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1973-07-27 第71回国会 衆議院 内閣委員会 第46号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年七月二十七日(金曜日)    午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 三原 朝雄君    理事 奥田 敬和君 理事 加藤 陽三君    理事 笠岡  喬君 理事 中山 正暉君    理事 藤尾 正行君       赤城 宗徳君    伊能繁次郎君       江藤 隆美君    小沢 一郎君       越智 伊平君    大石 千八君       片岡 清一君    竹中 修一君       丹羽喬四郎君    旗野 進一君       三塚  博君    渡辺 紘三君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      坪川 信三君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      小坂善太郎君  出席政府委員         内閣審議官   粟屋 敏信君         内閣審議官   藤井 直樹君         経済企画庁総合         開発局長    下河辺 淳君         食糧庁次長   森  重弘君  委員外出席者         行政管理庁行政         管理局審議官  平井  進君         農林大臣官房審         議官      有松  晃君         農林大臣官房審         議官      下浦 静平君         農林大臣官房参         事官      田中 信成君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ————————————— 委員の異動 七月二十七日  辞任         補欠選任   赤城 宗徳君     片岡 清一君   近藤 鉄雄君     小沢 一郎君   吉永 治市君     渡辺 紘三君 同日  辞任         補欠選任   小沢 一郎君     近藤 鉄雄君   片岡 清一君     赤城 宗徳君   渡辺 紘三君     吉永 治市君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国土総合開発庁設置法案内閣提出第二三号)      ————◇—————
  2. 三原朝雄

    三原委員長 これより会議を開きます。  自由民主党以外の各派の委員諸君が御出席になっておりませんので、正規に事務局をして出席を要求させますので、しばらくお待ちください。     …………………………………
  3. 三原朝雄

    三原委員長 日本社会党日本共産党革新共同、公明党及び民社党の各委員諸君に御出席をお願いいたしましたが、出席がありません。まことに遺憾ながらやむを得ずこのまま議事を進めます。  国土総合開発庁設置法案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三塚博君。
  4. 三塚博

    三塚委員 国土総合開発庁設置法案につきまして若干の質疑を行ないたいと思いますが、その前に、設置法母法ともいうべき日本列島改造計画の問題について若干触れさせていただきながら、両大臣出席でありますから、その所感を承ってまいりたいと思います。  列島改造計画は、申すまでもなく、田中総理の昨年暮れの総選挙の表看板でございます。まさにこの改造計画こそが田中内閣の最重要政策と言っても過言ではないわけでございまして、今日の日本国土状況経済状況社会状況、また文明、文化を含めたあらゆる問題に関連するのがこの列島改造計画であろうというふうに私は理解をするわけでございます。まさにそういう意味で、福祉元年を迎えた一九七三年というよりも、列島改造元年が本年度であろうというふうに考えます。一九七三年、まさにそういう意味で、田中総理のことばをかりて申し上げますならば、未踏社会への挑戦がこれから政治の場で行なわれようといたしておるわけであります。  ただ、ここで残念なことには、列島改造計画が発表をされるその間、まさに、経済も、今日の機構も、非常な試練を迎えざるを得ないという現況に立っております。ある学者はこれを、五コウの年だ、こういうふうに言っております。すなわち、高物価であり、高地価であり、公害であり、交通問題あり、そして恍惚に象徴される問題であるとも指摘をいたしております。一九七三年、人呼んでヒトクイナミ、こう言うということであります。ごろ合わせでありますが、そのいずれの数字をとりましても、割り切ることのできない奇妙な数字である。それほど一九七三年の政治課題というものは困難に満ちておるし、また、まさにこの困難を取り払うのには、思い切った価値観を求め、その価値観のもとに新しい政治理念というものがそこに生まれてこなければならないだろうし、単に過密過疎同時解消というようなことからは、ほんとうの意味日本政治の安定というものが求められないのではないだろうかとすら心配する向きがございます。そういう意味で、土地問題が、さらに公害問題が人心を非常にすさみさせております。  そういう点などから考えまして、この列島改造計画、まさにはなばなしく打ち上げられたのにもかかわりませず、非常な陣痛の中にいままさに生まれようという形の中で、本委員会におきまして、その担当機関である国土総合開発庁の問題について審議に入らせていただいておるわけでございます。  そこで、この列島改造計画基本理念である過密過疎同時解消の問題、これを含めました、いま私が申し上げました高物価、高地価、さらに公害交通禍、こういう問題がはらむ中におきまして、依然として列島改造計画は、当初の理念どおりこれを進められるものかどうかという点であります。さらに付言をいたしますならば、その点から、新しい理念がかりにあるとするならば、その理念は何だろうかという点について、総務長官、そして小坂長官から御意見を賜わってこの質疑に入りたいと思います。
  5. 坪川信三

    坪川国務大臣 ただいま三塚委員が御指摘になりましたごとく、わが国都市化現象を見ますときに、まことに不幸なことは、都市人口産業が集中いたしまして、全くスプロール化、病的になってきておる。この不幸な現状を考えますときに、このアンバランス、いわゆる過疎過密現象、これを解消するということが、国土開発の、また都市開発の、過疎対策の一番重要な根幹であろうと考えるのであります。田中総理も思いをここにいたされまして、均衡のとれた、バランスのある国土をつくるべきである、これがわれわれ現在の政治家未来に残す日本未来像でなければならぬ、こういうような考えで、いま全く三塚委員も御憂慮になっておるような観点から、国土の再開発に対するところ列島改造目標にしての施策に万全を期するという対策を立てたわけでございます。  こうした大事業をやるのには、やはり総合的に長期的にわたってその計画を立案いたして、そうしてその基本前提となるべき、優先すべきものは環境保全国民福祉生活の安定、こうした点をば前提に立てまして、全国的ないわゆる幹線交通ネットワーク整備教育文化整備、また工場の再配置によるところ環境整備、そして新たなる地方都市開発を行なうというこの四つの問題を中心にいたしまして、これから政府といたしましては、総合的に計画的に長期にわたって施策に万全を期さなければならぬ。ことに水資源の問題、これも重要な課題でもございますので、これらを含めましての総合計画を立てまして、それに対するところ予算配慮もいたし、そして万全の対策を具体的に進める意味において開発庁設置法案を提案いたし、そして一方、受け入れざらであるところの新公団の設置をお願いしておるというようなことでございますが、その基本は何といっても、小坂大臣担当でいま御審議を願っておる総合開発法一つの総本山にして、これらの具体策を推し進めてまいりたい、こう考えている次第でございます。
  6. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 総務長官からのお答えでもう尽きておるかと思いますが、若干補足させていただきますと、田中総理列島改造というお考えは非常にすぐれた構想でございまして、われわれこれに大いに賛同しているわけでございますが、ただ、あくまで個人構想でございまして、事務的ないろいろな分析等においては、これは個人構想としての範囲がおのずからあるわけです。そこで政府といたしましては、国土総合開発法というものをつくり、また、その担当の庁といたしまして総合開発庁をつくるということを考えておりますわけでございます。  その構想は、私から申し上げるまでもないことでございますが、要するに、全体の人口の三分の一以上のものは東京、大阪あるいは名古屋というような三大都市に集中している、わずか一%にすぎない地域人口の三分の一以上がいる。しかも三大都市圏ということになりますと四六%ぐらいのものが入る。それをもっと全体の調和を考えバランスのとれた開発をする必要があるのではないか。それには交通通信ネットワーク整備して地方中核都市というものをつくり、そして大都市人口産業の集中を分散するという構想でございまして、これは政党政派の別がありましても当然になすべきことである。それをやらなければ、国民福祉も、過密過疎の問題も、公害環境の問題も解決しないということでございますので、私どもといたしましては、ここで御審議をいただいておる総合開発庁の問題、あるいは総合開発法の問題を一日も早く御可決をいただきまして、本院を通過されんことを切望いたしておるような次第でございます。
  7. 三塚博

    三塚委員 そこで、小坂長官に引き続いてお伺いをしたいのでありますが、この改造計画前提になります問題に、いわゆる高度経済社会がそこにあると思うのであります。いわゆる異常な成長率をもって伸びてまいりましたわが国経済体制経済社会発展計画の中で、成長率の是正を思い切って長官はなされ、指摘をされておるのでありますけれども、かりに経済社会発展計画の中で、九%前後の経済成長考えながらこれからの日本というものを考えていくのだという前提に立って考えたといたしましても、なかなか今日の日本経済過密性と申しますか、そのスピード性と申しますか、内包する諸要素が、成長率というものが、経済社会発展計画に見合う九%にとどまるということは、きわめて悲観的な見方をせざるを得ないのではないだろうかというふうに考えます。  そういたしますと、列島改造計画の中に示されておる、昭和六十年度三百兆円にわたる日本GNP、これに付随してあらわれてまいります資源の問題。石油について言いますれば、今日の消費量からはるかにオーバーをいたしました四倍の石油エネルギーがここに必要になってくるというよな問題。こういう問題などを一つ取り上げて考えてみましても、今日消費する石油の量の四倍は、 OPECとのいろいろな交渉を持とうとも、むずかしい先行きであろうと思うし、今日これ以上の日本経済過密状態というものが、そういう列島改造計画理念としておるGNP三百兆円、こういう問題に向けてかりにスタートするということでありますならば、六十年に到達した時点にわれわれが感じますことは、礫々たるコンクリートの中に、公害繁栄という中に、人間の住む条件というものがはたしてその時点で存在するのだろうかという考えすら私たちは持つわけでございます。  そういう意味で、極端な理論かもしれませんけれども経済社会発展計画の中に盛られる成長率というものに、真摯な努力政府自体が傾けてまいりませんと、経済発展は民間の重化学工業にまって推進をされるものだというようなことで、自由主義経済であるからこれらの企業活動というものはそれなりに尊重していかなければならぬというノーコントロールの中で行なわれるということになりますと、政治が意図している住みよい繁栄日本という最終目標というものが、そういう経済活動の中で目的達成というものが非常に阻害をされてくるのではないかというような見通しを私は持つわけでございます。  そういう意味で、この国土総合開発法の目ざすそういうもののバックグラウンドにやはり経済成長政策というものがあるわけでございますけれども、これが安定経済成長ということで進まれる細心の注意と、そこにコントロールがなくてはならぬと思うのであります。そういう点について、わかり切ったことではございますが、もう一度念のため、長官のこれらの見通しについての御決意を承っておきたいと思います。
  8. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 三塚委員の御指摘は、私は全くそのとおりだと思います。いままでの日本敗戦後の経済の建て直しというものは、やはり経済成長であり発展であったわけです。ここに来て私どもは強く考え直さなければならぬと思うことは、資源も有限であり環境そのものも限りがある。もう野放図な成長をいたしておれば、いま御指摘のように、エネルギーの根本である石油の獲得にいたしましても、またそれを運んでくる海路の問題、海をよごす環境の問題、あるいは石油を精製する工場の出す環境を汚染する問題、そういうものから見ましても、どうしてもこれは考え直していかなければならぬというふうに思うのでございます。  いままで経済社会発展計画というようなもので、所得倍増計画から始まりまして、みな所得をふやす、発展をするということで参りましたが、この二月に閣議決定をいたしました経済社会基本計画では、初めてその基本という問題に触れまして、発展というものはだれのための発展であるか、結局、クォリティー・オブ・ライフ、生活内容をよくすることがわれわれの政策目標でなければならぬということに大きく転換をいたしたわけであります。で、経済成長にいたしましても五年間は九%、さらにその後の五年間は六ないし七%というふうに、漸次なだらかな安定的な成長に変えていくようにいたしておるわけでございます。いま二けたの成長から一気に六、七%に落とすということになりますと、その間にかなり急激な変動がございますので、この生活の安定を確保しつつということでなだらかな転換考えております。  しかし、三塚委員指摘のように、いまなかなかそのことも相当にむずかしいという指摘が一方にあることは、そのとおりでございます。しかしわれわれは、その五年の間にはぜひかようなところに落ちつけるようにいま努力をいたしておりまするので、私は、さようなことは実現し得る、かように思っておるわけでございます。  先ほど私、申し上げたように、列島改造というのは田中総理個人の著作でございまして、いろいろ事務的に詰めてみますと、たとえば石油消費量にいたしましても七億五千万キロリッターというような数字があるのは、これはやはり事務的に詰めてみると、三塚委員指摘のようないろいろな問題があるわけなんですね。そういう点は、役所といたしましてはコスモモデルというものを使ってやっておりますが、その数はそういうふうにならないし、それからGNPも三百兆というのは、これはちょっとそうはならぬのじゃないかといういろんな数字的な問題はございますが、これはしかし、個人としてあそこまでお書きになるのはたいへんな労作であると思いますが、しかし、これは個人のやり得るのは限りがある。それは私ども政府といたしまして十分にフォローアップいたしまして、適正なところへ持っていくように考えていきたい。やはりそういうふうに持っていくにつきましても、この限りある国土国民福祉と調和しながら発展をさしていくというのには、この国土総合開発法というのを新たに制定をしていただきたいというふうに考えておる次第でございます。
  9. 三塚博

