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三塚委員 ぜひ、そういう
意味でも、私はこの国総法の趣旨というものに賛成なんでありますが、風聞する
ところによりますと、大型デベロッパーなり不動
産業界から本法の成立について非常に働きかけがあるようであります。やはり自分らの既存利益というものを守っていきたい、そういう観点の中から、この
法案をでき得ることならば成立せしめない、この際一年か二年くらい先で解決をしてほしいというような動きがありますことは、きわめて重大な動きであります。
土地は一人のためにあるものでなくして、また利益も一人のために帰属するものであってはならぬわけでございますから、そういう
意味でわれわれ議員も、もちろん本法の成立については最大の
努力をしなければならぬわけでありますが、
担当両
大臣におきましても、一そう決意をもって本
法律の成立に一段の
努力を賜わりたいと思うのであります。
そこで、
地価のいまの五段階の抑止
政策、一応
考えられる現段階ではそういうことだろうと思うのでありますが、ただ心配なことは、
地価の上昇のメカニズムをいままでの経験の中で
考えてみますと、三段階あるように思うのであります。いわゆるアドバルーンをぶち上げたとき、いわゆる
都市計画が発表される、あるいは線引きが行なわれる、すでにその段階で
土地は異常な値上がりの傾向を示します。第二の段階は、実施
計画が今度行なわれる、発表がされました段階でさらにまた
土地が何十%か上がってまいります。その
計画の後に、今度実際の工事に入る、ブルドーザーが動き始まりますと、またそこで周辺の
土地が値上がりを来たしていくという、こういうメカニズムを今日たどってきているわけであります。でありますから、
計画予定地というものを先行して先買いをするのが、今日、非常に見受けられる
一つの傾向であります。このことが、全体のためになされる
公共事業の使命というものを非常にスポイルをさしていっているし、予算の効率的な使用というものを阻害する大きな原因になっておるわけであります。その点、いまの五段階の方式ではたしてこういう
地価の
高騰というものが押えることができるものであろうかという点が
一つ。
もう
一つは、過去の例になりましたが、NHKの用地買収にからんで非常な
社会的波紋を投げかけました。評価額三百五十万、もちろん上屋もあるから、まあ
土地代金は云々だということがいわれておるのでありますが、いずれにしても
土地の
売買というものは、
土地、家屋込みの場合でありましても、いわゆる
土地の
経済効果、
経済評価というものを基点として
取引がされますことは、これまた商
取引の事実であります。そういう
意味で一千百万円で三菱がこれを買ったわけであります。その周辺に二十万平方メートルといわれるその三菱の社有地がある。そうしますと、一千百万円で買うことによって、以下周辺にあります会社の
土地が非常な値上がりを示すことによって、膨大な利益をここに得られるというようなことが
一つあるわけであります。
こういうことなどが野放図に放置されるということでありますと、大資本または大企業がかって気ままにそういうものをやられるということになりますと、
社会正義というものはどこにあるのだ、
政治というものはどこにあるのだ、こういうことにもなりかねません。そういう
意味で、この三菱の
取引は商行為でありますから、現在の憲法、民法のたてまえからこれを
コントロールする何ものもない、これはあくまでも
取引者のモラルの問題であるということで、高く買うのであるから売るほうもよろしい、またそれによって予定価格より大幅に収入を得たのであるから、NHKの聴視料を当分値上げをしないことによって
公共のためにこれを還元するのだという
一つの理屈はそこについたのでありますけれ
ども、しかしながら、依然として一千百万円で
土地が
売買をされたというこの事実は消え去らぬわけであります。事実として残ったわけであります。そのことの波及効果というものは、周辺の
土地価格を押し上げたということになります。
同時に、
日本列島の中
都市、小
都市までを含めた
土地の価格構成のメカニズムを見てまいりますと、東京が
土地の値段をきめるという、同時に東京の丸ノ内を
中心としたこの官庁街の
土地売買の値段が、また最終的には
一つの目安をつくっていくというような問題もあるわけであります。
ですから、NHKのこの
土地売買の問題というものは、ひとりNHKと三菱地所の会社経営の
内容だけではございませんで、
政治的な
影響、
経済的な
影響からまいりますと、全
日本に及ぼした
影響というものはきわめて重大である。このことが結局ストップさせることができ得なかったわけでございますが、今回、国総法のこのような五段階の方式によりますと、こういう場合に対してどのような手が、あるか。まあ起きた事実に対してはもとに戻らぬのでありますけれ
ども、今後こういうことが起きる可能性がたくさんあるわけでありますから、異常に公示価格を上回る価格で
取引をされる、こういう場合にはどのような方法があるか。
先ほど言われた
勧告によって、それはやめてほしい、こう申し入れる。そうしますと、言うことを聞いてくださるのであればそれで終わるわけでありますが、言うことを聞かぬ、その場合には公表をして
社会的な制裁を待つ、これだけの段階のように私は
考えるわけであります。
社会的制裁を待つという段階でありますならば、NHKの場合も
社会的制裁という
意味で世論が喚起されたわけでございますから、
勧告、公表という問題がすでになされたと見ていいケースであろうと思うのであります。ですから、こういう強行される問題についてはどのような
土地抑制の
対策がおありか、その点をお聞きをいたしたい。