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1973-07-04 第71回国会 衆議院 逓信委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年七月四日(水曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 久保田円次君    理事 宇田 國榮君 理事 小澤 太郎君    理事 梶山 静六君 理事 金子 岩三君    理事 羽田  孜君 理事 阿部未喜男君    理事 古川 喜一君       内海 英男君    志賀  節君       高橋 千寿君    楢橋  渡君       本名  武君    村上  勇君       金丸 徳重君    平田 藤吉君       田中 昭二君    小沢 貞孝君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 久野 忠治君  出席政府委員         郵政大臣官房長 廣瀬  弘君         郵政省電波監理         局長      齋藤 義郎君  委員外出席者         会計検査院事務         総局第二局長  柴崎 敏郎君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     前田 義徳君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    小野 吉郎君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   藤島 克己君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   竹中 重敏君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   佐野 弘吉君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   大村 三郎君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   松浦 隼雄君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   藤根井和夫君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   野村 忠夫君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     吉田 行範君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     坂本 朝一君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     斎藤  清君         参  考  人         (日本放送協会         経理局長)   堀場 仁徳君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ――――――――――――― 委員の異動 七月四日  辞任         補欠選任   中村 寅太君     高橋 千寿君 同日  辞任         補欠選任   高橋 千寿君     中村 寅太君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  日本放送協会昭和四十五年度財産目録貸借対  照表及び損益計算書  日本放送協会昭和四十六年度財産目録貸借対  照表及び損益計算書      ――――◇―――――
  2. 久保田円次

    久保田委員長 これより会議を開きます。  日本放送協会昭和四十五年度財産目録貸借対照表及び損益計算書、並びに日本放送協会昭和四十六年度財産目録貸借対照表及び損益計算書の両件を議題として、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。金丸徳重君。
  3. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 議題となりました日本放送協会の四十五年度及び四十六年度の財産目録以下貸借対照表についての議案に関連いたしまして、一、二、お尋ねを申したいのであります。  実は、私は逓信委員会には十年ばかりごぶさたをしてしまいまして、したがいまして、NHKのお仕事などにつきましては、深い関心持ちながら、しかし本気になって勉強するまでの時間もなしに今日に至っております。この機会に、日ごろ機会もあればお聞かせをいただきたいと思っておることを並べ立てて、いろいろと自分だけの検討を加えつつあったのでありますが、日ごろの不勉強が災いしてか、なかなか質問の集約ができかねまして、限られた時間でできますかどうやらなどと心配しながら、その重点を自分でさがしつつあったのであります。時間をちょうだいいたしました中におきまして、さような不勉強でありますことをみずから省みながら、教えを受けるようなつもりで、大臣はじめ会長その他からの御所信を承らしていただきたいのであります。  ただ、質問を始めます前に、これは全く私の新聞知識だけでなのでありまするが、会長には、近く任期満了のゆえをもちましてか、後図小野会長に託されて、会長の職を辞せられるお考えであるやに承っておるのでありますが、その真相はいかがでありますか。同時に、またこのような立場において、私どもにあらためてお聞かせくださる御所信もありますれば、この機会にまず承っておきたいと思います。
  4. 前田義徳

    前田参考人 その新聞報道のとおり、私は来たる十六日をもって任期満了いたしまして、十七日から小野会長が新しく会長として就任される予定です。  その経緯につきましては、簡単に申し上げますと、私は、本年度予算審議の終わったあとで――まあ部内的な事務を、さらにその予算と関連する事務を終わったあとで、経営委員長に対して、五月の初めですが、次の会長選任については私のことを考慮の外に置かれて、適正な御判断のもとに新しい会長を選ばれることを希望いたしますということを正式に申し入れました。その後、御承知のように、私は六月の十五日から十九日までハワイヒロ市で開かれる日米文化会議日本側首席代表として、同時に、アメリカとの共同議長としてヒロに参ることになりましたので、当日朝、出発に先立ちまして、私はさらに経営委員長と電話で話し合いまして、私は、かりに推された場合でもお受けする意思はない、もし私の希望を入れてくださるならば、小野会長会長に御推薦申し上げたいので、その点を中心にして御審議いただきたいということを申し上げ、同時に小野会長に対して、十五日午前ですが、もし経営委員会がそういう決定をされる場合には、御遠慮なく受けていただきたい、それが将来のNHKのためであるということをお願いいたしまして、当日の夜、ハワイヒロに向けて出発したわけでございます。これが私と直接関係のある選考事情に、少なくとも私が多少の希望を述べたという限度における実情でございます。したがいまして、新聞報道も各種いろいろな書き方がございますけれども、率直に申し上げて、私は以上のような態度、気持ち、さらにNHKの将来を考えて、当然小野会長が私を継ぐべきであるという、あるいは独断かもしれませんけれども、そういう確信のもとに、私は今日進退に処したわけでございます。したがいまして、そこには私の気持ちはきわめて淡々としておって、やはり私の一生を終わるにあたっても、まあ水の流れるような生活をしてまいりたい。この考え方の中の部分的な処置として、ただいまの問題をおくみ取りいただければ、絶対に間違いはないという証言になるかと考えております。以上でございます。
  5. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 実は前田会長NHK最高幹部として、多年にわたって難関を突破、処理なさってこられ、ちょうど日本の政治、経済、社会などの流動期、激動期及び発展期、わけても放送業務についてはこれくらいスピーディーに、またこれくらい充実した形において、これは民放とともにと私はつけ加えるのでありますが、発展してまいっているのも珍しいのではなかろうか。そして、このような事績をあげられたことにつきましては、前田会長持ち前の闘志と強い信念との中において、今日まで各般の圧力みたいなものもあったかもしれない中において、き然としてその所信を貫いてこられた。私はそういう意味におきまして、いまや放送業務放送界といいますか、全体として新しい時代を迎えるときにおいて、あなたが持っておられた今日までのとうとい経験、体験は、今後における放送界にとっては、たいへん大事なものに思われてならない。こう思いますのは私はかりではないと思うのです。  したがいまして、あるいはこの大事なときに、さらに続けて御努力なさるのではないかなどと、ひそかにも考えたのであります。いま承りますと、水の流れるがごとき心境においてといいますか、淡々たる心境において、日ごろ信頼なさる副会長後図を託される、そういう条件をもって経営委員会のほうにも所信をお述べになられました。まことに花も実もある御処置のように思われまして、深く敬意を表するところであります。  しかし同時にまた、私はこういう機会に、会長としての前田さんから今後における放送界の展望、いや現代における、これはあとで申し上げるのでありますが、日本放送界実情、実態などについてどういうふうに把握なさっておられるかなどを承りながら、これから私ども放送業務放送界全体の諸問題に対処してまいるための大きな参考にさしていただこうなどと思っておったところであります。したがって、私はきょうあなたを前にしていろいろとお尋ねいたすのに、何かやや力が抜けたような感がいたさないものでもありません。私はタイミングが狂ったような感もいたすのでありますが、ある意味においては、かえってそういう立場においてこそ、何らのこだわりのない御心境の中で、いままであるいは遠慮しながらものを申されておったかもしれない点を率直に御披瀝願うこともできるのではないかなどとの希望を持ってお尋ねいたすところでありますが、さような意味において、ひとつこれからこだわりのないと申しますか、率直なる御見解をあとあとのために御披瀝をいただけばしあわせでございます。
  6. 前田義徳

    前田参考人 ただいま御質問の中で、私に対して過大な評価を含むおことばをいただきまして、私としては汗顔の至りであると同時に、そのお気持ちに感激しております。  私が当委員会に初めて出席いたしましたのはいまから大体二十年前、報道局長として会長の補佐として当委員会に出席して以来、二十年間毎回の当委員会皆さんに御迷惑をかけ、おそらく皆さんの中にも、相当傲慢無礼の発言をするやつだというお考え、御印象をお持ちになった方も多いかと存じます。しかし私は私個人のために発言したわけではなく、日本の中におけるNHKの地位と関連して、私はむしろ勇気をふるって申し上げてまいったつもりでございます。  私は御質問最後部分お答えしたいと思いますが、この放送法昭和二十五年に制定されて以来、公共放送民放の二本立てという形は何を意味するかといえば、国民財産としての電波の使用に関して、これを開放するというたてまえの中でも、やはり電波の非常に重要な意義を持つメディアであるという点において、公共放送民間放送との二本立てになされておると考えます。逆に申しますと、いかなる時世、いかなる時代においても、もし公共放送の存在の意味が、この放送法の示すところ、そのことばの裏に重大な意義がありとすれば、公共放送は、当然関係方面におかれてもそのあり方に深い関心をお持ちくださいまして、これを残すことが必要だという限度の御協力と、より前進的な、より積極的な御理解を賜わることが絶対に必要だと考えております。  かって数年前、BBCの職員から新たにイギリスの内閣の郵政大臣になられたベンさんという方が就任早々私をたずねておいでになりました。当時イギリス放送界は、BBCの姿あるいは放送のしかた、編成のしかたについて与野党の中で大きな問題の焦点となっていた時代でございますが、私はベンさんの質問に対して、イギリスのことについて私の意見を語る資格はない、ただ、イギリス商業放送をつくったあとBBCという特殊の放送体系を残しておかれるということは、そこに必要の意味があるからでしょう、イギリス政府及びイギリス国民商業放送と並立の時代においてもBBCの本質を誤らないことが必要だとお考えになるならば、全力をあげて郵政大臣としてBBC発展のために尽くすべきであり、BBCを守ることをお考えになることが当然だと思うというお答えを申し上げました。私、今日、金丸先生の御質問に対して端的に申し上げるならば、この心境が、今日までもまた将来にわたってもNHK公共放送としてここに存在することが必要だとお考えになるならば、当然NHKについて特別の御理解配慮が絶対に必要であろうと私は確信いたしております。
  7. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 最後お答えは、私が実は私のお尋ね最後部分であらためてお伺いをいたそうと思っていたところであります。私も実はそういうような気持ちを前に強く押し出しながら質問の順序を組み立ててみたのであります。  そこで大臣、実は私はこんなことをちょっと疑問といいますか、お尋ねいたしておきたいと思ったことが二つございます。  一つは、かつて何年か前からでありますが、一億総白痴化などということばがたまたま放送界に対して行なわれました。主として民放番組などについてのことではなかろうかなどと思って、そういうことのないように念願いたしておったわけなんです。私は民放などはあまり見ないほうでありますので実情はよくわからないのですが、最近新聞その他の投書欄などにも、そうした批判めいたことあるいは注文めいたことが数少なくなっておるのであります。私の目が悪いのか、それとも実情からしてそういうふうになっておるのか、大臣のほうではいろいろな投書、いろいろな申告あるいはいろいろな注文、陳情、そうしたものやその他いろいろなアンテナもありましょうから、そういうものからして、実際に番組がよくなっているのか、それとも私ども聴視者のほうの感覚が鈍くなってしまって、実は番組あるいは広告内容というものは依然として低俗なものが多いのだけれども、もうそういうことになれ切ってしまったということの結果であるのかどうか、大臣、どういうふうな御所見をお持ちでありますか。
  8. 久野忠治

    久野国務大臣 先ほど前田会長からの御意見の中にございましたように、電波というのは国民の大きな財産であります。そして電波を通じていろいろの報道がなされ、またいろいろな国民の実生活に密着いたしております諸問題が論議をされるわけであります。国民生活に至大な影響を及ぼすものであると今日いわれております。であるだけに、放送いたします番組編成内容等においては、やはり慎重なる配慮があってしかるべきではないかと存じます。しかし、法律上の制約もあるのでございますから、政府の権限においてそれをとやかく申し上げるべき性質のものではございません。しかし、今後自主的に経営者並び編集者がこの点を十分配意いたされまして、今日番組の向上について努力をしておられると私は推察をいたしております。また内容についても逐次改善の方向に向かいつつあるというふうに理解をしておるような次第でございます。
  9. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 たいへんけっこうなことでありまして、ぜひそういう方向に持っていくように、これは内面指導とかどうとかということではなくて、業者のほうで自粛的に自制的にそういう方向に持っていかれるように、またそういうことに抽象的ながら注文をおつけになられますことは、放送最高責任を持っておられる郵政大臣としてはそのくらいはよかろうではないかと思いますので、機会あるごとにそういう忠言、希望というものをお述べになっていただきたいような気がいたします。  ただ今日、だんだん番組内容が自粛されてくるということについては、最近の業界の景気がいいということによって、あるいは衣食足って礼節を知るというようなことも手伝っておるのではなかろうか。もしこれが逆に景気が悪くなる、収入も少なくなって、またいろいろとあらぬ注文が出てきて、それに引きずられなければならないような事態になりますと、再び心ならずも番組低俗傾向が出てきはしないかという心配も、いままでの経験の中で持たれておるのでありますが、いかがな心境所信をお持ちでございましょうか。
  10. 久野忠治

