運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1973-06-21 第71回国会 衆議院 地方行政委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年六月二十一日(木曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 上村千一郎君    理事 小山 省二君 理事 高鳥  修君    理事 中村 弘海君 理事 中山 利生君   理事 三ツ林弥太郎君 理事 山本弥之助君    理事 吉田 法晴君 理事 林  百郎君       愛野興一郎君    今井  勇君       片岡 清一君    亀山 孝一君       島田 安夫君    谷垣 專一君       永山 忠則君    古屋  亨君       前田治一郎君    保岡 興治君       渡辺 紘三君    岩垂寿喜男君       佐藤 敬治君    山口 鶴男君       山田 芳治君    柴田 睦夫君       多田 光雄君    小川新一郎君       小濱 新次君    折小野良一君  出席国務大臣         自 治 大 臣 江崎 真澄君  出席政府委員         警察庁交通局長 片岡  誠君         大蔵省主計局次         長       長岡  實君         厚生省医務局長 滝沢  正君         運輸政務次官  佐藤 文生君         自治政務次官  武藤 嘉文君         自治大臣官房審         議官      森岡  敞君         自治省財政局長 鎌田 要人君  委員外出席者         経済企画庁長官         官房参事官   斎藤 誠三君         経済企画庁長官         官房参事官   喜多村治雄君         通商産業省企業         局商務第二課長 荒尾 保一君         運輸大臣官房参         事官      佐藤 久衛君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部長 中村 四郎君         運輸省自動車局         業務部長    高橋 寿夫君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 委員の異動 六月二十一日  辞任         補欠選任   小川 省吾君     山口 鶴男君   三谷 秀治君     柴田 睦夫君 同日  辞任         補欠選任   山口 鶴男君     小川 省吾君   柴田 睦夫君     三谷 秀治君     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申し入れに関する件  地方公営交通事業経営健全化促進に関す  る法律案内閣提出第五四号)  地方公営交通事業経営健全化促進に関す  る法律案山口鶴男君外十九名提出衆法第一  六号)      ————◇—————
  2. 上村千一郎

    ○上村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる地方公営交通事業経営健全化促進に関する法律案及び山口鶴男君外十九名提出にかかる地方公営交通事業経営健全化促進に関する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。林百郎君。
  3. 林百郎

    ○林(百)委員 大臣にお尋ねしますが、御承知のとおり、地方公営交通事業再建計画については、第一次の再建計画があって、それに基づいて、地方公営交通事業としては一定努力をしたわけですけれども、それはみごとに破綻に瀕して、自治省のこの「反省」によりましても、非常な危機におちいっておるということをみずからも表明しているわけです。たとえば「公営交通事業は破たんの寸前にある。」というようなことを述べておられるわけですが、このときも再建債利子補給を一部したということで、そして、計画の中には企業改善あるいは合理化等内容となっていたわけなんですけれども、それが破綻をしたという理由はどういうようにお考えになっているのか。当委員会のいままでの質疑応答を聞きますと、内的な要因と外的な要因があるという答弁をされているわけです。そして、内的な要因についてはこれこれ、外的な要因についてはこれこれと、若干の説明がありましたけれども、これをあらためてお聞きしたいと思うわけです。
  4. 鎌田要人

    鎌田政府委員 企業内部要因外部要因とあるわけでございますが、外部要因といたしましては、何と申しましても、第一次再建計画策定後、さらに一段と、都市の構造と申しますか、モータリゼーションといったものの進行によりまして、混雑状況が激化してきたということで、定時性の喪失、これに伴う乗客の逸失ということで収入が意のままに伸びないということがあげられるわけでございます。それから、内部要因といたしましては、毎年人件費の急騰という問題がございます。それに対しまして、たとえば料金適正化ということがなかなか行なわれない。過去におきまして一回だけでございます。そういうことで収支バランスがとれない。さらに、バスワンマン化促進、あるいは路面電車の撤去、こういうことで、企業合理化努力というものを私ども評価をいたしておるわけでございますが、なお、全体的には、どうしても親方日の丸的な経営ということでございまして、経営合理化あるいは経費の節減といった面におきましてもなお不足があった。  大体以上のようなことを要約いたしておるわけでございます。
  5. 林百郎

    ○林(百)委員 再建計画の中に、経営再建基本的な方針というものを策定するようにということが書いてあるのですが、自治省としては、この企業経営再建基本的な方針ということは一体どういうことを考えておられるのでしょうか。大臣にお答え願いたいと思います。
  6. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは、もとより、路線バスの機能が十分果たされるように、その環境といいますか、道路整備等々をはかりていかなければならぬ。それには郊外部道路の拡幅の問題がありましょう。あるいは、バイパスの道路の新設といったような根本的な問題もあります。鉄道駅に連絡する道路網整備主要交差点立体化といったような基本問題。それから、バスに関連した施設整備としては、ターミナルの建設であるとか、駅前広場バス優先利用とか、バスレーンの拡充、バスの停留所の施設整備、それから公共交通機関優先通行確保、これは現在でも行なっておりますが、これを徹底する必要がある。バス優先レーンとかバス専用レーンをどう拡大するか、車種別用途別交通規制強化バスのみの右折、一方通行区間の逆進など、いろいろ考えられます。駐車規制強化などによる自動車交通規制強化、そして場合によると、先頃来言っております自転車通勤もさることながら、ラッシュ時における都会地乗用車乗り入れ禁止道路を徹底するとか、あるいは、スピード制限を相当きびしく乗用車に限って行なうとか、方法はいろいろあると思います。  いずれにしろ、これは地域住民の協力を得て、相当蛮勇をふるわぬと、同じことの繰り返しになる憂いがあると思います。したがって、今後は、住民の理解を得ながら、相当思い切ってそういう環境整備につとめてまいりたいというふうに考えております。
  7. 林百郎

    ○林(百)委員 いま大臣の述べられたのは、主として、先ほど局長述べられた内的要因外的要因の中の内的な要因についての問題ですが、外的な要因の問題についてはあとで聞きますけれども、同じ内的な要因に関連して、再建計画事項の中で、四条三項の第二号に、「経営改善及び合理化」とありますが、原文は「合理化」でしたが、昨日の理事会話し合いでは「効率化」ということばに変わる可能性もありますけれども、とすると、この「経営改善及び効率化に関する措置の大綱」というのはどういうことなんでしょうか。
  8. 鎌田要人

    鎌田政府委員 まず、第一といたしましては、バス路線再編合理化、あるいは第二に職員適正配置、あるいは給与なり勤務条件、それから利用者増加対策とサービスの改善、こういった諸施策につきまして大綱を定めるように指導いたしたいというように考えておる次第でございます。
  9. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、労働条件については、適正な配置と、そのほかどういう要因考えられておりますか。
  10. 鎌田要人

    鎌田政府委員 これはもちろん勤務条件に関する事項でございますから、それぞれの地方団体におきまして、労使間の交渉、それからそれに基づく労働協約、こういったもので確定をされてまいるわけでございまして、それが基本になって再建計画に織り込まれる、こういうことでございますから、それぞれの自治体におきまする労使双方の自主的な話し合いというものが基本になりますので、私どもといたしまして、ここをこういうふうにせよとか、あるいはああいうふうにせよ、こういうことはもちろん考えておらないところでございまして、それぞれの団体の実情に応じまして、たとえば勤務時間、ハンドル時分、こういったようなものについて改善を加える必要があるといったような場合には、その点をテーマにしながら、交渉をもってきめられてまいるそれぞれの団体の自主的な判断、決定にまかしておるところでございます。
  11. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、第一次再建計画のとき、そういう労働条件、たとえば賃金ベースアップというような問題があったときに、これは、計画については変更するということになっていたのですか。それとも、その計画の中には、賃金人勧基準に従って適正にアップしていくというようなことを計画の中に入れておけば、それでいいようになっていたのですか。
  12. 鎌田要人

    鎌田政府委員 第一次再建計画のときには、毎年度の解消すべき不良債務額、これを結局議決事項承認事項にしておったわけでございます。したがいまして、給与改定が行なわれるということになりますと、それに見合う収入というものをみずから生み出す努力というものがあれば計画変更の必要はないわけでございます。ところが、それに見合う収入というものが得られないということになりますと、毎年度解消すべき不良債務額というものは動いてまいります。そうなりますと、その点について変更議決をとって自治大臣承認を受ける、こういう仕組みにいたしておったわけでございます。  なお、この給与改定の問題につきましては、御案内のとおり、議会議決を経るということになるものでございますから、将来どういう幅の給与改定というものが行なわれるか予測ができない。他方におきまして、それに見合う国鉄方式でございますと、それに見合う料金の値上げというものを予定しておるわけでございますが、自治体議会におきまして、料金の、いわばそういうスケジュール的に上げるということを議決にかかわらしめるということも、これははなはだ不適当でございますので、これは両方とも計画には織り込まない、こういう指導を第一次のときもいたしておりますし、今般もそういう方針でまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  13. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、これはすでに他の同僚からも質問があったわけでありますが、常識的に考えて、公営企業労働者賃金がアップしていく。少なくとも、最近の人勧基準にして考えてみれば、二けたのアップをしていくことは考えられるわけなんですけれども、そういう場合に、再建債の償還ば計画に盛ってあるのですけれども、毎年毎年人勧に基づいて公営企業労働者賃金がアップする場合は、そのたびに計画変更をやはり出さなければならないということになるわけですか。もし、その企業自体でそれをまかなうだけの財源がないというならば、ですね。そういうことになるわけですか。
  14. 鎌田要人

    鎌田政府委員 今度の計画の場合でございますと、既往の不良債務というものは企業外で片づきますから、結局、新しい再建計画におきましては、毎年の収支バランスというものを、何といいますか、収支、これを出していただく、それを計画の主内容にする、こういうことになるわけでございますが、給与改定によりまして、その毎年の収支バランス見込み額が変わってくるということになりますれば、その点については変更承認を求めなければならない、こういうことになるわけでございます。   〔委員長退席三ツ林委員長代理着席
  15. 林百郎

    ○林(百)委員 現実の問題として、毎年承認を経るという手続をしなくても、職員ベースアップ分計画変更として再申請をしなくても済むようなことを考え得る企業があるのですか。
  16. 鎌田要人

    鎌田政府委員 これは、ただいま申しましたように、企業自身努力によってそういうものが生み出せる。たとえば料金適正化をはかっていく、あるいは経営内容能率化合理化によって財源を生み出す、あるいは企業財産の売却、こういったものによって財源が生み出せる、こういう場合でございますれば、計画変更の必要がないわけでございます。そうでない場合には、これはやはりどうしても計画変更せざるを得ないわけでございますから、自治大臣承認を受けていただく、こういうことになるわけでございます。
  17. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、計画策定と、自治大臣承認を得るまでは、従来は大体どのくらいの期間を要していたわけですか。
  18. 鎌田要人

    鎌田政府委員 計画変更をいたします場合に、実施の円滑を期しますために、私どものほうで事前に御相談申し上げる、これを事前協議と申しておりますが、この事前協議というものを、大体計画変更しそうな場合になりますと持ってきていただきまして、そこでこの御相談を申し上げる。そこで御相談申し上げた結果で変更承認をいたしますから、申請がございましてから承認をするまでの間はほとんど時間はない、その前に、事前協議の段階で実質的に煮詰めておる、こういうやり方でございます。
  19. 林百郎

    ○林(百)委員 だから、実質的にはどのくらいの期間を要していたわけですか。たとえば人勧が出る、そして、ベースアップ考えなければならない、そういうことを計画する、議会にかける、それから自治大臣計画改定申請をする。これによると自治大臣承認を得なければならないわけですが、これは、われわれは届け出制を主張しているわけです。事実上第一次再建計画のときにはどのくらいの時日を要していたわけですか。
  20. 森岡敞

    森岡政府委員 再建計画変更承認所要期間でございますが、時期によりまして、もちろん必ずしも一律ではございませんけれども、いま局長が申しました事前協議期間も含めまして、大体一、二カ月程度変更承認事務処理はできておる、かように考えております。
  21. 林百郎

    ○林(百)委員 その一、二カ月というのは、人事院勧告が出てから一、二カ月ですか。人事院勧告が出ると、公務員全体と、それから地方公務員給与も全体が変わってきますね。それから二カ月でよかったのですか。
  22. 森岡敞

    森岡政府委員 指定都市の場合に、給与改定は、一般職員につきましても、人事院勧告が出てすぐ行なうということではなくて、三月市会、あるいは場合によったら年度を越した例もございます。ですから、一般職員について給与改定議案議会に出す、その時点の前後、こういうことでございます。
  23. 林百郎

    ○林(百)委員 ちょっとわからないのですけれども、そうすると、実質的には半年以上もかかるという場合もあり得るわけですか。現実職員にアップされたベース給与を手渡すに至るまでには半年以上、あなたの言うようにですね。そういういろいろの申請をしたり、議会議決したりいろいろして、それから二カ月くらいかかるというのですか。実際は六カ月プラス二カ月ということもあり得るということですか。
  24. 森岡敞

    森岡政府委員 申し上げました意味は、市議会に、交通企業職員給与改定議案再建計画変更議決を求める議案を出すわけでございますが、その一、二カ月前ぐらいから、事前協議を含めまして事務処理を行なって処理をいたしておる、こういうことでございます。
  25. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、あなたの言う、先ほどの、六カ月またはそれ以上の期間を要することも指定都市の場合はあり得るというのは、議会にかけるまで、要するに、当該地方自治体が決定するまでにそのくらいの期間を要する、当該地方自治体が決定して、自治大臣承認申請を経るという、その期間は二カ月ぐらいで済むのだ、こういう説明ですか。ちょっとわからないのですがね。
  26. 森岡敞

    森岡政府委員 六カ月と申しましたのは、おそらく、三月市議会給与改定議案なり予算が議決される例が多いということを申し上げた、そのことだろうと思います。これは市長部局一般職員につきましても、人事院勧告が八月にございましても、翌年の三月に議案提出して議決を得るという例が多い、こういうことを申し上げたわけでございます。交通職員についてはできるだけその時期にやりたいということで、いろいろ検討を重ね、あるいは若干おくれた例もございます。いずれにいたしましても、市議会交通職員給与改定案件議決する、その一、二カ月前ぐらいから相談を始めまして事務処理をいたしておる、かようなことでございます。
  27. 林百郎

    ○林(百)委員 大臣、いずれにしましても、職員ベースアップというものは、人勧が出たときには、民間の企業との間にすでに一定の格差があるからベースアップ勧告をするわけなんですからね。だから、これは四月にさかのぼって給与をするというような勧告も通例出ているわけですね。だから、これは一日も早く職員にアップしたベースのものを渡さなければならないと思うのですね。これは当然だと思うのですよ。物価がどんどん上がっていくのですから、さかのぼってやったのでは、その物価の上がっている間の空白というものは職員に対してはたえられない経済的な負担になっているわけですから、そういう意味で私たちが——これは他の党もそういう修正案を出しているわけですけれども、この点についても、賃金についての変更については、議会議決を経て大臣申請した場合に、届け出で済ませるということについては、どういう点で大臣としては問題があるとお考えになるのですか。
  28. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これはやはり届け出制だけでは困るので、少なくとも国民の税金を利息のほとんどに見よう、バス購入費の半額に見ようというわけですから、これはやはり監督権を持つ立場で自治大臣許可を出さなければなりません。しかし、林さんがいま言われるように、すみやかに結論を出す、これも当然なことですね。したがって、従来、あまり長くなりますと、労働金庫で金を借りて回しておるとか、いろいろな便法もあったでしょうが、それは本意じゃありません。したがって、私は、いま財政局長が御答弁した点は非常に意味があると思うのですが、要するに、事前協議をするわけですから、こういう方向でいこうということで、事前協議合意すれば、書類が出てきたときには直ちに許可をするというくらいの心がまえで事務処理をするのが当然だと思います。極力そういう方向で進めてまいりたいと思います。
  29. 林百郎

    ○林(百)委員 事、職員ベースアップの問題については、実質的には届け出と同じような、そのかわり事前協議はするけれども、そういう取り扱いをしていきたい、こういう答弁として聞いておいていいのでしょうか。
  30. 江崎真澄

    江崎国務大臣 ちょっと違うのですがね。まあ、事前協議をしますから、事前協議合意をすれば、それはもう事実上合意をしておるのですから、直ちに許可ということになります。合意が手間どれば、これはやはり問題が残るわけですが、そうかといって、そういう問題でたいへん大きな食い違いが生ずるということも、例としては少ないのではないか。あれば、これはやはり相当詰める必要があるというふうに考えます。
  31. 林百郎

    ○林(百)委員 これは局長答弁と、それから大臣答弁にもありましたけれども、この経営改善内容内的要因の中に、先ほど労働者についての労働条件として、適正な配置ということばを言われましたけれども、これは一体どういう意味なのか。  それから、私のノートには財産処分というのがあるわけですけれども財産処分で、まだ処分の余地が残されているものがどの程度あるのかですね。それが第二次再建計画に寄与するウエートというものは一体どの程度のものなのか。この二点を聞いておきたいと思います。
  32. 鎌田要人

    鎌田政府委員 職員の適正な配置と申しますのは、御案内のとおり、第一次財政再建におきまして、路面電車を撤去いたしました。あるいはまた、バスワンマン化の進捗に伴いまして、かなりのいわば余剰人員をかかえておるという事実がございます。それで、別途大都市等でございまして地下鉄を経営しておるという場合には、そちらのほうに人間の振りかえがきくわけでございますけれども、やはり、全体的に見ましてそういう事情がない、そういう形での吸収ができない、こういうところで相対的な過員をかかえておるというような自治体の実例もあるわけでございます。そういうところにおきましては、たとえば市長部局その他の部局へ配置転換をするとか、そういうことで、企業会計としてはできるだけ身軽な形で経営に乗り出してもらいたいという気持ちがあるわけでございます。  それから、財産の関係でございますが、これはちょっといま私の手元にございませんが、第一次再建でかなり売り食いをした。私の聞いておりますところでは、何と申しましてもしにせでございまして、東京都は、まだ、青山の車庫あと地でございますとか、あるいは錦糸町の駅の近くでございますか、かなり財産を持っておる。それから、東京大阪あたりでございますと、昔発電事業をやっておりましたので、この電力株というものを保有をいたしております。そういう非常に特殊な団体を除きまして、全体的には財産の売り食いの力というものはもうかなり落ちておるのではないか、私はそう考えております。
  33. 林百郎

    ○林(百)委員 第一次再建処分した財産量——金額は最近違いますが、量と、あと残っている処分でき得る財産の量との比率というようなものは、ここではわかりませんか。わからなければわからないでけっこうですが……。
  34. 鎌田要人

    鎌田政府委員 ちょっとわかりません。
  35. 林百郎

    ○林(百)委員 そこで、職員給与についてですけれども、これを毎年一〇%程度に押えるようにという方針を、第二次再建計画の中で自治省が内示をしたような事実はあるのか、ないのか。  それから、第一次再建計画反省の中で、次の条項はどういうことを意味しているのか。「財政再建計画策定にあたっては将来の給与改定料金改訂をともにみこまなかったが、毎年七・九%ないし一二・六七%のかなり大幅な給与改定が行なわれた反面、料金改訂昭和四十六年度までに一回しか行なわれず、その結果給与改定財源確保ができなかった。」となっているが、これでは、結局、給与改定料金引き上げで引き当てろということの意味にもとれるわけですけれども、これはどういうことを意味しているわけですか。
  36. 鎌田要人

    鎌田政府委員 まず、前段でございますが、まだ法律も通っておらない。再建計画も、もちろん、自治体がまだそういう状態でございますから、手がつけられない状態のところで、私のほうから、給与改定を一〇%で押えろということを言おうはずがないわけでございまして、それは何かの誤伝だろうと思います。  それから、あとの問題でございますが、あとの点につきましては、これは先ほどもお答えを申し上げましたけれども、非常に大事なところでございますけれども給与改定というものは、これは行なわれることは間違いない。ただ、その率というものがどのくらいになるか、これは将来の問題として見当がつかないわけでございます。ところが、当然、給与改定をやるためには料金がふえなければ給与改定ができないわけですから、その収入増をはかってまいるということになりますと、やはり、基本的には料金引き上げというものをある程度見込まなければならない。ところが、先ほども申しましたように、議会議決を経てこの計画を立てるわけでございますので、そこで、将来、たとえば毎年の給与改定がどれくらいあるであろうという予測を立てて、それに対して、収支バランスをとるために、国鉄式に、再建期間中に何回料金改定をやる、その上げ幅は何ぼだ、と、こういうことは、現実問題として議会議決になじまない事柄ではなかろうかということでございまして、これは両方とも計画から落としておるわけでありまして、その結果が、第一次再建の場合でございますと、毎年毎年給与改定はあったが、しかし、料金の改定は一回しか行なわれなかった。その結果が、これはもう火を見るよりも明らかな事実でございますが、収支バランスがくずれる。こういうことについて、私どもといたしましては、やはり料金適正化というものをやってもらいたかった、こういう反省を持っておるわけでございます。
  37. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、自治省考え方としては、料金引き上げベースアップとは計画からはずしておいた、そのはずしておいた二つの要因がからみ合って、第一次再建計画破綻の寸前に追いやった一つの要因になったのだ、したがって、ベースアップをするならば、料金引き上げるということが並行して行なわれることが望ましい、こういうことなんですか、これは。
  38. 鎌田要人

    鎌田政府委員 料金引き上げだけではもちろんございません。要するに、給与改定に見合う財源というものは、そこで自己努力で生み出せればいいわけでございますから、料金引き上げだけを私ども頭に置いておるわけではございません。また、毎年毎年給与改定があるたびに料金引き上げをやるということは、現実問題としてできない話でございますので、そこでの私ども考え方といたしましては、ある程度収支の見通しをつけて、たとえば二年に一回、あるいは三年に一回、こういうことで料金の改定というものは行なわれ、あるいはそのほかに経営内部の努力によりまして財源を生み出す、そういうものを組み合わせて給与改定というものの原資を生み出してほしかった、こういうことでございます。
  39. 林百郎

    ○林(百)委員 いま、私は、地方公営交通事業改善についての内的な要因についてある程度お聞きしたわけなんですけれども、さて、この内的な要因と外的な要因のウエートを考えてみますと、外的な要因のウエートというものが非常に重い。この外的な要因改善を待たずして、いま言った内的な要因だけ、内部の職員の労働の合理化、それから料金引き上げ、あるいは財産処分、あるいはバスの長大路線の廃止というようなことを言われましたけれども、こういうことだけではたして企業改善ができ、第二次再建計画が、第一次再建計画と異なって、いまピンチにおちいっている地方公営交通事業の危機をこぎ抜けられるのかどうかということについて、私は、結論的に言うと不可能だと思っておるわけです。ということは、これは外的要因が非常に多いということですね。外的要因の中で、たしか、これは、局長大臣も、第一にはモータリゼーションの問題をあげ、そうしてこの問題は当委員会でいろいろと論議をされたわけですけれども、このモータリゼーションあるいは都市における人口の超稠密化、無政府的な都市形成、こういう外的な要因改善がなくして、地方公営交通企業の内部の機構いじりだけで、あるいは内部の経営改善努力だけでこれの危機がこぎ抜けるとは私には考えられない、こういうように考えているわけなんです。政府の行なっている経済の高度成長政策、自動車産業の無政府的な生産の拡大、あるいは燃料につきましても、石油独占などのばく大な利益の保障、このためのモータリゼーションの一そうの激化、こういうような要因を規制していかなければ、地方公営交通事業の今日の危機をこぎ抜けるということははなはだ困難に逢着するのではないか、こういうように思うわけです。  そこでお尋ねしますが、これは、第二次再建計画策定は十五年ということになっているわけなんですが、運輸省にお尋ねしますが、かりにいまから十年先の展望を見ますと、自動車はどのくらいにふえる見込みですか。現在どのくらいで、それがどのくらいにふえる見込みですか。総台数ですね。
  40. 高橋寿夫

    ○高橋説明員 お答え申し上げます。  現在の自動車の保有台数、四十八年の三月三十一日現在でございますけれども、これは東京二十三区に例をとりまして数字を拾ったわけでありますけれども、自家用乗用車が約百万台、それからバス、これはずっと数は少ないのでありますけれども、約一万五千台、それからトラックでございますが、これが約七十四万台、その他、これはタクシーも含みますが、十六万七千台、以上合計いたしまして約百九十余万台という数字になっております。これは、全国レベルで見ますと約二千三百万台というふうなことでございます。  この、東京都二十三区の四十八年三月三十一日の在籍車両百九十余万台というものが、たとえば昭和五十五年にどのくらいになるかという数字につきましては、実は、まだ、決定版のようなものはございません。そこで、事務当局におきまして、従来の伸び率等で、いわゆる最小二乗法というような方法を使いまして一応計算をいたしましたものによりますと、五十五年で、東京二十三区で二百七十余万台程度になるだろう、こういうふうに計算しております。ただ、これは、従来のような伸び率をほうっておいたという場合でございますので、それに対する価値評価としては、こんなに先に車がふえていいかどうかという問題は別でございますけれども、もし単純に過去の経緯で伸ばしていきますれば、ほうっておけば約二百七十余万台になっちゃうぞという数字でございます。  以上でございます。
  41. 林百郎

    ○林(百)委員 昭和五十五年に、現在の東京都だけで二・七倍の台数になる。いま出たのは、これは自家用車ですね。百万台が二百七十万台になるというのは。   〔三ツ林委員長代理退席、委員長着席〕
  42. 高橋寿夫

    ○高橋説明員 ただいまの百九十四万台というのが二百七十三万台になると申し上げましたのは、全体の自動車でございます。そのうち自家用乗用車をとりますと、いまの百万台が五十五年に百四十四万台になる、約一・四倍になるという計算でございます。
  43. 林百郎