    三塚委員 この問題を議論しておりますと時間がなくなりますので、この辺でやめさせていただきます。  そこで国土総合開発法は、最もバランスあるわが国発展ということに尽きるわけでございますが、その点で政策を遂行する際に一番の障害になってまいりますのは、何といっても高地価、異常な地価高騰であります。このことが、公共事業費を大幅に食い計画達成に大きな赤ランプをともしておりますことも、今日事実であります。同時に、この地価高騰がもたらします影響というものが、はかりしれない人心の荒廃にまで今日結びついてきております。一夜にして数十億の長者がここに出現をする。四十七年度長者番付のランクを見ましても九十位まで土地成金である。松下幸之助あるいは鹿島守之助のようなレギュラーのメンバーも、かろうじて百位の中にとどまったようでありますが、営々と事業、経営の中で、まさに余人のなし得ない努力の中で築き上げてきた今日の所得、これはそれなり国民から尊敬をされ、また一つ目標にされるものであろうかと思うのでありますが、一夜にして、まさに国の総合計画の中で、国の公共事業開発余慶の中にぬくぬくと高額所得が生まれていく。そのことは完全な不労所得であるわけでございますから、そういうことがやまないでずっと続くということになりますと、わが日本民族の持つ今日の基盤を築きました大きな勤勉性、同時に物を大きにしていく、そういう形の中に営々と築き上げました日本民族勤労精神という根幹にもかかわる重要な問題がここに残されてくると思うのであります。  そのことが、今日の物がすべてを支配をする、物がすべてであるというものの考え方、観念、そういうことにまで影響をしてきております。人情の美しさとか、友情の厚さとか、そういうものがうしろに押しやられまして、すべてがオール・イズ・マネーである、こういうような形の社会風潮を生み出してきておる。そのことが諸悪の根源だともいわれるし、またそのことが政治的な不信感を大きく高めた原因にもなってまいりました。わが党が営々と敗戦の中から今日を目ざしてやってまいりましたその偉大な成果も、経済的な効果も、この一事をもってして、まさに瓦れきのごとく、砂上の楼閣のごとくくずれ去ったといわれても過言でないほど、甚大な影響日本国民の全体に与えておるということは事実であろうと思うのであります。(拍手)賛成ありがとうございました。  そういう点で、この土地問題についてどう対処をされようとしておるのか、これがこの国土総合開発の最大のポイントであるというふうに考えるのでありますが、この高騰する地価問題に対しまして、政府はどのように対処をされ、どのような具体的な手だてを考えておられるか、その点をお伺いしたいと思います。
  10. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 まことに御指摘のとおりでございまして、金と物が人間を支配するようになっては、これはもうどうにもなりません。われわれは人間のとうとさというものを再発見しまして、やはり人が中心経済社会ということを考えなければならぬと思いますし、人情に厚い日本のすぐれた民族の誇りというものを、いまにおいて再認識しなければならぬというふうに思っております。それを、土地というものが異常に騰貴して、この伝統的な日本民族としての連帯性をそこなうということになることは、お話しのとおり厳に排除しなければならぬことだと思います。  そこで私どもは、この国土総合開発をいたしますにつきまして、まず基本理念というものを考えました。国土利用開発保全というものは、国土というものは現在及び将来にわたっての国民の非常に貴重な財産であるということ、それからいろいろの活動の共通の基盤であるということを中心にいたしまして、公共福祉自然環境の保護というものを優先しながら開発していこうということがまず第一でございます。  それから第二は、全国の総合開発計画を定めるにつきましても、やはりその土地土地に適合した開発をしなければいかぬ、そういう意味都道府県総合開発計画をつくってもらう、そして知事中心になり、その知事地方町村長その他の自治体の責任者によく聞いてやっていってもらう、こういう総合的な開発計画をきめております。  それから第三は土地利用計画でございます。非常に無秩序に土地開発され、ある一部で土地が異常な騰貴をするというようなことは避けねばならぬことでございますので、都市地域農業地域森林地域自然公園地域自然保全地域というふうに五つに分けまして利用計画をきめております。  さらに第四番目に、土地売買届け出勧告制度というものを考えておるわけでございまして、これはやはり都道府県知事が、届け出によって、これが著しく利用目的に不適当である、あるいは非常に価格が不適当であるというような場合には、中止勧告を行なうことができるようにしております。それは、市街化区域では二千平米以上、あるいは都市計画区域では五千平米以上、その両方に該当しないようなところでは一万平米以上、それだけの取引をしまする場合には、それぞれ届け出をさして、そして地方長官が場合によっては取引中止勧告したり、それを聞かないときには公表をする、こういうことをきめております。  第五点に、特別規制区域というものを設けまして、その地帯における土地売買は三年間凍結する、必要によってはさらにそれを二年間延長することができるから、五年以内凍結することができるということにいたしておるわけでございます。  で、こういう規制は、実はある政党などは、もう全体の土地を凍結したらどうかということを言う者もございますが、凍結というのはそう長い間できるものではございません。全部土地を国有にしてしまうならこれは別でございます。そこで、山の中の土地まで凍結しないで、こういう非常に特殊の地帯、たとえば、新幹線の駅ができるとか、あるいは高速道路のインターチェンジができるとか、あるいは特殊の開発が行なわれる、そういうところ規制するというふうにいたしておるわけでございます。さようなことで、しかも、どうしてもお金が要るという者に対しては買い取り請求権を認めるということにしておりまして、これは内閣総理大臣が、国土総合開発に関して国の立場から特に必要があると認めるときには、この特別規制区域の指示ができるというふうにいたしておるわけでございます。  最後でございますが、第六点といたしまして、むつ小川原地区とか、あるいは苫小牧地区のような総合開発地域というものを指定するようにいたしておりまして、これは、その地域におきまする土地売買については、五年間は一般地域の場合の特例として届け出勧告制度を強化するほか、やはり買い取りの協議を地方公共団体等届け出によって行なうことができるようにいたしておるわけでございます。  さような内容がこの国土総合開発法でございますが、その目的とするところは、いま三塚委員のおっしゃいました、異常な土地の暴騰によって社会連帯性が失われるということを、私どもは何としても避けねばならぬと考えておるわけでございます。しかし、こういう規制を行なうのはやはり法律によらざればできないのであります。行政指導でやればいいじゃないかと言う人がありますが、これはそういうことはできませんので、この法律を提案して、一日も早くこれを可決していただきたい、土地政策が行なわれないとできない、こういうことであるというふうに私どもは申し上げておる次第でございます。
  11. 坪川信三

    坪川国務大臣 冒頭に申されました、物の繁栄を喜ぶ前に心の貧乏といいますか、心の豊かさを失った問題に取り組むべきである、これは全く私は三塚委員と同感であり、小坂長官もおっしゃったとおりであります。それを前提に踏まえまして国土の偏した利用は排すべきである、そして地価高騰を抑制するという立場から、いま具体的に小坂大臣もおっしゃったように、土地利用の策定、あるいは土地規制、そうした問題を中心に置き、取引許可制等も行ないながら、国土総合開発庁といたしましては、御案内のごとく土地水資源局設置いたしてまして、土地に対するところの総合的なる企画の施策に万全の立案をいたしながらそれに実際に当たっていきたいということで、開発庁の中に土地水資源局設置させていただいて御審議を願っているのも、そうした立場であることを御理解賜わりたいと、こう考えております。
  12. 三塚博

    三塚委員 ぜひ、そういう意味でも、私はこの国総法の趣旨というものに賛成なんでありますが、風聞するところによりますと、大型デベロッパーなり不動産業界から本法の成立について非常に働きかけがあるようであります。やはり自分らの既存利益というものを守っていきたい、そういう観点の中から、この法案をでき得ることならば成立せしめない、この際一年か二年くらい先で解決をしてほしいというような動きがありますことは、きわめて重大な動きであります。土地は一人のためにあるものでなくして、また利益も一人のために帰属するものであってはならぬわけでございますから、そういう意味でわれわれ議員も、もちろん本法の成立については最大の努力をしなければならぬわけでありますが、担当大臣におきましても、一そう決意をもって本法律の成立に一段の努力を賜わりたいと思うのであります。  そこで、地価のいまの五段階の抑止政策、一応考えられる現段階ではそういうことだろうと思うのでありますが、ただ心配なことは、地価の上昇のメカニズムをいままでの経験の中で考えてみますと、三段階あるように思うのであります。いわゆるアドバルーンをぶち上げたとき、いわゆる都市計画が発表される、あるいは線引きが行なわれる、すでにその段階で土地は異常な値上がりの傾向を示します。第二の段階は、実施計画が今度行なわれる、発表がされました段階でさらにまた土地が何十%か上がってまいります。その計画の後に、今度実際の工事に入る、ブルドーザーが動き始まりますと、またそこで周辺の土地が値上がりを来たしていくという、こういうメカニズムを今日たどってきているわけであります。でありますから、計画予定地というものを先行して先買いをするのが、今日、非常に見受けられる一つの傾向であります。このことが、全体のためになされる公共事業の使命というものを非常にスポイルをさしていっているし、予算の効率的な使用というものを阻害する大きな原因になっておるわけであります。その点、いまの五段階の方式ではたしてこういう地価高騰というものが押えることができるものであろうかという点が一つ。  もう一つは、過去の例になりましたが、NHKの用地買収にからんで非常な社会的波紋を投げかけました。評価額三百五十万、もちろん上屋もあるから、まあ土地代金は云々だということがいわれておるのでありますが、いずれにしても土地売買というものは、土地、家屋込みの場合でありましても、いわゆる土地経済効果、経済評価というものを基点として取引がされますことは、これまた商取引の事実であります。そういう意味で一千百万円で三菱がこれを買ったわけであります。その周辺に二十万平方メートルといわれるその三菱の社有地がある。そうしますと、一千百万円で買うことによって、以下周辺にあります会社の土地が非常な値上がりを示すことによって、膨大な利益をここに得られるというようなことが一つあるわけであります。  こういうことなどが野放図に放置されるということでありますと、大資本または大企業がかって気ままにそういうものをやられるということになりますと、社会正義というものはどこにあるのだ、政治というものはどこにあるのだ、こういうことにもなりかねません。そういう意味で、この三菱の取引は商行為でありますから、現在の憲法、民法のたてまえからこれをコントロールする何ものもない、これはあくまでも取引者のモラルの問題であるということで、高く買うのであるから売るほうもよろしい、またそれによって予定価格より大幅に収入を得たのであるから、NHKの聴視料を当分値上げをしないことによって公共のためにこれを還元するのだという一つの理屈はそこについたのでありますけれども、しかしながら、依然として一千百万円で土地売買をされたというこの事実は消え去らぬわけであります。事実として残ったわけであります。そのことの波及効果というものは、周辺の土地価格を押し上げたということになります。  同時に、日本列島の中都市、小都市までを含めた土地の価格構成のメカニズムを見てまいりますと、東京が土地の値段をきめるという、同時に東京の丸ノ内を中心としたこの官庁街の土地売買の値段が、また最終的には一つの目安をつくっていくというような問題もあるわけであります。  ですから、NHKのこの土地売買の問題というものは、ひとりNHKと三菱地所の会社経営の内容だけではございませんで、政治的な影響経済的な影響からまいりますと、全日本に及ぼした影響というものはきわめて重大である。このことが結局ストップさせることができ得なかったわけでございますが、今回、国総法のこのような五段階の方式によりますと、こういう場合に対してどのような手が、あるか。まあ起きた事実に対してはもとに戻らぬのでありますけれども、今後こういうことが起きる可能性がたくさんあるわけでありますから、異常に公示価格を上回る価格で取引をされる、こういう場合にはどのような方法があるか。  先ほど言われた勧告によって、それはやめてほしい、こう申し入れる。そうしますと、言うことを聞いてくださるのであればそれで終わるわけでありますが、言うことを聞かぬ、その場合には公表をして社会的な制裁を待つ、これだけの段階のように私は考えるわけであります。社会的制裁を待つという段階でありますならば、NHKの場合も社会的制裁という意味で世論が喚起されたわけでございますから、勧告、公表という問題がすでになされたと見ていいケースであろうと思うのであります。ですから、こういう強行される問題についてはどのような土地抑制の対策がおありか、その点をお聞きをいたしたい。
  13. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 非常に正確な御指摘でございまして、私もこの点は非常に問題点だと思っておるわけでございますが、あのNHK問題が出ましたころは、その背景に非常に金融がゆるんでおったという状況がございました。例の過剰流動性を背景にいたしまして、不況の立ち直りということで、世界一安い公定歩合いで、しかも銀行も、金を返しにきてくれた人に対して、返さなくてもいいよと言っておったというようなことをいわれておる状況が背景にあったわけであります。  そこで、その点が問題でございまして、私はやはり金融をもっと締めろということでいろいろ政府がやっておりました結果が、このごろたいへんにあらわれてきました。これは拳闘でいいますと、ボディーブローみたいなもので、急には結果が出ませんけれども、ある時期になって非常にきいてくる、その状況がきいてき始めたというふうに思っておるわけであります。  それから、一方に土地税制というものを、御承知のように変えていただきました。これによりまして、例の土地保有税、これが従来役所の台帳価格によって非常に低い価格になっておるわけでございますが、それによって査定、課税されておったわけであります。それが、今度取引額についての課税になりまするので、これは非常にきいてまいりますわけでございます。最近、東北地方でも、ことにむつ小川原地区あたりでも、保有をしておる土地が出てくる。あるいは、きょうの新聞に出ておりましたが、私鉄が持っておる土地が出てくるとか、そういうことがだんだん現実の問題として出てきておるわけでございまして、やはり、ああいう全体の税金も会社に対して非常にゆるい、一般の金融も非常に銀行から楽に借りられる、そういう状況をしぼることがまず先決ではなかろうかと思っておるわけでございます。  この法律ができたら、一体ああいうことがなかったのかという御指摘は、非常に実は痛いところなんでございますが、ああいうような場所はおそらく特別規制区域になりまして、これはあぶないということになれば特別指定してしまうということもあるいは可能かもしれませんが、なったものをどうするかというと、結局、税とか金融で締めて、要らぬものを、高いものを買って損したということになるような環境をつくるよりしようがないんではないかというふうに思います。私どもよりももっと事務当局のほうが詳しいですから、もし必要があれば事務当局から……。
  14. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 二つの御質問をいただきました。  前段のことについて多少御説明申し上げますが、従来は、開発計画を発表いたしますと、その計画地域の方々とお話し合いをしている間に、土地の買い占めであるとか、あるいは地価の暴騰があります点が、やはり非常に欠陥であるということを考えました。今度の新しい、いま御審議いただいております国土総合開発法におきましては、その点を改善したいと考えまして、たとえば、特定総合開発地域開発を進めます際に、地域指定の際、あるいは計画をきめる際の二つに分けまして、手続を十分いたしたいというふうに考えますが、その最中に地価が上がると困りますので、その間の地価の抑制について、非常に激しい買い占め等が行なわれます場合には、特別規制地域を事前に指定いたしまして、地価の凍結あるいは取引のきびしい規制を行ない、その地域指定の中で十分計画を練っていただくということを一つ考えておりますし、そこまで土地取引が激しくない場合には、全国的な届け出制がございますが、届け出制を多少強化するということで規制を行ないたいということで、規制を二段がまえにして用意いたしまして、実情に応じて運営をしてはどうかということで法案をつくっておりますので、従来よりは著しく改善されるというふうに考えておるわけでございますが、小坂長官からお答えいたしましたように、地価というもの、あるいは取引というものは、開発法だけではなかなか十分にはならないという要素を持っておりまして、一方で税法であるとかあるいは金融規制ということの力を借りて運営をすることによって、かなりの成果をおさめるのではないかという見方をしておるわけでございます。  それからNHKその他の従来のものにつきましては、特別規制地域というものについては、法案の趣旨といたしましては、これから開発が進む場合、あるいは急激な市街化が進む場合ということで場合を限定しておりますので、すでに既成市街地として整ってしまったところに、はたして特別規制地域を指定し得ることが法上適当であるかどうかということが少し疑問として残っておりまして、きびしい法律の解釈としては、私どもはちょっと指定しずらいというふうに見ております。しかし、やはり社会的に問題であることは確かでありますので、届け出勧告制のほうは全国一律にやりますので、知事がその売買をいままでのように知らなかったということではありませんので、その届け出を受け取った上で、その価格あるいは用途について適正な行政指導をいたし、もし不適切である場合には勧告、公表制を運用したいと考えておりまして、社会的に御批判もいただいて、企業それ自体も社会的責任ということでお考えをいただけると信じておりますし、その側面から、長官から申しましたように、金融あるいは税制の措置を伴うことによりまして、今後は適正な価格で処理されるということが従来よりもよりやりやすくなるのではないかという見方をしております。
  15. 三塚博