    久野国務大臣 御質問の要旨は、推察いたしますと、過当競争によって経営内容が悪化すれば、必ずや低俗化の傾向を見るのではないかという御心配のように推察をいたします。しかし、公共放送でありますNHKと、民放とがともにその分野を守りながら、自由競争によりまして放送事業というものは今日まで進歩し、また国民の期待にこたえてきたわけでございますから、今後、波の問題等につきましては十分国民理解協力を求めつつ、時代の進運に即して方向をきめていきたい、私はかように考えておるような次第でございまして、過当競争におちいることによってそういう危険性があるために、この点について将来どうするかということにつきましては、私自身まだ十分把握もしておりませんし検討も始めておりませんが、そうした点には十分配慮をいたしまして、今後とも検討させていただきたいと存ずる次第でございます。
  11. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 背に腹はかえられなくなってから用意するということでなくて、郵政大臣としては、そういうこともあり得ることを腹の中におさめながら、それについての用意を、あるいは事態の進行というようなものについて冷静に、内密に御用意おく必要があろうではなかろうか、このように思うのであります。これはそういう心がまえでおるという御答弁があるだろうと思いましたが、私は時間の関係もありますから次へ進ましていただきます。  もう一つ、これも総括的にお伺いしておきたいと思いますることは、日本における放送聴視状況というものがどの程度のものであろうか。これはたいへん妙なあれになるのでありまするが、それを知りたいと思いまして統計なり何なりを得ようとしますと、一番確実なものはNHKにおける契約件数テレビにおいて二千四百万、ラジオにおいて云々ということになるのであります。これはまさに確実なる数字と思われます。もう一つ、これもたいへん興味ある確実な数字と思ったのでありますが、民放における営業収益、これは広告収益でありますが、これの推移であります。逐次たいへんな増加状況でありまして、これは間違っていたら事務当局のほうから御訂正願うのでありますが、十何%ずつの伸びですが、これは会社によるのであります。各会社をひっくるめてみて、民放という形においてつかんでみましてもそういうような状況であります。日本経済伸びよりぐっと伸びておるのであります。これらをいろいろ勘案してみますと、日本国内において聴視される状況にあるところのテレビの数だとかあるいはラジオの数というものは、NHK契約にあらわれた二千四百万件を数割、あるいはもしかすると倍近くにも使われておるのではないか。ラジオなんかに至ってはたいへんなもののように思われてならないのであります。これは郵政当局のほうではどのようにつかんでおられるのか、事務当局からでもよろしいのでありまするが、お聞かせをいただきたい。
  12. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 NHK受信契約者数は、いま先生おあげになりましたように、昭和四十八年三月末でカラー、白黒合わせて二千四百四十万世帯ということになっておるわけでありますが、実際に使われておりますテレビ台数、この把握のしかたが非常にむずかしいわけでございまして、いろいろな方式でもって推算しておりますが、いずれの方式をとりましても大体四千万台ということ、大体それで間違いなかろうかと推測しておるわけでございます。
  13. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 私がそのようなことをお伺いするにつきましては、実はこういう事情からであります。私はいなか回りの代議士でありますから、山の中に入って、ばあさん、じいさんと話す機会も多いのであります。あるいは青年諸君と議論する機会も多いのであります。そのつど話題に出てくるところのものは、おれのところのテレビによればとか、ゆうべ聞いたラジオによればとか、だれだれの解説によれば、というようなことが口をついて出るのであります。知識といいますか、なかなか潤沢で豊富であります。そして、山に入ってみますと、山に働く人たちの中に、携帯ラジオを木の枝にかけて、ある人は浪花節を聞きながら仕事をしておる、あるときは対談に耳を傾けながら苗木の世話をしているというような状態であります。家へ行ってみますと、りっぱな新しいカラーがある。隣の部屋にはまだ使えるところの古いテレビがある。子供はそれで夜は教育放送に耳を傾けている。もう一つ若い夫婦は別の部屋のほうで別のテレビを見ておるということであります。そういうのは、いま何といいますか、家は建てられないからせめて車というような気持ち、せめて新しいカラーにというようなことで、ずいぶん買われているのではなかろうか。またそのことは私はたいへんいいことだと思います。  そこで、日本におけるテレビ視聴状況というもの、世界の各国と比べてみますというと、いまの公式に裏づけされておるところの二千四百万台、あるいはそれに続く民放のほうの収益状況であるとかいうようなものもさることながら、それ以上に相当なものが聞かれておる。いま電波監理局長のほうからは四千万台というおおよその数字を聞かされました。私もそのくらいはあるのではなかろうかと思います。四千万台のテレビが動いておる。聞かれておる。だから日本における放送影響というものは非常に大きいものと受け取ってよろしいのではなかろうか、こう思いまして、一体実情は、たとえばアメリカの次、二番だというけれどもアメリカを抜いてもっともっと相当大きい影響力持ち、それだけの興味を持って、それだけ国民生活の中に食い込んでおるのではなかろうかなどとも思ったのです。放送業務を主宰なさる大臣としては、これをどういうふうに心の中におさめておられましょうか、それをひとつ聞かせてください。
  14. 久野忠治

    久野国務大臣 お説のとおりでございまして、先ほど事務当局からお答え申し上げましたように、NHK契約件数は二千四百四十万余世帯と計算されておるわけでございます。しかし保有されておりまするテレビ受像機台数は四千万台に及ぶのではないか、こういわれておるわけでございます。最近は一世帯二、三台お持ちになる御家庭もだんだんあるようでございます。でありますからNHK契約件数保有台数との間に差があることは当然であろうと思うのでございます。  そこで、この四千万台に及ぶテレビ受像機を通じていろいろの報道がなされ、あるいは国民生活に密着いたしておりまする政策論どもこの中で討議されるわけでございますから、非常な影響があると見なければなりません。新聞報道よりも、むしろテレビによって国民が受けるいろいろの関係は非常に大きな影響を及ぼすものではなかろうか、かように考えておるような次第でございます。
  15. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 そこで、いまのような多数の台数によって聴視されているものを、大ざっぱに公共放送商業放送といいますか民間放送とに分けてみますと、その率というものはどういうふうに分けられるか。これは非常に流動しておるから、なんでありましょうが、しかし行政を主宰なさるについては一応めどをつけておいでになりませんと中のお仕事がめんどうになろうと思いますが、どういうことでありますか。
  16. 久野忠治

    久野国務大臣 NHK放送を見ておられる視聴者方たちと、それから民放視聴なさる方とのパーセンテージをはじき出すことはなかなか困難だと思うのでございます。しかし、一応試算を事務当局がなされておりますので、この内容については事務当局からお答えさしていただきたいと思います。
  17. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 ただいま御指摘にありましたように、日本国民テレビに接触する時間数、これは世界でもきわめて高率だと考えます。それで、昭和四十七年の十月ごろに一週間調査をした資料があるわけです。これはNHK調査したわけでございますけれども、これによりますと、この期間にNHKしか見なかった人、これが一五%、民放しか見なかった人、これが一八%、それからNHK民放両方見た人というのが六二%、残りの五%がテレビを見なかった、こういう資料が出ております。次に、時間量で見ますと、テレビを見た時間は、平均でございますが、調査対象は、幼児は別でございますけれども、七歳以上の対象について平均的な時間を出してみますと、一日平均三時間十六分ということだそうでございます。これのうちでNHKを見た時間が一時間十六分、民放が二時間ということになっておりまして、この数字から見ましても、NHK民放放送法のたてまえどおり、車の両輪となって聴視者に見られておるという実態がよくわかるわけでございます。
  18. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 いまのはNHKで御調査なさったものでありますね。NHKのほうでもしその後において調査なさっておるものがありますれば、この機会にお聞かせをいただければありがたい。
  19. 坂本朝一

    ○坂本参考人 ただいま電波監理局長お答えになりましたのは四十七年十月でございますので、それが一番新しいデータでございます。
  20. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 そうでありますと、この数字というものは、いまのNHK一五、民放は一八というのでありますが、これはどういう傾向にあるのですか。前は二〇・二〇であったのがどうということになるのか。その前から比べてみると、どういうカーブになっておるのでありましょうか。その点、傾向としてお聞かせをいただきたい。
  21. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 これはNHKからお答えしたほうがよろしいかと思いますが、この数字は大体横ばいでございます。
  22. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 実は私は、日本における放送国民影響力というものは世界でもずば抜けて高いもののように思われますし、そのことは一民族、一国家、そしてまた欧州各国のように電波が入り乱れるというようなこともなく、東海の孤島といってはいけませんが、そういう地況的好都合さも加わっておるのでありましょうし、国民性からいいましても、まさにこれに食いつくようなものを持っておる。一番合っているのではないか。したがって、私は今後といえども生活に困窮してしまうような場合にはどうにもならないのでありますが、レジャー時間がよけいになるというようなことになれば一そうその傾向はふえてまいると思います。  そこで、この放送業務の経営形態の基本というものは非常に大切なように思われます。いままでよりも大切だ。日本における放送は、ラジオが始まって以来五十年以上になりましょうか、その当初から比べまして、今日このカラーテレビが技術の進歩によりたいへん世界的にもりっぱな質のいいものがやられるということになりますと、一そうこれには国民関心といいますか、時間はとられていくでありましょう。一そう浸透してまいるでありましょう。一そう生活の中に大きな部面を持ってくるだろうと思います。したがって、それが経済的にも文化的にも、生活全体の上に、ちょうど空気や水のように大きな影響力を持ってくると思います。この影響力を持ってくるものの経営形態をどうするかということは、この際あらためて、そういう重大な影響力を持っておるということにかんがみての立場に立って、根本的にもう一ぺん考えてみていく必要があるのではなかろうかと思います。私は根本的には、さっき会長も仰せになられました公共放送民放との二本立てにおいて、うまく唇歯輔車の関係といいますか、長短相補いつつといいますか、やっていく、その方向で非常にいいように思われるのであります。そうしてたまたまいま伺いますと、NHK一五、民放一八、これはNHKだけを聞く者、民放だけを聞く者という比べ方をするものですから、ほんとうのものというものは出てこないのかもしれません。両方を聞くという者の六二%のうちの何%が主としてはNHKだ、あるいは主として民放だ、こういうものを考えて総時間を比べてこうだということでないと、どちらのほうからよけい影響を受けているかということにはならぬ。ことばをかえますと、国民生活の上に、国民思想の上に、国民情緒の上にどちらのほうがよけいに影響していくかということの判断はつきかねると思います。しかし、いま承りますと、大体横ばいの関係ということでありますし、一五、一八というようなところであるいはあろうかと思われます。一応それを基本といたしますと、二本立てというのはたいへんよかったように思われます。  ただここで私は、さっき申しましたような、民放における伸びがますます高くなってまいりまして、こういう比較のしかたがいいかどうかは別といたしまして、民放におきましては、国民経済の中から、これは昨年十一月期を最終として一年間の数を計算したようでありますけれども、三千四百四億四千万何がしというものを広告料として民放のほうで受け取って、それを営業経費のほうに回しておる、こういうことであります。NHKでは一千億余りの聴視料を国民経済の中から受け取って、それをもって経営に充てておる、こういうことのようであります。さらにNHKのほうは、すでに契約状況が、現代のなにからすると、やや頭打ちに近い状況になってきておる。民放のほうは、おそらくまだぐんぐんと伸びだしてきておる。それが一昨年は二千何百億であったのが、昨年におきましては三千四百億になっているというようなことであります。したがって、これだけを比較してみますと、国民経済面からすれば民放のほうに三千四百億を費やしている、NHKのほうには一千億を出しておるにすぎないというようなことになって、これが雪だるま式にだんだんと――五分五分だ、両方ともうまくいっているのだというのが、そうでなくなるときが近く来はせぬかをおそれるのであります。大臣どうお考えですか。
  23. 久野忠治

    久野国務大臣 御心配の点は私も理解できるところでございます。しかし、まあ今後の推移を見なければこれは判断できかねる問題であろうと思うのでございます。NHKの経営につきましても、今日以後、放送当事者でありまする皆さんの非常な経営努力によって安定を保ってはおりますが、しかしこの状態がいつまで続くか、予測はできないわけでございます。でございますから、やはりこの経営のあり方等につきましても十分配慮しなければならぬと思いますし、民放との間にその収入に差が出てくるのでは、いよいよその差が大きく開いていくのではないかという御心配のように、私はただいまの御質疑はあったと思うのでございますが、しかし今後の推移を見なければ私はわからないと思いますし、経済情勢等の変動、社会情勢の変化等もこれに作用するわけでございますから、そうした点等につきましては十分重視をいたしまして、配慮してまいりたい、かように思っておる次第でございます。
  24. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 野方図にさらに大きくなるといいますか、収入が多くなり経営が豊かになるといいますか、にぎやかになることだけを期待するのではないという大臣のお考えのようであります。私もぜひそうあってほしいように思うのであります。と言いまするのは、私は、この日本における放送の実態、今日までの足取りから見まして、そしてまた国民性から考えましても、番組の中身というもの、あるいはその編成状況というようなものは、ずいぶん慎重に公共性を重視し過ぎるくらい重視した立場においてやっていかなければいけないのではないか。もし一たびそれが第二になって、営業第一主義で進んでくるのだというようなことになりますと、たいへんな心配の種を残しつつ、われわれは次の時代へこれを送らなければならないようなことも心配するのであります。  そこで、いまのこの機会において、私は、まずNHK公共放送というものの基盤をしっかりして、この大黒柱を動かさないのだという考えに立って、それを基本にして、さらに民放のほうにおきましては、それは多々ますます弁ず、百花斉放また可なり、そう思うのであります。これはうっかりして、そのほうから攻め込んでこられて、肝心のその大黒柱が経営困難におちいるとか、あるいは細まってくるというようなことになると、これは影響力をよけい持つものであるだけに、また日本国民性がこういうものであるだけに、この点は心配なんです。この点はひとつ、いまの間に、大臣としましてはそういうことを心配しながら、しかしながら民放の自由奔放といいますか、わりあいに豊かな、あるいはバラエティーに富んだ放送をも歓迎するということでありましょうが、しかし、その裏には、やはりこれが基本だということの強い基礎、見解というものを持っておられて、用意といいますか――用意といってもたいへんだろうと思うのでけれども、そういう心がまえというものが大切だと思うのですが、たいへんくどいようですが、ひとつお聞かせをいただきたい。
  25. 久野忠治

