性はあがらぬわけですね。言うなれば、労働生産性が高まってくる、こういうことがまず言えると思います。  経営規模拡大をはかるということでございますが、いまの御答弁では相当移動しておるということでありますが、その移動しておる面積は、四十七年度どの程度あったのか、そして価格は下限幾ら、上限幾ら、土地生産性なり農業所得実情から考えて、規模拡大をしても土地価格というのはどの程度までが農業生産に引き合う値段かということを教えていただきたい。
  38. 小沼勇

    ○小沼政府委員 農地法によります農地の移動面積が、四十六年までの資料でございますが、四十六年度では十二万ヘクタールほど移動しております。  ただ、その中で一番問題になりますのは、農地を有償で所有権を移転しているという場合でございますが、これは、四十六年は六万九千二百二十五ヘクタールでありまして、四十五年が七万一千ヘクタール、四十四年が七万六千ヘクタールということでございます。大体三十八年以降ほとんど約七万ヘクタールずつ農地が有償で移動をしているということでございます。  その中で階層別に見てまいりますと、〇・七ヘクタール以上が大体譲り渡しよりも譲り受けの面積が多いという形でございます。その中でも大体一・五町から二町、二・五町、二・五町以上、その辺が面積としては多く差が出てきている。つまり、譲り受けのほうが譲り渡しのものよりも多くなっている、割合が大きいというふうに見られるわけでございます。  価格については、ちょっと資料が手持ちので見当たりませんので、後にお渡しいたします。
  39. 野坂浩賢

    ○野坂委員 あとでけっこうです。  譲り受けをしたほうが多いわけですね。〇.七ヘクタール、七反歩ということですか。譲り渡したほうは零細農に転落をして、第一種兼業農家が第二種兼業農家になっていくというかっこうで、第二種の兼業農家が離農するという形ではなしに、第二種兼業農家は保有米だけを確保して他の土地は売っていくというかっこうで、むしろ零細農のほうが促進をされておるという傾向が強いのじゃないのですか。そういうふうに把握をしておりますが。
  40. 小沼勇

    ○小沼政府委員 いま申し上げましたように、七反以下になりますと、つまり譲り渡しをしているほうが多くなるということでございますから、七反以下では経営規模が全体としては縮小しつつあるというふうに見てよろしいのじゃないかと思います。その層がいきなり離農という形ではなしに土地を持ちながら賃貸をするなりあるいは生産組織に参加をするなり、いろいろの形で第二種兼業農家として存在をしているのではないかというふうに推定されるわけでございまして、一たんそこでとまりながら、ものによっては全部売り払って離農するという者も出てくるかと思いますが、かなりは、やはりいまの土地資産的価値から申しまして、土地は離さないで、賃貸なりあるいは請負耕作なり、いろいろの形をとりながらそこにとどまっているという形ではなかろうかというふうに推定いたします。
  41. 野坂浩賢

    ○野坂委員 そうすると、大臣がお話しになった六ヘクタールというようなものについては、この傾向から見ますと非常に困難でありますから、いわゆる専業農家を中核とした兼業農家を、よくいわれる約二十人程度あるいは三十人程度の規模生産組織をつくっていく、こういう方向でこれから進める、こういうふうに考えていいわけですか。
  42. 小沼勇

    ○小沼政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたが、土地を買い受けて経営規模を大きくしていくという道と、それから土地を借りてやっていくという両方あろうかと思います。  土地を買ってというのは、まさに農地取得資金等を借りて、あるいは総合資金を借りて、それで土地取得していくという道で、最も直線的な線であるわけです。しかし、それだけでとても進まないであろうということも想定されますので、それについては、農地の流動化を賃貸借の面でも考えられないことはないというふうに思うのでございますが、現在賃貸借で表面に出ております、農地の移動統計で出ております数は非常に少のうございます。事実はいろいろの形で動いているということを聞いておりますけれども、統計にあがってきておるのは非常に少ないという状況でございます。  しからば、いま御指摘のようなこの六ヘクタールという形にどうやって到達するのかということになります。  そこで、農地保有合理化法人等を通じてやるという道を今後大きく展開していきたいということも一つ考えておりますが、ただ、その個人個人が大きくなっていくという形のほかに、効率的に生産性をあげる、そういう規模の利益をあげていく規模の効果を出していくために、その生産単位というものは必ずしも所有の単位とはイコールでなくてもよろしいというふうに考えられますのでそういう規模の利益をあげていく生産単位を実現するために、土地をどういうふうに集めていくかということだろうと思うのです。   〔委員長退席山崎(平)委員長代理着席〕 その意味では、共同経営あるいは集団的な生産組織という形にいまの兼業農家も参加をしていくということで、御指摘の六ヘクタールに対応するような効率の高い生産性をあげる形を実現していくのも一つの道であろう。それがすべてというわけではありませんけれども、そういうふうに見られるわけでございます。
  43. 野坂浩賢

    ○野坂委員 買い受け、借り受けと、こういうことですが、買い入れの場合の引き合う農地の値段ということを聞いたんですが、あなたが見解があればどの程度なのか。百万円も出して一反買ってもとても農業を営むことはできぬ。六分五厘あるいは五分、そういう利息で借りたとしても、引き合うというかっこうになっていきません。だから幾らなのか。  それと、借り入れをして耕作をする場合、いわゆる賃貸借ですね、賃貸はどの程度が適当だと思っていらっしゃるか。たとえば、私はずっと歩いてみますと、農家の人はこう言うんです。おもしろいことを言います。私は農地の面積が非常に少ないので借り入れをしたい、こういうことをお願いをしたところが、よろしい、よろしいが、耕作料は幾らだと聞いたら、三万円だ。なぜ三万円か。休耕奨励金がほしいのだ、こういうふうに言っておる。これではとても引き合わぬ、だからやめたこういうことですね。だから、あなたがおっしゃっておるように、借り入れで請負耕作ということがそう進むというような情勢には少なくともないのじゃないか、こういうふうに思いますが、どのようにお考えですか。ずっとみんなそう言ってますよ。
  44. 小沼勇

    ○小沼政府委員 農地価格の面については、かなり地域によって差がございます。耕作目的の農地価格でございますと、農業会議所が調べたものと、それから一般的な農地価格については不動産研究所が調べておるのと両方ございますが、農業会議所の場合には、大体十アール当たりで畑で、中田で見ますと、百八万四千円というふうにかなり四十六年には高くなってきております。四十年が二十八万円でございますから、そういう意味じゃ、農地の価格はかなり高くなってきているというふうに思われます。いま手持ちの資料でどの辺が妥当な価格であるかということを持っておりませんが、一ぺんに全部買ってという形の場合と、それから切り売りといいますか、切り買いといいますか、部分的に足していくという場合では、かなりその価格についての計算のしかたが違ってまいるだろうと思います。試算ができますれば御報告をいたしたいと思いますけれども農業経営上効率があがって、そのために農地の価格償却ができるというそういう経営採算ベースが当然あるはずでございますし、その線は年々やはり上がってきているとは思いますけれども、それにしても、経営が成り立たない形で土地を買うわけにはまいらぬということでございますので、そのラインを判断しながら農地取得資金等を借り入れて大きくしようとしている農家が現在かなりあるわけで、その実績は農地取得資金のほうの公庫の借り入れ金でも出てきているわけでございます。  それからもう一つの賃貸借の賃借料の問題でございますが、これが実は非常に地域でまちまちになってきておりまして、土地は売りたくないが貸してもいい、ただ、荒れ地にしておくのは困るので管理してほしいというふうなものもございますし、経済的にその小作料によってある程度潤いを得たい、経済的にも収入を得たい、そういうものもございます。いろいろの形がございまして、一律にこの程度というふうにいま申し上げることはできないのでございますけれども、賃借料が非常に高いために経営が非常に苦しいというふうな形では困るわけでございまして、この点については農地法で標準の小作料を地域ごとにきめまして、その小作料に見習ってやりなさいという指導をしているわけでございます。その小作料については、その地域地域によってずいぶん差がございます。表日本、太平洋ベルト地帯と裏日本とでは全く違うような状態でございますが、借り手の多いところと貸し手の多いところではその関係が逆になりますので、そういう点で一律には申し上げかねますが、やはり経営サイドとしては、農業経営が十分成り立つ形でなければいけないし、そういう面でわれわれは小作料標準についても指導をしていきたいというふうに考えております。
  45. 野坂浩賢

    ○野坂委員 話としては大体わかりますが、現実に即してものを見、ものを考える場合に、お話のように、農業経営の採算ベースに乗っていかなければならぬ、これは何としても大原則だと思うのです。いまその原則からまいりますと、農林省の土地政策あるいは大手商社の買い占め、売り惜しみ、そういうものの影響から、最近は農地の取得というのは困難である、採算ベースから見れば、そういうことが言えると思います。  それから、貸し手と借り手、そういう面から見ますと、おっしゃるように、そういうところは各地域ごとにいろいろな特徴があろうと思います。それは認めます。しかし、あなた方は、六ヘクタールなりあるいは牛四十頭というものにするために指導していくということをおっしゃいますけれども、そういう指導体制が確立はしておらぬ。それから、これは自分のふところに大きな影響のあることでありますから、農業の推移なり農業経営採算ベースということを見て、農業は単に口先だけの指導では動こうとはしませんから、そこに持っていくために具体的に誘導政策というようなものを考えなければならぬと思うのです。たとえば六ヘクタールにして、それが中心になってやるならば、まず六ヘクタールというところの基準まで、専業農家中心になって、借地なりあるいは共同経営するということになれば、これだけのめんどうは見る、これだけの補助金は出す、こういうようなかっこうで進めなければ、私はそれは進まないと思います。どのように指導しておられるのか。そしてまた、基準まで持っていく生産組織なり共同経営にするそういう政策というものは、どのような指導でそこの基準まで行くのか。現実にここ十数年来農業基本法はいわば空文化しておるのですからね。それに乗っていく具体的政策なり誘導政策があれば教えてほしいし、そういうことは必要なくてそれができるということになれば、何年ごろにできるか、聞きたいと思うのです。
  46. 小沼勇

    ○小沼政府委員 先ほども申し上げましたように、一つはやはり規模拡大をしていく、その背景には、全体として生産基盤の整備があって、生産性が高くなりながら、その中で団地を形成して、さらにその中で生産組織なり、そういうものを通じていく道があることを申し上げましたですが、片方の農地取得資金あるいは未墾地の取得資金、そういうもので個別の規模拡大をはかりながら、片方、いま申しました生産組織を通じて、規模の大きい農業生産を展開していくということを申し上げたわけでございまして、基盤整備については、十カ年計画をもちまして大いに積極的にこれを進めていくということを考えておりますが、個別のものにつきましては、御承知のとおり、普及事業等を通じて指導していく、その裏打ちになるものは取得資金であり、また種々の補助事業で施設を補助する、あるいは圃場を整備する、そういうふうなことを通じてやっていくことが必要であるし、これにつきましては総合的に進めていくということで、私の担当しております構造改善局では、その構造面について担当しておるわけでございまして、今後もいま御指摘の線につきましては、生産性の高い、高能率の農業が中核になる農業の形態、農業の構造をつくり出していくということに努力をしてまいりたい、かように考えているわけでございます。  土地価格自体が資産的な価値が高くなり、非常な地価の上昇による農業経営への圧迫があることは御承知のとおりでございます。規模拡大する場合の非常な障害になることも事実でございます。その点を何とか乗り越えていくということで、現在も農用地開発事業等を進めておりますが、そういうものによりまして増反をしていくということも、一つの基盤整備と結びついた重要な方向だろうというふうに考えておるわけでございますが、いろいろの施策を総合的に展開することによって、御指摘の点について努力をしてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  47. 野坂浩賢

    ○野坂委員 局長から、今後そういう一定の基準に達するまでの誘導政策は、本格的に努力をするということでありますから、理解をするといたしましょう。しかし、いまお話しになりました圃場整備事業なり、土地改良事業、こういうものではいわゆる土地生産性は私は高まらぬと思っております。労働生産性は高くなって、農家所得は出かせぎ等によって所得はふえるかもしれないが、農業所得それ自体はそうふえるとは思わない。また、これによって生産組織なりあるいは共同化というものが進むというふうにお考えですけれども、それは、たとえば私なら私が、私は四反半しか持っておりませんが、構造改善をやって、それに近所から耕うん機を借りてやっていく、田植え機でやっていく、それで、刈り取りのときだけは出ていく、こういうかっこうですから、そういう共同化というのは、あなたがおっしゃるように、完全に賃貸しなり賃借りなりというような姿にはなってこない。なってきませんから、具体的にこの基準まではどれだけの補助をする、あるいは構造改善局長の場合はそういうことをぜひ進めてもらわなければなりません。そうしなければ、規模拡大というようなことは非常に困難になりますし、いまはやりの機械化貧乏というのは、やはり機械化は、二・四%も投資額が四十六年度には減っておるのですからね。それは何を意味しておるかということなんです。具体的に減るということになれば、他から借りてやりますけれども、全体的にその効率を高めていくためには、規模拡大する必要があろうと思います。その生産組織にするまでのいわゆる積極的な指導、ただ単に基盤整備をしたんだからそれができるというふうなことは錯覚ですね、間違いだと思うのです。その点について、これからの誘導政策というものを、そこの基準まで引き上げて、ほんとうの確固たる生産組織ができて、生々とした農業所得が向上できる、こういう点をやはり進めてもらわなければならぬ、こう思います。  それから、次官でもけっこうですが、たとえば牛の場合四十頭、草地三十ヘクタールというのは、実際問題として全国で一%しかない、北海道にあるくらいのものです。内地はそうない。そこで、各部落を歩いてみました。農家のうちを一軒一軒歩きました。おっしゃった方向ができるかどうかと思って、この連休に百二十軒ぐらい歩いて、そういう方々が集まった。それは第一に農業に対する非常な危険性を感じていますね。農業に対して、酪農そのものに対して危険性がある。だから、いま五頭飼っておれば十頭にするということは比較的やりやすい、共同で四十頭ということは今日の体質からしてなかなかできぬと、こう言下に言いますね。だから、十頭つくるためには、自分の金がないから、いわゆる総合資金なり農林漁業金融公庫なりそういうものから借りたにしても、三年据え置き三分五厘としても、二十年償還としてもなかなか踏み切れない。だから、半額は、たとえばいまの歳の五頭ならば、十頭単位にしてもらえば自分たちは半額補助してもらえる、そしてあとの分は農林漁業金融公庫で、こういうことであれば前向きになってわれわれは真剣に検討する。しかし、思い切った大規模というようなことを言っても、そう一気にはなかなか進みにくい。だから一定の基準を設定しながら、その方向に出してもらって、酪農なり養豚なり、基準設定をしながら目標に近い農業体系というものをつくってもらいたい、そのほうがはるかに日本農業としては——こういう集約的な、土地が狭いわけですから、その方向をぜひやってもらいたい、こう言って、私の地元の山間僻地、あるいは農地の皆さん方はそのように指摘をされております。確かに私はそういう声だと思うのです。なかなか大胆なことはいまできにくいというのが農業を取り巻く現状であります。ことばだけできびしい情勢、きびしい情勢では、農業は抹殺をされてくるという危険性と可能性がある。そういう点についてはきめのこまかい補助政策、きめのこまかい誘導政策、こういうことが必要だと思いますが、それぞれお答えをいただきたいと思います。
  48. 小沼勇

