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1973-07-10 第71回国会 衆議院 地方行政委員会 第42号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年七月十日(火曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 上村千一郎君    理事 小山 省二君 理事 高鳥  修君    理事 中村 弘海君 理事 中山 利生君   理事 三ツ林弥太郎君 理事 吉田 法晴君    理事 林  百郎君       愛野興一郎君    今井  勇君       片岡 清一君    亀山 孝一君       島田 安夫君    谷垣 專一君       永山 忠則君    古屋  亨君       前田治一郎君    保岡 興治君       渡辺 紘三君    岩垂寿喜男君       佐藤 敬治君    土井たか子君       山田 芳治君    多田 光雄君       三谷 秀治君    小川新一郎君       小濱 新次君    折小野良一君  出席国務大臣         自 治 大 臣 江崎 真澄君  出席政府委員         建設省都市局参         事官      大塩洋一郎君         建設省河川局次         長       川田 陽吉君         自治政務次官  武藤 嘉文君         自治省行政局長 林  忠雄君         自治省行政局公         務員部長    植弘 親民君        自治省税務局長 佐々木喜久治君  委員外出席者         大蔵省主税局税         制第一課長   伊豫田敏雄君         農林省構造改善         局建設部水利課         長       福澤 達一君         建設省計画局宅         地部長     河野 正三君         建設省都市局区         画整理課長   渡部與四郎君         建設省住宅局住         宅計画課長   京須  実君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 七月九日  地方公営交通事業再建に関する請願外一件(上  原康助紹介)(第八二一三号)  同外一件(井上泉紹介)(第八一八二号)  同(八木昇紹介)(第八一八三号)  同(山田芳治紹介)(第八一八四号)  同外一件(阿部未喜男君紹介)(第八二一八  号)  同(赤松勇紹介)(第八二六四号)  同外一件(安井吉典紹介)(第八三二九号)  同外一件(横山利秋紹介)(第八三三〇号)  同外一件(和田貞夫紹介)(第八三三一号)  聴力言語障害者自動車運転免許に関する請願  (土井たか子紹介)(第八二一九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一〇六号)  昭和四十二年度以後における地方公務員等共済  組合法年金の額の改定等に関する法律等の一  部を改正する法律案内閣提出第一〇七号)  特定市街化区域農地固定資産税課税適正  化に伴う宅地化促進臨時措置法案内閣提出第  一一八号)      ————◇—————
  2. 上村千一郎

    上村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案及び昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案議題といたします。  ただいま議題といたしました両案については、去る七月六日の委員会において質疑を終了しております。  この際、内閣提出にかかる昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案に対して、中村弘海君外四名提出にかかる修正案提出されております。
  3. 上村千一郎

    上村委員長 提出者から趣旨説明を求めます。中村弘海君。
  4. 中村弘海

    中村(弘)委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、自由民主党を代表して提案趣旨及びその内容を御説明申し上げます。  この修正案は、別途今国会に提出されております厚生年金保険法等の一部を改正する法律案修正され、厚生年金基本年金額のいわゆる定額部分について、原案の被保険者期間一月につき九百二十円を千円に引き上げることとしていることに伴いまして、地方公務員等共済組合法に基づく年金最低保障額等について、所要の引き上げ措置を講じようとするものであります。  その内容について御説明申し上げますと、退職年金最低保障額につきましては、原案の三十万二千四百円から三十二万千六百円に、また、廃疾年金最低保障額につきましては、廃疾程度が一級に該当する者にあっては、原案の三十六万九千六百円から三十九万三千六百円に、二級に該当する者にあっては、同じく三十万二千四百円から三十二万千六百円に、三級に該当する者にあっては、同じく二十二万八百円から二十四万円に、さらに、遺族年金最低保障額につきましては、原案の二十三万五千二百円から二十五万四千四百円にそれぞれ引き上げることとするほか、通算退職年金のいわゆる定額部分につきましては、原案の二十二万八百円から二十四万円に引き上げることとするものであります。  以上が修正案提案趣旨及びその内容であります。  何とぞ御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  5. 上村千一郎

    上村委員長 以上で、趣旨説明は終わりました。  本修正案について、別に発言申し出もありません。     —————————————
  6. 上村千一郎

    上村委員長 これより、地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案並び昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について討論を行なうのでありますが、別に討論申し出もありません。  これより採決いたします。  まず、地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案採決をいたします。  本案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  7. 上村千一郎

    上村委員長 起立総員。よって、本案原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案及び修正案採決をいたします。  まず、中村弘海君外四名提出修正案採決をいたします。  本修正案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  8. 上村千一郎

    上村委員長 起立総員。よって、中村弘海君外四名提出修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いて、原案について採決いたします。  これに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  9. 上村千一郎

    上村委員長 起立総員。よって、修正部分を除いて原案は可決いたしました。したがって、本案は、修正議決すべきものと決しました。     —————————————
  10. 上村千一郎

    上村委員長 ただいま議決いたしました両法律案に対して、中山利生君、吉田法晴君、林百郎君、小濱新次君及び折小野良一君から、五派共同をもって、それぞれ附帯決議を付すべしとの動議提出されております。  この際、本動議提出者から趣旨説明を求めます。中山利生君。
  11. 中山利生

    中山(利)委員 私は、この際、自由民主党日本社会党日本共産党革新共同公明党及び民社党の五派を代表いたしまして、地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案に対し、附帯決議を付したいと思います。  案文朗読により、趣旨説明にかえさせていただきます。    地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、地方公務員災害補償制度現状にかんがみ、次の諸点について善処すべきである。  一、通勤公務との密接な関連性等にかんがみ、通勤途上災害は、公務上の災害とするよう検討を加え、すみやかに措置すること。  二、通勤範囲を定める運用基準の決定にあたっては、公正を図り、職員が不利益な取扱いを受けることのないよう、関係組合の意見をきく等十分な配慮を行なうこと。  三、一般公務員が、とくに危険をおかして業務を遂行しなければならない場合の補償についても、引き続き検討を加えること。  四、業務上の死亡等に対する民間の法定外給付の実情にかんがみ、公務員の場合においてもその均衡を考慮して適切な措置を講ずること。  五、遺族補償をはじめとする各種補償給付水準については、その引き上げについて検討すること。   右決議する。 以上であります。  何とぞ皆さま方の御賛同をお願いいたします。
  12. 上村千一郎

  13. 吉田法晴

    吉田委員 私はこの際、自由民主党日本社会党日本共産党革新共同公明党及び民社党の五派を代表いたしまして、昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案に対し、附帯決議を付したいと思います。  案文朗読により、趣旨説明にかえさせていただきます。    昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、地方公務員共済制度現状にかんがみ、次の諸点について善処すべきである。  一、退職時期による退職年金の格差をすみやかに是正し、給与改定率による年金スライド制制度化を図ること。  二、厚生年金給付水準引き上げに伴い、これとの均衡を失しないように共済年金給付水準引き上げるとともに、退職年金等最低保障制度についてその改善を図ること。  三、年金額算定の基礎となる給料は、公共企業体職員等共済組合取扱いとの均衡を失しないよう退職時の給料とすること。  四、年金制度施行前の職員期間組合員期間に通算する場合における退職時期等による制限の緩和を図ること。  五、長期給付に要する費用に充てるための公的負担部分については、厚生年金等他制度との均衡を考慮し、その負担割合引き上げるとともに、短期給付掛金率一定限度をこえることとなる組合については、組合員負担軽減措置を講ずること。  六、長期給付財政方式については、賦課方式の問題を含めて検討すること。  七、長期在職した組合員退職後の医療給付継続および非在籍専従役員共済組合員としての資格の継続について検討すること。  八、短期給付制度を適用しない共済組合福祉事業が円滑に実施できるよう必要な措置を講ずること。  九、共済組合運営審議会等において組合員の意向がさらに反映されるよう努めること。  一〇、土地開発公社等職員についても団体共済組合制度を適用すること。   右決議する。 以上であります。  何とぞ皆様方の御賛同をお願いをいたします。
  14. 上村千一郎

    上村委員長 以上で、趣旨説明は終わりました。  本動議について採決いたします。本動議賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  15. 上村千一郎

    上村委員長 起立総員。よって、両案に対し、中山利生君外四名提出及び吉田法晴君外四名提出動議のごとく、それぞれ附帯決議を付することに決しました。  この際、自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。江崎自治大臣
  16. 江崎真澄

    江崎国務大臣 ただいま本委員会に付議されました両案につきましては、慎重御審議の結果、前案につきましては原案のまま、後案につきましては、修正の上、すみやかに御可決賜わりまして、この際厚く御礼を申し上げます。  なお、ただいまこの両案に対しまして賜わりました附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重して善処してまいりたいと存じます。     —————————————
  17. 上村千一郎

    上村委員長 ただいま議決いたしました両法律案に対する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 上村千一郎

    上村委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  19. 上村千一郎

    上村委員長 次に、内閣提出にかかる特定市街化区域農地固定資産税課税適正化に伴う宅地化促進臨時措置法案議題といたします。  本案については、すでに提案理由説明は終わっておりますので、これより質疑を行ないます。  質疑申し出がありますので、これを許します。今井勇君。
  20. 今井勇

    今井委員 ただいま議題となりました法律案につきまして、与党の立場から若干の質疑をいたしたいと思います。  よく、わが国の道路面積が非常に少ないということの例として、道路率ということを言われます。特に、他のヨーロッパあるいはアメリカ等都市に比べて、わが東京が非常に道路率が低いと言われますが、これは、東京中心部におきましては、決してそういう事実はないのでありまして、むしろ、周辺部の区、これが実は非常に道路率が少ないのであります。その大きな理由一つは、在来農地が自然発生的に市街化をしたということで、迷路のような路地がたくさんありまして、そういうことのために道路率が非常に少ない、非常に環境がよくないということがあったのであります。そこで、そういうふうなことを考えましても、市街地をつくります場合にどうしても必要なのは、当初から整然たる計画をつくりまして、その計画に基づいて市街地をつくるということが必要でありますが、今回の法律案につきましては、その中で、土地区画整理事業というものを大々的に行ないまして、住環境の整備をしようというふうなことになっております。まことに、その趣旨としては非常にいいことでありますが、ただ、この土地区画整理事業の中では、幾つかの問題点があります。たとえば減歩の率が相当高い場合には、なかなか関係者同意が得られませんで、土地区画整理が非常にいいことなんですけれども、実際は行なわれない。これはあに東京のみならずでありまして、地方に参りましても、たとえば道路をつくるために、それを含めて土地区画整理をやっていこうとしたのですが、なかなか地域住民同意が得られなくてできない。やむを得ず、直接買収に切りかえるという例がたくさんあります。  そこで、今回の第三条にいいます土地区画整理事業ですが、在来土地区画整理と今回の土地区画整理とは、一体どこが改善されておるのか。いままでのような、私が指摘したような、苦い経験と申しましょうか、趣旨はいいけれども、なかなかそれができないという、この難点をどうして克服しようとしているのか。まず、そのあたりから政府の見解を聞きたいと思います。
  21. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 今回提案いたしております土地区画整理在来土地区画整理との違いについて申し上げます。  今回提出しました法案におきましては、特定市街化区域農地に着目いたしまして、その所有者が、その農地を含む一定の条件に該当する場合には、市に対しまして土地区画整理事業施行すべきことを要請することができるという手続をとっておる点が違うのでございます。したがいまして、要請を受けました市におきましては、たとえば事業概要内容になっておりますところの街路だとか公園だとかいうような公共施設整備水準があまりよろしくないとか、あるいは適当でないというような場合とか、あるいは、自分要請されたけれども、実施能力がなくて非常に困難であるというような場合、そういう場合を除きましては、区画整理事業自分がやらなければならないというふうに一種の義務づけを行なっているところが違うわけでございます。農地所有者自分土地区画整理事業を行ないます場合には、資金計画を立てたり、詳細な設計を立てたり、借り入れ金自分で算段いたしまして、自分の責任において事業をはからなければならないのでありますけれども、これらを全部市にゆだねたという点が違うのでございます。
  22. 今井勇

    今井委員 いまの説明でわかりますことは、在来方式にかえて、市に区画整理事業施行すべきことを要請する。それに基づいて、市は、そういう要請があった場合には施行しなければならないということで、確かに、そういう意味では前進でありますが、ただ、しかし、内容として、もっと具体的にお聞きしますと、たとえば、私が冒頭に指摘いたしました減歩率の問題を一つ取り上げてみましょう。  在来減歩率が一体どのくらいになっておるのか。これは、やったその場所場所でいろいろ違っておると思いますが、まず、一般論からお聞きしておきましょう。具体的な数字があれば、具体的に答えていただきたい。
  23. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 在来区画整理におきまして、公共が行ないます場合の減歩平均を申しますと、大体二八%程度でございます。そのうち、公共減歩というのが大体二〇%程度保留地処分等によるもの、保留地減歩と呼んでおりますが、これが八%程度でございます。  今回は、公共減歩は、できるだけ市街地の質を確保いたしますためにこれを減らすわけにいきませんが、地主たち自分土地を出す、いわゆる保留地減歩というものを少なくして差しあげよう、これがねらいでございまして、大体、電気ガス水道というような、それをやることによって地価が上昇する分、この分は見ていただこう、その分が三%くらいあると思います。概括的な数字で申しわけございませんが、従来の二八%に対しまして、保留地部分がうんと減って、三%くらいで済むようになるだろう。場所によって違いますけれども、このような一般的な目安でおるわけでございます。
  24. 今井勇

    今井委員 保留地減歩が八%、それを極力減らして三%という話であります。   〔委員長退席小山(省)委員長代理着席〕  そこで、もう一つ問題になりますのは、いままでの土地区画整理事業等をいたします場合に補助対象にしておりました街路、それが、たぶん、一定の幅以上でなければしていないんじゃないかと思いますが、そういうものをもっとこまかいところまで補助対象にしていって、区画整理がやりやすいようにすることも一つの大きなねらいであろうかと思うのですが、そういった具体的な問題で、どこをどのように考えているのか。具体的な考え方があるならば、この際聞かしていただきたいと思います。
  25. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 先ほど一緒に御説明すべきだったと思いますけれども、それはまた援助の中身の問題だと思いまして省いた次第でございますが、御質問がございましたので申し上げますが、現在、われわれは、区画整理事業に対しまして、都市計画決定されておりますものにつきまして、大体十二メートル以上の街路につきまして、その用地相当分、これを負担しておる、援助しておるのでございますが、今回の場合の区画整理におきましては、これを八メートル程度まで採択することによりまして——もっとも本数も問題でございまして、場所によって違いますが、基準といたしましては、八メートル程度まで下げることによりまして、これらの道路用地費あるいは移転費工事費等公共負担するようにいたし、それを補助対象にいたしたい、このように考えております。
  26. 今井勇

    今井委員 いま考えられておるような幾つかの前進策によって、在来区画整理事業でつまずいたもの、あるいはできなかったものが非常にやりやすくなるということは事実でありましょうが、そういった見通しというものをはっきり持っておられるのかどうか。いままでの難点一つ一つ克服することによって、今度のものならば相当のところまでいけるのだということを具体的に考えておられるかどうか。その点をお伺いしておきたいと思います。
  27. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 今回の措置によりまして、みずから施行しやすくするということをまず第一に考えたいと思うのでございます。農地等所有者が、今回のA、B農地等課税によりまして、その農地自分でいい市街地にしていこうという発意をさせますためには、援助がなくちゃならない。そして、われわれの見通しとしては、いま申し上げましたような措置をとることによりまして、大体−平均的な数字で申し上げるとおわかりが早いと思いますが、区画整理というのは、大体平米当たり二千円程度かかるのでございますが、そのうち個人負担となりますところの、先ほど申しました電気ガス水道等のものは平米当たり三百円程度かかる。これはいままでの平均でございまして、その程度負担でこの事業ができるようにいたしたい、このように考えておりますので、従来のやり方よりは、個人負担、つまり用地を出して保留地域歩で出すという減歩率がずっと減るというふうに考えておりますので、その気があれば有利な区画整理事業になるというふうに考えております。
  28. 今井勇

    今井委員 次に、その区画整理事業の具体的なものとして、たとえばこの法律案によりますと、全体が五ヘクタール、その中で半分はいわゆる今回の特定市街化区域農地でなければならぬというふうになっておりますが、たとえば東京都の区部、あるいはその区切り方はどうでもいいのですが、一体どの程度に具体的なものがあるのか。前に議論されたときには、総延べで何平米というふうなことが、A、B農地——特に、東京の場合には、区部ではB農地はなかったと思いますが、A農地だと思いますが、こういうふうな法律案ができたときに利用される可能性のあるものというのは一体どのくらいあると見込まれるのか、これが一つ問題であろうかと思います。詳細な調査があるいはないのかもしれませんが、いまわかっている範囲内でどの程度のことを考えているのか聞かしていただきたいと思います。
  29. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 現在、東京の中の数字について、手元に資料がございませんので、それにかえまして、三大都市圏の中の大体の対象となるであろう農地についてお答え申し上げたいと思うのでございます。  この法案対象となります特定市街化区域農地というのは一万六千八百ヘクタールございます。では、この法案によります土地区画整理事業対象となる区域はどれくらいあるか。これは農地を五〇%以上含むこととされておりますので、事業の見込みというのは、最大限とりまして三万三千六百ヘクタールになるわけでありますが、特定市街化区域農地の中で、すでに土地区画整理事業が済んだとか、あるいは付近の市街地等に接してしまっていて、まあ要請がないだろうというようなところ等がございますので、われわれは、これを、おおむね一万六千八百ヘクタールの五割の八千四百ヘクタールが事業施行要請があるものと仮定いたしまして、さらに、これは周辺区域を含むことになる場合がありますので、その周辺区域を約二〇%含めた要請があるもの、このような推計のもとに計算いたしますと、要請面積は大体一万ヘクタールになりまして、個所数といたしましては、大体一千カ所くらいになるのではないかと思うのでございます。一千カ所に対しまして市町村数が百八十幾つでございますから、単純にこれを割りますと、一市当たり五、六カ所程度、これくらいが対象になるのではないだろうか。これは計算の問題でございますけれども、そのようなことを頭に置いておるわけでございます。
  30. 今井勇

    今井委員 そういうふうな数字で考えると、供給されるべき可能性のある住宅といいましょうか、これは一体何ぼぐらい供給することが可能であり、それによって何人ぐらいの人たち住宅の恩恵に浴すると考えておるのか。そこらあたり数字を聞かしてもらいたい。
  31. 京須実

    京須説明員 御質問趣旨によりまして、供給されます住宅は、二戸当たり平均いたしまして百八十平方メートルの土地を使うといたしまして、約四十六万戸と考えております。その結果、何人ぐらいの人口が入るかと申しますと、一戸当たり平均いたしまして約四人程度ありますので、約二百万人弱の方々の住宅が供給できる、このように考えております。
  32. 今井勇

    今井委員 次に、他の条文についてお伺いしてみたいと思います。  「住宅金融公庫の資金の貸付けの特例」のところでありますが、ここで、条文では、「特定市街化区域農地所有者その他の者」と書いてありますが、この「所有者その他の者」というのは一体何をいっているのか。その内容説明していただきたい。
  33. 京須実

    京須説明員 所有者以外に一定の権限を持ちました、地上権を持っている者、あるいは賃借権を持っている者、そういう者でございます。
  34. 今井勇

    今井委員 土地区画整理をやろうとするときの発意者は所有者になっておりますね。これは、私、必ずしも熟知していないのですが、これは所有者等であっていけないのか。なぜ所有者になっておるのか。そこらあたりはどうなんですか。
  35. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 これは、一言で申しますと、A、B農地について固定資産税がかかる対象となるものの、その優遇措置を考えようというところにこの法律案の動機がありましたから、その発意につきましても、所有権者の発意を尊重することにいたしたわけであります。
  36. 今井勇

    今井委員 次に、所得税の軽減等のところでありますが、第八条二項で「譲り受けた者は、できる限りすみやかに、当該土地住宅その他の建物を建設しなければならない。」と書いてありますが、これは法律的に申して、一体、こういう精神規定で、実際そういうことができるのかどうか。まさにこれは書いてあるだけではないかという感が非常に強くいたします。こういう程度のことならば、何もここに第二項として麗々しく書くことはないのであって、一体、ここに法律案としてこの条文が残っておりますゆえんのものは何ですか。ほんとうにこれは担保できるのですか。そこらあたりのものの考え方を聞いておきたいと思います。
  37. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 国税の問題でございますけれども、所得税の軽減の措置は、農地所有者が譲り渡した場合について所得税が軽減されるわけであります。したがいまして、譲り渡し後において、農地を譲り受けた者が何か別な用途に使ってしまったという場合には、その譲り受けた人間が何か別な用途に使ったために、売り渡した本人の税金が高くなるということが出てくるわけでございます。そういうことになりますと、自分の意思とは反して所得税のほうが高くなってしまうという形になりますので、本人の責任でない場合において、税について責任を負わしてしまうというのはやや問題があるということであります。ただ、それかといって、所得税の関係で、譲り受けた者についてそれを強制していくということは、いまの私法上の取り扱いからしてやや問題がある。こういうことで、法律の上におきましては、いわば精神的な規定になりますけれども、これ以上強制をしていくということはやや問題があるのではないか、こういう意味で、これは精神的な規定になったわけでありますけれども、この法律の趣旨に従いまして、譲り受けた者が建物を建設をしていく、できるだけそういう方式でやるということを立法の段階においてお願いする、こういう趣旨のものでございます。そういう点では、強制的な規定がないという意味で、はっきりした担保がないという欠点は免れないと思います。
  38. 今井勇

    今井委員 どうも歯切れの悪い答弁で、確かに、趣旨としてよくわかるのですが、そうならば、もう一歩進めて何か知恵を出すことが必要であり、まずそれをしなければ、せっかくつくりましたものが生きていかないというふうな感を私は強くいたします。確かに、もししなかったら罰則を設けるとかいうことではないのですが、やはり、ここは、政府としても何か考えて、もう一つ前進した方法をどうしても考えなければならぬと私は思います。そうしなければ、せっかくそうしたものをしてあげても、そこにうちが建たなくなるというおそれが多分にある。ここはもう一つ十分考えて、この法律がほんとうに生きていくように一ふんばり努力を願わなければならぬと私は思います。そういうふうな決意なりあるいは方策の研究なりを重ねて強く要望して、もう一度答弁をしておいていただきたいと思います。
  39. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 確かに、御指摘のとおり、現在の所得税軽減措置について、さらに一段の軽減をやるわけでありますから、現実にこういう市街化農地についての譲渡がありました場合には、市町村等の行政機関を通じまして、できるだけすみやかに建物を建てていくということについての指導を個別に行なっていくように私どもも努力をしていきたいと思います。
  40. 今井勇

