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1973-03-26 第71回国会 衆議院 逓信委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年三月二十六日(月曜日)     午前十時十九分開議  出席委員    委員長 久保田円次君    理事 宇田 國榮君 理事 梶山 静六君    理事 羽田  孜君 理事 阿部未喜男君    理事 古川 喜一君 理事 土橋 一吉君       小沢 一郎君    亀岡 高夫君       木村 武雄君    小林 正巳君       佐藤 守良君    志賀  節君       住  栄作君    竹中 修一君       中村 寅太君    楢橋  渡君       長谷川四郎君    宮崎 茂一君       保岡 興治君    渡部 恒三君       大柴 滋夫君    金丸 徳重君       久保  等君    堀  昌雄君       森井 忠良君    米田 東吾君       平田 藤吉君    大野  潔君       田中 昭二君    小沢 貞孝君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 久野 忠治君  出席政府委員         内閣法制局第二         部長      林  信一君         郵政大臣官房長 廣瀬  弘君         郵政省電波監理         局長      齋藤 義郎君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      岡島 和男君         郵政省電波監理         局放送部技術課         長       野口 嘉彦君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     前田 義徳君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    小野 吉郎君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   藤島 克己君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   竹中 重敏君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   佐野 弘吉君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   大村 三郎君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   松浦 隼雄君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   藤根井和夫君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   野村 忠夫君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     吉田 行範君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     坂本 朝一君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     斎藤  清君         参  考  人         (日本放送協会         経理局長)   堀場 仁徳君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ————————————— 委員の異動 三月二十三日  辞任         補欠選任   平田 藤吉君     三浦  久君 同日  辞任         補欠選任   三浦  久君     平田 藤吉君 同月二十六日  辞任         補欠選任   内海 英男君     佐藤 守良君   木村 武雄君     保岡 興治君   草野一郎平君     小林 正巳君   園田  直君     小沢 一郎君   長谷川四郎君     渡部 恒三君   本名  武君     住  栄作君   村上  勇君     竹中 修一君   米田 東吾君     堀  昌雄君 同日  辞任         補欠選任   小沢 一郎君     園田  直君   小林 正巳君     草野一郎平君   佐藤 守良君     内海 英男君   住  栄作君     本名  武君   竹中 修一君     村上  勇君   保岡 興治君     木村 武雄君   渡部 恒三君     長谷川四郎君   堀  昌雄君     米田 東吾君     ————————————— 本日の会議に付した案件  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出承認第二号)      ————◇—————
  2. 久保田円次

    久保委員長 これより会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。久保等君。
  3. 久保等

    久保(等)委員 最初に私は郵政大臣に、かねてから懸案になっております電波法放送法改正問題について簡単にお尋ねいたしたいと思います。  放送法電波法改正問題は、すでに十数年来の懸案になっております。途中一度は郡郵政大臣の当時に、国会にこれが改正案が出されたことがございますが、これも多少時間的な関係もあったと思いますが、審議未了になった経過がございます。先般当委員会でもそのことについて質疑がなされましたが、大臣のほうから簡単に御答弁がありました。私は、この電波法放送法という非常に重要な法律ができ上がってすでに二十数年経過いたしておりますが、非常な激しい情勢の変化から考えますと、放送法電波法ともに早急にすでにもう改正をしていなければならない問題だと実は思うのですが、今国会においても、これに対する改正案が出される予定ではないようであります。  そこで、端的にお尋ねしたいと思うのでありますが、長い間すでに郵政当局でも検討検討を重ねられてきた問題でありますだけに、どのあたりをさらに検討しなければならぬのか、検討を要する問題があるとすればきわめて煮詰まった形での問題がすでにあるだろうと思うのです。そこで、そういったような状況等についてもできれば委員会等に報告をし、できるだけ世論の理解を得るように検討機関において努力をすべきじゃないかというようなことも、私すでに数年あるいは十年近い前々から申しておることなんです。先般の郵政大臣の御答弁では、何か全く白紙の立場検討しておるような感じがする程度の、非常に遅々として、前向きで進んでおるのかどうか疑わしいようなお話だったのですが、そのことについて一体どういう作業状態にあるのか、一体めどをどこらに置いて検討しておられるのか、現在の状況についてできるだけひとつ要領よく、簡潔に御答弁願いたいと思うのです。
  4. 久野忠治

    久野国務大臣 ただいま御指摘のとおり、放送法電波法改正につきましては、去る第五十一国会提出をされまして、そのときの案を土台にいたしまして、電波監理局内関係官をもって委員会を構成して問題点をいま検討いたしておるような次第でございます。その検討内容等につきましては政府委員をもってお答えさせますが、私といたしましては、まだ今国会でこの放送法電波法改正案を出さないと言明申し上げておるのではないのでございまして、でき得る限り早期にこの問題に結論づけるように、現在この委員会において内容を煮詰めるように検討をいたしておるような次第でございます。
  5. 久保等

    久保(等)委員 この国会提出をするかもしらぬというようないま郵政大臣の御答弁なんですが、国会もぼつぼつ——会期の末も五月の二十日と予定されております。これだけの重要法案について、私は、今国会へ出すのであれば出すということについて、よほど具体的なめどがなければならぬと思うのですが、出すかもしれぬ、出さぬかもしれぬという程度の御発言では、この両法案重要性から考えて許されないと思うのですが、ことによると出されるということですが、そういう状態ですか。もう一ぺんそのことについてお答え願いたいと思います。
  6. 久野忠治

    久野国務大臣 内容につきましてはあと政府委員から答えていただきますが、非常に多岐にわたっておりますし、問題点も多々あることでございますので、でき得る限り各方面の皆さんの十分の理解と御納得のいただけるような案にいたしたい、かように考えておる次第でございまして、そういう意味から慎重に検討いたしておるということでございます。私自身といたしましては、長年にわたります懸案事項でございますから、できるだけ早期にこの案の内容をひとつ取りまとめるように、こういうことを実は事務当局指示をいたしておるような次第でございます。
  7. 久保等

    久保(等)委員 それでは、事務当局のほうから長々と説明を聞く時間もありませんし、またそういう必要もこの場ではないと思うのです。要するに、いま大臣の御答弁で、慎重に検討しておるができるだけ早急に結論を得たい、ことによったらこの国会提出できるかもしらぬというような含みのあるような御発言ですから、内容についてはきわめて簡単に、一体どういう作業状態になっておるのか、ひとつ大臣の御答弁との関連においてお答え願いたいと思うのです。
  8. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 現在電波監理局の中で少数の関係官をもって検討しておりますが、これは去年の九月から現在まで検討を行なっておるわけでございます。  おもな内容は、チャンネルプラン電波計画的使用でございますけれども、これの基本的な原則をいかにすべきかという事柄に対する検討。それからNHK、民放二本立ての制度をとっておりますが、現行制度でもおのおのその特色ある番組を出すということで一応の性格づけはできておるわけでございますが、さらにこれの性格を明確にする必要があるのかないのかというような問題。それから放送局の免許の基準でございますけれども、いま非常に多岐にわたっておりますものですから、これを法制的に一貫したものにつくり直すという必要があるかどうか、あるいはそれに何を盛るべきかというような問題。その他、放送大学それから音声多重放送の取り扱い方、これは前にはない問題でありますけれども、それから衛星放送関係についていかに規律があるべきか、こういうような問題について研究、検討を進めておるわけでございます。
  9. 久保等

    久保(等)委員 事務当局のいまの説明では、私のお尋ねしておることに対するお答えにはなっていないと思う。その中身検討すれば、これは際限ないと思うのです。放送あるいは電波という、このまさに日進月歩といえる事業の場合には、次から次へと新しい問題が提起されておると思うのです。だから、そういう問題を法律の中に盛るか盛らないかということを検討していくことは、これは常時検討されてしかるべきだと思うのです。ただ問題は、私は先ほども申し上げたように、長い間の懸案である問題について、いずれのときにかやはり区切りをひとつつけて、そこで大改正を行なわなければならぬ、そういう状況、私はすでにもう十年前からこの問題が提起されておると思うのです。そういう経過を踏まえて、この際、一体放送法電波法改正に踏み切って改正案国会に出すか出さぬか、こういう状態にもうすでにずいぶん前から置かれておるわけです。検討検討という話は私のお尋ねしておることに対するお答えにはならないわけでして、目下のところ検討しておるところがどこかという程度意味では意味があると思うのですが、いま電波監理局長説明のあった問題についても、一体基準を設けるか設けないかということになれば、やはり決断判断の問題であると思うのです。そういう判断にかかっておる問題が相当部分あると思うのです。そういう問題になると、これは事務当局ではなくて、郵政大臣の最終的な決断、こういったことが問題になると思うのです。各方面意見ということになりますれば、これはまたすでに各方面から何回となく巻き返し繰り返し意見を聴取してきた今日までの経過があるわけです。まだもしそういった点が足らないとすれば、もう少しオープンにして、こういった点、こういった点について検討しておるが、いずれの判断も実は下しかねておるのだというようなことを、たとえばこういった委員会の場を通じて報告し、説明し、そうしてまたわれわれの判断も求めるべきだと思うのです。ただ事務当局が何十年かかって検討しておっても、もうこれで終わりなんだ、検討する事項は全然ないんだということは、この電波法放送法改正問題についてはあり得ないのじゃないかと私は思っておるのです。それほどそのときそのときの技術革新あるいはまた世の流れの激しさに直接関係するのが電波法であり放送法であると思うのです。そういう点を考えますると、郵政大臣先ほどの御答弁の中で、あるいはこの国会改正案を出すかもしらぬというような答弁があったのは、私はいささか、先般の郵政大臣答弁考え合わせますると、何か相当作業が進んでもうまとめに入っておるような感じさえしておるのですが、郵政大臣判断ではまとめに入っておる段階でしょうか、どうなんでしょうか。
  10. 久野忠治

    久野国務大臣 ただいまの久保委員の御意見、まことにごもっともだと存じます。私は、まとめに入っておるとか出すとかと申し上げておるわけではないのでございまして、現在の段階といたしましては、事務当局に早急に成案を得られるようにひとつ案を取りまとめいということを強力に指示をいたしておるような次第でございまして、このつくられました案をもとにいたしまして判断をいたしたい、かように存ずるような次第でございます。
  11. 久保等

    久保(等)委員 そこで大臣、私が勢頭お尋ねしたときの私の認識では、今国会には出せないんじゃないだろうかという判断お尋ねしたのです。ところが大臣のほうから、さにあらず、この国会でことによっては出すかもしらぬというような含みのある御答弁をされたものですから、そこで私が若干——実は予定以上に質問が長くなっておるのですが、国会会期をお考え願った場合に、検討させて早急にまとめろと言っているんだという程度で、私のまとめに入っておるのかという尋ねに対して、大臣はまだそこまでもいってないんだというようないまの御答弁だったと思うのです。これだけの大法案を、一月や二月程度まとめるだけでも私は技術的にもなかなかむずかしいと思うのです。法制上の技術的な問題もあるでしょうし、なかなかむずかしいと思うのです。それを大臣が、ことによったら出すかもしらぬと言う。われわれ自体がそういうふうに期待をするというか、大臣の御答弁を受け取ってよろしいのですか。今国会に出すかもしらぬという大臣の御答弁であれば、むしろ出すかもしらぬのだというほうにウエートをかけて、おそらく出すことができるだろうというふうに理解していいのですか。
  12. 久野忠治

    久野国務大臣 出すとも出さないとも私は申し上げていないのでございまして、強力に成案が得られるようにただいま検討を進めておるような次第でございます。
  13. 久保等

    久保(等)委員 これは国会対策上の問題にもなると思うのですが、法律提出するのは一応期限があると思うのです。いよいよ会期末の二、三日になって出すというようなことはこれは異例の場合だと思うのですが、常識的に考えると、やはり一月とかあるいは一月半とか二月前だとかというふうに、法律提出するにしてもおのずから常識的な時期というものがあると思うのです。しかもこの法律案中身が非常に重大であればあるほど、そういった点についてよほど一つの見通しを立てながら国会に出されてまいるのが私は常識だと思うのです。そういう点で、大臣は、出すとすれば一体いつまでに決意をされるおつもりなんですか。
  14. 久野忠治

    久野国務大臣 今日の段階では、私はまだいつまでに決断をするかということを申し上げるのは早計かと存ずるような次第でございます。
  15. 久保等

    久保(等)委員 早計であるとか早計でないとかという問題ではなくて、私がお尋ねしておるのは、無理をして必ず出せということを申し上げておるわけではないのです。しかし長い間懸案であるから、大臣が言うように早急に改正なさるべきだ、したがって改正案を出してくるべきだということを申し上げておるわけです。したがって、大臣立場で、しかし判断をしながら処理をしてまいらなければならぬと思うのです。水の流れを待つような形で大臣立場で待っておったのでは百年河清を待つようなことになると思うのです。したがって、大臣として出すか出さないかということについての時期的な判断は当然しかるべき機会にされると思うのです。出せないものを出せるかのような印象を与えながら国会答弁をされるような不見識なことは、久野大臣はまさかお考えになっておられないと思うのです。したがって、それならば大臣は、明確に出すことができるのか、もう出すことができないというように言えるのか、それは一体いつごろになりますか。
  16. 久野忠治

    久野国務大臣 御指摘のとおり国会会期があるわけでございます。でありますから、法案案件審議等にもおのずと制約があることは私はよく承知をいたしております。でありますから、この重要な案件につきましては、できるだけ早期に私自身判断を固めたい、かように考えておるような次第でございまして、事務当局に向かっても、その案の作成についての検討を急ぐように指示をいたしておるような次第でございます。
  17. 久保等

    久保(等)委員 こんな問題で時間をとりたくありませんから質問は打ち切りますが、後日また機会を見て、私は郵政大臣にひとつさらにその時期的な問題についてもお尋ねしたいと思います。郵政大臣、いま御答弁せられたような立場で、この問題についての提出するかしないかということについての郵政大臣判断なり、中身についてのいろいろ検討せられておる状況等についても、後日またお尋ねしたいと思います。きょうのところは、この問題については幾らお尋ねしてもいま以上の御答弁を得られないようですから、私一応質問を打ち切ります。  次の問題に入ってお尋ねしたいと思うのですが、昨年沖繩復帰いたしまして、このNHKの問題につきましてもいろいろせっかく努力をせられて、本土並み放送が実施できる施策をとってこられたようです。私は極力いろいろ努力せられておる点は認めるわけです。現在いろいろ引き継ぎ等を行なわれ、そしてできるだけ放送の質、量、そういった面で本土並みにということで努力をしておられると思うのですが、昨年の引き継ぎが行なわれまして以後の状況、それから今後の沖繩県放送に対する施策、こういったことについて放送協会のほうからひとつお答えいただきたいと思うのです。
  18. 藤島克己

    藤島参考人 ただいまの御質問でございますが、昨年の五月復帰いたしました時点の沖繩地区には、OHK時代に建設されましたテレビ局が八局ございました。それから、復帰当時に間に合いました教育テレビジョンが三局ございました。復帰後、私どもは大至急、本土並み技術設備電波伝搬状況も参りますようにいろいろ努力をいたしまして、昨年度中にラジオを三局建設いたしました。これで沖繩地区ラジオはほぼ一〇〇%近くのカバレージになっておると思います。  それから、従来白黒でありましたテレビジョンの画質を、復帰以後七月から暫定的なカラー設備をいたしまして、九月の終わりから本格的なカラーに全部なったわけでございます。ただし、先島地区のほうが中継線がございませんで、現在もなおVTRテープ輸送をやっておるものですから、カラー化いたすにいたしましても本土と同じような形にまいりません。したがって、沖繩カラーの収録をいたしまして、向こうで放送しているのは全部VTRカラー放送いたしております。ただし、いま申し上げましたような事情で先島につきましては総合と教育の区別がございませんで、現在のところは両方混合して編成いたしておるような次第でございます。  それから、本島の沖繩放送局の各種の設備、スタジオ、カメラ、中継車その他のものは、全部内地と同様のカラー設備になっておるわけでございます。  現在残っておるのは、南北大東島関係がまだテレビジョン電波が届いておりませんので、ただいま御審議を願っております四十八年度の予算の中で南北大東島のテレビジョン置局をやりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  それで、なおあとに残りますのは先島のほうの海底ケーブルができました時期になりませんと、それから先の進展は大体むずかしかろうと思っておりますので、その年度はほぼ五十一年度ぐらいではなかろうかと考えておる次第でございます。
  19. 久保等

    久保(等)委員 沖繩の場合には、本土でやかましくいわれております難視聴問題、こういった問題は、いまラジオの場合にはほとんど一〇〇%というお話があったし、テレビの場合にも、ほとんどそういうところで特殊なというか、取り残されておる先島あるいは若干の島等については多少問題があるのじゃないかと思うのですが、この先島の場合にも海底ケーブル関係等もあるから、他の、これは特に電電公社関係等に関連するのだと思いますが、そういったこととの総合的な立場考えていかなければならぬ問題だと思うのです。しかし、五十一年と申しまするとまだちょっと先のようですが、沖繩県全体についてはぜひできるだけ早急にそういった難視聴という問題は、若干本土とは事情が違うかもしれませんが、いわゆる問題の解決に当たってもらいたいと思うのです。難視聴問題は、私のいまのお尋ね認識が当たっておるかどうか知らぬのですが、どんなふうに考えておられますか。
  20. 藤島克己

    藤島参考人 難視聴につきましてお答えいたします。  ただいま御質問にもありましたように、最近の難視聴の実態がだいぶ変わってまいっておりまして、私どもといたしますと、四十六年度末全国カラーテレビジョン白黒テレビジョン契約者を上回るという状態になってまいりましたので、これを機会に、各方面の御要望もございましたし、私ども自身もさよう判断しておりましたので、四十七年度に入りましてから徹底的に全国調査をいたしたわけでございます。それによりますと、今年度末つまりことしの三月末ぐらいで全国的のテレビジョン難視は大体百十七万世帯ぐらいになるのじゃないか。従来の考えからいいますとかなりふえた形ですけれども、残念ながら、いまのカラー放送その他の伝搬状態考えますと、正確に調査をいたしますと、そのくらいの数字にならざるを得ない。したがって、今後この数字を基礎にいたしまして、いろいろ解消の努力を積み重ねてまいりたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
  21. 久保等

    久保(等)委員 私のいまお尋ねしているのは沖繩の問題をお尋ねしているのです。沖繩においては難視聴問題というものは一体どういう形に現存しておるかどうか。なければけっこうですが、しかしないとは言い切れないと思います。特に先島の問題あるいはその他島嶼部分について、まだ施設等の未完成といったようなことで、あるだろうと思うのですが、広い意味での、要するにまだNHK電波の届かないところ、そういったような状況がどうなっておるか、まとめお尋ねをしておるわけです。
  22. 藤島克己

    藤島参考人 どうも失礼いたしました。沖繩地区につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたけれどもテレビジョンにつきましては、本土と先島の間が伝送回線がございませんで、VTRテープを送って番組は出しておりますけれども電波関係でいいますと、全部置局はできておりますから、内地の計算のしかたをいたしますと、ほぼ九六%ぐらいはカバーいたしております。残りはどうかといいますと、先ほど申し上げました南北大東島、それからその関連した非常に小さい島々がございますので、そういうものが、今年度の南北大東島の置局をやりますと、ほぼ本土と同じ程度カバレージに相なるかと思います。  ラジオにつきましては、先ほど申し上げましたように、ほぼ一〇〇%に近い。先ほどちょっと落としましたけれども、FMにつきましては、これも四十八年度の計画といたしまして、三局を実施いたします。そういたしますと、九十数%のカバレージに相なるわけでございまして、これはあと伝送回線ができれば逐次先島のほうへ延ばしてまいりたいと思います。したがいまして、四十八年度のただいま計画している事業計画が遂行できますと、ほぼ本土と同じ形に相なるかと考えております。
  23. 久保等

    久保(等)委員 受信料は本土に比べると低料金になっているわけですが、将来は当然本土と同じ形になってまいるのだろうと思うのです。この受信料を本土と均一にしてまいる時期は、いつごろをめど考えておられるのか。そのことについて、簡単にお答え願いたいと思います。
  24. 斎藤清

    ○斎藤参考人 お答え申し上げます。  受信料につきましては、沖繩復帰に伴う特別措置に関する法律の百三十五条に基づきまして、特別に低廉な受信料額ということにいたしてございまして、四十七年度に復帰後、普通契約は本土の場合は三百十五円でございますが、沖繩の場合は二百五十円、それからカラー契約につきましては、本土の場合四百六十五円でございますが、沖繩の場合四百円にいたしました。これは御存じのとおり法律上の規定もございますし、また、法律自身が時限法で五年間ということになってございますので、われわれとしてはこの五年間の期間は継続して、その上で、その後におきまして本土と同様にするということについては考えてみたいというふうに思っております。
  25. 久保等

    久保(等)委員 郵政省にお尋ねしたいと思うのですが、郵政省での民間放送関係ですね。この状況について、どんなふうになっておるのか、これも簡単にお答え願いたいと思うのです。
  26. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 沖繩の民放でございますけれどもテレビジョン放送は、琉球放送沖繩テレビというものがございまして、二社あるわけでございます。それから、先島のほうには中継局がございませんので、民放が見えないところがNHKに比べて相当多くなるわけでございます。  それから、標準放送につきましては、琉球放送、これが日本語放送と英語放送をやっておるわけでございます。英語放送は暫定的に認められております。それからラジオ沖繩、これが放送を行なっております。それから、例の極東放送というのが最近許可になりまして、中波の放送を行なっておるわけでございます。  以上でございます。
  27. 久保等

    久保(等)委員 その極東放送なるものは、かねがね問題になった放送だと思うのです。これはアメリカとの関係における問題として国会でもいろいろ問題になったと思うのですが、ぜひひとつ、そういったことについては不断の努力を今後も郵政当局、特に郵政大臣に要請をしておきたいと思うのです。こういった電波放送に関しても、沖繩が完全に本土並みになるように、非常に高度の政治的な問題ではあろうと思いますが、ひとつ不断の努力を強くお願いをしておきたいと思うのです。  沖繩問題については以上で終わって、次に移りたいと思います。  次に、この国会で特に問題になっております例の東京放送会館のあと地売却の問題に関連する問題について私も若干お尋ねしたいと思います。  この国会に予算案が出されておりますが、この予算案の中で、放送会館売却問題について若干触れて記述せられております。しかし、この予算案の中に記述せられておりまする点は、きわめて簡単に記述せられておるにとどまります。すなわち、予算の計画概説の中で、「放送センター総合整備の完了に伴い、東京放送会館の土地・建物を売却する。」売却した場合にその金の使途について触れておるわけですが、これだけ簡単な説明が記述せられております。しかし、放送法四十七条によりますと、放送設備なり放送設備の一部を譲渡あるいは担保、その他に供する場合には郵政大臣承認を得なければならぬ、その事前に国会の同意を得なければならぬ、こういうように、放送設備を処分する場合にはそういった規定がございます。この規定には該当しないという判断のもとにそういう手続はとらなかったのだろうと思うのですけれども、しかし少なくとも財産処分、しかも長い間の伝統もあり、現にここをセンターにして今日まで放送事業が、公共放送が遂行せられてきた東京放送会館の売却に関して、いざ国会に出されてまいりました予算案の中では、きわめて簡単に数行触れられた程度の、国会に報告というか記述がなされておるにとどまっております。  この扱い方について、先般来いろいろこの金額の問題その他が問題になっておるのですが、私は、時間の関係もありますからそういう問題には触れないで手続的な問題について触れてみたいのですが、一体この扱いについて、どういう考え方でこういうきわめて簡単な形で提起せられておるのか。すなわち、少なくとも放送協会のきわめて主要な部分の財産処分が、事前には、もちろん四十七条に該当しないというたてまえで国会の同意を求めるという手続がとられておらないのですが、しかしこの記述の面だけから見ると、一体どういう売却のしかたをしておるのか。説明資料によると若干競争入札にした、したがって日時等も記述せられております。しかし、そのこと自体も一体いつ現実に売却するのか、そういったことも少なくとも文書面では何ら報告されておりません。一体どういう時期にどういうふうにして売却するのか。競争入札のところまでは新聞その他のマスコミ等でも非常に強く取り上げ、大きく報道せられております。実際、具体的にいつ売却をしてしまうのか、そういったようなことについても記述がほとんどないのですが、これはNHKとしては一体どういう考え方のもとに国会にこの予算の中に盛り込んで出されてきたのか、そのことについてひとつ会長のほうからお聞きしたいと思うのです。
  28. 前田義徳

    ○前田参考人 御質問のような点について、いろいろな考え方があり得ると思います。私ども考え方といたしましては、契約書の中身と明年度の収支予算、事業計画及び資金計画との関係で、まず第一に御審議願いたいという考え方でございます。したがいまして、売買契約書はいわゆる停止条件をつけておりますが、この停止条件は二項目ございます。その第一は、この停止条件が解除される条件、すなわち契約が成立する根本的な条件として、NHKが御審議いただいております昭和四十八年度収支予算、事業計画並びに資金計画国会承認されるということを第一の前提といたしております。続いて物件の処分に関しましては、御指摘のとおり放送法第四十七条に定める放送設備としての機能を完全に廃止したとき、これがいわゆる停止条件の第二でございます。  私どもといたしましては、この第一の停止条件が解除される段階においては四十七条の効力が発生する原因をつくり上げるものであるという考え方をとったわけであります。この効力の完成のためには、四十七条に関する限りは放送設備が一切撤去されることが前提だと考えられます。したがいまして、この契約書は、同時にその機能を完全に廃止する時期というものを明示しております。これは簡単に申し上げますと、最終的には昭和四十八年九月三十日という日にちを入れているわけでございます。  私ども考え方を非常にあれこれと申し上げましたが、私といたしましては、要するにあの本館の処分の問題は当委員会におきましても過去数年にわたって御審議を続けていただいているものであり、したがって、四十七条との関連で、郵政大臣の認可が同時に国会承認を経ることが条件となっているという関係の中で、御審議いただいております四十八年度の予算案、事業計画及び資金計画との関係で、その御承認をいただくことによって、いろいろ基本的な停止条件の解除の可能性が出てくるということを私どもとしては考えたわけでございます。同時に、そればかりでは不十分でございますので、四十七条との関連の措置について、ただいま御説明申し上げましたような順序を経たいと、このように考えているわけでございます。
  29. 久保等

