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1973-09-14 第71回国会 衆議院 地方行政委員会 第52号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年九月十四日(金曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 上村千一郎君    理事 小山 省二君 理事 中村 弘海君   理事 三ツ林弥太郎君 理事 山本弥之助君    理事 吉田 法晴君 理事 林  百郎君       今井  勇君    片岡 清一君       亀山 孝一君    谷垣 專一君       前田治一郎君    小川 省吾君       多田 光雄君    小川新一郎君       小濱 新次君  出席国務大臣         自 治 大 臣 江崎 真澄君  出席政府委員         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務総局         給与局長    尾崎 朝夷君         人事院事務総局         職員局長    中村  博君         総理府人事局長 皆川 迪夫君         自治政務次官  武藤 嘉文君         自治大臣官房審         議官      森岡  敞君         自治省行政局公         務員部長    植弘 親民君  委員外出席者         人事院事務総局         職員局参事官  後藤 敏夫君         総理府人事局参         事官      梶谷  浩君         経済企画庁物価         局物価調査課長 加藤 和夫君         法務省入国管理         局参事官    岡田 照彦君         文部省初等中等         教育局財務課長 松浦泰次郎君         文部省初等中等         教育局地方課長 鈴木  勲君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 九月十一日  風俗営業取締法による規制からの自動車旅行ホ  テル業除外等に関する請願加藤六月君紹  介)(第一〇二一四号)  同(櫻内義雄紹介)(第一〇二一五号)  同(島田安夫紹介)(第一〇二一六号)  同(椎名悦三郎紹介)(第一〇二一七号)  同(安里積千代紹介)(第一〇二三一号)  同(三宅正一紹介)(第一〇二四〇号)  同(植木庚子郎君紹介)(第一〇二五九号)  同(國場幸昌紹介)(第一〇二六〇号)  同(山下元利紹介)(第一〇二六一号)  同(上村千一郎紹介)(第一〇三一一号)  同(小沢一郎紹介)(第一〇三一二号)  同(奥田敬和紹介)(第一〇三一三号)  同(笠岡喬紹介)(第一〇三一四号)  同(瓦力紹介)(第一〇三一五号)  同(田中龍夫紹介)(第一〇三一六号)  同(本名武紹介)(第一〇三一七号)  同(村山達雄紹介)(第一〇三一八号)  同(渡辺紘三君紹介)(第一〇三一九号)  同(大竹太郎紹介)(第一〇三四六号)  同(谷垣專一君紹介)(第一〇三四七号)  同(菅野和太郎紹介)(第一〇三九一号)  同(片岡清一紹介)(第一〇三九二号)  同(草野一郎平紹介)(第一〇三九三号)  同(住栄作紹介)(第一〇三九四号)  同(谷川和穗紹介)(第一〇三九五号)  同(渡海元三郎紹介)(第一〇三九六号)  同(中川一郎紹介)(第一〇三九七号)  同(宮澤喜一紹介)(第一〇三九八号)  同(綿貫民輔紹介)(第一〇三九九号)  土地の固定資産税軽減に関する請願天野光晴  君紹介)(第一〇二一八号)  事業税における事業主報酬制度適用に関する請  願外一件(受田新吉紹介)(第一〇二三二  号)  同外一件(佐藤観樹紹介)(第一〇二三九  号)  同(植木庚子郎君紹介)(第一〇二六二号)  同外九件(金子一平紹介)(第一〇二六三  号)  同(田中龍夫紹介)(第一〇二六四号)  同(中村寅太紹介)(第一〇二六五号)  同外二件(福田篤泰紹介)(第一〇二六六  号)  同(上村千一郎紹介)(第一〇三二〇号)  同外一件(臼井莊一君紹介)(第一〇三二一  号)  同(大西正男紹介)(第一〇三二二号)  同外一件(笠岡喬紹介)(第一〇三二三号)  同(木部佳昭紹介)(第一〇三四八号)  同(笹山茂太郎紹介)(第一〇三四九号)  同外一件(濱野清吾紹介)(第一〇三五〇  号)  同外十二件(渡辺栄一紹介)(第一〇三五一  号)  地方公務員共済組合における産休補助教員の加  入条件緩和等に関する請願土井たか子君紹  介)(第一〇三二四号)  同(山本弥之助紹介)(第一〇三二五号)  同(上村千一郎紹介)(第一〇三五二号)  同(小山省二紹介)(第一〇三五三号)  同(谷垣專一君紹介)(第一〇三五四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方財政に関する件      ————◇—————
  2. 上村千一郎

    ○上村委員長 これより会議を開きます。  この際、法務省入国管理局岡田参事官より発言を求められておりますので、これを許します。岡田参事官
  3. 岡田照彦

    岡田説明員 十一日の私の発言を訂正させていただきます。  前回、十一日の当委員会におきまして、小川新一郎議員から行なわれました在日韓国公館関係者の最近の入出国時日についての御質問に対しまして、私から御説明いたしました事実のうち、禹容海氏が八月三十一日に出国した旨説明いたしました部分は、八月二日出国、八月十二日に入国というのが事実であると判明いたしましたので、ここに陳謝をして、訂正させていただきます。      ————◇—————
  4. 上村千一郎

    ○上村委員長 地方財政に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますのでこれを許します。林百郎君。
  5. 林百郎

    ○林(百)委員 今回国家公務員についての人事院勧告が出ましたけれども、これは、当然、地方公務員にもそのまま適用される関連性を持ってまいりますので、このたびの人事院勧告について、総裁並びに関係各省庁に若干お聞きしたいと思うのです。  まず、このアップ率物価との関連の問題でありますけれども、今回の人事院勧告では、俸給表の改定が一三・三%で、その他扶養手当住居手当の増額と合わせますと、言うまでもなく、一五・三九%のアップをされているわけであります。ところが、物価との関連を考えてみますと、総理府調査によりますと、七月の東京都の区部消費者物価指数は、昨年同期と比べて一二・二%の上昇になっております。従来、消費者物価よりは上昇率が低いと言われました卸売り物価に至っては、日銀発表の七月の卸売り物価でも、対前年度比一五・七%と、実に、人勧アップ率よりも上回っておるようなわけであります。こういう消費者物価アップ指数、さらには異常な卸売り物価アップ指数から見まして、このたびの人勧の一五・三九%のアップは、結局、物価上昇インフレ進行等によって、この点が食われてしまうのではないかということですね。だから、実質的にアップと言うに値しないことになってしまうのではないか。公務員要求しておりました基本賃金二万円以上の引き上げということ、いまになってみれば、これがやはり当然の要求だったと思いますが、この点についてはどういうようにお考えになっていらっしゃいますか、総裁の見解をただしておきたいと思います。
  6. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 御指摘物価関係は、われわれしょっちゅう重大な関心をもって見守っておるわけでございますけれども、いまのお尋ねのポイントにつきましては、これは、私ども調査は、四月分として支払われた給与ということで言っておりますから、物価上がりども、大体対四月で押えております。そういう点から申しますと、一五・三九から比べればまだ低いということはもちろん言えるわけであります。  それから、もう一つは、私どもの基本的な立場としては、民間調査の結果、民間企業給与上がりというものをつかまえて、それに追っつかせるというたてまえでやっておりますから、たとえば、春闘あたりで盛んに賃上げの交渉なり攻勢がなされるという場合に、民間企業のでき上がります段階においては、物価がこうだからというようなことは、やはり、重要な要素となって民間給与引き上げがされておるだろう。したがって、私どもはそれにならってやっておりますことから言えば、民間給与の中に物価がすでに織り込み済みだ。その物価織り込み済み民間給与にならっておるということが、たてまえ論としてははっきり申し上げることができるので、また、前述の上げ幅も一五・三九というところでいけば、これはまだまだと言うのは語弊があるかもしれませんけれども物価より下回っておるということにはならないだろうということが申し上げられる。いまここで声を大にしてお願いをしておきたいのは、今回の、ことしの勧告は、例年に比べると、われわれは非常に無理な作業をいたしまして、早く勧告を申し上げた。去年に比べて六日ばかり早いということも申し上げられますが、何よりも、現在国会開会中に勧告が間に合ったということは、われわれとしては非常にやりがいのあったことと考えております。  いまお話しのように、物価上がりというものから考えますと、公務員諸君は、一日も早くこの勧告の実現を望んでおるわけでございます。したがいまして、地方行政委員会におかれても、この給与法が提出されました場合においては、ぜひ今国会において成立させていただいて、早々に差額支給をいただけるように、ひとつ御配慮お願いしたいと思います。
  7. 林百郎

    ○林(百)委員 総裁答弁の中にもあるように、今後、物価騰貴趨勢というものはなかなか押えがたい、インフレはやはり進行方向をたどるだろう、したがって、勧告については、なるべく早く実施することが必要だという御意見は、一応わかりました。  そこで、いろいろの情勢を加味して、もう少しその点について質問してみたいと思いますが、この物価の異常な暴騰情勢というものは、実は、田中内閣が成立いたしましてから異常な暴騰情勢が出てまいりましたので、このことは、四十八年度の経済白書によっても、「四十七年度後半から騰勢を強めた物価は、四十八年に入ってからの金融引締め政策、変動相場制移行による円の実質切上げにもかかわらず異常な高騰をつづけた。」ということが書いてあるわけでありますが、「このような大幅な物価上昇朝鮮動乱以後はじめての経験である。」とも書いてあります。ことに、卸売り物価高騰は、この異常なインフレに拍車をかけていると思いますが、しかも、その上、公共料金としては、国鉄値上げ法案国会に提出されておりますし、さらには、関西電力などの電力料金値上げも大体政府は許可するような方向に行っておるようであります。さらに、来年度のことまで言いますと、来年度は、消費者米価郵便料金値上げも検討されているようでありますが、こういう情勢でいきますと、インフレが抑制されるというよりも、むしろあおられるという形になっておると思います。前の経済企画庁の事務次官である矢野智雄氏が、消費者物価は、このままでは、この九月、十月ごろには前年比一四から一五%アップになるのではないかと予想しているということも述べられているわけでありますが、こういう情勢でいきますと、この九月、十月ごろでは、一五・三九%の賃金アップというものは、もう、物価騰貴にむしろ追いつかない。したがって、昨年度の生活を再生産するのも容易ではないというような情勢ではないかというように思われるわけでありますが、この物価騰勢インフレの悪化の状態、ことに、卸売り物価のこの高騰状態、こういう全体の状態で、これは経済企画庁にお尋ねしますが、一体、今後の見通しはどうなるであろうか。そして、このたびの人事院勧告の一五・三九%のアップというのは、これは、アップという名前は、現状より高くなるからアップでありますけれども、実質的には、昨年度の公務員生活の再生産を維持するにも困難なような実績になるのではないかというように思われますので、この点について、経済企画庁の方から、見通しについてちょっとお聞きしておきたいと思います。
  8. 加藤和夫

    加藤説明員 お答えいたします。  物価見通しを的確に申し上げることは、現段階では非常にむずかしい点が多いのでございますが、先生御指摘のとおり、八月消費者物価指数は、対前年同月比で一二・九%、それから、七月の卸売り物価指数は、対前年同期比で一五・七という数字を示しております。これは先行きでございますが、総需要の拡大、それから需給面の逼迫がございます。それから、海外インフレという点もございまして、根強いものが見られるわけでございますが、八月三十一日に、物価安定緊急対策ども講じまして、公定歩合引き上げ預金準備率引き上げ、それから供給対策ども講じておりますが、この辺は、卸売り物価のほうに、具体的には商品市況等に若干響いてきておる。したがいまして、卸売り物価に影響があって、それから消費者物価指数のほうへ行くのがものの経路でございます。その辺、若干のタイムラグがございますが、あとは海外要因海外市況がおさまってまいりますれば、多少好転してくるかというような考え方でございます。
  9. 林百郎

    ○林(百)委員 企画庁にお聞きしますが、この卸売り物価が、七月対前年度比一五・七%、消費者物価一二・九%ですか、卸売り物価がこのように異常な高騰を示しているというのは、これは、やがて、先ほど答弁でもちょっとお触れになったようですが、やはり、消費者物価値上がりに影響してくるというようにわれわれは考えるわけですが、どんなような情勢で、あるいはどういうような過程を経て、これが漸次消費者物価引き上げのほうに影響してくるというように考えられますか。
  10. 加藤和夫

    加藤説明員 卸売り物価消費者物価に響いてくるという経路については、いろいろ学問的な考え方もございますが、大まかに申しまして、まず、食糧、それから非食糧農林水産物、つまり羊毛繊維のようなもの、そういうものは原材料がすぐ製品化されますので、その値上がりは、しばらくして、まあ大体二、三カ月で、製品化される段階を過ぎますと消費者物価に響いてくる。それから、そうでない、たとえば鉄鉱石とか、非鉄金属とか、そういうものは、一たん工場へ入りましてから、加工され、製品になり、それで、卸売り物価の各品目を経まして大体出てくるということで、そういう大企業製品値上がり消費者物価への波及というものはだいぶおくれる。こういう感じでございます。ですから、木材、繊維製品羊毛繊維、そういうものはわりあい早く響いてまいりますが、そのほかの生産財のほうは、響いてくるにせよ、だいぶおくれるというふうに考えております。
  11. 林百郎

    ○林(百)委員 総裁にお尋ねしますが、民間ベースアップが、大体物価高を織り込んでのベースアップだと思うので、それを基準として、公務員についても一五・三九%のアップとしてあるので、それはもう物価値上がり織り込み済みであるというような御回答を得たわけですけれども、しかし、いま、いろいろの物価上昇趨勢インフレ進行情勢等を見ますと、これはベースアップと言いますけれども、実際は、昨年度の公務員生活を再生産していくということで、それが向上するという要因は、この、いまの物価高騰情勢インフレの高進の状態では——そして、あなたの、なるべく早く法案を通して、インフレによるマイナス的な相殺を食いとめてもらいたいという、その御意向はわかりますけれども、しかし、国会のいろいろな情勢から言って、どうも、これはことしじゅうにどうなるかというような状態です。実質的には、これは昨年の公務員生活を維持していくという程度であって、これを向上させるという側面、そういう作用はこれでは持つことができないのではないかというように思うのですが、もう一度その点を、くどいようですが、お尋ねしておきたいと思います。
  12. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 給与法案がことしじゅうにどうなるかというのは、何か、非常に悲観的なおことばをちょっと耳にしたような気がするわけでありますが、いまのお話しを裏返しにすれば、現在十何%という物価が上がっている点から言いますと、給与がそれだけ下がっているわけです。十何%下がっている。その中で苦しい生活をやっているわけですから、ことしの暮れなどとおっしゃらずに、この給与法の成立だけはぜひ今国会中にやっていただきませんと、それはほんとうに公務員生活問題になりますから、重ねて強くお願いをしておきます。  それから、いま初めにおっしゃいました点については、最初のお答えで尽きておりますけれども、なお、これは、わがほうの引き上げはいわゆる定昇別でやっておりますから、定期昇給というのは、大体、毎年平均三%ぐらいございますが、別に楽観的なことを申し上げるわけではありませんけれども、その辺はその辺として、現実はそうなっている。しかし、とにかく、ひとつ早く成立させてください。これだけは強くお願いいたします。
  13. 林百郎

    ○林(百)委員 どうも、私の質問国会の責任に転嫁されるような答弁になってしまったのですが、それはその点で、いずれまた国会自身がきめることですから、総裁意向も十分お聞きしておきます。  これは、毎年私は総裁質問する点ですが、配分の点について、やはり、上に厚く下に薄いのではないかという点です。これは毎年聞いている点です。総裁も、いや、その下のほうの上げ率は、上の上げ率よりもことしは考慮しておるのですよ、そういう点も考えておりますよという答弁が出るのではないかと予想はされますけれども、それにしても、上のほうと下のほうの違いが、絶対額から言ってもあまりに多過ぎるのではないかというふうにも思われるわけなんですが、やはり、今回も、上に厚く下に薄いというこの格差の広がりというものは破られていないわけです。  例を言いますと、たとえば七一年度の勧告では、行(一)を例にとってみますと、八等級が四千八百六十六円で、一等級が一万二千八百八十七円の配分であって、その対比は一〇〇対二六四・七だったわけですね。七二年度を調べてみますと、八等級が五千五百十五円に対して、一等級が一万二千八百六円で、これが一〇〇対二三二・二であったのですが、ことしのを調べてみますと、八等級が七千六百三十四円の配分に対して、一等級が二万一千五百八十三円で、その対比は一〇〇対二八二・七と、だんだん格差が広がっているわけなんです。こういうきびしい物価上昇の中で、生活苦しみを多く受けているのは、当然、等級の低いほう、あるいは中位を占めている賃金層公務員であるということは言うまでもないわけですが、特に、公務員労働者要求である初任給引き上げについては、高卒初任給五万五千円の要求が出ているわけですが、これが四万四千八百円でとまっておる。上下の格差は、昨年は若干人事院配慮で縮めたのでありますが、ことしは、指数から言いますと、八等級一等級配分比率から言いますと、かえって格差が広がっておるわけなんです。もちろん、低中賃金層アップ率は若干上がっておりますけれども、しかし、上のほうの等級と、たとえば八等級一等級との格差というものの比率はずっと拡大してきているわけです。われわれは一貫して、人事院勧告が上に厚く下に薄い、そして、職務給的な要因が強過ぎるのではないかという主張をしてきたわけなんですけれども、この点については、せっかく昨年若干縮まったのがまた広がってきているのですが、これはどういうわけでしょうか。
  14. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 お答えの大事なポイントを先取りされてしまいましたのでぐあいが悪いのですけれども、趣旨は、やはり、官民比較のたてまえをとっておりますことから、配分傾向も、おのずから民間配分傾向をわれわれとしては念頭に置いて、それを尊重していかなければならない。これは、かつて林委員から議運でだいぶしかられましたところの、たとえば天下りの問題ですね。ああいう問題にしても、中堅の人が出ていく場合もあり、上のほうの人が出ていく場合もある。そして、民間に行った場合にどえらく月給が上がったじゃないかという問題がありますから、やはり、横は横で一応比べておきませんと、これはかっこうがつかないことになるというたてまえから、ことしの場合を見まして、私ども、いわゆるずん胴型と言っておりますが、民間配分傾向はずん胴型で、大体一律的に上から下まで上がっておるということがあるものですから、昨年はこうであった、おととしはこうであったということは、結局、その年その年の民間における配分傾向をやはり反映してのことであるというふうに、基本的には御理解をいただかなければならぬ。ただし、そうは申しますけれども、ことしの場合で申し述べますと、たとえば初任給、これは役所の公務員志願者が減りまして、ことしの公務員応募者というものは、去年よりも二割近く応募者が減っておるというような、求人難ということをわれわれも痛感しておりますし、かたがた、また、若い層の公務員方々生活ということも、それに密着して、初任給の問題に関連して考えなければならぬということで、初任給で申しますると、実は、民間初任給引き上げ率は、ことしは一七・二%であったわけです。しかし、もう、理屈のつく限りにおいて盛んにやりくり算段をいたしまして、私どものほうは一九・五%の初任給引き上げをやった。これはあまり大きな声で言いますと、民間のほうから反撃が来ますけれども、ここでは大きな声で申しますけれども、外ではあまり大きな声では言えないことでありますけれども、そのくらい苦労しておる。したがって、初任給に密着する若い層の部分の人については、相当やっておるわけであります。それから、もちろん中堅層の人々、これは家族、世帯持ち方々、その辺に力を入れて、かつまた扶養手当なんかも考えて措置をしておる。大きなところから申しますというと、そこはわれわれの苦心の存するところというふうに御理解願いたいと思います。
  15. 林百郎

