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1973-04-19 第71回国会 衆議院 内閣委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年四月十九日(木曜日)     午後三時四十九分開議  出席委員    委員長 三原 朝雄君    理事 奥田 敬和君 理事 加藤 陽三君    理事 笠岡  喬君 理事 中山 正暉君    理事 藤尾 正行君 理事 大出  俊君    理事 木原  実君 理事 中路 雅弘君       伊能繁次郎君    大石 千八君       近藤 鉄雄君    竹中 修一君       旗野 進一君    林  大幹君       三塚  博君    上原 康助君       坂本 恭一君    山崎 始男君       和田 貞夫君    木下 元二君       鈴切 康雄君    受田 新吉君  出席国務大臣         通商産業大臣  中曽根康弘君  出席政府委員         通商産業大臣官         房長      和田 敏信君         通商産業省通商         局長      小松勇五郎君         通商産業省企業         局長      山下 英明君         通商産業省企業         局参事官    三枝 英夫君         通商産業省重工         業局長     山形 栄治君         通商産業省化学         工業局長    齋藤 太一君         通商産業省繊維         雑貨局長    齋藤 英雄君         通商産業省公益         事業局長    井上  保君         中小企業庁長官 莊   清君         中小企業庁計画         部長      原山 義史君  委員外出席者         沖繩開発庁振興         局振興第一課長 加瀬 正藏君         外務省経済局外         務参事官    手島れい志君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ————————————— 委員の異動 四月十八日  辞任         補欠選任   越智 伊平君     萩原 幸雄君 同日  辞任         補欠選任   萩原 幸雄君     越智 伊平君     ————————————— 本日の会議に付した案件  通商産業省設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第二二号)      ————◇—————
  2. 三原朝雄

    三原委員長 これより会議を開きます。  通商産業省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上原康助君。
  3. 上原康助

    上原委員 最初に、今回提出されました通商産業省設置法の一部を改正する法律案について、一、二点お伺いをしたいと思います。  設置法の一部を改正する法律案趣旨説明につきましてはすでにお伺いをしたわけですが、今回かなり大幅な法改正を余儀なくされたということは、従来の政府あるいは省の産業政策が、一般的にいわれておるように、いわゆる輸出第一主義、あるいは経済第一主義、そういう面でいろいろな弊害が出てきた、そういった産業転換を含めて、機構改革と同時に、新しい経済体制、いわゆる公害問題なり経済第一主義ではなくして、人間優先といいますか、一般的にいわれているそういう反省点も含めてのこの法の改正提案なのか。単なる機構上の問題としてとらえておられるのか。そこいらについてもう少し、省のお考えなり、これからの方針というもの等を含めて、明らかにしていただきたいと思います。
  4. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 今回の機構改革は、最近の国際情勢並びに日本国民経済の変化、特に産業構造転換時代的要請等を踏まえまして、一面においては、従来の成長中心重化学工業中心の方策から知識集約型、付加価値の強い産業型にこれから転換させていく。また一面においては、消費者、あるいはそのほかの流通関係をも重要視するということ。それから、エネルギーに関する時代的要請について、しっかりとした施策の統合を行なう部局を強化するということ。それから通商関係において、国際協調という面を重要視して、輸出重点という点から均衡を重点とする、そういう方向転換するという必要性。そういう大きな時局の必要性にかんがみまして、それを実行し得る官庁に脱皮するために今回の改革を行なったのであります。
  5. 上原康助

    上原委員 そういたしますと、いま時代要請に沿うて産業構造なりあるいは機構の整備を行なっていく、そのことは、先ほども指摘しましたように、従来の経済第一主義公害問題等を含めて、今回の機構改革を断行することによって、十分とまではいえなくても、かなり出てきている弊害についてはあわせて対策を立て得る、そういう前提での機構改革法律改正提案だと受け取ってよろしいですか。
  6. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 官庁あるいは行政の仕事というものは、機構だけにたよることは非常に危険であると思います。しかし機構改革もまた必要でもあります。そういう意味におきまして、そういう方向通産行政転換させていくということをよく通産省関係の公務員に認識させ、そういう精神を体得して、その精神のもとに行政を刷新していく。心がまえをまず充実させながら機構改革の実をあげていきたいと思います。
  7. 上原康助

    上原委員 そこで、これからの通商産業政策で最も重点といいますか、資源開発の問題なりいろいろ出てきておりますが、特に柱を立てて進めていく、あるいは積極的に推進をしていくというような政策というのはどういうものなのか、明らかにしていただきたいと思います。
  8. 和田敏信

    和田(敏)政府委員 今後の柱といたしましては、大きく分けて三つになるのではなかろうかと考えます。  第一は、先生指摘がございました国民福祉充実という観点であります。第二の観点といたしましては、国際経済社会における調和確保と申しますか、摩擦の回避という点にあろうかと思います。第三の点としましては、このように、内外にわたりましての調和を遂げながらわが国経済政策推進するにあたりまして、今後、わが国産業構造知識集約型のものといたし、産業構造転換していきながら、他面、何と申しても経済基本になりますエネルギー問題に関しましての総合調整をはかっていき、必要なものを安定的に確保するということにあろうかと思います。  やや付言をさせていただきますと、国民福祉充実という観点に関しましては、今回の改正は、昭和二十七年以来二十年余にわたりましての初めての大改正でございます。この二十年余にわたりまして、所得の増大を求める国民一般要請はほぼその目的を達成し得たかのように見えますが、反面、公害問題、環境問題等に象徴されております、経済国民生活との違和感というものが生じてきていることは、御承知のとおりであります。この点に関しまして、従来の生産第一主義観点より、これらの国民生活の実質的な福祉確保という点がその行なわんとする目標でございます。  第二の点に関連いたしましては、輸出に関しましては相当の成果をおさめ、またその保有する外貨も相当の量に達した次第でありますが、反面、わが国経済の急速な発展に伴いまして、わが国と対応いたします海外市場関係におきまして、日本の持つ経済力の巨大さのゆえに、必ずしもわれわれとしては意図したところではございませんが、先方の受けとめ方といたしましては至大なる影響を受けておるところは、先生承知のとおりであります。このようなことは、わが国経済発展の効果として、今後は、これらわが国の対応する市場関係に対しまして、より一そう相手国とともに生きるという形におきまして、調和のとれた形での対外経済政策推進が必要ではなかろうかと思う次第であります。  第三点といたしましては、立地問題あるいはエネルギー問題等、種々の経済発展を阻害する要因が出てまいっております。反面また、今後のわが国経済伸展なくしては国民福祉の実質的な確保は困難かと思われますが、従来のパターンでのそのままの伸展ということはもはや限界に近づきつつあるのではなかろうか。そのためには産業構造を、頭脳と申しますか、知識集約型あるいは高度組み立て型、あるいは消費者需要によりこまかくこたえていく高度な消費者対応型の産業、あるいは情報産業、このような形に産業構造の力点を置きまして、資源エネルギーの多消費型のものからの離脱をはかりたいと考えておる次第であります。  なお、そうは申しましても、エネルギーに対する需要は依然として今後も増大していくものと考えられますので、わが国経済の必要といたします資源エネルギーの長期的、安定的な供給確保を、資源エネルギー庁の創設によりましてこれを実施してまいりたい。この三点が今回の機構改革にあたりましての基本的な原理と申しますか、われわれの念願として考えておるところであります。
  9. 上原康助

    上原委員 私はもっぱらのしろうとで、むずかしいこと、専門的なことはわかりませんが、少なくとも、いまお述べになったように、わが国産業経済構造を根本的にといいますか、変えていかなければいけないというのは、これは単に産業界だけでなくして、国民の強い要求だと思うのです。  そこで、まず初めに、国民福祉優先ということ、あるいは国際協調国際調和というようなこと、地域集約型の点との関連、あるいはエネルギー開発問題等をおあげになっているわけですが、それは当然だと思うのです。そこで、昨日も米大統領もわざわざエネルギー教書などを発表して、逼迫しつつある国際資源問題等について国際的に非常に大きな関心事になっている。そこで、この教書を見てただ感ずることは、やはり、環境保全よりも、人間優先よりも経済第一主義だ、経済開発優先をするのだというようなことが、ざっと目を通して、かなり強調をしている面があるわけですね。せっかく国内において人間優先産業経済構造を展開していかなければいけないという段階で、ややもするとすべてアメリカに右へならえするようなこれまでの経済概念等考えると、せっかく国内で芽ばえてきたそういった産業構造の展開というものが、この教書影響によって産業界なり国民の間で、やはり日本経済優先第一主義でなければいけないのじゃないかということが起きないとも限らないと思うのですね。そういう面との関連において、政府は、わが国独自の方針として、いまお述べになったような方向はあくまで貫くお考えなのかというようなこと。  もう一つは、やはりアメリカとの経済調整の問題がいま、一番大きな課題だと思うのです。貿易自由化の問題にしても、外貨の問題にしても、そういったこと等に対して今後どう進めていかれようとしているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  10. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 アメリカ大統領エネルギー白書の問題でございますが、私も概要を拝読いたしましたが、アメリカ国内におけるアメリカとしての資源政策重要性を力説されておりまして、御指摘の面も確かに私も読みました。しかし日本は、日本独自の、日本環境に合った通産行政を進めていきたいと思っておりますので、参考にはいたしますけれども、そういう部面にまでアメリカにならって追随するというような考えは毛頭ありません。公害問題等につきましては、アメリカ等よりももっと濃密化している日本社会においては、注意を要する部面が多々あると思いますし、また資源政策にいたしましても、アメリカ日本は、立地条件需給関係環境をまるきり異にしておるものであります。それからアメリカには国防上の要請というものが新しい大きなファクターとして入ってきておりましょうが、日本は、憲法九条というアメリカとは異なった憲法下にあるのでありまして、そういう点につきましても、日本には日本の独自の考え方も存在するわけでございます。そういう面においていままで私が申し上げましたようなことを変える必要を認めません。われわれは、いま申し上げましたように、アメリカ情勢というものはアメリカ情勢として慎重に検討していきますし、今後アメリカ資源問題について世界政策をどう出してくるかという点については深甚なる注意をもって見守っておるところでございますが、日本政策についてはいままでどおりの考え方で進んでいきたいと思います。
  11. 上原康助

    上原委員 そこで、少し具体的な問題に入ってまいりたいと思うのですが、日本産業構造改革にあたって、ぜひいま大臣指摘されたような方向というものを堅持をしつつ、前向きでとらえていただきたいと思うのです。   〔委員長退席藤尾委員長代理着席〕  それで、さきに参議院の予算委員会ですが、大臣エネルギー資源開発ということに関係をして、国内資源開発、あるいは国際資源開発との協調調和というものをはかっていきたい、そういうことでエネルギー白書作成という構想を持っておられるということを新聞なりで拝見したのですが、その具体的な構想といいますか、その点についてもぜひもう少しお聞かせをいただきたいと思うのです。  さらにいま一点は、外貨の問題との関係において輸出調整の問題もあると考えるのですが、輸入促進公団というものを設立をしていくという構想通産省において研究されている、こういうことなどもいろいろ新聞なりその他の報道でなされているわけですが、まだ具体的に、政府、いわゆる田中内閣といいますか、そういう段階まではいっていないという見方もまたありますので、こういった構想に対してどう進められようとしておられるのか、いま少し明らかにしていただきたいと思います。
  12. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 まず第一にエネルギー白書につきましては、最近のエネルギー需給情勢にかんがみ、現在の情勢と将来の展望を踏まえまして、国民皆さま方によく問題点を知っていただき、また将来に関する展望力を備えていただくようにするためにぜひ出したいと思っております。現在、総合エネルギー調査会においてエネルギー政策基本的方向づけを審議しておりますけれども、この調査会答申がどの程度にいつ出てくるか、まだ確定している状態ではありませんので、その情勢も見詰めながらやりたいと思いますが、情勢によっては、この答申がおくれるようでしたら、エネルギー白書を先に出してもいいのではないか、そういうように思います。  それで、現時点及び将来における日本エネルギーの分布、つまり水力、火力、電気原子力による電気、あるいは石油石炭そのほかのエネルギーというものは、現時点でどうあって、将来どういうふうに動いていくか、国内的に、国際的にどういう問題点があるであろうか、また国内需給計画がいまの情勢で推移したらどういう問題が起こって、そしてどういう御協力国民に願わなければならぬことが起きてくるであろうか、そういう問題についても明らかにしていきたいと思っておるところでございます。できたらことしの上半期くらいまでには成案を得るようにつとめたいと思っております。  それから第二に、公団の問題は、大体内閣の内部におきましては、それをやろうという方向については一致していると思います。大蔵大臣あるいは農林大臣、あるいは企画庁長官、私らにおいては、大体やろうという方向において一致いたしておりますが、その内容については、いま事務当局レベルでいろいろ協議、検討をやっておるという状態で、まだ成案を得るに至っておりません。しかし、いろんな情勢考えてみまして、そういうようなものをつくることは必要であると私、思いまして、推進いたしたいと思っております。
  13. 上原康助

    上原委員 エネルギー開発関連してですが、特に石炭生産量の問題が一つ国内資源開発という面であると思うのです。詳しいことはわかりませんが、国際的に逼迫しているエネルギーの問題を考えた場合に、従来の政府石炭対策はもう再検討する段階に来ているのじゃないかという意見が非常に出始めているというふうに、私たちしろうとが見ても思うわけです。これについて再検討をしていかれるお立場にあるのか。いま聞くところによりますと、大体年間二千万トンを限度にということですが、これからの石油資源の問題、あるいは昭和六十年、一九八〇年段階といわれているエネルギー逼迫状況ということを考えた場合に、石炭問題というのは国の立場で再検討すべきだとわれわれ思うのですが、そういうことについてはどういうお考えを持っておられるのか。
  14. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 石炭問題につきましては、昨年、審議会の第五次答申を得まして、五十年度において二千万トンを下らざる出炭量確保しつつ、諸般政策を進めるという答申を得て、内閣はこれを受けまして、大体その内容を閣議決定して、今回国会におきましてもそれに必要な法案を提出して御審議願っておるところでございます。したがいまして、その第五次答申推進するという線をいま始めておりますので、これを変更する必要はないと思います。
  15. 上原康助

