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1973-05-11 第71回国会 衆議院 内閣委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年五月十一日(金曜日)     午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 三原 朝雄君    理事 奥田 敬和君 理事 加藤 陽三君    理事 笠岡  喬君 理事 中山 正暉君    理事 藤尾 正行君 理事 大出  俊君    理事 中路 雅弘君       赤城 宗徳君    伊能繁次郎君       越智 伊平君    近藤 鉄雄君       丹羽喬四郎君    旗野 進一君       林  大幹君    三塚  博君       吉永 治市君    上原 康助君       坂本 恭一君    山崎 始男君       横路 孝弘君    和田 貞夫君       木下 元二君    鈴切 康雄君       受田 新吉君  出席国務大臣         建 設 大 臣 金丸  信君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      坪川 信三君  出席政府委員         総理府恩給局長 平川 幸藏君         建設大臣官房長 大津留 温君         建設省都市局長 吉田 泰夫君         建設省河川局長 松村 賢吉君         建設省道路局長 菊池 三男君         建設省住宅局長 沢田 光英君  委員外出席者         防衛施設庁施設         部連絡調整官  奈良 義説君         厚生省援護局庶         務課長     河野 共之君         厚生省援護局援         護課長     入江  慧君         郵政省電波監理         局放送部業務課         長       奥山 雄材君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ————————————— 五月十日  官公労働者ストライキ権回復に関する請願外  一件(板川正吾紹介)(第三九三二号)  同(坂口力紹介)(第三九三三号)  同(佐野進紹介)(第三九三四号)  同外一件(竹村幸雄紹介)(第三九三五号)  同(塚田庄平紹介)(第三九三六号)  同外一件(芳賀貢紹介)(第三九三七号)  同(平林剛紹介)(第三九三八号)  同(馬場昇紹介)(第三九三九号)  同(山田芳治紹介)(第三九四〇号)  同(芳賀貢紹介)(第四一〇三号)  靖国神社の国家管理反対に関する請願中路雅  弘君紹介)(第三九九六号)  同外二件(河上民雄紹介)(第四一二〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  恩給法等の一部を改正する法律案内閣提出第  四一号)  建設省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一二号)      ————◇—————
  2. 三原朝雄

    三原委員長 これより会議を開きます。  恩給法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。受田新吉君。
  3. 受田新吉

    受田委員 恩給法改正が累次重ねられて、毎年のごとく年金額改定等がなされておるのですが、私は基本的問題をもう一度ここで明確にしておきたいのでございます。  恩給法という法律が、現行法大正十二年にできて、自来昭和八年、十三年と抜本的改正戦前になされてきたわけです。戦後も、昭和二十八年の改正をはじめ、たびたびなされてきておるわけですが、私はまず、恩給法文章の上でしばしば指摘してきたのですけれども、もっとわかりやすく口語体方式で一貫していけるような形はとれないものか。六法の中にも、新体制に入ったのもあれば、旧体制依然たるものもあるわけですが、恩給法大正十二年に一応形が近代的に移行しつつつくられたわけですので、文章形態等も、これを現行口語体方式に切りかえるのは、そうむずかしい問題ではない。ひとつモデル的に法律文章をわかりやすいようにする。改正された法律は全部新しい文章形態でつくられておる、基本法が古い形にして残っておる、そこで前後のつながりをとるのに非常に理解に苦しむ点が発生するのですね。あとから出た恩給法改正点は、みな口語体方式でわかりやすく書いてあるわけです。だから根拠法とそれに続く法律との間で大きな断層ができている。恩給法はひとつそのモデルとして、文章を書きかえて近代的な形のものにされてはどうかなということを感ずるのですがね。
  4. 平川幸藏

    平川政府委員 御指摘の点は、従来からしばしば御注意をいただいておる点でございます。われわれといたしましても、真剣に実は検討しております。  現在の恩給法の本文は口語文ではなくて文語文になっておる、あとからできた附則等はすべて口語文になっておりますから、チャンポン様式になっております。これは御承知のように、民法等におきましても、親族、相続は、戦後全面的に改正になりましたので口語文になっている。ところが債権各論までは文語文になっておる。一つ法典でもやはりチャンポン形式をとらざるを得ない。これはまあ法制技術上の問題だと思いますが、特に恩給法におきましては、過去に数十年の歴史がありまして、その間数次にわたる改正がありまして、しかもその改正の結果、前のものがすべて消滅しているわけではございませんで、生きている部分がある、そういうものを残しつつ法典を整備していくということは、技術的には非常にむずかしい。現在の形におきましては、新たなものを加えていくという形になっております。加えるときには口語文で加えていく。  先生の御趣旨は、前の根っこの部分口語文に直して整備したらどうか、こういう御意見なんですが、法制局方針としましては、それは非常にむずかしいということでございます。ただ、われわれといたしましては、先生の御趣旨を体しまして、「実効恩給規程」という、これはもちろん法律ではございませんが、現行恩給法を可能な限りやさしくいたしまして、全部口語文に直しまして、しかも、あとから入りました附則で当然本法に入れるべきようなところは本法に入れるというような形で、われわれとしましては、非常に整備した形で、しかも一般の人が読んでも比較的わかりやすく読めるのではないかというようなつもりでつくったわけですが、実は、これを相当部数印刷して関係方面に配っておりますから、こういうものを御参考にしていただいて恩給法理解にひとつ役立てたい、こういうように考えておるわけでございます。
  5. 受田新吉

    受田委員 これは法制局との関係も起こってきて、日本の法制史上の革命ともいうべきものと思いますが、恩給法という、もう庶民にとけ込んできた法律です。その当時、明治初年にスタートした当時は、非常に難解な文章であったのが、だんだんと平易になってきつつある。前後の一貫性をとろうとするならば、やはり基本法律文章を変えるという以外にはない。いま御努力の趣を承りましたから、引き続きこれを進めていただきたい。  それから、恩給ということばがいつも耳にさわる。昭和三十年ごろは、恩給亡国論などという論議がかわされまして、非常に世評を浴びた時代があります。しかし私は、かつて公務に従事して、あるいは戦争公務に従事して非常な苦労をされた人々に対する退職後の処遇というものは、亡国論で片づける問題ではないというので、当初からこの問題とは真剣に取っ組んでまいりました。いまようやくそれが固定化して、国民の中に理解協力を得ておることを私は喜ぶものです。  同時に、現職公務員がやがて退職者になっていく。現職時代は、常にいろいろな法律制約、社会的な制約によって、他の私的企業に従事する人々とは違った重い使命を持って公務に従事しておる人々が、今度退職して後に、在職中の重い使命の分が十分付加された処遇がとられなけれがならないという意味からいえば、現職退職者に一貫した処遇というこの観念が私は必要だと思うのです。退職したその日からだんだんと処遇が冷たくされてくるという形では、現職者も希望を失う。われわれの先輩は哀れなものよというようなことになっては、現職の人を非常に意気消沈せしめる危険があるわけだ。その意味で、退職者処遇というものは、この恩給法及び別個の各種の共済組合法で十分これを配慮しなければならぬわけですね。  そこで、一つお尋ねしたいのですが、恩給を受くる人のその年金というものは、何を基礎にしてきまるものであるか、お答えをいただきたいのです。
  6. 平川幸藏

    平川政府委員 恩給年額がきまる要素は二つございます。一つ在職年数一つ最終俸給でございます。
  7. 受田新吉

    受田委員 退職時に受けた俸給額というものは、その後どういう形に見ていかれるわけですか。
  8. 平川幸藏

    平川政府委員 御承知のように、戦前におきましては官吏俸給令は動かなかったわけでございますから、ベースアップという問題が出なかったわけでございます。ところが、戦後、インフレあるいは生活水準が向上しておりますから、しかも、民間企業も上がっておりますし、物価も上がっております。こういうものに対応するためには、恩給基礎である仮定俸給を何らかの基調にいたしまして改善していく、改定していくということが必要になってまいります。
  9. 受田新吉

    受田委員 法律の上に恩給年金額決定条件が明記されてあるものはどこにあるのか。恩給法に第二条ノ二を入れて、変動した場合の取り扱いがきめてありますけれども、その基本になる規定がないわけですね。法律に示された恩給金額は何によってきまるかという基本規定がないのです。
  10. 平川幸藏

    平川政府委員 ちょっと私、あるいは誤解しているかもしれませんが、恩給は何によってきまるかという御質問であったものでございますから、私の考えでは俸給在職年数によってきまる、しかもその俸給インフレその他の経済指標の動向に応じて改善していくべきものである、こういうことをお答えしたわけでありますが、その根拠規定は、二条ノ二に、「年金タル恩給額ニ付テハ国民生活水準国家公務員給与物価其ノ他ノ諸事情ニシキ変動ガ生ジタル場合ニ於テハ変動後ノ諸事情総合勘案シ速ニ改定措置ヲ講ズルモノトス」、こういう規定がございますから、この規定に従いまして改善していく。従来その規定はなかったわけであります。昭和四十一年に設けられたわけでありますが、その以前におきましても、いろいろな形で改善はしてまいっております。
  11. 受田新吉

    受田委員 性格的に、年金額退職時の俸給基礎にして、その後における退職者生活を守り、社会的な環境に正常な形で置かれるようにするという意味を持つものと理解していいと思うのだが、どうですか。
  12. 平川幸藏

    平川政府委員 理論的にはそのとおりだと思います。
  13. 受田新吉

    受田委員 そうしますと、ここで問題になるのは、やめた時点にもらった俸給基礎にして在職年数を算定して、その時点恩給年金額あるいは共済年金額がきまります。ところが、それからこの恩給法の二条ノ二という規定を入れなければならぬような事情が起こってきておるわけなんですが、その後の生活を守ることと、本人がかつて職務にあった当時における社会的地位というものが、そのまま退職後も、身分は離れても置かれている環境に生きるためには、当時の前職というものがものをいうわけですね。私は、平川さんには副長官になっていただき、またさらに次の躍進の機会を持っていただくお方だと思っておる人でありますけれでも、平川さんが今後、かつて総理府恩給局長であり総務長官であったということが、社会生活をされる場合に常に背景にひそんでいますね。そういうときに、私の提案したいことは、退職時の処遇が、多少はずれておったとしても、原則的にはずっと保たれるような、つまり退職時の待遇、その退職した当時の恩給の額でその後も社会的地位生活とが擁護されるように続く、これが筋だと思うのです。そういうような恩給年金額が終始続けられていかなければならぬ、この考え方は間違っているかどうか。
  14. 平川幸藏

    平川政府委員 精神的と申しますか、気持ちとしては先生のおっしゃるとおりだと思います。ただ具体的には、現実にある人があるポストで勤務していた、そのままの形で退職後も責任があり、あるいは義務があり、あるいは社会的な処遇がそのままの形で与えられるかどうかは、いま先生もちょっと言われましたが、そのままの形ではやはり残らないのではないか。現実職務をとっておりませんから、そういう意味においては残らないと思いますが、精神的にはそういうことは十分いえると思います。
  15. 受田新吉

    受田委員 総務長官、あなたはかつて教職にあられたお方でもありまして、非常に理解協力を措しまない名長官として誉れの高いお方です。そこで、この間長官は、四十六年と四十七年度の公務員ベースアップ部分給与改善部分をそのまま退職者に適用するという措置をとられた。これは近来にない英断をふるわれた名長官という印象を私も受けます。一時大蔵省で削られたのを世論の上で復活されたと判断をします。そのときにあなたが談話を発表されておられる。この談話が間違っておったら御訂正願いたい。有力新聞紙上にそれぞれ出ていたことですが、一月十五日付の新聞談話で、「完全スライド制導入に踏切ったことについて坪川総務長官は「これによって従来のような“政治加算”というような不合理な性格がなくなり、来年度からは、すっきりした形で実施できる道を開いた」としている」とありますが、これは間違っていませんか、どうですか。
  16. 坪川信三

    坪川国務大臣 おことばいただきまして恐縮でございます。  いまの御質問に対しましては、きのうもお答えいたしておるのでございますが、今度とりました方針を堅持してまいりたいという強い方針で臨みたい、こう思っております。
  17. 受田新吉

    受田委員 そうしますと、政治加算というような不合理な性格はなくなったという判断は、いまもお持ちであるかどうかです。
  18. 坪川信三

    坪川国務大臣 そのとおりでございます。
  19. 受田新吉

    受田委員 政治加算ということであったわけですね、従来は。平川さん、坪川長官が言われたこと……。
  20. 平川幸藏

    平川政府委員 政治加算という意味でございますけれども、たとえば、善意に解しますといろいろな考え方もあるかと思いますが、これは大臣ことばを私が云々申し上げるわけにもいきませんが、要するにすっきりした形でやりたいという御発言のように私は思います。
  21. 受田新吉

    受田委員 坪川長官、来年度からはすっきりした形で、つまり、政治加算というような形のもの、一応不合理な性格が消えて来年からすっきりということになれば、公務員給与スライドして四十八年、四十九年と改善がはかられていく、こういう趣旨でございますか。
  22. 坪川信三

    坪川国務大臣 そのとおりでございます。
  23. 受田新吉

    受田委員 当委員会で従来しばしば附帯決議がつけられております。それは、公務員給与スライドして恩給年金額がきまるように制度化をはかること、当委員会がしばしばこれを附帯決議につけているのでございますが、来年度からすっきりそれができるということであるならば、政治加算などというにおいもなくなってくるということであるならば、この際、スライド制度化をはかる必要があるのではないでしょうか。
  24. 平川幸藏

    平川政府委員 いま大臣から御答弁がありましたように、今後、今回の方式を踏襲していきたいという気持ちでありますが、ただ問題は、はたしてそれが直ちに制度化に結びつくかどうかという問題でございます。  実は、先生特によく御承知のように、従来まで恩給審議会方式というものがございました。それは物価公務員給与をミックスした形でスライドしてまいったわけであります。簡単に申し上げますと、物価上昇率に見合う部分は全部見る、公務員給与物価との格差がある場合においては、一般的に公務員給与物価よりは高いわけでございますから、必ず格差はございますが、その格差の四割は職務給的な部分でございますからカットいたしまして、残りの六割を生活給部分としてこれを上のせしていくという方法で、実は恩給審議会方式に沿った形で約四年間やってまいったわけでございます。  ところが、当委員会審議あるいはその他の御意見の中に、そういう審議会方式では、やはり少しずつカットされておるではないか、やはり民間給与あるいは物価等を忠実に反映しておる国家公務員給与上昇率によってそのまま改善していくべきではないかという強い御批判がありましたので、われわれといたしましても、福祉の観念からやはりそういう形で改善していきたいということで今回の結論になったわけであります。その議論の中で一番問題になりましたのは、恩給法二条ノ二の解釈のしかたといたしましては、やはり政府の有権的な解釈が出てしかるべきではないかということも出ております。すなわち、恩給法二条ノ二において「国家公務員給与」という字が明確に出ておりますから、これによりましてやるべきが至当ではないか、従来のやり方は、むしろこの読み方についての理解を欠いておるんではないかというような御質問もありましたし、私といたしましても、そういうような理論的な考え方については、確かにそういう点があると思います。  そういうことで、今回国家公務員給与によってやっていくという考え方が、現在におきましては、二条ノ二の調整規定に基づく考え方であるという考え方で適当ではないか、私はこのように考えているわけでございます。
  25. 受田新吉

    受田委員 恩給法二条ノ二という規定が出ました。しかし、このことは、物価というものだけにとらわれるとか、あるいはそれを参考とかいうことになると、終始ぐらぐらする不安定な要素が入るわけです。むしろ、私がさっき申し上げました、現職者退職後も一貫した処遇を受けるという意味から言うならば、現職公務員給与基準で、退職後もそれに準じた年金額がもらえるという一貫した信念をもとにして当委員会附帯決議をつけたわけです。坪川先生、そういうことですね。その意味から言うならば、当委員会のこの決議は、現時点における世論を代表し、公務職にある皆さんの輿望にもこたえた附帯決議ですね。  したがって、最も明白に結論が出るのは、公務員給与が引き上げられれば、それに準じたスライド是正されるというのが、これが坪川先生の、政治加算趣旨を一切抹殺した、来年からすっきり——すっきりということばは非常にいいことばですね。すっきりした体制ができるという趣旨から言うならば、いま恩給局長が精励恪勤する高級官僚として御発言に相なったことの具体的な措置としては、公務員給与基準にして、来年からは、公務員給与が上がるごとにそれが引き上げられるという形と了解してよいかどうかです。
  26. 坪川信三

    坪川国務大臣 受田委員承知のとおりに、現行法の二条ノ二、内容は申し上げるまでもございませんけれども、「年金タル恩給額ニ付テハ国民生活水準国家公務員給与物価其ノ他諸事情ニシキ変動ガ生ジタル場合ニ於テハ変動後ノ諸事情総合勘案シ速ニ改定措置ヲ講ズルモノトス」とあります。したがって、現時点におきましては、現行法の運用によって、いま申し上げましたお約束のとおりの方向で強く推し進めたいという考えはもちろんでございますけれども、法的な裏づけといいますか、附帯決議によるところの御要望等十分理解もいたしており、また国会の大事な決議でございますので、行政府は、その立法府の要請にこたえるべく努力をするということは当然だと思います。  私といたしましては、ほかとの制度上の問題点も数多くあることは、受田委員理解のとおりでございますけれども、ひとつそうした立場に立ってやはり検討いたすべき段階に入りつつある、こういうような気持ちでおりますので、そうした気持ちでまいりたい、こう思っております。
  27. 受田新吉

    受田委員 大体、毎年予算編成期になりますと、今度は総理府の新しい恩給改善概算要求がされる。そうすると、その概算要求は、完全スライドするような形のものであっても、大蔵省が第一次査定でばさっと削るとか、またあとからぶんどり合戦になるとかそこで政治加算というような従来のものが生まれたとあなたがおっしゃると思うのです。したがって、そういうものでなくして、また新年度の概算要求をされる、それは大蔵省で削られる、そこでまた予算ぶんどり合戦をやるというようなものではない、もう概算要求したものはそのまま通る、こういうことですね。
  28. 坪川信三

    坪川国務大臣 ぜひそうあるべく、最善の努力をいたして、いま御心配になるような事態にないようなことで事務折衝も私は責任を持って努力したい、こう思っており、その方向で進みたい、こう思っております。
  29. 受田新吉

    受田委員 いまの長官のおっしゃるようなことになると、これは万全でない危険が一つある。やっぱりすっきりしない。来年からはすっきりしたものになるとおっしゃったけれども、まだ第一次の査定で削られるとかいうことがあるかもしれぬ危険がある。それに対しては奮励努力してこれを通すというなら、また政治加算というような形、復活要求、ぶんどり合戦、そういう形になりますね。そういうことはあり得ぬ、すっきりするのですか。
  30. 坪川信三

    坪川国務大臣 昨年、おかげでこうした事態結論を得ましたことは御同慶のきわみでございまして、この現実、既定の事実というものを、大蔵省たるものも、そうした点について変更を来たすような、矛盾した、またそうした正義感のない財政配慮は決していたすべきでもなく、また、いたさないと私は確信を持っておりますが、そうしたことで、再び、大きな政治加算だとか、あるいはいろいろの最後に復活するとかいうような不安定なようなものでなくして、ひとつ私は進めてまいりたい。しかし、御心配になるような、裏づけすべき法的措置を講ずるべきであるという点も私は踏まえながら、ひとつ前向きの姿勢で取り組みたい、こう思っております。
  31. 受田新吉

    受田委員 非常に前進した御答弁ですね。このままの規定でいくと、恩給法の二条ノ二の解釈やり方によってはやられる。この解釈を、諸事情の中で公務員給与というのを一本に考えてもいいわけですから、そういうことにすれば問題がないということもあるので、ややこの恩給法の二条ノ二というのは不安な要素がありますね。それをいま、当委員会附帯決議の、公務員給与スライドして制度化するというこの要請をすなおに受け入れようとすれば、二条ノ二を改正して、公務員給与スライドする規定にすれば、現職退職者が一貫して待遇が終始変わらざるものになるということですね。それを制度化するということを長官も十分検討するという御趣旨理解してよいかどうかです。
  32. 坪川信三

    坪川国務大臣 そのとおりでございます。
  33. 受田新吉

    受田委員 そういうことで、ひとつ当委員会要望をすみやかに果たしてくださるよう、政府の御努力要求をいたします。  次に、退職者の中に、四十六年と七年の是正はされたが、それ以前は、物価とか生活給とか職務給とかというようなものを勘案した是正政治的配慮でなされたという形の歴史がある。四十五年以前に退職した場合にはですね。そのあとの分については格差が出てきたわけです。これも長官、御存じですか。
  34. 平川幸藏

