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1973-07-12 第71回国会 衆議院 逓信委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年七月十二日(木曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 久保田円次君    理事 宇田 國榮君 理事 小澤 太郎君    理事 梶山 静六君 理事 金子 岩三君    理事 羽田  孜君 理事 古川 喜一君    理事 土橋 一吉君       志賀  節君    本名  武君       宮崎 茂一君    金丸 徳重君       久保  等君    米田 東吾君       平田 藤吉君    田中 昭二君       小沢 貞孝君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 久野 忠治君  出席政府委員         大蔵省主計局次         長       田中  敬君         郵政大臣官房長 廣瀬  弘君         郵政大臣官房電         気通信監理官  舘野  繁君         郵政大臣官房電         気通信監理官  牧野 康夫君         郵政省郵務局長 溝呂木 繁君         郵政省貯金局長 石井多加三君         郵政省人事局長 北 雄一郎君         郵政省経理局長 浅見 喜作君  委員外出席者         厚生省社会局老         人福祉課長   山崎  卓君         郵政大臣官房資         材部長     田所 文雄君         日本電信電話公         社総裁     米澤  滋君         日本電信電話公         社営業局長   玉野 義雄君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ————————————— 委員の異動 七月十二日  辞任         補欠選任   中村 寅太君     宮崎 茂一君 同日  辞任         補欠選任   宮崎 茂一君     中村 寅太君     ————————————— 本日の会議に付した案件  逓信行政に関する件      ————◇—————
  2. 久保田円次

    ○久保田委員長 これより会議を開きます。  逓信行政に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。米田東吾君。
  3. 米田東吾

    米田委員 この国会もいよいよもう会期末を迎えておるわけであります。逓信行政の若干の問題につきまして最後の質問をして、大臣並びに関係局長の御見解をはっきりとただしておきたいことがございますので、御質問したいと思うわけでございます。  最初にお聞きしたい点は欠陥バイク取り扱い処理の問題でございます。この件につきましては、すでに四月十三日に衆議院の社会労働委員会同僚議員田邊先生質問をして、大臣並びに関係局長見解をただしておりますし、またその質問を通しまして、欠陥バイクの当面の処置というようなことについてもほぼ郵政省対策が示されたようであります。しかしながらその後の経過を見ますと、依然として欠陥バイクに基づくであろう事故が絶えない。ことに先般の質疑を通しまして、欠陥バイクを補うために取りつけようということになりましたストッパーが事実上は役に立たない、そういうような事故も出ているようでございまして、これらにつきまして、ひとつ具体的に関係局長部長から現状を聞きたいと思うのでありますが、私がいま調べておるところによりますと、四月十五日愛媛県の野村の郵便局で、走行中にエンジンの音が急に高くなって、これはおかしいというので外勤員が停車をして、ギアを抜いてみたけれどもだめだ。スイッチを切ったけれどもエンジンがとまらない。電源を切ったわけであります。これでもとまらない。ついにガソリンを切ってようやくとめたという事故がございます。要するにこの単というのはストッパーを取りつけておる。かつて二回後退するようなこの事故がありまして、したがってストッパーを取りつけておる。取りつけたけれども、このようにエンジンの異常、非常に危険な状態が出てきておる。これが一つであります。それから五月の十二日、そして五月の十四日、この二回、これは徳島県の橘局。機械はスズキF九〇。停車しておるにもかかわらず暴走したということです。本人が道ばたでバイクを停車して、知人がおるのでちょっと足をついたまま話をしておる際に急に暴走したというバイクであります。幸いにけがはなかった。それからいま一つは、五月十五日京都の西舞鶴局。この車はスズキF七〇。道路の段差を通過する際に、そのショック前輪がはずれて転倒した。簡単に前輪がはずれるというようなことが一体あり得るはずはないと思うのでありますけれども、こういう欠陥があった。それから香川県の高松東郵便局ホンダMD九〇、ノークラッチ式の九十ccでありますが、このバイク前輪のフォークがついておる部分が、仕業点検の際に亀裂を生じておってオイルが漏れておる、こういうことを発見して、これは事前に処置をいたしておりますけれども、このバイク西舞鶴局で要するに段差を通過する際のショック前輪がはずれたというバイクも同じ型だというふうにいわれておるわけであります。  一例でありますが、このような非常に危険な事故が続いておる欠陥バイクが依然として絶えないという現状でございます。しかも、この前の委員会等指摘以降、あなたのほうで調査されたところによりますと約百八十件等も事故があるようにいわれておるわけでありますが、一体これらのバイク処理をどうするのか、再度私はあなたのほうからの処置方針をしっかりと聞いておきたいと思う。こういう事故はおそらくあなたのほうにも上がっておると私は思う。それ以外にもあるだろうと思う。ひとつ現状に対するあなたのほうの認識と、私がいま指摘したこの件についてのあなたのほうの対策というものをひとつお聞かせいただきたい。
  4. 田所文雄

    田所説明員 四月十三日の社会労働委員会におきまして、事故発生可能性のある郵便車すべてにエンジンストッパーをつけますと約束したのでありますが、その翌日福岡西郵便局ストッパーつき郵便車が後退するという事故が出たわけであります。それに引き続きまして、同様のものが十一件出たわけでございます。ストッパーのついておりますのはスズキF九〇でございますが、ストッパーがついておりながら後退したものが十二両あるわけでございます。事の意外なのに驚きまして、運輸省に協力を求めまして現地に陸運事務所の係官をわずらわして立ち会い検査をするとか、あるいはまた東京にデータを持ち帰りまして研究するとかいうようなことをしていただいておるわけでございます。原因の究明をいま運輸省でしていただいているわけでございます。そういうような事情でございますので、お約束をいたしましたストッパーの装着ということは、いま疑念がございますのでしばらく見合わせまして、とりあえず文書通達を全局に出したわけでございます。これは自動二輪車の運転上の詳細な注意事項でございます。五月七日に通達を出したわけでございますが、これによりまして、運転者はもちろん管理者が特に車両の安全に万全の注意を払うように指示したわけでございます。それから当面の方針といたしまして、後退事故発生心配のある車種につきましては、今後調達の対象からはずすということを考えておる次第でございます。なおストッパーのついておるもの、ついてないもの全部合わせまして、現在まで判明いたしております件数は百八十両でございます。   〔委員長退席小澤(太)委員長代理着席
  5. 米田東吾

    米田委員 この対策がおくれますと人身事故につながりますからね。したがって、行政ペースでいま調査中だとか検討中だとか、運輸省に頼んだとかいうことを言われましても、そのバイクがやはり現場配達の上では使用されているということになりますと、人身事故をかかえたままバイクは走っているということになるわけであります。たいへん私は危険だと実は思う。それで、とりあえず緊急の措置としてどうでしょうか。こういうストッパー取りつけは見合わせておるそうでございますが、この欠陥バイクと目される車種、特にこのメーカーもはっきりしているわけであります。そういうようなものについてはとりあえずは使用中止する、そういう思い切った措置をとって、そしてかわりの代車を交付するとか当面自転車でやるとか、何か私はやはりきめ手になるような措置をしてもらわないといかぬのじゃないかと思うのですけれども、どうですか、これは。
  6. 田所文雄

    田所説明員 現在までの事故郵便集配に限られておるわけでございます。貯金保険には素にいして出ていないわけでございます。これは、車に乗る時間の問題とかいろいろ使用態様関係するものと思いますが、特に集配関係運転者に対しまして、こまかい使い方指導というか整備のしかた、こういうことを徹底的に指導するようにしているわけでございます。  それからもう一つは、これはただいまの御質問のお答えになるかどうかわかりませんが、集配用にふさわしい専用車と申しますか、こういうものの開発につきまして関係業者検討を依頼しております。F九〇が事故を起こしましたときに、即刻全部の使用を中止いたしましてストッパーをつけたというようなことがございました。八千三百両を対象としたものでございまして、たいへんな仕事でございましたが、残念ながらこういう構造が疑われるという段階でございまして、いずれにいたしましても一挙に切りかえるということは、業務運行もございまして必ずしも実現が容易でございませんので、あまり歯切れがよくないのでございますけれども、要するにいまの段階としては、よく注意をして事故の起こらないようにするということになるわけでございまして、長期の方針といたしましては、先ほど申しましたように問題のある、心配のある銘柄は使わない、それからできる限り早くいろいろな機会を使いまして安全な車種に切りかえていきたい、こういうことでございます。
  7. 米田東吾

    米田委員 わかりましたが、そういう危険と思われる単種は使わないとか漸次安全車に切りかえていくとかそういう具体的な方針も示されたのでありますけれども、ただそのそういう前向きの措置が一向に——方針はきまったんだけれどもなかなか業者との関係があったり、それから全体としてはバイクやその他の設備の関係もあると思うのですけれども、なかなか思うように進まないということになっても実は困るわけですね。問題は、車の構造上に欠陥があるとすれば、はっきりこれは思い切ってかえてもらわなければならぬ。それから使用する従業員諸君使用上不適切な面があるとか、あるいは保険貯金に比べて郵便の場合は使用密度が激しいとか、山坂をかけのぼったり、きめられた時間の中でぐるぐる回って配達をしてくるわけですから、これは使用密度というのは比較にならないくらいに郵便配達あるいは取り集め等においてはあると思う。ですから、そういうこと等もございますので、注意やあなたのほうの監督管理の面で対策が講ぜられるものと、それから本来それを越えて車種構造自体、車の構造自体の中に欠陥がある、こういうようなものと区別されなければならぬだろうと思う。いずれにしてもこれは早いところそういう欠陥車を持っている現場には適切な処置をしてもらわなくてはなりませんし、そしてそういう車はとにかく使わせない、もちろん今後はもうそういう車は買わない、こういうふうにはっきりとしてもらわなければならぬ。思い切ってこれはやってもらわなければならぬと私は思うのでありますけれども、この点は特に業務関係では郵務局長もいろいろ苦労されておると思うのでありますけれども、あなたのほうではどんなふうに指導されていきますか、対処していきますか。あなたのほうの御見解も聞きたい。
  8. 溝呂木繁

