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1973-07-17 第71回国会 衆議院 地方行政委員会 第45号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年七月十七日(火曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 上村千一郎君    理事 小山 省二君 理事 高鳥  修君    理事 中村 弘海君 理事 中山 利生君    理事 三ツ林弥太郎 理事 山本弥之助君    理事 吉田 法晴君 理事 林  百郎君       愛野興一郎君    今井  勇君       片岡 清一君    亀山 孝一君       島田 安夫君    谷垣 專一君       渡辺 紘三君    岩垂寿喜男君       小川 省吾君    佐藤 敬治君       多田 光雄君    三谷 秀治君       小川新一郎君    小濱 新次君       折小野良一君  出席政府委員         警察庁長官官房         長       丸山  昮君         警察庁刑事局保         安部長     綾田 文義君         警察庁交通局長 渡部 正郎君         警察庁警備局長 山本 鎮彦君         自治政務次官  武藤 嘉文君         消防庁長官   宮澤  弘君         消防庁次長   山田  滋君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    杉岡  浩君         警察庁交通局交         通企画課長   鈴木金太郎君         大蔵省理財局国         有財産審査課長 勝川 欣哉君         厚生省医務局総         務課長     山高 章夫君         通商産業省化学         工業局化学第一         課長      高橋  清君         運輸省船舶局検         査測度課長   国部  淳君         海上保安庁警備         救難部長    船谷 近夫君         労働省労政局労         働法規課長   岸  良明君         労働省職業安定         局業務指導課長 加藤  孝君         建設省住宅局建         築指導課長   救仁郷 斉君         消防庁安全救急         課長      矢筈野義郎君         会計検査院事務         総局第二局長  柴崎 敏郎君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ――――――――――――― 七月十四日  ドライブイン等における酒類販売禁止に関す  る請願高見三郎紹介)(第八六三五号)  同(森喜朗紹介)(第八六七七号)  同(足立篤郎紹介)(第八七〇七号)  同外一件(羽田野忠文紹介)(第八七〇八  号)  同(松永光紹介)(第八七〇九号)  地方公営交通事業再建に関する請願外一件(横  路孝弘紹介)(第八六三六号)  自治体病院財政再建に関する請願木野晴夫君  紹介)(第八六七八号)  事業税における事業主報酬制度適用に関する請  願(地崎宇三郎紹介)(第八六七九号) 同月十六日  ドライブイン等における酒類販売禁止に関す  る請願山下元利紹介)(第八七七八号)  同(森下元晴君紹介)(第八八五八号)  同(久野忠治紹介)(第八九二七号)  同(野坂浩賢紹介)(第八九二八号)  事業税における事業主報酬制度適用に関する請  願(塩谷一夫紹介)(第八八五七号)  同(西村直己紹介)(第八九二九号)  地方事務官制度廃止に関する請願床次徳二君  紹介)(第八九三〇号)  昭和四十九年度以降の奄美群島振興開発に係る  特別措置法制定に関する請願床次徳二君紹  介)(第九〇〇六号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 七月十六日  地方公営企業制度の改善に関する陳情書  (第四六三号)  固定資産税等軽減に関する陳情書  (第四六四号)  自治体病院経営健全化に関する陳情書  (第四六五号)  地方超過負担の解消に関する陳情書外一件  (第四六六号)  公有地取得に対する財政措置に関する陳情書  (第四六七号)  公共施設整備費等地方超過負担軽減等に関す  る陳情書  (第四六八号)  地方自治法の一部を改正する法律案反対に関す  る陳情書  (第五四二号)  住民税課税最低限度額引上げ等に関する陳情  書(第五四三号)  土地の固定資産税軽減に関する陳情書  (第五四四号)  消防施設国庫補助基準額及び補助率引上げ等  に関する陳情書  (第五四五号)  市町村立病院財政措置強化に関する陳情書外  一件(第五四  六号)  地方公営交通事業経営健全化に関する陳情書  (第五四七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  警察に関する件  消防に関する件      ――――◇―――――
  2. 上村千一郎

    上村委員長 これより会議を開きます。  警察及び消防に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。今井勇君。
  3. 今井勇

    今井委員 私は、二つの問題について御質問をいたしたいと思いますが、まず、最初の問題は、油を輸送いたしております船の事故の問題でございます。  この事故と申しますのは、昭和四十八年六月二十四日に、愛媛県北宇和郡宇和海村に戸島という島がありますが、その沖合いで起こりました事故でございます。これは神興丸という船が座礁しまして、その船に積んでおりました油が海面に流出するという事故でございます。この事故原因等はいろいろあろうと思いますが、きょうは、事故原因ということでなくて、油が流出いたしまして、きれいな海岸あるいは漁獲物等に多大の被害を及ぼしましたそのことに焦点を当てまして、御質問いたしたいと思います。  この船は千九百九十四トンありまして、千葉の丸善石油化学工業というところから、マテリアルオイルという——これは実態は私よく存じませんが、プラスチックの原料になるものだそうでありますが、それを八百九キロリットル積みまして、そして、宇和島の港に向けて航行中に、浅瀬に乗り上げて座礁しました。そのために、船底に穴があきまして、その積んでおりましたマテリアルオイルというものが流れ出した。流れ出しました量は、八百九キロリットルのうち二百五十キロリットル。同時に、燃料に使っております重油二百十四キロリットルのうち、七十キロリットルが流出したということであります。  そこで、通産省のほうにお聞きしたいのですが、このマテリアルオイルと通称言われておるものは、これは一体いかなるものであるか、まずお聞きをいたしたいと思います。
  4. 高橋清

    高橋説明員 お答え申し上げます。  先生指摘マテリアルオイルと申しますのは、その構造の中に炭素の数を九つ持っております炭化水素の一種でございます。これは、通常、石油化学におきましては、原料のナフサを分解しまして、エチレンでございますとか、プロピレンでございますとか、その他分解油等々、一連の、いわば基礎原料を製造するわけでございますが、御指摘マテリアルオイルは、これら基礎原料の一種でございまして、これは主として天然の松やにに代替するようなものでございまして、インク、塗料等粘着増進剤、そういうものに使う原料でございます。言ってみれば、灯油に似たような性状を持つものでございまして、人体には何ら害を与えるものではないということであります。
  5. 今井勇

    今井委員 ところが、その油は揮発性のものでありまして、目やのどに痛みを感じますし、また、それを吸った方が発熱をし、あるいは頭痛を起こすようなことがあって、たいへん困った実情を呈しておりますが、これは危険物ではないのかどうか、まず、その点をお聞きしたいと思います。
  6. 高橋清

    高橋説明員 御指摘の、この物質のいわば取り締まり関係でございますが、これは消防法の第二条の七項によりまして、いわゆる第四類の第二石油類に該当するものと指定されておりまして、先ほど申し上げましたように、いわば灯油と同じような管理を行なっておるわけでございます。したがいまして、通産省といたしましては、これらいわば消防関係法規を十分守って管理指導するように行政措置をとっておるわけでございます。
  7. 今井勇

    今井委員 ところが、油を積んでおりました船の船主船長は、そのものが何であるかを全然知らないわけですね。したがって、どういう対策をとればいいかということを海上保安庁の方々が聞いてもわからない。いま聞きますと、やはり灯油に類するものだとすれば、当然、危険物表示なり何なりをしてしかるべきものであるように思いますが、その点はどうなんでしょうか。
  8. 高橋清

    高橋説明員 お答え申し上げます。  ただいまお答え申し上げましたように、私どもといたしましては、これは消防法でございますので、こういった法律を順守するように——当省といたしましては、直接この法律所管しておりませんので、一般的な、いわば通産省行政指導として要請しておるわけでございますが、こまかいことにつきましては、申しわけございませんが、お答えできません。
  9. 今井勇

    今井委員 それでは、その船のほうを直接御監督になっております運輸省の方にちょっとお尋ねしたいと思いますが、船の立場から申されたら、いまの問題はどう取り扱うのですか。
  10. 国部淳

    国部説明員 お答えします。  船の場合は船舶安全法に基づきます危険物船舶運送及び貯蔵規則という運輸省令がございまして、その中に、いま先生がおっしゃいました引火性液体も含めまして十二分類、約千二百品目につきまして、この省令で、船にどういう標識をしなければいかぬかとか、あるいはどういう荷役をしなければいかぬかとかいうことと、あるいはまた船の構造等につきましてきびしく規制をいたしておるわけでございます。
  11. 今井勇

    今井委員 ところが、いま申し上げるようなことで、船のそういう法規があるならなおのことですが、船長危険物であることをさっぱり知らず、したがって、そういうふうな注意が十分でなかったとしたら、これはたいへんなことになるわけです。たまたま今回は発火をしなかったというようなことですから、のどが痛かったり、あるいは頭痛がしたりという程度で済みましたが、これは、万が一火事にでもなったらえらいことになる。  私が思いますのに、これは通称名で言っておりまして、ほんとうにそれが危険物であるということを、故意に隠したとは言いませんが、どうもそんな節があるのじゃないかと思われるものがあるわけです。したがって、運輸省のほうでは、特にこういう危険物を積んだ船については、そういうことのないように、十分なる御監督なり御指導をしていただきたいと思いますが、この点はどうですか。
  12. 国部淳

    国部説明員 お答えします。  船につきましては、御承知だと思いますけれども安全法によりまして実は検査をやっておるわけでございまして、四年に一回定期検査をやりまして、その中間に、二年に一回中間検査をやっておるわけでございます。したがいまして、そういうタンカー等につきましても、二年に一回、造船所のドックに入れまして、検査をいたしております。  したがいまして、そういうときに、この船が危険物を運んでおる船かどうかということも十分検査いたしまして、当然、その船に乗っておられる方も承知しておると思います。また、危険物船舶運送及び貯蔵規則によりまして、そういった標識なり、あるいはそういうものを取り扱うときの取り扱いの荷役方法であるとか、そういうものにつきましては、船主並びに船長の義務になっておりまして、私どもは、いま前段で申し上げましたような定期的な検査とあわせまして、そういうことは船長十分承知をしておるものと考えております。  また、将来の問題といたしましては、いま申し上げましたように、現在定期的な検査に重点を置いておりますけれども、こういった危険物を運んでおる船、あるいは危険物以外の、たとえば旅客船等につきましても、日ごろのそういった注意あるいは整備というものに対して、非常に大切なことでございますので、来年度予算要求をいたしておりますけれども立ち入り検査、要するに、定期的でなくて、抜き打ちの立ち入り検査というようなものもやりたい、こういうふうに考えております。
  13. 今井勇

    今井委員 そういった事故防止の面での検査を随時するなり、表示をすることが義務づけられておるならば、それを厳格に守らせるなり、そういった強力な行政指導というものをしていただいて、今後、このような、いやしくも、自分が積んでいるものがいかなるものであるか知らずに運航するようなことのないように、ぜひ御指導をお願いいたしたいと思います。  次に、この事故対策についてお伺いをいたしたいと思いますが、海上保安庁はいち早く現地対策本部を設けてくれまして、広島の第六管区以外の各方面からも応援を求めていただいて、献身的な努力をしていただいたことについては感謝を申し上げます。ところが、その事故処理の中で、幾つかの問題点がありますので、これから御質問をいたしたいと思います。  まず、第一点は、油が流れ出ましたので、油が拡散をすることを当然防ぐわけでありますが、ところが、その拡散を防ぐべき、たとえばオイルフェンスであるとか、あるいは油を吸い取ります吸着マットと申しましょうか、そういうものの常備のことであります。備えつけのことについてお伺いしたいのでありますが、一体、こういう油事故等の場合の常備材予防材といいましょうか、そういうものは、現在のところではどういうところに常備されておるのか。しかも、常備されておるとすれば、どういうことを想定して、数量等考えて常備されておるのか、まず、これをお聞きしたい。  それから、もう一つは、今度は運輸省のほうでありますが、そういった油を輸送するような船については、いつ事故が起こるかわからないんですから、当然のことに、船自体にも、そういった油の拡散を防ぐようなものを積んでおくのが常道じゃないかと私は思うのですが、どうも、それが船には積んでなかったように私は聞いております。こういうことが実際法規上許されているのかどうか、まず、その二点についてお伺いをいたしたいと思います。
  14. 船谷近夫

    船谷説明員 オイルフェンスその他の油の防除用のいろいろの器材備蓄状況でございますが、ことしの四月現在で、全国で、オイルフェンスは、海上保安庁が一万三百メートル、海上保安庁以外のものが三十二万二千七百メートル、合計約三十三万メートルあります。それから、油処理剤は、海上保安庁に九十二トン、海上保安庁以外に千九百六十九トン、合計約二千トン備蓄されております。それから、吸着材につきましては、瀬戸内海西部地区で、民間企業で五十五トンを備蓄しております。これは、あのとき使われましたのは枚数で勘定しておりますけれども、一トンにつき約十八倍の吸着力を持っておりまして、内海西部では、約一千トンの油を吸着できるという資材を持っております。
  15. 国部淳

    国部説明員 先生の御質問は、オイルフェンス船舶に義務づけておるかどうかという御質問だと思いますけれども、これにつきましては、実は、私、所管をいたしておりませんので、私がお答えするのがいいかどうかわからないのでございますけれども現在の海洋汚染防止法では、オイルフェンスの義務づけはされていないと思います。私の聞いておりますところでは、現在、オイルフェンスを義務づけるべく、省令改正作業中であるというふうに聞いております。
  16. 今井勇

    今井委員 いまの御答弁、まあ、担当ではないからというお断わりがありますが、まことにふしぎなことなんですね。陸上でも、走行する車両については、一たん緩急の場合のそういうふうな器材常備ということは当然いろいろとやっておりますね。にもかかわらず、船に対してはないなんというととはまことにおかしいことであって、しかも、それを、いまこれから検討するというふうな御発言でしたが、まことにもって私は不満でございます。特に、日本のような場合、四面海でありますし、そういうふうな油を輸送することの頻度はますます高まるのであります。常備いたしましても、そんなべらぼうな値段のものではないでしょうし、これはあたりまえのことじゃないですか。それを、これから検討されるというのは、いささかおそきに失したと思いますが、その点はどうですか。
  17. 国部淳

    国部説明員 実は、申し上げにくいのですけれども、私、所管でございませんので、どういうふうにお答えしたらいいかあれですけれども、現在、検討中でなくて、省令改正作業中だというふうに聞いております。
  18. 今井勇

    今井委員 担当でないんだそうですから、これ以上言ってもいけませんが、委員長、この問題につきましては、しかるべき、わかる方があるならばすぐお呼び願うなり、もしそれが不可能であるならば、いまの課長さん、帰られまして、今井質問の趣旨をよく徹底していただいて、その実現方を強力に進めていただきたいと要望しておきます。いいですね。
  19. 国部淳

    国部説明員 はい。
  20. 今井勇

    今井委員 それから、もとへ戻りまして、海上保安庁の方にお伺いしますが、いまの器材備蓄状況は、海上保安庁のものよりも、そのほかとおっしゃいましたが、どういうところか知りませんが、そのほうが器材備蓄状況の量が多いのですね。これは、その他というのは一体どこですか。たとえばオイルフェンスにいたしましても、吸着材にいたしましても、保安庁のものが少量であって、その他が非常に多いですね。その、その他というのはどこか、それがどんなようになっているのか、まず説明してください。
  21. 船谷近夫

    船谷説明員 油の防除器材につきましては、民間側では、製油所とか、油を取り扱うところが主として持っております。そのほかに、地方公共団体も若干保持しております。
  22. 今井勇

    今井委員 釈迦に説法かもしれませんが、こういう事故は、ほんの初期の処置というものがたいへん大事なんじゃないかと思うのですね。これは火事でも同じでしょう。いまのお話しだと製油所等に置いてあると言うのですが、製油所といいましても、全国的に見たら、実際ばらばらですね。したがって、海上保安庁自身が、もっとこういう器材備蓄をされるべきです。海上保安庁には、出先といいましょうか。それがそれぞれ主要な港にはちゃんとありますね。そういうところに相当量のものをストックされておくことが、即時の対応ができるというふうに私は思いますが、その点はどうですか。
  23. 船谷近夫

    船谷説明員 先生のおっしゃるとおりでございますが、われわれとしましてのいろいろの業務上の器材が必要でありまして、トリー・キャニヨン号事件以来、年々、油の対策につきまして真剣に検討してきましたし、予算をそれ以来つけていただくようになりまして、現在、オイルフェンスにつきましては約一万メートル、全国の、主としてタンカーが交通する量の多い東京湾、伊勢湾、瀬戸内海等海上保安部署に置いてございます。御存じのように、新潟でジュリアナ号事件がありましたが、あのときのような大量の油が流出した際には、航空機、トラック等で直ちに輸送するという体制を備えてございます。これからもなお全国的に年々整備を進めることにしてございます。
  24. 今井勇

    今井委員 私の聞いた範囲では、この事故につきましては、前にもあったようでありますが、オイル吸着マットというのがなくて、それを集めるのにたいへん苦労されたと聞いております。したがって、いまの御発言であれでありますが、今後とも、こういう事故があることを予想されまして、予算的な面も十分措置されまして、器材備蓄を強力にされるように強く要望いたしておきます。  次に、油を吸着いたしました吸着マットの処分の問題についてお伺いしたいと思うのですが、このマットは約五万枚近く使った。吸い取り紙みたいなものだと思うのですが、私は現物を見てまいりましたが、黒い重油がべたっとついておりまして、これは一部浜で焼いたようですが、たいへんな黒煙が出ますし、いわゆる公害といいましょうか、こんなものはとても現地で処分できるものではありません。この場合はもちろん加害者がはっきりしておるのですから、費用は加害者に負担させることは当然でありますが、いまのような特殊な油を吸ったようなものを処分する施設が、よく聞いてみますと、非常に少ないのだそうですね。日本の国に幾つかしかないというのです。それではまた一体どうなるのか、非常に心もとないと思いますので、いまのそういった油のついたようなものを処分する施設が、日本でどこに配置されていて、それがどのように運営されているのか、おわかりの範囲内でけっこうですから、まず、御説明願いたい。
  25. 船谷近夫

    船谷説明員 吸着材によって油を吸い取ったあとの処理、これは非常に難問題でございまして、焼却する場合に高熱を発しますので、普通の焼却炉では焼却できないということがございます。したがいまして、特殊な焼却場へ持っていかなくちゃいかぬということがあります。瀬戸内海方面では、大阪の高槻市、愛媛県の東予市、それから因島の三庄町、広島県の沼隈町にありまして、ここの焼却場では、こういった油を吸着した吸着材焼却ができるようになっております。こういった焼却場トラックないしは船で運んでいって焼却をする。先生御存じだと思いますけれども、この間下津港でやはり油を流しまして、吸着材吸着をいたしました。それは高槻焼却場へ持っていっております。今度の場合もそのようにいたしたわけでございます。
  26. 今井勇

    今井委員 そうしますと、海上保安庁としては、こういう事故に対して、いま幾つかあげられましたが、現在、そういう焼却場施設で大体事足りるとお考えになっておられますか。
  27. 船谷近夫

    船谷説明員 全国で、多いにこしたことはないわけでございまして、島根県に漂着した油につきましてもそのように輸送をしたということですが、やはり、山越えの輸送をしたり、あるいは西のほうへ船を回して持っていったというようなことがございまして、いまの現状が十分であるとは申しがたいと思います。いろいろの事情がございますが、油処理場にそういった施設をできるだけ全国的に多く持つということは望ましいことだと考えております。
  28. 今井勇

    今井委員 再度お伺いしますが、その焼却場というのは、地方公共団体公営のものですか。あるいは、それとも、油会社石油会社等が持っているものですか。その辺の実態はどうなんですか。
  29. 船谷近夫

    船谷説明員 これは企業としてやっております。これは運輸省港湾局が所掌しておりますが、タンカーのビルジとかスラッジなんかもですけれども、そういったものを焼却処分しなくちゃいかぬということになっておりまして、そのために国家が補助をし、それで、港湾管理者施設しておるものと、それから企業としてやっておるところとがあると覚えております。
  30. 今井勇

    今井委員 そういたしますと、海上保安庁としては、あらかじめそういうところをもちろん御調査しておられると思いますが、自分の管内で事故の起こった場合には、大体これはここへ行けばいい、これはこのくらいな能力があるということは十分把握されているというふうに了解していいのですか。
  31. 船谷近夫

    船谷説明員 承知しておるつもりでございます。
  32. 今井勇

    今井委員 いまの御答弁ですと、ある程度の事故はいまの施設で何とか間に合うだろうということですから、その御答弁をそのまま信ずる以外にないわけですが、私の聞いている範囲では、この事故については、松山の丸善石油でしたかへ持っていって一ぺん燃してみたり、断わられたりなんかしたことがあると聞いておりますが、そういうことから考えますと、いまの御答弁をそのまますんなりと受けまして、そうですかということにはいかないような気もするのですが、この点はどうなんですか。
  33. 船谷近夫

    船谷説明員 うちの出先承知しておったはずでございますが、この間の事件を聞いてみましても、そこの地元の市町村なり県が十分に把握されていなかった。実は、県で当然に知っていらっしゃると考えておったのですけれども、必ずしもそうでなかったようでございまして、それで、本庁からも、こういうところがあるから、そのような指導をするようにということをすぐにいたしまして、それで、県なんかがあっせんをして処理場へ送ったような事情がございます。
  34. 今井勇

    今井委員 実は、いまの問題は、第三番目に御質問しょうと思うものに関連しますので質問を続けますが、今度の事故で、海上の面におきます作業は、海上保安庁が非常にやっていただいたことは、これは冒頭に申し上げたように敬意を表しますが、実は、その吸着マットですが、きたない油のついたマットを陸に揚げていきますね。そうすると、海の上は自分の責任の分野だから一生懸命やりますが、海から陸上に揚がりますと、俗なことばで言うと、私のなわ張りではないんだというふうな感じのする御答弁が実はあったのです。これは地域住民からしますとまことに困ることであって、こういうふうな事故の救助体制の一貫性と申しましょうか、関係省庁があることはわかりますが、それらが十分緊密な連絡をとって最後までめんどうを見るべきです。それは、もらうべき費用は当然負担させるのはあたりまえですよ。といっても、しかし、それは、そういった一船会社にそれを言ったってなかなかできないことはわかっているのですから、やはり、何といっても、この場合は海上保安庁が主役だと思うのです。したがって、海上保安庁としては、海の上はまかしてくれ、陸上に揚がったらひとつどなたかにしてくれというようなことはよもやないと思うのですが、この点のお考え方はどうですか。
  35. 船谷近夫

    船谷説明員 もちろん、海でのそういったことにつきまして、陸上に揚がったら、こちらは海上保安庁だから陸上のことは、というような考え方は持っておりません。ただ、ああいった災害事故が起こりました場合には、都道府県なり市町村がわれわれと一緒になってその防災活動をやるということになっております。したがいまして、その地方公共団体でも、防災事業計画に、油対策というものがほとんどの都道府県に入っております。そういったことから、当然に、地方公共団体が大いに力を入れるべきことだとわれわれは了解しておるわけでございます。それのあと処理につきましては、われわれは主として海上で、まだずっと続いております関係上、市町村ないしは都道府県にお願いをするということにしておるわけでございます。
  36. 今井勇

    今井委員 たぶんそうであろうとは思うのですが、こちらの御本部でお考えになっていることがたぶん下までずっと通っているとは思うのですが、ややともいたしますと、下に参りますとだんだんぼけてくるのも当然であります。それはどこでも通常なんですが、私は、こういうふうな海難事故につきましては、市町村、県もちろんそれぞれ分野があろうと思いますが、何といっても、主役を占めるのは海上保安庁だろうと思うのです。したがって、海上保安庁が中心になられまして、こういうふうな事故対策本部というものをおつくりになっているのだろうと思う。宇和島の場合もそうでした。ちゃんと本部がありました。したがって、最後の始末まで十分めんどうを見るように、また、めんどうを見られるような体制をしくということを再度確認すると同時に、そういうものの考え方を管下の各管区まで徹底するように御指導を願いたい、このように思いますが、どうでしょうか。
  37. 船谷近夫

    船谷説明員 先生のおっしゃること、たいへんごもっともでございますし、いま申し上げましたように、われわれの姿勢としては、最後までごめんどうを見る、そして指導すべきことはするということにしておりますので、もし、末端までそういった思想が徹底していないということがあるといけませんので、今後具体的に、強くはっきり指導いたしたいと存じます。
  38. 今井勇

    今井委員 最後に、ほんとうに重ねて申しますが、こういう事故がいつ起こらぬとも限りませんので、そのときの体制につきましては、いまの御答弁そのままを実行できるように御処置願いたい、かように思います。  また、この事故は、新聞紙上に伝えられるものから言えば、規模としてはそんな大きなものではないと思うのです。しかし、実際に受けてまいります被害というものはなかなか甚大なものがありまして、きれいな海をよごすばかりでなくて、ハマチを飼っておりましたり、真珠をたいへんやっておるところなんですが、そういうものの損害の補償という問題が今後また起こります。これはまあ加害者がはっきりしておりますので、加害者相手に、各漁協が一緒になって、その損害賠償の交渉をしておるようでありますが、こういう面につきましても、これはまた当然国が関与すべきものではないと思いますが、何かといろいろ漁民の立場に立ってひとつめんどうを見てやっていただきたいと思います。  最後に、お願いをいたしておきまして、私の油の問題についての質問は以上で終わりたいと思います。  次に、警察庁の方にお伺いをいたしたいと思います。  それはどういうことかと申しますと、運転免許のことであります。道交法の八十八条一項二号にきめてありますが、この中では、聴力、言語障害者というものは、要するに精神病者と同じような扱いを受けておりまして、運転免許の資格をいま与えておりません。耳も聞こえない、したがってしゃべれないという人は、たぶん、クラクション等が聞こえないので、運転には不向きだというふうにお考えになっておるのではなかろうかと思いますが、まず、どうしてこれにいま運転免許を与えないということにしておるのか、その、日本の実情の説明からお願いしたいと思います。
  39. 渡部正郎

