運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1973-03-01 第71回国会 衆議院 農林水産委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年三月一日(木曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 佐々木義武君    理事 仮谷 忠男君 理事 坂村 吉正君    理事 藤本 孝雄君 理事 山崎平八郎君    理事 柴田 健治君 理事 津川 武一君       上田 茂行君    江藤 隆美君       金子 岩三君    吉川 久衛君       熊谷 義雄君    小山 長規君       佐々木秀世君    正示啓次郎君       菅波  茂君   三ツ林弥太郎君       森下 元晴君    安田 貴六君       井上  泉君    角屋堅次郎君       竹内  猛君    野坂 浩賢君       芳賀  貢君    馬場  昇君       湯山  勇君   米内山義一郎君       諫山  博君    中川利三郎君       瀬野栄次郎君    林  孝矩君       稲富 稜人君    神田 大作君  出席国務大臣         農 林 大 臣 櫻内 義雄君  出席政府委員         農林政務次官  中尾 栄一君         農林大臣官房長 三善 信二君         農林省農林経済         局長      内村 良英君        農林省畜産局長 大河原太一郎君         食糧庁長官   中野 和仁君         林野庁長官   福田 省一君  委員外出席者         防衛庁経理局施         設課長     伊藤 参午君         経済企画庁総合         計画局計画官  中山  昇君         林野庁林政部長 平松甲子雄君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 委員の異動 三月一日  辞任         補欠選任   西銘 順治君     上田 茂行君  三ツ林弥太郎君     松野 頼三君   湊  徹郎君     江藤 隆美君   島田 琢郎君     芳賀  貢君 同日  辞任         補欠選任   上田 茂行君     西銘 順治君   江藤 隆美君     湊  徹郎君   芳賀  貢君     島田 琢郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件      ————◇—————
  2. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上泉君。
  3. 井上泉

    井上(泉)委員 政務次官がたいへん出席がおそくて、どうも委員会を軽視しておるのじゃないか、こういう批評がされておったわけです。政務次官も将来あることでありますので、よろしく御協力願いたいと思います。  そこで、政務次官にまずお伺いしておきたいのですが、国会意思というものと行政の執行の作業というか体制というか、そういうものとはどういうふうに位置づけて考えておるのか、その点ちょっと政務次官に……。
  4. 中尾栄一

    中尾政府委員 まことに冒頭おわびをしなければならないような事態が発生いたしまして、私もきょうの答弁で少しく資料をお集めさせていただいたり、勉強させていただいたりしておりまして、ちょっとおくれてしまいましたことを、ほんとうに心からおわび申し上げさせていただきたいと思います。  御質問の要旨は、国会立場行政に携わる立場との持ち前と申しましょうか、分野と申しましょうか、そういう点についてのお尋ねと解釈してよろしゅうございますか——。  私どもは当然議会制民主主義にのっとって政治をやっておるわけでございますから、あくまでも政党政治立場を十分そんたくしながら、同時にまた、私ども行政機構の中に、今日ただいままで、政党政治の中から行政を担当させられていっておるわけでございますだけに、私ども十分に政党考え方等を把握し、また同時に、分析をしながら、十分にそれを踏まえて、私ども行政の任に当たる者としましては、その声を反映していくという立場の接点に私どもは立たされておるという感じがするわけでございます。それだけに、私どもの、特に行政を担当いたしまする大臣は当然のことでございますが、政務次官役割りをいただいておりまする私どもといたしましては、諸先生方のここで御訓戒を賜わりましたことを十分に把握さしていただきまして、そして行政機構の中にその声を反映させるべく、存分に努力をつかまつりたいと思っておる次第でございます。
  5. 井上泉

    井上(泉)委員 きわめて丁重な見解の表明があったわけですが、国会政党意思とかいうことももちろんですけれども野党反対の法案を自民党の多数で押し切ってでき上がった法律もあるわけです。ところが、やはり国会で与野党満場一致できめた法律あるいは決議というようなもの、そういうものについては、これは国会意思であるし国民意思である、こう理解をするのが、当然であるし、そのきまったことを行政の上に生かしていくということが、これは行政としての責任ではないかと私は思いますが、その点について政務次官並び林野庁長官の御見解を承りたいと思います。
  6. 中尾栄一

    中尾政府委員 民主主義政治というのは、やはり基本的には多数決原則というのが最終的な結果として出てくると思うのでございます。私ども今日の議会政治を考えまするに、一応その政治形態というものは、私ども日本の国では民主主義形態というものを優先してとっておるわけでございまして、これがちなみに全体主義的な傾向を持っておる国々も、世界百数十カ国の中にあるわけでございますが、その百数十カ国の中の全体主義的な考え方に立脚いたしますると、一人でもその中に反対者異論者、こういうものがあった場合には、しかるべく——ども意見見解と食い違う場合には、ここの議会から、あるいはここの議席から退場していけというような考え方に立つという点が全体主義であろうかと思うのでございまして、あくまでも議会制民主主義に基づく民主主義政治というのは、ここの中に三、四ないしは十の反対があろうとも、十分にその見解を尊重して、十分にまたそれを理解する心がまえ、そのプロセスに問題があろうと思うのでございます。したがいまして、私ども反対意見が十ございましても、それを多数決で補っていくという考え方は、最終的な段階としてはとらざるを得ない。そこに民主主義政治があろうと思う。あくまでもその反対派意見を尊重しながら、これをまた説得する努力をして納得せしめていくことも行政態度でなければならぬと思うのでございます。したがいまして、決して数にたよらず、あくまでも与党、野党原則に基づきまして、意見の尊重の上に立って反映をしていくというのが行政の任にあるべきわれわれの態度であると私どもは思っておる次第でございます。
  7. 福田省一

    福田政府委員 国会決議いたされましたことにつきましては、行政を担当します事務当局といたしましても、できるだけその実現をはかっていくように、予算面におきましても、その他事業面におきましても、つとめてまいらなければならぬと考えておりますところでございます。
  8. 井上泉

    井上(泉)委員 そのおことばはまことにりっぱですけれども、実際がそれと符合してない、こういうことを指摘せざるを得ないわけですが、今日の林業危機を招いたところの原因というものがどこにあるのか、その点について林野庁長官の御見解を量りたいと思います。
  9. 福田省一

    福田政府委員 お答えいたします。  最近、林業危機ということにつきましては、国民全般皆さま方からいろいろと御批判をいただいておるわけでございます。その原因につきましては、私の考えますところは、日本は約七割の森林を持っておる森林国ではございますけれども人口は約一億ございまして、一人当たり森林面積は決して多いものではございません。百四十六カ国のうちで、日本は百十番目という地位にあるわけでございます。したがいまして、森林に対します経済的な要請、つまり木材生産その他の林産物需要が非常に大きいと同時に、水資源涵養とか、あるいは国土保全とか、あるいはレクリエーションの場としての森林、そういう公益的な需要に対する要請、この二つの相反する要求というのは非常に強くぶつかってまいります。そこで、森林に対しましてのこういったいろいろな要請を調整してまいるところに、非常にむずかしい問題がある、それが危機ということばであらわされておると私は考えておるわけでございます。
  10. 井上泉

    井上(泉)委員 政務次官は、山梨県の出身で、海のない山の県ですから、山のことについては理解があろうと思うのですが、これだけの山国日本でありながら木材が不足する、あるいは木材自給体制ができない。こういうふうな現象というものは一体どこに原因があるのか。そういうことを疑問に考えたことはないですか。これだけ山があるのになぜ日本木材が足らぬだろうか、こういうことを疑問に感じたことはないですか。
  11. 中尾栄一

    中尾政府委員 全くおっしゃるとおりでございまして、私どもの県の御指摘を賜わりましたから、率直に申し上げるのでありますけれども、私ども山梨県は、特に県有林の非常に多いところでございまして、山梨並びに北海道というのは、その特徴として県有林の多いところといわれております。四方山に囲まれておりますので、非常にその点は山林に恵まれておるところでございますけれども、昨今、それだけにこの問題点は、私ども身にしみて責任を感じておる次第でございます。  森林資源国土保全水資源涵養保健休養の場の提供等多面的機能を有するものでございますし、その総合的かつ高度の発揮をはかるために、今回の「森林資源に関する基本計画」及び「重要な林産物需要及び供給に関する長期見通し」を改定したいところでございまして、現在の木材需要に対応できずに、私ども資源的な制約などがありまして、今後長期的に外材に依存せざるを得ないという国内森林資源整備拡充をはかることをもって基本としておるわけでございまして、何とか昭和九十六年度ぐらいには自給率を六一・八%にするという想定を立てておるわけでございます。この目標を達成するために、適正な森林施業の確保あるいは森林造成推進及び林道網整備林道構造改善林業労働力対策等の諸施策を講じておる所存でございまして、いろいろと森林分野問題点があろうとは重々承知をしながら前向きにこれを踏まえて解決していきたい所存でございます。
  12. 井上泉

    井上(泉)委員 林野庁長官にお尋ねするわけですけれども、いま政務次官が、日本の山についての森林資源自給度合いというようなものを説明されたのですけれども林野庁長官としては、日本の山で、日本国民が必要とする材の自給体制というものは、これは何年たっても不可能であるのか。二十年、三十年あるいは四十年、五十年先になっても不可能で、依然として外材にたよらねばならないような日本の山の状態であるのか。むしろ、日本山国であるから、山国である日本政治としては、山を宝の山にしなければならない。宝の山にして、将来これが輸出の中に材も輸出できるような日本の国の山づくりというものはできないであろうか、そういう点について、国有林野の経営の衝に当たっている林野庁長官として、日本の山全体を将来にわたって展望した場合に、そういうことは不可能なものであるかどうか、その点ひとつお聞きしたいと思います。
  13. 福田省一

    福田政府委員 お答えいたします。  御指摘の点でございますが、日本森林は、先ほどもちょっと申し上げましたように、約六八%森林国ではございますけれども、平均しまして一人当たり森林面積は〇・二五ヘクタール、かようになっております。御参考までに世界平均は一・二ヘクタールでございますが、日本森林面積は、国土全体の面積に比べますと、非常に大きいわけでありますけれども人口が多いわけでありまして、これの一人当たり需要を考えますと、将来はもっともっと自給率を高めてまいらなければならない、かように思っておるわけでございます。  林業基本法に基づきまして、五十年先の森林資源はどのようなものにしたらいいかということを、閣議で決定しなければならないというふうになっております。先般、その閣議決定をしていただいたのでございますが、五十年先の見通しを、木材需給関係森林資源の内容を発表いたしたのでございますけれども、現在は外材のほうが多くなっておりまして、自給率は四五%でございます。外材が五五%となっておるわけでございます。五十年先には、これをいかに高めてまいりましても、木材需要が相当伸びてまいりますので、自給率が約六〇%台、輸入つまり外材輸入率が四〇%台というところが五十年先あるいはその先のおよそのめどでございます。食料と同じように、できるだけ木材自給率は高めてまいりたいのでございますけれども、ただいま推定しておりますところでは、そういう状態でございます。
  14. 井上泉

    井上(泉)委員 私は、林業基本法ができたとき、国会の中でどういうふうな審議の経過をたどったか、そのことは承知をしませんけれども、少なくとも林業基本法の第一条の法律目的あるいは政策目標、それらを条文どおり読みますと、非常にりっぱである。ところが、この基本法の線に沿って行政が執行されていない、政策が行なわれていない。それがために今日の林業危機を招いておるし、それがまた五十年先においても日本の山における自給率は六〇%。百年先を見通してもこういう状態は変わらないのかどうか、こういう点も疑問に思うわけですが、山というものに対する考え方、あるいは山に対する政策が、これはやはり国民的な合意が林業基本法でも——満場一致で成立をしておる法律であるというように聞いておったわけですが——先輩が言うのに、なかったそうですから……。  ところで、林業振興に関する決議がなされておるわけです。この決議衆議院昭和四十六年三月二十五日になされたわけです。この林業振興に関する決議、それから今日の「森林資源に関する基本計画並びに「重要な林産物需要及び供給に関する長期見通し」、さらにまた四十七年度に政府林業政策として講じようとしたこと、これらが全く国会の中での決議だけであって、これが実際面で生かされていないということを指摘せざるを得ないわけであります。この林業振興に関する決議は、私が質問最初に申し上げたように、これは法律ではないけれども国会の中で衆参両院においてこの決議がなされておるわけです。これはまさに国民の総意に基づくところの森林行政に対する指針だと思うのです。この指針が生かされてこそ、初めて日本の山が守られていくわけであるが、なぜこれを単なる決議としてそのままとどめておいたのか。この点について、政務次官もこの決議のときにはおったと思いますし、林野庁長官もこの決議承知をしておると思うので、それぞれこの決議に対する見解を承りたいと思います。
  15. 中尾栄一

    中尾政府委員 井上先生にお答えいたします。  確かに、林業基本法制定を見ましたときには私ども身にしみてこの問題点を受けとめたわけでございまして、わが国森林そのものが、先ほど林野庁長官が申し上げましたように、国土面積の六八%を占めておるわけでございますけれども国民一人当たり資源として見ますと、面積蓄積ともに諸外国に比しまして必ずしも豊富ということばでは表現でき得ない実情にあるわけでございます。特に戦争中並びに戦後の過剰ともいえる伐採並び造林不足あとを受けまして、資源の改良につとめつつあるのが現状の過程でございます。  林野庁といたしましても、また農林省といたしましても、もちろん林業基本法制定以来、造林林道等林業生産基盤整備並び林業構造改善事業推進、また治山事業拡充のような林業振興施策の展開には鋭意努力してきたつもりでございますけれどもわが国経済のまことにリマーカブルともいうべき、たいへんな進展と成長の中で、その成果が必ずしも十全ではなかったという面もあるわけでございます。  しかし、最近におきまして、わが国森林林業が果たしております国土保全水源涵養あるいはまた自然環境保全及び形成というような公益的機能並び木材生産等経済的機能発揮に対する国民的要請はきわめて高いものがあります。今後ともこの林業基本法に基づきまして、一そうわが国はこの森林林業政策拡充につとめるということをお約束申し上げたい所存でございます。よろしくお願い申し上げます。
  16. 福田省一

    福田政府委員 四十六年の林業振興に関する衆議院、参議院の附帯決議についてでございますが、これにつきましては、できるだけ具体的に申し上げてみたいと思いますけれども、第一点は、造林あるいは林道、こういった林業生産基盤整備拡充しなさいということでございます。   〔委員長退席山崎(平)委員長代理着席〕  こういう点につきましては、造林あるいは林道予算面において四十八年度はできる限りの措置を講じてまいったのでございまして、これにつきましては今国会にその案を提出してございます。  なお次には、森林公益的機能に配慮した適正な森林施業の実施をしなさい、こういう点でございます。これにつきましては、従来のような木材生産だけを重点とした能率主義伐採を切りかえまして、国有林民有林を通じましての公益的機能を重視した施業方針に切りかえてまいっておるところでございます。  次は、国内生産量では木材需要を満たすわけにはまいらぬ、外材が相当ふえてまいっておりますが、この林業振興決議がございました四十六年、この際は外材が非常に安く大量に入っておりまして、国内林業が非常に低迷しておったときでございます。そこで、この際の決議では、外材の輸人については政府責任を持ってこれを円滑に入るように調整しろというような点があったわけでございます。そこで、四十六年度以降いろいろと検討いたしておりましたが、たとえば課徴金の問題であるとか関税の措置ということがつい昨年の秋ごろまで検討されておったのでございます。しかし、昨年の秋から急激な木材の価格の上昇がありまして、逆にまた外材輸入についてはもっと入れなければならぬというような要望も出てまいっております。それらの問題につきまして適正、円滑な輸入が実施できるように措置してまいっているところでございます。  次は、林業労働力対策でございます。国有林民有林を通じまして林業労働改善ということにつきましては、その環境の問題につきましても、あるいはまた社会保障の問題につきましても、賃金水準問題につきましても、他の産業と比べて劣らぬようにこれを上げていかなければならぬという点については、いろいろと配慮してまいってきているところでございますけれども、この点につきましても四十八年の予算でできるだけの措置を講じてまいることで検討を国会でお願いしておるところでございます。  次は、国有林野事業特別会計のあり方の問題でございます。この点につきましても、林政審議会意見も聞きまして、四十八年度の予算におきましては、治山事業を中心とします公益的な仕事に対しての一般会計からの補助の増額ということを相当に要望しているところでございます。  かいつまんで申し上げますと大体以上のようなところでございますけれども、しかし、これで十分だとは私も考えていないのでございまして、今後なおこの振興決議の御趣旨を尊重しまして、さらに努力してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  17. 井上泉

    井上(泉)委員 林業振興に関する決議のこの項目については、抽象的な説明ではこれは理解に苦しむわけです。少なくとも昭和四十六年ですから、七年、八年のことしあたりは、かなり積極的に政策の面でも予算の面でもこれが裏づけされなければならぬわけですが、その中に出ております「民有林対策として、市町村等の所有する公有林野および中小林家所有私有林高度利用目的とした「国が行なう民有林野の分収造林等に関する制度的措置」を検討し、その実現に努めること。」、こういうことが決議としてなされておるわけですが、このことについてはどの程度作業がいま進められておるのか、その点について説明を承りたいと思います。
  18. 福田省一

