運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1973-02-27 第71回国会 衆議院 内閣委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年二月二十七日(火曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 三原 朝雄君    理事 加藤 陽三君 理事 鯨岡 兵輔君    理事 中山 正暉君 理事 藤尾 正行君    理事 大出  俊君 理事 木原  実君    理事 中路 雅弘君       赤城 宗徳君    越智 伊平君       大石 千八君    奥田 敬和君       近藤 鉄雄君    丹羽喬四郎君       旗野 進一君    林  大幹君       三塚  博君    吉永 治市君       上原 康助君    坂本 恭一君       山崎 始男君    横路 孝弘君       和田 貞夫君    木下 元二君       鈴切 康雄君    受田 新吉君  出席国務大臣         文 部 大 臣 奥野 誠亮君         建 設 大 臣 金丸  信君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      坪川 信三君  出席政府委員         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務総局         給与局長    尾崎 朝夷君         内閣総理大臣官         房総務審議官  宮崎 隆夫君         総理府人事局長 皆川 迪夫君         大蔵省主計局次         長       吉瀬 維哉君         文部省初等中等         教育局長    岩間英太郎君         建設大臣官房長 大津留 温君         建設省計画局長 高橋 弘篤君         建設省都市局長 吉田 泰夫君         建設省住宅局長 沢田 光英君  委員外出席者         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ————————————— 委員の異動 二月二十三日  辞任         補欠選任   三塚  博君     高見 三郎君   東中 光雄君     不破 哲三君 同日  辞任         補欠選任   高見 三郎君     三塚  博君   不破 哲三君     東中 光雄君 同月二十四日  辞任         補欠選任   東中 光雄君     不破 哲三君 同日  辞任         補欠選任   不破 哲三君     東中 光雄君 同月二十六日  辞任         補欠選任   東中 光雄君     不破 哲三君 同日  辞任         補欠選任   不破 哲三君     東中 光雄君 同月二十七日  辞任         補欠選任   東中 光雄君     不破 哲三君 同日  辞任         補欠選任   不破 哲三君     東中 光雄君     ————————————— 二月二十三日  戦争犯罪裁判関係者見舞金支給に関する請願  (千葉三郎紹介)(第二九七号) 同月二十六日  旧海軍刑法による厚木航空隊員受刑者の名誉回  復に関する請願水野清紹介)(第四六三号)  同外二件(床次徳二紹介)(第四九六号)  同(宇田國榮紹介)(第五八九号)  国家公務員である看護婦等給与改善に関する  請願松野頼三君紹介)(第四九五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国家公務員寒冷地手当に関する法律の一部を  改正する法律案内閣提出第六号)  建設省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一二号)      ————◇—————
  2. 三原朝雄

    三原委員長 これより会議を開きます。  国家公務員寒冷地手当に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  3. 大出俊

    大出委員 この国家公務員寒冷地手当に関する法律ということでございますね。この四条をつくった経緯をひとつ御説明いただきたいのです。
  4. 尾崎朝夷

    尾崎政府委員 寒冷地手当法の第四条は、「人事院は、この法律に定める給与に関して調査研究し、必要と認めるときは、国会及び内閣に同時に勧告することができる」という条文でございまして、これは寒冷地手当法改正昭和三十五年にたしか行なわれましたときに挿入——整備された条項であるというふうに承知しております。
  5. 大出俊

    大出委員 この経緯は、いま言い直されて、整備されたと、こうおっしゃいましたが、それが正しいので、かつてこれはなかった。これは三十五年の改正のときに四条を挿入したのですね。  もう一ペん読みますが、「人事院は、この法律に定める給与に関して調査研究し、必要と認めるときは、国会及び内閣に同時に勧告することができる」、こうなんですね。つまり、人事院が必要と認めるときに国会にあるいは内閣勧告できる、こういう筋道なんですね。つまりこれは、公務員法上の人事院勧告権なる固有権利を、固有権限をここで明確にした。事、寒冷地手当であってもそういう筋道のものである、こういうことになる。  そこで、奥野さんお見えになりましたから、文部大臣に承りたいのでありますが、つまり国家公務員寒冷地手当に関する法律などにおいても、そこらの問題があって、三十五年改正でわざわざ人事院公務員法に基づく固有権限をここで明らかにした、こういう筋道なんですね。つまり人事院公務員給与に対する勧告権というものは、人事院公務員法ができたときのいきさつなど踏まえて、私はできるときからタッチしておりますけれども行政調査部ができて、いろいろマッカーサー時代にやったときもそうなんですけれども、浅井さんを人事院総裁にするときもそうなんですが、勧告権というものはアメリカンシステムでしたから、きわめてこれは基本的な公務員給与に対する人事院権限として生まれている。それだけの制度がここにできている。それは世の中の公務員労働者の諸君などは、人事院体制打破などということを言うけれども法律のたてまえ、制度論からすると、尊厳おかすべからざるものなんです。  ところがどうも、私は新聞で見る限り、このたび教職員に関する、特にそれが小中学校に限られておるようでありますけれども、何かどうも人事院勧告権というものを基本的に踏まえておられない方々の議論ではないかという気がするのであります。どうも新聞で見る限りは、国家公務員の中の学校先生方小中学校方々三千人ぐらいしかおられないと思うのでありますが、この方々に対して、どうも一般公務員給与水準に比較して優遇しなければならぬということで、人事院が「必要な勧告を行なわなければならない」という、そういう法案まとまり方になっているように新聞で見る。この内閣委員会というのは、人事院所管委員会でございますから、勧告権というものをきわめて重視する委員会でございます。一体何で人事院に「必要な勧告を行なわなければならない」と義務づける法律を出す気になったのか、さっぱりわけがわからぬわけです。これは現在の公務員法その他を踏まえてみて、こんなふざけた話があるか。ことばは悪いですけれども、人をばかにしなさんなという気がするわけですが、そこの関係はどう割り切ればいいのですか、教えていただきたいわけです。
  6. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 人事院が自主的な公務員給与勧告についての権限をお持ちになっている、これを尊厳なものと理解してかかるべきだという大出さんのお考え、私も同感でございます。同時に、国として大きな基本政策を打ち出していく、その基本政策を踏まえて、人事院勧告権限を行使していただく、これも必ずしも矛盾していることではない、両立することではなかろうか、こういう考え方を持っているわけです。
  7. 大出俊

    大出委員 一〇%なら一〇%というワクをきめて、しかもそのワクの中で人事院勧告を義務づける法律をつくる。つまり勧告を義務づける法律だけでも問題がある。つまり、昭和二十三年以降今日に至る、公務員法成立以来今日に至る長い日本の公務員給与という一つ制度的なものを根本的にくずす、そういう結果になる。にもかかわらず、そこに今度は予算的にワクをきめて、百三十五億なら百三十五億というワクをきめて、一〇%なら一〇%というワクをきめて、そこで勧告をしろ、これは本末転倒もはなはだしいわけで、こういうばかなことをぼくら認めるわけにはいかぬ。したがって、一体なぜワクをきめて勧告をすることが公務員法との関係で両立をするのですか。
  8. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 人事院勧告期待して、従来からある程度の予算額を計上してまいっているわけでございます。八月に勧告をしていただく、それにつきましては、ある程度の予算を先がけて計上しておるわけでございますが、同じような意味におきまして、教員給与につきましても優遇措置を講じたい、基本的な政策を踏まえまして予算にも計上しておるわけでございます。その勧告を求めるにつきましては、あとう限り人事院の自主的な勧告権をそこなわないようにしたいという配慮のもとに、法案の上におきましては、御指摘のような一〇%というような表現もことさらに避けてまいってきているわけでございます。そのような法案の立て方は、いまお話しになりましたお考え方を、私たち自身も持って規定したからでございます。
  9. 大出俊

    大出委員 そうなっていないんじゃないですか。いま、自主的な勧告権を尊重するたてまえでとおっしゃるけれども、本来、公務員法に基づけば自主的な勧告権がある。だから、いま文部大臣のお話は、自主的な勧告権を尊重するたてまえでとおっしゃる。じゃ、何で一体第四条なんというところに——これはまだ審議に入っていないわけですから、そこまで触れる気はありません。ありませんけれども、この法案所管文教委員会にいくんだとしても、この委員会との合同審査は必要だと思っておりますが、ただ、いまの人事院勧告権が自主的な勧告権である、だから自主的な勧告権を尊重するたてまえでお考えになったというなら、何で一体四条で、「人事院は、国会及び内閣に対し、国家公務員である前条の教育職員給与について、同条の趣旨にのっとり、必要な勧告を行なわなければならない」という、こういう規定をおつくりになるのですか。この法律が通る限りは自主的じゃない。この法律に基づいて人事院勧告しなければならない義務を負う。一つも自主的じゃない。義務づけるのでしょう。これは全くいまの話と違うじゃないですか。
  10. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 当初にも申し上げましたように、国が大きな基本政策を打ち出す、それを人事院にも尊重してもらう、それは私は、人事院が自主的な勧告権をお持ちになることと矛盾しないと、こうお答えしましたのに対しまして、予算で一〇%を計上して、それを人事院勧告に義務づけているじゃないかとおっしゃいましたから、そこになりますと、一〇%を押しつけるというような法律ていさいをとらなかったのも、人事院勧告権を尊重するたてまえで法律を書いたからですと、こうお答えをしているわけです。国が基本的な政策を打ち出しまして、人事院にその尊重を求める、これは必ずしも人事院の自主的な勧告権を無視してかかるという性質ものじゃございませんでしょう、こう申し上げているわけでございます。その範囲においてこの法律だけ規定するという態度を貫いてまいった、かように答えているわけでございます。
  11. 大出俊

    大出委員 もう一点聞きますが、国家公務員法のたてまえからいいますと、公務員法上、まず第二章の中央人事行政機関、ここに人事院がございます。この中で「人事院は、法律の定めるところに従い、給与その他の勤務条件改善及び人事行政改善に関する勧告」、これをやる権限がここに明確になっている。そうして公務員給与というものは、六十四条で「俸給表は、生計費、民間における賃金その他人事院の決定する適当な事情を考慮して定められ」、つまりこれしかない。その前に六十三条、給与準則がございます。「職員給与は、法律により定められる給与準則に基いてなされ、これに基かずには、いかなる金銭又は有価物も支給せられることはできない」、給与準則に基づかざる給与は払えないようになっている。ところが、ここで言っている法律四条というのは、人事院が自主的に調査して、自主的に官民比較をして、これは人事院の方式だけれども、この給与準則に基づいて俸給表をつくる。すべて人事院勧告権です。全くもって固有権利です。ところが、それをやらなければならないと義務づけるというようなことはどうですか。
  12. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 いまお述べになりましたような法律の根拠に合わせまして、今度つくろうといたします法律、これもわきまえて人事院勧告権限を行使していただく、こういうたてまえを申しておるわけであります。その場合におきましても、あとう限り、人事院がお持ちになっております自主的勧告権、それをそこなわないようにつとめていきたい、そういう規定のしかたに配慮いたした、こう申し上げているわけであります。
  13. 大出俊

    大出委員 そうすると、私は誤解のないように申し上げておきますが、教職員皆さん方給与が上がることに反対しているわけじゃない。これは人事院が御検討なさって——人事院ができてずいぶん長い、二十五年になるのですから、この間、常時いまの研究をしているはずである。もしこんな義務づけをしなければならぬというなら、人事院の怠慢で、学校教職員なんかどうでもいいということでやっていることになる。そうでない、実際は研究してきていらっしゃる。そうだとすれば、なぜ一体ここで、一般公務員に比べて教職員は高いんですよ、そういう勧告をしなければならないのか。端的に言って、これはよけいあげなさいということを義務づけるんだ。そうなると、人事院自主性というのはないじゃないか、あなたはいくら口の先で言ったって法律上は。教職員一般公務員よりは高いんですよ、高い勧告をしなさいということでしょう。義務づけたのでしょう。人事院自主性というのはどうなっているのですか。
  14. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 国としての大きな政策、これを踏まえての人事院自主性でありますから、大きな政策に背馳しない範囲に自主的に勧告権を行使していただく、こういう期待を持っておるわけでございます。また、人事院がかりに教職員に対しまして高い給与水準を維持していこうとする場合にも、やはり国としての意思が明確に出てきたほうがやってもらいやすいのじゃないか、こういう期待を持ちながこういう立法措置に踏み切らさせていただいているわけでございます。
  15. 大出俊

    大出委員 それならそれで四条のこんな書き方はおかしいじゃないですか、こういう義務づけ方は。国の政策としてはこういう方向考えたというのなら、その考え方は、人事院というのは国の機関なんですから、何も法律で義務づけなくたって、人事院自主性範囲内でそういう方向をとるということはできる。予算ワクをきめて、百三十五億円だ。ここでは、一般公務員よりも教職員が高いんですよということをまず明らかにして、「勧告を行なわなければならない」。それならば、皆さん恣意——皆さんといって、私どもが参画しているのじゃないのだから、与党方々恣意で、高い勧告人事院に義務づける、そんなことができるのなら、人事院存在価値はないじゃないですか。では今度は、警察官少し上げましょうというので予算を組んでおいてやればできるんだし、何だってできる。今度は下げるときだって、これは少し高いから下げろといって予算を減らしておいて、下げる勧告をさせられる。  これは、いま出てきた単なる一つの例だけれども、こんなことを次々にやってごらんなさい。そうなれば、人事院なんというものは、政党政治の、つまり政府与党政策によって、いかようにでもそれに合わした勧告をしなければならないことになる。どうも少し公務員給与は高過ぎる、一〇%ぐらい下げなさい、大きな国の政策できめた——いま、大蔵省に聞きますけれども、五%くらい予算ベース改定を予測して総則に組んでいる、それを今度は一切やめなさい、一〇%下げる、こういうふうに国がきめておいて、与党文教部会のみならず、各部会できめておいて、予算を減らしておいて、人事院勧告しなさい、同じことですよ。逆に言えばそういうことでしょう。何だってできる。国の大きな政策がそうなれば、人事院はそれに応じて勧告しなければならないということになれば、公務員給与を下げることだって簡単じゃないですか。
  16. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 予算に計上して、それに従って人事院が必要な勧告がとれる、そのとおりだと思うのでございます。そのとおりでございますが、将来にわたって、教職員につきまして、一般公務員給与水準に比較して必要な優遇措置を続けていきたい、将来にわたる国の基本的な考え方を明確にして、将来にわたってこのようなことを踏まえて人事院勧告してもらいたい、こういう期待を持った法律でございますので、予算をつくった、それだけで済むんじゃないかということとはちょっと違った恒久的なあり方を考えておるわけでございまして、そういう意味であえて立法措置をとったわけでございます。しかし、その場合におきましても、たとえば初任給をどうするか、あるいは十年たった人についてどうする、あるいは他の公務員とのつり合いをどう考えていく、そういうことにつきましては一切法律で規制を加えませんで、人事院の自主的な判断にゆだねたい、こういう立法ていさい考えているわけでございます。
  17. 大出俊

    大出委員 そうなっていない。だが、それはあとに申し上げますが、いまの問題で総裁に聞いてもらいたいのですが、いま文部大臣いわく、国の大きな政策がある、国の大きな政策教職員給与を上げることになった、本年度の勧告でそれを期待するがゆえに予算措置をその分した、だから勧告を義務づけた。逆に私のほうからいま質問して、それならば、公務員給与が少し高いじゃないか、下げろというんで予算をそれだけ減らした、国の大きな政策で下げることをきめた、きめながら人事院勧告を義務づけた、そうなったらどうなんです。それは同じことだ。そうなる。そういうことになるのだとすれば、人事院制度というものはないほうがいい。総裁、どうお考えですか。
  18. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 いまおことばの基礎になっているお気持ちは非常にありがたいお気持ちだと承りながらお答えするわけでございますが、いまの問題は、少しよけいなことばになるかもしれませんけれども、二段階に分けて考えたほうがよかろうという気持ちを持ちます。  大きな国の政策、たまたまそういうことばが出てきましたから、そういう国の政策というものは、要するに国権最高機関で当然きまるべきものだということが出てくる。今回の具体的の措置の案は、別段閣議決定などのようなところでおきめになったということよりも、むしろ法案の形をとって、それで国権最高機関の最終の、最高意思決定を仰ごうということですから、その限りにおいては、われわれ何をかいわんやということです。  ところで、その国権最高機関法律を成立させられた、法律がここで可決されて成立したという段をまず先に考えますと、わがほうは、やはり国権最高機関のもとにあり、法律のもとにある立場でございますから、たとえば給与法と同じように、あるいはかりに給与法の特例を法律でおつくりになるものを、われわれとしては何ともいえない、それに従うのみであるということになるわけです。  ところが、その法案が上程されるプロセスにおいて、われわれとしては、先ほど来おことばにありましたように、ある意味独立性を持っておる、第三者機関としての立場を持っておりますから、これに対してはもちろん批判的の立場から見なければならぬ。また発言すべき場合には強く発言すべき場合もあるだろう。たまたまいま例にお出しになりましたように、低賃金政策の先ばしりとして公務員給与をまず低目にやろうじゃないかとかりに考え方が動いておれば、われわれとしてはまた別の考え方があり得るわけですから、そのときにはまた強くわれわれの意見を表明して、あるいは国会に出て、この場でまたわれわれの立場を御説明申し上げるという機会もあろうと思います。  ただ、いま問題になっております教員給与の問題で、たまたまというわけじゃなしに、いまちょっとおことばにもありましたように、私どもも実際はかねがね願ってきておるところであって、おととしでしたか、例の教職調整額のときも、文教委員会などではちょっと言い過ぎたかなと思うぐらいに相当大ぶろしきをわれわれ広げてきたわけです。したがいまして、教員給与をよくすべきだ、これでもまだ足りないという気持ちは従来から持ち続けてきておったわけです。  そこで、今度何もかもざっくばらんに申しますけれども相当のお金が——私は冗談まじりにガソリンの特配と申しておりますが、そういうことがどこからかの御尽力によってとにかく予算に入ってきておるということになれば、これはいままでのわれわれの立場から言うと、まことにありがたいことだという気持ちを持つのも当然であります。したがいまして、このプロセスにおいては、文部大臣からも正式にこの法案について人事院意見を聞いてこられました。これは政府案として出される以上は当然のことでございます。これは基本的にはわれわれは異存はないということできておるのは、従来からの考え方があるからということであるわけでございます。その限りにおいては、プロセスにおいても問題はあまりなかったわけです。  ただ、たまたま、おっしゃいましたように、「しなければならない」とかなんとかという形で、これはいろいろな表現方法はありましょうけれども、しかし、でき上がった法律となれば、これはたとえば職階制に関する法律なんかは、ばかに窮屈に「しなければならない」ということが各条文に出ておることでございまして、国権最高機関がさようにおきめになるならば、もちろんわれわれもそのとおりに従わなければならないという立場におるので、申し落としたことがあるかもしれませんけれども、またあとで御追及があると思いますから、一応基本的なことをお答えしておきます。
  19. 大出俊

    大出委員 だから私も、この法案がどこの委員会に付託になるのかわかりません。私ども内閣部会などでも、教員出身の議員の方々が、事この法案文教に持っていく筋合いでない、内閣委員会に持ち込むべきである。なぜならば、公務員法に基づく公務員給与一つ制度的な体系ができている、それを全くこわしてしまうと言い切らぬまでも、著しく阻害をすることになる。たまたま、いま文部大臣の答えに出てまいりましたように、それなら国の、つまり最高政策として、政党政治でございますから、政府与党が話し合って、下げようじゃないかといった場合に、そのことを義務づければ、これまた義務づけられる筋合いです。それが国会で通るか通らぬか、この法律と同じで、これはわかりません。わかりませんが、そういう手続はとれる。それがまかり通ることに結果的になるんだとするならば、人事院は公平な第三者機関ではないじゃないか。時の政府最高政策に基づいて、政府与党最高政策に基づいて常に左右される。法律でぴしゃっと縛る、あるいは縛らぬにしても、ある程度それができることになる。そうだとすると、人事院制度打破というのは本格的に出てきますよ。それはストライキ権をくださいよ、こうなってくる。だから、これはストライキ権でもそれじゃ差し上げましょうという、時の政府最高決定でそういう法律がついているならいい。それなら給与というものは明確な力関係できめていけばいい。公務員といえども二十日でも一カ月でもストライキをぶっぱなせばいい。だがそうではない。今日ストライキ権を禁止している。  ILOだって代償機関としての人事院存在を認めておる。公平な全くの第三者機関給与決定機関、全くの第三者でなければならぬ、こういうことをILO——ぼくは長いから、私が首になってILOに提訴したのが出発ですから、だからその点は私も何べんも通って知り過ぎていますが、だから、ストライキ権か、しからずんば代償機関ということを日本政府は言っている、明確な政府の手の届かない第三者機関でございますからということで。だから、片やストライキ権を制限しておりますけれども代償機関がございますからILO条約違反でない、こう日本政府は答えている。そうすると、代償機関、全くの第三者機関であるべき人事院権限を、別なところから政策意図があって、政府与党が話し合って予算をかってに組んでおいて、ワクはつくっておいて、一般公務員よりも教職員はよけい上げるんですよと人事院勧告しなければならぬ、こういうふうに押しつけることが簡単にできるというなら、これは国際労働基準に照らしてみても、そんなばかげた第三者機関というものは存在しない。ストライキ権に対する代償機関ではない。だから、下げる場合もそうなんだという大臣の答弁が出てくるなら、これは代償機関じゃないのですから、明確にこれはストライキ権が認められるもの、こうなりますよ。
  20. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 先ほどもお答えをいたしましたように、人事院についての基本的な考え方は、大出さんと私の間に変わりないように思うのでございます。そのことを踏まえて、同時に国として基本的な政策を打ち立てる、矛盾しないように持っていきたい、そういうことを考えながらこの法律案を制定したのでございます、こう申し上げているわけでございます。
  21. 大出俊