    ○渡部政府委員 御指摘のとおり、道交法の八十八条の欠格条項の中に、「耳がきこえない者」という表現があるわけでございますけれども、これは程度の問題ということも言えるわけでございまして、現在、耳の聞こえない者に免許を与えていないというお話しでございましたけれども、現在では、少数でございますが、程度によりましては、難聴者にも免許を与えている例が相当ございます。
  40. 今井勇

    今井委員 それじゃ、いまの例を具体的にお伺いしたいと同時に、諸外国の御調査がもしあれば、一体、諸外国では、この問題をどう取り扱っているのか。私の調査によりますと、アメリカではどうも許されているように、もちろん限度があるようでありますが、聞き及んでおりますが、その点を含めて国内、国外の実情、これを御説明願いたいと思います。
  41. 鈴木金太郎

    ○鈴木説明員 ただいまの先生のお尋ねについてお答えいたします。  手元に資料がございませんのですけれども、諸外国、それぞれ事情が違っております。日本と同じように、耳の聞こえない者に免許を与えていない国もございますが、中には、医師の診断にまかして、医師の診断の意見を聞きまして、それについて若干考慮するというふうな国もございますし、それから、また、何らかの形で、特別総合的に判断して、耳の聞こえない者にもやるというふうな形のものもございまして、いろいろな形がございます。
  42. 今井勇

    今井委員 私はこう思うのです。聴力、言語障害者でありましても、やはり、自動車というものは、近代文明社会では重要な生活の手段となっておると思うのですね。特に、自家営業に携わっている人たち、あるいは農業に従事している人たちは、自家用車あるいは農業の耕作機の運転をできないということは、もう、その生業をやめよということにひとしいと思うのですね。だからこそ、岩手の土木業を営んでいる方でありましたが、家業の必要のためにやむなく無免許運転を繰り返しまして、そして道交法違反に問われている事件がありました。これは、仙台高裁で、七月十一日というのはもう過ぎておりますが、何か判決が出たようでありますが、私はその結果を聞いておりませんが、こういう事例も、実際やむにやまれず起こるわけですね。やはり、ひとしく皆さん職業の選択の自申があり、皆さん生きる権利がある。ですから、もっと昔ならいざ知らず、冒頭に私が申し上げたように、現在のように車というものが生活の手段としてとけ込んでおる時代ですから、したがって、こういう人たちにも、もっとあたたかい目で見てあげて、免許を与えるようなことをするということが血の通った政治だと私は思いますし、クラクションがもし聞こえないならば、それを光に変えるなり何なりして、目で見えるような方法も考えたらいいじゃないですか。これだけの文明開化の世の中で、それができないことはない。現に、横断歩道などは、めくらの方が通れるようにということで、この間、音にしましたね。ああいうこともできるのですから、それができないということは、政府の勉強不十分といいましょうか、そういったものを十分科学的に検討をなされないで、ただ、耳が聞こえないとあぶないから、あぶない人間には運転免許を与えないほうが間違いないのだというふうに考えておられるのじゃないかというふうな感じがしますが、どうですか。
  43. 渡部正郎

    ○渡部政府委員 御趣旨のとおり、耳の聞こえない方にとりましても、生活上自動車の運転が非常に望ましいという場合があることは十分考えられるわけでございます。昨年から、「耳がきこえない」という表現でございますけれども、これも、先ほど申しましたように、程度の問題でございまして、耳が聞こえない者には免許証をやらないという趣旨は、他人並びに御本人の安全上の考慮でございますから、あぶなくない程度であれば、免許証をやっても一向かまわないわけでございますので、この表現も「耳がきこえない者」ということで、ある意味ではわりあいにゆるい表現といいますか、逆に言うと、あまり科学的じゃない面もあろうかと思いますので、この規定自体の改正ということを考えないわけじゃございませんけれども、現状といたしましては、この規定の運用を、先生の御指摘のような御趣旨に積極的に解釈をして、運用して、耳の聞こえない方でも、いわゆる難聴で、ある程度は聞こえるという方には積極的に免許を差し上げたいという運用をできるだけやろうというふうに考えております。  昨年から、やや従来の扱いを変えまして、二、三の県では、比較的多くの難聴者の方が免許証をとっておられる例もございます。これは、二、三の県でそうであるということは、ほかの県にも推し及ぼせるわけでございますので、これは、御指摘のとおり、私どもの運用という問題があるはずでございますので、今後も、この問題につきましては、前向きで、交通安全上の危険がない限りは、耳が相当遠くても差し上げたいという方向で、積極的に運用してまいりたいと思いますので、御了承いただきたいと思います。
  44. 今井勇

    今井委員 たいへん前向きな御答弁で、実はありがたいのですが、私の聞いた範囲では、同僚議員であります島田議員が、鳥取県でこの問題にも非常に熱心に取り組んでくださいまして、鳥取県の県警に強硬な談判をしていただきまして、仮免許ということで、いま試験的に数人の方に運転をさしてもらっているということを聞きました。これはあくまで仮免許で、まあこういう方でもだいじょうぶなんだという一つの試験台と言うとおかしいのですが、そういうことと、それも、島田議員が相当強力に県警に行かれて主張されたということなんですね。  いまの御答弁ですと、前向きに検討するんだということだけれども、相当声を大きくして言わないといけないというのはどういうことなんでしょうか。中央で考えるあなたの考え方が下までいっていないような感じがしますが、その点、どうなんですか。
  45. 渡部正郎

    ○渡部政府委員 先ほど申し上げましたように、昨年からそういう考え方を積極的に打ち出したわけでございますけれども、御指摘のように、徹底していない面が確かにあると思います。今後、いろいろな会議の機会その他に、いまお話しのようなことがないように、全国的に前向きの姿勢で取り組みますように、警察庁といたしても指導したいと思っております。  それから、補足でございますが、先ほど先生がおっしゃいましたように、自動車の運転と申しましても、農機具の場合とか、いろいろな車種とか、用途別というようなこともあると思います。たとえば営業用のプロの運転手になるというようなむずかしい場合もあり、マイカーなんということもあろうかと思いますが、そういうような点もよく具体的に十分検討いたしまして、いまおっしゃいましたことを十分参考にいたしまして、全県的に推進してまいりたいと思いますので、御了承いただきたいと思います。
  46. 今井勇

    今井委員 重ねて念を押しておきますが、それじゃ、道交法八十八条の一項二号というものを改正する方向で検討されますか。その点をちょっと念を押しておきます。
  47. 渡部正郎

    ○渡部政府委員 先ほど、外国の例がどうかというようなお話しがございましたが、現在、外国の例などを調査中でございます。表現自体についても非常に精密を欠くような点もないわけではございませんので、将来の問題としては検討していきたいし、また、現在検討中ということでございます。
  48. 今井勇

    今井委員 だんだんとあとずさりになっていくような感じがしますがね。そんなにあなたあとずさりせぬでもいいのです。いいことはやってあげたらいいんです。  ちょっともう一ぺん念を押しますが、当初の御答弁は非常に前向きで、程度に応じてやろうと言っておられたが、いまだんだん念を押して、一体法改正を考えるのかと言ったら、何か、将来というようなことになってしまった。どうも不満ですね。その点、もう一ぺん念を押しておきますが、どうですか。
  49. 渡部正郎

    ○渡部政府委員 最後にお答えいたしましたのは、法律の改正の問題については、現在諸外国の例などを検討して研究中ということでございます。  それから、表現がはっきりしなくてたいへん申しわけなかったのでございますが、現在の表現でも運用に相当余地があるだろう、現行法の運用につきましては、前向きで積極的に考えていきたい、こういうことでございますので、御了承願いたいと思います。
  50. 今井勇

    今井委員 もう一つ念を押しましょう。いまの前向きで検討しますということは、現行法の中で、そういうふうな通達なり何なり——をことばではいけません。会議で言うたって、聞きよう、言いようでまた困りますので、ちゃんとわかるような通達の形で管下に指令してください。これはお約束できますか。
  51. 渡部正郎

    ○渡部政府委員 私、実は、交通局長になったばかりで、過去のことを十分知っておりませんが、従来もそういう指示、通達は出しているんだろうと思いますけれども、重ねての御指摘でございますので、状況もいろいろ変わっていることでもございますので、あらためまして、近く通達などを出すことを含めまして、全国的に徹底するように処置したいと思います。
  52. 今井勇

    今井委員 それでは、渡部交通局長さんのいまの御答弁を信じまして、私の質問を終わります。
  53. 上村千一郎

    上村委員長 吉田法晴君。
  54. 吉田法晴

    ○吉田委員 前半に、仙台の本山製作所に関連する質問警察と労働省にいたしまして、後半に消防の関係をお尋ねいたしたいと思いますが、時間がございませんから、たいへん恐縮ですけれども答弁も要領よくお願いいたします。いままでの経過と、衆議院でなされました質問、それから関係書類は一通り見ておるつもでございますから、こまかい点、過去の経緯はけっこうです。  第一にお尋ねいたしたいのは、職安法四十四条違反の疑いで、警備会社と関係者の個人及び本山製作所が捜査をされておりますが、その結果はどうであったか。それから、四十四条違反の疑いがあったということでありますが、それについての所見、それからその後の処置、これを承りたいと思います。
  55. 加藤孝

    ○加藤説明員 本山製作所の事件に関連いたしまして、労基法違反の問題があるのではないか、職安法四十四条違反の問題があるのではないかという観点で、私ども調査をいたしたところでございますが、警備課員として本山製作所のほうへ派遣されておりました者を採用いたします以前の関係につきましては、特防及び本山製作所に関して、職安法四十四条違反の疑いが濃いという判断に達しまして、警察とも連携をとりながら、警察の捜査にゆだねておる現状でございます。
  56. 吉田法晴

    ○吉田委員 警察にお尋ねをしたわけでありますが、労働省から御答弁いただきましたが、職安法四十四条違反の疑いで捜査をされた、その捜査の結果、そしてどういう処置をされたか、こういうことをお尋ねいたしたわけでありますから、捜査された警察から御答弁を願いたい。
  57. 上村千一郎

    上村委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  58. 上村千一郎

    上村委員長 速記を始めてください。
  59. 綾田文義

    ○綾田政府委員 職安法四十四条の関係は、本山製作所に関連した特別防衛保障株式会社、いわゆる特防会社の関係と本山製作所の関係の二つがございますが、特防の関係につきましては、三月に関係のところを捜索いたしまして、調べをいたしました。大体、事案としては深まりつつあるわけでございます。その裏づけの本山製作所の関係を現在極力捜査中でございますが、これは、今年の四月に地労委の命令書が出されて、五月には同社の社長が死亡しております。それから、六月中旬には、社長の死亡を理由に、取引銀行から停止をされております。そういう関係で、警察といたしましても、警察の取り調べによって倒産したというようなそしりを受けないようにということも極力考えまして、慎重に捜査をしております。  そういう状況でございまして、本山製作所は、現在までに、関係者二十八人を百回以上呼び出しておりますけれども、現実には、六名の者が十七回出頭しておるという状況でございます。これは、ただいま申し上げましたような理由でございます。したがいまして、捜査は、本山製作所関係につきましては、現在若干難航いたしておりますけれども、宮城県警としては、特に、特防会社の関係は近く結論を出しまして、送致するというふうなことになっております。本山製作所も、それに関連いたしまして、できるだけ事件をまとめて結論を出すという状況になっております。
  60. 吉田法晴

    ○吉田委員 捜索の結果あるいは見通し等についてはいま伺ったところでありますが、実は、きょう、警察関係の皆さんと、それから労働省に来ていただいておりますが、この委員会で審議、成立をいたしました警備業法の解釈と、それをめぐりましての判断とが、実は、本山争議の解決のかぎになると考えてお尋ねをしておるのであります。関係者で御了解を得たいと思いますが、衆議院の地方行政委員会、法務委員会等で本山問題を取り上げました際に、昨年の十月以前は、警備業法、警備の業務に関します法律ができるまでは、職安法四十四条違反の疑いがあるということで、先ほど来の捜査になったわけでありますが、その後は本山製作所の社員になっておって、そして、この法律の規制外のように考えるというお話しであります。  本山の争議が、最終段階に近づいておるのではなかろうかという点は関係者御存じだと思いますが、七月の十一日に全金本部で団交が開かれて、会社側から、新しい本山秀夫社長、二郷晴記部長、全金側から平沢氏、あるいは宮城の細川書記長、あるいは本山製作所の渋谷委員長が列席をして、昨年の春、夏、冬の一時金を含んで、賃金の支払いについてはどちらも異議はなかった。ただし、金がないから五千三百万円は分割払い、問題が片づいて就労に際しては、分けて作業をするかどうかといったような点まで話が出ている。問題はロックアウトの解除である。それから、ガードマンの撤去の問題であります。原則的に、ロックアウトとガードマン採用の不法性、不当性が認められるならば、これらについての具体的な相談に入りたい、こういう話に対して、本山社長から、解決のためには労働組合の言い分を認めざるを得ないだろうという意向が示され、そして、その協議に入ろうとされたところが、二郷部長の強硬な反対にあって、それから先に話が進まなかったということを聞いております。  それだけに、ロックアウトの不当性とガードマンの問題が問題になるわけでありますが、解決をして、就労の条件まで会社側から出されたわけでありますから、会社側も解決のために前向きの姿勢にあるということは考えられるのではないか。それから、すでに、富士銀行の融資もとまり、七十七銀行からの融資は、本山秀夫個人の財産を担保にして七億を融資するということを決定されておるけれども、組合の抗議等で凍結をされているということでございます。したがって、このガードマンの採用の不当性あるいはロックアウトの不当性が、抽象的にしろ、認められるならば、前進が考えられると判断をいたしますだけに、ここに取り上げて問題にするわけでありますが、職安法四十四条違反の疑いがあって、捜査をされた。それは、特防会社については大体そういうぐあいに考えられる、証拠も集まったというお話しであります。  そこで、警察関係の警備業法の提案の際に説明されたものを引っぱり出してみますと、警備業が労働者供給事業にならないように、したがって職安法違反にならないようにということで、警備業務をやるためには四つの条件があるとして、警備業務から生ずる財政上及び法律上の問題のすべてについて責任を負うものでなければならぬ。第二に、警備に従事する警備員をその警備会社が直接指揮監督するものでなければならぬ等、四カ条があげてあります。   〔委員長退席、中山(利)委員長代理着席〕  その中に、警備会社が警備業務について、直接、財政上、法律上の責任を負う、それから、使用者の社会保険等の、法律に規定されるすべての義務を警備会社が負うものでなければならぬ、そして、その警備業務についても、警備計画に従って、みずから提供をする警備器材を使用して警備業務を行なうものであって、単に肉体的労働力を提供するものではなく、労務供給業になるおそれがないもの、こういうことが書いてあります。これはその当時の説明員あるいは政府委員からも答弁されておるところでありますが、この警備業法にいう警備業務の要件からいたしますならば、本山事件の十一月以降の事件については、警備業法に抵触しないという説明がされておりますけれども、明らかにこれは脱法と申しますか、警備業法の裏をくぐって雇いにきた、こういうことになっておるのではなかろうかというふうに判断されるのですが、いかがでしょうか。  それから、なお、七月十一日の団体交渉の際に、すみやかに警備課員を撤去することということに対して、漸次撤去しますという答弁がなされておるやに承りました。そうすると、これはほんとうに労務管理といいますか、警備課の課員といいますか、永久的な職員として採用したものでないということは客観的にもはっきりすると考えるのですが、そうすると、これは、警備業法の違反というか、あるいは、それをくぐろうとしてこういうことがなされたと言えると思うのですが、御所見を承りたい。   〔中山(利)委員長代理退席、委員長着席〕
  61. 綾田文義

    ○綾田政府委員 警備業法は、御承知のように、昨年十一月一日に施行になったものでございまして、もちろん、これは、法律の施行というものはさかのばらないで、それ以降の警備業に適用されるものでございますが、このガードマンは、その警備業法の施行前に特防につとめておりまして、これは正式に会社をやめまして、そうして会社に入ったものでございます。と同時に、特防会社も、十一月一日以降は、仙台において警備業務をやっておりません。東京で一部やっておりますけれども。したがって、警備業の対象というものは、この特防に関しては、仙台では対象にならないということでございます。したがって、先生の言われるような脱法行為云々というのは、そういうふうにはならないのではないかというふうに考えます。
  62. 吉田法晴

    ○吉田委員 その説明は、前にも、法務委員会や、あるいは地方行政委員会でなされておりますが、そういうことで通るものではないと私は思うのです。というのは、十一月以降特防会社が存在していることはお認めになる。それから、本山にも、それ以降において、特防会社の幹部と称する者が、名前ははっきりいたしませんが、質疑の中でも、あらわれて指揮をしているのです。それから、本山と細川何とかいうところに特防会社の者が出ております。だから、うしろにあってあやつっておるのは、あるいは監督をしておるのか指揮をしておるのか知りませんけれども、警備会社と、それから本山に雇われております何名かの特防会社に在籍をしておった者との関係があるということは認めざるを得ないではないかと考えられますが、どうですか。
  63. 綾田文義

    ○綾田政府委員 これは、警備業法施行前に、特防から警備員の隊長として派遣をされた川島某の話ではないかと思いますけれども、この本人も、すでに特防会社をやめております。私のほうの宮城県からの報告によりますと、現在では、そういう事実は警察としてもつかんでおりません。  それから、先ほどの説明でございますが、ちょっと足りなかったと思いますが、もし、そのガードマン会社にガードマンとして雇われた者の報酬として、特防会社で金を受け取っておるとか、そういうことがありますと、これは特防会社と継続があるということで、脱法行為的なものになると思いますけれども、完全に向こうに雇われて、そういう契約とか、金銭の授受とか、そういうものがあったということは、警察としては、いまのところでは全然つかんでおりませんし、そういうものはありませんので、したがって、そういう脱法行為にはならないというふうに考えます。
  64. 吉田法晴

    ○吉田委員 警察は、特防会社について、特別の御関係がおありになるとも思わないし、それから、弁護をしなければならぬ立場にもなかろうと私は思うのであります。七月十一日の団体交渉の際には、いまの社長自身が、即座に全部やめさせてしまえという要求に対して、即座にはできませんけれども、徐々にそれは減らしてまいりましょうという話をされたと聞きます。そうすると、特防会社から会社の社員に移ったのは、十一月以前かもしれません。以前かもしれませんけれども、なお、特防会社と、それから、何人かの、特防会社から本山製作所に入った者との間には関係があると考えられるではないか。それでは、それは川島何がしかどうか知りませんけれども、会社の幹部と称せられる者が、昨年の十一月以降において本山にあらわれたことはありませんか。私が書類で見るところによると、形は本山の社員になっておるけれども、特防会社の幹部と称せられる者が本山にあらわれておる、あるいは指揮をしておるということが述べられておる。それはあなたのほうも否定しておられぬ。特防会社と本山との間の契約があって、そして、警備保障契約といいますか、金銭の授受があったかなかったかということを言われるけれども、しかし川島某か何か知りませんけれども、特防会社の人でない者が個人的に金を受け取るとするなら、これはまさに警備業法の脱法行為である。おそらく、これは、十一月一日以前は警備業法ができておりませんでしたから、それが公然と行なわれ、四十四条違反もあったと思いますが、その後においては、警備業法の脱法行為として、会社に籍を移す以外にないということで籍を移した。それはそれ以前かもしれません。それ以前かもしれませんけれども警察の知識を持っておる者でありますから、警備業法ができるであろうということはおそらく知ったのだろうと思います。そこで、法の施行前に籍を移して、本山の社員になって、警備業務をやっておる。しかし、その警備業務をやっておる者を、課をつくって警備業務をやらせましたけれども、それは永久に続くということはみんな考えておらぬ。それはどうしても考えられぬ。警備会社はなくなっております、あるいは仙台にはありませんと言われ、あるいは川島何がしのことも言われるかもしれませんけれども、それは個人でございます。しかし、その個人と会社との間に何らかの関係があるということは私はわかりません。これは、周囲の状況からすると、領収書があったかどうか、それは、強制権がありませんから、私は認めません。捜査をされたときにはそのくらいのことは見られたかもしれませんけれども、故意に証拠はありませんと言われるような気がしますが、当局は、警備会社のためにどうしてそれほど弁護しなければならぬのですか。私には納得がいかない。重ねて御答弁願います。
  65. 綾田文義

    ○綾田政府委員 もし、川島某が、そういうふうなガードマンとの関係において警備業法的な仕事をやっておるとすれば、これは、ある種の脱法行為になるんじゃないかと思います。この場合は、特防会社とは関係がないということでございますが、その場合に、一つは、そういう実態が警備業法の網にかかるかどうかという問題と、もう一つは、警備業法にはかからないで、個人的な昔の知り合いというふうな関係も考えられますけれども、現在のところは、宮城県警では、そういう点も捜査はしたけれども、そういう実態は出てきていない、つかんでいないというふうな報告を受けております。
  66. 吉田法晴

    ○吉田委員 時間がありませんから、同じ問題々やりとりを続けるわけにいかぬのですが、これは名前も速記録に出ておりますけれども、何人かの人間については、これは札つきですね。この点は警察でも認めておられる。本山だけでなしに、あるいは報知新聞、それから那珂湊の市の争議のときには、那珂湊の職員になっておる。那珂湊の職員になっておるときは、いまで言えば、職員になっておるから警備業法の対象にはなりませんと言われる。ところが、那珂湊の争議のときには、そこで職員になっており、報知新聞、チッソの株主総会、あるいは細川鉄工所——その細川鉄工所のときは、衆議院の速記録を見ましても、本山と細川と両方に行っておる。同じ人間が行っておるのか、あるいは責任者が行っておるのか、これは警察御存じないことはないと思う。そうすると、客観的に見て、形式的あるいは表見的には警備業法に触れぬというたてまえをとっておるかもしれないけれども、それは那珂湊の場合ではありませんけれども、特防会社にとっては常套手段。それを、本山の場合には、警備業法には全然触れません、社員ですから、と、こういう言い方を警察がされるというなら、なくなられた本山前社長が、なくなられた人が防犯協会の役員であったということで、それを弁護しなければならぬということさえも考えられる。そして、川島が個人で金を受け取っていれば別だ、と、こういうお話しでありますが、その可能性は十分あります。そして、そのことは、労使とも永久にその人たちを使うことはない、あるいは、要求に対して、徐々にではありますけれども、撤去いたします、こういう話になっているんです。これは警備業法の脱法行為であることは、やがて明らかになるだろうと私は思う。いまここで明らかにすることができないにしても、それぐらいのことがわからぬ警察ではなかろうと思うのです。  そこで、警察庁と労働省との覚書が三月十五日にかわされておりますが、「公安委員会は、職業安定法第四十四条の禁止する労働者供給事業に該当することのないよう警備業務指導に努めるとともに、職業安定機関からの通報等により同法同条に違反する事実が認められたときは、すみやかに法律第十四条の規定により、営業の停止等の処分その他必要な措置を講ずるものとする。」と書いてあります。これは御否定にならない。そうすると、先ほど来申し上げます、表見的には警備業法に触れないように社員になっているけれども、それが漸次明らかになってまいりますと、警備業法をくぐる行為をしたということも明らかになってくると思いますし、個人か、あるいは会社か知りませんが、個人が警備業法をくぐるようなことをしているとすれば、警備業法の制裁規定が適用されるでしょう。それから、もし、そのときに、形式的にはとにかく、実体的には特防会社というものが残っておって、そことのつながりがあるとするならば、警備会社についても、これは警備業法の適用があると考えられますが、いかがですか。
  67. 綾田文義

    ○綾田政府委員 もし、そういうふうな警備業法の違反が認められた場合には、法律の規定に従って、私どもは厳重にこれを捜査あるいは処分をするという考えを持っております。
  68. 吉田法晴

    ○吉田委員 それでは、問題指摘をするにとどめて、いまの答弁と今後の警察の出方を注視をしたいと思います。  労政局から法規課長ほか来ていただいておりますが、これは法務委員会での答弁でありましたか、労政局長から御答弁になっておりますが、労働省は、この本山問題について、正常な労使関係が回復されるために御努力をされるべきだと思います。また、されておるかと思いますが、過去における石黒労政局長時代の答弁は、宮城県にお骨折りをかけて、宮城県の労働委員会がごあっせんをいただいてあるところだから、それに待ちたい、と、答弁されておる。先ほど申し上げましたように、機運はだんだん近づいていると思いますし、国会で取り上げるのは、この国会が最後だと思いますから、この機会をかりてお尋ねをしておるわけでありますが、労働省は、最善の努力を尽くして、労使関係の回復のために行政指導をする決意があるかどうか、これをお尋ねしておきたいと思います。
  69. 岸良明