    上原委員 あと一つエネルギー開発の件で、特に石油問題との関係があるわけですが、尖閣列島油田開発の問題というのが、どうしてもこれからの資源開発の面で脚光を浴びてくると思うのです。これはもちろん、中国との関係もこれまでいろいろ議論されてきたわけですが、すでに中国との国交正常化が実を結んで、いろいろ交流、経済関係協力関係も深めていこうとする段階で、これからの国内資源開発という面では、中国との協力関係を保つ中で、尖閣列島周辺石油開発というのはどうしても浮かび上がってくる問題だと見ているのですが、大臣中国もすでに訪問されておられるし、経済的な面から考えて、この問題についてお話し合いを持ったあれがあるのか。また、先ほど御説明いただいたエネルギー白書作成にあたって、この尖閣列島油田開発というのはどう位置づけられておるのか、そこらまで含めての御構想があるか。御意見なり御所見、考え方といいますか、お聞かせいただきたいと思います。
  16. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 尖閣列島油田開発問題で、中国側と話し合った事実はございません。しかし尖閣列島領土権はわが日本にあると考えております。しかし、これが周辺油田開発等について、国際的に、特に中国等との間において問題が起こる場合には、先方とよく話し合いまして、両国協調して解決策を見出して解決をしていきたいと考えております。
  17. 上原康助

    上原委員 外務省にお尋ねしたいのですが、日中国交正常化にあたって共同声明がいろいろ出たのですが、尖閣列島問題については全然お触れにならなかったのかということ。いま申し上げましたように、油田開発の件については確かに複雑な問題があるということは、一応理解をしておるつもりであります。そういう点については、外務省立場ではどういう御方針なりを持っておられるのか、明らかにしていただきたいと思います。
  18. 手島れい志

    手島説明員 私、外務省を代表して来ておるのでございますが、ちょっと別な案件で出てきておりまして、私の主管でございませんので、ちょっとその問題は留保さしていただきたいと存じます。
  19. 上原康助

    上原委員 では大臣にもう一度この件でお尋ねしたいのですけれども、これまで公式にも非公式にも油田開発の件についてお話し合いを持ったことがないのだということでしたが、やはりこれだけ資源問題が国際的な立場議論されてきますと、中国側との国交正常化がなされた現段階において、積極的にこの話し合いを進めて開発構想というものを立てる必要があるのじゃないかと思うんです。そういう心の御用意なり、進めていくというあれはお持ちでないのか。あるいは、外交交渉でまだ領土権の問題なりいろいろあるのだから、外務省にまかせるというお立場なのか。もう少し通産省の姿勢というものを明らかにしていただきたいと思うのです。
  20. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 両国の国交正常化はようやく緒についたばかりでありまして、これからほんとうの正常化が始まるのだろうと私は思います。すなわち、諸般実務協定、われわれのほうからすれば貿易支払い協定あるいは平和条約、そういうものができて初めて国交正常化はなるというので、まだ国交正常化も完全にいっているとは思いません。そういうような実務協定という国交正常化に関することを急ぐことがまず第一であるだろうと思います。そして機が熟したら、そういう問題についての問題があれば互いに話し合う、そういう順序であるだろうと思います。
  21. 上原康助

    上原委員 時期を見てこの問題についてもお話し合いを進めていくという理解でよろしいですか。
  22. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 時期が熟したらという意味であります。
  23. 上原康助

    上原委員 次に、電力料金問題でちょっとお尋ねしたいのですが、これも新聞報道なりいろいろな資料を見てみますと、関西電力ですか、あるいは四国電力なども、電力料金改定をしたい用意があるということが報道されております。かなり長期にわたって改定されてないということは理解できないわけでもないのですが、現在の電力料金は、産業用など大口電力ほど安くなっている。関西電力の場合も、キロワット家庭用電灯の場合が十円七十銭で大口は四円八十三銭、半値になっているということなんですね。かりに改定をするにしても、大口需要が七、八割も占めている工業用電力料金というものをもっと改定をする必要があると思うのですね。家庭用電力料金にだけしわ寄せをするということは、公共料金値上げということで国民生活に与える影響も、現在の物価騰貴、物価高の段階で、大きな社会問題あるいは政治問題になるのじゃなかろうかと思うのです。これに対する省の方針といいますか、もし申請が出た場合には、どういう方向でやっていかれようとしているのかお聞かせをいただきたいと思います。
  24. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 電気料金公共料金一つでございますので、できるだけ抑制するようにつとめてまいりたいと思います。しかし、最近の情勢を見ますと、まず第一に大規模な電源開発推進に伴う資本費増大。それから公害対策費が非常に著増してきておるということ。それからOPECの値上げによる燃料価格の高騰。それから原子力発電推進の必要から来る諸般経費原子力発電は、長期的に見てぜひ推進する必要があるのでありますが、当面はコスト高であるわけであります。そういうような情勢から、電気料金が上がるという圧力が現在かなりございます。しかし通産省としては、経営の近代化合理化、あるいは革新技術の導入、広域運営の一そうの強化等によりまして、極力それらを吸収して料金値上げ抑制をやっておるところでございます。  電気料金の性格については、電気事業法によりまして原価主義によってやっておるのでございます。原価主義ということになると、いわゆる工場用電力の場合には、家庭用電力と比べてみて、供給電圧とか、あるいは使用時間数とか送電ロスとか、需要家費とか、そういう関係でやはり大口に使用されるほうが安上がりになっておるわけです。家庭の場合には一戸二月電灯線を引いていろいろ経費がかかるわけでございます。そういう面から見て、法律原価主義になっておりますから、結局、産業用大口のものが安くなっておるという現象が出ておるのでありまして、これはやむを得ないのではないか、そういうように思います。
  25. 上原康助

    上原委員 原価主義をとっておるにしても、現在のように、大口需要の場合は半値以下だ、家庭用電力の場合、いろいろ配線するなりコストがかさむにしても、改定するにあたっては現在のアンバランスというものを是正をしていくという方向でないといかないと思うのですけれども、あくまでも従来の原価主義をとってやっていかれるという方針ですか。そのことについては経済界からも、大口需要についてもっと検討すべきであるという意見もあるのだということもいわれているくらいですから、政府立場で、公共料金値上げという面で、家庭電力については少なくとも値上げを小幅にしていく、あるいは押えていく、そういう方針というのは当然出るべきだと私たち思うのですが、いかがですか。
  26. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 この点については、そういう御議論国会においてございました。また通産省といたしましても、そういう御議論を踏まえて研究はしてきておるところでございます。将来の課題として私も検討を加えていきたいと思います。
  27. 上原康助

    上原委員 まだ具体的に値上げ改定の申請は出されていないわけですか。
  28. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 まだ出ておりません。
  29. 上原康助

    上原委員 ぜひひとつ、出された段階においては、先ほど申し上げましたようなこと等を考慮に入れていただいて、国民生活、いわゆる公共料金、そういうものに重大な影響を与えないような方針をとっていただくように強く要望を申し上げておきたいと思うのです。  次に、沖繩海洋博の件についてお尋ねしたいのですが、以前にも、外務委員会、沖特の連合審査が三月一日でしたかに持たれて、大臣にも海洋博開催に伴ういろいろのデメリットの対策についての御見解なりを承ったわけですが、その後も過熱状態というのは増すばかりで、一向に対策が立てられていないといううらみがあるわけです。そういう状況の中で、いっそのこと国際海洋博を延期をしたらどうかというような意見も非常に強く出てきております。  そこで、まず最初に、条約上はこの国際海洋博覧会開催というものは、昭和五十年の三月から八月までにきまったということで、延期とかそういう計画の変更というものはできない筋合いのものなのかどうかという点を、まず御説明いただきたいと思います。
  30. 手島れい志

    手島説明員 お答え申し上げます。  沖繩の海洋博は国際博覧会に関する条約というものに基づいて行なわれておりますけれども、この条約の目的といいますのは、国際博覧会の乱立を防いだり、またその運営が支障なく行なわれることを期するということを大きな目的としております。それで博覧会の開催の頻度とか期日についてはこまかい定めがたくさんございます。したがいまして、期日をいつにするかということは条約上は非常に重要な問題でございまして、この条約自体を読みましても、一度開催の期日がきめられ、かつ登録された博覧会を単に延期するということは認められておらないわけでございます。したがって、どうしても必要であるということになりますと、一応開催の申請を取り下げ、つまり中止いたしまして、そしてまた新たに最初から申請のやり直しをしなければならないということになっております。最近いろいろ例を調べてみたのでございますが、日取りが定められ登録申請をしたあとで中止になった例はあるようでございますけれども、中止になったのをもう一度申請し直して、した例というのはないようでございます。また、特に、開催申請をし、各国に招請を出しましてその後に中止されたという例は、私どもは承知いたしておらない次第でございます。
  31. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 延期する考えはありません。
  32. 上原康助

    上原委員 いま私も延期しなさいとまでは言っていないわけですよ。これからいろいろ議論しますけれども、条約上どうなっておるかという説明をまず受けてから……。  ただ問題は、国際海洋博開催だけのことでもないでしょうが、あまりにも沖繩の経済環境といいますか、第一次産業を含めて県民生活に及ぼしている影響というのが大きいわけですね。それをどう防止していくのか、救っていくのかということを真剣に考えていただかないと、この国際海洋博の開催というものが当初の目的に沿わない。いわゆる沖繩の振興開発経済開発の起爆剤にしていくのだということでしたが、現段階においてはとてもそういうことには県民大衆が受けとっていない。そのことはやはり真剣に考えてしかるべきだと思うのです。   〔藤尾委員長代理退席、委員長着席〕  そこで、外務省にもう一ぺんお尋ねしますが、条約上延期するということは不可能だ、中止をするか、また再申請をするかということですが、いままで期限がきまってから延期をしたという例は全然ないのですか。私の手元にある資料では、一九五八年のブラッセル博覧会ですかは、当初一九五六年開催がきまっていたが、一年間延期された前例があるのだということもあるのですよ。さらに、最近の例としては、米国の建国二百年記念というあれでフィラデルフィアですかの博覧会、これは中止ですね。そういう前例等はあるとわれわれは聞いているわけですがね。そういう面で、条約上がむしゃらに、どういう状態であろうがやらなければいけないということでもないと思うのですよ。問題は、招請国に対して国の立場をどう理解をさせるのか。あるいはいまこれからいろいろ議論をしていきたいわけですが、そういった経済困難といいますか、社会事情の変化というのか、そういう面等考えた場合に、条約上全然できないのだということでもないと思うのです。その点はどうなのですか。
  33. 手島れい志

    手島説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生の御指摘のとおりでございまして、アメリカのフィラデルフィア博は中止ということになりました。それからブラッセルの万国博覧会につきましては、これは一九五六年でございますかの予定で、一九五一年に一応開催の期日などの予約ができておったわけでございますが、その後ベルギーの政府のほうから、まだこれは登録の決定が行なわれる前に、期日を延ばしたいということを申し出まして、理事会で非常に大きな問題になったけれども、まだ登録もされてないということで一応延期が認められた。しかし、その延期をいつの年にするかということにつきましては、かなり関係国の間で大きな議論があったというふうに聞いております。
  34. 上原康助

    上原委員 ですから、条約上きまったことだから延期なんか全然できないということでもないわけでしょう。事情によっては延期したり中止したりすることは、いわゆる当事国の判断といいますか、裁断によってできる筋合いのものということは条約上はいえるのじゃないですか。
  35. 手島れい志

    手島説明員 お答え申し上げます。  手続的に申しますと、延期の場合にはどういう手続をとれという条文はございません。したがいまして、一応中止を申し出まして、そうしてあらためてある年にこの博覧会を開催したいということを申請し直すわけでございます。そうして、最初の日取りの決定から、登録申請から同じ手続をもう一度繰り返すことによって、事実上延期というかっこうをとることはできるわけでございます。
  36. 上原康助

    上原委員 先ほど大臣きっぱりお答えになっておられたのですが、外務省としても、現段階で延期とか中止ということを手続上やる、あるいはやっていきたいということは、全然考えていないということですか。
  37. 手島れい志

    手島説明員 沖繩海洋博の所管大臣通商産業大臣でございまして、私どもは、通商産業大臣のほうからは、そのようなことは一切聞いておりません。したがって外務省としても、そういうことは考えておりません。
  38. 上原康助

    上原委員 開発庁のほうにまず先にお尋ねしたいのですが、この間の三月一日の連合審査の際にも、開発庁長官あるいは通産大臣にいろいろお尋ねをして、資材確保の問題あるいは労働力その他、海洋博を推進をしていく過程に出てきている諸問題に対しては、早急に対策を立てるということを御答弁しておられるわけですね。五十年までの建設関係の工事量とか、そういった計画を立てて、それに基づいて物価問題なり対策を立てていくのだ、そういう御答弁があったのですが、その後どう進めているのか。進捗状態なり、あるいは、たとえば土木なら土木、建設なら建設、そういった各部門ごとの計画、需要供給を含めて出ているのか、説明をいただきたいと思います。
  39. 加瀬正藏

    ○加瀬説明員 ただいま先生の御質問の件につきましては、その後実は四月十二日に関連施設部会を開いております。現地では引き続き十七日に関連施設部会を開いております。そして私ども、対策樹立の前提といたしまして、まず四十八年度の事業量の総量をつかむことが第一と考えております。それからその事業量をもとにいたしまして、事業消化のために必要といたします労働力の総量あるいは資材の量、こういったものを把握する必要があろうかと考えております。そしてその量がつかめました段階で、現地において供給が可能な数量というものをオーバーする分、この分につきましては県外からの手当てということを考える。一方、工事の執行にあたっては、計画的な執行を行なうことによりまして、一時期に工事が集中するといったようなことによりましての労務、資材の一時的な逼迫現象、この年度末に見られましたような現象が再び起こらないような有効な対策を立てなければならない、こういう前提での作業を進めておる段階でございますが、実は十二日の施設部会におきまして、一応その数量についての私どもとしての考え方を各省庁に御提示申し上げたわけでございます。現在、各省庁でお詰めいただいて、おおむね御異存がないということであれば、それに基づく対策というものの検討に移りたい、そういう段階でございますが、何ぶん事柄が、物価とか、あるいは労務、資材の価格に非常に反映する問題でございますので、各省庁の返事をいただくまで、数量については申し上げることは差し控えさせていただきたい、かように考えております。
  40. 上原康助

