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1973-06-12 第71回国会 衆議院 地方行政委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年六月十二日(火曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 上村千一郎君    理事 高鳥  修君 理事 中村 弘海君   理事 中山 利生君 理事 三ツ林弥太郎君    理事 山本弥之助君 理事 吉田 法晴君    理事 林  百郎君       愛野興一郎君    今井  勇君       片岡 清一君    亀山 孝一君       島田 安夫君    谷垣 專一君       渡辺 紘三君    岩垂寿喜男君       小川 省吾君    佐藤 敬治君       土井たか子君    山田 芳治君       多田 光雄君    三谷 秀治君       小川新一郎君    小濱 新次君       折小野良一君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     江崎 真澄君  出席政府委員         自治大臣官房審         議官      森岡  敞君         自治省財政局長 鎌田 要人君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      加藤 隆司君         運輸大臣官房参         事官      佐藤 久衛君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部長 中村 四郎君         運輸省自動車局         業務部長    高橋 寿夫君         自治省財政局公         営企業第一課長 柴田 啓次君     ————————————— 六月八日  ドライブイン等における酒類販売禁止に関す  る請願(斉藤滋与史君紹介)(第六四三四号) 同月十一日  固定資産税免税点引上げ等に関する請願(神  崎敏雄紹介)(第六六九二号)  ドライブイン等における酒類販売禁止に関す  る請願臼井莊一君紹介)(第六七八五号)  同(千葉三郎紹介)(第六七八六号)  同(林大幹君紹介)(第六七八七号)  東京都の財政確立に関する請願米原昶君紹  介)(第六八七七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方公営交通事業経営健全化促進に関す  る法律案内閣提出第五四号)  地方公営交通事業経営健全化促進に関す  る法律案山口鶴男君外十九名提出衆法第一  六号)      ————◇—————
  2. 上村千一郎

    ○上村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる地方公営交通事業経営健全化促進に関する法律案及び山口鶴男君外十九名提出にかかる地方公営交通事業経営健全化促進に関する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。島田安夫君。
  3. 島田安夫

    島田(安)委員 私は、関連質問ということですので、要点を二、三しぼって大臣にお尋ねしたいと思っておったのですけれども、若干時間が与えられるということでございますので、範囲を広げまして、公営企業全体について、大臣はどのように考えておられるのかという問題等にも波及してお尋ねしたいと思っておりますので、よろしく御見解を賜わりたいと思います。  まず、第一の問題として、今回、公営企業を何とか健全化するのだということで法案提出されたわけでございますけれども、現在置かれておる地方団体等現状、さらには公営企業そのものの持つ現状等から考えまして、この法律では、「健全化」という表題ではございますけれども、これは再建のための一時的な手段であって、いやしくも健全化ということになりますと、企業自体——これは現在公営企業に求められておりますような、独立採算というものを想定しての具体的な措置ではなく、いわゆるあと追い政策といいますか、一時的に何とかしておこうという手段にしか考えられないのではないかというふうに私は考えるわけでございますが、この点、大臣は、この法律を施行しまして、地方公共団体なりあるいは公営企業そのものが持つ当面のいろいろな問題点かはたして解決されると考えておられるのかどうか、まずこの点を承っておきたいと思います。
  4. 江崎真澄