    久保(等)委員 いまの会長の御答弁理解されることは、非常に何というか四十七条の関連において回りくどいというか、四十七条の趣旨を体してというような意味で、少なくとも予算の成立を停止条件の一つの理由にしておるという御説明だったと思うのです。したがって、この契約そのものが国会で予算が承認されなければ契約は効力を発しない、こういう御説明だったと思うのです。そうすると国会での承認が何か条件になって契約は結ばれておるような御説明でもあるんですが、しかし、もちろん四十七条を正面から理解した上に立って契約を結んだのではない、こういう趣旨でもあると思うのです。いずれにしても、私はしたがって、国会に少なくとも契約の中身——一体いつ具体的に引き渡されるのか、これはいま言われるように停止条件つきなんだということですが、停止条件つきの条件の一つの大きな原則は国会での承認を得ることだ、こういうふうに言っておられるわけですね。そうだとすると、先ほども私がちょっと申し上げましだように、文書によって国会に出されておりまする予算案に関する限り、どうもそういったことについての記述がなされておらない。全然なされておらない。私は当然、こういう中身でもって契約をするんだから、ひとつこの国会での承認、これは国会承認というか国会の了解を求めるというか、国会に報告をするというか、いずれにしても契約の中身について、すべて別件扱いにでもして、文書でもってきちっと報告すべき点は報告すべきではないか。説明を聞けば、なるほど停止条件つきとか云々とかいう問題が出てくるのでけれども、文書の上ではそういったことは正式には出ていない、こういう予算案の提出のしかたについて会長はどうお考えになりますか。
  30. 前田義徳

    ○前田参考人 私どもといたしましては、先ほど申し上げたように国会との関係郵政大臣との関係においては明らかにはっきりと停止条件をつけており、その完成が契約実行の条件となっているわけでありますが、売約契約そのものは民法上の行為でありまして、したがいまして、その主体はNHKとこれを買おうとする者との関係になると考えたわけでございます。したがいまして、私どもはこの限度においては、これは普通の民法上のあるいは商法上と関連する行為であり、この行為の結果が明年度予算の予算書、あるいは収支予算、事業計画、資金計画との関係においてどういう立場に立つか、どういう関係にあるかという点は、これは郵政大臣意見書を付して御審議いただく目標になると思います。したがいまして、私どもは、契約そのものについてはこれはNHKと相手方の関係であり、その契約の結果を予測しながら、これを金額的に、あるいは処分のしかたとして四十七条をも考慮に入れて、これと抵触しないというたてまえを明らかにしての事業計画等につきましては予算書を通じて御審議いただけるもの、こういう考え方をとったわけでございます。
  31. 久保等

    久保(等)委員 だから国会の予算審議立場からいくと、こういう契約がなされるであろう、そうしてその売り上げ代金三百五十四億何がしかが入ってくるであろう、そういう何か想定の上に立って予算案を審議せざるを得ない。こういう国会立場からいくと、それこそ何か不確実なことを前提にし、条件にしながら予算の審議をしなければならぬというような関係になっておると私は思うのです。私はそうじゃないかと思うのですが、どうですか。
  32. 前田義徳

    ○前田参考人 停止条件つき予約契約ではありますが、商行為はすでに、この予算書の御審議を願う前に、停止条件つきであったとしても一応完成しているわけでございます。したがいまして、その停止条件は国会の予算、事業計画並びに資金計画との関係NHKがこれを修正すべき立場になるかならないかというNHK自体の問題でございますので、形としてはただいま御審議いただいている形をとらせていただいた、こういうことでございます。
  33. 久保等

    久保(等)委員 いま契約は完全に結ばれたというのだけれども、その契約なるものが予約契約というか、本契約はまだこれから結んでいくということになるんだろうと思うのです。もし前田会長のいま言われるようなことを力説せられると、そういう本契約を、現実には放送設備として活用しておる段階の中でそういう契約をされるということになってくると、四十七条によって、それこそ郵政大臣承認を求めなければならぬ、国会の同意を得なければならぬという問題になってくると思うのです。だから、どこに、どういう、どちらの点に重点を置くか明確にしないと、われわれ予算の審議をする立場からいえば、契約はなされて九月になったら金が入ってくるであろう、そういう契約をこれから結ぶであろう、そういうことを前提にして少なくとも国会でもってこの予算を審議して、そしてこれでけっこうでございますということにはならぬと私は思うのですね。しかし、そうじゃないんだ、いま会長の御説明になるように、いやそれは実は四十七条という問題もあるけれどもNHKとしてはこの予約契約といいながら、しかしこれは本契約と同じような効果を持たせるんだというような説明になってまいりますと、これまた四十七条との関係がどうしても出てくる。それほどの効果のある契約を、現実に運用しておる放送設備の売却について締結できるかどうか。すなわち郵政大臣承認も求めない、国会の同意も得ないという状態でそういう契約が結べるかどうかという問題になってくると思うのです。何かわれわれ自体のこの予算審議が、今後の本契約の結果にすべて期待をする、そのことを認めた上で予算の審議をするという形になると思うのです。その点非常にむずかしい扱い方をしておると私は思うのです。  郵政大臣、この点についてどういうようにお考えになりますか。四十七条の適用を受けるとすれば——私はまた四十七条の適用も考え考えられないことはないと思うのです、現実にいまいう放送設備は生きておるわけだし、現用の放送設備なんですから。しかもいまNHK会長の言われるように、それに非常に重点を置いて契約効果を持たせておるという考え方であればあるほど、これは四十七条との関連において処理をすることのほうが無難だと思うのですが、いかがですか。
  34. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 ただいまの放送法四十七条の解釈の問題でございますけれども、四十七条の放送設備と申しますのは、端的に申しましてこれは放送に必要な施設ということができると思うのですが、これは、電波法上にいうところの電波を送るあるいは受けるというための電気的な設備である無線設備、そのほかに、放送を行なうためにこれと有機的に一体をなす限度におきまして建物とか土地とかいうものも含まれるものと考えられております。すなわち送信機、送信空中線、それから調整装置、電源等の無線設備のほかに、これらの設備を収容しておりますスタジオ、調整室、電源室等の建物及びこの建物敷地等も放送設備に当たりまして、無線設備を収容する建物、土地、こういうものがなくては放送の機能の維持が考えられないという理由からでございます。  なお、放送法第四十七条の規定は、協会の放送機能に支障を来たさないようにしよう、こういう立法の趣旨であろうかと思いますが、本条にいうところの放送設備と申しますのは、現に使っているもの、現用の放送設備をさすものでございまして、ただいま御指摘になりましたように、問題になっておりますように、協会が全くその放送の機能を停止した後に売買するというような場合には、本条にいうところの放送設備には含まれないというのが郵政省の解釈でございます。
  35. 久保等

    久保(等)委員 それはわかっておるのです。売るときには、現実に引き渡すときには、現用してない状態になったときに引き渡すということをいっているのですから、その時点では問題ないのです。しかし、いま国会でこの予算案を審議している現時点においては、これは現用設備です。したがって、この現用設備であるものを実際に引き渡すには、九月か十月か知りませんが、とにかくいずれにしても当分先になるわけです。そういうふうな形で売却をする、要するにこれは予定ですよ。その売り渡すことを予定をして、いまここでこの予算そのものを承認するかしないかという問題になってくると、これは私は、現在の状態においては、少なくとも現用設備であるものについて一体そういう形でわれわれ自体が承認できるかどうかということになってくると、これはあくまでも将来に対する予想を前提にしてここで論議をし審議をして、そうして現実にもうこれに対してわれわれ自体が態度をきめなければならぬということになっておる国会立場からいたしますると、そういういわゆる停止条件つきの契約というものは未来にかかっておるわけです。ところが、片やNHKは、国会承認されることを前提にして実は売り渡すんだ、こういうことも言っておるわけですよ。だからそこのところをどちらかきちっとするならば、私は問題ないのです。国会承認を前提にして売り渡すと言いながら、国会審議しているわれわれから言うと、いま審議している段階においては四十七条を正面から適用するわけにはまいらない。現用の設備を九月なり十月なりに引き渡そうということですから、これは要するに予想ですよ。予想を前提にして、ここでもってわれわれにこの予算を審議して結論を出せ、こういうような課題が与えられた形になっておると思うのです。だから私は非常に審議がしにくいわけです。四十七条の適用を受けるわけでもない、さればといって現実にはこの設備そのものは現用として使われておる。契約の中身を聞くと、停止条件つき契約。しかし停止条件づきといっても、もうそれはあとへ戻ることのできない、ほとんど本契約と変わらないのだという会長のいまの御答弁なんですが、それならそれできちっと国会に四十七条の適用を受けたような形の扱いをすればこれはまた問題ない。ところがこの適用も受けない。しかし国会承認がなければ売り渡す効力も発生しないようになっているんだというようになっているから、国会の了承を求めるかのごとく求めざるかのごとく、これはどういうように理解すればよろしいのですか郵政大臣中身説明要らぬですから……。
  36. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 協会の今回の契約の、予約契約でございますけれども、この内容、条件が二つあると思うのです。その一つは収支予算等が国会承認されること。これは売ったお金、代金が収入支出に立てられないとこれは効力がない、こういう趣旨だと思います。それから、現用の放送設備を廃止した後において売り渡す。これは直接に収支予算等とは関係がないものでございまして、ただ四十七条との関係において直接に関連が出てまいる、こういうぐあいに理解するわけでございます。
  37. 久保等

    久保(等)委員 いまの答弁は前田会長から答弁されたことを繰り返しただけなんです。私は、いずれにしてもやはり私の疑問に対する答弁には、郵政当局答弁といい前田会長答弁といい、やはりすっきりしない、理解できないわけです。  私はそういう問題、ここで論争しておる時間的な余裕がありませんからやめますが、ただいずれにしても、さっきちょっと申し上げたように、この予算書の中での説明はきわめて簡単——簡単であるというよりもわかりません。ただ売却するというだけなんです。しかも前田会長の言われるように、国会における予算の承認されることを前提にして本契約を結び、したがって機能を停止したときに引き渡す、こういうことに将来取り運んでいく、こういう説明だったと思うのです。そうだとすると、少なくともこの予算の説明、予算の提案の中に、そういったことについてきちっと将来の運びについて記述をして国会承認を求めた——これはわれわれが承認すれば承認を求めたことになりますが、そういう中身をやはりきちっとすべきだと思うのです。要するに、停止条件つきなら停止条件つきというそういった項目についても、中身をきちっとすべきだと思うのです。これだけ読んだのでは、少なくともだんだん聞いていけば何か停止条件つきで、いま会長が言われるように機能が停止したときに引き渡すんだというけれども、そういったことはこの予算書の中には正式に何ら記述されておらない。こういったことは扱い方としては私は非常に不備だと思うのです。扱い方というか提出のしかたとしては不備だと思うのです。少なくとも金額の面からいっても、先般来問題になりましたように、NHKの明年度予算総額の約二割三分以上、売却金額を除いた総額から見ると実に三割以上の合計になる金額、そういった財産の売り渡し問題についての記述として、わずかに数行しか触れられておらない。使い道についてはそれぞれ大きな項目としてあげておられます。しかし、私はそういう金額が単位が大きいからという意味だけではありません。四十七条との関連において考えるならば、いずれにせよきちっと、はっきりした態度でもってこの問題を扱うべきだと思うのです。国会承認を求めるような形で契約を結ぶようなことを言われ、しかも実際は四十七条の適用は受けないんだという関係になっておる。やはりここらの扱いとしては、いままでかってないことではありますけれども、もう少し明確にして扱うべきだと私思います。それと、いま申し上げたように記述をもう少し、経過について——この予算案を見ればそれによって理解できる、そのことは明確になっておりません。この点はひとつ会長のほうからお答え願いたいと思います。先ほど来の論争の問題は別として、この記述の問題について、これは予算書の一六ページの(8)というところに書いてありますが、これでは一体何を——少なくとも今後の扱い方はどうなってまいるか。いま会長が言われるように、国会での承認を前提として本契約を結んで、引き渡し等も機能を停止したときに行なうということは、少なくともこの予算書の中に明確に記述せらるべき問題だと私は思うのです。これはきわめて簡単です。その点についてひとつお答え願いたいと思います。
  38. 前田義徳

    ○前田参考人 この問題は、御承知のようにあそこを売るということについては御理解をいただいていたという前提に立って、しかもこれは四十八年度中にお金が入ってくるという意味で、予算書の形式に従ってその金額を計上しているという形でございます。それと、NHKがこれを買いたいという者との契約書は、これは先ほど申し上げましたように、民法上もしくは商法上の契約の形をとったわけであって、予算書の収入合計金額の中で、三百億というお金が要するにこういう行為を経て入ってきた金であるという意味では、予算書の項目というよりも、これは御審議の際に御質問に答えるべき部分であるという考え方をとったわけでございます。予算書には一定の形式がございまして、そういう意味では、ただいま私が申し上げるように、予算書の中では、入ってくると予想される金額の総額を計上すべきであると考えております。そういう意味で私どもは予算書の予算の編成に当たったわけでございまして、この点について御理解をいただきたいと存じますが、同時に、今後そのようなケースが起こり得る場合には、さらに事前に皆さま方と御相談申し上げながら善処してまいりたいと考えております。
  39. 久保等

    久保(等)委員 予算書にのっとってやったのだというのだが、それだけでは——私はやはり国会に報告をするなら報告をする事項としてもう少しきちっと報告をすべきだし、承認を求めるというつもりで出すなら承認を求めるらしく出すべきだし、いずれにしてもこの程度でもって済まされるべき問題ではないということを私は申し上げておるわけです。その点は前田会長にも理解を願いたいと思うのです。国会で従来売却については説明してきたから、国会でいまいろいろ意見があった、これは確かにそうだし、それは私も承知しております。しかし、国会で議論が出てきた問題と、まとめて総括的に国会に対して報告することとは別だと私は思うのです。また承認を求めるべき案件であればなおさらのことです。かりに承認を求める案件でなくても、やはり報告をすべき問題は報告をすべき問題としてきちっと報告すべきだと思うのです。もしこの予算書の形式に乗らないなら乗らないで、別件なら別件の形で私はきちっと報告すべき問題だと思うのです。私はそれほど非常に大きな問題だと思いますし、非常に重要な問題だと思うのです。しかも、それをありきたりの予算書の形式だけに乗っけてあるじゃないか、確かに金額の点で書いてあるだけです。いま会長が言われるように、収支関係立場からおそらくお書きになったのだろうと思います。しかしいまの売られる契約は、売却するという問題自体が国会承認を求めることを条件にして売却されるというのであるならば、私はなおさらそのことについて少なくとも、説明でもって説明するというのじゃなくて、文書を見ればわかるような形で正式に国会提出すべきだと思うのです。  時間がありませんからもう答弁のほうはけっこうですが、私は資料として要求したいのは、契約書の写しをひとつ報告をしてもらいたいと思うのです。だんだん質問をしていくに従ってだんだん全貌がわかってくるということではなくて、先ほど会長が言われたように本契約にも匹敵すべき重要な中身の予約契約書であれば、ひとつ契約書の写しを国会提出していただきたい。これはひとつ委員長を通じてお願いいたします。  それから文化基金の問題等もございますが、もうほとんど時間がなくなってしまったのであまり触れることができませんが、一つには、これも資料をひとつ要求したいと思うのですが、先般当委員会で前田会長の御説明の中で、従来NHKの建物なり土地の処分について無償ないしは非常に安価な値段で譲渡した、こういうようなことについて、たしか会長の御説明だと約四十件くらいあったようなお話だったのですが、私はぜひ、今後のこともありますから、昭和三十八年度から十年間にわたるNHKの財産処分の案件について資料として提出を願うように、これまた委員長を通じてひとつお願いしたいと思うのです。十年間の財産処分の中身についてひとつ御提出を願いたいと思うのです。これはお願いしておきます。  それから、あれこれいろいろお尋ねしたいことがあるのですが、時間がもうなくなったようですから一言、当委員会で問題になったことで、ちょっと私の気のついたことで明確にしておいたほうがいいと思っております問題が一つあるものでありますから、ひとつはっきりしておきたいと思います。  それは、先般当委員会で土橋委員のほうから聴視料の問題についていろいろここで御質問がありました。その際郵政大臣のほうからもそれに対する御答弁があったのですが、明確にしておかなければならぬ問題として、例の受信料の支払い義務の問題、これは土橋委員のほうからは基本的人権云々の立場からいろいろ質問せられておるのですが、ちょっと速記録を読み上げてみますると、いろいろ言われておりまする中に、「つまり契約義務を強要したりあるいは一般聴視者に対して立ち入り検査などを強要して、そして聴視料をどんどん吸い上げていくというようなことは、この法の三十二条の規定から見ると非常に行き過ぎではないかというふうに私は考えるが、郵政大臣はどう考えているのか、簡単に答えてください。」これに対する答弁として郵政大臣のほうから、「三十二条の規定は、ただいま御指摘のとおりでございまして、強制的に立ち入り調査をしたり、あるいは」まあここが問題だと思うのですが、「また受信料の徴収をする権限のないことは御指摘のとおりでございます。その点は私も理解をいたしておるところでございます。」こういう答弁をしておるのです。これはしかし第三十二条は読んで字のごとくきわめて明確なので、受信設備を備えておる場合には契約をしなければならぬということになっておりますし、契約をすれば当然受信料を支払わなければならぬ、これもまた当然だと思います。しかし、郵政大臣のこのお答えの中に、「また受信料の徴収をする権限のないことは御指摘のとおりでございます。」権限であるのか権利であるのか知らぬけれども、しかし徴収はできるわけだし、またしなければならぬわけです。そのことは受信料徴収の問題に関連して今日までやかましくいわれていることですし、NHKのよって立つ財政的基盤は何といっても受信料にすべてをかけておるわけです。したがって、そういう立場からまいりますと、この答弁では非常に不適当だと思います。したがって、私は、郵政大臣としてこういう答弁をせられることはどういうお気持ちであったか知りませんが、明確にしておいてもらいたいと思うのです。三十二条の解釈とかなんとかじゃなくて、もう文言を見れば明らかですから、むしろ大臣答弁のほうが私は若干現行法の三十二条を逸脱したような御答弁になっておると思うのですが、この点ひとつ郵政大臣から明確にお答え願いたいと思います。  私の質問は以上で終わります。
  40. 久野忠治

    久野国務大臣 私のことばの足りなかった点があればひとつ御理解いただきたいと思いますが、強制的に立ち入り調査、徴収することはでき得ない、かような意味で私は申し上げたのでございます。
  41. 久保田円次

    久保委員長 ただいまの久保君の要求の資料につきましては、理事会で協議をいたしたいと存じます。  次に、堀昌雄君。
  42. 堀昌雄

    ○堀委員 昨年に引き続いてNHKの予算についてお伺いをいたしますが、最初に、昨年私が当委員会で、国が当然負担をする費用については国が負担をしなさい、こういう問題を提起いたしました。基地周辺の騒音等による聴視料の減免の問題と国際放送についてでありますが、これについてはどのような予算が取られたか、NHKのほうからお答えをいただきたいと思います。
  43. 斎藤清

    ○斎藤参考人 お答え申し上げます。  基地周辺の受信障害対策費の受け入れにつきましては、昨年度の状況では免除地域全域の半免額の二分の一を国が負担してございましたが、四十八年度からこの半免額の全額につきまして国が負担をしていただけることに相なりました。  それから次に国際放送の交付金の問題でございますが、昨年まで国の交付金の金額は年間一億四千六百四十三万五千円でございました。これが四十八年度につきましては二億八十五万円というふうに増額に相なった次第でございます。
  44. 堀昌雄

    ○堀委員 前段のほうは、全部見ることになりましたから問題はまあいいと思います。  後段のほうは、今後も費用が増加をするに伴って——これまではずっと定額で予算化されておりましたけれども、初めて増額になったことでありましょうから、まあこの点については費用の全部を国が負担をする必要はないようになっておりますから、適正な額を国に負担をしてもらうよう今後も引き続き予算の際に郵政省もその配慮を行なうべきである、こう考えておりますので、その点をひとつ特に申し添えておきます。  この予算に入ります前に、実は予算を調べております中で一つ気がつきましたのは、NHKの予算というのは放送法で定められておるところの経営委員会がこれを審議してから提出をする、こういう手続になっておるようでございます。これまでこの問題についての論議があったかどうかわかりませんけれども、この経営委員会の問題について少しお伺いをしておきたいと思います。  現在経営委員は十三名のようでありますが、一体この十三名の方というのはどういうジャンルの方になっておるのか。名前はけっこうですから、たとえば産業代表であるとか、そういう形で、それが何名、なにが何名ということで、ちょっと郵政省のほうからお答えをいただきたいと思います。
  45. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 お答え申し上げます。  放送法によりますと、委員は、公共の福祉に関し公正な判断をすることができ、広い経験と知識を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する、この場合において、その選任については、教育、文化、科学、産業その他の各分野が公平に代表されることを考慮して行なう、こういう規定になっております。それでいま、産業、文化、科学、言論、教育言論、それから言論文化、それから産業、産業、公益事業、農業、公益事業、公益事業、産業、こういうぐあいに選出分野になっております。
  46. 堀昌雄

    ○堀委員 いま私は数で聞きたかったわけですが、放送法第十六条が「教育、文化、科学、産業その他の各分野が公平に代表されることを考慮しなければならない。」こうなっていますね。いま私のほうで調べてみますと、まあわからないのもありますが、この中の六名は企業代表ですね。ちょっと言いますが、鈴木自動車工業株式会社社長、これは企業代表、産業の代表ですね。その次、サン工業株式会社社長、これも企業代表ですね。中国電力株式会社会長、公益事業といえどもこれも企業代表ですね。これは民間会社です。その次が九州電力株式会社会長、これも企業代表。伊藤組株式会社社長、これも企業代表。日本通信協力株式会社社長、これも企業代表。企業の代表者が六人、ここの中にはいますね。それから農協、漁協の代表者が一名ずつ、言論機関が一名、学者の方が一名。あとよくわからないのは、財団法人国際交流サービス協会の理事と日本ユニセフ協会会長のこの二つは、一体所属は何かよくわかりませんが、このいまの二つの、財団法人国際交流サービス協会の理事というのはどのジャンルに入りますか、ちょっとお答えい光だきたい。
  47. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 木村さんのことだと思いますが、これは文化の領域でございます。
  48. 堀昌雄

    ○堀委員 その次の日本ユニセフ協会会長、これは何のジャンルですか。
  49. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 古垣鐵郎氏のことでございましたら、言論文化、両方にまたがって考えられております。
  50. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、結局ここで明らかになったのは、私が言った企業代表の六名、農漁協の代表の二名、産業の代表が八名ということですね。そうして文化及び言論、まあ文化と言論というのはどういうのかわかりません。ここには教育、文化、科学、産業、こういうふうに例示がしてあるわけですから、言論はその他の分野でしょうか。言論をその他の分野としても、毎日新聞の方と、ユニセフの古垣さんというのはまあ言論文化といえば文化の関係者が三名、教育関係者は津田塾の大学の学長さんがおられるから、これが一名、科学の代表というのは一名もないじゃないですか。一体科学はどうなんですか。だれが代表するのですか。
  51. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 科学の代表といたしましては、まあその人によって、いろいろな一つの領域だけという限定するわけになかなかまいらぬ場合もあるわけでありますけれども、科学の代表としては、長谷慎一さん、この方が技術関係の出身でありまして科学代表、こういうことになっております。
  52. 堀昌雄

    ○堀委員 技術関係の出身ということは、会社の社長なら技術関係の出身者でも科学だというふうにあなた方は考えているのですか。これはここに法律で明示してありますね。「教育、文化、科学、産業その他の分野が公平に代表されることを考慮しなければならない。」これは公平になっていますか。大臣、いかがですか。この放送法は、その次の項目にこういうふうに書かれております。「委員の任命については、五人以上が同一の政党に属する者となることとなってはならない。」こうなっているのですね。なるほど、これは一つの政党員が五名以上もおることは、経営委員会の中立性が保持されないということで規定されていると思うのですね。私どもこのメンバーをずらっと見まして、いま御承知のように選挙によるところの投票の姿は、自由民主党を支持する国民とその他の野党を支持する国民、これが票数においてほぼ同数になっておる。国民の中には少なくとも革新的な意見を持つ国民が半分いるのですね。この中には、私が拝見した限りでは、一名もそういう進歩的、革新的な意見を持つような方は中に加えられていない。要するに放送法が期待しておるところの経営委員の中立性というのは、私この姿から見て全然守られていないと思うのですね。いま政府はともかく、これまでの産業中心、これを改めて国民福祉中心に政策の転換をする、こう言っていますね。これだけ、わずか十三名の中で六名も企業代表が入っておるなどということは今日の情勢に合わないのじゃないか。NHKの中立性を守るためには、まず経営委員の中に少なくとも科学者なら真の科学者を、学者をここの中に入れるべきじゃないですか、第一点。文化の問題その他についてもそうでありますし、教育もこういうふうに触れられているわけでありますから、教育の問題も非常に重要な部分でありますから、ここに述べられておるように、「教育、文化、科学、産業その他の各分野が公平に代表されることを考慮しなければならない。」——「ならない。」と規定されている以上、大臣、これは今後この法律の定めによって、科学者も二名、それから文化の関係者も二名、教育関係者を二名、産業関係者を二名、これでも八名でありますから、その他に言論の関係者を二名で十名、その他幅広く女性の方でこれらに関係のある方を配慮するとか、この経営委員会の構成について考慮すべき問題は明らかだ、こう思いますが、郵政大臣の見解を承りたいと思います。
  53. 久野忠治

    久野国務大臣 厳密に科学、教育、文化、産業の代表者とこれを分類することはなかなか私はむずかしいと思うのでございます。企業の代表の方もお入りになってみえるようでございますが、しかし企業関係者といえども、科学技術に相当な力を持っておいでになる方もあるわけでございますから、さような意味から選定されたものと私は存じます。しかし、御指摘の点につきましては、将来私といたしましては十分検討すべき事項であると考えておるような次第でございます。
  54. 堀昌雄

    ○堀委員 事務当局に伺いますが、これは任期三年になっていますね。これは任期三年で今後どういう形で人がかわりますか。今年中に何名任期が来、来年何名任期が来るか、ちょっとそこを明らかにしていただきたい。
  55. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 経営委員は全部が一度にかわるわけではございませんので、数名づつ毎年交代するということでございます。それで四十八年度は五名の交代が見込まれております。
  56. 堀昌雄

    ○堀委員 大臣、四十八年度中に五名交代が見込まれておるようであります。特に私はこんなふうに中国電力の会長、それから九州電力の会長と電力会社の会長が二名も出てくるなどということは、さたの限りだと思うですね。だから、ひとつこれは郵政大臣、どの方が任期が来るかこまかいことは聞きませんけれども、この五名が任期になったときには、私がいま申し上げたように、少なくとも科学というジャンルなら、これは科学者である学者を当然選考するのが私は適当だと思うのです。文化人というのも少し、これはたいへん御年輩の方が多いようでありますから、もう少し若い方で、国民のすべてが見て、ぱっとその人を見たら、ああこの方は日本を代表する文化人だ、文化に関係する人だというような方をひとつ郵政大臣の責任においてやってもらいたい。これは内閣総理大臣が両院にはかって、その承認を得て決定される重要な人事でありますから、どうかその点について私の申し上げたことをこの際確認をしていただきたいと思います。
  57. 久野忠治

