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1973-06-22 第71回国会 衆議院 内閣委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年六月二十二日(金曜日)    午前十時五分開議  出席委員    委員長 三原 朝雄君    理事 奥田 敬和君 理事 加藤 陽三君    理事 笠岡  喬君 理事 中山 正暉君    理事 藤尾 正行君 理事 大出  俊君    理事 木原  実君 理事 中路 雅弘君       赤城 宗徳君    伊能繁次郎君       江藤 隆美君    越智 伊平君       大石 千八君    近藤 鉄雄君       佐藤 守良君    島田 安夫君       竹中 修一君    丹羽喬四郎君       旗野 進一君    吉永 治市君       上原 康助君    岡田 春夫君       坂本 恭一君    楢崎弥之助君       山崎 始男君    横路 孝弘君       和田 貞夫君    木下 元二君       東中 光雄君    鈴切 康雄君       山田 太郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 山中 貞則君  出席政府委員         防衛庁参事官  長坂  強君         防衛庁参事官  岡太  直君         防衛庁長官官房         長       田代 一正君         防衛庁防衛局長 久保 卓也君         防衛庁人事教育         局長      高瀬 忠雄君         防衛庁衛生局長 鈴木 一男君         防衛庁経理局長 小田村四郎君         防衛庁装備局長 山口 衛一君         防衛施設庁長官 高松 敬治君         防衛施設庁総務         部長      河路  康君         防衛施設庁施設         部長      平井 啓一君         防衛施設庁労務         部長      松崎鎮一郎君         外務省アメリカ         局長      大河原良雄君  委員外出席者         警察庁刑事局参         事官      小林  朴君         科学技術庁原子         力局次長    倉本 昌昭君         法務省刑事局刑         事課長     根岸 重治君         厚生省援護局庶         務課長     河野 共之君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ————————————— 委員の異動 六月二十二日  辞任         補欠選任   丹羽喬四郎君     島田 安夫君   坂本 恭一君     岡田 春夫君   和田 貞夫君     楢崎弥之助君   正木 良明君     山田 太郎君 同日  辞任         補欠選任   島田 安夫君     丹羽喬四郎君   岡田 春夫君     坂本 恭一君   楢崎弥之助君     和田 貞夫君   山田 太郎君     正木 良明君     ————————————— 本日の会議に付した案件  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案内閣提出第七号)      ————◇—————
  2. 三原朝雄

    三原委員長 これより会議を開きます。  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上原康助君。
  3. 上原康助

    上原委員 最初に防衛局長に一言お尋ねしたいと思います。あしたはどういう日ですか、知っておりますか。
  4. 久保卓也

    久保政府委員 沖繩におきまして、日本軍が玉砕した日であります。
  5. 上原康助

    上原委員 かなり時間がかかりましたので、さぞおわかりじゃなかったかと思います。後ほどまたいろいろ、なぜ私がそういうことを尋ねるか、議論を進めてまいりたいと思います。  そこで、質問がかなり多岐にわたるのですが、沖繩国会以来相当懸案にされている問題がございます。特にいわゆる防衛二法といわれている今回の法律改正案は、わが国のこれからの防衛、外交問題含めて重要な課題ですが、とりわけ返還後の沖繩に対しての自衛隊配備の問題が中心課題になっておることもありまして、私はきょうは、自衛隊配備の問題、基地整理縮小等の問題、あるいは対米請求権基地労働者問題等多岐にわたる質問をやってまいりたいと思いますので、政府関係者にもできるだけ誠実な回答をまず求めたい、そのことを冒頭御要望申し上げて、委員長の心中も察しますので、時間の範囲でできるだけ協力いたしますが、質問のやりとりのいかんによって、答弁内容を見でから逐次整理をしてまいりたいと思うのです。  そこで、まずアメリカ局長に一言お尋ねしたいのですが、昨日の楢崎委員質問の中で、いわゆる日米安保条約の第二条の「その自由な諸制度を強化する」云々のお尋ねに対して、自由と民主主義を守ることなんだということを言っておったように記憶をいたしております。しからば、安保体制下における国民基本的人権一体守られてきたのかどうか、簡単にお答えいただきたいと思います。
  6. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 安保条約第二条に「自由な諸制度を強化する」という趣旨のことが規定されてございますが、この点につきましては、昨日も御答弁申し上げましたように、自由と民主主義ということでございますが、この安保条約そのものは、憲法規定に基づきまして、国会の御承認を得まして日米間で正式に成立した条約でございます。したがいまして、わが国といたしましては、憲法規定されております自由、主権在民、この考え方は当然貫かれていなければいけないだろう、こういうふうに考えております。
  7. 上原康助

    上原委員 私がお尋ねしておるのは、安保体制下における国民基本的人権は守られてきたとお考えなのか、一言で答弁をしていただきたいということなんです。
  8. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 安全保障条約の締結によりまして、日本安保関係アメリカとの間に持っておりますけれども安保関係アメリカと持っていることによって国民人権を阻害してよろしいということには当然ならないわけでございます。
  9. 上原康助

    上原委員 いまの御答弁で納得できないわけですが、具体的に話を進めていく中で明らかにしてまいりたいと思うのです。  そこで、私は、この件につきましても、本委員会あるいは沖繩特別委員会等でも再三お尋ねをしてきたのですが、四月の十二日に沖繩本島北部金武村のブルービーチで起きたいわゆる戦車轢殺事件安富祖ウシさんのあの痛ましい事件というのが無罪になりましたという報告を、私たち新聞紙上で拝見をいたしました。この事件の経緯に対して、政府はどういう対米折衝を行ない、またどういう捜査をしてきたのか、あらためて明らかにしていただきたい。
  10. 根岸重治

    根岸説明員 この事件経過のあらましについて御説明申し上げます。  お尋ね事件は本年四月十二日に発生したわけでございますが、その後、米軍側及び日本側捜査を進めたのでございますが、四月の十九日に米軍側から、これが公務中の犯罪であるということ、及び米軍が第一次裁判権を行使するという旨の通告があり、日本側で受理しております。そして五月の二十五日に、米軍側から中間的な通知しまして、現段階までの捜査結果によると刑事上の責任を追及するに足りる資料は得られなかったという旨の通知がなされております。一方、六月の五日に警察から検察庁事件の送致を受けております。なお六月十八日に、現地の検事正からアメリカ側に、事件最終処分がどうなっているのかという問い合わせをいたしておりますが、米軍側では事件はまだ未処理であるという返事が参っております。  ごくアウトラインでございますが、荒筋はいま申し上げましたような経過になっております。
  11. 上原康助

    上原委員 外務省はこの件にどういう対処をしましたか。
  12. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 事件が発生しまして、翌日、外務大臣からインガソル大使に対しまして、まことに遺憾であるということについて申し入れをいたしまして、インガソル大使も、非常に残念であるということで陳謝の意を表明しておったわけでございますが、その後、現地におきまして司法当局米軍との間におきまして、ただいま法務省のほうから御説明がありましたような折衝があったわけであります。私どもといたしましては、この問題に関しまして、法務省とも密接な連絡声とりながらこの状況をずっとフォローしていく、こういう状況でございます。
  13. 上原康助

    上原委員 いまの局長の御答弁はこれまでの繰り返しなんですね。要するに申し上げたいことは、今回のこの安富祖ウシさん事件というものがこういう結果になった。事件日本側が主体的に捜査で巷ない、あるいは裁判できないという一番の原因は何ですか。そのことをぜひ明確にしていただきたいと思うのです。
  14. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 先ほど法務省から御答弁ございましたように、米軍といたしましては、四月十九日に本件公務中に行なわれたものであるということで、米側が第一次裁判権を行使するということを日本側通知してまいっております。したがいまして、地位協定規定に基づきまして米側が第一次裁判権を現に行使しておる、こういう状況であるわけでございまして、先ほど御答弁がありましたように、米側がまだ本件についての最終的決定を行なってない、こういう状況でありますので、その決定を待っている、こういうわけでございます。
  15. 上原康助

    上原委員 こういう問題を取り上げるたびに、まだ最終的な決定にはなっていないのだということで、国会の論議を何かその場をつくろうために、政府は、ことばは悪いけれども絶えずごまかしの答弁で今日まで過ごしてきているケースがたくさんあるわけです。かりに公務中の事件だということであったにしても、地位協定においても、日本側が主張すれば第一次裁判権放棄アメリカ側申し入れることができるわけですよ。一人の人間戦車でひき殺されても、政府は、こういう問題は、ただ地位協定でそうなっているから、条約上そうなっているからということだけで済ませる問題なのかどうかということなんです。だから私が冒頭に、一体安保条約地位協定下において国民基本的人権は守られていると思うのかというのも、これは氷山の一角にしかすぎないのですよ。しかも施政権が返還されてもこういう状態というのは、一体政府はどうお考えなのか。この問題は条約とか地位協定とか法律というよりも、人道的立場において政府が主体的にどうするかという問題ではないですか。そうお考えにならないですか。アメリカ側が第一次裁判権を行使するといってみたところで、特に重要な事件については、日本側申し入れることによっては、相手側は考慮を払わなければいけないわけでしょう。そういうお考えはないのですか。
  16. 根岸重治

    根岸説明員 ただいま仰せのように、人が一人なくなったということはまことに遺憾な事件であると私どもも思っております。しかしながら、地位協定によりまして、いまおっしゃるように放棄という制度はございますけれども、この放棄を要請する場合は、わが国として米軍裁判権にゆだねがたいようなきわめて例外的な場合でなければならないということにされておるわけでございますが、現在までのところ私どもは、そのような要件を充足しておるというふうには考えがたいというふうに思っておるわけでございます。  と申しますのは、原則として地位協定向こうに一次裁判権を与えておるのを、特にわが国裁判権をこちらにとるというにつきましては、結局、特に例外的なケースでなければならないと思うわけでございます。たとえば重大な過失で爆発物を爆発させて多数の死傷者を出したというような、犯行の態様とかその及ぼした影響等によりまして、わが国において司法権を行使するのが当然と考えられるような場合に限られると思うわけでございます。  なお、つけ加えますと、この事件裁判権放棄いたしたといたしましても、現在までの捜査結果によりますと、はたして日本側でこれを裁判にゆだねることができるかどうかということについても非常に疑問があるところでございまして、そのような観点から、法務省としては裁判権放棄要請をしておらないわけでございます。
  17. 上原康助

    上原委員 きわめて消極的な見解をいま述べられたわけですが、例外的な事件でないといけない、もっと多くの人が爆弾や何かで殺されなければ、地位協定でいう第一次裁判権放棄する申し入れば法的にできない、そういうようなことでは人権は守られないのです。そういう皆さんの姿勢に問題がある。とにかくこの問題は法律論という問題ではない。一人の人間戦車でこなごなにひき殺された、そういうことに対して、政府が主体的にどういう対米折衝なり対処をしていったかということが問題なんです。そのことを強く強調しておきたい。  では、アメリカ側はまだ最終的決定でないということをいっておるのですが、最終的決定でないというなら、それに対応する政府姿勢というものはどうなんですか。全くすべてアメリカまかせじゃないですか。公務中であったということに対する反証のしかたなり、政府はいろいろやろうとしたのですか。ですから私は、外務省に対しても、法務省に対しても、検察庁に対しても、一連の経過報告資料として提示していただきたい。
  18. 根岸重治

    根岸説明員 ただいま申し上げましたように、法務省としては裁判権放棄要請はいたしておりません。公務中であるかどうかという点につきまして、向こうから公務通告がございましたけれども、私どもそれに対しまして、これは公務中ではないという証明がすることができません。むしろ公務中であるというような認定になっておりますものですから、それをそのまま受理しておるわけであります。
  19. 上原康助

    上原委員 この件だけであまり時間とりたくないのですがね。そういう姿勢じゃだめというのですよ。それは、外務省法務省警察庁検察庁も、そういうことでは国民人権は守れない。基地で起きているいろいろの問題というのはこれだけじゃないのでしょう。  じゃもう一つ聞きますが、その後に起きたのは、五月の二十八日に二十二歳の日本人アメリカ人基地内にらちされていって輪姦されたでしょう。それに対する捜査はどうなっているのですか、その事件いきさつは。安富祖ウシさんのことだけじゃないんだよ、これは。昨年の九月にはベンジャミンがカービン銃で基地内において一人の日本人を射殺したでしょう。さらにそれ以前に崎間トシ事件、そしてその後に喜屋武さんの事件というものがコザで起きている。復帰後も殺人犯というのが次から次と起きているじゃありませんか。戦車でひき殺されても無罪になるから、アメちゃんというのは、いつでも日本人なんというのはひき殺したってどうしたってかまわぬ、そういう戦場意識をますます——政府姿勢国民を擁護する立場にないから、ますます米軍犯罪を増長させているんじゃないですか。何も理由がなくして文句を言っているんじゃないんだ、ここは。
  20. 根岸重治

    根岸説明員 ただいまお尋ね輪姦事件につきましては、六月二十一日、米車から三名の米軍軍人に対しての犯罪通報日本側にございました。ただ、事件はまだ検察庁で受理しておりませんので、詳細は警察のほうから御答弁があるものと思います。
  21. 小林朴

    小林説明員 嘉手納基地の中で行なわれました輪姦事件でございますけれども、これは五月の二十八日の午前一時ごろから三時ごろまでの間に行なわれたものというふうに推定をいたしておりますけれども沖繩嘉手納空軍基地内に、黒人兵日本のクラブで働いておりますホステスを連れてまいりまして……。
  22. 上原康助

    上原委員 そんなこまごましたのは私だってわかるんだよ。この事件がどういうふうになっているかという経過報告は要らぬ。
  23. 小林朴

    小林説明員 現在捜査をいたしておりますけれども、その中の容疑者が、いま法務省のほうから話がありましたように、三名浮かんでおるわけです。その他の被疑者等につきましては現在捜査中でございます。
  24. 上原康助

    上原委員 捜査のめどはいつごろ立つのですか。これは現地にただまかしてあるわけですか、沖繩県警に、あるいは沖繩検察庁に。地方にまかしてあるわけですか。
  25. 小林朴

    小林説明員 沖繩県警において捜査をいたしております。
  26. 上原康助

    上原委員 先ほどの安富祖さんの事件についてしかり、いまのこの輪姦事件についてもしかりなんですね、アメリカのやったこういった犯罪行為に対しては。自分の兵舎に連れ込んでいったわけでしょう。ほんとう日本側捜査権を主体的に行使をしようとする意思があるならば、こんなに時間がかかるはずがないですよ。五月二十八日だから一月に余っている。これでほんとう沖繩県民あるいは国民人権が守れると思うのですか。そのことを私は言いたいのだ。早目に結論を出すようにしていただきたい。  次、施設庁お尋ねしますが、この金武ブルービーチ立ち入りは許可していましたね。その点あとで触れるのですが、現在はどうなっているのか、その戦車事件があったところは。
  27. 高松敬治

    高松政府委員 この事件についての問題点の一つは、立ち入り許可日演習が行なわれたという点にあります。そこで、現地といたしましては、今後、事故防止のためにはそういうことはおかしい、こういうことで米軍と協議をいたしまして、立ち入り許可日には米軍演習は行なわない、こういうことを確約しております。
  28. 上原康助

    上原委員 その後の状態はどうなっているのですか。演習もずっと続けているのですか。それとも地域住民立ち入りはどういう状況になっているかということを聞いているのです。
  29. 高松敬治

    高松政府委員 演習は続けてやっているようでございます。それから立ち入り日は、演習日には立ち入り許可日にはしない、こういう形にしております。
  30. 上原康助

    上原委員 私は、沖繩基地実態がどういうことであるかということをこれから議論を進めてまいりたいので、このことを冒頭取り上げたわけです。いわゆる基地人権基地安保自衛隊の問題、ずっとやっていきたいのです。  いまあなたがそういう御答弁なさっていますが、相変わらず演習を続けている。そしてアメリカ演習しているマリン兵はどうしているかということを知っていないでしょうね。毎週水曜日には、彼らが演習した薬きょう自分たちで集めて、ビニール袋に入れて地域住民に十ドルないし十五ドルで売っている。そしてその売った金でビールを買ったり何かしている、実際は。そしてブルービーチは何になっているか。この間も大出先生取り上げましたように、麻薬の販売はやる、売春はやる、そういう状態なんです、この基地というのは。そういうことを実際知っておられるのですか。アメリカがそういう演習をやっておって、自分たち薬きょうを集めて売ったり、それでビールを飲んだりしてどんちゃん騒ぎをする中で、実際いろいろなことをやっているのですよ。そこまで政府基地実態について調べなければいかないのじゃないですか。だからますます立ち入りをやめたくなる。その点も私は指摘をしておきたいと思うのです。  厚生省来ていますか、関連しますので。第二次大戦沖繩でどのくらいの日本軍が戦死になり、あるいは県民を含めて、まだ遺骨が収集されてないのが一体幾柱あるのか、御答弁いただきたいと思います。
  31. 河野共之

