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1973-01-16 第71回国会 衆議院 内閣委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年一月十六日(火曜日)     午前十時九分開議  出席委員    委員長 三原 朝雄君    理事 加藤 陽三君 理事 笠岡  喬君    理事 中山 正暉君 理事 藤尾 正行君    理事 大出  俊君 理事 木原  実君    理事 中路 雅弘君       赤城 宗徳君    越智 伊平君       大石 千八君    近藤 鉄雄君       坂村 吉正君    竹中 修一君       丹羽喬四郎君    旗野 進一君       三塚  博君    長谷川正三君       横路 孝弘君    和田 貞夫君       木下 元二君    東中 光雄君       鈴切 康雄君    正木 良明君       受田 新吉君  出席国務大臣         自 治 大 臣 江崎 真澄君         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      二階堂 進君  委員外出席者         内閣官房長官 山下 元利君         防衛政務次官  箕輪  登君         防衛庁参事官  長坂  強君         防衛庁長官官房         長       田代 一正君         防衛庁防衛局長 久保 卓也君         防衛庁人事教育         局長      高瀬 忠雄君         防衛庁経理局長 小田村四郎君         防衛庁装備局長 山口 衛一君         防衛施設庁長官 高松 敬治君         防衛施設庁施設         部長      平井 啓一君         外務政務次官  水野  清君         外務省アメリカ         局長      大河原良雄君         外務省条約局長 高島 益郎君         文部省初等中等         教育局財務課長 松浦泰次郎君         自治省行政局長 林  忠雄君         消防庁長官   宮澤  弘君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ————————————— 委員の異動 一月十六日  辞任         補欠選任   山崎 始男君     長谷川正三君 同日  辞任         補欠選任   長谷川正三君     山崎 始男君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国の防衛に関する件      ————◇—————
  2. 三原朝雄

    三原委員長 これより会議を開きます。  国の防衛に関する件について調査を進めます。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  3. 大出俊

    大出委員 きょうは、防衛庁長官増原さんが急な御病気だというのですけれども安保協議委員会が二十三日に開かれるわけでございまして、ここへの出席大臣は、江崎大臣おいでになるが、御存じのとおりに外務大臣防衛庁長官がお出になるわけであります。関東計画が問題になっておりますので、ここでおそらく立川問題などを中心に相談なさるのだと思うのでありますが、そうすると、いま問題になっている立川基地をめぐる各般の問題は、取り上げるかどうかは別として、二十三日の安保協議委員会に持ち込んでもらいたいというふうに思う論点もある。ところが、そこに出席をされる大臣おいでにならぬということになると、これを進めることについてどうもいささか問題もある。そこで、長官の御病状がどのようなものであり、大体いつごろならば御出席をいただけるのか、そこらを承っておきませんと、きょう問題が残った場合に、これはおいでになれぬのだから、物理的にやむを得ぬとしても、もう一ぺんこれを開いていただかなければならぬことになりかねないと私は思うので、その辺のめどをちょっと聞かしていただきたい。
  4. 箕輪登

    箕輪説明員 先生承知のとおり、増原長官の御病名はヘルペスツォステルでありまして、帯状疱疹を昨年の暮れからわずらいまして、ヘルペスのほうはだいぶよくなったようでありますが、御承知のとおり、肋間神経にビールスがついて、水泡ができて神経痛が起きるわけでありますが、その神経痛の部門だけが現在残っておりまして、これから約二カ月ぐらいは痛みが残るだろう、こういう主治医の方の御診断でございます。しかし、決して生命にかかわる病気ではございませんが、とにかくゆうべは、一睡もできないくらいのものすごい痛みがあって、きょうはやむを得ず御欠席ということでございます。  それでは、いつ出てこれるのかという御質問でございますが、もう少し症状を見てみなければ、あす出られますとか、一週間後に出られますとかいうような御返事はちょっとできかねるわけでございますが、何ぶん病気でございますので、御了承いただきたいと思います。
  5. 大出俊

    大出委員 それからもう一つ、これは質疑をしてみなければわかりませんが、私はかつて、この立川問題を佐藤総理と二回にわたってやりとりをいたしておりまして、このときの議事録に残っている約束もあります。これは、江崎さんが当時防衛庁長官をやっておられましたから、御同席でございまして、御承知のはずであります。さらにまた、閣議における田中総理発言もございまして、新聞が公表しているところであります。責任継承原則もございますから、事のいかんによっては総理に御出席をということになるわけでございますけれども、きょうそのことが、事の成り行きだから出てこいということになったにしても、間に合わぬというなら、防衛庁長官も御不在なんですから、官房長官に急遽お出かけをいただくというような場面をいただかないと、事は民主主義政治世の中でございますから、強行して入った、さあ撤回をしろ、基地は即時なくせ、こういうやりとりの中で、ただお互いにそういうことだけを続けているのでは意味がない。やはりでき得る限りこれはお互い努力を傾けて、解決きっかけ話し合いきっかけ国会がつくる責任が私はあると思う。そういう意味で、ぜひ官房長官に、二時間近い時間がございますので、待機をいただいて、たまたま防衛庁長官おいでにならぬわけですから、かわって聞いていただくというふうなお手配をあらかじめお願いをしておきたいのでありますが、委員長、その辺よろしくお計らいをいただきたいと思いますが、よろしゅうございますね。
  6. 三原朝雄

    三原委員長 承知いたしました。
  7. 大出俊

    大出委員 これは委員部、ひとつ官房長官のほうに、必要によってお出かけいただくように言うといてください。  そこで、昨年のこの国会で二回にわたる総理とのやりとりがございまして、この中で総理の言い分では、ここに議事録がございますが、時間の関係でこまかく読み上げませんけれども民主主義政治世の中なんで、話せばわかるということをかつて犬養木堂さんがおっしゃった、まさにそれと同じでこの問題は話せばわかる、したがって私としては話をつけます、こういうふうにおっしゃった。で、私のほうは、しからば話をつけて後というふうに理解をする。各党が続いて質問をなさいましたが、お互いにそういう趣旨やりとりをいたしました。この点は面と向かってのやりとりでございますから、相互理解でございますので、そういうふうにお互いが受け取って実は一段落をつけて、そうして話をつける、こういう表現であります。だから私は当然、これは政府責任において、政府主導のもとに話をつける、その上でなければ本隊が入ることはない、こういう実は理解をいたしているわけであります。にもかかわらず、昨年の十二月二十七日に突如として強行移駐をやったわけでありますが、一体なぜこういうことになったのか。話をつけると総理は言われたのだが、一体どういう努力をされたのか。国会責任においてこれは納得いたしかねるわけでありまして、この点のまず要点を明らかにしていただきたいのであります。
  8. 箕輪登

    箕輪説明員 さき国会におきまして、総理並びに防衛庁長官から御答弁があったことは先生指摘のとおりでございます。わが防衛庁といたしましては、昨年三月八日の先遣隊移駐後、かねて立川市議会から要望のあった十二項目、その実現のため、市側接触をとりつつ、本隊移駐につきましても立川市長との話し合いを持とうとつとめてまいったのでありますが、なかなかその機会を得ることができませんでした。しかるところ、昨年の十一月二日に立川市長防衛庁訪問がございまして、その際あわせて、話し合いに応ずるとの趣旨文書による申し入れもあったのでございますが、その後、それじゃ話し合いに入ろうというこちらの申し出を何回もいたしましたが、残念ながら以後次第に話し合い回避と思われる姿勢をとり始めまして、防衛庁からのたび重なる呼びかけにもかかわらず、話し合い実現いたしませんでございました。この間におきまして、立川市議会で再び移駐反対意見書が採択されました。また昭島市においても同様の決議が行なわれ、それぞれ市議会当局代表者が来庁いたしまして意見の交換があったのであります。このような状況下で、十二月の二十日にようやく立川昭島両市の市長市議会議長と、当時も政務次官でありました私並びに防衛庁の役人の方々との会議を、それぞれの両市の市庁舎で開く機会を得たわけであります。しかし立川市につきましては、一部反対勢力の乱入によりまして会談を行なうことができませんでした。この間の経緯につきましては政府委員から説明させてもけっこうでありますが、このため防衛庁といたしましては、会場の場で提示すべく用意しておりました、配備機種の限定だとか、基地返還促進だとか、将来の再協議などを内容とする防衛庁側意見を、直ちに立川市長電話でお知らせいたしますとともに、同日中に、これを文書として立川昭島両市の市長市議会議長にお伝えしたところであります。  このような経過を経まして、十二月の二十五日、立川市長市議会議長防衛政務次官との会談となったのでありますが、市側は、防衛庁の意図する首都災害救助活動必要性については、これを十分認識いたしました。認めながら、移駐については、年内のみならず来年以降においても絶対反対であるとの抗議に終始いたしました。これ以上話し合いを進める姿勢は認められなかったのであります。そこで、年内移駐はどうしても取りやめていただきたい、こういう強いお申し出がございましたので、私、これは自分の権限で答えるべきでない、年内移駐をやめるか、やるかということについては、病気療養中でございましたけれども大臣の御意思を聞かないでお答えするわけにはまいらないということで、しばし御休憩いただきまして、私が大臣にお電話を申し上げ、大臣も、いままでの推移を考えられまして、この時点で話し合いを続けていってもこれはむずかしいだろうという御判断のもとに、二十七日に移駐することをやむを得ず決定しなければならない、こういう状態で、その旨を立川市長議長にお伝えいただきたい、こういう電話でありまして、そのとおり申し上げたわけであります。  わがほうはあくまでも、国会で御答弁申し上げたとおりに、話し合いでもって移駐を完了したい、こういう姿勢でやってまいりましたが、まことに残念なことだと考えております。
  9. 大出俊

    大出委員 ずいぶんこれはふざけたお話をいま承るのですがね。江崎さん同席のもとで総理に私が話をいたしましたのは、昨年の三月二十一日でございましたね。いまの説明を黙って聞いておりましたが、十一月二日からの説明しかない。去年の三月から去年の十二月まで一体何をやっておったのですか。総理みずからが約束をして、ここにちゃんと議事録がありますよ。「これは犬養首相の有名な最後ことばですが、話せばわかる——総理は遂に凶弾に倒れた」、こういうことだったのです。そこで、一番大切なことは何だろうかというと、話せばわかるということだ。結論は、政府はどこまでも民主主義ルールを守る、そして話をつける、こう言い切られたわけです。話をつけると言い切っておられる。時の総理が、何回もこの質問をしたあげくの果てに、犬養さんのことばを持ち出されて話をつけると言い切られた。これは私的な江崎さんとのやりとりですけれども江崎さんとあとになって私的なやりとりをいたしましたら、まあ、いささか私の質問気迫に押されて総理がああいう言い方をなさったということを、江崎さん御自分でおっしゃっておりましたけれども気迫であれ何であれ、民主主義ルールを守るということは正しいことですよ。だから、話せばわかる、これが一番大事なことなんだ、原則なんだ、だから私は話をつけると、政府を代表されて総理がそう言い切られた。それを私ども各党は信用したわけですよ。それを、三月二十一日の問題を、事、十一月二日にたまたまお見えになったからという言い方は、一体どういうわけですか。そんな無責任きわまる話ありますか。国会を一体どう考えるのですか。  この点は、あなた方に答弁いただく筋合いじゃない、総理が言ったことなのだから。責任継承原則はある、明確に。時の総理が、民主主義ルールを守る、話せばわかる、一番大事なことだ、したがって話をつける、こう言って同おられる。あとをお継ぎになった田中総理を呼んでください。ほかの人に聞いてもしょうがない。三月からおっぽられてたまったものじゃないです。あなたに聞いているのじゃない。だれか代表して言ってくださいよ。その件だけ言ってください。
  10. 箕輪登

    箕輪説明員 その間、何にも話し合いを行なっていなかったわけではございませんで、その間の経緯につきましては、政府委員から答弁さしたいと思います。
  11. 長坂強

    長坂説明員 いま御指摘のように、国会における総理との約束もあるということで、最も民主主義的な行き方である話し合いをしろということは、私ども大臣からも常に督励を受けておりまして、この三月以降十月の末までの間におきましては、例の昨年の一月二十六日、立川市議会におきまして移駐反対意見書を撤回するという決議が行なわれましたが、その場合に付せられておりましたいわゆるA地区返還等十二項目の事案がございますが、それを米軍とも話し合いをする、あるいは大蔵省とも話し合いをし、その結果をもちまして、市議会議長等のメンバーに、その条件の実現の過程を東京局長から話をさしておるという経過がございます。ところが、九月、十月のころからだんだん市長は話し合う機会を避けるようになられましたのですが、その十一月の二日になりました段階におきましても、私、市長とお会いをいたしまして、さき臨時国会でも申し上げたとおり、この市長さんのお立場は絶対反対立場である、われわれの立場は、すでに閣議もいただいておることでございますので、年内移駐実現するということを念願しておる立場である、その立場は違うけれどもお互い話し合いをし合って、そしてそこで約束のできたことはお互いに守っていこうじゃありませんか、そういう話し合いをするならば、必ず実のある話し合いができると思う、というふうにお話し申し上げたわけでございます。その際に市長さんのほうからは、近くあと地利用計画の構想を発表したいというふうに言われるものですから、それでは私どものほうとしても、その話し合いを続けていく中において、私どものほうとしては、自衛隊基地というものはある姿ではあるけれども、現在の立川基地全体の将来の姿というものを市長さんとの話し合いの中で明らかにしていこうではありませんか、できるだけ明らかにいたしたいというふうに申し上げたのでございますが、その際に市長は、ぜひそうしてもらいたい、そういうふうにしていただかなければ解決の道はないと思うというふうに言われたのでございます。  その後さらに、これはもう東京局長にゆだねておく段階でもないというふうに感じましたので、十一月の十七日とか、あるいは十一月の三十日、あるいは十二月の一日、あるいは六日、九日というふうに接触をとりまして、電話で連絡をいたしまして、市長さん、早く先日からの話し合いの続きをやろうじゃありませんかというふうに呼びかけたのでございますが、いずれの場合も市長さんのほうは、地方行政の末端を受け持っておる者としては非常にいろいろなことがあって時間がないのだということで、延び延びになっておりました。そこで、やむを得ず私は、十二月の九日さらに市役所に行きまして、市の部長さんともお会いいたしまして、お話もしております。  一応、三月以降ある程度までの、なかなかわれわれの思うように運ばなかった事情というようなことにつきまして、補足説明さしていただきました。
  12. 大出俊

    大出委員 少なくとも内閣委員会というこの場所では事情があって取り上げた。これは予算委員会で問題になりまして、予算理事会予算理事から国会対策委員会に報告があって、このままでは予算が審議できない、進行しない、与党の側から、何とかこれは内閣に移してあと始末をしてもらいたい、こういう話があったんだがいかがかという実ははかり方があった。私も実は、国民皆さんに対して、予算委員会が進まないということを見ているわけにはいかないという立場で、やむを得ず了承をして内閣委員会で取り上げることにした、こういう経緯がある。だからその内閣委員会が、締めくくりという意味総理に前後二回も御出席をいただいた。二回の御出席をいただいた最後総理答弁が、民主主義政治ルールを守るんだ、話せばわかると言って、なくなった犬養さん、この話せばわかるということが一番大事なことなんだ、だから私は話をつける、こう言い切られたから、私どもはこれをもってあと始末にしたわけであります。だが、いま聞いてみると、事務的な折衝が続いていても、大臣がどうも立川市に出かけていった様子もない。あるいは次官が出かけていった様子もない。東京局長さんが主たる場面を受け持って、あと長坂さんがおやりになった。これはやはり、政府が主導的に話をつけると国会で言い切られたんだから、そうならば、総理がお目にかかるといったって悪くはない、防衛庁長官が出かけたって悪くはない。当時の伊能繁次郎さん以下私ども内閣委員会として現地の視察に行っている。その前に野党全部で一緒に行って現地方々と話している場面もある。皆さん方皆さん方で行った場面もある。そういう努力をしているんですから、なぜ一体、総理という立場で言い切ったことについて、国の最高スタッフ責任をとろうとなさらぬのですか。なぜ一体事務局まかせにされるのですか。これは事務当局から話を聞いたってしょうがない。増原さんがおいでにならなければ、これは話のしょうがないじゃないですか。これは、終始一貫おやりになってきた大臣や、あるいは総理にものを聞かなければわかりませんが、官房長官のかわりですか、山下さん、どうも黙って入ってこられて、そこに一人、形の変わった方がすわりましたからね。  私がここで申し上げていることは、たいへんどうもこういう場面としては不本意なんですが、これは実は、責任者である増原長官が、病気という物理的な事情でお休みになっているということですから、しかもそのことを、私はけさ登院をして聞いたわけでございまして、何ともこれは方法に窮するわけであります。  冒頭に申しましたように、いずれにせよ問題を解決するのは、前総理がおっしゃったとおり、これは話さなければわからぬ、民主主義ルールなんですから。だからその話をするきっかけを何とかつくりたいという念願を私は持っている。ところが当の責任者おいでにならない。これでは話のしょうがない。これは官房長官なり総理なりお出かけをいただきたいのですが、たまたま副長官おいでになったのですが、官房長官なり総理なり御出席いただけませんですか。
  13. 山下元利

    山下説明員 本日、総理大臣官房長官予算編成の直後でございまして、このたびの委員会には出席いたすことはできませんので、御了承賜わりたいと存じます。
  14. 大出俊

    大出委員 出席できませんと言ったって、あなた、これだけ大きな問題で、けさここに来てみて防衛庁長官出席できないという話。そうならば、これは総理に出ていただく以外に手がない。だが、前もって代理として官房長官に御出席いただいて、官房長官がどこまで私どもの言うことについて御理解をいただけるか、その上でというふうに考えているのですが、どうしても官房長官は出られないのですか。
  15. 山下元利

    山下説明員 防衛庁長官の御出席のことにつきましては、私ども今朝に至りまして伺いましたわけでございますが、官房長官といたしましては、予算編成直後にございますためにお許しを願うことにいたしておりまして、もし内閣としての御質疑があるとするならば、私が官房長官にかわって出席をさせていただく心組みでおりましたわけでございます。ただいま防衛庁長官の御出席の問題が発生いたしました段階におきまして、さらに努力はいたしたのでございますけれども、よんどころない事情もございましたので、本日のところは私がかわって出席させていただくわけでございます。御了承を賜わりたいと存じます。
  16. 大出俊

    大出委員 これは総理発言が前提にあるのですが、官房長官、こう言っておられるのですね。「二階堂官房長官は二十七日正午過ぎの記者会見で、自衛隊立川移駐について次のように語った。年内にまた移駐が行なわれるかどうかは聞いていない。いずれにせよ、こうしたトラブルがあるのは好ましいことではない。国民感情もあり、安保条約そのものをどうこうするのではないが、基地の運営やあり方について再検討することは必要で、政府としてもインガソル駐日米大使などを通じて米側に申入れている」、こう言っているのですね、この問題に触れて。官房長官みずから触れて、この基地問題についてはものを言っておられる。これは当然出席してしかるべきじゃないですか、当の大臣がいないのだから。  あわせてもう一つだけ承っておきますが、これは二十六日の閣議で「増原長官が「立川への自衛隊移駐は、首都周辺住民生命財産の保全が目的。立川市側抗議に終始して話し合い姿勢がなく、このままでは自衛隊としての任務が果たせない」」、だから二十七日に強行移駐に踏み切った、こう説明したのですね。これに対して総理が、「「今までどおり宇都宮に東部方面航空隊をおいた場合と、立川移駐した場合とではどんな違いがあるのか」」と閣議質問されておるのですね。「増原長官が「立川は都心に近く、はるかに有利だ」と答えた」、だが田中総理は、「自衛隊は都会に近いところに部隊を配備することを希望しがちだが、これは不必要なことだ。都市近郊部隊が集中しない方がよい」と言った。総理発言がここに明確にある。これは一体どういうことだと皆さんは受け取っているのですか、この総理発言は。
  17. 山下元利

    山下説明員 先生お話はどこからお話しになっているのか、私、いま承知いたしませんけれども閣議におきましてのことにつきましては、私のみならず、どなたからもお話しになることはないと思っております。閣議でそのようなことがあったかということにつきましては申し上げることはできないのでございまして、御了承賜わりたいと思います。
  18. 大出俊

    大出委員 それではあなた、用をなさぬじゃないですか。あなたは閣議に御出席ですか。
  19. 山下元利

    山下説明員 私も閣議出席いたしております。
  20. 大出俊

    大出委員 あなたは閣議で直接お聞きになったことですか、総理発言は。
  21. 山下元利

    山下説明員 私も閣議には出席いたしておりますけれども、ただいまのお話の模様につきましては、私から申し上げることはできません。
  22. 大出俊

    大出委員 江崎さん、あなたもここで発言しているのですね。あなたは前長官だから当然だろうけれども、あなたがやっていた時代に、夜陰に乗じて夜盗のごとくやった。「これは人権問題ではあるが、自治省としてはあくまで」——江崎さん、その前にあなたはまだものを言っているのですね。この総理発言に対して、増原氏が「「都市部隊を集中することを考えているわけではない」と説明江崎自治相も「立川災害派遣に必要」と強調」した。あなた強調したのですか。
  23. 江崎真澄

    江崎国務大臣 閣議内容については、いま官房副長官が申し上げましたように、一々それを外部には出さないという原則がございますので、いまああいうふうに申したと思います。  私はもともと防衛庁長官当時から、終始、首都、特に京浜地区に災害があったときに救急活動をする民生協力の面での立川移駐であるということを、まあずいぶん繰り返し申し上げてきたわけでございます。したがいまして、そういう話題のあった、なかったは別といたしまして、平素から、これは絶対災害の場面で行動を起こすために便利な立川にこの小型機を移駐させる、こういうふうに了解をして今日まで来ておるような次第でございます。
  24. 大出俊

    大出委員 そうすると、あなた、立川が必要だということを強調したというのは肯定されたことになる。つまりやりとりがあったことになる。  あなた、いま原則としてというのですが、新聞がこれだけ書いているものを、しらばっくれて閣議のことを表に出さぬとかなんとか言ったって、事これだけ大きな問題じゃないですか。だから官房長官出席願いたいと言っているのですよ。内閣の大番頭じゃないですか。総理官房長官か呼んでくださいよ。話がさっぱり進まぬじゃないですか、当の張本人の増原さんがいないんだから。
  25. 山下元利

    山下説明員 官房長官が御出席できないことにつきましては、まことに遺憾でございますけれども、ただいまお尋ねの点につきましては、私、官房長官の代理として、閣議の問題につきましてはお答え申し上げているわけでございますので、それは、官房長官が御出席いたしましても同様のお答えを申し上げると、かように考えておる次第でございます。
  26. 大出俊

    大出委員 あなたは官房長官じゃないのだから、同様のことを言うだろうと思うと言ったって、聞いてみなきゃわからぬでしょう、質問のしかたもあるのだから。そうでしょう。  江崎さんみたいに、三月七日、何で一体早く立川に着いたんだと言ったら、練馬から立川に向いては、何時何分練馬から出ろと言ったら、坂で早く着いちゃった、八日の朝どころか七日の深夜に着いちゃった、着いたから入っちゃった、そういう答弁をする人もいるんだから。そうでしょう。現地へ行って香月一佐さんに聞いてみたら、いや先生、逆でございまして、練馬から立川は逆にのぼりでございます、のぼりでございますから時間はよけいにかかります。そういう前科があるのですからね、江崎さん。あなたにはうっかり聞けない。だからやっぱり官房長官に出ていただかないとわからぬでしょう。官房長官総理か御出席願いたい。呼んでくださいよ。
  27. 山下元利

    山下説明員 できる限りお尋ねに対しましては、私も、閣議の要員ではございませんけれども出席いたしておりますので、その出席いたしました事実を踏まえてお答え申し上げているわけでございます。  いまお尋ねの点につきましては、すでに報道せられておりますけれども閣議内におきますところの総理並びに各閣僚のお話し合いにつきましては、私お話し申し上げることができませんので、御了承賜わりたいと思います。
  28. 大出俊

    大出委員 これはいま言っておられることと矛盾しておるじゃありませんか。なるべく事実に即して答えておるという。事実に即してならば答えたらいいじゃないですか、新聞にこれだけ書いているのだから。これは一つだけ書いているのじゃないですよ。これは毎日新聞が社説にまで取り上げて書いておる。社説で言っているのですよ。これは毎日新聞の社説に、「田中首相は二十六日の閣議で、自衛隊基地などが都市に集まるのはよくないという気持を述べたようだが」と、ちゃんとここに書いてある。これだけ取り上げておる。新聞記者の方々は、だてに人にものを聞いておるのじゃないでしょう。あなた、事実に即してできるだけものを言っておるというのだけれども一つも言わないじゃないですか。それじゃ質問にならぬでしょう。答弁にもならぬじゃないですか。事実は一体あったのですか、なかったのですか。
  29. 山下元利

    山下説明員 私も副長官として横に控えておるわけでございますから、閣議の模様は私は一々承知いたしておりますけれども、いまの新聞に報道せられておりますことにつきましての、各閣僚としての発言があったかどうかにつきましては、お答え申し上げることはできませんし、これはだれからもできないことだと思っております。ただ、いろいろな見解につきましては、いろいろ報道せられておることもございましょうし、またそれについての大臣としてのお立場は、江崎大臣からもお話がございましたけれども閣議の中においてどのようなやりとりがあったかということにつきましては、まことに申しわけないことでございますけれども、私どもといたしましては、そのようにお答え申し上げることはできないので、御了承賜わりたいと思うのでございます。
  30. 大出俊

    大出委員 だめだ。これは総理を呼んでくださいよ。全然話ができぬじゃないですか。一体総理にそういう気持ちがあったのかなかったのか明らかにならなければ、話のしょうがないじゃないですか。何とかもう少し言い方はないのですか。あなたが言っておることは、まるっきり口をつぐんで言わないということだけであって、言えませんということを長々としゃべっているだけです。それだったら、あなた黙ってすわっているのと同じだ。重要な問題じゃないですか。総理自身の気持ちの中に、「宇都宮に東部方面航空隊をおいた場合と、立川移駐した場合とではどんな違いがあるのか」と尋ねてみて、「自衛隊は都会に近いところに部隊を配備することを希望しがちだが、これは不必要なことだ。都市近郊部隊が集中しない方がよい」。総理自身にこの気持ちがほんとうにあるならば、私は話し合いはできると思っている。強行移駐をしてしまったけれども、なお話し合いの余地はあると考えている。それが、佐藤総理の前に言っている、先遣隊を強行移駐してしまったけれども、しかし、犬養さんの話を持ち出して、話せばわかると言って犬養さんは凶弾に倒れたけれども、これが民主主義原則だ、一番大事なことだ、だから私は話をつけます、こう言い切られておる。混乱したときには原則に返れということばがある。原則に返って、責任継承原則もあるのだから、佐藤総理の考え方を田中総理が継いでいて、閣議の席上でたまたま、都市近郊部隊を集中させないほうがよいという気持ちが総理にあったのならば、話し合い原則に戻して話し合いができるはずだと思うから聞いている。話をつけると言い切られたからわれわれは了承したのだ。あなた方、話がつかぬままに強行されたのでしょう。あなた方一体どういう責任国会に対してとるのですか。国民に対して責任を負っている総理が話をつけると言い切った。各党みんな聞いていた。和田耕作委員も東中委員も、それぞれ立って念を押された。おられぬけれども、伊藤惣助丸さんだって、公明党を代表して、大出委員に答えられたことはほんとうかと言って詰められた。いま述べたとおりなんだ、話せばわかるのだ、話はつけるのだ、総理はこう言っている。だから各党これは了承したんだ。それを、年内移駐を、最悪の場合強行移駐まで腹をきめておって、なぜそういうことをするかといえば、年が明ければ予算が始まる、国会が始まる、簡単に前に進まぬとあなた方考えるからじゃないですか。三月七日の一件だって、夜陰に乗じてまさに夜盗のごとくやっておる。坂を下ったから早くなったんだと、うそばかり言っておる。計画的じゃないですか。今度は国会を開けないときをねらってやる。これじゃあき巣ねらいじゃないですか。それで民主主義もヘチマもないでしょう。それでは原則に返って、話をつけるきっかけをつくらなければならぬ。その一番大事なことは総理の気持ちですよ。総理の気持ちの中に、都市近郊に集中しがちだけれども部隊を集中させる、これはよくない、一体宇都宮から立川に持ってくることにどれだけの意義があるのかと聞いておられる。このことに触れられなければ話は前に進まぬじゃないですか。閣議のときに総理にこういう気持ちがあったのでしょう。いかがですか。そんなべらぼうな話はない。ふざけなさんな。
  31. 山下元利

    山下説明員 閣議における閣僚の発言につきましては、そのお尋ねでありましたために、私は、おしかりを受けながら同じことを答弁申し上げておった次第でございますので、閣議における発言につきましては、私からもだれからも、お話し申し上げることはお許し願いたいと思うわけでございます。  ただ、いまのお話のことにつきまして、閣議発言とは離れまして、自衛隊の配備、それから施設の運用等につきましては、政府といたしましては、従来ともいろいろ地域の問題、住民の福祉の問題等も考えてまいったわけでございますし、この経緯を通じてもおわかりいただけますように、極力、市当局ともいろいろのお話を申し上げる機会を続けておっしゃったわけでございますが、昨年末ああいう事態になったわけでございます。基本的にはやはり、自衛隊の配備等につきましても、地域の問題等を十分配慮してまいるという政府の考え方につきましては、従来ともその姿勢は変わっておらないと思うわけでございます。
  32. 大出俊

    大出委員 むだな答弁をしなさんな。総理にその気持ちがあったのかなかったのかをあなた方に聞いているんだよ。ほかの問題を聞いているんじゃない。周辺がどうのこうの、そんなこと聞いておらない。当時の佐藤総理が、民主主義原則に返って話をつけると言った。田中総理閣議の中で、立川というところを目ざして強行移駐という話を増原さんがしているのに対して、部隊都市近郊に集中しないほうがいいと言っておられる。一体、宇都宮と立川とどれだけ意味があるのかということを聞いておられる。この気持ちが正しいのかどうかということを私は聞いているんだ。そこまでいけば、閣議がどうのこうのじゃないんだ。
  33. 山下元利

    山下説明員 たいへんいろいろ申しわけございません。閣議におきましての発言とは別にいたしまして、内閣は一体でございますために、この問題の解決につきましては、総理大臣としても、防衛庁長官と十分隔意なき話をいたしまして、そして、従来から申しておりますとおりに、十分地域の問題に留意して問題の円満な解決をはかりたいという気持ちには、私は変わりないと思うわけでございますが、いずれにいたしましても、この話の経緯を通じまして、防衛庁当局も非常な努力をいたしておるわけでございます。そうした点についてもお尋ねいただきたいと思うわけでございます。
  34. 大出俊

    大出委員 繰り返して言わざるを得ぬけれども山下さん、あなたはもう少し考えてものを言ったらどうなの。何を言っているんだ。答えれば答えるだけ妙なことになってしまう。それならもう黙っていなさい。  話をつけると前総理が言い切ったのだ。各党皆さん代表者ここにおいでになるけれども総理が話をつけると言い切った。内閣委員会の公の席上なんだから、議事録に残っているのだから、話をつけると言い切られたから、当然政府責任で話がつくのだろう。そうなれば政府は話をつける責任があるのだから、だから、共産党の東中君にしても、公明党の伊藤君にしても、民社党の和田さんにしても、みなそのことを確認し合って一々質問されているのだ。その上で、それでは話をつけると言った総理の決断をおのおの信用しようということで、これは予算委員会から委託をされた決着にしたのだ。にもかかわらず話し合いがついていない。ついていないで何かやるとするならば、少なくともこの委員会を開いて事の経緯説明する責任があなた方にありますよ。十二月二十五日にようやく常任委員長はきまる。その翌々日、委員会の構成もろくにできないうちに物理的に開けやしないじゃないか。そういう時期に、政府責任者話し合いをつけると言い切っているにもかかわらず、その内閣委員会に一言の説明もなく、連絡一本なく、各党からそれぞれ強行移駐をしてもらっては困ると——私の党だって、楢崎弥之助、横路孝弘両君などが、ちゃんと防衛庁に行って話をしている。横路君は当時この席に同席していた内閣委員ですよ。この約束の上にわれわれは当時収拾をしているのだから、かくて予算を進めているのだから、この委員会に何の話もない、何の経過の報告も非公式にもない、じゃ一体何のために国会約束が成り立つのですか。それでは全くの総理の食言になるじゃありませんか。そうなれば、責任継承原則はあるのだから、いまの総理に来ていただく以外にないじゃありませんか。呼んでください。
  35. 山下元利

    山下説明員 そういうお話の御趣旨もあり、防衛庁といたしましては、長い間にわたりまして話し合い努力を続けてまいったことは、事実の示すとおりでございます。そうした点につきましては、防衛庁のほうからもお尋ね賜わりたいと思うのでございますが、非常な努力を重ねましたし、それからまた政府としても、自衛隊の配備について地域社会のお話に十分留意することは変わりはないのでございますけれども、昨年末ああいう事態になりましたことにつきましては、それなりの事情があったかと思うわけでございますが、内閣といたしましても、先ほどから申しております姿勢には変わりないのでございますので、御了解の上、防衛庁等につきましても、そのいろいろの従来の経緯等含めましてお尋ねいただくと、たいへんありがたいと思うわけでございます。
  36. 大出俊

    大出委員 この委員会佐藤総理約束をした。議事録に残っている。話をつけるとおっしゃっておる。だからこの約束は、国会における総理答弁は一体どうしてくれるのだと聞いている。そうならば田中総理に出ていただく以外に手はないじゃないですか。総理がだめだというならば、とりあえず官房長官に出てきていただきたいと申し上げている。筋の通らぬことを言っちゃいない。
  37. 山下元利

    山下説明員 重ねて申しておりますとおりに、自衛隊の配備等につきましては、地域の問題等も十分配意してまいる気持ちには、田中総理大臣の気持ちも変わらないと思っております。しかし、この問題につきましては、防衛庁にもいろいろの考え方もあるわけでございますが、基本的にはやはり、そうした問題を十分配意して円満な解決をはかられるように考えておられることではないかと私は考えております。
  38. 大出俊

    大出委員 この問題の焦点は、佐藤総理内閣委員会の席上で、話をつけると言い切っておられる。これは間違いない。議事録にちゃんと、話をつけると言い切っておられる。この話をつけると言い切ったことを、各党がおのおの確認し合って打ち切っている。そうでしょう。そうならばこれは、政府責任において話をつけなければならない、国会総理がそう言い切ったんだから。政党政治でしょう。それを話をつけずに強行なさった。しかも年内移駐を前提にしておられた。関東計画その他の前進もこれあり、一月二十三日の安保協議委員会もある。そこで調印までなさろうとあなた方考えておられる。これは話をつける姿勢じゃない。あなた方、これはタイムリミットをきめておられる。しかも、二十五日に常任委員長がようやくきまって、各委員会の編成もまだできていない、物理的に開けない時期をあなた方ねらっておられる、二十七日というのは。こんなことは一月に延ばしてちっとも悪くはない。そういうことになってしまった経過を私は政府責任だと言う。だから入った本隊をもとに戻していただきたい。話をつけていただきたい。その話し合いを始めるきっかけがほしい。  これだけのやりとり各党総理相手にやった。その意味国会責任がある、立川市の市民の皆さんのために。そのために、あなたでその責任が負えるなら話は別だが、負えないなら、官房長官に御出席いただくなり、総理に御出席いただくなりしなければ、事は前に進まないと申し上げている。だからその前提として、閣議の中で田中総理が言っておられたこと、その真意のほどは、都市近郊部隊は集中させないほうがいい、宇都宮と立川とをかえることについてどれだけの意義があるのかという疑問をはさんでおられるのだから、その原点に問題を返したい。だからこれは聞いている。そこに触れないで、あなた、何言ったって意味ないじゃないですか。
  39. 山下元利

    山下説明員 閣議における発言云々として……(大出委員「形式はどうでもいい、そんなことは」と呼ぶ)はい、それでございますから——ただ、総理の気持ちといたしましては、いろいろの問題を考えられたとは思います。したがいまして、この自衛隊の配備等につきましてもいろんな見方があり考え方があるわけでございますから、総理としては、地域の皆さんのことも十分考えておられることも、これは私も、そばにおる者といたしまして事実でございます。ただ、政府としていろいろ計画をきめ実施する場合におきましては、防衛庁とも十分話をいたしましてきめていくわけでございますが、その防衛庁といたしましては、御指摘の点もございますが、いままでいろいろと話し合う努力を続けてまいったわけでございます。そういう努力をする姿勢については変わらないと私ば思うわけでございます。御了承賜わりたいと思うわけでございます。
  40. 大出俊

    大出委員 いまのあなたの答弁を聞いていると、総理はいろいろ考えたんだろうと思う、自衛隊の配備についてもいろいろの考え方があるんだろうと思う、地域についていろいろ手当てをしてやっていくというふうに防衛庁は考えているんでしょうと、こう言う。これは一体何ですか。何を答えているんですか、あなたは。チンプンカンプンで、まるっきりあなた、思想統一をされた答弁じゃないじゃないですか。これではあなた、幾らやったってらちあかぬじゃないですか。官房長官呼んでくださいよ。話は前に進みようがないじゃないですか。
  41. 山下元利

    山下説明員 どうもたいへん申しわけございません。総理大臣といたしましては、自衛隊の配備等につきましては、防衛庁の考えも一緒でございますけれども、ただ、こうした問題の進め方につきましては、従来とも十分地域との話し合いを続けていくという姿勢でございましたが、今後ともその円満な解決をはかるためにできるだけの努力をする、してほしいという気持ちであると思います。
  42. 大出俊

    大出委員 私は何回か同じことを言っているんですけどね。事ここまで来たことだけれども、このままでこれをほうっておくと、やがて国会が始まって、予算でも何でもいきなりこれでぶつかっちゃうと私は思っている。私のほうの党の姿勢もそうです。だから大所高所に立ってものを見直す必要があると思っている。それが私は民主主義原則だと考えている。そうなると、ここに何か考え方のきっかけが必要である。  そうすると、たまたま新聞に報道されている限り、田中総理が宇都宮と立川と一体どれだけ意味があるんだということが一つ都市近郊に集中したがる部隊だけれども、その必要はないんじゃないかということを言っている。たまたま閣議の席まで行って出ている話だとすれば、これは、総理みずからのものの考え方と防衛庁姿勢との間が一致していないのです。少なくとも閣議の席上で総理からこの発言が出るようでは、それ以前に総理が全く了解していたならば、こんな発言は出るはずがない。つまり私は、そこに防衛庁姿勢としていささか独断専行のきらいがあった、年を越したらたいへんだという気持ちがあった。あるいは二十三日の安保協議委員会というものを目標にしていたかもしれない。そこにこういう問題が出てくる。だからそうなると、あらためて総理の気持ちをここで聞かしていただいて、総理がこの閣議の中で言っているような気持ちであるのだとすれば、その辺は、ものごとが前に進むのなら、総理だって出やすいのだ。官房長官、かわって言ってくれてもいい。官房長官談話も、防衛庁の諸君とはだいぶニュアンスが違う。むしろ総理に近いようなものの言い方をしている。だから、そこらのところのニュアンスで、総理はそういう気持ちであった、そうなると、そこに総理がその気持ちで話し合いをするというなら話のしようはまたある。強行したんだ、あとは野となれ山となれというのだったら、話し合いのしようがないのだ。そうでしょう。  これはここで言うべきことではないけれども、二4(a)という地位協定の解釈は、これは地位協定にも明確なとおり、一時的になんです。だから、防衛庁立場だというのならば、言うような話し合いのしかたは、総理の気持ちがそこにあれば——これは中曽根さんが防衛庁長官の時代からそうなんです。私が当時、地位協定を改正するのかしないのかという問題に触れて、首都圏の基地というものをどう考えるかという詰め方をしたら、首都圏に基地は置くべきでないということを言下に答えた。外務省と防衛庁の間の見解の相違が出てきて、二4(a)、二4(b)というものの使い方について政府の見解がしばらく分かれた。だから、地位協定ができたときの法意というものを考えたときに、今日的現象を予測してつくった地位協定ではない。あくまでもこれは、米軍の本務、正規の任務をそこなわない範囲における暫定的な全くの一時使用なんです、この項目は。ところが米軍が飛行停止をして使わない。すでに正規の任務はそこにない。ないところに一時使用というものを持ってきて居すわろうというところに、これは明らかにごまかしがある。だから、そこまでさかのぼって事を解決する方法だってなくはない。これは前から私の質問に何べんも答えておるけれども本隊がかりに入ったとしても、それは永久のものではないのだ、暫定的なものだ、ほんとうの意味で暫定的なものだというならば、これは地位協定の解釈に触れるのです。だから、そこのところとの関連でものごとを前に進める方法だってなくはない。  ほんとうに暫定的なもので、二十三日の安保協議委員会等で関東計画の中身がきまってきて、立川の返し方はあるけれども、東側、西側、まん中の滑走路のところ、三つに分けてあなた方防衛庁は考えている。まん中に入れておいてくれというのだ、あなた方は。西のほうなら西のほう、東のほうなら東のほうという返り方をするのだからと。しかし、あくまでも地位協定の解釈は暫定措置なんです。だから、返還がきまった場合に、じゃ出ていけということだってあり得る、暫定なんだから。つまり、話し合いきっかけをどこかでつくらなければならないことになる、これは一例だけれども。それには、あなた方の真意が明らかにならぬと、そして何とか話し合い解決の方向を選択しょうという気がないならば、これはここで幾ら論議しても始まらない。それなら、予算審議でもとめないことには、話は前に進まなくなる。そうであるのかないのかを私は聞きたいのです。だから、あなたにそこのところの機微に触れて答弁ができないなら、官房長官に出ていただくよりしょうがないだろう。それでもわからなければ総理に出ていただくよりしょうがないだろう。  そこで、この委員会約束をしておきながら約束違反をして——あなた方、われわれからすれば明確な約束違反ですよ。話をつけると総理が言い切ったんだから。つかないのに強行した。いろいろな理屈を並べたって、つかなかったことに間違いはない。話せばわかるという原則に立たなかったことに間違いはない。ならば、そのことを振り出しに戻して、入った現実を撤回できないというならば、それなりに先々そのことを踏まえて、いま地位協定に触れたのだけれども政府約束ができるかということを聞かなければならぬ。そこのところの問題です。国有財産審議会だって、返還されればあらためて検討するのでしょう。議事録はそうなっているでしょう。国有財産審議会が認めたのは暫定措置なんでしょう、議事録を持っているけれども。そうだとすると、すべて暫定的な措置なんだとなると、立川市議会の側は信用しない、市長も信用しないというのは、暫定措置の名のもとに既得権をつくって居すわろうとするのだ、そう考えざるを得ないということで、あなた方の暫定措置を信用しない。あたりまえのことですよ、あなた方防衛庁はどうしてもほしいのだから。それを総理に、都市近郊に集中すべきではないという考え方があるならば、なるべく置かないようにしようという考えがあるならば、当面防衛庁のやったことについて、多少の時間はかかっても元に戻す方法だってなくはない。都市近郊に集中すべきでないという考え方が真に総理にあるならば。だからそこを聞いておきたかったわけです。  立川の駅をおりてごらんなさい。あれだけ延々と車がつながって、排気ガスだらけでさっぱり進みはしない。市役所に調査に行って、私はおいてきぼりを食って、皆さん先に基地まで行ってしまった。私はぼつぼつあとから歩いていった。歩いていったって、車で行くのと大して違いはしない。なぜそうなるかというと、基地の置かれている場所が立川市の中心であって、そのための交通渋滞というものははかり知れないものが現実にあって、市民が目の前にそれを見ているからなんだ。その現実を踏まえて、都市近郊に集中しないほうがいいということになるならば、別な角度から問題を解決する方法だってなくはない。だから、そこらのところの真意が一体どうなのかを聞きたいのだけれども、あなたの言っていることからすれば、何とか時間がたつまで適当なことを横を向いて言っていればいいという調子で、あなたに思想がないからそうなる。
  43. 山下元利