    大出委員 それならば、ここに妙な、四条のような義務づけ、「必要な勧告を行なわなければならない」なんというものは、これは公務員法じゃないのですから、公務員給与決定の一つ制度じゃないのですから、あらためて特別に出してきたんだから、だとすれば、これは人事院が、そういうことでつとめなければならぬとか、つとめるべきだとか、人事院固有勧告権というものを尊重するたてまえならば、この表現はいずれにしても穏当じゃないですよ。これはお考えおきいただきたい。審議が始まっている前ですから、基本的な問題に触れてものを言っているのですけれども。  そこで、大蔵省皆さんに承っておきたいのですが、一体、四十八年度予算に占める公務員給与改定を予測した予算というものはどのくらい計算されておるのですか。
  22. 吉瀬維哉

    ○吉瀬政府委員 全体の五%相当分につきましてはいますぐ申し上げますけれども、義務教の職員に対しましては百三十六億が計上されております。
  23. 大出俊

    大出委員 そうしますと、百三十六億を除きますと五%ということでよろしゅうございますか。
  24. 吉瀬維哉

    ○吉瀬政府委員 さようでございます。
  25. 大出俊

    大出委員 そこで、このたびの百三十六億というのは、教職員、これは小中学校でありますな。小中ということで一体何%ぐらいに当たるのですか。
  26. 吉瀬維哉

    ○吉瀬政府委員 現在の給与額に対しまして一〇%に当たります。
  27. 大出俊

    大出委員 そうしますと、人事院小中学校先生方の給料を一〇%上げろと勧告した場合に、百三十六億で足りますか。
  28. 吉瀬維哉

    ○吉瀬政府委員 一〇%の勧告があった場合には百三十六億で足りると考えております。
  29. 大出俊

    大出委員 もう一つ承りますが、この給与勧告は本年度予定されていると申しますか、これはわかりませんが、ここも人事院固有権限ですから本来わからないのですが、官民比較やってみて、上げないでいいというなら上げないのでしょう。その場合でも人事院は上げるのですか、本年度は教職員の場合は、官民比較をやってみて上げないでいいという場合でも。これはちゃんと書いてあるんですからね、この法律案に。これは妙なことになりますがね。これは、「俸給表は、生計費、民間における賃金その他人事院の決定する適当な事情を考慮して定められ」、こうなっている。そうでしょう。官民比較をおやりになるのでしょう。官民比較をやってみたら、これは円切り上げもこれあり、上げなくていいということにかりになったとする。そんなことはないと思うのだけれども、仮定の話だけれども、なったとすると、それでも、何でもかんでも上げろと、こうなるのですか。いかがですか、そこのところは。
  30. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 一般給与勧告の問題としてこれを考えれば、上げなくてもいいというようなことはたいへんなことでして、われわれはおそらくいい数字が出るだろうと期待をしているわけです。  ただ、それは別として、学校先生方については、かねがねわれわれとしては力を入れてまいりました。これは私立学校の先生と国立の先生と比べてみれば、こっちのほうはもともと高いのです。にもかかわらず相当苦労してさらに高くしてまいったという努力の実績もあるわけです。ですから、学校の先生そのものに限って見ますと、必ずしも官民比較を現実には厳重には守っていなかった。むしろよくしておった。これは看護婦さんも同じです。そういう面がありますということをつけ加えておきます。
  31. 大出俊

    大出委員 よくしてきたものを、これまた別ワクで上げよ、こういうようなことを強制しようというわけですね、この法律は。そこで、私もわからぬわけじゃないんで、たとえば学校先生方は師範学校をほとんどお出になっておる、小中学校の方は。そうすると、師範学校をお出になった方が、いま国家公務員の平均でいけばおおむね四十歳です。三十九歳を越しちゃった。この平均年齢前後のところ、四十歳前後のところを見た場合、みじめな四十歳ということで、学校の先生がそこに集中的においでになる。教頭へ抜けていくとか、校長に抜けていくとかいうことは、数に限りある中からわずか一握りの人しかいない。そうすると、どうしても五等級なら五等級に集中的に集まっちゃう。ところが、一般公務員のほうをながめた場合に、おおむね四十歳前後までまいりますと、四等級に入っていっている人もかなりいるというような意味で、そういういまの俸給体系のあり方から見て、これは人事院いつもいろいろな理屈をくっつけますけれども、ほんとうなら、もっとまん中の職員分布の非常に高いところをもっと手直しをしていかなければならぬという持論を持っている。生活がかかっている。子供がふえていく、学校に行くのですから。ところが、そこにこの金をくっつければ予算額の規模が大きくなるというので、中だるみというものが長年続く、平たく言えば。これは間違いです。これはさいふの口を握っている大蔵省が最もよくないと私は思っている。そこのところはまことによくないので、そこで、その辺の矛盾を片づけようという考え方ならば、これはわからぬことはないですよ。われわれはここで教職特別手当に触れたくはないけれども、何とかそこのところを考えようというならば、これは話はわかる。そのかわり公務員皆さんの中で、教職をやればほかのほうの公務員方々もそうしなければならぬという理屈が出てくる、あたりまえのことだ。そういう上げ方なら話はわかる。  わかるのだが、さてここで承りたいのは、まず一点はいまの点なんです。つまりそういう考え方なのかという点が一つ。そうじゃない、これはうしろのほうを見ますと「計画的に」云々と、こうなっているんですね。附則なんかにこう書いてある。附則の2のところに「国は、第三条に定める教育職員給与優遇措置について、計画的にその実現に努めるものとする」。「計画的に」とある。それならばこれは何の計画だ。そのあとに「人事院は、国会及び内閣に対し、国家公務員である第三条の教育職員について、遅くとも昭和四十九年一月一日から同条に定める優遇措置の計画的実現のための給与改善が行なわれるように必要な勧告をしなければならない」。これまた「しなければならない」と出ている。計画的にやらなければならぬことを義務づける。  仄聞するところ、新聞の書くところによると、三年くらいの計画でやっていこうという。そうすると、本年はよしんば一〇%の教職員勧告が出た場合に、いまの予算措置でやれるかもしれない。だがしかし、来年はどうするんだということになる。再来年はどうするんだということになる。一般公務員に比べて本年まず初年度計画で一〇%上げる、来年も一〇%上げる、あるいは再来年において五%上げる、なら二五%になる。そうすると、そういう措置をほんとうに本気で予算関係も含めておとりになる気があるか、つまり「計画的に」というのは一体何だということになる。しかもこれは主語は「国」なんです。「国は」という法律を通してしまえば、文部省も、人事院も国ですよ。大蔵省も国ですから、「国は、計画的に」、じゃ何の計画なんだ。  そうすると、本年度は、さっき申し上げた第一の質問の悲しき四十歳、ミゼラブルな四十歳、そこのところをミゼラブルだからというので調整をする、そういう趣旨の手直しはできるかもしれぬ。それがならして一〇%ぐらいになるかもしれない。もっともいまだって一・何%ずつ勧告のたびに教職員についてやってきている。それを総裁は、官民比較の面では優遇され過ぎていると言っているのですが、その何年分かをここで一緒にやろうということになるとすると、そこまでの責任をあらかじめお考えの上で「計画的に」と言っておられるのか。人事院基本的に了承するというんだけれども、「計画的に」という、何の計画か知りませんが、そういう計画に乗って、かつ了承するとおっしゃるのかどうか。そうなれば、一般公務員との間の給与の懸隔は二五%からになっていく、これは明確なんです。そこまでいまからお認めになるんだとすれば、ちょっとことしの人事院勧告をめぐって、ただではおけない、人事院制度をやめてもらわなければいかぬ、そう思うが、いかがですか。
  32. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 先ほどお話が出ておりましたように、国の予算には、義務教育職員給与全体として一〇%引き上げに要する財源が組まれておるわけです。その範囲内で人事院勧告を求めておるわけでございまして、内容につきましては、人事院勧告を受けまして、それに基づいてあらためて立法措置をいたしたい、かように考えておるわけでございます。  なお、「計画的に」と書いておりますのは、総体として一〇%の財源措置をしておるわけでございますけれども、これは初年度としてしておるのであって、引き続いて引き上げをはかっていきたいという気持ちでございます。国が計画的に実現につとめる場合に、どのような形があるかといいますと、予算計上も一つかと思います。立法一つかと思います。今後このような考え方のもとに話し合いを進めていきたいという考え方でございます。
  33. 大出俊

    大出委員 そうしますと、ことしは一〇%だが、来年、再来年というようなぐあいに計画的にさらに一〇%、さらに一〇%というようなことで積み上げたい、こういう意思だということですな。
  34. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 そのとおりでございます。率の問題は別でございますけれども考え方、方法はそういう気持ちでございます。
  35. 大出俊

    大出委員 そうすると、ここでいう「計画的に」というのは、そういう計画だというわけですな。  そうすると、総裁に承りたいのですが、公務員給与には一つの理論がありますよ。教職員給与は間違いなく給与諸表に入っている。これを取っぱずすというなら別ですよ。はずすのじゃなくて、別ワクじゃなくて、つまり給与諸表の中に入れているんだとすれば、ここで、本年一〇%はともかく、あとから申し上げますが、来年も一〇%、あるいは再来年も、多少比率は違うかもわからぬけれどもというところが、「計画的に」というここに書いてあるこの中身であるとすると、そこまで含めて人事院基本的に御賛成なんですか。
  36. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 先ほど申しましたようなことで、われわれはでき上がりの法律によってわれわれの賃金関係を判定するというのが最終の段階になるわけです。この場合に、この「計画的」というのはどういう意味を持つか、これは法律の中に詳しく書いてあれば別ですけれども、書いてなければ、ただ文字どおりに「計画的に」と、われわれとしては読まざるを得ないということになるであろうと思います。したがいまして、国が計画的にという、いまおっしゃるようなことになっておれば、われわれも国の機関でございますから、その計画には一口また乗せていただきたい、発言権は持ちたいというだけのことなんで、いま法律ができる前の段階において、「計画的に」というのはどういう意味かと言われれば、われわれはそういう気持ちで読んでおりますと申し上げるほかはありません。
  37. 大出俊

    大出委員 だが、総裁、それはおかしくはないですか。あなたは先ほど、文部大臣のほうから人事院意見をお求めになったと言う。法律ができたのはいつだか忘れましたが、二月十七日に文部省は人事院意見を求めているはずだ。そうでしょう。そうすると、それについて、基本的に賛成だという意思表示を人事院がされた。根本の趣旨に賛成だという意思表示を、さっきの御答弁のように、人事院がされたとすれば、根本についての賛成の意思表示をなさるについては、「計画的」という中身がわからぬままに——「計画的に」は根本に触れるんですよ。いま文部大臣が言うような意思だとすれば、この法律が通れば、附則で義務を負うのは国なんですから。人事院も国ですよ。人事院を含めて国の責任が明らかになる。そうでしょう。人事院はこの計画に基づいてやっていかなければならないと附則で義務づけされている。そうならば、当然その「計画的に」とは何だ、どういう計画なんだということを明らかにされて、そこで、根本的に賛成なのか反対なのかを表明しなければならぬ。そうでしょう。  いまあなたは、「計画的に」とは何の計画かさっぱりわからないが、「計画的に」と書いてあるからそう読んでおいたんだと言う。そんな無責任な話はないじゃないですか。いま文部大臣は、「計画的に」とは何だと言ったら、来年一〇%、再来年一〇%になるかもしらぬ、その比率のことはしかとそうなるかどうかわからぬが、つまり、そういうふうなものの考え方が「計画的に」という考え方なんだ、こう言われている。そうだとすれば、人事院意見を求められた段階で、「計画的に」とは何だ、「計画的に」というのはこういうことなんだ、それを踏まえて意思表示をしないという手はないでしょう。わからぬままに基本的に意思表示ができますか。根本の趣旨について賛成だというなら。いまの、毎年上がっていくんだということは、根本的な問題ですよ。一般公務員給与の公平の原則、均衡の原則があるんだ。これは、長年の給与の論争の中でも、基本的な給料の中に、公務員である限りは均衡を求める、そういう原則があるでしょう。そうだとすれば、その均衡を著しく破って、来年も再来年もという、そういう計画だというのは明らかなのに、その計画は、何かわからぬが、書いてあるから読んだだけだ、基本的には賛成の意思表示をした、そんな無責任な話がありますか。そこのところをちょっと……。
  38. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 文部大臣に対する意見を披露してもいいと思いますけれども、一部、正確には判断しがたいところがあるがと、こういうことばをちゃんと上につけておるわけです。その判断に立つ限り、いまお尋ねの「計画的」というのは、先ほど申しましたことをもう一度繰り返すことになりますけれども、いま文部大臣が言われたように、来年は一〇%、再来年はまた一〇%というようなことは、法律に書いてあれば、そういう形で法律ができれば、これはわれわれは拘束されるのです。しかしこれは、原案においては「計画的」ということばしかないので、かりにこのままの形で法案が成立すれば、われわれはわれわれとして独自の解釈権を持っておりますから、われわれも国の機関としてこの計画には参画でき、有力なる意見を開陳する権限を持っているんだ、そのときは大いにがんばればいいじゃないかという気持ちでこれを読んでおりますよということを申し上げておるのです。
  39. 大出俊

    大出委員 それは総裁、あなた、文部大臣に対する意見をここで開陳してもいいがというようなことをおっしゃいましたがね。「計画的に」というのは、中身は知らなくはないが、これはいわく言いがたいということなんでしょうけれども、そんないいかげんなことじゃ困るじゃないですか。一般公務員のほかの方々にしてごらんなさい。ただでは済みませんよ。総裁が根本的に賛成だと言っちゃったんだから、この法律が通るとすれば、来年も再来年もそうなっていくに違いない、そう思うのはあたりまえじゃないですか。そうだとすれば、では、わしらのほうはどうしてくれるんだということになる。そうでしょう。そこのところを、あなた、それは「計画的に」と書いてあるから、計画的にと受け取っておきましたなんて、しらばっくれなさるな。そんなの、衛生上よくないですよ。  もう一つ、これは文部大臣に念のために承っておきますが、あなたは学校先生方所管されるわけで、先生方給与の矛盾も、ぼくも給与をやっておるから知らないわけじゃない、さっき例に引いたとおり。だから、そこが調整されても、それは悪いと思っていない。だがしかし、事、問題になるのは、「義務教育諸学校教育職員給与については、一般公務員給与水準に比較して必要な優遇措置が講じられなければならない」。そうすると、一般公務員給与水準、これは教職を除く一般ですが、本来それよりも教職員給与は高いものであるという哲学的なものがここにはなければならぬ。そうでしょう。そうでなければおかしいじゃないですか。それはそうお考えなんですか。  私は、沖繩の皆さんが本土復帰するときに、ここに上原さんおいでになるけれども、琉大その他の病院を含めて、お医者さんの給料の高さに非常に驚いたんです。実際に計算してみてびっくりした。これだけ高い方々を本土並みに合わせるということは、どうあがいてもしょせん不可能だという気にぼくはなった。つまり、国家公務員のお医者さんの給料というものは、その意味では日本の場合は欧州、アメリカ等に比べて低過ぎる。そうなると、一般公務員ということになると、給与諸表に医療三表もございますが、そうした方々よりも教職員は高いんだということになる、この法律条文は。そんなことを言ったらおこりますよ、お医者さんや看護婦さんは一ぱいいるんだから。警察官だって、消防署員だって、税務署の職員だっているんだから。それは実際に職員といったって、揺籃から墓場までじゃないですが、出生届けを出すところから墓場の人までいるんだから。そうでしょう。そういう広範な一般公務員をとらえて、おまえさんたちよりもわれわれの所管をしている学校の先生のほうが高いんですよということをあなたが言ってしまっては、これはおさまりがつきやしないじゃありませんか。との法律は実際そうお考えですか。
  40. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 教育の基本は教師にあると考えていますし、したがってまた、資質のすぐれた方方に教員になっていただかなければならない。教育界に人材を導入するためには、やはり教員給与を引き上げる、そのことが人材を確保する道だというようなことで、一般公務員よりも優遇されなければならないという規定を置いているわけでございます。第一条にその意味の目的を掲げさせていただいたつもりでございます。
  41. 大出俊

    大出委員 これは奥野さん、文部大臣おやりになるのは初めてだからですけれども、そうなると、今度は農林省から企画庁からみんな来ていただきまして、大臣に、あなたのところは人材が集まりますか、いや、人材がもっとほしいのです、農林省職員の人材確保法案というのを出しなさい。お医者さんのほうには、厚生大臣に、医療機関職員の人材確保法案を出しなさい。これは警察から消防からみんな含めて、片っ端から人材確保法案を出せばいいのです。そうでしょう。まして数年前から公務員試験を受けるのが減ってきて困ったなんて、給与を上げないと公務員に人材が集まらぬといって嘆かれた総裁がちゃんとそこにいる。そうでしょう。ところが、学校先生方は人材確保法案だというんだから、お医者さん、先生方みんな人材確保法案を出す。全部給与が上がればみんな一番いいんだ。そうなれば円切りだ何だ言われなくて済むかもしれない。日本の公務員給与は高くなる。公務員主導型で民間の給与も高くなる、それはかまわない。かまわないのだが、現在のこの時点でこういうふざけた、何ですか、義務教育諸学校教育職員の人材確保に関する特別措置法案なんて麗々とこういううたい方までして、いま私が幾つか申し上げたようなことまでなさるとすれば、これはまさに人事院がこの際今日まで押えてきた公務員の諸制度というものを根本的にくずすことになる。この中身というものはそういう筋合いのものですよ。  そこで大蔵省一つ聞いておきたいのですが、そういう形の、つまり計画的な予算のつけ方、これは大蔵省だって国なんだから、責任を負わなければいかぬのだ。そこまで初めから予測しておられるわけですか。そうしてこのたび予算官庁として御賛同になるのですか。いかがですか。
  42. 吉瀬維哉

    ○吉瀬政府委員 先ほど来、総裁、大臣の御答弁申し上げておるとおり、この「計画的」という考え方でございますが、私どもとしましては、第三条の「優遇措置」という基本方針をきめまして、この「優遇措置」の内容につきましては人事院勧告に待つということでございます。人事院勧告の内容いかんによりましてそれがどういうぐあいに進展するかというのは、あとの判断でございます。「計画」という文字の読み方でございますが、これは別に、年次を追う計画とか、何年間にわたるというような具体的な内容は確定しておりませんが、しかし第三条の「優遇措置」を慎重にかつ計画的に運ぶという考え方には賛成しているわけでございます。
  43. 大出俊

    大出委員 そうすると、「計画的」という中身はわからぬけれども、「計画的に」というのは、人事院大蔵省も実はわかっていながら、しらばっくれたというわけですか。
  44. 吉瀬維哉

    ○吉瀬政府委員 「計画的」という解釈でございますが、まさに大出委員のおっしゃるとおり、計画というものが年次をわたるとか、あるいはそういうぐあいに解する解釈も一般的じゃなかろうかと思いますが、私どもはまさに四十八年度の人事院勧告の内容を待って判断したいということでございます。
  45. 大出俊