    久野国務大臣 御意見の点には、全く私は同感でございます。民放放送事業者いわゆる経営者が、もうかれば何をやってもよろしいという性質のものではないと思うのであります。国民生活に至大な影響を及ぼす電波事業であるだけに、放送事業であるだけに、やはりそうした経営面につきましても一応の制約が私はあると思うのであります。そういう点を十分勘案しつつ、ただもうかればよろしいというような営利中心で民放が経営されるということであれば、たいへんな事態になりかねない、かように存ずる次第でございます。そういう際におけるNHKの使命というのも、これは一段と重要性を帯びてくるわけでございまして、NHKの経営当局自身も十分このことを配意いたされまして、そうして国民の期待にこたえられるようにいたしたい、かように私は考えておるような次第でございます。
  26. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 そういう考えでぜひお進めをしていただきたいのであります。  そこで、会長のほうにお伺いいたすのでありますが、いまこの一昨年、一昨々年の決算状況から見ましても、一昨々年は九億何がしの黒字であつようであります。一昨年はそれが二億何がしとなり、今年度の予算におきましては、経常収入だけをとってみますると九億ぐらいでございますが、私、もし数字が違っておったら直していただかなければならないのでありますが、の赤字のように思われる、こういう予算にされておるのであります。幸いにしてでありますか、内幸町の土地が、あるいは建物が――特に私は建物だろうと思うのですが、思う以上に高く売れたというようなこともありまして、今後三年間ぐらいは、そのほうからいろんな繰り入れといいますか、収入あるいは支出の点も何とかやっていけるという御見解が予算のときに申されたのであります。しかし、それはそういう臨時収入であるのでありまして、経常収入については、やはり心配を持たざるを得ないのであります。これは今日まで御苦労なさっておられた前田会長としては、どういうような御所信で、次に後図をお渡しになる考えであるか、承りたい。
  27. 前田義徳

    前田参考人 御指摘のとおりでありまして、最初に、いわゆる世俗的な意味での赤字予算が組まれたのは、あの年度に沖繩が返ってくる、沖繩と関連して特別法ができ上がりまして、NHKが沖繩放送協会の債権債務を継承し、同時に、本土並みの放送を開始するという義務を負わされておりました。これに関する限り、約八億の赤字という世俗的な形での赤字が出たわけでありますけれども、これは、その後御承知のように沖繩でも中波はすでに二波建設を終わり、今年度中にはFM放送も始まります。それから離島を除いては一応テレビについても二波の準備はできております。さらにカラー放送は、御承知のように昨年の秋の末から開始されておる。地理的状況によって阻害される部分以外はすべて本土並みになっているわけであります。しかもわれわれが受け継いだ沖繩放送協会の収支決算は、赤字を受け継いでいるわけであります。そういう意味でお考えいただけば、実はこれが本格的な赤字であるかどうかということについては内容的に一つの問題があり、われわれが公共放送として、沖繩に関する特別法及び放送法に基づいて敢然としてその義務を果たすという方向で計算された数字であるということをまず御理解いただきたいと思うのです。  それでたびたび申し上げておると思いますが、五年前の時点でNHKは聴視料を調整いたしました。世俗的にいえば改定でございます。そのしかたはどうであったかといえば、ラジオ料金を無料といたしまして、白黒テレビを値下げいたしました。そして当時必ずしも前途さだかでなかったカラー料金について、特別に百五十円を付加するという形をとったわけであります。総合してお考えくだされば、これは値上げでなくて値下げでございます。しかもこれは五年前のことですが、その後NHKは聴視料の改定をお願いいたしておりません。にもかかわらず、実際の経済社会の情勢はどうかといえば、公共料金において過去の計算ではおおよそ平均して二〇%強、一般物価において三〇%強の値上がりでございます。毎年これが続いている。にもかかわらず、NHKは過去五年間料金の調整については、郵政大臣にも当委員会にもお願い申し上げておりません。このことは、われわれの経営が昭和三十五年の第一次長期計画以来、今日あるを見越しながら、いろいろな施設、方向を決定した結果にほかならないと私は自負いたしております。  たとえば、今日NHKは国内放送で五つの波を駆使して、一日の放送延べ時間は九十一時間半でございます。しかも一週間の全国の地方番組、ステーションブレークを含めての番組の数は二万三千本にのぼっております。これらの経営を通じて過去五年間NHKが値上げに踏み切らなかったということは、少なくとも第一次、第二次、第三次、第四次の長期計画の中ですでにそういうことを予見しながら、公共放送としての財政計画のある種の責任は果たしてきたと私は自負いたしております。  その中で一番大きな問題は、全国の放送会館の整備とその最終形態としての放送センターの建設完了、これに先がけていわゆる全世界でも最初のNHKシステムの機械化に踏み切ったことでございます。第一次五カ年計画のときの機械化と総人員という考え方は、五カ年間を経過して五百名前後の誤差はございましたが、今日依然として一万六千五百の職員数をもって、全国二万三千の番組を制作し、一日九十一時間半の放送を行なっているという事実に御留意をいただきたいと思うのです。たまたまこれは計画的に放送センターを完成することによって、新しい設備と機械化を中心にして全国網の放送を集約化するということでございまして、大きな建物をつくって楽しんでいるという意味とは全く異なるものでございます。これの完成によりまして、たまたまその裏側に財源を考えていた内幸町の放送会館と土地の売却が、一般にその内容を分析していただく機会がなく、単に非常な高値で売ったじゃないかという御叱責を受けたわけでありますが、しかし同時に、この基金によって三百十六億を必要とした最終的な中心機能の集約の形としての放送センターは、簡単に言って無料でできたわけでございます。このことはわれわれが数次の長期計画を通じてすでに計画していたことをそのとおり実行したにほかならないのでありまして、私どもとしては将来の財政計画が聴視者の負担に及ぼす影響を慎重に考えながら、いかなる事態においてもできるだけ聴視者には迷惑をかけないという方針をとった結果でございます。  ただ御発言の中で、今後どうなるかという問題が指摘されているわけでございますが、これをNHKを中心として考えますと、かなり苦しいですけれども、少なくとも今後三年間は聴視料の調整はお願いしない。そのために、ただいま申し上げた売却代金を基礎として、いわゆる経営安定基金というものを三カ年計画で使うというたてまえを明らかにして、今年度予算の御審議をいただいたわけであります。このことは、過去十五年間、私の陰に隠れてじみちに私に協力してくれた小野会長会長となられても、この原則に変化はないものと私は確信いたしております。このような環境の中で、壁頭に申し上げたように、今後のNHKの一番大事な時代に経営の責任を負ってくださる方は小野会長以外にないという確信を私は持ったわけでありまして、このことが今日新会長として実現されているという事実から見て、私はただいま申し上げたような基本方針は、苦しいけれども変えることはないであろうということを申し上げられると思います。  ただその以後において、ただいまはNHKを中心として申し上げたわけでありますが、民放各社の年間収入が合計して三千億をこえているということは、今日に始まった問題ではございません。ここ数年来NHKの総収入は、民間放送の総収入の三分の一であるということは明らかな事実でございます。にもかかわらず、われわれは番組センターに三億円を提供し、各地の共同建設の場合にわれわれは三分の二の建設資金を出して今日に至っております。このことは私は別に民放さんに対しておかしいじゃないかという意味で申し上げているのではありませんが、われわれの本来業務のほかに、われわれとしては日本放送事業発展のために、そのような金をも非常に切り詰められた予算の中で支出しているのだということを御理解いただきたいと思うわけであります。  私はその時期がいつ来るか、三年後であるかどうかは別として、ただいままで伺っておりますと、たとえば受像機の台数の問題あるいは一日に延べ聴視者の各位がテレビを利用される時間数の問題、その中での民放NHKとの割合の問題等の質疑応答を伺っておりましたが、私はたびたび当委員会での御質問に答えて申し上げたことを記憶しておりますが、日本がこのようにテレビが普及したという原因は、私は二つあると思うのです。第一には、日本の社会生活の底辺がきわめて浅い。先進国家に比べても、社会文化と個人の立場というものはまだまだ発展途上にある国とほぼ同じ形態を持っている。したがって、テレビによる生活、これが中心になると同時に、もう一つは、日本世界的に、いわゆる基礎教育の普及発展している国であります。したがって、あらゆる社会事象について関心を持つというのが日本国民性の一つの特徴でございます。この二つのゆえから世界的に見て、日本におけるテレビの普及発達は、特殊の環境の中でつちかわれてきたものであるという私の見解をたびたび申し述べた記憶を持っております。今日以後の、それでは日本社会というものはどういうふうになるか。もうすでに大きな問題を含んでおりますけれども、たとえば、社会生活もかなり多角的なものになると思います。長年のわれわれの放送文化研究所、あるいはその後独立させた世論調査所の調査を長年にわたって御検討いただけば、民放といわず、NHKといわず、いわゆる日本視聴者の方々が平均してテレビに接触する時間が、長い目で見て非常に減ってきているということは事実であります。このことから、将来NHKはどうあるべきか、あるいは民放NHK関係をどうすべきかという新たな手がかりを発見することになるだろうと私は確信いたしておるわけであります。しかし、今後の予測については、私はこれ以上述べて、もしNHKを誤解されても困りますので、新しい会長の自由手腕にゆだねたいというのが私の気持ちでございます。
  28. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 まだお伺いしたいことがたくさんあるのでございますが、おまえの時間は過ぎたからという委員長からのあれでありますので、もうこれで、私は結論だけを申させていただくのでありますが、NHKとしてはそのような御苦労の中で、難視聴問題の解決についてもまた、特に都市における新しい難視聴は別といたしまして、かなりカバレージが進んでおるように思われますし、りっぱな施設が普及されて、今後における設備費というものは、今日まで御苦労のあったのに比較すると、まだまだと思われるのであります。そうはいいましても、なお、問題の大事な番組の向上充実であるとか、あるいは技術の改善というふうなことについては、かなりの金が要るのではないかと想像されます。そうした中において、聴視料金などについては、たまたまいたずら者があって、いろんなことを文書なんかに出しておることもちらちらと見まするし、現場において契約獲得などに御苦労なさっておられる人たちのこれからの御苦労も容易ならぬものがあるように私には想像できるのであります。そういうこともいろいろ勘案いたしまして、いまの聴視料を上げなければならないであろうとかどうとかいうことではなくて、財政の基盤を安定するという意味における何らかの方策を、いまのときから考えておかなければならないのではないか、こう思います。これは私は大臣にもお願いいたさなければならないのであります。公共料金値上げ反対というだけで済まないことでもあるように思いますので、いろんな角度からいろんな方策をお練りになられまして、日本放送協会において今日まで二十年間にわたって苦労を続けて来られた前田会長の御苦労を、今後においてもより一そうりっぱな花が咲き、実を結ばせるような政府のほうでもひとつ御協力をなさることが、功績に報いるゆえんではなかろうかとも思うのであります。  そこで私は、これはまるで幼稚園みたいな言い方であるのでありますが、NHKは今日までの技術番組その他におけるとうとい経験、これらをもって民放方面にも大いに協力してやる。と同時に、民放のほうにおいては、NHKの唯一の財源であるところの聴視料など、契約者のまんべんなき獲得、あるいは現場における人たちの苦労を軽減する状況の中でこの仕事が進められるように、民放のほうで協力するような気持ちを持ってもらう。まるでもう子供らしい言い方でありまするけれども、そう私は願わざるを得ないのであります。そういうことをなにしておりますとまた委員長からおしかりを受けるといけませんから、私の申さんとするところは会長大臣もおわかりくださっていると思いますので、ひとつ御両所からこういう点についてのさらに御見解を承らしていただいて、きょうの私の質問、まだたくさん残っておりますが、後日に譲らしていただきたいと思います。会長からも、できますればさらにいままでのお話につけ加えて、この際お聞かせしていただくことがありますれば、この機会にぜひお聞かせをいただきたいと思います。
  29. 久野忠治

    久野国務大臣 金丸委員の御指摘の点はまことに重要であると私は認識をいたしております。現在、経済は高度成長を続けております。この高度成長に伴いまして、一部公共料金の値上げが行なわれておるわけでございます。これは経営の健全化と安定化のために必要な措置であると私は認識をいたしておりますが、しかしそういう際、NHKの当事者が経営努力を積み重ね、非常な皆さん協力によりまして、今日なお聴視料が据え置かれるということはたいへんなことだと思うのでございます。特に新聞報道関係の値上げが相次いで今日行なわれておりますが、このような際に、今後聴視料を三年間据え置くというようなことをはっきり言明しておられますことは、前田会長の英断によるものである、今日までのこの業績は高く評価してしかるべきものではないかと私は存ずるような次第でございます。今後、監督官庁であります郵政省といたしましても十分その点を留意いたしまして、指導いたしてまいりたいと存じます。
  30. 前田義徳

    前田参考人 この際将来のことについて私が述べることは、後任会長にも影響を与えますけれども気持ちとして申し述べますと、今後の経営の方針は、NHK自体の問題と、放送事業界一般との関連の問題の二点があると思います。  先ほど来申し上げた聴視者の放送に接する時間という問題から考えますと、NHKとして、現在一日延べ九十一時間半を放送することの実際的価値を再検討する必要がありはしないかという点と、現在のような払うべきじゃないというようなフィーリングが多い時代には、やはり聴視料をただにする方策がないかということを考えたらと思うのです。ただし私は、聴視料をただにする方策といっても、政府の金を使うということは全然考えておりません。この点については、なくなられた池田総理大臣が政調会長のとき、私は報道局長として対でこの問題を話し合ったことがございます。しかし、それはどういう方法かということは、将来去っていく私がこれを申し上げるにはちょっと問題があると思います。ただ、簡単に感想を述べれば以上の点でございます。
  31. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 では終わります。ありがとうございました。
  32. 久保田円次

