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1973-06-28 第71回国会 衆議院 地方行政委員会 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年六月二十八日(木曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 上村千一郎君    理事 高鳥  修君 理事 中村 弘海君   理事 中山 利生君 理事 三ツ林弥太郎君    理事 山本弥之助君 理事 吉田 法晴君    理事 林  百郎君       愛野興一郎君    今井  勇君       片岡 清一君    亀山 孝一君       島田 安夫君    谷垣 專一君       前田治一郎君    渡辺 紘三君       小川 省吾君    佐藤 敬治君       多田 光雄君    小川新一郎君       小濱 新次君    折小野良一君  出席国務大臣         自 治 大 臣 江崎 真澄君  出席政府委員         建設省都市局参         事官      大塩洋一郎君         自治政務次官  武藤 嘉文君         自治大臣官房審         議官      近藤 隆之君  委員外出席者         法務大臣官房営         繕課長     水原 敏博君         大蔵省主税局税         制第一課長   伊豫田敏雄君         文部省管理局教         育施設部助成課         長       西崎 清久君         通商産業省企業         局工業配置課         長       志賀  学君         建設大臣官房公         共用地課長   西村 純幸君         建設省住宅局住         宅建設課長   滝沢  慧君         自治省財政局地         方債課長    石原 信雄君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 委員の異動 六月二十七日  辞任         補欠選任   土井たか子君     清水 徳松君 同日  辞任         補欠選任   清水 徳松君     土井たか子君     ————————————— 本日の会議に付した案件  公有地拡大推進に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第一〇一号)      ————◇—————
  2. 上村千一郎

    ○上村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる公有地拡大推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。小川省吾君。
  3. 小川省吾

    小川(省)委員 質問に入ります前に、一言感謝要望を申し上げたいと存じます。  本年度日教組大会につきましては、伊東市とか、水上町とか、いろいろ曲折を経て問題があったわけでありますけれども、去る六月の二十二日、群馬県と群馬県議会のあっせんにより、前橋市の群馬県民会館におきまして、七月十日から十三日まで開催をされることに決定をいたしました。この間、江崎自治大臣あるいは鎌田財政局長はじめ、委員長あるいは各党の理事皆さん方、あるいは各委員先生方の数々の御配慮と助言、指導をいただきまして、厚くお礼を申し上げたいと存じます。  と同時に、このような非常に曲折がありましたことは、御案内のように、右翼の暴力による妨害があったことは御承知のとおりでございます。そこで、今度開催されることになったわけでございますが、今後大会終了までの期間、いろいろな右翼による妨害が予想されるところでございます。そこで、特に善良な市民の安寧な生活を保持するためにも、民主主義を守るためにも、特に、国家公安委員会を管理するところの自治省の強い万全な警備体制を期していただきたいことを特に要望を申し上げておきたいと存じます。  本法案でございますけれども、まず、最初に基本的な点についてお伺いをいたしたいわけでございます。  政府土地政策要綱決定いたしましたけれども、大資本や大商社等土地買い占めは異常なほど進んで、自治体開発行政を混乱におとしいれておったり、あるいは庶民のマイホームの夢を打ち砕いているのであります。最近の新聞の発表によれば、全国で四十七万ヘクタールにも大商社、大資本買い占めが及んで、日本全土の総面積三千七百万ヘクタールの一・二八%、既成市街地面積五十四万ヘクタールにも迫るほどでございます。東京都の総面積の二倍、大阪府の二倍半に当たっているというふうに言われておるわけであります。百五十平米の宅地住宅を建てるとするならば、三千百五十万戸の家が建つほどの広さだというふうに言われておるわけであります。それらの大部分が大資本やその系列グループ買い占めであり、特に、これが開発予定区域として値上がり待ち状態で放置されているのが現状でありますから、土地政策といってもなかなか容易なことではないし、そういう点では、大資本に荒らされっぱなしという状態であるとも思うのです。  そこで、政府は、このような現状の中でこのような土地政策を打ち出したわけでありますけれども国土の計画的な利用とか、国民の生活期待にこたえるためにまずお伺いをいたしたいわけですけれども閣議決定土地政策要綱というのがありますが、非常に各面にわたっておるわけでありますけれども、特に、その目玉といいますか、具体的にどういう点からどういうふうに取り上げていこうとしているのか、まずお伺いをしたいと存じます。
  4. 武藤嘉文

    武藤政府委員 いま先生から御指摘がございましたように、閣議了解をいたしておりますこの土地対策につきまして、いろいろこれから進めていくわけでございますが、いま御指摘のような大企業その他の人たちによる土地買い占めに対しては、御承知のとおり、税法の改正をいたしまして、そういう法人が持っておる土地に対しましては、特に四十四年の一月一日以降に取得した土地に対しましては実質七〇%に及ぶ重課をして、そういうものを吐き出させようということも進めておるわけでございますし、一方、この委員会で御審議を願いましたように、特別土地保有税あるいは特別取得税というようなものをつくりまして、それによって、これまたそういう買い占めをいたしておる土地の放出をさせるという方向に来ておるわけでございますが、それ以上に、私どもは、目玉といたしましては、全国的にもう一度、都市に集中をいたしました人口あるいは産業を地方に分散をいたしまして、国土全体の均衡ある発展をはかりながら、その中で土地問題を解決をしていきたい。いま御指摘のとおり、土地が手に入らないという方々にも、どこにおいても土地が手に入るように極力努力をしていきたいと思いますし、この委員会においても後刻御審議を願うことになろうと思いますが、市街化区域の農地の宅地並み課税関係をいたします宅地供給促進法案というのもお願いをいたしておりますが、いろいろの角度から、大都市においても思い切って宅地を確保し、そして、それによって大都市における住民にもできる限り住宅用地を提供していきたいと考えております。  目玉としては、先ほど申し上げましたように、国土全体の均衡ある発展を考え、その中で土地利用計画をつくっていくというのが一番大きな目玉だと私は思います。
  5. 小川省吾

    小川(省)委員 全体的な点と重点的な点を承ったわけでありますけれども、この土地政策の中で、特に、税制の問題はいま伺ったわけですけれども自治体をどのような立場に置くのか、自治体の持っている役割りといいますか、土地政策の中における自治体役割り、それと同時に、この公有地拡大推進法が持っている意義をどのように評価をし、とらえているのか、発足後浅いわけでありますけれども公有地拡大法をどのような形で土地政策の中に位置させ、また、現状の中で、土地政策全体の中でどのように自治体を位置づけさせようとしているのか、お伺いをしたいと思います。
  6. 武藤嘉文

    武藤政府委員 いま申し上げましたいわゆる土地利用基本計画、これは各都道府県知事がおつくりをいただく予定になっておりますが、当然、都道府県知事お願いをするということは、その地域住民意思十分反映をしながら基本計画を立てていただくというのが前提でございます。そういう意味において、従来のように、国のほうでかってにおまえのところの土地はこういうふうにするということでなくして、土地利用区分計画については、これは都市区域である、あるいは農業区域である、あるいは森林区域である、自然公園区域であると、いろいろ区域を分けて、これから土地利用計画をつくっていくわけでございますけれども、その中においては、あくまでその地域環境を破壊しない、また、その地域に住んでおられる住民意思に沿うものである、そういう前提のもとに土地利用計画を立てていただくという意味において、地方自治体の非常な責任もあり、私どももそういう方向期待をいたしておるわけでございます。  なお、公有地拡大促進法の今度の改正がその中でどういう形で位置づけられておるのか、これは先生指摘の、先ほどの閣議了解になっております土地対策の中にもあるわけでございますけれども、従来は市街化区域だけに限定されておりました公有地確保を思い切って都市計画地域全体に及ぼしまして、その中でまた、直接の施設用地だけでなくとも、将来代替地として確保しておいたほうがいいというようなところまでも推し進めていくということは、この法律によって思い切って地方自治体あるいは土地開発公社の機能を拡大をいたしまして、それによって将来とも公有地を思い切って確保し、それによって住民の福祉の安定に寄与する、こういうことが目的であると私は考えております。
  7. 小川省吾

    小川(省)委員 環境保全をし、住民意思に沿うような形でという基本的な考え方を持っていることはたいへんけっこうなことだと思いますし、評価をするわけですが、実際には、そういう形での土地利用計画といいますか、開発が進んでいないというのが実情だろうと思うのです。各地至るところで乱開発等が進んでいるわけでございます。そういう意味では、乱開発以前の開発行為に対する規制を特に強めていく必要があるのではないか、こういうことで従来も進めてきておると思うのでありますけれども、県段階なり、市町村段階で、いま言われるような土地利用計画を確立する以前の問題として、乱開発規制について、都道府県なり市町村にどのような指導をし、そしてまたどのようにやられているのか、その点を伺いたいと思います。
  8. 近藤隆之

    近藤政府委員 御案内のように、土地利用基本計画をつくっただけではだめでございまして、それぞれの地域に適応いたしました開発規制というものを行なっていかなければならないわけであります。それにつきまして、今国会におきましても、いろいろ個別法改正が提案されているところでございます。しかし、それ以前におきましても、都道府県といたしましては、この乱開発状況を放置するわけにはいかないということで、特に、昨年の夏以来、条例あるいは要綱等によりましてその規制を行なっておるところであります。御承知のように、自然保護条例というのがほとんどの県にございます。現在四十七県中四十三県にこの自然保護条例がございます。それから、開発を直接規制するという意味での県土保全条例というようなものが二つの県でできております。また、土砂の採取の規制条例という面で開発行為規制する、そのための条例をつくっておる県が四つばかりございます。それから条例ではございませんけれども要綱等によりまして土地開発規制を行なっておるもの、内容は種々でございますけれども、それ以外の三十県がこういった要綱をつくっております。そのほか、市町村段階におきましては、現在われわれのところで承知しておりますだけで、約百七十市町村におきまして宅地開発要綱というものをつくって、実態に即する規制を行なっておるような状況でございます。
  9. 小川省吾

    小川(省)委員 そのような条例要綱により規制が各自治体によって行なわれているわけですが、それらの条例なり要綱成立以降、具体的な発動によって具体的に規制をされているのかどうか、承知をしておられますか。
  10. 近藤隆之

    近藤政府委員 御案内のように、これが制定されましたのが、大体は昨年の夏以降のことでございまして、条例に至りましては、今年になりましてからのものがほとんどでございます。しかしながら、要綱なり、この条例なりによりまして、現実の問題といたしまして、大規模開発等につきましては、都道府県が事前に開発される方とお話し合いをするというようなことで、いろいろ条件等もつけておりまして、これによりまして相当程度実効をあげておるんじゃないかと思っております。
  11. 小川省吾

    小川(省)委員 それらの条例なり要綱に基づいて、全体的な角度から全体に対する効率的な——これができない前にそういった意味での督励をして、自治省等乱開発等の防止についてはぜひ積極的な対策指導していただきたいと思います。  そこで、特にそういう点で問題になってくるのは、乱開発といっても、土地利用計画をつくりたいというような形でやるよりも以前に買い占められたり、あるいは適当な形で利用されてしまう、開発されてしまうということの中で、後々になって利用計画をつくるのに困る事例が多いわけです。そういう点では、一定規模以上の、たとえば六百六十平米以上くらいのそういう売買等市町村で一応許可制等にしていって、チェックをするような方法を考えたらいいのではないかというふうに考えますけれども、そういう考え方はないですか。
  12. 近藤隆之

    近藤政府委員 今国会に提案されております国土総合開発法によりますれば、一定規模以上の土地につきまして、全国的に売買について届け出の義務を課するという形になっております。それから、御案内のように、現在御審議願っておりますところの公有地拡大法によりましても、現在は市街化区域だけでございますけれども一定規模以上の土地について届け出制を課しております。
  13. 小川省吾

    小川(省)委員 この法律の「届出」について、これから審議をされるであろう国総法もそういう形ですけれども一定規模とかいうものを離れて、土地のそういうものについて、届け出じゃなくて許可制にしていこうという基本的な考え方はありませんか。
  14. 近藤隆之

    近藤政府委員 一つ考え方かとは思いますけれども、憲法の私有財産権との関係でいろいろ問題があるというようなことで、今度の国総法におきましては、地価が急に上昇しておるというような区域特別規制区域として限定いたしまして、そこにつきましては、一般売買について許可制をかけるというようなやり方をとっております。したがいまして、この法律が通りますれば、地域実情に応じて地域指定を行なえば、先生のおっしゃるような措置がとれるということになると思います。
  15. 小川省吾

    小川(省)委員 この法律発足後日が浅いわけでありますけれども、いろいろ資料の中にも出ておりますけれども、概括的に言って、一年に満たないこの法の運用の中で、どのように点検をし、反省をしているのかという点を伺いたいわけでありますけれども、おそらく、反省の結果今度の改正案が出てきているんだろうとは思いますけれども、どのように考えておられますか。発足後半年といいますか、いままでの間の経過を見て、ですね。
  16. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 御指摘のように、昨年の十二月一日に制度が実施されまして以来まだ日が浅いわけでございます。現在までのわれわれの調査によりますと、主として公共団体等の報告あるいは調査によりますと、買い取り協議届け出を受けましてから、買い取り協議を行なうべきかどうかという判断をいたしましたり、あるいはまた、実際に通知をいたしまして、その土地がほしいというので協議をいたしますための譲渡制限期間が、現在のところ二週間、二週間ということでございますので、成立後日も浅く、体制の問題も若干ありますけれども、この譲渡制限期間が必ずしも十分でないということが一つの問題として地方公共団体のほうから要望がございます点、これが一つの点でございます。  それから、届け出られました土地につきまして、これを公共のほうで買おうといたしましても、たとえば道路にまたがって一筆ございますと、道路をはみ出す部分につきましては、これは使いようがない。代替地に使えない。したがって、道路にかかっている部分は、これは買ってもいいんだけれども、それと一括しないと売らないというような事例がございますので、要するに、使用できないということのために障害が出ているという点が反省されておるのでございます。  それから、さらに、資金の手当てが必ずしも十分でない。言いかえれば、事業施行の時期がまだ相当先であるので、こういう未定の長期の将来に備えまして、いまからこれを買っておくという余裕が必ずしも地方公共団体にございませんので、勢い、急いでいるもののほうに回さなければならないので、そういうほうに手が回らないというような点が第三番目にあげられると思うのでございます。  それから、最後に、それではこれをほしいというので協議に入りまして、その場合に、土地の価格の折り合いがつきませんので買い取りができない。こういった事柄がおもな調査の結果として出てまいっております。  そこで、さきにあげました、この譲渡制限期間という第一の点及び公共事業代替地等に使えないという使途の制限の点につきましては、今回の改正によって、これを改正案として措置するように提案を申し上げている次第でございます。  なお資金体制その他につきましては、今後ともその充実をはかってまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  17. 小川省吾

    小川(省)委員 反省の上に立って、いわゆる協議等成立しなかった主要な原因等についてお述べいただいたわけでありますが、これは後ほど触れることにいたしまして、そのうちの一点だけ、譲渡制限期間の問題をお尋ねをしたいと思うのです。  大蔵省さんのほうが何か用事があるようでございますから、それを含めて先にやらせていただきます。   〔委員長退席三ツ林委員長代理着席〕  今度の法改正で、土地譲渡制限期間が最長四週間から六週間に延長されたわけですね。このことは地方でも歓迎をされているわけですし、この法律ができた昨年の国会段階でもだいぶ論議のあったところだというふうに伺っておるわけであります。昨年の国会審議段階では、これが二週間、二週間で四週間だということで、たしか、小林政府委員のほうからの説明によれば、都市計画法先買いが三十日間だ、そういう点で、延ばせという要望については、この三十日間を上回るのは立法政策上適切ではないという説明のようです。議事録を読んでみますと、そういうことのようです。立法上適切でないので、これは二週間、二週間で、それ以上は延ばせないのだというふうに言われているわけでありますが、今度はこれが六週間になった。三週間、三週間になったわけなんですけれども、今度は立法的に問題がないのか。都市計画法関係、五十七条の三項ですか、これは今国会改正して出されているわけですか。
  18. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 お説のとおり、この法案が提出されました先国会におきまして、都市計画法五十七条等によりますところの先買い権につきましては、三十日であるのに対して、これが二週間、二週間は少ないという議論がございました。今回、本法のほうは六週間ということでお願いしておるのでございますけれども都市計画法五十七条のほうは三十日ということで、これは提案いたしておりません。したがって、先買い権のほうは三十日ということであり、この法案改正されますと六週間ということに相なりまして、その間の二つは、三十日と六週間ということで懸隔が出てまいることに相なります。
  19. 小川省吾

    小川(省)委員 たしか、国総法のほうでは六週間ということになっているわけですね。しかし、すでに成立しておる都市計画法は、依然として改正案として出されていない。これは三十日ですよね。昨年の段階では、成立をしておる都市計画法が三十日なんだから、これを上回るのは立法上まずいんだ、こういう説明で言いのがれをしてきたわけですよ。しかし、かりに国総法だって法律案として出している段階ですから、三十日という形で出されているわけではないのですから、そうなりますと、昨年の国会における説明は、立法上まずいというのは、その場限りの言いのがれの答弁なんですか。その点を明らかにしてください。
  20. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 都市計画法上の先買い権は、これは相手方届け出によりまして、三十日を限度といたしまして一方的にこれを通知することによって確定してしまう、そういう形成権でございます。これは御承知のとおりでございます。本法は、協議ということを前提とした、いわば協議を強制するという形はございますけれども協議によって、いわばそこで任意の話し合いが行なわれる場をつくる、こういう制度の仕組みになっております。そこで、前回におきまして、これとの均衡を保つ必要があるという説明をいたしましたのは、これはやはり同様な制度であるので、都市計画法上の先買い権という強い権利にこれをバランスさせて、大体それと同じくらいの期間でいけるのではないか、こういうことで御提案申し上げ、また説明もしたところでございますが、先ほど申し上げましたように、その後の実態を見ましても、実際に時間がかかりますのは、また、ほしいのは、協議ということを媒介といたしまして話し合いがせっかく進みかけておりますので、これをもう少し時間をかけて成約に結びつけたい、こういう実態からこれを引き延ばす必要があるだろうと考えましたことと、それから前回説明したことと若干事情変更になるわけでございますが、協議ということでございますので、相手方がどうしても売りたくないということであれば、相手方に打ち切りの自由があるわけでございますし、したがって、都市計画法形成権と違いまして、相手方の自由を拘束するという程度は低かろう、少なかろう、こういうことを考えましたので、これを六週間に引き延ばす必要があるということで、他方、国総法のほうにおきましても、六週間ということで、一般勧告制前提とした届け出をしておるわけでございますが、これと手続が重複するということもございますので、同じような性格のものであるならば、むしろこれを一つにして、形成権とは違うのだから、両方とも一つにして、手続をダブらせないように、二つが重複しないようにすることが必要であろうということを考えたというのが一つ理由でございます。
  21. 小川省吾

    小川(省)委員 おっしゃることはよくわかるわけです。都市計画法形成権ではないのだからわかるのですが、あなたが昨年の国会答弁したわけではないのでやめますけれども、昨年は立法上問題があるという答弁をしておるわけですよ。私は、そういうことは国会に対する答弁としては非常におかしいではないか、国会軽視に通ずるような、いわゆるその場限りの答弁ではないかと思うのです。昨年とそういう情勢については変わっていないわけですから、そういう点で、あなたがおっしゃったわけではないから、これ以上言いませんけれども、六週間に延びたことについては歓迎をしている。これはいい点ですから、この点については打ち切ります。  そこで大蔵省にお尋ねするわけですけれども譲渡所得にかかる特別措置の件なんですが、第四条の「届出」と第五条の「申出」によるもののうち、今度第四条が特別控除対象になるわけですな。五百万円に今度の国会で変わったわけですね。第五条の「申出」によるものを特別控除対象にしないということについて一昨日もお話しがありましたけれども、重ねて、「申出」によるものについては特別控除対象にしないという理由について説明をしてほしいと思います。
  22. 伊豫田敏雄

    伊豫田説明員 四条の規定に基づきまして買い取られる場合につきましては、従来三百万でありましたのを、本年度改正によって五百万に特別控除額を引き上げております。五条の関係につきましては、これはやはり結果的に見れば自由意思に基づく売買であるという見地から、現在の譲渡所得課税についての特別控除考え方に乗らないということで、公有地拡大のために協力していただくという意味は十分わかりますが、税の面では、現在の段階では扱うことはできないということでございます。
  23. 小川省吾

    小川(省)委員 国または地方公共団体が必要として住民の協力を得る。ある意味では、いわゆる私権の制限をされるものについては特別控除対象にする。そういう税の考え方はわからないわけではないのですけれども、本来、行政なり政治というものは住民の協力を得べきものだというふうに思うのですね。そういうことで、住民の協力を得ていくものについては、これははずしていくのではなくて、当然、そういうものについても恩典を与えるといいますか、そういう特別控除対象にしていくということが、何といっても、現憲法下の主権在民の税の考え方だと私は思うのです。権力が介入したから恩恵的に負けてやるというのはやはり古い考え方だと私は思っております。自発的な協力をする者に何らかの措置をとらない限り、国民に支持をされる行政などというものはあり得ませんし、国民の気持ちをほんとうの意味で尊重した税制ではないというふうに思っています。そういう点で、当然、申し出によるものも含めていくべきではないかというふうに私は考えますけれども、重ねてお伺いをいたします。
  24. 伊豫田敏雄

    伊豫田説明員 ただいまお話しのございましたように、一つの政策的配慮のもとに一つ方向へ事を進めていくためのインセンティブとして、誘導税制という考え方が全くないとは申しませんが、現在の段階においては、土地につきましてそういうふうなインセンティブ効果をねらいますということは、非常に範囲が広くなるという問題等もございまして、現段階では、土地についての特別控除は、やはり、権利の制限が多かれ少なかれ行なわれているところに限らせていただいているということでございます。
  25. 小川省吾

    小川(省)委員 それは権力の側に立つ大蔵省の役人といいますか、いわゆる税法の職人としてのお役人的な答弁だと私は思うのですよ。十三世紀のマグナ・カルタの時代ならいざ知らず、少なくとも、封建時代の名君と言われたような人たちでさえ、民をして知らしむべし、寄らしむべしというようなことで政治をやっていたわけですね。田中内閣が現在行政をやっておって、国民に政治に対する不信の念が起きている。そういう状態というのは、このように自発的に国なり公共団体に対して協力を申し出る者をはずしているところにやはり大きな原因があると私は思うのです。あなただって大蔵省の役人ではあるけれども、証券局ではないから株で食っているわけでもないだろうし、あるいは利子で食っているわけでもない。おそらく俸給生活者だろうと思うのです。そういう一面を伊豫田さんだって持っていると思うのです。そういう点から考えると、このような税制というものがはたしていいのかどうか、ほんとうに住民の側に立つ税制であり、住民の側に立つ行政ができるのか。しかも、また、土地問題というものが、いまの内閣の、物価とともに最も大きな解決をすべき問題だろうというふうに考えますけれども、そういうふうな税法でいいのかどうか、俸給生活者としての伊豫田さんにひとつお聞きしたいと思うのです。
  26. 伊豫田敏雄

    伊豫田説明員 私、確かに俸給生活者でございますけれども、やはり、現在の税制はいまのたてまえで参るよりしかたがないんではないか。と申しますのは、実は、自発的と非自発的との境目のところが執行上に非常にむずかしい問題がございまして、単に土地を処分したいときに、それを国のほうへ、あるいは地方公共団体のほうへ申し出を行なうという場合もございましょうし、あるいは、ほかには百万円で売れるものを国ならば八十万円で売ろうということで、国のほうへ、あるいは地方公共団体のほうへお持ちになることもございます。しかし、実際問題として、税の上ではその区別というものは非常に困難でございます。税というものは全体のバランスと申しますか、公平というものを非常に重視いたします関係から、先生の御要望も御意見も確かにもっともだとは考えておりますけれども、執行上の問題その他いろいろのことを考えますと、現段階で税をそこまで広げることにつきましては、やはり疑義があるのではないかと考えております。
  27. 小川省吾

    小川(省)委員 あなたは、そう言われるけれども、そういう状態政府や政治に対する国民の不信の念を助長させているということについては、あなた個人としてはどう思うのですか。
  28. 伊豫田敏雄

    伊豫田説明員 個人的なお話ということでございますが、私としては、そういうことが政治の不信につながっているとも考えておりません。
  29. 小川省吾

    小川(省)委員 政務次官の武藤さん、どうですか。
  30. 武藤嘉文

    武藤政府委員 私は、正直、昨年の経緯も聞いておりますけれども、昨年は、自治省としても、大蔵省に対し、希望をする分、いわゆるこういうふうにしたいという買い取り希望をした分についても、税制上の一つの恩典に浴させてもらいたいということを大蔵省に相当強くお願いしたという経緯もあるようでございます。私といたしましても、正直、この問題は、先生の御指摘のことはよくわかるわけでございまして、大蔵省のいまの立場からいけば、国の立場でどうしてもそこの土地がほしいんだということで強制をするとき、いわゆる土地収用を適用できるようなときは思い切ってやる、あるいは届け出をしなければならないから、届け出をさせるところのものは、これはこちらがある程度関与するのだからやる、そうではなくて、今度はあくまで本人の自発的な希望に基づいてやるものは、こちらが関与しているわけじゃないのだから、それはあくまでほかの譲渡と同じことであるという考え方、あるいは土地収用にかからないから、そこにいろいろ差をつけてもいいんだという考え方、これは考えてみますと、従来はそれでよかったかと思いますが、正直言って、いま御指摘のように、公有地をもっと思い切って拡大をしていかなければならない、そういうところにこの法律もできておるわけでございますから、私としては、いますぐ税制改正をするわけにはまいりませんが、来年度の税制改正の中においても、極力そういう考え方のもとに強くがんばっていきたい、こう考えておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
  31. 小川省吾

