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1973-06-27 第71回国会 衆議院 逓信委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年六月二十七日(水曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 久保田円次君    理事 宇田 國榮君 理事 小澤 太郎君    理事 梶山 静六君 理事 金子 岩三君    理事 羽田  孜君 理事 阿部未喜男君    理事 古川 喜一君 理事 土橋 一吉君       内海 英男君    志賀  節君       高橋 千寿君    楢橋  渡君       長谷川四郎君    本名  武君                 金丸 徳重君       田中 昭二君    久保  等君                 米田 東吾君                 小沢 貞孝君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 久野 忠治君  出席政府委員         経済企画政務次         官       橋口  隆君         郵政大臣官房長 廣瀬  弘君         郵政大臣官房電         気通信監理官  館野  繁君         郵政大臣官房電         気通信監理官  牧野 康夫君         郵政省郵務局長 溝呂木 繁君         郵政省貯金局長 石井多加三君         郵政省簡易保険         局長      野田誠二郎君         郵政省電波監理         局長      齋藤 義郎君         郵政省人事局長 北 雄一郎君  委員外出席者         行政管理庁行政         監察局監察審議         官       笹倉 三郎君         通商産業省重工         業局電子政策課         長       水野上晃章君         日本電信電話公         社総裁     米澤  滋君         日本電信電話公         社総務理事   三宅 正男君         日本電信電話公         社総務理事   遠藤 正介君         日本電信電話公         社データ通信本         部長      朴木  実君         通信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ――――――――――――― 委員の異動 六月二十二日  辞任         補欠選任   内海 英男君     地崎宇三郎君   志賀  節君     小泉純一郎君 同日  辞任         補欠選任   小泉純一郎君     志賀  節君   地崎宇三郎君     内海 英男君 同月二十七日  辞任         補欠選任   中村 寅太君     高橋 千寿君 同日  辞任         補欠選任   高橋 千寿君     中村 寅太君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  逓信行政に関する件      ――――◇―――――
  2. 久保田円次

    久保田委員長 これより会議を開きます。逓信行政に関する件について調査を進めます。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。土橋一吉君。
  3. 土橋一吉

    土橋委員 過日逓信理事会において、小沢先生から、最近東京郵政局及び郵便局において、労働組合側のいろいろな順法闘争あるいは超過勤務拒否闘争などで郵便物が非常に滞貨をしておる、これは容易ならざる事項であるから、委員会でも実態調査したらどうか、こういう御発言がありまして、各人各様立場からこの問題についてのいろいろな観点のあることはあらかじめ私も了解ができるのでありますが、この重大な事態をすみやかに解消しなければならない、このような事態解決をすみやかにはからなければならぬということについては、おそらくどの委員先生方もほぼ一致した意見であったと思うのであります。そこで、久保田委員長をはじめ、小沢先生、二班に分かれまして、そして私たち小沢先生中心として武蔵野郵便局三鷹郵便局を見学をしたのであります。それはいま申し上げるように、それぞれの立場はございますが、この重大な郵便物滞留郵政信用失墜という問題と大衆が迷惑を受けておる、この二つの問題から善処をしなければならないという考え方であったことはおそらくどの先生もそうだったと思うのであります。  武蔵野郵便局に参りまして、局長さん及び労働組合側皆さんにもいろいろ意見を出していただきました。また、それぞれの状況についても説明を承りました。続いて三鷹郵便局へ参りましても、同じように当局幹部皆さんとそれから労働組合側のそれぞれの意見を出してもらい、どうしてこの事態が解消できないのか、労働組合側からも忌憚のない今日までの事態について説明を聞たわけであります。当局側からもこの事態の具体的な郵便物滞留状況を聞き、それから現場を拝見しまして、なるほど郵便物滞留しておるということを見たわけであります。そこで私たちは、あるいは余分であったかもわかりませんが、懇談的に、小沢先生もおられたが、とにかくこの事態収拾しなければならないという観点に立ってそれぞれの意見を聞きまして、最大の善処をされるように、言うことは十分言ってもらう、またなぜそういう事態が起こっておるかという根源についてもできるだけすみやかに解消するような措置を講じて、この滞留郵便物を解消するように努力してもらいたい、こういうきわめて真摯な提言を行なって帰ってきたのであります。これは大体小沢先生もその他の先生も全部了承してくださる内容だと思います。  ところが、九日土曜日の夕刊を見ますと、私たちは、それぞれの立場は違っても、善意意味においてこの事態収拾に重点を置いてあれしたのに、東京郵政局船津茂局長名で百二十九名の処分者を出した。この処分の中には、いまお話を申し上げた三鷹が停職二、減給が四十五、戒告が九、これは三鷹だけではないと思いますが、新聞に発表されたわけであります。そして全逓労働組合側意見を拝見しますと、まだこういうことをすべき時期ではないというような意味発言東京地本幹部なりあるいは全逓本部幹部がされておるわけであります。私たちが行った結果から見るならば、あらかじめそういうことがわかっておるならば、われわれが行くまでもなく、俗にいえばつら当てに、おまえらが行っても処分処分でやるぞ、こういう結果が実際にはあらわれたわけです。私はこの事態について非常に遺憾に思うわけです。なぜつら当てがましく翌日あるいは翌々日こういう発表をするかということは、われわれが行って事態収拾のために幾らかの努力をした、そしてお互いの要求、不満といいましょうか、あるいはそれぞれの立場の不都合なことについては十分話し合って解決をしてくださいという、こういう観点で行ったにもかかわらず、もうそのときにはこういうことを準備しておったということが想定ができるわけであります。そうすると、われわれが善意意味において事態収拾をはかるために調査という名前で行ったけれども、それぞれの立場を聞いて、そしてできるだけ善処されるようにということを言った翌日あるいは翌々日にこんなものを郵政省が発表するということは、率直に言えば、われわれが行ってそういう労をとったというのは何らの価値もない。俗に言えば、つら当てがましくこういうことを発表しておるわけです。一体真意は何であるのか。こういうような郵政省のものの考え方、あるいは北雄一郎さんもおられますけれども、どういう考えでこういうことを発表したのか。事前にそういうことを考えておられて、そしていわば国会議員も動員をして、労働者側には十分な意見を実現をさせることなくして、処分処分でやる、こういう普通の常識では考えられないようなことをやったというふうに私は理解せざるを得ないのであります。はたして、この新聞報道真実であるかどうか、あるいはそういうことを意識してこういう発表したのかどうか、これについて人事局長の明快な答弁を私はお願いしたいと思うのであります。
  4. 北雄一郎

    北政府委員 御承知のように今次のいわゆる春季闘争がございまして、これが妥結いたしました後におきましても、都内の一部の郵便局中心にいわゆる業務規制闘争と申すものがございました。その中で、一部の職員作業能率をことさらに低下させる、あるいは上司職務上の命令をゆえなく拒否するというような事態がございまして、それで業務正常運行が阻害され、国民生活に、先生おっしゃいますとおり少なからぬ支障を与えたわけでございます。  一方、こういった異常事態、すなわち郵便がおくれる、国民生活に影響が出る、こういう異常事態解決するために労使双方が努力したわけでありますが、それにもかかわらずなお違法行為を続けた局が数局ありましたわけですが、その中でその態様がことに顕著であり、かつ事実関係調査の整ったものにつきまして、六月九日にその責任を追及した。これが真意でございまして、したがいまして、おっしゃるようないわゆる他意というものは全くございません。そういう次第であります。
  5. 土橋一吉

    土橋委員 久野郵政大臣もいまお聞きのような内容でありますので、私はこういう問題について、結果的に言えば、国会逓信委員会がそういうところに行って、そしてお互いに言うことは言った、しかしもうそのときにはそういうことがすでに仕組まれておって、そしてその処分お手伝いをするような結果にわれわれの調査がなったといわざるを得ないと思うのであります。これは非常に処分をされた方々に対しましても、組合立場は違いましても、労働組合側に対して逓信委員会一種責任を負わなければならない。そういうことについて、処分をすることについて一種お手伝いしたような結果になってしまった、結果的に言えば。決してわれわれはそういうことじゃなくて、事態収拾のため、立場は違ってもそれぞれ早く事態収拾するように、こういって行ったものが、結果においては処分してしまった。それなら初めから、これは処分しますから先生方見えになってもむだなことです、この連中は郵政省としてはがまんできない人たちだから処分しますとなぜ一声言ってくれないのか。そんなことを聞いておれば、われわれはわざわざのこのこ行って取り持つような――お互い意見はあるだろうけれども、言うことは言って、そうして事態収拾してください、こういうことを言っておるわけなんです。そういうことがわかっておったら、なぜ国会へ来て、ちょっと待ってください、われわれは処分する考えでございますから、先生方がお見えになって、そういう善意の意向もあるやにも聞いておるが、それはむだでございますよとなぜ言わなかったのか。なぜそれを明確に言わなかったのか。結果的に言うならば、君らの処分行為と、われわれが行っていわば一種収拾したこととは、結局処分された立場の人からいうならば、あるいはそういうことを支持した人からいうならば、要らぬことをして、おさめたかっこうになったけれども処分は出たじゃないか、こういう結果になっておる。あなたは処分することしか考えていないけれども、問題は処分解決しないような――過日島本委員も追及したように、あなた自身が大阪の中央郵便局や福島の郵便局で何をしたのか。浅見喜作君が一体どういうことをやってきたのか。東京だって、私の立川において、私の一軒隣の児童会館において、庶務関係保険関係の人を誘って、そうして第二組合をつくるために、酒なんか持っていって、どろぼうネコのようなかっこうで夜分おそく、私がお湯から帰ってきたら隠れていたじゃないか。絵緬君と大塚労務担当の主事と中野銀造君じゃないか。それが符節を合わしたように、浅見喜作君が札幌郵政から東京郵政へ転勤した当時の実際の状況じゃないか。そうして私の一軒先の児童会館で第二組合をつくるための酒なんか持ち歩いておったじゃないか、局長がノーネクタイで。そういう経験から見るならば、きわめて明瞭じゃないか、あなた方がやっていることは。そうして、こういうことについての結果はわれわれにまでかぶせ、いわばどろをかぶせるような結果になってきておるじゃないか。郵政大臣、どうお考えですか。こういう人事局長の処置やあるいは船津東京郵政局長態度はあなたはどうお考えでしょうか。これも結果から見ましてまことに私は不都合だと思うのです。それなら、先生方、あなた方がいらっしゃるけれども、私らは処分する考えですよと一言言ってくれれば、われわれは行く必要はなかったわけです。君らの処分お手伝いをするような結果を結局われわれがした結果になってしまった。処分をされたほうの立場から見るならば、要らぬことをして、そうして調査に名をかりて結果的には郵政当局処分お手伝いをするような結果になってしまったじゃないかと言われても、返すことばがないじゃないですか。郵政大臣どうお思いですか。
  6. 久野忠治

    久野国務大臣 このたび久保田委員長をはじめ逓信委員の各位が、異常な郵便物滞留実態調査のためにお越しをいただいたということは、たいへん意義があることであり、私といたしましても皆さんに敬意を表するような次第でございます。しかし、この異常滞留を来たしましたのにはいろいろ原因があるようでございます。  御存じのとおり、今次春季闘争につきましては、七項目にわたります合意に基づきまして妥結をいたして、労使双方間において話し合いが詰められておったのでありますが、一部の郵便局中心に、東京都内におきましてはいわゆる業務規制闘争と申して、作業能率をことさらに低下させたり、あるいは上司職務上の命令をゆえなく拒否する等、業務の正常な運営を阻害をいたしまして、東京都民皆さんに御迷惑をおかけしておるというのが実態であったわけでございます。  この異常事態解決のために労使双方お互い話し合い、努力いたしてまいったのでございますが、なかなかその話し合いも実を結ぶような事態にならない地域も一部にございまして、そのようなことから、この違法行為を続けた局のうち、その態様が顕著にあらわれ、かつ事実関係等調査が整ったものについてのみその責任を追及し、猛省を促したというのが真実でございまして、別にこれは他意がないものでございますので、土橋委員の御理解を賜わりたい、かようにお願いいたしたいと思います。
  7. 土橋一吉

    土橋委員 郵政大臣お話はきわめて抽象的であって、きわめて内容を具体的に十分吟味をしておる内容ではないと思うのであります。  御承知のとおり東京地本はそれぞれの地方に分かれておりまして、その地方自身においても、東京地本のその指令といいましょうか、あるいは本部指令と申しましょうか、そういうものを返上するというような事態東京の多くの地区において行なわれ、また私どもが参りました三多摩地方だけでも、大体七十六局のうち六十局は反対しておるわけであります。それにはそれ相応の理由がある。やはり現場におけるそれ相当の労働者不満があるわけです。つまり郵政省側が、過日島本委員が言われましたような差別をしている。そうしてもう心理的にも、けしからぬ、まことに不都合千万だ、全郵政に入っている人はどんどん主任になる、あるいは休暇ももらえる、転勤もできる、昇給もすれば昇進もする。しかし、全逓関係はそれにしてはきわめて数が少ない。そういう差別をしておるということは、これはもう各先生方もお聞きになりましたように一致した意見であるわけです。腹に据えかねておるというのが各労働組合側諸君の、代表の方の大まかな意見であります。そういう禍根を残しておいて、そうして処分だけをやる。こういうことについては、いま申し上げましたように七十六局のうち過半数以上の六十局が反対をしておるわけですね。それが山ネコだというようなことは、事の真相をよく知らない人がえてかってにお書きになるということはかまいませんけれども、問題はそういうところにあるのではなくて、この六十局というような多くの方々の、従業員といいましょうか労働者といいましょうか、そういう方々の心情をよく見た上で問題を処理しなければならないという事態になってきておる。単に本部あるいは東京地本で話がついたのだからもうこれは山ネコだなんという形式的なもののきめ方で処理ができないほど深い不信感お互いにあるという事実をはねのけておいて、ただ違法なストライキをやったから、本部あるいは東京地本の間で話がついたのだからこれはけしからぬ、そんなことだったらばこれはきわめて形式的である。そこを私はぜひ郵政大臣も――七十六局のうち六十局の多摩郵便局でこういう事態が起こっておるということは、単に山ネコというような形式的なことだけでは解決できない。それにはやはり、率直に申しまして全逓本部の機構上の問題も問題があるでしょう、それを利用するかのように全郵政という第二組合をつくっておいて、それでお互いにいわば労働者同士を争わせておいて、処分をしていく。こういうきわめて悪らつな、もう資本家階級がやると同じようなことをやるところに問題の中心があるのでありまして、直ちにこの百二十九名の処分を撤回をしてください。私どもはそういうことをあの三鷹武蔵野にしゃべった以上、そういうあなた方のお手伝いをするような気持ちは、さっきから申し上げておるように、ないのですよ。あなた方の処分お手伝いをするために行ったのではないですよ。われわれは国会議員として、郵便物滞留することは労使双方の間においてきわめて好ましくない事態であるし、要するに大衆が問題を起こしては困るから、できるだけ行って、しかも円満に解決したいというのが――これはそれぞれの立場は違っておったと思うし、先生方考え方もあったと思うのですが、しかし中心的な問題はそこにあって話し合いをしたわけでありますからして、われわれの話し合いを飛び越えて頭越しに、あるいは専行的にそういうことをやることは背信行為ではありませんか。それがわかっておってなぜ――久保田委員長もおられるので、ちょっと待ってください、私のほうは処分しますよ、あなた方お見えになっていろいろやってくださることはけっこうですけれども、もう処分しますよとなぜ一言占わなかったのですか。背信行為じゃないか。どうかね、北君。そういうことがわかっておったならば、事態収拾のために善処するということがわかっておるから、そういうことは久保田委員長にすぐ通告して、われわれはそういうところに行かなくったっていいわけだから、それは君知っておったじゃないか。しかも東京郵政幹部までちゃんと顔を並べていたんじゃないか。そういう背信行為をするところに問題の中心があるんじゃないか。処分することがわかっておったら、なぜ久保田委員長なりわれわれに知らしておいて、先生方お出ましになってもむだですよ、私ども処分でいきますからと一言言わなかったんだ。きわめて背信行為じゃないか。立場は違っても、われわれはこの問題を善意処理をしよう、解決しようという意図を持ってみんな行ったんだから、委員長、もうお聞きになってどうですか。こういうでたらめなことをやっておって、それでいま郵政大臣が答えられたような内容でものの解決ができると思っているのかね。私たちはでくの坊じゃないよ。われわれ国会議員諸君の要するにかいらいじゃないよ。きわめて善意で、それぞれ立場は違っておっても、問題を解決しなければならぬということで行ったわけだから、責任をとってもらいましょう。こういう事態になった責任を明確にしてもらいましょう。国会議員に対して君らはどういう答弁で済むと思うのか研究してください。そういうでたらめなことをしていいのですか。
  8. 北雄一郎

    北政府委員 再三申し上げておりますとおり、私どもはそういった違法な行為をした職員に対しましてこれを処分したということでありまして、たまたま日にちが先生方がお出かけになりましてからすぐの日になりましたけれども、再三申し上げておりますとおり、全くこれは他意のないものである、こういうことでございます。
  9. 土橋一吉