    河野説明員 沖繩におきまする戦没者数は、軍民合わせまして約十八万六千名でございます。これら戦没者遺骨につきましては、戦後間もなく地元住民の手によりまして始められて、約十三万五千柱が収集されております。その後平和条約が発効いたしましてから、アメリカ政府と交渉を重ねまして、その結果、昭和三十一年以降、琉球政府に委託しまして遺骨の収集を実施したわけでございます。それによりまして約三万柱が収集されております。したがいまして、ただいま約十六万五千柱収集されておりますので、私ども推定といたしましては、なお二万柱余が所在不明、このように承知しております。
  32. 上原康助

    上原委員 もう戦争が済んでから何年になるのですか。三十年近くなるでしょう。一方においては、基地において戦車でひき殺されても、その加害者無罪になる。一人の女性が十名余の米兵に輪姦されても捜査もできない。薬きょう拾いをしなければいかない。第二次大戦で国の防波堤になって死んでいった兵士や県民遺骨というものはまだ山野をさまよっている状態。二万六千から二万八千ともいわれて、実際確数はつかめぬでしょう。これが沖繩実態だということなんですね。それをはたしてどれだけの人がほんとうに理解をして、沖繩復帰の問題や国民の平和というもの、人権というものを考えているのか、私はきわめて疑問を持っている。だからこの点を私はお尋ねしたいのです。  せんだって大出先生もこの点、指摘をしています。まだ二万八千柱あるいは三万近くの遺骨さえ収集できない状態であるというのは、私は多くの国民がはたして知っているのかどうか、これも疑問なんです。その点はあらためていろいろお尋ねもしたいのですが、まず沖繩基地実態とそういう問題がどう関連づけられているかということはおわかりいただけると思いますので、それだけにしてとめておきたいと思います。  それで、科学技術庁、来ておりますか。
  33. 三原朝雄

    三原委員長 来ております。
  34. 上原康助

    上原委員 最近、原潜問題でコバルト60が検出されたという報道がなされて、これは誤報だとかいろいろな訂正記事等も出ているわけですが、一体科学技術庁は、基地公害、こういった原潜入港による海の汚染魚介類汚染等について、実際に調査をしたいきさつがあるのか、経過があるのかどうか。また、今回の沖繩原水協発表したその内容について、どういうお考えなのか。説明していただきたいと思います。
  35. 倉本昌昭

    倉本説明員 原潜出入港に関しましての放射能調査につきましては、これは昭和四十三年に原子力委員会におきまして、原子力軍艦放射能調査の新大綱というのをつくりました。また、沖繩本土復帰いたします時点におきまして、沖繩に対しましてもこの調査をいかに進めていくかということについての新方針を、原子力委員会として明らかにいたしておるわけでございますが、これは国民の健康と福祉の保全、安全という面から、この原子力関係軍艦等が入ります横須賀、佐世保及び沖繩につきましては、これは、軍艦出入港にかかわらず、定期的に、この場所におきましては水並びに海底土及び海底生物等試料を採取いたしまして、これについての分析を定期に行なっております。また、軍艦出入港につきましては、米国から外務省を通じまして、入港の二十四時間前に通知がございますので、その際には、私どものほうから係官を現地に派遣いたしまして、入港前におきます調査、また入港時中におけるこの艦船の周囲のモニタリング及び試料採取、また出航後におきましても調査を、その分析結果につきまして判断を下し、これを公表いたしておるわけでございます。
  36. 上原康助

    上原委員 長々と御答弁なさっているんですが、私が聞いているのは、これは確かに四十六年九月から四十七年の八月までの調査報告だという発表なんですね、この間のは。おわかりでしょう。私は、コバルト60というのは、専門じゃありませんから、あまりわかりませんが、これは明らかに人工放射能でしょう。原潜関係がある。そういう汚染が現にあるのかどうかお調べになっておるかということなんですよね。  いま本土でも水銀問題で魚が実際食えなくなっている。この発表がなされてから、沖繩においても大きな問題なんですよ、食卓を含めて。基地の問題と県民の生活とかかわり合っている。それは事実なのかどうなのか。そして県民の不安というものを取り除くことをやらなければいかぬわけでしょう。アメリカじゃない、日本本土なんだよ、あなた。
  37. 倉本昌昭

    倉本説明員 もう沖繩につきましては、本土復帰いたします以前におきましては、琉球政府米側で合同でこれは調査をいたしておったわけでございます。また、その結果につきましては、外務省を通じて資料を入手しております。また復帰直後におきまして、この沖繩の港湾につきまして、どのような状況であるかということについて、五月十八日から現地におきます試料採取を、沖繩の湾内、それから勝連崎の周辺、中城湾等におきまして、これは海水または海底土及び海産生物等の収集を行ないまして、これの分析を行なっておるわけでございます。  先ごろ原水協のほうから、政策科学研究所におきます研究成果についての発表等があったわけでございますが、本件につきましては、この政策科学研究所におきますレポートはまだまとまっておらないようでございますけれども、その記事が出まして、私どものほうで同研究所に確かめましたところ、そこで使われておりましたデータは、私どものほうが昨年五月に行ないましたデータをそのままこれに引用しておるわけでございますが、若干その数値等が、引用の過程におきましてミスプリント等が出て、その数字等は違って出ておるわけでございます。  なお、この中でいろいろ各種が全部出ておるわけですが、この中でコバルトを除きましたものにつきましては、これは明らかに原爆実験等によるフォールアウトの影響でございまして、コバルト60は、この原子力潜水艦等のいわゆる一次冷却水中から外へ出る可能性のあるものでございまして、これにつきましては、その分析結果等から見ますと、非常に微量のものが出ておりまして、この量につきましては、許容限度の八千分の一から一万分の一程度のオーダーであるということで、この安全性の面からは問題ないというぐあいに判断いたします。
  38. 上原康助

    上原委員 微量だから問題ない、しかしコバルトというのは、微量だって蓄積をしていけば人体に大きな影響を与えるわけでしょう。現在の日本全体の公害も、最初は何でもないというところからずっと蓄積をされて、今日の公害問題が発生してきているわけでしょう。  では簡単にお尋ねしますが、現在の沖繩周辺は、コバルト汚染度からそういった人体に影響はないと政府は確信をもって言えるということですか。原水協が発表したあの内容というものは数値が違ったということですが、誤りだという確信があるわけですか。魚を食べても全然人体には影響ないということを政府が保証いたしますか。それをやらないと、やはり大きな問題なんですよ、これは。みんな不安でしょう。そのことを私は確かめておきたいのです。
  39. 倉本昌昭

    倉本説明員 復帰後におきます私どものほうの現地におきます調査等のデータからいたしまして、現在、沖繩周辺の魚介類等にありますコバルトの問題については全く問題はない、こういうぐあいに考えております。
  40. 上原康助

    上原委員 問題はないとおっしゃいましたね、あの発表は。しかし、あれだけ発表されて、県民は非常に不安を持って、現に漁業をしておられる漁夫の方々も困っているのです。あらためて調査をなさったのですか。またやる意思があるのですか。
  41. 倉本昌昭

    倉本説明員 先ほど来、新聞紙上に出ております数字は、私どもが昨年の五月にやった数字でございまして、その後調査は各四半期ごとに行なっておりますが、最近新聞が出ましたあとで調査を実施いたしております。現在分析中でございますので、その結果はまだ出ておりません。
  42. 上原康助

    上原委員 いつから実施しているんですか。
  43. 倉本昌昭

    倉本説明員 六月四日から九日にかけて実施しております。
  44. 上原康助

    上原委員 実施調査をなさっているわけですね。早急にその結論を出して県民の不安というものを取り除くべきだと私は思う。また、えてしてこの種の調査は、地位協定では——原潜入港との関係において、科学というのはやはり本物で、真実でなければいけないのですよ。コバルト問題にしても、公害問題というのは。はっきりした数値を出してください。あるならある、影響ないならない、ごまかしの調査であっては困る、その点を念を押しておきたいと思います。  そこで、先ほど委員長、私は一連の米軍犯罪事件に対する調査報告について資料として提示をしていただきたいという要望をしたのですが、その回答をまだ得ておりません。これは出せない問題じゃないと思うのですね。御回答いただきたいと思います。
  45. 根岸重治

    根岸説明員 米軍からの公務証明書及び犯罪第一次裁判権の行使通告書、これの要旨は提出いたします。そのほかの警察からの送致記録等は、いわゆる捜査司法記録になりますので、従来提出したことはございませんので、これは差し控えさしていただきたいと思います。
  46. 上原康助

    上原委員 何も法務省警察のことまで答える必要はない。警察はどのくらい出せるんですか。
  47. 小林朴

    小林説明員 どういうことかよくわかりませんが、どういう事件が発生してどういう捜査をしたというような一覧表は出せると思います。
  48. 上原康助

    上原委員 そんなただメモだけじゃなくて、警察としてどういう捜査をし、アメリカ側はそれに対してどういうことをいってきたか。法務省とも関係するのでしょう。皆さんが一々とった供述調書を私は出せと言っているのじゃない。荒筋は出せるわけでしょう、一連の事件に対して。資料として提出しますね。アメリカ側も出すよ。アメリカ側も。
  49. 小林朴

    小林説明員 事件の概要の一覧表と申しますか、そういうものは出せると思います。
  50. 上原康助

    上原委員 このことはきわめて重要であり、人権に関することですので、私はその報告書を見てもう一度この問題を議論をしていきたいと思いますので、一応留保いたします。  そこで私は、冒頭、最近のおも立った米軍犯罪、あるいはそのほかにもいろいろあるんですが、事件を取り上げたわけです、第二次大戦遺骨収集の問題を含めて。いままでのやりとりを聞いて、長官沖繩通の長官といわれて、くしくもあなたと防衛論をやるのは私も非常に残念なんです。ほんとうなら、防衛庁長官にはならぬで経済閣僚になっていただいてうんとやってもらいたかったのだが、しかししょうがない。そういうことで、大出委員の御質問に対しても、長官自身非常に不満だという内容の御答弁をしていました、沖繩復帰の問題、約束したことが守られていないと。だが、冒頭私が申し上げましたように、沖繩返還国会でのやりとりにしても、政府のいままでの答弁というものはすべてがその場限りのものなんですね。何とかその場をつくろって逃げていって、国民向けのポーズ、沖繩向けのポーズであってはいかないと思う。そういう意味で、これまでの事件に対して長官としてどうなさるのか、御答弁を伺いたいと思います。
  51. 山中貞則

    ○山中国務大臣 裁判管轄権の問題を私、直接やる立場にはありません。しかしながら、沖繩県民の現在提供施設となっている、ことに米軍基地、これは旧国有財産であったもの等はほとんどありませんで、一般の民間の私有地の半強制的取得、あるいは無抵抗状態のままの一方的な取得というところから発生した沿革がありますので、この点を私は踏まえて基地全般の問題を一応処理しようとしておるわけでありますが、さらに、沖繩県民に対する基地内のアメリカの、ことに軍人、兵士の態度については、これは私も総務長官時代に沖繩の憂いを自分の憂いとしてやってきましたので、私もここで防衛庁長官立場からの質疑には、率直にいってつらいものがあります。これは本質論の問題ですけれども。しかしながら、私の気持ちはその当時といささかも変わっておりません。  アメリカは、現在はベトナム戦が終わりましたから、幾ぶんそのケースは違ってくると思いますが、ベトナムのジャングル戦、あるいは目的なき戦いに従事したすさんだ若者たちが、麻薬やその他にむしばまれながら沖繩に一時帰ってまいります。そして、そこをベトナムと区別のつかない——顔色も似ておりますしね、われわれ東洋人ですから。そういうことで、まるで戦場における、許されていいことではありませんが、同じような行動を沖繩においてとろうとしておる数々の態度とか姿勢を私は指摘して、ここは完全な日本施政権は及んでいないけれども日本の領土であり、日本の民族が住んでいるんだ。     〔委員長退席、藤尾委員長代理着席〕 そういうことを、ベトナムから帰ってくる一時帰休兵にしても、立ち寄る者についても、弁務官の資格において、ここは日本の土地であってベトナムではない、そして戦場ではない、人権を十分に尊重しろということを、いろいろと私は条件を出して全部兵隊に手帳みたいなものを渡させてもらったことがあります。しかし、ベトナム戦が終結をいたしまして、現在そのような形における戦場心理を沖繩に持ち込むという状態は一応なくなったものと前提は見なければなりませんが、しかし、なお精強をもって鳴る海兵隊の相当な数を中心に向こうにおりますから、やはり兵士の中には不心得者も出てくると思います。  もちろん、外務省当局のふだんの米軍のあり方に対する折衝はしてもらってはおるわけでありますが、一たん事が起こりますと、裁判管轄権の属地主義、属人主義の問題。本土政府は独立後一年かかってこの属地主義を獲得したわけであります。しかし沖繩においては、その間もずっと、復帰においては同時に適用されたとしても、属地主義の本来の姿を与えられないままで数多くの犯罪に耐え忍んでまいられました。私たちは、これらの人々に対して、金で済む問題ではありませんが、それらの方々に対する見舞い金、補償金というものを日本政府が最大限に努力して拾い上げていくつもりであります。すでに予定しておりました件数等も大幅に上回っておりますし、当初締め切り日を予定しておりましたけれども、締め切り日以後もなお百名をこえる申し出があります。これらは私は、約束ごとではありましたけれども、事実がある以上は、来年の予算編成において、期限経過後の措置であってもこれを認めてあげたい、そういう気持ちでおるわけであります。  なお、今後ともそのような不祥事が起こらないよう、これは私の直接の所管ではありませんが、しかし、あくまでも政府全体の責任として、私も閣僚として連帯して国会に責任を負うわけでありますから、その立場においていささかなりと努力をしたいと考えております。
  52. 上原康助

    上原委員 この事件については、まだ最終決定じゃないんだという報告米軍側からあった。私は、あくまで第一次裁判権アメリカ側放棄をする申し入れ政府としてやるべきだ、この点を強く指摘して要求しておきたいと思います。  さらに、死んだ人は帰りませんから、補償で片づく問題じゃない。銭で片づく問題じゃないのです。たとえ刑事的な責任はアメリカ側にないということになったとしても、一人の人間がひき殺されたという事実は否定できない。民事の問題は残ると思うのですね。いま長官お触れになりましたが、補償問題等についても死に損では人間どうしようもないのですよ。その点は、何も私が、金で片づけてくれとか、補償をやれば、見舞いをやれば事が済むというような立場はとれません。だが、少なくともやるべきことはやる必要があると思いますので、その点も指摘をしておきたいと思います。  次に、いま長官も触れられたのですが、自衛隊配備の問題については、耳ざわりな話を最初にすると、またうるさくなったら困りますので最後にして、私は基地問題について触れてみたいと思うのです。  これまで政府の御答弁あるいは国会の決議もあるわけですが、いわゆる復帰後の沖繩基地整理縮小というのも、私たち立場ではどうもあんまり納得しないのですが、返還、基地の撤去といいますか、そういうことについて積極的に進めていくんだという方針をたびたび強調してこられました。また一月二十三日の安保協議会、あるいは六月十五日に、あれは合同委員会ですか、運用協議会ですかで、八カ所の返還の発表等もありました。若干の政府の努力も私は全く否定はしません。いろいろむずかしい問題もあろうかと思うのです。それは一応評価をしながらも、一体沖繩基地整理縮小、返還というものに対して本気でやってきたのかどうかとなりますと、かなり問題がある。それできょうは、この問題も詰めてみたいと思うのです。まず、今後どういう姿勢政府沖繩基地整理縮小というものをやっていかれようとしているのか。これは施設庁長官でもいいし、お答えいただきたいと思います。
  53. 山中貞則