    小川(省)委員 大蔵省の税制課長さん、いま政策をよくおわかりの自治省の政務次官が言いましたように、私どももそういうように思うのです。そういう点はぜひあなたのほうから大蔵省の省議の中に反映をさせて、そうして政治に対する信頼を回復するような税制に改めていくべきだと思いますので、特に留意をしておいていただきたいと思います。  特に、こういうふうな形の税制になっておりますと、たとえば、地方自治体の公務員が、この五条に関係するような申し出があった場合に、良心的な公務員ならば、これではあなた税金の控除になりませんよ、ひとつ御親戚かだれかに売るというふうな形をとって、第四条の形で出しなさいよ、こういうような形に、何といいますか、いわば虚偽の届け出を誘発するようなことが出てくるわけですよ。いわゆる政府をだまそうとするといいますか、自治体の職員でもそういうすすめ方をする良心的な職員がいるわけですよ。こういう政治、こういう行政というものは明らかに誤りなんです。そういう点から考えるとすれば、この税制というものは、何としても変えていかなければならないと思う。これは田中内閣への不信だけならいいと思うのですが、しかし、私どもを含めてこれは政治への不信につながるわけでありますから、そういう意味でぜひひとつ心していただいて、この税制は変えていただきたい。特に、自治省はがんばっていただきたい。私どももがんばりますから、ぜひお願いをいたしたいと思います。  次に、土地開発公社について一、二お伺いをしたいと思うのです。私の県も実は未設置の中に入っているのですが、未設置の県がありますけれども、いまだに設置をされていない理由、なぜ未設置になっているのか。まだ施行後日が浅いから無理からんことだとは思いますけれども、未設置の理由についてお伺いをいたしたい。  それから、また、この未設置のところについては、半ば強制的といいますか、強い指導で、早急に、少なくとも九月、十月の定例地方議会等で設立をさせるという指導方針でいくのかどうか、この点についてお伺いいたしたい。
  32. 近藤隆之

    近藤政府委員 御案内のように、この法律ができます前におきましても、すべての県において、何らかの土地開発公社的なものはあったわけでございます。まあ、全部が民法法人によるものであったわけでございますが、この民法法人による土地開発公社、これは土地の取得、造成だけではなくて、若干上物も扱っておるというようなケースも多うございました。そして、今度この法律でできました土地開発公社というものは上物ができない、土地の取得、造成に限るという性格のものでございましたので、県によりましては、上物をほとんどやっておらないような県は、そのまま組織変更によって切りかえるという措置をとったわけでございます。それから、新しくいままでのものと別につくるという県もございました。しかし、まだいままでの公社そのものが活動しておりますので、もう少し時期を待とうという県が現在のところ十二ばかりあるわけでございます。今度の法改正によりまして、若干上物もできるようにいたしましたので、実態的には、従来の民法法人の土地開発公社と似たような形になってまいりましたので、この法改正をまって土地開発公社に切りかえようという県も相当数あるというふうに聞いております。  それからなお、未設置の県につきまして、自治省のほうとしてこれを強制するかどうかという点でございますけれども、自治庁として、公有地拡大ということには力を入れております。しかし、それがどういう形で行なわれるか、地方団体が買ってもよし、土地開発公社をつくって買ってもよしということでございます。そしてまた、その土地開発公社をこの法律によって設立して、そのメリットを受けようという場合はそれでもいいわけでございますし、また、地方団体によりましては、いままでの公社でいいんだというのは、別にそれを干渉してどうこうしようというような気持ちはいまのところ持っておりません。しかし、現実問題といたしまして、この法律土地開発公社にいたしますと、先ほど御指摘のあったような税の恩典等もあるわけでございますので、今度の法改正によりましてほとんどの県が土地開発公社に切りかえることだと思っております。
  33. 小川省吾

    小川(省)委員 わかりました。  そこで、従来もそういう傾向が公社等にあるんですが、できておりますところの公社のいわゆる役員、理事、監事というのは、知事、副知事、企画部長、出納長、水道部長、土木部長、土木部の課長、それから議会筋から議長、副議長なり、建設常任委員長というような形で構成されているんではないかと思うのですが、自治省側から見て、役員の構成は大体どんなふうになっておりますか。
  34. 近藤隆之

    近藤政府委員 御指摘のようになっております。ただ、議会の議員さんが加わっておるのはそれほど数が多いとは思いませんが、大部分は首長の方、あるいは助役、副知事、そういった方が理事長となっておって、関係の部課長の方が役員に名を連ねるという場合が多いようでございます。
  35. 小川省吾

    小川(省)委員 この土地開発公社は、業務計画なり、あるいは決算等を議会にかける。それで、知事の承認を受けると同時に議会の承認を受ける中で、議会の審議対象になるから問題にならぬと私は思うのですが、公社の役員の選び方、こういう問題について、ある程度自治省指導していただかないと、きまり切った人たちがそこの役員となって行って行なわれている。実際には退職をした土木部の課長あたりが専務理事的な役目をやって行なわれているというケースが地方の場合たいへん多いわけですね。そういう点では、本来持っている公社の業務というものが一部の人に片寄ってしまうという危険性が多分にある。私はこういうふうに常々思っておりますので、そういう点については十分指導をしていただきたいというふうに思いますけれども、その点についていかがですか。
  36. 武藤嘉文

    武藤政府委員 実は、私も、自治省へ参りまして以来、だいぶ多くの設立承認案件を決裁をいたしておるわけでございますけれども、そのつど私自身が強く申しておりますことは、いま御指摘のように、天下りといいますか、その自治体で用をなさなくなったと言うとちょっと表現はオーバーでございますけれども、正直、やめていただこうという予定の方が行かれたりということはあまり好ましくないし、また、いま審議官も申しましたけれども、議会の方があまり役員の中にお入りいただくということもいろいろな問題で好ましくないのではないか、こういうことを強く言っておりまして、最近では、私の見ておる範囲では、実際、それぞれの地方自治体の、たとえば県であれば副知事さんとか、あるいは企画部長とか、そういうような方々がお入りをいただいておる例が非常に多いわけでございます。そういう面で、御指摘の点は私どもも十分しんしゃくしながらいまやっておるつもりでございますから、いま御指摘のようなことは最近においてはあまりないのじゃないか、私はこう考えております。
  37. 小川省吾

    小川(省)委員 土地開発公社の職員の問題について少し伺いたいわけですが、公社が発足をすれば当然職員を雇用をしていくわけですけれども、これらの人たちが労働組合をつくった場合に、これらの人たちは単独組合として労組法の適用を受けるのか、あるいは地公企労法の適用を受けるのか、あるいは自治体関係職員ということで、自治労への加盟ということも当然考えられると思うのですが、その点については、職員が構成をする労働団体は、どんな構成でどういう適用を受けていくわけですか。
  38. 近藤隆之

    近藤政府委員 御案内のように、この職員はいろいろな方で構成されておりまして、公社がプロパーに雇った者もございますし、それから、地方団体から出向している方が相当多うございます。地方公共団体から公務員の身分を持って出向している方は、当然、地方公務員法関係の労働関係法規の適用になりますし、プロパーの方々は一般の労働関係の法規の適用となります。
  39. 小川省吾

    小川(省)委員 これは自治体関係ですから、いまおっしゃったように出向関係の職員がかなりおるわけですから、自治労に入っていくのが多いと思いますけれども、単独でできた場合には当然労組法の適用を受けるのだろうと思っております。  それから、いわゆる年金関係なんですが、出向しておる者は別ですけれども、これらの職員の年金の問題は現在厚生年金が適用されておるようなんですが、私は、住宅供給公社の職員と同じように、地公企職員の共済組合の適用を当然受けられるものだというふうに考えておりますけれども、その点についてはどうですか。
  40. 近藤隆之

    近藤政府委員 いま御指摘のように、現在は、プロパーの職員につきましては、厚生年金の適用を受けております。これを地方道路公社、地方住宅供給公社と同じように団体共済のほうを受けさせるほうがベターであると私も思いまして、厚生省とかけ合っておるところでございますが、厚生年金からこちらに移るということにはいろいろな問題があるということで、昨年、本年、話し合いがつかずに現在に至っておるような状況でございます。
  41. 小川省吾

    小川(省)委員 昨年、附帯決議もついているわけですね。厚生省との関係で問題があるというのはどこに問題があるのか。また、附帯決議を尊重するということ、これは一般的な問題にもなるのだけれども、議会筋であがったところの附帯決議というものは、これは次官にお答えいただくのだろうと思うのですが、それを各省庁はどういう形で尊重するのか、その点についてお伺いいたします。
  42. 近藤隆之

    近藤政府委員 私が御答弁いたしますのは適当かどうかわかりませんが、厚生省のほうのお考えでございますと、国民年金、厚生年金といったような国の年金体系を統一していくというような方向に反するとか、いろいろ理屈があるようでございます。附帯決議をいただきましたので、今度の法改正にあたりましてもいろいろ折衝はいたしましたけれども、厚生年金の加入者が減るという形になるわけでございますので、向こうにもいろいろな事情があるようでございます。
  43. 小川省吾

    小川(省)委員 年金体系の問題だということですが、実際はおかしいのですよね。道路公社なり住宅供給公社が入っているわけですから、それは理屈にはならぬと思うのです。そういう意味で、道路公社や住宅供給公社が完全な年金体系一本化をされる段階ならばいざ知らず、こういう過渡的な段階ですから、ひとつ、昨年の附帯決議を尊重して、一日も早くこれらの人たち地方団体の共済に加入できるように、ぜひ厚生省とお進めをいただきたいと思います。  次に、業務のうちの委託等の問題について伺いたいと思うのです。これは、結局、道路公団とか鉄建公団とか、こういうところの業務の委託を受けることができると思うわけですが、受けて仕事をやっていけるわけでしょうか。
  44. 武藤嘉文

    武藤政府委員 委託を受けてやることはできるようになっております。
  45. 小川省吾

    小川(省)委員 公社ができようとできまいと、そういう形が自治体段階でもあるのですが、自治体の固有の業務の中でいろいろな仕事に公社も入っていく、自治体も入っていく、こういうことはあると思うのですが、本来、自治体というのは、あるいはまた、公選後から首長というのは、自治体住民生活や権利を守るという立場に立っているわけですね。それが他の団体の権限の行使で委託を受けて、住民の側に立つのではなくして、道路公団、鉄建公団という委託を受けた側に立って、ある意味では住民を苦しめるといいますか、そういう立場に立つことが往々にしてあるわけであります。少なくとも、自治体なり自治体の首長というものは、両者の間に立って、住民の利益を守る側に立って進めるのが当然だというふうに思っているわけですけれども住民に対置をする立場から業務の委託を受けて進めなければならぬということになるケースがあるわけなんです。地方自治を守るという観点からすると、これが自治体内部の問題であれば別ですけれども、それ以外のことで委託を受けてやると住民の利益と相反する場合が往々にしてあるのですが、自治省として、地方自治という問題と、業務委託の問題と、住民の立場というものを考えた場合、どのようにお考えですか。
  46. 武藤嘉文

    武藤政府委員 業務の範囲の中で、先生指摘の問題でございますが、私、考えますのに、あくまで地方自治体なり、あるいはいまの、幾ら認められておりましても、地方開発公社にいたしましても、国のやる仕事がその地域住民にマイナスになることであれば、当然これは協力はできないと思います。しかしながら、国がやることすべてがその地域住民にマイナスだとは私は考えられないと思います。たとえば道路一つにいたしましても、それがその地域住民にマイナスであれば、これは協力するわけにまいらないと思いますけれども、それがその地域住民にプラスであれば、たとえば道路が来るというときに、道路公団から委託を受けてやる場合には、その業務の遂行に支障のない限りは協力しても、これは地方自治の本旨にももとらないと考えるわけでございます。
  47. 小川省吾

    小川(省)委員 価値観の相違といいますか、立場の相違というか、そういうことがあるのですが、具体的な業務の執行の際にはいろいろな問題が、ケースによっていろいろですけれども、起こる場合が多いわけですね。そういう点で、いわば道路公団であるとか鉄建公団であるとか等の委託については、十分配慮をした指導をしていただきたいと思う。そうでありませんと、公選をされた首長が、それは長い将来にわたって、五十年、百年の長い目で見たものと五年、十年という問題の違いはあることはありますけれども住民と相対置した立場に立って業務を進めなければならぬということがあるわけですから、その辺のところは十分配慮した指導をしてもらわないとたいへんなことになりますので、やはり、委託業務という問題について自治体内部が一この問題については、これは当然自治体の責任ですから問題ないと思うけれども、それらの点は十分配慮ある指導をぜひお願いしておきたいと思うのです。  次に、取得のための財源措置がどうなっているかということで、資料等もいただいておりますけれども地方債と土地開発基金だと思いますけれども、各自治体が持っている土地開発基金が実際にはどのように運用されているのか。預託とかいろいろ載っておりますけれども、その点はどうなっているのか。地方債の計画額が少し少ないのではないかという感じを受けるのですが、何としても、土地が騰貴をしている現状の中では、良質な低利な資金が最も必要なわけでありますから、その点について御説明を受けたいと思います。
  48. 近藤隆之

    近藤政府委員 まず、土地開発基金でございますが、四十七年五月三十一日現在で、都道府県におきましては一千百三十二億円、市町村におきましては一千五百三十九億円、合計して二千六百七十一億円の積み立て金がございます。その運用方法といたしまして、土地に変わっておりますものが、その時点現在では八百九十九億円、他会計へ貸し付けておりますものが五百七十六億円で、これは他会計あるいは市町村、公社等に基金から直接貸している分でございます。それから、一千百九十六億円が預託等となっておりまして、これは金融機関への預託を通じて公社等に貸し付けておるものでございます。そういったような運用状況をやっております。  それから地方債についてでございますが、地方債につきましては、公共用地先行取得債というのがまずございますが、これは四十八年度計画額四百二十億を予定しております。四十七年度は三百二十億でございましたけれども、弾力的な運用によりまして、相当上回る五百九十六億を許可いたしております。  そのほか、地域開発事業債、臨海、内陸、流通、住宅用地等に充てるものでございますが、これが四十八年度で一千百九十六億円を予定いたしております。四十七年度は、計画額は千百十五億でございますが、実際に許可いたしましたのは約二倍に当たる二千二十一億円となっております。   〔三ツ林委員長代理退席、中村(弘)委員長代   理着席〕  それから、義務教育施設整備事業債といたしまして、学校用地でございますが、四十八年度は四百二十二億を計画いたしております。四十七年度は二百七十九億円の計画に対しまして七百七十八億円の許可を行なっております。  それから、公営住宅事業債といたしまして、公営住宅用地でございますが、四十八年度の計画額は一千四十七億、四十七年度の計画額は七百十二億で、実際の許可が八百十三億ということになっておりまして、一般債総計で、たとえば四十七年度は計画額の倍額程度を許可いたしております。  そのほかに水田債がございまして、これは計画額はございませんで、申請がありますれば許可するという仕組みになっておりますが、四十七年度一千九百三十五億円の許可を行なっております。  このように一応地方財政計画上は見積もりを立てて計上いたしておりますけれども、そのときの需要に応じまして、地方公共団体から申請があれば、その内容がよろしければすべて許可するという方針で弾力的に取り扱っておるところでございます。  以上でございます。
  49. 小川省吾

    小川(省)委員 異常な土地の高騰で、土地の取得がかなりの困難性を伴っております。巨額の金を必要としているわけですね。現在、地方で事業をやる場合に、用地問題が片づけば事業はもう九分どおり終わったも同じだ、これは取得の困難性と用地高を示している、こういうのが現状だろうと思うのです。自治体が確かにほしくとも、金の面でたじろいでしまうというケースも多いわけでございます。公営企業金融公庫の融資ワクは、去年の十億が本年は七十億を予定しているように思うのですけれども、これが事業費の二〇%ですか、民間資金利用するというふうになっていますね。そういう点で農協等の系統金融も使うのだというふうに言われているのですが、これは御承知のように利子が高いわけですね。そういう点を考えれば、最近の公社の設立状況から考えてみれば、金融公庫のワクはさらに拡大をする必要があるのではないかというふうに思っていますし、特に、民間資金等の導入を考えているということですから、これらに対する利子補給を当然考えるべきだと思うのですけれども、特にこれは大蔵に関係のある問題ですけれども、当然に利子補給をやっていかなければ、特に人口急増地帯の市町村等は容易でないというふうに思いますけれども、金融公庫の融資ワクの問題と利子補給の問題についてお答えをいただきたいと思います。
  50. 武藤嘉文

    武藤政府委員 この点は御指摘のとおりでございまして、どんどんこれから開発公社ができてまいりまして、その活動が活発になれば、当然いまのワクで十分だとは考えられません。私どもも、公営企業金融公庫の融資ワクの増額なり、あるいは農協の資金を使った場合の、その分に対する利子補給なり、これは当然将来の問題として私どもは考えていきたい、こう思っておるわけでございます。
  51. 小川省吾

    小川(省)委員 特に、公共用地取得の、地方財政圧迫への、いわば緩衝的な措置というのですか、五省協定というのがあるのだそうですけれども、私は実は寡聞にしてあまり知らないのですけれども、この五省協定というのが、地方財政の圧迫にある程度の緩衝的な——いわゆるそれをゆるめるといいますか、地方財政の圧迫をある程度はゆるめているというふうな影響があるかどうか。五省協定の内容と、また、それが地方財政に果たしている役割りについてお伺いをしたいと存じます。
  52. 近藤隆之

    近藤政府委員 大規模な宅地開発が行なわれております場合に、その地元の市町村というのは、関連公共施設を整備しなければならぬために相当な財政需要がかさむわけでございます。そこで、四十二年に、建設省、大蔵省、文部省、厚生省、自治省の五省で、住宅公団等が行なう大規模宅地開発等に関連して必要となる公共施設についての取り扱いをきめたわけでございます。これがいわゆる五省協定というふうに言われておるわけでございます。つまり、住宅公団等が宅地造成を行ないます場合に必要な公共施設等について、地元市町村話し合いで立てかえ施工を行なうということでございます。四十二年以降毎年のように内容は充実されてきておりまして、立てかえ施工を行ないますところの公共施設の種類、それから、それを何年間で地方団体が買い取るか、価格、そういった点については年々改善が行なわれて現在に至っておるというような状況でございます。
  53. 小川省吾

    小川(省)委員 立てかえ施工ですから、ある程度役割りを果たしているだろうというふうには思います。五省協定という協定ですから、そういう形でやっているんだと思いますけれども、たとえば民間デベロッパー等の大規模宅地開発について、それに準じたようなことをやっているんですか、どうですか。
  54. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 五省協定の内容はただいま近藤審議官が申しました。その中で、住宅金融公庫の宅造融資を受けたものが行ないますところの大規模な宅地開発に関連いたしましても適用があることになっておりますが、この金融公庫の宅造融資を受ける者は、その対象というのは、公社、公団、地方住宅公社とか協会等が主体でございます。その中には民間の宅造も入っております。そういう限定された範囲ではございますが、そういう面が開かれてございます。
  55. 小川省吾

    小川(省)委員 民間も入っておることですから、民間によって地方財政が圧迫を受けるという点は、そういう大規模の開発については一応避けられているというふうに理解をしますけれども、こういう大規模開発というのは大体どのくらいの規模を言うのですか。
  56. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 対象となりますところの事業は、住宅公団が行ないます大規模な住宅建設、それから、金融公庫の宅造融資を受けました者が行なう大規模建設、これは原則として千戸以上の集団住宅の建設、あるいは三十三ヘクタール、十万坪でございますけれども、それ以上の宅地開発ということになっております。
  57. 小川省吾

    小川(省)委員 そういう形ですから、五者協定が果たしている役割りは、これは目に見えないにしても、おそらくかなりのものがあるのではないかというふうに思っていますので、そういう観点に立って、地方財政を圧迫しないで、地方財政の健全化を守っていくという観点から、自治省としてはそれらの点は拡大充実をしていくように特に要望をしておきたいと思います。  そこで、先ほど大蔵さんが帰るというのでちょっと飛ばしたのですけれども協議をして、協議が整わないということで、土地の価格が一つの原因だという説明も承りました。おそらく、協議の整わない原因の中では、地価の問題が主要な理由になっているんだろうと思うのです。そこで、法第七条で「土地の買取り価格については、地価公示法第六条の規定による公示価格を規準としなければならない。」というふうにいわれているわけですね。  そこで建設省に伺うわけですが、地価公示法は今国会改正案が提案されているわけです。標準地を最終的には一万四千五百七十ですかに広げていくということですけれども、このペースでいって、公有地拡大法案と地価公示法のベースがはたして合うのかどうか。この辺について、公有地拡大について地価公示法が果たしている役割り伺いたいと思います。
  58. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 来年の一月一日には、いまおっしゃった数字の地点の公示を行なうべく、そういうテンポで進めてまいります。従来は市街化区域内だけに限って地価公示の標準点を設けておったのでございますが、それが約一万二千地区でございます。これを市街化区域以外の都市計画区域の中でも取り上げることにいたしましたので、本法対象区域都市計画区域に限りましたことと、その意味では平仄が合うのでございますけれども、地価公示法におきましては、その中で市街化区域以外のところにつきましては、地点を定める基準をつくっております。ですから、いまの地価公示法の改正案のほうでいきますと、市街化区域と同様の頻度において市街化区域以外の地点が選ばれない場合がありますので、その点につきましては、地価公示を基準として市街化区域と同じように行なうことができない。そこで、この公有地拡大法案におきましても、その地価公示によりがたいときには適正な近傍類地等の価格を基準として定めるという規定を設けたような次第でございます。ただ、いま申しましたように、都市計画区域の中で市街化区域以外の区域にも拡大したという点におきましては、地価公示法と本法対象区域が一応形の上ではリンクしておるのでございます。
  59. 小川省吾

    小川(省)委員 わかりました。  公示法で「一定の基準日における」「正常な価格」ということをいわれていますけれども、地価の安定に公示法がどのような役割りを果たしていますか。
  60. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 地価公示は、一平方キロ当たり大体標準地点を一地点設けるということでございます。この標準地点は現在のところ一平方キロでございますから、これを直ちに他の土地に援用できる場合と、三角法等によってそれから引っぱってきて計算しなければならないというような場合とあるのでございます。ですから、理想といたしましては、この標準地点を数多く設定するということが必要でございます。その意味におきまして、地価対策上この地点数をふやすということが一つの大きなポイントになるものと思いますが、地価対策という面から見ましても、この地価公示の制度は、地価についての従来の情報不足ということに基因いたしますところの不当なつけ値の影響による地価騰貴の抑止にある程度の効果を果たしてきたということが考えられるのでございますが、そのほかに、公共事業用地取得につきましてはこの地価公示を基準とするということにしておりますので、これは各種の公共事業の主体がございますが、これにつきまして、この地価高騰の抑制に貢献したというふうに考えられるのでございます。しかし、先ほどから繰り返しますように、従来は地価公示の対象市街化区域に限定されておる、これを拡大するということが今後の方向であろうと思います。
  61. 小川省吾

    小川(省)委員 土地というのも経済の原則によって売買されるのだ。需要と供給との関係があると思うのですが、実際には、日本列島改造論によって、いわゆる仮需要というのですか、値上がり待ち買い占め土地があるわけですよ。こういう点を見過ごしているところに、土地の仮需要に対する、いわゆる買い占めに対するところの政府の見通しが足らなかった。こういうものがある意味では地価騰貴の原因になったのではないか、こんなふうに思うのですが、その点についてはどうですか。
  62. 武藤嘉文

    武藤政府委員 これはいろいろと大きい問題だと思いますので私からお答えさせていただきます。  私は、これは、日本列島改造によって土地買い占めが起きたということだけでは必ずしもないと思うのです。御承知のとおり、昨年の春相当資金がだぶついておったわけでございまして、その資金のだぶつきがたまたま——土地の需給関係からいけば、日本全国の土地というものは需要と供給とのバランスがとれていないことはだれでもわかるわけでございます。そして、土地が、日本列島改造が言われるようになってから、ある程度上がる率が確かに相当大幅になってきたことは私も認めますけれども、過去においても土地の値段が相当上がってきておることは事実でございまして、そういう面からいけば日本列島改造論によって土地が上がったという御指摘は、一面においては理解ができますけれども、また一面においては、必ずしもそれがすべてではないと思います。   〔中村(弘)委員長代理退席、委員長着席〕  それから、私ども反省いたしておりますのは、先ほど最初に御指摘のございました土地対策もそうでございまして、その反省の上に立っておりますけれども、私から申し上げるならば、あの一月の閣議で了解事項になっております土地政策が、少なくとも、日本列島改造を言う前にもし私どものほうでやっておりましたならば、今日のような事態は起きなかったであろう。この点については、確かに、政府のいまやっておりますことがある程度後手にはなっております。しかし、そうかといって、それじゃそれを放置しておいたらもっとひどくなるわけでございますので、そういう意味で、われわれは反省の上に立って、今後はもっと土地対策を考えていきたい、この公有地拡大もそういう意味でやっていきたい、こういうことでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  63. 小川省吾

    小川(省)委員 いわば仮需要に対する見通し、日本列島改造論が出てきてそれが促進をされたのであって、それ以前から続いている、いわゆる本来の需要に基づかざる取得というものが土地問題を混乱させた一番大きな原因でありますので、確かに従来のやり方は後手後手ですけれども、その反省の上に立ってやるわけですから、そういう点、地価公示法がそういう役割り、機能をぜひ果たすように、私は一応期待はしておきたいと思うのです。  そこで、公共団体が公示法で公示された価格以上で公共用地を取得する場合だってあるだろうと思いますけれども、そういう場合は、建設省としてはどうなんですか。
  64. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 公共用地の取得価格につきましては、先ほどちょっと申しましたが、地価公示法の九条によりまして、公示価格を基準としてやれということになっておるわけでございます。従来は市街化区域内だけしか標準地点がございませんでしたから、それに準拠し得なかったのでございますけれども、いままでは、少なくとも市街化区域内におきましては、公共団体は、この公示価格を基準として定めた価格で取得あるいは収用してきたところでございます。  一般に、公共事業用地評価基準におきましては、取得する土地の近傍類地の取引価格を基準にして、これらの土地と、それから取得する土地との位置、形状、環境等、その要素を比較勘案して、この標準地点と結びつけて勘案しておりますので、標準地点そのものが取得される場合はレアケースでございますから、そういう形で価格を算定しておりますので、公共事業に関する限りにおきましては、地価公示を基準として取得していると言い得ると思うのでございます。
  65. 小川省吾