    久保田委員長 次に、阿部未喜男君。
  33. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 たしか去る三十日だったと思いますけれどもNHK経営委員会におきまして、前田会長が御勇退をなされることが決定をされたということを承っておったのですけれども、先ほど金丸先生の御質問で、その間の経緯につきまして会長から詳細な御説明をいただきまして、私もまた金丸先生と同じように、会長の今日までの功績に対しまして満腔の敬意を表するものでございます。会長は長年にわたってNHKの最高の責任者として、不屈の信念と申しましょうか、そして該博な知識を縦横に駆使されまして、放送法の定めるところに従って、公共放送としてのNHKのあるべき姿を定着をさして、日本放送事業に不滅の足跡を残されたと私は思うのでございます。   〔委員長退席、小澤(太)委員長代理着席〕 いま会長みずからが推薦をされる新小野会長を得て、虚心たんかいと申しましょうか、明鏡止水の気持ちで御勇退をされるということを承りました。これまでずいぶんかってなことを言ってきた私としましても、NHK会長としてのあなたとこの委員会で議論をする機会がなくなったと思いますと、胸熱くなるような思いがいたします。どうかひとつこれからもNHKの運営なり日本放送事業について、その該博な知識と豊富な経験で御指導と御鞭撻を賜わりますようにお願いを申し上げる次第でございます。  そこで、会長最後にひとつお伺いしておきたいのですけれども、この長年の経験の上に立って、いろいろ私は矛盾があると思うのですけれども、今日の放送法を改正する必要があるとお考えでしょうか、どうでしょうか、お聞かせ願いたいのでございます。
  34. 前田義徳

    前田参考人 お答えの前に、ただいま過分のおことばをいただきまして、まことに感激にたえません。私も長年先生と論争も続けてまいりまして、感無量でございます。ありがとうございました。  ただいまの放送法に関する御質問については、私は原則的に、改正する必要はないと思っております、一言で申しますと。ただし、NHKの経営を安定化させるためには、NHKに関する条項の事務的な一部を改正していただきたいという気持ちは持っております。以上でございます。
  35. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 その点については本日はもう論争を避けます。  十七日から新しい会長に就任をされる小野会長にお伺いをしたいのでございますけれども、先ほど来前田会長NHKの運営についての今日までのいろいろな経験の上に立って所信を述べられたわけでございます。小野会長もまた私は信念の人であると聞いております。NHKの運営については、いわゆるいろいろな圧力等もある、先ほど金丸先生もおっしゃっておられましたが、諸般の問題がからんでくるだろうと思いますけれども前田会長の意思を継いで、今日までと変わらない運営をされていく御所存か、また新しい何らかのお考えがあるのか、承っておきたいと思います。
  36. 小野吉郎

    小野参考人 お答え申し上げます。  私、十七日から会長の大任を受けることになりました。私の心境を申し上げますと、私はNHK番組編成の面あるいは経営管理の面、あるいは事務所の整備の面あるいは経営の近代化、合理化等の面における機械化の導入、あらゆる面を通じまして今日のNHKを築いてまいられました前田会長が、引き続きその任にとどまられまして、まだ幾多の難問を控えておりますので、これらを前田会長の御才腕によりまして切り抜けていかれることが望ましいと心から念願をいたしておりました。しかし前田会長の退任の御決意は非常に強うございまして、再三にわたって、経営委員会が決定をすればそれを断わらないで受けるように、こういう要請を受けてまいったわけであります。ちょうど三十日の経営委員会では、会長の御意向もお取り入れられながら、全会一致をもって私を任命したいから受けるか、こういう御要請があったのでございますが、私も非常に当惑を感じました。その任ではないと考えております。しかしながら、そういう段階でお断わり申し上げることはいたずらに混乱を引き起こすゆえんにもなろうかと思いまして、そういった面につきましては前田会長の絶大なる御要請、経営委員会の御要請におこたえをいたしまして、まことに微力ではございますけれども、この大任を引き受けることにいたしたわけでございます。  御承知のとおり、いまNHKを取り巻く環境はまことにきびしゅうございます。それほど世の中は動きひしめいておると考えます。NHK内部におきましても幾多の難問を内包しております。これらを解決してまいりますことは並みたいていではないと思うのでありますけれども、漱石の草枕のことばをかりるわけではございませんけれども、かどが立たず、押し流されず、また窮屈でない、伸び伸びとした生々発展NHKを築いてまいりたい、こう考えます。それには、去っていかれます前田会長の御指導も今後受けなければなりませんし、特に当委員会の絶大な御理解と御支援がなくては、とてもこの大任は全うできないと思います。と同時に、NHK一万六千五百の職員全部、なごやかな和の上に総力を結集いたしましてこの大任を果たしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  37. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これはここで質問することが適当かどうか、私も若干ちゅうちょしておりますが、ひとつ虚心たんかいに聞いてもらいたいのです。会長になられて、当然副会長の選出が行なわれることになると思いますが、手続によれば、会長経営委員会に提案をされる、そういうことになるのではないかと思うのでございますけれども、巷間、新聞報道によりますといろいろ人のうわさが出ておるようでございます。あまり多くを申し上げたくありませんが、私はNHK全体の士気を鼓舞するというふうな上からも、特にまたそれぞれの方が経てきた経験というものが非常にものをいう中では、同じような経験を持つ方が会長、副会長という形はあまり好ましくないのではないか、そういうようなことも個人的には考えておるわけでございます。なかなか答弁をいただける問題とも思えませんが、そういう希望をひとつ申し述べて、NHK全体の職員が、おれたちもがんばれば副会長会長になっていけるというふうな空気も――これはバランスも必要でしょう、バラエティーに富んだ人事も必要でしょうが、その意味であまり同じような人が会長、副会長になるのはどうだろうかというふうな気もいたしますので、これは私の希望ですから、答弁はいただけないでしょう。  それでは続いて質問させていただきます。先般来NHK放送センターへの移行がだんだん進んでおるようでございますけれども、これによって能率の向上あるいは経費の節約等が大きく期待をされておったようでございます。まだ完全に移行が終わったわけではありませんから、結果が出るということは困難だと思いますけれども、この移行に伴って当初NHKが予定したような能率の向上なりあるいは経費の節減が期待できる状態であるのかどうか、ひとつ聞かせていただきたいと思います。
  38. 小野吉郎

    小野参考人 お答え申し上げます。  前回の委員会で、この問題に対するお尋ねに対しまして、金額にいたしますと年間六億円の節約になるであろう、こういうようにお答え申し上げたと思います。ただ問題は、ああいった整備をはかりますと、金銭に見積もり得ないようなメリットが幾多ございます。完全に移転をいたしますのにはまだ今月一ぱいを要しまして、七月の末、八月に入りますとすべて移転が完了いたしまして、まことにコンパクトな経営ができようかと思います。そういった意味合いにおきまして、もうすでにある一部は移転いたしておりますけれども事務所が二分いたしておりました当時から見ますと、仕事はきわめてスムーズに運んでおります。これは数量的に一体どれだけの価値があるのかということは数量ではあらわし得ませんけれども、目に見えない非常なメリットがあろうかと思います。財政上の問題につきましては、この前お約束いたしました年間六億くらいの節約を優になし遂げ得る、このように考えております。
  39. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それに関連をいたしますが、二十日の日でございましたか、新しいホールの落成式に私も出席をさせていただきました。まことに  みごとなりっぱなものでございますが、NHKの計画によると、あれは一年間休みなくNHKで使用されるのではなくて、かなりあいた期間、日にちがあるようでございますが、そういうNHKでお使いにならないときについては何か公共的な性格の強い、私はたとえばチャリティショーとかそういうようなものも考えてみるのですが、そういうものに貸すというようなことはお考えになられておるのでしょうか。
  40. 小野吉郎

    小野参考人 お答え申し上げます。  あのホールはNHK放送に役立てるために建設をいたしたものでございますので、年間三百六十五日放送に役立て得るように使えることが理想でございますけれども、現実にはどう計画をいたしましても、そのような状況にはなりません。主たる用途はそうでございますけれども、おおよそ年間六十日ないし七十日くらいは遊んだ日ができるようでございます。これを遊びっぱなしにいたしますことは、これまた非常に問題ではないかと思います。貴重な聴視料によってでき上がったものでございますし、また中の設備も、そういってはなんでございますけれども、今日の段階ではおそらく一番完備したものではないかと思います。NHKの使用の外にあります遊んだ間も、それは広く一般の公共福祉の増進に役立つような、国民生活にお役に立つような方面に利用することがやはり好ましいのではないか、そこに大きな意義があるように思うのであります。ただ問題は、あのホール全体を放送設備と観念するかどうかの問題でございます。私ども放送設備は確かにあの中の一部にございますけれども、いまのホールは、放送設備と称するもの、いわゆる放送法四十七条にいう放送設備に該当するものと、しからざるものとが両方入っておると思います。ちょうど歌舞伎座等で歌舞伎の中継をいたします場合には、中継用の設備を持って中へ入りまして中継するわけでありますけれども、そのときにはやはり全体が放送設備と観念するのは常識でないと思います。そういう意味合いから申しますと、広くこれを非常に有意義な方面に使うことが最も好ましい方法ではないかと思います。ただ問題は、あの全体をやはり放送設備と考えると仮定をいたしますと、放送法四十七条によりまして郵政大臣の認可を受けなければなりません。郵政大臣は認可をするにあたりまして国会の同意を得なければなりません。そういう状況で、国会が年間開かれておるわけでもございませんし、一々そういう手続をとりましたのでは、事実必要なそういう目的を達成することができない、こういう矛盾に逢着するわけでございます。やはりあの中には放送設備は一部ありますけれども、その関係を四十七条にいう他人の支配に属せしめない形においては、これは自由にそれを公共目的のために利用させることが必要ではないかと考えておるわけでありまして、先生御指摘の非常に高度のチャリティの催し等は最もかっこうのものではないかと思います。またチャリティでないといたしましても、そういったきわめて利用価値のある方面に活用してこそ初めてあのホールが生きてくる、このように考えるわけでごごいまして、その場合にはやはり多少の料金をいただかなければなりませんけれども、これは社会常識から申しまして非難を受けるような料金であってはならないと思います。また公共的な催しでありましても、それがやはり営利追求を目的とするようなものでありましてはこれは利用さすべきでないと思いますので、営利追求を目的とするようなのは、たとえ公共的行事でありましてもこれを使わすべきでない、このように考えております。
  41. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私もそれは全く同感でございます。ただ、どれが公共的なものかということになってくると、なかなかむずかしい点があろうと思われます。そのつど物議をかもすことのないような基準みたいなものを設けられて、その基準に適合するかどうかによって、あいている日については役立てていく、そういうことが望ましいのではないかと思われますが、そういうような基準というものをおつくりになるお考えがありますか。
  42. 小野吉郎

    小野参考人 基準は厳格につくっておくべきものと考えております。現在検討中でございまして、たとえば特定な宗教関係の行事を対象としたものについては御遠慮いただく、あるいは特定の政治目的のために使う、こういうこともNHKの政治的に公平でなければならないというような立場から利用は好ましくないと思います。先ほど申し上げました営利を目的とするような問題も除外すべきものではないかと思います。いずれ精密に検討いたしまして、そういう基準をつくってまいりたいと思います。
  43. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 わかりました。  それでは次の質問をさせてもらいますが、先ほど前田会長さんのほうから話が出ましたが、例の中波大電力構想ですけれども、郵政省のほうではかねてこの中波大電力構想を打ち出しておったのですが、本来これは外国の放送と混信をする、それを防ぐために大電力を使うというのが基本的な考え方だったと思うのです。たしかNHKの第一が百から三百でございましたか、第二が三百から五百か何か大きい電力になっておったと思うのですが、一部大阪とか秋田あたりはおやりになっておるようですけれども、今日の社会情勢から考えますと、一番近い国の韓国とかあるいは中国等との間にも、すでに大臣も意を通じて、中国との間には海底電線の敷設さえできる時期になったわけですから、むしろ電波の再編を話し合いで行なうべきであって、近所の国の電波が妨害になるからそれよりももっと強い電波をこっちで出すのだ、向こうがさらに強いのを出す、こういうことになってくると、私はこの中波大電力構想というものがかえってお互いの国の間の競争みたいになって、不必要なお金をたくさんかけていく、そういう結果にもなりかねないのではないかと思いますが、郵政省としては、この中波大電力構想について、その後どういう見解を持っておられるのか。またNHKの第一、第二放送等についてのいわゆる大電力構想についてはどうお考ええになっているか、ちょっと聞かせていただきたいと思います。
  44. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 中波の問題につきましてはおととし四十六年に大電力化構想ということを示しまして、日本で現に認められている、あるいは認められる可能性が非常に強い周波数について大電力化をしよう、こういう方針を打ち立てたわけでございまして、民放につきましては大体それが実現されております。NHKについても一部が実現され、一部がその緒についておる、こういう状況でございますが、来年から再来年にかけて、実は世界的な長波、中波の主管庁会議が開かれまして、ヨーロッパ地域とそれから第一地域と第三地域の合同主管庁会議でございますが、その席上でもこの問題が論議される、こういう形勢になっております。ただ世界の趨勢といたしましては、中波放送は大電力で行なうということが趨勢のようでございます。したがいまして、その趨勢にさからって日本だけが小電力でやるということもなかなかできにくい、あるいはこういう問題につきましては二、三の国だけで話し合うという事柄もなかなかできにくい問題でございますが、これは電波の特性からいたしまして、ほかの有線とはおのずから異なるわけでございます、まああれやこれやいろいろな問題を踏まえて、中波の再編成という事柄も考えなければならぬわけでございますけれども、いずれにいたしましても第一地域、第三地域の主管庁会議、国際会議におきまして、従来わがほうが認められたあるいは認められる可能性のある大電力化の構想につきましては、できるだけ趣旨を貫徹していきたいということで考えておるわけでございます。ただし、いずれにしましても、最終的な音声放送は中波につきましては将来はおそらく大電力の方向に向かうであろう。小さな電力では使いものにならないであろう。それから、県域放送的なものはやはりFM網等にしていく。両々相まってひとつ日本の音声放送の体系を形づくるということが基本的な考え方であるべきである、こういうぐあいに考えておるわけでございます。
  45. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 NHK考え方もお聞きしたがったのですが、そうするとたとえば中波音声で五百キロというふうなものを考えた場合に、私しろうとでよくわかりませんけれども、膨大な敷地を確保しなければそれに伴う公害、そういうものが起こってくるのではないか。電波行政だけから見るならば、それは大電力がいいことは間違いないと思います。しかし、それには膨大な敷地なり公害というようなものを考えなければならぬのではないか。したがって、いまのNHKとして、たとえばこの五百キロワットのような大電力をおつくりになるような考えがあるのかどうか、その辺を聞かしてもらいたいのです。
  46. 松浦隼雄