    江崎国務大臣 従来も、公営企業独立採算制の問題についてはいろいろ議論の存するところでありまするが、やはり、企業という以上は、その受益者が分に応じてそれ相当の負担をするということが原則でなければならぬと思います。また、それを度外視して、一般会計がすべてこれのめんどうを見るということになりますると、地方公共団体要請されておりまする各種事業等々に影響を与えまするし、公平の原則から言いましても、ある程度受益者負担するという、この原則を変えることはできないと思います。ただ、モータリゼーションの発達に伴って、路面交通が年々悪化してきたという事態は認めないわけにはまいらないと思いますが、それでも黒字で立っていけるところもある。あるいは、民間企業などの場合は、非常なむずかしい条件を克服しながら、企業合理化等々によって何とかつじつまを合わせております。そういうふうに考えてまいりますると、公営企業そのものももう少し経営努力をする必要があるのではないか。企業というものは、経営実体努力をしないで改善がなされるものではありません。地方公共団体一般会計が全部めんどうを見るとか国がめんどうを見るとか申しましても、企業努力がなされない限り、際限のない話であるというふうに思います。  そこで、今度は、とりあえず不良債務の解消をはかる。年々人件費が非常に増高いたしまして、運賃の値上げ等々も必ずしもそれに伴わないというような事情もありましょうが、しかし、これは地方議会等でも十分相談をしていただいて、適正な料金に改める努力をするということも必要だと思います。そういった各種経営努力をすることによって、政府が、今度、不良債務をたな上げしていく再建計画を出してもらって、今後、その経営事情によっては、利息のほとんど全額に近いもののめんどうを見るとか、また、新たにバスを購入する場合には、それに何がしかの助成をするということで経営が改められていく、それがいわゆる自然の姿でなければならぬと思います。現在の段階で、これ以上助成をするということはちょっと考えられないのではないか。まあ、できるだけのことをしたというふうに私どもは考えております。
  5. 島田安夫

    島田(安)委員 大臣は、いま、たまたま、非常に適切な、いいことばを使って表現されたと私は思うのですけれども、「自然の姿」ということを言われました。今日置かれておる公営企業、特に交通事業状況につきましては、そうした「自然の姿」というようなことばをかりて申し上げるまでもなく、独立採算といいますか、企業として、現行制度では、事業をやればやるほど赤字が累増すると言っても過言ではないと思うわけなんですが、その原因を追及し、あるいは、その原因に向かって何らかの法的な措置を加えなければ、企業としての自然の姿というものにはならないんではないかと私は思う。いまおっしゃいましたが、経営者企業努力というものは、企業である限り、もちろん絶対必要でありましょう。また、社会的な交通事業の諸要件等を踏まえての、将来に向かってのいろいろな対策というものも必要でありましょうけれども、しかしながら、私は、当面しておる交通問題というものは、ただ単に一地方公共団体が全責任を負って対処するほど単純ではないと思います。交通事業の逼迫した状況から考えていきますと、国自体も、この問題に対する応分の取り組み方を積極的に考えていかなければならないと思うわけなんですが、この法律では、赤字は出るだろう、再建債利子については補給してやると、赤字が出ることを当初から予想して、地方公共団体一般会計から繰り入れをやつでいくことを認めてやる、この財源については何とか考えてやろうではないかというようなお含みのようですけれども、これではきわめて消極的な施策であって、今日置かれておる公営企業、特に公営交通事業状況というようなものから考えていきますと、何か、積極的な国の施策というものがぜひ必要ではないか。地方団体あるいは企業管理者のみに、合理化して何とかやっていけと言いましても、そうやっていけない要素があることは御存じだろうと思います。  たとえば、きのう私は京都へ行きました。京都は非常に努力しております。人員整理も千人ばかりやっておられるようでございますし、保有財産の処分とか、いろいろな意味で非常に努力をしておられる。しかしながら、じゃ、健全経営に向かっての将来の自信があるかということになりますと、絶対ありません。これは、続けていく限り赤字が出ます。こうしたことは、京都のみならず、ほかにもある。それが今日はっきりしている段階において、借銭を出していけば何とかしてやろうというような、そんなことではだめでないかと私は思うのです。大臣はいま「自然の姿」ということばをお使いになりましたけれども、自然の姿とは、努力をすれば必ず経営は安定するという、いわゆる安定企業というものが考えられて、初めてそれが自然の姿になるのではないかと私は思うのですが、この点に対して重ねてお伺いしたい。
  6. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これはなかなかむずかしい問題で、それじゃ、いま私どもが考えておりまする利息のほとんどを見るのか、孫利子も見るのか、不良債務は、一般会計から地方公共団体が支出した場合、これをどうするのか。これは四十九年以降の問題ですが、これも何らかの措置をしなければならぬでしょう。そういうことに含めて、たとえば地方公共団体から要求されるように、元金についても何かの助成をしろという要求が、この法案策定前にもしばしばあったわけであります。ところが、それじゃ元金まで——この元金というものは国民税金ですから、これを補てんしたら一体どういうことになるのか、どうしてくれるのか。これが、地方公共団体責任者から聞こえないわけであります。とにかく全部見ろと、こういう話ですね。それでは、軽々に国民税金をつぎ込む理由にはなりませんね。利息は見てもらいたい、元金についてもこうしてもらうが、ただし、自分のほうはこうなるんだという、そこに一つの歴然たる成案があればともかく、何らそれがないということでは、これは話は前進しないと思うのです。したがいまして、私どもとしては、いま、理屈の通る限り、だれに聞かれても了解ができる範囲の、あとう限りの努力といいますか、助成方途を考えたというのがこれでございまして、今度のこの新しい助成方途に基づいて事業者責任を持ってなおなお努力をしてもらう。これなくしては、これ以上どうするかと言われても、国民税金を預かる直接の立場にある大蔵省等にしましても、自治省との話し合いにしても、なかなか話として煮えてこない。これはもっともだと思うのです。ですから、今度のこの制度を早くお通しいただくことによって企業努力もしてもらおうという考え方で臨んでおるわけでございます。
  7. 島田安夫