    ○小沼政府委員 各局別にそれぞれ作目を担当しておりますが、私どものほうから申し上げますと全体として生産構造につきましては、御承知のとおり、一つは基盤整備事業、それから構造改善事業と、さらに現在は生産組織を形成する母体になります生産団地を形成していく、物理的にそういう生産組織が局能率農業を展開することが可能になるような生産の団地を形成していくという、そういう事業をやっておりまして、そのまとめをやっております。個別の作目についてはそれぞれの局が担当しておりますが、そういう生産組織、それから団地形成事業、そういうものを通じて、いま御指摘のような方向に沿って、やはり国際的に競争できる農業の形態をつくり出していくということが必要であろうということで進めているわけでございます。
  49. 野坂浩賢

    ○野坂委員 政務次官に聞こうと思ったのですけれども、まあそれでいいでしょう。  それから次に、米の問題について、長官もおいででございますから、お尋ねをいたします。  一昨日の農業新聞を見ますと、四十八年産米は七月中旬に価格決定をしたい、こういって農林大臣が新聞記者の皆さんに言明をしておられます。そこで、食管の問題についてまず基本的にお尋ねをいたしますが、私たちはいま、日本の国民は当初、生産者の場合は食糧管理法、食管制度というものを堅持しなければならない、そうしなければ、われわれの生産費所得補償方式によるそういうものがくずれていくという心配を非常にしておりました。消費者のほうは相当数このものは取り払われていいじゃないかという声があったと思います。しかし、最近の商社の買い占め、こういう事態から見て、消費者はほとんど一〇〇%この食管制度というものは堅持しなければわれわれの生活を守っていくことが非常に困難になる、こういうふうに考えて、食管制度堅持をこのごろ強調しておられます。私はそういうことをちまたにはだで感じておるわけですが、長官はどのようにお考えになっておりますか。
  50. 中野和仁

    ○中野政府委員 米は国民の主食でございますので、それの生産、それの消費ということが非常に安定をしておるということが必要であるわけでございます。したがいまして、私といたしましても、当然食管制度もとで米の管理はやる必要があるというふうに考えております。
  51. 野坂浩賢

    ○野坂委員 よくわかりました。  それで、たとえば生産者はできるだけ高く、消費者は生活に影響のないように安定をした方法、こういうものが食管法で定められています。  売るほうの側ですけれども、米屋さんの場合はできるだけもうけたい、こういうことですが、標準米というよりもいわゆる自主流通米のほうを食糧庁としてはPRをして、そちらのほうを売れとこういうふうに御指導になっておるのですか、それともできるだけ標準米でというような指導をしていらっしゃるのですか、どっちなんですか、米屋さんに。
  52. 中野和仁

    ○中野政府委員 四十八米穀年度で申し上げますと、政府の管理米が五百四十万トンございます。それに対しまして自主流通米は約二百万トン程度でございまして、米の消費者への供給という観点からいいますと、政府管理米が中心でございます。しかし、現在のように、食生活が向上してまいりますと、やはり国民の相当部分が良質米を求めるというようなことでございますので、自主流通米制度を四十四年度からとっておりますが、われわれとしましては、両方を的確に運用いたしましてやっていきたいということでございまして、米屋のほうに自主流通米だけをやれということをどんどん指示しておるということではございません。
  53. 野坂浩賢

    ○野坂委員 この間、私はこの休みの間に各県を歩いてみましたが、こういう通牒が米屋に流れておりますね。あなたの名前ではありません。これは卸売商じゃないかと思うのですが、こういうことが書いてあるのです。「今後業界はさらに大きく変わっていくことも当然予想できるのでありますが、」それからずっとありまして、「本年度の需給問題は政府米(標準価格米)に関する限り情勢がかなりむずかしくなり、政府米をできるだけ押えて(自主流通米)で補う方針がいよいよ強くなって参りました。つまり早く自主流通米に移行してもらいたいという政府の意向がはっきりと打ち出されてきたということであります。いろいろ問題ありましょうが、上位米(特選、特等、上白米等)の扱いを五〇%以上にし、来年の割当は自主流通米が主体になる、こういうふうに覚悟しなければなりません。」こういうものが流れております。だから、これがもし誤解であれば、全国的にそういう卸組合といいますか、そういうふうな皆さんに、あなた方の考えと違っておるならば、はっきりしてもらわなければ、こういう通牒でいなかのほうの米穀店は困っておるという面もあるのです。なかなか買わない、売れない、だから混米にするという姿がとられておりますが、これの文章を見てどのようにお考えになりますか。
  54. 中野和仁

    ○中野政府委員 いまお読みになりましたのは私見ておりませんので、ちょっと何とも申し上げかねるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、自主流通の促進と合わせまして、その主体は政府の米で配給をしていくということには変わりはないわけでございますが、ただ、いまお読みになりましたのを聞いておりまして感じますことは、昨年から比べてことしの場合、自主流通がたしか二十万トンぐらいふえているというふうに思います。その分の促進方のやり方としましてそういう文章をあるいは出したのかと思いますけれども、全体の大勢としましては、私がいま申し上げたようなことでございます。
  55. 野坂浩賢

    ○野坂委員 考え方はわかりますが、やはりあなた方の考え方というものを浸透させなければ行政としては意味がないじゃないですか。あなた方がそう思っておるとここで幾らおっしゃっても、それを取り扱っておる業者の皆さんはそういう方向で進もうというような申し合わせになれば、事あなた方の志と違うというようなものが出てくるという可能性と危険性は十分あろうと思うのです。そういうふうな面について対処する用意ありやなしや聞きたい。
  56. 中野和仁

    ○中野政府委員 いま自主流通を五〇%以上というお話もあったわけでございますが、量的にそういうことになるわけではございません。いまお話しのありましたようなことは、私はあとでちょうだいをいたしまして、その中身を見た上で、それが行き過ぎであれば是正をいたしたいと思います。
  57. 野坂浩賢

    ○野坂委員 価格決定なんですけれども、これは農家の皆さんと政府側と算出の基礎、とらえ方というものが違って、例年大きく論議をされるわけですが、先ほど美濃委員から質問がございました酪農の問題一つとってみましても、二十五円上げてもらわなければならぬという生産農家と、これで大幅値上げだとする三円三銭の櫻内大臣と非常に懸隔があります。これらを米価審議会へかけるわけですが、生産者の代表と米価を最終的に決定をする政府で、その労働賃金あるいは労働日数あるいは資材費、こういうものが基準になってくるわけですから、そういうものの意思の統一を事前にはかっておくということのほうがむしろいいではないかというふうな気がするわけですが、どうでしょう。
  58. 中野和仁

    ○中野政府委員 農林省のほうで去年までとっております方式は、生産費所得補償方式でございまして、生産費もとにしております。それから、いまお尋ね農業団体のほうは、基礎は違いますけれども、やはり農業団体でお調べの生産費を基礎にしておるわけでございます。したがいまして、労賃なり日数なり資材費というものは、その調査農家が違いますから、若干のフレがありますが、それほどの違いは私はないのではないかと思います。非常に違いますのは、農業団体はことしはどうやられるかまだ存じませんが、昨年までは八〇%バルクラインということで、いわば能率が悪いといいましょうか、生産費を下から並べて八〇%のところまでの農家をとって、その水準できめられるものですから、非常に高くなるというようなことでの相違から、非常に開くということではないかと思います。
  59. 野坂浩賢

    ○野坂委員 その八〇%のバルクラインのことも、ことしもそういう動きが最近ありますが、そういう点を事前にいろいろと打ち合わせをして意思の統一をされるというようなことはできぬものかどうかということが一つ。  それから、あなたには直接関係はありませんが、たとえば、いままでは暫定加算、加算金がずいぶんついておりますね。たとえば等級別あるいは歩どまりあるいは時期別。歩どまりなり等級別格差というものはやむを得なかったとしても、できるだけ基準米価外にあるものは、銘柄品の場合はあなた方の考え方ですから別として、つまみですね、政治加算的なものは廃止をする必要があるのじゃなかろうか、ないほうがいいじゃないか。ことしも乳の場合は、負債整理というようなかっこうで四十億出てきたわけですけれども、そういうようなものはできるだけ避けるほうがいいではないかと思うのですが、どうでしょう。
  60. 中野和仁

    ○中野政府委員 生産費見方等について事前に打ち合わせをしたほうがいいのではないか。私もそういうことができればよろしいかと思います。ただ、米価の決定のやり方は、終戦後ずっといろいろな変遷を経てきておりますから、そのときどきでいろいろな話し合いをしていることもあるわけでございます。現在では農業団体の要求される算定方式といま農林省でとっております方式とが違っておりまして、それを事前に調整することはおそらくむずかしいのではないかと思います。したがいまして、米価審議会に政府の考え方それから試算を出しまして、そのあとで政府が農業団体の要求等を頭に入れながらきめるという方式にならざるを得ないのではないかと思います。  それから、いろいろな加算は廃止すべきではないか。一般論で申し上げますれば、米価をすんなり基本米価一本できめることは、私は最も望ましいことだと思います。しかし、先生も御承知のように、毎年米価をめぐる情勢、いろいろな変化の中での引き上げ要求の中でどう最終的にきめていくかという場合に、最後の判断として間々こういうことがあるわけでございますが、気持ちとしましては、基本米価の中に入ったほうがよろしいと私も思うわけでございます。
  61. 野坂浩賢

    ○野坂委員 いままで加算金ですね、等級別格差それから歩どまり格差というのがありますね。それから四十五年ですか、廃止された時期別格差というのもありましたね。それから四十二年までは早場米の奨励金というのがあったですね。早場米奨励金というのは、端境期の対策のためにとっておったのですけれども、四十三年からは比較的食糧が多くできるようになったので、その必要がなくなったということで、たしかああいうのがなくなったわけです。ただ、一ぺんになくなると困るからということで、暫定加算というようなかっこうで、たしか百七十円くらいまでありましたか。下は十円からあって、全国平均が百十五円になったと思うのですが、そういうようなことは四十三年にはやめたといいながらも、そういうようなかっこうで、それを受けなかったところもありますね。いままでは受けておったけれども、受けなかったところがある。いままで受けなかったものも受けるようになった。こういう問題があります。こういうことは廃止をすれば廃止をしたというかっこうで、むしろそれが地域経済に影響があるならば、いままでどおりのものを集約をしてやっていくということが望ましいのではないかと思います。過去のことですけれども、そういう点についてはどのようにお考えでしょう。
  62. 中野和仁

    ○中野政府委員 早場米奨励金、時期別格差、それからそのあとの暫定加算、いま御指摘のような経過で現在はなくなっております。これは私が申し上げるまでもなく、米の不足の時代に、端境期対策といたしまして、早く出してもらう農家に対しましてそれぞれの時代に応じて相当の額を出してきたわけでございます。昭和四十二年以降は、御承知の米の基本的な過剰傾向という中でそこまで手を打たなくとも集荷ができるというようなことから、この額全体としましては基本米価の中に織り込んでしまって、結局、全農家にその分が行ったということになるわけでございまして、昨今の需給事情から見ましても、たとえば四十七年産米につきましては、昨年はすでに九月末までにはちょっといま数字は覚えておりませんけれども、おそらく百万トン程度は集まっておるような状況でございますので、これを今後復活するという必要は、昨今の需給事情もとでは私は必要ないというふうに考えます。
  63. 野坂浩賢

    ○野坂委員 こういうことですね、四十三年からあったそういうようなものについては要らなくなった、情勢の変化が起きた、だから必要ない。しかし、基本米価の中に入っているのですね、これは。だから、基本米価に入れておるというのは間違いだった、こういうことになりますか。
  64. 中野和仁

    ○中野政府委員 たとえば北海道の米も内地の米もみな同じ値段ということであれば、全国一本でいくわけでございますが、先ほども指摘がありましたように、現在の個別価格につきましては、一等、二等等の等級の格差がございますし、それから軟質米、硬質米につきましては、歩どまりの差があります。こういうものはやはりそれぞれの米について私はこれはつけるべきだと思います。そして、それを含めました米価の中から払うべきであるということでございますので、先ほどの時期別格差につきましても、払う必要がある場合にはその中から払うということでございまして、その必要がなくなったために、それは全体に薄めてその基本米価の中に入ってしまったということでありますので、今後の問題としまして、また、非常に需給が逼迫しまして政策的にどうするかという場合に、基本米価の中で払うのかあるいは外ワクで払うのか、それはまたそのときに判断することだと思います。
  65. 野坂浩賢