    山下説明員 私も、本委員会における審議の経過につきまして、十分承知しない点もございまして、失礼いたしました。先生の御指摘を十分承りました。それは田中総理大臣といたしましては、各地におきますいろいろの問題につきまして、非常に都市化の現象が進んでおります。その中における地域の市民感情といいますか、市民の皆さんのお考えというものをいつも気にいたしていることは事実でございます。その点は私どもはっきり申し上げまして、できるだけその地域の皆さん方の福祉につながるように考えておることは事実でございます。ただ、このたびの問題につきましては、そうした経緯もございまして、防衛庁といたしまして十分話し合いを続けてまいったことも事実でございまして、そうしたことは、そうした気持ちのあらわれでもあると思いますが、今後とも、そうしたことを踏まえまして、円満な解決をはかれるようにするという姿勢は、政府としても変わっておりませんし、特にそういう地域の皆さん方の気持ちをいつも気にしておる田中総理大臣といたしましては、その気持ちが強いかとも思うわけでございますが、ただこの問題は、御指摘の点につきまして、非常に経緯もあるし、非常にむずかしい協定上の問題もございますために、しばらく防衛庁のほうにいろいろお尋ねいただきまして、そして政府としての見解につきましてはまたよく申し上げるわけでございますが、田中総理大臣の気持ちはそういうことでございます。まあ閣議の席上云々という話がございましたり、たいへん申しわけない点もございましたけれども、そういうことでございます。
  44. 大出俊

    大出委員 あなたも議席を持っておられる。政治をやっておられるのでしょう。子供のたわ言ではあるまいし、言いようは幾らでもあるのじゃないですか。都市近郊部隊を集中させないほうがいいという気持ちが田中総理にあるのかないのか。あるのだとすれば、今度の現実は逆のほうにいっているわけだ。そうでしょう。また、宇都宮と立川とどれだけの差があるのかということについても、疑問を持っておるのでしょう。災害出動という名がついていたにせよ、宇都宮と立川とどれだけ一体差であるのかという総理の疑問があるのでしょう。また、都市近郊部隊を集中させないほうがよかろうという気持ちがあるのだろうと思う。その総理の真意は一体どうなんだ。突き詰めていえばそのことを聞いている。どうなんですか、そこのところは。
  45. 箕輪登

    箕輪説明員 ただいま官房副長官から、総理の従来持っておったお気持ち、また現在も持ち続けておるお気持ちについてお話がございましたが、これは防衛庁も同じ考え方でありまして、その間全く総理との間には隔離はないのであります。先生も御承知だと思いますが、防衛庁の中でいま基地の総合調整本部をつくりまして検討いたしておりますことも、そうした気持ちがあるからでございます。  ただ、総理がどのような御発言をされたかは、私は閣議に出ておりませんし、お答えすることができませんけれども、私が防衛庁長官から聞いている範囲でお答え申し上げますと、防衛庁長官のほうからは、立川、宇都宮の関係を御説明いたしているようであります。特に宇都宮は都心に入るまで九十キロございまして、ヘリコプターで入る場合三十五分くらいかかりますが、立川はその点二十キロしかございませんで、ヘリコプターで十分であります。その時間差二十五分というものは、大災害発生時における初動出動としては非常に大切な時間であるということを御説明申し上げて、私の聞いている範囲では、総理も御了解されたと聞いておるわけでございます。  ただ、そこで一言申し上げておきたいことは、先ほどから大出先生非常に御指摘になっておりますが、初めから二十七日に移駐することを防衛庁がきめてかかっておるのだ、そういうお話がございますが、この点は決してそうでございません。ですから私は、二十五日の日に、夜ですけれども、阿部市長さんや議長さんにお目にかかったときも申し上げておるわけでございますが、ここが大事なところでありまして、年内移駐は絶対にやめてほしい、こういう御表現をされますので、しからば年内はやめて、一月ということであったならばお話し合いができますかということを何回も念を押しましたが、一月でもだめですと言う。二月ではどうかと聞いたら、二月でもだめだと言う。そこで私はもう判断に困ってしまいました。十二月の二十七日にきめていたのではないのです。しかし、話し合い年内につけば十二月二十七日というのは有力な日であったということは、これは私は決してうそは言いません。しかしそれは固まったものでも何でもないのです。一月であったらどうだろう、二月であったらどうだろう、それまでに話し合いをしてくれるだろうかという話をいたしました。  特に二十五日は、新聞等に漏れたという点もあって、阿部さんが来てくれましたけれども、私は話し合いを続けるということで、二十日の日はできませんでしたけれども、直ちに電話をかけて、何とか早い機会市長さんと、今度は東京で、ああいう混乱にならないような場所をわれわれが設定してもよろしゅうございますから、話し合いをしたいのだということを申し上げましたら、立川市長さんは、年末年始は話し合いすることができません、特に年末はこの二十五日まで議会がございます、少なくとも議会が開会中は東京に行くことができませんというので、それはもっともな話だと私は思いました。そこで二十四日の日は日曜日でございますけれども、朝のたしか七時過ぎごろに、阿部市長さんの自宅に私が電話をいたしまして、そうしてぜひお目にかかりたいということを申し上げようと思ったのでありますが、そのときすでにもう外出をされて、いないということです。何回かけてもいない、いないでございますので、ついに奥さんと、それから秘書室長の方のおうちの電話を調べて、両方にかけまして、あす、できれば登庁前でもけっこうですが、私は防衛庁政務次官室に出ておりますからお電話をいただきたいということで電話を、二十四日日曜日でございますが、それで終わったわけでございます。  二十五日の日に電話がまいりまして、これは月曜日です。そのときに私は、できるだけ早い機会にお目にかかりたいということを申し上げましたら、年末は、また年始も含めてでありますが、日本人の慣例上そういうむずかしい話はしないことになっております、こういうことでございますから、私は、それは市長さんおかしいんじゃありませんか、二十八日までは御用おさめをやる市町村はどこにもございません、重要な問題だからこそやろうじゃありませんかということを申し上げたのでありますが、とても応ぜられないということでございました。  ところが二十五日の夜になってから、たしか六時ごろだと思いますが電話がございまして、あなた方は二十七日移駐をきめたんですかというから、きめておりません。新聞に出ておるじゃありませんか。そういうことでございますから、そのことについてもお話をしたいと思うし、話し合いを持ちたい、これからおいでくだされば、もう議会は終わったそうですから、八時ごろまでにはお見えになることができるじゃありませんかということを申しました。そうして、八時までにそれじゃ参りますということで、お目にかかったのであります。  あと先になりますが、その話し合いのときに、十二月の移駐はやめてくれというから、一月ではどうだろうか、二月ではどうだろうか、こういう話をいたしましたが、絶対だめだというのであります。趣旨についてはわかる、災害派遣部隊であるという趣旨についてはよくわかるけれども立川移駐されることは困るというのであります。そういうことでございまして、年内移駐はどうしてもやめていただきたいと申しますものですから、そのお答えは私自身がすべきでないし、判断は長官にまかせるべきだということで、しばらくお待ちをいただきまして、先ほど申し上げましたように、長官事情を申し上げ、長官の御決意で二十七日に移駐しますということをきめたのであります。  ですから、先生先ほどから御指摘のように、防衛庁はあくまでも、二十七日に移駐するのだ、そういう前提で進めたのではないことを御了承いただきたいと思います。
  46. 大出俊

    大出委員 これはあなたが幾らその点を強調されても、二十七日に強行移駐をやってしまっているのでしょう。二月でもけっこうだというならなぜ延ばさないのですか。総理は話をつけると言っているのでしょう。ここに佐藤総理の明確な議事録があるじゃないですか。話がつかぬのに、国会も開かれぬのに何で強行するのですか。それじゃ国会に対する責任はどうするのですか。総理を呼んでください。
  47. 江崎真澄

    江崎国務大臣 私のお答えする場面ではないかもしれませんが、私も実は前防衛庁長官でございまするし、まさに大出委員の御指摘佐藤総理のあの場面での答弁というものは、これは速記録に残っておるとおりだというふうに思います。  そこで、まず最初に、いま話題になっておりまする総理防衛庁長官の間に食い違いがあるのかないのか、これは非常に重要な問題です。食い違いは全然ございません。で、閣議の問題はともかくといたしまして、防衛庁長官から総理に、立川にどうしても移駐しなければならないという必要性についてはとくと御説明を申し上げたもののように聞いております。このことは御承知のように、首都に本来アメリカの基地を置くべきでない、こういう強い主張を持っておりまする中曽根防衛庁長官のときに、立川へ小型機の移駐を計画しておるわけでございます。  私もあの当時の責任者の一人でありまするので、だんだん経緯を調べてみますると、ロサンゼルスの大災害、大地震がありましたのを受けて、首都に大災害が起きたときには一体どうするのだという閣議話し合いきっかけになりまして、防衛庁側では、やはり民生協力という任務もありまするので、災害対策上から言うならば、どうしても宇都宮では万全の措置がとれないので、立川にそれを目的とする小型機の部隊移駐させたいということから始まったわけであります。したがいまして、首都には極力基地は置きたくないという、当時の中曽根防衛庁長官があえてこれをきめた。それからまた、さっきから山下官房副長官が申しておりまするように、都心という人家稠密地帯というものの事情を十分考慮に入れて今後の基地展開をはからなければならぬとする総理としての考え方は、私はこれは正しいと思います。その間に防衛庁長官といろいろ話し合いをして、そしてこれが民生協力、災害出動ということが主目的で移駐するというならそれはやむを得ぬではないかということで合意を見た、こういうふうに私どもは確信を持ってお答えできるわけでございます。  ただ問題は、御指摘のように、これは一体いつまで使うんだ、それからアメリカから返ってきた場合にこのあと地をどういうふうにするんだ、このあたりについては、これは私、責任者でありませんので、いま確たる御答弁をすることはできませんが、従来の経緯から言いまして、不必要なものは返すことはもとよりでありまするが、自衛隊として必要最小限度の用地は確保しなければなりませんが、それ以上のものは地元の要望にも十分こたえていこう、こういう姿勢であることは、私ども防衛庁長官をしておりまするころから間違いのない事実でございます。  したがいまして、大出議員が指摘されますように、なるほども移駐はしてしまったわけでございます。しかしこれは、防衛政務次官も申しておりまするように、なおなお今後にかけまして、地元の理解を得るように、政治姿勢としても、特にこれは佐藤総理、私ども以来の問題でございまするので、十分話し合いをしたり、地元の要望もあとう限り御期待にこたえる、最大のものを要請に応じるように、これは当時市議会から十二項目にわたるはっきりした要請も出ておりまするし、今後ともこういった要請に基づいて、ひとつ政府側としては真剣に検討をし、期待にこたえるようにしていく、これは当然のことであると思います。  以上、私も関係者でありまするのと、国務大臣というような立場で、いまの関係閣僚、きょう事故で参りませんのでお答えを申し上げたわけでございまするが、病気であるとか公務であるとかということで出てまいりませんことは、はなはだ恐縮に思っております。いろいろ答弁不十分な点もあろうかと思いまするが、どうぞひとつ質問をお進めいただきまするように私からもお願いいたしまして、お答え申し上げました。よろしくお願いいたします。
  48. 大出俊

    大出委員 それでは、いま理事間の話し合いで、休憩に入ったところで官房長官の都合その他を相談をなさる、こういうことでございますから、切りのいいところまでというお話でございますので、いまの点は保留をさしていただきまして、理事間のお話し合いでございますから、それを尊重さしていただきまして、あと休憩時間まで質問を続けさしていただきます。  それじゃ、ぜひひとつ官房長官出席の件は、きょうはたまたま、けさになってから防衛庁長官出席不可能というお話でございますし、さっきの総理大臣、現総理発言等がやはりからんでおりますから、かつまた、何らかの話し合いきっかけをつくるのがこれは民主主義ルールでございましょうから、そういう意味で、ひとつ官房長官の御出席を要請をしたいわけであります。御了承いただきたいと思います。  そこで、いましきりに災害出動、災害出動というお話が出ているのでありますが、どうもはたしてそうかという点、非常に疑問でございまして、少しそこらについて時間の関係がありますから先に承っておきたいわけであります。  この東部方面航空隊というものの任務というのは一体どういうことになっているのかを、まず御説明願いたい。
  49. 久保卓也

    ○久保説明員 東部方面航空隊は、東部方面隊の中におきまする航空部門を担当しておりますところで、東部方面航空隊は当然自衛隊法に基づく任務のすべてを持っております。その意味においては、東部方面航空隊は法律的な任務を除外されるものではございません。ただし、これを立川移駐したというのは、これは再々防衛庁側から御説明申し上げておりますように、災害派遣のために立川が好適な場所であるということのために立川移駐した、こういうことであります。
  50. 大出俊

    大出委員 四十三年の三月三十一日現在で防衛庁がつくっておられる「陸上自衛隊航空部隊の概要」というのがございます。これは新たに要求をいたしましたら、そういうものがあったようだけれども現在見当たらないというので、新しくおつくりになるというので、つくったのをいただきましたが、この中に任務が書いてない。ところが四十三年三月三十一日のものには書いてある。この中では陸上航空部隊は五つの方面隊に分かれている。これは当然でありますが、北、東北、東部、中部、西部、そのほかに第一ヘリコプター団が木更津にある。そのほかに航空学校も一つあります。こういう配置になっておりまして、各方面航空隊の任務というのがありまして、任務は、「連絡、航空偵察、射撃の観測及び輸送」、こうなっておりますね。第一ヘリコプター団の任務は「戦闘部隊の空中機動」、こうなっておりますね。この辺のところは間違いございませんな。
  51. 久保卓也

    ○久保説明員 機能的に申し上げれば、いまおっしゃったとおりであります。その機能がどういうふうに使われるかということは、自衛隊法に書かれてある任務に応じて使われるわけであります。
  52. 大出俊

    大出委員 もう一つ承りたいのですが、この東部方面航空隊のつまり現有勢力と申しますか、どういう種類の飛行機をいま持っておられるわけですか。
  53. 久保卓也

    ○久保説明員 東部方面航空隊では、固定翼機といたしまして、LMというのとし19というものがあります。それからしRというものがございます。そのほかにはヘリコプターとしてOHあるいはHU1Bというものがございます。
  54. 大出俊

    大出委員 正確にしてください。MU2というのがあります。LR、MU2、これはしRですが、これもおたくの資料です。これが偵察機ですね。それからし19Eというのがありますな。それからしM1、これは通信連絡機です。これは両方とも固定翼機、合計二十機。それからOH6J、これは日本でつくったのでしょう。それからHUlB、これはヘリです。これは約三十機。それから木更津の第一ヘリコプター団というのは、バートル107型、V107型、これは約四十機。ここまでこの数字は間違いありませんか。これは木更津ですけれども、第一は。
  55. 久保卓也

    ○久保説明員 いま数字をちょっとチェックいたします。おそらく大体そんな数字だと思いますが、もし違っておればあとで申し上げます。
  56. 大出俊

    大出委員 大体そんなところだというわけですが、このほかに第一空挺団というのがありますな。航空勢力としては習志野、これはパラシュート部隊がここに約二千人ばかりおりますな。確かめておきたいのですが、これは間違いありませんな。
  57. 久保卓也

    ○久保説明員 そのとおりであります。
  58. 大出俊

    大出委員 次に承りたいのですが、自衛隊の「野外令」というのがございますな。この「野外令」に基づくヘリボーン作戦というのがございますね。このヘリボーン作戦というのは、「野外令」からいくとどんなことになりますか。
  59. 久保卓也

    ○久保説明員 ヘリボーン作戦は、各方面隊に所属しまするヘリコプター、あるいは師団に所属しまするヘリコプターによりまして部隊を移動する、それをヘリボーン作戦と申しております。
  60. 大出俊

    大出委員 どうもそう簡単なことを言われては困るので、ここに「野外令」を私は持っておりますが、これはおたくのですから間違いない、本物ですから。いつも出どころ云々を言われるけれども、これは本物ですから間違いない。このヘリボーン作戦というのは、この中に説明している。抜き書きをしたのを読みます。  「野外令」によりますと、ヘリボーン作戦とは、一、「ヘリコプタ部隊により輸送可能なすべての戦闘部隊をもって行なう作戦である」、正式に言うとこういうことになる。書いてあるのですから。一、「ヘリコプタ部隊により輸送可能なすべての戦闘部隊をもって行なう作戦である」、これがこの「野外令」には、ヘリボーンとなっておりませんで、「ヘリボン」と、こうなっておる。延ばしてない。だからこれはヘリボン作戦ですね。ヘリボン作戦というのは、一、「ヘリコプタ部隊により輸送可能なすべての戦闘部隊をもって行なう作戦である」。二、「空中機動作戦は、一般に地上作戦では即応できない緊急かつ緊要な時期における要点の占領あるいは重要.目標の攻撃のため」に行なわれる。つまりヘリコプターをもって行なう空中機動作戦。地上作戦では即応できない緊急かつ緊要の時期における要点の占領あるいは重要目標の攻撃のために行なわれる要点の占領だとか重要目標の攻撃、これが中心。三番目、敵支配地域あるいは味方の軍事支配が確立していない地域に占領拠点基地をつくり、その拠点から周辺地域の敵の制圧をするために行なうなどのこれは特徴を持っている。これはヘリボーン作戦ですね。また、こういうことも書いてある。それは、百五十キロぐらいの距離にある目標に地上部隊を機動的に空輸するために、一、偵察、通信など支援用のヘリコプター、二、目標地域を空からの攻撃で制圧する中型武装ヘリコプター、三、兵員と装備を空輸する輸送ヘリコプター、以上の三種類のヘリの装備をしなければならない、こういうかっこうになっているわけでありますな。  そこで、いまの東部方面隊の装備というのは、MU2、LR、偵察機。L19E、LM1、これは通信連絡です。合計、固定翼機で二十機、大体そうだろうとおっしゃる機数、この三つの目標にぴたり合っているわけです。それから、先ほどお話しになったOH6J、HU1B、これはヘリです。これが三十機、これは中型武装ヘリなんです。これは、私の調べたところによりますと、ミニガンであるとかロケットなどを装備している。もちろん機関銃を持っておりますが。つまり、OH6J、HUlB、この三十機は中型武装ヘリなんです。そして先ほど確かめましたように、このほかにバートル107型、V107型の大型兵員輸送ヘリが四十機木更津に常駐している。これが第一ヘリコープタ一団。そして第一空挺団が習志野にパラシュート部隊約二千人でおる。こういう勘定になっておるわけですね、配置は。そうなると、東部方面航空隊というのは何をやる部隊か。これはまぎれもなくヘリボーン作戦を中心に考えられている部隊、これは間違いない。ヘリボーン作戦といっているその中身にそのとおりになっている。全部書いてある。防衛庁作成の「陸上自衛隊航空部隊の概要」、四十三年三月三十一日現在、これによって任務が明確になっている。この中には東部方面航空隊とセットで第一ヘリコプター団がございまして、これは戦闘部隊の空中機動等任務が明確になっている。東部方面隊というのは、「連絡、航空偵察、射撃の観測及び輸送」、こうなっている。それと第一空挺団、習志野でパラシュート部隊が約二千人、こういう形になっている。セットされているわけであります。  そしてこれは、一体東部方面航空隊が空中機動作戦を行なうにあたっての地上部隊は何かというと、これもまた明確になっておりますが、東京都を中心にしております陸上の第一師団、裏日本にある第十二師団、こういう配置になっておりますね。そうなりますと、さて陸上自衛隊の教範一〇〇−五。四十三年三月十三日です、これができているのは。これによりますと、陸上戦闘の攻撃あるいは防御、あるいは森林、山岳戦等含めまして、すべてヘリボーン部隊との連絡調整、火力調整を含めて立体的に組み立てられている。そうすると、東部方面航空隊の任務というものは、ヘリボーン作戦をやることになる。そうでなければこの教範がうそになる。そうすると東部方面航空隊は、陸上で言うならば、第一師団、第十二師団との空中機動の面における戦闘任務を受け持つ対空挺・ヘリボーン戦闘、ちゃんとここに書いてある。そして空中機動作戦というところで三つの組み立てができておりまして、東京の中心地域その他においてあるいは治安問題その他が起こったという場合に、敵の火力、兵力に応じましてヘリボーン部隊の火力調整その他が行なわれて作戦が始まる。そうすると、先ほど申し上げました三つの「野外令」に基づくヘリボーン作戦の形になる。一つは、ヘリコプター部隊により、輸送可能なすべての作戦部隊をもって行なう作戦だという前提で空中機動作戦というものが組まれておる。「地上作戦では即応できない緊急かつ緊要な時期における要点の占領あるいは重要な目標の攻撃のために行なわれる」、こうなる。敵支配地域あるいは味方の軍事支配が確立しない地域に前進拠点基地をつくり、その拠点から周辺地域の敵の制圧をするために行なう、こういう特徴が発揮される。バートル107型四十機が常駐している木更津の第一ヘリコプタ一団との密接な連携が求められている。時によっては第一空挺団、習志野のパラシュート部隊約二千人との連携が保たれている。地上部隊一師団、十二師団との連携が保たれている。これが東部方面航空隊の存在価値であります。間違いないでしょう。全部読んである。
  61. 久保卓也

    ○久保説明員 自衛隊のすべては防衛出動の任務を持っております。したがいまして、最悪の事態に備えた防衛出動の態様を考え、それに対する準備をするというのが、これは当然の義務であろうと思います。  ところで、そういった有事の際、最悪の場合、防衛出動の場合どうするかということと、平時の場合における自衛隊の個々の部隊の任務がどうであるかということは、おのずから別であろうと思います。したがいまして、防衛出動に関連していま大出議員がおっしゃいましたことは、そのとおりであろうと思います。
  62. 大出俊

    大出委員 さてそこで、もう一つ念のために申し上げておきます。  ここに四十六年の六月二十五日、第二百三十四回日米合同委員会議事録があります。これは写しでありますから本物でありません。本物を写した。これは、つまり立川の飛行場が飛行停止になって、さて合同委員会ではこのあと地の話が急速に進められていった。抜いて書いてありますから読み上げますけれども、この中に、どういう目的で東部方面航空隊立川基地の共同使用を認められることになったかという点、ここのところがうたわれている。  私ばかりしゃべっていますから、少し答えてみていただけませんか。ここのところは、議事録によれば、どういうことできめられたんですか。
  63. 大河原良雄

    ○大河原説明員 四十六年六月の日米合同委員会におきまして、立川基地の返還の問題について日米間で合意が行なわれたわけでございますけれども、この合意につきましては、立川の当該地区を日本側陸上自衛隊と共同使用するということで合意を見ております。それを受けまして四十六年六月二十九日の閣議におきまして、ただいま御指摘のございましたような決定が行なわれた、こういうことでございます。
  64. 大出俊

    大出委員 第二百三十四回日米合同委員会議事録を読みますと、「陸上自衛隊東部方面航空隊は、現在宇都宮に置かれており、かねてより首都防衛の活動を容易にするため首都近郊に配置すべく検討中のところ、米軍の飛行活動停止に伴い、立川基地の飛行場部分を同航空隊が地位協定二4(a)により共同使用すべく施設部会を通じて提案中であったが、今般の合同委員会において承認された」、こうなっておりますね。  ここで「首都防衛」ということばを使っておる。これは久保さん、防衛出動としてはそのとおりであるというふうにおっしゃった。認められている中身というものは、首都防衛ということで認められている。これまた間違いございませんな。基本的には当然そうでなければおかしい。つまり、東部方面航空隊の任務というのは、先ほど私が指摘した防衛出動なら当然そうである。それが本務なんです。本務に基づいて共同使用を認められている。あたりまえ、当然、そう理解すべきだと思いますが、いかがですか。
  65. 久保卓也

    ○久保説明員 合同委員会議事録は、実は私承知いたしておりませんが、東部方面航空隊防衛の基本的任務を持っておりますので、そのことを原則的に申したものと考えます。したがいまして、私ども強調的には平時における任務ということで再々申し上げておるとおりでございます。
  66. 大出俊

    大出委員 だから増原防衛庁長官は、しきりに災害出動、災害出動と箕輪政務次官その他が言っておられたけれども、明確にそうではないということを含んでものを言っておられる。増原長官がおっしゃっていることのほうが正しい。本務を忘れて成り立つ自衛隊ではない。だから、災害出動ということもあるけれども増原さんの言っているのは、治安出動もあり得るというふうに話している。「増原長官語る」、聞いていた人がたくさんある。ここで、「移駐の目的について増原長官は、「専ら災害派遣だが、治安出動、防衛出動に使わないというのは、筋違い」、こういうふうに話されている。筋違いだ、筋が違うのだ。自衛隊というものの性格は、隊法を見ていただけばわかりますように、中心は防衛出動なんですよ。治安出動なんですよ。そして災害出動であるとか海上における警備行動になっておるわけです。順番だってそうなっておるでしょう。この本来の任務に基づいて認められている共同使用なんです。だからこそ、東部方面航空隊の任務というものは、四十三年三月三十一日の防衛庁がお出しになっている、先ほど私が取り上げて申し上げましたが、「陸上自衛隊航空部隊の概要」の中で明確な任務を与えられている。ヘリボーン作戦をやることになっている。これが本来なんです。ごまかしちゃいけませんよ。ただ平時の場合にこの部隊が災害出動に当たるという任務もあわせ持っているということなんです。ここらあたりを正直にものを言っていただかないと、かえっていろいろ疑惑や誤解が生まれて、ごまかすなとか、そのことによってまた感情を刺激される市民の方々がふえてしまう。やはり筋道は筋道で明確にしていただかぬと間違いが起こる。  ここに増原防衛庁長官がおられるならば、戦車闘争のときじゃありませんが、私の言うことを肯定なさる。私、調べてみて明確な筋なんだ。あなた方がお出しになった教範をちゃんと読んでみたんだ。これはあらゆる作戦にヘリボーン作戦は全部ついてきている。私も実はかつて予備士官学校の教官ですから、読めばわかる。まことにみごとなものです。すべてヘリボーンとの提携というものが強調されている。いずれの場所でも、それほど重要な任務を東部方面航空隊は持っているんですよ。だから、先ほど申し上げたように、この装備の中でも、少し違った数字を久保さんさっきおっしゃっておりましたが、そうではなくて、この中では明確にヘリボーン作戦がやれるような構成になっている。それが中心的にOH6Jという、またHU1Bというヘリ。これは中型武装ヘリでヘリボーン作戦の中心ヘリ、間違いない。ここらあたりは明確にしておいてください。ごまかさぬほうがいいです。
  67. 箕輪登

    箕輪説明員 決してごまかしを申し上げるつもりはございません。いま先生指摘になりました東部方面航空隊、ヘリボーン作戦、そういったことは、私は間違いだとは思いませんし、御承知のとおり、自衛隊の隊法によって、先生が御指摘になったように、防衛出動が主たる任務でありますが、その他隊法では、自衛隊員に治安出動並びに災害出動、この三つの任務を負荷いたしております。したがって立川移駐する部隊も、法的にはそういう任務を帯びていることは間違いないのでございますけれども、御指摘にあるような治安出動というものは、いまだかつて一回も行なわれたことがございませんし、自衛隊ができましてから今日まで、警視庁あるいは警察庁の機動部隊というものが非常に整備されまして、われわれの法的な任務はあるけれども、治安出動ということはとうてい今後考えられない。したがって、平和時における任務は主として災害派遣である、こういう認識のもとに、法的にはそうであるが、実際平和時の任務として、首都並びに首都圏における災害出動ということをもっぱらの任務とする部隊である、こういうように御理解をいただければありがたいと思うわけであります。
  68. 大出俊

    大出委員 あなた自身が、ニカラグアの大地震をとらえてすぐものを言われる。そんなことを言えば、治安出動は一回もない。さっきここに時の赤城防衛庁長官がお見えになりましたが、例の安保のときに治安出動をやろうとした。一生懸命とめた方はほかならぬ加藤さんでしょう。加藤陽三さん、ここにおいでになる。そのときは赤城防衛庁長官ですよ。ぼくは時の赤城防衛庁長官と私的にお話をしたことがある。佐藤総理が通産大臣のときです。こういうことが書いてありますけれども、これはどの程度ですかという話をしたら、いや、大出君、それはほんとうだという話をされた。いや、実はこうこうだったという昔話を一言私に言われておりましたよ。あれだって、時の防衛局長さんなり時の防衛庁長官が何としても押えようとしたんでなければ、治安出動だって間違いもなく行なわれている。だから、いまのニカラグアの地震だって、関東大震災が二回あったわけじゃないんだ、日本という国は。そんなものがあったら困る。ニカラグアの地震があったり治安出動があったりしちや困る、あたりまえだ。しかし、本来、隊法に基づく任務は、防衛出動、治安出動、災害出動、海上における警備行動と明確になっている。この四つの任務をそのとおりに進めていかなければならぬのが自衛隊でしょう。この中から時の政治家や政務次官が災害出動だけ取り上げて、これだけしかないんだということを言うのは不遜だ。何のために自衛隊はあるんだ。そこへもってきて竹田津さんという方は——これもしらばくれた話だ。読んでいただきたい。何ということを言うんだ。災害出動しかないんだ、こういう市民をごまかすようなことを言っちゃいけませんよ。災害出動は災害派遣一本だ。「竹田津総監は午前十一時十分から新航空隊本部二階で記者会見し「複雑な気持です」と前置きして次のように語った」「私の考えでは自衛隊の出動は災害派遣一本にしぼっている」、それ以外ない、市民にこのことを知ってもらいたい。冗談じゃないですよ。そんな総監がいたんじゃ即刻やめてもらわなきゃいかぬ。法律違反だ。そんなら消防の若手にでもしてください。ここに増原さんがいないから話にならぬじゃないですか、せっかく私がここまで詰めたって。これは当然でしょう。知っている、そんなことは。いつかの、坂道を下るから早くなります、そんなこと言ってはいけませんよ。水平ならまだしも、逆に上りだという。そういう調子じゃ困るじゃないですか。はっきりしたところを明確にしてくださいよ。言うことないからそれでいいでしょう。言いわけしてもぼろが出るだけだ。
  69. 箕輪登

    箕輪説明員 言いわけをするつもりは全くございませんけれども、法律上はもう先生おっしゃるとおりなんです。しかし私どもは、その防衛出動、あるいはまたいま先生指摘の治安出動、こういうものはほとんど一ほとんどというより、全くいままで行なわれたこともございませんし、これからも、現実の問題としてはそういうことはあり得ない。そういう前提に立ちながら、しかし、現実問題としてそういうことが行なわれないとするならば、平和時に何をやるか。その任務の一つである災害出動。ニカラグァ問題等も出されましたけれども、いつ起きるかわからないこうした首都圏の大災害、その災害出動のためにいまからこういう準備をしておこうじゃないか、そういうことをやっておるわけでありまして、したがってもっぱら災害出動。もっぱらという名前で表現いたしております。したがって、もっぱらという名前をつけている限りは、いま申し上げました隊法にある任務、これもあるということを含めて言っておるわけでありまして、もっぱら災害出動に出る部隊である、こういうことで御理解いただきたいのであります。
  70. 大出俊

    大出委員 もっぱらというのは、専門でそれをやる。もっぱらというのは専門の専を書くのでしょう。あなたも漢字は私と一緒に習ったでしょう。もっぱら、だから竹田津さんはそれ一本だと言う。そういうごまかしはいけませんよ。本来のもっぱらは防衛出動、治安出動でなければならぬ。順番に書いてあるじゃありませんか。順番に言いなさい。一から始まって十に行くのだから、三、四、五、六から始まって一、二と言う人はいない。  もう一つここで申し上げますが、昭和四十六年八月二十三日から二十五日までの三日間、北海道でヘリボーン作戦に関する演習を行なっている。これはどういう計画かといいますと、「近代化部隊の運用及び航空諸活動を演練し」——軍隊ことばですな。「近代化部隊の運用及び航空諸活動を演練し、あわせて四次防の改善の資料を得ることであり、浮動状況下にヘリボーンを活用する作戦で、一、指揮及び状況に即応する航空諸活動、二、地上部隊と陸上航空科部隊の共同、三、航空科部隊に対する兵たん支援、四、航空管制及び気象支援など演練をした」、これが報告になっている。この報告の内容は、自衛隊始まって以来最大のヘリボーン演習だということになっておる。これは将来四次防、五次防をさしております。この編成、装備について具体的資料を得ることに重点が置かれている。これはたいへんな演習であります。  この演習に動員をされた装備を全部調べてみた。これはロケットやミニガンを、OH6やHU1の中型ヘリコプターで、もちろん空包でしょうけれども、使っている。これは今日四次防という形で考えられている構想の中に、ヘリ部隊のたいへんな増強が含まれている。だから、四次防が実行されていく四十八年以降というのは、東部方面航空隊のヘリコプターの持つ能力というものも増強されている。この演習の結論はそうなっている。それがいまの問題。来年度予算との関連、四次防との関連、そうなると、立川移駐した東部方面航空隊には、武装ヘリコプターもふえるし、あるいは偵察、連絡機能もふえるし、輸送という機能もふえてくる。当然なことだ。ここまで明らかになっているのに、もっぱら災害だと言っても、それは通らない。そこに立川基地への強行移駐という問題の真の中心が置かれている。関東計画というものにからんで、基地の縮小というものが進められていく。アメリカの空というものは縮小の一歩をたどる。ただこれは、実は縮小ではなくて再編なんですね。つまり、ここで承っておきたいのですけれども関東計画というものは、二十三日の安保協議委員会において一体どういうふうに進んでいくのですか。
  71. 大河原良雄

    ○大河原説明員 一月二十三日に日米安保協議委員会の開催が予定されておりますけれども、その議題といたしまして、在日米軍基地の整理統合に関連する問題ということを一応予定いたしております。その関係におきまして、在日米軍基地の整理統合を具体的にどういうふうに進めるかということを現在折衝中でございまして、関東平野の問題につきましても、できれば二十三日の協議委員会の場で何らかの方向づけができるように折衝を進めたいというふうに考えておりますけれども、現在まだ話が結論を得ておりません。
  72. 大出俊

    大出委員 ここのところで少し聞いておきたいのですけれども、サンクレメンテ会談における基地の集約移転計画というのは、ロジャーズ国務長官から時の福田外務大臣に話されたという伝えられ方が一つございます。また当時、サンクレメンテにこちら側から縮小計画を持っていったということも承っております。ところが、ロジャーズ氏のほうは、ときに沖繩返還をめぐってペンタゴンの説得にたいへん苦労したんだ、だからそこまでいまやるわけにまいらない、場所を移してこれは検討しようということになったという経緯が、これまた伝えられている。だからここから始まって、皆さんがずっとこれは相談をしてきたことになっている。この間の経緯は、当時防衛庁長官江崎さんなんですけれども江崎さん、いかがでございますか。これはいまの長官じゃないんだから。あのころはどうだったのですか。
  73. 江崎真澄

    江崎国務大臣 ちょっと聞き漏らしましたので……。
  74. 大出俊

    大出委員 サンクレメンテの日米会談がありまして、このときにこちら側から基地の縮小計画を持ち込んだ。ところが、沖繩返還という問題をめぐって具体的にここでどうこうということになかなかならなかった。ロジャーズ長官のほうから、これはドル防衛なりニクソン・ドクトリンというものなりに基づく、つまり基地の縮小については福田外務大臣と当時話があった。ただ、これは場所を移して詰めるということになった。だから今日関東計画といわれるものもここから出発している。このときの事情は一体どうだったのだと聞いている。
  75. 江崎真澄

    江崎国務大臣 サンクレメンテで、やはり基地の問題について将来整理統合を当然お考え願いたい、こういう主張をしたことは私聞いております。ただそのときリストを持っていったとかどうしたとか、その辺は明らかでありません。沖繩が戻ってくる場面でありますから、感謝をすると同時に、しかし沖繩の不用不急と日本側で考えられる基地についてはひとつ御考慮を願いたい、いやそれは承りおきましょうというようなやりとりがあったやに聞いておりまするが、これはあくまで非公式な話でありまして、こういう公式の場で、私が責任をもってこういうやりとりがあってこうでありましたというふうに申し上げられる根拠は、私持ち合わせておりません。
  76. 大出俊

    大出委員 あわせて承っておきたいのですが、これは江崎さんにお願いしたいのですけれども佐藤総理江崎長官同席をいただいた私の質問の席で、先ほどお話が出ました、当時の発言でいえば、基地を高いところから見直してみたい、米軍基地自衛隊基地を含めて高いところから見直してみたい、都心に基地があるなんというのはよろしくない、市民生活に非常に大きな支障を来たしておるようなものは、これは何とか考えなければならない。そういう意味で、全体の基地米軍自衛隊どもに見直したいということで、防衛局長などを中心にする基地点検のプロジェクトチームをつくりたい。これは野呂政務次官もときにたいへん御熱心でありました。これは一体、ここらの相手の動きというものと関係が全くなくてお考えになったんじゃないと私は思う。この発想は今日進められてきている縮小の話し合いと当時どういう関係を持っておられたか。
  77. 江崎真澄

    江崎国務大臣 御指摘の問題は、これはやはり御承知のように、最近の社会情勢が急激に発展をしまして、特に都市が過密現象を呈してまいりました。特に都市及びその周辺ですね。したがいまして、従来、基地として使用をしておりまする自衛隊の場合、また米軍の場合——米軍の場合ですと、もう戦後三十年近くになるわけでありまするが、これは新たな見地から再検討してしかるべきではないかというので、私の在任中にプロジェクトチームを発足させまして、これは責任者は次官でなければならない。それまでも防衛庁においては、審議官が責任者になって、絶えず基地を整理統合するというか、そういう方向の検討を続けておったわけでありまするが、それだけじゃ足りない、これはもっと防衛庁全体をひっくるめて、施設庁も含め総合的な高い見地から検討の要があるということでチームを発足させたわけでございます。これは受け継がれて今日まで至っておるというふうに聞いております。最近の作業等については、いずれ政務次官その他からお答え申し上げるかと存じます。
  78. 大出俊

