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大出委員 それじゃ、これは質問の出足でございますから、いまお答えを四点
——三点といっていいのかもしれません。海外
インフレ、農産物の減収等を背景にする、それから需要が非常にふえたという、増加している、総需要という意味で。それから過剰流動性を背景にして、これは中小零細
企業をおもんぱかって一次、二次、三次、四次、五次、六次という公定歩合の引き下げをおやりになったですね、ここらをさしておっしゃるのだと思う。
ところが、どうもほんとうのことを、まだ長官はおっしゃらぬような気がする。経済企画庁設置法を審議いたしましたときに、せっかく
物価対策局みたいなものをおつくりになるというので、はたしてどこまでおやりいただけるかわからぬがという疑念を持ちながらも、私は長官と少し長い議論をして賛成をしたわけでありますが、そこでそのときにも、どうもはっきりしなかったわけでありますけれども、今回の
物価上昇、異常な
物価上昇だといいながら
インフレではない、こうおっしゃるわけですけれども、それはそれとして、私はどうもつくられた
物価上昇である、こういう見方をせざるを得ない、証拠が幾つもありますから。
そこで、まず第一点は、国際通貨が、どんどんドルならドルが流入してくる。確かに、これはあのときの、東京の為替市場をやっておったという現実もございまして、
つまり、いまおっしゃった過剰流動性、これはたいへんな額の過剰流動性を生じた、これはお
認めになっているのですね。まず、これがある。だから、この過剰流動性も、ときに政策よろしきを得れば、押えられたはずではないかという反論が出てくる。その意味では、これは政策の誤りであった、あるいは見通しの誤りであった。初めてのことにぶつかったのだからいたし方ないとしても、やはりここに誤りがあった、こういうことに私はなると思う。
それからもう
一つは、総理みずからひっさげておいでになる日本列島改造論、新幹線をこれこれつくる、この前の
国会でも九つの新幹線になっておりますが、向こう十カ年計画、再建計画が出ております。この改造論による非常な土地ブーム、過剰流動性がある。
つまり土地ブームを刺激をする。土地、株式、商品というところに対するたいへんな投機熱、土地、株式、商品、これは
数字が全部ございます。これは非常に
物価を上げていく。
インフレということばがいやならば、
物価上昇でもよろしゅうございますけれども、上げていく
一つの国民的ムードをつくっている。これは間違いない事実であります。
それから三番目に、円切り上げ回避。これにいささかこだわり過ぎていて、引き締め政策への転換、これが非常におくれた。六次公定歩合の引き下げのときなんぞは、郵便局の貯金の預金利子まで押えて、あるいは銀行預金にしてもそうですが、五分七厘五毛の一年ものの定期預金の金利を五分二厘五毛に押えた。これは庶民一般にとってはたいへんな打撃です。そこまでして、なぜ一体金融緩和政策をとり続けなければならなかったか。ここにも、
つまり見通しの誤りなり政策ミスなりというものがなければならぬ。いまいろいろな学者がものを言っておりますが、どこから見ても、経済企画庁の方がこの間立案をされた白書みたいなものの中にも三つの問題をあげて、おおミステークと言わんばかりの中身のことが書いてある。
つまり——途中でたいへん恐縮でございますが、
総務長官、さっき私が冒頭に申し上げた
国家公務員法二十八条に規定されている事項がございますので、かつ
労働大臣に承っておりましたように、
民間先行型で
物価に対する、あるいは
物価上昇に対する、
生活そのものに手を当てるという形の
手当てもどんどん出てきている。その影響は
公労協にあるということを
労働大臣はお
認めになった。だから、
労使間
交渉をやっているのだから、微妙だから言えぬけれども、そこらを考慮した結果になるだろうという言い方をちょっとされておる。そういう
——ちょっとと申し上げているのですから、首を振らぬでもいいですよ、
大臣、
加藤さん。したがって、そこらのことは、同じ
身分法、
国家公務員法というワクの中にいる
公務員五十万の
方々についても、同様のことが言える。そこのところを、ひとつ
国家公務員の
給与の担当
責任者である
総務長官という
立場から御考慮をいただきたい、こういうことを言いたいわけですから、そこのところだけ申し上げておきまして、お時間のようでございますので、けっこうでございますから。私の場合は、もうけっこうでございますから。
そこで三番目に、いま申し上げましたのも、やはり政策ミスにつながりはせぬかという気が、
小坂さん、するのであります。
それから逆に、もう
一つ非常に大きな問題は、あなたはおあげになりませんでしたが、田中