    平川政府委員 ただいま先生指摘のとおりでございます。  先ほど私、ちょっと説明いたしましたように、昭和三十七年までは公務員給与スライドしておったわけでありますが、その後、消費水準方式でありますとか、あるいは恩給審議会方式をとっておりますから、これは両方とも数値といたしましては公務員給与より下がっておりますから、当然格差があるわけです。その格差は大体、三十四年から三十六年の公務員給与を一〇〇といたしまして、公務員給与だけを積み上げていきますと三二五になります。これは指数でございます。それから同じ時点から現在の四十六年、四十七年までの恩給改善を入れますと二八四になります。だから二八四対三二五になりまして、現在までの改善率は八七%ということになります。ということは一三%まだ格差がある、こういうことはいえると思います。   〔委員長退席藤尾委員長代理着席
  35. 受田新吉

    受田委員 私も一応この表を調べてみても、いま八七%で一三%の格差があるということでございますが、その格差は、実際の年金額を受けている人の側の、今度改善される四〇%というものを加えても、現在の給与を受ける人の退職時の俸給基準にすると、その人がいままでそのままつとめておればという計算からいくと、六割から七割程度のものがずっと残されるわけです。なぜそういう格差ができるか。あなたは八十何%までは追いついたとおっしゃるのに、なぜはずれておる人があるかというと、かつての地位が、いまの同種の職務の地位と比べて、著しく社会的に低い地位にあったんですね。いまは、高等学校長にするならば、大体公務員の課長クラスの最上位です。それから小学校長でもそれに準じている。ところが、かつては小学校長というものや警察官という職種の人は、判任官として最も低い給与をもらっておったわけです。これは著しく低位水準にあったわけです。その人々が、昭和二十二年六月三十日以前に退職した人々が、今度を含めて六回の改善がされたわけではありますが、にもかかわらず、いまやめていく人々と比べるならば、六割程度しかもらわない人がたくさん残る。つまり退職した当時の身分、給与というものが、当時の社会情勢で著しく低い地位に置かれていたゆえに、そこを基礎改善してきたから、たとえ六回の改善をやったとしてもろくな改善になってこないわけです。これはいま四十年つとめた学校長の給与と、そうして戦前にやめた学校長の給与を比較してみていただけば、当時の俸給表を比較するならば、判任官と高等官の差という著しい給与差がそのままに残されて、途中で恩給不均衡是正措置をされても間に合わぬという声が出ておるわけです。  これをどう直していくかということですね。いま平均八七%追いついたという改善率、さらにその中で、なお旧制度の中における低い処遇に甘んじた時代給与制度がそのままに改善された形で今日に来た。それを見のがしてはいけない。これは私、過去において何回かお尋ねを繰り返してきたのですけれども、大蔵省の御答弁を聞くと、退職時の俸給基礎にするのだからやむを得ぬという御答弁でした。これはきびしいものです。退職したときは哀れな地位にあった人だから、哀れな地位に相応する処遇がそのまま改善されるのは、これはやむを得ません、いまの地位にこれを引き直して考え直すような形のものは制度的にできませんと言っておるのです。ひとつ具体的な数字をここで例示しましょう。  私の郷里の山口県を例にとります。山口県のAという人は、一般行政職農林技手、勤務年数三十二年です。三十二年というから、これはいまでいえば、もう平均以上の勤務をした人の恩給年額ですね。年額というのが三十万そこそこです。今度改定されて四十万ちょっといくわけですが、こういう戦前にやめて苦労した農林技手というのは判任官です。いまはこういう立場の人は、三十二年もつとめてくると、県の少なくとも課長クラスには当然いっておる。悪くても課長補佐のクラスにいくわけです。その方々がいまやめていく場合に、三十二年勤続の県庁職員がやめてどれだけいくか。大体八万から九万はいくはずです。その間で、結局六割程度の年金額、半分程度のものがまだ残っておるという異常な実例がここで出て来ておるわけですね。私、自民党の方も御存じの、日本退職公務員連盟下河辺さんという事務局長さんがおる。あなたは恩給を幾らもらっておりますかと言うと、私は十六万五千円ほどもらっておりますと言う。十七年勤務が十六万五千円、こんなのがまだあるかなと思って感じたんですが、戦前退職した人の退職年金というのは、その意味においては、やめた当時の社会的な地位が非常に低い形に置かれた学校の先生とか警察官というようなものは、そのままのかっこうで、途中の六回の是正がされながらも、まだ半分からちょっと頭を出した程度にしか出ておらぬ。  これをどう改善していくかという問題は、もう一つやり方として、審議会の答申にある仮定俸給の三本立てを統一するという問題、仮定俸給をもう少し近代的にこれをやり直すという必要がある。これも毎回問題になっておる仮定俸給を、旧体制のもとにつくったものが新体制のもとに移行するのに、古いよろいを着て洋服をその上に着るようなものだから、基本的な感覚の相違ができてきておるのです。その古い観念仮定俸給というものがそのまま。きょうも大出さんが質問されたといま承ったんですが、私からも、この問題は、よろいを着て洋服をちょっと上へ重ねるようなかっこうというようなものでは、すっきりした生活はできませんよ。やはり洋服に着がえた俸給表を基準にして年金をもらわなければいかぬ。  こういう仮定俸給の抜本的改定、そして旧の官職と現官職を比較検討した新しい角度からの給与改定というものをもとにした格差是正でないと、格差是正の根本的改革はできぬと判断しますが、いかがでしょうか。
  36. 平川幸藏

    平川政府委員 格差の問題は、一般論と、確かに先生が言われるような格づけの問題と、私は理論的には二つに分けていいと思います。一般的な格差は、これは具体的数字で申し上げますと、現在の一般の、いわゆる純粋の文官の平均恩給年額が三十九万二千円でございます。これの平均の在職年が約二十三年でございます。二十三年でございますから、算出率は百五十分の五十六になります。したがいまして、三十九万二千円を百五十分の五十六で割りますと本俸が出るわけですが、本俸が大体百五万円になります。本俸が百五万円ということは、月額約八万七千円くらいになります。ところが、現在、四十七年ベースの国家公務員給与のいわゆる総平均的な数値は九万一千円といわれております。ところが、九万一千円は実は諸手当を含んでおりますから、これを除きますと八万五千三百円くらいになると思われます。そうしますと、恩給のほうが高いように見えますが、実はこれはそのままでは比較できないのでありまして、公務員給与の場合は、在職年が十八年でありまして、恩給公務員の場合は二十三年でありますから引き直さなければなりません。引き直しますと、月額九万八千円から約十万円くらいになると思います。そうしますと、国家公務員の場合は十万円前後、それから恩給公務員の場合は八万七千円ということになりまして、現在の恩給年額から逆算しても、大体八七%くらいのところには来ておる。逆にいえば一三%の格差はあるということはいえると思います。  この問題をいかにするかという問題と、いま先生が言われました格づけの問題。特に、一般的に戦前におきましては、率直に申し上げますと、教職員とかそういった方々は比較的低位に置かれておったのではないかというような御指摘は、私どももそのとおりだと思います。ただ問題は、大蔵省答弁ではございませんけれども、それぞれ正式に発令されておるわけでございますから、これを恩給局がどうするということはなかなかむずかしい問題ではございますが、問題は、現在置かれている状況というものを考えて、いかに恩給のルールに乗っけた形で是正ができるかということを苦労しておるわけであります。  お手元にお配りいたしました資料をごらんいただいたらわかりますように、十七年勤務の人で、比較的低額の人は十五号俸ほど格づけ是正しております。上薄下厚と申しますか、そういう線で、これは先生よく御承知のとおりでありますが、過去六回の不均衡是正で、私といたしましては、相当格づけを直してまいったつもりでございます。  ただ、先ほど先生が、現在の共済年金との比較を言われましたけれども、御承知のように、共済年金は二十年で百分の四十ということになっております。ところが、二十年をこすごとに百分の一・五という非常に高い率でふえていきますから、たとえば三十年になりますと算出率は非常によくなるという結果になるわけであります。最高限度が恩給のほうは百五十分の七十三、約半分でございますけれども、共済のほうは百分の七十と七割まで上げるような制度になっております。これは掛け金が高い。約四・四%ですから、倍以上の掛け金を払っておりますからそういうことになるわけでありますが、いずれにしても、共済と比較しますと悪いことは事実でございます。これは、二十年をこしたときにおける伸び率が約二倍という事情も影響するわけでございます。  そういう点も、現実の内容としてはあるわけでございますが、ただ、やはりわれわれといたしましては、たとえば女子公務員の問題等において問題があるのではないかということで、お示しの、お配りした資料の中にも、女子公務員につきましてはマルをつけておきましたが、われわれもいろいろ見た結果、ある場合においては不利になっておる場合もあるし、そうでない場合もある、結局ミックスしたような形になっておりまして、どういう原因でそうなっておるかということにつきましては、今後われわれといたしましてもいろいろ検討してまいりたい、こういうように考えております。
  37. 受田新吉

    受田委員 今度の法律改正で、準訓導とか、二十二年以前の特定郵便局の局長とか、準職員であった人を、正規の勤務と同じにみなすということになりましたが、これは非常な進歩です。そうすると、その部分改善された、つまり新体制に入った。そこで、昔は二分の一にしか計算されない職種をいまはまるまる計算するように切りかえたということになるならば、やめた当時の俸給が著しく低い、判任官以上には上がれなかった巡査とか小学校の先生とか、校長といえども奏任官待遇というものがまれにありまして、根っこは判任官であって奏任官の待遇を受けるという制度であったのです。そういう陰惨な処遇に甘んじた時代人々は、制度的に何とか格差是正の道をとって救ってあげないと、二十年後の加算率がどうかという議論でない、根っこの哀れな姿がまだ残されておるのです。これは非常に作業的にむずかしいと思います。いい資料を出していただいておりますが、退職年月日を基準にして格づけ是正経過なども一応示しておられるわけですが、これだけでは解決できない。つまり恩給局のお仕事としては非常に骨が折れる。大蔵省自身は、こういう問題を持ち出すと、やめたときの身分と給与基準にがんばる。しかし、人間尊重の時代ですから、かつて哀れな封建時代のような旧官吏制度の悲劇の底にあった人々をいまの時点で救い上げなければ、大蔵省の認識は非常に誤っておると思いますので、作業としては困難であろうと思いますが、全国的規模で、そうした旧時代の特に不幸な運命、当時退職金もなければ別の手当もない、勤務地手当もない、そういう何らの別の処遇のない時代に精励恪勤して、社会的にはかつての校長さんである、かつての警察署長さんであるという、重い重荷を背負って今日老後を暮らしている皆さんを、この際何かの形で抜本的に救い上げる、これは坪川先生同感でしょう。作業としては、局長さんのお仕事としては非常に骨が折れるし、他とのバランスを考えたりすると、英断をふるうのに足踏みするところもありましょうが、公務に従事したという意味においては今も昔も同じことです。むしろ昔のほうがきびしい公務生活をしたわけですね。しかもその方々は、みんなもうお年をとっておるのです。そういう人々に、格差是正では思い切った、そういう過去の悲劇のことも含めた意味是正ということをあわせて検討をしていただく必要があると思うのです。このことをあわせて検討していただきたい。作業としては困難ですよ。同じときにやめたのを、給与差をなるべく公平にしようとすればなかなか困難が伴うけれども、しかし、旧官制と現官制を比較して、もとの校長、もとの教員、もとの警察官、それはいまのここに当たるというような格づけを、新しく練り直せばできない作業ではない、こう思うのです。長官
  38. 坪川信三

    坪川国務大臣 非常に大事な問題でございます。私といたしましては、さきも局長も申しましたような格差の穴埋めといいますか、是正をすぐどうしてもこれはやらなければならないことと、あの一三%の格差がある穴埋めだけは、四十九年度の予算上の措置について、私は大蔵当局に強く働きかけましてぜひひとつ片づけたいという気持ちでおると、私の決意のほどを表明申し上げておきまして御期待にも沿いたい。いささか予備的な折衝ではございますが、大蔵省の財政当局も、総理府考えているこの問題にはやや耳を傾けて前進方向に進んでおるような状態であることも、つけ加えて御報告しておきたいと思います。  後段の問題、全く御指摘のとおりで、実にお気の毒な余生を送っておられるさみしいこれらの方々に対する措置というものは、非常に重要な問題でございます。ただ、御理解いただいているように、これを全般的に取り組んで財政上または法制上の措置改善するということは、事務当局においては、御指摘のとおり非常に繁雑、なかなかの至難性も現実の事務上に出てくるということも私は踏まえておりますけれども、そうした点を何とか克服いたしながら、ひとつ一三%の問題を片づけました上において取り組んでまいりたいという気持ちだけ申し上げて、御理解願いたいと思います。
  39. 受田新吉

    受田委員 長官が非常に熱心な御意思を持っておられることで、私、もうこれ以上申し上げません。このことをあわせて、一三%の解決、その過程において、そうしたダウンした方々を現在の地位と比較検討しながら是正措置をとるということもあわせてやろうということですから。  いまお話が出たように、あなたも師範学校の御卒業です。師範学校を卒業するときには、男子は昭和の初年は五十円、女子は四十円、十円の差が大体平均してあったわけです。そしてその後の昇給も、女子は男子の半分ぐらいしか上がらないから、やめるときは男子の先生の六割程度の給与でやめておる人が多かったわけです。そういう女子の差。それから旧軍人で言うならば、特務士官というのが海軍にあって、その海軍にあった特務士官は、年功を積んできて同じ階級でも俸給は高いものをもらっていたが、実際はその階級の仮定俸給に押えられて、何らもらった俸給に準じた扱いをしていなかった、こういうこともある。そういうような問題が一つあるんです。やはりこの際、そういう問題を含めて検討する必要はないか。著しく苦労を重ねてきながらも処遇に恵まれなかった人をあわせて検討するということが必要だと思うのです。  恩給審議会の答申は、大体処理した、こういうことで大体処理しておるようですが、いまの時点考えると、恩給審議会の答申のほかにまだ考えなきゃならぬ問題が出てきておると私は思うのです。特にいまの特務士官の問題なんか、五十を過ぎて特務士官ですからね。大尉殿であっても中尉殿であっても、実際の俸給をもらうのは、年功を積んだから一割程度よけいもらっておる。ところが恩給は、若い大尉と同じように押えられてきたという事例もあるわけです。こういうことも、いまの時点考えると、もうみんな年をとっているんだから、別にちゅうちょなくこの問題も処理していい時期じゃないかなと思います。これは局長でけっこうです。
  40. 平川幸藏

    平川政府委員 実は、特務士官の問題は、先生承知のように、恩給審議会の答申におきまして、はっきり申し上げますと、是正すべきでないと出ておるわけでございます。その理由は、先生承知のように、あの特務士官の現実に受けておる俸給仮定俸給は別になっております。たとえば大尉でいいますと、大尉の一級は千八百六十円、二級俸が千六百五十円、三級俸が千四百七十円。あそらく、兵学校出の人は若い人でございますから三級俸の千四百七十円ぐらいになっておるわけですが、志願兵で非常に古い方、いわゆる特務士官の方は一級である千八百六十円、こういうことになるわけでございます。ただ、恩給法上の仮定俸給は、これらをすべて上回りまして二千三百五十円を使っておるわけでございます。   〔藤尾委員長代理退席、委員長着席〕 というのは、軍人恩給は一階級一仮定俸給主義をとっておりますから、現実にもらっておる俸給と別個の仮定俸給ができておることは、先生特に御承知のとおりであります。  そこで、御趣旨のようなことになりますと、現在もらっておる仮定俸給を実号俸給に直しますと、やはり相当問題が起こるんではないかというような気もいたします。逆にいいますと非常に不利な面が出てくるのじゃないか。現在はすべての実俸給仮定俸給は上回っております。このことがいいか悪いかは別にいたしまして、そういう形になっておりますから、根っこの現実俸給に引き戻すことはやはり問題があるんじゃなかろうかというようなことで、恩給審議会の答申がそのように出ておるもの、このように理解しております。
  41. 受田新吉

    受田委員 それは、実際の俸給表、官吏俸給令の中にあった俸給表と仮定俸給は違っているのです。違っているが、仮定俸給と非常に接近したところにおるわけですね。だから、その分は実質的に、もらっておる俸給仮定俸給との間の他の階級の差に準じた引き上げ方をすればいいわけですから、それはちょっぴり上へプラスアルファをつければいいわけですから、作業としてはそうむずかしい問題じゃないわけです。けれども、この人々も階級の低い旧軍人で、老後を苦労している人々でありますだけに、そういう配慮をしてあげることが必要です。仮定俸給と実俸給との差額を、兵学校出との間でつけた差を上へはみ出せばいいのですから、作業としてはそうむずかしい作業じゃないわけです。精神としてはそういう精神が生きることで、高い階級でない低将校の老後にちょっとしたサービスができるという問題になるわけです。では次に、もう一つ、今度は公務扶助料について述べたいのですが、今度は、二十四万円に二三・四を掛けて、二十九万ちょっとほどの扶助料になりましたね。国家の公務に従って生命をささげた人の遺族として、月額に直せば二万数千円という低い水準である。大出さんもこの間指摘しておられたような、生活保護法の適用を受ける皆さんの水準の前後を彷徨しておるのですね。すでに政府は五万円年金を提唱しておる。そういうときに、国家の命令で前線に出かけて、もう死は覚悟の国家の命令です。いやというても出なければならない。そして当然死亡してこられたわけです。そういう方々に対して、五万円年金を提唱している現段階で、二万円ちょっとばかりの、生活保護法の適用を受ける人と変わらない年金を差し上げているということについては、私は問題があると思う。政府は五万円年金をうたっておるのですから、公務扶助料の金額の問題というものは、もっと検討をし直さなければならぬ時点が来ておると考えますが、いかがですか。
  42. 平川幸藏

    平川政府委員 御承知のように、五万円年金基礎となります要素は、先生のほうが御存じのように、実際の在職年におきまして二十年、それから掛け金も相当の掛け金をしておるということでございますから、比較検討するということが適当であるかどうか、問題はあると思います。ただ、やはり国家のために生命をなげうった方々の遺族でございますから、われわれとしては、処遇改善につきましてはできるだけのことはいたしたいし、またしておるつもりでございますが、まだ努力不十分でございます。  御承知のように、公務扶助料の仕組みといたしましては、普通扶助料に対する倍率できまっております。これは兵の場合は四六・一割ということになっておりまして、こういう一つやり方でやっておりますが、無拠出の年金といたしましては、おそらくもう最高の年金ではないかと思います。ただ問題は、先生が言われましたように、内容がやはりそういう方々でございますから、いずれにしましても、これらの人々に対する処遇といたしましては、われわれとしては十分とは考えておりません。今後とも努力してまいりたい、このように考えております。
  43. 受田新吉

    受田委員 この問題は戦傷病者にもつながるわけです。当委員会で、国家公務員の災害補償の特別措置をきめる法律審議したわけですが、浅間山荘事件に関連して、既往へさかのぼって、消防士、警察官等の特別な危険な業務に従事する人に対して五〇%アップをやったわけです。これといまの公務扶助料、それから傷痍軍人、これも初めから危険、もうこれは死のほうが前提になるような危険なところへ行っておるわけです。警察官とか消防士の場合は、それの危険がある程度予知されるけれども、もう敵の弾丸の中で戦ってきた軍人さんの場合より危険度というものはまだ薄い。つまり危険を防止できる、生きて帰る公算のほうが大きいというような状況の国家公務員の災害補償がある。戦争の場合は、もう死んで帰れということをいってあるわけですから、生きて虜囚のはずかしめを受けるほうがおかしいわけです。そういう危険度の中に飛び込んだ皆さんの場合の扶助料とか傷痍軍人の処遇とかいうものは、やはり危険度の強さを考えていくと、改善の余地がまだまだ残っておると私は思うのです。国家公務員の場合は、普通の公務と危険な公務とに五〇%の差をつけておる。長官、おわかりになるでしょう。したがって、いまの、危険をおかして生命を捨て、あるいは傷ついた人に対する処遇改善というものは、この災害補償の五〇%アップを契機にして、当然これに波及して考えていいのじゃないか。この法律基礎を中心にして御意見を承りたい。
  44. 坪川信三