    ○林(百)委員 警察庁にお聞きしますが、いま、東京自動車の時速は平均何キロなんでしょう。それが、もし、いま言った数字——昭和五十五年の数字ですけれども、いまから昭和五十五年に一・五倍になった場合、それは何キロくらいになるわけですか。
  44. 片岡誠

    片岡政府委員 平均時速の正確な数値はございませんが、経験的に十数キロくらいじゃないかと思います。しかし、これは、車がふえましても、必ずしもその車が毎日動くとも限りませんので、現在でも、もうすでに、軽自動車については、土曜、日曜日に主として動くというような傾向が出てきております。したがって、これはもう道路の混雑ぐあいとの相関性の問題だと私は思います。
  45. 林百郎

    ○林(百)委員 大きな趨勢としては、自動車の台数がふえれば、走行の速度、キロ数は落ちるというのが趨勢じゃないでしょうか。だから、それは、あなたの言う、そういう場合もあり得たとしても、趨勢としては、走行速度は落ちると見るのが常識じゃないですか。
  46. 片岡誠

    片岡政府委員 仰せのとおりだと思います。
  47. 林百郎

    ○林(百)委員 そこで、大臣にお聞きしますが、いま、自治体公営交通事業の非常に大きな財政的な危機の一つのネックになっているのがこのモータリゼーションなんですね。これは政府が生産を何ら規制しないのですから、メーカーとしてはどんどん新しい型の自動車をつくっていくわけです。台数はふえる一方ですね。こういう外的な要因に規制を加えていかず、内的な要因を幾ら改善しようと思っても、それだけではこれは改善できないわけです。もちろん、外的な要因に対して何らの手を加えないとあなたも言っているとは私は言いません。しかし、もっと根本的な規制を、この自動車の無政府的な生産に加える必要があるのではないか。これは自治大臣としてのあなた、国家公安委員長として交通の責任にあるあなた、さらに、田中内閣の国務大臣としてのあなたとして、どうお考えになるのでしょうか。
  48. 江崎真澄

    江崎国務大臣 生産の規制と簡単に言われますけれども、そう簡単にできないのです。これは自由経済によっておりますね。生産の規制をやりますと、今度は、輸入の自由化と見合って、輸入車両が多くなりますね。それから、このごろはセコハン物が多いでしょう。中古車というものがはんらんしておる。そして、身分や何かによって自動車の所有を制限したり、そういうことはまさかできませんね。そうすると、自動車の効率をどう規制するかというところに政策があるというふうに私は思うのです。それはどういうことかというと、要するに、時間帯によってこれを規制する。もう、これ以外に手はないですね。それから、さっき片岡交通局長の話がありましたように、だんだん週休二日制というものが実現いたしましょう。そういうような場合に、土曜、日曜に使う乗用車という形で、通勤とか通学には少ないかもしれませんが、通学にもないわけじゃないけれども、少なくとも通勤などに使われる自動車というものは制限する。これはお互いの道義心において制限し合う。それは、交通をスムーズならしめることとか、あるいは公害防除の問題とか、いろいろあると思います。ですから、そういう方向考えていけば、ある程度の制限はできるというふうに私は考えておるわけでございます。それには蛮勇をふるわなければならぬ場面もあろうというふうに思います。
  49. 林百郎

    ○林(百)委員 その程度のことで、今日地方公営交通事業が直面しているピンチの外的な要因が解決されるとあなたはお考えになっておるのですか。内的な要因については一々自治大臣の認可を要する。配置転換や労務者のベースアップまで自治大臣が一々こまかく手を入れるというのに、公営交通企業に最も危機をもたらしてくる重大な要素である外的な要因、ことに、モータリゼーションですね。これに対してあなたの言うのは、将来は週休二日制になるだろうとか、あるいは時間帯でこうするとか、それも、そのつもりだけですね。おやりになるというなら、もっと具体的なものを出してもらいたいと思うのです。それによって公営交通事業効率化はこうあがるのだ、それによって採算はこうなるのだということを御説明願いたいと思うのです。内部の者だけに、地方自治体だけにいろいろなことをしていて、政府が最も責任を負わなければならない外的な要因に対してそんな手ねるいことをやっていたのでは、第二次再建計画も第一次再建計画と同じ轍を踏むことになるのではないかと思うのですがね。
  50. 江崎真澄

    江崎国務大臣 私はそういうことを申しておるのではない。自動車の所有を制限するということは、これはできません。また、やろうとも思っておりません。しかし、その使用をきびしく禁止する。あるいは、時間帯によってはスピード制限もする。これは、経済効率をあげる重要な要素もモータリゼーションにはありますから、詳細の検討は要しますが、私が蛮勇をふるうという意味は、少なくとも、まだ余地は大いに残されておる。すでに、東京都などにおいては、公営交通を利用する人々の数が年々ふえておる。これは非常に問題のところなのです。地下鉄を含む公営交通利用者というものが非常な勢いでふえつつある。これを見のがしてはいけませんよ。ですから、政府としても、公営交通を整備すると同時に、特に、路面バス等における専用レーンを設けるとか、優先道を設けるとか、今後改正すべき点はうんとあるのです。そういう面に共産党も御協力願ってやっていけば、外的要因というものは相当解消されるというふうに確信をもって申し上げることができます。これは大いに努力します。
  51. 林百郎

    ○林(百)委員 いまちょうどあなたから地下鉄の問題が出たわけなんですけれども、地下鉄がいまのようなばく大な建設費を要する。今度は若干国の補助率も上げましたけれども、地下鉄自体がそういう大臣のおっしゃるような期待にこたえていき、そして、これが健全に経営が行なわれていくと、いまのままでそういうふうにお考えになっていきますか。自治省自体が十年先の地下鉄の見通しを集約されているのですけれども、それによれば、いずれ再建的な計画の手を打たなければならないというようにお考えになっていないのですか。いまのままでいいというようにお考えですか。これは、大臣局長と両方にお聞きしたい。
  52. 鎌田要人

    鎌田政府委員 地下鉄は、御案内のとおり、最初の建設投資が非常にばく大なものになりますから、どうしても、これの経営収支というものはある程度の長期間で見なければなるまい、こういうふうに考えておるわけであります。ただ、これで償却を終わってまいりますというと、これから収益が上がる一方だということになるわけでございますので、私ども基本的な考え方といたしましては、この初期におきます建設投資、これに対する手厚い財政援助の措置をことしからやるわけでありますが、それと、既往債に対しまする利子の補給、これによりまして、将来省力化というものをあわせて行なうならば、地下鉄については経営の基盤は安定の基礎をつくった、こういうふうに私どもは確信をいたしておる次第でございます。
  53. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、地下鉄については、現在のままで、国の補助を引き上げなくても、これで十分の手を打った、そういうようにお考えになるのですか。将来、この問題について、今日の地方公営交通事業のような状態になるかならないかは別として、あるいは起債についての利子補給をするなり、あるいは低利の資金に切りかえるなり、あらためて何らかの手を打つことをしなければ、ならぬと思うが、少なくとも、地方自治体の営んでおる地下鉄事業については、将来の見通しが安定していると断言できますか。
  54. 鎌田要人

    鎌田政府委員 これは将来のことでございますから、また急激な経済変動等があるということになりますれば別でございますけれども、御案内のとおり、ことし、直接工事費の従来国と一般会計で二分の一見ておりましたものを、三分の二まで引き上げる、それから、四十六年前の発行の地下鉄債に関しまする利子に対応します孫利子補給というものを国で補給する、それに、地下鉄に対しましては、一般会計から一〇%の出資ということを行なっておるわけでございますが、こういうことが行なわれてまいりますれば——あわせて、札幌等に見られますような省力化ということも、これはもちろんやってもらわなければならないと思いますが、そういうことをあわせて行なってまいりますれば、現在の段階において判断する限りは、地下鉄の経営の長期的な展望におきまする安定の基盤がつくられたというふうに私ども考えておる次第でございます。
  55. 林百郎

    ○林(百)委員 地下鉄の問題について一つお聞きしておきたいのですが、たとえばニュータウンへの私鉄の乗り入れ路線などの新設に伴って、地下鉄乗り入れ工事を行なうような場合に、鉄道建設公団が国の資金で地下鉄の建設を行なう、これを私鉄に、二十五年で年六分五厘の長期低利の条件で譲渡する、また貸与する、こういうような保護政策をとっておるわけなんですけれども、これによって、小田急あるいは京王帝都等の多摩ニュータウンの乗り入れ線の建設をはじめ、高速鉄道網の建設が促進するということが私鉄とからんで行なわれているわけですけれども、これは運輸省にお尋ねしますが、いま自治省が行なっているよりはより有利なこういう条件で鉄道建設公団が地下鉄を建設をして、長期低利で、年六分五厘の二十五年償還というようなことで私鉄に譲渡または貸与するという事実を運輸省ではご存じですか。こうやって保護政策をしていることを御存じですか。
  56. 中村四郎

    中村説明員 ただいま先生が申されましたように、昨年から、日本鉄道建設公団におきまして、公団法の改正によりまして、大都市圏の輸送需要の激増に応ずるために、十月から、緊急整備路線といたしまして、ニュータウン新線なり、あるいは既設線の複々線増、あるいは地下鉄との接続路線、普通都心乗り入れ線と申しておりますが、こういった緊急整備路線に限りまして、鉄建公団が整備していくという道を開いたわけでございます。これらの工事につきましては、巨額の資金を要するということと、それから非常に採算性が乏しいということで——従来、私鉄が自力でそれの建設を行なってまいったわけでありますが、それにまかせておきますと、たとえば多摩ニュータウンの入居計画なりとの関係で、足の確保ということで、所要の駅まで建設させるということがどうしても困難な点が出てまいりましたことにかんがみて、鉄建公団に行なわせるという方策をとったわけであります。これは都市交通政策上、あるいは住宅政策上必要な措置だろうと考えております。これにつきましては、二十五年の元利均等支払いの方法によって私鉄に譲渡し、私鉄がそれを効率的に運営するということになっておりますが、地下鉄に比べて非常に有利な条件で、私鉄のみをこういう扱いをしているというふうには考えておらぬわけでございます。
  57. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、こういう年六分五厘、二十五年で私鉄にこれは貸与するのですか、譲渡するのですか、その点が一つと、いまあなたの言った地下鉄が非常に建設費がばく大に要するので、採算に見合うような交通機関としては成り立つことがなかなか困難だということは、これはお認めになるわけですね。
  58. 中村四郎

    中村説明員 地下鉄につきまして、先ほど自治省からお答え申し上げましたような建設費の補助以外に、各般の措置が講じられておるわけでありますが、私鉄の場合には、鉄道建設公団法によりまして、貸与という方式はございません。譲り渡す、買い取らせるという形にいたしております。
  59. 林百郎

    ○林(百)委員 買い取らせる条件が、先ほど言ったように、二十五年、年六分五厘の長期低利の条件で買い取らせる。これはなぜかというと、なかなか採算の合わない事業であるから、地下鉄については特にそういう配慮をする、こういうように聞いておいていいのですね。
  60. 中村四郎

    中村説明員 ただいま申し上げました鉄道建設公団の民鉄線の工事の内容といたしましては、先生の申された地下鉄というのは、たとえば新玉川線のような地下鉄方式の鉄道もございますし、それから、現在複線でやっております鉄道に横へもう一つ線を増設する、あるいは多摩ニュータウンなりへの小田急、京王の延伸線、ニュータウン新線と申しておりますが、こういった三つの類型があるわけでございます。
  61. 林百郎

    ○林(百)委員 だから、それはわかっておりますが、それをあなたの言うように私鉄に譲り渡す条件は、どういう条件なんですか。
  62. 中村四郎

    中村説明員 譲り渡す条件は、現在のところ、先生が申されましたように、二十五年元利均等で支払わせる。この場合に、金利としましては、四十七年度におきましては、鉄道債券発行によって調達した額のうち、用地費を除きました部分の金額の六分五厘で計算した額、それから、四十八年度予算におきましては五分の計算に改正いたしております。
  63. 林百郎

    ○林(百)委員 御承知のとおり、地下鉄には、自治体の営んでおる地下鉄もありますね。都営その他地下鉄がありますね。それから、営団地下鉄もありますね。それから、いま言ったような私鉄に譲渡する計画の地下鉄もありますね。いま、このうちで、採算はどの地下鉄が一番とれているわけですか。
  64. 中村四郎

    中村説明員 現在線の中でどの地下鉄が採算がとれているかということになりますと、建設年次なり、それから建設後の営業期間による輸送需要の伸びの関係等から、やはり、一番古くやっておりますところの、東京の場合ですと銀座線、それに続きまして丸ノ内線ということに相なろうかと思います。
  65. 林百郎

    ○林(百)委員 では、問題を変えましょう。いずれにしても、地下鉄は将来非常に注目されている交通事業だということをあなたも言われたのですけれども、あなたが注目されているような、そういう地下鉄事業については、私鉄が鉄建公団に建設をさせて、それを譲り受けるというような措置で、私が考えるには、将来採算の合うような地域においても譲り受けを続けるということをしているわけですね。ここで考えたいことは、そういうように将来むしろ地方公営交通事業が伸びていきたい、また伸びることによって採算がとれるというような地域を私鉄が先取りしていくということによって——たとえば東京がドーナツ型になってきている。都心の部門はモータリゼーションが特に激しいということで、効率的な交通運営ができない。ところが、まだ比較的に効率的な交通の運行ができて、乗客も相当確保できるような都心から離れた部分を私鉄がずっと囲んでいく。そして、採算の非常に困難な都心の部分は公営交通が受け持つ。ここはあまり効率的に運営できない。しかし、地域の住民にとっては非常に重要な意義を持つ交通事業をそこで営まなければならない。こういうような採算の合うような事業をやっておる私鉄と、この地方公営交通企業との関係の調整ですね。これをどういうようにお考えになっているんでしょうか。
  66. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは、いま、私も運輸省側の話を聞いておったわけでありまするが、結局、問題は、乗客の便ということが先決であるというふうに私は思います。したがって、民営、公営が有機的につながって、そして、きわめて効率的に乗客の便益に供せられるということが一番望ましいので、そういう一環としていまのような便法もあるというふうに私は聞いております。したがって、今後といえども、民営、公営が一体化して、双方が便宜供与をし合って乗客の便に供するというのが理想的な都市交通の姿だというふうに考えます。
  67. 林百郎

    ○林(百)委員 それはまあ、そういうこともありますけれどもね。そういうこともありますけれども、たとえば採算の合うような路線で、しかも重要な路線であるならば、私鉄を地方公営交通事業が買い受けても、現在の地方公営交通事業と一貫した路線にする、あるいは一つの交通体系にする、そして、地方公営交通事業の採算を向上するような方向考えていく、こういう規制を私鉄、私営の交通事業に行なっていくということは考えられないんでしょうか。自民党だから、それは自由主義だから、そこまでは考えないというようにお言いになるんですか。
  68. 江崎真澄

    江崎国務大臣 そういうわけじゃありませんので、私どもは、融通無碍、いわゆる乗客本位、こういうわけですから、やはり、どちらに都合がいいようにという、そういう企業体のことをあまり考えない。むしろ、乗客中心に、どちらが便宜か、これがやはり基本でなければなりませんね。  また、将来、このことによって公営交通のほうが非常に便利であるというときには、当然民営側に協力を求めるということはあることだと思います。現在でもあります。そういうふうにしていきたいと思います。
  69. 林百郎

    ○林(百)委員 これは通産省にお尋ねしますが、いま、日本の国で、私鉄の大企業といえば、関東では東武、西武、京王、小田急、東京急行、京成、京浜等が言われています。関西では名鉄、近鉄、東海、阪急、阪神、京阪、西鉄と言われています。これらの私鉄の企業ですね、これは、いま、年間の配当はどのくらいしているのですか。
  70. 中村四郎

    中村説明員 いま先生が仰せられましたところの、通常いわゆる大手十四私鉄と申しておりますが、これにつきましては、十二社が一割の配当を行なっておりまして、名鉄と西鉄が九分の配当を行なっております。
  71. 林百郎

    ○林(百)委員 大臣、私鉄は一割の配当をしているというわけですね。地方公営交通事業は、皆さんの反省によっても破綻の寸前にある。これは一体どういうところから起因しているとお考えになりますか。
  72. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは私も専門外でありますが、私が常識的に判断しておるところは、要するに、私鉄の場合はターミナルのデパートをやるとか、あるいは土地の会社をやるとか、そういうものによってカバーする。運賃値上げ等々が思うにまかせないで、鉄道業務そのものは赤字である。ただ、企業全体としては黒字であるというふうに承知いたしております。
  73. 林百郎

    ○林(百)委員 それでは運輸省にお尋ねしますが、いまの私鉄ですね、これは、運輸部門ではどうなっているのですか。黒字ですか、赤字ですか、採算はどうなっているのですか。
  74. 中村四郎

    中村説明員 大手十四社につきましては、三社を除きまして、自動車運送事業を兼営しております。それから、そのほか不動産業、遊園地業といった兼業を行なっておりまして、この鉄道事業についてみますと、最近の設備投資に伴う資本費の増大、それから人件費等の経費の増加、それから輸送需要としましてもやや停滞傾向を帯びてまいっております。そういった諸要因によって、現在、鉄道事業としては経営が悪化しておるのが現状でございます。
  75. 林百郎

    ○林(百)委員 悪化して、それでどうなっているのですか。赤字に転落したのですか。
  76. 中村四郎

    中村説明員 私鉄の中で、鉄道部門だけで、ほかの部門と切り離して取り上げてみますと、赤字でございます。
  77. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、こういう私鉄の企業は、他の土地の買い占め、あるいはデパート、あるいはホテルの経営というようなことでまかなっていると見ていいのですか。
  78. 中村四郎

    中村説明員 会社全体として、いま申し上げました一割配当なり九分配当をいたしておるというのを結果としてみますと、結局、不動産業その他の兼業の収益が寄与してそういう配当が行なわれておる、こういうことになろうかと思います。  それから、デパートにつきましては、兼営いたしておりません。
  79. 林百郎

    ○林(百)委員 それでは、大手のバス事業はどうですか。
  80. 高橋寿夫

    ○高橋説明員 お答え申し上げます。  バス事業につきましても、先ほどからいろいろ出ておりますように、企業の交通環境の悪化、特に、大手バス事業はほとんど都市部でございますから、企業の交通環境の悪化で軒並みに影響を受けております。したがいまして、現在二年に一ぺん程度の運賃改定をすることにいたしておりますけれども、運賃改定をいたした年につきましては収支が均衡いたしますが、翌年になりますとこれが再び赤字になる。バス部門につきましてはそういうことになっております。
  81. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、大臣にお聞きしますが、私鉄の状態も大体わかりましたが、そういうように私鉄としては交通部門自体ではもう悪化してきている。しかし、他の付属事業でそれを埋めているというときに、地方公営交通事業が交通部門だけでやっていくという場合に、企業性を主張して、その企業の中だけでまかなっていけということでは——これは私鉄だってやっていけない。これはオール企業なんですからね。公共性が全然ない。これは全く無理な話じゃないですか。だから、これを解決するには、私鉄も公営交通事業も共通の、非常に交通事業を悪化させているモータリゼーションを規制していくとか、さらには、独立採算制をやめて、一般会計からの援助を十分見てやるとか、あるいは国が相当の援助をするとか、これは当然なことになってくるわけですね。だから、私鉄が土地の買い占めをして、それによって宅地造成をして、それから収益をあげて、あるいはデパート業だとかホテル業だとかいうものから収益をあげて、交通部門と一体にして黒字を出しているというときに、この地方公営交通事業が交通事業として将来健全化になるということは一体考えられるのですか。しかも、ここには公共性があるわけですよ。企業性だけでは貫かれないものがあるわけです。一方のほうでは企業性だけで貫いているから、何でもできるわけですね。金にさえなれば、それこそいかがわしいことでも何でもできるわけでしょう。その矛盾をどう解決していくのですか。
  82. 江崎真澄

    江崎国務大臣 だから、私ども政府としては、再建債を認めたり、利息のほとんどを認めたり、バス購入費の半額を助成したり、まあ、思い切りの助成方途を講じた。いや、もっと出せ、そしてこれは全部政府でめんどうを見ろといっても、そうはいきません。これは、やはり、利用者に応分の負担を願うことは、公平の原則から言って当然なことですし、企業性というものがある以上は、合理化効率化でもよろしい。効率化は、これは絶えざる努力、朝から晩まで毎日毎日努力をしていただかなければなりません。私鉄のバス企業その他も困っておる。平然としておりませんね。絶えず合理化企業努力を集中しておるわけです。だから、われわれ政府としてもめんどうは見ますが、企業努力もしてもらいたい。これはいいところに行っていると私は思います。
  83. 林百郎

    ○林(百)委員 私鉄のほうは、企業努力という点では、おそらく、公営交通事業よりは、あなたの言うようにしていると思うのですよ。これはもう私企業ですから、やっていると思うのです。しかし、それでも、最近の交通事情によれば採算が合わない。その採算の合わない大きな原因は外的な環境情勢から来ているんだ。これによって私鉄の企業が赤字になっているんだ。それで、やむを得ず、土地の買い占めだとか、デパート、ホテル等の営業をやっていくんだ、こう言っているわけでしょう。そうすると、あなたの言うように、公営交通事業よりはもう比較にならないような企業努力をしている私鉄がやっていけないということになると、あなたの言う再建計画基本的な努力方向企業努力ということでは根本的に解決できないのじゃないでしょうか。もし、そういう方向で第二次再建計画自治省なり大臣がお考えになっているとすれば、これは再び破綻が来るのじゃないでしょうか。だから、これは、ある場合には、むしろ採算を犠牲にしても、公共性ということから来る一般財政からの導入、あるいは国家財政からの援助というものがどうしても必要になってくるのじゃないでしょうか。私企業のような企業性に貫かれているものの企業的な努力でも、もうどうにもならないというような状況がいまたくさん出てきているわけですから、企業性プラス公共性、しかも公共性のウエートが非常に多い地方公営交通事業としては、一そう地方自治体の独立採算制のワクをはずすとか、あるいは国からの援助を大幅にふやしていくとかいうことでもっと手厚い方向に持っていかなければ、先ほどから、企業努力は朝から晩まですべきだ、すべきだとあなたはおっしゃっているけれども、しかし、公営交通事業の中で企業努力は限界に来ているのじゃないですか。もし何かあるとすれば、局長でも大臣でもいいですから言ってもらいたい。私は、企業努力企業努力ということだけで第二次再建計画基本とするならば、これはまた第一次再建計画と同じように失敗するのじゃないかというふうにどうしても考えられるわけです。
  84. 江崎真澄

    江崎国務大臣 だから、私どもは、外的要因の除去についても蛮勇をふるう——これは、今後の展望として、ほんとうに蛮勇をふるわなければいかぬと思うのです。  それから、内部要因としては、たとえば赤字があるかもしれませんが、私企業においては絶えず企業努力をしている、公営企業ならば企業努力はしなくていいという理論は成り立ちません。だから、そうなれば、企業努力はしていただかなければならぬけれども、副業的にというか、関連事業によって利潤を求めることができにくい公営企業でありまするから、政府は、再建債の発行を認め、利息のほとんどをめんどうを見る。来年からは再建債を一般会計から払っていくのにつきましても、都市財源として見ていくか、あるいはまた、このものには直接見るか、これは今後の検討課題といたしましても何らかの措置を講じなければならない。これは相当手厚い思い切った助成であります。これは国民の税金ですからね。全部出せ出せとおっしゃるけれども、出すことは、国民の理解さえ得られるならば事は簡単なわけですが、やはり、その税を扱う側にしてみれば慎重ならざるを得ない。まあ、今日の段階では、限界一ぱいのところを措置しておる、こういうふうに私ども考えておるわけです。
  85. 林百郎

    ○林(百)委員 公営交通事業だからこそ、国民の税金を使ってもいいのじゃないですか。(江崎国務大臣「だから使っておる」と呼ぶ)幾ら使ってもいい、無制限に使えとは私も言いませんけれども。しかし、十分手厚い援助をしても、これは当然ではないか。また、あなたが、企業努力が残っているのだ、これは企業なんだから企業努力が残っているのだ、私鉄の企業もやっているのだと言うならば、それじゃ、私鉄の企業に比べて、公営交通事業企業性で、さらにあなたの考えている改善合理化強化方向というのは何が残っているのですか。
  86. 江崎真澄

    江崎国務大臣 それは、さっきから何べんもお答えしておりますように、バス路線の再検討とか、人の適正な配置であるとか、これはまだ努力の余地は大いにある。企業というものは、朝から晩まで絶えず努力していなければならぬのです。そこにやはり企業企業たるゆえんがあるので、だから、公営企業といえども、それは運、不運じゃありませんよ。中には、非常な努力によって成果をあげておる企業もあるのですからね。あなたの論法をもってすれば、よくなる企業までが右へならえで悪くならぬとも限らない。だから、私どもは、ことばを励まして企業努力を大いに強調しておる、こういうわけです。
  87. 林百郎

