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1973-07-19 第71回国会 衆議院 内閣委員会 第44号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年七月十九日(木曜日)    午前十時五分開議  出席委員    委員長 三原 朝雄君    理事 奥田 敬和君 理事 加藤 陽三君    理事 笠岡  喬君 理事 中山 正暉君    理事 藤尾 正行君 理事 大出  俊君    理事 木原  実君 理事 中路 雅弘君       赤城 宗徳君    伊能繁次郎君       江藤 隆美君    越智 伊平君       大石 千八君    近藤 鉄雄君       竹中 修一君    丹羽喬四郎君       旗野 進一君    林  大幹君       三塚  博君    吉永 治市君       坂本 恭一君    山崎 始男君       横路 孝弘君    和田 貞夫君       木下 元二君    有島 重武君       鈴切 康雄君    受田 新吉君       塚本 三郎君  出席国務大臣         文 部 大 臣 奥野 誠亮君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      坪川 信三君  出席政府委員         人事院事務総局         任用局長    茨木  広君         警察庁刑事局長 田村 宣明君         行政管理庁行政         管理局長    平井 廸郎君         文部大臣官房審         議官      奥田 真丈君         文部省初等中等         教育局長    岩間英太郎君         文部省大学学術         局長      木田  宏君         文部省管理局長 安嶋  彌君         日本ユネスコ国         内委員会事務総         長       西田亀久夫君         文化庁次長   清水 成之君  委員外出席者         議     員 倉石 忠雄君         議     員 大出  俊君         議     員 稻葉  修君         議     員 上村千一郎君         議     員 徳安 實藏君         議     員 根本龍太郎君         議     員 橋本龍太郎君         議     員 村上  勇君         衆議院法制局第         一部長     大井 民雄君         総理府人事局参         事官      大林 勝臣君         大蔵省理財局国         有財産審査課長 勝川 欣哉君         建設省住宅局日         本住宅公団首席         監理官     福地  稔君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ――――――――――――― 委員の異動 七月十八日  辞任         補欠選任   東中 光雄君     小林 政子君 同日  辞任         補欠選任   小林 政子君     東中 光雄君 同月十九日  辞任         補欠選任   近藤 鉄雄君     林  大幹君   正木 良明君     有島 重武君   受田 新吉君     塚本 三郎君 同日  辞任         補欠選任   林  大幹君     近藤 鉄雄君   有島 重武君     正木 良明君   塚本 三郎君     受田 新吉君     ――――――――――――― 七月十六日  靖国神社法制定に関する請願倉石忠雄君紹  介)(第八七七一号)  同外二件(小島徹三紹介)(第八七七二号)  同(福永健司紹介)(第八八五六号)  同(小澤太郎紹介)(第八九一三号)  同外二件(林義郎紹介)(第八九一四号)  同外五件(三池信紹介)(第八九一五号)  靖国神社国家管理反対に関する請願外百六件  (池田禎治紹介)(第八七七三号)  同外六件(岩垂寿喜男紹介)(第八七七四  号)  同(木下元二紹介)(第八七七五号)  同外三件(佐藤観樹紹介)(第八七七六号)  同外百六十六件(和田耕作紹介)(第八七七  七号)  同外百四件(池田禎治紹介)(第八八四九  号)  同外七件(岩垂寿喜男紹介)(第八八五〇  号)  同(木下元二紹介)(第八八五一号)  同外一件(佐藤観樹紹介)(第八八五二号)  同(阪上安太郎紹介)(第八八五三号)  同外四件(田口一男紹介)(第八八五四号)  同外百三十六件(和田耕作紹介)(第八八五  五号)  同外五十三件(池田禎治紹介)(第八九一六  号)  同外四件(岩垂寿喜男紹介)(第八九一七  号)  同外二十四件(小沢貞孝紹介)(第八九一八  号)  同(木下元二紹介)(第八九一九号)  同(栗田翠紹介)(第八九二〇号)  同外六十三件(竹本孫一紹介)(第八九二一  号)  同(塚田庄平紹介)(第八九二二号)  同外百五十三件(塚本三郎紹介)(第八九二  三号)  同(中村重光紹介)(第八九二四号)  同(美濃政市紹介)(第八九二五号)  同外百二件(和田耕作紹介)(第八九二六  号) 同月十七日  靖国神社国家管理反対に関する請願外百九十  一件(池田禎治紹介)(第九〇〇七号)  同外百三十四件(小沢貞孝紹介)(第九〇〇  八号)  同(神崎敏雄紹介)(第九〇〇九号)  同外二十五件(河村勝紹介)(第九〇一〇  号)  同(木下元二紹介)(第九〇一一号)  同(栗田翠紹介)(第九〇一二号)  同外百四件(竹本孫一紹介)(第九〇一三  号)  同外百三件(塚本三郎紹介)(第九〇一四  号)  同外二百七十二件(和田耕作紹介)(第九〇  一五号)  同外三百八十三件(池田禎治紹介)(第九〇  五七号)  同(諫山博紹介)(第九〇五八号)  同(石母田達紹介)(第九〇五九号)  同(木下元二紹介)(第九〇六〇号)  同(鈴切康雄紹介)(第九〇六一号)  同(中路雅弘紹介)(第九〇六二号) 同月十八日  靖国神社法制定に関する請願外一件(安倍晋太  郎君紹介)(第九二一七号)  同(荒舩清十郎紹介)(第九二一八号)  同外五十二件(内田常雄紹介)(第九二一九  号)  同(臼井莊一君紹介)(第九二二〇号)  同(植木庚子郎君紹介)(第九二二一号)  同(上田茂行紹介)(第九二二二号)  同外六件(上村千一郎君外一名紹介)(第九二  二三号)  同(上村千一郎紹介)(第九二二四号)  同(小川平二紹介)(第九二二五号)  同(小澤太郎紹介)(第九二二六号)  同(大橋武夫紹介)(第九二二七号)  同外十二件(小渕恵三紹介)(第九二二八  号)  同(小此木彦三郎紹介)(第九二二九号)  同(仮谷忠男紹介)(第九二三〇号)  同外一件(笠岡喬紹介)(第九二三一号)  同(片岡清一紹介)(第九二三二号)  同(菅野和太郎紹介)(第九二三三号)  同(木村俊夫紹介)(第九二三四号)  同(倉成正紹介)(第九二三五号)  同外五件(鯨岡兵輔紹介)(第九二三六号)  同(小平久雄紹介)(第九二三七号)  同(近藤鉄雄紹介)(第九二三八号)  同(斉藤滋与史君紹介)(第九二三九号)  同(佐々木秀世紹介)(第九二四〇号)  同(島田安夫紹介)(第九二四一号)  同(關谷勝利紹介)(第九二四二号)  同外一件(瀬戸山三男紹介)(第九二四三  号)  同外一件(田中龍夫紹介)(第九二四四号)  同(谷垣專一君紹介)(第九二四五号)  同(永山忠則紹介)(第九二四六号)  同(楢橋渡紹介)(第九二四七号)  同(西村直己紹介)(第九二四八号)  同(羽生田進紹介)(第九二四九号)  同外五件(羽田野忠文紹介)(第九二五〇  号)  同(松野頼三君紹介)(第九二五一号)  同(村上勇紹介)(第九二五二号)  同外十三件(粟山ひで紹介)(第九二五三  号)  同(森下元晴君紹介)(第九二五四号)  同(武藤嘉文紹介)(第九二五五号)  同(山下徳夫紹介)(第九二五六号)  同外六件(内田常雄紹介)(第九五四六号)  同外一件(大久保武雄紹介)(第九五四七  号)  同(大野市郎紹介)(第九五四八号)  同(海部俊樹紹介)(第九五四九号)  同(小山省二紹介)(第九五五〇号)  同外一件(佐藤文生紹介)(第九五五一号)  同外十件(正示啓次郎紹介)(第九五五二  号)  同(志賀節紹介)(第九五五三号)  同(森喜朗紹介)(第九五五四号)  同外一件(田中榮一紹介)(第九五五五号)  同(竹中修一紹介)(第九五五六号)  同外一件(西岡武夫紹介)(第九五五七号)  同(旗野進一紹介)(第九五五八号)  同(林義郎紹介)(第九五五九号)  同(前田正男紹介)(第九五六〇号)  同外六件(増岡博之紹介)(第九五六一号)  靖国神社国家管理反対に関する請願外四十八  件(安里積千代紹介)(第九二五七号)  同外百五件(池田禎治紹介)(第九二五八  号)  同(石橋政嗣君紹介)(第九二五九号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第九二六〇号)  同外十一件(大出俊紹介)(第九二六一号)  同外五十八件(小沢貞孝紹介)(第九二六二  号)  同(岡田春夫紹介)(第九二六三号)  同外一件(勝澤芳雄紹介)(第九二六四号)  同外二十七件(春日一幸紹介)(第九二六五  号)  同(木下元二紹介)(第九二六六号)  同外二件(坂本恭一紹介)(第九二六七号)  同(楯兼次郎君紹介)(第九二六八号)  同(広瀬秀吉紹介)(第九二六九号)  同外二件(横路孝弘紹介)(第九二七〇号)  同外五十四件(和田耕作紹介)(第九二七一  号)  同外百二十八件(安里積千代紹介)(第九五  六二号)  同外百四十四件(池田禎治紹介)(第九五六  三号)  同(諫山博紹介)(第九五六四号)  同外六件(岩垂寿喜男紹介)(第九五六五  号)  同(浦井洋紹介)(第九五六六号)  同外百二十九件(小沢貞孝紹介)(第九五六  七号)  同外二百七件(春日一幸紹介)(第九五六八  号)  同外百八十一件(河村勝紹介)(第九五六九  号)  同(木島喜兵衞紹介)(第九五七〇号)  同(田口一男紹介)(第九五七一号)  同(田代文久紹介)(第九五七二号)  同(多田光雄紹介)(第九五七三号)  同外百二十八件(竹本孫一紹介)(第九五七  四号)  同外二百七件(塚本三郎紹介)(第九五七五  号)  同(中川利三郎紹介)(第九五七六号)  同(中路雅弘紹介)(第九五七七号)  同(東中光雄紹介)(第九五七八号)  同(平田藤吉紹介)(第九五七九号)  同(松本善明紹介)(第九五八〇号)  同外一件(三浦久紹介)(第九五八一号)  同外三十九件(八百板正紹介)(第九五八二  号)  同外百三十件(和田耕作紹介)(第九五八三  号)  同外十二件(稲葉誠一紹介)(第九九〇二  号)  同外一件(高橋繁紹介)(第九九〇三号)  同(楢崎弥之助紹介)(第九九〇四号)  同(長谷川正三紹介)(第九九〇五号)  動物保護及び管理のための法律制定に関する  請願鯨岡兵輔紹介)(第九二七二号)  同(山口敏夫紹介)(第九二七三号)  官公労働者ストライキ権回復に関する請願  (多田光雄紹介)(第九二七四号)  同(矢野絢也君紹介)(第九九〇七号)  両眼失明重度戦傷病者に対する恩給等改善に関  する請願粟山ひで紹介)(第九二七五号)  傷病恩給支給額改定に関する請願鈴木善幸  君紹介)(第九二七六号)  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案反対に関する請願多田光雄紹介)(第  九二七七号)  大和基地跡地利用に関する請願大野潔君紹  介)(第九二七八号)  同(土橋一吉紹介)(第九二七九号)  同(長谷川正三紹介)(第九九〇六号)  恩給共済年金受給者処遇改善に関する請願  (奥野誠亮紹介)(第九五四三号)  軍人恩給等改善に関する請願加藤紘一君紹  介)(第九五四四号)  同外一件(楢橋渡紹介)(第九五四五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 七月十六日  靖国神社国家護持に関する陳情書外二件  (第四五八号)  両眼失明重度戦傷病者に対する恩給等改善に関  する陳情書(第  四五九号)  同和対策事業推進のための財源措置に関する陳  情書外一件  (第四六〇号)  自衛隊植林奉仕に関する陳情書  (第四六一号)  キャンプ朝霞跡地利用に関する陳情書  (第四六二号)  軍人恩給等改善に関する陳情書  (第五三六号)  実在職三年以上の旧軍人に一時恩給支給に関す  る陳情書  (第五三七号)  靖国神社国家管理反対に関する陳情書外三件  (  第五三八号)  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案反対に関する陳情書外一件  (第五三九号)  北海道開発局函館開発建設部利別川今金改修事  業所の存置に関する陳情書  (第五四〇号)  不発爆弾物理探査費全額国庫負担に関する陳  情書  (第五四一号) 同月十八日  基地周辺整備対策確立に関する陳情書  (第六〇八号)  移転集約を受ける基地周辺市町村に対する財政  援助に関する陳情書  (第六〇九号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  文部省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一五号)  靖国神社法案橋本登美三郎君外十名提出、衆  法第三二号)  国の行政機関の休日に関する法律案大出俊君  外六名提出衆法第三八号)  一般職職員の給与に関する法律の一部を改正  する法律案大出俊君外六名提出衆法第三九  号)  休日の範囲改定等のための民事訴訟法等の一  部を改正する法律案大出俊君外六名提出、衆  法第四〇号)  動物保護及び管理に関する法律案起草の件      ――――◇―――――
  2. 三原朝雄

    三原委員長 これより会議を開きます。  文部省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。和田貞夫君。
  3. 和田貞夫

    和田(貞)委員 きょう私は、各省にわたっている問題でありますが、特に文部省関係に一番多い定員外職員の問題について質問させていただくということで、実は東京大学関係者参考人としての出席を求めておったのでありますが、参議院における筑波大学法案強行採決に対する抗議ストライキ、それに私がきょう質問しようと思っておりました定員外職員問題解決のための抗議ストライキ、あわせてきょうは二時間ストライキをやっておるわけでありますが、これに対処するためにということで、東大の関係者がいずれも参考人として出席することを断わってまいったわけであります。私もそのために非常に大きな被害者であります。問題に対処していくために非常に残念であります。特に教育に関する法律というものは、無理やり法律をつくっていく、無理やり法律を成立させていく、こういうようなことは私は好ましくないことだ。場所的にどうかと思いますが、自民党の皆さんにひとつ強く反省を求めたいと思う。これを受けて立って、今後その法律で運営されていく文部大臣として、もちろん議会の議決については内閣の知っている範囲ではないと思いますが、この点について文部大臣いかようなお考えかということをまずお聞きしたい。
  4. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 参議院に起きた事態に対しまする批判は、政府側としては慎ませていただきたい、このように申し上げておきたいと思います。  文部関係法案につきまして、野党の方々から強い抵抗を受けておりますので、その点について触れさせていただきますと、私としては、一つの法案につきまして、参議院でたとえば筑波大学法案の前に教育職員免許法の御審議をいただいたわけでございますけれども、参議院で七十八日間御審議いただきました。六十日を過ぎてなお議決されませんと、国会法によりまして、議決されたものとみなして、衆議院で三分の二以上の多数でこれを成立させることができるという規定のあるところから考えますと、政府側としても、もう少し詰めた御審議をいただけぬものだろうかなという希望は、これは私は捨て切れない感じがいたします。同時にまた、昨年総選挙で、その結果、内閣総理大臣がきまり、責任政府がきまったわけでございますので、やはり意見の分かれるところにつきまして、基本的な対決点でないものについては譲っていただけぬものだろうかなという希望もございます。しかし、いずれにいたしましても、国会におきまして、与野党を通じまして十分な意思の疎通がはかれるような体制がもっと深まってまいりますることを、私といたしましても、心から期待をし、また、そういう努力の積み重ねが必要だという判断はいたしておるのでございます。
  5. 和田貞夫

    和田(貞)委員 問題の本質をそれますので多くは語りませんが、そのことによって、きょう私の質問に対して参考人が来れぬようになった。その理由として、参議院強行採決によってストライキを二時間行なっておるということ、非常に私は残念に思うわけです。  そこで、まず文部大臣にお伺いしたいわけですが、過日、私、東京大学総合図書館に参りまして、大かた半日間かかりまして、その図書館勤務しておる定員外職員方々と懇談をしたり、あるいはそれらの方々が実際にどういう仕事をしておるんだ、どういう勤務形態にあるのかということについて見せていただいたわけなんです。  その中で一、二の例をあげますと、たとえば東京大学総合図書館が一九六五年の七月に国連から国連寄託図書館として指定されて、翌年の一月から国連資料室として開設しておるわけです。ところで国連資料室はできたものの人がない。すでに八年を経過しておるわけでありますが、その間、定員内の職員事務を担当するというのではなくて、入れかわり立ちかわり定員外職員国連資料室事務を担当する、こういうことを繰り返しておるのです。そして今日現在も国連資料室には、定員内の職員一人と定員外長田知子さんという職員が一人、計二名配置されておるわけです。国連資料室業務というものはたいへんでございまして、国連のほうから送付される公式記録条約集販売刊行物、あるいは謄写印刷文書と、ばく大な資料を整理をしたり、あるいは収集したり、あるいは製本したり、資料要求者に対しましては謄写事務をやったりしておるわけであります。四十九年度の図書館概算要求におきましても、定員内の職員三名を増員してほしい、そしていま一人配置されておる定員外長田知子さんの定員化もあわせて要求しておるわけであります。このような仕事というものは、臨時的ではなく、季節的でもなくて、将来仕事がなくなっていくであろうと思われるような仕事でもなく、全く恒常的かつ不可欠なものであると、私はこの目で認めて帰ってきたわけであります。  あるいは松本明子さんという方に会いまして、おなかが大きくて、来年の一月に出産を予定されておる。定員職員でありましたならば産休という有給休暇がある。彼女の場合は定員外職員であるために、無給でしか休むことができない。それどころか、休んでおる間は収入が入らない、あるいは休んでおる間にいつ首になるかわからない、こういう不安に脅かされる中でお産をしなくちゃならない、こういう全く理不尽な身分差別定員外職員実態なのである。現在調査をしておるわけでありますが、大阪大学におきましても、定員外職員の方が、このような状況の中で無理をして勤務をしたために流産をした、こういう事件が起こったということを私の手元まで報告されておるくらいであります。  また学内で、総長から各部局長あてに出されました「いわゆる定員外職員の問題について」、こういう文書を拝見いたしますと、総長自身も「いわゆる定員外職員(または臨時職員、すなわちかなりの期間にわたって定員内職員とほぼ同様の勤務に服している日々雇用職員をここでは主としていう)」と、わざわざカッコ書きで、こういうような表現をしておるわけであります。さらに、その文書の末尾のほうには「研究教育のためには定員外職員の問題を無視してよいというのでは、研究至上主義のそしりはまぬがれえないであろう。定員外職員なしには現行の教育水準を維持しえないというのならば、学生定員削減等も将来は考えざるをえないであろう」、こういうような表現がなされた文書学内に送付されておるのであります。このような実態を私はつぶさに見てまいったわけであります。  このような上から、文部大臣にまず第一点としてお尋ね申し上げたいのは、昭和四十六年五月十八日の参議院における内閣委員会で、わが党の上田哲議員質問に対しまして、当時、坂田文部大臣病気欠席のために、大臣にかわって西岡政務次官出席をしておるのでありますが、その西岡政務次官答弁によりますと、「人権問題としてという問題が、この問題の基本的な問題としても存在するということは、私も十分に認識する」云々、「善処していくことをお約束いたします」。これは議事録でありますが、こういうように答弁しておりますが、これは文部省としての最高見解である。今日までいろいろと見解を出された中で、大臣にかわる政務次官国会において答弁した見解でありますので、これは文部省として最高見解である、こういうように私は思うわけでありますが、現在も文部省としてはこの考え方を踏襲していると解釈していいかどうか、この点まず文部大臣のほうから御答弁をお願いしたいと思います。
  6. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 いまお話しのようなこともあったからかもしれませんが、欠員がありますとか、あるいは定員増加がありました場合に、臨時的な職員として勤務されている方のうちで、定員内職員になることを希望される方をかなり優先的に振りかえるというような措置がとられているようでございます。ただ図書館業務は、臨時的な仕事とか、あるいはパートタイム仕事などがかなり多いようでございます。でございますので、いまお話を伺いながら感じたのでございますけれども、職場職場にふさわしい人の採用のしかたをする、それは必要だろうと思うのでございまして、その結果の人を見て、パートタイム、臨時的な仕事の人であるにかかわらず恒常的な職員にしろとは、おっしゃっていないのだろうと思うのでございます。でございますので、いま私が申し上げましたように、欠員あるいは定員の増、そういう際には、臨時的な職員の方であって恒常的な勤務に服したいという方を優先的に拾い上げる、こういうシステムが必要じゃないか、かように考えるわけでございます。できる限り少ない人数で多くの仕事を処理しようというところに若干無理があるのかもしれません。また、恒常的な仕事が非常にふえてきます場合には、文部省としても十分定員増加に努力していかなければならないと思うわけでございますけれども、いまのような事情もひとつ御理解を賜わるようお願いを申し上げておきます。
  7. 和田貞夫

