○土橋委員 いまお話のありました
簡易生命保険の一部
改正に関する
法律案の審議中に、あなたのほうで郵政審議会に答申をされまして、「特色ある
簡易保険とするための方策に関する答申」というので、二ページに、これはこの前も私は
委員会で申し上げたのですが、「
簡易生命保険の枠にとらわれることなく、
郵便局を利用することによって、簡易にしてあまねく
国民に普及されることが望ましい
保険種類と
加入者サービスは何か、」こういう議題を出しておられるわけであります。
簡易生命保険のワクをはずすというのはどういうことをいっておるのか。何をもくろんでこういう答申をしておるのか。
簡易生命保険は
簡易生命保険法第一条の規定によって、安く、簡易に、しかも無診査で、要するに安い
保険料金で多額の
保険金が支払われる、こういうのがこの
保険の基本的な
内容であるし、国が
経営しておるのだ、しかも任意
契約によるのだ、こういうことになっているわけです。こういう答申をなぜやったのか、ちょっと私は疑問がある。時間がないから詳しく聞く必要はありません。
こういう答申をして、そして六つの新しい
保険契約のものを提案をしておる。今回国会に上程してまいりました
内容は、最初の
傷害保険と中間に書いておる
疾病保険と
二つあわせて、このいわゆるかけ捨ての定額
保険というものを上程してきておるわけです。
私はこの前もお話をしましたように、つまり
田中政府や佐藤
政府のような、こういう自由民主党の政権のもとでは非常にインフレを促進する、したがってその
保険金が常にインフレに勝ち得るようなそういう
保険を考えなければ、
簡易保険局のいわゆる将来の
使命というものはない。とりわけ、ここにも簡災
保険の問題を提起しております。あるいは私が提案しておったような
簡易保険の増額
保険、つまり剰余金などをやる、こういう問題が緊急の課題であるわけであります。でありますので、こういう問題について簡単でいいですから、考慮していただけるかどうかを答えていただけばよろしいのです。
もう一つは、募集の話法がどうだこうだという問題を起こしておりますが、これは多くの方々からひんしゅくを買うだけじゃありません。
簡易生命保険の、要するに国家事業としての信用を失墜するものであります。この
資料にも、四十七年度の後半においてこれで
簡易生命保険の募集が非常に困難になったということをちゃんと端的にあなたのほうは披瀝しておるわけです。それは
経営者
労働者災害
保険だというようなインチキな宣伝をして、静岡県ではたいへんな騒ぎをして、それでこの
内容がきわめてインチキだったということを
簡易保険局は自認をして、そして千何件の
件数が一挙に解約をした。いまのお話のように、これは中野北
郵便局だけじゃありません、石神井だけじゃございません。もう全国的にそういうことをやって、要するにいま
郵便局に行ってすぐわかることは、
簡易生命保険の募集の
金額とその募集の
件数を上げることについて、
局長室へ行っても
簡易保険局の窓口に行ってもみな書いているわけですね。しりたたきをしておる。こういうことで非常に独占
資本に奉仕するような金を生み出すために狂奔しておるということは、私この前も再三しつこく申し上げたつもりなんですが、この表によってきわめて明瞭なんです。これはやはり
保険契約者あるいは
地方公共団体にきわめて安い利子で貸せる方法をとるべきだということを私はさらに提案したいのですが、これに対する簡単な答え。
それから、いま問題になっておるのは賃金が非常に低いということです。これはこの間
資料を請求したのですが、十五年つとめて内勤で六万五千円、十年つとめて五万四千円前後でございます。これは公務員のまあ中間的なものであると思うが、十年たてば大体妻、
子供一人というふうになっておる。十五年たてば大体
子供が二人と妻、それにおそらくおじいちゃん、おばあちゃんのどちらかをめんどうを見るという事態が大体多いと思うのです。そうすると五人の
家族で、十五年つとめて六万余の金で、そして共済費を引かれ、組合費を引かれて、ちょっとした交際のものなんか買いましてやれば、手取りはおそらく五万円を欠けるかもわからない。五万円ちょっとしか持って帰れない。こんな給料で一体暮らせるのかどうか。これで
労働者がストライキをやらないというならば私はそれこそ問題である。どろぼうして
