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1973-11-16 第71回国会 衆議院 内閣委員会 第53号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年十一月十六日(金曜日)     午前十一時十五分開議  出席委員    委員長 三原 朝雄君    理事 加藤 陽三君 理事 笠岡  喬君    理事 中山 正暉君 理事 藤尾 正行君    理事 大出  俊君 理事 木原  実君    理事 中路 雅弘君       伊能繁次郎君    江藤 隆美君       越智 伊平君    大石 千八君       竹中 修一君    三塚  博君       吉永 治市君    上原 康助君       山崎 始男君    和田 貞夫君       木下 元二君    鈴切 康雄君       受田 新吉君  出席国務大臣         通商産業大臣  中曽根康弘君         労 働 大 臣 加藤常太郎君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      坪川 信三君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      小坂善太郎君  委員外出席者         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務総局         給与局長    茨木  廣君         人事院事務総局         職員局参事官  後藤 敏夫君         総理府総務副長         官      小宮山重四郎君         総理府人事局長 皆川 迪夫君         公正取引委員会         委員長     高稿 俊英君         公正取引委員会         事務局長    吉田 文剛君         公正取引委員会         取引部長    熊田淳一郎君         防衛施設庁労務         部長      松崎鎮一郎君         経済企画庁調整         局長      青木 慎三君         経済企画庁物価         局長      小島 英敏君         沖繩開発庁総務         局長      岡田 純夫君         大蔵政務次官  山本 幸雄君         大蔵省主計局主         計官      矢澤富太郎君         通商産業審議官 森口 八郎君         通商産業省基礎         産業局長    飯塚 史郎君         通商産業省生活         産業局長    橋本 利一君         労働省労政局長 道正 邦彦君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ————————————— 委員の異動 十一月七日  辞任         補欠選任   越智 伊平君     澁谷 直藏君   近藤 鉄雄君     小沢 一郎君 同日  辞任         補欠選任   小沢 一郎君     近藤 鉄雄君   澁谷 直藏君     越智 伊平君 同月九日  辞任         補欠選任   近藤 鉄雄君     長谷川 峻君   上原 康助君     井上  泉君 同日  辞任         補欠選任   長谷川 峻君     近藤 鉄雄君   井上  泉君     上原 康助君 同月十二日  辞任         補欠選任   越智 伊平君     小沢 一郎君   近藤 鉄雄君     澁谷 直藏君 同日  辞任         補欠選任   小沢 一郎君     越智 伊平君   澁谷 直藏君     近藤 鉄雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  公務員給与に関する件      ————◇—————
  2. 三原朝雄

    三原委員長 これより会議を開きます。  公務員給与に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  3. 大出俊

    大出委員 きょうは、私のほうからお願いをいたしまして、たいへんな消費者物価上昇が、せっかく人事院が一五・三九%、一万四千四百九十三円の勧告をなさったわけでありますけれども、そのすべてがと申し上げていいんじゃないかと思うほどに、物価上昇にすでに食われてしまっている現状でございます。したがって人事院の所管をなさる国家公務員はおおむね五十万人、公共企業体等関係職員が九十万名、地方公務員がおおむね二百五十万人、こういう数字になると思うのでありますが、これらの方々が、ほとんどいまたいへんな高物価の中で、これから年の瀬に向かいまして苦しい状態に置かれております。私も長らく賃金をやっております関係で、ずいぶんたくさんの方の御意見を承ってまいりましたが、何ともどうも見ていられない昨今の事情にございます。  おいおいそれを具体的な事例につきまして立証をしてまいりたいと思っているわけでありますが、そういうことで、いまのこの十一月、十二月というこれからの時期は、民間先行型で動いている状況にあります。民間の各労働組合方々は、物価手当をよこせ、あるいは物価補給金を出せ、あるいはインフレ手当をよこせという要求がほとんどの年末闘争の主要目標になっているわけであります。そして、すでに相当な企業が、物価手当を含む、補給金を含む、こういうことで回答を出しております。平均をしてみまして大体五、六万、このくらい昨年末に比べましてふえている事情にございます。そういう民間先行型のこの年末の状況の中で、公労協諸君は、一カ月分よこせ、こういう形で二十日には大ストライキをかまえる、来月もまた引き続き大きな実力行使をかまえる、そして二十日には、実力行動をやったあと、すぐ公労委要求書を持ち込む、こういう大勢でいま進んでいるわけであります。  ただ、ここで一つ大きな問題になりますのは、民間が年末の手当を、物価手当を含めて、あるいはインフレ補給金を含めて出した。公労協も提訴まで持ち込んで、公労委事務局などが、異常な物価上昇でございますから、何とかしなければならぬと思っておりましても、公共企業体等労働組合の、あるいは職員使用者であるのは、使用者としての政府でございます。ということになりますと、政府の態度はどうなのか、さらに、そういうことになりますと、国家公務員法という法律に縛られている国家公務員は一体どうなるのか、あわせて地方公務員はどうなるのか、したがって人事院は一体どうなんだということに、筋道はなってまいります。  そういう意味で、実は本日は、総務長官並びに人事院総裁に、結論は、いま私の申し上げた結論に従って、一体どうお考えになっているのかという点をはっきりしていただきたい、こう思っているわけであります。  そこで、総務長官のお時間等があるわけでありますから、あらかじめ総務長官に承っておきたいのでありますが、国家公務員法の二十八条というのがございます。一項、二項がございますが、これは一体どういう理解、どういう解釈をすればいいのか。給与の総責任者でございます総務長官に、国家公務員法二十八条というものを一体どうお考えになっているのかという点を——これは一口に申しまして情勢適応原則、こういわれるものであります。情勢適応原則には一項、二項ございますが、ここのところを一体どういうふうに考えておられるのかという点を、まずもって承っておきたいのであります。いかがでございますか。
  4. 坪川信三

    坪川国務大臣 いま御指摘になりました法の解釈といたしましては、その状況変更に伴って、それに即応する改定をする、こういう解釈は基本的に何ら変わるものではない、こう思っております。
  5. 大出俊

    大出委員 情勢変化に適応して対処をするという解釈だ、こういうお話でございますね。ところが、ここに人事院側の義務づけもございまして、総裁に承りたいのでありますが、人事院の側からすると、この「情勢適応原則」というのはどういうふうにお考えなのか。ここに勧告を怠ってはならぬということがございます。「人事院においてこれを勧告することを怠ってはならない。」こういう条文等がございますが、この一項、二項を一体どう解釈すればいいのか、総裁に承りたい。
  6. 佐藤達夫

    佐藤説明員 大体いま総務長官の答えられました骨子と同じ考え方を持っておるわけであります。この条文に基づいて従来毎年勧告を申し上げておる。その勧告基礎となっておるところは、民間調査あるいは官民比較ということによって、それらの調整に追随しつつやってまいったわけでありますが、そういう趣旨でこれを了解しておるわけでございます。
  7. 大出俊

    大出委員 二十八条は、「この法律に基いて定められる給与勤務時間その他勤務条件に関する基礎事項は、国会により社会一般情勢に適応するように、」給与について社会一般情勢に適応するように、こういうことになります。「随時これを変更することができる。」つまり給与法改定がなければ出せませんから、これは当然国会ということになります。「その変更に関しては、人事院においてこれを勧告することを怠ってはならない。」こういうことになる。私がいま申し上げましたのは、諸般の事情社会一般情勢というのは、民間先行型で、このインフレに対処して数々のインフレに対する手当等が年末手当の中で出されている。具体的例はたくさんあります。妥結しているところは、もうたくさん出ているのでありますから。  さて、そこで二項でございますが、「人事院は、毎年、少くとも一回、俸給表が適当であるかどうかについて国会及び内閣に同時に報告しなければならない。給与を決定する諸条件変化により、俸給表に定める給与を百分の五以上増減する必要が生じたと認められるときは、」五%でございます。五%の増減、その必要が認められたときは、そういうわけでございます。「人事院は、その報告にあわせて、国会及び内閣に適当な勧告をしなければならない。」こうなっておるわけであります。旧来、佐藤さんになりましてから、年一回ほとんど勧告をしてきているわけでありますけれども、さて、この「情勢適応原則」、国家公務員法第二十八条の第二項では、「人事院は、毎年、少くとも一回」少なくとも一回であります。だから、一回というのは、最小限度でございます。少なくとも一回、これは明文の規定がございます。つまり少なくとも一回ということは、一回以上はしなければならぬ、一回というのは、最小限度である、そういうことになりますが、総裁、いかがでございますか。
  8. 佐藤達夫

    佐藤説明員 法律の読み方としては、最小限度、これは間違いないと思います。
  9. 大出俊

    大出委員 ところが法制局長官などをおやりになっていた佐藤総裁は、ときに「法律のミステーク」なんという本をお書きになりますので、これは念を押しておきませんと、まことにあぶないので……。なかなかいま微妙なことをおっしゃるが、少なくとも法律条文にこう書いてある以上は最低一回でしょう、こういう。しぶしぶであっても、何でもそれをお認めになればそれでいい。お認めになったのですから、よろしゅうございます。  そこで、「情勢適応原則」の前段は、勧告を怠ってはいけない、情勢変化がこうあったときには、適応しなければいけないのですから。それでなければ、公務員生活は守れない。  さて、第二項は、しぶしぶではございましたが、明文にあるのだから、最小限度一回だということをお認めになったわけであります。これは最小なのでございまして、一回以上勧告して一つもおかしくない、こういうことになります。  これは総務長官、いまお聞きになっておって、それでよろしゅうございますか。給与担当責任大臣でございますから、もう一ぺんひとつ重ねてお答えいただきたい。いまのやりとりでよろしゅうございますね。
  10. 坪川信三

    坪川国務大臣 ただいま人事院総裁のおっしゃったとおりでございます。
  11. 大出俊

    大出委員 そこで、しからば一体どういうふうに情勢変化しているかという点で——おのおのお時間があるようでございますし、労働大臣せっかくお見えいただきましたので、民間つまり公労委を所管なさるのは労働大臣だろうと思います。あるいは労政局長さんだろうと思うのでありますけれども、公労委関係で、つまり公労協といわれる組織の方々つまり公共企業体等につとめておられる職員の団体、こちらの側の動き、これはおそらく労働大臣のところにいろんな要請がいっているだろうと思うのです。どんなふうなことに公労協側——いまこの席は、国家公務員五十万を所管される人事院あるいは総理府でございますが、公労協はおおむね九十万でございます。そちらの側は、身分法でいえば同じ国家公務員法でございますから、所管なさる労働大臣の側からは、いまの公労協あたり要求というのは一体どんなことになっているのかという点をひとつ承りたいのと、あわせて民間先行型といま申し上げましたが、この年末、インフレ手当をよこせ、あるいは物価手当を出せ、あるいは補給金をよこせという、それこそ世の中じゅう組合がほとんどそういう要求を掲げておりますが、その中で、現時点における動向としては、一体どういう動きになっているのかという現状把握をまずお示しをいただきたいのでございます。いかがでございますか。
  12. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 いま物価高を背景とした手当の問題で、私の管轄の三公社現業のほうも熱心に労使間で話し合いをいたしております。  内容については、簡潔に労政局長から報告いたしますが、これは政府のほうではインフレとは認めておりませんけれども、いろいろな関係から見ると、なかなか困難なときであります。内容については、私も十分いろいろ考慮していかなければならぬが、手当の問題は労働大臣も介入することを差し控えなくてはならぬ。目下これに対してせっかく検討中でございますが、これは三公社現業関係以外にも関係いたしますなかなか重大な問題でありますので、困難でありますが、労使間でせっかく検討中であります。一般公務員坪川大臣のほうとの関係もありますので、いまさっそく、これに対して大臣としてこういたしますと申し上げる段階でもございません。  いまの前段のことは、局長から簡潔に答弁させます。
  13. 道正邦彦

    道正説明員 民間状況から御説明申し上げたいと思います。  大手企業二百七十九社について例年調査をいたしますが、要求のしかたがいろいろございまして、夏に冬のものまで含めてきめるタイプと、冬の場合に冬と夏をきめるタイプと冬だけきめるタイプといろいろございますが、現在、百四十一社が冬季について一時金要求をいたしております。それは対前年に比較いたしまして三三・九%増となっております。それからすでに夏に冬のものをきめているのもございます。四十一社ございますが、これは金額にして二十四万六千円でございますが、二五・六%のアップ率、これは妥結をしておるわけでございます。  公労協のほうは、先生も御承知のように、一カ月分の生活危機突破臨時賃金ということで要求がなされております。なお、そのほかに年末一時金の要求が別になされていることは御承知のとおりであります。
  14. 大出俊

    大出委員 加藤労働大臣かいま——私そう耳が悪いほうじゃないのですけれども、どうもわかったようなわからぬところがあるような御答弁をいただいて、かえってどうも恐縮でございますが、給与関係閣僚会議というのがございまして、国家公務員賃金をおきめになる際も、労働大臣主要メンバーのお一人なんですね。そうでございましょう。それから一般論として、つまりこの国の労働者諸君一般行政上の責任をお持ちにならなければならぬ立場労働大臣にはおありになるわけであります。したがって国家公務員法という法律があるのですから、そのワク中で総務長官なり人事院責任というのがございます。だが、それらを包括して、かつ労働大臣には、働く皆さん生活ということについては、あるいは国民一般生活ということについては、大きな行政上の責任があるわけでありますから、したがって、そういう立場で少しものを承りたいと思って申し上げたわけなんです。  だから、そう御遠慮にならずに——石油割り当て制限等をめぐりましても、労働大臣いち早くものをおっしゃっておられるわけでありまして、マイカー通勤の自粛を促すとか、かと思いますと、フレックスタイム導入で週休二日制さらに拡大というようなことをお話しになっておられる。これは関連があるからお話しになっておるわけだ。したがって、やはり民間動向を的確におつかみをいただいて、公務員という名の日本の働く皆さん立場に立って、やはり労働大臣立場一つの識見をお持ちいただかなければならぬ時期にきている、こう思うのです。  そこで、時間の関係もありますから、幾つか例をあげますけれども、「昭和四十八年大企業年末一時金要求妥結状況」これは十一月十三日現在、道正さんのところからいただいた、労政局長さんのところからいただいた資料であります。これをながめましても、昨年に比べて非常によけい出しているところがある。まず鉄鋼なんかの場合も、これは夏冬型であります。さっき道正さんがお話しになった夏冬型の一時金であります。鉄鋼は四十七年、昨年は夏冬合わせまして四・〇五カ月分、三十五万円。冬が一・九カ月分、十六万五千円でございました。夏が二・一五カ月分、十八万五千円、こういう昨年末の妥結状況でございました。本年は十一月の十三日に出されておりますけれども、鉄鋼大手五社統一回答でございます。四十八年の、つまり夏冬型の一時金につきましての回答でございまして、合計いたしますと、昨年の三十五万円に対して五十二万円になっている。新聞が五割増しと書いておりますが、夏冬型でございますから、分けて申し上げますと、冬が二・四五月分、二十五万円、夏が二・六五月分、二十七万円、実はこういう金額になるわけであります。昨年は十六万五千円と十八万五千円でございました。これが二十五万と二十七万にはね上がっている。だから、前年比一・〇五月分ふえているわけでありまして、冬が〇・五五月分、夏が〇・五月分、実はこういうふえ方になっている。つまり鉄に代表されますように、これを見ましても、いずれも五、六万ずつふえているというのが、今日妥結しておりますところの事情でございます。これは労働省側が出した資料ですから、あとからもう少し詳しく最後の詰めで承りますが、一例をあげますと、そういうことになります。  そこで、私の手元にあります資料によりますと、これは労働省じゃありません。私の手元でございます。私のところの資料によりますと、製紙関係なんかでも非常に高い妥結額になっております。王子製紙なんかは、昨年は十八万二千三百八十四円でありましたが、これが二十四万三百二十二円。つまり十八万台のものが大体二十四、五万になっている。それから十條製紙なんかも、やはり同じように十八万台のものが二十四万をこえている。つまり製紙関係は六万円ぐらいずつふえている。それから安田火災海上なんかの例をとりましても、大体本年は四十二万円でございます。昨年は三十五万円。実は七万円の上昇になっている。あるいはマスコミ関係なんかを見ましても、日本テレビの、これは何か田中総理がけしかるとかけしからぬとか言ったそうでありますが、けしかると言おうとけしからぬと言おうと、どっちにしようと、出したものは出したのでございまして、物価手当奨励金として〇・六カ月分、つまり常々の年末の手当に対しまして〇・六月分の物価手当、これを出している。昨年は日本テレビ妥結額で四十二万五千四百七円でございました。これに対して本年は年末手当のほかに〇・六カ月分の物価手当、これを出している。東京放送も同様に物価手当として六万七千九百円出している。それから近畿鉄道、近鉄でございますが、ここなんかも昨年に比べますと、昨年の十六万七千五百円に対して二十万一千円、ここでもたいへんに——この差額は何かというと、これはやはり物価手当。そのほかにデパート関係なんかでも、大丸あたりは六十七万三千円の要求を出しました。そうしたら満額のみまして、満額妥結。これに端を発しまして——大丸は昨年は三十九万なんです。三十九万が今度は六十七万。だから、この関係もずらっとこういう金額が出てきている。これはあげればきりがありません。たくさんありますが、あといま交渉中でございますが、実は日立総連の中央の事務局長等にも先般聞いてみましたが、実は日立なんかも、家電その他の部門、いずれも好況でもございますために、かつまた時間外労働も常々やっております関係で、五、六万ふえなければ職場があとに引かない状況にある、会社側もほぼそのことを感知している、こういう言い方をいたしておる。一次回答段階でも昨年よりほとんど多い。実はこういう各会社組合のいまの交渉の実情にあります。私は民間先行型と申し上げましたが、いまそういう民間状況である。物価手当なりあるいは補給金なりというものを加味した妥結、そういう状況がぼつぼつ、あるいは徐々にふえてきている、こういう状況である。この傾向について労働大臣はどうお考えでございますか。
  15. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 私の管轄民間関係公共企業体、この関係に対しましては、いろいろ手当の問題、賃金の問題は、労働条件の中でも当然重要な問題でありますので、大臣といたしましても、省をあげて内容把握——いろいろな動向、また経済のいろいろな、物価上昇の問題、またいまもお話があったような石油の規制の問題、かようなことを考えまして、あらゆる資料を集めて検討中でありますが、御承知のように、釈迦に説法でありますが、労働大臣からこれどうだと、こういうこともこれはなかなか言えないので、かといって、また上から命令するような問題でもありませんので、やはり当然三公社現業の、民間のいろいろなベース、年末の手当の支給の妥結額、かようなことを参考にいたしまして、これは今後どうするかということをきめなくちゃならぬ段階にきておると思います。公務員のほうは人事院か当然——私の管轄外でありますが、これもそういうことも考えられますが、いまこれに対して、先ほどから申し上げたが、歯切れのいい御返答ができないというのは、微妙な段階でありますので、政府もこれに対して、いま労働大臣としてこうしたいという示唆を与えるとか、またこうだということに対してできない立場でありますので、影響するところは重大でもありますので、今後政府においても十分検討をしていく所存であります。  いま、これに対して困難ないろいろなこともありますので、大出委員からの、もう少しはっきりせいというようなお気持ちもわかりますが、以上の通りで十分内容把握、いわゆる民間ベース関係が三公社現業公務員にも影響いたしますから、当然関係各省並びに政府においても考えております。
  16. 大出俊

    大出委員 最後お話しになったのと、さっきの答弁の一番最初にお答えになったのと、二つあるのですが、一番最初に、開口一番、政府インフレとは認めておりませんがと、こういうお話なんです。どうもよけいなことをおっしゃるので、黙っていれば、ものを言う気はないのですけれども、この期に及んでまだ政府インフレとは認めておりませんがと言うと、ふざけなさんな、こう言いたくなる。しかし、これはお隣に経済企画庁長官小坂さんがおいでになりますから、労働大臣小坂さんのほうでインフレとは認めがたいと言っていれば、閣僚の一員ですから右へならえになるのでしょう。最後のほうは、民間のこの年末の金の出方が公労協その他に大きく響くということをお認めになった、そうですね。いま最後にそうおっしゃいました。したがって重大な関心を持って民間動向を調べておる、把握したい、こう思っている、こういうお話。そこから先を言い過ぎると影響が大きいから、民間もどんどん上がっているのだから何とか考えなければいけないと言ってしまっては、まだちょっと早い、いまこういうお話であります。  だが、ここで問題は、インフレであるとかないとかいうその学問上の論議は別として、物価がどんどん上がっておることは事実なんです。数字は明らかです。小坂さんにこれから聞きますが、明確なんです。卸売り物価にしても、十一カ月連続続騰でありまして、六カ月のタイムラグを見たって、これはたいへんなことになる、だれが考えても。「四十八年度の日本経済の運営とその見通し」なんて小坂さんのところでこしらえて、一月六日の閣議できめたのだけれども、うそばっかりきめている、何にもそのとおりにならない、その現実がここにある。だから、民間会社インフレと名をつけようと、物価とつけようといいのですが、金をそういう意味でよけい出したという現実がずうっと出てきた場合に、公労協なり公務員なりか——道正さん、あまりそこで入れ知恵をしないでもいいですよ。公労協なり公務員なりが何にもないというのでは、同じ世の中で家族をかかえて生活しておる方々なんですから、これはいささか片手落ちである、ここのところはどうお考えでございますか。  いま私が、鉄鋼〇・五カ月分よけい出た、新聞は五割増しと書いている、すでに数字をあげました。あるいは幾つか、製紙関係だ、あるいは百貨店だ、あるいはマスコミ関係だという数字をあげましたが、いつの場合でも、この関係の業種は先行型の業種であります。この辺の出方であとは占えるのです。おおむねの傾向は出ている。つまり民間がどんどん出しているのに、公務員関係のほうが出ないとすれば、これはいささか生活という実態をとらえてみれば気の毒である、こういうことになる。この一般論はお認めになりますか。
  17. 加藤常太郎

    加藤国務大臣 先ほどから申し上げましたように、公労協の問題は当然——民間のいろいろな年末手当インフレ物価上昇の論議は、これはそちらのほうが専門家でございますので差し控えたいと思いますが、私の管轄の三公社現業公労協の問題も、民間ベースを十分注視したいと思います。そして目下労使で団体交渉中でありますので、これは大出委員からも御質問のような各点を考慮して最終には私はきまると思いますが、公労協でも運輸省の関係、郵政省の関係、また公社関係もありますので、いま私からここで、金額の問題とかこうしたいというようなことを言うことはなかなか困難な現状でありますので、十分民間ベースを考慮して、当然三公社現業のこの手当の問題も私はきまっていくと思います。なかなか困難な問題でありますので、微妙な点がありますので、ちょっと私から判然とお答えすることができない点はひとつ御了承願いたいと思います。
  18. 大出俊

    大出委員 いまの御答弁は聞こえぬところもございましたが、大体半分ぐらい承った限りでは、民間のこの年末に来ての動向から見ると、いろいろ出てきている、その民間動きは、三公社現業に大きな影響がある、しかし、いま労使双方が交渉中であって微妙な段階だ、しかし一般的にいえば、つまり大出君の言うこと、いまこういう表現をお使いになりましたが、民間がどんどん出ていくということになると、当然そのことを考慮した決着になるだろう。いまお出ししますとおっしゃっているのではない。一般論として大臣答弁は、民間がどんどん先行型でことしの年末の異常な物価上昇を反映してこの金額がふえてきている、よくそれを把握したい、そっちがふえれば大きな影響がある、だから三公社現業のほうも、そこらは考慮した結果になるだろう、私としては、微妙な段階にあるから、民間のそういう資料を的確に把握したい、いまこういうお話でございます。ですから、微妙な表現ではありますけれども、民間の出方が大きく響くことはお認めになっている。いわゆる当事者としての政府使用者としての政府という立場と、あるいは行政機関としての政府立場があるわけでありまして、そういう意味で非常に微妙な段階だ、だから現状把握をもっと的確にしたい、こういうことでございますから、だから、わからぬわけではない、こういうことになります。  そこで、このあたりで少し小坂さんに承りたいのでありますが、私はたいへんなインフレだと思っている。ここでインフレであるかないかをあらためてやりとりする気はない、時間がないから。だが、答えていただきやすいようにものを承りますけれども、たいへんな物価上昇、この点はお認めになると思う。  まず、どのくらい物価が上がっているのかという点、資料を、私、経済企画庁に請求をいたしましていただいております。いただいておりますが、小坂長官から、大体どのくらいの物価上昇に、消費者物価、卸売り物価と二つございますが、今日なっているのかということを、実は念のために聞いておきたい。  理由を申し上げます。ここに「昭和四十八年度の経済見通しと経済運営の基本的態度」という、経済企画庁立案に基づく冊子がございます。四十八年一月六日でございまして、これは閣議でおきめになった。この中に何と書いてあるかといいますと、卸売り物価というのは、一部市況商品価格の騰勢に落ちつきが期待されているから——騰勢、つまり上がっていくのが落ちついてきた。それが期待されているから、前年度比二・〇%程度の上昇になるものと見込まれる。卸売り物価は二・〇、こうあなたはここに書いておられる。それから諸般の物価対策を強力に推進することにより——これは政府かやるのですよ。推進することにより、消費者物価のほうは、前年度比で五.五%程度の上昇にとどめるようつとめる、こうなっている。四十八年度は、卸売り物価は二%である。そして消費者物価は五・五%の上昇におさめるようにつとめる、間違いなくこうなっている。これは一月六日の閣議決定、まだ今年の年のうちでありますが、どのぐらい実際いまのところ物価が上がっているのかという点、ひとつお答えをいただきたい、念のために。
  19. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 最近におきまする物価状況でございますが、まさに異常ということばを使ってよろしいと思います。異常な高騰でございます。ことに十月の卸売り物価につきましては二〇・三という、これはもう朝鮮事変後の一九・五を上回る状況でございます。消費者物価に関しましても、九月のものは一四・六ということで、これまた非常に高騰を示しておりまして、私も物価担当ということで心痛をいたしておる次第でございます。  一体こういう状況がどうして起きたのかということでございますが、いろいろ経済論議を申し上げるのも時間がございませんので、ごく簡単に三点申し上げますと、まず第一には、海外のインフレ、世界的な農産物の不況を発端といたしまして、非常に買い付けから価格が高騰した。これはいままでの経済史にもかつてないことであるといわれておりますが、先進工業国においておしなべて物価が上がっておるという状況でございます。私は何も国内の値上がりをこれによって強弁しようという気持ちは少しもございませんが、御参考までに申し上げますと、アメリカにおいても一五、六%の値上がりであり、イギリス、フランス、西独その他みな二けたに近い、あるいは二けた以上という状況でございますが、これらの国は、御承知のように経済成長はわが国に比べますと、ずっと半分ぐらいに数年間推移しておるのでございますから、非常に国民生活に与える物価高の影響というのは大きいというふうに思えるわけでございます。  それから第二番目に、需要シフトによって起こりました景気の急速な拡大と、その結果としての需給の逼迫でございますが、わが国が福祉国家に転換しようという点で、どうしても需要が供給を押し上げる形になっておると思うのでございますが、その関係。  それからもう一つは、過剰流動性を背景とするもので、これは昨年の円の切り上げを回避したいという理由は、中小企業を圧迫することになるので、どうしても円切り上げを回避するために財政面で相当刺激的な予算を組んだ、これが原因であるといってよろしいと思いますが、この三つの原因が、ここへきてふき上げてきたというふうに言えると思うのでございます。  これに対する対処策は、何といってもオーソドックスな財政、金融面の引き締め、これと適時にいろいろな個別的な対策をとるということであると思いますが、私どもといたしましては、その効果が漸次あらわれつつあるというふうに認識をいたしております。  しかし、何としても異常な物価高に対して、これを断ち切らなければならぬ、ことに全体に需要が供給を上回って引っぱっておるという形でございますので、何としても総需要の抑制が非常に必要であるというふうに思っております。
  20. 大出俊