    ○松浦参考人 中波大電力につきましては先ほど先生も御指摘のとおり、すでに秋田の第二放送、熊本の第二放送で五百キロを実施しております。なお、チャンネルプランによれば、そのほかに札幌、東京、大阪というふうに五百キロということが割り当てられておりますけれども、たとえば現在、東京、大阪は三百キロでやっておりますが、これを五百キロにしたときのいわゆる受信改善の状況、これは大体百キロ以上の増力の場合の受信改善は百万の受信者のオーダーでなければほんとうの効果はないということでございまして、東京第二を百キロから三百キロにいたしまして、約二百万世帯の難聴改善をしておりますが、この三百キロを五百キロにしたときのわれわれの推定される改善世帯数というものが十万のオーダーである。もっとはっきりいえば十万である。大阪三百キロを五百キロにしても、三十万の受信改善が期待できる、こういうような状況がございます。したがって、第二放送という全国同一放送、つまり大電力の空間波を利用する関係上ローカルではございません、全国放送に役立ちますが、このための施設としてNHKとしては北のほうで秋田三百キロでございますが、中心部に東京、大阪、それからの西のほうで福岡五百というもので、一応国内的なサービスについては完ぺきではございませんが、急遽やるべきということについてはあるいはもっと慎重であっていいのではないか、こういうことでございます。  一方国際的な問題として考えますと、先ほど電波監理局長がお話しになりましたように、一九七四年の秋でございますが、中波割り当てが第一、第三地域で行なわれるということが確定いたしておりますけれども、これは第一回ということでありまして、おそらく数年にわたっていろいろな国際的な利害関係の中で議論がいろいろ行なわれるのではないかということが予想されます。現在やっております秋田の五百あるいは熊本の五百の実際の効果ということを考えますと、いわゆる所要電界強度においては計算どおりの、予測したとおりの結果を得ておりますけれども、外国電波の混信ということで、実は物理的に、電波が行っておりますものが必ずしも受信者に十分利用されないという状況も出ております。こういうことを勘案いたしますと、来年度から始まります国際的な話し合い、これに多くを簡単には期待できないとしても、この努力を続けると同時に、将来の増力問題については慎重な検討の上進めていきたい、こういうふうに考えております。
  47. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 秋田、熊本の経験によって、大体五百キロワットの場合にどのくらいの敷地なり建設費が要るものですか。相当広い敷地が要るのじゃないですか。
  48. 松浦隼雄

    ○松浦参考人 御指摘のとおりでございまして、五百キロをやるのに最低五万坪は必要でございます。経費としては、従来は七億程度でございましたけれども、今後われわれが考えますと、これをかなり上回るのではないか。したがって東京、関東地方におきましてそれだけのものを新たに取得することは、たとえお金を積んだといたしましても、住宅化というか、開けてくる状況からすると、逆の問題を付近の方々に与えるのではないか、こういう心配がございます。
  49. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 計画は郵政のほうでおやりになるし、実際はNHKのほうはNHKでやるし、民放は済んでおるようですから、どうですか電監局長、東京、大阪等について三百あるわけですから、五百をことさらに推し進めなくてもいいのじゃないですか。やはり五百を推し進めますか。
  50. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 大電力化ということから申しますと、三百はすでに大電力化でございますので、それを五百にする必要があるのかないのか、あるいは現実にそれが可能かどうかという事柄に関しては慎重を期したいと考えております。
  51. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 その問題はわかりました。  では、次の質問に移らしてもらいます。郵政省、電電公社、NHK、かねてから通信衛星、放送衛星の開発構想を打ち出しています。大臣もこの前だいぶ御苦労されたようでございますが、本年度は予算もついておるようでございますが、この衛星開発の進渉の状況はどういうふうになっておりますか。
  52. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 放送衛星の関係でございますが、予算が四億八千万円ついたわけでございます、これは開発研究の経費として計上されたものでございますが、その内容は、衛星のシステム研究ということで三億六千万円、これは具体的には衛星本体の概念設計、予備設計、こういうことでございます。それから、衛星搭載機器の研究ということで一億二千万円が計上されております。これはNHKに交付いたしまして、搭載機器を研究してもらおう、こういう費用でございます。
  53. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 全く初歩的な質問なんですが、技術のほうだと思いますけれども、かりにNHK放送衛星を利用した場合に、いま何か一部直接受信の関係について研究をされておるようでございますが、面接受信になれば全国のネットワークが一緒になってローカル放送が非常に入らなくなってくる。面接受信でなくて、たとえばローカル放送も入れるようにすれば、いまの共聴施設みたいなものが要るのではないか。いわゆるローカル放送の受像と全国的な受像との関係放送衛星を利用した場合には一体どういうふうになるのでしょうか。
  54. 松浦隼雄

    ○松浦参考人 放送衛星につきましては、先生御指摘のようにたとえ十二ギガあるいはそれ以上の高い周波数というような、上から降ります電波の幅を狭くできるような高い周波数を使いましても、ちょうど日本の領土ぐらいの大きさのところをカバーするというのが上から降ってくる最低の電波の幅になります。したがって、同一放送ということに放送衛星はきわめて適しておる。ローカル放送につきましては、放送衛星を理論的に使えないことはないけれども、たいへん効率的でない、こういうことであると思います。ちょうど先ほどの音声放送に対する中波とFMの関係のようなものがここにあるかと思います。
  55. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 技術的に不可能だと思いませんが、いわゆる放送衛星を使った場合には全国が同一放送になってしまう。そうすると、それぞれの地域の方々がいまその放送衛星から直接受信をする受信機を持った場合に、ローカル放送との関連がどうなるのか。それができた場合に、いまの共同受信装置とか、それからあのサテ局、こういうものは要らなくなるのかどうか、その点はどうなりますか。
  56. 松浦隼雄

    ○松浦参考人 御留意いただきたい点につきましては、NHKを含めまして現在、郵政当局で国家プロジェクトとしてやっておりますのは、放送星衛の実験でございます。と同時に、放送衛星の実際利用につきましては、なお国際的な取りきめが必要でございます。七一年にありましたWARC-SC会議で周波数の配分はいたしましたが、きわめて具体的ないわゆるチャンネリングプランをまだ作成しておりません。これは先般のITUの管理理事会において、まだ確定ではないかもしれませんけれども、大体一九七八年から八〇年、つまり昭和五十年の中ごろ、前半において行なわれるということでございますので、実際問題といたしまして、先生御指摘のような問題を解決していくべき時期というものは今日ただいまではないというふうに私ども思っております。  なお、私ども考えておりますこの放送衛星の上がりましたときの具体的な難視解消への利用のしかたというのは、受信者個々の方への施策ではなしに、NHKNHKなりの、現在たとえば約三千地点に中継放送所を持っておりますけれども、このうち、親局から直ちに受信して放送しておる局の数は数百でございまして、千局以上がいわゆる多段中継ということで何段にもいっております。こういうものの全国放送をその地点で衛星から受けますと、きわめて良好な画質が得られるので、これで数百万の受信者に対するサービスの改善ができます。さらに離島、小笠原とか、少なくとも南大東島という、海底ケーブルもなかなかたいへんだというようなところに対するサービスができます。なお、都市の中においての、いわゆる共聴施設を利用し、あるいは個別という形での受信改善ということにも役立ちます。  なお、NHKが技術研究所におきまして低いコストで高性能の受信機を開発いたしております究極目標というのは、先生のおっしゃられたように個別受信にございますけれども、この技術は、同時にいわゆるコミュニティーレセプションあるいはわれわれの側のいろいろな受信施設にも大いに活用されるものでございます。
  57. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 まだローカル放送放送衛星との関係は多くの研究をしなければならない課題が残っておるようですから、それでは、その次に移らしてもらいます。  次に、郵政省は先ごろ放送視聴対策調査会というものをおつくりになったようでございますが、活動の状況はどういうことになっておりますか。
  58. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 テレビジョン放送の普及発達というものは非常に目ざましいものがあるわけでございますけれども、まだ辺地にはかなりの難視聴地域が残されておる。それから、また一方都市の難視、ビルの陰などによる都市の難視というものが年々ふえてまいります。こういうような事柄をそのままに放置しておくわけにはいかないということでございまして、四十八年度に約三千四百万円の予算をもって難視聴解消のための調査会を設置するという方針がきまったわけでございます。  それで、この難視聴解消という施策を進めてまいりますには、もはや単なる勧奨とか奨励とかいうことではなかなか間に合わなくなってきたということで、この際、根本的に基本方策を検討してもらおうじゃないかというのが設立の趣旨でございます。いろいろの財政上あるいは技術上の困難な問題を根本的に解決してもらおうということで、多角的な見地から調査検討を行なってもらいたい、こういう趣旨でございまして、昭和四十八年度に学識経験からなる調査会を設置したということでございますが、まだ委員十九名あるいは専門委員若干名を委嘱しただけでございまして、第一回目の会合を開いて、会長、副会長の互選とか、あるいは議事手続規則とか、あるいは今後の議事の進め方、こういう事柄が議論されただけで、第二回目が七月十日に開催される、こういうことになっております。
  59. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 いわゆる難視解消について有効適切な諸施策を求める、これがこの趣旨になっておるようでございますけれども、いつごろまでに難視対策、難視解消ができるかという結論を得たいと考えておられますか。
  60. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 一応予算上は四十八年度中ということでございますが、何せ問題が問題でございますので、あるいは四、五回会合を開いて実質審議したあとで、調査会自体が一応の目標をきめてくださるものだと考えております。
  61. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 この調査会に関連をして、高田放送部長お見えになっておりますか――何か電波法百二条の改正をしなければならないのだということをお話しになっておるようでございますが、これはどういう関係になるわけですか。
  62. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 これはおそらく業界紙の記者会見で発表されたものだと思いますが、その記事が正確でないということでございまして、お許しを願いたいと思います。
  63. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それでは業界紙ですから別に追及しません。  それでは次にお伺いしたいのですけれども、受信料の免除の関係でございますが、これはNHKのほうで発議をされて大臣の認可を得るということになっておりますか、そういう手続だったと思いますけれども、いま私ここに日本放送協会放送受信料免除基準なるものをいただいておるのでございまして、大体いま肢体不自由児等について、あるいは重度の戦傷病者とかいろいろの問題について免除が行なわれておるわけでございますけれども、実はNHKでもお聞き及びと思いますが、一つは、肢体不自由児、身体障害者の場合に掲げられておりますように、一級または二級というような一つの限界がある。それから、そういう人をかかえておっても世帯主がそういう人でなければこれは適用されないのか、こういうのがあるのですが、実際は子供がうちにおって一日中テレビを見る以外になかったわけで、そういう方々はまことにお気の毒だと思います。   〔小澤(太)委員長代理退席、委員長着席〕 もう一つは原爆被爆者があるわけでございます。こういう方々もいわば重度の戦傷病者以上に気の毒な方々でございますので、この原爆被爆者の方々等を対象としてこの基準をつくり直す、洗い直す。私はそうしていくというと、NHKの収入に大きく影響が出てくると思いますから問題があると思いますが、先ほども前田会長がおっしゃっておりました例の基金のほうからでもそれに相当する分を繰り入れていくというようなことを考えながら、NHKの公共性を生かし、特に恵まれない方々に対する福祉の一端としてこの基準を洗い直しになるお考えがあるかどうか、聞かせていただきたいのです。
  64. 小野吉郎

    小野参考人 受信料免除の件、特にハンディキャップを持った方々の取り扱いにつきましては、在来もそういった高度の社会福祉関係の見地から幾多の配意をいたして今日に至っております。現状におきましてもまだまだ不十分だ、こういったような御要望もあるようでございます。ある種の障害の方につきましては、その方が家族の構成員にあれば、その世帯については免除をいたしておるような次第でございますけれども、まだ全般の身体障害者世帯につきましてそのようなことにはなっておりません。それは無制限にとは申せないでございましょうけれども、かなりの重度の障害の方々につきましては、その方が世帯主でなくとも、世帯構成員にあればやはり配意すべきじゃないか、こういう御意見も承っております。問題は、いろいろ財政上の理由を申し上げてはまことに申しわけないのでございますけれども、かなりの覚悟をしないと実はできないようなことでございます。かりにそれは国家の福祉政策もそれとして厚生省あたりでそういうような面に配意いたしていただければ、これまた非常に都合のいいわけでございますけれども、なかなか予算事情等でそうも参りかねるでございましょう。この問題につきましてはもうこれでいいのだということでなくて、将来検討しなければならない問題もあろうかと思います。また、放送文化基金をこの方面に使うことがいいかどうかの問題についてもいろいろな問題があろうかと思いますので、全般を通じまして検討させていただきたい、こういうようにお願い申し上げたいと思います。
  65. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大臣、お聞きのようにNHKのふところぐあいはたいへん苦しいようでございます。そこでいま小野会長からお話がございましたように、この種の問題は本来私は国の行政の中で処置をすべき問題だと思うのです。身体障害者であるとか原爆被爆者であるとか、あるいは重度の戦傷病者であるとか、そういう方々に対する社会福祉は本来国が負担すべきものだと思うのです。したがって、今日人間優先、恵まれない方々に対する国の施策が望まれて、老人福祉年金等についても増額が認められるという世の中であるわけですから、政府全体の問題として、いま申し上げましたようなNHKが現在全聴視者の負担の中で行なっておるこれら社会福祉の問題について、政府として取り上げるお考えがあるかどうか承りたいのです。
  66. 久野忠治