    土橋委員 速記にも書かれると思いますが、他意があるからやっておるわけだ。他意がなくしてそんなことをやるわけがない。大いに他意を持ってそういうことを、つまりこらしめてやろう、ひとつ争議をやった者はギャフンといわしてやろう、そういうことじゃないか。処分というものは要するに行政行為なんだよ。行政行為というのは要するに郵便業務をよりよくするため、あるいは労働組合関係においてきわめて悪質な問題について一定の行政的な処分をするということが、普通いわれておる内容なんです。君らのやっていることはきわめて他意を持ち、しかも他の諸君に対してそういうけしからぬことをやって、そして国家の権力を乱用しながら、つまり直属長であるとかあるいはそういうことを一つの乱用する道具に使って、こういう処分をやっておるわけだ。事態は、要するに諸君のほうの非は何ら責めるところはないわけだ。国会でわれわれがこうして追及する以外に一般の労働組合にはさような権限もないし、労働委員会とかあるいは国会において追及する以外にない。ここだけの答弁を適当にやっておけば、あとはのおのおとしてそれこそいばりほうだいいばって従業員をあごで使う、そういう誤ったものの考え方をしておるところに許せない問題があるのです。私の言うことがわかりますか。中央労働委員会とか東京労働委員会とか、国会逓信委員会において一時間ばかりしんぼうして適当な答弁をしておればそれで事済む、あと処分して、要するに業務命令処分ですべて押しまくってくる、こういうものの考え方に問題の中心があるのですよ。私の言っていることはわかりますか、北さん。わかるでしょう。そういう郵政省労使関係における不当な態度、第二組合をつくる、差別をする、そして処分をする。労働者こそいい迷惑じゃないか。  われわれ共産党はただの一回でも労働組合を分裂せいと言ったことはない。いついかなる場合でも、統一しなさい、分裂してはよくないということを常に共産党は主張しておるのであります。それを君らが逆に二つに割っておいて、お互いにあげつらいをさせておいて、そして片方は頭をなでて、片方はもういやになるような体制をとっておって、そして今度は問題が出てくれば処分する。そんなことは悪党がやることじゃないか。国家行政行為としてさようなことが許されるかね、一体。そんな片手間で片方子供はかわいがっておいて、そしてあらゆる方法でこの子供を引き立てるようにして、片方はちょっと出てくればたたいていく、処分をする。何というやり方かね。昔の鬼ばばとか、まま子いじめ以上に偏狭な態度じゃないか。即刻やめてください。郵政大臣、そういうことは労働行政上好ましくないことなんだ。そういうでたらめな処分行為は即時やめるべきだし、この百二十九名の処分は、私どもが行ってその事情を聞いた関係から見ても、これは直ちに撤回すべきである。郵政大臣態度についての表明をさらにお願いして、この問題を私は終わります。
  10. 北雄一郎

    北政府委員 不当労働行為がいけないことは、これは申すまでもないことでございます。また処分につきましても、恣意と仰せられましたけれども、これは法律に基づいて処分をしておるわけであります。もちろん量定につきましては裁量でございますが、処分そのもの国家公務員法等によりまして法律に基づいてやっておるのでございまして、決してそういう意味での何ら他意を持っておるわけではございません。ただ処分が万能であるとかそういう考えも持っておらないわけでありますが、要するに法律に基づきまして目に余る違法行為があった場合には処分をせざるを得ない、こういうことでございます。量定につきましても裁量ではありますが、十分慎重に裁量いたしてやっておるつもりでございます。
  11. 土橋一吉

    土橋委員 私は、君が法律によらないで処分したなんてどこで言ったか。いまの発言のようなくだらない答弁はやめてください。あなた方が処分する場合は必ず法規によらなければならぬことは、これは必定であります。そんなことは私は法律によらぬで処分したのはけしからぬと言っておるのじゃないですよ。法律の適用のしかたに問題があるのじゃないかということを言っておるのであって、私は法律によらないで処分したと一度でも言ったかね。速記録を見てください。そんなくだらない答弁は必要はない。問題は、その法律を適用するにあたってどこの部分を最大限に活用し、どこの部分を押えていって適用したかというところに問題があるのであって、そんな、あなたがいま答弁したようなことは、法治国において法律やあるいは規則によらないで処分なんかできるものじゃないですよ。そんな子供だましのような答弁じゃだめです、北君。その法律を適用するにあたって、どの部分を重視して、どこをピックアップして処分した、そのピックアップしたところを非常に不都合じゃないかということを言っておるのであって、法律を適用しないで処分したなんて私は一言も言ってないですよ。そんなでたらめな解釈を説明する必要はないですよ、あなた。そういうものの考え方でいるから、いままでやっておることがすべて正当であるかのような錯覚に君らは入っておるのです。もうこれ以上私はあなたの答弁は求めません。そういうでたらめな答弁してはいけませんよ。  さて、問題を変えまして、郵政大臣は、ラジオ関東という放送局がございますが、近々十月ごろ免許の切りかえで、またこのラジオ関東から申請があろうと思いますが、一体この電波法の規定やあるいは放送法の規定から見て、どういう基本的な要件を備えておれば免許の再許可を与えるのでしょうか。具体的にその法律適用の法文と、さらに――施設や内容はよろしいです。どういう施設を備えなければならぬかということはここで説明することはないわけですが、どういった会社の組織、どういうような性格であればその会社には免許を与えるというその放送法の規定と、それからこの電波許可に関するそういう内容について簡単に答えていただきたい。
  12. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 いま御指摘にありましたように、ことしの十月一ぱいですべての放送局の再免許が行なわれるわけでございますけれども、その際に審査の基準といたしまして電波法第七条というのがございまして、これに基づいて審査を行なうわけでございます。そこでその中身としましては、工事設計の関係、技術基準がよろしい、こういうようなこと、それから周波数の割り当てが可能であること、それから当該業務を維持するに足りる財政的基礎があること、そのほか、郵政省令で定める無線局、放送局開設の根本基準という省令がございますけれども、その各条項に適合すること、これが要件でございます。
  13. 土橋一吉

    土橋委員 設備の問題はこれはどこの放送局でも一定の技術者を擁して、そして設備をしなければならぬことはもう言うまでもないわけであります。放送を継続するに必要な財政的な裏づけを持っておる、これまた当然といわなければなりません。その次の問題は、やはり放送法の規定によって、たとえば放送法の第四条であるとかあるいは四十四条の規定によって、きわめて公平かつ妥当に、一党一派に偏することなく、しかも放送の内容が国民の文化あるいは政治、経済、各般にわたって国民の発展とかあるいは充実のために寄与するような内容を持っていなければならぬことも、これは放送内容の一つとしては当然と思う。そういう内容が、その放送局が従来そういう点において真摯な努力をしたかどうかというような点が、やはり一つの基準にはなりませんか。
  14. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 ただいま申し上げました放送局開設の根本的基準で、電波法に違反したか、あるいは放送法に違反したかという事柄が当然審査されるわけでございます。
  15. 土橋一吉

    土橋委員 電波法に違反をしたものはこれまたいわゆる再免許の資格はない。また放送法の規定に違反をして、つまりある特定の政党を支持するようなことをあらかじめ仕組んでおいて放送をやるとか、特定の人を誹謗することを一つの目的として放送する。それが政治問題にからんでおるとかいろいろな問題があったときには、いわゆる再免許ということはその放送局については十分検討してやる、こういうことになるわけですね。
  16. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 放送局の開設の根本的基準の第三条にございますが、「その局の放送番組の編集及び放送は、左に掲げる事項に適合するものでなければならない。」そして「公安及び善良な風俗を害しないこと。」「政治的に公平であること。」「報道は、事実をまげないですること。」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」等のことが規定されておるわけでございます。
  17. 土橋一吉

    土橋委員 そうしますと、いまのあなたの説明の後半のほうの、きわめて公平妥当であるということ、しかもその放送局が中立性を常に堅持してきたこと、こういうことが放送業者としては重要な再免許の一つの基準に――基準というか、一つの目安というか、尺度になるわけですね。間違いございませんね。間違いありませんね、その点は。
  18. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 そのとおりでございます。
  19. 土橋一吉

    土橋委員 そこで私は、ラジオ関東という放送局が今日までいろいろ御奮闘になった点もあろうと存じます。しかしここの社長の遠山景久さんという方は、いまお話のあったような基準に照らして、これは許されない放送を繰り返しておったということがいえるのじゃないかというふうに私は思うのであります。その一つの例でございますが、これはちょうど昭和四十三年ごろの事例であります。これは労働組合あたりからきちっと出た資料でございまして、ラジオ関東が沖繩返還問題について街頭ティーチインという、街頭の一般の大衆にマイクを当てまして、そうしてあなたの御意見はどうですか、こういうことをやるのでありますが、このときに、ある政党に所属をしておる方、いわゆる衆議院選挙に落選をした川上照彦という方にあらかじめ話をつけておいて、そしてその人が街頭に立っておるわけですね。そこへアナウンサーが持っていって、あなたの御意見はどうでしょうか、こういうふうな形式をとらして、沖繩返還についてある政党が思うような方向のいわゆる証言というか意見を述べさしたというようなことが、遠山景久さんが中心になっておるラジオ関東で行なわれたのであります。これは証人もありますし、こういう点からラジオ関東というのはたいへん好ましくない、一方的な放送をしておるということがいえるのであります。これは資料がありますから、あなたに差し上げますから、あとでゆっくり見ていただきたい。これが一つ。  それから、御承知の小林郵政大臣のときの昭和四十二年の二月ごろ、小林郵政大臣がVHFの電波からUHFの波に切りかえるということを、何か記者会見などでそれとなく仰せになったようです。それから一斉に、Uの波に変わるというので各放送関係の人あるいは報道関係は、それぞれお互いにUの電波を東京で利用したい、それを活用して免許を取りたい、これは無理からぬことだと私は思うのであります。ところがこの遠山景久氏は、当時いわゆる中日関係のダミーとして、そうしてこの方がいろいろ活動をされたのでしょう、皆さんもよく知っていらっしゃいますように東京新聞というのがございます。これはきょうの東京新聞でございますが、この東京新聞というのは、これは資本の関係で、俗に言えばこれは中日新聞というのに乗っ取られて、中日新聞が全部これを経営しておるわけです。本社は中日新聞。名前は東京新聞の名前をとっておりますが、これは御承知のように、いろいな関係がございまして、水野成夫さんがサンケイ新聞をつくるにあたりまして、与良ヱさんと呼ぶのですか、死なれた元中日新聞の社長ですが、これが副社長として水野成夫さんのサンケイ新聞とそれから二つの放送局を経営するにあたって、尽力をして副社長になられたわけです。意見が合わなくて、わずかにしてこの方は退社をされましたが、そういういろいろな会社関係の問題がございます。そのダミーとして遠山景久さんという方がUの電波を受ける、届け出をするために、毎日と日本経済とこの東京新聞、それからラジオ関東を中心にいろいろ活動されたのであります。この活動のしかたに私は問題があると思うのです。この遠山さんが御自分でずっと記録しておられる遠山用箋というものを――これは遠山さんの筆跡です。この記録の中を拝見しますと、どういうことをおやりになっているかと申しますと、当時重宗参議院議長三選の問題が起こりまして、そうして重宗参議院議長の三選を勝利させることによって、佐藤榮作内閣総理大臣に一つのU問題についての圧力をかけるという運動をずっとやっていらっしゃる。この中には、要するに安岡さんであるとか、田中角榮さんであるとかあるいは福田赳夫さんとか、そういう方々としょっちゅう会合を催されているのであります。これは御本人の筆跡であることは間違いないのです。これを拝見しますと、この報告書によれば、重宗参議院議長に対して百万円ずつ三回献金をしておるわけです。私が言うのじゃないですよ、この報告書にそう書いておるのですよ。これはつまり中日本社のダミーとして一々、大鳥一郎というのが現在の社長でございますが、そこへ報告をしていらっしゃる。その内容を見ると、大体三回に分けて百万円ずつ――これは私資料を詳しく読みませんけれども、ここに書いてあるところをずっと見ますと、たとえばこういうことも書いてあるのですね。「川島正次郎は、遠山直接関係出来るも、元毎日出身なる故、真意伝え難し。但し工作は絶対必要、之は金で左右される人物。」こういうふうなことも書いてあるのです。故人に対して申しわけないのですが、こういうようにすべて当時の閣僚諸君幹部諸君のことについては書いてある。たとえば福田赳夫さんと宴会を開いておる。遠山景久は百万円出したけれども福田さんはこれを受けない、拒んだということもちゃんと書いてある。田中角榮さんについても手にとるように全部、この資料は田中角榮さんの性格からその社会的な地位までちゃんと、これは大島さんという中日の社長に一々レポートしておるわけです。こういうことで、これは資料でありますから私はこの資料を申し上げておるわけです。これは要するに反共的な幹部の一人でございまして、そうしてこの方は、残念ながら、どういうお考えか存じませんけれども、ここに資料のございます松葉会という有名な、東京周辺における暴力集団とでも申しましょうか賭博集団があることは皆さん承知のとおりでありますが、この松葉会が、関西の親分の神戸市兵庫区上沢通一丁目一番地本多会本部の方と、お互いにここに番いてあるようなことで、何といいましょうか、一つの団結をした。平田勝市さんという方が二代目の本多会の会長さんでございます。それから藤田卯一郎さんという方は松葉会の会長さんでございます。この方々が、遠山景久君から四十三年の七月ごろあいさつに行って三十万円もらった。三十万円渡したということが書いてあります。三十万円もらって三日目に藤田卯一郎さんおなくなりになっております。生前香典をいただいたようにも考えられる、そういう関係でございます。こういう右翼暴力的な団体とこの遠山景久さんというのは非常に深い関係を持っておるわけだ。要するに、関西の暴力的な団体と全部手打ち式をやっておりますが、この中に特別見属人――われわれにはこういう名前よくわかりませんが、これは幡随院長兵衛の町やっこ時代のことばだと思います。私らにはよくわからない。その特別見届人の初めから四番目に「遠山景久」と書いてある。そうすると、この方は一体普通の中立あるいは不偏不党の立場に立って放送をしなければならぬ会社の社長として、こういう諸君が申請をしても、郵政大臣はのうのうとして免許を与えるのですか。  この諸君がやっている行動は、ここにも資料がたくさんございますが、まず、ここの労働組合に赤攻撃をするというので、佐藤総理も、レッドパージをやるのかね、ああやりますとも、レッドパージをやらなければUをつけることができないではないかという発言も首相官邸の食堂で行なっております。この資料を見ますと、この松葉という松葉会の雑誌です、これも私全部拝見いたしました。ここに書いてあることは一体何が書いてあるのか。暴力的な、しかも国粋任侠道などと称して、結局赤攻撃とある政党を支持している暴力的な集団であることはきわめて明瞭であります。そこにまた論文を書いておる。この論文がまた奇態な論文でありまして、遠山景久大先生が論文をお書きになっておる。これに東京工業大学講師という名前で「中立論への警告」という論文をお書きになっております。私はよく拝見させていただきました。よく研究させていただきました。この論文たるや実に反共を中心とするチェコスロバキア問題を取り上げておるのであります。この内容はマルクス・レーニン主義をきわめて曲げておる思想であります。反共的な思想からこれを書きおろしておるのであります。事実と相違することを多く述べておるのであります。この方が東京工業大学の講師などという名前でいろいろ書いていらっしゃる。きわめて浅薄、きわめて内容がありません。哲学的な心理を何ら具現をいたしておりません。こういう人がラジオ関東の社長で、労働組合に対して不当な処分をしたというので、その処分の撤回を東京地方労働委員会東京地方裁判所においてさせられておるのであります。ある政党の諸君はこの問題についてあらゆる方法において癒着しておるのであります。それが当時のいわゆる佐藤榮作さんの内閣のときの一面を雄弁に物語っておると思うのであります。  でありまするから、こういう諸君が再び申請してくるであろうところの免許の問題について、郵政大臣はどうお考えでしょうか。資料ありますから、私うそ言っておるのじゃないから、この資料を全部見ていただければわかる。また松葉会の論文というものをごらんくだされば、大体どういうことが書いてあるかわかる。これらの資料はそれぞれの方々が私に寄せてくれましたので、これはごらんのとおりです。こういう諸君に免許を与えていいかどうか、いかがなものでしょうか、郵政大臣。この遠山さんという方の労働組合に対する攻撃内容はここに出ております。これを拝見すると、言語に絶するものであります。労働問題を知らないことはもちろん、労働関係法規すらも全然知らない。そうして幹部というのはどういうことをやるか、幹部というのはどなることだ、どなっておけばいいのだ、この方はそういうことを平然と言っておる社長であります。どなって相手方が萎縮したところで仕事をやらせればいいじゃないか、どなるのが幹部の仕事だ。そうしてABCのランクをつけまして、労働組合をロックアウトし、赤攻撃をして、先ほども申したように、東京地方労働委員会においても、これは取り上げられなかった。東京地裁においても、不当な解雇である、不当労働行為である、こういうことをいわれておるのであります。さらに、この御本人の経歴書というものは、私は拝見しましてあ然としました。奥さんが、この経歴書を書いたときは八人目でございます。そうして、ある書道の大先生の婦人なんかを情婦にしておるのであります。書道の先生ですよ。しかも、これは若いときに銀座の警察という名前でぐれん隊の親分であったのであります。現在はおそらく十人くらい奥さんを持っておるでしょう。そういう方が一体ラジオ関東の放送局の社長にふさわしいかどうか。私はうそは申しません。この資料には八人目と書いてある。これを書いたときには八人目だそうですよ。そうして暴力団と結託し、あらゆる方法で問題をやっている。これは要するに一つのプライバシーですから、何も放送の免許に関する問題とは関係ないのです。しかし、私がいま申し上げるこういう資質を持った人がやっておるところの放送局が、はたして不偏不党性があるかどうか。あるいは、たとえば台湾問題についてもそうです。台湾独立運動を盛んにこの文章の中で書いております。(「個人の問題だ」と呼ぶ者あり)いや、これは放送局の社長としてそういうことをやっていいのかどうか。そういうものの考え方でいいのかどうか。これはある政党の一部の幹部がやはり台湾ロビーといわれまして、台湾独立運動や台湾の問題についていろいろ活動しておったことはよく皆さん承知のとおりです。そういうような人が放送局の社長として、いわゆる放送全体を監督する、あるいはこの放送全体の不偏不党性が保持できると考えておるかどうか。これは事実に基づいて申し上げておるのです。どうでしょうか
  20. 久保田円次