    今井委員 最後にもう一つお伺いしておきたいのは、国及び地方公共団体の援助の問題ですが、二つありまして、「国及び地方公共団体は、特定市街化区域農地の宅地化の促進を図るため、土地区画整理事業施行、当該農地を転用して行なう住宅の建設等に関し、財政上、金融上及び技術上の援助に努める」と書いてありますが、この「技術上の援助」の内容でありますが、一体どういうことを「技術上の援助」というものの中に考えているのか。これはたぶん土地区画整理事業のことをいっているのじゃなかろうかと思うのですが、そうであるのかどうか。もし、さすれば、どんなも  のを考えているのか、聞いておきたいと思います。
  41. 河野正三

    ○河野説明員 いま今井先生からおっしゃいましたように、区画整理事業事業概要作成等あたりましての技術上の援助、これが一つの柱でございますが、それ以外にも、住宅の建設計画の作成であるとか、あるいは建てました貸し家の経営をどういうふうにしたらいいかということ、住宅経営等に関します指導であるとか、いままで農業をやっておられた方々にとりましてはいろいろと技術上の援助が必要であろうかというようなことで、この十条に簡単な規定を置いたものでございます。
  42. 今井勇

    今井委員 その次の条項で、「国は、地方公共団体に対し、特定市街化区域農地の宅地化の促進に伴って必要となる公共施設整備について、財政上及び金融上の援助を与える」というのは、たぶんこれは人口急増地域等の場合を想定しておるのではなかろうと思いますが、一体、公共施設整備について具体的にどのようなものを考え、どのような財政上及び金融上の措置を考えているのか、具体的な説明をしていただきたい。   〔小山(省)委員長代理退席、中村(弘)委員長   代理着席〕
  43. 河野正三

    ○河野説明員 御承知のようにA、B農地といいますか、特定市街化区域農地、大体諸施設等がある程度整備されている地域に所在する農地であるというふうに考えております。しかしながら、その上にさらに住宅建設等を大いに促進してまいろうということになってまいりますと、根幹公共施設である街路であるとか、先ほど御指摘になりましたような、あるいは公園であるとか、下水道整備であるとか、いろいろと地主の方々の御負担をかけないで、国、公共団体の責任において整備しなければならぬものがたくさんあるわけでございます。相当程度整備水準のあるところとはいえ、さらにそれを高めていくということも住宅建設を促進するためには必要でございますので、そういうような意味合いでの公共団体に対する援助を規定したものでございます。
  44. 今井勇

    今井委員 いまの援助でありますが、具体的に公共施設説明はありましたが、「財政上及び金融上の援助」というのは一体何を考えておるのですか。たとえば補助率を上げるとか、あるいは起債の充当率を高めるとか、いろいろな方法があると思うんですが、それは一体どういうふうに考えているのですか。
  45. 河野正三

    ○河野説明員 補助率を特に高めるということは、交付税の関係は別といたしまして、個々の施設に対する補助率アップの問題について、特段の考えは持っておりませんが、量的に補助採択を大いに増していくとか、あるいは、おっしゃるような、起債の関係の援助を重点的にこれらの地域について行なうとかいうようなこととなろうかと思います。
  46. 今井勇

    今井委員 終わります。
  47. 中村弘海

    中村(弘)委員長代理 島田安夫君。
  48. 島田安夫

    ○島田(安)委員 きょうは大臣がお見えになっておらないようですが、具体的な質問に入ります前に、政務次官が出席されておりますので、二、三の点についてまずお尋ねしておきたい。  と申しますのは、今回の措置法というのは、御承知のように、さきに決定いたしました市街化区域農地の宅地並み課税と相関連して、その効果を期待されておるものでございますが、おそらく、政務次官も御承知と思いますけれども、最近、せっかくの政府あるいは自民党の発議にもかかわらず、地方自治体においていろいろと造反が起きている。しかも、これが、表現は悪いかと思いますけれども、革新首長の都市等で、やはりこの際農民をそこまで追いやってはいけないというような考え方でそういう造反が起きておるということであれば別問題ですけれども、政府・与党であります自民党の首長の都市でも次々とそういう問題が指摘されているということは、さきの法案審議あたりましてわれわれが指摘した点が、いろいろありますけれども、いみじくも、地方公共団体のほうではまさにそのとおりだということであって、こういう一つの現実の上に立ってこうした問題が起きておると思うのですが、これについてはどう考えておられるのか。これをどう受けとめておられるのか。また、この法案は、農地の宅地並み課税にいたしましても、参議院を通過しましたから施行になっているわけですけれども、そうした強い反対の意思表示がなされたということは、今後の行政全般にもかかる一つの問題ではないかというふうに私は思うのですが、どうですか。その点についてまずお聞かせいただきたい。
  49. 武藤嘉文

    ○武藤政府委員 確かに、おっしゃいますように、今度の農地の宅地並み課税が適用になりました市におきまして、必ずしも法律の望むような方向にいっていない。逆に、緑地保全要綱とかいろいろきめられまして、それに基づいて、それぞれの市で、一定規模の農地に対しては従来どおりの農地並み課税をするというようなことを現在やりつつある市があることは承知をいたしております。私どもとしましてはたいへん残念なことでありまして、確かに、いろいろあのときにも議論があったと思いますけれども、いま建設省のほうでいろいろ進めていただいておるはずでございますけれども、たとえば都市計画法の中に生産緑地という構想をはっきりと明確にいたしまして、ある一定の規模、そして農業を相当期間継続をしていくというようなことを条件にして生産緑地という制度を設け、そして、その生産緑地には、そのかわり建物も建てられない、こういう制限をすることによって、いわゆる都市近郊の農業も進めながら同時に必要な緑地を確保する、こういうことであるならば、これはまた一つの考え方だと私は思います。ただ、残念ながら、そういうものがいま都市計画法の中でまだ制度化されておりませんので、一部の市においてはそういうことを見越しておやりをいただいておるのかもしれません。そういう見越しておやりをいただいておるならば、私どもも理解ができないことはないんでございますが、しかし、そういうことを見越した場合といたしましても、たとえば、のべつまくなく一応宅地並み課税がかかるA、B農地について、もうそういう制限を加えないで、全部に農地並み課税で据え置くというようなことは、これまた逆にいかがなものであろうか。たとえば、ほとんど農業をやっていないで、実際、都市の周辺がほとんど宅地化が済んでしまっておるという、そういうところに点在しておるようなものについてまで、市によって緑地保全要綱その他をきめて、農地並み課税に据え置いていくということ、これはまた逆に言えば、その近傍の宅地との不均衡ということもございますし、実際、それが生産緑地として、わずかな、たとえば一反とか二反というものであった場合には、はたしてそれが生産緑地の性格として適当であるのかどうか、こういう点も私は疑問だと思いますし、あるいは実際農業をほとんどやっていない、少し菜っぱや何かを植える程度でも、これも農地だということははたしていかがであろうか。その辺が、この地方税法改正案に修正が加えられまして、一応いま実施の段階に入ったところでございまして、それぞれの市においても、その辺のはっきりした考え方もまだ立っていないのじゃなかろうか。国のほうにおきましても、生産緑地の、しっかりした法律の中における定義というものがまだはっきりいたしておりません。そういうことで、多少はすっきりしていない面もあることはやむを得ないと思いますけれども、しかし、私どもは、この面については、生産緑地なら生産緑地という考え方を都市計画法の中で一ときも早く明確に規定をし、それによって、それがその市の緑地を確保するという観点であくまでも役立つということになれば、そのときには非常にすっきりした形になるのではないかと思っておりまして、いま御指摘のように、確かに、いまのところは多少混乱ぎみでございますからたいへん残念に思いますけれども、これはやむを得ないといいますか、その辺がはっきりしていないためにやむを得ない点もあるだろう、このように好意的には私ども思っております。  しかしながら、今後、生産緑地のしっかりした定義ができる前においてでも、あまりにも無差別、普遍的に、実質農業をほとんどおやりになっておらぬわずかな面積にまで農地並みの課税をされるというようなことであれば、これは、行政指導でできるだけそういう点を直していきたいと思いますが、最終的には法律に基づいた措置もいろいろとやらざるを得ない、こういう場合もあろうかと思います。
  50. 島田安夫

    ○島田(安)委員 政務次官、私は、不幸にして、あなたと考え方が全く正反対です。あなたは、いま、まことに残念であるとか、あるいは、そういう地方自治体等が無差別、無計画に、わずかばかり蔬菜をつくっているからといって課税を軽減するというのはまことに遺憾だ、法的な規制を加えなければいけないというようなことまでおっしゃいましたけれども、これは農民側とすると、そういう一市や二市ではないのですね。京都府等は全該当市ですね。全部返上するということをはっきり打ち出しているわけなんです。そうしますと、いわゆる市街化区域の宅地並み課税に対していろいろ論議があったわけなんですけれども、現在、大方の考え方というものは、都市の中に生産緑地がいかに必要かということを認識してそうしたことをやるのじゃないかと思うのですが、私はその意見に全面的に賛成で、まことに残念であるとか、あるいは、無差別、無計画にそういうことをやる行為はきわめて遺憾だというようなことは、どうも認識を改めていただかないといかぬじゃないかと、このように考えます。おそらく、建設省が、新しい一つの考え方として生産緑地を残す。この間都市計画中央審議会の一つの意見として二、三のことを示されておるようですけれども、これは、さきの法案審議の過程の中でもいろいろ問題になりましたように、こうしたことが必要ではないのか、いま少し計画を練り直して、現実に即したようなものにすべきじゃないかということを再三指摘したのですけれども、いや、これでいいのだ、今回提案されておりますところの、俗に言われておるあめ法、これがあるから、農民は必ず喜んでこの政策を了解すると、こういう強い大臣の発言もあった。私は、おそらくそれはノーだろうと指摘をしたわけですけれども、さっそく建設省においては、次の国会で、こうしたものを内容としたA農地、C農地等を縦分けをして、市街化区域の中に生産緑地というものを保存していこうとしている。全く一貫性がないじゃないですか。そうしたことを全然省みず——自治体には、生産緑地というのは、将来の都市というものを考えていくと、これは絶対に必要だ。政務次官といえども、最近の都市生活をお考えになりますと、そうしたものがほんとうに必要ではないかというふうにはおそらくお考えいただけると思うのです。コンクリートの中で一日生活する。退庁時間が来て、これまたコンクリートの道を歩いて、鉄で囲まれた箱の中に入って家に帰る。駅におりるとまたコンクリートの上を歩いて家に帰る。その帰路ですね。都市の中に、生産緑地というか、いわゆる緑地団地というものが点在して、そこに緑がある。これだけ考えても、すばらしい、いわゆる人の心をなごませる理想的な都市環境だと私は思うわけです。それは、たとえ一部に雑草がはえましても、雑草に対する郷愁というものも、十年、二十年先、だんだん貴重な存在価値が都市の中ではできてくるのじゃないか。こういうことを考えますと、自然のままの雑草にしても、あるいはいろいろな蔬菜にしましても、あるいは果樹にしましても、そこに生産される緑は、四季の移り変わりを一番敏感に反映します。花も咲く。こうした状態を考えていきますと、私は、そういうことこそ絶対必要だという点を強調しておったのです。そして、最近の自治体の情勢というものは、まさに将来を想定したたいへんりっぱなものだと思うむしろ、今日の混乱を与えているのは、こう薬ばりの行政で、各省との連絡もなしに、とにかく何でもやっておけという今回の宅地並み課税、あるいはこれに関連して提案されております措置法の問題が原因だと思うけれども、政務次官は、将来の日本の都市構造の中で、この法律は正しい、そして、いまやっている自治体の行為というものはどうもおかしいというふうにほんとうに本気で考えられているのか。もう一回はっきりと答えてください。
  51. 武藤嘉文

    ○武藤政府委員 どうもたいへん考え方が違うようで恐縮でございますが、農地の宅地並み課税法案審議のとき、また、あの法律ができるまでの過程においても、私ども考えましたことは、たとえばわずか一反かそこらの、あるいは場合によれば一反未満のものでも、農地ということによって、農地並み課税で、昭和三十八年以降据え置いておられる。ところが、隣の同じ雑草地帯であっても、その隣の雑草のはえておるところは、宅地として従来から登記をされておる。そうなりますと、同じ雑草のはえておるところでも、農地としての登記のままでありますために極端に固定資産税が安いという場合もなきにしもあらずだと思うのです。そういう場合も、農業を実際にしておられなくても、単に農地だとおっしゃっておられるだけで、そういう極端に安い農地並み課税をそのままかけていくべきなのかどうか。そういう面における税の不均衡という問題、これは当然取り上げていい問題であろうということを私は考えます。そして、また、一面、実際に農業を都市近郊においてやっておられるところの、特に、都市の野菜その他を供給する供給源としての都市近郊農業の役割りも認めるのに私はやぶさかではございません。そういう都市近郊の農業の実態を見て、ほんとうに都市近郊で農業をやり、そして、それによって都市生活者の野菜その他のものを供給しておられるというところがたまたまA、B農地にひっかかるというような場合、これは、私は、確かにお気の毒な点があろうと思います。それで、そういうところは実際常時作物を植えておられるわけでございますから、いわゆる緑地としてやっていけるんじゃなかろうか。だから、先ほども申し上げましたが、ただいままで農地と言われているから農地並み課税をどこでもやっていくということではなくして、ある一定の面積で、しかも、農業をずっと継続してやっていっていただけて、そしてそこは施設もつくらないというものは、できるだけ早い機会に、いま御指摘のように、都市計画法の中でも、生産緑地として制度を確立して、並行していけば、もっと御理解がいただけたと思うのでございますけれども、それが少し後手になっていることはたいへん恐縮でございますが、私ども、そういう制度をしっかりと確立をしてやっていき、そして、そういうものは農地課税で据え置く、こういうことが税の均衡から言ってもほんとうに望ましいことであると思うし、また、いま御指摘のように、これからの新しい都市のあり方から言っても、特に、大都市周辺の都市なんかにおいては、そういう姿がやはり望ましい。これはよくわかるわけでございます。しかし、いままで農地と言われておったから、何でも全部それはいいじゃないかという点は、せっかくのお話しでございますが、いささか私は同意するわけにいかないということでございます。
  52. 島田安夫

    ○島田(安)委員 政務次官はどうも感覚がおかしいんじゃないかと思います。さっきも言ったように、地方自治体が次々と造反をやっている。この造反はどういうことかといいますと、一、二の例がありますので読んでみます。「岩倉市環境保全都市宣言に依る市街化区域内生産緑地に関する補助金交付条例」ですが、その第一条は、「市民が健康で豊かな生活を確保するため、市街化区域農地を、生産緑地とし、環境の保全に寄与することを目的とする。」となっている。政務次官は、いま、すべての農地課税しないことはでこぼこがあるとかおっしゃり、あるいは、さっきは、地方自治体のそういう造反はけしからぬ、残念だ、無差別、無計画にそういうことをやれば、法の規制でも、自治省は強権によってやらねばいかぬとおっしゃった。そこで、私は、それはおかしいじゃないですかと言うのです。考え方が違います。この条例にもありますように、将来の都市における市民生活の豊かさを確保するためには、市街化区域内の農地といえども一この間の法律では、全部一律にかかるんじゃないですか。それは酷だから、こういう生産緑地としての保全こそ将来のために大事だと思うというふうに言いましたら、すべての農地課税しないということはおかしいじゃないかとか、あるいは、一部分値上がり待ちで放置しているものと、あるいは農用地として耕作しているものと、あまりにも不均衡じゃないかとか、さいぜんの答弁と比べて、何かおかしい。さっきは、これはおかしい、法の適用によってでも規制するという表現だったのですけれども、その辺はどうなんですか。最初の御答弁といまのお話しと、私は理解しかねるのですがね。
  53. 武藤嘉文

    ○武藤政府委員 最初の答弁も、無差別にやるということで、結局やる。私どもの手元にいろいろございますけれども、たとえば、市によっては、おおむね三千平米以上の農業生産の行なわれておるところとか、あるいは五千平米以上とか、いろいろあるわけでございます。しかし、中には、全くそういうことに区別なく、将来の農地に対しても——特に、先ほど、雑草があってもいいんじゃないかというお話しがありましたが、そういうところまで農地課税をするということはおかしいじゃないか、そういうところは、場合によれば、われわれ相当強い指導をしてでも、法律に基づいてやらなければならないのじゃないかということであり、また、どうも少し混乱したかと思いますので、区別いたしますと、それが一つの方向であり、それと、いま後手になりましたけれども、生産緑地という考え方を、これは都市計画法の中へ入れていきたい、こういう考え方はあるわけでございまして、その生産緑地ができるまでそれじゃ据え置いたらいいじゃないかという——据え置くというか、先ほど私は据え置くと申しましたが、実質は、一応税金はもらう形で、あとからまた返す、こういう形をとっておりますが、やり方は別として、実質、従来と同じような負担でいいんじゃないか、こういうことを生産緑地の制度ができるまではやっていったらどうかという御意見かと思いますけれども、しかし、現実には、もうすでに地方税法の改正案は成立をいたしておるわけでございますし、私ども自治省といたしましては、それに基づいていまのところは進めていかざるを得ない。できる限り早く生産緑地という制度都市計画法の中で確立をしていただいて、そして、次の税法改正の中でそういうものに対してはまた考えるか、あるいは何か別の法律で助成策を考える、こういうことにせざるを得ないのじゃないかと思うのでございます。
  54. 島田安夫

    ○島田(安)委員 いま、次官のほうで、税金を取って、将来生産緑地については税金を返すのだというような発言があったのですが、ほんとうにそうされるのですか。税金は取って、そしてあとで返されるのですか。
  55. 武藤嘉文

    ○武藤政府委員 いや、現在そういうことをやろうとしておる市があるわけです。現在の市は、先ほど愛知県の岩倉市ですか……。
  56. 島田安夫

    ○島田(安)委員 いや、それは話が全然違うのです。いま市がやっているのは、国のやり方が悪いから市はそうするというのでしょう。国が生産緑地を認めない、すべての農地課税するというふうにこの間可決しましたわな。これは悪い、生産緑地はぜひ保全したい、したがって、税金を取るけれども返す。これは地方自治体がやっていることで、何も国がお考えになっていることじゃない。そういうことが正しいのじゃないか。国においても、建設省では、これはそういうふうに来年度もやらざるを得ないと考えておるのじゃないか。したがって、さきの農地の宅地並み課税ということが、いろいろなそういう現実に即しない矛盾を内蔵しながら施行になっちゃった、まことに遺憾だ、これについてどのようにお考えになるかと言いましたら、自治体のやり方はたいへんけしからぬ、残念だとおっしゃるから、私は、私と意見がたいへん違っておりますと言うのです。私は、少なくとも、現在地方自治体が、せっかく新しいそういう法律が施行されても、あえてそれに抵抗して生産緑地を確保したいという、その考え方の中には、都市生活の無味乾燥な現況から考えて、そうしたことこそ都市生活にふさわしいもので、これが人の心をやわらげ、あるいは自然に親しむという気持ちをつくるのだということがある、かりに補助金を出してでも、そういういい生活環境を求めていかなければいかぬのじゃないかと、こういうととなんです。その辺が、話を聞いておりますと、何かおかしい。私も行き当たりばったりの質問で、事前によく話もしてないので、そういう点もあろうかと思いますが、しかし、いま自治体のやっておることは、これはいいことなのか、悪いことなのか、どのように考えられるか、率直に意見を聞きたい、こう申し上げたわけですので、具体的には食い違いがだいぶんあります。  そこで、あとでまた大臣にその点については質問いたしたいと思いますが、考え方を変えまして、いまの都市周辺で、今回、農用地というものを住宅用地に転換するという施策がとられつつあるわけでございますが、私が過般も指摘しましたように、農用地だけでなくして、大企業の保有する土地であるとか、あるいは遊休の公用地であるとか、こうしたものを全部洗い出して将来の住宅用地に振りかえるというようなことを考えていかなければ、農地のみにしわ寄せをしても造反が起きる。農民というものは団結心もないし、やはり、貧しい、一番弱い階層である。御承知のように、大手というのは、富もあり、力もある。一番力の弱い、しかも、農業として、それなりに都市相当な貢献をする、蔬菜等をつくっておるような農地に、極端に言いますと、最高百六十倍になりますか、そのような重税を課する。これは昔の悪代官がやったような制度だと私は思いますけれども、農業もさせぬ、やるんならやってみろとばかり、そんな重税を課して、農民を追い出してしまって、一方においては、大企業は、スズメの涙ほどの土地保有税を払えば、保有した土地というのはそのまま所有できる、これはおかしいじゃないですか、こういうふうにお尋ねしました。都市周辺の土地というものを、遊休の公用地も含めて総点検をして、その中で、将来の住宅用地としてこういう計画でこういう協力を求めたいという恒久的な対策のもとに農民に協力を求められたならば、農民といえどもやむを得ぬというような納得をしたのじゃないかと私は思う。それがなされずに、今回は、まず、一番力の弱い、烏合の衆に近い農地からこの土地問題を解決されんとしたところにいろいろな問題が起きてきた原因があるのではないかというふうに私は考えるのですが、そうした点から、そうした企業の保有地あるいは遊休公用地等を住宅地として再点検して、今回とられたような措置をされるような意思はありませんかどうか、お尋ねしたいと思います。
  57. 武藤嘉文

