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1973-04-03 第71回国会 衆議院 内閣委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年四月三日(火曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 三原 朝雄君    理事 奥田 敬和君 理事 加藤 陽三君    理事 笠岡  喬君 理事 中山 正暉君    理事 藤尾 正行君 理事 大出  俊君    理事 木原  実君 理事 中路 雅弘君       赤城 宗徳君    越智 伊平君       大石 千八君    近藤 鉄雄君       竹中 修一君    丹羽喬四郎君       旗野 進一君    林  大幹君       三塚  博君    吉永 治市君       山崎 始男君    和田 貞夫君       木下 元二君    東中 光雄君       鈴切 康雄君    受田 新吉君  出席国務大臣         建 設 大 臣 金丸  信君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      坪川 信三君  出席政府委員         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務総局         任用局長    渡辺 哲利君         人事院事務総局         給与局長    尾崎 朝夷君         内閣総理大臣官         房総務審議官  宮崎 隆夫君         総理府人事局長 皆川 迪夫君         首都圏整備委員         会事務局長   小林 忠雄君         工業技術院長  太田 暢人君         建設大臣官房長 大津留 温君         建設省都市局長 吉田 泰夫君         建設省住宅局長 沢田 光英君         消防庁次長   山田  滋君  委員外出席者         人事院事務総局         給与局参事官  斧 誠之助君         警察庁刑事局防         犯少年課長   奥秋 為公君         科学技術庁計画         局科学調査官  山中 光一君         大蔵省理財局国         有財産第一課長 篠田 信義君         文部省大学学術         局情報図書館課         長       吉川 藤一君         文部省管理局教         育施設部助成課         長       西崎 清久君         厚生省環境衛生         局環境整備課長 折田 貞雄君         厚生省環境衛生         局水道課長   国川 建二君         農林水産技術会         議事務局研究総         務官      富樫  洋君         気象庁次長   石原  明君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     南部 哲也君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ――――――――――――― 委員の異動 三月三十日  辞任         補欠選任   奥田 敬和君     大西 正男君   吉永 治市君     地崎宇三郎君   木下 元二君     中島 武敏君   東中 光雄君     不破 哲三君 同日  辞任         補欠選任   大西 正男君     奥田 敬和君   地崎宇三郎君     吉永 治市君   中島 武敏君     木下 元二君   不破 哲三君     東中 光雄君 四月三日  理事鯨岡兵輔君同日理事辞任につき、その補欠  として奥田敬和君が理事に当選した。 三月二十九日  防衛施設周辺整備等に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出第一〇五号) 同月三十日  米軍小柴貯油施設の撤去に関する請願(鈴切康  雄君紹介)(第一八二四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月三十日  恩給、年金制度の改善に関する陳情書外一件  (第一六二  号)  米軍多摩弾薬庫跡地早期返還に関する陳情書  外一件(第  一八三号)  米軍基地内の公害防止対策に関する陳情書  (第二二〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  参考人出頭要求に関する件  国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律  案(内閣提出第六二号)  建設省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一二号)      ――――◇―――――
  2. 三原朝雄

    三原委員長 これより会議を開きます。  理事辞任の件についておはかりいたします。  理事鯨岡兵輔君から理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 三原朝雄

    三原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、理事補欠選任の件についておはかりいたします。  ただいまの鯨岡兵輔君の理事辞任に伴いまして理事が一名欠員となりましたので、この際、その補欠選任を行ないたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 三原朝雄

    三原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。それでは理事奥田敬和君を指名いたします。      ————◇—————
  5. 三原朝雄

    三原委員長 国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  6. 大出俊

    大出委員 退職手当法案の内容に入ります前に、人事院総裁お見えでございますので、最近の総裁の幾つかの言動といったらおかしいですが、をめぐりまして、承っておきたいことが二件ばかりございます。  人材確保法案なる法律があるわけでありますが、この学校教育水準維持向上のための義務教育学校教育職員人材確保に関する特別措置法案、前に一ぺんここで御所見を承りましたが、これをめぐって、この法案が通らない場合に、人事院は本来勧告権をお持ちでございますから、その勧告権に基づいて義務教育教職員の皆さんに対する勧告人事院は行なうという意思のあることを明らかになさったようでございます。その真意那辺にありやという点をまず一つ承りたいわけでございます。いかがでございますか。
  7. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 それはごく最近の私の言動でございます。昨日、参議院の予算委員会で述べたことに関連をしております。結局、筋道としてわれわれの考えておりますのは、これは例の法案提案される前に、法案を出そうか、なしでいこうかという御議論もある方面にあったというふうに拝聴しておりますので、なしでも、これはわれわれとしてやる、これは当然のことである。それでわれわれとしては、法律案の形でああいうりっぱなお墨付きをいただければ、なおこれはけっこうなことという気持ちで臨んでおるということが根本であります。それで、流れた場合には、結局また最初の振り出しに戻りますから、勧告は可能である。するつもりはあるかどうかというところまでは申し上げた覚えはありませんけれども、筋としては勧告は可能である。よけいなことを言えば、それがこの国会でどういう御議論の的になるか、またその様子にもよることで、われわれとしては、出ようとしておったところが、あるいは冷や水をぶっかけられて出そびれることもあり得るというようなことも含んで言いますと、可能性ということにとどめてお答えしたわけであります。
  8. 大出俊

    大出委員 私は実は、本来この法案に対する人事院の見解はもう少しきびしいものであってよかったのではないかと思っておる。人事院総裁の御性格かどうか知りませんが、たいへん紳士的に過ぎるという感じがするのでございます。ということは、人事院の本来の機能というのは、労働基本権か、あるいは代償機関かというILOにおける長い論議がございました。私も何回かILOに参りましたが、そこで日本政府は、毎回、代償機関だということを強調してきておるのですね。したがって、公平な第三者機関であり、スト権にかわる代償機関である。その代償機関である人事院固有権利として法的に勧告権がある。それを、勧告しなければいけないぞ、勧告しろ、こういう法案を傍若無人にきめるとなりますと、そのことによって、本来の性格上、勧告権が左右される。高いものを出せとか、あるいは低いものを出せとか、そういうことがあっていいはずがない。だから最近の二、三の方の論文を読んでみますと、政党政治には違いないけれども、その政党ストライキ権にかわる代償機関である人事院固有権利侵害をした、これは重大な問題であり、かつ人事院か何だかんだいわれながらも今日代償機関たる性格を維持し続けてきているので、これはそれを根本から変えてしまったことになる、この法案が通ってしまえば。通らなければ別ですよ。通らなければ、これは代償機関たる人事院総裁国会という良識の府が認めたことになるとまで書いた論文がある。そうだとすると、やはりここであっさり、貴案の根本の趣旨には異存はないなどというろくでもないことは言わないで、本来こんなものを出すのは間違いだ、こう言わなければいかぬのです。  そういう立場からすると、人事院の側だって、悲しき四十歳といわれるティーチャーがおいでになることについては、そんなことはあってはならない、一般職国家公務員一般の例からいって。四等級になっている人はたくさんいるはずだ。にもかかわらず、校長なりあるいは教頭なりというポストが少ないこともこれあり、五等級近辺でふらふらしている四十歳がなおいるというのはよろしくない。よろしくないから多少なり手直しをしてきたはずなんです。そのことに私は異存はない。たまたま百三十五億という金があるなら、人事院はこの点については、この法案はごめんこうむるということで、固有権利に基づいて勧告を出すべきだ、そういう筋合いのものだと私は思っている。ところが、法案が通ってくれればなおいいなどということを口走るようなことでは、まことに心もとないわけでありまして、それは私は御撤回をいただきたいのです。通ってくれればなおいいなどと、それはよけいなことです。人事院性格上そうあってはならぬわけでございます。そこのところに食いつきたいわけですから、しかとお答えいただきたい。
  9. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 一応ごもっともに拝聴いたしますけれども、とにかくこれはものによりけりの問題であることは常識的に言えるわけです。かねがねわれわれが念願したところに沿うものであるか、われわれの意図に反する企てであるか。企て自身がですね、それが一つ分かれ目になります。今度の場合はわれわれの意に沿う企てであられるということでございます。この企ていかんによりましては、法案の形においても、われわれは断固として意見を申し述べるときには申し述べております。例のILO問題に際しても、いろいろと意見を申し上げて、き然とした態度で臨んだことは御存じのとおりと思います。これは身を挺して、国会の場ででもどこでも、私は私どもの信ずるところを述べてまいりました。ものによりけりでそういうことをやる。しかし、今度の場合にはそういうものではないということから、そういう意味のいわゆる抵抗的なことはやりませんでしたし、この立法という形を考えますと、われわれは中立機関、と申しますのは、使用者たる政府側に対して中立である、被用者である公務員諸君に対して中立である、どちらからも侵害をされないというのが中立だと思うのでございます。国会となりますと、もう一つ上のこれはおやじ格でございまして、人事院を生んでくださったのも、国会法律によって生んでくださった。勧告権ももちろん国会法律によって生み出してくれた、生みの親であるわけでございます。その生みの親の国会が、法律の形であれこれと人事院に対する指図がましい条文をお設けになる、これは公務員法なり何なりをごらんになれば、「しなければならない」はずいぶんあるわけです。それに対してわれわれが反感を持つべき筋でないわけです。したがって、法律という形でこれができました場合においては、われわれは侵害とかなんとかいう概念からは別の問題であると感じざるを得ない。先ほども申しましたように、できるまでのプロセスにおいて、これはどうかと思うような場合には、堂々と意見を述べてまいりたいと考えております。今度の場合は、それはこっちの意図するところにぴったり合った、もっけの幸いである、したがって、国会のお墨つきをいただければこれに増すことはないということを、大きな声で申し上げておるわけでございまして、これはたいへんけっこうな法案だと、その意味で思っております。
  10. 大出俊

    大出委員 この人材確保法案国会提案されたのはいつでございますか。
  11. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 お答えする責任がなさそうですが、提案になったことは事実であると考えます。
  12. 大出俊

    大出委員 重大な問題でございまして、総裁奥野文部大臣意見をお出しになったのは二月十九日でございますよ。法案提案の前でございます。  あなたはいま、法案国会に出された、国会は上だ、こう言われたのだけれども法案になるならぬについて人事院にまず意見を聞いている。人事院意見を聞いたときには国会に出されていないのです。あなたが断固たる、き然たる態度をとって、もし人事院勧告権を侵すようなことがあってはならないと言い切ってしまえば、こんな法案は出てきやしない。ごまかしてはいけませんよ。あなたは国会はその上にあると言っているが、上にある国会に出ない前なんだ。そうでしょう。にもかかわらず、あなたは非常に紳士的な意見を出しておられる。だから、こういうことじゃ困るじゃないかと私は言っているわけです。しかも国会に出てきてから、再び重ねて、法案があがってくれればなおよかろう。みずから勧告権を強調されたんだが、法案が通ってくれればなおいい、それはよけいなことだ。あなたは「法律ミステーク」という本をお書きになっておるけれども法律ミステークがあったって、人事院代償機関たる性格ミステークがあってはいけません。その点だけははっきりしておきませんと、先先この法案には、国の計画などというものがあるのですから、人事院も国の機関一つですから、あなたも責任を負わなければならぬ。まことにこれは困ったことだ。だからこの法案は通らないほうがいい。そうして人事院が明確に人事院の本来の勧告権に基づいて勧告をする、これが筋です。早くそう言うべきだった。おそまきながらそう言ってくれたことについては感謝するのですけれども、てにをはがついたのはいけない。法案があがってくれればなおいいなんて言ってはいけません。せっかくそこまで心配して人事院擁護論を述べておるのに、御大がそんなことでは困るじゃないですか。  そこで、義務教育教職員ということを言っておられるのですけれども愛知大蔵大臣は、今度は別なところで、高校先生についても、あるいは学校職員についても、つまり教職員でない職員事務職員についても、予備費から予算上の措置をしたいということを言っている。そうなると、人事院の受け持つ範囲というのは、国家公務員全体に及ぶわけですから。確かにそれは、小中学校先生というふうに限れば三千名ぐらいでしょう。しかし、高校国家公務員という身分先生もあれば事務職員もおる。あなたの答弁によれば、義務教育職員ということになっているので、第二の問題として、それはいささかおかしくはないか。あなたがそこまでおっしゃるなら、義務教育職員並びに高校職員も、それから事務職員も、国家公務員という人事院の所管の対象になる方々については勧告をする、あるいは可能性ということを意思表示してくれなければ、いささか片手落ちでございまして、そこはいかがでございますか。
  13. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 せっかく義務教育という法案が出たならば、これの周辺のこともひとつ法案に乗せてもらえぬものかという、今度は逆の話が出てくるわけです。私はそこの必要は全然考えない。いまお話しのように、周辺の問題がありますが、それは私どもにおまかせください、りっぱな勧告をいたしますという気持ちでおるわけでございます。
  14. 大出俊

    大出委員 そうすると、義務教育職員並びにその周辺国家公務員を含めて勧告をする気持ちでございます、こう理解していいわけですな。いまの点はよろしゅうございますな。
  15. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 当然そういう気持ちでおるわけです。
  16. 大出俊

    大出委員 それから、もう一点承っておきたいのでありますが、先般国民の祝日に関する法律審議をこの席でいたしたわけでございますが、このときに、私は、人事院国家公務員週休二日という問題についてはそれ相当責任があるのだと思います、だからそれに対して何らかの意思表示をする気はないかという点を、いろいろ御回答を求めたのでありますが、そのときは、労働省調査で四十六年までしか表に出ていなかった。だから二四%などというようなことをお答えになりましたから、いささか古くはないか、最近になって急激にふえているのだが、労働省品川労働基準監督署等調査した結果だって、たいへんなふえ方ではないのか。四十七年に入って三越百貨店の例まで入れて、急激にそういうところはふえている。だから、そのことを含めて考えるべきではないのかということを言ったのですが、私が申し上げましたように、四十七年の労働省調査が発表されました。新聞の見出しは違いますけれども中身は一緒でございまして、三人に一人の方が週休二日制という制度になっている、こういう中身であります。だから、二四%どころではない三六%をこえる方々週休二日になっている。そこで、四十六年は二四%ですから、この一年間で何と一二%ふえているのです。この傾向はますます強まる。なぜならば、最近の商社の買い占め問題だとか、生活物資が高くなる問題だとか、円切り上げだとかいうものをめぐりまして、経営の側にも反省の色が、真意はどこにあるかは別として、たくさん出てきている。その中で福祉経営などということば木川田一隆さんたちをはじめ使われている。この春闘をめぐって経営者の側から、福祉経営ということば方々に出ている。つまり、そこまで社会的な責任を負わなければならない企業なんだから、国に政策的にまかしておくだけでは足りない、経営者の自覚の上に福祉経営というものを考えなければならぬという。これがどういうふうに定着するか、それは知りません。知りませんが、そういう雰囲気が出てきている。このことは、大手の大多数が週休二日に乗せている。これは一〇〇%近くいってしまうと思うのですね。中小の場合も、ここに数字が出ておりますけれども、これは急激にふえる。都市と地方との格差はありますけれども、大体一、二年ずれるのは通常でございますから、品川あたりがああいう傾向になったということは、じきに仙台や向こうの都市に波及することになるのは当然であります。  そうすると、一カ月のうち週休二日を全週にわたって実施する、しない等の問題はありますけれども、隔週にしろ月一度にしろ、試行的にまず人事院ものを言って、国家公務員に関してやってみる。私どもが郵便の日曜配達廃止などをいろいろ考えたときにも、身分法公務員法なんですから、本来なら人事院あたりものを言ってもらわなければ困ると思った時代もある。いまやまさに人事院が一歩先に進んで、もう国家公務員に対してものを言って、福祉経営という動きの中で、官庁主導型でそれを促進する、その責任があると私は思うのですね。三六%をこえているのですから。  そこのところをもう一歩突っ込んで承りますが、人事院はこの点、たとえばことしの八月に勧告がございますが、つまり四十八年度の賃金勧告、ここに向けて、昨年ちょっと触れておられるわけですから、触れておられる結論めいたことをこの勧告で出していただきたい。おそらく八月になると思うのでありますが、ここでひとつ区切りをつけていただく、その決意のほどを承っておきたいと思います。
  17. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 この間もちょっとここで申し上げたと思いますが、去年の報告の際に、いまお話しのように、ちょっと触れたのです。ちょっと消極的過ぎたなという気もその後持ちまして、近ごろはだいぶん気持ちが変わってきておるわけです。したがいまして、これも申し上げたかと思いますけれども、民間の調査のほうは克明にずっと続けております。今度も、四月の給与調査の際にもあわせてやってみようじゃないかというので、新しく予算をいただきまして、大々的な調査も本年度に考えております。その予算がとれたということでこの間新聞発表いたしまして、これは一つのいい宣伝の機会だろうと私も思いましたものですから、多少声を大きくして述べましたことが、わりあいにスペースを広くとってくれまして、非常に喜んでおるわけであります。  そういう気持ちでいま取り組んでおりますので、去年はちょっと消極的過ぎたなという気持ちでおる。ことし八月の際にどういう意思表示をしますか、場合によっては、あるいは相当前向きな表現をするようなことになるかもしれません。気持ちはそういう気持ちで、そして、機が熟したならばいつでも机の引き出しから案が取り出せるようにということを、職員局に頼んでございます。ただやはり、行政サービスの低下というものだけは避けなければならないということが一つと、それからもう一つは、この間も触れたと思いますが、非常に過酷な交代制勤務に服している方々をどういうふうにうまく扱ったらいいかということがちょっとした緊急問題になっております。とにかく、そういう心がまえで邁進しております。
  18. 大出俊

    大出委員 八年前に総裁人事院に所を得られまして以来、たいへん筋が一本ぴしっと通って、だれが何と言ったってやるんだという古武士の風格さんたるところがあったんですが、最近どうも紳士になり過ぎて、角がなくなってきた感じがするのです。何かふろの中でぼかっという調子のこんな意見書を出してみて、新聞を読んだって、法律があがればなおいいとか、よけいなことをまた。そういうことじゃいけませんよ。  だからやはり、八月に向けて邁進するといまおっしゃいましたが、日本全体が、円切り上げだ何だといって、日本労働水準というものが、ILOの場面、だって国際的にたたかれているわけですから、この際、それを官庁主導型で一歩前へ出る、そういう決意をして進んでいかなければ心配なんですよ、最近、総裁少しおとなしくおなりになったから。いかがでございますか、もう一歩、そこはかちっとやってみましょうという決意はございませんか。
  19. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 だいぶ近ごろかどがとれてまいりまして、円満になってまいりました。したがってまた、たんかを切ることもへたになってきましたから、御不満はあるかもしれませんけれども先ほど相当大きな声でたんかを切ったつもりでございますから、その意気込みを大いに多として、御激励のほどをお願いいたします。
  20. 大出俊

    大出委員 大いに激励しますから、これはおやりいただきたいと思うのであります。  そこで、退職手当の問題でございますが、まず一点は、かれこれまる三年、足かけ四年くらいになるのでございますが、何べんも私は、主として人事院、それから山中総理府総務長官時代には、ずいぶん予算分科会などでも所見を求めてきたのでありまして、ようやく案になってここに出てまいりました。前向きに御検討いただき、お進みいただいたことを感謝申し上げる次第でありますが、人事院には特に予算の捻出まで無理なお願いをした時代もありまして、たいへん恐縮でありましたが、前進をいたしましたことに感謝を申し上げる次第であります。  そこで、このことが臨調答申なんかにもございまして、定年制その他とからみまして、定年制法案を出す云々というような空気がある。諸外国の例からいけば六十歳くらいで適当であろう、こういっておいて、だが六十歳という定年制を考えるにしても、その周辺の整理をしなければならぬ。恩給にしても退職手当にしても、そこらがいいものにならなければ、定年制なんというものはやるべきでないという臨調の答申がございました。以来久しくなります。そういう意味で言うと、本来この退職手当の増額というものは、勧奨退職を強めるとか、強制退職的な行政面における勧奨をするとか、そういうものとは次元が違う。本来老後の安定というものを考えて臨調などでも触れているわけでありますから、そういう意味で、今回のこの改正が、何か知らぬけれども、勧奨退職の強要、あるいは高齢者の退職促進というふうに受け取られているとすると、これは筋が違う、次元が違う、その点をまず明確にしておいていただきたいと私は思うのでありますが、いかがでございましょうか。
  21. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 大出委員の御心配、また御指摘になりました点でございますが、非常に大事な問題でございます。したがいまして、民間におけるところの退職金の支給実情などを十分調査いたしまして、そして公務員の方々に対する退職金の支給につきまして改善を必要とするという判断のもとにおいて措置を講じたのでございまして、絶対、いわゆる勧奨退職を強要するというような判断でこの措置を講じたことでないことだけは、明確にお答えいたし、大出委員の御心配になる点はいささかもないことを申し上げておきたいと思います。
  22. 大出俊

    大出委員 明確な御答弁をいただきましてありがとうございますが、筋でございますので、その点をお含みいただきたいと思うのであります。  次の問題でございますが、いままでこの退職手当が久しく放任をされておりました関係もこれあり、各省庁で退職手当問題をめぐるいろいろなやりとりがございました。そういうふうなことも背景になって、今日皆さんの御苦心の結果としてこの法案がまとまってきたわけなんでありますが、そういう、旧来各省庁で労使間でいろいろやりとりをされておりますことなどを踏まえて今日まで進んできたと理解をいたしておりますので、せっかく長年かかって労使間で形づくられてきた旧来の慣行等について、今回のこの改正案が通ることによって混乱が起こるというようなことになると困る。だから旧来のそういった労使間で進んできているものはひとつすなおに踏まえていただいて、その上へこの改正案が乗っていくというふうにお考えをいただきたいと思うのであります。せっかくみんなで努力をして、政党政派の問題でなくて、公務員の皆さんの将来を考えてやっていることでありますので、どうかひとつ、旧来のそういったいろいろないきさつがございますから、そこらをお互いに尊重するという立場でこの法案を見ていくというふうにしていただきたいと思うのでございますが、いかがでございますか。
  23. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 御指摘になりましたとおりで、いままで各省庁間にそれぞれの独自な立場で慣行のあったことも聞き及んでもおり、またそれもある程度意義のあることでございますので、そういうことがある以上は、あくまでも従来どおりの各省庁間に行なわれた慣行は尊重して、いささかの変動もなきよう考えておきたい、こう思っておりますので、御安心を願っておきたい、こう思っております。
  24. 大出俊

    大出委員 どうもありがとうございます。  三番目に、ひとつ最初に伺っておきたいのでありますけれども、勤続二十年未満の方々でございますが、二〇%加算という問題があるのでございますが、特にここで前もって承りたいのは、三十二年四月二十日でございましたか、改正が行なわれましたときに、附則がございます。その二項に、「再び職員となった者その他の者で政令で定めるものが、年齢五十年以上で退職した場合には、国家公務員等退職手当法第五条の規定に該当する場合の外、当分の間、政令で定めるところにより、同条の規定による退職手当を支給することができる」、こういう規定がございました。ここで、「当分の間、政令で定めるところにより」、こうなっておるのでありますが、この中身、政令はどういうふうに書いてありますか。それと、「当分の間」とございますが、これは生きているはずでございますが、そこらのところをどういうふうに御理解なのか、まずお答えいただきたいと思います。
  25. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 ただいま御指摘の点は現在も有効に働いております。その要点は、勧奨を受けて退職をする者で、勤続期間が十年ということでございます。
  26. 大出俊

    大出委員 つまり今度の法律で、そこから先のところ、二十年未満のところは落ちてしまう、穴になってしまう。これはこのくらいのところでおやめになる方がなければいいのですが、やめる方があるとすると、やはりそこに何か心配が残る。したがって、そこのところをどういうふうに皆さんのほうでお考えなのか、実は私は、できればそこを何とかしていただきたいという希望を持っております。そこについて、まず皆さんのお考えを承っておきまして、その上で何らかの措置を考えなければいかぬと思いますから、そこのところどうお考えでしょうか。
  27. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 御承知のように、今回の措置は、官民比較をいたしまして、二十年以上の長期勤続者につきまして、民間のいわゆる定年扱いで退職する者に比べて若干勧奨退職公務員のほうが低いということから措置をいたしました結果、二十年未満の人はこれに入ってこなかったということになるわけでございます。特に、二十年未満がこういう状況になかったために、結果的になったわけでございます。したがって、これから先どういうふうになっていきますか、これは原則として官民比較をやっておりますので、そういう状況に応じて考えてまいりたいと思っております。
  28. 大出俊

    大出委員 民間との関係もございます。つまり官民比較をなさったのですから。実際におやりになったのは人事院ですけれども、やったわけですから。そうすると、やはり筋道としては民間の動向というものもながめてみなければいかぬと思うのですね。これは動態として一体どういうふうに動くか、これを見なければいかぬ。ですから、いまここで時間のないところで、法律をどういじれと申し上げてもせんのないことでございますから、避けたいと思います。思いますが、ひとつそういう意味で、少し動向を見る、その上で皆さんで考えていく。つまり特段に不利になる方があっては制度として片手落ちでございますから、そこらのところも含めて、これはできれば附帯決議か何かの形で、そこの押えという意味でしておいていただきたいものだ、こういうふうに思います。当分の間そういう意味で様子を見る、その上で検討してみる、こういうことでよろしゅうございますか、いかがでございますか。
  29. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 そのように考えております。
  30. 大出俊