    久保田委員長 土橋君に申し上げます。  質疑については十分用語に御配慮の上、論旨を進められんことをお願いいたします。
  21. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 再免許の問題でございますけれども、これは一番最初の免許も同様でございますが、電波法の第五条に欠格事由というのがございまして、無線局の免許を与えない、と書いてあるのでございますが、その第一号は「日本の国籍を有しない人」、二番目に「外国政府又はその代表者」、三番目に「外国の法人又は団体」、四番目は「法人又は団体であって、前三号に掲げる者がその代表者であるもの又はこれらの者がその役員の三分の一以上若しくは議決権の三分の一以上を占めるもの」というような規定のしかたになっておりまして、したがって、これに適合しないという場合にはもちろん欠格事由でございますが、第五条に適合するということでありますれば、免許の資格はあるわけでございます。
  22. 土橋一吉

    土橋委員 免許申請の資格は何びとといえどもあると思うのですよ。ただ一定の施設を持ち、一定の経済力を持ち、それぞれの放送局を運営するにふさわしい、要するに現在の文化あるいは経済状況下においてやれるという一定のものさえ持っておればこれはけっこうです。その個人がどういう方であろうと、それは免許許可をしなければならぬ。問題は、いま申し上げるように、こういう思想の持ち主で、現に沖繩返還問題についても、これを一つの方法としてそして佐藤さんのいわゆる三選をも擁護するというような姿勢から、沖繩返還についてこういう放送をしておる。あるいはまた台湾独立問題なんかでも、放送の一部にはそういうことを強調しておった。したがってこれは不偏不党ではないではないかという問題が中心であります。ですから私は、一定の条件を備えている人は、その御本人がどういう関係であろうとよろしいというものではないじゃないか。やはり御本人のいわゆる人的な何と申しましょうか、社会的な地位にふさわしい、それだけの人物でなければ、免許申請に対して許可をすべきではないじゃないか。やはり不偏不党性を啓するような問題、なるほど経済的に施設や一定の基準をそろえておる、しかし人間的に見れば、そういうことをやる人は放送局の社長として、免許を許可するにふさわしいかどうかという点が私は問題の中心です。その設例に、いま申し上げたことを一つの例として私は申し上げた。郵政大臣どうお考えでしょうか。
  23. 久野忠治

    久野国務大臣 再免許につきましては一定の基準があるわけでございますから、その基準に基づいて検討さしていただきたいと存じます。ただいま御意見をもまじえながらいろいろ御質疑がございましたが、しかしこれらの諸問題等につきましても、御意見は御意見として私は拝聴さしていただきました。今後の再免許につきましては、先ほども申し上げましたように、申請がありますれば、これに基づいて法令の定むるところに従って検討さしていただきたいと考えます。
  24. 土橋一吉

    土橋委員 私は、その人が特定の思想を持っておるとかいうことを攻撃しておるのではないのであります。一つの設例を申し上げたのですが、そういうものの考え方をして、要するに街頭録音をとる場合でも、あらかじめそういうダミーをつくっておいて、事の運びをそこに持っていくような、そういうものの考え方の放送をするということは、これはいかがなものであろうか。放送の中立性を侵すものではないか。つまり街頭録音をして、あなたはどういう意見ですかと聞くかっこうで実はあらかじめ打ち合わせをしている、そしてその者に全部語らしてしまう。こういうものの考え方は、放送の不偏不党性、中立性を侵すものではないか。あるいは台湾の独立問題を放送の中で述べるとか、そういう意見を社長は持っているとかいうことを一般大衆に抱かせるような行動をとるということは、放送局の幹部として、しかも最高幹部として好ましくないじゃないかということを言うのであります。  特に重要な問題は労働問題であります。かりそめにも、その人がどういう思想を持っておるにせよ、不当労働行為をするようなそういう社長は、これは検討しなければならぬものだ。ほかの問題はさておきまして、この松葉会の問題もさておきまして、少なくとも労働組合に対する不当労働行為を公然とやって、そしてこれをやらなければならぬということで――これはUとの関係です、Uの電波を受けるためにそういうことをやっておるのですね。こういうことについては、やはり再免許にあたっては、こういう諸君にもし再免許を郵政大臣が許可をするということになれば、久野さんのそれこそ――私はこの国会でこれだけのことを申し上げても、なおこれに再免許を与えるということになってくれば、その政治的な背景を私はどうしても疑わざるを得ないのであります。単なる意見じゃございません。いま申し上げたような再免許を受けるにふさわしい方の、つまり社会的な地位と申しましょうか、一定の技術的な基準を持ち、一定の放送局を経営していく財政的な裏づけがある、従業員もおられるしその他もそろっておる、しかしそこの最も中心になる社長がそういうものの考え方をしておられる、また放送の不偏不党性を侵すというようなことになってくれば、どうしてもこれは問題にせざるを得ないのではないか、こういうことであります。一つの設例を私は申し上げたので、先ほど申し上げたようなことが話の中心ではないわけであります。それを裏づけるところの一つの面をそれぞれ取り上げて私はお話をしたのです。  時間も参りましたので、再免許申請にあたりまして、私ども資料がございますからとくとお調べを願って、そういう思想の持ち主であると同時に、そういう放送の不偏不党性を侵すような社長に再び免許許可がないように、そのようなことをすることは、結論において社会全般に害毒を流すことが多いのであって――中日さんに対して申しわけないと思っております。中日さんはこれをダミーに使って、東京新聞から文化放送、十二チャンネルまで全部自分の配下に置こうと考えていらっしゃったようにこの資料では出ておるわけなんですが、これはさておきまして、特にUの免許を受けるその活動の内容が適切ではないのであります。きわめて不適正な、しかもある政党の方々に対しましてもいろいろな酷評をくだしています。見るにたえないようなことをたくさん書いてあります。こういう方がはたして免許を受けるにふさわしい社長であるかどうか、非常に私は問題であると思います。ですから、郵政大臣の確たる、再免許許可にあたっての方針なりあるいは基準というものをお聞きしておるわけでありますから、その点は了承していただきたいと思うのであります。
  25. 久野忠治

    久野国務大臣 るるお述べになりました御意見は、御意見として拝聴さしていただきました。再免許にあたりましては、一定の法令の定むるところに従って検討さしていただきたいと思います。
  26. 土橋一吉

    土橋委員 それは久野大臣、先ほど北君に、私は申し上げましたように、法令に基づかないで行政行為をなすことはできないのは法治国の基本的な原則であります。問題はそこを聞いておるわけじゃございません。それは当然のことでありまして、国家行政行為として免許を与える場合に、法令に基づかないで免許を与えることはできないのであります。ただ免許といっても、郵政大臣が生殺与奪の権限を持っておるのじゃないのです。電波は国民のものであります。したがって、その国民がこの電波をどのように活用するかということを考慮しなければ、郵政大臣が自分の持っているものをただ与えてやる、そういうものじゃないのですよ。電波は国民のものです。したがって、これはどういう条件を備えている人に交通整理して、この道を左に行かせるかということをやるだけのことであって、あなたが権限を持って電波のあれを与えるのじゃないのですよ。あなたは国家の機関として、それを適正な方法において交通整理なり、あるいは免許という形をとって許可を与えてくださるのであって、したがって相手方の電波運用に関してこういうことがあれば、これはやはりチェックしなければならぬということでございます。そういうことを私は言っておるのであります。法令に基づかないで郵政大臣がえてかってな許可や免許を与えることはできません、これは法治国ですから。ただ問題は、いわゆるラジオ関東と称する一つの団体が、いままでどのような電波の利用をしておったか、どのように放送法の規定を順守をしてやっておったか、その中心の社長が一体どういう姿勢でおったかというところが、やはり免許の一つの基準あるいは尺度、こういうことになると私は考えておるのであります。ですから、先ほど何回も言うように、一定の設備を備え、一定のUの免許を持ったものがこれを操作して、そして番組委員会があって、そうしてそれぞれの機関がある。これは当然財政的にも基礎があれば与えなければならぬ。しかし、与えるにしても、放送の中立性を侵したり、社会にさような害毒を流すような行動をとるものについては、免許を差し控えるのが当然じゃないかというふうに私は考えております。ですから、十分御審査の上、行き違いがないように免許の問題を取り扱っていただきたいということを私は念願をして、時間が来ましたので私の質問を終わらしていただきます。
  27. 久保田円次

    久保田委員長 次に、田中昭二君。
  28. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 きょう私は具体的な問題に入ります前に、わが国のこのような経済発展の中で、経済的な問題でいま一番問題になっておるのは物価の急騰、これがたいへん異常な状態であります。市民生活をたいへん脅かしております物価の問題につきましては、いろいろな総合的な角度もあろうかと思いますけれども、私は物価の上昇がどういうことで続くかということよりも、その物価上界の続く中で、利用者なり消費者が納得のいく料金、物価の上昇であるならばまた納得してもらわなければならない問題もあるか、こういう考え方で、そういう面でこの物価上昇の続く中では、利用者、消費者の安定感といいますか、不安感をなくするような方向には努力しなければならない、こういうような意味で質問を始めてまいります。  単刀直入に伺いますが、物価上昇の中で、公共料金というものが私は大事な地位を占めておると思います。数多くの公共料金の中で、その使用料、いわゆる対価でございますが、この対価の中で、いわゆる公共料金といわれますガス、水道、電気、こういう料金につきましては、各家庭でその料金が算出されます基礎の、簡単に言いますと料金がわかるメーターというものがついておる。そういう電気、ガス、水道というような公共料金に対しまして、同じ公共料金であるはずの電話料金はどうなっておるかといいますと、御存じのとおり、使用した人には電話料金の明細はわからない。メーターがついてない、はっきり言えば。そういう姿であるならば、これはただ電電公社のいままでの行き方を私は云々するわけではございませんけれども、公社の一方的な料金請求で、利用者はいろいろな意見を持っております。  そこで、いままでいろいろな論議もされましたが、その利用者、いわゆる電話加入者の声を一、二述べてみますと、言い方はいろいろあろうかと思います。自分のところでも何か料金が知りたい、こういうような意見もある。それから自分が納得した上で支払いたい、こういう考え方もよく聞きます。それから、専門的になりますが、この料金のわかるような信号がございます。この信号がわかるようにできないのか。それから料金の体制が、先ほど言いましたように公社の一方的な計算でなされるという、その料金体制に納得がいかない。このようないろいろな加入者の不満の声も聞くわけであります。これはひとつ、公衆電気通信法の一条の目的にもございますが、合理的な料金で、あまねく、かつ公平に提供し、公共の福祉のために云々、こういうことから考えますと、私はこの加入者及び一般大衆の声は、先ほどから言いましたように、料金が上がっていくことはそれぞれの理由がありましょうけれども、利用者が納得し満足するような方向には持っていくべきではなかろうか、こう思いますし、そういう一般大衆の声、加入者の声といいますか、そういうものにつきましてどのように理解したらよろしいのか、まず電電の総裁、郵政大臣、経企庁の順序で、いわゆる公共料金の中の電話料金ということで、いまの私の説明を加味しながらひとつお答えをいただきたい。
  29. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答え申し上げます。  ただいま御質問ございましたが、電話料金、これはやはり公共料金でありまして、電電公社といたしましても、昭和二十八年に、いまから約二十年前に料金の値上げをいたしまして、その後技術革新等をできるだけ取り入れ、また労働組合といろいろ話し合いをいたしまして、自動化あるいは無人化等を進めまして、料金の値上げを極力防いでまいりました。電話に関しましては、料金の調整はいたしましたけれども、料金の値上げというものはこの間しないで済ませてまいりました。電報につきましては料金値上げをいたしました。  ところで、ただいま御質問ございましたように、ガスや電気あるいは水道に対しては家庭にメーターがあるけれども、なぜ電話は家庭にメーターを置かないのかということでございますが、これは一つはいわゆる電気通信の仕組みといいますか、電信電話のシステムと、それからガス、電気、水道のシステムの違いということに一言でなるわけでございますが、ガス、電気、水道の場合には、使ったガスの量、それから水道の場合には水、電気、そういうものは一方的に流れてくる。その流れてくるものを、ある使用時間、家庭の中に入ってくるものをはかればいい、そういうメカニズムで済むわけであります。電話の場合には、いろいろ複雑な、巨大なシステムになっておりまして、そのシステムを通じて相手の加入者を呼び出して、二つの間で一つの回路をつくる、その回路が電気的に完全につながったあとで通話が行なわれるわけでありますが、回路が、ある場合には市内の場合もありますし、それがまたずっと遠いところもある。したがって、片方の場合はただ一方的にエネルギーといいましょうか、そういうものが流れるだけでございますけれども片方の場合はある地点からずっと離れた地点にある時間クローズドサーキットができ、しかもそのサーキットも距離が遠い場合とかあるいは使った時間とか、それらがいろいろ組み合わされてまいっております。したがって、端的に言えば、家庭にそういう簡単なメーターが置ければこれは一つの行き方であります。私たちも外国の事情をいろいろ研究さしておりまして、三カ月ぐらい前にもヨーロッパの状態を、また新しいアイデアでも出たかということで調べましたけれども、結局基本的には、やはり非常に複雑なシステムでございますから家庭に置くわけにいかないという、かりにイギリスやドイツでは補足的にメーターを置いておりますけれども、その場合でも、やはり基本的にメーターを動かす動作というものは局のほうに原因がある、こういうことになっております。したがって、今後非常に画期的な発明でもできればいいのでございますけれども、なかなかそういうことはできない。したがって、現在のところやはり局にあるものを中心にしてやらざるを得ない、こういうところが非常な違いでございます。  ところで、中身について知りたいという御要望でありますけれども、たとえば料金の苦情等が出た場合には、われわれといたしまして度数計監査装置というものを各電話局に最近相当数を配付しておりまして、これは過去にさかのぼることはできませんけれども、そういうクレームがございましたならば、まずそれから、たとえば一週間とか十日とか、あるいは長い場合には、一月という場合もありましょうが、家庭でメモをとっていただく。何時にどこへかけたというようなメモをとっていただきますし、またこちらではそういう監査装置を働かせまして、これは内容は記録いたしませんが、どこへ何時何分から何分間かけたというものが記録に詳細に出るようになっております。それを突き合わせて、そうしてそれで合わせて御満足していただく、そういう方法をとっております、それからもう一つは、度数計の精度というものはガスや水道や電気のメーターに比べて約百倍くらい精度が高いものでございます。したがってそういう点もいろいろ、たとえば局内に御案内いたしましていろいろ設備を見ていただく。それからまた保守の状態等も非常に注意をいたしておりまして、全体として性能の向上をはかる、こういうことでやっておる次第でございます。
  30. 久野忠治

    久野国務大臣 最初に御質問のありました公共料金の策定にあたっては慎重を期さなければならないという御意見でございますが、私は全く同感でございます。国民の生活に至大な影響を及ぼすものであるだけに、やはり公共料金の策定にあたりましては十分慎重な配意が必要であると私は存じます。  ただいま記録メーターにつきましていろいろ具体的な事例をあげながら御意見がありました。総裁からもその点についてるるお話がございましたが、機械的に複雑な内容を持つものであるように私は存じます。しかしながら、この記録装置につきましては、やはり加入者の利益を保護する必要性は私は十分認識をしておるものでございますので、そのための適切な方法につきまして今後とも研究をさせていただきたい、かように存ずる次第でございます。
  31. 橋口隆