    ○林(百)委員 利子補給をしているということをあなたは先ほどから申しますけれども、しかし、私企業だって、たとえば特別償却を認めるとか、あるいは租税特別措置法による非課税を認めるとか、あるいは引き当て金を大幅に認めるとか、ちゃんとこういうことをやっているのですよ。そして人員の配置だとか、あるいは合理化だとか、そういうことはもうやっているのですよ。あなたのいま言うようなことは私企業はもうやっているのです。それは私企業だからやれるでしょう。しかし、それでもなお黒字にならないと言っているわけですよ。だから、地方公営交通事業再建のめどはそこにはもうないのじゃないか。公共性という点に目を向けて、この公共性のためには国民の税金を使ってもやむを得ないのだ、そのかわり国民の便益をはかってやるのだと、そういう方向へどうしても考えを転換していかなければならない。企業努力がまだ残っているのだ、残っているのだ、そして利子は見てやるのだ、利子は見てやるけれども、元金の償却は一般の地方自治体の財政から見るのだ、と言う。それじゃ、一般財政から見た、そのしりぬぐいはどうするかというと、それは適切な措置をするということでとまっているわけでしょう。だから、この地方公営交通事業再建の観点を根本的にここで切りかえていかなければ、何が企業努力か。あなた方の企業努力といったって、どうせわかっているのですよ。運賃の引き上げ労働者に対する合理化でしょう。そうじゃないですか。改善とか効率化といったって、そんなことは私企業はやっていますよ。私企業はそんなことをやったって赤字なんだから、そこに目を入れなくちゃいかぬ。そんなことをすれば弱い者いじめになってしまうのですよ。そして、便利で安い地方公営交通事業の本来の性格を失ってしまうのですよ。ここで、あなたは、地方公営交通事業の持っている公共性、便利で安い足を市民や都民に与えるのだという点を中心に思い切って考え方を切りかえていくということにはならないでしょうか。私が幾ら大きな声を出しても、ならぬでしょうか。
  88. 江崎真澄

    江崎国務大臣 林さんの言っておられることと、私の答えておることと、そうたいへんな相違はないのですよ。私どもも、完全な企業性だけを発揮しろなんということを言っているのじゃないので、大いに公共性がある。あの私企業といえども公共性があるから、さっき御指摘になるような特例措置などもあるわけです。しかし、そうかといって、これには税金で助成したり、税金で利子補給したり、バス購入費を助成したりということはないわけでしょう。これは関連事業でペイすることができるという便法によっておるわけです。私企業といえども、これは本意じゃないだろうと思うのです。だから、この公営企業においては、その公共性、安い料金で便益に供したいと思うから、私どもも、現在の時点ではあとう限りの助成方途を講じております。しかし、もっと出せ、そしてもう合理化なんかやらぬでもいい、と、そんなわけにはいかぬでしょう。ですから、われわれもあとう限り今後といえどもますます助成方途を講じていくが、助成方途を講ずる以上は、国民の理解と納得を得なければならぬ。それには企業性も発揮してください、合理化もしてください、これは、金を出す側としては当然強く要請しなければならぬところじゃございませんか。だから、表現が違うだけで、大体いいところへ行っておるわけです。
  89. 林百郎

    ○林(百)委員 何だかごまかされそうですけれども、私の言うことは、たとえば具体的に言えば、私のほうの修正案にもあるように、再建債利子補給ばかりでなくて、再建債は国の政策の外的要因が大きなウエートを占めて出てきたものであるから、少なくとも、この元利償還は、いままでの赤字については全部国で見てやれ、それから、再建のための事業をする起債については、利子の安い財投で見てやれ、財投で見なければ公営企業金融公庫で見ろという政策を私どものほうで示しているわけです。少なくとも、いまの赤字くらいは国ですっかりしりをふいてやってもいいじゃないか、それくらいの公共性は果たしておるんだと、こういうことを言っているわけです。しかし、時間がありませんから、とにかく、ここであなたのおっしゃることと私の言うこととはいいところへはまだいっていませんから、その点を、あとで記録を見て、二人で同じところへいったなんということになると問題になりますから、そこで区別をつけておきます。  あと三点ほど問題をやって、もう質問を終わりたいと思いますが、そこで私は、公共性を貫くという意味で、次の三つの点について考えるべきではないかと思うのです。  一つは、私鉄が、わりあいに効率的な、まだモータリゼーションがそんなに効率を阻害していないようなところに路線を持っていて、それが都心のほうに来て、そしてモータリゼーションで効率があまりあがらない、採算の合わないような公営交通事業のほうへ乗り込んでくる。乗り込んでくる場合に、乗り込み料というようなものですかね、要するに、これから先は公営交通事業が受け持つ、しかも、その公営交通事業が受け持つ部分はなかなか採算が合わない部分をしょい込んでいるという場合に、私鉄からの乗り込み料とか、そういうものを取るというようなこと、あるいは通算制にするというようなことも考えられますが、何とかして、そろばんに合うところだけは私鉄がやって、そろばんの合わないところは地方公営交通事業が受け持つ。ここのところの調整を何とか考えたらどうかというように思うわけですけれども、おもに私鉄が経営しているバスですけれども自治省の謙田さんの顔を見ていると、にやにやしていて、どうも本気で考えてくれていないようですけれども、そうする必要があるんじゃないでしょうか。私鉄のバス事業や軌道事業が最近は下降状態にあるとはいいますけれども、それでもまだ採算性のある路線を優先的に確保しているんですから、それが送り込んできては、送り込まれたものの最後のしょい込みは地方公営交通事業がしょい込むというような場合は、乗り込み料を取るとか、あるいは通算制にするとかして、そこから得たお客に対する料金について公営交通事業も恩沢を受けるような料金制にするとか、そういうようなことは考えられないのでしょうか。
  90. 森岡敞

    森岡政府委員 バスの路線の民営と公営のシェアの問題に関連してのお話しでございますが、都市によってかなり態様が違います。東京、横浜は、御承知のように、完全に公民相互乗り入れと申しますか、競合路線でございます。それから、名古屋以西になりますと、主として都心部を公営がやり、郊外を民営がやっております。若干の入り組みはありますが、そういうわけでございます。でありますので、いまのように、一律に、私鉄は郊外だからもうかっておるということでも必ずしもないという感じがするわけでございます。  それから、御指摘の運賃通算制の問題は、詰めてまいりますと、先般来いろいろ御意見のありました企業経営の一元化の問題につながっていく問題でございます。将来の方向といたしましては、そういうふうなこともやはり一つの問題ではなかろうかと思いますが、現時点では、それぞれの利害もありましょうし、早急にこれに結論を見出すということはなかなか困難じゃないかと考えるわけでございます。
  91. 林百郎

    ○林(百)委員 しかし、それは蛮勇をふるわなければいけません。  時間がありませんからいろいろ突き詰めてみたいと思いますけれども、その次の、第二の問題点ですが、公営企業を中心としての都市交通の一元化というのですか、要するに、地域住民の足は公営企業を中心として一元化していく、そのためには、場合によっては私鉄の路線も買い取る、施設も買い取っていく、そして、地域住民に便利な安い足を確保してやるという、公営を中心としてのこういう交通網の一元化の方向は、将来の考えとして考えられないかどうか。この点は、大臣と、それから運輸省が見えているようですが、運輸省はこの問題を検討しているかどうか、検討しているとすれば、どこにどういう問題点があるのか。両方からお聞きしたいと思うのですがね。政策の問題はあと大臣に……。
  92. 佐藤久衛

    佐藤説明員 まず、先生の御質問の、現状はどうなっているかということにお答え申し上げたいと思いますが、四十六年の輸送実績で見ますと、公営と民営で、これはバスも鉄軌道も入れてでございますが、鉄軌道の場合は、公営のシェアは九%でございます。それから、バス輸送では二〇・八%。さらに問題は、首都交通圏について限定して考えてみますと、公営交通の輸送のシェアというのは九・四%、こういう実情でございます。  いま申し上げましたのは、首都圏と全国のベースについて申し上げたわけでございますけれども、御承知のように、都市交通というのは、国営、民営、公営というような各企業が併存してございまして、お互いに相補いまして地域住民に対するサービスを提供しているというのが実情であるわけでございますが、これを一元化いたしまして、一つの大きな企業経営したらどうだろうという御意見があることは、確かに議論されておるわけでございますけれども、やはり、大企業化することのメリットとデメリットの双方を考えなければならぬのではないかと思います。かりに一つの企業体にこれをまとめてしまうということになってまいりますと、どうしても経営能率の悪い企業というものがベースになりまして、その結果といたしまして経費が上昇する、あるいはサービス内容にいろいろ問題も出てくるというような問題が出てまいろうかと思います。  実は、先般来、その問題についてはこの委員会で議論されておったわけでございまして、外国でそういうふうな例があるじゃないかというふうな御議論もあったわけでございますが、確かにその実例はございます。そういう一元化を実施しております外国の例といいますのは、都市交通政策の失敗の結果といたしまして、それぞれの都市交通企業が全部赤字になってしまってどうにもならなくなって、一元化という方向で救済するということで、結果的には一元化した、こういうような実情でございます。したがいまして、私どもとしましては、この一元化の問題につきましては、現在の実情を踏んまえまして、それぞれその民間の企業の持っておりますバイタリティー、あるいは公営企業の持っております利点というふうなものをコンバインいたしまして、そうして市民に対する交通サービスを充実していくべきではないかというふうに感じます。  また、先ほど問題になっておりました料金問題につきましても、それぞれ調整を行ないましたり、あるいは通算制度というふうなものを通じましてそれぞれの市民に対して利便をはかってまいる、こういうふうな方向現実は進んでまいっている次第でございます。
  93. 林百郎

    ○林(百)委員 それじゃ私は言いますが、佐藤事官、私の言う一元化ということになりますと、これは非常に公共性が強くなるんですよ。あなたも参事官だけれども、わりあいに自民党の政府的なイデオロギーが非常に強いことをおっしゃるのですけれども、交通事業というのは公共的なものなのです。いまの社会生活には欠くことのできないものなんですよ。それを私鉄のもうける事業にまかしておくということが本来おかしいと思うのです。私は、国が責任を持ち、地方自治体が責任を持って、安い便利な交通を国民に提供してやるというのが本来の姿だと思うのです。それをあなたは、いや、そうすると赤字が出るとか、民間企業のバイタリティーとか言うが、それはここでよく聞いたことばです。政府の局長さんや大臣がよく言うことばをあなたもお使いになりますけれども、その一元化ということになれば、これは公共性を非常に強めていかなければならない。だから、場合によっては私鉄を買い取ってもやっていくということなんですよ。あなたは、朝、バスか電車にお乗りになるかもしれませんけれども、最近の混乱した交通状態を見てください。東京都民にとっては、交通事情というものは、もう無政府的ですよ。こむのはものすごくこむ、すいているときにはすいている、まるで無政府的ですよ。それで、私鉄が自分の採算に合うところまで運んでくる、あとは公営交通でどうぞ、地下鉄でやってください、それで、地下鉄がまたこむ、そして、あなたが言うように、一方では七社くらいの私鉄が互いに競い合って路線を取り合っている、そして、最後のしりぬぐいを公営交通がやっている。こんな無政府的な交通事情を一千万近い都民に与えているということは重大な問題なんですよ。だから、これは、漸次、公共的な地方自治体が責任をもって、その地域の住民に便利な足と安い足を提供していく方向、それを国がバックアップしていくという方向に行かなければ、将来どうなるかわからぬですよ。  そういう観点から、これは政策問題ですから大臣にお聞きしますけれども、蛮勇をふるって、公営交通事業を中心としての交通網はこういう方向へ将来の目を向けていかなければ、今日の交通の混乱は解決できないのじゃないかと私は考えていますが、これへもってきて私鉄なんかが入り込んでくる、そして、その私鉄がまた自分の採算に合うようなことをやる、そして、どこかにあき地があればデパートを建てて人をやる、そして、どこかへ五千人も一万人も入るようなビルディングを建てる、そういうことをやっていたら、これは交通が麻痺してしまいますよ。だから、そういう規制とともに、交通を漸次公共的な方向へ切りかえていくという方向、これを私は一元化という名前で呼んでいるのですけれども、あなたはよく蛮勇をふるう蛮勇をふるうと言いますが、こういう点には蛮勇がふるえないのでしょうか。
  94. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは、林さんの御提言としてはよく承りました。御熱心な御質問で、よくわかりました。しかし、それを実現するかどうかという点になりますと、私は、さっきの参事官答弁はなかなか名答弁をしたと思って聞いておったわけです。ですから、営業免許というのは、御承知のように、バスにしろ、電車にしろ、民営も公営も、同じ条件でおのおのそれぞれに許可しているわけです。ですから、民営と公営が有機的につながって、その特徴を生かし合う、場合によれば競い合うという自由の原則でやっていくことがおもしろい。しかし、公共性を持っておるものですから、ある程度の規制をこれに加えたり、双方便宜供与をしたりするということは、これはもう必要なことは申し上げるまでもないと思っております。
  95. 林百郎

    ○林(百)委員 時間がありませんので、最後にお尋ねしますが、そういう意味で私の考えをずっと貫いていきますと、いま、交通事業に関する許認可権が、各省別で、てんでんばらばらなんですね。ちょっと例をとってみますと、たとえばバスなどの路面交通機関、あるいは鉄道軌道の路線の許認可権は運輸省が持っている。それから、道路建設については建設省が権限を持っている。それから、交通の規制については警察庁が持っている。そうして、地方公営交通事業の所管は自治省だ。こういう路線の認可と、それから交通の動脈である道路の建設と、それから交通の規制と、それから地方公営交通事業の所管と、これがてんでんばらばらだ。その上へ持っていって、私企業と、国というか、国有鉄道経営している鉄道網と、それから地方公営交通事業、これが入り込んできている。こういうことで、都市の交通行政に対する権限は自治体に移す。少なくとも、交通規制については、これを自治体に移して、そして、自治体交通規制に基づいて警察も動くというような——交通の管理権を地方自治体が持っておるのに、その交通の規制は警察がやるんだということでは規制できないじゃないでしょうか。こういう点を改善して、許認可の権限が各省ばらばらになっておるのを自治体にある程度集中していき、そして、自治体が責任を持ってその自治体住民の足を守っていくというような方向への改善というものは考えられないものでしょうか。どうでしょうか、大臣
  96. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは、各省それぞれの専門家がいて、そして、あらゆる面から検討をする。そのメリットというものも私は否定するわけにはいかぬと思うのです。しかし、おっしゃるように、許認可すべてをもっと簡素化しろという意味には私も全く賛成でございます。まあ、いまにわかに地方の公営企業について自治省に一本化するということは、これは言うべくして簡単には話はなかなかまとまりませんが、そうかといって、簡素化するという方向で、政府自体が内部的に率先して合理化をすることは必要だと思いますから、そういう方向は、今後も努力して、十分検討したいと思います。
  97. 林百郎

    ○林(百)委員 じゃ、これで私は終わりますが、自治大臣、あなたによく考えていただきたいと思いますのは、地域住民の近代生活に欠くことのできない足であり、また動脈でもある地方公営交通企業、これを文字どおり地域住民の足にし、社会生活の動脈にするためには、財政的にも、権限的にも、これを強化し、保護していく、育成していくということは非常に重要なことだと思うのですよ。自治大臣はよく蛮勇をふるう、蛮勇をふるうと言いますから、最近の無政府的な交通事情をよくお考えくだすって、地域住民の足の便益をはかるために、地方公営交通企業が、財政的にも、また便益の上から言っても、その中核にすわるような政策をぜひひとつ強力に遂行していっていただきたい。このことを希望して私の質問を終わります。
  98. 上村千一郎

    ○上村委員長 この際、午後一時十分から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時二十四分休憩      ————◇—————    午後一時十五分開議
  99. 上村千一郎

    ○上村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。吉田法晴君。
  100. 吉田法晴

    ○吉田委員 公営交通事業の中でのこれからの問題でございますが、先般調査に参りました仙台市、それから私の出身県であります福岡県の福岡市で地下鉄建設の計画があるようでありますが、これに対する自治省の指導的な態度、見通し、それから、これに対する補助の姿勢と申しますか、これを承りたいと思います。
  101. 森岡敞

    森岡政府委員 福岡市でございますが、都市交通審議会の答申で、「福岡市および北九州市を中心とする北部九州都市圏における旅客輸送力の整備増強に関する基本計画」が策定されました。それに基づきまして、緊急整備区間として、姪浜—博多間一二・六キロメートル、中洲−箱崎松原間三・八キロメートルを四十九年度から建設着手したいということで、現在計画が練られております。建設費はおおむね一千百十二億円程度、輸送需要の推計は四億九千三百万人程度というようなことで計画が進められておりますが、まだ運輸省への申請は出ておらないわけであります。   〔委員長退席中村(弘)委員長代理着席〕  次に、仙台市でありますが、仙台市、交通計画委員会で、仙台市を中心とする都市交通の基本計画について、特に高速大量輸送計画を主体とした答申が出ております。それに基づきまして、緊急整備区間として、仙台駅前から七北田間七・三四キロメートル、仙台駅前−鍋田間四・九四キロメートル、建設費はおおむね三百五十億円程度、輸送需要が一億二千万人というような推計で、これはテンポから申しますと、福岡よりもなお若干遠いことになるのではないかというふうに考えておりますが、いずれも計画考えられております。  その点につきましては、これらの両市につきましての計画はまだ完全に固まったわけでもございませんので、いろいろな整備すべき諸条件がございます。寄り寄り話は承っておりますが、私どもとしては、いま少しく固まった段階で関係各省とも打ち合わせてまいりたい、このように考えております。
  102. 吉田法晴

    ○吉田委員 これに対する政府の最後の態度、特に、国の補助等についてはどういう心組みでおられますか、承りたいと思います。
  103. 森岡敞

    森岡政府委員 地下鉄という形で建設いたします以上は、先般来いろいろ御説明申しております地下鉄建設に対する補助は当然適用していくべき筋合いである、かように思っております。
  104. 吉田法晴

    ○吉田委員 仙台について調査をいたしました結果によりましても、あるいは福岡市の計画を承りましても、路面交通の渋滞の対策、あるいは都市間の交通といった問題もございますが、これは自治体としてはたいへんな仕事だと思います。それからまた、経営に入りましてもなかなか容易ではないことは、いままでの実績でも明らかであります。  そこで、この法案を審議いたします過程で、各党の意見の一致をしたところをもってしても、あるいは私どもの対案を出しておりますものからいたしましても、もっと補助を高率に引き上げるべきだという意見を持っておりますし、また、諸外国の例を見ましても、イギリスあるいはフランス等は七五%、アメリカは三分の二でございますが、ケネディ時代から、この地下鉄大建設については特別な決意と補助をしておるようであります。運輸大臣にこの点をお尋ねいたしますが、地下鉄の建設と経営に対しては、国からの援助をなおもっとすべきではないかと考えておりますが、自治大臣の御決意を承りたいと存じます。
  105. 森岡敞

    森岡政府委員 地下鉄の建設費に対する助成につきましては、いまお示しの欧米各国の例もいろいろございます。ただ、この前もお話し申し上げましたように、欧米各国の場合には、すでに地下鉄の路線が大部分でき上がっております。それに対して、一本横断あるいは縦断する意味合いで非常に高速の地下鉄を通すというふうなものについて建設費の助成をしていく、こういうふうなものが多うございます。それに対しまして、わが国の場合には、大阪その他のように、ある程度地下鉄のマップができ上がっておりますところと、それから、これからどんどん穴を掘って建設をしていかなければならないところと、両方ございます。しかも、大阪などはある程度でき上がっておりますが、なお、資本費負担、元利償還費が相当膨大である。そこで、建設費補助と同時に既往債に対する措置、これは地下鉄特例債及び同孫利子補給という形でございますが、そういう措置もあわせて講じていくというふうな総合的な対策を講じていく必要があるわけであります。必ずしも各国の例のようなわけにもまいらないような状態にあるわけであります。  午前中も財政局長から申し上げましたように、建設費の三分の二、実質五〇%強の補助、出資の一〇%を合わせますと、建設費に対しまして六割程度の公費負担ということで措置してまいれるわけでございます。この程度の助成をやりますれば、十年程度は資金流出もおそらくないというふうに考えます。今後の省力化の推進、あるいは経営健全化を進めてまいりますれば、おおむね収支の見通しはとり得るもの、かように考えておるわけでございます。
  106. 吉田法晴

    ○吉田委員 それではさらに要望を申し上げておきたいと思いますが、建設費についても、いま言われますように、実質六〇%にはなるけれども、建設費そのものについては五〇%。さらに、いままで経営をしております東京、大阪あるいは名古屋等についても、それぞれ経営赤字が出ております。言われるようないままでの努力も限界に達しながら、なお地下鉄のいままでの建設費の償却も含んでおると思いますが、相当の赤字が出ておる点から考えまして、建設費の補助について、あるいは運営費の補助についてさらに検討を加えられるべきものがあろうと考えますが、その点は大臣に特に検討をお願いをし、勇気と決断をもってなされるようにひとつ要望をいたしておきます。  それから、もう一つは、北九州あるいは岐阜等でモノレールの建設計画があるようでございます。これはいま森岡議官答弁にもございましたが、都市高速交通機関としてモノレールをつくろう、こういうことでございます。その根拠法規は、昨年議員立法でできました法律があるわけです。   〔中村(弘)委員長代理退席、小山(省)委員長代理着席〕 その中に、国は援助するものとする、というような一条がございますが、この法文にありますものをどういうぐあいに具体的に援助をされようとするのか、これは担当が運輸省でございますか、承りたいと思います。
  107. 中村四郎

    中村説明員 モノレールにつきましては、運輸省としましては、その性格を——都市交通の場合におきましては、地下鉄を基幹といたしまして、これとバス輸送を組み合わせていく。それに対しまして、ちょうど地下鉄とバスの中間と申しますか、中量輸送機関としまして、地下鉄なりバスと組み合わせまして有機的な交通網を形成したい。また、いま先生のおっしゃいました北九州なり岐阜で検討しておりますところの、地方中核都市と申しますか、地方の中心都市におきます輸送形態としまして、モノレールをその基幹交通機関として考える。これとバス輸送を組み合わせて体系づけていきたい、こういうような基本的な考え方を持っております。  これの建設にあたりましては、現在の情勢からいたしまして、この建設に当たりますものは民間ではなかなか困難であろうというようなことといたしまして、先ほど都市モノレールの整備促進に関する法律の財政措置を講ずることについて詰めよという御趣旨を受けました。現在、モノレールのデータというものは非常に乏しいわけでございますが、三社ほど運行しておる実績を分析しながら、現在計画なすっておる都市の状況を調査して、そして、その補助の問題について、補助率その他についての検討を鋭意進めておる段階でございます。
  108. 吉田法晴

    ○吉田委員 これは北九州あるいは岐阜等々についてもそうだと思いますが、この審議会を経てモノレールをつくるということはさまったわけでありますが、この経営主体あるいは建設の主体は、だれがやるということはまだきまっていないようであります。これはあと大臣に伺いたいところでありますけれども、地下鉄をつくりますと、たとえば札幌の定山渓鉄道の例で申しますと、定山渓鉄道経営が困難になる、したがって、この鉄道をいわば吸収する。実際にそこの交通を合併をするか、買い上げるのか、それはわかりませんが、そうすると、そこに働いておる労働者の生活はどうなるか、職場はどうなるかというたいへんな問題になる。そこで、札幌の場合には、定山渓鉄道に従事しておった職員を全部市に吸収をした。こういうことで解決をせられた。福岡の場合にもこの問題がございます。これは市が経営することになっておる。ところが、その地下鉄を建設いたします路面には電車が通っております。これは、福岡を走っております電車の一番最初の、市と、それからその当時の東邦ですが、東邦が競願をして、五十年後には市に返すという約束のあったもので、これは二、三年前片づきましたけれども、西鉄がやっております。その西鉄の路面電車は、オープンカット方式でやりますと通らなくなりますから、着手の前には路面をはずすということになる。その従業員はどうなるかということがいま一番大きな問題になっているわけでありますすこれを市に吸収するということになれば問題はございません。その辺は、この法律の施行に関連して何べんも申し上げましたし、大臣も、従業員の不安なからしめるために最善の努力をしたいとおっしゃいました。モノレールの場合にもそれがあるわけです。これは並行線の私営バス——私営というのは、市でやっているのではなくて、西鉄がやっております電車、バスがある。その人間がどうなるか。この問題が実際に契約的に片づかなければ、あるいは市に吸収するということがなければ、この西鉄とあれとの関係は片づかないということになるわけです。そこで、モノレールについて、経営主体は市がやらなければならぬのか、あるいは第三セクターでもいいのか、それから、それに対する補助——経営主体、あるいは建設主体も第三セクター、特殊法人であるならば、あるいは公社であるならば、名前はどうであろうと、いわば公共団体に準ずるといいますか、公共団体も入っておるが、特殊法人であるならば補助することに差しつかえないと考えられますが、その前段の関係の従業員の労働者に不安を与えないように指導をしていただけるかどうか。それから、もう一つは、第三セクターといいますか、公共性を持っている特殊法人ならば、あるいは公社ならば、これはできると考えられるでしょうかという点を運輸省にお尋ねします。   〔小山(省)委員長代理退席、中村(弘)委員長代理着席〕
  109. 江崎真澄

    江崎国務大臣 新しい交通機関、すなわちモノレール等ができるにあたって、従来の公営企業——これは私企業でもよろしゅうございますが、その交通関係労働者が失業をした場合どうなるか、できれば、新しい機関がそれを吸収するなり、しかるべき措置をとるべきではないか、そういう行政指導が望ましい、こういう御質問ですね。これは私全く同感でして、その職種は違いましても、同じ公営交通というようなことであれば、それが民営であろうと公営であろうと、また、それがバスと軌道車というふうの違いはあっても、相互関連するところは多いわけですから、経験者ができるだけ相互によく話し合い、特に地方公共団体の長などが責任をもってその間に立たれて円満に解決する、または吸収できるものは吸収して合理化していく、それも合理化の方途だというふうに思います。
  110. 中村四郎