    ○野坂委員 そのときそのと毒の情勢に合わせて反応を示すのだ、こういうことのようですが、等級間の格差あるいは歩どまり加算というのは、軟質、硬質あるいは良質米、そういうことで十分理解はできるのですが、早かったおそかった、まあ、おそ出し奨励金、早出し奨励金というようなものも当時ありましたが、そういう点についてはやはり米価として織り込むなら、いままでと一緒なような方法で全部暫定加算も見るべきだし、やらぬということになれば、全部やらぬということでなければ筋が通らないし、それは基本米価外になってくるじゃないかと思う。それはまだいいとして、四十三年やめた時点からは、そういうことに理屈から言えばなるのじゃないか。
  66. 中野和仁

    ○中野政府委員 先ほど私が申し上げましたように、理屈から言えば、早く出る、おそく出るということで、個別価格の差がついておるわけでございまして、全体の水準の中から払うということでいままでやってきておるわけでございます。もし今後もそういうことが必要だというようなことで、しかも相当程度続くということであれば、基本米価の中から分けて払うほうがいいと思います。これは全くの仮定の話でございますが、たとえば非常な凶作がまいりまして、少しでも早く農家に出してもらいたい、これは奨励せぬといかぬということがありますれば、あるいは外ワクで払うことがあるかもわかりませんけれども、現在の状況では、その必要がありませんので、かりにそういうことを申し上げたということでございます。
  67. 野坂浩賢

    ○野坂委員 よくわからないですね。いままでは基本米価に全部早出しという奨励金で入れた、四十二年までは。それは基本米価の中に入っておった。そのとおりですね。それから四十三年からはやめた。いわゆる非常に背景が変わってきた、食糧需給の関係が変わってきた、だから廃止します、出しません、こういうことになったのですね。出さないことになったけれども、いままでのをすぐに取り払ってしまうということになると、それぞれ経済的な影響があるだろう。ですから、二年間は同じように、三年目は半分にして、それからやめた、こういう暫定加算といいますか、言うなれば、政治加算でしょう。基本米価には関係ないものだ、こういうふうに純理論的には言えるのではないか、こう言っているのです。私の言っていることは間違いですか。
  68. 中野和仁

    ○中野政府委員 暫定加算の観念のしかたではないかと思います。私たちのほうで暫定加算も基本米価の中に入れておりましたのを一ぺんに廃止すると、いまお話のありましたいろいろな影響がありますので、この時期別格差を三年間かかって縮小するということでございまして、内容的には単価が下がってきた、あるいは時期別格差の単価を下げたと言ってもよろしいかと思いますが、名前を暫定加算という名前にしておったわけでございまして、過去からの続きでございますので、基本米価から払っても差しつかえないのではないかと思います。
  69. 野坂浩賢

    ○野坂委員 時間がありませんからその論議はおきまして、また別にやるとして、言うなれば、いままでもらっておったのだから、一ぺんにやると影響があるということですね、おっしゃるように。そうすると、いままでは早出しでもらっておった、四十二年までずっとですね。四十三年から切られた。府県別に行政単位でやられた。だから、いままでもらえないものも逆にもらった、いままでもらっておった人がもらえなくなったという現象がありますね。それは既得権の侵害だし、もらえなかった人がもらうようになったのを文句を言っておるわけではないけれども、もらっておったのがもらえなくなったというのは、そういう点について、あなたの配慮とは、あなたの理屈とは違ってくるじゃないですか。現実にもらった者はむしろ影響があるから、そのもらったように暫定加算の中に繰り入れてやるというのが本来の姿じゃないですか。
  70. 中野和仁

    ○中野政府委員 時期別格差の場合は、個々の農家につきましてその農家が早く出した場合にもらえる、こういうことでございます。暫定加算の場合は、その県の、先ほども申し上げましたように一度に経済的に打撃を受けてはいけないということで出した、あるいは御指摘のように、個々の農家で、おそく出した人といままでもらわなかったのにもらった場合がある、それは得であるという現象は、あるいはあったかと思います。
  71. 野坂浩賢

    ○野坂委員 よくわかりませんがね。もらった人はもらわなくなった、もらわなかった人ももらうようになった、こういうことをあなたは言っておられるわけですが、先ほどの答弁は、そういうことを一ぺんにやると非常にその人たちは困る、だから暫定加算をつけたんだ、要らなくなったけれども。その人の個々の所得に影響があったということをおっしゃっておるわけですね、一つに。いいですか、長官、こっち向いてくださいよ。  それから、府県別にやって府県に影響があるとおっしゃいますけれども、これをみんな六十キロ当たり全国平均百十五円として、十円から百七十円ですか、それまでみんな個々の農家がもらっておるのですから、県や町村がもらっておるのじゃないのですから、だから、いままでもらった人は暫定加算としてもらうべきであって、もらわなかった人がもらうのを文句は言わぬとしても、もらった人がもらわなくなったということは、ちょっとあなたの言っておるいままでの趣旨と違ったかっこうになりますねと、だからそれについては間違いでしたねと。めんどくさいからこういう区割りをしたけれども、個々の農家現実に来ておるのですからね。県が一括もらっておるのじゃないのですから、個々の農家所得なんですから、そういう点についてはあなたの理論は首尾一貫しない、こう思いますが、それについては間違いじゃないですかと言っておる。
  72. 中野和仁

    ○中野政府委員 時期別格差のときは、御指摘のように、個々の農家にきちっと払っております。それから暫定加算、まあ経過的な措置でありますから、そういうやり方ではなくて、三年間で縮小していく段階のやり方としましてそういう新しいやり方をやったわけでございます。ただ、大部分は、前にもらった農家がまた今度の場合ももらえたということでございまして、厳密に言えば、あるいはいま御指摘のように、もらえなかった農家がもらったというのとは少し違いがあるということは言えると思います。その暫定加算といいますか時期別格差の縮小の政策としては、一応これで妥当性があったんではないかと思います。
  73. 野坂浩賢

    ○野坂委員 妥当性がありますかね。たとえば昭和四十二年までですよ、私は鳥取県の西伯郡というところにおるのです。そこは早場米地帯です。すぐそこの道一つ隔てたところは島根県、櫻内農林大臣の出身県です。そこは同じ早場米でもらっておった。その先は早場米のところはなかった。ところが、島根県はもらえた、鳥取県はもらえなくなった、こういう現象があるわけですね。それは暫定加算としてはおかしいじゃないか。いままでもらっておって、影響があるからしばらく暫定加算として、三年間で縮小する、その計算も過去三年間さかのぼってやったのですよ。そういうふうな点については、あなたのおっしゃりようというのは、妥当性があるというようなことはどこにも見られないと思うのですがね。実際問題として加算金をもらうのは、個人の農家がもらってきたのですから、県がほかの道路や農免道路のようにその金をつけたのと違うのですから。どうですか。
  74. 中野和仁

    ○中野政府委員 個々の農家について時期別格差と暫定加算の違いについての御指摘、私、わからないわけではありませんが、暫定加算をとりました際には、その地帯全体として見ますと、ほんのわずかしか早場米を出していなかった。その県全体から見れば非常にごくわずかでありましたために、県一円で考える暫定加算としての対象にならなかった、こういうことを、さっきわかりにくかったと思いますが、申し上げたわけでございます。
  75. 野坂浩賢

    ○野坂委員 農林省が示した一つの基準に達しなかった、行政が指導した基準に達しなかったということですね。しかし、現実に一人一人が出してもらったんだ。しかも一郡程度あるいは二郡程度その程度あるのです。しかし、それはひっぱった線がそれよりも下回っておったから、基準に達しなかったから、パーだ。しかし、現実にあなた方が考えておる農民に対するあたたかい温情としての暫定加算としては非常にうらはらな問題が出てきた、あなた方の考え方とは別なものが出てきた、こういうふうに言わざるを得ないと私は思うのです。政務次官、どう思われますか。
  76. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 まさにそういうハンディが出たということは、これはもう御指摘のとおりでございます。私どもの基本的な考え方は、もちろん生産者のためによかれかしという形における考え方に立って、これをものごとの立脚点に置いたということは間違いございませんが、そういうハンディが出たという点に対しましては、これは十分検討してみる必要があるという考え方をいたしております。
  77. 野坂浩賢

    ○野坂委員 もう時間がありません。ありませんので、今後そのようなことのないようにする、前のものについては再度検討してみたいということでありますから、政務次官の言われた御答弁を信頼して終わります。  最後に、もし答弁の予定されておる方がいらっしゃいませんでしたらどなたでもけっこうですが、先ほど美濃委員からお話がありましたように、飼料が非常に議論されました、三月の段階で。古々米の放出、麦類の放出、それぞれ一応議員立法によって変えたわけですが、最近、あの配合飼料の中には魚粉、魚かす、そういうものを非常に必要としております。きのうの新聞を見ますと、ペルーその他ではそういうものがとれないということから、大豆が再び上がってくる、こういう可能性が非常に強いと思われるわけですが、それの対策と、現在、飼料はどれだけ原料が貯蔵してあるかということ。  もう一つは、新聞紙上に出ておりますように、需要供給との関係で大豆が放出をされ、また去年はおととしよりもよけい輸入をされておるにもかかわらず、とうふは下がらぬ、こう言って奥さん方が農林省にずいぶん陳情され、抗議をされておる。なぜ下がらぬのか、いまどのくらいでおとうふ屋さんは一俵当たり大豆をお買いになっておるのか、こういうことをまず聞いておきたいと思います。
  78. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 実はこの所管は食品流通局になるかと思いますが、私の手元の資料でお答えさせていただきます。  仲間相場でございますが、四月二十五日から五月四日現在の数字でございます。中国大豆未選のものでは五千五百二十円ということになっております。三月の末から四月の中旬までは四千円台であったものが最近若干値上がりしておると聞いております。
  79. 野坂浩賢

    ○野坂委員 もう時間がありませんが、とうふならとうふの値下げは指導なりそういうものでやっていかなければならぬ。私もとうふ屋を歩いてみました。それで、あなたはいま一儀幾らで買っておりますか、こう聞きますと、私は七千円。なぜ下がらぬのですか、こう聞きますと、当初協同組合というものの割り当でがあった、それは一万三千冊だった、その大豆がまだ残っておる、だから下げられない。こういうのがほとんどの業者の声ですね。そういう点については、今後農林省も物価対策というものも考えて指導してもらわなければならぬと思います。  それから林政部長にわざわざおいでをいただいて、時間がないために質問ができません。まことに恐縮に思っております。木材の問題につきましても、きょうあるいはきのう、おとといの新聞は毎日商社の利益の拡大をにぎわしております。この商社、たとえばあなたのところに関係のある木材については、各商社ごとに輸入数量は十分把握していらっしゃいますか。
  80. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 木材の価格の高騰につきましては、四十七年の後半に過剰流動性の問題があろうかと思いますけれども、住宅建設に対する需要が非常に増大いたしまして、それに対応するだけの供給ができないということから、需要先導型の価格形成が行なわれたということで価格が上がったわけでございますが、外材につきましては、国内で供給されます外材の価格と国内で形成される価格との間に時期のズレがあるというようなこともございまして、いま申し上げた理由と重なりまして相当の利益を生んだということであろうと考えております。  私どもといたしましては、住宅建設の促進という観点から、木材価格の安定というのは非常に重要なことであるというように考えておりますので、輸入商社に対しましては、私どものほうでコストを考えて、政府の政策に協力してほしいという意味におきまして、適正な価格形成について協力を要請しておるところでございますけれども、なかなか私どもの力が足りませんで、木材価格の高騰という事態を生じたということについては非常に遺憾に存じております。  木材の輸入数量でございますが、商社別の輸入数量は私どものほうである程度把握いたしておりまして、大体主要十社で木材輸入量の六割程度というようなものを輸入いたしておるというような状況でございます。
  81. 野坂浩賢

    ○野坂委員 またの機会に質問をいたします。  私たちもこういう主要外材商社別輸入数量という資料を木材の輸入協会からもらいました。そこで、お願いしておきたいのですが、月別の輸入数量と月別の販売数量、それと仕入れ単価と販売価格、そういうものを示す一覧表、これはこの間これしかもらってこなかったのですが、決算書も出ましたし、もらえると思いますので、そういう書面を提出いただきたい。その上で議論させていただきます。  以上で終わります。
  82. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 ただいま先生御要望の資料につきましては、事柄が商機に属する問題もございますので、私どもとしては努力してまいりますが、先生御要望のとおりの資料になり得るかどうかという点については、もしそのような形ができない場合は御容赦を願いたいと思います。
  83. 野坂浩賢

    ○野坂委員 最大努力を要求いたします。終わります。
  84. 山崎平八郎

    山崎(平)委員長代理 この際、暫時休憩いたします。    午後一時二十一分休憩      ————◇—————    午後三時三十三分開議
  85. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  陸奥湾における原子力船母港の漁業に及ぼす影響問題について、本日、日本原子力船開発事業団理事佐々木周一君を参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  86. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  87. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 この際、委員派遣承認申請の件についておはかりいたします。  去る五月三日、伊勢湾におけるタンカー日聖丸衝突事故による漁業被害状況調査のため、本委員会から現地に委員を派遣いたしたいと存じますので、衆議院規則第五十五条により議長に委員派遣の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、派遣地、派遣期日、派遣委員の選定等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————
  90. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 質疑を続行いたします。津川武一君。
  91. 津川武一

    ○津川委員 原子力船の実現から運航によって、陸奥湾の漁業などに対する影響をお尋ねしてみたいと思います。  私たちは、原子力を貴重なエネルギー源と考えております。それは、しかし、あくまで平和的利用、民主的運営、公開、国民承認のもとに進めるという原則を貫かなければならないと思っております。それは私たちの意見だけでなく、関係者や国民の意見でもあります。それなのに、わが国でただ一つの原子力船「むつ号」は、この原則を無視し、航行の実験を、関係者の意見を無視し、安全性を公開しないままに強行しようとしております。そこで、この原子力船の航行実験が行なわれようとしておる陸奥湾の現況と、そこでの漁業のことについてまずお尋ねします。  陸奥湾を栽培漁業の一大モデル漁場とする、これは私は適していると思うし、やるべきだと思うのでございますが、水産庁のこれに対する方針と実際の施策を教えていただきます。
  92. 安福数夫