    久野国務大臣 内閣総理大臣の任命人事でございます。私が任命するわけではございませんが、しかし監督権限があるわけでございますから、その点は十分配慮して行ないたい、かように存じます。先ほど事務当局からお答え申し上げましたように、本年度任期が参ります者は五名でございます。任期満了は四十八年十二月のようでございます。でき得る限りさように指導いたしていきたい、かように存じます。
  58. 堀昌雄

    ○堀委員 次に移ります。  NHKの予算をずっと拝見をいたしてみまして、私は、近い将来やはり受信料の値上げをしなければならないところへ来るのではないかと思うのでありますが、大体この資料を見ておりますと、白黒テレビからカラーテレビにだんだんと移ってくるもの、さらにカラーテレビだけでの純増分、こういうような増加分があります。大体あと三年もすると白黒からカラーに移るものは終わりになって、まあ多少は残りましょうけれども、その主体はカラーテレビの受信料である、こういうことになるだろうと思います。さらに、ことしの受信料の増加は、予算上は六・八四%という前年比に対する増加になっております。経費のほうを見ますと、特別なものを除いた経常事業支出は七・四八%増加しておりますから、当然、これからの状態でも、収入の伸びに比べて支出の伸びがふえるというのがNHKの予算の実態のようであります。特に、八三%くらいを占める事業運営費の伸びは八・三八%ということでありますから、人件費の伸びを含めて今後NHKの予算がだんだんと窮屈になってくることは間違いがないと思います。  そこで、私はちょっと伺っておきたいのは、今度事業安定資金ということで三十四億ほど繰り延べができるようになっておりますが、計算上、収支が非常にバランスを失するということになるのは、今後何年ぐらいに計算上起こるのか。受信料の値上げの話ではありません。計算上、NHKの収支が、現在でも九億ぐらいすでに経常収支は赤字にはなっておりますが、しかし今後の努力によって、どの程度のところで大体受信料に関連するような情勢になってくるのか、計算上はどうなるのか、ちょっとお答えをいただきたいと思います。
  59. 小野吉郎

    ○小野参考人 ごく概略の御答弁でございますけれども、現在、四十八年度予算の御審議に際しまして、将来三年間は値上げを考えておらない、こういうことをお約束申し上げております。昭和五十年度までは収支相償っていけるであろう、これは、先ほど指摘になりました会館の売却代金の中で、将来への経営の安定のために保有いたします約三十五億、これを受信料収入とあわせあんばいをいたしまして、どうやらそこまでは収支償っていける、このように考えております。
  60. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで、この前ちょっと私も当委員会で申し上げたし、会長も何か新聞でお話しになったけれども、まあ事実はそうではなかったというふうになっておるようでありますが、私はやはり受信料の値上げをするときに、今日まで受信料というものの性格は、世帯単位同じ、どなたでも均一といいますか、そういう状態で取っておったわけですけれども、今後、私は料金を値上げをするときは、多少応能負担といいますか、使用に対する見合いといいますか、やり方をどうするかということは今後の検討でありましょうけれども、ともかく、どんな所得の低い人でも、どんな所得の高い人でも、同じ料金で処理をしなければならぬというふうに私はどうも考えていないのです。私は料金を値上げをする前提として、国が負担すべきものは国が負担しろということで、大体これは切りがついたようであります。ですからその限りでは、国民に対して料金の値上げを必要に応じて求めなければならぬときが来ればそうしなければいかぬと思うのでありますが、考え方としては、必ずしも同一の料金で全部が負担をしなければならぬというふうに私は実は考えておりません。  そこで、NHKのお考えの前に、郵政大臣は、一体こういう場合どんなふうにお考えになるか。いま国民の所得階層というものがどんどん乖離してきまして、低いところにうんとたくさんいますが、高いところがどんどんいまふえてきておりますね。同じように、たいへん所得の高い人は家の中にテレビが三台も四台もあって見ておって、車の中にまでテレビを据えているような人も一単位だ、あるいは六畳一間で生活をしながら、あまり大きなテレビも置けない、十三型とか十四型とか小さなテレビを置いて六畳一間で見ておる人も同じ負担でいいのかという問題については、私は今後のNHKの料金というものは少しそういうことの配慮が必要な段階に来るのではないか、こう思うのですが、郵政大臣、これは三年先のことですからあなたは直接関係ありませんけれども、ひとつ党人出身の大臣としてあなたに感触を伺っておきたいと思います。
  61. 久野忠治

    久野国務大臣 御指摘の点は一つの問題点であるとは存じます。しかしながら、私自身としては現行の制度を変えるという考え方は毛頭ございません。
  62. 堀昌雄

    ○堀委員 それはけっこうです。NHKには伺いません。  そこで、NHKプロパーの問題について少し伺っておきたいのでありますけれども、今度東京放送会館をお売りになって、NHKの資料でいただいたところによると、東京放送会館の土地建物売却関係として、「使途」と書いて、放送センター建設のための債務の返還百八十億円、こういうふうになっているわけですね。ところが、実際に予算書のほうで債務の償還に充てられておる費用というのは百七十七億三千八百万円になって、ここに二億六千二百万円実は差額が出ておるのですが、これは一体どうしてこういうふうになっておるのか、ちょっと御説明をいただきたい。
  63. 斎藤清

    ○斎藤参考人 お答え申し上げます。  資本支出の内訳に長期借り入れ金と放送債券の償還と二種類ございます。ただいま御指摘の百七十七億円につきましては長期借り入れ金部分でございますが、私どものほうの四十八年度予算の中身といたしまして、放送債券の償還部分を合わせまして百八十六億二千四百万という数字になります。これは財源的に申し上げますと、ただいま御指摘のございました放送センターの建設費に該当いたします返還部分が百八十億でございまして、あと六億二千四百万円は四十七年度におきます沖繩放送協会の承継に伴います赤字部分の返還でございまして、これら二つを合わせたものでございます。
  64. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、要するにこの百七十七億三千八百万円というのが長期借り入れ金の返済で、あとの二億六千二百万円というのは放送債券のほうの償還分に充てた、こういうことですか。
  65. 斎藤清

    ○斎藤参考人 さようでございます。
  66. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで、その次にお伺いをしておきたいのは、放送文化基金の問題であります。これは放送法の第九条第二項第十号で、「前各号に掲げるもののほか、放送及びその受信の進歩発達に関し特に必要と認められる業務で郵政大臣の認可を受けたものを行う」ということができることになって、これを受けて放送文化基金というものができるようでありますが、少なくともこの放送文化基金というのはNHKの業務の内部の問題ですね。ちょっとこの点をお答えをいただきたいと思います。
  67. 久野忠治

    久野国務大臣 この放送文化基金の扱いにつきましては皆さんからもいろいろ御質疑がございましたが、私は、NHKの内部の事業として行なう、かようには考えておりません。
  68. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、これはよくわからないのですが、法律ではNHKの業務の中に——これは十号があるのです。「前各号に掲げるもののほか、放送及びその受信の進歩発達に関し特に必要と認められる業務で郵政大臣の認可を受けたものを行う」こういうふうに法律はなっていますね。それで、これはNHK関係ないものになるのですか。これは業務じゃないですか、法律上。NHKの業務を規定した法律の第十号目にこれはあるのですよ。放送法第九条第二項第十号「前各号に掲げるもののほか、放送及びその受信の進歩発達に関し特に必要と認められる業務で郵政大臣の認可を受けたもの」こうなっていますが、これは一体、それじゃ法律的にどういうことになるのですか。
  69. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 御指摘の第九条第二項第十号でございますが、「前各号に掲げるもののほか、放送及びその受信の進歩発達に関し特に必要と認められる業務で郵政大臣の認可を受けたものを行うこと。」こうございますが、放送文化基金の場合に当てはめてまいりますと、協会が行なう業務ということからは、出捐業務と考えられるわけでございます。  なお、いままで協会がこの条項で行なっております仕事には、NHK学園、それから番組センターに対しましてやはり同じような、この条項でもって数億の金を出措いたしております。したがって、いずれも同じ出捐という業務だと考えられるわけでございます。
  70. 堀昌雄

    ○堀委員 ちょっと法制局呼んでください——ちょっといまの答弁納得できません。この法律はそういうふうには書いてないです、ここは。「前各号に掲げるもののほか、放送及びその受信の進歩発達に関し特に必要と認められる業務」というのは、これは出捐の業務と読めないですよ。法制局入れてください。あとへ回しましょう。  そこで、この問題ちょっとあとにしまして、いまNHKは、長期借り入れ金が二百三十七億八千百万円、債券が八十八億六千万円、残高がありますね。長期借り入れ金の金利と債券の金利はどうなっておるか、ちょっとお答えをいただきたいと思います。
  71. 斎藤清

    ○斎藤参考人 お答えいたします。  放送債券につきましては、一般事業債の扱いの中でのいわゆるA格債でございまして、一般事業債の中としては条件は最高のものでございます。これはNHKといたしましては、四十七年の三月まで発行が済んでおりまして、その当時の発行条件でやっております。したがいまして、当時の条件では、発行者の利回りといたしましては、表面利率が七・四%、それからいわゆる発行価額が百円につきまして九十九円五十銭であります。したがいまして、全体をくるめますとほぼ七・五一%程度になります。  これに対しまして、一般の市中からのいわゆる借り入れ金の金利でございますが、これは古くから借りて継続いたしておりますものは、現在五・二五%、それからことしの四十七年度の実施状況におきましては四・五%でございます。
  72. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで、百二十億円NHKが出捐をします新しい基金ができます。そうするとこの基金は、この資金をこれから委員会ができて検討されることでありましょうが、これはNHKなりあるいは郵政省なりが無関心であるわけではないでしょうから、この運用は今度はどういうふうになりますか、ちょっとその点を伺っておきたい。
  73. 久野忠治

    久野国務大臣 文化基金の運用につきましては、私は事務当局を通じて説明を受けた次第でございます。でありますから、これはNHK側からこの案が提示をされたわけでございますので、まずNHK側から説明を受けたいと思います。
  74. 前田義徳

    ○前田参考人 当面私ども考え方としては、毎年この基金の利子を運用資金といたしたい、このように考えております。
  75. 堀昌雄

    ○堀委員 その利子を運用の資金にすること、けっこうなんですが、どういう形でこれを運用しようということか。その運用のしかたは、債券を買うということもありましょうし、いろいろな問題があるのでしょうけれども、これをどういうふうに今後考えていくのかという点です。運用して、その利子で運営をしていくということはわかるのですが、そのところをちょっと伺っておきたいと思うのです。大体それは各種の投資物件によって確定したもので不安定のないもので運用するということになれば、現在たとえば簡易保険についてはその運用が、これは資金運用部その他の関係で国債その他一定の範囲に限られておるわけですね。この場合、私がちょっと触れておりますのは、あまり国の関係になると金利が低いわけですね。民間で安定したもののほうが金利が高い。同じ運用をするのならば、できるだけ安心な物件で高い金利で運用したほうが基金としては運営の費用がふえるわけですからね。要するに、個々のことを聞いているわけじゃないのですが、国の制約を受けたかっこうのものの運用にとどまるのか、あるいはそうでないのかということをちょっと伺っておきたいわけです。
  76. 前田義徳

    ○前田参考人 私どもとしては当面、御指摘のとおりの運営方針を実行していただきたいと考えております。
  77. 堀昌雄

    ○堀委員 郵政大臣、いま私が申し上げたように、御承知のようにいま国は国債も出しております、政府保証債も出しております。まあこの中には、もちろんNHKの債券も出ておるわけですが、そこで私は、同じことならば文化基金がたくさんの費用で運営されることが、郵政大臣が最後にコメントをつけておられることからも適切だと思うのですね。だから、こういうものができたときは、ひとつできるだけ利回りがよくて、しかし不安なものは困りますからね、安心できる物件であるけれども利回りのいいもの、必ずしも国の関係のものにこだわらない、こういうことでいいんじゃないか、私はこう思うのですが、郵政大臣の見解をちょっと伺っておきます。
  78. 久野忠治

    久野国務大臣 御指摘の点はまことにごもっともだと存じますが、しかしこれは確実に運営されなければならぬものであると思うのでございます。でありますから、有利に確実に運営されることを期待をいたしておるような次第でございます。
  79. 堀昌雄

    ○堀委員 私もそう思っているのです。ただ、確実なのはそれじゃ国だけですか。ちょっとそこのところを聞いておきましょう。国債、政保債以外は確実でないと郵政大臣考えておられるのかどうか。そうは考えませんというならいいのですが、そうだというならこれはだいぶ問題が起きますので、その点だけちょっと確認をしておきます。
  80. 久野忠治

    久野国務大臣 私は、そうばっかりだとは思っておりません。
  81. 堀昌雄

    ○堀委員 あわせてひとつ申し上げておきたいのですが、こういうものができると、かっこうな天下り先ができたからこれはたいへんけっこうなことだというので、おそらく郵政省からここへまた——郵政省に限らぬかもしれませんが、役人が天下りをする可能性がある。私は、何か新しいものができるときには、いつも大蔵委員会でこれだけはきちんとだめをかけているわけです。新しいものをつくって天下りの材料にするなということできびしくやっています。昨年は開発銀行の問題を取り上げて、ともかく開発銀行の職員、理事等が関連した融資会社にたいへん行っているということですが、これを改めさせることにいたしました。この点、国民の関心も非常にあるところでありますから、放送文化基金に対して天下りはさせないということを、ひとつ党人である郵政大臣から明言しておいてもらいたいと思うのです。
  82. 久野忠治

    久野国務大臣 御存じのとおり、設立につきましては、各界の有識者によります設立準備委員会で運営の方法あるいはこの財団の構成、事業計画、こういうものを決定をしていただくことにいたしておりますので、その際に決定されるわけでございますが、私は、御趣旨の点は十分考えるべき事柄であろうと存じますので、そのように指導いたしていきたい、かように存じます。
  83. 堀昌雄

    ○堀委員 ひとつ誤りなきを期していただきたいということをつけ加えておきます。  そこで、最初に久保委員が御質問になったことについてちょっと伺いますが、私これまで郵政省の政策をずっと拝見をしておりまして、何といいますか、どうももやの中で政策が動いておるような感じがしてしかたがありません。さっき大臣は、電波法放送法ですかの改正について、できれば今国会でやりたいという御答弁をなすったんですね。私このことを、逓信委員会の過去の経緯はよく知りませんが、ははあ、なるほどそれじゃだいぶ固まっているんだな、こういうふうに実は承ったわけです。ところがお話をだんだん聞いていると、あの御答弁では、率直に言ってこの国会ではできませんね。  そこで私ちょっと伺っておきたいのは、事務当局大臣に決裁が出せるのはいつですか。あなた方が大臣判断を求められる時期はいつですか。正確に答えなさいよ。
  84. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 放送法電波法改正につきましては、大臣から就任早々御指示をいただきまして、事務当局としては最大の努力をもって検討を進めておるわけでございますが、いつ大臣に持ち上げられるかという事柄の明確な期日は、現段階ではちょっと申し上げられないという段階でございます。
  85. 堀昌雄

    ○堀委員 わかりました。何月何日ということは聞きません。四月中にできますか、できませんか。あなた方、仕事をやっているんですからね。国から給料をもらっているんでしょう。きめられたことについてやるのはあなた方の行政上の任務でしょう。四月中にやれるのか、やれないのか、最初にお答えください。
  86. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 非常にむずかしい問題でございますが、できるだけ努力はいたしておりますけれども、四月中という日限を限られますと、相当困難が伴うというぐあいに考えられるわけでございます。
  87. 堀昌雄

    ○堀委員 四月中は困難なのですね。五月中はどうですか。
  88. 久野忠治

    久野国務大臣 日限を区切っての御質問でございますが、私は放送法電波法改正につきましては熱意を持っておる一人でございます。でございますから、就任早々、この法案の作成について早急に結論が得られるように指示がいたしてあるのでございます。でございますから、日限を区切って、いつまでに出すかということをいま申し上げることはなかなか困難であろうと存じますが、しかしできるだけ早い機会に結論を得たい、かように存じます。
  89. 堀昌雄

    ○堀委員 私、大臣が結論をお出しになるのはいつでもいいんですよ。事務当局があなたが判断できるようなものを持ってきて、それをあなた自身判断するのに、いつまでに判断しなさいと私聞いてないのですよ。いいですか。事務当局はあなたが早くやれと言ったらやらなきゃいかぬでしょう。やらなかったらあなたの指示に従ってないということでしょう。だから、少なくともあなたがこの国会中に出したいというのなら、この国会会期は五月二十日までしかないのですから、いいですか、五月二十日までしかないのに事務当局がまだ出してないということは、あなたの威令が行なわれてないということじゃないですか。事務当局、五月二十日までに準備できるんですか。事務当局答弁を求めます。
  90. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 先ほども申し上げましたように問題がきわめて複雑な内容を含むものでございますので、できるだけ努力はいたしますけれども、日限の確約は現段階ではちょっと無理かと思います。
  91. 堀昌雄

    ○堀委員 大臣事務当局が日限の確認ができないというときは、この国会に出したいなんということを大臣は言うべきではないですよ。そうでしょう。この国会というのは、われわれ国民を代表して確実な話を聞いているのです。こうしたい、ああしたいという話を聞いているのじゃないんですよ。出せる自信があって初めてあなたは国会へ出したいと言えるのであって、出せる自信もない情勢でここで出したいと言うのは国民を侮辱するものですよ。今後、発言は慎重にお願いしたいと思うのです。  そこで私は、この問題だけではありませんで、時間が十分ありませんが、きょうは郵政省の政策の基本問題に少し触れておきたいと思うのです。  まず第一は、今後のNHKの予算上の問題では非常に大きな問題になる点が二つあると私は思います。一つは大電力問題、これが今後のNHKの予算上の負担になるだろうと思うのです。そこで、この大電力問題というのは国際的な問題を含んでおるわけですし、まあ久野さんはそういう国際的感覚においては私どもと全く立場を一にしておられる方でありますから、いまこの大電力問題についてあなたは一体どう考えるのか。中国なり北朝鮮なりソ連と話し合って、要するにこのようなむだな投資をやめるということが郵政大臣であるあなたのこの任期における最大の仕事ではないかと私は思うのですよ。その他の郵政大臣ではできないが、私はあなたなら中国へも行き、北朝鮮へも行き、ソ連へも行ってこの問題についての話し合いができると思うのですが、この中波の大電力問題について、ここで決着をつけなければならぬところへ来ていると私は思うのです。郵政大臣の見解を求めます。
  92. 久野忠治

    久野国務大臣 現時点におきましては、事態を十分把握する意味検討いたしておる次第でございます。
  93. 堀昌雄

    ○堀委員 まあ、言質をとられまいというのもいいんですけれども、いまの答弁じゃ答弁にならぬですね。あなたもひとつ私の意のあるところもくんでいただいて、もう少し答弁らしい答弁をしてほしいですね。それじゃ私納得できません。答弁にならぬです。だから、要するに国際問題が重要だということはあなた御認識だろうと思うんですね。その点からいきましょう。いかがですか。国際問題がきわめて重要で、簡単に大電力にしなければならぬという問題ではない。どっちが比重が高いのか。国際的な問題のほうが比重が高いのか。大電力を発して、要するに北側のあの周辺の外からくるものに対抗して、さらに中波との関係における混乱も覚悟してやらなければならぬほど重要な問題じゃないと思うのです。私は今日、国際的な環境から見てもこれは政策転換の時期に来ておる、こう思っているわけです。だからどっちが大事なのか。国際的な問題が大事か、いまの受信妨害の関係が大事なのか、答えてください。
  94. 久野忠治

    久野国務大臣 外交交渉の問題につきましては私の所管外のことでございますから、私がとやかく言うべきことではないと思いますが、しかし、ただいま御指摘の件につきましては、いま非常に重要な内容を含むものでございます。でありますから、事務当局におきましても鋭意検討いたしておるような次第でございます。
  95. 堀昌雄

    ○堀委員 時間がありませんからあれですけれども、ともかくむだな投資をやめて、それをひとつ効率よく使うことが日本のいま求められておる経済の運営の基本だと思いますね。だからこの際、新しい国際環境になっておる時期でもあるから、すみやかに検討を進めて、とりあえず大電力問題というのはちょっとたな上げにしておいたほうがいいんじゃないか。そうすればむだな投資を必要としないし、あわせてFMの関係を見ても、私はずっと今度このFM、中波の関係を調べてみましたけれども、どうも郵政省の政策の見通しが非常に甘いのですね。ともかく大電力にやらせるといっても、民放の中波を実際にそんなに大電力にできるのかどうか。同時に、小さいところは県域放送をFMでやるといっても、山あり谷ありの日本でFM放送を県域で一体何局つくったら民放がやれるのか。実際そこらを見ると、郵政省のこれらの政策がきわめて根本から思いつき的で、科学的な発想の上に立っていないという感じがしてなりません。ですから、そこらについてはもう少し慎重な態度が必要ではないかと思います。  そこで、実は一昨日かの新聞を見ますと、新テレビ電波ということで、今度はまたSHFという新しい電波帯を電波技術審議会に諮問をしたというふうに報道されておるのですが、これは事実ですか。ちょっと事務当局答えてください。
  96. 野口嘉彦

    ○野口説明員 電波技術審議会にSHF帯の放送について諮問を申し上げましたのは事実でございます。
  97. 堀昌雄

    ○堀委員 大臣、いいですか。VからUへの話もはっきりしていないですね。廣瀬郵政大臣が、前に参議院であるいは当委員会で、たいへん経費がかかってこれはやれるかどうかわからぬというような答弁をしていらっしゃるわけですよ。廣瀬さん、たいへん後任の大臣のことを気にしておられまして——後任の大臣というのはあなたです、たいへん気にした答弁をいろいろしておられるのですけれども、読んでみました。しかしこの中で廣瀬さんは、NHKが九百億かかる、民放が七百億かかるようなものは国の援助をしなければできないと思うし、たいへんむずかしいという式の答弁をしておられるのですね。私もそう思います。これは放送側だけではなくて受信者の負担が増加するわけだし、そもそもの始まりは各種の無線との問題ですね。各種の無線との問題というのなら、東京なり大阪なり大都市の問題が主であって、ともかく青森県がこれを全部UHFにしなければならぬというようなことにはならないと思うのですよ。郵政省がもしそんなものを出してきたら、私が在職しておる限り、大蔵関係を担当しておりますから、そんなものは予算上認めるわけにはいかぬ、国は出すな、出す必要はない、そんなむだな非効率なことに金を使うなと言って、私は国がそんなものに手を伸ばすことには賛成いたしかねるわけですが、ここらもそろそろ割り切るべき段階だと思っておったら、またぞろ今度はSHFなんというものが出てきて、これは波長が短くなればなるほどカバレージが狭くなるというのが原則ですね。だから特殊的な目的には確かに有効かもしれませんけれども、どうも私は郵政省というところは、——科学の勉強をされることはけっこうですから勉強することは反対はしませんよ。反対はしないけれども、ともかくもUへの転換すらもどうにもならぬような段階に来て、また今度はさらに短い波長のSの問題をやろうというようなことが、私は政治的に判断をしてはたして適切かどうかという点にたいへん疑問があるのです。郵政大臣、ここらで大電力問題と同時にこのVU問題もそろそろけじめをつけておいたほうが、私はNHKの今後の問題についても適切ではないか。民放についても同様であると思うのですね。何しろ五十一年をめどとかなんとかいろいろなことを書いて、ところがもう何年も残っていないのに、依然として原則だけあげて何もやってきていないというところが、私は、郵政省という役所はなまぬるい役所である、それで済むということはたいへんけっこうだと思うのです。私は大蔵省を相手にしているが、大蔵省でこんなことはわれわれは考えられないですね。だから郵政省はたいへんけっこうな役所だと思うのですけれども、もう少しけじめをつけて、きちんきちんと行政をやってもらわなければ、われわれは行政をおまかせするわけにいかぬという感じがしてならないのですよ。けじめをつけるという意味では、VUの関係も何らかの意思の表示をすべき段階に来ておると私は思いますが、郵政大臣いかがですか。
  98. 久野忠治

    久野国務大臣 御指摘の点は非常に重要な問題を指摘をされておるわけでございます。でございますから、私といたしましても十分検討をいたしていきたい、かように存じます。
  99. 堀昌雄

    ○堀委員 検討するというのは、これは一番都合のいい答弁ですが、これは検討するというのに私のほうでどうこう言えません。言えませんけれども、毎年毎年そういうことを繰り返しているんですね。いまの中波の再編成の関係は五十一年というのを一応めどとして限っていますね。「上記の再編成のための置局計画等は、できる限りすみやかに策定するものとし、これに基づく再編成の完了は、おおむね昭和五十一年の再免許の時期を目途とする。」こういうふうになっていますね。五十一年というと、ことし四十八年ですから、四十九、五十、五十一、あと三年ですね。いまNHKもできたのもあるでしょうけれども、これから大電力をやるというのはたいへんな費用がかかると思うのですね。NHKどうですか。これは民放の関係が五十一年になっているのですが、この文書では、「日本放送協会の第一放送は、大電力による広域圏放送局により全国いずれの地域においてもその放送の聴取が可能となるようその置局の再編成を行なう。」「日本放送協会の第二放送は、大電力(三百−五百KW)により、全国同一番組放送の聴取が可能となるようその置局の再編成を行なう。」こうなっていますね。これをもしこの四十三年に発表されたような形でやって、五十一年が再免許の時期だから再編成の完了が五十一年だということになると、今後五十一年までにいまいわれたようなことをやるためにどのぐらい費用が要りますか。ちょっとNHKからお答えをいただきたいと思うのです。
  100. 藤島克己

    藤島参考人 中波の再編成につきましては、今後約百億ないし百二十億の金が要るかと存じます。ただし、そのうちの大部分は土地代でございまして、この評価が正確にできませんもので非常に大ざっぱな数字で申しわけございませんけれども、土地代を含めまして百億ないし百二十億の金、が要るかと存じます。
  101. 堀昌雄

    ○堀委員 三十五億でともかく放送の料金値上げをストップさせておるという情勢でありますから、この際はひとつできるだけ、百二十億にしろどうしても必要でないというものならば、私はむだな投資をやめるべきだ、こう思います。  法制局入ったようですから、最後にちょっとだけ聞いておきます。さっき放送法第九条二項十号の問題で「前各号に掲げるもののほか、放送及びその受信の進歩発達に関し特に必要と認められる業務で郵政大臣の認可を受けたものを行うこと。」こうなっているのですが、ここにいう「進歩発達に関し特に必要と認められる業務」というのは、これは業務そのものであって、出捐というのも業務ですか、これは。
  102. 林信一