生活することはできないわけですからして、だれもが人間に値をする
生活をするためには、どうしても賃金を上げるという問題が根幹であります。この問題について、十五年もつとめていまもってこういう低い賃金で、そして
子供が二人あって、奥さんがいて、おじいちゃんかおばあちゃん、そういう人がいるというところで、高い家賃を一万円も一万五千円も払って、東京周辺や大阪周辺で一体暮らせると思っているのかどうか。暮らせるとしたら、これはふしぎです。いままでの公の
資料によっても——大体きのうも国鉄の酒井書記長が言っておりました。十五年つとめて、うちへ持って帰る金は大体五万円そこそこだと言っていました。これで一体食っていけるのかどうか。これは国鉄
労働者の場合も全逓
労働者の場合も全電通もそう変わりはないと思うのです。したがって、たとえばここに書いてある扶養手当あるいは調整手当とか、そういうものはもうそれほどたいした足しにならないのですね。基本給を上げるということが基本でなければならないわけです。それがこんなに低いのですから、これはもうお話にならない。そういうお話にならない賃金を押しつけているのがいまの
田中政府であります。
でありますから、公務員が、御
承知のように今度二十六日から公務員共闘、また公労協及び官公労の皆さん、それから
民間のそれぞれの団体が一斉に大幅賃上げを中心として、さらに年金の拡充強化の問題とか、あるいはスト権の奪還であるとか、あるいは処分の撤回——特に全逓の場合ですと一昨年は八千五百名を処分しておる。ことしの四月十四日にやはり六千四、五百名の処分をしておるわけですね。合計大体一万四千人以上の処分を出しておるわけです。そしてこれは正当だ正当だと言っておるわけです。ところが御
承知の憲法第二十八条の規定によれば、もう明らかにこの権利は
国民、
労働者の基本的な労働三権であります。団結権、団体交渉権、ストライキ権は、もう世界じゅうほぼ共通の自由であるわけです。御
承知のように、これが
保障されておるその憲法第九十八条の規定から見るならば、この憲法の条章に違反をするいかなる
法律であろうとあるいは政令であろうと何であろうと、その全部あるいは一部が無効であるということを明言しておるわけですね。ところが
田中内閣の、ことにきのう、おとといの新聞を見ると、郵政大臣も加わって、そして賃金だけはまあ出そうというので昨年並みの回答を出しておる。この昨年並みの回答というしろものがこれまたまことに低いものであるわけです。大体国鉄にして一万一百円前後です。それから全逓の場合ですと八千九百円前後であったと思っております。九千円に足らないわけですね。これには定期昇給が入っているわけです。定期昇給は大体平均で千六、七百円から二千円前後だ。いま
要求しておるのは二万五千円を
要求しておるわけですね。そうすると、要するに大体三分の一に満たない
内容であるわけですね。郵政大臣もひとつこれをよう見てください。これは
資料に出ておりますが、これを見ますと、初任給が大体四万二千円前後ですね。それから十年たって五万四千円、大体十年かかって一万円しか上がらないのです。その次は五年かかってやっと一万円しか上がっていないわけですね。二十年で、これで見ると大体八万円ということになっておるけれども、いまお話をするように、二十年で手取り家に持って帰る金が大体七万四、五千円でしょう、いろいろなものがくっついていますからね。そうなってくると、二十年もつとめて大体七万四、五千円前後の手取りを持って帰って、
子供を学校にあげるとか大学にあげるとかということはできっこない話です。ですから、あなた方がそういう回答を出されて、一応国鉄などではそれを評価いたしまして戦術ダウンをしたということを承っております。しかしきょうは私は立川から来ましたが三時間かかっておる。バスに乗ったり電車に乗ったりあるいはタクシーに乗って、三時間かかってやっと国会に着く始末です。こういう事態について
政府が責任を負うべきでしょう。