    ○山中国務大臣 沖繩基地の返還、これは先ほどもちょっと触れましたけれども、その発生の沿革、いかなる状態基地が形成されていったかの原点というものを絶えず踏まえたい。その意味では、過去一年というものがそれにこたえたかについては、私も率直にいって疑問があります。しかしこれからは、私も一応閣僚レベルの会合の際の構成メンバーとしてきちんとその存在を明確にされておるわけでありますから、事務レベルの協議等を通じて、そのつど合意に達し得るように絶えず努力を続けながら、先般、八カ所、正確にいえば建物の中の一部を除いて七カ所でありますが、沖繩の返還は本土のおおよその態様である返還とは実態が違う。トリイ通信所の五分の二程度を返還しても、一部落全部が借地料を払って仮住まいして親子の世帯分けもできなかった人たちが、自分たちの部落に帰れる喜びを率直にあらわしておられるし、天願通信所にしても、部落の人たちが、また自分たちの先祖代々の土地に帰れるという喜びを表明しておられる。面積も個所も私自身がよく知っております。沖繩基地実態の中で、使われていないところ、あるいは使われているように見えても代替施設なしに撤収してもらってけっこうなところ、あるいは地域の町村の行財政の上で、何としてもこのような状態に放置してはならないところ、数多く知っておりますので、これらの問題を、外務当局と連絡をとりながら、いままでの方針と少し違うようになると思いますが、なるべく合意したものは次々と県民の手に返っていくように、日米閣僚レベル会議を待って全部話をつけるようなことでなくて、事務レベルであったってそれを大臣が両方承認していけば、権威はきちんと日米両国の合意という形に取りつけられるわけでありますから、大平外務大臣にもお願いをしながら、ぜひとも、沖繩県民の一人一人が、寸土の土地といえども地主がいるという実態の上に立って、積極的に返還の努力と、さらにその推進のスピードをあげるという点について努力をしてまいるつもりであります。
  54. 上原康助

    上原委員 そこで長官、いま心情論ではだめなんですね。長官のいいところもあるのだが、悪いところは、いまのおことば聞いてみると、いろいろ基地整理縮小が急速にできるような感じを受けるわけですね。しかし実際そうなってこなかったわけでしょう。  じゃ私は具体的にお尋ねしたいのですが、現在、沖繩基地の総面積ですね、本土と比較して簡単に述べてください。
  55. 高松敬治

    高松政府委員 六月一日現在で占用施設が七十五件二億七千五百八十三万平方メートル、一時使用施設が四件で七百七万平方メートル、占用と一時を合わせますと、合計いたしまして七十九件二億八千二百九十万平方メートル。パーセントは、本土基地本土面積に対する割合は約〇・七〇%でございますが、それに対しまして沖繩県におきましては、県の面積に対する基地の割合は一二%でございます。
  56. 上原康助

    上原委員 これまで返還された部分を含めてもそういうパーセンテージになるわけでしょう。
  57. 高松敬治

    高松政府委員 これまで返還されましたのは、大体自衛隊の施設に転用したナイキその他の基地でございます。それからこの数の中には、今度返還されます二百六十四万平方メートルというのが入ってございません。しかしこれは数字からいいますと、二億八千万平方メートルに対してはまことに少ない数でございます。
  58. 上原康助

    上原委員 外務省局長にちょっとお尋ねしておきたいのですが、これまで米側基地の返還交渉を進めるにあたって、具体的にどこどこを返してもらいたいという場所といいますか、あるいは協定で定められているリストですね、それをあげて提示をしたことはあるのですか。
  59. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 沖繩の施設、区域の整理統合の問題につきましては、一月二十三日の安保協議委員会の席上におきまして、今後この問題について日米間で密接な協力をしながら解決のために話し合っていこうという基本的な合意ができておりますが、他方、一月十九日に設立が合意されました安保運用協議会が今日まで三回開かれておりまして、安保条約並びに関連取りきめに関連します問題につきまして日米間でいろいろな協議をいたしておりますけれども、その中で日本側といたしましては、特に沖繩の施設、区域の整理統合の問題に重点を置いて話し合いをいたしております。第一回の安保運用協議会におきまして、沖繩を含め日本全体の米軍基地の役割り、目的、使用状況を再検討するということにつきましての合意ができ、その後その具体的な方法というふうなことも話し合ってまいりました。そういう観点から原則論また方法論、そういうものを含めまして話し合いを進め、話がそろそろ具体的になりかかってきている、こういう状況でございます。その一環といたしまして先ほど山中長官からも御説明のございました八件の返還の問題が具体化した、こういうことを申し上げられます。
  60. 上原康助

    上原委員 局長の御答弁はあまり要領よくて、私が聞きたいこととはしょっちゅう食い違っているのですね。私がお尋ねしているのは、これは沖繩国会における前吉野局長の御答弁なんですね。「「在沖繩米軍施設・区域、特に人口密集地域及び沖繩の産業開発と密接な関係にある地域にある米軍施設・区域が復帰後出来る限り整理縮小されることが必要と考える理由」をこちらから説明いたしまして、先方は、「双方に受諾し得る施設・区域の調整を安保条約の目的に沿いつつ復帰後行なう」ということで合意された」。これはサンクレメンテのことだと思うのです。「その趣旨にのっとりまして、復帰後早速、われわれといたしましては、いろいろの候補地をあげまして、先方に対して整理縮小を迫るわけでございます」。いろいろの候補地をあげて先方に対して整理縮小を迫っていくのだということをはっきりおっしゃっているわけですね。安保地位協定の目的に沿いつつというワクはあるのです。それだけにこだわっておっては沖繩基地整理縮小、返還というのはならない。だから私が聞いているのは、復帰後さっそくいろいろの候補地をあげて相手に迫っていくのだというが、もう一年かかっているわけでしょう。どういう候補地をあげて相手側に迫ってきたのか、その具体的な候補地をあげていただきたいということなんです。そういう例があるのかどうなのか。なければない。これはアメリカ側が言っているわけじゃない。日本側がどういうところを返してほしいというふうにこれまで折衝してきたのかを、具体的な候補地をあげて説明してください。
  61. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 ただいまサンクレメンテのことを御指摘でございましたけれども、サンクレメンテ会談におきまして、日米の首脳間で合意されました基本的な約束に基づきまして、返還時における米軍の施設の返還、それから今後の処理ぶり、そういうものが最後的に返還時において確定したわけでございますが、その後山中長官からも御不満が述べられましたように、必ずしも具体的な作業が進んでない側面がございました。したがいまして、ことしに入りましてから、先ほど来申し上げておりますような形で、日米間で密接な意思の疎通をはかるべく努力しながらやってまいっているわけでございまして、具体的にどの施設をどういうかっこうでということにつきましては、まだ話し合いの段階でございますので、差し控えさせていただきたいと思います。
  62. 上原康助

    上原委員 具体的な候補地を一応選別をして交渉をする段階にあるということですか。
  63. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 いつまでも一般論での話し合いということでは問題の進展をはかることはできませんですから、回を重ねるごとにより具体的な問題を取り上げてまいりたい、こういう考えでございます。
  64. 上原康助

    上原委員 施設庁ですが、アメリカ側がどう考えるかはアメリカのかってなのだ。そこが外務省のいかぬところです。アメリカ政府じゃないのでしょう、外務省を含めて政府は。日本政府なんだ。日本側が主体的にどういう候補地をあげて整理縮小していくかというのは、日本立場でできることでしょう。施設庁はそれを計画なりそういう折衝経過をやったことがあるのですか。
  65. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは、施設庁、あるいはまた事務次官レベルにおいても、外務省一体となってやっております。先ほど私がはかばかしくないと言いましたけれども、具体的に何もなかったとは言っておりません。これは外務省を擁護するわけではありませんが、事実ですから。陸海空の那覇の補助施設、あるいはまた、私としては二百戸というのはおかしいと思うのですが、二百戸の牧港の返還というようなことは、一応具体的な例としては進んできておるわけですが、それではいけないので、八施設の合意が一応見られたのですが、さらに私自身が、いま言われたとおり、具体的な場所、地名、広さ、そういうもの等あげながら交渉をするようにいましつつあります。  しかし、これは外交交渉でありますから、私どものほうが、こことこことこことこういうものをあげているが、向こうは、これについてはよさそうだがこれはむずかしいとか、この段階において、その感触並びに個所、そういうものはむしろ、実益を得るためには公表しないほうがよろしい、私はそう思いますので、したがって、その過程を私としては公表はしませんが、具体的に詰まったものはどんどん県民の手に返っていくようにしていく、そういう努力をしたいと言ったわけです。  それから、先ほどの心情的にものを言うのでごまかされるとおっしゃいますが、沖繩県の基地の問題は、まず心情的に理解できるかできないかということが出発点だと私は思うのです。そのあと、心情論でごまかすかごまかさないかはこの後の実績だと思いますから、その意味で、実績が出なかったら、心情論でごまかしたという最終的ならく印を押されてもけっこうであります。
  66. 上原康助

    上原委員 あまり気になさらぬでくださいよ。  それでは、私のほうから具体的に例をあげて、要するにこれまで、安保条約地位協定の目的に沿いつつというワクはあっても、人口稠密度あるいは沖繩経済の開発に必要な地域については早急に整理縮小していくのだということを言ってきたわけですね。それをわれわれは期待をした。県民も要求してきたと思う。だがそのことが、たとえ八カ所が返され、あるいは那覇空港——あとで触れますが、上ノ屋のハウジングの二百戸、あれは千二百戸のうち二百戸を返したって何にもならぬですよ。返されるほうがかえって迷惑だ、そんな部分的に返されたのじゃ。都市計画ができない。そこを、言えないものは言えないでいいわけなんですが、いままでのようなやりとりではいけないということですよ。  時間がたちますので、たとえば那覇市の場合だって、総面積が三十六・三平方キロでしょう。そのうちの軍用地は三分の一、十平方キロメートルいま占めている。占め率二八・九%、こういう状態はないでしょう、日本に。沖繩の一番中心都市がこういう状態。だから那覇を中心にいろいろやりとりしているのは私はわかる。しかし那覇からほかに持っていったって密度は変わりませんよ。それじゃ困る。  さらに北谷村のごときはどうなんですか。あとで触れますが、なぜ今度の場合に北谷や宜野湾が入っていないのか疑問だ。北谷村は、総面積が十三・一六平方キロで、何と軍用地が八・五五平方キロ、六五%が軍用地ですよ。こういう自治体というのが本土のどこにありますか。これで自治をやれ、経済開発をやれといったって、しょせん無理なんだよ。言っていることと実際は違っている。嘉手納村、総面積十四・七平方キロ、軍用地十二・八平方キロ、占め率は八八%。谷間に追い込まれて、年じゅう百ホン以上の爆音でたたかれてこういう状態。宜野湾市、これもずっと要求を出してきている。総面積十八・四八平方キロ、軍用地七・四平方キロ、占める率四〇・二。読谷村、これは今度返されて幾分パーセンテージは落ちると思うのですが、総面積三十一・五三平方キロで、軍用地が二十五・二平方キロ、占める率は七九%。コザ市、総面積二十二・四平方キロで、軍用地十六・一平方キロ、占め率七二%。皆さんの数字と若干違うかもしれませんが、大体こういう状態なんです。これは否定しますか。
  67. 山中貞則

    ○山中国務大臣 大体私もそういうパーセンテージだと思っております。
  68. 上原康助

    上原委員 こういう状態なんですね。だから私は、何も事実を曲げて議論をしようとは思いません。こういう状態基地というものを、どう地方自治や地主の要望に沿って返還を進めていくかというのが具体的な交渉でなければいけないと思うのです。  そこで、前から問題になりました北谷村と宜野湾市、あるいは中部の返還というものが今回入っていない理由を、ぜひ明らかにしていただきたいと思うのです。
  69. 高松敬治

    高松政府委員 先ほど来御説明のありましたように、私どもといたしましては、特に沖繩における基地整理統合という問題について努力を、ことしの初め以来特に集中して傾けているわけでございます。  この間の八カ所については、確かに御指摘のようなものが入っておりません。しかしこれは、先ほど山中長官からも御説明がありましたように、まずはとりあえず話のまとまった第一次的なものである。これからいろいろまた話を煮詰めてまいりたい。そういうことによって基地整理統合ということを、本年はともかくもある程度実現していきたい、かように考えております。基地をそのまま全部返還できるものもございますし、それからまた、そこにある施設なりあるいは機能なりというものをよその地区に移さなければいかぬというものもございます。どの程度の規模でどの程度に移せばいいのか、どこに移すのかというような問題もいろいろございまして、話し合いもおくれておるものもあることは事実でございますけれども、私どもも、いま上原委員のおっしゃったことについては、同じような考えを持っております。そういう点で、あくまでも今度の八カ所については、これは第一次という意味に御理解をいただきたい。これからのことについては、先ほど山中長官もおっしゃいましたように、私どもも極力これについて努力してまいる、こういう考えでおるわけでございます。
  70. 上原康助

    上原委員 北谷村のことについては、これまで私も長官にお会いしたでしょう。施設庁長官にも。外務省、もちろん行きましたよ。復帰前から、今年も二月に上京なさって、いろいろ村長さんや議会の方々陳情しておられる。しかし今回も入っていないわけでしょう。これはほんとうにやる意思があるのかどうか、そこらから疑問になるのです。実際の北谷村の実態を見てごらんなよ。こういう要請書が出たでしょう、皆さんのほうに。仄聞すると、これはあとで見せますが、こういう状態日本のどこにこんな市町村がありますか。これはぜひはっきりさせていただきたいのですが、上ノ屋のハウジングを北谷に移すために北谷の開放はむずかしいということを私は聞いたことがあるのですが、そういう計画あるのですか。
  71. 高松敬治

    高松政府委員 そういう点はあまりないように思います。ただ、北谷村の問題につきましては私どもも十分認識しているつもりでございます。鋭意努力をいたしております。先ほどおっしゃいました、ことしの初めに北谷村の村長以下見えましたときも、私も、ことしの秋、おそくともことしの暮れぐらいを目途にして努力をするということを申し上げたわけでございます。今度の第一次にそれが入っていないのはけしからぬ、こうおっしゃいますけれども、私はいまでも、大体少なくともそれぐらいをリミットに考えて努力してまいる。北谷を忘れているとか、これをなおざりにしているというわけでは決してございません。ただ、いろいろ問題がございまして、早急に、たとえば第一次の中に入れるということはできなかった、そこまで話し合いが煮詰まらなかったのは遺憾でございますけれども、努力は大いにしているつもりでございます。
  72. 上原康助

    上原委員 ひとつ努力していただきたいのですが、じゃ念を押しておきたいのですが、いわゆる上ノ屋のハウジングなり、あのハウジング一帯にある学校を北谷村に移すという計画はない、そういう話し合いは進められていないとはっきり確約できますか。
  73. 高松敬治

    高松政府委員 話を煮詰めてみないと、その点ははっきり申し上げることはできないと思います。
  74. 上原康助

    上原委員 それがやはり、火のないところには煙立たずといって、あるから今度北谷が入らなかったわけでしょう、おそらく。長官どうなんですか。そういうところははっきりさせてくださいよ。
  75. 高松敬治

    高松政府委員 具体的にそういう北谷に移すというふうな計画は私はないように思います。ただ嘉手納地区の中にもこの北谷村の区域があるわけでございます。そこの問題はまた別になるかというふうに考えておりますけれども
  76. 山中貞則

    ○山中国務大臣 いままでの経緯は知りませんが、沖繩基地問題、これは本土も含めてでありますけれども、ことに沖繩基地については、これは事務レベルの会合といえども、全部私自身がこれから原案を作成し、そうして指揮をしてまいります。したがって私は、重点を北谷、嘉手納、読谷、コザ、那覇、宜野湾、こういうところに集中的に置いていま検討いたしておりますから、具体的に今後、それが検討の結果として合意の線が出てくるものと思っていただいてけっこうであります。
  77. 上原康助