    ○岸説明員 ただいまの先生のお尋ねでございますが、先ほど先生がおっしゃいましたとおりに、これは昨年の春闘以来の紛争でございまして、非常にむずかしい込み入った問題があったわけでございますけれども、漸次問題が煮詰まりつつあります。  なお、御指摘のとおり、ガードマンの導入問題、それからロックアウトの問題がまだ残された問題でございますが、そこで、この五月以来、私どもとしては、もちろん県のほうが所管の第一次的な機関でございますので、県庁を中心にいろいろとやってもらっておりますけれども、なお、労政局長は、現在は次官でございますが、全金の委員長、あるいは本山製作所の副社長等を呼びまして、何回か実情あるいは善処方を要請いたしております。ちなみに申し上げますと、五月十一日、十四日、十六日、二十八日、三十日、六月二日、十三日、七月十六日と、実に数回にわたりまして、諸般の事情を十分県並びに労使に伺って、この問題の早期解決ということを強く要請している次第でございます。労働省といたしましても、非常に長期の紛争でございますから、今後とも十分注意をしつつ、問題が自主的に解決されることを期待したい、かように思っております。
  70. 吉田法晴

    ○吉田委員 もちろん、労働問題ですし、労使の問題ですから、労使が片づけられることが一番望ましいことかもしれませんけれども、しかし、先ほど、職安法四十四条違反、あるいは警備業法をくぐる行為等について申し上げたわけであります。労働者供給事業になるかどうか、あるいは職安法四十四条違反の事実があるかどうか、これは、いわば警備業法のキーポイントだと思います。これも労働省関係の問題であります。  それから、いまお話しのとおりに、ロックアウト、それからガードマン撤去という問題がかぎになっておりますだけに、警察のほうでちゃんとはっきりされるならば、十一月以前の職安法違反の疑いがあるということで捜査されましたけれども、そのあとの経過なり結果は、報告されておりますとおり、これらの問題も含んで労働省が本腰を入れて解決のために努力されるならば、あるいは、解決のために行政指導をされるならば、解決に向かい得ると私は考えるのでありますが、くどい話はいたしません。ガードマンの撤去問題も、いまの社長自身も、テンポあるいは方法等はとにかくでありますが、撤去の意向に傾かれたと承知いたします。  それから、ロックアウトの問題についても、裁判もだんだん延期したというお話しでありますが、これは防御的にロックアウトされたのではなく、先制的、攻撃的にロックアウトされた経緯を考えると、労働省としては、これは悪かったと、ここではっきり言えるかどうかわかりませんけれども、とにかく、少々妥当を欠くというくらいの感想はお持ちじゃないかと思うのです。それがあるからこそ、労政局長も、いまお話しのように、五月、六月、七月にかけまして御努力になったと思います。ロックアウト、ガードアンの撤去について、いままでのような経緯、あるいはいままでのような政府の態度で終始をいたしますならば、富士銀行の融資のストップ、あるいは七十七銀行の七億の融資も凍結されておる現状は、企業としても、あるいは労使関係にとっても、たいへんいま危機的な段階だと思います。それだけに、七月十一日の交渉の経緯を承りますと、いまこそ、私どもは、役に立つことがあるならば役に立たなければならぬと思いますが、労働省がいま事務局になっておられますけれども、労使関係の正常化のために、あるいは県に対して行政指導をされるについて、最善を尽くされるならば、解決の可能性は十分あると私は考えるのですが、一そうの決意をもって行政指導に当たられるかどうか、重ねてでございますが、お尋ねをいたします。
  71. 岸良明

    ○岸説明員 先生も御承知のとおり、非常にこれはむずかしい問題でございますし、すでに地労委及び裁判所等にもかかっておる問題でございます。ただ、問題は、法律的にこのロックアウトが正当なものであるかどうか、あるいはガードマンの導入、あるいは警備課の一部の撤去ということが法的にどう評価されるかということはもちろん重要でございますけれども、やはり、労使間のいろいろな諸情勢から見て、いま、話し合いの上で解決していこうという機運に向かっております。そういう点を私どもは十分踏まえまして、何とか労使間でこの問題の解決をしていかれる方向へ、今後も万全のいろいろな指導その他をやってまいりたい、かように考えております。
  72. 吉田法晴

    ○吉田委員 もうちょっと前進した答弁を促したいと思いますけれども、時間がございませんから、今後の関係者の努力にまつということにして、この問題はこれで終わりますが、最初に申し上げましたように、この国会での最後の機会だと思いますだけに、関係者、特に事務次官になられました石黒次官の決意をひとつ促したいということで、御質問を終わります。  次は、消防の関係ですが、済生会八幡病院は、火災の直後、私ども現地へ参りまして調査いたしましたり、お見舞いをいたしたりいたしました。それから、関係書類は、いただきましたものはできるだけ読んだつもりであります。消防白書あるいは四十七年の政令の改正、あるいは省令等、承ったところでありますが、最近大きな火災が続き、特に千日デパートの火災は一周年を過ぎたところでありますが、続く大火災あるいは高層建築の火災等で、それに伴います多くの死者が出ておるにかかわらず、関係者は、政令の改正やあるいは省令の改正をやって努力をしていると言われると思うのでありますが、済生会病院に参りましても、その一カ月足らず前に消防訓練が行なわれたにかかわらず、やはり十数名の犠牲が出た。次官もおられますけれども、この間の徳山の例を見ても、日本においては、企業も、あるいは病院も、あるいは雑居ビルでも、人間の命について、人一人は地球よりも重いという観念が制度化していないということをしみじみ感じました。それだけに、以下尋ねてまいりますけれども、高層建築の火災にあたり、あるいは地下街だとか、あるいは地震だとか、いろいろなものを考えてみても、災害防止の体制が十分だとは客観的には言えないのではなかろうか。訓練はしておったけれども、火災が起きてみたところが、予想に反して、ダクトを伝わって煙が上がった、そして、四階にそれだけの重症患者がおるということをすっかり忘れていた、二階から退避させるのを終わったら、それで退避は全部終わりましたと院長は言う、気のつかない間に済生会病院で十名余の人が死んでいた、こういうことがやはり起こりかねぬと思いますので、お尋ねいたしたいところであります。  政令の改正その他は承りました。防火区画あるいは内装については、建築基準法の施行令の改正があったと承りますが、火事があると、化学繊維や化学製品の内装等がありまして、やはり煙が充満する。そして、それが多くの死の原因になる。  もう一つは、済生会八幡病院で見たところでありますけれども、建築基準法の施行令の改正等も、遡及して実施がしてありませんね。だから、過去における欠陥はやっぱり残っておるということでありますが、これらは、書いてあるものはもういいですから、書いてないところについての心配に対して、どう対処しようとされるのか、伺いたい。
  73. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 済生会病院のことについてのお話しがございましたが、ただいま御指摘のように、済生会病院は、消防設備としてはかなり整った病院ではございましたけれども、あのような事故の起こりましたことにつきましては、やはり、防火管理の面においてかなりいろいろ問題があったと思われます。詳しくは繰り返して申し上げませんけれども、避難訓練のことにいたしましても、患者本位の立場からの避難訓練は必ずしも行なわれていなかったわけでございます。  それから、先ほども指摘のように、直接の原因はダクトを通じて煙が上がっていったわけでございまして、ダクトの埋め戻しが行なわれていなかったということでございます。そういうことに関連をいたしまして、ただいま、いろいろな問題についてさかのぼって法令を適用していない、これが問題ではないかという御指摘がございましたが、私どもも、まさにそこが今後の非常に大きな問題点であろうと思います。  建築基準法のほうは、御承知のように建設省の所管でございますので、私がここで責任的な立場で申し上げるわけにはまいりませんけれども、やはり、建築基準法の面におきましても、さかのぼって適用すべきものは今後さかのぼって適用してもらいたいということを、私ども、強く建設省に要望をいたしております。  それから、消防設備の面におきましても、建築基準法と同じように、原則として遡及をしないというのが現在のたてまえでございます。これは、やはり、非常にいろいろ問題がございます。昨年以来の火災の実情にかんがみまして、自動火災報知設備につきましては遡及適用をすることにいたしたわけでございます。  しかし、今後私ども中心的に考えなければならない問題は、火災が出ましたときの消火の設備として一番有効でございますスプリンクラー設備、これを遡及させることが一つの大きな懸案の問題でございます。これにつきましては、建物自身かなり手を入れなければなりませんので、経済的に費用がかかるという問題もございますけれども、こういう世の中になりますと、経済性よりも安全性を重んずるということを中心にものを考えていかなければならないと思っております。私どもの今後の中心の懸案の問題といたしましては、ただいま御指摘の遡及に関連をいたしますと、スプリンクラー設備の遡及の問題は、ぜひ近い機会に実現をしていきたい、こういうふうに考えております。
  74. 武藤嘉文

    ○武藤政府委員 いま、前向きの問題として、スプリンクラーの問題がございましたが、私どもも、スプリンクラーは、さかのぼってでもぜひ施設整備をさせなければならないという感じがいたしております。特に、けさ各新聞に出ておりますように、東京都の消防庁が東京都の病院を調べましたところが、合格はたったの七・七%であるというような状況では、いつどこでまた済生会病院のような災害が起きないとは限らないわけでございまして、ほんとうにこれは緊急な問題として、私どもは、先ほど先生指摘のように、人命尊重の見地から、特にからだをこわしておるというような病人を収容しておる病院などについては、一刻も早く強い指導整備をさせていかなければならないと思います。  それと、高層ビルでございますけれども消防庁長官からもお話しがございましたが、これは建築基準法との関連でございますから、自治省だけではどうにもならない問題ではございますけれども、たとえば、私どもよく調査に参りましても、いまのダクトの問題を考えれば、屋外の非常階段というものはもっと整備をしなければならないのじゃなかろうか、こういうことを思います。あるいはまた、地下街あたりで万が一火事が起こりました場合には、ほんとうにたくさんの生命を失うことは明らかでございますから、たとえば用途指定の関係で、地下街の設備というものは不特定多数の人間が使うというような設備を設けてはならないということで建築基準法を改正すれば、結果的には地下街の商店街というものはなくなるわけでございます。既存のものは別といたしまして、今後は起きないわけでございますし、そういうこともあわせて、私ども、将来の問題としては、これは考えていかないと、ほんとうにどこでどういう大きな災害がいつ起きるかわからないわけでございますから、これは真剣に考えていきたい、こう思っているわけでございます。
  75. 吉田法晴

    ○吉田委員 建設省の建築指導課長に来ていただいておりますから、いまの点をぜひ答弁を願いたいのです。建築基準法を改正されても、——施行令ですか、改正されても、それがさかのぼって実施されなかったというところに、少なくとも、あの済生会病院の十何人死んだ悲劇の原因がございます。それから、そのスプリンクラーの設備にいたしましても、遡及実施じゃない。  それから、もう一つ、これは消防法施行令の一部を改正する政令の要綱の中に、施行期日のことに関連をいたしまして、「この政令のうち、第一の二及び第二については公布の日から、第一の一及び三並びに第三については昭和四十八年六月一日から、第三の六については」——これは自動火災報知設備に対する基準の遡及適用ですが、これが、「昭和五十年十一月一日から施行するもの」と書いてあります。五十年といいますと、これが出ましたのが昨年の十二月ですから、三年余裕を持っておるわけですね。この災害なり何なりの経験を見ますと、改正をして、さかのぼっても埋め戻し等をやっておるべきだったと思うのに、これからの改正でも、これは消防庁になるのかどっちになるのか知りませんけれども、五十年十一月からの施行なんてのんきな話を聞きますと、大体どこを考えているんだろうかという気がするのでありますが、建設省の建築指導課長さんの答弁と、それから、政令の施行期日の問題は、これは消防庁にも関係があると思いますが、御答弁を願いたいと思います。
  76. 救仁郷斉

    ○救仁郷説明員 ただいま先生の御指摘のように、建築基準法は、原則的には法律あるいは政令の改正が行なわれました場合に、既存の建築物には遡及適用されないことになっております。しかしながら、それは原則でございまして、非常に危険が著しい場合には、十条によりまして遡及適用をいたしまして、そして、必要な改善命令が出せるというような規定になっております。  従来、残念ながら、そういった十条命令というものがあまり活用されておりませんでしたが、最近に至りまして、相次ぐそういった事故によりまして、地方の公共団体に対しまして、そういった十条命令を、既存の不適格なものに対しましては積極的に活用するように、強力な指導をいたしております。  そういったことで、消防庁とも協力していただきまして、既存のそういうような不適格建築物に対しまして、査察を強化いたしまして、必要があればどんどん遡及いたしまして十条命令を出すというような指導を現在いたしているわけでございます。  以上でございます。
  77. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 自動火災報知設備の遡及の問題でございますが、おっしゃいますようにずいぶん期間がある、非常に手ぬるいではないか、そういう御印象をお受けになるのもごもっともであるというような気がいたします。  ただ、経緯をちょっと御披露を申し上げさせていただきたいのでございますが、これまで、こういう設備を遡及すること自身に、たいへん社会的な抵抗がございました。やっと各方面の納得を得て遡及適用に踏み切ったわけでございます。これは、かなり期間をおいてございますのは、それにつきましては、やはり、相当な工事を必要といたします。そのための資金の手当て等を計画的にやってまいらなければなりませんので、そういう意味合いで、余裕期間を比較的多くとっているわけでございます。  ただ、これは、五十年と申しますのは、いわば最後のデッドラインでございます。私どもは、指導によって、それ以前でもこういう方向で実施をされるように指導を強化いたしております。先ほど政務次官からも申し上げましたように、法令ではございませんけれども、昨年の末から、消防用設備が整っているかどうかということにつきまして査察をいたしまして、整っているものにつきましては、消防設備が整っている、管理もよろしいという、いわば「良」というラベルをその施設にお渡しをする、極端に悪くて、何べん注意をしても直さないものにつきましては、新聞その他によって公表するというような、表示と公表というような施策を展開をいたしておりますのも、法令上の義務として多少先になりますけれども、実際上の指導といたしまして、なるべく早くそれが実現するように努力をしております一つの形であるということを御承知おきを願いたいと思うのでございます。
  78. 吉田法晴

    ○吉田委員 具体的な説明は一応承りましたが、同じように、千日デパートの火災のときも、それから新宿のデパートでしたか、どこか、デパートのときにも、やはり、あの階段とダクトから上に出る。それも、煙が一ぱいになる。その煙が化学製品だから、有毒ガスが出て、それが窒息の原因になっているということですから、それを防ぐには化学繊維を使うのをやめる。地下街については、これは防火用の建築資材が使われるようにという規制があるようでありますが、一般にはそれがまだない。それから、防火壁があるところがありますけれども、私も何べんか見ましたけれども、その防火壁がいつも動いておる。自動にしてやるなら別問題ですが、人の手で締めるようになっておるときには、ほとんどあわてて締めておらぬ。  それから、済生会病院のときには、この四階に、気がつかなかったせいもありますけれども、避難階段が二つありますが、シュノーケル車が出ましたところは、女の人が途中でひっかかってさかさになっているのを、あとからやっとこさ骨を折って、とにかくその人を救い出した。残った人は、その建物の中で煙に巻かれて、十名余りの者が死んでいる。ですから、これは、設備について、−個人的な意思でなしに、設備で、大火にならないように、それから、人間の命が大きな犠牲にならないようにしなければならぬと思うのですが、それらの点について、いわば法の改正とか、いろいろありますけれども、こうなっておりますと言われるけれども、いざ火事が起こってみると、そのとおりにならないで、たくさんの人が死ぬ、それを防ぐにはどうしたらいいか、こういうことなんですが、一々言うておるわけにもまいりませんが、この設計段階で消防設備士が関与し得るように、高層建築について、あるいは地下街等について、この制度はつくれないものかどうか。それが一つ。  それから、高層建築についての消防法施行令の一部改正の政令の要綱で、「避難器具に関する基準を次のように整備するものとする」ということで、「避難階又は地上に直通する階段が二以上設けられていない階」についての規定がありますが、この済生会病院の場合にも三つはありましたけれども、しかし、自用を弁ぜられないような患者があれば、それは、障害児の施設ではありませんけれども、ベッドごとに移すような施設がしてあって、そして、らせん状でも何でもかまいませんから、ベッドごとにこの関係者をおろすような設備を整えれば、これは、看護婦さんでも、声をかけて、自分だけ先にのがれるのじゃなしに、患者もおろすことができると思うのですが、やはりこれは設備です。その設備に金が要るからということで、いわば遡及実施を遠慮したりいろいろしておられますが、それが災害の原因になるならば、融資や、あるいはどこかにはこの免税措置も講ぜられておるようでありますが、障害になるものを解決するについては、取り締まるだけではなくて、可能にする方法もあろうと思うのですが、これらの点についてどういうぐあいに考えられますか、簡単でいいですから御答弁をいただきたい。
  79. 救仁郷斉

    ○救仁郷説明員 御指摘の点につきましては、私ども、従来検討してまいりまして、昭和四十五年の建築基準法の改正によりまして、俗に私ども縦穴と申しておりますが、ダクトあるいは階段というように、上下に穴のあいている部分、これが火災あるいは煙を伝播するために、非常に危険な場所であるわけでございます。そういうものを必ず耐火構造の壁あるいは防火戸で区画するように、しかも、その防火戸は、現在の規定では、熱が参りましたら自動的に閉鎖するようにというような規定になっております。また、なお、この点につきましては、最近の煙火災の事態にかんがみまして、近く、私どもとしましては、熱だけでなくて、煙が来たら自動的に締まるような設備をつけさせるように政令を改正すべく、現在検討中でございます。  それから、階段の強化につきましては、これにつきましても消防庁とお打ち合わせをいたしまして、基準法の政令の改正を、特に、雑居ビルあるいはペンシルビル等につきまして強化すべく、現在検討中でございます。  それから、設計段階におきまして消防関係の目を通すべきではないかというような御意見でございますが、この点につきましては、建築基準法上の建築の確認をいたします場合には、これは法律消防のほうへ合議いたしまして、消防のほうの御承認をいただいてから確認をするというような法律上の制度が現在とられております。  それから、病院につきましては、御指摘のとおりでございまして、丁寧な設計でございますと、御承知のように、階段にかわりまして傾斜路というような形で、ベッドをそのまま外に傾斜路でもって運び出せる設備もございます。それから、最近では、非常用エレベーター、これは普通のエレベーターと違いまして、絶対に火や煙が来ないような設備をつけたエレベーターが高層建築物には義務づけられておりますが、そういったものを利用して、ベッドのまま安全に患者を外に誘導できるというような形で指導してまいりたいというように考えております。  それから、そういった措置を適用しまして命令を出しました場合に、融資等を考えるべきではないかというような御指摘でございますが、この点につきましても、昨年まで、環境衛生金融公庫それから医療金融公庫、住宅金融公庫等の政府系金融機関のそういう防災改修融資制度がございましたが、本年から、中小企業金融公庫、国民金融公庫、それから地下街に対しましては、日本開発銀行からのそういう防災改修融資の制度を開いていただいている次第でございます。
  80. 吉田法晴

    ○吉田委員 時間がございませんから、細目は飛ばして先へ参りますが、救急医療体制。最近、消防業務も救急出動がだんだんとふえておることも承知をいたしております。ところが、私は災害の多い炭鉱におった経験もございますが、災害が起こりまして、それから手当てをする。いわば、事故が起こって救急車が出動をする。それから、救急医療体制の整備の問題もあります。これは厚生省の問題だと思いますが、事故が起こったところで、もし、救急車が医者を同乗させて救急病院に運ぶことができるならば、おそらく死亡事故は半減をするだろうと私は思うのです。一つ一つの消防署といいますか、あるいは救急車に医者を配備することができなければ、東京のように救急指令センターをつくって、救急車とセンターとが無線で連絡をして措置をするならば、それだけで、おそらく、人命の失われるのは半減することができるだろうと思うのですが、救急医僚体制の整備とあわせて、こういう救急指令センター、あるいは消防署との無電連絡等の整備についてお考えになりませんかという意見を持っておりますが、どうでしょうか。
  81. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 問題を二つ御提起になったわけでございます。医療体制の整備の問題は、直接には厚生省の所管でございますが、私ども救急の搬送業務のほうの責任を持っておりまして、御指摘のように、せっかく患者を搬送いたしましても、救急医療体制が必ずしも十分でないというところに問題があるようでございます。厚生省とも定期的な研究を開きまして、救急医療体制の整備につきましては、来年度ぜひ新しい考え方でやっていただくように、厚生省にもお願いをいたしているわけでございます。  もう一つの救急車の問題でございますが、確かに、御指摘のように、救急車に医者を乗せていかれれば非常にいいわけでございます。外国あたりにはそういうこともあるようでございますけれども、現在の日本の事情では、これは必ずしも許されません。そこで、御指摘のように、たとえば東京消防庁をごらんいただいたようでございますが、救急センターがございまして、指令装置を持っておりまして、それを通じて医者の指示を受けるというような仕組みになっております。私どもは、従前から、救急指令センターにつきまして、国庫補助の対象にいたしておりまして、逐次各都市に拡張をいたしております。ただ、これは、センターはできましたけれども、ただいまおっしゃいますように、医者との結びつきというものが必ずしも十分でございませんので、実は、私どもも、来年の予算要求の中で、ただいままでは、単に出先の救急車と本部のセンターとの間の連絡一ということが中心でございました救急指令装置に、東京消防庁のように、それと医者とを結びつけまして、どういう手当てをすぐしたらいいか、あるいはどこにどう搬送したらいいかというようなことまで含めました一つの新しいシステムをつくっていきたいということで、実は、来年度の予算要求の中に、地方都市等におきましても、ただいまお示しのような考え方の一端を実現をしていきたいというような計画を持っているわけでございます。
  82. 山高章夫

    ○山高説明員 救急業務の体制の整備につきましては、先生からお話しがございましたが、私どもも、これを非常に大きな問題として実は考えているわけなのでございます。現在、救急隊の搬送先としまして、救急病院、診療所がございますが、これが全国で、ことしの四月で四千七百七十八カ所ございます。それ以外に、やはり、交通事故を中心にしまして、特に頭部の障害が多いわけでございますが、そういう点を考慮いたしまして、人口百万につき一カ所、高度の診療機能を持ちました救急医療センターを整備してきております。百万に一カ所という目標は、四十七年度に一応達成いたしたわけでございますが、別途、昭和四十五年から、交通事故の件数の多い地域に着目いたしまして、そういう地域に別途救急医療センターを整備しております。本年度でそれが百七三十カ所になる予定でございます。  なお、消防と医療機関との連携の問題につきましては、私ども、実は、本年度から、医療情報システムにつきまして、研究開発の調査費を一償一千万ちょうだいしております。これによりまして、救急自動車と救急医療センターとの間の医療情報の伝送であるとか、あるいは病床の確保、あるいは専門医についての情報といった点につきまして、実験的に現在研究を進めております。来年度以降も積極的に進めてまいりたいと思っております。
  83. 武藤嘉文

    ○武藤政府委員 先ほどちょっと長官から来年度予算の問題がございましたが、ちょうど先生の御指摘のようなことを私ども考えておるわけでございまして、たとえば言ってみれば、救急ドクターというような考え方でございますが、国あるいは地方自治体で、その委託費といいますか、あるいは契約金といいますか、そういうものをある程度病院なりあるいは開業医なりというところへ払って、それで、それによってそことの契約をしておきまして、もし万が一救急車でどこか現場へ行かなければならないというときには、すぐ電話をしたら、その人が一緒に行ってくれる、そして、帰りに車の中である程度応急処置をするとか、あるいは、その状態によってはすぐセンターを通じて救急病院へ行くとか、こういう体制を整えて、そういう救急ドクターというような制度をぜひ来年はつくりたい、こう思っておるわけでございます。
  84. 吉田法晴

    ○吉田委員 ありがとうございました。  時間がございませんから、あと、消防署員の処遇と人員の確保について申し上げたいところでありますが、これは、団結権を認められておりましても、団体交渉権を認められておりません。そのわりあいに、だんだんと激務になってまいります署員の処遇については、あるいは労働の軽減については、努力が足らぬと私は思います。これは、足元もそう感じましただけに、全般的に御考慮を願いたい。これは要望にとどめておきます。  最後に、一つ。最近、関東大震災のような地震が近いという可能性もあり、六十九年説もある。そこで、それぞれのところで、中央防災会議等でも対策が立てられているようでありますが、時間がございませんから、要領よく現状と対策を承りたいと思います。
  85. 杉岡浩

    ○杉岡説明員 お答え申し上げます。  地震に関しましては、地震予知連絡会議というのが昭和四十三年からつくられておりまして、これは国土地理院、あるいは気象庁、あるいは海上保安庁、あるいは大学等、各機関において、それぞれの分野を受け持って担当いたしておるわけであります。せんだって、六月の二十九日でございますけれども、文部省の測地学審議会、これが地震予知の第三次計画をつくりまして、これの強化拡充というのを建議をいたしておりまして、政府といたしましても、さっそく、七月の六日でございますが、中央防災会議を開きまして、科学技術庁、文部省が中心になって、この地震予知の関係の拡充改組等につきまして検討するということにいたしておるわけでございます。  なお、一般の防災につきましては関係省庁、都市防災につきましては建設省あるいは消防庁が中心になって、あるいは災害、地震が起こった場合の対策につきましては、総理府あるいは消防警察、厚生といったような各種の関係省庁が、それぞれの応急対策等が早急にとれるように対策を講じておる次第でございます。
  86. 吉田法晴

    ○吉田委員 日本列島改造論と並行して、最初、田中総理は、大都市の立体化を言っておられましたから、私も心配をしたが、先般は、避難場所あるいは緑地の確保等についても少し触れられましたから、やや緩和をいたしましたけれども、これらの問題についてもお尋ねをしたいところでありますが、時間がございませんから、他日に譲りまして、要望だけしておくにとどめます。
  87. 上村千一郎