    上原委員 開発庁に設置をしてある施設部会、これは開発庁だけの部会ですか。それとも各省庁から連絡官なりあるいは担当者を入れた部会なのか。
  41. 加瀬正藏

    ○加瀬説明員 関連施設部会と申しますのは、御承知のように、沖繩海洋博の推進対策本部というものが、通産大臣が本部長になって政府部内に設けられております。その一つの部会として、沖繩開発庁事務次官が部会長となり、関係省庁の参事官クラスで構成されるメンバーで組織されております部会でございます。
  42. 上原康助

    上原委員 そういたしますと、当面、四十八年度の関連事業量の掌握につとめておられる。五十年までのいわゆる海洋博開催にあたっての全事業量ということはまだ押えていないわけですか、各部門ごとに。
  43. 加瀬正藏

    ○加瀬説明員 とりあえずは四十八年の総量を把握して、その四十八年事業に対します対策というものを立て、その推移を見ながら四十九年の数量の推計を行ないたいというふうに考えております。
  44. 上原康助

    上原委員 政府部内で、各関係省庁との連絡なりいろいろな面で若干手間どる点もあることは理解をするのですが、大臣が来られてからあとでまたお尋ねするのですが、この間、開発庁長官も担当大臣も、三月一ぱいには海洋博関連事業の全事業量を掌握して、そして計画を立てて、それに基づいて労務対策なり資材供給体制あるいは物価問題等、手厚い対策を立てていくということを言っておられるわけです。そういう答弁がなされているわけなのです。にもかかわらず皆さんが連絡会議を持ったのは四月十二日だ。まだ四、五日前でしょう。どうしてそう政府対策というものが手間どっていくのか。その間にもますます現地においては海洋博開催から出てくるいろいろな問題が惹起されている。そういうことが具体的に進んでいかないところに思惑がからんで、海洋博返上論なりあるいは延期論というものが、先ほど申し上げたように出てきているわけです。これはもちろん沖繩で開催するわけですから、県との関係もあるとは思うのですが、事、国際的な行事であると同時に、国の一つの大きなプロジェクトとしてやるわけですから、国の責任においてもっと推進をしていくべきだと思うのです。その点はどうしておくれをとっておるのか。あるいはどうも県にまかせているような気がするわけです。予算さえつけてあげれば、あとはかってにやれとまでは言わないまでも、そういう姿勢では、この海洋博問題というのは、まさしく返上しかないのではないかという意見が強くなるのも無理からないことだと思うのです。そのいきさつをもう少し説明をしてください。
  45. 加瀬正藏

    ○加瀬説明員 順序は逆になりますが、まず県にまかせきりではないかという御指摘でございますが、実は昨年の夏に、県側からは知事さんのお名前で、四千数百億にのぼります公共事業をやれという御要望がございました。これにつきましては、そんな限られた地域でそのような膨大な事業を行ないますと、これは当然たいへんなことになるという判断から、政府部内では、規模を押えながら対策を立てれば沖繩において十分にこなし得るという数量を把握して、関連公共事業等の決定を行なっております。  それからもう一点でございますが、三月一ぱいに数量の把握をするということを私どもの大臣が申し上げましたのは事実でございます。これは海洋博関連の事業について、当時、各省庁に工事計画表の調査をお願いしております。これの御提出をしていただく時期というもののめどとしての三月末を申し上げたわけでございます。その後四月に入りましてから、実は私ども非常に少数で仕事をしておりますので、アルバイトを雇いまして、計画表の集計を行ないました。集計がまとまった段階で各省庁にお集まりいただいたわけでございます。したがいまして、鋭意仕事をしておるということにつきましては事実でございますので、御了解いただきたいと思います。
  46. 上原康助

    上原委員 いま大臣ちょっと席をはずしておられる間にいろいろ議論していたわけですが、三月一日の外務委員会と沖特の連合審査の際にも海洋博の問題についてお尋ねしたのですが、その場合に大臣もこういう御答弁をしておられるのです。「中央におきまして私が本部長になっておりまする対策本部がございますが、これが中央におきまして各省と連絡をとっていまのような対策に万全を期する考えでございます。大体、いま御審議願っておりまする予算案の中に事業規模がきめられておりますので、三月二十日ごろまでに大体の事業量の見当はつきますし」、そうして、「生鮮食料品等の一般物価問題につきましても、海洋博推進対策本部に物価対策部会を設けまして、農林省のほか、各省との連絡をとって適切な措置を講ずる予定です」、こういうふうに明確に御答弁をして、物価問題あるいは労働力の問題、資材問題等について、大体あのときの御発言では、三月一ぱいに海洋博関連事業についての総事業量を把握をして、それに基づいて対策を講じていかれるのだというお考えだったと記憶をしているわけです。また会議録を見てもそういう御発言になっている。しかし今日まで、具体的にそういう対策が立てられているとわれわれ残念ながら受け取れないわけです。先ほど、延期をするおつもりもない、あくまで推進をしていかれるのだという決意は述べられたわけですが、やはりこの海洋博問題というのは国の一つのプロジェクトでして、国際的な博覧会ですから、国の立場において、もっと物価対策なり資材問題、労働力問題というもの、県民生活に及ぼしている影響等というものの対策を立てていかなければいけない筋合いの問題だと思うのです。これらの問題について担当大臣としてどうお考えになるのか。また、三月一日段階で御答弁いただいたものが推進本部でどのように進捗されてきているのか。プロジェクトの推進もさることながら、私が強調したいのは、その過程において出てきているデメリットをどう防止をしていくのか、そこが一番大事だと思うのです。そこらについてお考えを聞かしていただきたいと思います。
  47. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 過般委員会で言明したように実行しております。大体、海洋博関係でどの程度のものが必要である、また海洋博外においてどの程度の需要量がある、それで物資について月別にどの程度のものが要るか、そういう概数を計算いたしまして、そしてそれぞれの手当てをいま懸命にやっておる、そういうところでございます。そのためにも、坪川総務長官に現地にも行ってもらいまして、現地の情勢も見、また屋良知事の決意も聞き、また沖繩県当局の行政上の要望もいろいろ聞いてきまして、そして帰ってきて、そういう連絡もやっているところでございます。具体的なことは係のほうから御説明申し上げます。
  48. 三枝英夫

    ○三枝政府委員 ただいま大臣からお答えしたとおりでございます。また、内部的な詰め、特に施設部会につきましての問題は、沖繩開発庁からお答えしたとおりでございますが、海洋博の関連事業としましては数字を早く詰められるわけでございますが、この問題は、先生十分御承知のとおり、まず海洋博関連事業だけやったのでは意味がない県、市町村の本来の公共事業がございます。それも十分尊重して、必要なものはやらなければならぬ。それから民間での設備投資というものもございます。それらを合わせるのに、御指摘のとおり、時間がかかったということはわれわれ遺憾に思っておりますが、それを含めまして、先ほど開発庁のほうからお答えしましたとおり、鋭意やっておりますので、御了承いただきたいと考えます。  また、具体的なことを何もやってないじゃないかというお話でございますが、当面、最も不足いたしておりますセメントにつきましては、先生のお耳にすでに入っているかと存じますけれども、この四月沖繩へ到着するものといたしまして一万五千トンの手配ということを、通産省、業界、それから沖繩県、総合事務局、いろいろ話し合いまして、決定してそのとおり実施している段階でございます。また五月以降の問題につきましても、月々二万トンくらいの手当てをしていくという方針を一応決定してございます。それぞれそのルートにつきましてもお耳に入っているかと存じますが、沖繩県と連絡をとって正当に流れるようにという配慮のもとにいま予定しているわけでございます。
  49. 上原康助

    上原委員 私も政府が全然何もやっていないと申し上げていないわけです。それなりに御努力をいただいていることもわからぬわけでもないのですが、ただこの海洋博の問題は、確かに沖繩現地からも当初開催要請なんかあって、政府も、ではやろうというようになったいきさつ等もあります。しかしそういう過程で、先ほどからいろいろ議論しておりますように、物価問題、土地の買い占め、第一次産業に及ぼしている影響等々出てきているわけですから、そういう県民生活との関係においてこの大型プロジェクトというものを進めていかないと、多くの県民が指摘しておりますように、予算をつけてあげたんだ、海洋博で二千億ないし二千五、六百億の投資がなされるから、それは沖繩の開発に起爆剤になるんだ、そういう感覚だけではこの問題というのはいかないということをまず御認識をいただきたいということなんです。  では、具体的にお尋ねするのですが、いまセメントの供給対策については、確かに県知事のほうからも政府に要望が出されて、いま御答弁がありましたように、一万五千トンですかの特別な配慮をしていただいたが、国内的にもセメントの需要量というのは非常に増加してきているわけですね。海洋博の関連工事がいまようやく緒についた段階なんです。五十年までの道路工事を含めて、そういう一連の関係関連事業に見合う需要量というのは十分確保できる体制にあるのかどうか。仄聞すると、韓国あるいは台湾からの輸入というものを、本土を含めて考えておられるということなども出ているわけですが、セメントの供給対策というのは、いま御答弁ありましたように、だんだん海洋博の関連工事を進めていくというだけでは済まないと思うのです。その他の公共施設、学校建築なり、あるいは民間需要というものも相当あるわけですから、昭和四十八年度でどれだけの需要量を見ておられるのか。沖繩全体としてそういう計画なりはありますか。あるいは五十年までにどれだけのセメントの量が必要だという、当面のことはできたにしても長期の見通しというものがはたして立っているのかどうか。その点もう少し詳しく説明をいただきたいと思います。
  50. 加瀬正藏

    ○加瀬説明員 セメントの問題につきましては、先ほども御答弁申し上げましたように、ただいま各省と協議中でございますので、数量を申し上げる点はお許し願いたいと思いますが、少なくとも四十八年度の総量につきまして、それがショートしないという意味での手当ては可能であるという目安はできております。
  51. 上原康助

    上原委員 そのことは、海洋博関連事業だけでなくして、民間需要を含めてということですね。
  52. 加瀬正藏

    ○加瀬説明員 そのとおりでございます。
  53. 上原康助

    上原委員 それとセメントも関係するのですが、建設資材の円滑な供給対策というのは具体的にどうなっていますか。たとえば鉄筋、鉄鋼、砂利とか、砕石、いろいろなものがあろうと思います。セメントだけじゃなくして、そういう総体的な供給体制の確保というのはできているわけですか。
  54. 加瀬正藏

    ○加瀬説明員 現在、現地で詰めておる段階でございまして、月末までにはある程度の対策が立てられると思いますが、私どもが現在承知しております範囲で申し上げられますことは、たとえば個々の受注者がばらばらに資材を購入するというような形が好ましくないので、何らかの資材の受け入れ体制をつくるようなこと。あるいは揚陸した場合のストックヤードの問題、あるいは内陸輸送の問題、船の手当ての問題、その他いろいろからんだ問題がございますので、そういうあたりを総合的に現地の関連施設部会で現在詰めておる段階でございます。間もなくある程度の詰めは終わると思います。
  55. 上原康助

    上原委員 いまも御答弁あったんですが、特にヤードの問題ですね。いわゆる置き場の問題。砕石やら砂利等、あるいはセメントを含めてそうだと思うのですが、そういう意味で私は、この間の委員会でも、那覇軍港の開放ということも国際海洋博との関連でやるべきであるということも申し上げたんですが、ヤードの問題等考えた場合に、やはり那覇軍港の開放問題というのは強い要求になると思うのですね。  あらためて大臣にお伺いしたいのですが、これから供給体制を確保していく、あるいは海洋博関連事業が本格的に始まった場合に、那覇軍港の開放問題というのは、単に外務省まかせではいけないと思うのです。ぜひそういった面も、経済的あるいは通商産業を進めていく上においても、那覇市のどまん中にああいう軍港があるということ自体に、私は問題があると思うのですね。また海洋博を進めていって昭和五十年に多くの方々が沖繩を訪問した場合も、那覇空港におりて、それから那覇市内に入る。あの目抜き通りでLSTや軍艦を見ながら海洋博に入るというような光景というものは、あまりにも沖繩の基地の実態をさらすようなものだと思うのです。この海洋博との関係においても、ぜひ那覇軍港問題というのは、いまのバース問題で考える必要があると思うのです。この点については推進本部長という立場においても、ぜひひとつ政府部内で那覇軍港の民営移管ということを進めていただきたい。かつて防衛庁長官もなされたわけですし、その面では軍事問題にも詳しいわけですから、その点あらためて決意のほどを伺っておきたいと思うのです。  さらに、あと一つは、いまの資材供給の問題との関係においてぜひ考えていただかなければいけないのは、やはり輸送コストの問題です。離島ですから、沖繩に多くの物を持っていくには、すべて飛行機でというわけにはいかない。飛行機ではますますコストがかさむ。輸送問題をどうするかということ。輸送に費やすコストの問題。これなども、やはり国の行事という立場でやっていくわけですから、こういう輸送問題についてはどういう対策があるか。ただコマーシャルベースにまかすのかどうか。これもやはり政府対策本部で計画を立てていかなければいけない問題だと思うのです。この二点についてお聞かせいただきたいと思います。
  56. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 輸送コストについては係のほうから御答弁申し上げますが、軍港の問題は、確かに御指摘のとおり、かっこうのいいものではございません。玄関先にああいうものがあるということは、私らも何回も沖繩に行ってまいりますけれども、そのたびごとに必ずしも適切であるとは思いません。しかし、ほかに港がないという状況からいたしますとやはりやむを得ない、しばらくはこういう状態で続けて、何か解決案ができた場合にそれが改革される。では、解決案がほかにあるかといいますと、いまのところは経費その他の面で見当たらない。ですから、海洋博までにこの問題を解決せよと言われても、解決するめどはなかなかつきにくいと思います。しかし一般論といたしまして、これは、沖繩県における軍用地の整理の問題一般の中に、これも含めて検討されるべき問題ではあると私も考えます。そういう観点からひとつ考えてみたいと思います。
  57. 三枝英夫