    福田政府委員 お答えいたします。  民有林におきます造林推進につきましては、ただいま先生から御指摘がありましたように、これを国が行なう分収造林の方式ということについての制度を考えるようにということが最初振興決議のところにあるわけでございますが、これにつきましては、林野庁におきましても、この決議をいただきましたあと、いろいろと検討してまいっておるところではございます。ただ、民有林造林考え方につきましては、林業基本法の中にございます自主的な努力政府が助長するのだというふうな考え方に基づきまして、できるだけ山を実際に持っております人たちが、これは造林を一ぺんすればそれでいいというものではございませんので、これが伐採し利用されるまでは数十年はかかるわけでございますから 実際にその山を持っておる人が、自分で木を植えて自分でそのあとを手入れをし、そして自分伐採できるというふうなことにしますことが一番いい山をつくる基本的な考え方であるというふうに実は考えておるわけでございます。そこで、できるだけ補助制度を助長し、あるいは融資の面でその改善をはかり、なおそれでもできないようなところにつきましては、県がいろいろと公社造林等でそれを応援し、なおまた水源地帯につきましては、公団造林等で従来これを応援してまいっておるところでございます。  そこで、それでもなおできないところがあるかどうか、つまり先ほど申し上げましたように、日本森林状態は、五十年先におきましては自給率を高めるために、さらに現在三七%程度造林地を全体としましては五四%まで上げようという考え方に基づきまして、国有林約三百万ヘクタール、民有林一千万ヘクタールの造林計画を持っておるわけでございます。そこで、いまお話ししましたいろいろな制度でなお足らぬところについては、五十年計画でできないところは、なお国がこれを見てやらなければならぬというところがあるかどうかということにつきまして、現在林野庁におきましても、きめこまかにいろいろと各市町村等実態調査しておるところでございまして、この点についてはなお検討してまいりたい、かように思っておるところでございます。
  19. 井上泉

    井上(泉)委員 それではこの決議の中の「国が行なう民有林野の分収造林等に関する制度的措置」というものについては、実態調査の上でないと、これについての制度的なものをどういうふうにすべきかということについてはまだ構想が煮詰まらない、こういうわけですね。
  20. 福田省一

    福田政府委員 ただいま一般的な考え方を申し上げたのでございますけれども、国がそういった民有林造林がなお非常にむずかしいところにつきましては助長してやらなければならぬと思うわけでございまして、ただいま御指摘がございましたように、具体的に各地区ごとに現在調査中でございまして、その結果によりまして具体的な案をつくってまいりたい、かように思っておるところでございます。
  21. 井上泉

    井上(泉)委員 けさの東京新聞にも載っておったのですけれども民有地の、しかも里山に類するところ、あるいは里山から少し離れたところ、そういうふうなところの大規模な土地買い占めが行なわれておる。こういうことがなされておるわけで、その買い占めをした土地を何に使うのか、こういうことになると、これはゴルフ場とかあるいは別荘だとかいうふうなもので、山本来の目的と離れた方向にその山が使われておる。これは政務次官山梨あたりはずいぶん買われておると思うし、政務次官も買うておるかもしれぬけれども、そういうふうに日本国じゅうの山が、最も植林の可能な民有地、しかもまた自分の力ではようやらないところ、そういうところが非常に買い占めをされておるわけですが、この点について林野庁はどう考えておるのか。
  22. 福田省一

    福田政府委員 最近、実はそういうふうな情勢がございますので、林野の実態についてつぶさに調査しなければならないと思いまして、特にそういう傾向のございます都市周辺あるいは観光地を中心としたそういう周辺についての事例調査等を現在いたしておる段階でございます。ただ、売買契約の中からだけでは一体その土地をどういうふうに使うかということはなかなかはっきりつかまえられないのでございます。いままでのところでは、御承知かと思いますけれども国有林につきましては、全国を八十の区画に分けまして、民有林につきましては二百五十六の区域に分けまして、それぞれ五年に一回計画をつくるのでございますが、その際に森林がどのように変わっていっているかということの調査をつぶさにいたしております。それを集計いたしますというと、森林状態がどういう形でふえたのか、どういう形で減ったのかということが実はわかるわけでございますが、いますぐには実はこの集計ができないのでございます。したがいまして、事例としましては、そういうふうなことで都市周辺あるいは観光地周辺を現在調査いたしております。  こういったようなことを防止することはどうしても必要だと考えますので、極端な森林の乱開発を防止する意味で、森林法の中で乱開発の規制をいたしたいということで、森林法の改正を今国会で提案し、御審議をいただきたい、かように思っておるところでございます。   〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
  23. 井上泉

    井上(泉)委員 いや、都市周辺というよりか、むしろ都市周辺から今度青森県あたりでも、あるいは四国の高知県からあるいは九州、山陰地方、至るところで土地買いが全国に波及をしておるし、いま長官の言うようなことをやるうちには、今度そういう里山あるいは造林可能な山を山本来の姿に育てようとしても、そのときにはもうすでにゴルフ場になってしまっておって、どうにもならないような状態になると思うわけですが、これについてはすでに新聞記事なんかでもかなり具体的に、どこそこでは何ヘクタールのものが買われておる、どこそこではどういうふうになっておると、こういうことが新聞記者の才覚ですら調査ができておるのに、林野庁あるいは農林省の機関でこの辺の調査が十分にできていないということは非常に不見識だと思うわけです。林野庁長官、最近における山林の移動状況というものはわからないですか。
  24. 福田省一

    福田政府委員 まことにただいま御指摘のとおりのことでございますので、全森林と申しますというと、国土の三千七百万ヘクタールのうちの六八%、二千五百万町歩ございます。そういったことですから、これはたいへんなことでございますので、ただいまそういった傾向の強い地区を選びまして現在調査をしておるわけでございますが、先ほどちょっと申し上げました、手間はかかりますけれども、二百五十六の森林計画、八十の経営計画につきましては、その移動の状態調査しておるところでございます。御指摘のようにできるだけ早くその結果を出したい、かように考えております。
  25. 井上泉

    井上(泉)委員 林業振興に関する件で、第一、山を育てるということが、作業にしてもまだ十分な施策というものが講ぜられていない。そういう中で、一方、肝心な山を育てる、山を守っていかねばならない山林労働者というものが急速に減少しておるわけですが、これは一体どこに原因があるとお考えになっておるのか、御見解を承りたいと思います。
  26. 福田省一

    福田政府委員 山林労働者の減少傾向につきましては、先生指摘のように、最近五カ年間に約半減しておるわけでございまして、四十六年の統計を見ますというと十七万、かようになっておるところでございます。過疎化現象ということは確かに最近目立つ傾向でございまして、それはやはり山林に働く人たちの生活環境なりあるいは生活水準なり、そういったようなことが、ほかの都市生活の人たちと比べて劣らぬように維持してやるいろいろな施策が必要であろうということは私から申し上げるまでもないところではございますけれども、そういう意味で、やはりこの過疎化現象を食いとめて山林労働の人たちをできるだけその地帯に安心して定着できるような政策といたしましては、民有林関係におきましてもいろいろと予算措置を講じておるところでございますが、御指摘のようなことがないようにできるだけ努力してまいりたい、かように思っておるわけでございます。
  27. 井上泉

    井上(泉)委員 それは幾ら造林予算をつけても、やはり山で働く人がないと、これは山で木を植えることもできないし、あるいは山を手入れすることもできないわけですが、その点について、これは特に林野庁の関係の統計で見ますと非常に驚く。労働力の危機化現象——危機というか、これは年齢別に見ましても、三十五歳から五十四歳までの間の方が大体定期の二万人の中で一万人以上を占めておるわけで、二十歳−二十四歳あるいは三十歳未満の労働者というものは非常に少ないわけですが、こういう状態になると、二十年、三十年先には今度は山で働く人は全然いなくなってしまう。そのときにおける山の荒廃というものはもう想像するもおそろしいような現象が生まれるわけです。いまこそ山に働き場所を、そうして安心して働けるような条件を与えるということが、特に国有林野の労働者というものは民間の山で働いておる労働者の一つの基準になるわけなので、その点についてもっと林業労働者の待遇改善というか、そういうふうなものは林業基本法をつくったときにも、日本の山を守っていくためには山で働いておる労働者というものに対する優遇措置を講ぜにゃならぬ、こういうことをうたっておるし、それからまた林業振興に関する決議の中でも、日本林業のにない手である林業労働者が山村に定着するためには雇用の安定や、あるいは他の産業と格差のないようにというようなことが打ち出されておるのに、その一番肝心の林野庁自体の中にこういうふうな山で働く人たちに対する長期の労働力を確保するような展望がないということは、これはたいへんな山の危機をもたらすことじゃないかと思うのですが、その点についての林野庁長官の御見解を承りたいと思います。
  28. 福田省一

    福田政府委員 林業労働の確保につきましては、私たちも非常に頭を悩ませておるところでございますけれども林業労働の本質といたしまして、先生当然御承知のところを私から申し上げるのは恐縮でございますけれども、特に造林労働におきましては非常に季節性がございます。私たちはできるだけ一年間雇用できるように、しかも継続して長年雇用できるような形態に持っていくように努力しておるわけでございますけれども、やはり地域地域によってある程度実態の相違はございます。つまりあたたかいところと寒いところとでもいろいろ違いはございますけれども、どうしてもやはり春、夏に忙しくて冬がひまだなどというところの組み合わせで非常に苦労するわけでございます。そこで、原則としましては、できるだけ一年間を通じ、また一カ月や二カ月ということでなしに、半年あるいは一年近くというふうに、換言しますと、雇用の長期安定化ということに努力しておるところでございます。  もう一つは、社会保障制度が、ほかの産業に比べますと、林業労働の場合は非常におくれておるわけでございまして、国有林の仕事に従事する職員の皆さんはもちろんでございますけれども民有林の関係の林業労働に従事される人たちはなおさらにまたその点はおくれておるという問題もございます。やはりそういった社会保障制度が適用できるような条件をつくらなければなりませんので、仕事の組み合わせであるとか、場所のある程度の移動とかということにいろいろと配慮いたしまして、雇用の安定、長期化ということに今後も最善の努力を続けるようにしてまいりたい、かように思っておるところでございます。そこで、ある程度そういった実績が出てまいっておりますけれども、先ほど申し上げました三十四万人の雇用労働というものが昨年の統計では半分の十七万人になっておりますけれども、いま申し上げたような形で、つまり雇用の長期化という形あるいは臨時が少なくなって常用がある程度多くなっておるとか、これは国有林民有林を通じてでございますけれども、そのほか自営というふうな労働力が非常に少なくなって雇用労働力が多くなるという形で、いま申し上げたような内容が、質の点では少しずつよくなってまいっておるというふうに思うわけでありますけれども、なお一そうこの点については改善努力をしてまいりたい、かように思っております。
  29. 井上泉

    井上(泉)委員 林業労働者が全体的に他産業の労働者から見ればおくれておる、こういうことを林野庁長官がみずからお認めになっておるならば、それを解消するような具体的な政策というものを提示して実行していかなければならないわけですけれども、おくれておるから何とかしなくてはならない、何とかしなくてはならないということでそれがずうっと放置をされておる。  それで、特に国有林野で働いておる労働者の年齢構成を見ても、国有林で働いている労働者ですらこうですから、民間の山で働いておる労働者の年齢構成はもうかなり高いと思うのです。そしていま若い二十、三十の山で働いておる労働者というものは民間の場合なんかは非常に少ないと思うのです。そういう状態を克服するということが、日本の山を守っていくところの基本的な要件ではないかと思うのですが、これについていま抽象的に、おくれておるから何とかしなければならぬ、こういう説明ですけれども、実質的におくれておって、質がよくなっておると言いますが、質がよくなっておるかもしれないけれども、このよくなる質がだんだん減ってきておる。こうなると、質がよくなっているわけではなしに、全体的に山で働いておる労働力の質というものはまことに低下をしておる、こう考えざるを得ないのですが、これは労働力の質が低下しておると思わぬですか。
  30. 福田省一

    福田政府委員 私が質と申し上げましたのは、短い期間雇用されるか長い期間雇用されるかという点についてだけ申し上げたのでございますが、確かに年齢別に見ますと、四十歳を境にしまして四十歳以上が多くなり、四十歳以下が少なくなる。それから女性化の傾向がありまして、女性化したということが質が悪くなったと言っていいかどうか問題がございますけれども、確かに男性が少なくなって女性が多くなっております。そういうことは先生の御指摘のとおりでございます。  そこで、やはり日本の全体が、国民全体がある程度老齢化の傾向をたどるという点からしますと、林業労働もある程度しかたないかもしれませんけれども、少なくとも平均値以上あるいはそれ以下にはならぬようにということも、山林労働の激しい、労働強度のきつい点を考えますと、そういうふうに持っていかなければならないと思うわけでございます。そして必要なことは、そういう仕事の場を変えていくことであろうと思うわけでございます。たとえば林道をもっと濃密に入れていく、しかももっと経費をかけたい道路にしていく必要もあると思います。それから作業のしかたにつきましても軽化をはかり、しかも安全で軽労働ができるという方向にこれを変えていく必要があるというふうに思うわけでございます。それらの点をあわせ考えまして、仕事がある程度年をとりましてもやりやすくなるような環境をつくっていくということが必要であろうというふうに思うわけでございます。  そういった意味につきましての民有林に対する補助、あるいは国有林におきましても予算の増額等については今後もつとめてまいりたい、かように思っております。
  31. 井上泉

    井上(泉)委員 現在国有林野で働いておる労働者の質というものが非常に老齢化してきておるということは長官もお認めになっておるところであると思うし、これから山を守っていこう、こういう長期計画の上に立って木材自給率を五十年先に六〇%に高めよう——山の仕事というものは一朝一夕で成り立つものではないわけです、他の産業と比較しても。労働力の確保というものも、若年労働者から老齢労働者までこれは平均した労働人口というものが確保されておらねばならないわけですが、そういう点から見ても、林野庁国有林野で働く常用、臨時を含めまして、四十八年度の新しい林業政策を遂行するにあたっては人員の大幅な増加というものが、労働力の大幅な増加というものが必要でないか、その点について林野庁長官に伺います。
  32. 福田省一

    福田政府委員 御指摘のように、林業労働というものは、ほかの産業の労働に比べますと、相当激しい労働であるというふうに思うわけでございます。したがいまして、国有林経営を例に取り上げましても、やはり国民の皆さんの期待にこたえるような意味での近代化、合理化ということは必要だと考えておるのでございますが、最近の経営の方針を、国有林におきましては特に新しい施業の方針ということで変えたのでございます。  簡単に申し上げますと、従来のような木材生産を重点とした能率重点の考え方から、公益性を重視した森林経営に持っていくということにしたのでございまして、その結果としまして、治山事業等は非常に伸びておりますけれども木材伐採量というものは相当減少したのでございます。そこで、その減少しました中で、その伐採の方法も、従来のような大面積皆伐をやめまして、小面積の皆伐、しかもそれを分散させる、天然林をその間に相当残す、あるいは皆伐はやめて、中腹以上につきましてはできるだけ択伐の方式に持っていくというようなことにしたのでございます。そうしますと、在来のような仕事面では仕事量は減りますので、人の利用というものはしたがって、同じ比例では減りませんけれども、つまり相当手のこまかな仕事をしなければなりませんから、同じ速度では減りませんが、やはりある程度これは減少してまいると思います。しかし、その反面、別の面で、つまり森林の管理の面、先ほど申しました公益的な機能を重視するという面での仕事はふえてまいっております。それらを兼ね合わせまして、森林全体がよくなるような最小限度のきめのこまかい施業に必要な人員は確保してまいらなければならぬ、かように思っておるところでございます。   〔「年齢の断層をつくってはいかぬ」と呼ぶ者あり〕
  33. 井上泉

    井上(泉)委員 いま横で言われているように、年齢の断層というものが非常に大きいでしょう。年齢の断層をなくするということが日本の山を守っていく場合の一番肝心かなめのことではないか。ところが、山林労働者の労働条件が非常に劣悪なために、山で働く者がなくなってきておる。そのことは長官も認めておる。だから、これは他産業並みに山で働く山林労働者の待遇改善については熱心に取り組む、こういうふうに言われておるわけですから、そういう中で年齢の断層をなくするような新規雇用ということを積極的に打ち出さないと、ますます山はさびれていってしまうわけであります。  特にこれからの山を守っていく、育てていく仕事の中で、これは今度また委員会の中でも審議するわけですけれども、大規模林業圏の林道事業というものがとり行なわれておるようですが、その林道事業をやって、そのことによってその付近の山が造林され、また手入れがされて、将来にわたってはこれが伐採をされ、材としての供給源をつくり上げていくというような、そういう構想があっての上での大規模林業圏の林道開発の林道事業であるのかどうか、この点についての構想を承りたいと思います。
  34. 福田省一

    福田政府委員 いまお話のございました大規模林業圏という考え方をかいつまんで申し上げますと、従来奥地でまきや炭を生産しておりましたような地帯が日本にも相当ございます。たとえて申し上げますと、高知県の西側のほうの山であるとかあるいは中国山脈の地帯、北上山脈その他大きく拾いますと大体七地域くらいと私たちは考えておるのでございますけれども、そういったような昔の炭、まきの山で、そこに住んでおった人たちが非常に過疎化しつつある、そういう地帯を何とかしなければならぬということから、そういう地帯につきましては、まず連絡道路をつくりまして、そこで将来もっといい木材のとれる針葉樹等をそこに植栽する、あるいはまたその地帯で畜産の振興をはかるとか、あるいはまたあわせてレクリエーションの場としての森林をそこに造成するというふうな考え方から、大規模林業圏というものを設定したのでございます。昭和四十六年からこれらの地帯につきまして調査を開始しまして、二カ年の調査を終わった段階で四十八年から、先行いたします三地域、北上山地、中国山地、四国山地、ここに林道の開設を開始したのでございます。従来の林道というのは、御指摘を受けておりますが、やはり木材生産して、それでペイするような林道をつけるというのが主体でございましたので、非常に単価を安くあげなければならないということがまず頭にありまして、林道をつけたあとは非常に荒れるという問題があったわけでございますが、それらをまず是正していかなければならぬという考え方に立ちまして、今度初めて林道としては舗装する林道ということを新しく大規模林業圏の中につくったのでございます。しかも従来の一車線から二車線に変えましてそういう林道を基幹林道としてつくり、補助金も三分の二補助ということにいたしまして四十八年度から開始したものでございます。そういうふうな意味で、木材生産以外のその地域の過疎地帯の多目的開発ということを考えた構想でございます。
  35. 井上泉