    ○武藤政府委員 具体的にはまた後ほど建設省からのお答えをいただくといたしまして、まず、お断わりしておきますけれども、私の最初の残念ながらと申し上げたのがどうも誤解を生んだようでございますが、私が残念ながらと言った最初は、国のやっていることと地方自治体がいまやっていることが違うことはたいへん残念だ、こう言ったわけでございまして、それと、私が最後に申し上げました、勧告その他で場合によっては強制しないことはない、そういうことも場合によれば考えなければならぬと言ったのは、それをくっつけたわけではなくて、そのあとのほうは、先ほど申し上げたように、ほとんど農業に供されていないようなところでも、農地として一応登録がなされており、それがまた昭和三十八年以降のままの課税をするというような、一律にやるようなところには、場合によればそういうこともやらなければならないと思いますということでありまして、これはちょっと、その二つは、残念ながらのまくらことばはそこへはいきませんので、どうぞそれだけは誤解のないようにまず申し上げておきます。  それからいまのお話しでございますが、今度のこの農地の宅地並み課税も、決して全国の市街化区域全体にやったわけではございませんし、大都市周辺の、特に、三大都市圏を中心といたしまして、その地域の、しかもA、B農地に限定をしたということは、必ずしも農業を全部追い出そうという考え方ではないわけでございます。しかも、先ほど来申し上げておりますように、近い将来、その区域の中においても、そしてA、B農地であろうとも、生産緑地の指定を受けられて、それによってまた農地並み課税もされるような道も講じたいということでございますから、いまお話しのように、力のない農業者をどんどん追い出すんじゃないかというところまで論議が飛躍いたしますと、こちらの意向とは違うわけでございますので、その辺はぜひ御理解をいただきたいのでございます。  三大都市圏ではいま一番住宅が困っておるのでございますから、これはもちろん、必ずしも農地だけではございません。たとえば特別土地保有税というものを今度設けましたのも、これはそのほかの土地に対しても、あるいはその他の土地税制でいろいろやっております。あるいはその他の土地対策をやろうとしておるのは、必ずしも農業だけではなくて、いま御指摘のように、この住宅の足りない地域において、極力宅地が供給されるようにということを考えておるわけでございます。そういうことを一方でやりながら、農業においても、もしでき得るならば、農業をやめろということでは決してないけれども、御協力が願えないだろうかということでこの法案も出しておるわけでございますので、法案の中身がまだ必ずしも十分でないとかということはもちろんいろいろあろうかと思いますが、法案も将来においてはどんどんよりよい方向に持っていっていただけばいいわけでございますから、私どもも、国も、でき得る限り協力をして、また、農民の皆さま方にも御協力をいただいて、何とか宅地の供給の促進をはかりたいということが趣旨でございます。
  58. 島田安夫

    ○島田(安)委員 土地保有税等の話もありましたけれども、私が、農民のみを力が弱いからいじめ過ぎるのじゃないかという表現をあえて使いましたのは、百六十倍という宅地並み課税と、いま御指摘になりました土地保有税と対比いたしまして、現在どちらが重税であるかということで、これの調和といいますか、土地対策としての、土地をとにかく吐き出させるということは、農地の宅地並み課税はまさに土地を吐き出させるというきびしいものですけれども、他の企業等の保有する土地の保有税というものはそこまでいっておらないわけなんですね。必要でしたらこまかく言いますけれども、これは御承知だと思います。だから、弱い者には強権といいますか、強くなり、強い者にゆるいというのではおかしいから、将来ほんとうに土地が不足するというのであれば、そういう企業の方たちが保有する土地というものを吐き出していただくような措置を考えなければ、行政の平等といいますか、土地不足に対処することができぬじゃないかという意味を強調したくて言ったわけなんですが、遊休公用地につきましても、これはしばしば言われております。  これは一つの例なんですけれども、これはおもに国鉄関係なんですが、東京都内だけでも十万ヘクタールの遊休公有地がある。これは国鉄の一局長から、国鉄の資料に基づいて詳しく提案されている資料でございますが、東京二千万都市改造計画ということでまとめられた資料の中で、どこに幾らというふうにずいぶん指摘がしてあります。全部場所も書いてある。これの合計をいたしますと、東京都内だけで十万ヘクタールあるということをはっきり明記されておるわけなんです。あるいは、ただに国鉄のみならず、現在、遊休公用地というのは随所にあるわけなんですけれども、将来、庶民の住宅用地を何とか確保するということを本気で考えるならば、これも、ただ手をこまねいているだけではおかしいじゃないかという気がしますので、こういう問題についても本気で御検討をいただきたいと思います。  そこで、いま一つこれに関連してお伺いしたいと思うのですけれども、これは特に東京都と限定してもかまわないと思いますけれども、現在、都市周辺に、土地は何とかすればあるのかないのか。政務次官はどのように考えておられるか、一言お伺いいたしたいと思います。住宅需要に見合うだけの土地があるのかないのか。
  59. 武藤嘉文

    ○武藤政府委員 数字につきましては、宅地部長からお答えをいただくことといたしまして、私は、ないとは言えないと思います。
  60. 河野正三

    ○河野説明員 東京圏につきまして、住宅需要に応ずるだけの土地があるかないかというお尋ねでございますが、御承知のように、東京五十キロ圏の市街化区域面積が三十一万ヘクタール、そのうち、市街化がすでに進んでおります土地が十七万ヘクタールでございまして、残り十四万ヘクタールという土地がまだ市街化の進んでいない土地でございます。一方、今後の世帯分離、人口増等を勘案いたしまして、列島改造施策が十二分に発揮されたといたしましても、東京を中心といたします五十キロ圏の住宅需要が、昭和六十年までの間に約二百五十万戸というふうに、土地を新たに必要とする住宅需要があると言われておりますので、これらを勘案いたしますと、必要な宅地需要は約五万ヘクタール程度と考えられております。しかしながら、町をつくりますのは、住宅用地のみならず、公共施設用地であるとか、あるいは学校その他の公益施設の用地であるとか、いろいろなものがございます。五万ヘクタールの需要ということは、市街化すべき土地の面積といたしましては約倍以上になろうかと思います。しかしながら、それらを勘案いたしましても、いま申し上げましたように、市街化区域内の土地だけで十四万ヘクタール残っておりますから、まあ、土地はかつかつあるのではなかろうかという感じがいたします。
  61. 島田安夫

    ○島田(安)委員 そこで、土地はあるけれども、これが個人の所有であったり、企業の所有であったり、あるいは農地であったり、いろいろな問題に制約されて、住宅が建たない。たとえば建設省の公営住宅であるとか、一連の公共住宅と申しますか、こうしたものの進捗率にいたしましても、計画と対比しますと半分程度である。最近、東京都の住宅事情というものがいろいろ言われておりますけれども、特に、東京都はひどい。計画に対して一割程度しか住宅が建設されない。過去におきましても、計画どおり建設された年度というのはきわめて少ない。ほとんどが半分程度、あるいは半分を若干上回るというようなことなんですが、こうした状況を踏まえて、住宅計画というのは、建設省のほうでも、また、政府におきましても、国の一つの重要な施策として推進されておるわけなんですが、現実には、一番住宅に困る都市周辺において、そうした計画がマスタープランに終わって、一向前進しない。これに対してもっと具体的に手を打つべきだと思うわけなんですが、一口に言いますと、土地の取得がなかなか困難だと、一方的にその一言で片づけられておるようなんですが、今回の、宅地並み課税による農用地住宅地への転用の問題にいたしましても、計画を見ますと、たとえば都市計画事業等にいたしましても、自発的に土地所有者が三分の二申し出て、何とか都市計画をしてくださいと言えばやってやろう、そう言わないとなかなか手をつけませんぞと、言いかえますと、そういうことになる。これでは、一貫した国の政策はあるのか、ないのか、あるいは、国の住宅事情に立って本気でこうした問題が検討されておるのか、おらないのかということになる。まあ、しかたがないわい、計画は立てたけれども、というふうに私は思えてしかたがないのですが、いま局長もおいでになっておりますが、その辺はどうですか。
  62. 河野正三

    ○河野説明員 おっしゃるとおり、大都市周辺の住宅の困難はたいへん大きな問題でございます。これに対処するためには、ただ単に土地取得が困難であるというような単純な問題ではないような現状に漸次立ち至っております。もちろん、東京都の公営住宅は、おっしゃるとおり一割しか建たない。その理由といたしましては、東京都等々から聞いてまいりますというと、ただ単に土地の取得が困難だというだけではなくて、いろいろな事情があるようでございます。まず、第一は、低所得者向けの公営住宅でございますから、地価が比較的低廉なところに取得をしなければならないという使命をしょっておりますが、御承知のような昨今の地価上昇の過程でございまして、安い土地の入手がなかなかむずかしいということでございます。   〔中村(弘)委員長代理退席、委員長着席〕 また、東京住宅局も、すでに入手済みの土地を数十ヘクタール持っているのでございますが、地元市町村との折衝過程で、低所得者の公営住宅が町に入り込んでもらいたくないというような問題とか、あるいは学校であるとか、保育所等の関連公共施設整備の問題等々の事柄を背景といたしまして、なかなか地元との折衝がうまくいかない。そのために、すでに入手いたしました土地もなかなか家が建たないというような事情もあるわけでございます。建設省といたしましては、そういった事情を漸次ほぐしていく施策の確立が必要であるというようなことで、いろいろ検討を進めております。来国会あたりに、幾らかその施策が明確な形をもちまして、諸先生の御審議をわずらわす形になろうかと思うのでございます。  区画整理事業都市計画につきましてのお尋ねの点につきましては、都市局参事官のほうからお答えをいたすことにいたします。
  63. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 区画整理につきましては、この本法で書いておりますのは、要請があれば、公共がこれを受けて責任を持たせられる、そういう趣旨を書いたのでありまして、一般に、大都市の周辺につきましては、私どもは、区画整理を大々的に行ないまして、市街地のスプロールを防ぎながら良好な市街化をはかっていくという方針のもとに、区画整理事業に最も重点を置きまして行なっているような次第でございますので、この本法と、一般に行なっております土地区画整理事業とにおきましては、先ほど申し上げましたような要請によるものは優遇するという措置をつけただけでございます。一般には、区画整理事業は大いにやっている次第でございます。
  64. 島田安夫

    ○島田(安)委員 政務次官、いまきわめて抽象的にお伺いしたのですけれども、東京都の場合、土地は何とか考えていけば取得できる。周辺の遊休といいますか、いろいろな土地というものを洗いざらい宅地として考えていくと充足できる。また、公営住宅等の建設についても、土地はあるけれどもなかなか家が建たない。これは、理由はともあれ、そういう現実があるわけなんですが、これは、最近の、社会問題を飛び越えて、一つの大きな政治問題になっておると思うのですけれども、いわゆる住宅難に加えて土地の問題、これを何とか対処するために、せっかく計画があり、土地はあるけれども、建たない、何とかしたいというような考え方でいいのでしょうか。いままでのようなやり方だと、公営住宅そのものも、公共住宅そのものもなかなか進捗されないではないかと私は思うのですが、この点について政務次官の考えをお聞かせいただきたい。  いま一つ。最近、埼玉県であるとか、あるいは千葉県とか神奈川県等の地域におきまして、もうこれ以上住宅建設はごめんだ、したがって、住宅建設のための土地造成事業はアウトだというようなことで、次々に相当広範な計画というものがとんざしておる。これは御承知のとおりだと思うわけなんですが、そこで、周辺都市のそういう拒絶反応についてですが、これは、東京都内だけで将来住宅問題が解決されるわけでもないわけなんですが、理由としては、いまもおっしゃったように、公共的な施設、学校であるとか、あるいは下水道、上水道電気ガス等、いろいろな生活関連の、あるいは教育関係のそういうものについて、国のほうで積極的に対処されないから、土地はそこにあっても、これ以上住宅を建てていただくことはごめんだということだと思うわけなんですが、こういう問題も、さいぜんの問題とあわせて関係がありますので、意見があればお聞かせいただきたい。
  65. 武藤嘉文

    ○武藤政府委員 第一点の、東京で必ずしも土地がないわけではない、しかしながら、うまく建たないじゃないかということでございますが、この法律も、実はそういうことを見越してお願いをしておるわけでございますし、また、今後におきましてもいろいろ制度上の問題があろうかと思いますけれども、これは建設省のほうが専門でございますけれども、私を御指名でございますから、一政治家として考えるならば、たとえば用地の取得にいたしましても、あるいは建設単価の問題にいたしましても、そうした問題には、もっともっと思い切ったところの、時代に合った形で積極的に取り組むところに解決があるのではなかろうか。そういうところにも正直隘路があるだろうと私は思います。そういう点におきましては、ほんとうに前向きでこれは検討すべきであり、とにかく、住宅に困っておる人にはいっときも早く住宅を与えるということが必要であることは、当然先生の御指摘のとおりでございます。  なお、第二点は、自治省といたしましては、人口急増地域については、学校施設、保育所その他の社会施設、あるいはまたごみ処理場とか、下水処理場、終末処理場とか、屎尿処理場とか、いろいろな問題については、従来も、極力補助率のアップその他を提唱し、各省と関係をとりながら、大蔵省ともかけ合ってきておるところでございますが、残念ながら、この四十八年度においては、公立学校の校舎施設の補助率アップしか具体的にはできなかったことは御承知のとおりで、これは、私ども、力及ばず、まことに残念に思っております。いまのような御指摘の点もございますので、この問題については、ことしできなかったことは来年度においてはぜひ実現をするように鋭意がんばっていきたいということで、私ども、省内でもこれは話をし、予算折衝の過程においては、自治省直接というわけにはいかないと思いますが、関係の各省と連絡をとりながら、四十九年度においては、四十八年度で実現しなかったものについてもぜひとも実現をするように極力やりたいと思っておるわけでございます。
  66. 島田安夫

    ○島田(安)委員 具体的な法案内容について二、三お尋ねしたいと思います。  まず、第一条ですが、これは税務局長にお尋ねしたいと思いますが、第一条の二行目の「特定市街化区域農地の宅地化を促進するため行なわれるべき事業施行資金に関する助成、」云々とあるのですけれども、「行なわれるべき事業施行、」と、そこにあえて「べき」ということばが入っているわけなのですが、これは何か特殊な意味がございますかどうか。その「べき」について、後段の内容検討しますと、「行なわれる」でいいじゃないかというふうに私は思うのですけれども、あえて「べき」というふうに強調してあるのですが、これは何か意味があるのですか。
  67. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 この臨時措置法におきましては、宅地化を促進いたしますために、土地区画整理事業とか、住宅建設の資金の問題、あるいは資金の利率の問題、それから各関係税についての軽減措置等をとることによりまして、国として、宅地化のための必要な措置を規定しているわけでございます。そういう意味におきまして、この「行なわれるべき」というふうな表現をしておりますのは、国として宅地化を促進するため必要な事業というものを表現するために、「行なわれるべき事業」というふうにしたわけでございます。
  68. 島田安夫

    ○島田(安)委員 後段の法案内容から考えまして、そこに「べき」が入ることは適当かどうか、きわめて疑わしくなってきますけれども、小さいことですので、あえて触れません。  次に、三条の「土地区画整理事業」でありますけれども、さいぜんちょっと触れましたが、これは自発的な要請に基づいて行なうのだということが規定してあります。加えて、さいぜんの答弁によりますと、都市周辺の区画整理事業というものは、積極的にこれについて推進していくということを前提としてこのような表現をしたというふうな説明だったと思うわけでございますけれども、この程度内容で、市街化区域内のA農地が、自発的な土地所有者申し出等によって区画整理事業がはたして推進されると考えられますかどうか。きわめて遺憾ながら、この程度内容ではほとんどそれはできないんじゃないかと私は思うのです。むしろ、心配しますのは、各人がかってに、ばらばらに、好きなように住宅を建ててくださいということが後段に次々うたわれております。一人は平家建てを南に向かって建てる、隣地の乙はアパート様式の三階建てを東に向かって建てる、その隣には、また反対側に、コンクリートの住宅がいいからというので、コンクリートの住宅を建てる、これは好きかってなんですね。好きかってにやってくださいという内容ですから、以下いろいろ示してありますが、せっかく農民の反対をあえて無視して強引に土地をはき出させましても、こんな内容では、将来、理想とする住宅というものが、あるいは市街地というものが形成されるのかどうか。これはいまの都市につきましてはいろいろ問題があります。少なくとも、こういう機会にこそ、関係省庁が一つの理想的な計画というものを示しながら、せっかくの土地の確保ですから、理想的な一つ市街地というものを建設すべきだと思うわけなんですが、この区画整理事業施行では、昭和四十八年度におきましては、一件でも要請があるだろうか、こんな極端なことさえ私は考えるわけなんですが、これについてはどうお考えですか。
  69. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 区画整理事業は、健全な市街地の造成ということを目的にして、現在田んぼなり畑なりに使っております土地の、その利用の目的を変えるわけでございますから、市街地となるにふさわしい、そういう公共施設の新設をその中に行なうわけでございますので、区画整理施行後と施行前とにおきましては、区画整理をやった地区のほうが整然たる家が建ちやすい基礎条件をつくることになるのでございます。そのために、先ほど申し上げましたように、建設省におきましては、特に、大都市の周辺におきまして、広域的な区画整理施行する基礎的な調査を行なっておりまして、そういう調査区域を広げておりますが、現在、A、B農地につきましては、あるいはおっしゃるように単位も小さいので、ぼつぼつと入ってきますから、そのつどその事業概要というものを立てる必要があるかもしれません。ですから、ここに書いてありますように事業概要をよく指導いたしまして、この中で良好な市街地になるようにという配慮をしているわけでございます。そして、農地だけではなくて、その周辺を含んでならさないと、そこだけというわけにいきませんので、周辺との調和をとるということを考えておる。これがこの区画整理の値打ちと申しますか、意味であろうと思います。  次に、どれくらいの規模が出てくるであろうかということにつきましては、先ほども御答弁申し上げましたけれども、相当の助成を行なうことといたしておりますので、農民自身がその土地をいじって、あるいは共同で何かをなさろうとする意思があるならば、それよりははるかに有利な条件でできるような助成措置がとられており、また、家を建てようとする場合にも、金融公庫とか、あるいは利子補給とか、その他の租税の軽減措置がある、このようなことを踏まえまして、農民の方たちが家を建てようとするときは、まず区画整理をして、その土地の効用を高めたほうが有利にきまっておりますので、そういう気持ちを起こしていただけるであろうというふうに考えております。  数字につきましては、先ほど申し上げましたように、仮定の数字でございますけれども、全体で一万六千八百ヘクタールございますから、われわれの期待するところは、その中の大体一万ヘクタールくらいについて、もし出てくるならば何万戸建つというお答えを申し上げたのでございますが、実数はそれより下回りましたといたしましても、この制度の目的が、良好な市街地をつくるということと、それから、住宅がその整然となった区画整理の上に建つ、また、その家を建てる場合に建てやすくなる、こういう二つの利点を持っておるというふうに思いますので、有利な点をこの法案は提起をしていると考えるものでございます。
  70. 島田安夫

    ○島田(安)委員 有利さはわかるのです。そして、区画整理というのは、新しくつくる都市には絶対必要だということはわかるのですが、さいぜんも話がありましたように、ただ、希望する者はやってやるという精神的な規定だけでは、有利だけれども、いまの市街化区域農地所有者は、そういうふうに自発的になかなかそこまではいかぬのじゃないか。たとえば転売も中にはあるでしょう。あるいはまた、あなたがおっしゃるように、アパートとか住宅を建てたいという希望の方もあるでしょう。そしてまた、その時期は、いまやりたい者もあれば、一年先の者もあるし、各個ばらばらである。また、そうした市街化区域内の公用地というのは、だれが取得する責任が課せられておるのか、これも明確でない。公用地のない市街地をつくってみましても、これはたいへんなことになる。したがって、区画整理事業におきましては、相当な公用地というものが必要だと思うわけなんですが、かりに三割及び四割の公用地というものが新しい都市建設については必要だということになれば、これは計画に基づいて取得していかなければならないわけなんです。  この法律の適用と同時に、あしたからでも家を建てたいという申し出があれば、建築基準法に基づいて審査はされる、しかしながら、新しい都市としての計画は何にもないから困るんじゃないかというふうに私はいま申し上げたのですが、さいぜんの答弁では、どうもその点がちぐはぐで、私の質問と合っておりませんけれども、その点はどうですか。
  71. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 二つに分けてお話しをしたつもりでございまして、まず、区画整理に誘導するための助成を書いておるという点が一つでございます。  区画整理に乗らないで、あすからでもすぐに家を建てたいというような場合につきましての優遇措置も同時にあるわけでございまして、その場合は、金融公庫等による融資の特例とか、その他の助成措置があるわけでございます。三つに分けて書いてあります。
  72. 島田安夫

    ○島田(安)委員 私はそんなことを聞いているわけじゃないのです。小学校の生徒でも、そんなことは読んだらわかりますよ。しかし、それじゃ、無計画ながら、せっかくいびり出して取得した農地が効率的に活用できぬじゃないか。むしろ、都市計画は、そういう該当地域の農地については、国なりあるいは地方団体等が責任をもって、せっかく出していただいた農地だから、理想的な都市というものを建設しますというくらいな気がまえがあってもいいじゃないかということをお尋ねしておるわけで、区画整理をやってくれと言えば、相当な優遇措置でやってあげます、住宅資金の面についても、従来よりは厚くします、税金も特例を設けて、特別に国税あるいは地方税でそれぞれ適当な措置をいたします、これは、読んでみましたらすぐわかることなんです。私の申し上げたいのはそういうことではなくて、とにかく、せっかくのこうした計画にもかかわらず、この農地の宅地化について内容が乏しいのじゃないか、もうちょっとしんの入った、計画性のある宅地造成なり、一つ都市づくりというものをやっていかなければいかぬじゃないかということなんです。
  73. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 お説のとおり、五ヘクタール以上という要件等がございますけれども、せっかくのこういう土地でございますので、これをできる限り良好な市街地に指向せしめるために、公共団体は全力をあげて、これらの土地地主の意向に沿いながら、いい市街地にするためのてこ入れをしていかなければいけません。そのための援助といたしまして、公共施設等につきましては、現在の基準以上の助成をいたす、あるいは技術的指導をする、あるいは、これをやってくれと言われたときには、公共が全部これをかぶってやって差し上げる、こういう姿勢で、政府がこの法案を出しております意味は、市当局がこの区画整理事業を全面的にバックアップするという姿勢を裏に打ち出していると考えております。
  74. 島田安夫

    ○島田(安)委員 どうも答弁になりませんけれども、もともと内容がないですから、どのようにじょうずに言われましても、内容のないものはその程度しか表現できないと思います。それはそれで、不満ではありますけれども。私は、この法案内容で考えられておるような成果は絶対にあがらないと思う。「絶対」をつけても間違いないと思います。  次に、第四に、「住宅金融公庫の資金の貸付けの特例」ですが、いま話がありましたが、住宅を建てる場合はうんと優遇する。そこで、さきに農住計画というものがありまして、農協等が中心になって事業を推進した。しかしながら、これも遺憾ながら計画の半分くらいで、挫折ではありませんけれども、当初の目的は成果があまりあがっておりません。その原因はいろいろあると思いますけれども、一つには、金融公庫等の融資について、相当の自己資金が必要になってくる。ここに示されておりますところの、所有者が直接賃貸住宅あるいは分譲住宅を建設する場合の融資の条件なんですが、単価の問題はどのように考えておられますか。現行の単価はどのようになっておるのか、お聞かせいただきたい。
  75. 京須実