    大出委員 次に、高卒の採用者と大学卒の採用者、この勤続年数に差がございます。したがいまして、また退職年齢の差、これも出てまいります。具体的に申し上げますと、高卒五十三歳、大卒五十七歳、こういうかっこうですね。そういう差も出てまいります。そこらのこともございますので、勤続三十七年、こういうことに本来すべきものである、こう思うわけであります。  それからもう一つ、平たく言って二割アップというならば、六十カ月というものがいま退職手当法の上限でございますから、すなおに二割増しすれば、十二でございますから七十二カ月、こういうことになるわけであります。それを何かちょっとどうも途中で食いかじったような感じがいたしますが、六十九カ月にちょっと妙なことをなさって、七十に乗らない感じにしたほうが世間ていがいいというような感じがする。何もそんなに国家公務員は遠慮することはないのではないかと思うのですね。だからここのところは七十二カ月でいいのではないか。二割増しならば、六十カ月に二割増せば七十二カ月に乗る、こういうふうに実は思うわけであります。そこらのところで、三十五年で切らないで三十七年まで持っていってもいいのではないかというように思うわけであります。なぜ一体こういう切り方をするのか、理由を承りたい。
  31. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 これも実は人事院にお願いいたしまして実施いたしました官民比較の結果を参考にいたしたわけでございますが、民間の定年加算というものがなければ、おおむね官民比較の均衡はとれていると思うわけでございますけれども、ただ非常に長い勤続者の方につきましては、その比較で官民の格差が少ない。定年加算金を加えましてもなおその差が少ない。大体二十年から三十四、五年くらいまでは二割程度の差があるわけでございますけれども、三十九年という数字が出ておりますが、三十九年をとりますと、その差が一割ちょっとくらいに下がっておるわけでございます。こういうこともありまして、三十五年で横ばいにしまして、その結果アップ率が一割ちょっとになりまして、大体、官民比較もできるのではないかということで、このような措置をいたしたわけでございます。もちろん、これから先の民間の就業動向というものがどうなっていきますか、あるいは加算制度がどうなっていくかにつきまして、また検討の余地があろうかと思いますが、現在のところはこのような措置が適当じゃなかろうかということで提案をいたしたわけでございます。
  32. 大出俊

    大出委員 現在のところはというのですが、これは一ぺん法律を改正いたしますと、あとそう簡単に手がつかないのですね。今回だって、足かけ四年、まる三年と私申し上げましたが、正直いって、私どもにしてもずいぶん苦労しているんですよ。皆さんももちろんでございますが。だからそういう意味で、ちょっと食いかじっておこうというようなことになると、どうもすっきりしない。  そういう点で、いま人事院の話が出ましたが、官民比較を人事院にやってもらった、こういうのですが、どうですか尾崎さん。これは特にこんなふうに削って、六十九・三カ月なんてみみっちい話ですよ。そういう端数計算までなぜしなければいかぬのかわからないのですけれども、どうですか。私、人事院がお調べになったものをいただいていないので、何で七十二にできないで六十九・三なんという妙なことにしたのか、これをお知らせいただきたい。
  33. 尾崎朝夷

    ○尾崎政府委員 人事院が調べた退職金調査によりますと、高卒で勤続三十九年の五十七歳程度のものでございますけれども、定年で退職するという場合の退職金と同じ条件の公務員の場合の退職金を比較いたしますと、民間のほうに定年加算的なものがございますけれども、そういうものを含めまして、五%くらい公務員のほうは低いという感じがございました。民間にはそれ以外に、さらに弾力的に支給されます功労加算的なものがございまして、これは勤続とか役職とか業績等によって支給されておりますけれども、私ども調査では、大体これが二割程度あるという感じでございますけれども、そういうものを込めて比較をいたしますと、さっきの五%低いという関係が一二%程度低いという感じになったわけでございます。したがいまして、その一三%程度低いという点を月数に換算してどうであろうかということを私のほうでちょっとやってみますと、七十カ月くらいというような感じになりまして、その辺のところが見合いのところじゃないかというふうに考えているところでございます。
  34. 大出俊

    大出委員 二十五年で、モデル号俸五等級の十四号ですか、金額で十万一千六百円、支給月数で四十・五カ月、支給金額が四百十一万四千八百円、こういうことですね。これを四十八・六カ月に改めまして、四百九十三万七千七百六十円、引き上げ額で八十二万二千九百六十円。三十年でモデル号俸は四等級の十四、十二万三百円、これが俸給であります。四十九・五カ月で五百九十五万四千八百五十円、これを五十九・四カ月に改めまして七百十四万五千八百二十円、引き上げ額で百十九万九百七十円。さて、三十五年で三等級の十四、十三万七千八百円、これを五七・七五カ月で七百九十五万七千九百五十円、これが六十九・三カ月、こうなるわけですね。これは上限ですから、ここで九百五十四万九千五百五十円、引き上げ額で百五十九万一千五百九十円、こういう中身なんですね。表にしてみると、六十九・三カ月が、上限がいかにもどうもこしらえた感じがするのですね。いま尾崎さんの話によると、七十カ月というのです、加算を入れて。七十カ月なら七十カ月にしてくれればいいのです。そうでしょう。それを何で尾崎さん、六十九・三なんてするのですか、七十カ月相当くらいのところとおっしゃるならば。七十というと何かギラギラするから六十九・三にしておけというのじゃ、どうも筋が通らぬような気がする。これは皆川局長さん、七十カ月相当とおっしゃるのだから、七十カ月にできませんか。
  35. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 アップ率を月数に換算するという場合の考え方ですが、いろいろとり方がありまして、どれだけの金額が何カ月分になるか、むずかしい問題があろうかと思いますが、先ほど申し上げましたように、三十五年で横ばいにした結果、たまたま六十九・三という端数のついた数字になったわけでございまして、初めから六十九・三カ月を目標にしてきめた数字ではないわけでございます。したがって、その結果がおおむね妥当であればその辺がいいんじゃないか。かたがた、先ほどはちょっと触れませんでしたけれども、これは年金の問題を取り上げますと非常に比較がむずかしくなって、議論が混乱しがちでございますけれども、そういう関係もありまして、あまり高いところに持っていくのはどうであろうかというような配慮もあったわけでございます。
  36. 大出俊

    大出委員 これは年金との比較論というのは知らないわけじゃありません、皆さんの御意見の中にあることを。ありませんが、しかしこれは、本来は退職手当法は退職手当法であり、退職年金法は退職年金法なんですね。だからそこをからませるのは筋が通らない、私に言わせれば。私は全くのしろうとでございますから、それでこまかい人事院調査中身をいただいておるわけじゃないので、どうもこの六十九・三というのはひっかかるんですよ。これは詳細の資料でも差し上げますからといって、あらためて御説明いただければいいんですけれども、皆さんのほうが法案しかお出しいただいてないのですからわからぬのです。わからぬで納得しろといっても、これは納得できません。ただ、ここで押し問答していても時間がございませんから先に進めます。  尾崎さん、この調査をされた中身というのは、いただける筋合いのものでございますか。人事院の官民比較の調査中身です。
  37. 尾崎朝夷

    ○尾崎政府委員 調製しまして差し上げたいと思います。
  38. 大出俊

    大出委員 それでは、それをいただいてひとつ検討させていただくことにしまし三先に進めます。  次に、公団、公庫、地方自治体などと国がいろいろ人事交流が行なわれていく、その場合に、今度最終の雇用者が払うということになったわけですね、この法律は。たとえば公団に行けば、あるいは公社に行けば、公庫に行けば、そこでやめればそこが払う。向こうから今度こっちに来てこっちでやめればそこが払う、こういうかっこうになる。  天下りの問題が旧来からいろいろ問題になっておりまして、特に政労協組織の関係の皆さんなどにしますと、本来公社、公団、公庫等で育ってきた方々課長になろうといったって、天下りがぽかっと入ってくるものだからなれない。これは窮状を聞いてみると、たいへん無理からぬことがある。私は、こういう天下りというのはやめてもらいたいんですね。住宅公団なんか見たって、みんな官庁から課長クラスで行っちゃうんですね。行って何をやっているかといえば、うしろ向いて自分の官庁の適当なことしかやらないんです。自分の本家のほうを向いてものを言っておってこれこれの仕事をした、そうすると本家のほうで、おまえなかなかやったから帰ってこいということになる。それを年じゅうやっているんですね。そういうかっこうが本来私は間違いだと思っているんですけれども、また行かれた方々で公庫で今度おやめになるという方は、たいへん退職金が大きいんですね。調べてみると、大体二千万見当の退職金になる。だから、こういうことになると、今度は公庫のほうだって財源措置に困っちゃう。下から上がってきた一般の方とたいへんな違いがあるわけですからね、公庫なんかは。だから、そういうふざけたことがあるということは考えなければならない。その意味でこの辺は、今回そういうことがないように、ひとつはっきりさせておきたいと思っているのですが、この法案のよってきたるところ、そういうおそれがあると思うのですが、皆さんのほうでは、これはどういうふうにお考えですか。
  39. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 今回の改正案では、国の要請に応じまして公庫のほうに参る、そういう方は、また再び国のほうに戻ってきてそこでおやめになる、逆に公庫の要請に基づいて国家機関のほうに入ってくる、その方もまた公庫のほうに戻っておやめになるというのが原則になっておるわけでございます。したがって、この改正によって極端に負担がふえるということはないだろうと思いますが、ただ公庫に在職しておられるうちに死亡なさるという場合には、これは公庫の負担になるということもあろうかと思いますが、いずれにしましても財政的な負担はそう急激な変化はないだろうと考えております。ただそれが、いま御指摘ありましたような人事の運用になることは好ましくないと思いますので、そういう点はこの法律によって促進されると考えておるわけじゃございませんので、十分に注意していきたいと思います。
  40. 大出俊

    大出委員 天下りの弊害は、つとに人事院あたりの大きな所管事項でもあるわけでありますが、指摘をされているところであります。この退職手当引き上げの問題等とからんでそういう天下りの弊害が強くなる、そういうおそれを、自治団体関係の組織なり、あるいは公団、公庫等の組織の側から強く指摘をされているところであります。これは人の配置でございますから、留意して気をつけようということになれば防げるわけでありまして、物理的にいたし方のない問題じゃない。だからそういう意味で、この点は私は特に関係の機関において御配慮いただきたい、こういう気持ちなんでございまして、最近の傾向として、人事院ものの見方——まあ天下りを発表しておられますけれども、だんだん強くなる感じがするのですけれども、ことしあたりいかがでございますか。
  41. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 強くなるとおっしゃられますが、引き締めが強くなるといったふうにごらんいただけたのかと思いますが、前は非常に甘い甘いという御評判で、われわれだいぶん方々から御非難を受けた時代がございます。最近ではずっと引き締めてまいりまして、去年あたりは一番最低というところに来ましたけれども、これは引き締めたから最低ではないので、民間が不況だから最低になったので、人事院の手柄じゃないという見方をされまして、数の多い少ないは、どうも手柄の問題に関係ないということらしいのですけれども、ことしはやはりちょっとふえておりますけれども、とにかく大物の転出というのが、少なくとも次官級、外局長官という人はございません。
  42. 大出俊

    大出委員 私は、昨年より強くなった、こう言ったのですけれども、強くなったというのは、昨年よりふえたじゃないかということなんですけれどもね。人事院はたいへん善意に御解釈をなさいまして、総裁はその辺の解釈は得意のところですから、まあ大目に見るといたしまして、ただ、こういうことになってきたのでその心配が非常にあるという現実を、これは否定できません。そういう意味で、ぜひこれはひとつ、そういうことがふえていかないように、そしてまじめにその職場で働いている人が課長にもなれないというようなことにならないようにしていくべきだと私は思うのでございます。そうでないと、職場自体がうまくいかない、仕事自体が能率的に進まない、こういうこととからみますから、その意味で国民に対する責任を負わなければならぬことになる。その意味で、ひとつ十分この辺の人事を担当される皆さんに御配慮いただきたい、これは総務長官いかがでございますか。
  43. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 全く同感でございます。十分そうした面も配慮いたしたい、こう考えております。
  44. 大出俊

    大出委員 大体以上でございまして、以上の点、二つばかり、天下りを含めまして附帯決議という要望をいたしましたが、そこらは理事会等でいろいろ御相談をいただいておりますので、そちらのほうでまとめさせていただきたい、また御協力いただきたい、こう思うわけでございまして、幾つか申し上げましたが、どうかそこらのところを、せっかくの皆さんの努力の結果としてこの改正案が出されてきたわけでございまして、百年の大計に通ずる問題でございますから、運用の面でひとつ十分御配慮をいただきますように最後にお願いを申し上げまして、おほめをいただきましたことに対しまして、御礼を申し上げまして終わりたいと思います。
  45. 三原朝雄

  46. 木下元二

    木下委員 今回の改正案によりますと、公務外の死亡によりまして退職した場合に、勤続年数によって四条あるいはまた五条を適用されるということになりますが、このように四条もしくは五条というふうに適用に格差を設ける理由ですが、その理由はどういうところにあるのか、伺いたいと思います。
  47. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 退職手当のほうは、性格にいろいろな御意見があろうかと思いますが、現在の国家公務員退職手当は、ただいまお話のありました公務外の死亡ばかりではなくて、そのほか一般的に永年勤続に対する報償の性格も強く持っておるわけであります。したがいまして、公務外で死亡された方々につきましても、現在の勧奨退職などと同じように、勤続年限によりて差を設けておるわけでございます。
  48. 木下元二

    木下委員 私が伺っておるのは、二十年以上二十五年未満のときは四条、二十五年以上のときは五条の適用があるということになるのですが、そういうふうに、その勤続年数の長短によって、わずかの差によって四条、五条の適用の差が生まれてくるということの不合理さを言っておるのですけれども、むしろこの場合、勤続年数二十年以上で死亡した場合はすべて五条適用というふうにされてしかるべきではなかろうか、こう思うわけで伺っているのですが、この点はどうでしょうか。
  49. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 二十年、二十五年という区切り方は、従来からずっとやってきておるわけでございまして、いまの死亡の場合だけでなくて、いわゆる勧奨退職とかいう場合でも同じ扱いになっております。したがって考え方としては、こういう区切りは要らぬじゃないかという御意見もあろうかと思いますが、長い聞こういう区切りをして、そのことがかなり定着をしていると思いますので、既存の制度に乗って公務外の死亡の場合も取り扱うことにしたわけでございます。
  50. 木下元二

    木下委員 そうしますと、特に、二十年以上二十五年未満の者と二十五年以上の者と、こういうふうに分けて区別をするというそのこと自体には合理的な理由というものはないのだ、ただ沿革的にそういうふうになっておりますからそういう扱いをするのだ、こういうわけでございますか。
  51. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 まあ理由はないというといささかどうかと思いますが、やはり二十年、二十五年という一つの区切りを設けまして差をつけて、従来そういう違いを設けてきましたのは、勤続期間によって差をつけたほうがいいという考え方であったわけでありまして、その考え方を今回特に変更するということをしなかったということでございます。もちろん、その考え方に変更があってしかるべきじゃないかという御意見もいろいろあろうかと思いますが、どうもこれを改めるほどの事由がちょっと認められない。ことに、いまお話ありましたように、公務外の死亡についてだけそのような取り扱いをいたしますと、そのほかの問題とバランスを失してまいりまして、これは適当ではないのじゃないかと思います。
  52. 木下元二

    木下委員 その沿革的なことはわかりますが、合理的な理由がよく御説明いただけないのですけれども、その点はけっこうです。  このたびの改正で、長期勤続者にとっては一定の改善になっておりますが、適用の対象が勧奨に基づくものであるという点に問題があろうと思うのです。ある職場では、たとえば当局の退職勧奨を断わった場合に、不当な配置転換の命令が出たり、あるいは退職後の就職あっせんを拒否される、こういうケースが出ております。やむを得ず勧奨に応じておるという公務員も多いわけであります。この点は一体総理府としては、総定員法に基づいて人員削減のためにこのような指令なり指示をされておるのかどうか、伺いたいと思います。
  53. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 勧奨退職という制度は、国家公務員について定年制度がないが、現実には職員の新陳代謝あるいは人事管理上、やはり更新をしていかなければならない、こういう事情があるわけでございまして、この結果生まれてきた一つの慣行でございます。もちろん、相当年齢に達せられた方が勧奨を受けられるというような場合でございますと、むしろ勤務場所を変えたほうがいいとかいろいろな条件が出てくる場合もあろうかと思います。したがいまして、それは必ずしも勧奨を拒否したからそのような措置になったとかいうことではない場合であっても、高年齢になった場合に配置転換を必要とするという事態は起こってこようかと思います。ただ、私たちとしましては、定数法の関係でそういうことをしなさいとか、あるいは勧奨退職というものを使ってそういう措置をしなさいとかいうことは、もちろん指導しているわけではないのであります。今回の改正の趣旨というものは、先ほども申し上げましたように、民間のいわゆる定年扱いの退職者と比較した場合に、現在国家公務員について行なっております勧奨退職の退職金が低いという実情が出ましたので、これを是正しようとしたわけでございまして、これによりまして新しく勧奨制度をこういうふうにしようとかいう考えは、毛頭ないわけでございます。その点は、先ほど大臣からお答え申し上げたとおりでございます。
  54. 木下元二

    木下委員 総理府のほうとしては、いま言ったような指示や指令などはされていない、こういうことのようですけれども、運用の面で職場ではいろいろ問題が起こっておるようであります。  これは神戸税関の例でありますが、退職勧奨に応じなかった職員を不当な格下げをした形で配置転換を行なっている。あるいはまた、退職勧奨を受けた際に、生活やそのほかの理由でもう一年待ってほしいというふうに頼みますと、一札入れれば認めようというふうな事態も発生をしております。さらに、ある公務員が十万円の給料のところへ再就職口を見つけましたら、課長が、ほかの者を行かせてやってくれ、こう言って労働者の再就職先を奪い取る、こういう事例もあるように聞いております。こういうふうな、労働者の基本的人権を無視したような形でのケースはほかにも数多くあるわけでありますが、今回のこの法改正によって、この勧奨制度を振りかざして、退職勧奨の強要、あるいは脅迫めいたことを絶対にしない、こういうふうに明言できるでしょうか。これは長官にお尋ねしたいと思います。
  55. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 先ほどもお答えいたしましたとおり、今回の措置は、民間の実情を十分把握いたしまして、そうして公務員の方々に対する退職金の改善を行なうというのが目的でございますので、この措置を講ずることによって退職を強要するというような考えはいささかもないことだけは、はっきりと明言いたしておきたいと思います。
  56. 木下元二

    木下委員 別のことですけれども、ここに神戸税関での勧奨による退職の実態調査の集計が出ております。昭和四十七年に勧奨によってやむを得ず退職した公務員の年齢は五十四歳から五十六歳ということになっております。これは税関関係全体から見ましても非常に若いわけであります。このために、子供の教育、あるいは本人と配偶者の老後の生活などにも支障を来たしておるという状態が生まれております。これはまさに政治の貧困から問題が起こっておるということだと思いますけれども、こういうふうな退職後の非常に切実な問題があるということであります。一年でも一カ月でも長く、せめて六十数歳までは働きたい、こういうのが公務員労働者の念願だと思います。ほかの職場、たとえば財務関係の職場などを調べてみますと、勧奨による退職平均年齢は六十五歳ということが出ております。税関の場合には、ほかの省庁と比較しましても若過ぎるように思うのですが、これはどうしてこういうふうに各省庁で格差が生まれるのか、その理由がよくわかりませんけれども、どうしてでしょうか。
  57. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 勧奨の年齢をどのくらいのところに置こうかということは、それぞれの職場の職員構成の問題だとか職務の内容等、いろいろな角度から、人事担当の直接の責任者であるところの各省庁が、それぞれ慣行によっておきめになっておるわけでございます。したがいまして、一がいに比較をすることはむずかしいかと思います。官民比較という見地からすれば、将来の方向はともかくといたしまして、現在、極端に若い年齢だとは一がいに申し上げかねるかと思いますが、いずれにいたしましても、この点は、職場の人事構成なり職務の内容というふうなところから各省庁が定めておるわけでございます。
  58. 木下元二

    木下委員 そうしますと、退職勧奨する対象者についての一律的な基準というものは、総理府のほうとしてはつくっていないということですか。各省庁がいろいろ、職場の実態とか仕事の内容によって基準をつくっておるということで、画一的な基準というものはないということですか。
  59. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 総理府のほうでは画一的な基準はつくっておりません。ただ、その内容がはなはだしく当を失するようなものであれば、これは調整的な立場で御意見を申し上げることがあるかもしれませんけれども、現在までのところ、そういう状況であるとは考えておりません。
  60. 木下元二

    木下委員 そうしますと、ただいま一例として申したのですけれども、税関の職場は、ほかの職場に比べて年齢的に非常に若いのに退職勧奨が行なわれておる、そういう実態はよく御承知でしょうか。
  61. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 つぶさに承知しておるわけではございませんけれども、大体、民間の定年制度と比較をして、それと同等、あるいはそれより高いところにあるというのが一つの状況じゃないかと思っております。
  62. 木下元二

    木下委員 そうしますと、各省によっていろいろ格差があったり、特にその格差が大きいということになると、これは公務員として平等の取り扱いがされるべきであるのに、そういうふうな不平等な扱いがされるという問題にもなってくると思います。これは総理府のほうとしても一定の行政指導をされるべきではないかと思うのです。あるいはまた、不当な勧奨がされるというふうな場合もあり得ると思いますが、そういった場合においては、総理府としては、必要に応じて各省庁に対して指示をなさるわけですか。
  63. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 国家公務員の中でも、たとえば現業職員等につきましては、それぞれの職場における労働協約によって勧奨年齢を扱っておるわけでございます。これもかなり差がございます。一般の非現業の公務員につきましては、先ほど来申し上げましたように、各省庁の御判断、もちろんそれをおきめなさる場合には、職場の状況なり職場の意向というようなものも参考にされておることであろうと思います。したがいまして、そういう状況で運用していくのが、勧奨退職という制度からして適当ではないだろうか。法律定年制度をつくるというようなことになりますと別であろうかと思いますが、勧奨というような事実上の行為によって行なう場合には、やはり各省庁の御判断というものが優先されていいんじゃないだろうか。もしその中身が極端に問題があるというようなことがかりにございますれば——そういう場合は一般にはないと思いますけれども、ございますれば、一つ制度の問題として考えなければならぬということも起ころうかと思いますが、現在のところはそういう心配もなかろうかと考えております。
  64. 木下元二

    木下委員 大体お考えはよくわかったのですが、しかし、たとえばいまの税関の場合など見まして、非常にほかの職場に比べて私は極端だと思うのですが、極端にやはり若い年齢層に対して勧奨が行なわれておる。それで、そういう事実関係について調査をされたかどうかわかりませんけれども、もしそうだとすれば、こうした問題について、総理府として適当な指示をされるとかというふうなこともあってしかるべきではなかろうかと思うのですが、そういった事実についてよく御調査をしていただきたい。このことを要望いたしておきます。  それから、公務員が公庫等に出向した場合の期間通算ですけれども、これはいろいろ問題もありましょうけれども、まあ一定の改善になっておると思います。この規定は、公団、公庫等の場合でなくて、当局の都合によって、民間とか大学、あるいは海外等に出向する場合についても適用されるかどうか伺いたいと思います。
  65. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 民間に出向される場合、出向と言うと語弊があるかもしれませんが、この扱いはなかなかむずかしいかと思います。民間といいましてもいろんな性格がありましょうけれども、その性格に基づいて、これが公務の遂行と大体同じような趣旨のものであるかどうかということが、一つの判断の基準になろうかと思います。一がいにはちょっとお答え申し上げにくいわけでございますが、そのほかに外国に留学をするというような場合がございます。これは御本人の勉強ということがあって留学をされるわけでございますが、やはり公務の遂行をしている場合と同じように考えることにはちょっと難点があるんじゃないか、そういう角度から、ただいまのところこれを対象に取り上げておらないわけでございます。
  66. 木下元二

    木下委員 海外の場合はどうですか。
  67. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 海外の派遣公務員でございますか。これは同じでございます。
  68. 木下元二

    木下委員 そうしますと、民間の場合でも、公務に準じた場合は適用がある、こう聞いていいわけですね。
  69. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 民間という表現が公共機関以外というふうに考えます場合には、その中には準公的な機関も、いろいろ団体等もございますから、そういうものは場合によっては入ってくるかと思いますが、純粋の民間との間の人事交流を前提とした、こういった措置は現在考えておらないわけでございます。
  70. 木下元二

    木下委員 ただ、これは民間の場合であっても、本人が希望して民間に行くという場合には、これは当局のほうとしては休職扱いにしないと思うのです。いま民間ということが問題になっておるのは、当局の都合によって民間に出向させる場合なんです。その場合は、各省庁の職務の内容と非常に深い関連があって、結局はその公務のために民間に出向させる、こういう場合だと思うのですよ。そうでなくて、本人の都合、本人の利益のために行く場合に休職によって行くということは、これはあり得ないことだと思うのですね。ですから、当局の都合によって行かせる場合には、公務の場合であっても、あるいはその行き先が民間の場合であっても同じことだと思うのです。その任命権者の都合により命によって出向する場合については、公団、公庫に行く場合であっても、あるいはほかの公務の場所に行く場合であっても、民間に行く場合であっても、適用に差があるというのは不合理な気がするんですがね。
  71. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 休職の取り扱いは人事院のほうでしておられるわけでございますが、民間に休職の形で出向することはあまりないのじゃないかと私どもは思います。  いまお話のありましたように、この退職金の規定の通算をどの範囲まで広げたらいいだろうか、官民の人事交流まで前提にした非常に大幅なものにするかどうか、これは一つの大きな議論があろうかと思います。ただ、純然たる民間と公務員の場合のそういう人事交流を前提にしたものにするということになりますと、公務員の任用の問題とかいろいろ出てまいりまして、議論がたいへん大きくなるものですから、この今回の法案では、国家的な特殊な機関に限ってこれを通算するという措置にしたわけでございます。
  72. 木下元二