    ○橋口(隆)政府委員 ただいまの御質問の御要旨にありますように、物価が上昇しておるおりから、公共料金を抑制して消費者を保護するという点につきましては、私どもも全面的に同感でございます。特に経済企画庁におきましては消費者保護基本法を運用しておりますので、消費者保護のためには全力をあげて努力をしておる最中でございます。そういう点から、ただいま話がございました電話の消費者にすぐわかるようなメーターをつけたらどうか、こういうような制度につきましては、その御趣旨につきましてはわれわれも非常に賛成でございます。電気、水道、ガス等についてはすぐわかるようになっておるのに、実際われわれ利用者は月にどのくらいになるか、そのツケをもらってから初めてびっくりするというような事例が非常に多いわけですね。この点は何とかならぬものかというのが一般の国民の一つの願いじゃないかと思います。  そういう点でただいま郵政大臣、電電公社総裁からも御返事がございましたが、技術的、経済的にいまの状態ではなかなかむずかしいというお話のようでございます。ただわれわれが調べてみますと、ドイツ、イギリス、アメリカあたりでは電話交換機のあるところでは、そういう大口の需要者のところでは何か度数計が設置されているように聞いております。そういう意味で、できるものならばまず大口需要者だけでもそういうような装置ができるように、ひとつこれからも関係郵政省、電電公社とも御相談をしてみたい、こう考えております。  また問題は、途中で、月の半ばあたりで一体いままでどのくらいになっておるか、それを問い合わせまして、それがわかるようなことができないか。実は私きょう先生から質問があると聞きましたので、私も東京のある電話局にちょっと問い合わせてみました。一体うちの電話は今月どのくらいになっておるか聞きましたら、それは実はうちではわかりません、それをやるには非常に手間がかかります。こういうことでございましたが、全国で二千局もあるそうでございますから、それにその係を置き、それからまた一々それをチェックするのはあるいはたいへんな費用もかかると思いますので、この点も当局とも十分相談をしてみたい、こう考えております。  また一番問題がありますのは、非常に苦情が多くて、それを調べてみますと、利用者のほうの思い違いというのがかなり多いそうでございます。聞くところによりますと、昨年上期は六万四千件くらいの苦情があって、そのうち六万二千件くらいは利用者が思い違いしておった。そのほかに機械の故障であるとか、あるいは人的なミスがあったとかいうようなこともあるそうでございますが、そういう苦情処理につきましては、これは消費者保護の立場からわれわれも非常に関心を持っておるわけでありまして、できますならば、先ほどお話がございましたが、電電公社では監査装置もおつけになっておるそうでございまして、これをできるだけ普及するように、そういうふうにこれからも努力をしたいと考えております。
  32. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 いまそれぞれお話を聞きましたが、私は郵政大臣にもちょっと注意申し上げておきたいのですけれども、私がいま申し上げたのは、いわゆる公共料金を支払う利用者の一般大衆不満がある、具体的例ではございません、そういう不満をどう受けとめていくかということが現在のシステムの中でなされておるのかというようなことを言ったのでございますから、ひとつこの点につきまして――時間が制約されておりますから、そういう点あとでまたやらしていただきたいと思いますが、総裁のほうも、大体質問の内容はもう申し上げてありますし、ひとつ簡単に――具体的内容に入っていきますから……。  総裁のお答えの中では、一番問題になるのは技術的に現在そういうものができないというようなことが一番中心であった、こういうふうにいままでいろいろ当局のほうにお聞きしますとそういうお答えが返ってきておるわけでございますが、これは一番簡単なんです。結論を先に言っておきます。これはすぐにでもできます。現在の世界一流の公社の技術をもってすればすぐできるのです。費用がかかるか、費用もかかりません。きょうなんか新聞を見てみますと、いろいろな電話機を申請して許可されて、相当な価格で売り出されるあれが出ておりましたけれども、そんな値段とそういう費用等を見れば、何分の一か何十分の一でできるのです。複雑でも何でもないのです。簡単明瞭なんです。それがいかにそういう結論であるかということを、いまからずっとお話ししていきますから聞いておっていただきたい。  いま公社のほうでは、――もう一つは技術的な問題と料金の間違いのトラブルというのは少ないといういま政務次官のお話もあったように、そこまで調べてきてもらってたいへんありがたいのですが、そういう問題もこれは機械でございますから絶対間違いないということはない。機械ですから間違いはあるのです。その確率が少ないのだというようなことをおっしゃっておるのだと思うのです。そこで、そういういろいろなトラブルが少ないというようなこと、それからまた現在別な面からすれば、いわゆる広域時分制によって市内通話も時間によって料金がどんどん上がっていきますね。こういう広域時分に移りました段階で、市内通話が三分七円だったのがどんどん上がっていく、こういうことの制度が変わったときにおいて、それに対応した公社のいわゆるサービスといいますか、例の時分をはかるタイム計ですね。あれが利用者に配布されました。ところがこれがまたたいへんな――このことにつきましては相当な費用をかけて、もうタイム計だけでも聞くところによりますと相当な数量でございますね。九百六十万個、約一千万、現在の加入者の半分くらい、これだけでも二十七億円のつくるだけの費用がかかっております。これに対しては相当な不良品が出たというようなことで委員会でも問題になりました。またこれをつくるためにはいろいろな間接的な費用、こういうことを知らせる、取りに来させる、はがきを出す、周知徹底する、そういう意味の間接費用というのは相当な費用が要っております。  このタイム計についてもいろいろ問題がありますけれども、これは時間がございませんからおきまして、専門的な問題に入っていきますが、公社で現在使用しております度数計と信号の発信装置、そういうたいへん高価な設備が要ることは私も承知しております。ところが一般の会社等でたくさんな電話を使うところは自分の会社に交換機を持っております。この会社はやはり経営上その電話使用料を知りたいというようなことのためにその設備をやるのですね。自分のところに交換機がありますから、それに公社のほうから送ってくる度数といいますか、料金のものを設置して、そしてやっておるところがある。その場合、その設備機械はたいへん高くかかると聞いております。その設備の費用がどのくらいかかるものか、それと、そこに設置されております度数計というのは、度数計だけの部品としては幾らかかるものか、それだけお答え願いたいと思います。金額と部品の価格だけでけっこうです。
  33. 三宅正男

    ○三宅説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生お話しの大口の会社等でつけております自分のところでの度数計算装置、これは私ども公社ではそういうあれをやっておりませんので、ちょっと価格は現在わかりかねます。度数計そのものの単体につきましては、現在公社の購入しております価格は約九百五、六十円の程度ということでございます。
  34. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 私の質問が意を達しなかったかどうか知りませんが、いまお答えになりません。実際大会社なりちょっとした会社で自分の交換機を持っておるところは、料金を知るためにそういう設備を持っておるところがたくさんあるわけです。それが金額的にはわからないというお答え、部品そのものは千円内外のものだ。一応これは頭に入れておいていただきたいと思います。  そこで、いま電話料の問題でいけば、今度具体的な一つの例を申し上げます。公社の指示によって電話料を支払わされるものは公衆電話がございますね。公衆電話は十円玉を持っていけばどこにでもかけられる。具体的にこの公衆電話は十円玉を入れながら通話料を徴収するという仕組みになっております。公衆電話のそういう面といいますか、システムはどのようになっておりますか。これが一点。  それからその公衆電話に送る信号システムを各家庭に回して度数計をつければ、その信号は回ってきておるのですから、簡単にできるのです。そういうことができないのか。まずそういう点からお答え願いたい。
  35. 三宅正男

    ○三宅説明員 ただいま先生お話しの公衆電話の料金、入れましたコインが時間ごとに落ちていく、この装置につきましては、局側から料金のコインを落としますための信号を時間ごとに送って、それによって公衆電話機の中の回路が動作しまして料金が入る、こういう形をとっております。これが一般の加入電話に同じことができないのかというただいまの先生の御質問でございますが、技術だけのことから申しますと、確かにそういうことは可能でございます。ただ問題になりますのは、公衆電話の場合に、現在あの電話機には、そのコインを落としますための信号から来ます雑音を防ぎますための回路が入れてございますので、一応利用者の耳にはその雑音が入らないという形で公衆電話は使っております。一般の加入電話に使います場合にも、確かに電話だけにお使いになる――従来は電話だけという形でございますので、通話だけという形でございますれば、この信号が雑音として耳には入らなくても電話機まで来ておるわけでございます。これは別にそれで一応差しつかえないということになるかと思いますが、御案内のように最近加入電話にもあるいは公衆も、公衆回線使用契約というような形で、いろいろなその他のたとえばファクシミリとかテレプリンターとかいうものがつなげるようになりました。こういう場合には雑音と申しますか、その信号がじゃまになりまして誤動作を起こすというようなこともございます。それから同時に、私どもいままでなぜやらなかったかということになると思いますが、この公衆電話に対しましては、やはりそういった信号を送ります装置あるいはその雑音を防止するための回路といったようなことで一般の加入電話よりは相当金をかけております。したがいまして、一般の加入電話に対してまでそういうもので金をかけることがはたしていいかどうかというようなことが問題になるのではないか、こういうふうに存じております。
  36. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 政務次官、理論的にはできるのですね。結局、加入者がかけます、それが局のそういう装置のところに行きますね。そこで度数計なりそれが回ります。その回る音も加入者のほうにも聞こえるのです。伝わってくるのです。電流ですから。いま雑音が入るとかなんとかいうお話がございました。これはまた具体に入っていけば、雑音は現在の公衆電話にも入っているのです。一般の加入者の電話にも、その度数計の音は入っているのです。問題は、いまのお答えでは公衆電話のような費用をかけるわけにはいかぬ、こういう御説明ですね。私、そのことでここで一つの実例を申し上げましょう。いま技術的に、理論的にはできるのですが、現在の加入電話でも公衆電話でも、局側で発信しております度数をあげる電流ですね、音が漏れています。ですからその音をキャッチして増幅して、そして電話局に上がる度数計と同じ料金の基礎になる度数をはかる機械をつくったメーカーがあるのです。これはもう、こう言えば何年前のいつということもはっきり言えますけれども、それは電電さんのほうではおわかりと思いますので、そこまでは申し上げませんけれども、あるメーカーがつくった。ある会社がそれを開発しまして、それは局の度数計を回すときに漏れるパルスの音を大きくするという方式のもので、公社の認可を受けずに売り出した。だからそれが問題になりまして、これが公社の採用するところとならなくなった。その理由は、一つは技術水準に達していない、二番目にはパルスは漏れることはない。漏れることがないならば、そういう機械ができるわけはないでしょう。これはまだ内容については今後いろいろ検討しなければならぬと思いますが、こういう二点で許可にならなかった。  こういうことでございますが、こういう事実を見てみますと、どうも公社が度数計をつけないという理由は、先ほど言いましたように、広域時分になったときにタイム計を何十億かけてやらなければならない、サービスしなければならないという、ほんとうにそこにあります真意と、いま度数計をどうしてもつけられないという理由とが、何かしら一致するものがあるような――これは私の論理の飛躍かもしれませんが、どうもそう思えてならない。先ほど政務次官から外国のお話もございました。イギリス、ドイツでは、料金を知るための即知方式といいます目で見るやつと聞くやつで、料金がわかるのが実際使われておる。そういうことは時間がございませんから、ここで申し上げられませんけれども、このことについてはこういうふうに申し上げておきたいと思います。  先ほど技術的に雑音が入るということでありますけれども、これは公衆電話の信号も、いま言ったとおり雑音が入っております。雑音といっても料金が落ちる音ですね。また、先ほどおっしゃったようにいろいろなほかの通信、データ通信等に使用するときに、雑音があっては困るということがいわれましたけれども、現在の電話の普通回線に、四千ヘルツの回線ですから、実際問題としてはいまの加入電話でそういうものを乗せることはどうかと思う、いまの状態では。データ通信を使用するためには同軸ケーブルなどの専用回線の方向にもっていくということを、公社の第五次五カ年計画の中にも計画されておる。これは間違いないと思うのです、技術的にはいろいろこまかい問題があることは別にいたしまして。また、将来、テレビ電話にしましても、これは別な四メガ帯という大容量の通信回線が必要であります。したがって、一般加入者の使用しておる回線は、その心配がなくなっていきます。そういう状況でも、その度数計をつけることを希望する者は――現在でもその信号音は問題にならない、こういう結論になるのですが、これは簡単にお答え願いたいと思います。
  37. 三宅正男

    ○三宅説明員 ただいま信号が問題にならないという先生お話がございましたが、(田中(昭)委員「信号は問題にならない、雑音が問題になる」と呼ぶ)信号による雑音ですね。この信号による雑音といいますのは、先ほど申しましたように、現在公衆電話の場合にはそれを吸収する装置をつけまして、利用者の方の耳には入らないような形にしております。公衆電話の場合に、お金が落ちます場合にやはり音がします。これはお金が落ちる音でありまして、それは局からの信号の音ではないわけでございます。  それからいま、度数計を動かすための信号なり何なりがいろいろなもののじゃまにならないというお話がございましたが、確かに高速度のデータ伝送等には現在の電話側線は使えませんのですが、非常にスピードのおそい、千二百ビットあるいは場合によりますと二千四百ビットくらいまでのものは電話回線で十分コールができる、通信ができます。こういったものにはただいまのような信号が非常にじゃまになる、あるいはファクシミリ、模写伝送等も同じように白い筋が入るというようなことが出てまいります。さらに、最近いろいろな面で注目されております心電図の伝送あるいは心臓のペースメーカーと申しますか、これの診断等を電話線を通してやる。こういったような場合には、それがじゃまな信号としてはっきり入ってまいりまして実用にならないというようなこともございます。  一般的に、言いまして、現在の一般の加入電話回線には、確かに度数計を動かします信号は入っておりません。ただ公社の使っております交換方式の中で、ごく一部のものに、その信号が、局の中で流れております信号が非常に微弱な形で加入電話回線まで出ているものもございます。こういったようなものの場合にはこれを拾い出して度数計を動かすことも、場合によっては技術的に可能でございますけれども、これは公社の交換方式、ストロージャー方式、ジーメンス方式、クロスバー、さらに電子交換と、いろいろございます交換方式の中のごく一部のものでございまして、最近のもの、特に今度新しく開発しました電子交換機等では、こういった信号は、漏れるといいますか、微弱な信号も全然出ておらないというようなことでございまして、一部のものにつきましては、場合によると可能なようなこともございますけれども、全体的に申しまして不可能である、こういうふうに申し上げたわけでございます。
  38. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 この議論はひとつ委員会で――いまいろいろお答えになりましたけれども、私が説明を聞いたときのお答えとどうしても合わない。納得がいかない。心電図なんかも、そんないまの回線で送れるわけがないのですよ、これは別な、何か聞きますと、FM変調というようなものを使ってしか送れない。ですから、現在のパルス信号というのは、さっきあなたは十円玉が落ちる音だと言われましたけれども、そうじゃないのですよ。いまでも公衆電話は時間が来ればカチカチと音が入ってくる。そういうことを言っている。ここで御発言になりましたことについては、あとでまた、よく説明を聞きたいと思います。  時間がありませんから結論に入りますが、私いま簡単に議論しましたけれども、一つは、先ほどのあるメーカーがそういうものをつくって、それがかりに公社の認可を受けなくても、そういうものができて、つけることを希望するものがおれば、私はこの事実は明らかになると思うのです。ただそれを公社の規定で認可しなかったということが、先ほどから言いますように、公共料金である公社の電話料金が改善されるものが、そういう姿勢の問題から考えた場合には、私はいまの公社のとっておる態度はどうも納得いかない。一般の加入者がもしそういう機械をつけること、また障害があるということで公社のほうで心配でありますならば、現在公社の交換局で使用しております電極パルス法ではなく、いわゆる外国等でやっております高周波信号でも直流波の信号にしてでも、これは送れるはずです。現にイギリスなどは五十サイクルのアースリターン方式ですか、低周波の信号を使用して各家庭の度数計を取りつけたものにその信号を送ってなされておる。ですから私が最初に言いましたように、現在世界一流といわれます公社の技術陣では、この面が解決できないはずはない。理論的にはできるのですね。実際的にもいろいろ聞いてみますとできる。ただ、それが金がかかるかかからないかというのは、いまの公社の交換局にあるような装置をするとばく大な費用がかかる、またいまの公衆電話のような装置を各家庭につければ相当な費用がかかる、こういうことであって、それが安くできるのであれば、当然そういう問題は解決されなければならない。そういう方向だけを――私はきょうはまだこれは解決できないという方向で一応おさめておきたいと思います。これはそうですね。次の問題の時間がございませんから、最後にそれについて一応大臣と政務次官からお答え願いましょうか。
  39. 久野忠治

    久野国務大臣 設備の改善等につきましては、当局に命じまして十分先生の意を含めて検討させて、仰せのようにいたしたいと存じます。
  40. 橋口隆

    ○橋口(隆)政府委員 ただいまの先生お話も聞いておりまして、そういうような可能性があれば、これは消費者保護の見地からぜひともその設備を取りつけるように推進をしてまいりたいと考えております。郵政省並びに電電公社と十分相談をいたしまして、御期待に沿うように努力をしたいと思います。
  41. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 次に、公社のほうからお聞きしたことによりますと、回転ダイヤル式電話機、これは普通の電話のことでございますが、これがいろいろ改善されておるわけです。その場合、まず局の中にあります電話交換機は、従来まではA、H型二つの交換機があった。またそれが最近進歩しましてクロスバー、電子両方の交換機におもな局から逐次改善導入がなされておると聞いておりますが、その状況はどのような状況ですか、簡単に。
  42. 三宅正男