    大出委員 人事院にもう一ぺん聞きたいのですが、総裁、さっき申し上げたように、いまの大臣答弁で、一〇%から二〇%、あるいは二十何%とへ先々上がっていく目に見えている計画である。いままで御存じなかったようだけれども、さっきのお話では。しかし、ここで大臣がお答えになったわけだから、いまわかったわけだから、わかった上に立ってどうですか。教職員は、これから二、三年で、しかも人事院勧告を義務づけられているわけだから。「計画的に」というのは、国が計画的にやらなければならぬことを義務づけられているわけです。だから文部大臣のお話によれば、この法案が通るとすれば、人事院はこれから最高意思決定をするんだそうですから、そうすると、「計画的に」というのは、一般公務員に比べて格差が二五%か三〇%かになる。そのことについてどうお考えになりますか。当然だとお考えですか。
  46. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 それを先ほどお答えしたわけでありまして、この法律ができたらわれわれがそのときに考えることである。あるいは今度の一月一日ですか、何とかからのというのがここに書いてあります。それをひとつやってみて、それから先の問題になるかもしれない、これは何もいま思い詰めて先々まで考える必要はないと、私どもは非常に大きく考えておるわけであります。
  47. 大出俊

    大出委員 総裁、しらばっくれちゃだめですよ。この法律が通ったらとおっしゃるが、この法律と切り離してけっこうだからお答えください。教職員給与が、他の公務員に比較して人材確保が困難だという理由のもとに、一〇%今回ふえるとすれば、他に比較して高くなる。さらにそれがもう一〇%ふえる。上がったものと比較してふえるのですから、いまの一〇%じゃありませんからね。それがさらに三年目になってふえるというふうにふえていくことを想定した場合に、他の公務員との給与の均衡という面ではどうお考えになりますか。
  48. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 他の公務員との均衡の面は、これはまた別のわれわれのほうの受け持ちの問題でございますから、それはそれとしてもちろん考えますけれども、いまお尋ねの点は計画ということをめぐってのお尋ねでございましたから、先ほどのようにお答えしたわけであります。
  49. 大出俊

    大出委員 だからその「計画的に」と切り離してください。一般的に聞きますから。いままで人事院は、人事院所管をする給与諸表の中に、学校の先生、病院のお医者さんからみんな入っている。そうでしょう。それをあなた方は、国家公務員給与の均衡という原則に基づいて所管してこられて、おつくりになってきた長い歴史がある。本年を出発点としてそれが別なワクで一〇%ずつ上がっていくとすると、他の公務員と格差が出てくる。いままでの均衡の原則と比較して、それをどう説明したらいいということになりますか。
  50. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 こういう気持ちで先ほどから申し上げておるわけですが、私ども基本的な考え方は、義務教育等の学校の先生の職務と責任からいうと、もっと上げてあげるべきではないかなということが一番基本だったわけですね。たとえば調整額なんかも、あのときは当時の文部大臣に、これだけ、四%ですか、実質六%の勧告をする用意があるから予算のほうの措置を御準備をお願いしますよ、というようなこともやってきておるわけです。これは何か、そういう点についてはやはり特別の予算措置をやっていただきませんと、一般職のほうの割り前をこっちに持ってきて、どかんとこっちを引き上げるなんということは、われわれとしてはできませんので、そこにはおのずから限界があるというようなこともからまって、今度は、先ほど申しました、ことばは悪いですけれども、ガソリンの特配のようなものであって、われわれの念願しているところがまあこれである程度満足させられるんじゃないかという意味でおるわけなんです。したがいまして、われわれの基本的な立場は、教員方々の職務と責任からいうと、本来もっと上げてよかるべきものだったということで、先ほど触れましたように、おととしの文教委員会などでは、相当大ぶろしきを広げ過ぎたというようなぐらいの発言をしてまいっておるわけであります。
  51. 大出俊

    大出委員 ずばりそのものにお答えにならぬものだから質問が長くなるのですけれども、たとえばことしの一〇%に限ってものを言うならば、処理のしようはあるいはあるだろうと私は思う。それはさっきから申し上げているように、師範学校を出た方々が三十九、四十のところに集中的においでになって、それが五等級のようなかっこうになっておれば、それは一般公務員だって四等級に行っている人はたくさんいるんだから、もうちょっと何とかしなければならぬという理屈はわかる、そういう意味なら。だけれども、そうではなくて、一般論として差があるんですよという前提で、それが本年に限らず「計画的に」だからひっかかるんだけれども所管文部大臣がそう答えているんだから。文部大臣のほうは、それが来年も同じように一〇%、再来年もというふうに計画的にということになる、そう答えている。そこまで想定した場合に、そのことを人事院はお認めになるか。そんなに格差が生じても、これは公平の原則というのが片一方にあるのだけれども、そこのところをどういうふうに総裁はお考えになるか、こう聞いている。ことしだけそういう、いま私が例にあげたようなことで上げたい、それはなぜか。何とかもうちょっと四等級ぐらいまでは行くようにしなければならぬというお考えだというならわかる。それならば、そこから先の、つまり、また一〇%とか、また一〇%とかなんとかいうことになると、それはいささかどうもいかがなものかということになるわけで、そこを聞いているわけです。
  52. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 その先の問題が、先ほど来申し上げておりますように、これからの問題であり、いま具体的にわれわれとして思い詰めたところまで結論を持っていかなければならぬというものでもあるまいという、きわめておおらかな気持ちを持っておるということでございます。
  53. 大出俊

    大出委員 まあ人事院政府機関一つでありますから、おおらかな気持ちだと言って、そこのところはいいかげんにしておかないと困るんだという総裁の腹かもしらぬけれども、それじゃ、いささかもって人事院存在価値が疑わしくなる。  そこで、ことしの勧告、これは、「四十八年度の経済見通しと経済運営の基本的態度」という一月六日の閣議決定などを見ると、個人消費支出の伸び率は一五・二になっておる。去年は一三・八ですよ。そうするとことしは、どうやらそれからいけば、さっき総裁がちょっと触れられたけれども、たいへん高い、いい線をはるかに越えますくらいの勧告が出る筋合いのものです。一二%なんということを口走る人が人事院の中にいましたけれども、それどころじゃない。とにかく個人消費支出の伸び率は昨年の一三・八から本年は一五・二に見ているわけですから、そうなれば当然上がるべきものは上がる。たいへんな人事院勧告が出そうな気がする。そうでなければ人事院勧告の価値がないということになるのです。そうでしょう。その上になおまた一〇%上がるんでしょう、この中身というのは。この義務づけの法律はそういう筋書きのものだという受け取り方じゃないのですか。そこはいかがですか。
  54. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 非常に明るいお話に聞きほれておりまして、大事なところをちょっと聞き漏らしましたが、要するに、教員といえども一般公務員の中において考えるべきだ、これは基本的な立場は当然であります。しかし、従来の考え方から言うと、一般公務員の中における教員給与というようなものは、まだまだ低かったな、もっと上げたいなというような気持ちを持ってきたということで今後の問題に臨んでいくということになろうと思います。
  55. 大出俊

    大出委員 そうじゃなくて、総裁、あなたはガソリンの特配があったというのでょう。そう言ったでしょう。あなた、そういう別ワクの特配でもなければ上げない、だから調整額のときも何%か用意しておけとあなたは言ったというのでしょう。ガソリンは特配だ。特配なんだから特配を除外して毎年一般的にやるのでしょう。個人消費支出の伸びが二二%を越えたとか、一五%になったという場合に、そのほかに特配が一〇%あるのだから、特配は特配なんだから別ワクでしょう。そういう勘定なんでしょうと聞いておるのです。
  56. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 大体そういう勘定になるだろうと思って実は喜んでおるわけです。
  57. 大出俊

    大出委員 これはこうなるとたいへんな事件で、ある意味では、教職員給与を上げてやった場合に、ほかのほうが黙ってはいないのだから。そんなところで、そうだろうなんて話さなくたっていいですよ。こっちに答えて、そっちのほうで本音を吐いちゃだめじゃないですか。総裁も最近は悪ずれしていかぬですな。とうとう本音を吐かれたが、あなたは、特配だから別に引き上げるので喜んでいるのだから。  たいへんに上がるわけですね。いまの総裁の趣旨から言えば、間違いなくたいへん高い勧告になるわけです。そうすると、ほかとの均衡があらためて出てくる。ここだけ聞いておきたいのですが、教職員給与がそれだけ上がった場合に、さっき文部大臣からお話があったが、所管文部大臣としてはいいが、職種が違うけれども、看護婦さんだって、長い懸案ですが、足りなくて困っているでしょう。四ベッド一人だなんて、二十八年にきめた基準でやっているんだから。人の命にかかわるんだから。そうするとまた、国立病院のお医者さんだってそうなんです。それはそれで人材確保困難なんだから。だから、家庭に帰ってしまった看護婦さんまで、年に二千人くらい厚生省は引っぱり出してきて使っているでしょう。まことに人材確保は困難ですよ。だからそうなると、そっちのほうとの均衡というものはどう考えるのか。いまあなたは、ことしの勧告ではいい線にいくでしょう、いい線にいった上に教職員は特配が乗っかるんだからといってちょっと喜んでいるのだと言われたけれども、これは国会でやらなければわかりませんけれども、そうすると、人事院のその思想からすると、他との均衡はどうお考えになるのですか。特配があれば上げたいという気分のところはたくさんあるのです。
  58. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 上げたいというところは、これはきりがないことですが、まずお隣の高等学校の先生が控えていらっしゃる、大学の先生が控えていらっしゃる、研究職の方もある、そういう連鎖反応からいっても何段階か考えられる。それ以外のものについても、これは従来の方式を足場にはしますけれども、やはり考えていかなければならぬところがたくさんあるだろうという前向きの姿勢で考えておるわけであります。ただ、特配の問題は、精密に言うと来年の格差算定の問題かもしれない。しかし、ことしあたりからあらかじめ考えていかなければならないということはあります。正確に言うと、特配の問題がものをいうのは来年のときだろうというような気がいたします。ちょっと正確にはお答えできません。
  59. 大出俊

    大出委員 ちょっと私のほうも正確に申し上げておきたいのですけれども、そうなると、特配があったからプラス一〇%の上に乗っけられるといって、あなたは喜んでおられる。ほかのほうも上げたいなというのがいろいろあるのです。いろいろあるけれども、特配がないからそれは上げないということになっておる。今日まで人事院は、予算というものをにらんででなくて、予算があってもなくても、官民比較で上げるべきものは上げるとこう言ってこられた。今日まで予算にかかわらず上げなければならぬそういう職種がたくさんあるけれども、あなたは予算をにらんでいままで特配がないから上げなかったんだと言う。そういう勧告に対する態度では、これはこの問題一つ間違うと人事院の命取りになりますよ。そういう人事院ならばということになる。そこのところはひとつ十分お気をつけいただきたい。  それから文部大臣、やはりこれは、文部省の立場教職員方々をお考えになるとすれば、いま私が申し上げている一般公務員方々より高いという思想でいかれると、必ず片一方から、学校の先生だけか、おれのほうはじゃどうなんだ、おれのほうは人材確保も要らなければ、給与を上げることも必要ないのか、という職種がたくさんあるという問題になるのです。だからそのときに、あなたが教職員だけを固執するという立場に立たないようにしておいていただきませんと、この問題、簡単に処理ができない、こういうふうに見ますので、これは慎重にひとつ御配慮をいただきたい。
  60. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 公務員全体に人材を確保していきたい、これは当然のことだと思っております。ただ、国の将来にわたる政策考えていきます場合に、国づくりの基本に教育を据えておきたい、これが根本になっていると思うのであります。教育の振興を通じて国民全体のしあわせをさらに一段と増進させていきたい。したがいまして、公務員の全体に人材を確保していきたいわけでありますが、とりわけ教育界に人材が導入されるような仕組みをとっていきたい、それが今回特に、給与の面について一般公務員よりも教員が優遇されなければならないという政策を打ち出そうとしている基本的な考え方でございます。
  61. 大出俊

    大出委員 くどいように申し上げているように、別に中教審答申、私は反対ですけれども、これは付託される委員会関係がありますから、そこから踏み込んでいまあなたがおっしゃる意味のことに対する反論は、所管委員会との関係がありますから差し控えているのです。中教審答申というものとの関連をどう考えるかという、そのやりとりになると、この法案文教にいくとすれば、文教委員会の分野ですから、そこは私は差し控えたい、こう申し上げている。そうじゃなくて、一般的な議論の中で、人事院勧告制度公務員制度というものをとらえた場合に、一つだけ飛び出るわけですから。しかも、こういう法律をつくってお出しになる場合に、勧告権というものといろいろとからんできますから、だからそういう意味で私は申し上げているのです。  ただこれは、いまのお話の先をやりとりすると、文教委員会のほうとからみますので、この辺にいたしますけれども、これは一つ問題点ははっきりしてきたと思うのですが、「計画的に」とか云々とかということが、非常にこれは大きな問題としてあとに尾を引くと思います。いずれこれは文教委員会のほうとの合同審査をお願いするつもりでおりますから、そのときにあらためてやらしていただきますけれども、これは総裁のほうは、特配をいただいて上げるのだという思想をはっきりされたわけでありますから、総裁は根本的に賛成という以上に、いまの文部大臣の趣旨に従って上げるという方向でお考えになっている、こういうふうに受け取っていまの点は終わっておきたいと思います。  文部大臣ありがとうございました。  そこで、この寒冷地の法案に附帯決議を付していただきたいというふうに考えますので、それを中心に何点か承っていきたいと思います。  四十三年に私こまかい質問をこれについていたしておりますし、横路委員のほうから先般こまかい質問をすでにいたしておりますから、問題点をしぼって承りますが、この寒冷増高費などということばが出てきたのはいつごろでございますか。
  62. 尾崎朝夷

    尾崎政府委員 ことば自身がいつから出てきたかは承知しておりませんけれども、寒冷増高費という考え方は、寒冷地手当法の論議の上では、当然必要な術語として使われてきておるというふうに考えております。
  63. 大出俊

    大出委員 これは本来寒冷生計費なんですね。増高費じゃないのですね。寒いところで暮らす人の生活費がどのくらいかかるかということなんです。だから総司令部に陳情に私が昔行って、ブレイン・フーバー氏のあとソルター氏がやっているころに再々ものを言いに行ったことがありますが、寒いところで生活するんだからというので、今度薪炭手当をつくるときに、津軽海峡を渡すのは反対だというGHQの意見がありまして、薪炭手当は何だというから、炭とまきだ、だから薪炭というんだ、こういう話をしたことがありますが、これは寒冷生計費ですね。寒いところで暮らす方々の生活費をどう見るかということなんです。私はだから、寒冷増高費なんていうのは、どうも人事院方式にはまってしまいそうなので言いたくないのですが、どうも世の中で、物価が上がる、賃金が幾ら上がったって、寒いところで生活する人が寒さを防ぐ意味で生活態様を変えるんだから、その限りは特段に給料が上がったからといって、くっついてふえていくものじゃないということを言い出すから、そうすると、これきり上がらないんじゃないかということになって、寒冷地手当勧告で以上おしまいということで、本件一件落着になっちゃって、あと勧告しないのじゃないかなんて、そういう雰囲気がある、常に承っていて。そこで承りたいのですけれども、そういう気持ちであるのかどうか承りたい。
  64. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 本件でおしまいだなんということは毛頭考えておりません。
  65. 大出俊

    大出委員 当然そう言ってもらわなければ、これは法律上の人事院の義務を履行しないことになりますから、当然そうであるべきだと思うのであります。  そこで、被服であるとか、住居であるとか、あるいは各什器、雑費、食糧も含めましょう。そういうふうなものが生計費の中心ですね。もちろん光熱費もありますが、光熱費というのは、寒いところですから、加算額を含めまして、やれ石炭だ、まきだ、やれ油だということになるのですから。そこで総理府の家計費の統計に基づく比較の面では、これは一般的にならして統計をとりますから、特段、北海道だから青森だからといって、たとえば秋田県の矢立峠を越えて行けば雪の降り方が違うのですけれども、だからといって変わっては出てこない、格差は出てこない、こう見なければならぬですね。そうすると、やっぱり問題は現地主義で、石炭にしても灯油にしても、現地価格が積算の基礎になる。そういう性格のもの。だから、寒冷地手当に関する法律ですから、その寒冷地における生計の実態、動向というものが中心になっていかなければならぬ。これはあたりまえのことですね。  そういうことになると、当然その意味では、いま総裁が断言をされたように、たとえば住居というものを一つとらえても、北海道に行きますと、本土とは変わった——向こうの方は内地と言うのですけれども、内地と変わった家屋の態様をなしている。だから、本土は木造建築であっても向こうはモルタルづくりになるということで、本土はモルタルならば向こうが鉄筋であるというぐあいに、寒さをしのぐわけですから、あるいは暖房施設というものを考えるわけですから、そうだとすれば、著しく家屋が損傷した、だから修築をするといっても、そこでまた費用が違ってくるわけですね。そういう点が総理府統計等には顕著にはあらわれない。だとすれば、そこらをやはり、法律に基づいて人事院が非常に詳細なデータをおとりになる必要がある。  四十三年に私が質問してから、この委員会で質問してないということは、以来初めて勧告されて、以来初めて上がるということです。そうでしょう。だからそこらのところ、あまり長きに失したということもあり、世上物価の上昇も著しく、給与も著しく上がっているということもあり、だからしびれを切らしていたということなので、話によれば、皆さんしびれを切らしていたから今度の勧告でずいぶんお喜びになったでしょうと、総裁はだれかに言ったそうですけれども、つまりこれは、あまり長く待たしたからですけれども、あまりのんきなことを言わずに、そうあまり長く待たせぬように。あなたは政治家だから、それを政治的に考えて引き延ばしたのかもしらぬけれども、そうすると、これが最後になってしまうのじゃないかということになると、そこらのところをひとつもう一ぺん確認をさしていただいて、それをぜひ附帯決議にしていただきたい、そう思うのです、皆さんの心配を除去する意味で。いかがですか。
  66. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 結局、先ほどのお答えに尽きるところでございますけれども、たとえば燃料の問題でありますとか、それからいわゆる寒冷増高費のいろいろなもの、たとえば屋根の雪おろしの費用だとか、それをまたどこへ持っていって捨てる費用だとか、そこまでわれわれとしては事こまかに追跡しながら今日までに至っているわけですから、そういう状況はまた年々変わってまいります。今後も変わってまいりますし、われわれとしては目を離せないことだという気持ちで臨んでいるわけでございます。
  67. 大出俊

    大出委員 加算額というものにつきましても、これは石炭加算あるいは薪炭加算という形で出発をしましたが、四十三年のときに、定率、定額の二本立てになったときですか。そこで三九・一一%。以後、本俸が上がったからという主張を公務員方々はしておりますけれども、それはいまのお答えに含まれるものと解釈をして、加算額、これも石炭にしろ薪炭にしろ、まあ灯油ですか、今度は基礎になっておりますね、三五、六五ですか、そういう比重になっておりますが、OPECなどの最近の動向を見ても、円を切り上げる段階に来ておりますけれども、逆に前回の円切り上げ、一昨年の十二月十九日のときもそうですけれども、石油の国際価格をOPECは十何%も上げているわけですね。今回も円を切り上げたからといって安くならない。逆に上がるという趨勢にある。アメリカ自身なんかでも、石油が不足して困るという状況に来ている。国際的な価格の上昇に結びつく。こういう趨勢はもう目に見えている。だとすると、これも上がれば、現実に要るのですから、すみやかに勧告をする措置をとるのか。大体そこらいかがですか。
  68. 尾崎朝夷

    尾崎政府委員 寒冷関係増高費の中にはいろいろな関係の用品がございますけれども、やはり一番中心は暖房燃料でございまして、そういう点では石炭あるいは石油——薪炭は最近あまり使わなくなりましたけれども、そういう関係の消費の実態と合わせまして、値段の関係は最も寒冷生計費に影響を及ぼすという関係がございますので、そういう関係をやはり最も注視していくというつもりで調査を続けていくつもりでございます。
  69. 大出俊