    溝呂木政府委員 ただいまの欠陥バイクの問題が郵便集配を中心に起こっているということで、私ども非常に関心を深めておるわけでございます。ただいま先生指摘のとおり、これが欠陥バイク構造上からくる問題なのは、まさに貯金保険でも使っており、民間でも使っているけれども、そういう例がほとんどないということになりますと、ただいま先生のおっしゃった郵便集配用にたえ得るバイク、いわゆる一般のバイクとしては欠陥でないまでも、郵便集配上から見て欠陥があるということになってきますと、これは構造上であると同時に、その使用というものから見た構造使用にたえ得る構造というようなものが研究されなければならないということで、資材のほうにもお願いしているわけでございまして、しかしいずれにしろ現段階においてそういうものが起きているということで、私どもやはり郵便従業員が安心して郵便配達ができるようにということでいろいろと手を打ってもらっておるわけでございますが、事が非常に広範である。しかし起こっている事態は、先ほど資材部長から申し上げましたように百八十両、そしてぽつりぽつりと出ている。全部が全部出ているならこれはまさに一せいに全部ストップということも考えられますが、まあとにかくそれで用が足りている部門もありますために、この対策というものが先生から見れば非常に手ぬるいという感じをお受けになっているのかもしれませんが、しかしいずれにしろ人身事故も起きた例もございますので、ただいま申し上げましたように今後のまず根本的な処置を講ずるとともに、いわゆる暫定措置といいますか緊急措置としては、少しでも後退事故の起きないような乗り方とか、こういうことで、従業員諸君に申しわけないのですが、そういった点で少しでも事故を少なくしながら、基本的には先ほど資材部長の言いましたいわゆる郵便集配にたえ得る、いわゆるツーサイクルとそれからフォアサイクルというような問題もあるようでございますので、そういった基本的な点の検討を待ちたいというふうに考えておるわけでございます。
  9. 米田東吾

    米田委員 それで、これは郵務局長さんでも資材部長さんでもいいのでありますが、この欠陥バイクの問題が出ましてから、現場でなるべくバイクを使わなくなった、自転車等で間に合わせる傾向といいますか、特にあなたのほうの指導や指示としてそうさせているのではなしに、どうもあぶないから外務員がみずからの判断でこれはバイクで行くよりも自転車で行ったほうがいいというようなことで、自転車使用率が高くなってきたというような現象がありますかありませんか。
  10. 溝呂木繁

    溝呂木政府委員 欠陥バイク発生状況全国的で、種々多様でございます。そこでやはり一時に非常に多数発生したという郵便局につきましては、やはりこういう欠陥バイクに乗って配達することは困るという抗議等があっていろいろ苦慮しているところでございますが、一般的に、ぽつりぽつりと起こったところは、特にそういった全体として欠陥バイクには乗らないというような動きはないようでございまして、起こった事態に対して一々個別的に対処していくというような実情でございます。
  11. 米田東吾

    米田委員 それからもう一つこの際聞いておきたいのは、バイク耐用年数といいますか、あるいは走行キロ程によってあなたのほうでは新車とかえるとか、いろいろな手を打っていると思いますけれども、車種によっても違うでありましょうが、いまどういう基準であなたのほうは使っておられますのか、あるいは走行キロ程で出しておられるのかもしれませんけれども、あなたのほうの基準がありましたら示していただきたい。
  12. 田所文雄

    田所説明員 五十ccをこえるものにつきましては走行四万五千キロが更改基準でございます。ただし、四万五千キロ走行しなくても経年五年のものはまた更改対象とする。五十cc以下のものにつきましては走行キロ三万キロでございます。それから三万キロに達しなくても経年五年に達するものは更改対象とするということに現在はなっております。この走行キロ経年とも短縮する方針で現在検討しているところでございます。
  13. 米田東吾

    米田委員 これは郵便保険と一緒ですか。
  14. 田所文雄

    田所説明員 みな同じでございます。
  15. 米田東吾

    米田委員 わかりました。やはりそこらあたりにも資材部長、問題があるようですね。郵便密度保険貯金密度では比べものになりませんよ。ですから、一つ基準でやられるから問題があるんで、私は事故郵便に多いということもそのあらわれじゃないかと思いますが、郵便のほうで五十cc以上の四万五千キロ、五年、それから五十以下の三万キロ、五年、これはやはり強過ぎますよ。メーカーのほうではどうですか、もっと短くすべきだというふうな意見があるのじゃないですか。鈴木にしても本田にしても、これは郵政省は予算その他の関係があるのでしょうし、そう無理はないということでこの基準を持っておられるかもしれませんが、貯金保険の場合はとにかくとして、事故がいま出ておる郵便に関する限り——これも郵便といいましても地域あるいは地勢その他いろいろな条件がありますから、これまた一がいには蓄えないと思いますが、大体の基準として判断するに、少なくとも貯金保険等の倍以上の無理がかかっているわけでありますから、だから郵便等についてはこの基準の半分くらいに切り下げることが当面まず必要じゃないでしょうか。どんなものですか。
  16. 田所文雄

    田所説明員 御指摘のとおり走行キロ経過年数民間に比べまして非常に長いわけです。ただし民間の場合はレジャー用等がたくさんございまして、下取り等がありますので郵政と若干趣を異にする点もございます。しかしそれにいたしましても、御指摘のとおり特に郵便につきましては、使用態様等もございますので、特に貯金保険と別の角度で検討を進めたいと考えます。
  17. 米田東吾

    米田委員 これはひとつ大臣からも判断いただきまして、私ども車を持っておりますけれども、四輪の千五百、二千くらいの車でも大体正方か四万で、もっとも車検の関係もありますけれども、かえていきます。ところが五十cc以上というのですけれども、大体五十ccをこえていれば四万五千キロ、それ以下だと三万キロですね、バイクで。あの二輪のバイクでこれなんですから、これはひとつ早急に適切な、私はいま幾らとは言いませんけれども、新しい判断をしていただいて、そして特に郵便については、これは大臣もごらんになったらわかるでしょう、集金人保険関係の人が使っているバイク郵便配達や何かが使っているバイクとは問題にならないくらい郵便のほうが密度が高いですからね。しかも、見ておりますと、エンジンを動かしたまま近いところは投げ込んで配達してすぐぱっと飛んでいきますから、使い方も非常に私は酷だと思いますが、それくらいに利用しているわけですから、これについては、走行距離等についてはもっと切り下げるとか耐用年数を縮めるとか、そういう措置をまず特に郵便に関して早急にやってもらわなければならぬと思いますけれども、大臣の御判断はどうでしょう。
  18. 久野忠治

    久野国務大臣 先ほど来事務当局より欠陥バイクの問題についていろいろお答え申し上げたのでございます。私もただいま御指摘の点はまことに同感でございます。ただ一応の基準を設けまして、走行キロ数耐用年数をきめておるわけでございますが、そういうことだけにとらわれまして、そのことが事故につながるということはたいへん遺憾なことだと存じます。でありますから、やはりこれらの諸点につきましては十分将来検討させていただきまして何らかの措置を講じたい、かように存ずる次第でございます。
  19. 米田東吾

    米田委員 もう一つだけ郵務局長にお尋ねしますが、さっきの御答弁で、特に欠陥バイクが比較的多く出たところについては、組合からの申し入れとか要求とか、そういうものもあって、一時的には自転車を利用する者があったという答弁をされましたね。そういうところはたくさんありますか。この四国の高松東郵便局ではどうですか。
  20. 溝呂木繁

    溝呂木政府委員 先ほど一時に多数発生した局においていろいろトラブルがあったと申し上げましたが、その局が高松地区高松郵便局高松東郵便局あたりでございます。
  21. 米田東吾

    米田委員 ここで欠陥バイクが一時にたくさんというのはどの程度出たのですか。何車くらい、そしてどんなふうに処置されておるのですか。
  22. 田所文雄

    田所説明員 高松郵便局におきまして昨年の八月三十日でございますが、これは人身事故でございまして腰椎捻挫となっております。それから四十八年の三月高松東郵便局でございますが、左足首骨折という人身事故でございます。全国人身事故が三件あるわけでありますが、そのうちの二件は高松地区でございます。
  23. 米田東吾