    三塚委員 結局土地対策は、果敢にこれに進むということで初めて目的を達せられるのだろうと思うのであります。  そこで、土地問題の最後にちょっとお伺いをしますが、自由新報に宮澤喜一氏の「社会正義のために」という論文の中で、土地公共財である、こういう見識が発表されました。今日このような事態にまで土地問題が突入をしてまいりますと、そういうものの考え方というものは、当然国民の共感を呼びますことも事実であろうと思います。同時に、その論をさらに展開してまいりますと、私は、地価公共料金並みの凍結と申しますか、規制というものが当然考えられてよいのではないだろうか。いま物価体系の中で、ガス、水道、運賃、そして米価まで、そういうことの中へ組み入れられております。そしてこれは、所要の経費がどのようにかかろうとも、ぎりぎりのところまでがまんをしていただかなければならぬ。ぎりぎりのところで申請を待って、政府がそれに対して決定を下す、こういう方式がとられておるわけでありますが、いままさに、土地公共財という観念が国民の中に共感を呼び、同時に土地問題が諸悪の根源だといわれるような現況まで立ち至っておるのだとするならば、土地政策に対して、土地に対する公共料金制度というものを取り入れるようなポリシーというものが、これから真剣に検討されてよいのではないだろうか。そしていわゆる土地公示制度ですか、なんかもあられるようでありますが、その辺の関連の中で、今後その辺のことがどのように国土総合開発推進本部の中で考えられておるのか、ひとつ見解を承っておきたいと思います。
  16. 坪川信三

    坪川国務大臣 宮澤議員のいま御指摘になりました問題、いわばひとしからざるを憂えるという政治理念から、また倫理観から考えて、まことに社会正義に満ちた考えであるということは、私ども政治家立場から共感を呼んでおるような次第であります。そうした面の立場から、土地問題の、こうした指摘になりました点にどう取り組むべきかという問題は、おのずから、自民党としましても、また政府といたしましても考えなければならぬ問題でございますけれども、憲法その他あらゆる制度の現況を十分解明いたしながら、これらの問題に対しましては、やはりまじめに取り組んでいくべきであるという、いまの時点ではそうした感想といいますか、所感を申し上げて御理解願いたい、こう思っております。
  17. 三塚博

    三塚委員 あまり気に入らぬ答弁ですけれども、憲法上の問題等もからむのでありましょうから、その問題については、やはり前向きに検討される時点に到達をしていると思います。  昭和会の提言ということで総理に出しました土地政策に対する提案がございますが、そこの中にも、実は思い切ってそういう方向づけの中でやられませんと社会正義が実現をしないだろう。今日政治の場面で何が必要かというと、富、所得というものが一ところにだけ集まるのではなくして、それは、日本経済の全体の中、大きく言いますと、日本政治の仕組みの中でそういう経済活動が行なわれておるわけでございますから、当然そのものは一億国民に還元をされていかなければならない。あまりに偏在をいたしますと、資本主義社会は富が富を生むわけでありますから、利子が利子を生んで、力の強い者はさらにどんどん強くなっていく、ふくれ上がっていく。それに土地の異常な高騰がもたらす不労所得というものが、先ほど来論議になりましたような点に来ておるわけでございますから、やはり国土総合開発の関係法案を出された精神の中にも、当初はこういう問題は理念としてなかったのかと思うのでありますが、やはり今後理念として、富と所得の再分配、公平な原則が確立をされていく。ある意味でこれは社会主義政策でございますが、しかしながら、やはり政策を遂行するのには果断でなければならないというふうにも考えるわけでございます。そういう意味で、ぜひとも今後の行政の中でこういう思想というものが定着をしていくように、両大臣に、一そうのPRなり、閣議の中でも、こういうことがいま一番議論をされておる論点であるということなどを提唱してほしいと思います。うなずいておりますから、答弁にかえさせていただきます。  そこで、次に移らしていただきますが、本法でありますが、国土総合開発庁という新しい役所、まさに時代の脚光を浴びてこれから国民の期待を集めてやられるわけでございますが、同時に反面、一体、国土総合開発庁がどれだけの仕事をなすだろうかという疑問も、また、そういう先行きに対する不安定要素も多分に入りまじっての考え方もあろうと思うのであります。まさに田中内閣列島改造計画というものが、この国土総合開発庁の今後の行政のやり方いかんにかかわっておると思うのでありますし、世上、この列島改造計画は洛陽の紙価でなくして地価を高めたという悪評がございます。この悪評に敢然と挑戦をするのも国土総合開発庁の使命であろうと思うし、下河辺さんがその中心となられてやられておるようでありますが、あなたの非常に卓越した行政手腕、これから大いにわれわれは注目していくわけでありますけれども、この開発庁が最初構想されたのと違った意味に動いてきておるのではないかというふうに考えるわけです。  行政管理庁に資料をくれと言ったのですが、委員長、速記をとめてください。
  18. 三原朝雄

    三原委員長 速記をとめて。
  19. 三原朝雄

    三原委員長 速記を始めてください。
  20. 三塚博

    三塚委員 この「国土政策に関する行政機構についての意見 昭和四十七年十二月十三日 行政監理委員会」、この中にも、列島改造計画が新たな内政の課題だということで、行政機関の新設問題にからんで、この新しい行政機関がどうあるべきかということについての意見が出されておるわけでございます。それを全部読むわけにまいりませんから、頭だけ読みますと、「国土政策に関する行政施策の一体的推進の必要性」ということで、以下書かれております。(2)に、「行政機構の統合整備考えるにあたっては、原則として企画調整部門の統合に限るべきか、実施部門を含め再編成を行なうべきかの問題がある」。さらに「2 機構再編成の基本的方向」として、現在たくさんの機関が、国土総合開発という関連の中で三十幾つの法律があると思うのでありますが、それに基づく機能を果たしてきておるわけであります。あるものは、私から言わしてみると、居眠って仮眠状態にあるものもたくさんあるようでございますけれども、そういうことではいかぬということで、今度国土総合開発庁に統括をしながら一体的な行政の推進をはかろうということになられたと思うのでありますが、北海道開発庁がそのまま総理府の外郭団体として残されておるわけであります。一体この辺の経過、関係は、どういうことで北海道開発庁だけを別格な取り扱いをこの際したのか。沖繩はまだ返還後一年、沖繩の特殊性がありますから、これはこれとして理解をするわけでありますが、こういう日本列島、北海道も日本列島の最北端にある大きな島であります。そういう意味で、これらは統括された一元化の行政の中で進められませんと、まさに行政の一体化というのが期せられないというのが私の見解なんでありますが、この辺の経過について御説明をいただきたいと思います。
  21. 坪川信三

    坪川国務大臣 冒頭にも申し上げましたごとく、開発庁設置につきまして、また国土総合開発最終目標は、いわゆる均衡のとれた、バランスのある国土開発をはかって国民生活のしあわせ、生活環境整備をいたすということが最高、最終の目標であることは、先ほどから小坂大臣、私が申し上げるとおりでございます。  そうした立場に立っての国土のこうした総合開発の問題の従来との関係等につきましては、全く御指摘になりましたとおりに、第一に長期経済計画、あるいは北海道開発計画、あるいは沖繩振興開発計画、あるいは工業再配置計画、あるいは道路港湾等の公共施設の整備計画等の調整。また二には、総合的な交通施設の体系の整備の方針に関する関係行政機関の事務の調整。また三番目には、国土総合開発計画に関する調査及び国土総合開発計画の実施の調整。また次には、大規模な地域開発事業に関する関係行政機関の事務の調整及び特定の大規模な地域開発事業に関する経費等についての執行、あるいはその段階における資金面からの調整。また次には、全国的な幹線交通網の形成する施設の整備に関する経費等についての要求段階における資金面からの調整。最後に、関係行政機関の災害に対する事務の調整。これなどを果たしつつやらなければならぬことはもちろんでございます。  ことに、最後に御指摘になりました北海道開発に関連するこれからのあり方については、全く意見として傾聴に値する、もっともな、大事な問題点を御指摘になりましたものと解釈いたしておりまして、現に北海道は、御承知のとおりに非常な広大な地域でもあり、大きい今後の開発もきわめて可能性が多くあることも伏在いたしており、また現に北海道の第三期、総合開発計画が進行中でもありますので、これら等を原則にいたしまして、国土総合開発に関する企画調整機能を分担する部門に着目して今後の関係機関を整備、統合する方針をとったため、現地にいわゆる大きな実施部門を持って北海道の開発を推進してきておるような次第で、その存続ということも非常に価値があるわけでございます。しかし、北海道の特殊性を考えますときに、国土開発の総合的な見地から施策の総合調整がはかられなければならないことは当然でございますので、国土総合開発庁といたしましては、北海道の開発庁と緊密な連絡のもとにおいて調整連絡を行ない、総合開発との関連性を持った北海道開発を今後推し進めてまいる。今後のこうした機構のあり方については十分現実を踏まえながら、現実の進行を直視しながらこれに取り組んでまいりたいというのが、いまの時点における開発庁設置に関連する北海道開発庁との関連でありますことを御理解いただきたい、こう思います。
  22. 三塚博

    三塚委員 その辺が、御説明はもっとものように思われるのですけれども、ちょっと一貫性を欠くうらみが強いわけであります。と申しますのは、この法律に出ておりますように、首都圏整備委員会、近畿圏整備本部あるいは中部圏開発関係は大都市圏整備局というようなところに一括をされていく。東北開発をはじめもろもろの開発法に関連する問題は、地方振興局でしょうか、ここに統括をされて、一体的な日本の調整、振興をはかっていく、こういうことになられておりますのに、先ほど来申し上げますように、沖繩は復帰後一年という特殊事情。しかしながら、こういう総合開発の新しい機関がスタートをする。今日ばらばらであった開発計画というものの反省の上に、一体的な開発保全というものを進めなければいけないという大理想のもとに進むその国土総合開発庁設置にあたりまして、北海道が抜けるということは、まさに画竜点睛を欠くということに該当しようかと思うのであります。そういう意味で、北海道だけが特殊な地帯であるというような取り扱い。日本列島四島あって、日本列島でありますから、日本列島改造計画という田中首相のテーマにもこれは合わぬということになるわけであります。この辺が非常に私どもが不可解に思う点でありまして、官庁のセクショナリズムがそうさせたのか、逆に地域のエゴがそうさせたのか。また政治家が卓見がなくて、発展的に統合、一元化することに、なおかつ北海道の特殊性を守ろうとしてこれをやられたのか。この辺の大きな問題があるわけであります。  不退転の決意でこれからの列島百年に向けてスタートをする大事な段階においての国土総合開発庁から申し上げますと、こういうことでは決断と実行という田中内閣の看板が泣くのではないだろうか。このことこそ、まさに田中首相の決断によってなされないとこれはいかぬ。こういうことでありますと、今後一つのものが独立をして残るということになりますと、どうしてもそのことが尾を引きまして、それぞれの特別法に基づく開発振興計画があるわけでありますから、そういうことの中で、遠からずまた将来、とても国土総合開発庁コントロールの中では達成を期しがたいというようなことで、そういう統制を欠くうらみも出るのではないかということであります。  そこで、さらにお伺いしたいのは、しからば短期間に、あるいは将来、北海道開発庁というものをこの国土総合開発庁の中に統合すべきだと私は思うのであります。いま法案にはこういう形でありますけれども、そういうかっこうで進められませんと、せっかくの開発庁というものが泣く。だからその見解をひとつ承っておきたいと思います。
  23. 坪川信三

    坪川国務大臣 北海道の大切な地域におけるところの長期開発計画の推進から考えて、いわゆる国土総合開発庁に一元化すべきという御議論、私も御指摘になられた点については全く感をともにいたしておるような次第でございます。ことに過疎現象の激しい北海道開発につきましては、やはり一元化された姿で、高度な技術と、また資金によって国家が総合的に一元化した姿で開発を進めていくべきであるということは、まことに同感でございます。しかし、その間の一つのプロセスといいますか、過程においてこうとった立場も御理解は賜わっておるのでございますが、非常に重要なことでもあり、北海道の立場からいいましても当然なことでございますので、私は、今後これに対する一元化の問題については、前向きの姿勢でひとつ検討をいたしながら御期待に沿いたいと、こう考えております。
  24. 三塚博

    三塚委員 行政管理庁にお伺いをいたします。  この行政機構についての意見は監理委員会ということでありますから、これは本庁の機関でつくられた意見だというふうに思うのであります。そこで、大臣が答えられたあとに答えられるのは、ちょっと立場上なかなか言いにくかろうと思うのですが、やはりこういう大事な段階でありますから、ずばりひとつ行政管理庁としての見解をお伺いしておきたいと思うのです。  これには明らかに、「国土開発行政機構の再編成にあたっては、既存機構の統合による合理化を進めるべきである」、そして「国土開発に関する企画調整機能を分担する行政機構は、行政合理化の見地からも全国的に統合すべきである。従って、経済企画庁(総合開発局等)、首都圏整備委員会、近畿圏整備本部、中部圏開発整備本部、北海道開発庁その他各省庁関係機構は、新機構に吸収すべきである」、こう明言をされておるわけであります。この御信念についてひとつお伺いします。
  25. 平井進

    ○平井説明員 ただいま御指摘のとおり、統合の方針については行政監理委員会でそのような方針を決定されまして、答申をされたわけでございます。ところが一方、同じ答申の中に、機構をつくります場合の考え方といたしまして、先ほど先生御指摘のとおり、企画調整部門に着目をして統合すべきか、あるいは実施部門をも含めて再編成をすべきかという大きな課題がございまして、監理委員会がいろいろ検討いたしました結果、やはりこれは企画調整部門に着目をして新機構をつくるべきではないかという結論が、この答申の中に盛られておるわけでございまして、私どもも、この答申をいただきましていろいろ検討いたしました結果、企画調整部門に着目して新機構を整備いたします場合に、北海道は、先ほどお話がございましたとおり、現地に膨大な実施機構を持った一体的な機関でございますので、今回も、国土総合開発法の新編成の際にはこれを入れるのは適当ではないという判断をいたしまして、現在提案している形になった次第でございます。
  26. 三塚博

    三塚委員 この国土総合開発法に基づいて、先ほど御説明ありました都道府県総合開発計画がこれからつくられるわけであります。当然北海道にもその開発計画がつくられる。そうしますと、全国総合開発計画のもとに都道府県総合開発計画が相補完し合いながらその実行に当たるということになるわけでございます。そうしますと、北海道開発庁の実施部門、これはやはり北海道が立てられる開発計画の中にすべて含まれる。そういうことになりますと、北海道開発庁だけがそこでやられるということになりますと、全国的に均衡ある国土整備保全開発、こういうことから考えまして、全体的な列島のあるべき姿を目ざしていく国土総合開発という観点からいたしまして、やはりどう考えてもこの辺が点睛を欠くような気がするわけであります。これについて、下河辺局長の見解をひとつ聞いておきたいと思います。
  27. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 現在、経済企画庁の総合開発局におきましては北海道を所管しておりませんので、あまり明確に答弁することはどうかという気もいたしますが、ただ、今度新しい国土総合開発法を制定いたします際に、北海道開発庁とは、いま御指摘いただいた点を含めてだいぶ話し合いをいたしました。昭和二十五年の古いといいますか、現行の国土総合開発法におきましては、全国と北海道というふうに分離するほど明確に法律ができておりまして、都道府県総合開発計画の中の道を落としまして、都府県総合開発計画ということになっておりまして、国土総合開発法の中から北海道への開発行政の監督の範囲が脱落しておったという経緯がございますが、この段階になりますと、いま御指摘いただきましたように、日本列島改造論を含めて一体として考える必要性はますます強くなってきておりますし、また知事の独自の開発構想を国が十分知り、それを検討する必要があるという時代でもあるわけでございますから、新しい国土総合開発法におきましては、道を入れまして都道府県総合開発計画ということで法案を練ったということで、いま先生から御指摘いただいた点、第一歩は画しているというふうに思います。  行管からお答えいたしましたように、どうしても大都市圏がはずれていて全国との調整をするのはおかしいということから、大都市圏も含めるということは国土総合開発庁によって達成されると思いますが、北海道の場合については、行管からおっしゃったように、どうも実施ということが問題の一つになっております。これは、将来はたして直轄型の大型の工事をどのような形で考えていくのかということにも、実は関連してくるかというふうにも考えておりまして、私どもといたしましては、現在の機構の議論といたしましては、北海道をはずすことはやむを得ないというふうに見ておりますけれども、御指摘のように、将来考えるということになれば、坪川大臣からお答えいたしましたように、私どもとしては、一元化するということがやはり理想ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  28. 三塚博