    ○三宅説明員 お答え申し上げます。  ただいま御質問の古い型の自動交換機、A型、H型というものは、現在公社では設備の端子として約七百三十万程度ございます。これは大正大震災のあとから電話の自動化ということで導入されてまいりまして、昭和三十四、五年くらいまでは標準交換機として使用しておったわけでございます。これは現在この程度の設備がございます。次に三十六年からクロスバー型の交換機の導入を始めまして、現在これが約一千四百万端子ございます。そして現在ではもうA型、H型というものは増設等もほとんどやっておりませんで、増設はほとんど九九%までクロスバー型のもので行なわれております。さらに最近公社の通信研究所で開発いたしました電子交換機の導入が始まりました。しかしこれはまだ量的には非常に微々たるものでございまして、加入者が実際に入りまして商用に供しましたのは昨年度、昭和四十七年度からでございます。
  43. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 これはどういうことかといいますと、そういうクロスバーなり電子交換機、こういうものが入りますと、いわゆるダイヤルがおそく回るものが速く回る。速いダイヤルでいわゆるスピードアップができる。いまたいへん新しもの好きのときですから、ダイヤルが速く回るだけでも相当な注目を引くわけです。それができるということなんです。具体的には一〇PPSのおそい速度のダイヤル電話機から、二〇PPSの速いダイヤルの電話機が取りつけられるということでありまして、ダイヤルスピードが一そう進歩するわけであります。これは新しいそういうクロスバーなり電子の交換機になった電話局管内の加入者は、いつでもダイヤルをおそいものから速いものにスピードアップのサービスを受ける状態にあるわけですね。そういう状態にありますにもかかわらず、そのサービスを全般的に受けてない。いわゆるおそいもののままでいっておるわけですが、どうして速いダイヤルが使えるのにそういうおそいダイヤルのままでしんぼうしなければならないか、その理由をひとつお聞かせ願いたい。
  44. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えいたします。  ただいま先生御指摘のように、具体的に申しますと倍くらいの速さで回るわけでございます。現在約四割五分くらいの方がかわっておると思いますが、大体新しくつけます電話あるいは取りかえます電話の場合に、新しい型、二〇の速いほうの型に取りかえておるわけです。それ以外に、今度新しく料金を郵政省できめていただきまして、まだ該当しないけれども取りかえたいという方には、取りかえ料をいただきまして取りかえるようにいたしたいと思っておりますけれども、そういう形で逐次やっていっております理由は、これはたいへんむずかしい問題でございますが、電話機というものは公社がレンタルでお貸しをしておるものでございます。買い取りのものでございません。したがいまして、一ぺんにかえますと従来の古い形の電話機が非常にたくさんむだになるわけでございます。その点がこういう公益事業といたしまして非常に大きな問題でもございますので、やはり逐次そういう形でかえていくのが、現在の段階では公社という立場では最善の方法ではないか、こういうぐあいに考えて、そういう方法をとっておるわけでございます。
  45. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 いまの御説明を私なりに要約しますと、そういうものが可能になったために、全国的に四割か四割五分くらいはそういう速いダイヤルになったということが一つの論点ですね。それと、電話機というものは買ってもらったのではなくて貸しているのだ、それを取りかえると古い電話機の価値が――取りかえることがたいへんなのだ、そういうことでございますね。ところが全国的な問題からいいますと、ちょっと途中であれしますが、まず認識として、そういう速いダイヤルにできる端子数といいますか、一軒一軒の加入者と考えていいと思うのですが、それが現在全国で八百万あるそうです。まだできるけれども四割五分で、あとの五割五分はそれになってない。いわゆる八百万は可能だ。そうしますと、これを地域的に見てみますと、たとえば東京あたりはぐっとその率がいいでしょうけれども、九州なら九州のいなかのほうのある地方で見れば、そういう地方に電話交換機の新しいものが入った、そこに何万かの加入者がおる、何万かの加入者の中に今度は新しい加入者が入ってきた場合には、その新しいダイヤルのほうをつけてもらえるそうです。ところが、いままで電磁公社にせっせと電話料金をみついだ古い得意先、上得意でしょうね、企業からいえば長年使ってくれて電話料金を払ってくれたところですから。そういうところに対しては、その古い上得意さんの加入者が、そういう速いダイヤルに可能なんだからかえてくださいよといって希望してみても、かえなかったということなんです。そうしますと、私はこういうことは、何べんも言うようですけれども、古い、公社にとってはいいお得意さんにはサービスの悪いものでしんぼうしてもらっておるということは、公衆電気通信法の第一条の目的の精神からいっても、また利用者サービスを常に考えていく上からも、また公共企業体の姿勢としても、私はどうも納得いかない。大臣、おわかりいただけたでしょうか。上得意の古い加入者は結局悪いものでしんぼうしろ……。ところが最近――この問題を私、一カ月半ぐらい前から公社に来てもらっていろいろ指摘しました。それと軌を一にして何かそういうことがないようにという解決の方向に認可申請がされたというふうに聞いております。古い加入者が、速いダイヤルにかえてくださいと言っても、だめです、おたく一軒かえるわけにはいきません、電話機は貸しているのです、買うなら別ですよというふうに最近なったというのです。もう一つは、その古い加入者の電話機がこわれたら新しいのにかえますよ、こういう説明現場では聞いておる。それだったら速いダイヤルがいいと思っている人はわざとでも電話機をこわす、そういうことになりますでしょう。こわれたらかえます、こわれなければ古いものでしんぼうしなさい、一カ月半前、二カ月くらい前まではそういう姿勢だったのです。これは総裁どうでしょうか。大臣もお考えを聞きたい。
  46. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  電話機といいますのは電話全体のシステムの端末をつくっているわけでございますが、同時にまた、これはシステム工学面から考えますと全体の設計の一つの要素になっております。その際に、電話機として、過去におきましてもたとえば三号電話機を四号電話機にかえるとか、四号電話機を現在使っております六〇〇型にかえるというような大きな取りかえをやった時期もございます。しかしそれらの時期も、やはり一ぺんに全部かえるといいましても、新しいものを入れますればそれだけ投資もふえますし、またそれが料金にはね返ってくるということにもなりますので、理想的には全部一ぺんにかえてしまえばいいわけでございますけれども、そうもいかないので、過去におきましてもそれを徐々にかえてきた、こういう時期がございます。  そこで、いまのダイヤルの問題でございますが、確かにおたくで使っておられるときは二〇PPSに対して一〇PPSはおそく戻ってまいりますから感じが悪いのでありますが、電気的な接続という点から脅えますと、結局ある地点からある地点に電話がつながるという場合には、大体ダイヤルの速さというものは十分の一くらいしかきかないので、その点は、確かに感じは悪いけれどもある程度がまんしていただくというふうに考えております。むろんこれが電気的な接続にもしも影響がございますなら、これはなるほど一ぺんにかえなければならぬのですが、そういう大きな点の接続には関係ないということでがまんしていただく、こういうことであります。これは過去におきまして、たとえば三号から四号、四号から六〇〇型にかえる時点におきましては、何といいますか、もっと機能も新しいものができた事態がありますが、その新しいものができてもそういうふうにしてがまんしていただいたということでございます。これは日本ばかりでなく、たとえばイギリスなんかもっとひどく、かえないで最後まで使うというような仕組みでやっているわけでございます。これは料金との関係もございますので、われわれといたしまして料金値上げはなるべくしないでいきたいということでございますから、その辺はやむを得ないというふうに御了解願いたい、こういうふうに思います。
  47. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 どうも苦しい答弁をしておるように聞こえてならないのです。何かあっさり認可申請を出されたというのですけれども、これは私がお聞きしたところによりますと、六月の十八日に申請されて六月二十一日に郵政大臣の許可が――郵政大臣、御存じですか。おそらくそうこまかいことは御存じないでしょうが、そうなっているようでございます。しかし、また聞くところによりますと、その申請は五月の十八日に出された。ですから、明らかにするために、一ぺん、その申請の内容と申請月日について簡単にお答え願いたい。
  48. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えをいたします。  その点は、先生ちょっと誤解をしておられますといけないのでございますが、実はこの二〇PPSの電話機の取りかえの問題につきましては、昨年からいま先生の御指摘のような問題がございました。郵政当局からもそういう御意見がございまして、私どものほうで検討いたしておったわけでございます。それで、その結果この認可申請をいたしましたのは、ただいま御指摘のように本年五月十八日でありますけれども、この五月十八日には一般の工事費全体の申請をいたしました。その中にこれが含まっております。したがいまして、この電話機そのものの取りかえの問題は、先ほど総裁も申しましたように、公社としても常に新しいものができますときの問題でございますが、具体的には昨年から問題がございまして、郵政省お話をしておったことは事実でございます。申請を出しましたのは五月十八日でございます。
  49. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 申請された内容は。
  50. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 内容は、いま申し上げましたように、工事費全体の申請の中に、いま申し上げましたような本来の順番でない方が取りかえを御希望になるときには二千円いただきまして取りかえいたします、こういうものが入っておるわけです、  この二〇PPSにつきまして。
  51. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 いま総務理事からお答えになりましたが、昨年あたりからこういう問題を考えておって、たまたま申請を五月十八日に、ほかの電話機をかえることと一緒になってなされた、こういうことですけれども、問題は、先ほどから言いますように、よいサービスをしていこうという姿勢であるならば、現場においてその速いダイヤルの電話にかえてください、こう言った場合に、それは絶対なりません、絶対できない、その反面、電話機が故障したらかえます、こういう姿勢でいままできたことが問題だ、私はこう言っておるのですよ。それじゃ、どこどこ地方はこういうふうに速いダイヤルの交換機が入りましたから、御希望の方があれば速いダイヤルのほうにかえますよというようなPRを一ぺんでも公社はしましたか。すれば、費用がかかるかからぬは別にして、おそらく希望があるのじゃないか、いまのこのスピード化のときですから。そのPRもせずに、そして一方的に上得意に対してできませんと言う。新規加入者に対しては速いやつをつける。そしてまたどういう意味か知りませんが、こわれたら取りつけます。その点については公衆電気通信法の三十六条に規定がありますね。これは附属装置等の設置ということで、三十六条によりますと、公社が定める条件に従って云々とありまして、「加入電話の電話回線に接続する機器であって、公社が定めるものの設置を請求することができる。」こういう法律条項等の問題も、私いま時間があればほんとうはここで議論しなければならないのですけれども、時間がございませんから、そんなことは省いて言っておるわけでございます。いま私が言ったように、それではきょう行管のほうからも来てもらっておりますから、かりに一昨年あたりからそういうことが可能な地域に対して公社がPRをしておったか、してなかったかということによって、私は苦情なり申告なり、早いダイヤルにかえてくれというふうな申し出がある、ないということが大きく左右すると思いますけれども、一昨年でもことしでもいいのです、そういう早いダイヤルにかえてくださいというような要求が、公社で満足できなくて行管のほうにでも現場のほうで解決の依頼があったかどうか。また行管の立場として、そういう問題が、ある一定の人にだけサービスが提供されておるということについて調査ができておるものかどうか。そういうことも含めて、公社に対する見解を述べていただきたいと思います。
  52. 笹倉三郎

    ○笹倉説明員 お答えいたします。  昭和四十七年度に行政管理庁が受けました行政相談件数は、電電公社に関しますものは全国で千三百三十三件でございます。そのおもなものは、電話架設の促進と電話柱、電柱でございますが、電柱の移設に関するものが主でございます。先生ただいま御指摘になりましたような行政苦情相談は、私どもがただいままで承知しております限りでは、出ておりません。以上でございます。
  53. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 出ていないということは、私が言いましたように、公社にそういうサービスを受けさせようとする姿勢がなかったからではないか。いわゆるPRが足らなかったからではないか、こう思うのですが、どうでしょう。
  54. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 ちょっとお答えをいたします。  私の先ほどの答弁があるいは先生説明不足だったかもしれませんが、先ほどちょっと伺っておりましたら、先生からこういうお話が出たので、私どもがあわてて認可申請したのではないか、こういう形で受け取りましたものですから……。このお話自体は全体の問題を含めて昨年から郵政当局とも御相談をしておりました。しかしそれまでは、現在でもそうでございますが、まだ認可がおりたばかりでございますから、それまでは確かに先生御指摘のように、新しい人と取りかえる人以外はやっておりません。これから先は、現場に指示をいたしますのがおそらく七月に入ると思います。七月の中ごろから以降は、そう大々的なPRをやるかどうかは別でございますけれども、いまの認可をいただきました料金さえ払っていただければ、順番の来ない方でも取りかえをさしていただきます、こういうことは一応PRをいたすことになると思います。ですから、その前の段階ではそういうことはもちろんいたしておらないわけでございまして、いわゆる先生の御指摘の、非常に冷たいといいましょうか、そういうやり方でやっておったわけであります。
  55. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 どうもやはり結論としましては、こういうたった一つのダイヤルの回転のサービスの提供ということにつきましても、やはりこまかい配慮をしないと、いわゆる公共企業体としてのそういう批判を受けるということも私は微妙な問題があると思うのです。やはりいままで電電公社に電信電話の事業を独占的にやらせてきた。これは私は何もその行き方が悪いとかいいとかいうことをいまここで即断はできませんし、言っているんじゃなくて、そういうものを進めていく中においては、いまお話があったように、早いダイヤルにかえることにつきましても、今後は認可申請が許可になって、それが実行されるのは七月に入ってからでしょう。それじゃその実行されることを考えてみますと、いままで、それ以前は二千円という料金は要らなかったのですから、今後は認可申請が許可になったから二千円要るんですね。そういう微妙な問題もあるわけでございます。それじゃいままでのように認可申請をしてもらわないほうがいい、電話機をこわせばいいのですから。こわせばいいというとちょっとことばが悪うございますけれども、こわれればただにしてくれるのです。今度は、こわれなくても希望すれば金はばっちり二千円取りますよ。二千円というものがどうかと私は思いますけれども、金がたくさん余っている人はいいでしょうけれども、持たない人はそれはただにしてもらいたいですよ。それじゃ実際問題として、その早いダイヤルにするためには、聞くところによりますと、電話機の部分品をちょっとかえればできるそうです。ちょっとでできるならば二千円取らなくてもいい。しかし二千円取る以上は古い電話機と新しい電話機を取りかえる。取りかえてみても――かえるというのは、わずかな金額で、安い費用で済むものを、ちょっと訂正すればいい、かえればいい。  そういうことに入っていかなければならないことになりますが、どうしてもやはりこの電話料金の問題については、最初に申し上げまたようないろいろな度数計の問題にしましても、これは私は大きな問題だと思います。それから、いまのダイヤルの新しいものにかえることにつきましても、やはり公社が独占事業としてのいろいろな批判を受ける、その根拠にあるものが、私は常識的にだれでも理解できるものであるならばいいのですけれども、それが一部の――一部といいますか、公社のいままでのそういう姿勢といいますか、いまも遠藤総務理事もおっしゃったように冷たかった面があった。冷いどころではない。法律上は明らかに貸している電話機だから、公社の都合によって取りかえるときは無料なんです。こういうことで私は公社が批判されるようなことがあるならば、それは進んで改めなければならない。そういうことについては、郵政大臣も監督者としてよく監督の任を果たしてもらいたい、こう思いますし、そういう問題について最後に大臣のお考えを聞いて、この問題はまだ部分的には了解できないところがありますけれども、終わりたいと思いますからよろしくお答え願いたいと思います。
  56. 久野忠治

    久野国務大臣 御趣旨の点につきましては理解できるところもございます。各般広範にわたっての御意見でございますので、十分その意を含めて検討させていただきたいと存じます。
  57. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 最後にもう一言、総裁からひとつお願いしたいと思います。
  58. 米澤滋

    ○米澤説明員 ただいまいろいろ御意見がございましたけれども、技術的な問題につきましてはまた専門的にいろいろお話し申し上げることにいたしまして、まず全般的には公社として国民のために十分考えてやるということで進みたいと思います。
  59. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 終わります。
  60. 久保田円次

    久保田委員長 午後一時三十分再開することとし、この際暫時休憩いたします。    午後零時三十九分休憩      ――――◇―――――    午後一時四十九分開議
  61. 久保田円次

    久保田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  逓信行政に関する件について質疑を続行いたします。阿部未喜男君。
  62. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大臣、先般来郵政行政の中で特に郵便の遅配をめぐっていろいろ議論をされてきましたし、先刻はまた同僚の土橋委員からもいろいろ意見があったわけですが、特に人事局長にお伺いしたいのですけれども、いわゆる東京都内において、先ほどのお話では、指令に従わない職員がおる、これが非常に問題になって郵便の遅配が起こった、こういうお話でございましたが、いわゆる組合指令に従わないという経緯、この辺をどういうふうにお考えになっておるのか、ちょっと承りたいと思います。
  63. 北雄一郎

    北政府委員 これは、あくまで労使関係におきましては常にいろいろ問題がございます。そういった問題は、私ども組合とそれぞれ対応する機関がございますので、いろいろなルールに従いまして、対応する機関同士でそういった問題につきましていろいろ話をしまして、できるだけ早く、できるだけよい解決をするということで参っておるわけであります。  いつの場合もそうでございますが、ことしの場合、御承知のように四月からずっと春闘というものがございまして、この春闘の全経過につきましては、いま申し上げましたようなことで対処をしてまいったわけであります。これまた御承知のように、四月の終わりに奮闘というものは一応終わったのでございます。そこでその春闘の終結を受けまして、組合側といたしましても五月の上旬に収拾する会議を内部的に開いたようでございまして、五月の中旬からいわゆる三六協定を結びまして、そしてやっていこう、こういうことであったわけであります。ところがその中で、東京のほうの組合の一部には、この春闘の収束自体が不満だ、したがって、少なくとも東京については五月はおろか六月一ぱいまでずっと闘争を続けていくべきだ、こういった底流があったように承知をいたしております。しかしその中で、組合の内部の話でございますけれども、五月中旬の全国的な妥結、三六締結という中で、東京だけは独自闘争を続けてもよろしいという承認があったようでございます。しかしその間いろいろ顕著な業務規制闘争というような態様もあらわれ始めまして、郵便物東京中心にして非常にたまり、五月の終わりには東京だけで二百万通をこす、こういう情勢がございました。  そこで、対応する省側と組合側、すなわちこの場合は東京郵政局東京地本の間で、こういった事態の中で特に交渉を詰めまして、実は五月三十日には当局側から譲るべきものは譲るということで一定の最終回答を示しまして、これで妥結ができたわけでございます。そして組合のほうの中央本部も、東京の独自闘争についても五月三十日限りでおしまいであって、六月一日からは三六を結べ、こういう指令を出したと聞いております。  ところが、先ほども申しましたような底流があったためだろうというふうに推測いたすのでございますけれども、現実に東京地本傘下の、全部じゃございませんけれども、一部のところが、こう  いった上部の統制に服するわけにいかぬ、そういう統制の指令は返上すべきであるというようなことで、その後も数日間もんだようであります。  そこで六月四日に再度中央本部が文書で的確に指導いたしまして、六月四日の夜以降、なお闘争を続けていくというのは統制外であるぞというようなことで、これをきびしくたしなめたというふうに聞いております。ところが、その後も現実には若干の局がなおそれを聞きませんで、ずっと規制闘争を続ける、こういう状態がございまして、終局的には六月の二十日ごろにはほぼ全局が、平常に服したのでございます。  そういうことで、五月三十日以降あるいはその六月四日以降も、相当期間若干の局が従来の闘争体制を解かなかった、こういった状況であったように私どもは把握しております。
  64. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 人事局長郵政当局が、違法なストライキをするような全逓の指令は聞くべきでないということをずっと教育をしてきたんです。これはもういろいろな資料によって明らかなんです。  そこで、全逓の指令に従わない組合員がだんだんできてきた、あるいは職員ができてきた。一方ではあなた方が期待をしたように、郵政省の言い分をすんなり聞く職員もできたが、全逓の言い分も聞かないが、郵政省側の言い分も聞かない、こういう人間がだいぶ出てきておるのじゃないですか。どうですか。
  65. 北雄一郎