    坪川国務大臣 この問題は、いわゆる理論上あるいは法制上、論議すればまたいろいろの問題が出てくる。いわゆる年金の場合には掛け金とかいろいろあります。この場合にはない。いろいろありますけれども、そうした理屈とか、あるいは理論とか、あるいは法制的な裏づけの問題というような、かた苦しい、角に制約された論議はよしたい、こう思っております。  要は、かつての不幸なこうした歴史の上に立って、国にささげられた各位のとうとい立場も考えるときに、私はやはり心情的な問題として、これは一つのそうしたものを心に踏まえて配慮すべき大事な取り組みである、こういうような気持ちを持っておりますので、お話のごとく、扶助料の問題あるいは後段で申されましたそれらの配慮につきましては、心情的に十分、もっともっとお世話しなければならぬのじゃなかろうか。こうした御家庭を考えるときに、ほんとうに取り組んでいくべきであるという熱情といいますか、心情は全くともにしておるようなわけでございますので、ひとつこれらの問題についても、やはり前向きな姿勢で検討を積み重ねてまいりたいという私の気持ちもお約束申し上げて御理解を願いたい、こう思っております。
  45. 受田新吉

    受田委員 傷痍軍人の場合に、今度、百四万が二三・四%アップして、一項症の場合百二十八万幾らになりましたね。これは一項症である。ところが、それからずっと款症によって下にいくと著しく低くなってくるわけですが、この百二十八万、一項症で身動きができないような方の、付き添いの方もあるのですけれども、そういう悲惨な余生を送る皆さんを基礎にした、この一項症の扱いを中心にした傷痍軍人の処遇の中で増加恩給部分をどうするか。いま現職公務員の平均年齢は大体四十歳、そして傷痍軍人の皆さんはいま大体五十四歳から五十五歳の間に入っておる。現職公務員が四十歳として八万二千円という給与をもらっておる。それが五十四歳まで生活給として年々四%ずつ上がっていったという割合を考えてみて、五十四歳なら幾らになるかという考え方で、現在生きている傷痍軍人の皆さんの処遇考えることはできませんか。そういう考え方による増加恩給の金額の算定を求める方法はないか。恩給局で、諸外国の事例等を含めて、そういう検討をしたことはないかを御答弁願いたいのです。
  46. 平川幸藏

    平川政府委員 先生の御指摘の点は、要するに恩給受給者、特に傷痍軍人の傷病者の方は平均年齢が高い、一般公務員は低いから、一般公務員の高いところに合わせて改善するようなことについて検討したことはないか、こういう御趣旨でございますが、実はある団体からそういう要望が出ておることは事実でございます。  私どももいろいろ検討したわけでありますが、これは理論的に、年齢が高くなっていくとそういう率によってやるのはどうかという問題点基本的にあると思うのでございます。恩給ベースアップという問題は、七十歳の人もおりますし、四十五歳の方もおられるわけです。そういう方々に対してひとしく均てんさせなければならない問題でありまして、老齢者なるがゆえに高く、あるいは比較的若年であるがゆえに低くということじゃなくして、それは別個の方法であってしかるべきではないか。むしろ、国家公務員給与は、初任給が非常に高いということは、若い人には高いということになりますから、そういう考え方からいきますと、やはりいろいろ問題ではないかという感触を持っておったことは事実であります。せっかくの御指摘でございますから、われわれ諸外国の制度もいろいろ検討はいたしますが、なかなか問題点があるような感じがいたします。
  47. 受田新吉

    受田委員 これはいろいろ研究してみなければいかぬ問題があるのですが、いまの五〇%アップという問題も出てきておるわけですから、なくなった人、戦傷の身となった人、国家命令で生命と身体をささげたという方に対する特別の措置をされても、国民から、戦傷病者だけが、あるいは遺族だけがという批判は出ないと思うのです。この問題は、もう少し国家の公務性というものを前提に検討を加えてもらわなければならぬ問題だ。  それからあわせて、答申の中にもこの問題の提案がしてあるわけなんですが、傷病年金を受ける傷痍の身となった人、例の一款症が二割五分の減額措置をされている。これは去年私が特に、七項症より多くなるから減額するというのは気の毒だという問題を提起しました。  そこで、その方法として去年提案したのは、二割の間差のところを、二割五分か七分かというところへ七項症を持っていけばいいじゃないか。現に、傷痍軍人が国家公務員に復元して、そこで退職するときは二割七分の間差の計算になってきておる。再就職しなかった人は二割でとどまっておるということになっていますね。傷痍軍人が国家公務員に再就職した場合の特別措置を私が大蔵省の方に強く要求したのが、十年くらい前の話です。そうしてやっと二割七分という措置をとってくれたわけです。二割七分になったら、やはり七項症の国家公務員にならぬ人も二割七分にしておけば、これは解決する問題です。解決策としては、他の項症、款症の人が文句を言わぬと私は思うのですがね。この減額措置は早く解決して差し上げたいものだし、これは恩給審議会の答申の中にも課題を残しておる問題ですから、その後御研究されて名案がありましたらお示しを願いたい。
  48. 平川幸藏

    平川政府委員 確かに、先生から昨年そのような御指摘を受けまして、われわれもずいぶん検討したわけでございます。先生の御指摘になりました後者の場合、すなわち共済で在職中の者につきましては、現に給与を受けておるわけでございますから、上げても差しつかえないと思いますが、退職した人は普通恩給は必ず併給されるものですから、処遇において差があるということは、従来の精神からいっておかしくはない。  ただ、先生が言われましたように、七項症の差を二七に上げなければうまくいくではないかというのは、現実的な解決案としては、私はそういう案があり得ると思うのですが、ただ私どもは、そこだけではとどまらないと思うのです。そこまでいきますと、やはり間差というものが一つの秩序になって設けられておるわけでございますから、中の一つのものができ上がりますと、やはり他のものも影響を受けるのが理論的な考え方ではなかろうか。そうしますと、非常に問題が大きな問題になるので、実は、先生に去年御指摘を受けましてから、正直のところ局内でもずいぶんいろいろ論議いたしました。結局、結論に至らずにまいってきておるわけでありますが、われわれといたしましても、さらにもう一度検討してまいりたい、このように考えております。
  49. 受田新吉

    受田委員 あの間差は昭和十三年の改正のときにあったわけですね。ところが、昭和八年に改正したときの間差は、もっと率が高い間差になっている。昭和八年のときには七項症というのはなかった。十三年になって七項症が生まれたわけなんです。生まれたということは、必要があって生まれたのでございますから、昭和八年当時の間差は、一款症で二九くらいです。それから六項症で三三だと思います。したがって、そのちょうど中間三一くらいのところへ七項症をはめ込めば、制度的には昭和八年に返るということで解決すると思うのですね。昭和八年当時の間差に復元する、そうして三一に七項症を持っていく、そうしたら一款症も上がる、七項症も上がる、めでたしめでたし、みんなが間差万歳ということになる。だからそういうことは、ちょっとした心づかいで解決策が一つあるのです。昭和八年間差に戻す。  ところが今度、高額所得者の制限で一律二割の停止規定をいたしましたね。今度の法案に出ておる。この二割停止は、昭和八年当時の規定を採用したのじゃないですか。
  50. 平川幸藏

    平川政府委員 二割停止は昭和八年当時のものを採用いたしました。それで、いま先生が言われました数字は、先生が言われましたとおりでございます。ただ、傷病恩給の間差の問題でございますが、これは昭和八年の間差を基準にするよりは、やはり昭和十三年の間差が正しいのではないか。というのは、いま先生も言われましたように、昭和八年におきましては七項症という制度はなかったわけでございますから、やはりあったときの間差が、ということは昭和十三年でございますが、昭和十三年に七項症が二〇%、それから一款症が二九から二五に落ちていますから、その考え方からいきますと、やはり私は、すっきりした形になっておるのは十三年ではないか、こういうような感じがするわけでございます。
  51. 受田新吉

    受田委員 今度、恩給を受ける人の恩給外所得と合計して、高額所得者、三百六十万をはみ出たら二割停止という改正案が出ておる。これは昭和八年当時を基準にやられたのですから、昭和八年に戻ったのです。そういうことになれば、これは昭和八年に戻してなかったけれども、その後にできたのですから、できた制度をそのときはめることは可能で、ちょうどまん中に都合よくはまるようになっている。はめるのに非常に都合のよい措置になっている。したがってこれだったら無難だ。下位を優遇することにもなるし、症度の低い人を優遇することにもなって、三%ないし四%ずつ引き上げられるのですから、傷疾の皆さんに対する、いまの五〇%アップという国家公務員の災害補償の問題がこの委員会を、本会議を通ったその段階で、やはりそれに見合う意味で間差を是正するというサービスは、私はきわめて適切なサービスだと思うのです。そして七項症、一款症の問題も解決する。それに伴う予算というのはそうたくさんじゃないと思うのですがね。七項症を解決するのにはその策が一番無難で、同時に症度の低い皆さんに対する処遇改善にもなる。私、ここで結論をお出しすることを要求はいたしませんが、いま私の提案した案が一つある。  それから、十三年の案の二一%程度のものをやるというようなことで、恩給審議会でも、その問題には非常な困難な様相をお答えに出して、何とかよい解決をという要求が出ておるのですから、ひとつこのあたりで結論を出していただきたいと、これを要求しておきます。つまり、もう一ぺん、いま出した一案を追加しましたから、ひとつ御研究を願いたい。よろしゅうございますか。
  52. 平川幸藏

    平川政府委員 よく検討いたします。
  53. 受田新吉

    受田委員 それで私、もう一つ、全体を通ずる問題ですが、最低恩給年金額というのは六万。三万から始まって順次引き上げられてきたわけですが、最低保障額の問題です。すでに当委員会でも論議されておるわけですけれども、私が現実に見ている人の中に、生活保護を受けるほうが楽だけれども、私は公務に従事したんだという意味で低額に甘んじて、おばあちゃんの奥さんが、御主人なきあと、わずか十万円前後、いま最低十一万程度の低い、月に振り割りして一万に足らない公務扶助料、普通扶助料でがんばっておる御婦人があるのです。これは、おばあちゃん生活保護の適用を受ければいいのだがと相談しても、主人が長い間公務に従って、私はその未亡人だから月一万足らずの扶助料でけっこうです、こうがんばっている。そしてその方々には老人の福祉年金はどういうことになりますか。福祉年金は併給されますか。されませんか。
  54. 平川幸藏

    平川政府委員 これは現在改正案が出ていると思いますが、十万円まで併給されるわけであります。
  55. 受田新吉

    受田委員 十一万では併給されないのですね。年に六万、そのほうももらえない。生活保護の適用も受けない。しかし十万、十一万程度で、それだけで老後を生きていくという公務従事者の未亡人がある。これはやはり問題です。非常に問題です。  坪川先生、大体、公務に従事した人の奥さんは普通扶助料です。したがって、いま言われた十万、十一万程度がたくさん残っている。今度十一万に直してきたが、その辺はたくさんあるのです。最低保障額の引き上げ、これはある程度思い切ってやられて、そしてもう一つ、奥さんの場合は、普通扶助料をもらう人は、御本人のもらっている年金の半値でなくて、七割、八割、大体八割程度は御主人のなきあとを支給していいんじゃないか。これは半額でなくて、それも七十歳以上と年齢制限してもけっこうです。七十歳以上のお年寄りの、普通扶助料を受けるかつての公務従事者の奥さんに対しては、御本人のもらった当事の八割程度は扶助料を差し上げたい。その英断が私はあっていいと思うのです。
  56. 坪川信三

    坪川国務大臣 非常に大事な問題だと思います。過般の委員会におきまして大出議員も十分御指摘になって、大体いまの方々で生活保護を受けなければならぬような不幸な方が九千八百人、一万近くおられる。この問題も含めまして、私は非常に大事な問題だと思います。  したがって、いわゆる最低の保障を引き上げるという問題は、ほんとうにお気の毒な方々を思うときに、やはり国家にささげられ、そして夫の遺業を一人で守っておられるこの姿を思うときに、私はぜひともこの最低保障の引き上げはすべきである、こういう気持ちもいたしておりますので、真剣にひとつ取り組んでまいります。こういうことをお約束申し上げたい、こう思っております。
  57. 受田新吉

    受田委員 老人福祉年金の併給という問題、その基準をさらに上げるという手があるわけですね。これはやはりあなた、国務大臣として一緒に取り組んでもらわなければいかぬ。それは厚生省の所管だというふうに逃げるわけにいかぬ問題である。どうでしょう。
  58. 坪川信三

    坪川国務大臣 併給を含めましてひとつ努力いたしたい。まあ併給の問題になってきますと、私の守備範囲でなくして厚生省の問題になりますけれども、十分連絡をとりまして、今度内閣がいわゆる老人対策問題を大きく国の課題として取り組むように相なりまして、田中総理が本部長、私と厚生大臣が副本部長というような立場で、もう近いうちに本部は発足いたし、また懇談会も来週ごろ総理も出席していただいてやりたい。ひとつこういうような熱意を持って、私はこうした問題に取り組みたい決意でございますので、そうした場を通じて、いまの問題等も、ひとつ厚生省と連絡をとりながら配慮をいたしてまいりたい。ほんとうに大事な老人問題には、やはりもっと安らぎとあたたかい気持ちを国家がささげるという方針でまいりたいことをお約束いたしたい、こう思っております。
  59. 受田新吉

    受田委員 非常に熱意のあるところを伺いました。  総務長官、かつて論議されて消えた問題ですが、総理府に人事局と予算局を握るべきだ、こういう意見があったことがあるのです。つまり大蔵省から予算局は総理府が握って、総理大臣の直轄の総務長官のもとに置いて、人事局と予算局を握っておけば人事と予算が握れる。そうすると総務長官の権威は偉大なものになって、何もかも片づく。総理の直轄局としてその権威が振われるということがあったのですが、人事局はできましたが予算局は消えたわけであります。あなたはいま、予算局があなたの配下にあるといいなと思いますか。いかがですか。
  60. 坪川信三

    坪川国務大臣 貴重な御意見をまじえての御要望でございます。しかし、総理府に予算権を持つという、いわゆる内閣自体に予算権を持つということは、与党の自民党におかれましてもしばしば論議され、また国会においても論議の的になっておることも私は知っております。しかしこれを、さて実際に行なうということの問題になりますと、大きな政治上の問題にもなりますので、いまの時点におきましては、まあ予算権はございませんけれども、それらの予算措置には、私は強い決意をもってひとつその補いをいたしてまいりたい、こういうことで御理解願いたい。お気持ちは感謝しますけれども。
  61. 受田新吉

    受田委員 お気持ちもわかりました。私、そういう意味でひとつ、いまのような老人福祉問題も含めた、黙って公務に従った人の嫁だ妻だという意識を持って、生活保護の適用も受けないでがんばっている、そうした悲壮な家庭を、やはり公務に従ったという誇りを持って老後を生き抜いている方々がたくさんおることを前提にして、一緒に処理を願いたい。  なお、傷疾の人の場合に、もう一、二点ほど伺いたい問題がありますが、きょうは国民金融公庫の関係で御答弁できる方があれば——国務大臣でいいですが、一項症の傷痍軍人の増加恩給が五十五万円から百四万円に上がった、今日また百三十万円近くに上がるという時点で、この方々がいま再起をはかっていろいろと仕事をしてみたい、再生資金として金借りをしたい。国民金融公庫はその恩給を担保に金を貸しております。五十万円ほど貸しておる。それは五十五万円当時五十万円がきまったんだ。もう二倍半以上にその金額が上がっている以上は、国民金融公庫の担保融資額も私、引き上げていいと思うのです、物の値が上がっているときですから。これは恩給局長答弁してください。
  62. 平川幸藏

    平川政府委員 恩給受給者に対する金融の問題でございますが、この点は、先生が言われた趣旨は十分よく了解いたします。現在五十万円の額になっておりますけれども、いま申されましたように、担保能力がふえておりますから。ただ、恩給種別ごとにいろいろと差別をつけるのかどうかという問題もございますが、これはよく国民金融公庫のほうとも連絡をいたしまして、できればそういう線を打ち出してまいりたい、このように考えております。
  63. 受田新吉

    受田委員 もう一つ、これは他の社会保障の対象になる方々との関連もあるのですが、その目症度の皆さんの場合、一と二だけは手帳をいただいておりますよね。三目、四目はもらっていない。これは交付されるめどはつかないか。  それからもう一つ、ささやかながら年金というものを出してあげてはどうかという提案もしてあったわけですが、これも御検討いただいておる段階です。  そうしてもう一つあわせて、国鉄無賃乗車を五項症、六項症が六枚もらっている。四項症もある。これを奥さんと一緒に使うという道を開いてあげる。新しく発行するわけじゃないのだから、この程度のザービス、御夫婦で使わしてあげるというようなことも懸案でございましたけれども、これらの懸案をもう一度確認さしてもらいたいと思います。
  64. 河野共之

    ○河野説明員 三、四日症に対します戦傷病者の手帳の交付の問題でございますが、先生承知のとおり、現在三日症、四日症の者でございましても、公務上の傷病につきまして療養の必要が生じました場合には、療養を必要とする期間戦傷病者手帳の交付をいたすことになっておるわけでございます。これらの方々に対しまして、常時戦傷病者手帳を交付いたすということにつきましては、障害の程度が比較的軽徴なこと等もございまして、従来いろいろ問題があったわけでございますが、先生の御質問の御趣旨もございますので、今後さらに慎重に検討してまいりたい、かように考えておるわけでございます。それから、重度障害戦傷病者の妻に対しまして、国鉄無賃乗車ができるようにできないか、こういうような御要望でございます。私どもといたしましても、この要望につきましては、戦傷病者の団体等からかなりの要望があるわけでございます。現在の制度におきましては、本人が国鉄を利用する場合に限り、介護者として妻などの同行が認められておる、こういうたてまえになっておりまして、あくまでも戦傷病者本人に対する援護を行なう、こういう形になっておるわけでございます。したがいまして、妻が単独で国鉄を利用する場合にこれを無賃扱いにするということは、法制上もいろいろ問題があろうかと考えております。今後の課題といたしまして検討さしていただきたいと思います。
  65. 受田新吉

    受田委員 この前のときにも触れたのですけれども、もう一つ、例の症状等差調査会が答申したその答申の中にある外傷性機能障害に対する最低基準というのは、その後そのままにまだ残されておるようでございますが、特別項症等の割増し基準を含む例の最低基準、これは放置しなければならない事情があるのでございましょうか。
  66. 平川幸藏

    平川政府委員 症状等差調査会の勧告にまだ残っている部分があるのではないかと言われましたが、まさにそのとおりでございます。ただあのときに、昭和四十四年だったと思いますが、症状等差調査会の結果に基づいてある程度是正したわけであります。特に是正しましたのは、内部疾患を中心に見まして是正したわけであります。たとえば、視力障害とか聴力障害等につきましては、ほとんど答申をそのまま残しております。それは理由があるわけでございまして、一方において非常によくなる勧告もございます。たとえば、片目のような場合は現在五項でございますけれども、七項に落ちるという勧告でございます。そのとおりやりますと、上がる人はいいのですが、落ちる人がどうしてもやっぱり気の毒であるということで、上がるほうを、ごく極端なものだけを上げまして、一般的には、上げるほうは上げないかわりに、下げるほうも下げないという形で考えておるわけでございまして、そういうことでバランスをとっておる。  したがいまして、その後、たとえば他の年金制度における障害の等差研究会等の結論が出ましたならば、それを私たちも参考にいたしたいと考えておったわけでありますが、いまだに他の委員会においても結論が出ていないということでございます。もしできれば、できるだけそういうことを参考にいたしまして是正すべきものは是正していく、こういう考えでおります。
  67. 受田新吉

    受田委員 答申の中に、片目失明の状態にある者は五項症から七項症に落とすというのがあるのは、落とすほうはやめて上がるほうをやれと私は申し上げたよね。これはやっぱり大事なことですよ。いいほうはとって冷遇されるほうはやめてあげるというのが、愛情のある政治であると思う。答申に忠実にやりよると、これはほんとうに愛情も何もないということになってしまう。だから、下げるほうはやめるが、上げるほうは上げてあげる、こういう配慮がほしい。答申の扱いとしてはささやかなことですし、下げるというのはほんのわずかしかなかった。だから、片眼失明の状況にある者を五項症から七項症に落とさないで、同時に外傷性の皆さんの分は救ってあげるということで、ほかの委員会等のことを考えぬでもいいじゃないですか。当委員会で先べんをつければ、他が右へならえになるわけです。
  68. 平川幸藏