    上原委員 私は先ほども申し上げましたように、ぜひ従来のやりとりじゃなくして、ほんとう県民あるいは市町村の要望に沿える土地開放というものが進んでいくのかどうか。もちろんそれは一〇〇%にはいかないと思うのです。そこはわれわれだって理解しないわけじゃないんですよ。そのことはぜひ長官、念頭に入れていただきたい。また外務省も、地方自治体の一つの村や市の四、五〇%が軍用地に占められておって、都市計画をしなさいとか経済開発をやれといったって、しょせんそれは無理なんだ。なぜそれができないかというのは、やはり安保政府姿勢のいかんによっている。だからその点、いま長官の誠意ある答弁ありましたので、私はきょうは、具体的などこどこを今後返還交渉をしていくんだというリストのない限り納得しないつもりでしたが……。ほんとうに、それだけ県民というものは強い要求を持っている。土地連合会だって、土地連合会の方々は、いま土地問題やらいろいろな面で非常に協力している団体なんですよ。私のほうにはむしろ言われてこない。出ているでしょう、具体的にどこどこを返してもらいたいということが。それに沿って返還してもらわぬと、何の計画もないところをぽっと返されて、復元補償もやらない、ほうり出される、それではかえって迷惑なんだ。そういうことをぜひ念頭に入れていただきたいと思います。  そこで、アメリカ局長に一言お尋ねしておきたいんですが、この北谷ですね。返還協定のA表では、北谷はその使用目的は一体どうなっているんですか。
  78. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 実際の提供業務をやっております施設庁のほうの立場で御答弁申し上げます。  北谷村の地籍で、現在、A表に基づき復帰後は地位協定上の施設、区域として提供しておりますものは、数といたしましては相当ございますが、代表的なものとしては、キャンプ瑞慶覧、キャンプ桑江、瑞慶覧通信所、嘉手納飛行場、そういったものが含まれております。
  79. 上原康助

    上原委員 キャンプ桑江の使用目的は何です。
  80. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 病院、事務所、住宅等ということでございます。
  81. 上原康助

    上原委員 病院、事務所、住宅でしょう。アメリカ局長、使用目的は、やはり提供する場合に地位協定上はっきりするわけでしょう。使用目的を変える場合は話し合いがなされなければいかないわけでしょう、あなたがたいへん尊重する協定上見ても。
  82. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 施設、区域を提供いたします場合に、きわめて限定的な使用目的を規定いたします場合と、たとえばもう少し広い用途を指定している場合、いろいろございます。したがいまして、提供目的が本来の提供目的と著しく変わって周辺地域に対して非常に大きな意味を持ちますような場合には、あらためて使用目的の変換ということをいたしますけれども、そうでない場合もかなり多いわけでございます。
  83. 上原康助

    上原委員 じゃ、キャンプ桑江というのは、病院、それから事務所、住宅、そうですね。そうすると、事務所か住宅でなければいけないわけです。車売り場や遊び場、遊園地になってもいいということではないでしょう。これは前にも言いましたが、ほんとうに神経のず太さも皆さんどうかと思うのです。こういうことをするからますます不満や不信を買うのです。前にも指摘をしましたが、実際にいまこのキャンプ桑江というのは、車売り場、遊園地にしているのじゃないですか。しかも、国道五十八号線で土曜日や日曜に行ってごらんよ、バーベキューやら何やらやって、アメリカさんが一生懸命遊んでいるのです。これは明らかにいま局長が言う使用目的と違いますよ。こういうように遊園地なのです。なぜこういう遊休地を返還を求めないのかということなのです。そうでしょう。おわかりでしょう、それは。
  84. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 北谷村の問題につきましては、私もこの二月に現地の村長並びに村会議長その他の方々からいろいろ実情を承りまして、現地の事情につきましては十分承知いたしております。  そこで、先ほど来、山中長官並びに施設庁長官から御答弁ございましたように、北谷村の問題につきましては、私ども米折衝をいたします場合に、この緊急性、重要性ということにつきましては、十分念頭に置いているつもりでございます。したがいまして、第一次の発表の八カ所には入っておりませんけれども、今後対米折衝をいたしてまいります際におきまして、北谷村、あるいはその中のキャンプ桑江、いろいろな北谷村の問題につきましては、十分現地の方々の御意向を尊重しながら折衝を進めてまいりたいというのが私ども考えであります。
  85. 上原康助

    上原委員 ひとつ長官、先ほど御答弁ありましたが、できれば政府も、具体的に候補地をあげて折衝をなさる内容というものを、明らかにできる部分については明らかにしていただきたいと思います。もちろん外交交渉というのはいろいろあるでしょう、相手の立場もあるし。私はそれを全然否定はしません。だが、北谷や嘉手納やコザや、あるいは読谷、浦添、宜野湾を中心に開放を進めていくという決意のほどを伺ったわけですが、いま言ったように、ほんとうにだれが見ても使用目的そのものとも違う。現に占領当時そのものが続いているのです。そういうことに対して、明らかにできるのかどうか、その点をもう一度確認をしておきたいと思います。そして政府としては、いついつまでに具体的にそういう要請に沿って基地整理縮小というものを進めていくのか。どのあたりまでいま進んでいるのかということもさることながら、いつまでに大体めどが立つのかということはせめて明らかにしていただきたいと思います。
  86. 山中貞則

    ○山中国務大臣 私は、国道沿いに走って北に上がれば、右側にキャンプ桑江のカーセールスをしておる場所のあることも、あるいはまたフクギのもとで遊園地みたいになっている場所のあることも、あるいはまた海岸寄りの左側には若干の拳銃射撃場みたいなものがあるといえばあるので、あれを移せないはずはない。そうすると、あとの残りは海岸沿いの荒れ地になっておる、そういう状態なんかよく知っております。嘉手納に入ってみても、黙認耕作地で、何ら宅地その他に利用されないで、しかも基地には使われないである場所、そういうところを手にとるように知っておりますので、そのようなことを具体的に請求して私どものほうで折衝してまいりますが、しかし、一覧表みたいな、どことどことどこの合計何カ所でということについては、先ほど申しましたとおり、現時点においては、解決を急いでそのつど発表してまいりますので、したがって、その過程における交渉のこちら側の要望リストだけを発表するということについては、かえって結果が悪いと思いますから、その点は御容赦願いたいと思います。
  87. 上原康助

    上原委員 めどはいつごろ立てるかも言えないのですか。
  88. 山中貞則

    ○山中国務大臣 私がそのつどと申しておりますのは、秋以降に、本年じゅうに日米閣僚レベルの安保会議がありますが、それを待たずして、事務レベルの会議であっても、大臣が権威づけて合意に達すればよろしいのだから、そのつど発表しますと言っておりますから、おおむねそういうところで御推量願いたいと思います。
  89. 上原康助

    上原委員 ひとつ外務省も、ぜひいま長官がお述べになった姿勢で……。これはもうだれが考えても不当なんですよ。あれだけの基地をかかえているということは、そこに自衛隊を持っていくということだから、おこらぬ人がふしぎなんだ。  それで、この土地問題等関係であと一つ、地籍調査の件ですが、地籍調査とあと一つは地主不明のものに対する補償の問題。これについては、御承知のように、返還前から、長官が総理府総務長官をされておったころから、特に軍用地の地籍というものは全然確定されていない。大きな問題なんですね。そういうことで、これは私はいろいろあると思うのですが、一つはまず施設内の立ち入りの問題です。これは外交上の問題ですが、測量をしなければいかぬ。立ち入りアメリカに取りつけるということ。いま一つは財政です。もう一つは技術の問題だと思う。あれだけの軍用地内の施設、区域内の地籍を確認をするということは、とてもじゃないが、市町村や県の段階ではできっこない仕事なんだ。これは早急にやらなければいけない懸案事項であるが、なかなか手をつけられていない。法務省あるいは経企庁との関係もあろうかと思うのですが、これについてどうなさるのか、予算問題を含めて確たる御答弁をいただきたいと思うのです。
  90. 山中貞則

    ○山中国務大臣 この調査については、もちろん能力、技術それから外交上の立ち入りできる範囲という問題があって、非常に問題がありますけれども、しかし、これをほおっておくわけにいかぬ、焦眉の急でありますから、たしか総理府予算であると思いますが、ことしの予算で一億ほどついていると思います。ことに、今回発表されましたように、逐次返還をされてまいりますと、その返還された土地における地籍の調査というものは焦眉の急であります。したがって、これらの問題は、地域関係住民、市町村、県にも御加勢願いながら、優先順位がいろいろありますけれども、それだけはぜひ早急にやりたい。  さらに御質問のありました中で、現在の基地の中で、実際には土地があったのだけれども、ある人は疎開していて、ある人は出征していて、帰ってみたら自分は地主リストに載っていない、したがって賃借料ももちろんもらっていない、こういう人々は、うそをつこうと思っても部落の人たちがみな知っでおります。あれは自分の家の隣にどのくらいの広さで住んでいたということを部落の人はみな知っておりますし、部落の人々が全部それを認め、事実認められる人が四百何十名おります。それに対して町村長が当然復申もつけるでしょう。そういう人々に対しては、地籍の上では存在しないことに一応なっておりますけれども、これからそれに対して賃借料も支払いをし、そうしてそれが返ってまいりますときには、公簿上存在しないことになっておりますから、地主の方々も大体そういう相談に乗りたいということでありますので、その際には、一括買い上げの形でもって合意した金額を、公簿上ないことになっているために、賃借料は払っていくことに先般返答いたしました。そういうことで、これから予算の面で話を詰めて、いままでそのような不明確であったために地主としての当然の権利が奪われた人々に対して善処をしたいと思います。
  91. 上原康助

    上原委員 この点は、防衛庁、外務省、あるいは法務省、経企庁、関連すると思いますので、私は、こういうものはやはり政府にもいろいろ都合はあると思うのですが、やる気があるかどうかによって、横の連絡というのもできると思うのです。長官の前からの懸案事項ですから、ひとつ横のそういった連絡といいますか、方針も立てながら基地内の地籍調査の確定を早急にやるということ。  さらに、いまも御答弁ありましたように、公簿、公図から漏れた四百十一人の方々に対する補償の問題。これはこの間土地連の方々にも御答弁いただいたようですが、公簿、公図から漏れておった地主に対しても補償するということは、政府としてはそういうお考えであるということでよろしいですか。
  92. 山中貞則

    ○山中国務大臣 一つ訂正いたしますが、さっきたしか総理府と申しましたけれども、私もちょっとことしの予算は閣僚でありませんでしたので、経企庁だそうであります。地籍調査関係だと思います。  それからいまの御質問に対しては、私として、そのような予算措置を行なって早急に実施いたします。
  93. 上原康助

    上原委員 それでは、土地の問題であともう一つ確認をしておきたいことがあるのです。  ちょっと話が重複して恐縮ですが、これはせんだって本委員会で中路委員のほうからも質問されたのですが、いわゆる瀬長島、あれは全部弾薬庫です。これは海軍・空軍補助施設になっているわけです。この間私も本委員会調査団と一緒に現地参加させていただいたのですが、いつからこの瀬長島の弾薬庫は共同使用になったのか。
  94. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 昨年の五月十五日、復帰の時点からでございます。
  95. 上原康助

    上原委員 昨年の五月十五日からですか。これはこの間現地でいただいた地図なんですが、これには共同使用というマークが入っている。黄色いやつは共同使用。しかし、私が要求して本年三月二十七日に防衛施設庁から出ているこれには、何も共同使用と書いてない。五月十五日から共同使用になったことは間違いないですか。
  96. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 間違いございません。ただ瀬長島の施設の中の五棟の建物を共同使用するということであります。
  97. 上原康助

    上原委員 建物なんですか、弾薬倉庫を共同使用しているのですか、はっきりさせてください。
  98. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 いわゆる弾庫でございます。
  99. 上原康助

    上原委員 建物と弾薬倉庫はだいぶ違いますよ。  そこで、じゃお尋ねいたしますが、せんだっての委員会で、本年一月二十三日の安保協議会で、返還するという中に含まれる一これは返還するわけですね。この答弁は食い違ってきているのです、最初に大河原局長答弁と平井部長と。あとで訂正はしておりますが。そのときには共同使用しないわけですね。瀬長島というのは、皆さん考え違いしたら困ります。ここですよ。これは那覇空港が開放されるときには完全に返還されるんですね。
  100. 山中貞則

    ○山中国務大臣 返還時において瀬長島も返されることになります。法律的には暫定収用で五年間ということでありますけれども、個々の地主の方々に対して、なお自衛隊があとそこの残りの二年を使うというようなことは許されません、私はそう思います。したがって、那覇の陸海空軍補助施設というものが返還されました際には瀬長島も返還され、したがって、そこは自衛隊も使用しないということをはっきり申し上げておきます。
  101. 上原康助

    上原委員 いまのは確認をしておきたいと思います。  それでは、時間もだいぶたちますので……。二十七年間分たまっているので、たくさんあって困っているのです。  せんだって大出委員のほうからも指摘があったのですが、例のVFWとリージョンクラブの件、これは大出先生のほうからあとで触れると思いますから、私は深くは入りません。しかし私のほうにも相当資料が持ち込まれております。ぜひ取り上げていただきたいという、そういうことで現地でもありますので、一言だけ触れたいのですが、あの建物は一体VFWの所有なのか。どうなっているのですか。
  102. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 VFWという法人の所有になっていると聞いております。
  103. 上原康助

    上原委員 それはほんとうですか。
  104. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 そのように聞いております。
  105. 上原康助

    上原委員 いつ調査なさったのですか。
  106. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 いつ調査したか承知しておりませんが、那覇防衛施設局からの報告でそういうふうに参っております。
  107. 上原康助

    上原委員 VFWは第三者に建物が売却されたということは聞いていないのですか。
  108. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員  売却しようとしているという情報までを聞いております。
  109. 上原康助

    上原委員 その場合はどうなるのですか。その土地の所有権は、返還問題を含めて。
  110. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 先般も御質問がございましたように、VFWの問題は、昨年の五月十五日を境目として性格は変わっているわけでございまして、所有者との関係において早くこの問題を決着をつけなければならぬわけでございますが、そういう問題をかかえている時期に、VFWがその建物を他に転売するというような事態になることは好ましくないと思います。したがって、そういう点につきましては、現地におきましても、そういうことによって事態の解決の混乱を招かないように、目下VFWのほうとも折衝中でございます。
  111. 上原康助

    上原委員 後ほど大出先生のほうからお尋ねがあると思うので、私は深入りはしませんが、実際あのリージョンクラブにしましても、VFWにしましても、借地権を主張して民事事件になりつつあるわけでしょう。しかもその間にVFWは建物は第三者に売却する可能性がある。そうなりますと、ますますこんがらがって入り組んで大きな問題になるわけですね。  私もちょっとだけ調べてみたのですが、借地権主張というのはなかなか複雑な問題であります。地上物件を持っていると、場合によっては六十年も使用権があるというようなあれもあるわけです。そうなると地主は一体どうなるのか。政府のミスによってこういう問題が起きていいのかどうかということです。あまりにもずさんといえばずさん。沖繩基地は全部つぶさに調べたなんて答えた人はだれだったか、沖繩国会で。何も調べていない。これはぜひ早急に結論を出していただきたいし、その後どういう調査をなさいましたか報告できるのですか、この地主との関係は。
  112. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 VFWに関しましては関係所有者が二十四名ございます。そしてこれらの方々には十分事の趣旨も御説明いたしましたし、先般地主組合の代表の方も上京された機会によく事情もお話しいたしました。われわれとしてこの問題の解決に早急に取り組むからという事情もお話しし、それから、在日米軍司令部なり、また外務省を通じて大使館のほうにも、問題の至急解決についてのVFWに対する指導方についても強く申し入れしております。現地及び東京におきまして、それぞれのルートを通じてこの問題の至急解決を目下はかっておるところでございます。
  113. 山中貞則

    ○山中国務大臣 このVFW、アメリカン・リージョンクラブ、これは明らかに防衛施設庁復帰時におけるミスでありますから、責任は国にあると思います。したがって、沖繩施設局というものを一応国の代表とさせまして、それらの地主の人たちの代表というつもりで、地主側の立場でそれらの経営者の法人と交渉して、そして当然最終的に、地主の要望があれば復元補償の責めもそれらの法人にあるということも明確にしながら、かりにまた地主の方々が、賃借料その他によっていまのまま使わしてもいいという合意があれば別でありますけれども、おそらくそういうことは考えられませんから、それらのことを踏まえながら、ましてや地上物件の転売等の権利はそちらにないのだ、復元補償の義務があるのだという立場で今後折衝に当たらしてまいります。
  114. 上原康助