    京須説明員 住宅金融公庫が融資をする場合でございますが、単価は、実際に建ちました単価によりまして計算してもらいまして、その場合、公庫融資分については、非常に低利の家賃をおとり願う。あと、自己資金の分は、相当な高利でございまして、まあいわば三十五年で九分くらいといったような高利の家賃になっておってもやむを得ない、そういった体系をとっております。したがいまして、単価が安いために現実に建たないということはございません。自己資金あるいは民間の金融機関等から借りた場合には、それに相当します高い金利をとってもよろしい、ただし、公庫融資にかかる分については、一定の家賃にしぼっていただきたい、そういう体系をとっておるわけでございます。
  76. 島田安夫

    ○島田(安)委員 家賃との関連はわかるのですけれども、私がお尋ねしておりますのは、いま、公庫の融資の坪当たりの建築単価はどれだけ出しておられますかお聞かせいただきたい、こういうことです。家賃と自己資金あるいは公庫の融資金利等を計算いたしまして、家賃幾らというようなことを考えているわけでは全然ありません。もっとよく質問を聞いて答弁願いたい。
  77. 京須実

    京須説明員 平米当たり六万一千円であります。
  78. 島田安夫

    ○島田(安)委員 大体十八万円ばかり。ところが、高層住宅になりますといま東京都周辺では十八万では建たない、こういう問題等があると思います。そこで、勢い自己資金ということになるわけですが、従来の住宅金融公庫の貸し付け等と違って、政務次官、今度は、市街化区域内のA農地は、農業をやろうにも絶対できないのです。これは絶対と言っていいほど、税金が高いからやらないと思うわけなんですが、そこで、いま話が出ました賃貸住宅あるいは分譲住宅、これを農民が建てればいい、喜んで建てますよというのが宅地並み課税の案件を審議したときの大臣のしばしば行なわれた答弁だったと思うのですが、年利四・五%あるいは分譲住宅の六・八%は非常に優遇はしてあります。しかし、相当な自己資金の必要なこともお察しがつくと思うわけなんですが、農民が何とか融資が受けれるから、あるいは自己資金がこれだけあれば分譲住宅が建てれるから転業しようというふうな容易な転業がはたしてできるのかどうか、私は、この点についてもはなはだ疑問に思っているわけなんですが、当事者として、あなたのほうで、これはだいじょうぶだとか、あるいはたぶんこうなるだろうとか、そういうお考えがもしあればお聞かせ願いたい。
  79. 武藤嘉文

    ○武藤政府委員 いま、住宅計画課長から、平米六万幾らという話がございましたが、正直、あなたがおっしゃいますように、現在の資材の値上がりその他から建設費は相当上がっておりまして、これでできるものではとうていないと思います。そういう面において、結果的には自己資金分がそれだけふえるわけでございますから、幾ら優遇されても、実際の自分負担が多くなれば、なかなかそうはうまくいかないということになろうと思います。それで、これはいま私ども各省でいろいろやっておりますけれども、今日のこのような工事費の値上がりということから言って、これは必ずしもこの住宅だけには関係いたしませんけれども、公共関係のすべての施設につきましても、単価の見直しというものを、場合によればこの年度内にもやらなければいけないのじゃないかという議論もいたしております。そういう観点から、おのずとそういうことで前向きで検討して、それが実現をすれば、当然こういうものにも適用すべきであろう、私はこういう考え方を持っております。
  80. 島田安夫

    ○島田(安)委員 次に、さいぜん質問がありましたけれども、「譲渡所得に係る所得税が軽減される特定市街化区域農地を譲り受けた者は、できる限りすみやかに、」ということについて抽象的な答弁がありました。しかし、これは、臨時措置法、したがって、この法律の発効している期限というものも、適用期間というものも「昭和五十一年三月三十一日まで」というようになっているわけなんですが、こういう臨時措置法で出されるわけなんですから、法律の期間が五十一年三月三十一日までしかないのに、「できる限りすみやかに」という定義は一その期間はどの辺に求めるかということになりますと、少なくとも、五十一年三月三十一日に限定しても差しつかえないのではないか。自後さらに延長するということになりますと、そういう問題もまた関連してくると思いますけれども、少なくとも、いまの時点ではそれでいいじゃないかというふうな気がしますけれども、どうですか。有効期間が切れるのに「できる限りすみやかに」では、おかしいではないですか。
  81. 河野正三

    ○河野説明員 大蔵省のほうからお答え申し上げるのが筋かと思いますが、この譲渡所得税の軽減が昭和四十八年分、四十九年分、五十年分というところで切れておりますが、これは、法律が五十一年三月までの関係で、三カ月ほどの違いがあるというようなことが問題になろうかと思いますが、いずれにいたしましても、この長期譲渡所得にかかわります特別措置、今回の特別措置の大もとになるもともとの特別措置、これが五十年分までの特別措置でございまして、五十一年分以降の所得についての措置は現在の租税特別措置法でも規定をいたしておりません。したがって、五十一年分以降の取り扱い、大もとのほうの取り扱いがどうなるかとということも、政府の税制調査会等で今後論議を重ねましてきめていくような仕組みになっておりますので、ここでは五十年分というふうにとどめたものだと思います。
  82. 島田安夫

    ○島田(安)委員 そうじゃないです。それはいいのですけれども、「できる限りすみやかに」という表現は、この法律の適用期間内とかいうような考え方でいいじゃないかというのです。
  83. 河野正三

    ○河野説明員 どうも失礼いたしました。いまの第八条の二項のほうの「できる限りすみやかに」というところのお尋ねであったようでございますがこれは、五十一年の三月までの適用でございますから、それ以内に譲り受けた者が、五十一年度、五十二年度と、ずっと譲り受けた土地につきまして住宅その他の建物の建設をやる場合があるわけでございまして、したがいまして、「できる限りすみやかに」というような表現をとっておりますが、年限を何年というような限り方ができないというようなことでございますが、趣旨はお尋ねのようなことでございます。
  84. 島田安夫

    ○島田(安)委員 時間がありませんので、大臣に対する質問を二点ほど残しまして、大体以上で終わりたいと思いますけれども、せっかく政務次官もおいでになるわけなんですから、自治省は、御承知のように、直接農業あるいは漁民との関係はないわけでございますけれども、今度のこの二つの法律案を通じて、自治省といえども、農業政策なりあるいは漁民に対する考え方というものを将来ともに考えていただきたいと私は思うわけなんです。  漁民の土地に対する執着というものは、われわれが想像する以上に強い。これは過去のいろいろな歴史の積み重ねというものがそうしていると思うわけなんですが、一方において、最近の農業政策というものは、農民が喜ぶようなものがほとんどございません。御承知のように、現在の食糧の自給度というものは四〇%を切っている。六〇%、半分以上がいわゆる輸入に依存しておる。したがって、大豆等の問題で見られますように、ニクソンがくしゃみをすれば、日本の農林省、日本の農民あるいは消費者、極端に言いますと、一億国民がそのくしゃみの影響を受ける。こういうような農業政策ではだめだと思うのです。そこで、最近、土地と農業を守る運動というものが農業団体の提唱によって強力に推進されつつあります。近く大会も開かれます。こうしたやさきに、このような市街化周辺の農地というものを宅地化するのだという新しい制度が生まれたわけでありますが、将来、この法案の中では、私がいろいろ申しましたように、せっかく農地を吐き出させながら、理想的な整備はこれだけではできぬのではないか。もっと具体的に将来の計画を立ててもらいたい。今回は、三首都圏のA農地のみでございますけれども、B農地、C農地、こうした市街化区域全体の農地をどのようにするかという問題も間近に迫ってきます。私はきわめて遺憾です。いまの政府のやり方は、そこに問題ができると、総合的に、あるいは各省と連係しながら具体的に対策を考えないで、こう薬ばりのようにちょっちょっとあてがっていく。その証拠には、土地に関する法律案件だけでも十六件も出されておる。そのどれとて、ぴりっとした、これならだいじょうぶというようなものはありません。それぞれの所管する省で、それぞれかってに応急策だけをやっておられる。そういうことを申し上げても決して過言ではないと私は思うわけなんです。ことほどさようにばらばらであると言いたいわけなんですが、そうしたこと等を十分考えて対処していただきたい。  今度の措置によって、せっかくあのような強権発動に似たようなことまでやってでき上がったものが、はたしてその目的が十分達し得るかどうか。個人の譲渡というものは、最近の土地の高騰から考えまして、庶民のマイホームの夢を果たすんだという公共性がうたわれて今回の措置がとられたわけでございますけれども、それが庶民には手に入らなくて、一部に言われておりますように、ブローカーとか、あるいは大資本の企業の手に渡り、大企業の社宅などに使われたり、せっかくのそういう公共の目的で吐き出された土地が適当に特定の人間のみに限定されて使用されるということでは、十分なる目的を果たすというわけにはまいらないことは御承知のとおりでございます。そういういろいろな問題を内蔵しておりますので、いやしくも、法律はつくったがあとは知らぬということではなくして、この問題は、将来の市街化区域内の農地をどう活用するかということに連なるものとして、法の適用等についても十分お考えいただきたいと思います。  さいぜんも申しましたが、一連の地方自治体の造反も、政府に猛省を促すところの、厳然とした一つの事実だと思います。そうした点に十分留意していただきまして、かりそめにも目的がうやむやで達し得ないということのないように、とくと留意願いたいと思います。  以上で質問を終わります。
  85. 武藤嘉文

    ○武藤政府委員 もちろん、私ども、宅地並み課税に関連をいたしましてこの法案が出ておるわけでございますから、いま御指摘のようなことを十分念頭に置いてやっていかなければならないと思います。  特に、農民の土地に対する執着が非常に強いということはわれわれもよくわかっておるわけでございまして、この法案の中にもございますように、あくまで所有権はそのまま農民の手にあって、そして、場合によれば賃貸住宅なりでひとつやっていただけたら、こういうことでございます。また、国総法なども、将来の問題として、農業地域と都市地域とはっきりと分けていかなければならない。そういう土地利用区分計画というものもございます。  したがって、御指摘のように、一方においては、世界的な食糧危機という観点から日本の農業を見直さなければならないというときに、また、一方においては都市整備していかなければならない。先ほどから言われておりますように、スプロール化を防いで、ほんとうに秩序立った都市づくりをしていかなければならない。こういう二つの問題をいかにうまく調整していくかということがこれからの私どものたいへん大事な仕事だと思います。この法案もそういう中において私どもは位置づけをしていきたい、こう考えておるわけでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  86. 島田安夫

    ○島田(安)委員 大臣に対しての質問は二点留保しておきます。
  87. 上村千一郎

  88. 前田治一郎

    ○前田(治)委員 私は、与党の立場といたしまして、なるべく質問を遠慮しながら今国会を過ごしてまいりましたが、先刻来の今井委員並びに島田委員質問と関連いたしまして、二、三疑点がありますので、それをこの際ただしておきたいと思います。  私は、近畿圏に属する大阪府の選出の議員でございますので、一応、大阪府の実情を前提として質問を展開することをあらかじめ御承知願っておきます。  先刻来、都市計画土地区画整理に関する質疑応答が行なわれておったわけでございますが、この法案におきましては、五ヘクタール以上でなければならないという条件が付されております。しからば、五ヘクタール未満であったらどういうふうに処置せよとお考えになっておるのか。この点をまず明らかにしてほしいと思います。
  89. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 本法案におきまして五ヘクタールといたしましたのは、区画整理を行ないますためには、良好な市街地としての公共施設等をその中に相当入れますので、範囲として、五ヘクタール未満のものについては、このような場合に単位として小さ過ぎるということで、一応五ヘクタール以下を除いたのでございます。大体、五ヘクタールという大きさは二百五十メートルと二百メートルという範囲の大きさであります。さらに、A、B農地は、このうちで五〇%以上含めばよいということになっております。だから、A、B農地の最小面積は二・五ヘクタール以上あればいいということでございますので、大体これくらい拾えば、介在農地の大部分を拾えるものというふうに考えて、一応の線を切ったのでございます。  したがいまして、五ヘクタール以下はこの法案の中にはのってこない。じゃ、どうしたらいいかということでございますが、五ヘクタール以下の場合につきましては、区画整理という面におきましては網にかからないのでございますが、その他の恩典の措置は当然かかるわけでございます。
  90. 前田治一郎

    ○前田(治)委員 宅地並み課税をするということは、宅地用地をふやすことであるという主目的が縛られておる。これは皆さん御承知のとおりであります。その宅地並み課税を実施した以上は、いわゆるあめ法案をつくらなければいけないということが言われておりまして、これがすなわちあめ法案であります。これは、私は、もうちょっと甘いあめだと思っておりましたが、読んでみると、なかなか甘くない。それはどういうふうに甘くないかというと、いま質問しましたとおりに、五ヘクタール以上の土地であれば、特別に区画整理事業についての便宜をはかりましょう、それ以下であればそうはいきませんということが明記されておる。しかも、その三分の二以上の同意がなければいけないとか云々の規定がありますけれども、それは別といたしまして、いまさっきおっしゃった二百メートルかける二百五十メートル、そういうふうな長方形の真四角な土地がはたして実在するのかしないのか。そんなことをあなた方が考えて答弁なさっているのはおかしいと私は思うのです。だから、五ヘクタールといえば一万五千坪あまりでございますけれども、面積であって、決して形を言うているのじゃないと私は思う。それをあなた方のほうで二百メートルかける二百五十メートルと、もう断定をしてかかっておられるというふうなものの考え方、そして、五ヘクタール以上なれば恩典を与えるけれども、それ以下なれば恩典を与えないんだというふうな考え方で、どうして宅地並み課税をやってのけて、宅地用地をふやしていくという政策につながっていくんですか。私は、さっぱりその点はつながらないと思う。その点が、先ほど来島田委員がことばをかえて御質問になっておった点だと私は思いますが、その点をもうちょっと明らかに答えてください。
  91. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 お答え申し上げます。  私は、区画整理の単位として、例として、どのくらいの大きさかということを、二百五十、二百ということを申したのでありますが、そういう長方形のものが区画の中に現実に存在するわけではございません。必ずいろいろな形が存在いたします。ただ、先ほど申し上げましたように、大体、公共用地としての道路というのは普通六メートルくらいございまして、その中に、一般公共用に供する道路といたしましては、八メートル、十二メートルというのが入って、区画整理として行ないます。だから、ある程度の大きさの面積がないと、宅地として利用できる面積がきわめて小さいものになりやすいのでございまして、区画整理一つ基準と申しますか、そういう単位として五ヘクタール以上のものを取り上げることが適当であろう、こういう意味で申し上げたのでございます。
  92. 前田治一郎

    ○前田(治)委員 ですから、その単位として、ビジョンとして、という説明であれば、それはそれでよろしいのです。それを私はさっきはちょっとあげ足とりで言うたわけなんですけれども、そうじゃなくて五ヘクタール以上のものについてはこれは便宜をはかる。これは、私は、土地区画整理事業というものは決していい事業だとは考えていないのですけれども、それにしても、便宜をはかる対象にするんだけれども、五ヘクタール以下なればその対象にならないんだというあなた方の考え方が、総理のおっしゃっているところの、宅地並み課税によって宅地を生み出すんだという最高の理想にはたしてつながっているかいないかという点をお尋ねしているのです。
  93. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 それは、区画整理事業の性格から、減歩も働きますし、一定の面積が必要であるということを申し上げたのでございまして、ですから、それ以下の面積のものにつきましては、区画整理として取り上げることがむしろ不適当ではないかという一つの単位を五ヘクタールに置いたわけでございますし、農地の面から申しますと、先ほど申し上げましたように、五割以上あればいいのでございますから、二・五ヘクタールですね、周辺を含んで五ヘクタール以上のものでなければいけない、このように申し上げたわけでございます。減歩率公共用地率、したがって、そこから生み出される住宅が建つべき宅地の量というものから申しまして、普通五ヘクタールというものが基準になる、こういうことでございます。ですから、それ以下のものにつきましては、むしろ区画整理という形として一般にとらえるのではなくて、一つの開発行為としてやられる場合にこの助成を行ないたい、こういう考え方で区切っているわけでございます。
  94. 前田治一郎

    ○前田(治)委員 少し質問と答弁がかみ合わないのですけれども、これに時間をかけておるわけにいかないので、区画整理についての実例を申し上げて、こんなものだということを申し述べてみたいと思います。  実は、私、神戸市で土地を二百坪ほど持っておったのです。灘の住吉の駅前ですが、その土地を含めて、十八年ほど前に、神戸市の区画整理事業が決定されたのです。そして、今日まで、いまだに、私の土地に対しては、どれくらい減歩するとか云々の正式通知がない。何らの通知がない。その土地へ建築をしようと思って確認届けを出しましたら、これは区画整理事業で、まだ事業が決定していないから確認するわけにはいかないというので、十年間ほったらかしにされたんですよ。困りました。ところが、その区画整理事業地において、私の土地は国道六甲道線というんですけれども、それに面しておるんです。区画整理というのは、大体道路を生み出すための事業でしょう。それだから私は言いたかったのだが、その道路を生み出すのは、ほんとうは国なり地方公共団体が負担をして道路を敷設すればいいのに、土地を持っている人々から二割なり二割八分なりを減歩をもって提供させて、そして道路をつくっていこうとする。これは、住宅用地を生み出そうとする政府の今日の方針から言うならば、まことに時代逆行的な制度であると私は思うんだけれども、私がいま言うておるのは、十八年前の話だから、それはそれでいいとして、ところが、その道路を生み出したことによって、区画整理区域内に入っている土地は何らかの利益を受けなければいけない。いままで道路がなかったところに道路が通ったとか、狭かった道路が広くなったとか、何らかの利益を受けなければいけないと私は思う。また、受けるべきだと思う。しかし、私の土地は全然その利益を受けなかった。何らの利益を受けない。前に国道の番号を持った道路があるんだから、裏にも道路ができない。三方いずれにも道路ができやしない。そういう土地であるのに、区画整理にほうり込まれたために、私は同意をしなかった一人なんだけれども、他の同意者によって圧制的に事業区域内に入れられて、そして、やはり、他の方と同じような減歩をさせられました。何も利益を受けないで、土地の面積を減らすだけである。しかも、十八年間にもわたって建築を許されなかった。これは灘の住吉の駅前でして、たいへん便利がいいところで、雨が降っても、かさ要らずで国鉄に乗れるという場所ですので、皆さんからマンションでもアパートでも建ててくれという声があったけれども、建築ができなくて、ついに先般私は神戸市へどなり込んで、確認をとって、ようやっとマンションをつくりましたけれども、こういうことが方々にあるんですよ。新大阪駅を新幹線のときにつくりましたが、あの周辺で行なわれている区画整理事業もそうである。いま大阪市が城東区の茨田というところで区画整理事業を行なわんとしておりますけれども、やはり、同じような反対意見が出ております。まだまとまっていないというふうなことである。だから、この期に及んで、区画整理事業によって道路敷地を生み出そうというようなみみっちい考えは一てきすべきであると私は思う。そして、道路敷地に充当する土地代というものは、国なり地方公共団体が負担をして購入をしてやるんだというようなあり方に変えるべきであると私は思う。そういう考え方にお立ちになったら、この、私の、五ヘクタール以下の土地はどうするんだという質問に対しては、みごとに答えができるじゃありませんか。そういうお考えはありませんか。
  95. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 神戸の当該事例は、私、つまびらかにいまいたしておりませんので、申しわけございませんが、結論から申し上げますと、区画整理というのは道路が主でございますけれども、道路のほかに、公園だとか、その他の公共施設整備する、そういう公共施設整備しつつ、地先の細街路等を整備いたしまして、宅地の効用をあげるという、二つの施策を持った事業を、区画整理はその目的としております。ですから、ただ単に道路が通ればいいというような場合であれば、これは区画整理の課題ではありませんで、ほかにその道路を収用いたしまして道路としてつくればいいのでございます。区画整理を行ないます場合には、その道路等とあわせて、その地区の宅地の効用を増進すべき地域であるかどうか、これがまず最初に一番区画整理事業の前提になる要件でございます。その場合におきましても、計画決定いたしましたところの道路につきましては、その用地相当分組合なりあるいは公共団体に対しまして補助する仕組みでございます。大体、区画整理事業につきましては、その費用の九〇%程度用地費相当分として道路特別会計のほうから支出する、こういった仕組みになっているのでございます。  組合区画整理の場合はちょっと違いますけれども、組合区画整理の場合につきましては、その採択する道路が、都市計画決定された道路が何本あるかということによりまして、補助率が現行は二分の一でございますけれども、その用地費相当分をこれまた組合に支出するということでございまして、公共のために出した、その公共施設につきましては、その費用を、それをもし買ったならばどれだけするかという用地費相当分を補助金として渡す、こういう制度をとっている次第でございます。
  96. 前田治一郎