    ○林(信)政府委員 おそくなりました。お答えいたします。  実は事情をよく承知いたしませんので、多少はずれるかもしれませんが、私の承知しておりますところでは、NHKが百数十億ですか金を出しまして財団法人を設立するというふうに伺っております。そういたしますと、これは民法にいう寄付行為ということに当たりまして、出捐というのはおそらくその寄付行為をいわれておるのではないかと思います。そういたしまして、財団法人の設立者になる、そのための寄付をするということがこの九条の二項十号にいうところの業務に当たるかどうかというお尋ねだと思いますが、本来、業務といいますのは非常にわかりにくい概念でございまして、通常反復、継続性があるとかいろいろな説明をされておりますけれども、相当な額の資金を運用するというようなことも、もちろんこれは程度によりまして業務の範囲に入ってよろしいと存じます。今回の場合、おそらく新しくできますその法人とNHKとの関係は、一時寄付行為をするというだけでなくして今後も継続していくと思いますが、そういった点を考え合わせますと、この十号の業務に読むということも決して無理ではなかろうというふうに私は考えます。
  103. 堀昌雄

    ○堀委員 私の聞いているのはそういうことなんです。なるほど新しい民法による財団法人ができますから、財団法人とNHKは別人格だ、こう考えるわけです。これは民法上別人格でありますが、少なくともここに書かれておる業務ということは、金を出したらそれでおしまいで関係がないということではなくて、NHKの広義の業務の中で、この放送文化基金というものが放送のいろいろな、ここの法律に書かれておったことをやる。業務をやっていく関連では、NHKとの関連においてこれはとらえられたものであって、法律的にいえばなるほど別の性格を持っておるけれども、広義においてNHKの業務というふうに解するのが相当であろう。郵政省は出捐が業務とこういいますけれども、私は出捐だけじゃ業務にならない、こういう理解をいたしておるので、法制局、もう一ぺんその点について、私の見解に対して、あなたの考えを答えていただきたいと思います。
  104. 林信一

    ○林(信)政府委員 お答えいたします。  最初申し上げましたように、出捐ということば自身の使い方があるいは不正確なのかもしれませんが、私がお答えいたしましたのは、出捐というのは民法でいう寄付行為としての出捐というふうに限定してお答え申し上げました。
  105. 堀昌雄

    ○堀委員 いや、私が言っているのは、その寄付行為だけが業務にはなるまいというのです。私が言うのは、寄付行為をするけれども、要するにその財団法人に各種の協力もするし、いろいろな関係で、いまの法律に書かれたことを行なうことをもって仕事とするということにならないと、いまの業務という関係が読めないと私は思っておるわけですね。だから、これは完全に無関係で、財団法人はどこかへ行ってしまって、かってにやるということにならぬぞということを私は言っておるわけですから、そういうふうにこの業務を解すべきだ、こういう私は理解なので、あなたのほうもそういう理解ならそういう理解だというふうに答えておいていただければけっこうです。
  106. 林信一

    ○林(信)政府委員 ことばが足りなくて失礼いたしました。  出捐する場合も他の多数のものと共同して出捐する場合もございますし、これは額があるいは少ないかもしれません。結局業務性の認定の基準ということだろうと思いますが、仰せのように、単に一回ある額を出したからといって、それが直ちに業務に当たるというわけではなかろう、やはり業務性の認定にはその他のいろいろな要素といいますか、そういうものを勘案して判断する必要があろう、かように存じます。
  107. 堀昌雄

    ○堀委員 郵政大臣、いまの放送文化基金の性格は法律的にはそうだ——私が当初申し上げたような広い意味での業務のかさの中といいますか、広い意味ですよ、こまかい意味で言うわけではありませんが、そういうものになっていなければ、この十号が正確に守られていない、こう考えるので、その点ひとついまの法制局の答弁を踏まえて御答弁をいただいて、私の質問を終わります。
  108. 久野忠治

    久野国務大臣 ただいま法制局の担当者から、法律的にはそのように解されると私は存じます。存じますが、実際の運営につきましては、先ほど私が申し上げましたように、民法第三十四条による財団法人を設立するという構想のようでございます。私はそれを報告を受けたわけでございますが、構想のようでございまして、その今後の運営その他につきましては、各界有識者による設立準備委員会において決定をすることに相なっておる次第でございますので、運営面におきましては、いろいろ業務の範囲その他につきましても、多少の——私はNHK日本放送協会の傘下に入るものであるというふうな解釈はとらないものでございます。
  109. 堀昌雄

    ○堀委員 せっかくいいところまで話を持ってきたら、またむし返して……。私何もNHKの言いなりになるものをつくれと言っていないのです。よろしゅうございますか。ただ放送文化基金というものができて、かってにこれでやるというわけにはいかないと思うのです。やはりNHKのいろいろな機構を利用したりいろいろなことをしなければできないだろうと思うから、そういう意味では法律はそうなっているのだから、NHK側としても当然いろいろな便宜を供与し、いろいろやるという意味で、広い意味における業務のかさの中で仕事をするほうが便利だということだけであって、民法による財団法人の独立性を侵すようなことを私は求めるつもりはないのでありますが、NHKも責任がある、そういう意味で私はそのことばを、業務をそう解釈した。法制局もそういう解釈をしたわけだから、その線に沿って郵政省もそのように考えておきなさいと言っているわけでありますから、その点はもう確認をいたしません、また変な答弁をするとつまらないから。
  110. 久野忠治

    久野国務大臣 御趣旨の点は十分理解できるところでございまして、そのようにいたしたいと考えておる次第でございます。
  111. 堀昌雄

    ○堀委員 終わります。
  112. 久保田円次

    久保委員長 この際、午後一時三十分再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時二十七分休憩      ————◇—————    午後一時三十九分開議
  113. 久保田円次

    久保委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。平田藤吉君。
  114. 平田藤吉

    平田委員 委員長、定数が少し足りないから、やはり逓信委員会の権威にかかわることですよ。
  115. 久保田円次

    久保委員長 速記をとめてください。   〔速記中止〕
  116. 久保田円次

    久保委員長 速記を始めて。  平田君。
  117. 平田藤吉

    平田委員 それでは幾つかの問題について質問したいと思います。  まず最初に前田会長お尋ねします。いまの受信料制度は、公共放送機関の民主的な発展に役立つ形になっているというふうに私は思うわけです。なぜならば、国民の期待にこたえて、よい番組放送することが料金収納率をよくするということになると思うのです。それで、こういう形になっておりますので、受信料にささえられて国民の期待にこたえ得る放送を行なうという公共放送機関の任務に最も合致しているというように考えております。これに対して、聴視者に受信料納入を法律で義務づけることは、放送の今後の民主的な発展の道に逆行することになるというふうに思いますけれども会長、どうお考えですか。
  118. 前田義徳

    ○前田参考人 現在の放送法上のNHK関連の聴視料の取り扱い方あるいは聴視料の考え方、これに対しては私は全く同感でございます。法律的な規制を強めることが民主的な現在の聴視料の性格をどう変えるかについては、私は法律のつくり方がまだわかりませんので、この点については意見は述べられませんけれども、しかしたてまえとして、現在の聴視料の取り扱い方は一応民法上の契約をNHKと聴視者の間でするわけでございますので、契約をした以上はお払いいただくということはやはり自由社会の中で当然のことだと考えておりますし、それからまた同時にNHKは聴視者にささえられてでき上がっている企業体でございますから、そういう意味でも、相互理解の上に立って聴視料をいただくというのが一番理想的な姿だと私は考えております。
  119. 平田藤吉

    平田委員 したがって、三十二条の規定は、公共放送機関の基本にかかわるものですから、私は変えるべきではないだろうというように考えておりますが、その点いかがですか。
  120. 前田義徳

    ○前田参考人 私も基本的には全くそのような考えを持っております。
  121. 平田藤吉

    平田委員 それでは大臣に対してお伺いしますけれども、聴視料を義務化するということは、いま申し上げましたように非常に重要な問題を含むものでありますし、政府が国民の希望に沿ってNHKを発展させようとするならば、第三十二条一項の規定は変えるべきではないというふうに考えておりますが、大臣の見解を聞かしてください。
  122. 久野忠治

    久野国務大臣 ただいまの御意見には全く私も同様な考え方を持っております。現在の受信料制度というのは国民の間に定着いたしておるのでございまして、これを変える意思は私は今日の段階では毛頭持っておりません。そのことをつけ加えて申し上げておきます。
  123. 平田藤吉

    平田委員 今日の段階ではとおっしゃいますのは、そのうちに変えるかもしれぬということを含んでいるのですか。大臣にお伺いします。
  124. 久野忠治

    久野国務大臣 私はことばが足りなかったと思うのでございますが、今後もこれは変えるべきものではない、かように考えております。
  125. 平田藤吉

    平田委員 それでは次に前田会長にお伺いしたいのですけれども、何か九日の定例記者会見で、一口で言えば、世帯別ではなくて台数によって聴視料を徴収するという趣旨の談話を発表されているようですが、これは事実ですか。
  126. 前田義徳

    ○前田参考人 結論から申し上げますと、そのようには答えておりません。ただ、いろいろな御質問の中でその種の質問が出ましたので、現行料金制度考えたときにはそれらを含めて検討したことはある、しかし今日そのようなことは考えていないという返事のしかたでございます。
  127. 平田藤吉

    平田委員 そうすると、かつてはそういうことを検討したけれども、今日はそれを考えていない。じゃ、今後において、こういう問題のたて方はする意思はないというふうに判断してよろしゅうございますか。
  128. 前田義徳

    ○前田参考人 そのとおりでございます。
  129. 平田藤吉

    平田委員 それでは次に私は、問題になりましたNHKの土地問題についてお伺いしたいと思うのです。  まず前田会長にお伺いしたいのですけれども放送会館の土地建物の売却に関しては、この間の逓信委員会で土橋委員のほうからもお話がありましたが、異常な高値をつけた三菱地所に対しては、ほとんどその責任を追及しなかったマスコミの取り上げ方には一面性があったというふうにいえるかもしれませんが、そうであったにせよ、NHKに対するこの批判に国民が一定の共感を示しているということは、見落とすことはできない事実だというように思うのです。もし前田会長がたびたび言うように、受信料収納率、これがそのままNHKに対する信頼のあらわれとするならば、国民は三菱地所を批判しつつも、NHKに対しては、今後その金が国民のために使われるであろうことを期待し、ともに喜んだに違いないというように思うわけです。しかし事実は、御承知のようにそうはなっておりません。したがって、いまあらためてなぜNHKに批判が集中したかを検討してみる必要があると思うのですけれども、この点についてどう考えておられるか、見解をお聞かせいただきたい。
  130. 前田義徳

    ○前田参考人 私は前回も申し上げましたように、土地問題が非常に大きな問題となっている際に、NHKの本館のあと地並びに建物の売却を、国会等で御説明申し上げた予定のコースに従ってあの時期に、すなわち四十八年度予算編成の時期に売らなければならなかったことについて、そしてその結果としてかなり高い値段であったということについては、私としても遺憾であるということを申し上げております。しかし同時に、私ども考え方としては、この遺憾の気持ちをいかにわれわれが実際問題の中に取り入れていくかということが必要ではないかと考えました。問題は、要するに現在のような社会経済情勢の中で、しかも御審議いただく予算書においては二千四百六十万世帯、これを対象としてNHKの経営を進めていくという立場においては、私はやはり聴視料を値上げしない、端的に申し上げるならば値上げしない、このことによって一般の御理解を得られるもの、また御理解をしていただきたいというたてまえで問題を具体的に解決してまいりたい、このように考えているわけでございます。
  131. 平田藤吉

    平田委員 どうも私の言ったことがよく御理解いただけないようですけれども、つまり三菱地所に対して批判が向かずにNHKに対して集中的に批判が向いた。これはいろいろ理由があるでしょう。またわれわれから見てもそれがすべていいものだとは思っておりません。いま前田会長がおっしゃったような理由が理解できるとしても、なおかつNHKに対して批判が向いたということの中には、国民のために使うから決して心配ないのだ、あるいはそういう意思からやったんだから理解してもらいたいというふうにおっしゃっても、その底にはやはり問題があるのではないかというふうに私は考えているわけです。NHK番組や営業活動などを通して、国民が日ごろからNHKに対して抱いている疑問や不信が土地売却問題という形をとってクローズアップされてきたというふうに見るべきではないかというように思うのです。NHKとして、国民の批判に示されたこの側面を見抜いて、正しく受けとめて対処すべきだと思うのですけれども、いまの前田会長の話だと、国民に負担をかけないという側面だけを強調されておる。そうじゃなくて、NHKのこれまでの番組編成などの活動を通じても国民の中には批判があるんだ、この点を考えておかないと、誤りが出るのではないかというように思うわけなんです。そういう意味で、正しく受けとめる必要があるということを指摘しているわけなんですが、会長はどう考えられるか。
  132. 前田義徳

    ○前田参考人 御指摘の点ももちろんあると思います。私どももその点についてはいろいろな態度と申しますか、基本方針を明らかにすることによって御理解を深めていただく方向に努力したい。番組等につきましては、御承知のとおり二千四百六十万世帯という中にもいろいろな考え方、二千四百六十万の考え方があると思います。そういう意味で、私どもとしてはいろいろな分析あるいは世論調査あるいは聴視者との懇談会、経営懇談会、これらは年間実に四百回近くも各地で開き、直接御意見を伺うばかりでなく、いろいろな調査分析をいたしておりまして、それが一〇〇%二千四百六十万世帯にぴったりいかないという点では今後の努力の問題だと考えておりますけれども、御指摘の点についてもわれわれは深く研究し、謙虚な気持ちで、やはり大衆との連帯性の上に立って私どもは仕事を進めていかなければならないと考えております。
  133. 平田藤吉

    平田委員 私は、大切なことは、たまたま土地問題という形でクローズアップされたNHKに対する批判の中に含められているこの側面を、国民の批判を正しく受けとめていくことだというように考えるわけです。  先回のこの委員会での土橋委員質問に対して、前田会長は、あの土地の処分の方法は現状で考えられる最善の方法であるというふうに答えておられます。これでは国民の疑問に正しく答えているということにはならないと思うのです。つまりあれこれの方法に比べて最善だという以上、なぜ最善なのかという点を明らかにする義務があると思うのです。この場合特に大切なことは、売却した後その金を受信者のためにどう使うか、どう使うことが最善かということでなくて、処分を決定した際にこれが最善だというふうに判断した理由を明らかにすることが何といっても大事だというように思うのです。そういう意味で、会長が最善であると言われますけれども、その最善であると判断した理由についてお聞かせいただきたい。
  134. 前田義徳

    ○前田参考人 最善であると判断した理由は二つございます。  その第一点は、御承知のように、十二年前から着手して今日完成した放送センターによって中心機能を一元化するというたてまえ、この計画に対して特に聴視者の負担を増さないという考え方でございます。  それから第二の理由は、この処分によって、時期的にははなはだ遺憾でありましたけれども、二千四百六十万世帯がこの時期に——たとえば過去五年問でも一般消費物価は合計三割の値上がりであり、公共料金におきましても二割強の値上げである。この時期において過去五年間私どもは聴視料に手をつけませんでしたけれども、さらにこのことによって今後三年間は聴視料を改定する意図がない、聴視者の負担をふやさないというたてまえ、この二つを理由としてあれは最善の方法であったというように実は申し上げたわけでございます。
  135. 平田藤吉

    平田委員 負担をかけないという意味で最善であると考えられた、中心はそこにあるようですけれども、あそこの価格については、公示価格などからある程度推定してきめられたということも知っております。しかし、御承知のようにああいう高値で売買されたことが、今日の土地騰貴で非常に重大な事態がやってきている状況のもとでは、やはりたいへん大きな問題があると思うのですね。私はいまの公示価格あるいは一応正当なものであるかのようにいわれている価格の表示制度についても、現在の制度のもとでは、最も効率的な土地の利用方法、別な言い方をすれば最大限利潤を保証するような土地の利用方法を前提にして価格がきめられているわけです。そのため利潤取得の対象とならない公共的な土地の利用方法とは矛盾する結果を生むわけなんです。そういう面を持っているわけなんです。一方、この土地利用方法は、一定の限られた地域に独占的に土地が所有されている場合を前提としておりません。したがって、今回の場合のように都心部に独占的に貸しビルなどを所有している三菱、三井などの大土地所有者が、所有する土地全体の価格をつり上げ、より多くの利潤を追求しようとするときには、土地により高い価格をつけるわけです。いままでよりも土地に対して高い価格をつけるわけです。したがって、こうした条件のもとでは、公示価格というものは目安にもならないし、いわゆる会長がいつも言われてきているように、一定の公示価格が目安になっているからだいじょうぶなんだというような話は通らないと思うのです。目安にならないというのは当然だと思うのですね。まして高度成長、日本列島改造とともに過剰流通による土地買い占めが激化している時期にあることは冷静に見れば明瞭なことであったというように思うのです。タイミングが悪かったなどという問題で済まされるものではないというように考えるわけです。都心部の公共の貴重な土地が、大企業の利潤追求の道具にされることがあまりにも明白な土地の処分だったといわざるを得ないというふうに考えますけれども、いま会長考えてみてどのようにお考えか、この点ももうちょっと突っ込んでお聞かせいただきたい。
  136. 前田義徳

    ○前田参考人 非常に含蓄の深い御質問で、私ごときに答え得るかどうかはなはだいぶかるものでございますが、現在の社会組織の中で、このような事態が起こることは私としても好ましいことであるとは思っておりませんが、御承知のようにあの部分は一般的利用には必ずしも適当な場所であるとは考えられません。欧米諸国等においては地上物件のある地価というものは非常に安いのでございますが、日本の場合は、地上物件があってもなくても地価というものは場所によってかなり上がってくる傾向、これは日本列島改造論がない場合であっても、長く過去の十数年の土地の傾向をお考えになれば、そのような状態にあるということは私もジャーナリストの一人としては承知申し上げております。ただ今回の分に関して、いまの御質問との関連で私がどのように答えるかということは、非常に私もいろいろ考えるわけでありますが、端的に言って、あの土地自体の値段というのは、公示価格の二倍であったという点でございます。そしてあの土地を売らなければならない理由は、すでにあの放送センターを建築する際から当委員会に御説明申し上げた方針の遂行の最後の段階として、これを処分すべきであるという考え方に立ったわけであります。観念的に申し上げれば、このような状態が起こらないような社会的な連帯感と申しますか、そういうものが確立されていることが望ましいとは存じますが、これはそういう意味では、私どもは根本的には番組を通じて、そういう社会的キャンペーンは行なっていくという考え方でございます。
  137. 平田藤吉

    平田委員 私は一口に言って、公示価格というものはもともと目安になるものではないんですよということを申し上げているわけなんですね。ですから、高値をつけるということは大体最初から見えすいていたのではないか、そのことが、実は大きな土地所有者の利潤追求の道具にNHKのあの土地と建物自身が使われていくという結果を生んだのではないか、そういう意味では問題が重大だということを私申し上げているわけですよ。したがって、なぜこのような問題が起きたかを国民の前に明らかにする必要があるというふうに思うのです。一口に言って、これはなぜ起きたかといえば、NHKに大企業奉仕の姿勢があったからではないのか、この背景のもとで今度の土地処分という結果が生まれたのではないかというふうに思うわけです。この点、会長どうお考えか。
  138. 前田義徳

    ○前田参考人 NHKは大企業とは何らの関係がございません。むしろ私どもの目標は、中立公正な報道を行なうことによって国民の全体に奉仕するという考え方の機構でございます。したがいまして、今回の土地の買い主が三菱地所であったからといって、私どもの従来の基本的方針は何ら変わるところはございませんし、そして同時に、この売買の所得はすべて聴視者としての国民に還元するというたてまえに立っているわけでございます。御理解いただきたいと思います。
  139. 平田藤吉

    平田委員 いま会長は独占奉仕の姿勢はないんだというふうにおっしゃる。では、私聞きますけれども、一つはカラーテレビの不当な独占価格、この問題がたいへん問題になりまして、国民的な不買運動が巻き起こった時期がございます。このときNHKは一体どんな態度をとられましたか、答えてください。
  140. 前田義徳

    ○前田参考人 そのような独占価格がありとするならば、これを再検討すべきであるという考え方を持っており、われわれは同時に経営懇談会でこの問題を取り上げまして、公表はしませんでしたけれども、やはり適当に普通の人が買える値段にすべきであるという意向を明らかにいたしております。
  141. 平田藤吉

    平田委員 いま会長はそうおっしゃるのですけれども、こういうことになっておるんですね。NHKの年鑑七一年版、こういうふうに書いております。   四十五年度は、カラーテレビの価格に対する不信感に根ざす不買・買い控え運動のひろがりのなかで、とくに年度後半に至り、受信機器生産・販売業界は未曽有の試練に立たされた年であった。   NHKでは、受信機器普及の積極的推進が、放送の聴視促進に直結するという従来からの観点に立ち、各業界団体との友好協力関係の維持強化に努めるとともに、情報の交流をより活発に行ない、これを通じてカラーテレビ、UHF、FM受信機器を主軸とする各種受信機器の普及促進に力を注ぐ一方、流通市場の混乱は、流通業界のみならず、聴視者にとっても決して好ましい状況ではないとの観点から、一刻も早くこの混迷から脱出すべく、メーカー・販売業界との交流を活発化するなど各種の面で意を配った。 こういうふうに書かれているのです。  もう一つ例をあげておきましょう。六八年版です。   わが国のテレビ普及のあとをふりかえると、しばしば指摘されるとおりテレビ局の建設、番組の質的量的な拡充などが最初に強力に行なわれ、何らかのビックイベント——皇太子ご成婚、東京オリンピック——をきっかけに受信機の普及度が急激に高まるという経過をたどってきた。カラーテレビの場合にもこれとまったく同じことが起きると考えることには問題があるかもしれないが、多少は似たような動きを期待してもよいであろう。その意味で、近づくメキシコ・オリンピックのカラー宇宙中継がカラーテレビブームをまき起こすことができるかどうか、注目されるところである。 こういっておるんですよ。ですから、業界といつも二人三脚でやっているということはあなた方の年鑑自身が実証しているのですから、前田会長が独占奉仕の立場なんかとっていないとおっしゃったって、具体的にやられてきた仕事がこういう仕事なんだということを示していると思うのですね。われわれは、こういう姿勢がつまり独占奉仕なんだというふうに言っておるわけです。この姿勢から、土地売却が現状では最善の方法ということが生まれているのではないか。何か、視聴者の利益を守るためなんです、守るためなんですと言っておるけれども、何べん聞いてもそう聞き取ることができないわけですよ。私は、結果として独占の利益になったことを指摘しているのではないわけです。NHKが主体的に積極的にこうした姿勢をとったことを問題にしているわけなんですよ。ですから、こういう姿勢の中から受信料の世帯別云々、台数制に移すなんということが新聞に載りますと、ああまた始まったかというふうに理解せざるを得なくなるわけですよ。NHKが幾ら善意の方法だというふうに言われても、こういう姿勢を続けていられたのでは、国民はいつも十分な納得はしないだろう。土地問題を敏感に受けとめて批判しているのもこうしたことが根底にあるからなんだというふうに思うのです。この大企業に奉仕する姿勢を改めて、そして国民の利益を守るという立場にしっかりと立つことが私は急務だというふうに考えるのですが、会長どうお考えですか。
  142. 前田義徳

    ○前田参考人 六八年の御指摘の年鑑、七一年の御指摘の年鑑の文章の書き方についても問題があると思って伺っておりましたが、しかし御理解のしかたにも多少われわれと実は考えを異にする場があったかに印象づけられております。と申しますのは、御承知のようにNHK放送法七条によってつくられている機構でございます。七条は放送全国普及でございまして、したがって昔の経済理論でいえば、全国普及の形において、たとえば具体的にカラーの受像機も大量生産の結果として安くなるべきであるという考え方を持つわけであります。それがたまたま現在の土地問題のように、特殊の方々が特殊の利益の追求のための立場をおとりになることによって、逆にNHK立場が誤解されるということにおいては全く軌を同じくしている、先生も御指摘のとおり微妙な解釈のかかり合いになるかと考えます。NHKは御承知のように技術研究所を持ってコストの安い受像機をつくること、これもわれわれの本来使命として継続して今日に至っており、それもおおよそ四十年に近づいております。ただ現在の社会現象の中で、これらの誠意が逆に利用されるという点については、社会状況がけわしければけわしいほど、今日のような、ことにデリケートな社会状況の中ではわれわれも反省しなければならないということを特に先生の御指摘によって教えられました。私どもとしては、大衆のために安い受像機をというたてまえから申しますと、毎年継続して予算審議中身である事業計画検討していただいていたわけでありまして、われわれはいわゆる巨大産業に奉仕するという気持ちは全くなく、逆に大衆のために奉仕したいということが、社会のひずみの上でいまのような御理解あるいは一般的にも多少そういう理解が潜在するとするならば、私としては全く事志とたがうものであり、しかし同時に、御指摘の点については今後も戒心してまいりたいというふうに考えます。
  143. 平田藤吉