    ○三枝政府委員 ただいまの輸送問題に関しましては、推進本部の中でも、これは責任官庁といたしましては運輸省でございますが、本日来ておりませんので、かわってお答え申し上げますと、先生承知のとおり、那覇港につきましても、もちろん港としての使用問題ということは考えてございますが、それ以外に資材搬入港としまして運天港、さらに観客その他の一般的な受け入れ港としましての渡久地港の整備、これはそれぞれ運輸省のほうで進めていただいてございます。また、配船その他の事情につきましても、この問題も非常に重要な問題でございます。したがいまして、近いうちに推進本部の中に輸送対策部会を設置いたしまして、これも先ほど申し上げましたような、資材供給につきましての個別対策、全体量、需給関係というものを把握したあとで、それにつきましての対策検討してまいりたいというふうに考えてございます。
  58. 上原康助

    上原委員 軍港問題は、ちょっと重ねて念を押すようで恐縮ですが、大臣、沖繩へ行かれておわかりのように、別に軍港がないわけじゃないんですね。アメリカはホワイトビーチを占拠しておるし、さらに金武湾にりっぱな米軍用の港を持っているわけです。そういう面からも、この点については、政府部内におきましても、関係者と話し合って、県民あるいは那覇市の意に沿うように進めていただきたいことを、私は強く申し上げておきたいと思うのです。  政府のこの振興開発計画を見ましても、やはり沖繩国際海洋博覧会の開催と海洋開発ということで、交通通信体系の整備ということを非常に強調しておられるわけですね。もちろん運輸問題、交通問題というのは通産省の直接のあれじゃありませんが、事、海洋博開催にあたっての準備期間における本土からの資材やその他の輸送問題をどうしていくかということ、これはきわめて大きな問題だと私は思うのです。ここいらの点が、対策といいますか、計画というものがまだ非常に甘いんじゃないか。ことばは適当でないかもしれませんが、そういう気がするわけです。  あと一点は、一たん開催をされた段階においての人の輸送の問題にしても、海上輸送があるでしょうし航空輸送があります。さらに、着いてからの道路網の問題等も、那覇軍港の問題と関連してくるわけですね。そういう意味でも、交通通信体系整備という面から考えても、先ほど申し上げた輸送問題、あるいは軍港開放の問題、陸上輸送等々、当然、推進本部として具体的にその対策をしていく方針というものが出ていいと私は思うのです。そういうことになりますと、いやこれは運輸省だ、あるいは建設省だということでは、どうも窓口そのものがまだ固まっていないのじゃないかという印象さえ受けるわけですよ。その点ひとつ担当大臣として、交通体系の問題等含めて、推進本部では今後どのように進めていかれるのか、明らかにしていただきたいと思います。
  59. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 確かに輸送問題というものは海洋博推進上の非常に重要なファクターであると思います。それで、推進本部におきまして、輸送部会を近く設けまして、専門にこの問題に取りかかる予定でございます。いままでは建設に伴う輸送という感じでございましたが、やはりあれだけの大きな仕事をするについては、輸送を専門に取り扱って考えるべき段階であるという考えに立ちまして、輸送の部会を設けて実行するつもりでございます。
  60. 上原康助

    上原委員 これは非常に重要な課題であると思いますので、輸送部会等で早急に御検討いただいて、資材輸送の問題、あるいは開催された段階における人を運ぶ計画等についても、ぜひ万全の措置をとっていただきたいと思います。  それと生活物資の供給対策です。これも直接の担当にはならないかもしれませんが、あれだけ集中的な投資がされているわけですから、いわゆる需要の吸引力というのが非常に高くなっているわけですね。ですから、もう物価はどんどん上がっている。東京と比べても、あるいは本土全体と比べても、倍以上の値上がりというのがかなりあるわけです。これについても推進本部で進めていくのか。あるいはこれはもう経企庁におまかせする立場なのか。生鮮食料品供給問題を含めて、需給問題というのはやはり大きな問題になると思うのです。いま本土から観光客もどんどん行っている。そうしますと、必然的に消費というのはふえていくわけですから、それに加えてさらに海洋博開催となりますと、一時的に狭い地域に多くの方々が行くわけですから、これはある面、手の打ちようのない問題も出てくると思うのです。そのしわ寄せはやはり県民がもろにかぶるわけですから、ここいらのきめこまかい対策ということが必要じゃないかと私は思うのです。この点についてはどういう対策方針を持っておられるのか。
  61. 三枝英夫

    ○三枝政府委員 この点に関しましては、先ほどの関連施設部会で主として建設資材関係につきましての対策を現在樹立中でございますが、同時に、物価対策部会というものを設けまして、主として農林生鮮食品関係の物資、これは当面も、もちろんある程度の問題はそれぞれあろうかと思いますが、大ぜいの労務者が入って工事が本格化する段階、あるいはまた、開催期間中非常に大ぜいの観客が来るときに備えまして、いまから準備しなければいけませんので、すでに推進本部の中に物価対策部会を設置してございます。これの取りまとめにつきましては経済企画庁が当たっていただくということで、いま現地に担当官等を派遣していただき、さらに所管上対策を立てていただきますのは主としてやはり農林省でございます。その辺で十分連絡をとって、現在いかなる角度で取り組むべきか、またどういう対策を立てるべきか。さらに期間的には相当準備期間が必要でございます。たとえば冷凍関係の配給網をどうするか、あるいは現地における蔬菜、生鮮食品等の需給体制をどうするか、かなり息の長い、かつまた海洋博だけでなくて先につながる問題でございます。したがいまして、やはり責任官庁としましての農林省等を中心に樹立していただくということで、近々これもまた第一回の——もうすでに物価対策部会を設置してございますので、先般、国全体といたしましての物価対策等につきまして樹立されたわけでございます。そのあとを受けまして、特に沖繩につきましては御意見もございますので、発足させるということでいま準備中でございます。
  62. 上原康助

    上原委員 大体対策をどう進めていかれるかという概要が明らかにされたような気がするわけですが、まず資材問題。あるいは、触れませんでしたが、あと労働力確保問題等もあるわけですね。またいまの物価問題。そういった各部門の部会なり対策委員会というものをつくって、需要量の問題等を含めていまやっておられるということだが、まあ現地との連絡上の問題等も、あるいは政府内における横の御相談なりもあろうかと思うのですが、いつごろまでに、対策本部としての計画、構想というのが打ち出されるのか。そのめどというのはどうなっていますか。
  63. 加瀬正藏

    ○加瀬説明員 需給の数量につきましては、早ければ来週中ぐらいに固まるのではないかと思っております。それから対策がらみの話になりますと、今月末に現地で施設部会を開催する予定になっておりますが、その席上である程度の方向づけができるような結論といいますか、中間的なものでも出し得るのじゃないかと思っておりますので、それを中央に報告を受けまして、私どもで十分にその対策を講じ得るというような見通しがつきますれば、来月早々でも、とりあえずまとまるものから順次発表していきたい、かように考えております。
  64. 上原康助

    上原委員 対策方針を出したらすぐ出ているいろんな問題が解決されるとは思いませんが、しかし、物価の問題とか、海洋博にからむいろんな疑惑、思惑というのは、確固とした方針なり対策というものが立てられないがゆえに、ますます心理的に非常に不安を与えているということも免れないと思うのです。やはり、こうこういう方向で出てきているデメリットというものは防いでいくんだという、行政指導なりいろんな対策の方法があるわけですから、それを国民に、あるいは県民に明らかにすることによって、この海洋博問題というのが少しはよい方向推進されていく、そういうことになろうかと思いますので、ぜひ政府としてそういった方向というものを早急に打ち出していただきたいということを御要望申し上げておきたいと思うのです。  それで、あと地利用の問題。いまあと地利用の問題を話すのもちょっと気がひけるのですが、この政府が出している海洋博のいろんな計画を見ても、教育研究施設に将来は充てていくんだということがかなり強調されているわけですね。やはり私たちも、あと利用問題というのは、沖繩の特殊性を生かした方向で利用されていかなければいけない、あるいは経済開発の長期的な展望に立ったものでなければいけないということをかねがね主張してきたわけですが、対策本部長として、このあと地の利用について具体的にどういうことがまず考えられるのか。あるいはコマーシャルベースにあと地のことはまかすお考えなのか。そこらについての御検討はどうなっているのかということですね。一例をあげますと、いま国連大学の誘致というのが国内に非常に大きく出ております。沖繩でも、国連大学を国際海洋博のあとに持ってきたらという意見は、以前に出てきたこともあるわけですね。そういった教育研究施設に将来充てていくというようなことも、私は一つの例として当然考えられ得る問題だと思うのですよ。海洋資源開発ということ等々合わして、単に大阪万博みたいに、終えれば事済むということではなくして、やはり沖繩の将来に対して平和的に利用していく、そういう方向づけというものも出していただかないと、私は、地元住民の協力関係というもの、この海洋博から出てきているいろんな不満というものは、とうていおさまらないと思うのですが、いまの段階では、そういう方針なり計画なりというものは全然お持ちにならないのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
  65. 三枝英夫

    ○三枝政府委員 御指摘の海洋博施設に関しましてのあと利用の問題でございますが、この問題は、現段階におきまして、政府内で最終決定——これはもちろん、沖繩の県あるいは地元を含めての最終決定ということにはなっておりませんが、御承知のとおり、あの地域は海洋博の場所に選定されたとおり、非常に価値のある、沖繩本島の中でも亜熱帯性の非常に優秀な、きれいな場所でございます。そこで、当初から海洋博そのものを将来にわたる振興開発計画の中軸の一つとして結びつけていくというねらいでスタートしているわけでございますので、過般の万博のように、すべての施設を大幅にほとんど全部撤去してしまうということではなしに、政府機関としてつくるようなものそのものは恒久施設として残していくということで、十分あと利用を一緒に考えた上での配慮ということで考えておるわけでございます。ただ、いかなる形で、いかなる目的でということになりますと、非常に広範にわたった関係者の間の同意ということを取りつけなければなりません。したがいまして、まだこの問題につきましては相当慎重な詰めが必要だろうというふうに考えております。  ただ、先生承知のとおり、沖繩振興開発計画におきましても、あの地区、特に海洋博を契機に、東洋における大リゾートゾーンとして本部半島一帯を整備していくというような構想もございまして、それの中軸体としましては、県及び三市町村、沖繩財界、それから本土財界集まっての、第三セクターとしての国土総合開発公社というようなものをいま設立準備中でございます。これがおそらくその中軸ということで事業主体としてやっていくような形で、乱開発にならずに、かつ整然とした統一的な発展がはかられ、かつ地元の方も喜んでいただける、こういうような方向で対処すべきものというふうに考えておるわけでございます。その辺につきまして、沖繩の会場用地は県有地でございますが、完全な了解を政府あるいは県、市町村というような形で、あと利用まで含めてつくり上げるということは、もちろん意図としてはそういうことで対処しなければならぬと思っておりますが、最終的な了解点での施策ということにはまだなっておりませんので、その点は御了承いただきたいと思います。
  66. 上原康助

    上原委員 確かにあと利用の件をいまの段階ですぐ論ずるということも、私自身もちょっとどうかと思ったりもするのですが、しかし残ったのは、軍事基地と自衛隊と海洋博を開催したあとの残骸だけでは、ますますいけないわけですよね。そういう意味で、政府のおつくりになっている振興開発計画の中でも、もう指摘するまでもなく、海洋開発研究など各種の教育研究の場として活用をはかるということが一本入っているわけです。はたしてこういう方向でほんとうにあと利用というものがなされるのか、われわれ疑問を持たざるを得ない面もあるわけですから、教育研究施設に充てていく、あるいはほんとうに健全な観光開発として利用できる、そういう方向であとの問題も考える。そうして、当面の出てきているいろいろな問題を処理していくと同時に、これらの方向づけというものもやっていただかないと、この国際海洋博というものがますます県民から遊離をしていく、いわゆる沖繩県民の受ける利益がほとんどない形で計画が立てられて終えないとも限らぬわけですから、そこいらについては、この方針にも出ているようなあと利用の問題等も含めてぜひ対策を立てていただきたいと思います。  次に、中小企業対策についてちょっとお尋ねをしたいのですが、御承知のように、いま本土企業の進出等で地場産業がほとんど太刀打ちできない。あるいは本土企業との系列化によってますます中小企業そのものが零細化していく。国際海洋博の工事が本格化していくと、身売りをせざるを得ない企業も出てくるんじゃないかということもいわれているわけですね。そこで、中小企業の対策といいますか、保護育成というか、これも県段階でやらなければいかないことなども相当あるということは一応前提としながらも、もっと政府行政指導といいますか、そういう面を手厚くやっていく必要があると私は思うのです。そこで、本土企業の進出状況についておつかみになっておられるのか。単独進出の面もあるでしょうし、系列化の面、あるいは合弁企業とか土地の売買等を含めて、こういう面での産業行政、中小企業対策という面から、沖繩への企業進出、そういうものをお調べになったことがあるのかということが一つ。これから沖繩の地場中小企業というものをどう育成していこうという方針を持っておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  67. 原山義史