    中村説明員 モノレールの事業主体と申しますか、建設主体、運営主体の問題はなかなか一律な結論はむずかしいわけでありますが、都市モノレールに限りますと、大部分は道路を使って敷設されるというような性格でございまして、とれにつきましては、都市計画との関連なり、あるいは、何よりも、敷設するための街路事業なら街路事業としての整備ということが非常なウエートを持ってくるわけでございます。それから、市街地の再開発の問題、そういうことと密接に関連いたすわけでございます。また、資金調達能力等を勘案した場合に、公営あるいは公的色彩を持ったもの、先生から第三セクターというお話しがありましたが、そういう形に落ちついていくのではなかろうかと思っております。  ただ、いろいろ現在計画しておられるところにおきましても、既存の交通機関がございまして、熊本市の場合には、熊本市が市電を現在公営でやっておられる。あるいは民営でやっておる地区も、御指摘のように福岡等でございます。そういった地域の実情もよく勘案して建設主体なり運営主体の問題をきめてまいりたい、かように考える次第でございます。
  111. 吉田法晴

    ○吉田委員 その辺はわかっておるのですが、それについて、第三セクターといいますか、あるいは特殊法人か、あるいは公社か市が入りますと純然たる私企業ではない。そうすると、この法律に基づいて建設、運営主体が市である場合は問題ありません。それから、市でなくても、特殊法人なり、あるいは公共性をその主体の中に持っておる場合には同様の補助ができるかということをお尋ねしておるわけです。
  112. 中村四郎

    中村説明員 モノレールの補助を考慮する場合に、同じような都市交通に対する助成制度としての、先ほど来お話しのあった地下鉄に対する助成なり、あるいはニュータウン新線等につきまして、公営ないし準公営と申しまして、地方公共団体が出資する団体に対しても補助制度があるわけであります。これらの助成制度を勘案していく必要があろうかと思います。今後関係省庁とそういった点も含めて煮詰めてまいりたい、かように思っておる次第でございます。
  113. 吉田法晴

    ○吉田委員 協議をして煮詰めていきたいということですけれども、結論は、積極的に質問の趣旨のように努力したい、こういうことですね。  最後に、人間の問題については自治大臣にお尋ねをいたしましたが、不安のないように行政指導していただきたい。  もう一つ、これはきのうもやったことですけれども、年金問題ですが、民間の厚生年金と公務員の共済年金とがたいへん差がある。そのことはきのう厚生大臣から、できるだけ差別がなくなるように努力しようという言明をいただいたところでありますが、民間から公務員に引き継ぎます場合、いわば、定山渓鉄道の従業員を札幌市に吸収いたしますときに、あるいは西鉄に働いております者を、いまお話しのありました第三セクターに引き継ぐか、あるいは福岡市に引き継ぎます場合に、取り扱いはどうなるのか。それについて不安がないように行政指導を願いたいと思います。私が承知しておるところでは、厚生年金と共済年金との通算ができ、それぞれの会計から支出ができるというお話しを聞きましたが、その詳細について、重ねてここに関連をしてお尋ねをいたしたいと思うのであります。
  114. 森岡敞

    森岡政府委員 私ども、定山渓鉄道職員の一部を札幌市が引き取るという形で採用いたしました経緯は承知いたしております。人数はたしか百四十五人で、採用試験を行なって採用したというふうに承知いたしております。ただ、いまの年金の関係につきましては、十分調査いたしておりません。後刻調べまして御報告申し上げたいと思います。
  115. 吉田法晴

    ○吉田委員 先ほど大臣に、地下鉄あるいはモノレールを建設します場合の従業員の問題について、不安のないようにということでお願いしましたが、あとは、この法律の施行にあたりまして、何べんもお尋ねをいたしましたが、再建について、従業員が心から協力ができるかどうかは、その理解と、それから処遇だと思います。第一次再建の過程を通じても相当の犠牲を払ってまいっております。あるいは、賃金も一般行政職との間に差ができましたり、いろいろいたしております。これらの点について、今後とも、その回復のために努力していただき、あるいはその生活について、経営主体を通じて十分に協力を願い、そして、先ほど引き継ぎの点についてお話しがありましたように、従業員の不安をなからしめて、この法律の目的といたします再建のために協力ができるように行政指導をいただけることだと思いますが、重ねて大臣の御答弁をお願いしたい。
  116. 江崎真澄

    江崎国務大臣 企業再建するときにはよほどの決意が要るわけでありますから、これは、やはり、午前中から何べんも申し上げておりますように、その従業員は企業努力に集中し、また、経営管理者は、その企業整備効率化合理化というようなことを努力していただかなければならぬと思います。そういう努力が十分なされておるとすれば、これはやはり一般職との間の権衡を失しないように配慮をいたしまして、そういう場面に処していくことも考えられるというふうに思います。
  117. 吉田法晴

    ○吉田委員 終わります。
  118. 中村弘海

    中村(弘)委員長代理 小川新一郎君。
  119. 小川新一郎

    小川(新)委員 私は、地方公営交通事業財政再建を行なう場合の問題点を、企業環境の急激な悪化や、毎年度給与改定料金適正化の遅延、経営合理化などがありますけれども、特に公営企業を取り巻く都市政策に焦点を当てて、二、三お尋ねしたいと思います。  周知のように、最近の急激な人口、産業の大都市への集中及びモータリゼーションの拡大に伴う路面渋滞等による交通事業をめぐる企業環境は急激に悪化しております。路面電車など、路面交通機関の表定速度の低下、定時性の喪失をもたらしております。このために、国民の信頼を失い、乗客はマイカーに奪われていると言われておりますけれども自動車が、マイカーが、なぜこのように急激にふえているのか、その理由を大臣にお尋ねいたします。
  120. 片岡誠

    片岡政府委員 基本的には、自動車そのものの便利性と申しましょうか、有効性が基礎にあると思います。と同時に、GNPの伸びに従って国民所得が伸びてきた。したがって、いわゆるマイカー、自家用自動車を買う能力が国民にできてきた。そのもの自体が使う人にとっては非常に魅力のあるものでございますから、自然の勢いとして伸びてきている。もちろん、その間に、メーカーあるいはディーラーの宣伝売り込みということは当然あわせてあることではございますけれども、そういうものだと思います。
  121. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣、私は、テレビのコマーシャルの中で自動車の宣伝をすることは、現代のわが国を取りまく交通公害環境等において不適当であると思ってきたのです。特に、七百五十ccの、ナナハンと俗に言われるオートバイ、これは警察関係にあした聞こうと思っておったんですが、白バイの容積率より多いモーターバイクが出て、いたずらに交通公害をまき散らしておるようなことをテレビやなんかで宣伝しておる。私は、断固、これに対して反対の一人者なんです。大臣の御所見をまずお聞きしておきます。
  122. 江崎真澄

    江崎国務大臣 おっしゃる意味はよく理解できますが、企業の自由性から言いまして、これはなかなかむずかしい問題があるのではないか。これは、たとえば、自動車の生産制限を考慮すべきではないかという林議員の御質問もございましたが、私は率直にお答えしたわけですが、日本の経済というものは、国際性を帯びて、自由化の方向を今日とりつつあります。また、諸外国からもオール自由化という強い要請を受けております。そうすると、生産制限は直ちに輸入の制限という形で自由化も阻害してくる。それから、所持そのものを、甲には許して乙には許さないとか、男性には許して女性には許さないとか、そういうふうに区別をすることは、日本の現在とっておりまする方向から言っても不適当であるというふうに思います。そうすると何ができるか。言うならば、この自動車の場合は、保有をしてからの制限をすることはできる。保有する人に向けていろいろな規制をする。たとえば、車庫法、これを厳密に実行するようにする。これは大事な点だと思います。市部では、六月一日からもうすでにこれを実行しております。十二月一日には、町と市の周辺六十九村にもこれはぜひ実施してもらおう。これはよくざる法だということを言われますが、確かに多少抜け道がなかったわけではありません。これは小川委員も御承知のとおりだと思います。それから、特に都心部や道路狭隘な地域においての駐車禁止の問題というようなことで制限をすることはできますね。  それから、もう一つは時間的な制限。たとえば通勤時間帯、七時半から九時半までとか、あるいは五時から七時までとか、その間は自動車の経済効率はわれわれ認めますけれども自動車は他の時間に集中していただくことにして、その時間は乗り入れ制限を主要な道路において強硬にとるというような方途で、まだまだ解決の余地はあるのではないか。また、そういう制限をとることによって生産はスローダウンすることもありましょうし、自然、そこにしわ寄せがいくという形が考えられるわけでございます。
  123. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣、一面には、テレビのコマーシャルの中には、「日本は一体どうなるのだろう」というようなものもあるが、大臣は、いま東京自動車がどのくらいあるか御認識であると思います。博学多才な大臣でありますから、東京に一カ月にどのくらいふえているか、トヨタ、日産その他のメーカーにどれくらい倉庫に保有台数があるかということも御存じだと思います。そういう問題を踏まえた上で、東京の人口が昭和五十五年にはどれくらいになるということを予想してこういった都市問題に取り組んでいるのかということを、国家公安委員長の立場から、交通の体制から私はお聞きしたいのでございますが、これは専門家でけっこうでございます。  一つずつ申し上げますが、トヨタ、日産等のメーカーに、六月一日現在、在庫品があるのかないのか。その次に、予約発注をしているということがありますが、どれぐらい先まで予約発注をしているのか。これが第二点。第三点は、東京に一カ月どれくらい自動車がふえているのか。現在どれくらいの自動車が走っているのか。これは業種別、マイカー、バス、トラック。それから、道路面積当たりの自動車数、これは世界で第何番目なのか。アメリカと比較したときはどれくらいなのか。まず、その四点をお尋ねいたします。
  124. 片岡誠

    片岡政府委員 私のほうからお答えできる限りをお答えいたします。  まず。初めに、日産、トヨタの在庫の有無でございますけれども、私、つまびらかではございません。しかし、大体ない。したがって、二、三カ月先でなければ希望者の手に入らないという状態になっているやに聞いております。  それから、現在東京に約二百三十万台ぐらいの車があるように思います。二十三区に百九十五万台ばかり。  それから、私、ちょっと昭和五十五年の人口は存じませんが、昭和五十五年に東京都で幅員三・五メートル以上の道路延長がどのようになるかということでございますが、これが四十八年四月一日現在、東京都の調べによりますと、一万三千九百七十二キロだそうでございますが、それが一万四千四百十二キロばかりになるという予測をしているようでございます。したがいまして、昭和五十五年段階になりますと、一キロ当たり約二百五十台ぐらいの車になるのではなかろうか。全国的には、その時分には一キロ当たりおそらく七十数台ぐらいというふうに建設省では予測しております。
  125. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣の言っているメーカーへの車のしわ寄せなんということは、てんで問題にならないですね。いま、トヨタ、日産在庫ゼロ、少なくとも六カ月か七カ月先の発注をいま国民はやっております。そうして、一カ月当たり東京都内にふえている台数をお知らせ願いたい。
  126. 高橋寿夫

    ○高橋説明員 ただいま正確な実績データは持っておりませんけれども、手元にある限りのデータで推測いたしますと、約一万台東京でふえております。
  127. 小川新一郎

    小川(新)委員 一カ月で一万台ということは、一年で約十二万台ですね。そういたしますと、交通渋滞地域、たとえば環七、祝田橋、それからいろいろなところが指摘されておりますね。朝の交通情報のラジオで言われている地点、そこにおける排気ガス、騒音から見て、二十三区の車の許容量は一体何台と積算しているのですか。
  128. 片岡誠

    片岡政府委員 午前中も申し上げましたように、車の保有台数と車の走行キロとは、私、若干違った面があろうかと思います。車を持ってもウイークデーに使わなくて、土曜、日曜だけ使うという使い方も次第に東京では行なわれてきているようであります一問題は、ウィークデーの、特に朝夕のラッシュの問題が、混雑という意味では一番問題になってきておると思います。しかし、大気汚染とか、騒音という問題では、また別の角度の議論があろうかと思います。そういうことで、私どもは、車の東京における最高適正規模は一体幾らであるかということは、今後の問題として、当然関係省庁で詰めていくべき問題だと思いますけれども、いまのところ、正確な数値としてはきめかねておるのが現状でございます。
  129. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣、国会には交通の特別委員会がございます。私は交通特別委員会へ出ておりませんから、どんな議論が出ておるかということをここでは御指摘できませんけれども、少なくとも、東京二十三区の道路面積に比率したところの交通渋滞から見ると、いまそちらがおっしゃっているように、朝夕のピークなんて、そんななまやさしいものじゃないでしょう。毎日毎日の時間帯の自動車による二十三区の交通渋滞は、毎日ラジオで、ヘリコプターでもって警察が調べては報告しています。そういう状態の中にあって、東京都の、または大阪の、名古屋の、日本の大都市と言われている中での公営企業の問題を論ずるにあたって、都市問題の中から見た交通量規制の中から、車の占める位置、マイカーをこのまま放置をしていっていいかどうかという問題を私は議論しているのであって、その問題の数字が出ないなんということでは、この公営企業財政再建問題を論ずるにあたってはあまりにもずさんな答弁だと私は思うのです。  重ねてお尋ねいたしますが、全然ないんですか、そういうものは。
  130. 片岡誠

    片岡政府委員 関係省庁の間にないと思います。ただ、では、東京がはたして現在一番自家用車の保有率が高いかといいますと、もう現にそうでなくなってきております。一番高いのは愛知県、それから群馬県、そういう順序でございます。その辺では二世帯に一台マイカーを持っておるというところでございます。東京はそこまではいっておりません。
  131. 小川新一郎

    小川(新)委員 私が言っているのは、保有している県じゃなくて、道路面積当たりの自動車数を言っているのであって、だからこそ、いま田中さんの言う日本列島改造で二十五万都市という理論が出てくるのであって、そういう面から言ったら、自動車の規制というものは、四年前に運輸省が出した乗り入れ規制ということをいま考えなければならない状態に来た、こういうことになっているんですが、これは大臣、ちょっと大事な質問なんですがね。四年か三年前に私はこの問題に真剣に取り組んだのですが、運輸省が東京都内乗り入れ規制というものを考えた。ところが、これは非常に重要な問題があるといって押えられたのですけれども、こういった状態に対して、現実的には一体どういうことがこの混雑に対してやられるのですか。さっき言った七百五十ccのモーターバイクは何にも必要がないのです。そういうものをどんどんテレビで報道して、このままでいったら、いまに日本人は死んでしまいますよ。これはいま政治の大事な問題になってきているのですよ。公営企業のどうのこうのという段階から、いま日本は公害問題に取り組んで、きょうの東京の公害対策の姿勢の中でも、濃度規制から総量規制ということで、排気ガス、スモッグの問題を取り上げているじゃありませんか。こういうことになったときに、本委員会がそれだけのことを明快にした上で公営企業の財政の再建という問題に取り組むならば、私は真剣にこの問題に対して賛否の態度を示したいと思いますが、いまのように、東京都の道路面積当たりの車が幾らか——アメリカから見たら八倍だとも九倍だとも言われている。そういう濃度の中で一カ月に一万台も自動車がふえている。しかも、メーカーには在庫品がなくて、七カ月も八カ月も先の予約注文をとるほど国民が自動車を求めているのですね。これの原因は一体何なのか。  これはまだたくさん問題があります。燃料の問題だってあります。石油は、世界でも、あと三十五年掘ったらなくなるといま言われております。それでなくても、OPECの石油産出国では、猛烈に石油消費国に対して圧力をかけております。農業問題だって同じだと思います。いまの日本の一人当たりの国民のカロリー消費は三〇%にしか達していないと言われている。そうして減反政策とか、いまちぐはぐな状態の中で、世界が三十五億しか養えない中に三十八億の人をいま養おうとして、アフリカやいろいろなところで飢えた問題が出ている。これが昭和七十年には実に七十億にもなると言われている。そういう中で、自動車の問題を未来学の中から取り入れていくのは、私はとっぴな質問じゃないと思う。この問題がはっきりしないところに、政府の姿勢というものが、発想の転換がいまこそ望まれるということをこの場合提起していくために私は質問しているのでございまして、大臣、その点、私の言っていることについてお考えを聞きたいと思います。
  132. 江崎真澄

    江崎国務大臣 非常に重要な御質問だというふうに私は思います。  そこで、要するに、自動車の規制をどうするのかということについて、先ほど申し上げたのは、基本的な、いわゆる保有についての制限を申し上げたわけですね。ところが、今度は使用規制をどうするのか。持つことを差別して押えることはできない。言うならば、保有のための最低限の条件、今度は使用の条件、これをはっきり提示する場面だというふうに思いますね。これには国民にも深い理解を求めていかなければならぬことだと思います。  自動車の貢献する経済的なメリットというものは、これは相当なものがある。高く評価してしかるべしだと思いますが、いまおっしゃるように、人命にも関する、もう道路自体がのみ切れない、そのとおりだと思います。そこで、アメリカなどでも、これは私も新聞記事で見た程度でありまするが、ロサンゼルス、サンフランシスコというような都市では、自動車をボイコットしよう——あれだけ高速道路の四通八達した地域において、全部ボイコットということはないと思いますが、これも、時間的な一種の使用制限というようなことを言っておるのだと思います。そうだとすれば、バスなどによる大量輸送、それから公害のない地下鉄の輸送、それから短距離は自転車でつなぐ、そうしてその自転車をしかるべきところで保管して、バスなりあるいは郊外電車などでまた自分の居住地へ戻る、こういったことを思い切ってやる。要するに、いまの常識から踏み出した発想で処置をする。これはいつまでものを言っておりましても議論倒れだと思うのです。ですから、私どもも、実は在外公館を通じて、たとえばコペンハーゲンのごとく、たとえばアムステルダムのごとく、日本の国民所得よりも所得が多くて自転車を通勤、通学等に用いておる地域の実情、実態というものを急速に把握しようというので、目下努力をしておるようなわけであります。これは、当地方行政委員会の中にも交通問題の小委員会があるわけですから、これを発足させられて、場合によれば、国会でもまた余暇があるようになりましたら、世界的に、ロサンゼルスの制限は一体どうなのか、あるいはデンマークやオランダは一体どうなのかと、にわかに調べて、そうして思い切って実行に移していく。これは日本じゆうに実行ということはなかなかむずかしいでしょうから、地域を指定して、まず率先協力してくれるような首長とタイアップをして、実験都市というか、モデル都市というかというようなことで実行する。これは、私は、議論倒れになってはならぬことだというふうに思っております。ぜひ御協力願います。
  133. 小川新一郎

    小川(新)委員 そこで、具体的にお尋ねいたしますが、マイカー規制の場合には、一家族で二台も三台も持っている者に規制するのか。そういう考えを持っていらっしゃいますか。次は、生産総量の規制を行なうかどうか。これが二点目。三点目は、ラッシュ時のある一定の時間全部自動車を制限するというわけにいきませんから、これは、公営企業バスとか、私営のバスとかいう大量交通機関の輸送だけをして、そうして、その間、自転車通勤のほうの道路にするような具体的な案はいまお考えいただけますか。
  134. 江崎真澄

    江崎国務大臣 先ほどから申し上げておりまするように、生産制限ということは貿易の自由等々から言いまして、生産制限即貿易の制限ということになりまして、なかなかこれは問題があろうかと思います。しかし、検討の余地はあると思いますが、これはなかなか事実上むずかしい。日本の生産を制限しても、輸入品の制限をしなければ、これは問題にならない。輸入制限というようなことが、貿易立国である、輸出立国である日本の経済情勢から言ってできるかできないか、むしろ、これはノーというほうが多いわけでございます。それから、一軒のうちに何台、これもむずかしいと思うのです。職種、その利用度等々から言いまして、所持そのものを制限することはなかなかむずかしい。性別によったり地位によって所持を区別することがまさかできないように、所持の台数を区別するということもちょっとできにくいと私は思うんです。そこで、できるのは、いまの保有のための制限をどうするか、使用の上での、それはスピード制限を含んで、いまおっしゃるような通勤、通学というようなラッシュ時の使用を禁止することが一体できるのかどうなのか、これは国民の深い理解と協力がなければ、軽々にいまここでこうやりますということは、まだ申し上げる一つの段階に至っておりませんが、少なくとも相当な決意で、国民の共感を求めながら実行に移していくことはぜひ必要なことだというふうに考えます。
  135. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣の御答弁を聞いておりますと、何も具体的な問題が出てこないのですよ。確かにそれは非常にむずかしい問題ですから、国民の合意、コンセンサスを得るために、テレビの自動車のコマーシャルの禁止をまずしなければいかぬ。私は具体的に言っているわけです。こういうふうにしろ、ああいうふうにしろ、七百五十CCなんて必要ないから、そんなものはやめろと言っているんです。何であれは必要なんですか。こんなに売れ過ぎている自動車の宣伝を何でテレビでしなければいけないか、私は罪悪だと思っているくらいです。そういう答弁が何もないでしょう。それから、まだある。どうしても道路の規制をしなければならないことは四年前から言われているんです。確かに、保有は愛知とか群馬は多いかもしれないが、なぜ東京へ集中してくるか、そこに大量交通機関の問題が出てくる。私は、アメリカで言っているように、公営企業料金バスは全部ただにできないかという議論の持ち主です。バスをただにしてしまえば、みんなバスに乗ります。そうすれば自然にマイカーに乗る人は少なくなる。この議論は現実にあるのです。料金をただにしてしまうのです。赤字補てんは別途考えるとして、まず、いかに大量機関の輸送効力が発揮できるかという問題を議論するには、公営も私営も全部バスを一ぺんただにしてしまう、そうすれば、マイカーで入ってくる人は全部客になるという意見の持ち主なんです。それに対する財源はまた考えるにしても、それくらいに強い規制というものは交通の中に求めなければならない。大臣のように八方美人的な、何を言っているかわからないような答弁では私は納得できないということで、相当勇敢な答弁を求めているわけです。お願いします。
  136. 江崎真澄

    江崎国務大臣 広告制限ができるか、これは必ずしも私の守備範囲ではありませんが、日本の現在の情勢から言って、これはむずかしい。広告というものも、あれは一種の表現の自由でしょうからね。これにどういう規制を加えるかは問題の点だと思いますが、これはせっかくの御提言ですから、十分検討することにいたします。  それから、いまの規制をどうするかということは、たとえばいまあなたが交通機関を全部ただにしろという御提案がある。これは思いつきじゃだめなんです。ですから、当委員会でもひとつ御研究をいただきたいし、交通特別委員会においても御検討をいただきたいし、私ども、いま、役所の段階でも、警察庁が建設省、運輸省、自治省、関係省庁に呼びかけて、少なくともラッシュ時の交通規制をどうするか、自転車の通勤、通学を可能ならしめるためにはまず何が必要か、これは自転車専用道をつくることも必要、置き場をつくることも必要、これには助成もしなければならぬなどなどを含めて目下検討しております。そして、もう少しこの検討が進みますと、私は、それを田中総理の同調も求めて、内閣全体として思い切ってやる。そのときには、与党、野党に関係なくぜひ御協力を願いたいと思いますし、また、そういう段階までに、この衆議院は衆議院として、それぞれの機関で、専門的に、いまお出しになったようないい知恵をどんどん出していただく。これは発想の転換ですからね。それはしろうと議論だとか、思いつきだとか、そういうことを言っておったんではいい発想は出てこないと思うのです。ですから、いろいろ出し合ってみて、まず実行可能と思えるものをやってみる。日本じゆうに直ちにやれと言っても、これは無理がありましょう。また、そのデメリットでごうごうたる非難が出てきても、それは取り返しのつかないことになります。だから、協力していただける自治体に、いわゆる実験都市をモデル都市という名称を冠してやっていく。そこで、改めるものは改める。そこでまた共鳴を受けるということになれば、全国的に共鳴者も出てくると私は思う。人間の知恵というのは、やってみないと、現実と着想との間になかなか距離がある。これはもう御承知のとおりです。ですから、ぜひひとついいお知恵をあなたにもお出しをいただきたいというように思います。これは共通の問題ということでやりたいと思います。
  137. 小川新一郎

    小川(新)委員 いま、思いつきということばがありましたが、私は、バス無料については思いつきじゃないのです。新聞にも、「米国東部のボストンでバスの運賃を無料にしたら、乗客が三二%も増えた。西部のカリフォルニア州都、サクラメントでは、運賃一セント(三円弱)のバスを走らせたら、利用客が倍増した。その分だけ、マイカーが減り、交通渋滞の解消に役立った▲無料にすると、運転手は運賃収受の手間がはぶけるし、バスのスピードも向上する。交通渋滞が解消すると、バスの運行が正確になるだけでなく、排気ガスによる大気汚染も少なくなる。「いいことずくめではないか」と全米合同交通労組のオリバー副会長は来日して「バスの無料化」を提唱した」ということが書いてあるように、これは小川新一郎の思いつきじゃないですよ。何か、私がまるで突拍子もないことをこの委員会で言っているように受け取って、あいつは頭が変じゃないかという印象を受けられることは、大臣、まずいですよ。私は思いつきを言っているのじゃないのです。もうこの辺で発想の転換をしなければならないと言うから、私はあえてきょうは最後に、本法案の前提としての問題をいま提起しているのであって、だから、私は、具体的に何か大臣の確実な答弁が出るまでは引き下がらない決意でここに立っているのですから、何十分でもきょうはしゃべりますよ。しかし、それじゃ皆さんに御迷惑をかけますから、閣僚会議にこういうふうにはかるとか、自転車道路をこうするんだとか、交通状態はこうするとか、何か一つぐらい言ってください。さっきからいいことずくめで、いいんだいいんだと私の質問をほめてばかりいるけれども、ほめてばかりいたんではよくならないのであって、それに対して何かいい答えをいただくまではがんばりますから、よろしくお願いします。
  138. 江崎真澄