    平田委員 私はずっと一貫して指摘しておりますように、いまやはり大事な段階に差しかかっていると考えているのですよ。それだけに正しい立場、つまり聴視者の立場をしっかり踏まえてNHKが今後の活動を進められることが大事だというように思っているわけです。それだけに非常に重大な問題だというふうに考える。ですから、会長さんどうおっしゃろうと、不買運動が起こった際に、NHKとしては批判してないのですよ。この不当な値段についての批判をしていないのですよ。ですから、いま言ったような点をずっと裏打ちしていきますと、見ているほうからすれば、聴視者の側からすれば、ああいう不当なことをやっている大きなテレビメーカーの問題でもNHKは取り上げないのだというように理解されるのはあたりまえだと思うのです。今後困難な中を切り抜けていこうとすればするほど、私はやはり本来の立場をしっかりと守って、少なくとも私が指摘したように独占に奉仕する、大企業に奉仕する立場は捨てて、国民本位、聴視者本位の立場を守り抜くことが大事だ。その立場から活動一切を推し進めていけば、これは実際に聴視料の納入だけで困難が生まれたということになりますと、それはそれなりに国民との相談、聴視者との相談の中で解決の道が開かれるものだというように私は考えるわけです。そういう立場から、いまおっしゃったように、いままでのあり方についてもやはり掘り下げて検討されて前進されることが、先ほど来受信料の問題を法制化しないでいくことが大事だという点を指摘している点でも非常に重要だと思うのです。そういう意味で今後ひとつその立場に立って、いままでのあり方についても考えてみていただきたいというように思います。  さて、それでは次に、VHFからUHFへ移行するという問題が出されておりましたけれども、この問題をめぐって幾つかの点で質問をしたいと思うのです。  これもNHKに対してお伺いしたいのですけれども、VHFからUHFへの全面移行が出されたときに、世論は賛成意見と反対意見の二つに分かれていたわけですが、両方の意見の視点は何であったのか、この点についてあらためてお伺いしたいと思うのです。これは先ほど堀さんですか発言されておりましたけれども、今後の問題としてもかなり重大な問題ですので、あらためて、二つの意見があったのですが、その中心点は何であったかという点をお伺いしたいと思うのです。
  144. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 VからUへの移行の問題でございますけれども、これは御承知のように初めはテレビはVで出発したわけでございます。その当時はUの技術が確立しておりませんものですからVでとりあえず出発した。その後、技術の進歩によりましてUの波が使えるようになった。しかも相当大電力が使えるようになった。こういう技術の進歩がございます。それと、現在テレビ以外でVHF帯を使っておりますのは、公衆通信、警察、消防、その他いろいろな重要無線が使っておるわけでございますけれども、これらが将来五年ないし十年間の増加の見通しというものを考えますときには、VHF帯の波が非常に不足してまいる。具体的に申し上げますと、大体百メガヘルツ程度の波が要るだろう、こういうことでございます。したがいまして、テレビのVで使っております波七十メガヘルツ、まだ三十メガヘルツ足らぬわけでございますけれども、それをこの重要無線通信のほうに振り向けて、それでVのテレビ局はUのほうに移ってもらうという事柄が、郵政省が四十三年に立てた基本的な考え方でございます。それで、その後関係の方々といろいろな御相談をいたしまして、まあ私たちといたしましては基本的な問題についてはある程度御了承を得られているのではないかと考えますが、その具体的な移行の問題につきましては、経費の問題、それから移行した場合に、はたしてVのテレビの数だけの置局で済むのかどうか、いわばVの足の長さ、Uの足の長さということの技術的な検討、そういうことを現在検討し続けておる、主として問題点はそういうところにあるということでございます。
  145. 平田藤吉

    平田委員 どうも私が質問したのをどこかにはぐらかしちゃったのですが、これには二つの意見があったんだ、VからUへの移行については賛成意見と反対意見があったんだ、その主要点は何だったということを聞いておるわけなんですけれども、どうもそこのところははっきりさせないほうがいいのか何か、言われませんでしたが、もともとこれにはいろいろ反対意見も出ていたわけですよ。それを郵政大臣がUへの移行を強行するということを発表されたんですね。そこで、いま若干の説明がありましたけれども、そんなにVHFを使うという需要が大きくて、いまのテレビのVHFの波をそちらのほうに回さなければならないほどなんですか。そこのところをもう一ぺん、だれが必要なのか、そしてそんなに必要な量が大きいのか、はっきりさせてください。
  146. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 先ほども御説明申し上げましたように、初めテレビはVで始まったわけでございます。それからUの波のチャンネルが相当開発されまして使えるようになった。これをどういうぐあいに使うかという場合に、テレビはもちろんUとV両方使うこともできるわけでございますが、その他の無線局のことも考えますと、テレビだけで独占するわけにはいかないということでございまして、したがってVとUと二分してテレビの波をとるよりも、Uに一本化したほうが受信者のほうも便利であるし、それからその他の重要無線局もVで使っておりますものですから、そちらのほうを使ったほうが有理であろう、こういう考え方でございます。
  147. 平田藤吉

    平田委員 Vの波をそんなに重要なたくさんの人が使うんですか。ここのところをはっきりさせてください。Vの波をだれが必要としているのか。一般的に電波を使うのだ使うのだと言っておりますけれども、だれが必要としているのか、中心的にはだれが必要としているのかという点をはっきりさせてください。ややっこしいことはいいですから……。
  148. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 現在で申し上げますと、多分に予測が入るわけでございますけれども、陸上移動業務関係、これは中身は公衆通信の陸上移動、将来は自動車電話等も入ると思います。それから警察関係の移動、それから消防関係、これも移動でございます。それから鉄道、それから電力、ガス、新聞、公害対策用の事業、公害対策としても電波は相当使っております。それから水防、防災、こういう中身で五十メガヘルツということが一応想定されておるわけでございます。それから海上移動業務及び固定業務、これは御承知のように沿岸無線電話というのがありまして、船から直接に公衆電話をかけられるという制度がございますが、沿岸無線電話、あるいは海上保安庁の海上移動業務用、そういうような内容のものでございまして、これが二十メガヘルツ。また最近特に盛んになってまいりましたデータ通信それから宇宙通信、こういう関係についてもVHF帯の波がほしいということでございまして、これが大体三十メガヘルツ程度、合わせて百メガヘルツということで一応想定しております。
  149. 平田藤吉

    平田委員 テレビと、そうしたもの——Vの波を使わなければならぬと言っている人たちと、比重はどうなんです。そっちのテレビのほうが聴視者に負担をかけ、放送局がばく大な新たな設備をしなければならぬようなやり方をしてUの波に移行しなければならない理由がどこにあるのか、はっきりさせてください。Uの波に移行しないとテレビがぐあいが悪いという理由があったらはっきりさせてください。二つですよ。どっちが多いのか。それからテレビがVからUへ行かなければならない、行ったほうがいいという理由があったら聞かせてください。
  150. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 先ほどから御説明いたしておりますように、テレビは初めVで出発した。ところが新技術の開発でUに相当大きな、何といいますか余裕ができた、そこをだれが使うかという問題だと思います。  その場合に、テレビ側としても、たとえばVのアンテナとUのアンテナを二つ立てて見る、それも一つの方法かもしれませんが、できますならばアンテナは一つのほうがよろしい、あるいはまた、いま電波のいろいろな雑音の問題がございますが、これはいろいろな測定のデータもありますけれども、どちらかというとUのほうが便利ではなかろうか、あるいはゴーストの問題などにつきましても、Uのほうがゴーストが少ないのではなかろうか。こういうような観点で、テレビをUとVの二つに置くか一つにまとめるかというそのときの判断で、私たちは、郵政省としましてはUのほうに一本にまとめたほうが将来は有利ではなかろうか、こういう判断に立ったわけでございます。
  151. 平田藤吉

    平田委員 さっきから聞いているのですけれども技術が進歩したからUに行けばいいんだ、UとVと両方じゃたいへん不便だからUに行けばいいんだというようにあなたはおっしゃるけれども、何でVを使っていてはいけないんだということですよ。テレビはVだと不便なんですか。ここのところをはっきりさせてくださいよ。
  152. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 ただいまも説明申し上げましたように、たとえばアンテナのことを取り上げましても、UとVと同じ場所に二つあるとしますと、アンテナが二本要るわけでございます。VのアンテナとUのアンテナ二つつけなければならぬ。ところがUにまとめますとアンテナが一本でよろしい、こういうような利点があるということでございます。
  153. 平田藤吉

    平田委員 V一本だとなぜぐあいが悪くて、Uへ行くということ、VとUを両方使うということにしたんだということを聞いているのですよ。
  154. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 説明がことば不足で失礼しました。  いまVの波が十二あるわけでございます。それからUのほうは五十あるわけでございます。それでいまVを使って十二で全国的にやっておりますが、なおUの局も相当許可されております。したがって、いま混在状態でございます。それを、UのほうをすべてVに移行したらどうかということでございますが、これはすでに他に割り当てられておりますものですから、十二以外には使う余地はない。したがっていま私たちにまかされている選択は、VとUと両方使うか、あるいはU一本にまとめるかのどちらかになるわけでございます。
  155. 平田藤吉

    平田委員 現在Uのほうも使っているから、どうもどっちかへまとめたほうがいいという論法なんですよ、あなたの話を聞いておると。十二チャンネル割り当てられている。十二チャンネルで足りなかったらどうするんだという問題だって考えていいはずなんです。だれが割り当てたんです。聴視者を主体にして考えて、しかも国民の中で圧倒的多数を占めている人々、これが一番利用しやすい波を利用してきたんですからね。それを何でテレビに対する割り当てを少なくしたのか。足りなかったらふやしたらいいじゃないですか。Uに移行させて、Uと両方使っているのじゃ不便だからUのほうへまとめちゃうんだという、こんな理解できない話はないですよ。そこのところを聞いているんですよ。
  156. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 御承知のように、テレビが始まりましたのが二十年近く前でございまして、そのころは実は六チャンネルという時代がございまして、Vの波を六つ使ってやっておった。しかしその後テレビ界の異常な発展ということがございまして、非常に無理をいたしましてその六チャンネルを十二チャンネルに増加いたしました。しかしVHF帯ではその十二チャンネルが限度でございまして、そのほかのところはすべて重要無線局が使っておりまして、その数が何万という局でございます。したがいまして、これをすべてどかして、いまUを使っておるテレビをここに押し込むということははなはだ妥当な措置ではないではないかという考え方でございます。ただ、Uのほうはまだあけてございますので、テレビが移れば移れるようにあけてございます。これは技術の進歩がわりあいに最近のものでございますから、使えるようになったのは最近でございます。したがいまして、これをいままでは郵政省としては保留しておったわけでございます。それで、VからUに移るとなった場合にはこれを全面的に使用する、こういう計画でございます。
  157. 平田藤吉

    平田委員 それでは、どうも問題がはっきりしないようですけれども、VHFからUHFへの移行は安易にできると思っていますか。もうじきできるんですか。
  158. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 基本的な考え方は先ほど申し上げましたとおりでございますが、その実行方法につきましては、多額の経費を要しますし、その他技術的に検討すべき問題も残されておりますものですから、今後ひとつ慎重に検討していきたい、こういうぐあいに考えております。
  159. 平田藤吉

    平田委員 慎重に検討するとおっしゃるけれども、Uに行く以外にないんだ、こう言っておいて、あなた、慎重に検討するというのはおかしな話じゃないですか。どう聞いたって納得いきませんよ。これはもうすでにだいじょうぶなんだということを、いまになってあなた慎重に検討すると言っているけれども小林郵政大臣は昭和四十三年九月に、今後十年間を目途としてテレビ放送を現在のV・U混在からすべてUに移行させたい、こういう趣旨の談話を発表しているんですよ。これは御存じでしょう。できるんですか、あなたこれ。そんな、慎重に検討していきたいなんて、慎重のところだけ力を入れているけれども、そして混在で解決できない、からみ合ったままにしておいて、いざUへ全面的移行となったらこれは聴視者に対する負担もばく大なものですよ。NHKのほうだってそうでしょう。放送局全体がそうでしょう。Uへ全面的移行となれば、そのための諸体制万般整えるといったら、ばく大な金を必要としますよ。どうするんです。あなた方が大体、できもしないものをもうできるようになっているんだというように言っているから問題が起こってくるんですよ。  NHKはそのときこう言っているんですね。「テレビ放送のU移行は、電波使用の効率化につながる、あるいは通信機器製造業界に好影響が期待される、こう言っているんですよ。これはさっきの話と同じなんですよ。送信側の経費負担の増大、聴視者へのサービス低下、聴視者の負担増大などを理由とした反対論などがあるということを指摘しているのですけれども、そういいながら、Uへの切りかえを行なうために放送局側と具体的な検討を行ないたいという提案を受けて、郵政省との間にテレビジョン放送局のUHF移行に関する専門連絡会というのをつくったのですね。これは何をやっているのですか。さらにNHKの前田会長は、テレビジョンの全面的UHF化については、国策としての決定に従いと答弁しているのです。  時間がなくなりましたから、この点についてはさらに検討するようにしたいと思うのですけれども、こういうふうにずっとひるがえってみると、その場のがれその場のがれの回答をしているんですよ。材料はまだありますよ。あなたはいまおっしゃるように、Uに行く以外にないんだ、これは金もかかるし、いろいろたいへんなので慎重に検討したい、こう言っている。まだこんなことを言。ているのですよ。できないのだったらおやめなさいよ。早々とやめて、大企業に奉仕したり、あるいは一部の人々のためにVをあけてやらなければならないような仕事のやり方はやめたほうがいいと思うのです。やはりそこでも、聴視者のためにいかに便宜を計らうか、聴視者にいかに負担をかけないかということは貫徹すべきだと思う。そういう意味では、電波をめぐる問題でも、やはり大企業に奉仕する考え方が根底にずっと流れている。どこから圧力が来たのか知りませんけれども、VからUへの移行の動きもこの姿勢と結びついているというふうに思うのです。そういう意味で、私はまだ幾つも資料を持っておりますけれども、時間が来たようでありますから、引き続いて別の機会にこの問題についてはお聞きすることにして、とにかくNHKはやはり聴視者の立場をしっかり踏まえて、そしてさっき前田会長が言いましたけれども、独占奉仕の立場じゃないと言っているけれども、現在あるのだから、それを見詰め直して、あらためて聴視者本位の立場にしっかり立つこと、電波の問題にしてもこの立場から問題を立てていくことが何よりも大事だ。郵政大臣もひとつそこのところは十分検討していただいて今後に処していただきたい。  最後に、この電波の問題に関しても、ひとつ大臣の見解を聞かしておいていただきたいと思います。
  160. 久野忠治

    久野国務大臣 先ほど技術的な問題等を通じまして貴重な御意見を拝聴いたしました。さらに問題点が多々あるようでございます。そうした点等も十分勘案しつつ慎重に検討いたしたいと存じます。
  161. 平田藤吉

    平田委員 以上で終わります。
  162. 久保田円次

    久保委員長 次に、田中昭二君。
  163. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 委員長、定数を集めてください。
  164. 久保田円次

    久保委員長 速記をとめてください。   〔速記中止〕
  165. 久保田円次

    久保委員長 速記を始めて。  田中君。
  166. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 私は、きょうはまず前田会長さんにお尋ねしていきますが、いわゆるあと地の売買につきまして、NHKと三菱地所との売買契約ができましたときに、これはたいへん社会的に問題だということで、マスコミも相当取り上げまして、いろいろ騒いだわけでございますが、NHKの言い分としては、自由経済のもとにおきましてはこの商行為は正当であるというような、正当性をもってお述べになっておったようでございます。そこで、会長さんがこのように言われたと私は聞いております。高く売れるということは国民にとってもたいへん利益になることだし、高く売れたいわゆる売却益を国民に還元する、先ほども何かそのようにおっしゃっておったようでございますが、こういうように何べんも御答弁があったようでございますが、この国民への利益の還元とは一体どのようなことをお考えになっておるのか。重複するところもございますから、まず簡単にひとつ要領よくお答えいただきたいと思います。
  167. 前田義徳

    ○前田参考人 高く売れたほうがいいという意味で申し上げているわけじゃなかったのですが、私も驚くほど高く売れた。しかし商行為の結果として現在の組織の中ではこれはやむを得ない、しかしそのいわゆる評価益、売却益はこれを国民に還元すべきだ、国民に還元する方法として、御審議いただいておる二つの方法を考えたわけです。第一には聴視料の上で聴視者には絶対に迷惑をかけない。少なくとも今後三年間は迷惑をおかけしない。もう一つは、やはり放送界全体にプラスになるという形でその売却益の一部を使わしていただきたい、こういう意味でございます。
  168. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 たいへん重複した質問並びに答弁をいただいておりますから、ひとつ先ほど言いましたように簡単でけっこうだと思います。  私は、国民への利益還元ということは、NHK放送法によりまして存在しております以上、そこに「公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように放送を行うことを目的とする。」このような趣旨が書かれていると思います。そうしますと、国民への還元の中で、いま受信料の問題に触れられましたが、この問題はきょうの委員会でもいろいろ論議がありまして、また後ほどいたしますとしまして、その二つの中の一つはあとに問題を残しまして、もう一つの問題は放送界全体だというお話でございましたが、私はそのような方法よりも、国民への利益還元であるならば、いまの放送法の目的からいいましても、まだ全国には難視聴のところがたいへんございますし、またNHKだけが聴視者から受信料を取っておるという点、これもいまお触れになりましたが、いまこの二つのうちどちらかといいますと、難視の問題を第一義に考えるべきではなかろうかと思いますが、いかがでございましょうか。
  169. 前田義徳

    ○前田参考人 お説のとおりでありまして、昭和四十七年度予算においても、また御審議いただいている明年度予算においても、NHKの方針の第一として難視聴解消という問題を柱といたしておりますし、第二には番組の向上ということをうたっております。
  170. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 おことばを返すようでありますが、売却益は三百五十四億円あると聞いております。申すまでもなく借金の返済百八十億、文化基金に百二十億、安定資金に五十四億と聞いておりますが、利益の還元ということを考えてみてみますと、国民が最も望んでおります難視聴対策と受信料値上げの抑制というこの二つに、この三百五十四億が使われておるとは私はどうしても思えないのですが、いかがでございましょうか。
  171. 前田義徳

    ○前田参考人 難視聴解消の問題についてはお説のとおり、われわれの第一義的な本来業務でありますが、これは金高だけでは解決できない問題かと思うのでございます。
  172. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 NHKから提出されました第四次長期構想を見てみますと、その最終年度は五十一年度と聞いておりますが、そのときに十六万世帯の難視聴の世帯が残るというふうに書いてあります。先日からの答弁によりますと、その難視聴の残る数が百三十万と一躍増加をしておるようでございますが、その理由、長期計画には十六万世帯となっておりますが、その見込み違いについてはどのようにお考えですか。
  173. 前田義徳

    ○前田参考人 まず第一に、長期構想は昭和四十八年度は第二年目になりますが、その長期構想は新しい予算書、事業計画並びに資金計画を御審議願うという形ですでに修正されているということを御理解いただきたいと思います。ただ一般的に申し上げるならば、五十一年度末に十六万世帯を残すという計算のしかたは、従来の方法と従来の置局計画、共同聴視に対する投資という形でいけば、その範囲では十六万世帯ということになるわけでございますが、これは御承知のように、都市の構造の変化、いわゆる過疎過密との関係並びにカラーが中心になっているという状態において、いわゆる一般的な難視はおそらく百十七万に達しており、今後数年間にはこの部分がさらにふえるおそれがある、それがあるいは百三十万になるかもしれないという意味で申し上げたわけでございます。
  174. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そうしますと、長期計画というのは発足しまして二年目に、一年を経過したときにそのような計画の変更をしなければならなかった。そうすると、私はNHKにしましてはえらいずさんな計画をお立てになったんだなあというような印象がぬぐい得ないのでございますが、いかがでございましょうか。
  175. 前田義徳

    ○前田参考人 長期構想はその限りにおいてはお説のような御批評もあるかと思います。しかし、従来長期計画と称したのは第一次から第二次まででございまして、自来は計画でなくて構想という形に変えました。と申しますのは、社会的進化あるいは変化がきわめて急速であって、数年前に策定したことが事実とそぐわなくなるという事態がここ数年非常に顕著になってまいりました。そういう意味では第一次、第二次あるいは第三次ぐらいまでは一応の構想と実際が合ったわけでありますが、第一次等におきましては五カ年計画を第三年度から第二次五カ年計画に切りかえております。こういう社会の実情に即した考え方、特に今回の場合は、第四次構想によりますと五十一年度には経営上三百八億の赤字が出る、こういう考え方でございました。しかしこれを克服するために、私どもはこの構想をいままでの御質疑の中で実は明らかに修正したわけであります。三年間赤字はないんだという形が出てきたわけでございます。したがいまして、五十一年度までの最終構想の取り扱いについては、私どもといたしましては四十八年度予算の実施が終わる段階で、すなわち四十九年度中には新しい構想をあらためてたたき直さなければいけないであろうということを考えております。
  176. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 いまお聞きしておりますと、難視の問題がたいへんふえたというのは、私は都市のビルの関係で見えないというようなことが相当あろうと思うのですが、そういうものが先ほどの百三十万と予想されるものの中に入っておるのかどうか、これは事務当局から伺います。  それと、今後そのような努力によって難視聴を解消していくとすれば、その年度別計画なり解消の計画についてお答え願いたいと思います。
  177. 藤島克己

    藤島参考人 お答えいたします。  難視につきまして、先ほど都市の難視、が百三十万に入っておるかどうかというお尋ねは、それは別でございます。
  178. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 次のやつは……。
  179. 藤島克己

    藤島参考人 どうも言い足りず失礼いたしました。  全国難視は、百三十三万という数字は昭和四十六年度末までの私どもの一番新しい数字でございます。それから四十七年度末は大体百十七万になるであろうというふうに考えております。これを今後五十一年度までにことしと同じようなベースで——ことしの予算審議の資料に書いてございます、置局が二百二十地区完成、着工が百四十地区、共同聴視千十施設ということになっておりまして、合わせて千二百三十地区を今年度難視解消の基地といたしまして置局あるいは共聴をやるわけですけれども、今後大体これと同じペースで五十一年度までに続けてまいりたい。これはもっとやったらどうだという御質問も再三ございますけれども、たいへん遺憾なことでございますけれども、いまの段階では予算を投入するだけではなかなか数がふやせない。と申しますのは、共同聴視をいたしますにしても、そこへまだ電波が届いていないわけでございまして、そこへ届く電波置局をまずやってからでないとその先の共同聴視なり置局はできないという、いろいろ技術的な事情もございまして、私どもがいろいろ検討いたしました一番可能な限りの最大の努力をいたしまして、ことしの千二百三十地区ということを考えたわけでございまして、今後もこのペースで五十一年度まで、できることなら少しでも多くやることで解決をいたしたいというふうに考えております。このテンポで参りますと、五十一年度末の残存難視は約六十万近くになるのであります。これのうちの約半分くらいは従来の方法でも何とか解決できるだろうと思っておりますけれども、残りの半分はたいへん過疎な地帯とか、非常に単価が高くつく。たとえば共同聴視の一世帯当たりで二十数万円もかかるというようなことに相なりますので、そこらの置局につきましては、先般簡単に申し上げたこともあろうかと思いますけれども、新しい方式を開発してそれらに対処していきたいということが一つと、それから将来の問題として、衛星放送とそこらあたりをつないでもっと効率的な解消を考えなければ、実際上できないのではないかというのが、いまの私ども考え方でございます。
  180. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 いまの御発言は私は重大だと思いますよ。会長さん、難視聴については解消していこうという本来の大事な、私は国民に対する責任といいますか約束といいますか、そういうものが、いまお話を聞きますと、五十一年度末にできないというのです。新しい方法を考えてもできない。そうですね。放送衛星の問題にまで触れられましたけれども、よくひとつ、時間を制限されておるのですから、こちらの質問に答えてください。ですから私は、難視聴の解消の年度別の計画とか解消の計画がありますればそれを言ってくださいと申し上げたのですが、もう一ぺん確認しておきます。これはここでそういうことを言われましたら、時間がありませんから、ひとつこれは委員長におきまして、NHK難視解消のための年度別の計画といいますか、そういうものをひとつ出していただきたい。  それから、先ほど私は五十一年度末に百三十万世帯が残るだろう、こう言いましたが、それは間違いだとおっしゃった。そしてもう一つお聞きしました。都会におきますビル等による難視、これは百三十万に入っておらない。あなたの説明です。入っておらないとするならば、現在まであなたは四十六年度末まで百三十万世帯、四十七年度末は百十七万、これ以外にビル等による難視というものはどういう把握をしておりますか、別だとすれば。
  181. 藤島克己

    藤島参考人 お答えいたします。  百三十万世帯と申しますのは、ただいま申し上げましたように、四十六年度末の私どもが新しく調査しました残存の難視の数でございまして、五十一年度末百三十万というのは私はちょっと記憶にありませんけれども、もしそういうように申しましたら御訂正をいただきたいと思います。  それから都市の建造物による難視、ただいま東京あたりでかなり高層建築が建っておりますので、これと関連いたしました都市の難視は、これも四十六年度末でいたしますと約三十三万、それから四十七年度末、つまりこの三月末でございますけれども、それで推計いたしますと、おおよそ三十三万がふえまして三十七万くらいになるであろうと、私どもはいままだ最終的な集計をいたしておりませんけれども考えております。これは主として高層ビルの建築による被害世帯でございます。
  182. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 こちらの間違いは訂正しますけれども、おたくのほうの私の質問に対する答弁も、間違いは——これはひとつはっきり書類で出してもらいます。委員長、いま御存じのとおりこの四十六年度末の百三十万とか四十七年度末の百十七万というのは、都市のビル等によります難視は入っていないということなんです。いま聞きますと高層建築物によります難視は四十六年度末三十三万、四十七年度末三十七万、私はそれが四十八、四十九、五十一年度にいきまして六十万世帯というのは何を出したんだ、こう聞きたいわけです。こういう数字の問題でございますから、どうか委員長に取り計らっていただきまして、ひとつこれは出していただきたいと思います。そうしませんと、こういう論議は数字を読むだけでは意味がありませんから……。これは、それじゃそうお願いしまして、次に移ります。  まだこれでは私、難視の問題は結論づけることはできないかと思いますけれども、最近のNHKにまつわるいろいろな批判なりそれに対する姿勢なりを一般国民から見れば、どうしても私は難視の問題についてはこの文化放送基金の百二十億全部でも使ってやるべきではなかろうか、こういう単純なしろうと考えに対して会長さんはどのようにお考えになりますか。
  183. 前田義徳