    大出委員 この委員会予算委員会から引き継いで立川問題の収拾をしたのは二つあった。一つは時の江崎防衛庁長官が強調されたいまの問題。何とかここ一年くらいを見て高い視野から基地を再点検してみたい、そして市民生活に直接的に大きな支障を来たすようなものについては考えなければならない。真剣にそう思う。だから、旧来より基地を点検したり調査をしたりしているけれども、今度はもう少し高いところの防衛局長なり次官なりという人たちを中心にするプロジェクトチームをつくりたい。当然立川も含めて検討するかと言ったら、それはする、返すとかなんとかということは、これはやってみなければわからぬけれども、それも入れて検討する。私はあのときに、立川基地の置かれている地理的条件をるる説明したはずです。それはよくわかると当時江崎さんは言う。それが片一方にある。結論を出してくれ。もう一つ総理は話をつけると言い切られた。これを信用しよう。長官からは、基地の問題で高い視野から真剣にやってみる、それが一つ総理からは話をつける、これは信用の問題。その二つの上に立って収拾をはかったわけですよ。  ところが、今回この問題で箕輪さんしきりに御苦労なすったから、経過を御存じでいろいろおっしゃる。しかしこれは水かけ論で、向こう側では、早くから年内強行移駐の腹をきめて防衛庁はものを言ってきていると言う。だから、この席に阿部市長がいるんじゃないから、その移駐経過をやってみても水かけ論になるが、強行移駐をやっている。移駐前なら私は質問やりますが、やってしまって、そうなっておる結果から、おのおのに言いぶんがある。だが、市民感情というものを踏まえてみれば私が当時質問したときには、市議会が拒否の決議を取り下げたあと——昭島は前から反対がある。ところがその後情勢が変わって、署名もどんどん集まり、八割方の市民の署名が集まるという中で、市議会はまた方針を変更なすった。これも厳然たる事実。そうだとするとなおのこと、当時先遣隊が飛び込んだ事情は、市議会が全面拒否を取り下げた、だからということを長官は私におっしゃっていた。今度の強行移駐はそうじやない。もとに戻っているわけですよ、市議会の態度は。そうすると、前回あなたは、先遣隊の強行移駐について、市議会はきめたが取り下げたとおっしゃったが、またきめたんです。そうなると、強行移駐をする理由というものは、前の根拠からすれば出てこないはずだ。総理は話をつけると言っていた。一年くらいかかるけれども再点検をやってみる。そうして市民生活に直接たいへんな被害を与えるものは考えなければならない、それが立川と即座に言えないけれども立川も入れて当然これは検討する、こうなっていた。そのいずれの約束もあなたのほうはお守りにならぬで、しかも市議会の情勢も変わっているのに強行するという手は、これはどこから考えてもない。どう考えてもこれはない。  だから私は、先ほどの総理発言なるもの、つまり閣議の中身は言わぬとおっしゃるが、その真意が田中総理にあるならば、前の経過を踏まえて、これは総理お出かけをいただいて、どうしてもここで総理の真意を明らかにしていただいて、民主主義ルールに基づいて、市民が納得する形における処理のしかたを考えなければならない、こう思うから、入り口で先ほどから私は議論をしているのです。これはおわかりを願いたいと思うのです。  だから、時の防衛庁長官であった江崎さんがいま自治大臣で、住民基本台帳法等をめぐって問題をかかえておられるのだから、関係がないというのではない。そういう意味で、この点については後ほど理事間でお話し合いをいただいて、官房長官に御出席を願えるかどうかわからぬけれども、そこらを踏まえて、江崎さんのほうも、民主主義原則に基づいてわれわれからすれば約束違反である、こう申し上げたい。そこらのところを考えて、これはやはり、市民のためにどういうふうに事を進めていくか、これはまたあなたもちゃんとやっていただく責任があると思うが、いかがでございますか。
  79. 江崎真澄

    江崎国務大臣 御指摘のように、私にも十分責任があると思っております。ただ私申し上げたいのは、御指摘のように、話し合いをするという姿勢で、防衛庁側長官をはじめ政務次官その他関係者一同がずいぶん努力したようですね。さっきから繰り返し答弁もありまするが、これは事実努力したと思います。ところがどうも話し合いに乗っていただけない。要するに、会うことは会ってもいわゆる話し合いの中に踏み込んでもらえない。ところが一方、災害は忘れたころに来ると申しますが、もとより御指摘のように本務があるのは事実でございまするが、何べんも長官政務次官が申しまするように、災害出動ですということで、やはり防衛庁の重要な任務の一つに災害出動、民生協力という面があることも否定できません。そこで事を処置した。そちらから言えば、強行抜き打ちけしからぬ、こういうことだと思いますが、しかし、なお今後話しは続けてまいります。その話の根拠になりまするのは、かつて市議会が移駐をしてよろしいという決議をされたときに、その条件として持ち出された十二項目、こういうものがございました。したがって、これは私、住民を代表する強い意思の表明であり、また要求でもあろう、こういうふうに思うわけでございまして、こういった要求には、当然防衛庁側としても誠意を持ってこたえていただかなければならぬし、解決できるものは一つでも二つでも前進させ、解決をしてもらいたいものだ、こういうふうに考えております。  ただ、そうかといって、そこで住民登録が拒否されるということになりますと、問題の解決は、しかく明日または明後日で解決できるという性格のものでもございません。先頃来、いわゆる革新市長会の合意ということでお申し出のございます、たとえば日米安保の見直しの問題、こういった基本的な問題になりますと、これはやはり政治の面とか外交ルートであるとか、それをどう処置するにしましても、一応時間がかかるわけでございます。したがいまして、そういう問題や、また立川の、御指摘のように、もっとやれとおっしゃる意味はわかりますが、どうも平行線をたどりまして、いつまでたっても結論がつかない。政府としての立場から言うならば、これはどうしても民生協力の面から実行しなければならぬということでやったわけでございますが、これもまたいろいろ話し合いをつけていく。特に十二項目の要請にこたえていくという面には時間もかかるわけでございまして、そういう問題や意見の対立、食い違いというものとは切り離して、住民登録問題についてはぜひひとつすみやかに解決を願いたいものだ、自治大臣としてはそう考えるわけでございます。ただ、従来の経緯から言いまして、御指摘の御要請については、真剣に解決する方向で全力をあげていくことが、防衛庁としても、また政府としても必要であろうというふうに思っております。
  80. 大出俊

    大出委員 休憩時間を考えておりましたが、いま出ましたから触れざるを得ません。災害出動一本だ、もっぱらだ、こう言うのですが、これはさっき決着がついているからよけい言いません、皆さん認めているんだから。本務は防衛出動であり治安出動であることは、皆さんお認めになっているのだから。その上とりあえずこっちだけやっておるんだという意味にとれるようなことをおっしゃっているんですが、皆さんも言い直されているのだから、それは深追いはしません。  ただ、二月に東部方面災害研究演習というのが行なわれていますね。これは前にも横路君の質問のときにも出ておりましたが、皆さんの想定では、ここで大災害が起こった、千六百カ所から火事が起こっているというのですね。この千六百カ所の火事の中心はどこかというと、東京の江東、それから川崎、横浜です。私は横浜に住んでいるのですからね。江東、川崎、横浜というのは大火災が起こっちゃうんですよ。そうすると、私が横浜市長なら、災害だけ考えるなら立川からわざわざおいでくださいとは言わないですよ。木更津から来れば海を渡ってまっすぐなんだから、ヘリコプターで一時間しかかからない。早いフェリーなら木更津から四十五分。横浜の高島町の桟橋から例の自動車を載っけて走り始めて、木更津の突端まで四十五分で行っちゃうんです。毎日高島町の桟橋から行っているんですよ。そうでしょう。飛行機で来たらどのくらいかかるか。立川から飛んでくるよりよほど早いのじゃないか。木更津から目の前だ。ここに空挺団を持っておる。だからそれは理屈にならぬ理屈です。まさか、千六百カ所火災が起きて火の海になっているのに、かってに木更津は木更津で演習をやっていますとか、習志野は習志野で演習をやっていますというようなのんきなことはない。そうなると、だれが考えたって、横田も羽田も、あるいは調布も、あるいは厚木も下総も、東京周辺の飛行場というのは、すべてこれは自衛隊の任務なんだから。そうでしょう。災害出動は任務なんだから、のんきに訓練やっているわけにはいかない。全部災害出動せねばいかぬのです。そうでしょう。そうなれば、立川というのは、皆さんの主張をよしんばある程度解したって、立川に来ておいたほうがいいかなという程度のことにしかならぬ。自衛隊だけが災害対策を立てるんじゃないですよ。東京都だって、立川市だって、横浜市だって、川崎市だって、全部災害対策を立ててやっているわけでしょう。無連絡では何もできぬじゃないですか。空から偵察してあそこが火事だと言ったって、たいして役に立たぬ。それなりの警報連絡を自治体はみな持っている。そうなりますと、そのことを、ここへ来てあまり四の五のなど言わないほうがいい。あくまで本務があるんだから、それに従って東部方面航空隊の性格というものは明確なんだから、政治的にも現実的にも、そこに一つの現点を置かざるを得ない。その上で立川問題の処理に当たるという態度でなければならぬ。いまになって一生懸命、災害だ災害だ、いつ地震が来るかわからない、ニカラグアだと言ったって、関東大震災がニカラグアに起きたのじゃないんだから。  もう一つ住民基本台帳法、これは私は論議の余地はないと思っている。必要に応じて市長は点検、調査しなければならぬことになっている。治外法権になっている米軍基地の中に、自衛隊が入って営内居住をやるということになった場合、国内法の優先の協定は、地位協定十六条があって戦車のときに明確になっている。これをひるがえす余地がない、各大臣が全部お認めになったのだから。そうだとすると、この法律は明らかに国内法なんですから、市長が必要だと認めるときには点検ができ調査ができるのは、あたりまえじゃないですか。明確な国内法じゃないですか。自治体の権限でしょう。そんなことはあたりまえじゃないですか。だからあなた方、四の五の言っているよりも、その点は調査なり点検なり、市長が必要だと認めれば、そんなことは認める、これは国内法優先の原則を守る、まずこれはあなた方のほうから明らかにすべき筋合いじゃないですか。革新市長会の四項目の申し入れの中には、その意味で、市長の権限ということとどうからむのだ、関係するのだと書いてある。そこらを自治大臣は一体どうお考えですか。
  81. 江崎真澄

    江崎国務大臣 安保条約によりまして米軍が使用しておりまする施設及び区域、これは米軍のいわゆる租借地といったような性格のものではございません。したがいまして、もとより私ども特に、自衛隊と共用ということになれば、そこへ入ることについて米側の了解を求めることは、これは従来の経緯からいたしましても、了解は求めるものの、居住の問題についてどういう実情になっておるか調査したい、こういうことであれば、そこへ入って調査をすることは一向差しつかえない、こう考えております。
  82. 大出俊

    大出委員 これは前回の戦車問題の経緯からすれば当然なことですよ、国内法ですから。あのときだって、結果的には基地に入って目方をはかったり幅をはかったりしたのですから。だからこれは当然なことで、それをお認めいただかなければ、これは前の議論からいって筋が通らぬ。これははっきりしてください。問題の解決の筋道ですから。
  83. 箕輪登

    箕輪説明員 二4(a)の共同使用の基地についても国内法が優先でございまして、先生指摘のとおりでございます。したがって私どもは、どうぞいつでもおいでいただきたいという態度をとっております。これはもちろん法律上もそうでありますが、管理権を持っておる米軍とも打ち合わせの上でいつでも来ていただきたい、こう言っているのでございますが、管理権を持っているのがアメリカであって、いままでは入れなかったのだから疑義があるとおっしゃるものですから、あえて私どものほうから、どうぞおいでください、御連絡があればゲートに迎えに出ていつでも御案内申し上げます。というようなことまで言っているような実情でございます。
  84. 大出俊

    大出委員 先ほど前回ということばを使いましたが、いままでいろいろありましたから、そう簡単に信用できぬわけですよね。  そこで、もう一つだけ休憩前に申し上げておきます。  いま地位協定の話が出ましたが、二4(a)の話、地位協定をお話しになるなら、私はここではっきりさしておきたい。地位協定からいきますと、米軍基地が要らなくなった、使わなくなった、正規の使用を必要としなくなった、これは理屈なしに直ちに返さなければいかぬのですよ。それがまず原則じゃないですか、地位協定は。念のために読み上げますが、地位協定二条の三項、「合衆国軍隊が使用する施設及び区域」これは基地としたほうがわかるでしょう。「は、この協定の目的のため必要でなくなったときは、いつでも、日本国に返還しなければならない」。おまけがついている。「合衆国は、施設及び区域の必要性を前記の返還を目的として」−返還を目的にです。「返還を目的としてたえず検討することに同意する」。これは同意しているのですから、要らなくなったということになれば、正規の目的を失えば、直ちに返さなければならぬ責任と義務が地位協定上相手方にある。  そこで問題は二4(a)そのものですよ。これは私は、この委員会を通じて何べんも議論してきているところですが、中曽根さんも私の議論を認めておいでになられる。山上さんも、当時いろいろ渋っておられましたが、結果的にそうなっておる。それならば二4(a)というのは一体何だ。「合衆国軍隊が施設及び区域を一時的に使用していないときは」、一時的に合衆国軍隊が使用してないとき。永久に使用しないならこれは該当しない。「一時的に使用していないときは、日本国政府は、臨時にそのような施設及び区域をみずから使用し、又は日本国民に使用させることができる。ただし、この使用が、合衆国軍隊による当該施設及び区域の正規の使用の目的にとって有害でないことが合同委員会を通じて両政府間に合意された場合に限る」。「正規の使用」となっている。これはつまり、飛行停止をした、正規の使用をしないということになった場合。正規の使用を予測していて、しかも一時的に使っていない、こうなった場合に、二4(a)というものは必要であって、妥当するのであって、ニクソン・ドクトリン以後どうも特徴的にあらわれているのは、気に食わぬことなんだけれども、これを曲げて解釈している。だから、中曽根さん正直な人だから、地位協定の改正が必要だということをおっしゃった。外務省は、これはたいへんなことになる、地位協定の改正なんということは国会を通りはせぬということになって、またもとへあと戻りした。私がこの委員会で初めて中曽根さんに質問したのはこれなんだけれども、地位協定の改正が必要だということを言っておられる。それはなぜかといえば、そういうことだからです。  それは、ニクソン・ドクトリン後急速にあらわれたんだけれども、ドル防衛との関連で、どんどん引き揚げていったほうが金がかからない。そうしておいて共同使用の形をとる。中には一部米軍基地を残しておく。管理権を持っているところを残しておく。あとは全部自衛隊基地になったという場合に、うまいことを考えている。滑走路というものはこちら側が管理しているという場合であって、そこに米軍基地があれば、自衛隊の滑走路へおりて出入権で入るのだということで、幾らでもおりてこられる。そうでしょう。厚木だって当初はそういう考え方だった。そういう曲げた解釈をして、この立川問題も、正規の使用が行なわれなくなった、ならばこれは即時に返すべきだが、それをあなた方は、国有財産審議会などに持ち込んで防衛庁の強力な要請によって、アメリカ側と話し合って共同使用を認める形をとった。邪道でしょう。私に言わせれば、それは地位協定違反だ。  そこまでやって何で一体入らなければならぬかというと、自衛隊の本務とからんでくる。アメリカの極東戦略全体とからんでくる。四次防ともからんでくる。だからあなた方が言うように、口先で幾ら言っても、市民感情としては、永久使用になってしまうということになる。あたりまえでしょう。ここのところ、どう考えますか。
  85. 大河原良雄

    ○大河原説明員 ただいま御指摘ございましたように、地位協定第二条に基づきまして、合衆国軍隊に対しまして日本国内の施設及び区域の使用が許されておりますけれども、それの使用につきまして、米側は絶えず、その協定の目的のために必要であるということを十分日本側に説明をする要があるわけでございまして、その限りにおきまして、ただいま御指摘がございましたように、この目的のために必要でなくなったという場合には、従来もそうでありましたように、日本側に返還という措置がとられております。  しかしながら、二条四項(a)におきましては、一時的に合衆国軍隊がその施設、区域を使用しておらないという形態がありましても、いつ何時使うことがあるかわからない、したがってこれは引き続いて合衆国の施設、区域として残しておきたいという事情にある場合がございまして、そういう事情にある状況を手当ていたしますために、二条四項(a)というかっこうで共同使用ということが認められ、また現に行なわれておりますが、その場合にも、あくまでも共同使用は日米間の正式の合意に基づいて行なわれるという形に限るわけでございます。その限りにおいて共同使用というものが、これもいま御指摘がございましたように、立川だけではなく厚木その他いろいろなところで行なわれている、これが実情でございます。
  86. 大出俊

    大出委員 だからごまかしだと言うのですよ。そこから先は政治の問題ではないですか。アメリカが立川基地を必要としなくなった。砂川の闘争などの結果、ジェット機の発着はできないのですから。滑走路が延ばせなかったのですから。韓国その他に対する輸送その他をやっておったのだから。だからその基地が飛行停止をした。当然これは正規の使用が必要でなくなったんだから、使いものになりはしないんだから、ジェット機が使えないんだから、そうならば返すのが当然でしょう。それを、管理権をアメリカが持っている。いま局長が言っているように、いつ何どき使用するかもわからぬというていさいをとって、そこに自衛隊をほうり込んでおく。自衛隊は新しい基地を求めようがないんだから、ほしがっているんだから一石二鳥である。ひとつ間違って事あるときには、今度は米軍基地として使えるのだから、まことにぐあいがいい。これが地位協定の本来の締結をされたときの趣旨に沿わない。そんなことまで想定してつくったのではない。つくった年月を考えてごらんなさい。そういうことをしてはならない。だから、防衛庁長官中曽根氏がやっているときに、そこまで考えるなら、新聞にも見解を言ったことがありますけれども、地位協定を改正しなければならないということを言ったのです。外務省から横やりを入れたときに、しまいには二4(b)に移してもなおかつ共同使用の形をとっている。硫黄島のロランCという基地はいい例で、硫黄島の飛行場は自衛隊の飛行場ですよ。ただ山のほうにロランCの米軍基地があるからということでアメリカの飛行機が発着する。何だ、出入権だと、そこまで拡大解釈をして政治的に利用するということはよくないのです、これは。だから立川基地の場合には、当然すなおに市民に返すべき性格のものである。自衛隊がそれをあえて固執するところに問題がある。それをさっき冒頭に私は性格、任務に触れてものを申し上げた。だから江崎さんが言っているように、都心にある基地をなくしたいと言っていた。中曽根さんのときにこの話が始まったというのは、性格、目的、任務がそこにあるからだ。海外出動じゃない、ねらいは。そこに問題がある。  したがってこれは、やはり総理に御出席をいただき、官房長官からでもけっこうですけれども、御出席をいただいて、その上でもとへ戻して話し合いをし直すなりする。これは国会約束事なんだから、そうしてください。
  87. 三原朝雄

    三原委員長 午後一時四十分より委員会を再開することとし、この際暫時休憩をいたします。    午後零時四十三分休憩      ————◇—————    午後一時四十五分開議
  88. 三原朝雄

    三原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  国の防衛に関する件について質疑を続行いたします。大出俊君。
  89. 大出俊

    大出委員 立川米軍基地自衛隊との共同使用に関しまして、暮れの二十七日に本隊東部方面航空隊強行移駐という形がとられたわけでありますが、本席は、何よりも当の責任者である増原防衛庁長官病気欠席ということでありまして、主役のいないやりとりでございますし、あわせて官房長官に大筋を二つばかり承りたいのでありますが、閣議の中身が新聞報道されておりまして、まあ一つの新聞が書いておるわけではありませんから、そう違った内容を報道しているとは思えないのでありますけれども、この中で田中総理が、宇都宮と立川とでは、つまり宇都宮というのは東部方面航空隊のこれまでの根拠地でありますが、どれだけ一体差があるのかという疑問を述べておられるのが一点と、あわせて、自衛隊はとかく都市近郊に入りたいという希望があるが、都市近郊自衛隊を置くということは好ましいことではない、こういう趣旨発言をしている記事が各所にございます。毎日新聞等は社説にまで取り上げて書いておるわけであります。そこで、総理にそういう気持ちがあるなら、今回の立川問題については解決の糸口をつくらなければいかぬ、こう思うわけですが、これは閣議の中身が云々という意味ではなくて、常時連絡をおとりになっている長官として、総理にその気持ちがあるというならばあるように、率直に総理の意をこう受け取っているということを言っていただきたい。  あわせて、官房長官自身が談話を発表されておりますけれども、ニュアンスとしては、基地問題でこういうことが起こるのはあまりよろしくない、だからインガソル大使にも申し入れたい、こう言っているのですね。これは官房長官談話で新聞記事にございます。これはどういう意味かというと、後者の官房長官発言は、インガソル大使に申し入れるということは、米側との関係があって今回の立川問題が起こっていることになる。だから、背景整理をしないと事が片づかない、こういう筋書きになると思う。たまたま二十三日に安保協議委員会があるわけです。そこでものを言う機会は明確にあるはずであります。  だからそこで、やり方としてはいろんなことがあると思うのですね。立川の東側、これは立飛企業があるほうですが、東側は一年以内に返す、また西側は、滑走路を含みますけれども、これは両三年というような話が前々ある。これはここらに触れて、早めて決着をつけて話し合いきっかけをつくるという方法だってある。なぜならば、自衛隊が先遣隊が入ったときのいきさつ、やりとりからしても、当時の資料で明らかなように、国有財産審議会は暫定使用という形になっている。また地位協定の二4(a)というのも暫定的な措置であります。一時的に使用していないはずでありますから。だから、そこらを踏まえて、これはいきなりどけちゃってもとへ戻して話し合うと一番いいのですけれども、それも含めて解決の糸口を政治的にはつくらなければいかぬと、私は立川市民の皆さんのために考える。あるいはこのことが全国に波及することを考えると、この委員会で取り扱ってきただけに委員会責任もある。そういう意味長官のその辺のお考えを聞かしていただきたいのであります。  もう一ぺん申し上げますが、一つ閣議で、宇都宮と立川へ入ってくるということとどれだけ差があるのかと総理が聞いているという記事がある。もう一つ、こういう都市近郊自衛隊が入ってくるということは好ましくないという意味のことを言っておられる。つまり、そこに真意があるなら、話し合いの余地がなくはない。そこらを長官立場から総理発言をそんたくされて、閣議の中身をどうこうということにこだわりませんが、どう理解なさるかという点。あわせて、長官の談話が出ておりますが、インガソル大使に申し入れ、立川問題等を踏まえて、こういうことが起こっちゃ困るからという、つまり米側という相手方がもう一ついることになる。つまり、合同委員会できめたのだからそういうことになる。それには二十三日に安保協議委員会があるのだから、機会はまことに近く控えているので、このあたりを政治的に長官が配慮されて、立川市民の皆さんのために、またこの問題が全国的な反基地、反自衛隊という問題に発展していかないために、政府側の立場をそんたくすれば、何らかの政治解決をはかるべきじゃないか、こう思うが、どう考えるか、承りたい。
  90. 二階堂進

    二階堂国務大臣 いまお尋ねになりましたこの立川基地をめぐる問題、私も事態の解決をはからなければならないと思って、非常に注意深く見守っておるわけでございます。  この基地の問題をめぐっては、大出さんもえらい苦労をされましたが、相模原補給廠の問題等もありまして、その際に市民との間に感情の対立があって、好ましからざる事態が起こるということは決していいことではありません。ですから、いろいろな角度からいろいろな人の意見も聞くし、国会意見も聞くし、あるいは市長意見も聞いて、まあああいう事態の推移を経てきておるわけでございますが、今回この立川基地の問題にしても、気持ちとしては同じような気持ちが私も国民の一人としてするわけでございます。  これに関連して、この移駐をきめたときの閣議防衛庁長官から、話し合いを続けて円満な解決のもとに移駐実現をはかりたいという気持ちでずっとやってきたが、なかなかそういう事態は到来しない状態でありますし、自衛隊移駐については、去年の三月ですか、先遣隊が移駐したときもいろいろ問題があったことは、私も予算委員会等におりましてよく承知いたしております。今度も、その先遣隊に続いて、災害救助体制の一環として防衛庁のほうも、ぜひひとつある程度の部隊を入れなければならないのだ、そのためには当局者として話し合いを続けていくことがたてまえだということで、私も、防衛庁長官あるいは政務次官に対して、ちょうど長官も御病気中でありましたから、あくまでも話し合いをしなさいということを再三再四申し上げて、その努力はしていただいたわけでございますが、何しろああいう状態でございましたし、話し合いもできない、最終的には拒絶だ、抗議だという形になって、政府の側から申しますと、話し合い機会ができなかった、こういう結論になったものですから、防衛庁長官とされましても、防衛活動をやるのじゃないのだ、とにかく万が一、ニカラグアの災害などもあったあとでありますから、何かそういうことも考えられて、そういうことのためだからやむを得ないということで、防衛庁長官から閣議発言がありました。そのことについては総理も一口も発言されず、これはやむを得ない、きめなさい、こういうことで、そのことについては移駐がきまったわけであります。これは、何もかも閣議の話をすると、閣議でほんとうの話し合いができなくなりますので、したがって閣議の話は、一から十まで実際は公表できないというたてまえでありますが、私もコメントを求められて何か言っておるように記憶いたしておりますし、防衛庁長官も二度にわたって引き出されて、そうして何か発表しておられるようでありますが、そのときのいきさつを申し上げますと、その案件についてはすでに閣議できまったわけです。そのあと二、三案件がありまして、それで最後に終わりごろになって、私が、これで閣議を終わりますという宣言をするときになって、総理から、この立川とあそことの間はどのくらいありますかね、というようなお尋ねがありましたことは事実であります。ああそうかと——それからもう一つは、このように密集した都会の中にこういう問題が起こることは将来よく考えるべきこともあるなという自分の考え方を、正式の発言でなく言われたことは事実であります。それが正式に総理が、もう一ぺん考え直せとか、あるいはもとに戻せとかいうことを意味されたものではありません。案件がはかられたときには、総理も、満場一致皆さんも、それをきめたわけであります。二つか三つほかの案件があって、あとになって、そういうことの考え方といいますか、自分の感想を漏らされた、それが一部の新聞に——ある閣僚でしょう。これは何かあったということで、それが新聞に出たというのでああいうことになったと思いますが、それで私は、大きな案件は、閣議あと記者会見をして、できるだけこまかく、あまり正直過ぎるんじゃないかといわれるくらい私は申し上げておるんですよ。ときどき人からもやかましく言われることもありますけれども。これは閣議というのは、国政の重要なことを協議する場所でもありますし、いろいろなことを報告するのが私の気持ちでもありますし、報告いたしております。そのときには、それは大きな案件として、あるいは法律事項としてきめられたことでなかったから、そういう気持ちをただ軽く表明されたにすぎないと、こう受け取ったものですから、そのときの閣議あと記者会見では一言も私は申しておらないのでありますが、そういうことでああいうことになったと思います。  しかし、繰り返して申し上げますが、この移駐に関する案件につきましては、総理は、そのきまる前に発言されたものではございません。ですから、そのことについては、もういきさつもよく御承知の上でやむを得ない、やるべきだということできまったわけでありまして、そのあと、先ほど申し上げたようなことで出たわけでございます。そのあと私も再度、記者会見のときに質問を受けましたから、この基地をめぐる問題は、御承知のように、これが全国的に波及したり、地域民の感情の対立を来たしたり、あるいは自治行政の上にいろいろな思わざる事態を惹起する。今度も自衛隊員の登録の問題で、いろいろな問題が起こっておるようでございますが、こういうことが起こることは、これは議論を両方からすれば限りない議論があると思いますけれども政府政府立場において責任をもっていろいろやらなければならないことは、あえてやります。その反面また、自治体の方々や地域住民の方々意見も、全然聞かないわけではありません。  私は国会その他の場において、大出さんその他の方々の御意見も聞いておりますし、陳情団も来ますし、各党方々もそのことを抗議に来ておられますから受けますが、しかし、そういうことで相模原補給廠の問題以来私も頭を悩まして、何で官房長官という席にぼくが来たのかなと思いながら——ほんとうですよ。なかなかむずかしい問題ですよ、この問題は。ですから、これだけ頭を悩まして毎日苦心しておるんですよ。きょうも皆さんの議論があって、朝から頭が痛かったわけですが、ここに引き出されるとお答えしなければならぬ。あまり歯切れのよくない御答弁をするのは心苦しいと思いますが、しかしこれは、言うことは言っておかなければなりませんから申し上げますというだけで……。  そういうことがありますから、先日もインガソル大使に会ったときに率直に、いわばこの基地問題というのは、国内の国会あるいは七〇年代の大きな問題ですよ。ですから、私どもも言うことは言わなければなりません。国会でも議論にならぬ国会ではありません。ですから言うことは前向きで言いますよ。そうして少なくとも基地などは、国民から見て、あんなところに何でとか、あるいはゴルフ場など持っておるところもありますから、そういうものは返してもらわなければ、日本の国民が困りますよ。自民党だけ困るんじゃないですよ。こういうことまでざっくばらんに私は申し上げておるんですよ。この前、帰るというから、お帰りになったら、そういうことも理解してもらわなければ、あなた方の軍があるんですから、軍の当局の方々にも話をしておいてくださいよ、そうでなければ私が頭の毛が白くなるほど苦労しておりますよということも話したんですよ。  今度の立川問題等についても、私はよく詳細は承知いたしておりませんが、東側は一両年のうちに返還しましょう、西側民有地のところは三、四年のうちには返します、そんな長いことを言っちゃ困りますよ、できるだけ早く返してもらうようにひとつ私もお願いしますが、また言いたいことはどんどん言いますよ。しかしお気にさわることがあるかもわかりません。なるほどアメリカは軍がありますから、軍の下に大使館などがあって、言うことは頭から言われると困るでしょう、しかし私は言うことは言わなければなりません、こういうことを言っておいたのです。  そのときも、そういう意思を伝えようと思って申し上げたのでございますが、先ほど大出さんの話がありましたとおり、二十三日ですか、日米安保協議会というのですか、そこでもこういう問題が出る。出て、そうして少なくともこういう情勢は、全部防衛庁当局も外務省当局も出ておりますから、話をしてもらって、全体の中でこういう問題はやはり解決するように努力しなければ——一方は、会わぬよ、抗議だ、こっちはあくまでも会ってくれということでは、なかなか事態の解決はできない。佐藤内閣以来、話し合いをして仲よくやっていこうじゃないかという佐藤さんのお気持ちもあった。それを田中総理も引き受けて、できるだけ話し合いをしていこうじゃないかという気持ちには変わりはございません。だから私は、そういう気持ちを端的に表現するために、インガソル大使と会ったときも、率直に、すなおにその気持ちを申し上げている。何とか皆さんたちの御協力、当局の御協力を得てこういう問題を解決するように、とにかく努力をしていただきたい。私ども皆さん方の御意思を受けて最大の努力をいたしますが、皆さん方も代表せられている方々でございますから、その立場においてひとつ政府当局の立場をお考えの上、また地域住民の問題もありますから、何とかお互い努力を重ねていってもらいたいというのが私の真意でございます。  以上、申し上げましたが、足らないことがあるかもわかりませんが、私の率直な気持ちを皆さんに申し上げておきたいと思うのであります。
  91. 大出俊

    大出委員 昨年の三月の先遣隊の移駐のときに、総理も二回この委員会に御出席いただいた。そのときには、予算理事会で、予算委員会で先遣隊の強行移駐が問題になりまして、あと処理を内閣委員会でということになった。そこで総理に前後二回御出席をいただいて私どもこの問題で質問をした。その最後の締めくくりは、総理みずからが、犬養さんが話せばわかると言ってなくなられた、凶弾に倒れられた、しかし今日民主主義原則はここにある、話せばわかるということなんだ、だからこの問題については話し合いをつける。議事録にございますが、つける、こう言い切られた。そこで、あと関係各党委員皆さんが、私と総理とのやりとりをおのおのなお確認なさって、総理話し合いをつける、こうおっしゃったんだから、それを信頼して幕にしょう、話し合いをしてくれ。それからあわせて江崎防衛庁長官が、高い視野に立って自衛隊基地米軍基地を再点検する、そのためのプロジェクトをつくる。立川はどうするんだと言ったら、もちろんそれは入れて検討する。それで基本的には、都心に、町のまん中に基地があるということは好ましくない、だから高い視野に立って再点検をする、こういうお話だった。その両方を踏まえて、それじゃひとつ話し合いを進めてくれ、こういうことにした。だから私は、話し合いをつけると言った総理、佐藤さん。総理はおかわりになったが、しかし今日、話し合いがつかないままに強行移駐をしたのだから、国会に御発言になった約束ごとについて相違している、約束違反だ、だから本隊をもとにお戻しを願いたいというのが真意なんです。  だが、そこまで行くについては、これは時間の関係もございます。解決の方向を目ざして努力するという意味では、できる限りの努力はしていただかなければならぬわけであります。相互努力でけっこうでありますけれども。だからきょうもお出かけをいただいたのです。そういう前提に立って、いま長官がおっしゃった、二十三日という安保協議委員会という機会がある。インガソル大使にも、いま長官発言のようにおっしゃったのだとすれば、なおのこと、ここでできる処理は早くしていただきたい。  そこで、東側、西側に分けて一年あるいは両三年という言い方がいま新聞に書かれていますが、これはあとからほんとうかうそか聞きますけれども、これを、そんなことではだめだからもっと早くしろ、こうおっしゃった。こういうものは、地位協定に明定されているのですから、正規の使用目的がなくなった米軍基地はすみやかに返さなければならぬことに地位協定でなっているのですから、返すのはあたりまえなんですから、直ちに返してもらいたい。できるだけ早く返す、これは必要なことだ、それはやっていただきたい、いまおっしゃったのだから。  そこでもう一つは、滑走路を含んだ西側なんですけれども長官から出たことばだから言うのだけれども、いまの話のように、米側がなお管理権を持ち続ける、自衛隊との共同使用、こうなる。これが昨年きまっておるわけです。何で一体米側は、共同使用、この形を残さなければならぬのかと言っておる。延々と車がとまっておる。走れない。なぜか。立川の町のどまん中に、市役所から私の足で歩いて七分もかからぬところにでんと基地がある。たいへんな交通渋滞。市民だれだって排気ガスをかぶっておるわけですから、何でそういうところを米側は固執するのかという点、アメリカとの関係があって、インガソル大使の話が出ておるのですから、日本の自衛隊の都合だけじゃないのだとするなら、アメリカ側を説得して、そうすれば自衛隊強行移駐しなければならぬ理由は消える。そこまで踏み込んで二十三日の安保協議委員会で問題解決の方向に御努力を願わなければならぬ。  米側は固執しない、全面返還をする、その上に立って自衛隊だけがほしいというなら、これは、中曽根さんだって前に、都心に自衛隊基地を置くのはよくないと自分で言っている。さっきの話では、問題の本質、強行移駐がきまったあとで、閣議の案件がきまったあと田中総理が見解を何となく言ったという。あとになって、何となくきめてしまった先のことに頭が引っかかって、宇都宮と立川とにどれだけ差があるのだとか、市街地のまん中に基地があることは好ましくないとか、ひょっと自分の口から出てくるということは、立川の置かれている市民というものを考えた状態が、たいへんな過密状態の中に大きな基地がでんとある、みんな困っておる、そういう市民感情を知っておるから、そうだとすると米側の納得を求める。さっきもちょっと話が出ていましたが、アメリカというのがあるからという。それならアメリカ側にそこのところは納得を求めて、あとは日本の国の中の問題だけ残る。それなら何も、あんな立川の都心のまん中に東部方面航空隊を持ってこなければならぬ理由はないのだから、それはそれで政府で処理していただく。それはできない筋合いじゃないと思う。何か特段自衛隊として、どうしても立川だという理由があるのかどうか。  私は、アメリカとの関係において、これは予算委員会で楢崎弥之助氏が質問しておるのですが、アメリカに何でそこまで顔を立てなければいかぬのか。話がこうなっておるからなかなかむずかしい、話し合いをしなければならないという答弁が出ておる。そこのところをこそ、長官もアメリカ側にきちっと言って、ここは全面返還をしてくれ、あとは日本側の問題だから日本側で処理をする。向こうとの話がついた、あとは日本側の内部事情だから、そこで暫定的に一いま国有財産審議会も、自衛隊が入ってくることを昨年認めたのだし、地位協定の二4(a)というのも暫定使用なんですから、一時的な使用なんですから、その一時的にということで問題を処理する方法だってある。そこらのところを柔軟にお考えを願って、田中総理が、案件がきまってしまったにもかかわらず、その最後に、ほっとみずからの気持ちが表に出たといわれるように、立川というところは、置かれている事情がたいへんな交通渋滞などまん中にあって、そのために町づくりも何もできない、こういう状態なんですから、そこらを市民の気持ちに立って御配慮を願う方向に持っていくというその筋道がこじれたら、この問題解決の方向に持っていく話し合いきっかけにならぬのじゃないか。そのきっかけを二十三日に求めていただきたい、こう申し上げておるのですよ。いかがですか。
  92. 二階堂進

    二階堂国務大臣 私が先ほど申し上げたのも、要は、全面返還してくれば、そのあとはまた政府——自衛隊ですかな、それと自治体の責任者と会っていただいて、どうするか、こうするかきめていけばいいことですよ。その前に、いま言ったように、米軍もまだ入っておるということですから、それの全面返還を、三、四年というのももっと早くできぬかと言ったのは、そこなんですよ。全面返還になることが前提だ。だからそういうことは、私は二十三日に、大平外務大臣、またここへ呼びつけられておしかりを受けないようにやってくれという話は、もう一ぺんしますよ。防衛庁長官にもしますよ。これはもう当然のことですよ。私が出るなら、二十三日にもっと声を大にして言うかもしれない。出られぬから、私がいたって外務大臣防衛庁長官以上に大きな発言ができるとは思いませんけれども、しかし、おっしゃるような気持ちで、私は外務大臣防衛庁長官防衛庁の当局の方にお話ししますよ。こういう問題は当然取り上げられるべき問題だと思っておりますよ。問題は、やはり全面返還を早くみんな協力してやるということが前提でなければいかぬ。そのために私は努力をいたします。そのような考え方で、インガソル大使がアメリカに帰られるというから、お帰りになるのなら、理解の足らない人もおるでしょうと言ったんですよ。ですから率直にざっくばらんに言っておきます、こう申し上げたのですから、いまおっしゃったような気持ちで私は努力いたします。努力いたします。
  93. 大出俊

    大出委員 これは佐藤総理が、話をつけるとおっしゃったにもかかわらず、つかないうちに強行移駐をやったということになった結果ですから、そういう意味では私は、責任継承原則に立って田中総理にも御出席をいただきたい、こう申し上げたのですが、それにしてもその前に、閣議を取りまとめておる官房長官総理にかわってとりあえず出ていただきたいということで、さっき申し上げて御了解をいただいたわけであります。その意味では、二十三日の安保協議委員会をめどにしていただく。そして何よりも全面返還が条件であることは間違いない。約束違反だから本隊もとに戻してくれという主張もあるのだが、しかし十六日から二十三日まで一週間しかない。一週間に本隊もとに戻れという話し合いがつくとは私は思っていない。そうだとすれば、一週間先の二十三日に——私はいま基本的な主張を変えないけれども官房長官がおっしゃっている二十三日を解決の足場にするために、外務大臣なり防衛庁長官なり総理とも、とくと御相談の上で話していただいて、すみやかな返還を取りきめていただきたい。少なくともそれは全面返還である。そうすると暫定使用という問題が残るのだから、あとは内部的な話し合いで局面が変わってくる。こうなると思うのですよ。そのときは市民感情というものを十分くんでもらわなければいけないと私は思う。これは政府側がやることですから、ぜひひとつやっていただきたい。極力お進めいただきたい。いかがですか。
  94. 二階堂進

    二階堂国務大臣 まあ二十三日の日米安保協議委員会、そこで話をしますよ。そこで話がきまらなければ、おまえそう言ったじゃないかとまたおしかりを受けないように、それだけは努力しますよ。しかし、二十四日になってきまらなかったとなると一それは話をしますよ。内容はどういうふうに発表されるかわかりませんが、二十四日、二十五日、それはどうなるかわかりませんが、最大の努力をしますということを申し上げるだけでございます。  それからもう一つ強行移駐をしたということは、ことばはいろいろあってもいいでしょう。皆さん立場もそうだし、こちらのほうは、あくまでも話し合いをしたいということで、何べんも話し合いをすべく努力を重ねたことは事実です。話し合いができなかったということでやむを得ずああいう事態になったのですから、政府が何の話し合いもせず、何の申し入れもせず、一方的にやったのだということは困ります。なるほど皆さんのほうは、話し合いがつかぬうちにやったのは強行移駐であるとおっしゃる。私どものほうは、話し合いをしたいということで何べんもやった。それにもかかわらず、最後抗議ということで終わっているわけです。その辺のところが、私のほうの申し上げたことと皆さんの言い分とが多少食い違っておりますけれども、強行は何も一方的にやったのではないということだけは明確にしておきたいと思うのであります。
  95. 大出俊