    木下委員 人事院規則の「職員身分保障」という十一の四というのがあります。これの第三条の規定がありますが、これによる休職の場合、つまり「学校、研究所、病院その他人事院の指定する公共的施設において、その職員の職務に関連があると認められる学術に関する事項の調査、研究若しくは指導に従事する場合」、この場合に休職になる。この場合の扱いには、そうしますと、公団、公庫に出向する場合の本法案の改正による通算が適用になるんでしょうか。
  73. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 個人が勉強のために海外あるいは国内において留学をするという場合の休職については、通算にならないという取り扱い案になっております。
  74. 木下元二

    木下委員 そうしますと、私がいま読んだんですが、第三条一項の一号、この場合は適用になる場合もあるし、適用にならない場合もある、こういうことですか。
  75. 渡辺哲利

    ○渡辺(哲)政府委員 十一の四の第三条の第一項一号によります場合は休職にできることになっておりまして、今回の法律の改正とは無関係に、従来から、休職で行っております場合には、退職手当については二分の一の通算をするということで、現行全部そういうふうになっておりますので、この場合にはその二分の一の通算の規定が適用になるわけでございます。
  76. 木下元二

    木下委員 そこで私がさっきから聞いているんですが、現行の場合は二分の一、公団、公庫に出向する場合は、本件の改正によって全額通算、こういうことになるわけですから、そうすると、私がさっきから聞いているのは、当局の都合によりて行かせる場合には、公団、公庫に行かせる場合とどう違いがあるのか。同じことではないか。公団、公庫の場合に全額通算するとすれば、当局の都合によって公務のために行かせる場合、この場合も全額通算すべきではなかろうか、このことを聞いているんですけれども
  77. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 休職にはいろいろな事態があるわけでございまして、従来は、病休であるとか、あるいはそういった自分が勉強したいための休職、いろいろな事態があるわけであります。この休職期間中は、公務、これに準ずる仕事を直接してないということで、そこに差をつけまして、ただしかし全然無関係ではないということで、二分の一の扱いをしているわけでございます。それを今度の公団、公庫の場合のように総合通算をするということもなかなかむずかしい。総合通算をするということも、外国の学校に行って勉強しているという場合、なかなかその中に入れてくることがむずかしい点もございますので、この点は対象にしないことにしたわけでございます。
  78. 木下元二

    木下委員 いま私が言いました「職員身分保障」の第三条による場合でも、本人が特に希望して、本人の勉学という意味も含めて、職務にも関連しているけれども、本人の勉学ということにも重点がある、こういう場合があると思うのです。そういう場合にも全額通算せよということを私は言っておるのではなくて、そういう場合でなくて、当局の一方的な都合によって職務のために行かせるという場合もあると思うのです。どこそこの研究所に行っていろいろ研究をしてくるというふうな場合があると思いますが、そういう場合は、公団、公庫の場合とあまり変わらぬのではないか、こういう気が私はするのですが、ひとつこの点はよく研究課題として検討願いたいと思います。  時間がありませんので次に進みますが、労働組合の専従になった場合はどういう扱いになりますか。簡単に一言でけっこうです。
  79. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 専従の取り扱いは従来どおりでございます。
  80. 木下元二

    木下委員 退職金関係です。
  81. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 退職金につきましても従来と同じでございます。
  82. 木下元二

    木下委員 ですから、退職金についてはどういう扱いになっているか。ゼロですね。
  83. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 そうです。
  84. 木下元二

    木下委員 この点も結局、職務専念義務が免除になって休職扱いになる。休職になりましても、国家公務員としての身分は保有したままで休職になっているわけです。したがって、公務員の身分に伴ういろいろな制限、これは国公法上ありますね。そういうふうないろいろな制限に服しておるわけですが、したがって専従のときも、これは全額とはいわなくても相当な通算措置を講ずべき理由があるのではなかろうか、こう思うのですが、どうでしょうか。
  85. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 この点は、一般の休職の場合ですと二分の一通算、しかし専従の場合には全然ないということになっておりまして、従来からいろいろ御議論のあったところでございますが、やはりこれは本人の意思によりまして、別に公務の要請によって行くわけでもございませんし、それから従事しておる職務が公務と直接関係はないわけであります。さらにまた、いわゆる組合と使用者との間の相互不干渉という原則からいたしましても、これに給与を支払うことはもちろん非合法でございます。したがって、退職手当の面につきましても、そういう取り扱いをするのは好ましいことではあるまい、こういう判断に立って従来のような措置がなされておったと思うのであります。今回につきましても、特にこれを変えるまでの必要はなかろうという判断をいたしたわけでございます。
  86. 木下元二

    木下委員 その点は、休職になって職務からはずれましても、たとえば報酬を得てはかで働くわけにはいかないわけですね。これは国公法上の制限があります。あるいは信用失墜行為の禁止ですか、そういう条項の適用であるとか、いろいろな国公法上の身分に伴う制約があるわけですが、退職金の支給ということになると、これは普通の賃金とは少し違うと思うのです。ノーワーク・ノーペイの原則は当然のことですけれども、退職金の支給をする場合に、その公務員としての身分を保有していたわけですから、その期間の算定ということは、これは全期間全額というわけにはいかないとしましても、ある程度の算定は私はしてしかるべきではなかろうか、こういうふうに思いますので、ひとつこの点も、時間の関係がありますのでこれ以上申しませんけれども、よく御検討をいただきたいと思います。  それから次の問題ですが、これも法制上の問題です。国公法の休職制度というのは、七十九条に規定がありますように、本人の意に反する休職制度であります。一身上のやむにやまれぬような事情による休職、たとえば先ほども話に出ましたけれども、教育を受けたい、特に職務と関連のあるような教育を受けたいというふうな場合もありましょうし、そういった理由による休職については、法制度上きわめて不十分だと思うのです。  実は、こういうふうに申しますのは、これは名古屋税関で例があったわけでありますが、本人がデンマークの国際国民大学に留学をして勉強したい、特に関税行政の変遷史について研究をしたい、こういう気持ちがありまして、本人の希望による勉学の場合には、これまではある程度ゆるやかに扱われていたように聞いておるのですが、この人の場合には結局休職扱いにならなかったのです。この点、これは制度上不利な問題があるわけでありますが、この点については総理府のほうとしてはどのようにお考えでしょう。本人の意による休職制度という問題です。これは立法論になるかもわかりません。
  87. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 これは総理府の所管ではございません。私のほうの所管でありますので、お忘れなくお願いいたしたいと思います。  いまおあげになりましたように、先ほどお話しになっている自己の勉学ということは、一つの動機としてはあり得るわけで、現在、制度的に休職として認めておるものについても、動機としては御本人の意思ということは前提になる場合もありましょう。しかしながら、結局は役所のほうの都合で、これこれのことを勉強してもらうことが役所の公務のために直接役に立つということで、現在休職を認められておる者も、結局は役所のほうの都合で勉強してもらいたいという意思が表に立ってのことでありますから、本人の申し出によりという形にはならないわけです。形はあくまでも役所側の都合ということになるわけであります。  いま例におあげになりました、Nさんという人だと思いますが、これは私のところにも非常に切切たる手紙をよこされて、非常にまじめな方だと思って、私はすみからすみまで読みました。読みましたけれども、結局これは、役所側の都合として、そのほうの勉強が直ちに役所のほうの欲しておる勉学であるかどうかということに尽きる。問題はそこに尽きるわけでありまして、したがいまして、現在の制度では、その所管の大臣なり所管の責任者が、これは役所のほうとしてぜひ勉強してもらいたいという結論にならなければなりませんから、その判断は当該責任当局者にあるということになると思うのです。ただしかし、それと別の問題として、何もかたく休職のことばかり考える必要はないので、もう一つ、休暇とかなんとかそれに似たような制度がございます。たとえばスクーリングの問題だとか、あるいは看護婦さんが将来さらに自分の昇進のために勉強したいというふうないろいろなケースもございまして、われわれとしては、そういう広い意味で、そっちのほうの問題として現在検討いたしておるわけです。
  88. 木下元二

    木下委員 実は私のほうからも、その看護婦さんの問題とか、いまのスクーリングの問題をお尋ねしたいと思っておったのですけれども、言われましたので、ひとつそういう点についても十分お考えいただいて、人事院の規則をひとつお考えいただきたいと思います。特に、憲法二十六条が保障しております国民がひとしく教育を受ける権利、これは公務員としても当然保障されておると思いますので、公務員の立場に立ってそういう制度を改善していただきたい、このことを要望しまして、次の問題に移ります。  定員外職員ですけれども、これは相当数いるようでありますが、その実態は総理府のほうは御存じでしょうか。おおよそでけっこうです。
  89. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 御案内のように、定員外の職員については、昭和三十六年でしたかに、定数化をするという措置になっておりまして、その後そういう職員をなるべく置かないようにという方針になっておるかと思いますが、私のほうで、現在どの程度の実態であるか、いま手元に資料を持っておりません。
  90. 木下元二

    木下委員 私の手元にある資料によりますと、昭和四十四年七月で約八万二千余り定員外職員がいるということでありますが、これは特に文部省関係、中でも大学関係に多いようであります。  したがいましてこれは、いろいろ法的な問題がありますので、きょうは時間もありませんし、文部省設置法の質疑のときにお尋ねしたいと思うのですが、ここでお尋ねしておきたいことは、この定員外職員の雇用形態、これは一体どういうものでしょう。簡単でけっこうです。
  91. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 定員外職員の雇用形態は、いろいろな形があろうかと思います。大体大きく分けますと、従来いわゆる定数化措置の対象になったような、ほとんど常勤の職員に近いような形のもの、これは給与も普通の者と違った特別な予算のほうから支給をされておるわけでありますが、そういった常勤に近い形のもの、あるいは季節的なものもあろうかと思います。全くの日々その必要に応じて雇用するといういろいろな形があろうかと思います。
  92. 木下元二

    木下委員 いろいろあるかもわかりませんが、一番多くて、そして労働組合なんかも問題にしておるのは、仕事の内容そのもの一般職員と変わらないまさに常勤化された職員、仕事そのものは全く同じことをやっている、こういう職員なんですが、仕事そのものは全く同じだけれども、雇用の形が非常に特徴がある、日々雇い入れという形式をとっておる、これを御存じですか。
  93. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 そういう方もおられるかと思います。
  94. 木下元二

    木下委員 日々雇い入れという形式をとっていて、更新をずっと繰り返していくけれども、いわゆる年度内雇用ということで三月の末にはもう更新を打ち切るというふうな雇用の形ですね。ここに辞令があるのですけれども、任期は一日とする、ただし任命権者が別段の措置をしない限り、三月三十日まで任用を日々更新し、以後更新しない、こういうふうな形式をとっておる場合が非常に多いようです。その点は御承知でしょうね。
  95. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 そういう形式の雇用もあろうかと思っております。
  96. 木下元二

    木下委員 いや、中にこういう形式があるということでなくて、大半がこういう形式ではないのですか。
  97. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 これは、全部がそういうような形式であるかどうか、私も発令の形を見たことがありませんのでわかりませんけれども、かなりの数の方がそういう形式をとっておられるのじゃなかろうかと思っております。
  98. 木下元二

    木下委員 そこで伺いたいのは、私がいま言いましたような、日々雇い入れ、そして年度内の更新というふうな形式をとっている法律上の根拠ですね、これはあるのでしょうか。あるかないか。
  99. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 おそらくこの問題の焦点は、いまちょっとお触れになりましたように、本質的には非常勤職員の法的性格のもとに雇い入れられながら、実際上は常勤と同じような仕事をしている人の扱いの問題である。それはもうかねがね問題になっておるところでございまして、これは本来はあるいは行政管理庁の所管かもしれない、われわれの直接の所管ではないと思いますけれども、私どももしょっちゅう引き合いに出されてこういう場で説明させられておりますので、いつも申し上げておるのでありますけれども、結局、定員そのものの問題であることは申すまでもないわけです。ただ、その処遇の問題になりますと、これはわれわれのほうの関係になりますものですから、一言申し上げるわけです。  私どもとしては、非常勤職員というワクがありますから、そのワクを超越して常勤と同じように扱うということができないことは、制度があります以上はもう当然であります。われわれはそのワクの中ではできるだけの優遇措置を講じてきております。一言申し上げればそういうことです。ことに、公務災害補償の場合には、たった一日雇い入れの方がけがをされましても、常勤職員と同じ恩典を受けるわけでございます。そういうこともあるということを申し上げさせていただきます。
  100. 木下元二

    木下委員 いろいろ先回りされて優遇措置のことを言われたのですが、私が聞いているのは、法律の根拠がこの制度についてあるのかどうかということを聞いているのです。その点はどうでしょう。
  101. 渡辺哲利

    ○渡辺(哲)政府委員 非常勤職員の任用につきましては、雇用の形式は、いまお話の出ました日々雇用の場合と、一定の期間の中に四分の三の時間を制限いたしまして雇用するという、二とおりがございます。日々雇用の場合には、通例は、いま御指摘のございましたように、何月何日までは何も措置しない場合は日々更新するというような形になっておりますが、それは通常、法形式的には別にそれに期限はないわけでございますけれども、現在、閣議了解がございまして、その了解の線で一応一年という了解事項がございます。それに基づいて、現在そういうような三月三十一日という辞令が多いということになっておるのでございます。
  102. 木下元二

    木下委員 そうしますと、結局、閣議の了解に基づいてそういうふうな制度がつくられ運用されておるということですね。法律上の根拠というものは特にないんだ、こういうことでしょう。特殊な任用については、たとえば国公法の五十九条に条件つき任用というのがあり、あるいは臨時的任用については六十条があります。特に臨時的な任用については六十条でしぼっておると私は思うのですが、それ以外の、こういう特殊な、年度内の更新を継続する日々雇い入れといった雇用形態で雇用をできるという、そういう法的な根拠というものは国公法上ないと思うのです。結局、法的根拠なくして閣議の決定に基づいて通達行政で運用されておる、こういう実態でございますね。
  103. 渡辺哲利

    ○渡辺(哲)政府委員 非常勤の期限をどういうふうにするかということは、確かに法規定上はございません。したがって実行上は、現在、閣議了解の線に基づいて運営がなされておるということになっておるわけでございます。
  104. 木下元二

    木下委員 いま申しますように、こういう特殊な雇用形態については、特に法的根拠が私は必要だと思うのです。そのことは、六十条にもはっきりと臨時的任用についてうたっておる点からも明らかであります。私はこの点はきわめて失当であると思いますが、特にその点は、もう時間がありませんので申しませんけれども、さっきから言っておりますように、形は日々雇い入れというような形をとっても、実際上はこれは雇用が継続しておるわけですよ。これはもうどこから見ましても、社会通念上見ましても、雇用はずっと継続しておる。毎日毎日雇い入れなんということでなくして、一般職員と同じように、同じ仕事についてずっとやっているわけですよ。しかも年度がかわっても継続してずっと働いているわけですよ。ところがこの場合は、さっきも申しましたように、年度内雇用ということで、年度末が来ますと一日だけ空白期間を置く。さっき私が読みましたように、三月三十日まで任用の更新をするというふうな、そういう形式になっておりまして、三月三十日まで毎日毎日雇用を更新してやってきて、三月三十一日はぽっと一日空白をつくって、そして四月一日、新年度からまた日々雇用をやる。非常に私は、小細工を弄するような、まさに三百代言的な取り扱いだと思うのです。こういう処理はもうきっちり私はやめていただきたいと思います。そのことを強く要望いたしまして、次の問題に移ります。  関連した問題でありますが、定員外職員の仕事が定員内職員と変わらない、しかるに定員外ということで退職金は半分。附則によりまして、百分の五十、半分ということになっておる。しかもこれは年度内雇用ということで、そのつど退職金をもらっておる。きわめてこれは実態にそぐわない不合理なものだと思うのですが、当然これは定員内職員と同様の扱いをすべきだ。特に年度内雇用というふうな形式をやめるべきだ、こういうふうに私は考えます。この点についての所見を伺いたいと思うのです。
  105. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 退職のつど支給をいたしております。
  106. 木下元二

    木下委員 この問題について、私が要望したところに沿ってお考えいただくか、あるいは検討していただくかしてもらいたいと思うのですが、退職のつど支給している、そういう制度がおかしいのではないか。これはもうずっと実態として雇用が継続しておるのに、ほんとうに退職していないのに退職金を支給する。年度がかわってその時点で退職金を支給する、こういうばかな話はないでしょう。そういうことを改める考えはないのかどうか聞いているのです。
  107. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 雇用の実態は、いまお話になりましたように、継続しているに近いということかもしれませんけれども、退職金の性質上、やはり退職になれば支給するというたてまえになっておりますので、まあ退職金のほうからいくのか、あるいは雇用の実態を改めることになるのか、いろいろ定員その他の問題でむずかしい点もあろうかと思いますが、一がいにこの退職法のほうからだけこれを取り扱うというのはなかなかむずかしい点があろうかと思っております。
  108. 木下元二

    木下委員 そうしますと、もう雇用は継続しているけれども、いま言われたように、定員内の場合とほとんど変わらない。ということは、雇用は継続しているけれども、形の上で退職金は支給するのだ、こういう見解のようであります。非常に不合理なことです。そうでしょう。違いますか。
  109. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 雇用が継続していないために退職金を支給するということであります。
  110. 木下元二

    木下委員 その点については、これは論議をしましても、時間が来ましたので終わりますが、ひとつもう少しこの問題の実態に即した御検討をいただきたい。特にこれはもう、労働法理に照らして考えましても、雇用は継続しているのです。この点は、人事院のほうもさっき言われましたけれども人事院のほうでも、そういうふうな日々雇い入れという形では処理していない。そういう処理ができないわけです。これは公務員の場合で、民間の場合でも共通しておりますので、幾らそういう日々雇い入れというふうな形をとっても、実態として見た場合には、これは労働関係というのは継続しているわけなんです。継続しているのに退職金だけは年度ごとに支給する、こういう不合理なことを国がやるということは、私は納得できません。また機会を改めましてこの点について詳しく質問することを申しまして、終わりたいと思います。
  111. 三原朝雄

  112. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案審議しているわけでありますけれども、これは長い間久しく要望されてきた問題であるだけに、私は非常に前向きでいいと思うわけでありますが、それに伴って、やはり不均衡があってはならないという原則に立たなければならないと思うのでありますが、そもそも民間企業の退職手当というもの性格についてはどのように認識をされておりますか。まずその点について伺いましょう。
  113. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 民間企業の退職金の性格につきましては、功績報償説、あるいは賃金のあと払い説、あるいは生活の保障説等いろいろございまして、必ずしもはっきりした定説的なものはまだ確立されていないかもしれませんが、国家公務員等の退職手当についても、まあ大体同じようなことであろうかと思います。
  114. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 功績報償説、退職金をもって在職中の功績に対する報償であるという考え方、賃金のあと払い説、労働者が在職中当然受けるべき賃金部分を退職した際に受け取るにすぎないという考え方。生活保障説というのは、退職後における生活を保障するために支払われる給与であるという考え方でありますけれども、労使の関係においてはどういうふうな考え方に立っているか。その点について……。
  115. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 これは年金等と違いまして、使用者が一方的に負担するものでございますが、労使間でどのような認識をされておられるか、これは学説が区々としておりますように、必ずしも一致していないかもしれません。どちらかといえば、やはり勤続報償的な性格か公務員の場合には強いのではないかというように考えております。
  116. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 公務員の退職手当性格については、民間の退職金と同様な考え方に立って若干条件を付すという、そういう考え方に立っていると思うのですけれども、民間企業との対比ということから考えて、公務員の場合のいわゆる退職金というものをどのように性格づけられたか。その点について……。
  117. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 先ほどちょっと申し上げましたが、民間企業と退職手当性格がそれほど変わるべきものとも考えません。ただ、現在の国家公務員退職手当のいろいろな内容を見ますと、勤続報償的なウエートが強く置かれているような感じを持っておるわけでございます。
  118. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 国家公務員退職手当性格というものは、私はむしろ、労働権とか政治的活動、服務規律等のいわゆる性格というものがある中においての退職金というものを考えていかなければならないということで、私はやはり、民間との対比というふうなことから、その点が違ってくるのではないか、こう思うわけでありますが、法案中身について少しお伺いいたします。  この第一にあります公務外の死亡にかかる退職手当を、二十年以上二十五年未満においては第四条、二十五年以上においては第五条としたその理由は、どういうところにありますか。また、二十年未満は公務外死亡については救済ができない、いわゆる第三条適用になっておりますが、これを何らかの方法によって救済する方法はないか。その点について……。
  119. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 公務外の死亡の場合に、従来は自主的な退職と同じ扱いにいたしておったわけでありますが、実際上の問題としていろいろなケースが出てまいりまして、たとえば公務上の傷病とどういうような区別があるのか、その認定にあたりましてもいろいろな問題が出てまいります。あるいは、長年勤続された方が死亡されるような場合は、前に公務上でけがをしておったとか、あるいは非常に過酷な勤務が重なった長い間の公務上の勤務というものと何らかの意味の関係が多くなってくる場合が普通でございます。そういう意味におきまして、もしこの方が、そういう病気になられて死亡されない場合には、勧奨退職というような制度に乗っかっておやめになるのが普通でありますが、そういうものとの均衡をはかりまして、二十年以上、二十五年以上、それぞれのランクごとに勧奨退職に準じた扱いをすることにいたしたわけでございます。  ただ、二十年未満で公務外の死亡をされた場合、この点につきましては、実は年限を区切りますと常に起こる問題でございますけれども、二十年でよくて十八年、九年でなぜ悪いかということがいろいろ議論があろうかと思いますが、どこかで年限を区切らなければなりませんので、この点は従来からとっております勧奨退職の二十年という区切りをとったわけでございます。
  120. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 二十年とか二十五年ということでありますが、実際に十八年あるいは十九年ということになりますと、いまも言ったように、第三条適用ということになるわけでありますので、そういう点について私は、年限については、十分納得のいく年限まで適用をするという考え方のほうが今後正しいのではないか。わずか一年でそういう適用が受けられないということになるとすれば、それは全く十八年、十九年もつとめていながら実際に恩恵を受けるということはできないわけですから、そういう点については、もう少しだれもが納得できるような方向に進んでいくほうがいいんじゃないかと思うわけでありますけれども。  三条、四条、五条はそれぞれ退職のしかたについて規定しておりますけれども、それぞれの支給率の算出の根拠はどういうふうになっておりましょうか。
  121. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 これは長い間の積み上げによりまして、だんだんと固まってきたものでございまして、大体において官民比較というものを基礎にしながら、勧奨退職、あるいは国家公務員の場合の勤続報償的な性格を加えまして現在の各制度になっておるわけでございます。
  122. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 第二番目の、公庫に出向した職員退職手当のことでございますけれども、公庫等に出向した職員については、一つは公務員でありながら休職をして公庫に行くという場合、また勧奨退職によってやめて公庫に行く場合と、自分の都合で退職して行く場合と、大体三通りのケースに分かれるのではないかと思うのですけれども、公務員でありながら休職して公庫に行く場合は、休職期間は半分の計算で従前はあったわけでありますが、勧奨退職は、一度公務員として退職金をもらい、公庫でももらうということで、通算計算でなくなっていたものを通算するということになりますけれども、すでに旧法によって通算計算でなくなって出向している、そういう方々に対しては、たとえば半年間くらいでたいへんな格差が出てしまうというような状態については、どのような配慮をなさるか、またそれについての見解をお聞きいたします。
  123. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 現在すでに国家公務員を最終的に御退職になった方は、これは別でございますけれども、かつて公庫等に出向されて一時退職金をお受けになったけれども、いままた国家公務員でおられるというような方々については、附則で経過措置を設けまして、前にいただいた退職金は一種の内払い的なものであると考えまして、再計算をし直す。ただ、支給を受けた退職金については、一定の利子をつけましてそれを控除して最終的な退職金を払う、こういう規定を附則へ入れております。
  124. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 世上にいわゆる天下り問題がいま非常に話題になっておりますけれども、高級公務員、いわゆる指定職が公庫に行った場合は、通算期間に組み込まれるのでしょうか。その点について……。
  125. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 公庫の役員として行かれる場合は、これは対象外でございます。したがって退職金はここで打ち切ることになっております。
  126. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 高級公務員が公庫役員で行く場合は、公務員の退職手当によって清算されるといういまのお話でありますけれども、こういうことがあるかどうかわかりませんが、職員として行って一年ぐらいで役員になった場合は、どういうふうになりましょうか。
  127. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 先ほども申し上げましたように、公庫へ出向する場合には再び国のほうへ帰ってくる、こういう要請を受けていくわけでございますから、原則としてそういうことはないと考えております。
  128. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 公務員でありながら休職して公庫に行く、そしてまた勧奨退職によってやめて公庫に行くという場合に、A公庫に行った、次にBの公庫に行った、その場合には、公務員としての期間はAとの関係を、Bでは通算の措置をとるのかどうか。この点について……。
  129. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 公庫と国との間の人事の取り扱い、そういうようなことはあまりないだろうと思いますけれども、かりにあった場合にどういうことになるかと申しますと、この公庫相互間において国と同じような通算規定がお互いにあれば、この制度にのってくるわけでございます。なければ、のらないということでございます。
  130. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 非常に少ない例ではあろうと思いますけれども、その点についても、やはりはっきりある程度の見解というものをしておきませんと、いま私が申し上げましたように、A公庫へ行った、次にB公庫へ行ったときに、公務員としての期間、Aとの関係をBでは通算するかどうかという問題がやはり起こってくるのじゃないか、このように思うわけですから、その点もやはりはっきりしておいていただきたいと思います。  次に、公務員からAの公庫へ行って、さらに要請されてBの公庫へ行って公務員に戻った場合は、A、Bともに通算されるのか。この点について……。
  131. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 それは、A、Bの公庫同士で通算規定があれば——もちろん、AとBそれぞれ国との通算規定があればという前提でございますけれども、あれば通算になります。なければならないということでございます。
  132. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 勧奨を受けて退職した者については、勤続期間が二十年未満は、特例としての退職手当の増額措置の適用から除外をされておるわけですけれども、それの理由。それについては、附帯決議をして、何らかのあれで十分に今後も措置をするようにということをうたってあるわけでございますが、その点について少し伺いたいと思います。
  133. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、現在の調査段階におきましては、はなはだしい格差がないということで今回は措置をいたさなかったのでございまして、将来、検討課題にしていきたいと思います。
  134. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 勧奨退職者等について百分の百二十を増額した理由というのは、どういうことでありましょうか。
  135. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 これは、民間の定年扱いの退職の場合におきますいわゆる加算金、これは大体永年勤続的な性格ものが多いようでございますが、そういう加算金を考慮いたしますと約二〇%程度差があるということで、これを改善の対象にしたわけでございます。
  136. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 勧奨退職者に対する退職手当の中に「当分の間」というあれが入っていますね。「法第三条から第五条までの規定により計算した額に百分の百二十を乗じて得た額の退職手当を支給すること」とあるが、「当分の間」というのはどのくらいの期間を意味しておるのでしょうか。
  137. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 これははっきりした目安をただいま申し上げることはできないのでありますが、考え方としましては、民間の退職金の動向がどういうふうに変わっていきますか、定年の延長の問題とかいろいろございましたり、あるいは雇用の流動性というような問題も変わってきつつありますので、そういうことを一方では考えております。また同時に、公務員の職員構成、年齢構成の変化というものを見ながらこの期間を考えていきたいということでありまして、はっきりといまどの年数を考えておるかということは、ちょっと申し上げかねる状況でございます。
  138. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 公務員が多くふえたのは、昭和二十三年から二十四年くらいの、復員をされてきた方方が就職をされたというときで、実際には年齢のわりあいに地位というものは低いし、在職期間も短い。それが実はもう肩たたきという、そういう年齢にきているわけであります。そういうものを含めていわゆる「当分の間」というふうなお考えもあったのかどうか、それについてお伺いします。
  139. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 お話のように、試験制度が始まりましてから正規の試験で採用された方と、戦後いわゆる中途採用の形で入ってこられました方々の中に、退職金を計算します場合に若干の差がございます。そういう問題も頭の中に置きまして当分の間、いわゆる試験採用前の方がおやめになるということが多いものでございますから、こういう措置を講じ、状況を見ながら将来また考えていきたいというふうに考えております。
  140. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いまのあなたのほうのお考え方も含めますと、「当分の間」というのは、そういう者の整理ができるということになりますと、一応は十年ぐらいというふうなことも考えられるわけですし、また聞くところによると、そういうふうな考え方もあるやに承っておりますか、この「当分の間」というのは、十年を目ざしておるものであるか、そういうふうなことについてちょっとお伺いしておきたい。
  141. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 これは職員の構成のほうから見ますと、そういう一つのめども出てこようかと思いますが、先ほど申しましたように、民間との比較という問題も片っ方にありますので、十年ということに一応考えることがいいかどうかは、ちょっと断定できかねる状況でございます。
  142. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 最後に総務長官にお伺いいたしますけれども、何といっても、国家公務員の給与、あるいは退職手当等も、すべてこれは国家百年の大計に基づいてたいへんに大切な問題だと私は思うわけでありますが、そういう点について、退職された方々が十分に納得いくような状態、そしてまた民間対比についても、決して格差がないというような方向に今後十分検討されたいと思うのですが、その点について最終的に伺いたい。
  143. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 御指摘になりましたごとく、国家公務員は、国益に関する重要なる行政府のそれぞれの責任者として事務の推進をはかっていただかなければならない大事な各員ばかりでございます。したがいまして、これら国家公務員に対しますところの給与、あるいは退職金その他に関連する大計というものは、非常に重要な問題でもございますので、政府といたしましては誠意をもって、それぞれ人事院のほうにおいて勧告されましたそれを踏まえながら、そんたくいたしながら、これに対する配慮をいたしたい。その他に関連いたしましても、総理府といたしましても、いま申しました考えを基礎に置きながら、公務員の行政指導、給与指導に当たりたい、こう考えております。
  144. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 さきに同僚議員がいろいろ基本的な問題をこまかい点については質問しましたので、重複は避けまして、これで質問を終わります。
  145. 三原朝雄