    米田委員 それで郵務局長高松郵便局事件がありましたね。郵便がおくれている、市長や何かが住民から抗議を受けて高松郵便局調査されたら、局長や次長が、欠陥バイクが出て職員バイク使用を拒否してやっているので能率があがらない、したがって、滞貨が出ております、そういう説明をしてこれが新聞に大きく取り上げられて、あたかも高松局に起きている郵便の遅配あるいは混乱というものは、バイク使用を拒否しておる従業員責任があるかのような言明をされ、これがまた新聞に大きく報道されて、あそこの職員がおこって、局長はそれを取り消して謝罪をした、こういうような事件があったようであります。全国ではそういうところまで発展している郵便局もあるわけでありますが、高松局についてこういう事件があったことについて、あなたのほうは御存じでございますか。これについてはどういう措置をされておりますか。これから全国的に見ますとそういうことも予想されますので、したがってそういうものについてはトラブルにならないような、適切な、業務運行を第一にした指導をしてもらわなければならないのではないか、こういうふうに思うのでございますけれども、どうでしょうか。
  24. 溝呂木繁

    溝呂木政府委員 ただいま御指摘のあれは、高松郵便局局長謝罪というふうに新聞によりますと載っております。そこで御指摘のとおり、欠陥バイクによって郵便配達が非常にそごを来たすといったような問題につきましては、あくまでもそれは欠陥バイク原因であるということについて極力両者で話し合って処理をしていくということで、その責任郵便従業員の別の責任であるかのごとく誓ったということについては、私非常に遺憾に思っております。またそういったことで謝罪したものと思います。またほかの郵政局及び郵便局につきましては、こういった事態を生じておりませんし、当然そういう常識的な判断に基づいて処理しているというふうに考えております。
  25. 米田東吾

    米田委員 次に、郵便局配達の前送基地あるいは前送配達、両方あるようでありますけれども、この問題について聞いてみたいと思うのです。  この前送基地方式、前送配達方式、いずれも私はダブっている部分があると思いますが、これは一体どういう根拠に基づいてこういう方式がとられて、しかもこれから私指摘しますけれども、多分に郵便法違反の疑いが強い。それだけじゃなしに、合法であったとしても、住民に不安を与えている。信書の秘密漏洩あるいはサービス低下、そうしてこれが郵政事業に対する不信につながっておるわけであります。こういうことでありますので、非常に私は懸念をしておるものでありますけれども、これはどういう根拠で、現在どんな状況で行なわれておるのか、聞かせていただきたいと思います。
  26. 溝呂木繁

    溝呂木政府委員 いわゆる前送基地配達というものは、郵便物が非常に滞留状況が激しくなりまして、いろいろそういった場合には部外から非常勤職員を採用いたしまして処理をしておるというのが実情でございます。しかしそれが非常に異常事態的な形になりまして、非常勤職員雇用も、いわゆる郵便局に来てもらう形での雇用が非常にむずかしくなってき、また職場内が非常な混乱状態になってきたような場合に、臨時に前送基地を設けまして、そのところへ非常勤に来ていただきまして、その非常勤の方に配達していただくという処置をとっておるわけでございます。これは過去におきましては年末等業務が非常に混乱している事態のときに多かったわけでございますが、近になりまして、昨年の年末からことしの春闘の時期にかけまして各郵政局で相当広範に行なわれたようでございまして、その中で、いま先生指摘のようにその運用よろしきを得なかったためにいろいろ問題を起こしたということはございます。それらにつきましては、先生御承知と思いますが、長岡局問題あるいは高松方面の問題、それぞれいまは片づきまして、一応問題は起こっておりません。しかし今後こういった処理をするについては、先ほど申しましたようにあくまでもこれはいわゆる臨時特例の処置であるということでございまして、この点につきましてはまた後ほど御指摘があるかと思いますが、私どもとしましては、やはり郵便局郵便物が滞留を生じたときは、管理者としては、何らかの形で郵便局にたまっている郵便物を早くお届けしたい、また届ける義務があるという判断に基づいて、法令の許す範囲内においてそういう臨時特例の処置を講じていく、こういう考え方で今後も処理していきたいというふうに思っておるわけでございます。
  27. 米田東吾

    米田委員 徳島の例はあとで申し上げますが、私は特にしぼって聞きたいと思いますけれども、高松の東の郵便局、ここでは現にいまも前送基地配達というものが行なわれておるのですか、おらないのですか。
  28. 溝呂木繁

    溝呂木政府委員 高松東局につきましては、昨年の十二月九日、これは郵政局とたしか地本との間でいろいろ話し合いがありまして、十日付をもって前送基地配達というものはとめております。
  29. 米田東吾

    米田委員 そうしますと、高松の東では、前送基地配達とかあるいは前送配達、こういう方法はとっておらないで、正規の職員が平常の配達区に基づいて配達しているわけでありますか。
  30. 溝呂木繁

    溝呂木政府委員 いわゆる前送基地という配達方式はやめましたが、滞留状況がその後もあるようでございますので、郵便局のほうへ来ていただく形の非常勤雇用は当然行なわれていると思われます。
  31. 米田東吾

    米田委員 その郵便局のほうへ来てもらうというのは、出先の無集配のことを意味しておりませんか。それとも高松東郵便局郵便課に来て、課長やあるいは係長や主事の監督指揮を受けて、きちっとしてやっているのですか。どっちですか。
  32. 溝呂木繁

    溝呂木政府委員 私どもの承知しております範囲では、一応郵便局のほうに来て処理をしているというふうに聞いております。
  33. 米田東吾

    米田委員 郵務局長も御存じだと思うのですが、全逓信労働組合香川地区本部執行委員長森文雄君が告発をいたしまして、被告発人は高松東郵便局の庶務会計長山内豊、それから岩瀬雅子、これは配達員です。あなたのほうでいう臨時に頼んで配達をさせた配達員、臨時配達員。それから野口マリ子、これも配達員。——私ちょっと間違って申し上げました。岩瀬雅子は高松の栗林郵便局長です。それから野口マリ子が配達員です。とにかく、この方々を対象にして、要は郵便法違反、特にここで指摘しているのは郵便法第九条の信書の秘密を犯しておる、それから郵便利用者に対する公平の原則を欠いておる、あるいは郵便規則のあて所配達をしない、そういうような、理由は幾つかありまして、告発事件が起きているわけであります。これは相当過ぎたことの事件を取り上げて告発をいたしておりますが、私の調査によると、現状はなおこのような状態が改善されておらない、続けられておるということで告発に踏み切ったというふうに聞いておるわけであります。しかも、この件については、全逓の中央本部と大臣との間に、この解決をするしないの要求書が出たり回答書が出たりして、中央段階においてもらちがあかぬ、そこで告発をしたということを私は承知しておるわけでありますけれども、そうだとすれば、いまの局長答弁と違うと思う。現状は整然と行なわれておるという答弁でありますけれども、そうでないように私は承知するのでありますが、これはもう一ぺん、間違いありませんか。
  34. 溝呂木繁

    溝呂木政府委員 私どもの承知しております範囲では、高松東局は、先ほど申し上げましたように十二月の十日から中止した。ただ、これは四国郵政局と地本と、九日の日ですか、話し合いまして、九日限りにして十日から中止するという同意に基づいて指示をしたということでございます。したがいまして、その指示を受けた高松東局において、その指示がどのような形で行なわれているかということにつきましては、私、当然その郵政局の指示によって行なわれているものとして御答弁申し上げたわけでございます。あるいはもし先生のほうの御調査でその指示が十分行なわれてなかったり、あるいは何かトラブルが起きているとすると、私の認識がまだ不十分だったということになろうかと思いますが、私どもの承知している範囲では、一応その指示に基づいて前送基地配達なるものは終わったと考えております。それから高松局のほうは、これは少しおそくなりまして、これもいろいろ四国郵政局と地本との話等もございまして、これはことしに入って六月の二十八日から中止ということで、郵便局によって、同じ高松でも東局は去年の十二月十日、高松局のほうは六月二十八日ということで、日にちが少し前後しております。あるいは先生の御指摘は、この高松局のほうが六月まで続いたということではないかと思いますが、私どもの把握しております実情はただいま御答弁申し上げたとおりでございます。
  35. 米田東吾

    米田委員 告発の件はどうですか。
  36. 溝呂木繁

    溝呂木政府委員 告発の件は、私ども承知しておりますのは、ただいま先生から御指摘のとおり三件ございまして、一件は高松東局の庶務会計長山内君に対する告発でございまして、これは去年の十一月十九日の当時のことについて告発されているわけでございまして、これは前送配達を実施するために郵便物非常勤職員の宅に持っていった、そのときにその非常勤職員の方がおられないので、その奥さまに渡したということで、その間非常勤職員でない者に郵便物が一時渡ったということについて、そのことがいわゆる九条違反ということで告発しているようでございます。  それから第二点の、高松局区内のいわゆる高松栗林局長でございますが、これは特定局長でございまして、これも去年の十一月の十八日のことでございますが、特定局長に私どもの配達の兼務命令を出しまして、そうして郵便物配達させたわけでございますが、そのときに某書店において、その郵便物配達過程において、そこの店員に郵便物の扱い方について秘密を漏らすような形で行なったということを告発しているようでございます。  それから第三点の、高松郵便局の、これは東でなくて高松郵便局非常勤職員野口さんについて、これも去年の十一月二十日で、郵便物配達途中において亡失いたしまして、そのあと某氏から落とした郵便物を届けていただきまして処理をしたわけでございますが、その郵便物を亡失したことについて、その間における郵便物の秘密を漏らしたのではないかといったようなことでの告発、この三件がなされているようでございます。
  37. 米田東吾