    久野国務大臣 ただいまの御意見は私も理解できるところでございます。しかし、いまこれを直ちに国の行なっておりまする社会福祉行政の一環として取り上げるかどうかには、いろいろの問題点もあろうかと存じますので、今後意を含めて十分検討させていただきたいと存じます。
  67. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大臣の御答弁をいただくと、たいへんものが言いにくくなるのですけれども大臣は非常に御答弁がじょうずです。やるがごとくやらざるがごとく御答弁がございました。しかし私が申し上げましたように、趣旨からして簡単にできないまでも、大臣としてそうやるべきであるとか、こういうようなお考えがあってもしかるべきではないかと思うのです。検討するとおっしゃっても、大臣は十年もおやりになっていないと思うのです。したがって、今日大臣の在任中に問題の提起を行なって進めてみよう、その結果かりに本年度予算に無理である、あるいは来年度予算に無理であるというような結果が出たとしても、大臣としてはそれが正しい意見であれば取り上げて、そういう方向で行政をお進めになる、そういう気概というとたいへん失礼でありますけれども、そういうものがあってもいいと思うのですが、どうでしょうか。
  68. 久野忠治

    久野国務大臣 御意見の点は私はまことにごもっともだと存じます。しかし行政官庁といたしましてはいろいろ問題点もあろうかと存じますので、私はきわめて抽象的に御答弁申し上げた次第でございますので、この点は御理解をいただきたいと存じます。
  69. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私のいなかにドジョウとかナマズがおりまして、ウナギのようにぬらりとしてつかまえにくいのです。大臣の御答弁を承っておりますと、どうもつかまえどころがないのですが、事務当局の方、いま非常に大切な問題だし検討してみなければならぬとおっしゃっておるのですが、私がお話し申し上げた趣旨は事務当局でもおわかりになっておると思うのですが、本来的に私は聴視者の負担で行なうべきではなくて、国の責任で行なう社会福祉、社会保障の一端でなければならない。このお金を国家の財政から出すくらいしれています。やる気さえあれば簡単にできることなんです。まずその衝に当たっておられる郵政当局として――私は余談になりますけれども、国際放送の問題一つ取り上げても何かNHKにおんぶしておる。NHKにおんぶしておることは聴視者におんぶしておるということになるのでしょう。社会福祉の問題や、みずからやっておる聴視料の問題について国がおんぶしておるという形は、もうこの辺でやめるべきじゃないか。事務当局、ひとつ進めてみるお考えがありますか、どうですか。
  70. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 郵政省といたしましては事務的には進めにくい領域も相当あると思いますけれども、しかし問題が問題なだけに、ひとつ前向きで事務的折衝を始めてみたいと思います。
  71. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私は政府の機関だから一心同体だと思っておるのですけれども、郵政省は大蔵省のほうに向いたときには少し姿勢がおかしくなるような気がしている。どこに問題があるのですか。私は行政としては問題がないと思うのです。取り上げないところに問題がある。取り上げることには問題がないと思うのですが、電監局長、もしこことここに問題があるからむずかしいのなら、そういうことをちゃんと私どもに納得させるような説明をしていただかなければ、単に問題があると言われても私はどういう問題があるか――私としては取り上げないことに問題があるのであって、取り上げるほうが妥当だと思うのですが、いかがですか。
  72. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 要するに、福祉政策ということになりますと、主管がおのずから別な官庁になるわけでございますので、主体的に、わがほうが主体となって検討するというわけにはなかなかいかない、したがってそういうような関係のうちに前向きの姿勢で折衝してみたい、こう申し上げたわけでございます。
  73. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それでは大臣事務当局にお願いしておきますが、次の委員会あたりには大蔵やら厚生省のほうにも御出席をいただいて、この問題を議論させてもらいたいと思いますので、郵政当局も逃げないように、私と同じ方向に向いてひとつ努力をしてもらうようにお願いしておきます。  その次に、未収受信料でございますけれども、ここに昭和四十三年度以降、四十六年までの未収受信料欠損償却の状況等について、私、資料をいただいて検討させていただいたのですけれども、だんだん未収受信料がふえていきつつあるように思います。最近また新聞や週刊誌等でも、何かNHKの受信料を払わぬことを手柄のように書き立てたりするやからもあるようでございます。これはどういう傾向になっておりますか。そして、見通しとしてどういう対策をお立てになればいいとお考えになっておりますか。
  74. 吉田行範

    ○吉田参考人 お答えいたします。  未収受信料が年ごとに若干ずつふえてまいっているのは事実でございます。これはテレビ伸びに伴いまして、次第に低所得層へも受像機が普及しているという点も、あるいは若干あろうかと思いますけれども、やはり主たる理由は、毎度当委員会で申し上げますように、移動とか不在とかいう大都市圏における問題が、きわめて大きな原因になっているというのが事実でございます。  ただ昨年度の、これは触れて申し上げていいかどうかわかりませんけれども、ただいま四十七年度の未収受信料の回収を年度初頭において鋭意努力しておりますけれども、これは昨年に比べてかなり大幅に収納率がいいということは申し上げられるかと思います。
  75. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これは四十三年度以降の分ですが、年度末における未収受信料が、四十三年は十億ですか、四十四年は十三億、四十五年は十八億、四十六年が十九億五千二百五十八万五千円と、四十三年から四十六年までの三カ年間で未収金額は約倍、こういう数字になっておるようですが、これが四十七年度、これははっきりはしないのでしょうけれども、どういうふうな形になってきておりますか。
  76. 斎藤清

    ○斎藤参考人 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘の数字につきましては、当年度決算を行ないましたときに未収であるという状況数字あろうと思います。実際に未収で最後までおるかどうかという問題については、違った数字になります。その点で、ただいまの数字との関連を申し上げますと、当年度末、三月三十一日現在の状況に対しまして未収金が出ておるわけですが、翌年度に入りまして四、五月あるいは六月というふうに順次回収いたしてまいります。大体はそれが五〇%程度は回収できまして、そして翌年度末に至るというのが従来の状況でございます。  それを四十三年以来で申しますと、実際に最終的な未収という形で処理された数字でございますが、これは四十二年度に五億九千百万円、四十四年度に八億七千二百万円、四十五年度に十億七千九百万円、四十六年度は十億九千万、これは沖繩関係を除きました数字でございます。沖繩関係を入れますと、十一億一千百万円ということでございます。それで四十七年度につきましては、ただいま先生御指摘のものにつきましては、現在四月、五月というふうに回収をいたしておる途中でございまして、最終的な数字はまだ出ておりません。  全体の数値を申し上げましたが、その率の傾向を申し上げますと、四十三年度は総体の収入に対して〇・七六%でございます。四十四年度はこれが一・〇五%になります。ここでかなりふえたわけでございます。さらに、四十五年度のものにつきまして、四十六年度末の数字になりますが、これが一・一九%と、ややふえております。四十六年度のものが四十七年度末にどうであったかということを申し上げますと、一・一〇%でございます。それで、四十五年度までふえてまいりましたが、四十六年度の分の一年後の回収の状況はややよくなった。この点について、先ほど営業担当からややよくなっているという報告があったわけでございます。  総体の傾向といたしましてかような状態でございますが、内容的に分析いたしますと、たとえば航空騒音関係の難視聴を理由にするもの、あるいはまた受信障害等による難視聴を理由にするもの、あるいはまたこちらで歴訪をいたしましてもいつも在宅でない方、かような事情のものが社会環境との関連において年々ややふえておる。それを何とか、行きます頻度をふやす、あるいは騒音関係の対策を受信改善という側面で改善する、そういうような働きをもって全体の収納の確保につとめたいというのがただいまの状況でございます。
  77. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大体わかりましたが、いまの未収受信料の欠損償却ですね、これは私の資料が間違っておるようです。四十五年までは合っているのですが、四十六年が二十一億三千三十九万九千円で、その割合は二・一五%、こういう数字になっておるのですが、これは何か間違いでしょうね。
  78. 斎藤清

    ○斎藤参考人 四十六年度の分について二十一億という数字は、何か間違いではないかと思います。私申し上げたような数字になっております。
  79. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それじゃ、これは私はもう一ぺん調べさしてもらいます。そのパーセンテージも二・一五%で、二十一億という数字は合うのですけれども、その上のいわゆる年度末の未収金が十九億ですから、ちょっとおかしなことはおかしなことになるのですが、これはちょっと調べさしてもらいます。  その次を伺いますが、四十六年度予算において経費の流用がだいぶ行なわれておるようでございます。この経費の流用の内訳がこの決算に出ておるようですけれども、この流用の内訳を知らしていただいて、流用ということに対する、これは予算総則上できることになっておると思うのですけれども考え方をはっきりしておいてもらいたい。軽々にやるべきものか、まことによんどころない理由があるところに限ってやるべきものか、そういう考え方をひとつ聞かしておいてもらいたい。
  80. 斎藤清

    ○斎藤参考人 お答え申し上げます。  四十六年度におきまして、予算総則の第四条で認められております流用という行為を行なっております。この内容は、実はただいま御指摘のございました未収受信料の欠損償却問題につきまして当初予算額で予定いたしておりましたのが、過去の数字から予算を立てておりましたけれども、決算の状況におきましてはそれで不足するという事態が明らかになりましたので、その分に対する何らかの財源の補てんが必要でございます。そこでお手元に差し出してございます資料から申しますと、関連経費というところの欄で未収受信料の欠損償却を行なうわけでございます。この金額の不足が二億九千七百万円ございます。これに対します財源といたしまして営業関係の諸経費あるいは管理関係の諸経費の節減を強行いたしまして、ここから営業関係で一億四千万円、管理関係で八千九百万円並びに当年度減価償却費の残六千八百万円、三つの項目から流用いたしまして不足金に充てたということでございます。流用の考え方は総則でも明らかに書いてございますように、みだりにやるという考え方は全く持ってございませんで、万やむを得ない状況に対応する弾力条項であるというふうに考えてこれに当たっておる次第でございます。
  81. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 予断をもって申し上げることは失礼なんですけれども、たとえば四十五年決算の場合には七条増収額があって、これをそれぞれ振り当てて資本収支にも繰り入れたと私は記憶しております。したがって四条の流用が全然ない。したがってというと語弊があるのですが、四条の流用が四十五年にはないのです。四十六年決算には、こういう七条増収分がなかった関係かどうか知らぬですが、四条流用が行なわれておる。この間に関連があるのかないのか、ちょっと聞かせてもらいたい。
  82. 斎藤清

    ○斎藤参考人 お答え申し上げます。  総則の適用につきましては、適用する根拠というものが明瞭に前提として整備されております。これを原因として適用いたすものでございまして、ただいま御指摘のような意味合いでの関係は持たせてございません。
  83. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 約束の時間が参りましたので質問を終わらしてもらいます。どうもありがとうございました。
  84. 久保田円次

    久保田委員長 午後一時三十分再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後零時五十二分休憩      ――――◇―――――    午後一時四十七分開議
  85. 久保田円次

    久保田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。平田藤吉君。
  86. 平田藤吉

    ○平田委員 私は前にUVの問題についてお伺いしたわけですけれども、その点もう少しお聞きしておかなければならないので質問したいと思います。  前回、電波局長ですか、答弁で、Vの波が必要なものに公衆通信の陸上移動があるというふうに言われましたけれども、どういうものが必要なのか、その点についてひとつお聞かせいただきたいと思います。
  87. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 もし将来、いまテレビで使っておりますVの波がUに移って、あきました場合に使う計画でございますけれども、これは今後十年間ぐらいの需要の予測をしてみたわけでございますが、それにつきましては、陸上移動業務、これがおよそ五十メガヘルツを必要とするであろう、この中には公衆通信の陸上移動あるいは将来自動車電話というようなことも考えられる、いまタクシー無線が使っておりますけれども、こういう自動車電話というようなことが考えられる。そのほか消防とか鉄道、電力、ガス、新聞報道、公害対策、水防、防災あるいは警察通信、こういうようなことで五十メガヘルツのバンドはほしいということでございます。それから海上移動業務と固定業務、これが二十メガヘルツほしい。この内容といたしましては、沿岸無線電話、海上保安のための移動業務、それから防災、公害対策それからガス事業テレメーター、こういうような陸上関係の固定業務、これにも二十メガヘルツ程度の波を必要とするであろう。それから新しい形の通信、データ通信、宇宙通信、こういう関係につきましても三十メガヘルツ程度の波がほしいというような需要の予測を立てたわけでございます。まあその当時立てた十年間の予測でございますので非常に大ざっぱでございますけれども、これが大体百メガヘルツということで算定されております。
  88. 平田藤吉

    ○平田委員 私が聞いたのは、公衆通信といわれるものの陸上移動、これはどういうことなんだろうかということをお聞きしているんですよ。
  89. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 公衆通信は一般には各家庭あるいは会社あたりの固定された場所に設置するということでございますけれども、将来は動き回るもの、自動車なんかに公衆通信が使われるだろう、そういう際に波が必要だということで算定されているわけでございます。しかし、いま直ちにこれを実行するというわけではございません。
  90. 平田藤吉