    島田(安)委員 私は、その辺が自治大臣見解がたいへん異なる、むずかしい問題だと思うのです。というのは、いま国民税金という問題が出ましたが、その辺がちょっとおかしいんじゃないかと私が思いますのは、地域住民、いわゆる地方公共団体行政区域とされておる所の住民も、いわゆる国民と何ら変わらないし、また、国全体の問題としても、その経営者地方公共団体であるにしろ、国全体の福祉に関する問題として考えていくならば、従来も国もそうしておるように、何も、国民税金だからといって、そうした問題にこれ以上つぎ込むことはどうも理解を得にくいではないか、大蔵省も許さぬではないかというような答弁でございますけれども、その辺がおかしいんじゃないかと思います。いま地方公共団体公営企業としてたまたまやっておりますけれども交通事業というのは、ただ地域のみに限定をして考えていくべき時期ではないというふうに考えます。たとえば一つの例ですけれども東京都を例にとって申しますと、東京都に通勤するために、近郊の埼玉県あるいは神奈川県等でもいろいろな交通事業の必要に迫られて、交通対策というものを考えていかざるを得ない時期に来ておる。また、実際に、公営企業バス事業利用という面については、現在でもそうした点が十分考えられる。また、反対に東京都の立場に立って言えば、神奈川県民あるいは埼玉県民東京に来て働くために、いろいろな交通問題の措置をしなければいけない。いわゆるただ地方のみで、一団体のみで対応するというような考えでなくして、いまの交通事業というのは、一つの広範囲地域をひっくるめた交通対策というものが必要ですし、また、そうしなければならない時期に来ておると思います。そうしますと、ただ一府県の企業体のみでこれを完全に責任を持ってやっていけ、これ以上積極的に援助することは、国民税金だからおかしいじゃないかというような考え方自体が少し消極的ではないのかというふうに私は思います。また、この法案の各条を通じて流れております一つ考え方というのは、公営企業は、なかんずくこの交通問題は、地方公共団体責任において対処していけ、こういうことも言えるのではないかと思っているわけなんですが、現状の認識といいますか、あるいは将来の交通問題の対策という観点からもう少し積極的な取り組みをしなければ、ただ団体のみで何とか始末をしていくということではないと私は思うのですが、重ねてその点をお伺いしたい。
  8. 江崎真澄