    平川政府委員 確かに、上げるものだけ上げて、下げるものはそのままにしておくという考え方もございましょうが、そうなりますと、やはり恩給表別表は七項症、四款ですから、十一のランクに分かれておりますが、これがそれぞれ秩序を保って配置されておるわけでございますから、その間におけるバランスというのが保たれておる状態を不当にくずすという危険性があるわけでございます。したがいまして、どうしても処置しなければならない者については、たとえば、目につきましては二項症に上げたものもございます。  したがいまして、一般的には、こういうものはバランス論というものが必要でございますから、特定の部分だけ飛び出しますと、ほかの部分もどうしてもそれに右へならえということになりますと、やはりバランスがくずれてくる。そういうことでここら辺はなかなかむずかしい問題でございます。私はそういうように感じるわけでございますが、今後、新しい考え方等が他の委員会に出た場合においては十分参考にしたい、このように考えておるわけであります。
  69. 受田新吉

    受田委員 外傷性の機能障害などという、特に戦争であるがゆえの一つの特例なども起こってくるわけです。ほかの障害では、陰茎が機能障害するということは普通は起こらないが、戦地ではそういうところがどんどん機能障害が起こってくる。普通の障害ではそういう障害は起こらぬが、たまは人間のどの部分へ来るかわからない。戦地で勤務した皆さんにはそういう特別の事情も起こる。そういう人の奥さんになる人の場合も、またそういう皆さんをかかえた両親にしても、ほんとうに気の毒な家庭があるわけですね。  そういうことも含めていくと、ちょっと他とは違った職務をもって、戦地でどこへ弾丸が来るかわからぬような苦労をして障害を受けた方々を何とか配慮してあげないと、これはあまりに残酷ですよ。私はそのことも含めて、あえてきょうは言いにくいことを言います。御答弁を願いたい。
  70. 平川幸藏

    平川政府委員 先生の言われる趣旨は私も同感でございます。したがいまして、理屈のつく限り改善してまいりたい、このように考えております。
  71. 受田新吉

    受田委員 いま一つ、内地発病の皆さんに対する措置が、戦没者の場合と同じような措置を今度法律改正でできたわけです。内地で発病した場合は資料があるからよいが、戦地発病の場合は資料不足ということでオミットされることが多いわけなんですが、これは戦死者の場合も傷病者の場合も同様なのでございますが、恩給局と厚生省、厚生省は戦傷病者戦没者遺族等援護法の御担当者として、資料不足により裁定が却下されるという問題については、戦地というのは資料がいまやなかなか得られない、一緒におった生存者もなかなかいない、そういうときには、本人の陳述、周辺の陳述、あるいはこっちに戻って後の治療担当者の証明で、できるだけ幅を広げて処理してあげるようにしないと、未処理の書類がずいぶんだまっていると私は思うのです。  恩給局にいま未裁定で、あるいは却下されてなお再審要求をされるような書類がどのくらいあるのか。厚生省にそれが一体どのくらいあるのか。資料不足というので、周辺はだれも、あれはほんとうに戦争で発病したのだとわかっておりながらも、放置されているような者を私は非常にたくさん知っておる。これは、あまりわれわれが恩給局に圧力をかけて、どうせい、こうせいと言うことはいけないけれども、言わざるを得ぬような状況の家庭がたくさんあるのですよ。これらについて、資料による裁定に対して、もっと寛大に、厳格なワクをはずして、本人の陳述その他で十分資料の不足は補えると判断されるときには、できるだけ拡大解釈によって裁定をされるようにされるべきじゃないか。恩給局と援護局と両方から御答弁願いたいです。
  72. 平川幸藏

    平川政府委員 特に軍人の場合におきまする傷病ですね。死亡の場合は、わりあいに包括的に認定しておりますから問題ないと思いますが、傷病の場合は、先生の言われましたようなケースもかなりあるわけでございます。そういう場合には、戦前におきましたと同様の裁定態度で臨みますと、非常に不幸な結果になるわけでございます。終戦後三十年近くたっておりますから、資料もおのずからなくなるということは当然のことでございます。したがいまして、その当時と同じ考え、同じやり方で裁定していくということは毛頭ございません。  ただ、やはり恩給という一つのワクがございますから、実態に即してやるわけでございますが、最近は、われわれといたしましても、病理学的な面において、これは私、医者でございませんから専門的なことは申し上げられませんが、こういう疾病は特定の地域でないと発生しないとか、あるいは特定の勤務状況でないと発生しないというような場合におきましては、資料が不足しましても認めるということもあり得ます。それから、外傷等におきましても、これは一般には資料がたいてい整備されておりますが、資料が整備されていなくても、本人が復員当時から、たとえば指がなかったということが隣近所の人によって証明されたというような場合におきましては、それに対して恩給を給付するとか、従来の態度とはずいぶん私自身は変えておるつもりでございます。ただし、やはり国民の税金でございますから、その使途につきましては限界がございますが、その限界の中においては、許す限りの実態に即した裁定方針でもってやっておるつもりでございます。そういうことでやっていきたいと思うわけでございます。
  73. 入江慧

    ○入江説明員 私どもの担当しております援護法について申し上げますと援護法におきましては、戦地におきますいま御指摘のような御事情を顧慮いたしまして、法律の中で、軍人、軍属が戦地で負傷、疾病にかかった場合、それが故意または重大な過失によったものでない限り、公務上のものとみなすというみなし規定がございまして、できる範囲の救済措置はとっておるわけでございます。ただ、その場合におきましても、ただいま先生がおっしゃいましたような事例があるかと思いますので、その点につきましては、先生のおっしゃった趣旨に沿いまして努力したいと思っております。  なお、参考までに申し上げますと、私どものほうの遺族年金の裁定率は九九・九%、障害年金は九九・六%ということで、かなりの裁定率をあげておるというふうに考えております。
  74. 受田新吉

    受田委員 質問のおしまいに入ります。  恩給局でなくて援護局のほうですが、戦没者の妻に対する特別交付金支給法、それから戦傷病者の妻に対する同様の法律、これを日華事変まででとめている理由はどこにあるか。満州事変から日華事変と一貫して続いている形態となっておるのを、満州事変にどうしてさかのぼれないのか、どうもけげんな感じがするのですが、いかがでしょう。
  75. 入江慧

    ○入江説明員 それは戦傷病者、戦没者に対します特別給付金でございますけれども、特別給付金の制度は遺族援護法というものを基本としてできておるわけでございまして、御承知のように、遺族等援護法は日華事変以降の死亡者あるいは障害者について処遇しているわけでございます。その理由と申しますのは、結局、敗戦という特殊事情に連なる日華事変以降の犠牲者を処遇するという考え方をとっておりまして、これを満州事変までさかのぼるということについては、まだ若干問題があるということで、母法であります遺族援護法がそういうたてまえをとっております関係で、特別給付金についても、それにならってそういうたてまえをとっておるということでございます。
  76. 受田新吉

    受田委員 これは、ひとつ考え直していただく時期が来ておると思います。  もう一つ、戦傷病者で結婚できないでこの世を終わっていく人がありますね。つまり、いろいろな機能障害等で奥さんが来ない。けれども、遺族となった人に対して、妻に対すると同様の特別給付金を支給するというのは、これは私は当然対象にしていいと思うのです。戦没者の妻に対すると同様の措置をしていいと思います。つまり、戦傷の身となったために結婚できなかった、そしてこの世を去っていった。そのときに、そのおかあさんなりきょうだい、少なくとも両親に対しては妻に対するかわりを支給してあげる、こういう扱いは必要じゃないのでしょうか。つまり、戦傷の身となって結婚できない、結婚しようにも奥さんが来てくれないような機能障害があった、そしてこの世を去っていったというときに、戦没者の妻に対する特別給付金と同じようなものを支給する、この扱いは私は大事なことだと思うのですね。範囲を拡大する中に提案したいと思います。
  77. 入江慧

    ○入江説明員 ただいまの制度は、戦傷病者の妻の置かれました特殊事情というものを考慮しております。その妻がおられない場合のおとうさんなりおかあさんという立場の方々も、確かにおっしゃるように非常にあるかと思います。御意見として伺っておきたいと思います。
  78. 受田新吉

    受田委員 意見を尊重するかどうかです。尊重して伺っておくということですね。  では、厚生省が来られたが、大臣の御答弁で結末をつけたい問題は、海外に残っている英霊の御遺骨、それからお墓、そういう遺骨収集とか墓参とか、こういう問題は、もういまの時点で中国との問題も解決したわけですから、中国の墓参あるいは遺骨収集、南の海の遺骨収集、沈んだ船の引き揚げ、こういう問題に積極的に取っ組んで、なくなった方々のみたまとその遺族に対して、遺骨収集、引き揚げ等によってお報いをしてあげる時期が来ておると思うのです。もう積極的にやっていい時期、全面的にこれに乗り出してやるときが来ていると思うのです。私の郷里で、陸奥が沈んでいて引き揚げが終わりました。その遺族がそのお骨を拾って往時をしのんで感無量であるところの会にも行きました。かつて当委員会の委員であった保科善四郎先生がわざわざ来てくださって、その慰霊祭に参加していただいたのですが、日本近海に沈む船でまだ引き揚げていない、可能性のある沈船の引き揚げ、そこから英霊をお引き揚げする、南の海、中国大陸、そういうところの旧戦地を訪問して、墓参、遺骨収集等にどのように取っ組もうとしておるのか、これをお尋ねして質問を終わります。
  79. 坪川信三

    坪川国務大臣 決して責任回避で申し上げるわけじゃございませんけれども、これの本格的な所管は厚生省にあるわけでございます。しかし、非常に国民的な重要な課題でもございますので、厚生大臣に対しましても、やはり共同の責任政府一体となって、これの促進に真剣に取り組むということは、またそれぞれの大事な場において厚生大臣にも要望いたし、また、われわれ閣僚も十分配慮申し上げたい。  私の直接の関係の問題としては、ことに私は北方領土の問題を思いますときに、いわゆる四つの島のもとの住民の方々の墓参の問題が非常に大事な問題になってきつつあるわけです。六月ごろ与野党の御配慮もちょうだいいたしまして、私は北海道の現地にも参りまして、これらの各位の御意見もお聞きいたしますとともに、外交ルートに乗せまして、積極的な外交の取り組み方も大平外務大臣等にもお願い申し上げたい、こういうような希望も持っておるのでございまして、そうした気持ちで、御指摘になった厳粛な問題は、ひとつ一生懸命まじめに取り組んでまいりたいということを表明申して御理解願いたいと思います。
  80. 受田新吉

    受田委員 きょうここへおいでいただいている方の中で、NHKに関係する問題、御答弁いただけますか。——それでは一つ。戦傷病者が、いま半額の聴視料減免措置を受けているわけです。テレビを半額で見られる。今度NHKはずいぶん利益があがったわけです。だからこの半額措置の方々を全額援助する。また、戦傷病者の全面的な措置とあわせて、他の恵まれない立場の方々のそういう問題をあわせて、恩給法に関連する問題でもあるわけでありますので、NHKはそうした福祉を兼ねた、いかなる善政をおしきになろうとしておるか、御答弁を得たいと思うのです。
  81. 奥山雄材

    ○奥山説明員 郵政省の放送部の業務課長の奥山でございます。  受信料の免除につきましては、放送法三十二条第二項に規定がございまして、この規定によりますと、NHKは、「あらかじめ郵政大臣の認可を受けた基準によるのでなければ、受信料を免除してはならない」ということになっております。  現在、日本放送協会受信料免除基準というのがございまして、先生が先ほど御指摘になりましたように、重度の戦傷病者の方々に対しまして半額の受信料免除の制度が設けられております。ただいま、これを全額免除したらどうかということでございますけれども、この免除基準を変更するかどうか、あるいは改正するかどうかにつきましては、まずNHKが自主的に判断をいたしまして、改正の必要がありと判断したならば郵政大臣に認可申請をしてくるというたてまえになっておるわけでございます。  したがいまして、もしNHKがそういう判断をしたならば、郵政大臣としてはそれを受けて、認可あるいは認可しないという態度を決定するわけでございますが、その際の基本的な考え方としましては、御承知のように、NHKの経営財源がもっぱら受信料だけに依存しておるという、非常に特殊な経営形態になっておるものでございますので、受信料の免除範囲の拡大あるいは免除基準の更改ということにつきましては、他とのバランス、つまり受信者全体の納得を得られるかどうかというようなこと、並びにNHKの経営上、財政上に与える影響等を考慮しまして、慎重に検討しなければならないというふうに考えております。
  82. 受田新吉

    受田委員 そうすると郵政省では、NHKに対してかくあってほしいというようなことを一切言う権利がないのですか。
  83. 奥山雄材

    ○奥山説明員 お答え申し上げます。  現行法令のたてまえから申しますと、郵政省からNHKに対しまして、受信料免除基準の拡大あるいは変更等について、ああしろこうしろということは言えないたてまえになっております。
  84. 受田新吉

    受田委員 そうしますと、私の要望はどういうふうな方法でNHKに伝わるのか。個人的にそっと言うていくわけですか、公開の席の論議を郵政省は。戦傷病者に対し、またほかにも同様の立場にある方々をできるだけ優遇していくべきではないかという議員の発言があったということは、この場で消えるわけですか。消えませんか。
  85. 奥山雄材

    ○奥山説明員 お答え申し上げます。  先生から御指摘になりました点につきましては、十分NHKに連絡をいたしたいと存じます。
  86. 受田新吉

    受田委員 質問を終わります。
  87. 三原朝雄

    三原委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  88. 三原朝雄

    三原委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  恩給法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  89. 三原朝雄

    三原委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  90. 三原朝雄

    三原委員長 ただいま議決いたしました恩給法等の一部を改正する法律案に対し、加藤陽三君外三名より、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の各派共同をもって、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。加藤陽三君。
  91. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 ただいま議題となりました自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の各派共同提案にかかる附帯決議案につきまして、提案者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     恩給法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、次の事項について速やかに善処するよう要望する。 一 恩給法第二条の二について、その制定の趣旨にかんがみ、国家公務員給与スライドするようその制度化を図るとともに、退職年次による恩給格差是正措置を講ずること。 一 恩給の最低保障額については、他の公的年金の最低保障額との均衡を考慮して、その抜本的改善を図ること。 一 旧軍人に対する一時恩給に関しては、引き続く実在職年が三年以上七年未満の兵に対しても支給の途を講ずること。  右決議する。  本案の趣旨につきましては、先般来の当委員会における同僚議員の質疑を通じてすでに明らかになっていることと存じます。よろしく御賛成くださるようお願い申し上げます。
  92. 三原朝雄

    三原委員長 採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  93. 三原朝雄

    三原委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、坪川総務長官より発言を求められておりますので、これを許します。坪川総務長官
  94. 坪川信三

    坪川国務大臣 一言お礼のごあいさつを申し上げさせていただきたいと思うのでございます。  国民にとって重要な問題でありました恩給法等の一部を改正する法律案を当委員会に御審議をお願いいたしましたところ、長時間にわたりまして真摯なる御討議を賜わりまして、おかげをもちまして満場一致議決されましたことは、まことに感激のきわみでございます。  その審議の間における数々の貴重な御指示、御叱正、また御要望等も、私どもといたしましては十分そんたくいたしまして、委員各位の御要望に全幅の配慮と努力をいたすことをお約束申し上げたいと思うのでございます。  特に、全会一致をもって御議決に相なりました附帯決議に対しましても、非常に重要な課題でもありますので、この決議の御趣旨に沿いまして最善の検討と配慮をいたしまして、その実現の方向努力をいたしますことをお約束申し上げて、私のお礼のごあいさつといたします。ありがとうございました。(拍手)     —————————————
  95. 三原朝雄

    三原委員長 なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 三原朝雄

    三原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  97. 三原朝雄

    三原委員長 この際、暫時休憩いたします。  本会議散会後委員会を再開いたします。    午後零時四十三分休憩      ————◇—————    午後二時十九分開議
  98. 三原朝雄

    三原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  建設省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。和田貞夫君。
  99. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 前回御質問させていただく中で指摘いたしましたように、工事料が三百万円以下というような、本来指名競争契約を結べるような小規模な工事や、あるいは百五十万以下という随意契約によるような小規模な工事、こういうような工事を中小の共同企業に発注しておった例なり、あるいはBランクの共同企業体に三千万程度のCクラスの発注金額の工事をやらしておる、あるいはAクラスやBクラスにも登載されておらない指名業者である共同企業体に一億一千百万円というようなBクラスの発注金額の工事をさせておる、こういう例をあげたわけであります。業者をABCDEというふうにランクづけをすることによって中小の建設業者を保護するんだ、こういうたてまえに立っておるかのように言っておられますが、これはむしろ全く御都合主義であって、これでは、基準はせっかくつくっておっても、基準はないのと同じことであって、むしろ、中小建設業者を育成するどころか、ないがしろにしておるということになるわけであります。  この点につきましては、さきの質問で、大臣のほうからも、とくに中小企業の育成ということについて配慮しておる、こういうようにお答えになったわけでございますが、さらにつけ加えて申し上げますならば、建設省直轄の工事でなくて、たとえば阪神高速道路公団、日本住宅公団、日本道路公団、こういうところの発注状況の例をあげてまいりますと、たとえば阪神高速道路公団における昭和四十六年から四十七年までの工事の中で共同企業体に発注しておる件数だけを取り上げてまいりますと、Aクラスの清水建設と、同じようにAクラスの前田建設が共同企業体をつくって、かなり大きな金額を発注しておる。それに、Aクラスの三井建設とAクラスの青木建設に対しても、同様にかなり大きな金額を発注しておる、こういう例なり、さらには、これはもちろんAクラスとBクラスの共同企業体になりましたが、大成、大豊の企業体に対しては二回にわたって発注しておる。戸田と佐伯に対しては二回、松村、三菱に対しては三回、大日本土木と東急には二回、五洋、中国土木には二回、奥村、新井には四回、こういうように同じ企業体に年間通じて二回、三回発注している例が阪神高速道路公団にもあるわけです。  この例を見ましても、本来の共同企業体というのは、中小の建設業者を育成するということから出発したにもかかわらず、この前も指摘いたしましたように、建設省自体だけでなくて、阪神高速道路公団においてもこのような例があるわけなんです。その点、この前の大臣答弁とはむしろ逆の方向に、中以上の企業あるいは大企業が、この企業体によって単独の業者で受注を受け、さらに企業体を通じまして大工事に手を伸ばす、こういうために企業体が活用され使われておる、こういう傾向があるわけですが、その点についての解明をしてもらいたい。
  100. 大津留温

    ○大津留政府委員 この共同企業体という請負の形は、これは本来は、二つ以上の企業が、技術なり機械力なりというそれぞれの特色をもちまして、二つ以上結び合わせて総合的な力を発揮しよう、そのほうが好ましい場合にそういう形式をとろう、こういうことでございますので、共同企業体の共同企業請負というのは中小企業に限るということではございません。ただ、先生お示しのように、中小企業の育成、助長策の有力な一つとしてこのジョイントベンチャーを活用するということでございまして、そういう意味で中小のジョイントを奨励をしておるわけです、直轄につきましては。公団等におきましては、むしろ、非常に大規模な工事、あるいはむずかしい工事を一社でやるのはいささか心もとないというような場合に、二社以上にこれを組んでやらせるというような活用のしかたをしておるのでございまして、ジョイントベンチャーというのは、中小企業にのみそれをやらせるところから出発したというものでも必ずしもございません。
  101. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 それじゃ話が違うじゃないですか。最初、昭和三十七年十一月二十七日に事務次官から地建あてに通達しておる内容を見れば、その当時は、大と中小をセットにしてとか、あるいは大だけということはないのですよ。最初の出発は中小でしょう。ですから事の始まりを私は言っておるのです。じゃないのですか。
  102. 大津留温

    ○大津留政府委員 中小企業の育成といいますか、能力の増大をはかっていくということのために共同企業体というやり方を導入いたしまして、これをもって中小の育成に当たろう、こういうことで中小対策としてはそういう扱い方を始めたわけです。しかし、共同企業体ということ自体は、何も中小に限ってそういうことが行なわれるというものではなく、当初に申し上げたような、それぞれ二社以上集まって、それぞれのえてを組み合わせて特色を発揮するのが有利だという場合に用いられるやり方でございます。
  103. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 私の言っておるのは、もともとの出発がそうじゃなかったのですか。昭和三十七年の通達によればそうですがな。それから後に改められて、昭和四十一年六月の通達によって、初めて本来中小の建設業の振興についてこれが始まったのだということ。中小の企業の技術を育成するということから、大企業と中小が一緒になって企業体というものをつくることにしてもいい、あるいは特色ある技術については大企業間で企業体をつくることにしてもいいというのは、三十七年から四十一年になって初めて指示しておるのですよ。私の言うのは、その最初の出発です。いま現在を言うているのではなくて、もともとの建設企業体の発想というのは、中小業者の振興策として建設省が始めたんじゃないですか。そうじゃないんですか。
  104. 大津留温