    大出委員 それじゃ、これは質問の出足でございますから、いまお答えを四点——三点といっていいのかもしれません。海外インフレ、農産物の減収等を背景にする、それから需要が非常にふえたという、増加している、総需要という意味で。それから過剰流動性を背景にして、これは中小零細企業をおもんぱかって一次、二次、三次、四次、五次、六次という公定歩合の引き下げをおやりになったですね、ここらをさしておっしゃるのだと思う。  ところが、どうもほんとうのことを、まだ長官はおっしゃらぬような気がする。経済企画庁設置法を審議いたしましたときに、せっかく物価対策局みたいなものをおつくりになるというので、はたしてどこまでおやりいただけるかわからぬがという疑念を持ちながらも、私は長官と少し長い議論をして賛成をしたわけでありますが、そこでそのときにも、どうもはっきりしなかったわけでありますけれども、今回の物価上昇、異常な物価上昇だといいながらインフレではない、こうおっしゃるわけですけれども、それはそれとして、私はどうもつくられた物価上昇である、こういう見方をせざるを得ない、証拠が幾つもありますから。  そこで、まず第一点は、国際通貨が、どんどんドルならドルが流入してくる。確かに、これはあのときの、東京の為替市場をやっておったという現実もございまして、つまり、いまおっしゃった過剰流動性、これはたいへんな額の過剰流動性を生じた、これはお認めになっているのですね。まず、これがある。だから、この過剰流動性も、ときに政策よろしきを得れば、押えられたはずではないかという反論が出てくる。その意味では、これは政策の誤りであった、あるいは見通しの誤りであった。初めてのことにぶつかったのだからいたし方ないとしても、やはりここに誤りがあった、こういうことに私はなると思う。  それからもう一つは、総理みずからひっさげておいでになる日本列島改造論、新幹線をこれこれつくる、この前の国会でも九つの新幹線になっておりますが、向こう十カ年計画、再建計画が出ております。この改造論による非常な土地ブーム、過剰流動性がある。つまり土地ブームを刺激をする。土地、株式、商品というところに対するたいへんな投機熱、土地、株式、商品、これは数字が全部ございます。これは非常に物価を上げていく。インフレということばがいやならば、物価上昇でもよろしゅうございますけれども、上げていく一つの国民的ムードをつくっている。これは間違いない事実であります。  それから三番目に、円切り上げ回避。これにいささかこだわり過ぎていて、引き締め政策への転換、これが非常におくれた。六次公定歩合の引き下げのときなんぞは、郵便局の貯金の預金利子まで押えて、あるいは銀行預金にしてもそうですが、五分七厘五毛の一年ものの定期預金の金利を五分二厘五毛に押えた。これは庶民一般にとってはたいへんな打撃です。そこまでして、なぜ一体金融緩和政策をとり続けなければならなかったか。ここにも、つまり見通しの誤りなり政策ミスなりというものがなければならぬ。いまいろいろな学者がものを言っておりますが、どこから見ても、経済企画庁の方がこの間立案をされた白書みたいなものの中にも三つの問題をあげて、おおミステークと言わんばかりの中身のことが書いてある。つまり——途中でたいへん恐縮でございますが、総務長官、さっき私が冒頭に申し上げた国家公務員法二十八条に規定されている事項がございますので、かつ労働大臣に承っておりましたように、民間先行型で物価に対する、あるいは物価上昇に対する、生活そのものに手を当てるという形の手当てもどんどん出てきている。その影響は公労協にあるということを労働大臣はお認めになった。だから、労使交渉をやっているのだから、微妙だから言えぬけれども、そこらを考慮した結果になるだろうという言い方をちょっとされておる。そういう——ちょっとと申し上げているのですから、首を振らぬでもいいですよ、大臣加藤さん。したがって、そこらのことは、同じ身分法国家公務員法というワクの中にいる公務員五十万の方々についても、同様のことが言える。そこのところを、ひとつ国家公務員給与の担当責任者である総務長官という立場から御考慮をいただきたい、こういうことを言いたいわけですから、そこのところだけ申し上げておきまして、お時間のようでございますので、けっこうでございますから。私の場合は、もうけっこうでございますから。  そこで三番目に、いま申し上げましたのも、やはり政策ミスにつながりはせぬかという気が、小坂さん、するのであります。  それから逆に、もう一つ非常に大きな問題は、あなたはおあげになりませんでしたが、田中内閣というのは金融という水門は締めた。いま一次、二次、三次、四次という形の公定歩合の引き上げをやっておりますね。それが、どの辺に一体その公定歩合の引き上げというのは影響を持っておるかという、つまり比率がございます。これはまあ別として、引き締め政策をとっていることに間違いないから、そういう意味では一次、二次、三次、四次という形の金融引き締め政策をおとりになっている。金融という意味の水門を締めている。ところが財政という面からながめてみると、財政という堤防に大きな穴があいている。幾ら締めたって、財政面の堤防に大きな穴があいているのですから、これはにっちもさっちもいくはずがない。  という意味で、これは皆さんが予算編成をなさったときに、トリレンマなんということをおっしゃった。十四兆二千八百四十億円の一般予算をお組みになって、これは横に読むと、いい世に走れというのだ。ちっともいい世に走らぬ。中曽根さんが苦労されて一生懸命石油の規制だなんて言って、耐乏生活を国民に協力を求めてなんというようなことになっているわけですから、これはちっともいい世に走らない。それは当然、空を飛んでいる鳥と地上を走っているけものと海の中の魚とが一発のたまで落ちるはずがない。  そこで、これは国内に追加市場をつくろうというお考えがあったり、調整インフレをお唱えになった中曽根さんがおいでになる。まさにそういう形の予算になっている。超大型予算をお組みになった。これは明らかに物価が上っていく。あたりまえのことでありまして、だれが考えたって、それこそこれは、初歩でございまして、これが実は非常に大きな理由でございます。  念のために申し上げておきますが、これは十四兆二千八百四十億円、二四・六%増の一般会計の予算をお組みになっておる。財政投融資が六兆九千二百四十八億円ある。二八・三%増であります。これに四十八年度は地方財政規模十四兆ございます。十四兆二千八百四十億、財政投融資が六兆九千二百四十八億円、地方財政規模十四兆、合計三十五兆円の金が動いておる。これは予算に組んだんだから、支出するのですから、歳入歳出なんですから。これだけで三十五兆円。そのほかに特別会計があります。政府関係機関があります。地方の特別会計があります。事業団の関係があります。全部を計算してみると、四十八年度の支出は純計で五十兆になる。財政、地方財政、国家関係機関、特別会計、事業団、これらを全部計算しますと、何と五十兆になります。GNPは百兆なんですからね。そうでしょう。そうなると、つまり金融という水門を幾ら締めたって、財政という大堤防にこれだけ大きな穴をあけて五十兆の金が流れていくならば、あなた方が幾らどうお考えになろうと、経済企画庁長官小坂さんがさか立ちしようと、初めからいまの物価上昇を押えられるはずはない。おやりになっていることは何かといえば、公共事業費の八%の繰り延べ——繰り延べといったって、これは二階堂さんの言い分ではないけれども、金が余った、それだけのことです。やり切れない。そうすると、純然たる物価対策でおとりになったのは、大きなビルを規制するなんというのは別として、金融引き締め四次にわたるものしかやっていない。五十兆の金が出ているとすれば、これは財政面からだって大きな物価刺激をするのはあたりまえだ。これらのことは、いまの長官の答弁の中に入っていない。これは非常に大きな物価上昇要因だった。これまたこの予算の組み方は誤りであった。その証拠に、経済企画庁がようやく重い腰をお上げになって、緊急物価対策へ着手という経企庁の立案されている、いまやられているものの中では、来年度予算の引き締め、総需要を押えるというところに重点を置こうとなさっている。つまり、これだけ大きな規模の財政を組み上げたことに対する反省の上で総需要を押える、石油も加わりましたが、そういうことになっているわけでしょう。だから、これはやはり政策ミスである、こういうことにならざるを得ないわけであります。  さらに、一つ一つ打つ手がおそくなったということを、皆さんが、経済白書等をお書きになった担当の方が「エコノミスト」等で述べておられる。おそくなったんだとすれば、これまた政策ミスになる。だから、私はその意味で、今日の物価上昇というのは、打つべき手を——これはいい悪いは別です。初めてのことにぶつかった、円切り上げですから、別です。別ですが、打つべき手を打ち得なかった、あるいはおくれた、あるいはミスがあった。つまり、そういう意味で人為的にでき上がっている物価上昇である。一つだけ、国際的な物価上昇の影響というものを私は否定はしない。だが、それを考慮しても、これだけ異常な物価上昇になるはずはない。十月における二〇・三%もの卸売り物価上昇、タイムラグ六カ月見たって、これは先々たいへんだ、私はこう考えている。  長官は、三つしかおっしゃいませんでしたが、いま財政規模の問題だとか幾つか申し上げましたが、一体どうお考えですか。
  21. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 海外要因というのは、私ども大体四割から三割ぐらいの影響だと思います。そこで六割ないし七割近いものは国内要因であるということを申し上げていいと思うのでございます。  そこで、国内の問題でございますが、やはり最も大きな需要をつくり出しておるのは財政でございますから、財政によって——これも中央の財政、地方の財政がございますわけですが、これが需要を造成するということはいなめないと存じます。ただ問題は、そういう需要が出ておる、この需要に対しまして、やはり国民の気がまえと申しますか、全般に、何か非常に豊かな国に生まれておるので、豊饒の海の中に泳げるのだというような、そういう気持ちを切りかえていきませんと、これはなかなか問題であると思うのです。  このたび石油問題が起きましたので、私ども、資源の有限性ということは、もう説明を要せずしてみなよくわかる状況になっておると思うのでございまして、この時期にひとつ思い切って節約方針に切りかえていくということをいたしたいと思いますし、それによって私はいまの物価高の問題を切り抜けることができるというふうに思います。  過去の問題について、いろいろの御指摘がございました。大部分、非常に明敏な御推察であると思います。ただ、私どもとして残念に思っておることは、今日のような状況になるということを、例の円切り上げ問題が出ておるときに言っておったエコノミストはないわけなんです。あのときは、みな中小企業がたいへんなことになるからということを言っておったので、政府もそういうことに押されたといえば弁解がましいですが、そういう原因もあったと思います。しかし、為替というものは、やはり一つの政策の手段であって、政策の目的ではないわけでございますから、いまに至りまして、その点は十分今後の反省のかてにしなければならぬというふうに思っております。
  22. 大出俊

    大出委員 たいへんお忙しいところを中曽根大臣にお見えをいただきまして恐縮でございます。実はきょう閣議でおきめになるところまで進むと思って御出席をお願いしたのじゃないのでありますが、実はこの中東問題、特にアラブ諸国の動向等からいたしまして、大幅な石油の削減が出てくるであろう、その場合に関連をして大きく諸物価上昇に結びついてしまうというところを私は非常に心配をいたしましたので、公正取引委員会委員長さんのほうにもお出かけをいただきたい理由は、石油というものを中心に考えた場合に、関連製品に対するたいへんな物価上昇が出てしまう、そう考えざるを得ない。その場合に、ただ単に精神的な意味での国民に協力を求めるというふうなことだけではにっちもさっちもいくはずはない。かつて、さきの国会で私、高橋公取委員長に私的独占禁止法のワク内で幾ら押えようと思ったって押えられるはずはないではないかということを含めて、買い占めその他が盛んになっておりましたときに、何かもっと明確な、価格凍結を含む法的措置が必要ではないのか、だから、公取のワク内でできなければ、法改正をなぜお考えにならぬのかということを詰めたことがある。これを三回ばかりやったのですが、途中からそういうニュアンスのことを高橋さんおっしゃった。今回は、特にそれが必要なんだ、だから、お出かけをいただきたいということを申し上げたのですが、きのうの新聞を見ますと、私が申し上げたのは十一日でございますが、価格の規制をということを高橋さんが発表をなさっております。  あわせて、きょうの閣議でおきめになるという予定の——この新聞には「一億総耐乏生活へ突入」なんという見出しが載っておりますが、そういうところに来た。ここらのところで、せっかくこれをおきめになって新聞発表もすでになさっておるのだと思いますが、せっかくの機会でございますから、まず第一点は、キッシンジャー氏もお見えになって、大臣もお会いになっております。したがって中東情勢というものをめぐって石油の今日的割り当て削減というふうなものが今後どういうふうな推移をするのかということについての見通し。長期化と新聞にはうたっておりますが、これをどういうふうに分析をなさっているのか。四カ月あるいは半年以上というようなことをいろいろおっしゃっておりますが、そこらのところをまず一つ。  それから、だから、たとえば鉄だけをながめましても、電力の二七%は鉄鋼関係が使います。そういうふうなことを考えまして、鉄のほうはたちどころに粗鉄の値上げと、こういう言い方になっている。安定カルテルをつくれなんということまで言っている。あるいは鉛を含む石油などというものを、あらためてワクを広げて何とか取り込もうという動きも出てきている、いろいろございます。  そういう中で一体それらにどう対処をなさるのかということと、最後に、第一段階は精神的な意味での国民に対する呼びかけの域を出ない、まあ言ってみれば、節約国民大運動式なお考えが表に出ている。田中総理が何か途中でものをおっしゃったということで出てきておるのを見ると、第二段階として配給制と公定価格というような意味の、簡単に言ってしまえば法的な規制をなさろう、こういう動きも見られる節がある。はたして一体配給制あるいは統制価格、公定価格こういうふうなところまでのことをお考えになっているのかどうかという点、これが第二番目。  もし、そういう意味での経済統制あるいは価格統制あるいは公定価格というふうなものが出てくるとすると、これは統制というのは、私も戦時中の育ちでございますからですが、やみ行為というものがついて回るものであります。戦時中というのは、戦争という国家目標、国民の目標が一つあった。その背景に膨大な国家権力、軍がささえる国家権力があった。だが、それにもかかわらず、やみは横行したわけであります。戦後も特にそうであります。これまでに灯油なんかについても、凍結を行政措置としておやりになろうとしておられた。だが、そんなことはどこ吹く風。紙についても同じことが言える。トイレットペーパー等についても、静岡渡しの価格で百四十何円とおきめになった。ところがあの発表があったとたんに、静岡現地では、どんどん一日幾らで紙が上がっている。そして閣議できめたとたんに出てこない。しかも一ロール云々ではない。一ロール四つ入っておりますが、一つ五十円なら持っていけというようなことになる。これは話のほかでありまして、つまりそういう、はたして国民に対する足らざるを公平にということがほんとうの意味でできるのかどうか、そこのところを一体どういうふうにお考えになっているのか。一つ間違うと、これはたいへんあぶないかけになります。  そこらのところを含めまして、ひとつ大臣に、これから先どういうテンポで石油というものが動いていくのかということと、かつまた先般設置法の論議のときに、各国お歩きになって帰られた大臣でもございます。そこらを含めまして、いま大筋三点申し上げましたが、とりあえずお答えをいただきたい。
  23. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 中東紛争の影響を受けまして、石油の削減が急激に出てまいりまして、いろいろ国民の皆さまに御迷惑をおかけする事態になりましたことをたいへん恐縮に存じております。  大体の見通しを申し上げますと、昨年日本が輸入した総量は、二億五千七百万キロリットルであります。それで、それが来た場所は、五〇%強がイランとインドネシア、これは今度あまり影響を受けてないOPECでない国であります。一応いまのところは制限されてない国であります。それで、いまOAPECで制限しておるのは、サウジアラビア以下四〇%でございます。その四〇%の中の約二〇%程度の削減がいま見込まれておるわけです。これは日本へ供給している油の約七十数%程度がいわゆるメジャーズ。それから独立糸の英米資本を主とした会社でありまして、それらの通報をいまいろいろ集計しておりまして、情報を正確にいま把握しておるところですが、いままでのその通報等を集計してみますと、十一月下旬から着荷がおくれたり減ったりしてきまして、十二月に入ると約二〇%削減される、以降大体その方向ではないか。流動的でありますが、一応そう見込まれております。  それによりますと、ことし年間の輸入量の見通しは、いままでの予測では、約三億キロリットルから三億二千万キロリットルぐらいが見込まれておったのでありますが、二億七千九百万キロリットルくらいになりそうです。しかし昨年よりは多いわけです。しかし、それが下期に集中して出てくる。下期に入ってくる量を計算しますと、大体一億三千四百万キロリットル前後ではないかと思います。この量は昨年下期に入った量を少し下回る程度であります。  そこで、いまのような計数をもとにしまして、国民経済の影響等も考えてみまして、規制措置をやらなければならぬし、また消費節約の御協力もお願いしなければならぬということになったわけでありますが、いまの水準が続くとして来年どの程度入るかと計算しますと、来年度で約二億六千万キロリットル前後ではないか。しかし日本の石油需要が毎年一〇%以上増大しているということでありますから、その超高度成長が、ある意味においては安定成長に切りかわっていくことが資源的にも余儀なくされつつあるということではないかと思います。  灯油の現状を申し上げますと、初め十一月の見込みは、五百五十万キロリットルくらいであると報告しておきましたが、その後また増産が進みまして、きょうの報告では、十一月初旬において五百八十万キロリットルの貯油がございます。これは昨年の同期に比べると、百十三万キロリットル増であります。ですから、灯油の量は懸命な努力をいたしまして確保してありますので、消費者の皆さんには御安心いただいてけっこうであります。  値段につきましても、いまのように量が確保され、入ってきた分は昔の油と考えねばなりませんから、九月の水準でこれを凍結するようにわれわれとしては行政努力を全力をふるって今後も継続してまいります。  そこで、こういうような事態になりまして、一番心配するのは、やはり国民生活に対する影響でありまして、心理的なパニックを起こさぬということが非常に大事であります。これはトイレットペーパーなんかで少し出ました。そういう意味で、事態を国民の皆さま方によく御了知願う。政府の政策をPRいたしまして、よく理解していただく。そういうことにまず力を入れ、国民生活確保を最優先にする。それから中小企業、農漁業の経営の確保、それから病院、そのほか医療機関あるいは公的交通機関、そういうようなものの確保をわれわれは至上命令としてやりたいと思っております。  しかし日本の国内における石油の消費を見ますと、大体民需と産業用で七、三の割合です。産業が七、民需か三という割合です。民需のほうは、ほとんど節約ぐらいでやってもらうより、強制的に切る余地はあまりありません。産業用を切らないと、これは節約になりません。でありますから、本日の緊急対策に基づきまして、とりあえず十二月は一〇%産業カットをやろう。大口はどういうところかといいますと、電力、鉄鋼石油化学、セメント、それから交通、こういうところが大口であります。そういうことを始めますと、今度は工程管理に影響が出まして、パートタイムが要らぬとかいろいろ響きが出てきます。ですから、産業には事前にある程度通告しておりまして、その対応をやっていただき、中小企業との連携も緊密にして、製品がなくなるとか、あるいは窒息を起こすとか、そういうことを起こさせないようにいままで内面的に非常に努力してきたところでございます。  それで、配給あるいは公定価格をやるのかという御質問でございますが、きょうの緊急対策の内容にも明らかにしてありますが、国民経済及び国民生活の安定確保という趣旨の法律が適当であろうと考えております。国民経済及び国民生活の安定確保、そういう趣旨になりますと、これは石油の割り当てとか量的規制、輸出入に対する規制、そういうものが出てまいりますと同時に、やはり石油から来る石油及びそのほかに関する価格の規制、抑制という問題がまた出てきて、どうしてもこれはやらなければならぬもので、あに石油のみならんやという形になります。  そこで、それを具体的にどういうふうにやっていくかということは、いま関係各省において詰めておりまして、ここでいま御答弁する余裕はございませんので、もうしばらくお待ちを願いたいと思います。いずれにせよ、通常国会冒頭におきまして、これらの法案を提出して御審議願いたいと準備していっておるつもりでございます。
  24. 大出俊

    大出委員 たいへん忙しい大臣だと思いますから、あまり長い質問は避けますけれども、国民全体から見て、きのう、きょう、おとといあたりから大きな騒ぎであります。それは、いまお話がありました国民生活という面から見て、大きな騒ぎが起こっているわけであります。  そこで、この石油のみならんやというお話なんですが、たとえばナフサの五〇%値上げ通告がございますね。このナフサの五〇%値上げ通告というのは、幾つか例をあげれば、溶剤、染料、塗料等に使うベンゼンだとか、トルエンだとか、キシレンだとかという方向にすぐ響く。あるいはアンモニア一つとらえましても、これはナフサでありますから、尿素であるとか、あるいは化成肥料、硫安。これなんかも中国との長期契約を本年から結ぶはずだったのでありますけれども、おそらくこれもできないのじゃないかという気がする。規制をされていけば、硫安なんかは減ってくるに違いない。なくなれば、生産が縮小されていけばコストが高くなること、これまた間違いない。そうなれば、それは価格に転嫁していくに違いないという問題がどうしても出てくる。これは合成樹脂の分野なんかでも同様でありますし、あるいはエチレンだとかオキサイトだとか全部関係が出てまいります。あるいはアルキルベンゼンだとか、いま合成洗剤なんというのも、家庭の主婦にとってたいへんな、すでにさっきおっしゃったある意味のパニック現象が起こりかけている。洗剤なぞすでに買い占める奥さん方がだいぶふえている。いま、こういう事情にあります。こういうふうなものをほんとうの安定供給ができるのか、価格凍結ができるかというのが一つの大きな問題である。  これは言えばきりがありませんが、そういう点を、まずもって国民生活の安定ということを中心にお考えになるなら——いま国民経済、国民生活、これらの安定確保ということで法律をおつくりになりたい、こういうお話なんでありますが、ひとつ承りたいのですが、そういった国民生活の分野で具体的にどうやるかは関係各省庁で御相談なさる、それはそれでいいとして、つまり価格を押える、凍結をする、上げない、ここに結びつけられるのかどうか。どうしてもそこまでやる、こういうお考えでないと、私は困ると思うのですけれども、そこのところを、公取の委員長さんのほうからは、価格規制をやれということで、石油消費の削減により全工業製品の価格急騰が予想されるので、現在、準備中の石油対策緊急立法には、全工業製品の価格規制ができるようなものを含めるべきだ、こういう意見を公取の側からも言っている。そこらのところを含めまして、どう一体考えていけばいいのかという点をお答えいただきたい。
  25. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 本来、通産大臣に御質問のようでございましたが、公取関係だから私に言えというお話で、私から申し上げますが、こういう外的な要因で物資が相当減産になるであろう、ほうっておきますと、心理的にも非常に買いあおりの傾向が出てくる、これに対して政府も適切な処置をとらなければならぬというわけでございますが、われわれ配給制度あるいは価格統制という経験を、戦争あるいは戦後持っておるわけでございますが、これは一言にして言えば非常に失敗をしたというふうに私ども思っておるわけでございます。  そこで、公定価格いわゆる物統令的なもので統制をするよりも、やはり秩序ある生産と配給を制度的につくっていく、それをそういうことのできる物資についてやるということが一つ。それからもう一つは、価格面で非常に異常なもうけをしたと思われるものに対しては、そのもうけを国家に還元をしてもらう方法をとるということですね。これはどういう方法をとるのがよろしいかという点は、いま通産大臣がおっしゃいましたように、今後関係者が寄り集まって最も適当と思われる措置をとるということにいたしておりますが、いずれにしても、そういう方向で、いわゆる物統令的な形の統制経済ではなくて、おのずからなる国民の良識による秩序、あるいは既存の制度を活用したルートをつくることと、それから国民の犠牲において利得をするようなものに対しては、その利得をはき出してもらう手だてを講ずる、この二本立てで考えたいというように思っております。
  26. 大出俊