    三塚委員 それでは先に進ましていただきます。  北海道はそういうことであるといたしまして、しからばそのエネルギーを今度中部なり近畿圏——今日最大の問題は都市問題だ、過疎の問題から過密の問題、こういうことに展開をされるわけでございますが、えてしてわが国政府、わが田中内閣は、歴代の内閣もそうであったと指摘をされるのでありますが、都市政策に非常に熱意が足りなかった、こう指摘をされております。都市政策のポイントについては、私はもうここでくどくど申し上げませんが、今後この大都市整備についてどのような見解をお持ちか、その点をひとつお伺いをしておきたいと思います。長官、十二時までだそうですから、ひとつ聞かせてください。
  29. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 今日の大都市問題というものは、非常に危機的な様相にあるといって差しつかえないと思うのでありまして、私ども近々に、大都市の実態調査、そして今後これについてどうあるべきかということの研究結果をまとめて、発表いたしたいと思います。これはいわゆる新全総の見直しというものとも関連するわけでございますが、そうした点で、今後の問題といたしまして、田中内閣として、また自由民主党として考えなければならぬことだと思っておるわけでございます。  従来、衛星都市というようなものが大都市のまわりにできておるわけでございます。これはある程度ベッドタウンというような形になっておりまして、要するに東京圏、近畿圏あるいは伊勢湾圏というふうなことになっておるのでありまして、今後私どもは、ニューシティーをつくるという考え方で地方中核都市発展させていかなければならぬ、こう思うのであります。  いまの大都市問題の解決と関連いたしまして、東北開発というものもまた非常に大きなウエートを占める問題であると考えております。御承知のように、東北開発三法があるわけでございますが、これをてこにいたしまして、この開発を新しくできる総合開発庁の中におきましても十分に活用して、大都市問題の解決と合わせて東北振興も考えていく。それも従来のような、農業を振興する、あるいはそこに工業を一部持っていくということじゃなくて、ほんとうに計画性のある、今後の日本国土の改造ということの中で考えてまいりたい、かように思っておる次第でございます。
  30. 三塚博

    三塚委員 ここでもう一つお伺いをしておかなければなりませんのは、同じく総理府の中にあります環境庁との関連であります。開発が美徳だとされて、日本経済の中核に居すわって今日まできました。同時に、過疎解消は開発が進行しなければなりませんことも、これまた開発一つの方向であります。そのことは、美しい国土保全しながら調和のある中で進めなければならぬという、まさに二十一世紀に向けての最大の課題にこれから取り組むわけであります。そういう意味で、環境保全というこの問題についての環境庁との連携というものは、開発庁は今後どのような形で進められるのか、どの辺にポイントを置かれてこの辺の調整というものが行なわれるのか、お伺いをしておきたいと思います。
  31. 坪川信三

    坪川国務大臣 国土開発を推し進める場合の国土保全、これが最優先さるべき重要な問題であると私は考えるのであります。そうした立場から、いわゆる生活環境整備環境保全を二大目標に置きまして、環境庁と十分連絡をとりながら、またそれぞれ開発庁の認定も受けながらいくということは、設置法の上においても、それぞれの立法措置の中に含まれてもおり、また、いま御審議を願っておる総合開発法におきましても、それらがはっきりと踏まえられておりますので、国土総合開発基本理念は、あくまでも国土保全の確保、生活環境整備ということを目標に置いて万遺憾なきを期してまいりたい。  具体的な点につきましては、粟屋政府委員から答弁をいたさせます。
  32. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 基本的にはいま総務長官からお話を申し上げたとおりでございますが、今度の国土総合開発法の改正案におきましては、総合開発基本理念の中に環境保全をはかるということを明らかにうたっておるわけでございます。同時に、国土総合開発法におきまして、全国総合開発計画の作成でございますとか、特定総合開発地域の指定あるいはその計画の承認につきましては、環境の観点からも非常に関連がございますので、内閣総理大臣が権限を行使するにあたりまして、国土総合開発庁長官と並べまして、環境長官も共同してこれを補佐して、りっぱな国土総合開発をつくるという体制をとっておるわけでございます。さらに、国土総合開発庁設置法の附則におきまして、現下の環境問題の重要性にかんがみまして、特定の法律につきまして環境庁の権限を補強するような改正をいたしておるところでございます。
  33. 三塚博

    三塚委員 そこで、環境保全区域の指定ということがあるわけでありますが、これは指定をすることによってそのままの自然の美しさを残すということになるわけであります。その保全区域の指定はどこの担当になるのか、その辺ちょっと伺います。
  34. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 いま先生の御指摘は、自然環境保全区域の話でございましょうか。
  35. 三塚博

    三塚委員 はい。
  36. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 これは環境庁の主管でございまして、自然環境保全法という法律に基づいて指定をすることになっておるわけでございます。
  37. 三塚博

    三塚委員 それでは次に移らせていただきますけれども開発庁の最も大事な仕事の中に、提案理由の説明の中でも、土地対策及び水資源に万全の措置を講ずる、こういうことがあります。まさに水資源というものは、これからエネルギー源としてあらゆる私ども市民生活の向上のために大事な資源であります。「水問題に万全の措置を講じつつ」、こういうことでありますけれども、どのような方向でこれを考えられるか。  かつて私どもは、電力といいますと、水をせきとめまして、その水力によって電気が出るものだという観念。今日では石炭から石油エネルギーへと転換をしている。石油エネルギーの先行きも、あるいは三十年であろう、あるいは四十年であろうといわれ、核融合の時代に今度突入をしなければならぬ、こういうような新理論も展開をされるほどエネルギー源についての問題が今日最大の問題になってきつつあります。  そういう点で、世界の中でもアラビア半島から石油はたくさん出るのでございますが、あのアラビア半島は雨の降らない国であります。水一ぱい石油一ぱい、こういう価値のある地域ところが、わが国はじゃんすか雨が降る。まさに高温多湿な国である。そして四面海で囲まれて、その海から上がる水蒸気がさらに山に当たってまた雨になる。その循環が今日まで行なわれてきている。やはりこの循環に私どもは目を向けなければならないだろうし、水の多角的な活用というものが今後国土開発中心でなければならない。この水のむだをなくすということで、ひっくり返すものですからダムだ、これは珍説かもしれませんが、そういうことをいわれるほど、やはり水の活用ということが今日これからの一つのポイントであろうと思うのであります。この水の活用の具体的な方法について、どのようなことがいま計画され、考えられておるか。
  38. 坪川信三

    坪川国務大臣 三塚委員御承知のとおりに、水問題、水資源対策ということは非常に重要なことでございますが、いまの行政上からながめてみますときに、建設省、厚生省、農林省、通産省というような各省庁にまたがってもおるようなわけでございますので、そうした立場で総合的に計画の企画、立案と調整をはかるという意味において、土地水資源局を設け、部長を専任せしめるということにいたしたようなわけでございます。  御指摘になりました問題は、いわゆる工業用水の回収利用の促進、利水の合理化、地下資源の適正化、下水処理の再利用あるいは水質の保全というような各般にわたっての広範な重要な問題でもございますので、これらの対策を一元化された姿で、ひとつ水資源局で専任の部長を置きましてこれに対応いたしてまいりたい、こう考えておる次第であります。
  39. 三塚博

    三塚委員 だんだん時間もなくなってきますから、また話を変えてお伺いしますが、資源の中には、エネルギー資源のほかにたくさんの資源があるわけでありますが、特にわが国最大の資源は農産物、米だ、こういわれておるわけであります。食糧の自給体制というものがやはり国土バランスある発展の中できわめて重要なポジションを占めてきております。特に農地の持つ意味というものは、緩衝地帯にもなるという意味、さらに空気を清浄化する、そういう働きもあるわけでございまして、さらに過密の中にあって空間をそこにもたらす、こういう意味におきまして、非常な多角的な認識が農業に対して持たれるのが今日であろうと思うのであります。そういう点から農業の位置づけというものについて、まず最初に長官なり局長から、今後、日本列島の全体を考えながら、農業の問題というものは開発庁としてどのように考えておるかということの見解を承って、それから、せっかく農林省の方来ておりますから、あとお伺いします。
  40. 坪川信三

    坪川国務大臣 ただいま御指摘になりました農林の立場からどう裏づけを行なうべきであるか、最も重要なことでございます。そうした立場で、地方の農山漁村の整備、その対策事業の推進ということは、非常に国土開発の上において重要な位置を持っておるという観点から、開発庁といたしましては、これに対するところの対応策を講じてまいりたいという積極的な方針を打ち立てておるようなわけでございますが、具体的な点については、農林省の政府委員から答弁をいたさせます。
  41. 三塚博

    三塚委員 そういう観点から言いますと、当然農林当局とも密接な連携調整の中で、今後農林業の振興という問題も列島改造計画の中で位置づけをされ、考えられると思うのでありますが、日本農業の問題はきわめていろいろな変遷を経て今日まで来ました。御承知のように、増産体制からさらに減反へ、減反からまた増産体制とまでいかぬまでも、もう減反はやめて思うままひとつやってほしい、こういうことで、過剰米を中心とした政策の中で農政というものがくるくる今日まで変わってまいりました。そのことが日本農民の農業への意欲を減殺させたこともまた事実であろうと思うし、つくらぬで減反奨励金を一年間三万円ないし四万円ちょうだいをするというこの政策が、農民の心に、これまた先ほど触れましたような、勤労と努力という精神を欠かせたことも事実であります。ただで金をもらえる、そういう方向が出された、これは明らかに政策の誤りであったと私はいま考えておるわけでありますが、そういう誤りを二度と繰り返してはならない、そのためにはどうしなければならぬか、こういう問題になると思います。  各県はそれぞれ農業の振興計画をつくっております。宮城県も宮城県なりに年次を設けてつくる。岩手県も岩手県、また北海道は北海道、九州は九州ということでつくられておるのでありますが、これは、農林省の発表されておるいわゆる作付に対する指標というような一つのものが発表され、それに基づいて計画がつくられておるわけでありますけれども、達成年次がばらばらであり、その横の連携がなされない、それぞれの地域でそのものが行なわれておるというような観点がございまして、総合農政という問題点からとらえてみますと、これはきわめて不均衡であるのではないだろうか。  私は持論なんでありますけれども、北海道、青森というのは、青森の竹中議員がおりますが、米の栽培の北限である、こう考えておるのであります。北限で米をつくること自体が、米の持つ自然的な性格そのものからいいまして、その寒冷地に対応できない。対応させるように農業技術がこれを押し上げていった。だから、米本来の持つ植物の本能というものがみごとに花咲かぬものでありますから、出る米はまずいという結果になります。こう言うと北海道の方はおこるのでありますが、現実にまずいことは事実であります。そういうことなどは今日度外視されて、北海道の果てまで、山の上までたんぼがつくられる。燕麦畑が倒され、小麦畑が倒され、ビート畑が倒され、そこで米がつくられていったという個々の戦後の経過がございます。これは明らかに、日本の主産地形成なり適地適産という形の思想から言いますと、まさに逸脱した一つ政策だというふうに思わなければならないし、そのことが過剰米をもたらした一つの原因であったと思います。もちろん過剰米の原因には、食生活の大きな変化がそこにありますことも事実であります。しかしながら、農業政策の展開の上から考えまして、なぜ米だけがつくられてきたかというその経過というものを、もう一回この時点に立って再反省しなければならぬ時点だろうと思うのであります。  それは端的に言いまして、米にだけ最大の価格保障がなされておった。他の農作物については、それを栽培しそれをもって生活をするというたてまえから言いますと、そのほかではどうにもならぬ。大豆の問題が大騒ぎになりましたけれども、十アールからせいぜい二俵や三俵、五俵とりましても、八千円といういまの価格でいいましても、四万円であります。五俵とれるというところはほとんどございませんで、平均三俵でありますから二万四千円。米の栽培から言いますと三分の一の収入しか得られない。そういうことなどから、大豆が必要であるといいながら、そのことがなかなかなし得ない。  さらに、畜産振興を日本農政の中で強く推進をされておるのでありますが、いわゆる家畜の自給飼料対策。今日海外依存九〇%という中で来ておるものでありますから、海外インフレ、それから外国の作況によって左右をされて、日本畜産に対する影響が海外から行なわれる。こういうことで、せっかく築き上げた畜産というものも、これまたそういうことによって転換をせざるを得ないような状況を迎えなければならぬ。こういうような現況は、ここ半年の間、痛いほどわれわれも皆さま方も体験したと思うのであります。  そういう意味で、地域の生産指標というものがせっかく与えられた。だといたしますならば、やっぱりそういうことが政策の裏づけ、予算の裏づけをもって果敢に進められなければならないのが、国土総合開発の観点から立っても当然であろうというふうに考えるのでありますが、今後農林当局は、米をはじめ大豆、飼料というものに対して、どのような方向づけの中でやられるのか。生産指標を与えっぱなしで、これは試案であるから最終案ではないのだと言われるのか。しかしながら、各県はそれに基づいた、それなりの自然地域に応じた生産計画を立てて、ある県は五十年、ある県は五十五年、ある県は五十二年というようなことで、それに向かっていま進んでおるわけでございますから、そういう点などを考えに置かれて、ひとつ見解を承りたいと思います。
  42. 田中信成

    田中説明員 いま先生御指摘のとおり、農林省が、四十五年でございますけれども、全国を十四のブロックに分けました農業生産の地域指標の試案というものを作成しておりまして、これによりまして、各地域別の農業生産の誘導をはかっているところでございます。  そこで、その後各県におきましても、農業の振興計画を幾つかつくっておられます。私どもも大体承知しておりますが、二十数県についてはもうできておりますし、さらにあと二十県ばかりにつきましても、そういう作業を進めておられるというふうに聞いております。そこで、国といたしまして、一応全国的な立場から、各県がおつくりになっております地域分担の指標というものを調整しなければいかぬということになっております。そこで、私どもといたしましては、そういう各県がおつくりになっている地域指標を全国的な観点から調整を進めるということで、現在県別に、あるいは県内の大きな農業地域ごとに、来年の春ごろを目ざしまして、国のいわば全国的な生産目標と、県がおつくりになっております県別の振興計画との調整作業をいま進めているところでございます。そこで、そういうような調整作業を進めて地域分担を明確化していくということをまず進めておりまして、そういうような適地適産といった基本的な方向で今後の農業政策を進めてまいろう、こういうふうに考えております。
  43. 有松晃