    ○大津留政府委員 その間の事情をちょっと御説明いたしますと、このジョイントベンチャーというやり方は、先ほど申しましたように、二社以上がそれぞれの特色を発揮して結び合ってやるから、総合的な力を発揮して有利な面ももちろんあるわけですが、その反面、二社、三社が一緒になってやりますから、責任の所在が明確を欠くという欠点がございます。したがって、建設省としましては、そういう意味でジョイントベンチャーを、発注者の立場としては必ずしも歓迎しないということがございました。中小企業の育成とか業界の育成という立場からいいますと、ジョイントベンチャーというやり方は非常にいいやり方でございますけれども、発注者としては必ずしも感心しないという面がございました。したがって、直轄工事におきましては、中小企業をまず育成という意味から試験的にやろう。これは、大と中あるいは大と大というのは、きわめて例外的以外には認めないという方策はとりました。  しかしながら、そもそもそのジョイントというのは、先ほど申し上げたようなことで起きてきたやり方でございますので、建設省はそういう方針をとるけれども、公団は、そういう弊害も考えられるけれども特色のほうが大きいということで、これを積極的に活用してまいった、こういう経緯がございます。
  105. 金丸信

    ○金丸国務大臣 中小メーカーの育成ということは、今日の業界でもやるべき、建設省もまたそれを育成すべき立場であろうと私は考えております。そういう意味で、ことしの建設省の予算が三十何%伸びたという場合に、計算してみたら、大メーカーは三九%どころか四〇%以上も伸びておる。中小メーカーは三〇%にもいかないという現象が出たら育成にもならない。そういう意味で、中小メーカーの育成をしなくちゃいかぬということで、私も大臣就任早々局長会議をやりまして、その自分の考え方を局長に伝達をしたわけでございます。  そういうことですから、公団にいたしましても、あるいは道路公団にしても、十億以上の予算については私に相談に参ります。あるいは国直轄は五億以上は私に相談に参ります。そういう場合に、私はそれに目を通して、中小メーカーも入っているか入っていないかということは、細大漏らさず目を通しておるわけです。そのように、中小企業というものを育成するということは、本省の上から下までそういう考え方で現在は進んでおるということをひとつ御理解願いたい、こう思うわけです。
  106. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 これは官房長、先ほどの答弁で、公団は必ずしもそうでない。公団はそうでないということでこのままほうっておくというすべはないでしょうが。この間の質問のときに、たとえば住宅公団がやってきおって、必ずしも大企業の企業体だけじゃない、地方へ行けば中小の企業体がむしろ多い、こういうようにうそぶくわけなんです。それじゃ一回資料持ってこいということで資料を出さしたら、中小の企業体でどこがある。きょうはあえて呼ばなかったけれども、四十六年、四十七年について、日本住宅公団が発注した中小の企業体というのは何一つないのですよ。そういうようにうそぶくが、中小じゃなくてむしろ大手ばかりじゃないですか。大手ばかりの企業体にしか発注してないですよ。住宅公団、阪神高速道路公団についても先ほど申し上げたとおりでございますし、あるいは首都高速道路公団の場合は、最近は湾岸工事ばかりでありますが、この湾岸工事の場合は、もう四十六年、四十七年はずっと大成、大林、前田、熊谷、鹿島、これが一手引き受けですよ。そのほかの企業はどこもないですよ。どうですか官房長、公団は建設省の考え方と別のことをやっておるんだということですましておる、そんなことでいいのですか、指導しないで。
  107. 大津留温

    ○大津留政府委員 先生のお手元に届いておると思いますが、住宅公団から私どもが得た資料によりますと、確かにA業者同士のジョイントというのもございます。これは高層住宅、高層アパート等の相当まとまった大きな事業を請け負っておるようでございますが、B業者とB業者、あるいはB業者とC業者、あるいはA業者とB業者というような組み合わせもございます。したがって、工事の規模なり困難さに応じて、そういったB業者、C業者等も交えて、それを利用するというやり方をとっておるものと私は理解しております。
  108. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 このあなたのほうの通達は地建あてだけであって、自治体に対しても、あるいは各公団、公社に対しても、あるいは他の行政機関の長に対しても同様に、通達じゃなくても、要請なり協力方の依頼なりは過去にやっているのじゃないですか。中小建設業者の振興策として通達を流したことがあるでしょう、先ほど言いましたように昭和三十七年に。やっておるのに、公団は別だというようなことはどうなんですか。公団がそのとおりやらなかったら行政指導すべきじゃないですか。
  109. 大津留温

    ○大津留政府委員 公団がA業者とA業者のジョイントを活用しておるということについて、建設省は直轄事業におきましては、A業者とA業者のジョイントというのは例外的にしか扱っておりませんけれども、公団におきましては、これは積極的に活用しておりますということを申し上げたのでございますが、中小企業の育成あるいはそのための中小のジョイントの活用ということにつきましては、建設省としては、公団や地方公共団体、あるいはその他の国の機関等についても、これは依頼はしております。
  110. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 そうでしょうが。依頼もしておるし、公団に対しても要請もしておっても、やらなかったらやらなかったで、やはり指導しなければいかぬじゃないですか。  それともう一つ、この通達の中で、「本制度趣旨に即せず、単一企業の単なる受注機会の増大を図るための方便」となってはいかぬ、厳にそれを慎めというように通達を出しているでしょう。そうでしょう。にもかかわらず、その通達は逆に、むしろ単一企業の単なる受注機会を増大するために活用されている傾向があるんじゃないですか。ないですか。
  111. 大津留温

    ○大津留政府委員 その単なる受注機会の増大に利用されるというのは、これは本来のジョイントの活用のしかたではございませんし、また、指名に参加する資格としましては、単一企業でも、ジョイントを組んでも資格はございます。それで、へたをしますと、ある業者が、単一企業体としても希望し、ジョイントを組んでも希望する、つまり受注機会がそれだけふえるというようなことがあっては、これは機会均等の趣旨からいってもおかしいじゃないか、したがって、そういうような使い方をすることは厳に避けなければいけない、まあこういう趣旨でございます。
  112. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 それでは、その発注機会の増大を防止するために、どういう措置を講じておるのですか。
  113. 大津留温

    ○大津留政府委員 したがいまして、ジョイントで指名願いが出てきた場合には、その構成員である単一企業体はそれには加えない。つまり機会としては、チャンスとしては、同一のチャンスしか与えないというような扱いをしておるわけでございます。
  114. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 それは公団についてもいえますか。
  115. 大津留温

    ○大津留政府委員 これも同様です。
  116. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 それじゃ、日本道路公団の例をとってみたらこういう例が出てくるのですよ。たとえば鹿島建設。鹿島建設では、昭和四十六年に東急と企業体を組んでおる、鉄建との企業体を組んでおる、銭高組と企業体を組んでおる、三菱と企業体を組んでおる、大成建設と企業体を組んでおる、地崎と企業体を組んでおる。日本道路公団が鹿島建設に、そういうような企業体を六つ変えて六回発注しておるのです。四十七年にも同じことです。熊谷組との企業体には二回、西松建設に一回、佐藤工業に一回、間組との企業体に一回、大林組との企業体に一回、住友との企業体に一回、これも七回企業体の構成を変えて発注しておる。  こういう例が大林組にもあり、奥村組にもあり、清水建設にもあり、熊谷組にもあり、間組にもあり、いわゆる大手といわれる、大企業といわれるところにみんな該当するのじゃないですか。これでは単一企業に対する発注の機会の増大を防止しているということになりますか。逆に発注の機会を増大することにこの企業体を利用されているじゃないですか。そう思わないですか。
  117. 大津留温

    ○大津留政府委員 全体の発注の状況、実績を見ないと、この企業体だけではわからないことかと思いますが、単一企業体として鹿島なら鹿島が受けた回数、それから共同企業体を組んで受けた回数、そういうのを全部総計して比較してみますと、おそらく他の業者に比べまして、鹿島だけが飛び抜けて多いということは、私はないと思います。
  118. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 私は鹿島だけが多いと言っているのじゃないですよ。正確に聞きなさいよ。じゃこれをみな読みましょうか。いま鹿島だけを例にあげたにすぎない。奥村組も清水建設もみんな大手に該当すると私は言っているのですよ。  大林組の場合は、これはどうですか。同じく四十六年に、奥村組との企業体に一回、日舗建設との企業体に一回、大鉄工業との企業体に一回、大成建設との企業体に二回、住友建設との企業体に二回、徳倉建設との企業体に一回、計八件の発注を企業体を通して大林組に発注しておる。四十七年も同じこと、フジタ工業との企業体に一回、清水建設との企業体に一回、青木建設との企業体に一回、鹿島建設との企業体に一回、和泉建設との企業体に一回、計五件の発注をしておる。  あげたらみんな、奥村組にも、清水建設にも、熊谷組にも、間組にもいえるのですよ、これは。約二十社の大手の建設業者が、それぞれお互いに組み合いっこしてこれは発注しておるじゃないですか。特にこの日本道路公団の場合はひどいですよ。単に日本道路公団だけじゃないですよ。先ほど言った阪神でも同じことでしょう。日本住宅公団でも同じことでしょう。特に日本道路公団の場合はひどいです。しかも大手ばかり、大手がお互いに組み合いをして、自分の発注の増大をはかるためにこの企業体を活用しておるというように受けとめぬと、どう受けとめるのですか。そう思わぬですか。
  119. 金丸信

    ○金丸国務大臣 先生のおっしゃることも、実は私も政治家としてそういう傾向がなきにしもあらずということをいままで痛感をいたしたわけであります。そういう意味で、先ほどお話をいたしましたように、地建の局長会議にもこのことを十分に申し上げ、また自分もそういう方向で指導しておるということを申し上げたわけでございますが、そういう点につきましては、全き行政をやっておらなかったという面も私はあったと思います。十分今後注意してまいりたいと思います。
  120. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 大臣、注意されるのもわかりますが、もうすでにこれは四十六年と四十七年に次々とやっておるのです。それじゃこれをいつごろの時期に、どういうように、こういうような発注の増大をはかるための企業体の活用を食いとめていくようにするのか。公団にわたってまでもどういうようにして指導していくのか。再び来年の議会で、私に同じようなことを発言させないように何とかやってみるという自信のほどありますかどうですか。
  121. 金丸信

    ○金丸国務大臣 私も、十二月二十二日に就任したばかりでありまして、十分私の意がまだ徹底しておらないわけでありますが、今後十分意を徹底して、先生考えのような方向へ私も持ってまいりたい、そういうように御理解いただきたいと思います。
  122. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 そこで私は、やはり昭和三十七年に出した中小建設業者の振興策ということで始まったのであるから、昭和四十一年に出したその通達、中小建設業の技術の育成のために大企業と企業体を組んでもいいのだ、あるいはそれにさらにつけ加えて、特殊な技術の話し合いというようなあいまいなことばを使って大企業間の企業体も認める、そういうようなところからこういう問題が起こってきておるのじゃないですか。しかも、この通達の中で述べられておるように、単一企業の発注の増大策として利用してはいけないんだ、こうなっておる。もしもそういうような傾向があれば、指名を取り消すなり発注を取り上げるなり、こういうようにしなさいというところまで書いておるのです。にもかかわらずその措置を講じていないのです。とられていない。  いま大臣が言われたわけですが、もともとこの通達といわれるような事務次官通達が流れているわけなんですが、官房長を通じて、私がいま大臣ことばをそのまま受け入れるとすれば、行政上1の事務の手続として、これを大臣の意向を受けとめてやっていくというこの腹づもりのほどを、ひとつ官房長のほうからも答弁してください。
  123. 大津留温

    ○大津留政府委員 大臣の御指示を受けて、そのとおり実施することはもう当然でございます。お話しのように、受注機会の増大をはかるというのは、そういうジョイントを組んで指名願いを出せばそういうチャンスもあるし、また単独企業体としても指名のチャンスがある、そういうような扱い方は厳にこれは排除しなければいけない、こういう趣旨でございましたわけですが、先生ただいま御指摘のような、そういう二つ、三つ組んでやれば、それだけ全体として回数がふえるじゃないかということも確かにございますので、単にそういう仕事を得る機会をふやすというためのジョイントというのは、全く意味がないといいますか、発注者側としてはメリットのないことでございますから、そういうことは今後は十分慎んでいくように指導いたします。
  124. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 くどいようですが、大臣の言われたことを私はすなおに受けとめたいと思う。要望したいと思う問題は、やはり行政レベルの問題ですよ。私は一般的な問題を指摘して言っておるのじゃなくて、きわめて具体的に、日本道路公団の例をあげて私は言っておるわけですから、たとえば鹿島と大林と組んで、ここは特殊な工事であるから、鹿島と大林の企業体でないとできない工事だ、こういう場合が全国的に二カ所、三カ所あるとしても、これはやむを得ないと思いますよ。また間、奥村と組んで、ここはこの企業体にまかせなければしようがなかったんだ、これはあってもしかるべきだと私は思うのですよ。あまりにもひどいじゃないですか。先ほど例をあげましたように、大手同士が、大企業同士が、こちらへ行ったらこの二つのセット、こちらへ行けばこういう二つのセット、お互いに組み合わせをして、全国津々浦々にまたがって、道路公団の発注の機会増大をはかる計画的な企業体の編成じゃないですか。そうでしょう。それを、わかりながら公団が発注しておるというところに問題があるのですよ。そうでしょう。各大手の業者が大体平均いたしまして五回ないし六回、多いところで八回、それぞれ業者間で企業体を組み合わしてそれぞれ受注しているのですよ。  そういう具体例を私はあげているわけなんですから、一般論じゃなくて具体例からいって、なるほどこれは大手のあまりにも専横なやり方である、公団の姿勢というものはやはり改めさせなくてはならない、こういうように受けとめられないですか。どうですか官房長。
  125. 大津留温

    ○大津留政府委員 先ほど大臣が御答弁申し上げたとおりでございまして、厳にそういうことを懐しむように指導いたします。
  126. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 その点、十分に大臣ひとつお願いしたいと思います。  この設置法の一部を改正する法律案の内容というのは、筑波研究学園都市の営繕建設本部を新たにつくるということであるわけなんですが、これもまた、筑波研究学園都市の建設にあたっては、大企業がことごとく工事を独占してしまった、こういうところから中小の建設業者の入るすきは何もなかった、こういうことのないように、工事の発注についても努力してもらいたい、こういう点を私は意見として申し上げさせていただいて、この点について終わりたいと思うのです。  この機会にもう一点伺っておきたいと思うのですが、実は公営住宅の問題であります。  公営住宅の問題は、一つは国の補助の問題。たてまえとしては、第一種の公営住宅については二分の一、第二種の公営住宅については国の補助三分の二、こういうたてまえになっておるわけなんですが、現実的には、工事費が標準工事費をこえるときは、標準工事費を公営住宅の工事費とみなすということになっているわけですね。したがいまして、その結果、各県や各市のほうにおりてくる補助金、それから自治体が持ち出す費用というものは、毎年毎年建設工事費の増大に伴いまして、特に最近の場合は、異常な建築資材の高騰によりまして困っておる。無理やりに発注しようと思っても、なかなか赤字を覚悟に業者がやってくれないというようなことで困って、工事は非常に遅延している、こういうことであるわけなんですが、国の補助の問題と標準工事費をたてまえとした補助のやり方現実的には非常に出血工事であるということで自治体が困っておるわけですが、その点、国の補助にあたって、自治体の負担を軽減するために、出血工事をさせないために措置を講じなければいかぬというお考え方、あるいは方途というものは持ち合わせじゃないですか。
  127. 沢田光英

    ○沢田政府委員 公営住宅の工事費につきましては、やはり所要額を対象にして二分の一補助なり三分の二補助をすべきものだと思います。ただ、実態はなかなかそこにいかないという事実がございます。御指摘のとおりでございますが、そこで、こういう問題がいつでも国会等で問題になっております。私どものほうも自治体から常々いわれております。実は四十二年ごろにもそういう問題がございまして、四十二年に一度調査をいたしました。そのときにも相当持ち出しがあるということで、三年がかりでこれを直そうということがございました。四十五年時点で理論上は一応直ったようなかっこうになったわけでございます。ところが、その間の物価の値上がりのほうが建築費より大きかった。そういうことで、四十五年時点でまたまたそういうような声が非常に起こってまいりました。  そこで、四十六年の事業につきまして、建設省、自治省、それから大蔵省、この三者が共同いたしまして実態調査をいたしました。これは全部にわたりまして、精算書から調査をいたしました。その結果いろいろな問題がございますが、煮詰めました坪当たり単価の超過負担は八%程度だった、かような結論になっております。ただ先生お聞きになって、非常に少ないじゃないかという御疑問をお持ちでしょうけれども、八%以外にも一〇%近くは実は平均的に持ち出しておるわけです。これはたとえば、公営住宅を五十平米というふうな一戸建てのものに非常に押えておるのでございますが、地方によっては五十平米では少ないということで、面積を大きくしたり、あるいは物置きをつけたり、質をよくしたり、こういうものがございます。したがいまして、そういうものを全部入れますと十数パーセントになるということでございます。単価の持ち出しは八%であるということでございます。まず単価の持ち出しにつきましては、これを四十八年、四十九年の二カ年で解消しようということで、今度の予算でもその半分を実は計上しておるわけでございます。したがいまして、まだ四十八年度では完全ではございませんけれども、四十九年にはほぼ直るというようなかっこうになっておるわけでございます。  それからもう一つの、いわゆる質向上に伴います問題につきましては、公営住宅は今回三平米ないし四平米、いままでにないような大きな面積の増になっておるわけでございます。したがって、いままで自治体の負担で面積を大きくしていたところはかなり救われまして、実質的には超過負担が九%救われた、かような結果になってございます。したがいまして、かなり楽になってきておるはずでございますが、先ほど言いましたように、二カ年でやる。あるいはまた、四十七年の後半から最近にかけまして非常な建設費の高騰がございますが、こういうものに対しては、また別途さらに新たな手を考えていかないといけないということで、実は大蔵省その他と打ち合わせておる次第でございます。
  128. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 四十七年から是正していっておるのですか、いまの御説明を聞くと。
  129. 沢田光英

    ○沢田政府委員 四十八年度でございます。
  130. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 本年度からやっていくということですか。
  131. 沢田光英

    ○沢田政府委員 はい。
  132. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 四十七年まではその点は是正してなかったわけですな。
  133. 沢田光英

    ○沢田政府委員 実は、精算書で調査をいたしますもので、四十七年に四十六年度の精算書を調査いたします。したがって、四十六年度の実態で、先ほど言ったパーセントの持ち出しがあるだろう。その間に四十七年度というものがございますから、もちろんそういうもののズレもございます。この間の年率の値上がりは毎年積んでございますが、年率以上に上がっておるとすれば、そのひずみもさらに乗っかるかもしれない。したがいまして、あと追い的になってございますが、いずれにしても三カ年ごとぐらいには実態調査をして、至急に手直しするという措置が継続的に必要だというふうに考えております。
  134. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 四十六年、四十七年の例をあげると、これは県によって違うと思いますけれども、大阪の例をとってみると、四十六年では一種住宅で一戸につき五十二万円の出血工事になっているわけですね。二種住宅では二十六万円。四十七年になって、これはさらにまたふえて、一種住宅で六十一万円の出血工事、二種住宅で三十六万円の出血工事、こういうことになっておるわけなんですが、四十八年、四十九年、五十年にかけて、四十八年は努力してもらうとして、四十九年、五十年にはこういう出血工事というものは解消できるということで、大きく期待していいですか。
  135. 沢田光英

    ○沢田政府委員 まず調査に基づきまして、四十八年度に半分をやり、四十九年度にまた半分やる、理屈上はそれで一応話はつくわけでございます。しかし、実はこの間、昨年後半から非常な値上がりがきてございます。それを四十八年度の単価からも直していこう、私がいま言いましたこと以外に直していこうということでございまして、そういうことで、支障のない線にできるだけ持っていくという努力をしておる次第でございます。
  136. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 それはひとつ御努力要望しておきたいと思います。  用地取得について、従来の用地取得に対する補助というのが起債制度になって、非常に困っているわけです。大阪府の場合を例にとってみましたら、四十七年度中の府営住宅の建設用地の取得というのはゼロです。たまたま供給公社の先行取得しておった用地があり、企業局がニュータウン計画の中で先行取得しておった住宅用地があり、これを公営住宅に充てるということで何とか建てていっているという形ですね。昨年一年間ゼロなんですよ。相当な地価の高騰によりまして、都心部ではなかなか取得が困難だということになるのであります。  ところが、用地取得に対する補助は非常に大幅に後退をしたわけなんです。先ほど建築費について十分御努力されるということを伺ったわけですが、用地取得についても自治体の窮状を——用地がなかったら建たぬわけですから。過去にやっておった用地取得に対する補助というような問題、小中学校の場合、自治省のほうで、用地取得のために、特に人口の急増都市については特交を認めるという措置を講じたわけなんですが、建設省として、これについても、やはりこのあたりで考え直す必要があるんじゃないか、こう思うのです。どうですか。
  137. 沢田光英