    小川(省)委員 御説明はわかるのですが、確かに、公示されている標準地が数少なかったわけですから、実際の公共用地の取得にあたってはそれによれないという場合が多いわけです。しかし、いまおっしゃるように、そういう場合には近傍類地価格でいくんだというふうに言われておりますけれども、私はどうもそうではないと思う。建設省の検査等が非常にきびしいわけですよ。そういう点で用地の取得は非常に困難だというのは、用地の価格を近傍類地で、もちろん、工事の緊急必要性あるいは場所、形状、いろいろなものによって土地の価格が違うと思うのですけれども、取得価格を非常に低く押える、検査等でうるさく言う、そういうところに土地の取得の非常に困難な原因があるのではないか。これは県でも、あるいは市町村でもそうなんですけれども公共用地の取得に出すケースが、近傍類地価格や売買実例を全然無視したような価格を提示をしていく、そういう中で、地権者との協議がととのわないで、公共用地取得が困難をきわめる、こういうケースがあって、最終的には公共という名目で泣かせているケースが非常に多いわけですね。それらの点について、建設省の指導というものはどうなっているのですか。
  66. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 先ほど近傍類地価格等を勘案し、と申し上げましたが、そのほかにも勘案事項はございます。たとえば小作等農地の場合は別でございますが、一般的に言いまして、近傍類地の価格を、という表現をとっていますけれども、これは土地評価理論の上では、マーケットプライスといいますか、客観的な市場価格をいかにして把握するかという技術でございますので、その価格にアプローチするしかたというものが非常にむずかしい。ここに評価の技術の問題がございます。そこで建設省におきましては、かねてから損失補償基準というものをつくっておりまして、その基準によってアプローチさせるのでございますけれども、おっしゃるとおり、一般の市場は非常に強含みでございまして、将来の価格の上昇を当て込んで、現在の時点における評価よりも数倍あるいは数割高いというような価格を土地所有者のほうでは提示をするというような形が多いために取得することの困難性が出てきているというようなことは言えると思いますけれども、現行の標準補償基準が非常にかた過ぎ、きびし過ぎて取得できないというふうには考えていないわけでございます。しかしながら補償等につきましては、そのほか、日照問題とか、あるいは騒音の問題であるとか、いろいろな問題があります。そういう進展する地価の評価理論につきましては慎重に今後検討していかなければならないというので、建設省におきましては、何も現行の損失補償基準にこだわっているわけではございません。これを適正な水準に検討すべく、現在、委員会等をつくりまして、鋭意検討している次第でございます。
  67. 小川省吾

    小川(省)委員 そこで、先ほどから近傍類地価格という問題を言われているわけですけれども、近傍類地価格を公共事業の中で守っていれば、用地の取得であまり問題はなかろうかと思うのですが、実際にはそういう形で指導がやられていないから、公共用地の取得の困難性が一面非常に強く出てきている、こういうふうに思うのです。  公共用地の取得に関する特別措置法というのがありますけれども、私はよくわかりませんが、これは公共用地の取得にはあまり関係のない法律でございますか。
  68. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 公共用地の取得に関する特別措置法は、実は、緊急収用とも言うべき、非常に大規模な公共性のきわめて強い公共施設につきまして、その取得を早くすることを前提といたしました法律でございますので、特に評価とは関係ございません。
  69. 小川省吾

    小川(省)委員 そういたしますと、公共用地の取得に関する損失補償の基準というのを閣議決定をしたのがありますね。近傍類地価格と言われるけれども、実際には、従来はこの基準というのが公共用地の取得に使われていたのではないか。この損失補償の基準というのが、実際には、実勢価格、いまあなたが言われるような客観的な情勢の把握というものと違い過ぎているために、公共用地の取得が困難ではなかったのか。もちろん損失補償の基準ですけれども、これが実際に取得の場合も準用されておったための公共用地の取得の困難性があったのではないかと思うけれども、その点についてはどうですか。
  70. 西村純幸

    ○西村説明員 公共用地の取得に伴いまする損失補償につきましては昭和三十七年に閣議決定されました要綱がございます。この要綱に基づきまして、各省所管の公共用地の取得にあたりましては、各企業者、各省ごとにそれぞれ基準を作成して、それに従って取得することになっておるのでございます。この点につきまして、先ほど大塩参事官が御説明いたしましたように、土地の価格につきましては、近傍類地の取引価格を基準とするなどいたしまして、適正な正常価格をもって取得するということになっておるわけでございます。
  71. 小川省吾

    小川(省)委員 そうすると、いまの御説明によれば、各省庁がこれに伴うところの基準を定めて、それが使われておったということですね。それは昭和三十七年の決定で、それ以降年々情勢に合わせて改定をしているものなんですか、どうなんですか。最も新しい基準というのは、あなたの建設省の場合には、いつ定めたのが最も新しい基準ですか。
  72. 西村純幸

    ○西村説明員 その後、昭和四十二年に要綱そのものの改正をいたしたと記憶いたしております。その後、各省のレベルの基準につきましては、ときどき改正いたしておりますが、ごく最近のものといたしましては、四十五年六月に改正いたしております。
  73. 小川省吾

    小川(省)委員 地方では、建設土木部なり、建設部といいますか、そういうところではこれがかなりウエートを占めているのだろうと私は思うのです。やはり、公共用地の取得の基準を定める場合に、地方では、建設省は四十五年のときがこうでこれなんだというふうな考え方があるんではないかというふうに思いますので、その点については、そういう基準というものを定めている以上、ぜひ実情に沿った形で改定をしていかなければならないだろうと思うのです。現状の中で、地価公示法が全体的に公共用地の取得に間に合うように、全国的に当面すぐ広がるわけでも何でもありませんから、そういう点はぜひ配慮していただきたいと思います。  それと同時に、最近の建設省の基準がありましたら、ひとつ資料としていただきたいと思うのですが、どうですか。
  74. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 確かに、建設省の基準は一つの基準を示したものでございます。これに基づいて実際の地価にアプローチするという技術、これが評価の理論でございますので、これの向上に今後もつとめますとともに、基準自体も、逐次新しい事態に対応して改正していくつもりでございます。  なお、最近のそういう資料につきましては、後刻提出させていただきます。
  75. 小川省吾

    小川(省)委員 建設省というのは、地方の実際の建設を行なう各府県市町村に対しては何といっても影響力を持っているわけですから、そういう点のきめこまかい行政というものがとられなければいけないし、それが地方公共団体における用地の取得を困難にしているわけなんですから、そういう点はいまの御答弁のようにぜひ配慮していただきたいと思うのです。自治体現状土地投機の中で、公共用地の取得に非常に苦しんでいる。売買実例や実際の実勢価格についていけないというところで用地取得に悩みがあるわけですから、財政問題ですから、そういう良質な財源の付与と同時に、やはり、実際についていく、しかも土地の価格を鎮静させるという作用がなければ土地問題は解決しないし、それでなければ、公共という名前の中で、善良な住民がある意味では泣き寝入りといいますか、泣かされるという面もあるわけですからね。そういう点で、手の打ち方をおくれないように、ついていけるようにぜひやっていただきたいと思いますし、そういう指導を適切に行なっていただきたいというふうに考えておりますけれども、次官、いかがですか。
  76. 武藤嘉文

    武藤政府委員 当然、私どもとしては、これは適切に指導しなければいけないと思います。
  77. 小川省吾

    小川(省)委員 次に、先買い制度対象区域の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。今回の改正都市計画全域に広げたということ、しかもまた、代替地に充てられるというふうに改正したのは、私は、実情に沿ったものだと思うのです。公共用地として提供するということになっても、現在の実情で、農業者に限らず、土地というものを自分の代で手放すのは、という考え方が非常に強いわけですから、そういう点では、代替地に充てたというのは、この法の具体的な生きた前進だというふうに評価をしているわけです。しかしながら、私は、この点について考えるのですが、本来、都市計画法では、市街化区域というのは十年以内に市街化をしていくのだという地域のはずですし、調整区域というのは、いわばスプロールを押える地区というか、市街化を抑制をする区域だったはずですね。しかし、土地買い占めは、実際には、調整区域あるいは都市計画区域に限らず、全国的に進んでいるわけなんですけれども都市計画法でこの調整区域公共用地の取得なりに含めるということになってきますと、調整区域が、いわば予備開発地域というか、都市計画法の中にいう市街化区域開発予定地区というふうな観念に改められてきたのかどうか。調整区域というのですか、調整をする、しかし、実際には十年以内には少なくとも開発を抑制をする区域、市街化を抑制をする区域なはずですね。しかし、こういう形で買い占めなり先買いなりを及ぼしていくということになると、ある程度都市計画法にいう調整区域の概念が改められた、変わったというふうに理解をするわけなんですけれども、いわば市街化予定区域というふうな観念に踏み切ったというふうに理解をしてよろしいのですか。
  78. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 結論から申し上げますと、調整区域開発予定区域というふうに観念を変えたのではございません。調整区域先買い対象に入れました理由といたしましては、調整区域内におきましても、やはり、公園緑地だとか、あるいは試験研究所とか、あるいはごみ焼却場等、市街地内に必ずしもなくてもいい施設でありまして、あるいはそういうところに立地するほうがむしろいいという施設もあるわけであります。それからまた、道路だとか、あるいは縦貫道だとかいうような用地につきましても、数は少ないけれども、初めから確保しておく必要もある。そういうケースがあることと、また、たとえば大規模緑地とか、そこは広域公園にしたほうがよかろうというようなところにつきましては、そういう取引事例をチェックいたしまして、これをあらかじめできるだけ確保しておけば、これが将来の保全という面からするならば一つの準備になる。こういう観点から加える必要があると感じたのでございまして、だから、積極的にこれを開発していくという気持ちはさらにないのでございます。
  79. 小川省吾

    小川(省)委員 いま御説明を受けるまでもなく、私もそう思っているのですが、調整区域についても当然公共用地は必要です。ですから、いまの御説明を聞くと、いわゆるそういう考え方開発予定区域、市街化予定区域という概念に変えたわけではないのですね。——はい、わかりました。  そこで、現行都市計画法でも、いわば二十ヘクタール以上は開発行為が可能なわけですね。現実に各地でかなり買い占め等が進んでおり、あるいは開発を行なおうという土地が、先ほど来いろいろ申し上げましたけれども、必ずしも騰貴待ちだという形でなくて、調整区域を買って開発をやろうという形もあるわけですね。そこで、調整区域開発許可といいますか、開発行為の許可について、法の上では二十ヘクタール以上は開発できることになっているけれども、調整区域開発を許可するにあたっての基本的な基準になる考え方というのは、建設省としてはどのようにお考えになっているわけですか。
  80. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 調整区域開発の許可の基準といたしましては、都市計画法三十四条の十号のイというところにございますが、大体二十ヘクタール以上あるということがまず一つの要件であり、かつ、市街化区域内の市街化の状況等から見て、そこで開発を認めても計画的な市街化をはかる上で支障がないもの、という規定があるわけでございます。だから、二十ヘクタールありましても必ずしも認めるということではないのでありまして、それは、たとえばそこにどうしても立地しなければいけないもの、それから支障がないもの、こういった判断の基準をつくりまして指導しておるところでございます。ですから、繰り返しますけれども、二十ヘクタールということだけが要件ではない。ただ、そういう二十ヘクタールという基準を置きました理由は、調整地域というのは、公共がみずから開発いたしますときに、あと追いになりがちなものですから、そこで、ここは手をつけなくてもいいという、安心して市街化区域に向かわせることにした一つの線引きでございますので、そこで公共に再び迷惑をかけられるようなものがあってはいけないので、相当自己充足的なまとまった団地にする必要があるということでそういう規模の要件を置いたのでございます。そういう考え方でございます。
  81. 小川省吾

    小川(省)委員 あまりはっきりわからないのですが、最近では、いわゆる第三セクターというような、たとえば公共団体等がかんだ開発行為の主体がございますね。いわゆる公共用地一つの取得にあたって、調整区域を選定をして、自治体でもあるいは第三セクターでもいいのですが、公共用地を含めて二十ヘクタール以上の規模になるような地域であれば、都市計画法上の二十ヘクタール以上だということで許可をしていくんですか、どうなんですか。
  82. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 公共団体の場合は、県等は開発許可の対象から除外されておりますから、それ以外の第三セクターにつきましては当然許可にかかるわけでございますが、その場合も、やはりいま申しましたような基準でそこに立地しなくてもいいじゃないかということがまず考えられると思います。したがって、そこじゃないと困るという事情があり、二十ヘクタール以上であり、かつ、自己充足的な、市街化区域のほうの整備の公共団体に迷惑をかけないようなものだけ開発行為を許可するということを方針といたしております。
  83. 小川省吾

    小川(省)委員 そこでなければならぬということはわかるのですけれども、「自己充足的な」というのは、もう少しかみ砕いて言うとどういうことですか。
  84. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 そこで、たとえば典型的な例を申し上げますれば、住宅団地をもしつくったといたしますれば、その中で、学校も自分でつくり、下水道も、公園も、それから道路も全部自分で負担いたしまして、公共に迷惑がかからないようにしてほしい、こういう意味の「自己充足的な」という意味でございます。
  85. 小川省吾

    小川(省)委員 そうすると、いわゆる大規模開発というものに類するような開発行為は、これは自治体とは関係ないわけだけれども、いわゆる利益本位の大企業等が、調整区域の中で、自己充足的に設立をしようということであれば許可になる。一般的にはいろいろなものはあるでしょうけれども、そういう理解でよろしいのかどうか。
  86. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 積極的にそれを進める姿勢でないことは先ほど申し上げましたけれども、そういうことであれば、公共に迷惑、負担もかからず、そこに立地することが差しつかえないという基準に合致すると思います。
  87. 小川省吾

    小川(省)委員 いろいろお尋ねをいたしてまいったわけでありますけれども、特に、大臣に関する質問は、大臣がお見えになりませんから、留保をさせていただきます。  特に次官にお願いをいたしておきますが、自治体の財源の充実、それから、先ほど来の、何といっても公共に自発的に協力をするというものに対する税の問題ですね。これについては特段の御配慮をぜひお願いをいたしたいと思います。  以上、大臣を除く質問について終了させていただきます。
  88. 上村千一郎

    ○上村委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後零時十七分休憩      ————◇—————    午後二時十一分開議
  89. 上村千一郎

    ○上村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。佐藤敬治君。
  90. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 先買いの問題で、運用の実績についてちょっとお伺いしたいのですけれども、四十八年度の四月末現在の一応の資料はいただいておりますが、この中で、届け出と申し出の件数がそれぞれどうなっているか、お知らせ願いたい。
  91. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 届け出のありました件数につきましては、これは三千七百五十五件でございます。それから、申し出が三百三件、合わせまして四千五十八件でございます。
  92. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 そのあとに協議通知を出した数、それから成立した数、そういうものをずっと教えていただきたい。
  93. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 右のうち、買い取り協議の通知をした件数は、届け出にかかるものにつきましては八百六十九件、申し出にかかるものについては百五十四件、合わせて千二十三件でございます。
  94. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 それで、成立したものがあるでしょう。それをずっと教えてください。
  95. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 成立した件数は全体で百六十四件でございまして、届け出にかかるものが百三十一件でございます。申し出にかかるものが三十三件でございます。
  96. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 それからもう一つお聞きしますが、これのおのおのの面積はわかりませんか。それから平均価格もちょっと教えていただきたい。
  97. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 届け出にかかる面積につきましては、まず、都市計画施設等の区域にかかるものにつきまして、買い取り面積につきましては十五万四千七百六十九平米でございまして、二千平米以上のものの届け出につきましては、二十五万五千九百九十六平米となっております。申し出にかかる買い取り面積は十二万九千二百三平米でございまして、以上合わせまして五十三万九千九百六十八平米となっております。  平均価格につきましては、先ほど言いました都市計画施設にかかる、届け出に関する買い取りの平米当たりの単価は一万四千七百円、それから二千平米以上の届け出にかかる、先ほど申しました四十件の単価につきましては一万五千八百円でございまして、申し出にかかる単価につきましては五万九千二百円でございます。これの平均というのはどうかと思いますが、平均いたしますと、二万六千三百円になっております。
  98. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 この数字、少しふしぎなんですがね。平均価格が、届け出のほうがやたらに安くて、申し出のほうがものすごく高いですね。どうしてこういう差が出ていますか。
  99. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 これは、おそらく、申し出というのは、だれかに売りたいということで、相手の成約を待たず、相手方を求めないで、これくらいの値段で買ってほしいという申し出だったので、これはやはり、ある程度市価の高いほうが多く選ばれて提出されたものではないかと考えております。
  100. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 どうも、ちょっと納得ができないのですがね。届け出というのは、これは大体が強制的に買わなければいかぬ場所ですわね。申し出というのは、買ってくれということで、買ってくれというほうがでたらめに高くて、強制的にやらなければいかぬほうがうんと安い。普通の常識から言うとちょっと反対のように思われますがね。これは差が少しあり過ぎると思いますがね。
  101. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 申し出にかかるものは、普通の場合、地域的な片寄りがあると思います。片寄りがございますし、件数も少のうございます。届け出は義務的届け出でございますので、全国にばらついております。そういう関係もございますので、その差が出たものと考えております。
  102. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 それでは、申し出のあるところの場所はわかりますか。
  103. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 先に、申し出のあった個所を申し上げますと、三十三件のうち、多い県を申し上げますと、東京が四件、それから千葉が三件、埼玉二件、神奈川一件。そのほかでございますと、長野が二件、大阪が三件、あとは一件、一件というふうに飛び飛びになっておりますが、そういう大都市周辺のものが比較的件数が多いという形になっておりまして、たとえば島根、鳥取、岡山というようなところはゼロ、ゼロ、ゼロでございます。そういう意味から言いまして、大阪、それから東京周辺がカーブが高くなっております。
  104. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 申し出の分で、地方の地価の安いようなところの例はありませんか。
  105. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 たとえば、広島一件というのがございますが、この辺は幾らしたか、いまちょっと手元に調査したものを持っておりませんので、申しわけございませんが、あとで調べさせていただきます。
  106. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 届け出のほうが安い、それから申し出のほうが高いというのは、一応それでわかりますけれども地方の同じようなところ、たとえば広島の例をあげられましたが、広島で、同じようなところで、届け出と申し出は大体値段が似ていますか。
  107. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 同じ県の中の届け出と申し出の、どういう場所があったかということにつきましては、いま調査を持っておりませんので、いまお答えをすることができません。
  108. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 あとでまた御調査ができましたら教えていただきたいと思います。  総数が四千五十八件、これに対しまして、協議の通知を出したのが千二十三件で、三千三十五件という差があるのです。これは非常に差が大き過ぎると思うのです。たとえば法の第六条に、届け出があったものに対しては、知事が買い取りの団体をあれして通知しなければいけないというのがありますね。「都道府県知事は、第四条第一項の届出又は前条第一項の申出があった場合においては、当該届出等に係る土地の買取りを希望する地方公共団体等のうちから買取りの協議を行なう地方公共団体等を定め、買取りの目的を示して、当該地方公共団体等が買取りの協議を行なう旨を当該届出等をした者に通知するものとする。」となっております。これは、申し出分はとにかく買ってくれというのですからいいのですけれども届け出の分については、大体買わなければいけないような場所だと思うのです。河川だとか、公園だとか、道路だとかですね。ですから、こういうもので都道府県知事協議を出す数というものは、届け出られた数とそう多く違わないと私は思うのです。必ずどこかの団体がこれを買わなければいけないような場所、これは半強制的なものですからね。それが非常に大きな違いがありますね。届け出に関しましても、これも総数三千七百五十五から八百六十九を引きますと、大体三千くらいが、大部分協議に入っていないということなのです。この理由はどういう理由ですか。
  109. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 われわれもその点を調査いたしましたところ、大体、買い取り届け出がありましたのに、あるいは申し出がありましたのに、これを通知しなかった理由別に、頻度の高いものから申し上げますと、まず、事業を施行すべき時期が相当将来であって、または施行する時期がまだわからないという時期不確定という件数が多うございます。つまり、相当先であるけれども、それを抱き込んで、いまかかえておくというのにはやはり相当決意が要る。それよりも、早くやらなければいけないものに手を回さなければならぬ。こういうことが背景にあろうかと思います。次に、事業計画、あるいは同じようなことでございますが、取得計画がなかった。そういうところで申し出があった。これも同じような案件かと思います。次に多いのは、利用目的に合わない。申し出がありましても、届け出がありましても、先ほどお答えしたのでございますが、それがちょうど街路なら街路にひっかかっておりまして、一筆で届け出がございました。そうすると、そこのところは一緒でないと売らないというふうな件数がございますと、そのはみ出した部分というのは、小さくて利用目的に合わないし、それから代替地等に使用が現行法ではできませんので、これが使えないというようなことで見合わせるというような件数が多いのでございます。面積が小さいとか、あるいは利用目的に合わないとかというような点があげられておると思います。
  110. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 大体わかりますけれども、施行時期が非常に遠い、あるいは不明だ、こういうことはあとでちょっと触れたいと思いますけれども、しかし、利用目的に合わないというのは、やはりちょっとおかしいと思いますね。道路をつくるとすれば、売る人が道路の幅だけきちっと持っていればいいのですが、小さかったり大きかったりするのはあたりまえの話なんですよ。それをちょっとはみ出たから、そっちのほうはどうにもならないから買わないというのでは何もならないじゃないですか。
  111. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 買わないというのではなくて、向こうが一緒でないと売りたくないというようなことがあったということを先ほど申し上げました。  それから、もう一つは、利用計画がそれについていけない、合わないということを先ほど申し上げましたのは、主として法第四条一項第五号にいいます二千平米以上のものの届け出について多いのであります。
  112. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 買わないというのではなくて、売りたくない、だからだめだというのでしょう。同じことだと思うのですよ。買うほうでも、少しぐらい残されたって何もならぬ。売るほうだって、少しぐらい残されたって何もならぬのですよ。まん中を取られるけれども、両端を少し残されては売りたくないというのはあたりまえの話なんです。だから買わない、そういう理屈は成り立たないと思うのですが、どうですか。
  113. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 その点につきましては、これは今度代替地等に使えるという改正案を出しておりますので、そうなれば、わがほうとしましても、これを買う意思をもって相手方協議の申し出をするだろう、こういう改正案を今回提出したのも、そういうことでございます。
  114. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 まあいいでしょう、それは。  それから、二千平米以下の件数はどれくらいありますか。
  115. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 二千平米以上のものについて届け出義務を課しておるのでございまして、二千平米以下のものについては届け出義務がないわけでございます。二千平米以下でありましても、三百平米をこえるものにつきましては、第四条の一項の一号から書いてありますような、そういう施設的なものの中の土地につきまして、三百平米以上のものも届け出義務を課しております。二千平米以下というのはございません。
  116. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 そうすると、さっきの三千七百五十五の中には、二千平米以下というものの数字は入っていないわけですね。
  117. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 三百平米以上で、都市計画施設等あるいは河川の予定地、公園の予定地というようなものは、先ほど申し上げました千四百二十一の届け出、申し出件数の中には入っております。
  118. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 だから、総数の三千七百五十五があるでしょう。その中に入っていますか。
  119. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 入っております。
  120. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 そうすると、三千七百五十五に対して、協議通知を出したのが八百六十九しかない、非常に少ない。その理由に、三百平米以下の小さいものがあるから、それは出さないのだというお話しでしたね。そこで、私は、そういうものの中に、三百平米以下の、小さくて通知を出さなかったのが何ぼあるか、幾らあるか、これを聞いているのです。
  121. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 私の説明が足りなかったと思いますが、小さいということの一つの例といたしましては、道路等にひっかかっておる土地がございまして、これは三百平米以上でございますから届け出をしなければいけませんが、道路計画にひっかかっている部分を含めてはみ出している部分もあるわけでございます。そのひっかかっている部分は将来道路の用に供するのでいいのでございますが、はみ出している部分が小さくて一これは利用目的にならない、つまり、これは公共施設として使うのにも寸足らずでございますし、公園等に使うのにも無理である。したがって、現行法のもとではこれは代替地に使えませんので、使用目的から見ましても小さ過ぎて無理だ、こういう意味で申し上げたのでございます。
  122. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 まだちょっとわかりませんが、そうすると、件数が、はみ出している部分が一件、たとえば道路の中にある部分が一件と、二件になっているのですか。
  123. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 まとめて一件として届け出をすることになっております。
  124. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 ちょっとよくのみ込めませんが、まあいいでしょう。問題は、小さい数字をいま聞きましたのですけれども、この中でたとえば第六条の三項に、「都道府県知事は、第一項の場合において、当該届出等に係る土地の買取りを希望する地方公共団体等がないときは、当該届出等をした者に対し、直ちにその旨を通知しなければならない。」とある。この件数は幾らありますか。
  125. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 申し出がありました件数四千五十八件のうち、買い取り協議の通知をしたものが一千二十三件でございますから、しなかったのが三千三十五件になります。
  126. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 いや、そうじゃないのですよ。それはもう単なる差し引き勘定なんですよ。ところが、これは、届け出あるいは申し出をしたけれども、買う人がない、そういうときは、知事は当該届け出をした地主に対して、直ちにその旨を通知しなければならないとあるのです。単なる差し引きじゃないのです。その通知した件が何件あるのかと聞いているのです。
  127. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 その件数は、この中に分析して持っておりませんので、いまお答えできません。
  128. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 これだけやってもしようがないのですが、問題は、総件数が四千五十八あって、成立したものはわずかに百六十四件で、パーセンテージにすると四・〇四%になりますね。これはさっきも言いましたけれども、申し出の分は向こうが買ってくれというのだからあれですけれども届け出の分は、いまいろいろお話しがありましたけれども、いずれにしても、その部分は、買うほうで将来必要になる土地なんです。だから、先取り、先買い制度というのがあるわけですね。それがわずかに四%ぐらいしか成立しないということでは、この実績を見ますと、期間が非常に短いとはいえ、あまり役に立たないのじゃないかというふうな感じを持ちますけれども、どう思いますか。
  129. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 確かに、おっしゃるとおり、四千五十八件の届け出に対しましては、百六十四件というのはきわめて少ないと思います。しかしながら、まだ協議中の件数というのが約三百二十件ほどございまして、この中からどのくらい出てくるかわかりませんが、これは、買い取りをしたいと申し出ました千二十三件のうちで、成約いたしましたのが百六十四件というふうに見るべきではないか。これは、要らない、あるいは申し出をしなかった、通知をしなかったというものを除きますれば、千二十三件の中の百六十四件というものは一六・四%になりますので、そのうちの三百二十件というものはまだ協議中でございまして、正式に不成立になったものは五百三十七件でございます。そういう比率から言いましても、もっともっとふえていいんじゃないかと思いますけれども一つ理由は、日にちが、去年の十二月一日に発足したばかりでございまして、実際、この成立件数を見ますと、本年の二月及び三月というところで急にふえておるのでございまして、これからの状況をいま少し見たいと思うのでございます。
  130. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 それから、ちょっとお伺いしたいのですが、二千平米以上の土地がひっかかるわけですね。こういうものは、これをのがれるため小さく分割しているという場合はありませんか。
  131. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 確かに、届け出を免れるために、それを分筆して売るということは考えられることでございます。しかしながら、本来公有地拡大法の趣旨は協議前提といたしまして、協議に入ることを目的としたものでございますから、だから、相手に売る意思がなければしかたがないものでございますので、わざわざ分筆をいたしまして、手間をかけて、そうしてのがれるということは、むしろ形成権である買い取り請求権のときには問題がありましたけれども、今回の場合はあまり問題にならないのではないかというふうに考えます。
  132. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 この届け出のできたもので、さっきちょっとお話しが出ましたが、たとえば六大都市みたいなところ、それから中都市あるいはいなかの小都市、こういうようなところの数字はありませんか。
  133. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 大都市、中都市、小都市という表はつくっておりませんが、いま手元にありますものの中から申し上げますと、県別につくってございますので、一番頻度の高いものを申しますと、大体福島が百九十六、それから東京が百七十七、千葉が百七十一、愛知が二百三十、大阪が一百三十二等に対しまして、地方、たとえば宮崎のごときは十八、あるいは広島が二十、あるいは島根が九、和歌山が六といったような感じでございます。これを大、中、小別にまとめておりませんが、そういう感じでお受け取り願いたいと思います。
  134. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 できれば、それをあとで、府県別にまとめたものを資料として出していただきたいと思います。  それから、土地の取得の財源措置の問題でありますけれども公共用地先行取得債というのがありますね。これについてちょっとお伺いしたいのですが、これの中で「原則として五年以内に当該事業の用に供するものについて許可される」というふうに書いてあるのですが、これを考えますのに、たとえば道路、公園、河川というものは、将来にわたった非常に先の長い計画だと思うのですよ。五年で都市計画ができるということはちょっと考えられない。そうしますと、五年以内に事業の用に供さなければ許可しないというのであれば、やはり少し短か過ぎるという感じを受けます。そうしますと、さっきも話がありましたけれども、五年以内に見込みがないから買わない、先の長いのは買いませんというのが非常にこれに該当してきていると思うのです。その問題から、せっかくほしいけれども、五年以内に着工する見通しがないから買わないということになると思うのです。これはちょっと短い。少なくも十年くらいにするか、あるいは、計画がなくても売るというようなところは、とりあえずまず買い取っておく。そうすれば、あとから代替地にも使うし、また、都市計画なりその他に公用地として利用する方法がある。こういうふうに思うのですが、どうですか。
  135. 近藤隆之