    三原委員長 受田新吉君。
  146. 受田新吉

    ○受田委員 時間切れが迫っておるようでございますが、簡明直截にお尋ねしますので、簡明にお答え願います。私は、これは公務員に非常にサービスするような形の法案でありますが、問題点が幾つもころがっておりますので、そのポイントだけつきます。  国家公務員がやめていく場合に、退職手当と退職年金の二つの退職法の処遇の問題があるのですが、民間給与との比較という立場から、今回も二割アップを勧奨退職者に支給しようという法の趣旨であります。ところが民間の退職年金のほうは、これはやはり調査をやっておられると思うのですけれども、比較検討される資料としてどういうふうに受けとめておられるのか、長官と総裁と両方から御答弁を願います。
  147. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 いま先生御指摘になりましたごとく、年金のほうは大蔵省がいたしており、私のほうは退職金、給与のほうを所掌いたしておるのは御承知のとおりでございます。これに関連いたしまして、共済組合は、恩給や退職手当のように、国の一方的負担による給付でないこと。また、総合調整という見地からも、特に問題があるとは認められないこと等によって現行のように定められているいきさつは、御承知のとおりでございます。そうした観点で、私のほうは私のほうとしてこれを所掌しておるということでございます。
  148. 受田新吉

    ○受田委員 退職手当と退職年金、双方担当のセクションが違っておる、ここに一つ問題があると思うのです。人事院勧告をすなおに受け入れる体制としては、総理府が人事局を持っている以上は、退職年金の問題も当然そこで一括して退職手当とともに担当してもらうべき性質のものだと思うのです。恩給法は総理府が担当する、それから共済組合法は大蔵省が担当するということで、同じ国家公務員でそこが分かれているのは非常に不便である。そのバランスがくずれる危険もある。行政事務を円滑に遂行する上においても、総理府の中に共済組合の担当官を置いて、そこで一括処理されるのが適切であると思うが、国務大臣としての認識はどうなのか、御答弁を願います。
  149. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 国家公務員退職手当については、総理府がこれを所掌し、人事院国家公務員法の規定に基づいて、法令の制定または改廃に関し意見があるときは、その意見国会及び内閣に同時に申し出なければならないことになっております。退職手当については、人事院国会及び内閣に対し意見申し出を行なうということであれば、総理府としては、これを受けて慎重に検討するということになっておる次第であります。
  150. 受田新吉

    ○受田委員 お尋ねしている点は、長官、あなたのほうで退職手当も退職年金も一括担当すべきである。その点について、長官のような非常に愛情のある強力な閣僚が、この際まとめられるほうがいいと思うのです。
  151. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 この問題については、いろいろと意見がかわされている問題であることも私は承知いたしております。退職公務員の恩給及び退職手当については総理府が所掌し、また退職年金は共済組合を通して大蔵省が所掌している現状でありますが、昭和四十年に総理府人事局が設置されました当時、その所掌事務については、各行政機関が行なう人事管理に関する方針あるいは計画等の総合調整を行なうという見地から検討がなされ、その際、共済組合は、恩給や退職手当のような国の一方的負担にかかわる給付でないこと、また総合調整という見地からも特に問題があるとは認められないこと等によりまして、現行のように定められているといういきさつは、御承知のとおりであります。しかし、今後、実際上問題が生じないよう、大蔵省とはひとつ十分連絡をとりまして、調整をはかってまいりたいという考えでございます。
  152. 受田新吉

    ○受田委員 恩給法の適用を受ける者も納付金をやっているわけです。国の一方的な負担じゃないのです。その系列においては、大体同じような形で本人も負担があるのです。共済組合法の適用を受ける人も、恩給法の適用を受ける人も、国が全部負担しているわけではないという意味においては同列であるということで、人事局ができた当時の行きがかりも十分検討した上で、このあたりで大蔵省の担当官を総務長官の配下に置いて、一括して公務員の退職者の処遇を検討する、そしてこれを実施に移す。当然検討をやられていいと思うのです。それは長官の手元へ置いたほうがよほど一括してバランスがとれますね。そうですね。
  153. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 御指摘のとおり、そうした調整あるいはバランス等も考えますときに、十分私は検討の価値がある、こう考えておりますので、今後前向きの姿勢で取り組みたい、こう考えております。
  154. 受田新吉

    ○受田委員 名答弁です。そういう方向で処理していただきたい。大蔵省がここへ来られなくても長官で一括処理できるように、内閣委員会の権威において非常にいい答弁をいただきました。  もう一つ人事院総裁、公務員の退職金については意見申し出ができるように法第二十三条にある。また退職年金については百八条に勧告権がある。ところがその勧告権は共済組合の規定の中へ陥没して死文化しておる。これは御満足ですか。
  155. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 実質はやはり共済組合制度の中で生きておるという前提でわれわれ考えておりますから、決して死文ではないというふうに考えております。
  156. 受田新吉

    ○受田委員 事実上総裁勧告できないですね。事実上勧告権を共済組合法へ転移したようなかっこうで、なければなくて済むようになっていますね。
  157. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 実際上共済組合制度の中にこれが入っておるだけのことで、実質的には公務員をやめた者に対する年金制度としては変わりがないわけでありますから、われわれのほうにもそれに対する勧告権はある、その点は変わりはないというふうに考えております。
  158. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると、現実に勧告していただけますか。百八条の発動をすることができますか。
  159. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 最近は昭和二十八年に勧告を申し上げたケースがございます。それ以後、現実には勧告を申し上げた実例はございません。しかしわれわれは、やはり勧告権はあるという前提に立って、かねがね調査研究はしておるということでございます。
  160. 受田新吉

    ○受田委員 大蔵省にまかせきりの危険があると私は思うのです。人事院人事院独自の実態調査によりまして堂々と勧告していく、これが本筋である。本筋が枝のほうで処理されるような危険が現にあるわけです。本筋に返れ、本立って道生ずということがあるわけですが、本に返れ、人事院の権威のために、私は人事院総裁の明言をいただきたいと思います。
  161. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 前にも同一趣旨の御激励を受田委員から承っております。ただいままた重ねておことばをお伺いいたしまして、さらに奮起いたしたいと思います。
  162. 受田新吉

    ○受田委員 もう一つ退職金の意見申し出でございますが、人事院申し出をどのような形でされておりますか。民間が二割アップまで来たということについて、どういう形で意見申し出がされたか御答弁願いたい。
  163. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 いまの退職手当の関係では、これは実は実態調査も私のほうで御依頼によってやったというようなことで、人事局とは非常に緊密な連携をとりながら協力関係でやってきておりますので、表立って意見書の提出というところまで、そういうやぼなことをやらぬでも目的を完全に達したということでお役に立ったと思っております。
  164. 受田新吉

    ○受田委員 二割アップまで待たなくて、一割アップの程度で去年おととしごろに二割の過程で処置すべきではなかったか。これは総理府の御答弁をいただきたい。
  165. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 お話のようなこと、いまになって考えればそういう気がいたさないわけでもありませんが、当時、民間の定年加算の取り扱いがよくわからなかったので、最近になってそういう実態をつかまえましたので、この措置をしたわけでございます。今後は十分ひとつ気をつけてまいりたいと思います。
  166. 受田新吉

    ○受田委員 これは二割アップまで待たなくて、途中で一割アップのときも処置すべきだったことについては反省がおありのようですが、改むるにはばかるなかれでございますから、今後さらに一割アップ程度の実態が出れば、一割程度から措置をするのか、また二割程度まで待つのか、今後の法改正に対する心がけを御答弁願いたい。
  167. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 どの程度ということは別といたしまして、これから先、民間の給与、退職金がどういう水準で推移していくのか、これは十分関心をもって注意してまいりたいと思います。
  168. 受田新吉

    ○受田委員 ここで問題があるのは民間の退職年金のほうですが、企業年金あるいは厚生年金、こういう方面は民間がまだ体系化されていない点が多いと思うのです。それについて、国家公務員はここまで来たのだということで、民間に一つの目標を置かすことにもなると思うのですが、実態調査をされた人事院としては、民間との比較検討の上で、この退職年金の扱いを民間をリードしていくという精神で処理すべきか。民間とバランスをとるということになれば、逆に公務員のほうが押される危険もあるわけで、そういう問題について、人事院総裁としてはどうお考えになっているか、御答弁願います。
  169. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 これは年金のほうになりますと、なかなかむずかしい問題であると思います。私どもが、この退職手当に関連して民間調査をやってまいりますと、たいてい年金制度とのからみ合いがあって、退職手当分が年金のほうへしょわされておったり、年金分が退職手当にしょわされておったり、実態そのものもいろんな見方ができるくらいでございます。またそのやり方等もまだ千差万別で、どうも定型的なものがつかめないという感触を持っております。したがいまして、民間のほうを基礎にして材料を整えるということはなかなかむずかしいのじゃないか、私はしろうとなりにそういう考え方を持っておりますが、それではリード型で乗り出せということにお話がいくわけです。これはよほど慎重に考えませんと、二日制もリード型、これもリード型、だいぶリード型がたくさんまいりますので、その間にはおのずから軽重の差を設けて臨みたいと思っております。
  170. 受田新吉

    ○受田委員 部分的な問題で一、二指摘したい点があるのですが、恩給法の改正案の中に、今回、準訓導その他、正規職員でなくて準ずる職員の恩給通算期間をまるまる見ることになりましたね。これは非常に前進だと思うのです。つまり正規職員でなかった、過去には二分の一にしか通算しなかった職員をまるまる通算するという恩給の算定基礎を明確に法律にうたいました。  ところが、さっき木下さんも提案しておりました林野庁の常勤作業職員、あるいは文部省にもその他にも同様の職種があるわけですが、雇用形態が一年ごとに切りかえられていくという日給月給方式の常勤作業員が林野庁にはたくさんいらっしゃる。そういう職員の取り扱いがどうあるべきかについては、昭和四十六年に政府で、国有林野職員の処遇改善に際して、政府関係省庁の統一見解というのがすでに出ている。四十六年四月十三日、「国有林野事業の基幹的な作業員は、その雇用および勤務の態様からすれば、長期の継続勤務となっていること等、常勤の職員に類似している面があるものと思料される。しかしながら、これらの基幹的な作業員を制度的に常勤の職員とすることについては、国家公務員の体系にかかわる仲々困難な問題でもあるので慎重に検討して参りたい」という統一見解が出ておる。この統一見解から二年たって、どのように制度改正の上に熱心に取り組んでいくのか。ずっと勤続しておるわけでございますから、その勤務の形態からいえば。たとえ一年ごとに切りかえたとしても、準訓導をまるまる通算したという恩給法の改正の精神からいえば、ずっと勤務しておる以上は、たとえ勤務の途中で退職、そして再雇用という形があったにしても、通算という勤務になっていることは間違いないのですが、国家公務員の体系の上でこの問題の解決は、このあたりでしていいと思うのです。それは政府職員として一応雇用しているのですから。これは非常に大事な問題だと思うのでありまして、このあたりで制度化に踏み切る時期にきておるのではないか。いかがでしょう。
  171. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 これはお話のように、広く公務員の制度の問題に関連いたしますので、林野庁が主体になりましていろいろ検討をしておるわけでございます。私のほうでは、それを退職手当のほうでどういうふうに受けとめるかということになるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、雇用の制度というものがあってそれを退職手当で受けるわけでございますが、こちらだけでその制度を引っぱっていくということがなかなかむずかしいわけでございます。いまお話のありました恩給の場合と退職金の場合は、若干また違う要素があろうかと思うのでありまして、退職のつど支給をするというのがたてまえになっておるのですが、その前提をとりながら、いかにしてそれだけの処遇をしようかということが当面こちらの課題であろうかと思いますが、お話にありましたように、現在のところでは、まだ基本的な検討を積んでいないために、形式的な退職のつど、退職手当法の規定によって退職手当を支給している場合が多いわけでございます。
  172. 受田新吉

    ○受田委員 これはあまり月日をけみしてはいけないと思うのです。そこに勤務する職員にしても不安な感じを持つわけで、勤務の形態は完全に通算した勤務ということになっているのですね。それを、政府自身がそういう制度をつくって閣議了解のようなかっこうでやってきた以上は、これはやはり政府職員として責任ある体系に持っていってあげなければいかぬと思うのですね。そういう方向に努力を怠っている。統一見解で二年たっているのです。長官、このあたりで、そういう勤務形態をしている者、それから六カ月とか七カ月の定期作業員という立場の人もあると思うのですけれども、これらも一応体系の中に入れていかなければいかぬと思うのですよ。非常に不安なかっこうで勤務を継続させることについては、これはやはり政府の責任は非常に重大だと思うのです。長官としては、人事局長に十分事務的な処理を命じて、一般職として常勤の勤務をしている形のもの一般職員と同等の扱いにするような施行を、やはり政府自身が内部できめていかなければならぬ。そうすると人事院がこれを認めていくということになるわけです。これは政府の扱いできまることだと思うのですが、長官、制度化がおくれているようですが……。
  173. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 いま御指摘になりましたように、いわゆる準訓導、あるいは郵便局の特定局長さん、これらに対しましての特別措置をこのたびとりました点は、御承知のとおりでございます。恩給は一つの国家補償的なものとして差し上げる問題。いまのいわゆる退職手当法の解釈は、やはり一つの勤続手当といいますか、勤続報償というような点も含まれておるというようなことも考えなければなりません。そうした気持ちを持った場合に、いま御指摘になりましたこれらの方々に対する措置というものは、いろいろと問題点はあることも聞いております。ことに、農林省あるいは行管、あるいは大蔵省というような三省間にまたがる問題でもあると私は見ておるのでございます。そうした点を考えますときに、そうした三省間にかわされている問題点も、十分ひとつ総理府としても考えながら取り組んでまいりたい、こう考えております。
  174. 受田新吉

    ○受田委員 これで質問を終わりますが、長官、私は、公務員の体系というものについては、そこへ勤務する人に、希望、期待権もあると思うのです。長く勤務した人には、一般職の公務員の本流と同じ処遇がしてもらえるのだというようにする。準訓導も、それから特定郵便局の局長も、二分の一通算がまるまる通算になった。退職手当も大体同格です。退職手当というのは国家補償じゃないというわけじゃない。国家公務員退職手当もやはり国家の補償ですよ。同じ性格ものですよ。これを一方では認め、一方でははずれておるのは、やはり不合理ですね。だから、勤務の形態がずっと続いておるとなれば、やはりこの法律の適用をきちっと受けるようにすべきだと私は思うのです。これは急いで解決をしていただきたい問題だと思うのです。いろいろな国家公務員の立場の方々が救済された形になりつつあるときに、勤務がずっと三十年も続いておる人である一毎年やめては再雇用、やめては再雇用になっておる分だからといっておっても、勤続であることには間違いないのです、翌日雇用されているのですから。勤続形態には全く変わりはないわけです。長官、このあたりで英断をおふるいになったらいいです。やはり国務大臣として、他の閣僚を十分叱咤激励されて、大臣御在任中にこの問題の処理をはかる。まだ相当長期にわたって長官は御勤務かどうかですけれども、ひとつ御在任中に処理をしていただくということを要望いたしまして、要望にこたえる御答弁をいただいて、質問を終わります。
  175. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 御指摘になりましたお気持ちも、私、全く同感でございます。そうした気持ちを踏まえまして真剣に取り組んでまいりたい、こう考えております。
  176. 受田新吉

    ○受田委員 時間が来ましたから終わります。
  177. 三原朝雄

    三原委員長 本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。     —————————————
  178. 三原朝雄

    三原委員長 ただいま委員長の手元に、加藤陽三君外四名より、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党の各派共同をもって本案に対する修正案が提出されております。
  179. 三原朝雄

    三原委員長 提出者より趣旨の説明を求めます。加藤陽三君。
  180. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 ただいま議題となりました国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案に対する、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党の各派共同提案にかかる修正案につきまして、提案者を代表して趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付いたしてありますので、朗読は省略させていただき、その要旨を申し上げますと、原案において施行期日としている「昭和四十八年四月一日」は、すでにその日が経過いたしましたので、これを「公布の日」に改め、また、「昭和四十八年一月一日」としている適用日を、勧奨退職の実情等を勘案し、「昭和四十七年十二月一日」に改めようとするものであります。  よろしく御賛成をお顔い申し上げます。
  181. 三原朝雄

    三原委員長 これにて修正案についての趣旨の説明は終わりました。  この際、本修正案について国会法第五十七条の三により内閣の意見があればお述べ願いたいと存じます。坪川総務長官。
  182. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 ただいま当委員会において御提出になりました国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案に対する修正案につきましては、政府といたしましては、やむを得ないものと考えております。     —————————————
  183. 三原朝雄

    三原委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に付するのでありますが、別に討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、加藤陽三君外四名提出の修正案について採決をいたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  184. 三原朝雄

    三原委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除いて原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  185. 三原朝雄

    三原委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。     —————————————
  186. 三原朝雄

    三原委員長 ただいま修正議決いたしました本案に対し、加藤陽三君外四名より、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党の各派共同をもって附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。加藤陽三君。
  187. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 ただいま議題となりました自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党の各派共同提案にかかる附帯決議案につきまして、提案者を代表してその趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。    国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は次の事項についてすみやかに善処するよう要望する  一、勤続期間が二十年未満で勧しようを受けて退職した者の退職手当の増額については、今後における民間の退職金の動向を配慮しながら、その改善について検討を行なうこと。  二、国家公務員等の期間と公庫等の職員期間との通算措置に伴い、国と公庫等との間における相互人事交流が適正に行なわれいわゆる天下りの弊害が起らないよう配慮すること。 右決議する。  本案の趣旨につきましては、当委員会における質疑を通じてすでに明らかになっておることと存じます。  よろしく御賛成をお願い申し上げます。
  188. 三原朝雄

    三原委員長 本動議について採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  189. 三原朝雄

    三原委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、坪川総務長官より発言を求められておりますので、これを許します。坪川総務長官。
  190. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案を御提案申し上げまして御審議をお願い申し上げましたところ、当委員会委員長はじめ委員の諸先生方におかれましては、あらゆる角度から十分なる御討議を賜わりまして議決を賜わりましたことを、深く感謝申し上げておる次第であります。  その間、賜わりましたる諸御意見、御要望につきましては、今後、総理府といたしましても、公務員の給与行政に万遺憾なきを期したいと考えておるような次第であります。  とともに、ただいま附帯決議として決議されました点につきましては、国と公庫等の間における人事の交流は、天下りとは別の事柄であるとは考えておりますけれども、決議の御趣旨はごもっともでございますので、御趣旨を十分体しまして、政府といたしましては、十分これからも検討いたしてまいりたいと思いますことを表明申し上げまして、ごあいさつを終えたいと思います。     —————————————
  191. 三原朝雄

    三原委員長 なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  192. 三原朝雄

    三原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  193. 三原朝雄

    三原委員長 午後四時より委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後一時九分休憩      ————◇—————    午後四時二十一分開議
  194. 三原朝雄

    三原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  建設省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、参考人の出頭要求に関する件についておはかりいたします。  本案について、本日の委員会に、参考人として日本住宅公団総裁南部哲也君に出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  195. 三原朝雄