    上原委員 あと一点、カルテックス・エリアのあれもあるのですね。これは県庁も調査をして、詳細な報告書を出しておられるわけです。すでにお気づきかもしれませんが。ただ、こういう問題も、この間、大出先生も触れておりましたが、皆さんは、自分たちのミスということがわかるようになると、なるべく事を穏便にしたいので、外部には言うなとか、特に革新団体とか反戦地主会にはこういうことは言ってくれるなということを念を押して、あの那覇の施設局歩いているのですね。そんなひまがあるなら、もう少ししゃんとした行政をやればいいんじゃ、実際。そういうことは通りませんよ、沖繩は。一方において土地はこいうふうに不当占拠をしておきながら——不当占拠と私は言いたいのですがね。不当占拠なんだ。不法行為でやっている使用なんだ。  じゃ、その従業員はどうなっている。VFWとリージョンクラブの従業員の方々は。
  115. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 従業員は私どものいわゆる間接雇用の制度になっておりません。直接VFWなりリージョンクラブなりに雇われるようなかっこうになっております。
  116. 上原康助

    上原委員 何で間接雇用にならなかったのですか。
  117. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 私どものやっています仕事は、地位協定の十二条四項に書いてございます米国の軍隊、それから諸機関と申しますもの、それが需要いたします労務を提供することになっております。
  118. 上原康助

    上原委員 そんな理屈通るのですか、あなた。都合のいいところは法律を曲げて土地を収用しておきながら、そこで働いている労働者に対しては労務契約なんだといっている。
  119. 高松敬治

    高松政府委員 VFWにつきましては、関係の地主との賃貸借契約は当初から行なわれておりません、復帰直後から。それで分離作業を終わったのは、ややおくれまして九月の一日でございます。分離作業と申しますのは、その提供施設、区域から分離した範囲を確定する作業でございますが、これがややおくれまして九月一日になりましたが、これにつきましては、当初から賃貸借契約を締結していない、暫定使用法ももちろんかけていない、こういう状態でございます。  それからアメリカン・リージョンにつきましては、これは通信ケーブル等の埋設物がございまして、これを移設するか、あるいはこの埋設施設を施設、区域として存置するかというふうな取り扱い上の問題がございまして、いろいろ分離作業がおくれまして、リージョンクラブの使用区域あるいはその地籍というものの確定が非常におくれたわけでございます。  そのままそういう状態で借料支払い時期である旧盆の八月を迎えました。そこで、明らかにこの中に土地を持っておられるという五名の方については、これは契約を結びませんでした。という状態で瑞慶覧関係地主の方と賃貸借契約を結び、あるいは不同意者に対して暫定使用法に基づく使用通知を行なう、こういう状態になりましたが、本年三月に分離作業が完了いたしました。ところが地主の方は、大体前記五名のほかに二十一名あるということになったわけであります。その旨関係者通知して、契約を承諾される十六名の方に支払った既払い借料については、アメリカン・リージョンが立てかえ払いをしてこれを返納しております。それからまた、暫定使用をかけた土地収用者五名については補償金の返納方をいま要求している、こういう状態でございます。したがいまして、労務者につきましては、それは初めから協定上施設、区域から除外されているわけでございますから、そういう意味ではこれは間接雇用の対象にならないのは当然であると思います。
  120. 上原康助

    上原委員 あなた、えらい釈明をして、あたかもあたりまえだったというようなことを御答弁しているのですが、要するに、リージョンクラブとVFWクラブ、それからカルテックス・エリアというのは、五月の十五日時点で、施政権返還時点で施設、区域からはずされたわけでしょう、法的には。それをあなた方は怠ったわけなんだ。そうであるならばそれでいい。しかし、先ほどから議論をしておりますように、そういう通知を地主にやったのは後でしょう。だから問題なんですよ。じゃその施設、区域はほんとうに施設、区域からはずされているのですか。いまでも金網の中に復帰前の状態でしょう。あなた、実際行ったことありますか。
  121. 高松敬治

    高松政府委員 私は行ったことございませんが、私いま申し上げましたのは、労務者がなぜ間接雇用にならないかとおっしゃるから、こういうことで施設、区域からはずれておりました、ただ、それについての手続につきましては、大臣もおっしゃいましたように、私どものほうにもミスはございましたということの御説明を申し上げたのであります。説明の中心は、なぜ間接雇用になってないのだ、こういう御質問に対して、これは初めから施設、区域の対象からはずれておったものでございます、ただ地籍の確定その他がおくれていろいろな問題が起こったので、間接雇用にしないということとは別の問題であるということを申し上げたわけでございます。
  122. 上原康助

    上原委員 そのことは、もちろん別の問題かもしれない。しかし実際には施設、区域にある。その矛盾点というのは、皆さん含めて責任を持たなければいかぬですよ。間接雇用にできないという理由づけはわかりますよ。しかし、土地そのものはやはり施設、区域にある。現に土地問題そのものも未解決の状態です。こういうやり方ではやはり働いている労働者も関係地主も納得しませんよ。リージョンクラブの雇用員の方々には、やはり特別給付金もいま支払いされていないわけでしょう、復帰後は。復帰前は支払いされておったのです。その点どうなんですか。
  123. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 間接雇用になっておりませんので、現在は駐留軍関係離職者臨時措置法の規定による特別給付金の支給対象にはなりません。ただ、復帰前に、沖繩においてもこちらの臨時措置法に若干準じましたものがございまして、それは出ていたかと思います。
  124. 上原康助

    上原委員 いま何ですか、最後の答弁もう一ぺんはっきりやってください。
  125. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 復帰前の沖繩においても、本土の駐留軍関係離職者臨時措置法に似た制度が一部あったというふうに承知いたしておりますので、それに基づきます給付金等が出ていたかと思います。
  126. 上原康助

    上原委員 出ておったのですよ、それは。  長官にちょっとお尋ねしたいのですが、いま御答弁ありますように、要するに、復帰前は駐留軍離職者等臨時措置法に準ずる沖繩の離対法があったわけですね。そういう中に全部包含されておった。しかし、働いている労働者も地主も、提供施設と思っているのですよ。だがしかし、先ほど言うように、法律上は間接雇用に移管されないという、あの当時からそれは問題はあったのだ。長宮、その点はわかるでしょう。しかし本人たちは、そういうことでてっきり施設外だということになっておる。だが、こういう問題が起きた以上は、やはり働いている労働者を含めてこれは解決せにゃいかぬですよ。その点きょうは詰めませんが、再考慮いただきたいと思う。いいですか。
  127. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは、私も就任してこの事実を知ってきわめてびっくりしたわけでありますから、私はその席で直ちに、リージョンクラブについては、通知をいたしました三月までの身分については何らかの措置を講じなければいかぬ。当方が手違いで暫定収用をかけてしまっているわけであります。この事実は否定できませんので、具体的にどうするかは、法上の復帰前の施政権下における取り扱い等を詳細に検討してやりますが、何らかの措置は講ずるつもりでおります。
  128. 上原康助

    上原委員 ぜひひとつ御配慮いただきたいとういます。  労務問題が出たついでに、復帰後の基地労務の問題についても二、三点触れておきたいと思うのです。これは私は復帰しない前から直接関係してきたこともあって、長官にも何度かお会いをし、またその間にいろいろ解決できた問題、前進さした問題等もあります。だが残念ながら、間接雇用に移行されて後の沖繩基地労務者の関係というものは、労使関係がきわめて不健全といいますか、あるいは長い間の間接雇用制度になじまないことがいろいろあるわけですね。そういう間でいろいろ問題が出てきております。絶えず指摘してきたのですが、賃金の遅払い、働いている労働者にまともに定期日に賃金さえも払えないという状態が一年近くも続いた。そのことはあえて多くは申し上げませんが、いま一番問題になっているのは一体何なのか、解決する方法はどういうことでやりたいのか、施設庁の確たる答弁をいただきたいと思うのです。
  129. 高松敬治

    高松政府委員 本土復帰とともに間接雇用制度になりまして約一年をこえました。いま御指摘のように、現地沖繩においてはいろいろな混乱あるいは紛争があることは、私どもとしてもまことに残念に存じます。  現在、いろいろ問題があるわけでございますけれども現地における不なれ、あるいは組合、県、米軍みんなをひっくるめまして、従来のやわ方の変更に伴う初めての経験から生ずるいろいろな不なれから、いろいろな問題が出てきておることも事実でございます。たとえば、いま御指摘の給与支給事務のおくれというふうなものについても、私どもも非常に残念に思いまして、これについて鋭意督励をいたしてまいりました。現在、ようやく毎月の給料を十二日に支払うということで、十二日と固定しているということでございます。十日支払いという本土並みにはもう一息というところまで来ていると思います。  それから、違反行為に対する措置その他、非常に混乱を生じていることも残念でございますけれども、これにつきましても、私どもとしても、現地関係者一体となってその正常化に極力努力してまいりたい、かように思っておるところでございます。
  130. 山中貞則

    ○山中国務大臣 沖繩の軍労務者の方々は、復帰しても全駐労の組織にも入ることをちゅうちょされ、健康保険組合問題等までそれが及んでいるうに、特殊な環境のもとに今日まで来ておられましたから、その点、つらい立場もありましたし、一方においては、直接交渉の権限を持つ相手が、弁務官にしても基地司令官にしても現地におった。ところが復帰したあとは、その問題はそれは府中だ、それはハワイだ、あるいは両国の外務省レベルだというような話になってしまう可能性のものもだいぶありますし、したがって、沖繩現地の人々の気持ちは私はよくわかります。  いま問題点になっておるのは、おそらく暫定出勤停止、あるいは基地内のはち巻き勤務、こういうものに対する問題だと思うのです。この点は私も心配いたしまして、施設庁のほうで積極的に沖繩県庁と相談をいたしました結果、ようやく米軍も、暫定出勤停止等については、いろいろ言っておりますが、それはまあやめようというようなところまで来ております。あとはち巻きの問題等は、これは労使双方の感情問題等もありますから、ここらのところは県庁と、OBである上原委員あたりもよく知っておるわけでありますから、そこらをひとつうまくまとめていただけるように、施設局のほうでも施設庁でも積極的にこの問題は、沖繩の軍労は特別の背景を持っているということで処理しますから、対処いたしますから、そのつもりでおっていただきたいと思います。
  131. 上原康助

    上原委員 私も約束の時間も守りたいので、中身はあまり申し上げないでも、長官も施設庁長官も知っていらっしゃると思うのです。  そこで、一つの提案です。労務部長の苦労もわかるのですが、あまり基本労務契約だけにこだわってはものは解決しないのだよな。そういうことは、もう少し沖繩の土地柄ということ、あるいはアメリカ施政権下においてつちかわれてきた労使関係、労使交渉というようなことも念頭に入れて労務管理というものはやっていただかないと、ことばに書いてあるその法律、規則だけにこだわっておってはものは解決しない。そこが小役人の一番いけないところだ。  そこで問題は、新たな争議が起こる予想もあるわけですね。防衛二法の関係もあって、施設庁長官はまだ行っていらっしゃらないわけでしょう。この際、長官が行って全軍労の代表なり県の代表と率直に交渉を持ってくださいよ。その御用意があるかどうかということ。ぜひやっていただきたい。私もできる限りの努力はしますよ。しかし、皆さんがいままでのような態度でこたわっておったのでは、これは角の突き合いにしかならない。かえってアメリカと話し合ったのがもっと話はよかったのだ。経験がありますよ。どうして日本政府がそんなに壁になって、アメリカ側の肩だけ持たなければいかぬのかという気がしますので、長官も大臣も——長官が二人いらっしゃるので大臣と言いますが、ぜひそういうことをやっていただく交渉を早急に持ってください。  あと一つ、長い間懸案になっておった四種雇用員の問題。いま軍港湾の問題もありますね。御案内と思いますが、そういうものを含めて、沖繩の旧四種雇用員というのは、本土でいう四種雇用員と違うのですよ。労働市場におけるウエートにおいても、軍職場に占める比率においても。ただ、基本労務契約なり本土の規則を準じただけでは、これもだめなんだ。それを含めて、直接の責任がないということをおっしゃるかもしれませんが、積極的な努力を払うということを含めて答弁いただければ、この問題についてはあえてこまごました点は触れません。
  132. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは、おっしゃるまでもなく、港湾労組にしても、これは施政権当時における間接雇用みたいな形になっておりますけれども実態は、ストライキをやればアメリカの兵隊がこれをロックアウトに付するわけですから、明らかにそこでわかります。そのような実態に、さらに今回の新しい、日本の免許を持たない業者に対してアメリカが指名をした、落札をさしたというような問題等が、いよいよ混乱に輪をかけているようであります。また、現地にロックアウトに行ったアメリカの兵隊も、一緒になってそこでサポタージュをやっておるという奇妙な現象等も起こっておりますから、これは沖繩をよほど知っておる者でないと、この問題の解決はむずかしい私は思うのです。幸か不幸かと言ったほうがいいのでしょうが、私はよほど知っておる者のうちに入ると思いますので、私の感触で、大体上原委員の言われるようなつもりで私もおりますから、直接私がいろいろ指示をいたしまして、応分の適切な対策を講じていきます。
  133. 上原康助

    上原委員 施設庁長官、沖繩に行きますか。
  134. 高松敬治

    高松政府委員 私も実際に行って事の解決に当たりたいと思いますが、そうもまいりませんので、来週向こうから東京に組合の役員が上京して、そこでいろいろ話し合いをするということになっております。
  135. 上原康助

    上原委員 組合代表が上京するのもいいかもしれませんが、しかし、それはやはり現地に行かれて、県のほうともいろいろ話すというのが、私は問題解決の基本だと思うのですね。その誠意があるかどうかにかかっている。山中長官になったというのは、防衛二法は通らぬでもいいということでそういうことになったようですから、来週からはそんなに忙しくならない。ひとつその点ぜひお願いしておきたいと思います。  それと、あと一つ指摘しておきたいのですが、マリーン関係では日雇いをやっていますね。これは諸機関の基本労務契約違反なんだよ。これも指摘しておきたいと思うのです。そういう問題を含めて、ぜひ早急に解決をしていただきたい。旧四種の問題を含めてやっていただきたい。  あと一つは、離職者対策の問題等も、全軍労はいま自力更生ですよ。各市町村や県も、ない金をはたいて離職者センターもやっている。政府はこれに対して、一体どれだけのほんとうにやる意思があったのかどうか、私は疑問なんです。きょうはその面をあえて触れませんが、やはり基地の中においていろいろの問題が出てくることに対しては、政府としても、それ相応の補助金を出すなり、離職者対策、福祉対策というものをやるべきだと思うのです。その点はきょうは触れないで、指摘をしておきたいと思います。  次に、対米請求権の問題について少し触れておきたいと思うのです。これまで何回か指摘してまいりましたが、一体、懸案になっている対米請求権というものをどう処理していかれようとするのか。また、せんだって沖特で、アメリカ施政権下にあった土地裁判所にかわる後任機関というものが設置されたと言っておりましたが、その性格と機能、権能というのは一体何なのか。
  136. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 沖繩返還協定第四条、特に第二項の請求権に関連いたしまして、復帰前に土地裁判所が所管しておりました事項の後任機関の発足がおくれておりましたことはまことに残念でありますが、去る五月の十七日に土地請求権審問委員会というものが正式に設置されまして、陸軍法務部のアービン・アイゼンスタインという人がこの委員長に任命されました。したがいまして、従来、後任機関の設置がおくれておりましたこの四条二項関係の土地問題に関しましては、新しいこの機関の発足に伴いまして処理が促進されることを私たち期待いたしております。  この新しい機関は、従来土地裁判所に係属されておりました事案につきましては、新たなる申請を必要とすることなく、引き続いてこの審問委員会が処理いたすことになります。また、この審問委員会は米国国防長官の直属でございまして、この審問委員会の判定に対しまして不服がありました場合には、国防長官に対して直接上訴ということが認められております。ただし、この上訴にあたりましては、審問委員会が調べました事実関係については立ち入らない、法律関係についてあらためて検討する、こういう性格を持っているというふうに承知いたしております。
  137. 上原康助

    上原委員 その審問委員会で取り扱う請求権の範囲というのは、どういうのがあるのですか。
  138. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 一言に申し上げますと、復帰前におきまして土地裁判所が所管しておった事項がこれにかわる、こういうことになります。
  139. 上原康助

    上原委員 土地裁判所が取り扱っておった事項。では、却下されたのはどうなるのですか。かつてアメリカ施政権下にあって、土地裁判所で却下されたもの。それと、これに対して政府なり県は、参加といいますか、何らかの権限はあるのですか。ただアメリカ側にまかせる、アメリカ側だけの審問委員会なのか、後任機関なのか。
  140. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 返還協定四条二項に基づきまして、米側が請求権を処理することを約束いたしました項目につきまして、ただいま申し上げました審問委員会が審査をするということになっているわけでございます。  それから、すでに却下されました案件と申しますのは、漁業補償に関連いたしまして読谷村の漁業協同組合から出ている事案だというふうに考えますが、これにつきましては、昭和四十五年十二月十四日に訴願が一応棄却され、現在上訴中でございますので、その上訴という形で引き続いて審理される、こういうふうに考えております。
  141. 上原康助