    米田委員 いずれにいたしましても、告発事件は一応別にしましよう。ここでの議論の対象にする必要はないと思いますから……。  ただ、私冒頭にも申し上げましたように、前送基地なり前送配達方式なりがどうしてもある部分については郵政大臣の監督なり管理を離れてしまって、いろいろ大事な通信の秘密とかそういうものがしっかりと守られておるかおらぬかわからぬ、一つの盲点ですね、そういうものはどうしても出てくる。長岡なんかの事件でも私目撃しておるのでありますが、せめてあなたのほうでは、その前送の基地を、無集配の局とかあるいは簡易郵便局とかそこらあたりに限定されれば、まだ大臣の監督あるいは郵政局の監督、郵便局長、現場長の監督は行き届いていますと言い切れると私は思いますけれども、ヤクルトの配達所を頼んだとか、切手の売りさばき所を頼んだとか、町会長さんを頼んだとか、そういうところを頼んで基地にして、そこへ郵便局から物を持っていって、そうして臨時に配達してもらう人はそこへ来てもらって配達をしてもらう。だから服装はたとえば腕章をつけるとか、あるいは出勤簿に判こを押すとか、契約書にすでに判こを押しているとか、あなたのほうではそういうものがそろってはおりますよといま言いましても、出ていって調べてみると、実際はやられておらない。はなはだしいのはステテコで、仕事が終わってから夕方配達して回ったり、あるいは第一次に委任ですか委託された人は、自分でできなくて次のだれかにまたそれを請け負わせるようなかっこうで委託して配達をさせる。とにかく何とあなたのほうで抗弁されようとも、ある部分については明らかに郵便省なり郵便大臣なりの管理監督を離れてしまう、こういう部分が出てくることは何と言われようと避けることはできない。ですからこういうものについては、これは臨時非常の場合に、郵務局長言うようにやはりこの配達をしなければならぬ。それを郵便省は放置することはできない、これはもう当然だと私は思う。それにしても、もう少しそういう点については一つのポイントだけははずさないでやるべきじゃないか、私はこう思うのであります。この点が郵便法違反になるかならないかという一つの争点になり、とうとうこれが告発というようなところまで発展したんじゃないか、こう思うのであります。こういう点について今後当然私は改善をしてもらわなければならぬと思いますけれども、この点についての判断をひとつ聞きたい。  それからもう一つ、臨時職員の契約行為、それから臨時職員配達にあたっての仕事のしかたあるいは服装、そういうようなものはもう少し、郵政大臣責任を負うところの郵政省の独占の郵便物を扱うにふさわしい、しかも私は配達を受ける国民の立場から見て、少なくとも信頼の置ける、おれの手紙の秘密は守られておるんだというやはり信頼の置けるような体制だけは最低限つくっていただいて配達をしてもらわなければならぬのじゃないか。徳島郵便局あたりでは、郵便局長があわ食って、町内会長や何かそういうようなところへ電話をかけて郵便局まで取りに来させて、とにかくだれか頼んで配れ、そしてあとから書類をこしらえて責任のがれの道をつくっておる、こういうようなこともあったようでありますし、非常に私は現場長のこの面についての行き過ぎた裁量行為といいますか、職権乱用的なものが目に余るものがあるのじゃないか、そういうようなことが郵便の不信になり、告発ということまで出てきているのじゃないかと実は思います。ひとつこの点について、もう少しあなたのほうで改善するというそういう方針を示すことができませんかどうか、聞きたいのです。
  38. 溝呂木繁

    溝呂木政府委員 ただいま御指摘の点につきましてお答えいたします。  確かにこの運用にあたりまして、いささか私のほうから見ましても行き過ぎた点があったことは否定いたしません。先ほど御指摘のようにステテコで配達するとか、あるいは第三者の委託、これは私どもほとんどないとは思っておりますが、あるという先生の御指摘でございます。それは絶対そういうことはさせてはならないしというふうにも考えます。それから非常勤職員の任命につきましては、あとから任命行為をする、要するに当然やるべき本来の任命行為を怠るとか、あるいはその他いろいろ配達を受けられる皆さんから見てあまりにも品位を落とし問題である、しかも信書の秘密が十分保たれないというような状況につきましては、私どもぜひ改善したいと思っております。問題はぴしっとしてやっている郵政局もあるわけでございまして、その郵政局等のやり方をこの間も調べましたところ、前もって大体そういう局情というものはわかりますので、局の幹部が十分そういったことをその土地の住民の方によくお話をいたしまして、そしてこういう場合になったときはこういった場所でもってこういう配達をしたいので、ひとつりっぱな人を、安全な人を紹介してくださいというような形で、そしてふだんからそういう方と何らかの連絡を持って、いろいろ配達にあたっての注意とかあるいは服装というようなお話が出ましたが、腕章とかあるいは配達用具の問題、そういったものを十分用意してやっておる郵政局もありますので、たとえばただいま御指摘のように、行き過ぎた郵政局につきましてはいませっかくいろいろな実態を調査中でございます。その上でもしそういう行き過ぎあるいは間違った点があれば本省からも是正し、そうして郵便物を扱っているという、信書の秘密を十分保つという前提に立ちつつそういった異常事態処理を考えていきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
  39. 米田東吾

    米田委員 一ぺん私あなたのほうにひとつお願いしておきたいのですが、私、いまここでアンケートのはがき、高松のものですけれども持っていますけれども、確かに配達を受ける側の住民の皆さんの心配や不信の声や、それから郵便局関係者なんかについても大いに参考になるような提言も含めて切実な声が出ております。いままであなたのほうではこういうことをやっていないでしょうね。おそらく組合や何かが信書の秘密を犯しておるんじゃないかとか、あるいは受け取り人のほうはどういうふうに郵便局を見ておるとか、要するにこういう間違った運用、行き過ぎたことをやめてもらうために住民からこのアンケートをとって反応を調査して、あなたのほうに資料として出すというようなことはあったと思いますけれども、あなたのほう自身が、いまおそらくこれからもまた異常な事態が来ればやられるでありましょうが、前送方式基地方式、こういったようなものについて率直に住民の皆さんがどういう目でこの施策について受け取っておられるか、見ておられるか。肝心の信書の秘密等について心配が出ておらないかどうか、これからこれをやられたらどうかと私は思うのですけれども、どうですか。そういうことは考えられませんか。
  40. 溝呂木繁

    溝呂木政府委員 何しろこういった制度は郵便物が非常に滞留して、いわゆるある意味においての異常事態的な発生にとる処置でございます。したがいまして、十分その土地の住民の方にこういった処置をとらざるを得ないということの理解をいただくいとまがなかった、そういうようなことから起こってくるいろいろの誤解があろうかと思います。私どもとしましては、やはりこういう処置をとらざるを得ないということを十分住民の方にわかっていただきながら、少しでもそういった誤解のないような措置を講じたいと思っております。
  41. 米田東吾

    米田委員 ひとつ郵務局長、東京都内なんかでも団地ママさんの配達の制度はやめておりませんね。ある非常な時期に物がたまって、そしてそれをさばくについての前送方式というようなものはいまはそうないかもしれません。しかし団地だとかあるいは欠務が多いような郵便局等においては、私は非常勤を使って配達しているものも多いだろうし、ある意味では半ば恒常的に団地ママさんでやっているというようなところもあるはずだと思う。そういうところについての国民、住民側の反応ですよ。これはぜひあなたのほうで業務遂行の一環として、私はアンケートでもいいし、面接でもいいから調査をされて、手紙その他の受信者の声をすなおに聞いてみる必要がある、こういうことを再度申し上げておきたいと思います。  いろいろ資料持ってきましたけれども、もう時間がありませんし、これを読みませんが、住民方は非常に敏感ですね。女の方が裏を見ながら配達しておるとか、それからはなはだしいのは、裏を読んでみて急ぐものから先に配達しているなんというのもあるんです。これは私はやはりあるはずだと思うのです、どんなにきれいごとを言ったって。ですから、これはひとつ十分あなたのほう自身で、自前で調査をするなり改善の方法を考えてもらわなければならぬ。こういう前送基地とか前送配達というような臨時的なものが、だんだんそれが平常化していくという心配を私はしております。場合によれば、郵便事業の切り売りのようなことにもなりかねない。要員節約のためには、請負的なこういうようなものを制度化するというようなことにもなりかねないと思うのです。ですからそういうようなことになってはたいへんですから、要は私はこういう制度はほんとうにやめたほうがいい、やめるべきだ。だけれども、非常、緊急の場合に物をはくという至上命令から、ある程度のものはやらざるを得ないということもわかります。その場合でも、限界だけはきちっと押えて、少なくとも国民の側から郵便法違反とか信書の秘密が犯されているというようなことの誤解を受けないように、きちっとやるべきじゃないか。どうですか。もう一ぺん答弁をいただきます。
  42. 溝呂木繁