    ○前田(治)委員 大塩さんは建設省の参事官ですね。建設委員会だったら、私は、もう少しそういう点で論議をしたいのだけれども、ここは地方行政委員会だから、すっと先を走るようなかっこうでお尋ねをいたしますけれども、先ほどもちょっと道路面積の問題が出ていましたけれども、日本の道路面積というものは、あるいは公園、緑地の面積というものは、世界水準に比べてどうか、東京都はその点どうか、大阪市はどうかというふうな数字、これは私お答えいただこうと思いません。私も知っているし、あなた方も御存じでございましょう。大阪市のごときは、実に道路面積が少な過ぎる。公園、緑地の面積も少ない。したがって、東京に比べていかにも道路が狭いということを大阪にいらしたら痛感するはずでございます。周辺部に入れば入るほど道路が狭くなってくる。公園、緑地もありゃしない。そういう状態を想定なすって、それで、いままで、一応は農作物を耕作されて、青々と茂っておったたんぼを、宅地並み課税制度によって宅地をつくろうということをあなた方は促進されておるのでしょう。そういうことは想定されているのでしょう。そうしましたら、一応民間で思う存分に建築させておいて、そのあとで、道路が狭いから引き取りで買い取るんだ、ここに公園が要るから、これも買収して公園にするんだというふうになさるおつもりなのか。そういうふうな行政指導を地方公共団体にしようとお考えになっておるのか。あるいは、まず最初にマスタープランをつくって、道路計画も立て、公園計画も立てて、その上で、土地所有者に対して、この方向で協力してほしいとおっしゃるのか。私は、その後段の態度は、全然建設省に見えないと思うのです。まさに、デスクプランである。そういう点はどうお考えでございますか。
  97. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 都市を開発していきます場合には、あと追いにならないように、あらかじめ都市計画で必要な公共施設を先行的に決定いたしまして、そして、それを実現するために、家が建ってしまってからでは困るというような場合におきましては、あらかじめ区画整理区域調査しまして、そしてその調査によって、できる限り組合施行等でやっていただき、できない場合には公共団体がこれを施行するというふうな区分けをいたしまして、区画整理でやっていくということは望ましいやり方であると思います。  ただ、日本の場合には、市街化のスピードが非常に早いので、どうしてもあと追い的に街路あるいは公園を整備していくというようなケースが多く、あと追いに追われているということがいままでの実情であったことは事実でございます。  だから、今後の方向といたしましては、特ににじみ出し地域あるいは市街地周辺部、これから発展していくであろうと思われるような都市計画区域につきましては、先行的に区画整理を重点的に進めていきたいと考えまして、そのための調査費を、数年前、特に、大都市等を重点といたしまして調査費をとりまして、調査を進めてまいっている次第でございます。
  98. 前田治一郎

    ○前田(治)委員 だから、私は、五ヘクタール以下の土地をどういうふうにお考えかということを聞いたのです。なるほど、調査費はつけたとおっしゃったけれども、調査費をつけただけで仕事は進みはしません。だから、五ヘクタール以上になれば区画整理事業をこう持っていらっしゃいという一応の指針は示されておるけれども、それ以下のものは野放しである。野放しのところにこそ、将来の市街化計画に非常に支障を来たすというような建築がどんどんとなされる危険性があるわけです。そういう点に手抜かりがあるということを私は言いたかったのです。きょうは大臣がいらっしゃらないから、大臣に対する質問は、きょうは私は保留いたしますけれども、その節にでももう一度お尋ねしてみたいと思いますので、一応建設省としての基本方針をお考えおき願いたいと思います。  それから、これは建設省及び自治省双方にお尋ね申し上げますけれども、先ほど、周辺市町村ということをおっしゃったが、大阪府下におきましても、やはりこの法案の適用を受ける地域内ですけれども、周辺のいわゆる衛星都市の方面において住宅が建設されることを非常にきらっております。公団住宅も、府営住宅も、なるべく拒否するという姿勢が見えております。それはなぜかというと、住宅がふえればふえるほど、御承知のように、行政負担がかさばるからです。道路をつけらなければいかぬ、下水が要る、水道が要る、あるいは電気ガス等もやってやらなければいかぬ、くみ取りが要る、ごみのとり集めが要る、保育所が要る、小学校も中学校も要る。この行政負担をお考えになったら、市町村が、特に、衛星都市あたりでも住宅を敬遠するということはおわかりになる。ところが、今回のこの臨時措置法案では、いろいろ説明を伺っても、そういう点に対する処置が全然ないように思う。これは、百姓をなさる農地所有者だけに、こういう措置法案を制定して一方的に押しつけただけでは解決がつかない問題が起こってくると思う。その人たちがどんどんと住宅を建て始めた場合、いま、建築確認の窓口は市町村ですけれども、そこが拒否するとか、拒否しないまでも、いやがらせ的な取り扱いをするという場合に、あなた方は、事志と違ったという結果を招くおそれがあると私は思うのです。そういう点について、御見解はいかがでしょうか。
  99. 河野正三

    ○河野説明員 おっしゃるとおりの現象が、大都市周辺の衛星都市を中心に起きておりまして、これが宅地供給問題の一つの大きな隘路になっておる、問題になっておるということでございます。政府といたしましても、先ほど自治政務次官からお答えがありましたような線で、昨年来、自治、建設が協力をいたしまして、人口急増市町村等の財政負担の軽減に関する特別措置を何とか実現すべく、いろいろと関係方面との折衝に努力を傾注したわけでございますが、残念ながら、先ほどお答えにありましたように、いまだ実現に至っておりません。先ほどお答えにございましたように、さらに来年度を目ざしまして、自治、建設両省で協力し合いまして、そういう点の解決に努力をするということでございます。  なお、そういった財政負担の問題を詰めてまいりますと、宅地を開発する者と市町村との、公益施設、公共施設負担区分の問題、あるいは、在来からあります施設補助制度以外の何らかの補助制度の必要性の問題等々も出ておりますので、昨年来建設、自治両省で協力し合っております中に新たな問題点として加えまして、検討し、要求をしていくつもりでおります。今回の措置の場合に、そういった一般的な措置ができることを期待しながらも、特段の、このA、B農地だけでの措置につきましてあえて規定をいたしておりませんのは、実は、そういう抜本的な問題が解決していないということのほかに、市街化区域でございますから、所在の市町村、都道府県とも、十年以内に市街化すべきところという意味合いでのコンセンサスが線引きの過程で得られた地域であるということ、それから、特に、A、B農地は、御承知のように、全市街化区域農地の一割弱でございます。C農地と違いまして、都市施設、道路等の条件が、おっしゃるとおり十分だとは申しませんけれども、まだ比較的整いつつあるところで、しかも、住宅はすでにある程度ばらばらと建っているような地域でもあるというようなことで、人口増加の拒否反応というようなものが特段に発生するということもあまり考えられないのじゃないかというような考え方をとったわけでございます。  それから、なお、同じような理由で、区画整理事業につきましても、私ども、東京都等の空中写真を見ておりますと、東京都の場合は、B農地がございませんで、A農地しかございませんが、まあまあ現状のままで宅地化をはかることが可能なものも相当ある。ただ、同一所有者が持っておられる農地がこっちとこっちとに離れている。間に二、三軒住宅がすでに建っているというような地域もございまして、そういうところは、おそらくは、この筆を一緒にして住宅建設の助成を受けるというような必要がむしろ土地所有者の側から出てくるのではなかろうかというようなことで、要請権といいますか、当該市に施行することを要請する特段の権利を法律上設定しようじゃないかというようなことであったわけでございます。
  100. 前田治一郎

    ○前田(治)委員 自治省、市町村に対していかがですか。
  101. 武藤嘉文

    ○武藤政府委員 先ほど島田さんにもお答えいたしましたのですが、いま宅地部長からもお話しがありましたが、昨年、四十八年度の予算を編成するにあたりまして、人口急増地域に対して特別の手当てをするようにということで、いろいろ折衝いたしたわけでございますが、義務教育の公立学校の施設の三分の二までしかいかなかったわけでございます。あと、保育所の問題とか、ごみ処理場の問題とか、いろいろそのまま残っておるわけでございまして、この宅地並み課税によって、住宅がこの法律によって供給が促進されたといたしますと、当然そこに人口がふえてくるわけでございますから、そういうところは、人口急増地域と同じ考え方で、私どもとしては、少なくとも来年度においては、ことし実現しなかったことをできる限り実現したいという考えでいま進めておるわけでございます。
  102. 前田治一郎

    ○前田(治)委員 たいへん気楽トンボなお考えを持っておられますが、現実に大阪府下において起っておる事実をあげましょうか。高槻市あたりへ行って調べてごらんなさい。住宅を建てる場合には協力金というのを取っておる。これは、子供ができたら学校が要るでしょう、下水の処理場が要るでしょう。じんかいの焼却場が要るでしょう、だから協力金を出してもらいたいということで、協力金を取っておる。固定資産税とか、不動産取得税とか、あるいは譲渡所得税とは全然別個ですよ。かなり高額である。だから、いわゆる土地代にはね返り、また、分譲住宅住宅代、貸し家住宅の家賃にはね返ってきているのです。そういうふうなことを政府として放任、黙認していいかどうか。だから、私は、この問題について、自治省と建設省と両方の御見解をお尋ねしたわけなのです。それで、そういう意味の協力金というものを取らせるということは断じてやめさせるべきである。やめさせるためには、財政窮迫を告げておる地方自治体に対して、特に国の援助措置が必要である。それを何か方向づけてお考え願わなければ問題は解決しはしません。そこのところを申し上げてきたわけですが、答弁はあとでまとめてやってください。  時間がないから問題を転換しますが、先ほど、住宅公団の融資について話が出ておりました。坪当たり十六万八千円ですか。建設省、どうですか、これで請け負って、四階以上の鉄筋中高層の建物を建築してもらえますか。倍出さなければできぬでしょう。そういうふうな算定基礎をもってかかって、しかも、住宅金融公庫は、その算定された金額を一〇〇%融資するんじゃないでしょう。あれた七割でしたか、七割五分でしたか、限定しているでしょう。だから、島田委員が、ばく大な自己資金が要るということをおっしゃった。あなた方はそれをうまくカムフラージュして答弁されておったので、私は質問させてくれと委員長にお願いしたのですけれども、その点をもう少し明快に答えてください。
  103. 京須実

    京須説明員 おっしゃるとおり、住宅金融公庫の想定単価では住宅の建設は不可能と思います。そのために、たとえば公庫でございますと、融資でございますから、自己資金が当然想定されまして、それについてはまた別の算定の基礎をもって算定するわけです。  なお、先ほどちょっと私の答弁が不十分でございましたが、平米当たり六万一千円と申しましたのは実績単価でございまして、実際に融資いたします単価は一平方メートル当たり四万七千円でございます。
  104. 前田治一郎

    ○前田(治)委員 実際に建築できない単価がもって計算をして、それで融資をするから、住宅を建てなさい、百姓をやめなさいとおっしゃっておるわけだが、現実に、この区域内のA、B農地というものは、百姓をやめなければ、従前のように野菜をつくったりお米をつくったりしていたのでは、とてもとても税金が生み出せないという状態になっていることはあなた方おわかりだと思う。だから、どうしても建築しなければならぬが、建築しようと思えば、坪当たり十三万円くらいの融資しかしてくれない。それも恩に着せて、大きな顔をして、それでできるだろうというような顔をなさって、そして、でき上がった分については非常な拘束をなさる、使用制限をなさるというふうなことをやっておる。それでほんとうに住宅が建ちますか。だから、もう少し考え直して、何だったら、A、B農地を、国なら国、地方公共団体なら地方公共団体が全部買い上げるのだ、公有地拡大法も通ったけれども、時価でもって買い上げるのだというふうに踏み切るなら住宅はできるけれども、こういう状態ではなま殺しですよ。ほうっておいて、それで住宅ができるとお考えになっておるあなた方のお考え方はまことに甘い。あめ法案は甘くなくて辛いけれども、あなた方のお考え方はたいへん甘いと言わざるを得ない。この点についてもう少し掘り下げた御答弁を願いたい。掘り下げたということは、いま実情はそうだけれども、こうするつもりでございますという前向きの姿勢を表明なすってもいいと私は思う。それを聞かせてください。
  105. 武藤嘉文

    ○武藤政府委員 建設省のほうの所管かもしれませんが、先ほど島田さんには私がお答えいたしましたので、同じ答えでございますが、私どもといたしましては、この法律も農地の宅地並み課税に関連しての法案でございますから、当然、自治省として大いに責任を感じております。そういう面で、いまの住宅金融公庫の融資を受けても、実際に要る自己資金が非常に多いということにおいて、結果的にはできないんじゃないかということをたいへん憂えておるわけでございますので、実質これは単価の是正その他を早急にやらなければならないんじゃないかと思っております。  先ほども申し上げましたように、各省といま協議をいたしまして、いろいろな公共関係の施設に対しての単価の是正の話を進めておりますから、できればこの年度内にも単価の是正をやらなければならないんじゃないか、こういうこともわれわれ話し合っております。そこである程度の結論が出た場合には、こういう住宅金融公庫の融資対象の単価についても何とか適用できるように私どもとしても努力をしたい、こう考えておるわけでございます。
  106. 前田治一郎

    ○前田(治)委員 単価の是正をしてもらうことはまことにけっこうだと思います。早くしてほしいと思います。ただし、それは、建築できる時価単価でなければならない。大蔵省に査定されたのではなくて、あなた方技術屋、専門家がお考えになって、全く建築できないような額を、これが単価でございますと示すことは、これは国民を瞞着することになると私は思いますので、その点は十分慎重に、しかも早急に御検討願いたいと思うのです。  そこで、もう一点、それに関連してのお尋ねがあるのですけれども、いま、こうして、農地であったものをつぶして宅地にしようということに努力しているわけです。さっきも言いましたとおりに、大阪などは公園緑地が少ないですから、車で走っても走っても家ばかり、息が詰まるような思いがいたします。今日までは、周辺部へ出れば多少農地があったから、青いものがあったから、そこで息ができておったのですけれども、それがどんどんと住宅に変わっていくとすれば、ほんとうに息が詰まるような町ができ上がってしまう。しかも、狭い道路、狭苦しい町に多数の人が住んでおれば、それはもう交通機関が必要でございます。マイカー族もふえれば、道路停滞を来たすし、また、バスを走らせようと思っても狭くて走れない道路がたくさんある。電鉄等の交通機関が近くにないということになると、これはもう交通輸送問題が無計画であるということを言わざるを得ない。いま、大阪などは、都市改造という問題でそういう点が盛んに検討されておりますけれども、私は、そういう点を政府としてちゃんと考慮に入れて、こういうふうな新措置を講じられてしかるべきだと思うけれども、ほんとうに馬車馬みたいに、一方だけを見て他を顧みないという態度で役人仕事をなさるところに、日本の今日の政治の欠陥があると私は思うのです。そこで、大阪市内に、農地をつぶして宅地にしなくても、戦前からの、戦火を免れたような家で、おんぼろの二階建てで、もう改築の寿命が来ておるというような町並みがまだたくさん残っております。こういうところをいわゆる都市再開発の理念に従って高層住宅化していくなれば、日照権の問題もありましょうけれども、しかし、それは、今日現在の人口よりもうんと多数の人口を収容することができる。同じ土地、同じ入れもので、二倍、三倍の共有を願うことができるようになると私は思うのです。そういうふうな土地を持っておって、家を持っておるが、それは古い、旧市街地で、木造二階建て等を改築したいんだという場合に、貸し家住宅に限定してもよろしいが、せめて中高層建築でもって貸し家をつくりたいという場合に、先ほどおっしゃった建築単価の改定をやってのけて、実際に建築に必要な、建築のできる金額を融資するという制度に変えて、それこそ全額融資する、七割とか八割じゃなしに、全額融資するというふうな制度をつくることはできないものだろうか。これは、住宅金融公庫を活用すれば可能性があると私は思います。それこそ、農地をつぶして宅地にするよりももっと有効適切な住宅確保策であると考えますが、御見解はいかがでしょうか。
  107. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 お説のとおり、特に大都市等におきましては、非常に環境の悪くなりましたような市街地を再生させ、若返らせ、その機能の更新をはかるということは非常に大きな課題となっております。そのために、われわれも従来から再開発法を制定いたしまして努力してきたところでございます。さらに、制度的な欠陥に加えて、その助成の措置というものが非常に薄いということが指摘されております。この点にかんがみまして、現在、建設省におきましては、先般新聞等にも出ましたけれども、再開発に関する抜本的な手法及びその財政的な仕組みの改定をいたしたい、このように考えまして、現在、都市計画中央審議会に諮問中でございますが、いずれ答申を得まして、早急に次の国会等に、再開発の新しいそういう仕組みの提案をいたしたい。その際には、いまおっしゃいましたところの、従来欠けておりましたところの財政的な援助資金的な援助等につきまして、せめて諸外国並みの再開発の水準にまで持っていきたい、かように考えておる次第でございますが、わが国におきましては、再開発をしにくいという非常な隘路が、外国と違いまして二点ほどございます。一つは、土地が細分化されておって権利者が多いという点であり、一つは、借家権者等における零細な人たちに対する救済の道でございます。これ等につきましても、再開発住宅その他の知恵をしぼりまして立法の中に盛り込みたい、このように考える次第でございます。
  108. 前田治一郎

    ○前田(治)委員 ぜひ検討して、何とか早期にそういう制度をつくってください。ただし、私は重ねて申し上げておきますけれども、現在の住宅金融公庫がつけておるような条件を、ことごとくとは言いませんけれども、相当抹殺しなければいけない。それから、全額融資ということをたてまえにしなければならない。もちろん、低利でなければならぬ、それはすなわち家賃にはね返ってきますから、低利でなければならない。さらに、そのできた建物について、貸し家であるということから、資金を融資しているのですから、家賃の制限をつけることはよろしいけれども、その他の制限をこまごまとつけることは、戦前にいわゆる貸し家業というものがありましたけれども、これがいま非常に減ってきている理由もその辺に一因があるのですけれども、それは、自己建築、再開発の趣旨によって高層建築をするという歩調を鈍らせることになりますから、そういう条件は撤廃するようなお考えでお願いをしたい。そして、日照権の問題についても明確な定義をおろすようにしてもらいたいということをこの機会にお願いしておきます。  次の問題は、時間がありませんから、もう一点だけお尋ねさせてもらいますけれども、中高層建築に対する税の軽減措置が講じられておるのですけれども、四階以上という限定がなされている。私はさっきから日照権の問題にちょいちょいと触れていますけれども、それもあるし、あるいは四階以上になりましたらエレベーターが要るというようなことで、面積がたくさん必要にもなってきます。建築経費もかさんでくる。公団や公社がやる場合には十一階、十四階の建物もいいでしょうけれども、民間にそういうような仕事をやらせる場合——農地をつぶしてやる場合も同じですよ。これは、四階という制限をつけることが是か非かという問題がある。四階をこえるものというふうに条文には書いてありますけれども、どうしてそういう制限をおつけになるのか。もっとも、耐火構造でなければならぬということはわかります。それから、土地を効率的に使うためにはなるべく高層建築が望ましいということもわかる。しかしながら、四階以上になりましたら、基礎工事をするだけでも、周辺部に震動その他の障害を相当及ぼすかもしれない。あるいはまた、もう一度言いますけれども、日照権の問題でトラブルが起こるかもしれない。だから、私は、三階くらいでもけっこう土地の効率化は期待できると思うのです。あえて四階をこえるものというようになさって、不動産取得税あるいは固定資産税で差別待遇をなさっているその理由、御見解をお聞かせ願いたい。建設省だけでなしに、自治省と両方から伺いたい。
  109. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 現在、固定資産税におきましては、住宅政策の必要性から、新築住宅につきましては軽減措置が講ぜられておるのでございます。これは、一般の木造の新築住宅の場合には、新築後三年間二分の一という軽減措置がとられております。それから、三、四階の、いわば中層の、耐火構造の住宅の場合におきましては、五年間二分の一という措置がとられております。それから、五階建て以上の、いわば高層住宅の場合におきましては、十年間二分の一という措置がとられておるわけであります。それに加えまして、今回、こうした農地を転用して賃貸住宅を建てました場合に限りまして、四階建て以上のものについて特例措置を新たに加えたという形になっておるわけでございます。  それから、また、不動産取得税におきましては、新築住宅の場合には、一戸当たり二百三十万円の控除をやるということにいたしております。これは、評価額におきまして、二戸当たり二百三十万円でございますので、通常の住宅の場合におきましては、まず、ほとんどこの控除で課税対象から落ちるであろうというふうに想定をいたしております。そういうことで、今回、固定資産税におきましては、いままでのこういう軽減措置に加えまして、十五年間三分の二というふうにして、非常に大きい軽減措置をとったわけであります。これは、一つには、いま申しましたように、農地の転用を特にお願いをしたいという趣旨でいままでの軽減措置に加えたということでございます。
  110. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 軽減の対象となります住宅を四階以上の中高層の耐火建築物としておりますのは、三大都市圏内の住宅需要、あるいはA、B農地の地価は相当高いというような実情から見まして、宅地の高度利用をはかるという趣旨から、中高層にかかる住宅にしたということでございます。住宅の一棟当たりの収容世帯数をふやしまして、それによって、できるだけ多く、かつ比較的家賃が低廉に供給されるようにという配慮もこの中に含まれて、かような規定を置いたのでございます。
  111. 前田治一郎

    ○前田(治)委員 建築の坪当たり基準単価十三万円という計算でいくから、一戸当たり二百三十万円減額しますという計算になってくるのですよね。実際に二百三十万円でどれだけのものができるか、やってごらんなさいませ。できやしませんよ。アパート、マンション風の建物を中層四階建てくらいで建築したとしまして、これは本格的な鉄筋コンクリートじゃなしに、いわゆる鉄骨、一部コンクリートというふうな構造でやりましても、廊下部分、それから階段部分の面積も加えなければいけませんので、一戸当たりの面積を十坪と見ても、その一戸の使用面積は十三坪くらいの計算になるのですね。坪三十万円としても、三百九十万円ではできやしませんよ。ほんとうにそれでは完全なものができません。特に、あなた方は、バスもなければいけない、便所もなければいけない、キッチンもなければいけないと書いておられるが、そういうものができるかできないか、やってごらんなさい。できやしませんよ。  変な話をしますけれども、私、つい最近、赤坂の議員宿舎の一号棟に部屋をもらいましたが、入ってみて驚いた。両側の壁がぽこぽこいうて、ベニヤ張りである。あれくらいのものだったら、あるいはできるかもしれぬ。そのかわりに、声もまる聞こえで、プライバシーは侵害される。もし火事でも起こった場合には、筒抜けで燃えてしまうというふうな、非常に危険な建物である。私は、それでもありがたいと思って入っていますよ。これは建設省に関係がないから言いませんけれども、そういうものだったらできるかもしれないということを言っているのですね。だから、どうしても十三坪のものをつくろうと思えば、土地代を抜きにして、建築代だけで、四百万円でできれば上等でしょう。大阪や東京の工事費から言いましたら、ね。だのに、家賃にはね返っちゃいかぬからこうしているんだと、二言目には安い家賃をこいねがっておるという言い回しをなさるけれども、二百三十万円しか減額をしないというような制度で、それで平然となさっておる。そういうところにいわゆる役所仕事の冷たさというものがあると私は思うのです。与党、野党の立場は別にいたしまして、もっと情のこもった政治を行なうべきであるというふうに私は考えます。したがって、そういう面についても再度御検討を願っておきたいと思うのです。  まだこの審議は続くはずでございますが、きょうは時間がありません。委員の皆さん方、あるいは政府委員の皆さん方、昼のお食事も抜きにしておつき合い願いましたし、間もなく本会議が開かれる時間でございますから、きょうはもうこれ以上質問を続行しようとは思いません。これで遠慮しますけれども、なお聞きたいことがたくさんありますので、一応保留という形で、本日の質問はこれで終わりますが、先ほど申しました要望事項につきましては、自治省におかれても、また、建設省におかれても、十分御配慮願いまして、いい結論を出してくださるように重ねてお願いを申し上げておきます。  ありがとうございました。
  112. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 先ほど、不動産取得税で二百三十万円の控除と申しましたのは、評価額におきまして二百三十万円の控除でございます。したがいまして、通常マンション等の建築で、鉄骨、鉄筋の建物でありましても、相当坪数のものは課税標準がゼロになるという状態でございます。おそらく、一戸当たりが二十五坪とか三十坪くらいのマンションになってまいりますと課税標準が出てまいりますけれども、通常、十五坪とか十八坪くらいの建物でございますと、現在の評価水準から言いますと、二百三十万円で、不動産取得税はかからないというのが現実でございます。これは、ことしまた改正をしまして二百三十万円にしたものでございまして、これで通常の住宅は不動産取得税の課税対象から除外されるということでございます。
  113. 上村千一郎