    上原委員 日本政府なり県側は、代表も何も送らないのですかというのです、この審問委員会に。アメリカ側だけのあれなの。
  142. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 今回の発表によりますと、審問委員会は請求権の申請を五月十七日から百八十日以内に受理するということになっておりまして、この審問にあたりましては、審問委員会が自己の権限において審理するということでございまして、これに対して、日本側が審理に参加するということはないわけであります。
  143. 上原康助

    上原委員 委員会の構成メンバーは同名ですか。
  144. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 現在までに私どもつかんでおります事実関係では、審問委員会のメンバーにつきましてはまだわかっておりません。
  145. 上原康助

    上原委員 メンバーもわかっていないでは、一体請求権問題に対しての政府の基本姿勢が問題だと私は思うのですよ。単なる土地関係だけじゃないわけでしょう。私が最初に申し上げましたように、もう復帰して一年にもなるわけですからね。返還協定審議の段階において残された問題については、そろそろ結論を出さなければいかないと思うのです。  じゃ政府は、沖繩返還にあたっていろいろ請求権問題が議論されましたね、どういう問題がまだ未処理と思っておられるのか。もう片づいたというお考えなのか。その点について具体的に説明していただきたいと思います。
  146. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 請求権の問題に関しまして、かねて上原委員御自身から要求ございましたのは九件ございます。その中で、対米請求権という形で処理されます協定四条二項並びに四条三項の問題は、軍用地の復元補償の問題がございます。それから講和後の人身損害の問題もございます。それから海没地につきましては交換公文で処理されておりますし、また通損補償につきましては四条二項で処理される性質のものがございます。その他の問題につきましては、布令六十号で処理済みのものと、わが国内処置として処理を必要とするものというふうになろうかと思います。
  147. 上原康助

    上原委員 ですから、わが国内で処理すべきものはどういうふうに処理しようとしておられるのか、またどういう調査をし、どうなっているかということを私は聞きたいのですよ。それは県民が求めていることなんです。いつまでもそういう答弁じゃいけませんよ。
  148. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 請求権問題は、御指摘のとおり沖繩返還に伴う一つの大きな問題でございます。それで、返還協定四条一項で日本側が請求権を放棄した問題につきましては、沖繩復帰に伴いますところの沖繩復帰対策要綱第三次におきましても、これは国において必要な措置をとるという方針が出ております。この線に沿って至急この問題を解決し、しかるべき行政措置、または、要すれば立法措置も講ずる必要があるわけでありますから、この請求権の一番現在問題点となっておりますのは、先ほど大河原局長から御答弁がありましたように、項目としては九項目に分かれておりますが、一つ一つの案件の内容多岐にわたっておりまして、実態をまずつかむことが必要かと思います。  そこで、現地に幸い那覇防衛施設局がございまして、復帰後提供しております施設、区域に関連しますところの補償案件を処理していく場合に、並行的に復帰前の返還請求権に関連します事案も次第に明らかになってまいります。昭和四十七年度及び昭和四十八年度にも調査の予算を計上いたしまして、これら関連する調査を目下進めておるところでございます。  それから、申し忘れましたが、講和前の人身被害に関しましては、特別措置法に基づきまして防衛施設庁で担当することになっております。すでに処理しました案件は、昭和四十七年度におきましては、支給対象人員二百十一名、九千四百四十万円、昭和四十八年の処理予定分といたしましては、二百四十五名で一億二千七百万を一応予定しておるところでございます。
  149. 山中貞則

    ○山中国務大臣 先ほど私が言った点は、そこの残りのところでありまして、締め切り日以降にも百名をこえる方の申請がありますから、これは一応、本来ならばできない相談になるわけでありますけれども、事柄が、申請すること自体にちゅうちょされるような件数等も沖繩においてあります。それを思い切って、おかあさんが息子の大学生の了解を得て、じゃそうしようというようなことでやられた例なんかもありますので、これは来年度予算で、大蔵省との折衝において、なお私としては全員済むまで予算措置をしたい、そのように考えております。ちょっと触れたのですけれども、あらためて今後の問題としても申し上げておきます。
  150. 上原康助

    上原委員 いまいろいろ調査をしている。もちろん県とのかかわり、あるいは市町村の協力も得なければいかぬと思うのですが、その調査をする政府の窓口は一体どこなんですか。
  151. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは防衛庁の外局、施設庁がその事務をやりますが、これは御記憶のように、佐藤総理が、沖繩県民の感情から見て、防衛庁の外局としてなかなか敷居が高いと申しますか、行きにくい点もあるかもしれぬ、そこで沖繩開発庁という、県民のためにのみ開発振興のために存在する役所の出先もあることだから、そこでも御相談に乗るようにしたい、こういうことを言われまして、当時の長官でありました私が、そのようにいたしますと答えております。事実そのとおり、沖繩開発庁の沖繩総合事務局にも御相談があるようであります。それらは全部、実務としては当庁の施設庁が処理をいたしております。
  152. 上原康助

    上原委員 いま長官がおっしゃるのは、おもに人身損害事故に対してのみそういう窓口でやっておるわけですよね、私の理解する限りにおいては。それ以外に土地の問題ももちろん若干はあるでしょう。  しかし、ここでなぜこの請求権問題をたびたびお尋ねするかといいますと、講和前後の人身損害事故の処理もさることながら、軍用地の復元補償の問題について、もっと考えなければいかない問題があるんじゃないかと思うのです。確かに軍用地の復元補償については米国側の処理がありますね。いわゆる協定四条二項あるいは合意議事録四条に関する1の(1)、いわゆる布令二十号でやられるもの、協定の四条三項との関連。しかし、またわがほうで処理しなければいかないものもあるわけですよ。協定三条の二項、協定六条の四項、さらに施設庁の特損法、そういうものが、具体的に今日まで進んできていないということを指摘をしたいんですね。  あと一つ大きな問題は、私は冒頭に、あした何の日かと聞いたのですが、八月十五日時点までにいわゆる軍用地になった土地は一体どうするんですか。たとえば上本部飛行場だって、あれが返還されたのは一九六六年ですか、今日までそのままでしょう。土地代も入らない。八月十五日以前のいわゆる形質変更だということで何ら手がつけられていないわけでしょう。沖繩戦上陸から八月十五日までの形質変更された土地に対する復元補償は一体どこがやるのか。私は、当然日本国が、国がやるべきだと思う。これについても、今日までアメリカ側も、責任ありません、私たちは八月十五日が起点だ、日本は対日平和条約だ、これでは問題は解決しないんですね。話の筋が通らない。その点を含めてどう処理をしていかれようとするのか、ぜひ明らかにしていただきたい。また外務省を含めて、調査をしますとか検討しますとかいうことではなくして、具体的にこうするんだという回答を私は求めているのです。
  153. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 まず法律関係について申し上げたいと存じます。  返還協定第四条一項によりまして、日本側米側に対しまして請求権の放棄を約束いたしております。他方、返還協定三条二項によりまして、地位協定四条と同じ趣旨で、米側施設、区域を変更いたします際の米側の原状回復の義務を要求しない、また米側日本に対して補償の義務を要求しない、こういう規定があるわけでございまして、そういう観点におきまして、復帰時におきまする米軍の使用しておりました基地関係は、これに基づいて処理されることになるわけでございます。したがいまして、返還されました施設、区域の所有者との関係におきましては、日本政府との関係が生じてまいるわけでございますから、この点につきましては、関係の当局と十分相談をしてまいりたいと考えておるわけでございます。  上本部の飛行場の問題につきましては、これは復帰の二年前に返還されたものでございまして、米側といたしましては、返還協定四条三項によって処理され得るものと、こういうふうに考えております。
  154. 上原康助

    上原委員 ほんとうに四条三項によって処理されるんですか。アメリカ側は、八月十五日以前に形質変更したということで拒否しているということを聞いているんですよ。それで今日までこの問題は長引いているんだ。だから私がお尋ねしたいのは、アメリカ側が処理すべきものの整理日本側が処理すべきものの整理早目にやって、復元補償なり請求権というものを処理していかなければいかぬわけでしょう。それと同時に、長官にもこの点ぜひ確約をいただきたいのですが、いわゆる沖繩戦上陸当時から八月十五日間の形質変更、そういった損害に対してはどうするかということなんですね。
  155. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは、返還協定等においては八月十五日からとなっておりますものが、そこに、冒頭言われた六月二十三日から八月十二日までの間の沖繩県民たる日本人アメリカ人との関係は、戦争遂行中の征服者としての米軍と、戦闘地域の中の征服された国の民族という立場におかれた期間があります。この点は、講和後の人身被害の補償も含めて、そのような物件の被害等についても、やはり本土政府が責任を負うべきものということを沖繩国会でも私、答弁いたしております。その方針には変わりありませんが、私も復元したのは久しぶりなものですから、そこの具体的な点を私はいま確かめていたところでありまして、これは絶対に米軍もしくは日本のいずれかが責任をもって処理するようにいたします。
  156. 上原康助

    上原委員 御承知のように長引いているわけです。復帰前に開放されて——六八年ですか、さっきの開放は……。
  157. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 七〇年だと思います。
  158. 上原康助

    上原委員 七〇年に開放されて、それから土地の地代も入らぬわけですよ。復元補償もしない。そういう状態では踏んだりけったりじゃないですか。だからその点、アメリカ側ほんとうにやるのか、日本側でやるのか、早目にけじめをつけてください、この際。そのほか、入り会い権の問題とか、つぶれ地補償の問題、海没地、われわれ——調べてみるとほかにもいろいろあるのですよ。そういったものをこの際もう早急に、ただ調査します、検討してみますということでなくして、具体的に処理をしていただくという確約を、局長はじめ防衛庁に求めたいと思うのです。
  159. 山中貞則

    ○山中国務大臣 申請者のほうでも、なかなか証明困難な海没地等もあるようでありますが、これはやはり確認作業が要りますので、それらのことも含めて、御希望のとおり、当然の要求でありますから、早急に処理させます。私が努力いたします。
  160. 上原康助

    上原委員 この請求権の問題は、先ほども答弁もありましたように、沖繩返還協定審議過程でいろいろな点が指摘をされ、未解決のまま残されているわけです。ぜひ早急に事の所在というものを明確にするということと、だれがどうして責任をもって解決をするかということを明らかにしていただきたい。その点、強く求めて、いまの長官の御答弁が実を結ぶように、あらためて念を押しておきたいと思います。  そこで、時間がかなりたちましたので、沖繩への自衛隊配備の件について、これまで各委員からいろいろの角度からお尋ねなり、また政府の御答弁等もあったわけですが、私は、先輩委員あるいは同僚委員のいろいろな御質問を聞いていて感ずることは、ほんとう沖繩への自衛隊配備ということがだれのための配備なのかということを、あらためて疑問を持たざるを得なかったのです、これまでのやりとりを聞いていて。  もう一つは、私たちは確かに、安保体制、あるいは日本の戦後の行政から、かなり長い間分離をされていました。それは埋めようにも埋めがたいものがあります。私個人の立場で言うと、日本の平和憲法九条どうのこうの、いろいろな御意見もあるわけですが、言わしてもらえば、一体、平和憲法九条というものはどう解釈をされてきたのか。安保体制あるいは自衛隊というものが根を張った本土に返ってきたというそのむなしさを、私はつくづくこの防衛論を聞いて思わざるを得ないのです。だから、私が冒頭お尋ねしましたように、沖繩の戦後の基地被害というもの、あるいは人権というものがどう保障されてきたのか、守られてきたのかということをお尋ねしたのですが、そのことを抜きにしてはこの自衛隊問題というものは議論できないと思うのですね。そういう意味で、これから残された時間、自衛隊配備の不当性についてお尋ねしていきたいのです。  一体どういう根拠で自衛隊沖繩に、いますでに四千八百名ですね、配備をしておられるのか、その必要性というのはだれが求めているのかということを、まず明らかにしていただきたいと思います。
  161. 山中貞則

    ○山中国務大臣 戦前の軍隊とは自衛隊は違うことは、もうたびたび申し上げておりますが、沖繩県民の方々にとって、このことを説明し、わかってもらうことはきわめて困難であると私も思っております。でありますから、沖繩に再び日本軍が来たというような立て看板等、人殺し、自衛隊帰れというような立て看板等も、本土ならば異様に感じますが、沖繩では一般の人も異様に感じないような背景のあることもよく承知しております。一方において、アメリカが戦いに勝って、占領してしまって居すわった土地を、地域を取り戻す、しかも一県全部、その単位において取り戻すという作業は、やはり外交交渉で容易なことではなかったであろうと私も思います。  その際に、アメリカが、これはアメリカ自身の作戦であったとしても、極東戦略という立場から、沖繩というものをアメリカがなお捨ててはいけない。その場合において、アメリカがその戦略上の最終必要な機能だけで、あと全部県民の希望どおり——県民は全部でありましょうが、かりにその機能を認めても、アメリカ日本に返還すると同時にそれをやってくれただろうかということも、現実にはあったようであります。したがってアメリカは、自分たちの最終基地というものを裸にして、すなわち局地防衛を全然やらないで、能力を捨てて立ち去るということについては、返還に当たってのいろいろな交渉の中で裏表の問題として議論されたであろうことは、察するにかたくありません。  その意味において、沖繩県民感情はよくわかりますが、アメリカ人がなお、ナイキ基地あるいは航空通信管制、そういう警戒管制等の部門に居すわっているという現状よりも、この際は、たいへんつらいことでありますけれどもアメリカには帰ってもらって、基地はなるべく返してもらって、そして日本人の手によってそこは肩がわりをする。したがって、アメリカにおいては現実にその後一万名も帰っておりますし、日本の配備は最終的でも五千五百名ということでありますから、そういう意味で、やはり国土の一部である沖繩県でありますので、南方に長大な島嶼から成り立つ地域で国境を接するということから考えて、沖繩を、アメリカ側の意思がかりにあったとしても、日本政府がそれを全く承知しないという場合において、はたして復帰ができたであろうかという問題等は、理論的には合わないと思いますが、現実のうらはらの問題としては、議論された結果、日本側もまた自分たちの国土の安全を守るという意味において配置をしたというふうに考えます。
  162. 上原康助

    上原委員 ちょっと防衛局長お尋ねしておきたいのですが、一体自衛隊配備の根拠は何ですか。
  163. 久保卓也

    久保政府委員 自衛隊を配備をする必要があると考えられるのは政府でありまするし、そして具体的に部隊を配置する直接の権限を持っておられるのは防衛庁長官であります。もちろん法律、政令の範囲内において防衛庁長官がそれを決定されます。そして具体的にどの程度のものを配備するかということは、御案内のように、昨年の春でありましたか、国防会議決定をし、閣議で決定をされたその線に沿って部隊が配備されております。
  164. 上原康助

    上原委員 そういう根拠を非常にばく然とした形で言っておられるわけですよね。すでに専門的な立場からいろいろな御指摘がありましたが、私はそういうところには触れませんが、長官も、自衛隊は昔の軍隊じゃないのだということを、一連の議論を聞いておっても、たいへん強調しているわけですね。皆さんは一体軍隊の本質というものを——自衛隊はまぎれもない軍隊ですよ、それは。憲法違反の軍隊なんだ。どう皆さんが言い、こじつけをしようが、多くの国民大衆はそう見てない。特に沖繩において。私はそのことを、自衛隊の本質というものは一体何なのかということを、きょうは少し議論してみたい。  最近のいろいろな議論を見ても、自衛隊の、たとえば皇居もうでというようなことも議論されました。あるいは制服組の在外派遣の問題、いろいろ出ているわけですね。私は具体的に二、三の例をあげてみたいわけですが、たとえば、これは防衛庁で編さんをした「戦史叢書」なんですが、「沖繩方面陸軍作戦」というので、いろいろ戦史をつづっております。たくさんありますが、こういうものも、全部は目を通しておりませんが、私なりにいろいろ調べてみました。ここで、この戦史を編さんをするにあたって何と書いてあるか、また沖繩戦がどういうふうにとらえられているのか。皆さんがどんなに軍隊でないと言っても、思想そのものは昔の軍人になれというのが、いまの自衛隊の教育なんだよ。長官が、シビリアンコントロールでそうはなりません、憲法違反を犯しません、専守防衛だと言っている。防衛は攻撃が最大の防御なんだよ。そういう理論では私は通らないと思う。だからきょうは、自衛隊の指向しようとする思想、本質というものを、私は沖繩戦の歴史のいろいろなものを例をあげながら、まずやってみたいと思うのですよ。  本書は、序でこういうふうに書いてある。「戦史室が創設されて十余年、ようやく昨年からその成果の一部を逐次刊行する運びとなり、その第十一回として本書を刊行することとなった。本書編纂にあたっては自衛隊の教育または研究の資とすることを主目的とし、兼ねて一般の利用」云々と書いてある。こういう戦史というものを、「自衛隊の教育または研究の資とすることを主目的とし」つくったということなんですね。この件について防衛庁、おわかりですか。どういうふうに利用しているのか。活用なさっているのか。
  165. 久保卓也