内閣というのは金融という水門は締めた。いま一次、二次、三次、四次という形の公定歩合の引き上げをやっておりますね。それが、どの辺に一体その公定歩合の引き上げというのは影響を持っておるかという、
つまり比率がございます。これはまあ別として、引き締め政策をとっていることに間違いないから、そういう意味では一次、二次、三次、四次という形の金融引き締め政策をおとりになっている。金融という意味の水門を締めている。ところが財政という面からながめてみると、財政という堤防に大きな穴があいている。幾ら締めたって、財政面の堤防に大きな穴があいているのですから、これはにっちもさっちもいくはずがない。
という意味で、これは
皆さんが予算編成をなさったときに、トリレンマなんということをおっしゃった。十四兆二千八百四十億円の一般予算をお組みになって、これは横に読むと、いい世に走れというのだ。ちっともいい世に走らぬ。中曽根さんが苦労されて一生懸命
石油の規制だなんて言って、耐乏
生活を国民に協力を求めてなんというようなことになっているわけですから、これはちっともいい世に走らない。それは当然、空を飛んでいる鳥と地上を走っているけものと海の中の魚とが一発のたまで落ちるはずがない。
そこで、これは国内に追加市場をつくろうというお
考えがあったり、
調整インフレをお唱えになった中曽根さんがおいでになる。まさにそういう形の予算になっている。超大型予算をお組みになった。これは明らかに
物価が上っていく。あたりまえのことでありまして、だれが
考えたって、それこそこれは、初歩でございまして、これが実は非常に大きな理由でございます。
念のために申し上げておきますが、これは十四兆二千八百四十億円、二四・六%増の一般会計の予算をお組みになっておる。財政投融資が六兆九千二百四十八億円ある。二八・三%増であります。これに四十八年度は地方財政規模十四兆ございます。十四兆二千八百四十億、財政投融資が六兆九千二百四十八億円、地方財政規模十四兆、合計三十五兆円の金が動いておる。これは予算に組んだんだから、支出するのですから、歳入歳出なんですから。これだけで三十五兆円。そのほかに特別会計があります。
政府関係機関があります。地方の特別会計があります。事業団の
関係があります。全部を計算してみると、四十八年度の支出は純計で五十兆になる。財政、地方財政、国家
関係機関、特別会計、事業団、これらを全部計算しますと、何と五十兆になります。GNPは百兆なんですからね。そうでしょう。そうなると、
つまり金融という水門を幾ら締めたって、財政という大堤防にこれだけ大きな穴をあけて五十兆の金が流れていくならば、あなた方が幾らどうお
考えになろうと、
経済企画庁長官小坂さんがさか立ちしようと、初めからいまの
物価上昇を押えられるはずはない。おやりになっていることは何かといえば、公共事業費の八%の繰り延べ
——繰り延べといったって、これは二階堂さんの言い分ではないけれども、金が余った、それだけのことです。やり切れない。そうすると、純然たる
物価対策でおとりになったのは、大きなビルを規制するなんというのは別として、金融引き締め四次にわたるものしかやっていない。五十兆の金が出ているとすれば、これは財政面からだって大きな
物価刺激をするのはあたりまえだ。これらのことは、いまの長官の
答弁の中に入っていない。これは非常に大きな
物価上昇要因だった。これまたこの予算の組み方は誤りであった。その証拠に、経済企画庁がようやく重い腰をお上げになって、緊急
物価対策へ着手という経企庁の立案されている、いまやられているものの中では、来年度予算の引き締め、総需要を押えるというところに重点を置こうとなさっている。
つまり、これだけ大きな規模の財政を組み上げたことに対する反省の上で総需要を押える、
石油も加わりましたが、そういうことになっているわけでしょう。だから、これはやはり政策ミスである、こういうことにならざるを得ないわけであります。
さらに、
一つ一つ打つ手がおそくなったということを、
皆さんが、経済白書等をお書きになった担当の方が「エコノミスト」等で述べておられる。おそくなったんだとすれば、これまた政策ミスになる。だから、私はその意味で、今日の
物価上昇というのは、打つべき手を
——これはいい悪いは別です。初めてのことにぶつかった、円切り上げですから、別です。別ですが、打つべき手を打ち得なかった、あるいはおくれた、あるいはミスがあった。
つまり、そういう意味で人為的にでき上がっている
物価上昇である。
一つだけ、国際的な
物価上昇の影響というものを私は否定はしない。だが、それを考慮しても、これだけ異常な
物価上昇になるはずはない。十月における二〇・三%もの卸売り
物価の
上昇、タイムラグ六カ月見たって、これは先々たいへんだ、私はこう
考えている。
長官は、三つしかおっしゃいませんでしたが、いま財政規模の問題だとか幾つか申し上げましたが、一体どうお
考えですか。