    北政府委員 私ども、全逓の指令を聞くべきでないということを言ったことは全然ございません。上部の指令といえども、国に法律があってその法律の禁を犯すような指令、そういうものには服従する義務はないはずだ、こういうことは言っておりますけれども、かといって、全逓の指令というのは全部従うべきじゃないというようなことは絶対に言っておりません。  しかしまあその問題とまた別にいたしまして、組合の言うことも聞かない、省の言うことも聞かない――これは省も一つの組織体でございますし、組合も一つの組織体でございます。いずれも大きな組織体でございます。これは省それから組合ということだけではございませんで、やはり大きな組織体でございますと、残念ながらその一部にはやはり組織統制になかなか服しがたいというような面が出てくるということは、これは間々あり得ることだと思います。むろん望ましいことではございませんので、私どもは、省という組織の中では、組織のいかなる一員といえども省の一つの組織統制というものに従うべきだという教育その他はいたしておるつもりでございます。
  66. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 前段についてきょうは論争はいたしませんが、ただ人事局長の言うのとは若干違って、確かにストライキが違法だから、それをやるような全逓は違法な組合だという言い方で、そうでないような良識職員を養成するという方針がずっと貫かれてきた。そこまではよかったかもしれません。しかし私が言うのは、結果的には全逓の組織統制にも服さないが、郵政省職員としてあなた方の言うことも聞かないような職員が生まれてきた。それを全逓の責任だけに帰するのは酷で、いまあなたもおっしゃるように、省にも大きな責任があるのじゃないか、その点を十分ひとつ考えてもらいたい、私はそれだけ申し上げておきます。何か御意見があれば聞きますが、私の希望は、単に組織統制に服さないから悪いんだということだけで全逓の責任に押しつけて、誤ったことはみんな全逓だというようなのはこれは酷であって、全逓の組織統制にも服さないが、郵政省職員としてあなた方の統制にも服さない、こういう人間が出てきておるその原因について、もっと慎重に反省をしなければならぬのではないか、この点だけ申し上げておきたいと思います。  では次に進みます。最近新聞報道でも、あるいは郵政省のほうからも一部資料をいただきましたが、郵便貯金の金利の改定が行なわれる。すでに郵政審議会の議も経ておるようでございますけれども、この改正の要点について簡単にひとつ御説明をいただきたい。
  67. 石井多加三

    ○石井政府委員 お答えいたします。  一昨日郵政審議会に郵政省から諮問をいたしまして答申を得ております。来たる二十九日の閣議に持ち出すように現在政府案を急いでおるところでございます。その内容といたしましては、定額郵便貯金の一年半以上二年未満のもの、これはいま五・五〇になっておりますものを五・七五にいたしまして〇・二五の引き上げ幅でございます。次に二年以上二年六カ月未満のものが、現在五・七五になっております、これを〇・五〇上げまして六・二五%にいたしたい。また、二年六カ月以上六%になっておりますのは、このたびの改正では〇・二五上げまして六・二五にしたいということと、三年以上というものは従来なかったのでございますが、これを新設いたしまして、三年以上のものは六・五〇%というのが主たる骨子でございます。なお、定期郵便貯金についても〇・二五%の上積み、住宅積み立て貯金につきましても〇・二四%の利上げをしたい。また関連いたしまして、貸し付け利率のほうも同じような引き上げになるということでございます。
  68. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 この前にいわゆる公定歩合の引き下げに伴って郵便貯金利息が引き下げられるというときにもこの委員会で非常に激しい議論を戦わしたわけで、きょうは特に私は大蔵省の出席を求めておったのですけれども、大蔵省のほうで何か金利の何とかの審議会があってどうしても出られないということで、まことに残念で、そうなれば議論が一方的になるかもわからぬということは申し上げておきました。  それで私は、郵便貯金というものの基本的な性格について大臣のお考えを承りたいのですけれども、貯金金利の決定にあたっては、よく大蔵省はいわゆる民間の金融機関、銀行との金利の比較というものを非常に中心にして考えておるようでございます。しかしわれわれ国民の側から考えた場合に、お客さんから金を預かってその金利でもって利益をつくり出していこうとするいわゆる企業の場合と、国民大衆から金を預かって、それを財政投融資等に回して国家的な視野に立ってこの金が使われていく、いわゆる利益というものを全然度外視して、大衆に対するサービスと、そして国家全体の国策の遂行について協力をしておる郵便貯金というものは、私は民間のいわゆる金融機関である銀行等と同じ立場に立って考える筋合いのものではないのではないか、全然別個な観点から利息等についても考えていいのではないか、そういう気がいたしますが、大臣、この郵便貯金というものといわゆる民間の銀行との関係についてどのような見解をお持ちでしょうか。
  69. 久野忠治

    久野国務大臣 私も阿部委員と大体同じような見解を持っておる一人でございます。今回この利上げにつきましては大蔵当局ともいろいろ折衝をしてみましたが、全体の金利体系という考え方の上に立って、郵政省側だけの一方的な利上げにつきましては難色を示しておったことは事実でございます。そうこういたしておりますうちに、中期預金の制度を設けてはどうかという案が出てまいりました。そこで、一般民間金融機関に中期預金制度が設けられるということであるならば、やはり郵便貯金の中における定額貯金並びに定期貯金についても利上げを考えるべきではないかというので、私たち郵政省の事務当局に命じまして案を策定をさせたわけでございます。この案につきましていろいろ大蔵省側とも先ほど申し上げたように折衝をいたしましたが、この利上げの幅につきまして議論のやりとりがございました。しかし、私は、ただいま御指摘のとおり郵便貯金は国民大衆の中に根をおろし、しかも零細な庶民階層の貴重な貯蓄でございまして、しかもこのお金は御指摘のとおり社会資本の充実並びに社会政策的な事業に財投の原資として運用されておるのでございますから、やはり利益を目的としていない郵便貯金のあり方というのは独自な立場で私たち考えていかなければならない、かように考えまして、お客さまであります預金者の皆さまの利益を擁護するような立場に立って金利体系というものは考えていくべきである、私はかように思いまして、阿部委員と全く同様な見解を持っておるような次第でございます。
  70. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 特に今回の郵便貯金の金利改定について、大臣がたいへんな御苦労をなさったということは漏れ承っております。御労苦については感謝をしております。  少し具体的に貯金局長内容をお伺いしたいのですけれども、今回は郵便の定額貯金における六カ月それから一年以上、この二つについては全然当たられていないようでございます。同じように銀行預金についてもこれは当たられていないようでございます。そこでこれをごく簡単に比較してみますと、同じお金を六カ月間郵便局に預けておくと、一年間に四・二五%の利息がつく。同じお金を六カ月間銀行に預けておくと、これは五%の利息がもらえる。そういたしますと、まずこの六カ月だけに一つの例をとってみますならば、これは明らかに、いま申し上げたいわゆる国民大衆の零細なお金を預かり、それを国策に沿って使っていく営利を目的としない郵便貯金が、営利を目的とする民間の銀行貯金よりも金利が安いという形があらわれてくる。これは一体どういうふうに、たとえば大蔵省との折衝の過程でお考えになってきたのか。これは一年ものについても大体同じでございますから、お答え願いたいと思います。
  71. 石井多加三

    ○石井政府委員 ただいま御指摘の点は、定額貯金の一年以上あるいは六カ月以上、いずれも銀行の定期預金の同じ月のものと比べまして利率が低いではないかという御指摘でございます。この点につきましては阿部委員の御指摘のとおりでございます。  なぜこのようになっているかということについて申し上げなければならないわけでありますが、御案内のように銀行の定期預金は最初から一定の期間を定めて、その定められた期間に応じての利率が定められておるわけでございますが、私たちの定額貯金と申しますのはいわば期間の定めのない貯金でありますので、一定額を預けましたあと実際に預金者が解約されるまで経過いたしました期間に応じて、半年とか一年とか二年というそれぞれだんだん長くなれば有利になるような利率になっておる。そういった仕組みの違いがございますので、一がいにこの比較はむずかしいわけでございますが、全体として見まして、いま御指摘のとおり比較的短期のものと申しましても、厳密に申しますと一年九カ月というところが両方の交錯するところでございまして、一年九カ月未満のものは銀行の定期預金のほうが有利であり、それ以上のものにつきましては私たちの定額貯金のほうが有利になっておるということでございまして、こういった立て方の違いは、銀行の定期預金がいま申し上げましたように満期となるまでの間の拘束性が非常に強いわけでございまして、途中で解約いたしますとペナルティーといいますか、普通預金二・二五%の低い利率に落ちてしまうという、またそういった拘束性の強いものであるための利率の上での優遇ということがあり、われわれのほうは逆にいつおろしましても――厳密にいいますと最初の半年間はこれは拘束期間でございますけれども、それを過ぎますといつおろされてもいい、経過した分についての利率は確保してあるというような点で、いわば要求払い預金と同じような仕組みに郵便貯金のほうはなっているといった仕組みの違いが一つあるわけでございます。  それからもう一点、これも御存じのことでございますが、利子の計算方法につきましても銀行の定期預金はいわゆる単利計算でございます。これに対しまして定額郵便貯金は半年複利でございますので、ここに書いてあります表面の利率だけで比較いたしますとこちらのほうが不利になっておりましても、最初にさかのぼりまして半年複利で計算いたしますと、いわゆる利回り計算においていいますと、こちらのほうがだんだん有利になる。  いろいろ申し上げますが、おもなものでいいますと、長期のほうではわれわれのほうが有利で、短期はわれわれが不利だというようなことが、全体としては大体バランスがとれておる銀行の定期預金と私たちの定額貯金というものの性格の違いがそこにあらわれておるわけでございますけれども、全体としてはバランスがとれておるということで、先ほどの御質問にありましたように、国民大衆の零細な預金であるから、もちろんわれわれとしては預金者の保護のために従来から努力しておるわけでございますけれども、こういった一つのバランスというものは従来もありましたし、また今度の利率の改定におきましてもこのバランスをくずさない範囲でのそれぞれの利上げということに相なったわけでございます。
  72. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 この前の貯金金利をつくるときに、当時たしか水田さんが大蔵大臣だったと思うのですけれども、大蔵当局郵便貯金は別格官幣大社としてたいへん優遇してあるという答弁をいたしました。それから大蔵大臣との間にやりとりをして、いま貯金局長が申されましたように、それぞれ性格の違いがあるから、有利なものもあれば不利なものもあるが、総体的にそのバランスはとれておるけれども、特段郵便貯金を優遇してあるということではない、性格の違いによってそれらの貯金の利率がきめられておるのだということに、大蔵大臣をして最終的に確認をさせた経緯がございます。いま私が申し上げたのは、もう一歩進めて、バランスをとっておるというのではなくて、本来的に郵便貯金は銀行預金に比べてもっと高い利率で運用してあげなければならないのではないか。その意味から言うならば、今日のようなインフレの傾向の中で貯金をする方々は、五年先、十年先の貨幣の価値というものをなかなか想定しがたい。商売人は六カ月とか三カ月ちょっと預けても、銀行に預ければ高い利息がもらえる。資金を運転をする場合は、六カ月とか一年とかそういう短期間の運転をする人は高い利率がもらえるのに、郵便貯金のほうはこの期間の利率が非常に安くなっておる。長く預けておればよくなるというようにおっしゃっておるけれども、それは全体のバランスがとれておるということにすぎないのであって、したがって私は、まず短期のものにおいても郵便貯金を銀行の預金の利子に大体匹敵するようなシステムの上に立って、さらに長期のものについては郵便貯金がうんと有利になってくる、そういうふうにならなければ、いまは単に短期のものは不利で長期のものがいいというバランスをとったにすぎないから、郵便貯金がいままで申し上げてきたような趣旨に立脚しての金利の体系であるというふうにはいえないと思うのです。単にバランスをとってあるにすぎない。郵便貯金が銀行預金よりもはるかに国策に沿っておる、国民の零細なお金を預かっておるという意味での優遇をしておるとは言い得ないのではないか、この点を一体どう考えておるのか。もっと基本的に、短期のものでも銀行と同じくらいな利子、長期のものは当然郵便貯金が有利になったときに、初めて郵便貯金が銀行に比べてよくなったといえるのであって、いまは単にバランスをとってあるにすぎないのじゃないか、どうです。
  73. 石井多加三

    ○石井政府委員 定額貯金と定期預金との比較においていろいろ論じられておるわけでございますが、私たちの定額貯金といいますのは、御案内のように預け入れましてから最長十年まで預金できるという意味においては確かに長期の預金であるということができるわけでございます、また銀行のほうの定期預金も、いままで三カ月もの、六カ月もの、一年もの、一年半ものまでだったのが、今度二年といういわゆる中期――長期とは言っておりませんけれども、そのようなものもあるわけでございまして、いま御指摘の点非常にごもっともな点はよくわかるわけでございますけれども、また同時に、いわゆる通常貯金といわゆる普通預金と申しますか、出し入れ自由な預金が相互にありまして、この点は御案内のように郵便貯金のほうは三・六〇%、銀行のほうは二・二五%ということで、その点は明らかにわれわれの郵便貯金のほうが有利になっておるわけでございます。それと、いまの定額貯金の比較的短い時点のものだけを、そこだけを比較しましすと、あるいは郵便貯金のほうが不利だという点を御主張になることはよくわかるのでございますが、預金者にとりましては、出し入れ自由な通常貯金、これはいつでもお出しになれる――急に要るときの用意にやはり通常貯金も御利用いただいておるわけでございまして、これをいわば短期と見れば、その点では十分保護されておるわけであります。定額貯金をしていただく方には、非常に短い期間でお出しになる方ははっきり申し上げますとむしろ銀行のほうが有利であることはもう十分御存じの上で、比較的長く、できるだけ二年、三年あるいはそれ以上やっていただければ、少なくとも一年九カ月以上は先ほど申しましたように非常に有利になるのだから、その辺をわきまえてそれぞれの制度を十分御利用いただくことによって、銀行の預金よりもあるいは有利に私たち郵便貯金が利用できるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  74. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 もう一言申し上げますが、いまのいわゆる普通預金についても、これはもうバランスをとってあるのであって、たとえば定額預金には三カ月というのはない。銀行預金には三カ月というのがあるのです。これもその意味では郵便局の貯金が普通預金より利回りがいい。そのかわり三カ月がなくて、銀行には三カ月があって四%の利子をつける。これは明らかにバランスをとってあるといわざるを得ない。これは貯金局長、あくまでもバランスをとっておるという思想の上に立脚して比較した場合に差がないのだという理論になるのです。私は、それでは意味がない、バランスだけでは意味がないのだ、郵便貯金が明らかに有利にならなければその趣旨からして意義はないじゃないか、こう申し上げておるのです。バランスはとれておるのでしょう。そういう意味で単なるバランスがとれているだけで郵便貯金というものの意義があるだろうか。私は今日の時点で言うならば、もう繰り返しませんけれども郵便貯金は銀行預金に比べて、単にバランスをとるだけではなく、だれが見ても有利であるというような措置が講ぜられるべきではなしか、そういう思想に立脚すべきではないか、こう申し上げておるのです。
  75. 石井多加三

    ○石井政府委員 銀行預金と郵便貯金との比較につきましては、これはいろいろ見方があろうかと思います。私この席におきまして、私のほうの担当しております郵便貯金は銀行預金よりも、いま比較されておるものについても有利なシステムになっておる。これはいろいろ理由をくどくど申し上げる必要はないと思います。先ほど来申し上げましたような払い戻しの場合、銀行の場合には一定期間内の予約がございますので、その間払い戻しされたら非常に低い利率に転落するけれども、その辺の保護が十分なされておること、あるいはこのたびのような利率の改定がありましても、郵便貯金の場合は過去にさかのぼって新しい――七月一日に実施されますと過去のもの全部、十年前からの定額貯金がすべて新しい利率に自動的に切りかわるわけでございます。この点は銀行の定期預金はすでに過去の契約のものは過去の利率で契約されておりますので、それが終わりますまでは新しい利率は適用されないというふうなこと等、総合判断いたしますと、私たちは、現在の郵便貯金の制度は銀行よりも預金者の保護においてはよりすぐれたものであるという確信を持っておる次第でございます。
  76. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 あなたがそういうお考えならわれわれがいろいろ言うことはないのですけれども、たとえば銀行預金の場合二年もの以上はないのだとおっしゃるけれども、二年ごとに利息を元金に繰り入れて複利計算していくことになっておるのですからね。ですから、十年預けておればやはりふえるのですよ。複利計算になるのです。ただ六カ月ごとにいくのと二年ごとにいくのとの違いがあるだけです、元金を繰り入れる場合に。そうでしょう。複利のとり方が違うのでしょう。それはともかくとして、私は、全体的にバランスがとれておるという点においては、あなたのおっしゃることは理解するのです。ただ、バランスがとれているだけでは意義がないじゃないか。どこから見ても郵便貯金が有利であるというような体制に置くべきではないか。(「銀行がつぶれる」と呼ぶ者あり)いまうしろから不規則発言がありました。銀行がつぶれるという発言がありましたが、銀行がつぶれるのは営利企業ですから、国民全体の立場に立って考えれば、それは零細な金ですから、ほかに方法が考えられるのではないか。その意味で基本的な思想として、郵便貯金はすべての面にわたって銀行預金よりも有利であるというような体系に持っていくように努力すべきではないか。いますぐできるとは思いません。しかし、これは預かっておるあなた方の立場から考えれば、そうあってしかるべきである。一般銀行から強い反発が出るでしょう。大蔵省がどっちの肩を持つかわかりませんが、その辺が問題になってくるでしょうけれども、あなた方の立場とすれば、いま私の申し上げておるような国民の側に立った施策を行なうように努力すべきじゃないですか。いま盛んに強調されておりましたけれども、単なるそれはバランスがとれておるということの言いわけにすぎないのであって、ぼくはバランスのことを言っておるのではなくて、どこから見ても国民大衆の側に立った貯金制度を確立するようにあなた方は努力すべきではないか、こう申し上げておるのです。
  77. 石井多加三