    大出委員 そこが、ちょっとわからぬのですけれども、具体的な中身はいいですが、方向だけははっきりしてくれぬと困る、発表なさったのですから。  そこで、承りたいのですが、秩序ある生産と配給、そういうシステムをつくるというわけですね。そして価格面で異常なもうけをしたような、これは企業になるのですか何になるのですかわかりませんが、これは国家に還元をしてもらう方法を考える。ただ、それは物統令的なものではないというのですね。いまある法律からいえば、買占め売惜しみ防止法みたいなものが一つある。物統令がありますけれども、その方向はとらないとおっしゃるのですから、そうすると現在ある法律というものは、買占め売惜しみ防止法。これも言ってみれば、最後物価調査官が調べる、その立ち入り検査を拒否すると罰則があるという程度のもので、実効はない。灯油にしても、どんどん上がっている。紙にしても、凍結することを九日の閣議できめたが上がりっぱなし。パニック状態を起こさないようにとおっしゃったって、きのう私のところの家内がちり紙を買いに行ったところがないのです。これはやたら買いに行く。小さなうば車みたいなものに一ぱい積んで帰ってきて、途中でこわれて道路にころがるというようなことまでやって騒ぎになっていたわけですから、私の家の周辺だって。時に政府は、特に通産省は、そういうことはしないでくれ、紙はあるのだからとしきりに言っていた。だが、そういうことをしないでということでやっていた人たちは、私の家の周辺なんかはいまだにないのです。買ってきてあげましょうと言ったときに買っておけば奥さんよかったじゃないですかというようなことを隣近所の人が言う。そういう状況に現在なっている。それも単価はすでにたいへん上がってしまっている。これはずいぶん不当な話であります。小売り店がかせいでいるとばかり思えない。そういう実情が現にある。  買占め売惜しみ防止法というものはある。そうすると、いま小坂さんが言われるようなことをやろうとするのだとすれば、しかもそれが物統令というようなものでないのだとすれば、外国にも例はあるが、一体どんなことをお考えになっているのか、大筋だけでもおっしゃってください。
  27. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 いま早急に具体的な方針を詰めておるわけでございますが、方向につきましては、いま私が申し上げたように、一つのルートの考えられるもの、たとえば鉄鋼のようなものについては、この場に緊急の措置としてカルテルを認めていくわけです。そのことによりまして、末端価格が幾らであるかということがわかるわけでございますので、異常な価格によって売りますものは、その高値で売ったことによってもうかったと思っても、それによって実はもうからなかったというような措置がとれるわけでございます。  それから、他のものにつきましては、やはりこれはなかなか全業種というわけにいかぬ点もございますけれども、末端において著しく不当な価格で売られていると思われるようなものにつきましては、その利益は当然にわかるわけでございますから、たとえばトイレツトペーパー等については蔵出しが幾らで、その途中の配給は幾らでということはわかるわけでございますから、その利益はひとつ、どういう形でございますか、税の形かよろしいのか、あるいは課徴金というような形がよろしいのか、これはいろいろ研究をしてもらいますが、何らかの形において国家に収納してもらうという考えでございます。  要するに、価格面から考えて、罰則というようなことでなくて、経済行為として利益を不当に得たと思われるものについては、その利益は国家に収納することによって、そういう行為が何ら利益のないものであるということを認識してもらうような、そういう方法をとろうということでございます。
  28. 大出俊

    大出委員 いま出てきた話の中に、一つカルテルの話が出てまいりましたが、小坂さん、これは鉄鋼関係の経営者などからは、しきりにいま安定カルテルというものの言い方が出てきている。これは石油の不足などということも含めてのものの考え方ですが、そういう方向に進むとすると、これは非常に大きな問題が実はある。  中曽根さんの時間がないようでありますから、いまの点は、その方法については、あとからもう少し詰めることにいたしまして、もう少し承りたいわけでありますけれども、そうすると、これは次の国会の冒頭にというんですけれども、いま国民経済、国民生活両方の安定確保、こういう表題が適当ではないか、それで石油の割り当て、量的規制、価格の規制、抑制、こういうことなんですが、これは法律でぴしっときめて、こういう形で割り当てをするとか、こういう形で量的規制をするとか、こういう形で価格の規制をするとか抑制をする、こういう意味ですか。
  29. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 まだ中身について詳しく御説明申し上げる段階に至っておりませんが、やっぱりある程度のそういう権限を政府におまかせいただくように願って、そして国会の監督のもとに政府がそれらのことを行なえるような形にいたしたい。  大体、欧米の例を見ておりますと、旧大戦における連合国、戦勝国には、ほとんど戦時法規が残っておりまして、ものすごい権限をみんな握っております。それをみんな発動しておるわけであります。戦敗国であるドイツ、イタリア、日本は、戦争に負けたとたんにみんなやめちゃったわけで、そのうちイタリアとドイツはもうつくりました。ドイツの場合は、二日で国会を通過してできたわけであります。日本は全然ないものでございますから、行政指導でいままである程度やって、ただ、できたのは電力の規制だけでございます。これは電気事業法でございます。  そういうわけで、これはある程度の授権を政府にお願いして、国会の監督のもとにそれを行使する、そういう形でお願いしたらいいと思います。
  30. 大出俊

    大出委員 大臣の時間がないようでありますから、あらためて議論をいたします。  話をもとに戻しまして、経済企画庁長官に続いて承りたいわけでありますが、先ほど来、インフレということばはお使いになりませんが、物価が異常な上昇をしたことをお認めになって、十月期卸売り物価が二〇・三%にもなった、これには三つばかり原因があるということをお答えになりましたので、私のほうから財政その他についての質問をいたしましたが、当時の「エコノミスト」の論評等を例にあげまして、言うならば、いささか見通しに狂いがあったことをお認めになったわけであります。  そこで、念のためにここで二点はかり引き続いて、さっきの本題に戻しまして聞いておきたいのでありますが、通産省の皆さんは、事務当局の方がおいでになると思うのでありますが、あとでひとつ、大臣がお忙しいようでありますから、その他の問題は事務当局の方々に引き続いて承りたいので、お願いをいたしておきます。  そこで、総需要ということばをお使いになりまして、最近、経済企画庁が一つ考え方をお出しになっておるようであります。あるいは検討なさっておるようであります。そこらとの関連で承りたいんですが、たとえば総需要を一〇〇とした場合に、民間投資であるとか、あるいは個人消費であるとか、あるいは財政支出であるとか、輸出であるとか、いろいろこうあると思う。ここらのところの度合いをどのくらいの割合にお考えになっておられますか。
  31. 青木慎三

    ○青木説明員 これは毎年動く数字でございまして、四十八年度見通しで申し上げますと、国民総生産を約百九兆と見ますと、そのうち個人消費は五十五兆、約半分強でございます。それから国内の民間総資本形成、いわゆる投資でございますが、それが約三十兆でございます。それは三割弱ということでございます。それで、そのうち企業設備と申しますのが約十八兆、在庫品増加が三兆七千億、民間住宅が七兆九千億、それから政府の経常支出が九兆六千億、それから政府の資本支出、これは公共投資等でございますが、それが十一兆八千億というような割合になるわけでございます。  国民所得から申しますと、輸出、輸入は実数では出ませんで、輸出と輸入の差額が出るわけでございますが、この差額を十二兆二千億と、ことしの見通しでは踏んでおるわけでございます。
  32. 大出俊

    大出委員 いまの数字あとからちょっと資料にしていただきたい。  わかりやすく長官にもう一ぺん承りますが、国内の総需要を一〇〇とした場合に、民間投資二〇%前後ですか。パーセントで言ってください。
  33. 青木慎三

    ○青木説明員 二〇%弱でございます。
  34. 大出俊

    大出委員 弱ですな。個人消費五〇%ぐらいですか。
  35. 青木慎三

    ○青木説明員 はい、そうでございます。
  36. 大出俊

    大出委員 財政二〇%ぐらいに見ていいですか。
  37. 青木慎三

    ○青木説明員 財政が約二〇%でございます。
  38. 大出俊

    大出委員 輸出一〇%ぐらいに見ていいですか。一〇%ちょっと出ますね。しかし残りは一〇ですから、一〇くらいになりますな。一〇〇なんだから、そうでしょう。民間投資が二〇で個人消費が五〇ならば七〇でしょう。財政が二〇ならば九〇ですから、輸出は結果的に一〇ということになりますね。  そうすると、さっき金融引き締め措置をとってきたと、こう小坂さんおっしゃっておるのですが、新聞を見ると、なおとり続ける、来年の春もこれはとっていく、こういうわけですね。ここに非常に大きな問題があるのですね。なぜかといいますと、民間投資か二〇、個人消費の五〇——個人消費というのは、いま中曽根さんも言っておりましたが、そう簡単に、これは個人の消費支出ですから、節約してくれいということは言えても、それ以上の規制はできないのです、給料その他でもらってきて物を買うのですから。そうでしょう、小坂さん。間違いないでしょう。そうすると五〇%というものは、金融引き締め云々と言ってみたって対象にはならぬ。そうすると財政の二〇%、さっき私は国家財政から始まりまして、特別会計を入れて、地方財政を入れておおむね五十兆になると申し上げましたが、この財政支出で二〇%ということになると、これも予算組んだのですから、多少のそれは繰り延べができても、大筋そう大きな影響は出てこない、予算から出てくるのですから。そうなると今度は輸出、これも輸出なんですから、どうも対象にはならない。となると、金融引き締めそのものが直接影響を持つのは民間投資といわれる二〇%、ここなんですね、大ざっぱに言えば。ところが、じゃ民間の投資、この大部分は、これは大きな企業。中小零細企業の占める分野というものは非常に小さいもんです。総資本額の面からいってもそうです。だから、そうだとすると、一次、二次、三次、四次と、こうやってきたんだけれども、これは三月期決算、九月期決算見たって、大きな企業、これは重電なんかにいたしましても、大体一カ月の資本の三カ月分ぐらいみんな持っている。そうすると、こういうところは金融を引き締めていったって影響はあまりない。将来は別として今日までない。そうだとすると、いままでやってきた一次、二次、三次、四次の金融引き締めのぶつかるところは、どこにぶつかったかというと、ほとんど中小零細企業です。だから、捺染関係の小さな企業で銀行に金を借りにいくと銀行は何というかといえば、お貸しできません、おたくの定期預金がございますから、これを解約して差し上げましょう。それをもらってくれば、自分の、タコの足を食うことになる。至るところ中小零細企業はそれなんですよ、今日。そうして何が出てきたかといえば、次々に倒産です。帝国興信所、東京商工興信所、この二つの調査によりますと、一月から三月におけるインフレ倒産といわれるものはわずかに九件。四月が十九件、五月が三十四件、六月が四十五件、七月が五十四件、これだけで百九十一件ばかりになります。これが昨今、十月という月は異常なふえ方です。八百件からある。土地ブームを当て込んで借金した不動産の中小の企業だってそうであります。一月から四月に十件、五月が三十四件、六月が二十四件、七月が三十八件にふえている。また異常なふえ方。これも実は中小の土地の会社の方が土地を押えておく。自分には金がないのですから、ローンで押えている。これは一〇%返済しなければならぬのです。そこへ金融引き締めがそっちに向いていくとすると、ばたばたつぶれるのはあたりまえですよ。そうすると、皆さんのほうはつぶれる中小零細企業の例をあげて、過熱景気はどうやら落ちつきの方向に進んだなんというような、金融引き締めが浸透した——大きな企業には関係ない。そういう形になっているだけで、これは物価対策じゃないのですね。長官、ここらのところどう考えますか。物価対策としておとりになったというのは、一次から四次にわたる公定歩合の引き上げだけでしょう。いかがでございましょう。
  39. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 政府といたしましては、金融の引き締めもいたしましたし、財政の繰り延べもやっておるわけでございまして、財政の繰り延べは、これは年度末になりまして、おそらく今年のところではキャリーオーバーされるであろうというふうなことでございます。実際上は削減的な効果を持っているものだと思います。  それから金融でございますが、いま仰せられました問題のうち、大企業には全然金融引き締めの問題がないようにとられます点もございましたが、まあ私どもは、そうでなくて、相当大企業の金融じりは詰まっておるというふうに見ております。ことに商社金融また土地に対する融資、これを非常に締めておるわけでございまして、この面からかなり金融は繁忙のようでございます。また中小企業の点は、健全なものはそれほど問題ではないような点がまだございますけれども、いわゆる土地ブームを当て込んだ過剰投資をやった面で多少の見込み違いによる倒産が出ているようでございます。これはいまお話のございましたような税制につきましても、土地譲与税を二〇%かけるとか、あるいは特別の土地保有税というものをかけるというようなこととあわせまして出てくるわけでございまして、その面からいいまして、いま土地の価格はかなり上げどまりであるというところになっていると存じておる次第でございます。
  40. 大出俊

    大出委員 これは、たいへん不公平な話でありまして、私も何も大きな企業に全く影響がないなんて言っているわけじゃない。ほとんど影響がないと言っている。ここに「東洋経済」が出しております九月期決算の全貌がございます。これは東京証券市場の一部上場四百四十二社の九月期決算です。これを見てまさに驚くなかれということでありまして、それこそどこの企業を見たって、鉄を筆頭にこれだけもうけていれば、これはいうことはないですな。これは、まあ専門家である長官でございますから、一々例にあげる気もなかったのですけれども、いまお話が出たから申し上げるのですが、重電はじめ電機関係にしてみたって、あるいは紙なんかも、不況をかこっていた紙が、最近決算を見ますとたいへんな好況であります。建設などというのは、いまは人さえ集まれば仕事になるのですからね。それでも人がないから政府の公共事業がやり切れないのですよ。やり切れないから金が余っているわけだ。八%繰り延べというのは物価対策になっていない、極端な言い方だけれども。これを見たって、どこの企業を見たってもうかり過ぎてどうにもならぬ。こんなにもうかったことも珍しいという気がいたします。全企業あるのですから。ですから私は、インフレ——あなたはインフレをきらうのですな、物価上昇にしておきましょうか。この高物価物価上昇は政策的につくられたものだと申し上げましたが、それによってみごとにもうけた。それから四十八年度予算では、第七次道路五カ年計画の初年度である、だから二兆二千億組んである。そこらから出てくる仕事というのは限りなくある。それが四百四十二社の中のいろいろな部門に至るところにあらわれている。  だから、そこらのことを考えると、私は、ここで一つだけ申し上げておきたいのは、政府承知でこういうことをおやりになったかどうかは別として、企業の側は、このインフレというものの中で、この波に乗ってたいへんにかせぎまくった。社内留保というものもたいへんに多い。寄ってたかっていろいろいわれた商社なんかも、政策を見ますと、幾らか社会に還元するなどというような政策を一生懸命お出しになっていますけれども、相変わらずみごとな決算状況であります。もうけ過ぎている。そうすると、このたいへんな物価上昇で困っているのは、あくまでも一般のサラリーマンであり、一般の庶民なんですね。これは私は重大な政府責任だと思うのですけれども、この九月期決算を一体どうごらんになりますか。
  41. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 仰せられるとおり、未曽有の好景気というふうに新聞が伝えております。そのとおりであろうと思います。ただ問題は、これはかなり見せかけの好景気でありまして、実質的には非常に物価が上がっておるために、決算じりがいいという点が多いわけでございます。また国民消費も伸びているわけですが、これは物価高を差し引きますと、むしろ実態的には減っておるというのが現状であろうと思います。  そこで、いまの物価でございますが、二〇%前年同月比上がった卸売り物価を見ましても、その中で非食糧農産物などは四四%上がっておる。それから繊維製品、これが三五・九%上がっておるのでございます。繊維なども非常な好況で、一ころ繊維産業というのは、アメリカによる規制によってつぶれるんじゃないかというような騒ぎをしたのは、一体いつの時代だったかと思うくらい最近好景気でございます。それから非鉄金属、これも五〇・二%、非常に大きく上がっておるのでございますが、これなどは外国から非常に高くてもよいから買っているという問題が非常にあるのだと思います。これだけ高いものを買っても、なお国内でもうかるというところに私は非常な問題点があるというふうに思っておるわけでございます。  いまの石油問題を契機といたしまして、やはり企業自身もこういう見せかけの繁栄というものがどういうものかということをよく考え直してもらわなければならない時期である、さように考えまして、ある意味で、私は大出委員の御指摘と同じような意味で、いまや全部が警鐘乱打され、反省をすべき問題をかかえておるというふうに思っておる次第でございます。
  42. 大出俊

    大出委員 これは建設なんか見ても、大成建設、これは純益ですが、純利益で七十二億、九月期決算七十二億あるのですよ。清水建設で五十六億、大林組で五十億、熊谷組で七十三億、戸田建設で四十二億、これはもう異常なものですよ、ずっと前期から比べてみますと。べらぼうなもうけ方ですよ、これは。こんなにもうけてしまって、政治資金の献金などといったら、どれだけどこへ入っていってしまうのだろうと思うくらい、もうかり過ぎてしまってどうにもならぬ。これは製紙関係だって、紙不足でいまこんな騒ぎになっているでしょう。大昭和製紙などというのは、十一億もうけていますけれども、これは前から見ると、三月期決算は九億しかもうけていない。その前の決算は六億しかもうかっていない。今期は異常なもうけですよ。そうでしょう。どれを見ても、鉄などというのは、一千億といわれるけれども、これは公取の方がいるかいないかしらないけれども、昨年の七月でほんとうならば鉄鋼の不況カルテルは期限が来たはずだ。それをたしか昨年の十二月まで不況カルテルを延ばした。それでやたらもうけさして、今日、今度は安定カルテルをつくれなんというようなことを言っている。そうでしょう。そういう形にして各産業、各大企業がやたらもうけ過ぎている、この現実。見せかけとおっしゃるけれども、そんなことをいえば、二十何%かの成長率を示している。だから、その中で物価上昇分を差し引いたのが実質成長率ですよ。ならば、それは八%くらいになります。本年の場合、現状で見て実質成長率八%くらいですよ。そうでしょう。  だが、一般庶民は、しからばどうかといえば、一年ものの定期をささやかなボーナスで組んだって五分七厘五毛でしょう。異常な物価上昇でどんどん価幣価値は減っていくわけです。つまり、このバランスを一体どう考えるのがいいのかということですね。大きな企業がやたらかせぎまくっている。土地を手がけてみたって、日本列島三十七万平方キロのうちの四千七百平方キロくらいのものを千二百九十三社しかないはずの東京証券市場に上場されている会社が買っているでしょう。ここに数字が全部あります。ひどいものですよ、これは。日本列島というのは三十七万平方キロしかないのですよ、山あり、川あり、谷ありですから。その一・二六%というのが東京証券市場に上場されている千二百九十三社が買い占めた土地の総量です。有価証券報告書を計算してみればすぐわかる。三十七万平方キロのうちの一・二六、平方キロでいえば四千七百近いですよ。これを東京証券市場に上場されている会社、千二百九十三社しかないはずだが、これが買い占めている。日本列島の一・二六といいますと、日本じゅうにできている市街地の総面積なんですよ。こんなふざけた話はないでしょう。こういう状態になっているのに、一体サラリーマンや庶民、一般公務員諸君はじめどうなっているのだということです。  これは小坂さん、ここのところは、お考えをいただかぬと——経済見通しを一月六日にお立てになった、五・五%の消費者物価上昇だという前提で出発したわけですから。そうでしょう。だから、私は、人事院総裁もおいでになるけれども、これはやはり国家公務員諸君だとか地方公務員諸君だとか公労協諸君だとか民間で働く労働者だとかいう方々に、企業がこんなにもうけちゃっているのに、そっちのほうは勧告一五・三九%出したんですからなんといって涼しい顔していられたんじゃたまったものじゃない。だから、少し突っ込んで物価問題等を掘り下げてみたいと思って、実は質問に入ったわけです。  そこで、もう少し具体的に承りたいのですが、さて、直接的に個々の働くサラリーマンの皆さん生活にしからばこの物価上昇はどういう影響があるか。米を上げましたね、これは来年四月からでしょう。麦を上げましたね、これは十二月一日からでしょう。そうすると、この米、麦だけとらえても、一体どういう影響が町の奥さんたちに出てくるかという点をどうおとらえになっているか、長官に承りたい。
  43. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 来年の話でございますが、四月一日から米が九・八%、麦がこの十二月から三五%上がりますが、そこでCPIに占める割合は米が〇・三、麦が〇・一、そのくらいになると思います。  これを各勤労者世帯でいろいろはじいてみましたわけでございますが、分類を五つ置いておりますが、六万八千円の月収の家計から十六万二千円の家計まで五段階に分けまして、消費支出をそれぞれはじいてみましたところが、消費支出額十万四千六百六十一円、これの世帯員数三・九人、この場合、合計で米麦の支出額が四千七百三十五円でございます。この中で米の値上がりが二百九十三円でございまして、麦が七十三円、合計いたしまして三百六十六円支出増になるわけでございます。一世帯三・九人で三百六十六円支出増でございますから、一カ月に一人当たり九十円強の負担増になるというのが、私どものはじきました計算でございます。
  44. 大出俊

    大出委員 そういういいかげんなことを言われちゃ困るのですがね。それを机上の計算というのですが、皆さんがここに発表しているのがございますね。月に三百六十六円の支出増、皆さんのやつはこういうのです。月に三百六十六円の支出増、米麦の値上げで。これは食糧庁の試算。いまのもそうじゃないかと思うのですけれども、経済企画庁の試算でございますか。ならば、それを出していただきたい。食糧庁の試算ならここにある。いま六円だ、云々だということになっている。ところが、実態を申し上げましょう。麦が十二月一日から三五%上がる。まず製粉業会、これまでの小麦の政府売り渡し価格は、平均一トン当たり三万四千五百四十円、この三五%アップ、四万六千七百円になる。ちょうど一万二千円の値上げになります。したがって同業会、つまり製粉業会ですが、加工度が非常に低いために原料代の値上がりがそのまま製品価格にはね返る。当然値上がりになると人件費にもはね返る。したがって三六%ないし三七%値上げしなければ赤字になる。これは日清製粉が言うのです。麦が三五%上がった。だから、製品価格にかける三六%、三七%、三六ないし三七上げなければ経営ができない。これが実情です。だから、小麦粉の工場売り渡し価格、これは菓子、めん類用の薄力粉、これが二十五キロ当たり現在の一千三百七十円から一千八百円、ここまで上がっちゃう。またパンにする強力粉、これが一千六百三十円から二千二百円になる。だから、これを末端の製品にまで持ち込んでみると、スーパーなどで目玉商品で売られている一キロ当たり六十円から七十円台である家庭用の小麦粉、六十円か、七十円でどこへ行っても売っていますが、これがもう売っていない。今度の三五%の値上げがはっきりしたので、実際に姿を消している。これがこれから一体幾らで売られるかというと、九十五円。六十円のものが九十五円、三十五円上がっちゃう。ところが、それでもやっていけないと言う。来年に入ったら百二十五円にしたい。六十円から七十円で売っているのが、いまワンポイント九十五円にして、来年は百二十五円にするのですよ。これだけ見たって何が六%ですか。さらに小麦粉の値上げ、これは加工業全般に連鎖反応を起こします。十月から最低価格を七十円、これは十円引き上げておる。いま一斤当たり三百七十グラム五十円、六十円というパンを売っているのですが、これが小売りマージンを入れると、赤字でとてもやれない。これは日本パン工業会の責任者の話であります。来年から全部安いパンは姿を消す。みんな百円台になる。めん類、燃料費と人件費の値上がりがすさまじいから、うどん一玉二百五十グラム、現在三十円ですが、これを三十五円にした。そばが二百グラム三十五円を四十円にした。これは全国製麺協同組合連合会の答えであります。ラーメン屋さんにおろす中華めんの玉百五十グラム これがいま十八円、これを二十三円に五円上げる。これは麦で一斉に上がる——いまお話の時間のことは、聞いておりますから、それまでにあげますが、こういうことになる。一体、サラリーマンの家庭というのは、皆さんが机でそろばんではじくようなわけにはいかない、現実には。たいへんなことになる。  これを集計いたしますとどうなるかといいますと、実は私の住んでおります横浜で、家計簿運動、家計簿をつけましょうという運動を起こして久しくなる。たくさん出てまいりました家計簿のうちで的確なもの百五十を集めて試算をしてみた。そうしたら、何と食費三万八千百円、住宅費一万二千八百六十円、被服費九千九百二十四円、医療費三千三百五十二円、教育費一万一千七百三十三円などということで、九月の消費支出の合計が平均で十二万二千三百三十三円。これを去年九月の同じ百五十の家計簿と比べてみると、どれだけ上がっているかというと二三%支出増だ。平均で二三%上がっている。そうすると、一五・三九%上げたからいいやということにならぬのですよ、これは。これにはいろいろな、小坂さんが企画庁でお考えになる問題と違う実態かあるのです。だから、こういう数字が出てくる。  いま、この内訳をこまかく申し上げる時間がありませんから申し上げませんが、ここに、私いただいてきたのですけれども、主婦連の物価情報デスクの発行している四十八年十月二十七日の「物価の値上がり調べ」というのがあります。これ、全部歩いて調べているのですよ、主婦連の方々が。主婦連は、これを価格幾らでお売りになるが、これを調べてみてもたいへんな値上がり。これは申し上げる時間がありませんから申し上げませんが、たいへんな値上がり。しかも来年の四月というところに焦点を合わせますと、みんな四月でしょう、運賃から何から、米まで。これはたいへんなことになる。しかも、いま二〇・三%にもなった卸売し物価のタイムラグ六カ月を考えると、来年の四月、これはえらいことになる。石油のほうをいかに規制したからといって、それで物価がおさまるものではない、結論を申し上げれば。今日そういう事情にある。ここらのところをとらえて、国民生活そのものをながめて、長官一体どうお考えになるかという点を包括的に承っておきたい。
  45. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 いろいろの御調査をよく承りました次第でございますが、実は麦の値上げの問題は、農林省が行政指導いたしまして、実際に値上げが行なわれるのは、一月からにいたしますということをいっておるわけでございます。ところが実態は、いま御指摘のようにもうすでに上がっておるというお話でございまして、これはどうも私どもとすれば、やはり食管会計も考え、極力その値上げを少な目にいたしまして——とにかく外麦が三倍にも上がっておるわけでございますから、何とか多少のつじつまを合わせなければいかぬということで、三五%でおるけれども、その影響は来年からというふうにやっておるわけでございまして、それを、一般が上げるからどうすると言われましても、私どもがここで公式的にお答えを申し上げるのは、なかなかむずかしいと思うのでございます。  いずれにいたしましても、食管制度というものは、消費者価格と生産者価格の安定帯のようなものでございますので、これを何が何でも詰めてしまって、それでいいというわけにもいかぬ問題でございます。極力切り詰めましての結果を申し上げて、われわれとすれば、数字的に算定いたしますと一カ月に一人九十円の御負担増であるという数字が出ますことを申し上げておるのでありまして、便乗値上げというようなものをひとつ極力自制してもらうし、また、そういうものはけしからぬということであれば、やはりそれを御通服願いまして、それに対する対応策をわれわれとしてはとっていかなければならぬかというふうに思うわけでございます。  何ぶんにも役所におきまして、物価を担当しておる者の数も限られておりますし、全国民が悪いことをしているのをみんな調べて歩けと言われましても、これはなかなかむずかしい問題でございますので、そういう点は、遠慮なく御通報いただきまして、適切な対処策をとりたいというふうに思っております。
  46. 大出俊