    ○前田参考人 私どもの第一義的義務から申しまして、そういう御印象もあるかと思います。また、それが間違いであるということも私どもとしてはもちろん申し上げられません。ただ難視解消については、四十七年度も御承知のようにSHFの開発によって、現在のところ六カ所でしたか実験放送をいたしておりますし、都市の難視の解消につきましては、いわゆるケーブルビジョンという方式でこれと協力することによってさらに解消していく。現在でも年間約七十億を投じて難視解消に全力をあげているわけでございますが、これに百二十億をプラスしたからといって、御期待に沿えるような実効が直ちにあがるとは実は残念ながら考えられません。  そこで、永久にこの問題に寄与するために、やはりこの文化基金の一つの目標として、難視解消等を含めての技術の新規開発に全国的な頭脳に私としては参加を願いたい、そういう意味で、単にNHKの中でのビューロクラティックな技術開発のみならず、一般のお知恵もお借りしたいという意味で、この放送文化基金の中にはその項目も入れていただきたいということを考えております。
  184. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 この難視の問題はまだまだ論議することがございますけれども、私はここであえて会長さんに、難視の現場で私が相談を受けましたことの実情の一端を申し上げておきたいと思います。  私の地元で、ある住宅地がございまして、そこの近くに公団住宅が建ちました。そうしましたところが、その近所の、いままでとにかく映りがよかったところのテレビがたいへん乱れたり流れたりするという事情が起こってきた。もうちょうど一年前になります。そこで、その見えが悪くなった住宅の人たちは市役所にも行き、NHKにも行きましたけれども、いまだもってこの問題は責任のなすり合いみたいなことを言って解決しない。これは現場というのはそんなものですよ。いろいろそういう問題を聞きまして、私のほうからお願いもしましたところが、それなりの方法はその後にとってもらったようでございますれけども、一般の人たちが——NHKといえば半官半民のお役所的な態度というものもないとはいえない。だからそういうふうにNHKに行っても、支局でございますけれども、支局に行っても、お役所に行っても、どこもそういう問題について積極的にやってやろうとしない。そういう実情があることど、それからいなかのほうでございますが、山が周囲にございまして、そこの難視の問題ももう三年から解決しておりません。もちろん難視の世帯がわずかでございますから困難もあろうかと思いますけれども、そういう問題がある場合に、NHKの支局等において、いまここで会長さんがおっしゃるような意味でそれを解決していこうとするならば、そういう姿勢がなければならないということを私は申し上げておきたいわけであります。  この問題はこれくらいにしまして、次にこまかい問題でございますが、最近NHKの受信料等の問題につきましてもいろいろ批判があったかと私は思います。新聞やマスコミ等で報道されました中に、一般の庶民の受信料についてはきびしく徴収をするけれども、大きな事業所等に対してはその受信料の徴収も手かげんを加えているのじゃなかろうか、こういう実態といいますか、そういう批判が起こってきました。私も、このNHKの二千六百万世帯ぐらいに及びます契約世帯につきましてはいろいろこまかく事務当局の方にお尋ねもしてみました。そうしますと、私、もう時間がございませんからその結果を申し上げますと、四十七年末でテレビの設置世帯数は二千六百三十二万世帯あった、その中で契約しておる世帯数はおおよそ二千三百六十四万だ、設置世帯数と契約世帯数の差が二百六十八万世帯、これは翌年契約対象世帯数だと御説明を聞きました。すなわち、NHKさんのほうではいまから——いまからといいますか、この一年間に耕す畑であり、未契約の世帯であります。そしてそのほかに、同じ四十七年度は、いわゆる事業所等の非世帯の設置場所は百十八万四千カ所ある、そしてその中で設置しているのは五十八万二千だ、その設置個所の中で契約しておるのが四十一万件だ。ですからその五十八万と四十一万の差の十七万件が未契約であります。合計二百六十八万と十七万の二百八十五万が未契約である、このように聞いております。さらにこれと同じく四十八年をいまのように聞いてみますと、途中の数字を省きますが、約三百三万の未契約がある、このように聞いておるわけでございますが、この数字は大体間違いございませんか。当局のほうから、ないかあるかだけでけっこうです、簡単に言ってください。
  185. 吉田行範

    ○吉田参考人 先生の御指摘数字のとおりでございます。
  186. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そこで会長さん、私はこの世帯の設置台数につきましては、これは一応だれでも了解ができる数字じゃなかろうかと思います。ところが問題は、いわゆる事業所等の非世帯の契約状況です。これは当委員会で問題になりました。こういう資料をいただきましたが、これを見まして、私は、いろいろいままで新聞等で批判があったことは別にしまして、これを常識的に見た場合、やはりこれはおかしいなという疑問を抱かざるを得ないのですよ。総括的に数字を申し上げれば、いま申し上げましたように事業所が百十八万カ所もあって、その中には五十八万しかテレビがないとか、そして五十八万の中で四十一万しか契約させてないというようなことは、一般のテレビのことについて詳しくない全くのしろうとが、この数字とそれからここにあります内容を見てみますと、ほんとうにこういうものだろうかとびっくりせざるを得ないと思うのです。私が申し上げるまでもなく、この中の一つ一つをとっていけば、まずホテル、旅館等については、こちらの補助的な説明によりますと、二百台以上あるところが十軒近く計上してあります。ところが七万九千軒もホテル、旅館等がありまして、実際テレビがあると見られたのはその約半分であって、一カ所当たり七台平均にしかなっていない。こちらからいくと何百台となるのですね。何百台のものが平均七台になったということは、一台とか二台しかないホテルがたくさんあるということなんです。それからもう一つは船舶、百トン以上の船が九千隻あって、それには一台しかないという見方。それから病院でも、十万三千カ所もありながら、これはその一割五分、一五%に相当する一万五千カ所しかテレビがないという見方なんです。病院にはテレビが一台しかないという見方。それから飲食店、喫茶店等ですが、こういう飲食店や喫茶店については、これはまだ、取りそこなっておるところがあるらしいということを大臣もどこかで発言しておりますね。私、これはあとで聞きますけれども、その飲食店等については、全部の飲食店等のたった二割。三十二万カ所もありますが、その中の七万一千カ所しかない。それも一台平均だというようなことを一般の人はどう思うだろうか。いろいろマスコミ等によりまして調べたのも出ておりますけれども、これを見てみますと、NHKからいただいた資料には新聞社というのが中間に掲げてあります。ホテル、病院等はこれもやはり企業でございますから、私は一々名前を聞こうとはいたしませんけれども、官公署、会社なんかにつきましては、これはたいへんおかしい。一つ一つ具体的にあらわしたほうがいろんな誤解を招くことにならないんじゃないか。官庁なんかもはなはだしいところでは三百台からあって、ないところには二十台しかない。ここにあげてある本省だけでも、一番少ないところはテレビが四十ですね。これ以外のほかの省では、少ないところは二十しかない。二十というのは郵政省ではないと私は思います。ですけれども、あるところには三百五十近くものテレビがあるそうです。そのように契約しておるというのです。そういうことから見てみますと、会長さん、くどいようでございますが、こういう数字につきましては、庶民の一人として私のような疑問を抱くのがおかしいのか、それともいままでのこのような把握の状態というのが足らないのでしょうか、どちらでしょうか。まずそのお考えをお聞きしましょうか。
  187. 小野吉郎

    ○小野参考人 お答え申し上げます。  御指摘になりました数字は大体そのとおりでございますけれども、非世帯契約の関係につきまして非常に御理解いただきにくい点は、事業所の数を拾いますと確かに百十万ございます。この事業所の中にはピンからキリまでございまして、世帯とほとんど一体になっておるようなものが多いわけでございます。そういうものは世帯で契約を結んでおりますし、壁一重隔てたそれを事業所として世帯分のほかにもう一つ契約ということは常識にも反する結果になります。そういうものはふるいにかけてのけてあります。われわれの受信料の徴収の内規におきましても、それは世帯契約に吸収をいたしまして別個に事業所としては取らない、こういうことに相なっております。  そういうものを引きますと、結局、いわゆる非世帯契約の対象になりますものが二十七万三千件と見ておるわけでございまして、ホテル、旅館にいたしましても、この中には非常に大きなホテルもありますし、また非常に小規模の旅館もありましょう。また官庁、事業所等につきましても、その規模なりいろいろな関係について千差万別でございます。病院等につきましては、これは病室はたくさんございましても、病室に持ち込みますそれは世帯の契約の延長といたしまして、いわゆる非世帯契約の対象にはいたしておりません。大体において病院では患者の待合室、ここに設置しておるのが通例でございまして、そういうような意味合いから、病院につきましては対象になる数は大体一台ずつと算定をいたしております。また、その他の飲食店、事業所等の関係につきましては、これはやはり数台持っておるような大きな規模のものはごく少数でございまして、大体は一室で営業をしておるのが常態でございます。  そういうような面から計算をしたものでございますけれども、まあそういった面について事業所が冒頭に百十八万とこう出てまいりますと、一台ずつ持っても百十八万ではないか、こういう御疑念が起きるのは当然であろうかと思いますけれども、やはり実際の実情を見ますと、ほとんど世帯に吸収いたしまして世帯で契約をし、さらに世帯外で非世帯のそれの対象として取ることが常識上通念上非常に無理なものが多いわけでございますので、このような状況になっております。  具体的な例もいろいろ資料ではお配りしてございますけれども、これはそう言ってはまことに不十分かもわかりません。具体的な固有名詞をはっきり入れておりませんのでまことに相すまぬと思いますけれども、たとえば、千七十六部屋を持っておりますホテルにつきまして八百四十一件の契約を現実にいただいておりますとか、あるいは九百五十室数のあるところで八百三十六契約をいただいておるとか、あるいは五百六十六部屋数のあるそれで五百六十六まるまる契約をしていただいておるとか、まあそういうような状況に相なっておるわけでございまして、この点につきましては、われわれの及ぶ限りにおきましていろいろ努力をいたしまして四十一万の契約をとっておりますが、その対象となるそれは、現実に一つずつシラミつぶしに立ち入り調査の権限もございませんので、そういう規模の大小といったようなことを経験上いろいろ算定をいたしまして、対象数をこれだけあるとこう冒頭に置いておるわけでございます。  もちろん、現在の状況が世帯契約との関連におきましてこれで十分とは申し得ないと思います。大いに努力をしなければならない点もあろうかと思いますけれども、現在、設置した台数につきまして現実に契約をいただいております率はおよそ七〇%ぐらいまでは努力をいたしておりまして、これで満足すべきではございません。将来大いに努力してまいりたいと思います。
  188. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 せっかくの副会長さんの御答弁でございますけれども、そういう御答弁もあるかと思いますが、いま私が申し上げたのは、ここにいただきました資料のようにホテルが千室あって八百契約しているとか、そういうことじゃないんですよ。それは副会長さん、大きな病院に——まあ大きな病院か中くらいな病院か平均しかわかりませんけれども、病院にテレビが一台しかない、それは患者のとは別だとか世帯とは別だとか言うけれども、病院には事務室もありますし薬剤室もありますし、いろいろありますよ。普通の人が病院を見て、あそこにはテレビが一台しかないということを承知できますかと言うんですよ、私は。しかし、これはここで論議をしても始まりませんから、私は、NHKの今度のあと地のことが問題になりまして、会計学上も、NHKが設立されまして二十数年来の問題から、しろうとでございますけれども自分なりにいろいろ研究もしてみました。そこで、受信料の問題のときに触れようと思っておりましたが、設立以来二十数年間、NHKは会計検査院の指摘事項一つない、不正事項一つない。そのように会長以下経理担当の方も努力されていることは私は敬意を表します。敬意を表したいと思います。しかし設立のときの財産目録等を見てみますと、その二十数年間に事業形態も大きくなって、いま一千億円内外でNHK全体の全国の機能が動いておるということと、設立当時の資産の内容等を調べてみますと、二十数年間検査院の指摘が一カ所もないということは、それだけがんばっておられるということと同時に、何かしらん納得のいかないといいますか、おまえしろうとだからそんなふうに思うのかもしらぬとおっしゃればそうかもしれませんけれども、私の経験上ではどうも納得のいかない点もあったわけであります。ここで具体的な例を申し上げても、とにかく指摘事項も不正事項も一件もないのですから、私はただそれだけ、努力されたことだけをきょうは申し上げておきたいと思うわけであります。しかしいずれにしろ、その経理なり現在のNHKの予算に対する経営活動なりということについては、まだまだ国民のNHKとするならばもう少しはっきりしなければならないという点があるということを指摘しておきたい、こう私は思うわけであります。  次に受信料のことで、たいへん内輪のことに立ち入って申しわけございませんが、受信料を納める人と納めない人がおるという問題でございます。まず現在の状況からお聞きしていきたいと思いますが、受信料の滞納契約数というのがNHKで把握してあるようでございますが、一番最近把握されております数はどのくらいになっておりますか。
  189. 吉田行範

    ○吉田参考人 お答えいたします。  一番最近の数字は四十七年度の上半期九月末現在でございまして、三十二万九千でございます。
  190. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 もちろん会長さんも、この三十二万九千の滞納者については頭を痛めておると思いますが、この三十二万九千の中には、私ここに資料をいただいておりますから申し上げますと、いろいろな電波の障害等によります滞納者、それから数はたいしたことございませんが、いわゆるNHK番組等の批判による滞納者、それからこういうことも事実あると思いますが、集金の現場においていつお伺いしてもおられないというための滞納者、こういう区分になっております。私はこの内容につきましては、ほんとうにNHKがしっかりした考えを持っておらなければ、このいわゆる滞納者の中のNHKに対する批判、番組に対する批判等によって滞納している人たちとか、常時不在で徴収してないというような人たちが逐次ふえていっているのではなかろうか、こう心配している。もう少しそのふえた状況をお聞きしたいために、過去の、四十七年以前の五年間くらいにわたって、この滞納者について調査がしてあればひとつ聞かせていただきたいと思います。
  191. 吉田行範

    ○吉田参考人 ただいま四十四年度以降のを持っておりますのでそれでお答え申し上げたいと思います。  四十四年度が二十八万九千件、それから四十五年度が二十九万三千件、四十六年度が三十万九千件、それから先ほど申し上げましたように四十七年度の上半期が三十二万九千件でございます。
  192. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 いまお聞きした数字が大体滞納者の数だそうでございますが、四十四年から四十五年につきましてはたいした数のふえ方ではありません。四十五年から四十六年につきましてはかなりの数がふえておる。問題はこの四十六年度でございまして三十万九千、これは調査時点は四十七年の三月であります。そのあと六カ月後の調査によりますと二万件ふえております。私は過去のふえ方と、このたった六カ月間で二万件ふえておることについて、内容はどのようになっておるか知りませんが、できればこの滞納者の問題につきましては、そのような実際の滞納者というのはまだ何倍か何十倍かあるかもわからないという推定もできるのですが、会長さんいかがでしょうか。
  193. 吉田行範

    ○吉田参考人 お答えいたします。  いま私が申し上げました数字に対する御指摘はそのとおりでございます。ただ四十六年度から四十七年度にわたります間に、これは上半期ですから、まだ年度末若干ふえるかもわかりませんけれども、約二万ふえているということの内容は、航空騒音によるものが七千ふえております。それから受信障害によるものが一万でございます。それ、がおもな数だと思います。
  194. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 いずれにしろ四十四年から見てみますと、一年間五、六千件しかふえなかったものが、四十七年につきましては半期で二万件ぐらいふえたということは事実でございます。これに対しまする会長さんのお考え、御所見をお聞きしたいと思います。
  195. 前田義徳

    ○前田参考人 ここ数年間の都市化、過密過疎の関係から申しますと、前回の国勢調査の結果でもはっきりしておりますが、年間全国を移動する世帯数は総世帯数の約一二%になっております。ことに特別の地区においては、たとえば札幌等は、年間二七%内外が移動しております。そして従来ですと、この移動のときにその所属町村に移動の届け出をして、目的地に着きますとさらに新しく届け出をするという制度もあり慣行もございました。今日はこれらのことは全くございません。したがいまして、二カ月集金という制度の中で、その原局の担務する世帯の調査の中で数字はふえてまいっております。しかし同時に、新規獲得と申しますか、従来のように移動の出発地から移動地に対しての手続の変更のない継続取り扱いというものが減ってきて、逆に新しい住所地域でこれが新しい聴視者として捕捉されるという傾向が非常にふえてまいっております。これらにつきましても、私どもとしてはできるだけ実情に合った方法で情報を収集すると同時に調査もいたしまして、これらの間にギャップができるだけ縮まるような捕捉の方法を検討している、また努力しているというのが実情でございます。
  196. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 滞納関係につきましてはそれなりのいろいろな理由がありますし、どうかそういうことの問題を進めていく場合に、実際の現場で事に当たられる場合には、私は十分ひとつ配慮し、いわゆる弱い者いじめにならないようにひとつお願いしたいと思います。  次に大臣お尋ねしたいのですが、私前回の質問のときに、あなたのNHK予算につけました意見書の中からお聞きしました。それは私が聞いたことも当然であったわけですが、その中の——いわゆるこのたびの四十八年度のNHK予算に対しては、特にあの意見書の中で幾つかの新しい項目をつけた。その中の一つに収入確保と経費の節減ということをあなたはつけたというような御発言があるわけです。そのことにつきましてこの前お聞きしましたが、なかなか——なかなかじゃありません、たいへん不満足な、私としては理解できないような御答弁であったと思います。しかし、ものの常識として、ある姿のものがこれがあるべき姿にならなければならないという以上は、あるもののよしあしなり、量でいいますと増減といいますか、質でもいいのですが、そういうものを認識しなければ、こういう面を注意しなさいということは言えないはずなんですよ。それを大臣は御存じなかったからああいう御答弁になったと思いますが、事務当局のほうでも、この経費の節減と収入確保ということについてはNHK予算の中でどういう具体的なことに対して指示したのか、あればお答え願いたいと思います。
  197. 久野忠治

    久野国務大臣 NHKの報告によりますると、受信料の値上げは三年間は行なわない、こういう報告を事務当局を通じて私は聞きましたが、私が今度意見書の中につけましたことは、御承知のとおり長期にわたって受信料の値上げをしないように努力しなさい、その努力をするためには経費の節減と収入の確保に努力しなさい、こういう意味のことを私は申し上げておるのでございます。その経費の節約という中身につきましては、でき得る限り経営者が努力をして、そうしてみずからの力によってその経費の節減をはかるように努力をせよという意味でございます。収入の確保につきましては、ただいま世帯、非世帯等の収入の面について相当の差のあることについての数字的な御指摘がございました。これは資料に基づいて御指摘があったわけでございます。このような世論の批判にかんがみまして、さらにNHKとしては事業収入の確保に全力を傾注しなさい、そういう意味で私は意見書の中にこのことを書き加えたような次第でございますので、御理解をいただきたいと存じます。
  198. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 どうも私の求めていることと、あなたのおっしゃっていることがまだ少し足りないわけですが、私はここにあなたが三月一日ですか、電波記者会の会見でこういうことを言ったということがここに載っております。これは読み上げてみますから、大体そういうことだけ、ことばの一つ一つは別にしまして、そういうことをあなたが言われたのかどうか、確認するために読みますから。  それによりますと、「NHK新予算については事務当局を通じて検討さしたところ、その報告によれば、新しいテレビを購入したり、転居によって契約未更改の世帯が、毎年契約数の一〇%に当る二〇〇万ぐらい出、未契約として残るが、残った分は翌年の新契約として処理し契約分に入っているということだった。受信料については世間の批判もあり、満足してはいないが、」ここが大事だと思うのです。「受信料については世間の批判もあり、満足してはいないが、その説明を妥当とし、」云々、こうなっています。すぐそのまたあとに「また事業所についてはホテル、旅館など実数がつかみにくく、強制立入り調査もできないので、部屋数の七〜八〇%を基準にして契約、そのほか小規模の商店、飲食店などについても、目こぼしが多いと思うが、NHK努力するようつけ加えた。」こういう趣旨の御発言、間違いございませんか。
  199. 久野忠治

    久野国務大臣 ただいまお読み上げになったのが、大体そのようでございます。
  200. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そうしますと、会長さんにお尋ねしたいんですが、最初のほうの未契約分が残って翌年に新契約として入るというような問題ですけれども、それは私は、いままでのNHKの契約の増減のあれを見てみましても、このとおり、ここに言ったとおりのことはどうも理解ができないのです。そこでそれはそれとしまして、最後のほうにありました飲食店や小規模の商店についてはたいへん目こぼしが多いと思うという大臣の御見解は、会長さんとしてはどのようにお思いですか。
  201. 前田義徳

    ○前田参考人 目こぼしのないような努力をいたしておるわけでございます。
  202. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 いや、努力されているのでしょうけれども、現実は多いんでしょう。私はそれは、答弁なさる場合、ほんとうに私たちにわかるように言っていただくほうがいいと思いますがね。
  203. 前田義徳

    ○前田参考人 たとえば、先ほど会長からも御説明申し上げましたが、一事務所に何台あるかという問題は、大きな事務所ほど台数は少のうございます。たとえば食堂であるとか、あるいは重役室であるとか、その他職場となっている事務室にはほとんどございません、簡単に申し上げまして。ただ一般的印象は、事務所であれば事務室に必ずあるということが前提になっていると思います。しかし私どもは、法の許す範囲内で調査もいたしておりますし、事実上、御批判をいただく数字がそのままであるとは、率直に申し上げて受け取れない部分がございます。しかし、その後設置する事務所もございましょうし、またたとえば、いまはまだ白黒からカラーへの転換の時代でございますから、したがってカラー台数がふえるということは、新規のカラーと、同時に白黒からカラーへの転換というものがございまして、転換の場合は総数においてカラーの契約が減るということがございます。したがいまして、こういう事実を勘案いたしますと、私どもは事務所は適当なパーセンテージで適当にやっているのではないという意味で御理解いただければまことに幸いだと思っております。
  204. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 それはもう適当にやっておってもらえば、それこそたいへんですよ。私、ことばを部分的にとって申し上げるわけでございませんけれども、いまの会長さんの最初のほうの御説明、大事業所にはテレビの台数というのは少ないというような意味のことをおっしゃったと思うのですけれども、そういうことをほんとうに零細な所得者であって、六百三十円の、二カ月分のテレビ受信料を払っている人が聞いた場合、すなおに受け入れられるだろうか。ここで御答弁なさるようなことが、一般の零細な収入の人が納めている、その心境というものに合致するのだろうかということが心配でならないのです。そこでいま最後におっしゃったようなことについて、またことばを返すようでございますけれども、私は申し上げたわけでございます。何も私は大きな事業所のことを云々するわけではございませんで、小規模の事務所であればあるで、それで目こぼしがあるということははっきり言ってもらってもいいんじゃないか。問題は、その目こぼしのものについてどう努力していくかということはNHK自体の問題でございますから、しいてここでまたそれ以上私がいろいろ申し上げたくありませんけれども、今後のNHKの受信料に対します先ほどからのいろいろやりとりを聞いておりましても、午前中に話が出ました受信料の問題でも、収支予算面からいけばどうしても最大限三年までしか受信料は据え置くことができない、そういう御答弁だったのです。それをまた別な面からいえば、長期ということは三年間というような理解をせざるを得ないわけですね。私は、かりに三年間ときめられても、今後のNHK努力次第によってそれは五年にでも七年にでもなればけっこうでございますし、そういう意味での努力はしてもらわなければならない、こういうこともつけ加えておっていただきたい、こう思うのです。  時間もございませんから、私の意見だけを申し上げまして、きょうの質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。
  205. 久保田円次

    久保委員長 阿部未喜男君。
  206. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私の質問に入ります前に、さきに同僚の米田委員からNHKに対して幾つかの資料の提出を求めまして、さきに理事会を通じて資料をいただいたわけでございますけれども、その資料の内容について簡明な説明を承りたいと思いますので、お願いしたいと思います。
  207. 小野吉郎