    ○沢田政府委員 実は四十四年以前には、公営住宅の用地の買収費に対しても同様な補助制度でございました。そのときに、特に用地費におきまして、標準用地費と実額との離れ方が工事費の数倍になっておる、こういう実情でございました。地方公共団体の意見を徴しましたところ、強い要望は、用地に関しましては、補助の金よりもむしろ実際の資金繰りの実額がほしいんだ、こういうことでございました。そこでこれを起債に切りかえて、その際に用地費を非常に上げたわけでございます。実は数倍に資金量は上がったわけでございます。起債に切りかわりますと、そこで何にはね返るかといいますと、家賃にはね返るわけでございます。いままで二分の一補助だったものが六分五厘で置きかわるわけでございますから、その分の利子補給、地代補助みたいな利子補給が入るというふうに新たな法律改正をいたしまして、家賃に響かないで資金量だけを増す、こういう措置をしたわけでございます。  結局、いま先生の御指摘の問題は、その起債の認可額といいますか、標準額と申しますか、これにあろうかと思います。全国的に見てみますと、その問題で非常に困りますのは東京都でございます。いままでの実績を見ますと、東京都は、起債額に関しまして、実際に出ていったものはそれの四割増しくらいのお金を要しておる。大阪あたりで統計をとってみますと、おそらく九割以上でほとんどまかなえておる。  そこで問題は、どうして買えないのかということでございますが、まあどこでもそうなんでございますけれども、特に四十七年度を通じましては、東京も大阪も公営住宅の用地が非常に買えない。ことに東京は、四十七年度の公営住宅の事業は一割しか着工できない。大阪は幸いそういうことはございませんけれども、そういうような緊急事態に立ち至っているわけでございます。それは値段の問題も一つでございますが、それよりもいわゆる自治体、たとえば府営でございますれば、その所在の市が、人口をそんなにふやしたくない、あるいは関連公共施設に金が要る、そういうことで歓迎しない。したがって、買っても建たないということと、買うことの了承を求めるときになかなか了承されないというような事情がございます。それからまた売り手のほうも、値段の問題ではなくて、公営住宅なんかにはあまり売らないというような空気が出てきております。  値段の問題につきましては、私どものほうは自治省と相談しておりまして、東京都や大阪を中心に大都市は十分な資金量を確保するということで、先ほどの工事費と同様な措置を講じていく作業に入っておりますけれども、第二番目に申しました問題は、非常に社会的な背景の問題が強うございまして、私どもの各市町村に対します行政指導、こういうものを通じますとともに、関係各省と相談をいたしまして、たとえば関連公共施設の補助金を増すとか、あるいはそこへ集中していくとか、たとえば学校の問題等でございますね、そういうことに大いに努力しておりまして、そういうもので用地が買えるようにする手を実は打っておる次第でございます。
  138. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 この用地の点は、非常に悩んでおるわけですので、先ほどの工事費とともに、大臣ひとつよろしくお願いしたい。  そこで、一方では、そういう標準工事費による基本額と実際の建設費との間の赤字、さらに用地の取得困難ということで困っておる。それともう一面、今度は建った住宅に入ってもらうための家賃と入ってもらう人の入居の基準、特に収入の基準、これがあまりにも現実にそぐわない結果が出ているわけです。  家賃の算定については工事費を基礎にしているわけですね。いろいろと利率をどうするとか、あるいは何年の耐用年数にするかということは別として、工事費を基礎にしておるから、二十五年前に建った住宅は家賃が千円そこそこ。いま建った住宅は、そういう工事費から算出してきたなまのままを家賃にすると、相当家賃が高額になるので、各自治体においては、政策家賃をつけるために、かなり出血をして家賃を設定しているのですが、・それにいたしましても、今日、大阪に例をとってみましたら、四十七年では、二種住宅でさえも七千七百円、七千八百円という金額、一種住宅についてはこの倍で、一万四千円から一万五千円、こういう金額になるわけです。二十年ないし二十五年、それだけ隔たりがある。しかも収入基準というのは、十年前、二十年前のときの収入基準と比較してみますと、午前中にありました恩給等とも同じことで、そうスライドしてないのですよ。非常な矛盾があるわけです。  まず、家賃の算定の基礎を工事費に置いていくということ、ここらが家賃算出を決定するについて、少し矛盾を来たしておるというようにお感じにならないのですか。もしもそういう矛盾を感じておられるのであれば、どういうようにしてこの算定の基礎を変更していったらいいか、合理的であるかというようなお考えがあれば、ひとつ聞かせてもらいたい。
  139. 沢田光英

    ○沢田政府委員 お説のように、公営住宅あるいは公団住宅につきましても、公共の賃貸住宅は、いわゆる原価をもとにいたしまして家賃をはじいております。したがって、原価が上がれば家賃は毎年上がっていく、かような結果になっております。あまり物が上がらぬときでございますれば、この制度はいいかと思います。あるいは上がり方が国民の所得と同じような上がり方をしていれば、つり合いがとれていこうかと思います。しかし、どうも用地費まで含めまして、建設の費用というものが所得よりも非常に上がっております。そこで、非常に古いものには安く、新しいものには家賃が上がって入るのがつらい、かような現象が出てくるわけであります。原則的には原価主義とはいいながら、やはり所得に応じて家賃ということが考えられておったわけなんです。そのために、三分の二補助ということで家賃の計算に入らないものをつくり、それから二分の一補助ということで家賃の計算に入らないものをつくり、さらには公団という利子補給をするものをつくる、こういうふうな大まかな、収入にスライドしたような考え方を入れておったわけでございますが、物価の問題からいいますと、いまおっしゃったような摩擦の問題が非常に出てまいっておるわけでございます。  私どもも、そういうことをいろいろ気にしておりまして、実は昨年、住宅宅地審議会に、こういう公共賃貸住宅の家賃のあるべき姿はどうかという諮問をいたしました。それでその中で答申が出てまいりました。その答申の中に、一応いろいろ書いてございますけれども、収入を基準として考える家賃、こういう考え方もある。ただ、これは非常に根本的な制度の改変だし、そういう収入の把握方法等にも実務上非常に問題がある。したがって十分検討すべきである、こういうことになっておりまして、私どももそういうものを受けて、これは住宅政策の基本の問題でございますから、今度はさらに基本的な体系はいかにあるべきかという諮問を実はいたしておりまして、その中で実は鋭意勉強しておるということでございます。したがいまして、物価とこの原価主義のジレンマというふうなものは、確かにいまあらわれているわけでございます。
  140. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 これは、公営住宅と民営住宅と異なった観点で見詰めるということであれば、さらにこの公営住宅というのは福祉施設である、低所得者に対する住宅を供給するものである、こういうふうに考えるならば、これは原価主義をとっていこうということは矛盾が出てくるわけです。そういう矛盾がある中で、さらに割り増し賃料制度というふうなものがあるから、ここにまた矛盾が輪をかけているわけです。千円の家賃に八割の割り増し賃料をかけられたところでわずか八百円です。一万五千円に二割の割り増し賃料をかけられたら、これはもうすぐに三千円なんです。そういうところに、矛盾の上に矛盾を積み重ねているということなんです。  いま言われたように、やはり公営住宅を低所得者に対する住宅の供給である、社会福祉施設である、こういう観点に立つならば、これは原価主義で家賃をきめていくのではなくて、やはり収入に応じて家賃を設定していく、そういうやり方のほうが私は正しいと思う。そのことによって、矛盾に矛盾を積み重ねておる割り増し賃料制というような制度も不必要になってくる、私はそう思います。これは検討中ではなくて、やはり早急に出さないと、一年一年こういう矛盾が増大していきますよ。一年たてば一年たつほど、二年たてば二年たつほど矛盾が増大していくわけですから、これは、いつまでたっても研究ではなくて、早急に結論を出す必要がある、私はこういうふうに思うのですが、どうですか。
  141. 沢田光英

    ○沢田政府委員 住宅問題は、非常に社会的にクローズアップされて大きな問題でございますから、できるだけ至急にそういう方向を出す時期に来ていると思います。ただし、それだけに問題は非常にむずかしいし、大きいし、時間とは関係ございませんかもしれませんが、これは十分な検討をやはり必要とする。検討なしには進めない。したがいまして、そういう時間をできるだけ短縮して、新しい考え方、新しい体系はいかにあるべきかということを詰めたいと思っております。
  142. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 これは、当分ということばが十年、二十年になったり、きわめて緊急にということばを使ったり、短期間にといっても五年、六年を経過するという例が非常に多いわけです。特にあなた方の答弁というものは、やはりそういう点が当たるのですね。申し上げたように、これは御自分もわかっておられると思う。先になれば先になるほど、これはもう変更しようと思ってもできなくなってくるのです。だからここらあたりで、検討というのではなくて、やはりもう早急にこの結論を出すようにやってほしいということを、私は希望しておきたいと思うのです。なかなか踏み切るような顔しておらないと思うのですが、来年また同じようなことが来れば、ざま見ろということになりますから、私は強く要望しておきたい。  あわせて、家賃の算定と伴って、先ほど触れておりました収入基準、これにもやはり問題がある。今度、昨年の暮れにあなたのほうで改正された収入基準に基づきましても、なお矛盾がある。二種住宅で三万円です。一種住宅で最高五万円です。いろいろと計算していきますよ。していっても、やはり三万円、五万円ということではね。一体あなた方の場合に大学卒で初任給は幾らですか。年が幾つですか。
  143. 沢田光英

    ○沢田政府委員 七万円程度だそうでございます。
  144. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 そして結婚適齢期が早くて二十七歳、二十八歳この程度で、いままでの過去の賃金をスライドをしていったことをずっと見ていっても、結婚適齢期になったら大体百五十万円か百六十万円程度の年収ですね。その時分になったら、これはもう入れないということになるんじゃないですか。
  145. 沢田光英

    ○沢田政府委員 実は改正した結果でございますけれども、改正の結果、第一種の入居の資格というようなものは、月収にいたしまして、年収月割りでございますが、十二万三千五百円ぐらいになります。こういう人々が入れるということでございます。これは年収にいたしますと、おそらく百四、五十万になるわけでございます。  私どもは、現在やられております公営住宅の使命というものは、国民の所得の五分位、二千五百万世帯を五百万ずつ分けました五分位の中の一番下の一分位と二分位の中ほど、その辺の者が、かような手厚い税金補助率をもちました施策でカバーされるものというふうに考えておりますので、その辺のところをねらって、実はいまのような基準にしておりまして、それがくずれた場合には毎年見直して、必要のつどその収入基準を変えるという操作をしておるわけでございまして、大体は、公営住宅、ことに二種のあたりは、成長階層よりも停滞階層の方々を目標にして、特定目的の住宅に重点を置く。一種のほうはもちろん成長階層の人もかなりおられますけれども、その辺の第二分位のまん中辺。第二分位は、実は公営住宅の上限と公団の下限とが重なるわけでございますが、一応私どもの今回の改正では、その辺の政策的な判断としては、これでよかろうというふうな数字を実は出しておる次第でございます。
  146. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 新しいこの基準では、二種住宅で標準世帯が八万五千九百九十九円になるわけでしょう。
  147. 沢田光英

    ○沢田政府委員 実は、収入の中に控除の金額がありまして、これは税制にリンクしております。したがいまして、今度変わった税制でいきますと、八万八千四百九十九円になるわけでございます。
  148. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 それは標準世帯ですか、家族三人で。
  149. 沢田光英

    ○沢田政府委員 はい、扶養家族三人です。
  150. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 私は、これはやはり地域によって違うと思いますけれども、東京だとか大阪だとかいうようなところでは、現実の姿が、これは御調査なさったらわかるでしょうが、自治体自身が困っているのですよ。現実に、公務員の人だったら、だれ一人だって入れる人ないですよ。改正になったら入れないですよ。  それじゃ、いまかりに二種住宅の例をとって八万としましょうか。子供が二人、家内が一人でしょう。そうでしょう。そうすると、東京都を例にとってみたら、標準世帯の生活保護費が月六万三千八百四十五円ですよ。これには、交通費から子供の学校給食費、あるいは社会保険料、つとめておれば、その労働組合費あるいは住居費は含まれていないのですよ。それじゃ、いま言われたそのことだけでも、これはそのこととあわせていったら、生活保護世帯の人でも、家賃はまるまる負担してくれるから入れるものの、かりに家賃がまるまる負担してもらえなかったら、生活保護世帯でさえも入れないじゃないですか。
  151. 沢田光英

    ○沢田政府委員 八万八千四百九十九円以下の人でないと入れない基準でございます。したがいまして、六万三千何がしかの収入の方は入れるわけでございます。
  152. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 そうすると、なおおかしいじゃないですか。生活保護世帯の人よりも低劣な生活をしておる低い収入の人じゃないと入れないじゃないですか。
  153. 沢田光英

    ○沢田政府委員 生活保護世帯の人々も含めまして、いわゆる低所得の方、第一分位の方々が大部分これに入られるというかっこうになるわけであります。
  154. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 これも私は大阪の例をとってみますと、千里のニュータウン、泉北のニュータウンがありますね。ここで二種住宅は家賃が七千七百円から八千円でしょう。大阪市内に通勤するのに、地下鉄、それから南海電車あるいは阪急電車、私鉄と地下鉄を入れますと、大阪市内まで大体通勤費が六千七百円かかるのです。団地の中の幼稚園、保育所、これの保育料が四千七百円から五千円です。それから標準世帯の非消費支出、税金だとか社会保険などが大体平均して一万三千円です。それに家賃を払ったら、一体何を食っていくのですか、計算してみなさい。六千七百円の通勤費を払って、子供の保育料、一人は学校へ行くから、一人は保育所か幼稚園で約五千円の保育料。それから非消費支出、目に見えないで消えてしまうのが一万三千円。家賃が七千七百円。あとに何ぼ残るのですか。どないして食っていくのですか。食っていけますか。
  155. 沢田光英

    ○沢田政府委員 個々のケースにつきましては、いろいろな場合があろうかと思います。ただし私どもは、住居費負担というのは総収入の大体一五%前後というところに置いております。所得の低い方々は一五%より低いほうがいいかもしれません。あるいは高い方々は、もう少し高いほう、二〇%というふうなところまでいける、かようなことでございまして、そういう場合には、やはりそのくらいのものは応分の負担といたしまして住居費に投じていただく、これがもう私どもの考え方趣旨でございまして、生活保護のほうでございましても、二種の家賃が七千円でございますれば、そこまでは生活保護のほうで七千円を出していただける、かような仕組みに実はなっておる次第でございます。
  156. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 収入基準にいたしましても、先ほど申し上げました家賃の設定にいたしましても、やはりこういう矛盾があるのです。これは私は現実の具体例をあげておる。これは入れないでしょう。だから、二種住宅はなるほど低所得者が入ることを前提とした住宅だ、対象とした住宅だということをきめておってそういう金額を設定したら、そういう金額の人では生活できないのですよ。これは実際生活できないのです。また、そういう人があるかどうかという問題。都心部では、特にそういうような収入の人が、そんな家を建ててもらって、入る対象が現実にあるかどうかという問題です。ここらがやはり問題なんです。だから、むしろそういう現実に沿わない住宅は、最近では自治体はもう要らないということで、たてまえはわかるけれども、補助金も、ときたまにしか補助金をくれぬし、出てきたら政令で現実に沿わない収入基準を押しつけてくるし、家賃の設定はこうやと言うてくるし、そういうことで、要らない、こういう自治体が現実にふえてきておるでしょう。自治体が要らないというところがある。大阪府下でも要らないというところがあるのですよ。  だから、現実に沿うようにするためには、先ほどのもとに返りますが、収入基準をきめて、それに伴ってオーバーしたら割り増し賃料ということで取りたてて、矛盾の上に矛盾を重ねる、こういうことじゃなくて、問題はやはり、家賃の算定の基礎、家賃の設定のしかた、ここらがなんです。先ほど言われたように、収入に応じて家賃を設定する、こういうことであれば、こういう点は一切一掃されてしまうわけです。だから私は早くやりなさいと言うのです。そうしないと、政令を毎年毎年とっとことっとこ変えなければいかぬ。変えても矛盾だ、矛盾だということになって、現実に手続をとる自治体が困っているわけです。応募希望者も困りますけれども、自治体が困っているわけです。だから、現実にそぐわないものは、いさぎよく決断をもって根本的に、抜本的に改正する、こういう腹がまえに立っていただきたい、こういうように思うのですが、大臣どうですか。
  157. 金丸信

    ○金丸国務大臣 ただいま審議会に、住宅政策はいかにあるべきかという諮問をいたしておりますので、すみやかにその答申が出ると思います。その上に立ちまして、先生のお説も十分私もわかりす。審議会の答申と相まってひとつ十分検討してみたい、こう考えております。
  158. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 重ねて強く希望しておきたいと思いますが、この前の質問が中断したような形になっておりますので、最後に大臣に、あらためて重ねて決意のほどをひとつ聞かしてもらいたいと思いますが、いわゆる発注金額が業者のクラスに応じて設定されておる。最高のAクラスが二億以上だということになっておりながら、そのAクラスの者が一億の工事をとったり、極端に言うならば、五千万の工事をとったり一千万の工事をとったりということで、本来CクラスやDクラスやEクラスの業者が発注を受けなければならない工事なども荒されていく、こういう点はこの前指摘したわけなんですが、中小企業の業者の分野を守っていく、保護していくということであれば、一つには、Aクラスの工事というのは、現実的に見たら何十億という工事がたくさん出ているわけなんですから、最高の金額二億というやつを大幅に十億あるいは二十億というように上げて、少なくともそのクラスの業者はその金額以上の工事に限ってやらしていく。Bクラスの者であれば、そのBクラスにきめられた発注金額以上の工事以外にはやらせない。そういうことを厳格にすることによって中小建設業者の保護ができるわけなんですが、その点はぜひともこの際大幅に改正をはかってもらいたい。  これは手続として建設業審議会の議を経なければならないわけですが、いまの建設業審議会の構成員は、建設業から代表している委員が大企業ばかりであって、なかなかそういうことにはならないということであれば、建設業審議会の委員の更迭も含めて、いま申し上げましたようなことを厳格にしていただきたいというように私は思うわけなんですが、あらためてひとつ大臣の決意のほどをお聞かせ願いたい。
  159. 金丸信

    ○金丸国務大臣 私は、額の問題についても改善すべきところがあるのではないかという感じもいたしております。いつもCばかりしておる、いつもEばかりしておるということであれば、その人の事業の発展というものはないのではないかという意味で、一つの希望というものを持たせるようなことも考えるべきだと、こう考えておりますし、先ほど来申し上げましたように、いわゆる大手業者だけの仕事であってはならない。中小業者の育成発展は建設省でもやらなければならぬ。そこに免許を与えておるということは、それを育成をするということにあると私は思う。ただ産みつばなしでよろしいということではないと思います。そういう意味で、最大の関心を払いまして御期待に沿うようにいたしたいと思います。
  160. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 大臣、いま大臣の言われているその点はわかるのです。下のクラスの者に上位のクラスの工事をやらせていく、これはやってもらわなければならぬ。私はとめてもらいたいと思いますのは、上のクラスの者が下のクラスの工事まで発注を受けるということになると下が荒らされることになるわけだが、下の者が上のクラスの発注を受けることは、これはもう大いにやってもらわなければいかぬし、それが育成の一つの道でありますが、上の者が下の工事を荒らすということをとめてもらいたい。そうしてあわせて、最高の大手が二億ですが、二億といったらきょうびBクラス、Cクラスの者でも十分できるわけなんですから、上の工事の金額は大幅に上げてもらわないと依然として荒らされることになるわけですから、この二つを強い決断をもって改めてもらいたいと思うのですが、どうですか。
  161. 金丸信

    ○金丸国務大臣 私は先生以上に考えておることは、大手業者が各県に出張所をつくって、いわゆる各県の中小企業を非常に脅かしておる、何んでもかんでも仕事をとってしまうという傾向があるのではないかということを私は察知いたしております。そういうことのないような方向にひとつ指導、育成をしてまいりたい、こう思います。
  162. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 中小建設業者の育成をひとつ十分にはかってもらいたい。官公庁の発注が大手に独占されて大手の食いものになるというような結果が起こらないように、十分ひとつ注意していただきたいということを申し添えまして、終わりたいと思います。
  163. 三原朝雄