    ○石井政府委員 郵便貯金法第十二条の規定に、いま先生のおっしゃいました趣旨の規定がございまして、前段で郵便貯金預金者の保護ということを非常に力説してあります。後段において、あわせて民間の金利をも参考にするようにということがございますので、この読み方にもいろいろ意見はございますけれども、私たち郵政省といたしましては、前段のほうの預金者の保護により重点を置いて、従来も努力してきたつもりでございますし、現在もそのように努力しておるつもりでございます。たまたま、いま御指摘のように、現在の時点で先生の納得いただけるほどその辺の差がついてないということについては、努力が足りないと思いますが、今後とも御趣旨の方向で預金者の保護に万全を期してまいりたいと思います。
  78. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 次の問題に移りますが、大臣、笑い話ですけれども、先般こういう話がありました。長年郵政省におつとめになっておっておやめになった、かなり幹部の方だそうですが、退職金が一千万近く入ったんだそうでございます。そこで、土地のあっせん会社に行って、都心に三十分くらいで通勤できるところで百坪ほど土地を世話をしてもらいたい、こう話をしまして、だんだん話をしておったら、あっせん業者のほうと退職をされたその郵政職員の方との間で話が食い違ってきた。しまいにあっせん業者のほうが、一体あなたは大体御予算はどれくらいでございますかと聞いたところが、一千万円ほど準備してあると言ったら、いま都心へ三十分のところと申しますと坪七十万より安いところはございませんから、百坪と申されますとまず七千万お金が要りますから、あなたのお話は一けた違いやしませんかと言われて、たいへん赤恥をかいたという話を聞いたのでございますけれども、事ほどさように、今日貨幣の価値が下がっておる。そのときに、この郵便貯金のこれは貯金法十条ですか、総額制限についていま百五十万、住宅のほうを合わせても二百万まで、こうなるわけですけれども、住宅の預金は必ずしも全員がするというわけではない。したがって、この総額制限の百五十万は、今日の時点では思い切って引き上げなければいかぬと私は思うのですが、これは大臣の所信をひとつお聞きしたい。
  79. 久野忠治

    久野国務大臣 ただいま阿部委員御指摘の具体的な事例につきましては、私自身といたしましても胸の打たれる思いでございます。これはもう国民、特に庶民の方たちの切実な願いであると私は思います。さような意味から、やはり貨幣価値の維持については、私は国務大臣の一人として、今後とも微力を尽くしていきたい、かように考えておるような次第でございます。  ただいま御指摘の総ワク制限額につきましては、御承知のとおり、昭和四十七年一月に百万円から百五十万円に引き上げられたわけでございますが、現在の経済情勢から見まして、これはある程度の引き上げをすべき時期に到達したのではないか、かように考えまして、先般六月二日でございました、大阪で日本記者クラブとの懇談会がございまして、その懇談会の席上で、三項目にわたって私は質問にお答えをいたしたのでございますが、その一番最後の項目に、この引き上げの問題を、私の考え方を率直に申し上げたような次第でございまして、私の現時点における考え方といたしましては、百五十万円を倍額、いわゆる三百万円程度まで引き上げることが適当と考えてておりますので、できるだけ早い時期に成案を得まして、国会に提出をし、御審議を仰ぎたい、かように考えておるような次第でございます。
  80. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 まあ大臣がこの時点で倍額の三百万円くらいというお考えのようでございます。時期が延びて、これが臨時国会になったり、次の通常国会になれば、これはもっと上がっていくのではないかと思いますし、なるべく早い時期に、ひとつなるべく幅を広げて、いわゆる預金者保護という立場からの御努力をお願いしたいと思います。  その次に、もう一つ続いて伺いますが、これは六月十五日の毎日新聞です。保険局長見えていますね。――「貯金とだまされた、トラフル続出返金騒ぎも、簡保勧誘暴走」という新聞記事が出ております。最近、この一例にとどまらず、簡易保険の募集が行き過ぎて、政府事業である簡易保険について国民の間でかなりひんしゅくを買っておる、そういう事態が見られまして、当面は募集の成績があがるからいいかもわかりませんけれども、長い目でこの簡易保険事業の将来を考えたときに、決してこれは好ましいことではないと私は思うのですけれども、これが一つだけなら私はこんなにきょうことさらに言うつもりはありません。しかし、最近この種のものがよく新聞に報道されております。そういう点について、直接責任者である保険局長がどういう措置をおとりになり、この種の問題が再び起こらないように施策をお持ちなのか、伺いたいと思います。
  81. 野田誠二郎

    ○野田政府委員 お答え申し上げます。  ただいま具体的な例としまして、毎日新聞に出ました例をあげられたわけでございますが、この事実関係につきましては、目下詳細に調査中でございます。私ども、あの新聞に出ました報道がそのまま事実であるかどうかにつきまして、まだ確認し得ない状況でございます。ただ、申されますように、最近いろいろな報道で、簡易保険の募集をめぐります問題がいろいろ出てきておりますことは事実のようでございまして、私どもはなはだ遺憾に存じております。  まあその理由は、いろいろあろうかと思うのであります。われわれの側に存します諸種の欠陥が表に出てきた。これは保険業務の運営に限らず、郵政省全般としての問題もそれに含まれるかと思うのでありますが、そういう点があります。また、お客さんの側におきます消費者意識の目ざめといいますか高揚といいますか、そういうもので非常に細密な、商品の内容まで検討する、あるいは募集のあり方等について批判の目が向けられる、こういうことがあろうかと思います。  いずれにいたしましても、御承知のとおり、簡易保険事業に限らず、生命保険の事業が非常に長期にわたります契約でありますし、また、本来的に、その事業の基盤になりますものは私は信用だ、このように考えます。ことに国営保険としての簡易保険事業におきましては、これは民間の諸種の同じような事業に比較いたしまして、なおさらこの国の信用というものを大切にしていくべきである、このように思います。したがいまして、現在いろいろ報道されておりますような事例というものが、簡易保険の外務員の諸君なりあるいは保険募集における常態であろうとは、私どもは思っておりませんが、やはり一部の思い違いとして、あるいは一部の行き違い、こういうものがああいうふうな形での報道になっておる。このように理解をしておるのであります。  いずれにしましても、はなはだ遺憾な事態でありますので、従業員諸君につきましても、国営保険としての信用というものを傷つけない、またその矜持を、誇りを持って仕事に当たる、こういうことを指導をいたしております。  御承知のとおり営利事業ではございません。また給与の体系等におきましても、民間の保険事業と違いまして固定給というものが保障される、こういう経営のあり方でありますだけに、なお国民の信用を得るようにということで、これは会議の際に必ず申し添えておりますし、また累次の通達によってこの勧誘のしかた等についても指導をいたしております。また、最近非常に競争の激化あるいは契約の大型化等によりまして、募集のむずかしさというものがふえておることも事実でございますが、そういうことによって、話法のあり方というものが非常にエスカレートしないように、たとえばこういう話法を使うな、あるいは契約者についての団体の組成等につきましても、現在われわれといたしましては、保険の募集をどんどんやれという形でのいわゆる督励とか、そういうことよりも、むしろ正しいあり方に引き戻す、こういう面に主力を傾注しておる、こういう状況でございまして、ある意味では、保険の募集成績というものも頭打ちというのが現状でございます。  御指摘の点、まさにそのとおりだと思いますので、矯正あるいは善導というようなことに今後とも努力していきたい、このように考えております。
  82. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 やはり目標などというものを設けて、どこの郵便局長の部屋に行っても、グラフをつくって、しかもそれがパーセンテージとして大体一〇〇%やればこれは普通だ、まずまず目標は達成せられたと思うのですが、貯金局長お帰りになりましたが、保険にしろ、貯金にしろ、目標は一四〇%とか一六〇%とか、そういうことを無理やり押しつけていくということ、そしてそれが現場の管理者の指示でできるかできないか。いわゆる郵政事業運営の一つの要素となってからんでくるから、そこで局長、課長たる者は、何が何でも目標一四〇%にせんならぬ、一六〇%にせんならぬということで従業員のけつをたたく。これは募集手当というものがあって、おっしゃるように民間の保険の給与体系と体系が違っておるということも私は承知しております。しかしそれはそれなりにやはり募集するためにかなりの金を使っておるのも実態です。一番問題は、金がほしくてやるのではなくて、成績をあげなければならないから一生懸命やりよる、その一生懸命やるのが行き過ぎになってついにこういう問題が起こってくる。繰り返して申し上げますけれども、これは一件だけなら私はきょうこんなことを言おうと思いません。内容を調べてみなければと局長おっしゃいますけれども、しかし内容を調べるまでもなく、最近私どもの耳に入ってくるのが保険募集の行き過ぎですよ。これはちょっとひど過ぎると私は思うのです。ですから、やはりいまおっしゃった国営の保険としてその矜持を保っていくためには、あなたがおっしゃるように、保険のほんとうの姿というものを国民に伝えるというふうに変えていかなければならぬ。一四〇%募集したのが優秀であるとか、こういう間違った募集をしたところの局長は左遷するくらいのあなたが腹をきめなければ――職員の間でもそうなんですよ。私はこの前仄聞したのですが、非常に募集の成績のいい人間はほかのことは何もしなくても、それだけでいばっておられるのです。課長が、君、少しいまの募集のやり方は行き過ぎじゃないかと言って注意すると、おまえ気のきいたことを言うな、おまえが課長づらしてすわっていられるのもおれが保険の募集をしているからだ……。あまりものも言えぬのだ。これはあまり募集募集と募集の額に重点を置き過ぎてきた結果、保険事業そのものを今日ゆがめてきておるのじゃないか。むしろき然たる態度で基本的な姿勢を変えていかなければ、一四〇%、一六〇%とばかの一つ覚えで現場の管理者が言うておる間は、私はこの行き過ぎは直らないと思うのです。どうでしょうか。もっとき然たる態度でそういうことが二度と起こらないような施策はないのですか。
  83. 野田誠二郎

    ○野田政府委員 ただいま御指摘の保険の募集目標額と募集のあり方との関連でございますが、私ども保険募集の目標額が過重なためにそういう違則の募集なり何なりがそのことだけを原因にして起こっておる、このようには実は考えておりません。御承知のとおり、予算上たとえば四十七年度――たとえばでございますが、四十七年度を例にとりますと、四十七年度二百億という予算上の新規契約の募集目標が成立いたしましたとすると、これを現場郵便局に配ります際には、本省といたしましては当然いろんな合理的な科学的な指標を使っております。資料、計数を使っておりますが、大体一応八掛け以下、大体四分の三くらいの目標を現業に示達をする。したがいまして四十七年度は二百億の目標といたしますと、大体百五十億から百六十億くらいの目標を郵政局に、また郵政局はそれを受けまして現場に目標額を示達するわけであります。したがって、やり方といたしましては、その暦年度内における募集目標額は一〇〇%だけ達成してもらったのではちょっと困るわけであります。といいますのは、募集目標があります限りどの郵便局も――これは非常に足並みが違います。非常に優秀な郵便局は外務員の制度といいますか体制が非常に整っておる、あるいは経済状況が非常にいい。そういう非常に恵まれた郵便局以外の非常に過疎の状況であるとか、あるいは外務員の優秀な者二人をけがとか病気で欠いておるとか、いろいろあろうかと思います。そういう郵便局におきましても努力さえすれば一応目標が達成できる、そういうところに目標額を一応置きまして、大体いま申し上げました七五%から八〇%程度の目標を示達いたしております。したがいまして、努力すれば、これは必ずといっていいと思いますが一〇〇%は突破いたします。さらに努力をすることによっては一三〇、一四〇という成績があがるわけであります。このことが募集の行き過ぎあるいはお客さんに迷惑をかけるような契約の破棄ということに直結しておるというふうには私は見ていないわけでございます。  先ほどもちょっと申し上げましたけれども、どうしてこういう事態が起こるかにつきましては、いろいろこれは経済現象の一つの象徴的なものといいますか、いろいろ曲がった方向が出てきておるというわけでありまして、いまおっしゃいました特効薬的な万能的なものというものは、募集しないこと以外にまずないと私は思います。したがって、いまのこういうあり方の中でどういうふうに善導していくか、これはわれわれは非常に考えておるのでありますが、もう少し時間をかしていただきまして十分検討を進めていきたいと思います。
  84. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 時間をかけて十分検討してもらうことはけっこうですけれども、私は保険局長の言うように、目標があり、一四〇%、一六〇%というようなものをやらせることが全然関係がないというふうには考えないのです。むしろこれが一番関係が深いと思っておるのです。初めから一〇〇%なら一〇〇%割り当てて、これでもってやればいい。無理をせぬでも一二〇、一四〇いくのはいいでしょう。しかし無理をしないで八〇なら、それでもいい。全体的に一〇〇%いけばいいのです。あなたのほうは二〇%減らして出しておるかもしらぬが、郵政局が出すときは一四〇%、一六〇%の割り当てをしてやれやれと言っておる。それだけやらなければならぬということになっておる。  もう一つは、そういう募集の目標に対して、それが八〇%、一〇〇%割り当てであろうと、要するに成績があがったところの管理者が栄転をしていくのです。これはあなたが何と否定してもしかたがないんですよ。だから管理職としては栄転をするために一%でも多く保険の募集を、貯金の募集をとやっておるのが実態ですよ。そうすると、やはりそこに目標というものが設定をされて、それを一つの昇進の基準あるいは業務運営の能力の基準というふうなことにしておるから、こういうものがやはり起こってくるわけなのです。したがって、単に募集ができたからそれだけでいいのだというものの考え方を変えて、非常に質のいいもの、内容のいいものをとることによって、たとえそれが九〇%であろうとも、そのほうが優秀な管理者である、有能な業務の運営であるというふうに考え方を変えなければ、いまのようなシステムでいけば、私はこれは直っていかぬと思います。せっかくあなたも努力されておるようですから、これ以上はきょうは申し上げませんけれども関係がないとおっしゃられると、私は非常に関係があると言わざるを得ないのです。九〇%の募集しかできないところでも、それが非常に良質なものをとっていくような管理者こそ有能であって、一二〇%とってもこういうことをやるような管理者は、長い目で見るならばこれはきわめて郵政事業に毒を流した、官営の保険に毒を流したということさえこれは言い過ぎじゃないですよ。そういうふうに評価の視点を変えていかないとこれは直っていかないのじゃないかというふうに思います。何かありますか。
  85. 野田誠二郎

    ○野田政府委員 私ども阿部先生のおことば非常にありがたいことだ、このように受けとめるわけであります。私ども申し上げておりますのは、この募集の目標額制度それ自体といいますか、それが全部こういう事態を引き起こす原因、いろいろな批判の原因であるということには理解をしていない、こういうことを申し上げたわけであります。  もう一つ、御承知のとおり、先ほど申し上げましたけれども、保険契約が非常に長期の継続する契約でありますから、当該年度だけ幾ら成績をあげましても必ず短期で消滅するとか、あるいは二年以内に消滅する、そういう結果が出てきます。したがいまして、われわれも保険というのは要するに長期にわたる保険金の入手といいますか、契約の結果としてのそういう成果を期待してのことでありまして、ただ募集の数量を追うだけということを決して指導はいたしておりませんし、また、いま先生言われましたように一将功成って万骨枯るというような形での指導は絶対いたしておりません。これはまたほかの数字でもって出てくるわけでありますから、ただ当該年度だけよければよろしい、こういう指導をしておりませんことを御了承願いたいと思います。
  86. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 たいへんよくわかりました。ただ参考までに保険局長に申し上げておきますが、かつては三冠王だとか、どこの郵政局の募集成績が一番いいかというようなことから、それぞれの郵便局長が血眼になってしりをたたいた経過もあるということだけはあなたもひとつ御承知をいただいて、そういう愚を繰り返さないようにお願いをしておきます。  次に移ります。次は郵政省の機構の問題についてお伺いしますが、これはいつごろできたか知りませんけれども、郵務局に管理課経営企画室、貯金局には規画課経営企画室、保険局にも同じく経営企画室というようなものがたくさん生まれておるようでございますが、これはいつごろどういう目的で生まれたものでございますか。
  87. 廣瀬弘

    ○廣瀬政府委員 各局の経営調査室につきましては、四十七年に公達で設置されております。
  88. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 経営調査室ですか、企画室ですか。私はちょっと見て企画室になっておったようですが……。  それからもう一つ、私はそのできたときと目的を聞きたかったわけです。
  89. 廣瀬弘

    ○廣瀬政府委員 失礼いたしました。経営企画室でございます。  目的は、たとえば郵務局にとってみますと「郵務局管理課に置く企画室においては、次に掲げる事務をつかさどる。」ということになっておりまして、「郵便事業の経営に関する基本的計画を作成すること。」それから「郵便事業の経営に関する調査、研究及び資料の収集」そういった事柄がおもな事項になっております。
  90. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 もう一つ伺いますが、何々課何々企画室と呼ばれるものは、課の中に所属をするものですか、課から独立するものですか。
  91. 廣瀬弘

    ○廣瀬政府委員 これは課の中にあるものでございます。
  92. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 ここに私は郵政省職員録というのを持ってきておりますが、これに大体単位があって、課はかなり大きな字で書いて、係は次に小さい字で書いてあるのです。課と企画室というのは同じ大きさの字で書かれているから、私は企画室長さんと呼ばれるものと、課長さんと呼ばれるものは職制の上ではほぼ同格になるのではなかろうか、こう思うのですけれども、人事の上でいうならば、課長さんと室長さんというのはどういう関係になりますか。
  93. 廣瀬弘