    大出委員 最も注視していくのであれば、これは遅滞なく注視をしていただいて、すぐ響くわけでありますから、これまた当然引き続き検討をなさって、これこれ上がったということになった場合には、やはりすみやかに勧告措置をおとりいただかぬと、生活に欠けることになる。したがって、このあたりもあわせてひとつ心配をしておる方々に。そうではないのだと、こういうことで私ども附帯決議をつけたいと思っているのですが、御努力をいただきたいと思うわけであります。  それから次に、九月一日、つまり基準日ですか、これは四月から八月くらいまでは当然要らないわけですよね、あったかいわけですから。そうなると、やはり九月一日以後ということになると思うのでありますが、基準日以後に結婚をして新しい世帯を構成をした人の場合、あるいは数は少ないかもしれませんが、新規採用というような場合、これは四十三年のときにも、私ここでその種の質問をいたしております。検討なさるということになっているのでありますけれども、今日なお実現をしていない。私は、これでは困ると思うのですね、実態に即してものをお考えいただかなければ。中には、支給された翌日、あるいは翌々日くらいに結婚された人だっている。新しい人は世帯構成ができている。ほぼ何日も違わずに生活をしていかなければならぬ方々だっているわけでありまして、だから、そういう方々にはこの法律のたてまえ上支給ができないということは放任はできない。前にも申し上げましたが、そういうふうに考える。その場合に、私はこれは法律改正が要るのだろうと思う、新規採用の場合であっても、あるいは結婚をされた場合であっても。これは寒冷地手当の支給に関する法律の一条にかかわる問題。  この一条の中に、「基準日から引き続き在職する職員で」、こうなっている。また支給区分が一つございますね。これは第二条でございますが、第一条の後段のほうに、「基準日から引き続き在職する職員内閣総理大臣が定める」、こうなっておりますと、新規採用というのは引き続かぬわけですね。そうなると、片方は区分のほうで法律改正がいずれも要ると思うのでありますが、そこらの御見解をまず明らかにしていただきたい。
  70. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 これはお話のように、もう相当前からの懸案事項でありまして、転勤した場合のことから始まって、一連の問題としてわれわれは今日まで検討をしておるわけでございますが、転勤の場合だけは、御承知のように一足先に解決いたしました。そのときあわせて、いまの世帯云々の残った問題について処置するだけのまだ踏み切りがつきませんでした。したがいまして、ちょっとあと回しになっておるわけです。これはずっと今日までなお検討を続けておりまして、われわれとしては、大きな宿題であると考えております。  ただ、問題は、もう一つは、基本的には一括払いにするか。石油などは普及してくれば、月々払いがいいのじゃないかという基本問題が一つからまっておりますから、それらの点等もあわせて考えておりますが、これはこれとして十分今後もなお検討していきたいという心組みでおります。
  71. 大出俊

    大出委員 寒冷地手当支給規則というのは人事院規則ではございませんね。総理府令ですね。この総理府令のほうも、「基準日又は異動の日において」云々と、こうありますからね。そうしますと、これはいずれも法律それから支給規則の改正が必要になる、こういう筋合いだと思います。  そこで、時間の節約のために多く理屈をつけませんけれども、もう長い懸案で、四十三年のときにもいろいろ私は申し上げたことなんで、ましてこれはちょっと忘れたくらい長い懸案でもございます。したがって、もうこの辺でこの懸案くらいは、四十三年以後初めての勧告なんですから、この際ひとつ解決をしていただきたい。かといって、ここで法律改正を提案するといっても、なかなかそう簡単にいかぬだろうと思う。そこで、臨時国会が開かれることもありましょうし、できる限り早い機会に——もっともその前に解散だということになるかもしれませんがね。どうもけさの新聞を見ると、角さんの人気があまりよくなくなっちゃいまして、兜町じゃありませんが、暴落ですな。なんというわけですからわかりませんけれども、その意味では早いほうがいいですけれども、選挙が終われば特別国会くらいあるでしょうから、ひとつそういうところで法律改正をする。  まず、その順番から言うならば、結婚をした人が気の毒ですよ。若夫婦で、二人で、若いから熱いからいいというわけにいかぬのですから、やはりそれは法改正をやっていただいて決着をつける。できる限り早い機会にひとつ、基準日以後結婚された方等についての法改正に踏み切る、そういう方向でひとつ御検討をいただく。  それから新規採用も、数は少ないのでしょうけれども、いろいろなケースが考えられるという意味で複雑かもしれぬ。その場合に、つまり全部が全部手が回らぬにしても、できる限り、この条件の場合には新規採用の場合に認めるというふうな線は引いて、これもひとつそういうワクをつくっていただきたい。ここまで下がって皆さま方の意見を聞きたいのでありますが、いかがでしょうか。
  72. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 問題点としては、私は解決する必要のある問題点だという意識を持っておりますし、先ほど申しましたように、従来も検討を続けておりましたけれども、いまのおことばもありますので、今後なお拍車をかけてひとつ検討をしてまいりたいと思います。
  73. 大出俊

    大出委員 これは残念ながら、規則制定権で人事院人事院規則でというわけにいきませんから、そういう意味で、この国会が終わったら直ちにやってくれとかなんとかというものではない。したがって、次の国会までには成案を得ておいていただいて、すみやかにひとつこれを片をつける、そういう目途で拍車をかけてやっていただきたい。そうしてくださいよ。よろしゅうございますか。
  74. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 拍車をかけます。
  75. 大出俊

    大出委員 ということで拍車をかけるそうでございますから、ならば、これも附帯決議に入れさせていただいても、人事院は特段御反対ではないと思いますから、そういうことにさしていただきたいと思うわけであります。  最後に、以上二つの点について坪川総務長官にお尋ねしておきたいのです、給与担当の大臣でおいでになるわけでありますから。  本年また勧告の時期を迎えるわけであります。しかも本年は、景気動向その他から見て、不況下の春闘といわれ、また円切り上げ不況下の春闘ともいわれて、二年続いたわけですけれども、最近の加速的なインフレムードの中で諸物価のたいへんな上昇が見られるわけでありますから、商社がどうのこうのという点は、政治の分野でそれぞれやっていくとして、その意味相当公務員給与の引き上げ勧告が出る、これは予測をされるところであります。したがいまして、その上なおかつ教職の方々給与が、ガソリンの特配という総裁の言に基づいて上乗せになる。これは相当なことだと思う。そうすると、総務長官所管一般公務員方々が黙ってはいないと私は思う。一般方々、それぞれの職種にそれぞれの理由があるわけでございますから、そこらは十分聞いてやっていただいて、何とかことしの勧告の時期に——片っ方の教職は上がっていくが、片っ方はかねや太鼓で総理府を取り巻くというようなことになっても、あまりいい姿じゃありません。したがって、そこらのところを十分慎重な御配慮がいただきたい。  かつこれは、この委員会でやることになるのか文教かわかりませんが、私に言わせると、たいへんどうも不穏当な表現が見られる法律案になっておる、他の公務員から見て。だから、そこらのところもお考えおきをいただくとともに、いずれ合同審査会でやらせていただこうと思っておりますから、逆になれば向こうから、また逆になればここつちからということになると思いますので、そこらのところをひとつお願いをしておきたい、こう思うわけであります。  それから、いまの寒冷地の問題は全く長い懸案でございまして、昭和二十五、六年ごろからずいぶん一生懸命やって、先輩諸君が石炭手当をつくり、かつ薪炭手当をつくり、それが寒冷地全体に包含をされて、何回か改正をされて、四十三年以来しばらく勧告も行なわれずに来まして、全くくたびれたときに出てきている勧告でございますから、できればこの際、懸案である、いま最後に私が質問をしておりますような問題は解決をしたい、こう思っておりますので、所管の大臣として、人事院皆さんと十分これは御相談をいただいて、決着をつけていただきますようにお願いしておきたいと思います。
  76. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 大出議員の非常に重要な問題についての御要望、心情的にも十分理解いたし得る次第であります。したがいまして、中立的な第三者機関である人事院の適正な、科学的な調査によって勧告を受けました場合には、政府といたしましては、その勧告をそんたくをしていくという方針には何ら変わらないことを表明しておきたいと思います。  また、寒冷地手当に関連する最後の御要望の点なども意見として、また貴重な御要望として、先ほどからも十分拝聴もいたしておりますので、先ほど人事院総裁も、拍車をかけてこれには前向きの姿勢をもって検討を加えるという方針である旨の御答弁もなされておりますので、それらの勧告をまた受けました上において、それぞれまた前向きで検討いたしてまいりたいということを表明いたしておきたいと思います。
  77. 大出俊

    大出委員 それじゃ終わります。
  78. 三原朝雄

    三原委員長 木下元二君。
  79. 木下元二

    ○木下委員 今回の寒冷地手当改正は四年ぶりのものでありますが、いわゆる加算額についての部分的な改正にとどまらずに、全面的な改正に踏み切るべきであったと私は考えるものであります。特にこの法律の二条四項の定額部分、これは当然増額されるべきであったというふうに考えます。なぜこれが据え置かれたのか、据え置かれることについて特別の理由があったのかどうか、この点について総務長官にお尋ねをいたしたいと思います。
  80. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 木下委員の御指摘の点につきましては、私どもといたしましては、人事院の非常な御熱意と、また科学的な専門的な調査によって、それぞれの結論をお出しになりまして、勧告を受けたような次第でありますので、多年の要望でありましたこれの勧告に、総理府といたしましても、これにこたえるという方針をもってこの措置を講じたということで御理解いただけるのではないか。細部にわたりましての点につきましては、政府委員をして答弁させます。
  81. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 寒冷地手当は、御承知のとおりに、定率分、定額分、それから加算分と三つの組み立てになっておるわけでございます。そのすべてを総括して寒冷地手当、すなわち、いわゆる寒冷増高費をまかなうに足りるかどうかということに基本的なわれわれの立場があるわけであります。そういう意味で、寒冷増高費という面に影響を及ぼす事柄について、われわれとしては、先ほども答えましたように、従来注視を怠らなかったわけでございますけれども、御承知のように、いわゆる定率分というのが、おかげさまで毎年給与のベースアップを相当大幅にしていただきましたので、そのほうがだんだん額は上がってまいりますので、そこらを総合してさっきの三つの構成部分を合わせてみますと、寒冷増高費を割るというところまではまだ至らない。したがって、定額分についても今日特段の増額をする必要は認めない。しかし、それは今日のことでございますから、今後なお、諸般の情勢の変化ということは、われわれとしては見守りながら、そして必要があれば適切な措置をとりたいというのが最も根本的な考え方でございます。
  82. 木下元二

    ○木下委員 私のほうでこういうお尋ねをしますのは、この定額部分というのは、二条四項に書かれておりますように、二万六千八百円であります。これは何となく偶然にこの金額がきまったというのではなくて、それなりの根拠があったと思います。  これは、この前も横路議員のほうから指摘をされましたように、役付公務員の平均の給与、これを五等給十六号俸ということで当時六万五千八百円、それを基礎として、その百分の四十に相当する金額ということでこの金額が出ておるわけであります。この額をいわゆる生活給的なものとして寒冷地手当に固定させたもの、こういうふうに思うわけでございます。したがって、これは毎年毎年給与改定に伴って変化はないでしょうけれども、しかし、いつまでもほうっておいてよいというものではありません。相当の期間が経過したならば給与の実情に沿ってアップされるべきものであります。この点は、前の改正のときのこの法律に対する附帯決議を見ましても、これは、今後における寒冷増高費の実態等について調査をし、「新定額分について人事院が増額することを適当と認めるときは、その額を増額するよう措置すべきである。」、こういうふうに決議の中にうたわれております。つまりこの定額部分というのは、固定化して動かさないということではなくて、これは、寒冷増高費の実態調査をして、増額措置を将来にわたってとっていくんだ、こういう考えがあるわけであります。  ところが、これが四年ぶりの改正にあたって何らさわられていない、こういうことでありますので質問をしておるのですけれども、特にこの二万六千八百円が出てきますもとになるのが、いま申しましたように、五等級十六号俸、このもとの金額が大きく変更されておるわけであります。四十三年が六万五千八百円、四十四年が七万九百円、四十六年は九万六千四百円、こういうふうにどんどん増額をされてきておりますので、この定額部分というのは、これに当然相当な上積みをされてしかるべきものである、こういうふうに考えるわけであります。こういう角度から、なぜそれにもかかわらずこれが固定化されたままで放置されておるのか、特別の理由があれば伺いたいと思います。
  83. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 この定額分の最初算定されましたときの基礎は、いまおっしゃいましたように、五等級の十何号というところで計算しております。ただし、これはただ切りかえといいますか、乗りかえのときの計算でございまして、形は、かくしてでき上がった数字というものが定額として、これは一応永久的なものとしてでき上がっておる。したがいまして、乗りかえのときの換算の数字は、もう今日ではそれ自体は意味がない。しかし、先ほど来申しましたように、この定額分、それから定率分等を含めた全体の額が寒冷増高費を割るようになったらこれはどこでてこを入れるか。あるいは加算額でてこを入れることもありましょうが、まず定額分のところでてこを入れざるを得ないことになるであろう。したがっていま固定額といえば、ほんとうに永久に固定したものではない。われわれとしては、これは将来周辺の条件の変化によって動き得る数字である、これははっきりそういった意識のもとに立っておるわけであります。  ただ、先ほど触れましたように、定率分というのは、非常に額が年々ふえておりますものですから、定額分をふやすまでの必要性というものは、われわれはいまだ感じておりません。非常に縁起の悪いことでありますけれども、賃上げの幅が非常に低くなったりして定率分がぐあいが悪くなってくれば、そのときこそ定額分を何とか手当てをしなければならぬという、ものを言う時代もあり得る。そういう相関関係に立っておるというふうに御理解をいただきたいと思います。
  84. 木下元二

    ○木下委員 この点も、この前も横路議員のほうから指摘をされた問題でありますが、三公社五現業、いわゆる公労協関係におきましてはこの定額部分が、国家公務員関係に比べまして、一段と増加をいたしております。一万円以上の差が出ておる、こういう計算になっております。この点から見ましても、きわめて不合理なまま放置をされておるということになると思うのです。この点はどうでしょうか。
  85. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 いま御指摘の公社、現業の関係も、われわれと同時に定額制度に切りかえておられれば、おそらくわれわれとはあまりたいした違いはなかったであろう。非常に素朴な言い方をしますけれども。これは実は最近になって切りかえられたわけです。ですから、五等級何号俸に当たるようなものの額は上がってきておるわけです。そういうことでスイッチを切りかえておりますものですから、高くなったということは言えましょうが、これはよそさまのことでありますし、われわれとして、立ち入ってどうということは言えませんけれども、ともあれわれわれは、われわれとしての先ほど来申し上げましたような立場に徹していく。雪おろしの金が幾らかかる、雪をおろしてあとどこへ運ぶのに運賃がどこまでかかって、というような点までこまかい計算をして、いままでの寒冷増高費が現在の手当額を割るようになった、これはもうさっそく増額の措置をとらなければならぬという心がまえで臨んでおるというわけであります。
  86. 木下元二

    ○木下委員 この定額部分について、実は政府のほうはこれまで、これは三公社五現業の仲裁裁定をよく検討して考えたい、こういうことを言ってこられたわけです。これは、たとえばここに議事録があるわけですが、四十六年十二月十四日の参議院の内閣委員会での政府の答弁にございます。この問題を真剣に検討をしたい、こう言われておる。こう言われてきたのに、今度出てきたものはその検討された形跡が見られない、こういうことであります。何か非常に不誠実な感じがするわけであります。この点について総理府のほうの答弁を伺いたいと思います。
  87. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 いま御指摘になりました点につきましては、いわゆる国の経営いたします企業、すなわち三公社五現業に勤務する職員寒冷地手当は、団体交渉により、あるいは公共企業体等労働委員会の仲裁裁定があって、それに基づいて定められておるような次第でありますとともに、一方は一般職の職員として、寒冷地手当人事院の調査、研究された結果勧告が行なわれる、それに基づいて定められることになっているような次第も、木下委員の御承知のとおりであります。このように手当の定める方法が異なっておりますので、それぞれの間に相違があることもやむを得ないということも御理解いただきたいと思うのでございまして、政府といたしましては、決して不誠意な気持ちをもってこれに処しておるというような気持ちでないことも御理解いただきたいと思うのであります。
  88. 木下元二

    ○木下委員 いま引用いたしましたように、参議院の内閣委員会でも、この問題については真剣に検討して、この三公社五現業の裁定が出てきた段階でひとつ考えたい、こういうふうに言われておるのですよ。尾崎政府委員が、仲裁裁定の関係も最近つい二、三日前に出たようでございますが、一応よく検討いたしたい、仲裁裁定の関係が出たので、そういう関係もよく検討し、現在真剣に検討しております、こういうふうに言っておられる。この仲裁裁定が出ている、そのことと関連して早急に検討するということを言われながら、今度出てきたものには検討のあとがないということでお尋ねしているわけであります。
  89. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 いま御指摘になりましたが、やはり同じ政府委員でございますから、当然でございますけれども人事院におかれまして、やはり前向きに誠意をもって検討を加えられておることは事実でございますので、その検討の結果を私どものほうは待つということで御理解願いたいと思います。
  90. 木下元二

    ○木下委員 そうしますと、その人事院のほうの検討の結果を待つということ、そういうことですか。
  91. 三原朝雄

    三原委員長 ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕
  92. 三原朝雄

    三原委員長 速記を始めて。
  93. 木下元二

    ○木下委員 いや、けっこうです。私のほうが伺っているのは、人事院のほうは勧告を出すわけですけれども、総理府のほう、つまり使用者としての政府に伺っているわけなんです。使用者としての立場での政府は、一体この問題についてどういうお考えでいられるのか。人事院人事院なりに検討を加え、勧告をするわけでありましょうけれども、それはともかくとして、政府は、これは公務員関係の使用者ですから、政府として一体どういうふうにお考えなのか。
  94. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 いま委員長からもちょっとお話がありましたように、政府といたしましては、御承知のとおりに、人事院のほうのいろいろの調査の結果、勧告が行なわれ、それを受けて立つということで、法律的にそういうようなことになっておることも、木下委員御承知でございましょうから、私のほうからそれに先立ちまして、政府はかく考えるということを申し上げることは、一番最初に申し上げた答弁によって御理解をいただけるのじゃないかと考えております。
  95. 木下元二

    ○木下委員 人事院法律制度の上で、公務員の労働条件についていろいろ検討、分析をし、政府に対して勧告をする、これは当然でございますけれども政府はそれを待つばかりで何もしないで手をこまねいて、公務員関係の労働条件については何らお考えはないわけですか。そういうものではなくて、やはり公務員関係というのは政府との労働関係ですから、その公務員の労働条件について、人事院人事院勧告をするでしょうけれども政府としてもこれは真剣に検討し、あるいはお考えがあってしかるべきだと思うのです。そういう角度から伺っているのです。
  96. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 政府という木下委員の御指摘といいますか、御理解が、おことばを返すような意味じゃございませんけれども人事院政府という立場でそれに検討を加えておるということでありますので、政府が手をこまねいてこれを傍観しておるというようなことでなくして、あくまでも総理府といたしましては、人事院第三者機関で御結論を出していただいた勧告によって、これを法的措置を講ずるということになっておりますので、その点は決して、政府はいまおっしゃったような態度で傍観しておるというようなことでなくして、人事院においては非常に前向きな姿勢でいま検討を加えておられるという御答弁で御理解いただけるのじゃないか、こう思うのでございます。
  97. 木下元二

    ○木下委員 ちょっと誤解があるのは、あなたのほうではないかと思うのですがね。確かに人事院というのは政府機関であり、そして広い意味政府立場でいろいろ検討される、これはわかりますが、しかし、事、使用者という面から見ますと、人事院というのは、これは使用者ではないわけなんです。まさに中立の第三者機関ですね。使用者は政府です。任命権は各省にあるでしょうけれども、しかし、労使間という面から見ると、使用者というのは政府であります。人事院ではありません。だから、その使用者としての政府立場で、公務員関係の労働条件について、これはもうすべては人事院待ちということで一切人事院にまかしているのだ、こういうことでなくて、やはり政府としてのお考えがあって当然でなかろうか、こう思って伺っているのですけれども、あるいはそうでなくて、一切人事院にまかしているのだ、政府は何も知らぬ、こう伺っていいわけですか。
  98. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 法律の仕組みに関係しておりますので、私から若干御説明申し上げますが、国家公務員給与をどういう方向できめようかということについては、いろいろ議論があり、外国等でもいろいろなやり方があるわけでございますが、日本の場合には、国家公務員法に、人事院が広い調査、研究に基づいて勧告をする、それを受けて給与の権衡のある水準を保っていく、こういう仕組みになっておるわけであります。  特に寒冷地手当の場合には、具体的な金額につきましても、御承知のように、第三条の第二項に、こういうものをきめる場合には「人事院勧告に基づいてこれをしなければならない」というようにいたしてあるわけでございます。考え方としてはいろいろあろうかと思いますが、現行の制度の仕組みは、この寒冷地手当の具体的な額をどうするかということについては人事院勧告に基づいてするんだという、こういう仕組みになっておりますことは御了解いただきたい。
  99. 木下元二