    江崎国務大臣 やはり、為政者という立場になりますと、どうもものがなかなか言いにくい。影響するところが大きいわけです。たとえば先般も、飛鳥田市長の共鳴を得て、自転車の通勤、通学についてこれをぜひやろうと言っても、賛否両論が出てきましたが、大体、あの反響は賛成の方が多いということです。ですから、各関係省庁語らいまして、目下慎重に検討をしておるわけです。これは、小川さん、一つのことを行なうためには慎重な検討が必要なわけですね。(発言する者あり)いまいろいろと不規則発言があるように、日本人はあまり急ぎ過ぎるから交通事故も絶えないのです。ですから、これはゆっくりもしておれませんが、十分検討して、自転車の効用を見直す雰囲気をぜひつくりたい。しかも、そのためには、関係省庁の間で結論が出次第、私は内閣に報告をし、協力を求めて、内閣全体としてこのことを進めてまいりたいというふうに考えておりますので、いま具体的にあれこれ言うことは——ども忙しいのにかまけて、あなたと違って、つい不勉強で、思いつきになってはいけませんので、もうしばらく時間をおかし願いたいと思います。
  139. 小川新一郎

    小川(新)委員 急ぎ過ぎるとか、急ぎ過ぎないとか言われるが、田中内閣が小選挙区制を急いだということについては、国民が議論をしたわけですね。だけれども、交通問題や、大気汚染や、生命の問題については、小選挙区制に反対するとか急ぐとかいうことと違うのです。そういう問題について私は議論を展開しているのであって、確かにあなたは為政者の立場であり、議員の立場とは違い、執行機関としての責任があって、ものの言い方一つでも重大な影響を与えるということは私は理解しておりますが、少なくとも、この委員会での公営企業の財政の再建問題の法案を提出するにあたって、道路面積に対する自動車の占める割合台数がわからない。自動車東京にどれくらい許容したらいいのかということも答えていただけない。だから私の議論がこういうふうなところに展開していってしまうのです。いま、朝の、また昼の、また夜の各自動車に乗っておって一番感ずることは、交通情報がひんぴんと入っておっても、入っただけでは自動車は動かない。そこにいろいろ事故が起きて、そこには年間二万人もの人が交通戦争でなくなっているということの裏づけの中から私は議論をしておるのでありますから、この問題については、どうかひとつ真剣にお取り組みをいただきたいと思います。切りがないからこれでやめますけれども、こういうことをほんとうに重大な問題として私は提起したいと思うのです。  バス路線について、現在、バス路線の優先、専用レーンを設定している全国での路線は一体幾つあるのか。また、現実に六大都市交通局がバスの優先、専用レーンの設定を要望している路線は幾つあるのか、ひとつお尋ねしたいのであります。
  140. 片岡誠

    片岡政府委員 五月二十一日現在における全国のバスの優先または専用通行帯、それから、バス以外の自動車の通行禁止をしている、バスだけが走る専用道路の状況についてお答えいたします。  優先通行帯が百六十六区間で、二百五十九・六六六キロメートル、約二百六十キロでございます。それから、専用通行帯は五十一区間で、これは約七十四キロでございます。専用道路が五十区間で約十六キロ。合計二百六十七区間、三百五十キロでございます。
  141. 小川新一郎

    小川(新)委員 六大都市の交通の問題からお尋ねいたしますけれども、現状で、東京は公営バス専用レーンが十二、キロ数にして三十五・二二キロ、優先レーンが二十三、七十八・八三キロ、合計して、三十五の百十三・九六キロメートルですが、東京都は、要望数は幾らなんですか。それから、大阪、京都、横浜、名古屋、神戸、この六大都市の現状の問題から、要望数が出ておるキロ数と路線の数は幾つございますか。
  142. 森岡敞

    森岡政府委員 私ども都市交通環境整備がどうしても必要でありますし、また、その一つの問題は、御指摘の優先通行帯であると思います。ところで、優先通行帯につきましては、いま御指摘のように、決して十分な状態にはなっておりません。道路の状況その他もございます。そこで、今後再建計画を立てていきます中で、この優先通行帯の拡大をぜひ明確にして関係省庁に要請してまいりたい、かように思っておるわけでございます。  個別にいろいろ事情は聴取しておりますけれども計画として、具体的にこういう形で全地域を通じてやりたいというところまでは必ずしもまだまとまっていない。今後、再建計画の中でそれを明確にしてまいりたい、かように思っております。
  143. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういう問題もまだ不明確でございます。非常に大事な問題が二、三抜けておるように思います。皆さんのお立場もありますから、私は質問をこれでやめますけれども、私がちょこっとこうやって都市問題から外郭の問題から問いただしてみても、お答えが非常に不満足でございます。たとえば七時から十時までの間の問題にしても、これは日曜日だけでないのですし、自転車通行レーンをつくるとか、いろいろな問題がいま東京都や六大都市に望まれております。これはもう非常に大きな国民的要望でございますので、最後に、大きな立場にお立ちになっての、そういう問題に対する取り組みの姿勢をもう一ぺん大臣にお尋ねしまして、私の許された範囲の時間が来ましたからこれで引き下がりますけれども、どうかひとつよろしくお願いいたします。
  144. 江崎真澄

    江崎国務大臣 御意見を交えての御質問は十分傾聴をいたしました。したがって、先ほど来申し上げておりますように、やはり、自動車の使用制限、私はこれだと思うのです。(「製造制限もしなければだめだ」と呼ぶ者あり)ええ、いまの製造制限等については、先ほど来申し上げておるとおりにいろいろ問題がありますが、それはひっくるめていろいろ検討いたしましょう。ただ、問題なのは、歩行者天国があれくらい喜ばれるということ、こういう国民感情に訴えて、もっと歩行者道路を今後広げていく。たとえば、路地裏などというところは、現在でも相当距離歩行者専用になっておりますが、これは車庫を持てという規制がありますと、そこから幹線道路へ出るまでは、自動車は五キロとか十キロという遅速で出る。やはり、人間が優先、自転車が優先ということ、しかも、その路地裏は自動車は走れないような行きどまりもあっていいと思うのですね。さくを置いて、人や自転車はすいすい出ていけるが、自動車は身動きならぬというような形もあっていいでしょう。それから、主要な通勤、通学道路等については、相当な時間帯バスを優先させ、自転車を優先させる。とにかく、日本の国民よりも国民所得の多い国々が自転車を使っておるということをもう一度大局に立って見直し、これが実行をはかっていく場面に来ておる、こういうふうに考えますので、これはぜひひとつ御協力を願いたいと思います。
  145. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうすると、国家公安委員長の立場から、交通規制という問題で、いま大臣が申された範囲の中のことはやっていただけるのですか。
  146. 江崎真澄

    江崎国務大臣 ぜひ実現したいと思います。
  147. 小川新一郎

    小川(新)委員 ありがとうございました。
  148. 中村弘海

    中村(弘)委員長代理 山口鶴男君。
  149. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 過般ノーカーデーがございました。新聞で拝見いたしましたが、たしか、大臣も徒歩で登院をされたようであります。各大臣が、ノーカーデーで、あるいは国電、地下鉄、徒歩でもって登院をいたしました感想が新聞にいろいろと書いてございました。私もたいへん興味深くそれを拝見いたしたのでありますが、ある方はパリの裏町と同じような感じがしたとか、あるいは省線以来初めてこういう電車に乗ってみたとか、混雑がたいへんひどかったとか、一般庶民とはちょっと縁遠いと申しますか、そういう御感想をいろいろと漏らしておられた閣僚の方が多かったようであります。私は、そういうところに、今日の都市交通、さらにはこれから私どもが議論をいたします地方公営企業でありますところの公営交通というものが放置されたと申しますか、今日のような深刻な財政危機に直面した一つの原因があるような気がいたすのであります。  私は、都市というものは交通を除外しては成り立たないと思います、したがって、私ども社会党としましては、かねがね、都市交通は行政の一環であるという位置づけをすべきではないだろうかということを主張いたしてまいりました。  まず、お尋ねをするに際しまして、ノーカーデーの際の各閣僚の御感想に対して、公営交通を所管しておられる自治大臣としてどのような御感想があったかということと、並びに、都市においては、交通というものは行政機関の一環として位置づけるべきじゃないかという私どもの主張に対してひとつお答えをいただきたいと思います。
  150. 江崎真澄

    江崎国務大臣 ノーカーデーは、都市自動車の排気ガス等による公害防止、この発想から出た国際的な一つの行事を日本でも行なったというわけでありまするが、私は、あのノーカーデーにあたりまして、これを一日行なうことは、いろいろな交通問題がむずかしくなってきたことに対する反省とか、また、将来に対する考え方等々が出てくる上から、もとより、非常に望ましいことだというふうに思いました。そこで、私は、この国会まで歩いてきながら、もう少し自転車というものが利用できないであろうかと思いました。数年前にデンマークを訪れたときのコペンハーゲンのラッシュというものは、自動車も確かにありましたが、自転車に乗っておる青年男女の姿が、いかにも希望に満ちて、喜々として、さっそうとしておるのですね。しかも、あの国は、たしか人口も少なくて、日本よりははるかに国民所得が多いはずだ。いまではあまりはるかにということはないかもしれませんが、多いことは間違いないようです。それでありながらマイカーで出勤しないという、このたしなみというか、この考え方というものは、一体あれは何だろう、自然発生的なものなのか、政治の指導によるものなのかなどということをしみじみ考えながら、実は国会まで歩いた。そして、そのあと公営企業の視察に横浜に参りまして、率直にそのことを旧知の間柄である飛鳥田市長に申し上げた。そして、思い切ってやってみたいと思うと言ったら、非常な共鳴を得て、私も実験都市になりましょう、こういうことは主義主張にかかわりのないことだし、あなたとは昔から懇意だったが、こんなことでもう一ぺん協力体制をとろうじゃないかということで話がはずんだ。こういうことでございます。
  151. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 私が御感想を承りたかったのは、大臣の御感想ではなしに、他の大臣がお漏らしになった感想に対して、公営交通を所管しておられる大臣としての御感想を承りたかったのでありますが、まあ、そのことはわかりつつも、他の閣僚の発言に対して批判するのはいかがかと、こういうお気持ちもあって、きっとポイントをはずしたお答えをなさったんではないかと思いますから、それ以上のことをお尋ねするのは私も控えましょう。  自転車を利用するのはたいへんけっこうだと私も思います。デンマークあるいはスウェーデンの国におきまして、自転車が大いに利用されている現状を私も拝見をいたしまして、一面、非常にうらやましい思いがいたしたのでありますが、ただ、問題は、わが国の都市の状況を見ますに、たとえばイギリスのように、ニュータウンを建設して、職場と住居を一定の地域に分散をするという形をとっておればよかったと私は思うのです。そうするならば、この自転車通勤というものも大いに慫慂もできるし、また、実現可能な、非常によき方法だろうと私は思います。しかし、問題は、わが国はニュータウン方式をとらなかった。要するに、大都市の周辺に団地ばかりをつくったわけですね。職場はみんな都心にある。そして、住居は、はるか都心から離れた地域に散在をしておる。こういう状況です。そこに、いまの国電のラッシュ時における混雑もあり、かつての上尾事件のような騒動をもたらす一つの原因があったのではないかと思う。   〔中村(弘)委員長代理退席、委員長着席〕 わが国の場合、職住近接というのが実現していないのですよ。職場と住居とが離れている。こういう中での自転車通勤というものにはおのずから限度があると私は思うのです。そういう点を大臣は御認識あってしかるべきではないだろうか。そういう意味では、あえて言えば、ニュータウン方式をとらなかった今日までの政府の政策に欠陥がある、せっかく大臣の提唱しておられる自転車通勤をもそれがはばんでいる、こういう現実があるということをひとつ御認識いただく必要があるのではないかと思うのですが、いかがですか。
  152. 江崎真澄

    江崎国務大臣 確かに、そういう傾向は否定できないと思います。そうかといって、それじゃこのままにしておいていいのかというと、それは困りますね。そこで、工場再配置の法案をつくって、これを郊外に出すというようなことを政策として考えてみたり、あるいはまた、都会地においては、ターミナルのげたばき住宅というものも考えたり、事実実行に移しておるわけです。ですから、東京都心では、日照権の問題等で都知事も一つの議論を持っておられるようでありまするが、これとても、高層化する地域と平面化する地域とはっきり区別をして、そして、事務所ばかりでなしに、高層化した上のほうには住宅を持つ、それはごく少なくてもいい、そして、週休二日制のときには郊外にセカンドハウスを持つような奨励をする。これはやや理想に走り過ぎます。いま現実にまだ家のない人が相当多いわけですからね。しかし、そういった形で今後の都市再建の方途を十分多角的に検討してみる必要があるというふうに思っております。
  153. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 先ほど来私が申し上げましたような現状が、わが国の都市の現状であります。そうした場合に、一般大衆の安くて便利な公営交通というものをいかに確立をし、財政的に危機に直面いたしておりまする公営交通をいかに財政的に再建をし、また、公営交通をめぐる環境をいかに整備していくかということが必要だろうと思うのです。そういう観点から若干のお尋ねをしたいと思います。  私は、公営交通の問題を、当地方行政委員会で、昭和四十二年以来お尋ねをし続けてまいりました。昭和四十一年の国会におきまして、地方公営企業法の改正が実現をいたしました。当時、昭和四十一年度における地方公営企業の財政的な現状はどうであったかと申しますと、あらゆる法適用の地方公営企業を総括いたしまして、累積赤字が一千二百五億円、このうち、公営交通が七百九十三億円の累積赤字という状況でございました。昭和四十一年度に改正いたしました地方公営企業法におきまして、再建債を発行し、財政再建に乗り出したわけでありますが、当時、六百二億円の再建債を発行して、七百九十三億円にのぼりました地方公営企業である公営交通の赤字対策に着手をいたしたわけであります。ところが、その後、昭和四十二年、四十三年、四十四年、四十五年は一体どういう状況であったかと申しますと、他の一般職の地方公務員給与改定は、それぞれ人事院勧告に従いまして実施をされましても、公営交通に働く労働者給与改定は一年おくれ、二年おくれという状況であって、貸し付けというようなきわめて遺憾な状態のままに放置をされているという状況が各地に出現をいたしたのであります。昭和四十六年、再建計画の第五年目でありますが、いただきました昭和四十八年の財政白書にも状況が出ているわけでありますが、水道の累積赤字が百六十九億円、病院の累積赤字が五百三十六億円、交通のごときは実に一千九百二十九億円の累積赤字でございまして、地方公営企業全体の累積赤字は実に二千九百六十億円にも達しておるということが、この資料にも出ているわけであります。私は、昨年あるいは一昨年、本会議におきまして、あるいは委員会におきまして、三K赤字というけれども、むしろ一番深刻なのは公営企業であり、公営交通ではないかということを指摘をいたしてまいりました。特に、国鉄の赤字が大きな問題だと言われておりますけれども、全国をカバーする国鉄の累積赤字は、昭和四十六年におきましては、たぶん八千億円程度だったろうと思いますが、それに対して、三十六ないし三十七のわずかな都市しか実施していない公営交通の累積赤字が実に一千九百二十九億円にものぼっている。したがって、国鉄の財政的な危機よりは公営交通の財政的危機のほうがより深刻である。したがって、国は、国鉄、米、健保で三K赤字などと言っておるけれども、実際は四K赤字じゃないか、あるいは、国有林野を加えれば五Kの赤字ではないか、その四Kないし五Kのうちの公営交通の赤字こそ最も深刻である、これが再建は一日もゆるがせにできないということを強く主張いたしてまいったわけであります。そういう中で、自治省鎌田財政局長ことばをかりれば、第一次再建は財政面からのみの再建策であって、公営交通をめぐる環境整備については全く欠けておった、そういう意味では第一次再建は失敗であったということも当委員会で率直にお述べになりました。そういう中で第二次再建に取り組まざるを得ないということも鎌田財政局長は言われたわけであります。そういう中で、昭和四十七年度の予算編成にあたって、大蔵、運輸、自治三大臣の文書もできまして、そうして昭和四十八年度におきまして、公営交通の第二次再建に取り組むといった政府の姿勢がやっと確立をいたしたのであります。  私は長々と過去のことを申し上げたわけでありますが、そういった今日までの政府のやり来たった措置を考えてみますと、先ほど大臣の方々の御感想を聞いたわけでありますけれども、この公営交通に対する国としての施策があまりも不十分だったのではないか。第一次再建計画というものがきわめて不備であったのではないか。また、そういう認識に立つならば、今度の第二次再建、具体的に言えば、いま国会で私どもが審議いたしております地方公営交通事業経営健全化促進に関する法律案というものも決して十分ではない、かように言わざるを得ないと思うのであります。そういう意味で、もう少し奮発した再建策というものをお考えになったほうがしかるべきだったのではないかと思いますが、大臣、御反省があれば承っておきたいと思うのであります。
  154. 江崎真澄

    江崎国務大臣 このたびの施策は、政府としてはよほど思い切った態度に出たわけであります。少なくとも、再建債を発行して、その利子の大部分を見る。地下鉄の場合はしばらくおきまして、バス購入費などについても、再建計画の立った、事情の合うところについては半額助成をする。これは、行政路線などでずいぶん苦労もあろうというようなことなども含みにしながらの半額助成でもあるわけでございます。したがって、四十九年度以降に持ち越されますが、再建債をだんだん一般会計で償還していくということになれば、さて、これも新たな都市財源を見つけなければならぬのではないか、あるいは、それとかね合いで一般会計の分をどう見ていくのか等々、政府としては、今後の問題を含めて、この問題では相当な配慮をしておるわけであります。したがって、そういう配慮も政府はするから、企業者側においてもまたできるだけ企業努力をし、整備合理化をして、そして政府の助成にこたえてもらいたいというわけですから、林さんとけさほどもやり合っておりましたが、大体いいところへいっておるのではないか。いやそうではないという否定のことばはありましたが、政府としてはあとう限りのことをやった。これで終わるわけじゃありません。まだ、来年度からの一般会計分の処置問題等も残っておりますので、なおひとつ努力をしてまいりたいと思いますが、企業のほうでももう少し効率化をはかり、合理化を進めてもらうというふうに願いたいと思っております。
  155. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 企業がもっと整備合理化を進めていただきたいとか、あるいは効率化合理化を進めていただきたいとか、大臣は強調されたのでありますが、もう少し時間がたてばこの法律から合理化ということばも消え去ろうといたしておるわけなんでありますから、そうそう合理化ということばをお使いになることは、大臣、遠慮したらいかがかというふうに思います。  そこで、第二次再建の今度の法律内容を拝見いたしますと、当委員会でもずいぶん議論があったから私も多くは申しませんけれども、要するに、昭和四十七年度末の路面電車の累積赤字をたな上げする、そうして、交通事業再建債を発行し、国が利子の全部または一部を負担するということであります。法律以外の措置といたしまして、地下鉄の助成を二分の一から三分の二に引き上げる、あるいは、バス購入費について国がめんどうを見るという措置が加えられているわけでありますが、はたしてこれだけの措置で——第一次再建で、自治体あるいはそこに働く労働者の諸君も非常な苦労をしたと思うのです。企業としては、財産をずいぶん売り払ったろうと思うのですね。また、売り払わざるを得ないような指導を自治省がおやりになったわけだ。また、給与改定につきましても、他の職員から著しくおくれるというような実情もございました。また、共路面電車が撤去されまして、その職員バスあるいは地下鉄に振りかわった面もあるでしょうが、そうではなくて、他の部局のほうへ大きく配置転換をされた、あるいは人員についても、現実に相当縮小した、こういう状況だったろうと思うのです。いまやもう、各都市の公営交通を見ましても、売り払うべき財産というものはほとんど売り尽くしたという状況だろうと思います。そういう中で、今回とりますような措置だけで、これだけ危機に直面した地方公営交通事業が財政的にはたして再建できるか。大臣、一体どうお考えですか。しかも、この法律にも、第三条あるいは第十条等で、この交通事業をめぐる環境整備についてもある程度努力をするという趣旨のことは書かれております。この点は、あとで運輸あるいは警察等々にお尋ねしたいと思っているわけでありますが、これらの環境整備がこれで現状スムーズにいくとは私どもには全く考えられません。大臣もそうだろうと思うのですが、そういう中で、これだけの措置で、この地方公営交通の再建整備がはたして可能であると大臣はお考えですか。率直に承りたいと思います。
  156. 江崎真澄

    江崎国務大臣 非常にむずかしい要素をはらんでおると思います。そうかといって、これはこのままで放置していいものではありませんので、先ほど山口さんから、心配をしながら、意見を交えて御質問がありましたように、やはり道路整備、そして交通規制——私は、自転車を見直すということばを何べんも繰り返しましたが、バスも見直さなければならない。都市の交通機関としてのバスの見直しということが大いに強調されなければならぬ。さっき、小川委員が、バスをはじめ交通機関の無料化なんということを言っておられましたが、少なくとも、そういった発想の大転換を求められるくらい、これは今度は規制をするわけですね。そういうことでこの局面を切り開いていかなかったならば追っかけっこですね。これはいけないと思うのです。ですから、今度の質疑を通じまして私が一番痛感しましたのは、自動車優先というようなここ数年来の気風が、だんだん国民の間にも人が優先になり、歩行者が優先になり、もう徹底してきましたね。そうなったときにバスを見直し、自転車を見直す。そして思い切ってマイカーの使用制限というところへもっていって、バスとかあるいは自転車等々の運行のできる道路づくりをする。これが前提になることが環境整備を果たす大きな役割りになるというふうに思います。
  157. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 大臣のお答えを聞いたわけでありますが、残念ながら、自治大臣は毎年のようにおかわりになるわけでありますが、幸い、そこにおられる鎌田財政局長は、地方公営企業法の改正が昭和四十一年の国会で審議された当時、自治省の参事官でおられまして、この当時の法案作成にも当たり、御答弁にも当たっておられる方であります。その後、先ほど私が引用いたしましたように、過去における第一次再建は失敗であったという御感想もお漏らしになった当事者でもあります。  そこで、鎌田さんにお尋ねしましょう。この第二次再建、今回のこの法律で、大臣が言われるように、公営交通をめぐる環境整備がはたしてスムーズにいくかどうか。そうは私どもには考えられません。なかなかこれは困難な問題でしょう。そういう中で、しかも、先ほど私が申し上げたような措置だけでこの公営交通事業再建が可能であるとお考えですか。どうですか。
  158. 鎌田要人

    鎌田政府委員 私どもは、今後の公営交通の再建整備につきましては、ある意味におきまして、背水の陣と申しますか、これで立ち直りがきかなければもうどうにもならないのだという感じが実は非常に強くいたすものでございます。したがいまして、これでうまくいくのかというよりも、うまくいかさなければいけないという気持ちを持っておるわけでございまして、それには、何と申しましても、交通環境改善と、経営内部の血の出るような努力、それから料金適正化、こういったことをどうしてもやってもらわなければならないということでございまして、当該公営企業ができるものは、非常なる決意をもってやっていただく。また、当該公営企業だけで手に負えないいまの企業環境改善の問題は、これはなかなかたいへんだと思いますけれども、少なくとも、目先の問題といたしまして、定時性を回復するためにとり得る措置というものは、公営企業の当局、あるいは運輸、建設、警察、その他関係省庁の出先というようなところと常時連絡協調の場をつくってもらいまして、そこで片づかないものにつきましては中央レベルに上げていく。こういったことで、企業環境改善について、当該公営企業当局だけの手に負えないものにつきましては、全省庁一体になってやっていくということが必要でございましょうし、そういうことにつきまして、当該公営企業経営いたしておりますところの自治体の首長、議会あるいは地域住民、あるいは企業に働く職員といった方々が一丸となって努力をしていただきたい。そういうことで、これは、ある意味におきまして、公営交通の存廃のせとぎわに立たされる背水の陣に立っての再建だという、非常に突き詰めた気持ちを私どもは持っておる次第でございます。
  159. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 提案されました側としては、あるいは、この法案の作成をいたしました責任者でもある鎌田さんとすれば、そうおっしゃるよりしかたがないのではないかと思って拝聴をいたしておりました。鎌田さんとしては、この法律でも公営交通の財政再建は不可能だと思いますというようなことは、口が腐っても言えないお立場であることは察します。しかし、企業が血の出るような努力をせねばいかぬということで、そこに働く労働者にのみしわ寄せをする中でめちゃくちゃな締めつけをやって、何とか公営交通を、というようなことは、これはもう通る時代ではないと私は思います。  そこで、お尋ねしたいと思うのですが、外国の都市でも、公営交通については、先ほど小川さんからも幾つかの例が引用されましたように、交通一元化に大いに努力をした。たとえば大ロンドンのごとく、いろいろな努力もしております。また、その際に、いままでの累積赤字は全部たな上げをして、そして企業が立ち行くようなくふうを、イギリスの場合、法律をつくって措置していることも皆さんよく御存じのとおりだろうと思います。また、地下鉄その他の助成につきましても、わが国よりははるかに進んだ助成を、過去において、ずっと引き続きやっている国の多いことも、これまた御存じのとおりだろうと思うのです。そういう状況にあって、鎌田さん、これがもう背水の陣で、これ以上の措置はできないなんという思い詰めた考え方はおやめになったほうがいいのではないかと私は思うのです。他の国の例も十分御検討しているわけですから、そういうことを承知で、立案者の立場で、やむなくああいうおことばを述べたのだろうと思って聞いておきましょう。  そこで、大臣にお尋ねしたいのですが、私ども社会党は、戒名は同じでありますが、地方公営交通事業経営健全化促進に関する法律案を提案いたしました。不良債務のたな上げを行なうということは私どもも同じでありますが、ただ、この場合、元金について、三分の二を国が措置する、それから利子については、ほぼ全額を措置する、こういうことを法律の中で書いているわけであります。それから、健全化計画策定ないし変更にあたりましては、大臣も強調しておりますように、公営交通の第一義的な責任は地方公共団体、自治団体なんですから、しかも、その自治体の首長が提案し、住民の代表である議会議決をしたということになれば、それで足りるのではないか、自治大臣承認というものは必要ない、これは届け出制をもって足りる、こういうように、いわば地方自治を尊重しろという考え方を貫いております。それから、公営交通をめぐる環境整備につきましては、「国の配慮」というような書き方ではなくて、「国の責務」として、国がより抜本的な措置をとらなければならないことをうたっているわけであります。さらに、料金決定の手続につきましても、従来と変わりまして、届け出制をもって足りるというふうに書いているわけでありますし、さらに抜本的には、別に法律で出しております地方公営企業法の一部改正におきまして、公営交通、水道、あるいは病院等の地域住民に直結をした公営企業につきましては、独立採算のワクをはずしまして、行政の一環として地方公共団体が責任を負うという形をとるべきであるということを実は提案をいたしておるのであります。大臣、どうでしょうか。私ども提出の法案のほうが、当面する地方公営企業の現状から見て、より適切だとは思われませんか。どうぞ、お考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  160. 江崎真澄