    溝呂木政府委員 御指摘の前送基地配達は、ただいまお答えいたしましたように緊急事態発生処理でございます。ただ団地ママさんの問題は、これはちょっと事情が違いますので、これはやはり今後、郵便事業というものが人手にたよらざるを得ない状況下において、主婦労働力等を、郵便局まで来ないでその地域において有効に使うという、これは一つの社会情勢的な問題も含んでおります。しかし現段階においては、あれはあくまでも臨時という形で組合との間で了解を得ながらやっているわけでございますが、将来のことを考えますと、こういった問題は別の観点からまた考え直さなければならない問題のような感じが私は個人的にはいたしているわけでございますが、本日は前送基地の問題でございますので、この点はあくまでも臨時、異常事態に対する処理として、しかもそれが郵便法違反にならないような限度においてやるべきであるということは、十分承知して対処していきたいというふうに思うわけであります。
  43. 米田東吾

    米田委員 ママさんの問題はあとでまた論争しますが、きょうはこれで終わります。
  44. 小澤太郎

    小澤(太)委員長代理 次に、田中昭二君。
  45. 田中昭二

    田中(昭)委員 私は最初に、現在の郵政事業のうちで、特に郵便事業の実態はすなわち人力に依存する事業でありますゆえに、客観情勢いかんによってはきわめて弱い部分があると認識しております。国民へのサービスが完全に行なわれない、したがって郵政省としては事業の将来のために、また国民のために、何か現行制度に対して抜本的な改革をするべきであり、郵政省あげて英知を集め、考える時期が来たのではないかというふうな感じがしてならないのです。以下、そういうことを踏まえまして二、三の御質疑を行ない、郵政省の御見解を伺いたいと思います。  まず、郵政事業の中で特に郵便事業は、宿命的にいま申しましたように人力に依存する事業であると聞いておりますが、郵政省の総経費のうちで占める人件費の割合はどのくらいでございますか。
  46. 溝呂木繁

    溝呂木政府委員 郵政事業全体でいいますとこれは約八〇%、郵便事業だけをとってみますと、これは分計等が非常にむずかしいのですが、郵便業務、いわゆる本省とか郵政局との関連でいわゆる郵便現業を中心に脅えますと、これは七〇%の人件費率ということになっております。
  47. 田中昭二

    田中(昭)委員 人力に依存する度合いが高ければこそ労使の関係の安定化が必要であるにもかかわらず、現実の郵政の労使関係は常に不安定であり、慢性的遅配の状態におちいっております。当委員会におきましても、論議の半分以上は、たいへん国民に対してサービスが悪い点、また法に従ってやればやるほど労使の問題がたいへんな問題になってここで論議されておることは、大臣も御承知のとおりであります。国民に多大の迷惑をかけておりますこのような現実をいかに認識し、対処しようとしておるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  48. 北雄一郎

    ○北政府委員 最近におきましても、六月の中旬ごろまで郵便状態が悪かったことは事実でございます。その後状況は大いに回復しておるというふうに存じておりますが、いずれにいたしましても、御指摘のように人力に依存する度合いがきわめて大きいわけでございますので、その間労使関係が安定するということが業務運行の大きなポイントになっておるという認識は十分に持っておる次第であります。したがいまして、こういった中で労使関係の安定をはかりますために、私どもも日夜苦心をしておる次第でございまして、そのためにはやはり私どもといたしましても当然正すべきは正すというところで労使関係に臨まなければならぬ。しかし、労使関係と申しますのは、多分に相対的なものでございますので、したがいまして、組合のほうに対しましても、いたずらに業務規制などの闘争を行なうというようなことのないように求めてもおるわけであります。いずれにいたしましても、労使関係原因となりまして国民の皆さまに御迷惑をかけるということは申しわけのないことでございますので、当然郵便自体の業務運行対策につきまして万全を期すると同時に、これをささえますところの労使関係の安定のために、いろいろな具体的な施策を講じていかなければならないというふうに考えております。
  49. 田中昭二

    田中(昭)委員 この問題は重大でございます。大臣、この問題につきましては、ほんとうにこの委員会で論議があるたびに、私も目をつぶり、耳をふさぎたいような気持ちがしてならない。そして、いままでの経過を見てみても、よくなるどころか、かえって悪くなっておる。郵便業務が完全にいっているといいますけれども、私は、完全にいくのはあたりまえであって、完全にいかない問題点の解決に努力することが正しいと思うのですが、この点については、重大でございますから、大臣の御見解を聞いておきます。
  50. 久野忠治

    久野国務大臣 ただいま御指摘のとおり、郵政事業のうち特に郵便事業につきましては国民生活に密着した事業でございます。しかも、人力に依存する度合いが非常に高いのでございます。そのためにはやはり労使間の円満な協調関係を打ち立てることが事業の進展に非常に重要な役割りを果たしておる、かように考えるような次第でございまして、私は当委員会の委員の皆さんの御質問にお答えいたしておりますとおり、就任以来この点に留意いたしてまいりましたが、しかし、今日まだ依然として労使間に不信感が残存しておりますことは非常に遺憾に思う次第でございます。私の微力を反省いたしておるような次第でございますが、しかし、私自身といたしましては、労使間の話し合い、また問題点等につきまして率直に話し合いをいたしまして、そしてこの改善のために努力をいたしてまいりたい、かように存ずるような次第でございまして、今後とも逓信委員会の委員の各位並びに国民の皆さんの御協力、御支援を心から願ってやまないような次第であります。
  51. 田中昭二

    田中(昭)委員 この問題も含めて、郵政事業に関する経営形態を公社化するということで答申が四十四年の郵政審議会から出ておりますが、その後郵政省は直ちに公社に移行するということではなく、現行法令等を改正して、とりあえずその効果を期待するということを過去の委員会でも御答弁なされておるようでございますが、この検討経過及びどのような効果があがったか、そしてその結果現在のような国営でいくのか、それとも公社化するのがよいのか、具体的にお伺いしたいと思います。
  52. 廣瀬弘

    ○廣瀬政府委員 先生指摘のように、郵政事業の改善のために経営形態を公社化するということについて、郵政審議会の御答申を得たわけでございます。その後、いろいろと省側といたしましても検討を続けてまいりました。そこの中に書いてございますように、必ずしも公社化自体が問題を解決するものではなく、きびしい現状認識と企業意欲ということが問題であるということでありまして、それに従いまして、省としても三事業各方面にわたりまして検討を続けてまいったわけであります。これをたとえて申し上げますと、郵便関係につきましては、第三種郵便物あるいは第四種郵便物、こういったもの、及び小包み郵便物、こういった料金、それから特殊扱いの料金でありますが、こういったものを現在は法律から省令の段階に落としまして弾力性を持たせております。もちろんこれには郵政審議会に諮問をするということが必要でございますけれども、答申にございますようないわば需要の変動に即応するような体制をつくるという意味で機動性を持たせるという措置をとっております。また貯金関係につきましても、郵便貯金の一種といたしまして住宅積み立て郵便貯金というようなものを設けるというような、新種のサービスを提供するというようなことを考えております。簡易保険事業につきましても、たとえば被保険者の廃疾によります保険金の支払いの対象となります身体障害の範囲、こういったことにつきましても、従来法律の対象でございましたものを約款によって定められるようにしたわけであります。  これを要しまするに、答申で述べられておりますように経営の自主性の確立あるいは高い能率の発揮、サービスの向上、需要の変動に即応すること、こういったことにかなうように各事業にわたりまして法律事項を検討し、弾力性が与えられるものにつきましては法律以外の方法で需要に即応できるような方法を考え、いろいろな措置をとっております。ただいま申し上げましたのが一例でございますが、そういった方向で努力してまいりました。
  53. 田中昭二

    田中(昭)委員 それなりの検討をなさって、効果があったようなことでいまお話を聞いたわけでございますが、私が最後に申し上げました、今後このまま郵便事業というのは国営でいくのか、公社化するのがよいのか、この点については触れられなかったと思いますから、再度お答え願いたいと思います。
  54. 廣瀬弘

    ○廣瀬政府委員 ただいま申し上げましたように、現在の法体系の中で改善をいたしまして、それによって経営が改善されるべきもの、そういうものにつきましてはできるだけ現在の法律の中で改正をしてまいりますけれども、現在の法律改正のみによってはとうてい経営が改善されないというような障害に当たったときには、さらにその問題について、公社化形態是か非かということにつきましてもう一度検討する必要が出てこようかと思うのでありますけれども、現在の段階では、現行法のもとにおいてできるだけ経営の改善、需要の変動に即応するように努力するというような考え方でまいりたいと考えております。
  55. 田中昭二

    田中(昭)委員 不満足ですから、大臣の御見解を聞きたい。
  56. 久野忠治

    久野国務大臣 ただいま事務当局よりお答え申し上げましたとおり、現行制度のもとにおいて改善すべきものは改善し、なお将来の問題として検討さしていただきまして、問題点があれば、公社化の問題につきましてもいろいろ諸般の事情等を勘案しつつ、検討させていただきたい、かように存ずる次第でございます。
  57. 田中昭二