    三原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。中路雅弘君。
  196. 中路雅弘

    ○中路委員 筑波研究学園都市の問題では、前回の国会審議の中で附帯決議が三項目出されておるわけですが、その中で書かれておる附帯決議は、第一番目が「移転研究機関については、高度な試験・研究・教育施設の整備、居住者の住宅の整備等、教育環境の整備及び居住条件の充実について特段の配慮を払うこと」、二番目が「建設計画の作成にあたっては、研究者等の意見に留意するとともに当該研究者等の生活条件の低下または支障をきたさないよう努めること」、三番目が「研究学園都市の建設に要する経費については、地元負担を極力軽減するよう特別の措置を講ずること」という三つの附帯決議がなされているわけですが、私は委員会の皆さんと一緒に、三月の五日だったですか、この現地へ行ってみたところ、この附帯決議が全く尊重されていない。新しい研究を遂行する一大センターとして、充実した設備、施設が保障されなければなりませんし、特に、それらについて研究者や職員の納得が得られるように、十分な意見の反映、そういうものがなされる必要があるわけですが、前回視察に行った際に、すでに移転をしています無機材研、それから高エネルギー、防災センターの研究所職員、家族の皆さんの話もお聞きをしまして、また、当日花室住宅の主婦の皆さんから私たちに訴えのパンフレットもいただいたわけですが、先日、大出議員が各項目についてこまかくお尋ねしましたから、私はその中で、それと関連して幾つかの問題で、最初にもう一度明らかにしておきたいと思います。  花室住宅の皆さんの「花室住宅の生活」というこのパンフレットの最後にも、「私たちはなぜこんな生活を強いられているのでしょう。それは受け入れ体制も整っていないところに移転させられたからにほかなりません。必要最低限のことが満たされないところに今後急テンポで入居者が増えるとしたら混乱をますます大きくするばかり」云云ということで、この受け入れの問題、設備について、環境について、非常に具体的な訴えがなされていたわけですけれども、前回の答弁と関連して、幾つかの問題をまず最初にお伺いしたいのです。  これは前回も大出議員が言っていましたが、私も行く前に、地元の主婦の方から、小学校に通うのに三十分、四十分かかるという手紙があったのですね。バスの中で案内していただいた現地の責任者の方に、どのくらいの距離がありますかと聞いたら、一キロぐらいだというのですね。それだったら三十分もかからない、おかしいと思って、住宅へ行ってどのぐらいかかるのかと聞いたら、それぐらいかかると言う。工事責任者の方におかしいんじゃないかと言ったら、直線コースで一キロというお話です。川もあるし、また道路もついていない。やっぱり現地は見るものだと思ったのですけれども、こういうことでは困るわけなんです。  前回は、今後の小学校や幼稚園、学校の建設の見通しについて一応お話しになりましたけれども、最初に、いま入居している皆さんの問題と関連して、保育所、幼稚園、小学校は将来何校ぐらい必要かというお話がありましたけれども、当面の具体的な建設計画、それからどういう配慮がなされているのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  197. 小林忠雄

    ○小林(忠)政府委員 現在予定されております研究機関が全部移転を完了いたします段階においては、小学校が十一校、中学校が七校、高等学校が三校、幼稚園が十二要るわけでございます。それでさしあたり、四十七、四十八両年度におきましては、まだ既存の小学校に収容余地がありまして、一校つくる分だけの児童がないわけでございます。四十九年度になりますと、一校つくるだけの児童数に達すると思われますので、四十八年度におきまして小学校一校、中学校一校、幼稚園一園を建設する予定でございます。しかし、地元の市町村の財政が非常に貧弱でございますので、これだけのものを建てるだけの力がございませんので、とりあえず四十八年度におきましては、日本住宅公団において立てかえて建設をして、四十九年度から移転者の児童の受け入れをしていくという予定でございます。なお、四十九年度以降これを市町村が引き取らなければならないわけでございます。引き取る場合におきまして、これに対する国庫補助の問題、起債の問題その他、財政問題が残るかと思います。
  198. 中路雅弘

    ○中路委員 いま終わりにおっしゃった問題ですけれども、いまのままですと、特に現行法のもとで、補助金の状態で地方自治体に非常に大きな負担がかかるということは予測できるわけです。また実際に、住宅公団が建ててもあとは買い取るわけですね。地元が買い取らなければならない。そういう点で、いまの周辺の町村及び県の状態の中で、特別の何か配慮をしなければ、これだけのものを受け入れていくということは非常にたいへんな負担になると思うのですが、その点についてどのように対策を立てられているのか。この附帯決議におきましても、先ほど読みましたけれども、「研究学園都市の建設に要する経費については、地元負担を極力軽減するよう特別の措置を講ずること」という附帯決議がなされているわけですが、この点についてもう少し具体的にお答え願いたいと思います。
  199. 小林忠雄

    ○小林(忠)政府委員 筑波地区は首都圏の近郊都市開発区域というのに指定をされております。そこで、昭和四十一年の法律第百十四号で、首都圏、近畿圏及び中部圏の近郊整備地帯等の整備のための国の財政上の特別措置に関する法律というのがございまして、府県に対しましては起債の利子補給、市町村に対しましては補助金のかさ上げということが規定をされているわけです。これらはいずれも、その財政力と投資額との割合によりまして、後年度で清算をするかっこうになっておりますので、どの程度のかさ上げになるかということは、当該町村の税収見込みと投資額との関係でいろいろ変わってくるわけでございます。  そこで、何年度にどのくらいの負担になり、それでこの法律でどのくらいの補てんができるかということを、現在、自治省、茨城県等と協力いたしまして計算をしておりますが、それでもなおかつ市町村の負担が非常に多いというようなことになりますれば、別途の措置を四十九年度以降において考えなければいけないだろうというので、一年間研究をいたしたいと思います。  なお、基本的な問題といたしましては、ああいう弱小町村の数カ町村にまたがっているところに、一つの大きなまとまった都市ができるわけでございますから、これの都市経営というものが、はたしていまのままのばらばらでいいのか、財政負担の問題もそこら辺と実はからんで都市経営全般の問題として研究いたしたいと思っております。
  200. 中路雅弘

    ○中路委員 いま、これから研究したいというお話なので、最初の附帯決議の、負担を地元にかけないという趣旨に沿って、対処していただくように、これは特に強く要望したいと思うのです。  その次の問題ですが、これも地元の主婦の方からいただいた手紙にあったのですが、特に医療の問題ですね。全く病院がない。土浦まで出かけなければなりませんし、また土浦の場合も、手紙によりますと、ガス中毒を先日起こした際に、連絡しても救急車も来てもらえないというような例も訴えられているわけですけれども、病院の建設の問題や、あるいは地元の開業医との関係の問題を含めて、医療の施設の保障が全くないところが、特に老人や子供をかかえている人たちにとっては一番大きな心配だろうと思うのですが、この医療施設の保障の問題について、さしあたってどのような対策を考えておられるかということをお聞きしたいと思います。
  201. 小林忠雄

    ○小林(忠)政府委員 この件に関しましては、むしろ厚生省のほうからお答えするのが適当かと思いますが、ただいま見えておらないようでございますので、私がかわってお答えいたします。  まず、総合的なものといたしましては、筑波大学の医学部の設置が四十八年度に予定をされておりまして、関係法案が本委員会にもすでに付託になっているわけでございますが、予算的に申しますと、四十八年度からこの筑波大学医学部付属病院の建設費の予算がついております。病院建設に三カ年を見込んでおりますので、五十一年になりますと大学付属病院ができ上がるわけでございます。そのほかに、土浦にあります国立の霞ケ浦病院が利用できるわけでございますが、そういう総合病院のほかに、近間の、たとえば小児科とか歯科とか産科とかいう一般のお医者さんのようなものがどうしても要る。もっと早い時期において必要になるのじゃないかと思うわけでございますが、この点につきましては、新しくこれもすでに国会へ提出しております国土総合開発公団におきまして、そういう利便の施設の建物等については立てかえて診療所のようなものをつくりまして、問題はお医者さんの確保でございますが、お医者さんの確保は、厚生省なり関係省なり、あるいは地元医師会等の御協力を得てお医者さんに来ていただく。で、その運営につきましては、県、公団、地元市町村及び民間の出資になります第三セクターの設立を実は予定しておりますので、そういう第三セクターが運営に当たったらどうかというように考えておるわけです。
  202. 中路雅弘

    ○中路委員 筑波大学の医学部の付属病院をあてにされたのでは、われわれはたいへん困るのですね。厚生省がおられないから、病院のことについては詳しく聞きませんけれども、厚生省とも相談をしていただいて、特にさしあたっての問題ですね、一年後とか二年後ということじゃなくて。いますでに、いろいろ先ほどお話ししましたように、緊急の病人が出ても土浦まで行かなければならないし、前回の委員会で歯医者の問題なんかも出ましたけれども、全く研究者が研究できない。病人でもかかえれば、そのための対策で家族はあげて対処しなければいけない。全く試験研究の仕事もできない状態にあるわけですから、医療の問題については、さしあたって厚生省なども含めて、地元の医者、開業医の人たちとの間で特別な対策が立てられるようなことが必要ではないかということを特に要望しておきたいと思います。厚生省おられませんから、この点についてはこのぐらいにしておきます。  特に施設の問題で、すでに居住者が移っているわけですけれども、当然移る前にやっておかなければならない問題で下水道の問題があるのですけれども、下水道は現在まだできていない。だから、単に移った人たちの不便というだけではなくて、これも周辺の住民の人たちから、下水道の開通の見通し、これもはっきりしてほしい。そうでないと、試験研究機関の下水が周辺の河川にいろいろ流されるというところから、逆に筑波研究学園都市の建設の過程でこれが公害の源になるというような心配、不安も出ているという話も聞いているわけですけれども、こういった点で、移った人たちも非常に大きな不便を感じているし、問題もあるわけです。それだけではなくて、今度は周辺の住民から、いまのままでは研究学園都市が逆に公害源になってしまう、そういう心配も出ているわけです。こういう下水の問題、これも前回出ました。  特に飲料水の問題ではいろいろ御意見がありますけれども、やはり非常に心配だという。現に有害物質が出ている、検出されているという報告もあるわけですから、その点が霞ケ浦を水源にしてという前回お話もありましたけれども、この下水道の建設について、具体的にいまどのような見通し、対策を立てられておるのかということをお聞きしたいと思います。
  203. 金丸信

    ○金丸国務大臣 いろいろ前段からお話を承っておりまして、筑波学園の建設という問題につきましては、まさに開拓ということでありますから、そこに入っていく人の最初の苦労というものは並たいていのものでなかろうと思うわけでございますが、ここに一つのモデル中核都市をつくろうということでございますから、いわゆる基盤事業というようなものは当然まっ先にやっておくべきだという、こういうことが基本であってしかるべきだと私は考えております。そういう意味で、下水道の問題も、水道の問題も、それに伴う住宅の問題も、順次人が来てからなわをなうようなことであったのでは間に合わない。しかし、開拓ということでございますから、最初の人にはえらい迷惑をかけるし、えらい御苦労もかけるわけですが、しかし、そんなことは長くやっておくことではない。そういう意味で、政府といたしましても、これをできるだけ早くやらなくちゃならない。  水の問題につきましては、四十八年度末にはこれを完成しよう。下水道の問題はいろいろ問題がありまして、ようやく決定いたしまして、五十年度にはこれを完成いたしていきたいという見通しもついたわけでございますが、現在、私も筑波学園を視察いたしまして、いろいろ見てまいったわけでございますが、病院の問題、道路の問題、下水道の問題、その他あらゆるものはまだ全くこと足りないな、これでは最初に入っていく人たちは非常に苦労しておられるのだろう、こういうような気持ちもあるわけでございますが、そういう意味で、いまから建てるものにしても、施設にしても、喜んで行けるような施設をあそこへ完備する。そしてモデル中核都市ということですから、モデルらしいものをつくっていくことが一つの理想でなければならない、このように考えておるわけでございます。
  204. 中路雅弘

    ○中路委員 いまモデル中核都市をつくるとおっしゃっているのですけれども、いまお話ししたように、移っていっている人たちが孤島のような状態に実際にあるわけですね。過渡的な状態とはいえ、こういう状態のところへ行っているわけですし、いま答弁もありましたけれども、下水道の建設について、具体的にそれではいまどのような見通しで建設し、またどういう方法で進められようとしているのかということを、もう少し詳しくお聞きしたい。
  205. 小林忠雄

    ○小林(忠)政府委員 まず雨水につきましては、関係の河川を五十年の出水期までに暫定断面で完成するということで、茨城県が企業主体になって工事を進めております。用地買収につきましては、四十七年中に所要の用地買収を大体終了する見通しがついております。工事につきましても極力進めておりますので、雨水の処理につきましては、昭和五十年の出水期までには、完成断面じゃございませんけれども、暫定断面で実施することにしております。  それから汚水の問題につきましては、当初、研究学園地区内に処理場を設けまして、そこで処理した水を近くの小貝川へ放流するという計画で進んできたわけでございますが、その後、下流の都市化の進展等もございますので、むしろ霞ケ浦周辺の流域下水道計画の一環といたしまして、利根川本川へ直接放流をする。で、単に研究学園都市のみならず、研究学園都市から利根川本川までの間にございます途中の龍ケ崎等の都市を含めた流域下水道として、県が主体になって幹線の建設に当たっていく。それで終末処理場につきましては、大利根村にすでに用地のめどがついているわけでございます。これも昭和五十年の出水期までには完成をしたいということでございます。  なお、幹線はそのようなかっこうで建設する予定でございますが、都市の中の公共下水道部につきましては、関係六カ町村で地方自治法に基づく一部事務組合をすでに結成をしておりまして、それによって公共下水道の建設にかかることになっております。  問題は、各研究機関から出ます特別の研究汚水の処理の問題でございます。これについては、研究機関ごとに特殊ないろいろな物質、化学物質、特に有害物質が使われるという可能性がありますので、そういう人の健康に直接有害であると認められるような物質につきましては、研究所から外へ出るまでの間に、中で処理をして公共下水道に放流をするという一般方針に基づきまして、現在建設計画を進めております。
  206. 中路雅弘

    ○中路委員 この点は、先ほど大臣が言われたように、モデル都市という以上は、まず下水道の整備というのは、当然移る前にやらなければいけないことですし、特に、先ほど言いましたように、試験研究機関がこれだけ入るわけですから、周辺の人たちにとってみれば、この汚水の処理というのは、一般の処理という以上に心配もあるわけですね。その点では、施工を早めていただくとともに、ここからそういう点で問題が起きないように、万全の対策を立てる必要が私はあると思いますので、特にこの点は強く要望しておきたいと思います。  それから次に宿舎の問題ですが、この前、現地を見させていただいて、いま百七十二戸ですか、七棟建っていて、前回の答弁では百二十九戸ですか、さらに七棟本年末までに建設するというお話ですが、幾つか一つ一つ聞いてみたいのですが、前回行った場合に、独身者、単身赴任者が住宅に三人ずつ入っていたりするわけです一これを前回単身一戸にするという御答弁ですけれども、いまそういう状態になっている人たちも含めて、独身者、単身赴任者は二戸にするということで対処されるというふうに理解していいわけですか。もう一度その点を……。
  207. 篠田信義

    ○篠田説明員 ただいまお尋ねの単身者、独身者の宿舎の件でございます。現在、移転機関が早急に移りましたので、それに即応して、先生のおっしゃいました一戸に三人ということで応急に措置したわけでございますが、四十八年度以降、高層の単身の宿舎、独身の宿舎、これを建てるよう現在検討中でございます。したがいまして、これが建ちました暁には、そちらのほうへ入りたいと希望する者は、そちらのほうへ入れたいと考えております。
  208. 中路雅弘

    ○中路委員 それから、この際もう一度あれしておきたいのですが、いろいろ建物に、独身者、一般公務員、それから管理職というふうに住宅が分けられているわけですけれども、特に管理職の住宅の建物の上部が、黒いペンキですか、塗ってありますね、私はあちこち公務員住宅を見ているのですけれども、ああいうように居住地で管理職の建物の上にペンキを塗ってある。この前も出ましたけれども、家庭の中までいわば職階のあれが持ち込まれていくということは、ふだんの居住地における一般の生活からいっても、子供の教育からいっても、非常にうまくないことですし、宿舎は一応公務員宿舎の宿舎法できまっているわけでしょう。管理職の上にペンキまで塗って差別をするということは、簡単なことですし、こういうことはすぐやめてもらったほうがいいのじゃないかと思うのですが、この点はどうですか。
  209. 篠田信義

    ○篠田説明員 黒いペンキで色がついているといいうお話でございますが、これは、実際あそこを建築する者が、建物の色合いということで塗っただけの話でございまして、別に差別という意味でやったのではございません。先生のおっしゃる子弟の教育の御心配はもっともだと思いますので、さっそく色を塗り変えたいと思っております。
  210. 中路雅弘

    ○中路委員 地元でも、ああいう簡単なことですけれども、やはり居住者の人たちにとっては非常に大きな心理的にも圧迫を感ずるんですね。これは御答弁がありまして、ペンキは塗り変えるということですから、ぜひ早急にやっていただきたいと思います。  それから芝生のことで、芝生の年間維持に二十五万近くかかるのだ、それを全部負担になっているという訴えがあったのですけれども、これは何か環境整備の費用をつけてやりたいという御答弁が前回あったわけですね。しかし、あと現地で聞いてみますと、そういうふうになっていないみたいだということなので、もう一度お伺いするのですけれども、前回の環境整備の費用をつけてやるというのは、いつから、どれだけつけておやりになるのかということをお伺いしたいのです。
  211. 篠田信義

    ○篠田説明員 その点につきましては、まだ数字がはっきり固まっておりません。四十八年度は環境整備費で主計局のほうからかなりの額が入っております。その分から内部の運用で持っていきたいと思いますが、数字的にはまだ固まっておりません。
  212. 中路雅弘

    ○中路委員 それじゃ、これは環境整備のほうで負担をしてやるということは間違いないわけですね。
  213. 篠田信義

    ○篠田説明員 はい。
  214. 中路雅弘

    ○中路委員 それから、筑波だけではないのですが、筑波をやっておられる方に御質問してもどうかと思いますけれども、住宅は公務員宿舎法できめられているわけですけれども、あれはやはり一般職、管理職ということで広さもきまっているわけですね。私は、ある程度そういう点もあってもいいと思いますけれども、やはり家族構成がうんと違うわけですね。一般公務員の方でも、家族構成が非常に多い、子供や老人をかかえておる方もある。そういう状態ですから、何かの機会兵公務員の宿舎法の規定そのものについても、もう一度家族の構成もいろいろ考慮して考えてみる。ただ職階によって、管理職から広いところに入っていくというだけではなくて、検討したほうがいいのではないかということを考えているわけなんですけれども、将来、そういう点でどういうお考えなのかというのも、この機会にひとつお聞きしておきたいと思います。
  215. 篠田信義

    ○篠田説明員 宿舎には、一般の宿舎もそうでございますが、等級によって若干の差があることは御指摘のとおりでございます。公務員宿舎法、政令等によりまして、何等級はどういった型ということになっておりますが、運用面で家族数も考慮して、たとえば非常に家族数の多い者は一規格上に持っていくということで、運用面で今後考えていきたいと考えております。ただ、たとえば六等級、七等級の人がいきなり非常に大きい宿舎に入るということはちょっとできないかと思いますが、一規格上ぐらいは家族数の多い者は運用面で考えるということで検討してみたいと思います。
  216. 中路雅弘

    ○中路委員 現在三つの機関が入っているわけですが、これがだんだん居住されていくに従って、いまでもすでに問題になっている建設工事に伴う公害といいますか、いろいろな問題が予想されるわけです。たとえば道路を見ても歩道がまだついていないわけです。これだけの建設工事ですから、車もいままで以上にうんと入ってくるでしょうし、交通の問題や、あるいは騒音や、前回にも質問しました治安の問題やいろいろあるのですけれども、治安の問題については前回対策が報告になっておりますけれども、特に交通問題。これから工事が進むに従って非常に交通量がふえることは必至だと思いますけれども、子供さんや家族をかかえている人たちにとっては、こういった問題も非常に心配が多いと思うのですが、いま建設されておる道路にとりあえず歩道を道路と一緒につけていくとか、そういった安全の問題について特別いまから対策をやっておく必要があると思うのですが、こういう点について御質問したいと思います。
  217. 小林忠雄

    ○小林(忠)政府委員 工事中の問題につきましては、ただいま御指摘のような道路の構造上の問題と、それから警察による交通規制の問題と両方あるわけでございます。警察のほうにつきましては、ダンプカーの通る道路というものを特に指定をいたしまして、一般道路に入らないように規制をすることになっております。すでに相当数の機動隊をことしの夏から配置をしてその取り締まりに当たらせることになっております。道路の歩道の設置につきましては、所要のところにつきまして、四十八年度の予算においてこれをつくることに検討いたしております。
  218. 中路雅弘

    ○中路委員 現地の問題は、前回にも質問されておりますから、重複することは避けますけれども、全体としていま言った過渡的な状態ですから、非常に不便なところへ入っておられて、出費も非常にかかるわけですし、特に訴えられているのは、土浦まで出かけるのに、バスが朝夕一時間に一本、昼間は二時間に一本という状態ですし、タクシーでは約七百円かかる。それからまだ過渡的ですから、東京へもたびたび来なければいけない。私、どうしているのですかと聞いたら、タクシー代七百円、自分の車で土浦へ行って東京へ通うと、土浦で車を預けるだけで二百円ずつ取られるということもお話しになっていましたし、病人が出れば車で走らなければいけないという状態で、この前、主婦の方に聞きましたら、実際には平均して東京にいるよりも月に一万五、六千円は出費が増になるというお話も聞いたわけです。いま手当というのは調整費の八%が出ているだけだと思いますが、これは東京にいても同じですね。東京から移られるわけですが、筑波へ移れば、実際には東京にいたよりもそれだけの出費の増になる。いま大臣がおっしゃったように、開拓者というような状態で過渡的な状態にあるわけですから、私は、この建設途上にすでに先に行っておられる皆さんには、何らかの形で、不便手当といいますか筑波手当といいますか、そういった特別の手当が必要ではないかと思うわけですけれども給与局長お見えになりませんが、人事院からもお見えになっていますから、給与の面でそういう特別の対策がこの過渡的な間だけでも必要じゃないかと思いますが、その点についてどういうお考えか、お聞きしたいと思います。
  219. 斧誠之助

    ○斧説明員 御趣旨よく承りましたので、帰りまして、さっそく総裁給与局長等に報告いたしまして、検討させていただきたいと思います。
  220. 中路雅弘

    ○中路委員 私は、この問題は、直接給与のほうの責任ある人たちがお見えになっていませんので、大臣のほうから、関係のところにお伝え願って、先ほど大臣は、何といっても過渡的な状態なんだということでお話しになっていますが、こういう不便な状態の中で家族とも行っておられるわけですから、建設途上の期間だけでも特別に手当の支給が当然あるべきじゃないか。民間ですと、別居している場合には別居手当というのが出るわけですね。国家公務員の場合にはそういったものはありませんし、共かせぎの人にとってみれば、向こうに移れば、向こうで共かせぎで働く場所もないという状態です。家庭では負担もかかっているという状態なんで、この点についても特別の配慮を特にお願いしたいと思います。
  221. 金丸信

    ○金丸国務大臣 私も政治家ですから、先生のおっしゃることは、まことに無理のない、そのとおりだと思います。開拓者の苦労というものは買ってやるべきだ。そういう意味で、ただいま大蔵省からのお話もあったわけですが、私も大蔵大臣のほうにこの話は申し入れて、ひとつ実現するようにできるだけの努力をいたしたい、こう思っております。
  222. 中路雅弘

    ○中路委員 いまの点はぜひ関係のところにお話し願って、実現できるように努力していただきたいと思います。  その次に、この移転の計画を進める場合に、一方的な、また官僚的な進め方ではなくて、研究者、職員意見を十分聞いて進めていくということが、この筑波学園都市の建設法の成立の際の附帯決議でも述べられているわけですし、いろいろ関係者の方の話を聞きますと、どうもその点が十分やられていないというふうに考えられるわけです。  私はその点で、時間もないので、二、三の実例でお聞きしたいのですが、通産省の方お見えになっていますね。これは私の持っているのは一部ですけれども、たとえば全商工の本部と通産省の事務次官をはじめとした通産省の皆さんが交渉された七一年の十二月末の交渉議事録というもの、テープでとってあるのを全文起こしたわけですね。それを私、全文読ましていただいたのですけれども、この中でも、通産省の皆さんが非常に一方的な押しつけをやられているように思うのです。  その一カ所だけを読んでみますと、こういうやりとりがあるのですね。皆さんの了解と賛成を得てやるということを言っておられるわけですけれども、そのやりとりの中で、これは当時の通産次官が言っているのですが、「了解と賛成を得てやるということは確かに言ったけれども、しかしそのことは人民投票ではないのだから、決定はおれがやるんだから」、これは議事録ですから、そのままテープを起こしたのです。通産省がこういう態度で、十分意見を聞いて話し合ってこの移転の問題をやっていくというふうにはならないのですね。このように、十分賛成や了解を得て話し合ってやっていくという約束をしていることは確かだけれども、それは人民投票ではないのだ、決定はおれがやるんだ、これは通産次官が言っていることばです。私はこういう態度では、十分研究者や職員の人たちの納得を得てこの問題を進めていくことができないのじゃないか。みんなが不安に思っていうのは、ここでどういう研究をやっていくのか、科学がほんとうに役立つような研究をやっていくという立場に立っていろいろ皆さんが心配をして、この議事録を見ても質問をされているのです。一方的に建物の建設だけを先行して、移転を前提にしてどんどん話を進められる、こういうところになかなか話が進まない大きな原因があると私は思うのですが、こういう議事録を見まして、私は通産省の皆さんに、この移転の問題は関係者と今後十分話し合って、意見が反映されるようにして話を進めていくということについて、ここでしっかりした御答弁をお願いしたいと思います。
  223. 太田暢人

    ○太田(暢)政府委員 この移転計画を作成するにあたりましては、私どもでは、関係しております各研究所の中にいろいろの委員会をつくりまして、それからまた工業技術院の中にも、各研究所から出ております委員からなります生活問題委員会とか、あるいは移転困難者対策委員会とか、研究推進委員会、施設設備委員会、いろいろな委員会をつくりまして、各職員意見を十分に徴し、また私どもの考えをいろいろ流しまして、情報の交換を十分やって、いまずっと計画を進めている段階でございます。この問題は、職員にとりまして非常に重要な問題でございますから、今後とも職員意見を十分聞いて、また答えを得るように努力して進めていきたいと思っております。   〔委員長退席、藤尾委員長代理着席〕
  224. 中路雅弘