    ○安福政府委員 お答えいたします。  陸奥湾におきますホタテ漁業、というよりも、陸奥湾自身が、沿岸漁業の養殖、増殖、そういった面では非常に適した海域であるとわれわれ承知いたしておりますし、そういった面で将来ともに、沿岸漁業の振興、そういった拠点になり得る地域じゃないか、このように考えております。  したがいまして、私どもの一つの今後のスケジュールでございますけれども、海洋水産資源促進法という法律が、一昨年国会で成立いたしまして、現在施行されておりますけれども、それに基づきまして、陸奥湾のかなり広い分野を、港湾区域は当然除かれると思いますけれども、それを開発区域として指定してまいりたい、そういう手続なり検討を現在進めております。それと並行いたしまして、現在、青森県を中心といたしまして、陸奥湾の開発計画、これは漁業についての開発計画でございますけれども、これを、現在のところまだ最終的な金額はきまっておりませんけれども、一応五億がらみの費用を投じましてまあ大々的な開発計画の調査をやっている段階でございます。昨年度が一つの初年度でございまして、将来、五十年ぐらいまでそういった調査を進めてまいりたいこのように考えておるわけでございますけれども現状の陸奥湾の漁業の中で非常に目立って、私ども将来の期待を持っておりますのに、ホタテ貝の養殖がございます。ホタテ貝養殖というのは——養殖といいますか、ホタテ貝漁業は、非常に古くから陸奥湾、北海道、それから現在では岩手県まで下がりまして、かなり広範囲に沿岸漁業の中で主要な漁業の一つでございます。ことに、このホタテ貝漁業につきましては、陸奥湾では、三十四年に約二万トンの生産があがっております。これは大体十年、二十年ぐらいを周期にしまして非常に豊凶が常ない不安定な漁業であったわけでございます。その後、四十年ごろに種苗の採取方法が確定いたしまして、一つ固定化したと申しますか、本格的に採苗技術が確立した、そういう段階を迎えまして、四十三年以後さらに新しい増養殖の技術開発というものを進めましてそれを普及した結果、その後におきます陸奥湾のホタテ員の生産量というものは、年によって上下はございますけれども、漸次拡大の傾向でございます。四十五年には一万トン台をオーバーいたしました。四十六年は若干下がりましたけれども、四十七年は、まだ最終的な数字は出ておりませんけれども、二万トンをこえるような数字になっておるだろうと思います。そういったことを踏まえまして、青森県としましては、四十八年、今年度が第二次構造改善事業の開始の年に当たっているわけでございまして、その中でもホタテ貝漁業を中心に大々的に沿岸の増養殖事業を進めよう、こういう計画にも相なっておりまして、おそらく現在の生産量の数倍ないし五、六倍くらいのホタテ貝の目標を立てた大々的な計画を立てております。そういたしますと、生産に対するいろいろな施策が必要になってまいりますし、急激に生産伸びますと、当然流通関係の改善を加えなければならない、こういうこともございまして、そういった施設の整備なり流通対策なり、そういったものを総合的に踏まえました対策を第二次構造改善事業で練られているということでございます。水産庁といたしましても、それらについていろいろ指導かたがた、そういった面についてさらに水産庁としてのヒヤリングなり、そういったものを通じまして指導いたしておる次第でございます。
  93. 津川武一

    ○津川委員 ただいまの報告、非常に感銘をもって聞いたわけですが、四十七年度の漁業自警によれば、瀬戸内海の栽培漁業センターをせっかくつくりましてたくさん放流したのだが、漁獲される魚の量は減ってきている。こういう状態に対しては、陸奥湾では原子力船の定係港化がきまった年が昭和四十二年、その年にいま話されたホタテが千七百八十トン、それで四十七年は二万トンをこすというふうにいわれて、私たちも二万六千トンという報告を聞いております。四十八年には四万トンになるんじゃないか、こういうように聞いておりますが、このために実際に農林省が陸奥湾の漁業振興のためにどのくらい投資しておりますか、これを聞かしていただきたいと思います。
  94. 安福数夫

    ○安福政府委員 これまでの数字はいま持ち合わせておりませんけれども、当面の、先ほど申し上げました第二次構造改善事業現実問題として日程にのぼっております。これにつきましても、最終的な数字ではございませんけれども、四十八年度を初年度といたしまして、総事業費で十一億三千六百万円、これは三カ年で投下されるわけでございますが、それは補助事業でございます。そのうち国費が五億二千万、そういうふうに現在予測しておるわけでございます。そのほかに、融資事業といたしまして、単独融資事業が五億八千四百万、こういう金額が今後三年間にわたりまして第二次構造改善事業として投下されるということに相なっております。
  95. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 ただいま日本原子力船開発事業団理事佐々木周一君が出席されました。  佐々木参考人にはお忙しいところ御出席いただきまして、ありがとう存じます。  参考人の御意見は、委員からの質疑によってお述べ願います。
  96. 津川武一

    ○津川委員 事業団の佐々木理事長さん、ほんとうに御苦労さまでございます。  いま私は、原子力、これは日本の非常に大事なエネルギー源と考えておる。しかし、これをほんとうにやろうと思うならば、平和的に利用しなければならない、民主的に運営しなければならないそして公開、国民の承認のもとに行なわれるのが原則だ、こう考えておるのです。  最近、日本でただ一つの原子力船である「むつ号」が、この原則を無視して、航行の実験を、関係者の意見を無視して、安全性に問題があることを明らかにしないで強行されようとしておる、こう考えているわけであります。  そこで、この原子力船の実験が行なわれる陸奥湾の漁業状況をいま水産庁にただしておりましてここは非常にいま魚がふえておるということと、そのために三カ年計画で十一億円もお金を政府が投資しようとしている、こういう答弁を得たところでございます。  そこで、水産庁にお尋ねしますけれども、いま話されたように、日本の政府で考えた瀬戸内海の栽培センターが、放流はしたが魚が減っている。陸奥湾はそれほど投資しないのに魚がふえているこういういいところなのでございますが、ここの学問的な調査研究なんか水産庁はとって参考にしているのでございましょうか。ちょっと覚えておったら、そういうものを参考に取り上げていたら教えていただきたいと思うのです。
  97. 安福数夫

    ○安福政府委員 現在私どものほうで入手いたしておりますいろいろな報告書なり調査書の中では、北大に青森県が委託いたしました陸奥湾内におきます沿岸流等の調査報告書というのがございますそういったものを参考にしながら、われわれ自身もいろいろ出先の研究所がございますので、そういったところの知識をかりながら、陸奥湾についての評価をいたしておる次第でございます。
  98. 津川武一

    ○津川委員 その北大の採取調査研究によりますと、ここにはホタテ、ナマコ、カレイ、ソイ、アイナメ、サバ、イワシ、カニ、ウニ、ヤリイカ、あげてみると、そのほかに海草などを入れると、百八十種以上の非常な漁業の資源があるというふうに、私たちもこの調査報告を聞かせてもらっているわけであります。  そして、この間、私、この陸奥湾の一つの漁港である横浜町の漁協に行きまして、漁民と座談会をやってみたのです。そうしましたら、最近ホタテがぐんぐんふえて、かつての千七百トン、五千トンから二万トンをこして四万トンになろうとしておりまして、陸奥湾の漁民が養殖ホタテを採取してこれを売る、このことで非常に忙しくなりまして、出かせぎ、これは四十年ぐらいは千五、六百人からあった出かせぎが、四十四年には五百人に滅って、いまは一人もないといってもいい、こういうことで、若いぴちぴちした青年たちがホタテの養殖をやっているので、私も非常に日本の先を明るく考えた。  そこで、このホタテをとっている間に、いままでカレイだとかヒラメだとかアブラメ、これもとって売っておったのです。資源がないために密漁までして売っておった。ところが、ホタテがふえてぐんぐん仕事ができたために、カレイやヒラメがわんさ繁殖してきている。どんなものがいま陸奥湾の中にいるかといったら、カレイ、ヒラメ、アブラメ、ソイ、タイ、赤貝、ウニ、アワビ、ツブ、コンブ、ワカメなど、ここはまさに魚の宝庫になってしまった、こういう状況の話を聞かされてきたわけなんですが、この点で、ホタテだけでなく、育てれば育つことができる。漁業というものの政策が適当であれば、養殖センターでなくてもこのようにふえる、こういうふうに聞かされて、非常に楽しい思いをして帰ってきたのですが、陸奥湾というのはこんな現況でございますか。
  99. 安福数夫

    ○安福政府委員 昨今、沿岸漁業につきましては公害によります沿岸漁業の荒廃ということがしばしばいわれるわけでございます。先ほど先生が御指摘になりました瀬戸内海の現状でございますけれども、確かに公害はかなり急ピッチで漁業を崩壊さしておる、こういう一つの見方があるわけでございますけれども、瀬戸内海自身でも、タイとかエビ、これは激減しているわけでございます。そのほかはむしろふえている実情にもあるわけなんです。瀬戸内海全体のたん白資源の量としましてはむしろかなりふえているという結果が出ているわけでございます。ただし、それには種の転換がございます。したがいまして、むしろ商品価値は下落する。それで沿岸漁業について大きな打撃を受ける、こういう現状にあるわけでございます。そういうことから考えますと、沿岸漁場というもの、むしろ海と言ったほうがいいかもしれませんけれども、海の生産力は、われわれは将来とも大いに期待していいんではないか。したがいましてこれ以上海を汚さないということによりまして、昔のような魚の宝庫になることを期待いたしております。ことに、現在の需給の関係で一番困っておりますのは、中高級魚といいますか、お惣菜用の魚が非常に少なくなっているということ、これがむしろ魚価を突き上げている大きな原因であるわけであります。そういった面で、海をきれいにするということは今後とも非常に必要だ。そういう意味におきまして、日本にもまだ汚されていない海がある、陸奥湾がその一つだろうというようにわれわれは考えております。ただ、いま先生が御指摘になりましたように、わんさとカレイがあるということを私は必ずしも承知いたしておりませんけれども、ホタテの例をとって申し上げますと、かなり急激な成長力があるということでございます。たとえば一平米で十枚ぐらいの小さい貝を直まきをするわけですね。それが一平米一ぱいに広がって、かなり成長が高いということであります。これはやはり海として非常に適しているということでございます。これが将来とも適正な直まきなり養殖をしていけば、海を汚さずに永遠にそこが漁業資源の場として、漁業の場として活用できるだろう、このようにわれわれは考えているわけであります。
  100. 津川武一

    ○津川委員 そこで、水産庁がいま言った、海をよごさないということ、これは非常に大事なことで、東北大学の研究だと、内海で、外海との水の交流がないから、よごれたが最後だ、これはなかなかきれいにならない。そこで、陸奥湾というものの漁業を考えたとき、何としてもよごしてはならない。しかし、よごれたらなかなかきれいにならない海だ、こういうふうにいわれているんですが、この点も考えてよごさないように進めるつもりでありますか。
  101. 安福数夫

    ○安福政府委員 水産サイドといいますか、漁民の立場としまして、水産庁の立場も当然そうでございますけれども、海がこれ以上汚されるということは、自然のそういう生産力を落とすということに相なるわけでございますが、水産業の中でやはり海を汚すという問題もあるわけでございます。先ほど申しましたように、過密な養殖をやりますと、当然またその排せつ物なんかが堆積いたしますので、そういった面でもやはりほどほどの適正な、栽培漁業にいたしましても、養殖漁業にいたしましても、そういった指導が必要だろう。水産内部もそういう姿勢を堅持しながら、外部からも当然そういう海はきれいな海として維持してもらいたい、こういうふうにわれわれは期待しているわけでございます。
  102. 津川武一

    ○津川委員 ところで、この陸奥湾がようやくホタテ貝で生き返り、そのために出かせぎ者がいなくなり、さらにその他の魚がたくさんふえてきておる。県民あげて、漁民あげてこの陸奥湾を守り、陸奥湾で生活していくという合意ができているときに、この県民の気持ちに暗い影を投げ出してきたのが、いま問題になっておる原子力船開発事業団による「むつ号」の湾内実験なんです。これはたいへんいま皆さんの問題になってきたわけです。そこで、県漁連に結集した漁民のすべての人たち陸奥湾地域漁業経営対策協議会の人たち、県ほたて振興会の人たち、県漁場確保対策協議会の人たちなどいろいろ反対して、この原子力船の実験でよごされるのを何とか防がなければならない、こういうふうな要求が出てきたわけなんです。私もこの要求は非常に大事だと思うし、水産庁としても、よごすのを防ぐためにこの漁民の要求は支持すべきだと思うのですが、いかがでございます。
  103. 安福数夫

    ○安福政府委員 水産庁といたしましては、漁場がよごされるということは、当然反対の立場であるわけであります。ただ、私自身、原子力商船がどういう構造で、どういうことに相なるかということは十分承知いたしておりませんけれども、現在、核燃料の平和的利用と申しますか、そういったものに対して法律でいろいろな規制がされているわけでございますから、そういった面で、安全の上にも安全な一つの装置をおそらくエンジンなんかにされているんだろうと思いますけれども、それが規則どおりと申しますか、法律どおりに十分守られるということが前提であれば、ある意味では汚されないんだろう、こういうことを感じるわけでございまして、そういうふうに聞いているわけでございますけれども、やはり漁民なり、そういった分野にいろいろな不安、そういったこともあるのを十分承知いたしております。そういった面を関係各省も、十分漁民が納得できるような説明なり対策なり、そういったものをわれわれとしては期待する次第でございます。
  104. 津川武一

    ○津川委員 水産庁の次長、これから私、事業団の理事長と少しやりとりしますから、それを聞いていただいて、後刻また水産庁の意見を聞かせていただきます。  そこで、事業団の理事長、最初に、陸奥湾の大湊に原子力船の定係港を持ってくるときの約束、これはこうでありませんでしたか。すべての装備が終わり、原子力船が船のずうたいをつくって、そこに原子炉をぶち込んで実験をやってみて、もう何ともなくなった、原子力船がひとりで航行できる状態になって問題がなくなってから船を持ってくる、これが事業団であり県であったのですが、そのとおりでございますか。
  105. 佐々木周一