    ○小野参考人 御下命の資料につきまして御説明を申し上げます。  資料は三件あったと思います。まず第一点は、先ほど田中先生にもお答え申し上げました非世帯の契約状況に関するものでございます。これは、先ほどお答えを申し上げましたとおり、事業所といたしましては、百十八万四千件ございます。それに対して、現実に契約をいただいております数が四十一万でございます。四十八年度予算におきましては、これを三万ふやして四十四万を予定いたしておりますが、現在の時点におきましては、四十一万の契約がございます。この事業所の数百十八万四千件と現実の契約台数四十一万件、これがあまりにかけ離れておるではないか、完全に把握しておらない、しかもその把握しておらない数、が非常に多いのではないか、こういう御疑念があったわけでございますけれども、これは先ほどお答えを申し上げましたとおり、百十八万四千件がすべて非世帯の契約対象として把握し得るものかどうか、こういうところに問題がございます。この中には、非常に小規模で、世帯とほんとうに壁一重で店先に事業所を持っておるものも入っております。そのようなものは、世帯でも契約をいただき、新たに壁一重隔てたそこの事業所で、これも非世帯だから御契約をいただきたい、これは非常に常識にも反する結果になろうかと思います。あまりに苛斂誅求に過ぎるではないかというような反撃も受けるおそれも多分にございます。そういう点は、われわれの徴収の取り扱いといたしましては、世帯に吸収をいたしまして、その世帯分のほかにさらに非世帯分として契約をしていただくことはやっておりません。そういうものを差し引きますと、非世帯として契約対象になりますものは二十七万三千件でございます。この中には非常に数多く持ったところもありますし、一台しか持っておらないところもございます。それをいろいろ勘案いたしまして、勘案と申しましても、私どものそれはNHKの直集並びに職員並びに委託の関係で約五千名の人を持っておりますし、また特定局に委託をしたものも三千五百局ございます。これらの力を動員いたしまして、現在、立ち入り調査権あるいは申告制度、そういうものもない状況を、これだけの人数によって最大限確保できるような最大の努力をいたしております。そういう実績から見ますと、いまの非世帯の対象として把握すべきものの数二十七万三千件に対して、その対象台数は五十八万二千五百台と見ております。これに対して四十一万件の契約をいただいておるわけでございますので、その比率を申しますと、七〇%余の契約率、こういうことに相なっておるわけでございます。これが第一点でございます。  第二点は、今回、この予算の御承認によってできます放送文化基金の業務内容と申しますか計画内容、こういったことであったと思います。これにつきましては、いずれ四十八年の秋、十月以降におきまして現実に売買の関係の実行が済んで金が入りましたあとにおきまして、いわゆる民法第三十四条に基づく公益法人としてこの基金は設立されるわけでございます。現在、この関係につきましてはどういうような活動を予定をしておるかと申しますと、大体四件ばかりございます。もちろんこの中にはNHKNHKとして必要業務あるいは任意業務として現在やっておりますこと、こういうものはどこまでも、この基金に依存するのではございませんで、NHKが独自に当たっていくべき分野であろうかと思います。現在、必然の、当然やらなければならぬ業務でもなく、また現在任意にやっておる事業でもない、将来放送界の発展に即応いたしましていろいろなニードが出てこようかと思いますけれども、そういうような状況にマッチした点についてこの基金を活用してまいりたい、こういうことでございます。  まず第一点は、僻地の学校あるいは社会福祉施設等に対しまして受像機の寄贈等、こういったことを考えております。  第二点は難視聴解消に役立つ活動でございますけれども、これは、難視聴解消行為自体はNHKが当然受けるべきものでございます。また民放さんのほうでは民放さんのほうがそれを実行せられなければならぬ立場にございます。ここにいう難視解消の関係の活動と申しますのは、そういった難視解消に役立つ解消行為の実行に着手する前に、その役立つ前提になりますいわゆる技術開発、現在いろいろ置局の方式とか有線共聴施設、こういったものを行なっております。またさらに、四十八年度におきましては、従来実験中でございました無線による共聴方式、これを取り入れることを予定いたしておりますけれども、そういうこと以外に、さらにいろいろな新しいくふうなり考案なり技術の開発なり、そういった面で難視解消に役立つような事柄があれば、そういった開発行為、研究行為、そういうものに対して助成をいたしたいというものでございます。  第三点は放送に関する国際協力でございまして、現在世界の各ブロックごとにいろいろな国際協力の機構がございます。おそらく世界をあげてお互いに相互協力するような趨勢に向かっていくと思います。これには、あるいはその国におきます、地域におきます放送施設の建設でございますとか、あるいは放送事業に従事する職員の訓練の問題でございますとか、あるいは番組の交流等に関するいろいろな貴重な打ち合わせ、そういったような面もあろうかと思いますので、そういった面の活動に資するような方面における基金の活用をはかってまいりたいということでございます。  第四点は、広く放送に関する研究開発というような行為も今後ますます盛んになってまいろうかと思います。そういったことに対する助成。  以上の四点を現在のところ考えておりますけれども、この文化基金は非常に永続する団体でございますし、時勢の移り変わりとともに、ますますいろいろなニードが出てまいりましょう。そういう事柄について有効な働きをすることを予定しておるのでございまして、この運営はどこかの外郭団体式なあるいは人員の送り込みとか、いろいろな指揮系統による、いろいろな母体になる団体の利便に供するような考えは毛頭持っておらないのでございまして、そういう面から起きますニードも出てまいりまし、よう。そういう面から独立して、やはり運営に対するいろいろな機構、審議機関をもってやっていただくということでございますので、この四点のほかに、より放送界全般の進歩発展に役立つようなことに対する貢献があり得るとすれば、またあり得ると思いますけれども、そういう面が追加されてくるであろう、かように考えております。  第三点は、将来三年間にわたりまして料金を改定しない。端的に言えば値上げは行なわない、こういうことをお約束いたしております。四年目以降につきましても、お約束した四年後には直ちに値上げをするとは毛頭考えておりません。これは値上げするともしないとも、今日の段階で変遷する世の中の情勢にかんがみまして、まだここで確約できる問題ではないと思います。協会としては、過去の歴史からもいろいろ料金の改定をいたしましたけれども、やはり単純なる増収策というようには扱っておらないのでありまして、あるいはラジオ料金を全廃をいたしましたり、その前にはラジオ料金の負担を軽減するとか、あるいはラジオ、テレビ両方を持っておるその料金の軽減をはかるとかいうようなことで、いろいろな措置をやってまいっております。この三年間を過ぎましたあとにおきましても、そのような努力をいたし、先ほど大臣からもお話のありましたように、収入の確保、これを十分に、より一そう考えますと同時に、支出の面では合理化を十分に考えていくというようなことによって、できるだけ料金値上げの事態に至らないように、最大の努力をしたいということでございますが、これは三年間料金を上げない、こういう計数根拠はどうかということになろうかと思うのでございますけれども、これにつきましては、いろいろ過去に出しました長期の五カ年構想との対比において一体どうなるかというようなこともあるいはお求めになるかもわかりませんけれども、これは会長先ほど申しましたように、すでに難視聴解消の数において非常な差異を生じております。これは社会の実相の変転に応じてそのような事態になったわけでございますし、そういう面から、この面は一応過去の構想にはこだわりなく、現在時点におきましていろいろマクロ的に考えて、三年間はたして値上げせずにやっていけるかどうかを検討したわけでございまして、そういう面から見ますと、やはり不動のものは収入であろう、その収入の範囲内で運営ができるかどうか、こういうことが一つのポイントであろうと思います。そういう面で収入の将来推移を考えてみますと、四十八年度は四十七年度に対しまして受信料の収入では約七十五億の増収がございました。これにいろいろ売却代金の一部を考慮いたしまして、大体八十四億ばかり、こういうものによりまして、収支相償う結果になっております。四十九年度はどうかと申しますと、いろいろ受信料関係につきましても最大の努力をいたし、そういうことによって四十八年度に対して約八十八億の増収を得ることが見込まれております。五十年度につきましては、四十九年度に対して八十九億くらいの収入の増がはかれる、こういうようなことに見通せますので、では支出がその範囲にとどまり得るかどうかという点を考えてみますと、おおよそ支出の面では年々七%程度の上昇の範囲内で消化できれば、これは収支償うわけでございます。そういった面は今後いろいろな社会情勢の変化につれまして、かなりきつい面もございます。そういう面から従来考えておりました建設工程と申しますか、この規模について質を落とさないように再検討をいたしまして、この中で繰り延べあるいは節減のできるものはそのような措置をとってまいるということになりますと、約百二十三億の在来考えておりました建設規模の縮小ができます。これは収支の均衡にずばりそのままで役立つものではございませんけれども、そのような努力をいたしますことによって、これによる借入金利子の支払い分の軽減、あるいはそういうものをつくる場合に必要な技術運用経費、こういうものが不要になりますので、そういう面は直ちに収支均衡に役立つ節約分であろうと思います。これが約四十二億は見込まれます。さらに今回百八十億円の債務を一挙に返還いたしますことによりまして、在来百五十億見当を返すように考えておりましたが、その差額三十億をよけいに返すことによって三年間にこの金利が約七億ぐらいと見込まれます。その他いろいろセンターへの機能の集中、一般の合理化等の関係、もろもろのものを入れまして、四十二億くらいの節減は最大限に努力すれば可能であろう、こういうように考えますと、そこでざっと九十一億ぐらいの繰り延べあるいは節減は可能なわけでございます。こういうことから、七%の支出の増でございますけれども、予算のこの収入の見込みの範囲内において収支償ってやれるであろう、こういう見通しを立てておるわけでございます。  以上、非常に簡単でございますが……。
  208. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 資料の説明については承っておきますので、私の質問に入らせてもらいたいと思いますが、さきにこの委員会でも問題になりましたように、今日NHK解体論などというようなものも出てまいりまして、私は国民が自由な立場NHKを批判することにとやかく申すものではありませんけれども、特にその中で問題になるのは、受信料を払っていない、それが手柄のごとく喧伝をされて、今日国民の間にも何かNHKの受信料というものは払わなくてもいいものなのだというような風潮が生まれつつあることを非常に危惧するものであります。  そこで私は、大切なことはもう一ぺん原点に返って、NHKの使命とは何か、そしてNHKの性格は一般の民間放送とはどう違うのか、そういうことを議論をしながら国民の納得を得なければならないし、それがいまNHKに課せられた非常に重要な、しかも緊急な使命ではないかという気がいたします。先般この委員会においても、会長は有言実行でひとつ理解を得るように努力をしたい、そういうふうにも申されておりました。またさらに加えて、NHKはたとえていうならば二千四百万世帯の皆さんを擁する協同組合のようなものだというお話もございました。私もその理解に賛成でございますけれども、そうであるにもかかわらず、なお今日視聴者とNHKとの間の断絶は一体どこから起こってくるのだろうかということを考えてみますと、これは明らかにNHKと一般視聴者との間につながるひもに問題があるのではないかという気もいたします。一般の協同組合の場合には農業協同組合であれ、漁業協同組合であれ、生活協同組合であれ、そういう組合員の皆さんが、みずからが組合員であるということを自覚し、直接あるいは間接にその運営に参画をする、そういう方法がとられておりますけれどもNHKの場合にはそのシステムもまだ明らかではない。そういう点について有言実行と言われた会長の具体的なお考えを承りたいと思います。
  209. 前田義徳

    ○前田参考人 NHKが、事業計画に基づく予算書あるいはまた資金の調達等についての計画、これを国会の両院で御審議いただくという形は、やはりNHKが私ども考えているような形の機関であり、したがって各委員におかれても国民の最も権威ある代表であられるわけでありますから、ここですべてを明らかにしていく、そしてまた大臣がその所管に基づいてわれわれの編成する事業計画に基づく予算書に御意見をおつけになる、こういう関係の中で審議が行なわれていくということは、現行放送法NHKは国民の機関であるということを認めた前提としての法制度であると私は考えているわけであります。したがいまして、国家機関ではないにもかかわらず、いろいろなチェック程度のほかに、さらに会計検査院に検査していただくというような最も権威ある仕組みを取り入れている。これは形から申しまして、こういう政府機関でないものに対してこのように法律規定をするということは、そこに国民の機関としての事実上の性格をきわめて明らかにしたものだと私は考えております。しかし同時に、毎日の運営におきまして、私どもはいわゆる国民の代表として選ばれた、しかも両院の承認を経て選ばれた経営委員というものの基本的方針、これに従っておる。同時に、私どもは聴視者との関係を深めるために聴視者懇談会というのも一年に四百回近く全国で行なっておりますし、また同時に、経営懇談会というものを少なくとも全国八カ所でそれぞれの機会を選んで毎月行なっております。その他聴視者との関係で相談室を設け、あるいはまた、いろいろな放送を通じての接触、あるいは新聞、雑誌等を通じての広告という方法による接触、あるいは投書を受け入れる、御意見を伺うという制度をとって今日に至っておるわけでありますが、いずれにしても現在のようにいろいろな考え方が非常に複雑な情勢のもとで、いままでの権威ある組織と、われわれが行なってきた努力をさらに具体的に聴視者との直接の関係で発展させていくことはまことに必要だと考えております。  私どもといたしましては、そういう意味で、ほんとうにあらゆる意味での聴視者のものであるという姿を、局内においても、このことをわれわれの同僚一万六千が明らかにすることが先決問題である。それによって、時間も必要でありますし、努力の多角化も必要でございまして、あらゆる方法を通じて結局は御理解いただけるものという前提に立って全員努力を最大限度に行なってまいりたいというのが私の考え方でございます。
  210. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そこで、少し具体的にNHKの性格というもの、運営というものについて承りたいのですけれども放送法十三条あるいは十四条に経営委員会の権限、責任というようなものが述べられておりますが、その中で、特に重要な事項については経営委員会がこれを決定することになっております。しかるに放送法の三十七条においては、特に収支予算、事業計画あるいは資金計画については国会承認を得る。第一義的には経営委員会が議決をする、第二義的に国会承認を得る、こういうような考え方だろうとは思うのですが、それでは一体国民を代表する、視聴者を代表するという意味から考えるならば、経営委員会が第一義的になるのか、国会が第一義的になるのか、この点はどうお考えでしょうか。
  211. 前田義徳

    ○前田参考人 私は法律の専門家ではございませんが、いわゆる放送協会という仕組みの中で、執行機関との関係においては経営委員会が最終的に事業計画、予算計画、資金計画を決定する機関だと考えております。これによって、放送法の条章に従って、大臣に対してこのような形ででき上がった予算書を説明し、この説明をもととして大臣意見をおつけになる。同時に、NHKは直接に国会とはつながりのある機関ではございません。したがいまして、NHKが第一義的に決定した予算書は、大臣の御意見をいただいて内閣から国会提出するという仕組みになっていると思います。したがって、最終的には両院の委員会の御承認、したがって、本会議の議決を経て承認をいただくことが最終的手続である、このように考えております。
  212. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 いま会長がおっしゃられたのは、法律に書いてあるのをそのまま平面的に解釈すればそうなると思うのです。しかし、私はこの法律の中に幾つかの非常に問題点があるような気がいたします。  そのまず第一点は、放送法十三条の規定だと思いますけれども、この中には「経営委員会は、協会の経営方針その他その業務の運営に関する重要事項を決定する権限と責任を有する。」となっております。ちなみに、これは憲法の六十六条だったかと思いますけれども、ここに内閣が出ておりますが、「内閣は、行政権の行使について、國會に射し連帯して責任を負ふ。」ということが明らかにされております。放送法十三条にいうところの経営委員会が、権限はもとよりですが、責任を有するという、それではその責任はだれに対して有するものでありましょうか、どういう御解釈になりましょうか。
  213. 前田義徳

    ○前田参考人 経営委員会の十四条の個別的な仕事、これを前提としての十三条の責任、これはいわゆる予算の基礎案を定めるについて協会としての内部的な最終責任である、このように私は解釈いたします。ただしこの責任は、同時に、大臣を通じて内閣から国会提出されるという形においては、最終責任は、その実行と関連して、国会審議を通じて明らかにされた国会の御意向を具体的に実現する責任も、経営委員会をはじめとしてわれわれの責任であるというように考えております。
  214. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 普通、協会の場合には経営委員会が議決をして役員がこれを執行するという形になると思います。したがって、これを執行した役員が経営委員会に責任を負うということならば、これはきわめてあたりまえのことだと思うのですけれども、経営委員会が責任を有するということになれば、これは広く国民に対してNHKの運営に対する責任は経営委員会が持つのだという理論にならないだろうか。そうなるとすれば、国民に対する責任を有するとは、言いかえれば、国会に対する責任ということになるのではないか、そう思うのですが、どうでしょう。   〔委員長退席、宇田委員長代理着席〕
  215. 前田義徳

    ○前田参考人 先ほども申し上げましたように、法律専門家ではございませんが、一応の常識的な理論としては、国会提出するNHKの事業計画、予算案並びに資金計画に対する責任は経営委員会が持つわけでありますが、同時に放送法は、NHKを代表するものは会長であるということをいっております。したがって、この意味においては私が最終的に責任を持つものだ、このように理解しております。
  216. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 あまり法律論議におちいっても困るのですが、そういうことならば、会長が責任を負うと明らかに規定すべきであったと思うのですけれども放送法の中には、経営委員会が責任を有するとなって、会長が経営委員会に対して責任を有するということになってないんですね。この辺はちょっと疑問のあるところですが、さらに議論を進めまして、先ほど会長のおっしゃったように、最終的な決定権が経営委員会にあるのだとするならば、三十七条の第二項にいうところの国会承認を受けなければならない、もしここで国会承認をしないという場合に——かねてから国会承認をするかしないかだけの権限があるのであって、変更する権限はないのだというふうに理解されてきたところでございますけれども、しかし、もし国会に変更する権限がないとするならば、なおかつそれを承認しないというときに、NHKは一体どういうことになるのでしょうか。
  217. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 NHKの収支予算等につきましては、いま御指摘のように第三十七条第二項の規定によりまして国会承認ということになるわけでございますけれども、この承認は従来、この収支予算等を全体として是とするか否とするかということでありまして、修正は含まないというあいに解されているわけでございます。これは放送法制定当時、昭和二十四年ごろ、この条文につきまして質疑が行なわれたわけでございますけれども、その際におきましても、政府側としては一貫して、この趣旨は変更を含まないということで説明を終始しておるわけでございます。  ただ、そこで問題は、こういうようなNHKの性格それから成り立ち、こういうことから考えまして、政府あるいは国会がどの程度までタッチするのが適当かということに尽きるだろうと思います。それで、なお三公社の例によりますと、いずれも国会の議決を要するというぐあいに書いてございますけれども、この議決には修正権が含まれると従来解されておるようでございます。   〔宇田委員長代理退席、委員長着席〕  結論から申しますと、NHKにつきましては、国の財政資金との関係もございませんし、またその仕事の性格上、国会承認という事柄は修正を含まないと解すべきであろうと考えております。したがいまして、国会承認をされないという場合には、すべて差し戻しということで、新たにつくり直す。その場合には、いまお話がございましたように、経営委員会の権限と責任においてさらにつくり直す、こういうことになろうかと思います。
  218. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 法文をそのまま解釈すれば、これは承認を受けなければならないとなっていますから、いま電波局長のおっしゃるとおりな理屈になると思うのです。しかし、もしそうであるとするならば、一つの疑念は、国会承認を求むるという行為そのものが、国民の代表によってNHKの運営について了解をいただいたのだという考えに立つと、こう会長もおっしゃっておるわけですから、そうであるとするならば、国民の代表であるとされる国会NHK予算の最終的な決定権と申しましょうか、変更を含めての権限がないとするのは私は少しおかしいような気がいたします。  しかし、もし条文どおり、ないとするならば、その次の項は一体どう解釈すべきでしょうか。三十七条三項に、特にこの予算の中で変更すべき旨の郵政大臣意見があるときには、「国会委員会は、協会の意見を徴するものとする。」こうなっておりますね。そうしますと、大臣NHK予算をごらんになって、これは変更する必要があるだろうという意見を付された場合に、国会大臣の御意見と同時に、協会に国会に来ていただかなければならぬということになります。それで、両者の意見を聞かなければならないというが、聞いて変更権もない者が一体何を聞くんでしょうか。聞いた上でいずれがいいかの裁定をしなければならないのが、この法の三十七条三項の趣旨だと思うのですけれども、これも条文どおりに解釈するならば、聞けばいいのであって、結論は要らないという理屈になるのでしょうか、どうでしょうか。
  219. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 三十七条の第三項は、郵政大臣が変更すべき旨の意見を付した場合には、国会NHKを呼んで意見を聞かなければならぬ、こういうことでございますが、その意見を聞かれた結果、郵政大臣の変更の意見がよろしい、こういうことでありますれば、やはり差し戻すということになろうかと思います。
  220. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それでは、意見を聞いた結果、いずれがいいか悪いかを判断をする権限があるというふうに理解をするわけですか。
  221. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 そのとおりでございます。
  222. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 では前の二項についても、同じように承認を受くるという以上、承認ができないときには変更権が含まるると解釈すべきであって、三項によって法文どおりにいくならば、意見を徴すればいいのであって、判断をしろとはどこにも書いてないのです。そうすると、二項と三項の関連においては、三項は意見を聞けばいい、二項では承認するかしないかだけだという解釈ならば、三項は単に意見を聞くにとどまって、いずれがいいかという判定をする権限が国会に与えられておるという理屈はこの法文の中からは出てこないのですね。これから先はあなたよりも法制局の見解のほうがいいのじゃないかと思いますから、法制局のほうからひとつ見解を聞かしてもらいます。
  223. 林信一

    ○林(信)政府委員 ただいまお尋ねの点は、阿部委員十分御承知の上御質問と存じますが、放送法制定以来の問題でございます。  当時からこの承認というのは修正権を含むかどうかという議論があったわけでございますが、政府側は一貫して修正権あるいは変更権というものを含んでいない、こういうお答えを申し上げてあるはずでございます。なお、この事柄は、実は国会の御審議あるいは御議決される際の問題でございまして、政府の立場といたしましてはなかなか申し上げにくい点もございますが、一応そのわれわれの考え方を申し上げます。  結局根本的には、日本放送協会という公共の福祉のために放送を行なうことを義務づけられている協会でございますが、これも放送法の一条にございますように、放送が自律を保障されるということによりまして放送による表現の自由を確保しようというふうに放送法にございます。この辺から放送協会に対しまして国がどこまで関与すべきであるかということは非常にむずかしい問題であると存じまするが、放送法の立案に際しましても相当いろいろな経過があったようでございます。でき上がりました条文を拝見いたしますと、現行法では、この経営委員会委員は内閣総理大臣国会の同意を得て任命するというふうにございます。先ほど経営委員の責任の問題ございましたが、この責任を追及する方法といたしましては、別途この十九条でございますか、二十条あたりに罷免の規定がございます。これも国会の同意が要るということになっておりまして、実は経営委員会日本放送協会の内部の機関でございますけれども、その任命なり罷免につきましては内閣が関与し、さらに国会が関与してくる。  こういう姿になっておるということを前提にいたしましてこの三十七条をさらに振り返ってみますと、放送協会の運営上非常に重要な骨子をなすところの収支予算、事業計画及び資金計画、これはまず郵政大臣に出しなさい、郵政大臣立場といたしましてはこれを修正し変更する権限はもちろんないわけでございます。したがいまして、郵政大臣がもし中を見ましてこれは適当でない、変更しかるべしという意見の場合には、変更を命ずるという権限はございません。国会承認権がございますから、変更が適当であろうということで、意見を付して国会承認を求めるという手続になっております。したがいまして、国会におかれましてはその郵政大臣意見とさらに原案を作成いたしました日本放送協会意見とこの両者をよく聞いて判断をしなさいというのがおそらく三十七条の三項の規定の趣旨でございましょう。  そこで国会が一体修正権があるかないかということでございますが、どうも遺憾ながら、この承認ということばに非常にかかずらうようではございますけれども、字引きを引きましても、承認というのは承諾し認諾するものであるというふうに書いてございます。また現在、憲法以下公法、私法各般にわたりまして承認ということばがあちこちに使われておりますが、いずれもその規定意味しますところは、要するにイエスかノーかをきめるという趣旨に読むべしというのが私どもの解釈でございまして、ただいまのところ、その考え方を変えるということは、われわれの内部では考えておりません。
  224. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 法制局の見解はわかりました。しかし、ここは国会ですから、大臣、必要であれば法律改正を行なうところでございます。  そこで先ほど来の議論ですが、確かに経営委員会は両院の同意を得て任命される権威ある委員の方々で運営されることは間違いございません。ならば、なぜその収支予算なり事業計画国会承認を求めるという手続をあえて行なうのだろうか。内閣総理大臣が任命をし、しかも両院の賛同を得て任命する経営委員のやることならば、二重決議みたいなように経営委員会がきめたものをさらにまた国会承認をせんならぬという手続は、どうも私はふに落ちない。基本的に、国民の代表が、視聴者の代表が国会であるとするならば、最終的な決定権、変更権は国会にあるというふうに今後理解して運営をすべきじゃないか、そういう気がするのですが、大臣のお考えはどうでしょうか。
  225. 久野忠治

    久野国務大臣 先ほど法制局の見解が示されたとおりでございまして、私郵政大臣の権限は三十七条の二項で意見を付することになっておるわけでございます。その収支予算について、「これを変更すべき旨の意見が附してあるときは、国会委員会は、協会の意見を徴するものとする。」と三十七条の三項で規定があるわけでございまして、この法律でそういうふうに明文化されておりまする以上は、この法律規定に従って処置をすべきものである、私はさように解釈をいたしております。
  226. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 郵政大臣としての法の解釈を承っておるわけではないのです。政府として、国民の代表が国会であるという認識に立つのか、経営委員会であるという認識に立つのか。もし国会であるという認識に立つならば、私の言うたような理論にならないだろうか。視聴者の代表が経営委員会だという認識に立つならば、国会承認を求むるという行為はどうもちょっと行き過ぎではないか。どうお考えでしょうか。政治家としてひとつ御答弁を願いたいのです。
  227. 久野忠治

    久野国務大臣 経営委員会にあるのか国会にあるのかという御質問のようでございます。いろいろ議論のあるところではあろうと思いますし、貴重な御意見でもあると思うのでございます。しかし現行法には、先ほど来申し上げましたような規定になっておるわけでございますから、その規定に従って私は処置をしておるわけでございますが、私の率直な見解を申し上げまするならば、やはりこの問題については各方面意見をも聴取しつつ、お互いに将来検討すべきではないか、かように考えるような次第でございます。
  228. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私があえてこのことを議論するのは、いわゆるNHKの性格論について、国民の皆さんにNHKの性格、使命というものを理解してもらうために、ここで議論をさしてもらっておるわけでございますが、法制局がお見えですから、もう一つついでに聞かしてもらいますが、三十七条の二に、いわゆる暫定予算を協会が組まなければならない場合に「郵政大臣の認可を受けてこれを実施することができる。」、こうなっておりますけれども、ここにまた認可という変わったことばが出てまいりますが、郵政大臣に予算変更権がないことは、この法の精神から明らかです。したがって、大臣が認可をするかしないか。認可をしないときは、法解釈上一体どうなるのですか。NHKはとまってしまうのですか。これはちょっと法制局のほうの見解を承っておきます。
  229. 林信一

    ○林(信)政府委員 お答えいたします。  第三十七条の二は当初の放送法に入っておらなかった規定で、その後に追加されたものであることは御承知のとおりであると存じます。  ただいまのお尋ねは、かりに暫定予算とこれは名づけますと、その暫定予算について郵政大臣が認可をしなかったらどうかというお尋ねでございますが、三十七条の二で定められておりますところの暫定予算の中身は、三カ月以内に限るという点が一点ございます。それから経常的運営に要する経費である、さらに前年度からの継続工事というふうに、内容がまず限定されております。それから後段におきまして、受信料は前年度末の受信料をそのまま収入に計上しなさいということになっておりますので、まず郵政大臣がこれを認可しないということはほとんど考えられないことではないかと存じます。法はそこまで予定していない。したがって規定がないわけでございますが、国家予算におきましても、暫定予算の期間が過ぎる、あるいは暫定予算を出さないで四月一日になったということで、かつて数回予算に空白を生じたという事態が現実にございます。したがいまして、日本放送協会の場合には理論上絶対ないということは申し上げられないわけでございます。万が一かりにそういう事態になったらどうかということでございますが、まず、三十七条の二につきましては、五十五条に罰則がございます。三十七条の二の認可を受けるべき場合に認可を受けなかったというときには、協会の役員が処罰されるとなっておりますが、いかなる行為がそれに当たるか、これが一つ問題でございます。  一方で、日本放送協会は御承知のように放送すること自体を義務づけられておりまして、もしこれを十二時間以上休止する場合には郵政大臣の認可を受けなければならないというふうにございますから、NHKといたしましてはいわば板ばさみになるかっこうでございます。  そこで、そういう緊急の事態におきましてやむを得ず何がしかの金銭の支払いをしたといったような事態が起こりました場合に、先ほどの罰則でございますと、五十五条の罰則にひっかかるということでございます。その場合に、これは刑罰一般についてのいわば理論でございますが、いわゆる期待可能性の理論というのがございます。あるいは刑法に緊急避難の規定がございますが、こういった一般の法理を援用いたしまして、事態によっては免責されるであろう。そういう経営上の責任のほかに、たとえば職務を怠ったというような意味での懲戒的な問題、こういう問題も起こり得ると存じますが、いずれにいたしましても、法益、つまりそういう違反行為をしたということによって侵害された法益と、そうせざるを得ないということによって守られた法益とを比較考量いたしまして、いずれに軍配を上げるかということによってその措置はきまる。抽象論でございますが、そういうふうに存じます。
  230. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そんなことを聞いているのではないのです。法律が、明らかにそんな必要のないものならば、「郵政大臣の認可を受け」なんてここに書く必要はない。そのときには早くいえばNHKの経営委員会でかってにやればいい、三カ月ですから。わざわざ「郵政大臣の認可を受け」と書いてあるのは、やはりこの法をつくる以上——しかもあとからできたんでしょう、できた以上は何かそこに意味があると思うのですが、そうすると、不幸にして郵政大臣と協会が意見が対立して、こういう予算は認可できない、こうなった場合には一体どうなるのだろうかということが、法律をすなおに読めばみんな気になりますよ。  NHK会長さんにお伺いしますが、もし郵政大臣が俗にいう暫定予算の認可をいたしませんとなったら、あなたどうなさいますか。ちょっと伺っておきたいと思います。
  231. 前田義徳