    上村委員長 この際、午後一時十分から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時三十四分休憩      ————◇—————    午後一時二十二分開議
  88. 上村千一郎

    上村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  警察及び消防に関する件について質疑を続行いたします。林百郎君。
  89. 林百郎

    ○林(百)委員 警察について二、三質問いたしたいと思います。  最初に、この委員会でも問題になりましたが、例の七月十日から十三日まで行なわれました前橋市における日教組の定期大会、これは非常に右翼の妨害があって困難を来たしたわけですけれども、幸いにして、大きなことなくして大会が終了することができたわけですね。しかし、やはり右翼の蠢動は見のがすわけにいかない状態だと思いますが、警察で把握されているところの、この日教組大会で動員されました右翼の組織系統、団体数、人員等がわかっておりましたら、説明を願いたいと思います。
  90. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 お答えいたします。  前橋市の日教組定期大会に抗議活動を行なった団体と人員ということでございますが、われわれのわかっておる範囲内では、全日本愛国社団体会議系が二十四団体でございまして、これが百四十七名ということでございます。そのおもなる名称は、愛国青年連盟が三名、日本同盟二十四名、大和塾が十九名、報国青年社七名、洗心塾十名、その他十九団体、八十四名でございます。もう一つのグループとして、青年思想研究会系の団体が十九団体、百三十三名、そのおもなものは日の丸青年隊が三十五名、猶存社十六名、愛国青年党十四名、その他の団体十六団体、六十八名。こういうのが大きな二つの流れでございます。そのほかの団体としては、三十九団体、四百三十七名で……(林(百)委員「四百七十三名ではないですか」と呼ぶ)四百三十七名でございます。そのおもなものとしては、大日本愛国党が三十三名、昭和維新連盟が四十二名、防共挺身隊五十一名、菊水青年同盟五十三名、義和団十八名、日の丸評論社二十九名、日本青年社四十八名、瑞穂会二名、全国学生協議会連合三十五名、その他三十団体、百六十二名ということになっておりまして、総合計でありますが、八十二団体、七百五十三名というのが前橋に出かけていった団体の実数であるというふうに考えております。
  91. 林百郎

    ○林(百)委員 この団体が結集しました目的は、どういう目的だったと警察では把握しているのですか。
  92. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 これは、日教組の大会に対するいわば抗議活動、あるいは一般の前橋市民に対して、日教組というものはどういうものであるかというような内容を宣伝する、あるいは左翼、日教組以外の、一般的な日教組を支援するものに対する活動というようなものも含まれていると思います。そういう抗議、宣伝活動が主体であるというふうに考えております。
  93. 林百郎

    ○林(百)委員 日教組に抗議するというのですが、日教組がどういうものだからといって抗議をするというのですか。
  94. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 右翼の主張は、日教組の組合員が教員として学校で教えている内容が、右翼の立場から言えばけしからぬ、こういうことだというふうに思います。
  95. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、日教組の教育の内容について、右翼が気に入らない、それに対して抗議をする、要約しますと、こういうことなんですね。
  96. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 まあ、そういうことであります。
  97. 林百郎

    ○林(百)委員 ついでに聞いておきますが、この右翼の抗議運動で検挙された件数、人員、その他参考になることがあったら聞かしていただきたい。
  98. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 七月五日に警備本部が設けられて、警戒、警備に当たりましたので、七月五日から十三日の終了までに検挙した事件でございますが、概要的に申しますと、公務執行妨害が十六件、三十三名、軽犯罪法違反が三件、五名、建造物侵入未遂が二件、二名、暴行が一件、一名、道路交通法違反一件、一名、航空機の強取等の処罰に関する法律違反が一件、一名、合計二十四件、四十三名でございます。
  99. 林百郎

    ○林(百)委員 検挙した者が所持していた凶器とおぼしきものは何であったか、わかった範囲で説明されたいと思うのです。
  100. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 いまのところ、持っていた凶器というものは、発煙筒とかくだものナイフ類であって、特に、日本刀とか、拳銃とか、そういうような凶器はございませんが、押収したものとしては、爆竹が八本、バルサン、煙の出る殺虫剤ですが、これが十二本、これが凶器といえば凶器ということでございます。
  101. 林百郎

    ○林(百)委員 その、くだもの用ナイフというようなものは、どのくらいあったんですか。
  102. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 これは、航空機の奪取ということで、操縦士が言うことを聞かない場合はそのくだものナイフでおどかそうということで、これは一本でございます。
  103. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、検挙された者は、人を殺傷するような凶器は持っておらなかった、こう聞いていいですか。
  104. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 そのとおりでございます。
  105. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、その検挙された者の中で、さっき警備局長が答えられました航空機の強取等の処罰に関する法律の違反事件、これはどういう内容ですか。
  106. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 これは、七月十日午前十時五十分ごろ、東京都の江東区新砂町三丁目十四号地にあります東京ヘリポートで、昭和維新連盟の国分二郎こと長谷川正男という三十一歳の男が、東京から前橋までの写真をとるということで、契約をあらかじめしておった。そのヘリコプターに乗り込もうとしているところを警察官が職務質問をしたところ、日教組大会の会場上空に飛んでいって、ビラをまいて発煙筒を投げるなど、日教組に抗議の活動を行ないたい、操縦士がもし自分の言うとおりにならないときはナイフでおどかしてでもやるつもりだった、こういうことを言っておって、持っていた所持品を調べると、発煙筒が十五本、ビラが千枚、くだものナイフ、十センチくらいのものですが、これが一本、たれ幕一枚、このたれ幕は、昭和維新連盟、こういうふうに書いてあるものでございますが、これを所持しており、そのようなことを言っておりましたので、航空機の強取等の処罰に関する法律違反ということでその場で逮捕した、こういう事件でございます。
  107. 林百郎

    ○林(百)委員 大体警察のほうでは把握しておると思いますが、今日の右翼というのは、人を殺傷するということを目的とし、そして、殺傷することで訓練をしておるわけなんですが、そうすると、警察が把握した日教組に抗議をした者七百五十三名のうち、検挙された者は四十三名ですが、本来右翼が目的とし、そして同時に手段としておる人を殺傷する凶器は持っておらなかった。私のほうはその点を非常に重視しておるのですが、いま言った航空機の強取等の処罰に関する法律違反のくだものナイフを持った者がいたということ以外、全然なかったと聞いておいていいのですか。どうも、これは、常識的に考えて、今日の右翼が何を目的とし、どういう手段でどういうことをやろうとしているかということは、もう皆さんもおわかりだと思います。たとえば刺殺刀法、刀が相手の腹部へ深く突き刺さった瞬間刀を回転させる、ぶっつかって刺してひねる、こういうような訓練を何十回となく、何百回となく繰り返しているというのが最近の右翼の訓練の実情なんです。全く殺人機械の養成のような訓練をしていることは世間の常識とも言われているわけですが、そういう右翼が全然凶器らしいものは持っていなかった、爆竹だけだった、持っていたとしても、くだものナイフ一丁だけであったということでいいですか。どうも、少し常識からはずれるように思うのです。
  108. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 先ほど御質問のありましたもの、バルサンその他、これは検挙した者が身につけておったものでございまして、その他、大きな道では検問をいたしておったのですが、その関係で発見されたものが、かまが一丁、鉄パイプが一本、鉄のレール、これは短く切ったものですが、十二本、木刀四本、カシの棒が四本、野球のバットが三本、ゴルフのクラブが一本、こういうものがあったという報告が来ております。
  109. 林百郎

    ○林(百)委員 もっと厳重な捜査をするといいますか、あるいは予備的な身体の検査等をすれば凶器がもっと出てきたと思いますが、警察が把握しているのはその程度だといえば、その程度で聞いておきますが、私のほうとしては、こういう右翼の常道として、その程度でとどまるはずはないと考えています。  それに対応して、一応聞いておきますが、警備体制はどういう体制だったのでしょうか。
  110. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 群馬県警察が主体になって警備をやったわけでございますが、本年度の日教組大会は、御承知のとおり、会場決定のためにいろいろと紛議があったという経緯もございます。したがいまして、大会の円滑な開催と、関係者の安全、これをはかると同時に、特に、一般の市民生活の安全確保、こういうことを目的とした基本方針のもとに、関東管区の機動隊九百名、警視庁はじめ近県の警察から四百名の支援を受けまして、合計警察官の総数は二千三百名で警備体制をつくりまして、七月五日から、県警察本部長を長とする日教組大会警備本部を開設いたしまして、徹底した警戒警備を実施したということでございます。
  111. 林百郎

    ○林(百)委員 なお念のために聞いておきますが、これに要した費用はどのくらい要したのですか。
  112. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 現在も事件の捜査を継続しておりますので、最終的にはっきりした数字を算定するに至っておりませんが、大ざっぱに言って、出動した警察官の旅費など、これが約六千万円くらい、また、いろいろな一般についての交通とか外勤捜査、いろいろな警察官をこの警備のために動員いたしましたので、しかも、夜おそくまで、長時間の勤務をさせましたので、超過勤務手当など、これらの経費も約六千万円、こういう一応の目安をつけております。
  113. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、合計一億二千万、こう聞いておいていいですか。  一応、この問題について、時間の関係もありますので締めくくりをしたいと思いますが、とにかく、日教組というような、憲法で保障された労働者の基本的な権利に基づく大会を開くのに、警察官が二千三百名動員され、一億二千万の費用を要するということは、やはり、常日ごろ右翼に対する警察の態度がもっと峻厳に行なわれ、いやしくも、世間から、なれ合いがあるとか、あるいは泳がしているとかという批判を受けることのないような峻厳な態度をとり、この右翼を根絶やしにする——右翼が当日まいたビラが私の手元に六通ほど来ておりますが、新しい憲法のもとでは全く通用しないようなとうてい許すことのできないような、たとえば、日教組の教育が反国家的だ、反民族的だ、反天皇教育だ、だから許せないんだというような考え方を持った右翼の諸君、しかも、これが一人一殺で、殺人機械の訓練をしているというような状態のもとにあって、いやしくもこれを甘やかし、あるいはこれを警察が泳がせるというようなことのないように、常日ごろ峻厳な態度をとって取り締まり、そして、近代的な新憲法下における社会において、このようなものの存在を許さないというき然たる態度を常日ごろ警察が持っているということが大事ではないかということをつくづく感ずるわけなんです。一億二千万という金は膨大な金ですし、警察官を二千三百名動員するということも、これは容易ならぬことだと思うわけですね。こういう民主的な憲法で保障されている労働者の大会が開かれるたびにこのようなことをしているということになると、費用の点から言っても、警察の人的な浪費から言っても、これはたいへんなことになるので、今後一そう峻厳な態度をもって右翼に臨むことが必要ではないかと思うわけですが、こういう点について、不偏不党の立場に立たなければならない警察としてどういうように考えているのか、この点を伺っておきたいと思います。
  114. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 われわれは、右翼、左翼を問わず、不法行為に対しては、峻厳な態度で、き然として臨んでおるつもりでございます。いま林委員から御質問のありましたような、右翼とのなれ合いとか、そういうことはわれわれは全然ないというふうに考えています。しかし、表現の自由ということもございますし、右翼といっても、いろいろな団体、多くの人員があり、いろいろな考え方を持っている者がございまして、われわれとしても、そういう表現の自由というものを侵すことはできないといいますか、そういうものを尊重せざるを得ない。しかし、その不法行為というものについては、どこまでも厳正にこれをぴしっとやっていく、こういう考えございます。
  115. 林百郎

    ○林(百)委員 われわれも、右翼の問題でよく警察に交渉に行くことがあるわけですけれども、右翼に対しても一応法律のワクの中でというような取り締まりの限界を聞くわけなんですが、しかし、これはわれわれの考え方なんですけれども、天皇中心の軍国主義的な、そして旧軍事的な、警察的な天皇制を再び復活させようというような、新しい憲法を否定するようなものに対して、その新憲法に基づいてつくられている法律で保護するという考え方——これは考え方の問題ですが、法律の適用の技術的な問題になればいろいろ問題があると思いますけれども、そういうことについては、警察としてはもっと厳粛に考えていいのじゃないか。とにかく、政治的な指導者に対して殺傷をもくろんでおるとか、あるいは文化人に対して殺傷をもくろんでおるとか、その思想的な中心は、天皇中心の天皇制を復活するとか、主権が国民にあるということが規定されている新しい憲法を無視するようなものに対して、新憲法に基づく法律の保護を与えるということについては、これはもう保護のらち外のものであって、新しい憲法を守るためには、また、新しい憲法に基づく基本的人権を守る諸法律を厳守するためには、こういうものを取り除かなければならないのだ、こういう立場でいきませんと、何もかも一緒に、憲法に基づく基本的人権によってこれを庇護していくのだということになると、これは取り締まりができないことになるんじゃないか、私たちはそう考えております。そういう意味で、こういう右翼に対しては、そういう言いわけで甘やかすことのいささかもないように、私のほうからは警察に警告を発しておきたいと思うのです。  問題はもう一つあるのです。この日教組の妨害を右翼がしたのは十日ですけれども、翌十一日に、この問題について、私のほうも警察へ警告に行ったことがありましたが、京王線の聖蹟桜ヶ丘の駅での街頭演説を日野警察へ申し込んで、警察はこれを許して、街頭演説をやらした。これは、右翼は、聖蹟桜ケ丘で、一体どういう政治的な意図でやったのかわからない。また、何の目的でここでやったのかわからない。またこういう聖蹟桜ケ丘駅の街頭演説を警察は許した。そこで、その街頭演説で一体どういうことが言われたのか、このいきさつについて説明を願いたいと思います。
  116. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 七月十一日の午後五時半から約一時間、ただいまお話しのありました、日野市の京王帝都電鉄の聖蹟桜ケ丘の駅前で、猶存社、大日本憂国青年同志会が約七十名集まって街頭宣伝活動をやったわけでございまして、これは道路交通取り締まり、道交法によるところの街頭宣伝の許可という申請が出ておって、これは内容の判断でなくて、そのような街頭、道路における宣伝活動という形での許可を与えておるわけでございます。  どういう意図で、この場所でどういう内容の街頭宣伝をしたかという御質問でございますが、内容は、一般的に言って、やはり日本共産党を批判するという内容でございます。  なぜやったかといいますと、付近に、二キロくらい離れますけれども日本共産党の宮本委員長の私宅があるということと、それから、彼らが言っておるのは、当地は、聖蹟という字にあるように、明治天皇のゆかりの地である、この地を革命運動の拠点にしてはならない、そういう意味合いの街頭宣伝をしたというふうに聞いております。
  117. 林百郎

    ○林(百)委員 だれが考えても、京王電鉄の桜ケ丘駅ですか、そこで街頭演説をやるというようなことは考えられないことなんですね。で、もし、いま警備局長の言われるような、わが党の最高幹部に対する非難のための街頭演説をやったとするならば、そういうこと事前にわからないはずはないと思うんですね。それは、どういう方法によっても、とめることはできると私は思うんですよ。たとえば道交法を使って、交通の混乱を来たすおそれがあるからということで許さないということだってできると思うのです。いやしくも、天下の公党で、そして、国会で四十名の議員を持ち、東京の都政では与党としての第一党の地位にある共産党の最高責任者を公然と非難させるような、そういう街頭演説を、私のほうの党の委員長、最高責任者の私宅の二キロくらいのところでやらせるということは、警備局長、これこそ右翼を甘やかしているとか、泳がしているとか言われても当然じゃないでしょうか。立場を変えて考えてごらんになればわかるでしょう。目的はわかっていることじゃないでしょうか。こんな、あまり人の聞いたことのないような聖蹟桜ヶ丘駅頭で右翼が街頭演説をやる、それを警察が許すということを聞いたら——案の定、共産党の最高責任者の非難の街頭演説をやった。それを警察が許しているというようなことは、これはもう警察が右翼を泳がしているという非難を受けてもやむを得ないじゃないでしょうか。少なくとも、新しい憲法に基づく政党政治が行なわれているときに、右翼の、しかも、その右翼も、思想的な右翼ばかりではなくて、私が前から言っている一人一殺の、いかにしたら相手方を殺傷することができるかという訓練を何百回となくしているという右翼に街頭演説をさせるということは、これは十分取り締まりをすべきものだと思いますが、どうですか。
  118. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 そんなような右翼が、そのように一人一殺といいますか、そういう主張を掲げての活動をしておった団体ならば、いろいろな問題もあると思いますけれども、右翼といっても、林委員がおっしゃるようにいろいろと種類があるわけであって、この間行なった右翼は、そう激しい形での活動はしておらないようであります。  それから、そういう道路交通取締法の強化ですね。その内容についての判断をする余地は警察にはないわけでございまして、道路交通上の支障がない限り、いわば許さざるを得ないという立場にあるということを御賢察いただきたいと思います。
  119. 林百郎

    ○林(百)委員 私のほうの調査によりますと、今日の右翼の個人テロの訓練については、こういう言動をしておりますので、警察も十分そのことを肝に銘じておかれたいと思うのですね。たとえば、津久井竜雄は、「右翼の特色も迫力も、そのテロリズムに存することは明らかで、テロリズムのない右翼というがごときは、牙のない猪というにひとしい」と言い、それから、荒原朴水というのが言うには、「われわれは時が必要と考えれば、野坂、宮本らを必ず殺す」、佐郷屋嘉昭が、「われわれは暗殺刺客だ。十人十殺、五十人五十殺をやろうというわけだ。十人が十人をテロる。これ以外右翼の生きる道はない」と言っており、それから河上利治は、「テロは日本主義者の、左翼にたいする実力行使だ。殺すのではなく九千万国民のため一人の浅沼さんに死んでもらったのだ」と言っている。これは浅沼稲次郎社会党の党首を殺害したときのことばです。児玉譽士夫は、「われわれの陣営は量的に劣勢なので、一人で十人殺しただけでは足りない。一人で五十人殺さねばならない。諸君が死ぬ時は一対五十なのだ」と言う。こういうようなテロに対する右翼指導者の語録を見ても、このことは明らかだと思うのですね。大日本生産党では、最近も、「当選した日共議員を皆殺しにしてやりたい」とか、それから、これも右翼の建国維新会が、「誰かに宮本顕治を殺らさねばならぬ」というようなことを言って、そして夏季訓練だけでなく、各地で絶えず刺殺訓練を行なっている。この訓練を見学した者の言うところによりますと、「この訓練は柔軟体操、駆け足などの準備段階をへて、まず突然突進することからはじめられる。ぼんやりと力をぬいて立った姿勢から、急激にフルスピードで突進する練習である。これを何十回、何百回とくりかえすのである。つぎに木刀をもたせられる。刀を腰だめに構えて、目標にダッシュ、激突する訓練で、刀の切っ先は相手の腹部である。これも何度も何度もくりかえされる。つづいて相手に衝突するせつな、刀を突き出すタイミングが教えられる。このときの心構えは「何も持っていると思うな、ただ相手に身体ごとぶつかることだけ考えよ」とやかましくいわれる。何万べんもの突進の訓練で、その時刀が自然に相手を刺している、その無心の会得こそこの刀法の真髄という。だが右翼テロの刺殺刀法の特色は、つぎに教示される「ひねり」にある。刀が相手の腹部深くつき刺された瞬間、刀を回転させるのである。ぶつかる、刺す、ひねるの三動作が、連続したよいタイミングで、意識せず自動的におこなわれる。つまり「刀自身が霊をもち、自然に動いて赤魔を殺す」「日本刀自体が愛国者になる」までくりかえし練習をし、自分が刺すのではなく刀が動くようになるまで、訓練をする」ということを言っているわけですね。だから、右翼に対する警察の考え方が甘いのではないか、あるいは甘やかしているのではないかと先ほどから私が言うのは、実際に訓練をしているのを見てきた人の実見録がここに書かれているわけですが、こういう訓練をしているものが公然と警察によって街頭演説が許されている。  しかも、私が聞きたいのは、その日の夕刻、その付近にある対鶴荘という、バーベキューですか、これを食べさせるカヤぶきの古い建物などのある料亭を買い切って、右翼の者が百人ほどでここで酒宴を設けている。一人千五百円という、ここでは最高の料理のコースですが、これで百人ほど、他の者には全然部屋を貸さないということで買い切って、ここに右翼が集まって、そうしてバーベキューで一献傾けているという事実があったわけですが、これを警察ではどのように把握していますか。そして、どういう者が集まり、何の目的で集まり、どういうことが論議されているのでしょうか。詳しく述べていただきたいと思います。
  120. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、聖蹟桜ヶ丘駅の前へ集まった大日本憂国青年同志会、その他の猶存社関係、これらの七十人が街頭宣伝をやったあと、ここへ来て、そこで食事をして解散をしたということでございます。したがって、いまおっしゃったように、百人というのではなく、七十人というふうにわれわれは把握しておるわけです。  この件については、いろいろの方面から、日本共産党の宮本委員長のお宅へ押しかけていくというような懸念があるんじゃないかというようなお話も聞いておりましたので、所轄の警察では応援を求めまして、約百二十名の警察官を付近に配置して、そういう委員長宅へ行くというようなことのあった場合はしかるべき措置をとるという体制であったわけですが、これらの人たちは、ただ食事をして引き揚げていっただけで、別に委員長宅に押しかけるような気配は全くなかった。そして、彼らに対しても、デモとか、そういうものは許可していないんだから、そういうような形で、静かな町でいろいろと喧騒にわたることのないようにという警告は十分いたしておきましたので、そういうことはなかったと考えるわけでございます。その内容についてどうかというお話しでございますが、これは、そういうような同志といいますか、そういう盟員だけで集まって食事をしたわけでございます。その内容についてどういうことが行なわれたかということは、われわれとしては、いまの段階ではまだ承知いたしておらない状況でございます。
  121. 林百郎

    ○林(百)委員 先ほどの山本警備局長の話ですと、猶存社十六名という話がありましたね。私のほうの警察から来た資料にも猶存社十六名……(山本(鎮)政府委員「それは前橋に行った者です」と呼ぶ)そうすると、十一日に対鶴荘に集まった七十名というのは、全部猶存社ですか。
  122. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 お答えいたします。  われわれの把握しておるのは、猶存社が十四名、興国社が七名、愛国同志会が六名、それから学生、中央大学とかいろいろな大学の学生が約三十名、その他十二、三名ということであります。
  123. 林百郎

    ○林(百)委員 猶存社ばかりでなくて、そういう右翼のおもだった組織がそこで集まって、そして公然と集会を持っているのに、警察がそれを許し、また、そこでどういうことが話されたかという情報も得ることができないということは、私のほうから見れば、はなはだ危険きわまることだと思うのですね。そういう殺人鬼に化したような者が七十名もそこに集まって、一ぱいくみかわしている。しかも、それは、名うての右翼団体の連中がそこに集まっている。ところが、何を話したかもよくわからぬ。それでは取り締まりの任を果たしたということにはならぬと私は思いますがね。少なくとも、こういう動向があったとか、あるいは最近の右翼の動きとしてこういうことが語られたとか、そういう右翼の動向を察知するには最適な機会じゃないか。それをそのまま許しておくということは、これは、やはり、右翼を甘やかしているということ以外に言いようがないように思うのですが、どうですか。
  124. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 その一軒のレストランを借り切って、それで、そういう者だけで食事しているということになりますと、なかなかうかがい知れない状況だと思います。しかし、七十名も集まりましたので、やがてわれわれの努力によってその内容についてわかってくるというふうに考えておりますが、現在の段階では、まだわかっておりません。  それから、これらの右翼は、いま殺人鬼とおっしゃいましたが、そういうような範疇に属するとは思われない団体であるというふうにわれわれは考えております。
  125. 林百郎

    ○林(百)委員 右翼の綱領で、打倒共産党だとか、だれだれを殺傷せよとかいうことは、公然と隠然と掲げているわけですよ。警備局長は右も左もと言いましたけれども、民主的な勢力とか、あるいは共産党の集会といえば、わざわざ隠しマイクまでやる。たとえば私たちの党大会、これは警察がやったか、他の左翼の調査の官庁がやったかは別としても、それまでやっているのに、右翼がそれだけの者が集まっているとすれば、犯罪の危険もあるんだから、予防という意味で、警察官が行って、どんな情報なのか、どんなことが話されているのかということを問いただすことは当然じゃないでしょうか。そういう危険な右翼に対して、部屋を借り切っているから警察も中に入ることができませんでしたと言うが、中へ入ることだってできるじゃないですか。公然たる料亭ですもの。何で行かないのですか。少なくとも、一部屋貸してもらいたいという申し入れでもしたのですか。それは、だれが考えたって野放しですよ。それは、密室で、秘密にやっているのなら別ですよ。公然たるバーベキューの料亭ですよ。だから、警察と言って行ってもいいし、あるいはどういう名称で行ってもいいけれども、四、五人で部屋をぜひ貸してもらいたい、どうしても必要だからということで行ったのですか。そのぐらいの知恵は出るでしょう、あなた。そういうことが専門の警察じゃないですか。そんなこともやらないなんということなら、私が先ほどから言っているように、山本警備局長はだいぶ気に入らないような顔つきをしていますけれども、それは右翼を甘やかしているということじゃないでしょうか。何らかの対策を講じたのですか。
  126. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 これは、林委員からもお話しがありましたように、借り切ってしまったという形で行なわれたわけです。しかし、これは、われわれが聞いたところでは、懇親のために、いわば食事をするという形で、それらの団体が特にそこで不穏な相談をするというような情勢ではないという判断でございましたので、特段の情報収集の措置は講じなかったわけでございますが、その後、こういうメンバーもはっきりいたしましたので、いずれ、彼らに、どういう内容であったかは尋ねてみておきます。
  127. 林百郎