    ○佐々木参考人 私が承知しております限りでは、「むつ」は定係港で出力試験をする、こういうことに初めからきまっておったように承知しております。
  106. 津川武一

    ○津川委員 それは事業団の理事長はどなたから聞いておりますか。
  107. 佐々木周一

    ○佐々木参考人 だれから聞いたというわけでございませんが、私はそういうように承知しておる次第でございます。
  108. 津川武一

    ○津川委員 理事長はいつから理事長になりましたか。
  109. 佐々木周一

    ○佐々木参考人 いまから五年前でございます。
  110. 津川武一

    ○津川委員 そのときは、陸奥湾に定係港を持つことがきまってからでしたか、きまる前でしたか。
  111. 佐々木周一

    ○佐々木参考人 きまってからでございます。
  112. 津川武一

    ○津川委員 理事長が理事長になったのは昭和四十三年でありませんか。
  113. 佐々木周一

    ○佐々木参考人 はい。
  114. 津川武一

    ○津川委員 青森県の陸奥湾に定係港を持ち来たしたとき、私は県会議員をしておりました。このことが県議会の中で非常に大きな問題になりまして、そのときの県議会における事業団の出した資料、これは、実験を終わってから、航行ができるような状態になってから持ってくる、こういうことでありませんでしたか。もしそれを存じないとすれば、すみやかに調べていただいて、私たちのところにそのときの交渉した経過を出していただきたい。どちらでございます。
  115. 佐々木周一

    ○佐々木参考人 そのことは先ほど申しましたように私は存じませんから、それじゃひとつ取り調べてみることにいたします。
  116. 津川武一

    ○津川委員 いま原子力船の実験で事業団と陸奥湾内の漁業協同組合並びに漁業者の間にトラブルが起きておる、このことは御存じでありますか。
  117. 佐々木周一

    ○佐々木参考人 承知いたしております。
  118. 津川武一

    ○津川委員 そういうトラブルを処理する事業団の理事長として、定係港をつくるときの最初の契約条項を知らないで処理してよろしいのでございますか。
  119. 佐々木周一

    ○佐々木参考人 定係港を持つということは、定係港というのは、すべてのそういうことができるのが定係港でございますので、私はさように承知をして理事長に就任したような次第でございます。
  120. 津川武一

    ○津川委員 これは最初の契約を調べて、もう一度私はこの席にあなたに御出席をお願いしますから。  その次、原子力船が港に停泊中原子炉を動かさない、こういう約束を昭和四十二年の十月に事業団が青森県に文書として入れておりますが、このことは御存じでありますか。
  121. 佐々木周一

    ○佐々木参考人 そのことは承知しております。
  122. 津川武一

    ○津川委員 とするならば、なぜ事業団が、かりに二〇%であろうが、陸奥湾の中で原子力の試験、実験をやるのでございますか。
  123. 佐々木周一

    ○佐々木参考人 そこのところが根本的に考え方が違っておるのでございますが、御承知のように、「むつ」は実験船として建造せられたものでございまして、特に安全性ということについては非常に厳重にやかましく国からも言われておりまするので、各国の人が見て驚くほど、二重三重の安全装置をしておりますので、私どもといたしましては、二〇%でも、五〇%までの出力上昇試験をいたしましてもきわめて安全であり、そして放射能は外へ出さない、かような確信を持っておりますので、湾内で二〇%までの出力上昇試験を許可していただきたい、承知していただきたい、かように漁業民の方にお願いをしたような次第でございます。
  124. 津川武一

    ○津川委員 最初、事業団が青森県に文書を入れたのは、停泊中に原子炉を動かさない。もっとつけ加えますと……。  もう一つ聞いておきましょう。この原子力船に補助エンジンがありますか。
  125. 佐々木周一

    ○佐々木参考人 補助エンジンは持っております。
  126. 津川武一

    ○津川委員 そのとき県に入れた原子力船のほうの約束は、原子力船エンジンを動かさない、しかし補助エンジンは持っていますから、補助エンジンで港内を航行する、こういうことを皆さん、県並びに漁業者に約束されておる。このことも覚えていますか。
  127. 佐々木周一

    ○佐々木参考人 そのことも承知しております。
  128. 津川武一

    ○津川委員 それを約束を破ってでも港内で原子力船をエンジンの上昇実験させる、これはどういう意味でございます。国の事業をやる、そういう人が、初めに約束したことを——だから私は、民主的に国民の了解において原子力船の運用をやるべきだ。私たち国民が求めているものは、原子力エネルギーというものを扱うときには、民主的に国民の了解を得て、約束したことは約束したことできちんとやる、これがほんとうでありませんか。
  129. 佐々木周一

    ○佐々木参考人 青森県にお約束をいたしましたのは、岸壁では原子炉を停止いたします。しかし、湾内での航行には原子炉を使わない、かようなお約束はしておらないはずでございます。
  130. 津川武一

    ○津川委員 理事長、あなたがもし政府委員だったら私の口調がもう少し強くなるのだけれども、何しろ参考人なので私も少し遠慮して話をしていますがね。そういうことじゃないのです。補助エンジンで走る。いいですか、補助エンジンで走るということは、原子力エネルギーをそこでは使わないということなんです。この約束をなぜお破りになって、県のほうに、湾内で二〇%まで上げると、こういう態度に出てきたのか、その根拠を聞きたいのです。
  131. 佐々木周一

    ○佐々木参考人 湾内で補助エンジンで航行しますというのは、一番最初の定係港を承認していただく場合にお約束はしておりませんので、今度二〇%まで出力上昇試験を承認をしていただくということに対して、それでは補助エンジンを使って湾内を航行いたします、今度初めてそういうような提案をしたような次第でございます。
  132. 津川武一

    ○津川委員 参考人に対して、うそをついていると申すのは私も言いづらいのですが、いずれ、そういうことであると、証人として出ていただくように委員長にもお願いしなければなりませんが、四十二年の、この補助エンジンで走るようになっている、こういうことをあなたが理事長に就任されるとき存じませんでしたか、聞きませんでしたか。
  133. 佐々木周一

    ○佐々木参考人 私は全然存じませんでした。
  134. 津川武一

    ○津川委員 そのときの事情はどなたに聞けばわかりますか。
  135. 佐々木周一

    ○佐々木参考人 私の先任者は石川一郎さんでございますが、もうなくなられましたですから、責任者はおらないわけでございます。
  136. 津川武一

    ○津川委員 そこで安全性の問題ですが、いま理事長が言われた、普通、原子力船の母体をつくり原子炉を入れて航行していく、そのためには、とにかく一度原子力船のエンジンが動くか動かないか、故障があるかどうか、通常運航に耐え得るかどうか、そういうことをしてみなければならぬ、この実験、これがいま皆さんがおやりになるとおっしゃる実験、この安全というものが、どうしてこんなに水の動きが悪いところ、いま語されたように魚がたくさんいるところ——やってみて初めて安全だ、原子力船がどこへでも出入りできるやってみなければならないのが実験、この実験をなぜここでおやりになるのですか。なぜここでおやりにならなければならないのですか。このことをまず明らかにしてください。
  137. 佐々木周一

    ○佐々木参考人 先ほども申しましたように、本船は実験船でございますので、臨界、それから二〇%くらいまでの出力上昇試験は、平静なところで行なってそしていろいろなデータをとりたい、かように考えておるわけでございますが、五〇%以上になりますと、どうしても推進機を使わなくちゃなりませんので、その場合は湾内でなしに湾外に出て実験をやることに、初めからさように取りきめておるような次第でございます。
  138. 津川武一

    ○津川委員 理事長、実験ですよ。二〇%であろうが、五%であろうが、一〇〇%であろうが、未知の領域においてするわけです。その原子力船のためにあの定係港のまわりがどんなふうになっているか御存じですか。ということを聞いていると時間が長くなってしまいますので——あの付近に非居住地域があるでしょう。あの付近に低人口地帯があるでしょう。これはあぶないからですよ。問題があるかもしれないのです。すでに実験が終わって、どこへでも、ロンドンへでも横浜へでも航行してきた原子炉が入ってくる、それでさえも非居住地域を設けなければならない、それでさえも低人口地域を設けなければならぬで、原子力事業団が設けている。いいですか。これがわかってからでもこうですよ。まだ海のものか山のものかわからない実験最中に、非居住地域、低人口地域を設けなければならないこの陸奥湾の中で、なぜおやりにならなければならないかということを聞いているのです。  あなたたちは、知事にこういうふうに申し入れられたら、湾外でやることも考えられる、こう答弁したそうですが、湾外でやることも検討している、これはほんとうでございますか。
  139. 佐々木周一

    ○佐々木参考人 御承知のように、本船は、こういう出力上昇試験をすることにつきましては、国の安全審査を受けまして、現在の原子炉の状態はこういう状態である、こういう手続をもって出力上昇試験をいたします、そういうすべての準備、報告をいたしまして、国から、それではやってよろしい、こういう許可を受けておる次第でございます。  しかしながら、そういうことについて十分御理解のない漁民の方々が心配なさるのは十分考えられまするので、私どもは、漁民の方々に船へも来ていただき、また事業団の人間が漁業組合のほうに出向きまして、こういうことになっておるので御心配は要りませんということを今日まで再々にわたって十分説明申し上げたような次第でございます。
  140. 津川武一

    ○津川委員 理事長、私そんなことを聞いているのじゃないの。知事のほうに、湾内実験、湾外実験も両方検討してみます、こういうことを答弁したかどうかと聞いているのです。それだけ答えてください。
  141. 佐々木周一

    ○佐々木参考人 私どもは、どうしても、少なくとも二〇%までは、先ほど申しましたように、いろいろなデータを平静な海面でとりたいために、二〇%までは湾内で試験をさせていただきたい、こういうことをお願いしたのでございますが、今日までのところ、漁民の方々から十分の理解を得ておりませんので、青森県知事の要請によって、湾外で出力上昇試験をやるということについてただいま鋭意検討しておる次第でございます。
  142. 津川武一

    ○津川委員 湾外でやることも検討している。つまり、正しい約束を守れば、湾外でやることを検討してみるのが、最初からやらなければならないことだったわけです。  そこで、湾外でやれば、湾内でおやりにならない、こうとってもよろしいのですか。
  143. 佐々木周一

    ○佐々木参考人 私どもは、先ほども申しましたように、できるだけ湾内で少なくとも二〇%までの出力上昇試験はやりたいのでございますが、どうしても御理解を得られない場合は、やむを得ず湾外でやらざるを得ない、こういうことで、ただいま鋭意研究しておるような次第でございます。
  144. 津川武一

    ○津川委員 そこで、安全ですが、理事長は、漁民の理解を得られない、漁民が安全について存じないと言っておりますけれども、あそこの方たちは原子力の専門家を呼んで何回か研究しています。東海村などに行って見学しております。この事実は御存じでございますか。
  145. 佐々木周一

    ○佐々木参考人 はっきり存じませんけれども、そういうような話も聞いております。
  146. 津川武一

    ○津川委員 そこで、安全試験、国で終わって認可を得たから、国際的に原子力の平和利用、それから民主的な運営、公開。そこで、おたくの「むつ号」の安全試験をやったときのデータ、記録、安全試験をやった人たちの委員会の議事録、これはお持ちでございますか。
  147. 佐々木周一

    ○佐々木参考人 外国船のそういうデータのお尋ねでございますか。
  148. 津川武一

    ○津川委員 「むつ号」の……。
  149. 佐々木周一

    ○佐々木参考人 「むつ」はこれからやるので、いままで何もやっておりませんものですから……。
  150. 津川武一

    ○津川委員 「むつ号」は船体つくったでしょう。原子炉つくったでしょう。原子炉を「むつ号」に入れたでしょう。その原子炉の安全試験、この原子炉を出すときこの安全というものがテストされているでしょう、設計のときの。その安全がどうかというときの設計の基準、それを原子力船の安全委員会で審査したでしょう。その審査のときに出したデータ、その審査のときに使ったデータ、そのときに出された各意見、議事録、これはお持ちでございますか。
  151. 佐々木周一

    ○佐々木参考人 事業団にはすべてそういうデータを持っております。
  152. 津川武一

    ○津川委員 これを日本の原子力の専門家が公開してほしい、そうすると漁場がどうであるかということを皆さんと一緒に問題解決できるのに、原子力開発事業団がこれを公開しない。私たちが県会におったときも、公開しないと言っているのです。いまだに公開してない。これは早急に公開すべき必要があると思うのですが、いかがでございます。
  153. 佐々木周一

    ○佐々木参考人 それではひとつ研究いたしまして、後刻お返事申し上げます。
  154. 津川武一

    ○津川委員 理事長としては、ここまで問題が来ましたので、公開すべきだと思うのですが、この点はいかがです。
  155. 佐々木周一

    ○佐々木参考人 私が承っておりますのは、原子力船「むつ」の原子炉ばかりでなしに、何事によらずこれを公開する、こういうことになっておりますから、おそらく、いまのお尋ねのデータも公開して差しつかえないんだと思いますが、なお念のために団へ帰りまして調べての上で御返事申し上げます。
  156. 津川武一

    ○津川委員 先ほど理事長のことばからもちょっと出たのですが、アメリカでは公開しておられますね。
  157. 佐々木周一

    ○佐々木参考人 アメリカは、これは軍事の秘密で、全然公開しておらないように承っております。
  158. 津川武一

    ○津川委員 そうですか。
  159. 佐々木周一

    ○佐々木参考人 それは安全審査のことではございませんでしょうか。
  160. 津川武一

    ○津川委員 安全審査です。
  161. 佐々木周一

    ○佐々木参考人 安全審査のことでしょう。それは私よく存じませんが、私のいまお答えいたしましたのは、原子炉の試験の内容でございますね。そういうものは、日本は公開しておりますが、外国は公開しておりません。
  162. 津川武一