    ○原山政府委員 沖繩の産業のほとんどが中小零細企業であり、かつ近代化が著しく劣っておるということにかんがみまして、沖繩の中小企業の近代化合理化は特に積極的に推進する必要があるということは、先生指摘のとおりでございます。そのため、本年度におきましては、特に伝統産業を振興する必要があるというような考え方から、昨年に引き続きまして、沖繩県の工業試験所に昨年七千万円ほど補助いたしましたが、七千五百万円の補助をし、伝統産業の中核体として育てていっていただきたいというふうに思っておる次第でございます。また特に、先生指摘の小規模企業の経営の合理化をはかるということが必要だと思いますので、指導事業を強力に推進することといたしたいと思っております。経営指導員につきましても、いままで商工会、商工会議所等に十五名配置されておりますが、これを三十三名に増員いたします。また、何よりも小規模事業者の組織が必要だということで、県の中央会の指導員の増員もはかっていきたいと思っております。  それから設備の近代化推進するために、沖繩開発公庫、これは開発庁のほうの御所管でございますが、この貸し付けのうち百三十三億円を中小企業ワクとして確保し、条件も本土の中小企業より金利その他有利に取り扱わさしていただくようにしておる次第でございます。  なお、以上のような総合的な施策に加えまして、特に振興事業団の高度化融資につきましても、以上のような諸点にかんがみまして、特に重点的にこれを推進してまいりたいということで、積極的に利用をはかっていただくように各方面を通じまして指導しているところでございます。  なお、本土からの進出企業についての実態調査につきましては、中小企業庁のほうでは特にやっておりませんので、開発庁のほうからお答えいただいたらというふうに思っている次第でございます。
  68. 加瀬正藏

    ○加瀬説明員 お答え申し上げます。  私のほうで現在特につかんでおりますのは、建設業関係だけでございます。私の担当だけでございますので、あるいはほかにわかっておるかもしれませんが、私のほうで申し上げますと、建設業で現在沖繩総合事務局に指名競争入札に参加を願い出ている本土企業で、大体年間の工事規模十億円以上のものを拾いましたところ、百三十二社ほどございます。
  69. 上原康助

    上原委員 それをぜひ調査していただきたいと思うのです。いま、確かに建設事業は百三十二社で、沖繩の企業というのはこの海洋博の関係ではほとんど参加していない、あるいは控えているという現状なんですね。本土の企業だけが入札にも応じているというような状況なんです。その点も、なぜそういう事態が起きているかということも、十分調査をするなり実態をつかまないといかない問題があると私は思うのです。きょうはこの問題はこれ以上触れられませんが、そこいらについて具体的に調査をしていただきたいと思います。  そこで、中小企業の件ですが、確かにいまいろいろお述べになったように、政府が復帰後かなり力を入れようとしているということもある面では理解をいたします。それと、沖繩の伝統工芸品の育成ということについて、県もかなり力を入れてきているわけですね。将来の観光事業との関係においては、沖繩独特の漆器類、陶器、そういった民芸品の育成というのは、私は政府立場でももっと中小企業対策として考えるべき点だと思うのです。確かにいろいろやってはおられるんですが、金融対策にしましても、本土よりも少し利息を低くしてあるとかいうこともあるわけですが、そういった金融対策についての教宣というものが、まだ中小企業協会なりそういう面でも十分でないかもしれませんけれども、政府自体の指導、助言といいますか、そういうものもかなりおくれをとっているんじゃないかという気がするわけです。そこいら辺についてももっと積極的にやるべきだと思うのです。信用保証協会の利用の問題等も積極的に進めていただきたい。  さらに、中小企業近代化促進法における促進指定事業というのがあるわけですね。これも全体で百八十四業種ですか、指定されているわけですが、こういう中小企業が九九%、一〇〇%近い実態になっているわけですから、この実態を踏まえて中小企業対策というものをもっと真剣に政府のお立場でも進めていただきたい、このことを強く要望しておきたいと思うのです。  先ほどもちょっとあったんですが、民芸品の育成について、特に御政策なりお考えがあるのかどうか。
  70. 原山義史

    ○原山政府委員 先生指摘のとおり、近代化促進法による指定業種につきましては、本土の指定業種がそのまま移行したものが百三十二、それから本土で削除しておる業種を沖繩で生かしたのが五十業種、そのほか旧沖繩近促法の指定業種が十二ございまして、重複を排除いたしますと、先生指摘のとおり百八十三ございます。そのほか特に沖繩におきましては、沖繩業種と申しますか、沖繩開発振興特別措置法による指定業種が、現在製糖業だけでございますが、一指定されております。なお、この点につきましても、沖繩振興開発法による指定につきまして、先ほどの民芸品を特に取り出して指定できるかどうか、その辺についても開発庁のほうと十分御相談しながら勉強してまいりたいというふうに思っておるところでございます。  なお、私ども、今度近代化促進法につきましても、従来の全国一本の運用でなくて、むしろ地場に即した地場産業ごとの運用をやっていきたい、いわゆる第三近促というふうに呼ばれている分野をやっていきたいというふうに思っておりますが、この制度を十分活用いたしまして、地場産業あるいは伝統産業を育成するようにやっていきたいと思っております。  なお、中小企業振興事業団の融資につきましても、こういう計画については側面から援助してまいりたいというふうに思っておるところでございます。現在、事業団の融資の対象としまして、融資をする前の事前診断としまして、みそと鋳物が出てまいっております。これは近く融資決定というふうな取り運びになろうかと思っておりますが、そのほかにも、クリーニングであるとか、建設あるいはタクシー、鉄鋼関係等々、私どもお話を聞いておりますので、先ほどのお話の原則を十分に踏まえまして、できるだけきめこまかく指導をしながらこれを積極的に取り上げていくという方向検討させていただきたいと思っておるところでございます。
  71. 上原康助

    上原委員 あと一点、例の沖繩電力株式会社の旧敷地問題ですが、これは政府のほうにも要請書が行っていると思うのです。時間がかなり経過しておりますので、あまりこまごましたことは申し上げないでもいきさつはおわかりと思うのですが、要するに浦添市に無償で譲渡してもらいたいという内容だと思うのですね。この取り扱いについてどうなっているのか、どういうお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
  72. 井上保

    ○井上政府委員 旧借用地の返還にかかります、上に建っております旧社屋の譲渡の問題でございますが、これにつきましてはいろいろ検討してみたのでありますけれども、従来の契約第九条にございますように、返還時には再評価をして買うということになっております。まあ私有財産でございまして、いろいろ検討いたしましたが、現在簿価が大体七千四百万円程度でありますが、再評価額は一億ちょっとをこえておると思いますが、大体そういうようなところで買い取ってもらうのが適当ではないか、こういうふうに考えております。
  73. 上原康助

    上原委員 そうしますと、通産省としては、契約があるから無償ではいかないという立場をとっておられるわけですか。それから、その建物の評価額は幾らですか。
  74. 井上保

    ○井上政府委員 ただいまはっきりした数字は覚えませんけれども、簿価がたしか七千四百五十七万二千円でございまして、再評価額が一億二百四十一万八千円でございます。これは不動産鑑定士によります鑑定の数字でございます。
  75. 上原康助

    上原委員 このいきさつは、御承知のように、アメリカ政府が布令二十号、いわゆる土地取り上げ法を適用して浦添市の市有地を強制的に接収をしたわけですね。かつて浦添市は、その件については民間との賃貸借契約をすればもっと効率的に使えるのだということでしたが、布令二十号を適用して強制収用されたわけです。確かにいま御指摘のように、私も、そういう契約があったので、なるほどということにもなるかと思ったのですが、契約も、聞くところによると、やはり強引にそういう契約に署名せざるを得なかったという当時のいきさつがあるわけですよ。そしていま土地そのものは返すようですが、浦添市の立場で一億円余も支出をして建物を買い取るということは、利用度の問題からいっても非常に困る。もし民間にそのまま貸しておけばそういうことは起こらなかったということはいえると思うのです。ですから、国が九九・九%沖繩電力の株を持っているわけですから、これは、かつてなぜ琉球電力公社と賃貸契約を結ばなければいけなかったのかという経緯等ももっと御判断をいただいて、市の要望にこたえるべきじゃないかと私は思うのです。その点、そういう方向でやっていかれるおつもりはないのか。ああいう契約があるからということで、どうしても有償だというかたくなな姿勢をとるおつもりなのか。関係者と話し合って円満に解決をしていくということにはならないのかどうか。やはり接収のしかたからして、浦添市に無償で提供してもいいのじゃないかというような気がするわけです。また、そういう決議もなされておりますし、その点あらためて伺っておきたいと思うのです。
  76. 井上保

    ○井上政府委員 接収と申しますか、米軍からのいろんな話があった経緯につきましては、十分承知をいたしております。ただし、その後その契約に従いまして、途中で料金の改定等もあったようでございますけれども、ちゃんと使用料を払ってきておりまして、契約上の文言から見ましても、いまこれを無償で譲渡するということは非常に疑義があるのではないか。なおかつ、これはその市の市議会でも最近いろんな意見がありまして、必ずしも無償譲渡という方向でもないというふうな話もいろいろ伺っております。  私どもといたしましては、いろいろ関係の省もございまして、内部でいろいろ打ち合わせをいたしたわけでございますけれども、現在のところは、やはり有償で引き取っていただくのが筋ではないか、こういうふうに考えております。
  77. 上原康助

    上原委員 おそらく市の議会はそういうお立場をとっていないと思いますよ。ここに通産大臣開発庁長官あてに出されている、四十八年二月二十一日になされた市議会の決議があるじゃないですか。ですから、そういう契約があったということをたてになさらずに、いきさつ等をもう一度御検討いただいて、関係者とも話し合って、この問題を市の要望に沿うようにひとつ再検討してみるということはどうなんですか。一億円どうしても取らなければ解決しないということでもないでしょう。
  78. 井上保

    ○井上政府委員 一億円の問題につきましては、これは鑑定士の鑑定が一億になったわけでありますけれども、簿価が低かったというような問題もありますので、その辺の話し合いは、これは沖繩電力と市との間の話として今後話が煮詰まっていくのではないか、こういうふうに考えております。  それから、市の議会の件でございますけれども、実はごく最近聞きました情報によりますと、有償で引き取るのが筋ではないかという議論も議会ではあったというふうな話も聞いておる次第でございます。
  79. 上原康助

    上原委員 そこは私もまた確かめてみますけれども、市のそういった強い要望があるということを御理解いただいて、特に評価の問題についても若干疑問があるようなんですね。そういうことを含めて御検討をいただきたいと思います。  以上、長々といろいろな点をお尋ねしたのですが、最後に大臣にあらためて要望と見解をお聞きしたいのですが、海洋博問題というのは、沖繩にとって中止すべきだ、あるいは返上すべきだ、延期すべきだというような意見もあるということはお聞きになっていると思うのです。しかし、先ほど冒頭でお答えになっておられましたが、中止したり延期をする考えはない、政府は当初計画どおり進めていくという御方針のようですから、それならそれなりに、きょうも二、三点申し上げましたように、県民生活にしわ寄せしている諸問題に対して手厚い対策を立てていくという、この問題に対する政府の抜本的な取り組みというものがない限り、私は疑問視せざるを得ないのです。あれだけ大型のプロジェクトというものが、はたして五十年三月というタイムリミットがきめられて、その間に、干ばつやらあるいは台風やら雨季やらある場合には、いろんな問題がますます紛糾してくることも予想されるわけです。そういった天災地変というようなことも念頭に入れて計画を進めていかなければいかぬと思うのです。  そこで、中止も延期もする御意思もない、進めていくというのですが、規模においてはどうなるのか。当初計画の規模で進めていかれるのか。そういうことと、どうしても出てきているいろいろな弊害、デメリットについては、万全の対策をより積極的に進めていくという決意を、もう一度明らかにしていただきたいと思うのです。
  80. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 沖繩海洋博は歴史的な大事業でございますので、雨にも負けず風にも負けず、誠心誠意、これを遂行するように努力してまいるつもりでございます。現地の皆さま方にいろいろ御心配をおかけすることはまことに恐縮でございますけれども、政府といたしましても、万全を期して各省督励して推進してまいるつもりであります。
  81. 上原康助

    上原委員 規模の縮小ということはどうなんですか。
  82. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 規模の縮小も考えておりません。
  83. 上原康助

    上原委員 たいへんかっこいいおことばを言われたのですが、雨にも風にも負けることも、自然現象ですからあるかもしれないし、ぜひ海洋博の問題は、われわれ非常に期待をしながらも、物価問題、農業問題を含めて、どうなっていくのかという不安が大きいわけですから、いま決意を述べられた方向で万全の対策をとっていただきたい。また県民の協力なくしては成功しないと思います。このこともあわせてお考えになって進めていただきたいことを御要望申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  84. 三原朝雄

    三原委員長 受田新吉君。
  85. 受田新吉

    ○受田委員 私、中途で会合から出てきておりますので、間もなく帰りますので、時間をかけません。そのかわり、御答弁も明快に、簡潔にお願いしたいと思います。  中曽根先生、お久しぶりにまたお目にかかるのですが、いまやあなたは、次期総理大臣の候補の一人として、衆目の見るところ、大きく期待される人材であることを私大いに敬意を表するわけですが、通産行政の長官になられた国務大臣として、まずあなたのお役所の名称が適切であるかどうかを尋ねてみたいと思います。通商産業省という役所の名称は適切であると御判断されるかどうかを、まず御答弁願いたいと思います。
  86. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私は適切であると思います。理由は、近ごろは、産業といいましても、ほとんど通商とも関係してくるものでございまして、特に日本のような場合は、国民経済は海外との貿易、交流を無視しては成り立たない国でございます。したがいまして、国際経済との調整、国際協調資源問題、そういう面が片一方にございまして、特に通貨、通商の問題というものはいま世界的な課題にのぼっております。それと同時に、また一面において、日本産業構造転換という大問題をかかえておるわけでございます。産業構造転換という問題は、やはり国際関係を無視してはできません。特にエネルギー構造、エネルギー需給という大問題も登場しております。そういう意味において、この通商ということばを抜くことは適当でないと思うわけでございます。それから産業省という意味において、これも国民経済産業を受け持つという意味において必要であると思います。  ただ、いままでの通産省の足あとというものは、ややもすれば、成長優先とか、あるいは大企業べったりとか、そういう印象がもし通産省という省の名前に付着していれば、これは洗い落とさなければなりません。それは、われわれがこれから大いに努力しなければならぬところでございますが、省の名前としては私は適当であると思います。
  87. 受田新吉