    ○林(百)委員 私は、私のほうの委員長のことについてはあまり言いたくないのですけれども、しかし、あなたのほうから先に言われた。そこから五十メートル先には宮本委員長の私宅があるわけでしょう。しかも、右翼の綱領としては、反共なんでしょう。しかも、「次には宮本、野坂はどんなことがあっても殺すのだ」ということを公然と隠然と言っている右翼があるわけなんですから。そういう右翼が料亭を借り切って宴会をしているというのだから、警察は、犯罪予防の立場から言っても、警察の者だけれども、どういう情勢なのか、あるいはどんな話をしているのかと言って、ちょっとそこの使用人なり管理人に聞いたって聞けることじゃないですか。あるいは、万一に備えて一室を借りるなり、あそこにバンガローだってあるわけなんですから。バンガローを一つ借りたっていいじゃないですか。そんなこともできないということはないでしょう。さっき私の言ったように、共産党の国会議員はみな殺しにするんだということまで言っている右翼もあるわけなんですから、それでは安心してわれわれは政治活動に携わるわけにいかなくなるじゃないですか。警察は中立的な立場にあるという信頼だって持つわけにいかないじゃないですか。私は、もう少し真剣に考えてもらわなければいかぬと思うのですよ。左翼に対しては隠しマイクまでしている。公安調査庁か、あるいは警察か知りませんけれども、おそらくその辺は密接な関係があるでしょう。右翼に対しては、料亭を借り切ってしまっているので、どうにもわれわれは手が出ませんでしたということじゃ済まない。ですから、きょうもしここで答弁ができなかったら、このことについては、どういうことが語られ、どういう模様だったかということを、あらためてまた必ず山本警備局長に聞きますから、よく調査をしておいてもらいたい。  それから、丸山官房長に聞きますが、きょうは、残念ですけれども、長官も次長も見えない。国家公安委員長はもちろん見えません。はなはだ残念ですが、山本警備局長を当面の相手としてやっておるわけです。しかし、これは日本の国の警察の姿勢そのものに関する重要な問題だと思うのですよ。五十メートル先に、常に殺傷する、殺傷すると言っている政党の最高の幹部がいる。そこの料亭を借り切って右翼が酒宴を催している。その模様を何もつかんでいない。つかもうという努力もしなかった。料亭が貸し切られたものですからどうにも手が出ませんでしたと言う。そんな警察の態度ってないですよ。私はもう実に憤慨にたえないと思うのです。これは警察の姿勢として問いたださなければなりません。私、次の機会には必ず問いただしますから、よくその実情を調べて、国家公安委員長なり、あるいは警察庁長官なりが、十分われわれが納得するような答弁のできるようにしてもらいたい。料亭なんですから、使用人だっているわけですから、管理者だっているわけなんですから、聞こうと思えば幾らでも聞けるわけですよ。それも何もしていないという、そんなばかなことはないですよ。必ずこれは十分調査しておいて、次の機会に答弁をしてもらいたい、こういうように要望しておきますが、官房長、どうでしょうか。
  128. 丸山昴

    ○丸山政府委員 ただいまの件につきましては、先ほどから警備局長が御答弁申し上げているところで、当方の意は十分尽くしておるように私は考えております。ただいま先生から、特に国家公安委員長警察庁長官にその意を伝えるようにという御趣旨の発言がございましたので、私のほうでも、大臣と長官には、先生のおっしゃったことをよくお伝えいたしたいと思っております。
  129. 林百郎

    ○林(百)委員 時間がありませんので、いろいろ準備してまいりましたが、もう一問だけにしておきます。  指定自動車教習所と警察との関係でとかくの風評を耳にしますし、またある新聞では、この問題を連載にして書かれた記事も載っておるわけなんですけれども、指定自動車教習所へ警察出身の人がいろいろと天下っているというか、これはおそらく退職後みんなここへ行っているのじゃないかと思いますけれども、これはどういう状態になっていますか。わかった数字を、これは交通局長ですか、ひとつ説明していただきたいと思います。
  130. 渡部正郎

    ○渡部政府委員 ことしの七月十六日現在で調査したものに基づいて申し上げたいと思います。指定自動車教習所の職員、従業員と申しますか、設置者、管理者、技能検定者、技能指導員、学科指導員等があるわけでございますが、いま申し上げました種類の合計について申し上げたいと思います。  総数が、全国で約四万人ほどおられるわけでございますが、その中で、元警察官という人が、パーセントにいたしまして六・八%ほどでございます。なお、いま申し上げました職種によりましてこの比率が非常に違うわけでございますけれども、たとえば、非常に多いのは、管理者が八〇・九%というふうに、警察前歴者の比率が非常に高くなっております。技能検定員、これは試験をするわけでございますが、技能検定員なんかになりますと、四・六%というふうに、非常に比率が低くなっておりますし、設置者、これも二二%というふうに低くなっています。実際にこの学校にいらっしゃる生徒と直接接触されるという立場で学科指導員というのがあるわけでございます。これはもっぱら道交法の講義なんかをする仕事だと思いますけれども、これは元警察官の比率が比較的高くなっておりまして、二七・八%というような状況になっております。
  131. 林百郎

    ○林(百)委員 他の部門は別として、私のほうも警察から資料を取り寄せたのですが、管理者が、全国で、千二百五十六人のうち千十六人で、八〇・九%。管理者で、元警察出身が八〇・九%ということになりますと、自動車教習所は、ほとんど警察官の天下りの機関と同じようなことになるわけなんですが、この管理者の八〇・九%というのは、どうしてこんなにパーセントが多いのでしょう。管理者というのは、教習所においてどういう身分を取得しているものでしょうか。もちろん、われわれが警察官の老後の生活について考慮しないというわけじゃありませんけれども、しかし、自動車教習所というような厳格な技術の訓練を必要とする教習所に、しかも、国家公安委員会のもとにあるものに、警察出身の者が管理者として八〇・九%も全国で出るということになれば、これは新聞にも出ておりましたのですけれども、世間から言えば、自動車学校と警察はツーツーじゃないかということが言える。  それから、これは福岡県内ですけれども、このことについて新聞の記事を見ますと、福岡県内三十九の自動車学校長のほとんどは歴代警察の幹部上がりであり、学科指導員の大半は、警察の退職者、いわゆる監督官庁からの天下りなのだ、こういうことが言われているわけなんですが、管理者に、こんなに、八〇・九%もパーセンテージが多いというのはどういうことなんですか。また、管理者という身分、地位はどういうものなんでしょうか。
  132. 鈴木金太郎

    ○鈴木説明員 交通企画課長でございます。  道路交通法施行令三十五条の一項一号の口の関係でございます。「道路の交通に関する業務における管理的又は監督的地位に三年以上あった者その他自動車教習所の管理について必要な知識及び経験を有する者で、次のいずれかに該当しないものであること。」というふうな条文になっておりまして、平たく申し上げて、学校の教育管理と申しますか、一般世間的に申し上げますと、校長のような仕事をするのが管理者でございます。
  133. 林百郎

    ○林(百)委員 その教習所の校長のような立場にある者が警察出身者であって、そして、その警察出身者が校長のような立場にある自動車教習所というのは、もちろん国家公安委員会——地方に行けば公安委員会になりますけれども、その公安委員会のいろいろな監督を受けるわけですね。たとえば道交法の九十八条によりますと、「公安委員会は、指定自動車教習所が第一項に掲げる基準に適合しなくなったとき、若しくは第六項の規定に違反したとき」は、「その指定を解除し、又は六月をこえない範囲内で期間を定めて当該指定自動車教習所が当該期間内における教習に基づき第六項に規定する卒業証明書」を「発行することを禁止することができる。」とある。こういう指定自動車教習所の指定を解除することもできる。それから、卒業証明書の発行を禁止することもできる。それから九十八条の第十一項によりますと、「公安委員会は、前項の規定により卒業証明書」「の発行を禁止したときは、当該指定自動車教習所を設置し、又は管理する者に対し、当該指定自動車教習所を第一項に掲げる基準に適合させるため必要な措置をとるべきことを命ずることができる。」とありますね。これはもう言うまでもなく、こういう厳重な自動車教習所の指定並びに卒業証明書の発行、またはその施設に対する必要な措置の命令というものを警察がやらなければならない。ところが、その警察がこういう規制をしようとするときに、相手方の自動車教習所の管理者が警察出身者だということになれば、人情として、まあよろしくとか、それじゃまあこうしておこうとか、あるいは、実習の一つとしての公の道路での実地練習をする場合に、警察と教習所とのなれ合いがあるとか、そういうものが出てきはしませんか。現に、そういう非難が世間からも相当耳に入ってきておりますし、さらには、新聞でも、連載ものとして書かれるようになっているということは、これは好ましくない事態だと思いますが、どうお考えになりますか。
  134. 渡部正郎

    ○渡部政府委員 御指摘のとおり、管理者の中で、約八〇%ほどは警察出身者が占めている現状でございます。指定自動車教習所というのは、もちろん民間の企業でございますけれども、やっておりますことが非常に特殊でございまして、運転の技術の習得をさせるとか、あるいは道交法の知識を習ってもらう、それで安全な運転者を養成するという、非常に特殊な仕事であるわけでございます。お話しもございましたけれども、従来、また現状におきましては警察出身者は交通法規に精通している人が多いわけでございまして、また、人柄も信頼できる、あるいは署長経験者などもだいぶいるようでございますけれども、職員の方の管理能力もあるというようなことで、一般的には好感をもって受け入れられているだけではなくて、教習所の適正な運営に大きく寄与しているというふうに私ども考えているわけでございますが、御指摘のとおり、反面、これは公安委員会指導監督を受けるわけでございまして、もと警察官であったということでその指導監督面がゆるがせになっては、これはたいへんなことでございます。警察庁の方針といたしましては、警察出身者の有無にかかわらず、教習所の施設、人的な要件、教育水準などにつきまして、指定基準の維持がなされているかどうかということを指導監督するわけでございますけれども、これは厳正公平に行なっている状況でございます。  なお、昭和四十七年中に、いまお話しのございました卒業証明書の発行停止処分をやったのは十六件ございますけれども、この十六件の処分を受けました教習所は、全部、警察出身者が多かれ少なかれ入っている学校でございます。管理者につきましても、この十六校のうち数校は、管理者も警察出身だということもあるようでございまして、お話しの御心配の点はもっともだと思いますけれども、私どもといたしましては、そういうことがありますだけに、指導監督につきましては、厳正公平に行なっているつもりでございます。いまのところは取り立てるような問題は起こっていないというふうに考えておりますし、いま申し上げましたように、十六件の処分の中に、警察出身者の入っている学校がほとんどだという点も、そういう点の一つの証左になるのではないかというふうに考えます。
  135. 林百郎

    ○林(百)委員 では、私はこの一問で終わります。  実は、自動車学校というのは、御承知のとおり、そこで勤務している人たちが組合をつくって、全自交という全国的な労働組合に入っているわけです。私のところへそこからの投書が来ております。参考までに耳に入れておきますが、「福岡県の場合、指定自動車学校会の圧力が強く県警免許課も金力の前では営利企業には全く形なしの牛耳られっぱなしである。」と言うのです。要するに、警察のほうが指定自動車学校会の圧力によって牛耳られっぱなしだ、営利企業には全く形なしの牛耳られっぱなしだということで、現にその自動車学校で働いている方からの投書が来ております。  それから、もう一つの問題は、その自動車教習所に働いている労働者や労働組合の運動に、管理者の要請に基づいて警察が介入してくる。たとえば、大阪のある自動車学校では、労組の書記長が同じ自動車学校の労働者になぐられたということを告訴したのですけれども、これは起訴しようともしないし、取り調べようともしない。東京では、この自動車学校の労働者のストライキに機動隊が出てくるというようなことですね。こういうことで、非常な大きな疑惑を持たれているということに十分関心を持ち、いやしくも、そこで働いている労働者の労働運動に、管理者が警察出身者であるからといって、たやすく不当な労働介入をしないというようなことを、はっきりここで、これは官房長と交通局長答弁をしてもらって、私の質問を終わります。
  136. 渡部正郎

    ○渡部政府委員 いまお話しのございましたところの、営利企業に形なしの、指定自動車学校会に牛耳られっぱなしという投書があったというお話でありますが、その指定自動車学校の会というのは、教習所側が自主的につくっておられる会ではないかと思いますが、そこから個々の教習所が牛耳られっぱなしというのは、ちょっと具体的なことがわかりませんので、これはちょっとお答えしにくいと思います。
  137. 林百郎

    ○林(百)委員 そういう警告が国会であったということについて、調べてみてください。
  138. 渡部正郎

    ○渡部政府委員 労働組合の問題につきましては、従来、教習所の労働組合活動に関して警察が介入したという事例はあるというふうに私は聞いておりません。もちろん、それに警察が介入すべきものではございませんし、今後そういうようなことはないと私は信じておりますけれども先生がおっしゃいましたように、その点については十分警戒してまいりたいと思います。
  139. 丸山昴

    ○丸山政府委員 ただいま交通局長から申し上げましたことで十分意を尽くしておるように存じますが、私どものほうも、長官、大臣によく申し上げておきたいと思います。
  140. 林百郎

    ○林(百)委員 済みました。
  141. 上村千一郎

    上村委員長 三谷秀治君。
  142. 三谷秀治

    ○三谷委員 私は、消防力と国の財政措置についてお尋ねしたいと思っておりますが、大蔵省も見えておりますから、先に、丸の内消防署の移転計画をめぐる問題についてお尋ねしたいと思う。  東京都丸の内消防署の移転計画によりまして、千代田区大手町一丁目八番地の丸の内消防署の敷地八百二十三平米が、他の十一カ所の都有地一万二千四十三平米とともに、本年の三月三十日に、大手町一丁目三番地の旧労働基準局あと地千七百二十九平米の国有地と交換されまして、交換の翌日、この国有地はすぐさま大洋漁業株式会社に交換払い下げが行なわれております。このトンネル処分に多大な疑惑が持たれておりますが、この経過についてお尋ねしたいと思う。消防の移転計画から先に聞きましょう。
  143. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 ちょっとおそれ入りますが、もう一度、私どものほうにお聞きになりますポイントを教えていただきたいと思います。
  144. 三谷秀治

    ○三谷委員 丸の内消防署の移転計画があるわけですね。この移転計画につきましては、どういう構想によるものか。
  145. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 丸の内消防署の移転計画は、東京都の消防庁の一つの組織の移転計画でございまして、私ども、それ以上のことはただいま承知をいたしておりません。あるいは、御要求があれば後刻調査して御報告申し上げてもよろしゅうございます。
  146. 三谷秀治

    ○三谷委員 御承知ありませんか。それじゃ、大蔵省のほうの払い下げの経過についてお尋ねしたい。
  147. 勝川欣哉

    ○勝川説明員 千代田区大手町一丁目所在の東京労働基準局あと地六千四百四十七平米のうち、四千二百九十七平米につきましては、かねてから、東京都から、東京消防庁の本部庁舎と、その直属の行動機関である丸の内消防署の新営庁舎敷地として転用方をお願いしたいという要望が出されていたわけであります。これは、東京消防庁及び丸の内消防署は、それぞれ現存しておりますが、東京都といたしましては、地震その他の災害に対する総合的な施策の上から、位置、環境及び規模において、条件のよいこの労働基準局あと地に新営移転したいという御要望がございまして、最初の御要望は、昭和四十六年の八月二十五日に正式に提出されております。  私たちといたしましては、現下の都市事情に対応した消防機能の充実、整備をはかることから、これを適当と認めて、本地を東京都にお渡しすることとしたわけであります。転用の具体的な方法といたしましては、労働基準局あと地四千二百九十七平米のうち、千七百三十平米を丸の内消防署、いま先生の御指摘のありました大手町一丁目所在の八百二十三平米でありますが、消防庁敷地のほか他の都有地四カ所、合計一万二千四十三平米との交換で処理するということで、昭和四十八年、ことしの三月二十六日に東京都との間で交換契約を締結した次第であります。  なお、この丸の内消防署の敷地につきましては、隣接の土地所有者であります大洋漁業から、所有地と一体として将来ビルディングをつくりたいという御要望がありまして、国といたしましては、このように交換をいたしました丸の内消防署敷地と、国が目下不足しております庁舎、具体的には板橋税務署の新営用地でありますが、その用地と交換する、それによって国有地を有効に活用するのが適当であろうと認めまして、昭和四十八年三月三十一日に交換契約を締結した次第であります。  なお、本件処理につきましては、昭和四十七年六月二十九日の第九十回国有財産関東地方審議会に付議して了承を得ている次第であります。  なお、丸の内消防署の敷地の大洋漁業への処分につきましては、東京都と、労働基準局あと地につきまして交換する際に、大洋漁業のほうからは、かりに丸の内消防署敷地をお受けした場合には、東京都に、丸の内消防署が労働基準局あと地に移転するまでの間無償でお貸しして、消防機能を阻害することのないように、確かにお約束いたしますという確約書がありますし、また、一方、東京都からは、労働基準局あと地に移転するまでの間無償で貸してくれて、かつ、消防機能を阻害することのないようなものであれば、関東地方審議会の方針によってこれを処分されても差しつかえありませんという文書を実はいただいておりますので、私たちといたしましては、土地の有効利用の見地からこのような処分をいたしたわけであります。
  148. 三谷秀治

    ○三谷委員 いまいきさつを聞きましたが、国有財産交換というのは、元来、言いますと二十七条において規定しておりますけれども、「公共団体において公共用、公用又は国の企業若しくは公益事業の用に供するため必要」な場合におきましては交換を認めるという規定になっている。そこで、この大洋漁業というのがどういう計画書を提出しておるのかお尋ねしたい。  それから、いま、隣接地の大洋漁業から申請があったとおっしゃいましたけれども、その隣接地というのも、いまから三年前に、同じように国有地を大洋漁業と三和銀行に払い下げされておる。払い下げしながら、隣接地の要求だからこれを聞いたのだという論旨は通りませんぞ。国有財産の交換につきましては、大蔵省の国有財産局の総務課長などが「国有財産事務総覧」という著書を出しておりますが、これによりましても、「交換が安易に行なわれると、ひいては予算制度の建前をくずして、例外的な契約方式とされている随意契約を乱用する弊害を招くことになるから交換制度の運用にあたっては、慎重に取り扱う必要がある。」として、「慎重に取り扱う」と言っている。三十日に国有地になったものを、三十一日に大洋漁業に払い下げをしておるわけだ。要するに、これは、払い下げをするために交換したのだという性質をはっきりと示しておる。この「交換渡財産についての相手方の利用目的の面についても十分検討し、渡財産が国民全体の利益に適合した用途に活用されるよう積極的に考慮する必要がある。」これが大蔵省の国有財産局の見解になっておる。そこで、この「交換制度の運用にあたっては、慎重に取り扱う必要がある。」ということについては、どのように慎重に取り扱ってきたのか。そして、国有財産法の二十七条との関係はどうなのか。  もう一つは、相手方の利用目的を十分に検討したのか、その利用目的はどうなっておるのか、そういう点についてお尋ねしたい。
  149. 勝川欣哉

    ○勝川説明員 まず、第一の、慎重に検討したのかという御質問に対しては、慎重に検討いたしております。そのために、この種の交換は、すべて国有財産関東地方審議会に付議して、学識経験者等の御審議をいただいて、よろしいという御答申をいただいて処理しているわけであります。  第二の、国有財産法の第二十七条の規定に関しましては、たとえば、今回の交換に関しますと、東京都と国の交換につきましては、これは両方とも公用の取得でありますから、交換は可能であります。また、国と大洋漁業との交換につきましては、国の庁舎及び宿舎という公用の用に供するための土地の交換でありますから、私たちといたしましては、第二十七条に適合しておると確信いたしております。  第三点の利用目的でありますが、大洋漁業といたしましては、あそこの土地は皇居前の区画地にありまして、皇居前のあそこのところにつきましては、現在、大体二十五階建てのビルディングを建設したいという利用目的になっておりまして、平面図で見ます限りにおきましては、丸の内消防署の敷地の相当部分は道路及び緑地等の空地になるわけでありまして、都心における土地の有効利用、オープンスペースの確保の見地から、私たちといたしましては、この利用目的は妥当なものと考えた次第であります。
  150. 三谷秀治

    ○三谷委員 三年前の払い下げについては触れていませんが、あとでまた聞きます。  そこで、二十七条はこうなっているでしょう。国の普通財産を交換する場合には、「国又は公共団体において公共用、公用又は国の企業若しくは公益事業の用に供するため必要があるとき」となっているのですよ。ですから、普通財産を処分する際における相手方というものを規定している。これが一つの問題でしょう。  それから、もう一つは、あなたは、国が必要とする庁舎等の土地と交換をしたものだとおっしゃいますけれども、これはごまかしがあるのだ。この、国が交換に当てました土地、大洋漁業が渡しました土地、つまり、国からいたしますと、受け入れ地ですね。受け入れ地というのは、大洋漁業の固有の土地じゃないでしょう。交換のために、つまり随意契約で交換をするために代金を土地で支払わせる、そのために一定の土地を注文してつくらせる、こういう処置になっている。固有財産との交換じゃない。つまり、普通でいきますならば、当然これは競争指名入札等を行なうべきものでありますけれども、随意契約によって大洋漁業にこの土地を渡さんがために、代替地をことさら指定をしてつくらせるという処置をとっている。これは明確なことです。そうしますと、これは一つの作為的な処置がとられてきている。そういう内容になっている。そうして、御承知のように、国有財産法によりますと、国有財産の売り渡し等につきましては、用途指定の問題が非常にきびしく規定されている。これは議員提案によりまして、国有財産の売り払いなどにあたりましては、用途並びにその用途に供しなければならない期日だとか期間を指定するということになっている。要するに、国有財産を交換しあるいは処分するときには、厳密な用途指定というものが必要である。当然のことです。そういう規定になっている。  そこで、この大洋漁業のビルにつきましては、土地の有効利用だなんということを言っているのだが、一体、そこに公共性を見出しているわけですか。  それから、これも同じ内容のものですけれども、国有財産中央審議会の答申が出ている。これによりますと、今後は、国有財産の取り扱いの適正を期するため、単に、形式的に随意契約の対象として適格であるかどうかということだけでなしに、公共的な用途に優先的に充てることを主眼とする、その財産の性質、状態、環境等から見て、十分な検討を加える、特定の相手方に売り払う場合、交換の場合も一緒だけれども、できる限り競争による方法を取り入れるべきだ、こういう答申が出てきておる。こういう観点からしましても、この大洋漁業との交換というものはきわめて妥当性を欠いている。いまの点について御答弁いただきたい。
  151. 勝川欣哉

    ○勝川説明員 非常に数多くの項目についての御質問でありましたので、あるいは答弁落ちがあるかもしれませんけれども、私の記憶する限りにおいて御答弁いたします。  まず、第一に、この第二十七条は普通財産の処分の規定ではないかということに関しましては、丸の内消防署の敷地は、東京都の消防庁から見れば、建物は一応行政財産になりますが、国の立場からは、その敷地は普通財産として区分されておりまして、すなわち、国が直接行政用途として使っている土地ではありませんから、本件は普通財産でありまして、第二十七条によって処分したわけです。
  152. 三谷秀治

    ○三谷委員 行政財産のことを言うておりはせぬ。
  153. 勝川欣哉

    ○勝川説明員 いや、普通財産かどうかというお話しかと私は理解いたしました。  第二点の買い取り。本件は、大洋漁業固有の土地ではないではないか、国の注文によって取得した土地ではないかという問題でありますが、確かに、先生のおっしゃるようないろいろ検討するべき問題は含まれておると思いますが、しかしながら、たとえば現在の土地事情のもとにおきましては、相手方が所有している土地が、必ずしも国の庁舎並びに宿舎として公用に適している土地とは限らないわけであります。その際、私たちといたしましては、国有地をいたずらに払い下げるということでなしに、それが現在において適切な利用計画がない場合におきましては、最も望ましい土地とこれを交換することが土地の有効な活用と国の行政遂行の円滑を期するゆえんであると考えたわけでありまして、こちらの要望する価格の代替の土地を先方にお願いして取得していただいておるということはあるわけであります。法律上から申しますと、国有財産法第二十七条の交換は、取得の時期及び経緯を問わず、相手方の土地が国として有効なものであるならば、それと交換してよろしいという趣旨に解せますので、私たちといたしましては、国有財産法の規定に反するとは考えておりません。  もう一つ、先生の御指摘の、この点に関連いたしまして、一般競争に付するのを何でこういうふうな特定の者と随意契約を結んだかという問題につきましては、会計法の第二十九条の三の第四項だと思いますが、契約の性質上競争を許さない場合には、これは随意契約によることができるというふうな規定がございます。したがいまして、法令上は、交換である限りにおきましては、これはそもそもその土地を取得しておる者が国として利用可能な土地を有しておるのであれば、競争を排して随意契約をすることはできるわけでございます。  ただ、先生の御指摘のように、やはり、競争を排して随意契約をする以上、たとえ会計法の規定で随意契約が可能であっても、これを単純なる時価において相手方に処理することは、常識的に必ずしも好ましくないという感情的な問題があるということも考慮いたしまして、私たちといたしましては、法令上時価処分が可能である本件の場合におきましても、時価よりも三割も高い、いわゆる有利価格、国において有利な価格をもって大洋漁業に処分したわけでございまして、この三割というのが妥当かいなかという点につきましては、現在慎重に検討しておりますが、少なくとも、従来の通常の場合においては競争を許さない程度の高い値段である。先ほどの会計法にまた別途の規定で、競争を許さない程度に高ければ、これは随意契約で売ることができるということになっておりますので、いわば、国といたしましては、二重に会計法の趣旨を尊重いたしまして、交換処理をしたわけでございます。  第三点の、処分に関して用途指定をつけておるかという問題につきましては、これは、契約書におきまして、相手方の申請による利用計画どおりの用途に供することというふうな条項を入れまして、今後何年かにわたりまして、相手方が契約書に定めましたとおりの用途に供することを義務づけております。  それから、土地の有効利用の議論を持ち出すのかということ、それと、もう一つは、公共優先ではないかという問題につきましては、私たちといたしましては、現在、公共を優先的に国有地を充てるということという方針をとっておりまして、現在も変わることはございません。しかしながら、本地につきましては、八百二十三平米の丸の内消防署をいただきまして、ここに小さいビルディングを建てて、いわば不整形なビルが相並ぶということよりも、これを隣接地の大洋漁業と一体にして、皇居の美観に即したビルディングをつくって、十分なオープンスペースをとったビルディングをつくって、そこに、新しい都市計画的な見地のもとでの近代的な都市機能を備えたオフィス街をつくる、片や、国の必要とする税務署及び公務員宿舎用地を取得するということは、土地の有効利用及び国の公用も充足するという見地から、妥当な措置と考えた次第でございます。
  154. 三谷秀治