    和田(貞)委員 私がお尋ねをしておるのは、いま読み上げましたように、当時の西岡政務次官が、これらの職員を人権問題として取り上げておられるところを私は評価しておるわけです。そういうことで、今後善処することを約束します、こういうように言うておるわけです。  先ほど一、二具体例をあげたわけなんですが、全く人権問題に相当するわけです。日々雇用という形で実質的には常勤的職員と何ら変わらない執務をしておりますし、職務の内容であり勤務形態である。くどいようでありますが、人権問題としてこれは処理していかなくちゃならない、考えていかなくちゃならないという西岡政務次官の考え方、これは私は文部省としての、いままで述べられた見解最高見解である。こういうように私は評価しておるわけなんです。文部大臣、今日も、大臣個人の考え方じゃなくて、文部省としてこのような考え方を踏襲しておられるかどうか。踏襲しておるというように私は解釈しておるわけなんですが、それはどうかということをお尋ねしておるわけです。
  8. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 人それぞれ表現は違うだろうと思うのでございまして、そこは許していただきたいと思うのであります。やはり、できる限り人それぞれの事情をくみ上げてあげる、これは努力は必要だろうと思います。そういう意味で、恒常的な職員になりたい方につきましては、欠員があるとか、定員がふえるとか、そういう場合には、優先的に振りかえてあげるというような運営が行なわれている、こう申し上げているわけであります。
  9. 和田貞夫

    和田(貞)委員 私は、個々の問題じゃなくて全般について通ずる問題である。そのようなものもあるというように文部省が解釈しておられるのであれば大きな間違いだ。その大半といっていいか、その大部分といっていいか、これは早急に解決しなくちゃならない人たちばかりなんです。後ほどいろいろと私は具体例をあげてみたいと思うのです。  いまの文部大臣の御答弁、私は不満でありますが、ついでに、次のことも、文部省として態度が変わっておらないかということをお尋ねしたいのですが、同じく四十六年の五月十三日の参議院内閣委員会における足鹿覺委員質問に対して、当時の安嶋官房長の答弁でありますが、当時、東大総長から三点の要請が文部省になされておる。そのうちの一つ、現在の非常勤職員定員化してほしい、個々の職員じゃなくて現在の非常勤職員定員化してほしい、こういう要求が当時の東大総長の一つの要望事項である。これに対しまして官房長は、定員化ということで解決するという表現は使っておらない。「必要な業務に対応する増員措置をやりたい」と、いま文部大臣の言われた答弁とあまり変わらないわけなんです。それに加えてこういうことを答弁として出されておる。いろいろと足鹿委員文部省とのやりとりの中で、もちろん大学の最高責任者は総長であるが、総長自体細部にわたる問題までいろいろと熟知しておることではない、そこで、それぞれの学部の責任者の方が一番よく知っていると思う、だから予算折衝の中で学部の責任者に会って事情を把握する、事情を聞き入れる、そういうようなことをやる考え方はないか、すべきじゃないか、こういう質問のやりとりがなされておるわけですが、これに対しまして官房長が、「個々の学部の責任者の方が帯同をしてお見えになりまして、ぜひ実際の話を聞いてくれということでありますならば、私ども耳を傾けるにやぶさかではございません」、こういうように言っておるわけです。形式的に大学の責任者が東大総長である、あるいは事務の責任者は事務局長である、こういうことで、かなり内部的にいろいろな要求がありましても、片方では行政管理庁のほうから、定員の削減、あるいは臨時職員定員化をやってはならないという閣議決定の押しつけ、これがあるために、文部省としても、極力各大学の実態を吸収するというのではなくて、実態はわかりながらも、できるだけそのような要求は出てこないように押しつけておる、私はこういう傾向があるように承るわけなんです。そこで、いま申し上げましたように、実際の実情というものをやはり文部省が聞き入れる。そうしてその実態の実情というものを文部省が把握をして、定員の増大、あるいは今日の定員外職員定員化のために極力積極的に努力する、こういう姿勢が必要であろうと思うのですが、いま読み上げましたように、安嶋官房長が、実際の話を学部の責任者等からも聞いて耳を傾けるのに決してやぶさかじゃない、こういうふうに言っておるわけなんですが、この点について文部省の態度はいまもなお変わっておらないかどうか、ひとつお答え願いたい。
  10. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 各省を通じまして、政府の定員を削減するという努力が数年来続けられてまいっているわけでございます。この措置文部省も同じように、率が低いものの適用を受けておりますために、各大学にかなりな無理がいっているというように私も存じているわけでございます。図書館だけの問題ではなしに全体的にかなり無理がある。文部省といたしましては、新しい研究を大学で始めてもらう、あるいは新しい学科を起こすという場合に、できるだけたくさん定員をふやしてもらう、そういうことによって穴埋め的な働きもさせるというようなことで、実は努力を続けてきているわけでございます。同時に、予算編成の前には各大学から文部省に対しましていろいろなお話がございますので、各大学のいろいろな御意見、できる限りその御意見どおりに持っていくことが文部省の使命であろう、こう考えて努力もしているわけでございますので、いまお話しになりましたことはそのとおり受け取っております。
  11. 和田貞夫

    和田(貞)委員 そうすれば、私が先ほど申し上げましたように、東京大学実態というものが私の見た目のとおりであるということを私は証言をしてほしかったわけなんですが、きょうは参考人が出てこられなかったことを非常に残念に思っておるわけなんであります。  そこで、過日、文部省に対しまして、国立学校のいわゆる定員外職員実態について資料を私は求めておる。出てまいりました資料によりますと、雇用数が一万七百二十六人である、こういうことだけでありましたので、これでは資料にならぬということで、あらためてことしの五月三十一日の決算委員会におきまして、野党の質問に対しまして大学学術局長答弁によりますと、毎年、非常勤職員実態調査をやっておる、官房から各大学事務担当者を通じまして実態調査をやっておる、こういうように答弁をされておるわけでありますので、その毎年やっておる非常勤職員実態調査を、各大学別に、勤続年数別、日々雇用の非常勤職員勤務の態様別、それから性別、年齢別、こういうように調査結果の資料をいただきたい、このように要求しておるわけでありますが、いまだにその資料が私の手元まで提出されないわけです。これは資料はないんですか。
  12. 木田宏

    ○木田政府委員 各大学別の非常勤職員の数を、先生からの御要請があったということで、差し上げたということで、私もけさその写しをもらったところであります。
  13. 和田貞夫

    和田(貞)委員 どこへ差し上げたのですか。
  14. 木田宏

    ○木田政府委員 国会のほうを通じまして、先生のお手元に届くように、十七日に資料を作成して担当に渡したいということを聞いたわけでございますが、まだお手元に届いていないとすると、たいへん恐縮に存じます。いま写しがございますから……。
  15. 和田貞夫

    和田(貞)委員 いま資料をいただいたばかりで、読むことはできないわけなんですが、私は少なくとも、国立大学の図書館協議会というのがありますが、この国立大学の図書館協議会の総会に出ておるこの資料、それから国立大学の婦人集会で出されておる定員外職員実態調べの資料、これを拝見いたしますと、かなりの定員外職員がおられるわけです。大学の規模の大きいところほど定員外職員が非常に多い。これはもちろんそのとおりでありましょうが、そういうようなこと。各大学によって、これらの定員外職員の処遇の問題、待遇の問題それぞれ若干は異なっておりますが、何とかかんとか可能な範囲内において、極力定員内の職員と同様の処遇を与えるための努力が見受けられるわけです。  たとえば年次休暇については、人事院規則によっては六日、七日しか認められないということになっておるものを、学内でそれぞれ常勤職員と同じように二十日間を黙認するという姿をとっておる大学、あるいはそれに近い年次休暇を与えておるような大学、これはいろいろありますが、その努力がなされており、あるいは産休、生理休暇、病欠、忌引き、年末年始の休暇、その他祝祭日、このようなことも黙認するという形、あるいは正式にそれぞれの職員組合と大学側との間に約束をしておるというようなことですね。これも常勤職員とほとんど変わらないように、それぞれ極力努力されている。通勤手当、住居手当も同じことでありますが…。  この中で大事なことは、本来、この非常勤職員の場合は一日八時間以上の勤務をこえない、八時間の範囲内、こういうことになっておるわけでありますが、実情として、定員内の職員と同じように時間外労働を余儀なくされておる、そのために時間外手当の支給もかなりなされておる、こういうような実情を見てまいりますと、私はこれは、非常勤の職員である、臨時の職員である、日々雇用職員である、こういうように解釈することができないわけです。  大学自身もそのことを認めて、いま申し上げているようにかなりの努力をされている。あるいは国立大学図書館協議会のほうから文書をもちまして文部大臣提出されておるこの文書の中で、あちこちへし折ってこの字句を拾ってみますと、「やがては平常業務の遂行さえも困難さを伴うに至ったのである」。業務量が増大しておるにもかかわらず人手不足の点をこういうように表現しております。さらに増員要求がなかなか認められておらない、ほとんど解決されるに至っていない。そのために「人件費の圧迫は、図書館予算の運用をきわめて窮屈なものにする事態をも生み出している」、こういうような表現もなされておるわけなんです。非常に残念なことでありますが、一方的に定員の削減、あるいは総定員法自体、今日の行政事務実態に即した定員になっておらないために、定員外職員が増大する一方、そうして今度、定員外職員はなくする方向で努力されるんじゃなくて、それ自体にもいろいろとしわ寄せが起こってまいりまして、今度はそれよりもさらに労働条件の劣悪なパート制度というものを導入する、こういうような動きもあるわけなんです。これじゃ、今日の定員外職員を根本的に改善するというんじゃなくて、だんだんと劣悪な条件に追いやっておる、こういうことも考えられるわけなんです。  いま申し上げました二つの資料に基づきましても、これは決して、特定の人たち、あるいはその一部の者を定員化していくために努力をしていくというんじゃなくて、全体の問題としてとらえて、全体の問題を定員化のために解決していく、そのためには、もっともっと積極的に行政管理庁に当たって定員増加のために努力していく、こういう文部省の考え方になってもらわなくてはならないと思うわけなんですが、この点についての御見解をひとつお伺いしたい。
  16. 木田宏

    ○木田政府委員 大臣も、先ほど御答弁申し上げましたように、国立大学の拡充整備のために必要な恒常的職員定員の増につきましては、毎年数千人にのぼります増員要求を行なっておりまして、しかも三千人に近い増員まで認められておる年もあるわけでございます。今後私どもは、国立大学の拡大ということを考えますと、一そう必要な恒常的職員定員の増ということは関係方面にお願いをしてまいらなければならないというふうに考えております。四十六年の政府委員の御答弁も御指摘がございましたが、同じような気持ちで実態を把握しながら、必要な事務量の増等に対応いたします教職員の増ということは、強く要求いたしたいと考えるのでございます。  ただ、そのことと、それから国立大学が教育研究の場でございまして、大学の教育研究活動が拡大していきますにつれまして、その中にどうしても臨時的な、あるいは事務量に変動のある研究補助的な、そういう職が必要であるということもまた起こってくるわけでございます。したがいまして、年々私ども正規の予算でも三千名余にのぼります補助職員を計上させていただいております。なお、そのほか大学の教官は、自分の研究費の中から、研究補助だとか、あるいは協力者等に対します弾力的な予算の使い方を、公費の中で認めておるものでございますから、御指摘のように、一万余人にのぼります非常勤職員がおる次第でございます。この非常勤の職が必要であって、それに一万近い職員がいるということは、今後も変わらないのではなかろうかと思うのでございますが、ただ問題は、そこに非常勤として勤務するその大部分、四分の三以上が、本来必要な臨時的、季節的な業務に対応する職員として勤務していただいておるのでございますが、特定の方につきましては、御本人が常勤的に勤務できる、またできるならば常勤的な職務として引き続き勤務できるようになりたいというようなお考えの方がおられることも事実でございます。そういうことのために、非常勤の職に常勤的な希望の方を長くとめおくという人事管理上の問題点がございまして、先ほど来御指摘になったような特定の個人にとってみますと、もう少し人事管理上考えたほうがいいではないかという具体の問題点が起こっておるということは、私どもも十分承知をいたしております。そのために、大臣も御答弁申し上げましたように、東大におきましても、年々、常勤的な職に振りかえて勤務すべきものにつきましては、それを受け入れまして、四十六年も二百六十四名を非常勤職員から振りかえるというような措置をいたしまして、個々人の御要請にどういうふうに対応していくかということは、個別の人事管理の問題として十分に対処していきたい。と同時に、大学の教育研究活動というものが今後ますます拡大もいたしてまいりますと、常勤的な職の拡大とともに、こうした非常勤的な職種というものも職種として必要になってくる面があるという点は、ひとつ御理解を賜わりたいというふうに考える次第でございます。
  17. 和田貞夫

    和田(貞)委員 いま四分の三までが臨時的な職ということばが使われているわけですが、これは何を根拠で言っているのですか。
  18. 木田宏

    ○木田政府委員 四分の三までが、先ほどお手元にも差し上げた資料にございますが、三年未満で大体退職いたしておるのでございます。一年未満で六カ月以下というのもかなりの数にのぼっておるわけでございます。でございますから、その職の性質といたしますと、季節的なもの、臨時的なもの、あるいは事務量に変動のある業務に従事する職、それに充てられるべきものととて、職員がそういう前提で職につき、所定の一年あるいは二、三年の間に退職をしていくという実態があるわけでございますから、こうした臨時的な本来の非常勤の職員というものの運営につきましては、私は大学の教育研究実態に応じてこれが今後も残っていくというふうに思うのでございます。  ただ問題は、特定の方々が常勤的に勤務できる職につくことを希望し、また常勤的に勤務できるという本人がいらっしゃる場合に、それがいつまでも非常勤的な職についてなければならないという人事管理上の問題として今後改善をはかっていかなければならぬという点がある。それは、非常に長く勤務していらっしゃる方、これにつきましても個々に考えなければならぬ事情もあるわけでございますが、しかし人によりましては、むしろ常勤職としての勤務よりは非常勤として勤務することを望まれる方もあるわけでございまして、そういう方を除きまして、希望の強い方を正規の職に迎え入れるという人事管理上の処置は講じてまいる必要があろう。西岡政務次官の御答弁も御指摘でございましたが、こうした個々人の生活問題というものは、任命権者として十分実態を見てお世話を申し上げなければならぬという点は、同じように私どもも考える次第でございます。しかし、職といたしましてこうした臨時的、季節的な職があって、それにふさわしい方をお迎えするということは、教育研究の現場にありましては御理解を賜わりたいというふうに考える次第でございます。
  19. 和田貞夫

    和田(貞)委員 私はそれで文部省に要求しておりましたのは、はたして三分の二なのか四分の三なのかわからないので、いま局長言われているように、臨時的な仕事をやっている者が何人、将来なくなってしまう仕事に携わっている人が何人、年間に事務量の変動のある仕事をやっている方が何人、あるいは季節的に雇用している者が何人、こういうように分類をして、各大学ごとにそれでは資料を見せてください、資料をいただきたい、こういうのを私は要求しておったのです。いまいただきました資料には、そのことが盛られておらないわけです。  いま言われているように、四分の三までが三年以内にやめてしまう、だから四分の三までが臨時的な職にあるのだというような言い方は当てはまらない。本来、日々雇用職員というのは日雇いなんです。毎日毎日の雇用なんです。そうして非常勤というのは、文字どおり毎日常勤をする必要がない、一日八時間に拘束される必要がない、一週間のうち三分の二まで勤務する必要がない、これが本来の非常勤職員である。たとえ三年以内にやめる人についても、私がいま言うたようなことには該当をしているものが一人だっておらない。中にはおるかもわからないが、それをさして四分の三までが臨時的な職だというのは、私は当てはまらないと思う。逆にむしろ、一年以内にやめてしまう人、これが本来の非常勤職員としての臨時的な職に該当する人員だ、こういうふうに解釈する必要が私はあると思う。そうすれば、少なくとも国立大学の図書館だけを見てみましても、むしろいま局長答弁されたこととは逆に、一年未満にやめてしまう人が男が六十一人、女が二百九人、これを差し引きますと、合計八百三十九人の中で五百六十九人の人が、一年以上、多い人では五年以上、七年以上、十年以上同じ職に勤務しておるわけです。言うならば逆だ。八百三十九人のうちで五百六十九人までが、いわゆる臨時的な職でない、常動的な職に携わっている職員であるという解釈をすべきが妥当じゃないか、こういうふうに私は思うわけなんです。その点どうですか。
  20. 木田宏

    ○木田政府委員 御意見ではございまするけれども、教官の研究にしても、業務にいたしましても、大学内におきます研究実態、あるいは教育実態、いろいろ多岐にわたっておりまして、そしてものによりますと、科学研究一つとってみましても、二、三年の周期で研究活動を続けられる、それも一年のうちのある時期に繁閑が片寄るといったような業務というものはあるわけでございます。ですから、それが周期的にサイクルになって起こってまいりましても、職の性格といたしますと、やはり臨時的、季節的な業務というふうに考えなければならないかと思っておるのでございます。でございますから、そういう職があるという点はひとつ御理解を賜わりたい。また、職の性質上、常時入れかわり立ちかわり、中身が違いながら継続してそういう姿が続くということも、大学の実態からしまして必要があるという点は、御理解を賜わりたいと考える次第でございます。一年以下のものだけが臨時的なもので、二年以上にわたるものがすべて恒常的だというふうにはいえないのではなかろうか。  私は先ほど、三年以上の人については少し人の扱いとして考えなければならぬものがあるのではなかろうかというふうに申し上げたわけでございますが、しかし職の性質といたしますと、やはり職自体は臨時的な職でございまして、それに特定の方が三年以上にわたって長く就任するということは、個々人に対する人事管理上の問題として考えなければならぬ点がある、そういう点は指導いたしておるものでございます。毎年、千数百名にのぼります非常勤職員の中から定員内職員への任用がえということも行なっておる次第でございまして、個々の職員を常勤のポストに移しかえていくということは、三年以上も非常勤の職員として勤務されます方につきまして考えていかなければならない人事管理上の問題だということは十分に承知いたしておる次第でございます。
  21. 和田貞夫

    和田(貞)委員 それでは、いまだに五年以上、七年以上、十年以上という人がおるわけですが、これはどうしておるのですか。
  22. 木田宏

    ○木田政府委員 これは、個々の大学の個別の職種との関係で異動がうまくいかない、そういう個々の具体の問題にかかってくるのではなかろうかと思うのでございます。でございますから、私どもも、毎年、年に何回となく、こうした職員の任用がえ問題の解決につきましては、担当者の間でどういうふうに進めていくかということの指導、助言をいたしておるわけでございます。総体的には千数百名の繰り入れがここ毎年ずっと引き続いて行なわれておりますけれども、個別の問題といたしましてそういう残っている方がある。これは、移しかえる恒常的な職と、いまついておられる非常勤の職とのかみ合い方というような事情が個別にはありますので、若干そうしたズレが起こっておる、こう考えております。
  23. 和田貞夫