    ○木下委員 そういう仕組みのことは、あなたから伺わぬでもけっこうでありますけれども、私が伺っているのは、公務員関係の労働条件、この寒冷地手当も含めてそういった問題について、すべて人事院待ちで、使用者としての政府、その立場で何も考えがない、こういうことなのかどうか。そうでなくて、これは人事院人事院勧告するでしょうけれども、使用者の立場での政府も、これは使用者ですから、労働条件についてはいろいろ考えがある、これが私は当然の姿勢ではないかと思って伺っているのです。労使間の問題については、団体交渉でもって使用者としての政府が対等の立場で話し合って解決をしていく、こういうことでしょう。
  100. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 私は先ほど、現在の法律のたてまえを申し上げたわけでございますが、そのたてまえにつきましても、いろいろ議論があることは御承知のとおりでございます。給与全体を含めましたいわゆる勤務条件の問題につきまして、どういうふうに持っていったらいいだろうかということについては、現在、公務員制度審議会で長い年月をかけてるる検討をいただいておるわけでございます。その結果によりまして、政府としてはこの問題に対する最終的な考えをきめていきたい、こういう過程をたどっておるのでございます。
  101. 木下元二

    ○木下委員 そうしますと、総理府長官に伺いたいのですが、このいまの問題ですね。寒冷地手当も含めて一般的なことを伺いますけれども公務員関係の労働条件について、使用者の立場政府がいろいろ考えを持つということについては、どう理解されておりますか。
  102. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 御承知のとおりに、公務員給与という問題は、国民の非常に関心を持つ重要な事項でございます。これはもう申し上げるまでもございません。したがって、そういうような重要な問題につきましては、やはり中立的な立場で科学的に、専門的に第三者機関としてこれに十分調査、検討を加えまして、そして公正適切なるところの結論を出すということが当然の人事院が設けられた目的であろう、こう私は考えておるような次第でございますので、そうした立場であるところの、第三者機関の公正な中立的な人事院のそうした調査によって結論が出された場合に、政府は当然それの結論を尊重いたしてそれぞれの措置を講ずるという、法的といいますか、あらゆる順序は従来どおり行なわれておるのでございまして、そこには何ら矛盾のないことも御理解いただけるのじゃないか、こう思います。
  103. 木下元二

    ○木下委員 いま言われることはよくわかるのです。それはそれといたしまして、私がさっきから繰り返して申しておりますように、政府公務員関係について使用者の立場で団体交渉もするわけですね。団体交渉もし、使用者として誠実に交渉をする、そうして団体交渉においてはできるだけ合意に達するように努力をする、こういう姿勢が私は必要ではないかと思って伺っているのですけれども、私の問いは間違っておるでしょうか。
  104. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 最も大事な労使関係基本的問題については、木下委員御承知のとおりに、ただいま公制審において使用者側、労働者側、公益側が真剣に討議をされて、それの答申を踏まえてこうした問題に政府は取り組んでいく。給与関係につきましては、いわゆる団体交渉によるのでなくして、御承知のとおりに、第三者機関であるところの人事院の調査によって、これを受けて立って政府が法的措置を講ずるということであることは、いまさら繰り返して申し上げるまでもございませんので、その点でひとつ木下委員よく御理解願いたい、こう思います。
  105. 木下元二

    ○木下委員 その労働条件について言われることはわかるわけですけれども、それでは、いま長官が言われるように、人事院のほうで何もかも詰めて勧告がある、それをそのまま政府考えとして機械的に打ち出す、私はこういうものではないと思うのですね。勧告は尊重する、これは当然です。しかし、政府は決して人事院の代表機関ではないわけなのですから、少なくとも労使間の使用者の立場で臨むわけでしょう。とすれば、それは当然人事院勧告を尊重し、それを受けて立って、そうして労働条件をきめていく、こういう立場ではなかろうかと思うのですけれども、そうではないでしょうか。
  106. 坪川信三

    ○坪川国務大臣 いまおっしゃったとおり、人事院において適切なるところの結論をお出しになる、それを政府が受けて立つということでございます。
  107. 木下元二

    ○木下委員 質問はだいぶあるんですけれども、時間の関係がありますので、一応これで打ち切って次回にしたいと思います。
  108. 三原朝雄

    三原委員長 午後二時三十分より委員会を再開することとし、この際、暫時休憩をいたします。    午後零時三十八分休憩      ————◇—————    午後二時三十六分開議
  109. 三原朝雄

    三原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  建設省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。受田新吉君。
  110. 受田新吉

    ○受田委員 今度の設置法の改正案のポイントはわずか二、三点にすぎないのでございますが、この中で非常に簡単で、しかし内容の点において問題になりそうな日本住宅公団監理官の制度の簡素化という問題をまず取り上げてみたいと思います。  これは定数二名を一名にするということでございますから、きわめてあっさり片づけられるポイントでございますが、監理官という職種は、建設省でどういう経歴を有し、そしてどの程度の地位を持ったものか、まず御答弁を願います。
  111. 大津留温

    ○大津留政府委員 住宅公団監理官は二名おりますが、そのうち一人は首席監理官と称しておりますけれども、省内におきますポストといたしましては、本省の課長よりは上位に位するものと一般考えられております。人事の異動におきましても、各局の総務課長をやった人が首席監理官になるというのが例でございます。  この監理官の職責は、住宅公団の業務の一般的な監理、監督、それから仕事の遂行に対しましては、住宅局に属しておる関係で、住宅公団が行なう住宅建設に対しての監督をいたします。
  112. 受田新吉

    ○受田委員 住宅公団を監理、監督なら、監督権もあるのですか。
  113. 沢田光英

    ○沢田政府委員 この日本住宅公団監理官は、ただいま官房長から説明がございましたように、まず住宅公団の経営一般及び業務、これに関します指導監督、これの業務を行なうという責任を持っております。
  114. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、大臣の監督権の行使と監理官の監督権の行使との相違点は。
  115. 沢田光英

    ○沢田政府委員 大臣の監督権は、住宅行政の立場から公団を全般的に監督をする、かような非常に一般的な最も強い権限だと思います。監理官はその補佐役、あるいはそういう意味で限られた範囲内におきまして、業務の指導監督なり一般経営なりの監督をする、さような考え方でございます。
  116. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、公団の総裁も監理官の監督を受けるわけですね、業務的には。
  117. 沢田光英

    ○沢田政府委員 ただいま申し上げましたように、公団の監理官の指導監督の権限は、何と言いましても大臣の補佐という範囲内でのものでございますが、しかし、いずれにいたしましても、公団の総裁に対する指導監督もその範囲内で権限を持つ、責任を持つ、かような話でございます。
  118. 受田新吉

    ○受田委員 監理、監督をするという規定はどこにあるわけですか、監理官の職務の。省令ですか、政令ですか。
  119. 大津留温

    ○大津留政府委員 訓令第七号というので、日本住宅公団監理官監督規程というのを設けております。それによりますと、「住宅公団の経営一般の指導及び監督、公団の業務の指導及び監督で計画局の所掌に属するもの以外のもの並びに公団の業務の指導及び監督に関する事務の連絡調整に当るものとする」、こういうようになっております。
  120. 受田新吉

    ○受田委員 その訓令の規程というものでは、公団に対する監督。そうすると総裁も監督を受ける対象になるわけですね。そうしますと、これは非常に責任のある地位でございますが、これは大臣が監督権を行使される補佐役という意味からいって、独立の監督権を持つということはいささか分に過ぎる危険はないか。つまり監督権行使と称して、ただ一人か二人の監理官が監督権を振り回して、総裁以下重要任務についている首脳部をあごで使う危険がないか、そういうことも考えられるわけですが、私はその規程は、監理するという場合は、これはもう一応監査をして、そして最後にそれに対する結論は監督権でやるわけなんです。その監督権というものを監理官に付与して、不心得な監理官の場合は、おれは監督権があるんだというので、鼻高々公団住宅へ乗り込んで権威を振り回す危険が起こりはしないかと思うのです。ただ、窓口という意味なら一応筋が通るわけですが、その課長クラスの監理官に監督権の行使を自由にさせることに対する危険性はないのか。
  121. 沢田光英

    ○沢田政府委員 ただいま官房長から申し上げましたように、訓令の中に公団監理官のやるべき行動、これをうたわれております。まず、公団監理官はそのような指導監督の業務がございますが、これをどういう動作でやるかと申しますと、まず第一に、公団の管理委員会というのがございます。これは経営管理をやる最高機関でございます。及び役員会に出席し意見を述べることができる。それから二番目には「職務の遂行上必要があると認めるときは、公団に対して報告させ、又は帳簿書類その他の物件を検査する」、かようなことがございます。さらに三番目には、「公団に法令に違反する行為があると認めるとき又は公団の業務若しくは財産の状況に関し特に注意を要する事項があると認めるときは、すみやかに上官に報告して、その指揮を請わなければならない」、かような条項が入っております。さらに四番目には「公団の運営方針又は業務の改善を要する事項のうち重要なものについて意見があるときは、上官に申し述べる」。かようなふうに、一応上官に申し述べて、最後に重要なことについては決心を伺う、かようなしかけになっております。
  122. 受田新吉

    ○受田委員 監理官の上官は、どういう系列の上官になりますか。
  123. 沢田光英

    ○沢田政府委員 住宅局長及び建設大臣になっております。
  124. 受田新吉

    ○受田委員 監理官のポストは住宅局にあるわけですね。
  125. 沢田光英

    ○沢田政府委員 そのとおりでございます。
  126. 受田新吉

    ○受田委員 ここで一つ問題があるのは、このたび、日本住宅公団の任務が過重である、住宅と宅地を獲得する問題も含んでいるわけで、住宅の分と宅地の分を分離して、宅地開発公団を別途設けたいと、政府部内でも一応その準備を進めておられたようです。それほど公団が二つに分かれるというような重大な任務を持っておるこの宅地・住宅対策において、ついにこれは行政管理庁の説得で建設省の要望が押えられた、こういう段階です。だから、宅地開発公団ができておればそのほうへも監理官、それから住宅公団ができればそのほうへも監理官と、二人を減らすのでなくて、むしろふやさなければならぬような情勢ではなかったかと思うのです。それほど大事な住宅公団の監理官、二人では間に合わぬ、もう一つ公団ができようというような情勢の中で、監理官を逆に減らすということの意図がどこにあるかをお答え願いたいのです。
  127. 沢田光英

    ○沢田政府委員 ちょっと先ほどの答弁で抜けておりますけれども、公団監理官の職務に関しましては、まず公団の一般的な経営一般に関します指導監督、これがまず職務でございます。それから業務と申しますものに、公団の中に大きく分けまして二つございます。一つが住宅建設の部門でございます。一つが宅地造成の部門でございます。この住宅建設に関しまして監理官は職務を持っておりますけれども、宅地造成に関しましては、この職務は計画局に行っております。したがいまして、宅地造成事業に関しましては公団監理官の権限ではない、かようになっている。ただし、一般の公団の経営管理に関することは、その上を広くおおって監理官の職務になっている、かようなことになってございます。  そういう前提に立ちまして、公団ができました当初は、住宅建設を主目的といたしまして昭和三十年にできましたが、早々の間にこの機能を整える、こういう意味で、公団監理官二名、かような者を置きまして、これを指導監督をするという体制を整えたわけでございます。その後、公団の中におきましても多少問題は起きておりまするけれども、大観をいたしますれば、公団の業務を遂行する機能、これも逐次充実をしてまいっております。さらに住宅局の中におきましても、ただ公団監理官だけが公団を指導監督するというのではなしに、やはり、たとえば住宅企画官という新しい制度あとにできておりまして、これが特命によりまして、たとえば、公団の計画あるいはその他の企画にも参画をする、あるいはその他の技術課におきましても公団の技術的事項を指導監督する、こういう権限も持っております。したがいまして、そういうように、逐次、住宅局の中での公団に対する指導監督の体制が整ってまいりました。したがいまして、総括的に見ますのは公団監理官一人だけで十分だという情勢になってきたわけでございます。したがいまして、この際一人というようなことにいたした次第でございます。
  128. 受田新吉

    ○受田委員 これは行政機構の全般の問題で、従来何回か機構の部分的な改正が行なわれてきておるのですけれども、行政の簡素化という国策からいって、各省ともポストをふやさない、局もふやさない、もしふやそうとすればどこかを一緒にして新しくするとかいうことで、局、課の新設は認めないという方針で当委員会に、従来その方針に基づいて行政管理庁のチェックのもとに法案が提出されておるわけです。監理官は一人しか要らないのだ、要らないということになれば非常にいいことでありますが、要らないだけであれば一人廃止すればいい。ところが、どこかへそれと相当するようなものをふやす魂胆であるとするならば、要らないものははっきり要らないでいいけれども、その要らないといういまのお話でございますから、必要のないポストであった、一人で間に合うのだというのは、代替でどこかでまた一つポストをとるという魂胆がないかどうか。いまのお話では、要らないのだ、一人で済むのだということになれば非常にいいことですから、一人で置いておく。その裏に何か魂胆がないかどうかちょっと伺いたいのです。
  129. 沢田光英

    ○沢田政府委員 公団監理官につきましては、いまのような局の総合勢力ということによりまして、一人で足る体制がとれてきた、かようなことでございますが、ただいまの御質問は、ほかにつくらぬか、つくる魂胆があるんじゃないか、さようなことでございますが、実はこれは定数の問題もございまして、私の局に住宅生産課というのがすでに生まれてございます。これは公団の建設につきましても、いわゆる建設の工業化とか生産の能率をあげる、いわゆる住宅建設の工業化、こういう線を非常に大きな線にし、さらに民間の住宅につきましても工業化を推し進める、そのような課が実は本年度からできております。このほうに実はその数が回されておる、さような次第でございます。
  130. 受田新吉

    ○受田委員 大臣、私は国の建設行政の非常に重要性を知っておるし、また建設行政の成果が効果的にあげられることを期待している一人です。したがって、いまの監理官は一人で済む、こういうことであれば、この住宅の生産を高めるという趣旨の課長というポストへそれを変えたのだ、こういうお話は本筋にはずれてはいないかと思うのでありますが、大臣としての御見解を伺いたい。
  131. 金丸信

    ○金丸国務大臣 私は、この監理官を一人減らすという問題につきまして、まず住宅局長にただしたわけでございます。そうしたところが、ことに今日の住宅事情、住宅公団の仕事の状況等から見ましても、減らすということはどうかという考えも申し上げましたら、実はいま申し上げたような局長の考え方で、だいじょうぶやれるのか、やれる、こういう考えですから、それはよろしいということで、私もそのような考え方に踏み切ったわけでございます。いま局長の話を聞きまして、その辺、まだ私もなれないものですから、どう判断していいかちょっと考えさせられるのですが、あらためてなお答弁をいたしたいと思います。
  132. 受田新吉

    ○受田委員 大臣、ポストが不要になれば、あっさり不要、要るときはまたあらためて要望する。かつてこれを不要にしたが、今度はこれが要ると、年度をずらして要請される。これをもぎ取ったかわりに別のほうで課長のポストを一つふやすというようなかっこうでは、監理官が一人で済むという理由は成り立たぬわけなんです。一人で済むならあっさり一名の定員削減をやって、その定員が減った分だけは国費の節約になる。行政の簡素化も能率化もあわせて実現できる。ところが、どこかへぽこっと課長が一つ生まれてくるというのでは、これは首尾一貫していないですね。これは非常に考えさせられる。大臣も、監理官が一人で済むということだから私はよろしいと言ったというが、ほかのほうに課長のポストがぽこっと生まれる。タケノコを一つもぎ取っても次が出るという形になるような理論であっては筋が通らない。筋論から私はいまお尋ねしているのですが、大臣として、総合的な最高責任者として判断を下して、監理官が一人で済むならばひとつそれでやろうじゃないか、あっさり一名の削減で法案を出そうじゃないか。課長は政令職でありますから、そのほうで片づけられるということで部内の操作ができるという危険がある。そういう政令委任をしたところに危険があるわけなんで、それは政令委任をしていなければ国会でお互いが中身がわかるわけでございますが、政令委任をした以上は、やっぱり委任の趣旨は、行政庁として公正な判断と実行というところで答えが出るべきだと私は思うのです。いかがでしょう。
  133. 金丸信

    ○金丸国務大臣 私も、その問題につきましても相談は受けたわけでございますが、たまたまその問題については、私は、それも必要であるということでいろいろ状況を聞いてみて、これも必要であるんだ。先生がおっしゃられるお話は、たまたま一緒になったからということ、偶然の一致だということで御理解をいただきたい、こう思います。
  134. 受田新吉

    ○受田委員 それはしかし、偶然の一致じゃないでしょう。偶然の一致というわけではない。そういうことは系列が違うのですから、系列が違うときにはそれぞれの角度から見ての措置が必要なんです。監理官は各省にいろいろあるわけだが、監理官というのは一人のところが大半で、二人のところはありましたかね。監理官二人というところはあまりないと思ったのです。だから一人に減らすということであれば、これはあっさり一人の減員をはかっていく。偶然の一致というのは、大臣これは偶然じゃなくて、これは計画的であるということですよ。計画的に、これを減らすかわりにこちらをふやすという形であるわけで、大臣まだ御就任日なお浅いので、行政機構上の問題ということになるとなかなか骨が折れることでございますが、建設行政を推進する上に非常に必要な問題のときには、それへ当然力を入れていただくべきですが、いま住宅を大いに生産しようという御趣旨であるから、その住宅生産という重要な任務を持った新しい仕事ができておる、新しい仕事が必要であるというなら、私は当然それを認めるべきであるのですが、その住宅生産というのは、住宅をプロダクションすることになると、爆弾でも新型爆弾というのがあるわけですが、新型生産の目的は何でございますか。
  135. 沢田光英

    ○沢田政府委員 従来、たとえば公団に例をとってみますと、公団のあの鉄筋コンクリートの住宅は、請負人が行きまして、人夫を使いまして鉄筋を組み上げる。現場ないしはコンクリートブラントで練り上げましたコンクリートを現場に運びまして、それをネコ車で押して四階、五階まで持ち上げまして、それで打っている。それによりまして一応骨をつくる。その骨をつくった上に、今度は別の職種の大工なり左官なりそのほかの各種の職方が入りまして、逐次それに取りついて住宅にしていく。かようなことで、職種も非常に一ぱい要りますし、それから、野丁場での仕事でございますから、生産性も悪い、したがってこれに働く人たちの環境もよろしくない、かような問題もございます。したがって、天候、気候などにも左右される。こういう点を、この際、諸般の事情からこれからの日本は改善していかないといけない。すなわち生産性をあげていかなければならない。この土建の世界でもそういう問題がある。  そういうことで、たとえば公団の場合で申しますれば、コンクリートの躯体と申しますか、構造体、あれを工場で生産をする。たとえば三メートルなり四メートルの角の窓の入ったようなものを工場で生産する。それを現場に持ってきまして溶接をして、コンクリートののりで張りつける、こういうふうなことで、箱にいたしまして、その場ではそういう簡単な作業で構造体を組み上げていく。さらに、その中に入れます、たとえば台所の流しにしても何にしましても、昔は人とぎのようなものでその場でとぎ出しておりました。それを工場で生産する、いまのステンレス流しのようなものにいままでやってきたわけでございます。  そういうふうに、すべていわゆる工場生産のほうにできるだけ部品を移しまして、それを現場ではなるべく少ない労力で組み上げて住宅にしていく。かようなことによりまして、上がります天然資材の節用、あるいは技能労務、ほんとうにじょうずでなければできないような職種はだんだんと少なくていいようなことにする。あるいは労働条件も、工場の中に持って来ますから安定する。したがって、そういたしますと、少なくとも建設費の値上がりは従来工法よりも押えられる、あるいは、あわよくばそれを従来の値段よりも安くしょう、かようなことのねらいが、建築生産の工業化とか近代化とか、こういう線でございまして、従来課はございませんでしたが、住宅局の職務といたしまして、そのような方向で数年間やってきておりまして、それを住宅公団あたりが一番先進的にやっておるということでございます。  ただ、建築生産の近代化といいますと、生産課の業務といたしまして、それ以外に、一般の民間の木造住宅におきましても、現在大工が不足しておりますが、こういうものを一体どういうふうにするか、そういう大工、工務店の組織をどういうふうに近代化していくかというふうな問題まで幅広くやる課でございます。
  136. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると、住宅建築について非常に簡素化させるプレハブみたいなものですね。
  137. 沢田光英