    江崎国務大臣 おっしゃる意味は私どももよくわかるのです。ところが、たとえばバス路線経営するという問題は、地下鉄経営などとは根本的に違うわけです。地下鉄の場合ですと、施設費が非常に多くかかるわけですが、バス路線の場合は、国なり地方なりの道路ただで使用し、そしてバス運行させる。これはバス購入代人件費の問題です。そうしますと、バス購入代についてはいろいろな制約があるにしても、自今半額程度めんどうを見ましょう、不良債務はたな上げして、その利息は、孫利子までほとんど見ましょう、元金については、地方公共団体一般会計から支出することもいたし方がないではないかということで、四十九年度から、それらの問題について、これをどうするかということは、自治省としても考えなければならぬ当面の問題でもあるが、相当な助成方途を考えておるわけです。やはり、そういうバスなどについては、利用者負担を分担してもらうという企業としての原則からはずれるわけにはまいらないと思うのです。地下鉄の場合は、御承知のように、今度この法律で六六%を国と地方が分担し合って、その建設費めんどうを見ようというふうに踏み切っておるわけです。路面交通もそうやったらどうだということですが、いま申し上げたように、道路ただで使えるし、バスを新たに購入するものについては半額程度助成をする。これは、政府としても、やるだけのことはやっておるわけです。それ以上というと、地方路面交通バス事業などは全部国で持てという話になるのですね。そうすると、この間も、この地方行政委員会に二、三民間バス関係の方が見えるということで、その御意見も承りましたが、これらの民間業者とのバランスは一体どういうことになるのか。何もかも全部政府で見るということが一体正しいかどうか。このあたりは非常に問題の存するところだというふうに思います。  島田さんの指摘される意味はよくわかりますが、政府としては、この程度が最高の措置ではないか、また、国民全般から納得を得られる範囲というものはこの程度ではないかというふうに考える次第でございます。
  9. 島田安夫

    島田(安)委員 だいぶ意見が違うようですから、これ以上この問題を追及しましても、積極的な大臣考え方が得られないのは残念です。私は、大臣とは、それなりに意見が相違しております。  利用者の問題が出ましたけれども大臣の説をかりるならば利用者負担、それはなるほどけっこうです。ところが、現状バス事業というのは、京都府の場合を申しますと、京都府では、五年目に初めて料金改定が行なわれた。しかも、過去において、利用者負担という意味で、交通料金の引き上げをはからなければどうにもならぬということで、しばしば管理者のほうでは要求をしておる。しかしながら、今日の制度では、これがなかなか容易に改定できない。大臣のおっしゃる利用者負担というものが簡単にできぬじゃないですか。  しかも、今回出しておられますこの法案で、どんなに理解しようと思って読み返しましても、理解できない条文が第十条だと私は思います。全体を貫いておる一つ考え方というものは第十条に集約されている。私はそのようにさえ考える。なぜかといいますと、これを読んでみますと、「交通事業再建団体は、経営再建に関し必要があるときは、関係行政機関の長、関係地方公共団体の長その他の執行機関及び公共的団体に対し、バスターミナル等施設整備交通規制その他の路線バスの円滑な運行を確保するために必要な措置を講ずるよう資料を添えて申し出ることができる。」とあり、一方におきましては、「必要があると認めるときは、適切な施策を講ずるように努める」となっている。いいですか、大臣、これを言いかえをしますと、この内容は、現行制度の中でも、当然国が措置しなければならないようなことなんです。いろいろな問題があるときは、「バスターミナル」だとか「交通規制その他」というのは、路線バス運営から考えて、運営支障があるから、現行制度におきましても、何とかしてくれというので申し出ているのではないですか。それをわざわざ申し出することができる、資料を添えて申し込んでこい、これについて必要があれば何とか考えてみてやろうということは、いみじくも、今回提案になっていますこの法案の全体の主張を第十条によってもはっきり表明しているんじゃないか。きわめて消極的で、具体的に企業健全化するためにはそれじゃどうするんだという検討がなくして、利子を補給している、一般会計から繰り出しをして埋めておけ、そうしなければ企業支障があるから住民も困る、その穴埋めは何とか考えていってやろう、これが内容ですけれども、第十条もまさしくそのとおり。いまおっしゃるように、企業として適切に健全な経営をやっていくためには利用者負担というものを考えていかなければならないとするならば、料金改定とか路線変更等についてもある意味で、従来よりか積極的な姿勢が示されなければ何もならぬと私は思う。何でことさらに第十条としてこんなものが必要なのか、幾ら考えても理解に苦しむ。この辺はどうですか。
  10. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは、むしろ、いままでなかったものを成文化して、はっきり明文にすることによって義務づけるということにしたわけで、前進したわけですね。従来でも別に法文にはなかったが、現実処理として事が行なわれておる。ところが、今度はこういうことで明文化して、そしてこの推進に積極性を持たせた。やらなければならぬ。ですから、これは運輸省助成方途をすることですが、バスターミナルなどを建設することによって乗降口合理化をはかるとか能率をあげるとかいうことは、これは経営改善にもつながるわけですから、それを政府に申し出、政府は積極的に協力しなければならぬということを義務づけられるわけですから、これは非常に前進であるというふうに私は考えております。
  11. 島田安夫