    井上(泉)委員 その多目的のもとにおける開発計画ということで、すでに三つの個所では開発実施計画の策定が終わっておるということでありますので、この終わっておる地域でどういうふうな実施計画を立てておるのか、この点について、これは資料として御提示を願いたいと思います。ややもすれば林道をつけるということがマイカー族のための林道、こういうことになっておるきらいがあるわけなので、この大規模林業圏の林道事業に基づく開発実施計画というものが、真に日本の山を守り、日本の山の中から材を将来にわたってつくり出していけるような計画になっておるのかどうか、その点を十分検討いたしたいと思いますので、その辺の資料を承りたいと思います。  そこで、多くのことを申し上げる時間的なあれがないので、いま日本の山で造林可能な面積というものはどれくらいあるのか。それは民有地、国有地に分けて……。
  36. 福田省一

    福田政府委員 お答えいたします。  造林可能な面積はどれくらいあるかという御質問でございますが、現在目標としましては、概略申し上げますと、千三百万ヘクタールの造林地を五十年先にはつくりたい、こう考えておるわけでございます。
  37. 井上泉

    井上(泉)委員 いや、現在……。
  38. 福田省一

    福田政府委員 現在はそのうち三七%が造林化しておりますけれども、千三百万ヘクタールになりますと五四%になるという計算にしてございます。ちょっと絶対値はいまここに持っておりませんけれども、全山を造林地にするのではなくて、約五割ちょっと、五四%を、中腹から下にかけて日本森林造林化していこうという考え方に立っております。その総体の数字は一千三百万ヘクタールでございます。現在その三七%しかできてない、こういうことでございます。
  39. 井上泉

    井上(泉)委員 現在三七%というてもわれわれわからぬですから、現在造林可能な面積——五十年先の造林可能な面積だったら、去年植えた木が、ヒノキで五十年先でしょう。いわば現在すでに造林の終わっておるところです。現在人を入れれば造林ができるという面積国有林の場合で幾らあるのか、民有林の場合で幾らあるのか、これをひとつ御報告願いたいと思います。
  40. 福田省一

    福田政府委員 現在ありますところで造林しようとすれば、現在ある森林の一部を伐採しなければならぬわけでございますが、一応既往の造林地は全部完了しておりまして、これから毎年新しく伐採した分について造林してまいるわけでございます。国有林は年平均にしますと大体八万ヘクタールでございます。民有林につきましては年平均大体二十三万ヘクタールくらいというふうになっておるのでございます。
  41. 井上泉

    井上(泉)委員 それじゃなしに、民有林のところで造林可能なところがどんどん——雑木がある。それでその雑木林を土地ブローカーあるいは大手商社なんかがどんどん買い占めをして、そういう植林可能な山林というものをつぶしておるでしょう。そういうところ、そういう植種を、いわゆる雑木林から造林木に切りかえることの可能な面積というのはどれくらいあるのですか。
  42. 福田省一

    福田政府委員 ちょっと御質問の趣旨をよくのみ込まなくて失礼いたしました。いま先生のおっしゃいましたのは、雑木林を切ってもっといい林に変えるという計画は、拡大造林と私たち申しております。それが約三百四十万ヘクタールでございます。
  43. 井上泉

    井上(泉)委員 その三百四十万ヘクタールは民有林ですか。
  44. 福田省一

    福田政府委員 民有林でございます。
  45. 井上泉

    井上(泉)委員 その三百四十万ヘクタールの民有林長期見通しの中で造林木に変えるという計画になっておるのですか。それともこれはその計画の中に入ってないのですか。
  46. 福田省一

    福田政府委員 昭和六十五年までにそれを完了する、こういう計画にいたしてございます。
  47. 井上泉

    井上(泉)委員 この膨大な民有林昭和六十五年までにやるとすれば、年次別に考えて相当な、たとえば昭和四十八年度にはかなり労働力というものが必要だと思いますが、それについても今日労働力を確保するだけの山林労働者に対する労働条件が十分でないということは、これはいま長官もお認めになっておるところであるし、労働者の労働条件を変えていって安心をして山で働けるためには、やはりこの際国が積極的に出て分収造林法、造林計画というものを策定して、地域のそういう民有地を開発していくという構想を打ち出すべき時期ではないかと私は思うのですが、それをまだ調査調査というようなことで時を経過してやるということはあまりにも漫漫的ではないかと思うのですが、その点について、政務次官林野庁長官、あわせて御見解を承りたいと思います。
  48. 中尾栄一

    中尾政府委員 井上先生の御趣旨、十分把握をいたしまして、また御趣旨の点ごもっともでございますから、ひとつ鋭意努力を申し上げたいと思っております。
  49. 福田省一

    福田政府委員 一般的な考え方につきましては、先ほど再三申し上げましたが、先生の御趣旨を尊重いたしまして、調査につきましてはさらに十分努力をし、早期に具体案をつくりたい、かように考えております。
  50. 井上泉

    井上(泉)委員 大体国会委員会審議をして、それで答弁されたことが次の年度で実行されておるというようなことはなかなかないわけです、特に野党質問に対しては。野党質問に対して政府が答弁をしたことが実行されておれば、今日の林業危機というものは免れて私はないと思うのです。そのことを実行しないがために林業危機というものが生じておるわけで、こういうふうに国会の中では林業振興に関する決議というものが満場一致で、これは与野党ともに満場一致決議されたことが、これが今日なお制度化されずに、実際行政の面に生かされないということは、これは行政の怠慢であると同時に国会の軽視につながっておる、こう指摘せざるを得ないわけです。  そこで、経済企画庁の中山計画官がおいでになっておるようでありますので、経済社会基本計画という中で森林林業政策というものが打ち出されておるわけですが、ほんとうに山が持っておる価値というものを、何か遊び場のような価値のようなことに重点を置いておるような、そういう表現のあることが私は気になってしょうがないわけですが、この経済社会基本計画の中における森林林業政策というものは何をもとにしてこういうものが示されておるのか、文章としてはまことにりっぱですけれども、何をもとにしてなされておるのか、この点についての説明を承っておきたいと思います。
  51. 中山昇

    ○中山説明員 お答えいたします。  経済社会基本計画におきましては、一つには自然環境保全するというような意味合いで、一般の産業の産業活動が公害等を非常に無視いたしまして行なわれたことに対する反省というのが一方でございます。農林漁業につきましては、そういう意味からいたしますと、そうではなくて、自然環境を維持培養するという意味合いで、非常に価値のある産業だというふうに私どもは考えておりまして、そのような見地から、森林林業政策につきましても、今後の森林林業政策につきましては、木材生産という経済的機能というものと一緒に、国土保全水源涵養公益的機能といわれておりますような機能を十分総合的に発揮させるという観点に立ちまして、今後の森林林業政策については十分力を入れていかなければならないというふうに書いてある次第でございます。
  52. 井上泉

    井上(泉)委員 これは林野庁が緑の効用十三兆円ということでずいぶんPRされておるわけですが、これは十三兆円、金で換算をすればそういう価値になると思うけれども、それより以上、金で換算のできない貴重な山としての価値があると私は思うのです。その価値ある山をますます価値あらしめるためには、何といいましても山というものを山本来の姿につくり変えていかなければならない、していかなければならない。山の持っておる価値というものが人間社会に生きるようなやり方にしていかなければいかぬ。やっていくためには、幾ら法律をつくっても、幾ら金をつぎ込んでも、結局これは人がやるわけなんです。この点における林業労働者の待遇の改善ということ、これはいまの民間の山で働いている人たちというものは健康保険もない、もちろんそれに伴って失業保険もない。そういう中で放置をされておるから、ますます山で働く人が少なくなってきておる。いまこそ山で働いておる労働者に対して安定をした制度というものを確立せなければいかぬ。その確立をするためには、民間、国有を問わず、国として林業労働者に対する施策というものを打ち出していかなければならぬと思うのですが、それについて林野庁長官は何か、林野の労働者がストライキをすれば、それに対して半数以上の処分をするというような、全く人間社会で普通考えられないような——一番山を守っておるのは労働者である。その山を守っておる労働者が山を守ろうとして立ち上がったら、それはいかぬぞというようなやり方で押しつけていくということでなくて、もっと山で働いておる労働者を大切にするという林野庁としての行政の姿勢というものを打ち出していただかなくてはならない時期ではないか。そうしないと、いま山で働いておる人は、今度またあとを継ぐ者がだんだんなくなる。そうすると過疎はますます激しくなる。何も工場を誘致するとか山村へ農村工業を持ってくるとか、出かせぎへ行かないように季節的な工業を持ってくるとかいうことを——きのうの農林委員会で答弁を聞いておるとそういうことがあったわけですが、私は山こそほんとうに緑の大工場になる、緑の大工場にすることによって、山の過疎化というものは食いとめることができるわけで、そういうことについては、やはり林野庁長官としては思い切った政策の転換を政府に要求してやらなくてはならないと思うわけであります。私の質問時間がなくなりましたが、この点についての林野庁長官そしてまた政務次官からも見解を承って、私の質問を終わりたいと思います。
  53. 福田省一

    福田政府委員 まさに先生指摘のとおりでございまして、これからの日本森林をしっかりと守っていくためには、やはり山林で働く人たち環境というものを他の産業で働く人たちよりももっとよくしていかなければならぬということは、私は御指摘のとおりだと考えておるわけでございます。そこで、そういったようなことにつきましては、いろいろと制度改善なり何かにつきまして、国有林民有林を通じまして、最善の努力をしてまいりたい、かように思っております。過疎化現象ということも、やはりそういう他の産業で働く人たちの水準に比べて、社会保障なり賃金水準なり、あるいは環境が芳しくないということでございましょう。Uターン現象ということが最近ございますけれども、できるだけそういったUターン現象が起こるような方向で林業政策につきましては、特に労働問題については真剣に取り組んでまいりたい、かように考えております。
  54. 中尾栄一

    中尾政府委員 もうまさに井上先生指摘のとおりでございまして、私ども行政の任に当たる者といたしましては、日の当たらないところに日を当てていくということが、これがもう政治基本条件であるという感じがいたします。すなわち相手の立場になって考えていく気持ちというものが政治に反映されなければいけない。これは要諦でありテーゼであると思うのでございます。これは私も心してそのような行政方針をとっていきたいと思っているのでございますが、先ほど申し上げましたように、これにはいろいろの諸条件もございます。Uターン現象もございますけれども、確かにこれは、ただ農林省当局のみならず、社会的な立場で見ましても、現在の社会教育並びにマスコミ関係にも御協力を賜わって——やはり何か農村というと、じめじめした、うら悲しい、もの悲しい、そういうものだけが投影され、また都会は、すべてがすぐにも立身出世していけるような夢につながっていくような投影がなされる。これではやはり青年、農村並びに山林分野に従事する方々も、ほんとうにデスペレートな絶望感を免れないわけでございまして、そのUターン現象がそのまま山林分野に帰ってくるのではなくて中途の中小企業に帰ってくるのでは、何の意味も持たないわけでございます。それだけに私どももこの問題を十分踏まえまして、やはり生活権の安定されたところにこそ企業の発展があるという一つの大前提を踏まえまして努力をしていきますことを、井上先生にお約束申し上げたいと思うわけでございます。
  55. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 関連して……。  私はこの際これは委員長のほうにお願いしたい。  現在木材の値上がりというのはものすごいものです。そこで、きょうここですぐ議論するわけじゃありませんが、次の資料を林野庁から出してもらいたい。五点を要求します。  第一は、現在の木材の値上がりの原因について。第二、木材の原産地の実情。たとえばアメリカ、カナダあるいはフィリピン、ビルマ、東南アジア諸島、そういうところの実情、それと国内における状況。これは針葉樹、広葉樹を含めて、どういうふうになっているのかということについての資料。第三点は、現在までの木材の値上がりを阻止するためにどういうような指導をやってこられたか。すなわち、十一月十五日に林野庁は通達とも覚え書きともつかないようなものを業者に出しておるのですけれども、その内容はひとつも守られておらない。むしろそのことによってかえって結果が悪くなっておる。こういうことについても、そのほかに何か指導されたのか、あるいは指導する方針があるのか、こういう点について求めたいと思います。それから第四番目は、国内輸入業者の実情。どういう業者が木材輸入に携わっているのか、業界の実情。それから最後に五番目として、十一月九日に業界代表、輸入商社のほか他団体との間で懇談会をやっています。それからもう一つは十一月の十日に、業界及び団体と懇談会をやっています。その内容について明確に報告をしてもらいたいと思う。  これを次の委員会までぜひ提出を願いたいと思います。以上です。
  56. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 福田君、よろしゅうございますね。
  57. 福田省一

    福田政府委員 はい、けっこうでございます。
  58. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 瀬野栄次郎君。
  59. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 林野庁長官に対し、木材価格の急騰に対する対応方針、並びに国が行なう民有林野の分収造林等に関する制度的措置に関連して質問いたしたいと思うのです。  本日は時間の制約がございますので、森林基本であるところの地域施業計画及び地域森林計画については、来たる三月六日、農林大臣質問をいたすことにいたしておりますので、当面の若干の問題についてきょうはお伺いをいたしたい、かように思うわけでございます。  まず最初に、政務次官にお伺いいたしますが、今回の木材価格の急騰の原因、これはいろいろいわれておりますけれども政務次官はどのような原因木材価格が急騰したと思われるか、簡潔にひとつお答えをいただきたいと思います。
  60. 中尾栄一

    中尾政府委員 瀬野先生にお答え申し上げます。  木材価格の昨年夏以降の値上がりといいますのは、景気の回復に伴いまして住宅建設が活発化してまいりまして、木材需要が急増したのに対しまして、国産材、丸太の生産及び製材生産がそれに的確に対応し得なかった、そしてまた外材輸入は四十六年度より増大したけれども、全体としては供給が、急増する需要に対応し得なかったということが一番大きな要因になっておると考えられます。  また、最近の合板の値上がりというものも、関連いたしまして製材の代替品としての需要の増大によるところが大きいわけでありまして、南洋材の値上がりは、産地価格の値上がりのほか合板価格の値上がりの影響によるものが多い、このように考えるわけでございます。
  61. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 政府のほうでも木材急騰の原因等についてはいろいろ検討しておられるようでありますが、その中で、今回の木材価格の急騰の原因の一つに、金融機関が一斉に住宅ローンに力を入れて新規貸し付け額を著しく伸ばしたということも原因の一つである、こういうふうに思うわけです。このように資金の流れを急激に変えるということは、これによって生ずる影響を十分見きわめてその対応策を準備した上で行なうのが当然であると思うのでありますが、林野庁関係者にお尋ねしますと、今回の値上がりは全然予測がつかなかった、こういうふうにわれわれは聞き及ぶのでございます。  そこで、林野庁長官にこの点をお伺いしたいのでありますが、いつの時点でこういう値上がりを察知されたか。この点を明確にお答えをいただきたいと思うのです。
  62. 福田省一

    福田政府委員 お答えいたします。  いま先生指摘ございましたように、金融が緩和されまして住宅ローンが非常に急速に伸びたということでございまして、大体四十六年から四十七年の前半までは非常に木材価格が不景気で低迷しておりました。先ほど、実は林業振興に関する決議の中にもございましたように、それを申し上げたのでございますが、安い外材が相当大量に入ってきて国内材を圧迫しておる、林業が非常に衰退してきておるので問題だから、課徴金その他関税についての措置を含めて政府が検討しなければならぬというふうに決議されておるのでございます。で、去年の大体九月ごろまではいろいろとそういったような問題が議論されております。  大体十月に入りましてから今度百八十度回転いたしまして、急激に今度は外材をもっと入れなければならぬというふうな問題が出てきたものでございまして、いつごろそれを察知したかと言われましても、何月何日であったかということは明確に記憶いたしておりませんのですけれども、九月の段階までは大体まだ外材に対する一つの措置が必要であるという議論はあったような状態でございますので、九月以降というふうに私は考えておるわけでございます。
  63. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、林野庁長官、九月以降ということでございますが、関係者等に聞きますと、全く予期しない木材価格の急騰であったというふうに言われるのです。こういう席で聞くと九月以降と言われるのですが、それじゃ、九月以降、そのように察知されて、ごく最近までこれに対するどんな手を打たれ、現在どういうふうに対処しようとしておられるか、そういった見通し等について長官からお伺いしたいのであります。
  64. 福田省一