    近藤政府委員 いまお話しのありました公共用地先行取得債は、一応五年程度の、先を見越しまして必要となる公共用地について起債を認めるという仕組みになっております。この公共事業につきましては、御承知のように、国庫補助の対象になるものもございますし、公共事業の五カ年計画というようなものもありまして、五年くらい先のものになりますと大体個所的にも具体化できるというようなことで、現在の公共用地先行取得債は五年となっておるわけであります。  ただ、今度法律改正いたしまして、いままで地方債は代替地には認められませんでしたけれども、もろに代替地まで含めて用地を起債対象にするという仕組みにいたしました関係もあります。したがって、もっと長いものにつきましても公共用地先行取得債の対象となり得る道はここで開かれてきたのじゃないかと思っております。  ただ、先ほども申しましたように、国庫補助金とのからみ等もございますので、むやみに長いものを買うということは、現実問題としては、地方団体の財政の要請が非常にありますので、むずかしいことではないかと思います。
  136. 上村千一郎

    ○上村委員長 ただいま自治大臣が出席になりましたので、佐藤委員の質疑中ではございまするが、小川委員の大臣に対する質問が保留されておりますので、この際、小川委員の質疑を許します。小川省吾君。
  137. 小川省吾

    小川(省)委員 佐藤委員の質問中たいへん申しわけありませんが、午前中大臣に対する質問を保留いたしておりましたので若干質問させていただきます。  午前中、特に本法律が持っているところの意義、さらに、何といっても自治体公有地を取得しやすくしていく、しかも、土地政策については、自治体が関与していかなければ土地問題はなかなか解決しない、こういう観点でいろいろ御質問を申し上げたわけでございます。ある面においては、政務次官のほうから、前進的な、前向きな答弁もいただきましたけれども、特に大臣のほうにお伺いをしておきたい事項がありますので、質問させていただきます。  特に、公有地の取得について協議をしていくわけでありますけれども協議が整わない場合には第三者に売ることができるわけですね。そういう意味で、協議期間が二週間、二週間から三週間、三週間、計六週間に延びたことはけっこうでありますけれども、しかも、今度の税法の改正等で、土地に対する税金面からの規制を、特別土地保有税であるとか、土地取得税ということで強めてはきておりますけれども、ある面、土地については、私権に対するある程度規制がなければ土地政策というものは全うできないというふうに考えますので、協議が整わなかったという面では、価格の問題はありますが、これがかなり主要な要素を占めるんですけれども、そういう場合に、さらに現行以上に税の面を強化して、やはり公有地として出していくほうがいいんだというふうな面を税制上も扱っていくべきではなかろうか。そうでなければ、協議をしても協議が整わないというケースがふえてくるのではないか。そういう点では、こういう協議が整わなかった点については、税制面でさらに強化をしていく必要があるのではないかというふうに考えますけれども、大臣、いかがですか。
  138. 江崎真澄

    江崎国務大臣 御指摘の点はきわめて重要だと思います。公有地を確保する、つまり、いまの私有財産制から言いまして、やはり、公有地に協力をするという気持ちに住民がなることが大事なことだと思います。したがって、そういう地域住民期待にこたえようということになれば、公有地として売り渡した場合、税の減免措置がいまきめられた以上にあるということは望ましいわけでございまして、これは、今後の土地政策全般の問題とにらみ合わせて、なお減免の方向に努力を傾注してまいりたいと思います。
  139. 小川省吾

    小川(省)委員 第五条による申し出の項も含めて、特に税の減免の特別措置については特段の配慮をぜひお願いをいたしたいと思います。  先ほど政務次官のほうから、自治省としても、特に個人の自発的意思に基づくものについても努力をして、税の減免特別措置をやるように努力をしたいという答弁をいただきましたが、そういう点で、自治省として、特に公共団体に協力をする国民に対する税制上の配慮というものをぜひひとつ推し進めていただきたいと思います。
  140. 江崎真澄

    江崎国務大臣 わかりました。
  141. 小川省吾

    小川(省)委員 申し上げるまでもなく、大資本や大商社、デベロッパー等の土地買い占めが、市街化区域、調整区域、地目の何たるかを問わず非常に進んでおって、開発が放置をされて、値上がり待ち現状で、土地問題として大きな問題があるわけですね。そういう意味で、一般庶民のマイホームの夢がくずれ、あるいは、非常に遠距離通勤がふえてまいりましたり、あるいは、地方公共団体公共用地の取得がますます困難になってくるだろうと思うのです。  土地問題を解決していくのには、根本的に土地の公有化が必要だというふうに私どもは思っているわけなんですが、土地を投機の対象からは、ずさせるためにも、いまこそ地方自治体土地問題に関与していくというふうな状態にならなければ、地価の鎮静にも役立たないし、全体的な国土利用計画という面からも、地方公共団体土地問題に関与していく必要がどうしてもあるというふうに私は思っておりますが、大臣、いかがですか。
  142. 江崎真澄

    江崎国務大臣 もう、全く同感でございます。
  143. 小川省吾

    小川(省)委員 本来、土地は再生産できるわけではありませんし、限られた狭い国土の中で、水や空気にも匹敵をする貴重な資源であり、国民全体の共通の財産であると思いますし、何人もこれを利潤追求の具にすることは許されないと思うのです。そういう意味で、国民全体の生活と福祉を守るという観点から利用、管理されていかなければならないと思うのです。  そこで、提案的に申し上げるわけでありますけれども、まず、市町村土地委員会等をつくって、そして、その委員は任命制にして、土地に関する一切の権限を与えていく、個人間の土地の移動については、これは土地委員会許可制にしていく、許可をしないものについては、買い取り請求権を認めて、これを公有地化していく方向にもっていく、そして土地の価格ができれば、四十八年度の固定資産の評価額で凍結をしていく、大資本なり、あるいはまた大商社、民間デベロッパーなどが騰貴待ちに現在保有している土地は、一定の期限を付して開発計画を提出させて、そして、自治体土地利用計画にそぐわないものについては不許可として、公有地として取得をして放出をさせていく、こういうふうな形をとって、この程度のことを思い切ってやっていかなければ、土地問題というものは解決をしていかないのではないか、また、この程度規制をして土地問題の解決を全体的にはかっていくべきではないか、このように実は考えておるわけでありますけれども、大臣の見解を伺いたいと存じます。
  144. 江崎真澄

    江崎国務大臣 現在私有財産の制度をとっておりまするので、いま承りましたことを直ちに実行に移すという点になりますると困難が伴うかと思います。しかし、貴重な御提案として、よく御意見は承りました。また、そういう要素を今後私どももできるだけ取り入れて、私有財産につきましても、やはり、公共優先ということが現実に行なわれるように配慮してまいりたいと思っております。
  145. 小川省吾

    小川(省)委員 大臣の前向きの御答弁をいただいたわけでありますが、いずれにしても、地方自治体がいわゆる土地問題に関与していくといいますか、タッチしていかない限り、ほんとうの国民の生活といいますか、福祉という観点に立った絶対的な国土利用計画というものはできないし、自治体としても、そういうところまで入っていかなければ土地問題の解決はないんだというふうに大臣としてもお考えになりますか。
  146. 江崎真澄

    江崎国務大臣 その点は、痛感いたしております。
  147. 小川省吾

    小川(省)委員 ぜひひとつ、大臣の答弁のような観点に立って土地問題に対処していただきたい。公有地拡大法案も、そういう意味では、いま大臣が言われるように、現状の中ではまだまだ手ぬるい点があるわけでございますが、一方、私権という問題もありますけれども、そのような観点に立って、土地問題を解決をする手だてとしてこの法律を生かしていくような方向で、ぜひ自治省としては対処していただきたいという点を要望して、質問を終わります。
  148. 上村千一郎

    ○上村委員長 佐藤敬治君。
  149. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 先ほどの年限の問題でありますけれども、私は、現在、公有地を取得していくということはますますむずかしくなると思うのです。公有地がだんだんゆるくなっていくということは決してないと私は思うのですね。そういう意味から、たったいま必要だという目先のことだけではなくて、ずっと長いことを考えますと、公有地を少しでも多く持っているということは将来決して損にならない。損にならないどころか、非常に役に立つと思うのです。だから、五年なんということをやらないでも、先ほど言いましたように、少なくとも十年、あるいは、もし場所がよくて、これは持っておったほうがいいのではないかというような見定めがつくならば、河川や、道路あるいは公園というものにひっかからないものでも買っておく、こういうような制度が必要だと思うのです。そういう意味で、いまの代替地にも金を出すというのは私はいいと思いますけれども、しかし、この趣旨をもっと徹底させるために長い間金を借りておくというのは、地方団体の財政上の非常な圧迫にもなりますから、いまあるような、たとえば土地専門の土地開発公庫みたいなものをつくって、そして財政上の便宜をはかって、できるだけ多く地方団体で公有地を取得しておくような方法を講ずることがいいのではないかというふうに考えますが、いかがですか。
  150. 近藤隆之

    近藤政府委員 公共用地先行取得債の条件の改善はもちろんですが、公有地地方団体が買うだけではございません。今度の法案の中にもございますように、公社等も十分活用して公有地の確保につとめてまいりたいと思っております。  なお、土地開発金融公庫のお話しが出ましたけれども土地開発金融公庫にかわるものといたしまして、公営企業金融公庫に土地開発公社に対する融資事務を担当させようということで、現在の段階では、まだ七十億というわずかな金額でございますけれども、今後この面についても拡充をはかってまいりたいと思っております。
  151. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 それから、先行取得債あるいは開発事業債、義務教育施設の整備事業債というようなものを並べてありますけれども、公営住宅事業債というのは許可予定がどのくらいあったか、教えてください。前に土地計画として発表されたものと、いま年度末になって実際に見通しのある予定額があるでしょう。その分の公営住宅事業債というのはどのくらいになっておるか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  152. 石原信雄

    ○石原説明員 四十七年度の最終的な許可予定額でございますが、土地部門を含む総事業費に対するものといたしまして千五百五十一億でございます。   〔委員長退席、中山(利)委員長代理着席〕
  153. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 水田取得債というのがございますね。これは米の生産調整の一環としてつくられたものです。ところが、最近の総理大臣のいろいろな発言を見ますと、来年から生産調整をやめるというようなことが言われております。もしこれがほんとうであるとすれば、水田取得債などというものはちょっと聞こえが悪いと思うのです。これをやめて何かほかの財源として措置するという御意見は、これは大臣のほうがよろしいかと思いますが、いかがですか。
  154. 近藤隆之

    近藤政府委員 水田取得債につきましは、財源をあらかじめ用意するという形になっておりません。したがいまして、地方債計画の中にも計上されておりませんで、現実問題として、需要があって地方団体から申請が参りますれば、弾力的に運用するということで、ここ一、二年約二千億の規模で許可しておるというような状況で、原資は全部縁故資金ということになっております。
  155. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 私の言うのは、水田取得債というのが発生したのが、元来、要らない田をどんどん買って、米をなるべくつくらせないようにするという趣旨のためにつくったものなんです。ところが、総理大臣の発言を見ますと、今度は生産調整をやめる、減反をしないということを言っているのです。ますます農民の生産意欲を高めようというときに、要らないたんぼは買いますよという看板を掲げておくことはおかしいと思う。これをやめて、こういうものは別なものに切りかえる御意思はございませんか。
  156. 江崎真澄

    江崎国務大臣 この間総理が生産調整をやめるという方向を言っておりしたが、これはまだ内閣として正式にきまったわけではございません。いま御指摘のような矛盾は確かにあると思います。よく検討いたしたいと思います。
  157. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 きのう私は大臣に御質問しようと思いましたが、質問できませんでしたので、どうかひとつよろしくお願いします。  それから、今度、市街地区域だけではなくて、都市計画区域として全域に広がったわけですね。これを見ますと、いままでの市街地区域百十七万ヘクタールに対して、今度都市計画区域八百一万ヘクタールになります。大体六・八四倍、約七倍近いものになるのです。こうなりますと、いままでのような資金よりももっともっとたくさんの金が必要だと思います。これを広げますと、四十八年度資金として一体どのくらい見越しておられるか、この見通しをお聞きしたい。
  158. 近藤隆之

    近藤政府委員 公有地の取得の状況でございますけれども、過去の実績を見ますと、たとえば四十七年度地方公共団体が取得いたしました土地が四万ヘクタール、一兆二千一二百四十八億でございます。それから地方公社が取得いたしました土地が三万六千九百七十ヘクタールで、やはり一兆一千四百九十九億ということで、毎年このところ六万から七万ヘクタールの土地というものを、地方団体なりあるいは都市開発公社が購入しているという形になりまして、二兆程度の金が必要になってくる。昨年もそういう推定を立てたわけでございますけれども、現実問題として、大体その程度土地が今後値上がりすれば、さらにこれがふくれてくるという形になるわけでございます。そのうち、地方公共団体が買います部分につきましては、土地開発基金、地方交付税で、この二年間ばかりやめておりますけれども、積み立ててまいりました土地開発基金の活用、それから地方債の発行、そういったところがおもな財源になるだろうと思います。それから、土地開発公社等が買います場合におきましては、民間資金の活用が主でございますけれども、先ほども申し上げました公営企業金融公庫等の融資の拡充、こういうものをはかっていきたいと思っております。
  159. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 いまの区域が広がっただけでなくて、もう一つの財源的要素は、いまお話しがありました土地開発公社が今度新しく公共取得の仕事をやることになりますね。それに対しても同じように金がかかってくる。非常に膨大な資金になると思うのですけれども、これに対する財源措置をひとつよく考えていただきたいと思います。  それから、もう一つお聞きしたいのは、今回対象区域市街化区域から調整区域まで拡大をいたしましたが、調整区域においてもいろいろな公有地の必要が起きてきたから広げるというのでありますけれども、具体的にこの理由は何であるか、これをひとつお聞きしたい。というのは、調整区域というのは、これは市街化する区域じゃなくて、市街化を抑制すべき区域、こういうふうにうたわれているのです。この中で、どんどん公有地の必要が出てきたということは、具体的にどういうふうな種類の土地需要があるのか、この点をひとつお聞きしたい。
  160. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 調整地域の中に公有地を先行的に取得しておく必要性というものは、市街化区域に比べればもちろん少ないわけでございますが、なしとはしないのでございまして、たとえば大規模緑地であるとか、あるいは広域公園とか、あるいはレクリェーション土地とか、将来の市街化に備えまして、あるいは現在におきましても、そういう調整地域の中に施設をつくるということはございます。それからさらに試験研究所とか、あるいはごみ焼却施設とか、市街化地域の中にむしろ置かないほうがいいというような施設もあり得るわけでございますし、さらにまた、最近、縦貫道あるいは新幹線等の需要もそこに出てまいりますと、こういうこととからみ合わせまして、あらかじめ将来のことを考えまして、むしろ保全するというような立場からする土地の取得ということが主体でございましょうけれども、それを確保しておくということが必要だと考えた次第でございます。ですから、市街化調整区域を積極的にこれによって開発していくという意図に出たのではないのでありますけれども、頻度は、少なくても調整地域につきましても、そのような需要が従来からありました。ただ、従来は市街化区域に限定をしておりましたのは、ここは公共投資及び市街化を重点的にやるところだからということで、そこに限定し、私人間のそういった取引の障害といいますか、そういうものもございますので、こういった取引を勘案いたしまして、限定をしておったわけでございます。今回は調整地域だけでなくて、線引きをしなくてもいいという都市計画区域全体に広げることといたしましたのと考え方は同じでございます。調整区域は保全すべき、市街化をしない区域でございます。ですから、市街化に関係のないそういった施設というものがあり得るという意味におきまして拡大をする次第でございます。
  161. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 そういう意味のことはわかりますけれども、ちょっと心配なことが一つあるんですよ。というのは、調整区域の中に、例の大法人がたくさん買い占め土地がうんとあるんです。これが調整区域であるために動きがとれないで非常に困っておるのは御承知のとおりなんですね。そこで、これが調整区域に広げられたということ、このことは、この買い占められた土地に対する一つの大法人の圧力だとか、そういうものからこれを広げていくところの一つの手始めになるのではないか。あるいは、いまは自治省ではそういうことはないかもしれませんけれども、そういうふうに利用される危険性も非常にあると思うんですね。これは大臣からお答えをいただきたいと思います。
  162. 江崎真澄

    江崎国務大臣 そういう憂いは多分にありますので、そういうことを厳に押えていかなければなりません。また、本来買い占めや思惑で調整区域は買えないわけですね。したがって、おそらく仮登記というようなことでお茶を濁しておると思います。したがって、そういうものについてどうするかということは、今後の土地政策の一環として十分規制をしていく必要があるというふうに思います。本来、私どもは、今度この公有地拡大推進法と相まって住宅用地を確保する場合に、都市計画区域全域が買収対象になって、地方公共団体土地宅地化や住宅開発をやる場合は、そう乱開発ということはやらないんじゃないか、したがって、これを調整地域都市計画区域全般に延ばすべきだという主張をいたしましたが、これは建設省側の判断で、どうしてもそれは無理だということで、まだいま実現に至っておりません。しかし、いまのような、本来売買対象にならないものが思惑等によって手付が打たれ、それが仮登記になり、将来見直されたときには思惑した人の手に移るというようなことは、今後の問題として規制しなければならぬと思いますね。これはやはり十分考えてまいりたいと思っております。  それと並行して、いまの住宅用地都市計画区域全般を見直すということは、安い住宅地を供給するというたてまえから言いますると、これはやはり建設省側にも理解を願わなければならぬのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  163. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 これはこれからの問題なので、一応念のために話したのですけれども、いまちょっと一つの例を申し上げますと、一月二十七日の朝日新聞にこういうふうに書いてあるんですよ。これは江崎自治大臣関係があることが書いてあるんですが、田中首相は金丸建設大臣に、線引きはそれ自身が間違っている、一応悪いということがわかっているなら直してもいいではないか、五年のものを二年に繰り上げても手直しすべきだと述べて、江崎自治相もこれに同調したと書いてあるんですね。私、これ見まして、もしこういうことがきっかけになるようなことがあればと思いまして、念のために申し上げたのですが……。
  164. 江崎真澄

    江崎国務大臣 それじゃちょっと念のために申しますが、いま御指摘の点は、これは重要な前提が抜けているんですね。それはちょうど、私がさっきお尋ねがないのにお答えしました点、要するに、地方公共団体開発公社等によって今後住宅手当てをしていく場合には、これは都市計画区域全般を対象にしていいのではないか、そういう地方公共団体対象にした場合は線引きの見直しとか、そういうことが考えられていいのではないかということを言うたわけです。また、総理もそれを本来言っておるのですね。ところが、それがその後世上に誤り伝えられて、それは大商社等の思惑買いを合法化するためにああいう発言をしたんじゃないかという誤解を招いたようです。ですから、その点は、総理も、土地政策については非常によく知っております。これは私どもももちろん他意あって言うたわけではなくて、地方公共団体の場合、住宅開発の場合、これは予算委員会で何べんも私はお答えしておりまするので、速記録等をごらんいただけばおのずと判然とすると思いますが、ありがとうございました。念のために弁解するチャンスができましたが、これはほんとうに重要な点ですね。それは簡単な線引きの見直しが、非合法な手付金による仮登記などということで思惑をしておる者の便宜供与になるなんということになったら、これは道徳上から言いましても大問題ですね。ですから、そういう点は今後厳に戒めていきたい。むしろ、さっき私が申し上げましたように、将来住宅用地は、やはり都市計画地域全般で地方開発公社が手がける場合は見てもらいたいということを私は主張しておるのです。また、そうでないと、勤労者のために比較的安い宅地供給ということがむずかしいのですね。地方公共団体乱開発しないということが、これはまた前提に出るわけですから、そのあたりが十分規制されるということになれば、建設省側としても同調してくれるものというふうに考えております。そういう場合に、いまの仮登記など、非合法なものはこの委員会でもしばしば問題になりましたね。ですから、そういうものに対するしかるべき規制をして、正直者がばかを見ないような土地政策を確立していくことが大切だというふうに考えます。
  165. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 いま大臣からいろいろお話しがありましたが、私も、確かに、地方公共団体にまかせて、民間のあれにまかせないようにしてやらなければ、必ず乱開発になると思いますよ。その点はよく念を押して御指導願いたいと思うのです。それと同時に、いまやっているのが、たまたまそういうような懸念しているような問題に移行しないように、この点もよく御留意願いたいと思います。  それから、先買いの問題で、こういうのはちょっとどうかと私は思うものがあるのですけれども、これは二十三日の朝日新聞です。今度筑波学園の法案が通るか通らないかわかりませんけれども、現実に筑波学園都市周辺の事業が始まっているわけですね。これを見ますと、「買いあさり急テンポ、公共施設建設ピンチ」と書いてある。私はこういう例があちこちにあると思うのですよ。何もきまらないのならさっきのようにいろいろな問題が出てきますけれども、もうすでにすっかりこうしてきまることがあって、もうマスタープランがちゃんとできておるのに、何にも買わないで、そしてあとから買えば高く買わなければいけない。こういうものこそ少なくとももっと進めて、そして公共団体でも、どこでもいいから、公有地としてどんどん先に買い上げなければいけないと思うのです。もっと激しい例は、たとえば高速道路をつくるでしょう。インターチェンジのところがもうどんどんでたらめにやられているのです。こういうところは将来何かしら必要になってくるから、ここがいいなと思うようなところは先買いしておく必要がある。そうでなければどうにもならなくなるでしょう。こういう問題をひとつもう少し考えていただきたいというふうに考えるのです。  それからもう一つ考えていただきたいのは、いまリゾートハウスだとかなんとか盛んにつくっている。あちこちもうでたらめに別荘をつくっている。これはゴルフ場に次ぐ、乱開発もいいところです。しかも、ゴルフ場は、草を植えて、出入りする人も少ないが、しかし、別荘団地をどんどんつくっていきますと、乱開発されて、自然が荒らされるだけではなくて、それから出る汚水が付近のきれいな川にどんどん流れて、川をよごすところの元凶になるかもしれないという点で、別荘地の問題は、これは先買いすべきかどうかちょっとわかりませんけれども、この問題はうんとこれから考えていかなければいけないと思いますが、これらに対する見解を伺いたい。
  166. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 まず、後者の別荘のほうから申し上げますが、別荘地が開発されるような場所は大体集団的に固まっているところが多いと思います。最近、地方公共団体がこれに一番困るのであります。いまの御趣意の問題もさることながら、道路その他の公共施設があと追いしなければいけないということになるのです。そこで、これらの別荘地帯につきましては、まだ都市計画区域外というのがありますれば、これを都市計画区域の中に入れ、かつ、それを何よりも規制し、コントロールするということが必要でございますので、いい開発に持っていく、あるいは悪いものは禁止するということが必要でございます。線引きをいたしまして、どうしてもここは開発してはいけない、ここはこういう条件なら開発していいという市街化区域、調整区域の別を明らかにする必要があるというので、そういう市街化区域、調整区域の線引きの追加を要望している市町村が約百近くある。要望がございますのは、たとえば別荘地帯の、名前をあげませんけれども、伊豆半島の方面とか、あるいはそういう観光地的なところに多いのでございます。私は、まず、そういう規制の土俵をつくるというところから始めなければいけないと思っておりますが、いま、そういう要望を、これは真に地元の地方公共団体一つの姿勢の問題とも関連いたしますので、慎重に検討しておる段階でございます。  それから、研究学園都市の例を引かれましての、地価の暴騰の一つの核になるということと、あらかじめ必要な総合的な計画は確定しておいて、用地の先行取得をしろという点につきましては、きわめて同感でございます。御承知のとおり、研究学園都市につきましては、その必要とする面積はほとんど全部収用及び取得を完了いたしておりますが、いまおっしゃいましたのは、それにつなぐ道路あるいはインターチェンジ、あるいはその周辺に集まってくるそういう需要のために地価が上がっているということでございますが、これを押える方法としましては、これは筑波学園都市だけの問題ではございませんで、全国的に見られる現象であり、これから先、都市開発を重点的に行なっていけばいくほど、その周辺の地価の計画増価と申しますか、計画したから上がっていくという波及効果をいかにして食いとめるかという問題として、総合的な地価対策をこれからやっていかなければならない。何よりも非常に大きいのは、仮需要と申しますか、それが多過ぎるということと、それから、その上がった利益というものが個人に全部吸収されるといった仕組みの中にあると思いますので、非常に大きな構造の問題を踏まえておりますが、総合的な策を打っていかなければいけない。これらにつきまして、政府では、税制問題あるいは土地利用計画規制を踏まえた一連の地価対策関連法をこの国会等でも逐次提案している次第でございますが、そういう方向で地価対策を進めていかなければならないと考えます。
  167. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 それから、土地開発公社の設立の問題ですけれども、いま資料を見ますと、都道府県で三十五公社、それから指定都市で九、市町村で三百五十三、合わせて三百九十七の公社ができ上がっているというふうに言われておりますが、昭和四十七年十月一日で、開発公社は都道府県六十四、市町村九百十六、合わせて九百八十という数字は、そのとおりですか。
  168. 近藤隆之