    島田(安)委員 大臣は実情を御存じないんじゃないですか。義務づけるということはありますけれども、義務とは何かといいますと、この条文を読んでみましても、全然義務づけられておらぬじゃないですか。義務づけられておるのでしたら前進だと私は思います。「必要があると認めるときは、適切な施策を講ずるように努めるものとする。」というのは、それじゃ、自治省にしろ、運輸省あるいは警察にしろ、いま必要があると認めて適切な処置を講ずることはしないのですか。いまは講じておらないということなんですか。
  12. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは、いままででも現実処理はしておったわけですね。しかし、それは、こういう法律に明文化されていない。現実処理として行なうということを明文化して処置をしなければならないというのでは、日本のいまの行政のあり方から言って——これは、やはり、積極的にこれを義務づけたというふうに思っていただいてよろしいと思います。
  13. 島田安夫

    島田(安)委員 それは違うのです。いまの現行法律で、交通関係にはいろいろあります。いいですか、大臣バスを発車させる、住民サイドから考えて、そこにターミナルがどうしても必要になってきたという場合、現行法律の中で、運輸省に対してバスターミナルの設置に対する要請か何ぼでもできるじゃないですか。運輸省はこれを受けて、現地を調査して許可する。必要があると認めるときはそれをやっているのですよ。いま事実、料金改定にしろ、必要があると認めるときは許可している。これはいま持ってきておりませんけれども、そうするように現行法律はなっているのです。ちょっとでもこの内容進歩しておれば、この健全化に関する法律の中に取り上げていく意義がありますけれども、どんなに読み返してみても、現行法律から全然進歩がない。しかも、むしろ後退しておる。その内容はどういうことかと言いますと、「バスターミナル等施設整備、」として「等」がついておりますけれども、こんなものじゃない。現行制度の中で、料金改定の問題をはじめ、地方公営企業として要求ができることは、こんなに限っていただかぬでも山ほどあります。それは自由にできる。元来、行政というのは、そういう要請かあれば、運輸行政にしろ、あるいは自治省にしろ、これをできるだけ早く解決をはかるというのが課せられた本来の責任であります。いまの制度の中で、そういう要請をすれば当然やらなければいかぬ。  しかるに、従来、ややもすれば——特に運輸行政というものは、いまの日本のいろいろな制度の中で、これくらい旧態依然としておくれたままの考え方行政が行なわれている役所はないと私は思う。大正昭和初期、こういう時代に設けられた制度というものがほとんど引き継がれておる。今日、これくらいすべてにおいて近代化要請されておる状況の中で、法律のみならず、過去の明治、大正昭和初期にやってきた古い慣行というものを尊重しながら行政に対処するというような、非常に後進的な考え方というものが私どもには理解できないわけです。まあ、あえて言うなら、役所には役所一つ考え方があって、そうでもしなければ行政が行なえないということであればやむを得ないと思いますけれども、しかしながら、せっかくおつくりになる今度の新しい法律の中で、従来のとおりのものをここに列記して法律に明文化したことによって、前進です、義務づけておりますと言っても、これじゃ、どんなに読んでも、ちっとも義務づけておらない。それならば、どこが義務づけられているのですか。バス路線運行を確保するためにこうしてください——運輸省は、大正時代昭和初期につくった法律によって、現地を検討したり、出先の機関にとりあえず委任してごちゃごちゃやっておる。ちょっとも進歩じゃない。どうですか。
  14. 江崎真澄