    和田(貞)委員 一万七百二十六人というのは、いま局長の言われておる数字とは逆に、大半がむしろ常勤的職にある。一部が非常勤的な、臨時的な職にある、これはすりかえられておるというように私は解釈しておるわけなんです。  そこで、この臨時的な職というのは一体どうなんだということは、文部省はいまそういうことを言っておられるのですが、政府間で統一的な見解をなされるところは一体どこなんですか。(「行政管理庁だ」と呼ぶ声あり)それでは、行政管理庁からお聞きします。
  24. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 私ども所管いたしておりますのは、行政機関職員定員に関する法律というのがございまして、そこで定員として処遇すべき者は何であるかということを、第一条を中心に規定いたしておりますが、それは「恒常的に置く必要がある職に充てるべき常勤の職員定員」という規定のしかたをいたしております。そこで、ただいま御質問のいわば非常勤の職員についての規定はどこにあるかと申しますと、これは私どもの所管の法律ではございませんので、人事院御所管の法律になるわけでございますが、一般職給与法に初めてそういうことばが使われておりまして、そういう意味におきましては、非常勤自体についての扱い方という問題は、いずれかと申しますれば人事院の御所管ではなかろうかというふうに考えております。
  25. 和田貞夫

    和田(貞)委員 それでは、いま教えてもらったけれども、間違っておるわけだ。人事院、来ていますか。
  26. 茨木広

    ○茨木政府委員 先ほどからいろいろ論議されております問題点は、官職の設置の問題をどう考えるかということとのかみ合いの問題だろうと私は思います。私のほうで所管いたしておりますのは、一応、非常勤というポストが設置されまして、そのものにどういうふうに任用するか、あるいはその任用された者をどう待遇するかということについて、国家公務員法なり給与法等に関係の、あるいはそれに基づく人事院規則に関係の諸規定がある、こういうように承知いたしております。本来、官職をどう設置するかという問題になりますと、定員管理の問題でございますれば行管の問題であり、非常勤予算という形でもって予算をつけるということであれば大蔵省と関係省庁との問題であるというところに、一番根源の問題があるんじゃなかろうかと思います。
  27. 和田貞夫

    和田(貞)委員 それでは一体どこへ尋ねたらいいのですか。臨時的な職とはこうこうこうなんだと、政府機関として統一解釈をしておるところはどこやということを私は尋ねておるのですよ。行政管理庁と違う、人事院と違う、一体どこなんですか。
  28. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 先ほど私申し上げましたように、「恒常的に置く必要がある職に充てるべき常勤の職員」、これが定員内職員といわれておるわけでありますが、しからざる者がいわば非常勤職員であるという意味におきましては、私どものほうも関係はあろうと考えております。
  29. 和田貞夫

    和田(貞)委員 そうすると、恒常的な職と臨時的な職の違いを具体的に説明してください。
  30. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 恒常的な職とは何ぞやということでございますが、一応行政機関に置かれる職のうちで、あらかじめ原則として一年以上継続して置かれるものであること、並びにその定数をあらかじめ定めるものであること、こういうことが基本的な考え方として出てきております。
  31. 和田貞夫

    和田(貞)委員 それでは、定数のワク外にあって一年以上同じ仕事を継続してやっておるというところはどうなんですか。半分が恒常的で、半分が臨時的な職というのですか。
  32. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 私ども、ただいま申し上げましたように、あらかじめそういう仕事を恒常的に一年以上にわたって設定する必要があるというものでなければならないと考えておりますので、結果的に任用が一年以上にわたっております場合、おそらくその場合におきしまても、形式的には切れていると思いますけれども、一応実質的に見てほぼ継続していると見られる場合においても、必ずしも定員内職員ではないと考えておるわけでございます。
  33. 和田貞夫

    和田(貞)委員 その点がけしからぬじゃないか。いまのことばは何だ。形式的にとは何だ。実際には恒常的な職でありながら、総定員法のワクにはめられておるから、ワク外に出た定員外職員については、形式的に一年のうちにたった一日だけ勤務につかせない。勤務につかせておっても、勤務についておらない、こういう形式的な事務手続をやっておるということにすぎないんじゃないですか。どうなんですか。
  34. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 その仕事自体が、あらかじめ数年にわたって継続させる必要がある、恒常的な官職として設定する必要があるという職についておられます場合に、そういう使用を行なっておりますれば、それは必ずしも適当ではないと考えております。
  35. 和田貞夫

    和田(貞)委員 それでは私は具体的にひとつ質問しましょう。一番端的な例をあげましょう。  東大の総合図書館勤務している職員で小寺龍雄さんという人なんです。庶務課の人事係。一たん定年になっておる。定年になって、この人が総合図書館としてどうしても余人をもってかえがたい、そこで定員外職員として継続して採用しておる。仕事は同じ仕事。しかも、私がいま申し上げましたように、人事の仕事をしておる。公印の管理に関すること、職員の人事に関すること、こういう事務分掌をつかさどっておる職員なんですよ。これはどうですか、それじゃ。
  36. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 ちょっと私ども理解が足りないかと思いますが、その方がおやめになって、かつその職自体の仕事を継続させるという問題と、その方がついておられた定員があるかないかという問題、二つの問題があろうかと思いますが、もし定員が残っておりましてその仕事を続けられるとすれば、それはいわば定年制というものとの関係において、非常勤という採用のしかたをされるのではないかという感じがいたしますが、その点についてちょっと私ども理解をいたしかねますので、もう一度御教示をいただければありがたいと思います。
  37. 和田貞夫

    和田(貞)委員 私はその職のことを言うておるのですよ。職のことを。私は説明しているでしょう。定年でやめて、そうして日々雇用の非常勤職員として採用しておる。これは違いない。けれども、私がいまあなたたちに説明しておるのは、臨時的な職と恒常的な職についての相違を言うておるのに、抽象的なことしか答えないから、私はいま具体的に事務分掌で、公印を保管する仕事職員の人事に関する仕事、このことをしておる職、これはどうですかと言うておるのです。
  38. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 ただ、私がもう一度お伺いいたしたいところでございますが、その方が定員内職員として勤務をされておって、たまたま定年ということでおやめになり、そのあと非常勤職員として雇用されておる問題と、もしその定数があいているならば、当然定員内職員としてその仕事をおやりになったであろうという問題、いずれに考えるかという問題があろうかと思うわけでありますが、その限りにおいて、そういう仕事をやっておられ、かつ定数がある形において当然処理されておってしかるべきではなかったろうかという感じがいたします。
  39. 和田貞夫

    和田(貞)委員 職というのは人によって異なるんじゃないのですよ。そうじゃないですか。公印を保管する仕事職員の人事全般にわたって事務をする仕事、こういう職が臨時的な職ですか。
  40. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 私の申し上げております趣旨は、そういう職は当然定員内職員として設定されていたであろう、そうしてその方が定員内職員として勤務されておられまして、定年のためおやめになったとした場合に、その職はあいているわけでございます。したがいまして、そういう場合にその職を定員内職員で埋めるか、あるいは定員内職員では埋めないで、いわばきわめて有益な学識経験のある方である非常勤の方で一時任用するかという問題は別な問題ではなかろうかと申し上げているわけであります。
  41. 和田貞夫

    和田(貞)委員 一時じゃないですよ。そんなでたらめな答弁やりなさんな。ばかにするなよ。  さらに言いましょうか。これ、戸田梅太郎という人がいる。これは事務分掌では、建物及び施設の管理保全に関すること、もう一つは、電気、ガス、水道及び暖房に関すること。しかもこの写真を見てみなさい。「危険物 地下タンク貯蔵庫火気厳禁」、このまん中のここを見てごらんなさいよ。「危険物の取り扱い責任者 危険物の保安監督者」ですよ。危険物の保安監督者、保安監督するという職、これが臨時的な職なんですか。
  42. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 一般的には、そういう職については官職は設定されていると思います。
  43. 和田貞夫

    和田(貞)委員 それじゃ、これ、当てはまらぬじゃないですか。臨時的な職の人を当てているじゃないですか。
  44. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 私、個別事情についてはつまびらかでありませんから具体的に申し上げることはできませんけれども、そういったところについて定員内職員がいらっしやらないのかどうか、あるいは定員内職員の補助職員としてそういう方がおられるのかどうかという問題はあろうかと思いますが、具体的に図書館の実情を存じておりませんので、判断をいたしかねるところです。
  45. 和田貞夫

    和田(貞)委員 これは毎年概算要求しておるんですよ。ところが、どっかに消えてしまっておる。どこに消えているかということ。こういう職は恒常的な職として、恒常的な職を担当する、つかさどる人員が必要なんだ、だがらその人員が必要であるということで、毎年のように人員要求しておるんです。ところが、あなたのところに行くまでに、どっかに消えているんです。どこに消えているんですか、文部省
  46. 木田宏

    ○木田政府委員 各大学から毎年、昨年の四十八年度予算の例で申しますと、三万人にのぼる増員要求の予算が夏のころには上がってくる次第でございまして、先ほど申し上げましたように、その中から、私どもいろいろと真に必要な増員約五千名程度にしぼりまして四十八年度の場合には予算要求をさせていただきました。その際にも、たとえば研究設備でございまするとか、あるいは必要な電話の管理者でありますとか、そうしたものを一つ一つ検討いたしまして、そうして取り入れるべきものを入れて要求をいたしておる次第でございます。
  47. 和田貞夫

    和田(貞)委員 いまも四十九年度の概算要求として、総合図書館からぜひとも来年度は十八人の定員職員をほしい、こういう要求をしておるんです。あなたの手元まで行ってますか。
  48. 木田宏

    ○木田政府委員 おそらくこれから、東大に関しましては、私どもの担当者がこの予算の説明を受けることになると考えております。
  49. 和田貞夫

    和田(貞)委員 それで、その証人がほしかったのだけれども、証人が来ない。うそっぱちばかり言うて来ないんです。きのうもたまたま委員会はなかったけれども、きのうは私の質問であったので、証人として来てもらいたいと言ったところ、総長局長も、職員組合との団体交渉で来れぬ、こういう理由が事務局を通じての私に対する答弁。調べてみましたら団体交渉をやっておらぬ。きょうもどうかというと、ストライキのために来れないという。先ほど申し上げたように。私が無理を言うて、総長必ず来い、事務局長必ず来いと言うておるのと違う。これにかわる証人来いと言うておる。来てくれと出席を求めておるのに、だれも来れない、こういうことなんです。しかも、きょうの来れないという理由はストライキのためにという。もうストライキは終わっておる。いまだに来れない。そうして朝は九時半になっても局長は来てない。勤務時間は九時からだ。その理由はゆうべ職員組合と団体交渉がおそくなったというが、うそ言え、四時に団体交渉は終わっておる。こういうでたらめなことを言って証人は来ない。私は要求しておきましたけれども。それじゃきょうは間に合わないから、あらためてあなたの出席できる日に文教委員会で一日ゆっくりと話したい、こういうふうに言っておきましたけれども、こういうでたらめなのです。そんなことをするからこの問題が解決できない。  私は言っておきますけれども、少なくともいま私が言っておる付属図書館から、十八人の人員要求が出ておるのです。それが、先ほどあなたが言われるように、四分の三までは臨時的な職じゃないのです。いま行政管理庁のほうから認められたように、それぞれ十七人の方がいまおられますけれども、十七人の方が当たっておる職というのは、いま行管のほうから示されたように、それぞれ恒常的な職を担当しておるものばかりなのです。私は念のために言っておきましょう。あなたはいつの間にかどこかに消えてしまうから。先ほど申し上げました二人でしょう。小島正康という人、これはたった一人の用務員です。これは恒常的な職です。一々確認させましょうか。それから、どうですか、秦孝子さんという館長の秘書。館長の秘書という職は臨時ですか、どうですか。
  50. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 率直に申しまして、秘書業務が必要であるかどうかという問題、それはそれぞれの官職によって違ってまいりますので、そういう方がおられるから直ちに恒常的な官職として公務員として設定しなければならぬかどうかということは、私ども判断いたしかねるわけでございます。また、用務員その他の問題につきましても、個別的には文部省で御判断いただいた上で私どもが審査いたすことになるわけでございますが、直ちにすべてがいわゆる恒常的官職として、定員内職員として処遇すべきものかどうか、これは具体的に伺ってみないとわからない点が多々あろうかと思います。
  51. 和田貞夫

    和田(貞)委員 私は具体的に言っているのだから、具体的に答えなさい。具体的に言えば、そういう一般論を持ち出したり、抽象的にすりかえてしまう。具体的に言うと東大の総合図書館には限られた人員しかおらぬのですよ。そこで、それじゃ館長の秘書が要らないものなら、 つくっていること自体がおかしいじゃないですか。最近つくったものじゃない。ずっとつくっているのです。かつては定員内の職員を使っておったのですよ。いまは非常勤の職員を使っているということを私は指摘しておる。用務員についても、かつては定員内の職員を使っておった。いまは非常勤の職員を使っておるということを指摘している。あるいはどうですか、整理課の受け入れ業務をやっておる佐藤加代子さんという方、これは事務分掌では図書及び雑誌の製本に関すること、図書館が続く限りこの仕事はあるのです。しかもこれを何年やっておるのですか。四年もやっておる。椛島納山という青年、これはどうですか。これもすでに三年もやっておる。事務分掌では書庫内の図書及び登録済み雑誌の閲覧及び貸し出しに関すること、図書館が続く限りこれはありますよ。斉藤伊佐吉さんという方、入館者のチェックと案内です。これも図書館が続く限りある。事務分掌では、館内の警備に関すること、入館者の受付、案内に関すること、ちゃんとうたわれている仕事に携わっているのです。根岸ふさ江、複写係、学術文献の複写申し込みの受付に関すること、これも事務分掌にちゃんとうたわれている仕事をやっている。先ほど申し上げました国連資料室事務に携わっておられる長田知子さんもそのとおり。しかも先ほど、ちょっと言いましたけれども、いままで常勤の職におられた方が長い間やっておった受け入れ関係の製本に関する仕事です。これだけの分掌事務があって、しかもいままで定員内の職員が長いことやってきたのを、いま佐藤加代子さんという臨時的な身分の職員がやっておる。こんなようなことをよくいままでのんべんだらりと延ばしてきたものだと思う。具体的に総合図書館のほうから、毎年のように定員要求が来ておる。恒常的な職であるからということで定員要求をしておる。それがどこかで消えてしまうわけなんです。局長どうですか。それがいま四十九年度の予算要求として出されている十八人なんです。四分の三は削って四分の一だけ認めてやったらいいということにはならぬでしょう。どうですか。少なくともこの点の具体的な例については、来年は解決するという意思がありますか。
  52. 木田宏

    ○木田政府委員 冒頭に大臣からも御答弁がございましたように、政府全体といたしまして定員削減の措置を進めてまいりまして、大学の事務職員は、行政職の職員と同じような比率で定員の削減を進めてきたという事情がございます。そのために、従来とっておりましたような考え方での定員が維持できないということは、これは政府の全体の動きでございまして、否定すべくもございません。でございますから、従来、恒常的な職として定員内職員定数であったところに、そうでない恒常的な職員以外の臨時的な職が設けられるという実態があることは、これは否定できないところでございます。私どもも、これからの図書館業務の充実は重要であると考えまして、いろいろと図書館参考業務等、事務系の職員の増をいたします場合に、かなり力点を置いて図書館職員の増員のお願いはいたしておるのでございます。  しかし、いま御指摘がございました方々につきましても、個別にどなたがどうというふうに申し上げることは適切でございませんけれども、業務の種類によりましては、職務がいろいろときまっておりましても、その職務を臨時的な職として担当していくということも可能な職があるわけでございますから、政府全体としての定員削減という、これまで数年間やってまいりました政策の中で、どういうふうにこの職の位置づけを変えていくかということは、われわれもまたやっていかなければならぬわけでございます。この点は、従来定員内であったものが定員外になったという現実は否定すべくもございませんが、その中で真に恒常的な職として引き続き確保していかなければならないもの、また新たな領域に拡大をしていかなければならないものということについては、私どもも、関係当局に十分説明もし要求もいたしまして、事態の改善に対処したいと思います。  しかし、そのことは、いままでやってまいりました定員管理の姿がそのままもとへ戻ればいいのだということでは必ずしもない。やはりそれは、こうした政府の定員削減の方針の中にありまして、その図書館業務の遂行のために、どういうふうな恒常的な職と、どういうふうに臨時的な職とをかみ合わせて運営するかという新たな問題として考えなければならぬ点もあるわけでございます。図書館につきましては、東大のみならずいろいろな大学を通じて問題がいろいろと多いことは、私どもも十分承知をいたしておりまして、その点では、これらの図書館改善充実、あるいはその機械化、能率化、こういう問題とかみ合わせて定員のあり方というものを慎重に検討してまいりたい、こう考えております。
  53. 和田貞夫

    和田(貞)委員 私は、これは根本的には文部省だけではなくて——文部省の立場はわかる。総定員法でけっちまうんですからね。削るどころか、なおもっともっと削減を加えていくわけですから。四十四年に続いて四十七年の第二次削減ということでまた減らされるわけでしょう。このようなことをしておればたいへんなことになる。なぜならば、これは行政管理庁に私はお聞きしたいのですが、そもそも、人件費を極力節約する、節減する、こういう意味で総定員法というものをつくり、定員というものを各省庁に割り当てるということをやっているんじゃないですか。ほかに何か理由があるんですか。
  54. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 国家公務員の数が各省設置法でそれぞれ定められておりまして、各省設置法の改正という形で、従来定員の規制が行なわれていたわけでございますが、総定員法をとりました趣旨は、全体として政府全体の一つの定員を定めまして、その中で行政需要の消長に応じて定員を操作し、行政需要の消長に応じたあるべき定員配分を行なっていくということを考えたわけでございまして、過去において増加趨勢にございました国家公務員の数がふえないということにおいて、結果的には先生のおっしゃるような面も出ておるかもしれませんけれども、それは目的ではございません。
  55. 和田貞夫

    和田(貞)委員 各省庁の所掌事務を遂行するために必要な定員の配置、こういうことが総定員法でもうたわれているわけです。そうすると、きめられたワクの中で削ってしまうということだけじゃない。毎年のように各省庁に配分する定員が増減あるのもしかるべきだと思うし、毎年のように国会に、総定員法の増員あるいは減員、このことが出てくるということは、私はこれは当然の姿だと思う。ところがそういう姿が全然ない。一回きめられたワクというものを後生大事にして、それでもなおとっとと削っていく。こういうことをされるから、これは文部省に限らず、各省庁にわたりまして、本来人件費で支出しなければならない給与、賃金、これらの費用を物件費で支出するということはどういうことですか。こともあろうに、人間さまの生活費に見合う賃金、給与、これを人件費で支給しないで物件費で支給しておる。その物件費で支給する人件費のウエ一トというものは年々ふえてきておる。それが先ほどちょっと読み上げましたように、特に図書館、国立大学の図書館全体として、図書館協議会の意見として、図書館自体の運営にこのままいったら支障を起こす、こういうように言うているくらいなんです。片方では総定員法で、人件費をこれだけしか使っておらないというふうに言うておるけれども、片方では年々よからぬ——やはり物件費から人件費を支出していくということは、私は、いいことではない。そのことによって、本来の目的達成のために適切な予算支出にならない。それがほとんど人件費に使われているというようなことでは、本来の予算の目的に使われない、こういう結果を招くわけでありますから、そう無理をなさらないで、やはり幅を持たせた定員の増減というものを考える必要があるんじゃないか、私はこういうように思うのですが、どうですか。
  56. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 予算問題にわたりますので、私がお答え申し上げるのが適切かどうかわかりませんが、御指摘のように、文部省の場合におきましては、いわゆる校費制度というのがございまして、それが庁費という形になっているわけでございますが、こういった校費という制度は、研究なりあるいは教育の遂行にあたりまして、できるだけ弾力的な研究なり教育が可能になるように、いわば比較的幅の広い制度としてつくられたようでございます。したがいまして、研究の必要上、あるいは研究の実験のための助手的な仕事を、賃金という形でお雇いになるというようなこともございましょうし、あるいは研究の設備をお買いになるという場合もございましょうし、あるいは光熱水料なりその他の消耗品に充てるというようなことも認められておる。そういう制度自体は、やはり基本的にはむしろ当然あるべき制度として考えざるを得ないのじゃなかろうか。その問題と、その結果、勤務しておられる方々がたまたま長期にわたり、かつ、御希望としてやはり国家公務員としてずっとつとめたいという方々がある問題は、先ほど来御指摘がありまして、当然わかることはわかりますが、その問題と、この校費制度なり庁費の制度というものと別に考えていただく必要があるのじゃなかろうかと思います。
  57. 大出俊