    ○津川委員 安全審査、これは公開する必要があると思いますが、いかがでありますか。
  163. 佐々木周一

    ○佐々木参考人 どういう御質問でございますかいまのは。聞き漏らしましたが……。
  164. 津川武一

    ○津川委員 これから「むつ号」で実験をおやりになるでしょう。そのとき、どういうふうにしてこれが安全であるか、これをお調べになるでしょう。
  165. 佐々木周一

    ○佐々木参考人 炉の安全ですか。
  166. 津川武一

    ○津川委員 炉から今度は出てずっと運航していきますね。炉から今度漏れないか、廃棄物がどうなるか、こういうことは、これから問題になりますのは、これは安全であるかどうかということをまずお確かめにならなければなりませんね。それを公開なさいますかというのです。
  167. 佐々木周一

    ○佐々木参考人 むろん公開いたします。そして私のほうは県へ申し上げまして、モデリングについては県並びに漁民の代表の方が立ち会ってくださってけっこうです、こういうことを申し上げている次第でございます。
  168. 津川武一

    ○津川委員 いま、これから外海でやらざるを得ないでしょうと言われた。そこで、外海でやるときに、ここで放射能が出てくるか、それから使ったあとの原子炉の残渣をどうするかなどということに対して、公開で民主的に計画していかなければなりませんが、要求するならば、原子力の学者、いま問題を心配しておられる漁業者の代表、こういう者を一緒に、この公開実験、これからおやりになるのに立ち会わせる必要があると思うのですが、その御準備はございますか。
  169. 佐々木周一

    ○佐々木参考人 もし外海で出力上昇試験をするといたしますと、船内に乗る方は非常に限定せられますので、人数に制限があると思いますが、私のいまの考えでは、学者の方、漁民の代表の方、こういう方は、御希望があるならば、ぜひ立ち会っていただきたい、かように考えております。
  170. 津川武一

    ○津川委員 どうも理事長ありがとうございました。いろいろ失礼なことを申し上げましたけれども、せっかくあすこまでホタテその他の魚が育って、出かせぎ者がなくなってしまったので、漁民の願いを聞いて外海でやっていただく、そうせざるを得ないだろうと腹をきめておいでになるからぜひそうしていただきたい。その際漁業者の代表も入れて、問題があとに残らないように万全を期していただきたいということをお願いして、参考人として来ていただいたことにお礼申し上げて、あなたに対する質問を終わります。
  171. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 参考人にはありがとうございました。
  172. 津川武一

    ○津川委員 そこで水産庁、こういう状態にありますので、一回汚染されたというデマが飛ぶとホタテが売れなくなるのです。かつて青森県のリンゴがNHKのテレビで白いリンゴというので出ましたら、その後半月ぐらいリンゴが売れなくなった。そこで、いまこういう状態にあるので、問題のないような原子力船の実験をやらせるように、水産庁としても格別な指導、中に入っていただくよう、これは要求します。  そこで、ここまできたホタテ、これの自由化なんですが、田中総理が、ホタテは残存に入っているので、自由化せい、こういう命令を下しているらしいのですが、このホタテの自由化は、ここまできましたいま、私は、どうしても自由化を阻止して、守らなければならないと思うのですが、水産庁はいかように考えておりますか。
  173. 安福数夫

    ○安福政府委員 ホタテ貝につきましては、北海道、青森、先ほど申し上げましたように岩手、こういったところで非常に盛んに養殖、増殖がされておるわけでございます。ある意味では、沿岸漁業におきます一つの非常に選択的拡大の対象になっているものだろう、こういうようにわれわれは承知しておるわけでございます。沿岸漁業一般についていろいろ停滞的だという主張があるわけでございますけれども、増養殖業が非常に興っておりますところでは、むしろ漁家所得は非常に急激に伸びております。ことに東北地方の沿岸漁業タイプの浦々では、極端な場合は、ここ二、三年で二倍、三倍も漁家所得が非常に伸びておる。そういう意味合いにおいて専業率が伸びておる。そういう地帯におきますホタテ養殖業、ホタテの漁業は、非常に重大な、大きな漁業経営上の支柱になっておるというようにわれわれ承知しておるわけであります。  ただ、今後のそういうホタテの増養殖業についてのわれわれの一つの指導の方針といたしましては、もちろん流通過程を踏まえて、やはり生産性を上げるということであろうと思います。そういう意味合いにおいて、ある意味では国際的な競争力まで持ち得るそういう漁業に育てたい、こういうように念願しておるわけでございます。  そこで、自由化がどうかという御質問になるわけでありますけれども、われわれといたしましては、そういうふうに、全国的ではございませんけれども、ローカル的というと非常に狭いような感じがいたしますけれども、かなり広い範囲に、北海道から岩手を通じましてのかなりの沿岸漁業についての非常に中心的な漁業であります、そういう意味合いにおきまして、私どもが考えております沿岸漁業のそういう経営を破壊するようなことになってはたいへんでございますから、そういった点を十分踏まえまして、自由化には慎重に対処してまいる必要がある、このように考えておるわけでございます。
  174. 津川武一

    ○津川委員 農林次官、いまの次長の話を聞いていると、何か心配になるね。当面何か自由化しないんだ、こういう答弁でなくて、自由化に対しては慎重に考える、こういうことなんです。  そこで、四月十三日の衆議院の本会議農業白書が問題になったときに、田中総理は農産物の自由化を進めることを明らかにしておる。次の日の新聞には、自由化品目としてホタテ貝をあげておるわけです。こういう状態の中でせっかくここまできて、ホタテは育つのも育つけれども、育たないで小さな幼魚、卵のときに魚のえさになってしまう。それであの陸奥湾の魚をふやしている。これもこの間漁民からそういう宝ものだと聞かされている。自由化されると、ここで一ぺんに参ってしまうわけです。北海道の全領域から青森、岩手にわたって最近非常に嘱目されてきておる。これは守らなければならぬ。当面漁民が安心してホタテに取り組むとすれば、ここで自由化はしないぞという点を明らかにしないと、原子力船以上にまた不安が出てくると思うのです。農林省はいかがです。
  175. 安福数夫

    ○安福政府委員 私の答弁が非常にあいまいだということで、自由化するんじゃないか、こういうことでございますけれども、自由化というものは私どもが決意するだけという問題じゃございません。そう言うとまた、自由化するんじゃないか、こういう反論になろうかと思いますけれども、私の申しました趣旨は、沿岸漁業が——いまのホタテ漁業に限定いたしますと、ホタテ漁業が壊滅するというような形で自由化をすべきじゃないし、自由化をしても耐え得るようなホタテの養殖業並びにホタテ漁業を育てたいということでございます。したがって、そういった悪影響があるという場合には、やはりその段階において自由化すべきじゃない、こういうことだろうと思います。未来永劫この自由化はやらないということは、これは大きな経済のうねりの中の問題でございますから仮定の問題として私がお答えするわけにはまいらない、こういうことになるわけでございますけれども、やはり沿岸漁業については大きな支柱になる漁業でございますから、それが悪影響を及ぼすということであれば、われわれとしてはそれについては慎重に対処するということはその段階ですべきじゃないだろうか、こういうふうに私は考えている、こういう趣旨でございます。
  176. 津川武一

    ○津川委員 私たち日本人の体位を考えたときに、主食を考えたときに、たん白質がまだうんと足りない。たん白質的主食は二百万トンも足りない。これを畜産で維持するわけにいかない。白書にも書いてあるとおり、あのとおり大きな比重を占めている。この中で、卵の白身、熱い湯をかけると白くなるでしょう。サケ、マスのスジコ、熱いお湯をかけたり、あったかくすると白くなるでしょう。あれは、私が言うまでもなく、たん白質ですよ。ホタテのたん白質は良質なものなんだ。したがって、その意味においてかなりふやしていかなければならない。ふやしたほうが、国民の主食に適する。しかし、一水産庁がホタテを自由化しないと言っても、これはやれないことは私もわかります。そこで、とにかく水産庁としていま自由化するつもりはないというのであれば私も安心するし、もう一度、どちらでもよろしいですから、答えていただきたいのです。
  177. 安福数夫

    ○安福政府委員 私が答弁する筋のあれであるかどうかわかりませんけれども、非常に大きな問題でございますし、非常にわが国の貿易に対する外圧もいろいろあるわけでございますから、これは仮定の問題でございますけれども、やはりわが国沿岸漁業の支柱になるようなホタテ漁業ですからそれがひ弱い段階で壊滅的な打撃を受ける、こういうような形の自由化というものは考えられないのじゃないかというふうに私は考えている次第でございます。
  178. 津川武一

    ○津川委員 農林次官の意見を聞かしていただいて、それで終わります。
  179. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 総括的に少しく申し上げますともう自由化の問題に対しましては、いまの水産庁の答弁そのとおりだと思います。私ども考え方といたしましても、たとえ内閣、執行部からどういう形の命令があろうとも、漁民が非常に悩んでいるという問題、あるいはそれによって究極的に非常な生活苦にそのまま直結していくという問題こういう問題に対しましては真剣にとらえていくというのが農林省のたてまえでございますから、それはもうどんな場合においてもチャレンジをすることにやぶさかでないということをあえて申し上げておきます。  それから、先ほどの問題点にちょっと付言いたしますると、先生が冒頭に申されました原子力の平和利用の問題、公開、民主的な問題等、こういうことにおいての推進力たらしめることは私は賛成である、そういう考え方に対しては非常に同慶の至りでございまして、私どももそういう意味において考えていくということに基本線を持っているということも、これまた付言しておきたい、こう思う次第でございます。
  180. 津川武一