    ○沢田政府委員 はい、一口に言いますと。
  138. 受田新吉

    ○受田委員 それで、いままではその仕事はどの課がやっておったのですか。それに相当したような何かがあったのじゃないですか。
  139. 沢田光英

    ○沢田政府委員 それは、住宅建設課という課がわが局にございます。これはおもに、地方公共団体がやっております公営住宅の建設に関しまして、基準を定め、技術指導をし、あるいは補助金を流し、かようなことで、年間十万戸をこえる公営住宅の供給を行なっている課でございます。それの一部で、そういうふうな理念の指導育成、かようなことをやってきた次第でございます。
  140. 受田新吉

    ○受田委員 これに行政機構上の問題として、課を新設するというときに、級別定数というのがちゃんと人事院できめられているので、どこかのポストを一つもがなければいかぬ。もぐためには、監理官がいるからこれをもいでやる。因果関係が当然出てくる。いま大臣は偶然の一致と言われましたが、これは因果関係があるじゃありませんか。因果関係があるかないかを御答弁願います。
  141. 沢田光英

    ○沢田政府委員 因果関係あるなしの問題につきまして、それはないとも言えないと思いますけれども、私の判断は、いわゆる質のいい住宅をいかに大量にできるだけ安く供給をするか。その中に、公団も大きな数字でございますし、公営住宅もございます。そういうことで、総合戦力といたしましてやはりそこに生産課というものが必要だ、片や監理官は総合戦力の上に立って一人でよろしい、さような意味で因果関係があるというふうに私は思います。
  142. 受田新吉

    ○受田委員 かつて道路公団にも監理官が二人いた。有料道路課ができて、この道路公団監理官が一人に減ったわけです。これは当委員会がやったことを私は記憶しております。そういうことで因果関係がある。道路公団監理官が減ったかわりに有料道路課の課長のポストが一つふえる。今度も住宅に関係のあるほうの監理官が一人減って、住宅生産課の課長のポストが一つふえる。全く同じ轍を踏むわけですから、そういうことは偶然の一致とかいうことでなくして、いまどちらにウェートを置くかということを考えたときには、監理官を一人にして、住宅生産課の課長のポストを一つ設けて、これから大きく需要のふえる、ごちゃごちゃの職員も要らぬで済む住宅生産課を一課設けるというほうが必要であるのでそうやったということであれば、私は非常な賛意を表するわけですが、あなたのいまの御説明を聞いていると、その私が賛意を表したいのとは逆な方向で、監理官は一人で済むんだとあっさり片づけられて、それも偶然の一致だというようなことでこうした建設行政が進められるということになると、私は非常な不安がある。住宅生産課というものをどうしても一つ置いて、住宅の近代化をはかるのにはこの一課によってしっかりやってもらうんだ、監理官は一人で済むんだというのでポストをそれへ移すと、すなおに言ってもらえば、私はそれなら大いに賛意を表したいと思ったんですが、大臣どうですか。
  143. 金丸信

    ○金丸国務大臣 実は私も住宅局長に質問したとき、受田先生のような考え方がないわけではなかった。そういう考え方のもとに話をしたわけでございますが、どうしても必要だとただいま住宅局長が説明する話を聞いていまして、また先般店舗システム展覧会というのを私見せてもらいまして、全部商店のワクをつくって、その中へ商店を入れるというのを日本経済新聞がつくったのを見たのですが、ああそうかな、こういうものも必要かなという感じがいたしたのです。多くこういう問題は、一つ減れば一つふやしたいというのがお役所のいままでのならいじゃないかという感じは、私はいたしたわけでございます。
  144. 受田新吉

    ○受田委員 これはマンネリ化しては建設行政はだめになる。常に新構想のもとに機構が改められていくという立場でいくのならいいんです。ところが、従来のそうした惰性で、課長相当のポストをはずして一課を設ける。監理官という名前よりは、課長という名前にしたほうがいい場合も起こるし、課を一課減らせば、別の同じ等級の官を一つ設ける、こういうようなかっこうでいくのなら、これは行政上当然考えられるわけなんです。それは行政運営の上における問題なんです。当委員会建設省設置法を従来ずっとやっておる関係で、この委員は、建設省設置法の過去の行きがかりが一応みなわかっている。わかっているときにはそれをすなおに言っていただいて、そして委員諸君がよく納得して、そういうことであればひとつこの法案を成功させて、建設行政にしっかりがんばってもらおうじゃないかということになるわけですね。だから、大臣は大きな角度から省内をにらんで、常に進み行く日本の建設行政だ、停滞しているんでなくて進歩的な役所だ、こういうところでがんばってもらいたいのですね。お人柄のりっぱな大臣であるから、あえてこれ以上はお尋ねを進めません。一応この問題はこれで終わらせていただきます。  そこで、次の問題でございますが、今度は法案直接でなくて、それに関連をさせて、国の住宅政策、宅地政策という方面へ質問を転換していきたいと思うのです。  いかがですか。いま大論議が国会で、また国民の中に沸騰している宅地開発という大事な問題について、宅地開発公団がどうしても要るんだと主張された建設省の意向を一応言ってくれませんか。それによってまた質問させてもらいます。
  145. 金丸信

    ○金丸国務大臣 実はこの問題につきましては、ちょうど予算の発表された当時、党から話がありまして、いわば予算がコンクリートされたというような状況下にあったわけでございます。そこで私も、とても重大な問題だし、そんなに簡単にできるものではない、しかし宅地という問題で、ことに六大都市というか、三大都市というような関係に関しては、土地問題なくして住宅なしというような感じもいたすわけでありますので、一応、行管と大蔵省がこの問題について了承できるというのであれば前向きに考えてみます、こういうことを党に申し上げたわけでございますが、しかし、またその反面、セットされた時点においてこのまままとめるということもとてもでき得ないということで、行管の長官のところへ行っていろいろ話してみても、行管も、とてもそれはむずかしい話だと言うし、いろいろな状況下で、党にも行ってその話をして、非常に消極的であったというように——ただ前向きで取り組んでみますということで、新聞にはそんなような状況に発表されたわけでございますが、内容においてはそのような内容で、最初から建設省は消極的であったということだけは申し上げられると思います。
  146. 受田新吉

    ○受田委員 宅地開発計画、つまり、庶民はいま、宅地を取得するのにも、あまりにも高騰した価格に追いついていけないという状態になっておるのです。宅地開発公団をつくる趣旨、宅地を開発するという意味は、宅地を取得するところにもちろん重点が置かれなければならない。現状において宅地取得状況はどうか。大手業者が一手に買い占めておるということが新聞、世論をわかせているのですが、一体大手業者が買い占めている宅地というのはどのくらいあるのですか。
  147. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 御質問の企業の土地買いの状況を、昨年の五月に東商の一部、二部上場会社につきまして私ども調査いたした次第でございます。四十一年から四十六年に至る六年間の土地の取得を調べましたところ、千二百社の一部、二部上場会社のうちで五七%の回答でございましたが、四万三千七百ヘクタールでございます。お尋ねの不動産業者ということになりますと、実はそういう業者別、業種別には調べておりませんが、その中で、たなおろし資産に当たるものが一万七千ヘクタールでございます。これが、大体お尋ねのような、いわゆる不動産業者の取得したものというふうに考えられる次第でございます。  なお、ただいま申し上げましたように、これは千三百社につきまして回答率五七%でございます。したがって、現実の問題を私どもいろいろ聞いておることその他から推察いたしますと、これを相当程度上回るというふうに考えておる次第でございます。
  148. 受田新吉

    ○受田委員 回答を五三%しかしないということは、非常に不届きなことだと思うのですがね。これは再度督促をするとかいうかっこうでやられた結果ですか。一ペんでまあまあということですか。
  149. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 これは、期限がきましてから、再三業界のほうその他を通じまして督促をいたしました。その結果、五七%でございますけれども、五七%の回答でございます。これは任意調査でございますので、業者団体の協力を得まして任意調査したものでございまして、こういう種類の調査といたしましては、まあまあのところと私ども考えておる次第でございます。もちろん、おっしゃるとおりに、私ども実情、実態を十分把握するためには一〇〇%協力してもらいたいのでございますけれども、結果はこうでございました。これは、ほかの省のことを言ってまことに申しわけないのですけれども、企画庁は同時期に、少し違うものでございますが、やはり土地問題に関連して企画庁らしい調査をいたしました。この回答率が五十数%で、私どもよりはちょつと少ないような状況でございます。
  150. 受田新吉

    ○受田委員 政府は、四十六年からの第二次住宅建設五カ年計画で必要なる土地をどのくらいに見ておられるのか、お答え願います。
  151. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 第二次住宅建設五カ年計画の中で、御承知のように、建てかえだとかその他ございますが、そういうものを差し引きましても、新規に必要なものが七万五千ヘクタールと考えております。
  152. 受田新吉

    ○受田委員 いま五七%で四万三千七百ヘクタール。そうすると、その他の未回答のものを入れると、大体、政府が計画される七万五千ヘクタールに近いものが出ると私は思うのですね。それが業者によって買い占めされておるということになると、ちょうど国の計画ほど買い占めをされておるわけですね。  その買い占めされておる土地の供出ということをどういう方法でやらせるか。これは、大手業者などが先頭に立って、山村、僻村にまで、道路開発計画などがあると、先買いをどんどんやって土地の取得をはかっておる。大量の資金があるから一ぺんにやるのです。個人はそういう芸はできぬから高ねの花で、指をくわえて見ておる。ここに宅地取得の大きなガンがあると思うのですが、そうした業者の買い占めたものを吐き出させるのには、どういう手を用意されておるのでしょう。
  153. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 おっしゃるとおり、一昨年来の金融緩和によりまして、企業の土地買いが相当活発になったわけでございまして、相当量をそういう企業が保有しておると思います。これを必要があるものにつきましては住宅地にして、現下の住宅問題、宅地問題を解決したいということは、おっしゃるとおりでございます。したがいまして、まずそういう企業が保有している土地で公的に開発することが必要な土地につきましては、それはだれが所有していようと、企業が保有していようと、新都市基盤整備法だとか新住宅市街地開発法というような法律体系によりまして、この必要な土地を取得するというふうに考えております。もちろんこの法律は、御承知のように、必要な場合におきましては収用権も付与されておるわけでございますから、強制的に収用することもできるわけでございます。そういう必要なところは、まず住宅団地として取得するということではないか。  それからもう一つは、総合的な土地対策として、現在企業の持っております土地を放出させる、また今後投機的なそういう土地取得ということのないような措置を講ずる必要があるわけでございます。そういう立場からいいまして、先般、政府におきまして制定いたしました「土地対策について」という項目の中で、いろいろその対策を考えておるわけでございます。投機的に土地を保有する者、投機的な土地買いを規制する、抑制するという方法につきましては、いわゆる土地税制、特に法人の土地の譲渡所得に対する課税の強化というものを考えておるわけでございます。つまり、税制の強化によりまして、土地でもうけることはできないということになって、投機的な土地の売買は成り立たないということがねらいでございます。  さらにまた、特別土地保有税というものを新設いたしておるわけでございます。これによりますと、御承知のように、土地の取得につきましては三%、保有につきましては一・四%という税率で課税を強化することにいたしておる次第でございます。  しかしながら、こういう土地税制によりまして投機の抑制をはかり、また保有の土地を放出するということをもちましても、一番問題は、宅地なり住宅用地を一般国民に供出するということが大事でございます。優良なデベロッパーでございまして、開発許可を受けて、また適正な利潤率のものについて、また公募によるものにつきましては、これを除外して、一般国民が土地を取得するのに困らないというようにいたしておる次第でございます。  そういう土地税制による規制策及び土地取引の規制の強化という制度考えておる次第でございます。つまり、土地の取引につきましては、都道府県知事に届け出をさして、その届け出に基づいて、都道府県知事が、投機的な土地取引だとか、また合理的な土地利用を阻害するという場合におきましては、御承知のように、取引の中止勧告を行なって、守らないときにはこれを公表するという制度考えておる次第でございます。さらにまた、新聞にも報道されておりますような、そういう規制以外に、これを強化した特別の地域におきましては、土地の取引の許可制度というものも、現在、経済企画庁を中心にその対策を検討いたしておる次第でございます。  そういうような土地の規制を通じまして、総合的な土地対策を通じまして、企業の土地の投機的な取引を抑止する、さらにまた、企業の持っている土地を供出させるというふうに考えておる次第でございます。
  154. 受田新吉

    ○受田委員 金丸先生、あなたも終戦後の日本の荒廃の中から二十七、八年の間に立ち上がった日本の姿をなまで見ておられるお一人です。私も同様です。敗戦の痛苦の中ではみんなまる裸でした。そのまる裸であったすべての国民が、いまや土地成金は何億、何十億の産をなしている。まさに極楽浄土のような暮らしをして、その金の使い道に困っておる。一方では、あなたもこの間報道で聞かれたと思うのですが、下町で、四畳半の小さな部屋で家族が五人も六人も住まっておって、寝返りをしたがために赤ちゃんが圧死したという事件が起こっている。残酷な物語がわれわれの目の前に散っておるのです。つまり、自分の家族が小さな部屋に五人も六人も雑居して、寝返りをすることによって赤ちゃんが死んでおる。こんな悲惨な家庭があるのに、一方では土地成金が栄耀栄華をきわめているという、この戦後二十七、八年の間にわたる大きな時の流れの貧富の格差、これは政府の土地政策、住宅政策の欠陥が生んだ所産ではないかと思うのですが、大臣、反省がありませんか。反省なしか、お答えを願いたい。
  155. 金丸信

    ○金丸国務大臣 敗戦によりまして、着るものもない、住む家もない、食べるものがないという時代ときょうの時点を考えてまいりますと、隔世の感をする中に非常な格差があるということも、御指摘のとおりであります。私も、政治というものは富士山の一番天井を見て考えるということじゃなくて、底辺を見て考えるということが政治だろう。ことに土地という問題は、国民の共有する領土だという考え方を私は持っています。そういう意味で、きょうのこの土地というものがこのような状態になっておるということは、まことに許せない。公共優先という立場からも、国民のためにも、いわゆる中以上の人の問題じゃなく、中以下の人をどうするんだ。ことに青年が幾ら働いても住宅も持てない、あるいは土地も持てない、宅地も持てない、こういうような政治を行なっているということは青年に失望を持たせる。失望を持ったきょうの青年は将来どういうことになるだろうか、そらおそろしく私は考えております。こういう問題について、政府も責任はあるでしょう。国民にもあるでしょう。しかし、政治をつかさどってきた政府も、十分にこの辺で思い切った政策をとらなければ、この問題は解決できない、問題は土地だ、こう私は考えております。
  156. 受田新吉

    ○受田委員 政府の施策が当を得ておれば、こんなに貧富の格差がひどくなかったと思うのです。確かに、いま土地成金の諸君というものは、りっぱな家をつくり、その金の使い道にも困って、何十万という株式投資などを火遊びにする人も出てきておる。外国旅行で、日本の旅行者がダイヤモンドその他貴金属などを買い占めておる。それでニューヨークのダイヤモンドの値段も動くというふうな実力を持っている日本の旅行者であることも、われわれは耳にしておるわけです。これは非常に大事なことですよ。マイホームを持てぬ。きょうもおられるお役人の方々にしても、せっせと働いても、いまのような高騰した土地であるならば、わが家を持とうとしても、たとえば都内の場合、どんなはずれであっても坪二十万も三十万もするのです。そういうところを百坪買おうとすれば二、三千万要るのです。それに家を建てれば四千万も要るのです。とてもそんなりっぱなものはつくれない。政治家の中にも、りっぱな住まいを持っておられる方もあるけれども、しかし、そういうことは別として、いま、われわれまじめに勤労する人の勤労意欲を失わすような政治情勢になっておるのですよ。営々として貯金した貯金の利子は物価上昇に追いつかない。十年前に貯金したものはいまは半値の力もないというような、こういう情勢がもたらされた原因は、やっぱり政治の貧困だと思うのですよ。世相というよりも、政治が強力に、土地の取得制度、土地規制というものに強権を発動しておけばこんなことにはならなかった。そういう大きな欠陥があった。土地は国民のためであって、売買の対象となる経済価値だけを考える土地であってはいかぬのですよ。そこへ人間が住む魂のこもった土地でなければいけないのが、売買利益の対象、商品として扱ってきたところに欠陥が起こってきた。残念ですね、これは。  しからば、いまからどうやったらいいか。とにかく、そうなったんだ。ならば今日どうやったらいいか。過去の反省を抜きにして、どうやったらいいかというと、非常に思い切った私権の制限をする。憲法二十九条の「財産権」という中に、既得権というものがあったにしても、買い占めた諸君のその土地については、すでに買い占めた土地にも遡及して重大な課税をするという手を打ってこれを吐き出させるなど、強権を発動せぬ限りは、これは根本的に解決しませんよ。  私は、ちょうどあなたのような精神生活に力を入れた大臣が出た機会に、大臣としては、もう少し大所高所から建設行政の中のポイントをここに置いて、道路計画をどんどん進めていくよりも、産業優先の血脈としての道路をつくるよりも、住宅をつくり宅地を取得するという、そのほうが大事じゃないかと思うのですよ。だから、道路が一年二年おくれても、それは国民生活の上にたいしたことはないのです。むしろ、悲惨な生活をし、家のない、寝返りをすれば子供が圧死する人々、これに力を入れて、思い切って住宅政策、宅地確保に力点を置く建設行政。私が建設大臣だったら、これは思い切ってやりますね。それに大転換をするきわめて大きな決断を持たないと、この仕事はできない。右顧左べんしてはできないのです。だから、私は大臣に、道路は第二次的でもいい、道路が一年おくれたって市民生活にそうたいした影響はないですから、むしろ人間を尊重する建設行政というところへ力点を置いて英断をふるっていただきたい。  私ちょっとお尋ねしたいのですが、計画局長、住宅局長お二人で、諸外国で日本のように住宅が不足している先進国があるかどうか。先進国の住宅状況をお示し願いたいです。
  157. 沢田光英

    ○沢田政府委員 一口に申しますと、イタリアの状態あたりが比較的似ておるかと思います。しかし、これから私が申し上げますように、いわゆる欧米の先進国はそのストック、いわゆる住宅の現在の姿では、日本よりもかなり上回っています。まず、ストックで現在ある住宅について見ますと、これは国連統計でございますから、多少年限が違いますし、多少の食い違いはございますが、二戸当たりの平均室数で国連統計に示されています。これによりますと、アメリカが一戸当たり四・九室、イギリスが四・八室、西ドイツが四・一室、これに対しまして日本は三・入室になっております。かようなことで、すなわち住宅が小さい。しかもこの場合に、一世帯当たり人員は、日本は、いま私が申し上げました諸国よりも、一割程度多いということになっております。さらに新設住宅について見ますと、イギリスにおきましては、一戸当たり平均でいきまして八十五・四平方メートル。これは六六年でございます。西ドイツでは八十三・八平方メートル、フランスでは七十九・二平方メートル。これに対しまして日本では六十八・一平方メートル。すなわち、ストックも劣っておりますが、フローの段階でも、どんどん伸びてはおりますが、まだ先進諸国には追いついていないというような状態でございます。  しかし、それじゃ日本が一体いまどういうような状態かといいますと、そのように、いままで日本は、戦災その他で、あるいは過去の住宅投資の関係上、非常に立ちおくれておりました。しかし、住宅投資の額というものは先進国に劣らず、総生産の七ないし八%という非常に世界的な高率でもって追いついていく状態にあります。ただし、非常に戸数が多いために、先ほど申しましたように、規模が小さい、かようなことになっております。  ちなみに、住宅建設戸数を申し上げますと、単年度でございますが、それぞれ年度が多少違っておりますが、大体イギリスが三十六五尺西ドイツが四十七万一尺フランスが四十七五尺日本は百六十二万戸。日本は七〇年でございますが、世界で百万戸をこしますのはアメリカとソビエトと日本、この三つでございまして、先ほどの投資額の推計からいきましても、どんどんとこの世界の水準には追いついておりますが、現状ではまだ劣っている程度はかなりある、こういう状態でございます。
  158. 受田新吉

    ○受田委員 そのどんどん追いついているという好ましいかっこうは、私、共鳴します。ところが、スウェーデンなど何回も旅行してきているわれわれとしては、町はずれに、日本のような、貧民窟のような小さなあわれな家というものは拝見できないのです。いまのような、寝返りをしたら赤ちゃんが圧死するような家は、ヨーロッパの先進国には拝見はできないと私は思います。そんなのが諸外国にあるかどうか、調査されましたかしら。
  159. 沢田光英