    大出委員 関連質問を二、三させていただきたいのですが、一つは、いまの管理局長が答えておる総定員法ができるときのいきさつでございますが、この委員会で私が中心で、ずいぶん長い議論を十幾つかの省を集めてやってまいりました。それに触れた答弁がいまありましたが、少し当時のやりとりと違いますから、そこをひとつはっきりしていただきたい。  あなたの前の前の局長の河合さん。河合良成さんの御子息さんですが、いま次官でございますか、河合さんが局長の時代です。なぜ一体、職の定数は法律で定める、こうなっておって各省設置法できめてきていたものを総定員法にしたかということ、これは人員削減ではないという前提がはっきりしている。佐藤総理がちゃんと答えている。総理に出ていただいて私が詰めた。つまり、現在の公務員の総定数、これは明確に数がきまっているのだからこれを維持していきたい、ここから先にふやすことを避けたい、そういう意味であって、いまの定数を減らしていこうという意図ではない。そこで、三年五%なり、あるいは期間によって八%という定員削減をやるんだけれども、なま首を切るということはこんりんざいしない、各省間の定数のバランスというものを考えたい。三年五%なり八%なりで減らしていった定数は、ではどこで持っているかといえば、行政管理庁がそれを押えてプールしている。そうして必要な部門に対して再配置をしていく、こういうのが基本的な考えである、こういう説明なんです。総理自身が答えている。そこで、さて三年五%なり八%というものを各省庁が減らしていく、これは省庁が行政管理庁に案を出すわけだから、行政管理庁がやったのじゃない。各省に、おまえさんの省は五%ですよ、案を出しなさい、そうすると各省庁と管理庁との間のやりとりで、どうしても弱いところにしわが寄る可能性がある。  たとえば運輸省の航空部門なんかでも、ローカル空港の管制官はみんな切っちゃった。最近でも農薬をまいたり何かする小さい飛行機がよく落ちる。これは、空を飛んでいって農薬なんかをまいているときに、気象が急変をする。風速その他が変わる。そうすると一番小さい飛行機は危険なんですね。管制官もすぐ連絡しなければならぬのだが、全部削減されて、いなくなってしまった。たいへんなことになりはせぬかということが一つ大きくクローズアップされた。  あるいは気象庁の場合に、富士山頂レーダーをこしらえた。三年五%で人が減っていくから、六時間しか使えない。たいへんな金をかけて、行政管理庁、これは指示までしているんだが、それを入れたが、その気象観測は満足に動かない。なぜなら人がいないから。それから、二時間おきに露天その他を含めて気象観測をやっているものを八時間にする。そうすると、いまでも天気予報なんというものは、気象庁が言うのを聞いているよりも、げたでもほうり上げて、ひっくり返った上下でもって、あしたの天気は晴れだかくもりだか雨かをきめたほうが早いといわれるぐらい、当たらない。当たらない天気予報がますます当たらなくなる。そうでしょう。そういうところにかんなをかけて、三年五%で弱いところにしわが寄ってしまうということは、機構の面では弱いけれども、国民にとってはきわめて重要なところが削られていくということがあってはならない。これはずいぶん議論した。  だから、そういうことにならないように行政管理庁が責任を持ってやる。省庁から上がってくるけれども、とりあえずそれで認めてきめたにしても、その後、追跡調査等をやって、君のところのそこはいけないということで、配分しなければならぬものは配分しますという約束になっている、この委員会におけるあなた方との間の。いまの東大の図書館の部門における、この間私もちょっと説明を聞きましたが、これもある意味では一番弱いところにしわが寄っている。だから、あなたなかなか苦しい答弁をなさっているけれども、でき得れば人がほしいんだ、あなた方だって。気象庁長官が当時最終最後の答弁として、実は残念ながら口から出して言えなかったが、そこまで言われたんだから言います、実は必要な人員です、人員ですが、しかし、やむを得ず三年五%どこかで減らさなければならぬから減らすんですと、とうとうお答えになった、三時間もかけてここで論議して。あなただって、毎年毎年、事務局長や東大の総長が要求はします、認めますと何べんも言っているんだから。いま和田君の質問の中で、途中で消えていくという、それはあなた方の苦しさがそこにあるわけです。職員組合との団交の中の苦しさもある。  だから、ざっくばらんに打ち明けて言えば、いまの職の定数は法律できめる、その職とは、恒常的な職というのは、これが定員なんですから、恒常的な職に間違いないんだから、定員として認めたい。認めたいが、てっぺんからの政策上、やむなくまん中にはさまって苦労しているんだという答弁だ、あなたの言っているのは。だから、行政管理庁に言いたいのは、その一番根本に戻って、必要なところには配置することになっているわけだから、あなたのほうでそういう配置のしかたが、弱いから削った、そのままじゃ困る、必要なのだから。どうそれを配置して手当てをしていくかということを、あなた方は追跡して方針を明らかにしていくということになっているわけだから、おやり願わなければいけない、これは。  それから、もしあなた首振るのなら、河合さんに来ていただけば、河合さんとやりとりしているんだから、河合さんが担当局長なんだから、これははっきりしていただきたい、行政管理庁、いまの点は。  それからもう一点は、非常勤の皆さんの問題というのは、古くて新しい問題なんだ、これは。私が全逓という労働組合の企画部長、書記長の時代から、私はかつて昭和二十四年の官公労事務局長の時代からずっと続いているんだ、これは。同じことをやっている。騒ぎが大きくなって、非常に運動が盛んになって、実際にその場所にいる方々が出てきて、四年も五年も非常勤で、あるいは日々雇い入れ、あるいは二カ月更新、あるいは人事院の承認を経た者、経ない者、あるいは常勤的非常勤、あるいは林野庁のように常勤的職員、常用職員、たくさんある。あるが、いずれも四年も五年も、中には十三年も。林野庁なんかそうですよ、十七年も。そういう人たちについては定員化を漸次やっていきますといっても、林野のような場合に、冬、雪が降っちゃうと伐木ができないというような場合に、これは矛盾であることは百も承知なんだ。行政管理庁と人事院と林野庁と、全部集まってもらってやりとりしたこともある。政策とからむ。からむが、しかし、いま和田君が取り上げているような問題は、できる限りそれは定員化していく、そして日々雇い入れというものはなるべく人事院と相談をして常勤的なものにかえていくというふうに、段階を追って定員化していきますというようなことは各省みんな答えてきたこと。しかし、そのときに大幅に定員に入った年もあった。あって非常勤がうんと減った。よかったなと思っていて、しばらくたって気がつくと、いつの間にかまた物件費や何かでばさっとまたふえている。繰り返しなんですね。  これについては、やはりもうここまで来れば、古くて新しい問題じゃ済まないのだから、どういう方針をとるかということを、おのおのの省庁ではなしに、行政管理庁、人事院等が中心になってきめて、もう一ぺんはっきりさしていかないとこの処理はできない。だから、私はやはり、いまの問題はせっかく具体例をあげたんだから、この席でこういう方向で努力をするという決着をつけてほしい。あなた方は、明らかに恒常的な職であることをお認めになったんだから。ただしかし、総定員法ができて以来、定員と予算、いろいろバランスがあるからとあなたはおっしゃる。だから、全く前のようなわけにいかない面があるとあなたはおっしゃる。つらいところだと思う。思うけれども、基本的にこれが恒常的な職であるということをお認めになるなら、その定員化の方向について努力をする。これは文部省だけの責任じゃできないんだから、所管の内閣委員会のわれわれの側も、属人的にその方々の個々の名前をあげてみれば、定員に入っている人と同じ仕事をしていて非常勤なのだから、たいへんな労働条件の低下なんですから、そういう面については、全体として総定員法というものも踏まえて、それでなければ行政管理庁要らないんだから、行政機構全体を踏まえてどうするかということを、われわれも努力しますけれども、そういう意味であなた方は、この気の毒な方々について、国に制度的に責任があるのだから、定員化の方向に努力をなさる、そうして要求すべき予算要求、定数要求はして、どこかで消えるようなことはしない。出して切ってこられれば、こられたことを明らかにする、なぜ切ったかということを明らかにさせる、そうしなければ問題は前へ進まないのだから、そういうふうに筋道を立ててお答えをいただいて、前に進めていただきたい。これは長い論議ですから、はっきりさせていただきたい。
  58. 木田宏

    ○木田政府委員 先ほども御答弁申し上げましたように、大学のこれからのあり方、図書館だけでございませんで、全体含めまして、恒常的な職として増員を必要とすべきものについては、十分実態を考えて関係当局に予算としては要求をしてまいる所存でございます。
  59. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 文部省の要求を受けまして、慎重に検討いたします。
  60. 和田貞夫

    和田(貞)委員 これは、いま大出委員も言いましたように、これからの問題としても、私はいまあげましたのは、単なる東大の総合図書館のことについて言ったわけで、東北大学のほうからもすでに要求があると思うし、京都大学のほうからすでにもう要求があると思うし、もう国立大学全般にかかわる問題であるわけです。そういう基本にのっとって文部省としてもひとつ解決してもらいたいと思いますし、そのことを強く要求しておきたいと思う。  そこで、私は時間がありませんので、なんですが、いま大出委員が、言いましたように、これは人事管理の面として根本的にやはり考え直してもらわなければならぬ。先ほど人事院と行政管理庁と、私のところでない、私のところでないと言い合いをしたように、私は過去のこの点についての議事録を見てみましたら、どこでも同じことを言うておる。それは人事管理が一元化しておらないということなんです。定員については行政管理庁、給与については人事院、総理府の人事局はその間に立って、何あったのか、ここにあったのかわからぬというようなことをやっている。私はこれはやっぱり、人事院というのは形式的には第三者機関になっておるわけなんですから、よく見詰めて適当な勧告、適当な勧奨、これをしていく、こういう役所でありますから、人事管理については、私の意見としては、総理府の人事局が一手に引き受ける。  本来、国家公務員というのは、特別職を除きましたら一般職しかおらない。いまの一般職ということをもうすなおに流して解釈するならば、総定員法でうたわれているように、各省庁の所掌事務を遂行するために恒常的な職として必要な定員、この中に全部入っておらなければいかぬ。それ以外の職員というのは本来あってはならない。たまたまいま文部省のほうから答弁なさっておったように、なるほどその職員以外に、本来の国家公務員以外に、一般職以外に必要なことがあると思います。急に夏場に、たとえば税務署あたりではアルバイトを雇って事務を大量に整理していくというような、これこそが日々雇用のアルバイトなんです。純然たるアルバイトなんです。だから、私が言いたいのは、本来の姿としては、総定員法でうたわれた職員以外にあるべき姿としては、非常勤というのは、文字どおりの非常勤の職員と純然たるアルバイト、これ以外にはないのが姿なんです。  それが、常勤的非常勤職員という名前をつけてみたり、定員外職員というような名前をつけてみたり臨時的な職でないにもかかわらず、臨時職員だ、臨時的職員だというような名前をつけてみたりして、総定員法のワクにはめられておるがために、何とかこの所掌事務を遂行するためには、それじゃ人が足らないのでということで、苦肉の策として、本来恒常的な職であるにもかかわらず、人権を無視するような、人権問題になりかねないような形で人を採用するという姿があらわれておるわけですから、これは根本的に解決しなくちゃならぬ。そのために、総理府の人事局が一手に引き受けて、今後一切そういうことがないように、そのかわりに前提条件として、この際もう一度行政管理庁は総ざらいして、各省庁の所掌事務を遂行するためには一体どれだけの人員が必要なのか、いま現在としてはどれだけの人員が必要なのかということをここらで再調査をやって、そして、いま指摘したような職員がなくても所掌事務が遂行できる人員を把握をして総定員法を改正していく、こういうことに踏み切るということが前提に立つわけなんです。この際そういうことで、部分的にじゃなくて全面的に定員化していく、そしてその問題が解決してから、今度は、いま大出委員が言うように、何ぼでもこのことを繰り返さないようにするためには、人事管理を総理府の人事局が担当して、各省庁がかってにいろいろな名目をつけて、たとえアルバイトにしろ、たとえ非常勤職員にしろかってに採用する、そういうことがないように必ず人事局が合い議をして、いま文部省ではどれだけのアルバイトを雇っておる、人事局ではどれだけの非常勤職員がおる、各省ではどれだけおるという定員外職員というもの、アルバイトというものを政府機関全体としてどれだけ使っておるんだということを常に人事局が把握する、こういうことをやることによって、今後二度とそのことを繰り返さないというチェックをする役割りを果たすことになろうと思う。  こういうような面で、総理府人事局と行政管理庁、人事院と三者が協議をして、総定員法のワクを拡大するということの前提に立って、もう一度新たな協議をしてもらいたい、こういうふうに私は思うわけなんですが、その点についての御見解をひとつお聞きしたいと思う。
  61. 大林勝臣

    ○大林説明員 人事局といたしましても、人事管理上の問題がございますので、行政管理庁、人事院とあるいは関係各省、十分協議してまいりたいと存じます。
  62. 和田貞夫

    和田(貞)委員 行政管理庁も人事院もいいですね。
  63. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 総定員法を拡大するという前提に立ってという御意見でございましたが、この点はきわめて大きな問題でございまして、ただいま即答はいたしかねますが、基本的には総理府なり人事院と御協議して、この問題等について慎重に検討することにはいたしたいと思います。
  64. 和田貞夫

    和田(貞)委員 先ほど大出委員質問であなたが言ったように、単に文部省の問題だけでなくて、私は全体の問題として文部省の意見を聞くということだから、私が申し上げておるように、人権問題としてまつわるような臨時職員、非常勤職員定員外職員の問題を、この際根本的に解決するために、各省の実態というものを調査し把握したら、定員法のワクを拡大するという結果になる可能性が非常に大きいわけですから、もしそうなったら、そういうことをやるということを前提に置いてやらないと、いま私が申し上げましたようなことが逆になってしまうわけですから、あえて言っておるわけですから、いまの答弁は、もしもそういうことであればワクの拡大ということもあり得る、そういうことを含めて検討するというように解釈をしておきますが、いいでしょう。
  65. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 本来、恒常的に設定される官職の問題としては、政府全体として増加が必要であり、その結果において総定員法の検討が必要であるという事態が生ずれば、それはその段階において検討いたしたいということでございます。
  66. 和田貞夫

    和田(貞)委員 臨時職員というもの、定員外職員というものは本来あるべき姿でないので、人権問題にかかわる問題でありますので、私はあえてつけ加えておきたいと思いますが、労働基準法でも、常用労働者というのは、先ほど言われた。形式的に臨時、形式的に日々雇用、形式的に季節労務者、こういうことになっておっても、社会通念上ずっと継続しておるものについては、これは常用労働者というように解釈するのだというのがたてまえなんです。だから、形式的にいかにあれ、日々雇用であれ、身分は臨時的非常勤職員になっておれ、その職務が、恒常的な職であるという職を担当しておる職員である以上は、これは本来の姿に返していく、これがたてまえでなくてはいけない。それが、臨時的と恒常的というのを、季節的であるとか何であるかという形式的な勤務の態様によって区分しておくというところに問題があるのであって、その者がやっておる職が恒常的な職にあるのか、臨時的な職にあるのか、こういう考え方に立って臨時的職員定員内の職員、こういう理解を行政管理庁も人事局も人事院も各省もやってもらいたい、こういうふうに私は思うのです。私は、いま申し上げましたように、臨時職員というのは、形式的な勤務の態様というのじゃなくて、あくまでもその職が恒常的であるか臨時的であるかということで区分すべきである、こういうふうに思いますが、行政管理庁、そのことは念を押しておきますが、いいですね。
  67. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 もとより私ども、職の性質によって議論すべきものであろうとは考えております。
  68. 和田貞夫

    和田(貞)委員 それじゃ、先ほど申し上げましたように、時間があればもう少し言いたいわけなんですが、ぜひともひとつ、行政管理庁、人事局、人事院、三者で、この際多くの人権問題にかかわる職員の解決のために努力してほしいと思うわけなんです。文部省としては、特にいま申し上げました定員外職員は、各省見渡しますと文部省が一番多いわけですから、本来文部省というのは教育に携わっておる重要な所掌事務であって、教育基本法でも「われらは、個人の尊厳を重んじ」ということばが前文にうたわれておるし、教育基本法の第一条では「人格の完成をめざし」、こういうことばが表現されておるわけなんですが、それ以上に文部省としては、各省よりも率先して、自分の部内でそのような職員が一人でもないように早急に解決すべき必要があると私は思うのです。この点ひとつ私は、文部省の今後の積極的な問題解決のための役割りを強く期待したいと思うわけなんですが、最後に文部大臣の御所見を承っておきたいと思います。
  69. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 当初にも申し上げましたように、定員の削減の問題、率は切り下げられておるわけでありますけれども、大学の事務職員等にも適用されておるわけでございますので、かなり無理がきているという判断をしておるわけでございますので、今後とも積極的に定員増加に努力を続けていきたいと思います。
  70. 和田貞夫

    和田(貞)委員 それではひとつ再度文部大臣に強く要求すると同時に、総理府人事局、行政管理庁、人事院、ひとつ積極的に問題解決のために乗り出していただきたい、こういうことを強く要望いたしまして、私の質問をこの辺で終わりたいと思います。
  71. 三原朝雄