    田中(昭)委員 現段階では公社化するということは絶対あり得ないということに理解してよろしゅうございますね。
  58. 久野忠治

    久野国務大臣 ただいま御質問のとおりに私は考えております。
  59. 田中昭二

    田中(昭)委員 他の企業などにおきましては、あらゆる部門においていろいろな科学性を取り入れまして機械化、合理化を進めて、まさに近代的経営のためには積極的にその姿勢を示しておるわけでございます。しかるに、郵便事業においてはいわゆる独占事業で、親方日の丸的な感覚で漫然とその日暮らしの業務処理体制がとられているような感じがしてならない。こういうものもそのままであるということはたいへん遺憾であります。したがって、最近特に頻発する労働争議の影響によりまして急激な郵便物の滞留が生じました。これこそ国民に対するサービスが著しく低下したいい例でございます。そしてこれが慢性化しております。たび重なる遅配、欠配、誤配送達というようなことで、国民の不満もこういうことであるとあきらめに変わってしまうというような状態郵政省に対する郵便サービスの期待がもう持てなくなってしまう、そういうことでありますが、郵便事業が国が行なう独占の事業であることが、今後の方向を見ましてもはたしてこれでよいものだろうか。ほんとうに国民的な立場に立ちましても、さらに郵政省の将来を考えてみましても、全く不安な感じがしてならない。したがって、郵政省としては郵便事業の今後のあり方として、将来のビジョンや現在の制度を抜本的に改めるなどの専門的な研究を行なうべきと思いますが、その点はどうでございましょうか。郵便事業の将来のためにひとつ伺っておきたいと思います。
  60. 溝呂木繁

    溝呂木政府委員 御指摘のとおり社会情勢は非常に急激に変化しております。郵便事業といったようなもの、郵便サービスのあり方といったものは、早急にこれに対応した研究をしなければならないということはお説のとおりでございまして、実は省内に郵便事業基本問題協議会というものを設けまして鋭意いま検討中でございますが、たとえばその主たる例を申し上げますと、まず郵便の利用構造調査といったようなことで、一体昔は郵便といえば家庭通信といいますか個人通信が中心でありました。しかし、いまや御承知のとおり業務通信がその主体を占めておるといったようなことがいわれておりますが、こういったものを徹底的に調査して、どういう産業分類的にどういう目的で郵便が出されるかというようなものを徹底的に調査しまして、需要者に対するサービスはどうあるべきかというようなことをいま検討中でございます。  それから先ほどもちょっと出ましたが、どうしても郵便事業というものは労働力に依存しなければならない。しかし、将来日本の労働人口というものはどうなるのだろうかといったようなことに関連して、一体郵便の作業をしていくためにその逼迫する労働力にどう対応していくかというようなこと、あるいは現在郵便としては一種、二種、三種、四種という形でもって種別体系を行なっておりますが、新しい郵便の需要に対してこういった種類別体系がこれでいいのかどうか、もう少し考え直さなければならない点といったようなことを中心に、いまややおくればせながらではございますが、鋭意検討中でございます。
  61. 田中昭二

    田中(昭)委員 次に問題は変わりますが、最近政府も福祉政策を進める年だということでいろいろ施策検討、実行がなされているわけでございますが、その中で、郵政関係では老人福祉電話システム、これにつきましていまからお尋ねしたいと思います。  まず老人福祉電話に関する現在の施策の現状というものを、それぞれお見えになっている関係各省からお聞きしたいと思います。
  62. 牧野康夫

    ○牧野政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘の老人電話に関する郵政省としての施策でございますが、御案内のように、政府といたしまして老人福祉対策は重要施策としてやっておりますので、郵政省としても通信政策の上でどのように具現していくかということに努力してまいってきております。この電話の性質といたしまして、制度上二つの種類がございます。一つは電電公社が行なっております公衆電気通信に関するいわゆる加入電話に関する問題と、もう一つ有線電話設備つまり私設の電話、こういう二種類のものが郵政の通信行政の対象になっております。  寝たきり老人あるいは一人暮らしの老人、こういうものに対しまして加入電話を優先的につけて差し上げる、現在そういうことを公社から申請させまして認可を与える、そういうふうな優先順位にさせております。それから、電話債券の引き受け免除ということについてもその措置を講じている次第でございます。これらの中に、老人御自身の御負担ということもあろうかと思いますが、多くは地方公共団体あるいは社会福祉事業団体、そういうようなものからの経費でそういうことが行なわれているといろものでございます。  それから私設の設備で、たとえば寝たきりのお年寄りの方々が、お隣の方あるいはそのほかに自分で線を引かれて、インターホンみたいにあるいはベルみたいにやる場合は、これは実際は有線電気通信法の第十条に「他人の通信の用に供することの制限」というのがございまして、他人との間にそういう通信は、公社、会社——KDDでございますが、以外はやってはいけないということになっておりますが、これを特例といたしましてやってもよろしいということにして、そういうインターホンやベルみたいな、万一の場合の連絡手段というものに対してはこれを設置してよろしい、こういうふうにして措置をしている次第でございます。
  63. 山崎卓

    ○山崎説明員 厚生省でやっております分につきまして御説明申し上げます。  厚生省では老人福祉相談センターというものをモデル的に実施してまいりたいということで、四十六年度からこの予算措置を計上してございます。四十六年度二カ所、四十七年度二カ所、本年度は五カ所分を計上してございますが、これにつきましては、一定数のセンターにおきますキーステーションと、それから一人暮らし老人のお宅におきます加入電話、それの設置料ということを念頭に置きまして、国が三分の一、県が三分の一、それから市町村が三分の一という負担割合で、それに対するそういう補助をするということでございます。個所数は、先ほど申し上げたとおり現在までのところ累計九カ所分が計上されるということでございます。
  64. 田中昭二

    田中(昭)委員 いま郵政省と厚生省からお聞きしましたが、少し具体的にお聞きしたいと思います。  厚生省は全国で九カ所をやっていくというお話でございますが、この九カ所でどのくらいの一人暮らしの老人が享便を得られるのでしょうか。年度ごと、場所別に言ってください。
  65. 山崎卓

    ○山崎説明員 お答え申し上げます。  この九カ所は、先ほども申しましたとおり、大体各地区にモデル的に持っていきたいという考え方で出発をしております。四十六年度に豊橋市と福岡市に補助をいたしておりますが、これが豊橋が百二十九台、福岡が二百十台、それから四十七年度は新潟市と東京都の文京区でございますが、新潟市の場合が二百二十三台、文京区が六十五台、こういうような形になっております。合計いたしますと、この四カ所では約千程度ということでございます。ことしの五カ所につきましては、これから申請を待ちまして予算の執行をしてまいりますので、まだ具体的な数字はわかりませんけれども、おおむね一カ所当たり大体二百程度になるであろう、こういうふうに見込まれております。
  66. 田中昭二

    田中(昭)委員 そうしますと、いまの厚生省のそういう施策によります補助によりまして、公社が実際取りつけをしました数はどのようになっておりますか。
  67. 玉野義雄

    ○玉野説明員 お答え申し上げます。  七月現在で、電電公社でただいまお話のありましたような福祉事業として老人の方につけております電話の数でございますが、全体で六百九十加入になっております。この内訳を申し上げますと、先ほどございました福岡が二百八、新潟が二百三十六、豊橋が百二十九、東京の文京区が八十五、それから釧路その他の小さなところがございますが、それが三十二ということで、合わせまして六百九十ということでございます。
  68. 田中昭二

    田中(昭)委員 郵政省は胸を張って老人福祉電話を進めているということを言ったけれども、いまの厚生省と電電のやっている数字もちょっと違いますね、こまかい数字でございますけれども。そういうことと、実際考えてみますと、はっきり言って郵政省は何もやっていない。それは補助を受けなくてもやっているところもありますし、郵政省の取り組み方としては、まず公社にお願いしてそういう方法をとるとするならば、施策として何が一番大事ですか。全国で何万何十万人の該当者がおられて、モデルケースにしてみてもわずか六百人か七百人の人に供与できるというようなことでは、昨年の本会議等の答弁等を見ましてもたいへんさびしいことですね。大体郵政省としてはこの老人福祉電話については何をやればいいと考えているのですか。どうせ郵政省は何もやらないのだから、考えぐらいしっかり持っていなければいかぬ。
  69. 牧野康夫

    ○牧野政府委員 お答え申し上げます。  郵政省といたしまして通信行政の立場からまず着手いたしましたものは、先ほど申し上げましたような制度上の問題でございますが、具体的に一人暮らしの老人、寝たきり老人に対して、設備なり何なりを使って実際に実行できるようにそれをしなければならないと私は考えております。したがってまず第一に、寝たきり老人あるいは一人暮らしの老人がどういう状況にあるかということをよく調べまして、最もそれに合った電話機なり、あるいはそのほか何らかの連絡手段というものを考えていかなければならない。設備の面でそういう技術的な手段を考えていかなければならない。それで、それができましたならば、それによって今度はそれをどういうふうに普及させるかという問題を考えていかなければならない、こういうふうに考えております。  そこでまず第一に、現在の状況は、一人暮らしの老人あるいは寝たきり老人という方がどういう状況にあるのかということについて、ただいま調査を実行中で、近々その結果が出てくると思うのでございますが、それにはやはり電話の通話、通信の手段がどういう方法がいいのかという要望事項、それから通話先は一体どういう、遠いところの方々か、近くの方々か、これはいろいろあろうかと思います。それから、あるいはそういう福祉センターみたいなところなのか、あるいは親戚筋なのかというような状況をよく調べたり、あるいは経済的負担能力がどの程度あるのかというようなことも調べてまいりたい、その結果によって、その方向に適切な方法を選びたいと思うのでございます。  そして、その設備といたしましてどういう電話がいいのかということになりますと、やはり一人暮らしということになると、ダイヤルするということもいろいろおっくうでございましょうし、あるいは万一の場合、自分で、わしはこれこれだということを、自分の名前を言うこともむずかしくなったようなときに、やはりそういう自分は何々だということが相手に伝わるような装置をそれにくっつけておかなければならないとか、あるいは一々ダイヤルしないで、ボタンで押せば自分の必要なところに通じていく、そういう装置を開発していかなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。これを目下電電公社のほうにそういう研究開発をするように命じてあるわけでございまして、そしてそれができまして、ことしじゅうに何らかの結果が出ますれば、来年何とかして郵政省としてもそういう装置ができますように、総理府あるいは厚生省、それから私らと相協力いたしまして、これの実施方について予算を獲得して、この推進をできるだけ早い時期までに、多くの人方が、そういう不幸な目にあわないように、電気通信によるところの福祉の増進がより豊かになりますように努力してまいりたい、かように心得ておる次第でございます。
  70. 田中昭二