    ○前田参考人 なかなかむずかしい問題だと思いますが、やはりこういう規定が、ちぐはぐであっても放送法の中にあるということは、NHKは、三公社五現業と異なって、大衆が維持負担する機構であり、しかも放送法の全文は言論の自由を明らかにした機構であります。したがいまして、この法全体の精神は、オートノミーと申しますか、NHKのオートノミーを完全に認めておる。ところが、昭和三十四年に至ってこの項目が追加されておるわけです。ここにまあ新しい空気がどこかで生まれてきているということはいえると思います。しかし、私どもの責任は、聴視者に対して第一義的責任を持つわけでありますから、そのような事態が起こった場合には郵政大臣とよく御相談申し上げ、御意見も伺いながら、この問題は実際的に解決するよりほかに方法はないのじゃないかというように考えております。
  232. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 このように考えてみますと、私は、この放送法の中にやはり幾つかの問題点があるように思われます。率直に言って、いまの問題でも、罰則の適用じゃないのです。協会として明らかに郵政大臣に認可を求めておるわけですから、郵政大臣が認可をしないとなれば、その判断は次の条項によって国会がいずれがよかったかを後にきめる以外に方法はないと思うのですけれども、しかし条文そのまま、先ほど電波監理局長が解釈されて、承認はあくまで承認だという理屈からいくならば、こういうところだってなかなかむずかしい問題が起こってくるのじゃありませんかということを、ひとつ参考までに援用させてもらったわけです。  時間が少なくなりましたから、次の質問に移らせてもらいます。先ほど先輩の堀先生から、特に国際放送に関する予算上の問題について御意見がございましたが、放送法の三十五条でございますね。国際放送の費用の分担の問題についてでございますけれども、これは前から堀先生なり私が指摘をしてきたところで、三十五条によると、いわゆる国際放送で「協会の行う業務に要する費用は、国の負担とする。」と明らかになっておるわけでございます。そこで、ことし郵政省は、一体NHKの国際放送に要する国の負担すべき額を幾らと定めて大蔵当局に予算要求をなさったか、そうして決定をされた額は幾らであったか、明確にしてもらいたいと思います。
  233. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 郵政省といたしましては、昭和四十八年度の予算におきまして、四億三千万という数字を一応計上いたしまして大蔵省に持ち込んだわけでございます。そうしまして、最終的には二億百万円という額が四十八年度予算案に計上されております。この額は、四十七年度におきまする成立額一億四千六百万円に対しまして、五千四百万円、三七%の増加でございます。ただ、交付金の増額は、ことしは四十三年度以来でございますが、これで十分だと考えておるわけではございませんで、将来また経費の増額については努力してまいりたい、こういうぐあいに考えるわけでございます。
  234. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 NHKのほうにお伺いいたしますけれども、国際放送の昭和四十八年度八億二百万のうちで、国際放送に要するもののNHKが自主的に行なうもののほかに、いわゆる国の要請によって行なわれるものの実際の費用はどのくらいかかると、これは正確な数字は出ないでしょうけれども、大体どのくらいとNHKは見積もっておられますか。
  235. 斎藤清

    ○斎藤参考人 お答え申し上げます。  昭和四十八年度におきましてNHKの予算のうち政府の命令で実施いたします部分の大体の試算の数字でございますが、ほぼ四億六千万円程度というふうに試算いたしてございます。
  236. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そこでまず郵政当局にお伺いしますが、NHKのほうの試算によって四億六千万くらいかかるだろうという見通しについて、郵政当局はこれを四億三千万とした数字的な根拠はどこにあるわけですか。
  237. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 四億三千万円は一応積算の根拠があるわけでございますけれどもNHKが計算しております四億六千何百万円という数字も、全体でどのくらいあるかということは非常にむずかしいことでございまして、おそらく積算の根拠はあまり明確ではなかろうじゃないかと考えられるわけでありますが、いずれにしましてもできるだけ国の負担分を増加するという方向で努力してまいりたいと考えます。
  238. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大蔵省来ていますね、岡島主計官ですか。これはもう二、三年前から議論になっているところですが、先ほど来の論議でお聞きのように、法律の解釈についてはきわめてまじめに郵政当局なりNHK法律を守っておると私は思っておるのですが、その三十五条で、先ほど読み上げましたように、この国際放送に要する費用を国が負担するということが明確に法律で定められております。したがって、積算の根拠について郵政省とNHKの間に若干の違いがあったとしても、それはわずかなものですから、これは幾らか違いがあってもやむを得ぬでしょう。しかしおおむね四億三千万から四億六千万くらいのもの、特に郵政省が算定をした四億三千万を妥当なものとながめた場合、同じ政府がやったわけですから、それを大蔵省が二億百万に削った根拠は一体どこにあるのですか。
  239. 岡島和男

    ○岡島説明員 放送法の三十五条に「協会の行う業務に要する費用は、国の負担とする。」国際放送を行なうに要する費用は国の負担とするという条文があることは先生の御指摘のとおりでございますが、またその放送法の三十五条の二項には、国がNHKに対しまして行なう命令は、「前項の規定により国が負担する金額が国会の議決を経た予算の金額をこえない範囲内でしなければならない。」こういう条文がございまして、その範囲内でしなければならないという考え方も同時にうたわれているわけでございます。これは法律論でございまして、だから当然にこちらの一方的な決定でいいのかということになりますと、それはいろいろ御議論があろうかと思います。  それで大蔵省といたしましては、国の命令による国際放送の実施に必要な経費というものにつきましては、郵政当局とも十分協議の上、所要の額をずっと計上してまいったわけでございますが、その額は、四十三年以降四十七年度までずっと据え置きになっておりました。それでまあ、非常に長い間据え置きになっている、増額されないで来ているということにつきましてはいろいろ問題もあるだろうということと、またこれは四十七年度のNHK予算の国会審議におきまして附帯決議がつけられまして、国際放送の改善と内容の充実をはかるべきことということが決議されたわけでございます。そういう点を勘案いたしまして、四十八年度予算におきましては、国際放送の改善と内容の充実をはかるということを考えまして、それは御要求そのものというわけにはまいらなかったわけでございますけれども、ここ数年間据え置きになっていたものを、われわれといたしましては相当思い切った増額をはかるという意味におきまして、約四割弱という思い切った増額をはかるということで査定をいたしたわけでございます。
  240. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 ちょっと主計官、お伺いしますがね、大蔵省は国会ですか。三十五条二項の規定は、国会の議決した予算云々となっておるのであって、大蔵省が国会ならばそれは知りませんよ。私どもがきめるのですよ。そうでしょう。国会が議決する。われわれが、大蔵省が出す国の国際放送に関する金が妥当かどうかをきめるのであって、大蔵省が国会でなければ、大蔵省は三十五条の規定に基づいてその必要な経費を計上するのが責任じゃありませんか。その計上されたものが国会で妥当であるかどうかという議論になるのは別として、大蔵省が先に、この法の三十五条の規定に反してかってに国会の分野まで立ち入って、国会で議決をした範囲内となっているからといって、国会で議決もないうちに、あなたのほうの大蔵省がかってに削るというのはどういうわけですか。
  241. 岡島和男

    ○岡島説明員 これは私どもが予算編成をいたしまして、それで国会承認をいただきました予算という意味でございますので、私どもは、現在、政府といたしましては、国会に予算の御審議をお願いしているわけでございますが、その予算の原案におきまして、先ほど申しましたような数字を計上しておる、こういう意味でございます。
  242. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 だからおかしいと言うのですよ。この三十五条は明らかに、協会の行なう業務に要する費用は国が負担するときめられておるのですよ。これは地方に交付金をやるときに、かってに査定をするとか、そういう性質のものじゃありませんよ。国が委託してやってもらっておる以上、そのお金は当然出すべきです。おそらく私がそんたくするのに、NHKとしては政府に頭を下げてお金をもらったりすると、あとでいろいろまた問題が起こるので、そこまでNHKは言わないと思いますけれども、本来三十五条の趣旨からするならば、この法に定められた内容に従って大蔵省は郵政省が提起をした予算を計上する、それが国会で、それだけの予算がないということで削られるならばやむを得ないでしょう。事前に大蔵省が、三十五条の精神に反して査定をして出していいという規定はどこにもないはずでございますが、どうでしょうか。
  243. 岡島和男

    ○岡島説明員 財政当局といたしましては、御要求はもちろんあるわけでございますけれども、郵政省と十分協議いたしまして、国際放送の執行につきまして必要と認められる額につきまして予算案に計上している、こういう考え方でございます。
  244. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 郵政省がそれを了解したとするならば、私は郵政省に責任があると思うのですけれども、郵政省は、それでは三十五条の規定をどのように考えておるのですか。
  245. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 国際放送の全体の額が大体十五億程度と計算されておるわけでございますけれども、その中で、政府の命令による金がどのくらいかかるのかという事柄は、先ほど申し上げましたようになかなかむずかしい問題でございます。それで、一応私のほうとしては要求としては四億三千万円、もし四億三千万円の予算がつきますれば、その限度内で命令を出す、こういうかっこうになるわけでございますが、大蔵省と最終的に詰めました金額が二億百万円、したがいまして、三十五条の命令はその範囲内で行ないます、こういうことになるわけでございます。
  246. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それではNHKは、国際放送に対しては計画変更があるわけでございますが、会長、そういうことになりますか。
  247. 前田義徳

    ○前田参考人 御承知のとおり、この国際放送には、本来業務としての場と、それから政府命令放送としての場がございます。放送全体から申しますと、この国際放送は各国との親善関係、相互理解を深めるために絶対に必要なものでございますから、われわれとしては、最終的に示された金額をもととして事業計画並びに収支予算を立てて御審議をお願いしているわけでございます。
  248. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それでは大体四億三千万が郵政省のほうから大蔵に要求された額ですね。先ほど電波監理局長説明によりますと、これが二億しか認められなかったから二億でいいのだ、二億でやってもらうのだ、こういう理屈になっていますが、この法律の中に、予算の許す範囲内において国際放送の費用を出すのだという法文はどこにもないようでございまして、命令したものに対しては金を出さねばならないのだという規定がこの三十五条の規定だと私は思います。命令したものについてはその費用を負担しなければならない、これが三十五条の規定であって、金のあるだけ国際放送を命令しなさいということはどこにもないようでございますが、それはどこにあるのでございますか。
  249. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 命令があるものについて金の裏づけをする、こういうかっこうでございますが、ただ逆に言いますと、金がないのに命令をするわけにもまいらぬ。したがって、金のある限度内で命令をする、そこの矛盾点はそういうことで解決する、こういうことになるわけでございます。  それからNHKの国際放送に対する政府の交付金は、やはり二億百万円ということで受け入れが予定されております。
  250. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そうなりますと、この法の精神は全然生かされてない。政府が金のあるだけNHKに国際放送を頼めばいいのであって、政府が金がなければNHKに国際放送を命令される必要は全然ない、こういう理屈になる。しかし、この法の精神は逆ですよ。政府がNHKに国際放送を命令することができる、命令したならばその金は負担しなさい、これが法の精神であって、金があるならば命令しなさいということになってないのですよ、これは。したがって、命令をずっとしてきて、実際にNHKが大体積算をしてみると、郵政省とほぼ意見の合う額が四億三千万前後であろう、こういう額が大体政府が命令した国際放送NHKが負担する額になる。とするならば、これは当然それだけを国が負担をすべきだ、これが私は正しい筋道じゃないか。結果的に二億百万しか承認をされなかったから、それでNHKは済まぬがこの二億百万で——あとどこを削るのですか。おそらく削らぬでしょうから、削らないとなればNHKの一般会計に食い込んでくる。NHKの一般会計に食い込んでくるということは、国民視聴者の負担がそれだけふえるということを意味しておるのです。私は、事NHKに関する限りは、国民であろうと政府であろうと、同じ理解に立って負担をしていかなければならない、そういう考えを持っておるのです。ところが、政府だからということでさっき大蔵省の考えを聞いたら、大蔵省がまるで国会のような考え方を持っている。三十五条の二項で、国会の議決を経た範囲内となっております、あたりまえのことです。最後の決定権は国会にあるんだ。だれが考えたってあたりまえのことですが、大蔵省が決定権を持っているような錯覚を起こしておる。ここは郵政省としても大蔵省としても、もっとすなおにこの三十五条の規定理解して、NHKへ命令をするその国際放送の中で、実際にNHKが行なっておる放送業務が四億三千万なら四億三千万であるという点でおおむね意見が一致したならば、それは当然大蔵が、国が負担をすべきだ、こうすんなり解釈すべきだと私は思うのですが、これは大臣、どうでしょうか。
  251. 久野忠治

    久野国務大臣 三十五条の規定につきましては、含蓄のある御意見でございます。しかし、現行法上はそのような措置で決定をされておるのでございますから、その法令の定むるところに従って措置をしたわけでございます。  さらに阿部委員からは、日本放送協会と郵政省との関係あるいは国会との関係等につきまして非常に貴重な御意見の開陳がございました。問題点がたくさん出てきたわけでございますが、これらの諸点等につきましても、十分有識者あるいは学界その他の方たちの御意見をも徴しまして検討を続けていきたい、かように考えておるような次第でございます。
  252. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大臣、いまのところちょっと違うのですよ。現行法上そうなっておる。三十三条の場合には、私はそういう意見をそのまま受け入れます。現行法上そうなっているという意見を受け入れます。ところが、この三十五条については現行法上そうなってないと私は解釈しておるのです。現行法上、政府が国際放送を命令したものについてはその経費は負担すべきだというふうにきめられている。そう私は現行法の運用が誤っておると思うから、特にその点を明らかにしてもらいたいと思っておるのです。どうでしょうか。
  253. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 三十三条と三十五条の関係でございますけれども、これをあわせて読みますと、三十三条の命令は予算の範囲内でしかできないということでございまして、したがいまして、予算が二億百万円ということでありますれば、政府といたしましては二億百万円の国際放送の命令を出したということでございます。
  254. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そこにあまりこだわると——確かに三十三条はありますよ。三十三条はありますが、三十三条で命令したものが一体どのくらいかかるのかと聞いたら四億三千万円、NHKは四億六千万くらいでしょう、こう言っておるのです。それならば、NHKが四億六千万かからぬで二億百万でやれますというなら、私は何も言うことはないのですよ。しかし、NHKが四億六千万かかりますというのを、あなた方は二億百万しかかからないと言っておる。二億の食い違いがあるのです。国際放送で二億の食い違いというのは何をもって埋めるのですか。おそらく一般の受信料で埋めるのでしょう。だから問題があるのですよ。NHKは四億六千万かかると言っている。NHKは二億百万でやれると言っていないのですよ。だから予算の要求をした。結果的にはこれだけでやってくださいというなら、今度は逆にNHKは二億何千万に関する変更をして、一般の収支予算から削られて国民の負担にならないような措置がとられたのか、これを明らかにしてください。
  255. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 先ほどの表現がことば足らずだったわけでございますけれども、四億三千万円という事柄は、政府の国際放送の四十八年度の命令の裏づけとしてそれだけほしいということでございまして、NHKが言うように、四十八年度の国の負担分が四億六千万だということを認めたわけではございません。
  256. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それでは、二億百万でやってくださいと、あなたのほうはおっしゃっておるのですね。あなたのほうはNHK予算が出たときに、NHK予算の内容は四億六千万要るであろうという積算に基づいて出されているわけですから、当然予算を変更すべき旨が本委員会郵政大臣意見として付されておらなければならないはずですが、それはありませんが、どういうわけですか。
  257. 齋藤義郎

    齋藤(義)政府委員 先ほど申し上げましたように、二億百万円をNHKの予算としては受け入れているわけでございます。したがいまして、政府としては二億百万円だけの国際放送の命令を出す、それをNHKが受ける、こういうかっこうになるわけでございます。
  258. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 くどくなりますが、それではNHKにお伺いしますけれどもNHKは四億六千万かかる、昭和四十八年度の国際放送で国から命令される分が四億六千万かかるだろうという積算を立てて郵政省に出した。ところがそれは二億百万に削られた。そうするならば、二億五千万程度の穴があく。その穴は放送時間の短縮か何かで埋めるのでしょうが、どういうことになっているのでしょうか。NHKのほうは一体この措置に対してどういう変更を行なったのか、説明をしていただきたいと思います。
  259. 斎藤清

    ○斎藤参考人 お答え申し上げます。私の説明が不十分であった点があったと思いますので、補足させていただきます。  四億六千万という数字は、私どものほうから郵政省に対しまして要求書として提出いたしましたものではございません。これは五年前から据え置かれていたものがそのままずっと継続されて、仕事をもしじっとやって、経済的な条件の変化を加味して計算をしてみたらどのくらいかかるものであるかという仮定の計算につきましてのお答えでございます。  で、具体的な関係を申しますと、四十八年度の国際放送の実施命令の部分につきましては、政府の原案が固まりました段階で受け入れ額が定まります。これに対しましてNHKといたしましては、放送法の条項に基づきます自主的に行ないます国際放送、これと合わせて一体といたしまして実施するという形で、予算をNHK自身が、政府からの受け入れ額は二億、NHKが実際に自分でやりますものとこれを足しまして、総体として八億何ぼという形で予算編成を行なったものでございます。
  260. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 非常におかしくなってくるんですよ。そうすると、NHKが本来業務としてやるものと、国際放送の命令をされるものと合わせても八億の金が要るものと仮定して、その中で大体四億六千万円程度が命令される部分であろうと考えてこられた。ところがそれが二億しか認められなかった。そうなると二億の穴があく。その二億の穴は、本来業務としてあなたのほうが受け入れるから、いわばNHKの一般の事業収支から負担をすることになるわけです、結果的に。いままでがずっとそうだったのです。いま電波局長が、予算の範囲内でやってもらうのですと気のきいたことを言っておるけれども、実際に国際放送内容はそんなに明確に区分ができるものじゃないのです。したがって、NHKが積算をして、さらに郵政省がこれだけのものが要るだろうときめたならば、それだけは当然国が負担するものとして予算に計上するのが筋でなければならないはずなんです。それを苦しまぎれにいまごろになって、二億百万円しか認められなかったから、その範囲内で命令します、NHKNHKのほうで、大体このくらいでいこうと思うけれども、二億百万円しか認められなかったから二億百万円でやりますということになって、あとの二億五千万は、もしも国が四億六千万円をそのまま認めたとするならば、あなたのほうの国際放送に使う金は二億五千万実際に浮いてくるはずですよ。そういう理屈になりませんか。私はそう思うんです。そうすると結果的に、国が二億削減したのは、国民の視聴者の受信料からとりもなおさずNHKが本来業務として国際放送に埋めていく、そういう結果になる。二億といえば小さい額ではありませんよ。会長どう思いますか、これ。——だれか答弁できませんか。
  261. 前田義徳

    ○前田参考人 私が御説明申し上げるのはいかがかと存じますが、郵政当局とも、予算の編成後われわれは編成のしかたを御説明して、大臣の御意見をお願いしているわけですから、その意味お答え申し上げたいと思います。  私どもの計算で四十八年度の国際放送が実施できたとするならば、おそらくさらに二億円余りの番組内容の発展があり得たと思います。しかし、残念ながら二億円余りの交付金しかございませんので、その意味においては、編成の方針としてはほぼ前年度並みという限度でございます。しかし、番組の編成のしかによってこれをカバーしてまいりたいというのが私ども考え方でございます。
  262. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 いまだけの答弁で、私は決して納得のできる内容じゃございません。しかしこれは今後があるわけでございますから、この委員会だけで直ちに結論というわけにはまいらないと思いますけれども大臣もお聞き及びのとおり、大体国際放送というものはどんぶり勘定なんです。そのどんぶり勘定の中で、当然政府が負うべきものは三十五条によって規定をされておるわけですから、それを大蔵省が一般の交付金か何かのように、何ぼ要求してきたから何ぼ削っておけという性格のものではこれはないはずなんですから、今後について大臣、当局も十分留意をして、NHKの国際放送のために一般の視聴者の負担がふえるというようなことがないように配意をしていただきたいことを要望しておきます。  最後にもう一つ。そういうことでNHK予算はかなり余裕があるように見受けられますのでお願いをしておきたいと思うのですが、今日政府のほうでも労働者の処遇等については非常に意を用いて、労働省では週休二日制を高らかに掲げて、いまや日本はエコノミックアニマルから実際の人間らしい生活に基盤を転換しようとする時期でございます。したがいまして私は、まずNHKが現在行なっておる隔週の週休二日制ですか、これは率先して週休二日制を明らかにすべきだし、また職員の処遇についても、もう私が申し上げますが、他のマスコミの大手と比較をしてみて、年間総収入はむしろ中以下にしかならないわけです。ですから、これはかねて会長の言うように、適正な処遇をしたいという意向もあるようでございますから、週休二日というのは一つの事例でございますけれども、全体的なNHK職員の処遇について十分意を用いてもらいたい、この点についての会長の所見をお伺いしたいと思います。
  263. 前田義徳

    ○前田参考人 かねがね申し上げておりますように、われわれの仕事の内容は人間の頭脳を中心としたものでございます。しかも最近の社会環境は人間尊重を非常に明らかに打ち出している時代でございまして、したがって、私どもとしては社会水準に相当する待遇を原則的に行なうべきであるという考え方を持っております。現在の給与水準が平均的に申し上げてかなり高いほうに近づいているとは考えておりますけれども、今後社会水準の推移を勘案しながら、やはりこの面では改善を加えていきたいという考え方を持っております。  さらに週休二日制につきましては、長いいろいろな検討の結果、四十七年度は隔週五日制を実施しておりますが、これの定着をもって、いろいろな仕事のあり方を勘案しつつ、近い将来にできるだけ早く一週五日制をとりたい、指向したいという考え方を持っております。
  264. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 では最後に要望しておきますが、繰り返して申し上げますが、いま大切なことは、NHKにとっては、NHKの使命というものを視聴者、国民の皆さんにより深く理解をしていただいて、NHKの体質というものが理解をされるように放送内容等につきましても十分な向上をはかっていただいて、いやしくも視聴者の間からNHK解体論などというばかげた意見が出てこないように十分な配慮をしていただくことを最後にお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
  265. 久保田円次

    久保委員長 これにて本件についての質疑は終局いたしました。     —————————————
  266. 久保田円次

    久保委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について採決いたします。  本件を承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  267. 久保田円次

    久保委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。     —————————————
  268. 久保田円次

    久保委員長 この際、宇田國榮君外三名より、本件に附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨説明を求めます。宇田國榮君。
  269. 宇田國榮

    ○宇田委員 それでは附帯決議案の趣旨を御説明いたします。  まず、案文を朗読いたします。    放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議(案)   政府及び日本放送協会は、次の各項の実施につとむべきである。  一 放送法の精神にのつとり、表現の自由と放送の不偏不党を確保すること。  一 一般放送事業者の放送を含め、テレビ難視聴対策をさらに積極的に推進すること。  一 負担の公平をはかるため、未契約者の把握を推進するとともに、受信料収納の向上をはかること。  一 事業安定資金の効率的活用と経営努力により、できるだけ長期にわたつて受信料の値上げを回避すること。  一 放送文化基金は、設立の経緯にかんがみ、その運営にあたつては、あくまで国民への利益環元となるよう努力すること。  一 協会は、能率の向上をはかり、職員の待遇改善に資すること。   右決議する。  この決議案は、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党共同提案にかかるものであり、また案文は先日来の審査の動向等を勘案して起草いたしたものでございますから、あらためて御説明するまでもないかもしれませんが、簡単にその要旨を申し上げます。  第一は、放送法の目的にうたわれている表現の自由と放送の不偏不党について、公正な世論の形成を期するため、この際あらためて政府及び協会にその再確認を求めておこうというのであります。  第二は、民間放送を含めた難視聴対策の推進についてであります。テレビ難視聴の解消については、協会はこれまで格段の努力を払ってきており、四十八年度においては新方式の施策をも行なうなど施策の強化がうかがえるわけでありますが、今日なお相当数の難視聴地域が残っており、またいわゆる都市難視聴もその数を増加しております。さらに民放の難視聴対策は、受信者の強い要望にもかかわらず、大きく立ちおくれておりますので、この際、協会に対しては、難視聴対策をさらに積極的に推進することを要望するとともに、政府に対しては、民放の難視聴解消の努力を促進するための方策を早急に考究して、民放が協会と歩調をそろえて難視聴対策に取り組むよう指導されることを要望しておこうというのであります。  第三は、受信契約の把握と受信料収納の向上についてであります。協会が、社会情勢の変化に即応した営業活動の推進により、受信契約の確保に努力されていることは一応認められますが、まだ協会と契約するに至らない受信者が相当数存在することも事実でありまして、この点に関しては当委員会において論議されたところであります。協会が、受信契約を把握し受信料収納の向上をはかることは、協会の経営基盤を強化するだけでなく、受信者の負担の公平を期すことにもなるわけでありますから、この点について協会の一そうの努力を要望するとともに、政府に対しても指導の万全を期するよう要望するというものであります。  第四は、できるだけ長期にわたって受信料の値上げを回避するよう努力すべきであるということであります。協会は、事業安定資金の設定と経営努力により昭和五十年度までは受信料の値上げを回避できるとしておりますが、内幸町の東京会館のあと地売却については世論の批判もあったわけでもありますので、この売却収入を受信者に還元するようその趣旨を徹底させて世論にこたえるためにも、五十一年度以降についてもさらに経営努力を重ねて、できるだけ長期にわたって受信料値上げの回避をはかるよう強く要望するというものであります。  第五は、放送文化基金の運営についてであります。この放送文化基金につきましても、当委員会においていろいろ論議のあったことは御承知のとおりでありますが、この基金の設立ということは、売却収入の社会還元という趣旨から考え出されたものである以上、その運営にあたっては、あくまで国民への利益還元を貫くよう努力されることを要望するというものであります。  最後は、協会職員の待遇改善についてでありますが、協会は、業務の能率向上をはかって職員の待遇改善に資するようにすべきであるというものであります。  以上簡単に附帯決議案の趣旨を御説明いたしましたが、何とぞ全会一致御賛成くださいますようお願いする次第であります。(拍手)
  270. 久保田円次

    久保委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  本動議に対し別に御発言もありませんので、直ちに採決いたします。  宇田國榮君外三名提出の動議のとおり本件に附帯決議を付するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  271. 久保田円次

    久保委員長 起立総員。よって、本動議のごとく附帯決議を付するに決しました。     —————————————
  272. 久保田円次

    久保委員長 なお、ただいま議決しました本件に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  273. 久保田円次

    久保委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  274. 久保田円次

    久保委員長 この際、久野郵政大臣及び前田日本放送協会会長から発言を求められておりますので、これを許します。久野郵政大臣
  275. 久野忠治

    久野国務大臣 本件に関しましては、慎重なる御審議の上、ただいま御承認いただきましたことを厚くお礼申し上げます。  ただいまの附帯決議につきましては、政府といたしましても、今後の放送行政にあたりまして、御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。(拍手)
  276. 久保田円次

    久保委員長 次に前田会長
  277. 前田義徳

    ○前田参考人 本協会の明年度収支予算、事業計画並びに資金計画について連日御熱心な御討議をいただき、まことにありがとうございました。  また本日、六カ条の附帯決議が付されましたが、私どもは、これは四十八年度をスタートとする新しい経営指針として、これを完全に守っていきたいと考えております。  なお、同時に、熱心な審議を通じていろいろ示唆されましたこと、御意見等も尊重し、今後の執行機関としての経営の充実に資したいと考えております。  まことにありがとうございました。(拍手)
  278. 久保田円次

    久保委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時四十四分散会