    ○受田委員 産業という概念の中には、あなたの省の所管でない分野が相当広い範囲にわたってあると思うのです。その意味において、一省のレッテルとして産業と断定することは、他の分野に失礼になりやせぬかと思いますが、どうですか。
  88. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 大体、産業ということばがインダストリーということばで、主として商工業を中心にした考えがあるわけであります。しかし、農林業も産業でございますし、造船、海運あるいは医療というものも産業として成立しておりますので、広い意味産業の中には含まれると思いますけれども、まあ商工業一般という考えに立って、産業という名前であらわしておくことがいいのではないか。もしこれを変えるといたしますと、工業だけでは狭いし、じゃ商工業という形にするのかといいますと、工業の中にも造船のようなものは運輸省が所管しておるわけでございまして、通商に相対することばは産業という考えをもちまして、少し僭越なところはございますが、お許し願いたいと思うのであります。
  89. 受田新吉

    ○受田委員 工業という概念の中に他の分野もあるということになれば、産業というよりスケールの大きいものを取り上げるほうが、ますます他の分野が広がるわけで、むしろ謙虚に工業と名づけるほうが、産業と名づけるよりも、国民の側から見るとその対象が明確になってくる。産業というとばく然としてかすんで見える。しかし工業となると、役所のお仕事がやや鮮明になる。こういう長所があると私は思うのです。だから、工業の中にも他の分野があるということになれば、産業の分野はますます広いのですから、むしろ工業と率直に断定をされていい。  そして通商ですから国際関係立場もあるのですが、これは国内的にも国際的にも、商はそうした流通的な経済交通を一般的に含むわけでございますから、商をもって国際的にも国内的にも代表する名称として商工省という名称は、従来用いられた名称でありますが、まことに適切妥当な名称。国会にも商工委員会というのがいまあって、通産省の所管を担当しているわけですね。そういう意味では国民理解しやすい商工省、私はすなおでいいと思うのです。通商産業、発音が非常にむずかしい。ツウというのは早口で言うときにはなかなかできないです。それから役所の名前は簡にして要を得ている必要があるのですね。その意味では四字よりも二字がいいわけです。(「賛成です」と呼ぶ者あり)賛成でしょう。与党の議員各位も賛意を表しております。
  90. 和田敏信

    和田(敏)政府委員 通商産業省の名称でございますが、やはり官庁の名称、その官庁の中にあります各局、各課の名称は、国民にとってわかりやすい名称であることが望ましいという先生の御指摘の点に関しましては、われわれも極力、今後御審議いただく過程で説明申し上げますが……。
  91. 受田新吉

    ○受田委員 そこまででけっこうです。審議の過程で大いに傾聴に値すべき提案があったということでございますので、大臣これ以上は申し上げません。  次に、今回の法案の改正内容を見まする中に、通商産業省の任務に関する規定の整備では、第三条の関係で「輸出品の生産の振興」を削る。なぜ削られるわけですか。
  92. 和田敏信

    和田(敏)政府委員 当初、通商産業省の設置を見ました段階におきましては、当時の状況といたしまして、輸出が何ものにもまさって必要であった時代であることは、先生承知のとおりであります。したがいまして、通商の振興あるいは鉱工業生産の振興という通産省の任務の中で、特に肝要だと思われます輸出の振興という点に関しましては、これは例示として特記をいたしまして、当時の通商産業省の任務が輸出ということに指向されているということを明らかにしたものでございます。二十年を経過いたしまして、現在のわが国の通商の状況を見ますと、輸出の振興が依然としてわが国の今後の経済発展のために緊要、不可欠であることは、従来と何ら変わるところはございませんが、反面におきまして、このようにわれわれが輸出を振興いたします際に、これとあわせまして、経済協力あるいは輸入の促進、総じて国際経済社会における日本経済調和という問題が新しい課題としてわが国経済発展とともに大きく浮かび上がってきたところであります。したがいまして、当時の傾斜的な重点を置きました「輸出品の生産の振興」という文言は、今回その任務のところから落とさせていただいたわけでございますが、今後ともわが国輸出入の振興、経済協力推進国際協調の達成という点に関しましては、従来と同様、一般の「通商の振興」という任務のところでこれを引き続き実施してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  93. 受田新吉

    ○受田委員 輸出の振興は任務が終わった、こういう断定をされるのも私は早計であると思うのですね。現在の国際的な産業状態を見ると、ますます国際分業的な性格を帯びてきて、日本で当然輸出振興に努力をしなければならぬ産業と、そして国内的にこれを消費する面に力点を置く産業、また輸入を対象にする産業という分野があると思うのです。したがって、そのおのおのの分野からそうした開放経済体制の中で、産業構造国際的な分担を明確にして分業的に進んでいこうとするならば、そのための国際経済転換をはかっていかなければならぬ。その転換は、一つ方向を定めて、しかもスムーズに転換をはかっていかなければならぬわけですね。したがって、輸出振興部門、それの必要な部門がやはり残っておる。これをわざわざ押えなくてもいいと思うのですね。また経済の流れが変わってくると役所が任務を変えていくというような通産省であっては私はいかぬと思うのです。
  94. 和田敏信

    和田(敏)政府委員 輸出の振興が、二十年前と今日と何ら変わるところなくわが国経済運営のための基本的なかなめの一つであるという点は、先生指摘のとおりでございます。また御指摘がございましたように、今後は従来の輸出とそのパターンが大きく変わってくるであろう。たとえば知識集約型のものに集中し、発展途上国の産品を積極的に受け入れ、かつヨーロッパ、米国市場等におきましても、先方の市場が喜んで日本の製品を受け入れるような体制を固める等々、これはすべて帰一いたしますところ輸出の振興でございます。反面、二十年前の状況と今日と違いますところは、今日におきましては、わが国経済の拡大の上に、輸出の振興とあわせまして、国際経済社会における調和確保、輸入の拡大、経済協力推進ということが、国力の発展に伴いまして大きく浮かび上がってきたわけでございます。従来の輸出の振興というのは、これは「通商の振興」ということばの中には当然輸出の振興が大きな不可欠の要素として入っておりますが、その中の「輸出品の生産振興」というのを例示として特記をいたしたわけでございます。自来二十余年の年月が流れまして今日の時代に立ち至ってきますと、輸出の振興はもとより必要でございますが、それの必要性を「通商の振興」ということで十分カバーできるくらいのわが国国際的な力がついたのではないか。このことも、御趣旨のとおり新しい酒を新しい皮ごろもに包みました輸出のパターンを引き続き探求し、かつ、これを推進してまいりたいと考えておる次第でございます。
  95. 受田新吉

    ○受田委員 通産省の任務が経済国際的な流れによってこうして変えられていくということが、私はちょっと問題だと思うのです。通産省の任務は基本的には一貫しているはずなんです。それでもそのつど、こうした任務が削られたり新しいのが出る。それはもちろん新しいものを入れて古いものを捨てる必要はありますが、輸出の振興ということは、日本のような第一次産業の非常に低い国においては、常に通産省の頭からはずしてはいかぬことなんです。これによってわが国外貨を獲得し、国民経済を潤してくるわけですからね。その大事な問題がここから削り取られるという今回の法案の改正を拝見したときに、これはちょっと問題があるなと思った。これは一応不変の原則である。わが国の置かれている経済事情からいったら、当然この項は出さなければいかぬ問題ですね。このように削り取られるということは、国際協調、対外経済協調をはかろうという趣旨で今回の法案の改正が意図されていることはよくわかりますが、この問題はそう軽々しく任務からはずし取るほどの軽い問題ではないと思います。  答弁は立ち入らないように、私の意見を参考にされる程度でやってもらいたいのですが、私は法案に直接関係する問題に触れてみたいのですが、こうして今回の改正案の旧と新と拝見しますと、通産省としては異常なばかりの大改正といっていいわけです。局、部、課が新しいかっこうに転換した、こまかいものが大きいものに置きかえられる。大改正です。特許庁に特許技監を置くということまで規定したわけですけれども、通産省の中で、過去において改正がされたとはいいながら、同時にこの経済構想を雄大に考えていくときには、一緒に考えなければならぬのは中小企業の振興問題です。これは通産省行政の中から改正をはずしてはいけぬ問題があると思うのです。にもかかわらず中小企業庁の関係には何ら変更はされていない。過ぐる日に一部改正したなどという言いのがれで、これを見のがす筋はないと思うのでございまするが、すべての部局にわたって改正されておる中に、なぜ中小企業庁だけがはずされておるか、御答弁願いたい。
  96. 和田敏信

    和田(敏)政府委員 今年は中小企業庁はその発足から二十五年を迎えるごとになっております。現在、中小企業庁の組織といたしましては、その原型といたしましては、約十年前昭和三十八年、中小企業基本法の制定に伴いまして大改正をいたし、今日に至っておるわけでございます。中小企業庁は、その機構は、現在の時点においても、その使命の遂行上妥当性を欠いているとは考えておりません。もちろん、わが国経済発展とともに中小企業も中小企業政策の新しい課題が増大しておりますので、今後とも現行組織の有効な活用をはかりますとともに、常に望ましい機構、組織につきましても検討を重ねてまいりたいと考えております。  中小企業庁の組織に関しまして、この十年来の経緯を振り返ってみますと、中小企業庁次長の設置その他課長の増員等見るべき改正が行なわれてきたところは、先生承知のとおりでございますが、現下の国際情勢にかんがみまして、中小企業庁におきまして、あるいは発展途上国との関係、あるいは先進諸国との水平的関係におきまして、その施策につきまして、現行機構をもってしては異議ありという事態になれば、あるいは、なるおそれがある場合には、われわれといたしましても、遅滞なくその事態に対応いたしまして、中小企業庁設置法改正に関しましての御審議をお願いいたしたいと思っております。
  97. 受田新吉

    ○受田委員 中小企業庁には現在百六十八人しか職員がいないわけです。通産省の一万一千人をこえる大規模の中でこのささやかな人員構成という点は一つの問題がある。そして中小企業の従事者の数は何人か、ちょっと数字をお示し願います。
  98. 莊清

    ○莊政府委員 中小企業の従業員数は全体で二千七百五十五万人、これは第二次産業、第三次産業の全従業員三千三百万でございますから、約七五%相当でございます。
  99. 受田新吉

    ○受田委員 それだけの重い比率を持っている中小企業に、中央官庁においてただ百六十八人の人員をもって中小企業が擁護できますか。  現に中小企業に新任する大学出、高校出、その給料は大企業と比較すると、最近いささか前進はしておるけれども、依然として低水準にあることを御存じでございますか。御答弁を……。
  100. 莊清

    ○莊政府委員 先生指摘のように、中小企業におきましても、近年次第に大企業との賃金のいわゆる格差というものが縮小の方向に向かいつつあります。たとえば、三百人以上の従業員を持った企業の水準を一〇〇といたしました場合に、昭和三十五年は中小企業平均で、これは二百九十九人以下の水準層でございますが、大体五六%でございます。半分ちょっとというのが給与水準でございましたが、昭和四十五年の数字を見ますと、六三%、六割を若干上回ったところにある。そのうち中小企業の上位層と申しますか、従業員の百人から二百人というふうな上位層では、七八%、八割を若干下回るというところまで実は参っておりますが、百人以下の層、あるいは三十人以下の層、下にいけばいくほどまだ格差というものがあることは、これは残念でございます。やはり今後、企業の生産性を高め、経営基盤を強化していく、これは非常にたいへんなことでございますが、国としてこれを強力に推進していくということが、こういう中小企業、特に零細企業につとめる従業員の方々の福祉の向上のためにぜひとも必要な不可欠のことである、かように考えております。
  101. 受田新吉

    ○受田委員 中曽根大臣、あなたも諸外国を何回か旅行され、私もしばしば諸外国を視察して帰っておりまして、欧米先進諸国家は大企業と中小企業の賃金の格差がほとんどありません。だから、大学を出た人が大企業へ行っても、中小企業へ行っても賃金が同じ。そうなれば、大企業へ行って課長、部長どまりよりは、中小企業でみずから開拓して社長にでもなれるという道が開ける中小企業を選ぶ大学卒業生がたくさんあるのです。日本は、これだけ経済成長した国家で、産業構造近代化に変えられつつあるときに、依然として中小企業分野では、中小企業庁の十年間の歩みの中で、改善されたと言いながらやはり大企業の六割三分。悲惨ですね、これは。  同じ人間として職務に精励しながら、この低賃金で甘んじていなければならないという現実を思うときに、中小企業庁という役所が、この小規模の人員で、この小さな機構で、これだけの大役を果たすことが可能かどうかです。中小企業庁長官がいかに英明で、その部下が精励恪勤の士がそろっておっても、手抜かりがたくさんできる。二千五百万という大量の人員を抱えて、しかもこの中小企業に働く人々は著しい低賃金で働いているというこの現状を打開する道が私は必要だと思うのです。通産行政の中で最も力点を置かなければならぬ問題が一つある。庶民の産業に従っている庶民の側は非常に低い水準で、高度経済成長の陰で犠牲を受けているのが中小企業だと断ずるが、大臣、いかがお考えでございますか。
  102. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 お説のような要素がまだ非常に多いと思います。特に賃金の問題や、待遇、厚生施設、そういう問題を見ますと、遺憾な点が多々ございます。最近は、しかしやや回復してまいりましたが、それでもまだ至らぬ点があるようであります。その点はわれわれも今後とも労働省等とも連携いたしまして、中小企業の賃金問題やあるいは待遇、福祉問題等について、さらに努力を継続していきたいと思っております。  中央における中小企業庁は、大体企業的要素が非常に多いわけです。それで地方の通産局、それから府県の商工部というものと連携をして、現実の中小企業の指導は、商工部あるいは通産局が商工会議所や商工会と連絡をとってやっておりまして、そういう外部団体に非常に協力もお願いをしてやっておる部分が多いわけでございます。そういう点で、自分で直接手を下さずに外部団体のお力をかりてやる。同業者の非常な自発性を尊重しながらやっていくあれもありますので、かろうじてやるという点もありますが、しかしお説のように、まだまだ力が足りない点もありまして、今後、行政管理庁その他とも相談いたしまして、打開をするようにつとめていきたいと思います。
  103. 受田新吉