    大出委員 これは先ほどすでに議論をしまして、皆さんには皆さんの主張がある。私のほうには私のほうの主張がある。つまりそこには、両者のかみ合わぬところがあって見解が分かれるから、おのずから水かけ論になろう、こういうことなんです。だから、いまの長官の、政府立場で言われることは、おっしゃってかまわぬわけですから、いいです。  最後に、これでおしまいにしますが、住民登録の拒否の問題等が続いている。これはたしか那覇が十二月五日くらいからそうなっていると思うのですが、そこであわせて二十三日に、きょうは上原君がいないから言うのだけれども、P3が沖繩に残っていたという問題。これも普天間に行くというのだが、金がかかりましょう。関東計画だって二百五十億円かかるのだから。その問題は長年の懸案だから、那覇市にすれば片づけておかなければならぬ。どけておかなければならぬ。あるいは国道三百三十一号線の問題は、みんな通るのですから、何としてもこんなところはどけなければいけないというふうに、那覇の問題だって、那覇市に直接触れてこれから基地縮小問題を解決するという政府の誠意が二十三日の安保協議委員会を通じてやはり表に出てくる。そうして、住民基本台帳法という法律は国内法だから、市長が必要に応じて調査、点検をすることを認めるのは悪いことでない。国内法優先の原則で直接那覇市に触れる基地問題は政府はかくのごとく努力しているということがやはり表に出てきませんと、那覇の問題だってなかなか解決に進まないわけですから、あわせて、二十三日の安保協議委員会まことにいい機会だから、何も二十四日になって、官房長官がああ言ったけれどもと開き直る気持ちはない。あなたのほうがおやりになる。政府責任ですから、精一ぱいおやりいただいて、その結果に基づいて、きょうは防衛庁長官おいでにならないから、ひとつ早い機会防衛庁長官に御出席をしていただいて、答弁責任者ですから、この問題をまた継続してお互い相互努力をすればいいのですから、そういうことで、ひとつ二十三日をめどに全力をあげていただいて解決をしていただきたい。いかがですか。
  96. 二階堂進

    二階堂国務大臣 沖繩の基地をめぐる問題は、沖繩国会で私も何十時間も聞いております。よく頭の中に入っております。いまのP3の移転の問題、これは内地よりも面積が多いという比率がある、けしからぬという話を聞きまして、事実そのとおりでございます。ですからその点は、努力をしないというわけにはまいらないと思っております。この点も、いまおっしゃったようなことも、外務大臣防衛庁長官によく話をして、解決をしてもらうように努力をいたすつもりでございます。
  97. 江崎真澄

    江崎国務大臣 ということで、官房長官からも、誠意を持って努力をする。特に、昨年開かれなかった安保協議委員会が目睫の二十三日に開かれるということになりますれば、これは軍事基地が多く、これがやれ違法であるとか、自治権の乱用であるとか、またそういうことを言ってことさらに局面を刺激しようとは思いませんが、せっかく総理にかわってきょう官房長官が出てまいりまして、こういうことで誠意を持って努力するということを申しておりますので、ぜひひとつ住民の基本的な権利に関する住民登録の問題というものは切り離して、自衛隊反対ということと住民登録拒否という問題とはあくまで切り離して局面が解決をしますように、私、自治大臣としてこの機会に、またいろいろ特に革新市長会とか御相談もあろうかと思いますので、お願いを申し上げておきたいと思います。どうぞよろしく。
  98. 大出俊

    大出委員 たいへん重要なことですから一つだけ。いまお話が出たから最後につけ加えますが、官房長官、十三日に革新市長会が四項目の申し入れをしておるはずですね。官房長官もお受け取りになっておられる。これは回答なさるおつもりですか。
  99. 二階堂進

    二階堂国務大臣 やります。回答いたします。
  100. 大出俊

    大出委員 これは二十三日の安保協議委員会あとになりますか。
  101. 二階堂進

    二階堂国務大臣 前にやりたいと思っております。
  102. 大出俊

    大出委員 この回答も、いまこういうやりとりをしておりますけれども、その種の趣旨にのっとって、政府の誠意のほどを明らかにしてやはり出していただかぬと、その種のことがまたこじれる原因になってしまうから、自治大臣が言うようにいかなくなる。そこらも十分御相談の上、なるべく前向きに回答なさる、解決きっかけをそこでつかんでいただきたい、こう願いたいのです。
  103. 箕輪登

    箕輪説明員 ただいま官房長官が御答弁されたことでございますが、私からつけ加えて申し上げたいことは、ただいま先生の御発言あと官房長官から、P3の移転の問題、あるいは三百三十一号線の問題、これもひとつ二十三日の議題にピョンヤンしろということでお話がございましたので、これはお答えいたしますけれども、そのつもりで二十三日の議題にするべくこれから努力をいたすことを明快にお答えしたいと思います。
  104. 三原朝雄

    三原委員長 中路雅弘君。
  105. 中路雅弘

    ○中路委員 官房長官が四十分しかいられないということですから、一点だけ関連して御質問したいのですが、先月の二十五日の日にテレビで、すでに二十七日の自衛隊移駐問題を発表したわけですね。午後四時に十二チャンネルが発表した。このテレビの放映は、あとから見てみますと、全く計画どおりのことが発表されている。それで私が、二十五日の夕方官房長官抗議に行った際に、長官も、いま夕刊を見て私も初めて知ったんだという話をされました。私と土橋委員がお伺いしたときです。まだ政府としてもきめてないんだ、だから十分この問題については地元と話し合うように努力はこの段階でもします、ということを終わりにおっしゃったわけですね。  防衛庁長官病気だから、私はそのあと、島田次官と長坂さんおいでになりましたね、にお会いしたときに、あの新聞の発表やテレビは、何もきめていないんだ、あれはどこから漏れたかわからないんだ、治安筋じゃないか、というような話をされていましたね。何もきめていない、それがもう新聞やテレビで報道されている。だから、ほんとうに話し合う気があるならば、そういうことはきめていないんだということで、はっきり打ち消した上で立川市長話し合いを持たれるのが筋ではないかというお話もしたわけです。官房長官も、話し合うために努力をする、善処をする、努力をしてみましょうということは終わりにおっしゃった。  しかし、その翌日の二十六日に、このテレビの放映等があったから、阿部市長抗議防衛庁に行かれた。阿部市長はその前に、年が明ければ話し合いましょうということは電話箕輪次官とお話をされていることは事実ですね。そういう段階抗議に行かれた市長移駐の通告を突きつける、これは全く話し合いじゃないと思いますね。  先ほど午前中から論議があったように、前の国会においてしばしば、話をつけるとか話し合いをするということは、政府責任答弁をされているわけですけれども、この約束からいっても、全く話し合いというものは行なわれていない。いろいろの過程はありましたけれども、本格的な話し合いに入らない前にテレビや新聞で発表しておいて、あいくちを突きつけておいて、そして市長に通告する、これは話し合いというものじゃないんじゃないですか。私はやはり、この段階でほんとうに話し合いをするという気持ちがあるならば、一度あの移駐した本隊を返す。いま江崎長官もおられますけれども、この前は、地元の議会が賛成をしたということを重要な資料として先遣隊の移駐に踏み切ったんだとおっしゃったわけですが、この条件も変わっております。地元の議会も、市長も、市民も、都議会も、都知事も、みな反対しているわけですから。しかもあと地利用計画については、立川の市会も出しています。東京都も計画を出している。こういう問題を含めてあの立川基地をどうしていくのか。大出委員も言われるように、一日も早くこれは、全面返還をしたあとどのように利用していくかについてやっていくのが、話し合いという中身じゃないですか。その点について私は、官房長官努力をするということはおっしゃったわけですけれども、わずか翌日に通告しているわけですね。いつどこできめられたのですか。
  106. 二階堂進

    二階堂国務大臣 最終的には閣議できめることでございますから、閣議のときにきめたということでございます。  それから、話し合い努力をいたしますと——なるほど、土橋議員と先生と来られた。その直後、社会党の楢崎さんたちが来られて、なぜ君は共産党に先に会ったのだということまで私に言われた。そうですよ。だから私は、話し合いはいたしますよ、すぐ防衛庁政務次官にお電話して、夜の夜中になっても参りなさいということを言ったことは事実ですよ。私も言いますが、あなた方も防衛庁に行って、大臣がおられますから——大臣電話したら、自宅だったそうです。私はお役所かしらと思ったが……。そのことをお話ししたのですよ。あなた方も、防衛庁大臣がおられますから行ってください、こう申し上げたのです。ちょうど社会党の方々と同じぐらいに来られたという話を伺いまして、夜の夜中になっても参りなさい、こう言ったのです。決して、前もってきめておいて、話し合い努力をせずにおいてやったということはございません。ずっと話し合いをすべく、ずいぶん私は防衛庁のほうにも申し上げたのですよ。一向会ってくださらない。拒否ですよ。そういうことでは、こちらばかり責められて、あなた方——あなた方と言っちゃ失礼ですが、地元の方のほうからの意見は、なかなか拒否で会わないということなんですよ。何べんとなく、会ってください、会ってくださいと言っても、最後には抗議、拒否。会えないじゃないですか。そういう事態を、誠意をもって私も話したことだけは、この公の席上で明確にしておかないと、会わない会わないと言って、簡単にそういうことを突きつけておっしゃるから。そうじゃないんです。私はそのときも申し上げたとおり、すぐ行ってください、すぐ防衛庁政務次官電話して夜の夜中になっても参りなさい、そう言った。夜の夜中に阿部市長が来られた。抗議だった。そのときには、話し合いじゃない、抗議に来られたということを報告を受けました。努力したことだけは認めていただきたい、はっきり申し上げておきます。
  107. 中路雅弘

    ○中路委員 話し合いとおっしゃっているわけですけれども、先ほど午前中もあったのですが、防衛庁話し合いというのは、年内移駐どうですか、一月どうですか、二月どうですか、これは話し合いじゃないんですよ。市長の言っているのは、地元の議会も一時はやむを得ないということになったけれども、これも十二月十三日に反対だということに変わっているのだから、こういう条件でもう一度立川基地の問題についてよく話し合いをしたい、二十五日まで議会があるから年が明けたら話し合いをしましよう、ということを市長のほうも言っているわけです。そうでしょう。一月はどうだ、二月はどうだ、これは話し合いじゃないですよ、話し合いとおっしゃっても。前の国会で話をつけるということは、そういうことじゃなかったんじゃないですか。何月に移駐するということについて市長と話し合うということは、そういうことじゃないんでしょう。そういうことじゃないんです、話し合いというのは。その点もう一度お聞きしておきたい。
  108. 長坂強

    長坂説明員 防衛庁話し合いが、一月移駐するのはどうだとか、二月に移駐するのはどうだとかいうお話だというふうにおっしゃいますけれども、よくその経過を聞いていただくならば、決してそのようなものじゃないということはおわかりいただけるだろうと思うのです。  この十一月の二日に、すでに市長とは、私、話をしております。市長さんは文書を持って来られましたけれども話し合いをいたしましょう、絶対反対ではあるが話し合いをいたしましょうという文書ですよね。私はそれに答えまして、市長さんの絶対反対だがお話し合いをしましようというのに対して、私のほうは、年内移駐実現するということを念願している立場だけれども、しかしとにかくお話し合いをいたしましょう。あのとき申し上げたことをそのまま申し上げるならば、絶対反対とかお互いが主張しているような両方の立場を離れて、お互いに話し合うことを話し合おうじゃありませんかというふうに申し上げたわけです。  そうしましたら、市長さんは続いて、その文書の終わりのほうに、あと地の返還利用構想というものを近く発表したいと思っておりますと書いてある点をさされまして、そういう点も触れてお話ししたいと思いますと言われたわけです。そこで私が、それはたいへんありがたいことである、私どものほうも、われわれのほうの案では、自衛隊基地というものも含むけれども、現在の立川基地全体は将来どのようなあり方をしたらいいだろうか、そういうことについての防衛庁側の考え方というものをできるだけ明らかにしてまいりたいというふうにお話をいたしました。それに対して市長さんは、ぜひそうしてください、そうすること以外に解決の道はありませんというふうに言われたわけであります。  そこで、どうかこの話を引き続き来週からでもさらにやりましょうというふうに申し上げまして、それからあとはいろいろこの連絡をいたしまして、お会いした回も、あげますというと、二十七回の連絡を私はとっております。そうしてその中で特に十二月の十四日、これは市議会の議長さんたちが——簡単にやりますが……。(中路委員長坂参事官に聞いているわけじゃないからいいですよ。官房長官に聞いているわけだから」と呼ぶ)あとにします。それじゃ一応そういうようなお話を始めてずっとやりました。あと詳細はまた後刻申し上げたいと思います。
  109. 中路雅弘

    ○中路委員 官房長官、時間があるそうですから、公明党などから質問したいそうです。その間かわります。長坂さんのほうはあとでいいのだ。
  110. 三原朝雄

    三原委員長 鈴切康雄君。
  111. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 同じ自民党政府にあって、内閣がかわるたびに政府答弁が食い違いをするというようなことがあっては、これは国民の不信感を招くことであるし、責任政党としてのあり方ではないと思います。そういうことで、責任継承原則というのがあるのですが、それについて官房長官はどのように認識をされておりますか、お伺いしたいと思います。
  112. 二階堂進

    二階堂国務大臣 いま鈴切さんがおっしゃったように、やはり継承の責任というものはあると原則的には考えております。
  113. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 となりますと、立川基地に対する実は佐藤総理答弁があるわけであります。この問題については官房長官も、かつて六十八通常国会で昭和四十七年度の予算審議をやったときに、第四次防衛力整備計画の先取り問題が表面化をいたしました。文民統制無視の政府姿勢は明らかになった。そこで予算審議はストップして、二十二日間という間の国会の空白を招いて、政府議長あっせんによって、言うならば政府みずから予算を削減し修正をいたしました。それは官房長官予算委員会の筆頭理事であったときであると私は思います。私も予算委員会理事であったわけですが、その直後の三月七日、立川基地自衛隊の先遣隊四十七名が深夜に移駐をいたしました。そのことについても、たいへん地元の立川市民に不信を買い、ひんしゅくを買ったことは事実であります。そこでそれが予算委員会で問題になりました。しかし、予算委員会予算を審議するということで、その問題については内閣委員会にすべてを移譲されました。内閣委員会においてそれを受け取って、言うならば、内閣総理大臣の佐藤さんが出てこれについてのいろいろの答弁がなされました。同僚議員に対するその答弁は、政府は「説得する立場にある、その努力はしなければならない、これが一番大事なことではなかろうかと私は思います。ただいまのお尋ねを聞きながら、私、やはり民主主義、これは時間もかかる、かように言われるけれども、説得する立場において努力を十二分に尽くす、これがなければ、どうも民主主義ルールによったと言えないのではないか、かように思いますので、ただいまのお尋ねの第三点については、政府はどこまでも民主主義ルールを守る、そうして話をつける、話し合う、こういう姿勢であることをこの機会にはっきり申し上げておきます」、こういうふうに佐藤さんは公約をいたしております。  それについて、内閣委員会においては一応の了解をつけ、立川市民と政府の間において話し合いを続けるということで合意されて今日にきておるわけでありますが、なぜ昨年十二月二十七日、この暮れの押し迫ったときに防衛庁立川強行移駐をしなければならなかったんですか。その理由について……。
  114. 二階堂進

    二階堂国務大臣 佐藤前総理のそのときのお話は、私はまあ直接聞いておりませんが、速記録その他で多少私も見たり伺っております。そのときの態度も、こういう問題はあくまでも話し合いを続けていこう、これは民主主義の鉄則だということであろうと思います。田中内閣になりましても、話し合いをするという政治姿勢は、もう組閣以来しばしば述べているとおりでございますし、こういう問題についても話し合いをしよう、話し合いを続けていこうという態度には変わりはないと思います。ただ、なぜ今回話し合いをせずに強行したのかというのが、先ほども申し上げたとおり、質問される方々皆さんのほうの御意見である。私どもも、政府防衛庁も、話し合いをしないと言っておるのじゃないので、話し合いをしましよう。先ほども説明を参事官もしておったし、あとからするということでありますので、十分お聞き取り願いたいと思いますが、そういう態度で来たことは事実なんです。何回となく私も、先ほど申し上げたとおり、話し合いをしなさいと言っているにかかわらず、しないのだ、それはこういうたてまえだからできないのだ。しないで、そうして最後には抗議、拒否だ、こういうことになりましたので、まあ、そういう気持ちには変わりはないが、移駐せざるを得ないということを閣議できめたということでございまして、全然話し合いもしないという態度で頭から拒否してまいったということではない。その精神は、佐藤前総理が申されました民主主義ルールだということの精神においては、ちっとも変わりはございません。努力はいたしましたが、機会がなかった、拒否されたということ、政府のほうから申し上げますと、そういうことではなかったかと思っております。
  115. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 市民の合意を取りつけるという目的で、十数回たしかこの会談が持たれたと、そのように私、立川のほうへ行って調べてまいりました。その中において、実際に政府のほうから立川のほうへ行って、そうして市民との間に話し合ったのはわずか一、二回しかないじゃないですか。あとは全部立川の人を呼びつけてやったんじゃないですか。こういう態度で実際に、あなたたちがほんとうに話し合える、そういう住民に対しての態度であるかどうかという問題ですよ。しかも既定事実を押しつけて、そうして、すでにもう立川基地には一応移駐するんだという、そういう考え方を明らかにしながら話し合ったって、これは話し合いになりやしないじゃないですか。そういうことで、この問題はまず白紙撤回をするのが当然なことです。その上に立ってまず話し合いをする、こういう姿勢でなくてはほんとうの話し合いといえない。あなた、佐藤さんの言っているこれについては、完全に公約違反ですよ。  政府はそんなことを次から次へとやる。前の六十八通常国会予算委員会においてもそうだ。また今度の立川移駐の問題についてもそうだ。それを続けていくならば、完全に国民の信頼というものは失われてしまう。そういう意味において政府は白紙撤回をしなさい。その点どうですか。
  116. 二階堂進

    二階堂国務大臣 いま白紙撤回をせよと、鈴切さんそういうことでございますが、いま政府としては白紙撤回をする考えはございません。
  117. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 一月の二十三日、安保協議委員会が行なわれるという話でありますから、それについて、少なくとも住民の意思を反映したものの考え方に立って、ひとつ安保協議委員会を進めてもらいたい。  以上、質問して終わります。
  118. 三原朝雄

    三原委員長 加藤陽三君。
  119. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 さっき長坂参事官が話し合い経過説明しておられまして、私、非常に聞きたかったんですが、中断いたしましたので、続けてお聞かせを願いたいと思います。
  120. 長坂強

    長坂説明員 私がいわば担当しておりましたこの話し合いの期間というものは、実際上、十一月の二日から十二月の二十五日まであるわけでございますが、その経過を一々申し上げるということもどうかと思いますので、その節々で申し上げますが、まず十一月二日の次には十二月九日、これはいろいろな連絡のあとでございますが、市の総務部長と会いまして、これは市長に会見を求めたわけですが、市長も助役も不在だということで、そこで、当方の考えておりますところのいわゆる移駐の目的とか、それから移駐の人員とか、あるいは市長さんにお会いすれば基地の将来のあり方についてのお話もしたい。それから例の地位協定の二条四項(a)との関連からする暫定使用であって、あらためてその全面返還があった際には協議をするんだというような趣旨のことを骨格にいたしまして、お話をしてまいりました。その際に市のほうからは、いま市長は非常に多忙であるけれども、たとえ市議会の本会議が開会中であっても、何とか時間をやりくりして会うことにしたいというふうに市長が言っておるので、お引き取りを願いたいということでございました。それが十二月の九日でございます。  その次に、もう一つの節は十二月の十四日でございまして、これは市議会の議長以下各派代表の方々が、社会党の長谷川正三先生と公明党の大野潔先生、お二人が同行されまして来られたわけでございますが、その趣旨は、市議会において移駐反対決議をした、移駐反対意見書を採択した、その採択に基づいて移駐について再考を願いたいという趣旨を、市議会議長防衛庁長官あての文書を持ってこられたわけでございます。そこで、ここで私が一番お尋ねをしたことは、まずまつ先に、この移駐反対意見書の採択によって再考を求めるというおことばは、それは、いま市長さんと私との間で話し合いをしているその話し合いを打ち切れという趣旨でございますかというふうにお尋ねしたわけでございますが、その点については、全体的な雰囲気からいってそうではないというふうになるわけでございます。と申しますのは、その席上、大野潔先生からも、また市議会の中の一人の方からも、永久的な使用あるいは半永久的な使用ということでは、これは話し合いに臨む態度としてはうまくないぞ、かりにまあ一年なら一年ということでどうだというような態度、柔軟性のある態度でなければ話し合いに臨む態度ではないぞというふうなお話がございまして、私もそれは、この次に市長さんと会う際にはその点について十分な用意をしてまいるつもりであるというふうにお答えいたしまして、なおその先生方にも、それから市議会の議長以下各派代表の方にも、どうか私を市長さんに会わしてくれというふうにお願いをしたわけでございます。  それからいろいろなことがございましたが、今度は、もう一つの節は十二月の二十日でございまして、これは立川市に私、政務次官のお供をしてまいりまして、先方は市長議長それに各派代表が出ておられたわけですが、これは一部の人たちの乱入ということによって会談そのものは行なうことができませんでしたけれども、別途昭島市に参りまして、私どもの意のあるところ、つまり移駐の目的と、それから先ほど官房長官からもお話に出ましたように、東側は一両年内にそれから西側地区については三、四年の間に返還の実現を見るように努力する。それから特に残堀川以西については、三、四年ということにかかわらず特に早期返還を見るように努力する。それからさらに、いわゆるB地区についてはなるべく早期に返還を見るように努力をするという、その努力を約したわけでございます。それから、いわゆる二4(a)との関連で、そういう意味での暫定使用であるという趣旨もお伝えいたしたわけでございます。で、昭島市におきましては十分私どもの言わんとするところは御理解をいただいたと思っております。それから帰りまして、さらに政務次官と私の二人で、こもごも立川市長電話をいたしまして、昭島市長議長に伝えたことと同様の三項目お話しし、さらに四番目として、十二項目実現については今後も努力する旨を伝えたわけであります。これまたいろいろな電話やりとりがあるわけでございますが、何とかして会ってくれ——この際の二十日のときの立川市長政務次官との間のお電話では、二十五日の議会が終わるころにはお会いができるであろうというような可能性が出てきたわけでございます。ところが、今度は二十五日になりますと、政務次官のほうから市長にお電話をいたしまして、どうかきょう会ってくれないかという政務次官からの申し出に対しまして、市長のほうは、年末年始は忙しいので話し合いに応ずることができないというお返事であったわけです。ところが、夕方の六時になりまして、市長さんのほうから私のほうに電話がありまして、二十六日に会いたいと思うがどうか、議長と一緒に参りたいということでございました。そこで、これは政務次官のほうの御都合も伺わなければいかぬというわけで、一たん電話を切りまして、そして回答いたしましたのは、それでは二十五日の晩のおおむね八時ごろ防衛庁でお会いいたしましょうということにいたしまして、そこで話が持たれたわけでございます。  当方からは、いろいろな先方のお立場もありますでしょうから、いわゆる年内移駐反対の理由というものについては、市議会の意見書などにも明らかなように、一つ基地の完全返還ということが反対の理由になっており、それから平和利用ということももう一つの理由になっておりますので、その完全返還ということについては、十二月の二十日にお示ししたような、いわゆる一気の返還ではないけれども段階的な返還の実現を見るようにつとめるのだというようなお話をしたわけでございます。ところが、市長さんのほうは、きょうはそういう条件的なことについて話しに来たのではない、抗議に来たのだ、年内移駐反対という抗議に来たのであるということでございました。そこで政務次官のほうから、年内移駐反対ということであるならば来年の一月はどうなんでしょう、あるいは二月はどうなんでしょうかというのに対しまして、市長は、いやそれも反対なんだ、こうおっしゃるので、それでは市長さん、一体いつ話し合いをされようとされるのですかと私が伺ったところ、市長は、それについては黙ってしまわれまして、そして、もう自分はこういう抗議を申し上げに来たので、これ以上申し上げることはないというふうにして席を立たれようとしたものですから、そこで、先ほど午前中政務次官お話しになりましたように、大臣とも御相談されて、二十七日に移駐する旨を政務次官から申し上げた、こういうことでございます。  大体、概要は以上でございます。
  121. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 大体の経緯はわかったのですがね。私は、ほかの皆さんはどういうふうにお考えになるかわからぬけれども、やはり政府話し合い努力を続けたと思うのですね。ただ、いまの立川市長がお見えになって、年内移駐反対はもとより一月、二月以降も反対だ、こうおっしゃったときに一つの転機が来たように思うのです。  昨年の三月に、同僚の委員からお話がありましたとおり、当委員会で、二回にわたりまして佐藤総理おいで願って質疑をしたわけでありますが、そのときには、話し合いをするということを言っておられたわけですね。十二月の二十六日の段階話し合いができない状態になった、私は聞いておってそう思うのですが、そのときに——これは過ぎた話ですから、いまさらどうこうということはありませんけれども内閣委員会に対していままでの経緯説明をして、皆さん方の御意見を伺われるというふうなことは、やはりやられたほうがよかったのじゃないかという気がしてなりません。これは別に御答弁は要りません。いま私の感じです。  それから、先ほど政務次官大出委員質問に対して、立川市長は、趣旨は認めるけれども立川移駐反対だ、こういうふうなお話をなさったということを御答弁になりましたけれども、これをもう少し詳しく言っていただけませんか。いつの日のことであり、どういう趣旨であったか。
  122. 箕輪登

    箕輪説明員 二十五日の夜のことでございます。それは、いま長坂参事官からお答えを申し上げましたように、六時ごろに立川市長さんから電話が来て、会いたい、話し合いをしたい、こういうことでございまして、それじゃ八時までにおいでくださいということでお待ちをいたしまして、たしか七時四十五分ごろに立川市長さん、議長さんがお見えになったのであります。その際、年内移駐はぜひやめてくれというお話がございまして、いま長坂さんが答えたようなことを私も質問いたしました。来年はどうだ、一月はどうだ、二月はどうだというお話をしたことは事実であります。そこで、お話趣旨には賛成である、私も何とかして、総理答弁もございますから話し合い姿勢を持ちながら話を進めていきたい、こういう考え方で、立川移駐する部隊はもっぱら災害出動が目的の部隊である、災害出動ということは一ちょうどその日の朝刊にニカラグアの災害の模様が出ておりました。いっこういう災害が起きるかわからぬ。だから自衛隊としては、災害出動の任務を持っておりますので、すみやかにそういう体制をしいておいて、いつでも対処できるような姿勢にしておきたいんだということでお話を申し上げまして、この任務についてはあなたは反対ですかということでお話をいたしましたら、その御趣旨は私は賛成ですということを言っておられました。しからばどうか立川移駐させていただきたい、こういうことを申しましたところ、趣旨は賛成であるけれども移駐には反対です、なぜ立川のような過密都市に持ってくるんだ、こういうお話がございましたので、私は、大災害のとき、これは過疎地帯は大きな被害はないと思う、こういう過密状態の中こそ大きな被害があるんじゃないか、だから、ぜひお願いしたいんだということを申し上げたわけでございますが、趣旨には賛成しながら年内移駐は絶対反対だ、こうおっしゃるので、やむを得ず大臣電話をかけて御判断をいただいたようなわけであります。  ただ、先ほど来のいろいろな野党の方々の御質問の中で、二十七日の移駐はもうきめておったんだ、そういう前提に立っての御質問が非常に多いわけでありますが、決して二十七日の移駐というものはきまってはおりませんでした。先ほど共産党の中路先生からもありましたが、官房長官に対しておれらが言ったじゃないか、全然自分は聞いておらないと言っておきながら二十六日の閣議できめた。それは二十五日の夕方の話でございまして、その時点においては官房長官は聞いておられないのであります。また私どもは、お話し合いを続けようという姿勢を持っておりましたから、たくさんの案を持っておりました。これは事実であります。二十七日以前の案もございました。これは行ないませんでした。二十七日にという案も私どもは持っておりました。一月ならどうだろう、二月ならばどうだろうかという案も持っておりましたことは事実であります。そのうちの二十七日の部分だけが、どういうわけか知りませんけれども、新聞に漏れました。記事に書いてあるとおりであります。ですから幾つも案を持っておったのです。しかしそれは、どの案も決定された案ではなかったわけであります。しかし二十五日の話し合いによって、もう年内移駐は絶対だめだ、一月も二月もだめだ、こうおっしゃるものですから、御判断を仰がざるを得なかった、こういう事情を御理解いただきたいと思うわけであります。  また、先ほど鈴切委員から、おまえさん方は市民団体と一つ話し合いをしてないじゃないか、また全部防衛庁に呼びつけているじゃないか、こういうお話でございますが、私は二十五日に大臣にお電話を申し上げた。その段階においては、市民団体とはなかなかこれは話し合いはむずかしいな——二十日に行ってみまして、テレビでごらんになったかもしれませんけれども、ほんとうに、あの翌日や一週間くらい後であったならば、裸になって見せたいくらいであります。背中もおしりもぶつぶつになってしまった。ほんとうにたいへんなんです。とてもじゃないけれども、市民団体の方々と静かな話し合いはできる状態でなかったことも、もう一度テレビを思い出していただいて、これも御理解をいただきたいと思うわけであります。  以上であります。
  123. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 先ほどの質疑応答の中で、田中総理が、宇都宮と立川とどれだけ違うのだというようなことをお話しになって、増原長官がお答えになったということですが、田中総理はそれで御了解なさったのでしょうけれども、先ほどの御答弁では、三十五分と十分との相違がいかに大事であるかというようなことをおっしゃっておる。それももちろんあると思うのです。しかし同時に、やはりヘリコプターというものは滞空時間が短いですから、行動のできる時間がなるべく長いということのほうが非常に大きな意味があると私は思うのです。  それで、先ほど江崎大臣から、京浜地区の災害の際にきわめて有用であるというふうな御答弁がございました。これは災害対策基本法に基づきまして地域防災計画ができておるに違いないのです。その地域防災計画の中で、自衛隊のヘリコプターの救援活動というものはどういうふうに取り入れて考えておられるのか、その辺を御説明願いたいと思います。
  124. 久保卓也

    ○久保説明員 中央防災会議では大都市震災対策推進要綱という基本的な計画がございます。この中で自衛隊の任務が書かれております。もちろんまた関係官庁の任務がありまして、それに基づいて各都道府県地域の防災計画ができております。そこで、たとえば東京とか神奈川のはほぼ似たようなものでありますが、この中で自衛隊の分を見てみますと、一般的な任務が書かれているほかに、さらに具体的に出ておりますのを少し拾い上げてみますと、これは特定の部隊がどうこうするということではございませんで、この点については、各機関、この場合であれば自衛隊部隊が担当するということになっておりますけれども部隊そのものを取り上げては書いてはありません。しかしながら、自衛隊側でやるべき任務といたしましては、被害状況の把握、避難の援助、遭難者等の捜索、救助、水防活動、消防、あるいは道路、水路等の交通路の障害物の排除、それから通信支援、人員、物資の緊急輸送、交通輸送の支援といったようなことで、まだ一部ほかにもございますけれども、主として航空に関係するようなことを拾い上げてみますと、そういった項目のもとに若干の説明がつけ加えられておるような次第であります。
  125. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 これは東京・横浜地区について、最大限にどれくらいのヘリコプターを使用する計画を持っておりますか。
  126. 久保卓也

    ○久保説明員 これは自衛隊側の中央の計画がございまして、その中で東京周辺に、これは陸関係だけでありますけれども、約二百機ほどの集中を計画しております。
  127. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 もちろん、木更津とか、あるいは霞ケ浦、宇都宮等々に現在もおるでしょうが、どれくらいの機数がいまおりますか。
  128. 久保卓也

    ○久保説明員 立川についてはまだ十機でありますが、これはこの年度末に二十八機になります。そのほかに、非常の場合に、中部方面とか西部方面、あるいは航空学校から航空機を集めます。そういたしまして、約九十機ばかりの航空機が災害の場合には立川に集中いたします。それから木更津の場合には、先ほどV107の数字がちょっと出たわけでありますが、現在ヘリコプターを三十二機持っておりまするけれども、それ以外に災害の場合には合計で約七十数機集める予定になっております。それから霞ケ浦は現在二十機でありますが、この場合も、災害の場合には、東北部方面から持ってまいりまして、三十数機になる予定であります。
  129. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 これまた時間がかかりますので別の機会に譲りますが、ちょっと一言だけ聞いておきます。  先ほどから聞いておりましたが、立川基地の全面返還の問題がここでやかましく論じられておりましたが、現在は地位協定の二4(a)でやっております。米軍がいま立川基地に残っておりますが、どういう管理状態をいま米軍がやっておりますか。
  130. 高松敬治

    ○高松説明員 二4(a)で共同使用いたしておりますのは、立川基地の滑走路の部分とその周辺の営舎地区、それにいわゆる東地区と西地区がその滑走路の両側にございます。これが米軍がまだそのまま使用している区域でございます。東地区は倉庫、病院その他あるいは整備工場というふうなものがずっとあります。西地区は学校その他いろいろございますが、主として住宅地区でございます。それぞれ米軍が使用いたしております。
  131. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 立川基地については全面返還ができるかもわかりませんが、過密地帯に基地を置くことについては、これはもちろん別な意見もありますけれども、私どもは野党の皆さんと違って、日米安保条約を堅持しろというたてまえでありますから、日米安保条約が有効に働き得るような場合を想定して、やはり基地の整備をやってもらわなければいかぬと思うのであります。けさほど来の御質疑を聞いておりましてちょっと気になりましたので、私の意見をつけ加えて申し上げております。  その次に、きょう質問に立ちました最大の理由は、住民基本台帳の登録の問題でございます。これは新聞も大きく取り上げておりますけれども、市のほうで拒否されるということは、これはやはり、住民として拒否されるということだけでなしに、国民としての基本的な権利の行使を妨げられるということでありまして、民主国家においてはたいへん本質的に大事な問題だと私は思うのでございます。現在、立川市及び那覇市はどういうふうになっておりますか、実情を御説明願いたいと思います。
  132. 高瀬忠雄

    ○高瀬説明員 那覇市と立川市におきまして、隊員の住民票についての受け付けが停止されておりますが、那覇市につきましては、昨年の十二月六日から停止をされておりまして、那覇市の営内居住者約千六百二十名でございますが、そのうちの約四百六十名が停止をされております。それから一方、立川市の場合でございますが、昨年の二十七日に本隊移駐いたしましてから後のことでございますが、本年の一月六日に登録の手続に参りましたけれども、これも保留をされておりまして、現在隊員約七十名が営内におりますけれども、同様に停止をされておるというような状況でございます。
  133. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 これは自治省の方おいでになりますね。これに登録されないことによって個人が受ける影響はどういうことでありますか、正確にお答え願いたいと思います。
  134. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは非常に重要な問題でございますから、やはり私がお答えをして、そうしてあとまた事務当局に補足をさせるということのほうが適当だと思いまして特に申し上げるわけでございます。  これも当然、これによって受ける個人的な影響というのは非常に多岐にわたるわけです。それはまず、選挙人名簿への登録、国民健康保険、国民年金の被保険者としての資格の取得、それから児童手当等の受給資格を取得する問題。それから米は、いまゆるやかになっておりますが、一ときならば、これも万一の生活にもこと欠くわけですが、米穀類の消費者としてのいわゆる登録。したがってその手帳の問題ですね、以前なら。それから学校の学齢簿への登載。それから住民税の課税がされない。これは逆な、税金を払わぬでいいというようなことで——いいわけではありません、これは自衛官ですから。そういうことになってまいります。そこでまた一方、住民登録がなされませんから、それの写しをもって行なうところの居住関係の交渉関係は、もう一切ぐあいが悪い。たとえば運転免許証の取得、それからそれの更新、住所の書きかえであるとか自動車の登録、登録地の変更。それから自衛隊というのは若い自衛官がおりますが、彼らが大学へ行きたい、定時制の学校にでも行きたいというような場合には、その進学手続も実はできない。また印鑑の登録、証明等についても制限を受ける。  私、実は先般、那覇の市長の御訪問を受けまして、いろいろ意見をかわしたことでございますが、那覇市においては、ちょうど就学適齢児童に対しては一応特別の措置で仮入学という手続をとっておるというお話でございました。これはぜひそうあるべきだが、仮入学という形を受けた側の自衛官からいいますと、これはたいへんな差別待遇を受け、いわば一種の侮辱を受けたような屈辱感を持っておることと思うわけでございます。  したがいまして、いまあげましただけでも、たいへんな基本的な人権にかかわる被害を受けるわけでございますので、さっき大出議員にも私申し上げましたが、自衛隊反対移駐反対、あるいは基地縮小、いろいろ言われる意味はわからぬわけでもありません。これはやはり立場の相違からくる一つの主張であるに違いありませんが、それはそれ、これはこれということで、おのずと区別されませんと、やはりこれは自治権の乱用ということに相なるわけでありまして、まあすみやかにひとつ話し合い解決をしたいものだ。これは自治省からは、県知事を通じまして指導したり勧告をしたりということもできるわけでありますが、もともと市町村というものは、こういうことはやられないという前提に立って法律はできておりますし、私どもも、法律をたてにとって今後これにどうこうしようというふうには思いませんが、そうかといって、あまり長くなりますと、全く基本的な人間性まで否定されてしまう。自衛官はやはり法律で認められた国民でありますので、そういう点、現地市長さんはもとよりでありますが、これに関連をしていま反対を唱えておられる方々も、ぜひひとつ、自分たちの主張とその自衛隊の基本的な問題とは区別をして御処置を願いたいものだ、理解を示していただきたいものだということで、まあ話し合いを続けておるというのが私ども立場でございます。これは内閣委員の各位におかれましても、立場を離れて、ぜひひとつこれだけは円満に解決をしますように、そのかわり、官房長官をはじめ関係者一同、御要請のあった点は努力するということで、区別が願わしいものだというふうに思っておる次第でございます。
  135. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 大臣のお考えはよくわかるのであります。そういうふうに解決することが望ましいのでありますが、私はやはり、法律のたてまえからも、基本的な権利を守ることについての必要な考慮がなければいかぬのじゃないかと思うのであります。  そこで、若干こまかい質問をいたしますが、自治体のこの住民登録の仕事というのは、一体、国の委任事務ですか、固有事務ですか。
  136. 林忠雄

    ○林説明員 これは現在市町村の固有事務という考え方に立っております。しかしこれは、完全という意味で市町村だけに終わるかというと、いま大臣の御説明にもありますように、国の選挙や学齢簿その他にもかかってまいりますので、われわれも十分関心事ではある。したがって、こういう法律をつくって全国統一的な委任事務を負わしている。しかし、市町村の基本台帳ということで、どちらかといえば固有事務という考え方に立っておりますが、その点には国もたいへん関心を持っておる。こういう性格の事務だと考えて指導もしております。
  137. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 そうしますと、戸籍事務は固有事務ですか、委任事務ですか。
  138. 林忠雄

    ○林説明員 戸籍事務は従来国の事務と考えられております。
  139. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 戸籍事務は住民登録とどう違うのですか。
  140. 林忠雄

    ○林説明員 これはもちろん密接に関連ある事務でございますから、従来は、委任事務、戸籍、寄留ということで全部法務省に統一されて処理されておったもののうち、住民登録法ができました際に改めて、自治体は住民が基本でございますので、自治体として、従来の戸籍の寄留その他を廃止しまして、こういう新しい制度をつくりました。したがって、性格そのものが本質的に違うというものではございませんが、こういう形で市町村長の責務として取り上げた際に、これは市町村の事務の基本になるということで、市町村の固有事務であるという考え方に立って指導しておると思います。事務の性格は本質的に変わったものとは実は考えておりません。
  141. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 ちょっと私は納得できないのです。地方自治法をちょっと読んでみましたら、固有事務については、これを強制する方法は、二百四十何条かの内閣総理大臣の監督権だけですよ。今度の場合、地方自治法の二百四十六条の二でしたか、これを発動するお考えはありますか。
  142. 林忠雄

    ○林説明員 現在の段階では、まだこれを発動するというところまでは考えておりませんことは、先ほど大臣も申し上げましたとおり、その事実を御理解願って、御協力願えるということで話し合い解決する。その線で進んでおります。
  143. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 そうしますと、国民の基本的な権利だと思うのですね。この基本的な権利が阻害されても、国民はこれを救済を求める手段というものがないのですか。裁判所に訴えて、仮処分だとか、身分保全だとかの訴えがありますね。そういうふうなことは考えられないのですか。
  144. 林忠雄