    ○林(百)委員 その点はわかるのですけれども格差が拡大しているという点については、やはり考慮されるべき点ではないでしょうか。あなたは答弁を先取りしたということを言っておりますが、人事院が、低賃金層あるいは中賃金層公務員アップ率を高めているということはもちろんわかりますけれども、しかし、格差是正という点で、昨年よりことしのほうが、格差が、八等級一等級の例をいま出したのですけれども、これが広がっているという点は、やはり将来改善を考えていくべき点ではないかと思うのですけれども、ことに、公務員生活苦しみの質的な点から言うと、それは低賃金層、中賃金層にあるわけですから、やはり、格差をなるべく縮めていく。そして、上厚下薄人事院勧告について毎年なされるこの批判については、人事院として考慮すべきだと思うのですが、ことしは去年より少し広がっているという点はどういうわけなのだろうかという点が、いまの答弁だけではちょっとわからないのですけれどもね。
  16. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 かねて申し上げたと思いますけれども給与の体系としては、上薄下厚というのが必ずしも美徳であるというふうにも言い切れない。やはり、職務職務に応じて適正なる配分をし、また、先ほど申しましたように、民間傾向をもよく考えてやりませんと、中二階のところから今度抜けていく人の場合を考えてみると、また、向こうに行ったために非常に上がったというようなことになってもバランスを失することになりますから、やはり、その辺は、われわれとしては忘れられないことである。しかし、生活の困難ということは、これはもう絶対的なものですから、そういうことは十分念頭に置いて、ことに、人材の確保という点も念頭に置きますと、先ほど申し上げましたように、初任給を中心とするところの苦心がそこにございます。ぜひその苦心はお認めをいただきたい、こういうことでございます。
  17. 林百郎

    ○林(百)委員 どうも、質問がこのままでいくと平行線になると思いますが、私たちとしては、毎年言っておりますが、この上厚下薄格差の是正という点については、人事院としても一そう配慮し、努力をしていくことを強く要求しておきます。  その次に、通勤手当の問題ですけれども、通勤手当もことしはつけましたという答弁があると思いますが、その内容を調べてみますと、五千円までは全額支給、それ以上は、五千円をこえる額の半額を加算して、最高限度を七千円で押える。これはつかないよりもけっこうですし、ついてることは好ましいことです。しかし、これが、現実の公務員の通勤手当としてどの程度の恩恵になるかという点ですけれども公務員要求の中には、通勤手当は全額支給すべきだという要求が強く出ておるわけでありますから、この七千円で頭打ちという点については、公務員の側からは強い批判が出ると思うのであります。  ことに、最近の職場への通勤の状況を見ますと、言うまでもなく、人口の都市集中が非常に進んでまいりまして、職場と自宅との距離がますます遠くなってきているということは、これはいなめない事実なんですね。したがって、法律的にも、このたび、公務員の通勤途上の災害を公務上の災害に準じて扱うというような法律を政府も考えるようになりましたが、その意図するところは、言うまでもなく、公務を提供する上で通勤が不可欠のものであるということ、要するに、通勤という問題は、もう公務の一部として考慮してもいいという、そういう思想がこの中には入ってきていると思うわけですが、公務の提供に不可欠な、むしろ、公務の中の一分野と考えていいような通勤に要する費用は、やはり、全額支給してやるべきではないか。  職場と自宅との距離がだんだん遠くなるというのも、これは、決して、本人が好んでそのようなことをしておるわけではなく、今日の住宅の状況からいって、やむを得ずそういう生活体制をとらざるを得ないような状態になっておるわけなんです。だれも、好きこのんで遠くに住む者はないわけなんですね。ことに、役所のある中心街に住宅を手に入れることが一そう困難なような状態になっているわけでありまして、そして、そのことが政府の住宅政策にも基因しているということはいなめない事実でありますから、通勤交通費が高いということ、そして、それだけ通勤に時間を費やすということ、これに対する補償として交通費を全額支給するということ、これはやはり考えてやるべきではないかというように思いますが、どうでしょうか。  また、この通勤交通費にまで課税をするという制度も、これもまたやめるような方向人事院としては考慮をし、あるいは、そういう意見の表明をなされるべきだと思います。  いずれにしても、この通勤費という問題は、これは後に住宅の問題についてもお尋ねしたいと思いますが、最近の、公務員も含めての、労働者全体の重大な生活上の関心事になっておるわけであります。ことに、公務員の諸君は、時間を正確に自分の職場に到着いたしまして、そして、定められた時間には仕事に入るということがますます強く要求されてくる。それにもかかわらず、住宅はますます職場から離れてくる。そして、一そう高額な通勤費を要するようになってきているという事態のもとでは、やはり、全額を見てやるべきではないかというように思うわけです。  かりに、総裁から、そういう点は国会配慮してもらいたいという御意見が出るとして、その場合、参考までにお聞きしますが、もし、公務員の通勤費を全額見るとすれば、このたびの予算措置の上にどのくらいの費用を必要とするのか。それをあわせて、この点はやはり考えてやらなければならない重大な問題だと思いますが、その意見をお聞きしたいと思います。
  18. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 通勤関係は、おっしゃるとおり、公務員生活の実態から言うと、これは重要な一つの考慮すべきポイントになっておると思います。したがって、昨年、御承知のように、相当大幅な通勤手当の引き上げをやったのですが、ほんとうなら、ことしはもうお休みでよかったわけです。しかし、まず念のためというような気持ちで、通勤手当の民間調査をことしも重ねてやりました。そこにわれわれとしても相当関心を持っているということを御了解いただけると思うのです。  その結果、いまのお話しの全額支給の問題ですが、これは、民間の伸びは相当伸びてきておりますけれども、五〇%にはまだまだ達しません。しかしながら、できるだけ距離を延ばして全額行き渡るようにすべきであるというわれわれの気持ちから、今回は、おっしゃるとおり、五千円まではただでということにして、その他の通勤手当の改正ともあわせまして、公務員職員団体筋からは相当評価されておる。われわれとしてもいいことをしたと思っておるわけですが、ただ、いまの全額ということを無条件に考えますと、民間の企業体では、そんなに遠くから通う職員というのはおそらくいないと思うのです。やはり、工場なら工場の周辺に、穏当な範囲のところにみな住んでいらっしゃると思うのですけれども国家公務員は、御承知のように、全国的に職場が非常にたくさんあって、いろいろな条件のもとに生活していらっしゃる方があります。  われわれとして調べたのですが、たとえば、大学の先生なんかによくおられますが、これなんか、毎月一万五千九百円通勤費を払っていらっしゃる。それから、また、時間で申しますと、三時間半かけておたくから役所まで通っていらっしゃる方がある。おそらく、役所にお着きになったときは相当へたへたじゃないかと心配を申し上げるくらい長時間の通勤距離を通っていらっしゃる。そういう方は民間にはおそらくいないと私は思う。先ほど申しましたとおり、大体工場なり会社なりの周辺に住んでいらっしゃる。  民間でも、そういう極端なところまで全額支給をしていらっしゃるとは思いませんし、かたがた、いまのパーセンテージから言っても、まだそこまでいきませんから、私どもとしては五千円に引き上げた程度にとどめましたけれども、行く行くは、これも、おそらくは民間もパーセンテージが上がって、全額支給の範囲が上がってまいりますでしょう。そのときにはもちろんわれわれとしても考慮しなければなりませんけれども、いまの、一万何千円払っていらっしゃるとか、あるいは三時間かけてお通いになっていらっしゃるというところまでこれをカバーすることになるかならないか、そういう点は一つの研究問題としておるわけで、民間の全額支給の最高限度は大体七千円です。ですから、われわれ五千円でやっていますから、五千円と七千円で、そんなに幅広く違わない。一万何千円というところまではとてもむずかしいなという気持ちを持ちながら、全額支給の問題を考えておるというのが実態でございます。
  19. 林百郎

    ○林(百)委員 通勤時間三時間半、通勤費一万数千円ですか。総裁、それはちょっと極端な例を引用されているのじゃないかと思いますが、しかし、一般的に言って、民間労働者の職場と住宅の関係と、公務員の職場と住宅の関係は若干違うのじゃないでしょうか。公務員というのは、その職場は、いわゆる官庁街と称するところに集中されていて、そういうところは住宅を手に入れることが非常に困難な条件があるわけなんで、どうしても遠くから官庁街へ通わざるを得ない。これは地方公務員も同じことだと思うのです。市役所へ通う、あるいは県庁へ通う、あるいは役所へ通う、そういう役所のあるところは、大体、住宅を手に入れることが困難な地域でございますが、工場というのは大体郊外にあるのが普通でして、そこは、住宅を手に入れるのに、公務員が官庁街へ通うために、その近くに住宅を求めるよりはまだ楽な条件があると思うのです。ですから、公務員の特別な職場と住宅の関係を考えてみますと、この通勤手当というものは全額を補償すべきですし、将来一そうの改善をしてやらないと、ますます遠いところから通わざるを得ないような状態になっていますから、そういうところは一そうの改善を必要としますが、もう少し前向きの答弁をほしいわけです。民間の労働者と職場との関係ということだけで公務員の職場と住宅の通勤の関係を律することは、少し機械的ではないかというふうに思いますが、どうでしょうか。
  20. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 御激励のおことばとして拝聴いたします。決してうしろ向きでおるわけではございませんので、なお、私どもは、もっと幅広い立場から——いま、たまたまお話しに出ましたように、公務員宿舎なんかも、わりあいに通勤に便利なところに十分につくっていただきたいというようなことも、われわれとしての一つの大きな願望としてあるわけです。かつては、総理大臣に、文書までしたためてお出ししたこともあるわけです。そういう広い視野からこの問題は考えていかなければならないということで、要するに、一口で申し上げますれば、前向きということばは私はあまり好みませんけれども、前向きの気持ちで臨んでおるということだけは御了解いただいて、ことしはよくやったと、ひとつおほめをいただきたいと思います。
  21. 上村千一郎

    ○上村委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  22. 上村千一郎

    ○上村委員長 速記を始めて。
  23. 林百郎

    ○林(百)委員 その次に、同様の性質を持っている住宅手当の問題ですが、住宅手当の支給範囲ですね。これは、最近分譲住宅がふえておりますし、また、政府の政策としても、民間に住宅を建てさせて、それを譲渡するというような政策が政府の住宅政策の中には非常に強い要因を占めております。分譲住宅ということになりますと、事実上公務員がこれを手に入れるためには、ローンで手に入れて、毎月多額の返済をしなければならない実情なんで、結局は、借家と実質的には変わらない形態をとるようになると思います。われわれが聞知しているところによりますと、政府公務員労働組合との交渉では、持ち家についても利子補給方式をとられたいという論議がかわされたということを聞いておりますが、今回の勧告では、持ち家については何ら触れておりませんけれども、こういう公務員が分譲住宅を手に入れるというような事例の多い実情、そして、そのためにローンを借りなければならないという実態、そのために金利を支払っていくというようなこと、こういうことから申しますと、持ち家といいましても、実質的には借家と変わりないような実態が出てきておりますので、この住宅手当をこういう持ち家に対しても——ことに、ローンで手に入れて毎月多額の金利を支払っていく場合と、こういうものでなくて、実際完全に手に入れている持ち家との区別というものは、調査するのはなかなかむずかしいと思いますけれども、しかし、将来やはりこれも考えてやる必要があるんじゃないかというように思いますが、この点についてはどういうようにお考えになっているのでしょうか。公務員との間に論議もかわされているようでございますが、ちょっとその見解をお聞きしておきたい。
  24. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 お尋ねの住居手当は、おっしゃるとおり、数年来、公務員諸君の強い要望でもございます。私自身もたびたびそれを話題にして、直接お目にかかって話し合いをしてきておるところであります。したがって、何とかできれば、いまお示しの、ことに、ローンでつくったような人というのが一番貸し家と共通点を持っておるということに着目いたしまして、ことしの場合は、特に具体案をつくり上げるべく相当苦労したわけです。苦労いたしましたけれども、しかし、もう何もかも先回りしておっしゃるとおり、いまお金を借りた人でない、そうでない、持ち家の人とのバランスもあると思うがと、まさにいみじくもおっしゃるとおりですが、それが一つの大きな問題点で、ずっと連鎖反応がとどまるところを知らないということになるので、どこで打ち切るかというような問題がございまして、片や、民間の状況を見ますと、これはあまり筋の通っていない措置をとっておられるところがむしろ相当多い。ところによっては、持ち家だろうと、貸し家だろうと、親譲りの家であろうと、全部一律パーで、住宅手当と称してお分けになっているところもあるというようなことで、お手本になるようなケースも民間には見られないわけです。たまたまそういうところからひるがえってみますと、持ち家居住者に対して、問題がむずかしいからといって、いままで手をつけなかったということは、これは公務員にとって、値切られたとか、そういうものでは決してありません。もちろん、御承知のとおりに、われわれは、一五・三九というワクの中の配分としてこれを考えておりますから、したがって、持ち家居住者に対する分というのは、むしろ、一般の本俸なり何なりの中の配分に入ってきておるのですから、決して損にはならないというようなこともございまして、まあ、そういうところに安心感を持ちながらも、しかし、なお今後その点はとくと勉強をしていきたいという心組みでおります。
  25. 林百郎

    ○林(百)委員 もう一つ内容についてお聞きしますが、一時金についてですけれども、このたびの勧告ですと、一時金については民間とは大きな差がないということで、改善の勧告が行なわれなかったわけですけれども、しかし、人事院調査民間における賞与の平均は四・八六カ月ということで、これにも若干私たちは疑問は持っておりますが、それを認めたとしても、公務員とはやはり〇・〇六カ月分の差があるわけでありますが、これを金額に直すと、人事院勧告にある平均給与九万二千二百九十円で〇・〇六カ月分の民間の一時金との差ということになると、五千五百円余りになりますけれども、これが民間とは大きな差がないから改善の勧告を行なわないということは、どういう意味なんでしょうか。大きな差といっても、五千五百円というようなことになりますと、下級の公務員にとっては、これは決して小さい差とは考えられない数字になると思いますが、この点はどうお考えになりますか。
  26. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 近ごろ、切り捨てのほうが、たまたまそういう小数点二位の数字が出てきて、あまりかっこうがよくないので、ただいまのような御質問を誘発するわけでありまするが、私どもの基本的な立場は、民間の特別給の賞与というようなものは、その年の業績によるもので、業績が上がればこれも上がりますし、業績がダウンをすれば、したがって賞与も下がるという、きわめて浮動的なものであるということが前提に考えられざるを得ないと思います。ところが、公務員給与のほうは、何といたしましても、法律の条文の中に、四・何カ月分ということが固定した形で法定されてしまいますから、それほど、民間のような浮動的なものですからというような説明を申し上げるわけにもいかない。したがいまして、小数点二位以下は一応切り捨てさせていただく。そのかわり、今度、かりに、今日の時点で民間の賞与が下がった場合、石数点二位のところが下がったからこっちもそれに追随して下げるかというようなところにいかないで済むわけですから、プラス、マイナスして考えれば、法定主義をとっている以上は、まずこれはやむを得ないことではないか。  それから、もちろんこれは申し上げるまでもありませんが、本俸がうんと上がりますからして、本俸との掛け合いの計算になれば、それはもちろんうんと上がります。基本的な筋はそういうことです。一昨年でしたか、四十六年の際には、民間が四・八七カ月分だったのですが、昨年、四十七年の調査の結果では、景気が悪くなりまして、四・八二カ月分ということになって、〇・〇五カ月分減少したわけなんです。しかし、われわれのほうはずっと据え置きにしておるというようなこともございまして、基本的なたてまえはさようなところにあるというふうに御了承願いたいと思います。
  27. 林百郎

    ○林(百)委員 大臣は時間の関係があると言いますから、ちょっと飛ばして大臣の分だけお聞きして、あと関連して各党の方々に聞いていただきます。  御承知のとおり、十二日に、和歌山の高教組の勤評の行政事件について、地公法三十七条一項が憲法違反であるという判決が出ましたね。本来公務員は——この場合は地方公務員ですけれども、これも労働者であって、労働基準法の適用を受けるものですし、また、憲法の労働基本権を受ける権利が当然あるわけですが、御承知のとおり、一九四八年、アメリカ軍によって公務員労働者のストライキ権が奪われ、この占領政策が二十五年たった今日も引き続いているわけですが、政府公務員労働者のストライキ権をこのようにしているということは、何か特別な扱いをして、極端に言えば罪悪視しているような考え方を持っていたのではないかと思うわけです。何人といわず、自分の労働条件は自分できめる権利があるわけでありますけれども、このたびこういう判決が下されたことに対して、まず、大臣はどういうようにお考えになりますか。
  28. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 この問題は、私、けさも、閣議で文部大臣が発言しましたのを聞いたわけであります。判決文については、私、まだ詳細なものを見ておりませんが、御承知のように、これと同じような三十七条一項の問題について、ことしの四月二十五日に、すでに最高裁において判決が出ております。これは最高裁における確定判決で、したがって、和歌山においていま御指摘のような判決があったわけですが、文部大臣の語るところによりますと、教育委員会側はまたこれを控訴すると言っておるそうでありますから、また、これは間もなく未確定判決ということになるわけであります。したがって、現在としては、最高裁において決定を見ました判決というものを私どもとしては尊重をしていく、三十七条一項は憲法には違反しない、憲法に沿うたものであるという考え方に立つものであります。
  29. 林百郎

    ○林(百)委員 最高裁の判決があったにしても、たとえば中郵の判決についても、四つの条件が付せられているわけです。「1、合理性が認められる必要最小限であること2、国民の利益を害し、重大な障害をもたらす恐れがある場合3、違反者に科せられる不利益が必要限度を超えないこと4、制限がやむを得ない場合」ということで、最高裁の判決は、必ずしも公務員のスト権を全面的に否定しているわけではありません。しかも、新しくこういう判決が出たのでありますから、未確定とはいえ、判決が出て、それがくつがえるまではこの新しい判決を順守する、あるいはこれを尊重するという態度を政府はとるべきものだと思いますが、その点はどうか、もう一度お尋ねしておきます。
  30. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 先ほども申し上げましたように、これは閣議でも問題にいたしまして、法務大臣の見解も求めたわけであります。政府としては、やはり、最高裁の確定判決がある以上は、その確定判決によるべきものである。地裁でどういう判決が出たといたしましても、これはまた直ちに控訴するというふうに言われております。したがって、間もなくまた未確定の判決という形になっていく。これは一つの地裁の判決ということで残りはしますものの、最高裁の判決が確定しておる以上はこれが優先するし、政府としては、それを守ることが当然である、こういうことで閣議も一致をしたというわけでございます。念のために申し上げます。
  31. 林百郎