    上村委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後一時四十分休憩      ————◇—————    午後三時四十二分開議
  114. 上村千一郎

    上村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。山田芳治君。
  115. 山田芳治

    山田(芳)委員 税務局長にまずお伺いをしたいのですが、特定市街化区域農地固定資産税課税適正化に伴う宅地化促進臨時措置法案、いわゆるあめ法案でありますが、いわゆる宅地並み課税が先般可決をされたわけですけれども、私は、その際にも質問をいたしましたように、各地方議会において、宅地並み課税の議会における審議の状況について、新聞等によりましても、議会においてこれを議決しないというような例が多々あったというふうに聞いておるわけでありますけれども、その議会の審議状況あるいは実施状況というものについて、資料があればお知らせいただきたい。
  116. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 市街化区域農地についての固定資産税に関する条例改正の問題でございますが、今回の改正に伴う条例化の状況は、実は、各市町村で、必要な市町村は大体六月の議会で措置する団体が非常に多かったと思います。そういう意味におきまして、その状況はいま調査をしているところでございますので、具体的にはまだわかっておりません。ただ、昭和四十六年の改正に伴う条例化にあたりまして、全国的に見ますと、五、六カ市町村におきまして条例否決というような問題がございまして、それについて、地方税法の趣旨説明いたしまして、この条例否決の団体も、最後に、四十七年の改正まで残った団体がございましたけれども、これも必要な措置を終わって、昨年までの分は全部条例化は済んだわけでございます。それで、ことしの分につきましても、あるいは一、二の団体におきまして、条例化がすぐにはできないという団体も生ずるかと思いますけれども、御承知のとおり、市街化区域農地課税の問題は、課税標準の算定の問題でございますので、また、そういう団体につきましては、さらに法律の規定、趣旨説明を十分いたしまして、条例化を進めるように指導してまいりたいというふうに考えております。
  117. 山田芳治

    山田(芳)委員 私は、そういう事態がたぶん起こるであろうということを申し上げておったわけでありますが、もし、そうしない場合には、議決をしない場合には、地方税法の規定が直接働くというような御答弁であったわけですが、やはり、指導としては、形式的であっても、条例という形式による議会の議決というものを受けた後に賦課すべきであるという指導をされているのかどうか、その点をお聞かせいただきたい。
  118. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 前回も御質問がございましたように、現在、条例の規定が、税法の規定からいたしますというと、やや形式的な部分もあるということは御承知のとおりでございます。ただ、従来のように、条例の規定をできるだけ詳しく規定しているというような団体におきましては、やはり、従来と同じ態度で、必要な部分の条例改正を行なって賦課するようにということで指導してまいりたいというふうに思っております。そういう意味におきまして、いろいろ問題の起きました団体につきましては、時間が少しかかるかと思いますけれども、十分その趣旨説明いたしまして、納得して条例改正ができますようにいたしてまいりたいと思います。
  119. 山田芳治

    山田(芳)委員 それでは、当委員会がこの法案審議を終わる段階までで、現在わかっている各市町村の宅地並み課税についての状況を報告をしていただきたいと思います。委員長お願いをいたします。  それでは、次に質問を進めますが、このいわゆる宅地化促進法の制定が行なわれたらば、これは宅地化が促進されることは間違いないというふうに思います。しかしながら、これは、例のA、B農地に対する課税適正化という形の強化を行なった段階でも多くの委員から質問があったわけでありますけれども、そこにおける地価の問題がはたしてどういうようになるかということが非常に問題であろうと思うわけであります。  そこで、建設省のほうの住宅関係の方に伺うわけでありますが、このA、B農地において宅地化されるのは、大体二分の一程度を期待しているということが、この前のA、B農地に対する宅地並み課税の問題のときに答弁があったわけでありますが、二分の一程度の宅地化が行なわれることによって、約十五万戸なり何なりが建つではなかろうかというふうな話でありますが、この地域におけるA、B農地における公的住宅がどの程度建つのかということをまずお伺いしたい。   〔委員長退席、高鳥委員長代理着席〕 と申しますのは、今度は、この法案の中で、公的な住宅の主体であるところの市町村なり、府県なり、あるいは公団、あるいは地方住宅供給公社に対して売却をした場合には、面積の規定をはずして、五百万円の基礎控除というような租税の特別措置を行なうという形になっているわけでありますから、これは、市町村に対して地主が売ってもらうことを期待しているというふうに思うわけでありますが、A、B農地一万六千八百ヘクタール、それのうちのどの程度のものを——すなわち、二分の一というのは、民間住宅を含めてであろうと思いますが、公的住宅に予定をしておる面積はどのくらいか、お答えをいただきたいと思います。
  120. 河野正三

    ○河野説明員 住宅関係という御指名でございますが、住宅局関係はいま参りまして、質問を聞いていなかったと思いますので、私からお答えいたします。  先生がいまおっしゃいましたように、三大都市圏内のA、B農地の一万六千八百ヘクタール程度の中で、半分程度住宅用地に転用されるというふうに私どもはお答え申し上げてまいっております。したがいまして、その半分であれば、住宅建設戸数を四十六万戸程度だというふうにいままで申し上げてまいったのでございます。このうち、公的直接供給住宅、税制上の特別措置等をやりまして、公共団体、公団、公社等に土地がなるべく売れるように措置をいたしておりますので、それらの公的の供給主体が供給いたします住宅は何割ぐらいか、こういうお尋ねかと思いますが、これは、公営、公団、公社で、約四十六万戸の中で約十万戸程度、直接供給主体でやりますものは約十万戸程度というふうに考えております。
  121. 山田芳治

    山田(芳)委員 そうすると、十万戸程度ということになると、例の住宅五カ年計画の中におけるシェアはどのくらいになりますか。
  122. 京須実

    京須説明員 五カ年計画では、全国で九百五十万戸設定しております。でございますので、十万戸でございますと……。
  123. 山田芳治

    山田(芳)委員 いや、九百五十万戸のうち、三大都市圏における公的住宅の中で、十万戸というのはどのくらいかということです。
  124. 京須実

    京須説明員 三大都市圏におきまする公的住宅は、二百三十四万戸ばかりを予定しております。ただし、ただいま申し上げました公的住宅は、公的直接供給のほかに、たとえば公庫等の融資も入っておりますので、先ほど宅地部長がお答えいたしましたように、公的直接供給の住宅は約十万戸でございます。この場合、A、B農地につきまして、公的住宅、直接でない間接の利子補給等も入れました場合何戸かを考えました場合に、大体、四十六万戸の全体予定戸数の約半数ぐらいは公的住宅になるんじゃないか、このように考えております。
  125. 山田芳治

    山田(芳)委員 それでは、次にお伺いしたいのは、十万戸予定しておられるというわけでありますが、この中で、いわゆる市町村がつくるところの一種、二種の公営住宅ははたしてどの程度であるかということをお伺いしたいんですが、そこまでは、もちろん市町村のやることでもあるし、非常に不明確であろうと思いますが、私がここで聞きたいのは、この地域、A、B農地が、この間の宅地並み課税のときに質問をいたしましたところ、公示価格は昨年でも平米当たり六万円だというわけですね。六万円でありますから、大体坪二十万をこえております。坪二十万をこえているところのA、B農地で公営住宅をお建てになるということは、十万戸のうちのどの程度を予想されるか知りませんけれども、相当数が市町村営の公営一種、二種の住宅をつくるというふうな場合に、はたしてどのくらいの家賃計算になるのかということですね。もちろん、これは、宅地並み課税のときにも、五階建てのものであったりするという、いわゆる四階以上の高層化をはかるというお話しもありましたけれども、そういう点を含めて、どういう計算でどのくらいの家賃になるかということをひとつお伺いをしたいと思います。
  126. 河野正三

    ○河野説明員 家賃の問題につきましては住宅局のほうからお答え申し上げますが、その前に、地価公示の価格の問題でありますが、先般もこの委員会で私からお答えいたしましたが、確かに、平米当たり六万円以上というようなことでございます。ただ、地価公示は、御承知のように、仕上がりました造成済みの宅地の価格でございますので、田畑といった素地の価格を出します場合には、地価公示価格の約二割方くらい造成費の部分を差し引いた価格が素地価格として適正な時価であろうかと思います。
  127. 京須実

    京須説明員 大都市圏におきまする公営住宅の予定の家賃でございますが、一種でございますと、建物相当部分が約八千円、地代相当部分が約七千円、合計いたしまして約一万五千円でございます。  なお、つけ加えて申しますと、東京都では、政策家賃と申しまして、その家賃をさらに下げるために、特別に家賃を低くいたしまして、四十七年度の実態では一万二千円以下でございます。
  128. 山田芳治

    山田(芳)委員 私がおりました京都府でいまやっておる計算をここに持ってきているのですが、これは一万五千円などというものではあり得ないと思うのですよ。だから、私は計算の内容をちょっと見せていただきたいというふうに思います。たとえば、建て坪の単価を、平方メートル当たり一体幾らと見ておられるのか知りませんけれども、十六、七万円は完全にかかるだろうと思いますし、それから、いまお話しがありましたように、農地で、たとえ二割くらい公示価格が安かろうと、結局、住宅にするためには、埋め立て造成をしていくことが必要でありますから、それに要する経費がやはりかかるということになってまいりますと、私のところでの計算でも、少なくとも約二万ないし三万はかかる。この間の宅地並み課税のときでも、普通のアパートならば約三万円くらいになるということは、当委員会において大臣もお答えになっておられたわけですから、一万五千円という計算を一ぺん見せていただきたいと私は思うわけですけれども、とても一万五千円でできるような状態ではないのではないかというふうに思いますが、その点はいかがですか。
  129. 京須実

    京須説明員 一種の公営について申し上げますと、面積は想定五十二平方メートルでございまして、その建物建築事業費が二百二十五万四千円でございます。したがいまして、単価では、一平方メートル当たり約四万三千円でございます。非常に安うございますが、公営住宅等は、従来の実績等では、このくらいで事業を消化しております。  なお、それに加えまして、建物建設費等につきましては、国庫補助が半分ございまして、その部分は家賃の中に計算いたしません。そのために安くなるわけでございます。
  130. 山田芳治

    山田(芳)委員 平米で言いますと十四万円ですね。とても十四万円では、いまはできない。京都府においても、先ほど言いましたように、十六、七万程度です。現実に入札をした価格がそうなっておるのです。  それから、土地の値段をどのくらいにその場合ははじいておられますか。
  131. 京須実

    京須説明員 一平米当たり五万円で計算しております。
  132. 山田芳治

    山田(芳)委員 先ほど私が質問を申し上げたように、A、B農地の公示価格約六万円ということでありますから、もうすでに二割の差がそこにあるわけであります。いま課長の言われたのは、A、B農地のところなのか、あるいはそれに近傍したようなところなのか、場所をひとつ教えていただきたい。
  133. 京須実

    京須説明員 大都市地域におきまするA、B農地等で、手ごろなところを五万円ととりました。
  134. 山田芳治

    山田(芳)委員 そうすると、大都市周辺のA、B農地で五万円、すなわち十六万円であると思いますか。私は、とても十六万円のところはないと思う。私がいまそういうところに住んでいるのですが、三十万円するのですよ。もし十六万円のところがあるなら、その場所を教えていただきたい。東京都内なんかに、十六万円なんというものはおそらくない。たとえば、私の住んでいる京都市内にあるんなら教えていただきたい。それは、山の中に行けばあるかもしれませんけれども、住宅地として適正なところに坪当たり十六万円の土地があるというようなことは一つの仮定だと私は思うのですが、どうでしょうか。
  135. 京須実

    京須説明員 おことばのとおり、大都市のA、B農地平均がそのように安いとは考えておりませんが、私たちの調べた例でございますと、東京都の足立区舎人町に平米当たり四万四千円というところがございます。もちろん、そういう一番低いところを特に選んだわけではございませんが、四万円でもあるのではないか、このように考えて計算しております。
  136. 山田芳治

    山田(芳)委員 これは実地調査にも行かれるようですけれども、私は、そういうところがあるなら実際見に行きたいと思うくらいで、それなら、都市の勤労者がそんなに苦労して住宅不足を言わないで済むはずであります。これは答えですから伺っておきますけれども、納得はいたしません。とにかく、いずれにしても、いまの話は、最も低いところという、きわめて特殊な例をあげられていると思う。私の感じでは、少なくとも三万円近い家賃だろうと思うのです。  そこで、私は、きょうは、いわゆるサラリーマンの月別の給与を調べてまいりました。昨年の六月、ちょうど一年前ですが、一般サラリーマンの平均給与というのは七万六千円だというのですね。もちろん、これに年間二十四万一千五百円の臨時給与があります。ただし、七万六千円は、月二百時間働きます。時間内は百八十五時間で、六万九千円がいわゆる一般サラリーマンの平均給与でございます。これは労働省の統計の数字でございます。そうしますと、時間内として一応毎月六万九千円ですね。家賃というものは大体二割。そうすると、一万三千八百円。一万数千円ならばまあまあやっていけますけれども、六万九千円のうちから二万円も三万円も払えると建設省としてはお考えになるかどうか。この点、給与との関係においてどうお考えになるか、ちょっとお伺いしたい。
  137. 河野正三

    ○河野説明員 私どもの調査によりますと、京浜地区の勤労者世帯の平均収入は、昨年度年間二百四万円というふうに考えておりますが、いまの山田先生のお話しのごとく、かりに時間内給与だけをとりまして、月六万九千円、こういうようなことになると仮定いたしますと、払い得る家賃として、家計支出上の適正な割合というものは、いまおっしゃるとおり、大体二〇%くらいだと思いますので、二割かければ出るわけでございます。しかし、一般的に、住居費充当家計支出というものは、年間総所得を出しまして、大体それの何%というのが普通ではなかろうかと私は考えております。
  138. 山田芳治

    山田(芳)委員 そうは言いますけれども、現実に二割でも住宅にかかるということを考えれば、いわゆる文化的なものの支出はおそらくゼロだということで、最低限度という以上に、非常に飢餓の状態だと思うのです。そこで、問題は、二割がいいということではなかろうというふうに思います。やはり、家賃というものはできるだけ安くする必要があるだろうし、しかも、A、B農地のように、極端な例をあげれば別として、大体二十万円をこえるというようなことで宅地がきまってくるというところへ十万戸も公的な住宅を建てる。もちろん、これは、先ほどの話では住宅金融公庫のものを含めるそうでありますから、そうなってくれば若干意味が違ってくると思いますが、少なくとも公営住宅に住むような人は、御承知のように——いま年収二百万円ですとおっしゃるけれども、いま第一種住宅に入る人の所得の最高限が百三十三万二千円ですね。だから、二百万の人が入るという御説明はおかしいのですよ。それから、二種は九十万一千八百円でしょう。九十万というと、一年を十五カ月で計画したら、月六万円ですよ。六万円の人が二万円も払うんだったら、これは三割三分くらい払うのですからね。いまおっしゃった京浜地区の勤労者世帯の平均収入二百何万という人は、公営の住宅には入れないという人ですね、それ以下の人ということになると、九十万円の人がかりに入るとして、A、B農地にある第二種の住宅というものは、一体どんな人がお入りになる計算になるのか、ちょっと教えていただきたい。
  139. 京須実

    京須説明員 公営住宅につきましては、御承知のように収入基準がございまして、一定の所得以外の方は入れません。これは標準世帯、たとえば扶養親族が妻子三人ある方の収入で申しますと、一種の場合には月に十二万三千五百円以下、二種の場合は八万八千五百円以下に当たります。先ほどお話しいたしましたのは家賃一万五千円という試算でございましたが、一種の十二万三千五百円の場合ですと、約一二%に当たるかと考えております。
  140. 山田芳治

    山田(芳)委員 数字はそうなんだけれども、たとえば二種の場合八万円とおっしゃるが、これは公租公課は入っているだろうし、その他共済組合の費用であるとか、その人のいわゆる手取りになる金額が八万円という趣旨ではないと思うのですが、その点はどうですか。
  141. 京須実

    京須説明員 公租公課等を含めた総収入でございます。
  142. 山田芳治

    山田(芳)委員 公祖公課もあるでしょうし、保険もあるでしょうし、共済もあるでしょう。そうすれば、六万円かそこらの収入の中で二万円なり三万円なんということでは、とうていこれは生活ができるような、そういう家賃ではないのではないかというふうに私は思うのですが、その点、課長自身はそう思いませんか。どうですか。
  143. 京須実

    京須説明員 先ほどお答えしましたように、公営住宅につきましては、私どもの計算では約一万五千円程度と思っております。現に、東京都等では、四十七年度の実績では月額一万二千円でございます。なお、その公営住宅等に入れない、所得の多い方々につきましては、公庫等の融資をつけましたところの、幾らか家賃を高くした賃貸住宅というものを考えております。これは確かに三万円ちょっとこすぐらいの家賃になるのでございますが、特に、所得の低い方々につきましては、そのようなわけで、一万五千円程度で十分公営住宅を供給できると思いますし、ぜひその供給をたくさんやりたい、このように考えております。
  144. 山田芳治

    山田(芳)委員 その一万五千円は、政策家賃であるわけですか、どうですか。
  145. 京須実

    京須説明員 国庫補助金が入っておりますので、ある意味では政策家賃でございますが、先ほど私が東京都につきまして申し上げましたのは、東京都が独自の立場から家賃収入をあえて下げまして、一種で一万二千円以内、そういうぐあいにやっておるわけでございます。
  146. 山田芳治

    山田(芳)委員 私がこれ以上言っても、おそらく、実態の数字を申しておられないからそういう話になるのだと思うのですけれども、私の言いたいのは、現実にこんなような状態ではなかなかないということです。A、B農地については、先ほど言いましたように、非常に高いわけでありますから、実際の家賃を、たとえ国庫補助金を控除して計算しても、それは二万円から三万円くらいになるというふうに最近はなっておるのが現状であります。一両年前は確かに一万五千円とか一万四千五百円とかいう数字が出ておりますことも知っておりますけれども、最近の請資材の値上がり、土地の値上がりというものは、とてもいま話のあったような数字ではできないということを現場の人が言っておりますし、私は、むしろ、それのほうを信じたいと思います。  そこで、私の聞きたいのは、こう高くなってきたら、建設省としては、いまの国庫補助金の政策家賃でなしに、東京都で行なっているところの、あるいは他の府県でも何ぼかはやっているところの、いわゆる政策家賃というか、一般会計からの持ち出しにおいて家賃を下げていくということについて真剣に考える必要があるのではないかということについて、その点についての建設省の意見を聞きたいと思っておったのでいままでずっとあげてきたのですが、たとえ土地代が高くても、入る人がほんとうに安い家賃で入れるという方途を考えるならばそれでいいと私は思うのですが、そういう意味における政策家賃というものについて、建設省としては推進する意思があるかないか、その点をひとつ伺いたい。
  147. 京須実

    京須説明員 公的住宅の家賃が最近上がりつつございますので、これに対しましてどのような対処をすべきかということにつきましては、現在、建設大臣の諮問機関でございます住宅宅地審議会に諮問いたしまして、たとえば、所得に応じまして家賃をいただくというような比例家賃制度と申しますか、そういうようないろいろな方途も考えておりますが、少なくとも、国庫補助金の増額、あるいはその建設費をより実態に近づけるように努力いたしまして、極力公的賃貸住宅の家賃の上昇を防ぐように今後とも努力しようと考えております。
  148. 山田芳治

    山田(芳)委員 宅地並み課税のときに、アパートが約三万円程度になるという答えがあった。私は宅地並み課税会議録を全部読ましてもらいましたが、そういう答えになっております。ですから、民間でいけば三万円だというのがお答えです。公営なら一万五千円だとおっしゃるのですが、これはまゆつばだと私は思っております。しかし、そういうようなお答えではなくて、もっと積極的に、建設省としては、いまのお話しのような、所得に応じたといいますか、特に、公営住宅については、低所得であるということを前提としてつくって、それ以上の所得のある人は入れないのでありますから、これはおのずからなる限界というものが想定されると思うので、政策家賃をぜひ地方団体もやっていくというふうにやるべきだという時期が来ている。特に、住宅を促進するためにはそういう形をとらなければいかぬというふうに思うわけですが、その点について、地方団体が政策家賃をとっていく、そしてそれにはある程度の財源補てんをしてやるということを自治大臣としてはいかがにお考えになるか、お伺いしたい。
  149. 江崎真澄

    江崎国務大臣 だんだんの答弁がありましたが、やはり、いま答弁がありましたような、そういう線に沿って措置することが妥当であるというふうに考えております。
  150. 山田芳治