    福田政府委員 住宅ローンの緩和によりまして木材価格が急激に上昇したのは九月以降でございまして、特に十一月と十二月の上旬でございます。それまでは低迷ないし下降しておったような傾向がございますけれども、急激に上昇したわけでございます。そのために建築関係あるいは家を建てられる一般の消費者の方々が非常に迷惑をしたということがあったわけでございます。  そこで十月に入りましてから特にとりました措置といたしましては、国内材の中の国有林材を急速にとにかく出荷しようという計画が一つございます。それから民有林材につきましても、年度内の出荷計画を繰り上げて出すように各都道府県に対して協力を要請したのでございます。  つきましてはまた外材の問題でございますが、外材につきましても、商社に至急、米材、カナダ材、その他南方材につきましても——特に米材が日本の建築業界の中で使う柱その他、中心でございますので、米材についての輸入要請したところでございます。  なおまた、最近に至りまして木材の値段が非常に上がったものですから、特に屋根の下に使う板であるとか畳の下に敷く板のようなものが急激に上がってまいりましたので、従来そこに使わなかった合板の類が急に需要がふえてまいりまして、ただいま合板が上がっておるような状態でございます。したがいまして、合板の原料であるラワン材の値上がりの傾向もございますけれども、そういったようなことに対処しまして、去年の十二月には係官をアメリカ、カナダに派遣し、ことしに入りましてから、二月に台湾、朝鮮、マレーシア、シンガポール——これは合板を日本輸入しております、そこに派遣しまして向こうの情勢を調査し、その輸出の協力を要請しておるところでございまして、三月には相当、主として台湾、次いで朝鮮方面からも合板が入る予定でございます。  なお、去年に比べますと、ことしは米材あるいはソ連材、それから南方のインドネシアの材並びに合板、いずれも相当入荷しておりますので、三月現在、去年の十二月中旬から合板等ラワン材を除きましては大体価格は下がってきております。三月にはいま申し上げた合板あるいはラワン材等についても相当集荷がございますので、落ちついてまいるというふうに一応私たちは考えておるところでございます。
  65. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 私は、庶民の夢であるところのマイホーム建設については、当然促進していかなければならないし、これに何ら反対するものではありませんけれども、今回の木材価格の急騰によっていろいろ建設にも問題が起きておるわけです。  そこで、さらに林野庁長官にお伺いしますが、林野庁が事前に関係各省、すなわち建設省、経済企画庁並び日本銀行とか大蔵省、こういった関係者と連絡、協議を十分やるべきじゃないか、また、そういった必要があるのじゃないか、こういうように思うわけです。その点は従来はどういうふうになさっておられるのか。建設省は、どんどんマイホームを建設するために住宅ローンによって進めている。林野庁はそれに対応できない体制のままおるというわけでもないと思うのですが、その点について、また、従来、今回のような急騰に対してもそういったことには十分配慮してこられたものか、お伺いしたいのであります。
  66. 福田省一

    福田政府委員 実は、従来のことを申し上げますと、林野庁としましては、主として山林を持っておられる人たちあるいはそこから伐採をします人たちあるいは加工いたします人たちあるいは流通関係の人たち、そういったような、きわめて零細な人が多いのではございますけれども、そういった方面に対する指導あるいは国有林の経営ということに重点を置いてきておったわけでございますけれども、昨年の状態から、建設関係の人たちあるいは直接消費される人たちに非常な迷惑をかけたいきさつがございますので、私たちはそういう消費者に対する一つの行政と申しますか、そこともつなげていかなければならぬと思うわけでございます。従来はそういった点につきましては建設省なりあるいは通産省、企画庁との連絡が不十分であったと思いますので、ことしに入りましてから、特に建設省の住宅局を中心に、あるいは通産省、企画庁ともよく連携をとりまして、需要に対してはたしてすぐに供給が対応できるかどうかという実態も認識していかなければならぬと思っておりますので、連絡を密にしつつあるところでございます。
  67. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 政務次官、いまも長官の答弁をお聞きになったとおり、いろいろ原因はあるわけですけれども、何もわれわれは住宅に対してブレーキをかけるとかそういうのじゃなくて、そういったことが大きな一つの原因になっていることも認められるわけですね。また、従来各省、関係者との協議が十分でなかったといま長官も認められたわけですが、いわば各省のばらばら行政が問題になっているというふうに思うのです。これはほかの問題にも言えるわけですが、今回の大笠の暴騰もそうだし、米の買い入れの問題等起きております。いろいろ今後予測されますけれども、こういったことについて、きょうは農林大臣出席じゃありませんけれども政務次官から、そういったところをどういうふうに今後お考えであるか、また、どういうふうに対処されるか、ひとつ御見解を承りたいと思います。
  68. 中尾栄一

    中尾政府委員 瀬野先生の御質問、これは木材のことのみならず、全般にわたっての問題かと思いますので、全般的な体系でお答え申し上げたいと思うのでございますが、これは、行政機構の中で各省がこのように幾つかに分かれまして、それぞれの権能を発揮しながら、持ち前の分野、特徴を生かしていくという段階の中で、当然競合する場合も出てまいります。特に、農林省の場合のいまのこの木材などは建設省に多分に関係があるわけでございまして、先ほど来瀬野先生のおっしゃられるとおり、いわゆるウエージアーナーと申しますか、その日その日の月給をたよりに生きておるというような各層、われわれを含めまして、三十代、四十代に一つの家を持つ、すなわちマイホーム主義というものは夢であり、理想であると思うのでございます。それがこのように最近の土地の騰貴現象になり、さらに土地にプラスアルファして材木の高騰ということになりますと、まさにマイホーム主義の夢は消えたと言っても過言ではないほど非常に絶望的なフィーリングにおちいらさしめるものであると私どもは感ずるものでございまして、これは私ども各省の連携をさらに密にいたしまして、そして各省の中で食い違いのなるべくないように、ほんとうにバランスのとれた機能を発揮していける形というものに行政はなければならぬということをたてまえに、これは第二次田中内閣におきましても、そういう観点からでございましょう、国土の総合開発機構などを設けまして、現在はそれを煮詰めつつございます。これはいまの名称は的確な名称でないかもしれませんが、そういう形において、各行政の任に当たる省がそれぞれの分野と持ち前を生かし、なおかつ競合しないような形をとっていく方向にいま鋭意努力をしておる最中でございますが、そのような方向に私どももこれつとめていきたいと思う次第でございます。
  69. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 政務次官から今後の対策については強い決意の表明がありましたが、庶民の困っている問題等を見ますときに、林野庁としてもそういうふうにぜひしていただきたいと思うわけです。  そこで、これは林野庁長官に今度はお尋ねしますが、この外材の緊急輸入政府はいろいろ考えておられるわけですけれども、すでに御存じのように、各国の木材輸出規制が相当きびしくなってきております。米国もそうでありますし、カナダ、フィリピン、マレーシア連邦、台湾など、制限または禁止、一部には丸太だけ、製材はいいというところもございますが、全般的にこういうふうに禁止の方向または制限の方向へ進んでおることは御承知のとおりであります。そこで、外材需給検討会で外材輸入の適正化をはかってきたというふうに伺っておるのですけれども外材需給検討会の性格でありますね。と同時に、特に輸入量の調整をどうしてやってきたか、また、いかなる調整力をこれは持っておるのか、この点もこの機会に長官から明らかにしておいていただきたいと思うのです。
  70. 福田省一

    福田政府委員 お答えいたします。  外材需給検討会ができましたのは昭和四十五年でございます。その際は外材が相当ふえ始めたころでございまして、問題となりましたのは、植物検査の問題であるとか港湾の設備の問題というようなことが中心でございまして、そういったことをこの検討会におきましていろいろと協議しておったものでございます。昭和四十六年に入りましてから、先ほど林業振興決議にございましたように、安い外材が大量にどっと入ってきたというふうなことから、国内林業を圧迫するということで、ぜひこの点については政府責任をもって検討しなさいということもございまして、それで外材需給検討会におきましては、いかにして国内林業を保護し育成していくかということとの関連において、外材輸入量というものをどのようにしたらいいかということを検討し始めたのでございます。  ただ、申し上げますと、外材はすべていま自由化されております。ごくほんの一部、加工品で関税がかかっているものがありますけれども、自由化されておりますので、統制経済ではもちろんございませんし、林野庁といたしましても、おまえさんはどこの国から外材を何ぼ持ってきなさいというふうな権限は全然ございません。そこで、国内林業というものを擁護するには、お互いにことしの目安としては、全般に大体米材はこれくらい、ソ連材はこれくらい、あるいはまた南方材はこれぐらいが適当であろう、そういうことをそれぞれの輸入商社の人が頭に置いて、現地に行ってそういった買い付けをしてもらいたいという一つのめどを示したものでございます。  それが四十七年の秋以降、ことしにかけましでは、この検討会の方向が変わってまいりまして、何とかして外材をよけい入れなければ困る。木材の価格が急に暴騰したものですから、そういうふうにこの検討の内容が変わってきておるわけでございます。  ただ、そういたしましても、アメリカを中心にしまして、先生も新聞でごらんになったかと思いますけれども、特に先ほど申し上げましたように、国内材の中心をなすものは米材——カナダ材を含めてでございますけれども、米材でございます。これがアメリカにおきましても建築需要が相当伸びて、この二年間で木材価格が向こうでもやはり倍になっております。そこで、日本の商社が来て買い付けて持っていくことに対しては、向こうでも非常に抵抗があるわけでございまして、日本に対する輸出についてはこれを規制しなければならぬというふうなことで、今度のアメリカの国会にそういう規制の法案を出そうというふうな動きもあるような状態でございます。  そういったようなことで、外材輸入するといたしましても、いろいろ問題が多いのでございますが、ただ、今後のおおよその傾向といたしましては、原料の丸太として輸人することは、いずれの国もむずかしくなってまいる。やはり製材品として、場合によってそれがさらに加工された組み立ての部材という形で入るような傾向になろうし、またそうしなければ外国では出してくれないだろうと思うわけです。いままたインドネシアにおきましても、あるいはその他の国におきましても、日本人が現地へ行って乱伐をし、原料を持っていってあとを荒らして困る、日本人はどうもそういった意味ではエコノミックアニマルだという批判が相当ございまして、あとの緑化とか、あるいは向こうで伐採した原料をその国において加工してその国でものをつくってその国にも供給し、余ったものを日本に持っていくようにしてくれというような要望が非常に強く出てまいっております。今後の政策といたしましては、現地に日本の技術と資本を持ってまいりまして、現地の国のためにも働きながら、日本に製品を持ってくるというふうにして、木材の需給を緩和していくということが必要であろうというふうにただいま考えておるところでございます。  こういったような問題の検討につきましては、従来のような木材関係者あるいは商社ばかりでなくて、あらためて建築関係の人たちあるいは学識経験者なり主婦連の代表の方々も入っていただきまして、一月の初めから検討会を別につくって、年度内に一つの成案を得たいと思って目下鋭意検討中でございます。
  71. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 今回の木材価格の急騰は、投機的な面があるわけですが、それが投機であるということについては、林野庁はどういう認識をしておられるかということと、この投機の誘因となったといわれる米材、ソ連材の産地事情について、林野庁ではあらかじめどのような情報をキャッチしておるだろうか。すなわち、外材はすでに五七%、こういわれるようになっておりますが、これらの現地の情報というものが、的確に入らなければたいへんだと思うのですが、その点について長官はどういうように対処しておられたのか。簡潔にお答えいただきたいと思うのです。
  72. 福田省一

    福田政府委員 御指摘のように、外材はすでに四十六年で暦年で大体五五%でございます。昨年ふえまして、四十七年はまだ結果は出ておりませんけれども、おそらく五七%になるという見込みでございます。それで、先般二月の十六日に閣議決定を見ました長期需給の見通しによりますと、このピークが昭和六十一年に六四%くらいになる見通しでございます。まだいまよりも一〇%近く伸びるだろう、外材を必要とするだろうというふうな状態でございます。  さて、そこで、御指摘のように、どこの国から持ってくるかということが問題なわけでございますけれども、いまアメリカについては先ほど申し上げたような実情でございます。とにかくロッキー山脈から西側のほうしか針葉樹のおもなものはございません。アメリカ自体でも原料が不足しております。そうしますと、カナダがやはり相当の資源量を持っておりますので、カナダを一つの針葉樹の対象にするということになると思いますけれども、カナダは現在製材品しか売ってくれません。ソ連につきましてはやはり相当の資源量がございます。日本が現在二十億立方メートルの蓄積がございますけれども、ソ連だけつかまえてみましても約八百億、けた違いの数字がございます。沿海州だけでも五百億立方メートルという資源があるわけでございますけれども、向こうの港湾施設なり鉄道、道路の施設あるいは労働力の需給の関係等ございまして、急速にふやすということはなかなか無理でございますが、長期の契約によりましてこれも向こうのほうから入れていただくように考えていかなければならぬというふうに考えておるわけでございます。針葉樹につきましてはしたがいましてカナダとソ連でございます。  それから広葉樹につきましては、南方のインドネシアが主体になるというふうに思うわけでございますが、その開発のやり方につきましても、先ほど申し上げたとおりでございます。  なおつけ加えて申し上げますと、南米におきましても、たとえばブラジルとかアルゼンチン等におきまして、あそこは土壌が相当豊富であるとか、あるいは気温もいいし、雨量も適当であるということで、ものによっては日本の成長の数倍の成長をしている樹種もございます。そこでやはり植林をし、十年以内で伐採をし、すでにパルプを紙にして持ってくるという計画も進められている段階でございます。したがって、将来は南半球あたりのそういった国も対象として考えられるわけでございますけれども、くどいようでございますが、原料を持ってくるのではなくて、こちらの技術と人が行きまして、そこで開発に対する援助をしながら持ってくるというふうな考え方にならなければならぬと思うわけでございます。  従来は御質問ございましたような情報はすべて商社その他からとっておりまして、それじゃいかぬというふうに思いまして、実はアメリカ合衆国、カナダそれから東南アジアそれから韓国、シンガポール等にも係官を派遣しますし、今後も派遣しまして、政府も直接情報をとるようにしたい、かように考えておるところでございます。
  73. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間の制限があるので、政務次官にそれじゃお尋ねしますが、いま林野庁長官からいろいろ御答弁ありましたように、われわれが見ておりますと、結局、これは木材のみならずほかのものも言えますが、いま外国公館におるところの農務官、これの情報のキャッチのしかたがおそい、しかも的確でないというきらいがあるわけです。私も昨年九月から十月にかけまして東南アジア諸国、アメリカと経済事情を調査してまいったわけでありますが、そのときしみじみ現地で感じたわけです。もちろん農務官はほとんど外務関係の仕事に忙殺されて、実際の本来の仕事が手薄になっている。そのために情報のキャッチのしかたがおそい。いま林野庁長官からも指摘がありましたごとく、結局、木材の急騰といっても、海が結氷したりあるいは木材が土場にないということがわかっている。そういう情報がいち早くわからない。いま鉄道の貨車が少ない、あるいは油がないために貨車が動かない、あるいは土場に木材がない、これは木材が上がるというようなことは、いち早く商社のほうがキャッチする。そして現地でもっていわゆる投機の材料としてこれがいろいろと動いてきて、そのためにそのしわ寄せが国民の負担になってくるというふうなことで、これは私もしみじみと昨年の調査以来感じております。林野庁自体としてもその点がなかなか十分な情報キャッチができていない。これは木材のみならず、大豆にしてもほかの問題にしても同じなんですけれども、特に今回の木材価格の急騰にあたっては、そういったことを感ずるわけです。したがって、商社あたりから持ってくる情報によって初めて日本に知らされる、商社の好きな情報になるといっても過言じゃありません。そういったことを思いましたときに、そのときだけ派遣する。そのことが起きてから派遣するのではなくて、農務官をもっと指導し強化する。あるいはまた、現地に駐在員も置くことを考えなければならぬじゃないか、こういうふうにも思う。と同時に、こういった情報のキャッチについて今後いち早くやるために、絶えず現地駐在員を置くことはすぐにはできないにしても、どういうふうに検討され、対処されておるのか。これは国民にとってたいへん迷惑なことでありますので、政務次官の御見解を承りたい、こう思うのです。
  74. 中尾栄一

    中尾政府委員 瀬野先生のおことば、一々ごもっともでございまして、いまから数年ないし十年前には、外務委員会の席上で農業問題の端くれも出なかったものでございます。また農林委員会におきましても、外交問題なんというものはほとんど縁が遠かったと私は記憶するのでございます。それが昨今は、もう外務委員会の席とはいわず、農林委員会の場におきましても外交関係、いわゆる外国の農産物、外材その他の問題があれやこれやと論議の対象になるということが毎日のように生まれてくるわけでございまして、いまやグローバルに世界というものをとらえながら、日本の狭隘な社会にどのように対応していくかということが緊急の問題だろうと私は思うのでございます。そういう意味におきましては、ほんとうに狭隘なこの土地の中に一億の住民がおり、国土の半分以上は山林原野であるというのが日本の実情でございますだけに、ほんとうに世界的な視野に立って食料をどうするか、あるいは原木材をどうしていくかということは、私どもの緊急に考えなければならぬ問題であると思っております。  御指摘のとおり、先ほど長官も述べられましたように、まさに外国におきましても、日本の戦後二十七年の急成長において、いささかなりともそこに誤解やらひがみやらいろいろの問題点を加味して、日本に対する圧力もエコノミックアニマルということばに具現されますように、相当クローズアップされております。これは日本の商社もたいへん反省しなければ相ならぬことであると私どもは思っております。そういう意味におきましては、日本がそういうそしりを受けながらも、なおかつ日本の外国に果たすべき使命も十分踏まえて行政上の指導をなしまして、商社の行き過ぎ並びにそういうことのないようにしていかなければ相ならぬと私どもは考えております。同時にまた、先ほど先生の御指摘のとおり、商社のみからくる、あるいは経済畑のみからくる情報は均一のものではない。どちらかというと、ひとりよがり的な情報が間々あるやにこれまた承っておりますし、そういう点は十分留意いたしまして、私どもの関係各省とも連携を保ちながら、外務省の出先機関でもございますけれども、その中にも私ども農林省当局からも派遣をしております駐在員を通じまして、またさらにそれを強化して、情報網の的確なる運営に倍旧の努力を払いたいと思う次第でございます。そういう点はまたお気づきの点がございましたらますます御忠告を賜わりまして、私どもその点は世界的に、グローバルにとらえていく日本の農業でありたい、このように考えておることも付言申し上げたいと思います。  あしたでございますか、FAOの事務局長と農林当局と話し合う予定を私どもつくっておりますので、国際協力機構の中における世界的な農作物、外材、そういう問題等も私どものほうとしてもこれまた注文をつけまして、十分に情報の交換はスムーズかつ的確に行なっていくべきであるという基本方針に立って、私どもは進めていきたいと思う所存でございます。
  75. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 さらに政務次官にお尋ねしますが、これは林野庁内部のことでありますけれども、現在、林野庁の林産課に貿易班というのがあるわけですけれども、実際五名でやっているというのですね。五名ということは、アメリカ、カナダ、東南アジア、ニュージーランド、ソ連、ほかにもたくさん輸入国はあるのですけれども、大きなところだけを数えでも、そのでかい国に一人ずつの担当、こういうような計算になるわけで、一人の職員でそれだけ大きなものをかかえるということは、実際にできるかどうか。相当情報も入れ、また検討していかなければならぬと思うのですよ。これだけ国民にたいへんなショックを与え、また国民の生活上、社会問題になっている問題でありますので、もっと人事の配置、またいろいろな問題を相当検討していただきたい。はたして、これは有能な職員であるから五名でいいのかどうかわれわれにはわかりませんけれども、実際にこんなスタッフでできるのか。一億の国民の問題をこれだけでやるというわけではない。もちろん課長、部長、長官もおられるわけですけれども、直接衝に当たっている人は五名。こういったところをもうちょっと検討してやるべきではないか。私、政務次官に強く要望したいのですが、その点の御感想はどうでございましょうか。
  76. 中尾栄一