    ○有松説明員 個別物資の点について、米並びに大豆についてでございますが、米につきましては、御承知のとおり、現在までに、過去に供給の超過ということがございましたために、生産調整を行なってきております。幸いにしていままでの生産調整の実績によりまして、過去に累積されました過剰米は解消されてきておりますが、なお潜在的な生産能力としては、やはり過剰になっておる傾向も持っておりますので、来年度以降休耕奨励金が打ち切りになりますけれども、引き続きまして、米から需要の増大する他の作物への転換につきまして実施をしてまいりたいということでございます。  それから、大豆について御指摘がございましたが、大豆につきましては、年々生産が減りまして、現在国内生産量は十二万トン、そのうち出回り量が約五万トンということで、きわめて自給率が低い現状になっておりますが、これにつきましては、最近のアメリカの輸出規制というふうな需給上の問題も生じましたし、今後におきましては、大豆の生産の減少々食いとめ、さらに増産をはかりたいということで、ただいまその生産をいかに刺激するかという対策につきまして鋭意検討をしておる段階でございますが、早急に結論を得てまいりたいというふうに考えております。
  44. 下浦静平

    ○下浦説明員 飼料関係にお触れになりましたので、若干お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、わが国の最近の食糧消費構造の変化ということをバックにいたしまして、近年非常に畜産物需要というものが強くなってきております。この傾向はなお今後とも続くであろうと見込んでおる次第でございますが、それに伴いまして、わが国畜産の飼料の需給規模というものも年々拡大してきておりまして、さらに今後、十年後にはいまの需給規模の一・八倍程度までいくのではないかというぐあいに見込まれておる次第でございます。  そこで牛の、これは乳牛、肉牛ともにでございますが、大家畜の関係につきましては、自給飼料——粗飼料でございますが、これの供給体制の整備ということが先決でございまして、そのため、先般閣議決定を見ております土地改良長期計画におきまして、今後十年間に草地造成四十万ヘクタール、それから既耕地への飼料作物の導入百万ヘクタールという計画を織り込んで、鋭意やってまいるという方針でございます。  なお、豚、鶏等の中小家畜につきましては、飼料の給与が配合飼料によりまして行なわれているというのが大体の形態でございますが、この配合飼料の主原料となっておりますのはトウモロコシとマイロ、コウリャンでございまして、この二品目が大部分でございます。これの国内生産ということになりますと、外国産品との生産性の格差の問題もございますし、それから国内におきましても、他作物との生産性の格差という問題もございます。さらに、これは表作ということになりますので、非常に国内生産ということは困難というぐあいに私どもは見ておりますが、輸入の安定供給ということを通じまして飼料の確保をはかってまいりたい、こういうぐあいに考えております。
  45. 三塚博

    三塚委員 では、農林省の方お忙しいでしょうから、どうもきょうはありがとうございました。  それでは、あと時間がわずかしかなくなりましたので、最後に私の出身である東北のことについてお伺いをいたします。  すでに下河辺局長は、多年にわたって東北開発に非常な御理解を示していただいて今日まで進んでまいってきておりますから、東北七県知事会の昭和四十一年の提言、さらに先般七月十二日に東北七県知事会の最終案をまとめて、今度、新全国総合開発計画がやがて改定されるわけでありますが、それに歩調を合わせながら、また同時に、この国土総合開発庁のスタートに際し、東北の地域の使命というものを、東北県民がこぞって知事会提言という形の中で提案をいたしておるわけでありますが、国土総合開発の視野から見て、今後の東北をどのような形であるべき姿を求めながらいかれようとしておるのか、その未来に向けてのビジョン。また、今後東北開発をどのような方向で指導しようとしておるのか。その辺の点についてお伺いをしたいと思います。
  46. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 東北開発に関します私ども考え方でございますが、その考え方の基礎についてごく簡単に申し上げてみたいと思います。  東北地方は、御承知のように、日本列島の全面積の中で二一・五%というかなり大きな面積を占める地方であります。しかし、それに対しまして、人口のほうは全国の一一%を占めるにすぎませんから、非常に人口密度の低い地域であることは御承知のとおりでありますが、この人口密度が低いというだけではなくて、たとえば製造工業でいいますと全国の四・六%を占めるにすぎないという地方でありまして、著しく工業化がおくれている地域であるということがいえるのではないかというふうに思います。そして反面で、たとえば出かせぎの方々の数を見てみますと、全国の出かせぎの方の五三%が実に東北地方からの出かせぎの方であるというふうな実情がございます。それから、教育の進学率、あるいはお医者さんの整備している状態等をながめた場合に、やはり東北地方には基本的な問題が残されているというふうに私ども考えておりまして、先生がさっき御指摘になりましたように、従来、東北地方開発をわれわれは進めておりますけれども、まだ依然として根本的な問題が残されているという認識が一つございます。  しかし、将来に向けて考えます場合に、実は太平洋ベルト地帯と申しますか、東京、名古屋、大阪あるいは瀬戸内海という地域、従来、明治以来百年間、開発が非常に進んできた地域の実態に対しまして、私どもとしては環境問題、公害問題その他からかなりいろいろな反省をいたし、今後の対策を強化しなければいけないと考えておるわけでありますが、東北地方でこれから将来に向かって新しい開発が進むという前提で見ました場合、実は自然がまだかなり豊富に残されている点、あるいは人口密度がまだ非常に低い点、あるいは工業開発によって極度に国土が荒らされているということがないといういろいろな点におきましては、やはり恵まれている地域であるということも一方ではいえるかと思いますので、私どもは、これから東北地方開発いたします際に、再びこの過去の苦い経験を繰り返さないということが、やはり東北地方開発にとって非常に重要ではないかということを一つ考えております。  それから現実の仕事といたしましては、ようやく新幹線、高速道路によりまして東北地方の交通体系の柱といいますか、筋が通ってまいりますので、その影響をどう巧みに東北地方が受けるかということに私どもの仕事が動いてくるのであろうというふうに考えておるわけでございますが、何せこれからやはり東北地方地方都市生活水準というもの、つまり、医療であるとか、あるいは教育であるとか、あるいは文化というふうな、福祉面にわたっての水準というものをどのように確保するかということが、実は東北地方にとって非常に大きな課題になってくると思います。  先ほど御質問いただきましたように、日本全体にとりましても、東北地方にとりましても、農林水産業の位置づけを新たにするということを農林省がこれからなさるわけでありますが、それを受けて、東北地方の農林水産業のあり方についても実は検討を進めたいということでございまして、先ほどお話がございましたように、各県知事におかれても、新たな段階としての東北地方の役割りと望ましい姿を勉強されて、近く私どももその内容を聞かせていただける段取りになっておりますが、国土総合開発庁ができました際に、地方振興局におきまして、一刻も早く東北地方のあるべき姿を明らかにして、また東北地方開発を一段と進めてまいりたいということが、現在の私ども考え方でございます。
  47. 三塚博

    三塚委員 そこで、これから作業をされるといいましても、いろいろな準備をされていると思うのでありますが、東北開発三法が今日まで一番日本の中で過疎地域であったといわれている地域に対してでき上がり、今日までそれぞれの使命を果たしてきました。いわゆるこの使命を果たされた一つの大きな問題に、法律にきちっとうたってあります東北開発促進計画の第一次が組まれ、これは三十三年から四十二年まででありましたが、これには十年間に一兆二千四百八十億円の公共事業を投下するということで、それぞれの事業分野がきめられておったわけであります。これによって東北の当時の過疎地帯解消のためにそれなり努力が払われてきました。その後いろいろな開発特別立法がなされてきたという経過もさることながら、この東北の現況、さらに北海道の先ほど来言及いたしました開発庁の姿。いわゆる北海道開発庁中心として、北海道は目まぐるしい開発を今日までなし遂げてきておる。その点の対照の中で、同じ東北圏にありながら、北海道の立場と東北の立場、その置かれている立場というものがまさに転倒しておる。同時に行くということではなく、はるかに後塵を拝するような形の中で東北が置かれておる。にもかかわらず食糧の二五%を供給する農業地帯である。さらに自然がそのまま残されておる国民保養のレクリエーション地帯である。それにこれから後発地域の利点ということで、さらに日本バランスある総合開発の中で、東北の占める位置づけというものが重要視されてきておるさなかにありまして、今後の東北開発というものは、やはり思い切った形の中で、地方振興局の中に入るわけでありますが、国土総合開発庁が中核となってやられなければならぬと思うのであります。  その中で痛感するのでありますが、やはりその具体的な方法というものは、東北開発促進計画がきちっと定められていかなければならない。このあとを受けてつくられた三十九年二月の閣議決定の東北開発促進計画では、改定前の計画のように、公共事業一兆二千何がしという数字が全然載らない。ただ理念的に抽象的に東北開発を進めるということで、四十五年で終わっているわけであります。四十六年度からはこの法に基づく東北開発促進計画というものが立案をされない。そのままでここ三年推移をしてきておる。そういたしますと、法律のたてまえからいいますと、やはりこういうものは同時に次の十カ年計画なり五カ年計画というものが、東北のマクロ的な視野から立てられなければならないはずであろうと思うのであります。  そういう点で、この開発計画が今後必ずつくられると思うのでありますが、その場合に、やはり開発計画の中に具体的な事業というもの、開発の方向というものが、予算的な裏づけの中できちっと出されてこなければならぬ性格のものだというふうに考えるわけでありますが、この点はいかがでしょうか。
  48. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 国土開発庁ができまして、新しい全国総合開発計画を、政府といたしましては昭和五十年を起点として新たにつくりたいという作業をすぐに若干始めております。そして、なおかつそのときに、全国の都道府県総合開発計画につきましても、政府と歩調を合わせて共同作業をしていただくということを考えておりまして、したがって、東北開発につきましても、やはりその作業と同時並行して作業を進めたいということが作業の方針でございますが、お尋ねのございました、計画をより具体的にということにつきましては、私どももやはり、抽象的なことで計画を済ますというわけにはまいりませんので、できるだけ具体的に計画をつくってみたいというふうに考えております。  しかし、御承知のように、現在こういう計画を立てます際、各地域の方々との御了解を得るという点、あるいは計画がきまりましてから実施に移るまでに、環境問題その他の実態調査をかなりした上で実施すべきであるという点、あるいは短期的な財政政策、あるいは景気政策との調整をしなければならないという点が多々ございますので、必ずしもこの予算の裏づけを持ったきちんとした計画というところまで長期計画を固めることは、計画を作成する技術上の困難もあろうかと思いますけれども、その点はできるだけ、今度は総合官庁として総合開発庁をつくるわけでありますから、各省庁の全面的な協力をいただいて具体的な作業をいたしたいというふうに考えます。
  49. 三塚博

    三塚委員 そこで、いよいよ最後になるわけでありますが、農林省の地域指標じゃございませんが、東北の果たす役割りというものが、この開発庁法のスタートと同時にしっかりとガイドラインが与えられないといかぬだろうというふうに考えるものですから、そういう御質問を申し上げたわけであります。  そこで、この東北開発関係三法でありますが、すでにつくられてから相当な年数がたっております。この法律の目ざす理念というものも、国土総合開発法考えられますように、やはり相当変革をしてきておると思います。そういう点で、この三法というものが、新たに改正されるなり、新しい法律の中に三つの法律がまとめられていくなり、やはりそのつど東北から提案されておりました、新しい、二十一世紀に向けての東北の位置づけ、東北圏法というような形の中でこういうものが取り扱われなければならぬのではないだろうかという問題点が一つ出てきておるわけであります。そういう意味で、開発一点ばりの古い理念の問題の中に、やはり地域とマッチをした、東北のよさを取り残しながら、地域開発が過疎解消という方向の中で、さらに過密地域の皆さん方を喜んで受け入れられる、そういう条件づくりをしながらいくということであれば、一つここに新しいビジョンが打ち出された法体系というものが考えられなければならない、こういうふうに考えるわけであります。その心がまえがあるかどうか、それをお伺いをしたいと思います。
  50. 坪川信三

    坪川国務大臣 いま御審議をわずらわしておりますところの、新たなる国総法の基本理念考えますときに、高度な立場から、また時代に即応する国土開発という重要な問題点を十分踏まえまして、いま御指摘になりました大事な東北地方開発の関連法案等については、これから新しい国総法の新理念に基づいてこれに取り組むべきである、こう考えており、政府もそうした観点から取り組んでまいりたい、こう考えております。
  51. 三塚博

    三塚委員 これをもって終わらしていただきます。  ほんとうにいろいろ大事な段階でありますので、事、東北だけを一つの例として申し上げましたが、以下これは、中部圏であり北陸圏であり九州圏であり四国圏であるという一つの例示であります。そういう意味で、やはり大事なスタート台でありますので、その基本理念をひとつ踏まえられて進まれんことを要望し、私の質疑を終わります。(拍手)
  52. 三原朝雄

    三原委員長 午後一時三十分より委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後零時三十六分休憩      ————◇—————    午後一時三十八分開議
  53. 三原朝雄

    三原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  国土総合開発庁設置法案を議題とし、質疑を続行いたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹中修一君。
  54. 竹中修一

    ○竹中委員 本日の午前に同僚の三塚委員から、国土総合開発法基本的な問題、すなわち国土総合開発基本的姿勢、あるいはいまわが国で非常に問題になっております地価の抑制対策について、いろいろと本質的な問題について、総務長官あるいは経済企画庁長官から、問答を通じてその御方針を伺ったわけでありますけれども、私は、いま議題になっております国土総合開発庁についての御質問を若干させていただきたいと思うわけであります。したがいまして、せっかく長官おいででございますけれども、多少お話がこまかくなりますので、お許しをいただきたいと思います。  先ほども三塚委員が申し上げましたように、昨年の十二月総選挙におきまして、わが党は、総裁であります田中総裁の個人的な著作ではありますけれども、「日本列島改造論」を掲げて、そしていまの過密過疎をこの改造論によって解消し、国民全体がバランスのとれた豊かな生活に入るんだ、福祉国家に入るんだというような、いわゆる目玉商品として選挙を戦ったわけであります。国民の大部分の方々は、経済の高度成長を認めるとともに、それによって出てきたいわゆる公害問題、あるいは過密過疎の問題、自然破壊の問題、これを何とかしてこの日本列島改造によって解消してもらいたいというたいへんな御理解によって、わが党が引き続いて圧倒的な多数のもとに政権を担当しているわけであります。これに応じて政府も、国土総合開発法、あるいはその受けざらになる国土総合開発庁法案を今国会に提出をしているわけでありますが、この設置法案、御提案になりました原案を拝見いたしますと、この七月一日から実施されることになっているわけであります。それが残念ながらまだきょう現在ここで審議中なわけであります。国民の皆さま方に対してたいへん申しわけがない、一日も早くこれを成立させて、そして国民に納得をしていただきたい、そしてまたよく協力を得たいと思うのは私だけではないと思うのであります。ところが、この新しい国土総合開発ということは、一つ母法であります国土総合開発法、あるいはまた、こちらでいま御審議をいただいております設置法案、これは中身と受けざら、車の両輪だと思うわけであります。  そこでお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、その母法であります国土総合開発法審議状況はどうなっているのか、そしてまたその審議状況に対して長官はどういうふうにお考えになっているか、一言お聞かせをいただきたいと思うわけであります。
  55. 坪川信三