    ○三谷委員 聞いていないことまで答えてしまって、調子が悪くて困るな。  そこで、お尋ねしたいのは、あなたがおっしゃいました一つは行政財産と普通財産の問題。ここが、いま、丸の内消防署として、実際に公共に供している。使っている。だから、これは明らかに行政財産であることは間違いがない。その行政財産というのは、売り渡しも、貸し出しも、交換もできない。そのできない行政財産というものを交換の対象にしている。国としては、これは行政財産ではない、地方自治体にとっては行政財産だ、こう言っている。しかし、地方自治法を守るということは、地方自治体だけの責任じゃない。政府もそれを順守して行動をとることは当然のことです。その行政財産というものを普通財産と同じように扱って、交換に使ってきている。ここに一つごまかしがある。もう一つは、国有財産法二十七条というのは、これは行政財産の規定じゃない。普通財産の規定になっている。普通財産というものを交換する場合には、その使い道はどうであるということと、あるいは、価格の差額についての制限などを規定しているわけです。だから、これは行政財産を規定したものじゃない。行政財産を動かすことはできない、これははっきりしている。  そこで、あなたにお尋ねしておきたいと思いますが、あなたの論旨でいきますと、ビルの高層化をはかって、そして有効利用をして、そのことが公共性を意味すると言うならば、大企業の建築物なんというものはすべて公共的なものになってしまう。公共性をそこら辺まで拡大して解釈しますと、依然として、大資本の行為がすべて優先されるという結果になることは明白なことなんです。公共用というのは、公共福祉にとってどうかという意味であって、ビルが高いから低いからというふうなところで公共性の論議をすべき性質のものじゃない。  もう一つ、あなたにお尋ねしたいのは、四十五年の四月に、同じ大手町の一丁目二番地の一、これは都有地ですが、これと、中央区築地五の三、海上保安庁の水路部のあと地の国有地を交換している。この交換しました国有地は、これがまたすぐさま大洋漁業に九千八百平米、三和銀行に二千八百平米払い下げをしておる。この払い下げも随意契約であって、交換を理由としてやってきている。この場合も、三和銀行にしましても、大洋漁業にしましても、固有の所有地があったわけではない。これこれの土地を持ってきなさい、これこれの土地を希望するんだ、そういう条件を出している。つまり、随意契約で払い下げをするということはできないから、土地を持ってきなさい、代金のかわりに土地を払いなさい、こういう処置になっている。土地が必要であれば公告しなければいかぬ。処分をするのであれば、公告をしなければいかぬじゃないか。しかも、交換につきましては会計法によって規定しておりますけれども、「価格及びその他の条件が国にとって最も有利なものをもって申込みをした者を契約の相手方とすることができる。」となっている。交換という行為であっても、相手は単数とは限らない。競争によって交換処置をとるということもあり得るわけです。ところが、なぜ三和銀行と大洋漁業だけに払い下げをされましたのか、お尋ねしたい。
  155. 勝川欣哉

    ○勝川説明員 第一点の行政財産か普通財産かという問題につきましては、先ほど申しましたとおり、私たちといたしましては、国の基準で言います普通財産でございます。  東京都の行政財産、建物としての行政財産をおまえは無視しているのかという御質問につきましては、先ほど申しましたように、これが、恒久的に丸の内消防署がそこに残存して活動するというのであれば、私たちといたしましても別途の考慮があったと思いますが、三年後等のあとにおきましては、国が提供しました土地に新しいビルをつくって移るということと、それまでの経過的期間においては無償で借りて、しかも、消防機能を阻害することがないという保証がありますので、私たちといたしましては東京都の行政財産を無視したということにはなっておらないと考えておりますし、現に、東京都におきましても、内部のいろいろ審査会を経て処分することにきめたというふうに聞いております。  第二点の、高層ビルがイコール公共的目的かという点につきましては、先ほどの私の答弁があるいはお聞きづらかったのかもしれませんが、私といたしましては、都心の高層ビルにふさわしい土地に、都市計画的な見地から見て好ましい高層ビルができることは、土地の有効利用に適するだろう、しかも、その土地との交換において、国の不足している公用財産としての土地を取得することは、公共的見地にかなうと申したわけでありまして、高層ビルイコール公共的利用ということは毛頭申している次第ではございません。  その次の、三和、大洋の問題につきましては、確かに、先生指摘のとおり、四十五年の六月十八日に、東京都と交換した土地を大洋及び三和銀行に交換によって処分しております。これにつきましての根拠規定につきましては、先ほど申しましたように、会計法で、交換というものにつきましては競争を許さないということで認めておりますし、私たちといたしましては、これにつきまして、当面国が利用する計画もなく、かつ、これを財源といたしまして、方々に非常に不足している行政財産を取得することができるという見地から審議会にかけて、このような措置をしたわけであります。
  156. 三谷秀治

    ○三谷委員 あなたの説明は、質問に一つも答えておらない。なぜ三和や大洋にだけ交換払い下げをやったのかと聞いている。交換払い下げということが国として必要であれば、公告をすべきじゃないか。内々でこっそりと随意契約をやってしまう、そういう処置をすべきではない、こう言っているのです。  それから、丸の内消防署の現在使っておる土地、建物、これは、東京都にしましたら行政財産です。しかも、これは使っている限りは行政財産だ。行政財産として使ってきている。これを使用することを廃止した場合に普通財産になるわけです。そのときに普通財産としての取り扱いができるわけです。それを、廃止も待たずに、現在使用中のものを、急遽これを普通財産とみなして交換処置をとるというふうな無理なことをなぜやる必要があるのか。このことをお尋ねしたい。  それから、あなたの説明を聞いておりますと、高層ビルを建てるためには、大いに国有地を提供するという意味にとれる。そのこと自体一つ問題がある。高層ビルのためには、積極的に国有財産を提供するという考え方ですか。そうして、もしも三和や大洋との交換がそういう趣旨のものであったとしましても、高層ビルを建てるのは、三和や大洋だけじゃないでしょう。高層ビルを建てるという使用目的を付して交換にかける、売り渡しをする、そういうことは、何も三和、大洋に限ったことじゃない。なぜ三和、大洋というものだけが対象にされたか。しかも、交換の土地というのは、交換の話し合いを始めてから三和や大洋が調達をしてきたものだ。   〔委員長退席、小山(省)委員長代理着席〕 要するに、本来の固有の土地じゃない。つまり、払い下げをするために一定の土地を調達させる、土地で代金を支払わせる、こういう欺瞞的措置をとっている。それなら、なぜ三和や大洋だけを対象にしてやるのか。公告によりまして、もっと有利な交換もあるわけだ。もっと有利な国有地としての使用用地というものを選択することもできるわけです。それがなぜ行なわれていないのか、お尋ねしたい。
  157. 勝川欣哉

    ○勝川説明員 いまのお尋ねのうちの行政財産云々の問題につきましては、先刻お答えしたとおりでありますので、あらためてふえんする問題はございません。  なぜ三和や大洋に交換として処分したのかという問題につきましては、何ぶんにも、私がおらない前の話でありますから、推察でありますが、おそらく、この土地を東京都から国が交換する際に、三和及び大洋あるいはその他の会社もあったかもしれませんが、ここを要望したのだろうと思います。まず、東京都は、これを交換売り渡ししたわけでありますから、東京都としても使う計画がない。国においても、当面使う計画はない。そうすると、要望が出ておるところであって、かつ、利用計画がわりと適当な利用計画であり、資金的能力があること等を判断して、これに適当な土地を交換で提供するならば、これを渡してもいいという交渉をおそらく行なったのであろうと思います。その結論から、相手方が適当なものと認められましたので、交換受け地につきましても、ことごとくこれを関東地方審議会に付議いたしまして、利用計画、遂行能力、向こう側から渡す土地、それぞれについて審査の結果、適当なものであろうと考えたわけでありまして、確かに、公正なる競争を担保する見地から申しますと、先生のおっしゃいましたとおり、公告して一般競争入札に付することも考えられますが、私たちといたしましては、その場合には、NHKあと地の処分のように、地価の高騰を国が助長するのではないかという議論がまずある。もう一つは、そのときに、高ければいいというのであれば、利用計画が必ずしも適当なものでないこともあるかと思います。それやこれやを考えましてこのような措置をした次第でございます。ただ、先生指摘の点につきましては、帰りまして、内部によく伝えまして、今後の行政の検討の指針といたしたいと思います。
  158. 三谷秀治

    ○三谷委員 行政財産の点については先ほど答えたとおりだとおっしゃいますが、ちっとも納得しておりはしません。いま、東京都が消防署として使っているじゃないですか。これは行政財産ではないか。使用を廃止したときに普通財産になるわけです。そのときに交換の対象になるわけです。いま使用中のものを、法定上明らかに行政財産であるべきものを、交換の便法として普通財産扱いにするようなかってな処置がとれますか。これもあなた方の一つの詭弁にすぎません。  それから、いまの説明は、おそらくという説明でありましたが、おそらくではだめなんです。利用計画が適当であるとおっしゃっていますけれども、銀行の本社ビルを建てる、そのことが適当であるとかないとか、公共性の観点に立って判断できるのですか。そういう立場に立って国が土地問題を考えていくのですか。そんな考え方でしたら、大きな間違いですぞ。今度の大洋漁業の交換地にしても、協和銀行に根抵当として八十億円で担保に入っている。おそらく、大洋漁業が使うのではなしに、協和銀行の本店が建つであろうという推測がされている。何でも、高層ビルだったらかまわない。もともと、こういうところを処分しました場合には、これほどの地価の高いところを高層ビルを建てずに使えますか。だれに処分したって、高層ビルになるのは当然のことであります。何も、あに三和や大洋に限らぬ。どこに処分しても、公開処分しても、建つものは高層ビルにきまっている。それ以外では、経済的な効率が引き合いません。だから、あなたは高層ビルだからとおっしゃっていますけれども、それも理由になりません。  それから、この処置が行なわれましたから、四十五年に処分しました約四角形の土地の中に、東京消防庁が四角形の形で入ってきている。そこで、隣接地だから払い下げたということになっている。前の行為に連鎖して、今度は問題が起きてきている。だから、あなた方のやり方というものは、きわめて計画的であり、作為的である。しかも、この三和、大洋漁業というのは、国有地を手に入れる前、昭和四十一年から四十二年にかけまして、東京消防庁の建設がありまして、その過程におきまして、この消防庁の周辺の帯状の隣接しているところ、土地として全く価値のない、使用効率の乏しいところを自警会から買い取っているじゃないですか。これはビルにもなりはせぬし、どうにもこうにも使えるものじゃない。それを買い取ってきている。そのあとが先般の払い下げだ。そのあとが今度の丸の内消防署の払い下げだ。この経過を見ますと、一体因果関係がどうなっているか。明らかに、東京消防庁、丸の内消防署が建つ段階から、もう交換の体制を整えてきている。それに対応して、すっぽりと大洋漁業に渡してしまう。こういうやり方は、あなた方がどんなに説明されようと、国民が納得できるものじゃないということは明確なことなんです。この、四十五年の払い下げのいきさつにつきましては、あなたがわからなければ、どなたが御承知ですか。御承知の方から説明してください。
  159. 勝川欣哉

    ○勝川説明員 先ほどの行政財産の点につきましては、同じことの答弁で恐縮でありますが、私たちといたしましては、東京都のほうから、消防署の機能が阻害されないならば、これを他に処分してくださっても差しつかえありませんというお話しがあったわけでありまして、東京都の行政財産の担保の問題は、東京都の問題であります。国といたしましては、東京都から差しつかえないというお話しがありまして、国の基準から、普通財産でありますので、国の最も有効な用途に供した次第であります。  それから、先生の御指摘の帯状の問題でありますが、確かに……。
  160. 三谷秀治

    ○三谷委員 それは過程を説明したものであって、おたくと関係がない。それは必要がない。
  161. 勝川欣哉

    ○勝川説明員 そうすると、先生の再三にわたる問題は、なぜさような三和、大洋に交換して処理したのかという問題でありますが、これは、現実の過程といたしまして、非常に土地を要望している。しかも、これだけの大きい土地の資金調達も確保して要望しているところは、やはり、そういう関心を持って要望が来ているわけでありまして、そういう要望を踏まえて、いろいろ審査した結果、適当と認めて処分したわけであります。
  162. 三谷秀治

    ○三谷委員 要望が来ているということは、土地の使用価値があるということだ。そのことは、三和や大洋のみに限らぬ。公告されれば、もっと使用の希望者が出てくるかもしれない。出てくれば、国に有利な条件で処分をするというのが会計法のたてまえじゃないか。いま、あなたは、NHKの売買実例をあげて、ああいうふうになってくると困るとおっしゃっている。つまり、ここの評価というものは、今度の交換にあたりまして行なった国の評価より、もっともっと高いものだということだ。売買実例を見ますと、もっともっと高価なものだ。それを押えているわけだ。押えて、これを提供している。押えなければ、NHKのように非難を浴びる、こういう考え方なんでしょう。押えて処分するということは、相手方に対して利益を供与することじゃないか。しかも、相手方が交換によりまして受け入れました土地は公示価格以下、こちらが渡しましたものは公示価格以下になっている。これはあとで金額をあげて聞きますけれども、そういう状態にいまなっておる。そして、あなたがいまおっしゃいました行政財産移管の問題は、東京都の問題だなんということを言っておるが、そんな考え方じゃいかぬでしょう。行政財産はこういう種類のものであるということは、自治法できめておるのです。これは東京都だけが順守すべきものじゃないでしょう。国がこれを指導すべきものでしょう。自治大臣、そうでしょう。そうであれば、これが地方自治法によりまして明確な行政財産である限り、これを普通財産と称して交換に充てる、交換したとたんに大洋漁業に払い下げする、こんなばかげたことが許されていいわけはないのです。  それから、さっきおっしゃっていますけれども、要望しておったから、要望しておったからとおっしゃっておるが、要望というものは、これは大洋や三和だけじゃありません。土地が払底しておりますからね。しかも、ああいう丸の内の一等地です。NHKのあと地でも、坪当たり一千二百万しておるのだ。NHKは公開入札をやったけれども、あそこも公開入札にすれば、いまの交換価格は平米当たり百万だけれども、そんなものじゃない。これはもう明らかなことです。それを安く評価して渡すというようなことは、つまり、交換そのものがすでにゆがんだ行為だから、内容までゆがんできているのだ。こういう処置は認められませんね。どなたか、この四十五年の交換時からの説明ができますか。その方に来ていただいて、説明してください。
  163. 勝川欣哉

    ○勝川説明員 先生は、この時価について、非常に不当に安く押えておるというお話しでございましたが、一つ、非常に理解していただきたいのは、私どもといたしましては、消防署の敷地は、東京都から買ったわけでありますね。したがいまして、その評価につきましては、東京都の中の価格審査会で十分御審議いただいた価格でございます。したがって、安くも高くもないと確信しております。それを大洋に売ったときには、交換で処理したときには、時価の競争をしないで、大洋に処分するという見地から、その三割増しで売ったわけでございまして、私たちといたしましては、不当に安く押えて処分したとは考えておりません。  それから、四十五年当時の問題につきましては、私が現在の課長でありますから、いろいろ書類を調べてみますと、私のさきの推察のようなことには間違いないだろうと思います。ただ、私といたしましては、当時いなかったから推察を申したわけでございまして、かわりの者が来ても同じでありまして、役所のルールといたしまして、現存課長が御説明する立場でありますので、御了承いただきたいと思います。
  164. 三谷秀治

    ○三谷委員 それなら、もっと正確に説明してもらわぬと困るな。おそらく、というような説明じゃ困る。責任が持てる説明をしてもらいたい。  それから、いま、あなたが言われた東京都と交換した場合の価格ですね。これは、平米当たり七十八万と七十九万だ。これにつきましては、東京都の審査会ですか、これがきめた、こうおっしゃっている。それから、また、この民有地との交換については、国有財産の審議の担当地方審議会にはかったと言っているが、そんなことは理由になりませんよ。そんな審議会なんというものは、答申をするだけのものであって、行政庁の責任を持つものではない。要するに、政府が意見を聞くだけの機関にすぎない。そんなものを前面に出して、だから、だから、と言って、通りはしませんよ。  そこで、東京都と国との交換価格につきまして、これは双方が類似した価格になっている。確かに安い。しかし、これは、双方が安かろうと高かろうと、相殺されますから問題はない。問題にしていない。それを基準にしてものを考えちゃだめだ。国民の財産を処分しますときに——国民の財産だけではありませんけれども、一般的に言いまして、公示価格というものがある。売買実例がある。これを無視して値段がきめられるものじゃないのです。公示価格は一体どうなっているのか。公示価格は、千代田区の大手町一丁目一番地において、平米当たり百三十一万円だ。売買実例はどうか。売買実例を調べましたか。売買実例は、最も典型的なものは、NHKの平米当たり三百六十万円。あなた方のきめました価格は平米当たり百万円。これが私たちの評価だ。  受け入れ地はどうかというと、全く逆になっている。受け入れ地の一つは、板橋区の大山東町七十四番地、四千四百二十六平米、平米当たり十四万七千百八十九円になっている。この付近の公示価格は、大山東町四番地が、平米当たり十二万三千円だ。ここでは、公示価格よりも、平米当り二万四千円高く評価している。  もう一つの受け入れ地は、川越市の岸町一丁目五十番地、三千五百六十六平米が、平米当たり四万八千三百四十円になっている。この付近の公示価格は、川越市岸町三丁目十一番地で、平米当たり三万六千五百円。ここでも、公示価格よりは平米当たり一万一千八百四十円高い。つまり、渡す土地は公示価格よりも安く渡している。受け取る土地は公示価格よりも高く買い取ってやっておる。なぜこんなことになってきたのか、お尋ねしたい。これを合わせますと四億以上の損失になってきている。公示価格でそうなんだ。売買実例をやっていったら、もっともっと差がついてくる。
  165. 勝川欣哉

    ○勝川説明員 たいへん御熱心に御研究いただきまして……(三谷委員「ばかげたこと言うな、なめておるのか」と呼ぶ)恐縮でありますが、私たちといたしましては、相続税課税標準価格、固定資産税標準価格、売買実例、それぞれから国の基準価格を算定いたしまして、別途民間精通者、この場合には上社でありますが、民間精通者としてのフリーな御意見を伺いまして、それぞれを平均いたしまして価格をきめているわけであります。先生がいま公示価格を申されましたが、公示価格というのは、全国で限定された数しかございませんで、土地にはそれぞれの土地の立地条件、規模、利用状況等がある。品位差というのがございます。私たちは、最終的に出た数字を、この公示価格から、民間精通者とか課税価格から比較いたしました土地の品位差というものをかけて、この土地の値段を出しているわけでありまして、したがいまして、近傍の土地の公示価格ストレートに、それがすなわち売り払い価格になるものでは毛頭ございません。  さらに、加えて申しますならば、この丸の内消防署の敷地のうちの約二百四十平米は地下鉄が通っておりまして、これは、東京都が地下鉄から四、五〇%の権利金を取っているきずものの土地であります。そのまん中を地下鉄が通っているために、両方の土地がさら地一画として利用できないきずの問題もあります。そういうものをさら地価格から控除するのは当然のことであります。そういうふうないろいろな要素を勘案して、国としては、適正な価格をきめているわけでございます。したがいまして、直ちに公示価格から国損を来たしておるという御指摘は当たらないのじゃないかと思います。
  166. 三谷秀治

    ○三谷委員 公示価格が限定された地域で認定されていることは、教えてもらわぬでもわかっている。しかし、公示価格というものを選定しました場所というものは、一定の路線価というものをちゃんと加えている。つまり、路地の奥の妙なところは公示価格の認定地としていない。だから、公示価格というのは、道路地なら道路地、河川地なら河川地そのものも十分に参酌した価格になっているわけなんです。だから、一般的には高く取引されているけれども、公示価格の土地というのが、その地域におきましては最も一定の条件を備えている土地なんです。その周辺におきまして売買されました土地が、一般的に言いますと、公示価格以下であるのは当然のことなんです。それを高く買っている。売買実例を調べたと言っている。その調べた実例を示しなさい。どこどこの土地を調べたら何ぼやったか、あとで資料を文書でよこしてもらってもいいし、説明してもらってもいい。  それから、消防署の地下は地下鉄が通っていると言っている。そんなことは知っているのだ。三角形の一番端をかすめていて地下を使うことはできない。これはわかっている。わかっているけれども、あんたが言うように、土地の有効利用という観点に立てば、そこの地下を利用しなくたって、何の痛痒も感じないわけだ。しかし、それにしても、土地の減額部分はあるでしょう。それは何ぼ減額部分を見たのですか。具体的に説明してほしい。
  167. 勝川欣哉

    ○勝川説明員 私たちは、先ほど申しましたように、国有地の払い下げに関しましては、評価の基準というものをつくっておりまして、それには、面積及び地形、地上物件の状況、地上権の設定等、特殊事情による価格の修正というものを行なっております。本件の場合について申しますと、地上権の設定によりまして、土地が両断され、不整形になっているということから、約七%の利用効率と大体見ております。また、地上物件が建っている、そのために撤去費用を要するというところから、約一%の減価を見ております。さらに、先ほど申しました二百四十平米の土地につきましては、東京都が地下鉄から権利金を取った、その額の割合を全体にならして一その取った部分は約五〇%程度でありますが、それを全体にならしました数字をこれから減価しております。
  168. 三谷秀治

    ○三谷委員 受け入れ地はどういうふうな評価をしているのですか。
  169. 勝川欣哉

    ○勝川説明員 受け入れ地につきましては、まだ私もよく勉強してこなかったわけでありますが、先ほど申したと同じような、うちの評価基準によって適正に評価しております。
  170. 三谷秀治

    ○三谷委員 適正に評価しているのかどうか、それを聞いているのや。通り一ぺんの評価の基準だとかなんとかということを聞いているのと違う。そういう評価基準があっても、実際の取り扱いにおきましては不公正なことをやっている疑いが強まってきている。この問題は、通り一ぺんの、基準どおりがどうだとか、あるいは何がどうなっているとか、そんなこっちゃないわな。
  171. 勝川欣哉

    ○勝川説明員 本件につきましては、私も、いま当面手持ちの資料を持ってきておりませんし、また、こういうふうな席上で先生と御議論するということは必ずしも適当かどうかわかりませんので、追って先生と御相談させていただきたいと思います。
  172. 三谷秀治

    ○三谷委員 これは議論するわけじゃありません。何も、私は、これは自分の利害でものを言っているんじゃないわけです。国民の財産をどう扱うかという観点でお尋ねをしているわけです。  それで、何といいましても、時間が来ましたので、これ以上質問ができませんが、ただ、この国有財産の処分につきましては、絶えずいろいろな問題が起きてきている。虎の門公園の払い下げ問題にしましてもそうですし、それから、文部省の公務員宿舎あと地の交換についても問題が起きてきている。ですから、大蔵省の国有財産行政というものが通達行政と呼ばれている。そういうことですから、与党の実力者や、あるいは政商の利権をささえるために、しばしば脱法行為の手段に用いられているという評価が高いわけだ。しかも、この大洋漁業の土地につきましては、こういう説があるのでしょう。この土地の処分につきましては、池田元首相が、大洋漁業の丸尾信一副社長との間で、払い下げについての密約がなされておった、お墨つきがあった、今日池田首相はおりませんけれども、その直系ラインである大平、黒金ラインに引き継がれてきた、そして、このような処置が行なわれた、こういうニュースもある。そういうニュースが流れ出てくる蓋然性というものを、内容が持っているわけです。特殊な大企業に対して、貴重な国有財産というものを、全くの随意契約で、やみからやみに譲渡する。そんなことがいつまでもなされるべきものじゃありません。  時間が来ましたから、きょうはこれで打ち切っておきますけれども、この問題は、これで解決するものではないということです。これを申し上げておきますから、経過等についての調査を十分にやっていただきたい。  それから、四十五年時点における交換でありますけれども、渡し地はさっき申し上げましたとおりでありますが、受け入れ地が、新潟県から埼玉県、茨城県、群馬県にまで散在しておりますが、私どものほうでは、この実態についてはまだ調べてはおりません。調べてはおりませんが、これについても、私たちは、今後なお、評価の問題だとかこの交換の処置の問題について明らかにしていくつもりでおりますから、このことを申し上げておきまして、時間ですから……。消防のほうは結局質問ができなくなりまして、まことに申しわけありません。終わります。
  173. 小山省二