  72. 中路雅弘

    中路委員 文部省の設置法案の問題ですが、大学あるいは学術研究機関に携わっておるいまの日本の知識人や研究者の現状を見ますと、その大きさから見て、大学と学術研究、国際交流、それを行政的に二つに分けて、それぞれ昇格させる。私は、一般的にはこの機構改革の必要性ということは認めてもいいのじゃないかと思うのですけれども、今度の二分の問題がいまの文部省の進めている文教政策と非常に深い関連を持っているということなんですね。その点からもやはり見ていかなければいけないと思ったのですが、これは二月七日の文教委員会議事録で河野政務次官が予算案の概要を説明していられる中に触れているわけですが、こういうふうに述べているわけです。「四十八年度は、四十七年度に引き続き、中央教育審議会の答申の趣旨に沿って、教育改革のための基本的な施策の一そうの推進をはかることといたしております。そのおもなものを申し上げますと、まず教育改革に取り組む文部省の行政体制の整備についてであります」ということで触れまして、「四十七年度においても、文部省の機構について一部の整備を行ないましたが、四十八年度においては、高等教育の改革と計画的な整備充実を推進する体制を整備するとともに、学術の振興及び教育・学術・文化の国際交流・協力を推進する体制を整備充実するため、大学学術局及び日本ユネスコ国委員会事務局を廃止して、新たに大学局及び学術国際局を設置し、学術国際局にユネスコ国際部を置くことといたしました」と述べておられますが、この説明の中で非常に明確にされていますように、今度の設置法の大学と学術研究、国際交流の局を分けるという機構改革が、文部省がいま進められている、ここでいわれている「中央教育審議会の答申の趣旨に沿って」とおっしゃっていますが、この中教審の答申に沿うものであるということをこの中で明確にされているわけです。  私は、いまこの問題を、時間もありませんし、この席上で論議をするつもりはないのですが、また内容については文教委員会等でむしろ論議するほうが適切かと思いますが、今度の機構改革が文教政策の中教審の路線の推進として説明されています。こういう立場から見ますと、この機構改革に、私も最初言いましたように、一般的にいまの現状から機構改革ということは一面必要があるとは思っていたのですが、中身が文教政策の問題とかたく結びつけて提起をされているということから賛成するわけにいかないというふうに考えているわけですが、この問題はきょう論議するつもりはありません。しかし、こういう説明もありますから、最初にこの点について一言お考えをもう一度お聞きしておきたいと思います。
  73. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 大学学術局自体が十一の課を持っておるわけでございまして、たいへん仕事の分量が多い。局長一人たいへん困り抜いているところでございます。その中でいま高等教育の改革にお触れになりましたが、私たちは、昭和六十年代には大学へ進む方々を同一年齢層の四〇%と考えておるわけでございます。昨年で二八・二%でございますから、一〇%以上の増加を見込んでいるわけでございます。そのことはいまの国立大学の規模で申し上げますと、十年余りの間に国公、私立を合わせまして二百校くらいつくりたい、こういうことでございまして、そうなりますと、いまでもたいへんな大学学術局が、教育の面だけを取り上げてもたいへんな事務分量になる。これはやはり数だけのものじゃございませんで、どういうような科目の学生をどの程度の定員に持っていく、それをどういう地域につくっていくとか、いろいろなことがございまして、先生の養成の問題もございます。あるいは学生の処遇の問題もございます。たいへんな事務分量になっていくわけでございます。  同時に、学術の面を取り上げましても、これは御承知のように日進月歩でございますばかりじゃなしに、国際間の広がりを見せておるわけでございまして、国際間の広がりということになりますと、単に学術問題だけでもないかもしれません。教育の面におきましても、あるいは文化の面におきましても、一そうそういう面が深まってきているわけでございます。ということを考えてまいりますと、この際ユネスコ国内委員会に設けられております事務局、これを廃止してでも、大学学術局を大学局と学術国際局とに分けて処理しなければ、とてもまかない切れない、こういう事態でございます。  私、お話を伺いながら、筑波大学研究教育とを分離した、そういう思想がおそらくこの機構改革の中にあるんじゃないか、こう疑っておられるのじゃないかということをちょっと感じたわけでございます。全然関係のないことでございます。現在でも大学学術局の中で、教育に関する課と学術に関する課とが明確に分かれているわけでございます。したがいまして、そのままで一方は大学局に置く、学術関係の課は学術国際局に置くというだけのことでございます。その点は全く違います点をぜひ御理解をいただきますようにお願いを申し上げておきます。
  74. 中路雅弘

    中路委員 私も、現在、課が二つあってこれが昇格になるわけですし、先ほど言いましたようにいまの現状から見て、こういう部門の大きさから見て、一般的な機構改革というのは当然認められてもいいんじゃないかという気もしていたのですが、いろいろどういう意図でやられているのかということも検討してみますと、いま言いましたようなのも一つの例ですけれども、河野政務次官の説明もありますし、これは簡単な機構改革じゃない、やはり中身と合わして十分判断をしなければいけないという考えを持っているわけですが、この問題はきょう論議をするというつもりはありません。  もう一つ、この大学学術局を分離して大学局と学術国際局とするという内容と関連して一言お聞きしておきたいのは、日本学術会議と特殊法人日本学術振興会についての問題です。これは試案のままだったんじゃないかと思いますが、「日本学術振興会のあり方」という四十七年七月十日付の文書がありますが、この中で文部省と振興会の人事交流について書かれてある場所があります。「文部省は、学術の振興の企画調整を担当し、学術の振興のための実施事業は、原則として本会がこれを一元的に行なうべきものとする基本的考え方からも、かつ、有能な職員を確保するうえからも、本会職員の主要人事を文部省人事の一環に組み込み、本会と文部省との人事交流が円滑に行なわれるように措置することが是非必要である」という個所があるわけですが、この今度の文部省設置法改正案の中で、大学学術局を二つに分け大学局と学術国際局にするとなっていますけれども、このこととの関係といいますか、文部省と振興会の人事交流の問題、これはここで、試案ですけれども書かれてあるような方向で今後やられるのかどうか、一言お伺いしておきたい。
  75. 木田宏

    ○木田政府委員 日本学術振興会は、日本学術振興会法の定めるところによりまして、文部大臣が所管をする特殊法人として規定されておる次第でございまして、振興会の役員につきましては文部大臣が任命する、振興会の職員は会長が任命するということになっております。現在、大学学術局がそのお世話を担当しておるところでございます。今回、学術国際局と大学局とに分かれました場合には、学術国際局のほうで日本学術振興会のお世話をいままでどおりしてまいりたいというふうに考えております。  いまお取り上げになりましたのは、学術振興会自体の今後の進め方についての希望見解でございまして、将来文部省が担当いたします学術振興のための具体的な業務を、できるだけ多く学術振興会が実施機関として処理できるようにありたいという振興会側の御希望として、私どもも中間的に聞かせていただいているところでございます。
  76. 中路雅弘

    中路委員 ことしの国際学術交流の推進の予算は前年度に比べてどのぐらい増加しているのか、またそのうち、学術振興会に関する予算、それがどのぐらいになっているのかというのが、もしおわかりになりましたら……。
  77. 木田宏

    ○木田政府委員 本年度の学術振興会の予算は九億六千七百万でございます。このほか、学術の国際交流関係の経費といたしますと、国際関係の予算は四十八年度七十五億一千万円でございまして、四十七年度の四十八億五千七百万円に対しまして二十六億五千三百万円の増ということになっておる次第でございます。
  78. 中路雅弘

    中路委員 いま聞きました予算の点でも、学術振興会が非常に伸びているわけですね。学術会議との関係で見ますとはるかにしのいでいますし、朝日新聞にいつか、学術振興会の一人歩きですか、というような解説記事のようなものが出ていたこともありますが、今度のこの改正案が、先ほどの「日本学術振興会のあり方」という試案、これを事実上進められていっているというように予算の面でも感じがするわけですね。学術国際局を分離させて、その中でこの振興会への指導あるいは強化、こういう側面が予算の面でも非常に強く出てきているんではないか。  かつてこの学術振興会ができたとき、振興会法の三十五条の中で、「文部大臣は、振興会の組織及び業務の運営に関し、日本学術会議と緊密な連絡を図るものとする」ということがいろいろの論議の中で加えられているわけですけれども、私は、この学術振興会法の三十五条に照らしても、現在の学術会議とこの振興会の関係を見た場合に、実情を見ますと、文部省がこの振興会を強化しながら結局学術会議をますます形骸化していく、そういうような感じがして、非常に危惧を持つわけですけれども、日本の科学者の内外に対する代表機関である学術会議に対して、予算の面でも非常に少ない。話を聞きますと、会議もろくに開けないというような実情ですけれども、その点について、いまの振興会の関係も含めて、振興会のほうをずっと強化しながら学術会議はますます形骸化されていくというような現状に事実上あるのではないか。この点についてどのようにお考えか、ひとつお考えを少しお聞きしたいと思います。
  79. 木田宏

    ○木田政府委員 日本学術会議は、すでに十分御存じで申し上げるまでもないと思いますが、科学者の立場から科学の振興に関する献策をするのが基本的な役割りかと考えております。文部省のみならず政府各省に対して、かくありたいという御意見を科学の立場からおまとめになっていろいろと建議をなさるという役割りの機関であるというふうに思っております。それを受けまして、名前のごとく日本学術会議でございますから、しょせんその学術が基本になるわけでございますが、学術の振興策を行政上の責任官庁として担当してまいりますのは文部省の立場であるというふうに考える次第でございます。でございますから、行政上、学術の振興策を十分に進めていかなければならぬ、私どもとしてはそういう強い責任を持っておるわけであります。  その際に、学術振興策を進めますにつきまして、すぐに設置されております日本学術振興会のような特殊法人が、学術交流あるいは具体的なフェローシップの提供、スカラシップの提供等の実務を担当してくださるということは絶対に必要なことでございまして、具体的な振興事業というものが学術振興会の手によって行なわれることになる、こういうたてまえになると思うのでございます。  したがいまして、私どもはこの学術振興会の法律の中にも、いまお触れになりましたように、学術の振興に関する献策機関であります日本学術会議文部省と学術振興会が緊密な連携をもって、具体的な科学の振興政策自体は文部省がそれを遂行する、また文部省が政策的には遂行いたしますけれども、具体的な実務としては日本学術振興会がその実務に当たる、こういう関係になっておるものと思うのでございます。  でございますから、私どもは日本学術会議の期待にこたえるためには、文部省の学術関係の予算が大きくなり、また日本学術振興会自体が十分な予算をもってしっかりした仕事をしていくということにならなければならぬ、このように考えておるところでございます。
  80. 中路雅弘

    中路委員 これもこれ以上突っ込んできょうは議論するつもりはありませんけれども、いま言いましたように、振興法の三十五条に関しては論議があったわけですね。この中にも「振興会の組織及び業務の運営に関し、日本学術会議と緊密な連絡を図るものとする」ということが明記されていますし、実際に個々の問題を見ますと、本来学術会議が行なうべきものを学術振興会がやっているという中身も幾つかありますね。予算の面で見ますと、六七年ごろから学術振興会の予算は非常に伸びてきていますけれども、学術会議のほうはほとんど変化してないという状態にもあるわけですから、私はやはり、この学術会議の持っている科学者の代表機関としての重要な位置からいっても、もっと学術会議について予算的にも強化をする必要があると思いますし、振興会の問題についても、いま読みましたこの振興会法の三十五条で定められているように、学術会議と緊密に連絡をしてその業務や運営についてやっていく、この方向をぜひ守ってやっていただくように、これは要望ですが、特にこの際お願いしておきたいと思うのです。  私はきょうは、先ほど、和田議員、それから大出議員が関連質問をしました定員外職員の問題を詰めて御質問しようと思っておりましたけれども、非常にダブる点がありますから、時間の節約の点で、あとで二、三それに関連した問題をちょっとお尋ねしたいのですが、その前に、これも先日、参議院で私どもの加藤議員が質問した問題ですが、もう少しお尋ねしたいと思います。教員の採用の問題です。  四十八年度の教員採用の選考の結果を見ますと、二十五の国立大学をとってみまして、千五百人以上の不合格者が出ています。こまかい大学の内訳については省略しますが、ほとんどすべての大学で、数十名から、多いところは百名以上の不合格者を出しているわけですが、東京近県を見まして、神奈川、埼玉、千葉をとってみても、いわゆる人口の増加している県で、教員が非常に不足しているといわれているところですが、ことし四月の採用者数の中に、正式免許を持った人が大量に不合格になっている。そして一方で臨時免許で就職している人が非常に多くなっているわけです。  たとえば神奈川で例をとりますと、全採用者二千二百四十四名中臨時免許二百二十七名。埼玉は、これは非常に多いのですが、千五百四十五名中六百十五名、千葉で千八百十九名のうち三百四十九名になっているわけですが、私はこの不合格者になった人たちをいろいろ調査してみますと、かなり明確な不当差別があるのではないかというふうに思います。  特に不合格者になった人たちの在学中をいろいろ調べてみますと、ほとんどが学生自治会あるいはサークル、こういった面の活動家といいますか、そういう人たちで占めていますし、たとえば埼玉大学でとってみますと、十六名中十三名の不合格者は、埼玉の知事選でいまの畑知事の選挙母体になりました明るい革新県政をつくる会、この会で活動してきた人たちです。千葉大、横浜国大その他についても同じようになっていますけれども、このような学生自治会等で……(発言する者あり)きょうは近藤さんでない人がしゃべっていますね。学生自治会等で当然の活動をしている、サークルに入ってまじめに活動しているという人たちが不当に差別を受けている。参議院でも答弁がありましたが、私も、いわゆる過激派集団といわれている連中が教員採用の中で不合格の対象になる、これはある面で当然のことだと思いますけれども、詳しく例をあげませんけれども、この非常に大量な不合格者を調べてみると、学内では非常に善良な学生、あるいはまじめな自治会の活動家、そういった者が非常に大量に入っています。  その点で、これらの一次試験、二次試験の合格、不合格の基準が非常に不明確ではないか。これも例は幾つかあるのですが、時間の関係であげませんが、一次試験の内容でほとんど満点に近くとっていると思われた連中が落とされたりしていますが、私は、合否の基準をもっと明確にする必要があるということと、この中に不当な思想差別があるのではないかという感じをするわけですが、この点について文部大臣のお考えを伺いたい。非常に大量な不合格者が出ている。四十八年度、国立大学だけとっても全国で千五百人以上ですね。この基準についてもう少し明らかにしていただきたい。
  81. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 一応筆記試験をしまして、あとでまた面接試験などをしているようでございます。採用予定者よりもオーバーする人を一応合格にして、その中からさらに選考するというやり方をとっておりますので、多少基準が明確でないじゃないかというような御指摘が生まれてきているのじゃないか、かように考えるわけでございますが、やはり選考します場合に、筆記試験である程度の成績をとってもらわなければならない。筆記試験が大同小異であります場合には、やはり人物を見て、教師に適合しているかどうか。それなりの愛情とか使命感というようなものが必要なわけでございますので、その結果で最終的に決定される。そのために、基準があいまいだというようないろいろな誤解が生まれてきているのではないかと思います。私も、学生自治会で運動したということだけで採用しないということはあり得ないと思うのでございますけれども、その点はやはりよく注意をしていきたい、こう思います。  同時にまた、過疎県でございますと、なかなか定員がふえませんので、採用者をたくさん予定できない。したがって、そういう地域におきましては、その地域で奉職しにくいものですから、自然大都市等に回ったりするわけでございますが、婦人の方でございますと、なかなかそうもいきにくいというようなことがございまして、ある程度国立大学を出ながら教職につけない方もいらっしゃるのではないだろうか、こう思います。今後、できる限り教育学部を卒業された方々全部就職していただけるような体制に私としては持っていきたいものだ、かように思います。
  82. 中路雅弘

    中路委員 いまの問題と関連してもう一つお尋ねしたいのですが、教育職員免許法第五条第三項で、臨時の免許の場合は正式免許を持った者をやむを得ない事情によって採用できない場合に限り発行するということになっています。ある一定の数をオーバーする数をとって、それで検討するといういまお話がありましたけれども、しかし、一方で正式免許を持っているのが非常に大量にいる、それにもかかわらず臨時免許を出して、正式免許を持っていない者を採用しているという事例が各所にあるわけです。  たとえば一つの例をあげますと、静岡県の場合、四十八年の四月現在ですが、臨時免許発行の問題を見ますと、いわゆる合格名簿に載っていて不採用の人たちが合計二百五十二名います。しかし、二百五十二名、合格名簿に載っていて不採用になっているのがいるにかかわらず、静岡では四十九名もの臨時免許を出しているわけですね。実際には合格者名簿に載せられている者がこれだけ大量にいて、その人たちを採用しないで臨時免許を四十九名も出す。これは私がさきに読んだ免許法に対しても違反ではないかと思うのですが、こういう違法行為の中に、先ほど言いました不当な差別やそういうものが含まれるのではないか。静岡大学のほうからの訴えもありますけれども、長いので読みませんが、こういうことは私は絶対に見のがすことができないのではないかと思うのです。東京都では一名も臨時免許を出していません。たとえば静岡のいまの例ですね。こういう実態はどういうふうにお考えですか。
  83. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 静岡の具体的な例は、ただいま初めて承ったわけでございますけれども、臨時免許状を四十五年、六年で申しますと、四十五年度に東京が四百六十九名が百五名に減っております。それから千葉が四十五年が五百四十一、四十六年度が五百十、神奈川が四十五年が二百九、四十六年が百二十九。それから静岡の場合は、四十五年が二人で四十六年が三人というふうな、これは小学校の場合ございますけれども、数字が一応出ているわけでございますけれども、これは過密地帯でございますと、特に集団住宅等ができまして、その際に若い夫婦の方で小さなお子さんを持っておられる、小学校に行っておられる方が将来中学校に行かれるということが予想されるわけです。したがいまして、今度は小学校のほうの先生が余ってきて、中学校のほうが足りなくなってくるというふうな現象が予想される場合に、中学校の先生の免許状を持っておられる方に小学校の臨時免許状を与えるというような、これは人事管理上のいろいろな問題がございまして、おそらくそういうふうな配慮をしているということであろうと思います。これは、一般的にいえる場合でございまして、個々の場合につきましては、たとえば静岡の場合にどうなっているかということにつきましては、私ども詳細には存じておりませんけれども、いずれにしましても、そういうふうなやむを得ないと申しますか、将来を見越してある程度政策的にやらざるを得ないというふうな場合があろうか、そういうふうに考えておる次第でございます。
  84. 中路雅弘

    中路委員 幾つも実例を出されておりますけれども、たとえばこういう例もあるのですね。これも直接手紙で来ておるのですが、北海道の学芸大学札幌分校を卒業した人で、横浜市の教育委員会の試験、これは倍率八倍というなかなかたいへんなものですが、これの試験に合格しまして、校長面接も終わって採用が内定している、本人がそれで上京するということで、ただそのときに幾つか不足の書類があったということで出して、大学から人物調書が行ったのですね。そうしましたら、本人が、採用になったというので、北海道から横浜へ来る汽車に乗る十分前に採用取り消しの通知が舞い込んできたということで、非常なショックを受けて、事情についても手紙が来ておりますけれども、こういう実例の訴えが非常にたくさんあるわけでありますが、私はこういう実例をいろいろ見るにつけて、採用の基準といいますか、合否の基準、これが非常に不明確であるだけではなくて、試験で合格していても、そういう学校側の思想的な差別というものが、試験の採用においても明らかに含まれておるのじゃないか。不合格になった名簿を全部見てみても、そういう人たちに集中するわけですね、やはり先ほど言ったようなものが。  そういう点で、これはことしもこれから採用試験が始まるわけですが、多くの受験者は、またことしもこのような不当な差別が行なわれるのではないかという非常な不安があるわけでありますが、そういう点で、まじめに学業をやっておる、そして学内でも、サークルの活動にしても、自治会の活動にしても、善良な学生としてまじめにやっておる、そういう学生に対する不当な差別、あるいは活動歴による差別、そういうものは絶対にやらないということを、行政指導においてもそのことを徹底させていただきたいし、また、不当なそういう差別があった場合には調査をして、この問題についてそういう問題が起きないような処置をぜひともやってもらいたいということをお願いしたいわけですけれども、具体的な実例できょうお話ししようと思っておりましたが、省略してお話をしているわけです。ひとつこの問題について大臣のお考えもはっきりさせていただきたい。
  85. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 採用を内定しておきながら取り消しをするなどということは、まことに不手ぎわなことだと思いますし、そういうことがありますと、いまおっしゃいますような疑惑を生む種になるのじゃないだろうかと、たいへん心配をいたすわけでございます。  ただ、先ほども申し上げましたように、筆記試験で成績の上の者から採るということについては、私はやはり反対でございまして、選考によりまして、教師に向くか向かないか、それも大きな比重を置いて最終的な決定をすべきではないか、かように考えるわけでございます。  また、私が参議院で申しましたことについては御賛成をいただいたわけでございますが、政府を暴力で破壊することを主張するような団体に入っておる者など、これはやはり採用すべきでないことは、法律できめておることでもございますので、いたすべきではないと思います。反面また、学生自治会で活動をしておったというようなことで差別をするのも、これは私は不穏当なことだとかように思いますので、そういう考え方は浸透させるように今後も努力をいたしたいと存じます。
  86. 中路雅弘