    中尾政府委員 先ほどの答弁にも関連いたしまして、全くそのとおりでございます。これだけ世界が多極化してきておる現今でございますし、まして、さらに今回は中国にも大使館の創設というようなこともある昨今の現象でございます。それだけに私どもも、御指摘のとおり、五名でできるか、こういうことになりますと、いろいろとまた問題もございましょうから、そういう点では外務当局とも十分詰めてみまして、なおかつ林野庁といたしましても、諸問題をかかえておる中で十分これを前向きに、鋭意検討していく方向に私ども施策を講じたいと思う次第でございます。
  77. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次は、林野庁長官にお尋ねします。時間の制約もあるので急いでお尋ねしますが、チップ、パルプの問題ですけれども、今回の木材価格急騰によって、山林労務者がいま国有林等においても針葉樹の伐採のほうに移行するというようなことから、従来大手の製紙会社でも半年ぐらいのチップ、パルプ等の滞貨があったのが、聞くところによると、全部じゃありませんけれども、一月ないし一月ちょっとくらいしかない。小さいところはほとんど半月分あるかどうかというようなことで、たいへん問題になっております。そういったことで、今度は急に労務者をかかえてパルプ生産に入ろうと思っても、なかなか急にはまいらない。こういうことがいろいろ心配されてきて、パルプ、チップ等の高騰によってまた紙の原料が上がるというようなことになってきかねないわけですが、その点はどういうふうに認識しておられるか、簡潔にひとつお答えをいただきたいと思うのです。
  78. 福田省一

    福田政府委員 お答えいたします。  確かに、最初に製材品が上がりまして、また木材、丸太が上がってくる。最近は合板が上がってくるというふうな状態で、今度はチップなんかが上がりはせぬかという心配も一部にあるわけでございます。これを最近調べてみますと、入荷量、在貨量等の調べを見ますと、十一月あたりまでの段階では入荷量、在貨量はむしろふえておるくらいでございます。また値段におきましても、ことしの一月に入りましてから立方当たり針葉樹六千五百円、最盛期四十七年の一月ごろで六千三百円。あまり上がっておりません。また広葉樹も四十七年一月で四千九百円が、ことしの一月で五千円という程度でございます。  そこで、四十六年におきます。パルプ用材の需要は、国内経済が非常に低迷しておったということから、約三%程度の増加にとどまったものでございます。四十七年度に入りましてから需要量はだいぶふえまして、約五%の増というふうになっております。四十八年はどうだろうという見通しでございますが、簡単に申し上げますというと、前年の伸び率をやや上回る程度になるのじゃないかと思うわけでございます。  それに対する国内供給量でございますが、数字を一々申し上げますと何でございますけれども、四十六年度は国産材が六五%のシェアを持っておりましたけれども、四十七年度には五七%程度に低下するという見込みでございます。したがいまして、外から買うものをふやさなきゃならぬというふうに思うわけでございますが、この程度の見込みでございますけれども、大体需要量は満たせるのではないかというふうに現在の段階では考えております。
  79. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間があと残りわずかということでございますので、林野庁長官にはしょって何点かをちょっとお伺いしますから、簡潔にお答えしていただいて、私の質問を終わりたいと思うのです。  国が行なう民有林野の分収造林に関する制度的措置の問題でございますけれども、これに対して、私、たくさん問題点指摘したいのでありますが、若干の問題に対して林野庁長官見解をこの機会に承っておきたいのです。  県が三十二年から行なっておるところの造林公社は、現在三十二県で三十五公社があるわけです。また国が行なっている保安林に対する森林開発公団は、昭和三十六年から公団造林として行なっておりまして、これも今後ふえる傾向にあるわけでありますけれども、こういった公団あるいは公社の開発と、今回国有林を分収造林としてやった場合には競合しないかという心配等が起きてくるのですけれども、その点についてどういうふうな見解をお持ちであるか、その点を一点この機会にお伺いしておきたい。なお、国営分収造林を行なうという場合に、国営造林民有林の多いところでないとなかなかできないという地域的問題がある。いわゆる国有林が偏在しておりまするし、また民有林が当然なくてはならないということになります。そういった点についてどういうふうに林野庁見解をお持ちであるか。  それからもう一点は、これはほかの場合でも同じですけれども、地上権というのがたいへん問題になっておりますけれども、これは牧野にしても原野にしても同じでありますが、地上権等については林野庁はこういう場合にはどういうふうに解決をする見通しを立てておられるか。なかなか地上権という問題がいろいろ問題になるわけです。  それともう一点は、国有林民有林の場合、賃金の格差という問題が起きてきますね。こういった問題がいろいろ心配する点でありますけれども、私、きょうちょっと委員会の途中で他の委員会出席してまいりました関係でちょっと中座しましたが、この点、公開の席で一応林野庁見解を承っておきたいと思うのです。時間の制約があるので、簡潔にお答えしていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  80. 福田省一

    福田政府委員 この問題につきましては、林業振興に関する決議にも一番冒頭にございます問題でございます。先ほど井上先生の御質問にお答えしたのでございますけれどもも、基本的な考え方としましては、民有林造林振興につきましては、自主的な努力を助長するのが国の役割りであるという考え方に立っているわけでございます。林業基本法の七条にある考え方でございます。したがいまして、できるだけ国の持っております予算補助の形であるとか、あるいは融資その他の形等におきまして、こういった人たちが直接自分で木を植えて自分で手入れをし、また自分でこれを収穫するというような——長年かかる仕事でございますから、人でやらずに、まず自分でやる姿勢をつくる、それに対して国ができるだけの助成をするという考え方に立つわけでございます。  そこで最近は、里山地帯につきましては、そういった補助なり融資の方法ができますが、だんだん奥地に行きますと、いま御指摘になりました公社造林なりあるいは公団造林というふうな形の分収造林の方法をとっているわけでございます。これが最近どんどんふえてまいっております。ということは、労働力にいろいろ問題がございますけれども森林組合の労務班というのが最近だいぶ結成されてまいりまして、これは全体の労務の減少の中では非常にふえてまいっている形になっております。したがいまして、そういったものを基盤といたしまして、現在は公社あるいは公団造林ということを中心に、補助、融資造林を除きますとそういう形になってまいっておりますが、それでもどうしてもできない、つまり基本計画にございます一千三百万ヘクタール、これを六十五年度までに達成する計画でございますが、そういった方法によってもなおむずかしい地帯があるかどうかという問題について現在具体的につぶさに検討しているところでございまして、ですから、国の役割りがどの地帯でどういう形でいったらいいかということにつきましては、この決議の趣旨を尊重いたしまして、いま鋭意熱心に検討しているところでございます。
  81. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 以上で質問を終わります。
  82. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 本会議散会後再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時三十五分休憩      ————◇—————    午後四時十六分開議
  83. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。諫山博君。
  84. 諫山博

    ○諫山委員 林野庁長官にお伺いします。  福岡県遠賀郡岡垣町に黒山浜国有林というのがあります。通称三里松原と呼んでいます。ここが昭和二十二年ころから米軍に射爆場として接収され、昭和四十七年の三月三十一日付で米軍から返還されたと聞いております。ここは森林法に基づく保安林だと思いますが、いつごろから保安林になったのか。また森林法のどの条項が適用されて保安林とされているのか、御説明願いたいと思います。
  85. 福田省一

    福田政府委員 お答えいたします。  明治三十年十二月二十七日に防風保安林に指定されたものでございまして、これは人工により造成されました松林のものでございます。  なお、これは森林法に基づいて保安林として指定されたものでございます。
  86. 諫山博

    ○諫山委員 森林法のどの条文のどの条項が適用されているのかわかりませんか。
  87. 福田省一

    福田政府委員 森林法第二十六条に基づいたものでございます。
  88. 諫山博

    ○諫山委員 二十五条の中には保安林として指定する場合の幾つもの要件が規定されているようですが、このどの部分が適用されて保安林になっているのか、わかったら御説明願いたいと思います。
  89. 福田省一

    福田政府委員 失礼いたしました。ただいま二十六条と申し上げましたけれども、第二十五条でございまして、それの第一項の第五号、「風害、水害、潮害、干害、雪害又は霧害の防備」、これに該当するものでございます。
  90. 諫山博

    ○諫山委員 そのほかにも四号の「飛砂の防備」などにも当てはまるのじゃないかと思いますが、それはどうなっていましょうか。
  91. 福田省一

    福田政府委員 御指摘のように、この防風林は主として風害を防止するものでございますけれども、潮害の防備あるいは砂浜の飛砂の防備、これも兼ねているところでございます。つけ加えておきます。
  92. 諫山博

    ○諫山委員 米軍の射爆場として提供された区域はどのくらいの面積だったのか、また米軍に提供したときの状況はどういう状況だったのか、御説明願いたいと思います。
  93. 福田省一

    福田政府委員 面積は二百九十二ヘクタールでございます。この射爆場が米軍に提供されましたときには防風林の状態として使用されておったものでございますので、完全に防風林の機能を果たしておったものでございます。
  94. 諫山博

    ○諫山委員 この防風林は現実にはどういう役割りを果たし、住民のためにどういう利益をもたらしていた防風林なのか、御説明願いたいと思います。
  95. 福田省一

    福田政府委員 この防風林の背後には、この地域の農民が多数おりまして、その住んでおりますところの農民の耕地を保護し、また住居を保護しておったというものでございます。
  96. 諫山博

    ○諫山委員 森林法第三十三条第一項で、指定施業要件というのが規定されておりますが、本件の保安林についてはどうなっていましょうか。
  97. 福田省一

    福田政府委員 ここの保安林の指定施業要件のお尋ねでございますが、この保安林の指定施業要件は昭和四十一年十二月二十八日付で告示を行ないまして、昭和四十二年一月十七日付で福岡県知事に対しまして確定通知を行なったものでございます。  指定施業要件は汀線——みぎわでございますが、汀線から百メートルの範囲約二十六ヘクタールについては禁伐、その他二百十ヘクタールについては択伐となっております。なお、この保安林の指定施業要件には、伐採の方法が禁伐、択伐であることから、植栽の指定を行なわなくとも森林状態の回復が可能であるために、植栽は指定されていないものでございます。
  98. 諫山博

    ○諫山委員 いま専門的な法律用語が使われましたが、禁伐というのは、一切伐採してはいけないという意味ですか。
  99. 福田省一

    福田政府委員 そのとおりでございます。
  100. 諫山博

    ○諫山委員 択伐というのはどういうことになりますか。
  101. 福田省一

    福田政府委員 材積とかあるいは本数で指定いたしますけれども、一〇%ないし三〇%ぐらい、いわゆる抜き切りするものでございます。そういたしますと、そのあとに自然に種が落下しまして、森林が育成されるというふうなものでございます。
  102. 諫山博

    ○諫山委員 そのほかに保安林については森林法でいろいろな禁止規定、義務づけというのがあるようですが、もちろんそれはその射爆場の用地にも適用されるわけですね。
  103. 福田省一

    福田政府委員 制限されます事項といたしましては、伐採の量の制限とか、あるいはその森林の中の土地の形質を変更する、つまり石を取り出すとか土を掘るとか、そういうことを禁止しておるものでございます。
  104. 諫山博

    ○諫山委員 林野庁としては、保安林としての維持管理、保安林としてのいろいろな義務の履行ということを当然しなければならなかったと思いますが、米軍が射爆場として使用している期間中はその作業は完全に実施できたでしょうか。
  105. 平松甲子雄

    ○平松説明員 米軍が使用しております間は安保条約第三条の規定に基く行政協定の実施に伴う国有財産の管理に関する法律の規定に基づきまして、米軍に提供される間につきましては保安林に関する国内法の規定の適用がないということでありまして、その件に関する制限は適用されなかったということでございます。
  106. 諫山博

    ○諫山委員 そうすると、現実には森林法に基づく保安林としてのいろいろな維持管理作業というのは行なわれなかったということになりますか。
  107. 平松甲子雄

    ○平松説明員 米軍が演習に使用するという状態にあったわけでございますから、その間は保安林としての種々の制限は適用されなかったということでございますし、いろいろな保安林としての施業といいますか管理、そういうものは行なわれていなかったということでございます。
  108. 諫山博

    ○諫山委員 この保安林が実際に居住地域住民の利益を存るために役立つ保安林だということは長官から説明されたとおりでありますが、そうすると、その間は地域住民は保安林による保護はあまり受けられなかったということになりましょうか。
  109. 平松甲子雄

    ○平松説明員 米軍が射爆に使用しました大部分は、ちょうど保安林の一番厚いところでございまして、松原の深さが三百メートル余あるところでございまして、その海岸の汀線に近いところ四十メートルほどを射爆に使用したということでございまして、米軍使用の間に、米軍が射爆に使用したことによる害といいますか、そのことによって飛砂の飛散が多かったとか、あるいは風害が強かったということは承知しておりません。
  110. 諫山博

    ○諫山委員 米軍が射爆場として使用していた期間に何回か射爆演習のために火災が起こった、そして保安林が焼けたということを聞いておりますが、その詳細はどうでしょうか。
  111. 平松甲子雄

    ○平松説明員 米軍が使用しておる間に火災によって二十ヘクタールほど焼けたということでございまして、現在射爆に使用しました部分について四十ヘクタールほどは無立木地になっております。
  112. 諫山博

    ○諫山委員 火災が起こったのは三回ほどだと直方の営林署で聞いたのですが、違いますか。
  113. 平松甲子雄

    ○平松説明員 ただいま調査いたしまして御返事いたします。
  114. 諫山博

    ○諫山委員 そうすると、米軍が使用していた期間は保安林としての維持管理がなされてなかったそうですが、これは射爆で直接たまが飛んでくる地域だけでしょうか、それとも米軍に提供された全地域についてそういう状態が続いておりますか。
  115. 平松甲子雄

    ○平松説明員 二百九十二ヘクタールが接収されて、その後米軍に提供されたということでございますので、実際に射爆に使用されておりましたのは先ほど申し上げました四十ヘクタール程度のところでございまして、そのほかに米軍関係の施設が二、三設置をされておるという状況でございます。
  116. 諫山博

    ○諫山委員 保安林というのはそれなりの目的があって法律に基づいて指定される。そして保安林によって地域住民の生活が保護されるということになっておると思います。米軍が使用しておる期間保安林としての維持管理ができなかった、森林法が実際上は適用されない状態であったという状態が二十五年間ばかり続いていたと思いますが、保安林の維持管理という面から見て、これは望ましい状態だったのか、一日も早くなくすべき状態だったのか、林野庁としての見解はいかがでしょうか。
  117. 平松甲子雄

    ○平松説明員 森林は適当な肥培管理によって、その最高の機能を発揮するというふうに考えますので、保安林に関する限り、森林の施業をするということが、その森林状態を、ことに保安林としての機能を最高限に発揮するためには、保安林としての施業を行なうということが最上の方法であると思いますけれども、米軍の接収に引き続きまして、地位協定に基づいて提供されておった間に、先ほど申し上げましたように、海岸から、汀線から松原の深さも相当深いという状況でございましたので、海岸の松という特性もあろうかと思いますけれども、その間に施業をしなかったということで比較ができませんので、なかなか施業をした状態とどうだという比較はないと思いますけれども、結果として背後地の住民が支障を生じたというようなことは私ども承知いたしてないわけでございます。
  118. 諫山博

    ○諫山委員 そうすると、保安林というのは二十五年間もほっておいてもたいして損失はないものですか。林野庁としてはそうお考えですか。
  119. 平松甲子雄

    ○平松説明員 舌足らずで恐縮でございました。比較ができないのでということを申し上げたわけでございまして、最初に申し上げましたように、森林としては肥培管理をして最上の状態にするということが、保安林として最も望ましいことであるというふうに考えております。
  120. 諫山博