    ○林説明員 この登録拒否の処分を受けた方々からの争いの手段は一応ございます。審査請求、異議申し立てというような手段はございますけれども、もちろんこれらは相当時間がかかったりいたす心配もございます。ただ、法律の上からいいますと、市町村長が法に従って措置をしない場合の強制手段というのは、実はこの住民基本台帳法その他には、自治大臣の助言、勧告、それから自治法の、いま先生の御指摘の二百四十六条の二、こういう手段しか現在残されておりません。そもそもの考え方は、こういうことは法に従った処理がどんな府県、どんな市町村でもされるものと考えておった次第でございまして、まさかその点、明確にしてあるものを自治体が違う措置をおとりになるということは、法律をつくるときには考えてもおらなかったというのが実情でございます。
  145. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 私もそうだと思うのですが、こういう事態が現実に起こってみますと、いまあなたが言ったように、不服審査請求とかなんとかやっておりますと時間がかかります。その間その方々は基本的な権利を阻害されるということでいいのかということで私は疑問を持ってきたのですが、これが第一。  それから、午前中の質疑を聞いておりますと、住民基本台帳法の三十四条の調査ということをしきりに言っていらっしゃる。これはしかし、現実に入って見なければならない調査になっているのですか。私、疑問に思いますのは、どこの国でも、外国の公館というもの、これは地位協定とは違って治外法権ですよ。治外法権の中にやはり日本人の従業員がおると思うのですね。こういう方々は立ち入り調査をしなければならないとするならば、どうして登録をするのですか。
  146. 林忠雄

    ○林説明員 この住民基本台帳法に関する限り、この調査には立ち入り調査というのは含めておりません。ですから調査は、ここにも書いてありますように、関係人に対して質問をする、それから文書を出してもらう、そこに住んでおるかどうか、間違いない、そういうことをやる調査でございまして、公害の発生を見るとか、税金をかけるときに中に入って調査をするとか、そういう意味の立ち入り調査は、住民基本台帳法に関する限りは規定しておりません。
  147. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 しかし私は、米軍の施設の中に入ることが悪いと言うのじゃないのですよ。悪いと言うのじゃないのだけれども、三十四条が立ち入り調査を前提にしているかのごとき議論が午前中あったものですから、ちょっと私、疑問に思ったということです。  それから、台帳法を見ますと、四十四条の二項に、正当な理由がなくて転入、転出の届け出をしない者は二千円以下の過料に処すると、こういう規定がありますね。届け出をして受付をしないという場合には、だれが責任を負うのですか。
  148. 林忠雄

    ○林説明員 この点も、先ほど御説明いたしましたとおり、これは、住民のほうがこういうことをしない場合ということでございまして、市町村当局、公の団体が届け出を拒否するというようなことは、全く予想もしておりませんでしたので、この規定の適用はないと思います。責任は当局のほうにあると考えざるを得ません。
  149. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 大体私が疑問に思った点はわかったわけですけれども、とにかく困った事態であることは間違いないでしょうね。いち早い解決をしなければならないと私は思うわけです。  自治大臣、先ほどおっしゃいましたけれども、これは、政治的な要求を聞かれなければこれをやめないのだというようなことでは、問題の取り扱い方の次元が違うと思うのですね。そもそも市町村長さん方の立場といいますか、お考えはわかりますよ。わかるけれども、問題の次元が違うと思うのです。この点をしっかり腹に置いて、早急に解決をなさるように特にお願いいたしまして、質問を終わります。
  150. 江崎真澄

    江崎国務大臣 全く適切な御質問で、同感の点が非常に多いわけです。と申しますることは、いまおっしゃるように、届け出を行なわなければ過料に処せられる。それじゃ、届け出を拒否すれば何も処分はないのか。これは大きな矛盾ですよね。それは市町村の責任者は、そういう事態は全然ないものである。そういう場合まで規制して罰則規定を設けるというのであるならば、それは私は法律の邪道だと思うのです。その善意の、必ずやるであろうという前提に立ってでき上がった法律の網の目をくぐるというか、裏をかいて、拒否行動が長く続くというのであるならば、これくらい人権を無視した非道、非法なことはないと思います。したがって、自治省におきましても、先ほど行政局長が申しまするように、県知事を通じて当該市長に助言ないし勧告ということをなし得るすべは規定してありまするが、その助言、勧告を相手が守らなかった場合は一体どうなるのか、これについては何らの規定も実はないわけであります。当然、助言なり、特に勧告という形で県知事になされ、また県知事がその線に沿ってそれぞれの市町村長にこれを伝えて実行されるものという、この前提に立って法律ができておるわけであります。  必ずしも私は、そのことによって法律が不備であるなどとは思いません。しかし、そうかといって、じんぜんこれを捨ておけるものではありませんので、まだいまは、助言の前提となる自治省側の見解を、十二月二十三日、ちょうどたまたま私どもはその夜大臣に就任をいたしました日でありますが、事務的に、那覇の場合は沖繩県知事に向けて文書で発送をいたしており、自来、市長さんが出てこられまして、那覇市長の場合は、私どもも直接お目にかかりました。それからあとは、これらに同調される革新市長会の皆さん方官房長官にも会われるというような場面もあったわけでありまするので、私が先ほど、できるだけ話し合いでと申し上げたのは、まあ話し合い機会はないわけでもありませんので、何とかひとつ話し合いで進めたいという私どもの心がまえを申し上げたわけであります。  いま御指摘のように、防衛の問題に反対であるとか、異論があるとか、自衛隊のにわかの移駐反対であるとか、そういうこととはかかわりなく、これはこれとしてぜひひとつ早く解決をしていただきたい。あくまで自治大臣としてはこれを念願し、特に積極的に私ども話し合いの中へ割って入りまして、努力を続けていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  151. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 これで終わろうと思ったのですが、最後一つ。  大臣のお考えはよくわかっているのですが、これを普通の許可、認可の行政処分と同じような考え方で扱っていることに問題があるんじゃないかと私は思うのです。やはり代執行か何かの規定でもやって、法律をつくることが能じゃありませんけれども、やはり基本的な権利だけは守ってやるようにしなければいかぬ問題じゃなかろうかと思います。それくらいの気概で問題の解決に当たっていただきたいと思います。
  152. 江崎真澄

    江崎国務大臣 おっしゃる意味は十分わかります。私は、現状と事の経緯と法律のあり方を率直に申し上げたわけでありまして、これはもう全く一日もなおざりにできる問題じゃございませんので、継続的に努力してまいりたいと思います。
  153. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 終わります。
  154. 三原朝雄

    三原委員長 中路雅弘君。
  155. 中路雅弘

    ○中路委員 最初に、移駐を必要とする理由で午前中も論議されていますが、三月以来の国会論議の中で、繰り返し、立川移駐災害派遣のためだということを強調されていますし、また、地元の立川の市民の皆さん防衛庁が出したパンフレットの中でも、「なぜ立川飛行場を使用するのでしょうか」という中に、災害救助の活動のだめだ、もっぱらこれだということを強調されています。また、十二月二十日に地元に示された防衛庁移駐の条件の中でも、先ほど問題になっていますように、立川基地への自衛隊配備はもっぱら首都災害救助活動が目的であるということを確約しておられるわけですから、この問題で幾つかを最初に御質問したいのです。  一体、首都東京の災害発生の場合に、自衛隊がどういう活動計画を持っているのかということで、あまり公表されたものはありませんけれども首都の「東京都地域防災計画」、相当分厚い本ですが、この東京都の防災計画の中で、四十六年度ですが、自衛隊が大災害のときにこの防災計画の中でどういう役割りを果たすのかということで、私は全部これを調べてみたのです。この中で出ているのは陸上自衛隊の第一師団、市ケ谷、練馬の二つの普通科連隊の出動と、海上では横須賀からの軍艦、あるいは海上自衛隊のヘリコプターがあります。この部隊。問題は、この防災計画の中にはありません。自衛隊法で災害派遣ということは任務に明記されていますけれども首都のこの防災計画の中で、ヘリコプターの任務、役割りというのがこの計画の中にありませんけれども、この点からまず御質問したい。
  156. 久保卓也

    ○久保説明員 中央防災会議のきめました基本的な要綱の中では、各機関はそれぞれそのあらかじめ定められた計画によるとなっています。自衛隊の場合に、あらかじめ自衛隊に定められた計画による、こうなっております。その計画自身は、中央防災会議の事務局を通じまして、会議及び関係各機関に出してあります。その中には、各種の航空部隊の活動、任務というものが明瞭に出ております。  ところで東京都の場合には、私、全部見たわけではありませんけれども、連隊とおっしゃいましたが、主として第一師団あるいは横須賀地方隊というのが中心となって書かれておるようであります。しかしながら、これらの自衛隊のすべての部隊災害派遣の任務を持っておるわけでありまするから、航空機が必要な場合に東部方面航空隊の航空機を利用するということを排除するものではなかろうというふうに思っております。
  157. 中路雅弘

    ○中路委員 たとえばこの中で、自衛隊が何をするか、どういう器材を持っているか、使うのかという器材表を見ますと、主としてブルドーザーとかダンプとか、こういうものですね。災害のあと片づけの器材表を見ますと、全部問題ですけれども、たとえば大都市の災害で不可欠な装備でありますところの、先ほど任務の中で防火や消火という話もちょっと答弁でされていましたけれども、たとえばビル火災に必要なはしご車、排煙車、放水、化学消火車、飲料給水車。自衛隊災害派遣が任務だと言っておられるのですけれども自衛隊でそういうものはあるのですか。
  158. 久保卓也

    ○久保説明員 給水車はございます。それから消防関係は、それぞれの基地の消防程度の非常に微弱なものでありまするから、これは消防機関に依存せざるを得ません。ただし、これは東京都の計画でありますが、その計画の中で示されている任務の中で、たとえば人命救助という場合に、地上部隊がなかなか果たせない場合に、航空部隊で人命の救助をやるのを排除するというふうに読むのは非常におかしなことであろうというふうに思います。なぜかならば、大震火災の場合には、言うまでもなく、建物の崩壊あるいは火災等によって地上交通が混乱、麻痺いたします。そういった場合に、航空機を利用しないでどういうふうに人命救助をやるかというふうな問題がありましょう。  それからこの計画の中でも、たとえば「被害状況のは握」の中で「車両・艦艇・航空機等状況に適した手段による偵察」ということは明示されております。そのほか、私が先ほど申し上げた活動任務の中で、航空機によってきわめて適切に任務遂行、人命救助ができる、災害救難ができるというような分野が非常に多かろうと思います。
  159. 中路雅弘

    ○中路委員 いま、非常に不十分だけれども幾らかあるのだというお話です。けれども、それはみんな災害対策じゃなくて、隊内の消火程度の、隊内用としての装備でしょう。災害問題としてはほとんどないのじゃないですか。
  160. 久保卓也

    ○久保説明員 自衛隊の災害関係の器材といいますのは、本来自衛隊の任務で持っておるもので、それを災害に利用し得るものと、それから主として災害に活用し得るもの、そういうふうに分かれると思います。すべて、消防関係については、いま申し上げましたように、一般の部外の災害にまで十分に活動できるものはない。しかし、先ほど御明示になりましたのは給水車でありましたが、それは持っておるということを申しました。それから、水害等におけるボートその他、そういったようなものはございます。  いずれにせよ、災害専用のものがどの程度あるか、ちょっといま手元に持っておりませんけれども自衛隊のかねて持っております器材で災害用に使えるものはすべて提供するということであります。
  161. 中路雅弘

    ○中路委員 その災害計画の中で、いま質問をいたしましたけれども自衛隊は災害救助が目的だといいながら、そういう大都市の災害についての必要な器材はほとんど皆無にひとしいのだということは、いまの答弁でもよくわかりますし、この器材表を見ても、いま話しましたように、ほとんど災害のあと片づけ程度のものですね。土方的な仕事しかできないわけですね。その中で、立川移駐してきたこのヘリコプター部隊首都の災害の中でどういう役割りをいま持つのか。
  162. 久保卓也

    ○久保説明員 ブルドーザーとか給水車、あるいはボートとかいったものも災害救助用に使えるものでありますけれども、いまの立川に配備されますヘリコプターあるいは固定翼機というものは、それがそれぞれ何らかのものを持つということであるよりも、ヘリコプター自身が災害救助に役に立つということであります。つまり配置される航空機そのものが災害救助用の器材であるということになります。  たとえば、立川に配置されまするヘリコプターが、東京都の都心部に近いために、東京都の上空に滞在する時間が一時間二十五分ぐらいあるようでありますが、たとえば、かりに大宮とかあるいは千葉とかいったようなところが、災害が少なかったために、そこで救援物資を積んで、それを都心部に運ぶ、あるいは人員を都心部から大宮とか千葉に運んでいくといったような場合に、一時間二十五分ですと三回往復ができるということで、器材そのものが、物を運び、人を運ぶ、患者を輸送するということで救難用に役に立つ、そういうように御理解をいただきたいと思います。
  163. 中路雅弘

    ○中路委員 ヘリコプターを、いま言われたように、災害の場合の救助体制を整えておくという必要から置くという場合に、先ほどからも論議になっていますが、最大のヘリコプターを持つ基地があるのは、陸上自衛隊では木更津にあるわけですね。あるいは練馬に基地があるが、ヘリコプターの場合は、あの立川のような滑走路は必要でないんじゃないですか。練馬の基地に日常常駐して発着できるということも可能なんじゃないですか。
  164. 久保卓也

    ○久保説明員 練馬に、今日の状況でヘリコプターを置いて再々離発着をさせますと、今日すでに非常に周辺に人家が集中しておりますし、高い建物もありますので、危険でもありますし、現実的ではございません。また、ヘリコプターを置くだけの余地もありません。また、立川の飛行場の全部がヘリだけのために必要かというと、これは必ずしもそうではございません。ただし、当面、軽飛行機でありますが、固定翼機がありますので、それを利用するということで、大震火災が起こりましたような場合に、まずどういつだような状況であるかということを把握するのに、一々通りにくい自動車で、あるいは人が歩いて偵察する、状況を視察するということはできません。そういった際に、固定翼機であれ、ヘリコプターであれ、まず状況を察知して、どういうような状況であるかということを知らねばなりません。そのためには、東京周辺になるべく多くそういった救難の基地があることが望ましい。しかしながら、今日の状況ではなかなかそういうものを求められませんので、最小限の基地でもってがまんせざるを得ないということであろうと思います。
  165. 中路雅弘

    ○中路委員 木更津と立川の問題も、先ほども出たように、大火災が起きた場合に、立川から都市の火災の上を飛ぶということを考えれば、木更津から海へ入るというほうがよほどいいということは、一般の商業新聞でも疑問として書いているところですけれども、それだけじゃなくて、たとえば大震災が起きたとか災害が起きたという場合には、当然羽田の飛行場なんか閉鎖されるんじゃないですか。あるいは、東京周辺の各航空基地というのは、このために、たとえばヘリコプターを集中するという場合にも使用するということは当然できるわけすでね。あるいは、この「東京都地域防災計画」を見た場合に、防災計画の中では、ヘリコプターの使用について、学校や大きい公園、これをヘリコプターの発着地としてたくさん名前をここにあげているわけですね。そういうものを利用して災害時に対処するということはこの計画の中に書いてあるわけですね。どうして立川がどうしても必要だというのか、この点について……。
  166. 久保卓也

    ○久保説明員 どのような活動をする場合にも基地というものが必要でありましょう。そこで、東京都の計画の中に入っておりますのは、おそらく二百カ所ばかりあろうと思いますけれども、それは離発着をする場所であります。基地ではございません。つまり、ヘリコプターがありましても、東京都内におりないのであるならば、それは、単なる偵察、あるいは状況視察、情報収集にしかすぎません。しかし、いま言いましたように、必要な物資を連び込む、患者を輸送するといったような場合には、都内におりなければなりません。そこで、おり得るような場所がどれくらいあるかということをあらかじめ自衛隊のほうでも調べ、東京都のほうにも御連絡してあるのだろうと思いますが、そういった個所が二百カ所ある。そういう、物を運んだり、そこから物を運び去るということのために選んであるのでありまして、それらの飛行機が活動する。たとえば要員が休養する、それから油を補給する、ヘリコプターを整備する、そういった基地は、いまあげられましたようなところに置かれるはずがございません。それは霞ヶ浦であり木更津であり、あるいは立川であるということであります。
  167. 中路雅弘

    ○中路委員 立川基地に、年度末、三月末までに二十八機ですか、五百三十人の人員というのを出されていますが、これは、このあとふやすとか、そういうことは全くないのですか。  それからもう一つ、二十八機ということになれば、いまおっしゃった自衛隊基地、木更津やこういうところで十分使用できるというふうに考えるのですが、この点はどうなんですか。
  168. 久保卓也

    ○久保説明員 当面、いま申し上げましたような機数、部隊、勢力で立川は運用されるわけでありますが、将来の問題につきましては、この関東週辺のみならずでありまして、東北あるいは中部のほうの航空機の学校、他の施設との関連もありますので、この辺は総合的にもう一度見直しをしてみないといけないということの中で、将来どういうふうになるかということは検討されると思います。しかし当面は、いま言ったような勢力で出発してみたいということであります。
  169. 中路雅弘

    ○中路委員 いま御質問をしていても、これだけ過密のところですよ。三多摩のいわば開発の拠点の地域ですね。全国でも屈指の過密の都市だし、しかも、練馬の話が出ましたけれども、練馬の人たちが、週辺の騒音だとか、そういうことで無理だという話もありますが、立川の人たち自身も、それ以上に、いままでのあの騒音や爆音で悩まされておるという問題。また、資料を見ましても、宇都宮の資料を取り寄せても、立川の場合には、それがやはり相当軽減されることはないということもはっきりしていますけれども、この立川に二十八機のやつを、災害対策だということでどうしても年内に持ってくるということですね。しかも災害対策で自衛隊の出動を要請するのは地方自治体、東京都ですね。この要請するほうの相手が、東京都議会も、都知事も、あるいは地元の立川市議会も、市長も、あるいは地元の住民の皆さんも、週辺の市町村全部が困るということを言っているわけですね。要請をするほうがみんな、来ては困ると言っておるわけです。それを、どうしてもこの二十八機を立川に置くんだ、しかも災害のためなんだと言う。この点については、一般の新聞でも、ここに一番根拠の薄弱性があるんだといっている。  結局、先ほどから論議になっているように、基地の先取りといいますか、自衛隊あとに既得権を持っていく。それで、増原防衛庁長官あとから発言しましたように、治安出動があり得るんだ。ここにほんとうのねらいがあって、災害救助というのは、自衛隊の目的には書いてありますけれども、実際に自衛隊が持っている機能あるいは器材、そういうものからいっても、災害対策に当たるようなものはとうてい装備していませんし、四次防を見ても、そういうものを新しく購入するというようなことではないわけですね。主として戦闘や治安出動の問題が中心になっているということですし、立川にどうしてもいまヘリコプターを入れるんだということが、いまの御答弁でも全く納得できないのですが、この点について、きょう防衛庁長官はおられないのですけれども防衛庁政務次官、どうですか。
  170. 箕輪登

    箕輪説明員 自衛隊災害派遣は、たてまえとして地方自治体の長が要請しなければ派遣できないのだ、こういうお話がございましたが、確かにたてまえはそのとおりでございますけれども、いま調べさせておりますけれども、大災害時のように、通信あるいは道路交通網が寸断されてしまって連絡のとれないような場合には、自衛隊が独自で、要請がなくても飛べる、あるいは災害救助に出動できる、こういうふうになっておるわけであります。その根拠は自衛隊法の八十三条でありまして、「前項の要請を」——これは地方自治体の要請でありますが、要請を待ついとまがないと認められるときは、同項の要請を待たないで、部隊等を派遣することができる」と隊法で明らかにされているところであります。ですから、大型の大災害が起きた場合にはこういうことでお役に立ちたい、かように考えているわけであります。  今回の移駐は、そういう既定事実をもとにして、そうして先にもう乗り込んでしまう、先取り行為ではないか、こういうお話でございますが、今回の移駐実施は、あくまでも災害救助体制の早期整備ということでありまして、既成事実をつくることによって基地の先取りをするんだというような考え方は全くないことを明らかにしておきたいと思います。
  171. 中路雅弘

    ○中路委員 いま防衛局長さんもおられますからあれですが、増原防衛庁長官が二十六日の閣議あと記者会見で、先ほどお話ししましたように、立川基地への移駐は、治安出動の事態が起こったときに使わないという筋合いではない、治安出動もあり得るという発言をされているわけですが、久保防衛局長も、自衛隊防衛出動、治安出動も自衛隊の本来の任務であって、立川移駐する部隊が治安出動に使われないというわけにはいかないという発言をされているわけですね。立川移駐しているヘリコプターの部隊が日常どういう訓練をしているのかということについて、防衛庁のほうから私、資料を取り寄せましたら、立川移駐の任務からいって、三点をあげて、災害対策の訓練をやらせているのだ、これからやらせるのだという回答が来ていますけれども、この問題と、また、しばしば地元への回答で、もっぱら災害救助の目的だと言っておられることと、移駐がきまったあと防衛庁長官防衛局長が、この治安出動の問題について発言されていること、この点はどうですか。
  172. 久保卓也

    ○久保説明員 防衛庁関係者、政務次官も含めまして皆さんが言っておられることは、全く同じことを申しております。すなわち自衛隊のすべての部隊は法律上定められた任務を持っております。したがいまして、それに応ずるところの訓練その他はしなければならないと思います。  ところで、立川になぜ移駐したかということについては、本朝来るる説明がありまするような災害派遣を目的として、ここがまさに適地であるという意味で派遣されたものである。しかし、派遣されたその航空隊が、防衛出動とかその他の自衛隊法に定められた任務を持つものではないというふうに規定することは、これはむしろ法律の違反になるということであります。したがいまして、必要な範囲におきましては任務に応ずるところの訓練その他はやらねばなるまいと思っております。
  173. 中路雅弘

    ○中路委員 私どもへ来ている回答では、立川移駐した任務について明記しているわけですね。三つあげているのです。今度配備した部隊の訓練は、第一は被災地の調査、たとえば写真撮影。二番目に被災地への連絡、通信方法、たとえば通信筒投下。三番目が被災者の救出、空輸及び災害派遣時の指揮等の災害派遣訓練、こうあげているわけです。そうしますと、いまおっしゃった話ですと、この立川移駐した部隊自衛隊法にも違反することになりますか。
  174. 久保卓也

    ○久保説明員 毎たび申し上げますように、立川移駐いたしましたこの部隊は、平時においては、災害出動以外にはほとんど考えられない、治安出動があろうとはゆめ思えません。したがいまして、当面必要であろうと考えられる災害派遣のための訓練をやるということは、これまた隊法に定められた当然の義務でございます。しかしながら、だからといって、隊法に定めた任務を持っていない部隊であるということは申せない。当面、平時において必要である災害派遣のための訓練を常時行なうということは、これは間違いないと思います。
  175. 中路雅弘

    ○中路委員 いまの回答でもそうですし、先ほど言いました、この市民のほとんど全戸に配られたやつ、この中でも、なぜ立川で飛行場を使用するのかということについて、災害対策以外に全然書いていないのですよ。そうして、移駐するのがきまってから、治安出動もあるのだ、当然だ、こういうことを条件にして移駐を押しつけるということは、やはり市民をあざむく二枚舌ではないですか。移駐してからあとに、治安出動も当然任務からあるのだと、むしろそっちにウエートがかかるような発言防衛庁長官もしておられる。これでは全く、地元に対する移駐の条件を話し合う際のごまかし、二枚舌じゃないかと思うのです。
  176. 久保卓也

    ○久保説明員 自衛隊の本来あります意義というものは、日米安保条約と相まちまして、日本に対する侵略を抑止するものであります。したがいまして、万一日本に対する侵略がありました場合には、それに対する防衛を行なわねばならぬ任務を持っておりますけれども、今日においては、自衛力があること、また、日米安保体制と相伴って防衛体制の存続しておることによって、防衛出動はあり得ないということ。それからまた治安出動については、私も警察におりましたが、警察としては十分の自信を持っておるでありましょう。国会政府の施策もよろしきを得るでありましょうから、具体的な治安出動の事態になることはあるまい。したがって問題になる事態は災害出動であろう。したがって、災害出動についての任務を持つものであるし、それに対する訓練をするものであるというような説明をしても、実体的には決して真相を間違えているものとは私は考えません。
  177. 中路雅弘

    ○中路委員 発言されておる防衛庁長官がきょうは来ていられないので、この問題については引き続いて長官出席のときにさらに御質問したいと思いますけれども、もう一つ、先ほど官房長官がおられたときの話ですけれども江崎大臣もおられますが、この前の三月九日の内閣委員会で東中委員質問に答えた議事録を見ますと、先遣隊が移駐したのは、地元の市議会の多数がやむを得ないというふうになった、これが一つの重要な資料だということを答弁をされておるわけですね。そして地元との話し合いということを繰り返しその後も言っていられるわけですけれども、この最も重要な資料になっています地元の立川市議会も、十二月になって、この移駐反対なんだという、立川基地の平和利用等、自衛隊移駐反対に関する意見書というのを採択しているわけですが、これは、先遣隊を送り込まれた、そのときの最も重要な資料である条件が全く変わったわけですね。その後、こういうことについて地元の阿部市長も、十分話し合いたいということが趣旨だと思いますけれども、こういうことを無視して、年内にはどうか、一月にどうか、二月はどうかという詰め方。これは、先ほどお話ししたように、地元の望んでいる話し合いということのベースでは全くないんじゃないかというふうに思うのですが、これはどうですか、政務次官
  178. 箕輪登

    箕輪説明員 私どもは、総理並びに当時の防衛庁長官の御答弁にもありますように、あくまでも話し合いをやるんだということで、その姿勢を守りながら、十二月二十五日まで、先ほども御報告しましたように、二十七回にわたって交渉をいたしたわけでありますが、当初、話し合いはいたしましょうと言いながら、どう考えてもだんだん話し合いを避けるような態度に出てまいりました。二十五日の夜おそく立川市長さんと会ったときも、話し合いをするならば一月でもいいんですよ、私の腹の中は、十二月の移駐をやめて一月の移駐ということで話し合ってもいいんですよということで、一月はどうですか、それもだめだ、二月はどうですかと申し上げましたが、それもだめだ、こういうことであります。  同時に、両方の二つの市がございます。話し合いを行なわなかったというような前提でお話しになっておられますが、昭島市のほうとは十分に話し合いをすることができました。ここで賛成ということはできないけれどもという前提ではございましたが、静かな部屋で十分時間をかけてお話し合いをすることができました。その後も昭島市長さんは防衛庁にもお見えになっておりますし、返還後の問題について話し合いをいたしているところであります。この立川基地は、名前が立川基地でございますけれども、国有財産の部分は全部昭島市のものであります。したがって、その昭島市とは話し合いが十分に行なわれたのだということを御理解いただきたいと思うわけであります。  なおまた、総理の御答弁にありますような姿勢は今後も続けてまいりたい。立川市ともできる限り平和の中に話し合いを進めていきたいという考えだけは持っておるわけでございます。その後、防衛施設庁の東京施設局長、これが立川市長と数次にわたりましてお話し合いを今日まで続けておるわけであります。先ほどお話のあったように、これは初めは条件つきで、もうやむを得ないんだということで話があったが、十二月の十三日でありますけれども立川の市議会も全面的に反対であるという決議をしたというお話がございました。二十五日のときにその話も出まして、市長さん、議長さん、お二人そろっておられるのでありますけれども立川市長さんは、十三日の決定で一月の春に決定したこれはもうすでに消えてしまったのだというようなお話もなされました。とにかく移駐反対なんだというけれども、しかし市議会議長さんのお話は、市長さん違いますよ。そこで少しお二人でお話になりまして、私が中へ割って入らなければならないような立場になった。これは聞いておらないのです、十二項目はぜひやってほしいのです、こういうことでございます。  さらに話を進めるならば、移駐後、いま申し上げた東京局長立川市長話し合いをしているが、十二項目についても市長さんからいろいろお話があるやに私は報告を聞いているのであります。何が何だかさっぱりわからないのであります。移駐後はやはり十二項目についても話し合いが行なわれておる、かように私は報告を聞いているわけであります。どうかその点もよく御勘案いただきまして、御理解を賜わりたいと思います。
  179. 中路雅弘

    ○中路委員 先ほどお話ししましたように、条件もずっと変わっているわけですからね。当然、話し合いするということになければ、白紙に戻して、この立川基地あとをどう利用していくのかということを国政の段階で十分論議をしなければならない。その重要な問題ですね。しかも、前回の国会から引き継がれている問題を、二十五日という、国会が自然休会になるその時期に、一カ月間ねらいすまして強行移駐すると私たちは考えざるを得ないわけですね。この点は、前回の国会から論議されている重要な問題に対して、福祉優先といいながら、実際には軍事が優先をして、防衛庁が全く住民の意向を無視して強行するということについてはこれをもう一回白紙撤回して、地元と話し合うのが当然ではないか。  しかも、私が現地へこの前行って、この問題について市の当局の人たちから聞いたときのことを解決はしましたけれども、一言お話ししておきたいのは、たとえばA地区というのは、もう地元へ返還がきまっているわけですね。地元ではここに中学校を建てる、六中を建てるという計画があって、いま立ち入り調査をして測量しなければ、九月に着工しなければ、来年の春の開校に間に合わない。これが間に合わなければ、いまの中学校にプレハブを建てなければいけない。それを一応承知しながら、この問題が起きている中で、理由もはっきりしないまま立ち入りの調査についても拒否されているというような話もお聞きしたわけです。こういうことがいろいろ条件になれば、あるいは市に対するいやがらせということになれば、これはたいへんな問題だ。委員会でやる前に、私は至急、関東財務局やそういう関係の人たちに連絡をしまして話をしたのですが、これはその翌日、調査をする、測量するということはオーケーになりましたけれども、こういう問題が、地元の要望を聞くと言いながら、いままで約束している、もう了解済みのことさえ、理由もはっきりしないまま断わる。B地区の道路の問題もまだ解決していないということですけれども、こういった問題について、これは防衛庁直接じゃないと思いますけれども、地元のほんとうの福祉の問題を考えた場合に、こういう問題についての解決を、立川市が移駐反対しているということでもしいろいろ条件をつけられるとすれば、これは非常に重要な問題じゃないか。市長さんがその点について大蔵省に頼みに行っても、検討するということではっきりした回答がないということを地元から訴えておりましたけれども、こういうことが一そう地元との話し合いをこじらせているのじゃないですか。こういう問題悪はお聞きになってますか。
  180. 箕輪登

    箕輪説明員 ただいまご指摘のございました立川基地A地区の問題でございますが、これは御承知のとおり、一月に御要望のあった十二項目のうちの一つであります。しかし、先生は近く返るというお話でございましたが、これはすでに昨年、四十七年の十一月二十日にアメリカから返還になっております。これは全部国有地でございまして、すでにもう大蔵財源になっております。したがって防衛庁としては、当初要求のあった十二項目について、決して何もやっていないのじゃないのです。そのほかにもございます。ちゃんと返還になっております。あと地利用については、これを管理しておられる大蔵省と当然話し合いをしていってしかるべき時期にもうきているわけであります。われわれは御要望のあったことは——これは聞いたとか聞いていないとかいう問題はありますよ。ありますけれども、御要望のあったことについては、一つ一つ実行に移すように極力努力していることは、この一事をもってもおわかりになるのではないだろうか、かように思います。
  181. 中路雅弘

    ○中路委員 防衛庁長官がきょうも出席されていないし、この問題が起きた当日も、何か病気だということでおられなかった。移駐の日も病気だということでおられなかったですね。しかもその日は、政務次官は何か自民党の派閥の会合に出ていたということで、防衛庁にはだれもいないということが新聞に出ていましたけれども、いずれにしても、防衛庁長官もきょう出席されていない。官房長官も帰られたわけですが、この立川の問題は、ただ一地方の問題というだけではなくて、これだけ過密になった都市の中で、先ほど大出委員が、田中総理閣議あとですか、中ですかの発言のことも問題にされましたけれども、国の全体の、今後この都市問題あるいは防災問題をどうしていくのかということとも大きく関連があるわけです。しかも地元からも、東京都からも、この立川あと地についてどうしていくかということについてい計画書も出されている。こういう問題も十分政治の舞台で論議をして、そうしてこの問題をどうしていくのか、一日も早く全面返還をかちとったあと、ほんとうに住民の福祉のためにこれが使われていくというためにはどうすればいいかという問題について、十分私たちも突っ込んで御質問もしたいし、意見も述べたいのですけれども、きょうは政府の代表の方もおられないし、防衛庁長官もおられないということで、あとの時間もありますから、一応これできょうの私の質問を終わりますけれども、この問題について、防衛庁長官が、からだの悪いのが相当長いという話ですが、すぐには無理なんですか。あまり長ければ、これは辞表を出さざるを得ないでしょうね。やめざるを得ないのじゃないですか。しかし、御出席のときに引き続いて御質問をしたいというふうに思います。
  182. 江崎真澄

    江崎国務大臣 ちょっと……。私も朝から実は出席いたしておりますが、さっき大出議員にも申し上げたのですが、この立川移駐の問題、あるいは沖繩に自衛隊を配備したという問題とは別個に、住民登録の問題というのは、やはり基本的な人権にもかかわりますし、自衛隊員を認める認めないという本質的な議論も、これは御趣旨の存するところはあろうと思いますが、届け出を怠れば過科に科せられるというような罰則があるぐらいのものでありまするので、今後いろいろな面で、これは衆議院議員としても、あるいはまた党としても相談がかけられるような場面があろうかと思いまするが、ぜひ切り離して、一応住民登録の問題はすみやかに片づきますように、これは私の立場から御要請を申し上げておきたいと思います。
  183. 中路雅弘

    ○中路委員 一言だけ……。  いま自治大臣からお話があった住民登録の問題は、あとで私どもの東中議員がこの問題で質問することになっていますから、それまでぜひ出席をしていただきたい、こういうふうに思います。
  184. 江崎真澄

    江崎国務大臣 わかりました。
  185. 三原朝雄

    三原委員長 鈴切康雄君。
  186. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 外務省の方、来ておられますか。
  187. 三原朝雄

    三原委員長 午前中おったが、午後帰りました。すぐ呼びましょう。
  188. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 外務省にお聞きする前に防衛庁に伺いますが、防衛庁は、災害救助を目的として今度の立川移駐をしたということでありますけれども、実際には、首都周辺には、御存じのように、入間、厚木、それから木更津など、自衛隊航空基地がすでにもうあるわけですね。そこに救難用ヘリコプターを配備をしておけば、その災害救助という問題については、これはそんな無理をして、住民の皆さん方反対を押し切って強行移駐する必要はないんじゃないか。しかも東京周辺ということになると、いざ災害が起こった場合、立川基地は、もう東京周辺というよりも東京内にあるといっても過言ではないわけです。そういう場合においては、立川基地自体もすでにその災難を受けるという、そういうことも想像されるわけです。となれば、災害救助ということであれば、現在、私が申し上げましたその場所に当然配備をされてもよいのじゃないか、私はそのように思うのですが、その点についてお聞きします。
  189. 箕輪登

    箕輪説明員 長坂さんから答えさせます。
  190. 長坂強

    長坂説明員 午前中からるる申し上げておりますように、この宇都宮におりました部隊をして立川に移すということの趣旨はどこにあるかと申しますと、午前中出ておりました一つ事情は、宇都宮と都心の間は約九十キロメートルある、ヘリコプターで約三十五分を必要とする。立川と都心間は約二十キロメートルにすぎなく、ヘリコプターで約十分間で到達する。したがって、この初動における二十五分というものは、大災害の発生の場合非常な効果を持つであろう、そういう意味で有効であろうということが一つでございますし、それからまた、ヘリコプターの滞空時間と申しますか、これも約三倍と思いましたが、宇都宮から来て都心の中で活動をしていくというような場合と、それから立川から都心に向かって活動をしていくというような時間は、約三倍の開きがある。立川のほうがそれだけ有利であるというふうに判断をいたしておるわけでございまして、そういうような意味で適地であるというふうに判断をしておる、このように申し上げておきます。
  191. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 あなたは宇都宮と立川との比較をされておるわけですけれども、私が申し上げたいのは、たとえば入間とか厚木、それから木更津、そういうところで自衛隊の航空基地がすでにあります。そういうところから考えるならば、救難用のヘリコプターを配備すれば、立川基地から都心に対する災害救助と同じような効果を十分に発揮するのではないか、そのように私は思うわけです。住民が反対をしているのを暮れの二十七日に無理して強行移駐する必要は何もないのじゃないか、救助活動であるならばそういうふうな配慮があってもしかるべきじゃないか、私はこう思うのですが、その点について、たとえば、それじゃ厚木から、あるいは入間から、木更津から、そういうふうな配備をしたときに首都に対してどれくらいの時間がかかりますか。それについてお答えを願いたい。
  192. 箕輪登

    箕輪説明員 その計算は全部しているのでございますが、残念ながらここに資料を持ってきておりません。間もなく取り寄せて御答弁いたしますが、それまでちょっとお待ちいただきたいと思います。そうした計算のもとに、一例をあげていま宇都宮と都心、立川と都心の問題を申し上げましたが、これはいろいろの計算をしてやっておりますが、残念ながら資料を持ってきておりませんので、直ちに取り寄せまして御答弁をいたします。
  193. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それは私の質問の問に御答弁願いたいとして、実は四十七年の三月二十一日の当委員会江崎防衛庁長官が、江崎さんが防衛庁長官であったときですが、「防衛庁自体が一体今後基地をどう扱っていくか、これは、基地周辺の環境整備の問題とからみ合わせて真剣に検討する必要はあると思っております」「特に、この人家稠密な、しかも発展段階にあるような首都圏地内における基地というものは、やはり必要の場合でも必要最小限、そういう条件はどこまでも大事なことだと私は考えます。したがって、特に今度返還をされる首都圏を中心にいたしまして、全国的に基地というものを検討する必要がある」、そのように言われているわけでありますけれども、その全国的に基地を検討している具体的な内容というものはどういうものでありますか。
  194. 長坂強

    長坂説明員 先国会の末ごろにおきまして、いわゆる基地のあり方についての全国的な検討を行なう、総合的な検討を行なう目的のために防衛庁の中にプロジェクトチームをつくる、そのプロジェクトチームにおいてそういった検討を重ねて結論を出すというふうにお答えをしておると思いますが、そのプロジェクトチームは、昨年の六月十三日に、事務次官を長といたしまして、基地総合調整本部という名称で発足をいたしております。それでその委員には、事務次官が本部長、それから防衛施設庁長官が副本部長でございまして、それに各関係の官房、防衛、経理局長、それから施設庁の次長、それに私、それに各幕の副長が構成委員でございます。その下に事務局を置きまして、私、施設担当の参事官が事務局長でございまして、その中に各幕の部長、それから施設庁の部長それから内局の防衛、総務、会計といった関係課長でその事務局を構成しております。  そこで、この基地総合調整本部におきましての全国的な検討というものは、これは防衛庁長官から昨年の八月の末に諮問がございまして、防衛施設のあり方の検討及び基本的指針の作成ということについて一年間かかって検討をして、そして答申しろという命令を受けております。そこで、この本部では、一つは将来にわたっての米軍基地自衛隊基地のあり方、それからそれに対応する基地対策、そういうものについて結論を出すように処理目標をきめてございます。そして、現在の米軍自衛隊施設の使用の実態、それから施設周辺における地域開発の状況、それから関係自治体の要望等について、各施設局、それから各幕、各機関を通じまして、検討に必要な基礎資料の収集につとめているところでございますが、その資料の収集をまちまして、米軍自衛隊につきましての基本的な取り扱い方針を検討することとしております。  一応、概略、以上でございます。
  195. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 立川基地は最も東京周辺に近い基地として、そういう防衛庁の考え方から言うならば、当然これは大きくクローズアップもし、また検討をされて結論が出なくちゃならない問題だと私は思うのですね。それにもかかわらず立川基地に強行的な移駐をするということは、防衛庁は、稠密な都市周辺における基地の平和利用という問題も考えながら、地域の住民の方々の要望を満たしていくという考え方に立つならば、むしろ話し合いの打ち切り方が少し早過ぎたのじゃないか。もう少し住民と話し合いながら、しかもこういう基地のプロジェクトチーム、そういう方々の御意見等も聞いた上において事を運ぶべきではないか、私はそのように思うのですが、次官、どうですか。
  196. 箕輪登