    三原委員長 上原康助君。
  164. 上原康助

    ○上原委員 提案されております建設省設置法の一部改正法律案とは直接関係する質問でなくてたいへん恐縮ですが、せっかく大臣の御出席をいただいておりますので、二、三点お尋ねをしてみたいと思うのです。  本委員会でもたびたび話題になってきているわけですが、昭和五十年に予定されております沖繩のいわゆる国際海洋博覧会の開催の準備がいま着々と進められつつあります。   〔三原委員長退席藤尾委員長代理着席〕 当初予期できなかったいろいろな意見が出てきております。その主要な原因については私が申し上げるまでもなく、すでに大臣はじめ関係者御理解をいただいていると思いますので、多くは触れません。特に関連公共事業部門の中に占める建設省関係の道路あるいは治水、屎尿処理その他の事業というのが、予算面からしても、規模の面からいたしましても相当大型のものである。そういう意味で、海洋博に対しての県民の世論、そういうものを踏まえつつ、一体、建設省担当部門の関連工事というものが現在どう進められておるのか。またどういうふうに海洋博というものを位置づけておられるのか。その点についてお伺いをして、具体的な問題についてお尋ねをしてまいりたいと思うのです。
  165. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 海洋博関連の建設省所管の施設のうち、下水道、街路等について申し上げます。  まず下水道につきましては、公共下水道としては那覇市、本部町、名護市の三市の分、それから流域下水道としては中部流域下水道、以上でございまして、総額は四十九億円でございます。そのうち四十七年度に五億九千万円、四十八年度予算では十七億円を見込んでおりまして、残事業の約二十六億円につきましては四十九年度に完成するようにいたしたいという状況でございます。  次に街路につきましては、名護市の海岸線ほか二路線、それから那覇市の第二環状線等で事業費十五億円を予定しておりまして、さらに四十九年度十三億円を追加すればこれも完成する見込みであります。  なお、公園につきましては、海洋博関連事業は、糸満市の平和記念公園、那覇市の旭ヶ丘公園、コザ市のセンター公園の三カ所、計総事業費三十六億円でございまして、そのうち補助対象事業費について申し上げますと、四十七年度の国費が一億五百万、四十八年度が約二億、さらに四十九年度残事業の二億七千二百万円を加えることによりまして計画どおり達成する見込みでございます。なお、このうち平和記念公園につきましては、県施行で十割国庫補助をしておるものでございます。
  166. 菊池三男

    ○菊池政府委員 海洋博に関連します道路事業について簡単に申し上げます。  海洋博関連のものの中で建設公共事業が非常に大きなウエートを占めているというお話でございましたけれども、その中で特に道路事業にその中のまたさらに大きなウエートを置いておると思います。特にこの海洋博に関連いたしまして縦貫道をつくろう。これはば有料道路で計画しておりますけれども、そういう費用が四百三十億というような特に巨額な費用でございまして、またこれを短時日につくるということで非常にむずかしい問題を控えておりますけれども、ただいまのところ順調に進んでおって、海洋博に間に合うというような計画でおります。そのほか、国道の直轄事業として百二十億くらいの関連事業がございますし、また補助事業としても約九十億くらいの事業がございますので、これも鋭意進めております。ただ、補助事業につきましては、特に地方道関係で用地の買収等で若干問題のあるところもございますけれども、大体すべてが順調に進んでおるというふうに考えております。
  167. 上原康助

    ○上原委員 具体的問題に入ります前に、いま公園関係三十六億という御説明ですが、これは三十六億なのか。もしいま訂正すべきであったら訂正をしていただいてから話を進めていきたいと思います。
  168. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 たいへん失礼いたしました。訂正させていただきます。  これは海洋博関連以外も加えました全体計画の事業費を申し上げました。そのうち海洋博関連事業費に入っておりますものは八億一千万円でございます。
  169. 上原康助

    ○上原委員 そうしますと、海洋博関係が八億一千万で、先ほど御説明のあった三十六億というのは、今後の沖繩全体の公園計画の予算ということでいいわけですか。
  170. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 平和記念公園と旭ヶ丘公園、センター公園の三つが海洋博関連事業に取り上げられておりますが、この三つの事業の海洋博関連として仕上げる分が八億一千万ということで、同じ三つの公園だけの将来計画も含めた額が三十六億ということでございます。
  171. 上原康助

    ○上原委員 まず道路工事なんですが、順調に事が進められているという御答弁でしたが、特に、一応政府がどういう計画なり進捗状況を方向づけをしておられるかということをきょうは伺っておきたいわけです。  われわれが仄聞するところによりますと、なかなか順調にいっていないんじゃないかという気がするわけなんです。縦貫道路の場合、石川市石川から名護市の許田まで約三十キロメートルの距離だと思うのですが、これは一部軍用地も通らなければいかないという話も聞いております。あるいは民間地域においても、地主との土地の賃貸売買契約がなかなか難渋をしておるという話も聞いているわけです。計画は順調に進んでいるんだという御答弁でしたが、四百三十億の道路工事となりますと、しかも五十年の三月というタイムリミットがあります。そういうようなことからしろうと的に判断しても、ほんとにできるのかという疑問がまず先立つわけですね。そういった面は、いまの日本の、がむしゃらにやる、突貫工事でも何でもやって、自然をつぶしてでも機械力を応用していけばできないこともないかもしれませんが、自然保護とか、あるいは地域住民の意見等というものも、どうしても考慮に入れなければいかない問題でありますので、そういった社会的要因等も含めて、どういう御判断をしておられるのか、また現在最も難点は何なのか、そこいらについてもう少し明確な御説明なり答弁を伺いたいと思います。
  172. 菊池三男

    ○菊池政府委員 ただいま具体的に石川——名護間の有料道路の問題でございます。実はこれは昨年の十月ごろから道路公団が直接設計に入ったということで、それを五十年三月までにやることは、先生言われるまでもなく、非常にむずかしい、非常に工期の短い、通常では私はできない工事だと思います。しかしながら、御承知のように沖繩には鉄道がございませんし、現在の幹線道路も、嘉手納までは四車ありますけれども、それから先名護までは二車しかないという段階でございますので、どうしても沖繩本島を縦貫するメインの道路が必要であるということで、それが海洋博ともあわせましてどうしても至急につくらなければならないということで、これは私ども五十年三月までにやるということは相当な決意でございます。したがって、当初はこれができなくなるんではないかというような危惧の念が非常に強かったわけでありますけれども、その後、地元との関係も、ほぼ関係の地主さん方は了解をしていただいております。  それから石川と名護の間は延長約三十キロございますが、特にそのうちの十一キロが米軍の基地内を通過しております。これにつきましても、すべて話がつきまして、そこへ道路が通るということ、これは現地では了解点に達しておりますし、あとは日米協定による書類あるいは手続等の問題がまだ残っておりますけれども、もうほとんど片がついておりますし、またその地主さん方につきましても、用地買収することが地籍の確定等で非常にむずかしいので、起工承諾という形で賃貸をして道路をつくっていこうというような形で進んでおりまして、そういう意味で、当初危惧していた問題は比較的順調に進んでおる。つい最近、基準価格も全線にわたって発表しております。その中の一部、一、二の部落でまた基準価格の発表まで至ってないところもございますけれども、間もなく、そういうところにつきましても、用地の交渉が進められると思っております。したがいまして、一番難関である用地が取得できますと、あと工事につきましては、特に長大なトンネル、特に長大な橋梁というものもございませんので、何とか海洋博に間に合わせるように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  173. 上原康助

    ○上原委員 施設庁お見えになっていますか。というのは、いま御答弁ありましたように、三十キロの約三分の一強が軍用地内を通らなければいかないというのです、縦貫道路というのは。その点は、米側の施設内、いわゆる基地内を通過していい、通していいという対米折衝、土地問題というのは、施設庁としては解決を見ているんですか。
  174. 奈良義説

    ○奈良説明員 お答えいたします。  この問題につきましては、十二月にすでに提案をいたしました。日米合同委員会の下部機構に施設委員会というのがございます。そこへ正式に提案をいたしまして、三月十五日に米側から原則的に条件つきで同意できるという意向の表明はございました。  その条件と申しますのは、たとえば、この道路の下を水道管が走っているとか、いろいろなケーブルが走っているとかというようなことがございますので、そこに道路を通させるということによってその周辺をどういうふうにするかというような、すぐ現地で詰めてもらわなければならない条件がございます。これさえ整えば同意できる、こういう意向が示されてまいりました。したがって、いま現地で技術屋さんその他が集まって、どのように処理するか検討してもらっている最中でございます。
  175. 上原康助

    ○上原委員 条件つきですが、その条件を満たせば施設内、基地内を通さなければいかない部分についてはもう問題ないという合意を日米で見たという理解でいいですか。
  176. 奈良義説

    ○奈良説明員 返還してもらうという意味のことでございます。
  177. 上原康助

    ○上原委員 そこで、土地問題については、ほぼ民間あるいは基地内等も解決できる見通しが立ったということになろうかと思うのですが、先ほど御答弁ありましたように、タイムリミットがある以上、物理的な非常にむずかしい面もある。しかし何とかしてやらなければいかないというお立場かと思うのです。実はこれは、工事の着工はいつごろからかということ、また道路の規模はどういう計画なのか、御説明いただきたいと思います。
  178. 菊池三男

    ○菊池政府委員 着工がいつごろからかということでございますが、着工は地主さん方の承諾が要りますので、鋭意進めておりますが、七月ごろか八月ごろにはすでに現地の着工ということにいかないと工期が非常にむずかしくなってまいりますので、五月、六月ぐらいまでの間に地主さん方の了解を得て、そして七月、八月ごろには着工したいというふうに考えております。  それから、規模はどういう規模かということでございますが、これは、いまの石川と名護だけ、それからまたさらに南のほうの那覇までいずれいく予定でございますが、さしあたっての石川−名護だけの間について申し上げますと、二十六キロでございます。そして幅員が四車線つくります。当初から四車線つくるわけであります。それに要する事業費が約四百三十億円というふうに考えております。それで着工が、先ほど言いましたように、七月、八月ごろからして海洋博までに終わるということでございます。
  179. 上原康助

    ○上原委員 入札はすでに行なわれたのですか。
  180. 菊池三男

    ○菊池政府委員 まだ入札は執行しておりません。
  181. 上原康助

    ○上原委員 現地の関係者のおっしゃっていること、あるいは新聞で報道している面からすると、五月八日に道路公団が指名入札を行なったが、二回とも午前午後にわたってやったんだが落札しなかった、ということも聞いているのですが、それは事実なんですか。それとも、いまの御答弁じゃまだやっていないということですが、そのあたりの御見解は。
  182. 菊池三男

    ○菊池政府委員 私の答弁は、まだ契約していないということでございます。それで実は入札も、公団のやり方は、現場説明をやりまして、入札をして、それから単価等の折衝をして、それから契約ということになりますので、契約がまだ少し先になると思いますけれども、そういう意味の準備段階としての現場説明、それから入札はあるいはやっておるかとも思います。
  183. 上原康助

    ○上原委員 契約はまだということは、やっぱり落札をしなかったから契約ができないという状況じゃないかと思いますがね。なぜならば、その理由は、これは本土も似たり寄ったりなんですが、建設資材の異常な値上がりあるいは建築資材の不足、特にセメントの不足ですね。労務賃金の問題等々があって、公団が見積もる単価とのかなりの開きがある。したがって、単価そのものをもっと考慮しないと——考慮をしてみても、なおかつ業者の単価見積もりとの格差があって落札をしなかったということなんですね。この一点をとらえてみても、ほかの道路工事も、あるいは関連事業みんなそういう傾向だと思うのですが、なぜなら、かなりの大型プロジェクトであるがゆえに、いまおっしゃるように、どうしてもそれまでに間に合わすんだということであれば、そこらについても、もちろんこれも一がいに単価をもっと上げなさいと私、言うわけでもありませんが、その他の物価の問題と関係しますので、そういうこと等がどうも建設省としてまだ十分配慮をされていないうらみがあるのじゃないかという気がするのですね。いまの御答弁では、入札したのかということに対しては、契約はしていないということで濁していらっしゃるのですが、そこらほんとうにどういう状態なのか。それをうやむやにしちゃいけないのです。入札に付したんだが、私がいま述べたような要因等もあって落札しなかった、あらためて検討しなければいかないという段階なのか、その点はもっと明確にしていただきたいと思うのです。
  184. 菊池三男

    ○菊池政府委員 ことばが足りませんでしたが、入札は行なったのでありますけれども、これは先ほど言いましたように、通常の場合と違いまして、入札を行なったが契約には直接結びつかないやり方なんです。入札をしてその結果の最低価格を落札した。それから単価等についていろいろネゴするわけですが、そういった上での契約でございます。ですから、その最初の段階の入札をやったかどうかというところまでは、ちょっと私、確認いたしておりませんでしたけれども、入札をして最低価格がきまって、それからネゴということになりますと、落札してもそれからのネゴで契約ができていないこともございますし、今度の場合は、いまの先生のお話ですと、入札そのものが落札というか、しなかったんだろうということのようでございますけれども、最低をネゴしますので、私もそのところは、最低がきまってネゴの段階に入っているのか、あるいはその最低がきまらなかったのか、ちょっとここでは、そこのこまかい点になりますと確固たる御返事はできかねますけれども、いずれにいたしましても、通常の入札で必ず最初から落ちるとは限りませんし、何回かやることも出てまいりますので、そういう場合にこれが該当しておるのか、あるいは最低価格がきまっていまネゴの段階に入っているのか、ちょっとその辺は確認してみないとわかりません。
  185. 上原康助

    ○上原委員 そういうことをやりとりしても始まりません。とにかく、いま順調に進んでいるとおっしゃっていますが、契約問題あるいは資材の単価問題労賃問題等を含めてかなり問題があるということは指摘できると思うのです。もちろん、それは指名入札ですから制約もあるでしょうし、また落札してもこまかいネゴの問題もあるでしょう。こういうことを含めて考えてみました場合、当初の皆さんが予定しておった着工時期、あるいは七月か八月にはおそくともやらなければどうにもならぬということ等々を考えた場合に、沖繩現地のいまの状況からして、おっしゃるとおりそう順調に事が運ぶとは思えないわけですね。そういうものが具体的にどう解決されるかわからないところに、なお県民の海洋博問題に対する疑惑、あるいは不信等々というものも出てくると思うのです。そういう社会的要因というものを十分踏まえてこの問題には対処していかなければいかないのじゃないかという点を強く指摘をしておきたいと思うのです。  それで、この縦貫道路が道路面では大きなプロジェクトになるわけですが、その他のいわゆる道路の改築整備というのは一体どうなっているのか。海洋博だけでなくして、現在、建設省でやる沖繩の道路改築。新設でもいいのです。整備を進めているのはどこどこなのか、具体的にお示しをいただきたいと思うのです。
  186. 菊池三男

    ○菊池政府委員 建設省で国道五十八号線につきまして直轄で実施しております区間は那覇から名護を通りまして、その先の辺土名というところがございます。そこまでは直轄の管理区間になって工事をやっております。そのうち那覇から嘉手納を通りまして仲泊というところがございますが、これは沖繩本島の一番くびれたところで、先ほどの石川のちょうど西側に当たるところでございます。そこまでを早急に海洋博の関連とあわせまして、現在二車のところは四車に、四車の一部那覇−嘉手納間が四車でありますけれども、そこを六車にという工事をいま急いでやっております。そういたしますと、那覇からいまの四車に広げたところを通って仲泊まで行く。そこで本島を横断して石川から名護に行くということになろうかと思います。そして石川から行く縦貫道も名護の手前で終点になります。その終点から許田というところでありますけれども、そこと名護の間はやはり早急に四車にするという計画でございます。これも海洋博にあわせてやろうというつもりでおります。  それから、それ以外に直轄国道について何をやっているかということでございますが、実は沖繩につきましては、国道ではありますけれども、従来米軍で管理しておりまして、歩道とか、あるいは歩行者、自転車というものに対する措置がほとんどできておりません。したがいまして、早急に歩道をつくる、それから横断歩道橋をつくる。あるいは側溝等もほとんど整備されておりませんで、道路の排水が民家にたれ流しになっておるという状態でございますので、拡幅工事とあわせてそういう歩道の整備等をやり、あるいはまた拡幅がない場所につきましても、単独でそういう交通安全の面を特に強調してやっておるところであります。  それ以外に、辺土名から奥というところまで、これを補助事業で実施もしております。それ以外に、補助事業といたしましては県道あるいは市町村道で、これは海洋博関連のものもありますし、そうでないのもございますが、四十七年度の実績から見ますと、補助関係はだいぶ繰り越しが出ておるようでございます。これは、いままで復帰する前に沖繩でやっておった事業が、毎年、それを消化していないうちにその次の年度の工事が出るというようなことで、非常に繰り越しが多かったのでございますが、そういうようなところも、ございまして、約半分くらいの繰り越しが出ているかと思います。
  187. 上原康助

    ○上原委員 これと海洋博とは直接関係はありませんが、いわゆる復帰記念事業の一環として宮古、八重山の先島の循環幹線道路をやるということが決定を見ておるわけですが、その面の工事の進捗状況というのはどうなっているのか。いま本島だけをお述べになったのですが、それは県におまかせなのか。あるいは国の補助で着工されておりますので、その点についても、現在の進捗状況、あるいは今後の見通しを御説明いただきたいと思います。
  188. 菊池三男

    ○菊池政府委員 実はちょっと私、本島の分しかここに資料を持ち合わせておりませんが、県が単独でやっている事業ではなく、これは県道、主要地方道として、あるいは市町村道としての補助事業でございますが、実施の主体は沖繩県でございます。  それに対する補助でございますが、ちょっとここにそれの資料を持ってきておりませんけれども、先ほど申しました全体の繰り越しというようなことからまいりますと、また特に海洋博の関連事業に沖繩県自身が相当手をつぎ込んでおりますので、その他のところには若干影響は同じようにあるのではないだろうかと思います。
  189. 上原康助

    ○上原委員 後ほどまた申し上げたいのですが、要するに、海洋博だけにあまりとらわれ過ぎてしまった。これはもちろん国だけの責任じゃない面もあろうと思うのです。県のほうで予算執行その他を進めていかなければいけないこともあるということを一応踏まえながら申し上げたいわけですが、先島の循環道路なり主要幹線道路というのは、道路整備以前の問題があるわけですね。そういったこと等もあわせて、基盤整備、道路整備というものはやっていかないと、海洋博だけに目をとらわれ過ぎてはいけないという点を指摘をしておきたいと思うのです。  そこで、例の旧軍用道路一号線、現在国道五十八号線、私も連休期間現地へ行っておりまして、かなり部分的に幅員が拡張されつつあります。ただ、いま手をつけられているところは比較的容易なところ、話し合いがついたといいますか、そういうやりやすい面から進んでいるわけですが、そのことは私も是としつつも、一体軍用地に食い込む部分はどうなっているのか。あるいは一方は軍用地になっておる。一方は民間地域になっている。そこいらの土地の買い上げといいますか、賃貸借はいろいろあると思うのですが、特に軍用地関係、城間から那覇、第二兵たん部隊一帯等、嘉手納、それから北谷があるわけですね、宜野湾を含めて。そういった、おもに那覇から嘉手納間の軍用地に食い込む部分の面については、米側との話し合いはついているのかどうか、説明をいただきたいと思うのです。
  190. 奈良義説

    ○奈良説明員 国道五十八号線につきましては、計画の進捗状況といいますか、それによりまして二つに分けていま対米折衝をいたしております。  一つは北部のほうでございます。嘉手納から仲泊までの部分でございまして、これは約八キロ程度のものでございますが、三月十三日に必要な拡幅部分の返還の申請を正式にいたしました。まだこれは返事をもらっておりません。それから南部の部分でございますが、この部分については現地ですでに調整が終わりまして、いまちょうど私どもの本庁のほうに書類が上がってきております。現在本庁で書類を整理しておりまして、早ければ来週中に施設委員会に持ち回りででも提案いたしたい、このように考えております。したがいまして、まだ米側からけっこうだという意思表示は来ていない状況でございます。
  191. 上原康助

    ○上原委員 ちょっと話が飛ぶのですが、例の国体道路ですね。北谷の浜川区からコザ市の市営球場までですかの国体道路が約三キロですかあったのですが、それが国体の五月三日まで間に合わなかった。私も念のために通ってみたのです。確かに両方の入り口だけはお化粧をして、車で通る人は、よう何とか形はつくったなあと思ったかもしれませんが、中に入ると実にでこぼこで、どう見ても七割程度のできなんですね。それがおくれた原因を一体どう見ておられるのか。いまの点と関連すると思うので……。
  192. 奈良義説