    ○林(百)委員 この判決の中に、「現行の代償措置の制度は形式上、一応整ったものとなっているけれども職員または職員団体の意思を反映させる仕組みが十分でなく、代償措置としての実効性も十分でない。以上要するに地公法三十七条一項がすべての地方公務員の一切の争議行為を禁止している以上、労働基本権を保障した憲法二十八条に違反するものと考える。」ということが書かれて、いま、実は、人事院勧告についても質疑をしているわけでありますけれども、この点についてはどういうように考えられますか。
  32. 植弘親民

    植弘政府委員 若干事務的な面もありますので申し上げますが、いまの林先生御指摘の判旨はすべて読んでおりませんので、明快にはお答えすることができないかとも思いますが、いまの代償措置の問題でありますが、なるほど、先ほど大臣から引例されました四・二五判決の多数意見におきましても、代償措置の問題が触れられております。しかしながら、公務員についての代償措置は、基本的には勤務条件法定主義ということで理解されますし、また、国家公務員においては人事院地方公務員においては人事委員会ということでそれが補完されているというふうに考えているわけでございます。したがいまして、その意味では、その判示の内容が明確でありませんので部分的に解釈はできかねますが、基本的には、私どもは、四・二五判決に示されたもので十分であろうというように考えておるわけであります。
  33. 林百郎

    ○林(百)委員 自治大臣、こういうことばがあるのですね。これは判旨を一々聞いていくと限りがありませんが、「本件懲戒処分は原告らの行為の外形に幻惑され、いずれも必要な限度を超えて過酷な処分を選択したもので、妥当性を欠く。」という部分もあるわけなんですね。こういうことについては、公務員制度審議会の答申も、これははっきりと、公務員のスト権を認めろという、そのものずばりでは出ておりませんけれども、しかし、その方向を示唆するような答申の部分もあるわけですね。そして、また、こういう憲法違反だということもある。また、「本件懲戒処分は原告らの行為の外形に幻惑され、いずれも必要な限度を超えて過酷な処分を選択したもので、」ということも述べられているわけですが、これについてはどう考えるか。なお、これは高教組の関係ですから、文部省の方も来ておられますが、これは地方公務員全体に将来影響する問題ですから、自治大臣と文部省の方に聞いておきたいと思います。  あと、大臣に対する質疑は他の党にもありますから、私はこれで打ち切ります。
  34. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 私は、憲法には違反していないと思う。したがって、当然……(林(百)委員「過酷な処分をし過ぎているということを言っているわけです」と呼ぶ)それは、判決として、一つの見解としては承りますが、必ずしもそうであるかどうかは、また今後確定することであろうというふうに考えます。もちろん、不服で控訴していくというふうに聞いております。実は、私も、まだ判決文を取り寄せて詳しく見ておりません。はなはだ恐縮ですが、十分これを検討いたしまして、また率直に申し上げたいと思いまするが、政府としての見解は、私が先ほど申し上げたとおりでございます。
  35. 鈴木勲

    ○鈴木説明員 私のほうも、まだ判決文全文を入手しておりませんので、明確なお答えができないわけでございますが、和歌山県教委からの連絡によりますと、原告等は、ハンスト、それから蛇行行進並びに四・三・三割一斉休暇闘争を指導したということによりまして行政処分を受けたわけでございまして、その行政処分の判断が適当であるか、戒告の内容がどうであるかということにつきましては、事実関係あるいは情状によって判断しなければなりませんので、いま申し上げたように、詳細な内容を知悉しておりませんので、そのことについて、過酷であるとかどうかという判断はつきかねるわけでございますけれども、あくまでも、現行法制下におきまして、地公法三十七条が合憲であるという観点に立って、それを犯しました和歌山県教組の役員について、処分権者として、裁量権に基づいて適正な処分をしたというふうに私どもは考えたわけでございます。
  36. 林百郎

    ○林(百)委員 自治大臣、これは高教組の事案ではありますけれども、地公法の三十七条に関係してきておりますし、それから、その代償としての人事院勧告の制度自体にも——人事院勧告国家公務員ですけれども、それに準じたものとしての代償制度についても触れている。国家公務員並びに地方公務員、ことに、あなたの場合、自治大臣ですから、地方公務員の労働基本権のあり方についての根本に関する問題です。まだ判決をお読みになっておらないと言いますから、十分検討されて、またいずれ機会を見て質疑をいたしたいと思いますが、この判決を貫いている基本的な思想を読みますと、こういう部分があるのです。「しかしながら労働基本権に対する制限は基本的人権に対する制約であるから必要やむをえない場合に、かつ合理性の認められる必要最小限度にとどめるべきであることが要請される。そしてこの点よりすれば、地公法三十七条一項は右要請に反すること明らかである。しかも、地公法三十七条一項の禁止規定に違反して争議を行った職員は、懲戒処分を受けてもやむを得ないものとされており、また、その企画、共謀などを行ったものは刑罰の対象とされているが、これまた労働基本権の制限違反に対する法律効果、即ち違反者に科せられる不利益は必要最小限度を超えないよう配慮すべきであるとの要請に反している。また、労働基本権の制限をすることがやむを得ないとしても、制限に見合う代償措置が講じられなければならないのであるが、」となっている。現行の代償制度は十分でないということがありますから、地方公務員もまた労働者であることに変わりありませんから、地方公務員の労働者の基本的な権利に関する問題ですから、これは今後十分検討されて、いまみたいな、何かそっけない答弁でなくて、憲法の労働者の基本権とのかみ合わせのもとで検討されたいというように思うわけです。その点慎重に配慮して、いささかも地方公務員の労働基本権をそこなうことのないように、そういう姿勢で行政指導に当たられるかどうかもう一度答弁を求めて、一応大臣に対する私の質問を終わりまして——あと二問ほど残っていますけれども、他の党の方々が大臣に質問があるそうですから……。(「林君、ずっとおやりになっていいですよ」と呼ぶ者あり)
  37. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 いま御指摘の点は、一つの判例として地裁のものが出たわけでございますから、私も、判決を取り寄せまして、詳細に検討をいたしたいと思います。
  38. 林百郎

    ○林(百)委員 要するに、ストをやったからといって、実質的に国民に対して被害を与えておらないというような具体的な状況のもとで、いやしくも過酷にわたらないような処分を——われわれはもちろん、労働者の基本的な権利であるスト権を完全に回復させるべきだという立場に立っておりますけれども、とりあえずの処分としては、そういう具体的な事情に対するきめのこまかい配慮をされるかどうか、そういう行政指導をされるかどうか、その点はどうですか。
  39. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 これは、先般の公務員制度審議会においても、三論併記というような形になっておりますが、法律で禁ぜられておる、公共性のある立場等々から言いましても、教育上の立場から言いましても、現行法はやはり正しい方向を向いておるというふうに私は考えております。  その処分が過酷であるかどうか、それぞれの立場、その場面の実情によって判断されることでございまして、この問題について私がいまここでとやこう申し上げる場面ではないというふうに考えます。
  40. 林百郎

    ○林(百)委員 その点に判決は警告を発しているわけですね。たとえば「本件懲戒処分は原告らの行為の外形に幻惑され、」として、ストをしたというような外形に幻惑されて、「いずれも必要な限度を超えて過酷な処分を選択したもので、妥当性を欠く。」と言っている。この判決の趣旨の部分で、かりにスト権を回復しないにしても、外形がストだからといって、必要な限度を越えて過酷な処分をするようなことはよろしくないと言っているわけですが、そういうことは現行制度のもとでもとれるのじゃないでしょうか。もう少し前向きに——ものわかりがいいと言われている江崎自治大臣が、この点に関してはどうもかたくななような気がするのですが、どうでしょうか。
  41. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 文部省当局が妥当であるというふうにさっきお答え申し上げておりますが、やはり、文部当局の判断にゆだねるべきであって、自治大臣が、いま文部当局が妥当だと言っておるものを、それはどうも不適正であるなどと言えるものじゃありません。私は、やはり文部省側の意向というものに賛成し、支持したい、こういうことを申し上げたいわけでございます。
  42. 林百郎

    ○林(百)委員 文部省は、この点についてはどうでしょうか。「外形に幻惑され、いずれも必要な限度を超えて過酷な処分を選択したもので、妥当性を欠く。」ということで、スト権の基本的な回復とか、そういう問題はかりにさておいたとしても、こういう過酷な処分を地方公務員に与えるということは適当ではないんだということを判旨は述べているわけなんです。この点については、将来、具体的な事情に基づいて、過酷にわたるような、あるいは実情を無視したような、外形がストであるからということだけで画一的に処分をするというようなことには慎重な配慮をするということを答弁できないのでしょうか。
  43. 鈴木勲

    ○鈴木説明員 その判旨がどういう内容かよくわかりませんけれども、いずれにいたしましても、県教委がいたずらに過酷あるいは画一的処分をするはずがございませんので、その実情によりまして、処分権者としての判断に基づいて、適正な処分を行なうものと私は思っております。
  44. 林百郎

    ○林(百)委員 これでは水かけ論になりますので、それでは、いずれまた判決をよく文部当局も検討されまして、この点は、地方公務員の労働基本権に関する非常に重要な問題ですから、また質疑をいたしたいと思います。  時間の関係で、次に移りたいと思います。  自治省にお尋ねしますが、今度の人事院勧告に準じて、当然、地方公務員給与を改定することになりますが、この財源的な措置については、どういうように考えておられますか。
  45. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 さきの人事院勧告に伴いまして、地方団体において、国に準じ給与改定を行なう場合の一般財源の所要額は四千八百億円にのぼる見込みであります。八月に決定した本年度の地方交付税により、すでに措置をした額、これが二千四百三十億円、差し引きますと、新たに措置を要する額は二千三百七十億円にのぼることとなります。これにつきましては、地方団体における本年度の税収の増加、これらの状況を十分考慮しながら、給与改定を円滑にできるように、大蔵大臣とも十分打ち合わせをいたしておるところでございます。   〔委員長退席、小山(省)委員長代理着席〕
  46. 林百郎

    ○林(百)委員 先ほどの、四千八百億円が必要だ、しかし、当初、地方財政計画が八%のアップ分として、二千四百三十億円算入されているから、交付団体が千八百五十億円、不交付団体が五百二十億円だ、これについては大蔵省と交渉するというのですけれども、どういう方針で交渉されるのですか。大体、自治省の考えは、どういう考えで大蔵省と交渉されるのでしょうか。
  47. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 もちろん、地方公共団体に支障のないよう配慮をしておるわけでありまして、すでに、大蔵省側においても十分了解点に達しております。ただ、地方税収の伸びが、現実に九月決算等がまだつかめておりませんので、その状況を見ました上で適切な措置をとる、手はつかせないとお約束できます。
  48. 林百郎

    ○林(百)委員 毎年ある例ですけれども、たとえば税収の伸びだとか、あるいは一部節減だというようなことで財源の捻出を考えていくのが自治省の通例になっておりますけれども、実は、私たち、地方自治体をずっと歩いてみますと、ことしの地方自治体は財政的には異常な状態になっておるわけなんですが、現に、九月七日だと思いますが、自治体に対して、自治省は、「財政の執行の繰延べ、建築投資の抑制等について」という通達を自治省の事務次官と財政局長から出しておると思いますが、これはどういう内容ですか。
  49. 森岡敝

    ○森岡政府委員 最近における物価騰勢その他経済情勢の推移に対処いたしまして、政府におきましては、御承知のように財政執行の繰り延べを行ないまして、同時に、公定歩合の引き上げその他の金融措置と相まって経済の正常化を期待したいということで、公共事業費等につきまして、積雪寒冷地の事業あるいは生活環境施設の公共事業につきましては四%、それ以外につきましては八%をめどに財政執行を繰り延べをするという閣議決定をいたしたわけでございます。地方財政におきましても、現下の経済情勢に対処いたしますためには、国の措置と相応じまして、建設投資につきまして事業の繰り延べを行なうことがこの際必要であろうということで、公共事業経費等につきまして、国の措置とあわせて繰り延べをいたしますと同時に、単独事業なり、公益事業等につきましても、実情に応じて所要の繰り延べ措置を講じてもらうように要請いたしたところでございます。  繰り延べの率などにつきましては、先ほど申しました八%、四%というものをめどに考えております。ただ、事業の性格上繰り延べることが適当でない災害復旧事業でありますとか、あるいは公害復旧事業、あるいは義務教育の校舎不足に対処するための新増設、これなどは対象外にいたす、繰り延べから除外をいたす、こういうふうな措置をきめこまかく講ずることにいたしておるわけであります。
  50. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 ちょっと補足しますと、災害復旧事業、それから公立小中学校の施設整備、特に学校設備は、児童急増の特例措置等で、政府としては思い切った協力措置をはかったわけでありますが、これが事実上できない。繰り延べとはまた別な問題で、鉄鋼、セメント等の値上がりによって、繰り延べないものが実は入札されないといったような実情にあります。  そこで、これも、時間をお急ぎのようですから、ついでながら私から申し上げておきますが、きょうも閣議でこのことを熟議したわけです。そこで、通産省、それからまた官房筋においても、鉄鋼、セメントは数量的に間に合っておる。したがって、これが異常な値上がりをし、また、値上がりばかりか、繰り延べない緊急建設をしなければならぬものが事実上できぬということであるならば、それは、買いだめ売り惜しみ処罰法ですね、あの法律を適用しようじゃないか、そして、関係各省庁、特に中央地方が一体になうて、この資材を強く求めていこうということで決定をいたした次第であります。したがって、そういう方針で、繰り延べをしない緊急の公共事業あるいは建設事業等については、思い切ってこれは推進するということにしております。表裏一体の問題でございますから、ついでながら申し上げておきます。
  51. 林百郎

    ○林(百)委員 私もその点聞こうと思いましたが、たまたま閣議があってそういう方針を出したということですが、自治体を回ってみますと、大臣の答弁にありますように、たとえばセメント、鉄鋼、塩ビなど建築資材の異常な値上がりによって、当初予定した事業が実行ができず、地方財政がきわめて困難な状態にあるということで、入札に付しても落札しない、あるいは補正する必要がある、財源がないというような状態で、事業が非常に停滞しているわけなんで、そういう点を含ん  でいまの閣議の方針を強力に遂行されませんと、地方財政は予想外に非常にピンチにおちいっていると言ってもよろしいと思うのです。  そういう意味で、地方公務員ベースアップ部分も、例年にあるように、経費の節約とかなんとかというような部分は極力これを避けて——まあ、大臣ですから、あるいは全然しないとは言えないかもしれませんが、地方自治体の財政としてはそういう弾力性がないわけですから、全額国で——八%分は見ておると言いますけれども、その残りの分は国で見るような努力を自治省としては大蔵省に対して精力的にやっていただきたい、私たちとしてはこういうように思いますが、いかがでしょう。
  52. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 前段のセメント、鉄鋼等は、八月をピークにだんだん落ちついてきておる、それから、塩化ビニールの問題も同様であるというのが通産大臣の報告でありましたから、先ほど申し上げたような形で措置したいと思います。  それから、給与引き上げ分についての財政措置でありますが、これはやはり中央においても、国家の諸機関においても、冗費は節約する。これは当然のことでありますから、地方に向かいましても、もとより苦しい財政事情であることは私どもよくわかりますが、節約すべきもの、合理化すべきものは合理化してもらうということは、国の方針として、地方にも御同調願わなければならぬと思っておりますが、十分御質問の趣旨は体しまして、手をつかない形で善処してまいりたいと考えております。
  53. 林百郎

    ○林(百)委員 これで人事院に、総裁に対する私の質問は終わりますが、まとめてお聞きします。  週休二日制ですが、これは五十年実施というのは、五十年当初から実施するということでしょうか。しかも、労働時間短縮には何ら触れておらないわけですけれども、当然、週休二日制は時間短縮を伴わなければならないし、週休二日制になったからといって、労働強化になっては逆な効果になりますので、われわれのほうとしては、週労働時間四十時間として、週休二日制をすみやかに施行すべきだと思いますが、この五十年をめどとするということはどういうことか。そして、また、労働時間についてはどう考えているのか。そのことに触れておりませんので、その点が一点と、それから、給与の支払い形態を銀行を通じて支払うということですが、これも公務員にとってはいろいろ不便があります。たとえば、銀行に取りにいかなければならない。銀行は九時から三時までしか営業しておらないということになりますと、銀行へ取りに行くためには、働いている者は、その時間を休暇をとらなければならないというような事態が生じますし、また、銀行が自宅のそばにある場合はいいわけですけれども、そばにない場合が非常に多いわけですから、かえってこれは支給を受ける者としては不便になるのではないか。一方、銀行では、その金を短期のローンに使うこともできるという便宜があるわけですが、この点については、どういう発想からこういうことが出たのか。以上、二問聞いておきます。
  54. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 週休二日制の五十年めどの点は、私ども、ことしの四月調査におきましても、民間における普及状況を調査しまして、三七・何%が現在もうすでに採用しておる。そこで、今度は、将来採用見込みということで、それを各社について調べたわけであります。採用見込みといっても、ただ単なる見込みじゃなしに、たとえば、もう組合と話がついて、何年からやるということまで予想のついている、めどのついているところがどうだということまで調べてみましたところが、大体、昭和五十年になりますと、五〇%程度のところが採用するような見通しになっておるということからいたしまして、私どもとしては、やはり昭和五十年ということをめどとして大いに努力をすべきだろうということから、五十年を掲げたわけでございます。ただ、いまお示しのように、これはたくさんの問題がございますが、私の現在の考え方としては、いまお話しにありましたように、これで勤務時間が延びたり、それから現状のままということでは意味はないということで、勤務時間をいまのまま据え置いて、ということでなしに、勤務時間の短縮を伴うのが望ましい形であろうという気持ちで取り組んでおるわけです。とにかく、いろいろな職場がございまして、具体案をつくるのにいま四苦八苦しておりますけれども、五十年をめどに大いに勉強したいという気持ちでおります。  それから、銀行の関係は、現在、民間企業でもだいぶこれを採用しておるところがふえてまいりましたし、役所のほうでも、実は、御承知のように、外国勤務の人なんかには実際それでやっているわけですね。というようなこともありまして、一つの便法として、場合によっては事務の合理化にも役立つのではないかということから問題を掲げました。しかし、私どもの立場としては、いまのお話しのように、自分はそんなことをされたら不便でとてもかなわないというような人にまでこれを強制することは行き過ぎだろうし、それから、役所の御都合から、そんなことをやったら手がかかってたまらぬよというような役所には別に強制はしませんよ。両方の合意が得られるなら、それはやってちっとも差しつかえないことではないか。ところが、職員団体の中には、それでもまだ疑問を持たれる方がありまして、会うたびごとにまたその話し合いをしておるのですが、どうもはっきり反対の根拠がわからぬ。今度はひとつ奥さんにアンケートをとってみようかという冗談まで言いながら——これは冗談でありますけれども、われわれとしては真剣に取り組んでいるところであります。
  55. 林百郎

    ○林(百)委員 それでは、最後に、自治省にお聞きしますが、和歌山判決も出ましたし、それから教員の間では、やはり校長に一定の管理権がありますので、ある程度の交渉の当事者能力を与えてもらいたいというような希望もありますが、将来、この問題で、自治労だとか日教組だとかいうものと、文部大臣あるいは自治大臣が、この判決が出ましたので話し合いをする、相互の了解をし合うという努力をする意向がおありかどうか、その点をお聞きして、私の質問を終わります。
  56. 植弘親民