    ○受田委員 自民党の経済政策が大企業中心主義に走り、中小企業を非常に軽視してきたという現象が、戦後二十八年たった今日こういう状態を招いているわけです。したがって、商工省に中小企業庁を設けるときの、時の商工大臣は水谷さんであった。われわれの敬愛する先輩が中小企業振興のためにこの役所をつくられた。自来この役所は、中小企業基本法できたといっても、ほんに場当たり的な改正にとどまって、一向本格的な処置がしてない。つまり、中小企業庁が陣頭に立って企画し指導をして、地方の末端に至るまでの的確な指針を示していかなければならぬわけですが、それが中小企業庁百六十八人じゃとてもできません。私はむしろ、行政機関定員法のワクは中小企業のところへしっかり振り向けて、他のところで節約するところがたくさんある。これは別に定員法のワクに縛られる必要はないわけで、通産省の中でも内部操作ができる。大企業本位の自由民主党の経済政策の陰に犠牲になった人々を守る役所としては、あまりにも冷たいやり方をしておられると思うのです。行政面の欠陥が出ていると思うのです。これは自民党もやはり、高度経済成長ではなくて、高成長高福祉で、福祉のほうにも一緒に頭を向けてもらわなければならぬ。成長だけに力を入れて、精神面、福祉面に忘れられた結果がここに出てきておる。賃金格差の大きな開きなんというのは、そこから出てきておるわけですね。私はあなたのような強力な通産大臣がいま現にその任にあられるときに、こういう問題をすかっとやってもらいたいと思っているから、この法案の改正点を見たときに、その場合、中曽根さんの明哲なる頭脳が、あなたの愛情が、どこにひらめきがあるのか期待しておったのでありますが、中小企業にはかけらもその恩恵が見られておらぬ、残念でございます。(「異議なし」と呼ぶ者あり)異議なしだろう。  私、この点はひとつ、議論する時間が制約されておるのでありますが、どなたからでもけっこうですが、ソシアルダンピングという、国際的に日本が非常に警戒心を持って見られる見方が一つあります。これはどこから出てきた見方であろうか、それはわれわれが反省しなければならぬ要素はどこであろうか、御答弁を願いたい。
  104. 小松勇五郎

    ○小松政府委員 ソシアルダンピングということばは、先生十分御案内のことと存じますが、戦前、日本が非常に低賃金であった時代、及び戦後やはり欧米諸国に比べまして三分の一とか五分の一とか、あるいは米国などに比べますと十分の一という賃金の時代に、低賃金でもって低コストの商品をつくる、それを低価格で売る、これが労働力のダンピングという意味で使われたことばかと存じます。
  105. 受田新吉

    ○受田委員 それが依然として日本にまだ残っておる。公害排除の装置なくしてそこで生産をする。公害排除設備をやれば、それだけ生産コスト関係してくるわけですが、賃金においてもまだ依然として国際水準に達していない。そういう犠牲において、日本は海外との間で価格のバランスがくずれて、海外に安く売り出される、こういうことがまだ今日も続いている面があるのです。その中に犠牲者はやはり中小企業が相当の部分を占めておる。  私、過ぐる日にたいへん悲しい新聞記事を見て、ふと涙を流さざるを得なかったのに、江東区のミットとグローブをつくる業者が、ついに経営に行き詰まって、五十一歳の職人が一人雇われていたが、その家内工業的な業者の家へ職人が行ってみたら心中をしておったという事件。かわいそうでしたね。海外輸出振興に貢献したいと思って、ミットとグローブをせっせとつくって、一家をあげて一生懸命やったが、その借金の支払いができなく、輸出がが然悪化してその製品の前途に大きな壁ができた。生きる道を失った、国の通産行政、中小企業対策の大欠陥からくる犠牲者だと私は思いました。政治の貧困からくる犠牲者だと、かわいそうでした。せっせと働く若い夫婦が、一人の職人とともに朝早くから夜おそくまで働いていた。おそらくこういう家内工業的な従事者は、休日も抜きにしてかわいい子供の成長を楽しみにがんばったでしょう。円切り上げ、貿易上の壁が、ついにこの人を、この営々と勤勉な勤労者を死に追い込んでいったという。さびしいですね。国の政治の中小企業に寄せる政策の貧困、こういう人々にもっともっと何とか手だてはできないものか。そういうときには相談所で始終、おたくの経営はどうですか、銀行へ借金がある、その借金をどう返されておりますか、いま輸出が非常に困難になってきておるが、皮製品の場合、あなたのうちではどうですかと静かに相談に来られれば、実はこうだと家庭の事情も話してくれたでしょう。そういうことの道の知識も少ない人は、どこで金を借りたらいいかということについても、銀行の、しかも相互銀行あるいは高利貸しというようなところにぶち当たってくると、だんだんと金融の面の壁も出てくる。かわいそうですよ。通産行政の中で、この不幸な人々を再びつくらないような行き届いた愛情が要る。行政指導が要る。地方の商工会、今度は無担保、無保証で二百万程度まで金を貸す制度が設けられたようですが、おそらくこの制度ができたとしても、こういう家庭には簡単には金を貸せぬと思うのです。私は何か生きる道を求めたい、そうして自分の仕事を求めたい、自分が一生貫き通す仕事を持つ人はりっぱな人間であるといわれておる。そのためにりっぱな仕事を持とうとして求めた仕事、ミット、グローブ、いいですね。これは一例です。世間には数多く陰に隠れた犠牲者がある。たまたま新聞に出る事件は、わずかなものと思うんですけれども、陰に隠された犠牲者がどれだけ多いかと思うとき、日本の中小企業、零細企業、家内工業における政治の貧困。確かに私は、自民党長期政権の資本主義経済政策、弱肉強食、貧富の格差の拡大、この犠牲がここに出たと思うんです。福祉政策の欠如、平素の行政指導の欠陥。中小企業庁がある、さらに商工会その他がある、末端にまで行政指導をやって、せっせと働く勤労中小企業、零細企業にまで行き届いた愛情が要る。政治の貧困は断じて政府自身の責任である、こう私は思うのですが、中曽根大臣いかがお考えですか。
  106. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 先ほどの事件はまことに痛ましい事件でございまして、私も朝新聞を見ましたときに、粛然としてみずからを責める気持ちになりまして、さっそく、どういう状況でああいうことになったか調べろといって、調べさせたのでございます。結局、金融のめどがつかなくなって、それもわずかな金額でございましたが、こういうようないろいろな措置が講じてあるということを早くお知らせして、そう思い詰めなくてもいいような場所をつくってあげるということが私たちに足りなかったことである、そういう非常に反省をいたしました。それで、さっそく中小企業庁より、商工会議所あるいは実業組合団体、商工会その他に対しましていろいろ周知徹底させるように指示をし、手を打った次第でございます。まことに悲しいことで、われわれの足らざるところからああいう事件が痛ましくも起こったことを深く反省して、こういうことを起こさないようにさらに戒めていきたいと思ったわけです。
  107. 受田新吉

    ○受田委員 私は、中小企業者に寄せるいろいろな心づかい、徹底しても余りあるぐらいに心を配ってもらいたい。そのために国家が惜しみなく金を出すべきだ。いま私、幾つか指摘した中小企業が低水準にある悲惨は状態を、今後思い切った政府政策転換によって救わなければならないと思っております。資本主義経済政策を進める自民党としては、このようなところへ行き届くのはなかなかむずかしいかと思うのでございますが、しかしそこへ手を打ってこそ、自民党政府の栄光に輝やく長期継続があるわけです。そのことについて、あなたのような強力な大臣が出られたときに、この人々、親子四人心中、小さい子供たち、小学校へ行く子供たちが犠牲になっている。ほんとうに胸が痛む。何とかしてあげたい。この一歩前の家庭がどれだけたくさんあるかと思うときに、中小企業庁は十分企画し、指導を末端にまで行き届かせて、こういう事件が再発しないように行き届いた行政指導を徹底的にやる。そのための人員が要るとき、そのためのそうした連絡が要るという金は惜しみなく国が出せばいい。  いま予算はすこぶる大きなスケールになっている。それに対する金融も、中小企業関係の三金融機関などももっと活躍しワクを広げていく。それから、大企業には非常に低い利率で、そして無条件で金を貸し付けている銀行も、中小企業になると一々手続がめんどうになるし、信用などといってややこしくなる。そういうときには、国家がきわめて低率な貸し付けができるような制度を新しく創設して、五分とか三分とかいうもっと低い金利、無利子というようなものも中にあっていい。そこまでしっかりやっていけば中小企業は生き返りますよ。農村振興などには三分とかいうような低利率のものがある。中小企業にもっともっと低いやつをつくってもいいのです、そういう業者のために。  私、これは相当の時間をさく予定でしたが、これでおきます。私の意のあるところを前提にして、政府が十分心してやってもらいたいわけです。  もう時間がなくなりましたから、最後に一つだけお尋ねしたいことがあります。  中曽根さん、私はあなたに非常に期待している。若き議員時代からの同期の桜という感じもありまして、あなたにひそかにその活躍を期待している野党議員。したがって、あなたに要望することがあるのは、通産省を中心にされて、各省の中でせめてあなたの役所だけは天下り人事の弊害を削除していただきたい。通産省の高級官僚の方々がやめていくと、就職のために、関連企業に対しては二カ年の法律の制限がありますけれども、それでないところにはいつでも行ける。初めは顧問とか相談役とかで行ってついにそこへいすわる、こういうことになってくるわけですが、お役人として国家試験に合格して就職した通産省で、最後には事務次官となる。また、国務大臣は過半数を国会議員が占めればいいので、あなたの内閣でもできたら、事務次官の通産大臣、つまり議員でない大臣を置いてもいい。そういうふうにして次官なり大臣になる道が開ける。そして通産省で定年までせっせとつとめて局長、部長、課長になる。そして国家公務員として、国民全体の奉仕者としてその人生は一応終わった、こういう形で定年までつとめられるようなかっこうにしてやめていただくというふうにして、国民全体の奉仕者として最後までつとめてその人生を飾っていくというやり方が私はいいと思う。関連企業などへつとめて、あるいは民間会社へつとめて、通産省のお役人の奉給より倍も月給をもらう、これはたいへんだと驚くようなお役人が民間に行かれたというのを私が読んだときに、お役人の給料よりも倍もする民間の重要ポストについて、喜びいさんで第二の人生でよりスケールの大きい金もうけに走っていく、これはさびしいことだと思うのです。むしろ公務員として生涯を閉じ、そしてまた地方へ帰って村長さん、町長さん、市長さんとか、あるいは学校へつとめるとか、そういうところで、あの人はお役人のとうとい生涯、清い公務員生活で身を終わったといわれるようにする。せっかく局長になったが、今度は金もうけに狂奔している商品投機の会社へ、もうけた金をしっかりボーナスでいただいてえらいぜいたくしておる、あの人は金権のとりこになったというようなことで終わらせてあげたのでは、むしろお役人になられた目的に反する。その意味においては、定年までつとめられるように、次官どまり、局長どまり、ああいうところで定年にいく。五十五、六になってやめて、さあどこへ行こうか、いいところはないか、紹介してください、商品投機の会社へ行きますか、金もうけの多い会社のどういうポストに行きますかというようなことで、局長の在任中から頭を痛めるようなお役所であってはいけぬと私は思うのです。生涯を清く公務員としてつとめ終えていけるようなところに行く、そういう人事ができないものか、いかがでしょうか。
  108. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これは大問題でありまして、そういうことを私も全く受田さんと同じような感じで考えたこともございます。通産省もさることながら、たとえば防衛庁のような場合に、自衛隊の相当な上に行った将クラスの人たちが、どこかの自衛隊と関係しているような防衛生産会社に就職したり商社に就職したりして、それでまた防衛庁に陳情に来るという姿を私は防衛庁長官のときに見まして、何とかこれは改革できないものかということを漏らして研究したこともございますし、通産省に参りましてもそういう感がしないわけでもございません。  これはいまの官庁機構全般の問題であると私、思いまして、一通産省の問題ではございませんが、そこで定年延長という発想を持ったことがございます。私は定年を延長したほうが実はいいと思います。ただ、それには全般的な各省との内部の関係が出てまいりまして、一面において利害いろいろございますが、若くして局長や次官で去って生産会社等に入っていくということは、一面においては官庁と企業との関係で誤解が生まれたりして適切でないところがございますが、また一面においては、単に金もうけのためにのみ入るという考えにとらわれないで、自分の持っている能力を日本国民の一人として生産なり通商方面に最大限に活用して発揮していく、ここに第二の人生を見出していく。そういう諸君は、必ずしも給料が多いからやるという意味でなくして、第二の人生でそういう能力を全面的に発揮する、そういう喜びを味わっている人もまたなくはないと思います。  そういう面で、でき得べくんば定年を延長するというほうが望ましいと思いますけれども、全部の人間が局長になれるわけじゃなし、全部の人間が次官になれるわけじゃなし、だれかが脱落して自分でまた食っていかなければならぬ。そういうことになりますと、大学教授にすぐ受け入れてくれるとか、あるいは地方で公共団体の長になるというチャンスがある人があればいいですが、いまの日本社会体係から見て非常にまれなケースでありまして、そういう面から見て、一体そういうふうにやめていく人たちの身分のことも考えてあげないといけない。昔は、局長をやれば、十分家も建って恩給で食っていける。それだけ社会的尊敬も保ち得たのでございますが、近ごろは、局長をやめても、この間聞いてみたら、通産省の三十年以上やった局長が千八百万円ぐらいの退職金だといっていました。それによると、五十坪の土地も買えない。そういう情勢で、その年がちょうどもう自分の子供が大学に入るというような時代、あるいは嫁に行くという時代で、物入りの多い時代にも遭遇している。これまた、人の子としても、われわれお互い考え合わなければならないということがありまして、やはり昔のように相当給与を高くしてあげて、そして老後を心配しないで住めるような形にするということがいいのではないかと私、思います。したがって、そういう方向に向けて事態を次第に改革していくように向けていきたいと思います。
  109. 受田新吉