    ○奈良説明員 いまの国体道路につきましては、私ちょっといま資料を持ってきておりませんので明確にお答えできませんが、すでにあそこの敷地はたしか返還になっていたかと思いますが……。
  193. 上原康助

    ○上原委員 そこで大臣にお尋ねしたいのですが、いま二、三具体的な問題点をあげてお尋ねしてみたのですが、沖繩の道路行政にしましても、基盤整備、都市計画にいたしましても、そのネックというのはやはり軍用地、軍事基地の存在というものを無視するわけにいかないわけです。国体道路がおくれたのも、われわれがいろいろ見たり聞いたりしているところからしますと、当初政府なり県側が要求したように、アメリカ側が軍用地に通せば、そんなに手間どる問題ではないのです。なかなかOKしてくれない。いまも、嘉手納から仲泊までの約八キロですか、まだOKが出ていない。あるいは中部にしましても、なかなかアメリカ側がサインを出してくれない。そうしますと、先ほどの縦貫道路もそうなんですが、そう簡単に事が運ぶとは思えないわけですよ。だからその点は、防衛施設庁とかあるいは外務省にまかせておったのでは、正直申し上げて私はどうにもならないと思う。道路行政一つとってみてもそういう状態。あとで那覇市の都市計画についてもお尋ねしたいのですが、都市計画、公園計画いろいろな面を考えても、軍用地にどう対処して政府全体がやっていくかということにかかわっていると思うのです。こういう点については、単なる事務ベースにまかすのではなくして、それこそ大臣のお仕事だと私は思う。みんなおっしゃるような、海洋博をどうしてもやるのだといっても、その障害は軍用地にもあるわけですからね。そういう面に対して、大臣としてどう取っ組んでいかれようとしているか。あるいはいま私が申し上げた点について、まだこれからやっていかなければいけないのだなとお感じになった点もあろうかと思うのです。そういう面を含めて大臣の決意といいますか、所見のほどを賜わってみたいと思うのです。
  194. 金丸信

    ○金丸国務大臣 沖繩県は、本島に比べますとまことに不遇な立場におって、その役割りも非常に大きいと思いますし、また鉄道がないということがまことに交通の便を悪くしていることは言を待たないと思います。そういう意味で交通上道路を完備するよりほかに方法はないのです。こういう面で最善の努力をして一日も早く本島並みに持っていきたい、こういう考えでおるわけでございます。  また軍用基地の問題につきましては、これはでき得べくんばないほうがよろしいという考え方であるわけですが、安保条約の関係もあることでございますから、できるだけ縮小してもらっていくということについては最大の努力を払わなければならぬ。そういう意味で道路の問題も軍用地問題と相当からんでおります。事務当局にまかしておくということだけでなく、私も出張りまして、ひとつ外務大臣なり防衛庁長官なり施設庁長官なり、いろいろの角度からこの促進をはかりたい、こういうふうに考えております。
  195. 上原康助

    ○上原委員 その点は、あまり縦割り行政だけになって、軍用地問題は防衛施設庁だ、あるいは外務省だというような消極的なあれじゃなくして、やはり縦割り横割りの政府関係省庁の連絡機関といいますか、コミュニケーションといいますか、あるいはいろいろな方針を推進をしていくには何としても——われわれの立場でいくと、軍事基地なんか百害あって一利もないという立場なんですが、政府はそこまでは言っておられないようですから、必要最小限度の返還、開放については、私はもっと積極的にやらなければいかぬと思うのですよ。それがなされないままに、あっちにつっかかりこっちにつっかかり、道もまっすぐ行くのを曲がりくねってできたんじゃ、県民感情としては、そこが日本政府の政治姿勢かということになっちゃうわけですから、そういうことを含めて、いま決意の一端をお述べになったのですが、事、道路整備に対しては、がむしゃらに機械だけを通すのじゃなくして、基地の中を通してでも県民福祉につながる面を確立していく、その姿勢をぜひ立てていただきたいと思います。   〔藤尾委員長代理退席、委員長着席〕  あと、この海洋博関係と関連して、先ほどの例の下水道工事と、ごみ処理施設についても、やはり建設省の管轄になるわけですか。
  196. 金丸信

    ○金丸国務大臣 下水道だけで、ごみは厚生省です。
  197. 上原康助

    ○上原委員 下水道について、特に名護市あるいは本部町の負担というのが問題になってきているわけですね。地元負担、そう言えばまた、いや特別措置法で本土よりは補助率はアップしてあるということをすぐ御答弁なさると思うが、そうじゃなくして、いまの地方自治体が本土の六割程度の水準にしか達していないというところに、さらに大きな工事が、集中的なものがいくわけですから、なかなか対応能力がないわけです、実際問題として。地元負担をできるだけ少なくしているということは、これまでの政府の方々の御答弁なんですが、こういった海洋博は国の行事としてやるわけですから、もっと私は、下水道問題についても、この際政府が一〇〇%めんどうを見る、そこらの決意はあってもいいんじゃないかと思うのです。その御方針はお持ちでないですか。
  198. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 下水道事業につきましては、従来のおくれを取り戻すために相当急激に今後投資を続けていかなければなりませんし、海洋博関係は時限が限られておることもありますが、一応私どもとしては、国の補助率等を考えまして、現行制度でなお今後やっていきたいと考えております。
  199. 上原康助

    ○上原委員 従来の考え方といいますと、先ほど政府が説明をなさった予算措置以上のことは配慮できないということですか。
  200. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 下水道事業の国庫補助率につきましては、沖繩だけでなくて日本全土にわたって非常に急激にふやしていかなければならないということで、いわゆるその五カ年計画の総ワクを大幅に拡大する必要があること、及びそれに伴いまして、地方財政との関連で国庫補助率をおそらくは引き上げなければならないのではないかということを建設省としては考えております。そういうことで、実は現在下水道の五カ年計画は第三年目を迎えているわけでございますが、明年度以降、これを現行のまま四年目、五年目と移行するのではなくて、何とか四十九年度からの新規の五カ年計画に切りかえたいということを考えております。その場合には、当然、総ワクも現行五カ年計画の総ワクよりも相当伸ばして、需要に対応できるようにしなければなりませんので、沖繩を含めまして国庫補助率の引き上げということは、当然必要になってくると私は考えます。
  201. 上原康助

    ○上原委員 もちろん政府の政策としては、本土全体の補助の問題なり、あるいは下水道事業政策という立場で沖繩も位置づけなければいけないということは、復帰した現時点においては、私は当然とは言いませんが、やむを得ない措置だと思うのです。しかし、事、海洋博の関係においては、いま県側で一番問題にしているのは、確かに沖繩振興開発にかなりのメリットもあるだろうが、地元の負担というものは単なる資金面だけじゃないわけですよ。やれ植樹祭、やれ国体、やれ海洋博だということになりますと、いわゆる人的にも相当のしわ寄せがいくわけですけれども、加えて地元負担というようなことになりますと、整備をすれば、確かに地域住民はそれの施設の便に浴するわけですが、かといって下水道問題は単なる受益者負担というようなことじゃいかないと思うんですね。特に短期間において、あれだけのプロジェクトを進めていくという場合、そこで大臣にもぜひ理解していただきたいことは、たとえばいま本部町の人口というのは約一万八千人なんですよ。四十七年度の予算総額が七億円程度、そのうち自主財源というのはわずかに一五%だといわれているのです。しかも本部町は海洋博のその主要地になりますから、下水道とか屎尿処理、そういった面での補助率が——建築費が大体本部町関係だけで十五億円程度といわれておりますが、何とそのうちの二五%四億円は起債だという。七億円の年間予算しかない地方自治体が四億も起債をしていかなければいかない状態。これは下水道だけに限っているのですけれども、屎尿処理と下水道、そのほかにもまたいろいろの起債をやらなければいかないはめにおちいっている。だからもう地方自治体そのものは、物価の視点においても満身創痍なのに加えて、こういう乗っかりをやられている。  これは一例ですが、ここまで地方自治という立場を苦しめる、と言ったらちょっとことばが過ぎるかもしれませんが、負債を背負わしてまでやっていくというところに、私は、海洋博に対して県民あるいは地域住民が、国の行事なのにどうして私たちがこんなに大きな借金を背負わなければいけないのか。これは何も町長だけがやるわけでもなしに、その住民全体が結果的には背負うことになる。あとで赤字財政になって、政府の補助とかいうことも出てくるかとも思うのですが、そういう実態というのは、私はもっと政府は親身に考えてしかるべきじゃないかと思うのです。ですから、先ほどの御答弁の、本土がそうなんだ、あるいは沖繩がある程度めんどう見るのだというような立場ではなくして、こういう実態というものをどう並行して解決をしていくかということが、私は、海洋博の開催というものをほんとうに県民が受け入れる気持ちに変わっていく一つの起点にもなろうかと思うのですけれども、そういう状態ですので、こういった下水道問題についても、もっと前向きの対策が立てられないのかどうかということ。  もう一つは、予算が現在四十七年、四十八年と組んでみても、これだけでは私はどうしても、物価の値上がり等によってまかない得ない面が出てくると思うのです。そうすると、地方自治体はますます大きな対応費を持たなければいけないのは、これはもう自然でしょう。こういうようなことに対して、大臣、もっと御検討していただいて、地元負担というものはなるべく軽減をしていくということでなければいかないと思うのですが、あらためて大臣の決意をぜひ伺っておきたいと思うのです。
  202. 金丸信

    ○金丸国務大臣 地方財政の負担、こういうことによりまして財政の破綻を来たすということがあってはならない、こう私も思います。しかし、ことしの予算の過程におきましては、それに対してどう言うということもできませんが、この問題は将来の問題として、大蔵大臣と私も十分折衝して、海洋博覧会というものは特別のものであるし、沖繩という特別な、復帰ということを前提にしてやる海洋博を開くということですから、そういう意味も十分踏まえまして大蔵大臣と折衝してみたい、こう思っております。そして赤字財政の補てんを何らかの方法でするようなことを考えてみたい、このように思っております。
  203. 上原康助

    ○上原委員 ぜひひとつ、最終的には大蔵のほうがひもを解いていただけるかどうかということになろうかと思うのですが、実態を十分御理解をいただいて、大蔵省あるいは自治省とも関係するかと思うのですが、いまおっしゃったような方向での、地元にもうこれ以上過当な負担をさしては、せっかく善意でやった計画も、あるいはみんな不信ばかりを招く結果にもなりかねないと思いますので、特段の御配慮をいただきたいと思うのです。  きょう、何か時間を委員長かなり気にしておられるようですから、あといろいろお尋ねしたかった点もあるのですが……。  先ほども同僚の和田委員のほうからも住宅問題についていろいろお尋ねがあったのですが、沖繩の住宅状態というのも、御承知のように非常に住宅難世帯が多い。そういう実情を踏まえて、政府でも第二次五カ年計画の中に沖繩も組み入れて、何か、七万六千戸の公営あるいは私営の住宅をつくるんだ、住宅公団でやるんだという御計画が発表されたやに聞いているわけですが、まず沖繩の実態は、多く申し上げるまでもなく、本土の住宅難世帯というのが、これは四十五年で、ちょっと古いかとも思うのですが、平均で大体一四・六%、東京の過密地帯でも二六%程度だといわれているわけですね。しかし沖繩は、同時点で何と三六・九、約四〇%という状態。規模の点からしても、一人当たりの畳数というのが、本土が大体六・一畳、東京、大阪など過密地帯でも五畳だが、沖繩は三・八畳だといわれているわけですね。こういう状態というのは、やはり基地問題が原因をしているでしょうし、あるいは戦争によってほんとうに廃墟になった、そういう面からの立ち上がりがおくれたということ。あるいは台風の常襲地帯で、瞬間風速六十メートルから七十メートルぐらいに対応できる住宅でなければいけないという専門家のお話もあるわけですね。そういう状況等を勘案した場合に、沖繩の住宅問題というのは、本土もそうでしょうが、本土以上に深刻なものがあるということは言えるかと思うのですね。  そこで、きょうこまかい点まではお伺いできませんが、今後そういった住宅難を解消していくために、建設省としては、どういう御計画、方針をお持ちなのか、お伺いをしておきたいと思うのです。
  204. 沢田光英

    ○沢田政府委員 先生おっしゃいますように、沖繩の住宅事情はたいへんきびしゅうございます。そこで、私どもただいまの方針は、本土の五カ年計画、すなわち四十六年から五十年までの五カ年でございますが、こと中に、四カ年で追いつくわけでございますが、四カ年で本土並みの平均の水準に持っていこう、かような考え方がまず基本でございます。したがいまして、水準の問題もございますし、そういうことから、公共的な投資、公共的な住宅の率というものを本土よりもずっと上げてございます。先ほどおっしゃいましたように、五カ年計画では、四カ年でございますが、七万六千戸が計算上は出てくる。その中の半分は公的住宅でいこう、しかも相当部分を公営住宅のようなものでいこう。御存じのように、公営住宅等は内地の補助率よりも一段、みんな上がってございます。したがいまして、家賃等も、本土よりも安くなる計算になります。さらに、先生がおっしゃいますように、台風問題などございますので、すべて中層耐火構造、こういうものでやっていくというふうな予算を実は組んでおるわけでございまして、計画上は四カ年で本土の水準に到達する、何が何でも到達するというふうな体制を実は考えておる次第でございます。
  205. 上原康助

    ○上原委員 そういう御計画は一応よいかとも思うのですが、ただ住宅問題は、先ほどのお話にもありましたように、地価とか、土地代とか、あるいは物価とか、いろいろな面で建設の総コストというものが家賃にはね返っていくわけですね。そうしますと、せっかくつくってみたって庶民にとっては高ねの花になってはいかぬわけです。そういうこと等も踏まえて、ほんとうに庶民の住宅難を解消していくというものがまず基本でなければいけないと思うのですね。特に海洋博等の関係において、物価、土地、労賃、資材、いろいろなものが軒並み値上がりをしている状態では、この計画も机上プランに終わる可能性なきにしもあらずと私は思うのです。それと、つくっても、多くの庶民に利用できる低廉な家賃で利用していただく、そういうものもあわせてこの住宅問題というのはぜひお考えになっていただきたい。つくってみたが入る人がいなくて、あと自衛隊が、ぽかぽか入ったということでは、これは何のためにつくったかわからなくなる。そういうことのないように、ひとつこの問題についてもぜひなにしていただきたいし、さらに、民間デベロッパーだけにまかしておくと、どうしても家賃というものはかさむ。そういう意味では、個人住宅ということにウエートを置くのではなくして、公営住宅という面に置いて、家賃の問題というものも、原価主義とか、あるいはそういうことでなくして、沖繩の実情に即応した住宅政策というものを立てていただきたいと思うのです。この点についてば、大臣の御答弁を求めておきたいと思います。
  206. 金丸信

    ○金丸国務大臣 先ほど来私が申し上げましたように、沖繩というところは戦争の惨禍をなめ、非常な苦心をし、そうしてきょうまで来ておるという歴史も踏まえなければならない。そういう意味で、道路にいたしましても、住宅にいたしましても、できるだけあたたかい手を伸ばすべきである。そういう意味で、ただいま先生の御指摘の点につきましては、十分承りまして努力したい、かようにいたしたいと考えております。
  207. 上原康助

    ○上原委員 最後に、おもに那覇市周辺の都市計画の問題ですが、これも御承知の返還、開放問題と密接につながっているわけですね。特にここで実情を申し上げておきたいわけですが、那覇市の総面積が三十六・三五平方キロ、そのうち軍用地は、最近余儀のガソリンタンクが返還をされて若干減っているとは思うのですが、三分の一、約十平方キロが軍用地なんですね。返還されて幾ぶんこれよりも数字は低くなっているかもしれません。那覇市の人口密度は、皆さん一体どの程度と見ておられますか。——いいです、私のほうから申しますから。総人口約三十万で、軍用地を除いて一平方キロ一万一千六百二十八人、軍用地を含めて八千百五十人。一キロ四方にこれだけいる。これを本土の、たとえば大体類似市等を比べてみましても、栃木の宇都宮が九百六十四人、下関でも千百八十一人、高松でも千四百十二人、鹿児島千四百三十七人と、那覇市の場合実に八倍近くも密度が高いわけですね。それはなぜか。そういう状態では、都市計画、特に街路整備というものはおぼつかない状態なんです。そういう意味で那覇市の公園問題都市計画問題等を考える場合にも、どうしても、先ほど申し上げましたように、まず沖繩の県都といえる那覇市から戦争のにおいは取っ払う、そのくらいの意気込みがないと都市計画、公園問題というものは私は解決しないと思う。道路行政を含めて、そういう実態をぜひ踏まえて、これからの都市計画問題あるいは振興開発計画等の位置づけにおいてやっていただかなければいけないのじゃないかという気がするわけなんです。こういう状態について、特に都市計画の問題、公園計画あるいは街路整備等々の点についてどう取っ組んでいかれようとしているのか、ぜひ御見解を賜りたいと思います。
  208. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 那覇市の人口密度が非常に高く、それは軍用地が多くを占めているということにも原因しているということは御指摘のとおりでございます。一方、那覇市はじめ沖繩には鉄道がございませんので、そういう意味では、すべての交通は道路及び自動車、大衆交通としてはバスというものにたよっているという実情であります。今後、那覇市をはじめ沖繩における経済その他が復興してまいりますと、ますますこういう交通需要というものがふえてくると思われますので、最小限度の街路等の都市施設というものは、那覇市におきましては特にその整備が急を要するものであります。現状でも非常に交通混雑をきわめていると聞いておりますので、この道路の拡幅あるいは別路線等をつくる、あるいは那覇市内を直接通らない環状的な外郭道路を計画する、あるいは道路以外のいろいろなたとえばモノレール等の建設等も計画してみるというようなことを総合的に行ないまして、那覇市の都市計画が本土の都市計画同様、最小限度の公共施設を整備できるような体制をぜひともとっていかなければならない、かように考えます。
  209. 上原康助

    ○上原委員 それはいま道路問題に触れましたが、都市計画はもちろん道路を含めてなんですが、市の面積に対する道路の整備率につきましても、実に那覇市の道路率というのは七%なんですね。標準道路率は大体二〇%だといわれているわけですよ。こういう状態、三分の一。さらにその公園の面積にしましても、那覇市の公園面積は実に〇・六平方メートルしか持ち合わせていない。ほとんど皆無の状態なんですね。それから公園法の基準によりますと、少なくとも六平方メートル程度の公園は保持しなければいけないということは、法律でも基準がうたわれているわけですね。そういう点を含めて、こういう状態というのは、やはり軍事基地の存在というもの、あるいは戦災復興的な都市計画というものがまだ全然なされていなかった、そういう実態をとらえて、ぜひ都市計画、街路整備というものを、これはもちろん国だけの責任ではないでしょうが、那覇市あるいは県との関係もあると思いますが、実態というものをよく御理解いただいて、特に海洋博も開催をするという立場にまだあるわけですから、そうであるならば、沖繩の県都である那覇市については、やはり本土水準までに向こう二カ年までに少なくとも持っていかなければいけないというのが私は当然だと考えるのです。そういう意味で、軍用地開放の問題を含めてぜひ特段の御配慮をあらためて要請し、最後に大臣の、都市計画を含めてやっていくんだという決意を伺っておきたいと思うのです。
  210. 金丸信

    ○金丸国務大臣 都市計画にいたしましても、道路問題にいたしましても、あるいは水源地問題に  いたしましても、下水道問題にいたしましても、先ほどから申し上げておりますように、沖繩は特別な地域だと私は思います。それにはそれらしいふさわしい方途を講じたい。それにはいまの法律ではできない問題もたくさんあります。こういった面で、横の連絡を十分にとりまして御期待に沿うようにいたしたい、こう思っております。
  211. 上原康助

    ○上原委員 これで終えますが、国道三三一号は七月から開放しますね。
  212. 菊池三男

    ○菊池政府委員 国道三三一の小禄の地区でございますか、これは現在ゲートで閉鎖していますが、安全施設が終わり次第に開放する、供用を開始するということになっております。これが七月一ぱいに安全施設ができる予定でございます。そうしますとそのまま開放することに相なります。
  213. 上原康助

    ○上原委員 ぜひひとつ早急に開放できるように御努力をいただきたいと思います。どうも。
  214. 三原朝雄

    三原委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  215. 三原朝雄

    三原委員長 速記を始めて。  この際、暫時休憩いたします。    午後四時五十三分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