    大出委員 あなた方は、それはわからぬじゃ済まぬのですよ。役人に限りがあるから、悪いことをしているのを一々調べて歩けぬと言うんだが、それじゃ何を政府が言ったって、さっきのトイレットペーパーじゃありませんけれども、それはあるんだから心配するなといって買わないでいた連中は、いまなくてみんな困っている。現にないんだから。そうでしょう。  実際にはどうなっておるか、ちょっとここで申し上げましょう、御通報いただきたいと大臣おっしゃるんですから。長い時間かけませんよ。(小坂国務大臣「いや、けっこうです。あとでまたいただきます。それで、具体的にどこの店でどうやって売っているというのをいただければ、一番いいのです。」と呼ぶ)これは具体的な例をここであげておかぬとぐあいが悪いので、申し上げます。  皆さんが新聞に発表されたのは、たしか六日の日かそこらでありますが、買占め売惜しみ防止法の中に二品種を追加する、ティッシュペーパーだとかちり紙だとかトイレットペーパーだとか追加する、こう発表された。静岡は大混乱、三百六十社ぐらい製紙工場がございますから。そこであの発表の中には、静岡の標準卸売り価格——これは静岡価格というのがある。これは一ロール百四十円でございます。トイレットペーパーの巻いておるものが四つ入っていて百四十円。これが静岡のこの日の標準価格であります。標準ものというのは、幅が百十四ミリ、長さが六十五メートル、これが一ロール四個入っておりまして百四十円。これが静岡の標準価格であります。  ところが、どうも政府は、これを買占め売惜しみ防止法に入れるようだという情報が流れた。このあたりから上がり始めた、三カ月前から。いま十一月でございます。大体九月の初めごろから上がり始めた。そうして四分の一巻、つまり四つ入っておりますから、その中の一つの卸売り価格が二十四円、これが二カ月間で十円上がっている。二十四円が三十二円になった。そこで中間の問屋をみんなおっぱがしてしまいまして、トラックに新聞その他を積んで、直接行って売り買いをする、しかも現金、こう変わっていった。そうして、ちょうど先週土曜日までの価格が、一つが三十二円だった。それが四つ入って一ロールとこういいます。  この時点で、すばり言ってしまいますけれども、私の出身の郵政省の郵政弘済会、ここが八百ケース買う契約を中間の問屋としていた。これはなぜかというと、ここは会社をつくって清掃業その他をやっておりますから、ビルを清掃してトイレットのペーパーを置いておかないわけにはいかない。仕事にならぬ。ところが新聞に発表された、とたんに現場は大騒ぎ。それで中間の問屋さんが静岡の吉原の商社に買いに行った。目の前に二千ケースある。あるのに、八百ケース契約しているのですから、契約に従って積み始めたところが、契約を破棄してくれといって強引にとめられた。なぜか。政府が公式に買占め売惜しみ防止法の中に三点追加する、静岡標準価格百四十円で凍結する、とんでもない話だ、売れない、こう言うわけです。既契約はこれで全部破棄です。さあ、それから一日幾らで上がっている、八日から一日六円上げ、七円上げ、八円上げ、毎日ずっと上がっている。こうなると、これはどこで一体凍結するのか、さっぱりこれはわけがわからぬ。  それで、それでもなおかつ困るからというので折衝をする。これもけんかじたくです。そうしたら、現にあるのですから、三十二円のものを五十円なら持っていけと言う。しようがないから、五十円で持ってくるより手がないでしょう。あとは一切どこかに消えてなくなって、それから先は出てこない。じゃ、一体紙の生産というのはどうなっておるかといえば、一五%増しだ、二〇%増しだというフル生産、フル操業でしょう。紙は一体どこへいっちゃっている。現にこういうことになっておる。  もっとこまかく申し上げる時間がないから、大ざっぱに言いましたが、これは現実の問題です。こうなっているのに、あなた方のほうで、それは一々チェックする人もないし、時間もないからしかたがないと言っておられるなら、紙のメーカーと商社というものは全部こうなってしまいますよ。名目的に三品目を買占め売惜しみ防止法の中に入れたからといって、これは何にもならぬ、くその役にも立たぬ。第三条で、これは調査する権限がある、四条で放出の勧告ができる、価格調査官が立ち入り検査もできる、立ち入り検査を拒否すれば罰則がある、これだけの法律ですよ。結果的に何にもできない。そんなことを言った日には、紙のメーカーは全部、商社は全部——これは社名を公表してみたって、痛くもかゆくもないでしょう。全部がそうなんだから、やっていけないというんだから、向こうは。一体こういうところを皆さんはどういうふうにお考えになって物価対策なるものをお立てになるのか、私ははっきりそこを承っておきたいわけであります。  それから、もう一つ例をあげます。通産省にこれまた関係をいたしますが、塩ビ関係。塩ビなんというものは、ひどいものです。これも説明を承りたいのですが、大手の建設会社、東急不動産、東急建設、積水ハウス、久保田建設、これだけ調べた、この関係で。私が調べたんじゃない、業会の方々が調べた。これは管工事工業組合なんという組合もおります。水道管その他をいけたり、布設している方々であります。中小零細の方が非常に多い。塩ビ管がないから全く商売にならない。逃げ出す、倒産、片っ端です。そうしたら、この東急不動産なり、東急建設なり、積水ハウスなり、久保田建設なりの下請業者には、上から親会社から全部十分に塩ビ管が入ってきている、流れてきている。これは何を意味するか。大企業が正規のルートをはずしちゃって、先買いをしているのですよ。正規の町の問屋を一切通さない。だから、問屋にはないのです。みんな買っちゃった。それで自分の系列関係のところだけに落としている。十分にある。こんなふざけた——これは商行為以前の問題ですよ。だから、塩ビメーカーから正規のルートに流されないで、大手企業が直接現金取引をしている、これらの大口需要者である建設業関係方々が。だから、現在ある町の商社、つまり中間問屋さん、ここに無理言って頼んで、何が来るかというと、大中小を含めた、口径がみんな違いますから、大口径管、中口径管、小口径管含めて何トンというプールで来る。ところが町の工事屋さんには、こんな大きな大口径管は要らないのです。新幹線で使うようなのは要らないのです。高速道路に使うようなのは要らないのです。ところが、それを込みだ。込みでないと買えないのです、これは。買えなくしているのです。だから、町の工事屋はみんな死活問題です。  そこで、これは名前は申し上げないほうがいいと思いますから、具体的な問題ですけれども、申し上げませんが、ある管工事関係企業、小さい会社です。入荷した十月分の塩ビ管の量、下水その他に使う管でありますが、百ミリ管五本、七十五ミリ管十本、五十ミリ管、これはゼロ、小口径管はなし。一カ月でこれしか入っていません。これじゃあなた、家を請け負って大工さんが建てた、下水工事をする、それを管工事の水道屋さんに頼んだ、これじゃ工事ができない、だから、大工さんが家を建てたが、下水ができないから、請負なんですから、自分で立てかえて建てているのだけれども引き渡せない。金利倒れをする。そのまた下請の管工事業者というのは、みんな片っ端からにっちもさっちもいかない。せっかくプールして工事をやっても、その働く人がここにいたんじゃ食えないからといって出て行ってしまう、こういうことです。  実は、私が通産省にいろいろお話をして、神奈川県なら神奈川県の商工部を通じて、たった一ぺんだけ塩ビ管を配給ルートに乗せてもらった。どうなったかといいますと、神奈川県商工部を通じての塩ビの配給状況、県商工部が、まず県内の問屋を十九社指定した。一社が五十店舗だけ受け持てといって割り当てた。ところが、神奈川県内には千百店舗の管工事の小さい会社がある。そうすると、十九社が一社五十店舗ずつ引き受けるのですから、九百五十店舗分しかないのです。  横浜市に限って言うと、横浜市に五つの問屋さんが指定されている。一店舗が五十店舗を受け持てというので、五社指定したのですから、五、五、二五で二百五十店舗、これしかない。ところが横浜市には、三百七十店舗あるのですから、二百五十店舗だけの分の五社を指定されてみても、とてもじゃないが、三百七十店舗全部に配給はできない。請求を出したが、この百二十店舗の方々は、横浜市以外の指定業者のところまで行かなければならぬ、実際には行けないのですが。そういうことになっていて、末端で個々人が、公務員を長くつとめて退職金をもらう、やっとこさっとこ家を建てる、それができ上がっても入れない、片っ端。これでは管工事工業組合方々は、みんな端からつぶれてしまう。にもかかわらず、これから先の手を一つも打とうとなさらない。そして大きな塩ビメーカーが何をやっておるかというと、いままで小口径管をつくっていたところが、わざわざそれをやめた。やめて大口径管に切りかえた。うちは小口径管をつくっておりませんといって断わる。実は小口径管は在庫になって一ぱいある。ないからメートル当たり八十円なら八十円のものが、二百円をこえてしまう。八十円が二百三十円になってしまう。そこまできて、在庫の小口径管をやみでぼっと放出する。当時の市価は八十円なんですから、メーカーはまさにぬれ手でアワですよ。そうやっておいて、しばらくすると、小口径管の需要が非常に強くなったからというので、大口径管から小口径管に切りかえてつくりましょうという。そのときは、八十円のものは二百何十円に上がってしまっておる。塩ビ原料、モノマー等をストップしておいて、そういうことをやる。それが目の前にあって手がつかぬというふざけた話はないでしょう。そういう点をきちっと押えなければ、庶民生活は成り立ちませんよ。いかがですか、二つ例をあげましたが。
  47. 橋本利一

    ○橋本説明員 トイレットペーパーにつきまして、ただいま現地の事情をつぶさに調査しております。  私たちといたしましても、平素から常にかような便乗値上げのないように強く指導しておったわけでございますが、ただいま伺ったような事情あるいはさらに実態を把握いたしまして、幸い防止法にも指定いたしたわけでありますので、法を厳正に運用してまいりたいと考えております。  と同時に、十一月の二日から実施しております緊急増産あるいは不足地域に対する緊急輸送、こういった緊急対策をさらに強化してまいりまして、需給安定あるいは価格の鎮静化に努力いたしたいと考えております。
  48. 大出俊

    大出委員 労働大臣経済企画庁長官のお時間がないようですから、締めくくりたいと思いますが、ここでいろいろお答えいただいても、私自身で通産省にもお伺いいたしまして、基礎産業局長さん以下にもお目にかかったりいろいろいたしておりますので、だから、その背景がどうなっておるのか知らぬわけではない。ないが、一番必要なことは、通産省の局長さんがいろいろおっしゃっても、こういう末端の実態と全然違う、ここのところを何とかしなければ、庶民生活は成り立たないんですよ。トイレットペーパーだってそうです、凍結するといえば出てこないのですから。それで通産省はてっぺんで国民の皆さん御安心くださいと一生懸命言っている。まあ、政府があれだけ言うのだからと思って買いだめをしなかった人は、いまになってどうにもならぬ、こういうわけですよ。それじゃ、たいへんな政治不信が起こるわけでございまして、その政治不信は何かといったら、石油の割り当てだ、節約しろ、節約国民運動なんていったって、冗談じゃない、政府の言っていることの逆々とでもやらなければ生きていけないということになる。政治に信頼がなければ、国民に幾ら政府がものを言ったって言うことを聞きやしない。問題は、ここの問題ですよ。協力を、協力しっこないでしょう、政府の言うことを聞いていてばかばかりみたのじゃ。そうでしょう。これは私も議席があるのですから、共同責任ですけれども、ここのところをやはりしかととらえて、ものごとをお考え願わぬと机上の空論になってしまう、そう私は思う。  で、六%、六円だなんということを言っているうちに、さっき家計簿の話をしましたが、二三%から家計支出はふえてしまう。  締めくくりを申し上げますが、一年間百五十万の収入の公務員がおいでになるとする。いま公務員方々、平均給与十万です。百五十万の年間総収入、この方がおるとする。奥さんと小さい子供さんが二人の標準世帯である四人。四人で年間百五十万。この方の家計費は一体幾らかかるとお思いになりますか、小坂さん。
  49. 小島英敏

    ○小島説明員 ちょっと正確な統計を持参しておりませんで恐縮でございますが、平均的に申しますと月に十万弱ぐらい、九万から十万ぐらいではないかと思います。
  50. 大出俊

    大出委員 家計費というのは、論理的にいいまして大体八割なんですよ。八割ですから、大体百五十万の方の場合ですと、そのかける八〇%がこの方の一年間の家計費、こういうことになっているのです、給与関係で申しますと。ですから、年収百五十万の方は、八〇%を家計費、直接生活費です。そうすると、これは百二十万円なんです。百二十万円の方が、かりに消費者物価が六%上がったとする。そうしますと、小坂さんが一月六日に提案された「四十八年度経済見通し」でいきましょう。五・五%、かりに五・五%で消費者物価がおさまったとした場合、百二十万の家計費を使っている方は、一体家計費が五・五%の物価上昇で幾らふえるか。百二十万かける五・五%ですから、六万六千円ふえる。だから、百二十万の家計費の方が百二十六万六千円になる、五・五%でも。ところが最近のように限りなくこう上がったら、これはえらいことになる。これが一四%も上がっちまったなんという騒ぎになったら、えらいことになる。そこで百二十万の家計費を持っている方が、ちょうど九月期の物価上昇のように一四・五%、これは東京ですが、物価が一四・五%上がるとすると十七万四千円上がっちゃう。家計費がよけい要る。それだけよけい出さなければ物は買えないんだから、あたりまえの話。百三十七万四千円要る。そうすると一五・三九上げてみたからといって、とてもそれで足りるものではない。だれがお考えになっても、おわかりでしょう。それが実態ですよ。六円だ、冗談じゃない。波及効果をお考えいただけばわかる。  そこで、それじゃ大蔵省おいでになっておりますけれども、本年度税制で、一体、年収百五十万円の四人世帯の方の四十八年度の減税額というのは幾らになりますか。
  51. 山本幸雄

    ○山本説明員 いま、ここにこまかい数字を持ってきておりませんが、減税額は、夫婦に子供二人という標準家庭というところで十万円ばかり課税最低限を上げておりますから——所得に応じてそれぞれ段階が相当あると思いますけれども、具体的な数字についてはわかりません。
  52. 大出俊

    大出委員 はい、いいです。政務次官に承るのは無理でしょうからいいです。  実は、四人世帯でまいりますと、ことしの大蔵省のおやりになった減税、百五十万の方で九千百三十二円、率にいたしまして〇・〇六%でございます。二百万の方で一万三千十八円、〇・〇六五%でございます。三百万円の人で二万四千八百円、〇・〇八%。五百万というと、一般のサラリーマンはあまりありませんから、やめますけれども、五百万円の方で四万八千三百三円、〇・〇九六%、こういう数字なんですよ、長官。そうしますと、百五十万の方で税金をまけてくれたが、四人世帯でございますが、年間で九千百三十二円しか減税になっていないのですよ。小坂さんがおっしゃっておられる一月六日の閣議決定の五・五%でも、家計費は年間に六万六千円ふえるのです。にもかかわらず、減税のほうは九千百三十二円しかないのです。しかも逓増方式をとる、累進課税方式をとりますから、減税比率というものは、下のほうが一番少ない。〇・〇六、〇・〇六五、〇・〇八、〇・〇九六、〇・一二二、〇・一〇三、こう上がっていくのですから、たいへん不合理です。そこへもってきて春闘で、あるいは勧告で上がったではないかというお話がよく出てくる。だけども、実はここにたいへんなからくりがある。自然増収ふえるばかり。  どういうからくりかといいますと、一例をあげます。大蔵省の試算、これを基礎にいたします。四十七年度税制で年収二百五十万円のサラリーマンがいるとする。この方の税額は、年間二十三万四千百五十五円とこう出る。税負担率でいきまして九・三六%、こういう数字です。この年収二百五十万円で二十三万四千百五十五円税金を一年間に取られているサラリーマン、九・三六の税負担率をしている方、この方が春闘でございますといって一五%賃金を引き上げた。二百五十万の年収が一五%引き上がりますと、二百八十七万円に上がるんです。三十七万円ふえた。二百五十万の同じ年収の人が二百八十七万円、春闘で一五%賃金が上がって三十七万円よけいもらえるようになった。ところが、さて年度がかわる、四十八年度税制、これに当てはまる。四十七年度じゃないんですから、税制かわるんですから、所得税法が。今度は新税法に当てはめますというと、前ならば二十三万四千百五十五円でよかったものが、一五%上がって二百八十七万円もらえるようになったために、二十八万三千九百六十四円、一年間に税金を取られるという。ここの税負担率は九・八九であります。そうすると三十七万円、つまり一五%賃金が上がったために、四万九千八百九円税金がよけい取られる。同じ人間がランクが上になった、差し引き〇・五三%増税なんですね、この人は。  つまり、こういうことに——大蔵省の方おいでになるからお答え願いたいんですが、こうなるでしょう。そうすると、ますますもって苦しいのはサラリーマンである。大企業は、さっき例にあげましたように、小坂さんお認めのように、こんなに異常なもうけっぷりはない、こういう状態ですよ。それでいて、なおかつ物価は上がりっぱなし。だとすると小坂さん、これはあなたも閣僚の、物価というものを専門にお考えにならなければならぬお立場の長官でございますから、やはり田中内閣として公務員皆さんに対して、民間先行型でどんどん出ていっているんですから、この辺でひとつ何とかこの年末に手を打つべきである、こういうお考えに立っていただきたい。  石油の規制だ、いろいろなことをこれからおやりになろうとなさっている、次の国会に向けて。けっこうです。やっていただきたい。やっていただきたいが、その効果というものは先に出てくる。しかも四月というところに集中的に物価上昇の要因がそろっている。いま二三%の卸売り物価上昇というのも、これはタイムラグが六カ月あるんだから四月まで、これは。そうでしょう。そうだとすると、どうしても私も物価上昇を押えにゃならぬと思っているんですから、その意味では、ここでもってその金を出すということに大蔵省式の抵抗を感ずる人もあるかもしらぬが、しかし生活そのものが成り立たなければしかたがないんだ、これは。そうでしょう。富の分配は、あまりといえば不公平に過ぎる。ならば、どうしてもここは政府ベースで、さっきお認めになったように、物価上昇の要因として政府の政策見通しの誤りもあったんだ、だとすれば、その責任において手も足も出ない国家公務員法で縛られている国家公務員その他の方々に対して、これは政府がものを考えていただくということが正しい、民間上昇に合わせて考えていただくのが正しい、こう私は思う。労働大臣も、民間動向というのは大きく公労協に影響します、だから、労使間でやりとりをしておるけれども、そんなふうな結果になるでしょうというようなことをおっしゃった、さっき。だから、小坂さん——労働大臣首をかしげるけれども、あなたは労働大臣なんだから、そこらはあなた、いまになって首をかしげちゃ困るですよ、やわらかく言っているんですから。小坂さん、いかがでございますか、締めくくりでございますが。
  53. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 物価の問題は、経済企画庁が担当するということになっておりまするが、どうも企画庁だけでどうというわけにもまいりません点が非常にあるわけでございます。関係の各省庁とよく話はいたしまして、この異常な物価高騰を安定させるために万全を尽くしたいと考えておるわけでございます。  その物価高の中における勤労者の生活というものに対しては、十分な配慮がなければならぬことは、政治家として当然だと思っております。その程度でひとつあとは……。
  54. 大出俊

    大出委員 最後に、小坂さん、これでおしまいにいたしますが、「財政抑制を強化 緊急物価対策へ着手 経企庁」というのがありますが、何をお考えになっているか端的におっしゃってください。来年度の減産率その他をお考えになって、経済企画庁が「緊急物価対策へ着手」という新聞記事がございますが……。
  55. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 問題になるのは、公共事業であろうかと思うわけでございます。やはり一番この四十八年度に伸びたものは、公共事業でございまして、全体に三二%ぐらい伸びておると思います。そのうち一般公共事業が二八%ぐらいで、生活関連の公共事業というのは、実に六十何%伸びております。しかし、この生活関連の公共事業というものは、福祉国家転換への過程におきまして、できるだけこれを抑制することは避けたいというふうに思うわけでございますが、そういう点、よく関係省庁と話をしたいと思っております。  なお、物価の問題に関しましていろいろございまして、よく承りましたわけでございますが、従来の形は、どっちかというと、需要が非常に旺盛で、供給を引っぱっているわけでございます。そこにもう一つ、今度コストプッシュという問題が出てまいりますと、非常に悪性のスパイラルに入ってくることは、もう経済学に非常にたんのうな大出委員、よく御承知のことだと存じます。その点をじょうずに考えてまいりませんと、勤労者の生活安定のための施策が、かえって物価を上げて、勤労者の生活を苦しめるという点になることにも十分思いをいたしてまいりたいと思っておる次第でございます。
  56. 大出俊

    大出委員 最後に、一言多いことをおっしゃるものだから、これで打ち切ろうと思ったが、そうもいきませんで、一言だけつけ加えます。  それは、いろいろな見方がありますが、アメリカの例のH・ハンセン博士みたいに、コストプッシュあるいはウエーブプッシュなんていうようなことをいろいろ言われますけれども、これはインフレで物が上がってこなければ、賃金というものは上がっていかないのだという理論がある。この議論を始めますと長くなりますけれども、私は、この議論は実はさておきたいのです、当面は。なぜならば、この年末に来て、こんなにたくさんの物価が、米麦の値上げまで、これが大きな値上げムードに拍車をかけているわけですから。十二月一日からということで、さっき例にあげたように、みんな上がるのですから。上がらないものをさがすほうがたいへんなんだ、今の世の中は。そうでしょう。しかも石けんから始まって砂糖までみんな上がるでしょう。これは国際糖価が上がっているじゃないですか。  そうなると、この時期に必要なことは、サラリーマンを主体にする生活の実態をながめて、どう手当てをするかということなんです。民間で出さざるを得なくして出しているわけです。だから、いまおっしゃる論理を展開されようとするなら、これから将来に向かって、そのことを含めて、物価というものをどういうふうに鎮静させ、押えていくかということをお考えになればいい、お出しになればいい。だから、いまこの時点で問題になっているのは、二十日の日にはストライキを打とうなんという組合もある世の中、民間で年じゅういまストライキをかけて団体交渉をやっている世の中、その動向を前提にして考えたときに、どうすべきかということを、使用者としての政府立場でお考え願う、この必要を感じているから申し上げているのです。物価上昇政府の手の抜けたところがあるのならば、それをお認めになるのなら、生活の実態をとらえてどうするかということを考えていただけないものか。  あわせて、私、ここでお願いしておきたいのですけれども、公務員皆さんの諸団体も、ただ単に年末手当とだけ言っていられない、物価手当とだけ言っていられない、何とか物価を押えてくれなければ困るというたくさんの気持ちもある。だから、そういう意味では、二十日、二十一、二十二日あたりに、全国からいろいろな方々が東京に上京するなんということも聞いていますけれども、そういうときに、私は代表何人ときめていただいてもいいけれども、皆さん気持ちよく会っていただいて、実際の生活のその実態に即してお願いをしたいということを気持ちよくやはり聞いてあげるぐらいのことをやっていただかぬといけませんよ、いまの世の中というのは。だから、これは各省庁の皆さん関係が何がしかずつあるわけですから、そういう代表の諸君があらわれた場合には、門前払いを食わせぬで、ぜひひとつ会ってやっていただくように御配慮を賜わりますように、これは大蔵省の方にも特にお願いしておきたいのです。予算官庁でございますからお願いしたいのですが、あわせていかがでございますか。
  57. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 民主的な政府のたてまえといたしまして、公務員皆さんとあらゆる面でよくお話し合いをいたしてまいるという心組みでおりますわけでございます。
  58. 大出俊

    大出委員 それじゃ、先ほどから申し上げている趣旨は、おわかりいただけると思うのでありまして、これからいろいろなことが出てまいりますけれども、それなりにひとつ御配慮をお願いいたしまして、小坂さんと加藤さん、お忙しいところたいへん恐縮でございました。  そこで、総裁に承りたいのですが、これは締めくくりで承っておきたいのですが、冒頭に申し上げましたように、国家公務員法二十八条がございまして、一項、二項、こうあるわけでございます。小官山副長官もおいでになりますから、お聞きをいただきたいのでありますが、私は、民間動向を冒頭にあげましたように、ことしの十一月、十二月という時点は、例年とはたいへんに大きな違いがある。異常な物価上昇の中で、石油の規制問題なども出て、さっき灯油の話も出ましたが、これもたいへんな上がり方であります。これは人事院関係もございますから、あわせて承りますが、したがって二十八条の情勢適応原則に基づいて、まずもって人事院は、ここで何らかの意思表示をすべきである。総理府人事院含めて私はお願いしたいのでありますが、そこを一体どういうふうにお考えになっておられるのか、まず承りたいと思います。
  59. 佐藤達夫