    ○中路委員 あと農林省と気象庁をちょっとお聞きしてから、もう一度まとめて具体的なことでお聞きしたいのですけれども、たとえば気象研究所の場合、所の職員の人たちが出された筑波研究学園都市移転問題についての気象庁のアンケートを見ますと、投票総数百六十三名で、反対だというのが百十八名あるわけですね。条件つき賛成が三十九で、賛成だというのが六名なんです。実際に向こうへ行って研究をやっていく当事者である研究者や職員の人たちが、賛成が六名で反対が百十八名あるという状態のままでは、この附帯決議にあるように、職員や研究者の意見を十分聞いてこの問題に対処していくということにはとうていならない。やはりこの段階では、この気象庁研究所の人たちが反対というのには、いろいろな不安や、それから要求もその中にあるわけですから、そういうものを十分話し合って問題の結論を出していくというふうにしなくてはならないと私は思うのですが、この点について、気象庁の方の御意見をお伺いしたいと思います。
  225. 石原明

    ○石原説明員 移転にあたりまして、研究所のほうで二回ばかりアンケート調査をいたしました。いま御指摘のございましたのは、四十六年の十一月ごろ行なったものについての御質疑だと思いますが、ただいま反対とか賛成とかというのがございましたけれども、それにつきまして理由が実はあるわけでございます。最近のものにつきましては、あまり詳しく分析いたしておりませんけれども、大体反対の理由をこまかく見てみますと、たとえば、宿舎が非常に狭いとか、あるいは給与面で、あとから手当の問題が出てきましたけれども、こういったような問題とか、あるいはまた、東京との交通連絡が非常に不便であって、いろいろな学会や何かの連絡が十分できない、さらにはまた、自分の家を持っているものですから二重生活になると困る、あるいはまた共かせぎの問題とか、そういうふうないろいろな理由があるわけでございます。そういう点をつぶさに検討いたしまして、それぞれ今後努力はいたさなければならないと思いますけれども、そういった問題についても、逐次解決する見通しが十分立つというふうに判断をして移転をきめたような次第でございます。  さらに一番問題になりますのは、移転者の問題であろうかと思います。こういう点につきましては、もう少し詳しく個々に聞かなければ何ともわかりませんけれども先ほど工業技術院のお話がございましたけれども、私どもの研究所におきましても、こういうものを検討する委員会をつくりまして、本庁にもそういった建設推進委員会と同時に移転職員対策部会というものをつくりまして、今後そういうところで職員の状況を聞きまして、具体的な措置を講じていきたいというふうに考えておるわけであります。こういった委員会が本庁に設けられましたのは昨年の九月でございます。それまでに大体、大きな研究所からは、内部で検討した結果いろいろな意見が出ておりましたけれども、ただ間接的に聞くだけじゃいけませんので、昨年も二回ほど長官自身が出席いたしまして、そういった問題についての懇談会等を持っておるわけでございます。今後、そういったところを通じまして、十分に職員気持ちというものを反映して研究施設を整備し、あるいはまた研究についての研究環境、生活環境というものを確保するように努力いたしたいと思います。
  226. 中路雅弘

    ○中路委員 こういう意見が、先ほどいろいろ紹介されましたように出るのは、一番最初に質問したような、実際の現地がどういう条件にあるのかということと関連して出ているわけですね。ですから、ただ人だけをほんとうに陸の孤島へ送り出していくというのが現実にあるわけですから、皆さんがそういう点について不安を持ち、ほんとうにりっぱな研究学園都市としてやっていけるのかどうかということから出ているわけですから、話し合いとともに、一番最初質問したような問題について、具体的に解決していただくということが何より重要だと思うのです。  もう一つお聞きしたいのですが、いまちょっとお話に出ましたけれども、農林省の例でお聞きしますけれども、農林省の場合もほかの場合もそうだと思うのですが、移転の可能者、特に移転困難者ですね。こういった問題について、分けていろいろ対処されようとしておりますけれども、移転困難という場合も、みな不安があるわけですから、そこからいろいろ問題が出てくるわけなんであって、私はまず、たとえば老人や子供を持った人たちの意見でいえば、現地に医療施設も保育施設もないということになれば、現実に病人をかかえていれば移転が困難になるというので、それとの関連で解決しなければならないと思いますけれども、実際にまた移転困難という人が出てきた場合に、組合なんかで心配しているのは、こういうものを通じて、組合の実際の分断になったり、あるいは特に人減らしの合理化に利用されるんじゃないかというような心配も出ているということですけれども、この移転の困難者といわれる人たちに対してどのような対策を立てられているのか、配慮がされているのか、こういった点についてお聞きしたいと思います。
  227. 富樫洋

    ○富樫説明員 ただいまの御質問でありますが、農林省から移転いたしますのは、大体二千数百名でございます。大体相当数が移転困難者の中に入る、こういうふうに予想されております。そのおもなる理由は、たとえば農地をお持ちになっておって、その農地の管理をどうするかというような問題もある。あるいは家の問題。また、ただいま先生がおっしゃいましたような老人の問題、あるいは子弟の問題、いろいろなものがあるだろうと想像されます。それで、私どもといたしまして、一昨年の八月に省内に移転困難者対策を検討する組織をつくりまして、そしてその組織を通じましてこの問題の解決に当たる、こういう体制をとっております。また全省で構成しております推進本部のほうに移転機関職員対策協議会をつくっていただきまして、この方面の問題を解決するめどをつくる、こういうことで首都圏事務局のほうにお願いいたしております。  それで私ども、移転困難者の問題につきましては、念願といたしましては、極力全員が手をそろえて筑波のほうに移転するというようなことを念願しておりますので、移転困難事由を一つ一つ解決いたしまして、向こうのほうに住みよい状況をつくっていくことがまず第一だと考えております。そうした場合におきましても、どうしてもいろいろ家庭の御都合等で移れない、こういう方がやはり出てまいろうかと考えております。この問題につきましては、たとえば、農林省内の他の局のほうに受け入れるとか、あるいは省外のほうに多少のものの受け入れをお願いするとか、こういういろいろなことを考えまして、この移転困難者の問題を解決してまいりたい、こういうふうに念願いたしております。
  228. 中路雅弘

    ○中路委員 これは農林省だけじゃないのですが、私は特に要望しておきたいのですが、職員の待遇ですね。特に移転困難者の場合に不利益な扱いにならないように、特別のその点での配慮が必要じゃないかと思いますし、関係者とも十分その点は話し合って、移転困難者がこういう場合に非常な不利益をこうむるということが絶対ないようにしていただきたい。移転の場合も、子弟を持った人たちは、高校の問題にしても、大学の問題にしても、非常に大きな不安があるわけですから、先ほどは、一つ一つ学校についてあまり詳しく聞いていませんが、実際、これから先になれば、移転者の中で、高校をどうするかという問題が具体的に出るわけですね。こういった問題を全体として早急に解決していくというようにしないと、移転についての不安やそういった問題が当然出てくるわけですから、その点についての対策、それから関係者との話し合いを十分やっていただくということを特に要望したいと思います。  それから次に、移転についての建設施設費の問題でございますが、筑波移転については、農林、通産、運輸厚生の各省は、それぞれの移転の施設費は特特会計になっていると思うのですが、この点はそうでしょうか。
  229. 小林忠雄

    ○小林(忠)政府委員 農林省、通商産業省、運輸省、建設省所管の研究機関につきましては、現在あります敷地を財源として移すというたてまえでございますので、御指摘のように、特定国有財産の会計に計上されております。
  230. 中路雅弘

    ○中路委員 この特特会計は、国有財産についての適正かつ効果的活用をはかるために行なう処分ですね。それによる収入と施設の取得による支出がバランスがとれるようにしていくことがたてまえだと思いますけれども、そういう点でお伺いしているのですが、向こうの施設の取得の費用は各省それぞれどうなっているわけですか。
  231. 小林忠雄

    ○小林(忠)政府委員 これは一括大蔵省の特別会計に計上されております。
  232. 中路雅弘

    ○中路委員 そうしますと、これが各省の機関のあと地の処分による見積もりとの関係があるわけですね。その点で、この見積もりあと地は、全体としていまどういうふうに処分される見通し、状態なのか、その点もちょっとお伺いしたいと思います。
  233. 篠田信義

    ○篠田説明員 特特会計の趣旨は、先ほど先生の御指摘のように、位置、環境等から見て、そこにそういう官署を置くのがふさわしくないというものを適当なところに移していく、そのあとの財源によって新しい庁舎をつくるということでございますが、特に筑波に関しましては、都内の研究機関、教育機関を筑波地区へ集中する。あと地につきましては、これは東京都その他の都市開発に資するという目的でございますので、できるだけ公用、公共用の用途に使いたい。で、原則として民間には払い下げないということになっております。
  234. 中路雅弘

    ○中路委員 あと地の利用計画について地方公共団体が中心になるというお答えなんで、そういうふうにぜひしてもらいたいのですが、その際に、支出とのバランスということで、高く売れる民間に払い下げるというようなことがありますと、また問題が出てきますから、その点で、いまお答えがありましたけれども、もう一度お聞きしておきたいのですが、そういった関係で特定の民間に払い下げるというような、そういうことの心配はないですか。
  235. 篠田信義

    ○篠田説明員 公用、公共用に、たとえば公園、緑地あるいは社会福祉施設その他の公共用の施設に利用するということでございますが、その場合におきましても、国有財産中央審議会の答申もございますし、その答申は、移転あと地については原則として有償であるという答申をいただいておりますし、そのほか国有財産法、国有財産特別措置法等にのっかりまして、もちろん時価ということじゃなくて五割減額という線で考えております。したがいまして、若干財源のほうが不足してまいりますが、その場合には一般会計からの繰り入れがありますから、それでバランスがとれるようになっております。
  236. 中路雅弘

    ○中路委員 いまの問題はあとでお聞きしょうと思ったのですが、いまお答えがありましたから……。  バランスがとれなくなるということがまず考えられるわけですね。その場合には、いまお答えのように、不足分は一般会計から補うということで理解していいわけですか。
  237. 篠田信義

    ○篠田説明員 そのように御理解していただいてけっこうだと思います。
  238. 中路雅弘

    ○中路委員 もう時間がありませんから、私は大臣に全体としてお聞きしたいのですけれども、この筑波研究学園都市は三年間で千五百億からの国家資金を投入した事業ですし、私は、いまいろいろ建設の過程で出てきている不備、それからいろいろな問題があるので、いまの筑波学園都市のやり方全体に、もう少し検討する必要があるという考えを持っているわけです、体制の上でも。  たとえば、これだけの事業を遂行する体制を見てみますと、現在のこういう建設の体制ではなくて、ここで本格的にモデル都市としての研究学園都市をつくっていくということになれば、たとえば内閣に建設本部のようなものをつくって、もっと各関係団体や、あるいは政党も含めてそういう意見も反映させる、いわば建設の推進協議会のようなものを設置して、各省の間でいろいろばらばらになっている点はもっと一元化して運用していくというなことで、根本的にこの建設の推進の体制についてもう一度検討をされるというお考えはないか。そうでないと、まだ三つの機関が移っている中で私はいま見るんですけれども、これが全部移るのは四十三機関ですか。そういう過程では、もっといまの矛盾が大きな状態になる心配もあるわけですね。これだけの大きな事業をやる上での進め方について根本的に検討をされる必要があるんじゃないかというふうに思うんですが、この点について御意見をお伺いしたいと思います。
  239. 小林忠雄

    ○小林(忠)政府委員 大臣の御答弁になります前に、現在の制度だけ御説明いたしますと、総理府に、閣議決定で研究・学園都市建設推進本部というのがございまして、その本部長は首都圏整備委員委員長である国務大臣を充てるということになっております。関係のメンバーは、関係省の事務次官でございます。
  240. 金丸信

    ○金丸国務大臣 御指摘のことにつきましては、まさに、ばらばらの行政では、いわゆる理想とするモデル中核都市というようなものはでき上がらないと思いますし、またこれを五十年までに完成するということでございますから、よほど英知をしぼり上げなければりっぱなものができ上がらない、こう考えておりますので、各政党方々意見も十分くみ入れるようなことも考えながら、ひとつ行政の面で各官庁と連絡を、推進本部もあることでございますから、私が中心になって押し進めてまいりたい、このように考えております。
  241. 中路雅弘

    ○中路委員 前回のこの問題の審議の議事録を見ましても、また参考人の皆さんの意見を聞きましても、もっとこの問題では研究者や学術会議の皆さんを含めて意見をよく反映させる必要があるんじゃないかという多くの御意見が出ているわけですね。その点で、これを進める上で、ほんとうに日本の科学技術の研究に役立つような、そういったものを建設していく上で、この推進の体制について、いま大臣もお話になりましたけれども、もっと、関係の団体や、あるいは専門家、あるいは政党意見なんかも十分くみ上げてやっていけるような、そういう推進体制について検討をしていただきたいという要望を終わりに述べておきたいのです。  もう一つは、最初にお尋ねいたしましたように、実際にいま現地を見てきた場合に、全く不備な状態の中に行っているわけですから、この点について、きょう幾つかお約束をされたこともありますし、検討するという御答弁もありますけれども、ぜひとも、この前の附帯決議に出ていますように、現地の生活環境、あるいはそういった点について非常な困難をかかえて行っているわけですから、そういう皆さんの問題について、きょう御答弁になった点で、まだ具体化されていない、検討中のこともありますから、そういう点については、至急関係の皆さんで十分具体化できるようにしていただきたいのと、関係労働組合をはじめとした職員研究者の皆さんと十分話し合ってこの問題を解決して、一方的な、官僚的な、ただ仕事だけ進めるんだというやり方でないように特に要望して、時間も過ぎましたので、終わらせていただきたいと思います。
  242. 篠田信義

    ○篠田説明員 先生にお願いいたしたいのですが、私の答弁のまずさから御訂正をお願いしたいのでございます。  先ほどの芝刈りの環境整備費の中の答弁で、四十八年度の環境整備費で主計局からもらっていると答えましたけれども、これはただいま国会で御審議をいただいている最中でございますので、予算を御審議いただいておりますが、というふうに訂正させていただきたいと思います。
  243. 藤尾正行

    ○藤尾委員長代理 鈴切康雄君。
  244. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 筑波学園都市を当内閣委員会として先般視察をさせていただきまして、つくづく感じた点は、田中総理大臣の目玉商品といわれている日本列島改造論、二十五万新都市計画というのは画餅に近いものであるのではないかというふうに、私あらためて現場を見ながら認識をしたわけであります。  まず言えることは、これだけの大事業にあたって、一貫した都市づくりというものに対する計画性が手順よく行なわれていない。頭脳的な役割りを果たしているところがはたしてどこにあるのかという疑問と、それぞれの行政官庁のセクトの、ちょうど砂漠の中にこつ然とあらわれたこの治外法権的な存在としてあるような感じを実は受けたわけでありますけれども、筑波研究学園都市建設を建設大臣としてはどのようにお考えになっているか、その点の御所見をまずお伺いいたします。
  245. 金丸信

    ○金丸国務大臣 この筑波学園は、私も視察いたしまして、昭和五十年までにこれを完成するということは並みたいていなことではないという感じがまず第一にいたしたわけでございますが、それを完成するためには、ただいまも申し上げましたように、ほんとうに強固な推進本部が各官庁とも十分に連絡をとりながらやっていかなくてはならない、こう思うわけでございます。ただ、いま本格的に御審議を願っております営繕の関係も、ほんとうに本格的に取り組もうという姿勢のもとにこのような法案提案して御審議をいただいておるわけでございますが、行ってみますれば、まだ開拓の初歩だという感じもいたすわけでございます。しかし、開拓というものは、最初はいろいろの問題点があるが、その開拓のいろいろな問題点を集約して、そしてまたいろいろの問題点を解決しながらいくところに一つものができ上がるのではないか。これには相当な精力と熱情を持って立ち向かうべきである、こんなように考えておるわけでございます。
  246. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私は、新しい都市をつくるというものの考え方は、いま建設大臣が言われたような考え方では、やはりいつも行き詰まってしまう感じがするのです。やはり何といっても生活環境を整備するということがまず第一である、それに伴って必要な計画に基づいて都市が建設されるという考え方に立たなくてはいけないのではないか。今度の筑波研究学園都市というのは、ちょうど人が住まないような場所に無理に住まわせている。生活環境の整っていない場所に、研究学園都市というところはこういうふうなすばらしいところであるというように、うたい文句と宣伝これよろしきを得て転勤をさせて、多くの方々が向こうへ行っているというところに多くの不満が介在しているのではないか。そして多くの方々の不満に伴って徐々に環境を整えているというようなやり方、新都市づくりについてこういうふうな行き方をするということは、住民の方々、また公務員の方々がたいへんに迷惑をこうむることは、率直に反省をしなくてはならないと思うのです。  そういう点は、過日も行きました花室住宅の住民の方々は、一斉に口をそろえて、こんなところに追いやられたというような感じがすると言われておるわけでございます。多くの問題について、このようにパンフレットにして私どものほうに陳情されたわけでありますけれども、そういう点について、大臣はどのようにお考えになり、またこういう内容について御存じであるかどうか、それについてお伺いします。
  247. 金丸信

    ○金丸国務大臣 私も視察に参りまして、その状況をつぶさに見せていただいたわけでございますが、この環境から脱却して、一日も早く来てよかったというような環境にする必要がある。いやいやながら屠殺場に引かれていくような心境で向こうへ赴任していくというようなことでは、仕事に身が入らないというようなことも考え、その生活の環境をまず整備してやるべきだ。この委員会でも、住宅の問題等についてもいろいろお話があったわけでございますが、まず住みよい環境にして、子供の教育も満足にできる、あるいはお医者さんも十分におって病気してもよろしい、あるいは工事中だけれども警察の治安は全きを期しておる、あらゆる面で安心してそこで働けるような環境をまずつくるということは、全く御指摘のとおりだと私も思っております。
  248. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 大臣は何か参議院のほうで御用があるということですから、どうぞ。  それでは、大臣でなくてできることについて、少しお伺いいたしておきましょう。  先ほど同僚議員のほうからいろいろ質問があったことでありますので、なるべく重複する点は省きたいと思いますが、基本的な問題として、生活に欠くことのできない上下水道という問題については、道路の完成とともになぜやらなかったか。現在は水道はなくて井戸水をろ過をしておるという状態であります。ろ過をする前は不適で、ろ過すれば一応適正であるという話でありますけれども、実際にそういう状態であればなま水は飲めないと現地の方々は話しておられましたが、簡易ろ過装置が十分に役立たない場合は、不適の飲料水を飲むことになろうかと思います。一体、上水道はいつごろから送水できる予定になっておるのか、その点についてまずお伺いしましょう。
  249. 国川建二

    ○国川説明員 お答えいたします。  研究学園都市の水道計画でございますが、全体計画といたしましては、昭和四十六年度から工事に着工いたしております。おもな水源は霞ケ浦の表流水を予定しておりますが、工期の関係もございまして、別途、地下水を水源に予定いたしております。地下水は七本の深井戸を掘ることにいたしまして、これは四十七年度の事業としておおむね工事が完了いたしております。給水開始は一応本年の六月を予定いたしております。全体の計画といたしましては、その後の都市の整備の推移に応じまして施設を整備していくというようなことを考えております。
  250. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 水道計画として、四十六年度から水源を霞ケ浦のほうに求めながら現在やっておるというわけでありますけれども、それが間に合わないから、現在地下水を掘って、そしてそれを簡易水道としてやっているわけですが、その中に亜硝酸性窒素とかアンモニア性窒素が同時に検出をされたということでありますけれども、そういう事実があったかどうかということ。地質、水質の専門家によって実地調査が行なわれたかどうかということ。さらに、住民の方々のこの水道に対する不安については、より以上調査を必要とするのではないか、このように思うのですけれども、その点について伺いたい。
  251. 国川建二

    ○国川説明員 私が申し上げましたのは、全体の計画といたしまして、県が水道用水供給事業を行ないまして、先ほど申し上げました深井戸も含めました全体計画の中で工事を進めておるわけでございます。そして、この県の水道用水供給事業から用水を受けまして、筑南水道企業団をもちまして実際に配水事業を行なうということを予定いたしておるわけでございます。  ただいまお話しの現在給水している水質の問題につきましては、実はきょう詳しい資料を持ってきておりませんけれども、原水といたしましていアンモニア性窒素あるいは亜硝酸性窒素等を検出する場合ももちろんございますが、飲料水として供給する場合には、必要な浄化を行ないまして、そのようなことはないと思っております。しかし、御指摘でもございますので、直ちに必要な調査をいたしたいと思っております。
  252. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 亜硝酸性窒素とかアンモニア性窒素が同時に検出をされたということは、実は現地においてそのように言っておるわけです。それはろ過前のことであって、ろ過をすればそういうのは取れたということでありますけれども、ろ過をしなくてはそういうふうな不安が取れないということは、私はかなり問題があろうかというふうに思うわけです。それについてやはり専門的にもう一度地質、水質等を調査しなくちゃならぬのじゃないか、私はそのように思うわけです。  それから、県の水道供給事業から実際に上水道としてこちらのほうが完備をするというのは、大体いつごろになりますか。言うならば、これといままでの井戸水を吸い上げたものとの切りかえはいつごろになるかということであります。
  253. 小林忠雄

    ○小林(忠)政府委員 ただいま入居しております花室地区には、四十八年度中に上水道が給水される見込みでございます。
  254. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 四十八年度と言いますけれども、実際には大体何月ごろの予定でしょうか。
  255. 小林忠雄

    ○小林(忠)政府委員 四十八年度末の予定でございます。
  256. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 次は下水工事ですけれども、この下水については完備をしていないわけです。地面にしみ込ませるというようなこともなされておるわけですが、実際に汚水をそのまましみ込ませますと、簡易水道としてまた再び井戸水をくみ上げるということになりますと、まことに不衛生なことおびただしいというふうに思っております。  共同溝をつくられるというようなお話ですけれども、共同溝はいつできましょうか。
  257. 小林忠雄

    ○小林(忠)政府委員 共同溝は四十八年度中に完成をいたします。しかし、ただいま、この共同溝の中には電信、電話、ガス、電気というようなものを予定しておりますが、下水管を入れる予定にはなっておりません。
  258. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 共同溝としてはガスとか水道であって、下水管を埋めるという計画ではないというお話ですけれども、実際には、共同溝の中にまず下水を埋設するということは、ある程度必要な要素ではないかと私は思うのです。それは、私、現地を見てまいりまして、実際に掘っては埋め、埋めては掘るというような、そういうふうな状態が繰り返されているように私は思いますし、生活環境というものはまず上下水道を完備をしてという考え方に立つならば、私は、下水道というものも早急に整備をされなくてはならない、そのように思うわけです。実際に下水処理の計画性が非常に乏しいんじゃないか。この下水の終末処理場とか、あるいはいろいろの研究機関から排出される有害物質に対する処理というものはどのようになされていくのであるのか、そういう点についてお伺いいたします。
  259. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 まず下水管を共同溝に入れることにつきましては、下水道は自然流下で勾配を必要といたしますので、現在の共同溝のあの布設状況に合わないということで、別途工事をすることに計画いたしております。  次に、下水道の布設がはなはだおくれておりまして、御心配をいただいておりますが、確かに四十七年度までの事業はたいして進んでおりません。四十八年、四十九年のこの二カ年でもって急速に必要な分を押し上げていくという計画でありまして、なお完成後の特定の重金属等の汚染物質につきましては、これは各そういう汚染物質を排出する施設の中で除害装置を設けて、そこで除害してもらう、それを受けとめるというクローズドシステムを考えております。
  260. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 たいへんに下水道の整備がおくれておるわけですけれども先ほど五十年度には完成したいというようなお話でしたが、大体五十年度のいつごろになる予定でしょうか。
  261. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 一番時間がかかりそうなのは、最近、都市計画決定を見ました常南下水道、利根町に至るものでございまして、これの下水処理場の用地買収をいま急いでおります。とともに、そこに至る配管の計画を早急に進めまして、一斉に区間を区切って発注するという段取りを考えております。四十九年度一。はいに完成したいという見込みでございまして、もし五十年にかかることがありましても、出水期までには完成したいと考えております。
  262. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ごみのことでございますけれども、現在、業者に依頼して週二度ごみを取りに来てもらっているということでありますが、しかし、これは必ずしも励行されているとばかりはいえない点があるというふうに現地の人たちはいっております。梅雨季を迎え夏場を迎えるのに、これからますますごみの腐敗という非衛生的な状態になってまいりますが、そういう点についての対策をどのようにされるつもりであるのか。また焼却炉はどういうふうな形態でつくられるのか。また、どこの場所にそれをつくろうとするのか。まただれの負担でそれをやろうとされているのか。その点について……。
  263. 折田貞雄