    田中(昭)委員 ただ、いまから調査をする、調査にかかったというような御答弁だけですね。そういうことがもうおそ過ぎるんですよ。これは昨年も私言いましたように、昨年でもこれをはっきり政務次官も目的が達成するように今後やると、こういうふうにはっきり言っているわけですね。目的を達成するということは、全国の一人暮らしの老人には電話をつけてやろう、そういう意味で言っているわけですよ。それが一挙にできないことはそれは無理ないことでしょう。しかし、いま聞いていますと、先ほどから厚生省から話があったように、電電からも話があったように、こういう福祉の問題というのは、地方公共団体にまかせるよりも、まず国がやるべきだ。国がやるとすれば、厚生省なり郵政省はよく話し合ってやらなければならないということは、いままで論議されておる。聞くところによりますと、厚生省は厚生省で、予算をつけてやった、電電は電電で、それ以外の厚生省の補助を受けない電話についても、地方の公共団体の要求を入れてやっておる、その数はわずかでございますけれどもね。そういうことを踏まえますと、私は郵政省がほんとうに本気にやる気があるのか、こういうふうに疑わざるを得ないのです。  そこで大蔵省としては、大蔵大臣も昨年、このことは総理をはじめ大臣答弁もなされておるわけでございますから、今後どのような予算づけを考えておられるのか。また、いままでの予算づけしたことがどのように反響を呼んでおるのか。まあいいことは一ぺんにやるのが一番いいということにきまっているんですが、それは大蔵省としても金を出す関係もいろいろあるでしょうけれども、そういう認識がどの程度なされておるのか、大蔵省のほうにも聞いておきたいと思います。
  71. 田中敬

    田中(敬)政府委員 お答え申し上げます。  老人福祉電話につきましては、先ほどから郵政省その他から御説明のありましたとおり、現在、本年度の予算措置に基づきまして郵政省では実態調査をお進めになっております。また電電公社におきましても、いろいろ老人の電話の機械をどういうふうにしたらいいかというような研究開発をお進めになっているようでございます。  御趣旨の来年度の予算の問題でございますけれども、老人福祉電話と申しましても、本来福祉対策、福祉政策あるいは老人対策の一環でございますので、今後の福祉政策、老人対策の中でこれをどういうふうに位置づけるか、あるいはその具体的な方法をどうするか、本年進められております実態調査その他の結果で関係名省庁の調整がつきまして、具体的な案ができますれば、その段階で予算化を真剣に検討してまいりたいと思っております。
  72. 田中昭二

    田中(昭)委員 やはり大蔵省はかたいことを言うんですよ、結局。だからそういう大蔵省に郵政なり厚生なりが少し強くお願いをして、そうして、やはりやるときめたことはやらなくちゃだめじゃないですか。これをやっていく上において、まず、これは私の考えでございますけれども、やはりやる以上はどのくらいの対象者がいるかとか、それからその対象者の中で、現在地方公共団体がやっているところがどういうふうな要望を持っているのかとか、それを聞きますと、何かしらん、いまの大蔵省のお考えも郵政省のお考えも、何かりっぱなものをつくってあげよう、りっぱな制度を発足させようというような考え方が先にあるようでございますけれども、私は、質よりも量ということを考えるべきじゃなかろうか、こう思うのです。ですから、そんな対象者がどのくらいおるのかなんということは、何も大騒動して、あらためて後手後手になって調査するということは、郵政省として恥ずかしいのじゃなかろうかと思うのです。東京にどのくらいの該当者がいるか、厚生省なり郵政省は調べたことがありますか。   〔小澤(太)委員長代理退席、委員長着席〕
  73. 山崎卓

    ○山崎説明員 私ども都のほうに調査をいたしまして、都が考えております対象者数として六千人という数字がきております。
  74. 田中昭二

    田中(昭)委員 六千人になりますと、かりに六千人の中で、いま厚生省から、また電電のほうからもお答えがあったように、大体六十とか八十とかいうような数字ですね。これじゃ本気になってこの老人福祉電話を進めていこうということにはほど遠いということをいわざるを得ないのです。また老人は東京だけじゃありませんし、地方ではそれ以上に問題があるかと思います。こればかりに時間はとれませんから、今後ひとつ各省とも真剣に考えていただいて手を打っていただきたいということをお願いしておきます。  そこで、この問題はもう少しあれでございますが、先ほど郵政省調査をやっておるということにつきましてお尋ねしておきたいと思いますが、ここにあります老人福祉電話システムの需要動向の調査ということだろうと思います。この中で「対象者は、ひとり暮らしの老人であって、一応の起居動作ができるものであること。」こういうことが一番最初にあがっているわけですね。これはどういう考え方ですか、まあ調査はやってあるわけですから……。
  75. 牧野康夫

    ○牧野政府委員 まず方法といたしまして、一人暮らしの老人であって、そうして起居動作——一応の起居動作ができるということを対象に選んだわけでございます。一人暮らしの老人で、そうしてしかも寝たきりの方々というのと区別いたしまして、一人暮らしで起居のできる方々を対象に、それに合った問題をひとつまず選んでみよう、それのほうが全体として数が多いのではないか、こういうふうな着眼になっておる次第でございます。
  76. 田中昭二

    田中(昭)委員 そうしますと、私は、大臣、なぜこういうことを言っているかといいますと、いかにことばでこういう調査をやりますなんか言っても、それが実際それ以上の精密な調査をなされたものがあるとほんとうは私思うのです。それで結局こういう調査をやる場合に、ただここに書いてあるようなことを主眼に置いてやりますと、またたいへん手落ちができてくる、こう思うのです。一応起居動作ができる者、それじゃ一応起居動作もできないような老人で重い病気の人、これは除かれるというようなことにもなるんですか。そういう点を考えるならば——私も現実に知っております。大臣こういう実態の人がおるんです。八十七歳のおじいちゃんと五十三歳のむすこさんですが、五十三歳のむすこさんは生まれながらの小児麻痺で、そして、まともにできるのはことばを発することだけです。あとは全部寝たきりです。五十三歳のむすこさんと八十七歳のおじいちゃんですよ。そういう実態等を私たち見まして、いまのこの老人電話なんかというのは、もうほんとうに急を要する。  それから、この前いつでしたか、最近消防庁が東京で寝たきり老人の数を調べましたね。ほんとうにこういうことのほうがこういう需要動向調査よりも、かゆいところに手の届くような方法だろうと私は思うのですよ。いつも郵政省が何方という国民生活につながる先ほど申し上げた人力を持っておりながら、やろうと思えばまたやったものもあるし、そういうものに合致した、そういうものが総合的に加味された調査をやらなければ、ここにあるただ一応の起居動作ができる者だけじゃたいへん不十分だ、こういうことを私は言っておるわけです。それはやられたことを全面的にいけないと言っているのじゃなくて、そういうときにはそういう配慮もし、そうして調査をやる以上はほんとうにこまかいことまで考えて調査すべきじゃないか、そういうことを言っているのです。そのことについてもう一ぺんお答え願いまして、時間がございませんから、その次に、そういうことをかりに調査をやりますと、四十九年度の施策にはどのようにそれを生かしていこうと思っておるのか、またその場合大蔵省としてはそれをどう受けて、予算づけ等を考えておるのか、厚生省のほうもお聞きしたいと思います。
  77. 牧野康夫

    ○牧野政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生のおっしゃった一人暮らし、寝たきり老人、それから具体的な例をあげられました問題、それらについては当然これは措置すべきことでございますし、われわれが調査対象としてそれを選んだというのは、開発のための調査であったために対象が大きいものを選んだということになっておりますために、抜けているような感じを抱きますけれども、事実はそういう方々はかなり明らかになっておりますので、そのデータを厚生省からいただいて、それは四十九年度において、まだ未実施の部分については実施のできるようにわれわれも厚生省と一致協力して大蔵省によく相談をいたしまして、その案に基づいて来年度何とかそれが実施できるように努力を重ねてまいりたい、かように考えております。
  78. 山崎卓

    ○山崎説明員 厚生省におきましても、先ほど申しましたとおり四十六年から三年間やってまいりましたわけでございますが、その実績等を踏まえまして、郵政省あるいは電電公社とも十分緊密な連絡をとりながらこの問題を検討してまいりたい、かように考えております。
  79. 田中敬