    佐藤説明員 大体一般情勢については、先ほど来お話に出ておりますようなことで、私どももとうてい無関心ではおれない段階にあるという心がまえで、諸般の情勢動きを油断なく注視しておるという段階でございまして、この注視の態勢を今後も続けてまいりたいという気持ちでおります。
  60. 大出俊

    大出委員 油断なく注視をする。そこで、さらに突っ込んで承りますが、人材確保法案が、これは凍結法案の形に国会の場としてはなっている。人材確保法案の先行きとあわせまして、人事院は、いずれになっても、百三十数億の金が、大蔵省がここにおいでになりますが、そこにございます。したがって、いずれかに勧告をしなければならぬことになる。称して一〇%と、こういうわけであります。その場合に、行(一)、行(二)を例にとりましても、総合較差の方式をとっておりますから、人事院の方が計算をしたって、行(一)、行(二)は二・七%ぐらいの、これは総合較差方式なるがゆえに官民比較の面で損をしていることになっている。これはもう前回、私がるる申し上げたとおりであります。そうだとすると、総合較差方式なるがゆえに出てぐる、ここには二・六二とありますが、人事院の課長さんがはじいたら二.七になったという話までありますけれども、損をしている。とすると、先生だけの一〇%引き上げでは済まない。一般の職員に対してやはり何らかの手当てをしなければならない、それが三%の議論なんです。それに、これだけ異常な物価上昇だからということになってくると、公務員共闘その他の方々が五%の要求をするのは、これは無理からぬところであります。  つまり、この勧告というのは、人材確保とからみまして、一体これからどういうふうに動いていくのですか。もし次の国会へ凍結のままでいくとすれば、人事院は何らかの意思表示を、この十二月なり一月なりにしなければならぬはずでありますが、いかがでありますか。
  61. 佐藤達夫

    佐藤説明員 百何十億というお金には、われわれは直接目をつけておるという立場ではございません。これは、やはり人材確保のためのお金だということを承知していればいいわけでございます。それ以外の必要からお金が要るんなら、これは従来のといいますか、いわゆる堅持しておりました基本的な官民格差のほうで——これの穴埋めが必要だということになれば、これは御承知のとおり、予算が足りなくなろうが何しようが、われわれとしては勧告を申し上げるという立場でございますから、ちょっとその人材確保の話とは、これはまた別の筋の問題だろうと思います。  ただ、いまお話しのように、総合較差方式をどうするかという話、その関連になると思いますけれども、これはっとにこの夏報告書で指摘しておりますとおり、われわれは目下検討を続けております。ただし、これは申すまでもなく、たとえば人材確保法案によりましてちょっとこぶのような形の改善が加わるという場合には、来年の官民較差の比較を従来どおりやっていても、これは全然ナンセンスだということを考えまして、それにも備えての研究でございますので、したがって、まず人材確保の法案の成立いかんの問題が一つありますし、それから来年の官民比較のときの基本的態度としてどういう態度をとるかという問題と二つあるわけです。その方向で検討を進めておるわけでございます。
  62. 大出俊

    大出委員 つまり人材確保のほうで一〇%というものが表に出てきた場合に、これはこぶのようなものですね。そうすると一般のほうにもこぶでもつかぬことには、こっちも矛盾があることは、はっきりしておりますから、報告で出ているとおりでありますから、人事院もものをいっておるとおりでありますから。これは総合較差の中における矛盾です。そうすると、こっちも何がしかのこぶがなければ、一〇%のこぶだけの処理では事は済まぬ、そういうふうに関連がある、こう私は申し上げているわけです。それが一つ。それは皆さんが、これから十二月にどう処理されようとするか、一月にどういうふうにお考えになるか、称して追加勧告。  それとあわせて、もう一つあるのは、この年末というよりは、むしろ四月以降、人事院勧告実施が四月でございましたから四月以降、物価上昇の度合いというものを検討してみると、九月までで全国で六・五%、東京で六・八%、こういう消費者物価上昇度合いです。異常です、これは。六・五、六・八。だとすると、この二十八条に基づいて何かの御検討人事院になければならぬ筋合いである、こう私は思いますが、そこはいかがでございますか。
  63. 佐藤達夫

    佐藤説明員 非常に冷静に申し上げますと、物価だけを取り上げてめどにするということになりますと、結局これは両刃のやいばのようなもので、従来それは物価の上がりよりもよけいに勧告しておったじゃないかという話にも、逆にいえばつながってきます。したがって、われわれとしては民間給与物価、生計費を織り込み済みの民間給与というものをつかまえて、これと比較しておけば間違いないと思いますという態度できておるわけでございます。したがって今後の変化につきましても、そういう基本的の態勢で先ほど申しましたように注視をしてまいりたい、そういうことになっております。
  64. 大出俊

    大出委員 さて、二つあるのですが、これでおしまいですが、本年人事院は〇・〇六%期末手当の比較の面で切っております。これは間違いございませんな。
  65. 佐藤達夫

    佐藤説明員 これは忘れもしません、〇・〇六でございます。
  66. 大出俊

    大出委員 これは人事院が切ったもの。忘れもしない、九まで切ったのですから、かつて。民間物価手当云々ということまで含めて期末手当の面ではふえてきている。さっき幾つか例をあげたとおりであります。ことしの年末は特殊現象です。要求するほうも物価手当といって要求している。出すほうもそれに見合うといって出している。特殊な現象です。そうでなければ生活ができない。だから、そうだとすれば、旧来さんざん切っ払ってきた人事院ですから、民間に見合うような何らかの措置をここでする、これは当然だと私は思う、この暮れに。そして、なんならば三月の年度末のやつを繰り上げたっていいのです。何とかしなければならぬところへ来ている。これはやろうとすれば給与法の附則の中に一項入れればできる、手続的には。十二月の国会で片がつく。かつ民間公労協動きもこれあり。ここらのところ、これは総裁、私は率直に言って、何か考えなければ気の毒過ぎる、見ていられぬ、そういう気がする。だから申し上げている。だから、一方づいて公務員共闘が何を要求したとかなんとか言っているのじゃない。何かのことをここで考えるべきであろう。ただし、それは民間動向等見きわめなければならぬけれども、その上で何かを考えるべきであろう。よるべき根拠は国家公務員法二十八条にある、こう申し上げたいわけですいかがですか。
  67. 佐藤達夫

    佐藤説明員 〇・〇六は一応お許しを得て成立をさせていただいたわけですから、直接の関係はないと思います。しかし、いまお話しのような、この冬にかけての動向というもの、これは先ほど申しましたように、やはり注視をしておるということの中に入るわけであります。
  68. 大出俊

    大出委員 注視をしている段階であるというわけでありますから、その注視をしている中からどう動くかということは、これからの段階でございますから、そういう意味で了解をいたします。  それから、最後一つだけ。寒冷地手当関係で加算額というものがございます。加算額というのは燃料費です。八月に払ったんだ、こうおっしゃるかもしらぬけれども、ことしは異常な状況が寒冷地地域にありまして、普通ならばばっさり金を払って商店に預けておくのですね。ところが、ないんだからというので預からぬ、売らない。至るところその例の報告が来ております。その間に灯油の値段はどんどん上がってしまっている。私のところで十八リットルの石油かん一本がいま四百五十円です。ところが、きのう新宿のタクシーの運転手さんに聞いてみたら五百円だという。北海道に行けばそれ以上になっている。そういう実情であります。ドラムかん一本計算してみても、十一本とれるわけでありますが、これも同じように上がってしまっている。そうすると加算額は、つまり灯油の価格変動があれば検討するにやぶさかでないという答弁になっている、皆さんのほうは。八月に払ったんだから、買っておけばいいじゃないかということで済まない。そこらのところをどういうふうにお考えでありますか。
  69. 佐藤達夫

    佐藤説明員 私ども、基本的には加算額等の区別にかかわらず、寒冷増高費というものに対する手当として寒冷地手当全体を考えておるわけでございますが、寒冷増高費全体のワクの中で灯油の上がりがどういうことになっているか、これはわれわれも先ほど申しましたことばを繰り返しますけれども、その点注目をしながら検討しておるということでございます。
  70. 大出俊

    大出委員 高橋委員長さんお見えいただきまして、たいへんすみません。さっき両大臣に承ったときにおいでになると思って質問したのですが、おいでにならなかったものですから、恐縮でございますが、三点はかり個条的に申し上げますのでお答えいただきたいのです。  石油の規制問題等をめぐりまして、それが間違いなくあらゆる製品に影響を及ぼすことになる。かつて買い占め云々のときに、委員長に私は、私的独占禁止法のワクの中で処理ができないということが明らかであれば、当然その他の法的措置をお考えになってしかるべきではないのかということを申し上げてきたのでありますが、今回の異常な状況の中で、これ以上諸物価に大きな影響を与えてしまうということになった場合に、国民生活への影響も大き過ぎるわけでありまして、何らかの法的措置が必要である。先ほど中曽根さん、小坂さんに承りましたが、たいへん大ざっぱな話でありまして、公取委員長として新聞にあそこまでものをおっしゃった限りは、もう少し中に入ったお考えがあってのことだろうと思うのでありますが、そこのところをひとつ承りたいわけであります。それが一つ。  それからもう一つ。再販価格の問題について、維持契約制度がございますが、これも先般、私、いろいろこまかいことを申し上げましたが、せっかく公取が全廃という言い方をされた。いろいろ反対もあった。だが、これをいつの間にか、五カ月か六カ月か知りませんが、延ばしておられるのですが、私は、どうしてもこれは公取がお考えになっていることが正しいという見解を持っているのであります。そうでないと末端価格というものは硬直をしてしまう。そこらのことがございますから、これは私は、どうもうしろのほうで、政府の要路の方々が、高橋さん、これはちょっと待てというようなことを言ったんじゃないかと勘ぐるんだけれども、そこらのところをきちっとしてひとつおやりいただきたい。  見通しを承っておきたいのと、最後に、この自由経済の中で私的競争を続けられていった、寡占化の傾向があるビールのような場合に、これに対してものを言う公取の立場がある。あるがしかし、分割だ云々だという話がありますが、逆に鋼管だの八幡だの、富士製鉄のように一緒にした例もお持ちの公取であります。大きな矛盾なんですね。ここらを一体どういうふうにお考えかということと、あわせて百四十円のビールが百六十円になるんじゃ消費者はたまったものじゃない。時間がありませんから、多く言いませんが、値上げ問題をめぐってそこらのところは公取の立場でどうお考えになりますか。三点だけお答えいただきたいと思います。
  71. 高稿俊英

    ○高橋説明員 第一の問題は、たいへんこれは大きな問題でございまして、私は公正取引委員会立場として軽々しく申すべきことではないかもしれませんけれども、その取り締まりを、行政面からいろいろな行政指導を行なえとか、あるいはやみカルテルを摘発しろとか、こういうお話がいろいろ出ておりますので、それに対して私どもは、それほどなまやさしい問題ではないのではないか、こう考えるわけでございます。と申しますのは、灯油というのは、これは民生用ですが、石油関係の規制を中心に考えておられるけれども、実際には電力の一割削減ということは、三千キロワット以上の動力を使う工場全部に及ぶわけでして、大体ほぼ常識的に、その動力を使う工業製品は一割減になります。  それで、このようなことは、すでに皆さまに申すまでもなく御承知のとおり、戦後このかた、鉱工業の生産が一割あるとき突然に減って、それがある期間続く、こういうことはちょっと前例がない。私は、どういう事態が起こるのか実は予想もできない。といって、あまりにこの際、政府閣僚皆さんも気を使っておられるように、いたずらに不安感をかき立てるようなことは避けるべきだ。しかし行政指導とかいろいろな取り締まり、われわれの取り締まりで規制できるというふうに見ておるだけでは足りないわけでしょう。  そこで、最後的には、法的な規制ということを考えるわけでございます。しかし、その内容についてとやかく申しませんが、いまも物統令というのはありますが、これは終戦後の混乱期のあれで、ほとんど使われていない。だから、このような個別の公定価格というものをきめるということじゃなくて、早く申せば、私は、必要が生じた場合に価格を凍結する。凍結の手段、方法についても、案がないわけではありませんが、これは外国にもある。そこで非常の場合には、価格を凍結することによって、物価がめちゃくちゃに上がるというような事態は、どんなことがあっても避けるんだということを、国民の前に明らかにしておいたほうが、そのほうがかえって安心感がある。  ただし、その場合でも、物は減るわけですから、需要が減って生産が減るんじゃない。そのアンバランスは問題として残ります。そういう点について、さらに物の不足、つまり品切れになってしまうというふうな点についても配慮すべきであると思いますけれども、とにかく価格面においては、やろうと思えば法的規制ができるのじゃないか。それはしかし、私の個人的な考えとして申し上げたことでございますから、これを採用なさるかどうかは、政府の側でおきめ願いたい。ただ、私としては、そういうことを、万一の場合に備えるものは備えておいて、準備しておいたほうがいいのじゃないか、こう思います。そういうことを申し上げておきます。  それから、再販の問題でございますが、これは確かに全廃の方向ではございますが、直ちに全廃するということを申し上げたわけじゃありません。そこで段階を経てやろうと思いまして、今回、五つ残っておりました商品のうち三つを廃止しました。残りの二つにつきましても、品目削減を行ないました。そのことに対しては、もうこれは前から、実は四十一、二年ごろから問題になり、何回か試みはなされたけれども実現しなかった。まあ、いわく因縁つきの問題でございまして、そういうことから、私ども一たん決定したけれども、実施の期日については、結局事態を収拾するために六カ月延長という、しかし中身そのものは、あまりそこなわれておりませんから、そういう点では、一歩前進したものと考えていいのじゃないかと思います。  もう一つの……(大出委員「例の、競争の結果寡占になった場合」と呼ぶ)普通に競争しておりまして、合併によらずしても、自然にビールのように寡占がはなはだしくなって、いわば独占的な市場が形成される、そうすると、これはすでにおわかりのように、どんどんシェアのダウンするほうは、その規模を縮小すればいいのですけれども、そうではありませんで、相変わらず競争意識はあるわけですから人員も温存する。その観点で私ども検討しましたところ、一般製造原価そのものはあまり変わらないのです。それで非常におかしなことなのですが、一般管理販売費のほうで格差が大きい。それが一本当たりで何円ということになりますと、一方は相当な赤字になり、片方はたいへんな黒字になる。それを、優良な企業だけ値段を押えておくというと、いま現にその現象が起こっているのですが、百四十円であれ百五十二円であれ、百六十円に上がっちゃったものとの間に、ブランドの強いほうが値段が下がっているというふうなことで、これは非常におかしなことですが、この姿を消すとか、先にそのビールをのけてしまうとかいうおかしな現象、これに対処するためには、先ほど合併のときに甘かったのじゃないかという御指摘がありましたけれども、私は、すでにこれは従来の基準を軽くしまして、合併については二五%を基準とする、それ以上になる品目は認めないというふうなことを声明しておりますし、実際にその後合併については出てまいっておりません。  いまの寡占問題これはビールだけじゃございません。非常に高いシェアを持ったものが幾つかございます。そういう問題については、いわゆるディスクロージャー方式によってある程度牽制をするということもありますが、それだけでは現実に赤字続きになったものが脱落していくのをそのまま見ていていいかという問題がございます。これは単純な分割という方法でうまくいくかどうかわかりません。やはりコストがいたずらに上がることなく、かつ有効な競争が行なわれるように、全体の業界のあり方を、いま再編成といいますか、できるような権限があれば——これは旧八条というのがあったわけですが、いまありませんが、そういうことについて検討、研究を進めたい、こういうことで最近その準備を進めておりまして、来月おそらく発足できると思いますが、独占禁止法研究会という、専門家の方で約十名程度でございますが、約一年くらいかけて研究をしていただく、われわれもそれに加わる、こういう形であります。
  72. 大出俊

    大出委員 時間がありませんので、これ以上討議はいたしませんが、最初の点は、総需要の抑制という問題が非常に大きなもう一つのファクターになると思いますが、そこらを含めてぜひひとつお考えを進めていただきたい。二番目の点も長い懸案でございますが、どうか中身をゆるめないで片をつけていただきたい。最後の問題、意見でございますけれども、別の機会に議論させていただきます。  たいへん長い時間恐縮でございましたが、ありがとうございました。
  73. 三原朝雄

    三原委員長 鈴切康雄君。
  74. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 物価上昇というのは、非常事態に突入している、私はそのように判断をいたしております。しかもインフレーションというものは、かなり度が進んできている。しかし政府としては、いまだにインフレということについてはなかなか口にしたがらないのですが、いま現在、先ほど来られた経企庁長官は、政府の見通しというものは非常に甘かったということは認められているわけです。その反面、物価上昇に伴って民間企業においては、それぞれ物価上昇に対する何らかの保護策、生活防衛手当金とかあるいはインフレ手当金とかそういうふうなことがいま現在なされているわけであります。  たとえて言うならば、民放各社においては、日本テレビは業績向上特別報償金、フジテレビでは期末手当、日本教育テレビでは業績向上奨励金、それから東京放送では業績向上祝い金あるいは川崎重工業、日立造船、住友重機械工業の三社は臨時ボーナス、またオールジャスコ、長崎屋、そして赤札堂など、大手チェーンストア等は期末特別手当金というものを出して、それに報いようとしているわけであります。  このようにして手当の名称というものは、いろいろありますけれども、しょせんは、これはインフレ手当物価手当にほかならないというふうに私は思うわけでありますが、その点、人事院のほうにおいて民間の実態を調査されているかどうか、お伺いいたします。
  75. 佐藤達夫

    佐藤説明員 御承知のように、現在いろいろな要求が出そろいつつあるということが正しい状態であると思います。われわれはその点において、種々の情報を集めておりますけれども、いまお話に出ましたような放送関係のものなども、これは新聞によって承知しておるわけでありますが、特別手当の性格の問題は、いまいろいろ名称をおあげになりましたけれども、中にはもうかり過ぎて困っていて、それがここへ出てきたというようなものもありましょうし、それ自体の分析は非常にむずかしいと思いますけれども、それはそれとして、先ほど他の委員に申し上げましたように、私どもとしては、そういう点も含めて注視を怠らずにおりますということでございます。
  76. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 公務員が年末に受ける特別給は、民間が支給した特別給の昨年の割合とほぼ同じであり、本年の勧告においては、均衡しているということで、私、この間、人事院総裁に非常に文句を言いました。〇・〇六カ月分は切り捨てをしたということで、その問題について、私は、なぜしたのか、そのように申し上げた記憶があります。  物価上昇率は、総理府の統計局の調査によりますと、九月の消費者物価の指数というものは、東京区部では一四・二%も上昇しております。全国で四月現在一二〇・七%であったものが、九月は一二八・六%であり、六・五五%も上昇しております。東京区部では、四月は一二一・四%であったものが、九月では一二九・六%であり、これまた六・七五%も上昇しております。また御存じのように、灯油とかプロパンガスあるいは衣料、建築材など、急上昇を続けているものは数え切れない状況にあります。日銀の発表によりますと、十月中旬の卸売り物価指数も昨年同期より二〇%以上も上がっており、これも消費者物価にははね返ってくるであろうというふうにいっております。  民間において、物価高騰に際して、先ほど、生活防衛一時金または生活危機突破資金として、年末までにそれぞれの手当が支払われるというけれども、いわゆる公務員の利益保護機関としての人事院は、このような実情に対してどうお考えになっているか、何らかの措置を講ずる必要はないかということを私はお伺いしたいわけであります。  また、国家公務員法の二十八条の情勢適応原則から見ても、公務員給与改善の勧告をもうすべきであると私は考えるのでありますが、それほど切実な問題に対して、人事院としてはどういうふうに対処をされるお考えでしょうか。
  77. 佐藤達夫

    佐藤説明員 せっかくのことしの夏の給与改善が、物価上昇によってだんだんその効果を失いつつあるという現実は、これは確かにございます。これは決してうれしいことではないわけでございます。ただ、あまり物価を重点的に考えますと、実は他の場面で議論をされたこともあるのです庁けれども、逆に、従来の勧告物価の上がりよりも上回っているのではないかというようなことで、また批判を受けた例もございますし、これは両刃のやいばみたいなもので、私どもとしては、ですから物価を裸に取り出さずに、民間給与の中に生計費も物価も織り込まれておりますよということで、民間給与水準と合わせる、これが一番適正な方法でございましょうということで、その態度を堅持しておりわけでございます。  先ほどもお話に出ましたような、民間組合側で、昨今いろいろな動きもあるようでございますし、そういうこともわれわれとしては怠らずに注視をしてまいりたい、それがいまの基本態勢でございます。
  78. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 国家公務員法第二十八条の情勢適応原則というものは、諸条件によって俸給表に定める給与を五%増減する必要が生じたと認められたときには勧告をしなければならないということで、それは確かに物価高ということには書いてありません。それはわかっております。わかっておりますけれども、現在の状況において、もうすでに四割増の大型ボーナスが出るとか、あるいは先ほども申し上げましたような状態で、インフレに対して、民間においては当然それに対処しようという姿勢の中にあって、いずれにしても、この公務員のボーナスは、昨年の時点において四・八カ月分という数字が出ているわけでございますから、ことしの現状を直視したときに、私は、ただ、それを民間給与と対比をしながら一年おくれでやればいいんだというような事態ではないのだ、少なくともここで人事院としては、ある程度の英断を下すべきではないかというふうに思うのですけれども、もう一度その点、力強い御答弁を……。
  79. 佐藤達夫

    佐藤説明員 その英断を下すということについては、やはり考慮すべき点がずいぶんございまして、これも、かねがね申し上げております基本的な立場から当然のことかと思いますけれども、結局、基本的には、私どもの給与の財源は、国民の皆さまに負担していただいているということになりますと、やはりそういう関係から申しましても、民間給与の水準がこうなりましたから、ぜひ合わせていただきたいというのが一番手がたくて、御納得を得るやり方だろうと思うわけで、やはり今後も、その辺の基本は、それを堅持しなければいけないと思うのです。  よけいなことを申しますけれども、ことしの勧告はちょっと大幅でしたせいか、従来になく非常な反発を受けまして、中小企業方々だと思われますけれども、直接私のところ、役所なり何なりに抗議の電話をおかけになるというような例もございまして、やはり国民の皆さんの御納得を得るような方法としては、官民比較立場が手かたいということで、そういうことも御説明申し上げておるのであります。そういうようなことも考え合わせながら事態に対処していかなければならないなという気持ちを持っております。
  80. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 原則原則としてよく私もわかるのです。わかりますけれども、しかし、もう原則を貫いていかれない一つ事情に追い込まれてきているというところに、私は、やはりきょうこの内閣委員会が持たれた意義があろうかと思いますが、その点十分にひとつ御配慮を願いたいということ。  それから、人事院は本年の給与勧告において、官民比較の基本原則の適用方式に若干の変更を加えることについてすみやかに検討を行なうと指摘をし、また人事院総裁は、たしか九月の二十一日の当委員会において、行(一)、行(二)等を基準とすることも研究項目の一つの重要なポイントである、このように答弁をされておりますが、これまでの検討の結果はどうでしょうか。
  81. 佐藤達夫

    佐藤説明員 報告では、すみやかに検討をするということをうたっておりますが、当然そういう点も検討しております。それには、いまおっしゃいました、私が申し上げたことでございますけれども、そういう点も一つの重要なポイントとしてなお検討を続けておるという段階でございます。
  82. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 総合較差方式では、行(一)、行(二)が救われないというところに問題があるわけですから、そういう点についてすみやかに検討をするというわけですが、引き続いてまた検討をしているのだ、こういう御返事であるので、その期待を、私はまた次の機会にお伺いをしたい、こういうように思います。  それから、人事院総裁給与勧告の際の委員会において、教育、看護婦の給与の一そうの改善をはかることは、いわゆる教員の人材確保法案が大きな契機とはなったが、これは関係ないのだというふうに答弁をしておられますが、人材確保法案は、御存じのように前の国会においては未成立、継続ということになったということでございますけれども、給与改善の勧告を行なうつもりはありますか。
  83. 佐藤達夫

    佐藤説明員 これは、報告書に書いてあります教員、看護婦という表現は、要するに従来教員、看護婦について思い切ったことをやりたいなと思っておったけれども、総合較差方式の制約のために十分なことはできなかった、ついては、そういう角度からも検討する必要があろうという趣旨で書いたわけでございます。  しかし、それにつけましても、例の人材確保の法案というのは、百何十億かという別に出ているこぶのようなものがつきますから、それが実施されれば、来年の官民給与の比較というものは相当ゆがんだ形にならざるを得ない、どうしても来年はこのままではほうっておけないであろうという二つのことがそこに一緒になっておりますので、非常に明断を欠いたかもしれませんけれども、あれはそういう気持ちで書いた文章です。  ですから、ただいまの教員の給与改善の面につきましては、現在、国会でまだ継続中でございますから、これはわれわれとしては、その帰趨を真剣に見守ってまいろうということでございます。
  84. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 継続審査中であるから、それがきまってから考えるんだというこういう考え方、これは人事院立場としては、必ずしも正しい行き方ではないんじゃないか。たとえば人事院は、予算をつけようがつけまいが、必要であれば、言うならばそれは勧告をすべきではないかというふうに私は思うんですよ。そういう意味において、この問題についても、やはり勧告が必要であれば勧告をすべきであるし、行政職(一)の問題についても、当然、その是正の追加勧告をしなければならないというならば、私はやるべきだと思うんですが、それについて、人事院には政治的な配慮があまりにも濃いのじゃないかというふうに感ずるのですが、その点は総裁いかがですか。
  85. 佐藤達夫