    ○折田説明員 ただいまの筑波学園都市におきます廃棄物処理の整備の中で、特にごみの点について御質問がございましたので、お答えをいたします。  いま先生がおっしゃられました環境衛生の確保をはかるために、私どもといたしましては、現在、筑波地方広域行政事務組合というのができておりまして、関係六カ町村ですかでもってつくられた組合が、私ども予算要求を四十七年にしてまいりまして、現在ごみ処理施設を建設中でございます。現在、一日当たり百八十トンの処理能力を持っております焼却施設を一カ所設備するために、もうすでに約半分くらい事業が進行しておると思います。現在四十八年度中に完成する予定で進行しておるのが現状でございます。設置主体名は、いま申し上げましたような関係六カ町村の筑南広域行政事務組合でございますが、財源につきましては、国庫負担が二カ年にわたって九千六百万円出しております。そのほか起債、一般財源、県補助金等が予定されております。
  264. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうしますと、四十八年度中にはできるというわけでありますか、週二度ごみを取りに来てもらっているのが必ずしも励行されていないという現在の状況を、そのままでずっと続けておくのかどうか。それから粗大ごみの収集方法は今後どのように考えられておるか。
  265. 折田貞雄

    ○折田説明員 突然でございましたので、県のほうで指導していると思いますけれども、私どもでいま問い合わせをしてまだはっきり現状をつかまえていないので申しわけございませんが、粗大ごみのほうの計画については、御承知のように、首都圏整備委員会の事務局といろいろ相談をしてやっておりますが、今後いろいろ現地との話し合いの上、あるいは破砕施設その他が要求があれば、そういうものをおつけするようにごめんどうを見るようにしていきたい、そういうぐあいに考えています。いま現状がどうなっているかというのを、残念ながらつかまえていませんので、申しわけございませんけれども、ここでお答えできなくて失礼します。
  266. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 実態については、私は向こうへ行って聞いてきたわけですから、よく調べていただいて、その上でもって現地の方々の不安を取り除くという方向にいろいろ対処をしていただきたい。またあとでそういう点については御説明願えればいいと思います。  お医者さんの件ですけれども、緊急の場合は、土浦から離れておりますので、間に合わないということを言っておりますし、そればかりか、家族から病人が出た場合、実際には勤務を休んで自家用車で土浦まで連れていかなくてはならないほどの犠牲がしいられている。そういうことでありますので、ぜひとも総合病院というものをつくっていただかなくちゃならない。研究学園都市であり、これから多くの方々が住まわれるとなれば、当然、総合病院的なものはつくらなくちゃならないと思うのですけれども、その計画と、大体いつごろそういうようなものができるのか。また、それができる前は、たとえば医者等の確保については具体的にはどのように考えられておるのかという点についてちょっとお伺いいたします。
  267. 小林忠雄

    ○小林(忠)政府委員 医療問題につきましては、厚生省のほうから担当の方がお見えいただいてお答えいただくのが適当かと思いますが、ただいまおいでになってないようでございますので、私がかわって、私の知る限りのことを申し上げます。   〔藤尾委員長代理退席、委員長着席〕 現在、国会で御審議願っております国立学校の設置法の一部改正の一部に筑波大学の設置が入っておりますが、その中に四十八年度から医学部を設置することになっています。その医学部の付属病院の開設費用というのが四十八年度予算に計上されておりまして、三カ年間で総合病院をつくることになっております。その間の、一般の小児科でありますとか、産科でありますとか歯科であるというような、いわば町医者がやっていただくようなものにつきましては、厚生省にいろいろ考えていただくことにしておりますが、医者の確保が非常にむずかしいわけでございますので、診療所の設置につきましては、現在の住宅公団、あるいはこれも国会で御審議を願っております工業再配置・産炭地域振興公団の一部改正によりまして、本年十月から国土総合開発公団の設置が予定されております。その国土総合開発公団では、かなり広範囲に利便施設の建設ができるようになっておりますので、その診療所の入れもの等につきましてはとりあえず公団で建設をいたしまして、その運営等についてしかるべきところにおまかせするということを考えておりますが、なかなか引き受け手がないおそれがございますので、これも、四十八年度の住宅公団の予算のほうに、第三セクターに対する出資金が計上されております。これに見合う分を茨城県と地元市町村及び民間の出資を仰ぎまして、そういうような生活利便施設でも、国なり県、市町村が直接やるのに必ずしも適してないものについて、たとえば筑波研究学園都市開発株式会社というような式のものをつくりまして、そこで運営をしていただくということを予定しております。
  268. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 四十八年度にいわゆる筑波大学の医学部というものができるわけですが、しかし、それは三年計画に基づいてですから、まだまだ三年間というものは、言うならば、そういうふうな総合的な病院というものはない状態にあるわけです。そうした場合に、やはり地元の方々は土浦まで行かなくてはならないという不便と、緊急必要とする病院に対して非常に不安を持っているわけであります。そういう点から考えて、私は、少なくとも医者の獲得という問題に対しては、もっともっと積極に期待性を持たしてやるべきではないかというふうに思うのですけれども、それについてどういうふうなお考えを持っておられるか。医者の確保です。
  269. 小林忠雄

    ○小林(忠)政府委員 これは厚生省が中心になりまして、われわれのほうも厚生省にお願いをいたしまして、ぜひ確保いたしたいと思っております。
  270. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 施設の中に、公務員住宅百七十二棟、それからさらに七棟、現在百七十九棟を建設中であるが、実際には、外観に比べまして、うちに入ってみると、こんなお粗末な住宅はないのではないかと思われるくらい手抜き工事のように私は実は見てまいりました。向こうの方々が言うには、セメントの壁に新聞紙を詰めてあったということであるけれども、予ての事実があったかどうか。そしてどういう検査をされているか。その点についてお伺いいたしますが、関係の政府委員がいないというので、いま質問した点は保留をいたしておきます。  学園都市がちょうど六カ町村にまたがっておるわけですが、住民の方々はどこに住民登録をしたらよいか。実際には困っていると思いますけれども、将来この住民登録の問題はどのようにされていきますか。またどういう指導をされましょうか。
  271. 小林忠雄

    ○小林(忠)政府委員 これは自治省のほうからお答えすべきものと思いますが、私が知っておる限りお答えいたします。  御承知のとおり、この筑波地区は純粋の農村地帯でございまして、都市的な受け入れ施設がないところに新しい都市をつくるわけでございますので、理想から申しますれば、市町村の合併をして新しい市をつくる、そして統一的な都市経営をするというのが理想かと思いますが、公共団体の自治ということでございますので、国がこれを勧奨したりあるいは調整したりするということは、必ずしも適当ではないわけでございます。しかしながら、いまのような、非常に行政能力も貧弱である、あるいは財政的にも貧弱であるという状態でございますと、入居した人がはなはだ迷惑をするということが十分予想されますので、現在は研究学園都市のハード面の建設が中心でございますけれども、入居者が四十九年度以降急速にふえると思いますので、そういうソフト面と申しますか、都市経営面につきまして、どういう形態がいいのか、こういうようなことにつきまして、自治省と茨城県と入れまして、四十八年度いっぱい研究をいたしたいと思います。しかし、とりあえず、この町村の行政事務の受け付けをいたします窓口の建物とか、そういうようなものについて必要がございますれば、新しい公団では、そういうものも全部立てかえ施工ができるようになっておりますので、そういうものも一案として考えております。
  272. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 新しく移転をされて勤務をされている方々は、隣近所にお聞きになればわかると思いますけれども、しかし、やはりそういう不安が伴うところへ移転をするわけですから、そういう点について十分指導をしてあげるということと、将来性についてこういう点は研究をしていきませんと、それぞればらばらのところにやれというようなことがあってはならないのではないかと思いますが、そういう点について、自治省とよく相談をされて善処されるようにお願いいたします。  団地なんですけれども、私、行きましたときに、いまは広漠たる砂漠のような状態の中に建っておりますから、それぞれ自動車等もどこにでも置ける状態でありますけれども、駐車場の設備というものは今後どういうようになっておりましょうか。
  273. 小林忠雄

    ○小林(忠)政府委員 全体の計画といたしまして、自動車の普及率が各世帯の七割という計算のもとに建設をしております。
  274. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 建設しておりますのですが、駐車場のいわゆる設備というものをどういうふうな形態で考えておられるかということなんです。
  275. 小林忠雄

    ○小林(忠)政府委員 住宅団地の中の屋外の駐車場ということを予定しております。
  276. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 これは建設大臣でしょうか、だれでしょうか、周辺の市町村は、この学園都市が建設されることによって、もうこのところ土地の値上がりがものすごいということです。現在、町村自体ではなかなかもう開発ができないという状況になっておりますし、すでに大手不動産業者が買い占めているということを聞いておるわけでありますが、実際にこの周辺の土地の値上がりに対しての実態はどうか。また、大手不動産業者がそういうふうな食指を動かしているかどうかということについての実態をお聞きしたいのです。
  277. 小林忠雄

    ○小林(忠)政府委員 必ずしも大手ばかりではございませんで、茨城県が調査したところによりますと、四十七年現在で、この周辺の町村に約二十数社の不動産業者が入りまして、約四百ヘクタール近い土地を買っているというような報告がございます。
  278. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま二十数社が四百ヘクタールを買っておられるというわけでありますけれども、それについてあとで資料を提出してください。
  279. 小林忠雄

    ○小林(忠)政府委員 県のほうへ連絡いたしまして、取り寄せます。
  280. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 周辺に今後、学生向きの下宿とかアパート、それから商店等が乱立をするようになってきますと、せっかくの模範的な研究学園都市であるという点から考えますと、美観を損する点が出てくるし、また風紀等も必ずしもよくなくなっていくんではないかと思うわけですが、乱開発を防ぐという点についてどのようにお考えになっておるか。ある程度緑地帯は緑地帯で残していかなくてはならないんではないかというように私は思うのですが、その点についてはどうですか。
  281. 小林忠雄

    ○小林(忠)政府委員 この筑波研究学園都市の地域は、都市計画法に基づきまして、市街化区域、市街化調整区域を指定すべき都市として、市町村として指定をさせるわけでありますが、いろいろな事情がございまして、現在いまだこの線引きがされておらないわけでございます。それで、筑波研究学園都市建設法によりますと、学園地区の建設計画、それから周辺地区の整備計画というのを首都圏整備委員会及び茨城県がそれぞれつくることになっております。現在最後の詰めの段階に来ておりますので、土地利用その他について、法律に基づきます建設計画及び周辺地区の整備計画を早急に決定したいと思っております。その法律に基づきますマスタープランがきまりました後の段階におきまして、市街化区域、市街化調整区域の指定を行なうように現在県を指導しております。周辺地区につきましては、市街化調整区域によりまして、開発許可を与えない、あるいは開発許可をする場合にいろいろ条件をつけるというようなことによって乱開発を防ぐべきであろうと思います。
  282. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 独身者はいま共同で同居させておりますけれども、独身者住宅というのは今後どのようなプランをお持ちになっておりましょうか。
  283. 小林忠雄

    ○小林(忠)政府委員 これも大蔵省が答弁することでございますが、私の聞いておるところによりますと、きわめて早々の間でございましたので、一戸の住宅に三人というような入居のさせ方をしたようでございますが、どうもプライバシーの確保その他の面で非常にまずい点が多いということでございますので、今後、独身者用につきましては、一人一戸ということに方針を改めて建設をすることになっております。
  284. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 学校が今後どんどん必要になってくるわけですが、小、中校の将来計画というものはどのようにお考えになっておりましょうか。
  285. 西崎清久

    ○西崎説明員 学校の今後の計画でございますが、先生も御指摘のように、居住人口の増加に伴いまして児童生徒の増加は明らかでございます。これを推計といたしまして、小学校の児童につきましては約一万三千人と推計をいたしております。それから中学校の生徒については約六千四百人というふうな数字を推計いたしまして、大体二十四学級から二十六学級の学校規模を想定し、小学校についてはおおむね十二校、中学校については六校というふうな考え方で計画を立てておるわけでございます。幼稚園につきましては、小学校ごとに一園ということでございますが、そういたしますと、十二園というふうな計画になるわけでございます。具体的には四十八年度において、桜村で小、中学校を一校ずっと幼稚園一園を増設する必要がございますので、住宅公団のほうで立てかえ施工をしていただく。五十年度から私どもで補助をいたしまして、市町村が買い取れるようにいたしたいというふうな計画で進めさせていただいております。  以上でございます。
  286. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 高校の点についてはまだ御答弁がなかったようですが、あとで答弁してください。今後、学園都市建設の段階では非常に早急に必要になってくるわけでありますが、全体の計画として、先ほどお話がありましたように、まず公団が建設費を出して五十年ごろから地方自治体に買い取らせる方針であるというわけでありますが、たとえ急増地域でも国庫負担がいわゆる三分の二でありますので、地方財政をやはり圧迫するという問題が目に見えて明らかであると思いますが、そういう点で、今後どんどん建設をされるであろうそういうふうな学校によって地方財政に圧迫が行なわれる分について、財政をどのように確保するのか、その点についてお伺いいたします。
  287. 西崎清久

    ○西崎説明員 では、私どものほうから先にお答えを申し上げますが、現在、義務教育学校施設費国庫負担法の一部改定を上程いたしておりまして、衆議院で審議をしていただいておりますけれども、その法案改正が成立いたしますと、児童生徒急増市町村につきましては、補助率が二分の一から三分の二になるわけでございます。この法律が成立いたしました場合の適用市町村は政令で定めることになっておりますが、現在、幼稚園の補助をしております政令要件では、大体過去三年で五百人、児童数で一〇%の増加というような要件を書いておるわけでございます。筑波研究学園都市につきまして五十年以降を考えました場合、居住人口の増加に伴う児童の増加は、桜村などを例にとりますと、おそらくこの急増市町村に該当するという見込みでございますので、私どもの補助につきましても、それが該当いたしました場合には、三分の二の補助ができるというふうに予想いたしております。今後の推移いかんにもよることではございますが、一応そういう見込みを私どものほうとしては持っております。  それから先生にお答えをひとつ漏らしましたが、高等学校につきましては、これは進学率の問題がございまして、非常にむずかしい点はあるわけでございますが、進学率が九五%ぐらいであるというふうな仮定を立てて推計をいたしますと、大体四校ぐらい必要ではないかというような数字を一応持っております。  以上でございます。
  288. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 これから小、中学校あるいは幼稚園等ができるわけでありますけれども、できる前に児童は少なくとも隣の小学校等へ通学をしなくてはならないというふうな事態が起こるわけです。そうしますと、実際にはすし詰め教室みたいな現状も起こってくるのではないかと思うのですが、その点の対策はどのようにお立てでございますか。
  289. 西崎清久

    ○西崎説明員 昨年やはり同じ施設負担法を改正いたしまして、団地等三百戸以上の建設が行なわれます場合には、三年前向きに整備をするというような法制等を設けておりまして、おそらく研究学園都市の場合に多くの団地ができると思うわけでございますが、三百戸以上の団地ができる場合には、住宅戸数に基づく児童生徒数の推計をいたしまして、三年後の児童生徒数を予定して三年前に建築資格計算をしてあらかじめ校舎を建設するというふうな制度が可能なように措置いたしましたので、これらの制度の活用によりまして、先生がおっしゃいますようなことについての処置がとれるのではないかというふうに思っておる次第でございます。
  290. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 特別手当として四十六年の新設の調整手当の最高限度額である八%、ここら辺をこの学園都市については出しておるわけでありますけれども、芝生の管理費とか、ごみの処理、水の必要を満たすための業者委託費の居住者の負担、これを考えると、自己負担的な部分がかなり出るように伺っているわけであります。そうなりますと、実際に調整手当の最高限度八%を出してもらっても、ほとんどこれに使われてしまう、それ以上の負担がかかるというふうな状態になるのではないかと思うのですけれども、環境整備費でこれらの問題を見てやるというふうなことはできないでしょうか。
  291. 小林忠雄

    ○小林(忠)政府委員 芝生の管理その他の環境整備費につきましては、大蔵省に四十八年度所要の予算が計上されまして、これで行なうことになっております。
  292. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 治安の問題ですけれども、あの場所へ行きますと、御存じのように、非常に広漠たる砂漠の中に立っていて、夜間の街灯照明をつけるということに対しては、これは絶対必要な条件になってきているわけでありますけれども、その点の計画はどのようになっているかということ。それから夜は婦女子は全く暗い中で歩くことすらできないという状態で、安心した生活ができないというふうにいわれておりますけれども、その点どのようなことになっておりましょうか。
  293. 小林忠雄

    ○小林(忠)政府委員 現在のところきわめて基幹的な施設をつくっている段階でございますので、なかなかきめのこまかいところまでは届かないわけでございますが、住宅周辺その他所要のところにつきましては、関係省と相談をいたしまして、なるべく住民の方に不安のないような措置をいたしたいと思っております。
  294. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 夜間の街灯に照明をつけるということになりませんと、あの学園都市建設のための建設飯場というものがいま設けられているわけでありますが、そうなりますと、やはり建設の飯場に働いておられる労働者等との関係もありますし、そういう点で防犯的にも非常に心配はぬぐい切れないのではないか、そういうふうに心配をされるわけです。何といっても事故があってからやるというのではもうおそいわけでありまして、当然想定される危険性というものに対しては取り除いていかなくてはならないと思うのですけれども、そういう点について、照明設備というものが早急に必要だと思うわけですが、その点についてお伺いいたします。
  295. 奥秋為公

    ○奥秋説明員 先生の言われることはきわめてごもっともなところで、現地におきましては、現在、保安関係につきましてはいろいろ連絡会を持っているようですから、特に警察側の要望といたしまして、街灯を早急につけていただくように強く働きかけたい、こう思います。
  296. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 これから新しいがなり大きな都市ができるということに対して、いまの現在の警察の体制ではとてもこれを補うということはできないと思いますけれども、将来計画として警察はどういうふうな増員計画をされているか。また署というものも今後おそらくできるのではないかと思うのですけれども、それについてはどうお考えでしょうか。
  297. 奥秋為公

    ○奥秋説明員 現段階で私の口から言えますことは、確かに住民の方々がだいぶ不安を抱いておるということで、それを取り除くためには相当警察官をあそこに投入しなければいけないのではないかということです。そのためにいま一応具体策を持っておるのは、派出所の増強問題と常駐の警ら隊の増強問題で、今後、労務者の数が非常にふえて、実際そこで行なわれるところの犯罪の発生状況が極度にふえるということになりますと、やはりそういう客観情勢と見合って警察力の増強は今後考えていかなければいけないのではないか。当面は派出所と警ら隊の増強で対処したい、こう考えております。
  298. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 実は学園都市周辺で山火事が数回起きているというふうに聞いておるわけですけれども、実際には消防体制というものが完備をされてない状態のもとにおいて、大事になってからやるということでは手おくれであるわけですが、消防体制についてはどういうふうになっておるか。
  299. 山田滋

    ○山田(滋)政府委員 ただいま御質問のございましたことですが、山火事につきましては、特にあの地方が多いというわけではございません。四十六年に一回管内にあったと聞いておりますし、それから、先般、真壁町でございますか、火事がございました。しかし、これにつきましては、付近の町村相協力し合いまして、出動体制を整えて処理いたした次第でございます。  先生の御指摘はおそらく消防体制全体の問題だろうと思います。そこで私どもも、この点は大いに意を注がなければならぬと思いますし、現在は、関係の町村はいわゆる消防団地区でございまして、常備の消防体制を持っておりません。しかしながら、昨年この地方がいわゆる広域市町村圏に指定をされまして、この機会に地元でも協議中でございまして、県の指導のもとに、四十九年の六月を目途といたいまして常備消防を整える。その規模は大体将来の人口の規模を考えまして、類似都市に劣らない規模で消防体制を整えよう、こういう協議を寄り寄りいたしておる最中でございます。
  300. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 常備消防の体制をとれるのは大体いつごろになるかということが一つと、それからいま私が申し上げたのは、山火事といっても、そこで働いていられる労務者の方、あるいはそこを通行される見学をする方々がたばこを投げ捨てた、それが枯れ葉に移って火事を起こしたというような状態でして、それに対する消火体制というものは、いま現在ほとんど不可能に近いような状態になっているわけですから、幸い大事に至らなかったとはいうものの、消防体制というものは今後たいへんに必要な条件の一つになるのではないかということでお伺いをしているわけです。その点について……。
  301. 山田滋

    ○山田(滋)政府委員 第一の御質問は、先ほど申し上げましたように、関係の町村、県といま協議中でございますが、大体四十九年六月を目途といたしております。  それから、第二の点は確かに御指摘のとおりでありまして、私どもも、現在、林野庁と協力いたしまして、林野火災の防止に特に意を用いているところでございます。特に、御指摘のように、たばこによる、まことに不本意な火災が多うございますので、特に注意をいたしてまいりたい、かように考えております。
  302. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま現在歩道が完備されていないわけでありますが、夜間走行する車は、外灯の照明がないので、人影を発見するということは非常に困難だという状態です。そういうことから考えますと、交通事故を今後惹起するおそれも多分にあるし、その点についてどういう対策を考えられているか。歩道とか自転車道とか車道の区分帯は今後どういうふうになるのか。その点についてお伺いいたします。
  303. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 街路の整備計画は、先ほどの下水道と違いまして、かなり進捗しておるわけでございます。全体の完成につきましては心配をしておりませんが、その過程におきまして、現在、一部幅員のみを舗装してとりあえず通行に供しているというようなことから、御指摘のような事態が生じているものと存じます。延長を延ばすということもさることながら、そういう幅員構成におきましても、十分危険のないような配慮を優先的に今後進めてまいりたいと考えます。
  304. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 研究学園都市は、学者あるいは専門家として研究するための諸施設が実はないわけであります。特に文献を必要とするときには東京まで出向かなくてはならない、そしてたいへんな費用がかかるということを、私、向こうの方々からもお伺いをしてきたわけでありますけれども、そのような専門的な分野の文献を研究する機関は考えられていないのか。また、考えられているとすれば、どういうふうな形態のものができるのか、いつごろできるのか、その点についてお伺いいたします。
  305. 吉川藤一

    ○吉川説明員 先生からいま御指摘がございました文部省の関係は筑波大学でございますが、筑波大学は、これから新しい教育研究の仕組みをつくります総合大学をいま目ざしておるものでございまして、特に充実した教育条件をつくり出すための整備をはかっていきたいと考えておるわけでございますが、特に、御指摘がございました文献の点につきましては、筑波大学の主体となります東京教育大学には、いま約七十万点の蔵書が整備されております。これを中心にいたしましてさらにその蔵書の充実をはかる。特に、新しくできます筑波大学におきましては、研究のための文献のセンターと、学習のための文献センターと、機能に応じまして二つに分けまして整備をはかっていきたいというふうに考えております。  なお、研究学園都市に共通するいろいろな問題、いま先生から御指摘がございました研究者に対する各種の情報、サービスを行なう機関といたしましては、この学園都市の共同利用の施設として研究交流センターを設ける考え方で、科学技術庁の中で私どもも相談に入りながら計画を進めております。私どもとしましても、そういうものが早く充実したものができるように期待をしておるところでございます。
  306. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 筑波大学ができればそういう施設ができる、これはもうわかるわけですけれども、いま現在、筑波大学ができる前に、科学技術庁の所管の各研究機関とかいろいろできているわけです。そういうところの方々が実際にいろいろ研究するのに文献が必要であるわけです。そのたびごとに東京へ来ておったのでは、ほんとうに費用もかかるし、時間的にもロスだというわけなんですが、そういうものができる前に、何かそういう点についての文献を整備をする必要があろうと思いますが、その点についてはどうなんでしょうか。
  307. 山中光一

    山中説明員 ただいまの点につきましてお答えいたします。  ただいま文部省のほうからもお話がございましたように、私ども科学技術庁といたしまして、この問題まことにごもっともでございますので、ただいま検討いたしておりまして、四十八年度から、そういう施設といたしまして、研究交流センターとかりに呼んでおりますが、そこで、情報について東京におけると同じような文献のサービスが受けられるような、そういう施設をつくるということで、四十八年度からそれに着工してまいりたいというふうに考えております。これにつきましては、先ほどお話がありましたように、文部省のほうとも十分御連絡をして、ただいま具体的なそのサービスの内容について検討しておるところでございます。
  308. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 これから、研究学園都市だということで、外国の学者、あるいはそれに関係する方々がかなり施設を見学に来られると私は思うのですが、外国の学者あるいは教育に関与されている方々の宿泊場所とか、そういう点については全く考えられていないわけでありますけれども、その点についてはどのようになっているのか。また、そういう方々が食事をされるということについては、どういうふうなことを考えられているか。また、そういうふうな諸外国の方々との間の交流、国際会議場の設置というものは考えられているかどうか。その点についてお伺いします。
  309. 山中光一

    山中説明員 ただいまの点についてお答えいたします。  外国との交流ということは、各研究機関でもそれぞれお考えいただいておりまして、今後ますます盛んになるであろうと思います。大学ももちろん、国際交流ということを進めるという趣旨でその計画を進めていらっしゃるということでございますが、それぞれの機関で、こういう方を受け入れますために必要になります共通的な問題といたしまして、国際会議をやるような大きな会議場であるとかいうような要望が非常に強うございますので、先ほどの問題とあわせまして、この問題を現在検討しておるというところでございます。なお、宿泊等を含めまして現在検討中でございます。
  310. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私、問題を提起をしておくわけですから、それについてひとつ十分に具体的な処置をしていただきたいわけでありますけれども、文部省所管の研究所と科学技術庁所管の研究所というものが実はあるわけです。ところが、そのどちらも非常にコンピューター等を使用する、そういう場合があるわけですけれども、コンピューターを一つ使うにしても、セクト主義というのが先行して、なかなかそういう点については思うような状態で実際に使うということはむずかしいということを言っているわけなんですけれども、現在の状態において、少なくとも現地においては完全な都市づくりがまだできていない状態下にあっては、お互いに学者間の研究交流のセンターとか、あるいはお互いにそういう点については譲歩するという点については、何らか考えられているのでしょうか。
  311. 山中光一