    箕輪説明員 地元の要望は、これを全く無規するということではございませんで、初め地元もそう考えておったのでございましょうが、いま自衛隊が暫定的ということばで使わせていただいた部分は、この立川基地全体から見ますと、面積にして五分の一であります。東側は一両年のうちに返ってくる、また西側については三、四年のうちに返ってくる。したがって、この東、西を含めて返還後のあと地利用計画というものについては十分話し合っていきたい、こういうことを申し上げておりますし、今後もその利用方法については、これは国有財産でございますから、私どもの出る幕ではございません、むしろ大蔵省のほうの問題ではございますけれども、特に国有財産部門については、防衛施設庁も中に入りながら、地元の方々意見に合うようにひとつ利用してもらう、そういうことで御協力をいたしていきたい、かように考えておるわけでございます。  したがってそれらの問題が解決するまで話し合ったらどうなんだという御意見でございますが、何ぶんにももっぱら災害出動を目的とした部隊でございますので、いつ災害が起きるかわからないんだ、そういう前提に立ちながら一刻も早い機会移駐をしたい、こういうことで話し合いをしてまいりましたけれども、その姿勢は当方としては変わらないけれども、先方さんと申しましょうか、立川側、市長さんの側に話し合いの意思のないことがわかってしまいました。こちらが幾ら姿勢を示しても向こうが姿勢を示さないということであるならば、最後政治的判断、決断というものを必要と思いまして、防衛庁長官の判断をいただき、ああいう形の移駐になったわけでありますが、移駐の形としては必ずしも満足すべき形でなかったことは、私どもも反省はいたしておるところであります。しかし、今後も話し合いを続けていきたい、かように存じております。
  197. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 だからこそ私は、先ほど申し上げましたように、基地のある入間、厚木、木更津、こういうところに救難ヘリコプターを配備して、そしてとりあえず、もし救援活動が必要であるという場合においては、そこから飛び立っての救援もできるであろうし、立川強行移駐をして、そして住民の感情をあふり、言うならば不信を買うというようなやり方は、これは決してよくない、このように私は思うのです。  それで私は、立川基地と、それから立川市に対する影響というものの認識が、防衛庁にはどうも少し欠けているのではないか、そういうふうに思うのです。ただ自衛隊移駐したい、したいという、もう皆さん方のはやる気持ちだけが先行してしまって先ほどもありましたような、いわゆる稠密な首都圏の場合におけるところの基地のあり方ということについては十分な配慮もなされなくちゃならない、こういうふうにいわれているにもかかわらず、その配慮というか、認識が非常に浅いのじゃないかと私は思うのです。それで私、立川基地の位置と立川市に影響するその認識というものについて少しお聞きしたいのですが、いかがでしょうか。どういう意見ですか。
  198. 箕輪登

    箕輪説明員 これはいろいろ議論の分かれるところでございますが、私どもはいま資料を取り寄せております。それに参画しておりました防衛局長も戻っておりますのでお答えをいたしますが、入間、あるいはまた厚木、木更津それぞれ検討したのであります。単に距離とか時間だけの問題でなしにほかにもいろいろ検討の理由がありまして、立川がそういう災害の出動の基地としては最も恵まれた土地であるということで、あくまでも話し合いをしたいという姿勢でまいったことは先ほど来申し上げておるとおりであります。いましばらく待ちますと入間あるいはまた——それでは、防衛局長が知っているそうですから、かわって答えていただきます。
  199. 久保卓也

    ○久保説明員 地元の空気をどういうふうにくみとっていくかという問題は、長坂参事官のほうから答えていただきたいと思いますけれどもどういう観点で基地を選んだかということを私から申し上げてみたいと思います。  数字がちょっと手元にございませんので、ものの考え方を申し上げたいと思いますが、一つは一昨年来問題になっています航空交通の安全の問題であります。これは、地上に例をとっていただきますとよくわかるわけでありますが、安全のためには混合交通を避けるということであります。つまり地上であれば、人と自転車あるいは自動車といったようなものが、それぞれ別であることが望ましい。これを航空にとってみますると、まず第一の原則は、民事と軍事の飛行機を分けるということ。それからそれぞれの中では、今度はジェット機とプロペラ機を分けるとか、プロペラ機の中では大型、小型を分けるというようなこと、そういった原則がございます。したがいまして、部隊が常駐する場合には、平時の問題でありまするので、なるべく航空交通の安全を期さねばなりません。そういたしますると、他の大型機との混用ということは望ましくございません。そういう意味で、ヘリコプターあるいは軽小型機の専用の航空基地ということが望ましいのであります。  もう一点、具体的に詰めてみますると、入間でありまするが、これは航空自衛隊のジェット機が入っております。将来はおそらく輸送機になろうと思いまするけれども、これは大型機の離発着訓練その他をやっております。こういったところにトンボのようなヘリコプターがうろうろされることは、非常な航空交通安全上の障害になるという問題があります。それから厚木についてもやや同様であります。P2J大型機がおります。それから米軍の海軍機が往々にして訓練をいたします。それからまた、私どもが当初予想しましたよりも、米軍機の減少数が必ずしも非常に減ったということになりそうにないといったような状況を踏まえてみますと、厚木も適当でない。それから木更津は、いま申し上げたようにヘリコプターがございます。ここに収容するわけでありまするけれども、現在すでに三十数台の大型のヘリ機がおります。  そこで、東京あるいは神奈川といったような被災地を想定いたしますると、そういった被災地の周辺に基地があることが望ましい。そうしますると、関東地方の気象条件からいいますると、利根水系の東と西によって気象条件が違うのだそうでありまして、木更津あるいは宇都宮が利用できるときと立川が利用できるときとは、条件が異なるというような問題があります。また具体的に木更津の場合には、東京周辺の風が年間三、四カ月の間は北西から南東のほうに吹くそうでありまして、したがいまして、東京上空のスモッグに刃向かって木更津より都心部に入ってくるというのは非常に困難であるが、立川の場合はその風に乗って飛んでこれるというようなことでありますから非常に便利であります。  そういうことで、それぞれの基地についての事情がございまして、立川を選んだということであります。
  200. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私はそういうことを聞いているんじゃないのですよ。いわゆる立川基地があるために立川市の住民がどのような影響を受けるかということについて、防衛庁のほうでは住民の意識をよく知っておられるかどうかということなんです。チンプンカンプンの話をしちやだめですよ。
  201. 長坂強

    長坂説明員 御質問の御趣旨は、地元——市あるいは市議会、あるいは市民の意向、動向というようなものをどのように防衛庁は受けとめておるだろうか、その点についてどのように対処しているだろうか、そういう点に御質問の中心があるようでございますが、もう一つの市議会のいわゆる移駐反対意見書というものをよく読んでみますと、その中には二つの理由が明記されてございます。  それは、一つはその基地の完全返還ということであり、もう一つはその土地の平和利用ということでございます。私ども市長さんたち、あるいは市議会議長さんともお話をいたしてまいります際に、この反対という一つの市議会の形を意見書の形で出されましたわけでございますので、その中身に立ち入って、それに対する対応策というものをお答えをしなければ、御意見に対する答えにはならぬであろうというふうに考えまして、この五百七十万平米の土地のうち四百六十万平米、五分の四というものは三、四年のうちに米軍から返還を受ける、いわゆる平和利用に一歩近づくという形を段階的に行なう、そういう努力をお約束をいたしたわけでございます。それで特に東側の地区につきましては、一両年の間に返還を見るように努力をいたしましょう。それから残りのB地区というのが正門の付近にございますが、これが二十万平米でございます。この二十万平米につきましては、特に市街地に近いところでございますので、これは一両年とは言わず極力早期に返還の実現を見るように努力をいたしましょう、こう言って、平和利用の線、また完全返還を段階的に行なうことをもってお答えをしておるつもりでございます。先ほどから、立川災害救助活動の適地であるということにつきましてはるる御説明がございましたし、さらに政務次官からも、過密な都市であれば災害救助活動の拠点というものが必要であろうということも申し上げておるわけでございますが、そのようないわゆる移駐反対という意向の中に実質的に私ども入っていって、そうしてその趣旨とするところを実際に事実でもってお答えをしていきたい、このように申し上げているわけでございます。
  202. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 すでに立川市のほうから、いろいろ皆さん方防衛庁のほうに資料も行っていると思うのですが、やはり何といっても、立川市というものは御存じのような地形にあって、しかも立川市のまん中に基地があるというような状態だ。そのために市の発展がおくれて、言うならば、たいへんな迂回をしながらの住民生活をしいられている。そういう点から、全面返還になれば、東京都のほうも、当然これに対しての考え方として、昭和四十六年三月十三日に多摩連環都市構想というものを発表しています。それは立川市を中核都市として発展をさせる。昭和四十六年六月二十一日、東京都首都圏整備委員会発表の立川基地あと地利用の基本構想の二案というのがあるわけです。こういうふうな考え方からいくならば、立川市としての平和利用、それからまた東京都の全般的な首都圏の整備というものを考えたときに、立川市に基地があるということは望ましくないという住民の考え方が強いわけです。そういうことについて防衛庁のほうも、首都圏の近辺にあるところの基地というものについては再考しなくてはならないという考え方に立って言うならば、基地総合調整本部というものをおつくりになったわけですから、そういう点も全部加味して十分な検討をなされた上に、こういうふうな立川なら立川のほうの問題を地元の方々と話し合わなくちゃならない。それについてたとえ相手方がどう出ようとも、佐藤さんは、やはり民主主義というものは時間がかかるのだというふうにおっしゃっているわけですから、十二月の二十七日に突如として、もう向こうのほうは話し合う意思がないのだということで一方的にきめてしまって、そうして立川への移駐をするということは少し早計過ぎた、私はそのように思うのです。ゆえに私としては、白紙撤回をして当然話し合いをせよという立場に立っていまお話をしているわけです。  その問題はそれにしておいて、いま外務省のほうから来ておられますので、基本的な問題をちょっとお聞きしておきます。  最近、防衛庁、外務省当局は、基地使用の態様について、共同管理——先ほども共同使用というようなお話がありましたね。共同使用とかいうような表現をお使いになっておりますけれども、地位協定には共同管理とかあるいは共同使用とかの規定はないように私は見受けます。第二条、第三条の規定からは、共同使用や共同管理の規定を推測することはできません。そこで、共同使用とか共同管理とかいう基地使用の態様は、一体地位協定の何条によって規定されているのか、明らかにしていただきたい。
  203. 大河原良雄

    ○大河原説明員 地位協定の第二条に施設及び区域の提供の規定がございますけれども、たとえば、二条四項(a)の規定によりますと、米軍が施設及び区域を一時的に使ってない場合に、日本国政府は、臨時にそのような施設及び区域を使い、または日本国民に使わせることができる、こういう規定がございますし、二条四項(b)には、米軍が一定の期間を限って使用すべき施設及び区域に関しては、合同委員会の合意によってこれを使用させる、こういう規定がございまして、普通、共同使用というふうに称されております施設、区域の使用につきましては、二条四項の規定に従って処理いたしております。
  204. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 二条四項(a)、(b)をあなたが例をあげられて、共同使用、共同管理というのはその中から出るのだというふうにおっしゃったわけですけれども、共同管理とか共同使用とかいう新語がどこでアメリカと合意をされたか、その点について明らかにしていただきたい。
  205. 大河原良雄

    ○大河原説明員 共同使用と申しますことばは、あくまでも便宜上のことばでございまして、その根拠は、先ど申し上げましたように二条四項(a)並びに(b)でございます。
  206. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 これはやはりあなたがいま便宜上にお使いになったことばであって、決してアメリカと共同使用、共同管理なんということを取りきめをされたわけではないわけです。この二条四項(a)と(b)との間でそういうふうなことが言えるのではないかという推測だけであって、実際には便宜上のお話じゃないでしょうか。  地位協定第二条四項(a)の場合、この施設、区域に対しては米国側はいかなる権限を有するというふうに判断をされているか。すなわち、第三条に基づく治外法権的な管理権を持つのかどうか、その点についてお伺いします。
  207. 大河原良雄

    ○大河原説明員 二条四項(a)で、米軍と日本側がいわゆる共同使用いたしております施設、区域につきましては、一般的には三条による使用管理権を米側は依然として持っております。
  208. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それは治外法権的な管理権を持つということになりましょうか。
  209. 大河原良雄

    ○大河原説明員 地位協定二条におきまして米軍に提供いたしました施設、区域につきまして、三条は、米軍がいかなる権利を持っているかということを明確に定めてございます。したがいまして、米側がその提供を受けました施設及び区域内におきましては、それらの設定、運営、警護及び管理のため必要な措置をとることができるというふうに、米軍の権利を三条で明確に規定しているわけでございます。
  210. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 地位協定の二条四項(a)のもとで、自衛隊米軍の施設、区域内の一部または全部を臨時に使用する場合、この自衛隊に対する第三条による米軍側の管理権及び管轄権はどういうふうになるのでしょうか。  それからまた、自衛隊及び自衛隊員にもそれは及ぶのかどうか。その点について……。
  211. 大河原良雄

    ○大河原説明員 施設、区域そのものにつきましては、三条によりまして、米軍が使用管理、警護、その三条に定められましたあらゆる権利を行使いたします。その限りにおきまして、米軍に提供された施設、区域でございますけれども、二条四項(a)に従いまして、いわゆる共同使用が日米合同委員会で合意されました状況におきまして、具体的に申しますれば、日本側、自衛隊が使用いたします場合には、自衛隊がその範囲内において共同に使用することが認められる、こういう形でございます。
  212. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま私がお聞きしました政府の見解というものは、これは確定的であるかどうか。日米合同委員会で明確にこれが確定をしておるかどうかを明らかにしていただきたい。と同時に、できるならその合意書を資料として提出していただきたい。
  213. 大河原良雄

    ○大河原説明員 いわゆる共同使用いたします場合に、日米合同委員会におきまして、米側が二条に基づきまして提出を受けております施設、区域を日本側に、具体的にいま御設問の場合には自衛隊に共同使用を認めているわけでございますけれども、合同委員会の合意は、二条四項(a)に従いまして特定の施設、区域を日本側と共同使用するという合意がそのつどできるわけでございまして、それ以上の自衛隊の使用の場合に云々という具体的な日米間の合意は、合同委員会の場におきまして特別にはございません。
  214. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 きょうは時間的にあまりないので、また予算委員会等にもいろいろこれは質問をしていかなければならない問題だと思いますけれども、基本的なことだけ聞いておきます。  またこの場合、自衛隊員に対する第十七条の裁判管轄権はどうなるのか。もし自衛隊員が二4(a)の基地内で犯罪行為があったときは、わがほうの警察、司法当局の捜査権、立ち入り権はどうなるのか。米国側の許可がなければ自由に立ち入り捜査する権限は行使できないのではないか。その点について……。
  215. 高島益郎

    ○高島説明員 わがほうで提供いたします施設、区域は、いわゆる租借地ではありませんので、日本の法令が完全に適用されます。したがいまして、日本人につきましては、自衛隊員も含めまして完全に日本の法令が適用されるわけでございます。ただ、犯罪があった場合に、施設、区域の管理権はやはり米軍が持っておりますので、米軍の合意のもとに警察官が入っていって、そうして日本の法令に基づいて日本人の逮捕、捜査その他が行なわれます。  米軍につきましては、公務外の行動につきましては日本の法令が適用されます。この場合には刑事裁判管轄権は日本が持っておりますので、日本の法令が適用されて、米軍の構成員につきましても捜査が行なわれることになります。
  216. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 次に、地位協定第二条四項(b)の場合、米軍自衛隊の施設、区域を使用する場合でありますが、米国軍隊が一定の期間、自衛隊の施設、区域を使用する場合、米国軍隊に対するわがほうの権限の範囲を明らかにしていただきたい。この場合、二4(a)に対応するものと理解してよいかどうか。一説によりますと、二4(b)に基づいて米国軍隊がわがほうの施設、区域を使用する場合には、その期間は完全な米軍の施設、区域の地位になるということであるけれども、この見解に対して政府はどのようにお考えになっているか。——わからなければもう一度質問しますよ。委員長もう一回質問しましょう。
  217. 三原朝雄

    三原委員長 質問趣旨がわかりますか。
  218. 大河原良雄

    ○大河原説明員 二条四項によります共同使用をいたします場合には、合同委員会が当該施設及び区域に関する協定の中に、この協定のいかなる規定が適用されるか、その範囲を明記しなければいけないという規定がございますので、合同委員会が二条四項(b)の施設、区域の使用につきまして合意いたします場合には、その旨が明らかにされるわけでございます。
  219. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そこで、まだ御答弁いただいていないわけでございますけれども、一説によると、二4(b)に基づいて米国軍隊がわがほうの施設及び区域を使用する場合には、その期間は完全な米軍の施設、区域の地位になるということであるけれども、その見解に対しては、政府はどのようにお考えなんですか。
  220. 大河原良雄

    ○大河原説明員 二条四項(b)におきまして共同使用が認められ、米国軍隊が特定の期間、限られた期間に使用を認められる施設、区域におきましては、その期間に関しましては、米側が三条の使用権あるいは管理権を認められる、こういうことになります。
  221. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それではもう一つ聞いておきましょう。  地位協定第二条四項(a)によって米軍の施設及び区域内に居住する自衛隊員の地位と、わが国にある外交施設の公館等の区域、施設内に居住する日本人の地位とは、いかなる点で国内法上及び国際法上相違があるのか、その点について明らかにしていただきたい。
  222. 高島益郎

    ○高島説明員 いずれの場合も、日本人である限りにおきましては、日本の法令が完全に適用されますので、日本人に対する日本法令の適用関係においては同じだと思います。ですが、いろいろ日本の法令を実際に適用するにあたりまして、その個人に対するいろいろな行政官庁の関係がございますので、そういう場合には、大使館に立ち入る場合と、それから施設、区域に立ち入る場合、これはおのずから違うかと思いますが、大使館の場合には一般的に外交上の特権が与えられておりまして、あそこに入るにあたりましては、大使の特別の許可がなければ入れないということになっておりますので、その点は、自衛隊員が施設、区域にあります場合に、一般的に、その施設を管理しております米軍の同意のもとに、日本の官憲が入る場合と多少は違うかと思います。しかし、実体的に申しまして、いずれにしても日本人でございますので、日本の法令が同様に適用があるという点では全く同じだと思います。
  223. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 きょうは外務大臣に御答弁を願おうと思った基本的な問題でありますので、政務次官のほうには、きょうはその点はお聞きしないで、この次にしたいと思います。  立川基地の規模で、立川市の発表と東京防衛施設局の発表との間に相違がありますが、その点どのように認識をされていましょうか。
  224. 長坂強

    長坂説明員 立川市の発表というものは、私ども実は承知いたしておりませんので、その立川基地の面積についてでございましょうか、おそれ入りますが……。
  225. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうです。
  226. 高松敬治

    ○高松説明員 私も立川市の発表というのは、実は承知していないのですが、私どもの手元の数字では、立川飛行場は総面積で五百七十三万四千平米でございます。
  227. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 これについては、立川市と東京防衛施設局との発表に約二千平米以上の誤差があるということについて、立川市のほうから東京防衛施設局立川出張所長にその旨を申し出をしてあるという問題があるのですがね。それで防衛施設局のほうでは、過去の資料の不十分で若干の誤差があるが、確認困難であります、今後何らかの方法で確認をしたいとまで立川市に対して答弁をされているわけなのです。この点、御承知になっておりますか。
  228. 高松敬治

    ○高松説明員 二千平米でございますか。その問題はちょっと私存じておりません。ただ、昨年の暮れになりましてからと思いましたが、立川市所有名義の道路敷が中にあるという問題が起きていることは承知しております。ただそれは、立川飛行場で申しますと八千三百平米くらいでございますから、二千平米という問題とはちょっと違うように思います。これはもし必要ならその誤差を調べてみます。
  229. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 一度調査をしていただきたい。国有地分については、市のほうも国と同じ考え方なんですね。ただ、問題になるのは民有地分で、立川市の九十二万八千三百四十七平米に対して、防衛施設局側では九十二万六千平米となっているということなのです。そこに約二千平米からの違いがある、こういうことなのですが、おわかりにならなかったら調査をしていただきたい。
  230. 高松敬治

    ○高松説明員 ちょっとわかりませんので、いずれ調査して御報告さしていただきます。
  231. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 先ほどお話がありましたように、立川基地には市有土地と市道が入り込んでいるといわれております。その事実関係をおそらく御存じだと思ますが、市有土地と市道はどれだけあるか。その点について……。
  232. 高松敬治

    ○高松説明員 先ほど御説明申し上げましたように、五百七十三万四千平米のうち、国有地が四百八十一万七千平米でございます。したがいまして、その差が公有地あるいは民有地、こういうことになると思いますが、その民有地と公有地の区分した数字は、いま手元に持っておりません。
  233. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 三十九年十月五日付で、立川市財発第二六八号をもって東京防衛施設局長あてに桜井立川市長より、「立川基地及び横田基地内所在立川市土地」、市道敷ですね、賃貸借契約締結方法について申請が出されておるのを御存じでしょうか。
  234. 高松敬治

    ○高松説明員 昭和何年でございますか。
  235. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 昭和三十九年十月五日付公文書で東京防衛施設局長あてに出ていますよ。
  236. 高松敬治

    ○高松説明員 来ているそうでございますが、現在その資料は手元に持っておりません。
  237. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それについて回答を出されましたか。
  238. 平井啓一

    ○平井説明員 まだ市のほうに回答を出しておりません。
  239. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 なぜ回答を出されないのですか。少なくともこういうように、市有地が入り組んでおる、それについて土地の契約をしたいと市のほうから申し出ている。しかも公文書で出しているのに対して、あなたのほうで回答を出されないというのはどういうことですか。無断使用ですか。
  240. 平井啓一

    ○平井説明員 その当該市有地につきましては、昭和三十年にかつての砂川町の町道であったものが廃道になりまして、立川飛行場の施設、区域に編入されたものであります。そこで、それが廃道になりましたときの経緯につきまして、施設庁側の認識と立川市のほうの台帳登載の認識に関しまして相違があったわけでございまして、三十九年にその問題が提起されまして、現在市とお話し合いをしながら当時の経緯調査中でございますので、したがって、それがはっきりしてあらためて御返事申し上げるという段取りで考えておる次第でございます。
  241. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 昭和四十七年九月十八日付の立川企第五一〇号をもって、防衛施設庁長官と東京防衛施設局長あてに市長より、「立川、横田基地内の市有土地の返還及び市道の解決について」の要望書が出されておりますが、防衛庁ではどのようにするつもりですか。
  242. 高松敬治

    ○高松説明員 いまの問題につきましては、私のほうでも、東京施設局に命じましていろいろ実情を調べている状態でございます。これも、いまほど答弁いたしましたような、立川飛行場に約八千三百平米、それから横田飛行場に六千八百平米の土地の旧道路敷がある、こういうことでございますが、そういうふうに登記簿にも所有権保存登記がなされております。ただこれも、いまほど施設部長が御説明申しましたような、旧砂川村道の廃道敷と申しますか、廃道処分されたものである。その廃道処分されたものについて、当然国有地として存置すべき性質のものであったように思うのですが、それからまた、格別に法に定めるような譲渡手続がとられていない、しかし登記はそういうふうに立川の市有地として登記をされておるということでございまして、その間の経緯につきまして、いま立川市にもいろいろお話を聞き、それから登記所その他につきましてもいろいろ調査、検討を行なっておる、こういう実情でございます。
  243. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 昭和三十九年に出した公文書に対する回答もなされていないというような、いわゆる不誠実なことではいけないと私は思う。少なくともこの土地の問題については、立川市と防衛施設局のほうとの関係に相違があるわけですから、早急にこの問題についてはやはり話し合って、そして何らかの解決のめどを見る。そのどちらが正しいのか、そういう点についても至急やはり調査をしていただきたい。その点、要望しておきます。  それから最後に、自衛隊員の住民登録の保留問題ということなんですが、いま大きな政治問題になっております。確かに基本的な人権にかかわる重大なことだけに、私としては、一日も早く解決されることが望ましいということは論をまたないと思います。そもそもその発端ということになれば、住民の意思に反して二度までも強行移駐を国家権力でやったことに対して、政府に反省を求めるために、住民としてやむにやまれないところの最低限度の手段を講じたことにほかならないと私は思っております。そこで、去る十日の革新市長会で申し合わせをした、登録問題解決の前提条件としての四項目の申し入れを革新市長会でやったわけですけれども、それに対する政府の見解はどのようになっていましょうか。
  244. 山下元利

    山下説明員 ただいまお話しの革新市長会の要請書につきましては、十三日に二階堂官房長官が、その代表である那覇市長立川市長、横浜市長とお会いいたしまして、この要請書をお受け取りいたしました。これにつきましては、この問題が非常に大事な問題でございますので、政府部内におきまして至急に考えを統一いたしまして、近く回答をいたす予定にいたしております。
  245. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 やはり住民登録の保留の問題は非常に重大な問題であります。ですから政府としても、これは一刻も猶予のならない問題だと私は思います。早期解決を必要とするわけであります。ゆえに、大体いつをめどとしてその革新市長会に対する御返答をなされるか、そのめどについてお伺いしたい。
  246. 山下元利

    山下説明員 われわれといたしましては、大体考えを統一いたしましたが、本日この内閣委員会がございますために、そのお話もあったために、私は、この結果を待ちまして明日あたり回答いたしたい、このように考えている次第でございます。
  247. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 では、明日回答されるということですから、どういうふうな回答になるか、またその結果を見て、私どもとしても御質問を申し上げなくてはならない点が出てこようかと思います。また防衛庁長官も、きょうは病気でお休みだということでございますので、追って防衛庁長官出席の場所において、立川基地移駐の問題についてはさらに御質問申し上げたいと思います。  以上をもって、私の質問を終わらせていただきます。
  248. 三原朝雄

    三原委員長 受田新吉君。
  249. 受田新吉

    ○受田委員 立川基地に強制移駐した自衛隊の問題に直接触れる法律問題を取り上げてみたいと思います。  この立川基地は、もちろん地位協定によって米軍が使用することになっているのですけれども立川のような、いまや副都心といわれるような重大な町の中心にはべる形になった、こうした情勢の変化。立川基地ができた当時から二十数年たった今日、副都心の中心に基地があるというような状態になったかかる段階において、この基地の返還を求めるための情勢の変化による強力な要請というものがされておるのかどうか。地位協定第二条の二項にある、この日本国内の施設、区域の使用を許されるそのことに対して、「日本国政府及び合衆国政府は、いずれか一方の要請があるときは、前記の取極を再検討しなければならず、また、前記の施設及び区域を日本国に返還すべきこと又は新たに施設及び区域を提供すること」云々と、こうありますが、ここはもう明らかに、立川のような大都市のまん中にはべるような基地は、当然この二条二項によって返還要求をしてもいいのじゃないかと思うのですが、いかがでしょう。
  250. 箕輪登

    箕輪説明員 受田先生のおっしゃるとおり、返還要求をいたしており、ただいま話を続けている最中でございます。
  251. 受田新吉

    ○受田委員 この規定によって返還要求をした時点はいつですか。
  252. 高松敬治

    ○高松説明員 先ほどもちょっと話が出ましたが、関東地区における米軍、特に空軍の基地についての整理統合計画というものを、現在、日米双方で検討をいたしております。立川の問題もその中に含まれて、当初からこれは出ているわけでございます。時期は、昨年の六月に私が参りましたときには、もうすでにこの問題は取り上げられておりました。サンクレメンテ会談あとしばらくしてこの問題が取り上げられてきておるというふうに大体承知いたしております。
  253. 受田新吉

    ○受田委員 その時点はもっと明確にしてもらいたい。それは、この二条二項の発動は、副都心に立川基地がはべるようになったという状態の変化に対しては、もっと機敏で、もっと早くしなければならなかったことだと思うのです。時期は明確に定められたはずです。つまり、いつやったかぐらいのことは、あなた方が関与しておられるのですから……この二項の発動はいつやられたのですか。
  254. 高松敬治

    ○高松説明員 二項の発動という形よりは、そういう基地を総合的に整理統合していこうという話の中で立川基地の問題が取り上げられてきておるということでございます。時期は昨年の二月ごろからそういう話が起こっておるように承知いたしております。
  255. 受田新吉

    ○受田委員 一方の要請、日本国政府の要請をされた明確な期日があるはずですね。日本国政府の正式要請はいつであったか。あいまいなことでなくて明確に……。
  256. 高松敬治

    ○高松説明員 私の承知しております範囲では、日本政府からこれを要請したということではなしに、いわゆるKPCPと申しております、関東地区空軍の整理統合計画の中にこれが取り上げられてきたというふうに聞いております。
  257. 受田新吉

    ○受田委員 いま政務次官は、日本国の政府が正式に要請したと答弁されたのですが、施設庁長官答弁と食い違っております。
  258. 箕輪登

    箕輪説明員 ただいま、先生趣旨に沿うて、同じような考えでアメリカと交渉中であるということを申し上げたわけでありまして、私は正式にいつ交渉に入ったか全く知りません。ただ、サンクレメンテのあと、二月ごろからそういう交渉に入った。御承知のとおり、この交渉は外務省がいたすわけでありまして、私どもそういうふうに聞いているだけだということを申し上げておきたいと思うのであります。正式には外務省が一番よく知っているのではないか、かように思うのでありますが、外務政務次官いますか。——帰ったそうです。申しわけありません。
  259. 受田新吉

    ○受田委員 私は、法律の規定に基づいて、法律論としていま論議すると申し上げたわけでございまして、いいかげんな、話し合いをしますかというような、正式の要請でなくて裏取引のような打ち合わせというようなものであってはならない。地位協定の第二条第二項による、日本国政府の正式な要請に基づいて「前記の取極を再検討しなければならず」というこの規定が正式に発動したのはいつかを、私、お尋ねしておるわけです。
  260. 長坂強

    長坂説明員 補足してお答え申し上げたいと思います。  いわゆる施設、区域の問題、米軍基地の返還に関する要請とかあるいは交渉とかの関係でございますが、これは外務省が主として当たりますけれども、決して裏取引とかなんとかいう意味ではございませんで、いろいろな問題がございますので、よく話し合いを積み重ねてまいります。これはときに私どもも相談を受け、あるいは外務省に対して要望するということをいたしますが、いろいろ多くの項目と申しますか、場所がございまして、それを一々こまかくやっていくために、実際に話し合いが固まってしまって、それでは返還を要請するというふうな文書の段取りになるのは話が煮詰まってからのほうが多うございまして、先生の御質問はまことに筋の通ったことではございますけれども、実際の交渉というものは、決して裏取引ではございませんけれども、外務省の会議室でとか、アメリカ大使館の会議室でとかで行なわれているわけでございますので、その点ひとつ御了承いただきたいと思います。
  261. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、いま参事官のおっしゃることは、この協定の規定による正式な日本国政府の一方の要請という意味ではない。向こうからでもこちらからでも、どちらが要請してもいいことになっている。そのいずれかの一方ということになっている。日本国政府として、日本側から正式に要請したというその手続というのは、結局なかったのですか、政府としての要請は。
  262. 高松敬治

    ○高松説明員 今度の空軍の施設、区域の整理統合計画というものは、幾つかの空軍基地一つのいわばワンパッケージにいたしまして、そうしてそれを整理統合していく、あるものはあるところに移すというふうな形のものになってまいっております。その中に立川が当初から入っていたことは事実でございます。  それから、おっしゃることの意味はよくわかるのでございますけれども、そういうことで、全部としてこれを検討し、これをどうする、これをどうする、どのくらいのものがどうなればいいんだというような話にどうしても具体的になってまいっておりませんで、二条の手続に基づいてどっちかが要求をして片方が検討するという形よりも、むしろ双方が持ち寄って検討を始めた、そしていまだんだんその結論が出そうな形になりつつある、こういうのが状態でございます。
  263. 受田新吉

    ○受田委員 どうも私、この協定の規定に沿ってお尋ねしておるのですけれども、さだかでない点があるのです。つまり第二条による日本国内の施設及び区域の使用が許される。許されたそのことに対して、個々の施設及び区域に関する規定は、二十五条に書いておる合同委員会という機関で決定されることになる。しかし、取りきめの全体的な問題の再検討、それから個々の施設及び区域の検討、それを二つに分けて協定はうたってあると私ば思うのです。そのことについて、「いずれか一方の要請がある」ということに対する「前記の取極」は、日本国内の施設及び区域、つまり全面的な問題と個々の問題と両方含んでおると私は思っておるのですが、それに対して、この正式要請をした、それに基づいていま個々にやっているんだという政務次官の御答弁であったのですけれどもお話を聞いていると、地位協定という条約の第二条第二項の正式発動はまだない。ただ内々正式発動に備えた打ち合わせをしているという、そういうことではないのですか。
  264. 高松敬治

    ○高松説明員 ちょっとその辺のこの条文の理解が私たいへん不十分でございますけれども、私、これは外務省の見解をまたないとちょっと何とも言えないところがあるのですけれども、私の理解では、こういう二条二項の規定というものは、一方の要請があるときは必ずその取りきめを再検討しなければならないということでございます。したがって、こういう一方の要請があるという形がなくても、両方の合意があれば、その返還をきめていくということは当然にできるというふうに考えます。  それで、二条二項の規定というのは、そういう意味では、そういう要求があれば必ず正式に再検討をする義務があるということを規定したものであって、したがいまして、今度の空軍基地の返還の問題につきまして、この二条二項による形を必ずとらなければいけないのかどうかという点がちょっと疑問に思います。しかし、あるいはこれは今度の安保協議委員会にかかるとすれば、その際に、こういう二条二項に基づいた形というものはとられるかもしれませんけれども、その辺の手続は、ちょっと外務省でないとお答えできかねるように思います。
  265. 受田新吉

    ○受田委員 それは、防衛庁と施設庁と外務省は常に連絡をしていなければならないわけなんだし、合同委員会にも閣僚級はメンバーになっているわけですから、そういうことは、この条文をすなおに読めば、条文の発動によってこれが協議されることになるということは、もう明白にわかる。つまり、安保条約の廃棄ということに対して、一方の通告で規定されていると同じような規定だと、私はこれを見るのです。したがって、正式発動がないのだ、ただ寄り寄り打ち合わしているというようなことであれば、第二条二項の規定によるいまの会談ではないのだ。初めの政務次官の御答弁とは違ったかっこうで、いまの防衛施設庁長官の御答弁は、この二条の二によるものでなくして自発的にいま話し合いをしているんだということですから、政府側としては意見をよく統一さしておいていただきたい。これは大事な問題でございまするから、これ以上は当局で御検討いただくこととしまして、具体的な問題に触れていきたいと思うんです。  私、この一千万都市のどまん中にある立川を引き続き基地に使用しているということは、これは非常に不合理、非現実的であると思うんです。それにまた、突然ヘリコプター部隊移駐させる、しかもそれは強制移駐であるというような、こういう形をおとりになったということはきわめて痛恨事。しかも総選挙が終わって間もない間に、国民の総選挙に対するいろいろな感情のもつれている最中にそういうことをさあっとやられるということにおいて、行政府としてはきわめて不適当な措置であったと残念でなりません。したがって、われわれとしても、これをすみやかに白紙に還元して、もう一度話し合いでスタートし直すという提唱をいたします。  質問をされた方々がたくさんあって、相当論議が進んでおりまするから、なるべく論議の重ならない点を一つ二つ指摘したいのでございますが、久保局長が、一年半前でしたか、久保・カーチス協定というものをおきめになりまして、沖繩の返還に伴う自衛隊配備計画をお立てになったようですが、あの安保協議委員会はそれから後に開かれておるのかどうか、お尋ねいたします。
  266. 久保卓也

    ○久保説明員 その後やっていないと記憶いたします。
  267. 受田新吉

    ○受田委員 その後において、日中の国交回復、ベトナム戦線の新しい展開、また平和への動き、また国内においても自衛隊のいろいろな事件が相次いで今日を迎えているというこの段階で、この安保協議委員会というものは、この緊張緩和の状態に即応してもっともっと会をひんぱんに開いてよかったものじゃないか。この一月二十三日になってやっとこれを開いて、今度の問題もこれの討議をかけましょうという、これは少しテンポがおそ過ぎますね。もう立川基地に関する問題などは、とっくに片づけておきたかった。安保協議委員会をいまさら一月の二十三日にあわてて開くような形、久保・カーチス協定締結後一年半も安保協議委員会をほうってあるというのは、こうした、国際情勢が急激に緊張緩和への方向へ転進をしていることと、国内のいろいろな自衛隊基地を縮小する空気がほうはいとして起こっているときにおいて、あまりにもずる過ぎる、こういう感じを持っております。  安保協議委員会は、一月二十三日にはどのようなものをここで討議されるのか、お尋ねいたします。
  268. 久保卓也

    ○久保説明員 外務省が答弁されるのが至当でありますが、おそらく私も出席するであろうと思いますので、仄聞している範囲内で申し上げますと、極東情勢の分析の問題、それから安保条約の運用の問題、それから基地の統合整理の問題、以上三点に集約されるように仄聞いたしております。
  269. 受田新吉

    ○受田委員 基地の統合整理に関する問題が最後に出てきたわけでございますが、極東におけるアメリカの戦略体制というようなものの中に、日本にその使命を肩がわりさせようとする動きがあるのではないかという懸念も一部に持たれているわけなんです。そういうようなものがこの会議の中にのぞく懸念はないか、御答弁願います。
  270. 久保卓也

    ○久保説明員 アメリカのアジア政策の面からしますると、日本に米軍がやっておることを肩がわりさせるという一般的な考え方はないと思います。これは先般、昨年でありますか、キッシンジャー補佐官が日本に参りましたときにも言明したそうでありますが……。したがいまして、アメリカ側としての問題は、アジア戦略の中での海外の基地、アジアにある海外の基地がどんなウェートを占め、どのように整理統合されるか、つれまして日本本土あるいは沖繩にあります基地をどうするのか、そういった観点からの議論があるかどうか存じませんけれども、あるとすればそういうような問題であろう。おそらく、日本の米国に対する肩がわりという形ではありますまい、そういうふうに思います。
  271. 受田新吉

    ○受田委員 いま南北朝鮮は民族の自主的な統一への歩み寄りを始めようとしおります。南北朝鮮がそれぞれの主権を認めながら平和的に自主的な統一への動きが出ておる。しかし、その中に、韓国にある米軍の存在については、きわめてデリケートな問題として双方が考えているわけですが、南朝鮮にある米軍の存在というものに対して、その安保協議委員会は何らタッチしないものかどうかです。
  272. 久保卓也

    ○久保説明員 この辺になると、私の答弁の外に出ると思いまするけれども、あえて私がお答え申すとするならば、安保協議委員会の話をされる議事外であろうと思います。
  273. 受田新吉

    ○受田委員 これは極東におけるアメリカの戦略の一環ではありますね。したがって、日本に対してそれを全然関係なしとして放置できるかどうか。そして、朝鮮海峡という問題をはさんだ近接の国の防衛に関する問題として、極東という問題が当然はべっている日米安保条約の状態の中で、これは安保協議委員会のワク外であると言明できるかどうかです。
  274. 久保卓也

    ○久保説明員 関連があることは確かでありましょう。ただ、具体的に今度の協議委員会でそういった話が出るかどうかということについて、私はおそらく出ないのであろうというふうに思うことを申し上げたわけであります。  韓国の米軍の師団は、本年の六月までいるということは一応保障されておりますが、そのあとは、存続するのか、撤退するのか、これは明言されておりません。航空部隊については、もちろん何らわかっておりません。そういった米軍と韓国との非常にデリケートな問題が日米間で取り上げられるかどうか、その点については私ども疑わしいように思います。つまり、私どもが聞いてもうまい返事が返ってくるかどうかわかっておりません。いままで私が仄聞している範囲では、そこまでのデリケートな問題は出てこないのではなかろうかというふうに想像をいたします。
  275. 受田新吉

    ○受田委員 そういう事態が起こった場合における日本の自主的な態度というものは、十分心しておいてもらいたいという問題を提起しておきます。  そこで、立川基地の在日米軍の空軍基地としての使命はどういうものですか。大まかにお答えを願いたい。
  276. 久保卓也

    ○久保説明員 これは今朝来再三議論されているところでありまして、立川移駐をいたしましたのは、立地条件からしまして、災害救援には最適の場所であるということで……。
  277. 受田新吉

    ○受田委員 米空軍基地の使命。
  278. 久保卓也

    ○久保説明員 失礼しました。これは、従来は輸送基地として使われておったわけでありますが、米軍としては、おそらく将来手放すかもわかりません。手放すかもわかりませんが、当面の間は、米軍としては、常に基地というものはオールターネート、代替基地というものを常に保持しておきたいという考え方がございます。したがいまして、そういったような要素が当面しばらく存続するであろうということで、共同使用の形になるであろうと思いますけれども、私ども見るところにおいては、そう遠からずのうちに、それほどの必要はなくて、おそらく横田なら横田だけでがまんをしてもらうということは可能ではなかろうかというふうに思います。
  279. 受田新吉

    ○受田委員 米国は、立川基地が東京の副都心にはべっておる、この実情は十分知っているはずです。この都市の過密化の中に、大東京のどまん中にこのような基地を置いておくことが不適当である、ほかの基地に適当に統合していい事情にあることもわかっておると思うのですけれども、行きがかり上がんばっておる。そこへ今度移駐をされるということになるのですから、これはもう寝た子を起こすような形にもなるし、あえて無理をされなくても、ヘリコプターの十機や二十機、三十機ぐらいのことは、どこにいたっていい。一般民間航空の横にでも置ける。災害出動だけなら、喜んで民間航空が協力して共同使用しても私はいいと思う。つまり災害出動だけに備えるヘリコプターだということであるならば、そうむずかしく立川をあえて選ばなくても私はいいと思うのです。これは何百というのなら別ですけれども、十機か二十機か、精一ぱい追加して三十機程度。しかも今度移駐したのへ引き続き、今度は強制移駐でしたけれども、平和裏に移駐する計画はあるのか。残りはどうなっているのですかね。残余の移駐の計画は、いつごろ、出し抜けにやるのか、あるいは円満にやって移駐されるのかも含めた方法論を、一緒に御答弁願います。
  280. 久保卓也