    ○小山(省)委員長代理 小濱新次君。
  174. 小濱新次

    ○小濱委員 宮澤消防庁長官、また関係者の方に御質問していきたいと思います。  いろいろと消防関係の発行されている書籍がございますが、この書籍で見ますと、表紙に、「ズサンな防火管理から」ということを書いて、これは新宿の雑居ビル火災のことをさしておられるようでありますが、非常にこの問題を大きく取り上げております。  そこで、このデータを見てみましても、三月八日の北九州の済生会病院の被害、あるいは六月十八日の北海道釧路市のオリエンタルホテルの火災があり、あるいはまた、このメモを見ましても、五月二十五日に、大阪市南区のホテルで、朝火事で九人が死傷した例があり、あるいは、同じく二十六日に、草津温泉で、旅館三軒が火災を出しております。同じく、二十八日には、新宿の雑居ビルの火災があり、二十九日には、沼津で、五階建て雑居ピルの火災が起きて、これが全焼している。こういう内容になっております。あるいはまた、その他あちこちで船が災上して沈没したり、炭鉱で坑内火災を起こしたり、相次いで事故が発生をしております。さらに、六月七日には、川崎の操車場で、石油などを満載したタンク列車が脱線、暴走して、二両が転覆した。これは幸い爆発は免れましたけれども、コンビナート群を近くに控えているこの地帯に引火、爆発すれば、付近一帯は火の海となる。あの海岸には、川崎だけでも二千隻以上の大小の船舶が係留をしており、横浜では三千隻以上の船が活動しているということで、そういう海上火災になりかねない、非常に危険きわまりないコンビナート地帯を持っているわけでして、これが大事に至らなかったことは、不幸中の幸いであったと思います。さらに、七月七日夜、出光石油化学徳山工場で起きた火災は、二晩も燃え続けたというわけで、コンビナート火災のおそろしさをまざまざと見せつけたガス火災の例があるわけであります。また、さらに、七月の十日には、山陰線の江津駅で塩酸タンク車が大音響を上げて爆発し、タンク内の塩酸がふき出したという事実があるが、この塩酸はどういうものであるかということはよく御存じのとおりであります。これがどんな大事故に発展するかということは、想像いたしましてもぞっとするような感じがいたしますが、こういうことで、これも大いに反省をしなければならない問題であったかと思います。あるいはまた、えびの地震、十勝沖地震など、最近における地震の発生に対して、地震対策整備が急がれておりますが、大地震、火災などの広域にわたる非常災害対策は、遺憾ながら、まだこれは確立されていない実情であるとわれわれは見ております。こういうことで、ただ単なる書面だけのおざなりの総点検ではなくて、各工場の防災体制に徹底的にメスを入れていくこと、コンビナート火災の絶滅を期していくこと等々が急務であるとわれわれは考えております。  そこで、これは基本的な問題として消防庁長官にお尋ねをしてみたいのですが、企業の安全操業と防火対策について、さらには政府の消防力の強化と財源対策について——これは、これに続く署員の訓練等々がございまするけれども、それは別にいたしまして、非常に災害事故が多いし、多くの人命が失われているときに、思い切った政府の施策の必要性がここに出てきたのではないかということで、ひとつ、長官の御決意をまずお伺いしておきたいと思います。
  175. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 ただいま、最近起こりましたいろいろの事故をおあげになったわけでございますが、そこで、今後こういう事故を起こさないために、一体どういう考え方で進んだらよろしいか、こういうことが中心の御質問であろうと思います。  まず、御承知のように、全国消防関係の職員が約八万、消防団員が百二十万おりますが、やはり、消防職員、消防団員が火災をはじめとする防災の中心でございますので、そちらの方面の人的、物的な力を充実するということはもとより必要でございます。私のほうも努力をしていきたいと思いますけれども、しかし、こういうように世の中が複雑になってまいりますと、今後一番重要なことは、各施設の設置の責任者——ただいま、病院でございますとか、あるいはホテルでございますとか、工場でございますとか、そういういろいろな事例をおあげになったわけでございますが、そういう施設を経営し、設置をしております責任者の自主防災体制を強化することが今後非常に必要ではなかろうかと思います。これは、何も、消防関係の職員、団員の責任を回避する意味で申し上げておるわけではありませんけれども、何ぶん、少ない人間ですべての問題をカバーするわけにまいりません。そういう意味合いにおきまして、今後の大きな問題は、そういう社会的に大きな施設を経営し、設置をしております者の自主防災体制を充実していくことを大いに促進することが非常に大きなポイントではなかろうか、こういうふうに私は思っておるわけでございます。  その場合におきましても、過去の病院、雑居ビルその他の火災の事例を見ましても、問題は、一つは、やはり消防施設と申しますか、消防設備、消火設備というようなものを充実強化する。そのための法律上の規制とかいうものの強化も一面でございますけれども、同時に、いかに施設を持っておりましても、いざというときにそれが作動をしなければ意味がないわけでございますし、あるいは、施設の作動の前に、一般の防火管理体制というものが強化をされなければならないと思うのでございます。そういう点から申しまして、今後、こういう各種の施設の責任者の防火管理体制、あるいは消火、防火の施設整備ということが非常に大きな点であり、われわれはこれを強力に推進していかなければならぬと思っているわけでございます。  同時に、先ほど、消防職員、団員のことを申し上げたわけでありますけれども消防、防災側といたしましても、人的な面における充実、同時に、各種の近代的な消火、防火のための消防施設の充実、それに対する国の助成というようなものも強化をしていかなければならないと思っておりまして、両々相まって今後の災害に備えていかなければならないと思います。  繰り返して申しますが、両々相まってでございますけれども、特に、私は、今後は、そういう設備、施設を設置、経営をしております者の自覚と責任を喚起するような施策というものに大きな重点を置いていきたい、こういうふうに考えております。
  176. 小濱新次

    ○小濱委員 長官の御方針、御決意というものを伺ったわけでありますが、とにかく、非常に人災が多いわけですね。そこで、財産が失われている。こういう中で、その責任ある消防庁の御苦労はよくわかるのですが、何としてでも、この問題の解決のために、今後また一そうの御努力を願わなければならないわけでありまして、いまいろいろと御意見がございましたが、この自主防災体制の強化という問題についての基本的な初期防火、この認識も一そう新たにしていかなければならないと考えるわけでございまして、いまの長官の御答弁に、私も心から敬意を表するものであります。  そこで、「防火管理」という、全国加除法令出版株式会社で発行している八月号にいろいろと出ておりまして、これを読ましていただきましたが、この中に寄稿せられました浅見しん一さんという方の文章の中から、短いから読みますが、「そこで再度いいたいことは、近代建物には機械的に煙を捉えて、警報する装置、それと連動してシャッター操作をする装置、そして、機械的に放水して初期消火し煙の発生源を抑える装置、そうして煙の入ってこない避難階段、これは絶対の条件なのである。」と書いてあります。警報装置、これは自火報とよく言われております。シャッターは防火戸遮断とびらとも言われましょうか。それから、この「放水して初期消火」というのは、スプリンクラー、散水器というのでしょうか、こういうものをさすようであります。そして、避難階段が最後になっておりますが、第一にあげているのが「警報する装置」という問題であります。  この問題について、きょうは、私の調べた内容から少しお尋ねをしていきたいと思うわけでございますが、建物は、都内、全国的にたくさんございますが、その中で、自動火災報知器を設備している対象は、これは事務当局の方でけっこうでありますが、全国と都内とに分けて、その建物の数、これをおわかりならば、お示しいただきたいと思います。
  177. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 ただいま先生のお尋ねの全国的な集計は手元にございませんが、東京都管内の四十六年中の数を申し上げますと、自動火災報知設備設置数が三万六千二百四十五件でございます。
  178. 小濱新次

    ○小濱委員 この設備設置対象数という中で、全国のものはわかりませんか。
  179. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 全国の統計数字の資料によりますと、約三十万件でございます。
  180. 小濱新次

    ○小濱委員 その自動火災報知器の維持管理は、防火管理者にどのように義務づけられているのか、このことについてまずお尋ねをしておきたいと思います。
  181. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 消防法に基づきまして、その施設構造なり大きさなりに応じまして、各種の消防用設備を設けることになっております。自動火災報知設備もその一つでございますが、それにつきましては、消防法の施行規則におきまして、設備を設置いたしました関係者が、自主的にその機能の検査を実施すべきことという規定をいたしておるわけでございます。
  182. 小濱新次

    ○小濱委員 まあ、消防法で義務づけられて、消防設備器具というものを取りつけるようになっているのですが、実際にはたしてその建物に全部取りつけてあるであろうかという問題も起こってまいります。この問題については、一応遺漏がないということで信じておりますが、実際には、罰則事項はどうなっているのか。そしてまた、忠実にその防火管理を守っているところのパーセンテージはどういう数字になっているのか。おわかりならば、お答えいただきたいと思います。
  183. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 まず、自動火災報知設備を含めまして、法令によりまして、消防用設備を設置する義務があるわけでございます。私どもも、義務づけられております以上は、各種の施設がそれに基づいた措置をとってもらっていることを期待をし、要望をいたしているわけでございますけれども、しかし、率直に申しまして、全国的に見ますと、必ずしも法令が一〇〇%守られているというわけではございません。つい最近も新聞紙上等でごらんをいただいたかと思いますが、東京都で、特に、ホテルでございますとか、デパート、病院というような、不特定多数の人たちが利用いたします施設につきまして、予防査察を徹底的に行なったわけでございますが、その結果を見ましても、法令で義務づけられているものが、必ずしもその条件を充足していないというようなものも遺憾ながら散見されるわけでございまして、これは、私ども、従前もそうでございましたが、今後も、法令で義務づけられているものは、一〇〇%そのとおりに行なうように、各出先消防機関を督励して、ぜひ推進をいたしたいと思っております。  それから、おそらくこういうことも御質問の中であったかと思いますが、一応設備を持っておりまして、それの点検と申しますか、保守管理といいますか、そういう問題につきまして、罰則云々というようなお話しもございましたが、先ほど申しましたように、自動火災報知設備等につきましては、消防用設備を設けました防火対象物の関係者が自主的に点検をすることになっておりますけれども、それにつきましての罰則の規定というものはございません。これは、やはり、設置管理者の良識にまつというような法のたてまえになっているわけでございます。
  184. 小濱新次

    ○小濱委員 最近の大火災も、維持管理が不完全であったことが原因にあげられておるわけですね。そういう点では、いまの罰則事項はない。任意事項になっている。忠実に守っているそういう関係者は、東京で何%であろうか。私もいろいろ調べてみたわけですが、大体二〇%程度ではないだろうかという話がございました。こういうふうに火災発生件数が多い、そして、人名損傷がこういう大きな数字になってくるということになると、やはり、この罰則を強化する必要があるのじゃなかろうかというふうに考えるわけですが、この点については、長官は何かお考えがございましょうか。
  185. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 消防用設備をまずつけてもらわなければならないわけでございます。法令上の義務のある者は当然それを履行してもらわなければならないわけでございますが、必ずしも十分ではないということは、先ほど申し上げたとおりでございます。しかし、同時に、消防用設備、自動火災報知設備を含めまして、消防施設を設置いたしておりましても、それがいざというときに作動をいたさなければ、これは何にもならないわけでございます。あるいは、逆に、そういうものを持っていたことがかえってあだになるということがあろうかと思います。先ほど申しましたように、現在の法令のたてまえは、そのような消防用設備の保守、点検を自主的に行なうということが施行規則で掲げられているにとどまっているわけでございますけれども、御質問もございましたように、私どもは、今後の消防用設備関係の問題といたしましては、せっかくつけました設備が常に良好な状態で管理され、維持をされ、いざというときには、その予想された性能が発揮できますような保守管理と申しますか、維持管理というものを強化していかなければならないと思っております。その点から、私ども、ただいまいろいろ検討をいたしているわけでございますけれども、できますれば、次の国会の機会にでも、消防法の改正の御審議をお願いをいたしまして、保守管理というものを義務制にしていく、これを強化していく、こういうことを実は考えて、ただいま検討をいたしておるわけでございます。
  186. 小濱新次

    ○小濱委員 これはお尋ねしておきたいのですが、消防設備業者の業種の内訳ですね。大別して幾つかあると思いますが、まず、これをお答え願いたいと思います。
  187. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 まず、火災が起きましたときに早期に発見する自動火災報知設備、それは電機を中心とした設備でございます。それから、直ちに自動的に消火する設備、これは小さな消火器から、大きいものはスプリンクラー設備、特殊なものとしまして、あわ消火設備、水噴霧消火設備、不燃性ガス、粉末等の消火設備、そのほか、場内の従業員あるいは宿泊者に対して直ちに警報し、避難口へ誘導させる非常警報設備及び避難口から退出する避難器具等でございます。  以上がおもなる消防設備の種類でございます。
  188. 小濱新次

    ○小濱委員 そうした設備を製造するところ、これは大きなところでけっこうですが、メーカーがあろうかと思いますが、そのメーカーの名前を幾つかあげていただきたいと思います。
  189. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 自動火災報知設備の関係から申しますと、ニッタン、東京報知機、能美防災工業、日本ドライケミカル株式会社等がございます。消火装置のほうの会社としましては、宮田工業、日本ドライケミカル、初田製作所、ヤマト消火器等でございます。
  190. 小濱新次

    ○小濱委員 そういうメーカーが、この製造とか、設備とか、保守管理をやっているわけですね。  そうすると、その点検、保守ということでしょうか、その点検は契約だけで、実際には、保守管理あるいは設備も下請が行なっているという話もきのう協会から伺ったわけですが、そういうことは事実でしょうか。
  191. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 消防法の現在のたてまえは、消防設備を設置している者がみずからの責任において維持するということになっておりまして、その場合に、消防設備士という一定の資格がある者を自分のところの従業員として雇用され、自家保守するケースと、先生指摘の、専門の保守の者に契約をしてさせるというケースとございます。後者の契約については、私どもの知っております範囲では、自動火災報知設備、スプリンクラー等であれば、約一割が契約によって保守業務が行なわれている実情でございます。
  192. 小濱新次

    ○小濱委員 そうすると、その完成後の保守管理は、下請業者が受け取って仕事をやるわけですが、その仕事が終わってしまうと、下請業者は責任はないことになりますね。そこで、いまのお話しのように、忠実にその指示を守っているという、そういう業者の数がどのくらいあるであろうかということになりますが、いまの矢筈野安全救急課長さんの説明ですと、一〇%という話が出ましたね。その点、どうですか。あと残りが九〇%になるわけですが、ちょっとそこに不安が出てまいりますが、その点を御説明してもらいたいと思います。
  193. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 先ほど一〇%と申し上げましたのは、保守業者という専門の者に契約をして保守の業務を行なっているケースが一〇%であるということでございまして、その他の九〇%は、自分の会社なり、あるいは自分の旅館なりに消防設備士という一定の資格者を擁して、その者に保守業務をやらしているというケースでございます。
  194. 小濱新次

    ○小濱委員 そうすると、九〇%はいわゆる自主保守をしているという形になりますね。  それは、東京都の場合以外ですと、その協会というのは、どことどこありますか。各県にあるんでしょうか。
  195. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 保守の協会は、いまのところ、東京保守協会一つでございます。
  196. 小濱新次

    ○小濱委員 そうすると、いまの御説明の、東京都以外は、どういう形で点検が行なわれているのですか。
  197. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 東京のほかに、社団法人ではございませんけれども、北海道、千葉に、設備士の団体が自主的協会をつくっておりまして、そのほか、各県に、設備士協会あるいは設備士同業組合みたいなもので組織的にやっておるケースがございます。消防立ち入り検査によって保守の実態をチェックいたしまして、その結果、悪い場合に、先ほど長官から申し上げましたように、十七条の四による命令が出せるというシステムになっております。
  198. 小濱新次

    ○小濱委員 私はあまり詳しくないものですから、いろいろこまかくお伺いして申しわけありませんが、この保守管理、点検という問題は、これは大事な問題だと私は思うのですよ。たとえば、国会にもあります。会館にもございます。報知器もある。散水器もある。それはどういう点検をしているかという問題になりますけれども、われわれは、かつて一ぺんもその機会に遭遇したことがございません。そういうことで、自主保守をやっているというその会社が、消防署にその結果を報告なさるのだろうと思いますが、はたしてその報告の内容が正しいものかどうか。まあ、めんどうくさいことはおっくうになりますし、そういう点で、ぼくは非常に疑問を持たざるを得ないわけですね。そういう点でお尋ねをしていくわけですが、消防庁はその実態をよく把握しておられるのかどうか。   〔小山(省)委員長代理退席、中山(利)委員長代理着席〕 それからまた、どういうふうにその内容を把握して、そして指導育成をしておられるのか。この保守管理という問題については、私も少し調べてみたところが、非常に深い内容を持っておるように最近拝見したわけですけれども、そういうことからちょっと疑問が起こってくるわけですね。その点についてどうでしょうか。確信がございましょうか。
  199. 山田滋

    ○山田政府委員 ちょっと私から、あらためまして補足申し上げます。  先ほど御質問がございました自動火災報知設備でございますが、これは、私ども、この工業会の調べの資料が手元にございますので、これ以外に、実は、工業会以外のアウトサイダーもあると思いますが、大勢はつかめると思いますが、自動火災報知設備については、大体、さっき申し上げたように、全国で三十万くらい設置されておる。そのうち、現在保守契約を結んでおるもの、つまり、保守業者と契約を結びまして、常時の保守管理をしておると思われますものが大体二二%でございます。それから、スプリンクラーにつきましては大体一四%くらい、それから、たとえば不燃性ガス消火設備というものがございますが、そういうものにつきましては、比較的高くて、二八%。これは専門的なものでございますから、二八%くらい保守契約を結んでやらしておる。そういう実態がございます。  そこで、御指摘にございましたように、私どもも同感の点がございまして、実は、私どもは、もっとこの契約率を高めなければいけない。つまり、その他のものにおきましても、課長から申し上げましたように、いわゆる自家保守でございます。大きなところにおきましては、自分のところで消防設備士をかかえましてやっておりますけれども、設備士をかかえずに、設備主なしでやっておるというところも相当あるわけでございます。したがって、長官から申し上げましたように、保守、点検の義務を果たすために事実いろいろ行なってはおりましょうけれども、その実態が、必ずしも設備士が完全に目が行き届いておるかどうか、その点につきましては多少疑問がございます。  したがいまして、現在私どもが考えておりますのは、一つは、何とかこの保守契約の率を高めたい、もう一つは、自家保守をやっておりますものも、完全に設備士がその自家保守をやるという体制を確立していきたい、こう思っておりまして、先ほどちょっと楽観的なお話しを課長は申し上げましたけれども、事実、ただいま御指摘のように、自家保守をやっておりますものは必ずしも設備士をかかえておらないものもあるわけでございまして、そういうものは、ぜひ必ず設備士が行なうという体制を今後してまいりたい。いまそういう研究をいたしておる最中でございます。
  200. 小濱新次

    ○小濱委員 いま連絡がございましたので、質問の内容を集約して入っていきたいと思います。  実は、東京火災報知設備協会、これは社団法人、ここのお話しを伺いましたので、きのうお二人幹部に来ていただきましていろいろ御意見を伺いましたが、幹部の申されるには、協会は営利を目的とするものではありませんということでございました。そういうことで、その定款にうたってあるようなかたい決意で発足したこの協会が、さてどこまで事業が進んでいるであろうか。この内容が、何か一定のところまでいったのだけれども、それ以上は進んでいないというような内容に受け取れるわけです。加盟している業者の数もまだ少ないし、その請負の数も、まだまだこれでは満足できないという内容になっていますね。こういうことで、先ほどお話しがありましたように、そのメーカーが設備をいたしますと、下請はそれで責任はなくなってしまう。そして、またメーカーにその点検の依頼がいくということになると、メーカーはどこへその委託をするのかということになると、協会へいくようですね。長官、私はっきり聞いたのですが、協会へいきましたその委託料の四七%は、協会が手数料でいただくのだそうですよ。五三%をその下請業者に委託料として渡されるのだそうです。下請業者はまた大小がありまして、それがまた下に下請を出す、こういう形になる。実際にその衝に当たる業者は、その一〇〇%の中の何%が事業費としていただけるのか、こういう問題になってまいりまして、ぼくはあ然としたのですが、こういうことが実際に認められているのかどうか。これは都知事が認可を与え、東京都の消防庁がその指導育成に当たっているようでありまして、自治省消防庁としては何ら法的な責任はないようでありますが、やはり、こういう内容ですから、そうも言っていられません。  そこで、これは協会の指導育成ということも内容的には必要だなということを、私、きのう定款をいただきまして、思いました。それから、決算書もいただきました。きょうは時間がありませんので、これは内容を省きますが、こういう内容になっておりますので、はたして、こういう内容で、下請業者がほんとうに気の済むような、満足し切った工事ができるかどうかということが心配になってまいりますので、この点ひとつお答えをいただきたいと思います。
  201. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 私も、東京の保守協会の話は聞きましたが、確かに、全般的に申しますと、ただいま小濱委員御質問のような、同じような印象でございます。こういう業界でございますから、下請を使うということを必ずしも排除するわけではないと思いますけれども、下請がまたその下請を使うというようなことになりますと、責任の所在もたいへん不明確になるわけでございます。おそらく、東京でこういう法人をつくりました当初の考え方は、この法人自身が直接責任をもって保守をやるという部分をかなり大きな部分と考えてつくったのだろうと思いますけれども実態は、保守協会自身が直接やっております保守というのはほんの一部でございまして、それを下請に出している。あるいはまた、その下請がまた下請に出すという場合もあろうかと思います。そういうことから申しますと、当初法人をつくりました考え方と、ただいまの運営の実態とは、どうもかなりかけ離れているような感じがいたします。  それから、先ほども指摘がございましたように、どのくらい保守協会が取って、下請にどのくらい渡すかということは、いろいろ業界の実態等の関連もありましょうけれども、ただいまの御指摘のような比率、パーセンテージは、私どもちょっと常識的に考えましても、保守協会自身の取り分が多いような感じがいたします。そういうこともございまして、実は、先ほども答弁を申しましたように、ただいま私どもが考えております一つの改革案は、保守管理というものを、もう法律上の義務づけをいたしまして、それから、その場合に、保守管理をやります資格のある人というものについて保守管理のお仕事を行なわせるということにいたしたいということで、ただいま研究をし、できますれば次の国会でも御審議を賜わりたい、こういうように考えておるわけでございます。
  202. 小濱新次

    ○小濱委員 収支決算書をいただきまして、そして御説明願ったわけですが、この事業収入の中に、保守料収入という欄と、整備費収入という欄と、この二つがございます。これは収入の部です。これで八億七千百九十二万一千二百四十一円という数字が出てまいります。八億七千万です。ところが、この支出の部にまいりますと、点検委託費と整備委託費、この二つになりますが、この委託費が四億二千六十三万三千三百八十円という数字になります。この差額が四億五千百二十八万七千八百六十一円になります。四億五千万も差額がある。そうすると、点検委託費と整備委託費に、これは私どもの計算では納得できないような開きが相当出てまいります。そこで、先ほどの四七%の手数料、いわゆるピンはねというものですね。これは悪いことばですが、そうなってしまう。五三%が下請業者にいくという、この開きから、なるほどこういう数字になってあらわれるんだなというふうに見ました。これは業者には申しわけありませんが、決して業者をどうのこうのと言うのじゃなくして、保守管理、保守点検をもっともっと力を入れてやらなくてはならないときに、協会の重要性はわかりますよ。その重要性はわかりますから、これはもっと指導育成をして、強力なものにしなくてはならない。全建物が協会に点検を依頼してくるような形にしていかなくちゃなりませんし、それがまた各県にできて、全国組織にしていくような、そういう働きを起こしていかなければ、この警報装置の完全作動ということはできなかろうというふうに考えるわけです。  そういう点で、これは、やはり、自治省、消防庁が中心になって、このことを真剣に取り上げてもらわなくちゃなりませんし、そして、各県にも協会ができ、そして、そういう膨大な開きのできるような、そういう委託料じゃなくして、この点は、業者が喜んでできるような数字にしていかなくてはならない。当然、こういうことがわかったから、下請業者に不平不満が出てきますよ。何だ、半分取られちゃうのか、じゃ半分の仕事しかしなくていいじゃないか、簡単にやっておけばいいのだ、欠陥が出てきたら、こんな欠陥なんか黙っていたほうが得だ、こんなことを指摘をすれば損だ、これは生活権にも関係してくるというようなことで、いろいろな騒動が起こってくるわけでございます。  そこで、長官に最後にお尋ねをしておきたいことは、今後の保守点検に対する重要性を認識して、いろいろと御意見が出ておりましたけれども、この保守制度の確立という問題ですね。これについて、最後に御決意を承りたいと思いますが、これは大いにひとつ促進をはかっていただきたい、これがこのピル火災に対する重要な一つの役割りであろう、こういうふうに考えますので、この点をお答えいただきたいと思います。
  203. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 先ほども申し上げましたが、私は、ただいま小濱委員のおっしゃいましたことに全面的に賛成でございまして、いかにいい設備を持っておりましても、それが常に良好な状態に保っておりまして、いざというときに作動しなければ、全く意味がないわけでございます。  そこで現状の、たとえば先ほどお示しの、東京火災報知設備保守協会の運営の実態というものは、必ずしも満足したものではございません。そこで、先ほども申し上げましたけれども、私どもは、今後この保守管理、保守点検というものが非常に重要だという認識を非常に強く持っております。消防法令によって保守点検を義務づけ、しかも、保守点検は、それの資格のある人が常にできるような体制をとっていきたい。これが、設備を持っておりまして、それを有効に作動させるために非常に重要な事柄であるというふうに考えております。  ただいま具体案を検討しておりますので、成案を得次第また御審議を賜わりたい、こういうふうに思っております。
  204. 小濱新次