    ○諫山委員 林野庁としては、保安林として機能させることが仕事だと思います。だとすれば、米軍に使われておったという特殊な事情はあったとしても、林野庁としては、できるなら米軍から返してもらって、これを完全に保安林として機能させたい、そういう気持ちは持たなかったのですか。
  121. 福田省一

    福田政府委員 林野庁森林の管理の責任を持っている役所でございますので、保安林につきましては、当然これは保安林として最も完全な機能を果たすように管理するのは当然の義務であると考えております。しかしながら、国全体の方針といたしまして、保安林が別の用途に使われておるという場合におきましても、やはり保安林として機能をそこなわないように、できるだけこれは保安林の機能を維持するようにつとめるようにしてまいりたいものだ、こういうように考えております。
  122. 諫山博

    ○諫山委員 これは昭和四十七年の三月三十一日付で米軍の接収が解除されて、日本に返されたと聞いておりますが、そうなっていますか。
  123. 平松甲子雄

    ○平松説明員 御指摘のとおりでございます。
  124. 諫山博

    ○諫山委員 そうすると、現在ではこの保安林について日本森林法が全面的に適用される、そして、森林法に基づくいろいろな保安林としての管理が森野庁に義務づけられるという状態になっていると思います。そういう立場で保安林としての維持管理を現在続けられているかどうか、お聞きしたいと思います。
  125. 平松甲子雄

    ○平松説明員 御指摘のとおり、返還されました状態においては、森林法が全面的に適用されておりますので、保安林としての指定も機能しておるわけでございますから、そのような意味において管理をしておるところでございます。
  126. 諫山博

    ○諫山委員 保安林に米軍が使用していたころ、見張り塔をつくり、その見張り塔が現在も取りのけられていない、さらに、米軍が使用していたかまぼこ兵舎がつくられ、いまなおそれが残されていると聞いていますが、実情はどうでしょうか。
  127. 平松甲子雄

    ○平松説明員 確かに米軍使用時代の、ただいま御指摘のような施設が現在残存しておるわけでございます。
  128. 諫山博

    ○諫山委員 それはだれの所有物であり、どういう法的根拠に基づいていまなお保安林の中に存在しているのか、御説明願いたいと思います。
  129. 平松甲子雄

    ○平松説明員 米軍から返還されまして、大蔵省の国有財産として返還されるべき性格のものでございますけれども、大蔵省のほうではまだ国有財産としての取り扱いをしていないようにふうに承知いたしております。
  130. 諫山博

    ○諫山委員 そうすると、それはだれのものですか。
  131. 平松甲子雄

    ○平松説明員 米軍から返還されまして国の財産になっておることは間違いないわけでございますけれども、大蔵省が普通財産として管理するということにつきまして、国有財産法上の手続をまだ了していないという意味において、国有財産法上の手続は終わっていないということはございますけれども、国の財産ということについては間違いのないところでございます。
  132. 諫山博

    ○諫山委員 この施設は米軍が射爆演習をするためには必要だったでしょうが、林野庁が保安林として土地を管理していくためには全く不必要な、むしろ有害な存在ではないかと思います。だとすれば、施設を返してもらったときに、当然こういう無用、有害な施設というのは取りのけらるべきが筋ではなかったでしょうか。
  133. 平松甲子雄

    ○平松説明員 確かに御指摘のような考え方があると思いますが、現に米軍から返還されまして、その後自衛隊で使用したいというような非公式の申し入れがございまして、その点についていろいろ話し合いをしておったというようなことも、福岡県知事のほうへ申し入れがあったという話も聞いておりまして、そういうようなこともございまして、引き続き使用されるというふうな状態であれば、そういうふうな施設も使用されることあるべしというようなこともございまして、現在のところは設置されたままというふうな形になっておるわけでございます。
  134. 諫山博

    ○諫山委員 防衛庁の伊藤施設課長に聞きたいと思います。  これは防衛庁が管理している施設でしょうか。そうしてどういう根拠に基づいていまなおあそこに残しておるのか、防衛庁側の見解を聞きたいと思います。
  135. 伊藤参午

    ○伊藤説明員 お答えします。  現在芦屋の射爆撃場の中に残っております建物は、先ほど林野庁のほうから御説明ございましたように、米軍が建設いたしまして、返還の際に国有財産として引き継いだものでございますが、現在は引き継ぎ不適当財産ということで、防衛施設庁のほうで管理しております。  以上でございます。
  136. 諫山博

    ○諫山委員 もう一つ法律的な根拠。
  137. 伊藤参午

    ○伊藤説明員 米軍の財産引き継ぎにあたりまして、大蔵省との間で話し合いを持ちまして、大蔵省が引き継ぐまでの間、暫時防衛施設庁が管理するということで管理しているわけでございます。
  138. 諫山博

    ○諫山委員 こまかいことですが、米軍が使用していたころは防衛庁のほうで使用料を払っていたんでしょう。現在、こういう施設類を残していることについて、使用料を払っておりますか。
  139. 伊藤参午

    ○伊藤説明員 御指摘のとおり、米軍提供中は国有林野特別会計に使用料を払っております。返還後は特に使用料は払っておりません。
  140. 諫山博

    ○諫山委員 米軍使用中は一応法律的な手続に従ってこれが使用されていたと思います。私たちは反対ですが、とにかく形式的には法律的な手続が踏まれておりました。現在は全く法律上の根拠がなしに無断占拠しているという状態が続いておると思いますが、どうですか。これは防衛庁側にお聞きします。
  141. 伊藤参午

    ○伊藤説明員 何ぶん現在引き継ぎ中の途中段階にありますので、そういう段階での手続、いろいろ調整しているというように御理解いただきたいと思います。
  142. 諫山博

    ○諫山委員 要するに、あそこに残しておく法律上の根拠は全くないでしょう。林野庁側はどうですか、何か法律上の根拠に基づいてあれを設置させておるのかどうか。
  143. 平松甲子雄

    ○平松説明員 防衛庁からもお話がございましたように、目下話し中であるということの意味において残っておるということでございまして、法律上の根拠を持って残っておるということじゃないという状態でございます。
  144. 諫山博

    ○諫山委員 われわれの常識からいえば、不法に占拠されているというか、法律的な根拠なしにかってに置かれている品物だということになると思いますが、林野庁、どうですか。
  145. 平松甲子雄

    ○平松説明員 先ほども申し上げましたように、自衛隊のほうで使用したいという希望を申し出ておられるということでございますので、引き続き使用するというふうな状況でございますと、同じ国の機関でございますので、その間話の推移を見守っておるという段階でその施設が存在するというふうに私ども理解いたしております。
  146. 諫山博

    ○諫山委員 いまの林野庁説明を聞きますと、いずれこれは自衛隊に使わせるんだ、そのときまでのわずかな期間だから残しておくんだというふうに聞こえますが、そういう立場ですか。
  147. 平松甲子雄

    ○平松説明員 私どもといたしましては、保安林として機能させるということが最も望ましいというふうに考えておるわけでございますが、国の機関でございますところの自衛隊のほうで使用したいというふうな希望がございますし、また他方からは、その使用が保安林としての機能を十分発揮できるような状態、あるいは射爆場として使った場合に保安林の機能を害さないかどうかという点につきまして、福岡県知事が法律上の機関として目下検討中であるというふうに承知いたしておりますので、その意味において、私どもはその結論が出次第、いずれかにするという意味において態度を留保しているというだけのことでございます。
  148. 諫山博

    ○諫山委員 もう一つ防衛庁側にお聞きしたいと思います。  いま防衛庁が、米軍が返還した保安林の部分を自衛隊の射爆場として使用したいという立場から、地方自治体や国に対していろいろな手続をとっていると言われております。どういう機関にどういう申し立てなり手続をとっているのか、御説明願いたいと思います。
  149. 伊藤参午

    ○伊藤説明員 御指摘の芦屋射爆撃場は約三百ヘクタールでございまして、そのうち大部分は農林省行政財産でございますので、その分につきましては直方の営林署に対して使用申請をお願いしております。
  150. 諫山博

    ○諫山委員 どういう法律に基づいてどういう手続をとっておるか。
  151. 伊藤参午

    ○伊藤説明員 国有財産法に基づきましてやっております。それで、農林省行政財産につきましては、先ほど申し上げましたように、直方の営林署長に対して使用申請を出しております。それから建設省の行政財産につきましては、福岡県知事のほうに出しております。それから大蔵省の普通財産については、北九州の財務局長にそれぞれ使用申請を出しております。
  152. 諫山博

    ○諫山委員 きょうは農林省の関係で聞いておりますから、保安林についてだけもう少し詳しく聞きたいと思います。  この保安林の部分については、福岡県知事に対しては森林法の第何条に基づく申し立てになりますか。
  153. 平松甲子雄

    ○平松説明員 先ほど防衛庁からのお話の中に森林法上の許可申請というのが落ちておりましたけれども、たしか森林法上の保安林の作業許可の申請をなさっておるというふうに承知いたしておりまして、それは森林法の第三十四条の第二項に基づくものでございます。
  154. 諫山博

    ○諫山委員 林野庁に対する申し立てば国有財産法の何条ですか。
  155. 平松甲子雄

    ○平松説明員 林野庁のほうは、国有財産でございますので、国有財産法の十五条に基づきまして国有財産の使用許可ということになるわけでございます。
  156. 諫山博

    ○諫山委員 少しその間の法律的な解釈にわたるかもしれぬと思いますが、林野庁としての見解を聞きたい。  防衛庁が現実にあの部分を射爆場で使用するためには、いま言われた両方の手続が両方とも満たされないと使用することになれないですか。
  157. 平松甲子雄

    ○平松説明員 森林法の許可と申しますのは、保安林の機能を最高度に発揮させるという意味において、種々の制約があるわけでございます。その中で保安林の機能を害さない程度において使用を許可するということがございまして、それが三十四条の二項でございます。それから、私ども国有林野を国有財産として管理しておるという立場でございますが、その国有財産を使用する場合に国有財産法の十五条に基づいて許可を得なければならないということになっておるわけでございますから、いずれにしろ、当該保安林を使用するということになります場合には、両方の要件を満たす必要があるということでございます。
  158. 諫山博

    ○諫山委員 二つの官庁が申し立てを受けるようですが、この場合、福岡県知事側と林野庁は話し合いを進めて、認めるか認めないかをきめますか。それとも全く無関係に判断して結論を出しますか。
  159. 平松甲子雄

    ○平松説明員 福岡県知事が森林法上の権能を行使いたしますについては、福岡県知事に機関委任をしておるということでございますので、当然機関委任の官庁と森林法の所管官庁でございます林野庁とは指導関係にございますから、その意味においての協議というものは当然ございますし、また、私どもが国有財産法上の許可を与えますについては、森林法上の許可がないと国有財産法上の許可を与えても無意味でございますので、その両者を脈絡を持たせるという意味においても、密接な関係を持って協議をしてまいりたいというように考えております。
  160. 諫山博

    ○諫山委員 どちらか一方が認め、一方が認めないということになると、現実には射爆場として使用ができませんから、結局は両方の足並みがそろわないと使用できる状態にはならない。ですから、いろいろ双方が話し合いをするということになりますか。そうですが。
  161. 平松甲子雄

    ○平松説明員 実際上の使用の面につきましてお話し申し上げますと、ただいま先生のおっしゃったようなお話になります。それから、森林法の保安林の使用許可という作業許可の点につきましては、先ほど申し上げましたように、福岡県知事は機関委任を受けておるということで、森林法上の所管官庁である森野庁と協議をするというような形でございますから、事実上の問題と法律上の問題と両方重なり合ってそういう形になるかと思います。
  162. 諫山博

    ○諫山委員 森林法第三十四条二項によりますと、都道府県知事の許可ということが要件になるようですが、これは保安林としての機能をそこなわないということが、許可する場合の前提要件になりますか。
  163. 平松甲子雄

    ○平松説明員 もちろん、保安林としての機能を害するということであれば許可されないということになろうと思いますが、ただ、一時的に機能を害するというようなことで、その機能の害しかたが少ないという場合、その使用目的が非常に大きな公益的機能を持っておるというような場合でございますと、公益的機能の彼此考量ということはあろうかと思います。
  164. 諫山博

    ○諫山委員 あなたたちは林野庁の人ですから、保安林を管理するという立場でものごとを考えていただけばいいと思います、全国的な政治情勢とかというようなことは総理大臣が考えましょうから。  そこで、もう少し林野庁側にお聞きしたいのですが、米軍が使用している期間、直方営林署の話によりますと、三回ぐらい火災があって、保安林が焼けたといっております。また、保安林の中で射爆の演習をするわけですから、当然保安林が保安林としての機能をそこなわれるということは避けがたいと思います。さらに、事は射爆ですから、私たちの調査によりますと、しばしば薬きょうが降ってくるというようなこともあって、近くに近寄れないという状態が米軍使用期間中ずっと続いております。だから、あなたたちも米軍が使用している期間は保安林としての維持管理ができなかったのゃじないかと思うわけです。米軍が使用しないとしても、今度は自衛隊が射爆演習をするというと、やはり米軍使用当時と同じような事態が必ず生じてくると思いますが、どうでしょうか。
  165. 平松甲子雄

    ○平松説明員 米軍に提供いたしております間は、米軍の使用に支障を来たす範囲内において施設への立ち入りもやらないというような形でございますので、そこに国内法の適用がない、停止されるというふうな形で私ども理解しておるわけでございますけれども、自衛隊に使用許可いたす場合には、森林法は全面的に——もしかりに許可いたしますとして、その場合には森林法は適用があるわけでございますから、米軍使用時代とは性格がおのずから異なるというふうに私ども理解しております。
  166. 諫山博

    ○諫山委員 現在は自衛隊がこの部分を使用する法律的な根拠は全くないはずです。しかし、現実には毎日自衛隊の人がここに出入りをしておる、そういう状態が現在続いていると思いますが、林野庁側は御存じでしょうか。
  167. 平松甲子雄

    ○平松説明員 そういうふうな現実の事態については、私ども承知いたしておりませんので、調査してみたいと思います。
  168. 諫山博

    ○諫山委員 いまの問題を防衛庁側にお聞きします。
  169. 伊藤参午

    ○伊藤説明員 現在芦屋射爆撃場地区につきましては、返還後直方営林署のほうから福岡防衛施設局のほうに警備依頼の文書が出ておりまして、福岡防衛施設局では、管理のために一番便利であるというので、隣接の芦屋基地の第三術科学校にこの警備を依頼しております。現在数名ほどの者がその学校から出向きまして、その施設の警備、管理といったようなものに当たっておりますので、先生指摘の出入りというものは、そのための隊員の出入りをさしておられるものと思います。
  170. 諫山博

    ○諫山委員 警備していると言われましたが、それは私がさっき指摘した見張り塔とかかまぼこ兵舎の警備をしているのですか、それとも違うものを警備しているのですか。
  171. 伊藤参午

    ○伊藤説明員 直方営林署のほうからの依頼文書の中には、施設に供している土地の管理の警備ということで依頼文が出てございます。それから林野につきましては、直方営林署のほうで管理されるというように聞いております。
  172. 諫山博

    ○諫山委員 いまの問題を林野庁長官はどうお考えですか。保安林の中の管理を営林署長が防衛庁に頼んだという御説明ですが、そういうことがあったのかどうか。あったとすれば、それは間違っことだと思うのですが、林野庁長官としてはいかがですか。
  173. 平松甲子雄

    ○平松説明員 私ども詳しく調査いたしておりませんので確実なお答えにならぬかと思いますが、直方営林署長がもし防衛施設局のほうへ依頼をいたしたとすれば、それは保安林の中に存在する先生指摘のような施設についての管理と申しますか警備と申しますか、そういうものであったろうと思います。林地なり林木なりについては営林局のほうで管理をいたしておりますし、マツクイムシの発生もございますので、マツクイムシの防除も営林署のほうでやっておるという状況でございます。
  174. 諫山博

    ○諫山委員 防衛庁に貸してもいないところに防衛庁の管理している施設が残っている、いわば不法占拠のような形でその施設が残っている。それを林野庁のほうで、直接的には営林署でしょうが、不法占拠者である防衛庁に警備を頼むというのはどういうことですか。そういうことを頼んでいるとすれば、これは直ちに林野庁のほうがやめるべきじゃないでしょうか。そうして保安林の維持管理は林野庁責任で行なう、自衛隊のお世話にはならないという立場に立つのが当然ではないでしょうか。長官の御説明を聞きたいと思います。
  175. 福田省一

    福田政府委員 御指摘のように、保安林の管理について林野庁責任でございまして、直接には熊本の営林局、直方の営林署長にその管理を命じておるものでございます。したがいまして、そういう事実があるとすれば、防衛庁ともよく話し合いをいたしまして、その措置については十分慎重に検討いたしてまいりたい、かように思っております。
  176. 諫山博

    ○諫山委員 事態は非常にはっきりしたわけです。防衛庁側はそういうことをしているというのですから、あなたは保安林の最高管理責任者ですから、これはあなたの権限でそういうことはやめさせるということをここで言明すべきじゃないでしょうか。事実関係に疑いがあれば防衛庁の人に聞けばいいです。
  177. 福田省一

    福田政府委員 保安林の管理については、御指摘のように、林野庁責任でございます。ただ、防衛施設庁を含みまして政府としては、この場所についてはどのような措置をとるかということにつきましては、林野庁としましても防衛庁を通して十分協議をしてまいりたい、かように思っております。
  178. 諫山博