    ○久保説明員 現在は十機、二百数十名の要員がいるわけでありますが、大体これで二月一ぱいでいきまして、三月中に残りのものを入れまして二十八機、五百三十名ばかりのものになる。これは一部航空機動、一部陸上輸送ということになろうと思います。期日そのものはきまっておりません。
  281. 受田新吉

    ○受田委員 それも話し合いでやるということですけれども話し合いに応じなければ、またこういうふうなかっこうがとられる可能性が私できると思うのですね。もうこれでひとつおかれちゃどうですか。これ以上はもう新しくは移駐しないで、さしあたり、いままで移駐した分で、十機でがまんするというのに一応方針をしておかれて、話し合いに応ぜられる。いまの、次の三月になったらさらに五百何人来るというようなことになると、問題はややこしくなるので、一応あと移駐はしばらく見送って、現在の時点で話し合いに応ずる、こういう形にはなれないですか。
  282. 久保卓也

    ○久保説明員 全体の計画を私の一存で申すわけにはまいりませんけれども、今朝来お話がありまするように、話し合いが基礎であるという姿勢は変わらないわけでございまするから、地元の方々のほうでお話し合いがあるということでありますれば、その話し合いに応じてまたこちらの計画も考えるということはしかるべきことかというふうにも思います。これは防衛庁長官とも御相談をしてまいりたいと思います。
  283. 受田新吉

    ○受田委員 私、こうした基地のある市というものは、保守的な市長さんでも住民の意思に従って行動し始めると、つい革新的なかっこうになって、自民党の皆さんは、だんだんと自派に属する市長さんまでも革新派に追いやっておるという、お気の毒な結論が出る。阿部市長さんだって、知らず知らずのうちにそういう方向へ追いやっていくということで、やがて革新政権が実現する根源をつちかい育てることに御協力をいただいておるようなにおいもしないことはないのですがね。こういうことはやはり話し合いによってというのは、いろいろ手があるのでございますから、とにかく今度のごときは東京のあの人口稠密な大どまん中に持ってくるというところに問題があるので、それさえ避ければ、こういうことについてこれほどきびしい抵抗はないと思います。  しかも今度は犠牲者が出てきた。犠牲者は自衛隊員。罪もない自衛隊員が住民登録、住民票を登録してもらえないというような、坊主憎けりゃけさまで憎いというような恨みがそこへ出てきておる。そういう残念な現象が起こっておるのです。私これは非常にやり方としては残念なやり方がいま行なわれておるのですが、一般自衛官というものは何ら罪がない。しかも職業を選ぶ自由の権利を行使して自衛官を選んだ。選んで自衛官になって、強制移駐したばっかりに住民票の登録もしてもらえない。住民たるの権利を一切行使できない。  自治大臣がいま来られましたが、江崎先生、あなたは防衛庁長官を二回にわたっておやりになり、非常に苦労を重ねてこられました。いまや自治大臣として、かつ国家公安委員長——あのほうは別ですか。一緒ですか。(江崎国務大臣「いや、一緒です」と呼ぶ)そしたら、現に警察を握り、かつて自衛官を握った。権力の最も強大な組織をお握りになっただけに、きょうはいまから御答弁をいただくわけです。これはあなたのお立場では非常にお苦しいことがあると思います。あなたのような善良な性格をお持ちの方が、自治大臣になったらまたこういう問題が出てきた。あなたの行くところにいろいろなものがくっついていっておる。  私、いまお尋ねしたのですけれども、一般自衛官というものは罪がないのです。何ら罪がないその自衛官が、自衛隊のこういう強行措置に対する住民のふんまんの中に犠牲になったんです。坊主憎けりゃけさまで憎いことになったんです。そして自衛官は、その住民票の登録がしてもらえないために、いろいろな権利を行使できない。就学年齢に来た子供も学校に行けない。学校教育法で義務教育を受ける年齢に達した者はちゃんと教育を受けさせなければならぬ。病気の治療をするときにも、ちゃんと健康保険関係の手続が要る。結婚の手続も要る。結婚もできない。そういういろいろな人権上の問題が出てきた。憲法上の基本的人権に関する諸問題があわせて派生して出てきた。これは私自身としては、立川移駐には全面的に反対し、白紙還元をさっきから法律論と実際論で強硬に述べているんだが、自衛官の人々に対する今回のようなはなはだ不幸な状態に対しては、これは人間として個人を大事にするために、私は一人一人守ってあげたい。これは闘争される皆さんにも、自衛官一人一人の家庭を犠牲にするな、かわいい子供まで犠牲にしてくれるなと私は訴えたい。いまから学校に行こうという子供が学校にも行けない。ほかの子供は入学で喜んで行けるのに、自衛官の子供は基地の中でさびしく指をくわえているなどという現象が起こったら、これはもうほんとうに残念な話です。闘争が長引けばそういう問題が当然派生する。これに対しては、自治大臣としては一体どういう措置をされるのか。自衛官であるといえども市民の一人である。その市民の一人一人に対して、何らかの形でこれは話し合いにおいて解決するという手も一つある。それが好ましいことだけれども、しかし、一方で剥奪した権利、それから一方で義務も行使できないですね。つまり、住民でないから住民税などを納める必要がないなど、つまり納税の義務がなくなるのかどうか。そういうものを含めて御答弁を願いたい。
  284. 江崎真澄

    江崎国務大臣 先ほど加藤陽三議員の御質問にも、私、率直に答えておいたわけですが、いま御指摘のような問題が出ておりまして、自衛官そのものとしては、全くはたと弱り果てておるというのが実情だと思います。それでまた受田議員も、立川移駐反対だとおっしゃいますが、これにつきましては、先ほどもう午前中以来いろいろな質疑が繰り返されたわけでございます。そこで、本来なら総理が出てまいりまして御答弁申し上げる筋合いであったかもしれませんが、総理立場を代理して二階堂官房長官出席されて、そして政府側の考え方については率直な見解の表明があったわけでございます。そこで私は、午前中以来お答えの機会ごとに、ちょうど鈴切さんにはあらためてお願いができなかったのでありますが、これは社会党の大出さんにも、また共産党の中路さんにもお願いを申し上げましたことですから、当然鈴切さんにも、同時に民社党の受田さんにも、自衛隊の問題、また立川移駐の問題等々とは切り離してこの問題は解決ができるように、代議士として御相談をお受けになったり、あるいは党として相談を受けられるような場合がありましたならば、ぜひひとつお骨折りをいただきたいと思いますと、ひたすらお願いをしておるわけでありまするが、これはあらためて鈴切さんと受田さんに、党を代表される両先生にもお願いを申し上げたいと思います。  そうすると、そちらはかってなことをして、既成事実をつくっておいて何を言うかというおしかりが出るかもしれません。しかし、それは先ほど来、防衛庁長官にかわりまして政務次官から、その当時も防衛庁長官病気でありましたために、かわって折衝に当たり、責任を持っていろいろ話し合いの場に臨んだ場面等、事務当局とともに詳細この御説明などを申し上げ、また二階堂官房長官も、今後とも継続的に地元側とはよく話し合いをしていきたい、こういうことを申しておりました。そこで、どうぞひとつ、安保の本質的な再検討であるとか、あるいは自衛隊の職務上のいろいろな疑義であるとか、これは立場が違いますから、いろいろ御意見の存するところは、私はこれは、受田さんということを申し上げるのではなくて、前からの質疑者の御意見というものはよくわかるわけでありまするが、これはなかなか解決するのには時間のかかる問題で、それを、政治の場であるとか、やはり外交ルートを通すとかいう、そういうことで解決を願わしい。  私どもとしてはあくまでも、県知事に要請をしたり、あるいはこの助言、勧告ということが法律上もできることになっておりまするので、いまは助言の前提として、県知事も早く自衛官の登録を希望しておられるのだから、なおこれをひとつ徹底するように御協力を願いたいといったような通達が十二月二十三日に出ておるわけでありまするが、これからも、これは電話もすぐかかるところですから、しかも日本に返ってきた那覇であります。立川はお隣でありますから、しばしば繰り返し折り返し粘り強くぜひお願いをしてまいりたいというふうに考えております。もちろん、訴訟の道とかいろいろな方法は、自衛官そのものにも、基本的人権に関することでありまするから、認められておりまするが、いかにもそういことに持ち込んですみやかに解決すればけっこうですが、これがいたずらに月日を過ごすだけということになりまするので、よくよくひとつ積極的に粘り強く話し合いをして事の解決を見たい。それには、きょう内閣委員会でたまたま、こうして各党の代表の諸先生にお目にかかることもできましたので、委員会を通じまして、この自衛隊移駐の問題であるとか、自衛隊反対であるとかという問題とこれとは、ひとつ切り離して御処置を願うよう御協力方を懇請しておるというのが私の立場でございます。
  285. 受田新吉

    ○受田委員 あなたの答弁は、これはさっぱりなんです。そういうことを私、お尋ねしているのではない。私は、そこをそういうふうにいまお尋ねしたのだ。それに対するお答えがないのです。私、大臣に、あなたは立川強制移駐閣議に列しておられましたか。どうです。
  286. 江崎真澄

    江崎国務大臣 列しておりました。
  287. 受田新吉

    ○受田委員 あなたは昨年三月七日に立川移駐に対する御自身の痛恨なる体験がおありなんです。したがって、出し抜けにヘリコプターでやるというのに、前防衛庁長官として、自治大臣のほやほやの立場で何か一言を言うべきだ。こういうことをやるとすぐ次のことが起こるよ、那覇の二の舞いになると、閣議で強力な主張をされて、こういうやみ討ち、夜討ち、夜がけ朝がけのようなかっこうでない、堂々とした措置をとろうじゃないかというのを、あなたが発言されるのが一番筋が通ったと思うのです。これがまた痛恨事です、あなたがやられなかったのは。国家公安委員長という職責の重さに感じて、権力の乱用のほうへ加担されたのじゃないか。いかがですか。それに対してなぜ反対されなかったか。
  288. 江崎真澄

    江崎国務大臣 確かにおりましたが、今朝来、閣議内容やりとり、そういったことは表に出さないという原則を踏まえまして官房長官もいろいろ申し上げておったわけでありまするが、これは時間節約の意味から私、繰り返しませんが、御承知のようにこの首都に大災害が起こったときどうするか。もともと配置をきめるときが、ロサンゼルスの大地震のあとの対策であった。しかもこの間のニカラグアの災害がまた出たというような場面で、やはり災害というものは忘れたころに来る。話し合いは私も必ずしも十分と思いませんが、先ほどから聞いておりまするというと、防衛庁側では、折り返しひっ返し何べんとなく話し合いに乗ってもらう努力をしたもののようでありまするが、どうも相手の方が、これもお立場の存するところでしょうが、話に乗っていただけない。そうこうして大局を誤ってはならぬ、いまもし災害が起こったときに計画をしながら今度は何だと言われたときに、これはやはり責任を明らかにしなければならぬという意味も大いにあると思います。そういうことで、防衛庁長官が最終的に判断をし、そして協議をされました事項に、私どもとしても異議なく賛成をしたというのが実情でございます。
  289. 受田新吉

    ○受田委員 それは異議なく賛成するというようなことでは、これは困ったものなんですね。  私、東京湾の埋め立て地区などに救援用のヘリコプターの基地というなら、災害出動用のヘリ基地というなら、東京湾の新しい埋め立て地区の一角に、そういう非常災害のときのヘリの基地ができたというなら、これは市民だって私は反対しないと思うのです。ところが、いまの立川基地の中にあるというので問題になるので、東京湾の新しい埋め立て地区の一角にヘリ基地を設けていくという方法もあるじゃないですか。これが一番身近なところで救援のときに役に立つでしょう。そういうような構想でなくて、立川とか、何だかああいうところにばかり頭を向けるからややこしくなるので、そういう閣僚として、国務大臣発言を、ひとつ敬愛する江崎さんちっとやってみぬですか。これはあなた自説に固執せずして良心で行動してもらいたい。  それから、私、きょう文部省の方来ておられると思うのでお尋ねしたいのですが、いかがでしょう、基地の中に、自衛官のお子さんとして就学義務を果たす子供さんが出る。しかし、住民票がない。そういう場合に、そのお子さんは、何かの方法をもって、学校教育法に規定した就学義務を果たす道が開かれるのかどうか一また、もう一つ基地の中へは先生方が家庭訪問もできない。校外指導もできない。そういうときに、学校の先生だけは、子供との連絡をとるため、校外指導のために基地に自由に入れる道が開かれておるのかどうか。次代を背負う可憐な子供をこの闘争に巻き込んじゃいかぬですよ。純真な子供だけは、私はおとなの犠牲にさせたくないのですよ。これは私、特に気にかかってしょうがないのです。御答弁願いたい。
  290. 松浦泰次郎

    ○松浦説明員 先生のお説のとおり、子供の就学に関しましては、学校教育法の施行令の手続によりまして、住民基本台帳に基づいて学齢簿という帳簿が作製されることになっております。しかしながら、本件のような場合には、事実上仮入学というような措置がございまして、法令上の就学手続は先ほど申し上げたようなたてまえでございますが、子供を実際上学校に行かせて事実上の授業を受けるというような措置がとり得ることになっております。  それから、学校の卒業時期等がまいりました場合には、緊急の場合でございますので、そのような場合には、住民の基本台帳に基づかなくとも、教育委員会の職権によりまして学齢簿の訂正というような措置もとり得るようになっておりますので、就学義務の履行、あるいは子供の実際上の学校の授業、就学に関しましては、支障のないよう措置できると思うのでございますが、たてまえとしましては、やはり住民基本台帳が正当に整備されまして、それに基づいて就学手続が行なわれるべきものと考えております。
  291. 受田新吉

    ○受田委員 子供にしてみれば、おれは仮入学だというさびしい影がひそみますよ、あれは仮入学だと人が言うから。子供は案外言うものです。非常にさびしい影を落とす子供ができるわけです、仮入学ということは。そういう措置ではなくて、今回のような場合には、正々堂々とした措置にする道はないのか。  それからもう一つ。家庭訪問、校外指導、そういうときに、これは教育上の問題として——これは防衛庁のほうで措置するのですか。文部省と相談して何かやる道があるのですか。基地の中は先生の陰のぞきもできない。子供一人取り残されて校外指導のらち外に置かれるという悲劇がないようにしてもらわなければいかぬです。
  292. 箕輪登

    箕輪説明員 受田先生おっしゃるとおりの心配が、ただいま那覇、立川両市におきまして起きておることは事実でございます。特に、仮入学という措置を那覇市はとっておりますが、仮入学をされた子供さん方は、同じ日本人でありながらなぜ仮入学になるのかというようなことで、非常に悩んでいることを報告で聞いております。憂慮いたしておるところでございます。したがって私どもは、どうか仮入学でなしに登録が一刻も早くできるように、両市に対しましてお願いをいたしておるところでございます。この仮入学というのはまことに遺憾であります。  ただ、もう一つ質問のありました、学校の先生の家庭訪問というような問題、あるいはまた那覇市、立川市がこの権限に基づいて行なう調査については、これはもう日本国の法令が全部適用する自衛隊でございますから、どうぞいつまでもお知らせいただければ、われわれのほうでもゲートまでお迎えにいって、そうして調査が円滑に行なわれるように御協力を申し上げたい、こういうことを申し上げているわけでありまして、家庭訪問も、そのような方針に基づいてお受けいたすつもりでおります。
  293. 受田新吉

    ○受田委員 もう一つ、税金のほう、住民税はどうですか、大臣。住民税は納めなくてもいいのか。
  294. 江崎真澄

    江崎国務大臣 場面としては、とりあえずいまこの登録がなされませんと、役所側としては住民税の対象者であるということを少なくとも認めてないわけですから、事実上納めないような形でこう出てきておると思うのです。しかし、これはすみやかにこの登録が実行されれば、当然さかのぼって処置されるということになるわけでありまするから、住民税そのものについてはたいしたことでありません。  しかし、これは先ほど来この委員会で議論になっておりましたように、もし届け出を怠れば過料に処せられる、そういう条項があるものを、自衛隊反対だから、やり方が困るからということで受け付けないという側に罰則がない。ないのがあたりまえで、これはそういうことをやるはずがないという前提に立ってこういう法律はできておるわけでございます。ですから、もう私、くどくどしいことは申しませんが、少なくとも届け出を怠れば過料があるということは、届け出を受け付けなければもっとそれにも増して重い罪、とががあってしかるべきものです。しかし、そういうことはないということでこの処置されておるものをいつまでもそのままでいくということであっては困るわけでございまして、なお私ども、先ほど申し上げましたように、粘り強くひとつ助言をしつつ話し合いに入っていきたい。ぜひ相手側も、それとこれとは別ということで、話に乗っていただきたいものであるというふうに考えておるわけでございます。
  295. 受田新吉

    ○受田委員 これで質問を終わりますが、私、この住民の権利義務関係をきちんとすることについては、こういう紛争の中でこれを巻き込んではならないという原則に立っておるのです。つまり、この立川基地に強制移駐したという政府のとんでもないあやまちを白紙に還元してやり直すという前提に立ってこの問題が早く処理されるのを期待しますけれども、しかし、その住民の側に立つほうのそうした大事な問題の処理が、いつまでもこのまま闘争の巻き添えにされるということは私は忍びない。これはその担当の皆さまにも、この問題はひとつ、子供を犠牲にしたり、ただ単なる個人たる一市民としての下級自衛官を犠牲にされることは、これは早く取りやめて、それをワク外にして堂々と正面から闘争をやってもらいたいという気持ちを私は持っておるわけです。その点についていま意見を述べたわけでありますから、この問題の解決を、政府自身としては、白紙還元による再スタートということをぜひひとつこれから——いま幾つか明示した新しい道が幾らでも開けておるわけです。新しい平和の国づくりのために、政府は十分心してがんばってもらいたいと思うのです。いいですか。この点を十分注文を申し上げておきまして、時間が来たようですから、時間厳守の質問を終わります。
  296. 三原朝雄

    三原委員長 木原実君。
  297. 木原実

    ○木原委員 私も五分間ほど、一、二点、確認をいたしておきたいことがあるのでございます。  これからのやり方といいますか、措置の問題。今朝来、同僚委員との間に熱心な応答があったわけですけれども防衛庁としましては、これから話し合いを引き続きやっていくのだという政務次官お話もございました。また、あす革新市長会に対する回答も出る、二十三日には協議会も開かれる、こんなような運びも明らかになっておるときなんですが、その際に防衛庁としては、立川への移駐をした飛行隊を暫定使用という考え方なんですか。それともやや恒久的に使いたいという前提にお立ちなんですか。いかがです。
  298. 箕輪登

    箕輪説明員 お答えいたします。先生も御承知でございましょうが、ただいまの移駐いたしました立川基地の部分は国有財産でございます。したがって、国有財産審議会の審議を経まして、その結論が返還になるまでの暫定的な期間というような意味合いになっておりまして、その意味において暫定使用ということでございます。
  299. 木原実

    ○木原委員 もう少しほんとうの意図といいますか、企図をざっくばらんに言ってもらいたいと思うのです。たとえば、首都の防災のために必要な装備その他を配備するためには立川というところは非常に適地であった、他にかえるところがなかった、こういう防衛局長などの話もございましたね。そんなような御答弁からいたしますと、他にかえるところはないわけですから、しかも防衛庁で防災という一つの使命感をたてまえにして、他に選ぶところがないんだという形で移駐を強行した、こういう形になっておるのですね。しかも、お話がございましたように、国有財産のほうの関係では、たてまえとして暫定的な使用だ、こういうことになっておるわけですね。しかし、防衛庁の腹としてはどうなんですか。将来にわたって使用をしたいという腹なんですか。それとも暫定的な措置として、とりあえず移駐をしたということなんですか。どうですか。
  300. 箕輪登

    箕輪説明員 三年ないし四年後に返還になるであろうと想定されています現在の滑走路部分並びに維持整備部分、こういったものは一緒に返ってくる予定でございますけれども、それにつきまして、返還がきまった時点において、地元側とよくあと地の利用については御協議を申し上げてまいりたい、かような考えを持っております。そこに居すわるという考えはいまから固めているわけではございません。そういう時点において、あと地の利用については、地元側、特に昭島市や立川市とよく相談を申し上げてきめていきたい、こういう腹でおります。
  301. 木原実

    ○木原委員 先ほど来、これは同僚委員各党ほとんどこぞって、白紙還元をすべきだ、他に方法がなかったわけじゃないじゃないか、こういう意見が出されたと思うのですね。ですから、これからも話し合いもしていくんだ、あるいはまた返還になったあと協議をしていくんだということになれば、これはいまから居すわる腹を固めているというわけではないというわけですか。それならば、他に適当な方法、あるいは次善の策になるか、あるいはベターの方法になるかわかりませんけれども、災害対策のために別途の基地を求めて、たとえばこれは白紙還元もあり得るんだ、そういう考えでございますか。
  302. 箕輪登

    箕輪説明員 私の申し上げたいことは、先生の意思に反するかもしれませんけれども、そうではございませんで、全く白紙で返還時には御相談を申し上げたい、こういうことでございます。特に私どもがこだわってそこに居すわるという気持ちは、現在のところ持っておらない。話し合いでもって、あるいはおれるならおらしていただきたい。  また一つの方法として、たとえば、入間基地だとか、あるいは厚木だとか、あるいは木更津とかいうところで間に合うのじゃないかというお話がございました。また受田さんからは、東京湾の埋め立て地区がいいんじゃないか、これは一番近いんじゃないかというお話もございました。前段の三基地については、先ほど久保防衛局長から御答弁したばかりでございますから省略いたしますが、東京都防災会議あるいはまた消防審議会等で検討いたしました結果、受田先生いらっしゃいませんけれども、埋め立て地区などが一番あぶないところでありまして、基地そのものが破壊されてしまう危険がございます。いろいろと検討したのです。入間も検討いたしましたし、また、いま申し上げた木更津も、さらに厚木も検討いたしましたが、先ほど申し上げたようなわけでできません。新しい事実として埋め立て地域ということが出てきましたが、埋め立て地域が一番地盤が悪いところであります。しかも海岸であります。ですからこういうところが一番危険なところであります。その一番危険なところを守るために立川が一番最良な土地であったということでございまして立川移駐いたしたわけでございますから、この点もひとつ御了承いただきたいと思うわけであります。
  303. 木原実

    ○木原委員 これは政務次官一生懸命ですけれども……
  304. 箕輪登

    箕輪説明員 はい、一生懸命なんです。
  305. 木原実

    ○木原委員 これじゃ話になりませんね。やはりこれは相当な問題なんです。そうしますと、防衛庁としてはほかにどうしようもないんだ、ここにともかく居すわると言うと刺激が強いかもしれませんが、できるならおらしてくれということは、既成事実をつくっちゃっているわけですから、これでは話にならぬのじゃないでしょうかね。  大事なことは、いろいろな経緯があるでしょう、これからも話し合いの道はつけていかなくてはなりません。そういう際に、話し合って衆知を集めるということは、ベターな方法をお互いに知恵を出し合ってさがすということなんです。当面の今度のことに関してのいろいろな解決の道も急がなくてはなりませんが、しかしいずれにしても、こういう形で移駐をしてきた自衛隊のあり方がいろいろ批判されておるわけです。これからの措置をどうするかということについては、さかのぼって話をするということでなければ、話し合いということにはならぬと思うのです。したがって、その際はベターな道を求めようという形になってくれないと、これは既成事実の上に何か前提を置いて説得をするだけの話し合いにしかならぬと思うのです。これでは、立川だけの問題ではなくて、非常にこの問題が深刻な状態になってくると思うのです。ですから言ってもらいたいのですが、ともかく暫定的な移駐だ、これからの話し合いの中では白紙撤収ということもあれですが、白紙撤回もあり得るんだ、こういう前提で衆知を集めて、住民サイドの意見も十分聞きながら最善の道をさがそう、こういうふうな話ができませんか。
  306. 箕輪登

    箕輪説明員 先ほど来、白紙撤回の話は各党先生方から何回も出ました。私どもよりもっと権威のある内閣官房長官が、白紙撤回は考えませんとお答えをいたしたばかりでございます。私はそれにつけ足す何ものも持たないわけでございますが、ただ、白紙撤回しなければもうベターなところがないのじゃないのか、ベターのところをさがしたらいいんじゃないかというお話がございますけれども一つの考え方として、これは私から申し上げていいかどうかわかりません、個人的な意見でございますけれども自衛隊は御承知のとおり、その隊法によって災害派遣等のことがうたわれております。しかし、災害派遣という問題は、首都圏に大災害が起きた場合に、自衛隊だけがやる仕事ではございません。他にも災害派遣は、これは警察も消防も、その意味においてはやるわけでございます。中央防災会議等もございます。そうしたところで、立川に配置された災害派遣部隊と申しましょうか、この装備にまさるような、だれが見てもこれならだいじょうぶだ、自衛隊よりもいいじゃないか、はしご車も持っているぞ、あれも持っているぞというような装備ができた場合には、自衛隊はその任務が完了したということで、二年たたずとも、三年たたずとも、私どもは撤回することはやぶさかではないのではないだろうか、個人的な意見を申し上げて申しわけありませんが、そういうこともいま内部でお話をしているところでございます。
  307. 木原実

    ○木原委員 それならそうと、個人的な意見でなくてはっきり言ってもらいたいと思うのです。だから、ベターな方法があり得れば当然撤収はあり得る、こういう前提で衆知を集めよう、こういうことですね。
  308. 箕輪登

    箕輪説明員 そうでございます。
  309. 木原実

    ○木原委員 それならそれで、ひとつ話し合いの糸口は私たちも努力をしたいと思います。  それから、ついでと言ってはあれですけれども、自治大臣にお伺いしたいのですが、きょうは、半ば前任者ということで、そういうお立場でいろいろ熱心な発言がございました。しかしこのたびは自治大臣です。自治大臣ですから、先ほど来、登録拒否の問題もございました。御心痛のほどはわかります。しかし、先ほど来何回も話がありましたように、これは立川の住民がほんとうに困っているわけですね。残念ながらそのサイドに立っての自治大臣の御発言がなかった。当面しておる問題について、まあ、かつてはこの問題はある意味では推進をしてきた立場ですが、しかし今度は自治大臣ですから、立川市なり、あるいは東京都なり、やはりそういう自治体側のサイドに立っての御配慮なり、あるいは先ほど申し上げたように、これほど深刻な問題ならベターな道をさがそう、こういうお考えというものはございませんか。
  310. 江崎真澄

    江崎国務大臣 木原委員は、もう前の先遣隊当時からの事情をよく御存じでございます。私、くどい話は差し控えますが、私は率直に……。  中曽根前々防衛長官、そして西村長官、そして私ということで事務引き継ぎを受けたときに、これは首都に大災害があったときのための用意だということですね。それからいま記憶を呼び戻しておるわけですが、参議院で共産党の岩間さんが、しかし君、治安出動だってあるだろうと言われるから、もとより自衛隊はそういう任務はあります、しかし立川から治安出動をするなんということがあるはずがございません、そういう事態に立ち至ったら私はすぐやめます、そう言うた。そうしたら、君もどうせ長い任期じゃあるまいというお話がありましたから、任期はそうでしょう、しかし、かりそめにも防衛庁長官がそれくらいの決意を披瀝しているということは、同じ議員同士ですからこれはひとつおくみ取りを願いたいというやりとりをやったことをいま思い出しました。  そういうたてまえで、災害救助、民生協力ということで、あのロサンゼルスの大地震のあとに企画をされたものであれば、これはすらっといかないものだろうか。そして地元からも、今日では市議会が、あれは反対決議をまた撤回する決議になって、また基地反対だという決議になった、これは聞いております。しかし、十二の最も具体的な要請が出ておりまして、それについては継続的に話し合いをしておられるという状況でもあるわけです。その十二の問題については、防衛庁側も誠意をもってこたえよう、一つでも二つでも直ちに解決するものは前進させようという態度でやっておられるわけでございます。そういうことになりますと、やはり私ども自治大臣として、それに直接どうものを言うという場面ではないように思いまして、まあ黙っておったわけです。しかもそれが、国の要請に基づいて自衛隊を計画的に配備する。その背景は、いま申し上げたような民生協力ということであるならば、これはやはり今後、継続的に防衛庁も地元の立川市民にわかるように十分納得をさせてもらう。その時間も、問題の見方の相違というものはありましょうが、まあこれは時をかして住民に理解をしてもらうことではないかというふうに思いまして、これによって、自治大臣あるいは自治省が黙っておったことはけしからぬということにはならない。また、自治権そのものを無視したとか、そういうことにはならないというふうに考えておるわけでございます。
  311. 木原実

    ○木原委員 これはもうやめますけれども、自治大臣にひとつ私のほうから要望しておきたいのですが、政務次官から先ほどお話がございました。これから協議をしていく中で、話し合いをしていく中で一番大事なことは、これは私も砂川問題当時以来の立川事情を多少知っているつもりですけれども、戦時中からずっと戦後発展していく都市の中で、どうにもならないところに米軍基地があった。ようやくその返還の何か灯が見えてきた。そうするとまた、どうにもならぬ形で自衛隊が入ってくるのじゃないか。これは市民感情としてはやり切れませんよ。これはたとえば大出君おりませんけれども、横浜が戦後長く米軍に居すわられた。山下公園が返ってきたときの横浜市民なんかのあのほっとした気持ちというようなものがあるのです。そういうものがありますから、自衛隊反対だ、賛成だということの問題よりも、やはり意欲を持って都市づくりをやりたい、過密の問題を解消したい。それぞれ自分の郷土なり都市の改善策をみな持って、夢を持っているわけですね。それを今度はいきなり横から入ってきたという感情を、平均的な市民が持っていると思うのです。それにやはりこたえなくちゃならぬと思うのですね。ですから、どんないい意図を持っても、それが押しつけであったり、強制であったり、住民の意図を裏切るものであっては、これは受け入れられないのです。だから自衛隊のあり方がいまは市民から問われている。  そういう状態の中ですが、しかし防衛庁あるいは施設庁は、今朝来御自分立場を主張される。あるいは善意があるのかもわかりません。また自衛隊の中には、そうは言いましてもいろいろな任務があるのですから、疑えばいろいろな問題も出ましょう。しかしながら、大事なことは、そういうことを踏まえながらも、ともかく自治大臣としては、今度は自治体の立場に立って、ベターな道を一緒にさがそうじゃないか、やはりこういうサイドに立ってもらわないと、これはこれだけの問題じゃ済まないと思うのです。那覇の問題についてもしかりだと思うのですね。ですから自治体との協調の問題について、ベターな道をさがすために、自治大臣もいろいろなひっかかりがあるわけですから、ひとつ最大の努力を払う、こういう御答弁をいただけませんか。
  312. 江崎真澄

    江崎国務大臣 私、木原委員のおっしゃる意味はよくわかるのです。おっしゃるところはまさにそのとおりだと思うのであります。なお努力いたします。  ただ、こちらも努力いたしますし、それから二階堂官房長官も、十分誠意をもって努力をする、説得の足りなかった点、話し合いの足りなかった点はなおこれからも継続するということを、責任をもって先ほど答弁してまいりましたですね。かれこれ考えますると、どうぞひとつ、われわれも誠意をもって前向きで事を解決するようにいたしまするので、この自衛隊の登録拒否という問題は、これはやはり切り離していただく。まあこれが、たまたま自治労などを中心とした非常な反対、これはいろいろな経緯もありましょう。何か那覇の市長によりますと、冷却期間を置こうと思ったのが逆に裏目に出て、両方エキサイトさせることになったと述懐しておられました。これはまあ対立というものはそういうものだと思いますが、どうぞひとつ、人権の基本に関する問題がいつまでもなおざりにされませんように、これは切り離していただくということを、私からも木原委員にお願いして、お答えにかえたいと思います。
  313. 木原実

    ○木原委員 じゃこれで終わります。ただ、最後にもう一度確認しておきますけれども、これはひとつこれからの話し合いの中で、箕輪政務次官のせっかくのお話がありましたから、あるいは首都の防災の問題だ、こういうサイドでベターな解決の道を見出していく。そのためには、いままでのことにこだわらなくちゃならぬけれども、こだわらないで解決の道をやっていく。その際には防衛庁自衛隊もいままでのことにこだわらない、こういうことで、お互い首都の災害防止の大きな計画の中のあり方の問題として、話を進めるなら進めていく。こういう形の中にあるいは解決の道が見出せるものなら見出していくように努力をしたらどうか、こんなふうにも考えるわけです。いろいろなことが重なり合っておりますから、簡単ではないと思いますけれども、この委員会としても、われわれも責任があるわけですから、自治大臣の私どもに対するお申し出の問題も含めまして、お互いにひとつ努力をしよう、こういうふうに考えますので、私の意見を申し添えまして質問を終わりたいと思います。
  314. 三原朝雄

    三原委員長 東中光雄君。
  315. 東中光雄

    ○東中委員 最初に、一点お聞きしておきたいのですが、今度の移駐が、二百五十三人、固定翼三機、ヘリコプター七機、これで終わりではない予定のはずなんですが、あとどうしようと思っていらっしゃるのか、防衛庁としては。
  316. 箕輪登

    箕輪説明員 ことしの三月三十一日までに二十八機、固定翼を含めて移駐させる予定でございます。
  317. 東中光雄

    ○東中委員 それも防衛庁としては、方針としてきめているわけですか。
  318. 箕輪登

    箕輪説明員 そのとおりきめておりますし、立川昭島両市にも、そのことは話し合いのときに申し上げております。
  319. 東中光雄

    ○東中委員 官房副長官にお聞きしたいんですけれども、去年の三月のこの委員会における総理大臣答弁ですね。「話し合いをつける」、話し合いをするのじゃなくて「話し合いをつける」。私はあのときの二十一日の質問で、それは話をつけると言うのだから、つけるまでは動かない、こういうことに理解します、こういうことも念を押したわけです。当然、内閣官房としては、総理大臣国会での答弁ですから、立川問題を考えるについてはそのことは御承知の上だったわけですね。どうでしょう。
  320. 山下元利

    山下説明員 前総理の御答弁は、御指摘のとおりはっきりいたしておるわけであります。政府といたしましても、先ほど来申し上げておりますとおりに、こうした問題について、話し合いの上円満に解決できることが望ましいということで、先ほども防衛庁から御説明申しましたとおりに、もう数十度にわたりまして努力を重ねてまいったわけでございますけれども、昨年末、どうしても話し合いがつかないものですから、防衛庁のほうで、そのような判断をいたしたと了解いたしておるわけでございます。
  321. 東中光雄

    ○東中委員 私が聞いているのは、そういうことを聞いているのじゃないのです。内閣官房としては、「話し合いをつける」というふうに総理大臣がこの国会答弁をした。ずいぶんあれはもめたのですから、二回もこの問題について総理質問があったのですから、最終の結論がそうなったのだということを知っておられて、これは本来は長官の権限でやることですけれども総理大臣が、最高の責任者がそういう話をしておったということを知っておって、そしてまた防衛庁にそのままかしておく、こういう姿勢になったのか。知らぬままで、たとえば二階堂官房長官は、よく知らぬのだという答弁をその当時されていますが、そういう状態のままで立川問題というのは進めてきたのか。いま、そういう答弁があったということはこの審議ではっきりしていますから、山下さん御承知だというのはわかっている。あのことが進んでいく過程で、そういうものは引き継いで処置をされておったのか、そうではないのか、そこのところを聞きたいわけです。
  322. 山下元利

    山下説明員 国会におきますところの政府答弁は、十分それに従っていくことは当然でございまして、そのとおりの努力を続けられたわけでございますけれども、しかし、各所管大臣の行ないますところの行政については、そのたびごとのことについて一々報告を受けているわけではございません。しかしながら、このたび重なる話し合い努力がなかなか実を結ばなかったことにつきましては、われわれもある程度承知いたしておりましたわけですけれども、それまでの話し合いということにつきましては、政府としても十分努力いたしてまいったことだと考えております。
  323. 東中光雄

    ○東中委員 時間が長くなってかないませんから、おそいのですから、聞いたことに答えてもらったらいいと思うのです。話し合いをつけるということになっておるのに、現についてないでしょう。現に話し合いがついていますか、ついてないですか。その点はどうなんですか。話し合いがついたのかつかないのか、どっちかですから、どっちですか。
  324. 箕輪登

    箕輪説明員 話し合いはいたしましたが、両方の意見が一致したということではございません。ただ、先生指摘の、前国会における佐藤総理答弁でありますが、おっしゃるとおり、このように書かれております。「話をつける、話し合う、こういう姿勢であることをこの機会にはっきり申し上げておきます」。したがって、話し合いをつけるんだという姿勢を示された答弁であったと私どもは解釈いたしておるわけであります。したがって、その答弁に従って話し合いをつける姿勢防衛庁も臨んだのでございますが、残念ながら両方の意見は一致することはできなかった。現実のままにお答えを申し上げるわけであります。
  325. 東中光雄

    ○東中委員 詭弁を言っちゃいかぬですよ。三百代言じゃないですか。こう言っていますよ。「とにかく話し合いをつける、これでなければならないと思います」、はっきりそう言っているじゃないですか。話し合いをつけるように努力します、十分話し合いしますと言っているのじゃないのですよ。話し合いをつけると言っているのです。そういうふうにやるんだということだったから、あのずいぶんもめたのが終わったじゃないですか。いまなお話し合いがついてない。つくために努力した、こうおっしゃるけれども、何について話し合いをつけるということだったのですか。十二項目の条件について話し合いをつけるというんじゃないのですよ。移駐をするかしないかについて、話し合いをつけるということだったのです。問題の中心点はそこだったでしょう。  しかし、あなた方は話し合いをやったと言うけれども移駐をするという基本方針は一回も変えないままでやっているのでしょう。それは話し合いをつけるという問題じゃないじゃないですか。それは結論の押しつけじゃないですか。一回白紙に戻されたことがあるのですか。一応本隊を送るということを白紙に戻して、そして話し合いをして話し合いをつけるというふうにやられたのか。それとも戻さないままで、いつやるか、年明けたらなのか、一月か二月か、こういうかっこうになっているわけでしょう。その点は防衛庁としては、先遣隊をどうするかは別として、本隊を送るについて、その計画はやめると一応白紙に戻して、そしてやるかやらぬかについて話し合いをするということじゃないですか。そういう姿勢話し合いをされたことがあるかどうかということです。
  326. 箕輪登

    箕輪説明員 白紙に戻しては何にも話し合う必要がないのであります。私どもは、移駐を前提に当初からお話し合いをしたいということで申し入れているわけであります。その経過の途中において、移駐はやむを得ない、ですからこの十二項目をやってくれと、こういう十二項目の要求も出ております。したがって、移駐を前提にあくまでも初めからそういう話し合いをいたしておるわけでありまして、移駐をしないんだ、白紙に撤回するんだということでは、何の話し合いも要らないのでありまして、しかもその十二項目については、A地区の返還に私ども努力いたしまして、その他二、三解決をいたし、あるいはまた解決をしつつあるものもございます。  そういうことで話し合いをしたい、こういうことを申し上げているのでありまして、先生おっしゃるように、白紙にするんだということなら、移駐をしないのだということならば、何の話し合いも要らぬのでありまして、それは常識的にいって向こう側も、向こう側ということは地元の市当局も、私は理解をしているのだろうと思うのであります。
  327. 東中光雄