    ○沢田政府委員 さような調査はございませんけれども、たとえばアメリカの大都市におきますいわゆる黒人問題、このスラム、これはやや日本の状態に近いか、あるいは立体化されて、しかも不燃の建物であるだけに、より悲惨な面もあるかと思います。しかし特殊な問題でございます。日本で申しますれば、おそらく都市にまだ三百万もあるといわれております木賃問題、これと匹敵するか。日本には、住宅問題の一番最後の問題として残るのは、都市の木賃問題をいかに解消するか、かようなところだろうというふうに思っております。
  160. 受田新吉

    ○受田委員 私はそれを急ぐと思います。これは何よりも急ぐ。つまり人間らしい暮らしのできないようなところに住んでおる日本人をつくっちゃいけないのです。日本人としてひとしく、日本に生まれてよかったと喜んでもらえるような生活にしなければいかぬ。よし、乏しきを憂えず、ひとしからざるを憂うという戦前のことばは、私いまなお生かしていいと思うのです。片や大邸宅に住み、一方はそういうスラム街に住んで、寝返りをすれば赤ちゃんが圧死する、そういうときに、そういうスラム街解消に全力投球する、これも一年、二年のうちに解決するというような英断を、私はやってもらいたいのです。今度は成田ニュータウンのマンションに一向に人が入らない。りっぱな建物が立っておるけれども一向に人が入らない。入れないようなものをつくるよりも、スラム街ですぐ家の要る人のほうへあれだけの資力を投じたら、一ぺんに大量に救われるじゃないですか。住宅建築計画にどこかポイントのはずれがないかを御答弁願いたいのです。
  161. 沢田光英

    ○沢田政府委員 先生のおっしゃる問題は、再開発の問題に直接つながるかと思います。諸外国におきましては、再開発の問題というのは、比較的日本よりはやさしゅうございます。と申しますのは、そういうスラム地区は地価等が常に下がり、そこらの活動がダウンしております。したがいまして、そこの住民もまわりの住民も、再開発を非常に望んでおります。ところが日本では、まだ状況の悪い居住状況のところでも、そういう状況が起きておりません。地価はやはり上がっています。さらに土地に対する権利意識というものも相当強うございます。したがいまして、近い将来、再開発のほうに当然向かうという明らかな目標ではございますけれども、非常にむずかしい問題がございます。  現に私どもの局といたしましては、住宅地区改良法、すなわちスラムクリアランスをやる事業を持っております。これは年間一万四千戸程度やっておりますが、この一万四千戸をこなすのにたいへんな労力を使って毎年やっております。それ以上拡大するというのが、現状ではなかなかたいへんな状況でございます。しかし、いずれにいたしましても、都市再開発の方向に向かっていくべきだと私も考えます。とりあえず公団あたりでは、いわゆる下町にできております工場あと地、こういうものはまとまってできますから、こういうものを再開発的な建設として、核として建設をするということに重点を移行し、逐次、再開発法による再開発というものの段取りに移っていく、これを急ぐべきだと思います。
  162. 受田新吉

    ○受田委員 大臣、あなたも諸外国をしばしば旅行されていらっしゃるのですが、郵政次官のときに海外旅行された。当時、私は逓信委員として、あなたを壮行したことを覚えておる。学ぶべき先進国として、西ドイツのアデナウアー総理は、十数年にわたって総理の地位にあって、まず戦後の復興は住民の住まいをつくってやることだというので、官庁建築を一番あと回しにした。住民の個々の家、これは貸し家もあればマイホームもあるが、それに力点に置いて、私が昭和三十五年ごろにベルリンの町を訪問したときに、市役所などは焼けビルがまだ完全に復旧していなかった。そのとき説明を聞いてくると、いまのブラントが市長であった。彼の説明も承ったけれども、わが国は官庁の建築はあと回しにしても庶民の家をまずつくりたい、こういう方針を承ったのです。私は深くこうべをたれた。ところが日本は、中央官庁の建築にばかり力を入れたから、一応官庁街は堂々たるものだ。美観という意味からいえば、それは筋が通るかもしれぬが、一方にスラム街を残して、官庁だけりっぱなものをつくったって、これは意味がない。公務員は国民全体の奉仕者だから、粗末な建物でも、住民の住宅が満ち足りた後に、ちょうど仁徳天皇のような気持ち公務員もやっていく。庶民のスラム街が解消した、さあ官庁建築にかかりましょうという、その順序を私は踏むべきであったと思うのです。これは住宅政策の上で先後した過去を顧みて残念ではありますが、過去をいま一々とがめてもしようがない。  いま住宅局長の御説明を聞いて、一応の再開発計画でそれに手をつけようとしておられるけれども、東京から一時間も一時間半もかかるところへばかでかいニュータウン、高層マンションを住宅公団がつくるよりは、スラム街の解消のための措置をとっていくほうが私は先であると思います。国の建設行政の中にいささか片手落ちがあったと反省をしていただくとともに、いまからでもおそくない。すぐ手をつけていただきたいのは、道路計画を一歩やめてでも、財政投融資のワクを道路計画へ回す分を、有料道路などをつくる計画を一年、二年おそうしてでも、宅地、住宅に力点を置ける建設行政を大臣が勇気をもってやってもらいたいと私は思うのです。
  163. 金丸信

    ○金丸国務大臣 ただいま受田先生のお話を承りまして、非常に感銘いたしましたし、まさに同感であります。そのとおりだと思います。住宅政策の根本的な、抜本的な考え方をここで変えて、いわゆる四畳半で子供が圧死するようなことのないようにしたい。私はその話を承りまして、ちょうど十二月二十二日に組閣になったわけでございますが、まずそのとき、いま住宅公団でくじを引いて順序をきめて入れている、こんなものは宝くじを引くのと同じじゃないか、そういう考え方で、そういうような人をまず入れよう。しかし、それにはあまりに住宅が少な過ぎるということですから、先生のお考えどおり、ひとつ抜本的に思い切った行政をやりたいと決心をいたしております。
  164. 受田新吉

    ○受田委員 その決心を実行に移していただく。決断と実行ですね。ポイントはもうそこに尽きるわけですけれども。  もう一つ公務員宿舎というのがある。これは大蔵省きょうお呼びしておりません。公務員宿舎というものが満ち足りていない。公務員宿舎に当たった人は安い家賃で生活ができる。住宅手当をわずかにもらっても、一DKでも一万以下はないのです。二万、三万が普通の人が住まうところです。自分の月給の半分から三分の一を住宅につぎ込むような公務員もいらっしゃる。こういうところにも片手落ちがある。  いまイタリアの話が出ましたが、イタリアがオリンピックをやったときに、トトカルチョによってつくった選手村の一万戸を公務員寄舎に開放した。公務員の宿舎は一挙にローマにおいては解決した。これは私も、ちょうどあのときにそのあとを伺ったわけですが、そういうような何かの措置をとって、そうした公務員皆さんにも安んじて住宅が確保されて、不公平な措置にならぬように、むしろ課長、局長の皆さんのほうが遠慮されて、下で困っている課員のほうへ力を入れるとかいうふうな措置をとるとか、それから一般の市民でもそうです。営々とつとめて住宅費に大半をつぎ込んで、あとで人間らしい暮らしもできぬような形を早く解消せねばいかない。非常に悪い層は、土地成り金の横暴をきわめる生活の中に、そうした営々と働く人の希望を失わしめるというこの行政の片手落ちを是正する政策は一番建設省がやりいい。ほかの省よりも建設省が一番やりいいのです。まずわが住まいを安定する。小なりといえどもさしつかえないのです。乏しきを憂えずひとしからざるを憂う、これは味のあることばだと私は思うのです。そのためには、論語のことばの中に非常に味わうべき金言がある。「政は正なり」、まつりごとは正しくなければならぬ。「その身正しからずんば令すといえども下従わず」ということばがある。政治の指導者というものは、そこに常に正しい指導理念を持って庶民を愛する。そこで政治が安定するのですからね。これは大臣がいま、非常に悲壮な決意を表明されたのを私は喜びます。それをもって省議をまとめていかれ、そして総理を動かし、閣内を動かし、日本の政治を変える。その努力は金丸先生によって私は糸口がとれると思うのです。要望を申し上げておきます。  最後に、私、都市計画の中で都市局長さんに御答弁願いたいのですが、公園、緑地というのが都市には非常に少なくなってきた。これはわれわれが外国旅行をしてみると、あのベルリンにしても、ロンドンにしても、ニューヨークにしても、緑の地帯がたくさんある。ワシントンなどは典型的ですね。ところが、いま東京に例をとってみても、この二、三十年間に緑の地帯がどんどん狭められている。われわれの調べた数字は別に申し上げるまでもない、おわかりのとおり、緑地は、公園、児童の遊園等を含めて、大幅にいま減っているわけです。ところが、いま一朝、大火事が起こる、あるいは大地震が来た、そういうときに一体避難民はどこへ行くか。いま東京にも相当空閑地がある。ところが土地の所有者は、それを自動車の駐車場にも提出しないで遊ばしておる一そういう遊んでいる土地は、これを強制的に使用させるような法律でもつくる。つまり空閑地を利用させる空閑地税を創設する。こういうようなことで空閑地の利用をやる。そして、いざ地震が来たらどの地区の人はここに来なさいという避難訓練をやる。これは建設省の仕事じゃないけれども、総合的にはやはり建設省がやられる。そういうようなものを含めて、いま緑地が大幅に減って、世界の大都市の中で緑の地帯があまりにも少ない東京が、ますますさらに狭まろうとしておるわけでございますが、都市計画の中で公園の緑地の確保などについてはどういう政策をお持ちなんでしょうか。
  165. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 仰せのとおり、東京その他日本の都市におきましては、諸外国に比べてたいへん緑地率が落ちております。市街地面積に対する比率、あるいは市民一人当たりの公園面積など、どれをとりましても非常に少ないわけでありますが、おくればせながら昭和四十七年度から、都市公園の整備につきましても初めて五カ年計画ができまして、規模は他の五カ年計画に比べればまだ少のうございますが、毎年の予算におきましても、率としては相当飛躍的に伸ばしております。その中で、小は児童公園あるいは住区公園、中くらいの規模では都市基幹公園といった十ヘクタール前後のもの、さらには都市の少しはずれたところにかなり大規模な広域の公園等も含めまして、五カ年計画で当面格段に公園をふやしたいと思います。この計画は昭和四十六年度末で全国にあります二万五千ヘクタールの公園を、さらに一万六千五百ヘクタールふやすものでございまして、従来の集積の足りないものは相当急速に伸ばしていきたい。もちろんその五カ年計画の後におきましても、さらに拡大した計画で昭和六十年くらいには一人当たり九平方メートル、欧米の半分くらいのところまでは持っていきたいという計画でございます。  一方、防災対策あるいは地震等に対する避難拠点としての意味も兼ねまして、特に大都市の密集地域におきましては、相当大規模な緑地あるいは公園を中にとりまして、できれば周辺部を炎あるいは火災の熱から遮断するための高層住宅を建てて、これを張りめぐらすというような構想によって、避難地としての緑地の整備にも非常に力を入れていきたい、このように考えております。
  166. 受田新吉

    ○受田委員 いま承って一応の計画をお持ちのようでございますが、いま東京で大地震が起こった、そういうときに避難場所としてその緑地がどう利用されるかというような、何かそういう協議会みたいなものができておりますか。都市計画の中の公園の利用というようなものを話し合いしておられるのでしょうか、どうでしょうか。
  167. 吉田泰夫

    ○吉田(泰)政府委員 現在は、防災の見地から見た緑地、あるいは公園その他の防災避難拠点に役立つような広場が非常に少のうございますので、都民の方々にも、一朝事あるときの避難場所というものは、区の広報などを通じてお知らせはしてありますが、相当遠くまで歩いていかなければならないということでございまして、非常に心もとない次第でございます。やはり少なくとも歩いて二十分とか三十分くらいの距離に、全市民、全都民を収容できるような場所を用意しておきませんと、一たん大震災、大火災があったときに非常に心配なわけでございまして、今後はそういう整備も含めまして、そのつど十分官公庁同士の横の連絡もとりつつ、避難経路等についての周知徹底をはかってまいりたいと思います。
  168. 受田新吉

    ○受田委員 これで質問を終わりますが、もう一つ、筑波研究学園都市営繕建設本部というのを本省に地方支分部局として置くということがあるわけですね。地方支分部局というのは地方にあるわけです。それを本省に置くということはどういうことか。本省に置く地方支分部局ということでなくて、本省に置くのなら、別途、付属機関でもいいし、何かの形で機構問題として解決する方法があると思うのです。地方支分部局の中へ置くよりも、本省に置くというなら、地方支分部局にしないで本省の一機関としてやるほうが筋が通るのじゃないですか。
  169. 大津留温

    ○大津留政府委員 ごもっともな御指摘でございますが、ここでいう本省というのは、まあ建設省にというような意味で用いられておるように思います。したがいまして、地方建設局を置く場合におきましても、本省に地方支分部局として地方建設局を置くというようなことばづかいをしております。
  170. 受田新吉

    ○受田委員 そうですか、そのことばづかいですか。
  171. 大津留温

    ○大津留政府委員 はい、そういう意味ことばづかいです。
  172. 受田新吉

    ○受田委員 私は建設本省に置くという意味かと思ってお尋ねしたのですが、わかりました。どうも失礼しました。長々とどうも……。
  173. 三原朝雄

    三原委員長 奥田敬和君。
  174. 奥田敬和

    ○奥田委員 いまほどは、受田先生の非常に高邁な政治理念をまじえられました住宅政策全般を承っておったわけでありますけれども、できるだけ重複を避けるように問題点をしぼって質問いたしたいと思います。  今日的政治課題として、住宅政策の推進、あるいは都市に集中した学園の地方分散はたいへん大切な私たちの課題でありますけれども、現在、実施なさっておられる第三次住宅建設五カ年計画のうちで、公的住宅、つまり公営住宅、公庫融資住宅、公団住宅等の建設の進捗状況、これについて少し数字があったら示していただきたいと思います。また住宅公団の大体守備範囲と申しますか、建設進捗状況もあわせてお答えいただきたいと思います。
  175. 沢田光英

    ○沢田政府委員 第二期五カ年計画は四十六年度から五十年までの五カ年でございます。これの期間中に総数で官民合わせまして九百五十万戸の住宅を新たに供給する。そのうちで、先生の御指摘ありました、おもに政府関係、公的資金のものは四割の三百八十万戸でございますが、直接政府がこれを供給いたしますものは、御指摘の公営住宅、公庫住宅、公団住宅でございます。  公営住宅は、そういうふうな政府公的資金によります三百八十万戸のうち、公営住宅の五カ年の計画は六十七万戸ということになってございます。これの四十六年、四十七年、四十八年の計画というものを足し合わせました進捗度は五九・三%になります。  また公庫住宅につきましては、同じく数字が百三十七万戸でございまして、これの進捗度は六四・五%、三年間を合わせまして六四・五%ということになっております。  御指摘の公団は、いまの三百八十万戸の政府施策の中で四十六万戸を大都市地域に主として不燃住宅で供給をする、かようなことでございまして、進捗度は五四・八%、かようなかっこうになります。  こういうものを合わせまして総計で、その他のものをまじえました公的資金による三百八十万戸の三カ年の進捗度は五五%となっております。平均でございます。  また最近、民間のほうは、これはだいぶ四十六年度はダウンをいたしましたけれども、四十七年度は非常に伸びておりまして、三カ年で計画が終わりますれば五八・八%ということでございまして、官民合わせまして三カ年で五七・三%ということになります。この進捗度は、いわゆる五カ年を定率で上がっていくというふうな上がり方をややオーバーしております。すなわち計画から申し上げますと、計画は順調に立てられ、あるいはいままで四十六年、四十七年は進んでおる、かように申されるかと思います。ただし実施の部面におきまして、特に四十七年度でございますが、四十七年度におきまして、いわゆる東京周辺がおもでございますが、この辺におきまして、あるいは大阪周辺も多少そういう傾向がございますが、この計画戸数がなかなか思うように進まないという状況が起きております。これは土地事情あるいはそのほかの事情でございますけれども、したがいまして、計画はそのように順調でございますが、四十七年度に至って、大都市地域において進みぐあいが落ちてきておるというのが現在の実情でございます。
  176. 奥田敬和

    ○奥田委員 いまの局長の説明で、順調ということで、特に公的住宅のうち、公団のほうが五四・八%という数字をいま示されましたけれども、私たちのように外部から見ておると、東京、大阪という住宅不足の著しい地域に進捗がうまくいっていないような印象といいますか、感じがいたします。しかし、いまの数字をそのまま見ていく形の中で、比較的順調な住宅建設が進んでおるということは認識いたしました。  四十八年度予算で、従来の住宅公団の賃貸しから分譲政策にウエートを置いていこうというようなことを示しておられますけれども、私は基本的にこれは大賛成であります。また住宅標準も、三DKから三LDKあたりを中心に持っていこうという形についても、たいへん住宅機能の充実といった面から私は好ましいと思います。  ところで、いま東京、大阪という形を例にあげられましたけれども、地方都市圏の中でも、東京の場合を例に引いても、周辺部の神奈川あるいは千葉、こういった県で住宅公団の受け入れという形を非常に拒否反応と申しますか、示しておりますね。この点について、この最大のネックは何だという、おもな理由だけを少し指摘していただきたいと思います。
  177. 沢田光英

    ○沢田政府委員 私、先ほどの説明で、計画は順調でございますが、四十七年度に至りまして、いま先生のおっしゃった地域においてスピードが落ちてきておるということでございまして、三大都市圏におきまして、公団のいわゆる四十七年度予算に八万八千戸ございますが、四十八年度中に発注されるであろうと思われる戸数は四万三千戸程度でございます。あとは次の年度に持ち越すというかっこうになります。四十六年度にはかような状態はなかったわけでございます。  これは東京周辺について見ますと、特に埼玉、神奈川、千葉——千葉が一番ひどいのでございますが、そこでの、簡単に言いますと、公団お断わりというような状態が急速に出てまいりました。それによるわけでございますが、その原因は、これはだいぶ前から徐々に出てきた問題でございますが、一つには、これらの諸県におきまして、これ以上人口をふやしたくない。これはそれぞれの県でそれぞれの総合計画なり何なりを持ってございます。その総合計画等の人口推定をどんどん上回ってくる。これは公団だけの問題ではございません。いろんな入り方で人口が入っていくわけでございますが、そういうもののトータルが計画をはるかに上回ってくる。上回ってきますと、各種の施設の必要性が出てくる、そういうものが追いつかない、計画が破綻を来たす、そういう意味で人口増は困る。しかも公団は一番つかまえやすうございますから、しかも大きな単位で進出いたしますので、これをまず押えるということで、これのお断わりなり削減なりということが出ております。これは基本的に結局人口問題と申しますか、そういうふうな問題、人口計画問題、こういうところに根が深くあるわけでございます。  次に二番目の原因といたしましては、住宅公団等がかなりの規模で大きな開発をして団地をつくるという場合には、これに付随をいたしまして、学校、道路、下水道、その他の関連公共施設、こういうものが必要になってまいります。これらはいずれも地元市町村の負担になる。補助金を受けました残りの分は市町村がこれを負担をするということでございまして、この負担が相当一時的に大きい。これが財政上大きな問題である。そういうことで、公団等におきましてはつなぎ融資等をやっておりますけれども、しかし、基本的にそういう問題が解決されないから、そういうものが来てくれては困る、かような原因がおもなる原因でございます。  そのほかに、最近におきましては、そういうものの前に、さらに用地が買いにくくなっておる、これは一般問題としてございます。
  178. 奥田敬和