    ○諫山委員 農林大臣にお聞きしたいと思います。  あなたが管理している保安林の中に、かってに防衛施設庁の施設が残っている、しかもそれが放置されるだけじゃなくて、自衛隊の人によって警備されているというような無法な状態は許されないと思います。農林大臣としてはこういう状態を一日も早く是正される気持ちはないのかどうか、お聞きしたいと思います。
  179. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 私が申し上げるまでもなく、問題の射爆場の事実関係が、ただいまこの席上の一問一答で明らかにされつつあるわけでございまして、率直に申し上げまして、これは問題の経過中のものである。その間に起きておるいわば盲点的なものも相当含まれておる。一問一答をお聞きした限りにおきましては先生のおっしゃることにも理解ができるのでありますが、私は、いまおっしゃるとおりに最高の責任者ということになりまするので、もう一つそれぞれ事態を明らかにして、その上で私の見解を申し述べさしていただきたいと思います。
  180. 諫山博

    ○諫山委員 いまの点はあと大臣のあらためての見解を聞くとしまして、私はこの問題でかつて林野庁長官とお話をしたことがあります。そのときに長官は、この部分は保安林だから保安林として使いたいんだという御説明をされておりましたが、その気持ちは現在も変わらないかどうか、長官からお聞きしたいと思います。
  181. 福田省一

    福田政府委員 森林を管理するのは林野庁責任でございますし、特に公益的な機能の高い保安林につきましては当然でございますので、その気持ちにつきましては私としてはちっとも変わっておりません。
  182. 諫山博

    ○諫山委員 私は、林野庁長官とそういう話をした後、保安林として使いたいというのは現実的にどういう内容だろうかとお聞きしたところが、それは裸になっているところに木を植えたいんだ、十分手入れもしたいんだ、マツイクムシもなくなるようにしたいんだというように、維持管理について御説明いただいた記憶があるのですが、現在でもこの保安林について、そういう形で保安林としての機能をますます発展させるというような気持ちを持っておられるのかどうか、お聞きしたいと思います。
  183. 福田省一

    福田政府委員 私は現地をつぶさに見たのではございませんけれども、写真等によりまして現状を見てまいっております。したがいまして、ただいま先生からお話のございました点につきましては、現在でも同じように考えておるわけでございます。
  184. 諫山博

    ○諫山委員 あなたの御説明を聞きますと、福岡県側がどう考えているかは知りませんが、少なくとも林野庁としてはこの部分は射爆場に使わせたくない、米軍から返されたんだから、この機会に、二十五年間も放置されていた森林法の適用されない状態をなくして完全に保安林として維持していきたい、自衛隊には使わしたくないという御説明に聞こえますが、長官としてはそういうお気持ちだと聞いていいでしょうか。
  185. 福田省一

    福田政府委員 保安林の状態に戻しまして、そのうしろのほうにありますところの農家並びにその耕地というものを保護するというふうに持ってまいりたいということは、私も現在でもそう思っております。  ただ、日本政府全体としての方針が定まりますならば、その範囲内でできるだけ保安林の効果を失わないような措置をとらなければならないという場合も出るかもしれませんけれども、現在の段階ではただいま申し上げたように考えているわけでございます。
  186. 諫山博

    ○諫山委員 農林大臣も同じ見解かどうか、お聞きしたいと思います。
  187. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 先ほどお答え申し上げたとおりの現在私の気持ちでおります。したがいまして、この問題につきましては、具体的な問題がからんでおることでございまするから、いまこの際、理想論と申しましょうか、あるいは純粋な法律論と申しましょうか、そういうような立場でお答えすることがむずかしいと思うのであります。したがって、この点も十分事実も聞き、またそれぞれの見解も聞き、先生の御質問の内容もよく検討いたしまして、明白なお答えをいずれ後日にさせていただきたいと思います。
  188. 諫山博

    ○諫山委員 林野庁長官にもう一点お聞きします。  保安林が現在自衛隊の射爆場あるいは演習場として使用されているというようなところが日本にあるのかどうか、あるいは米軍に使用されているところがあるのかどうか、お聞きしたいと思います。
  189. 福田省一

    福田政府委員 現在、私のあれに出てまいります場所としては、北富士の演習場がございます。
  190. 諫山博

    ○諫山委員 これは国有地でしょうか、それとも違った所有者でしょうか。
  191. 福田省一

    福田政府委員 県有林でございます。
  192. 諫山博

    ○諫山委員 国有林の保安林としてはこれが唯一だということになりますか、国有の保安林としては。
  193. 福田省一

    福田政府委員 ただいまのところでは調査してみないと正確にはお答えできませんので、調査いたします。
  194. 諫山博

    ○諫山委員 私はきょうは、農林水産委員会ですから、保安林という観点だけからこの問題を質問いたしました。しかし、地元ではこれは違った角度からも大問題になっております。何しろ米軍が接収したところを直ちに防衛庁が自衛隊の演習場として使いたいという申し出をして、いまたいへんな問題に広がっているわけです。そして農林省林野庁が保安林を維持管理していく、保安林としての機能を最大限に発揮させるという責任を持っていることは言うまでもありません。いま高度な政治的な配慮というような含みの発言もありましたが、しかし、林野庁としては、農林省としては、せっかく米軍から返されたんだから、この土地を再び射爆場にして保安林の機能が維持できなくなるというような状態を絶対につくり出さないようにしていただきたいということを、特に希望しながらこの問題についての質問を終わります。  次に、別個の問題ですが、林野庁監修で「現代林業」という月刊雑誌が出ておりますか、お聞きします。
  195. 福田省一

    福田政府委員 御指摘のように「現代林業」という月刊誌はございます。
  196. 諫山博

    ○諫山委員 一九七三年の一月号に日本列島改造論を林野行政の角度から批判した論文がいろいろ発表されました。ところが、どういう経過からか、二万冊ぐらい発行された月刊雑誌が回収された、そして焼却されたということがあると思いますが、どうでしょうか。
  197. 福田省一

    福田政府委員 「現代林業」の一月号というものが発行されまして、その後回収されて、発行所においてこれが焼却されたという事実は、あとで聞いております。
  198. 諫山博

    ○諫山委員 一月号はついに発売されずに、二万部印刷されていたけれども、全部回収して焼却された。そして一、二月の合併号が出た。合併号の中には、一月号に載っていた論文の一つが載せられていない。しかも合併号の中で内容が相当変わった。どういう変わり方をしたかといいますと、初めに印刷されて発売される予定の中には、一七ページにこういう文章があります。「日本の総面積のほぼ七〇パーセントを占める山林野と山村をめぐる諸問題はあたかも忘れられたかのように欠落している。」という文章が、合併号では「国土の三分の二は森林であり、二五〇万人の林業人がいるのにもかかわらず、これら原著をめぐる議論は、あまりにも大きい都市問題の陰にかくれて、「林業」や「山村」などについての論及がいたって少ないというためであろう。」というふうに変わっているようですが、御存じですか。
  199. 福田省一

    福田政府委員 いま御指摘のありました点については、実はこの現物を読んでおりませんので、あとでまた読んでみたいと思います。
  200. 諫山博

    ○諫山委員 もう一つ指摘しますと、焼却前の出版物には「いま議論されている中で、林業側からみたら明らかに誤びゅう、もしくは問題意識の欠除していると思われるテーマを抽出し、その道の専門家の方々に論及していただくことにした」とあったのが、合併号では「林業にとって問題と思われるポイントをいくつか抽出し、各方面の専門家の方々にご意見をうかがうことにした。」と変更されていますが、御存じでしょうか。
  201. 福田省一

    福田政府委員 その問題が出ましたのは、北海道新聞に出て、初めて私もそれを見ましたし、またほかの新聞でも拝見しまして、その点についてどういうことが問題であったかということを聞きました際に、いま御指摘の前段の場合につきましてはそれを承知しております。
  202. 諫山博

    ○諫山委員 焼却前の一月号に「編集者のつぶやき」、これは編集後記の部分ですが、こういう文章があります。「特集「日本列島改造」は編集長や井原氏たちと共に、怒りと願いをこめて編集いたしました。」という編集後記が、実際に売り出された合併号では完全になくなっております。御存じでしょううか。
  203. 福田省一

    福田政府委員 前段部の分は存じております。
  204. 諫山博

    ○諫山委員 ことばをかえますと、焼却前の「現代林業」の中には日本列島改造論に対するきびしい批判が繰り広げられております。ところが、焼却後の一、二月合併号の中では、日本列島改造論に対する批判の筆が鈍っているということが、二つを比べると明らかです。そうして、こういう事態になった直接のきっかけは、林野庁監修にあると私は思います。従来林野庁は「現代林業」をどういう方法で監修していたのか、御説明願いたい。
  205. 福田省一

    福田政府委員 「現代林業」は林野庁におきまして一部を購入して、それをさらに各都道府県に配付しまして、林業の勉強をする青少年のグループの林業教室のテキストとして使っておったいきさつがございます。したがいまして、その記事の内容につきまして、技術的な面あるいは経営の面あるいは林業政策に関する面等におきましていろいろと記事があります場合に、その科学的な内容等について誤謬があるということになりますと教育上支障がございますので、監修という名前を使わしてほしいという要望をいれまして、「現代林業」は林野庁監修というふうにしておったものでございます。
  206. 諫山博

    ○諫山委員 林野庁監修の月刊雑誌が二万部も焼却されるというのは、現在の時代ではおよそ考えられないくらい非文化的な憲法違反の行為です。そうしてそれは直接的には事前に編集者と林野庁と話し合った結果、こういう事態になったと思います。焼却前に雑誌の出版社側と林野庁側と話し合ったことがありますか。
  207. 福田省一

    福田政府委員 林野庁監修ということになっておりますので、この記事につきましては、林野庁研究普及課という課がございまして、そこの課の係官が研究普及課の代表としまして、その雑誌を発行しております林業普及協会と常時連絡をとっておるわけでございます。  そこで、これは一月号でございますので、後日私の調査したところによりますと、年末の忙しいときでございましたので、必ず記事の内容につきましては間違いがあるかどうかということを常に見ておったわけでございまするけれども、その論文の内容については係官も見たのでございますが、その論文の前後にありますところの、ただいま先生から御指摘ございましたリードの部分であるとか後記の部分については、それを見ないでそのまま出版されたあとにそれを見たといういきさつがございます。そこで、それを持ってきました場合に、係官のほうから、これはやはり問題があるので、この監修という名前について少し検討する必要があるんじゃないか、少し考慮してほしいということを言ったものでございます。ところが、その普及協会のほうにおきましても、この普及協会の発行者がこの内容を検討した結果、これがなかなか読者にも迷惑をかけるということにもなるので、一応全部回収しようということにしたという報告を係官のほうで受けておるものでございます。その後また、この回収したものが置き場が非常に狭いということもございまして、発行者のほうでこれを焼却した。そして一、二月号合併して、いま御指摘のあったような形で再出版したという報告を受けておるそうでございます。
  208. 諫山博

    ○諫山委員 現在この「現代林業」焼却問題についてどういう処置をとられたのか、また、林野庁として何らか反省することはなかったのか、御説明願いたいと思います。
  209. 福田省一

    福田政府委員 今回の事態は、編集から刊行に至る手続が不完全なまま刊行に移されたということから発生したものであるというふうに見るものでございます。それで、事前に双方が十分注意いたしますならば避け得られたものと考えられます。林野庁としましては、双方の関係者の間に築かれた手続が守られなかったことについては、担当者の注意が不足であったということを認めざるを得ないのでございまして、また、その事後処理におきましても安易に対応した向きもございます。この点を十分に勘案しまして厳重に注意したところでございます。発行者の側におきましても、手続の不完全なまま発行されたことについて関係者に厳重に注意いたしまして、反省を求めたという報告を受けておるものでございます。  なお、本誌のような月刊雑誌、機関誌についての林野庁監修名義につきましては、先般これを取り消してございます。
  210. 諫山博

    ○諫山委員 終わります。
  211. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 林孝矩君。
  212. 林孝矩

    ○林(孝)委員 農林大臣にお伺いします。  先日来の当委員会大臣の答弁を伺っておりまして、常に農民、幅広く言えば、国民と一定の距離を保った答弁であるという印象を私自身強く感じた次第です。したがいまして、今日までの大臣の答弁等を聞く多くの農民の人たちは、非常に安心した暮らし、安心した農業というものが営めない。大臣はつくる農業ということを提唱されておりますけれども、いま多くの人たちが不安に思っていることは、いわゆる農業の経営が将来安心して営んでいけない、こういう点に最も大きな不安があるわけであります。そこで、なぜそうした不安が起こってくるかということでありますけれども、明らかにされなければならないことが非常に抽象的な作文で終わったり、あるいは明確な答弁がなされなかったりというところからの不安というものが非常に多いということであります。  最初大臣に申し上げますことは、より明確に、より具体的に、安心した農業が営めるような、また今回論じられておりますことは、農民の人たちだけではなしに、広く国民全体が物価等と関連して当惑しておる問題が多いわけでございまして、明確なる答弁をお願いしたい。最初に申し上げておく次第でございます。この点について大臣から何かお話がございましたら、承りたいと思うのです。
  213. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 林委員がそういうふうにおとりになって、きびしい御批判をされたわけでございまするが、私も就任以来各方面で懇談もいたしたり、あるいはインタビューにもお答えしたり、そしてこの国会に臨みましては、皆さま方の御質問に最も責任を持っていろいろ申し上げているところでございまするが、やはりこれは各人各様だと思うのです。私は決して農民の方々全部が、農林大臣のああいう言動はけしからぬ、こういうふうに批判をしておるものではないと思います。今度の農林大臣は大いに期待しよう、こういう激励もあることと信じておるわけでございます。
  214. 林孝矩

    ○林(孝)委員 大臣の御答弁を前提にして今後質問を続けていきたいと思います。  最初に、所信表明の農政推進基本の中に、人間性にあふれた豊かで近代的な高福祉の地域社会として農村地域を建設していくことが重要であると、現内閣に課せられた課題として大臣基本姿勢を述べられております。  ここで具体的な問題を一つ提起しますけれども、最近、石油たん白の問題が話題になりました。これは安全性という観点から非常な社会問題に発展し、製造が中止されるという事態が起こったことは御存じだと思います。そこで、私が提起しますのは、石油たん白と同じ性質を持っておるといわれておりますところの廃液たん白、これが現在十年という間飼料として使われておるという事実であります。石油たん白と製造方法、それから性質、そうしたものを比較して、農林大臣はこの廃液たん白をどのように受けとめられておるか、まずお伺いしたいと思います。
  215. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 林委員にお願いいたしますが、これは非常に専門的なことになると思うのであります。私、新聞などでもパルプ廃液酵母の使用についての批判を拝見いたしましたが、まず林委員から御疑念のある点を率直に御質問願って、事務当局からお答えをさしていただきまして、その後に私の見解を述べさしていただきたいと思うのであります。
  216. 林孝矩

    ○林(孝)委員 もう一度申し上げますけれども質問者といたしまして答弁を求めているわけでありまして、大臣から質問のしかたをこういうふうにということになりますと、これはちょっと考え直さなければならない重大問題だと思うわけです。事は、廃液たん白という社会的にも非常に重大な問題であります。大臣が、それから見解と言われるならば、まず最初見解をお伺いしたい、そのように思うわけです。
  217. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 私は別に質問のしかたをどうこうというのじゃなくて、こういう事実関係を突然お尋ねを受けましても、ただ新聞等で見た範囲でお答えしておって私に間違いがあってもいけない。そこで、そういうことを専門的によく理解をしておる事務当局からまずお答えをさしたい、こういうことを申しておるのです。
  218. 林孝矩

    ○林(孝)委員 けっこうです。
  219. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 林先生にお答え申し上げます。  お尋ねのパルプ廃液の酵母につきましては、これは先生御案内と思いますが、パルプ廃液酵母は、人絹用のパルプ製造の際に生ずる糖分の中に窒素元、カリ元、燐元等を加えて、それを培養基、いわば栄養源といたしまして、これで酵母を培養して得たものでございます。これが飼料になっておるわけでありまして、現在生産しているパルプ会社は三社でございますが、お話しのとおり、相当以前から飼料化されております。  農林省といたしましては、昭和三十一年に飼料の品質改善に関する法律に基づきまして公定規格を設定いたしまして、乾燥酵母として規格を設けておったわけでございます。ただし、当時におきましては、えさの畜産物を通ずる安全性という問題についてはわれわれの認識も一般の認識もまだ進んでおらなかったわけでありまして、一般的には特に問題にされなかったわけでございます。  その後、この畜産物を通じます安全性につきましては、われわれの承知しておる事実を申し上げますと、昭和三十七年に東京医科大学におきましてパルプ廃液酵母の毒性の有無を研究いたしまして、毒性は皆無であるという結果が出ております。この資料等必要があれば整理して差し上げますが、そういうあれが出ております。また、いろいろ飼料を通ずる畜産物の人体に対する安全性という問題が出てまいりましたので、昭和四十六年には農林省がメーカー三社に対しまして安全性の試験をするよう指導いたしまして、この結果についても、いずれも異常は認められておらないということでございます。  なお、これは厚生省の所管でございますが、われわれが承知しておるところでございますと、この酵母の一部がすでに医薬品として厚生大臣の承認許可を得ているというふうに承知しております。  このように、このパルプ廃液酵母の安全性につきましては、われわれといたしましては現段階では特に問題はないと考えておりますが、飼料の品質改善に関する法律においても、立ち入り検査をし、収去し、分析するというような権限も与えられておりますので、その安全性については重ねて指導いたしたいというふうに考えておるのが現段階でございます。
  220. 林孝矩