    ○津川委員 ありがとうございました。
  181. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 瀬野栄次郎君。
  182. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 オレンジ、果汁の自由化問題について、農林省当局に質問いたします。  日米通商協議が御承知のように事務レベルで五月七日からワシントンで開かれております。日米経済戦争がますますエスカレートしてまいりまして、今回の協議では、米国側が農産物など、特にオレンジ、果汁、牛肉について強力な自由化を迫ってくる、こういうふうにいわれて、関係農民はたいへん危惧をいたしておるところであります。来たる五月十六日には、東京の北の丸公園の日本武道館で、オレンジ、果汁自由化阻止全国生産者大会が二万人を結集して日園連主催のもとに開かれるということで、早くもこの自由化に対して阻止運動が展開されておるところでございます。  今回の協議は、本年の夏に日米貿易経済合同委員会が開かれるということで、この五月七日からの日米通商協議はその前哨戦、こういわれておりましたが、一部報道されておりますように、六月末にこの日米貿易経済合同委員会が開かれるということで、繰り上がって早くなってきている、いまやまさに秒刻みの段階に入っているということで、いろいろと取りざたされているのも事実でございます。当局としてもいろいろこれに対処しておられる、こういうふうに思うのでございますが、今回の一連の日米通商協議に農林省から吉岡経済局国際部長が出席をしておるわけです。農林省としてはいかなる決意でこの会議に臨んでおられるのか。その辺からまず政務次官なり当局のほうに御答弁をいただきたい。
  183. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 お答え申し上げます。  五月七日にワシントンで日米の通商協議が行なわれたわけでございます。これには、ただいま先生からお話がございましたように、農林省といたしましては経済局の吉岡国際部長が参加しております。   〔委員長退席山崎(平)委員長代理着席〕 それで、吉岡君は、まだ木材等の話が残っておりますために、ワシントンにおりまして帰ってきておりませんが、公電で会談の模様を報告しております。それによりますと、アメリカは、農産物につきましてはオレンジ、果汁について自由化を迫ってきたということの報告が参っておりますけれども、どういうことで迫ってきたのか、必ずしも詳細な背景はわかりませんけれども、アメリカが現在議会で審議している通商改善法の関係で、この際日本が農産物についてより前向きな態度を示してくれというようなことが背景にあるように考えられます。これに対しまして吉岡君は直接コミットをせず、るる日本の国内事情を説明して、それには応ぜられないというような態度で対応したというふうな報告を受けております。
  184. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 吉岡経済局国際部長は大体予定としてはいつ帰ることになりますか。
  185. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 帰国は来週になると思います。
  186. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 局長、これは重大なことなんですね。われわれがかねがね、もう昨年来たびたび当委員会でも質問し、また予測しておることが、先ほども申しましたように秒刻みで迫ってきておるような感じがするのですが、この公電によって、オレンジ、果汁については自由化を強力に迫ってきたということが入っている。詳細については帰国しなければわからないということですが、おそらく当局としてはかなり具体的なことがわかっているのじゃないかと思うのですけれども、これはもう常識からいっても、オレンジ、果汁、牛肉の自由化ということについては相当強力なものを迫ってくるだろうことはわれわれも想像にかたくないわけでございます。今回のこの日米通商協議に吉岡部長が出席するにあたっては、聞くところによると、わが国の農産物の自由化というものは一切応じられない、これはかねがね農林大臣も言っていることでありますが、米国からの農産物の輸入は四十七年度だけでも前年対比五割アップしているということで、強力に臨むというふうに聞いておるのですけれども、この協議会に資料として農林省は四十七年度の米国からの農林水産物輸入実績というものをまとめて携行しているわけですが、それのおもな内容をひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。
  187. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 今般の、五月七日ワシントンで行なわれました日米の協議でございますが、これは、いわゆるネゴシエーションと申しますか、交渉というような形のものではなくて、七月の中旬に、まだ日はきまっておりませんけれども、予定されております閣僚レベルの日米経済合同委員会の準備として、現在の日米の貿易問題について意見を交換するというような性質の会議であったものでございますから、吉岡君に特に訓令を与えまして、この線で交渉せよというようなことはやっておりません。会議の性質もまあそういったような会議であったわけでございます。  そこで、ただいま先生から御質問のございました米国からの農林水産物の輸入額の統計の問題でございますが、四十六年度——これは会計年度でございます——の輸入額は、アメリカからの日本向けが十七億八千四百五十四万ドルでございますそのうち、農産物は十二億七千八百五十三万ドル水産物が二千八百九十二万ドル、それから林産物が四億七千七百八万ドル、こういうことであったわけでございます。それが四十七会計年度は、全体の輸入が二十七億三千六百九十一万ドルということで、対前年比五三・四%の増になっております。その内訳を見ますと、農産物の輸入が十八億七千百三十一万ドルでございます。水産物はほぼ前年と横ばいでございまして、二千九百九十一万ドル、それから材木が非常にふえまして、これは値段が上がったという面も多少影響があるわけでございますが、八億三千五百六十七万ドルということになっております。  ついでに、アメリカからの総輸入額における農林水産物の輸入額の比率を申し上げますと、四十六年度が三五・八%であったものが、四十七年度は四三・四%になっております。この数字を吉岡君は携行いたしまして、わがほうはこのように農産物の輸入がふえている。このことが日本の農政の立場から見てはたしてどうかということは、いろいろ御議論のあるところでございますが、いずれにいたしましても、このように輸入がふえているということは向こうに指摘して、いろいろ応酬したのではないかというふうに想像しておりますけれども、その辺についてはまだ報告が入っておりません。
  188. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 ただいま四十七年度の米国からの農林水産物輸入実態等の携行した内容の概略が説明ございましたが、私も手元の調べたのと若干数字が違いますけれども、大体似通った数字でありますが、いずれにしても農産物が五三・四%と五割も伸びている。こういう実にたくさんな量を買っているわけです。一国の輸出で五割アップというのは、これを見ましても日本が初めてというふうにいわれておりまして、米国の農産物の全輸出額が約百億ドルといわれておりますが、このうちわが国一国でも二十億ドル近いということで、たいへんな輸入をしているということになるわけです  そこで、いま吉岡部長もワシントンでいろいろ交渉して、その結果は詳細は帰らなければわからないということでありますけれども、こういったことについて、政務次官、いろいろ公電も入ってきたということでありますが、かねがねあなたにもずいぶんいろいろこういった問題で質問もしてまいりましたし、これは日本農家がたいへん心配している問題でありますけれども、いよいよ来るべきものがだんだん来つつあるというような感じもしてまいりますけれども、アメリカからこれだけたくさん買っている。何も、日本がこんなに農産物をかってに押しつけられて、さらにこういったオレンジ、果汁等、日本の果樹農家を壊滅的打撃に追い込むようなことをしいられる筋はないこれは断固かたい決意で農林省はこれに対処すべきである、さっそくこれに対する対策をとるべきだ、こういうふうに思うのですが、その辺、きょうは農林大臣がお見えでありませんけれども政務次官、どういうふうにこれを踏まえて検討しておられますか、あなたの決意のほどを伺いたい。
  189. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 先ほどもそのような御質問があったわけでございますが、決意を示せということでございますから、私の立場といたしましても個人的な見解を述べまして決意を示したい、こう思います。  私は、対米関係にせよ、対ソ関係にせよ、対中関係にせよ、国際的な問題というものは、十分その条理を説くことによって、初めて向こうの納得するものは納得するというたてまえをかたく信じておるわけでございまして、今回までの交渉の内容を概略承った感想を率直に述べますと、どうもいささかアメリカ関係のほうのわがほうに対する見解というのは相当きびしく鋭く、なおかつ、わがまま的な問題を幾つか見受ける感じがいたします。そういう点は私どもも存分日本の立場を明確に主張いたしまして、こういう経済貿易の問題において大国主義を振りかざすようなことはやめていただきたいということだけは厳に私どもは申し上げるつもりでございます。その点におきましては、これが煮詰まってきて閣僚会議レベルにおける段階に至るまでにも、場合によりましては私どももその交渉の中に加わりまして徹底的にわがほうの立場だけは伝えて、譲るべきでないものは一歩たりとも譲らないという形をとるたてまえでございますし、またそうする心算でございますので、私の決意の一端をぜひともおくみ取りいただきたいと思う次第でございます。
  190. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 個人の見解を踏まえての政務次官の答弁でありましたが、これはただごとでない問題でありまして、皆さん方に私が申し上げるまでもなく、日本は敗戦によっていわゆる日米経済のきずなを結んで今日にきていることは御承知のとおりでありますが、アメリカという国はいわゆるデモクラシーの国であり、さらに、敗戦国だからといって特にこれをないがしろにするというのでなくて、国は小さくとも、その経済力、生産力というか、国民の持つ力というものは高く評価し、そしてフェアな気持ちで接するという国民性を持っていると私はかねがねアメリカを見ております。そういった面から、わが日本が、今回の農産物の自由化問題にあたってアメリカから強くしいられたからといって、何も、アメリカにかねがね日米貿易関係からいろいろとお世話になっているからまた、敗戦なんかのいわゆる弱みなんというものは毛頭あるべきものでなしに、平等の立場で強くこれに対しては対処して、堂々と、アメリカの農産物を十億ドル以上も入れている、また、日本の農産物はこれ以上自由化したならばたいへんな壊滅的な打撃を受けるということは、かねがね言ってもあるでしょうが、今回、農林省としてはかたい決意で迫っていただかないと、田中総理も、過般来何回となく私も質問をし、さらに本会議において質問したときにも、どうもはっきりした返事がもらえない、こういう感じもしておりますし、農林大臣自身も、私としてはと言って、個人的な見解の立場から、自由化はしない、こういうふうに言っておるわけでありまして、田中内閣としてこれを強く言っておるということではありません。先般来からこのオレンジ、果汁の自由化問題の決議も当委員会ですると言いながらも、ついに今日まで、若干の問題がひっかかって決議もせぬままに至っております。残念なことでありますけれども、どうかひとつ、そういうようなことからも、堂々たる態度でアメリカに日本の主張を述べて、平等、対等の立場でやっていただきたい、かように思うのです。その点さらにひとつかたい決意をお聞きしたいのであります。
  191. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 アメリカは、かねがね日本に対しまして、イコールパートナーシップということばを使っておるわけでございまして、イコールパートナーというのは、少なくともわが身が傷つくならば相手は倒れる、そういうイコール点に結ばれるという精神であるというたてまえから、私どもが対米交渉に際しましても卑屈になるという気持ちは全くございません。むしろ、二足す二は四であるという、条理を踏まえて説得するならば、必ず相手はわかる、いままでもそういうヒューマニティーを持った国であると私どもは信じておりますので、その点は、個人的な見解ということではなく、あくまでも、農林省のたてまえからいきましても、さらに鋭意努力をいたしまして、十分に瀬野先生のお気持ちにも沿うだけの努力だけは全うするつもりでございます。  また同時に、わが日本の国の農業に少しでもダメージになっていく形というものが見られるような農作物に対しましては、先ほども私は答弁申し上げましたように、田中総理の見解いかんによらず、私どもは断固としてこの問題点だけは廃棄していくような方向にチャレンジをしていくということを申し上げたつもりでございます。その点はひとつぜひともお含みをいただきまして、あと閣僚レベル会議に至るまで私どももこの問題に集中的に努力することを私もお約束申し上げたいと思う次第でございます。
  192. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 局長にお伺いしますが、先ほど、今年の夏の予定でありました日米貿易経済合同委員会、これが六月末ごろに開かれる、こういうふうにわれわれはいろいろ情報を受けておるのですけれども、七月中旬に行なわれるのは日米閣僚レベルの会議であって、この日米貿易経済合同委員会これは六月末というふうに皆さん方は大体予定しておられるのか、その点はどうですか。
  193. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 日米経済合同委員会というのは、閣僚レベルの会議でございます。そこで、当初の日米の話し合いでは、六月の二十日過ぎに今年は東京で行なうという話し合いが進んでいたわけでございますが、最近、アメリカ側の都合でその六月の二十日過ぎはちょっとまずいということで、七月の中旬まで延ばしてくれという申し入れがございまして、一応七月の中旬ということになっておりますけれども、具体的な日取りはまだきまっておりません。
  194. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 その点は了解しました。  あと、こまかい点に若干触れてみたいと思いますが、主要農産物の輸入実績のただいまの答弁の中で、いろいろ農産物のことがあげられましたが、自由化しましたグレープフルーツが三千三百十万九千ドルで、前年対比三五四・四%と、三倍以上にふえております。これは比較的夏ミカンその他競合しないということで、相当自由化に対しては問題になっていたのですけれども、これはまず一応は落ちついた形になっておりますが、すでに自由化されていながら、三五四・四%と、ものすごい勢いでふえてきております。もちろんこれは四十七年度の実績でありますけれども、四十八年度もこの調子ならかなりふえてくるのではないかと思うが、これは当局はどういうふうな見通しを立てておられますか、その点もお伺いしたい。
  195. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 グレープフルーツの最近の輸入の状況について御説明申し上げます。  四十六年が一万一千三百五十トンでございますが、四十七年が非常にふえまして、一挙に九万一千四百三十三トンになっております。四十八年の一−三月期が二万一千六百九十三万トンであります。四十七年、前年の一−三月は一万五千百九十五トンでございますから、そう大幅にはふえておらないということでございます。  グレープフルーツの四十七年における急激な輸入増というのは、グレープフルーツの国内の需要ということも考えたことと思いますけれども、商社がこぞって輸入しようとしてかなり大量のものが入ってしまった、そのためにかなり値くずれをしたというようなことも事実となってあらわれておるわけでございます。
  196. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 グレープフルーツは一応自由化されているので、農林省としてもこれらの実態をつかんだり、またいろいろ輸入に対する規制というようなことはたいへんだと思うのですけれども、このようにふえてまいりますと、これまた将来問題になってくるというふうに思いますので、十分指導、対処をしていただきたい。かように思うわけです。  それと、今度は非自由化品目で米国が自由化を強く迫っているという果汁ですね。これについては、これまた同じ傾向が出ておりまして、果汁も二百三十六万七千ドルで、前年対比二〇六.〇%これも二倍以上にふえておる。いわゆる非自由化品目でありながら一年間で二倍になっているという実績が出ておるわけです。そこで、かりにこれは自由化にでも踏み切ったならば、これこそウナギ登りにたいへんな勢いで日本の市場を撹乱してくる、こういうふうにわれわれ思っているわけですけれども、これについてはどういうふうに踏まえておられますか、またどういうふうに見ておられますか。
  197. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 果汁につきましては、いままでの輸入でございますが、これは割り当て量ベースでまいりますと、オレンジが四十五年が濃縮で三百トンでございます。それから、四十六年はございませんで、四十七年が五百トンということになっておるわけでございます。これは割り当てベースでございます。  で、私どもといたしましては、ミカン、ことにミカンでございますが、温州ミカンの需給調整をいたします場合に、この委員会でも私たびたびお答え申し上げておりますように、果汁向けの原料用のミカンの価格安定というようなことを常に考えながら、ミカンの価格安定をはかっていきたいというような考え方でございますので、果汁につきましては、輸入の自由化ということはとても考えられるものではないというものの考え方をいたしておる次第であります。
  198. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 この非自由化品目である果汁がこういうように二倍にもなっている、こういうことでありますと、結局、非自由化品目であっても、輸入ワクを拡大していくということになるとたいへんな打撃を受けて、これまた問題であります。  さらに、アメリカのサンキスト社の問題に若干触れておきますが、サンキスト社が過般日本にも来て、中央会の宮脇会長とも会って、合弁会社の問題とかいろいろ出ております。また農林省としてはこのサンキスト社に対しては、同社が言う一〇〇%出資ということについては、これに対しては全然問題にならない、こういうふうに答弁しておるように聞いておりますけれども、執拗にサンキスト社がやってくる。これを許したならば、いずれは必ずラベルも、資本一〇〇%ということでまいりますから、あらゆるものに進出をしてきて、日本の果汁にたいへんな打撃を与えるということになります。中央会の宮脇会長のほうでは、合弁会社で五〇%、五〇%の割合でということで過般いろいろ話があったようにも聞いておりますし、当時、足立農相時代にも、そのことで、私、二回ほど質問してただしたこともございますが、現在、このサンキスト社に対する対策といいますか、対処方針としてはどういうふうに農林省としては臨んでおられるのか、その点もこの機会に明らかにしていただきたいと思うのです。
  199. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 サンキスト社が国内でどういうような活動をしようとするかというようなことにつきまして、国内で一〇〇%サンキスト社出資の会社をつくりまして、そしてその会社がどういう機能を営むか、具体的に必ずしも明らかではございませんが、輸入の果汁と国内の果汁とをまぜ合わせる、そのまぜ合わせば国内の工場にやらせるのだ、そしてそれをサンキストの子会社が買い求めて、サンキストのマークで販売をする、こういうことを考えているようであります。サンキストの詳しい計画はまだ出しておりませんので、私どものほうもこれをどうこうということをいま申し上げる段階ではございませんので、御了承いただきたいと思います。
  200. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 政務次官、このことは十分御存じだと思いますが、これまたえらい心配なんです。いま答弁がありましたけれども、このサンキスト社に対しては、農林省としては——これもおそらく何回となく交渉に来たりまた迫ってくると思われるのですが、どういうふうに対処していかれるのか、どういう考えでおられるのか、日本の果汁を守るためには絶対これは入れては相ならぬ、こういうように言っておられるのか、その点ひとつ政務次官のほうからも御答弁いただきたい。
  201. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 サンキスト社の言い分は、いままでいろいろ総合してみますると、たとえばサンキスト社のオレンジを日本のタンジェリンすなわちミカンとまぜて、そして加工してジュースをつくった場合の味というものは、いろいろの統計をとっても非常にうまいんだ、そこで、それを日本並びに各国にいわゆる販売ルートを持っていったらさらにプラスになるのではないかというような積極的な解決策と申しましょうか、そういうような方向で接近しているやに承っている点もございます。これは私は承っただけでございますが、そういう意味でいろいろ手をかえ品をかえ、サンキスト社が日本の国内に進出しようというもくろみだけは持っているのではないか。これを法的に阻止することはできませんけれども、まだそれを具体的に話し合うという段階でもありませんし、いまからそういうものも承りながら、頭にとどめておこうという程度のものであることを聞いておいていただきたいと思うのでございます。  先ほど来先生が言われておりました自由化の問題でありますが、あくまでも国際経済の舞台におきましては、自由化というのは一つの阻止でき得ない世界的な胎動であることだけは否定できません。その中におきまして特に大きなダメージを受けるオレンジ並びに果汁、こういうようなものにつきましては、実は一貫した方針で貫いておることを先生にもお答えの一片に資していただきたいと思う次第でございます。
  202. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 サンキスト社がまだはっきりした具体的なあれはないので、はっきりした考えの答弁がないようでありますが、すでにもう新聞等でも取りざたされ、数年前からこれの進出等についてはいろいろといわれております。もちろん私はブレンド用にオレンジの濃縮ジュースを若干輸入して、これをブレンドすることについては、これは従来からいろいろ団体も要求したことであるし、ある程度のことは考えられますけれども、私は、やはり日本の国民の嗜好というものを、今後変えていかなければならない、いわゆるジュースというものはミカンをしぼったなまジュースであるというふうに、国民の食生活を変えていく方向に大きく普及もし、努力もしていかなければならないこういうように思うわけです。また日本のミカンの中からブレンド用を考える。先般農林大臣等も言っておられましたように、熊本などでも、濃縮ジュースをつくった場合、熊本産のポンカンとブレンドしたらとても味がいい、これならたいこ判だ、この委員会でもそういう話がありましたが、日本の国民の食生活に、いわゆるジュースというのはこういったなまジュースなのだ、いま薬品なんかでつくっておるジュースはほんとうのジュースではないということで、ジュースの普及をはかっていかなければならない。この点、政務次官、どういうふうに考え、農林省はどういうふうに指導をされ、積極的に臨んでおられますか。農民もこういったことに強力な農林省の指導を待ちあぐねておるわけですが、お答えをいただきたい。
  203. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 先生御存じのように、私は山梨県という果汁の県の中に育っておるわけでございます。特にブドウなどにおいてもそうでございますが、いまやブドウの生産だけではどうにもならない、ブドウ酒に切りかえておる段階でございます。それにいたしましてもやはり加工あるいは技術改革というものは非常に必要でございまして、ごたぶんに漏れずブドウ酒の改良というものも、外国にまで人を送って現地で研究さしておるという段階でございます。同様にミカン等あるいはオレンジにいたしましても、これは私の個人的な見解でございますが、ただ阻止するという問題だけでない一つの解決策というものも頭の中にとどめておかなければならない問題点ではなかろうかという感じ方はしております。そういう意味におきましては、むしろミックスジュースと申しましょうか、ブレンドされたいろいろなジュースにおいて、非常に甘味な、しかも子供にまでも愛されるような——どういうパーセンテージにおいてのミックスであるかは技術的にまつといたしましても、それが非常に大量に普及され、なおかつ消費されていくという見通しがあった場合には、これは相当ワクを広げてもなおかつ日本のオレンジそのものも片をつけられていく、消費されていくという問題点として加味されるということになりますと、これは先ほど私の言ったように、積極的解決策にもなり得ようかと思いまするので、そういう点はいまからの研究課題ではないかということで、決して頭から否定するというたてまえでなく、研究課題の一つにして十分検討してみたいという考え方で指導していきたいと思っております。
  204. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 局長に次のことをお尋ねします。  いま政務次官から答弁があったが、かんきつ果汁の一人当たりの消費量というものを国際的にストレート換算して比較してみますと、昭和四十二年度でもEC諸国の中の西独では二・二キログラム、オランダでは三・四キログラム、西欧諸国では、オーストリアで〇・八、スイスが一・五、英国が二・二、デンマークが四・八、ノルウェーが二・〇、スエーデン三・〇、フィンランド〇・四、カナダ五・九、米国一二・一、日本はどうかというと四十二年で〇・二、四十六年度でようやく〇・七。こういうわけで、一人当たりの消費量というのはEC諸国、西欧諸国から見ても実に低いのですね。大体こういうことは間違いないが、こういったことを考えて、これは本気になって、こういう慢性化した温州ミカン等の過剰の中において——農林省は五月の花芽を見ないと生産量の推定はわからぬとかいろいろ言っておられますが、相当ことしも豊作が考えられる、こういうときに本気になって考えていかなければならぬと思うのですが、園芸局長は一線の局長としてどういうふうに対策をされ、どういうふうに考えてこれに臨んでおられるか。ひとつ具体的な方針を伺いたいと思います。
  205. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 かんきつの一人当たりの消費量の国際比較、ただいま先生からのお話がございましたような数字でございまして、日本はまだ欧米の水準から比べますと、かなり低いと申さなければなりません。やはり日本のミカンが欧米のオレンジと違うという性質がありまして、日本人は、どちらかというと、なまの果実で食う習慣があった。また食べやすいミカンであるということも事実だろうと私どもは思いますが、これからはジュースに加工してミカンを消費してもらうということが一番望ましいと思うわけでございます。  そういう意味で、私はジュースにミカンを振り向けるということを考えまして、ジュース工場の拡充ということにつとめておるわけでございます。従来までに七カ所ミカンのジュース工場ができておりますが、本年度は特に四カ所ふやそうということでございます。またチルドジュースの工場もつくろうというようなことで、予算を、先ごろの予算でお認めいただいたわけでございまして、鋭意その具体化に努力中であるわけでございます。  また、このジュースの消費の宣伝というようなことにも、これは生産者団体などもかなり努力をしておられるようにも見受けておるわけでございますけれども、私どももこのジュースの消費拡大というようなことに一そうの努力をいたしたいと思います。  果汁というようなことばは、商号といいますかそういう名前を使えるものも、こういうようなまぜ合わせのものじゃなくて、ほんとうに一〇〇%のものに限られてきておるようでございますし、また消費者も果汁というもののよさを逐次評価してきてくれているようでございますので、私どもはこの果汁の形でのミカンの消費ということにさらに一そう努力をいたしたいと思っておる次第でございます。
  206. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 果汁生産施設をつくっておるということは承知しておりますが、現在七カ所、本年度四カ所というのですが、これにしてもほんとうに少ないのです。四カ所くらいではどうしようもない。しかも事業内容というのが、助成対象はもちろん建物及び機械設備そして原料処理能力が年間おおむね一万トン以上、こういうふうになっておる。リンゴの場合は五千トン以上、こういうふうになっておるのですけれども、これを五千トン以上、リンゴ並みにできないものか。そしてまた、四カ所というけれども、農林中金の金、またはあらゆる農業団体にしても相当の金がだぶついているということで、きのうまで農林中金法、農業協同組合法等審議してまいったわけですけれども、政府のほうももっと助成してこれに大きく近づけてもらいたいと思うのですが、実際に今年度果汁生産施設の規模全国的にどのくらいあるのか。本年度は四カ所というふうにしぼったというのですが、どのくらいあったのか。しかもさっき言いましたように、原料処理能力なんかも、年間一万トン以上というけれども、もっと下げられないものか。その点の見解はどうですか。
  207. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 果汁の工場規模の小さいものをたくさんつくるのがいいのか、あるいは少し規模の大きいものをつくったほうがいいのか。これはいろいろ意見の分かれるところであろうかと思います。ただ、あまりにも小さい工場をつくりますと、かえって採算が悪いということになります。   〔山崎(平)委員長代理退席委員長着席〕 採算が悪いということは、逆に言えば、農家から買います原料のミカンの値段があまりよくないというようなことにもなりかねませんので、やはりある程度の規模を持ちませんとぐあいが悪いのではないかという考え方を持っておるような次第でございます。  果汁工場につきましては、だんだんその果汁の消費が伸びてくる気配が見受けられます。先ほども申し上げましたように、評価されてきておるというようなことでございまして、生産者団体も果汁工場の建設には若干おっかなびっくりであった。つまりその販売というようなことを考えまして、若干おじけずいておったようなところもありまして、先ほど四カ所と申し上げましたが、当初は二カ所程度の申し出であったわけでありまして、それが予算編成の最中にさらにふえまして四カ所ということに相なってまいりまして、最後に大蔵省とも相談をいたしまして四カ所に増額査定をしてもらったようなわけでございます。国会で御承認を得たわけでございますが、さらに最近、私どものところへ、それだけでなくて、もっとやりたいというような地域も出てきております。そういったこともいろいろ考えながらこれから対処していきたいと思っておる次第でございます。
  208. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 この予算等を見ますと、四十七年度が果汁生産施設なんかは五億一千九百三十九万五千円、四十八年度要求で三億二百四十六万四千円と、そのほかに果汁流通施設として一億三千九十二万八千円、こういうふうなことになっておるが、こういったものに対してもっと農林省は、農家は血の涙で叫んでおるわけですから、あたたかい予算を出して力を入れてあげる、しかも補助率が三分の一なんですけれども、もっと補助率を上げてやる、こういうことを前向きに考えてやるべきじゃないか、こういうような血の出るような叫びをしておるわけです。これだけの膨大な予算の中から三億、流通施設に一億、もっと力を入れてやるべきだと思うのです。  それと、希望は二カ所ということで、希望があれば幾らでもできるようなふうにも受け取りましたが、この果汁生産施設等は、希望があれば必ずふやして希望に沿ってやれるというふうに考えておられるのか。それとあわせて御答弁いただきたい。
  209. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 私どもとしてはできるだけ需要に応じたいと思っておるわけです。もちろんただ果汁工場をふやしたからといって、できました果汁がすべて売れるとも限りません。全体の需要の伸びに見合った工場の建設というものが必要ではないかという考え方を持っております。ただ、果汁につきましては、先ほど申し上げましたように、ミカンのこれからの増大する生産ということを考えましたときに、果汁工場を整備するということはどうしても必要であるという考え方を根本的に持っておるわけでございますので、大蔵省のほうにも絶えずいろいろなことで相談をいたしております。大蔵省のほうも果汁工場の建設にはかなり前向きで考えてきてくれておるわけでございまして、いろいろなこれから出てまいります要望というものを十分わきまえながら、果汁工場の配置というものをやってまいりたい、このように考えております。
  210. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 もちろん需要に見合った生産ということはわれわれも考えられますけれども、先ほども指摘しましたように、アメリカから相当倍になるような量を入れている、しかも今後もこれがどんどんふえていくような傾向である。国内の一人当たりの消費量というものは四十二年度〇・二、四十六年度やっと〇・七ということで、先進諸国から見るとずっと落ちている。これはもっと力を入れなければならぬということでやっておることはわかっておるけれども、もっと強力なてこ入れ方をしなければ、農家を救うことはならぬじゃないか、こういうふうにわれわれは言うわけです。このことは何べん言っても切りがないのですけれども、時間の関係もございますので、あと若干お尋ねします。  果汁の割当量を見まして、オレンジジュースも昭和四十七年度は濃縮が五百トン、ストレートで二千五百トンも入っている。またジュース用を見ましても四百キロリットルも入っておりまして、かなりの量が毎年入ってきております。また果汁輸入実績の推移を見ましても、果汁全体で四十七年度は、一月から十月までで三千七百七十五キロリットル、金額が三百二万五千ドルも入っているということで、相当な量が入ってきておりますが四十八年度はこのオレンジまたは果汁、それからホテル用のオレンジ等ももちろんありますけれども、こういったものについても相当量これは入ってくるんじゃないか、こういうふうに思っています。いまからいろいろ検討されるのではないかと思うのですけれども、そういったことについてはどういうふうに四十八年度は見ておられるのか、御答弁をいただきたいと思うのです。
  211. 伊藤俊三