    近藤政府委員 そのとおりでございます。
  169. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 ちょっと伺いますが、本法による土地開発公社への組織に従来の土地開発公社の組織を変更したのはどのくらいございますか。ついでに、新設のものも教えてください。
  170. 近藤隆之

    近藤政府委員 先生が先ほどお話しになりました公社の数でございますけれども、その後ふえておりまして、六月二十五日現在の数字を実は一昨日お配りしたわけでございますが、都道府県におきましては三十五設置済みで、未定が十二でございます。市町村では五百四できておりまして、関係市町村数が一千八にのぼっております。この都道府県三十五、市町村五百四の公社でございますが、このうち組織変更によりますものが、都道府県三十五のうち二十八でございます。七つは新規設立になっております。それから、市町村の場合、五百四のうちで、組織変更によりますものが百五十六、新規が三百四十八という形になっております。
  171. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 わかりました。  それで、残余の公社があるわけですが、この公社はこのままやはり残しておくつもりですか。
  172. 近藤隆之

    近藤政府委員 千に近い、土地開発公社等のいわゆる地方公社が昨年十月現在あったわけでございますが、これはすべて民法法人でございまして、行なっております業務の内容が土地の取得、造成だけでなくて、いろいろな上物までもやっておるというような形のものがほとんどでございまして、内容については千差万別でございます。ところで、公有地拡大推進法によってできました土地開発公社、これは現在のところ土地の取得、造成だけしかできないという形になっております。そこに一つの制約がございまして、都道府県などで組織変更をやりましたものは、上物的なもの、そういったものを切り捨てて、この土地開発公社に一元化したわけでございますけれども、未設置の県は、その上物の分を切り離して別の公社をつくるかどうかというようなことで迷っておったわけでございます。そういうような関係もございまして、今回の改正では、地方公共団体の委託を受けて上物もできるということにいたしましたので、従来の土地開発公社をこの法律に基づく土地開発公社に移行するのが移行しやすくなった。今後、したがいましてふえてくるだろうと思います。  それから、市町村の場合でございますけれども市町村の場合は、単独で設立するというケースが数からいけば多うございますけれども、御案内のように、たとえば秋田県、岩手県等でも、広域市町村県単位で土地開発公社をつくるというような共同設立のものがございます。そうした場合には、結局、前の単独で置かれております市町村の公社というものが、任務を終えて、そこに実質的に吸収になる形になるのか、あるいは、その町によりましては、必要に応じてまだ残っておるというところもございます。事務の内容がいろいろございますので、一律に従来の開発公社がなくなるということは申し上げられませんけれども、今度法律でこの土地開発公社というものができますと、それなりにメリットがあります。特に税制の面でもメリットがありますので、各地方公共団体、これに移行してくるであろうと思っております。
  173. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 そうすると、大体新しい土地開発公社に統一していきたいという方針ですね。それであれば答えなくてもいいのです。  この土地開発公社ですけれども、今度、いま話されましたように、土地の取得、造成、管理、処分だけではなく、各種の公共施設の整備事業を合せて行なうことができるということになるわけで、公共団体などがこういうような大規模な仕事を公社にまかせる。これはそれなりに理由があると思いますけれども、ただ、公共団体以外のこういう団体が、土地の取得もすれば、その上のせの事業もどんどんやっていって、事業内容も財政規模もどんどんふくらんでいくと思うのです。そうなるといろいろな問題が出てくると私は思うのです。特に、役員構成の中で非常に大きな問題が出てくると思う。これは、議会にかかるのは、要するに市町村あるいは県、地方公共団体から金を出す、そのとき予算として組まれるので議会の詮議になる、こういうことなわけですね。貸借対照表だとか、特に資金計画だとか、財政計画だとか、そういうものが実際にそのままもろに議会にかかっていくわけじゃないわけですね。そういうようなことから考えますと、議会の監視体制というものがかなり行き届かないと思うのですよ。しかし、実際にこの公社の役員の構成を見ますと、単に執行部の人たちだけではなくて、議員が非常に入っている。議長であるとか、建設委員長であるとか、建設委員であるとか、いろいろな議員がうんと入っていっているんですね。そうしますと、非常にうまくないことがあると思うのですよ。執行権と議決権というものが一緒になって仕事をやって、だれが一体それを監督するか。これは、やはり、それを議会にかけても、議長が理事長になったり、副理事長になったりしていると、議会だって遠慮して審議できませんよ。そこでいろいろな問題が起きてくる濫觴になる危険性が非常にあると思うのですね。そして、そういう例が、いままでのこういうような公社的なものにいろいろあったんです。私も実際にこういうようなものをやってきて経験しているんですけれども、数あるんですね。しかも、今度、非常に金額なり規模が大きくなった場合に、ますますこの問題が起きてくる。特に、この資金関係を見ますと、地域開発事業というものの中には臨海工業用地等造成事業、内陸工業用地等造成事業、流通業務団地造成事業、都市開発事業というように、非常に範囲の大きい、規模の大きいものが含まれてきているんです。これはやっぱり問題としてかなり考えておかなければいけないと思うのですけれども、たとえば公社の構成上の問題についても、議会の議員は入られないとか、そういうような一つ規制措置なり監視の措置なりをもう少し考えていく必要があるんじゃないか。たとえば予算、決算は必ず議会にかけなければいけないとか、何かしらの措置が必要だと思いますけれども、いかがですか。
  174. 近藤隆之

    近藤政府委員 この公社の性格からいたしまして、議会の議員の方々が入られることは好ましくない事実が起きた例が過去にあるということは事実でございます。それでも、新規設立の場合には、ほとんど議会の議員さんは入っておられないのです。ただ、従来の組織変更のものは、前からの経緯があって入っておられるようなものがございます。われわれの考え方といたしましては、結局、地方団体の自主性にまかせますけれども、できれば議会の議員さんなどは入れられないほうが適当ではなかろうかというような気持ちは持っております。  それから、なお、議会に対しまして事業内容等について全然知らせない、承認を受けないというようなお話しがいまございましたが、実は、承認という形ではございませんけれども、昨年、この公社設立後に財政法の一部改正をいたしまして、長が、毎年の事業計画等について承認を行ないます。行なった場合に、長がそれを議会に提出するという条文を入れてございます。したがいまして、議会は、ことしどういう事業を行なうかということはその事業計画によりまして知ることができますし、当然のことながら、決算関係につきましても議会へ送付されますので、どういった成果があがっておるかということはわかるわけでございます。  それから、なおまた、この公社が仕事を行ないますのはほとんど借り入れ金によるわけでございまして、公社が借り入れを行ないます場合に、すべて地方公共団体の債務保証が要りますので、その債務保証の関係で議会の議決が要ります。それから、上物等の事業の委託を受けてこの公社が仕事を行ないます場合においては、委託に関連いたしまして、予算あるいは予算外義務負担、債務保証といった形での議会の議決を得るということで、議会は公社がどういうことをやっておるかということは絶えずわかるような仕組みになっておりまして、議会審議を通じていろいろ御議論いただけるという形にはしてございます。
  175. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 よくわかりましたけれども、どうも議会が入ると、必ず執行部というものは遠慮をするのです。これに非常に文句つけられたり、建設委員長に文句をつけられたりすると、まず、長は、思い切って自分の思うようなことはやれない。これは例を見ても幾らでもあるのですね。私は、議会は入られない、議員は入られないという規定をつくるべきだと思うのです。議員が入るのは、議員を通じて民間の手が伸びてきて、こういうものがトラブルが起きる原因になるのです。これは必ずそうなるのです。だから、私は、この公社の中には議会の議員は役員として入られないという一項をつけておくべきだと思いますけれども、どうでしょうか。
  176. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは非常にむずかしい問題で、議員と業者の癒着を想定して禁止したなんということになりますと、これまた議員軽視で問題にもなるわけです。おっしゃる意味はよくわかります。また、事実、そういう弊害が、まれではありまするが、地方公共団体の実例にも見られるわけなんで、そういう点は今後十分注意を払いまして、そういう弊害がないように行政指導の面を強めてまいるということで、当分これは見守っていくということで御了解をいただきたいと思います。
  177. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 それはそれで終わりますけれども、地価公示の問題について少し聞いておきたいと思います。  この法律の中に、地価公示法に基づいて公示価格を基準としなければならないというふうにありますけれども、現実と実際はどういうふうに違っているかということは先ほどからいろいろお聞きしておるようですから聞きませんが、一つお聞きしたいことは、政府が起債を許可する場合、あるいはまた公営企業金融公庫が金を貸す場合、起債の許可基準は公示価格でやりますか。
  178. 近藤隆之

    近藤政府委員 自治省が起債を許可いたします場合、また、公営企業金融公庫が融資をいたします場合は、どれだけの土地を買うのにどれくらいの金が要るという地方公共団体あるいは公社の申請そのままを信用いたしまして、それだけを所要額として起債許可なり融資なりを行なうということでございます。地価公示価格というのは全部の土地にあるわけじゃございません。ほとんどの土地がそれを基準として、実際に買う土地はそれを基準として地方団体がきめた価格でございますので、われわれのほうといたしましては、その地方団体の必要とする金額というところを信用して、それに対して金をつけるという形になります。
  179. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 そうすると、実際土地価公示というのはあってもなくてもいいということですか。法律にちゃんとこれを基準としてやらなければいけないと書いてありますが、法律をつくった本人が、それはもう必要ないということではちょっとおかしいと思いますがね。
  180. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 お説のとおり、実際に土地を取得いたしますときには、その土地の価格は地価公示を基準として取得することにいたしておりますし、また、そのとおり行なわれております。  ただいま申されました起債その他の積算の問題につきましては、過去の経験によりまして、大体予算でございますから、地方公共団体が現実にいまそれをはじいているものをあげている場合もございますが、たとえば住宅建設のごときは、何万戸というような一つの場所を、まだ未定を含めまして、戸数で申請してくるような場合がございます。そういう場合は、一つの標準予算単価と申しますか、そういうもので申請する場合が多かろうと思いまして、そういうことをいま自治省のほうからお答えしたのだろうと思います。
  181. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 わかったような、わからないような、よくわからないのですが、そうすると、この公示価格で起債するなり、公庫が融資なりをするときに、表示価格でやって、いまそのとおり行なわれているという話ですが、公示価格で現実は買い上げているという話ですか。
  182. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 公示価格を基準として行なっておる。御承知のとおり、地価公示制度市街化区域の中においていままで行なわれてきました。このたびこれを都市計画区域の中に広げることといたしまして、その地点数を広げることになっておりますが、その場合には、従来は、地価公示の標準とすべき標準地がないような場合には、そこから引っぱってきてそれを基準とすることができないために、その基準とすることができない場合には、近傍類地の価格等をしんしゃくいたしまして公正な適正価格をはじいておったのが実情でございます。でございますから、公示価格を基準として行なっておったというのは、その標準地がきめられ、公示された価格がある場合に、主として市街化区域の中でございますが、それを参考とし、基準として引っぱって計算しておった、こういう意味でございます。
  183. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 そうすると、公示価格がある場所で買った例はありませんか。それはそういう場合で、いまお話しを聞きますと、公示価格で買っているということですね。
  184. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 一ヘクタールに一地点、標準地を設定いたしましてその価格を公示するのがいまの公示価格の制度でございます。一万二千ヘクタールにつきまして一万二千カ所を指定、公示する計画でやっているわけでございますが、その標準地点そのものを収用にかけたという例はきわめて少ないのではないか、ほとんどないのではないかと思います。その周辺あるいはAとBの中間に存在するようなところを両方から引っぱってきて計算するという例が圧倒的に多いのではないかと思います。   〔中山(利)委員長代理退席、委員長着席〕 標準地点そのものを収用したという例は、ちょっといまお答えできないので、御了承を願います。
  185. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 いまお話しを聞いておりますと、もう全く公示価格で土地は買えるのだ、そういう感じを受けますけれども、そう言っているのですか。
  186. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 公共団体が、公社を含めまして取得いたしますときには、公示価格を基準として取得すべきことになっております。したがいまして、買い取り成立しなかった理由の中で、先ほど申し上げましたもので、価格の折り合いがつかなかったというケースが多いというのも、公示価格の範囲内、公示価格を基準として、それではじいた妥当な価格という範囲を越える場合には買収できないのでございます。ですから、公示価格というものは、その標準地点は表示されておりますし、その地点をかりに収用する場合でも、あるいは取得する場合でも、六カ月たちますと、一月一日にこれを公表いたしますから、時差修正いたしますが、そういうことで、それを基準としてやっていることには間違いないのでございますけれども、それと実際の協議による場合とでは、この法律の施行におきまして協議成立しにくいというのもそういう点にあるわけでございます。
  187. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 しかし、実際にはなかなかそういうふうにいっていないようですよ。たとえば、これは朝日新聞の記事ですが、都でなかなか公共用地が手に入らない。これが安いつけ値で地主がいやだと言っているというんですよ。これはなかなか手に入らぬ。一つには、公示価格で買わなければいけないから手に入らぬということは、逆に言うと、公示価格が公有地拡大を阻害しているということにもなりますね。それで、現実の問題として、ちょっと資料を持ってきませんでしたが、いま近藤さんが言われましたが、許可する場合に、公示価格に見合った額で起債を許可するということは別に近藤さんとしては言っておられないわけですね。とにかく、向こうから来たものを信用してそのまま起債をつけてやるんだと言うのですが、大体、向こうから持ってくるものが全部公示価格と見合っているのですか。
  188. 近藤隆之

    近藤政府委員 公共事業の場合につきましては、先ほど来大塩参事官がお答えしておりますように、地方団体は公示価格で買うことが義務づけられておりますので、それで買っておるということでございます。それで大体買えるであろうというのは、先ほど、起債の段階では予算だというお話しがございましたけれども、それで買えるであろう、あるいはまた、内々話し合いがついた、それを積算して、これくらいの金額が要るという申請がございまして、それに対して起債を許可する、融資を行なうという仕組みになっております。
  189. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 地価公示価格を基準として売買する、こういうことになっておりますけれども、いまいろいろお話しをされましたが、現実にはほとんどこういうふうにはいっていないと思うのです。常識を越えたような、公然とした土地取引が行なわれていると思うのです。これの一番いい例が、この前問題になりましたNHKのあと地です。これは公示価格の二倍ですね。坪一千百万という、とんでもない価格でもって買われているのですね。こういう現実を見ますと、公示価格無視の取引がどんどん行なわれて、公示価格は現実には何の役にも立っていない。これを発表するために、かえって地価高騰をあとから認めるというふうな逆の効果になっているんじゃないかという感じもするんですね。それから、もう一つは、地価公示価格をあまり尊重すると、いま言ったように、公有地拡大がむしろ進まないという逆の阻害の状態にもなっている。これはちょっと考えてみますと、あまり高く買うとインフレになるから買えないということになりますので、逆に阻害の要件にもなっているというふうにも思うのです。  それで、御質問しますけれども、地価公示価格というものをもっと徹底して、ほんとうにこれでいかなければ土地は買えないぞというふうなことをやらなければだめだと思うのですが、何かそういう方策がありますか。
  190. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 初めに、地価公示価格の算定のしかたでございますが、これは客観的な公正な市場価格というものを出すということを本則としておりますので、したがって、これは、ある種の主観的な、こちらから押しつけた客観性のない価格というものではございませんので、したがって、年々その効用があがってきまして、当然、取引価格も、周辺のものも妥当と見られる範囲内ではこれくらいまで上がっているというふうなものを参考としながらきめているものでございます。これは動くものでございます。したがって、その意味で言えば、正しい意味における時価を表示しているというふうに言うことができる。したがって、公共団体はこれを基準としてやりなさいということで一つの指標を与えた、標準値を与えたものでございまして、公共団体はこれを順守すべしということで、通牒措置指導しておるのでございますが、民間につきましては、取引の実態等から見まして、これはどうしてもそこでなければいけないのでほしいとか、そういういろいろな主観的要素あるいはせっぱ詰まったいろいろな事情がからみ合いますと、これは相対的な価格がそこに生じてまいります。したがって、民間に、一律に地価公示価格を基準にして買わなければいけないということを言うことにつきましては、そこに限界があるというふうに私は考えております。
  191. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 いまいろいろ議論したことでもわかりますように、一番の問題は、地価が大幅にどんどん高騰していくということがいろいろな問題のもとになっていると思います。この地価公示制度でも、結局、この制度を地価上昇が食ってしまっているということなんですね。逆に言うと、こういう程度のことでは地価上昇をとめられない。地価上昇をとめなければ、この制度は何も生きてこないという感じがするのですね。やはり、根本の問題として、地価騰貴というものは一番大きな問題だというふうに思います。国民生活の上にも非常に大きなガンになっているし、これに対する強力な手を打っていただきたい。  それで、ちょっと大臣にお伺いをいたしますけれども、けさの読売新聞に一これは各新聞に出ていましたが、「物価凍結など首相に要望へ」としまして、「自民党の若手議員で組織する「昭和会」は二十八日、田中首相に時代に即応した土地、物価、公害対策を即時実行するよう申し入れる。「昭和会」は参院大阪地方区補選の敗北をきっかけに、都市政策を協議してきたが、二十七日の総会で1過去十年間に売買された都市周辺の土地のうち、いまだに宅地に使用されていないものは強制収用の道を開く2大企業による土地買いあさりの利益を国が吸収する方途を講じる3物価の一定期間凍結4公害発生企業の営業停止——などの点で一致し、これを首相に申し入れる。」と書いてあるのです。これは社会党ではなくて自民党の中からこういう声がどんどん盛り上がるほど、これほど事態は深刻だと私は思うのです。そこで、一つの御提案ですが、大臣は非常に実力のある大臣ですので、ひとつ総理大臣にでも進言いたしまして、日本のいろいろな問題の最大の根源である地価の問題に対して、これをしばらくの間凍結するとか何かして、先ほど私ども小川委員が言われましたように、各県ごとに土地評価委員会をつくって、あらゆる土地は全部そこでなければ売買できないとか、そういうふうな非常手段というか、強い手段を講じなければこれは解決できないと私は思うのですよ。これに対する御意見をお伺いしたい。
  192. 江崎真澄

    江崎国務大臣 地価公示価格というものは、やはり守られることが望ましい。いまは固定資産税の評価額、それから相続税の評価、これが三通りになっておるのですね。したがって、地価公示価格はまだ調査地点も少のうございますし、公示の範囲も狭いわけですが、将来はこれに一本化していこう、こういう体制で臨んでおるわけであります。  ただ、先ほど建設省のほうから説明しておりましたように、どうしてもほしいということになると、現在の経済取引の原則から言って、これを抑制するわけにはまいらない。公共団体の場合は当然そういうものは買えないわけで、公示価格以上には買わないということで規制をしておりますし、その原則を貫いておるわけでございますね。したがって、この問題は御意見として拝聴して、今後、公示価格一本化という場合、どういうふうに処置していくか、もっと御意見等も取り入れて、万人がよく納得できるような制度にこれを成長させていくことが望ましいというふうに思います。  それから、党内の若手議員からのいろいろな献策でありまするが、これは二百八十三人もおる政党でございますから、そういう活発な意見が出ることは非常にいいと思うのです。そこの中では、全部が全部すぐできるものではありませんが、やはり、総理が党内の特に若い人々の意見をくんで政策を前進させるということは望ましいことだというふうに私は思っております。ただ、現在、土地価格をしからば凍結してはどうかという佐藤さんの御提案については、いまの制度から申しまして、また、憲法上の、私有財産を認めた立場から言いまして、ちょっとこれはむずかしいのではないかという感じがいたしますが、少なくとも、地価の凍結にひとしいくらいのあらゆる政策を、今度、国総法を中心にして——これもその一環でありまするが、土地対策をとっておるわけでございます。要するに、少なくとも土地が金もうけの対象物であってはならない。これは、土地政策法案が通過をすれば完全に防止できるものというふうに思っております。それからまた、防止できない点については、今後どんどん改正をいたしまして、国民の共通の資産であるという前提に立った土地政策の展開を進めたいというふうに考えております。
  193. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 最後に一つ伺いしたいと思います。  実は、いま、東京拘置所あとに新都市開発センターというのが大きなビルを建てることになっていますね。それで、私は、いま公有地拡大問題に関連いたしましてお伺いしたいと思いますが、いま、公有地がほしい、あるいは運動場がほしいということで、特に、東京の中は、公園、緑地、空地がなくて非常に困っていることはもう御承知のとおりです。ところが、この東京拘置所あとの約二万坪を、何のことはない、民間のデベロッパーで——第三セクターであるかもしれませんけれども、財界の人が集まったそういうものにやって、六十階というようなふたごビルを建てるという計画があるんですね。これはほとんど事務所です。住宅は申しわけ程度に少しあるだけで、そして、住民が五千坪ぐらい必要だと言うのを、二千坪ぐらいの小さな公園を申しわけ的につくって、あとは全部ビルを建てる。これは新聞記事ですが、でき上がればこういうふうになるだろうという想像図があるが、私はこれを見まして、非常に矛盾を感じました。この中に二万坪という、しかも国有地があるのに、これを東京都の公園なり、いろいろなそういうものに使わないで、それでなくてもラッシュで困っているのに、こんな大きなビルを建てて、ここに人を集めて、東京をますます過密の地帯になぜするのか。ここに書いてありますけれども、これができれば、大体浦和市の人口が全部あそこに集中されたのと同じ結果になる。ごみの問題、水の問題、排水の問題、交通の問題、ガス、電気の問題等、あらゆるものが全部、これができるためにつくり直さなければいかぬ。しかも、これによってどういうメリットがあるかというと、デメリットはあるけれどもメリットは一つもないと私は思うのです。しかも、これは国有地なんです。いまこうして公有地拡大法案で騒いでいるときに、なぜ、こんな東京のどまん中の貴重な土地を民間のデベロッパーなんかにやって、こんなでかいものをつくって、東京をますます過密の都市にしなければいけないか。  そこで、ちょっとお聞きしたいのですけれども、東京拘置所を新都市開発センターというのに売り払うのは、これは建築交換方式というような、聞いたことのない方式らしいのですが、この最初あたりの事情をひとつお聞かせいただきたい。
  194. 水原敏博

    ○水原説明員 営繕課所管の事項に属する問題でございますので、私から御説明させていただきます。  先生承知のとおり、池袋にございました拘置所、これは戦後巣鴨刑務所といたしまして、巣鴨プリズンということで、収容施設として活用しておったものでございますけれども、これが、昭和三十二年ごろ、小菅にございました東京拘置所をここに移すことになりました。しかし、ここに移しましても、行く行くは副都心として発達すべき池袋周辺にこのような広大な土地を拘置所敷地として存置することは必ずしも好ましくないという政府の御方針で、昭和三十三年二月二十一日付で閣議了解事項となったわけでございます。これは「東京拘置所の復元についての方針」と題するものでございます。巣鴨刑務所に小菅にございました東京拘置所を復元いたしますけれども、復元することには首都圏整備計画上支障があるから、極力早期に、法務省並びに首都圏整備委員会その他関係省庁において適当な候補地を決定して移転することという閣議了解がなされたわけでございます。  この閣議了解が出ました後、法務省といたしましては、この閣議了解事項に基づいて早期に移転すべき方向で鋭意検討を進めました。まず、了解事項の中に、「首都圏整備委員会等と協議した上」とございますので、同委員会に適当な候補地の選定を依頼いたしました。三十四年の十月ごろから三十八年の七月ごろまでの間に再三にわたってお願いいたしました結果、同委員会から移転候補地十一カ所の提示がございました。しかし、刑務所、拘置所を移転するとなりますと、これはたいへんな民族の集団移動でございます。被収容者のみならず、それにつとめまするところの職員、家族の移動を伴います。そういうことで、学校、それから交通機関、それから水道、下水道等いろいろな条件がございまして、それを充足していただける候補地がなかなか見つかりませんでした。そのために同委員会からの御提示を受けました十一カ所につきまして検討いたしましたけれども、適地がございませんでした。あらためて三十九年の十二月、今度は東京都にひとつあのあと地を御利用いただいて、そのかわりに東京拘置所、これを移転する先をごあっせんいただきたいということをお願いいたしております。その結果、東京都でも御検討いただいたようでございますけれども、何せ相当な価格にのぼるものでございますので、都は、財政上の理由で、法務省の要望する移転候補地等のあっせん、それから建物の建築等にはとうてい応ぜられないという、まことに残念なお答えがございました。その後いろいろとそういう公共団体への働きかけを法務省は続けてまいりました。四十一年二月ごろにも、東京都に対して、同じような建築交換契約による候補地と建物の建築をお願いいたしたいというふうに再度照会をいたしましたけれども、従前どおり、財政上の理由でこの依頼には応ずるわけにはまいりませんという御回答がございました。そのように、三十三年の閣議了解後、法務省といたしましては、首都圏整備委員会並びに東京都にいろいろとお願いをいたしまして、適地のあっせん、それからあと地の利用等の御依頼を申し上げましたけれども、四十一年二月ごろに至りまして、最終的なお断わりをいただきました。  たまたま、四十一年の十月ごろに、都市計画審議会が、池袋副都心再開発に関する都市計画事業を決定されました。その少し前ごろ、株式会社新都市開発センターが、自動車ターミナルの事業免許並びに都市計画事業の特許を取得いたしました。それで、このあと地をひとつ利用させてほしい、そのかわりに、その土地に相応する拘置所の移転先及び建物の建築に応じましょうという申し出があったわけでございます。法務省といたしましては、先ほど来るる御説明申し上げましたとおり、首都圏整備委員会並びに東京都等に極力土地のごあっせん方を御依頼申し上げておったけれども、それがどうしても実行できないという苦しい立場に立たされ、しかも、四十一年の十月に副都心再開発に関する都市計画の事業の決定も行なわれましたので、この期に及んで、その株式会社新都市開発センターとの間で交渉を持ち、そして、四十二年の二月に、同センターを相手とする建築交換契約を締結いたしまして現在に至った。これが、巣鴨にございました東京拘置所のあと地利用に関する事業計画のあらましでございます。
  195. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 いま申し上げましたように、私は非常に残念だと思います。財政上の問題だけで、新都市開発センターなどというものにあんな貴重な土地を売り払ってしまうということに対する政府考え方が非常に私は残念だと思うのです。これは、前の記録を調べてみますと、これに関与しているのは川越市と岡山市と旭川市、ほかのところは全部地方公共団体がやっていますけれども、いまいろいろ理由を述べられましたが、東京だけが株式会社新都市開発センターというのにゆだねてあるのです。これが大体世人の疑惑を招く一つの原因になったと私は思います。現実に、前の国会の予算委員会その他でも、これは少しおかしいじゃないかという質問があったようですが、新都市開発センターというものの発起人なり、現在の役員なりを見てみますと、これはたいへんな、大財閥の人たちがみんな集まっているのです。ソニーの社長であるとか、安西正夫昭和電工株式会社会長、石川六郎さん、今里広記、小林中一今日出海、いろいろな人が集まってつくっているのです。なぜこういうふうな方法をとるか。この金額を見てみますと、五十三億六千百万円です。これはいまから八年か七年前ですけれども、それにしたって、たった五十三億六千百万円です。大体、これで東京都が金がないと言ってくるのも私はおかしいと思う。だけれども、金がないからといって、いきなり株式会社新都市開発センターというものにやるというのも、これもまた私はおかしいと思う。たった五十三億くらいの金なら、これを国が起債なり何かでめんどうを見てやればいいのじゃないですか。現に、いま、二万坪のうち二千坪が公園になりましたね。あの公園は、この記録を見ますと、無償で国があそこを使わせることになっているのです。それと同じ方式をなぜやらないか。無償でなくてもいいから、国が金を貸して、あれだけの二万坪の土地を確保しておくべきだと私は思うのです。いまごろ公有地拡大だといって、こうしてわんわん騒いでおるが、もうすでにあのころ、東京は過密がたいへんな問題になっているころです。それにもかかわらず、ああいう二万坪というたいへん有効な土地をこういう株式会社に渡してやるということは、これは疑われてもしかたがないと思うのですよ。  そこで、このふたごビルですが、一体、これはいまできていますか。
  196. 水原敏博