    久保政府委員 担当は大西参事官でありますが、来るまで私がお答えいたします。  自衛隊がいわゆる軍隊でないということは、私どもはそう信じておるわけでありますが、ただ、実力をもって国を防衛するという範囲におきましては、過去の戦史というものはいろいろな意味において参考になります。旧軍と同じことを日本自衛隊がやるというわけではございませんけれども、しかしながら、実力で防衛するという点において、いろいろの面での共通点あるいは参考になる点がございます。そういう意味におきまして、戦史室あるいは防衛大学校におきましても、戦史の研究は盛んにやっております。ただ、その戦史編さんそのものがどういう趣旨で行なわれたかということは、教育担当の参事官が来ればお答えいたします。
  166. 上原康助

    上原委員 もちろん、それは戦史であろうが、歴史を正しく理解しようというのは、国民立場において私も了解しますよ。だが、じゃ、これは真実に伝えていると思いますか。私はそう見ないのです。これは県民の被害については何ら書いてない。もっぱら軍事目的のために編さんされたものなんですね。  中の二、三例をあげますが、小禄で自決した大田海軍少将の、「大君の御はたのもとにししてこそ 人と生れし甲斐ぞありけり」、わざわざこういうものを写真入りで出している。かつての大田少将は沖繩戦で最期を遂げたのだが、こういう歌を残してやったのだと、これ見よがしに学べというようなことをここに書いてあるのです、実際。一体いまの自衛隊沖繩に行っている自衛隊が、皆さんがどんなに軍隊でないと言っても、こういう戦史を見て、はたしてどういうような立場で、沖繩防衛というより、日本防衛というものを考えるのか。そこに、皆さんがことばの上で幾ら、シビリアンコントロールとか、憲法の範囲でやります、専守防衛だと言ってみたところで、問題は思想なんですよ。思想、本質なんだ。私も小学校三年だった。ほんとうに天皇陛下のためにと国のためにと思った。小学校三年の鼻ったれ小僧から竹やりを持たされて、朝は七時から起こされて、私は大日本帝国青少年団員の一員なりと言って、間違いがあれば教練教官が来てはね飛ばしよったのだ、実際。やったのは何かといえば、竹やりを持たして、わら人形をつくって、鬼畜米英と言ってやったのだ。そのあげくの果て一体どうなったのだ。私はもう憲法論とかむずかしい議論じゃないと思うのです。そのことを申し上げておきたいのですね。しかも、こういうことを自衛隊の研究の主たるものとして編さんして、資とすることを主目的として編さんをしている。これは何も沖繩戦だけではなくて、五十四巻くらいありますよ、国会図書館に。防衛施設庁にもあるでしょう。  だから私たちは、やはり平和でなければいかないということです。どんなに口を裂かれても、自衛隊の問題については、いまの政府がお進めになっていることに対して同意することができないのですね。後ほどそのいろいろな点については申し上げますが、あと一点だけあげましょうか。ここにちょっと昔のあれで書いてあるので私も読みにくいのですが、念のためにこれも読んでおきたいと思うのです。  これは、牛島滿中将が最期を遂げる段において打った電文なんですね。「大命ヲ奉シ挙軍醜敵撃滅ノ一念ニ徹シ勇戦敢闘茲二三箇月全軍将兵鬼神ノ奮励努力ニモ拘ラス陸海空ヲ圧スル敵ノ物量制シ難ク戦局正ニ最後ノ関頭ニ直面セリ 麾下部隊本島進駐以来現地同胞ノ献身的協力ノ下ニ鋭意作戦準備ニ邁進シ来リ敵ヲ邀フルニ方ツテハ帝国陸海軍航空部隊ト相呼応シ将兵等シク皇土沖繩防衛ノ完璧ヲ期セシモ 滿」いわゆる中将ですね。「満 不敏不徳ノ致ストコロ事志ト違ヒ今ヤ沖繩本島ヲ敵手ニ委セントシ負荷ノ重任ヲ継続スル能ハス 上 陛下ニ対シ奉リ下国民ニ対シ真ニ申訳ナシ 茲ニ残存手兵ヲ率ヰ最後ノ一戦ヲ展開シ一死以テ御詫ヒ申上クル次第ナルモ唯々重任ヲ果シ得サリシヲ思ヒ長恨千載ニ尽ルナシ」、もっとありますがね。こういうことを最後に打っているわけです。これが牛島中将の最後の本土に対しての電文なんです。  自衛隊の問題というのを私たち議論をする場合に、皆さんがどういう立場で言われようが、かつての日本の軍国主義の思想というのはこうなったんですよ、ならないと言ってみたところで。それは夜が明ければ一時に軍国主義になっておったのじゃない。戦前だってそうでしょう。単にいま自衛隊の四次防の問題だけじゃなくして、国の政治の中枢部門に対していろいろの反動化があるということはおわかりのとおりなんです。こういう問題に対して、ほんとう自衛隊のいまのあり方と教育のあり方、長官なり局長、どうお考えですか。
  167. 山中貞則

    ○山中国務大臣 戦争中は、戦場心理学というものが別個にありますように、人間というものは異常な心理状態になることもあり得るわけでありますが、まあその戦史の中で、たとえば大田少将が最後に打電された、「県民ニ対シ後世特別ノ御高配ヲ」という、そういう文章等も当然入っていなければならぬと思います、辞世の歌ばかりではなくて。  その当時においては、そういうことが軍人としては当然のことであったと思いますが、いまの自衛隊としては、外国に向かってみずから戦端を開始したり、国際紛争を武力で解決しようとする意図を毛頭持たない、国民の独立と生命財産を守ることに徹するわけでありますけれども、しかしながら、私たちとしては、沖繩県民立場から見られれば、そのような見方というものが成り立ち得るということについては十分に理解をいたしておりますし、したがって、沖繩配備の人選等についても、前総理もずいぶん心を痛めておられたようでありますが、しかし、独立国でありますから、それを全く守らない、なすにまかせる、だれでもじゅうりんしていいという状態をとらないというのが私どもの党でありますので、そこの点の意見の一致を得るのはきわめて困難かと思います。
  168. 上原康助

    上原委員 そういうことだけで片づけられる問題じゃないのですよね。確かにこれは、戦史というあれで事実を述べているとおっしゃるかもしれませんけれども、そうじゃない。戦史であれば、県民がどういう状態になってどういう被害を受けたかということも、触れるのが当然でしょう。もっぱら軍人の立場で書いてあるのが、このほかにもたくさんあるのです、引用しませんが。  じゃ、そういう教育はいまはやっていないのだ、それは昔の話だとおっしゃるのですが、最近も、自衛隊の御殿場隊員の問題でも、いわゆる自衛隊の皇国史観ということで問題になったでしょう、「少年日本史」というものが。これは、ほんとうに活用したあれがあるのですか、どうですか。——わからないのは内局と、ほんとうに長官かもしれませんよ。自衛隊の制服組はどんどん先行していっているのですよ、思想的に。それはお答えください、どういう経過になったのか。
  169. 高瀬忠雄

    ○高瀬(忠)政府委員 ただいま御指摘の本につきましては、板妻の駐とん地で買いましたけれども、特にこれを買うことを、強制するとかなんということはございません。各人の希望によりまして、それをまとめて買いはいたしましたけれども、各人の自由意思によりまして買ったわけでございます。
  170. 上原康助

    上原委員 そういう、強制的に買わそうとした事実はあるわけですね。
  171. 高瀬忠雄

    ○高瀬(忠)政府委員 強制的に買わそうとした事実はございません。
  172. 上原康助

    上原委員 じゃ、これは朝日新聞の五月十六日の記事、これはうそですか。間違っているのですか。
  173. 高瀬忠雄

    ○高瀬(忠)政府委員 強制ではございませんで、こういう本があるということの紹介はいたしました。
  174. 上原康助

    上原委員 だったら事実じゃないですか。それは本を読むのは自由ですよ、個人は。私は人の思想までは否定しません。どういう思想を持とうが、いまの民主主義社会においては自由なんですから。しかし、自衛隊という一つの組織で、ある特定の本を読みなさい、これがいい本だというすすめをするということはどうなんですか。事実があったわけでしょう。逆に聞きますと、あなたは、こういう「少年日本史」というものが、ほんとう自衛隊の歴史観としての判断をするのに正しい本だとお考えなんですか。
  175. 高瀬忠雄

    ○高瀬(忠)政府委員 教育上必要なことにつきましては、特に指定をいたしまして、これは非常にいいから読みなさいということを強く言いますけれども、その他の本につきまして、いろんな観点から、こういう本もあるぞというようなことでいろいろ紹介することがございまして、これは特に、これを必ず読めという趣旨で紹介したものではございません。
  176. 上原康助

    上原委員 買ったのは何名で、皆さんがあとで、買わないでもいいと言ったのはどういうあれだったのか、もっと具体的に説明してください。一括買ったのは何名なのか。
  177. 高瀬忠雄

    ○高瀬(忠)政府委員 七百名のうち五百名の者が買いました。
  178. 上原康助

    上原委員 七百名のうち五百名買った事実があるわけですよ。  じゃ、お尋ねしますが、あなたは真珠湾攻撃はどうお考えですか。
  179. 高瀬忠雄

    ○高瀬(忠)政府委員 真珠湾攻撃のいろいろなことを聞いておりますけれども、こういう席で、正しく史実に従いまして述べるほど自信のある確実なものは、本を読んでいませんので……。
  180. 上原康助

    上原委員 それはよかったと思うのか、悪かったと思うのかということを聞きたいのです。そんなくだらぬ答弁じゃだめなんです。(「次元が違う」と呼ぶ者あり)次元が違ってもいい。そこが本質なんだから。
  181. 高瀬忠雄

    ○高瀬(忠)政府委員 先ほど申し上げたとおりでございまして、その当時の客観的その他、いろいろなことを考えて判断しながら言わなくちゃいかぬと思います。いま直ちにどうこう言うのは控えさせていただきます。
  182. 上原康助

    上原委員 えらい警戒、慎重ですが、そういう慎重さもよかろうと思うのですがね。非常にうるさい人がおるから、そうかもしれませんが、これにははっきり書いてあるんですよ。私は、最初から言いますように、確かにいろいろな本を読むのもいいでしょうが、しかし、歴史というものは正しい評価と正しい史実でなければいかないと思うのですよ。これに何と書いてあるんですか。引用しますと、これの六九〇ページなんですよ。「日本自分の武力を過信して、突然真珠湾の奇襲を行ない、折角平和交渉を進めていたアメリカを怒らせて、大戦に持込んだのだとは、能く云われた所ですが、事実は此の戦争、日本自身が好んで始めたものでは無く、之を避けようとして最も努力した效も無く、遂に引きずりこまれた戦争であったのです。然し一旦避ける事が出来ないと分っては、実に見事に戦いました。その一、二の例をあげましょう。第一は、ハワイ真珠湾の攻撃です。」こういうふうに書いてあるんです。これは事実です。しかも、防衛庁がこういう本を日本史という立場で推薦をし、七百名の隊員に五百名も買わす。ほんとうに過去の歴史をわからない青少年が一体どういうふうにこれを受けとめるかということですね。最も強い兵隊さんになりなさいということを言っているんです。そのほかにもいろいろありますが、あげませんが、明らかに偏向教育をしようというのはやっているんじゃないですか。これに対してどうお考えなのか。
  183. 高瀬忠雄

    ○高瀬(忠)政府委員 先ほど申しましたように、私どもの教育方針というのは確立されております。その際に、教科書に使うものにつきましては、それぞれ内容を吟味したものにつきまして、しっかり課程の中で教育いたしておりますが、各人それぞれ娯楽といいますか、趣味といいますか、そういったこともありましょうし、それから本を読むというような習慣をつけさせ、あるいは図書室などを充実しまして、いろいろな本を読んで各人がいろいろな判断をできるというような教育も必要なんじゃないかということで、ときどき本を推薦したりしておりまして、要するに考え方は、私ども不偏不党の立場で中正公正にものごとを判断できるというような気持ちを養成するというのが主眼でございまして、いろいろな本をいろいろな機会に読ますということは、ある意味で批判精神をつくるという意味におきまして、たいへんけっこうなことじゃないかと私ども考えております。
  184. 上原康助

    上原委員 長官、いま私が指摘をした、たとえば沖繩戦史の史実のつづり方にしても、この「少年日本史」にしましても、こういうことがいま自衛隊の一つの教範として、思想教育の立場で使われているのは事実なんです。それに対して今後どういう御方針をお持ちなのか、長官の御見解を承っておきたいと思います。
  185. 山中貞則

    ○山中国務大臣 私は、戦史というものは、これは栄光の歴史も屈辱の歴史も、勝利の歴史も敗北の歴史も、やはり歴史だと思うのです。その意味では、日本が二度と戦いはすまいと決意した、平和憲法につながる第二次大戦の詳細ないろいろな各面からの本はあっていいと思います。かといって、それを一方的に押しつけて、教育の材料として特定の角度のものを使うということは考えておりませんし、またその「少年日本史」でありますか、それは、著者の特殊な考え方からの思想が盛り込まれた、一貫したものでありましょう。しかし、それは自衛隊の一部の部隊であったことであって、それを強制をして買わしたり、それを教科の材料として使ったという事実はありません。したがって、そういうようなことは、今後も強制して本を買わしたりなどするようなものではない、そういうように考えます。
  186. 上原康助

    上原委員 そこで、国を守るために自衛隊が必要なんだということなんですね、平たく言えば。そして憲法の範囲内だというが、これは明らかに憲法の範囲を越えている。  では、私はもうむずかしいあれよりも、一般論でいきたい。沖繩は守られたのですか、かつて。一体県民のために、ほんとう自衛隊配備、それは要らないのですよ。守られなかったのですよ、第二次大戦において。守られなかった事実を私はこれから申し上げたい。  第二次大戦の当時、沖繩に軍隊は幾ら派遣しておったの。おわかりですか。
  187. 久保卓也

    久保政府委員 たしか二十六万ではなかったかと思います。
  188. 上原康助

    上原委員 二十六万、いまそういう御記憶しかないわけだ。そうでないのですよ。陸軍兵力が約八万六千四百、それに海軍兵力一万、十万前後ですよ。あなたが言うように二十六万おってもなお負けたら、これは軍隊はますます要らない。守られなかったというのは私が生き証人なんだ。守られなかったのですよ。軍隊は一体どうした、ほんとうに。確かに戦争もしたでしょう。しかし最後は、皆さんが言うように、軍隊の本質というものは、最後は彼ら兵隊だって生き延びたいのだ。銃後にしか銃を向けない、それが沖繩戦の実態なんですよ。  だから、私たちは先ほどもいろいろなことをあげましたが、もう自衛隊を配備をするようなことで、皆さんが言うように国土防衛というものはできない。何も私は、情報もとるなとか、つんぼさじきになれとか言いませんよ。日本国民はそんなばかじゃない。いろいろやる方法はあると思う。ほんとうにいまの自衛隊防衛力で、かりに皆さんが言う近代戦遂行能力とか、あるいは局地防衛云々といってみたところで、米ソの二大核保有国に対して、あるいは中国、そういった近隣諸国を含めて、日本ほんとうに軍事大国にならない限り、軍事力を力として外交を進める、あるいはものを言いたい、そういうような立場考えていないとするならば、私は自衛隊というのは要らないと思う。そこが私たちの原点、基本的な原点なんです。だれからだれをだれのために守るのかということを私たち議論しなければいかない。沖繩は守れなかった、これに対してあなたほんとうにどう思うの。
  189. 山中貞則