    植弘政府委員 いわゆる中央交渉のことかと存じますが、林先生もよく御承知いただいておりますように、自治省なり文部省が、地方公務員、教育公務員についての任命権を持っているわけではございませんので、いわゆる地公法上の交渉というものはできません。ただ、しかし、いろいろの形で、職員の意向を聞くという形において、たとえば大臣に会いたいとか、私どもと話したいということはもう現にやっておりますので、そういう形で意思の疎通をはかりたいというように考えております。
  57. 小山省二

    小山(省)委員長代理 小川省吾君。
  58. 小川省吾

    小川(省)委員 大臣の時間の都合があるようでございますから、大臣にお聞きをしたい質問だけを先に取り上げて、関連質問に移っていただいて、再度質問を続けさせていただきたいと思います。  実は、給与法でございますけれども、大臣、きょうも閣議があったようですけれども、閣議で決定をして給与法が提出される段階に至ったのでしょうか。どうなんでしょうか。
  59. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 まだ、きょうそういうことできめたわけではございません。しかし、もうすでに勧告が出ておりますので、私どもとしては、すみやかに国会の審議に供することが望ましいというふうに考えております。
  60. 小川省吾

    小川(省)委員 人事院のほうで非常な努力をいただいて、例年よりも早く九日の日に勧告をされた。さらに、総務長官は、先月の内閣委員会の中で、十日までには給与法は提出をするということを言明をしておったわけでございます。非常にインフレが増進をしている物価高の状態でございますから、早急にこれが実施をされるように、閣議としても早急に決定をして、法案の提出をして、全体の公務員労働者に一日も早く改定が実施をされるように努力をいただきたいと思います。  そこで、いま、地方自治体はちょうど定例議会の時期を迎えておるわけであります。当然、全地方公務員労働者の賃金改定の時期に当たっておりますので、昨日知事会議も開かれたようでありますが、大臣も何かいろいろこれに関連をした御発言もなさったやに聞いておるわけでございますけれども、県の職員として、あるいはまた地方議会の職員として、国の給与法が審議をされる段階で、各自治体が、実ははらはらしながらこの状態を見守っているわけであります。こういうような事態を迎えまして、こういうような非常に物価の増進をしている時期でございますので、給与法が成立した段階では、当然、地方の条例も条例化をされて地方議会の審議に供される、こういう形になるわけでありますが、給与法が成立するかどうかは、これは国会内部の審議の状況でございます。給与法が成立をすれば、地方自治体は、地方議会の中で当然その給与法の審議に入っていくわけでありまして、自治省の指導として、国の法律が決定するまでは条例をきめてはいかぬとかなんとかいうふうな非常に微妙な要素を持っているわけでありますけれども関連があることはわかるわけでありますけれども、地方の自治体の自主的な審議を拘束するような指導をやってもらっては困るわけであります。  従来、地方の場合には、大体十二月議会にかかって、それが一月に実施をされるという状態が、今年、国会が異常な会期延長になった関係からですけれども、初めて会期内に勧告が出てきた。そういう形で、実は、いまだかってない早期な、期待にこたえられるような状態にあるわけでございますから、そういう観点での指導をぜひ私どもは期待をしておるわけでありますけれども、自治大臣としての見解をお伺いしたいと思います。
  61. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 前段につきましては、さっきも申し上げましたように、坪川担当大臣は、法をすみやかに国会に出し、審議の場にのせていただきたいという方針でおるということを私どもに申しておりまするから、そういう方向には間違いはないものと私は思っております。  それから、後段の点でありまするが、これは御承知のように、地方公務員給与国家公務員に準ずるということで規定づけられておるわけであります。したがいまして、やはり県知事会において私は率直に申しておきましたが、給与法国会審議の動向を見守りながら地方においても対処せられたいということであります。これはまあ原則的なことを申しておるわけでありまするが、やはりその原則は守っていただきたいというふうに考えます。
  62. 小川省吾

    小川(省)委員 私も原則というものはわかります。当然、法律と条例との関連で、特に給与の問題でありますから、そういう点はわかるわけでありますが、大臣御承知のように、国の法案が提案をされて、審議に供される国会の中で、これが勧告を上回って大幅な——つまり、提出をされる法案が非常に改善されて、といいますか、変えられて議決になるというふうな状態というものは、通常の場合には、まず、あり得ない。こういうふうに考えれば、それに基づいて条例が全国の地方議会で審議をされるということを考えるならば、いま大臣の発言のとおりわかるわけでありますけれども、自治省として、かりに法案がおくれたとか、あるいはこの国会で上がらなかったというような場合は、やってはいかぬというふうな形ではなくして、少なくとも地方議会の自主性、法律案に基づくところの条例案ということで、その審議を自主的な各自治体の議会の審議にまかせてもよろしいのではないかというふうに考えるわけですが、いまの大臣の抽象的な発言で議会がしいられるような感じもするわけですけれども、そういう行き過ぎたといいますか、地方の自治体の権限を牽制をするような指導はぜひおやめをいただきたい。このような観点から、所見をあらためてお伺いいたすわけであります。
  63. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 早く法案を審議の場にお出しするというふうに考えておりますが、何せ、どうも、その法案審議がおくれがちな国会のこのごろの傾向がございまして、また、何か思わぬひっかかりなどができまするというとどうなりますか……。そうしますと、国家公務員のほうがきまらないのに地方公務員がきまってしまったということになりますと、これは国家公務員に準ずるという基本原則にやはりそむくことになる、そのあたりは御如才なく見ておってくれ、こういうことを言っておるわけですが、いまおっしゃるように、地方公務員給与の問題について、格別不合理なことを政府から押しつけるとか、そういうことはいたしてもおりませんし、また、そんなことをしようとは思っておりません。
  64. 小川省吾

    小川(省)委員 それから、林委員質問と若干重複をいたしますけれども、財源の問題です。先ほどの御説明のように、四千八百億、既措置が二千四百三十億で、新規の所要額が二千三百七十億ということになるわけでありまして、これは大蔵省ともほぼ了解を得てやっているのだということでありますけれども、とにかく、今回の七三年度の給与改定について、財源的な問題で地方団体に迷惑はかけないで措置をしますというふうに自治大臣のおことばを受けとってよろしいわけでございますか。
  65. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 実は、この人事院勧告が出されましたあと、閣議で、お互いが報告を受け、了解をし合いましたときに、私は、すかさず大蔵大臣に、地方財政も逼迫しておるおりから、手をつかないように十分の措置を頼みますよと繰り返し念を押したわけです。そうするとまた大蔵大臣は、そこはまた大蔵大臣らしく、経費の節約、合理化というあたりは国でもきびしくいたしますから、地方においても同じように歩調をとっていただかなければなりません、特に、このごろ地方公務員の人員増が目立ちますから、いいですかと言うから、私は、民主政治がだんだん徹底してきて、窓口サービスなどが多くなる、そうすると、人はどうしてもふやさざるを得ない、苦しいところもありますから、まあ、おっしゃる意味はわかるが、よろしく頼みますよということでこういうやりとりをいたしたわけでございまして、大蔵省側においても大体了解をしておってくれるものというふうに思います。地方公共団体が合理化すべきところや節約すべきところは節約するということは、これはもうもとより当然のことであるというふうに考えております。
  66. 小川省吾

    小川(省)委員 聞くところによりますと、国でも八%の既定経費の節減というのを打ち出すそうでありますが、従来の慣例でも、自治省がそのような通達を出されたことは、いま言われるように冗費——いまごろ冗費はないわけですけれども、少なくとも冗費と目されるようなものは節減をすることは当然でございますけれども地方財政の実態を熟知しておられる自治大臣でございますから、今日の給与改定の中で財源的に迷惑をかけないで完全実施をしていくという方向での指導をぜひお願いをいたしておきたいと思います。  それから、あと一点は、実は、地方公営企業関係の職員の給与の改定の問題でありますが、公営交通の健全化の問題でいろいろ論議してまいったわけでありますが、全公務員労働者が賃金改定のなる時期に、たまたま当人が勤務をしておる職場がそこだというふうな理由のもとに、これがいたずらにおくれてしまったり、あるいはまた、他と同様な歩調の中で賃金の改定がされないというようなことがあってはならぬというふうに思っておるわけであります。少なくとも、健全化という形の中では、そういうふうな賃金が改定をされるべき時期には当然改定をするという形の中で私どもは審議に参画をしてきたはずでございまして、公営企業の職員の賃金改定についても、責任をもってこの実施をやっていただくというふうに理解をいたしております。多大の赤字をかかえた国鉄職員の例についても同様でありますので、公営企業関係についてはそういう理解をしておるわけでありますけれども、それでよろしゅうございますか。
  67. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 一般的には、公営企業の職員につきましても、一般職員と同じように昇給、給与改定が行なわれていくことが望ましいことだと思います。ただ、これはいつもここで繰り返し申し上げておりますように、公営企業というのはやはり企業でありますので、その料金水準を適正化するとか、効率化をはかるとか、これはやはり内側における健全な合理化ということが要請される。それから、また、企業である以上、その収支勘定を度外視して給与を上げるということは、経営責任者から言うならば、これはやはり無謀のそしりは免れないということになりますから、この点は、見通しを得ないままに上げることはいかがかと思いますが、しかし、やはり同じ場面につとめておる人たちのことですから、一緒にいけるように極力勧請していくということは、私ども必要だと思います。しかし、原則を度外視することは、これはなかなかむずかしい問題だというふうに考えます。
  68. 小川省吾

    小川(省)委員 だいぶ持って回ったような答弁をお聞きしたわけですけれども、少なくとも、公営交通の健全化の中で私ども論議をしてまいりましたし、大体、人事院勧告そのものが、いま言われるように、企業の実態を調査した上に立ったところの勧告でございますから、人事院調査をされる企業の実態も千差万別でございます。そういうような集約の中から出てきているわけであります。私は、公営企業そのものが効率化なりをしていくことはわかりますが、しかし、働いて、その労働の対象として賃金を得ていくというふうになれば、少なくとも、そういう全体の公務員労働者が賃金改定を実施される際には、これは当然されていかなければならない。その一面、別な意味で、再建に指定をされた団体があるいは計画をつくり、いろいろなことをやるのは、これは当然でございます。   〔小山(省)委員長代理退席、委員長着席〕  そういうものと離れて、公営企業労働者が、その中で、家族を含めてさびしい思いをし、よそよりおくれるというようなことのないように、これは特に要望をいたしておきます。  大臣の都合で、このあと小濱委員関連質問がありますので、私は一応これで終わらせていただきます。
  69. 上村千一郎

    ○上村委員長 小濱新次君。
  70. 小濱新次

    ○小濱委員 人事院勧告について、主として江崎自治大臣にお尋ねをしていきたいと思います。  今回の勧告は、例年より一週間ばかり早く提出をされたわけであります。そのために、職員は一週間も徹夜をしてきたという話も伺いました。また、先ほど、佐藤総裁からも、無理な作業を続けてきた、それは今国会に間に合わせたいからだということの御意見もございました。そして、また、国会、内閣の両方にいろいろと切望をしておるという総裁の心境でもございます。そこで、勧告が出されまして一カ月以上も経過をしているわけですが、先ほどの自治大臣の御答弁はよくわかりますが、現在、依然としてその法律が出される気配が見られない。これからの会期末を考えますというと、見通しが非常に困難になってくるようにわれわれには考えられるわけです。それで、そのおくれている理由ですが、先ほどもちょっと触れられましたけれども、あれではまだ理由にはならないとわれわれは理解しておりますが、自治大臣から、関係閣僚という立場からも、これはできるだけ詳しく御説明をいただきたいと思います。
  71. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 私が担当の坪川大臣からの話を聞いておりますところによると、すみやかに出したい、そして、すみやかに審議を進めていただくという方向で自分はいま動いておるが、ぜひ同調してくれということですので、いや、もとより同調しましょう、これはぜひ今国会で通すことが望ましいですねと言って、私は同調しておるわけでございます。  国会運営上の問題については、ちょっと私どもよくわかりませんが、さっきも申し上げたように、どういうものか、このごろ法案審議がおくれるようですが、これは早く出し、早く審議されることが望ましいというふうに考えます。
  72. 小濱新次

    ○小濱委員 せっかく人事院勧告を出してこられたわけですが、人事院勧告を尊重するという立場からも、これはおくれてはならないことであると考えております。そして、この人事院勧告が一日も早く国会を通過することが、地方公務員としても心からなる願いであろうと考えております。そういう立場からも、自治大臣としては、何としてでもこの機会にという真剣な御努力があってしかるべきだと私どもは考えているわけです。いまの御答弁ですと、まだ何か総理府の長官に依存しているような、人まかせのような感じを受けますが、力ある自治大臣という風説もございますので、ほんとうにそうなんですから、もう少し積極的に行動を示したところの、そういう内容をお聞かせ願いたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  73. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 私は率直に申し上げておるつもりですが、もし、熱意がないように受け取れましたら、それはことばが足らなかったと思います。坪川大臣も、今国会中に早く審議を終了して実施に移したいということを言っております。私もそれに同調しておるわけでありまして、ぜひ実現いたしますように、政府側の責任者として極力努力いたします。
  74. 小濱新次

    ○小濱委員 事務的な問題とか、それから総理の俸給がきまらないとか、いろいろと巷間伝えられている。そういう説もあるわけですね。それがおくれている原因ではないのか。もう一カ月以上もたって、いまなお出されないということは、何か原因があるのであろうとわれわれは考えておるわけですが、そういうことはございませんか。
  75. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 総理の給料がきまらないなどとは、私ども思っておりません。大体、方向は、人事院勧告においてもお示しがあったわけですし、それでおくれておるというものじゃないわけです。しかし、法案を出すまでになぜおくれておるかということは、むしろ、関係者が来ておると思いますから、総理府のほうから答弁を願ったほうがいいと思いますが、それはそれなりに理由があると思います。ただ、坪川総務長官が言いますには、早くこの法案を策定して審議の場に供したい、成立をはかってもらいたいということで、この大方針は変わりませんから、そんなに御心配になることもないと思いますが、いかがでしょう。
  76. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 御案内のように、給与関係の法律は、一般職の公務員のほか、特別職あるいは裁判官、検察官、自衛隊等、関係法案が五つあるわけでございます。従来の例から言いますと、勧告をいただきましてから、法案が全部出そろうまでに、どんなに早いときでも二カ月以上かかっておるわけでございます。今回は、国会が延長されたというような事情もありますが、なるべくこの国会の御審議に間に合うようにいたしたいということで、特に、坪川総務長官から私たちに厳命がありまして、一カ月を目途に法案の作成をしてもらいたいという話があったわけであります。そのために、私たちも、法務省なり防衛庁等、関係方面にも実は強い要請をいたしまして、夏の休み中にも、日曜日も返上して作業を進めたわけであります。もちろん、一般職につきましては勧告がありますから、そう法案の作成に時間がかかるわけじゃございませんが、それ以外の点につきましては、やはり、それぞれこまかい問題を積み上げていかなければならぬわけです。そのために、実は、なかなか作業が手間取ったわけでございまして、予定の一カ月を若干過ぎた次第でございます。しかし、現在最終の段階に来ておりますので、私たちとしましては、遠からず国会の御審議をお願いできるものと思っております。
  77. 小濱新次

    ○小濱委員 総理府の皆川人事局長、いま御答弁をいただいたわけですが、率直に言って、いつ出すのかということをこちらは伺いたいわけです。自治大臣としては遠慮もあると思いますが、給与担当大臣として、その決断を早くすることと、やはり、地方公務員も準じてということですから、その改定を心から願っておるわけですから、そういう点では、もう少し明確な、いわゆる先の見通しの立てられるものを——これからの国会運営も、そうでないと非常にむずかしい時期を迎えておりますので、この辺で決断というものを発表していただきませんと、今国会は困難ではないかというふうに考えられるわけですね。いつ出すのか、その点はどうですか。
  78. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 申し上げるまでもないことですけれども国会に提案をしますまでには、それだけの手続があるわけでございまして、いま、提案の手続を進めておる段階でございます。最終的には閣議で決定をいたしまして、それから提案をいたすのでございますので、まだ閣議決定を見ておりませんので、明確に期日を申し上げることはちょっと御無理かと思います。私たちとしましては、先ほども申し上げましたように、最終段階に来ておりますので、そう遠くないうちにそういう時期を迎えることができるのじゃないだろうかと考えております。
  79. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 これは誤解があるといけませんから、私からも念のために申し上げておきますが、いま皆川局長が申しましたように、政府としては、例年より倍のスピードでやっております。それから、坪川総務長官は、私ども関係者に、ぜひ早く出して、この国会で決着をつけてもらいたいと言っておりますから、政府としても、誠心誠意ということであります。こういう法案というものは、国会のかけ引きなどの場に供せられるものではあるまいというふうに私ども思っておりますし、もうしばらく——国会最終日まで、きょうを入れますと、まだちょうど二週間ありますからね。いつ出すかということは、私も責任大臣じゃありませんので、いまちょっとお答えできませんし、局長とても、閣議できまらないものをいつごろということも言うことはちょっとむずかしいかと思いますが、法案も、もう最終の取りまとめ段階にだんだん入っておるようでありまするので、できるだけ御期待に沿うということで努力をしてまいります。
  80. 小濱新次

    ○小濱委員 非常に力強い御答弁をいただいたわけですが、二週間ですが、実質幾日になりますか。そういうことになりますので、ぜひこの期間中に実現をしていただきたいと思いますが、われわれはそう理解したいわけですけれども、どうでしょうかね。そう理解してよろしいでしょうかな。今国会中に通る見通しであるというふうに理解したいわけですけれども、どうですか。この前、法務大臣の勘という話もありましたけれども、自治大臣の感覚ではいかがでございましょう。その点について、これは多くの公務員が期待している自治大臣の一言でありますから、ぜひお願いしたいと思います。
  81. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 坪川さんの考え方が、先ほどから何べんも申し上げておりまするように、ぜひ出したい、今国会できめていただきたいという考え方ですから、私は、現在、それを信じておるものでございます。
  82. 小濱新次

    ○小濱委員 自治大臣、先ほどの大臣の御答弁の中で、今国会の審議にかけられることが望ましいと言われました。さらに、早く法案審議の場に出したいが、法案審議がおくれがちな現在でもありという、そういう御答弁があったのですね。なるほど、そう言われてみると、内閣委員会にこの法案はかかるわけです。御存じのように、参議院で防衛二法の案件の審議中でありますが、今国会で通過させるということになれば、どうしても防衛二法案と切り離して取り扱わなければならないことになろうかと思いますが、切り離すということについての深い御理解がないと、この問題は二週間では通りませんよ。それだけの扱いをしなければならない性格のものだと思いますよ。防衛二法と給与と一緒にされたのでは困る。そういう点で、切り離すべきであるということについての御意見を……。
  83. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 これはもとより国会の問題でございまして、私ども政府側がとやこう申し上げる件ではないというふうに考えます。
  84. 小濱新次

    ○小濱委員 非常に期待されている自治大臣でありますから、私はこれ以上申し上げません。よく理解をしていただいたかと思います。隣の佐藤総裁も、そのことを発言したことを心から喜んでおるんじゃないかと私も推察しておりますが、そういう点で、今後の御努力をよろしくお願いしたいと思います。
  85. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 わかりました。
  86. 小濱新次