    江崎国務大臣 一つの御意見としては、私どもも敬意を持って拝見をいたしましたが、どうも、多少現実にそぐわない点もあるというふうに思うわけです。  再建債の利息については、私どもも見ておりまするが、元金までということになりますと、もともとこれは国民の税金を充てるわけですが、どこまで金を入れれば必ずこうするという答えがなかなか地方公共企業体から返ってまいりませんね。そうなると、国の税金を使用いたしまする側から言いますると、元金に直接助成をするということはなかなか考えられない。そうかといって、地方財政も非常に窮乏しております。福祉関係の施設も要請されておりまするだけに、どうするのか。これは企業体それぞれの事情もありまするから、その財政事情などを見ながら、来年度以降のところで、現実に合った措置を十分して、一般会計で再建債を支払っていくものについては考えなければならぬ。当然これは考えておりまするが、いまにわかに三分の二助成なんというようなことは、責任ある政府としては言いがたいわけでございます。  それから、よく私が申し上げましたように、地方自治体再建方途についてきめてきたものは、ただ届け出すればいいではないかということは、これは、やはり国が助成をするわけですから、国として、その再建方途についての発言権は持っておらなければ、国民に対して申しわけないというふうに考えます。  それから、料金届け出制ですが、これにつきましてもいろいろ議論の分かれるところでありまするが、他の民営その他との関係上、法案に盛り込んだあの形よりいたし方ないのではないか。しかし、そのために許可がおくれたり、手数がかかって、とかく認可等々がおくれるという、地方行政に迷惑をかけることがあってはいけませんので、これは関係各省庁と申し合わせて、事務の簡素化、決定の促進ということに意を用いていきたいというふうに考えております。  それからあとは、抜本的に、水道とか、病院とか、公企業体については、国が思い切って責任を持って、すべてめんどう見ろということでございますが、これらについては、なお今後の問題ということで、十分また議論をかわして結論を得たいというふうに思います。
  161. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 大臣、そうおっしゃっておりますが、自治省が当初公営交通健全化促進に関する法律案を立案された過程におきましては、たとえば料金の決定の手続の問題でありますとか、その他の問題につきましても、社会党案と全く同じか、ないしはより近い考え方で立案をされたことを私は承知をいたしております。要は、鎌田さんも、そこにおられる森岡さんも大いに御苦労されたんだろうと思います。大臣もされたと思いますが、残念ながら、そこにすわっておられる大蔵省の長岡さんその他、あるいはそのすぐお隣にすわっておられる運輸省の佐藤政務次官以下運輸省の方々とか、そういうような方々の横やりがあって、やむなくこういう形の法律案になったというのが真相じゃないのですか。その辺は正直におっしゃったらいいんじゃないかと思うのです。  それから、当地方行政委員会は、与野党で確かに意見の対立はございますが、いろいろな問題について意見の対立があることは当然であると思います。しかし、同時に、この地方行政委員会は、地方自治を尊重しよう、憲法に規定された地方自治の本旨を守っていこうということについては、与野党共通の土俵だろうと私は思うのです。そういう意味からいけば、市民だって国民の一部なんですよ。そして、住民から直接選挙された首長、住民から選挙された地方議会の議員という方々を中心にして地方自治体は運営されておるわけですから、国が金を出すのだからといって、一々国が口を出さなければいかぬ、届け出制ではだめで、許可制でなければいかぬということはおかしいと私は思うのです。もっと地方自治というものを尊重してしかるべきではないか。政府案とわが党案の比較を一口に言えば、政府案は、金は少ししか出さぬけれども、口はうんと出す、地方自治体にいろいろちょっかいは出す、ところが、わが党案はそれと違って、金は政府案よりよけい出すけれども自治体には口を出さない、地方自治の本旨を守り、憲法を守る法案だ、こう言っていいと私は思うのです。そういう意味で、従来の経過を率直にお述べいただくと同時に、この地方自治の本旨を守るという立場からのわが党の提案に対する考え方を重ねてお聞かせをいただきたいと思うのです。
  162. 江崎真澄

    江崎国務大臣 だんだんのお尋ねでございますが、まあ、経緯はいろいろございましたが、結論がこういうことになったわけですから、政府としての結論、最大公約数はこれであったということで御了解を願いたいと思いますが、ものの考え方としては、米の値段から、何から何まで全部政府がきめるのだという行き方には、私個人としては疑問を持っております。特に、地方の自治体が、あたりを見回しながら運賃の適正化をはかって、企業努力をしてきたということについて、あまりやかましく言い過ぎることもどうであろうかと思います。各省庁、この法案が成文化されますまでには意見の一致を見ませんでしたが、今後これは合理化して、いまおっしゃるような方向で検討をしてまいるというつもりでおります。
  163. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 十分納得はいたしませんけれども、わが党案のような進んだ法案までいかなかったことは非常に残念であるという私ども考え方を表明いたしておきましょう。(「共産党はもっと進んでいるんだ」と呼ぶ者あり)あれはやや著作権侵害的な傾向があるから……。  そこで、さらにお尋ねしたいと思いますが、大臣にはこのあとさらに若干お尋ねすることとして、せっかくおいでいただきました佐藤政務次官以下各省の方々にお尋ねをいたしたいと思います。  警察では、昨年、「総合交通体系における道路交通管理」という資料をおまとめになりました。また、運輸政策審議会におきましても「総合交通体系に関する答申」というものをおまとめになったことを承知をいたしております。さらに、建設省でも、本日は持ってまいりませんでしたが、建設省の立場から総合交通体系に対する提言もいたしております。このように、各省がそれぞれの立場から総合交通体系に関して研究をし、提言をされた。それをまとめようということで、昭和四十六年十二月十七日に臨時総合交通問題閣僚協議会におきまして「総合交通体系について」というのをおまとめになっておられるわけであります。  そこで、これについてお尋ねをいたしたいと思いますが、まず、地方公営企業についてもそうでありますし、国会でも大きな議論の対象になりました国鉄運賃法についてもそうでありますが、結局、受益者負担ということを政府はたいへんに強調されるわけであります。ところが、この受益者負担の原則というものを見直す必要があるんじゃないかということを、この「総合交通体系について」という文書の中でも述べておるわけであります。短いですからちょっと引用いたしましょう。「これらの費用を含めた総費用は、受益者が負担するのを原則とする。」ただし「受益者負担の態様としては、利用者負担および利用者以外の間接受益者の負担がある。したがって、運賃料金等による利用者の負担を適正化するほか、開発利益等を事業主体へ還元するため、できるだけ利用者以外の間接受益者からも負担を求めるなどにより受益者負担の強化、徹底をはかっていくことが必要である。また、開発利益については、現在その受益の範囲、程度の評価方法が確立されていないので」とあるけれども、しかし、この問題についても率直なメスを入れていく必要があるということを書いておられるのであります。問題は、公営交通についても、料金については受益者負担だ、利用者が負担をするのがあたりまえだ、コスト計算をして、と、そういうたてまえになっています。ところが、何で都心にあんな霞ケ関ビルができるのか、東京のような大都会に事務所、事業所がたくさん存在するのか、また新しくそれが入ってくるのかということを考えれば、今日まで、その周辺における社会資本を利用したくてこういう事務所、事業所が入ってくるわけです。そうでしょう。とすれば、地下鉄をはじめとする公営交通というものを利用することによって利益を受けているものは、単に電車等に乗る利用者ばかりではなくして、それによって間接的に利益を受ける事務所、事業所というものも、公平の意味での受益者負担という概念からすれば、これは当然負担を分かち合うべき問題ではないのか。また、鉄道ができたことによって地価が暴騰し、それによって膨大な利益を生み出したという方々についても、それによるところの開発利益というものを還元させるということは当然のことだろうと私は思うのです。せっかく閣僚協議会でこういう文書を作文されましたが、受益者負担を真に公平化するということについて、運輸省なり、経企庁なり、大蔵省は、今日まで一体どれだけの作業をやって、そしてどれだけの具体的なプランをお立てになり、どのような手順でこれを実行に移そうといたしておられるのか、このことをまずお伺いしておきたいと思うのです。
  164. 佐藤久衛

    佐藤説明員 先生御指摘のように、開発利益の還元ということにつきましては答申の中で触れているわけでございます。したがいまして、私どもも、今後の交通施設整備に関連いたしましてそのような制度を採用していくべきである、こういう方針に立っておりまして、いろいろ検討を進めております。いわゆる地下鉄等の施設整備いたしました場合に、間接的に受けますところの利益というものをどういう形で交通企業主体に還元すべきかにつきまして、いろいろ検討を進めてまいりましたけれども、なかなかむずかしいわけでございます。したがいまして、先生の御質問に対しまして、関連はいたしますが、直接的なお答えにはなりかねるかと思いますけれども、広い意味での開発利益の還元、こういうことでいろいろな措置を講じている例がございます。(山口(鶴)委員「具体的に言ってください」と呼ぶ)  それは、新しい団地が大都市周辺にできているわけでございますが、そこにバスを開設いたします場合、待合所とか、バスの折り返し地点の提供を求める。それから、これは多摩ニュータウンの例でございますけれども鉄道用地につきまして、敷地の提供を求める。こういうふうな形で受益者の負担を交通企業主体に還元する、こういう措置を講じている例がございます。
  165. 長岡實

    ○長岡政府委員 具体的にお答え申し上げかねますので恐縮でございますけれども、大蔵省といたしましても、山口委員のおっしゃいました行政需要をまかなっていく場合の負担の原則の点につきましては、かねてから勉強はいたしております。どの範囲までの行政需要と申しますか、サービスを、税金でまかない、どの範囲のものを受益者負担によるかという点につきましては、私どもとしては、当然、限られた財源でいろいろのことを十分にやっていかなきゃならない立場でございますから、勉強いたしておりますが、現在までのところは、たいへん常識的な結論ではございますけれども、その国民が、あるいは住民が享受し得るサービスが量的に把握し得るもの、したがって、受益者負担が比較的とりやすいと申しますか、受益者負担しやすいものについてやっておるような状態でございまして、先ほどの開発利益の吸収その他につきましても、どうやって的確な負担の公平をはかりながら受益者負担制度が導入できるかという点について、関係各省寄り集まって研究いたしている段階でございます。
  166. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 経企庁がまとめたわけなんですから、一番最初に経企庁からお答えがあるのがふさわしいのでしょうが、まあ、いいでしょう。  いまお答えを拝聴いたしておりましたが、運輸省さんのお答えによれば、団地バスとか、あるいは多摩ニュータウンというようなところに幾らかの負担を持たせるということですわね。それから大蔵省のお答えでは、受益の範囲というものが量的にある程度明確にしやすいもの、俗なことばで言えば、受益者負担としてとりやすいものを対象にしておる、こういうお話なんです。率直に言って、弱い立場の人だけをつかまえているような気がするのですね。そうでしょう。結局、団地バスの負担、多摩ニュータウンの負担ということになれば、そういった多摩ニュータウンとか団地に入る方々の費用がちょっと上乗せになる、こういうかっこうでしょう。大蔵省さんの言われるように、受益者負担のとりやすいものというようなことになればよけいそうなんでありまして、それでは、一番受益をこうむっているものがこの対象外になって、そして一番弱い立場にある、目に見えやすいところだけが何か対象になっているということでは、これは全く不公平だと言わざるを得ないと私は思うのです。せっかくこういう文書をお書きになって、その程度の弱い者いじめしかやっていないということでは、私は、話にならぬと思うのです。国務大臣としてひとつお答えをいただきましょう。せっかくこういうものを書いた以上は、これを徹底化するということに内閣として責任を持って当たるべきだと思いますが、いかがですか。
  167. 江崎真澄

    江崎国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。私ども、常識的に考えましても、受益者から何らかの負担を得る、これはぜひそうしたいんですが、いま長岡主計局次長が言いましたように、まさにそのとり方の問題、そこで考えられるのが事務所・事業所税ということだと思うんです。これはひとつ来年度からの財源として、そういったものを合法的に取れるように、大蔵省などとも十分協議をいたしまして成案を得たいというふうに考えます。
  168. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そういう点をより徹底していただかなければいかぬと私は思うのです。結局、公営交通の財政がたいへんだ、したがって、料金値上げでもって何とかやっていこうとか、あるいは職員にしわ寄せをして——合理化」ということばは今度法律から消えますけれども、大いに効率をあげていくというようなことの発想だけでは話にならないわけでありまして、真の受益者負担の公平化という形の中から、地域住民にしわ寄せをする、あるいはそこに働く労働者にしわ寄せをするというようなことは避けるべきであるということを私は強く主張をいたしておきたいと思います。  それから、さらにこれについてお尋ねしたいと思いますが、具体的なことをいろいろ書いておられるわけです。総合交通体系から見た地下鉄、バス等の公共交通機関のあり方、特に都市交通のあり方についてはいろいろ書いております。バス路線の再編、整備等というわけでありまして、「バスは大都市においては高速鉄道の補完機関等として、その他の地域では主要公共交通機関として位置づけ、それぞれの地域内の交通事情に応じ、バス路線の再編整備を徹底するとともに、バスターミナル、バス・ベイ等の整備を行なう。また、団地等の住宅地への新設バス路線については、その開設維持に困難性があるので、特別料金制、宅地開発者負担等を検討する必要がある。」受益者負担をもっと広げるというようなことも書いております。さらに「公共交通機関優先通行確保」とありまして、先ほど小川委員が指摘をいたしましたけれども、「大都市においては、バス優先レーンバス専用レーンの拡充を行なうことにより、バス等の公共交通機関優先通行確保をはかるとともに、交通状況によっては車種別、用途別による交通規制を実施する。」その必要があるということを述べています。さらに「高速鉄道網の整備」、「路面電車のあり方」等々についても具体的に記載をいたしておりまして、最後に「公営交通等の公共交通機関経営基盤の強化」ということで、危機に瀕した公営交通の財政再建についても一つの提言をいたしております。これが出ましたのが昭和四十六年の十二月十七日であります。しかるに、警察のほうの優先レーン、専用レーンにつきましては、先ほど来お話しがあったように、きわめて短い区間しかこれが実現をいたしておりません。また、自治省におきましても、具体的に地方公共団体の要請等をとりまとめて、これを警察庁と交渉するというようなこともまだいたしていないようであります。こういう点はどうも怠慢ではないかという感じがいたすのですが、どうなんですか。せっかく閣僚協議会でこういうものをつくって、これが作文に終わっているようでは、いわゆる交通環境整備をやるやると言ってもこれは絵にかいたもちじゃありませんか。どうですか。
  169. 片岡誠

    片岡政府委員 先ほど来お話ししておりますように、その決定後、各地方で、バスの優先レーンあるいは専用レーン、あるいはバス以外の自動車の通行止めの規制が飛躍的に多くなってまいったと思っております。まだ現状満足すべきものとももちろん考えておりませんが、しかし、現に、少なくとも片側三車線あるいは二車線ある道路につきましては、相当バス優先通行帯あるいは専用通行帯が相当できてまいっております。問題は、片側一車線しかないような道路バス通りが相当多いということ、それを一体どういうふうにして処理していくかということが根本的な問題だと思いますが、それにつきましては、けさもテレビに出ておりましたように、たとえば名古屋市でいま実験的にやっておりますが、愛知県警がやり始めましたが、バスの優先の信号機、その信号機の処理によってバス優先通行もはかっていくというやり方も始めております。そういうことで、単に優先レーンの長さを問題にするのではなくて、路線バスが定時定速運転できるように、公営企業中心であると思いますが、各市の交通局と各府県の警察本部の交通部とが十分に話を詰めていって、具体的な場所に具体的な一番有効な対策を進めていくということが一番大切だと思います。いずれこの法律ができ上がりますれば、この法律の順序に基づいて、関係者からの公安委員会に対するバスの通行の確保についてのいろいろな申し出もあろうかと思います。そういう機会に、私ども全面的に協力してやってまいりたいと思っております。
  170. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 去年聞いてもいまのようなお答えだったろうと思うのですが、この法律ができたとして云々というところが新しいあれでありますが、この法律の第十条に「関係行政機関の長等に対する措置の申出」というのがありますから、いぼまでよりは、ということだろうと思うのですが、この法律ができましたことによって、やはり、従来とは違って、目に見えて「総合交通体系について」ということにおいて書かれております施策が進んだというふうに、ひとつ、実効あるようにやっていただきたいと思うのです。  同じような意味で経企庁と運輸省にお尋ねいたしたいと思うのですが、都市交通について、どのような基本的な考え方をもとに、今日の都市交通の混乱を解決していこうとお考えになっておられますのか。また、経済企画庁におきましては、これを取りまとめた担当官庁といたしまして、総合交通体系について、閣僚協議会の決定を具体的にどう進めていかれようといたしておるのか、この際抜本的に都市交通基本法のようなものを立案されるお考え方がありますかどうか。この点をお聞かせをいただきたいと存じます。
  171. 佐藤文生

    佐藤(文)政府委員 先ほどからの先生の都市交通に対するいろいろな御意見を拝聴いたしまして、私も、昨年の暮れに政務次官になりまして、運輸行政にタッチをし始めてから、東京、大阪、名古屋といったような大都市における交通緩和との戦いが一番大きな行政の部面でございました。そこで、運輸省として、陸海空にわたってのいろいろな運輸行政の中で、とりあえず都市交通の陸運行政の一断面だけを申し上げますと、通勤、通学の方々に対しては、現在、東京の山手線においても、中央線におきましても、御承知のとおりに、混雑度は二五〇%を越す状況であります。新宿あたりでは、もう、うしろから押して中につつ込むといったようなことが連日見られるわけでございます。これを一日も早く緩和することが、とりあえずの都市交通政策の第一点であると考えまして、このたび御審議を願いまして、衆議院で通過をし、ただいま参議院で審議をいただいております国鉄財政再建法と運賃改定の法案の内容の中にございますように、少なくとも年次計画を立てて、五年以内に、昭和五十三年の末を目標にいたしまして、二一〇%程度の混雑度に持っていきたい。二一〇%ぐらいの混雑度に持っていくということは、少なくとも、通勤、通学の皆さん方に、週刊誌を読みながら立って通勤ができるという程度でございます。二〇〇%ぐらいにするためには、大体昭和五十五年になると思いますが、六年ないし七年計画でやっていきます。二〇〇%から一九〇%になりますと、ほとんど座席にすわっていかれるくらいの程度になると思います。  そういう国鉄の、現在大都市内におけるところの鉄道整備の年次計画をやるためには、具体的にどうしたらいいかと申しますと、具体的には線増をやっていく、それから、十二両編成を十五両編成に変えていく、その十五両編成に変えるためにはホームの長さを変えなくちゃならぬ、五十三年度末には、少なくとも冷暖房の列車にほとんどしてしまわなくちゃならぬ、こういうような年次計画を立てているのが内容でございます。そういう年次計画を立てて、一応通勤、通学の一番大事な交通網の整備をはかっていく。それに付帯していくのがバスでございます。そのバスの問題については、御承知のとおり、低公害の大型の都市ラインにおけるバスの開発が必要であると考えまして、現在、運輸省の研究機関で、大型の、しかも低公害の通勤、通学の市民の足になるバスの開発をやっていくということで、主としてその二つの交通手段をもって通勤、通学の混雑度との戦いをする。それから、業務用の交通機関としては、言うまでもなく、自動車と、ただいま言ったようなものを併用していく。こういう基本的な考え方に立って、大都市内におけるところの交通の混雑度と行政の戦いをやっていくということが第一主眼であります。  そこで、人の流れと同時に貨物の流れ、物流との戦いもあります。物流との戦いをしないと、人の流れというものを順調に、スムーズにすることができません。したがって、大都市の中における流通をよくするためには、トラックターミナルを、御承知のとおり、現在、東京の周辺にもう三カ所ないし四カ所建設中でありますけれども、他県から来た大型トラックは、そのターミナルで貨物をおろして、そして配達センターを通じて戸口から戸口への配達をやっていく、こういうことで大型トラックの都内への侵入を防いでいく。それに、御承知のとおり、石油産業と申しますか、燃料の消費が、大都市圏内におきましても、われわれの知っている範囲でも一日五万キロリットルの消費量があるであろう、近い将来はそうなるであろうということになりますと、二十キロリットルというタンクローリーが二千五百台、この大都市圏内を走り回っていく。これをこのまま看過しては、人の流れあるいは物の流れということを順調にすることができないとなれば、庶民の使っているこの燃料の流れというものを、どんなことがあっても、近い将来パイプラインによってやっていくことが新しい都市のつくり方であろうというようなことも、いまの総合交通体系の中に書いてございます。  そういったようなことで、お互いに勉強をしながら、年次計画を立てながらやっていく、いますぐ目には見えませんけれども、そういうようなステップ・バイ・ステップでやっていくことで大都市圏内におけるところの交通の緩和をやるべきであろうと私は考えております。したがって、それをやるために、本年度の予算におきましても、地下高速鉄道整備に対して助成の強化をしたり、鉄道建設公団が私鉄の都心への乗り入れ工事を応援したり、新線の建設工事の整備をしたり、地方公共団体またはこれに準ずる事業主体のニュータウン建設工事に対する補助制度の創設をしたり、また、先ほど事官が言いましたとおりに、ニュータウンをつくるデベロッパーに金を負担させてバスターミナルのバスを回転させる、その空地のための投資をさせるというわけですから、庶民に負担させるわけではない。デベロッパーに負担させて市民の足の確保をする。こういったような問題点について、予算で配慮しながら、ことしの大都市交通政策の予算措置としてやっているところでございます。  非常に大まかな説明でございますが、大体そのような考え方でやっておるわけでございます。
  172. 喜多村治雄

    ○喜多村説明員 昭和四十六年の十二月に、臨時総合交通問題閣僚協議会において決定されました、先ほど先生のおあげになりました「総合交通体系」は、関係の各省が一体となってつくりましたものでございます。で、これは、どちらかといいますと、基本的な考え方を述べたものでございます。したがいまして、それを実施に移します場合には、これはそれぞれの所管官庁が責任を持ってやっていただくべく、お話し合いをいたしましてやっております。  この閣僚協議会の下には、各省幹事会がございます。したがって、これは時宜に集まっていただきまして、たとえば予算編成時期でありますとか、あるいは、先般私どものほうでまとめました経済計画をまとめますような場合には集まっていただきまして、そして、この方向に沿ってどうやっていただくかということの御相談を申し上げております。特に、先ほどのお尋ねの中にありました都市交通につきましては、五つばかりの項目があがってございます。一々申し上げる必要はないかと思いますが、バス路線の再編成の整備の問題、道路整備の問題、公共交通機関優先通行確保の問題、高速鉄道網の整備の問題、路面電車のあり方の問題、この五項目にわたりまして、各省と打ち合わせつつやっておる次第でございます。
  173. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そういう作文のできたことは承知をしておる。それが昭和四十六年の十二月十七日にできた。しかるに、その後実効がさっぱりあがっていないではないかということを指摘したわけであります。作文されること大いにけっこうでありますが、それが作文に終わることなく、実行されるように強く要請をしておきたいと思います。  時間の関係もありますから、あと若干お尋ねしたいと思いますが、公営交通事業について、事業運営の細部にわたって、運輸大臣の許認可事項になっているわけですね。たとえばダイヤの変更、停留所の位置の変更道路工事期間中の臨時運行経路の変更等について、だれが見ても、運輸省が許認可権限を握っている必要はないと思われる。それこそ地方自治体の責任にまかせて十分けっこうなものまで、いつまでも運輸省が許認可権限を握っているということはおかしいと私は思うのですね。こういうものこそ簡素化して、自治体の権限に委譲する、こういうことからまず始めていただきたいと思うのですが、いかがでございますか。  それから、また、料金決定の原則でありますけれども、少なくとも、地域住民から直接公選をされた市長、それから、住民から選挙された議会、これが慎重審議をいたしまして出した結論については、届け出でもって足りるのが常識ではないかと私は思うのです。これについてもすみやかに改善してしかるべきだと私は思いますが、いかがですか。特にまた、この点については、経企庁も物価対策の面からからむわけですね。経企庁も、地方議会が決定をしたものについては届け出で足りるというぐらいまでに踏み切っていただいてけっこうではないかと思うのでありますが、お考え方を承っておきたいと思います。
  174. 佐藤文生