    ○平田委員 使われるであろうということを予測されている公衆通信といった場合、いまどんなものがあるのですか。
  91. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 先生のおっしゃる意味は、どういう手段があるかという意味でございましょうか、たとえば無線があるとか有線があるとか。質問の御趣旨がちょっと……。
  92. 平田藤吉

    ○平田委員 いま公衆通信といっているものにはどういうものがあるかということを聞いているんですよ。
  93. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 あるいは的はずれかもしれませんが、電信と電話があるわけでございます。
  94. 平田藤吉

    ○平田委員 そうすると、将来自動車にもそういうものをつけますというのも公衆通信の中に入るわけですか。
  95. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 需要予測の前提としまして、そういう移動体にも公衆通信が、家庭につくのと同じ意味で自動車にもつく、そこから電話をかけると公衆回線で一般に通ずる、こういう考え方でございます。
  96. 平田藤吉

    ○平田委員 公衆通信といわれた場合に、自動車にもこれから電話がつくのだということを予測しておられるということとして理解してよろしゅうございますね。  さらに、データ通信にもVの波が必要だというふうに答えられていますけれども、データ通信に必要だというのはどういうものを考えられているのか、少し細目にわたってお聞かせいただきたい。
  97. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 データ通信、まあ通信に利用されるものとしましては有線と無線があるわけでございますが、有線関係は別でございますけれども、無線関係で将来おそらく相当程度の波が必要になるだろうという予測でございます。
  98. 平田藤吉

    ○平田委員 データ通信にVの波が必要だというふうに言われているので、私なんか非常に理解できないものですから、そのデータ通信に必要だというのは項目ごとにあげたらどんなものがあるだろうかということをお聞きしているのですよ。
  99. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 Vの波がデータ通信に使われる――Vの波でなければならぬという意味ではございませんので、Vの波がたまたまあいた場合にはそういうような需要が考えられる。と申しますのは、一番最初テレビが始まった昭和二十六年には、テレビの波がVで六チャンネルあったわけでございます。ところが昭和三十一年に、全国的な普及をはかる、こういう意味からVの十二チャンネルにふやしたわけでございます。それで大体全国的な普及ができた。さらに地方におきましても民放の並列ということを考えまして、技術の開発の進展と相まって昭和四十一、二年ごろに、いかなるところでも民放が並列して見られる、二つ以上の民放が見られるというような政策をとったわけでございまして、その際にUHFの波が開発されたわけでございます。したがって、当初はVだけでUの波は使えなかった。ところが技術の進歩に応じて昭和四十年の初めごろからUの波が使えるようになった。しかも相当多量にチャンネルがとれる。したがってここで従来のVの波十二にUの波五十をプラスしてテレビに使うべきかどうか、あるいは新しく開発されたUの波をほかに使うか、あるいはVの局をUに転換して、そのあき家でいろいろな需要を満たすか、こういう選択の問題になるわけでございます。したがいまして、いまの御質問のデータ通信ということにつきましても、ここでなければどうしてもいかぬという性質ではございません。ただ、そういうことでテレビの波がUのほうで五十とれるものですから、Vのほうの十二チャンネルをそのあき間に入れたほうが放送関係でもプラスになりはせぬか、あるいは受信の関係でプラスになりはせぬか、こういうことでVからUへという転換の方策が議論されたわけでございます。
  100. 平田藤吉

    ○平田委員 どうも私わからないのですがね。データ通信にVの波が必要だというふうに答えているから、私のほうはどうしてデータ通信にVの波が必要なのか、Vでなければなぜいけないのだろうというふうに考えたわけですね。いま聞いてみると、別にVの波でなくたっていいのだ、ただテレビのほうをVからUへ移すことになればあくからそれを使えばいいという考えなんだ、こういうお話ですけれども、Vの波の需要が非常に多くて、そのためにVからUへ移さなければならぬという趣旨の話として私は受け取っていたわけですが、そうではないということなんですね。  じゃ次に、VからUへの全面移行の方針が四十三年の九月にきめられているわけですけれども、十年間でやるということだったですね。あと四年二カ月しか残ってないのですが、この計画はどの程度進んでいるのか、これから進める段取りといいますか、プログラムといいますか、それを聞かせていただきたい。
  101. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 移行の方針が決定といいますか、閣議に報告されて了承を受けたのが、いまおっしゃるように四十三年の九月でございます。それから四十四年からUHF移行に関する専門連絡会というものを設けまして、関係者の間で議論をしたわけでございます。これは初めNHKとわがほうの技術担当者の間でいろいろ議論したわけでございますが、それから後に民放関係も入りまして調査検討を進めてきたわけでございます。それで、この結論として、大体基本的な方向については、先ほど申し上げましたようにVの十二チャンネルとUの五十チャンネルを合わせてテレビに使うということは、テレビ側に少し波の使い方としては片寄っているのではないか、したがって、この際新しい技術で開発された分野か、あるいは引っ越したあとと申しますか、Vの波でございますが、これを一般の線に開放すべきではないか、こういうふうなことで議論したわけでございますが、それにつきましては、関係者の間で基本的には大体賛成でございます。ただ、移行の方法として相当な経費がかかるということでございまして、その当時、四十五年ころの試算で、NHKが約九百億、民放も、これもほんの試算でございますが、七百億というような金がかかる。これをどういうぐあいに捻出するか、あるいは経費の負担をだれがするかというようなことで、主としてそういう問題に議論が集中いたしましたが、必ずしも解決策として名案が浮かばないということでございまして、いろいろその後、この経費の問題をめぐって検討を進めておるという段階でございます。
  102. 平田藤吉

    ○平田委員 四年二カ月しかないのですけれども、これからどう進めるつもりですかということについて答えてください。
  103. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 ただいま申し上げましたように、経費の問題もございますし、それからもう一つは、Vの波のほうが実は波が長いわけでございまして、Vの波でカバーされているところをUでカバーするとしますと、ある程度の新しい局の設置が必要である、こういうこともございまして、そういうことをめぐって何か解決策をさがしておるというのが現状でございますが、郵政省といたしましては、事がきわめて重要でございますので、ただ郵政省が方針をきめたから十年内にぜひこれをやらなければいかぬのだというような余裕のない考え方ではございませんで、方向は一致しておるわけですから、できるならば各方面の関係者の同意を得てこの方針を進めていきたい、多少時間がかかっても各方面の同意を得たいという考え方で現在おるわけでございます。
  104. 平田藤吉

    ○平田委員 Uの受信機またはオールチャンネルテレビの普及の程度はどの程度なのか、このうちUでカバーしている地域での普及率はどの程度なのかということについて聞かせていただきたい。
  105. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 昭和四十七年九月の調査があるわけでございますが、UHF受信機の普及状況を全国的に見ますと、合計で七五%、そのうちオールチャンネルが六四%、コンバーターが一一%、こういうことになっております。
  106. 平田藤吉

    ○平田委員 Uでカバーしている地域における普及率、これはどれくらいになりますか。全国一般にはいまおっしゃったのですが……。
  107. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 親局の問題は、いまサービスエリアの中でUの局の親局のないところ、これが東京と大阪でございます。あとは全部U局があるわけでございまして、いま御質問の統計はいまちょっと手持ちがございません。
  108. 平田藤吉

    ○平田委員 さっきの数字あとで資料をいただきたいと思います。  それで、置局計画は一体どういうふうになっているのかお聞かせ願いたいと思います。
  109. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 いま先生のおっしゃるのは、現在のチャンネルプランについてでございますか。
  110. 平田藤吉

    ○平田委員 現在のチャンネルとそれからUにおけるチャンネルです。
  111. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 Uを使っているチャンネルとVを使っているチャンネルの数ですか。――概数を申し上げますと、毎日移動しておりますけれども、Vが千局、Uが二千局ということでございます。
  112. 平田藤吉

    ○平田委員 ところでVからUへの移行のための支出は、これまでNHK民放それぞれでどの程度支出されているのか、お聞かせいただきたい。
  113. 松浦隼雄

    ○松浦参考人 NHKの投資につきまして申し上げますと、東京、大阪のまず実験局のための建設投資として、東京で一・七億、大阪で二・九億であります。
  114. 平田藤吉

    ○平田委員 民放はどれだけ支出していますか。
  115. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 いままで資料を取ったことがございませんものですから、ちょっと持ち合わせがございません。
  116. 平田藤吉

    ○平田委員 先ほどもNHKだけで九百億かかるという見通し、大ざっぱな見通しだけれどもということで言われたわけですが、いまのお話を聞きますと、四億六千万ですかの支出なんですね。これはかなりたいへんだなというふうに思うわけですが、物価がずっと上がっていますね、ですから、最初九百億と言われたけれども、現在移行するとすると、VからUへ移行するための経費は、一体この諸物価の上昇との関係でどのくらいになるとお考えになっておるか、それをお聞かせいただきたい。
  117. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 先ほど申し上げましたのは、昭和四十五年当時のNHK九百、民放七百、合わせて千六百ということでございますが、その当時からどれくらいの物価の上昇を見込めばよろしいかということは、実は確たる試算をしたことはございませんけれども、二〇%ないし三〇%にしたところで相当の額になろうかと思います。
  118. 平田藤吉

    ○平田委員 どうもたよりなくてしょうがないのですけれども、金がかかるので検討している、金をどっちがどれだけ出すかということも検討しているので、そこへひっかかっているのだとしたら、おそらくもう少し検討されていてしかるべきじゃないかと思うのですね。これでしたら全然手をつけてないといって差しつかえないのです。  それじゃNHKにお聞きしたいのです。どなたか担当の方にお聞きしたいのですけれども、省のほうで移行するというふうにきめてあるのですね。どうしてもやるといった場合、四年間でやるといった場合、これはできるだろうかどうだろうかという問題。それから、やるとすると、少なくとも毎年三百億をこえる費用をつぎ込まなければならなくなるのだけれども、それが一体できるのだろうか。この点についてNHKのほうのお考えを聞かしていただきたいと思います。
  119. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 ちょっとことばが足りませんでしたものですから、補足さしていただきます。  昭和四十三年度に方針を決定したという事柄は、十年間のうちにすべて切りかえを完了するという意味ではございませんで、ほぼ十年の間に、どういうやり方をとって、移行の方法はどうするかというような、移行のやり方その他についての方針を決定するのがほぼ十年だ。それから方針が決定した後において、その方針に従って、おそらくVとUの併存時代もあるだろう、それで最終的には、何年かたってUだけになる、こういうような移行の順序になろうかと思います。
  120. 平田藤吉

    ○平田委員 それは電波監理局長、あなたの見解なんですか。あなたが、なろうかと思っているのですか。君らは、移行させるということをきめているのでしょう。そこのところをはっきりさせておいてください。あれはそうじゃないんだ、移行させる期間じゃないんだ、そうじゃございませんで、あれはいろいろ考える期間でございますというならそれで、ここではっきりしておいてください。
  121. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 方針を決定する期間でございます。
  122. 平田藤吉

    ○平田委員 さっきの問題についてNHKの担当の方にお伺いしたいと思います。
  123. 松浦隼雄

    ○松浦参考人 現在VHFでもってサービスしておる局が、基幹局並びに五百世帯以上のかたまりに対するサービスをしております局が五百二十八局でございますから、まずそれを転換しなければなりません。そのほかに、VHFよりもUHFが足が短いという関係で、補完しなければならない局が四百八十七局、この両方の千十五局の建設投資として、四十五年当時に九百億の建設投資が必要だということが、先ほど電監局長が申し上げたように、あったわけでございます。必要な経費としては、そのほかに――当時、約十年間、VHFとUHFの併存期間がなければ円滑な移行ができないというふうに考えますと、そのほかに、建設投資ではございません、事業支出的なものがさらに同額以上必要であろうということが予想されておるわけでございます。したがって、今後やるということになりましたときに、四年間ということと、先ほどの十年間ということとは合いませんので、それ以上かかるということがはっきり申し上げられると思います。
  124. 平田藤吉

    ○平田委員 これはいま言われた点で、結局相当な金がかかる、いまは、方針をきめるのは十年間だから、それから先、併存期間があって、それから移行していくのだという説明ですけれども、いままで私が、方針として述べられている点で理解しておる限りにおいては、そうなっていないわけですよ。したがって、これでその残された期間で移行をするとしたら、やりなさいと言われたら、三百億円前後の資金をつぎ込まなければならないわけだけれども、一体NHKの現在の力でもってそれができるのかどうかという点についてお答えがなかったわけですけれども、その点ちょっとお答えください。
  125. 松浦隼雄

    ○松浦参考人 私どもとしては、先ほど申し上げましたような、かかる経費の試算はしておりますけれども、それ以上のことは考えておりません。
  126. 平田藤吉

    ○平田委員 四十二年七月に電波技術審議会が、技術的諸問題はほぼ解決を見たというふうに答申を出しております。そうでしょう。しかし、現在はまだいろいろ検討しなければならないものが残されているというふうにいわれているのです。これの技術上の問題というのは、もう完全に解決して、だいじょうぶなんですか。ただ、民放とそれからNHKとでその負担をどちらがどれだけ持つかということで進行しないでいるということなんですか。どうなんですか、そこのところは。
  127. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 主として経費的な問題が重要でございますけれども、そのほかにも技術的な問題として、いまUで全面的に切りかえた場合に、都市難視、ビル陰、そういうような問題がどのようになるかという事柄につきましても、いま少し検討を進めていきたいというぐあいに考えております。
  128. 平田藤吉