    江崎国務大臣 なるほど、おっしゃるように、この条文は積極的義務づけをいっておるものではないと思います。しかし、そういうことでこの方向づけをしていくことは、これ自体がたいへんな前進なわけで、あと、詳しいことは事務的にも説明をいたさせますが、これは島田さんいろいろおっしゃるけれども企業という以上は、受益者負担するということの原則でなければ、国民税金を簡単に入れるわけにいきませんですね。しかも、再建不良債務についての利子孫利子は全部入れる。繰り返すようですが、これから新規にバスを購入しようというなら、半分助成してくれる。これが民営だったら、こんなうまい話というものは、民間業者みんな手をあげるでしょうね。運行するバスは半分助成してくれて、不良債は見てくれるのですからね。  ですから、いまあなたのおっしゃる意味は、詰めて言うならば、運輸省側の許認可事務や何かをもっと促進しろということで、これはわかりますね。もっと事務的に能率をあげろという点については、何も運輸省ばかりに限らず、今日の行政府がもっとすみやかにそれぞれの要請にこたえて、結論を出していくということは必要だと私は思うのです。特に、運賃の問題などでも、少し手間ひまがかかり過ぎる、そのうちにどんどん情勢が変わってしまう、追っかけっこをやっているということは確かに認めます。これをもっと能率的にやれとおっしゃるなら、能率的にやることについては、私は異議がありません。これはやらなければいかぬと思う。ただ助成法としては、法の許す範囲においてまず最大の考慮をした。これは政府側の努力も認めていただきたいものだと思います。
  15. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 大臣から御答弁申し上げたとおりでございますが、若干補足をさせていただきますと、今度の私どものこの公営交通の再建につきましての考え方の基本にございますものは、結局、公営交通事業というものがまさに崩壊寸前にあるということで、そこで、これを立て直すためには、少なくとも、企業赤字というものは全部企業外で始末をつけ、そして、企業としては、身軽にあしたから出ていけるという、こういう体制づくりをしたわけです。  そこで、そこから先は、ただいま先生が御指摘になりましたように、それでもあしたからちゃんと公営交通が黒字でやっていけるのか、その保障があるのか、その保障がなければもっと考え方を変えるべきじゃないか、こういう考え方に尽きるだろうと思います。その点は、私どもも、一番頭を痛めて苦慮したところでありますが、やはり、基本としては、大都市なら大都市、地方都市なら地方都市の中におきます各種交通機関、交通主体別に見ましても、国鉄もございますれば、あるいは民営もあるし、あるいは公営もある。あるいは、横に交通の機関別に見ますと、電車もあれば、バスもある。地下鉄もある。そういうものをどういうふうに適正に再配分、機能分担をさせていくか。その場合におきまして、たとえば、いま一番混雑の原因になっておりますところのマイカーに対する規制をどうするかという問題が当然その前提としてある。それから、その中におきまして、公営交通の定時性という問題がある。これは公営バスだけではございませんで、民営機関をひっくるめまして、路面交通の定時性をいかにして確保してまいるかということは、私ども、すべての基本であると思うわけでございます。そのためには、率直に申しまして、公営交通だけの力に負えない面もございます。そういう面につきましては、国においても、当該公営企業、あるいは民営の場合も同様でございますが、大量交通機関経営者と一体になって、ターミナルの設置なり、あるいは優先、専用レーンの確保なり、あるいは、進みましては、私どもは、車種別、時間別の規制というものもマイカーについてはやってもらいたいという強い希望を持っておるわけでございます。そういうものをこの十条の表現に、不十分というおしかりはございましょうけれども、込めておるわけでございまして、これによりまして、ターミナルの設置あるいは改良をし、あるいは優先、専用レーンというものにつきましては、どしどし公営交通の経営者のほうから申し出てもらい、それに対して、国としても積極的に対応する姿勢をとってもらう。そういうことで企業環境の改善をはかってまいりたい。そういう意味で、この第十条の規定というものは非常に意義がある規定だ、この規定というものを大いに活用いたしまして、企業環境の改善というものをやってもらいたいという気持ちが私どもはあるわけでございますし、これは、自治省といたしましても、当然、運輸あるいは警察、建設といった所管省とも協力して、中央レベルでそれに対応した措置というものを適切に講じてまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  16. 島田安夫