    坪川国務大臣 竹中委員の貴重な意見を交えながらの御指摘、まことに恐縮、またありがたい励ましに対しまして深く感銘いたしておるようなわけでございます。  政府といたしましては、いまお話しのとおりの日本未来像の大きい一つ基本計画という立場から、国総法並びにいま御審議をわずらわしている設置法、そしてその受けざらである開発公団、その他都市計画法、関係法案幾つもございますけれども、その中の三法が最も重要な案件だと考えておるようなわけでございますので、その大事な国土総合の総本山ともいうべき開発法の審議状況は、竹中委員御理解のごとく、建設委員会に付託されまして、そして担当である小坂長官中心に、金丸建設大臣、不肖私の三人がその委員会に、再延長国会前の二週間ほどはその審議に加わり、建設委員会を意欲的に開催していただいたわけでございます。与党の自民党からの御質問はもちろんいただきましたし、野党の四党の各位も、長時間にわたって各党一通りの総括の審議、御質問は受けたというような事態で国会が再延長されたということに相なりまして、政府といたしましては、きのう私と小坂長官と金丸建設大臣が三者会いまして、そしてこれらの運び方を積極的にひとつ建設委員会にお願いしようということの申し合わせをいたし、服部委員長にもお願いをいたしておるというようなことで、ぜひともこの延長国会にひとつ各党の十分なる御審議を賜わってその成立に万全を期したい、こういうような考えであることを御理解賜わりたい、こう思う次第であります。
  56. 竹中修一

    ○竹中委員 いま総務長官から、ぜひともこの三法は通したいんだ、また通す気がまえがあるのだというふうなお答えがありまして、まことに心強いのでありますけれども、もしかりに、委員長、これはもしだめなら速記取り消させていただきますけれども母法である総合開発法、これは午前中三塚同僚委員からお話がありましたように、いろいろな反対、あるいは足を引っぱっている動きがあるというようなことがあるわけであります。その場合に、そういうことは万々一ないと思いますけれども国土総合開発法が通らずに設置法だけが通った場合はどういうふうになるのでありましょうか。
  57. 坪川信三

    坪川国務大臣 私といたしましては、ぜひとも、本法である、いわゆる憲法である国総法を通していただきたい。もし万一というような消極的といいますか、竹中委員は憂慮されての積極的な御意見で、私は深く感謝いたしますが、いまのこの時点で国総法が通らなくてもというような考えのもとで私の意見は述べたくない。ぜひとも通してもらいたい。  実は初めて発表することでもございますが、七月一日に発足するということのときに庁舎をどこに求むべきかというようなことも、私、内々万般総理の意向もお聞きしまして準備いたしておったのでございますが、幸いにして、もとの郵政省、ソビエト大使館の前にあるあの郵政省、あれが国家の庁舎でございますから、郵政当局にもお願いいたしまして、事務的に大蔵省との話し合いもついて、いわゆる新しい官庁、ことにこの大事な官庁を各ポジション、ポジションで幾つにも分かれてやるということは、事務の能率増進からいっても好ましい姿でありませんので、一元化された場所で一元化された総合計画を推進するという意味で、私は分割のオフィスを求めることはやめておって、ようやくおかげでその役所の場所も、郵政省の御理解でちょうだいいたすということで、大蔵省も了解したということで、ぜひとも早くひとつ、へたな字ではございますが、私の字で開発庁と、こう書かせてもらいたい、その日を楽しみにしておるようなわけでございますので、どうかよろしくお願いいたします。
  58. 竹中修一

    ○竹中委員 総務長官から重ね重ねの御決意を伺いまして、私ども非常に心強く思うものであります。万々一そういうことになりますと、いま物価高の元凶であるといわれる土地対策が全然機能を発揮しないことになるということでございますので、われわれ議会側ももちろん努力をいたしますが、長官のほうにおいても万全の用意をなさることを心から要望する次第であります。  ところで午前中には、国土総合開発法審議を通じて、三塚委員から土地対策についていろいろとお話があり、また明確な御答弁をいただいたわけでありますけれども、直接の所掌ではございませんけれども、今後、国土総合開発推進本部長として、いまわれわれが当面しております物価問題について、この国土総合開発法の果たす役割りについてどういうふうな御認識を持っておられるか、総務長官からお伺いしたいと思います。
  59. 坪川信三

    坪川国務大臣 いま竹中委員指摘になりました物価問題の基本は、やはり地価の暴騰、土地対策にあり、この御意見全く同感でございまして、土地対策の万全を期するということ、またこれが非常に至難な問題であるということ。失礼ではございますが、四年前建設大臣をつとめさせていただきましたとき、地価公示制、私が何らかの一つの目安としてあの法制度をとらしていただいたのも、地価の暴騰を抑制したい、そういうような気持ちから地価公示制度を国にもとらせてもらったようなわけでございますので、先ほど小坂経企庁長官がお述べいただいたごとく、いわゆる物価対策基本土地対策地価対策にあり、その地価対策土地対策に対して、税制の上からも、また利用の上からも、規制の上からも万全を期したい、こういう基本方針でひとつ臨みたい。これが安定することによって、やはりおのずから諸物価も関連いたしながら下回ってくるということで万全を期したい、こう考えておる次第であります。
  60. 竹中修一

    ○竹中委員 次に移らしていただきますけれども国土総合開発法の第三条に「全国総合開発計画を定める」、また設置法の第四条第一号に、「国土総合開発に関する総合的かつ基本的な政策及び計画を企画し、立案し」云々、こうあるわけでありますが、この計画というものは、どれぐらいの期間を将来のめどにしてつくられるものでございましょうか、お答えをいただきたいと思います。
  61. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 現在は、昭和四十四年に閣議決定いたしました俗称新全総と申します全国総合開発計画は、四十年を起点として六十年を目標にしてございますが、この計画は現在、環境問題等の観点から総点検を実施しておりまして、その総点検の成果を踏まえまして、新しい国土総合開発法に基づきます新しい全国総合開発計画を策定いたしたいと考えておりますが、その計画は、昭和五十年を起点といたしまして昭和六十年という、十カ年のかなり実施に近い計画をひとつつくりたいと存じますが、その背景には西歴二〇〇〇年を目標にした長期計画を持ちたいと考えておりまして、特に国土資源が有限であるという観点、あるいは食糧問題、人口問題等についても十分超長期の構想を持ちました上で計画を練りたいというところから、六十年目標のものと二〇〇〇年目標のものと二本立てでこの新しい計画をつくりたいという用意をしておるわけでございます。
  62. 竹中修一

    ○竹中委員 いま、昔と違って実際に即した、また実現できる期間を目標にして新しい計画をつくるというお話でございますが、まことにそのとおりだと思うわけであります。  いまはもう一年で昔の十年に相当するような変化があるわけであります。特にこれからはわが国エネルギー資源というものが非常にむずかしい問題をかかえている。そしてまた、世界的にエネルギー資源、主として石油をそれぞれの国が争奪し合っている状況の中で、また食糧が非常に不足をしてくる、そしてまた開発途上国がどんどん開発されるに従って一体人口の増加はどういうふうになるものかというような、非常に心配の面があるわけであります。これをいかにして最も合理的に解明していくかということが、これからの皆さまの一番の任務になると私は思うわけであります。  ところで、たとえばせんだってのハイジャック事件でも、政府それぞれの方面からの連絡よりも、逆に各地にいる民間の商社あるいはそういうところから通信が非常に早く飛び込んでくるというようなことで、現在の政府では、そういう世界的な情報をとる機能、あるいはデータを集める組織というようなものが非常に欠けているのじゃないかというふうに私は考えるわけであります。これからのわが国国土総合開発というものは、決してわが国だけのものではない。世界全体の中で、国際社会の中で、国際経済の中で、そしてまた限られたグローバルな資源の中で進められていかなければいけないということを考えるわけでありますが、非常にまあしろうとで申しわけありませんけれども、そういう情報網がわが国政府には非常に不足しているのじゃないかというふうに思いますが、どういうふうにお考えでいらっしゃいましょうか。
  63. 坪川信三

    坪川国務大臣 全く同感でございまして、過般のハイジャック事件の国際的な情報の動きを新聞で知る場合においてもまたしかり。あらゆる点から考えて、情報の国政に及ぼす重大な姿を思うときに、先ほども申しましたように、国土開発の第一の大きな基本の柱は、いわゆる通信、いわゆる交通、いわゆる情報を中心とした一つのものを重点に置きたい。ネットワークはもちろんそうした面を第一の柱としまして、情報活動によっての万全の姿をとって格差のない国土開発を推進してまいりたい、こう考えておりますことは、全く竹中先生と同感でございます。
  64. 竹中修一

    ○竹中委員 話が、具体的な設置法案の御質問になるわけで、非常にこまかくなりますけれども、私もこの設置法案をいろいろ読んでみました。ところが非常にこまかいことがいろいろ書いてある、はたしてこれで新しいわれわれの日本列島改造国土総合開発というものが弾力的に生き生きとしてやっていけるものかどうかというふうに考えるわけです。根本的には、現在あるあちこちの機構を総合する、あるいはいろいろの審議会を総合するというような、寄せ集め的な感じが非常にするわけであります。新しい国土総合開発庁というものをつくるのではなくて、いろいろ寄せ集めてくるような感じがするわけです。そういう点で、寄せ集めてくる点、またそれをこうやって一つにまとめる点、どこにメリットがあるのか、有機的に活動できるのか、どういうふうにその点についてお考えか、お知らせいただきたいと思います。
  65. 坪川信三

    坪川国務大臣 日本国土過密過疎をなくした均衡のとれた国土開発を推進する意味において、最終目標は、住みよく、そして生きがいのある生活整備がなされた美しい生活環境をつくり上げていくということを目標に置きまして、総合的に、また整合的に国土開発を強力に各省庁が一体となって進めなければなりませんが、今般、強力な企画調整権能を持つ国土総合開発庁設置をお願いいたしました点は、第一に、国土総合開発に関する基本的かつ総合的な政策及び計画の企画、立案並びに関係行政機関の国土総合開発に関する計画及び実施の事務の調整をやるということ、また三番目には、国土総合開発前提でありますところ土地、水問題の対策等を行なわせしめるということが目標になっておりますので、過般の昭和三十九年の九月の臨時行政調査会の答申、あるいは昨年の行政監理委員会の意見にも申されておる点をとりまして、そして総合的に整合的にこれを企画、立案し、各省庁にまたがっている機能を開発庁において予算上も行政上も万遺憾なき調整、また推進の企画、立案及び事務的推進を進めてまいりたい、こういうような気持ちでおるわけでございます。
  66. 竹中修一

    ○竹中委員 いま長官から御説明を聞きますと、なるほど口では非常に言いやすいことなんです。各省庁にまたがっている事務を総合調整をする、あるいは推進をする、なるほどことばではそのとおりだと思うのですが、実際にこれはなかなかむずかしいと思うのです。きょうはせっかく長官がおいででございますので、この開発庁長官は国務大臣が当たられるということであります。ぜひ強力な方になっていただきたいと思うわけです。もちろん、いま御出席坪川総務長官も有力な候補者であると思いますが、その点を田中総理総務長官からひとつよろしく御助言をいただきたいと思うわけであります。  そこで、この国土総合開発庁ができます場合に、どういう規模のどういうような定員か。機構については、法案の中で大体局以上は書いてありますけれども、人員その他についてお知らせをいただきたいと思うわけであります。
  67. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 お答えいたします。  国土総合開発庁の定員は四百三十三名でございます。そのうち三百三十三名を今回統合されます経済企画庁総合開発局、首都圏整備委員会、近畿圏整備本部、中部圏開発整備本部等から吸収をいたすわけでございます。その結果、百名の新規増と相なるわけであります。  機構につきましては、一官房、五局でございまして、これは法律に書いてあるとおりでございますけれども、その他の官職といたしましては、次長、部長、審議官十三名、それと課長クラス四十一名ということに相なっておるわけでございます。
  68. 竹中修一

    ○竹中委員 いまお伺いしますと、四百三十三名の定員の中で三百三十三人はよそから吸収をする、新規に入る者は百人だということでありますが、実に四分の三が他の省庁から入ってくるわけであります。先ほど来申し上げておりますように、どうも人員の上からも寄せ集めという感じが非常に強いわけです。従来、私ども民間から見ておりますと、そういう官庁というものは、それぞれ出身の省庁の何か利益代表みたいな感じで出てくる人が間々あるやに聞いているわけです。そして一年か二年、できるだけ自分の出身官庁に利益になるように発言をし行動し、そしてうまくやったということで、凱旋将軍のようにもとの省庁に帰ってくるというような懸念がまた起こりはしないか。そういう点で、先ほど強力な長官を据えていただきたいということを申し上げたわけでありますが、そういう点について、もし坪川総務長官開発庁長官になった場合に、どういうお気持ちで庁内を締めていくつもりでありますか。
  69. 坪川信三

    坪川国務大臣 竹中委員の私に対する……(竹中委員「期待です」と呼ぶ)いや、まことに、私から申し上げることを、またお答えすることを慎みたいと思います。友情としてのお気持ちだけは感謝を申し上げて、他はひとつお許しを賜わりたい。  ただ、こうした重要な大国策のもとにおいての作業をやる現役官庁としましては、何といってもセクショナリズム的な考えを排して、国家百年の大計を立てるまことに重大な官庁であるという行政信念、これを推進するだけの気魄と大きい国策の上に立っての政治家としての立場での開発庁長官としてこれを推進して、田中内閣田中総理の御期待に沿う、これが国民の期待に沿う重大な姿勢であろう、こう私は考えておるわけでございます。
  70. 竹中修一

    ○竹中委員 非常に確たる確信のもとにこの新しい役所を発足させようという心がまえを承りまして、まことに心強い限りであります。どうぞ、新たにこれからこの役所に参画する職員の方々に、自分はこの省出身だとか、ここから二年くらいで派遣されているのだというような気持ちを決して持たないで、これからの将来の日本を推進していくのは自分たちであるというような自覚を——誤ったエリート意識はだめですよ。そういうような自覚を持てるように受け入れをしていただきたいと思うわけであります。  ところで、第三条の国土総合開発庁の任務の中に、「国土の均衡ある発展を図り、豊かで住みよい地域社会の形成に寄与する」ということになっているわけでありますが、豊かで住みよいということは、もちろん経済的に豊かな社会であろうと思います。そしてまた、自然環境に恵まれた風物の上からでも豊かで住みよいというふうに考えるわけであります。その両方の意味があると思いますけれども、そうすると、現在の役所の機構からいって、当然環境庁あるいは経済企画庁というようなところとからみ合いができてくると思うのであります。午前中も三塚委員が多少触れましたけれども、これからの総合開発を進めていく上において、国土保全という意味環境庁、あるいは経済発展ということで経済企画庁と、どういうような組織を通じ、どういうような機構を通じ、それぞれの連絡調整をしていくわけでありますか、お知らせをいただきたいと思います。
  71. 坪川信三