    山田(芳)委員 それでは、そういうふうにひとつ努力をしてもらいたい。そうすると、三万円といういわゆる公団のアパートにしても、民間のいわゆるマンションというようなものも、もっと下がってくるというふうに思いますので、その点をお願いをしたいと思います。  次に、これからA、B農地が宅地化されていくというふうになることは当然でありますけれども、そういう場合に、A、Bだけでなくて、C農地については、これは午前中今井委員から話があったと思いますけれども、C農地については区画整理事業を進めていくんだというお話しであって、やはり、これについても宅地化を進めるというふうなことを申されておるし、法文もそうなっておるわけでありますが、C農地についての固定資産の評価が五十一年に変わるわけなんですが、C農地について、今後宅地化を急がせるというか、そういう考え方を持っているようでありますが、それにあわせて、固定資産の例の宅地並み課税の問題はどう考えられるかという点、あるいは、C農地について宅地化をはかる場合にどういう構想を持っているのか、自治省並びに建設省の当局者からお伺いいたします。
  151. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 私から、C農地の今後の計画的な開発の構想あるいはその方向につきまして、最初に申し上げます。  三大都市圏内のC農地につきましては、これをできるだけ早く計画的に開発するという方針のもとに、現在、今回のこの法案に出しておりますような要請制度とは違いました新たな区画整理を母体とした手法を整備いたしまして、宅地開発を促進したいというふうに考えておる次第でございまして、現在建設省の諮問機関であります中央審議会に「大都市地域の市街化区域内における農地等市街化を促進のための方策について」諮問中でありまして、先般新聞等にも出ておりましたが、同審議会の市街化促進部会から報告を得ておるのであります。これによりますと、おおむね大体C農地でございますが、二十ヘタール以上の区域につきまして宅地開発促進地域という制度を創設いたしまして、一定期間内に農民等による自主的な宅地開発を期待しまして、それが行なわれるようにいろいろな助成措置を強化しよう、こういう構想でありまして、それがある一定期間内に行なわれない場合には市町村等の公的機関がみずからこの区画整理事業を行なう、こういう制度を設けようとする、そういうことを骨子とした提案をなされております。で、私どもは、この制度を早急に具体化いたしたい、このようなことを考えておる次第であります。   〔高鳥委員長代理退席、委員長着席〕
  152. 山田芳治

    山田(芳)委員 宅地開発促進地域を特別におつくりになるようでありますが、問題は、午前中に今井委員から区画整理の話があったと思いますけれども、私は、一言だけお願いをいたしておきたいのは、区画整理をやるのは、あるいはその歩減りをする部分は公共の分でやるとか、あるいは金銭で清算をするという手続は技術的にも非常にむずかしいのですが、そのためには、ほんとうに区画整理をおやりになるのであるならば、市町村がもっとどんどんみずから出ていって説明をするというやり方をやらないと——実は、私のそばでも、いま、非常に区画整理の問題でもめております。なぜもめているかというと、はっきり言うと、お役所がうしろになって、発起人というものを適当につくって、それをあやつるものだから、発起人はさっぱりわからぬで、いろいろ権限を持っている人から聞かれても、一々市役所に聞いて、そして答える、はっきりした答えが全然わからない、しかし、組合を設立してやる以上は、発起人がその責任者になる、しかし、その発起人は、そういう制度なりやり方についてはほとんど知らない。そういうところから、組合員から非常な不信を招きながら区画整理組合をつくるのだというような形になっているのですが、そこまで宅地を本気になって進めるなら、市町村みずからやれる範囲を、もっと面積を少なくして、みずから前へ出てやる形をとらないで、発起人に責任を負わせてやるのだという、いわゆる組合施行というようなやり方に非常に問題があると思うのですが、この点は一体どうお考えになるのですか。
  153. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 ただいま申し上げました宅地化促進地域は、いま先生のおっしゃる、その趣旨を具現しようとするものだと私は考えております。ただ、地主の発意を尊重しつつ、それがある一定期間と申しますか、ある一定期間たたなくとも、これは見込みがないと思いましたときには、すでに決定しました区域、これは都市計画で決定いたしますので、これにつきましては公共が責任を持とう、こういう姿勢をあらわしたものだと考えておりまして、これの具体化を今後進めてまいりた  いと思います。
  154. 山田芳治

    山田(芳)委員 私の言うのは、そういう二十ヘクタールといいますか、一定のものもそうでしょうが、いま現に相当数各地で行なわれている場合に、建設省として、市町村の行政機関がもう少し前面に出て、区画整理について、住民にわかりやすく——しかもそういう発起人なんという、いわゆる農家の人たちのように、法律も規則もよくわからない、実態のわからない人に責任を負わせるのじゃなくて、もっと前面に出るように、現在行なおうとしている区画整理の問題についても積極的に出て、農民に周知徹底させて、よいことであるならば前へ進めるというような、責任をもった指導体制を、建設省として、今後の問題じゃなくて、いま直ちにやってほしいから私はお願いをしたいのですが、その点どうですか。
  155. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 まことにおっしゃるとおりでございまして、われわれは、地方公共団体を通じまして、こういったPRないしはその技術的指導等につきまして、日ごろ、従来からやってきたのでございますけれども、さらにこれを強化し、前向きで進めていきたいと考えております。
  156. 山田芳治

    山田(芳)委員 A、B農地、また来年からC農地についても区画整理等を積極的に進めてやるということであるわけでありますが、さて、そうは言われても、現実にA、B農地あるいはC農地あたりにおいて、公共の施設の整備が非常におくれているということを私は摘指したいわけであります。これは、宅地並み課税のときに、わが党の山口鶴男委員からもいろいろの点の質問があったわけでありますが、その中で、一番問題になるのは、排水なり、いわゆる下水道整備の問題であると思うのです。  そこで、その点についてきびしく追及されたときに、現在約三二%程度下水の排水面積があるというわけでありますが、それは現在の市街化区域あるいは人口集中地域における比率であるけれども、今後こういうふうにしてA、BあるいはC農地の部分まで宅地化が進んでくるという場合に、三二%という数字がもっと下がってくるのではないかと思いますが、この点はいかがですか。
  157. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 お説のとおり、いまあげられました三二%という数字は、実は、昭和五十年度末において三八%を目途としておるのでございまして、昭和四十五年末現在におきましては、普及率と申しておりますが、DIDの市街地面積に対する処理区域でございます。これの比率が現在二二・八%であるのを、昭和五十年末におきまして三八%にしたい、こういう目標で進んでおるのでありますが、おっしゃるとおり、このDID市街地面積は今後ふえてまいります。ふえてまいりますので、いまのようなペースでいきますと、六十年度に概成すると言っておりますその普及率がとても追いつかない、こういう計算に相なると思います。したがいまして、われわれは、昭和四十九年度、来年度におきましては、現在の下水道五カ年計画の見直しを行ないたい、このように考えて、その拡大をはかりたいと考えております。
  158. 山田芳治

    山田(芳)委員 この法律は、大臣、三年の時限立法ですね。それで、先ほど話があったかどうかそこまで伺ってなかったのですが、三年の時限立法で、しかもA、B農地が宅地化をしていくと、すみやかに住宅その他の建物を建てなければいけない。訓示規定であって、担保はないというお話しであったわけですが、しかしながら、これは早急に建てろという趣旨だろうと思う。そのすみやかにという意味は、一体どのくらいを法案作成の際は予定されているか、まず、それをお伺いしたい。
  159. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 具体的に何年以内というようなことはきめておりませんけれども、この立法の趣旨から見まして、通常、用地を買い受けて建築をするという場合には、たとえば不動産取得税等におきましては、買い受けてから一年といったようなものが一つの軽減の対象期間になっておりますから、大体その辺のところを目途にしながら、できるだけすみやかにというつもりでここに規定したわけでございます。
  160. 山田芳治

    山田(芳)委員 そうすると、一年か二年ということですね。  それから、「住宅その他の建物」とあるが、「その他の」というのは、これはどういうことを予想しておるか。
  161. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 この市街化区域農地の場合には、住宅適地のところもございましょうし、それから、たとえば駅周辺なんかにあります農地などの場合には、必ずしも住宅適地でないというような地域の農地もございますので、でき得れば住宅の建築が望ましいわけでありますけれども、住宅地でないような場合においては、住宅以外の建物であってもやむを得ないというふうに考えておるわけでございます。
  162. 山田芳治

    山田(芳)委員 大塩さんに尋ねたいのですが、こういうA、B農地のところは宅地化促進なんだから、おそらく、利用の区分では、一種住専、二種住専あるいは住宅専用にするということになるのと違うか。そうなると、そうやたらなものは区分として建てられないのと違うんですか。そこらあたりのかみ合わせばどうなっているんでしょうか。
  163. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 おっしゃるとおり、この法案で予定しておりますような、また、区画整理を誘導し、醸成させようとしておりますようなところは、少なくとも住居地域あるいは住居専用地域の指定がかかっていると思います。あるいはそれが住居地域でありました場合に、それを第二種住専にする必要があるというときには、直ちにこれを用途地域の変更をすべきものであろうと考えます。
  164. 山田芳治

    山田(芳)委員 住宅を促進するのに、その他の建物が建つようなかっこうの法案というのはおかしいというふうに思いますが、その点はどうでしょう。
  165. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 私は、いま、一般論を申し上げましたが、このA、B農地の所在する場所によりましては、たとえば駅裏あるいは商業用地たるべきようなところに残っておるものもございましょう。そういうところには、かえって、住宅でない、その他の建物も建ち得るかと存じます。
  166. 山田芳治

    山田(芳)委員 さて、そういうふうにいまお話しがあったように、主として住宅を一、二年の間に建てるということで三年の時限立法であるということでありますけれども、先ほど、最も公共施設都市的なものとしての下水道がいまの状態では、住宅地域がもっとふえれば、三二%という下水道の普及率すら下へ下がってくるという状態であると言っているわけです。現実には、宅地を幾らふやしてみても、いま言ったような都市地域の施設がこれにほとんど及んでいないという状態であるわけであります。ですから、確かに、いまの三大都市圏住宅の要求が強いんだから宅地化すべきだと言われるけれども、そこへ来た人たちが直ちに困るのが、非常に水がつくという問題があるわけであります。  宅地並み課税のときに、共産党の三谷委員も寝屋川の例を申しておったわけでありますが、たとえて申しますと、実は、私の住んでいるところがそうなんです。ここへ写真を持ってきましたので見ていただきたいと思うのですが、私のところは京都の桂のあたり、いわゆる苔寺の付近であります。そこへ流域下水道をつくりますということで、ここに書いてあるように、昭和六十年にできるというのですよ。この宅地開発は、三年ないしそれにプラス一、二年の間に住宅を建てろ、こうおっしゃっておるのですが、その地域に下水道がいつできるかというと、この下水道新聞によると、昭和六十年にできるというんです。そこで、私の住んでいる付近は、口で言うてもなかなかおわかりにならないと思うんで、わざと宅地並み課税のときに写真をとりました。これは五月二日に二十ミリないし三十ミリの雨が降った状況のもとでのものです。この写真を見ていただきたいと思うのですが、こういうふうになるのです。二十ミリないし三十ミリの雨が降るとこういう状態になるのです。  なぜそうなるかといいますと、農地をつぶしていく。そして排水をするところが完備していないけれども、そこにどんどん住宅が建ってくる。ここにあるみぞは農業用のかん排水路なんです。それが、いままでならば、たんぼが遊水地帯で、少々あふれようとどうしようとかまわなかったけれども、家が建てば、あふれた水がみな家の中に入ってくるという実際の問題がある。そこで、それを直すにはどうするんだというと、下流のいわゆる都市河川に指定されたところの、私の付近では、新川とか、西羽束師川とか、あるいは寺戸川という川を改修しなければ、それはとうていのみ切れないという状況です。だから、ちょっと雨が降るといつもあふれる。それじゃ新川と西羽束師川はいつ直るんだといったら、いまの下水道が六十年にできると同じように、百年河清を待つような状態であるということで、そこに住んでいる住民はいつも不平を言うておるわけです。そこで、一体この水つきはいつ直るかということを関係者の皆さん方からひとつ具体的に教えていただきたいし、また、早くしていただきたい。そうしないと、ここにあるように、いま農地をつぶしてどんどん宅地化しておるわけです。ダンプも入っております。それがみな水つきが起こるということになるのであって、これは具体的な例ですから、私のところの上桂一帯の水つき問題は一体いつなくなると考えておられるか。関係者の皆さんにはこういうことを質問するということを昨日申し上げておきましたから、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  167. 川田陽吉

    ○川田政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘の地域についての治水環境の悪化という現象は、まことに御指摘のとおりでございます。こまかいほうの水路から申し上げますと、農業用かんがい排水路等も毛細管の部分としてあるわけですが、そのほか、本来都市下水路として整備するような水路もございます。しかし、この地域について一番大きな影響を持っておるものは、中小河川としての西羽束師川及び新川の二本の河川であろうと思います。  まず、西羽束師川について申し上げますと、最近における流域の開発が非常に著しく、もうすでに八〇%が都市化しております。そこで、建設省におきましても、昭和四十五年度から、都市小河川の改修対策事業といたしまして、京都市施行補助事業としてすでに着手いたしております。  事業内容は、最終的には排水量毎秒六十トンの排水機場をつくるということが一つと、それから、そのあとで一般的な河道改修を促進するという二つの事業内容でございますが、排水機場につきましては、本年度予算をもちまして、一応七月末には排水量毎秒十二トンの施設を完了させるという予定でおります。そこで、直ちに上流河道の暫定的な改修に入りたいと思っておりますが、四十九年度以降に残る事業量は、工事のほうで十一億円ほどでございます。しかし、用地先行等を併用してまいりますと、治山治水緊急特別措置法の期間の三年間で概成させ得るというふうに私どもとしては考えております。なお、用地については、宅地化が進んでいるということから、いろいろと難航も予想されますが、一応、予算の配賦としては、三カ年で何とか仕上げたいという考えでおります。  それから、新川につきましては、北羽束師川のさらに北部の、やはり中小河川でございますが、昭和四十七年度から、都市小河川事業としまして、京都市に対する補助事業として実施しております。これも同じく河道改修と、それから排水量毎秒二十トンの排水機場を増設することにいたしております。現在、農林省で設置されました毎秒四トンの排水機場がすでにできておりますので、建設省の治水目的の排水機場を二十トン強化するという構想でございますが、それが済んだあとで河道改修をやるという計画でおります。これもポンプ場の用地買収にただいま全力を注いでいる次第でございますが、四十九年度以降に残る事業量は、工事費としてみますと八億二千万円でございます。これは、京都市における従来からの都市小河川事業の実績と、今後の都市小河川事業の国としての予算の確保の見通しと、両方突き合わせてまいりますと、おおむね三カ年で概成できるという見通しを持っております。  問題点は、やはり用地買収に同じような難点がございます。新川の流域については都市化が一〇〇%進んでおりますので、そちらのほうにつきまして、先行買収とか、そういう手法を用いまして、極力円滑に進めていきたいと考えております。
  168. 山田芳治

    山田(芳)委員 農林省の方に伺いますが、いま話のあった新川とか西羽束師川はいいんですけれども、それに至るところのかんがい排水路、これがもうほとんど能力がないのです。その点についてはどういうふうに見通されているか、ちょっと伺います。
  169. 福澤達一

    ○福澤説明員 ただいまの桂川周辺の問題につきましては、農林省といたしましては、すでにその地域が農用地域であった時代、昭和二十三年から用水と排水の問題を整備する事業を進めまして、四十年までそういう事業を進めてまいったわけです。しかし、その後、その地域におきましては、さらに都市化がだんだん進んでまいりまして、そこで排水関係の不良の問題を取り上げまして、さらにそれに増設して新しい事業をそこへつけ加えまして、それが昭和四十二年から四十六年までかかって完了したわけでございます。その間、四十四年に都市計画法の問題が取り上げられまして、市街化地域とそうでない地域との間に、農林省として取り上げる事業内容の調整をとったわけでございます。現在の段階では、ほとんどその地域は市街化地域に入ってしまっておりまして、新しくそこへ農業サイドで事業を興すというようなことができないような形になっております。しかしながら、一般論といたしますと、従来の農業関係の地域もその中に点在しておりますので、そういうものの効用がある程度あるということで、補足的に問題を取り上げるということはやっておりますけれども、原則といたしましては、農業サイドで事業を興しましても、それによる農民負担等の関係からいたしまして、その地域に農業サイドの、農民側の利益がないと、その事業がなかなか取り上げられないというふうな関係で、市街化地域のそういう問題につきましては、都市計画事業あるいはそれに伴う開発事業というものの影響によってあらわれてきた事態には、原因者のほうでその措置をお願いするというように考えておるわけでございます。
  170. 山田芳治

    山田(芳)委員 原因者というと都市ですか。
  171. 福澤達一

    ○福澤説明員 都市計画事業あるいは……。
  172. 山田芳治

    山田(芳)委員 そうするとそういう場合に、いま言ったように農地が点在をする。今後も、宅地は、A、B、C関係の土地においては、非常に農地も点在をし、その間に住宅がどんどん建ってくる。しかも、農業かん排水路において、都市下水というものが排水をせざるを得ないけれども、農業サイドからは、それを改修するというような公共投資は行なえない。したがって、それは市町村が行なう。しかし、管理の主体は土地改良区であるというようなものはどういうふうにしていくべきであるかということとともに、建設省の都市計画のほうとしては、どういうふうにそれを指導されるかという一般論として、この問題について具体的にひとつお答えをいただきたいと思います。
  173. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 まず一般的に申し上げますれば、市街化区域の中に編入されました以上は、おおむね十年以内にという法律の規定にもございますように、ここに鋭意計画的に市街化をはかっていくべきでございまして、公共施設につきましては、少なくとも計画決定を全部やりまして、そして、市街化の振興とともに計画的にこれを整備してまいる、この基本的な姿勢が必要でございます。  いま例をあげられました桂川右岸の当該地域は、公共施設が、特に下水道が不備でありますし、いま言いましたような、いろいろな、雨水に対する処理等が不十分でございます。これにつきましては、われわれとしましては、総合的な、その地域の全体の排水計画を早く立てまして、そしてこれを整備するという一語に尽きるわけでございまして、そのためには、河川あるいは農業水利あるいは下水道、これを総合的な排水計画としてまとめあげまして、すみやかにこの計画のもとに事業をいたしたい。  下水道について申し上げますれば、流域下水道は、大体われわれは四十七年に計画決定しまして、事業に着手いたしまして、五十五年を目途にいたしておりますが、この時期までに関連の公共水道等も合わせて整備いたしたい、このように思っておるのでございますが、まあ、何と申しましても、そこのところは全体的な総合計画の樹立ということが先決でございます。そこで、これを指導いたしまして、市として、早くこの計画を立てさせまして、繰り上げ施行でも、そういう緊急を要する場合にはあえていたしまして整備いたしたい、かように考えております。
  174. 山田芳治

    山田(芳)委員 いまお話しがあったように、そのとおりだと思うのですけれども、こういう状態であるということを、私の住んでいる地域であるから、この国会であえてお話しも申し上げ、努力もしていただけるだろうと思うのですけれども、各地域においてこういう状態が相当あると思うのです。しかも、A、Bになると、これは、先ほども出ましたように、寝屋川の例でもそのようなことがこの問の委員会でも論議になっておったように、確かに宅地は必要である。そうして、宅地化の促進という仕事それ自身も私は必要だと思いますけれども、それにあわせた公共の施設というものが非常におくれておる。いまのお話しで、流域下水道は五十五年を目途にと言いますけれども、六十年にと、下水道の新聞にすら書くというくらいで、おそらく、五十五年にできるというふうなことにはなるまいと思います。六十年なんというと、はっきり言って、私どももこの世にいるかいないかわからぬというような、十何年も先の話でありますから、これはとんでもないことなんで、宅地化は三年以内に行なうが、流域下水道は十数年も先であるというのでは、ここに住む住民はたまったものではないという点をひとつ十分頭に置いていただきたい。  宅地化の促進も必要だけれども、それ以上に、そこに住む人間のための生活環境施設というものの整備が必要である。これは各自治体の責任だとおっしゃいますけれども、自治体にはやはり三割自治という限界があるので、あれもやりたい、これもやりたいけれども、財源というものがないのだというような中で、口では何とかかんとか言いながら、なかなか進んでいないというのが、いま写真でお見せしたような実態になっているということを自治大臣に心にとめていただいて、公共投資のそういう生活環境についてはよろしくお願いしたいと思います。そこらあたりの点をひとつお伺いしておきたいと思います。
  175. 江崎真澄

    江崎国務大臣 日本も、そういう生活環境を中心にした公共施設が非常におくれております。特に、下水道のおくれというものははなはだしいものがあります。したがって、そういう事業に大幅な予算投入をして、すみやかに完成を得るという形で今後推進していきたいと思っております。
  176. 山田芳治

    山田(芳)委員 そういうことで、関係各省よろしくお願いをしたいと思います。  また、法案に返りまして、「住宅金融公庫の資金の貸付けの特例」のところでありますが、特定の市街化区域農地所有者が、分譲住宅あるいはアパートをつくった場合に、年六・八ないし四・五%に利子補給をして建てさせるというわけでありますが、これの見通しと、予算はどうなっているかということについてお伺いをしたい。
  177. 京須実

    京須説明員 住宅金融公庫の特別融資でございますが、これは、従来から土地担保賃貸という名目でやっておりまして、全体の戸数が賃貸では約二万戸でございます。この中で処理しようと思っております。また、分譲につきましては約六万戸でございます。
  178. 山田芳治

    山田(芳)委員 この法律に伴うものをどのくらい予想しているかという質問なんですが、いまの答弁でよろしゅうございますか。
  179. 京須実

    京須説明員 はたしてどのくらい出ますか、実は予算が編成後でございますので、戸数的には、別ワクで組んでおりませんからわからないのでございます。全体では二万戸でございますが、その中でどれくらい出ますか、確実な戸数はつかんでおりません。
  180. 山田芳治

    山田(芳)委員 ですから、私がわざわざお伺いしたいのは、予算編成後でありながら、一定のこういう法案が出た場合に、はたして二万戸ないし六万戸について消化できるであろうかということを伺いたいのが一点と、最近非常に金利が上がっておるわけですけれども、その点について、この四・五ないし六・八に対する予算措置はどうなるかということをお伺いしたのです。
  181. 京須実

    京須説明員 四・五%ないし六・八%の金利の場合でございますと、その分だけ金融公庫に対します国の利子補給がふえてまいります。しかし、戸数で申しましてもそれほどでございませんので、既定予算の範囲内で公庫の利子補給は十分間に合うように考えております。
  182. 山田芳治