    佐藤説明員 それは大いに弁明申し上げなければいけないのですけれども、基本的な考え方は、私どもの態度の基本になっておりますのは、やはり国会尊重主義ということに尽きるわけです。国権の最高機関かつ唯一の立法機関であられる国会が、現に法案としてかかえてそれを御審議なさっておる、継続しておるものを、それを抜けがけにわれわれ行政部内の一部の者が、その法案に盛られたような、それにつながりのあることをするということは、これはたいへんな国会に対する冒涜であるという気持ちから、私は先ほど来のお答えをしておるわけです。
  86. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いずれにしても、人事院公務員を守る中立的な立場にあるわけですから、そういう意味において、当然必要であれば勧告を出す。そして今度の物価上昇に伴ういろいろの諸問題についても、原則はそれは私どもわかっています。わかっていますけれども、しかし、あえて公務員皆さん方がそれだけのやはり熱望もし、民間においても、それに対処しようというそういう事態に至ったのは、言うならば政府責任でもあると私は思うわけですが、その政府責任のもとにおいて、当然処置をすべき問題であるということを私は強く申し上げ、私もきょうはちょっとほかの用事がございまして、これで質問を終わらしていただくわけでありますけれども、特段の御配慮をお願いをいたしておきます。
  87. 三原朝雄

    三原委員長 午後三時より本委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後二時十三分休憩      ————◇—————    午後三時五分開議
  88. 三原朝雄

    三原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  公務員給与に関する件について質疑を続行いたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木下元二君。
  89. 木下元二

    ○木下委員 いまや、物価は朝鮮動乱以来最高の上昇を示しております。この一年間の値上がりは、これまで四年間の値上がり幅の二倍から八倍にはね上がっているといわれます。多くの国民が物価の日々の値上がりに頭を痛めている状態でございます。このインフレ、異常な物価高騰をもたらした自民党田中内閣の失政、悪政への怒りの声を結集いたしまして、去る十一日には物価メーデーが行なわれましたことは、総裁もよく御承知のところと思います。  このように生活防衛を訴える国民に対しまして、内閣物価問題の責任者小坂経済企画庁長官は、自己の無力を痛感し、恥ずかしい、私には物価高を押える力がないと、政府の無策ぶりをさらけ出しております。  さらに、一部の新聞の報道によりますと、田中総理は、日本テレビが社員に基本給の六〇%のインフレ手当を出しましたことを知って、どうしてインフレ手当などを出したのだと、どなりつけたと伝えられております。  そこで、総裁に質問いたしますが、現在のこの異常な物価の高騰をどう思われますか。特に公務員生活実態を踏まえてどのように考えていられますか、お尋ねします。
  90. 佐藤達夫

    佐藤説明員 午前中も触れたことでございますが、私どもとしては、生活に直接響く問題でございます。皆さんも相当御苦労されておることと思います。ただ、先ほども触れましたけれども、私どもの立場は、物価ということだけをつかまえてどうこう給与の問題を考えるという立場ではございませんので、やはり物価あるいは生計費の織り込まれた民間給与の水準というものをつかまえて、それと遜色なきを期するという基本的な立場なんです。物価だけをつかまえますと、今度は、従来の勧告物価より上回った勧告で、現にそういう経験があるのですけれども、これは多過ぎるかいということにもなりますので、やはり民間給与水準というところでつかまえることが一番適正であろうという立場に立っておるわけです。  したがいまして、これは毎回、勧告あとでありますけれども、勧告が済んだからもうわがこと終われりというようなことで、決して目をふさぐような立場はとっておりません。やはり民間のあらゆる給与その他の情勢に注視の目を注いでまいっておるわけです。ことしにおきましても、いま御指摘のような相当顕著な事実もございますので注視の目を注ぎつつあるというのが現状でございます。
  91. 木下元二

    ○木下委員 物価だけをとらえるのではないというお答えで、それはわかりますが、やはりその基本には物価があると思います。総裁は、ことしの物価上昇は異常であるということはお認めになりますか。小坂経済企画庁長官も、そのことはお認めになったわけでございますが、認められますか。
  92. 佐藤達夫

    佐藤説明員 私どもは、異常とかなんとかいうような形容詞を使うことは必要ないので、そのものずばり、何%上がりましたねえということで把握すればいいんじゃないかと思います。
  93. 木下元二

    ○木下委員 いや、その異常であるかどうかという点は、どう考えられるかということです。異常ではないと言われるわけですか。
  94. 佐藤達夫

    佐藤説明員 例年に比べると、上がりが大きいですなあということには当然なるわけです。それを異常というか何というか、これは現実的な表現でございまして、われわれはとりません。
  95. 木下元二

    ○木下委員 民間では、この政府の無策によるインフレに対応するためにインフレ手当を支給するところも出ておるわけであります。田中総理は、この民間企業手当を出しましたことに対しまして、目下日本はインフレではないという、総理独特の、世間には通用しない論理で口出しをすることまでしておるということであります。  総裁は、この現状インフレーションであると思うのかどうか、また現在の物価高騰の政治責任はだれが負うのか、総裁の御意見を承りたいと思います。
  96. 佐藤達夫

    佐藤説明員 全くどぎもを抜かれてしまって、何も申し上げることはございません。
  97. 木下元二

    ○木下委員 その現状インフレーションであるかどうかということについては、お答えできないということですか。
  98. 佐藤達夫

    佐藤説明員 これも異常というようなことばと同じ性格のことばでございまして、それの使い方に何もわれわれがこだわる必要もないと思いますから、先ほど申しましたように、公務員生活も苦しくなりつつあるなあということは正確な認識なので、それがあれば人事院総裁としては十分だろうと思います。
  99. 木下元二

    ○木下委員 昨年末からの物価高騰の波は、卸売り物価で、先ほども指摘をされましたように、前年比で二〇%をこえております。この責任は、公共料金を次から次へと上げていきました政府、自民党にあることは言うまでもありません。こういった急激な物価上昇は、公務員労働者を含めまして、すべての労働者の生活をきびしく圧迫いたしております。この八月九日の人事院勧告、それに基づく給与改定がさきの国会で行なわれましたけれども、その賃上げもつかの間のぬか喜びでありまして、公務員生活水準は実質的に低下させられております。物価の異常な高騰、これは、まさにインフレ以外の何ものでもなく、このインフレから生活を守るためには、公務員労働者の要求に沿って再度人事院勧告をしなければならないと考えます。  そこで、人事院に質問いたしますが、私が八月二十八日の委員会で指摘をいたしましたように、人事院が従来とり続けてきました総合較差方式によっては、行政職の官民較差があることは、人事院資料によりましても明らかなところであります。今年度だけ見ましても、行政職(一)及び(二)について申しますと二・七%の損失ということになるわけであります。しかも、これは長年にわたって続いておるのであります。  人事院としましては、総合較差方式のあり方を至急検討する必要があるという趣旨の発言をされておりますが、国家公務員共闘会議が十月二十九日に人事院に提出をしました、四月にさかのぼりて五%以上の再引き上げをしてもらいたい、こういう要求につきましては、どのような考えをお持ちになっておられるか、再勧告をする御意思かあるのかどうかということをお尋ねいたします。
  100. 佐藤達夫

    佐藤説明員 先ほど申しましたように、基本的な私どもの立場といたしましては、やはり民間給与の水準の変化というものを追跡し、注視してまいらなければならぬことでございます。現に注視をしつつあるということに尽きると思います。
  101. 木下元二

    ○木下委員 いま直ちに、勧告をするかどうか、幾ら勧告をするか、こういうことはお答えしにくいと思いますが、ただ前の国会のときもお答えがありましたけれども、また私も質問いたしましたけれども、総合較差方式はきわめて不合理な点を含んでおります。行政職について、これによって大きな損失をもたらしておるということであります。この点をこの前の国会でもお尋ねをいたしまして、これを是正する方向で至急に検討をする、こういうお答えもいただいておるのであります。  だから、特にこういう物価上昇の中で一体この問題がどうなっておるのか、こういう観点からお尋ねをしておるのでありますが、この問題を是正する方向で至急に検討をする——これは現に検討中だとは思いますが、ただ検討中ということで、いつのことになるのか、どうなるのか全くわからないという状態では、ちょっと私のほうも納得しにくいのですけれども、どういう状況でしょうか。
  102. 佐藤達夫

    佐藤説明員 前回、たしか木下委員からお尋ねがあったと思いますけれども、そのときお答えした基本的な私どもの立場は、要するにこれは総合較差といい、比較の問題としては、やはり民間給与公務員給与の比較にからまって、その基本として出てくる問題でございますから、ことしは従来の総合較差比較の方式できました。変えるとすれば、来年になるだろうということであります。しかし報告書にもうたいましたように、研究はすみやかに研究することとうたっておりますが、なかなかこれは実際研究してみますとむずかしい問題で、そういうことも込めて現在鋭意研究を続けておるということになっております。
  103. 木下元二

    ○木下委員 次に、年末手当について質問いたしますが、人事院勧告では、民間とほぼ均衡しているということで端数の切り捨てを行なったということでありますが、これも今年度に限らず、ずっと切り捨てが行なわれてきたのであります。この点も考慮した上で、公務員労働者の切実な要求にこたえて三カ月以上の年末手当を支給するべきものと思いますが、この点はいかがでしょうか。
  104. 佐藤達夫

    佐藤説明員 これも、まだ先走ってわれわれがどうこういたしたいというようなことを申し上げるべき周囲の情勢ではないと思います。それは御承知のとおりだと思います。先ほど申しましたような立場で、民間給与等における情勢変化を注目してまいりたい。これは、もう正直にいってそういうことで尽きると思います。
  105. 木下元二

    ○木下委員 民間のほうの状況を見るというのは、それはけっこうですけれども、ただ申したいのは、これは、この前の国会でもこの点は問題になりましたけれども、今年度で申しますと、一時金についての官民較差〇・〇六カ月、先ほども指摘がありましたけれども、この分が切り捨てられております。最近、五年間に限ってみますと、全部で〇・三二カ月分も切り捨てが行なわれております。もっとさかのぼると、もっとたくさん出てくるのです。この数字から見ましても、これは当然〇・四カ月程度の上積みをするのが当然だと思うのです。ただ民間給与との比較という面からだけではなくて、こういうふうな不合理な切り捨てが行なわれてきておるという状況考えて、年末手当について問題を考えていただきたい、こう思うのですけれども、いかがでしょう。
  106. 佐藤達夫

    佐藤説明員 切り捨ての関係は、これもかねがね申し上げておりますように、考え方はいわば両刃の剣の問題でございまして、いや〇・〇四民間のほうが今度低く出たら、それは切り下げるかというような話も当然裏からいうとつながる問題でございます。民間給与というものは、その年その年の営業成績によって、多い年もあり、少ない年もあるというのが普通なんで、それを〇・〇幾つまできわめて克明に追跡していくというと、今度下げるときも、小数点以下二位のところでまたこちらは操作しなければならぬ。わがほうは、とにかく法律にはっきり書くのですから、一応固定的な形になるわけです。民間の場合のその年その年というのとは、ちょっとまた違った形になりますから、小数点二位以下は、まあ両面から考えてみて切り捨ててもよかろう。しかし、この間、正直に申しましたように、いくつだったか、〇・〇九を切り捨てたことがあり、たいへんしかられたことがありますけれども、あれはちょっとひどかったなという気持ちは持っています。気持ちは持っていますけれども、筋論は筋論としてわれわれとしては正しい筋の考え方だろうと思っております。
  107. 木下元二

    ○木下委員 人事院勧告が出ましたのは八月九日、当時は予想もされない物価の異常な高騰であります。石油などのエネルギー危機、一部商品の品不足等々、国家公務員に限らず、多くの国民の生活は極度に圧迫され、今日では共かせぎをいたしましても、生活が苦しいという状態が生まれております。幾ら勧告で平均一五・三九%のアップであっても、もう物価上昇に追いつけないという状態が生まれておる。公務員生活は昨年と比べましても、少しも楽になっていないのであります。当時、予想もされなかったインフレーションから生活を守るためには、労働者としては、このような情勢に見合った手当インフレ手当要求し、獲得しなければもう年を越すことができないということで、民間でも年末一時金とは別に、呼び方はともかくといたしまして、臨時の手当が出ておるというところが多くあるわけであります。民間よりも一般的に苦しい生活をしいられている公務員労働者にも、本俸の一カ月分のインフレ手当公務員労働者も要求しておるわけでありますから、臨時手当の支給について、人事院のほうはどのような考え——これも民間をただ見守っておるという状況なのか、この点について伺いたいと思います。
  108. 佐藤達夫

    佐藤説明員 先におっしゃっていただきましたけれども、そのとおりに考えております。これは先ほど述べたところにも一致するわけでございます。
  109. 木下元二

    ○木下委員 私どもは、従来から政府が行なっております人事院勧告制度には、公務員労働者の労働基本権の全面復活の問題など重要な基本的な問題がありまして、労働者の賃金というのは、労働基本権を全面復活した上で政府労働組合との団体交渉できめるべきであるということを繰り返し主張してきたわけであります。しかし現在の制度を考えますときに、公務員労働者の労働条件、おもに給与条件については、人事院が非常に強い力を持っております。言いかえれば、人事院の姿勢が公務員労働者の生活を左右するわけであります。  先ほどから繰り返し述べておりますように、現在の物価高騰は異常であります。ベアの五%一律アップ、年末手当の増額あるいはインフレ手当といった労働者側の要求、非常にこれはささやかな要求だと思います。これらを要求する労働者の生活実態というものを総裁は理解されておるのでしょうか。
  110. 佐藤達夫

    佐藤説明員 職員団体の代表の方々とは、ごく最近、すでにもう三回もお会いして、諸般の実情も承り、それから民間情勢についての情報なども、大体われわれの知っていることですけれども、そういう情報も承らしていただいて、その間の実情はよく認識しておりますし、私どもの立場から申しましても、それを聞き流すとか、あるいは無視するとかいうようなものでは決してないという気持ちで臨んでおるわけでございます。
  111. 木下元二

    ○木下委員 人事院総裁が、この労働者の生活実態を十分に把握しておられる、よく理解しておられるということでありますが、そうだとすれば、この労働者の要求に沿って早急に再度勧告をしていただきたい。これは、まだ民間状況というものを十分に把握していないということもあろうと思います。いますぐ、それではこういう線でとか、こういう方向でということをお述べになりにくい点があろうと思いますけれども、ひとつ前向きの、積極的な姿勢でこの問題に取り組んでいただきたい。お願いいたします。どうですか。
  112. 佐藤達夫

    佐藤説明員 御趣旨は十分了解いたします。
  113. 木下元二

    ○木下委員 いまは、もう千円札一枚があっという間になくなる、たいへんなインフレ状態であります。しかも、いままで物価が高騰してきたというだけでなくて、これからも上昇し続けることは、もうだれの目にも明らかであります。再勧告をしないで来年の勧告でこれらの点を考慮するというのであれば、もういまの労働者の生活実態、生活を守ることのたいへんなことを全く理解していないと断ぜざるを得ないと思うのです。これは一刻も猶予できない問題である、こう思います。  たとえば自民党政府のエネルギー政策、高度経済成長政策あるいは外交政策等の破綻で石油危機という状況が生まれてきております。その対策に頭を痛めているのが実態であります。家庭用灯油について、政府は価格凍結ということをいっておりますが、実際には二倍近くの四百円以上で売られているというところもあるわけであります。七十一国会で寒冷地手当の支給額がアップされたわけでありますが、そのアップ額だけでは、もう灯油の値上げには追いつかないわけであります。寒冷地手当の支給地域だけに限らず、もう灯油の問題だけ見ましても、事は深刻であります。  繰り返しますが、労働者の要求にこたえる再勧告をすみやかに行なうように強く要望いたします。いかがでしょうか。
  114. 佐藤達夫

    佐藤説明員 灯油の値上がりの状況は、われわれとしても把握しておるつもりでございます。これも今後どうなりますか、またそれも注目してまいりたいと思います。したがって従来の寒冷地手当のワクを、寒冷増高費というものがはみ出すかどうかという問題になりますと、われわれとしては手当をしなければなりませんけれども、御承知のように従来の寒冷地手当の総額で申しますと相当余裕がまだあるのです。だから、そこのワクを突破するまでいくかどうかということも含めて注目をしておるということでございます。
  115. 木下元二

    ○木下委員 終わります。
  116. 三原朝雄

    三原委員長 受田新吉君。
  117. 受田新吉

    ○受田委員 それでは、総裁にお尋ねさせてもらいます。  佐藤総裁人事院の第一次勧告が終わって後に、物価上昇等で公務員給与の実態が民間給与との間で新しいアンバランスが出たと私は判断をいたします。このことについて、率直な御答弁をお願いしたいと思います。
  118. 佐藤達夫

    佐藤説明員 毎年一回、従来勧告をしておるわけでございますけれども、去年よりもことしはさらに上げ幅が大きかったというように、もうその年その年違うわけであります。これは、その年その年、過去一年間における民間給与変化がそのまま反映してそういうことになるわけでございまして、もう例年、当然そういうことはあっていいわけであります。ただ、その上がり方が激しいだろうかどうだろうかというような問題は、われわれとして非常に注目する焦点なんです。したがって昨今においては、その辺十分注目する必要があるということで、先ほど来お答え申し上げておるような態度で臨んでおるというわけであります。注目を怠らずにおります、こういうことです。
  119. 受田新吉

    ○受田委員 人事院勧告義務の中に、法律に基づく規定として、民間との給与差が五%をこえてきた場合に勧告する、そして毎年少なくとも一回以上。一回以上ということは、つまり二回でも三回でもという意味が含まれているのかどうかです。
  120. 佐藤達夫

    佐藤説明員 少なくとも一回は報告しなければならぬぞということをいっているのですから、一回は絶対のがれられないわけです、妙な言い方をしますけれども。しかし二回やって、三回やって悪いということは絶対ないので、午前中にもお答えしましたように、少なくともと書いてある。三回やれという義務はありませんけれども、年に一回はやらぬと義務違反だぞ、そこは、少なくとも一回というじょうずな表現になっておるんじゃないかと思っております。
  121. 受田新吉

    ○受田委員 一回以上、二回、三回とやる場合に、人事院の現在の機構として、人的資源の確保も十分できていないと私は思うのですが、七百名の人事院の陣容をもって一回以上、すなわち二回ないし三回の勧告をやり得る能力があるかないかをまず御答弁願いたい。
  122. 佐藤達夫

    佐藤説明員 たいへん適切なお尋ねだと思います。また御同情あるお尋ねだと思いますけれども、それは、調べるのがやさしい問題もございますし、従来のような民間給与水準をとらえてどうこうということになりますと、これはたいへんな人員の動員とお金を使って、足で回って歩いてデータを集めるわけで、これは、たいへんなことで、そうちょこちょことはとてもできません。正直に申し上げれば、そういうことです。
  123. 受田新吉

    ○受田委員 正直に申し上げて、つまり八月の勧告案をお出しになられた、勧告をされた当時のような規模での勧告は、現状においては不可能という判断でよろしいかどうかです。
  124. 佐藤達夫

    佐藤説明員 不可能と言うても、ちょっと言い過ぎだと思いますが、容易なことではございませんということでございます。
  125. 受田新吉

    ○受田委員 私、必要があれば、人事院の人員をふやしてもいいと思うのです。つまり、こういう事態に備えて、臨時的な職員のかり集めも一つの方法でしはうし、また恒久的な職員の配置計画も必要でしょうが、人事院が常に法律の要請する期待にこたえ、また公務員立場を守るお役職としての使命を果たすために、そうした事態に備える陣容というものの新しい要求をされても、私は、この国会の内部で反対するものはない、党派を越えて御支援ができると思うのです。同情という意味でなくして、筋の通った質問と思いますから。   〔委員長退席、藤尾委員長代理着席〕
  126. 佐藤達夫

    佐藤説明員 ほんとうにありがたいおことばだと思います。現在でも、これは御同情を求めるわけじゃありませんけれども、七千事業所を相手にしての給与調査というのは、とうていわがほうの陣容だけではできませんから、各府県、大きな市の人事委員会というのがございますが、この人事委員会の職員と協力して、これを苦労してやっておるという状態なのです。したがって増員というおことばですけれども、これはこのまままともにそれを増員したら、えらいことにもなりますし、それは一年に一回、二回やるか知りませんけれども、その調査のために増員したとなると、また世間の御批判もどうかと思う。で、そんなによけいはお願いしませんけれども、しかし必要最小限度の増員は、御援助いただければ、それはとてもありがたいことだと思います。
  127. 受田新吉

    ○受田委員 今回、すでに官公の組織それぞれから人事院にも要望が出ている。年末のいわゆるインフレ特別手当のような性格の要望、御存じと思うのでございますが、それにこたえるためには、いかなる方法をとるべきか。つまり八月勧告のような広範にわたって、しかも民間との賃金較差の調整をするための膨大な調査をやる場合と、それからインフレ手当という、特殊の事情にある現状に対処して、大まかにその一部を一括的に支給する一時手当というようなものを考える場合とあると思うのですが、私は、二十五年にわたって人事院の機能が毎年公務員のためにりっぱに使命を果たしてこられた行きがかりから見て、特に占領下におけるあの悪性インフレの状態の中においても勧告は一ぺんしかやらない、二回やったことがない、部分的なものは別といたしまして、本格的なやつはね、そういう意味から考えていくと、いま官民賃金の較差を根本的に調査する時間的な余裕もないということであれば、ここに選ぶ道は、第二の方法としての、人事院民間給与上昇、また物価上昇その他の諸事情等を十分勘案されて、平年のときとは違う状態にあるこの物価上昇に対処し、民間給与の進みぐあいに適応する措置を一時的に、一時金のような形で支給する勧告をされる、すなわち第二次勧告というものをそういう意味でなさる道はないかをあえてお尋ねしたいのでございます。
  128. 佐藤達夫

    佐藤説明員 私どもの従来の立場から申しますと、先ほどのお尋ねにもお答えしましたように、やっぱりわれわれの給与を負担してくださっております国民の皆さんの御納得を得るようなデータをそろえた上でなければ、そう軽々しくは乗り出せない問題だというふうに考えますから、それをやるための基礎資料というものには万遺憾なきを期しませんと、御納得を得ることにはならないだろう、これは従来の基本的態度に連なる問題だろうと思います。
  129. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、具体的に公務員諸君公共企業体諸君の要望は、つまり本格的な調査という形をとらないで、一時的な措置としての第二次勧告というものは、公務員関係に対しては、非常に短い期間で結論を出して、国会及び政府勧告をしていただく筋のものでございますから——その問題について、現在の経済情勢と、そして民間賃金上昇等を勘案して、何かの形で第二次勧告をしてもよいというお気持ちがひそんでおるかどうかです。これをお答え願いたいのです。
  130. 佐藤達夫

    佐藤説明員 普通に申しますと、先ほど来の精密な調査を要する事柄でもございます。結局、来年の四月調査の際にその内容民間給与上昇ぶりとして出てくる。そして四月にさかのぼってそれに匹敵する引き上げをやっていただくというようなことに——これか常道てあるわけであります。その常道を破るような事態であるのかどうかという問題ですね。それは国民の皆さんが、なるほど無理のないことだというふうに納得してくださるような事態になるかならぬか、それは私は非常に不幸な事態であると思いますけれども、そうならないことを祈るわけでありますけれども、そういう場合に、今度は人事院がそっぽを向いているということも、それはいかがかという批判がまた別に出てくると思います。そういうことは言えますけれども、現実の情勢動きを見ております限りにおいては、まだまだそこまで思い詰めた結論をいまこの段階で申し上げるようなことではないと私は思う。先ほど申しましたように、注目をし、注視を続けていくというのが、いまの段階だというふうに思うわけであります。
  131. 受田新吉

    ○受田委員 人事院で一応御調査を続けられておろうと思うことで、四月現在と九月現在とで物価上昇状況をどういうふうに比較検討されておるかです。四月と九月との比較論でお答えを願いたい。
  132. 茨木廣

    ○茨木説明員 消費者物価指数で申し上げることが適当だろうと思いますので、それで申し上げますと、本年の四月を一〇〇といたしますと、九月の段階が一〇六・五、こういうようなかっこうに相なっております。
  133. 受田新吉

    ○受田委員 一〇六・五と、そう申されますことは、すでに五%をこえている数字が出ているわけでございますが、私、その数字をすなおに受けとめた御措置というものが必要だと思いまするし、また十二月までの見通しを検討されても、おそらくその比率、進行がダウンすることはない、こういう予測もできるわけでございますので、このあたりで平年とは違った勧告を二次的になさっていい結論が私はすでに生まれてくると思うのです。  いま非常にそこを苦悩しておられるようでございますから、あまり結論を、強く要求を申し上げませんけれども、第二次勧告は可能な方向で検討をせざるを得ないというところに一応のめどをつけておられるかどうかを御答弁願います。
  134. 茨木廣

    ○茨木説明員 この物価指数の問題が給与問題に直ちにどの程度結びつくかということは、たいへんむずかしい問題だろうと思います。ここ四十年から四十五年までの間等の、統計局のほうで平均的に出しております毎年の平均的な消費者物価の値上がりでも、年間やはり五%、五・五ぐらいのところを見ておるようでございます。その辺から見ますと、それをこえたような形が九月の段階で出てきておるということで、やはり黄色い信号が出てきたというような感じはいたしておるわけでございます。  それから、午前中の総裁答弁の中にもあったと思いますが、一応物価とか生計費とか、それらのものが民間給与にはね返りまして総合的にあらわれてくるということで従来公務員給与を扱っておったわけでございますが、そのような意味で、やはり民間の毎月勤労統計のようなものも見ておるわけでございます。この辺の指数の動きを見ておりましても、まあ、昨年のちょうど四月を一〇〇にしまして、九月の状況でいきますと、昨年も一一〇%ぐらいの数字が九月に出てきておる。ことしも、たまたま全く同じ指数でございますけれども、全体といたしましては、一一〇%程度の指数が出てきておるということで、給与にはね返った民間動向を見ますと、四月と九月の段階では、去年とことしとは同じような状況になってきておる。多少、きまって支給するほうでは二%ばかり高いような数値が出てまいっておりますが、そんなことでございますので、大体私のほうの官民比較基礎になっておりますのは、春闘時期に給与をきめますものが大半反映してきているわけでございます。それが民間で八〇%程度の会社が、そんなものに入ってきているようでございます。その辺のものが、その後いわゆる第二次改定のようなものをやっているかどうか、そんな動きも見なければいかぬのじゃなかろうかというような気持ちもいたしておりまして、いろいろ諸事情を吸収いたしておる、こんなところでございます。
  135. 受田新吉