    ○小濱委員 残念ながら、時間でありますので、次回に質問を譲りまして、終わります。
  205. 中山利生

    ○中山(利)委員長代理 折小野良一君。
  206. 折小野良一

    ○折小野委員 消防について御質問をいたします。  先ほど来質問がありました徳山のコンビナートの爆発あるいは火災、これにつきましてはいろいろと質問があったことかと思いますが、これに関連をいたしまして、二、三御質問をいたしたいと思います。  コンビナート火災というものは非常に大きな危険が予想されます。そういうことで、各方面から非常にいろいろな関心を寄せられるわけなのであります。ところで、あのような企業の内部で火災が起こった場合、あるいは爆発事故が起こった場合、それには、当然、直ちに消防という業務がつきまとってくるわけでございますが、その消防の責任と申しますか、それははたしてどこにあるのか。当然考えられますことは、企業の構内だから、企業がその責任をもってということもありましょう。あるいは、しかし、消防署という公の機関が管轄しておる区域内であるから、消防署がその責任をもってということもありましょう。はたしてどこに責任があるのか、これはひとつ長官から御教示をいただきたいと思います。
  207. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 消防の責任につきましての御質問でございますけれども、ただいまの消防法のたてまえから申しまして、自治体消防は市町村の区域全般について責任を持っておりますから、そういう意味合いにおいては、消防の関係機関は、常に、あらゆる場所につきまして、消防、防災の責任がある。これは申し上げるまでもございません。  しかし、先ほどコンビナートの例をおあげになったわけでございますけれども、ああいうような施設につきましては、やはり、そういう施設の設置管理者が第一次的な責任を負うという考えを持つべきだろうと私どもは思っておるわけでございます。特に、コンビナート等の特別な企業につきましては、その企業の業態なり、規模に応じまして、消防法の中でも、自衛消防組織を設けることを義務づけておるわけでありますので、そういう義務づけております企業につきましては、これは、法律の明文の規定から申しましても、第一次的に、企業消防、防災の責任を持つということは明白であろうと思うのでございます。
  208. 折小野良一

    ○折小野委員 その点は明確でなければならないのじゃなかろうかと思うのですが、最近は別としまして、私の過去の経験からいたしまして、一つの企業の中で火災が起こった場合に、当然、その地域の消防も出動をするわけなんですが、ところが、ある場合においては、門を閉ざして消防を入れないで、こちらは工場のほうにまかしておいてくれというようなことがありました。それは、まあ、火災の規模がそれほど大きくなくて、他にそう迷惑はかけないからというようなこともあるいはあったかもしれませんけれども、しかし、そのほんとうの気持ちは、いわゆる企業秘密を守りたい、火災あるいは爆発に関連をして、企業秘密に関連するようなものが露呈して、それを外部から見られたら困る、あるいは写真等にとられちゃ困るというような面があったのじゃなかろうかと思います。もし、そういうようなことになりますと、結局、公共のための消防活動というものを企業利益が阻害をするということになるわけでございますので、この点につきましては、やはりはっきりさしておくことが必要なんじゃないかと思います。先ほど、長官から消防の第一次的な責任は企業にある、しかし、第二次的には、地域消防がその責めを負わなければならないだろうというようなことをおっしゃったわけですが、企業がただいま申し上げたような態度をとるということになりますならば、第一次責任を当然企業は負うといたしましても、地域消防としての責任を全うすることはできないことになってまいりますでしょう。ただ、その火事が外に広がらなければ、地域消防として責任がないんだというわけにはまいらないじゃなかろうかといういうふうに私は考えます。こういう面については、消防庁としてはどういうふうにお考えになっておるか、伺いたい。
  209. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 企業消防隊の消火活動について非常に消極的な態度をとる、企業秘密というような見地からそういう態度をとることがありはしないか、あったのではないか、こういう御指摘でございますが、確かに、過去におきましては、そういう傾向が全くなかったとは言えないと思うのであります。しかし、いろいろな事例で、たとえば消防隊が到着いたしましても、門のところでかなり時間を費やした、これは企業が中に入れなかったのではないかというような憶測をされた場合もございましたけれども、その中には、消防隊といたしましても、現実にどういう事故がどう発生しており、やたらに水をかけてはいけないという場合もあるわけでございますので、その辺で、やはり、当該企業の現場における責任者と、事故の態様なり何なりを一応連絡をした上で消火活動に移る、そのために門の辺に待機をするというような事態もあったわけでございまして、必ずしも、消火活動を消防隊が行なうことを企業がその場で拒否をするということがすべてではなかったと思いますが、過去におきましては、お示しのようなことがなかったとは言えないと思います。しかし、最近におきましては、少なくとも私ども承知をいたしております限りは、そういう傾向は、まずほとんどないと申し上げてよかろうと思います。  御承知のように、地域防災計画におきまして、特に、コンビナート地帯を持っておりますところは、地域防災計画の中でコンビナート部会というようなものを設けまして、企業の責任者なども入りまして、非常の場合の対策についての措置をいろいろいたしております。それから、現地消防機関にいたしましても、だいぶ人員も増強されまして、そういう企業の設備なり装置なり、あるいはその生産の過程、プロセスなりというものについての知識もかなり持っている者もございます。そういう点から申しまして、少なくとも、現在におきましては、企業が、自分のところに消防隊が入ることについて消極的な態度をとるというような傾向はなくなっているものと、こういうふうに私どもは理解をいたしております。
  210. 折小野良一

    ○折小野委員 そういうことがなくなってくればけっこうだと思います。  ところで、大きな企業になりますと、自体において消防設備を整えることが義務づけられておるということでございますが、それは、はたして、一定の基準に基づいて、十分な施設を整えることが義務づけられておるのでしょうか。すなわち、その企業内の消防だけで、その中に起こった消火活動においては十分なんだというふうに考えられた一定の基準というものが指導されておるのかどうか。あるいはまた、企業内の消防につきまして、火災予防のいろいろな計画、体制、あるいは訓練、あるいは施設の点検というようなものにつきましては、企業内だけでいいのか、あるいは、それについては、地域消防のほうで見ていくということが必要なのか。そういうような自体消防、あるいは自家消防と申しますか、そういうものの限度なり、あるいは地域消防との関連という面についてはどういうふうにされておりますか。お伺いをしたいと思います。
  211. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 企業の自衛消防組織の問題でございますが、消防法の関係規定によりまして、一定の企業につきましては自衛消防組織を持つことを義務づけられておるわけでありまして、化学消防車等を中心にいたしまして、それを操作いたしますための消防隊員というものを消防法令で規定をいたしているわけでございます。  しかしそれがはたして十分な自衛消防力であるかどうかという御質問でございますが、現在の消防関係法令できめておりますことは、何か事故が発生をいたしました場合の通常の対策と申しますか、あるいは初期消火と申していいかもしれませんが、それについての必要かつ十分なる規定をいたしているわけでございます。そういたしますと、火災その他の災害が拡大をいたしますと、必ずしもそれだけでは十分ではございません。そこで、一方におきましては、公共の消防機関というものが応援にかけつけなければならないわけでございますし、同時に、特に石油コンビナート地帯等におきましては、企業相互間の応援協定を締結することを私どもとしても奨励をし、推進をいたしております。多くのコンビナート地帯におきましては、企業相互間の消防隊の応援協定ができ上がっております。過日の徳山の出光の石油化学工場の爆発事故におきましても、出光自身の自衛消防組織がまず活動をいたしたわけでございます。同時に、徳山の消防機関も消火活動に従事をいたしましたし、さらに、徳山のコンビナート地帯の他の企業に応援要請もいたしまして、他の企業からの自衛消防隊というものが応援にかけつけているわけでございます。
  212. 折小野良一

    ○折小野委員 いずれにいたしましても、あのような化学工業の中における消防というものは非常にむずかしいし、また、これに対する対策につきましても、いろいろと技術的な問題というものが次々に出てまいろうかと思っております。  私はさっき企業秘密ということを申し上げましたが、非常な勢いで科学技術が進んでいき、それと同じ程度で、消防関係のそれに対する対策が進んでいっておろうとはちょっと考えられません。おそらく、そのような企業におきましては、いろいろと秘密にしたいというものもございますでしょうし、あるいは、知ってもらっても困るという面もありますでしょう。しかし、そういうようなところの火災に対しましては、やはり、消防としては適切な処置をとっていかなければなりません。それは、第一次的には企業内の消防がやるといたしましても、地域消防としましても、そういう面に無関心であっていいわけではございませんし、また、自衛消防を持っておるような規模の大きな企業だけだというわけでもないわけでございます。こういう面につきましては、特に、最近は、危険物の取り扱い関係につきまして、いろいろと技術的な面の規定もできておりますし、また、そういう面の対応につきましても、いろいろと研修あるいは訓練等がなされておることだというふうに考えます。しかし、これは技術の進歩のほうが非常に速いわけでございますので、はたして、それに十分追いつけるだけの消防陣の対策というものができておるのかどうか、こういう点はいろいろと心配される点だと思います。  そういう面について、現在、消防庁のほうでどういうふうにお考えになっておるのか、あるいは、どういうふうな具体的な対策を講じておいでになるのか、御説明を願いたいと思います。
  213. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 科学技術が進んでおりまして、それと同じくらいのテンポで消防、防災体制が進んでいるとは考えられないという御指摘でございましたが、率直に申しまして、私も、まことに残念でございますけれども、同じような感想を持っております。たとえば、石油コンビナート地帯の火災その他の災害にいたしましても、これまでは、油自身が燃えるというような観点から、消火剤でございますとか、あるいは、それを使用いたしますための化学車というようなものの充実に力を尽くしてきたわけでございますが、今回の徳山の出光の爆発事故等を見ますと、これはガスの問題でございまして、ガスは高圧ガス取締法で、通産省所管であり、私どものほうの所管ではないからということではございませんけれども、それでは通産省のほうにガス爆発対策について的確な検討と、それについての予防措置がいままで講じられていたかと申しますと、どうもそうではないようでございまして、ガスにつきましては、前回の事故におきましても、結局、付近の施設に延焼しないように、それを冷却していくことと、もう一つは、結局、ガスを燃え切らせるまで出していって、残っているガスを燃え切らせるしかないという、たいへんわかりやすいと言えばわかりやすいのでございますけれども、原始的な対策しかいま考えられていない。と申しますことは、やはり、通産省所管であろうと、危険物であり、自治省の所管であろうと、科学技術の進歩に応じて、もう少しそれに匹敵するもの、あるいはそれ以上の消防、防火体制というものが、国をあげて考えられないといけない。今回の出光の事故ということを通じまして、そういうことを痛切に感じているわけでございます。
  214. 折小野良一

    ○折小野委員 企業の火災に関連して、これは企業と直接関係はございませんが、最近、消防団員の確保ということが非常にむずかしくなってまいっております。この点につきましては、前に一度御質問も申し上げたことがあるわけでございますが、こういう企業におきましては、自分消防隊を持つということもございますが、しかし、また、そこに働いている人は、それぞれの地域に生活をしておるわけでして、それぞれの地域の消防団に加わっておるというような人もあるわけでございます。ところが、現実には、今日人手が少ないという問題等もございまして、企業の内部におきましても、火災が起きたから団員として飛び出していったあとがだいじょうぶかといいますと、なかなかそうもまいりません。そういうようなことで、企業の十分な理解がなかなか得られないということが、たとえ数の上では団員を確保しておりましても、その団員の活動まで確保することができないというような事態があるわけでございます。  こういう点につきましては、たしか、この五月でございますか、消防庁のほうで、通産省を通じて、各企業に対しまして、団員の出動とか、あるいは訓練とか、そういうような仕事に出動いたしました場合の職務の専念義務というものを免除することについて、企業として配慮してもらいたいという通牒を出されたと伺っておるわけでございますが、これに対しましての各企業からの反響と申しますか、企業の態度、これはどういうようなことになっておりますでしょうか。これに対して協力的な姿勢であるのか、それに対して、なかなかそうそう応じられないというような姿勢であるのか。こういう通牒を出されたあとの反響というものを、現在消防庁のほうで握っておられる程度で、ひとつお知らせいただきたいと思います。
  215. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 ただいまの通達は、通産省のほうと共同で関係者の方にお願いをいたしたわけでございます。通達を出しましてまだ二カ月ばかりでございますので、実は具体的な反響というものを私どもまだつかんでおりません。つかんでおりませんけれども、これをめぐりまして、都道府県等を中心に、かなりいろいろ活発な情報の交換と申しますか、これの具体策についての検討が行なわれているように聞いておりますが、まだ、具体的に、企業が全般的に協力的であるか、あるいは消極的であるかというような傾向はつかんでおりませんけれども、都道府県等の動きその他から見まして、かなりいい反響をもたらしてくれるものというふうに期待をいたしております。
  216. 折小野良一

    ○折小野委員 コンビナートに関連をいたしました質問はその程度にいたしまして、あと二、三お伺いをいたします。  一つは、これは、直接の関係は消防庁にはないかと思うのですが、火災保険ですが、これは、一つの市町村では、一つの料金が大体きめられておるはずでございます。その一定の区域内の、その中の特殊な地区というものがございます。それは、たとえば飲食店街でありまして、火気の使用が非常に多いところ、あるいは、古い町筋であって、裏町であって、小さな木造の家がごみごみと立て込んで、したがって、火災が起こると非常に大火になるおそれのあるところ、こういうような地域におきましては、事実、保険契約を敬遠される、あるいは、個々に契約の申し出がある場合に、これをいろいろと口実を設けて拒否をする、こういうような実例が現実にあったわけなんです。その気持ち、これはわからぬじゃございません。しかし、火災保険といいますものも、これは一つの営利企業であったにしましても、やはり、ある程度公共的な性格を持ったものであるというふうに申しているわけでございますけれども、そういうようなことで区別をされた地域の住民にとりましては、将来に対する不安というものは一そう大きいということになるわけでございます。それぞれの地域におきましては、いろいろございまして、家が非常に立て込んでおるところもあれば、そうでないところもある。多少は危険なところもあれば、そうでないところもある。これを平均して、保険料というのは大体きまっておるものだというふうに考えます。したがって、その地域内の特殊な地区だけについて、事実上そういうような扱いをするということは、これはやはり適当なことじゃなかろうと思っております。  これに対します指導は、保険という立場から言って、おそらく、大蔵省であって、消防庁のほうでこの指導を直接やっておられるのではなかろうというふうには考えますが、そういうような具体的な消防上のいろいろな問題というものは、やはり消防庁のほうが一番よく御存じなわけでございまして、直接でなくとも、間接的にでもそういう面についての指導をしていただくべきじゃなかろうかというふうに考えるわけですが、いかがでございましょうか。
  217. 武藤嘉文

    ○武藤政府委員 いま御指摘のとおりで、これは大蔵省の関係でございますけれども、私どもも、ときたまそういう話をよく聞くわけでございます。正直、料率は、たとえば耐火建築、鉄筋あるいは木造、それぞれ違うようでございますし、また、地域においても、ある程度密集している地域とか、そういうところは料率を変えておるようでございます。ですから、当然、そういう危険度を考えて料率がきめられておるわけでございますから、いまお話しのように敬遠をしたり、拒否をしたりということは、全くもってこれはおかしな話なんでございまして、そういうことのないように、これは消防庁からも、大蔵省を通じて、各会社に対して強力に指導すべきだと思います。そして、将来の問題としては、やはり、消防庁がある程度そういう各都市の消防業務には携わっておるわけでございますし、それと料率というものは相関関係にあると思います。でございますから、将来において保険料率というものなどをきめていく場合には、大蔵省だけの指導のもとでやるのではなくて、消防庁あたりの意見も十分参考にしながら料率をきめていく、こういう制度を確立するということがたいへん大切なことではなかろうと思います。また、そういうことによって、逆に、消防庁もより一そう火災保険をやっておる損保の会社と連絡もとれますので、そういうところでより一そう指導ができやすいのではなかろうかと思います。  現在、損保の何とか協会というものがありまして、そこである程度利益を還元して、多少化学車とかなんとかを出しておるようでございますけれども、正直、そういうことぐらいでお茶を濁しておるべきではなく、いま御指摘のように、やはり、公益性が非常に強い。私は、営利を目的としながらも、もっとその前に公益性を考えていかなければならないのが保険会社だと思いますので、その意味でも、そういう点も十分勘案をしながら、現在の料率そのものがいいのかどうか、あるいは、利益があがった場合には、それをどういうように消防の面に還元をするのか、そういうところまで考えを進めていくべきであろうと思います。  いずれにいたしましても、いま御指摘のような、敬遠をしたり、拒否をしたりというようなことのないように、強力に指導するようにしたいと思っております。
  218. 折小野良一

    ○折小野委員 私は、保険料率をきめるのは、消防庁が何らかの形で関与しておるものだと実は思っておりましたが、いまの政務次官のお話しによりますと、全然関与していないということのようでございます。しかし、それぞれの地域のそのような実態というものは、やはり、消防庁のほうが一番よくわかっておるわけでございますし、こういう面につきましては、積極的に関与していただき、また、場合によっては、いろいろと意見を出していただきまして、火災保険の適正な運営というものが、民生安定という面からも効果をあげるようにしていただくべきであろうというふうに考えておりますので、その点、よろしくお願いをいたします。  次に、消防がやっております救急車の問題でございます。これは、最近の実情を見てまいりますと、救急車というものが実によく利用されておりますが、消防にとってはたいへん気の毒なくらいだと私どもは考えております。ただ、救急車が出動するにつきまして、はたして消防の救急車が出動すべき問題であるのかどうかということは、申し上げるまでもなく、消防自体がこれを判定することは、実際問題としてできないわけなんです。ですから、とにかく急患があるとか、けがした人があって、何とか応急の処置をしなければならない、病院に運ばなければならないということになって、一一九番にかかってきますと、とりあえず何とか出動しなければならぬ、こういうことになってまいりまして、必然的に、外部のそういうような動きによって救急車の仕事というものが非常に繁忙になってくる、こういうことになっておろうかと思います。  しかし、私どもが聞きますと、一般の国民が安易に救急車を呼んでおる、救急車を利用しておるというような面も案外あるのじゃなかろうかというふうに感じます。必ずしも消防の救急車に来てもらわなくても、ほかに救急の役に立つような運搬機関があれば、そちらでもいい。しかし、何ともならないからということで、消防の救急車を利用するというようなことも現実にあると考えるのです。これに対しましては、何らかの方途を講じていきませんと、消防の救急車としての本来の使命に、場合によって欠けるようなことになりはしないか、あるいは、すべての救急事故に対しまして消防の救急車を発動するということになってまいりますと、もっともっと多くの救急車を整備しておかなければならないということになってまいりますし、そうなりますと、また、制度の考え方も違えていく必要が出てくるのではなかろうか、こういうような点も考えるのであります。  そういうような点から、これは一つの案でございますが、一般民間の公に認められた救急車をもって営業をするという者がありますならば、そういう面で消防の救急車はもっと助かるのじゃなかろうかと思うのでございます。これも、必ずしも消防が直接担当する仕事ではないかもしれません。あるいは運輸省あたりの関係かもしれませんが、直接そういう面について感じておられる消防庁としては、どういうふうにお考えになるのか。私どもは、消防庁あたりから運輸省あたりを大いにつついてもらって、何とかそこに民間の救急車というようなものを制度の上でつくっていったら、もっと助かるのじゃなかろうかというような気がするのですが、どんなものでしょうか。
  219. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 救急車は、昨年あたりの統計数字を見ますと、大体、全国で一年間に百十何万件出動いたしておりますので、国民九十何人に一人ぐらい救急車のやっかいになっているというのが実情でございます。  そこの利用の内容でございますけれども、先ほどもお話がございましたように、中には、ちょっとタクシーがわりに救急車を呼ぶ、と言うとことばが悪いかもしれませんが、安易なという表現をお使いになりましたけれども、安易に救急車を呼んでしまうというような事例もございます。私どもも、そういう点は、救急の現状なり、救急隊員なり救急車の実態から申しまして困ったことだとは思うのでございますけれども、この辺は、結局、国民の良識と申しますか、国民の理解にまたなければならないわけでございまして、現状におきましては、先ほど折小野委員からも御指摘がございましたように、一一九番にかかってまいりますれば、市民サービスとして出動せざるを得ないというような状況でございます。中には、いま申しましたように、必ずしも救急車の必要がないような利用のしかたがあることは、そのとおりでございます。  そこで、民間その他で、そういうような一つの考え方のもとにおける仕事ができないだろうかという御提案でございますが、現在、病院その他におきましては、自分で救急車を持って、それを市民が利用しているというものもございますけれども、そういう点から申しまして、それじゃ何を救急車にまかせ、何をそういう民間の一般のサービス事業にやらせるかというような限界もございますのでたいへんむずかしい問題でございまして、私どもも、いまここで具体的な知恵があるわけではございませんので、いま私が申し上げられますことは、国民に救急車のほんとうの使用のしかたについて理解を持ってもらい、認識を持ってもらうようなことを心がけていくという以外にはなかろうという感じがいたしておるわけでございます。
  220. 折小野良一

    ○折小野委員 実際の運用につきましても、非常にむずかしい問題があろうかと思っております。しかし、現実の問題としまして、いまおっしゃったように、さあ、病人が悪くなった、しかし、幾らさがしても、なかなかタクシーも来てくれないというようなことで、やむを得ずということもございます。もちろん、人間の健康は非常に大切なんでございますから、呼ばれれば救急車も出ていかざるを得ないということになってまいるわけなんですが、しかし、やはり、よく考えてみますと、消防の救急車というものと一般の救急業務というものを完全に同じだというふうに言うわけにもまいりません。そういうような面からは、今後いろいろと検討をいたしまして、何とか方法をとっていったほうがいいのじゃなかろうかというような感じがいたします。  いずれにしても、現在の消防の救急車というものが非常に忙しいし、そういう中におきまして、民間ででもそういう救急業務をやる者が出てくるならば、それだけ一般の人の良識の働かせ得る範囲というものも広がってくるわけなんですから、何らか助かっていくんじゃなかろうかというふうに考えます。いずれにしても、こういう問題は今後の問題として検討すべき問題だろうと思います。  もう一つお伺いいたしますが、これは、実は、きょうです。ですから申し上げておりませんが、きょう、災害対策の特別委員会におきまして前々からいろいろ検討されておりました個人災害についてなんですが、一定の自然災害によって死傷された場合、特になくなった方、その遺族に対して弔慰金を出すというような特別立法をしようということになってきておるわけなんです。  その中で一つ問題がありますのは、最近火災でなくなる人がわりあい多いわけなんですね。火災でなくなった人を入れるべきか入れるべきでないかということが一つの問題になっておりまして、との特別立法といたしましては、一応自然災害ということにいたしまして、火災は何といっても人為的なものである、したがって、そこには当然責任者があるわけなんだということで、火災による死亡者に対する弔慰金というのは、この特別立法の対象にはならないということに一応はなったわけなんでございます。  しかしながら、最近の火災で、特に煙の害と申しますか、それによっての死亡者が非常にふえておるように考えられます。しかも、そうした場合に、火災を起こした者が、これが当然の責任者であったにいたしましても、実態として、すべての人にそういう補償が行なわれておるかといいますと、必ずしもそうでないような気がいたすわけでございます。この火災によって死亡した人に対する弔慰金その他の補償の問題、こういう面は、消防としては何か御検討になっておられますか、どうですか。
  221. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 現状におきましては、そういうことにつきましての具体的な案は、残念ながら、まだ持っておりません。
  222. 折小野良一

    ○折小野委員 これは、お互いにそういう制度がないから、みんな自分で生命保険をかけたり、いろいろなことをしておるわけなんですし、そしてまた、相手が補償能力があれば、それから出るということもありますでしょうけれども、しかし、現実には、必ずしも補償能力のある人たちばかりじゃないということになってまいりますと、結局、それによって命を落としたというような人たちに対して何とかしなければならないんじゃなかろうかという問題も出てくるんじゃなかろうかと思います。実は、災害対策特別委員会におきましても、この個人災害に関する立法をするに際しまして、この問題は今後の検討課題である、とりあえずは、自然災害だけにせざるを得ないだろうということで一応まとまったことではございますが、ひとつ、今後の課題として御検討になっておいていただくようにお願いをいたしておきたいと思います。  私の質問はこれで終わります。ありがとうございました。
  223. 中山利生

    ○中山(利)委員長代理 次回は、来たる十九日木曜日、午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時五十六分散会