    ○山中国務大臣 沖繩が守れなかったばかりでなくて、沖繩の一般の県民を含めて多大の犠牲を払った結果、本土がその壊滅に帰する前に降伏したということにおいては、われわれ本土の者は、沖繩の人たちに対して申し開きが生涯立たないと思います。  しかし、沖繩のその問題は別にして、独立国家であって、日本のような資源に乏しいながらも経済力の豊かな国家であって、一億以上の民衆の住む国というものが、国民の住む国というものが、全く無防備でいまの世界の中で、あるいは将来の平和への移行を希望しながらも存在していけるかどうか、そのことは基本的にやはり私たち考えていかなければなりません。したがって、あくまでもわが国家として国の独立と繁栄を守っていく。そして自分たちが核を持つことはやらないと言っておりますし、核戦争にまでたよる能力を持とうとも思っておりませんし、御指摘のように、国際紛争を力で解決しようとも思っていません。もちろん、外交というもので国民を守ることが第一であります。  しかしながら、もしそのような場合にでも、局地紛争的なもので日本の国土の一部なり国民が、それによって無抵抗でじゅうりんされるということだけは避けたい。これは私たちが、核戦争の時代にそんなものを持って何になるかと言われますけれども、しかしやはり、核は核の戦争、核以前の戦争というものは核以前の戦争、どうしても日本が能力においてやり得ない範囲の戦争となれば、これはおそらく世界戦争だろうと思いますが、そのときには、これはあり得ないこととしても、アメリカの核のかさというものが安保条約によって概念上あるということにおいて、日本において繁栄と平和というものが続いていくのだ。私どもはそう思っておりますし、またそれに対して、事実上、安保条約がほとんど発動される心配もない状態日本に続いていること、これがほんとう安全保障条約のあるべき姿であって、これが発動されないことを願うということも、私たちは一面の心理だと思っておりますので、その点については、若干の見解の相違があることをやむを得ないと思います。
  190. 上原康助

    上原委員 私は、ただ見解の相違で片づけていける問題ではないと思いますし、また、これだけ国論が分かれているということも理解をします。そのことは結びとしてあとで申し上げたいのですが、しかし、沖繩が守れなかった、戦争の犠牲になったということは、これは万一局地戦争といってみたって、やっぱり被害を受けるのは住民なんですよ。国民なんです。国民大衆なんですよ。ベトナムがそのいい例でしょう。政府軍の戦死者が四十万、大体アメリカが五万、一般民衆が五百万でしょうが。いま報道されている中でもおおよそ五百万か六百万。軍人は死なない。死ぬのは人民なんです。国民が被害を受けるのです。私はそういう話の原点が間違っていると思うのですよ。だからそもそもああいう平和憲法が生まれたのだと私は思うのだ。しかし、それがいつの間にか、正義が力じゃなくして力が正義になってきているのだ。それじゃだめだということを申し上げておきたいのです。  沖繩戦争のことでもう一つ、これはアメリカ陸軍省がつくった沖繩の戦記なんですよ。お読みの方もたくさんいると思うのですが、これはたくさんいい例があるのですが、一つだけ引用しておきたいと思うのです。「慶良間列島——これは文字通りいえば“慶び”と“良いこと”のあいだにある列島なのだが——ここでは、山中に追いつめられた日本の軍人や民間人がついに自決して、すさまじい最後をとげるという日本人の伝統的行為が行なわれた。渡嘉敷島北端に野営していた第三〇六連隊の兵士たちは三月二十八日の晩はるか遠くに何回となく爆発音や苦痛のうめき声を聞いた。翌朝小さな谷間に百五十人以上の死体が散乱し、また死に瀕しているのがいた。そのほとんどが住民であった。父親が家族のひとりびとりを殺し、さいごには短刀やもっている手投弾でわれとわが命を断ったのだ。この人たちは、ほとんどそういう組織的な方法で自殺したのである。なかには一枚の毛布の下で、父親が幼い子供二人とおじいさん、おばあさん、それに自分の身体をしっかり帯でくくりつけ、離れまいとして自殺しているのもあった」「日本人で自決したのはごく一部で、ほとんどの民間人は、よろよろとアメリカ側に投降してきた」。これは何も私が誇大に言っているわけじゃない。実際にアメリカの陸軍省が編さんをした戦記なんですね。そしてこの中には、沖繩住民がどれだけ戦死をしたかということもちゃんとつづられている。アメリカがどんな損害を受けて、日本軍がどうだったということ。ほかにも読みたいこともありますが、時間の関係があります。  戦争というのはこういう状態なんですね。だから、私たちはこういういろいろな事実をもって考えても、私は、日本防衛のあり方というものがいま重大な局面にあると思うのです。  結びに入る前に一、二点お伺いしたいのですが、自衛隊が今後沖繩で共同使用する地域は、一体どこなのかということをぜひ具体的に明らかにしていただきたいと思います。  それと長官、人口密度から考えても、先ほど言いましたように、基地の面積はいろいろな面があるわけですね。しかし、本土の単純平均からいっても、五千名余りの自衛隊は、百歩譲ったとしてもこれはあくまで大量配備なんです。その根拠というのは、先ほど防衛局長はいろいろなことを言っていましたが、明らかに日米共同声明であり、返還協定であり、そして久保・カーチス取りきめというものが私は基本と思う。何も自衛隊法もへったくれもあったものじゃない。アメリカとの取りきめによってそういう配備になっている。そういうことを考えた場合に、私がいまいろいろの例をあげて、いかに反自衛隊、戦争に対するアレルギーというもの、ちょうど国民が核に対するアレルギーを持っているように、私たち自衛隊に対する異常なアレルギー、異常なと言うよりもこれがむしろ正常なんですよね。アレルギーを持っている。  そういう意味でも、沖繩に対する自衛隊配備は、もし、あなたがおっしゃるように、国民のコンセンサスなり住民の理解を得たいというのであるならば、私は最低限度再検討すべきだと思うのですが、明らかにしていただきたいと思います。
  191. 山中貞則

    ○山中国務大臣 私も、渡嘉敷の白玉之塔の建っておりますあそこの集団自決の状況等はつぶさに承知いたしております。したがって私は、そこにアメリカ軍の施設がありましたのを、これはまだ復帰以前でありますけれども調査費をつけて、この厳粛な事実の上に立って、日本の青年たちが研修する場にしたいと考えて、国立青年の家をつくりました。また渡嘉敷村にも村営船舶を補助して特例でやったわけでありますが、そういうことは十分私も考えております。  しかしながら、やはり沖繩日本の一つの県でありますから、沖繩だけが、そういうような意味で列島の最南端にあって全く無防備であてるということについては、私どもとして、日本民族の独立を今後守っていき、平和を念願する意味においても、やはりまさかの場合の備えというものはなければならないだろう。しかし、沖繩の人々にアレルギーと言われましたけれども、まさにそのとおりでありましょう。私もわかります。沖繩の人々に理解をしていただくこと、これはきわめて困難にして、かつまたあるいは不可能なことかもしれませんが、それを理解してもらうために私は全力をあげたい、そのように考えます。
  192. 上原康助

    上原委員 共同使用、答弁してください。
  193. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 現在、沖繩におきます米軍の施設、区域を共同使用という形で自衛隊が使用しておりますのは、五つの施設でございます。  今後の使用の計画につきましては、先般、当委員会で問題がありました、旧ホイール地区にあります陸上自衛隊の施設を、将来どういうふうに考えていくかという問題との関連はございますが、それ以外には、現在のところ特に具体的な共同使用の計画はございません。
  194. 上原康助

    上原委員 訓練区域ですね、いわゆる演習場についてはどういうことをやろうとしているのですか。
  195. 山中貞則

    ○山中国務大臣 沖繩に配備しております陸海空、いずれも訓練が必要なことは当然でありますが、しかし、陸については訓練場がないということは決定的につらいことでありましょうけれども、私どもとしては、それらの点は本土の既存の演習場等の活用等によって、やはり一応沖繩県内で日本自衛隊が、同じ国民である自衛隊が、かつての悪夢に結びつくような地上における実弾射撃等をするようなことはなるべく避けていきたい。そういうような配慮は、今後やっていくつもりでおります。
  196. 上原康助

    上原委員 いまのところ演習場の共同使用の計画はない、またやらないと確約ができますか。
  197. 山中貞則

    ○山中国務大臣 共同使用も考えておりませんし、今後やらない方向で検討したいと申し上げておるわけであります。
  198. 上原康助

    上原委員 ちょっと含みがありますが、海上における共同使用というのは、せんだっても新聞報道もなされたのですが、このインディア・インディアのいわゆる公海の使用権というのは、きのうからの議論を聞いていましてもいろいろあると思うのです。取りきめなり、あるいはまた今後公海上における共同演習というのはやっていくのかどうか、その点についてもぜひ明らかにしていただきたい。
  199. 久保卓也

    久保政府委員 日米間の海上におきまする共同演習、これは今後も継続されると思います。その際に、どういう場所が選ばれるかは別問題でありますが、通常、沖繩周辺に——この前、これは海上自衛隊の艦艇だけが行って射撃訓練をしようとしたわけでありますが、やめさしたのであります。  ところで、周辺海域につきましては、やはり沖繩のといいますか、南西諸島の海域について、いわゆる慣熟するという観点もございますので、艦艇が遊よくし、また米軍が持っておりまする演習海域について、自衛隊がそれを米側と調整をして利用するということは、今後はあり得ようと思います。ただ、沖繩周辺において日米で合同演習をやるかということは、いまのところ全く考えておりません。
  200. 上原康助

    上原委員 それはいまは、いま審議されている法律の問題に関係がある、あるいは県民感情等もあって、まあかなりやりたいこともこらえていらっしゃる向きもあるんですが、しかし、一たん法的に認知をされたというと、やはり私はいろいろなことが起きると思う、陸上においての演習、あるいは海上における、公海、領海における共同演習を含めて。そうなると、沖繩基地の島のにおいというものは一切減らない。むしろ自衛隊によって悪化せしめていく結果になるわけですよね。そこのところをただ、遠隔地であるとか、あるいは島だから本土よりも多く行くんだ、それだけでは県民の納得は得られませんよ、当然。そこの点を特に指摘しておきたいし、あくまで私たちは、自衛隊一切配備をするなという基本的姿勢というものをくずすわけにはまいりません。だが、もしも政府が、了解を得、協力も得たい、あるいはほんとうに国の防衛ということを国民のコンセンサスの上で考えていくというような立場においても、なぜ沖繩だけアメリカ基地本土の二百倍あって、自衛隊本土の都道府県と比較しても三倍以上も配備をしなければいかないか。二十七年間も差別をしておいて、新たな差別と犠牲をしている結果になるんじゃないですか、平等の原則からいっても。そのことは長官としてぜひ考えていただきたいし、再検討を強く要求いたします。  そこで、もう一点確認をしておきたいのは、沖繩に何か自衛隊病院を設立をするということで下調査をし、その計画があるということを聞いているんですが、一体どうなんですか。
  201. 鈴木一男

    ○鈴木(一)政府委員 沖繩の医療事情が本土に比較いたしまして非常に悪い事情にあるということで、地元のほうの御要望もあるやに聞いておりましたので、私どもといたしましては調査をしたことがございます。
  202. 上原康助

    上原委員 調査をして今後どうなさるんですか。
  203. 鈴木一男

    ○鈴木(一)政府委員 本来、医療をどうするかということにつきましては厚生省の所管事項でございますが、自衛隊自衛隊の病院をつくるとなりますと、現在の段階では、自衛隊法の二十七条の規定によりまして、やはり職域病院という形態をとらざるを得ないというふうな状況でございますので、一般の県民の方々の医療向上というふうな面で寄与するためには、その形態をいろいろ検討しなくちゃなりませんので、目下検討中でございます。
  204. 上原康助

    上原委員 もちろん県民の医療向上、医療施設の充実はやらねばいかぬわけですよね。今後自衛隊病院をつくるんですか。総合病院になるのか、特殊病院になるのか、いろいろあるでしょう。その報告書は出せますか。
  205. 鈴木一男

    ○鈴木(一)政府委員 ただいまも御答弁申し上げましたように、つくるかつくらぬか、これからよく検討いたしまして、その上で上司の御指示を得たいと考えております。
  206. 上原康助

    上原委員 これは長官に念を押したいのですが、確かに沖繩の医療情勢は、御案内のとおり、復帰をしてよくなるかと思ったらかえって悪くなった。変わったのは自衛隊が行ったくらいのものなんです、実際。そういう状況の中で、民生協力という美名のもとに、はたして沖繩自衛隊病院をつくるということが得策だとお考えなんですか。そういうところが、ますます県民感情なりいろいろな対立感情というものを激化をせしめてきているという状態でしょう。その計画についてははっきりさしてください。
  207. 山中貞則

    ○山中国務大臣 その問題は、私もいまそういう調査をしているかどうかについても知ったわけでありますが、沖繩の医療事情は私もよく知っております。したがって、沖繩で希望される場合、そういう場合にはまた考えなければならぬこともありましょうし、一方、自衛隊もやはり開業医の皆さんだけでやっていくには、いろいろな仕事の実態が違いますので、必要性も隊としてはあるかもしれません。しかし、これらの問題は、いまおっしゃったような問題もありますから十分検討いたしますが、民生協力というものの美名によってごまかそうという気持ちは毛頭ありませんで、救急患者移送等についても、本日も久高島からあったようでありますが、私はやはり、自衛隊としてなすべき国民に対する奉仕の一環としてはやっていいこともあるんじゃないかと思っておりますが、具体的な病院をつくるかどうかの問題は、今後私が検討をいたします。
  208. 上原康助

    上原委員 この自衛隊病院の問題についても、やるべきことは、自衛隊病院をつくる云々よりも、ほんとう県民の側に立って厚生省なりやるべき機関があるわけでしょう、本来の医療行政というのは。それをやってなお足りないということで防衛施設庁なりいろいろな面で考えるというなら、話はまた別の角度から議論ができるでしょう。困っているところにつけ込んで何でもやっていこうというところに、かつての弁務官資金と同じじゃないですか。いまの公民館づくりにしても、基地周辺整備法の問題しかり。そういうことを私たちはやってもらいたくない。やるべき機関がやるべきなんだ、本来医療行政というのは。そのことを強く念を押しておきたいと思います。  それで、そろそろ時間ですので締めたいのですが、私はきょういろいろなことをお尋ねをいたしました。特に自衛隊問題については角度を変えて問題指摘をしましたが、残念ながら長官なり政府の御答弁というのは、あくまで既成事実、既成方針を貫いていくんだというお考えのようですが、私はそれじゃいけないと思うんです。いまの県内事情なり国際情勢なりを考えてみても、本来は沖繩の軍事基地というものは、ソ連や中国や社会主義諸国を対象にして構築されてきたわけでしょう、きのうから議論されているように。だが、だんだん変わってきて、いつの間にかニクソン・ドクトリンになり、アメリカの国防になり、そして四次防というふうに発展をしてきている。結局、そういう自衛隊を配備をしてみたところで、どんなに皆さんがいろいろ理屈づけをしてみても、私は一たん戦争になったという段階においては、犠牲を受けるのは国民大衆であるということに変わりはないのです。守れないんです、それは。武器を持つということは相手をたたく以外にないんです。そういうことを考えて、さらに自衛隊の思想教育等の問題を考えた場合に、確かにこの二分化されている国論というものを統一していくということは、たいへんな困難な問題であると思うのですが、あらためて憲法の原点に立って国の防衛問題というものを考え、平和憲法そのものが正しく履行されなかったがゆえに、沖繩が今日の状態にあり、復帰した後もその犠牲が続いているということをぜひ知っていただきたい。そのことを強く申し上げて、長官の、ぜひ自衛隊配備については再考慮をしたいという答弁を求めて、私は……。
  209. 笠岡喬

    ○笠岡委員 本法案に対する質疑を……(発言する者、離席する者多く、聴取不能)望みます。
  210. 三原朝雄

    三原委員長 笠岡君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。……(発言する者多く、聴取不能)これにて質疑は終了いたしました。  討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。……(聴取不能)のとおり賛成の諸君の起立を……(聴取不能)原案のとおり可決せられました。  本案の報告書の作成は委員長に……(聴取不能)願いたいと思います。……(聴取不能)よって、さよう決しました。  本日はこれをもって散会いたします。     午後一時十五分散会      ————◇—————