    山田(芳)委員 A、B農地でわずか二万戸くらいで消化ができる、間に合うというふうに考えているかどうか、どうですか。
  183. 京須実

    京須説明員 何ぶんにも、第一年目でございますので、今後需要が多い場合には予算をさらにふやしたいと考えております。
  184. 山田芳治

    山田(芳)委員 次に、大臣に伺いたいわけですが、この法案が成立したときに、農地を所有している人がアパートをつくったり、あるいは分譲をするということもさることですけれども、むしろ、こういうふうに宅地の促進をする以上は、これは前にも質問があったかと思いますけれども、公共団体が、こういう地域では非常に土地が少ないということになっているわけですから、これは共産党の林委員も盛んに言っておりましたけれども、市町村がこの出てくるところの土地を先行的に取得をしていくということが望ましいと私は思うのです。  一方、現在水田債というものがあるわけです。約二千億出しているわけですね。もうすでに食糧が世界的に危機である。むしろ、いままでのような調整をやるのではなしに、東北あたりの県では逆に増産をするというようなことも言われているように、本年度、四十八年度産米は八十万トン足らないというような状態なんでありますから、もう水田債などというものは廃止をしていくということが——おそらく総理がそういう指示もされているということが言われているほどでありますから、水田債はもう廃止をするかわりに、こういう宅地の先行取得債に振りかえて、積極的に公共用地を取得をしていくというところへ振りかえていくべきだというふうに思う。あるいはまた、林委員が前に言っておりましたように、住宅用地の建設公債でも発行するという話もありましたけれども、そういう形でなしに、むしろ、この水田債を振りかえて、宅地を民間に渡さないで市町村に買わせるというように積極的に指導される意思はないかどうか、その点についてお伺いしたい。
  185. 江崎真澄

    江崎国務大臣 全くその点は同感でして、A、B農地地方公共団体が優先的に取得する、これはきわめて望ましいことだと思うのです。  水田債の御指摘がありましたが、これが事実公共用地取得のために有効に働いております。しかし、それを振りかえるかどうか、これは今後の米対策の根本的な政策にもかかわることですが、水田債を流用するという形でなしに、少なくともA、B農地を積極的に入手し得る財源を地方公共団体に供与していく方向、これは非常に大事なことだと思うのです。  御指摘のように、とりあえず政策が変わっていけば、水田債分をそれに充当する、それはぜひあっていい方向であるというふうに理解しております。
  186. 山田芳治

    山田(芳)委員 関連して伺っておきますが、水田債は、生産調整をやめるという段階においてはやめられますか、どうですか、その点を伺いたい。
  187. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは今後の問題ですから、私がいまここでやめるとか継続するとかいう御答弁をすることは妥当でないと思います。しかし、生産調整の問題が取りやめということになれば、あるいは残るにいたしましても、それはもうほんの少額ということにならざるを得ないでしょう。したがって、それ以上の額を、このA、B農地地方公共団体が確保するために何らかの措置をしていくのは当然必要なことだと考えます。
  188. 山田芳治

    山田(芳)委員 東京都が住宅をわずか一割程度しか消化していない。それは土地の入手難だということが言われているわけです。ですから、積極的にこの点を考えていただきたいが、水田債という二千億からのものを、市町村がこういうA、B農地——あるいはC農地にいずれなるというふうに思いますけれども、C農地等についても、市街化が行なわれる段階が来年あたりから考えられるというのであるならば、そういう手当てをぜひして、都民のための公共住宅ができるように配慮していただきたいということをお願いしておきたいと思います。  さて、これは建設省のほうにお伺いをしたいのですけれども、先ほども公営住宅の話があったわけですが、今度は、農地所有者が、いまのいわゆる四・五あるいは六・八の資金を借りて賃貸住宅もしくは分譲住宅をつくるといった場合に、安く貸すという趣旨はどういう趣旨なのか。これは、土地を放したらあとの農民の生活手段が困るから、こういう形でみずからやりなさいという目的なのか、あるいはまた、安い利子で貸し付けることによって、それを利用する人が少しでも安くなるということを考えて安くしているのか、その法意についてひとつ伺いたい。
  189. 京須実

    京須説明員 住宅金融公庫におきまして、特に低利の融資をもちまして賃貸住宅にお貸ししますのは、まず、第一には、供給主体であります農民の方々に低利のお金をお貸しいたしまして、そのために安いアパートができますと、必然的に入居の希望者が多くなる、つまり、たな子をさがす苦労が非常に要らなくなるということでございます。それから、次に、もちろん入りました方々にも、一応公庫のほうで家賃の規制をしますので、また安い家賃で提供できる。両々相まって、たな子のほうも大家のほうも受益できる、このように考えております。
  190. 山田芳治

    山田(芳)委員 家賃の規制をするということはどういうことですか。
  191. 京須実

    京須説明員 金融公庫の土地担保賃貸と申しまして、ただいま六条でやっています分でございますが、このお金を貸した場合、それによって取ります家賃は公庫の金利どおりで、まず建設費を取ります。そのほか、あと必要な各税金と地代につきましては、年利、時価の五%という計算で取ります。そのように家賃の計算方法がきまっておりまして、それに従いまして家賃を取ってもらうということになっています。
  192. 山田芳治

    山田(芳)委員 そうなると、前から言われているように、宅地並み課税のときの質疑応答にあるアパート三万円程度というのは、そういう基準ではじいた数字ですか。
  193. 京須実

    京須説明員 そのとおりでございます。
  194. 山田芳治

    山田(芳)委員 それは、私は、おそらく安くならないと思うのです。もし、それが、隣に四万円のアパートがあったとすれば、表は三万円にするでしょうけれども、裏一万円もらいますということになって、結局、この制度は、確かにアパートをつくったりするかもしれないけれども、家賃は安くならない。地主、農地所有者だけが経済の原則で高いところに——こういうものは当然スライドして上がっていくのであって、たとえば権利金とかなんとかいういろいろな形で、表に出ない形で、結局そこへ住む人が負担をせざるを得ない。結局、農地所有者というものが非常に優遇を受けるという形のこの法案ではないかというふうに思うのですが、どうでしょうか。
  195. 京須実

    京須説明員 家主が家賃を公庫の規定をオーバーいたしまして取るといったおそれは確かに考えられるわけでございますが、それにつきましては、公庫のほうでも十分に監督いたしますし、また、一方、その建物、借家の中に、これが公庫の低利のお金を借りている住宅であるという旨を掲示いたしまして、借家人のほうにもそういう情報を提供いたしまして、そういう計算法等を教えまして、借家人のほうでも十分対抗できるように考えております。また、権利金等は、一定の敷金以外はやはり取ることを禁じております。
  196. 山田芳治

    山田(芳)委員 それを担保する方法は何かあるのでしょうか。実際そういうふうに言われますけれども、書いておいたからといって、それで担保できるということでもないし、現実の問題は、そういうきれいごとで済むとは思えないのですが、現実に、それじゃ、いままで書いてやっているものがうまくいっているかどうかという点についてはどうですか。
  197. 京須実

    京須説明員 万一、家主が規定以上の家賃を取った場合には、金融公庫のほうで従来貸しました金を一度に償還を命ずることができるといった規定もございまして、十分に監督につとめたいと思います。
  198. 山田芳治

    山田(芳)委員 返せと言ってみたって、現実に住んでいるアパートを返すことは、現実問題として、競売にでも付して確保するということであればできますけれども、裁判でもやらなければできないわけですから、話の意味はわかりますけれども、それはなかなか担保ができないというふうに私は思います。そういう問題があって、今度の場合は、農地所有者に非常に有利になるだけであって、安いアパートなり分譲住宅が提供できるという保証は何もない。むしろ、そういうこととは逆行するのではないかというふうに私は思います。そういう点を一つ指摘しておきたいと思います。  さて、それから、こういうふうにA、B農地あるいはC農地というようなものが将来どんどん宅地化されてくると、先ほども私が例をあげましたように、河川の改修あるいは道路その他、いわゆる公共的な施設を整備するという問題が出てくる。そうした場合に、相当の規模で宅地が開発をされた場合に、現在、いわゆる河川の改修その他については、宅地開発をする人が負担金を持っておりますね。いわゆる民間デベロッパーが、市町村なりあるいは府県に対して河川改修の負担金を払っているが、そういう状況はいま一体どうなっているか、その実態をひとつ教えていただきたい。
  199. 河野正三

    ○河野説明員 全くおっしゃるとおりで、昨今、漸次、市町村におきまして、いわゆる宅地開発等指導要綱なるものを設定する町村がふえてまいりました。四十七年三月末で百七十八ぐらいの市町村が指導要綱をつくっております。この内容を見てまいりますと、漸次きびしい方向に進んでおりまして、当初、開発地区内につきましては、公共施設整備は全額負担、地区外につきましては一部負担というような形で大体原則的には行なわれておりましたが、昨今できます指導要綱におきましては、地区外の必要関連公共施設につきましても全額開発者に負担させるといったような例がままふえてまいりました。また、負担をさせる方式につきましても、それぞれ必要施設を積み上げました費用についての負担金を取るという形から漸次進んでまいりまして、建てます住宅戸数の一戸当たり何万円とか、あるいは宅地開発をいたします面積一平米当たり幾らというような割りがけ方式と申しますか、平均割りがけ方式と申しますか、そういうような形の負担方式が漸次ふえているような形でございます。ただ、全体を通じて言えますことは、市町村ごとに違いますが、一ヘクタール以上あるような——やはり最低規模を押えておりまして、それ以下の開発行為につきましては、なかなか自家用住宅の建築等が多くなるのだと思います。開発を専業といたしておりますデベロッパー等ではなくなるからだと思いますが、一定規模以下のものについては負担金を課していないというのが通例のように思われるわけでございます。
  200. 山田芳治

    山田(芳)委員 今度こういうA、B農地並びにC農地が宅地化をしてきますと、各地において、そういう負担金その他が必要であるというような、河川なり道路の改修が起こるというふうに思うのですが、そこらあたりの点についてはどういうふうに考えていますか。
  201. 河野正三

    ○河野説明員 河川改修、これは田畑であったものが市街化されることに伴う当然の必要な施設整備でございます。私どもといたしましては、十年内に市街化するように国、公共団体が責任をとるべき地域であるということを前提にいたしまして、ただ、それが、当該市町村が八年目あるいは十年目に予定いたしておりましたような地域が、今回の措置あるいは続いてとります措置等でずっと繰り上がってまいるというようなところに、市町村サイドでは相当問題もあろうかと思います。国といたしましても、今回のこのあめ法案と申しますか、これの運営にあたりましては、その点、優先的な補助採択の問題であるとか、個所づけの問題であるとか、いろいろときめこまかに、都市局をはじめといたしまして各局で考えなければならぬ問題があろうかと思います。  さっきの問題に戻りますが、開発者負担の問題につきましては、農民の方々が組合をつくり、あるいは団体をつくり、あるいは個人で開発をするというような場合に、負担をあまり課すべきではなかろうという基本的な考えを持っております。ただ、考えだけではこれは済みませんので、必要になってまいりました場合には、一定の施設ごとの負担基準、原因者負担と申しますか、受益者負担と申しますか、そういった取り得る部分もあるわけでございますから、それらについての限度を法律上明定するということも必要であろうかと思うわけでございます。  昨年、人口急増等市町村所在の公共団体に対する財政負担の軽減の特別措置に関しまして、自治省がいろいろとお考えをお詰めになりました、その過程で、建設省も共同作業に入っておりましたが、その法案、これはだめになりましたが、その法案の中では、そういった負担基準の明確化ということも一章さく予定をいたしておったのでございまして、先ほど自治省の政務次官からもお答えがありましたように、来国会を目ざして自治省もそういう御努力をなさるということでございますので、建設省といたしましても、昨年に引き続きともども研究をし、検討をし、努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  202. 山田芳治

    山田(芳)委員 さっき私も自分の地元のことを申し上げたのですけれども、いまの問題もそうなんですが、都市計画では十年間で市街化的なための施設をやると言ったけれども、結局、これだけ急速に宅地化を促進してくれば公共施設が開に合わなくなるという点が、下水道やあるいは排水や、その他学校、公共的施設に非常に出てくると思うので、法案だけが通ってみても、あるいは宅地だけが確かに供給が出てきても、それに対する価格の問題や、あるいは公共施設の問題については、来年度予算を前提として、抜本的に自治大臣としてお考えおきを願いたいのですが、その点についての決意のほどをお聞きしたい。
  203. 江崎真澄

    江崎国務大臣 御指摘の点は重要な点だと思います。これは都市政策として考えていかなければならぬ。また、現に行なってきたところでありますが、このA、B農地が有効に利用されるということになれば、都市近傍農地がにわかに都市化されるわけですから、これに伴う公共事業の充実、整備はきわめて重要なことです。これは十分これにこたえるべく、また、同時にA、B農地がそれほど顕著に公共事業を刺激するというような形で利用されるということになれば、この法案が成功するわけですから、政府としては腕をこまねいて知らぬ顔はできるものじゃございません。したがって、予算の裏づけは大いに、大幅につけて、思い切ってやりますから、どうぞひとつ御協力を願います。
  204. 山田芳治

    山田(芳)委員 これで最後の質問にいたしますが、大蔵省の税制課長さんにお願いしたいのですが、過般、昭和四十五年ですか、いわゆる土地の分離課税ができて以降に取得をした場合に、利益が二七%の範囲内であるならば別でありますが、それをこえるものについては二〇%の課税をするという特別措置法が可決をされたわけですが、その二七%の適正利潤の中にいわゆる利子というものが入っているわけですね。私は不動産業者を擁護するわけではないのですが、適正利潤の中に、大企業であるところの不動産会社は、たとえば転換社債であれば、年間五分七厘とか六分とかいう程度で安く資金が得られる。しかし、いわゆる中小の不動産業者というものは、ここに資料を持ってきておるのですけれども、日本長期信用銀行から借りるとしても九分一厘二毛とか、日本不動産銀行から借りても九分三厘であるとかいうような非常に高い利子である。それにまた、どこにおいても歩積みというようなものが行なわれているので、一割をこえる利子である。ところが、あそこの計算の基礎は八分五厘であるというような利子基準になっている。不動産業者がいいとか悪いとかは別として、少なくとも、いまの住宅五カ年計画においては、公営住宅なり公的住宅が占める比率はきわめて低くて、民間デベロッパーによって住宅をつくるという形が非常にウエートが高い。公営的なものは一割しかない。あと九割は民間にたよるというやり方になっていながら、しかも、それの大部分をやっているのが中小企業の不動産業者である。今度の制度は、確かに、私は——四十五年のときには、もっと住宅が供給されるだろう、宅地が供給されるだろうと思ったけれども、それはほとんど企業の手に入ったということの中で、いま言った法制ができたことは正しいと思います。いいことだと思うけれども、ここにおいても、大企業を優先して、中小企業が不利な形に置かれるということは、そのこと自身がいいことであっても、内部においてのそのやり方についてはおかしいんで、私としては、金利を除いて適正利潤率というものをもっと下げるというふうに政令を定むべきであるというふうな考え方が正しいのではないかというふうに思うのですけれども、そこらあたりはどう考えられますか。
  205. 伊豫田敏雄

    ○伊豫田説明員 ただいまの二七%の適正利潤率のお話しにつきまして申し上げますが、基本的に、民間の宅造の力というものをやはり重視いたしまして、そのために二七%の適正利潤率があった場合には、一般に課税されているにかかわらず、二〇%の土地譲渡所得に対する重課を行なわないという制度になっておりまして、その点については基本的に御賛成いただいたものと考えております。  次に、その二七%の計算方式と申しますものは、実は、はなはだ複雑でございまして、二七%は外ワク計算と内ワク計算になっておりまして、外ワク計算をいたしますと三六%、それが年間に大体一二%の投下資本に対する利益率を見ているわけでございます。その中に、おっしゃいますように、利潤並びに利子を見ているわけでございます。  なお、この利潤と利子を一緒にせざるを得なかったかという点につきましては、実は、やはり、それぞれの企業につきましての自己資本の比率というものが違います。言いかえれば、観念的にでございますが、無利子の金を持っている。そうすると、借り入れ金を持っている場合、それによって、もし利子を外ワクにいたしまして、別にはずしますと、その間のバランスが非常にくずれる。ある意味では、自己資本の非常に少ない企業ほど有利になるというふうな問題が出てまいります。そういうことを全部含めて考えまして、また、一つのプロジェクトに対して一体どの程度自分の金がつぎ込まれるか、あるいはどの程度借り入れ金がつぎ込まれているかというふうな区分等につきましても非常に問題がある。執行上むずかしい問題がございます。こういうことからこれを合わせたわけでございます。そういう意味で、これを分けますことはかえっていろいろな不合理を生ずるものと現在考えております。  なお、先生の御指摘になりました大企業と中小企業の問題、特に、先生からは、借り入れ金の利益率という点からその点を御指摘いただいたのでございますが、実は、この適正利潤率の二七%と申しますのは、詳しくは申しませんが、一応三年間——まあ、三年間と言うとちょっと語弊がございますが、回転率が三に近いものでございますが、これ以下の場合に適用になる。そういう意味で、こういう言い方は非常に失礼かもしれませんが、小回りのきく中小企業にとりましては、むしろ、その二七%以内で早く造成を行なって売り出せば売り出すほど有利になるというふうなケースになっておりますので、長期、比較的大きな宅地造成を手がけます大企業に比べますと、その点では非常に有利になっておる。  それから、自己資本の点につきましても、比較的自己資本比率が低いと思われます中小企業につきましては、この適正利潤率というのは、これまた相当有利に計算してございます。  これらの点を考えますと、二七%という計算そのものが、大企業に甘く中小企業にきついというふうなことは決してないと考えているわけでございます。  なお、つけ加えますれば、千平米以下の宅地造成につきましては、適正利潤率の要件を課しておりません。この点につきましては、千平米以下の宅地造成を多く手がけております中小企業に対しましてもいこれは非常に有利な問題が——適正利潤率の問題とちょっとはずれますが、こういう問題もあるということをつけ加えさしていただきたいと思うのでございます。
  206. 山田芳治

    山田(芳)委員 またそれを詳しく伺うつもりですけれども、もう一つ端的にお伺いしたいのです。  中小企業の諸君の言っているように、確かに、一割前後の利率で借りているということ自身は——いまの適正利潤率二七%という問題と利子の問題とが関係がないというようにいま聞こえているんですけれども、そうではなくて、やはり、安い金利で借り得る能力のある大企業のほうが、適正利潤率の範囲内の問題として二〇%の課税をされないで済むというふうに私は思うけれども、端的に、借り入れ利子の利率というものが二七%の適正利潤率のどの程度のものになるのか、ちょっとお伺いいたします。
  207. 伊豫田敏雄

    ○伊豫田説明員 端的にとおっしゃいますが、非常にややこしい問題がございまして、端的に申し上げれば、安い利子率で借りることのほうがより有利であるということは間違いなく申し上げられる問題だと思っておりますが、なお、要素といたしましては、利子率以外のものが非常に大きく、その点につきましては、先ほど御説明いたしましたように、中小企業には非常に有利に働いているということをあわせて考えていただきたいということを申し上げているわけでございます。
  208. 山田芳治

    山田(芳)委員 ですから、利子率が二七%の適正利潤率のどのくらいの部分を占めるというふうに考えておられるか、その点をひとつ……。
  209. 伊豫田敏雄

    ○伊豫田説明員 自己資本の比率等によってもいろいろ違っておりますが、おおむね半分ないしは半分弱と考えております。しかし、これは非常に平均的なものの言い方をしておりますものですから、これをもってすべてをお考えいただくと、また、実際問題としてはちょっと食い違ってまいるかと思います。
  210. 山田芳治

    山田(芳)委員 これは法人税の体系の中では異質なものを取り入れておりますね。ですから、普通の法人税ならばそういうものは経費として落とされるべきものなのに、この分は利子を入れておりますので、そこらあたりが、税制上としては非常に異質なものが理論の中にどういうふうに組み込まれるのか。私は税法の理論からどうもわからないものだからこういうことを聞いておるのですが、そういう意味において、それなら利子は必要経費の中に入れて、その他の造成費とか管理費とかいうもの等はどうするかという問題であればわかるのですけれども、私が言いました、利子の問題についてははずして、利潤率を下げるというやり方、それがどのくらい占めているかと伺えば、いま半分だと言うのであれば、利子率の分を下げて、一五%とか一四%とかの適正利潤率というようなはじき方をしたほうがより正確ではないのかと思うのですが、それはどうでしょう。
  211. 伊豫田敏雄

    ○伊豫田説明員 おっしゃいますとおり、これは、法人税から考えますと相当異質なものでございまして、確かに、これの所得と法人の所得の間にタイミングのズレその他いろいろめんどうな問題がございます。ただ、考え方といたしまして、課税標準としてとりましたものは、期間が、法人税の事業年度主義あるいは単年度主義というものではなくて、その土地が企業の手に入ってから企業の手を離れるまで、要するに何年間か続けて考えた一つの所得に対して課税を行なっているという、そういう所得課税という意味では、やはり法人税と同じでございます。その所得課税を行ないますときの課税標準となります利潤につきましては、これは利潤率の問題とは別に、先生がおっしゃっておりますように、利子といたしまして、これは経費になっておりまして、この利潤の中には含まれておりません。ただ、私が申し上げておりますのは、利潤率の計算と申しますか、課税標準たる利潤の問題でなく、要するに、企業が一体どういうビヘービアをとっているだろうかということを判定する場合における利潤の計算、この場合に、利子をはずしますと、特に、その企業におきまして、一体どのくらい自己資本がつぎ込まれているか、どのくらい借り入れ資本があるか、この差が非常に大きく響いてまいりまして、ある意味では非常に不公平な問題が起きております。したがって、これを含めたからといってその問題が完全に解決するわけではございませんけれども、先生のおっしゃるような趣旨も、実は、この過程では、内部でもずいぶん議論がされて、いろいろと議論されましたあげく、現在の形になったものでございまして、このほうが課税のバランスという意味から申しますとより正しいと申しますか、より実情に適したもの、このように考えております。
  212. 山田芳治

    山田(芳)委員 ちょっとよくわかりませんけれども、大法人のほうが安い資金を調達し得る可能性が大であるし、中小企業も、住宅供給については一定の役割りを果たしているというととであるわけですから、やはり、中小企業の諸君が泣かないようなことを考えてやって、正しい公平な課税方法をやっていただきたいということをお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  213. 上村千一郎

    上村委員長 次回は、来たる十二日木曜日、午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時二十六分散会