    島田(安)委員 いろいろと御答弁いただいたわけなんですけれども、私が申し上げたいのは、いわゆる公営企業というのは、簡単に言いますと公営でありまして、大臣のほうからいまいろいろ話がありましたが、企業として完全に考えるわけにはまいりません。なるほど、企業でありますと、いま各地方公共団体がやっておる事業というのはとうにつぶれちゃっております。これはバス事業のみならず、病院にしましても、あるいは電気、ガスにしても、あるいは下水道等につきましても、事業として採算の合うようなものでない。しかし、それをやらなければいけないところに公共団体の使命があり、また公営としての価置があるのだと私は思う。たとえば路線にいたしましても、民間企業ですと、採算に合わない路線というものは足切りをしていきます。これは企業ですからやむを得ません。採算に合う路線以外は、いかにしてペイするかということで一生懸命です。したがって、それなりに事業は成り立っておりますけれども、公共団体はそれができないところに、今日、この交通事業のみならず、他の公営企業についても、非常に大きな財政的な悩みがあると私は思っておる。そうしたことから考えますと、これ以上この問題で御意見を求めましてもどうにもならないと思いますけれども、しかしながら、やはり、考え方としては、一公共団体のみで交通問題に対処できるようないまの時代ではない。交通事業というものは、あるいは交通の混乱というものは、そういう考え方でなくして、国自体が考えるべきことで、住民福祉といいましても、地方住民福祉ということは、これは即国民の福祉である。したがって、生活に最も関連した公営企業全体の将来のあり方として、地方でやるべきものを何がしか補助をしてやるんだ、赤字が出たら自治省めんどうを見てやるんだというようなことでなくして、積極的に、国も地方もあげてそうした問題については対処しなければならぬというような考え方前進を願いたいと思います。  ついでですので運輸省に伺いますが、第十条で、従来もやっておりますようなことがことさらに書かれております。運輸省に対しては、さいぜん私はたいへん悪口を言いましたけれども、これは当たっておると思います。そこで、第十条にこういう規定があり、しかも、この交通事業というものは、前段にも述べられておりますように、、地方議会の議決を得て再建計画等を立てて、いろいろな企業としての事業を今後やるということになりますと、これは地域全体の問題です。東京都の場合は、御承知のように一千万、地方へ行きましたら、京都市にいたしましても百七十万とか百八十万、そういうその地域住民の全体の一つの要望であるというふうに考えられるべきだと思うわけなんですが、それを、やれ審議会がどうだとか、やれ出先の長がどうだとかいうようなことで、従来の方式でやられたんでは、交通事業というものは決してやっていけぬと思うわけなんですが、運輸省はどう考えておられますか。この際運輸省考え方をあわせてお尋ねしておきたい。
  17. 佐藤久衛

    佐藤説明員 先生の御指摘、一々ごもっともでございます。  先ほど、自治大臣自治省のほうから御答弁がございましたように、この第十条の規定というのは、その二項にございますように、地方公営交通事業の財政再建のために、いろいろな諸施策を各省が協力してやらなければならぬ。その場合に、関係各省といたしましては、当該地域における交通の確保のために必要なときは適切な施策を講ずるようにつとめなければならぬというふうに書いてございます。私どもも、在来から、自治省並びに警察あるいは建設省といった関係機関と連携をとりながらこのような措置を講じてまいったわけでありますけれども、この第二項の規定の趣旨に従いまして、今後とも万全の努力を尽くすように努力する所存であります。
  18. 島田安夫