    ○小濱委員 大臣は御都合があるようでありますので、さらに、最後にもう一点だけお伺いしておきたいと思いますが、これは関連して伺いますが、長沼判決で、自衛隊の違憲判決が下されたわけですね。市町村によっては、自衛隊員の募集の機関委任事務という問題について、否定だとか、停止だとか、そういう動きがあるやに聞いております。この場合、自治大臣として、これらの市町村に対してどう指導し、措置をされようとするのか。これはちょっと問題が大きいと思いますので、この点についても自治大臣の御見解を承っておきたいと思います。
  87. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 自衛隊の問題につきましては、ここで私は議論をいたしませんが、御承知のように、自衛隊は合憲である、自衛力の範囲であれば、それは合憲だという最高裁の確定判決がございます。長沼判決も、これは違憲であるという一つの見解が出たわけでありまするが、これはもうすでに控訴をいたしております。したがって、これは未確定判決だということになりますると、私ども政府としては、最高裁の合憲であるという確定判決によって行政的なすべての処理をしてまいることになります。そうなりますると、この自衛隊の募集業務に対する協力も、これは法律によってきめられておる地方自治体の任務でありまするので、法律に基づいてこの業務がスムーズに行なわれるように、通達、連絡などによりましてよく徹底をさせていきたいというふうに考えております。
  88. 小濱新次

    ○小濱委員 違憲という判決については、この先合憲判決が二審で出るまでには、一年半なり二年なり、相当の期間を見越さなければならないと思います。とすると、その機関委任事務の停止をいろいろといま計画をしている自治体があるということですが、この自治体に対して、自治省側としては、その合憲の判決が下るまでは、さしあたり自衛隊員募集の委託事務については差し控えるべきではないのかというふうに考えます。やはり、合憲判決が下るまでは、自治体のそういう動きに対して、自治大臣としても責任ある指導措置をどうしてもとっていかなければならないということになると思いますが、どうですか。
  89. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 これは、私がいまも申し上げましたように、初めて地裁においてこの判決が出たのではなくて、最高裁において、自衛力の範囲である限り自衛隊は合憲であるという確定判決がすでにあるわけです。そうなりまするというと、長沼の問題は控訴いたしておりますし、したがって、これは未確定判決ということにならざるを得ません。したがって、行政府としては、いまも申し上げましたように、当然、最高裁の確定判決に準拠して事務を進めるということになりますると、自衛隊の募集業務等の委任業務は、当然これも法律によって地方公共団体に委任しておる重要業務でありまするので、これは継続していただくということで指導していくことが自治省としては適切であるというふうに考えます。
  90. 小濱新次

    ○小濱委員 国の機関委任事務ということで、自治体に、小さい都市では二、三万円ぐらいから、大都市では三、四十万円の委託費が渡っているようであります。この地方自治体が合憲判決が下るまでは拒否なり停止なりをどうしてもするとするならば、これはむずかしい問題が起こってまいりますね。これはできるかどうかわかりませんけれども、県知事が、行政訴訟を、相手どって起こすような形になります。悪い結果が出てくれば首長を罷免することにもなりかねない。こういう大きな問題をかかえた今回の自衛隊員の募集に対する機関委任事務ということになりますので、いまの筋道から言っても、これは、地方行政をあずかる自治大臣としての、そういう最悪の場合を想定しての、いまから何らかの措置をとっておかなければならないという立場から、もう一度御所見を承りたいと思います。
  91. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 どうも、これは、繰り返して、くどいようではなはだ恐縮でございますが、やはり、委任事務はそのまま執行されるようにということを指導することが、むしろあらかじめ必要であると私どもは考えておるわけであります。したがって、あの判決が、また高裁から最高裁へと出てまいるでありましょうが、そこで、最高裁の判決が、自衛隊は違憲にあらずということですでに確定いたしておりまするが、これがまた、時代の推移に従って変わるということがないものではございませんね。ですから、そのまた確定がどう出るか、それまではやはり未確定判決であるということで、私どもは、最高裁の判決によって事務を執行していくことは当然なことだというふうに考えております。
  92. 小濱新次

    ○小濱委員 いろいろと動きが聞こえくるわけですが、自治体の中で、この停止をするという処置をとりたいとか、それから、それに共鳴する自治体の首長が近々のうちにまた集会を持つとか、あるいはまた、そのことをもって共同歩調をとり、強めていこうという考え方とか、あるいはまた、それの実施時期は全体的にいつにするかというような、そういういろいろの問題が起こってきているわけですね。自治体のこういう動きについて、主務大臣として、これは早目に処置をしなければなりませんし、対策を講じていかなくてはならないであろう。こういう立場から、私は、自治大臣のそうした問題を考慮した上での御意見を聞かしていただきたいと考えておったわけですが、そういう動きのある中で、今後について、自治省としては、また主務大臣としては、どういうふうにお考えになっているのか、最後にもう一言御意見を承りまして、私の質問を終わりたいと思います。
  93. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 自治体が憂慮する方向に向かっておるぞと、警告を含めての御質問だと承ります。したがって、私どもは、先ほど申し上げましたような理論的根拠によりまして、やはり、地方に委任いたしておりまする自衛隊の募集業務というものが支障のないように遂行されることを、今後も念入りに誠意をもって指導してまいるというつもりでございます。もし、また、そういう動きが起こりましたときは、公明党は自衛隊の存立に反対じゃございませんね。ですから、これはまた説得の側に御協力がいただけまするように、ひとつ、お願いを申し上げたいと思います。
  94. 小濱新次

    ○小濱委員 警告を含めたという御意見でございましたが、反省も含めておりますので、そういう意味で、これからの善処方を、われわれは関係委員会といたしまして当然取り扱っていかなければならない問題としてお願いしたわけですが、一そうの御努力を期待いたしまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  95. 上村千一郎

    ○上村委員長 小川省吾君。
  96. 小川省吾

    小川(省)委員 給与法の一部改正に関連をして、今年度の地方公務員の賃金改定についてお尋ねをいたしたいと思います。  先ほどの大臣の答弁のように、給与法がまだ閣議決定にならないという段階でございますけれども人事院が非常に努力をされて、異例な形で、早く勧告が出された。しかも、そういう中で、じんぜん日を送って、給与法が提案をされていない。国会の会期末は、通常若干の混乱もあるわけでありますけれども、そういう状態の中にもかかわらず、実は提案がおくれている。こういう段階で、もしも成立をしなければ、これはえらい大きな責任になるというふうに私は思っております。非常にインフレが高進をしており、物価高騰で、全公務員労働者が、一日も早い法案の成立と、その実施を望んでいる状態でありますが、こういう中で、政府としては、いわゆる使用人である公務員労働者生活をどう考えているのか、非常に理解に苦しむところでございます。   〔委員長退席、中村(弘)委員長代理着席〕  それとも、また、伝えられているように、本年は再び追加勧告が出てきて、もう一回賃上げが行なわれるのだというような話もあるわけでありますけれども、そういうことで実は落ちついておられたのかどうか。この辺の事情について、総理府のほうから、政府の意図というものをお聞かせいただきたいと思います。
  97. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、一般職の国家公務員については、作業は比較的単純でございますけれども、それ以外の問題につきましては、実質的な意見の調整が必要なわけでございまして、従来の例から申しますと、どんなに早い場合でも二カ月以上、二カ月半ぐらいかかっているわけであります。ことしは、それを、一カ月くらいを目途に成案を急ごうということで、ほんとうに夏のさなか、日曜日も関係者には返上していただいて作業を進めてきたわけであります。そういう結果、目標の一カ月を若干おくれておりますけれども、現在最終段階に入っておりますので、遠からずそういう時期が来るのではないかと考えているわけでございます。  いまお話しのありましたような、人事院の第二次勧告があるやもしれぬ、そのために、これをまとめてというようなことは全然考慮の中に入れておらないのでございます。その点をどうぞ御了解いただきたいと思います。
  98. 小川省吾

    小川(省)委員 先ほど江崎さんが、閣僚として、自治大臣として答弁をされたわけでありますが、一刻も早く、すみやかにということを言っておられたわけでありますが、さきの内閣委員会では、坪川長官は、十日までには出すのだというふうな形で、実はきょうまで来ているわけですね。私の聞くところによれば、総理府としては、持ち回りでも、きょうじゅうぐらいに閣議の決定を取りつけたいという話も実は漏れてきておるわけでありますが、そのくらいすみやかにやりたいのだという意向でおるというふうに受け取ってよろしゅうございますか。
  99. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 やはり、閣議の決定でございますから、どういう時期にどういう形で行なわれるかということは、私がいまここで申し上げることはできないかと思いますが、なるべく早い時期にこうした手続を踏みたいというように考えております。
  100. 小川省吾

    小川(省)委員 そこで、本論に入る前に、総理府に、本論以前の問題でまず伺いたいのですが、八年という長い歳月を積み重ねて、九月の三日に第三次公務員毎度審議会の答申が出されたわけでございます。私は、この答申そのものでなく伺いたいのですけれども、八年という長い歳月をかけたことと、全公務員労働者が、いな、むしろ、全労働者がこれは注視をしている問題なんですけれども、これを受けて、かなりの法令の整備が必要であるでしょうし、機構の確立が必要だというふうなことも答申の中にありますから、そのような受けとめがされているのだろうと思いますけれども、この受け入れの機関といいますか、これに対応する政府としてのいわゆる窓口はどこなのか。まず伺いたいと思います。
  101. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 御承知のように、八年の歳月を経まして答申をいただいたわけでございますが、その内容は非常に広範多岐でございまして、実質的に見ましても、法律の改正を要するもの、あるいは基本的な検討を要するもの、あるいはまた、法律の改正を要せずして、制度の運用上措置する余地のあるもの等いろいろございます。こういう問題につきまして、労使関係のことでございますから、それぞれの、各三公社なり、各省庁で、もちろんいろいろ御努力をいただくわけでございます。したがって、いわゆる窓口として、一本化するような強い意味の機構を設けるということは、かえってこの問題の進行を妨げるのじゃないだろうかと考えます。しかし、それぞれ歩調を合わせて進めていかなければならないという事項も多いわけであります。したがって、そういう意味の取りまとめ役といいますか、そういうものにつきましては、当面、総理府人事局が中心になりまして各役所の中の連絡をとっていきたい、こういうように考えております。
  102. 小川省吾

    小川(省)委員 いまの局長の答弁ですと、受け入れの窓口をつくることは、かえってむしろ妨げになるかもしれない、しかし、取りまとめの担当としては総理府の人事局が当たっていくことになるだろうということでございますので、そういうことで、実際にこれをどう受けとめ、どうしていくかということは、各省庁にわたりますから、協議が必要なのでありますけれども、そうすると、まだそういうことであって、統一的なこれの受けとめについての見解は出ていないというふうに理解をすればよろしいわけでしょうか。
  103. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 現実に、私のほうが中心になりまして、関係各省庁といろいろな打ち合わせをいたしております。それに基づきまして、政府としてどういう対処のしかたをするかは、もちろん、基本的にはこの答申の趣旨を尊重していくということでありますけれども、具体的にどういう進め方をするかということは、これからその会議等を通じて固めてまいりたい、こういう段階でございます。
  104. 小川省吾

    小川(省)委員 取りまとめの担当局として努力をされているということでございますから、ぜひひとつそれを尊重しながら対処していっていただきたいことを要望をいたしておきたいと思います。  次に、この答申と公務員給与にかかわる部分のみについてお聞きしたいと思うのでありますが、この答申の「団体交渉権」という中に「国家公務員給与については、当分の間、人事院勧告制度によるものとするが、その基礎となるべき調査等に、職員側および当局側の意見を聴く制度を設けるものとする。地方公務員給与については、国家公務員給与との権衡を図るため、上記の意見を聴く場合に、地方公共団体の職員および当局をその対象に含めるものとする。」という文章の表現がございますね。そこで、まず、「当分の間、人事院勧告制度によるものとする」という項なんでありますけれども、「当分の間」という表現にはいろいろなものがあるようですね。たとえば自治法の附則八条のように、四分の一世紀以上も「当分の間」ということで放置されているものもありますし、条約の場合には、「当分の間」というのは九十九年を意味するのだということも言われているようでありますけれども、この「当分の間」ということを皆川さんはどういうふうに受けとめておられるのでしょうか。まず、その点をお伺いいたしたいと思います。
  105. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 これは、「当分の間」という字句だけからはなかなか判断をしにくいだろうと思いますが、私たち、審議の過程を見てまいりまして、公務員給与につきましては、人事院勧告制度をむしろ変えていくべきだという議論と、公務員の場合には、どうしてもやっぱり人事院勧告制度が適当であるという議論と、激しくあったわけでございます。しかし、現在の段階ではどういう方法をとったらいいか、結論が出ないというのが率直なところであろうと思います。そうしますと、現行制度を維持するということになるわけでありまして、この「当分の間」というのは、現在の制度を変える目安がついていない現状においてはこういう制度によるべきであろうということに理解をすべきじゃなかろうか。したがって、期限を切るという感じではなくて、これにかわるいい制度があるなら別でございますが、そういうものが考えられない限りは現在の制度でいくのだ、こういう趣旨ではなかろうかと考えております。  なお、この点につきましては、先ほども申し上げましたように、いろいろな読み方があろうかと思いますから、十分に詰めた上で最終的な見解にいたしたいと思いますけれども、私としては、いまそういう理解をいたしております。
  106. 小川省吾

    小川(省)委員 皆川人事局長の御意見は承ったわけですが、私どもは、公務員といえども、本来、賃金というものは労使の団体交渉によってきまるものだと考えているわけです。こういう原則を是認をした上に立って、それにもかかわらずいろいろな関係があって、当分の間は人事院勧告制度によるということではないかというふうにも考えたわけでありますが、たとえば、答申の中で述べている別個の制度確立までの間というふうなことを意味しているのではないかというふうに私個人は思ったわけですが、あるいはまた、いま言われるのと同じように、単純に、人勧制度についていろいろ問題はあるけれども、なお当面といいますか、単なる時間的な「当分の間」という意味で用いられた文言なのかどうかということで、まあ、両方の意味があるのではないかというふうに実は思っていたわけであります。  また、「職員側および当局側の意見を聴く制度」云々ということがありますけれども、現状では、人事院は非常に努力をされて、公務員共闘会議の役員の方々といいますか、あるいは各省庁や、あるいは地方の意見等も十二分に聞いておられるというふうに私は思っておるわけでありますけれども、こういう表現が使われたのはどんなことなんでしょうか。ちょっと皆川さんのほうにお伺いをしたいと思います。
  107. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 この点につきましては、いまお話しにございましたように、現実においても、かなりの密度でそういう意見を聞くことが行なわれているというように審議会でも理解をされたと思っております。ただ、しかし、制度的に見ました場合には、やはり、それをちゃんとした制度にしたほうがいいじゃないかということでこういう答申になったものと理解をいたしております。
  108. 小川省吾

    小川(省)委員 次に、これも総理府のほうにお伺いをいたしたいわけなんですけれども、本年度の賃金といいますか、いわゆる本年度の人事院勧告が出てくるまでの、具体的な事実的な経過について、人事局長にお尋ねをいたしたいと思います。  私どもが聞き及んでいる範囲では、公務員共闘会議が、三月に、総理府のほうを通じて、政府に対して要求書を提出した。いわゆる七三春闘の山場の四月下旬ですか、全国的に行動があったわけでありますけれども、その中での政府との交渉、総理府総務長官との交渉等が行なわれて、その前にある程度出ていた、いわゆる公労協といいますか、三公社五現業等の賃上げは、当時、一四・八%、約一万四千円というふうな形で全体的におしなべて出ていたわけでありますが、その賃上げは、少なくとも公労協並みの賃上げを公務員についても実施するんだというような総務長官の回答があったはずであります。それ以降は、いわば配分の問題というようなことになるわけですから、人事院との折衝が主力になって、人事院なり、総理府なりとの交渉が進められて、五月二十九日に、公務員共闘会議は、政府並びに人事院に対して申し入れ書を出したはずであります。それで交渉が進められて、さらに、当時における国会の会期から、あるいはまた、インフレが非常に進んでおって、異常な激しい物価高であったという関係から、早期勧告、早期実施が強く申し入れられて、七月二日、七月十二日の公務員共闘会議人事院との交渉では、佐藤総裁は七月末を目途に勧告作業を完了するよう最大の努力をするというふうに回答されたはずであります。それが結果的には八月にずれ込んで、例年よりは早い八月九日の勧告になったものと理解をいたしておるわけであります。その間、総務長官や人事院総裁との交渉は、いわゆる民間の企業における賃金の交渉にかなり近い方式がとられた、そういうような形でこの勧告になってきたものだというふうに承知をいたしておるわけでありますが、皆川局長さん、そのような事実経過であったというふうに理解してよろしゅうございますか。
  109. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 三月、四月段階におきます公務員共闘と坪川総務長官の間のお話しでございますが、これは、たてまえとして、公務員の場合には、人事院勧告によって給与を決定していくという制度でありますので、直接総理府の長官と公務員共闘との間で具体的に話を進める性質のものではないということは前提に申し上げてあるはずでございます。ただ、しかし、総理府としても関心を持っておることは事実でございまして、いろいろな話のやりとりから、いまお話しのありましたような公労協の水準云々というような話が出たことも事実でございます。しかし、これは、むしろ、理屈としては、人事院勧告というものは、民間企業調査を行なって、そういう客観的な資料に基づいてなされるわけでありまして、また、公労協の賃金というものも、公労委を通じて民間のそういう水準というものが反映されるわけであります。したがって、結果的には、多少対象は違いますけれども、同じ民間の水準というものを頭の中に入れてきめられる数字でございますから、そういうことはある程度お互いに期待してもいいのじゃないか、こういう話を申し上げたのでございまして、総務長官として責任を持つとかいうような性質のものではないと思っております。その点は十分御承知であろうと思いますが、そういういきさつを通じまして、総理府としては、職員の意向を十分に聞いた上、人事院にもいろいろな御要請を申し上げてきたということでございます。
  110. 小川省吾

    小川(省)委員 たてまえ論は、私もよくわかるのです。  そこで、伺いたいのですが、本年度の賃金は、そういうことで、交渉の中で回答が示されてきて、これらに民間の実態調査等が伴って集約、文章化をされたものが本年の人事院勧告ではないかというふうに、実は、私は受けとめております。公務員労働者の大半は、いまや、昔の一ころのように——以前は、人事院勧告が出てきてそういう状態があったわけですけれども、いまは、人事院勧告というもので賃金が上がるのだということではなくして、公務員共闘会議政府人事院の交渉を通じて、春闘全体の動き、いわゆる民間の賃金の決定と並行しながら賃金はきまっていくものだというふうに考えております。それを集約整理をしたものが、その回答が勧告だというふうに実は思っておるわけでありますが、皆川局長さん、「当分の間」というのは、そういう受けとめ方でよろしゅうございますか。
  111. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 いまお話しのありましたことを的確に、制度的に、なかなか把握しにくかったわけでありますが、私たちとしましては、少なくとも、現在の実情において、特に配分問題等については、公務員政府当局においても、組合の皆さんも、そういうものを処理する実際上の力はなかなか乏しいと思うのであります。そういうことや、あるいは理論的に考えて、公務員の賃金決定はどういう手続がいいのかということをいろいろ考えますと、やはり、現在の人事院勧告制度にかわる案がまだない、そのめどもなかなか立たないというのが実情ではなかろうかと思っております。その点は、公務員制度審議会でもさんざん御検討、御議論をいただいたわけでありますけれども、そういうことでありまして、私どもといたしましては、やはり、人事院勧告制度というものを当分続けるのがいいのではないか。ただ、その運用のやり方はいろいろあるだろうと思いますが、その一つが労使の意見を聞くということになってあらわれてくるものと考えております。
  112. 小川省吾