    ○廣瀬政府委員 先生承知のように課は組織令で定められておりまして、これは一段階上というふうに私ども考えておりますし、この公達で設置されました経営企画室というものはその各課の中にある、各課には課長、それが上に立っておるというふうに私ども考えております。
  94. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これはあまり論争する気はありませんが、どうもいま聞いた内容では、特に各局ごとになければならない問題でもないというものが最近生まれてきておる。たとえば郵務局にそういう必要があってつくったら、貯金もまねし、保険もまねしてこういうものができたと思うのですが、私が見る限りでは、どうも課長さんと同格くらいの字の大きさで書かれておるようです。これは皮肉ですけれども、大体課長と係長の間くらいのところなんじゃないかと思うのですけれども、私はあまり必要がないのじゃないかと思います。  これは大臣にお願いしておきますが、そういうものをもしつくるならば、郵政省全体としてもっと権威のあるものをつくって、そして郵政省全体――いま官房にありますが、たとえばもっとこれを強化するとかいうような形で、全体のものをかちっと握っていかないと、最近の郵政省の運営が事業局――特に郵務は郵務、保険は保険、貯金は貯金というふうに分かれてしまって、それぞれが自分のところさえよければよいというような、郵政全体の流れを見失うおそれがあるのではないか。そういう意味から、企画等についてやるならば、もっと官房の中にかちっとしたものをつくって、郵政全体がいかにあるべきかというような運営を検討してみる必要があるのではないか。そういう意味でひとつ大臣にお願いしておきたいと思います。
  95. 久野忠治

    久野国務大臣 機構の整備につきましては、十分御趣旨の点などを勘案しつつ検討さしていただきたいと存じます。御趣旨の点は私は理解できるところでございますが、しかし省全体としていかにあるべきかという点を十分考えてみませんと、それはでき得ないことではないかと私は思うのでございまして、省内におきまして、阿部委員の御趣旨の点をも十分に理解しつつ、勘案しつつ、検討さしていただきたい、かように存じます。
  96. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 次にコンピューター関係の問題を少しお伺いしたいのですけれども、電算機の自由化の問題は五十年くらいになるのではないかということが取りざたされておったようですけれども、自由化されたようです。これが自由化されますと、いわゆる国内における国産の電算機と外国の電算機の市場競合が起こってくると思うのですが、大体いま国内にある外国の電算機の占める割合、大型、中型、小型、超小型、いろいろあるようですけれども、どのくらい外国製品が日本の国内のシェアを占めておることになりますか。
  97. 牧野康夫

    ○牧野政府委員 お答えいたします。  電算機の外国機と日本製国産機とのシェアでございますが、四十七年度末全体で日本国産機が五四・八%、それから外国製が四五・二%という数字が統計上出ております。
  98. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 通産省お見えになっておりますか。――これは国策上の問題だと思うのですけれども、急遽自由化された。これから日本の国内で使われる電算機が、どういう形に外国製品と日本の国産とがなっていくだろうか、そういう展望と申しましょうか、これから先の電算機の国内におけるシェアをどんなふうに展望されておるのか、お伺いしたいと思います。
  99. 水野上晃章

    ○水野上説明員 ただいま牧野監理官から御説明ございましたように、現在のところ、総設置台数でまいりますと国産のほうが若干上回っておりまして、五四・五%くらいでございます。それで、ヨーロッパにおきましてはすでて自由化をしておるわけでございますけれども、イギリスにおきましてほぼ四割程度の国産のシェアを持っております以外には、ドイツでは二割程度、フランスでは一割を割っておるという状態でありまして、先生承知のように、世界におきます電算機のマーケットにおきましてはアメリカの企業の占めるシェアが九二%くらい、特にIBM一社をもちまして六二、三%のシェアを持っておる、そういう非常に巨大な企業でございますので、まことにきびしい競争になってくると思います。  ただ現在のところ、一昨年から日本にございます六社を三グループに結集いたしまして、一昨年来IBMの三七〇シリーズというのが出てまいっておりますけれども、電算機は過去真空管から始まりまして、これが第一世代といわれておるわけでありますけれども、第二世代がトランジスタ、第三世代がICというように、六、七年ごとに全く新しい機種が出てまいっておりますが、第三・五世代の機種を上回るような機種を開発しようということで、六社を三グループに結集いたしまして、現在鋭意努力しておる最中でございます。したがいまして、この計画が完成いたしました暁には、現在出回り始めておりますIBMの三七〇シリーズを上回るものができるというふうに私どもは確信しておるわけでございますが、ただ、IBMにおきましては非常な開発力というものを持っておりますので、将来どうなるかという問題は非常に大きい問題でございます。  将来どうなるかということは非常にむずかしいわけでございますけれども、現在いわれておりますのは、新しい措置といたしましては磁気パルスでありますとかレーザーを使いましたものでございますとか、そういったものなり、あるいは機構といいますか働きといたしましては、現在のデジタルなものから、声でありますとか音でありますとか図形、そういうパターンを認識するような電算機になるのではないかというふうにいわれておりまして、それも現在四十六年から八年計画で大型プロジェクトという形で開発しておりますので、何とかそういった事態にも対処してまいりたいというふうに考えております。
  100. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 いま通産省のほうのお考えを聞いたのですが、たしか公社のほうでもこの大型プロジェクトについては非常に熱意を持って進められておったようですが、いま公社の通研あたりで検討されてみて、特にソフトウエアの開発について、IBMやGEに比べてどのくらい日本はおくれておるものでしょうか、大体わかったら、見当でいいです。
  101. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  電電公社といたしましては、一昨年の法律改正によりまして、データ通信を公社の電信電話と並んだ業務ということにしまして、その前から試行サービスとして地方銀行協会の為替交換業務等をやってまいりました。また最近は特に公共的色彩の強いナショナルプロジェクトを進めるようにいま努力しております。  ところで研究開発の面の御質問でございますが、数年前から電電公社といたしましてもそういうデータ通信に使う大型のコンピューターの研究開発を進めてまいりまして、その過程におきまして通産省の工業技術院がおやりになりました国の大型プロジェクトの成果というものも十分活用させていただきましたし、また公社としても相当の経費をつぎ込みまして、名前をDIPSといっておりますが、このDIPSの開発をやり、特にこれはIBMの三七〇の中のものといろいろ性能を比べてみますと、ある部分ではIBMが伸びておるし、ある部分では通研のものが伸びておるというようなことでございます。しかしソフトウェアといいましても、OSよりむしろAP、アプリケーションプログラムについてはまだ電電公社がスタートして間もないので、この点につきましては相当おくれを示しておる。ハードについてはかなり接近してきているものができておる。私たちといたしましては、この間つくりましたDIPSにつきましてさらにこれを改良することをいま研究所でやっておりまして、この改良の内容につきましてはまた御質問があればお答えいたしますが、三種類ぐらいのシリーズに編成がえしよう、特にソフトウエアについてはこの前やりましたDIPSと同じソフトウエアを使うようにするけれども、ハード面においてそれを改良していきたい、こういうように思っております。
  102. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 いま総裁からお話がありましたように、私たちは、ハードのほうではあまり差がないのではないか、ただソフトウエアについては十年くらいおくれがあるのではないかということを大体いま耳にしているわけです。もしそうであるとするならば、いわゆるTSSサービスの関係でIBMやGEに日本の技術が対抗し得るだろうか、これは極端に言うならば日本の技術が対抗し得なくて全部外国に握られてしまう、そういう形になるのではないか。日本の情報産業が全部外国の手に握られてしまうようになったときに、それで安く上がりましたからけっこうでございますということに一体なるのかどうか非常に懸念をするのですが、政府全体としての見通しを、公社でもけっこうですから、どこかからお答えを願いたいのです。
  103. 牧野康夫

    ○牧野政府委員 お答えいたします。  ただいま先生の御指摘の点、確かにいろいろむずかしい問題を含んでおります。公社の総裁からも御答弁がございましたように、ハードウエアの面については確かにもう比肩し得る、ある面では非常に進んでおるところもあるわけでございます。ソフトウエアの面では、正確にこれが何年おくれているという数字をもって表示することはむずかしゅうございますけれども、とにかく応用プログラムの点でおくれていることは事実でございます。そこで一昨年公衆電気通信法を改正いたしまして、広く通信回線をコンピューターの利用に供するという毎度になったときに、はたして日本の機械が十分それに対応して広く多くの利用者にこれが提供できるかということについてわれわれは非常に苦心してまいったわけでございます。そこで、現在専用線的に使われているものは広く使われているわけでございますが、幸いにいろいろ企業内の活動にこれが多く利用されておりますし、日本の機械も外国の機械もともに利用されて、特に外国の機械によって席巻されたというような事実はございません。ただ最近の傾向といたしまして――傾向とまではいくかどうかわかりませんけれども、外国の企業が国際回線を結んでその利用をはかる、こういう面がございます。この面につきましては通信の利用上のいわゆる他人使用の問題だとか共同使用の問題を越えた問題も含むわけでございます。そこでわれわれとしては慎重にそれを取り計らって、少なくとも通信というものの実態に触れないような形で利用されるならばよろしいということで、先般アメリカのGE会社のコンピューターを使っている電通さんがこの利用者に提供するという回線の利用の方法についてはこれに認可を与えた次第でございます。一方電電公社も、ただいま御説明がありましたように非常に大きな組織力を持ち、技術力を持ち、そして資金力を持って活動しているわけでございます。やはりこれを大きく伸ばすことが日本の電気オンラインの情報処理を促進する一つの大きな道であるとわれわれは考えておりますので、電電公社のその方針をずっと支持して、また毎年の予算でそれを認めてまいった次第でございます。幸いに昨今におきますところの科学技術計算とかあるいは在庫販売とかいうようなものが、中小企業の方々の利用に供するまでに広く大衆的に利用できるような体制になってまいりました。しかし一方わが国における電電公社以外の人たち、企業家が、そういう事業をやりたいという方々が伸びていくような措置もやはり政策的に考えてまいらなければならないと私は考えております。その間の平衡をどういうふうに保っていくかということはなかなかむずかしい問題ではございますが、それなりに一つずつ検討してまいりたい、かように考えております。
  104. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私は、いまの日本の情報産業の中で、データ通信に関する限り、率直に言って、やはり電電公社が命運をかけて国の情報産業のあれをになっておると思うのですが、データ通信の場合やはりどうしてもシステムをどこが取るかということによって実力がもうはっきり分かれてくると思うのです。これは公社の総裁でも局長さんでもけっこうですが、大体いまのデータ通信、公社が中心でおやりになっておるわけですけれども、このシステムをわがほうで握り得るという確信がございますか。
  105. 朴木実

    ○朴木説明員 お答えいたします。  先ほど来いろいろ御答弁ございましたように、現在日本に一万五千台くらいのコンピューターがございますけれども、オンライン・リアルタイムでやっておりますコンピューターはその四%くらいしかございません。また大部分はバッチ処理に使われておる場合が多いわけです。オンライン・リアルタイムは確かにいろいろな便利な面がございますけれども、何と申しましてもコストが高くつくという点で、利用されている分野がまだ限られてございます。一番大きいのが金融機関でございます。主要な金融機関はほとんどオンラインのリアルタイム・システムを導入しておる。これはたとえば、全国に相当の数の銀行がございますが、そのシェアを申し上げますと、公社はまあ二、三割程度でございまして、残りは民間の方がやっておられるわけでございます。先ほど総裁が申し上げました各銀行を結ぶ全銀システムは、これは公社がやっております。それ以外のオンライン・リアルタイムのシステムを導入する分野というのはなかなかむずかしいわけでございますが、今後は行政官庁あるいは地方自治体、そういうようなところが率先してオンライン・リアルタイムのシステムを導入していただきたい。そういう場合には私ども存分のお手伝いを申し上げる余地があるのではないかと考えておるわけでございますが、何ぶんにも先ほど申し上げましたように、オンライン・リアルタイムのシステム、つまりデータ通信システムというものは非常に割り高と申しますか、金のかかるシステムでございますので、利用したいという要望は非常に高うございますけれども、いざ導入するとなるといろいろ問題点が出てくる。この辺は、やはり抜本的に解決するためには国がもう少し基本的な政策をお考えいただければ導入もスムーズにいくのではないか、われわれも存分なお手伝いを申し上げるチャンスも多くなる、こういうふうに考えております。
  106. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 実質的にはこれからのデータ通信の中心になるのはやはり電電公社だというふうに私は考えるのです。そういう意味ではシステムについても外国に握られることのないような措置を国の情報産業全体の中でやはり考えていかなければならないのじゃないかというふうに思います。  あと一、二問、ちょっとお伺いしたいのですけれども、電電公社がデータ通信を行なっておる法的な根拠はやはり五条の二になりますか。
  107. 牧野康夫

    ○牧野政府委員 お答え申し上げます。  五十五条の九からでございます。第三章の四のデータ通信、それの第二節設備使用契約、こういうところでございます。
  108. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それは設備使用計画であって、電電公社がデータ通信を行ない得るという法的な根拠は五条の二ですかということを聞いておるのです。公衆電気通信法の五条の二によって電電公社がデータ通信を行なうのですかということを聞いておるのです。いまのは契約のあれですからね。
  109. 牧野康夫

    ○牧野政府委員 お答え申し上げます。  電電公社が行ないますところの役務は公衆電気通信役務でございます。他人の通信の用に供するという範疇に属する問題でございまして、これは有線電気通信法第十条の「他人の通信の用に供することの制限」というところがございますが、そこのところに「有線電気通信設備を設置した者(公社及び会社を除く。)」とございます。つまりその者はやってはならないと書いてあるわけでございますが、そこで公社及び会社が除かれておりますので、そこでやってよろしいということで公衆電気通信役務として規定しておるわけでございます。
  110. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それは、公衆電気通信法五条の二で「公社及び会社が行なうことができる公衆電気通信業務の範囲」、その中に「公衆電気通信業務のうち公社が行なうことができるものは、国際電気通信業務以外のものとする。」こうなっておりますね。これは関係ないのでございますか。
  111. 牧野康夫

    ○牧野政府委員 第五条の二、これは先生御指摘のように、公社と会社、KDDとの仕事を分けた規定でございます。
  112. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そこのところはわかりましたが、それは有線電気通信法によってもけっこうですけれども、いわゆる公社が行なうということと取り扱うということ、この違いはどういうふうになりますか。――例を申し上げましょうか。たとえば公衆電気通信法の四条なり五条、ここには明らかに公社の「取扱中に係る」ということばが出ていますね。公社が取り扱うというそのことと、公社が行なうということに違いがあるのかないのかということをお伺いしたいのです。
  113. 牧野康夫

    ○牧野政府委員 先生の御指摘の点、取り扱うと行なうとの差異でございますが、観念といたしまして、公社は電気通信業務を行なうわけでございます。そういう通信業務の中において取り扱っている通信、私たちもこういうふうな概念でよろしいかと存ずるわけでございます。
  114. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 たいへん勉強になりました。  そこで続いてお伺いしたいのですが、大体お気づきと思いますけれども、公衆電気通信法の四条に「検閲禁止」、五条に「秘密の確保」というのがあるのです。したがって、データ通信の場合にもこの秘密の確保という問題が適用さるるというふうに解釈するかどうかということを承りたいのです。
  115. 牧野康夫

    ○牧野政府委員 お答え申し上げます。  データ通信も公衆電気通信業務でございますからして、当然その秘密は保護されなければならないし、確保されなければならない、こういう立場でございます。
  116. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 基本的にそれでわかりました。あと具体的な問題をいろいろ聞きたいのですけれども、時間をオーバーしておるようですからもう一点伺います。  大臣、六十三国会だったと思いますけれども、われわれはデータ通信等について、いわゆる情報産業の基本的な問題として三原則というものを打ち出して、いろいろ郵政当局なり電電公社なりのお考えも承ってきたところで、特にこれは当時の佐藤総理も、いわゆる情報産業のあけ方として基本法的なものが要るのではないかという点では、大体そういうふうになるのじゃないかというお答えだったんですが、これからとめどもなく広がっていくであろう情報産業について、何か全体的な方針というものをつくるためには、基本法、そういうものが要るのではないか、その中にはもちろんわれわれの主張する三原則というようなものも織り込まれていかなければならないのじゃないかというふうに考えます。その後この問題はどんなふうに郵政省なりで、あるいは電電公社のほうでもいろいろおやりになっていると思いますが、検討されておるのか、経過について承りたいと思うのです。
  117. 牧野康夫

    ○牧野政府委員 お答え申し上げます。  昭和四十六年の公衆電気通信法の改正の際に、データ通信をこれに入れ、回線開放論のとき、情報に関するいろいろな問題がこれから複雑多岐にわたってくるというときに、確かにその三原則についてのお話をわれわれ承知いたし、かつまたそれに従っていろいろ研究をいたしております。現在の段階ではこれはなかなかむずかしい、憲法にも関する事項でもございますので、まだ皆さまに発表していろいろ御意見を拝聴いたすべき段階まで至っておりませんが、目下誠意をもって検討、研究を重ねているということで御了承いただきたいと存じます。
  118. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 非常に早いテンポで情報化社会が進んでいきつつあると思われます。したがって国の全体的な方針として、情報産業のあり方が立ちおくれのないように、公害のように気がついたときにはどうにもならなかった、いつもあと追いをして、被害が出てそれからあわて回るというようなことがないように、少なくとも情報産業についてはやはり私は郵政省中心だというふうに考えますし、また電電公社もその一翼をになってやっていただかなければならぬわけですから、なるべく早い時期に国の情報産業に対する総体的な方向について、基本法とでもいうようなものをつくっていただくように、前からのいきさつもありますので特に急いでいただくようにお願いして、最後に大臣のこれに対するお考えを承って、質問を終わりたいと思います。
  119. 久野忠治

    久野国務大臣 御指摘の点は十分意を体しまして検討さしていただきたいと思います。
  120. 久保田円次

    久保田委員長 次回は明二十八日木曜日午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後三時九分散会