    山中説明員 科学技術庁といたしましては、科学技術庁の研究機関の関係のほかに、科学技術に関する総合的な推進をはかるというような立場から、いまの問題につきましてもかねて検討しておりまして、特にコンピューターに関しましては、そこに四十数機関の研究機関が参りますと、相当数のいろいろな目的のための計算機が入ってまいります。そのために、これをどうやって全体としてうまく使っていったらよろしいかということにつきまして、行政管理庁のほうの御指導、御協力も得まして、ただいま私どものほうで、その多くの計算機が全体として有機的にうまく連携をとって効率的に使われるようにするためのシステムを検討してまいっております。現在検討中でございまして、結果は申し上げられませんけれども、そういうことでただいま検討しておるところでございます。
  312. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 筑波というところは非常に雷の多いところなんですが、雷がありますと停電することが今後考えられるわけです。ところがあそこは、いわゆる系統としては一系統であるので、停電すると機能がとまってしまう。しかもそれぞれはたいへんな研究をしているわけでありますから、停電されると非常に困るというような状態も考えられるわけでありますけれども、一系統であるのを、研究の上からやはり二系統にしていかなくてはならないと思うのですが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
  313. 小林忠雄

    ○小林(忠)政府委員 東京電力の計画といたしまして、二系統で工事を進めております。
  314. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 先ほど実は御答弁が保留されておったのですが、大蔵省の国有財産第一課長さんが御出席になっておるのでちょっとお聞きいたしますけれども、公務員施設のうち公務員住宅は百七十二戸それから百二十九戸現在建設中でございますが、外観に比べて、中に入ってみると、こんなお粗末な住宅はないというふうに私は見てきたのですが、手抜き工事をしているというような感じを受けてきました。しかも向こうの方々の話によりますと、セメント仕上げの中に、セメントのかわりに新聞紙を詰めてあったということなんですがね、そういうふうな事実があったかどうか。またどういう検査をされているか。少なくともあのような状態の公務員住宅が一ぱい建っても、しょせんはお粗末な住宅だという非難は免れないのではないか。いままではかなり緊急を要したからそういう状態もあったかと思いますけれども、今後はどういうふうな状態にされていますか。
  315. 篠田信義

    ○篠田説明員 百七十二戸、現在建設中百二十九戸、合わせて三百一戸が四十七年度中に一応完成するということになってございますが、これから昭和五十二年度までに約一万戸つくる予定でございます。  先生から先ほどもお話がありましたけれども、移転機関が早急に移りましたので、それに間に合わせるべく早急に建てるために若干配慮の行き届かなかったところはわれわれもあったと考えておりますが、今後は予算のほうも増額要求いたしておりまして、現在御審議をいただいておる最中でございますけれども、たとえば具体的に申しますと、書斎ないしは研究室に当たるもの一つつけ加える。それから内装、間取りについては、予算の裏づけもございますが、十分配慮していく。外装についても、外観がきれいになるように考えていくということで、たとえば一般職員の住みます広さ、これについて申し上げますれば、現在、東京都内では十五坪の三DKに住んでおりますけれども、現在の筑波の宿舎では一般職員の方は三LDKでございまして、今後四十八年度以降つくりますものは約二十一坪、三LDKで、それぞれの広さは広くなっているというふうに検討いたしております。そういうことで現在以上の考慮を加えましてつくりたいと考えております。
  316. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私も時間の制約がありますので、最後に大臣にお伺いしたいと思いますが、いまいろいろ私、御質問申し上げたとおり、たいへんに今後研究もしなくちゃならない点もありますし、また現在問題になる点も多々あるように思います。そういう点は、私やはりこの研究都市センターをつくるのについて合意というものがまだできていないところにあろうかと思うわけです。私、少なくともこういうのは、専門家とか、あるいは学者、また地域の自治体の関係等を含めて、今後みんなの合意をもとにした研究都市というものをつくっていかなくちゃならないというふうに思うのですけれども、建設大臣はこれに対して、今後どのように取り組んでいかれるのか、最後にお伺いをいたしておきます。
  317. 金丸信

    ○金丸国務大臣 先生のおっしゃられることにつきましては、一つ一つ御指摘のとおりだと私、思います。ことに、これからりっぱなものをつくっていこうということでございますから、総合的に衆知を集めて、ほんとうに量質ともによろしきもの、また、この筑波の中核都市がモデル都市としてほんとうに、なるほどといわれるものをつくってまいりたい。それには、学者も、あるいは地域の市町村の関係の方も、あるいは政党の方も、その他もろもろの参考になる人の意見もいれてやっていきたい、このように考えております。
  318. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 以上をもって終わります。
  319. 三原朝雄

    三原委員長 木原実君。
  320. 木原実

    ○木原委員 たいへん同僚委員から詳細な質問が筑波の研究学園都市を中心にございましたし、夜分にわたりましてお疲れの模様でございますので、簡潔にやって終わりたいと思いますので、もうしばらくおつき合いのほどをお願いいたします。  私ども筑波研究学園都市を見てまいったわけですが、いままで指摘がございましたように、建設過程とはいえ、たいへん実情がひどいわけなんです。そこで伺いたいのですけれども、まず公団総裁に伺いたいのですが、公団としては、実施機関として初めから関与していたわけなんですが、やるべきことをやっていなかったのじゃないですか。公団はいままで、いろいろな環境整備や、あるいは公益利便施設その他については、技術も経験もあるわけなんですけれども、仕事に限定がある。いろいろの意味で何かやるべきことをやっていなかったのじゃないかという気がするわけですが、どの程度にどういう仕事をやってきたのですか。
  321. 南部哲也

    ○南部参考人 筑波研究学園都市の用地の取得並びに造成ということを決定されましたのは、昭和三十八年の閣議了解であり、公団が現在までやってきましたのは、学園都市に必要な用地の確保ということでございまして、これはほぼ一〇〇%完成しております。あとの宅地の造成につきましても、ただいま新住法並びに区画整理に基づく事業はそれぞれ進めております。ただ、先ほどからお話がありましたように、この建設につきましては、事業主体が非常に多数ございまして、上物一切については、住宅公団といたしましては、これは官庁施設でございますので、全然行なう権限がございません。それから上水道、下水道につきましては県の事業でございます。それから関係施設その他の環境整備というのは地方自治体の責任でございます。このようにして事業主体が非常に多岐にわたっております。したがいまして、これを統一してやっていくということは非常にむずかしいということで、首都圏の事務局が窓口になりまして、今日まで全部そこと相談をいたしまして、各省と相談をいたしまして仕事を進めてきておるという現状でございます。
  322. 木原実

    ○木原委員 私は公団も、ときどきでなくて、かなり欠陥住宅をつくったり、いろいろなあれがあるのですが、しかし、もうちょっと、お話がございました上下水道等の問題についても、やってやれない仕事ではないと思うのです。あるいはまたニュータウンづくりその他のいろいろ経験の蓄積もある。これは政府のほうも、ある意味ではこの十年間かなりなげやりな時期もあったと思うのです。それは何といいましても、各官庁のそれぞれの立場などが錯綜しまして非常に遅延をしてきたということがあるのですけれども、したがって、この環境整備ということについて頭がいってなかったのじゃないかと思うのです。そういう計画の遂行自体の欠陥がいまの姿にあらわれているような感じが現地でしたわけです。したがいまして、これからの問題にもなるわけですが、いろいろと新しい体制をつくって、これからかなり速度を速めて研究学園都市の建設をやっていくんだという、先ほど来いろいろお話がございましたその中で、住宅公団の使い方という問題については、何か大臣、お考え方ございますか。あるいは別に法案が出ておりますけれども、公団そのものは次第に分離をしていくようなかっこうにしてしまって、手を引いていくんじゃないかというようなことも伝えられているのですが、その辺はどうなんですか。
  323. 小林忠雄

    ○小林(忠)政府委員 ただいま御指摘のような点が制度上確かにあったと思うのです。現在、提案しております工業再配置・産炭地域振興公団法の一部を改正する法律案によりまして、国土総合開発公団法というのが提案されておりますが、それによりますと、現在住宅公団が困っておりますようなものがすべて新公団でできるような内容になっております。
  324. 木原実

    ○木原委員 そうしますと、これから先、住宅公団は、きょうは総裁にお見えいただいたので、あれしたいのですが、どの程度に関与をしていくのですか、これからの建設の中で。
  325. 小林忠雄

    ○小林(忠)政府委員 従来、住宅公団がやっておりました宅地の造成はもちろん引き継ぐわけでございますが、なおその宅地の上に入られます公務員その他の方の生活上の利便施設についても公団が全部できる。さらに道路、上下水道というような県及び市町村のやりますものにつきましても一部公団ができる。その他のものにつきましても、さらに政令で範囲を拡大すれば、場合によれば、消防署を立てかえるとか、学校を立てかえてつくるとか、そういうような万般のものができるようになっておりまして、いま申しました公共施設の立てかえ分といたしまして、半年間で二百三十億円を計上しております。
  326. 木原実

    ○木原委員 そこで、公団の総裁にお伺いしたいわけでございますけれども、筑波学園都市のことにつきましては、私どもやはり、公団の中で蓄積されたさまざまな技術、経験、こういうものをフルに生かしていったらどうかということなんです。しかし、他方、現在、監理官を一名減らすという法案が出ているわけなんですけれども、一体この住宅公団、これから先どうなっていくのですか。いろいろほかの法案との兼ね合いその他で見ておりますと、貸し家業になっていくんじゃないか、貸し家の管理が中心になっていくんじゃないかというような気もするのですね。さまざまな分野で国土総合開発というかけ声がかかりまして、いろんな構想が打ち出されていく中で、いままで公団が、せっかくいいにつけ悪いにつけ蓄積してまいりましたそういうものが、はたしてこれからの国土総合開発の中でどういう位置づけで生かされていくのか。それとも、いままで建設をしてまいりましたストックをかかえて貸し家の管理業、こういうところに後退をしていくのか。何か一つ岐路にあるような感じがするのですね。これは総裁としてどんなふうにお考えになっていますか。
  327. 南部哲也

    ○南部参考人 公団といたしましては、大都市における住宅難の解消のために、今後とも住宅の建設は続けてまいりたい。ただ御指摘のように、いろいろむずかしい問題がございます。それは一つには、過密をどうするか、過密の助長になるんではないかという御意見があります。したがいまして、たとえば首都圏の三県あたりにおきましては、できるだけ人口を抑制しようという見地から、たとえば団地の繰り延べ、あるいは建設を縮小するというような動きがありますので、先生御指摘のような御心配をいただいて、われわれとしては、今回いま御審議いただいています予算の中には、新しく貸し家業と申しますか、持ち家の分譲住宅、賃貸と分譲との中間をいくところの長期分譲住宅というのを新年度から創設いたしまして、大体家賃程度のもので三十年で自分のものになるというような道も講じております。これは、今回のような地価の高騰におきまして、マイホームに対するサラリーマンの夢がだんだんと打ち砕かれていく、その際に、公団の分譲ならば何とか月三万円くらいの負担で自分のものになる、こういうような住宅を建てていきたいということでやっておりますのと、もう一つは、従来の賃貸住宅が非常に二DK中心で狭うございました。これからはもう少し広いものをつくっていって、そして老人と一緒に住みたいというような方々が一緒に住めるような質の向上した住宅を建てていく、こういうような方面に主力を置いていく。そのために、戸数はどんどんと減っていくかもしれませんけれども、こういった問題について、まだまだ関東一円あるいは近畿圏、中部圏においてはやる仕事は残っておる、かように考えておる次第でございます。
  328. 木原実

    ○木原委員 仕事が残っているのじゃなくて、これから仕事をしてもらいたいという立場なんでございますけれども、構想はいいのです。しかしいままででもすでになかなか計画が消化できない。たとえば用地難という問題があると思うのです。用地難については、公団としてはどんなお考えを持っているのですか。これはとても公団だけの問題ではないと思うのですけれども、用地難という問題に対して、公団としてはどんな構想をお持ちですか。
  329. 南部哲也

    ○南部参考人 公団が用地を取得する前には、全部地方公共団体と事前に話をしなければなりません。ここで現在一つのネックがあるわけでございます。その際に、地方公共団体のほうは、先ほど申しましたように、人口抑制の根拠は何に置いているかと申しますと、水の手当てがない、したがって、団地ができても将来水の手当てができないということは、地方公共団体として責任を持てない、こういうお話でございます。したがいまして、今後の団地建設につきましては、公共団体並びに国の各機関等、十分な総合的な見地から計画を進めていかなければならないということが第一でございます。  第二に、水の問題の次には足の問題でございます。これも現在バス等も相当公団のほうで負担して措置をするというようなことで確保を願っておりますが、いずれにしても、こういった地域の土地の利用計画をどうするかということが根本だろうと私は思います。それがないことには、過密であるから抑制するというような話で、現場の機関であるところの公団と地方公共団体なりあるいは市町村と話をしても、なかなか話がつかないというようなことがございます。  それからもう一つ、宅地造成のほうで申しますと、大規模に宅地造成する上においてはやはり計画的にやらなければいけません。ただ、いまの市街化区域の中はなかなか問題がございます。これは将来の問題としては、やはり計画的に開発が可能であると思われるような調整区域等についても計画を進めていくというようなことで打開するよりは道はないのではないか、このように考えておる次第でございます。
  330. 木原実

    ○木原委員 おことばをあれするようですけれども計画的にと、こうおっしゃいますけれども、これは一つは、たいへん地価の値上がりが急ピッチでどうしようもない。おそらく公団としましても、ともかく勤労者のために福祉の立場で住宅を建設していくという大前提があるわけですが、これはどうにもならぬのじゃないですか。その辺についてはどうですか。
  331. 南部哲也

    ○南部参考人 実は一番頭が痛いのは用地費の値上がりでございます。したがいまして、用地費の値上がりを、なるべく各戸において負担を軽くするという意味からは、どうしても高層住宅をやらなければならない。従来大体十四、五階までが限度でございました。それをできるならば二十五階くらいまで上げて、そうして用地費の節約をしたい、このように考えておるわけでございますが、それにしても、用地費の増加というものが私どもの家賃に大体三割か四割くらいになってはね返ってきますから、そうなりますと、いまの状態でいきますと、勤労者の所得の伸びと家賃の伸びがパラレルであるうちはいいのでございますが、これが家賃の伸びのほうが高くなるといういうことになりますと、これは住宅政策全体としての家賃体系の再検討という事態に発展するだろうと思います。  それからもう一つは、公共機関であるところの地方公共団体や住宅公団はいまの公示価格で土地が買えるということを、ぜひこれは政府のほうにお願いしたい。最近は東京の都内等ではいつも入札でございます。私どものほうは公示価格の額以上には札が入れられません。そんなことでいつも価格の面でさらに非常に苦慮しているということでございます。
  332. 木原実

    ○木原委員 これはここだけの問題じゃない。これは大臣にお伺いしておきたいと思うのですけれども、地価対策は御存じのように別のところでたいへん大きな問題になっているわけですが、政府の方針の中に、まあさまざまな問題がありますけれども、宅地の造成、そういうものはなるべく別の機関で公共的にやっていく。それから住宅建設そのものは、民間のデベロッパーといいますか、そういう住宅市場に開放をしていく。そしていまの公団それ自体は、先ほど貸し家業という少し失礼なことを申し上げましたけれども、そういう管理的な公団に変えていく、そういうようなお考え方があるのではないかという気がするわけなんです。ここで地価の問題について論じようと思いませんけれども、異常な姿で一方では地価が高騰をしている、しかも公団は用地が手に入りにくい、そういうところを一つのスタートとして、何か住宅政策についてかなり大もとが変わっていくというような考え方があるのではないかという気がするのですが、いかがですか。
  333. 金丸信

    ○金丸国務大臣 私はこの問題については、住宅公団の本来の使命が達成できないようなことになっては困る、別に公団ができる、こういうようなことでいろいろ心配もいたしたわけでございますが、住宅公団は住宅公団としての使命がある。ただいま南部総裁お話しになりましたような考え方、そこでこの宅地の問題、いわゆる土地の問題につきましては、全く御案内のような状況で頭を痛めておるわけでございますが、それに対してはいろいろの対策を講じていることは御承知のとおりであります。どちらにしても、土地というものに対して相当の抑制をし、土地それ自体に対して、公共優先というような立場で、私は大企業に対しましても、ひとつこの事態、この時点をよく直視してもらって、お互いに国に対して使命感というものを持ってもらいたい。企業だからもうけることもいいけれども、ただ値上がりを待つというようなことは許されぬじゃないかという強い要請もいたしておるわけでございます。  どちらにしても、土地というものは限りのあるものですから、この土地を確保するということが住宅を建てる住宅公団の使命にもマッチするということでございますから、あくまでも、あらゆる手段を講じ、あらゆる方法を国民に訴えて、この土地問題を解決していきたい。  最近、この土地問題が国会でも大きく政治問題となり、また国の予算としても大きく土地問題がクローズアップしてきておるというような関係で、私の知る一部においては、土地というものはもう魅力がないというような考え方で、この際土地は放すべきだという考え方もあるように私は見受けるわけです。そういうことですから、この施策を強く推し進めるところに、土地の獲得という道があるのじゃないか、このようにも考えておるわけです。
  334. 木原実

    ○木原委員 私も一、二見聞するところがあるわけなんですけれども、公団もおそらくせっぱ詰まりまして、たとえば民間と共同で土地の取得をやるといいますか、開発をやる。そうしますと、公団も土地がほしいものですから、そこから譲り受ける。そのときの条件が何かわかりませんけれども、道路をつくる、下水をつくる、これは公団持ちでやる。そこに公団の住宅が建つ、入居が始まる。そうしますと、他の残った民間の大手業者が持っておる地価は、それだけうんと値上がりする。それから民間分譲を始めるというようなケースがあるわけですね。  そういう姿を見たりなどいたしておりますと、これは容易ならぬことだ。先ほど総裁のほうから、地価が家賃にはね返るものだから二十五階建てくらいの高層住宅を建てたい、こういうお話もございました。これはいろいろ御研究かと思いますけれども、私は反対です。いますでに十一階とか相当高いところでも小さい子供を育てておりますが、これは人間じゃなくなりますね。鶏だって大体地上これくらいのところで住んでいるのです。われわれには羽がないんですから。仕事場として、事務所としてある分についてはともかくですけれども、居住性という面から見れば、私は学者の中にも異論があると思うのです。そういうところに育った子供は将来どういうことになるのか。十数階建てのところでも風が吹いたらゆれますよ。そういうような不安定な形の住宅がはたしていいのかどうかという問題があります。  そういうことをあれこれ考えますと、やはり住宅公団の使命というものをもう一ぺん再確認をして、勤労者向けの公共的な住宅を供給する、この原則に立ち返って、その土地については国なら国がやはり特別な援助をして確保してやる。成り行きにまかしておいたら、これは自治体だって、私は千葉ですけれども、千葉県だって公団はお断わりだというんで、どうにもしようがありませんね。しかも住宅難が依然として続いているんですから。それならば、大臣がおっしゃるような形で、使命に徹して公団の仕事をやらしていくんだとおっしゃるならば、土地の問題についてほかの分野でいろいろ議論がありますけれども、やはり特別に公団用の用地を確保するためにしかるべく国の援助措置をとる、特別な手当てをする、そういう発想は出ないもんでしょうか。どうですか。
  335. 金丸信

    ○金丸国務大臣 この問題につきまして、非常にむずかしい問題でありますので、審議会に住宅はいかにあるべきかということをいま諮問いたしておるわけでございます。私も実は八階に住んでおるのですが、まことに人間らしい生活ができないなという感じはいたしております。できることならば土のあるところで生活したいという、これは人間の一つの本能であろうと思います。そういう意味で、できることならばできるだけ低いことが望ましいことでありますか、しかし、この時点においてはまあ家がないよりあったほうがいい、こういうせっぱ詰まった考え方が総裁をしてかく言わしめた、こう私は思うわけでございますが、この問題については相当重要な問題でありますし、審議会の答申も待ってひとつ十分に検討して対策を打ち立てたい、こんなように考えております。
  336. 木原実

    ○木原委員 あまり時間をとらせませんが、いずれにいたしましても、幸いにまだ少々土地の値が上がったって自力で建てられるという方たちに対しては、これはほっておけというわけじゃありませんけれども、別のことなんですが、やはり公団がしょっておる発足当時の原則というものがあると思うのです。しかもそれが、見ておりますと、どうも公団も何かたいへん難渋をして限界にきておるような感じがするわけです。しかもいまでもともかく公団、2DKに入りたいという人が圧倒的に多いわけです。そういうことを考えますと、かなり高邁な、かなり長期にわたる施策や計画は別にいたしまして、やはりそれにこたえていかなくちゃならない。その難関の一つが、たとえば用地の取得難ということにあるのならば、やはり国として住宅政策の原点に返って存分の援助をすべきではないか、こういう考えでございますので、これはひとつよろしくお願いをしたい、このように思います。  ところで、総裁にもう一つお伺いしたいのですが、実際に建設をされておりまして、この委員会でも何回か問題になりましたが、やたらに欠陥住宅が多いのですね。これは、直轄工事というのはわりあい少ないのじゃないですか。あるいはまた、下請に対しての公団のいろいろな監督、管理というものが、手を抜いているとは言いませんけれども、行き届かないのか、欠陥住宅ということがやたらにあちこちで問題になる、そういう問題があると思うのですが、その点はいかがですか。
  337. 南部哲也

    ○南部参考人 確かに御指摘のような問題がありまして、現在根本的に検討いたしております。実は監督は、いま直轄というお話がございましたが、公団自体の監督員が三分の一以下でございます。そのために、あとはみんな民間委託ということになっておりまして、監督の面での不十分という点が一つございます。  それからもう一つは、実はできるだけ家賃を安くというので、発足以来十数年間、合理化に合理化を重ねてきております。壁厚もできるだけ薄くというように、構造上持ち得る一番経費のかからないというほうに実はこの十数年間全力をあげてきたために、今日のような未熟練労務者を使うということになりますと、施工上非常に問題がございます。そのようなことで、もう一ぺんもとに戻りまして、未熟練労務者でもできるような設計に直さなければいけない。薄く薄くといっても、薄いところをコンクリートを打つのはなかなか熟練が要りますので、壁厚ももう一ぺんもとに戻して、しろうとでも打てるように薄いのを厚くするというようなことまでも、設計上の問題もいま全部検討し直しまして、あるいは配筋が下に下がるのは、設計上からいろいろ改良を加えまして、労務者が上に乗っても配筋の鉄筋が下がらないというようなこともいろいろ検討いたしまして、今後においてできるだけ欠陥住宅のないような対策をただいまとりつつある次第でございます。
  338. 木原実

    ○木原委員 入居者たちは、これは政府の仕事である、国の仕事である、公団だ、こういうことで信用して入る。しかもそこでは、ほかのことと違いまして日常の生活が無数に行なわれているわけなんです。ですから、かりにも欠陥がある、どうも手落ちであったというようなことだけでは、国としては済ませないわけなんですね。ですから、ささいな欠陥もそうなんですけれども、どうも見ておりますと監督が十分でない。技術的な研究はいろいろおありでしょうけれども、少なくとも責任が果たされていない、こういう感じがするわけです。したがいまして、いろんな問題があろうかと思うのですが、あまり抜くべからざるところを手を抜くようなことにならないように、合理化をやるべき分野と、必要な分野にはやはり金も人員もかけるということでやってもらいたいと思います。  いろいろ申し上げましたけれども、住宅公団のこれからの方向の問題、それから筑波の問題にかかわっていく問題等について、気になることを御質問申し上げたわけでございます。  それから最後でございますけれども、大臣に先ほど来同僚委員から、いずれも、筑波の現状がかなり環境が悪い、そのために現在すでに入居を始めておる公務員の人たちが出費その他でかなり難渋している、しかるべき手当というような御発言もございました。再度念を押すようでございますけれども、当委員会としましても、委員長はじめわれわれもお供いたしまして現地を見ましたときにも、そういう話が出ました。委員会でいずれ適当な相談もいたしたいと思いますけれども、政府のほうとしましても、過渡期の臨時措置としまして、そういう人たちに対してできるだけの措置を講ずるようなことをぜひ実現をさせてやってもらいたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  339. 金丸信

    ○金丸国務大臣 まず住宅公団の問題につきましては、設立の当初に戻りまして、いわゆる原点に返って、ほんとうに庶民のために、賃貸住宅というものは安く入れるということがまず大きな目的で、またその内容も質も整えることは当然でありましょう。ことにいまいろいろなものが上がってきており、それが家賃にはね返ってくるということについては、国が何とか考えてやらなければならぬのじゃないかというような感じも私はいたしておるわけでございます。そういう意味で、この住宅問題についてはひとつ十分に検討させていただきたい。  また筑波の問題につきましては、いろいろ先生方からお話がございまして、いま先遣部隊として行っておられる方々がまさに非常な御苦労をなさっておるというのに、たとえて言えば、東京においても八%、向こうに行っても八%、こういうことではまことに働きがいがないと思います。その他諸般の施策につきましていろいろあたたかい方法をとれるように、私からもひとつ関係官庁にお願いを申し上げまして、御期待に沿えるようにいたしたいと思います。
  340. 木原実

    ○木原委員 どうもありがとうございました。これで終わります。
  341. 三原朝雄

    三原委員長 次回は、来たる五日木曜日、午前十時理事会、十時三十分より委員会を開催することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後七時七分散会