    小川(省)委員 有能な当事者能力を持っておられる皆川人事局長さんの答弁としては、あまり受け取れませんが、微妙な問題ですから、一応聞いておきましょう。  次に、勧告と報告の内容についてお尋ねをいたしたいと思うのですが、人事院の努力は大いに評価をしておるわけでありますけれども、一五・三九%とは言うが、指定職や高級公務員等を除いては、相変わらず非常に低い額ですし、上厚下薄だという実態なんです。それで、それ以外にそう取り上げる事項もありませんけれども、幾つかの点について、人事院総裁と自治省にお尋ねをいたしたいと思います。  まず、第一点は、現行の十六種類の給料表に分かれたのは昭和三十二年のはずでございますが、私は、この給料表はすでに耐用年数が来ておるのではないかというふうに実は考えておりますが、佐藤総裁、いかがでございますか。
  113. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 耐用年数という定義の問題でありますから、そのことばを使わせていただくことは避けますけれども、おっしゃるとおり、昭和三十二年に現在の俸給表ができまして、相当の年数がたっておるということは事実でございます。しかし、ある意味での、そのときそのときの情勢との適応関係という点からこれを見ていただきますと、毎年毎年勧告を申し上げて、そして、そのつど、そのときにマッチした適正なる改正を加えつつ今日に及んでいるわけでありますからして、実質的の耐用の面から申しますと、これは、耐用の上では少しも欠けるところはない。ただ、もう一つの面から見て、たとえば今度特一等級をつくったとか、特三等級をかつてつくったとか、そういう外見上から言いますと、これはどうも筋合いが目立つじゃないかという意味で、美観をそこなうということはよくわかるのですが、私としては、実際は一向差しつかえないと思う。今日においては、これは最上だとは思いますけれども、そういう美観の点その他、あるいはさらに進んでの前向きのいろいろな研究の結果から、やはりこれを根本的に見直す時期じゃないかという気持ちは持っておるわけです。昨年たまたま申し上げましたことがあるのですけれども、四月一日実施ということになって、人事院勧告というものは、すべてその面の形はついてきた。そして、今度は第二段階として、われわれはこれを抜本的に見直していこうじゃないかということも申し上げておりますし、その体制で勉強しておることは事実でございます。
  114. 小川省吾

    小川(省)委員 おっしゃることはよくわかりますし、三十二年以来のこの給料表を、耐用年数の定義の問題だというふうにおっしゃいましたけれども、私は、戦前の、私どもが中学生であったころの制服を思い出すのであります。当時は現在の消費生活の時代と違いますから、子供の成長に合わせて、親がそのつど買ってやれるというふうな状態ではありませんから、ズボンが短くなれば、土管をつなぐように継ぎ足して使ったわけでございます。そういう意味で、いま総裁答弁にあったように、この給料表を、そのつど必要に応じて、指定職の給料表をつくってみたり、あるいは今回のように特一等級をつくったり、あるいは旧給料表の号俸の間引きをつくったりして対応しておりますけれども、この給料表というものは、そういう意味での耐用年数は過ぎている。そういう意味では、四月一日実施になった以上、抜本的な改正というものを考えるべき時期に到達をしたのではないかというふうに、実は、私は思っておるわけであります。そういう意味で、いまも検討されているという御回答でございますので、抜本的にこの給料表を改善していくという検討を重ねているというふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  115. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 そう御理解をいただいてけっこうでございます。しかし、事柄は、既成の秩序をいじるということにつきましては、われわれは改善のつもりでやっても、改悪だという批判が入ってくるという面もございますので、われわれとしてはよほど慎重にやりませんと、非常な不安をお与えすることになっても困る。そういう意味で、きわめて慎重な態度で、しかも研究を進めているというふうに御了解いただきたいと思います。
  116. 小川省吾

    小川(省)委員 従来の態度をとりながら、実は、抜本的な面についてもぜひ御検討を進めていただきたい、このように強く要請をいたしておきます。  地方公務員の賃金の改定については、人事院勧告が基本になって、各都道府県の人事委員会等が勧告なり報告を出すわけでございます。国家公務員に準じて地方公務員給与というものは扱われていくわけでありますから、当然、人事院は、各都道府県の人事委員会を通じても、いろいろな資料の収集や調査等もやっておられるわけですね。そういたしますと、人事院は、地方公務員の賃金についても、百%責任をとるという意味じゃありませんけれども、この勧告の持っていることは地方公務員に対しても当然責任を持っているというふうに見てよろしいわけでしょうね。
  117. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 責任と申しますと、ちょっとかどが立つ表現になりますから、そこまでは申し上げませんけれども、おっしゃるとおりに、国家公務員給与地方公務員給与について相当大きな影響力を持っていることは十分承知の上で、しかも、いまお話しにありましたように、給与民間調査の際には、地方の人事委員会とわれわれ人事院とが完全に手をつないで調査をしておるわけでございます。したがいまして、その点のところは十分考えながら、また、実態面についても、こういうことをすればこういう影響があるというような面にできるだけ気を配りながらやっておりますが、何よりもことしの場合痛感いたしましたのは、先ほどもお話しに出ましたように、地方の人事委員会勧告が毎年おくれることについて、人事院勧告を早く出せば国家公務員の分も早く成立するから、地方も早まるはずだということをまざまざと痛感したので、これはぜひ早く成立させていただきたいという話につながるわけで、いつもそっちのほうに落ちがまいりまして申しわけありませんけれども、そういう気持ちでおります。
  118. 小川省吾

    小川(省)委員 そこで、勧告の基本は、総合較差主義といいますか、いわゆる官民の給与の実態の比較をしていることが基本になっているわけですね。しかし、地方の公務員の中には、国家公務員にはない職種がいろいろあるわけですね。保健婦でありますとか、ケースワーカーでありますとか、例をあげれば切りがないほど、実は、地方公務員の中には、国家公務員に例のない職種があるわけです。国家公務員にない職種でありますから、当然、人事院勧告には出てきませんし、人事委員会勧告の中にも、これらに言及している例はないわけであります。そういう点では、たとえば国の公務員の中に例を見ないこれらの地方公務員給与については、どのように考えていけばよろしいというふうに総裁はお考えでしょうか。
  119. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 まさに、そういう問題がありまして、一例をあげますと、たとえば警察官の場合、国家公務員である警察官というのは非常に限られた職種のものしかおりません。現実に地方の警察官と同じような仕事をやっておる人は、皇宮護衛官、あるいはそれに近い人しかいないわけです。たとえば、交通整理の警察官に対して、交通整理手当というものをよこすべきじゃないかということをわれわれのほうにねじ込んでこられたこともございましたけれども国家公務員の警察官にはそういう職種の人は一人もおらぬということで、何ともいたしかたがない。これはほんとうに何ともいたし方なしと申し上げざるを得ない。したがいまして、私どもは、別に領土拡張とか侵略をねらっているわけじゃありませんけれども、たとえば地方公務員の義務教育の先生方とか、地方公務員であられる警察官の方々給与なんかは、もう、人事院勧告一本で、直接勧告できるようにしていただいたらいいんじゃないかな——これはいいんじゃないかなという程度でありまして、していただきたいとまで言いませんけれども、解決はそういうところに求めるほかないだろうというふうに考えております。
  120. 小川省吾

    小川(省)委員 そういうたいへんなことはよくわかるわけなんですけれども、比較をする中で、たとえば公務員の部長と大きな企業の支店長であるとか、あるいは課長と事務の課長であるとか、主任の技師であるとか、いろいろな比較をするわけなんですけれども、そうすると、地方の県や市町村の課長、係長と国家公務員の比較というものを、どのように位置づけて人事院として考えておられるのか。地方公務員国家公務員との比較、これらの点についてはどのようにお考えなんでしょうか。
  121. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 これは、筋論としては、地方の各人事委員会で——これは、その県、その県における権威ある勧告機関であり、給与の中心機関でございますからして、ここで現実に国家公務員の場合を見ながら、また、その地方における会社その他の民間企業の現状をにらみ合わせながら、具体的に勧告をつくっていただきたい。これは地方公務員法にもそういう趣旨のことが書いてございますから、われわれとして、横合いからとやかく申し上げるべき筋合いではないと考えております。
  122. 小川省吾

    小川(省)委員 具体的にお聞きするんだけれども、町村における税務課長、これは国の行。で言うならば、どの職に対応するのか。これは自治省公務員部長でしょうか、ちょっとこれをお聞きいたしたいと思います。
  123. 植弘親民

    植弘政府委員 地方公務員給与等級をどのようにするかというのは、原則的には国家公務員等級に準じて行なうことは、これはもう先生よく御承知のとおりであります。その場合に、どういう考え方を基本的にとるかということになりますと、やはり、地方公務員法の基本原則に立っております給与における職務給の原則といったものを前提として考えまして、行政組織なり任用制度というものを考えて等級を設けるというのが基本的な考え方であります。  いまの市町村の税務課長ということになりますと、税務職員につきましては行政職(一)をとっておりますが、町村の規模にもよりますが、大体五、六等級制であり、課長は二等級くらいを予定いたしております。
  124. 小川省吾

    小川(省)委員 いまの公務員部長答弁でございますけれども、どうも、国には、国が上位で、県がその次で、その次が市町村というふうな考え方が基本にあるのではないか。同じような行政の領域で、その他管轄する範囲は違うけれども、町村の職員は県よりも下で、都道府県、市町村の職員は国家公務員の下なんだというふうな行政の系統に基づく考え方が基本にあるのではないというふうな感じを、地方育ちのひがみかもしれませんけれども、私は、常々実は持っているわけであります。  そこで、いまの答弁関連をして、まず、給料表の運用についてお尋ねをいたしたいわけでありますが、概して地方の市町村の職員の賃金が低いのは、給料表自体と運用の面との両面があることは、これは言うまでもないことでございます。国の場合、等級別の定数があって、各省庁の人事担当者と人事院との折衝というのは、この等級別定数の辺というのが主要な一面になっているのではないかというふうに私は思っております。しかし、私ども、地方から国をながめた場合には、この運用が、いま言われるような、一職一等級といいますか、職階別賃金、職階級制を巧みにくぐり抜けて、耐用年数を、耐用の切れたものをつじつまを合わせているのが実はこの運用の実態であり、給料表別の、いわゆる標準職務の表だろうと思うのです。  そこで、人事院の発表した資料によって見ますと、たとえば行政職の(一)ですけれども、五等級の十一号から大体十六号くらいまでに在職をする職員数が圧倒的に実は多いわけであります。このことは、いわゆる国の職員の場合に、私は、本省は知りませんが、地方の安定所をながめても、あるいは農林関係の機関をながめても、いわゆる何々官であるとか、主任であるとかというふうな名称を使って、実は、五等級まで複々々格づけをして、そこのところが現在吹きだまりになっておる。実は、この問題の解決をしなければ、なかなか容易に問題が片づかないというふうな状態になっているのではないかというふうに私は考えております。たとえば地方の出先に行ってみますと、平職員が二人くらいしかいない、一つの課の中には平職員が一人もいない、全部係長であり、何々官であり、主任であるというふうな実態があるわけです。このことは、実は、巧みに現在の標準職務表をくぐり抜けて、いわば、耐用年数の切れた等級表の中で賃金の運用管理がなされているという実態を示しているものだというふうに私は考えているわけであります。  地方公務員の場合でも、最近、団体交渉で、都道府県の場合にあってはある程度運用基準の改善等がなされておりますので、ある程度そういう面を越えてきておるわけでありますが、市町村ではそう思うようにはまいっておらないわけであります。しょせん、給料表が、市町村の場合には、国の一等級から三等級までは切られておるとか、上が切られておりますから、そういう点では、たとえば国家公務員全体が一等級等を含めて一五・三九%になっても、市町村は一五・三九%などというぐあいの改善率にはとてもならぬわけであります。運用が思うようにいかないわけでありますから、これは、実は、非常に低い改定になるわけであります。  自治省は、指定市は別として、通常の市の場合は五等級制、町村は四等級制というような給料表をたしか指導してきたはずでありますけれども、相変わらず、国の五等級を町村の場合には一等級に、市の場合には、国の四等級一等級にというような指導を現在やっておられるわけですか。
  125. 植弘親民

    植弘政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたが、職務給の原則にのっとって考えてまいりますと、行政規模の大小だとかいったようなものが大きく作用いたしますので、先ほどちょっと等級的なお考えがありましたが、それはございませんで、やはり、行政規模といったような感覚が一番要素になりまして、従来からそういう指導をいたしておりますが、基本的な基準といたしましてはいま掲げておりません。
  126. 小川省吾

    小川(省)委員 三十二年以降相変わらず、そういう形での行政規模に応ずる指導でそれぞれ是正をしているのは当然でありますけれども、たとえば、標準規模と言いますと、十万くらいの場合でも、相変わらずそういう形での指導がやられておる。そういう点では、先ほど総裁の言われたように、国ではいろいろ考えながら運用等について努力をして、国ではそれに沿っている。ところが、実際に地方の場合には、そういうふうな国の改定の実態に対応できる改善措置がとられないといいますか、そういうふうな実態になっているということが、地方公務員給与、賃金を現在でも引き下げている一因ではないか、こういうふうに私は考えておるわけでございますので、そういう指導については、いま、行政規模というふうに抽象的には言われますけれども、ぜひ的確な指導をお願いいたしておきたいと思うわけであります。  次に、人事院総裁にお聞きしたいと思うわけですけれども、教員、看護婦の給与の改善について報告は言及されています。「今後更に一層の改善を図る必要が認められる。」ということはけっこうだと思うのですが、「これに関連して、従来からとってきた官民比較の基本原則の適用方式に若干の変更を加えることについて、速やかに検討を行う考えである。」というふうに述べられておるわけでありますけれども、「速やかに」というのは、いつごろを意味しておるわけでございますか。
  127. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 「速やかに」ということばでございますけれども、結論を得次第実行に移したいとうことばに切りかえてもよろしいと思いますけれども、事柄は、御承知のとおり、その一番大きな契機になりますのは、例の、現在御審議中の教員の人材確保法案、これがもう成立するということになりますと、これは最終の踏み切りどきになってしまう。要するに、従来の官民比較主義では、もう大きなゆがみが出てきてしまう。それこそ耐用年数を越えるということになってしまいますので、その成立を大きなめどにしながら、至急現在検討を進めておるわけでございます。
  128. 小川省吾

    小川(省)委員 その点については、後ほどまた触れますけれども、比較方式の若干の変更というのは、職種別の比較をやっていくのだということを意味しているわけですか。比較方式の若干の変更ということは、どういうことを意味しているのですか。
  129. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 御承知のように、教員、それから看護婦については、従来ずっと逆の格差をたどっておりまして、民間よりも実は公務員のほうが高い、そこへ追っかけて、やはり教員は大事にしなければならぬ、看護婦さんは大事にしなければならぬということで、われわれとしては、やりくり算段の結果、さらに水増しをして勧告を申し上げておるわけであります。その結果、しわ寄せは、総合較差主義というものをとっておるわけでありますから、一五・三九%の配分の問題として処置をしておりますから、どこかにそのしわ寄せを食らうところが出てくる。これは、考えようによっては、日本政府株式会社というものの給与水準と民間の企業の給与水準を比べるという立場から言えば、総合較差にとらわれる行き方もあると思います。いまのような、今度の人材確保のような、大幅な逆格差のできるような要因が出ますと、もうそういうことは耐えられない。そこで、発想を変えまして、官民比較の鉄則は貫きますけれども、たとえば行政職というようなものをつかまえれば、これは官民通じての主要な職種であろう、これを比較をしていく、そして今度は行政職を柱にしながら、学歴その他を勘案しながら、では、看護婦はこうしたらよかろう、先生はこうしたよかろうという方向が一つの将来の方向として考えられるんじゃないかという、その意味ではきわめて革新的な考え方だと私は思います。そういう方向をたどっておる、研究しておるということでございます。
  130. 小川省吾

    小川(省)委員 いま、総裁お話しを聞きますと、結論を得次第ということで、「速やかに」というのはけっこうだ。また、比較方式の変更というのは、いま言われるように、総合較差主義の矛盾といいますか、大体、現在では、行政職(一)表、(二)表の適用者が全公務員労働者の約六一%ということですから、しわ寄せを受けるとすれば、大体行(一)といいますか、一般職の公務員のほうが受けているんだというふうに理解をしているわけなんですが、やはり、人事院という立場で公務員給与勧告をするということであれば、法律案が出ており、これの結論を得次第というふうなことは、少し前向きではないんじゃないか。確かに、教員に良質な人たちがすわることが当然必要ですし、良質な人材を求められるわけでありますから、そうだとするならば、人事院は思い切って、法律案の云々にとらわれずに、教員の給与はこうあるべきだということを大胆に打ち出すのが人事院の役割りではないか。当然官民格差五%云々はありますけれども公務員給与そのものを考えるならば、人材確保法案が成立をすれば云々というふうな考え方はうしろ向きではないか。  看護婦についても、確かに、看護婦は、現在、民間よりも公務員のほうがいいようだ。しかし、実際には得がたい。看護婦を確保しがたい。こういう状態にあるならば、こういう形にして、いわゆる公務員からほんとうに命と健康を守るということを打ち出していくためには、看護婦の賃金を、いわゆる給与条件を、勤務条件をよくして、そして命や健康を守るんだというふうな観点が考えられて、賃金はかくあるべきだと、こういう形に勧告というものは大胆に一度検討さるべきものだと、実は、私は思っているわけであります。そうすると、この看護婦、教員の追加勧告が、いまの形のように、そういう状態になれば、すみやかにといいますか、早い時期に実施をされてくることが当然予想されるといいますか、予期されるわけであります。この追加勧告がされますと、今度は、公務員労働者の中で、いわゆる職種間の権衡を失する状態が出てくるわけですね。当然、先ほどのように、総合較差主義によって、一般職の公務員のところに従来でもしわが寄っていたような、そういう状態が、看護婦なり教員の追加勧告がなされることによって、さらに権衡を失する状態が他職種の間に発生する。そういう場合に、巷間伝えられるところによれば、さらに二ないし三%程度、一般公務員についても賃上げの勧告が行なわれるであろうというふうに伝えられているわけであります。これは教員なり看護婦に勧告がなされて、それが実施されれば、当然権衡を失してくるわけでありますから、私は、当然さらに賃金の是正が行なわれるべきであるというふうに思っておりますけれども、その真相はどうなのか、実際にそういう状態になるのかどうか、総裁からお聞きをいたしたいと思っております。
  131. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 行政職をどうするかという問題は、それこそ、巷間伝うるところによりますと、教員給与引き上げに便乗して、こっちもお気の毒だからというようなことで引き上げるようなふうにもとれる報道が一部見られるわけでございます。私どもは、そういう便乗とかなんとかというさもしい考えで考えているのではないので、先ほど申しましたような官民比較の原則というものをこの辺で改めまして、そして、先ほどの行政職というようなものを一つ柱にして、そして、民間における行政職に相応するものと突き合わせて、それを土台にして、あとは公務員内における均衡を考えながらほかの職種のほうに手当てをしていこうということでございますから、その結果、あるいは行政職はいままで割りを食っておったとすれば、失地を回復するという場面も出てくるであろう。   〔中村(弘)委員長代理退席、委員長着席〕 それが二%になるか、三%になるか、それはわかまりせん。若干そういう気配は当然あるだろうということになる。筋はそういう筋であります。
  132. 小川省吾