    ○受田委員 その結論は、いつごろをめどに打ち立てなければならないかということでございますが、年末の支給という形になるのでございますから、そうのんびりとかまえているわけにはいかない。すでに具体的な数字もお示しになっておられるわけでございまするから、少なくとも今月末あたりには、一応のめどをつけて勧告をされるという準備をしておかれないと問に合わぬ。いわゆる第二次勧告を出されるとするならば、めどを、どこまでのうちに結論を出さなければならないとお考えになるか。
  136. 佐藤達夫

    佐藤説明員 これも万事正直に感じを申し上げますけれども、新聞などでも承知いたしますように、大体民間でこの特別手当についての要求がそろそろ出そろったというようなことで、一部の企業では、それはもう妥結したところもありますけれども、大体においては、そろそろ出そろったという程度のところですからして、それをいま、もうここで締め切ろうかいというのには、まだちょっと早過ぎます。ここで締め切るということになると、完全にこれはまだ話になりませんで、急締め切りの形にならざるを得ないというようなこと、まあ理屈からいえば、そういうことでございますがね。そんな気がしますので、ずっと先行きを見守っていきたいというのが、一番率直な態度だろうというふうな気がいたします。
  137. 受田新吉

    ○受田委員 公共企業体職員の要望一・五カ月分という強い要求も出ているわけです。それとのかね合い等も考えて、国務大臣たる坪川先生は、公共企業体職員、そして公務員の要望、こういうものに対しての調整を、あなたのほうがまた十分お考えをされるところでございますが、結論として公共企業体職員の要望が果たされる、それと一般公務員の要望とは十分バランスがとれるようにやる用意があるのでございますか。
  138. 坪川信三

    坪川国務大臣 受田先生に申し上げるまでもなく、国家公務員というものの重要性、また職責というものは、もう申し上げるまでもなく、国民にサービスする奉仕者でございます。したがって国民の納得のいくという、合意を得るということが最も重要なことでございますので、公務員給与に関しましては、あくまでも第三者の正確なる、また中正なる調査がなされまして、その答申を受けて政府がこれを実施するというたてまえは、あくまでも私は堅持してまいりたい、こう考えておるような次第でございますので、従来の方針を変更するというような考えは、いささかもございません。したがいまして、これに対して予想的な、かくあった場合にはこうあるべきであるという結論、見通しというようなことを、私がいま軽々に申し上げる段階ではない、こういうような考えでおりますことを御理解願いたいと思います。
  139. 受田新吉

    ○受田委員 長官、公共企業体職員の要望が一方で満たされていく、その際に、人事院は、これに対応する第二次的な勧告もしないというような事態が起こったときに、勧告がなければ改善措置をしてはならぬということはないわけでございまするから、政府は独自の措置をおとりになるという そういう場合を長官はちゃんと腹へきめておられるかどうかを、私明確に答弁をしていただきたいのです。
  140. 坪川信三

    坪川国務大臣 お答えいたします。  ただいま申しましたように、従来の方針をあくまでも堅持するという立場でこれに対応いたしてまいりたい、こう考えております。
  141. 受田新吉

    ○受田委員 第二次的勧告がない場合は、やらないということですか、そうすると。
  142. 坪川信三

    坪川国務大臣 いま総裁もおっしゃったように、人事院としての態度は、おのずから明らかにされておるのでございます。したがいまして、その人事院総裁の御方針というものが、まだ何らかの方向も、見通しもなされないこの段階に、私は予想の上に立って、この場合には断行せない、この場合には断行するというような軽々な問題でないほど国民的重要な課題であるだけに、厳粛にこれを処してまいりたい、こう考えております。
  143. 受田新吉

    ○受田委員 あまりむずかしく考えなくても……。人事院が悩んでおる、その悩みの結論によって私も考えていきたいというような、そういうあいまいなことでなくて、公共企業体職員の改善措置が一方でできた、しかし一般公務員をそのままに放置はできないんだとなれば、人事院は非常に紆余曲折の末、ついに勧告に至らずという段階が来たときには、政府自身で、勧告がなければ改善措置をしてはならぬということはないのですから、長官、したがって政府が独自の態度を示して、ここに年末に一時金あるいは給与ベースアップの措置をとる、こういうようなことをやられてもいいのですよ。そうすると、勧告がなければやらないという、勧告がない場合という予測じゃないですよ。原則論を私は質問しておるのです。勧告がない場合には、政府が独自の改善法案を出して、補正措置も予算的にとって御期待にこたえる。国民全体の背景の上に措置をすることでございますが、人事院のほうの作業が、人的資源も少ないので間に合わぬのですよ。あなたのほうで十分人員を人事院のほうへ回しておられないので、人事院はほんとうにいま四苦八苦しておられるのが私はよくわかる。わかるだけに、人事院が作業なさるのに限界があるのですよ。その限界がきびしいだけに、人事院の措置が間に合わぬ場合は、政府の独自の措置ということが当然とられていいのですよ。原則論としてはどうでございましょう。
  144. 坪川信三

    坪川国務大臣 私は、原則論は、あくまでもいま申しましたように、大事な問題でございますから、国民に納得のいく、第三者の中正な勧告なり答申がなされて、これを受けて実施するという従来の方針、これをあくまでも変更するというような考えはありませんことを申し上げておきたい、こう思います。
  145. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、勧告がなければやらないと了解してよろしゅうございますね。仮定の問題じゃなくして御答弁を……。
  146. 坪川信三

    坪川国務大臣 これは、受田先生が御自由にひとつ解釈されるべきであるので、私は私の方針を申し上げておるので、これを御理解いただけばたいへんけっこうだ、こう思っております。
  147. 受田新吉

    ○受田委員 長官は、非常に人事院に重荷をかけておるのですよ。非常にずるいですね。やはり人事院が答えを出さなければやらないのだというような、暗にそういう発言でございまして……。
  148. 坪川信三

    坪川国務大臣 私は、決して人事院責任を転嫁しておるというような気持ちは何もございません。従来の方針をそのまま受け継いでやるということでありますから、従来の給与の慣例というものは正しいものである。その正しいものを、そのまま行なうということでございますから、人事院責任を転嫁するというような、そんな気持ちで申し上げているのでないことだけは御理解願いたい、こう思います。
  149. 受田新吉

    ○受田委員 私、それではここで一応その問題は質問を終わりますが、時間の制約がありまするから、長官、これから——すでに長官に対して八月二十八日、三カ月前に当委員会で御質問申し上げている事項がございます。それは公務員勤務体制を厳正にすること、給与の改善を一方ではかり、同時に、その勤務をまた厳正にしていく、権利義務関係を明確にする質問を私、ここでいたしました。その際に、御記憶にもお残りだと思いますけれども、現在の経済情勢は、非常にきびしくなりつつあって、電力事情等もむずかしくなる方向にあるのだ、太陽の光を最高に生かす政治をなされる、公害その他の圧迫もあって、火力発電所の新設等にも壁があるのだ、電力を節約する意味においても、夕方になってあかあかと官庁にともしびをつけて、ともしびというけれども、もうけんらんたる夜の官庁街が演出されるようなかっこうではいけない、太陽とともに起き、太陽を最高に生かしてみんなが早く目をさまして、太陽とともに勤務する体制をしけ、そのためには午前九時出勤などではなくして、民間企業は八時出勤が大半であるから八時に出勤をして、早く出て早く帰る、帰りしなには御主人が買いものをして、夕飯のお手伝いを奥さんにして差し上げるようになさってはどうかと質問を申し上げたことを御記憶いただいておると思う。それに対して十分検討したいということでございましたが、私が三カ月前にこの委員会で指示した憂慮すべき状態が急速にその後に出まして、電力節約一割などというような指示も出ざるを得ないようなかっこうになって、急速に私の危惧したことが現実の問題となってきました。  したがって私は、三カ月間御検討いただいた長官が、その後において電力の節約、夜あかあかと灯をともしてまで官庁で勤務されないで、日の沈まないうちに退庁できるような体制、局長も課長も、夜のネオンのところでトップクラスがいろいろと御会合なさるようなこともおやめになるようなことについての御検討をどうなさっておるか、お答えを願いたいのです。
  150. 坪川信三

    坪川国務大臣 この点は、全く私は受田委員と同感でございまして、ほんとうに公務員勤務時間の厳守といいますか、職場の秩序の保持、この点は非常に重要なことでもあり、受田委員が御指摘になりましたあの八月二十八日の御質問は、非常に重要なことでもありましたので、御発言になりました議事録を添付いたしまして、各省庁の人事担当の会議も開きまして、総理府においてこれらについての指示を十分いたし、また部下にも、各省庁のすみずみにも徹底するよう会議を開いて指示をいたし、受田委員の御心配のなきよう、なるべくそうした点の改正を行なうということで政府は努力いたし、私もそのお約束をお守りいたしまして、実施いたしましたことを御報告いたしたい、こう考えております。  引き続きまして、電力エネルギー等の逼迫、こうした事態におけるところの節減あるいは節約、あるいは勤務体制の問題等におきましては、一昨日、きのうと二回全閣僚協議会を開き、きょうは閣議において正式に決定をいたしまして、官庁の勤務体制等に対するところの節約体制等も決定いたし、本日からこれを実施するという決定をなされたのでございますが、その場合においても論議されました、いわゆる出勤時間、退庁時間あるいはそうした点の節約体制からいって、サマータイムの再現といいますか、そういうような時間的な考慮も考えるべきじゃなかろうかというような論議も事実いたしたわけでございます。しかし、いま直ちにそうした勤務時間のサマータイムの採用というようなことをいたしますことにおいては、まだいろいろの解明すべき点もございますので、この点は研究課題として、いま懸案事項になっておるわけでございます。それほどまで政府といたしましては、受田委員が御指摘になりました諸般の点については、細部にわたってこれからもなお一そう、現下の直面するきびしい情勢を思うときに、当然なさるべきことである。  もう一つは、御心配いただいた綱紀の粛正といいますか官紀の粛正、これは最近の不幸なできごと、不祥事件の続発を考えるときに、非常に重要なことでもございますので、過般の閣議において私が発言をいたし、各省庁に対しましての監督を厳にいたしていただくよう各閣僚に対しましても注意を喚起いたし、その実施を申し合わせいたしたような次第でございますので、これらの点につきましても、今後十分政府をあげて配慮し、厳正にひとつ指導してまいりたい、こういう方針であることを御了解願いたいと思います。(「国会も毎日審議をする」と呼ぶ者あり)
  151. 受田新吉

    ○受田委員 これは、いま不規則発言にも貴重な発言がありましたが、だから国会もあかあかと電気をつけて夜おそくまで審議するのはやめたほうがいいです。それよりも太陽とともに審議をすればいい。こういうことでお互い国会もひとつ模範を示していかなければならぬと思うのです。  私、いま長官の御答弁で非常にありがたく思うのですが、しかし私が三月前に指摘したのがきょうから実施されるという、えらい時間がかかったわけでございますけれども、とにかくきょうからの措置は、三月前に私が指摘したことを実行に移したと了解してよろしゅうございますか。
  152. 坪川信三

    坪川国務大臣 さっき申しましたように、前段で御指摘になりました点は、直ちに、あの二十八日の直後、人事担当課長会議を開いて、あなたの発言の議事録までつけ加えて、そして国会でこれだけ指摘されているじゃないか、大いに反省しようじゃないかという協議をいたしたということでございます。きょうの決定は、別な意味の決定をなされたので、先生の御指摘のおもな部分は、もう三カ月前にやっておるわけでございます。
  153. 受田新吉

    ○受田委員 三カ月前にやっておる。その効果があらわれておるかどうかなんですが、私、もうかれこれ質問を重ねません。   〔藤尾委員長代理退席、委員長着席〕 長官、この公務員勤務体制の厳正ということは、やはり総理府が中心になられて、そして人事院一つの基準をつくられ、それを実行に移すという、両方で常にタイアップされて国民の信頼のおける公務員、全体の奉仕者としての公務員体制を私は築いてもらいたいのです。公務員諸君にも、十分国民の期待にこたえて御苦労される皆さんに報いる待遇改善を一方でしてあげる、同時に、一方では厳正な勤務をしてもらう、そういうお国をつくりたいですね。  そこで私、いま大臣答弁くださったもう一つの後段の問題、官紀、綱紀の粛正です。夜おそくネオンの中で、高級官僚が中心というわけじゃないけれども、公務員がいろいろな会合へ顔を出されることが疑惑を招く一つの原因にもなる。おおむねそういうところで、政治は夜つくられるというような声も出ることでございますから、大臣も次官も局長も課長も先頭に立って、この官紀、綱紀の粛正に乗り出してもらわなければいかぬ。最近、残念なことですけれども、非常にささやかに見えるけれども、国民から見たらたいへん影響力のある公務員の汚職事件が相次いでマスコミに載っておるのです。これは残念ですよ。これをどう正していくか。その正し方についての指示はどうなさっておられるのですか。そうして公務員であるがゆえに批判がきびしいのです。これは民間業者同士であれば、何たることもないようなことがきびしく指摘されておるのです。それだけに公務員は一方で待遇をよくして、裏もうけをしなくても済むように道を開いてあげなければいかぬ、汚職をしなくてもきちっと暮らせる基礎的な条件を整えてあげなければならぬ、こういうことにつながるわけでございまするから、待遇改善などもあまり右顧左べんされなくて、すきっと割り切って御処置をいただきたい。同時に、一方で国民の批判を受け、ひんしゅくを買うような事態を絶対なくする強大なる監督権の行使をやってもらいたい。  国務大臣大臣に就任されるときには、官吏服務紀律に基づく私企業からの離脱をなさっておられますね。坪川先生は、国務大臣就任と同時に自発的に、そうした企業関係しておられなかったかもしれませんが、私企業から一切役職を離脱されておられますかどうですか。
  154. 坪川信三

    坪川国務大臣 御承知のとおり、国務大臣の兼職につきましては、従来とも政府は就任とともに直ちにその方針を堅持し、とっておるというようなことでありますとともに、私みずからも、そうした点のなには一切辞任いたしておるということで御理解願いたい、こう思っております。  また、先ほど御指摘になりました綱紀の粛正につきましては、閣議で私が提案いたし、決定になりますとともに、官房長官談話をもってこれを全公務員に伝達をいたし、また各省庁の担当大臣が、関係の所管官衙に対して全部指示したという方針であることを御了承願いたい、こう思っております。
  155. 受田新吉

    ○受田委員 官吏服務紀律は、人事院総裁、これは明治二十年のが現在残っておりますね。この中に、「官吏ハ本属長官ノ許可ヲ得ルニ非サレハ営業会社ノ社長又ハ役員トナルコトヲ得ス」この規定は、本属長官の許可を得なくても、得るという前提がなくても、この後段の規定が生きるようにする道が必要ではないでしょうか。また十二条に、「官吏ハ取引相場会社ノ社員タルコトヲ得ス及間接ニ相場商業ニ関係スルコトヲ得ス」と書いてある。この相場商業ということは、一体どういうことなのか。商品とか株式とかの相場をやってはいかぬということなのかどうか。そういうことを含んでいるのかどうか。明治二十年の規定がいま生きているということ、どう見ても、この中にちょっと納得のできないような条項があるのですね。新しい公務員法でこういうものを整理して、官吏服務紀律などというのは公務員法の中でぴしゃっとうたわれて、これはもう廃止されてもいいのじゃないですか。  いま私が指摘しました、本属長官の許可を得さえすれば、営業会社の社長、役員となり得るというのは、こういうような規定が生きているのはおかしいですよ。いかがでしょう。
  156. 佐藤達夫

    佐藤説明員 これは、昔は私の直接の所管であったわけでございますが、ただいま御承知のように、国家公務員法ができまして、国家公務員法関係職員には、これは全然適用のないことになりますので、まあ、所管外のことについて申し上げるのもどうかと思います。総務長官のほうじゃないですか。
  157. 受田新吉

    ○受田委員 人事院公務員の職務遂行上の諸規定、職務遂行上の責任、こういうようなものは、一応基準を人事院がお定めになるべき性質のものです。
  158. 佐藤達夫

    佐藤説明員 それは、ただいま申し上げましたように、国家公務員法の中に、われわれの所管の法律の中に服務の関係のものは出ておりまして、そして細目は人事院規則できめるということになっておりますから、官吏服務紀律のむずかしい条文解釈は、私のいまの権限外でございますからごかんべんいただきたい、こういうことです。
  159. 受田新吉

    ○受田委員 一つの服務規定ですから、当然人事院公務員の服務の基準をお定めになるわけでございますから、これは、それに関係した官吏服務紀律ですから、無関係じゃないのです。
  160. 佐藤達夫

    佐藤説明員 いまは、一般職の国家公務員については公務員法が適用になって、いまの服務の条文が、新しい条項が適用になります。そうすると、いまの御指摘の服務紀律は、これは特別職のあれですから、特別職はわがほうの所管ではありませんものですから、そういうことを申し上げているわけです。何も逃げるつもりで申し上げているわけではありません。筋だけははっきり申し上げておきたいと思います。
  161. 受田新吉

    ○受田委員 官吏の中に、一般職と特別職と両方含んでおる。
  162. 佐藤達夫

    佐藤説明員 それがそうはいかぬのでございまして、国家公務員法による一般職の国家公務員については国家公務員法が適用になる。そうすると、そこから除かれるのは、特別職の国家公務員というのがおるわけです。その人たちのためには、官吏服務紀律がいまだに残っておるということになる。
  163. 受田新吉

    ○受田委員 この官吏服務紀律、これは特別職の者だけに適用させるものであるという規定はどこにございますか。
  164. 皆川迪夫

    ○皆川説明員 官吏服務紀律は、経過規定といたしまして、新しい法律が制定されるまでの間生かされておるわけでございまして、一般職につきましては、国家公務員法によって新しい服務規律ができましたので、適用から除外になっておる。特別職等につきましては、それがまだ制定されておりませんので、いま人事院総裁かお答えになったとおりのことになっておるわけでございます。確かに、お話しのように明治の二十年代にできました規定がそのままであることがいいか、いろいろ疑問もあると思います。ただ特別職を通じて共通の服務規定を設けることは、いろいろ問題もございまして、まだそこまでに至っておらないわけでございますが、私たちとしても、御指摘もありましたので、十分ひとつ検討いたしたいと思います。
  165. 受田新吉

    ○受田委員 明治二十年の勅令がそのまま生きていて、そして現在これの一項一項を拝見して、どうも現実離れのしたような条項もあるわけです。これは特別職としてだけこれを適用されておるというような、そういう規定が、次の段階までの過渡的の措置として残されておるといういまの御答弁のようでございます。そうすると、特別職に対する服務関係の規定を、本格的に取っ組んできめようとなさっておられるのですか。
  166. 皆川迪夫

    ○皆川説明員 特別職は、いろいろな範囲であるわけでございまして、いわゆる特別職の給与法の適用を受ける者から、あるいは国会職員等に至るまでいろいろな者があるわけでございますけれども、これらの点につきまして、統一的な服務規定が必要であるかどうかということは、かねてから問題もあったわけでございますが、まだ今日結論が出ていないわけでございます。
  167. 受田新吉

    ○受田委員 質問を終わりますが、こうした公務員勤務関係の規定は、きちっと原則を明記しておいていただきたい。あいまいな条項が残っておることは、非常に禍根を残す原因になるわけです。  長官、もう一つ最後に、私はあなたに、勤務に関する基本的な問題として……。サマータイムの話をいまあなたがされましたが、やはり民間企業は八時出勤となっておるのです。公務員も八時、ラッシュアワーにひっかかって混乱をするという危険があるということが理由であるならば、それは他に方法がある。午前八時、民間と歩調を合わしてやられるという そのほうがむしろ公務員としてもすかっとしてよろしい。英断をふるってください。
  168. 坪川信三

    坪川国務大臣 出勤、退庁含めましての時間の励行、厳守というものは、職場秩序の保持からいって最も優先すべき大事な課題でもありますので、今後十分監督また指示をなしていきたい、こう考えております。
  169. 受田新吉

    ○受田委員 十分ということですが、すぐ取っ組んでいただきたいのです。そのことは大事だ。太陽の光を最高に生かす。  それからもう一つ局長さんのポスト、これは非常に大事な役所のシンボルですが、九時に行っても局長にはお会いできない、十時ごろにやっとお顔が見えるというような形をおとり願いたくないと、この間指摘いたしました。現実はそうなっておるのです。局長の御出勤になる時間が、おおむね各省でどうなっているかということをお尋ねしたのですが、各省別に実態を当たられると、なかなかむずかしいので、私、それに対してきびしい——ここはきょうは追及はしません。しませんが、ひとつ十分幹部の皆さんに、心して一般公務員の範たる行動をとってもらうように、人事院総裁総務長官のお二人が名コンビで、これまた官紀、綱紀の粛正の大きなる基礎になるわけですから、がんばってほしいと思います。いいですか。
  170. 坪川信三

    坪川国務大臣 承知しました。
  171. 三原朝雄

  172. 上原康助

    上原委員 いま、太陽とともに仕事をしてほしいという意見もありましたので、なるべく簡潔に二、三点お尋ねしますので、ひとつ御回答をお願いしたいと思います。  きょう三点ほど質問の準備をしているのですが、最初に、駐留軍関係賃金問題についてお尋ねをしたいと思うのです。これは間接的には公務員賃金とも関係しますので、それが一つと、二点目に、駐留軍の特別給付金の支給基準の改定問題について、三点目に、長い間の懸案事項になっております沖繩の旧四種雇用員の問題、この三つの点についてお尋ねしますので、前向きの御答弁をいただきたいと思うのです。  そこで、公務員関係賃金は、すでに決定をされて、支払いもなされたわけですが、駐留軍関係賃金改定が、米側との交渉がかなり難航といいますか、いろいろ問題があったようで、調印の段階にこぎつけたということも承っているのですが、どういう状況になっているのか。これまでの米側との交渉経緯なり、さらに国家公務員と同時、同率、完全実施ということがこれまでの慣行だと思うのですが、そういう点を含めて御説明をいただきたいと思います。
  173. 松崎鎮一郎

    ○松崎説明員 お答えいたします。  いま御質問にございましたように、駐留軍従業員の給与改定ベースアップでございますが、これにつきましては、国家公務員給与改定が九月に法律の改正によって実現いたしておりますので、可及的すみやかに解決をはかるということで、これはアメリカ側と折衝をいたしてきております。  それで、どういうことだったのかということでございますので若干内容を申し上げますと、先ほど来の諸先生の御質問にございましたように、今年の公務員給与改定による増額の率と申しますのは、これまでに例を見ないように非常に高かったわけでございます。これに準じた措置を駐留軍従業員にとらなければいかぬということで、同率と申しますか、そういうことでアメリカ側と話をしてきたわけでございますが、一方、アメリカ側のほうの事情を申しますと、いろいろな諸般の事情で、必ずしも予算は潤沢ではないと申しますか、それに、ちょうど約三百億円以上ぐらいの負担増になる話でございますので、こちらの防衛施設庁の提案どおりに直ちに実施ということには、なかなかアメリカ側として踏み切れない状況がございました。  ただ私どものほうも、そうはいいましても、従来の公務員に準じた方式ということをにわかに変えるわけにはまいりませんし、アメリカ側に非常にお金のかかる話でございましたけれども、これを、じんぜん日を延ばすわけにもいかないということについていろいろ協議をいたしました結果、幸いアメリカ側のほうも、こちら側の申しておりますことについて了解をいたしまして、十月の二十六日に原則的に合意を、前高松長官と在日米軍の参謀長との間でいたしまして、その後、細部の技術的な協定の作成作業に入りまして、いまの予定では来週月曜日、新しい田代長官とアメリカ側のほうでサインができる予定になっております。
  174. 上原康助

    上原委員 そういたしますと、その内容は、最初に触れましたように、国家公務員と同時、同率、完全実施の内容で米側と合意をしたという理解のしかたでよろしいですか。
  175. 松崎鎮一郎

    ○松崎説明員 少し詳しく申し上げますと、原則として国家公務員給与改定に準じ、同一水準の増額を行なう、これが原則です。  それからもう一つは、公務員給与制度にはありませんが、駐留軍従業員のいわゆる特殊な職務の実態から、特別な利益というとあれですが、公務員にないものがあります。しかも、これは過去十年来とか二十年来とかやってきたものが大半でございまして、そういうものをなるべく変えないようにしていくということがもう一つ原則なんです。  それから、あと若干技術的になりますが、給与の切りかえの方法とかいう技術的な方式につきましては、必ずしも公務員と全く同じ技術的な方式ではございませんが、実質的に差がない方式をとっております。  それから、非常にこまかくて恐縮ですが、各等級の非常に高い号俸のところの特定の二つにつきましては、これはいろんな均衡がございまして、昇給期間を六カ月延伸をすることになっております。  それから、同時かというお話でございますが、そういうことでございまして、四十八年の四月というために、四月以降人員整理等でやめられた人にも遡及をする。こまかくいいますと、たとえば諸機関の従業員で、パートタイムヘの切りかえがあったときに、それが不本意だということで選択権を使ってやめられたような人を今回は新たに加えまして、そういう離職を余儀なくされた人には、公務員と同じ四月に遡及をするということで考えております。
  176. 上原康助

    上原委員 私がお尋ねしていることも、そういった原則です。一つは、いま御答弁のありました公務員給与改定に準ずるという点、いま一つは、指摘するまでもなく較差手当なりその他駐留軍に従来適用されてきた諸手当の制度を守っていく、継続していく、そういう原則というものがあると思うのです。まあ、それらを含めて、大体四月一日にさかのぼっての給与改定というものが、米側とほぼ合意に達したということだと思います。  その御努力、いろいろあったと思うのですが、それに敬意を表すると同時に、今回のいわゆるべアの対象になる人員がMLC、IHAあるいはMC、本土、沖繩、その分類がもしできましたら、お答えいただきたいんです。  それと、やはり四月一日以降人員整理になった人々に対しても、この給与改定は適用するんだというお答えでしたが、その対象人員は一体どの程度なのか、明らかにしていただきたいと思います。
  177. 松崎鎮一郎