    坪川国務大臣 国土総合開発庁並びに環境庁及び経済企画庁の重要な関連性で御心配を持っての御指摘、非常に重要なことでございますので、要は、これからの日本の伸展の上において、経済の運営は経済企画庁、環境保全環境庁、国土の総合的な土地利用並びにこれらに対するところの推進は開発庁、この三者一体となって連絡調整をはかりながら、総合的に一貫した計画性をもって企画、立案をし、それを推進することによって、冒頭に御指摘、お触れになりましたごとく、物の繁栄を喜ぶ前に心の豊かさを取り戻す仕事に絶対の力をこの三者一体となった姿で行なうということ、取り戻すこと、これがいまのわれわれ政治家の果たさなければならぬ使命感であろうかと私は考えますので、そうした気持ちをもってひとつ三者が一体となってやっていきたい、こう考えておる次第であります。
  72. 竹中修一

    ○竹中委員 いま総務長官から、三者一体となってやっていくというようなことがお話ありましたが、そのとおりだと思います。ところが、従来役所の仕事というのは、三者一体になるということになると、一体どこが主導権をとるのか、どこが三者一体になる場合の会合を開くための発議をするのかというようなことがいろいろ問題になるわけです。その点をひとつ明確にお答えをいただきたいと思います。
  73. 坪川信三

    坪川国務大臣 私は、いま申しましたように、相互の調整連絡をはかって、そして重要な三本の柱のもとにおいてこの事業を推進していくということでございますので、どこが上位、どこが下位というような関係は立てるべきでもなく、持つべきでもないというようなことを考えながら、人間性豊かな住みよい国土の創造をこの三者が一体となってやっていくという義務感と誇りをもっていくべきである。どちらが上、どちらが下であるというようなことをなくして、大きい視野に立って大乗的に豊かな住みよいわが国国土を創造していくのだという、最終の未来像をわれわれの手によってつくり上げていくのだという見識と気魄とそうした信念で一体となって進めていく。しかも、国土開発庁はそうした中の調整の立場でいくということで、どちらが優位かというようなことはもう考えるべきでない、こういうような気持ちを持っておる次第であります。
  74. 竹中修一

    ○竹中委員 私が申し上げておるのは、どちらが上だとか下だとかいうことを申し上げているのではないのです。国土総合開発について問題が起こった場合に、また起ころうとする場合に、企画庁あるいは環境庁、開発庁、どこが発議をしてそういう調整をするかということなんです。往々にして役所は、上から何も言われないからまだやっていないとか、また上のほうは、下から何も言われないからやっていないということで何もできなくなってしまう、それをおそれているわけです。
  75. 坪川信三

    坪川国務大臣 事務的な立場からの解明は下河辺政府委員をお願いすることにいたしますが、政治的な立場から言いますと、さっき申しましたような基本姿勢でまいり、しかも、内閣総理大臣が総括をしていただくということで、各閣僚が全体の責任において、田中内閣の総括において、これを国策という立場から一元化して推進していく、これで御理解いただきたいと思います。事務的なことは下河辺政府委員からお答えいたします。
  76. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 現在やっておりますところを、最初に少し具体的に御説明申し上げたほうがよろしいかと思いますが、たとえばむつ小川原の開発を各省庁協力して進めようというような場合、あるいは東京湾の環境整備、あるいは埋め立て計画を総合調整しようといたします場合に、現在では、前者の場合は、経済企画庁の開発局におきまして、各省お集まりいただきまして、経済企画庁の事務の責任においてものを固めまして、そしてそれを各閣僚に御説明申し上げて、閣議として意思をきめていただくというやり方をしております。東京湾の場合には、首都圏整備委員会の中で責任体制をつくりましてやっておるわけでございますが、おそらく今後国土総合開発庁ができますれば、非常に大きな国土開発上の調整を要する問題が、環境問題あるいは経済問題として出ました場合には、国土総合開発庁の中におきまして各省の連絡会議をつくりまして、その事務の責任を国土総合開発庁の事務の方がとってまとめていくということが至当であろうというふうに考えております。
  77. 竹中修一

    ○竹中委員 そうしますと、一応、従来のルートから会議を開く、あるいは総合調整をするという道は開けているわけであります。どうぞそれをますます有機的に、能率的にやっていただきたいと思うのであります。  ところで、話は前に戻りますけれども、こういうふうに、自民党が先回の選挙で圧倒的な支持を得てきたこの列島改造論、それを受けた政府のいわゆる国土総合開発法あるいは設置法というものが、いろいろ各方面から反対を受けているわけです。たとえば、公害まき散らし論であるとか、物価の元凶である地価をつり上げる問題であるとかいうような反論もまたあるわけでございます。このことに関して総務長官はどういうふうに受けとめておられるか、お答えをいただきたいと思います。
  78. 坪川信三

    坪川国務大臣 民主政治の要諦は、反論に対しましても謙虚な気持ちでこれを受け取る、聞く、しかし正しい議論としてこれが数によって議会が議決される、これが議会民主主義の本髄であろうと考えるのであります。私はそうした立場で、いわゆる特別国会というものは、政策によって国民の批判が、審判が下されて、その支持のもとにおいていまの政府政策を、公約を果たすということに相なります特別国会という特別な使命を考えるときに、田中内閣が公約された日本列島改造の関係法案というものは、一応国民に支持していただいたものと私は理解するのは当然だと思うのであります。  そうした立場田中政府法案を提案させていただいたのでございますから、その法案審議の場において、あらゆる広場で十分、共通の問題は共通の問題として求め、反論すべきことは反論し、反論に対してまた深く顧みるという謙虚な気持ちでこれを聞き取るということも大事でございますから、そうした姿をとって審議に万全を期していただき得まして、最後はやはりマジョリティーによって結論を出していただく、これを具体化していくということが議会民主主義の本髄でありますので、野党各位の審議への御参加を切にお願いしたい、また御期待も申し上げ、きっと野党の各位もこの委員会にお臨みいただく日がそう遠くはないのだろうと思って、心から祈りを込めて期待申し上げている次第であります。
  79. 竹中修一

    ○竹中委員 わかりました。たびたび御質問を申し上げますと、まさに不退転の御決意を伺いまして、心強く思うわけであります。  それでは次の条に移らせていただきまして、第四条でございますが、ここには「所掌事務及び権限」というのが書いてあります。一号から二十五号、ずいぶん羅列してあるわけであります。そしてこれを拝見いたしますと、いろいろな表現が使ってあるわけであります。たとえば第一号の「政策及び計画を企画し、立案し、及び推進すること」、また四号の「事務について必要な調整を行ない、及びその実施を推進すること」、それから第五号の「事務について必要な調整を行なうこと」、第八号の「事務を調整すること」、第十号では「実施の調整を行なうこと」、それから十五号にまいりますと「施行に関する事務を処理すること」、さらに二十二号にまいりますと「内閣総理大臣を補佐すること」というふうに、所掌事務の権限の表現にいろいろな表現を使っているわけです。はたして大臣一人でこの権限が十分こなせるものか、非常に心配なわけです。たいへん事務的になりますけれども、権限についていろいろなことばを使っておりますが、御説明をいただきたいと思うのです。
  80. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 お答え申し上げます。  国土総合開発庁の所掌事務につきましては、基本的なことを先ほど総務長官からお答えをいたしたわけでございますが、柱といたしましては、まず第一番に基本的な政策計画を一元的に立案をするということ。第二点が、計画と実施の一体をはかる意味におきまして所要の調整を行なうこと。第三点といたしましては、国土総合開発の推進の前提である土地、水問題に対処する。この三点を総務長官から申し上げたと思うわけでございます。その三つの基本的任務を受けまして、四条各号に所掌事務を列挙いたしたわけでございます。  そこで、たとえば第一号の「国土総合開発に関する総合的かつ基本的な政策及び計画を企画し、立案し」、これはまさに先ほどの第一番の点でございまして、それを推進するわけでございます。といいますのは、そういう基本的な計画につきましては、総合開発庁が立案をするわけでございますけれども、その実施にあたりましては、これは関係省庁が実施に当たる場合が多かろうと思うわけでございますので、その総合開発庁が企画、立案をいたしました基本的な政策または計画に従いまして、各省庁が実施をされるようにバックアップをする、あるいは誘導をするという意味合いで推進をするということばを使ったわけでございます。  それから事務の調整でございますけれども、これは、「首都圏整備計画、近畿圏整備計画及び中部圏開発整備計画の実施に関する事務について必要な調整を行ない」、これも実施の権限はそれらの基本的な計画に基づきまして、各省庁が当たる場合が多かろうと思いますので、実施につきまして調整を行なうわけでございます。  それから、先生御指摘の最後の点の「事務を処理すること」、たとえば十七号にあると思うわけでございますが、「近畿圏の既成都市区域における工場等の制限に関する法律の施行に関する事務を処理すること」。これは、この法律の規定によりまして、工場、学校等の新増設の許可制をしいておりますが、その許可の権限が国土総合開発庁長官に直接法律で法定されておりますので、「処理する」という表現を使ったわけでございます。  以上でございます。
  81. 竹中修一

    ○竹中委員 いま御説明を伺ってもなかなかすぐ理解ができにくいのですが、役所というのは国民のための役所でございますので、国民が一目見て、どういうことをやるのだというふうなことが、法案法案として、実際の面でもっと平易な国民になじめることばを使う、そういうような御配慮をお願いしたいと思うわけでございます。  そこで次に、いまの四条の第二号に、「大都市の機能の改善に関する総合的かつ基本的な政策を企画し、立案し、及び推進すること」、こう書いてありますが、大都市というのは一体どこをさすわけでございますか。
  82. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 大都市といいます場合に、これは法律上いろいろ使い方があろうかと思うわけでございます。いわゆる三大都市をいう場合もございましょうし、あるいは人口四十万ないし五十万以上の都市をいう場合もございます。それは法律によりまして、運用の面で若干差はあるようでございますが、ここで考えておりますのは、第三条の「任務」にもございますように、国土の均衡ある発展をはかる。結局、その原因と申しますのは、三大都市地域における人口の集中あるいは工業の集積、これがきわめて大きくて、これが過密の原因になり、公害の原因になり、さらには過疎の問題を発生させる、こういう認識に立っておりますので、ここで申します大都市といいますのは、一応三大都市考えておるわけでございます。
  83. 竹中修一

    ○竹中委員 いま三大都市というお話を伺いましたが、現在私は東京に住んでいるわけでありますけれども、半年東京におってみて、やはり国全体から見ると、大都市施策が重点的に及ぼされているような気がするのです、予算の面でも。東京を通ってみますと、あちこちに必ず毎日工事がある。地下鉄工事がある。ガス工事がある。あるいはケーブルの埋設がある。ところがそれが非常に有機的に連係されていない。きのう舗装ができたと思うと、半月もしないうちにまたガス工事が始まる。あるいはまた、それが舗装ができたと思うと、今度は地下鉄で下のほうを掘り始めるというような、総合的なことがなされていないにかかわらず、非常に予算が大都市、東京に集中しているような感じがするわけです。そうすると、東京を過密から救うという政策よりも、逆に御承知のとおり人口がやはり東京に集まってきているわけであります。人口を東京に集める、過密にさせるというような政策がむしろ惰性的に行なわれているのじゃないかというふうに思うわけです。  そういうときに、いま東京では、政府が市街化あるいは建物の高層化をやろうとすると、東京都知事から、それは日照権の問題でいけないというふうな反論があるやに聞いているわけです。こういうことに対して、一体政府は東京都に対してどういうような御指導をなさっているのか、どういうような折衝をなさっているのか、お伺いしたいと思うわけであります。
  84. 坪川信三

    坪川国務大臣 都市開発の上から考えてみましたときに、都市開発基本は、やはり何といっても私は土地問題であろう、こう考えます。その土地問題を解消いたしまして、そしてまた並行的に考えてまいりたいことは、いわゆる職住の一元政策という立場から考えてみるときに、職住近接ということも考えなければならぬ。これを考えると、田中総理がおっしゃる高層建築という空中圏の利用、これが私は最も必要であろう、こういうような気持ちで、都市行政のいわゆる高層化というねらいは、職住近接からも、土地対策の上からも非常に必要である。  こうした点を考えるときに、いまの東京都の都市開発計画推進というものが非常に多くの矛盾を来たしておるというところでございます。たとえば御承知のとおり、筑波学園に大きな政府機関が移転される。その移転される場合において、東京都知事はどういうような考えを持っているかというと、いまの都市行政からいえば、私は何といってもこのあと地利用は、公園とか、あるいは防災に関連するところ一つの避難基地にするとかいったような、人の命に関する問題をやはり重点に考えなければならない。緑地公園にしても、どろんこ公園にしても、運動公園の増設等にしましても、東京都の公園の進捗率というのはもう地方都市から大きな隔たりが起きている。下水もまたしかり、都市河川もまたしかり。全く江東、墨田地区などへ参りますと、ほんとうにまだ蚊やハエの温床の腐ったにおいのする都市河川の現況を思うときに、そうした都市河川の改修の問題。それからもう一つ街路事業整備拡幅、それはやはり防災自身を前提にしての街路事業の推進でなければならぬ。そして私は、そうした立場土地を活用しながら、しかも大きい人命の立場に立っての土地対策施策に万全を期しながら都市開発を進めていく。遺憾ではございますが、いまの東京都の行政においてそうした点の少ないこと、私は非常に不幸だと思います。そうした点はやはり、かかることのなきよう、自治省、あるいは建設省、あるいは総理府等が絶えず行政的指導を促しながら、われらの帝都の都市開発あるいは大都市整備にいそしむべきである、こういうような気持ちを持っておるような次第でございます。
  85. 竹中修一

    ○竹中委員 総務長官から東京都の感触についてのお話を伺ったわけでありますが、行政指導なり各関係省庁から大いに話し合いによって進めていかなければいけないというお話でありますが、それがなかなかできていないのでお尋ねをしているわけです。ひとつ政治家坪川としてどういうふうにお考えになるか、もう一度お話しをいただきたいと思います。
  86. 坪川信三

    坪川国務大臣 これは、われわれ与党の政治家、また責任者の大きな責任だと私は思います。意欲をもって、しかも党利党略を離れた高度な立場から東京都政を指導していくべきだ。場合によっては強い一つ規制も行なうというようなことでいきたい。  私、四年前に美濃部さんを二度建設省へ呼んで、さっき申し上げました問題点を解明いたして、政府はいかなる援助も行なうからひとつ意欲をもって都市行政に当たってほしいということの慫慂をいたした思い出もございますけれども、これからわれわれ内閣といたしましては、竹中委員御憂慮になり御指摘になった御叱正の点を十分踏まえまして、関係大臣とひとつ力を合せて、こうした面にも積極的にひとつ取り組んでまいる。ただ議論上の遊戯ではいけない、こう考えておる次第でございます。
  87. 竹中修一