    中路委員 いまほんの一、二の例だけをあげましたけれども、こういう実態や実例がたくさん寄せられております。私のほうでも資料をまたそちらに出してもいいと思うのですが、具体的な実例については調査をしていただいて、その中に不当な差別があるということならば、行政指導としても改めるということを強く要請をしておきたいと思います。  それからあと、和田委員大出委員が関連質問でやった問題ですから、先ほど言いましたようにダブらないで簡潔にお尋ねをしていきたい。  定員外職員の問題ですけれども、先ほどお話にあったような実情ですね。たとえばここに「定員外職員白書」というのが東京大学職員組合で出しておるのがありますが、ある定員外職員の日記というのもここに出ておりますが、私は、この日記のところどころを読むたびに、定員外職員が置かれておる現状というのが非常によくわかると思うのです。これは先ほども出ていましたが、「定員外の給料というのは、研究費から出したり、物件費から出したりしているらしい。するってエと、オレの給料は、本棚や机や鉛筆削りと同じ扱いになる」ということも書かれておりますけれども、実際に給与がこのような物件費やあるいは研究費から払われていくというような、こういう現状をいつまでも——私は、先ほども出ましたけれども、人権問題としても、こういうことは許しておくことはできないのではないかというふうに考えるわけです。それが総定員法という法律のワクで縛られて、結局こういう事態にならざるを得ない。  またこの人の話ですと、これからもそうですが、夏休みになり、共済組合の休養のための宿所案内のチラシが配られたので、自分も今度の夏休みにぜひ行きたいと言ったら、共済組合に入っていなければだめだということで、定員外は規則上入れないと言われて、この夏の休みも、同じ仕事をし同じ職場で何年も働いておるにかかわらず、定員外職員だということで共済組合のあれにも入れないという訴えもあります。  また、ある人は、夏にからだをこわして二カ月間休んだ、その間全く金がもらえない、十一月になって初めて一万五千円という涙金をもらったけれども、二カ月間休んだ間が一万五千円ということですから、これではとうていやっていけない。これは宇宙研の人の話ですけれども、当局といろいろ交渉して、やっと病気休暇中は有給ということで定員並みの待遇をしてもらった、それもずっとあとに、長い間の交渉の経過があってのことですということもここに書かれておるが、「非常勤職員定員外)は、継続して働くのは会計年度内に限られており、そのため、実質には数年間つとめていても、書類の上では形式上、年度の末に一日ないし数日クビをきられ、四月一日づけで再採用される、という手順なのだ」「毎日毎日クビをきられ、三月三十一日には、「本格的に」クビを切られ、四月一日には、また毎日クビを切るために「再採用」する」というのが定員外職員の現状だということをこの白書の中である人が書いていますよ。  私は、こういう実情、しかもこれが大学の職員の関係で一番多い。定員外職員は一万人以上にのぼっているわけですね。いま読みました定員外職員の人たちの声ですね、これはやはり、先ほども関連質問大出議員がやっていましたけれども、解決するのについて、文部省はもっとやはりしっかりした方針で臨んでいただきたい。全体で二万人くらいあるんじゃないですか。そのうちの一万をこえるのは文部省関係定員外職員。先ほども和田議員が幾つも例をあげました。私も資料もたくさんありますけれども、この中でほとんど、それが定員外職員という臨時の職員仕事じゃないんですね。これは日教組の大学部がつくっている資料ですが、この中にも名前をあげて実例がたくさん出ています。見てみますと、全部臨時でやるような仕事でないわけです。名前を一人一人あげて御質問するということは、先ほどの和田議員の質問もありましたからやめますが、同じような実例です。この一冊の中に出ている名前だけでも相当なものだ。  また、もう一つお話ししますけれども、この「定員外職員白書」の中で、「定員外職員が今すぐやめるとまわりの仕事にどうひびきますか」という定員外職員についてのアンケートですね。これは宇宙研ですが、いろいろ出ています。他の人に大きな負担がかかるとか、あるいは実験が不可能になるとか理由をあげていますが、全部合計しますと、九一%の人が、定員外職員がやめると実際にこの仕事はみなとまると言っていますね。定員外職員というのはそういう欠かせない中に入っている。実際仕事をしている九一%の人が、定員外職員というものがなければ日常の研究所の仕事は全部とまってしまうんだということも言っているわけだ。  また、従事している仕事が、定員といわゆる定員外職員仕事に差を感じるかどうか、差別があるのかどうかということについても、これも結論で言いますと、九〇%以上の人たちが、日常の仕事の内容について差がないということを言っているわけです。先ほどの答弁で、定員外職員というのは職務が臨時的なものだというお話もありましたけれども、実際に仕事に携わっている人たちのアンケートでも、仕事に差がないんだということを九割前後の人たちが答えているわけですね。あらゆる面から見て、皆さんが先ほど答弁された、この定員外職員というのはこういう解釈でやっているんだということと実情は全く違うわけです。  身分においても、仕事においても、正規の定員と同じ仕事をやっているのが大部分だということがいえるわけですが、しかもこれが逆に年々拡大していっている。総定員法のワクによって必要な業務に見合う定員が確保することができない。増大している業務量をこなすために、本来なら定員をふやしていかなければいけないわけだけれども、これが総定員法でふやせないので、定員外職員ということで採用している、これが実際の実情ですね。これを何とか糊塗しようというから。先ほど皆さんが答弁されたように、非常に苦しい答弁になってしまう。  やはり私は、この問題は、先ほど大出議員も関連質問でやっていましたように、根本的にこの定員外職員の人たちの問題を解決するという立場で、特にこれが文部省の関係で多いわけですから、当たっていただくということについてのお考えももう一度ここで確認しておきたいと思います。
  87. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 十数年もたつかと思うのでございますけれども、常勤的な非常勤職員、それを計画的に定員に組み入れたことがございました。反面また数年前に、国家公務員の定員を削減していこうということになりまして、四十七年、四十八年、四十九年、三年間に一般行政職では五%の削減。各省において若干事情が違うわけでございますけれども、そのあおりを文部省としても食らっているわけでございます。  先ほども申し上げたわけでございますけれども、国立大学等の現状から考えますと、似たりよったりな削減を加えていくことについては、私は、無理がある、その無理が来ている、こう考えるわけでございます。ぜひ定員増加を強く要請して、いままで出ております問題などの解決に努力していきたい、こう思っております。
  88. 中路雅弘

    中路委員 先ほども和田議員から、幾つも具体的な例でお話がありましたが、私は一つだけ具体例でお尋ねしますけれども、これは私のところに本人から長い手紙が来ておりますが、大阪大学の蛋白質研究所で定員外職員として働いていた島田テイさんという方ですが、これは訴訟になっていますから御存じだと思いますが、一九七一年の二月末に部屋の研究費の削減ということを理由に解雇された定員外職員の方ですが、八年間同じ職場で働き続けてきたわけですね。形式上は数ヵ月ごとの契約更新ということになっていますが、そしてその八年間の勤務時間は午前七時からの八時間勤務。実際の仕事の内容も手紙で詳しく出ていますけれども、実験に用いた器具の洗浄や整理、あるいはクリーニングの依頼、受け取り、各部屋の清掃、ずっとあげられていますけれども、この業務は実際にこの部門における研究活動に絶対に必要な業務です。そういった中で、三十八年から島田さんは通算して八年間再任用を重ねて継続して従事していたわけですが、四十六年の二月二十七日に解雇された。しかもこの雇用は、任命権者は阪大の総長ですが、一つの小さい部門の研究費が削減されたということで解雇されるということも、私は非常に不当なものだと思います。  しかもこの解雇は、御存じのように、日々雇用者である定員外職員についても、一カ月以上継続して使用された場合、その解雇には三十日前の予告、あるいは三十日以上の平均賃金の支払いが、労働基準法のたしか二十条ですか二十一条と関連しても必要だと思いますが、島田さんの場合は、こういう予告も、あるいは三十日以上の手当の支払いも行なわれていない。どうしてこういう不当なことがやられているのか。この島田さんのことはおわかりになりますか。
  89. 木田宏

    ○木田政府委員 いまお尋ねの島田さんにつきましては、昭和三十八年という御指摘がございましたが、これは教官の個人的な依頼によるお手伝いをされたものだと思っています。私どものほうで承知をいたしておりますのは、昭和四十三年三月一日から昭和四十六年二月二十七日までの間、断続的な勤務をしておられたというふうに承知をいたしております。そうして昭和四十六年二月二十七日をもって雇用期間の満了による自然退職という、ふうに承知をいたしておるところでございます。したがいまして、雇用期間が明示してあるわけでございますから、事前に退職の予告をするということも、もちろんもう行なわれておるわけでございまして、一般の場合の例は当てはまらないと思うのでございます。島田さんからは、昭和四十七年二月二十五日、人事院に対しまして業務補佐員としての身分を失ったことに対する審査請求がございましたけれども、人事院は、本件の自然退職は国家公務員法八十九条にいう処分ではないということで、審査請求についての却下があった次第でございます。今日御指摘がありましたように、四十七年八月十六日から大阪地裁に対しまして訴訟が行なわれておるようでございますが、その結果を待つ以外にないと考えております。
  90. 中路雅弘

    中路委員 公判の中で、国が被告になっておるわけですが、こういうふうに言っておるわけですね。定員の内外を問わず、一般公務員に任期を定めることは禁じられていないとし、恒常的な業務であっても、専門の知識や経験を必要としない単純労務の場合は代替性が強いので、同一人を続けてその職につかせる必要はないし、日々雇用でも十分だ、こういう趣旨のことが述べられていますけれども、単純労働であれば首切りは一向に差しつかえないとか、あるいは強制配転もできる、こういう論理になれば、定員外職員だけではなくて一般の事務職員についてもこういうことでやられてくれば、非常な不安を持つわけですね。  いまおっしゃったように、確かに雇用の契約というのがありますけれども、しかし事実上、定員外職員というのはそういう何回かの再雇用でみな何年も続いてきておるわけですから、首切るときだけはそれを使って、雇用は何ヵ月なんだから当然だ、手当も出さなくてもいいんだ、こういう定員外職員が一万人からいるということになれば、しかもそれが大学というところで一番多いわけですね。私はこの点では、日本で最高学府といわれている大学の中で、このような労働者の基本的人権にかかわる問題が、しかもそれを無視したいろいろの雇用形態がとられているということは非常に大きな問題だと思いますし、定員外職員全体の問題だけじゃなくて、特にそれが大学に一番多い。しかもいま言いましたように、労働者の基本的な権利にかかわる問題が非常にこれに関連してあるわけですから、その点でぜひとも、先ほどから関連質問でも出ていますように、この定員外職員の解決の問題。実際に、仕事においても、先ほど例をあげましたけれども、同じ仕事の人たちが全部、同じ仕事をやっているんだ、差別はないんだということをみんな認めているわけです。しかし、定員法のワクで縛られているためにこういう雇用形態をとらざるを得ない。それが大学を入れて一万をこえているという実情ですね。これはもう放置をしているということはできないのだと思いますので、先ほども御意見をお聞きしたけれども、最後に要望で申し上げておきますが、この問題は至急に解決するという決意でひとつ当たっていただきたい。このことを強く要望しまして、一応質問は終わりたいと思います。
  91. 三原朝雄

    三原委員長 有島重武君。
  92. 有島重武

    有島委員 文部省設置法の一部改正、その中身は、大学局と学術国際局の新設だということになっておるわけでございますけれども、文部行政がこうした法改正によって飛躍的に充実されるかどうか。あまり変わりばえがないというのじゃ困るわけでございまして、これは飛躍的に充実されなければならない。その御覚悟は十分おありになると思うのですけれども、その際に、いままでの文部行政が、とかく教育そのものに、特に大学、学術、そういったものに介入してくる、手を突っ込んでくる、そういったことがいままでも心配されていたわけであります。そういった方向に充実されては困る、充実されるのはほんとうに民主的な学問が進む方向に充実していただきたい、それが一番の私たちの基本的な問題になりますけれども、最初に大臣の御所信を承っておきたい。
  93. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 日本が経済大国といわれながらも文化大国といわれる事態にならないことは、私もたいへん残念な気がするわけでございますけれども、日本の教育研究が一そう充実しますように、その環境を整えるということに最善の努力を尽くしていきたい、かように思います。
  94. 有島重武

    有島委員 きょうは時間が制限されておりますので、あまり詰めた話はやらないで、どんどん骨子だけやってまいります。  大学局設置に関連いたしまして、いま一番問題になっております大学の入学の問題ですね。提案理由の説明の中にも「大学入学者選抜制度の改善」ということが出ております。これは大学入試の改革案は、いつごろ発表される御用意がありますか。
  95. 木田宏

    ○木田政府委員 入学選抜制度の改善のために、毎年会議を設けて鋭意検討を進めておるところでございますが、高等学校の学習指導要領が四十八年から変わりました際に、大学入試につきましても一つの切りにもなりますので、共通学力検査等の導入が国立大学だけでもできないかということで、今日国立大学協会等ともタイアップいたしまして、五十年あるいは五十一年の実施を目標にいたしまして、いま相談を詰めておるところでございます。
  96. 有島重武

    有島委員 お話では、大学入試の改革についておそくも五十一年には結論が出る、そういうことでございますね。これについては、やはり大学のあり方全般についての考え方ということもまた問題になってこようと思うんですけれども、これも詰めた話はやめます。  大学の設置基準の改正については、その御用意がおありになるか。お考えがおありになるか。
  97. 木田宏

    ○木田政府委員 すでに一部弾力化等を行なったところでございますが、今後も引き続きこの設置基準の弾力化という方向で検討を進めておるところでございまして、先般単位の互換制度と申しますか、他の大学で勉強した単位を自分の大学に当ててもよろしいといったような措置も講じたところでございます。引き続き大学の御要請に沿って、大学改革の具体的基準の弾力化という方向は考えてみたいと思っております。
  98. 有島重武

    有島委員 単位の互換性について踏み切られたことについては、私ども四、五年前から御提案申し上げてきたわけです。このほど踏み切られたことについては、たいへん評価いたします。その他さらに受講形態を少し規定してはどうかという提案を私たちは文部省に対しても申し上げてありますけれども、お考えいただきたいと思うんです。大学四年間いれば、ただその時間だけでもって卒業できるというのではなしに、少人数教育をどのくらい経てきたか。それから、これからも大学は人数多くなりますから、今後は非常に多人数教育ということが避けられないと思います。にもかかわらずその質を高めるということについては、その受講形態でもって一つの基準を設けられる、そういう方向をお考えいただきたいと思いますが、どうですか。
  99. 木田宏

    ○木田政府委員 大学の授業方法の改善その他は個別に進めていかなければならぬところでございまするから、予算におきましても、教育工学センター等を個々の大学に設けてまいりまして、多くの学生を扱いながら、しかし細分化された学生の指導ができるようにといった教授法の改善には個別に取り組んでおるところでございます。
  100. 有島重武

    有島委員 次にいきます。教育、学術、文化の国際交流について中央教育審議会に諮問しておられるというふうに聞いておりますけれども、その経過状況を伺いたいと思います。
  101. 奥田真丈

    奥田政府委員 中央教育審議会におきましては、昨年の六月十二日に第一回の総会を開催いたしまして、「教育・学術・文化における国際交流について」という諮問を受けました。それから四回にわたって自由討議を行ないましたあと、昨年の十月から、日本語教育教育交流と学術交流と文化交流の四つの特別委員会を設けまして、審議を進めてまいっております。その後、各委員会とも毎月一、二回審議を重ねてまいりまして、今月の末には総会を開きまして、各特別委員会の主査から審議状況を報告することになっております。なお、これらの報告に基づきまして、中央教育審議会は今後答申の取りまとめを行なわれる予定になっております。
  102. 有島重武

    有島委員 少しうるさくて聞こえなかったのですけれども、教育、学術、文化の国際交流について中央教育審議会に諮問した、そのことについては今月一ぱいに結論が出るのですか。
  103. 奥田真丈

    奥田政府委員 今月一ぱいで結論が出るのではございませんでして、今日まで各特別委員会四つに分かれまして、たとえば日本語教育教育交流、学術交流、文化交流、こういう問題について特別委員会審議を進めてきております。その特別委員会審議が大体いままとまった段階にまいりましたので、今月末に総会を開きまして、特別委員会の主査から審議状況の報告がある、こういう段階でございます。
  104. 有島重武

    有島委員 特別委員会の主査から報告があるのは今月末、それがさらに答申になるのはいつごろになりますか。
  105. 奥田真丈

    奥田政府委員 今月末に特別委員会からの報告がございまして、それを受けて総会でさらに審議を続けられるわけでございます。そういたしまして、いつごろになるかは審議の動きによってきまってくるわけでございますが、委員の任期等を考えまして、年度末までに、あるいは年内に最終的な答申がまとまるようになればと思っております。
  106. 有島重武

    有島委員 文化庁の方来ておられますか。芸術文化の国際交流の大ざっぱな現状と、いまのそちらの方策について伺います。
  107. 清水成之

    ○清水政府委員 芸術文化の交流につきまして、芸術文化の交流がわが国の芸術文化の振興自体にプラスになるという観点と、それから芸術文化交流を通じまして日本の文化を理解をしていただく、そしてそれが各国との相互理解、親善に貢献する、こういう観点から進めておるわけでございますが、大きく分けて人的交流の面が一つあろうかと存じます。  人的交流の面につきましては、具体的に申しますと、芸術家の在外研修ということで、新人芸術家を養成したいということで外国へ派遣することが一つございます。それから、本年度から入れていただきました、芸術文化の新人ではございませんで、指導者を海外へ派遣して各国の高度なものを見てきていただいて、それをこちらへプラスしていただく、こういう事業が一つございます。  なお、こちらの受け入れの問題といたしましては、私どもとしましては、芸術文化につきましてはできるだけ民間団体の活動を活発化させたい、こういう角度からいたしまして、各種芸術文化団体がいろいろと国内で事業をやります場合に、識者を招請するとかというようなこともございます。そういうようなことに対しまして助成措置を講じていく、こういう芸術文化団体への助成の措置が人物交流の面でございます。  なお、芸術文化は現代だけに限りませんで、広く文化財を含めて考えました場合に、高松塚古墳壁画の修復技術等の問題につきまして、ローマにユネスコの文化財修復技術センターというものがございますが、そこへこちらから派遣をする、あるいはまた、先方からこちらへ来ていただくとかいう人的交流の面。それからまた博物館、美術館交流を相互に実施をしておる、こういう点がございます。  それから情報の交流につきましては、これはなお十分でございませんので、今後拡充をしてまいらなければならぬ、こういう状況でございます。
  108. 有島重武

    有島委員 文化庁のほうにはいろいろ御構想があるようでございますけれども、それが予算措置が非常に少ない、そういうことでもって、項目はあっても非常にそれが中途はんぱに終わっているということがいままでの例にあったかと思います。この際、これは大幅にほんとうに充実していかなければならないんじゃないかと思います。これも詰めた話はいましませんけれども、文部大臣、ここでもってひとつその方向性だけでもお約束をいただきたいと思います。
  109. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 わが国も、幸いにしてそういう方向に大幅に予算を盛れるようになったわけでございますので、積極的な努力を四十九年度予算においては行ないたいと思います。
  110. 有島重武