    佐藤(文)政府委員 お答え申し上げます。  私も、たとえばバスのダイヤ、地下鉄のダイヤ、こういうものを変更する場合は、公営に関しては届け出でいいじゃないか、一々運輸大臣がチェックをしなくともいいじゃないかということも一面では納得がつきます。ところが、私が最近陳情を受ける中で、団地の方が来られまして、省線が夕方の五時に駅へ着いた、ところが、バスが五時五分にその駅前を出ていく、そうすると五分しかない、しかし、そこへ行くまでには七分かかるのだ、こういうようなところをひとつ直してくれというので、いろいろ調べてみると、それは民営であり、あるいは公営であり、あるいは国鉄である、そういうようなところもやはりあるわけです。全部運輸省でそういうところはチェックしているのですけれども、それでもそういったような不合理がある。一体なぜか。そういう場合に追及してみると、五時五分に出るのを、五時十分に、五分間おくらすだけで、会社と組合内部の話し合いで、夜間勤務との関係が出てくるからなかなかできないということが出てきた。こういったような問題がはね返ってきたわけであります。したがって、そういう時間帯とか、あるいは庶民の足の流れを中心に考えていくということになってくると、国鉄であろうが、民営であろうが、公営であろうが、あるところでもってやはりコントロールし、それを監視ができる体制だけは残していく必要があろうということで、先生の御意見は御意見として拝聴いたしますけれども、現在の運輸省のほうで、そういう全般をながめる制度だけは残していくことが必要であろうというのが私のいまの考え方であります。  料金改定についても、届けだけでいいじゃないかとのことですが、御承知のとおり、公共料金というものは原則的に上げるべきでない、押えていきたいというのがいまわれわれのとっておる姿勢でございます。したがって、公共料金は他の物価に比較して非常に低位置に置かれておるということは言ってもいいと私は思います。したがって、この低位置に置かれている公共料金一定の水準より以下にあまり下がりますと、それは、その交通機関の安全性と大衆へのサービスのかえってマイナスになる点が出てくるというので、適正な料金、そしてバランスのとれた料金を、国鉄であろうが、民鉄であろうが、公営であろうが、チェックし、バランスをとっていくという機関は必要じゃなかろうかということで、現在の制度の維持のほうが、いまの時点としては、庶民の足を守る意味においてむしろ適切である、私はこう考えておる次第であります。
  175. 斎藤誠三

    ○斎藤説明員 お答えいたします。  企画庁としまして、物価政策の観点からだけ申し上げますれば、公共料金の抑制という基本的態度に立ちまして、手続をできるだけ慎重にしたい。そういう意味では現行の認可制が望ましいと思いますが、認可にするか届けにするかの基本的な観点は運輸政策の面にあろうと思いますので、われわれも、そういった面について今後十分検討いたしたいと思います。
  176. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 政務次官、せっかくの御答弁ですけれども、たしか、佐藤政務次官も地方議会に席を置かれたことがあったのじゃないかと私は記憶しておりますが、いまの運輸審議会料金の公聴会、あれなどはどうですか。新聞その他からいろいろだたかれて、むしろあれこそ非民主的だと私は思うのですよ。会議が公開されるわけでもない。それから見ると、住民から選挙された地方議会料金をどうするかというようなことは、非公開でちょこちょこなんてやるわけに絶対いかぬですよ。まさに、住民監視の中で、住民の意向というものを十分くみ込んで論議をして、初めて議会というものは結論を出すじゃありませんか。そういうことを考えれば、ただいまの御議論というのはおかしいと私は思うのです。  それから、さらに、ダイヤの変更等について、私鉄、国鉄あるいは私営と、ばらばらでもって統一がとれぬでは困るというお話し、それはわかります。わかりますが、しかし、だからといって、それはお互いに十分協議すればよろしいわけであって、こういったこまかな権限までいま運輸省は握られている。もっと地方自治体というものを尊重して、そして、地方議会に権限委譲ができるものは委譲していくということが政治家としてはやるべき道じゃないかと私は思うのですが、いかがですか。
  177. 佐藤文生

    佐藤(文)政府委員 先生も地方議会におられたと思うのですが、私もおりましたので、運審のバス料金値上げの問題について、一体どうなっているのかということを調べてみましたら、原則的に公聴会をやらないでやっているということでしたので、先般、千葉県内におけるバスの業者が、七社か八社ございましたが、千葉県内における料金の改定をする際にその原則を破ろうといいまして、運輸省の七階の会議室で、住民の代表の方二十五名と、バス会社の代表それぞれ各社二名ずつ集めまして、私がチェアマンになりまして、三時間、それぞれの意見を開陳してやりました。ですから、そういう姿勢は、私は先生の意見とやはり同じでございます。そして、国の権限というものは、地方に委譲し得る可能性があるものはなるべく地方に委譲していくという姿勢がやはり正しいと私は思います。したがって、こういったような問題について、どういうようなものを今後地方に委譲していくかということについては、やはり、ケース・バイ・ケースで適切に考えていく政治姿勢をとっていくということだけは言ってもいいと私は思っております。
  178. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 ただいまの御答弁は十分聞いておきましたから、その方向に進まれることを強く要請しておきたいと思います。  次に、公営交通とは関係ございませんが、公立病院のことを私は一つ聞いておきたいと思うのです。先ほど来、私は、三Kないし四K、あるいは四Kないし五K赤字ということを言いましたが、公立病院のいまの経営もおそるべきものがあるだろうと私は思うのです。ちなみに、昭和四十六年度の状況を調べてみましたら、昭和四十六年における欠損金が、赤字が百九十億、しかも、これは、一般会計からの繰り入れが二百三億もございまして、なおかつ百九十億の赤字を出している。昭和四十六年末における累積赤字は五百三十五億円に達しております。昭和四十七年は、二百二十億一般会計から繰り入れをいたしまして、なおかつ百六十一億円の赤字、累積赤字は六百五十億円であります。昭和四十八年はこれからでありますけれども、推計をいたしました資料を拝見いたしますと、一般会計から二百四十億も繰り入れをいたしまして、なおかつ四百六十一億円の赤字を生じ、昭和四十八年末におきましては、千五十億円もの累積赤字になるであろうと予想されております。いま公営交通の赤字がふえていく状況を見ますと、年間三百億ないし四百億円であります。これに対して、一般会計から二百億以上の繰り入れをいたしまして、なおかつ四百億円をこえる赤字を本年は出すであろうということは、ここ一、二年たてば、公営交通と並んで、自治体病院、公立病院の赤字は深刻になると思わざるを得ないと私は思うのであります。  そこで、私はお尋ねをいたしたいと思うのですが、まず、厚生省に聞きましょう。この公立病院に対して、ほとんど国はめんどうを見ていないじゃありませんか。拝見をいたしますと、日赤あるいは済生会、厚生連に対しては、不採算部分の三分の二地方が補助した場合に、その半分を国が補助するという仕組みになっているようでありまして、具体的に言えば、県が三分の一、国が三分の一を見てやろうということですね。そうして、その予算は二億八千八百万円であります。ところが、これは自治体病院を除いております。いま、国立病院だって、これは膨大な赤字でしょう。一般会計からの特別会計への繰り入れでもってやっとこ息をしているという状況だろうと私は思います。そういたしますと、この自治体病院というものに対してなぜ国の助成をしてやらないのか。自治省は、特別交付税の中で、たとえば准看護婦の養成の経費でありますとか、あるいは救急医療でありますとか、あるいはその他の名目で若干措置をいたしているようでありますが、厚生省は何ら措置をしていない。これは片手落ちだと思うんですね。しかも、最近、老人医療の無料化が実現をいたしました。最近のデータを見ますと、七十歳以上のお年寄りの公立病院への入院の比率というのは非常に高まっています。しかも、厚生省は御存じだと思いますが、患者さんお一人入院いたしますと、実費が平均二千三十二円かかる。ところが、いまの医療体系の中で見ておりますのは千二百九十八円であって、お一人入院をすると、七百三十四円赤字を生ずるという仕組みになっているでしょう。しかも老人医療の場合は、入院しているだけでありまして、注射をするとか、薬を与えるという者は少ないわけですね。ですから、よけい赤字の幅が大きいと見なければいかぬわけですね。そういう状況を考えれば、老人医療の無料化にあたって、この老人病院、老人病棟というものの建設費、運営費というものに対して国が大幅な助成をするということが当然必要じゃないかと私は思うのですね。そういうこともとられていない。それから、ベッドの規制がありますが、これについても、老人病棟等についてはベッド規制からはずすということを当然考えてもいいんじゃないかと思うのです。ところが、そういう措置もとられていない。入院すればするほど赤字が出る。しかも、老人医療の無料化につきましては、ある程度国保が持つわけですね。過疎町村はお年寄りの比率が高いわけです。ですから、財政力の弱い町村ほど、老人医療の無料化によって国保会計はますます赤字になっているという面もございます。そういうことを考えてみますと、この老人医療の無料化に沿って自治体病院に対する助成を行なう、日赤、済生会あるいは厚生連の病院に対しては助成をやっているが、自治体病院には助成をしないというような差別をなくして、自治体病院への助成の道も開く等々の措置をとってしかるべきだと私は思うのですが、いかがですか。
  179. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 広範にわたってのお尋ねでございますけれども、最後に例を引かれました老人医療の問題等につきまして、ただいま、四十九年度の予算の編成等を兼ねましてこの問題を検討いたしておりますが、公的病院、特に日赤、済生会に本年度二億八千万をいたしたのは、自治体病院のほうの交付税等で見ていただいている。その親元がないのにかんがみまして、特定な救急、僻地医療等を担当している赤字の部分について、百二十カ所くらいの病院に約二億八千万でございますから、わずかの金額でございますけれども、本年度初めて公的病院に対する運営費的な補助を考えたわけでございます。この問題を今後自治体病院の問題に広げるべきであるというお考えにつきましては、ごもっともであると思いますけれども、一応公営企業法の財政負担の原則等の問題も踏まえまして、自治省等とも十分おはかりしながら、特定の、たとえば救急、僻地医療あるいはガン対策というような不採算部門の医療部門については、これはやはり同様に補助金の対象としてやるのがいいか、交付税の問題等もございますので、これらの調整はいずれ必要であろうと思いますが、考え方としては、そういう特定な部門に対する対策は強化していきたいというふうに私は考えております。  それから、老人医療等の問題、あるいは病院赤字の全体の問題の基本には診療報酬の改定の問題もあろうと私は思います。診療報酬は適正に評価していただきたいのは、われわれ医療を供給する関係の立場から申しますと、自治省の立場と同様、診療報酬の適正化を期待するわけでございまして、先生の例に引かれましたような二千幾らと、支払いのほうの千幾らというような実態というものについて、医療対策を充実していく立場からは、基本的には診療報酬の適正化を期待すると同時に、特定な使命を持った、いま申し上げたような医療に対してはしかるべき助成策を講じていくというようなことを検討しなければならないと私は思っております。
  180. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 大蔵省と大臣にお尋ねしたいと思うのですが、いまのように、特別交付税で助成をするかどうかを検討するなどということばおかしいと私は思うのです。そういった不採算部門に対して、あるいは老人医療の無料化に伴って、老人病棟あるいは老人病院等の建設費、運営費等について国が補助するということは即刻行なうべきだと思うのです。そういうことに対して大蔵省の御見解を承りたいのが一つ。  それから、さらに、昭和四十八年末におきまして、二百億をこえる一般会計からの繰り入れをやって、なおかつ四百六十億円もの赤字が出るだろう、累積赤字が一千億をこえるであろうという深刻な事態、これはまさに公営交通に次ぐ深刻な財政危機が公立病院には来ていると私は思うのです。とすれば、この公立病院の財政再建について、明年は何とかこれに対して具体的な措置を考えるべきときに来ていると、かように私は思います。それに対する自治省の御見解並びに大蔵省の御見解を承っておきたいと思うのです。
  181. 長岡實

    ○長岡政府委員 初めに、老人医療あるいは僻地医療等を原因といたします地方の公営病院の赤字の補てんの問題でございますけれども、私どもといたしましては、先ほど厚生省のお答えがございましたけれども、一応、現在の考え方というものは、一つの基本的な考え方には筋を通しておるつもりでございまして、国立の病院で赤字が出た場合には国が一般会計である程度カバーをする。それから、地方の公営企業である病院が採算が成り立たない場合には、地方財政の中でいろいろいまめんどうを見ておるわけでございます。ただ、どちらにも持っていけない公的性格を持った日赤等が救急医療とか僻地医療をやった場合に、どこにもそのカバーのしようがないということで補助金の道が開かれた、かように私は聞いております。したがいまして、一般的に個別の医療の形態から赤字が出た場合に、それを国がどういうふうに赤字をカバーしていくかという問題よりは、いまの医療の全体のあり方について、医療保険制度のワク組みの中で適正な診療報酬の体系が確立されるかどうか。山口委員も御指摘になりました老人医療などは、入院をさせれば赤字が出るというような仕組み自体に確かに問題があると思いますので、そういう点につきまして抜本的な検討が必要であろうかと私は考えております。  それから、第二点の、四十八年度に政府として踏み切ることとした公営交通に対する対策と同じような対策を公的な病院に対して措置をするかどうかというお尋ねでございますけれども、実は、現在政府が御審議をわずらわしておりますところの公営企業再建の対策というのは、やはり、再建計画そのものが従来からいろいろと苦労も多いことと思いますけれども、何と申しましても、企業体自体が再建の意欲に燃えていろいろと計画を立てて実行していただく、それを私どもが財政的に御援助申し上げるというのが基本的な考え方であろうかと思います。  ひるがえって病院の経営の問題を考えてみますと、これはなかなかむずかしい問題がたくさんございまして、先ほど私申し上げました診療報酬の体系の手直し自体、私どもといたしましても、これは非常に問題が多いと考えておりますので、そういうような問題の解決と離れて、単に地方財政措置としてだけ公的な病院の対策に踏み切るかどうかということになりますと、たいへん問題が多くて疑問ではないか、率直に申し上げてそういうように考えておる次第でございます。
  182. 鎌田要人

    鎌田政府委員 地方自治体経営いたしておりまする病院の経営状況、これはまさに交通に次いで深刻なものがございますが、これも、一番の原因は、再三お話しがございますように、国全体の医療システムの中で自治体病院というものの位置づけというものが行なわれておらないという基本的な問題があろうかと思いますし、当面の問題といたしましては、やはり、社会保険診療報酬に基本的な問題がある。そのほか、お医者さんの確保の問題でございますとか、あるいは看護婦さんの確保の問題でございますとか、そういう面での隘路もあるわけでございますが、自治体病院の場合、市街地にありまして他の私的な医療機関と競合しているもの、あるいはほかに医療機関がなくて、公立病院よりほかに地域住民の医療を担当するものがないといった、いわゆる僻地、過疎地等におきまする病院等、いろいろ千差万別でございます。それらの実態に即して、どのような経営健全化の方途を講ずるか。いまのままではやはりほうっておけないという感じがするわけでございますが、交通企業の場合と違う面もあることは事実でございますので、その辺をより分けながら、明年度の財政問題の一環といたしまして、私ども、この問題に各省庁と連絡をとりながら取り組んでみたいと思っておるわけでございます。
  183. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 最後にお尋ねしたいと思うのですが、私ども法律案は、元金償還についても国が見るべきだという案を出しているわけでありますけれども、政府案はそうなっておりません。しかし、元金の償還についても、いま、大都市においても交付税の対象になっておるような状況、都市財源がきわめて不十分であるという状況では、当然これについて考えるべき必要があるのではないかと思います。したがって、元金償還については、都市財源その他でこのめんどうを見るつもりだということは当委員会でもお述べになっているわけでありますが、この際明確にしていただきたい。  それから、中小都市におきましては、都市財源といっても、言うべくして、十分な財源を与えることはなかなか困難でありましょう。とすれば、都市財源並びに基準財政需要額に算入することによって交付税で措置する、このことが必要ではないかと思います。この点に関する大臣の御所見を承っておきましょう。
  184. 江崎真澄

    江崎国務大臣 この点は、今後の問題として、私どもも十分考慮いたしております。したがって、都市財源で見るということで御答弁を申し上げておりまするが、いま御指摘のように、中小都市の場合一体どうなるのか、これは、再建方途が再建計画という形で出てまいります。したがって、内容もよくわかるわけでございますから、その内容、個々それぞれの事情もありましょうが、それを十分判断しながら交付税で見るのか、どうするのか、いずれにいたしましても、この問題については今後十分検討をいたしまして、しかるべく措置をしたいというふうに考えております。
  185. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 この点はむしろ事務的な問題になりますから、鎌田さんより一言お答えいただいてもいいのですが、都市財源及び基準財政需要額に算入して交付税で見ることも昭和四十九年度以降考えるということは、ひとつ明確にしておいていただきたいと思います。  それから、次に、「合理化」ということばはやがて消え去る見込みでありますが、問題は、労働者の労働基本権の確保ということが必要であると思います。私は、公営交通の再建を行なうにあたって、労使間の深い信頼関係が結ばれるということが必要であると思います。それでは、この信頼関係は一体何によって生ずるかといえば、地公労法によって協約締結権があるわけでありますから、当然、労使間の協約もしくは確認事項というものが、事前協議にあたって十分尊重されるということが必要であると思います。この点、労使間の信頼関係を確立するためには、労使間の協約もしくは確認事項が十分尊重されるための行政指導が必要であると考えますが、この点、大臣のお考え方をお聞きいたしておきたいと思います。
  186. 江崎真澄

    江崎国務大臣 労使間は当然信頼関係で結ばれ、その信頼関係に基づいて、十分協議の上、協約ができればこれを尊重するということは当然でございまして、私どもは、中央指導にあたりまして、不当な介入をするとか、そういうことはもちろんいたすつもりもございません。尊重の方向でまいりたいと思います。
  187. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 次に、給与労働条件確保の問題でありますが、公営交通事業職員給与労働条件については、当然、当該地方公共団体の一般職の職員と差別があってはならないと思うのであります。当該地方公共団体一般職員と差別をしないように配慮することは当然だと思いますが、念のために大臣の御所見を承っておきたいと思います。
  188. 江崎真澄

    江崎国務大臣 公営企業でありますから、この給与の改定を行なうにあたりましては、その前提として、料金の水準の適正化をはじめとする収入確保並びに経営効率化等の努力を通じて所要財源を生み出す努力を伴うものであると私ども考えますが、なお、今後、給与改定の実施にあたりましては、これらの事項に十分留意しながら、一般職員との権衡を考慮して適切な措置を講ずるようにしてまいりたいと思います。
  189. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 意図はわかりますが、常識から見てきわめて不適切なようなケースを除きましては、当該地方公共団体の他の職員と差別しない、そういう趣旨である、かように解せられると思いますが、いかがですか。
  190. 江崎真澄

    江崎国務大臣 権衡を失しないよう、合理的な措置をいたします。
  191. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 私が冒頭に申し上げたように、過去において、公営交通の職員が、他の職員給与が改定されたのに、一年も二年も貸し付けのままで済まされてきたという状況がございます。しかも、今度、第二次再建にあたっては、いままでは財産を切り売りするとかいろいろやりくりをして措置する方法があったが、しかるに、今回にあたりましては、売るべきものも何もない。上着を脱いで、ズボンも脱いでというような状況にあるわけです。そういう状況の中で、特に交通といえば、人命を預かる重要な仕事だと私は思いますが、そういう仕事の職員が、他の当該地方公共団体の一般職の職員と区別をされる、差別をされるというようなことであっては、人命尊重の上から言ってふさわしくないと私は思うのです。したがって、権衡を勘案して云々と言われておるわけでありますが、真意は、不適切なものは除いて当然差別をしないのが大臣としての真意だ、こういうふうに承っておきたいと思います。——首を縦に振っておられますから、大臣もその点は了解をしたと思いまして、一応私の質問を終わっておきます。
  192. 上村千一郎

    ○上村委員長 以上で、内閣提出にかかる地方公営交通事業経営健全化促進に関する法律案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  193. 上村千一郎

    ○上村委員長 この際、内閣提出にかかる地方公営交通事業経営健全化促進に関する法律案に対し、林百郎君提出修正案及び中村弘海君外四名提出修正案提出されております。
  194. 上村千一郎

    ○上村委員長 両修正案について、提出者からそれぞれ趣旨の説明を求めます。林百郎君。
  195. 林百郎

    ○林(百)委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、ただいま審議中の内閣提出にかかる地方公営交通事業経営健全化促進に関する法律案に対する修正案の提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  案文はお手元にお配りいたしてありますので、御一読願いたいと思いまして、私の朗読は省略させていただきます。  今日、地方公営交通事業経営は、単にばく大な財政赤字が累積しているというにとどまらず、住民の足としての日常の交通の確保そのものをすこぶる困難におちいらしているという、まさに深刻な危機の状態に立ち至っております。  その原因を顧みまするに、第一に、政府が、今日の公営交通事業の財政赤字を生み出してきた真の原因である無制限なモータリゼーション政策、独立採算制の強化、大都市化現象と人口の郊外化、それに伴う私鉄大資本本位の交通体系整備などを推し進めてきたことにあります。  第二には、政府が昭和四十一年度の地方公営企業法の改正によって、地方公営交通事業料金値上げ、労働者賃金抑制、労働条件の改悪、路線の廃止など、住民労働者に犠牲を転嫁する第一次財政再建計画を強行してきたことにあります。  地方公営交通事業の今日の危機を真に打開するためには、政府のこれらの施策を根本的に改め、次に述べるような施策をとることが緊急に必要であります。  第一に、自動車独占資本や、それに関連する鉄鋼、石油資本などの要求に沿うモータリゼーション政策をやめ、都心における自動車交通を規制し、公共交通機関優先運行の原則を確立させ、国の責任を明確にすることであります。また、交通行政を住民生活に密着し、統一的なものにするために、交通行政の権限を大幅に地方自治体に移す必要があります。  第二に、私鉄大企業による地域独占を押え、かつ、私鉄大企業中心の交通体系整備をやめ、公営交通中心の交通体系に抜本的に改める必要があります。  第三に、地方公営企業法を抜本的に改正し、公営交通事業の公共性を奪い営利企業化を強制している独立採算制を廃止し、国の補助を大幅に拡大するとともに、労働者の労働基本権を保障し、賃金労働条件についての不当な抑制、差別をやめることであります。  第四、現在かかえている不良債務をたな上げし、その元利の全額を国の責任で償還することであります。  日本共産党・革新共同は以上の政策を実行するために、地方公営企業法等の根本的な改正を要求するものであります。それとともに、内閣提出による地方公営交通事業経営健全化促進に関する法律案によっては、不良債務の解消は不可能であるばかりでなく、再び住民労働者に対する耐えがたい犠牲を強化することになることにかんがみ、これに対する修正案提出するものであります。  以下、修正案の概要を御説明申し上げます。  第一には、国の責務を明らかにし、公営交通事業経営再建健全化のために、国は必要な財政上の措置を講じ、交通環境整備などにつとめることとし、地方公共団体に義務づけることとしている「事業経営効率化と利用者負担の適正化」という、合理化料金引き上げ内容とする規定を改めることとしております。  第二には、地方公共団体経営するばく大な建設資金を必要とする地下鉄事業を、この法律案の対象として定めることとしております。  第三は、交通事業再建計画期間をおおむね五年以内とし、同計画職員給与その他の労働条件を低下させず、むしろこれが改善をはかり、また、住民負担を著しく増加させないこと、住民福祉の向上と交通確保に資することに十分配慮して定めることとし、「合理化」の規定を削除することとしております。なお、再建計画議会議決をもって定め、自治大臣届け出ることに改めております。  第四に、再建債の元利償還は、全額国が元利補給することと改めております。  第五に、業務の執行の改善のための措置等については、自治大臣が助言することができることとするように改めております。なお、準用規定中、自治大臣の監査に関する条文を削除することとしております。  第六に、再建債の引き受けについては、全額資金運用部資金で引き受け、再建交通事業の建設、改良のために地方公共団体が起こす地方債については資金運用部資金によるほかは全額公営企業金融公庫が引き受けることとしております。同じく一時借り入れ金の貸し付けについては、公営企業金融公庫が特別の配慮をすることとするよう改めております。  第七に、公営交通事業経営する地方公共団体に、住民代表、職員代表、地方公共団体代表、学識経験者による公営交通事業議会を設け、地方公共団体の長の諮問に応じて、料金、交通環境等に関する事項を調査審議することとしております。  第八に、料金の認可制を届け出制に改めております。  以上が本修正案の概要であります。  何とぞ、委員各位の御賛同を賜わりますようお願い申し上げます。(拍手)
  196. 上村千一郎

    ○上村委員長 中村弘海君。
  197. 中村弘海

    中村(弘)委員 ただいま議題となりました自由民主党の提案にかかる内閣提出地方公営交通事業経営健全化促進に関する法律案に対する修正案について、自由民主党を代表して、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  御承知のとおり、内閣提出法律案は、地方公営交通事業経営の現状にかんがみ、その経営健全化促進するため新たな経営再建制度を設け、累積不良債務のたな上げのための再建債の発行、これにかかる利子補給等所要の措置を講じようとするものでありますが、この際、交通事業再建計画に定める事項及び再建債にかかる国の利子補給に関する規定に所要の修正を行なおうとするものであります。  次に、修正案のおもな内容について御説明申し上げます。  まず、交通事業再建計画に定める事項に関する規定の修正でありますが、政府案においては、交通事業再建計画に定める事項の一つとして「経営改善及び合理化に関する措置の大綱」を規定しておりますが、公営交通事業経営健全化促進するにあたっては、広く事業運営の効率化をはかる必要があると認められますので、これを「経営改善及び効率化に関する措置の大綱」と修正いたしました。  次に、再建債にかかる国の利子補給に関する規定の修正でありますが、政府案においては、再建債に対する国の利子補給は七・一%を上限としておりますが、最近の金融情勢のもとでは、七・一%の利率の範囲内で資金を借り入れることが困難な状況となってまいりました。このため、今後さらに金融情勢の変化がありましても弾力的に対応することができるよう、利子補給の上限は七・一%に固定しないで、再建債を起こす年度における公営企業金融公庫の基準利率によるよう修正いたしたのであります。  以上が、この修正案の提案の理由及びその内容の概要であります。何とぞ全会一致賛同あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
  198. 上村千一郎