    小川(省)委員 そうすると、いまの総裁答弁のように、それをすなおに受けて、追加勧告された場合については、率その他は云々として、筋としてはそういう形になっていくんだというふうに理解をいたしますが、よろしいわけですね。
  133. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 そういう筋をたどって研究をすみやかに進めておりますが、先ほど申しました人材確保法案というのが今度一つの大きな契機になると私どもは考えております。  したがって、今度私の陳情を申し上げますと、人材確保の法案を早目に通していただければ、このほうの措置もまた促進されることになるということで、これは陳情申し上げます。
  134. 小川省吾

    小川(省)委員 人材確保法案を通していただければという、国会審議についての総裁の御助言をいただかなくもよろしいんでございますけれども公務員賃金を預かる現状の中では、とにかく、公務員賃金を預かるところの、特に、生殺与奪の権を持っておるともあえて言い得るところの佐藤総裁とするならば、人材確保法案などということにとらわれないで、大胆に公務員賃金のあるべき姿というふうな観点を指摘し、やっていただくことを、特にこれは要望いたしておきたいと思います。  で、先ほどもちょっと出ておりました住居手当についてなんですけれども、今度、上限が三千円だったものが、二千円が加わりますから、五千円になっているわけですね。これについては確かにいろいろ問題があるわけなんですけれども、改善についてはけっこうだけれども、借家、借間住まいの方だけであって、実際に、現在の公務員給与の実態の中で、マイホームを持った者にしても、現在の賃金の中で節約をして、貯金をしてうちを建てたというのは、これは調査をされればわかりますけれども、ほんとうにそれこそパーセントでは出てこないような数字だろうという経済実態であることは御承知のとおりですね。しかも、この勧告の中にも出ておりますように、民間住居手当の実態という中にいみじくも出ているわけですが、おそらくそういう点も検討されたんでしょうけれども世帯持ちが幾ら、あるいは扶養家族のない者、いわゆる独身者ですね、これが幾らと、そういう形に住居手当についてはこの辺で踏み切りをしないと、あまりにも実態にそぐわない結果になっていくのではないか、こんなふうに、実は、私は考えるわけであります。おそらく、この勧告が出てくるまでの間には、それらの点が相当熱心に真剣に論議をされたと思いますけれども、来年のような段階には、少なくとも住居手当はそういう形にして、世帯持ち幾ら、あるいは独身者幾らというふうな形に出てこないと、現状の公務員の考えているところ、住居手当に期待をしているところといいますか、住居手当が出ているという実情を考えている公務員の心理実態にそぐわなくなってくるおそれがある。改善をされればされただけ、全体の公務員の中の気持ちにしてみると、割り切れない気持ちを残すことになる。こういう点で、実は、来年度へ向けてそういうふうな形でぜひ検討をしていただきたいという要望を付して、この点を再度伺いたいと思います。
  135. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 実にいい点を御指摘いただいたわけなんですが、いまお話しのように、借金をするのは普通だろうが、つめに火をともすようにしてためて家をつくる者はおそらくあるまいというのは、私どもも全くそういう頭でおりましたのですが、ところが、これを調べてみますと、さにあらずで、案外これが、ことに地方の方に多いんですな。むしろ借家、借間の方よりも多いくらいに数字が出ておるものですから、そこで、われわれとしても、とてもこれはそのまま見殺しにはできないということになるものですから、話はむずかしくなってしまって、とうとう結論を得るまでの段階には今日ではまだ至っておりません。なお勉強いたしますということになったわけです。
  136. 小川省吾

    小川(省)委員 ぜひ、来年度へ向けて、その点については検討をお願いしておきます。  それから、特別給付の問題なんですが、かなりこれは内閣委員会の中でも論議をされたようですが、またことしも〇・〇六を削られたわけですね。均衡をとれということで削られました。〇・〇六というのは、現状の賃金実態からすれば、十万円で六千円ですね。だから、いままで何回かやはり〇・〇幾つという数字は削ってきた経過が、いわゆる勧告の中に反映をされない年次が何回かあったはずでございます。そういうものを積算をしていけば、これは〇・幾つという小数点以下第一位に来たはずなんであります。そういうふうに小数点以下二位になった場合に削るということは、そういうものが重なったならば、当然これは考慮しなければならない。先ほども答弁の中にありましたけれども民間の特別給の実態というものは、企業の成績というものが、企業の経営実態が反映されるんだというふうなことを言われましたけれども公務員の現状の勤務実態の中では、行政の複雑化、高度化、専門化の中で、公務員は資質の向上をしながら、その行政の状態に対応していくところの研さんをしいられているのが実態でございます。そういうふうなことを考えれば、小数点以下第二位に出てきた場合には、すべてこれを削っていくというふうな考え方は誤りではないかというふうに、前々から実は私は考えておるわけであります。今回なぜ〇・〇六を削られる決断に達したのか、その辺の経緯についてお伺いをいたしたいと思います。
  137. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 これはことしばかりじゃございませんので、例年おしかりを受けておることなんで、どうも悪い数字が出るものですからおしかりを受けるような結果になるのですけれども、先ほどもちょっと申しましたように、民間はその年その年の業績によって上げ下げされるものである。公務員給与の場合はとにかく法定主義で、法律の中へ固定したものとして入るものですから、それを民間にやっておりますと、今度は、民間のほうが下がった場合に、それが民間に反映してこっちも下げなければならぬという形を考えますと、やはり、その辺のところで処置をしておくのは、大きな目から言っても、基本的な考え方から言っても正しいだろうという気持ちでおるわけでございます。先ほどちょっと申しましたように、おととしと昨年の場合を考えますと、実は、昨年は、今度は下げなければならぬという場面にあったわけなんですが、それが下げずに済んだというわけでございます。もっと大きく下がってまいりますと、これはわかりませんけれども、小数点二位くらいのところでお見のがしできるのではないか、どちらにしてもお見のがしできるのではないかというふうに考えたわけであります。
  138. 小川省吾

    小川(省)委員 三十二年当時ならばいざ知らず、現状のようにずっと名目賃金が上がってまいりますと、小数点以下二位でもかなりな額になりますので、ぜひ、そういう点も配慮の上、今後お願いをいたしたいと思っております。  次に、さらっとお聞きしたいわけですけれども、口座振り込み制について伺いたいと思いますが、職員が望まないならば、あえてこれを適用していかなければならぬという強い意味ではない、やはり、職員がこれに対して同意をすることが条件だという前提でこういうことを考えているんだという理解でいいわけですか。
  139. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 そのとおりでございます。制度的に強制するという意図は全然持っておりません。希望する人にはそういう便法も講じてもよかろうという気持ちで検討しておるわけでございます。
  140. 小川省吾

    小川(省)委員 今度は自治省なんですが、次に、現業職員の賃金についてお伺いをいたしたいと思います。  共済組合法の審議の中でずいぶん触れたわけですけれども、現業職員の賃金というものはあまりにも低過ぎると思うのですね。これは地方の場合です。国と比べてもかなり低いんです。これは初任給基準の問題や、あるいは前歴換算の問題——ほとんどが前歴を持っている方が現業職員には多いのですから、あるいは給料表そのものの問題、国と地方の行政職(二)表の相違、その運用のしかたに問題が実はあるというふうに私は考えているわけです。今回、特一等級というふうな形を設けられていますけれども、この辺のところはよく承知をしているわけでありますが、現業職員の低賃金の改善について、何らかの指導を公務員部長にぜひしてもらいたいと思っておりますけれども、現業職員の賃金について、特段のといいますか、何らかの指導をしていっていただける用意がございますか。
  141. 植弘親民

    植弘政府委員 現業職員につきましては、先生御指摘のように、従来から、その職務の内容によりまして、国の行政職の(二)を適用することが大体適当であろうということで指導してまいっております。  そこで、運用上の問題として、個々具体的にどうなのかという点であろうと思いますが、そこらの点につきましては、今後とも十分実態を調べまして指導してまいりたいと思います。
  142. 小川省吾

    小川(省)委員 昭和三十九年四月一日の給実甲二三一、昭和四十五年十二月十七日の給実甲三四八、給実甲三四二、給実甲三四九等の在職者のいわゆる調整が、それぞれの給与改定期に人事院規則の中でやられてきたわけですね。実は、そういう現業職が低いがゆえに在職者調整等が現実に行なわれてきたわけなんですけれども、市町村の中では、こういうふうな調整すらやられていないところが一ぱいあるわけであります。少なくとも、これらの人事院規則等の中できめられているものだけでも、この機会にあわせてぜひやらせていただきたい、そういう指導をぜひ実施をしてもらって、少しでも現状の中で低い賃金を改めていく努力をして、人事院規則の中で定められているものに基づくだけの措置は少なくとも最低限度していくべきではないか、そういう指導は自治省としては当然やってしかるべきではないか、こういうふうに考えているわけで、そういう指導を植弘務員部長にぜひやっていただきたいわけですけれども、そういうことを考えていただけるでしょうか。
  143. 植弘親民

    植弘政府委員 御指摘のように、従来から、地方公務員給与につきましては、国家公務員に準じてということで指導してまいっております。したがいまして、いまの規則等につきましても、当然に従来からも言っておるわけでございまして、具体の市町村につきまして、そういう非常に不利なといいますか、人事院規則等の取り扱いに準じていないものがもしあるとすれば、適切な指導をしなければならないと思います。
  144. 小川省吾

    小川(省)委員 実際にそういう改善措置も、不勉強のためか、とられていない市町村がありますので、今回の人事院賃金改定の指導の中にぜひそれらの表現を加えて、それらの措置をとられていないために、現在でも低い賃金で悩んでいる町村の職員があるとするならば、ぜひとっていただきたいという要請を強くお願いいたしておきたいと思います。  次に、臨時職員や非常勤職員の改定についてでありますけれども、従来、自治省は、人事院給与の改定期に際して、臨時職員や非常勤職員の改定についてはどのような指導をされてきたわけでしょうか。
  145. 植弘親民

    植弘政府委員 御承知のように、臨時職員というのは、たぶん常勤的非常勤職員のことと存じます。これは従来から非常に問題でありまして、単に給与のみならず、雇用形態といいますか、任用形態といいますか、そういう点からも問題がございますので、できるだけこれを解消するようにということで指導してまいっておりますが、なお、四十七年の公務員給与実態調査の際におきましても、約二万人くらいがまだ残っているようであります。したがいまして、これらのものを、一体任用管理が適正に行なわれているのかどうか、あわせて指導をしなければならないだろうと思っております。従来から、そういった不正常な形における常勤的非常勤職員というものの解消にはできるだけ努力しておるわけでありますが、今後もそういう立場から考えてまいりたいと思うわけであります。
  146. 小川省吾

    小川(省)委員 いま、公務員部長答弁のとおりでありますし、ぜひそういう形でやっていただきたいわけなんですけれども、身分の確立、定数化をしてそういう非常勤の職員の解消をしていく、あるいは、常勤的な非常勤の職員等を定数化の嘱託等にしていくとか、身分の確立が必要だというふうに思っておりますけれども、賃金の改定期に、現状がそういう状態であってはほうってはおけない問題であります。しかし、といって、報償費や賃金の原資の総ワクの中で自分の足を食っていただけではしょうがないという問題が、実は、一方にはあるわけですね。そういう点で、自治省としては、的確なといいますか、この際に少なくともそういう職員を解消していくというふうな方向で、適切な指導をぜひお願いをしておきたいというふうに思っております。  それから、財源問題は先ほど大臣のほうにお伺いをいたしましたので、まかせてくれというふうな形で、地方に心配をかけないで、迷惑をかけないで、ぜひ万全の措置をとっていただきたいということをあらためてまた要請をいたしておきたいと思います。  いろいろお聞きをしてきたわけですけれども、自治省が地方自治体の賃金に関する指導をするというのも、地方自治の本旨に沿ってやられていると私は思うのであります。地方自治の本旨に沿った、全体的な地方の指導の一機能として賃金の指導も当然やられていくというふうに思いますし、そういう意味では、地方自治体に働いておる多数の職員の意向が十分に尊重された方向で、その職員の意向と対置した指導などというものはあり得ないというふうに確信をするものであります。この辺のところをよく理解した上で、ぜひ賃金関係の指導に当たってほしいと思っておりますけれども、次官、いかがですか。
  147. 武藤嘉文

    ○武藤政府委員 いまお話しがございましたように、われわれは、一方において、それぞれの地方自治体というものの実態を尊重しなければなりませんし、また、従来から、国家公務員給与に合わせてというか、準じて地方公務員給与を、なるべく早く、適切に定めていかなければならないわけでございます。そういう面においては、当然、おっしゃるような方向でわれわれは努力しなければならないと思います。
  148. 小川省吾

    小川(省)委員 自治体の中には、歴史的な経過なり、あるいはその周辺にある事業所等の実態から、全体の中で、国家公務員給与を上回っておる自治体もないわけではありません。自治省は、給与改定期になりますと、そういうところに対しては個別指導をやって、いわゆる足踏みをせよというふうな指導をされるわけであります。しかし、御承知のように、全国多数の町村の中には、国家公務員を下回っている多数の団体も実はあるわけであります。そういう点で私は要望したいわけでありますが、自治省としては、今後、もしも、そういうふうな若干なりとも国家公務員を上回っている団体に対して個別指導をするならば、多数の国家公務員給与の基準を下回っている団体にも、少なくともそこまで引き上げろという個別指導を当然やるべきだと、こういうふうに思っております。そういう点で、おかしな指導はぜひ避けていただきたいということと同時に、これは自治権の尊重にもつながるわけでありますが、国家公務員の基準以下に悩んでいる多数の町村の低い賃金基準の是正の指導もあわせてやってほしい、こういうふうに思っておりますので、この機会にぜひそれをお願いしておきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  149. 植弘親民

    植弘政府委員 ちょっと事務的に実情を御説明いたしますと、いま小川先生御指摘のように、府県なり指定都市、それから大部分の市におきましては、国家公務員の基準を相当上回っているところがございます。それからまた、御指摘のように、町村では、逆に国家公務員の水準よりも低いところもございます。しかし、先ほど政務次官から御答弁いただきましたように、国に準じ、また、当該地方団体の中における民間企業等の実態というものを考えませんと、地方自治体というものはむずかしい点がございます。そういう点から言いまして、県ですと、全体的に県内の企業というものとのバランスがとれておりますが、小規模の町村になってまいりますと、その町村内における民間企業とのかね合いといったものが出てまいります。そこら辺のところに、地方公務員は、国に準じながらも、自治体内において、自治体の最も責任者という立場かち、その地域内における民間企業との関係をどう考えていくかという問題もございますので、そこらのかね合いからいまのような実態になっているものと思います。しかし、かといって、具体の町村において著しく低いというような事態は好ましくございませんので、そこらのところは適切な指導をしなければならぬだろうというふうに考えております。
  150. 小川省吾

    小川(省)委員 ぜひひとつ適切な指導をするよう、公務員部長お願いいたしておきます。  そこで、賃金と直接関係ありませんが勤務条件の問題で、勧告の中でも触れておりますから、週休二日制の問題についてちょっと自治省のほうにお願いをいたしておきたいと思うわけであります。  勧告の中では、この五十年を目途としているようでありますが、そうなった場合に、現状でも、愛媛方式であるとか大宮方式というような、いわゆる週休二日制の先取りといいますか、実験的な実施をしておるところがあるわけでありますけれども、こういうふうな勧告が出てまいりますと、これを全体の形として指導していかなければならない状態になるわけであります。しかし、五十年といっても、もうすぐでありますから、それに対応するような体制を、自治省としてはどう考えていくのか、どう指導されていくのか、この週休二日制の勧告についての対応する指導の考え方をお伺いしておきたいと思います。
  151. 植弘親民

    植弘政府委員 先ほど、どなたかの御質問人事院総裁からもお答えがございましたように、五十年の実施を目途に、具体化について検討を進めるということでございます。国家公務員について、そういった検討が行なわれますれば、地方団体におきましても、当然行なわなければなりません。また、政府部内におきましても、関係省庁の間に連絡会議等もございまして、寄り寄りと協議しながら、どういうようにしてこれを具体化するかという検討を進めておるところでございます。もちろん、地方公務員の場合は、警察職員だとか、消防職員だとか、保健婦だとか、交代制勤務とかいう特殊の事情の勤務もいろいろとございます。そういったものについて、どのようにすればスムーズに実施できるであろうかといったような問題もございますので、人事院のほうで国家公務員について御調査されておりますが、私どもといたしましても、地方団体について、どうしたならばどういうようになるかといったようなこまかい点まで実は調査をいたしたいというように考えております。その結果で、一体それがどのように地方行財政の運用に響いてくるのかというようなことの結論を出すべきだというように考えております。御指摘のように、従来、愛媛方式とか大宮方式とかございますが、その場合、具体的には、住民とのコンセンサスが得られること、ないしは住民サービスを低下させないこと、また、一般的には現状では勤務時間短縮を伴わないとか、こういったような形でくふうをこらしてやってまいっておりますが、私どもといたしましては、そういった住民サービスを低下させないといった問題が一番大事でございます。そういう点も基本に置きまして、関係省庁との間に連絡協議をとりながら検討を進めていきたい、このように考えております。
  152. 小川省吾

    小川(省)委員 いろいろお聞きしてまいったわけでありますけれども、地方の場合には、この給与の改定については、何といっても自治省の指導が大きなウエートを占めてまいるのは理の当然でございます。そういう点で先ほども大臣にお伺いしたわけでありますが、実際に指導をされるのは植弘さんなんですし、あなたは、賃金問題については、まさに自治省一の実力者ですから、そういう点で私は重ねてお尋ねをしておきたいと思うのです。  いま、ちょうど地方議会ですね。そういう点では、私も、昨年までは国の動きをはらはらしながら見守ってきましたが、そういう状態でいるわけでございます。給与法が提案されるということになれば条例が提案される、その条例は地方議会の中で審議される、こういう形になるわけですから、そういうものが提案されてしまった段階で——これはきょう持ち回り閣議だというお話しも承っておりますけれども、とにかく、給与法が提案されれば、地方で条例化が確定すると思うのですね。そういう形で地方議会に提案されて、審議がされる。これは国会と地方議会で上下の差別があるわけではありませんから、地方議会の審議いかんにかかわってくるわけなので、そこまでいって自治省が地方の足を引っぱるような指導はしないというふうに理解を、先ほどの大臣の答弁ではしたのですけれども、そういうことでよろしゅうございますか。
  153. 植弘親民