労働者の賃金を安くしておいて、そして何かあれば処分だ処分だとおどかしておいて、現に処分をしておいて、しかも今日のこのいわゆるゼネストといわれるのは労働組合が持っておる基本的な人権であります。それをダグラス・マッカーサーなどがつくったああいう方法でスト権を奪っておいて、そして何かというと処分だ処分だで、給料見たら食っていけないような賃金を与えておいて、一体何事ですか、これは。私は今度のこのゼネスト、そういうものを好むものじゃありません。まことに遺憾な現象です。しかし少なくともこのストライキが、きょうは二十五日でございますが、二十四日の問題でもきょうのような事態に——この会場に見えられた公務員の皆さんはたいへん苦労して来ておられる。これがもし二十六日からこのような事態が起こるならば、この責任はあげてやはり
田中内閣の問題であると私は思うのです。ですから郵政大臣は確たる
態度をもってこのスト権を認めるということ、これはあたりまえなんですよ。そしてきょう、二十五日は鉄鋼労連の一発回答があるはずです。また私鉄総連の中央労働
委員会の調停案の一定の目安もきょうは出てくるはずです。ですからそれに先んじて全電通と全逓は——この
資料にもいろいろ書いてあります。いろいろ説明しておりますが、私は時間がございませんので、この問題について——やはりスト権を認めるということ、これはあたりまえなんですよ。何も
国家公務員だからといって特別賃金が高いというわけでも何でもない。こういうようなことはやはり
政府が責任を持って、
国民にほんとうに交通の安全を
保障するとかあるいは
国民生活を
保障するとか、あたりまえのことですよ。それをやらないということは、明らかに
政府が
労働者をしてかような、まことに遺憾な現象を自発的に行なわせる、そういうことをやっていると言っても過言ではございません。
もう一つは円・ドル問題であります。これは
日本の社会
福祉が非常に低いということ、低賃金政策であるということ、これが常に
わが国の円を切り上げ切り上げに持ってくる原因であります。社会
保障についても、皆さんよく御
承知のように、ヨーロッパの先進国といわれ、工業生産力が
日本よりもはるかに少ない国であっても、その給付
内容は大体一五%以上であります。これはスウェーデンにしても西ドイツにしてもイタリアにしてもそうですよ。
日本は四・九%ですよ。全生産費に占めるところの社会
保障の給付費率はそんなに低いのですよ。おまけに賃金が低いのですよ。ですから、こういうでたらめな国の政治をやめる必要がある。大
資本や
アメリカに奉仕するようなこういう政治をやめて、やはりこの高
福祉高賃金を与えるならば、私は円・ドル問題についてだってそんなに——いま世界的にもいわれておる問題ですが、解決できる道ではありませんか。それをやらないでおいて、しりたたきをして、低い賃金で、そして片方で、ストをやれば処分をするぞ処分をするぞ。七〇年代においてこんな国の政治体制というものは、これは全
国民から見て、すみやかに葬るべきであります。
私は、そういう点から郵政大臣の、前の
二つの問題は簡単でいいですが、あとの問題はこれは国全体の進運にかかわる問題であると同時に、皆さん方や私たちがこうして暮らしておるのは、何といっても
労働者、農民、それらの諸君が生産にいそしんでくれるために、苦しい戦いをしながらやってくれるために、われわれは生き延びることができるのであります。この者をこんな
状態に置いて、いわば踏んだりけったりするようなことは、私は良心ある人ならば許せないことであります。当然賃金格差もある
程度縮めなければいけません。つまり上は非常に取っておる、下はもう低いところでこんなになっておるわけですね。ですからかりにこれが二万円出ましても、
日本のこの賃金体系からいうと二万円の大幅賃金の均てんに浴するという人はごくわずかの人なんです。大多数の人は、下のほうでたかだか千八百円上がったとか千五百円上がったという
程度であります。こんなことで暮らせるはずはないわけです。ですから郵政大臣がいま申されたように、賃金は回答したからいいというようなことでは済まされない。二万五千円びた一文欠けてもならない。これは直ちに
政府が責任をもって出すということ、そうしてこういうスト権のいわゆる取り上げ、これを直ちにやめるべきである、また処分は全部撤回すべきであります。そして最低賃金制度を確立するなりあるいは社会
保障や年金制度を拡充して、ほんとうに
日本のいわゆる体系といいましょうか、物価体系といいましょうか、こういうものを変えることが必要だというふうに私は思いますが、久野郵政大臣はどう考えておられるのか、簡単に答えていただきたい。