    ○林(孝)委員 毒性については皆無であるということが農林省見解と承ってよろしいでしょうか。
  221. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 われわれがただいま承知しておる限りにおきましては、特に問題はないというふうに承知しております。
  222. 林孝矩

    ○林(孝)委員 労働省の労働衛生研究所職業病部の見解は全くそれと正反対であることは御存じだと思います。名前を言いますと、松下主任研究官らの発表でありますけれども、そのことに端を発しましてこの問題が大きくなった。まあ見解農林省と分かれているということでありますけれども、ただいま御答弁にありました立ち入り検査とか種々の問題、これは農林省としてそういうことをやるということですか。それとも、全く毒性については皆無であるので、そういうことは考えられるけれども、やるということはまた別ということでしょうか。
  223. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 先ほどの御答弁で申し上げましたように、相当以前から製品化されておりますが、えさについて畜産物を通ずる安全性の問題が出ましたので、四十六年には分析検査をしたわけでございます。で、その後収去いたしまして、なおときどきこれについては分析検査をしていきたいということを申し上げたわけでございます。  なお、先生お尋ねの厚生省の見解等について付言させていただきますと、いろいろ問題になりますカビ毒等のアフラトキシンとかあるいは重金属とかいうものについては問題がないわけでございまして、三・四ベンツピレンというものにつきまして、これが第三者の分析結果では、石油たん白の際に、十億分の一PPBを基準としたのに対し、一・一PPBというものがある会社のものにあったということで、そうすると一・一PPBでございますから、〇・一こえるとして、百億分の一をこえるものがあったということがいろいろ議論になっておりますが、この三・四ベンツピレンは、自然食品中にも、ホーレンソウとかあるいはキャベツあるいは薫製の魚とか、それらについて一五PPBとかあるいは五PPBとか、相当過去の分析でも認められた例がございまして、このベンツピレンについて、どの程度のものがあった場合に特にその安全性が問題になるかどうかという点については、いろいろ議論としてはあり得ると思いますけれども、われわれの今日承知している限りでは、特に問題はないというふうに考えておるわけでございます。
  224. 林孝矩

    ○林(孝)委員 事務当局の問題はないという答弁です。  大臣にお伺いしますけれども、いま事務当局から、この廃液たん白については全然問題はないという答弁がございました。大臣はそのとおり同じ見解に立たれますか。
  225. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 ただいま局長から詳細に申し上げた次第でございまして、私も、いまの局長見解で安全性は保たれておる、こう信ずるわけでございまするが、ただ、林委員が御指摘の労働省の松下氏の発表というようなことがございますときは、これをよく検討いたしまして、いままでの見解についてどういう関係にあるか、そういうことが学術的に専門的に検討されるということは好ましいと思いまするが、すでに相当の長い経緯のあることでございまして、いまこの際のお答えといたしましては、農林省の担当局長のお答えどおり、私は安全性は確保されておるものと思います。
  226. 林孝矩

    ○林(孝)委員 それでは、この廃液たん白については、農林省は安全は確保されているということであります。  ただ、私はその中で問題点をちょっと指摘しておきますけれども、この飼料が十年間長期にわたって使われてきた。したがって、こういうものは以前に農林省で問題になりましたBHC牛乳と同じように、症状があらわれるという段階に至るまでに時間がかかるということです。したがいまして、安全性のチェックということについてはやはり農林省としても行なわなければならないのではないか。それが一点。  それから、その物質が他の何らかの物質と化合した場合に、新しい、たとえば発ガン性の作用を起こすとか、そういう問題についても緊急に調査されるべきではないかという点が一点。  それからさらに、私のほうでも調べておりますけれども、その廃液たん白を使用した結果、どういう症状が畜産物にあらわれておるか。そうした現象面での点検というものも必要だと思います。  それから、飼料規格等設定委員会の中で、たとえば飼料の品質改善に関する法律施行規則というのがございますけれども、この許可条件というものが現状のままでいいのかどうか。特に飼料という問題が与える影響が大きいということを考えて、その点について一考を要するのではないか。これは心配です。この点を指摘しておきたいと思うわけですけれども大臣の答弁をお願いします。
  227. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 いま四点についての御注意あるいはこれに基づいての検討するようにということにつきましては、こういう食料に関係する問題でございまするから、細心の注意を払うことは当然でございまするので、御注意を尊重して、これからの、たとえば公定規格の設定の場合などに反映さしていきたい、こう思います。
  228. 林孝矩

    ○林(孝)委員 次に、高能率農業の展開という大臣の所信表明について質問します。  私はここで問題にしたいことは、大臣みずからが表明されております、最近における地価の異常な高騰、そういう中で農業団地の形成あるいは農業の構造改善事業等を進めるわけであります。ところが、現場においてはどういうことが起こっているかといいますと、すでに大臣も御存じだと思いますけれども農林省のそうした高能率農業の展開というところで直接ぶつかっている現場での問題は、すでにそうした対象となる地域が、先日来もいろいろ問題になっておりました山林におけるところの乱開発だとか、あるいに田園、稲作地帯あるいは畑作地帯のそうした対象地域が宅地造成のスピードに追いつけなくて、農林省のそうした事業が行なえないような状態になりつつある。こういう問題が具体的に起こっているわけであります。ここでほんとうに、たとえば「今後十カ年にわたる土地改良長期計画を策定し、」そのようになっておりますけれども、そうした問題をまず解決していくというこれは緊急の手を打たないと、農林省のそうした計画というものが円滑に進まないのではないか、そういうことを心配するわけであります。  さらに、いわゆる日本列島改造論の中に述べられております構想というものは、はたしてこの高能率農業の展開、そういうものとマッチするものであるかという点。たとえば具体的に申し上げますと、二十万都市構想、こういうものがすでに各都道府県知事の中で発表しているところがございます。そこには当然二十万の都市を目ざしての開発が行なわれるということであり、土地買い占めが進んでおります。そういうところで別に農業団地の形成とかあるいは構造改善事業等が計画されている。こういうふうな重複した政策というもの、こういうものに地方自治体では戸惑っている状況があるわけです。一体どっちのほうに主眼を置けばいいのか、こういう問題も起こっていることも事実です。  そこで、お伺いしたいことは、そうした最近における土地問題、そして大臣が進めようとされておる高能率農業の展開というもの、これを円滑に進めるために、大臣はいま私が申し上げましたようなそういう問題にどのように対処され、そしてこの高能率農業の展開というものを推進されようとしておるのか、その点についてお伺いしたと思います。
  229. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 農林省としては、今度の予算の際に、各種施策をいろいろお願いしておるわけでございます。その中で構造改善事業、基盤整備事業、いろいろございます。それらの遂行上支障があってはどうかという林委員の御心配はまことにありがとうございます。現在の土地行政の実情からいたしますると、そういう点は確かに心配になる点でございまするが、私は、国土総合開発法の改正を近くお願いをすることになっておりまして、その中で非農業と農業と、その間の土地利用につきまして十分調和をとっていく必要があるのではないか、そして、特に農業振興のための地域というものは、そういう利用計画を明らかにして確保することによって安心ができるのではないか、こういうふうに思っております。  それから、現行法の活用の面から、これは言うまでもなく、農地法がございまして、現にある農地を有効適切に使っていくという上におきましては問題がないのでございます。そこに農地の転用の許可申請がございましても、その場合におきましても優良農地は必ず確保するということで臨んでいきたいと思いますし、なお、農政全般の上から山林や林野の関係も考慮する必要があると思いますが、それらの点につきましては、繰り返し申し上げておりますように、乱開発のようなことが行なわれないように近く森林法の改正をお願いしたい、こういうことで対処してまいりたいと思います。
  230. 林孝矩

    ○林(孝)委員 優良農地の問題が出ましたので、たとえば具体的に申し上げますと、川越市にある優良農地の中に石油基地がつくられる、こういうことで非常に現地が反対をしているという事実があります。また、青森県におきましてもむつ小川原開発の六ケ所村、この中で非常にすさまじい土地買い占めが行なわれて、もうすでに十分の一が買い占められておる、こういう事実、あげていけばたくさんあるわけでありますけれども、こういうものは非常にスピードが速いわけです。大臣が考えられているそうした法律ができ上がる時点及びでき上がって施行される、実効が働く時点までに、そうした開発というものが先行していく。私、申し上げたいのは、それまでの間に何らかの手を打っておかないと、法律ができ上がった後にそれが働かない、もうそのときにおいては手のつけようがないという状態になっておるのではないか、こういうのが心配であるわけです。その点に対して大臣はどのようにお考えですか。
  231. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 確かに、全般的に申し上げますと、いま御心配のような例が幾つかあがってくると思うのであります。しかし、農地法がある以上におきましては、農地に関する限りは、農林省としての姿勢がしっかりしておりますれば、御懸念のような事態はないと思うのでございます。ただいま具体的な事例をおあげになりましたが、それで、むつ小川原のほうにつきましては、閣議了解のもとに開発をしようということでございますから、その地域の農地転用の考え方についてはおのずから違うものがございますが、川越市のほうのことにつきましては、ただいま承ったので、それが農地の中にすでに石油基地のようなものが転用許可になったのかどうか、これはただいまのお尋ねでわかりませんが、よく調べさしていただきます。
  232. 林孝矩

    ○林(孝)委員 そこで、緊急対策ということで大臣質問したわけでありますけれども、全体的な観点から大臣が御答弁をなされました。  もう一つ指摘しておきますけれども日本列島改造論によって、いわゆる過疎、過密の解消というものがその中にうたわれております。そして現在過疎地帯であるところの農村地域に工場を誘致して、そこのところの過疎対策とする、こういうことがその中にあるわけでありますけれども、その地域の対象となっている農村地帯、これもやはり大臣の所信の中にありますように、農業として構造改善事業を今後展開していくという対象になる地域が含まれていることも事実であります。ところが、先ほど申し上げましたように、その中で、もう二十万都市構想なんということで知事が発表するというようなことになりますと、大臣のそうした構造改善事業と施策がぶつかるのではないか、その点いかがですか。
  233. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 列島改造の上から申し上げますと、農工一体の農村づくりにも触れておるわけであります。それは農村における農家としての収入増をはかる上におきまして、好ましい工場が誘致されて、そしてそこに農工一体としての新しい農村がつくられることが好ましいと、こう申しておるのでございます。しかし、他面に、その工場誘致等によって問題が起きるようなことであってはいけませんので、現在、農林省としては農村工業導入促進法というそういう法律のもとに、農業側から見た好ましい姿の工業導入ということをお願いしておるわけでございまして、私はそういうことによって御心配の点は防いでいけると、こういうふうに見ておるわけでございます。
  234. 林孝矩

    ○林(孝)委員 大臣予算委員会出席の時間が来ているそうでありますから、あと大臣質問したいことがございますけれども、留保させていただきまして、次の質問に移りたいと思います。  需給関係の問題について質問します。  最近の需給関係の問題は、もうすでに当委員会におきましても予算委員会におきましても、また本会議の緊急質問におきましてもそれぞれ論じられてきたところでございます。そこで、時間の関係から、数点にしぼってお伺いします。  まず、林業木材の関係でありますけれども木材の需給、これを考えるときに、非常に暗い条件ばかりであります。農林省の発表している将来の見通し、こういうものを参考にして私も研究しました。過去にもそうした閣議決定をされた資料もございます。しかし、結局のところは、結論的にいいますと、そうした閣議決定された資料は、事情の変化によって全然見通し等が狂って今日に及んだ。また、今日のそうした見通しというものが、将来その見通しどおりなるかどうかということも非常に心配されるということであります。少なくとも考えられることは、木材需給関係についてアメリカの輸出禁止あるいはフィリピンの三年間にわたる輸出禁止、こうした国際情勢というものが非常に逼迫しているということ、さらに日本生産見通しということを考えても、先ほどから農林大臣に申し上げてきたように、山林の開発、そうしたそのがどんどん先行して、いわゆる山林の面積が非常に減少していっておる。これはもう一たん切ったものはふえないのでありまして、非常に生産高がダウンするということは見通しとしては言えると思います。そのような状況で、特に農林省として、そうしたところで林業開発といいますか、生産開発といいますか、そうした方向を目ざしているということがございましたけれども、具体的にその内容についてお伺いしたいと思います。
  235. 平松甲子雄

    ○平松説明員 木材の需給につきましては、先生承知のように、国産材につきましては、ちょうど現在の段階では、戦争中あるいは戦争直後というときに植えるべきであったところがちょうど伐期齢に達しておるというようなことがございますし、自然保護の観点から伐採を制限しろというお話もございまして、国内材の生産というものについては、ここ十年ほどは非常に先行き暗いということは先生指摘のとおりでございます。  外材輸入でございますけれども外材輸入につきまして、木材の種類を大別いたしまして、建築用材と合板用材というようなことで分けますと、建築用材につきましてはアメリカ、カナダ、ソ連と、それにニュージーランド、それから合板の用材といたしましては東南アジアというふうに給源はあるわけでございます。アメリカにつきましては、日本が今回の木材高騰に際しましてアメリカ市場で買いあさったということもございまして、向こうで非常に値段が上がったということがございまして、きょうの夕刊あたりに出ておるようでございますけれども、アメリカの丸太の輸出を七四年から逐年的に禁止していくというようなことがきょう提案されたようでございますし、フィリピンの材につきましても、これは五年ほど前からそういう案があったわけでございますけれども、それを改めて三年後に全面禁止をするというようなことが出ておるわけでございます。そういうふうな意味におきまして、外材についても多少暗いというような面も出ておるわけでございますけれども、御承知のように、カナダにはまだ相当な蓄積がございますし、それからソ連のシベリア部分につきましては相当な蓄積があるということでございまして、これについては開発を進めていく。向こうさんで日本側に供給しようということで、日本側に協力していただくというようなことであれば相当量の供給は可能である。また南方材につきましても、フィリピン、マレーシアあたりは多少資源的に乏しくなってまいっておりますけれども、インドネシアには相当な蓄積がある。また南米等にもパルプ、チップの用材に向くようなものは相当あるというようなことでございまして、そういうところにつきまして開発輸入といいますか、先方の森林資源の開発に協力をするというようなことで進めていったらどうか。私ども検討いたしておるところでございまして、四十八年の予算の中にもそういう面の協力ということで、農林省全体として海外協力の関係の調査予算で三千二百万取ったわけでございますけれども、その中にも相当大きな項目として林業部門が入っておるというようなことでございます。
  236. 林孝矩

    ○林(孝)委員 そうしますと、まずだいじょうぶだ、そういう見解に受け取っていいかと思います。  森林法を改正するということがよく大臣の答弁から出るわけでありますけれども、それは乱開発を防止し自然を保護する、そうした面からも森林法を改正する。そういう森林法の改正にあたって、何を主眼にしてどういうところにウエートを置いて森林法を改正されようとしておるか、その点一点お伺いしておきたいと思います。
  237. 平松甲子雄

    ○平松説明員 森林法の改正を現在準備を進めておるところでございますが、森林法改正の大きな眼目といたしまして三つほど私ども考えておるわけでございます。一つは、ただいま先生指摘森林の乱開発を防止するという点でございます。二番目は、森林計画につきまして共同施業というふうな形の計画をつくるということ、それから、施業計画どおりの施業を促進していくという意味において森林計画を、法律の規定を現在よりもさらに充実していくということが一つでございます。さらにいま一つは、森林組合制度に関する改正をやりたいということでございます。  先生指摘森林の乱開発に関する規制という点につきましては、最近、森林水資源涵養であるとか国土保全であるとか、あるいは国民の休養の場の提供であるとか、森林の多目的公益的機能に対する要請が強まってきておる。それと反対に山林が相当乱開発をされておるという実情があるわけでございまして、そういう実情をそのままほっておくことはまずいという判断に立ちまして、一定規模以上の森林の形質変更を行なうような行為については何らかの規制を行なうということが必要であろう、そういう趣旨の改正をやりたいというように考えておるわけでございます。
  238. 林孝矩

    ○林(孝)委員 時間が来たそうでありますので、最後に一点だけお伺いしておきたいと思います。  これは、残存二十四品目の輸入の自由化ということに対する当委員会の質疑の中で、農林大臣が自由化の品目を一、二検討しておるという発言がございました。その一、二というのはどういう品目なのかということであります。その点を最後に質問いたしまして、私の質問を終わります。
  239. 三善信二

    ○三善政府委員 御説のように、現在の残存輸入制限品目は二十四品目ございます。大臣が一、二品目を検討していると言われたそうでございますけれども、私の知っておる限り、特に一、二品目が何であるかということについて、現在それを考えているわけでもございませんし、いろいろ検討をしているという段階でございますので、その点御了承をお願いしたいと思います。
  240. 林孝矩

    ○林(孝)委員 質問が終わるところなんですけれども、ちょっと答弁がはっきりしないので、質問を終わることができないわけです。  全然何にも考えてないというので一、二品目、こう言われたのか、それとも一、二品目というのは頭の中にある、事務レベルでも検討しておる、しかしそれは現在発表できないというのか、その辺くらいはどうなんです。
  241. 三善信二

    ○三善政府委員 事務的には私どもは以前からいろいろな検討はいたしております。と申しますのは、やはり国内対策といいますか、十カ年の生産目標等もつくりましたし、そういう意味で、今後の農業の生産及び構造、そういったものをどうするかという問題と関連させながらこの自由化の関連品目というのも考えて、検討していかなければならないというふうに思っておるわけでございまして、特にどの品目を指定してそれを自由化するためにどうするということをやっておるわけではございませんし、一般的にそういう検討をしておるということでございます。
  242. 林孝矩

    ○林(孝)委員 終わります。
  243. 佐々木義武

    ○佐々木委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時散会