    植弘政府委員 基本的には、先ほどの大臣の答弁で御理解いただいたと存じますが、具体的の問題になりますと、やはり一応義務でございまして、国会の審議の状況を私どもがとやかく言うことはございませんが、少なくとも、閣議決定をされまして、法案国会に出された段階におきましては、地方団体で条例を固めるということはあってもしかるべきであると思います。しかし、こういうことを言うのはちょっと不謹慎なのかもしれませんが、もしかりに、法律が成立しないといったような事態が起こった場合に、それでは条例だけが先行して施行されていいかということになりますと、これは問題だろうという感じがいたします。したがって、その意味では、法案が審議されて、法律が通って、現実に国家公務員給与改定が行なわれるということをある程度見きわめながら地方団体の給与改定もやるのが適当であろう、このように考えるわけです。
  154. 小川省吾

    小川(省)委員 国会審議に言及されることはどうかと思いますが、かりに、いま言及されたような状態があったにしても、しかし、それをどうかと思うという感覚は少し違うのではないか、こんなふうな感じを私は受けるわけであります。当然、自治体には自治体の固有の権限がありますし、その中で出された条例案を審議して条例がきまってくるということは当然あり得るわけでありますから、国会審議の状態が各地方自治体の条例の審議の成否にかかるということはあり得ない。国会の審議いかんによって、かりに、万々一そういうことがあっても、それによって、全国の各自治体のそういう法に基づいた審議を阻害をするものではないというふうに、実は、私は思っているわけであります。自治省としても、その辺のところを、国会審議の状況に見合って、ぜひ十分な配慮をしつつ取り扱ってほしい。そういう指導はわかりますけれども、その辺の自治体の権限に介入をするようなことをしないように考えながら、一日も早く地方公務員労働者の賃金改定が実施をされて、現在の物価値上がりの中に、少しでもましなような状態をぜひ一日も早くつくり出していただきたい。そのような指導を特に強く要請をして、一応質問を終了いたします。
  155. 植弘親民

    植弘政府委員 私のお答えで誤解があるといけませんが、私ども、別に、地方公共団体の議会の審議をとやかく言うつもりはございません。ただ、国の場合でも実施されないのに、先立って地方団体が実施するという事態は好ましくないということを申し上げただけでございます。
  156. 小川省吾

    小川(省)委員 だから、給与法が出てくる前に条例が上がっちゃったということであれば、それは別でしょうけれども給与法が上がった段階では、地方自治体はそういう審議をするのは当然でありますから、私は、その辺のところをわきまえた指導をぜひお願いしたいと思っております。  終わります。
  157. 上村千一郎

    ○上村委員長 吉田法晴君。
  158. 吉田法晴

    ○吉田委員 補充質問でございますし、皆さんにも御迷惑をかけておるようですから、簡単に、先ほどの大臣の答弁のうちで納得のいきかねる点と、それからほかに一点、給与の点も質問をして終わりたいと思います。  佐藤総裁にお尋ねをいたしますが、いまのようにインフレ進行しております段階では、人事院勧告制度について基本的な反省をせざるを得ないのではなかろうかという感じが実はいたします。というのは、四月の民間給与調査して、その差が五%以上あった場合に勧告をするということになっております。四月の民間給与は、その前の一年間の物価上昇に応じて、民間給与を幾らにしたらいいというもので、いわば、その春闘の結果によってきまりましたものを調査して勧告をされる。そうしますと、民間給与は、それまでの一年間の物価値上がりを反映してきまる、それを基礎にして勧告をするということになりますと、これはさかのぼって四月から実施はされますけれども、感覚としては、物価の動向と人事院勧告との間には一年近いズレがあることになる。それから、総理は、この年末には物価は安定すると言われますけれども経済企画庁は、そうでない事実を認めております。それから、また、月々発表せられます卸売り物価の昨年来の上昇を見ますと、まだ、ことしの年末はおろか、来年まで続いて物価上昇傾向があることを否定するわけにはいくまいと考えられます。  そこで、教職員の人材確保法案に伴う給与の改定も一つの機縁になりまして、二次勧告の必要があるのではなかろうかという議論が出てきたりするのだと思うのですけれども、御承知のように昨年から、各自治体で、これは基本権を認めさせるという要求もございますが、実際には、県あるいは市町村等で、使用者であります知事市町村長との間に交渉があって、給与というような問題について折衝を重ねている。あるいは確認とか、いろいろなことが行なわれている。そこで、物価上昇インフレの継続と人事院勧告との間には、やはり再検討すべきものがあるのではなかろうかという感じがいたしますが、総裁はどういうぐあいにこれに善処しようとしておられますか、承りたい。
  159. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 基本的な私どもの立場は、公務員だけが独自の、あるいは独創的な給与体系をつくり上げるということでなしに、民間企業のあり方を精密に調査して、これに合わせていくという立場で来ておるわけでございますけれども、私どもの作業は、やはり、納税者を含む国民大衆の御理解を背景にしながら勧告を申し上げないといけないわけなんです。したがいまして、そういうポイントにしぼってみましても、民間の大多数の企業の水準に合わせたということになれば御理解も御納得も得るわけだろうと、そういう立場から官民比較主義というものをとっておるわけであります。したがいまして、四月に支払われた給与をめどにいたしますについては、御承知のように、いわゆる春闘というようなことで、春の賃上げが民間においてなされており、そして、その中には、先ほど申しましたように、過去のことかもしれませんけれども、要するに物価というものは大きな要素として盛り込まれておる。したがって、それに合わせていくということになれば、民間の従業員の方々公務員方々との間に隔たりがないであろう。したがいまして、その後の物価が上がるについて、民間の従業員の方々ががまんしていらっしゃるのに、公務員だけがそれに別段の待遇を受けるというようなことでは、また国民各位の納得を得るわけにいきませんので、やはり、その辺も民間従業員の方々とともにということに尽きるわけであります。したがいまして、極端なことを申しますと、たとえば、その調査の時期の以後に、さらに民間における給与引き上げというものが盛んに行なわれたという事態になれば、これはこれとして、またその段階をとらえて調査をしなければならぬということも極端な場合にはあり得るかもしれませんけれども、要するに、そういう点においては、民間の追随主義という立場をとることは、各方面の御納得を得る一番手がたい方法だろうという気持ちでおるわけでございます。
  160. 吉田法晴

    ○吉田委員 実は、日本の労働者の賃金が、公務員を含みまして妥当なのかということですが、私は、日本の円の強さ、輸出圧力の大きな原因は、世界的に比べてみれば、やはりこれは低賃金にあると思い、ヨーロッパ並みの賃金あるいは社会保障を求めるのは当然だと考えておるのでございます。この物価上昇に対して秋闘等が考えられておりますが、物価給与、賃金、それから税金の点もたいへん問題になりますが、これは別の機会に論議をいたしましたし、いまは申し上げませんが、ことしの経過から言いましても、先ほどの公務員制度審議会のいう当事者能力の増加という点から言っても、人事院総裁としても、こういう状態では、補完的にも直接交渉は望ましいというふうに考えられるのではないかと、実は、思うのです。  これから先は政務次官にお尋ねをいたしますが、大臣は、先ほど、現状を踏まえて、スト権を認められていない、それから、人事院勧告によって給与をきめる、こういうたてまえを説明されました。しかし、公務員制度審議会の答申の中に、当事者能力を増加せしめる点については、これを努力せよという項目がある。それから、現業や公労協についてスト権を認めるについては、あるいは意見がまとまらないで終わるのではないかという心配に対し、まとまったのは、何といっても、ILOの勧告なり、あるいは従来の日本の制度に対する意見があったと思うのです。それだけに、いわば現業が再検討される段階に来ておるという点に対しては、これは大きな立場でお尋ねいたしますから、一応お聞きください。  そこで、いまの物価上昇の時期における従来の人事院勧告制度というものが再検討さるべき様相に達しておるのではないかという一面と、もう一つは、公務員制度審議会で問題になり、世界的にはILOの意向というものを反映して勧告の中に出てまいりました当事者能力を増加するという努力は、今後——これは、われわれは地方公務員のことをいま論じておるのですからお尋ねすることですけれども、自治省としてもやはり考えられるべき時期に来ておるのではなかろうか。先ほど、大臣は、前向きの姿勢を全然示されませんでしたけれども、私は、自治体の経験も、わずかでございますが、自分でしてきましたけれども、福岡県で、このごろ、地方公務員について処分がございましたが、弾圧と処分と組織の弱体化で地方行政をやっていくべきなのか。それとも、当事者がそれぞれ話し合って労働条件をきめていくという基本姿勢、いまの憲法なり、あるいは労働基準法なり、あるいは労働組合法なり、地方公務員制度なり——これは民主的な地方公務員制度、そこで当事者能力を増加して、交渉で、話し合いでとにかくきめていくべきだという当事者能力増加の方向については、私は、人事院はいまの制度の上に乗っておると思いますが、しかし、給与関連して、給与のきめ方と関連して御意見があると私は思うのですけれども、自治省としては、先ほどのような、いわばうしろ向きの従来の答弁を繰り返すのではなくて、さらに検討を加えるという程度のことはお考えになってしかるべきではないかと思うのであります。いわば、基本権を認めさせる、あるいは、いまスト権奪還と言われておりますけれども地方公務員についても、これらの要求については、より社会の情勢に応じて再検討するというか、お考えになるべき段階ではないかと思うのですが、申しわけありませんが、賢明な政務次官に重ねてお尋ねをいたします。
  161. 皆川迪夫

    ○皆川政府委員 公務員制度審議会の話が出ましたので、私から申し上げますが、公務員制度審議会におきましては、非現業につきましては、現在の勤務条件の方式をとることがいい、したがって、団体交渉においては協約の締結権も認められない、こういう前提に相なっておるわけでございます。  スト権につきましては、三つの意見が併記になっておりますけれども、協約締結権を認めないというようなことが団体交渉のところではかなりはっきりしておりますので、この問題の解決はなかなかそう簡単ではないというふうに認識をされていると思っております。  それから現業関係につきましても、スト権をどういうふうに解決をするかという場合に、前提問題として、非常にむずかしい問題がある。つまり、当事者能力をどのようにして高めるか、あるいはまた、国会の予算、地方自治体の予算との関係をどうするかというようないろいろな問題がありますので、そういう問題を基本的に検討しない限り、スト権問題について決着をつけることはなかなかむずかしいであろうという答申になっておるわけでございます。  もちろん、そういう答申は別として、また、いろいろな政府部内の判断があろうかと思いますが、一応その点を私から御説明をさせていただきます。
  162. 武藤嘉文

    ○武藤政府委員 私、先ほどの大臣の答弁を聞いておりませんのでよくわかりませんが、決してうしろ向きということでなく、内閣といたしましては、公制審の答申は十分尊重するということでございます。ですから、尊重するという態度においては、決してうしろ向きではないと私は思うのでございます。  ただ、公制審の答申の中にもございますように、それぞれ併記されているものもございます。いまのお話しの、たとえば現業については、いま人事局長からもお話しがございましたように、当事者能力の問題にしてもいろいろむずかしい問題があろうかと私は思います。たとえば国鉄あたりにいたしましても、それならば、国鉄の経営者が、十分なる経営手腕をもって、政府関係なくある程度裁量ができるのかどうかというと、そういう点においては、今日の国鉄の財政状況からいけば、正直、なかなかむずかしい問題があるんじゃなかろうかという感じが私はいたします。ということは、給与の改善というものは当然行なわれなければなりませんが、その給与の改善にはやはり財源が要るわけでございまして、その財源というものが、今日の国鉄の状態からいけば、いろいろ政府の財政とからみ合っております。そういう面において、あの当事者能力の表現というものは、そういうようなことも十分勘案をしながら検討しなければならないというふうに私は解釈をいたしておるわけでございまして、そういう意味において、当事者能力を高めていく上においてはどうすべきかということを検討することは、当然これはやらなければならぬことだと思いますが、いわゆるスト権というような問題を認めるか認めないかということは、その結果において、当事者能力がそういうことではたして完全に付与できるのかどうかということからいかなければならないことで、まず、当事者能力を高めるということ、そのものを検討しなければならないというのがあの答申の中身ではないかと私は解釈いたしておるわけでございます。
  163. 吉田法晴

    ○吉田委員 武藤政務次官から、さすがに少し前向きに答弁をいただきました。公務員制度審議会の当事者能力を高めるという表現は、地方自治体で言えば、さっき、四・二五判決と和歌山判決の話も出たんですが、処分をしたらいい、弾圧をしたらいいということではなしに、職員組合と市長なりあるいは県知事なりと協議をしてきめるということが当事者能力を高めるということだと私は思いますが、その形はとにかくとして、いままでのあり方を再検討し、当事者能力を高める方向に検討をしていただくということを要望したわけであります。  時間がございませんから要望にとどめておきますか、先ほどの大臣の答弁の中で、小川委員から、地方公務員給与人事院勧告実施にあたって、企業職員の給与は、公営企業の赤字がふえているから待つとか、上げないとか、あるいは延ばすとかいうようなことをしないようにという要望を付して質問をいたしましたら、そのときに、その企業の実態を無視するわけにもいかぬということで、実は、公営企業の再建促進に関する法律案を討議いたしましたときの答弁と違った答弁をされました。速記録をこのごろ私は見たのですから、自分の質問に対して見たのですから間違いございませんけれども、いままで再建のためにずいぶん努力をしてきてくれた、そして、今後も再建に努力をしてもらうについては従業員の協力を得なければならぬのだから、一般職員との間に差があるということは望ましいことではない、機会があったら、できれば、それらのことについては差もなくするように努力をし、従業員に協力を得たい、こういう答弁があった。そういう方向で指導をするという答弁があったのですから、先ほどの答弁に対して、あの答弁は、法律を通すために言われたので忘れられたのかと私は言いたいところであります。これは間違いないことでございますが、重ねて答弁のし直しを政務次官にお願いいたしたいと思います。
  164. 武藤嘉文

    ○武藤政府委員 先生、申しわけございませんが、私、ちょっとその辺のいきさつを承知いたしておりませんので、審議官から一応お話しをしていただいて、また私からお答えさせていただきます。
  165. 森岡敝

    ○森岡政府委員 先ほどの大臣答弁でございますが、これは、公営交通事業の経営の健全化に関する法律案の御審議の際の大臣の答弁と異なっていないと私は思うのでございます。大臣が申し上げましたことは、公営企業職員も一般職員と同じように給与改定が行なわれる、差別が出ないようにしたいことが一般論としては望ましいということで、これは前も申し上げておるところでございます。ただ、公営企業のことでございますので、その財源を生み出す場合に、料金水準を適正に保つとか、あるいは、経営の効率化を広く行なうとか、そういうふうな措置を講じまして財源を生み出していく、財源の見通しなしに給与改定を行なうことはなかなか困難なことだ、こう申し上げたわけでございますので、その辺のところは、法律の御審議に際して吉田委員の御質問お答えしたことと変わっておらない、かように私は思います。
  166. 吉田法晴

    ○吉田委員 公営企業のあり方、これは地下鉄や、あるいは行政路線や——私どもは、法律案の審議を通じて、極端な独立採算制というものは、その公共性のために一般財源から援助をする、あるいはそれに対して国も援助をするといったような体制が確立されたと思っております。ですから、いままでのようなやり方をやられると思っておりますけれども、聞きようによって、大臣の答弁が少しうしろ向きになったような気がいたしましたから、重ねてお願いをしたわけであります。その点は、いま言われました点を次官も御確認を願って、従来のようなブレーキのかからぬような指導をひとつ願いたいという、先ほどの小川君の質問と同じ趣旨でございますので、もう答弁を求めませんから、よろしくお願いをいたします。  それから、最後に一つ申し上げたいのは、医療職と、それから看護婦さんの給与の問題ですが、看護婦さんの給与の問題については、教職員の給与関連をして勧告の中にございますけれども、病院の実態を見てみますと、なるほど夜勤手当等もふえました。しかし、最近は、老人の医療無料化あるいは幼児の医療無料化に伴いまして、たいへん仕事がふえております。ところが、定員はふえてはいない。それからもう一つの問題は、これは部分的にですけれども、やはり、夜勤の問題が一番問題になるものですから、定員をふやして夜勤の回数が減されている。そういう点から考えますと、全体的に給与と待遇条件改善のために努力をされなければ、民間もですけれども、公立病院につきましても、看護婦さんの確保がなかなかむずかしくなっていることは御存じのところだと思いますので、それらの実態をよく調査の上に、今後の人員増と待遇改善のためにひとつ御努力を願いたいと思います。  それから、同じような事情が医療職についてもございます。それで、調整手当というものが今度もふやされましたけれども、実際は、給料表の別表を使っても、開業医に比べ、あるいは無医村でさがし出してくる医者の給与に比べて、一般の医療職の給与は低い。ですから、自治省でも、医者を自治医科大学で養成をされるように苦心をせざるを得ないところであります。そして、待遇の点も問題になりますが、やはり、お医者さんは、勉強ができて、そして博士号でもとれるような実態がある場合には、大学の付属病院等についても、まあ、薄給にも甘んじて勉強している、あるいは治療に従事しているという問題がございます。無給副手の問題は解決をいたしましたけれども、そういう給与だけでない面についても考えてやらなければならぬ点がございまして、これは各自治体でたいへん苦労をしておるところであります。それらの点についても十分お考えをいただいて、次の機会には答えていただくことをお願いして、私の質問を終わりたいと思いますが、もし、御答弁が願えれば、最後に御答弁をいただきたい。
  167. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 私どもの毎年最も苦労しております点を御指摘いただいたわけで、その意味では張り合いがあるわけでありますが、お医者さんのほうは、これはもう御承知のように、実は、民間の病院のお医者さんのほうが非常に高い月給をもらっております。一時は四、五〇%ぐらい国立の場合よりも高い時期がございました。これを、われわれは、なりふりかまわず手当等において措置いたしまして、ことしは、幸いに、隔たりがずいぶん減ってまいりました。それになお輪をかけて、ことしも従来の処置を進めておるわけであります。そのほかの待遇の面ということも、これは、厚生大臣あたりに会いますとしょっちゅうお願い申し上げているような、まさに、そのことを御指摘になったわけですけれども給与以外の面で、いま、研究施設ということもお話しになりましたけれども、あるいは外国の視察でもいい、何かもっと魅力のある措置もあわせて講じていただきたいということもあわせて強調しております。  それから、もう一つの看護婦さんのほうは、これは、われわれのほうとして、今回も報告書に出しておりますように、非常に重大な関心を持って臨んできております。ことしから、夜勤手当は一回千円で、これは相当破格なことでございます。夕方から朝まで夜通しやられれば、二千円一晩におもらいになるというようなところまで手当てをしております。なお、本俸のほうについても、今後、われわれとしては、先ほどお触れになりましたように努力をしてまいりたいということでありますが、これもやはり周辺の事情ですね。たとえば、宿舎その他休養室の設備、あるいは、夜中に帰られる場合にはタクシーのチケットくらいは出してやるような手当てが必要じゃないかというような点についても、厚生省のほうにはしょっちゅうお話し申し上げて、御努力をお願いしておるというのが実際でございます。
  168. 吉田法晴

    ○吉田委員 終わります。
  169. 上村千一郎

    ○上村委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後二時二十分散会