    ○受田委員 私、定年までつとめられるように人事行政を進める方法があると思う。つまり、役所へ入って大体十五年、二十年ごろになって、いまごろ課長が生まれてくるわけです。それで今度四十五から五十の間に局長になってくる。それを五年ずらしていけばいい。そういうふうに、上級、中級、初級とあるその格差を是正するという配慮もしながら、一方で、最終のポストに行ける年齢が定年に近づいていけるような人事行政をやればいいです。確かにほかの役所といろいろバランスがあります。人事院の権能という関係にもつながるのですけれども。それは通産省が、課長になる時期を少しずらしていく。今度、局長になる時期をまた四、五年ずらしていく。そうすると、ちょうど五十五ぐらいのころに局長で、二、三年やってやめていく。局長にならぬ人は、局長にならなければもう首にするとか、同期の次官が出たら同期生は一斉にやめてしまうとか、そういうことをせぬでもいいですよ。同期が次官、同期が局長、あっていいですがね。そういうような配慮をすることで定年までつとめられるわけです。若くして課長になり局長になって、五十前後でやめていかなければならぬということになると、次の人生が生き生きしながら残っておる。さあ、いいところはないか、こうなる。いいところはないかというと、通産省の息のかかったところの重要ポストに入る。そうすると今度重役にでも入る。そうすると、今度は本省に行って、かつての上司がたずねてくるわけですから、現職の局長、課長も、いや何々さん御苦労さんでした、おれはこういうことになっているのだが、何とかおれのところに来てくれぬかな、ということになれば、ひとつあなたのことですから何とかと、こうなる。とにかくこれはもう完全に民間の企業と通産省が癒着するのです。ここに非常な腐敗、堕落の原因が起こってくるということにもなるわけです。他の役所も同じですが、通産省から出た先輩が役所にたずねてきた、まあおかけなさいませと言ってやりますよ。そうすると、会社でも相当重要ポストにおるのですから、どうか今晩おれのところに来てやらないか、飲まぬかとか、料亭でも行かぬかとなると、そこで役人の変なうわさが出てくるということで、その人間関係というものを、企業と役所が癒着することを断ち切る英断をふるわなくちゃならぬと思うのです。ここに日本の政治の腐敗の根源がある。  商社なども、私たちは二月に一斉に調べに行ったのであります。わが党は班を分けてみな調べに行った。そのときはなかなか種を出さなかった。いいことを言っておったのです。その後また実際にはなかなか容易でない商品投機があったわけですね。その癒着は、そこにやはり通産省の天下りの方々が各所におられるわけです。こういう問題は、私はもうこれ以上追及しませんが、大事な問題ですよ。大臣、これはあなたが主要閣僚として閣内で、定年まで公務員としてつとめられるような人事行政をしようではないかと提案されれば、各省が課長になるのを一、二年延ばせばいい。部長になるのをまた一、二年、局長になるのを一、二年延ばせば五、六年すぐ延びる。そういうところでちょうどやめるころにポストに持っていけばいい。こういうやり方をなされば、そういう欲が働かないようになる。清らかな公務員生活をしておれは定年までつとめたのだという人生を、あなたの部下たちに与えていただきたい。他の省の模範になっていただきたい。官房長御答弁ありますか。
  110. 和田敏信

    和田(敏)政府委員 御質問の点でございますが、先生の御発言に関しましては、中曽根大臣からお答えになる前に、技術的な観点から多少御説明させていただきます。  役人の定年制の問題でございますが、通産省におきましては、いわゆる定年制はしいておりません。行政の専門化という事態に対応いたしまして、経験を積んだ行政官の存在が必要であるという一方、行政人事の停滞を避け、職員の士気を常に新しくするという形で、特に幹部職員につきまして、しかるべき時期に自発的に去っていくという要請が強いという実情にございます。これは第一点でございます。  それからいま一つ、次官になると同期の者が全員やめるという点でございますが、そのよりなルールを通産省におきましては特に設定をしているわけではございません。しかし、ただいま申し上げましたような人事の停滞、こういうことを避けるために、自発的に幹部職員が勇退をしておるというのが実情でございます。また反面、行政の円滑な遂行のためにやむを得ない事態かとも考えております。  また第三点目、最後でございますが、役人が役人を終わったあとどこかに就職するという場合には、人事院の厳密な審査を受けておりまして、行政の中立性、公平性をそこなうことがないように、人事院におけるスクリーニングが実施されております。役人をやめまして二年間は、営利企業の地位で、その離職前五年間に在職していた人事院規則で定める国の機関と密接な関係のあるものにつとめることを承諾してはならない、こういうことでございます。御指摘の点に関しまして、技術的観点から、実情に関しまして若干事前に御説明申し上げさせていただきました。
  111. 受田新吉

    ○受田委員 質問を終わりにするわけですが、大臣、もう一つ、あなたの最近の御発言で、経済界に非常に影響を与えたとおぼしき事件があるわけです。不況カルテルです。われわれは、不況カルテルというものの存在を置くべきじゃないと提唱し、また不況カルテルには中小企業が非常に多いわけです。そういうものも解消していくような方向にもっていく。カルテルという制度を置かないで経済発展がスムーズにいくようにする政府の指導が要ることを提唱してきておるわけだが、大手六社の鉄鋼業界に対して、昨年の末までの不況カルテルによって、その保護のもとにできた利益の積み上げ、これによって株式の配当を、たとえば六分のところを一割にするとかいうことは適切でない、八分にとどめよというような行政指導をされたというのが新聞に出ておった。非常に有力な新聞に出ておりましたので、ふと私、通産省はそうした配当制限の提唱権があるかどうかなという問題を考えたわけです。不況カルテルに関係する問題でございますから、われわれの党としても関心のある問題でございますので、ちょっと大臣の御発言がどういう形でなされたのかを御答弁願います。
  112. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私はそういう発言をしておらないのです。しかし、この問題は非常に重要な問題ですから、私の考えをこの際御答弁として申してみたいと思うのですが、鉄鋼のような、国の基幹産業であり、指導的産業であり、かつ国民経済及びわが国産業に非常に影響力を持っておる産業は、値段ができるだけ長期安定して、暴騰したり暴落したり波動しないことがまず望ましいと思います。しかし、といって通産省が配当を何分にせよとかなんとかいう介入をすることは、できるだけ避けたほうがよろしい。企業の自由な創造力を最大限に発揚させるというのがわれわれの考え方でありますから、自由の乱用が目に余る、そういう場合には公共の利益の観点から、通産省はある程度の節度を持った行政指導ということは考えていいと思いますけれども、その自由に対して、正常な問題について、われわれのほうが不当に介入するということはできるだけ避けるのが望ましい。そういう基本観点を二つ持っております。  それで、鉄鋼の場合につきましては、かなり今期は利益があがりまして、大体先期の三倍から五倍くらい、非常に利益が実はあがってきている。そのあがったもとを見ますと、今期のうち三カ月はカルテルが入っておったわけです。それでカルテルをやるについてはいろいろ議論がございました。また、カルテルをはずす時期についても、野党の皆さんは、社会党、民社党、公明党、共産党、ほとんど早くはずせという御議論がございましたが、景気の動向をわれわれはよく注目しておりまして、十二月一ぱいまではカルテルやむなしという考えでやっておりました。だから三カ月間は今期はカルテルによって守られたという要素が実はあるわけです。しかし利益は、大体その後の景気の好調、回復によって、売り上げ増によって利益が非常にあがった。そういう要素があって、必ずしもカルテルのみに負うところではない。売り上げ及び生産増大という点にかなり負っている。そういうことがあるわけです。  そこで、私といたしましては、そういうふうな利益があがってきたということ。一方においては、しかしカルテルが三カ月はかかっておったということ。現在それで国会において各党から、このカルテル問題について私及び公取委員長に毎回のように鋭い質問が寄せられておったという事実。それから企業が、特に社会的な影響力の多い企業は社会的倫理性をもって処さなければならないと、経団連やそういう企業自体が決議をしたり意思表示をしておる。こういう時局柄考えてみまして、こういう事態を鉄鋼関係の皆さんがよく考えていただくことは適当であろう、そういう期待感を私は持っております。  それで、鉄鋼の状態を見ますと、いままでかなり不況が続いたために、ほとんど内部留保を吐き出して、そして非常にやせていた経理内容、体質になっております。だから長期的に見ますと、そういう利益があがった場合には、まず第一に積み立て金等も充実させて、将来不況が来た場合に耐え得るような体質の充実をこの際やることが国民経済的に見て適切ではないかと考えられますし、また、公害問題というものが出てまいりまして、鉄鋼も相当公害防除についてこれから大量投資をさらにやってもらわなければならない。公害の規制というのは今後またきびしくなっていくという状況でありますから、そういう点も考えてもらわなければならぬ。また一面において、値段を下げるという努力もしていただかなければならぬ。物価抑制というのは今日国民的課題でございますから、鉄のほうでもその分を引き受けてやって、インフレ克服について協力してもらわなければならぬ。そしてカルテル問題も、いろいろ国会であった論議を考えてみて、ともかく三カ月はカルテルがあったために擁護されたということは、事実として結果的には否定し得ないところでもあります。  そういうような要素をいろいろ考えてみて、鉄鋼関係の経営者たちが良識をもって処置せられることを私は期待したい。それで、そういうことはできるだけ会社の皆さん方が各自の良識に訴えてやっていただくことが望ましいけれども、私はやはり、物価抑制という面、それから公害に対する対策の面、そういう面、それから将来の不況に備えて体質を強化しておくというような面から見て、利益金の処分については、そういう点を慎重に配慮されることを期待し要請したいと思うのです。  そういうような考えをもちまして、私は鉄鋼関係につきましては、値を下げてください、協力してくださいということは言いました。そして、その点については鉄鋼関係協力してくれまして、三十万トン増産をやり、市中価格を鎮静させようということでやってくれ、また将来もやってくれるようにいま努力しておりますが、利益金の処分の問題については、これは企業内部にいろいろな事情もございますから、できるだけ企業おのおのの考えでやってもらいたいと思うのですけれども、しかし国会の内部における各党の御論議等を拝聴しておりますと、私は各会社の社長さん方が、この際、鉄鋼のようなリーディングインダストリーの社会的地位も考えてもらって、そしてそういう社会的期待にこたえてもらうように利益金の処分についても慎重に配慮されることを要請したいと思っております。将来この問題については、社長さんがどういう行動に出られるかわかりませんけれども、情勢によっては、通産省としてそういう意思表示をしてもいいのではないか、そう思って、目下検討しておるというのが現段階であります。
  113. 受田新吉

    ○受田委員 そこで働く従業員の賃金の支払いを引き上げるという問題は、その中で考えられないわけですか。
  114. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 利益金をどう処理するかということは、社長が株主や会社経理の状況、それからいま申し上げた体力の充実というような諸般のことを考えてお考えになり、かつまた労使の団体交渉においてきまることでございますので、われわれが容喙すべき問題ではない、このように思います。
  115. 受田新吉

    ○受田委員 それでは、あなたの談話として新聞に拝見したもので、いまのあの談話はなかったのですか。これだけ正確にしておきます。
  116. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 ございません。
  117. 受田新吉

    ○受田委員 私の時間がだいぶ皆さんに御迷惑をかけました。  さっき法案そのものに対しての質問で一つ残ったのをちょっと追加したいのですが、今度審議官を一つ置くこと、これはもう、次官の次へ持っていくような審議官と、それから官房にある審議官、こういうふうに審議官のうちにある。参事官というのがその間にある。こういうものがばらばらにあなたの役所に散らばっておる。これは何か統一できませんか。参事官の上の審議官もおれば、参事官の下の審議官もおるというような名称の乱用というものはこの際避けるべきじゃなかったかと思うのです。
  118. 和田敏信

    和田(敏)政府委員 通産省、従来は他省と違ったランクづけをしておりましたので、今回先生の御指摘のような形におきまして、審議官、参事官という各省ベースのランクづけに修正させていただくことを考えております。  審議官は、局あるいは官房の所掌事務の一部を総括整理するということになっております。また参事官は所掌事務の一部に参画する、こういうふうに各省並みの形に、今回の設置法改正を契機といたしまして修正をさせていただきます。
  119. 受田新吉

    ○受田委員 名称の統一は、これは各省ともつながる問題ですからね。通産省としても慎重にやってもらいたいことなんです。  それからもう一つ、今度の改正で、繊維雑貨局の中に紙業課というのがある。最近、印刷技術がずいぶん大きなウエートを占めるようになった時点で、印刷というのをこれに入れて紙業印刷課というような課名。これは政令事項でありますが、印刷部門を大きく取り上げるという配慮をすべきではないかと思います。この点を質問いたしまして、終わりにします。
  120. 和田敏信

    和田(敏)政府委員 印刷業は紙、パルプ、製本などと一体的に繊維雑貨局紙業課において所掌しておることは、先生承知のとおりでございます。印刷業につきまして独立の課を設けることは、機構全体との関連で現在は妥当だとは考えておりませんが、印刷業に関する行政窓口の拡充整備を行なうことによりまして業界の要望に対処してまいりたい、かように考えております。
  121. 受田新吉

    ○受田委員 この紙業の中に印刷をくっつけるというわけで、独立の課を設けるというのじゃない。紙業印刷課と、こうされてはどうかと要望しているわけです。
  122. 和田敏信

    和田(敏)政府委員 御趣旨のラインに従いまして、できるだけ検討さしていただきたいと思います。
  123. 三原朝雄

    三原委員長 次回は、明二十日金曜日、午前十時理事会、十一時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時五十二分散会