    田中(敬)政府委員 郵政省、厚生省からどういう具体的な内容の要求が出てまいるか現状ではわかっておりませんので何とも申し上げられませんですが、その具体的要求の内容に即しまして、十分前向きに検討したいと思います。
  80. 田中昭二

    田中(昭)委員 四十九年度施策につきましてはその程度しか言えないと思いますが、何か委員長から大臣の時間の都合で要請があっておりますから、ちょっと途中でやめまして、次の問題に移ります。  大臣にお尋ねしたいのですが、当委員会でも問題にしましたいわゆる庶民金融のことですね。郵便貯金の貸し付けの限度額が低いのじゃないか、こういうことについてこの委員会でだいぶんいろいろお尋ねしましたが、ことではお答えにならずに、何か外部へ行かれてこうなるのだという御発言があったようでございますけれども、これは間違いなくひとつ今年度中に法改正を出されますか。
  81. 久野忠治

    久野国務大臣 ただいま御質問の預金者貸し付け制度の限度額の引き上げにつきましては、当委員会におきましても委員各位からいろいろ問題点が提起をされました。さらにこの預金者貸し付け制度のための法律の審議が行なわれました際にも、附帯決議として衆参両委員会におきまして限度額の引き上げについて考慮すべき旨が付与されたことは私はよく承知をいたしておるところでございます。そこで何らかの形においてこの限度額引き上げについて検討いたしてまいりたい、かように考えておりまして、たまたま六月の二日に大阪におきまして日本記者クラブとの懇談会がございました。このクラブの懇談会の席上、記者団の各位から質問がありまして、それに対して私の考え方を率直に御披露申し上げたような次第でございます。  その考え方の骨子は、御承知のとおり限度額十万円以下でありますが、これを五十万円程度に引き上げたい。そのためには法改正が必要でございますので、来たるべき通常国会にこの法律改正の準備を進めたい、かように考えておるような次第でございます。
  82. 田中昭二

    田中(昭)委員 もう一つございましたね。貯金の限度額百五十万を三百万にするという、これも同じ考え方でありますか。
  83. 久野忠治

    久野国務大臣 御質問のとおり、もう一点は郵便貯金の総額制限額につきましては、従来百五十万円に引き上げられたのでございますが、現在の経済情勢から見まして、これは三百万円程度に引き上げることが適当ではないか、かように考えておる次第でございまして、これも法律改正を必要とする事項でございますので、来たるべき通常国会にこの法律案を、改正案を用意いたしまして提案をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  84. 田中昭二

    田中(昭)委員 限度額の引き上げの幅につきましても、私も現在の経済情勢の中ではまだ不十分であると思います。  問題は、ここで郵政大臣がやられるお考えであっても、これをやるためにはいろいろな財政的な裏づけなり、経済に及ぼす影響ということについてきょうはいろいろ御尋ねしたいわけでございますけれども、時間がないようでございますからこれは省きまして、もう一問ひとつ大臣にお答え願っておきたいのでございますが、もう一つは、これは例の与党の自民党さんのほうの逓信部会から福祉郵便貯金要綱案というものが新聞に発表になっております。おそらくその内容は御承知のことと思いますが、いずれにしろ、福祉に向かっていく一つ処置であるとするならば私は反対するものではございませんし、この福祉郵便貯金のいわゆる金利の引き上げを老人や子供や母子家庭や、そういうものに適用したいという自民党のお考えに対しまして、郵政大臣いかようにお考えになっておりますか。
  85. 久野忠治

    久野国務大臣 ただいま御指摘の福祉貯金の制度でございますが、この福祉貯金の制度の創設につきましては、先般、自民党の通信部長であり、当委員会の理事でありますし、ただいまこの席においでになります小澤部長から提案されたものでございます。提案されました内容については御承知のとおりであるわけでございます。郵政省といたしましては、この案につきましてただいま検討をいたしておる次第でございますが、その考え方の骨子につきましては賛成でございます。御承知のとおり、わが国は経済成長型社会から国民福祉型社会への転換を強く要請されておりまする時代でございます。そうであるだけに、やはり老人福祉の問題は最重点施策として政治の面で取り上げていくべきであろうと考えます。さような際に、この老人の方たちにやはり何らかの国として、施策として報いるべき制度を設けるのが妥当ではないか、かように考えておるような次第でございまして、自民党の通信部長御提案の福祉貯金の制度につきましては、その基本的な考え方については賛成でございます。  しかし、これにつきましては各省各庁との間にいろいろ調整すべき問題点が多々あろうかと思うのであります。たとえて申し上げますならば、貯金の金利体系全体から見て、一体郵便貯金だけがこのような問題を取り上げることは妥当なのかどうかというような点もあろうかと思うのであります。それから、所得制限につきましてこれは触れられていないのでございますが、この提案をされました内容につきまして、所得制限の問題はどうしたらよろしいか、こういうような問題点が多々あろうかと思うのでございます。自民党におきましても鋭意この政策の推進に今後検討を続けられていくことであろうかと思いますが、郵政省におきましてもこの考え方に賛成でございますので、この点を十分踏まえまして検討を進めていきたい、かように考える次第でございます。当然これは来年度予算の編成にも関係をする点でございますので、できるだけ早期にこの結論を出しまして進めていきたい、かように考えております。
  86. 田中昭二

    田中(昭)委員 今国会におきましてはきょうの委員会の質疑が最後だと聞いておりますから、最後に、前回私がお尋ねした中で、いわゆる国際電信電話会社、KDDの問題につきましては、小澤委員の発言で当委員会の預かりになり、理事会でもいろいろ検討しておったわけでございますが、この問題について、私、郵政省の御説明がたいへん不備であったということも聞いておりますので、会社法の十三条によりますその点だけについては、はっきりお答えをいただきたい、こう思います。  いわゆる国際電信電話株式会社法の十三条によります無線設備の問題でございますが、そのときの議事録を読みますと、その点だけ申し上げますと、舘野さんは無線設備というようなことをいろいろと説明されましたけれども、その無線設備の説明だけでは私は不十分ではないかと思う。ここで大臣の認可を必要とするということについては、大臣からも、無線設備の内容については一定の基準を設けてあると思うという御答弁があったわけです。ところが舘野さんのお答えではそういうものはないわけでございますから、こういう点についてどのようなお考えを持っているのか、お聞きしたい。
  87. 舘野繁

    ○舘野政府委員 お答え申し上げます。  せんだっての委員会で先生の御指摘がございまして、この十三条の「無線設備及びこれに準ずる重要な電気通信設備」というものをどう理解しているかという御質問でございました。その際申し上げましたとおり、従来から現に使用中の無線設備及びこれに準ずる重要な電気通信設備である。それではその範囲は具体的にどうであるかということでございますけれども、前回私答弁申し上げましたときに、ことばが足りませんでたいへん恐縮いたしますが、この具体的な範囲につきましても、郵政省、国際電電当局の理解はずっと一致していたところでございます。しかしこの点につきまして文書をもって明らかに示してまいりませんでした。先生の御指摘の次第もありますので、ただいまこれらについて会社に対しまして解釈通達と申しますか、何らかの形において文書をもって明示するように取り運び中でございます。  その内容といたしましては、まず短波送信所、これは小山ほか三カ所ございますが、短波送信所におきます送受信設備及び空中線設備、これが第一でございます。第二といたしまして、海底線中継所、これは二宮と直江津にございます。海底線中継所におきまする海底線通信設備。それから第三といたしまして、衛星通信所、これは茨城と山口でございます、及び国際中継所、浜田にございます、におきまする送受信設備及び空中線設備。それから第四といたしまして、中央局、東京、大阪のいわゆる関門局でございます。中央局におきまする交換設備及びその付帯設備というのが、従来私ども及びKDDの間で範囲として意見が一致をいたしましたもので、これを正式の文書の形において明示したいと考えております。
  88. 田中昭二

    田中(昭)委員 一応そういう方向で検討したのならばそれでいいとしまして、法文が、そういう「設備を譲渡し、又は担保に供しようとするときは、」と、こうございますね。この「譲渡」というのは、無償でやった場合も含めますか、それとも有償の場合ですか、どちらですか。
  89. 舘野繁

    ○舘野政府委員 お答えいたします。  有償無償を問わず、所有権の移転ということで考えてございます。
  90. 田中昭二

    田中(昭)委員 郵政省は国際電電にただ書類で通達すればいいと言いますけれども、私はいままでの国際電電の発展の過程から見まして、これが事業の阻害になってはならないと思う。私は法律で縛ることが一番きらいなんです。指摘されたから法律にするなり、その考え方を会社に通達すればいいというようなことではいけないと思いますから、そういう点については十分ひとつ考えていただき、今後そういう問題がないようにしていただきたい。  この国際電電につきましては、委員長、当委員会、理事会でも預かりになっておりますけれども、その後進んでおりません。たいへん残念です。私は国際電電の発展を考えれば、この委員会でその原因指摘されたならば、郵政省のほうがもう少しあたたかい配慮でいろいろな問題を提起していくとか、そういう姿でなければならないと思いますから、そういうことをつけ加えまして、私の質問を終わりたいと思います。  以上でございます。
  91. 久保田円次

    ○久保田委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後零時四十分散会