    ○伊藤(俊)政府委員 四十八年度の果汁の輸入というようなことにつきましては、国内における需要の状況生産というようなことも考えながら輸入ワクをきめていきたい、かように考えております。
  212. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いよいよ日米経済委員会等が開かれるということで、農家もこのオレンジ、果汁の問題については異様なまでに関心を示しております。五月十六日に全国大会を開くのもそのあらわれでありますと同時に、巷間伝えられるところによると、今度の国会が閉会された直後あたりには、過般のグレープフルーツのように、オレンジ、果汁等の抜き打ち的な自由化をはかられるのではないか、または田中総理が訪米前後にこの問題がいよいよ頭を持ち上げてくるのではないかとか、いろいろ心配をされております。アメリカも実際にはこの国際収支の黒字減らしには五億ドルの効果しかない、こういうふうにいわれておりますし、日本に限って見れば、もうわずか一億ドルというようなことになると思うのですが、この問題で、先ほどから何べんも申しましたように、日本は相当量買っている。アメリカの百億ドルの中の、いわゆる一〇%、十億ドルも農産物を買っている。この上に二十四品目をかりに全部自由化しても、一億ドルくらいにしかならぬといわれております。そうしてみると、わずかなアメリカの黒字対策にしかならぬわけです。そういったことをアメリカが強くわれわれに迫ってくる、これに対しては、相当な力ではね返していかなければ、日本のいわゆる果樹農家はたいへんな壊滅的打撃を受けるということはもう明らかでありますので、必死になって農家はいまこのことについて戦いをやっていることも御承知のとおりであります。  そういったことで、今後この自由化問題については、いろいろ巷間伝えられておりますように、国会明け、あるいはまた田中総理訪米前後、あるいは七月ごろにはいわゆる自由化の攻勢で、いよいよ自由化に踏み切らざるを得ないような事態に追い込まれるのじゃないか、こういうふうにいわれておりますが、断固これに対しては、農林省は団結して、農家を守るために健闘してもらいたいきょうは大臣がおいでになりませんけれども、もちろん大臣にもこのことを強く訴えていただいて来たる十六日には大会も開かれるわけですから、田中総理にも強くこのことを意見を述べていただいて、農家のために対処していただきたい。  このことを、時間が参りましたので、最後に申し上げて、政務次官、どうかひとつ最後に決意を述べていただいて、質問を終わりたい、かように思います。
  213. 中尾栄一

    ○中尾政府委員 もう再三再四にわたりまして、瀬野先生の御意思十分承りまして、私ども必ず大臣にも、さらに総理、総裁田中角榮先生にもお伝え申しまして、どうしてもそういう方向で行けるように努力をしてみたい、こう思っております。よろしくどうぞ。
  214. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十四分散会