    ○竹中委員 総務長官ありがとうございました。  ところで次に移らせていただきますが、四条の三号に「地方における都市及び農山漁村の整備に関する総合的かつ基本的な政策」云々とありますが、先ほど、今後十年ぐらいの時点において新しい計画を立てていくというようなお話でございますが、ここに非常にばく然と「地方における都市及び農山漁村の整備」というふうに書いてありますけれども、そういう抽象的なことでなく、ちょっと目に映るような具体的なものはどういう姿でありましょうか。
  88. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 地方都市あるいは農山漁村の整備に関する計画につきましては、先ほど下河辺総合開発局長から御答弁申し上げましたように、五十年三月を目途として作成をされる予定でございます。全国的な計画の中にアウトラインが示されると思うわけでございますが、国土総合開発庁におきましては、特に地方都市、農山漁村の整備、これが今後のわが国地域開発一つの大きな目標であろうと思うわけでございます。と申しますのは、現在、都市人口というのが昭和四十五年で大体五千五百万ぐらいであろうと想定をされますが、昭和六十年時点に至りますと、都市人口が八千四百万人をこえるのではないかという想定がなされております。  こういう都市化の趨勢に対処いたしまして——この都市化の趨勢と申しますのは、やはり第二次産業、第三次産業の進行、それから国民都市生活への要求ということから発生すると思うわけでございますが、これをこのまま放置しておきますならばやはり三大都市圏に集中するという従来の弊を繰り返すばかりではないかと思うわけでございます。そこで、これらの都市化の趨勢を、地方都市整備をいたしまして、そこにおいて受けとめる、そこに雇用の場を創設する、あるいは魅力ある勉学の機会をつくる、さらには都市生活環境整備して暮らしやすいようにする、そういう観点で地方都市整備する必要があるのではないかと思うわけでございます。  その際に、地方都市整備は単にその都市に住む住民だけのためではなくて、あるいは農山漁村に住んでおられる住民の方も、交通手段等を整備いたしまして、都市生活を享受できるようにする必要があるのではないかと考えるわけでございます。そういう点で、地方都市整備につきましては、今後の国土総合開発についてきわめて重大な問題でございますので、総合開発庁におきましては、これをまず重点的に取り上げまして、基本的な政策なり計画を今後つくっていこうということでございます。  それと、農山村、漁村の整備でございますが、国土開発目的総合開発庁の任務といたしまして、豊かで住みよい地域社会の形成ということをうたっておりますが、要するに、どこに住んでも住民が快適な生活を享受し得るということが国土総合開発の究極の目標であるべきでございます。そこで、都市住民及びその周辺農山村、漁村を含めて享受できるような都市整備もいたしますけれども、農山村におきましても、生活環境が完備された条件のもとで生活をできるような整備を進めてまいりたいと思うわけでございます。それにつきましての計画を企画、立案をするわけでございます。  なお、農村につきましては、昭和四十八年度から農村総合整備モデル事業というものが農林省に予算がつきまして、実施をされることになっております。これはやはり、農村に住む農業従事者、並びに農村には、農業従事者のみならず都市へ通う人もおるわけでございますけれども、それらの人が快適な生活ができるようにということでその事業が始まったわけでございます。
  89. 竹中修一

    ○竹中委員 いまいろいろと計画を伺ったわけでありますが、どうも伺っておりますと、ただ絵をデッサンしているような感じがするのです。はたして農村がどういうことを望んでいるのか、あるいは地方都市に住む人たちはどういうことを望んでいるのか、そういうような意識のくみ上げというようなものはどういうことで行なわれているわけですか。
  90. 坪川信三

    坪川国務大臣 竹中委員指摘の、地方公共団体の要請、あるいは地方住民の理解、また、これらの住民の方々の願望というものを無視してこれはでき得ない、私はこう考えるのであります。そうした意味において、地方地域住民の意識、願望というような問題を十分正確に把握いたし、また地域代表である市町村長知事等の意向も十分尊重して、その理解と納得と了解の上に立って、高度な技術と高度な資金によって政府がこれを行なうという民主主義の方式をもっていくことは当然だと考えるわけです。そうした点は、十分これからの御審議を願っておる受けざらである公団法の成立をお願いいたしまして、そして新たなる開発公団の手によっていま申しました現実を具体的に進めてまいりたい、こう考えておりますので、御理解いただきたいと思います。
  91. 竹中修一

    ○竹中委員 ありがとうございました。  それでは次に移らしていただきますけれども、第四条の八号に、「総合的な交通施設の体系の整備方針」というふうな文言があります。この設置法の提案理由の説明の中にも、「特に、交通通信ネットワーク整備等の諸施策を強力に推進してまいる所存であります」というふうに申されているわけでありますが、一体、国土総合開発庁、この役所が行なう交通問題の取り扱いというようなものはどういう点にあるのでありますか。
  92. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 いま先生が御指摘になりました総合的な交通施設体系の整備方針云々ということでございますが、従来いわゆる総合交通体系の整備ということがいわれております。総合交通体系ということばを使いました場合におきましては、施設の整備という観点を離れまして、もっとソフトな面、すなわち、運賃の問題でございますとか、あるいは利用者の利便の享受とか、そういうソフトな面が入るわけでございますけれども、この国土総合開発庁におきましては、もっぱら交通施設の体系的整備というフィジカルな面からこの問題に対処してまいろうということでございます。その際、基本になりますのは、やはり、国土総合開発の戦略手段でございますところの新幹線鉄道でございますとか、あるいは高速道路、あるいは主要な道路、鉄道、港湾、そういうものの総合的な長期にわたる整備目標を立てる、これが基本方針の確立でございます。  なお、新幹線鉄道でございますとか高速道路等につきましては、運輸省なり建設省が予算要求をされます場合に、その見積もり方針につきまして、事前に総合開発庁で調整をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  93. 竹中修一

    ○竹中委員 いま交通施設の体系というものの御説明をいただきましたけれども、交通施設でなく、交通全般の体系というものは、一体どこで企画、立案、いわゆる考えられるものでありましょうか。
  94. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 先ほど申し上げましたように、広い意味の総合交通体系になりますと、施設部面にソフトな面も入るわけでございますので、その面に関しましては、経済企画庁にその所掌事務が残っておりますので、経済企画庁が国土総合開発庁なりあるいは運輸省等と連絡調整をとりながら、基本的な方針を確立するということに相なるわけでございます。
  95. 竹中修一

    ○竹中委員 何かそこら辺がただ答弁のための答弁のような感じがするわけであります。  それでは、具体的な例でお尋ねしたいと思うのですが、私は青森出身でございまして、総務長官あるいは御存じかと思うのですが、東北新幹線がいま青森県で騒いでいるわけです。あれは東京から盛岡までの路線はきまっておるけれども、盛岡から青森までの路線がきまっていない。たいへん恥ずかしいお話を申し上げるわけでありますけれども、太平洋側の人たちは太平洋側を通せ、日本海側の人は日本海側を通せということでごたごたしておるわけです。それは別に申し上げるわけではありませんが、そういう場合に私は、東北新幹線というのは、東京を中心としたいわゆる関東経済圏と北海道を結ぶ新幹線だと思うわけであります。ところ日本経済全体からいって、阪神を中心としたいわゆる関西経済圏と北海道の中心である札幌とを結ぶ新幹線が必要だと思うのです。そうしますと、関西から新幹線に乗ろうとする場合に、東海道新幹線を利用するよりも、日本の地形が弓なりにそっているもんですから、裏日本に新幹線を通したほうが二時間早く札幌に着く、こういうのです。そうしますと、私は個人的には、いま考えられている東北新幹線と、まだ構想にない裏日本新幹線というものが必要だと思うのです。いま総務長官うなずいておられますけれども、こういう場合どこの役所がこういうことをきめるのですか。
  96. 坪川信三

    坪川国務大臣 私の守備範囲ではございませんけれども、新幹線の路線の決定というものは、御承知のとおりに、具体的には鉄道建設公団あるいは国鉄等が案をつくりまして、審議会にかけまして、そして審議会の委員には各党から出ておられる、そして内閣総理大臣が最終的に決定する。私がうなずいておったのは、私もやはり北陸でございます。日本海方面でございますが、日本海の若狭を通すことによって、いわゆる新幹線の大阪との時間は非常に短縮されるというような立地的、地理的条件が同じであったから私はうなずいたわけなんでございまして、そういうような点を考えると、やはり新幹線のルート決定というのは、均衡のとれた国土開発には大きな影響を与える問題でございますから、そういった大きい視野に立ってこれらの開発計画を進むべきであると、こう考えております。
  97. 竹中修一

    ○竹中委員 私が申し上げているのは、経路をどうするかということを申し上げているのではなくて、したがって、運輸省か鉄建公団、そういうところにいく前に、裏日本にも新幹線が必要なんだ、そういう発議がどこでなされるか、こういうことなんです。
  98. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 国土総合開発庁ができまして、新しい国土総合開発法に基づきまして新しい全国総合開発計画をつくるということについては、先ほど御説明したとおりでございますけれども、その新しい全国総合開発計画の中では、運輸当局がきめる以前に、日本列島の中にどういう交通体系をつくるべきかということは十分検討の上提案しなければならないというふうに考えております。現在、四十四年に決定した全国計画におきましても、実は七千キロ程度の新幹線網の計画を一応織り込んでおりますが、この時点で国鉄の再建計画その他が今国会の御審議を経て終わりますと、再び日本列島の中で鉄道体系をどうするかということを検討いたしまして、国土総合開発庁ができました際に、国土総合開発庁の責任におきましても、総合交通体系のあり方を明らかにすべきであるという前提で作業しておりますので、御理解いただきたいと思います。
  99. 竹中修一

    ○竹中委員 いま御答弁をいただきましたが、何せ過密過疎を解決する唯一の手段というのは、地価対策もありますけれども地方におっても大都会におると同じような生活レベルで生活ができるんだ、また文化の享受ができるんだ、教育を受けられるんだということだと思うのです。     〔藤尾委員長代理退席、委員長着席〕 ということになると、やはり交通通信のネットワークというものは縦横に張りめぐらされていかなければならないというふうに考えますので、いまお答えをいただきましたように、ぜひその点については強力な発想を進めていただきたいと思うわけであります。  そこで、もう時間もなくなりましたので一言申し上げたいと思いますが、先ほど同僚の三塚委員が東北の総合開発についてお尋ねをいたしましたが、私は具体的に青森県のむつ小川原の開発についてお尋ねをしたいと思うわけです。  御承知のとおり、閣議決定で順調に手続的には進める状況にあるわけです。ところがいろいろと地元においてこれが推進しきれてない。最初の計画から見ると地域的にも減少してきているようだし、また鉄がその中に入らないというようなこともあるわけです。ところが現実問題として、この渦中にある人たちは、お互いに、むつ小川原の開発というのは公害まき散らしなんだという考え方、あるいは自分たちは現在の自然の生活のままで十分満足なんだ、よけいなおせっかいだ、というような議論まであるのです。御承知のとおり、先々月、あの小さい村が開発賛成派、反対派に分かれてしまって、血みどろの闘争をしている。結果的には、開発反対の村長と開発賛成の村会の議長が、お互いにリコール合戦をして両方とも成立しなかったという、たいへんおかしいような現象にあるわけです。したがって地元の住民というものは非常に戸惑っていると思うのです。閣議決定をされたから進んでいくのだろうといって、いろいろ不便があるけれどもこれに対して何とか協力したいという気持ちの人もずいぶんいると思う。それがいま、何か政府のほうが傍観しているようなかっこう、あるいは地元に預けっぱなしのようなかっこうというような状況にあると思うのです。これに対してどういうふうな御認識を持っておられるか、お示しをいただきたいと思います。
  100. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 むつ小川原の開発問題につきましては、いろいろ困難な問題もあり、私どもとしても懸命に努力しているところだと思いますが、御承知おきのことでございますけれども、実はこの問題は、昭和四十二、三年ごろから構想が出てまいりまして、賛否に分かれていろいろ議論もいたしましたが、規模についても最初のうちは相当大きなものを考えていたときもございますが、むつ湾のホタテ漁業の関係、あるいは公害に対するおそれの問題等もございまして、最小限環境が許す範囲にとどめたいというふうなことが、その構想が出ましたあと、だいぶ国、県の間で勉強が進みまして、現在約五千ヘクタールの用地を対象にして工業開発をしたいということで地域の方々とのお話し合いをし、一部用地買収を進めているというのが実情でございまして、このことにつきましては、四十七年の六月だったと思いますが、知事から、地元としての第一次基本計画、あるいは住民対策要綱をおきめいただいて、国のほうへの説明もいただきました。そして十一省庁集まりまして検討した結果、政府としての方針を四十七年の九月に、閣議口頭了解として地元の方々にお示しいたしました。  ただ、そのときに二つの条件がございまして、さらに一そう地域の方々に御了解をいただく努力を続けたいということが一つと、もう一つは、あの地域はいままで工業らしい工業がほとんどない地域でございますから、四日市その他の実例をごらんになって、やはり非常に御心配になるということもよくわれわれとしても理解できると思うわけでございまして、科学的な調査をもう少し繰り返しまして、納得のいく結果をつくって住民の方々に御理解をいただかなければならぬということを考えておりまして、いまその努力を、土地買収の一方で精力的に各省を動員しやっておりまして、そういう成果を踏まえて、青森県知事はできるだけ早い機会に第二次計画をまとめておきたいという御意思がございまして、それがまとまるのを私どもとしても待ちまして、その計画を尊重して国の計画をさらに詳細なものにしていくということで、時間がかかるようではございますけれども、実は開発の進め方については、地域の方々との関係あるいは環境問題との関係に遺憾なきを期したいという意味で、多少じれったいという方もおられるわけでございますけれども、慎重を期して、ぜひともむつ小川原におきまして、世界的にも理想といわれる産業基地をぜひつくりたいということでやっておりますので、御了解いただきたいと思います。
  101. 竹中修一

    ○竹中委員 いま、むつ小川原の開発の根本的なお考えをいただきまして、まことにありがたいことだと思うのですが、いままで少しあせり過ぎたと思うのです。まだ十年先、二十年先のわが国人口あるいは工業、エネルギー、そういうものが十分見きわめがつかないうちに、一番最後に出てくる土地対策が先に出てしまった。したがって、開発構想というものはどういうふうになるのか、具体的な計画ができないうちに、おれの土地は一体どうなるのか、おまえは売ったのか、おれもじゃ早いうちに売ろう、おれは先祖代々の土地は売れないというような、末端でまだまだこのあとに来るべき問題が一番先に来てしまった。そこに非常な混乱があると思うのです。先ほどお話がありましたように、どうか気長に、あせらずに、そして住民の十分納得のいくように、もちろん私ども地元としてするわけですが、その場合に、政府としても十分謙虚な気持ちで、地元住民の納得がいくようにひとつ御努力をいただきまして、そしてむつ小川原がやってよかった、地元の人はもちろんのこと、日本国じゅうの人に、あるいは世界的にも、りっぱな開発日本で行なわれたという成果があがるように、お互いに努力をしたいと思うわけであります。  大臣がお帰りでございますが、これで質問を終わらせていただきますけれども、われわれ全国民の非常な期待を集めたいわゆる国土総合開発、別の委員会で行なわれております開発法ともども設置法が、会期末と言わずにぜひとも近いうちに通りますように、われわれはもちろん努力をいたしますけれども政府の各位においても格段の御努力をお願いして、質問を終わらせていただきます。
  102. 三原朝雄

    三原委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後二時四十九分休憩      ————◇—————