    有島委員 それはほんとうに期待していていいですね。  海外の子女教育について、先日もわが党の外務委員の渡部が問題を提起したようであります。その内容は略します。  それでもう一つ。いままではいわゆる先進諸国といいますか、ヨーロッパ、アメリカあたりに派遣されている日本の方々が多かったわけでありますが、これから、そちらに行っても教育施設が非常に不十分である、しかも何十人かの方々が、家族があればまあ学校形態をとることもできるけれども、そういうことも不可能であるというような状態がいまも起こっておりますし、今後も多くなってくるんじゃないかと思うのです。多角的に多くの国々との交流ということが多く起こってまいります。そういたしますと、その国ではなしに、お隣の国には教育の環境がある、施設があるということでもって、奥さんたちは、飛行機で行ってすぐ二時間、三時間の国のところに住むとか通うとか、そういったことも起こってくる場合に、日本からの送金が海外に派遣されている人のところにいく。そうすると、国境を越えてとにかく子供の教育はしなければならないが、派遣された本人が国境を越えて学費を払う場合に、また別なタックスを払うとか、そういうようなことが現実にいま起こってきております。こういったような問題も含めて、海外子女教育というのをさらにもう一歩突っ込で考えていかなければならないのじゃないかと思っております。この点もしっかりやっていただきたい。これも突っ込んだ議論ができないのがあれですが、一言お答えいただいておきましょう。
  111. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 お話しのように、在外邦人の子女の教育の問題、非常に重要なことでございます。できる限り日本人学校の整備もはからなければなりませんし、その内容の充実につきましても、教師の派遣、その他通信教育のこともやっておるわけでございますけれども、一そう充実に努力しいたいと思ます。同時にまた、帰ってこられた場合の受け入れ、これもたいへん重要な問題でございます。いずれにいたしましても、総合的に整備の必要が非常に大きいわけでございますので、外務省とも十分連絡をとりながら格段の努力をいたすつもりでございます。
  112. 有島重武

    有島委員 外国人に対する日本語の教育、これについてのいまの施策を御説明いただきたい。
  113. 清水成之

    ○清水政府委員 簡潔にお答えさせていただきたいと思います。  先ほど中教審の関係でお話がございましたように、日本語教育特別委員会を設けていま審議をお願いしておりますが、できるだけ日本語教育センター的なものを早急に設置すべきだ、こういう議論が強く出ておりますので、その方向に向かって努力をいたしてまいりたい、かように考えております。
  114. 有島重武

    有島委員 これは新しい分野でありますけれども、数年にわたってこの面でもってかなり苦労していらっしゃる方々も大ぜいいらっしゃるようであります。そういった方のいままでの経験を、いまおっしゃっているその構想の中に組み入れられるようにして差し上げたほうがよろしいのではないかと思いますけれども、そういった御配慮を願いたい。いかがですか。
  115. 清水成之

    ○清水政府委員 ただいまの議論でも御指摘の点は出ているわけでございまして、十分配慮してまいりたいと考えます。
  116. 有島重武

    有島委員 ユネスコについて、この法改正によりますと、学術国際局が今度は一手にユネスコの問題を処理するということになるんですね。これは何か事務的な支障が起こり得ないかどうか、予想される困難というものがどの辺にあるのか、それはどう認識していらっしゃるか。
  117. 西田亀久夫

    ○西田政府委員 今回の改正によりまして、ユネスコ国内委員会の職務権限には何らの変更もございません。国内委員会事務局が学術国際局の中に含まれることによりまして、文部省全体として、ユネスコを通ずる国際的な協力事業と、その他の部局にわたっておりました国際理解あるいは国際協力に関する仕事を、一体的にまとめて遂行するという点において、それがより合理的に、そして強力に推進できるようになるのではないか、かように考えております。
  118. 有島重武

    有島委員 当然そういうことになると思うのですけれども、より合理的により強力にということは、一番最初に申し上げたことと同じように、ちょっと心配になりますのは、ユネスコの活動がより官僚的に運営されるというようなことがあっては困るというふうに私どもは思います。この点も、これは今後の問題だと思いますけれども、私たちもよく見守ってまいりたいと思っておりますので、よく御配慮をいただきたいと思います。  それから、ユネスコを通じての国際交流、いま文化庁で言われました国際交流、それから外務省における国際交流、そういったような関係性は、ユネスコではどういうふうに始末をしていらっしゃるか。
  119. 西田亀久夫

    ○西田政府委員 国際交流、国際協力と申します場合に、その目的とするところにいろいろなねらいがございます。先ほど来お話がありましたように、わが国が積極的に日本について正確な理解を深めていただき、これによって友好親善を深めるというねらいもございます。また学問の世界のように、国際的な交流と協力によってお互いに有無相通じてお互いに発展を刺激し合う、こういう趣旨もございます。ところがユネスコの場合におきましては、そういった問題は直接の目的ではなく、御承知の国連機関としてのユネスコの世界全体の大問題に、ユネスコがいろいろな事業計画を立て、日本は加盟国としてこれにいかに協力し参加して、その地球全体にわたる大きな人類の共通の問題の解決に日本が寄与するか、こういう観点の問題でございます。その個々の事業にはかなり共通性もあり似たところもございまして、私どもユネスコの場合にも、これが対外的な方針に関与いたします場合には外務大臣と密接に御連絡を申し上げるというようになっております。従来とも文部省内におきまして、国際関係者の間における常時の連絡の機構をもってこれらの仕事の円滑化をはかるように努力してまいった次第でございます。
  120. 有島重武

    有島委員 最後に大臣国連大学の進捗状況についてお話しいただきたい。
  121. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 先般、国連のほうから事務総長が訪れましたり、あるいはナラシマン氏を団長といたします調査団が訪れたりいたしまして、その話し合いの過程から、日本がどのような国連大学受け入れについての考え方を持っているか、財政的な問題もあわせまして報告したところでございます。この秋には、国連大学憲章草案、これが国連総会にかかると思いますし、また事務総長から、いずれの地に企画調整センター、研修施設を設けることがいいかということの勧告を総会になされる、その段階において決定になるということでございます。
  122. 有島重武

    有島委員 時間が来ましたので、終わります。
  123. 三原朝雄

  124. 大出俊

    大出委員 きょうは文部大臣に三つ四つの問題で実はじっくり承りたいと思ったわけでございますけれども、本会議の時間等がございまして、たいへん短い時間だということになりましたので、二点にしぼりまして承りたいのであります。  本年に入りましてから、学園の理事長と名のつく方々が不正事件を起こしまして次々に起訴をされておる。私立立正学園、これが一つございます。本年の一月から三月までの間に東京地検の特捜部が摘発した学園の事件が三件、いずれも起訴までいっております。いまの私立立正学園の事件もおそらく文部省はよく御存じだと思いますので、ちょっとお考えを聞いておきたいのでありますが、担当の局長さん、きょうおいでになっておりますか。これは一体どうしてこういう事件が起こったのか、あなたのほうでお調べになった結果に基づいて、将来に向かってどうすればいいかということを含めて、まず承りたい。
  125. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 立正学園の問題でございますが、これは立正学園の前の理事長が寄付をいたしました株式を、その後の、すでにやめておるわけでございますが、財務担当理事が、他にはかることなくかってに売却をいたしまして、その際に売却の差額を着服をしたという事件でございます。  事件が起こりました直後、さっそく私ども、関係者を呼びまして事情を聞き注意をいたしたわけでございますが、やはり問題は、学園の内部におきまして、そうした重要な事項を処理をする手続きが明確にされていなかった、一部の理事にまかせっきりであったためにそうした事故が起こったということでございます。  学校法人の業務は、御承知のとおり理事会という合議体におきまして、原則として過半数で決せられるわけでございますが、日常の業務は常務理事等にまかせて執行するということも、これはやむを得ないことでもあり、かつ適当なことかとも思いますが、今回の事件のように、学園の重要な資産が一財務担当理事によって処理されるというような、そういう運営の方式はきわめて不適切であるということで、注意もいたしておる次第でございます。
  126. 大出俊

    大出委員 例の松本の歯科大学事件もございますね。また最近では福岡歯大の不正事件がございますね。私、いま持っているこの資料には、まさに学園の理事さんの私利私欲のための悪徳オンパレードだなんて書いてありますが、おのおの事件の内容は非常に詳しく分析してここに書いてありますけれども、実は少し時間をかけて詰めたい原因があるのですけれども、その時間がございません。ございませんので、あまりあり過ぎますからね。これは文部省の姿勢という問題と非常に大きくからむと私は思いますから、そういう意味で、いま問題になっております福岡歯科大学事件、これはどういう事件かという点について、どこまでいま把握をし調べておられるかということについて、警察庁にお見えをいただきましたから、そちらのほうから最初に一言お述べをいただきたいわけでございます。
  127. 田村宣明

    ○田村政府委員 ただいまお尋ねの福岡歯科大学の設立認可をめぐる事件でございますが、現在まで警察で進めております捜査の状況でございますが、容疑が二つございまして、一つは贈収賄の事件でございます。一つは業務上横領の事件でございます。  贈収賄のほうの事件でございますが、事件が発生をいたしましたのは四十六年の十二月ごろでございますが、収賄者側は、当時の大学設置審議会の委員であり、東京医科歯科大学の教授でありました桐野忠大。贈賄者は、当時福岡歯科大学設立準備委員会の準備委員長で、現在福岡歯科大学の理事長をしております穂坂恒夫ほか準備委員会の副委員長、実行委員二名、それから九州歯科大学の同窓会東京支部の理事をやっております者、この五名が共謀をいたしまして、四十六年の十二月ごろに、この福岡歯科大学の設立認可につきまして、桐野に対しまして無銘の日本刀一振り、時価四十数万円と見られますが、これと現金五十万円を贈ったという贈収賄事件が一つでございます。  それから業務上横領事件は、やはりこの福岡歯科大学の設立準備委員会委員でございまして、設立準備資金の収支等に関する業務を担当いたしておりました大城三春、この人が、四十七年の十月から一月ごろの間に、自分が保管をしておりました同大学の準備委員会の金の中から、数百万円を着服横領をしたというものでございます。警察におきましては、現在のところ、十数カ所の捜索と数十名の参考人から事情を聞きまして、現在この事件の解明並びに裏づけに全力を注いで捜査をいたしておる、こういうような状況でございます。
  128. 大出俊

    大出委員 時間がまことにありませんから、二十分くらいでということですから、たくさん問題があるのですけれども、質問のしようがないのですが、一括聞きます。  まず、元理事長さんが一流建設部長と組んで業務上横領をやったというのが詐欺の麻布学園事件ですね。警察のほうにもいろいろ前から聞いておりますけれども、これも起訴になっておるのです。それから、設立認可をめぐってたいへん不正問題が起こりまして、これは商社までからんでいる。見せ金という形で基準になるべき資金をぐるぐる回した、そんなことまでやっているんですね。それから、先ほどちょっと承りましたが、これは非常に複雑な中身を持っておりますが、立正学園事件。三件一月から三月までの間に起こっている。  そこへもってまいりまして福岡歯科大学。これも実はずいぶん多岐にわたる、文部省の中まで捜査するという騒ぎだったと思うのでありますが、こういう事件が次々に起こるというのは、一体その根本的な原因というのはどこにあるとお考えでございますか、大臣は。何が悪いのかということ。
  129. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 それぞれ事情は違うと思うのでございますけれども、基本的に考えますと、学校の体制あるいは文部省のこれに対応する姿勢になお不十分な点が多々ある、かように考えておるわけでございます。それぞれ事情は違いますので、いささかなお洗ってもいいと思いますので、考えさせていただきますが、謙虚に反省していかなければいけない、また対応策を速急にとっていかなければならない、こう思っております。
  130. 大出俊

    大出委員 それぞれ事情が違うからそれぞれ対応の策をと、こうおっしゃるんですが、基本的な問題はまだほかにありはせぬかという気がする。  私、ここにだいぶ集めた資料があるのですが、これは医大あるいは歯科大学等をめぐりまして、この入学にあたっての金の動きですね。これはこれだけ、私、資料を集めて、、文部大臣に事こまかに、文部省調査もありますが、どうも釈然とせぬものもありますので、含めて実は承りたいのですけれども、これは二千百万なんという順天堂でございますけれども、第一次の筆記試験が受かったと家族と一緒に面接をやる。家族が行くと、あなたのところはどのくらい寄付してくれますかという話。まあしようがない、世間さまはどのくらい寄付するんですかと言ったら、一千万円くらいですなんというようなことを言って、それでは私のところも一千万円と言って約束をしたところが落っこった。あとで調べたら、最高二千百万までの寄付が行なわれていたなんというわけですね、これは。  私の長男坊主も、かつて官立の医大を受けるというので、三年ぶっ続けて受けておりましたがね。六十人とるところへ二千人も受けに来るんですからね。さて、その私立の医大をとなると、そのときにも聞いてみましたところ、これはたいへんな金なんですね。じゃ一体、それらの寄付金が集まって、それがどういうふうに運営され、どうなっているのかというのは、ある意味の象牙の塔でございましてね、さっぱりわからぬ。こういうことをやっておいていいはずはない。一体その金はどこにどうなってしまっているのか。つかみで一千万くれますか、千五百万ですか、あなたは千八百万ですか、いや私のところは二千万。二千万出す人もありますと言ったら、もう一人の人は二千百万出たというのです。そうしたら二千百万の人が受かっている。  こういう乱脈なことをやっておれば、医大、歯科大学なんというものは、それは金の問題の不正だ云々だということは起こらないほうがおかしい、率直に言うと。明確な医大商法ですよ。これは根本的な問題です。それでおまけに、そこで資格をとって国家試験を受けた方が国民医療に携わるのですから。そこらのところを抜本的に考え直さなければ、オンパレードなどと書かれておりますけれども、この問題は直らないと私は思うのです。  だから、ずいぶん時間をかけて、どこの大学はどのくらいの寄付というのを、何人受かっていて大体どれくらいどう出しているかということを全部調べてみた。実はきょうは、これを端から取り上げて詰めてみたかったのですけれども、残念ながら時間がございません。したがいまして、基本的な点しか承れないのですけれども、将来に向かってこういう点まで触れて、これは坂田さんのときに一ぺん私は簡単に聞いたことがありますが、どういうふうに政治の姿勢ということも含めましてお考えになっていくのかということ。もうこれはたくさん事例があるのですから、いまこの時点で、将来に向かってこうするという方針がなければならぬと私は思うのですが、これから検討しますなんというばかなことでは、これでは国民が納得できないんじゃないですか。いかがですか、そこのところは。
  131. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 数日前にもこの委員会でも実は申し上げたのでございますが、やはりそれなりに医師不足という背景がある。同時にまた、入学時に多額の寄付金が徴収されておって、それが比較的におわされてきたというようなことが私は背景になっていると思うのでございます。  四十五年以後に二十一の私立の医科大学、歯科大学が認可になりました。今後のあり方といたしましては、なお私立で認可を希望しておられるところが相当あるようでございますけれども、やはり慎重を期していきたい。反面ばく大な金のかかるものでございますので、国公立の医科大学、歯科大学の増設に努力をしていきたい、これが一つでございます。  もう一つ、四十五年以後の認可の大学につきましても、あと追いで調査をしていきたい。松本歯科大学のように、認可申請をされたときの申し出と現実とは全く別でございますので、こういう問題についてはあと追いの調査をしていきたい。  第三には入学時の寄付金、これは、文部省は従来、入学を条件とする寄付金をとることはまかりならぬ、こう言っているわけでございますけれども、私は、明らかにこれは入学を条件とする寄付金ではないか、こう考えております。やっぱり純真な青年の心をむしばんでいる。だからこれの適正化に努力していきたい。同時に、認可を受けるととたんに、定員の問題にしましても、その他の問題にしましても、無視した運営が行なわれておるわけでありまして、その点いろいろな問題がございます。学校教育法の監督に関しますような規定も、私立学校法におきまして、私立学校にはこれを適用しないと言い切っているわけでございます。私はやはり、私学の自主性を尊重しなければなりませんけれども、いまのように野方図にして文部省は何らかまえないというようなこと、ただことばの上の指導、助言だけでもいけないのではないだろうか、干渉にわたらないことで仕組みを考えながらやはり立法措置が必要ではなかろうか、こういうことでいろいろと検討を続けている最中でございます。
  132. 大出俊

    大出委員 実は全く時間がございませんから、あらためていまの問題は質問をいたしたいと思います。ぜひひとつ、これは捜査の面を担当される警察庁関係の方々のほうも、納得のいくきびしい捜査をしていただいて、そして文部省側も、これは私は基本的には、国がもっと教育、この歯科大学あるいは医大というものについて、医師不足云々という問題もございますが、したがって、思い切って予算的な措置を講ずるという基本姿勢がなければならぬ。私は兄貴が東北大学の医学部の出身の医者ですから、医者の世界は全く知らぬわけではない。だからやはりそこらのところは、根本的に国の政治の姿勢に原因がある、こう申さなければならぬと私は思うのでございます。したがって、その上で私大について徹底的にきびしい基準を設けて、そして監督を強化していく。両面なければならぬと私は思うのですけれども、そこらはひとつ将来に向かって十分御検討いただいておきたい。あらためて質問いたします。  それから次に時間がありませんからもう一点だけ承りますが、神奈川県の例からいたしまして、たいへんな人口増。これが社会増といわれる流入人口ならいいのですけれども、最近は自然増というのが五四%ぐらいあるのですね。年間二十万をこえる人口増加なんですけれども、そのうちで五四%ぐらいが自然増。つまりほかから入ってきたのじゃない、そこまでいま来ている。そうすると、このままほっておきますと、高校不足のために中学浪人がぞろぞろたくさん出てしまう、高校施設がないのですから。しかも各区別にながめてみると、九九%高校進学をしているところがだいぶふえてきている。  そこで、先般、予算の分科会で、私は一つ例をあげました。横浜の磯子区というところに丸山台というところがある。住宅公団が公団住宅を建てるということで計画を立てましたが、住民の反対等もあってできない、そういう事情にあって、ここを高校用地にということで相当広範な父兄の動きになっている。  この問題と、もう一つ、南区の横浜国立大学、これが移転をする。そのあと地について住宅公団の家を建てるということが住民の知らない間にきまっておりましたが、これだけ広大な地域に、地元の方がずいぶん長年協力してきているところですから、ここに高校を一つつくりなさいということで皆さんに質問をしたところが、文部当局としても協力をする。それからまた建設大臣にも質問いたしましたが、建設省もその意味の協力はする、こういうことになっているわけでありますが、その後さっぱりどうも進展をしていないわけでございますけれども、高校というものについての考え方を、将来に向かって、国庫補助その他の問題まで含めて考えなければいけないと思うわけでございますが、きょうは時間がございません。基本的に高校全入という問題もございましたが、それに近い状態が出ておりますので、どう考えればいいのかという点と、あわせて用地という問題について、一体基本的に文部省はどうお考えになるのかという点と、二点についてお答えいただきます。これまた資料がたくさんございますが、あらためてまた質問いたします。
  133. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 ただいま御指摘がございましたように、神奈川県その他千葉、埼玉、東京、大阪、兵庫等の府県におきましては、相当数の高等学校の増設を必要とする状況でございます。これに対しましては、高等学校教育実態といたしまして、御指摘もございましたように、進学率も八七・二%という高い率でございますし、かつまた進学希望者の大多数が高等学校に現実に入学をしておるというような実態でございます。でございますから、実質的な面から申し上げますれば、準義務教育的な実態になっておるということがいえるかと思います。したがいまして、この高等学校進学希望者の収容という問題は、非常に大きな問題でございます。  ただいま文部省におきまして全国の状況等を調査をいたしておるわけでございますが、神奈川県の場合でございますと、中学校卒業生が、四十八年度から五十五年度までの間におきまして、九万四千人増加をする。あるいはこれに対応いたしまして、四十八年度から……。
  134. 三原朝雄

    三原委員長 簡単に結論を言ってください。
  135. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 そういう事態がございます。これに対しましては、国庫補助の要望等があることも承知いたしておりますが、現段階では地方財政措置を充実するということでこれに対応していきたい。  それから用地の払い下げの問題でございますが、横浜国立大学の清水ケ丘の土地につきましてはなお思量中でございます。四十九年度中に移転するということでございますので、その後の処置につきましては、御趣旨を十分参考にして処理をいたしたいというふうに考えております。
  136. 大出俊

    大出委員 それでは、建設省に来ていただいておりますが、丸山台のほうもできる限りの御協力をいただきたい、こう思うのですが、一言だけ答えてください。
  137. 福地稔

    ○福地説明員 丸山台につきましては、三月八日でしたか、先生御指摘がございまして、その後いろいろ県当局と接触をさせております。現在のところは、必ずしもまだ十分な結論に達しておりませんけれども、今後もいろいろ折衝したいと思っております。
  138. 大出俊