    ○東中委員 白紙に戻すという意味は、移駐をしないということをきめるというん、だったら、あなたのおっしゃるとおりですよ。ぼくはそんなことを言っていないんですよ。移駐しないことをきめて話し合いをすれば、何も問題がなくなるのはあたりまえなんです。移駐をするかしないかということについて、するという方針をもうきめてしまって、それをのめ、のむためにいろんな条件をやるというふうな形で十二項目というものを考えたのはいかんじゃないかと、立川市はそう言っているんでしょう。公文書やりとり全部見ました。ところがあなたは、十二項目の問題を移駐の問題とからめつけて言っているのです。十二項目移駐の問題と関係ないでしょう。  この関係ないものとしてやってきたということを、一々あげましょうか。A地区の返還の問題についても、回答したということについて市から来ていますよ。こういう通知を市長に出したのに対して、市長側は、それは前からの懸案事項だから、その回答は聞いておきます。こういうかっこうではっきり分けていますよ。  だから、話し合いをつけるというけれども、そのつけるというレールの上に乗ってないのですよ。朝日新聞が社説で、ああいう経過だったら移駐は白紙にして、やるかやらないかということを地元と一緒に相談してやるべきだ。これは当然じゃないですか。やるということをきめておいて、それのために都合のいいことだけをやってくる。そのためにいろんなあめを出す。本来あめとして出すべき性質のものじゃないですよ、あの十二項目というのは。別の問題としてやることとしてやらなければいかぬことでしょう。のむんだったら十二項目をやるというのだったら、これは、いよいよもって自衛隊というものが、本来やらなければいかぬことを取引の条件に使っていることになるんじゃないですか。そういう点で、総理大臣が話をつける、こういうように言うたことを、あなた方は誠実にやっていないじゃないか。何度か話し合いしたでしょうけれども、その話し合いは、あなた方が移駐することを実際にやっていくための話し合いにしかすぎない。だから回を重ねて二十七回やった。それは既成事実をつくっているだけでしょう。移駐のやり方と同じやり方なんです。そうじゃないですか。  だから、時間がないから、経過はもう先ほどから何回も言われているんだから、その事実はわかっている。しかし、話し合いをつけるといった総理答弁趣旨は、われわれ野党全員質問しまして確誌した趣旨というのは、そんなものじゃないです。話し合いをつけるために努力して、話し合いができなかったら強行してやるんだ、そんなことは、あの首相答弁で、この野党側が質問した委員、だれも理解してないですよ。現に速記録見たってそうなっているじゃないですか。全くの背信行為だ、私はこう思うのですよ。  そういう点で内閣官房は、総理が答えたときに——そこから言ったら、防衛庁はそういうように進めるかもしれない。とにかくやるんだということを、当時の江崎さんは長官として言うていた。しかし、ここへおさまった、あの質疑が終わったというのは、総理が出てきてそういうふうに言うたから、とにかくそれなら見てみよう、こうなったんでしょう。全然これは趣旨が違う。だから官房として、あるいは当然引き継ぐべき総理大臣が、この問題についてちゃんとやってもらわなければならぬ。だって、総理答弁をわざわざ出てきて二回もやったんですから、そういう問題だということをはっきり申し上げて、話がついてないんだからもとへ戻しなさい、このことを私はまず最初に申し上げておきたい。  それから災害の問題ですけれども、先ほど来言われておりますが、昨年の十二月二十日、防衛事務次官発立川市議会議長あてのいわゆる公文書があります。防経施第六〇一三号、これを見ますと、先ほどから言われておりますが、「立川基地への自衛隊配備は、もっぱら首都災害救助活動を目的とするものであり、従って配備する航空機は、ヘリコプター及び小型連絡機に限定するものであることを再確誌する」。その「もっぱら首都災害救助活動を目的とするものであり」というのは、自衛隊部隊はそれぞれの目的を持って配備されているわけですか。立川だけがこういう目的で、ほかのところは目的はないのですか。その点どうなんでしょう。
  328. 箕輪登

    箕輪説明員 まあ東中先生は全部承知の上で御質問されているのだろうと思いますが、自衛官というものは自衛隊法でその任務が規定されております。まず防衛出動、さらにまた治安出動、いま申し上げた災害出動、あるいは海岸の警備、こういったような任務を持っていることは事実であります。これは全部の自衛隊がその任務を持っているわけであります。  こうした四つの任務を持っているわけでありますが、この立川移駐する部隊は、この四つの任務の中でもっぱら災害出動。四つあるのです。これは全部にあるのです。ですから「もっぱら」ということばを使ったのは、四つの任務は持っているんだけれども、その中でもっぱら災害出動を任務とする部隊であると、そこで強調をしたつもりでおります。
  329. 東中光雄

    ○東中委員 もっぱらというのは、それ以外はない、これだけだということでしょう。もっぱらといったら専。総合じゃないのです。  それじゃこう聞きましょう。木更津におるあのバートル部隊、これはもっぱら何を目的にしているのですか。
  330. 久保卓也

    ○久保説明員 自衛隊部隊がどういうふうに配備されているかということを考えてみますると、防衛出動を念頭に置きながら部隊を配備されたものもあります。これは主として辺境と申しますか、国土からいいますと端のほうの部隊というものは、比較的そういった任務が強いわけであります。それから、特定の任務を想定してではなくて、たまたま施設があるからそこに配備をするという場合もあります。これは、任務に応じた配備をするのが理想でありまするけれども、そういった施設がどこでも手に入るということではございません。したがいましてたまたまあいた施設を利用する。これは旧陸海軍の施設を利用している場合、そういった面が多いわけであります。それから、比較的その任務を重視した配置をするという場合、先ほどの防衛以外にたとえば災害を目的として配置をするという場合、これが立川に相当すると思います。それから、たとえば施設部隊。これは、必ずしも防衛でありますとか治安行動であるとか災害とかは限りませんけれども、その県内の土木工事に協力する民生協力といった面、かたがた災害にも、使えるというようなことで地区施設隊などが配備される、そういった個々の任務がそれぞれございます。  その中で、いまお話しになったわけでありますが、木更津は自衛隊として入手し得た比較的便利な場所でもあり、かつまた災害というものにも使える。当時は立川もございませんでしたので、大体、中央に位置して関東地方全体を見得る便利な場所ということで、あそこに第一ヘリ部隊を置いておるというようなことであります。
  331. 東中光雄

    ○東中委員 私は、木更津の場所的特性を聞いているのではなくて、あそこにおる部隊は何をもっぱらの任務にしているのか、こう聞いているのです。同時に練馬の第一師団は何をもっぱらの目的にしているのか。あるいは目的なしに、たまたまあいておったからあそこに置いておるということなのか。その点をはっきりしてください。
  332. 久保卓也

    ○久保説明員 本来の部隊は、すべて自衛隊法で定められている任務に基づいて配置をいたします。そしてその任務に応じた適切な場合があれば、そこに配置をするということであります。  ただ、今回の立川の場合には、宇都宮からこちらに持ってくる場合の目的というものが、災害派遣の目的であったということであります。
  333. 東中光雄

    ○東中委員 防衛局長の先ほど来の答弁で、立川防衛出動というようなことは、そういう情勢にもない。治安出動というのは、りっぱな警察があるのだからめったにそういう情勢もない。しかし本務だから訓練はしなければいかぬ。それで災害がもっぱらの目的だ、こう答弁されているのです。その答弁はそのまま、練馬の場合でも木更津の場合でも当たるのじゃないですか。木更津へ行くと、あるいは練馬に行くと、防衛出動あるいは治安出動の可能性が多くなってくる、そして四つの任務そのままでやっておる、これは詭弁じゃないですか。
  334. 久保卓也

    ○久保説明員 第一師団を配置いたしましたり、あるいは木更津に部隊を配置いたしましたときに、それがもっぱら災害であるという認識のもとに配置をしたのではありません。当時の部隊については、やはり自衛隊法に定められた任務のもとに配置する。そしてまた、利用し得る施設が練馬であり木更津であったということであります。  ところで、今回、立川になぜどうしても移駐させたいかというと、それはまさにもっぱら災害派遣の目的であったということであります。要するに情勢といいますか、その部隊を配置するときの目的といいますか、そういうものは当時と違っておるでありましょう。しかし、それでは平時において何に使われるかといえば、おそらく練馬であっても木更津であっても、もっぱら災害派遣の目的に使われるであろう。そういう点においては立川と変わりはありません。
  335. 東中光雄

    ○東中委員 そうすると、立川へ行っておる場合も、それから練馬におるのも、木更津におるのも、全部平時においてはもっぱら災害だけだ。あとは治安出動、防衛訓練をやる。立川だって、先ほど、本務であるから訓練はやります。変わるところはないじゃないですか。行くときの情勢から見て任務をそういうふうにした、そうしなければ市民の反対が一そう強くなるから、それ以外にないじやないですか。
  336. 久保卓也

    ○久保説明員 必ずしもそういうわけではございませんで、第一師団なり木更津なりに部隊を配置するときに、それが防衛であるとか、あるいは治安であるとか、あるいは災害であるとか、そういうことを意識したのではなくて、あくまでも自衛隊法に定められた任務を遂行するための一つの適切な場所であるという認識のもとに配置されたに違いないわけであります。しかし、今回の立川については、まさに災害派遣ということが主目的であるという感覚で出した、そういう点の違いがあろうということを申しておるわけであります。
  337. 東中光雄

    ○東中委員 そうすると、主観的に違うだけであって、練馬におる部隊が、あるいは木更津におる部隊が、本来の仕事、防衛なり治安出動なりをやらなければいかぬときには、立川だけは入ったときのもっぱらの目的がそうだったからうちはやらない、こうはならないですね。その点はほかの部隊と同じでしょう。はっきり答えてください。
  338. 久保卓也

    ○久保説明員 防衛出動あるいは治安出動といったような他の任務が発生いたしました場合、他の出動の必要がありました場合に、その用途に使われるのは、これは自衛隊法の示すところでありますから当然であります。しかしながら、現実に、過去もそうであったし、また将来も防衛出動、治安出動ということはまず予想されません。したがいまして、平時においては災害派遣というものが主になるであろう。その点は第一師団であれ木更津であれ同じことであろうと思います。
  339. 東中光雄

    ○東中委員 結局あなたは、ニュアンスの違いはあるけれども、平時においてはもっぱら災害出動だけだ、こう言っておるんですよ。そして災害以外の異常事態というふうに自衛隊が判断したときには、それは本務だから立川だって木更津と同じように行動する。いま起こらないという点では、立川だって練馬だって一緒だからもっぱらそれしかない、こういうことでしょう。何も変わるところがないじゃないですか。わざわざこういう目的をいま強調しているだけじゃないですか。任務に変わりがないでしょう。  特に災害出動を自衛隊が非常に強調されるのだけれども、災害の救助あるいは災害基本法できめておる防災の一番の責任者、主体的なところはどこなんでしょう。これは自治大臣にひとつお聞きしたい。
  340. 江崎真澄

    江崎国務大臣 最高の責任者は、やはり政治的には総理大臣である、こういうふうに理解しております。
  341. 東中光雄

    ○東中委員 政治的じゃなしに法律的にもそうですよ。はっきりと「国は、国土並びに国民生命、身体及び財産を災害から保護する使命を有することにかんがみ、組織及び機能のすべてをあげて防災に関し万全の措置を講ずる責務を有する」とあり、そして実際に防災計画なんか見たら、先ほど来言われたように警察でしょう。それから地方自治体でしょう。自治大臣、国家公安委員長が直接の最も大きな責任を実際上持っておられるところでしょう。自衛隊はその国家機関の一部として、それに協力するということになっておる。それは本務ではなくて、いわば国家機関の一つとして当然協力しなければいかぬから協力するとなっているだけであって、ニカラグアの災害が云々といま言われましたけれども、そういうことでそんなに緊急に考えられるのだったら、自治大臣として、あるいは政府として、災害に対して特別に何かの処置をとられておるのか。この点はいかがでしょう。
  342. 江崎真澄

    江崎国務大臣 災害につきましては、絶えずその対策を練っておるわけでございまして、当然自治省としての責任を果たすべく、予算措置等においてもいたしておるわけでございます。  ただ、いままで議論になっておりますのは、大災害が起きた場合、国をあげて協力体制をとることは当然でありますので、そういう場合には、人数からいっても、またその性格からいっても、もとより、警察であるとか、消防であるとか、地方自治体であるとか、総力をあげるわけですが、それに加うるに自衛隊の協力を求める、こういうことになってくるものだと理解しております。
  343. 東中光雄

    ○東中委員 まさにそうなんです。自衛隊も協力する。大災害のときに防災をどういうふうにやっていくかということについては、中央でも、都道府県段階でも、したがって首都の災害ということになれば、都段階での災害計画というのは当然組まれておりますし、そこで自衛隊の果たす役割りとして、自衛隊も防災会議委員を出してやっているわけでしょう。  そういう中で、自衛隊は何を一体やろうとしておるのかといえば、先ほど中路委員からもあったと思いますけれども、これを見てごらんなさい。「災害情報の収集および災害派遣の初動を担任するため次のように定める」、「陸上部隊災害派遣担任区分」、こうなっております。ここで出てくるのは第一師団。東部方面航空隊なんてどこにも出てこないのです。これは立川移駐を強行して、そして全体としての災害計画で国をあげてやらなければいけないそういうときに、その計画の中に自衛隊は入りもしないで、ちゃんと代表委員もその中に入っておって、そしてここからわしらが全部やるのだと言わんばかりの強調をされておるのですけれども、これは立川移駐を強行するための口実でしかないのじゃないですか。  これは「自衛隊災害派遣計画」です。そして第一章で「災害派遣の適用範囲」というものがきまっております。そこには陸上自衛隊第一師団、海上自衛隊横須賀地方隊、これだけです。中央防災会議は基本をきめるのです。基本をきめて、そして具体的には都道府県でやるんでしょう。その都道府県の計画の中に入っていないですよ。やろうとしていないのじゃないですか。ただ立川では災害、災害と言っていますけれども、そういう体制になっていないじゃないですか。それは当然航空隊も出てこなければならぬのはあたりまえですよ。しかし、やろうという体制にはなっていない、地方防災計画では。  実際にはこの計画に従ってやるのでしょう。その計画をばらばらにやったら、これは一そう混乱させますね。関東大震災のときに憲兵隊が出ていって、いま歴史的に問題になっているような、たとえば朝鮮人の大虐殺事件が起こった、ああいうふうな流言飛語が流された、こういうことがありますね。そういうことからいえば、防災計画というのはそのためにつくっているのでしょう。情報収集についても、また通信関係についてもちゃんとした計画がありますよ。そこには自衛隊は全然出てこないじゃないですか。たとえば「通信連絡計画」というのがちゃんと第六編に書いてある。警察やら無線通信、民間のものまでどうするかということがきめてある。自衛隊は出てこないのですよ。あるいは「災害に関する情報及び予警報の収集及び伝達計画」、ここにも出てこないのです。そしていま立川へこの部隊を送り込むときになったら、情報収集をやるんだと言う。初動計画の中に入っていない。  そういう体制で、宇都宮から立川まで飛んだら、たったの二十分そこそこの問題ですね。二十分そこそこの違いであそこまで強行して、災害救助、防災のために自衛隊がとっておる全体の体制から見たら、なぜ立川にだけそういうことを非常に強調するのか。実際にはそういうことが何もやられていない。これはまさに口実としか考えられないじゃないですか。何とかあそこを基地確保しておきたいという口実としか考えられない。いままでそういう計画はどこにもないでしょう。あるんだったら言ってください。この東京都の計画のどこにありますか。
  344. 箕輪登

    箕輪説明員 災害対策基本法に基づきまして、各都道府県が作成しております地域防災計画というものがございます。ここで自衛隊の任務というものが書かれてありますが、同計画内に、すなわち地域防災計画でありますが、中に防災関係機関の業務の大綱というものがあります。その業務の大綱の中に示されております。たとえば東京都、神奈川県の計画には、自衛隊の実施すべき業務として、以下たくさんの事項が並べられておるわけであります。
  345. 東中光雄

    ○東中委員 原稿で言われているからかみ合わぬのだろうと思いますけれども、私が言っているのは、自衛隊災害派遣計画というのも、東京都の防災計画の中に書いてあるのですよ。その中に東部方面航空隊は何も出てこないじゃないですか。先ほど言うように、陸上自衛隊の第一師団と海上自衛隊の横須賀地方隊が出ておるだけだ。それは飛行機があったら便利なことは間違いないですよ。しかし、立川市民の八二・三%が反対をし、市議会が反対し、市長反対し、そして都議会が反対し、都知事が反対している。それで、防災のためだ、防災のためだと言っても、防災計画の中には何も入っていない。この防災計画をつくるときには、防衛庁自衛隊か知りませんが、これは委員で行っているでしょう。行っていないのですか。
  346. 久保卓也

    ○久保説明員 これは都道府県の段階でありますから、この場合には第一師団長が幹事で入っているわけであります。  そこで、この文書の書き方の適切かどうかを御指摘になっているのであれば、私はお受けいたしますけれども、これは第一師団と書いてあるからといって、東京都に大災害が起こった場合に、第一師団管下の員数あるいは部隊以外のものが参加しないというふうにお読みになると、それは間違いであります。この場合には、東京でありますれば第一師団が責任を持ってやりますけれども、それに足りない機能というものは、他の部隊からつけ加えて応援をさせます。もしそれが非常に大きな規模、たとえば東京にも神奈川にもかかわる、千葉にもかかわるといったような場合には、おそらく第一師団長が責任をとるのではなく、東部方面総監が責任をとるであろうと思います。そういった個々の部隊がどういうふうに連合され、どういうふうに適用されるかということが、必ずしもこの計画の中で明瞭でないのは、あるいは計画が不備であるかもしれませんけれども、実体としてそれを排除するものであるとはとうてい考えられません。
  347. 東中光雄

    ○東中委員 「陸上部隊災害派遣担任区分」というのがあります。それを見たら、あなたの言っているようなことになってないですよ。たとえば北地区、第一普通科連隊、これは地区担当部隊で、次に協力部隊というのがあります。その中には練馬駐とん地所在部隊、小平、十条、そういうかっこうで並んでいるけれども東部方面航空隊は出ていない。少なくとも大災害が起こったら出ていくのはあたりまえですよ。出ていかなければ、それこそどうかしているのです。出ていくのはあたりまえだけれども、計画の中に入っておらぬでしょう。計画の中に入っておらぬような体制でありながら、先ほど言うように、あれだけこぞって反対しているのに、しかも話し合いをつけろと総理大臣が言っているのに、つけもせぬで行ってしまう。全く口実としか考えられぬ。ねらいはほかにある。何とか基地を確保していということ以外にないじゃないですか。態度で示さなければいかぬですよ。口で何ぼ言ったって、実際の計画の中に入ってないんだ。自衛隊は計画の中に入れぬでも独自にやるんだ、そっちはそっちでやっておけ、軍が独自に動きます、まさかそうじゃないでしょう。そうだとは言えません。しかし、そういうかっこうになっているじゃないですか。  だからこれは、新聞が、あるいは市民がどうしても納得できぬというのは、実際そうなんだから否定できないじゃないですか。あなた方は抽象的には言われているけれども、あそこへ来た部隊は、結局、練馬の自衛隊あるいは向こうの自衛隊と同じように治安出動もするし、そういう情勢があったらやらなければいかぬし、防衛出動もする。しかし、当面平和時だから災害出動だけだ。それは練馬だって木更津だって同じだ。主観的に災害救助が目的だと言うているだけじゃないですか。事態が変わればみな同じことになるじゃないですか。先ほど防衛局長そういうことを言われた。うちだけ行かぬと言うわけにいかない。立川だけはそういう目的だから治安出動しませんなどと言えない。むしろ防災については第一面に出てない。第一面に出ているのは、先ほど言ったこの計画に書いてあるやつです。むしろ書いてないのは第二軍、第三軍じゃないですか。そういう点でいうならば、これは全くのゴリ押しだと言わざるを得ぬわけです。  だから先ほど防衛政務次官おっしゃいましたけれども、ほかの対策が十分できたら、そのときは任務が終わったものとしていつでもやめます、そんなことを言われるのは言語道断ですよ。それじゃ、そういう装備について、警察で、あるいは自治体で——これは自治省としてですよ、自衛隊の任務がなくなるような情勢をつくろうと思っていま努力しておられるのですか。何もしてないでしょう。全くかってなことを言っている。  だから、これはむしろ、目的がどうであろうと、この移駐は、自衛隊の普通の配備——いま言うている目的というのは任務とは別ですね。四つの任務は全部やらなければいかぬわけですからね。そうじゃないですか。目的を持っている部隊だから、それ以外の任務をやらないというわけじゃない。本来の自衛隊の任務を全部やるわけでしょう。そうですね。そうしたら普通の配備じゃないですか。災害をやるというのは、どこだっていま災害しかやることはないのだから。平和時においては災害以外にやることないと、何べんも防衛局長言っているのだから。それじゃほかと変わるところは一つもない。全く欺瞞的な宣伝だ。そういうものを公文書立川市へ出されて、立川市が、ああそうですかと言えますか。言えるわけはないじゃないですか。  さらに、先ほど言われた暫定的ということ、これは全国に配布された防衛庁の資料にも出ている。時間がかかりますから私のほうで言いますけれども政務次官は注意してそういうふうに書いていますね。共同使用をやっている、そういう意味においてその期間は暫定的だ、そういうことだけれども、この前私お聞きしましたけれども、手続的には暫定だ、そうならざるを得ない。しかし自衛隊の方針としては、続いてずっと置いておくという方針じゃないのですか。その点をひとつはっきり聞いておきたい。
  348. 箕輪登

    箕輪説明員 前段の立川部隊の任務につきましては、自衛隊法に基づいて、先生の言われたとおりに三つ四つの任務を持っているわけでございますが、その三つ四つの任務の中で、もっぱら大規模災害に対処する。他の部隊もたくさんございまして、災害出動いたしますけれども首都圏に予想されるような大規模の災害が起きた場合には、いま第一師団とかいろいろな話をされましたけれども、それだけではとても対処できないのでありまして、その意味において、この部隊はもっぱらそういう大災害に対して対処する支援部隊である、こういうふうに御解釈をいただきたいと思うのであります。よその部隊たくさんあり冒して、災害出動の要務を全部帯びておりますけれども、普通起きるような災害についてはできますけれども、いま予想されているような大災害、それが首都圏に起きた場合には対処できないのだ、それに対処するためにこの部隊をつくったのだ。ですから、その意味においてもっぱら災害派遣が主たる任務であるところの部隊である、こういうふうにひとつ御解釈をいただきたいのであります。  もう一つは、暫定で、決して初めから居すわるつもりでやっていることではないのです。ですから、手続上国有財産の審議会にかかって暫定的になったんだから、これは共同使用ということが暫定的なんだから、その意味において暫定的な部隊である。ですから、返還によってきた場合、その場合には、あと地の利用については地元の市とよく御相談を申し上げたい、そういう意味のことをこの文書の中で書いたわけでございます。白紙で、全くの清い気持ちで御相談を申し上げよう、こういうことでございます。
  349. 東中光雄

    ○東中委員 じゃ防衛庁は方針が変わったわけですか。去年の三月段階で私が質問したときには、そうは答えていませんね。これは江崎さん自身がはっきり答えられた。鶴崎参事官も、現地で鶴崎参事官の発言が問題になって、そして自衛隊としてはずっとおりたい方針なんだ、ただそれが自衛隊だけできめられぬけれども自衛隊としてはそういう方針だということを答えておられる。政務次官いま、全く白紙に戻った、こう言われたけれども、そんな方針転換いつされたのですか。
  350. 江崎真澄

    江崎国務大臣 私の名前も引き合いに出ましたので申し上げますが、自衛隊の希望としては、希望としてはというよりその任務の責任からいって、これはやはり立川におるべきであるというふうに、私、申し上げた記憶がございます。  そこで、いま政務次官が言われた意味は、都会周辺の過密化というのはこの上ともに、何か手を打とうといっておりまするが、なおなお悪い形になった場合、いろいろ都市発展、都市形成、そういったものをにらみ合わせながら、これは永久不変のものではない、これはやはり時に応じ考えを変えていくこともあるという、そういう意味を言われたもので、いま当分おるというこの方針が変わったというふうには、私は聞かなかったわけでございます。  それからもう一つ、私たまたま公安委員長もやっているじゃないかということでございましたが、これは東中さん、防災計画は御承知のようにどこの県にもあるわけです。私、十数年前に伊勢湾台風というものを経験しまして、あのときの自衛隊の機動力というものが、いかに災害救助活動に役に立ったかということを身をもって体験しておるのです。一カ月以上にも及びまして、三重県と愛知県が中心で、静岡、和歌山その他にも一部波及するというような大災害でした。そのときに自衛隊のどこそこに活動してもらって、どこそこがなにだとか、そんなことはありませんね。ところが警察庁は、今度予算でヘリコプター二機ですよ。いままでの二機と合わせて四機持っているだけなんです、警察庁というのは全日本じゆうで。そうなりますと、あの大災害のときに、食糧を投下したり、それからおじいさんやおばあさん、子供、そういった人命救助活動のときに、ヘリコプターというのは、ちょっとでも州があればそこへ着下、舞いおりることができる。すくい上げてこれをピストンで運ぶことができるのですね。これは、いまはずいぶんおしかりを受けておりまするが、あのときに立川であんなことではあったけれども、やはり役に立ったな。まあ、そんなことがあってははなはだ困りまするが、そういう場面なきにしもあらず。そういうことは、責任を持たなければならない政府側としては、やはり用意しておかなければならぬ場面でございまするので、まあひとつ、このあたりで御了解願いたいと思います。
  351. 東中光雄

    ○東中委員 問題のすりかえをやるのはやめなさい。生命、身体、財産を守る本務を持っているのは警察でしょう。その警察の最高責任者である国家公安委員長が、警察では何にもできないのだ……(江崎国務大臣「そんなことは言いません」と呼ぶ)これじゃチャチなんだ、話にならぬから今度は本務を持っている自衛隊にというのは、これはほかのことですね。自衛隊の本務は防衛と治安出動でしょう。隊法を見たってはっきりしている。それは当然協力すべきものとして協力しているだけじゃないですか、その力が強いから。だから、警察のほうが弱いから、人の生命、身体、財産を日常的に守らなければならないそういう立場に立っている警察が、公安警察なんというやぼなことをやっているけれども、それは別として、本来のことをやらぬでおいて、やれないのだから今度は任務違いのなにを持ってくる。それが非常に重要なんだ、もし立川に来ておってよかったなとあとで思わなければならないような事態が起こったらと、あなたはこうおっしゃった。そんな事態のときに、自治大臣として、あるいは国家公安委員長として自衛隊に寄りかからなければいかぬような、そういう防災体制のままでいいと思っていらっしゃるのですか。防災体制についてそういう自信を持っておられないのですか。自信をもって、責任をもって果たしていく、足らぬところは、まあむだめしとは言いませんけれども自衛隊がいろいろ持っているのだから、出てきてやればいいじゃないかということになるべき筋のものじゃないでしょうか。
  352. 江崎真澄

    江崎国務大臣 私は、いまあなたが御指摘になったとおりのことを申し上げたわけです。本来警察官は日常の市民生活の治安に任ずる。当然です。それからまた火災などには、こちらに消防庁長官がおりまするが、これまた自治省管轄下の消防庁として全責任を持つ。しかし、あの伊勢湾台風級の、あるいは関東大震災級の大災害、あくまでこれは大という字を入れておるわけですね。そういうことになれば、これは警察だけでも、消防庁だけでもとうてい手に負えません。これは自衛隊もその任務にあるとおりに、国家の総力をあげて救急活動をしなければならぬ。で、私は伊勢湾台風の経験に徴して、あの場面でのヘリコプターの活躍というものはたいへんなものでしたということをふえんして申し上げたわけで、いま御指摘の点については全く同感ですし、平時の小災害くらい、これは十分責任をもって対処する用意のもとに日常出務しておるわけですから、その点はひとつ御安心願いたいと思います。
  353. 東中光雄

    ○東中委員 話がよけいなところにいくから時間がかかってしょうがないのです。伊勢湾台風の話が出るとは思っていなかった。(江崎国務大臣「あれはたいへんでしたよ」と呼ぶ) ヘリコプターの基地を、立川基地みたいに配置してあったのですか。違うじゃないですか。宇都宮から立川に持ってきておらなければできないというような問題じゃないじゃないですか。飛んで二十分でしょう。二十分の違いでどうもならぬというような問題じゃないでしょう。全力をあげてやればいいのですよ。大きな部隊を持っているんだからやるのはあたりまえですわ。だからといって、宇都宮から立川まで持ってくるその理由には何にもならないんじゃないか、論理的には。事実も。だから、そういうデマゴギーみたいなたとえ話で事を処理するのはやめたほうがいいとぼくは思うのですよ。実際いま立川の問題を言っているのですから。自衛隊がそういうことをやるのはあたりまえじゃないですか。法律上もきまっているんだし、やらなければいかぬのはあたりまえなんです。だからといって、立川へ持ってこなければならぬという理由には何にもなりません。その点を指摘だけしておきたいと思うのです。  時間がなくなって聞きたいと思った点が聞けなくなったのですが、例の住民登録の問題ですね。拒否じゃなくて留保という問題です。これで私、聞いておきたいのですが、消防庁長官に来てもらったんで、基地の中で大火災が起こるというふうな場合には、消防車は基地の中に入っていけますか。
  354. 宮澤弘

    ○宮澤説明員 自衛隊基地につきましても、一般の市町村の区域と同様でございます。したがいまして、火事が起こりました際は消防車が参ります。  ただ、自衛隊は御承知のように、相当な人力と自衛消防力を持っておりますので、したがいまして、通用起こりましたときは、第一次的には自衛隊基地の中で処理が行なわれるのが通常であろうと思いますけれども、しかし、ただいまお示しのような場合には、当然市町村の消防力がそれに向かっていくわけでございます。
  355. 東中光雄

    ○東中委員 米軍基地、いわゆる施設、区域はどうですか。
  356. 宮澤弘

    ○宮澤説明員 私は、どうも米軍関係の法律的な関係は必ずしも明確に認識をしておりませんけれども、私の知識が正確でございますならば、地位協定でございますか、あれによりまして、米軍基地内は米軍自身の運営、管理のもとにある、これが原則であろうと思います。  ただ、米軍基地につきましても、これは地域によって多少違うようでございますが、米軍とその基地所在の市町村の消防関係機関というものの協定と申しますか、一種の話し合いによりまして、相互援助をするというような場合もあるようでございます。
  357. 東中光雄

    ○東中委員 立川の中で、共同使用の部分を含めて火災が起こったらどうしますか。
  358. 宮澤弘

    ○宮澤説明員 私は、立川基地につきまして、ただいま申しましたような相互援助協定がありますかどうか、いまここでその知識がございませんので、ちょっとお答えがしにくいわけでございます。自衛隊基地につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。
  359. 東中光雄

    ○東中委員 結局、協定があるかどうか知らぬが、なかったらいかぬわけですね。立川基地の中ですよ。
  360. 宮澤弘

    ○宮澤説明員 立川米軍基地の中につきましては、協定があればそのとおりでございます。協定がございませんでも、米軍のほうから出動の要請があるという場合には、当然市町村の消防機関が出てまいります。要請がなければ、市町村の消防機関が出ることはなかろうと思います。
  361. 東中光雄

    ○東中委員 日本の国内で災害、特に火災が起こっているときに、基地の中へ、消防の第一次的担当者である消防庁が、消防庁の責任として入っていって消火作業をするということはできないわけでしょう。向こうから要請されたら、米軍に協力するという立場で入っていくか知らぬけれども
  362. 大河原良雄

    ○大河原説明員 ただいま消防庁長官から御答弁がございましたけれども米軍施設、区域につきまして、当該地方団体との間に業務上の取りきめが結ばれております。したがいまして、米軍の施設内におきまして火事がございました場合に、地元地方団体はその取りきめに従いまして、米軍施設内の消火に協力をする。逆に施設外におきまして火災が起きました場合に、米軍基地内の消防機関は、施設外にあります地域の消火に協力をする、こういうかっこうでございます。
  363. 東中光雄

    ○東中委員 私は、いま取りきめのことを言っているのではないのですよ。立川に取りきめがあるなら、それを出して言われたらよろしい。特別の取りきめ、特別の合意をしなければいけない状態になっているでしょう、こう言っているのですよ。
  364. 大河原良雄

    ○大河原説明員 立川の実態につきましては、私も実際の協定、取りきめの内容を存じませんけれども、一般的に、かりに取りきめがない場合に、米側の要請がなしに施設外の日本側の消防機関が米側の施設内にかってに入るというわけにはまいりません。米車の要請がありまして初めてその場合に消防活動が行なわれる、こういうことに了解いたしております。
  365. 東中光雄

    ○東中委員 だから、結局入れないということじゃないですか。日本国民がおっても、日本の国家機関がその災害から消火をし守るという任務が果たせないという状態に地位協定上なっている。この消火の場合でいえば、日本国基地内にいる国民は、日本政府の保護が具体的には受けられないということになる。  毒ガスが出ましたね。基地から外に毒ガスが流れているんだということで相模原補給廠が問題になりました。あれだって、すぐにそれの原因を探求し、それを処置するということはできないですね。米側と交渉してずいぶんだってから、内閣委員会で出て初めて、あれは正式に入ったことなんです。それは前例のないことだったし、行ったときにはもうすでに全部取り払ってあった、そういう状態でしょう。だから、基地の自治体あるいは日本政府は、日本住民の生命や財産で脅かされるような状態になってもほっておかなければいかぬような状態に、いま地位協定上はなっている。あと、米車の要請があって、これに協力するという立場でやるということしかない。  そのほかに、たとえば下水道の管理ということも自治体がやらなければいかぬ。基地の中に下気道がある。どこがこわれているのかさっぱりわからぬ。調べに行けますか。
  366. 大河原良雄

    ○大河原説明員 米車施設内におきまして火災が発生しましたという状況のもとに、周辺の自治体の消防機関は、この消火について大きな関心を持っておることは当然でございます。したがいまして、そのいろいろな状況のもとに、もし米車側の要請がない場合にも、応援をしたほうがいいのではないかという問題が当然考えられると思いますが、その場合には、米側と連絡の上に当然消火に協力いたすでありましょうし、おそらくそういう場合には米側は当然要請をしてくるだろう、こういうふうに考えておるわけであります。  それから、相模原の問題で御指摘がございましたけれども、相模原の汚水処理の問題等につきましては、現地で三者協議会を開かれまして、実際に基地内におきます発生状況等の調査が行なわれております。したがいまして、米側の了解が得られました場合には、基地内に入っていくことはもちろんあり得るわけでございます。
  367. 東中光雄

    ○東中委員 了解をすればいいのはあたりまえなんです。了解を得なければやれないという状態になっているということです。自治体が本来やらなければいけない任務というのは、自治大臣おられますが、生命、身体、秩序、そういうものを守るためにある。それが本来の任務でしょう。そういうものをやろうと思っても、米軍がノーだと言えば、それでどうもできない。ノーだと言うかイエスと言うかは米軍がきめることであって、こっちからどうも言えない状態になっている。その中にいる日本国民は、それだけ権利を制限されているという状態になっているわけです。住民登録の問題が問題になっているけれども、そういう問題が一ぱいあるのだということを私は指摘したいわけなんです。  さらに、自衛隊の特殊な条件として、たとえば先ほど市民税の問題がありましたけれども自衛隊員の給与というのは、一般の国家公務員と違って、被服、食糧、医療費、これは国家負担ですね。その国家負担の分が去年で年間約三百億円ぐらいですね。自衛隊員の所得は、その現物給与は所得にならぬわけでしょう。税金の申告であれは所得になるのですか、ならないのですか。
  368. 高瀬忠雄

    ○高瀬説明員 ただいま御指摘の自衛官に対する被服は、もっぱら曹以下の隊員に対して発給しております。それからあとは、隊内におります隊員につきましては糧食が現給されておりますが、これにつきましては税金の対象になっておりません。
  369. 東中光雄

    ○東中委員 ということは、一般の公務員と比べて、たとえば年所得、一般の人なら糧食費と医療費を含めたら年間百万になる。自衛隊員の場合はそうならないで七十万になる。だから、市民税は自衛隊員は払わなくてもいいけれども、実際の所得は、現物で給されているのを入れて百万になる。そうすると普通のように払わなければいけない、こういうかっこうになるのですね。  これは私は、みみっちいことを言っているように、お思いになるかもしらぬけれども、私が言いたいのは、体系が違うのだ、一般の市民体系と違う体系が入ってきているのだ、自衛隊員の場合、あるいは基地の中の場合。だから、地位協定によって、基地の管理、運営上、三条による全面的な権限を持っているということで、日本国民は日本の国内におれば、基地の中であろうと日本の法律の適用があるのだと、先ほどそういう答弁をされているけれども、そうでないのだ。異質の体系のものが入ってきている。自衛隊の給与だって、日本でほかにそんなのはないわけですから、所得税の問題としては。(江崎国務大臣「そんなことはない、警察だって」と呼ぶ)それでは糧食はどうですか。(江崎国務大臣「それば千差万別です」と呼ぶ)私が言っているのは、制服を支給されている、それはありますよ。作業服を……(江崎国務大臣「工場でもそうだ、作業服を着ているところはある」と呼ぶ)ぼくはそんなことは言ってない。被服費は三十九億です、糧食費は約二百億、医療費は五十六億、合計大体三百億です。それだけがもう税金の対象からはずれてしまうのですね。給与の中からいえば、そういう体系になっているのだ。そんなごついのはありますか。いま警察でもあると言った。警察官の制服というのは、勤務時間中のあれだけです。隊内に入れて、そこでいわゆる隊内生活、昔の営内勤務というか、そういうふうなかっこうでやっているのはありはせぬです。自衛隊というのはそういう点で特殊な体系になっている。自治体からいえば、たとえば市民税という点からいったら、それは原則として少なくともそれだけ違うわけです。全国的にいえば、三百億の部分に課税される分が違うわけですからね。  そういういろいろな体系上の違いがあるということが解決されなければいかぬのじゃないか。同じ体系の中に入れてしまう。だって住民登録の場合、調査に行こうと思ったら、関係者は、その調査を拒否したら処罰されることになっていますね。ところが、基地へ入れるか入れぬかというのは、米軍側は拒否できるわけでしょう。それで中に入ったら刑特法で処罰されるでしょう。地方自治体と米軍の保護の法律と、これは明らかに衝突しているのです。法体系上衝突しているでしょう。それをそのままにしたらまずいですよ。とにかく住民登録は人権問題だというのだったら、日本人が住んでおって、米軍の許可をもらわなければそこへ日本の消防署が消火に行けないというような状態になっているのは、これは人権問題じゃないのですか。そういう問題になる。だから全面的な解決をしなければいかぬ。
  370. 江崎真澄

    江崎国務大臣 どうも、おっしゃる意味が私どもちょっとよくのみ込めないのですが、要するに、たとえば消火の場合でも、さっきもアメリカ局長が言いますように、常時相互扶助の形で隣接市町村と話し合いができておるのが通常なんですね。いま言っておりますのは、もちろん安保条約によって他国の軍隊の駐留を認めておる、その軍隊の許しがなくてそこの中へかってに乗り込んでいくということは、これは国際常識からいっても、よその国の場合でもみんな守っておるところですが、そうかといって、これは治外法権であったり、まさか租借地のような形のものではありませんから、日本の法律が優先することは、もう午前中からの審議にもあったとおりでございます。  だからあなたの話は、これはたとえ話で申されたことだと思いますが、自衛隊の給与の問題にしましても、工場にでも、たとえば給与とは別に食費を給する、必ずしも給与の中から食費は取らないというシステムの工場だってありましょうし、これはいろいろあろうかと思います。したがって、居住に関する限りどうぞいつでも自由に見てください、ゲートまで御案内に出ますと防衛庁側が言っておられる以上は、これは私、まあ問題がないのではないか。  それから、いま百歩を譲って、東中さんが指摘をされるように、その体系も違うし、いろいろまだ不備な点がある、だから、これは共産党の意見としてすらっと理解できないからひとつ訂正せよ、こうおっしゃるのでありますならば、そういう議論は議論として、主張は主張として、私は述べていただいてちっとも差しつかえないと思うのです。ところが、それを整理し、また結論をつけていくまでには相当な時間を要しましょう。ですから、その間これは留保だとおっしゃいますが、この留保が半年になり一年になりなどということになりますと、これはくどい話ですから繰り返しませんが、憲法に保障された基本的な人権のじゅうりん問題にもなってまいります。だから、その御主張は御主張としてどうぞ主張していただいてけっこうですから、そういうものをどう決着をつけるかという話と、今回のこの拒否ではなくて留保だとおっしゃいまする問題とは区別をしていただいて、ひとつこのほうからの解決を願いたい。特に反対の人たちが自治労であるというので、私、これは他の自治労の方にも申し上げたのですが、防衛庁自衛隊員には労働組合をつくることは許されていないけれども、あなた方と同じような待遇を受けた、むしろ官吏としては下級公務員である、どうぞひとつ区別をして理解願いたいということを、ある機会お話をししたわけでありまするが、どうぞひとつ東中さん、共産党の幹部としてこれを御理解願って、別々に切り離していただくということで御尽力を願いたいと思います。
  371. 東中光雄

    ○東中委員 質問を終わりますが、立川の問題は、先ほど来言いましたように、目的は口実として言われておるけれども、実際にやる任務、訓練みな一緒だということは先ほど言われた。そういう点について疑義を持っておる。  それから、話し合いを尽くすということが尽くさぬままでやられておる。これに対して、立川のあの強行移駐に対して、市民の意思を代表して市長がああいう留保の処置をとっているわけだと思うのです。私は市当局者じゃないから知りませんけれども。と同時に、問題は、あの革新市長会が出してきた四つの項目の中で、安保条約、地位協定というものも再検討しろということが入っていたでしょう。その趣旨は、あなた方はいま、人権問題だということ、そこへ盛んに問題を集中しておられるけれども、そうじゃないんだ。毒ガスが出たって、その中に、国民生命、身体、財産に責任を持つ人が見にいくことができない、そういう状態、それこそがまさに人権じゅうりんじゃないですか。広大な規模でそういう状態があるのをそのままにほうっておいて、人権じゅうりんだなんということをやいやい言うが、もっと全体として体系的に、半占領の状態になっているのだから、それを根本的に変えるということ。それこそ日本国民生命、身体、財産を守る、そういう立場に立ったら、政治家としては当然そこへ大きく目を向けてもらうべきだ。江崎さんも、ひとつそういう点で大いにやってもらわなければ困る、こう思うわけであります。  以上で質問を終わります。
  372. 三原朝雄

    三原委員長 次回は公報をもってお知らせすることといたしまして、本日はこれにて散会いたします。    午後七時二十一分散会