    ○奥田委員 いまの局長の説明によりますと、私は曲がりかどにきておるように思うのです。非常に順調ないままでの推移とは別に、おそらく、四十七年度、四十八年度の実績ということを考えるときに、この土地問題、やはりこれは大前提だと思います。これも非常にむずかしい時期に来ておる。これは今後の抜本策を講じなければどうにもならぬ。と同時に、いま言った人口急増対策というものを各県がいやがる。そうして、はっきり言いますと、自治体財政を圧迫する、こういう形で非常に反対機運が強い、こういうことだろうと思います。しかし、いろいろな政策は施しておられることは知っております。たとえば学校補助率、あるいは公園、一般のごみ処理施設その他の公的施設に関する補助率は、今度うんと上がりましたね。そういう面で対応策は講じておられるのでしょうけれども、結局いまのままの状態でいっては、公団はまさに曲がりかどに来て、当初の五カ年計画達成の上においても、いま局長の最初のように、あまり自信を持ったことはなかなか言えない状態に来ているんじゃなかろうか、これが本音だろうと思います。  そこで結局、こうなると、大臣にお伺いしたいわけでありますけれども、土地政策、いわばマイホームに夢を持たせるために、けさの新聞に載っておったように、持ち家希望者に登録制をしこう、あるいは今度の新しい開発公団のほうにおける土地の特定地域の許可制、こういうものにみんな関連してくると思いますけれども、けさの各紙にもう載っておったわけですけれども、登録制の金丸構想ですね。これについて、大臣、ちょっと御意見を述べていただきたいと思います。
  179. 金丸信

    ○金丸国務大臣 私は大臣就任当時から、住宅問題、土地問題、これが非常に大きな政治問題であるという考え方を持っております。しかし、予算はもうコンクリートされておるという状況でありまして、昭和四十八年度を私がどうというわけにいかないという状況もあったわけでございますし、むしろ、できるだけ予算を要求して獲得するということが私に与えられた任務だということで最善の努力をいたしたわけですが、私のところに来る二十七、八、三十代、三十五代の青年が、私たちにはこのままでは土地も住宅も持てない、三十年営々と会社に働いてみても、退職金が千万あるいは千五百万あっても自分の持ち家にはならない。御案内だと思うのですが、持ち家という考え方については、いわゆるアンケートをとってみれば、国民の八割はいわゆる持ち家というものを希望しているわけであります。しかし、持ち家も持てないという層もあることも考えておかなければならないけれども、しかし、その三十代あるいは二十五、六代の人たちが、この夢が実現できないということになったらどうなるんだろう。職場で働くいわゆる勤労者層が、こんなことじゃ働いたって同じことだ、競馬もやれ、ばくちもやれというデカダンな気持ちになっては、将来の日本はどうなるのだろうという心配を私は非常にいたしたわけであります。  そういうような意味で、この問題は、いわゆる現在の五カ年計画をそのまま推進して、それにプラスアルファをするという考え方で、そしてこの持ち家住宅は、今度の四十八年度の政策の中に入って御審議をいただいておるわけでございますが、いわゆる中堅勤労層を対象にして、あるいは五年先、あるいは七年先、こういうようなものをいわゆる登録制にしたい。それにはいわゆる住宅債券というものを考えてみたり、あるいは宅地債券というものを考えてみて、いわゆる予約をする。もちろんそれは特殊なその人の財政事情もありますから、その辺は十分勘案をするということでありますが、その問題を十分検討して、五年たてば、あるいは七年たてば家に入れて、家賃を払いながら自分の家になる。こういうような政策を進めていくことも一つの夢の実現になるのじゃないか。青年の青写真を実現してやる一つにもなるのじゃないか、こういう考え方でございます。
  180. 奥田敬和

    ○奥田委員 今年度の予算執行の中で、私は非常にいい構想だと思いますから、公団分譲の中で登録制をぜひ採用してほしい。私はこう思っておるのですが、ちょっと聞きますけれども、最近の資料で、住宅公団の競争率はどのくらいになっていますか。
  181. 沢田光英

    ○沢田政府委員 非常に大きな倍率からマイナスの倍率といいますか、一ぱいにならないケースまでございます。たとえば高島平のような、ああいう便利なところでございますと、千何百倍、かようなものが参ります。ただし、非常に遠いところでございますと、これが最初の募集で一ぱいにならない。たとえば五〇%を割るというような状態が現出しております。
  182. 奥田敬和

    ○奥田委員 いずれにしてもたいへんな倍率のように聞いております。いま一例あげられましたけれども、あまり充足してないところもあることは知っておりますが、ともかくたいへんな競争率である。ところで、先ほど大臣ちょっと触れられましたけれども、すでに従来からでも、宅地債券あるいは住宅債券、こういうものはやっておられるわけですね。しかし私たちが期待したよりも政策効果が少ない。一般の国民も、この住宅債券、宅地債券に初めは魅力を持って債券公募に積極的だった。いまでも参加はしているわけですけれども政策効果があまりあがって、いないような気がします。その原因としてはっきり言えることは、何県何郡何町と特定地域にしぼってしまって、そういうところで希望者を募る。こういうことから、実際の仕事にかかる形のときには、相当な原材料のアップとか、土地はもうそのときすでに手に入れられてからの発表のケースが多いと思いますけれども、場合によっては不動産業者のえじきになっておる。先を越される場合もある。こういったいろいろな問題点から、結局、公団は高く買って安く売る、こういうような形になってきておることは事実なのです。ですからその特定地域の網をもっと広げて、東京通勤何時間あるいは何十分圏内、東あるいは西、東部、西部、北部、南部地域、こういう形に大ざっぱにやっていく形にすれば、この効果はやはり実際問題として出てくると思うのです。ですから、従来の宅地債券、住宅債券制度、これをうんと利用していく方向をさらに検討していただいて、小さい網を大きくする形、特定地域をもう少し大きく範囲を広げる形の中で、それに登録制を付随させていくという形になりますと、政策効果が比較的期待できるし、いつも抽せんはずれの人たちのいらいら現象を、何年間もからくじばかりつかませる、インチキだという感じを払拭していく非常に大事なことだと私は思います。  大体、宅地債券の競争率はどのくらいか。それと実施した分譲の口数ですね。たとえば、四十五年にこの制度によって土地を何日あっせんいたしました、そういう形で、住宅あっせんを含めて数字があったら知らせてください。
  183. 高橋弘篤

    ○高橋(弘)政府委員 まず宅地債券のほうから申し上げますと、先生先ほどからおっしゃるとおりでございまして、当初この制度発足いたしました際には、いろいろな面で制約が多くて、応募率が少なかったのでありますが、最初のころは、四十年からでございますと三・七倍、それから二・四倍というようなものでございました。ところが、先生がおっしゃったように、実は四十五年から内容を改善いたしまして、関連宅地の所在を示せば足りるということで、指定を少し緩和したわけであります。それからまた積み立て額も、従来の二分の一というのを三分の一にするとか、そういういろいろな応募しやすい方法にいたしました。したがって、四十五年から応募率が十六・八倍、四十六年に十七・一倍というふうに多くなってきたわけでございますが、これにつきましても、先生の先ほどおっしゃいましたように、今後もさらに、中堅の勤労者が応募しやすいようなふうに考えていきたいと存じます。  それから口数は、金額で申し上げますと、三十八年創設以来百九十七億、約二百億、額面で二百五十億ということになっておる次第でございまして、大体四十五年二千五百六十口でございます。これはいま、ちょっと資料があれで、一年度だけでございます。
  184. 奥田敬和

    ○奥田委員 単年度資料だけだということで、四十五年度実績の数字二千五百六十口、間違いありませんね。四十六年度は単年度で九百五十口なんですよ。だんだん少なくなってきたことを、大臣の前だと思って遠慮しなくていいのですよ。実際は結局ネックがあるということを指摘したかったわけです。これはやはり土地問題ですよ。土地の購入に関して、いま国土開発法でやろうとしておるような形で、自治体、政府が介入する、そういう形のある程度強権を出していかないことには、今後のこの分譲宅地にしろ、あるいは分譲アパートにしろ、問題点が解決しないということをここで言っておきます。  ただ私は、こういろ問題点が非常にネックがあることを承知しておりますけれども、住宅困窮の著しい大都市地域において、この登録制採用というような金丸構想は、積極的にあらゆる場で具体的に推進させていくような方向をたどることを大きく期待いたします。  ただ、一つ触れたいのですけれども、さっき住宅局長、実はまだ埋まらぬところがあるのだということを先手を打って言われました。私はその問題について少し追及したいと思ったのだけれども、あなたのほうが先に言われてしまいました。おそらくマスコミで問題になった埼玉県日高の例だと思います。高麗川団地は、せっかく多額の投資をしながら、充足率、入居率が非常に悪い。原因は何だということになると、はっきり言って、水なし、足なし、こういう形のところにつくられた形に対しては反省もしていただきたいと思いますけれども、現在この入居率はどれくらいになっているか、数字がありますか。そして水とか足について非常に問題点がありましたけれども、これの対応策というものは大体どうなっていますか。
  185. 沢田光英

    ○沢田政府委員 高麗川団地につきましては、原因は先生のおっしゃるようなことでございますが、ここにおおむね千九百戸の住宅がございます。現在、五百三十戸埋まっておりまして、あとはあいております。これは水の問題は、すでに暫定的にも一応の手は打っております。基本的にも将来にわたって解決されるということでございますが、何せあそこに関します足の問題、これが時間を要すること、あるいは間遠なこと、こういううなことに関しましては、バスあるいは電車、こういうものに関しまして、これの頻度を増す等、われわれ公団におきまして折衝に非常に努力をしております。この改善は逐次はかられるという方向で努力をしておるわけでございます。
  186. 奥田敬和

    ○奥田委員 やはり今後いろいろな対応策を考えておられることは、先ほども言われておりましたけれども、やはり自治体と協力する体制というものについては、もっともっと積極的、そしてまた細心にあらゆる措置といったものを前向きに検討していく必要があろうかと思います。これはまだ、建設委員会のほうで私の試案をまたそのとき述べますけれども、せっかく大臣がこういう建設行政にひとつからだを張ってやっていくんだという体制の中にあって、まことに情けない。千九百戸のうちに、一月二十日ころ現在で大体まだ五百三十戸ほどしかの入居しかないという形では、やはり今後あらゆる計画、プランというものをやるときにやはり慎重にやってもらいたいと思います。いま聞くと、水の問題、足の問題も徐々に改善方向に向かっておるというお答えですから、これだけの住宅不足問題の大きなときに、こういう形のものは一日も早く解決していただきたい。そのことがやはり政治不信にもつながっていく大きなことにもなっていきますから、ひとつがんばっていただきたいと思います。  これに関連するわけですけれども、先ほど来言ってきたように、今日の住宅政策というものは、ほんとうに国民要望の最大の問題である。また政治に携わる人間にとっても最大の課題であるということを踏まえて、先ほど受田先生からも言われましたけれども、今回減員する監理官ですね。この役割りについては先ほど説明を受けたので、職務内容については触れませんけれども、私はやはり減員する理由。この監理官という職務内容は、私は非常に大事な内容だと思うのです。今後の公団の機能はますます増大していくであろうし、充実をはからなければいかぬことはもちろんでありますけれども予算、それに伴う執行が大きくなっていく。しかも監理官の役割りというものは公団の監理、監督というだけじゃなくて、建設大臣が監督する、そういう形をささえていくスタッフですね。大臣にあらゆる公団の問題点に関して意見を具申するくらいの非常に大事な役割りだろうと私は思うのです。現実に国民の側から見れば、やはりできるだけこういう間違いを起こしてほしくない。あらゆる形で機能的に公団が動いていってもらう。むだな面があれば、大臣に進言をし具申して、それを早急に改善していくというような、非常にいろいろな権利付与というものの中では大事な役割りである。これは二人ふやしていくというならわかるけれども、一人にする。その根本理由が私は案外わからないのですよ。それはもちろん予算定数で、先ほど受田先生の質問に、わけのわからぬ、私から見ると理解に苦しむ答弁ではありましたけれども、結局は予算定数の形の中で、新しい住宅政策の新設ポスト、それをやるためにどうしても片方減らす。減らすときには、目の上のこぶというか、監理官というものが二人おるなら、一人でいいじゃないかというような、安易な形の今度の改正というものが私は非常にふに落ちない。そして実態はわかりますけれども、それはもちろん、行政簡素化なり人員削減なりという、行政管理庁側からの一つの大きな形というものは理解できないことはありません。しかし私は、この監理官を減らす、これについては、ほんとうにこれが国民の望むところであろうかという形において、大きな疑問を持ちます。つまり、ものごとはケース・バイ・ケースでいかなければならぬという形でおるわけですけれども、何か機械的なスクラップ・アンド・ビルドと申しますか、こういう単純な形の中で定数問題がやっていかれるような、安易な道をとっていかれるような気がして残念でならない。  きょうは行政管理庁入っていますか。——入ってない。それじゃまた、これは時期をあらためてあれですけれども、大臣、大臣はいま答弁しにくい問題だと思いますから、答弁は求めませんけれども、この公団の監理官、こういうのは、私はこれからまた、行政管理庁側ともいろいろな時期をとらえてやりたい。この監理官の問題に限らず、機械的なそういう予算面だけから、定数面だけからやろうというような、安易な形の中で行政の簡素化をはかっていかれるという形だけだったら、非常に大きな行政上の欠陥が出てくるおそれなしとしない。そういうことで、この問題は皆さんに言っていても、皆さんはおそらく二人のままにおってもらったほうがいいと思っておられるだろうけれども……。
  187. 金丸信

    ○金丸国務大臣 仰せのとおり、一人より二人のほうがいいことは間違いはありません。しかし、もうこの制度相当定着して、二人でやらなくても一人でやれる、こういう考え方で、非常に危険だ、心配だとおっしゃられることもよくわかります。ことに、きょうの住宅事情の状況から考えてみましても、おっしゃられるとおりでありますが、そのような状況の中で、まあ一方をふやすという考え方、そういうように受田先生もとられておるようでございますが、私は、先ほど申し上げましたように、その点につきましては、そのほうも必要である、それもやらねばならぬ。いわゆるこれらの問題にしましても、あるいは店舗の新しい形態にしても、今後建築関係の問題については、それを一課にまかせて片手間にやるという仕事じゃない、こういう考え方で私は判断いたしたわけでございます。
  188. 奥田敬和

    ○奥田委員 大臣は党人政治家ですから、官僚機構がむやみやたらととって、どれだけでもふやしていこうという、そういう傾向というものは私たちもよくわかります。ですけれども、むやみと拡大されることについては私ももちろん大反対ですけれども、今後とも、機械的処理じゃなくて、国民批判を受けないように、そういう意味において、ひとつ措置していただくような方向で努力していただきたい、このことを要望いたしておきます。  次に、時間が相当経過いたしましたので、筑波学園のほうの建設計画、これに関しまして少し質問をいたしたいと思いますけれども、大体、全体構想は概略つかんでおるつもりでありますが、あまりこまかい細部は別として、全体構想、そしていままでの進捗状況。もしできれば進捗状況も、営繕のほうが担当している分だけではなくて、営繕のほうはこれだけ、住宅公団のほうはこれだけ、地方公共団体が担当している造成分はどれくらい、何%くらいの数字で示していただけますか。
  189. 大津留温

    ○大津留政府委員 用地の取得は住宅公団が担当しておりますが、これは九九・何%と、ほぼ完了しております。それから同じく住宅公団の担当しております宅地造成並びに域内の街路等の築造、これは目下進捗しておりますが、下水道あるいは河川改修、あるいは関連した域外との連絡道路、こういうものが、まだこれから相当やらなければなりません。それから、学園都市に建設される研究機関、教育機関等の建築計画でございますが、全体で約二千四百億円程度で、このうち建設省の営繕が受け持ちますのは約千五百億程度でございますが、これはまだ、本年度までにおきましてわずか数十億、あるいはせいぜい百億程度でございまして、来年度からほんとうの本格的な建設に入る、こういう状況でございます。
  190. 奥田敬和

    ○奥田委員 そうすると、営繕の建設本部、今度の営繕が担当していく、これは四十八年度予算から本格的に移っていくということで、現在のところはまだスタートを切ったばかりだというぐあいに解釈してよろしいわけですね。土地買収もいまのところ順調にほとんど完了しているようですし、その点についてはわかりました。ただ、この完成年度といいますか、いまの営繕の建設本部が一体所管の事業完成をどの年度までにやり遂げられるわけですか。その見込みはどうですか。
  191. 大津留温

    ○大津留政府委員 特殊な施設あるいは機関を除きまして、昭和五十年度中におおむね完了したいという考えでおります。
  192. 奥田敬和

    ○奥田委員 そうすると、大体五十年までに受け入れ体制というか、こういう研究機関の工事といった面はもう完成するということですね。まあ一部多少の問題は残るでしょうけれども、ともかくほんとうの大切な部分というのは五十年までに全部完成させる。私はこれはたいへんな工事じゃないかと思うのですよ。実際これは、四十八年、九年、五十年、この三カ年で、おそらくたいへんな研究機関の数ですし、営繕の担当する部分だけでも、いま官房長は千数百億という数字をあげられました。このほか、道路、河川、水道、下水道、公園、公共施設があります。もっと言えば、公益的な施設としての学校、あるいは病院、診療所、そういった面もある。今度はこの機関に入る人、公務員の受け入れの住宅の問題もある。そのほかに、いま営繕がやろうとしている諸般の研究機関が五十年までにオールラッシュしてやっていくわけですけれども、これはちょっと想像しただけでも、私はたいへんな出合い丁場と申しますか、おそらくいまの日本で、いろいろ大きなプロジェクトをやってまいりましたけれども、それらより以上の大きなものではないか。万博などの例もありますけれども、規模的にも、内容的にも、こんなもの問題にならぬくらいの、また、この区域だけを区切った場合には、たいへんな事業計画になっておるわけでありますけれども、私が一番心配するのは、出合い丁場で、専門家の皆さんから見て一体一日に何万人くらい実働するか。この工事を五十年までに完成させるまでには、営繕のほうだけでも何千人という数字をあげられると思いますけれども、これは公団、地方自治体にまかしている公共施設、あるいは建てかえ工事分を含めてのそういう総体的なものだと、常識的に判断してもおそらく五、六千億。研究機関の投下額からいっても予算超過になっていくと思うのですが、大体どれくらいの一日の実働人員と想像されておるのですか。
  193. 大津留温

    ○大津留政府委員 工事のピーク時におきまして、営繕が受け持つ工事に従事する労働者が約二万人と想定しています。そのほかの事業に従事する者も含めますと、三万人以上になろうかと思います。
  194. 奥田敬和

    ○奥田委員 多いときは三万人ほどになるということですね。私もそれくらいになると思います。それで、付帯的な家族とかいろいろなものを考えますと、おそらく五、六万の臨時都市が、工事中においてすらも出現するということは想像できると思います。私は、それだけラッシュになっていく、それだけこみ合う形の重大な目的を持った工事ですから、成功していただきたい。そしてまた、この筑波学園都市建設法の第一条の「首都圏の既成市街地における人口の過度集中の緩和に寄与する」ということも、これはすばらしい研究学園の雰囲気である。と同時に、はっきり言うと、最近少し色あせてまいりましたけれども、列島改造のたいへん大事な目玉である。そういう事業ですから、私どもも、これは期間的に非常に突貫工事ですごいことになりますけれども、何とか五十年度という予定どおりの形で進捗を見ていただきたいと思います。  ただ、要望しておきますことは、これだけの形になりますと、非常に地元住民パワーと申しますか、地元住民との間の摩擦が起きる。問題がないと皆さんは言われるかもしれないが、私は問題が出てくると思います。これだけの大きな工事になると、物を運ぶときのダンプカー、相当な技術労務者が流れていく形から、あってはいけないことだけれども、そういう犯罪ケースあるいは汚水、ごみ処理を含む生活環境の整備、こういう形で付近の住民との間にいろいろいやな問題が起きるのではないかということをまず懸念するわけでありますけれども、できるだけ、営繕が直接担当する工事に入っていく前でも、この環境整備のほうは、新しく上下水道関係、公園関係あたりも並行して進めていっていただきたい。そしてまた、このことが非常に大事な問題点であろうと私は思います。西部の町のようになってしまって、そして、そういうこともないと思いますけれども、ある程度の環境整備が並行して進んでいかないと、やはりいろいろなトラブルが起こってくるケースになるのじゃなかろうか。と同時に、地方自治体が担当する公共工事、これを完成させるために、いろいろな器材なり原材料、あるいは労務者、こういう面についての摩擦が起きないように、地元の業者と入り込んでいく大手の業者との間の調整、こういった細部の問題にまで非常に慎重にやって、この世紀のプロジェクトを完成させていただきたい、こうお願いいたしておきます。  最後に要望になりますけれども、いまほど言いました諸般の事情を踏まえて、大きな建設工事につきものの建設公害、そのようなものをまき散らすことによって住民にくれぐれも迷惑をかけないような姿勢で、ひとつ大臣以下皆さま方にこのことを強く重ねて要望いたしまして、私の質問を終わります。
  195. 三原朝雄

    三原委員長 次回は、来たる三月一日木曜日、午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十一分散会