    大出委員 大蔵省の方もお見えいただきましたが、時間がございませんので、ひとつ建設省はじめ文部省等関係当局と御相談をいただきまして、前向きでひとつ取り組んでいただきますように要望いたしまして、三十分残しませんとあとが終わりませんので、終わります。
  139. 三原朝雄

    三原委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  140. 三原朝雄

    三原委員長 次に、橋本登美三郎君外十名提出にかかる靖国神社法案を議題といたします。     —————————————
  141. 三原朝雄

    三原委員長 提出者より趣旨の説明を求めます。倉石忠雄君。
  142. 倉石忠雄

    倉石議員 ただいま議題となりました靖国神社法案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明いたします。  現在の靖国神社には、創建以来祖国のために殉ぜられた約二百数十万にのぼるとうとい方々が奉斎されているのであります。私どもは、これら戦没者等の英霊に対して全国民的な尊崇の念をあらわすために、その遺徳をしのび、これを慰め、その事績をたたえ、その偉業を永遠に伝えることは、国民として当然なさなければならない事柄であると信ずるのであります。したがいまして、靖国神社を国民の名において、かつ国民の負担において守ること、すなわち靖国神社国家護持することは、英霊に対する国民の尊崇の念にこたえるゆえんでもあり、また、国としても当然なさなければならない事柄であると考えるのであります。  靖国神社国家護持は、多年にわたる国民の熱望であり、国会に対する請願も、たびたび繰り返して行なわれてきたのであります。われわれは、これらの熱望にこたえ、多年の懸案であった靖国神社国家護持を確立するため、靖国神社法を制定することが必要であると決意するに至った次第であります。  御承知のとおり、終戦直後の昭和二十年十二月、連合国軍総司令部の覚書に基づき、宗教法人令が制定され、その改正により靖国神社は宗教法人とされ、その後昭和二十六年四月の宗教法人法の制定に伴い、靖国神社は同法の認証を受けて、宗教法人靖国神社として現在に至っておるのであります。さきに述べましたように、靖国神社国家護持を確立する場合において、今のままの姿において靖国神社国家護持の実現をはかろうとすることは、日本国憲法が規定している信教の自由の保障や政教分離の原則に照らしますると、種々検討を要する問題があると考えられるのであります。したがいまして、われわれは、これらの点に関して、多年にわたり、各方面のいろいろな意見をも徴し、慎重に調査研究を重ねてきました結果、靖国神社が宗教団体であるとされることがないように配慮いたしまして、本法案を作成し、ここに靖国神社法案提出することとした次第であります。  次に、この法律案の内容の概要につきまして、御説明申し上げます。  第一は、靖国神社の目的についてであります。靖国神社国家護持をはかるために、前に述べた趣旨に基づきまして、靖国神社の目的を次のように定めました。すなわち、戦没者及び国事に殉じた人々の英霊に対する国民の尊崇の念をあらわすため、その遺徳をしのび、これを慰め、その事績をたたえる儀式行事等を行ない、もって戦没者等の偉業を永遠に伝えることをその目的といたしました。  第二は、靖国神社の名称についてであります。本法案において靖国神社という名称を用いましたのは、靖国神社の創建以来、その名称が国民の間に広くなじんでいる点を考慮いたしまして、その名称を踏襲することが適当であると考えたからであります。しかしながら、このことは、靖国神社を宗教団体としようとする趣旨のものではありませんので、この点を明記することといたしました。  第三は、戦没者等の範囲に関してであります。戦没者等の範囲につきましては、その基準を政令で定めることとし、その基準に従いまして、靖国神社から申し出がありましたものにつき、内閣総理大臣がこれを決定することといたしたのであります。  第四は、靖国神社の非宗教性についてであります。靖国神社国家護持は、あくまでも憲法の趣旨に適合してなさるべきものであることは当然でありますので、そういう見地から、靖国神社は、特定の教義を持ち、信者の教化育成をする等宗教的活動をしてはならない旨の規定を設けたのであります。すなわち、靖国神社が宗教的活動をしないことによって、靖国神社は宗教団体としての性格を持たないものといたしたのであります。  第五は、靖国神社の行なう業務に関してであります。靖国神社は、その目的達成のために、戦没者等の名簿等を奉安し、戦没者等についてその遺徳をしのび、これを慰めまたはその事績をたたえ、これに感謝するための儀式行事を行ない、あるいは施設を維持管理する等の業務を行なうものといたしました。なお、その目的達成のために必要があるときは、内閣総理大臣の認可を受けて、これらの業務以外の業務をも行なうことができるようにいたしました。  第六は、靖国神社の役員、評議員会並びに財務及び会計等についてであります。靖国神社の役員として、内閣総理大臣の任命する理事長及び二人以内の監事並びに内閣総理大臣の認可を受けて理事長が任命する五人以内の理事を置くこととし、これらの役員の欠格条項、解任事由等必要な規定を設けることといたしました。  次に評議員会でありますが、十人以内の評議員で組織する評議員会を靖国神社に置き、靖国神社の予算、業務計画等の重要事項については、理事長は、評議員会に諮問して、その意見を聞かなければならないことといたしております。なお、財務及び会計に関しましては、予算、決算、財産の管理処分等についての内閣総理大臣の認可、承認その他所要の規定を設けることといたしました。  第七は、靖国神社業務に要する経費に関してであります。靖国神社は、宗教的活動をしてはならないこととなり、宗教団体としての性格を持たないこととなりますので、国等において、これに財政的援助をすることは差しつかえないものと考えております。したがいまして、靖国神社業務に要する経費については、その一部を国が負担することをたてまえとし、さらに国または地方公共団体において、その経費の一部を補助することができる道を開くことといたしました。  第八は、靖国神社の設立に関してであります。この法案におきましては、靖国神社の役員となるべき者に設立に関する事務を行なわせることといたしましたが、その設立については、まず、現在の宗教法人靖国神社の自発的な申し出が必要であることといたしました。そして靖国神社が行ないます儀式行事等につきましては、これがきわめて重要な事項でありますので、その大綱については、本法案の趣旨に沿いますよう、内閣総理大臣が、靖国神社審議会に諮問して決定することといたしたのであります。  右の靖国神社の儀式行事等の大綱の決定がありました後、所要の設立手続が完了しました暁には、本法案による靖国神社が成立することといたしております。  以上が、この法律案の提案の理由及び内容の概要であります。  何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようにお願い申し上げます。(拍手)
  143. 三原朝雄

    三原委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。      ————◇—————
  144. 三原朝雄

    三原委員長 次に、大出俊君外六名提出にかかる国の行政機関の休日に関する法律案一般職職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案及び休日の範囲改定等のための民事訴訟法等の一部を改正する法律案を議題といたします。     —————————————
  145. 三原朝雄

    三原委員長 提出者より趣旨の説明を求めます。大出俊君。
  146. 大出俊

    大出議員 ただいま議題となりました国の行政機関の休日に関する法律案一般職職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案及び休日の範囲改定等のための民事訴訟法等の一部を改正する法律案につきまして、提出者を代表して提案の趣旨及びおもなる内容を御説明申し上げます。  今日、わが国の政治における第一の政策課題は、国民の福祉増進にあるといわれております。したがいまして、世界先進国の常識となっている週休二日制、週四十時間労働への移行は、すみやかに実施されなければならない課題であります。  先般、外務省が在外公館を通じて世界八十五カ国の週休二日制の実施状況、週労働時間の調査を行ないましたが、この結果、実施国、部分的実施国、非実施国に分類しておりますが、官庁と銀行が完全に実施し、さらに一部の民間が実施している国、または勤労者の八〇以上が実施している国、これらを実施国としてとらえ、「欧米先進国では、すでに定着した制度となっている」とし、「東欧では、ソ連、ユーゴスラビア、チェコスロバキアが実施国」、「発展途上国では中南米に普及しており、アジアではタイが実施している」と発表しております。  しかも、経済協力開発機構、OECD加盟国中、非実施国は日本のみであり、一人当たりの国民所得との関係で見ると、千五百ドル以上の国で非実施国は、わが国とクウェートの二カ国のみであることが明らかにされております。  また、週労働時間におきましても、四十二時間以内の国が六〇%に達しようとしております。  このように諸外国の情勢をながめ、ひるがえってわが国の実情を顧みるとき、まさに労働後進国日本の姿が浮き彫りにされるのであります。  かかる情勢を反映してか、最近わが国におきましても、去る四月二日に発表された労働省調査によりますと、週休二日制を採用する企業の割合は、昭和四十七年には、前年の六・五%から一三・二%へ倍増し、適用労働者の割合も、前年の二四%から三六%へと大幅に増加し、従業員百人から千人の中企業においても、これは求人対策からでありましょうが、一二・四%から二一・一%と増加しており、また、四十二年当時の実施状況を考えるとき、現在は各段の相違を示しており、ここに本問題の急速な進展を知ることができるのであります。  このように、すでに全国民の要望にまで高まっている週休二日制と週労働時間の短縮を、わが国に制度として確立し定着させるためには何をすべきかという問題に、今日、われわれは直面させられているのであります。  したがいまして、今日、二重構造といわれるわが国の経済産業構造を考えるとき、まず国と地方の行政機関及び銀行に、昭和四十九年度から週休二日制を実施することにより、先導的な役割りを果たさせ、さらに民間における急速な普及をはかるべきだと考えるものであります。これが三法案を提案した理由であります。  また、他に、大蔵委員会付託となりました銀行法の一部を改正する法律案を提案しており、近く労働基準法の一部を改正する法律案国会提出しようと予定しているのも、かかる理由からであります。  次に、各法案の内容について簡単に御説明申し上げます。  まず、国の行政機関の休日に関する法律案でありますが、国の行政機関の休日を法律で明定することとし、さらに週休二日制の実施を推進するため、土曜日も休日として加えようとするものであります。  次に、一般職職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案は、職員の一週の勤務時間を四十時間と規定し、勤務を要しない日に土曜日を加えようとするものであります。  次に、休日の範囲改定等のための民事訴訟法等の一部を改正する法律案は、期間の計算等に関する民事訴訟法その他の法律に規定する休日の範囲に土曜日を加えようとするものであります。  以上が三法律案の提案の理由及びおもなる内容でありますが、なお、週休二日制の普及に関し、政府においては、勤労者が有効に余暇を活用できるよう、積極的にその施策を推進するよう要望するものであります。  何とぞ慎重審議の上すみやかに御賛成くださるようお願い申し上げます。(拍手)
  147. 三原朝雄

    三原委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。      ————◇—————
  148. 三原朝雄

    三原委員長 この際、動物保護及び管理に関する法律案起草の件について議事を進めます。  御承知のとおり、本件につきましては、先般来理事会等におきまして協議を続けてまいりましたが、その結果に基づき、加藤陽三君、大出俊君、鈴切康雄君、受田新吉君から、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四派共同をもって、お手元に配付いたしておりますとおり、動物保護及び管理に関する法律案の草案を成案とし、本委員会提出法律案として決定すべしとの提案がなされております。     —————————————
  149. 三原朝雄

    三原委員長 この際、その趣旨について説明を求めます。大出俊君 ○大出議員の起草案につきまして、その趣旨及び内容の概要を御説明申し上げます。  動物は、古くから人間の生活に必須のものとして、人の衣食の用に、使役に、そして愛玩用に供されてきましたし、また、人の健康の保持のために、科学上及び医学上の研究実験の用に供されるなど人類の生存、福祉及び発展に貢献してきましたことは、御承知のとおりであります。  しかるに、わが国では、これら動物に対する取り扱いが科学研究用、食用及び観覚用において、また、愛玩用においてさえ往々にして適切な配慮を欠き、そのため動物に不必要な苦痛を与えております。  他方、動物の保管に適正を欠くため、動物による人身被害等が生じ、また、動物により人が迷惑をこうむる事件も多く生じているのであります。  従来、これら動物に対する立法措置といたしましては、文化財保護法、軽犯罪法、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律、狂犬病予防法等があり、さらに地方公共団体が各地の実情に応じて制定した飼い犬等取締条例等があります。これらの法令は、それぞれの制定目的等を異にしており、動物保護及び管理について総合的、統一的な措置を講ずることは困難であり、十分にその実をあげておらない実情であります。したがいまして、動物保護の見地から、また、動物による人の生命等の被害防止の見地から、動物保護及び管理についての総合的な措置が必要と存ずるのであります。  欧米等諸外国におきましては、数十年前から動物保護に関する法律の制定を見ているのであります。文化国家であるわが国といたしまして、また、わが国における動物保護に対する国際的評価を改善する上からも、動物保護のための法律の制定が急務であると考え、ここに動物保護及び管理に関する法律案の起草案を作成した次第であります。  次に、この起草案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。  第一に、動物保護に関する原則、すなわち動物保護に関する基本的な考え方を国民の前に明らかにして、動物保護に関する国民の心がまえについての指標を与えることとしております。このため、何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、または苦しめることのないようにするのみではなく、その習性を考慮して適正に取り扱うべきことを明らかにしております。  第二に、動物愛護週間を設けることといたしました。毎年九月二十日から同月二十六日までを動物愛護週間とし、国及び地方公共団体は、その趣旨にふさわしい行事が実施されるようにつとめなければならないこととしております。  第三に、動物の所有者または占有者は、動物を適正に飼養し、保管することにより、動物保護及び動物による人の生命等の被害防止につとめなければならないものとするとともに、地方公共団体は、条例で、動物の飼養及び保管に関し、必要な措置を講じることができることとしております。  また、動物保護のための具体的な行為、すなわち、負傷動物等の発見者の通報措置、犬及びネコの繁殖制限、動物を殺す場合の方法、動物を科学上の利用に供する場合の方法及び事後措置に関しても規定しております。  第四に、都道府県または政令で定める市は、犬またはネコの引き取りを求められたときは、これを引き取らなければならないものとするとともに、国は、都道府県または政令で定める市に対し、予算の範囲内において引き取りに関する費用の一部を補助することができることとしております。  第五に、内閣総理大臣は、関係行政機関の長と協議して、動物の適正な飼養及び保管、動物を科学上の利用に供する場合の方法及び事後措置に関する基準並びに犬及びネコの引き取り、負傷動物等の収容及び動物を殺す場合の方法に関する必要事項を定めることができることとするとともに、これらの基準または必要事項を定め、または変更、廃止しようとするときは、動物保護審議会に諮問しなければならないこととしております。  第六に、総理府に、付属機関として、動物保護審議会を置き、動物保護及び管理に関する重要事項を調査審議することとしております。  第七に、牛、馬、犬、ネコなどの保護動物を虐待し、または遺棄した者を処罰する規定を設けております。  以上が本起草案の趣旨及びその内容の概要であります。何とぞすみやかに御決定あらんことをお願い申し上げます。     —————————————
  150. 三原朝雄

    三原委員長 本起草案について発言の申し出がありますので、これを許します。中路雅弘君。
  151. 中路雅弘

    中路委員 時間もありませんから、二点だけお聞きしておきたいと思うのです。  この問題、すでに見解は示されているのですけれども、闘牛、闘犬といった従来保護されている日本古来の伝統的行事、こういう歴史的な背景を持った問題、高知県やあるいは八丈島、そういうところからもいろいろ質問も来ているので、御質問して記録にとどめておきたいと思いましたので御質問するのですが、このような古来の伝統的行事については、その保護の立場から、当然刑法三十五条の正当行為として罰則規定が適用されないという解釈だと思いますけれども、この点を一点確かめておきたいと思います。  あと一つは、これは要望だけですけれども、罰金が三万円ということになっていますけれども、軽犯罪法との関係から見ますと、少し均衡を失するのではないかという気もしますので、できれば罰金について、もう少し軽犯罪法に近い、そういったものが必要じゃないかと思いますけれども、これは要望だけですから、時間もありませんから、できましたら第一点だけ御答弁願いたい。
  152. 大出俊

    大出議員 法律用語などとからみますから、法制局からあとからちょっとつけ加えておいていただきたいのでございますが、立案の経過その他がございますので、私からとりあえずお答えをさしていただきますが、この法律案の第一条に、「動物の虐待の防止」と「虐待」ということばが使われております。この「虐待」ということばは、軽犯罪法の第一条二十一号に「牛馬その他の動物を殴打し、酷使し、必要な飲食物を与えないなどの仕方で虐待した者」、こういう規定がございまして、ここで使われている用語でございます。そこで、いま御質問の中にございましたけれども、この軽犯罪法第一条二十一号というのは、その背景に刑法第三十五条を想定をしてつくられていることは当然であります。そこで刑法第三十五条は、「法令又ハ正当ノ業務ニ因リ為シタル行為ハ之ヲ罰セス」、こういう規定であります。  したがいまして、この「虐待の防止」の「虐待」という点につきまして、いまお話がございましたような、闘犬であるとか、つまり犬をある意味で競技という形で戦わせる。それから闘牛、あるいは奄美大島のハブとマングースとを戦わせるという形のもの、あるいは古くは闘鶏、最近非常に少なくなりましたが、というふうなものがございまして、これらは一体どうなるのかという点が、数年前から方々から御意見のあるところでございました。  実は、ほんとうの意味で闘犬とはどういうものかということなども、ここに文献がありますので調べてありますが、時間の関係で省略いたしますが、結論を申し上げますと、つまり、犬のからだを鍛えて、座高はどのくらいということまであるんですけれども、人に対する忠誠心というものを最大限に発揮させる。つまり、飼い主に対する忠誠心というもの、そして犬と人間が一体になった形で戦われるある意味でのスポーツであるというのが、実はこの文献によります考え方なんでありますが、鎌倉時代からの長い歴史的な背景もあります。したがってその意味では、三十五条との関係で正当なという理由が十分つけ得るということで、このワクからはずす、「虐待」からはずす。ある意味のスポーツであり競技である。  それから闘牛の問題ですけれども、欧州あたりの闘牛と違いまして日本の場合には、いま闘牛、本土で行なわれておりますのは、新潟、島根、愛媛。沖繩が復帰いたしましたから沖繩にもございますが、欧州のと違いまして、一つのさくの中に二つの牛を入れまして、欧州のように闘牛士が出てきてやるのではなくて、牛が戦う。で、負けたほうは、さくから表に出ていってしまう。つまり、その行事の前とあとで牛のせり、売買をやるというセットになっております。その意味で、牛の品質改良と品評会という歴史的な実情等もございます。したがいまして、そういう歴史的な背景等も踏まえて、これまた正当なということになりますので、この法律のワクからはずす。闘牛なんかは八丈にもございまして、御意見もございましたが、そこらを含めていまお答えしたのであります。  ハブとマングースというのは、これは奄美大島でやっておりまして、それを見にくる観光客が年間十万人ある、こういうわけでありますが、実は小笠原にありますように、サソリに対する天敵ということでヒキガエルだとか、あるいはマイマイを持ってきたと同じ意味で、ハブに対する天敵という意味でマングースを持ってきたというわけであります。これも実は歴史的な背景がございます。かつ爬虫類は対象になっておりませんし、そういう意味でこれまたはずれるということでございます。  ただし、一条、二条の一般的な動物愛護という精神は、試合が終わっても、なおかつ喜んでかませているなんということは、これはおやめいただく。そういう意味で、一般的にはかぶるけれども、具体的にそのものははずしてやる、こういう形になっているわけでございます。  以上でございます。
  153. 三原朝雄

    三原委員長 この際、本起草案について、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣において御意見があればお述べ願いたいと存じます。坪川総務長官。
  154. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 動物保護及び管理に関する法律案につきましては、政府といたしましては、万やむを得ないものと存じております。     —————————————
  155. 三原朝雄

    三原委員長 おはかりいたします。  動物保護及び管理に関する法律案起草の件につきましては、お手元に配付の案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  156. 三原朝雄

    三原委員長 起立総員。よってそのように決しました。  なお、本法律案提出の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  157. 三原朝雄

    三原委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決しました。  次回は、明二十日金曜日、午前十時理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後一時五十九分散会