    ○上村委員長 以上で、両修正案の趣旨の説明は終わりました。  両修正案については、別に発言の申し出もありません。  この際、両修正案について、それぞれ国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見があれば、これを許します。江崎自治大臣
  199. 江崎真澄

    江崎国務大臣 政府といたしましては、日本共産党・革新共同の修正案には賛成しがたいものと考えます。  なお、政府といたしまして、自由民主党の修正はやむを得ないものと考えます。     —————————————
  200. 上村千一郎

    ○上村委員長 これより、原案及び両修正案を一括して討論を行ないます。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。愛野興一郎君。
  201. 愛野興一郎

    ○愛野委員 私は、自由民主党を代表して、内閣提出地方公営交通事業経営健全化促進に関する法律案に対する自由民主党提案の修正案及び修正部分を除く政府原案に賛成、日本共産党・革新共同の修正案に反対の討論を行なおうとするものであります。  御承知のように、公営交通事業都市交通の中核の一つとして、地域における交通の確保住民福祉の向上に大きく寄与しておりますが、昭和三十年代後半からその経営が悪化するところとなり、昭和四十一年の地方公営企業法の一部改正により設けられた財政再建制度により財政再建が推進されているところであります。しかしながら、公営交通事業経営状況は一向に好転せず、昭和四十六年度末における累積赤字は年間営業収益の一・七倍に及ぶ一千九百二十九億円の巨額に達し、深刻な経営危機に直面するに至っております。公営交通事業経営がこのように悪化した原因としては、都市構造の変化、路面渋滞等に基づく企業環境の急激な悪化、毎年の給与改定による人件費の大幅な上昇、料金適正化のおくれ、さらには地下鉄建設費の高騰等があげられます。  公営交通事業経営健全化を達成するためには、基本的には産業及び人口の適正な再配置を推進し、国土の均衡ある発展をはかるとともに、抜本的な都市対策、都市交通体系の早期確立等の諸施策を推進しなければなりませんが、当面、公営交通事業の深刻な経営危機を打開するため、新たな再建制度の発足その他経営健全化をはかるための方途をすみやかに講ずることがぜひとも必要であります。  このような見地から、このたび政府が地方公営交通事業経営健全化促進に関する法律案を提案し、経営再建その他経営健全化に関する措置を講じ、地下鉄事業に対する財政援助の大幅な拡充をはかろうとしていることは、まことに時宜を得た措置と考えるものであります。  その内容については、ここで詳細に述べることは省略いたしますが、政府案は、前回の財政再建対策と比べまして、その内容は格段に前進したものであり、公営交通事業経営する地方公共団体の自主的な努力と相まって、すみやかに経営健全化が達成されることを切に期待するものであります。  さらに、自由民主党といたしましては、政府案の足らざる点を補うため修正案提出いたしました。  自由民主党提案の修正案は、先ほど趣旨の説明がありましたように、交通事業再建計画において広く事業運営の効率化がはかられるよう「経営改善及び効率化に関する措置の大綱」を定めるよう修正し、また、再建債にかかる国の利子補給については、金融情勢の変動に対応することができるよう、利子補給の上限を公営企業金融公庫の基準利率によるよう修正したものであります。  なお、別途、日本共産党・革新共同から修正案が提案されておりますが、公営交通事業経営する地方公共団体の責任、地方公営企業制度のあり方に照らして、とうてい賛成しがたいのであります。  以上申し述べた趣旨から、自由民主党提案の修正案及びこの修正案による修正部分を除く政府原案に賛成、日本共産党・革新共同提案の修正案に反対の意見を表明するものであります。  終わりに際しまして、公営交通事業住民福祉の向上と地域交通の確保に資するものであることにかんがみ、その経営健全化をはかるために、今回の財政援助措置の強化とあわせて、都市交通環境の抜本的な改善整備を推進するとともに、地方公共団体に対しまして、首長、議会企業当局、企業職員が一体となって経営再建達成のために自主的な努力を行なうよう指導されることを強く政府に要望いたしまして、私の討論を終わります。(拍手)
  202. 上村千一郎

    ○上村委員長 岩垂寿喜男君。
  203. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 日本社会党を代表いたしまして、政府提案の地方公営交通事業経営健全化促進に関する法律案に反対する立場を明らかにし、以下、その理由を述べたいと考えます。  現在の交通事業の世界的な趨勢は、これをいわゆる都市問題としてとらえ、具体的には、都市計画と結合して、交通の態様を優先して策定する傾向が強まりつつあることは周知のとおりであります。したがって、新しい市街地の開発にあたっては、相当長期の将来展望に立って交通計画が立てられることが西欧諸国では通例となっております。この長期的な都市計画に沿ってつくられる交通手段がいかに都市住民の生活を利しているかは、たとえば百三十年前につくられたパリのアーケードが、あるいはまた、第二次世界大戦中にドイツの攻撃下でつくられたロンドンの都市計画が、いまなおりっぱに活用されていることでも理解することができると思うのであります。  都市部における交通は、都市の行政としての位置づけを持たなければならないことは、私どもが重ねて指摘をしてきたところであります。それは、都市機能の変化とスピード化した都市住民の生活に正しく結合し、これをささえていく任務を交通それ自体が負わされているからであります。  以上の点を考慮して、交通を都市問題としてとらえ、行政として見る場合、まさしく、交通に対する発想の転換が要求されていることは、当委員会自治大臣自身がしばしば述べられておるところであります。その基本的な立場に立つとするならば、この公営交通事業再建に対する基本的立場が、いわゆる自由主義経済の競争の原理を導入し、そのために一そう交通混乱を助長せしめているということについて、私どもは強い抗議を申し上げなければならないと思うのであります。  日本の交通危機が何に起因するかは、いまさら私が言うまでもないところであります。自民党の、あるいは政府の高度経済成長政策による資本と人口の都市集中、そのために生じた過密と過疎。過密の場合を見るならば、極度の交通渋滞と都市のドーナツ化現象の拡大によって、交通の経済効果は著しく減退しております。過疎の問題について言うならば、利用者の激減によって経済効果が減退していることは、これも申すまでもないところであります。あるいは極度に発達したモータリゼーション、とりわけ、無政府的なモータリゼーションに対して、自動車産業におもねり、何らの生産規制も加えることなく、交通規制さえも遅々として進まない実情がいま告発されなければならないと考えるのであります。加えて、基幹道路整備に比して市街地道路は依然として整備されておらず、これが大きなネックとなっていることも周知のとおりであります。さらに、戦後の都市再開発により、団地造成や公共施設の建設が急速に進められましたけれども、これらの住宅建設行政が交通行政とは何らの関連を持たずに進められてきたことも大きな要因として指摘をせざるを得ないと思うのであります。政府の財政金融政策の失敗を原因として進行しつつあるインフレーションが諸物価の騰貴を結果していることは周知の事実であり、それが交通事業の経営を困難におとしいれていることも御理解のとおりであります。  このような要因はことごとく企業外のものであり、これを除去することが先決であるにもかかわらず、政府が独立採算制を固執し、安易な料金改定企業合理化、そして、しかも、労働者にそのしわ寄せを強めているという形における企業内の解決にその策を求める考えに立っている本法案に対して私たちは異議を申し述べなければならないと思うのであります。  私どもは、今次の第二次再建法案が、このような旧来の方針を踏襲する限り、発想の転換を大胆に行なわない限り、真の健全化はあり得ないと主張しなければなりません。特に指摘すべき点は、昨年七月、「大都市交通再建の経過と反省」と称する報告を提出しながら、根本的な点に対策の焦点を当てることなく、依然として、財政対策として若干の措置を講じたのみで、必要な行政的措置については、政府部内の不統一があったとはいえ、これを怠ったことは、主管省として、自治省の重大な責任であることを強調せざるを得ないのであります。  また、ここで指摘をしなければならないことは、都市公営交通についての無料論についてであります。その理由の第一は、交通施設都市施設の一つとみなし、公営交通事業を社会福祉政策の一環として考える立場であり、その理由の第二は、マイカーその他の個人交通手段を大衆交通機関に移転させ、道路混雑に伴う不経済を軽減し、さらに、ガソリンによる大気汚染、また、交通事故、騒音などの交通公害を少なくするという立場に立つものであります。この立場は、公営企業に対する国のかかわりをもっと真剣に考えなければならないという時代の要請を表現しているものだと言わなければならないのであります。  以下、私は、この法律案に関連をして、具体的な問題について指摘をさせていただきたいと思います。  一つは、この法律案の中に盛られている立場が、依然として国の責務が明らかにされていないという点、それが第一点であります。  第二点は、再建計画策定について、依然として大臣承認権に固執しており、これは、一歩誤れば、不当な政府の介入を招く公算がきわめて強い。このことは第一次再建の経過から見ても明らかであることを強調せざるを得ません。  第三は、再建債の償還に伴う政府の措置については、審議の経過で十分明らかにされたわけでありますけれども、まだまだきわめて不十分であるということも指摘せざるを得ません。  四番目は、計画遂行途次のいわゆる制裁規定が新しく設けられて、監督官庁の意向が一そう地方公共団体に押しつけられる懸念が強くなっているということであります。  次に、交通の根本的な再建は、本来、地方公営企業法を社会党の主張どおりに大幅に改正し、措置すべきであるにもかかわらず、部分的な特別立法で措置していこうという考え方ではどうにも達成できないという立場をも明らかにせざるを得ないと思うのであります。  以上、幾つか指摘をした点について、わが党の修正案が、これだけの対案が具体的な審議の対象にならなかったことをたいへん遺憾に思います。  このことを付言しながら、以上の立場に立って、社会党は、政府提出にかかる法律案に対して反対の立場を明らかにし、討論を終わります。(拍手)
  204. 上村千一郎

    ○上村委員長 林百郎君。
  205. 林百郎

    ○林(百)委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、内閣提出にかかる地方公営交通事業経営健全化促進に関する法律案及び自由民主党提案による修正案にともに反対、日本共産党・革新共同提出修正案に賛成の討論を行ないます。  まず、内閣提出による地方公営交通事業経営健全化促進に関する法律案についての反対の理由を申し上げます。  第一に、本法案は、地方公営交通事業再建に関する国の責務が不明確にされているということであります。これは他の党からも指摘がありました。今日の地方公営交通事業の財政破綻を招いたものは、政府が大企業本位の経済の高度成長政策を推進し、大都市化の現象を他国に例を見ないような状態で推し進められ、そのためにモータリゼーションが無政府的に進行してきたことにあります。また、第一次再建計画の強行によって独立採算制を強化して、その負担を住民労働者に転嫁しつつ、交通体系を私鉄本位に再編成してきた政府の責任にあることはいまや明白であります。真に地方公営交通事業再建を遂行するものであれば、これら交通環境を悪化さしてきた国の政策を深刻に反省し、これを是正すべきであります。この反省の上に立って、国の責任において交通環境整備につとめ、必要な財政上の措置を講ずべきであります。このことをまず明確にしなければならないのでありますが、このことは明らかにされておりません。  第二に、本法案による財政再建が地方自治体の自治権を大幅に制限することであります。本法案は、本来、地方議会議決によって決定されるべき再建計画を、さらに自治大臣承認を得なければならないということに変えております。そればかりでなく、さらに、承認するにあたっては、自治大臣が必要な条件を付することができるとの規定があります。これは地方議会議決権を侵すものであり、地方自治に対する干渉に通ずるものであります。また、業務執行に関しても自治大臣の介入を定め、その求めに応じない場合、あるいは計画承認にあたって、付された条件に反する場合には、利子の補給を停止し、計画承認の取り消しをすることまで定めてあるに至っては、まさに地方自治権に対する侵害と言わざるを得ないのであります。  第三に、財政措置についてであります。地方公営交通事業健全化をうたい、一方では地方自治体の自主性に制限を加えているにかかわらず、第一次再建計画における国の財政援助に比べて改善されているところは、利子補給が若干増額されていることにとどまると言っても過言ではありません。本法案によるほかの予算措置としてあげられるものでは、地下鉄建設費に対する国庫補助の引き上げ、あるいは行政路線バス購入費の一部補助でありますのは、これも全く不十分なものであります。今日の地方公営企業が直面している危機に比べるならば、この本法案あるいはその他の行政措置による地方公営交通事業に対する政府の財政的な措置は全く不十分と言わざるを得ません。すなわち、早急に再建をはかるべき交通事業の現状にもかかわらず、計画期間を十五年以内と長期に定め、不良債務の解消をもっぱら地方自治体の財政負担によって行なわせようとするものであります。真に財政再建をはかるためには、公営企業金融公庫資金の大幅な活用、開銀等を通じて大企業の利益に使われている財投の活用、再建債の国による全額元利補給など、思い切った大幅な国の財政措置によって、短期間財政再建がはかれることが国の責任において保障されなければならないと思います。これが今日直面しておる地方公営交通企業の深刻な危機に対処する手段だと思います。  第四に、財政再建計画内容の問題であります。およそ、財政再建計画として定めるからには、その内容が、真に財政を再建するとともに、労働者賃金労働条件改善料金値上げの抑制、住民のためのより便利な交通の確保を保障するものであるべきはずであります。ところが、本法案は、これらを保障する規定がないばかりか、地方自治体に対して、事業運営の効率化、利用者負担の適正化を義務づけ、国の強力な統制のもとにおける労働条件の抑制、料金の値上げ、路線の廃止等まで含めてこれを強行する意図が規定されておるわけでございます。  以上のごとく、本法案は、いささかも、地方公営交通事業健全化の根本的な解決に通ずるものと言うことはできません。その経営は困難を加え、第一次再建計画と同じ路線を歩むに至ることは明らかだと推察されるのであります。今日の地方公営交通事業の危機を真に打開するためには、先ほどわが党の修正案の提案理由で述べたとおり、単に不良債務を解消させる措置をとるだけでなく、総合的な施策の改革が必要であります。そして、何よりも、今日までの高度成長政策をさらに大規模に推進し、大都市の機能を極度に純化し、大都市に管理中枢機能を集中させるというこの列島改造構想に基づく都市政策を根本的に国がまず改めることが絶対に必要だと考えます。  以上が、私が本法案に反対する理由であります。  次に、自由民主党提案の修正案についてでありますが、本修正案は、「合理化」ということばを「効率化」ということばに変えているのみであります。従来から政府が強行してきた労働者の首切り、労働強化合理化を、ことばを変えただけで、内容変更するものとは、従来の経過から言って考えられません。すなわち、一方では利子補給にかかる七・一%という上限を除くことにして一このことも現実に起こり得るかどうかは別でありますが、このわずかな財政措置と取引をして、従来の経過からして、労働者の犠牲を内容とする「合理化」ということばを単に「効率化」ということばに変えただけで、われわれは賛成するわけにはいかないのであります。われわれは、本月八日、合理化に反対し、公営交通事業再建のための政策要求をあげてストライキに立ち上がった都市交通労働者の真剣な主張がここにあることを謙虚に耳を傾けなければならないと考えております。したがって、自民党の修正案は、単に「合理化」を「効率化」と変えただけということで、われわれは賛成するわけにはいきません。  最後に一言、日本共産党・革新共同提案の修正案について補足しておきますと、今日の地方公営交通事業を真に再建するためには、先ほど申し述べましたとおり、それにかかわる総合的な施策の根本的改革が必要でありますが、不良債務の解消についても、少なくともわが党の修正案によるように、地方自治を侵すことを厳に規制しつつ、国の財政援助の大幅な強化によって、これを根本的に短期間の間に処理をするということが緊急な措置だと考えます。  以上の立場に立ちまして、日本共産党・革新共同を代表しての私の討論を終わる次第であります。(拍手)
  206. 上村千一郎

    ○上村委員長 小川新一郎君。
  207. 小川新一郎

    小川(新)委員 私は、公明党を代表して、ただいま議題となっております内閣提出にかかわる地方公営交通事業経営健全化促進に関する法律案に対して反対し、中村弘海君外四名提出修正案に対して賛成し、林百郎君提出修正案に反対する討論を行ないます。  以下、そのおもな理由を申し述べます。  まず、第二次再建計画の実施に伴う地方公共団体の一般会計で負担する額は大きく、元金償還の全額と再建債利子の一部を合わせ、全体の六割から七割を負担することとなります。最近の地方財政は、生活関連公共施設等の整備をはじめ、住民の生活福祉向上の強い要請により、行財政需要はますます増大する一方であります。特に、大都市においては、これ以上の財政負担には耐えがたい実情にあります。公営交通問題研究会の報告でも、再建債の元利償還について、「全額を国および地方公共団体の一般会計が折半して負担することとすべきである」としているにもかかわらず、報告の趣旨が反映されていないことはまことに遺憾であります。これが反対理由の第一であります。  次に、都市交通環境整備についてであります。公営交通事業は、本来、住民の要望を何よりも優先して経営され、住民生活に不可欠な公共輸送サービスを提供するものでなくてはなりません。当面する公営交通事業再建にあたっては、まず都市における公共輸送機関のあり方を総合的な交通体系の中でどのように位置づけていくかという根本的な問題の解明が必要であります。都市交通は、基幹的交通機関である電車、地下鉄と、狭い地域を走るバスとが有機的に連携をとりながら、それぞれの交通機関の特性に応じて交通網を整備することがより効率的であることは言うまでもありません。しかるに、わが国は、公営バスと民営バスとが競合し、あるいは地下鉄とバスとが同系統を走るなど、都市交通体系は全く無策であります。また、交通渋滞に伴うバス等の路面交通機関の遅延が乗客の減少を招き、経営悪化に拍車にかけているのが実情であります。いままで都市交通体系の整備を怠ってきた政府の怠慢は糾弾されなければなりません。したがって、バスターミナル等の都市交通施設整備バス専用レーンの拡大、自動車交通の規制をはじめ、今後の積極的な対策を望むものであります。これが反対理由の第二であります。  次に、労使関係の安定についてであります。再建案の内容は、地方公共団体に事業経営合理化、利用者負担の適正化を必要以上に義務づけることとしておりますが、すでに、これまで、財政再建団体においては、路線の再編成、バス事業のワンマン化、人員の編成、給与体系の改善等々について、経営健全化のための改善合理化を実施してきており、もはや限界に来ているのが実情であります。こうした状況においての今回の再建案は、いたずらに従業員の労働強化、利用者へのサービス低下、料金引き上げをもたらす以外の何ものでもありません。これが反対理由の第三であります。  次に、行政路線についてであります。公営交通は、採算を度外視して運行しなければならない、いわゆる行政路線を多くかかえております。少なくとも、当面、この行政路線の基準を定めるとともに、これに要する経費について、再建団体以外の公営バスも含めて国の補助を早急に行なうべきでありますが、今回こうした措置がとられておりません。早急に行政路線の設定と国庫補助の基準を定めるべきであります。これが反対理由の第四であります。  次に、バス等の路面交通もさることながら、地下鉄経営も、その建設費の高騰によってますます困難になっております。本年より地下鉄工事の補助率が拡大されたものの、今後一そう地下鉄経営改善をはかるために、国庫補助に対する国の大幅な財政措置を講ずべきであり、また、資金についても、政府債の大幅拡大を行なうべきであります。なお、都市の大量交通機関を確保するため、用地費と建設費が安く、公害の少ないモノレールに対しても、地下鉄同様、大幅な国の財政措置を講ずるべきであります。これが反対理由の第五であります。  次に、公営交通事業料金決定についてであります。現行の政府の認可による料金決定を改め、地方議会議決による届け出制にすることは、従来から言われてきたところでありますが、今回もこうした措置がとられておりません。地方の自主性を重んじ、住民本位の事業推進をはかるよう、認可制から届け出制にすべきであります。これが反対理由の第六であります。  最後に、国民生活に重要な役割りを持っている病院、上水道事業についても経営はますます悪化している一方であります。今回は、バス等の路面交通経営再建のみで事足れりとしてしておりますが、病院、上水道等、経営健全化をはかるため抜本的な対策を早急に立てるべきであります。  以上をもって討論を終わります。(拍手)
  208. 上村千一郎

    ○上村委員長 折小野良一君。
  209. 折小野良一

    ○折小野委員 私は、民社党を代表して、ただいま議題となっております地方公営交通事業経営健全化促進に関する法律案及びこれが修正案について討論をいたします。  すなわち、林君外提出修正案につきましては反対、中村君外提出修正案につきましては、現実的な配慮がなされたものとして賛成、内閣提案の、中村君外提出修正案を除く原案については反対であります。  その趣旨について簡単に申し上げます。  地方公営企業法に基づく旧再建が失敗に終わった今日、各地方公営交通事業経営はまさに危機的な様相を呈するに至っております。地方公営交通事業の庶民の足としての重要性にかんがみ、最近のモータリゼーションの推移に対処しながら、都市、特に大都市における大量輸送手段の確保のための抜本的対策を講ずべき時期に来ております。  このような情勢に対応すべき本法案は、再建債の発行による不良債務のたな上げと利子補給を中心とした、しかも必ずしも十分ではない赤字対策のみを講じたにすぎないものでありまして、モータリゼーションの激化を背景にした外的環境整備等、必ずしも必要な総合的な対策がなされているとは言えないのであります。われわれが原案に賛成し得ない理由であります。  具体的な問題につきましては、審議に際してそれぞれ指摘したところでありますが、今後早急な公営交通事業経営健全化をはかり、あわせて、真に新しい時代の交通体系を確立するため、一そうの努力を傾注されんことを強く要望して、反対討論を終わります。(拍手)
  210. 上村千一郎

    ○上村委員長 以上で討論は終局いたしました。  これより採決いたします。  まず、林百郎君提出修正案の採決をいたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  211. 上村千一郎

    ○上村委員長 起立少数。よって、林百郎君提出修正案は否決されました。  次に、中村弘海君外四名提出修正案の採決をいたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  212. 上村千一郎

    ○上村委員長 起立多数。よって、中村弘海君外四名提出修正案は可決いたしました。  ただいま可決いたしました修正部分を除いて、原案の採決をいたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  213. 上村千一郎

    ○上村委員長 起立多数。よって、修正部分を除いて、原案は可決いたしました。したがって、本案は修正議決すべきものと決しました。     —————————————
  214. 上村千一郎

    ○上村委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、三ツ林弥太郎君、山本弥之助君、小濱新次君、折小野良一君から、四派共同をもって附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、本動議の提出者から趣旨の説明を求めます。三ツ林弥太郎君。
  215. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員 私は、この際、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党を代表いたしまして、地方公営交通事業経営健全化促進に関する法律案に対し、附帯決議を付したいと思います。  案文の朗読により、趣旨説明にかえさせていただきます。   地方公営交通事業経営健全化促進に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、地方公営交通事業等の経営健全化促進するため、左の諸点について留意すべきである。  一 都市交通環境の悪化が交通事業の経営健全化を阻害する外部要因となっている現状にかんがみ、バス・ターミナル等都市交通施設整備バス優先・専用レーンの拡大、自動車交通の規制等の諸施策を推進し、都市交通環境の抜本的な改善整備に努めること。  二 公営交通事業料金の決定方式については、認可制を届出制に改めることについて検討するとともに、当面極力認可事務の迅速な処理を図ること。また、公営交通事業に係る許認可については、その整備簡素化及び地方公共団体への権限委譲の措置を講ずること。  三 公営交通事業再建のためには労使関係の安定が重要であることにかんがみ、再建計画策定及び変更に際しては、労使間の信頼関係をそこなうことのないよう留意するとともに、地方公共団体の自主性を十分に尊重すること。    また、企業職員給与改定については、企業収入確保経営効率化等を図りつつ、当該地方公共団体一般職員との権衡を勘案して所要の措置を講ずることのできるよう配慮すること。  四 交通事業再建債の元金償還については、地方公共団体の一般会計財政運営に支障を生ずることのないよう適切な財源対策を講ずること。  五 いわゆる行政路線については、その認定基準を明確化するよう検討したうえ必要な行財政上の措置を講ずること。  六 公営交通事業の間接受益者に対して適切な受益者負担を課する方策について検討すること。  七 地下鉄事業債の償還年限を延長するとともに、政府資金の比率を大幅に拡大し、公営企業金融公庫資金の利率についてもできるかぎり低利とするよう必要な措置を講ずること。なお、地下鉄建設費に対する国庫補助については、今後の経営状況の推移をみながら、その補助率の引き上げ等について配慮すること。  八 都市モノレール事業に対する国の財政援助についてすみやかに適切な措置を講ずること。  九 病院事業、水道事業等の地方公営企業についても経営の現状にかんがみ、経営健全化のための対策をすみやかに確立すること。   右決議する。 以上であります。  何とぞ皆さま方の御賛同をお願いいたます。(拍手)
  216. 上村千一郎

    ○上村委員長 以上で、趣旨の説明は終わりました。  本動議について採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  217. 上村千一郎

    ○上村委員長 起立総員。よって、三ツ林弥太郎君外三名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。江崎自治大臣
  218. 江崎真澄

    江崎国務大臣 ただいま全会一致の附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重し、適切な措置を講ずるよう努力いたしたいと思います。
  219. 上村千一郎

    ○上村委員長 ただいま議決いたしました法律案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  220. 上村千一郎

    ○上村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  221. 上村千一郎

    ○上村委員長 連合審査会開会申し入れの件について、おはかりいたします。  ただいま建設委員会において審査中の、内閣提出にかかる公有水面埋立法の一部を改正する法律案について、連合審査会開会の申し入れをいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  222. 上村千一郎

    ○上村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、開会日時等につきましては、両委員長協議の上決定し、公報をもってお知らせいたします。  次回は、明二十二日金曜日、午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時四十六分散会