    ○水原説明員 現在、まだ建っておりません。
  197. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 こんなに貴重な土地ですから、もう一ぺんこれを国なり都なりへ取り返す方法はありませんか。そういう意思はございませんか。非常に貴重な土地だと思うのですよ。そして、こういうような建物を建てれば、これは六十階ですからね。あそこの霞が関ビルの倍ですよ。あそこをちょっとのぞいてみるとわかりますが、あそこにその倍の建物が二つ建ったらどうなるか。いま、現地で問題が起きているのです。日照権の問題だとか、それから突風が起きてきたらたいへんだとか、そういう問題が起きてきているのです。しかも、いま申し上げましたように、水が一日に九千トン必要だ。東京都はとてもこれは供給できない。ガスもそうだし、電気もそうだし、道路もそうだし、しかも、このビルの中に高速道路のインターチェンジを入れる計画なんだ。あらゆるものが全部あそこに集中して、身動きがとれなくなる。たいへんな混雑になると思いますよ。この写真を見ておわかりだと思いますが、こういう例はおそらく——ニューヨークにいまふたごビルをつくるといっておりますね。エンパイアステートビルよりもっと大きなものをね。あれと同じです。ところが、はたしてあれが必要かどうかということで、あれはいま大問題になっているのです。これは、いまの段階になってくれば、東京をますます過密にするデメリットだけがあって、メリットは一つもないのです。まだこの建物は全然建っていない、着工していないとすれば、あれを取り返すべきだと私は思うが、取り返す方法はありませんか。
  198. 水原敏博

    ○水原説明員 おことばでございますけれども、実は、この土地を財源にいたしまして、特定国有財産整備特別会計に載せまして、すでにこの土地を財源にいたしまして、黒羽、岡山、旭川、川越少年刑務所、浦和拘置支所、それから小菅に移しました東京拘置支所、これらの建物の整備を同センターに全部実行させました。その金額が四十五億二千八百六十二万七千円でございます。それらでございますので、民法上すでに有効に契約が成立し、相手方が契約を履行いたしております現在では、先生のせっかくの御意見、御忠告でございますが、非常にむずかしい問題であろう、このように考えます。
  199. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 いま金額を申されましたね。もう一ぺん話してくれませんか。
  200. 水原敏博

    ○水原説明員 四十五億二千八百六十二万七千円。それに、契約の途中変更がございまして、変更後の合計を申し上げますと、四十七億四百十一万六千円でございます。
  201. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 そうすると、この五十三億六千百万に対して、実際に契約してあれしたのが四十七億四百万、残りの六億五千七百万は現金で受け取りましたか。
  202. 水原敏博

    ○水原説明員 その差額六億あまりにつきましては、これにつきましては、分割にてセンターが関東財務局に入金いたしております。
  203. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 私は、いまの答弁を聞いてますますそう思いましたがね。たった六億五千七百万を分割払いで、しかも、これだけの大財閥が集まっているのに分割払いで払わせるような視切心があったならば、東京都に、十年なり二十年なりの長い年月の分割払いで五十三億六千百万をなぜ払わせなかったか。だれでもそう思うでしょう。これだけの貴重な土地を株式会社に分割をして払わせるくらいの親切心があったら、東京都にその親切心を発揮してやれば、あの二万坪の土地公共用地としてりっぱに生きてくるのですよ。おかしいと思うでしょう。  そこで、もう一つ伺いしたいのですが、この契約の変更は、最初にやったときからいままで契約の変更はありましたか。いまの金額の問題はいいですよ。内容の変更はございましたか。
  204. 水原敏博

    ○水原説明員 ございました。それは、当初、巣鴨にございます東京拘置所の移転先を多摩に移転するという予定でございました。それに基づいて契約を締結したわけでございますが、その後地元民の誘致反対がございまして、多摩刑務所から今度は黒羽のほうに移ることになりましたので、その関係における契約変更がございました。
  205. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 それだけですね。この建物ですが、この建物はまだ建っていないと言われますけれども、これはいつまでに建てることになっておりますか。
  206. 水原敏博

    ○水原説明員 五十三年の三月末までとなっております。
  207. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 これは、昭和四十六年十一月十日の内閣委員会議事録なんですが、こういうふうに書いてあるのですよ。これは公明党の伊藤委員が質問したのですけれども、「完成時期は大体四十八年ですか。時期はいつですか。」という質問に対して、伊藤説明員の答弁が、「先ほど申し上げました用途指定に供する部分、すなわち地上三階以下の部分、これを四十八年の四月までにつくり上げる、こういう約束でございます。」と書いてあります。しかし、いまのあなたのお話しを聞きますと、五十三年になったと言っていますが、先ほど私が契約の変更はないかといってお聞きしたのですが、ないというお話しでしたが、そうすると、これはあるのですね。
  208. 水原敏博

    ○水原説明員 御指摘がございましたとおりでございまして、当初、これは、財務局と開発センターとの間での話し合いでは、四十八年の三月末までに建物を完成するという約束でございました。その間における話し合い、すなわち法務省サイドではございませんで、財務局と都市開発センターとの間では、本年の三月末に、この建物については、五年間さらに契約内容を変更いたしまして延期することの了承を取りつけておりますので、補足させていただきます。
  209. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 法務省に関係ないと言われますが、伊藤説明員という人は、法務大臣官房会計課長ですよ。
  210. 水原敏博

    ○水原説明員 関係がないと申しましたのは、その契約の変更につきましては、大蔵省と会社との間の話し合いでございまして、法務省は関係ございませんという意味で申し上げましたわけでございます。
  211. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 そうすると、五十三年三月末までにこれをつくればいいというのは、このあとで契約を変更したことですね。
  212. 水原敏博

    ○水原説明員 御指摘のとおりでございまして、契約の一部変更でございます。
  213. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 これは議会の議決であるとか、何かそういうような手続は要らないのですか。
  214. 水原敏博

    ○水原説明員 これは必要ないものと了解いたしております。
  215. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 どういう根拠で必要がないのですか。
  216. 水原敏博

    ○水原説明員 その点につきましては、十分もう一度研究いたしまして、次回までに御説明させていただきたいと思います。
  217. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 この問題は、この次まで保留いたします。  それから、なぜこれを私が聞くかといいますと、そのあとを読んでみますと、こういうことが書いてあるのです。伊藤委員の「これは、もしこの期間に」というのは、四十八年の四月までですが、「この期間にできなければ、契約解除ということも法的にはあり得ることですね。」という質問に対して、伊藤説明員が、「その期間を徒過いたしますと、」というのは、過ぎたということでしょうが、「徒過いたしますと、まずもって違約金をちょうだいいたします。」と言っておる。いいですか。その次がまだあるのですよ。「違約金をちょうだいしてもどうしても見込みがないということになれば、契約を解除するということが契約書に書いてございます。」と言っている。いいですね。こういうことがはっきり書いてあるのです。これをいま契約が変更になったと言いますけれども、もし契約が変更されなければ、まだ建っていないから、あの土地は返してもらわなければいけないのですよ。それが、この五十三億六千百万円という金額が、あの中にそういうように書かれてある。契約を解除して、そして五十三年の四月までにつくればいいということは、いわば五十三億六千百万という金が入ってくるものをパーにするということにも通ずるのです。この五十三億六千百万を議会にかけないといけないとするならば、当然、この五十三億六千百万というものが延ばされるための延期の契約の変更というものは議会にかからなければいけないのです。そうでしょう。私はもう一度いまのこの問題は保留しますけれども、もう一度申し上げますけれども、これは大臣にもひとつお聞きしていただきたいのですけれども、あの土地が、幸いにまだ建っていません。これは東京都の認可もまだ得ていないのです。これは調べてきましたがね。地上六十階、地下五階、高さ二百四十八メートル、予定の着工が四十八年四月ごろと書いてある。そして、まだ東京都の確認申請も何もとっていないのです。まだ、さらです。こういう状態のときに、私はもう一ぺん何かの方法をもってあの土地を取り返したい。そして、東京都の都民のためにもつと役立てたい。あれを建てるために、地元に非常に大きな問題があることは皆さん御承知だと思うのです。しかも、あれを建てることによって、非常に大きな問題が都全体としても起きてくる。もうすでに十年前の状態といまとは違うのです。幸いにしてさら地だから、何とかしてあれをもう一ぺん取り返すような方法ができないか、この点はよくひとつ考えていただきたいと、私は大臣にもお願いしたい。これは公有地でも、実にたいへんりっぱな公有地があるのです。なお、この問題につきまして、次回におきましてこの根拠をひとつお聞きしたいと思います。  それで、ちょっと資料の要求をいたしたいと思います。主要都市内の米軍基地の面積現状調べ、それから、一つは、大都市における皇室、皇族等の土地面積調べ、それから、もう一つは、国有地、公有地をゴルフ場その他レジャー用、営業用に使っているものの面積調べ、これをひとつ資料としてお願いいたしたいと思います。  これで、終わります。
  218. 上村千一郎

    ○上村委員長 多田光雄君。
  219. 多田光雄

    ○多田委員 大臣に最初に伺いたいと思うのですが、この公有地拡大法と、これにまつわる土地問題について、政府の中で主要な責任を負っておるところはどこなのか、この点についてちょっと伺いたい。  それは、第六十八回国会の衆議院の地方行政委員会議事録によりますと、当時、皆川政府委員はこういうことを言っておりますね。「地方団体が設立します土地開発公社に関する部面を主として自治省がやり、土地の先行取得、特に先買いに関する制度につきまして建設省でやっていただくように立案してまいった」と、このように答弁しているわけです。さらに、この答弁によりますというと、土地先買いについて言えば、建設省が所管しておるのではないかという印象を受けるのです。それから、事実また、昨年の九月、住宅新報社から、建設省の都市計画課が「市街化区域内の土地先買い制度 公有地拡大推進に関する法律」という本を書いて出しているのですが、これらの事実から見ますと、土地先買いについて言うと、建設省もタッチしているのじゃないかというように思われるのです。言いかえますと、一大臣だけで土地先買いについて責任のある答弁ができるのかどうなのか、あるいは、必要に応じて建設大臣も呼ばなくてはならないのか、この点、ちょっと責任の所在について伺いたいと思います。
  220. 近藤隆之

    近藤政府委員 二十八条にございますように、「この法律において、主務大臣は建設大臣及び自治大臣とし、主務省令は建設省令・自治省令とする。」という形で、両方共管の形になっております。それで、内部をどういうふうに立案し、具体的な指導をするかということになりますと、両方十分協議してやっておりますけれども、原案等の作成につきましては、前の国会におきまして官房長が御説明しましたように、公社関係につきましては主として自治省、それから、土地先買いにつきましては、これは都市計画区域のことでございますので、主として建設省という形になるわけでございます。
  221. 多田光雄

    ○多田委員 それでは、次に移りたいと思うのですが、大都市においては、住宅難その他で住民自治体もたいへん困っている。そして、公有地拡大しなければならないという強い要請もあり、昨年、私どもはこの法案に賛成してまいったわけです。それで、今回この法律改正案政府側から提出されているわけですが、もともと、この公有地拡大法案が非常に不十分なものであるという点については、昨年も私は指摘してきたところなんですが、この法律が施行されて以後、非常に土地投機が激しくなって、土地の入手が困難になってきた。特に、大都市における土地問題の根本的な解決が緊急に求められるようになってきた。こういう点非常に変わってきていると思うのですね。それから、いま一つ、背後としては、田中総理が例の列島改造という国土政策を発表した。これが昨年のこの法案が出されたときと非常に変わってきた点だろうと思います。  そこで、問題は、この都市住民の立場に立って、住宅、学校などの生活用地自治体が先行的に確実に確保するという方向にこの法律を強化するのか、それとも、以上のような点をあいまいにして、この法律のそもそもの制定の趣旨をゆがめるのじゃないかと思われるような方向改正するんじゃないかということ、この辺が一つの考えどころじゃないかというふうに私どもは思っているわけなんです。  そこで一つ伺いたいのですが、さきに私があげました建設省都市計画課が編集した解説書によりますと、こういうことが三四ページに書いてあるのですね。これは建設省が書いているんだから、ある意味では公的なものと受け取っていいと思うのですが、ここに、「第一章で述べたように、都市化の進展に伴い、道路、公園その他の公共施設および公用施設用地や、住宅用地の取得難がはげしくなってきた。そこで、公有地拡大の計画的な推進を図り、これによって、地域の秩序ある整備と公共の福祉の増進に資そうとするものである。」ということを書いて、こういうふうな目的というか、趣旨をまず述べているわけですが、大臣の見解で、この法律制定の趣旨をこのように理解していいのかどうか、それをひとつ伺いたいと思います。
  222. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは、いま御指摘でありまするが、第一条に「目的とする土地開発公社の創設その他の措置を講ずることにより、公有地拡大の計画的な推進を図り、もって地域の秩序ある整備と公共の福祉の増進に資することを目的とする。」というわけですから、おっしゃるような意味を含んでおるわけです。
  223. 多田光雄

    ○多田委員 それじゃ次に移りたいと思うのですが、そこで、具体的な質問に入りたいと思いますが、その前に、私どもは、全国的なこの土地問題の解決の中で、都市土地問題の解決が非常に大きな比重を持っているんじゃないかと思うのです。それで、大都市土地問題を真に解決することなしに、日本の土地問題の正しい解決はあり得ないんじゃないかというふうに私どもは考えております。というのは、一、二の例をあげますというと、第一に、日本の人口の中で、市部にいる人口の占める割合は、昭和四十五年ですでに七〇%という圧倒的な大きな比重を持っておる。東京は、御承知のとおり、一千万以上あるわけですね。それから、もう一つ都市の比重が大きいということは、同じ年度においてですが、国土面積のわずか一・七%にすぎない市街地的な地域、ここに全人口の半分以上の五四%が住んでいる。最近はもっと進んだようですが、こうして見ますと、都市問題の解決というのは、ある意味では土地問題だというふうに極論してもいいくらい都市における土地問題というのは非常に大きな比重を持ってきていると思うのです。  そこで、私は、具体的な問題で伺いますが、日本最大の人口を持ち、しかも、世界最高の超過密都市である東京都、ここの昨年度の都営住宅建設の予定戸数が何戸であり、そして、そのうち年度内に着工されたものが何戸であるか、これをひとつ建設省のほうから御説明を願いたいと思います。
  224. 滝沢慧

    ○滝沢説明員 お答えします。  昭和四十七年度の東京都営住宅の建設状況でございますが、建設の計画戸数は、全部で一万九千八十二戸であります。そのうち、八十二戸が市町村がやる分でございまして、都としてやりますのは一万九千戸であります。そのうち、四十七年度中に契約まで持ち込んだ戸数は千九百八戸でありまして、未契約のまま四十八年度に事業が送られましたものが一万七千百七十四戸でございます。
  225. 多田光雄

    ○多田委員 時間の関係で、私のほうからもちょっと補足的に申し上げますと、大臣、東京は、前の知事さんのときよりも住宅問題に取り組みまして、非常に成果をあげてきているのですよ。たとえば六八年には、実戸数が一万五千戸、六九年一万六千、七〇年が一万四千、七一年が一万七千七百、そして、いまお話しがあったように、昨年、これが目標の一万九千戸に対してわずか千八百、つまり一割そこそこという非常に大きなダウンをしてしまいました。一体この原因はどこにあると思いますか。
  226. 滝沢慧

    ○滝沢説明員 この原因としましては、全般に用地確保が非常に困難となっていること。それから、確保された用地についても、いわゆる公共施設等の整備に関しまして、地元の市町村との調整が非常に難航する。それから、個々の具体的な例としましては、日照の問題とか、あるいは電波障害、こういった問題にぶち当たりまして、周辺の住民との話し合いの長期化等が事業が非常におくれた原因と考えております。
  227. 多田光雄

    ○多田委員 いまの話にあるように、第一の理由土地問題です。そこで、大臣、御存じかどうかわかりませんが、東京の都市住宅難の状況を少しリアルにお話ししたいと思うのですが、全世帯の三分の一、百万世帯の人たち住宅困難を訴えております。そして、八十二万世帯が、設備の整っていない劣悪な木造賃貸アパートに住んでおります。そして、そのうちの六十万世帯が一間です。四畳半あるいは六畳一間で、炊事場、便所は共用という状況です。六十万世帯ですよ。私の口から言うだけじゃなくて、東京の住宅難のひどさについては、昭和四十四年、科学技術庁資源調査会の報告で非常にうまく説明しているんですね。「首都の市民の三分の一ちかく、その借家の住民の六〇%以上が一戸あたり二〇坪という狭小な土地に、しかも敷地を埋めつくして建ち、また、狭小な住宅の居住者は五〇%までが、台所、便所を共用している事実は、経済成長を誇る日本にとって恥ずべきことといわざるを得ない」これが四十四年の科学技術庁の資源調査会の報告なんです。最近はさらに、異常な地価と建築資材の高騰で住宅難が一そう深刻さを増していると私は思うのです。(「美濃部都政のためだ」と呼ぶ者あり)いまここで「美濃部都政のためだ」というお話しがありましたけれども、美濃部さんは、美濃部都政は、住宅問題に非常に多くの金と力を注いでいるのです。たとえば昭和四十三年度から四十八年度までの六カ年に、建設予算規模は二・七倍に増加しており、そして、都の一般会計当初予算の増加は、同じ期間、つまり、昭和四十三年から四十八年に約二・三倍でありますから、都政が住宅行政に重点を置いているということは、ほかの都市に比べて、はっきりこの数字から言えると思う。そしてまた、先ほど私は数字を申し上げませんでしたけれども、四十二年から四十七年までの都営住宅、これは七万三千五十二戸です。年平均一万一千七百五十二一尺これはそれ以前の公営住宅の建設テンポの二倍半なんです。こうしてみますと、もちろん金は豊かではありませんが、しかしながら、乏しい中で思い切った財源を回して、そして前任者より倍のテンポでふやしてきている。そうすると、土地問題というのが、この東京でいかに深刻な問題であるかということを、まず第一に、これは大臣にも聞いてもらいたいし、政府側にも、公有地一般に解消するのではなくて、東京都民の深刻な住宅問題という生活感覚からまずしっかりとつかんでもらいたいという意味で、少し長くなりましたけれども、それを申し上げておるわけです。  ついでにもう一つ、大事な教育問題について文部省に伺いたいのですが、都立高等学校生徒計画について、都が、全日制の昭和四十四年から五十二年までの中期計画を持っているというのを御存じですか。そして、学校建設の計画はどうなっているか、ちょっと説明してください。
  228. 西崎清久

    ○西崎説明員 ただいまお尋ねの東京都の高等学校の急増対策に関する計画でございますが、東京都から私どもが承って承知しておりますところでは、現在の公立高校の生徒数は約十八万人でございます。この公立高等学校の生徒数は、昭和五十二年になりますと十九万七千人になるというふうな予定を立てておられます。  そこで、その間に必要となります公立高等学校の数は全体で十九校というふうな計画をお立てになりまして、四十八年度は三校、四十九年度五校、五十年度は二校、五十一年度五校、五十二年度四校、以上十九校というふうな計画を立てておられるように承知をいたしております。
  229. 多田光雄

    ○多田委員 私が東京都で聞いたのと若干数字が違いますね。私の聞いたのでは、中期計画によると、五十二年度までに二十八校の建設計画を持っている。そのうちすでに開校しているのは十二校である。だから、まだこれから十六校建てなくてはならない。  さらに、都内の公立中学校の卒業生は、四十八年度以降長期にわたって、東京は大幅に増加するのです。一般高等学校の進学率、これは年々上昇して、都の調べによりますると、昭和五十九年——これはかなりあとですが、五十九年の最終年度には全都で進学率が九六から九八%と見込まれていますね。これは私も大体見当はついておると思います。そこで、五十九年度において進学率はピークに達するのですが、これらの生徒は、現在、公立、私立は、東京ではほぼ半々です。公立、私立半々、五対五の割で公立に進学するとしても、十六校のほかになお四十一校不足なんです。たいへんな高等学校不足になります。しかも、いま一校つくるとすれば、土地代だけで十億円ぐらいになります。こうして見ますと、大臣、住宅だけではないんですよ。学校問題一つとってみても、進学問題一つとっても、東京では、この土地問題が最大のネックの一つになってきている。ですから、私はこう思います。東京の土地問題を解消することなしに、地方であれ、若干これの成果があがったというだけでは、ほんとうの土地問題の解決にはならない。その反面、この東京都で、最も過密が激しくて、土地が高くて入手困難であるここで、ほんとうに土地問題を解決することができるならば、これは全国的にも土地問題を比較的楽に解決できる政策を持つことができるんじゃないかと考えて、私は、特にこの東京の問題を中心にしてお伺いするわけなんです。  そこで、次に大臣に伺いたいのですが、現在の土地、特に、いま言った東京の大都市における土地の問題の中心は、何と言ってもまず住宅、学校、その他の生活用地で、これを自治体が何とかして手に入れたいというところに最大の悩みがあるんじゃないかと思うのです。この点は、昨日、議員の発言に対して、大臣から、特にこの住宅用地の利子の補てんについては何とか大蔵省と折衝してみたいという、非常に積極的な発言があったことから見ても、公有地の中でも、特に住宅、学校、あるいは公園、生活道路という、こういう生活用地というものが非常に大きな問題だというふうに私は思うのですが、この点についての大臣の御認識を伺いたいと思います。
  230. 江崎真澄

    江崎国務大臣 御指摘の点は、まさに私もそのとおりだと認識いたしております。そこで、田中首相の言う日本列島改造の議論が展開されたわけでありまして、仰せのように一・七%の土地に五三%、あるいは、現時点で調べれば、もっとそれ以上の人口が蝟集しておる。したがって、公害もできる、土地不足も出るというわけでございます。もうこれ以上東京都の人をふやさない、地方に工場も、また、人も分散しなければならぬ、こういうことだと思います。私は、その成果は徐々にあがりつつあると思う。たとえば、今日のあの東北新幹線というものによって、非常な速度で、従来は東京から西のほうに経済、文化が伸びておりましたのが、今度は上野から北のほうに向かっておる。これはもう間もなく非常な成果をあげて、現実の問題として、数字にあらわれてくるというふうに考えております。  そういう抽象論はともかくとしまして、しからば、現時点におけるこの東京の住宅不足、土地不足を一体どう解決するのか。そこで、田中総理の言うところの、一定地域を含めての高層化をしてはどうか。で、いわゆる職住近接というようなたてまえから言うならば、下はオフィス、十階以上は住宅というような形にして、そして、この土地不足を解決する。いや、それは一そうこの隣接地帯から中央に人を誘うことになるのではないかという議論がありますが、いわゆる職住一体といいまするか、そういうビル構想で、ここに思い切った政策を展開をすれば解決するのではないか。いや、そうはいかぬ、もっと緑や個々別々の家が望ましいというようなことで、多少都知事との間にも議論の懸隔があるようでありまするが、これは、私は、建設省なり関係省庁が間に入って話を詰めていけば、おのずと解決はつくと思うのです。もとより、絶対量の住宅不足をどう解決するかという問題も重要でありまするが、まず、都心部に職住一体の高層ビルをつくるということによって、そこにいろいろな条件をつけていけば、そこに住まう人というものを制約することができる。したがって、また、地方住宅をつくることもおのずと可能になる。また、美濃部さんの言われる緑を都心に求めるということも、平屋住宅から高層住宅へというふうに日本人の発想を変えていくことによって、こういった問題を解決する。もうこれ以外に、いまにわかに何を行なうかといっても、具体策はないと思います。そういう点では、私は、田中首相の最近打ち出しておりまする構想の方向というものは正しいと思う。だから、美濃部さんと話し合いがつかぬというのならば、これは建設省などの専門家が間に入って十分詰めればいい。これは議論を展開し合って、対立しておる時期ではない。やはり、話し合いをして具体化する場面だというふうに考えております。
  231. 多田光雄

    ○多田委員 どうも大臣は私の聞いていないことを述べておりますが、そこで私の伺いたいのは、この法律は、公有地拡大法と略称で言われているが、公有地というのは、第二条によれば、「地方公共団体の所有する土地をいう。」と、こういう概念規定になっているわけですね。これは所有を中心にした説明だろうと思うのです。国や地方が持っているということで、その土地の機能を中心に考えた場合に、地方自治体が一番いま望んでいるのは何かというと、おしなべてやはり住宅、学校、そういう生活用地で、特に、都市の場合にそれが一番切実な問題になっておる。これは、私は、多くの市町村長に会って、その感を一そう深めているのです。この生活用地を優先的に拡大するというのが本来のこの法の精神ではないだろうか。そして、最近、政府の方々も、口を開きますと発想の転換ということを言っておられるわけです。そして、総理も、昨年、この発想の転換の中身として、生産第一主義ではなくして生活第一主義なんだということを述べておられた。そうすると、この法の精神から言って、公有地拡大というのは、本来は、住民生活用地拡大をやはり優先させなければならないのじゃないかというふうに私は考えますが、大臣、いかがでしょう。
  232. 江崎真澄