    ○松崎説明員 ちょっと手元で、こまかくまではわかりませんが、概数を申し上げますと、そういう給与改定が行なわれます人数は、全国で基本労務契約関係が約三万五千、諸機関関係が約六千くらいかと思います。  それから、人員整理等で離職を余儀なくされた人がどうなっているかという数は、今年の四月からいままでで、まだ実際には全部退職はしておりませんが、実際に退職をしました数は、九月までで約五千五百くらいの方々が人員整理を受けております。
  178. 上原康助

    上原委員 これは資料としてぜひいただきたいのです、各陸海空分けて。それと、沖繩、本土の部隊別の分類として解雇になった者を提出をしていただきたいと思います。  同時に、解雇された者にも、四月一日にさかのぼって給与改定を適用するということも合意しているわけですね。
  179. 松崎鎮一郎

    ○松崎説明員 この資料の件は、できるだけ作成いたしまして、お届けいたします。  それから先ほど申し上げましたように、解雇された方、四月以降解雇された方ですね、三月は困りますが、四月以降解雇された方にはさかのぼって適用いたします。
  180. 上原康助

    上原委員 そこで、従来駐留軍労務者の給与改定が行なわれると、これは本土、沖繩を問わずだったのですが、必ずといっていいほど人員整理というものが出てきたわけですね。そういう面。  いま一つは、部長も御答弁なさっておりましたように、米側の予算上の都合ということがしばしば出てきているわけですが、私は、駐留軍関係者の人員整理については、二つの側面があると思うのです。一つは、もっぱらアメリカ側の予算上の都合で削減という件、いま一つは、基地の整理統合なり施設、区域、いわゆる基地の機能の変化、そういうような面とのかね合いで整理を余儀なくされる、せざるを得ないという点、大きく分けてそういうふうに受けとめているわけですが、今回の給与改定と関連をして、近い将来、駐留軍関係者の整理というものが大幅にあるのじゃないかという非公式情報もなきにしもあらずなんですね。そういった面の見立ては、一体どうとらえておるのか、おわかりいただければ、明らかにしていただきたいと思うのです。
  181. 松崎鎮一郎

    ○松崎説明員 その人員整理の見込みということでございますが、確かにおっしゃいますように、米軍のほうの海外基地予算というものの動向による影響というものがあることは事実でございます。それから、いま盛んに行なわれております米軍基地の整理統合という問題に関連する問題があることも事実でございます。  それで、ことしのたとえば九月までで、先ほど約五千五百名と申し上げましたが、これを昨年と比べてみますと、昨年は、要するに一カ年で約五千八百名足らずでございました。それで、実際にもう退職した方は約五千五百名でございますが、いま整理の通告が出ておる、事前通告制度をしいておりますので、事前通告を入れますと、実はいま七千百名以上の者が出ています。  それで、その中の特色としましては、関東地方にあります米軍の、おもに空軍でございますが、空軍基地が約十カ所近くございますものを、主として横田に集中するというものがございます。したがいまして、整理されるほうの立川とか府中とか、あるいは関東村とか、あるいは埼玉県にありますジョンソン基地とか、そういったところでことし相当の整理人員が出ております。それからもう一つは、たとえば相模原補給廠等で戦闘車両の修理機能を縮小すると申しますか、そういったことが日本側からの要望でもあったわけでございますが、そういったことを受けまして、そういう部門の若干機構の変更等もありまして、これによって約千数目名の方がすでに離職をなさっております。それから、たとえば岩国とか、あるいは佐世保とかその他の、整理統合という話とはあまり関連のない防衛施設でございますが、そういうところでも約一割ぐらいの人員整理というのが、実は最近十月ごろから出だしております。  したがいまして、実は私どもも非常に憂慮しておりまして、こういう状況が続きますと、どうも一万人ぐらいの離職、ことし四十八年度としますと、来年三月まで考えますと、すでに七千でございますから、どうもあとまだそのくらいは出るんじゃないかというようなことで憂慮をいたしておりまして、これのための離職対策、これは防衛施設庁だけではなかなかできないわけでございますが、関係の省庁の御協力を得て、何とか生活上の転換が円滑にいくようにというふうに願っております。
  182. 上原康助

    上原委員 基地労務者の整理縮小の件は、これまでも、数字をあげて述べるまでもなく、相当急速に整理されてきているわけですね。いま御答弁ありましたように、大体四十八年度木、三月末までに、全駐労あるいは全軍労の関係者の意向なども聞いてみますと、一万から一万二千、いわゆる四十八年度中に整理されるんじゃないかということがいわれていますし、現にそういう進行状況にあるわけなんです。それは、私はむしろ予算上の都合ということが大きなウエートを占めているんじゃないかと思うのです。そこに無理が来ている。  その点をいろいろ議論しても始まりませんが、申し上げたいことは、今後の離職者対策ということをどう進めていくかということもあわせて、これまでもいろいろ努力をなさっているわけですが、より積極的な離職者対策というのが必要な段階に来ていると思うのです。特に沖繩の場合ですと、急激にそういう傾向にある。  そういう意味で、たしか総理府総務長官は、中央の離職者等対策協議会の最高責任者だと思うのです。そういう意味からして、今後の離職者対策について、どういう方針をお持ちなのか。法律ではそういう制度になっているんだが、実際いまの離職者等対策協議会という制度があまり機能を果たしていないんじゃないかという感も受けるわけですが、いま事務当局から、いろいろ今後の人員削減の憂慮すべき事態だという見通しがあったわけですが、長官として、いわゆるそういうことに政府としてどう取り組んでいかれようとしているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  183. 坪川信三

    坪川国務大臣 上原委員御指摘のように、非常に重要な問題でございます。そうした観点から、私といたしましても、これに対するところの対応策をば十分準備いたさなければならぬというような考えも持っておりますので、近いうちに幹事会をひとつ聞いて、これらの問題点の討議あるいはその方向をきめるべきであるという点から、会合を持つよういま指示しておりますので、なるべく近いうちに開催されるものと期待いたしておる次第であります。
  184. 上原康助

    上原委員 ぜひ、そういった政府関係機関の機能、役割りを積極的に果たすことができるように、ひとつ特段の御配慮を願いたいと思うのです。  そこで、離職者対策問題は、総合的に進めていかなければいかない点だと思うのです。再就職の、いわゆる職業訓練の問題なりその他いろいろあると思うのですが、中でも、関係者が強くいま政府に求めていることは、政府がこれまで離職者等臨時措置法の中で適用してきたところの特別給付金を、大幅にこの際増額をしてもらいたい。これは離職後の生活保障あるいは再就職までのつなぎとして、今日までかなり政府が努力してきたということを評価いたしますが、先ほどからの御説明からしても、もっとこの点について政府考えていただく必要があるのじゃないのか。特に、けさからも議論のありましたように、このインフレ物価高の中で職を失うということは、即めしの食いはぐれで、単に働いている労働者一個人でなくして、家族全体の問題になるわけですから、そういう観点などもあると同時に、基地の整理縮小の問題、まあ客観的な状況等もとらえて、駐労共闘、いわゆる全駐労、全軍労のほうでそういった要請が出されていると思うのです。これに対して施設庁として、どういう御検討を現段階までしておられるのか、お尋ねをしたいと思います。  中身は、私が申し上げるまでもないと思うのですが、特別給付金のいわゆる支給基準の改定をしてもらいたい。四十九年度において平均で約五〇%程度の増額になろうかと思うのです。しかし先ほども二、三数字をあげて申し上げましたように、四十八年の四月一日以降の大量解雇というのが出てきている。三月末において、おそらく一万は下らないだろう。そういたしますと、やはり四十九年度からの支給規則の改定であっても、四十八年度にさかのぼって適用してもらいたい。その予算の手当てについては、まあ補正でやるのか、あるいは予備費から出すのか、いろいろ方法もあると思うのですが、その二点か柱になっているのじゃないかと私は思うのです。こういう点について、施設庁としてはどういう御検討をしていただいたのか。  また、先ほど大臣も幹事会を開いて、そういう対策を進めていくのだということであるならば、当然その場においても、この特別給付金の改定問題は離職者対策の一環として検討をされてしかるべき点だと思うのですが、あわせてそういった点についてのお答えをいただきたいと思います。
  185. 松崎鎮一郎

    ○松崎説明員 離職対策の強化と申しますか、そういう人員整理が激しい状況でございますので、四十八年度予算でもいろいろ、たとえばいまおっしゃいました離職前の、在職中の職業訓練等につきまして、たとえば沖繩等で初めて復帰後実施しているわけでございますが、その訓練種目等の改廃を積極的に行なっております。それで現地の実情に合うような訓練をしていきたい。そのときの、四十八年が四十七年に対しまして約五割アップぐらいの予算を計上いたしておるわけであります。  それから、特別給付金の問題でございますが、これは四十六年に、実はその前年の基準に比べまして約四割のアップをいたしております。現在最高、勤続年数が二十七年以上であった者について三十五万円のものを基準として持っておりますが、その後、若干の時間も経過いたしておりまして、また最近の給与上昇傾向なり物価動向なりという問題がございますので、人員整理の激しいこととその給与関係との関連というようなことで、現在予算要求中でございます。検討をいたしております。そういうことでございます。
  186. 上原康助

    上原委員 これは四十九年度の改定について予算要求しておられる、しかし私が二点目に申し上げた四十八年度に遡及してもらいたいということも要求の柱になっているわけですが、その点についての検討はどうなんですか。
  187. 松崎鎮一郎

    ○松崎説明員 そういうことも含めまして、いま財政当局のほうと検討をいたしております。
  188. 上原康助

    上原委員 大蔵省、お見えになっていますね。——この点は、すべて予算関係は、最後は大蔵省の了解が必要になってくるわけですが、先ほどから少し議論しましたように、駐留軍関係者というのは、これは本土と沖繩を問わず、高年齢者であるということ、あるいはいろいろ労務不足といってみても、やはり二十年近く一つの職場で働いて、すぐ職業転換というのは、なかなか人間の習性といいますか、いろんな環境の面からしてむずかしい面があるわけですね。そういう点から考えても、やはり政治的に配慮すべき点じゃないのか。そういうことなどがあって、この特別給付金制度というものも私はできたと思うのです。特に最近の状況からしても、やはり長いこと軍の職場で働いて、いわゆる自分の意思によらずに、もっぱら使用者側あるいは雇用主である政府責任において解雇を余儀なくされる労務者に対して、それなりの国の施策として考えるべきだと思うのです。  大蔵省としては、施設庁なりあるいは組合側からの要求等に対して、どういう御検討をしておられるのか。この際、英断をふるって、十分その意に沿っていただきたいと思うのです。お答えいただきたいと思います。
  189. 矢澤富太郎

    ○矢澤説明員 特別給付金の改定につきましては、四十九年度の改定に要する経費といたしまして、施設庁から約十八億円の概算要求をいただいております。これに対しましては、大蔵省、おりから予算編成中でもございますので、ただいまお話にございましたような駐留軍従業員の最近の離職状況あるいは四十九年度の財源事情を踏まえまして、目下鋭意検討中でございます。
  190. 上原康助

    上原委員 四十八年度遡及の点については、どういうお考えをお持ちですか。
  191. 矢澤富太郎

    ○矢澤説明員 四十八年度遡及の問題につきましても、施設庁あるいは全駐労、全軍労の代表の方々からの御要望は承っております。私どもといたしましては、四十九年度の問題とあわせまして検討していきたい、かように考えております。
  192. 上原康助

    上原委員 これは予算の取り扱いの問題あるいはいろいろな事情等もあろうかと思うのですが、ぜひ大臣にもお願いしておきたいのですが、先ほど離職者対策の件についても、政府として積極的に協議をなさるという御答弁があったんですが、やはり解雇されていく労働者に対する実質的な手当といいますか、あるいは政策的配慮というのは、こういう特別給付金というものを関係者の意向を入れて改定することでなければ、対策の一環につながらないと思うのですね。そういう意味で、いま大蔵省、施設庁でも積極的に要望に沿いたいという御意向をお持ちのことだと私は解するわけですが、これは政治判断の問題もあると思いますので、大臣としても、その点についてはぜひ実現をするように努力をいただきたいし、また当然関係大臣である防衛庁長官も、この点については御努力なさると思うのです。そういう閣議なり関係閣僚の協議の上で、ぜひ五〇%相応の増額、そして四十八年四月一日にさかのぼる適用の問題、あわせて御検討をいただきたいし、その実現方に努力をしていただきたいと思いますが、その点についてのお考えを承りたいと思います。
  193. 坪川信三

    坪川国務大臣 御指摘の点、十分曲向きの姿勢で努力をいたしてまいりたい、こう考えております。
  194. 上原康助

    上原委員 最後に、沖繩の旧四種問題についてお尋ねをしたいと思います。  これは本委員会でも、あるいはその他の委員会等でもいろいろお尋ねをしてまいりましたし、政府としてもそれなりの努力をしておられるという点も理解をいたします。また復帰前とのかかわり合いもありまして、たいへん複雑でむずかしい問題であるということも理解しつつも、旧四種問題をもう一度洗い直して、現地側から出されている要望に早急に沿ってもらいたいということを幾度か要請をしてきたわけですが、現段階におけるこの旧四種雇用員の件についての政府間の検討、あるいは作業といいますか、事務的な面の検討、どういうぐあいになっているのか、御説明をいただきたいと思います。
  195. 坪川信三

    坪川国務大臣 上原委員、以前からこの問題について非常に御憂慮にもなっており、また適切な指導といいますか、御意見も十分承っておるわけでございまして、非常に重要な当面する大きい課題であろうと考えながら、政府はこれに対処、また取り組んでおるわけでございます。  ただ、いまお話がありましたように、非常に重要でありますが、なかなか複雑な、また非常にデリケートな問題等も含んでおるというようなことでありますので、その全体の実態調査が正確といいますか、全くの正確、確実というところまでにはなかなか困難な点もございますので、沖繩の旧第四種雇用者の全体の実態調査をある程度正確に踏まえて、そしてこれに即応する具体的な検討、対策を具体化いたしてまいりたい、こう考えておるようなわけでございます。  政府といたしましては、官房長官また私、あるいはその他関係閣僚とも寄り寄り協議をいたしながら、ぜひひとつ真剣にこれと取り組んで、ある程度といいますか、なるべくひとつ御要望の線に沿って解決いたしたいと、こういうようなことで累次にわたりまして協議も続けておるようなわけでございます。  したがいまして、沖繩当局にも、これらを踏まえながら、その実態調査資料の提供をお願いいたしておりまして、なるべく近い機会にそれなどの作業も終わるというような報告、情報も受けておりますので、そうしたものを受けまして、そして今度は関係機関、関係当局と十分具体的にひとつ取り組んで、なるべく御要望の線、御期待の線に近寄り得るだけの配慮をいたしたいということで、決して放置しておるわけではございません。いまも言ったように、当面する重要な課題として積極的に取り組んでおるという姿勢と方向だけはひとつ御理解願いたい、また御期待も願いたい、こう考えております。
  196. 上原康助

    上原委員 八月の二十八日の本委員会でも、大出先生がこの問題を取り上げて、いま大臣おっしゃるような御答弁があったわけですが、私自身も中身を、いろいろ直接お会いしてお話し合いしたこともありますので、事情もわかりますが、ただ、放置はしていない、やっていらっしゃるということですが、なかなか結論が出ない。そこに関係者なりわれわれも若干あせりを感ずるわけですね。年内には片づけていただきたいと思うのです。  そこで、実態調査が先決だということで、四種問題連絡会議ですか、そういう面でも、実態がわからぬでは手の打ちようがないということで、政府労働省あるいは開発庁、施設庁、外務省ですか、含めてそういうことを言っておられたのですが、これは実態調査といっても、なかなか県でもたいへんだったと思うのです。一応すでにお手元にあると思うのですが、四十八年十月に県がまとめた実態調査資料を見てみますと、ある程度旧四種の就労状態なり雇用従業員数、あるいは企業の類別形態というものが、私は浮き彫りにされているのではないかと思うのですが、この資料でもまだ不足なのか、実態の掌握というものはまだできていないというお立場をとっておられるのか、そこらは事務当局はどうなんですか。
  197. 岡田純夫

    ○岡田説明員 十月現在の実態調査表なるものをちょうだいいたしまして、私自身向こうの責任者、向こうと申しますか、県の責任者の話も聞きまして、その数字が、ただいま大臣おっしゃいましたように、一銭一厘固まるまでは、他の関係省庁との接触をいたしておらないということではございません。並行いたしまして、どういうふうに考えたらいいかということを含めながら、方法論その他万般にわたって連日のようにやっております。しかしながら数字につきましても、実はきょう現地に参事官が参りまして、県とも打ち合わせしたところによりますと、まだ変わってまいるというような報告を受けたばかりなのでございます。  そういうことでございますので、もう少し方法論については、十分打ち合わせをしながら、数字については、さらに固めてまいらなければならないということが残っているということございます。われわれとしては、できるだけ急いでおるということを御理解いただきたいと思います。
  198. 上原康助

    上原委員 この資料を見てみますと、企業数が百五社ある。いわゆる県のほうで一応の条件をつくったようですが、条件といいますか、原則といいますか、米軍との契約期間が一年以上であるもの、雇用施設の場所が、実際に仕事する場所ですが、それが基地内であること、米軍との契約事業量、これは軍施設内で従業している従業員数と民間部門を含めた全従業員数の割合ですが、それが五〇%以上であること、大体三つの原則を踏まえて調査をしてみると、企業数で請負業者の数が百五社で、雇用員数が全体では七千二百五十四名。しかし、この三つの条件に満たされているのが、大体五千二百五十八名じゃないかという数字があがっているわけです。もちろん若干の異同はあるかと思うのですが、これだけの資料手元に届けば、もう資料不足だから手がつけられないという段階では、私はないのじゃないかという気もいたします。  そこで問題は、どういう類別をするかということで問題があろうかと思うのですが、旧四種の類別の問題も、大別しますと、サービス部門と建設業関係に大別することができると私は思うのです。しいていえば、季節的な労務部門というのもあるでしょうが、しかし、実際にはサービス部門と建設業部門なんです。ですから、そういうことなどをあわせて考えますと、対象人員にしましても、おのずと線引きというものは出てくるのではないかと思うのです。そういう点は、県庁とも協議の上、早急に結論を出していただかないと、確かにいろいろ御検討なり御苦労なさっているというのはわかりますが、該当者にしてみれば、やはりもうだめなのか、あるいは時間をかせがれてうやむやにされるのではないかという懸念を持つのも、これまた当然じゃないのかという気がします。  そういう点を含めて、検討を進めている中身については、では一体どうするのかという問題があると思うのです。制度的な面があるということと、もう一つは、旧四種の位置づけはどうするかということが議論されたわけですが、そういう面、いま一つは、やはり特別給付金に相応するものを支給してもらいたいというのが最大のポイントなんですね。その場合に、対象人員をどうするかということで、資料がそろわなければということだったと思うのですが、そこいらの分類と、実際にどういう形で処理をしたいということまでは、まだ御検討いただいていないのですか。
  199. 岡田純夫

    ○岡田説明員 やはり根本的には、旧第四種を今後どのように持っていくべきかという、職業安定法上の角度から、あるいはまた間接雇用移行等の問題から考えていかなければならない問題だと思いますけれども、しかしながら、当面失業しておる方々に対するところの問題がございますので、それについては県からのデータ、先ほど先生のおっしゃいますような五千何百人かの問題、私も現にもらっておりますし、先ほど申し上げましたように、その責任者と会ってもおります。しかしその中には、いま先生おっしゃいましたような、こまかいことは避けさせていただきますけれども、三条件に合致していない人も入っております。また逆に、きょう時点での報告では、離職した人の数があれでは足りない、まだほかにもおった、こういうふうな報告も聞いております。したがいまして、これは予算の問題にも関連してまいりますので、これらのことは、財務当局の協力を得ながら、御理解も得ながら並行して進めていかなければならぬ。根本的には、どうしても県のほうの鋭意な御努力をまたなければならない問題があるということを御理解いただきたいと思います。
  200. 上原康助

    上原委員 何か夕やみ迫って早目に終えてくれという声もありますので、もう結論を急ぎたいのですが、ここで申し上げたいことは、要するに資料がそろえば、総合的にもう一ぺん検討してみる、いわゆる間接雇用に移行される者があるのかどうかという点、あるいは制度的にはどうするかということ、そういう面を労働省にも総ざらいしてみるということでしたね。それもぜひやっていただきたいということ。  いま一つの問題は、私は解雇された者を優先に処置をしていただきたいということなんです。この問題が起きた発端というのは、六月段階賃金の持ち逃げがあったということ。いま一つは、七月一日付でマリーンの即時解雇が出たわけでしょう。あるいは軍港湾の解雇の問題。解雇された人々が、賃金は持ち逃げされる、解雇はされる、物価は上がる、正月は目の前というような状況では、やはり何らかの手を早急に打っていただかなければいかぬわけですよ。もちろん、それだけではいかぬでしょうが、まずそれを優先して考えていただきたいということ。  いま一つは、今後の問題として位置づけをどうするかということとあわせて考えなければいかぬことは、やはり請負業者の雇用能力の問題ですよ。人は雇うけれども、米側と契約をするまではいろいろ、いわゆるアピアランスをやって、雇ってみると賃金支払い能力もない、人を管理する能力もないという業者がこれまであったわけですね。そういった業者の選別あるいは資格というものを厳正にする行政指導というもの、当然労働省なり外務省で、アメリカ側とやらなければいかぬという問題。  同時に、基地内労働であるわけですから、これは法の適用が私的関係だといってみたって、現に基地内で働いているのが大半なんですね。そうであるならば、MLCやIHAやに準ずる賃金給与労働条件ということは当然やらなければいかない問題だと思うのです。そういう問題。  さらには、最低限の国内労働法は尊重、順守せしめるということ、こういう事柄を整理して、政府として打つべき点、アメリカ側とやるべき点、県としてやるべき点に選別すれば、私はもう大体結論が出せる問題じゃないのかと思うのです。  そういう点で、これは予算との件もあると思うのですが、いま私が申し上げた点なども、もし参酌できる点があればやっていただいて、早急に結論を出していただく。大臣、年内に喜ばれるようにやりますという御所見、決意はないですか。
  201. 坪川信三

    坪川国務大臣 いま上原議員から、いろいろの御意見また指摘されました問題点の解明、私も理解せぬわけじゃございません。ただ、これをいろいろと論議して、そしてそれに対していろいろとまた政府あるいは当事者側とのなにをするという段階はもう越えている、この問題は。やはりもう、それを言い出しにかかったら、またいろいろと問題が出てくるのですから、それは私はなるべく避けたい。それよりか、やはり政治的な判断によってこれを政府が十分ひとつ配慮する、また県当局も、政府の意のあるところを配慮してこれに対処する、こういう方向で煮詰めていきたい。こういうことでひとつ御理解願い、また年内にリミットをどうするというような、これも委員がかわったら、また理屈になりますから、その点は、ひとつ政府の方向を御信頼おき願いたい。私は誠心誠意これに対して配慮し指導してまいりたい、取り組み早く解決したい、こういう気持ちで御了承願いたい、こう思います。
  202. 上原康助

    上原委員 どうもわかったようでわからぬような御答弁であれなんですが、政治的判断で必ず結論はいい方向に出すという受けとめ方でいいわけですね。
  203. 坪川信三

    坪川国務大臣 そうした点でひとつ正しく御理解願いたい、こう思います。
  204. 上原康助

    上原委員 大蔵省も、その点、予算の面がありますから、政治的判断でやった場合は、さっとできるようにひとつ御配慮いただきたいと思うのです。  最後に、あと三分ぐらいです。キビ価格の問題があるのです。きょうも農林省をお呼びしようかと思ったのですが、時間がいろいろあるということで、この問題にしぼったのですが、そろそろ結論が出る段階だと思うのです。  総務長官は、沖繩に行かれたときは、沖繩農業の父になるということで盛んにぶっておられて、一万三千円は間違いなく総務長官の政治力でやるのだという御発言もあったような報道もあったわけですが、そこで、そろそろ事務段階の審議を越えて、政府・与党間で最高の政治判断の段階に来ていると思うのです。特に沖繩担当の開発庁長官としていろいろな問題があるわけです、物価問題、海洋博の問題。そういう面からして、このキビ価格の件については、最大の政治的判断を払わぬといかない問題だと思うのです。これに対してどういうお気持ちでいまやっておられるのか。ぜひ少なくとも一万三千円以上に持っていく、あるいはその前後までは何としてもこぎつけていただきたい。決意のほどを伺って、よろしければ、これで質問を終えるし、また答弁いかんによっては、あと一言尋ねたいと思います。
  205. 坪川信三

    坪川国務大臣 これは上原議員と私同じ気持ちで取り組んでおる、これで御理解願いたい。たとえば、きょう閣議の前にも機内農林大臣に対し、また愛知大蔵大臣に対しても強く要望いたしておる。そして櫻内さんも、きょう、あす中には、これに対する一つの方向を決定いたす努力をするという御回答もいただいております。  ただ、御理解願いたいのは、一万三千円を私が必ず実行しますという、確約を得たような御発言をいまされておりますが、これは誤解を生じますから、ひとつ御理解願っておきたい。最大のその線に沿うよう努力をいたし、また農業全般の角度、立場からもこれに取り組む必要があるのじゃないかという二点だけ申し上げて、ひとつ御了解願い、また御期待を願いたい、こう思っております。
  206. 上原康助

    上原委員 終わります。
  207. 三原朝雄

    三原委員長 次回は、来たる二十一日水曜日午後零時四十五分理事会、午後一時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時六分散会