    ○平田委員 そうすると、四十二年七月に電波技術審議会が出した技術的諸問題はほぼ解決を見たというこの答申は違うのですか。この答申に基づいて十年間でやろうということが提案されているのですよ。そこのところは違うのかどうなのか。はっきりさせておいてください。
  129. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 県域放送の複数化の場合に、Uを導入して複数化を達成したわけでございますが、その限りにおいてはUに関する技術は完成した、こう考えてよろしいと思います。ただUに伴う足の短さということと、都市構造の変化ということで、高層建築物等があとで出現したわけでございますので、それに対する技術的な検討を進めなければ最終的な結論は出せないと申しますか、最終的な結論を急ぐべきでない、技術的な検討を進めるべきだというのが私たちの立場でございます。
  130. 平田藤吉

    ○平田委員 そうすると、技術的に残っているものは、ビル陰の問題とUの電波の足の短さの問題とこの二つだけですか。ほかに何かありますか。
  131. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 そのとおりでございます。
  132. 平田藤吉

    ○平田委員 ビルができたのは四十二年以降できたんじゃないんですよ。もっと前からできているんですよ。そういうことは当たらないと思うのですよ。だから審議会で答申を出した時点で、すでにその問題は技術的に問題になっていたのですね。あなたはそう言って何とかかんとかそらそうとしていますけれども、そらし切れるものじゃないと思うのですよ。審議会のほうでは解決したというふうにいっているわけなんです。あなたのほうは、本来ならばそれはそのとおり認めておいてくれればいいんだ。しかし実際にやってみると、解決したと思っていたけれども、していなかったというならしていなかったで、それはそれではっきりする事柄なんですから、返事をするときにはそこのところは正直にものを言ってくださったほうがいいと私は思うのです。  VからUへ移行した場合に都市難視はどれくらいふえるだろうかという問題、たとえば東京ではどうだろうというふうに思うわけですけれども、この点をどう考えていられるか。現在たとえば東京の場合、都市難視がどれくらいあるのかというのを郵政省のほうでつかんでいられるかどうか。つかんでいるならお聞かせいただきたい。
  133. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 ビル陰の難視でございますけれども、これが全国的に見ますと三十数万、約三十四、五万になると思います。それから東京で大体十七万くらいというのがわれわれのつかんでおる数字でございます。
  134. 平田藤吉

    ○平田委員 これはVからUへ移行した場合にはどういうふうになるか。どれくらいふえると思っておられるのか、その点についてお聞かせいただきたい。
  135. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 理論的にはふえることになるわけでございますけれども、これはタワーの高さ、ビルの高さということが相対的関係にあるものですから、どの程度の高さのビルと申しますか、どの程度の高さのタワーから放送するかということによって値は違ってくると思います。ただ減少するということはない。平田委員 そうすると、その都市難視のふえる部分の原因者というのは一体だれになるのだろうかということですね。これは一体NHKの責任ということになるのだろうか、郵政省の責任になるのだろうか、ビルの責任になるのだろうか、そこら辺はどう考えておられますか。
  136. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 ビル陰の難視につきましてはいろいろな原因が考えられると思います。ビルを建てたがために直接陰になって見えなくなる家庭、世帯、あるいは複合の反射によってどのビルが原因か特定はできないけれども、そのビル群だろうという想定がつく場合、あるいは全然見当がつかない、どこが原因かわからないという場合、いろいろな場合があると思います。私のほうでいま難視聴対策の調査会を持っておりまして、先月二十日以降開いたわけでございますが、そういう面も含めてひとつ調査検討していただくということになっております。いまおっしゃるような問題は法律上もあるいは実際上もきわめて難問題だと思われます。
  137. 平田藤吉

    ○平田委員 ちょっと御理解いただけなかったようですけれども、私が聞いているのは、先ほどあなたからお答えをいただいたように、VからUへ移行する。ビル陰の難視が減るのではなくてふえる。このふえる分についてはどこが原因者になるのだろうかということをお聞きしたのです。いまあるということ、そこに突如としてあとからビルが建ったので難視が出てきたというのではなくて、VからUに移行することによって起こる問題についてどう考えておられるかということを聞いているわけですよ。
  138. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 いま結論を持っているわけではございませんが、考え方としては国の責任において措置すべき問題ではなかろうかというぐあいに考えます。
  139. 平田藤吉

    ○平田委員 そうしますと、難視の解消という問題は、当然VからUへ移行する問題をめぐって検討されていなければならないと思うのです。技術的にほぼ解決しているのだというようにおっしゃるのだと、やり方はいろいろあると思うけれども、相当な金額を必要とするのじゃないかと思うのです。その点はどうお考えですか。どれくらいかかるとお思いですか。
  140. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 先ほども問題になりましたけれども、VからUに切りかえする場合に、ただ単にVからUに取りかえるというばかりではなしに、いままでサービスしておったところが聞こえなくなるという意味で補完する局が必要なわけでございますけれども、これがNHKにつきましては大体四百八十七という局の数が大小取りまぜて、主として小さいほうでございますけれども、こういうような数になる。それから民放につきましては、補完する局がおそらく千局程度になるだろう、こういうことが検討されておるわけでございます。ただ、ビル陰の問題につきましては、非常に移動が激しいわけでございますので、いま現在において確たる数字をつかんでおるわけではございません。
  141. 平田藤吉

    ○平田委員 視聴者のほうの立場から見ますと、VからUへの移行の方針が発表されて以来、オールチャンネルテレビを買わされました。あなたはまだ十年間方針を検討して、それからいろいろやっていくのだというふうにおっしゃったけれども、現に視聴者のほうがオールチャンネルテレビを買わされています。それは東京や大阪で放送されている実験局しかないわけですね。それはそのとおりでしょう。その結果、現在Vのところでは全く映らないということになるわけなんだけれども視聴者のほうは高いテレビを押しつけられてきているわけです。この責任について、郵政省としては一体どう考えておるのかということについてお聞かせいただきたい。
  142. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 いま全国的に見ますと、UとVが混在しておる地域が圧倒的に多いわけでございます。と申しますのは、昭和三十二年ごろに全国的な普及をしたわけでございますけれども、そのときにはすべてVの波で置局を完了したわけでございます。そのあとで、大きく分けますと昭和四十二、三年ごろ、このときに全国各地で民放テレビ局が複数見られるようにしよう、こういう政策をとったときにVが割り当てられたというかっこうになっておりますので、東京あるいは大阪の特殊な地域は別といたしまして、ほかの地域はほとんどすべてUとVが混在しておるわけでございます。したがって、それなりにオールチャンネル受像機というものの需要があるわけでございます。ただ将来、われわれがいま考えておりますVからUへという移行が完了しました場合、これは相当時間、方針が決定してからさらに数年間かかるわけでございますが、その間にもしUに完全に切りかえるということでありました場合には、受信機の寿命等も考えますと、それほど消費者に負担をかけないで済むのではなかろうかというぐあいに考えておるわけでございます。
  143. 平田藤吉

    ○平田委員 Uでなければ見ることができないというところなら話は別ですけれども、Vでちゃんと見られるところでも、オールチャンネルテレビをずっと買わされてきているわけですね。これはVからUへの移行の方針が出たことによってそうなっているわけでしょう、別にUの問題は必要ないわけなんだから。ですから視聴者のほうから見れば、これは少なくとも値引きができたはずなんだというように思うのです。そこら辺についてどう考えておられるのか。そんなことはない。Uで見るのが圧倒的に多いのだというようにお考えなのか。
  144. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 先ほど日本放送区域、これはUとVと両方の波でカバーされている地域が圧倒的に多いということを申し上げましたけれども、VとU両方を見たいという方は、オールチャンネルを用意しなければならぬというのが現状でございます。ただ東京、大阪につきましては、これはVだけ――放送試験局としてはUの波が出ておりますけれども、しかし実用局としてはVでございますので、この点につきましては例外でございます。
  145. 平田藤吉

    ○平田委員 結局テレビの寿命からいくと、Uへ移行するのでございますというのでオールチャンネルを買わされて、あなたがおっしゃるようにUへ移行していくまでの間には、まだおそらくこれからまた先あなたのおっしゃるとおりやられたとして、十年はかかるんじゃないかということが予想される。テレビの寿命は何年です。そんなに持たないでしょう。二回、三回オールチャンネルを買わなければならないという状態になるんじゃないですか。ですからそういう意味で、やっぱり方針が打ち出されて、メーカーがこれに基づいて全部設備をして、そうしてオールチャンネルを売り出して、視聴者はいやおうなしにそれを買わざるを得なかったということについて、責任だって考えていいんじゃないかというように思うのですよ。もう一度そこのところをどうお考えなのか、お聞かせいただきたたい。
  146. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 先ほど申し上げましたように、現行のチャンネルプランの基本的な考え方としては、全国いずれの地域においても民放は二つ見られる。もちろんNHKは二つあるわけでございますが、そういう最低限二つ見れる、そういうことで、それを可能にするためにUの波を使ったわけでございます。したがってUとVを両方受けようという、東京、大阪を除くほとんど大部分の方々は、そういうことでオールチャンネルを用意されているものだと思います。ただこの場合に、しからば東京と大阪というようなところは、オールチャンネルを買わされているのだからそれだけ損しているではないか、必要ないものを買わされているじゃないかというようなことも一応は考えられますけれども、受信機の値段は、コストといいますか、受信機のコストは生産量によって左右される部面が非常に多いわけでございまして、むしろいま私もここで確言するわけにはいきませんけれども、あるいはVだけの受信機ということと、オーチャンネルの値段を比較した場合には、生産量との関係であるいはあまり差がないのではないか。これが極端に小さくなりますと、ほぼ無視してもいいような数値になるのではないかというぐあいに考えるわけでございます。
  147. 平田藤吉

    ○平田委員 視聴者のほうには、大量生産でたいへん安くなっているから、オールチャンネルになってもそう変わりはないんだよという趣旨のことをあなたはおっしゃったわけですが、方針を出さなければそういう必要もないわけですから、そういう意味ではやはりあなたのほうも考えてみる必要のある問題ではないのかというように思うのです。しかもさっきからずうっと聞いてまいりますと、具体化しないわけでしょう。しかもいまのNHKの財政の規模からいって、これはまことにたいへんなことになるなということを考えざるを得ないでしょう。前田会長、とにかく三年間値上げしないということでだいぶ御苦労なさってこられたわけですけれども、どうもこれはUへ移行するために大赤字が出て、NHK自身がたいへんなことになって、それはみんな視聴者にはね返っていく、負担になるというような結果を招きかねない。しかも話をずっと聞いてみると、計画そのものもどうも煮詰まらない、金の九百億、七百億が民放と話がつくかつかないか、ここがうまくいかないからはっきりしないのだとおっしゃるけれども、実際にいままで聞いてきたところによれば、どうもそうでもなさそうだ。NHKだってそうですよ。NHKは八百億出しますといってみたって、いまの財政規模からいったら、これは大事業ですよ。そんなことだから話もまとまらなければ進みもしなければ、あなただって、実際にUへ移行させるとしたら、いままでずっと聞いてきたような答弁では、Uへの移行はできないでしょう、電波状況からいっても。そういう一たんきめたのだからどうしようもないからしがみついていて、何とかかっこうつけようというような態度はやはりやめるべきではないか、私はそう思う。そして、現在の視聴者に対する負担をともかく重くしないということで努力をするのがたてまえじゃないのか。しかもあいたVのほうはどうするのだといえば、どうも根拠がないのですね。データ通信に使いますなんて、この前も聞いたときはずっとずいぶん並べられたのですけれども、結局詰めてみれば、何もVでなくてもいい分野もかなりある。タクシーの電話なんていってVの波をとって、NHKでそのためにUのほうへ移行させるというようなことをする必要もないようなものですよ。ですから、いま私が聞いてきた範囲では、これはNHKの担当者の皆さんはおそらく考えられていることだろうと思いますけれども、不可能に近いようなことで一生懸命、頭だけは押えられているというようなかっこうではまずいと私は思う。こういう問題について実現できないものならできないもので、現在の財政規模その他の諸般の事情から困難であるというなら困難であるで、方針は出したけれども検討してみたらやはりむずかしいからこうするのだということで、おやめになったらいいと思うのですね。大胆にそういう態度をとるべきだというように私は思うのです。その点についてひとつ、これは大臣のほうも、また名答弁になるのじゃないかと心配するのですけれども、こういういつまでたっても見通しも立たないような、しかもNHKへがさっと負担がいくような仕事はやめるべきだというように思うのですが、大臣の見解をひとつ聞かせていただきたい。
  148. 久野忠治

    久野国務大臣 先ほど来平田委員事務当局との間のいろいろ意見のやりとりを伺っておりました。私もたいへん重要な問題であるという認識でございます。しかし、ただいまやめたらどうかという御意見でございますが、御意見は御意見として承っておきたいと私は存じます。この移行計画というのは非常な大きな問題であることは御認識のとおりでありますし、私たちもさように考えております。それから経費とか置局とか受信者対策とか、いろいろあろうかと思うのでございまして、関係方面とも十分連絡をとりまして、納得を得られる線で対処してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  149. 平田藤吉

    ○平田委員 納得できるようにしていただければ幸いだと思うのですが、おそらくNHKの担当者も頭を痛めておると思うのです。電波局長、これはきめてしまったのだから何とかしなければなるまいと、これも頭の痛いところだろうと思うのですけれども、全体頭が痛いのだったら、やめて考え直されるのがやはりほんとうのあり方じゃないだろうかというように思うのです。そういう意味で、大臣の納得のいくように努力したいというおことばですから、ひとつ納得のいくように努力してくださることを期待して、また私どももこういうやり方はやめるべきであるということを主張して、私の質問を終わりたいと思います。
  150. 久保田円次

    久保田委員長 次回は明五日木曜日午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後二時四十六分散会