    江崎国務大臣 全くその点は同感でございます。
  233. 多田光雄

    ○多田委員 それでは次に、私はもう少し具体的な問題に入っていきたいと思います。  問題は、東京などの大都市におけるこのような公共用地に対する切実な要求に対し、この法律がいわれるところの先買い制度を発揮して、有効であったのかどうかという問題です。そうして有効であったとすれば、どの程度の有効さを持っていたのか、あまり有効でなかったとすれば、どこに一体問題があったのか、私はこれをはっきりさせなくちゃならぬと思う。要求は切実で、重大な宅地あるいは土地問題が社会問題、政治問題になってきているときだけに、昨年本法をつくったとき以上の熱意でこれを明らかにして、克服の方向をいま見つけなければならないだろうと思うのです。特に私が東京を例にあげているのは、先ほども言ったように、土地問題にしてもそうだし、公害、人口過密、交通の、現代のいわば諸矛盾がここに集中してきわまれりと言っても過言ではないと思うからであります。ですから、ここの問題をはっきりさせなければならない。  具体的な問題として、これは建設省に伺いたいのですが、届け出の問題についてです。届け出や申し出件数は、この法が施行されてから四カ月ないし五カ月でありますが、かなりありますね。数字はもう同僚議員が言っておりますから一々私は申し上げませんが、ところが、協議、それからまた申し出の成立件数が非常に少ない。この協議成立の主要な原因は何であったのか。あるいは、幾つかあるならば、大きなものから順序を立てて御説明を願いたい。
  234. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 届け出、申し出の件数が多い。約四千五十八件でございますが、それに比べまして、協議成立いたしました件数が少ない。百六十四件。このおもな理由として考えられますのは、先ほども申し上げましたように、大きな数字から申し上げますと、二つに分けられると思います。  手続としては、協議の通知をまずするわけでございますが、通知をしなかった理由としては——通知をしたのが千二十三件でございますが、通知をしなかった大きな理由は、まだ将来先であって、将来の計画が立たないという点でございます。  それから二番目には、届け出がありましたけれども、いろいろ調べてみると利用目的に合わない。先ほど、代替地等に使用が不可能である、一括して使えない、残った土地は小さ過ぎるという面があるというような点を申し上げたのでございますが、そのほか財源が足りないというようなことがあったのでございます。  次に、買い取り協議成立しなかった理由といたしましては、価格の折り合いがつかなかった。あるいは、地方公共団体に売却の意思がない。つまり、相手方ともうすでに話をしておって、断われば信用にかかわるとか、そういった個人間の問題もありましょう。そういうことで地方団体に売りたくない、協議成立しなかった理由の第二番目はそういう点がございます。  そのほか、パーセントは少ないのでございますが、計画がまだ立っていないというようなこと、これは両方に共通でございます。こういう理由がおもな原因でございます。
  235. 多田光雄

    ○多田委員 協議に入るのも少ないけれども、その少ない協議の中で、協議成立することが非常に少ない理由として、いま、価格が折り合わない、あるいは地方公共団体に売りたくない、こういう理由をあげておられたのですが、その点は私の調査と全く一致します。私も、北は札幌から南は東京、千葉、埼玉、神奈川に至るまで、これらの市町村に行って聞いてみましたら、協議に入る、そして成立しない、価格が両者で合わないということです。つまり、売り手が高い、買い手の地方公共団体はそれだけの金がない。平たく言えばそういうことになる。  それから、非常におもしろい例ですが、札幌を見ても、仮契約済み、それから手付金交付済み、これが一番なんです。これも東京が多いのです。ですから、これと、市に譲渡する意思なしという件数を含めますと、かなり大きくなる。ですから、問題はこの辺に一つあると思うのです。  私、これと関連して伺いたいのは、市街化区域の中で、いわゆるさら地というのがありますね。都市施設をしなくてもいい区域。ここではかなり申し出件数あるいは届け出件数が落ちているのではありませんか、どうでしょうか。
  236. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 おそらく、御質問の趣旨は、第四条の一号から四号までに掲げる施設等の中の三百平米以上というものの届け出の義務のものではなくて、さら地と申されましたから、二千平米以上と義務づけております件に関するものについて、届け出が漏れている、こういうことではないかと思います。確かに、その間のギャップがあり、かつ、大都市の中におきましては、二千平米といいますと七百坪、相当な、大体われわれはそれを児童公園が一つできるくらいの土地以上のものというふうに考えまして二千平米としたものですから、その間のものが落ちているということは考えられます。
  237. 多田光雄

    ○多田委員 東京都で調べてみますと、計画区域が十四万二千ヘクタール。端数は切ります。そのうち調整区域が三万六千ヘクタール。市街化区域が十万五千ヘクタール。そして、この市街化区域の中で、都市計画施設などにかかわる用地が一万三千ヘクタール。そうしますと、いわゆるさら地というのが九万二千ヘクタールと、圧倒的に多いのです。こういうところが一つ抜けているということは、この法がざる法である。だから、この東京の数字を見ましてもなかなかおもしろいのです。十二月一日から五月三十一日までの公拡法に基づく届け出を見ますと、三百平米から九百九十まで、これが圧倒的に多いのです。その次の千から千九百九十までが非常に少ない。数字は一々申しません。それから、二千平米以上になると、またぐんとふえている。こういうところにこの法律一つのざる法たるゆえんがある。真剣に公共用地あるいは公有地を手に入れるというかまえなんだろうかどうだろうかという疑問を私は持つわけです。  次に伺いたいのですが、この届け出の趣旨は、もちろん自治体が必要に応じて買い取るところにあるわけですが、届け出たときにはすでに仮登記が済んでいたというのがずいぶん多いのです。それから、手付金を打ってしまっていた。これに強制権はありませんね。そこで、少なくとも公有地あるいは住宅、学校その他の公共用地を広めるという熱意がほんとうにあるのであれば、たとえばこういうような問題はどうでしょうか。これは私の提案なんですが、協議が済むまで一切の第三者との契約行為をしない——大臣、いまたいへん大事なことを話していたのですが、どうもこの公拡法がざる法じゃないかというように私は思っているのですが、それは、届け出、申し出をしますね。今度市やあるいは町村が、行ってみると、そうしますと、契約済み、手付金を打ってしまった。これも数字を一々申しませんが、非常に多いのです。ある都市によると、これが一番多い。  そこで、私の申し上げたいことは、自治省なり建設省なりが真剣に住民サイドの立場に立って公共用契約を獲得するというのであれば、このざる法をざる法でないようにしなくちゃいかぬ。それで、私の提案なんですが、公共団体と、それから売ろうとする者との契約が済むまで、一切のそういう第三者との契約をしない、させない、こういう一定の措置をとらなければ、この法はやはりざる法のそしりを免れないのじゃないか。この点を質問して、できるのか、できないのか、できないとすれば、なぜできないのか、その理由を話して  いただきたいと思います。
  238. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 この法律の第四条におきましては、この土地を有償で譲り渡そうとするときにはどうこうというぐあいに書いてありまして、ですから、これは、当事者間の契約がまだできない間に届け出ることを義務づけたものというふうに、法律の構成はそうなっております。  ところが、いまおっしゃった仮契約を事実上やっているではないかということですが、これは契約の予約でございます。でございますから、譲り渡してはいけないということの中には、これらを含んで、どういう予約をしていようと契約はできないのでありますから、だから、法律上は、こういった契約をすでに結んでいるということ、どういう形であれ、口約束であれ、そういうことは、一応違反でございまして、だから、それをもって、契約が済んでいるから協議に入れないというようにはわれわれは考えておりません。  ですから、法律上の問題ではなくて、事実上、おっしゃる仮契約がすでに済んでいるからというのは、私が先ほど言いましたように、相手方との契約のいきさつその他がありまして、公共団体よりもあの人に売りたいのだ——これは、この法律のたてまえが、同じ売るならば公共団体に売ってくれというたてまえをとっております法律の性格から言って、そういう実態問題が出てくるというふうに解釈するのでありまして、法律上は明らかに契約をしておるということであればこれは違法でございます。
  239. 多田光雄

    ○多田委員 そこで、自治体に売りたいという人、これは申し出ですね。ところが、この申し出がまたうまくいっていない。自治体に売りたいというのだから、その人は少々安くても自治体に売りたいということで申し出てきた。これも、成立の率は、届け出より若干申し出のほうが多いようだ。多いけれども成立がきわめて少ない。これはなぜですか。
  240. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 法五条による申し出の場合に、協議成立しなかった理由の中で一番多いのは、お説のとおり、価格の折り合いがつかなかったということでございます。これは先ほどもお答えしたのの繰り返しになりますが、この申し出の価格は、平均いたしますと、いま現在では五万九千円というふうに、ほかが一万五千円台であるのに対しまして高いのでありまして、申し出る場合は、その申し出た者は、これはいい土地だから他に換金化したいというような動機を持ってやっているのでございますから、だからおそらくいい場所を持ってくるということでありましょう。しかし、それが成約に至らないのは、そういう場所が、地方公共団体として、計画にそこを使いようがないとか、計画に合わないとかいう場合が多くて協議に入らなかったという場合がありましょう。それから、そこがほしいといいましても、その値段が、相手方が持ち込んだ場合は高かったというふうに考えられます。だから、高いという理由は、おそらく、自分がこれを換金化したいという動機が非常に強い場合に、相手方に売るよりも公共団体にまず申し出る制度ができましたものですからこれは申し出たのじゃないか、いまのところそのようなことで考えております。
  241. 多田光雄

    ○多田委員 そういう理屈も成り立つだろうと私は思うのですけれども、実際これは私が足で歩いてみたときに、確かに市の希望するような条件を備えていなかったという問題がある。しかし、やはり自治体は皆さんと違いますよ。申し出たものは何とか自分の望みに合わなくても買ってあげたいという希望を持っているのです。一番大きな理由は、ここでも価格の問題なんです。つまり、価格が折り合わないのです。少々安くても買ってもらおうと思ったけれども、あまりに地方自治体の言い分が安い。ここでも価格の問題にぶつかっているのです。  そこで、この成立状況から見て、三月までの用地取得をしたものは全国で幾らですかな。届け出したもののうちの成立したものが全国で二十九ヘクタールでしょう。ここに人を住まわせれば、約一千世帯程度のものです。これは数カ月で二十九ヘクタールしか、届け出て手に入らなかった。こう考えてみますと、このせっかく善意をもって、と言ってもいいでしょうが、このつくった公有地拡大法律が、ほんとうに公有地拡大あるいは宅地用地拡大に、自治体のいまの段階で望むようになっているのかどうなのか、ここの問題なんです。しかも、東京都におきましても、労力のほうが多いというのですよ。届け出が来るでしょう。その土地を検査に行く。そして、下水があるのか、道路がどうなっているのか、あげくの果てには公衆便所がどこにあって、バスまで何分かかるということでバスの停留所に行って、時間表まで写真にとって、一人の人が二日も三日もかかって調べる。手間のほうが多くて、成立が少ない。東京都の住宅局に行きましたら、一件も成立しない。しかも、他都市よりも幾らか高く買おうとしている。ですから、私は、こういう面で、この法律のいわゆる、ざる法と言われる本質をもう少し突っ込んでみる必要があるのではないかというふうに思うのです。  そこで、次に、私はもう一つの問題に移りたいのですが、今度の市街化区域から、公有地拡大の範囲を都市計画区域全体に拡大しましたね。その意図はどういう目的なのか。これは調査室のほうからの資料も出ておりますけれども、ほんとうに農地を宅地にするというようなつもりなのか。これは広げた理由はどこにあるのですか。
  242. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 今回都市計画区域全般にこの対象を広げました理由は、一つは、調整区域におきましても、先ほど御説明しましたが、必ずしも市街地の中にあることを必要としないような施設、ごみ焼却施設であるとか、あるいは病院、研究所であるとか、そういったものでございます。それから、その他の都市計画の街路あるいは新幹線、道路等の用地を先行的に取得するというケースはあるわけでございます。そして、都市計画区域全体に広げましたもう一つ理由は、最近における御指摘のような公共用地の取得難に対処するためには、なるほどそういうことが一番きびしいのは、人口十万以上を主とするところの市街化区域に集中的にあらわれているのでございますね。この用地の取得難ということは、全国的に最近地価の上昇とともに拡大してまいっておりますので、これに対応いたしてまいりますために、国土の均衡ある発展をはかるための諸施策をはかりまして、都市の秩序のある発展をはかりますためには、やはり公共用地の先行的な取得が必要であるということは、市街化区域の中だけに局限すべき事態ではなくなったというのがその理由でございます。そこで、少なくとも都市計画区域全体——これは市街化をあるいは早く、あるいはおそく、長期にかかるところもございますけれども都市計画区域に限ってこれを認めることが適当であろうということで、市街化区域外はともかくといたしまして、とりあえず都市計画区域内に限定いたした、こういうことでございます。
  243. 多田光雄

    ○多田委員 大臣にちょっと伺いたいのですが、四月二十日の地方行政委員会で、私どもの林委員が、例のあの不動産会社の江戸さんの問題を引用して質問したのに答えていますが、つまり、これはこういうことなんですね。林委員はこういうふうに言っておりますね。「昨日の参議院では、不動産協会の三井不動産の江戸参考人は、「政府地方公共団体宅地供給に力を入れ、これを買い上げて住宅用地に転用する考えがあれば“適正価格”で放出する」と言っておるのですよ。」それを林さんが引用されて、そういう行政指導をなさるのかという大臣に対する質問をしているのに対して、大臣はこう答えております。「これは江戸さんの私見を述べておりますが、ですから、これは非常に望ましいことで、私、さっきもお答えしたように、公有地拡大推進法に基づいて極力こういう土地は適正価格で地方公共団体に譲り渡していただく、これが望ましいことでありまするし、そういう形で現に行なわれていけるような行政指導はぜひしてみたいというふうに考えます。」そこで、どういうふうな行政指導をその後おやりになったか、それだけひとつ伺いたいと思います。
  244. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは、大手商社等が持っておりまする土地の中でも、都市計画区域の調整地域であるというようなものを対象にして言っているのではないかというふうに考えるわけです。そこで、これは、先頃来土地対策の閣僚懇談会でも議論になりましたが、そういう地域で手付を打って仮登記をしておる。これは本来売買ができないものを持っておるとすれば、それを政府ないし地方公共団体が適正利潤で肩がわりをする。そして宅地開発をやる。それから、二十ヘクタール以上でその計画が適当であると認められるものは、民間業者によって、住宅建設等が調整地域でもできることになっておりますね。そのあたりをもう少し詰めてやってみようということになっておりまして、まだ具体的にすべり出してはおりませんが、ぜひひとつそれは実行に移そう。いわゆる線引きの見直しをするという形で、売買のできないものを何か政府がカバーしたようなことになるのは、これはさっき小川さんでしたかの質問にもありましたように非常な誤解を招きます。ところが、住宅ということになれば、これは学校用地でもいいと思いますが、そういうものについては地方の必要度に応じてやってみたらどうだろうか、これは国総法の通過を待って、その一環としてひとつぜひやろう、こういう話し合いをいましておるわけでございます。したがって、今後地方に対しまして、まあ、なかなか全体の実態をつかむことはむずかしいと思いまするが、実情調査などをしまして、これは特に今度の特別土地保有税によって、ある程度市町村ではそういう実態がわかってまいります。仮登記という面だけではなかなかこれはむずかしいんですね。先ごろ来ここでも議論されましたが、なかなかこれは調査がむずかしい。そこで、特別土地保有税対象になる土地、そこで大手商社が思惑とおぼしき感じで買ったもの、これをひとつ地方から報告を受けるなり、あの土地はこういうふうにほしいんだという要求があれば、そういうものをもとにして積極的に指導してみたらどうだろうかということで、現在は話し合っておる段階でございます。
  245. 多田光雄

    ○多田委員 私は、大臣のその積極的な姿勢をぜひ貫いてもらいたいと思うんですが、問題は、そこで価格の問題です。大体適正価格というのは、そういうような市街化調整区域で大量の土地を不動産会社がいま持っておるもの、これを買う場合の適正価格だと思うが、これは、大臣はどういうふうなものが適正価格だというふうにお思いになりますか。
  246. 江崎真澄

    江崎国務大臣 もともと、売買対象でないものを手付金で買っておるという形のものでありますから、これは当然買い付け価格プラス金利、事務費、そういうものを計算いたしまして、それに周囲の土地の値上がり分をどの程度見るか。ここらあたりが非常にむずかしいところになろうかと思いますが、これはやはり思惑に地方公共団体政府が乗せられるということではなりませんので、原則的には、買い付け価格に事務費、金利、そういった必要経費と考えられるものですね。こういったものが考慮されるのではないかというふうに私は思います。
  247. 多田光雄

    ○多田委員 その価格は、いま大臣のおっしゃった取得価格プラス維持費。これは維持費程度は出さなければならないだろう。その点については私どもも賛成でございます。ただ、心配なことは、これは同じ江戸さんが言ったことですが、本年一月二十二日に開催された土地住宅総合調査会主催の各界の主要財界人と金丸建設大臣とが出席した懇談会があった。この懇談会でこういうことを述べているんですね。一部略しますが、「われわれの業界でもっております約半分程は市街化調整区域にあるが、この地域土地が、とくに革新知事のいらっしゃるところはまず開発できない、」と言って、最後に、「いわゆる世論が非常にわれわれ不動産業界にきびしいが、それは大手不動産業者の役割の認識不足にもとづくものなのだ」ということを言っているんですね。ここで考えなくちゃならないことは、大量の土地を市街化調整区域買い占めた、どうも住民運動その他で開発が思うようにいかない、あるいは革新のところではなかなか思うようにいかない、持っていてもこれは金利がかさむばかりである。これを政府公共団体に買ってもらうおうということはよもや考えていないんじゃないかと私は思うけれども企業家というものはわれわれの考える以上の動物でございますからね。ですから、私は、大臣のおっしゃった取得価格プラス維持費程度のものということで、積極的にそれを進めていただきたいというふうに思うわけです。  そこで、次に移りたいのですが、先買い対象区域拡大するということ、これは必要に応じてやむを得ないことだろうと思いますが、その際大事なことはこのことじゃないかと思う。いままで線引きをやったということはどういう思想、精神で行なったのか。これはやはり都市に人口が集中しない、あるいは農地を守っていく、こういう積極的な立場でわれわれは線引きをやったと思うのです。ところが、その線引きを越えて都市計画区域までいまこれを拡大していく。私は、そのやむを得ない条件も十分わかります。  そこで、一つの問題の提起は、そこへ行く前にもっと目のつけるところが、市街化区域の中で、あるのではないだろうかということなんです。そうして、私は通産省にお伺いしたいのですが、東京都内における工場あと地は一体どれくらいあるか、そして、東京都がそれを取得した件数、これをひとつ数字で申してください。
  248. 志賀学

    ○志賀説明員 お答えいたします。  東京都の中の工場あと地がどのくらいあるかという御質問でございますけれども、現在東京都の中にございます工場あと地の面積については、正確に私ども把握しておりません。  最初に全般的な傾向を申し上げておきますと、私どもが昭和四十六年の五月に、工場の移転状況について調査をしたことがございます。そのとぎには大体約九百社から回答がございましたけれども、これは東京都だけではございません。全国的なものでございますが、そのうち約二割ぐらいが移転の意思ありということでございました。その後、本年の二月に、東京電力が約四千工場について調査をいたした。これは首都圏、東京近辺でございますが、このときには大体四割の工場が移転の意思あり、こういう回答を寄せております。したがいまして、最近、首都圏を中心にいたしまして、工場移転の動きというものがだんだん出てきたというふうに了解しております。  そこで、私ども、東京都周辺、あるいは大阪、名古屋、そういった移転促進地域からの工場移転に際しまして、工業再配置・産炭地域振興公団のあと地見返り融資その他いろいろ処置を講じておりますけれども、その際に、あと地をできるだけ国あるいは地方公共団体に、公共用の用地として売るようにという指導をやってきております。  この辺の事情を申し上げてみますと、現在までに九件、九社十工場に対しまして融資をいたしておりますけれども、そのうち、私ども指導などによりまして、現在までに五工場が、住宅公団だとかあるいは国、自治体に売却を決定しております。それから、残りの五工場につきましてはまだ未定でございますけれども企業側からは、国あるいは自治体からの要望があれば、それにできるだけ協力するという意向が示されておりまして、現在すでに二工場が自治体協議に入っておる、  こういう状況でございます。  必ずしも先生の御質問のお答えにそのままならないかと思いますけれども、とりあえずの現在の状況はそういうことでございます。
  249. 多田光雄

    ○多田委員 東京都議会のもので私は見ているのですが、東京都下八王子、それから町田、青梅の三市だけで、大企業買い占めている土地が約千六百四十ヘクタールあるそうです。そうして、二十三の特別区及び三鷹、武蔵野ほか都下三市に立地している製造業で、現在移転決定ないしは移転計画中の企業が千七百余工場あるそうです。あまり大きい工場ではありません。これらの企業のうち、工場あと地を国や地方公共団体譲渡したいと検討しているのがわずか八・八%にすぎない。都議会でこれが出ているのです。そうして、私の調べたところによりますと、一九七〇年ですから、三年前ですね。これは東京が買ったのは十四件、十三ヘクタール、金額にして七十億、単価が五万四千円です。それから、七一年ですから、昭和四十六年が三十件、そうしてこれは面積にして二十四ヘクタールで、百五十一億、そうして単価が六万三千円と上がってきております。それから、七二年にはがくんと落ちているのです。八件。そして、これは四・六ヘクタールです。四十億です。単価が八万七千円。この八件というふうに工場あと地の買収が減ったのは何かというと、これまた地価の異常な騰貴ですね。そうして、都に売るよりはやはり不動産会社その他に売ったほうがいい、こうなって——東京の工場あと地、最もこれは入手しやすい対象だろうと思う。これすらも東京都ではいま入手困難になってきているのです。こうして見ますと、東京都における土地の入手というのは、一体どっちを向いて走っていったらいいのだろうか、こう私自身も考えざるを得ないのです。  そこで、私は、建設省、自治省にお伺いしたいのですが、このように公有地拡大法がありながら、なお十分な実績をあげていない——私は全くあげていないとは言いません。これを喜んでいる人もいることは事実ですが、しかし、当初考えたような実績をあげ得なかった幾つかの原因があると思いますが、いまの質問のやりとりで、どういう問題だと思いますか。これはどなたでもよろしいです。つまり、公有地拡大法でほんとうの先買い先買いとして成功しなかったという原因ですね。
  250. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 基本的には、公有地拡大法の実績といたしましては、まだ正味四カ月でございますから、百六十四件成立しましたといいましても、その中の六割以上は二月中と三月中でございます。しかも、その件数は、四カ月だけに関して言えば、急カーブで上がっているわけでございます。したがって、いろいろな問題がございます。組織の問題もございます。それから、資金の手当ての問題もございますし、それから、いままでそういう習慣になれなかったというようなこともございますし、いろいろありますが、今後この公有地拡大法決定されまして、そうしてPRされるならば、これは相当の効果があるのじゃないか。と申しますのは、大体、この制度というものは、人の契約の中に入っていって、契約寸前に、同じ売るならばこちらによこしていただきたいというのでありまして、公共団体が公有地をほんとうに拡大していく本命は、やはり、計画をきめて、それを交渉に入って、最終的には取得するために収用するという姿勢が背後になければならないのでありまして、その補助的な手段といいますか、そういうような性格を持つものだと考えておりますが、それにいたしましては、私は、まだまだこれは伸び得るものだと思います。  東京都の例で申しますと、公有地拡大推進によりまして、工場あと地を買収しました実績はまだ五億七百八十万円ぐらいで、〇・五ヘクタールしかございません。工場用地もございます。そういうことで、地価の強含みといいますか、持っておれば将来もっと高くなるんだからというようなこともありまして、強含みが反映しまして、なかなかこちらの公示価格と折り合いがつかない。公示価格は現在の価格を推定しておりますから、そういう点の問題が引っかかっていると思いますけれども、そういう意味で、同じ売るなら公共に売ったほうがいいという情勢をつくり出していくこと、これが公有地拡大法推進する意味ではないかと私は思っております。
  251. 多田光雄

    ○多田委員 いまお話しを聞いていますと、株の上がり下がりを見ているような、どうも非常に不安定な感じですよ。先ほど大臣も列島改造ということばを述べておられますし、これは私の意見ですが、この施策が進む限りは、山、谷はあると思うけれども、物価騰貴や地価騰貴というものは、一たん上がったものはそう簡単に引っ込まないし、この法律はざる法と言われる。あなた方はどう考えているかわからないけれども、私が先ほどのやりとりで述べたような諸問題が根本的に、あるいは少なくとも根本に近い解決がされなければ、皆さんがおっしゃるような成果をあげないんじゃないかというふうに私は危惧するのです。  そこで、私なりに幾つかの原因を考えてみたのです。それは、一つは、こういうことです。自治体土地先買いのための財源がないということです。第二番目は、単なる協議であって強制力が全くないということです。これは、きのうは与党の議員の人も指摘していたはずですよ。それから、第三番目は、大都市で地価が異常な騰貴を続けているということです。先ほど大臣がおっしゃったように、土地が騰貴の対象になっている。そして、これは、私ども共産党の「赤旗」が非常に長時日をかけて調べたのですが、東京と、それから千葉、埼玉、神奈川、この三県だけで一万九千へタタールを私鉄その他の大会社が持っているのですよ。これは面積にしますと、東京二十三区の中で中心の十四区に匹敵する面積ですよ。これだけのものを持っているのです。その後も進んでいるのです。こういう状況の中で、いまおっしゃったように、私は手放しでは言えない。  もう一つの原因としては、いま私が申し上げた大企業による土地買い占め、これは最近非常に巧妙になってきているけれども、やはりとまっていない。この辺に主要な原因があるし、したがって、ここに政府としてメスを入れていかなければ、大臣も言われたが、住宅、学校など、住民の最も望んでいる、あるいは自治体が最も望んでいる土地の入手ということはほんとうに困難ではないかと思うのです。  そこで、私は、幾つかの点で提案してみたいのですが、大臣、どうですか、さっきも非常にむずかしいことを言っておられましたけれども、大企業が天然のこの土地を騰貴の対象にして買い占めているが、これを少なくとも三年間凍結する、もしくは価格の凍結、買い占め禁止をする、これは一体できないものかどうか。いま言った価格の当分の凍結はできないかどうか、この点を伺いたい。
  252. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは、御承知のように、土地利用計画を策定したり、土地規制をするということが例の国総法の中に盛り込まれておるわけですね。そういうことを実行に移していくためには、国総法を早くお通し願いたいというわけですが、なかなかどうも思うにまかせないようなわけで、おっしゃるように、大都界ほど確かに土地が不足していると私は思うのです。ですから、水かけ論に終わらせないで、総理がいまこそ都会地の職住一体の高層化ということを言えば、これはやはり美濃部さんも一歩を進めてもらって、それを実行するということになり、まさに工場の移転再配置がなされていけば、土地というものはまだあるのですよ。大体一・七%に五三%が住むという状態で、多田さんも御指摘になりましたように、われわれそのとおりだと思っておるのです。しかもまた、大商社買い占めておるものは国土の約一%だ。そうすると、これは東京、大阪、名古屋の五十キロ圏相当の土地買い占めたわけですね。ですから、ほんとうに過密、過疎の問題をみんなが本気になって、地方公共団体の責任者もどう解決するかという気になってくれば、ちょっと利用土地が多くなれば土地は暴落ですよ。この間うちの——これは人の趣味につながるのだからどっちでもいいような話ですが、絵画の暴落と同じで、どんなに狭い日本だと言ったって、一%に三二%が住み、一・七%に五三%も住めば、これはいろいろなひずみが出てくるはずです。だから、本気になって高層化を考えたり、工場の地方分散を考えたりして、これが実行に移されていけば、土地問題というものは、ああしまったというような声が大商社から出てくる時期があるというふうに私は思っており、また、そうしなければならぬのが政府の責任ですから、いまの御意見をまじえての御質問は十分参考にしながら、積極的に対策を講じたいと思います。
  253. 多田光雄

    ○多田委員 大臣、この都市化の問題は非常に深刻な問題だと思うのですよ。日本列島改造云々と言われていますけれども、先ほども発言者も述べていたように、池袋の六十階の都市開発センターですね。そこで、東京で資本金十億以上の会社の五割が事務所を持つことができる。一つは、こういうことが人口を大きくしている。というのは、霞が関などのビルに相当な人がいますね。あれの十一棟分東京に事務所がふえているのです。そうして、住宅、学校は申すに及ばず、いまごみ戦争と言われているけれども一般家庭のごみの十一倍が産業廃棄物ですよ。それから水ですが、ビルの急増が一番の問題なんです。一年間にふえるビルの使用量は一日に一万一千立方メートル、一般家庭用の三万世帯分の一日分がこのビルで使われている。ですから、池袋のあの都市開発センターができますと、一日の使用量は九千立方メートルだそうです。稲城市や武蔵村山市の一日分の水なんです。まさに都市化は少しもとまっていないのですよ。しかも、先ほどの御答弁を聞きますと、この都市開発センターはとめる御意向はないと言う。先ほども質問者は、やめたらどうかということを非常に強く言っておられたが、思い切ってこういう措置をとらなければ、日本列島改造を進める国総法で——これはまだ審議段階にも入っておりませんが、これでやられましたら、東京都の人口は減らぬと私は思うのです。それほど土地の問題は深刻なんです。そこにこの高層ビルでございましょう。日照権の問題が起きましょう。そこへ行く前に、先ほど言った工場を売っていこうとする土地、あるいは大企業買い占めている土地、しかも遊ばせてぺんぺん草が生えている土地、ここに目をつけて、先ほど大臣の言われた取得価格プラス維持費程度でもって買うというふうな英断をなぜ示されないのか。東京都民は六十階のビルを望んでおりませんですよ。望んでいるのは企業家であり、デベロッパーなんです。そういう都民や住民の考えや気持ちをさかなでするようなことをどうしてされるのか。これは私はふしぎでたまらない。  そこで、大臣、これはついでに言いますけれども、この生活用地確保のために、工場、ビルのあと地、大企業買い占め土地に対して、せっかくあるんだから、公拡法とともに土地収用法を併用して、もう少し強制的に地方自治体先買いをするという措置をとれないものかどうか。これをお伺いしたいと思います。この程度のことまで踏み込んでいかなければ、いまほんとうに自治体住民の望む公有地拡大というのは困難じゃないかと私は思うのですが、いかがでしょうか。
  254. 江崎真澄

    江崎国務大臣 土地は公が優先するという思想をもっともっと徹底させる必要があるんです。そして、従来でも、私たちの立場で土地を収用しようとすると反対運動が出てきたが、その反対運動がいろいろな思惑でなされるのは考えものです。ですから、そういうことの思惑のないように、ぜひお互いに戒め合いたいものだというふうに思うわけでございます。  それから、工特法によって工場がどんどん郊外に出ていくことになれば、相当な空間地は出てくるわけですね。しかし、なかなかこれが進まない。ですから、日本列島改造ということばで発想転換をして思い切った政治をやろうとすると、日本じゅう土地が値上がりしたなんというようなことを言われて、これが立ちはだかる。これではいかぬので、やはり議論するところはするが、一つずつ具体的に解決していくということでないとこういう問題は解決しませんね。ですから、国総法も早く通してもらって、そうして国総法で足らない点は改めるということで、これこそすみやかに成立させること、これこそ拙速がとうとばれるのですね。不備があれば、あとから直せばいいんです。人間の知恵というものは、万全の策というものを法律化することは、人のやることですからなかなかむずかしい。改めていけばいいのです。だから、早くそういうものを通して、全面的にこの土地政策を推し進めてみようじゃありませんか。この土地特別保有税がかかることになれば、きっと相当な成果がこれからあがってくると私は思うのです。これは税金だけでなしに、どこにだれがどれだけ持っているかということが市町村において把握できるだけでも前進すると思うのです。そのことによって公有地をどうするかという具体的な計画も出てくるわけですね。どうぞ、ひとつ、法案審議に御協力願います。
  255. 多田光雄

    ○多田委員 しかし、この間の日本経済新聞を見ますと、工場追い出しがうまく行っていない、そして金が余ったということが出ている。ですから、そこで一つの問題は、大臣はいま国総法との関係を述べたが、国総法はまたあとで私は触れたいと思うのですが、どうして、土地収用法を併用して、こういう遊閑地を収用しようとされないのか。それを伺いたいのです。工場あと地その他ですね。
  256. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 収用の問題が出ましたので、私から申し上げます。  都市の中の必須のそういう施設のために、都市計画の施設をあらかじめ決定いたしまして、そして、これを事業に結びつけていくために収用権が与えられております。したがいまして、公園あるいは住宅、あるいは再開発事業というようなものにこういった工場あと地を積極的に利用していこうという姿勢をわれわれは持っておりまして、工場の移転あと地というものは、これを積極的に利用していきたいという方針で参っております。また、事実、いままでも、そういう工場あと地は、一ぺんにそこはそのまま使いません場合が多いものですから、これを核といたしましてこの計画を整え、そして時期を得まして、適切な計画にこれを導いていく。そのための収用権を与えられております。これを今後とも積極的に推進いたしていく考えであります。
  257. 多田光雄

    ○多田委員 民間の不動産会社の買い占めている土地は……。それもさっきから聞いているのですよ。
  258. 大塩洋一郎

    大塩政府委員 民間が持っている土地一つとして工場あと地を申し上げたのでございますが、そのほかでも、もちろん民間が所有しておる土地がほとんどでございますので、民間が所有しており、そしてそこがどうしても都市施設として適地であって、街路、公園、広場その他の施設として必要であるならば、これは都市計画として決定すべきである。そして、それは、あるいはごみ焼却場その他にしましても、計画を決定してそれを収用に結びつけて実施する、こういう方針でございます。
  259. 多田光雄

    ○多田委員 いや、私の言いたいことは、先ほどから言っているように、公有地拡大しなければならないと言うけれども、なかなか思うように進んでいないですね。大臣は、国総法だとか、それから高層建築だとか言っておられるが、これは私は異論がある。異論があるというのは、買い取るべき土地、遊んでいる土地がもっとあるだろう、それをどうしてもっと強制的に、取得価格プラス維持費程度でとれないのか、そういう強制措置がとれないのかということを聞いているのです。
  260. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これはなかなかむずかしいので、実態がわからないのです。特に、いまおっしゃるのは調整地域土地というわけですが……。
  261. 多田光雄

    ○多田委員 市街化区域も含めてです。
  262. 江崎真澄

    江崎国務大臣 市街化区域ですと売買が自由ですから、名儀変更ができましょうが、調整地域ですと、いまの名儀変更がなされておらぬというわけで、なかなかこの実態把握がむずかしいわけですね。それから、調整地域でも、大きなものであるならば、二十ヘクタール以上で自分のところで宅地開発をやるのだというようなことになりますと、なかなか問題がある。そこで、私がさっき申し上げましたようにこれはお答えしておいたわけですが、土地特別保有税によって市町村実態を把握いたしますると、それに基づいてこれはどうですかということを言う。それでも調整地域の仮登記した分はわかりませんね。しかし、そういうものも、それを契機にだんだん明らかになるものは明らかにしてもらいまして、そして、さっき申し上げたような、いわゆる維持費プラス、そして毎年の物価騰貴がありまするから、その程度のものは見なければならぬでしょうが、大体妥当な線でこれは売り渡しをしてもらう、そういうところへいくべきですね。ですから、そういうことでどうも土地取得が思うようにいかないときは、それはまた時宜に応じて法律改正をしていったらいいのです。ですから、まず根本になる国総法を通し、不備があればこれをどんどん毎年でも修正して十全を期する、こういう形でやっていきたいと思っております。
  263. 多田光雄

    ○多田委員 いま大臣は国総法を盛んに持ち出しておられるが、政府としては、すべての法律がそこから出るわけだから関連させておられるのでしょうが、いま、公有地拡大法一つ満足に仕上げることができないで、公有地拡大とか公共用地拡大をするということはほんとうに困難であろうと私は見ているのです。どうしても皆さんが触れたがらない、たとえば工場あと地にしても、これが市街化区域であろうが、あるいは大企業の持っている土地にしても、これをもっと強制的に買い上げていくことができないのか。これはさっき私権云々ということを言われましたが、ここがいつも問題になる。ところが、私権云々と言われているのであれば、たとえば国総法の特別規制地域では、この土地取引については知事の許可制を必要とするということも書いてある。これも一定の制限です。もっと重大な変化がいま日本の国内に生まれていると私は思うのです。土地で悩んだ地方自治体がどういうことになってきているかと言いますと、これは自治省のほうも御存じだろうと思うのですが、例の「宅地開発規制要綱」というものが岡山で始まっている。つまり、学校用地、保育所用地などを現金で企業家に負担させていく。これが全国に広まっていく。そうかと思うと、千葉県の鎌ケ谷市では、東武鉄道が手がけている十三ヘクタールの大規模な宅地造成事業に対して、分譲地の価格を十万円以下に押えるよう自治体が強く要請している。もうやむにやまれないのです。そうかと思うと、もっと進んでいるのが千葉県の「地価対策要綱」ですよ。これは四点ほど重点があるのですが、一つは、宅地造成工事が完了したら直ちに販売計画を作成する義務を企業家に与えている。それから、もう一つは、宅造地は一括して分譲することとして、小出しに売らないでくれということにしている。それから、もう一つは、宅造業者が最終の需要者ではなくて、他の特定業者に買収した土地を転売するのは価格をつり上げることだからやめてくれということ。さらに、また、宅地区域全体の販売計画がきまる前に宅地の一部分だけを売り出してはならないということ。こういうことを企業家に強く要請している。くどいですが、さらに、神奈川県でも、「民間宅地造成地分譲等の県民優先措置に関する要綱」というものをきめて、開発面積一ヘクタール以上または分譲戸数百戸以上の宅地開発業者に対して、同県内に一年以上在住、在勤している県民を優先的に入居させる措置をとってもらいたいという、こういう思い切った措置地方自治体は始めてきているのです。そうすれば、政府が、年寄りの病人みたいにあとからのこのこついていくのはかっこうが悪い。やはり、思い切って、地方自治体で始まっているところのこういう——私権に対する制限とおっしゃいますけれども、まさにこういう人たちが非常に大きな損害を与えているのです。これは、私は、いま非常に大きな民主主義の内容だと思いますよ。いまから二百年くらい前の資本主義の発達の時期の、大きい、小さい自由競争の時代とは違う。大企業は政治には口ばしを入れる。価格はかってにつり上げる。原材料は独占する。こういう時代では、これらの横暴なやり方を押えるということがむしろ民主主義なんです。私権の制限じゃないですよ。ですから、そういう意味で、思い切ったそういう強制的な措置をとらなければ、いま、公有地拡大はほんとうにできないのじゃないかと私は思うのです。時間がありませんので、次に移ります。  そこで、問題の財源問題です。これについて私はちょっと伺いたいのですが、政府から出てきた資料で、「公有地取得の財源措置」というのがありますね。これをちょっとお伺いしたいのですが、公共用地先行取得事業債がございますね。これは法のたてまえから言えば、おもに道路などの取得の財源でございましょう。一体、これが先行取得の金になるのでしょうか。宅地その他のほんとうの先行取得の金じゃなくて、先行取得があろうがなかろうが、これは出るお金でございましょう。そうじゃございませんか。というのは、ここにある財源は、全部、まるで公有地拡大のために特別に出されたみたいな恩恵のように見えるのです。知らない人は、ずいぶん金を出しているなと錯覚しちゃう。ところが、ここで見たら、公共用地先行取得事業債にしても、先取りがあろうが、なかろうが、これは出されている起債でございましょう。  それから伺いたいのは、地域開発事業債の中で、臨海、内陸、流通、住宅とあるけれども、内訳はどうなりますか。四十八年度の計画額で千百九十六億。一体、この住宅というのは公営住宅ですか。その辺の内訳がはっきりしない。  それから、義務教育施設整備事業債、これだって、学校を建てるのに当然出るお金でございましょう。何も先行取得のお金じゃありませんね。  それから、公営住宅建設事業債もありますけれども、これも先行的に認められた起債ではないですよ。  それから、水田債。たんぼをどんどんつくっていったら、ことしどうしますか。  それから、都市開発資金。これだって、都市開発資金は、区画整理だとか都市開発のための資金であって、公共用地のほんとうの先買いのための特別に組まれた資金でもございませんでしょう。  これらを見てみたら、すでにあるものをあっちこっちから予算を引っぱってきて、これだけの金がありますと恩恵がましく言っているけれども、これはほんとうに土地公共用地に取得していくという積極的な財源措置なんだろうかという疑問を私は持つのですが、これはどうでしょう。
  264. 近藤隆之

    近藤政府委員 一つには、考え方によると思いますけれども、たとえば公共用地先行取得債でも、数年先にこの土地道路になる、前もって買っていこうというようなものに公共用地先行取得債をつけております。それから、義務教育にしろ、住宅にいたしましても、将来学校用地住宅用地になる、とりあえずそういう目的のために用地だけを買って造成していこうというような場合に、前もって起債をつける。したがいまして、考え方によりますれば、これは先行取得債ではなかろうかとわれわれは思っております。
  265. 多田光雄

    ○多田委員 私がここで幾らか先買いというふうに言えるものは、去年から実施した公営企業金融公庫の金、これも去年の十億から七十億に上がったくらいのものであって、ほんとうに公有地先買いするという積極的な予算ではないのじゃないか。だから、地方自治体は借金ばかりふえて困っているのです。そこで、私は、特に、自治省の大臣である江崎大臣に要請したいのですが、公有地拡大法の二十四条では「国は、公有地拡大を促進するため、地方公共団体による土地の取得が円滑に行なわれるように必要な資金の確保その他の援助に努めるものとする。」と、うたわれているわけです。そこで、私は、新しい提案ですけれども、次のようなことをやってもらえないかと思うのです。一つは、当面、公共用地など生活用地の取得にあたっては、地方自治体の起債の許可制、これを全面的にひとつ緩和してもらいたい。これは地財法とか自治法の関係もございますけれども、先ほど言いましたように、住宅、学校その他から言って、最も切実なこの用地難を解消する一つの方便ではないかというふうに思います。  それから、第二番目に、起債の場合ですが、一定額はやはり財投などから長期、低利の融資をしていただく。こういう措置なんかもひとつやっていただけないかという問題です。  三点目としては、例の、公共用地先行取得事業債がありますね。これは、大企業の産業基盤、流通基盤による土地の確保その他にいろいろ運用されているのですが、これをもう少し変えて、たとえば住宅用地などの先行取得債というように、思い切って住宅、学校その他を優遇する措置にする。こういうものをひとつ御検討願えないか。  昨日、大臣は、宅地については、たとえば利子については、大蔵省といろいろ折衝して実現したいという積極的な姿勢も示されたわけですが、いま私の申したような最低のことくらいはひとつ御検討を願えないかどうか。それを伺いたいと思います。
  266. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これはぜひ検討させてもらいます。非常に前向きな一生懸命な御質問で、私は傾聴しました。  そこで、いまの起債の場合は、言われるとおりにもつと認めるということでなければ土地は買えません。それから、いま、土地を求める上において一番多額を要する公共団体は、比較的金の借りられる公共団体ですね。市とか町でも、比較的大きいベッドタウンになるような地域というわけですから、縁故債、いわゆる市中銀行からの金の引き出しは、これは大蔵省などでも金融引き締めの対象から除外しておるということを、きのうでしたか、お答えいたしておりましたね。これは、私どもも、大蔵省や金融当局には何べんも念を押しておるところでございます。したがって、この縁故債は、公用地拡大に関する限りは全部認めるという方針で現在でも運営をしておるわけです。  そこで、金利の問題が出たわけですね。したがって、特別高い金利のものについては、特にいま高金利時代ですから、政府がある程度の助成をするくらいのことは必要だということを大蔵大臣にも強く申しておるような次第でございまして、これらは今後の問題として、いまあなたの御提案になりましたことを含めて、ぜひ実行に移してまいりたいというふうに考えます。
  267. 多田光雄

    ○多田委員 時間もありませんので、最後に、開発公社のことを若干お伺いして終わりたいと思います。  いままでの民法上の土地公社から今度の公法上の土地開発公社に変わる。これは去年からそうなんですが、業務の範囲が拡大されているのですけれども、その目的といいますか、これはどういう内容でしょうか。
  268. 近藤隆之

    近藤政府委員 土地開発公社が一団の土地を買いまして、それを整地いたします際に、道路等をつくるのにあわせまして、たとえば下水道とか水道管を布設するというようなことも一緒にやったほうが都合がいいというような場合が多々あるわけでございます。これまで財団法人として設立されておりましたいわゆる地方開発公社、これは、そういった上物もできるようになっておるものが大多数でございました。したがいまして、今度法律土地開発公社ができます際にも、地方公共団体のほうからは、最小限の上物ができるようにしてほしいという要望が非常に強かったわけでございますが、昨年、種々の経緯がございまして、一応土地の取得、造成ということに業務範囲を限りまして土地開発公社を設立したわけでございます。しかし、実態を見てみますと、やはり、一団の土地づくりといった場合には、最小限の上物はやらしたほうが都合がいいというような実態でもございますので、この際、公共、公用施設につきましては、地方公共団体の委託を受けた場合にはあわせて行なうことができるという形にしたわけでございます。
  269. 多田光雄

    ○多田委員 上物までつくるようになったということで、喜んでいる自治体もあることは事実です。公社をつくったということは、こういうことを言うとまた皆さんあれですけれども、私は、これは必要悪だったんだろうと思うのですよ。つまり、地方自治体が財政的に非常に困っちゃった。土地所得が困難だ。しかし、住宅をつくらなければならない、学校をつくらなければならない、土地を入手しなければならない、自治省はさっぱりめんどう見てくれない、こういうことで民間の資金を導入して、民法上の財団法人の公社をどんどんつくる。  ところが、この公社の不正、腐敗というのはたいへんなものです。これは、この委員会で去年もだいぶ問題になりましたね。この間も、私、神奈川県の二、三の都市を訪ねていったのです。ここは民法上の公社ですが、たとえば理事長の印鑑盗用がある。これは厚木です。そうかと思うと、農民から公共用地にするんだといって買って、これを他の業者に売ってしまって、それで農民から土地を返せという訴訟が起きている。それから、市長が公約で道路改修に二億円計上したけれども、金がないというので、財源として、市の財産、市有林を今度は公社に譲り渡す。これは金融機関になってしまった。それから茅ケ崎、これは学校建設公社をつくる。その運営が不明朗で、保守派を含めて、これはおかしいということになって、議会で学校建設対策特別委員会というものをつくって、チェック機関をつくった。二宮町もそうなんです。このようにして、ともかく財団法人は非常に腐敗が多い。そういうことを直すという意味でも、今度の公法的なものにしたんだと思うのですが、私の心配するのは、地方自治との関係の問題です。  というのは、私の出身の北海道で、この開発公社をめぐって延々と道議会をやった。これは詳細な議事録が出ている。これを見ますと、一番心配しているのはそれです。知事は何と答えているか。開発公社は私の分身ですと答えている。そういう御説明自治省からあったかもしれないが、私はこれは初耳です。責任から言えばそうかもしれないけれども、知事が役員をきめるわけでございましょうが、議会のチェック機能がない。これもきのう与党議員を含めて疑問があったのだけれども、どうもその危険がある。きのう大臣は、定款は議会の承認を得るのだ、それから債務負担行為があるから、これも議会でなんて言ったけれども、これは一年に一回か、定款であれば何年に一回で、その次にやるのは解散だというときくらいのものでしょう。私は、一番大事なことは、議会のチェック機能をつくることだと思う。そういう意味では、たとえば北海道ではこういうものをつくった。やはり危険だと思って、定款に土地開発推進委員会というものをつくったわけです。そして、この公社が独走することを押えている。私は、地方自治というものにとって、本来は義務教育の学校その他は地方自治体が建てるべきものだと思うのですよ。それを、かりに全額地方公共団体が出したものとしても、それに上物までつくらしていくということになったら、一体これはどういうことになるんだろうという疑念を持つ。地方自治を侵すのじゃないかという疑念を持つ。しかし、これは先ほども大臣から答弁がありましたから、回答は要りません。私は、これは反対です。  もう一つ伺いたいことは、土地開発公社土地を買い入れますね。これは第三セクターに売るということは可能ですか、どうでしょう。
  270. 近藤隆之

    近藤政府委員 第三セクターのみならず、民間に売ることも可能でございます。
  271. 多田光雄

    ○多田委員 ここで大臣がさっきから言っている国総法が出てくるわけです。北海道では、道議会の答弁で、千歳の飛行場の拡大用地から、従貫道路開発用地まで取得している。こうなってきた。まさに国総法の小型版、これは私が言っているのじゃなくて、財団法人日本地域開発センターで発行している「地域開発」の五月号の「公有地拡大法」で言っているのですが、「国が設立する予定国土総合開発公団のいわば“地方版”を目ざしている。」ということを言っている。この開発公社がこうなってくると、開発公社の性格というものが私は心配なんです。これは毎回江崎大臣も述べていますけれども。あの苫小牧東部で、道議会が三百億の金を投じて工場団地を買い占めて、いま地方自治法の百条委員会で、道までが農地法違反を犯して、土地を取得して警察まで入っている。第三セクターに土地を売るということになれば、文字どおり大企業開発にこの公社が使われていくでしょう。しかも、土地をどんどん買い占めていく一つの事業体みたいになってくるでしょう。議会のチェックもない。問題はここです。私どもは国総法に反対でございます。だから、この問題に一がいに反対と言っているのじゃないですよ。ですから、重要なことは、こういうものをもしつくるとするならば、議会のチェック機能を制度化していかないと独走する危険があるんだ。特に、いまのような日本の社会の場合はそのおそれ十分なんです。私が例をあげたように、長であっても安心できないのですよ。これはどうでしょうか。
  272. 江崎真澄

    江崎国務大臣 いま御指摘の点は、私は、議会と公社の関係というものは非常に密接であるというふうに考えておるわけで、出資が全額地方公共団体によってなされているわけですから、当然、年初、事業計画を議会に出します。それから、決算については、やはり議会に報告をする義務が義務づけられております。それから、債務負担行為があるのですし、出資金を出しておるのですから、必要とあればいつでも公社の幹部を議会が呼んで、そして疑問点をただすということは、これはどこでもできるわけですね。それを拒否するということはできない。ですから、何もいま御心配になるような点は必要ない。  それから、事業的なことをこの公社がやるじゃないかということですが、いや、事業的なことをやるから公社にしたわけで、地方公共団体が事業と紙一重というか、区別しにくいようなことまでやることは、これはちょっと問題がありまするので、そこで公社設立をした。北海道の場合は、千歳空港の拡充から、道路用地から、苫小牧の東部開発、これも大計画を推進する了承を道議会でも得ておるわけですし、それを公社がやっておる。そこに不正があるというようなことになれば、これは問題です。不正はもうどの場合もいけません。しかし、そういうふうに事業を広げておるとすれば、これはたいへん頼もしいことであって、いまお話しを聞いた範囲ではよくやっておるなという感じがしますが、どうでございましょうかね。
  273. 多田光雄

    ○多田委員 もう私の持ち時間が来ましたので、もう少しで終わります。  ともかく「住宅用地の造成事業その他土地の造成に係る公営企業に相当する事業で政令で定めるもの」として、この政令の中の港湾整備事業から、地域開発のための臨海工業用地、内陸工業用地及び流通業務団地と、こうなってきますと、これこそ文字どおり列島改造の先兵の役割りを果たすものだと私は思うのです。  大臣にもう一度お伺いしたいのですが、やはり、この公拡法は、いわゆる住民サイドの用地を確保するけれども、同時に、こういう列島改造をめざしている。いわゆる大規模開発やその他にもこれは考慮されてきめられたものと思いますが、いかがでしょうか。
  274. 江崎真澄

    江崎国務大臣 列島改造と直接の関係はございません。むしろ、地方開発公社ですから、その地域地域住民の利益、これに資するようにという目的でこの法律案は出されたものでございます。
  275. 多田光雄

    ○多田委員 この開発公社については、もっと詳しく実は突っ込んでお伺いしたいと思いましたけれども、もう時間がきましたので、これで終わります。  最後に、私どもは、政府・与党の出されておる法律案を、それこそ眼光紙背とまでいきませんけれども、かなり勉強するのです。ですから、どうぞ、ひとつ、与党や大臣の皆さんも野党の政策に謙虚に耳を傾けてもらいたい。そういう意味で、私どもは、昨日、非常に詳細な土地政策を発表したのです。大臣は「赤旗」を読んでおられませんでしょうから見ておらないと思いますが、これは戦後の土地改革に続く第二次土地改革として、私どもは、いまの土地問題を重視して、かなり抜本的な政策を出しましたので、どうぞ、ひとつ、大臣、これを読んで、ほんとうの住民サイドで公有地拡大していくということをやっていただきたいことを最後に要請しまして、長くなりましたけれども、質問を終わります。
  276. 上村千一郎

    ○上村委員長 次回は、明二十九日金曜日、午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後六時十五分散会