    島田(安)委員 この問題については、きわめて不満ですけれども、以上で質問を終わりますが、大臣に、次の点について考え方をお伺いしたいと思うわけなんです。  この法案にも示されておりますように、地方公共団体一般会計の中から繰り入れをする、これはまあ今後はいい、こういうことなんですが、そこで、先日の質問にもありましたけれども、では、その一般会計の補てんをどうするのかということでございますが、一説には、財政需要額に算入してくれとか、あるいはやるとか、こういう考え方一つある。私は正直に申し上げますと、この考え方には反対でございます。これは、前段に申した公営企業考え方、あり方という問題から反対なんですけれども、それにいたしましても、いま一つの方法もあるのではないか。さいぜん申しましたように、交通事業そのものが、ただ地域の公共団体のみで対処されるべき問題ではないから、加えてまた、独立採算というものをあくまでも公営企業に求めていくという考え方で対処するとするならば、国自体が、独立採算できるところまで財政的な援助を与えて、いろいろな計画を立てる。いま御指摘になりましたけれども、いろいろな総合的な対策を立てて、これだけ財政援助してやれば独立採算でどうにか公営企業はやっていけるんじゃないかというようなことも必要だろうと思うわけなんですが、そうした点から考えると、はっきりと、そうした財政需要額に繰り入れていくというような措置でなくして、地方公営企業については、地域の特性を生かして、国民が別途に財政援助をするという方法もまた一つにはあろうかと思うわけなんですが、この一般会計あと始末についてどのように考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
  19. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは今後慎重に検討しなければなりませんが、十分再建方途が立つということが前提になる必要があると思うのです。企業努力顕著であるということでありませんと、一般会計の分をどう見るかということは、そう簡単じゃない。ただ、言えることは、大都市などには、新たな都市財源を認めることによって、たとえば事務所・事業所税であるとか、いろいろ議論になつておるものがございます。そういうもので財源を充実させていく、これが、一般会計から不良債務の支払いに充てられたものの裏づけになるということでしょう。これを交付税で見るかどうかということについては、今後の問題ですが、慎重に検討を要すると思うのです。  よく世俗で言われる親方日の丸というか、赤字が出れば国がめんどうを見るんだでは、これは公平の原則から言っても、そう簡単に支出ができるものではないというふうに考えます。したがいまして、今後の再建努力企業努力というものがどうあらわれるかということとにらみ合わせながら、自治省においても、四十九年以降のこの一般会計分についてのめんどうをどう見るか、きめていきたいというふうに考えております。
  20. 島田安夫

    島田(安)委員 森岡審議官は、たしか、もうちょっと積極的なお答えをわが党の愛野委員の質問に対しておやりになったように記憶するのですが、あなたは、いろいろな問題について、特にこの問題について、直接所管事項としてお考えになってきたわけだと思うわけなんですが、いかがですか。
  21. 森岡敞

    ○森岡政府委員 私、先週愛野委員にお答えいたしましたが、いま大臣から御答弁申し上げたのと大要変わっていないと思います。  私が申し上げたのは、たとえばパリで公共輸送機関便益税でございますとか、サンフランシスコ湾岸鉄道で、固定資産税とかセールスタックスの増徴をして交通機関の建設、経営に関する財源を生み出したという例もございますし、それらとあわせまして、総合的な四十九年度以降の地方財政対策の中でどうするかを検討してまいりたい、かようにお答え申し上げたつもりでございます。
  22. 島田安夫

    島田(安)委員 趣旨はよくわかるのですが、累積赤字が千九百二十九億ある。しかも、さいぜんから指摘しますように、交通事業というのは、おそらく、来年も、再来年も、幾ら法律が施行されましても赤字は増大していくと思います。これは必ずと言っていい。いま、努力をすれば云々ということがありましたけれども、これは大臣立場として、管理者努力せなければいかぬじゃないかということはよくわかりますけれども、いずれにいたしましても、一般財源からの繰り入れというものをお認めになった前提としては、それじゃ財政措置をどうしてやるのだという考え方はお持ちだろうと思うのです。  全体の公共事業そのものに関連して、私は次に質問したいことがありますので、それがないのか、あるのか、いまの時点では全然考えておらぬのか、あるいはお考えになっているのか、はっきりお答え願いたい。
  23. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは、一般会計からの支出を認めた以上、何らかの措置をしなければならぬ。これはもう、そういう考え方はあります。ところが、私は、公営企業といえども企業企業だ、だから、経営努力というものはもっともっとなされなければならぬという、多少きびしい考え方を持っております。その経営努力もなされないのに、国民税金を安易に助成の形で国が出していくということは、これはやはり国民に対して申しわけがない。その便利を与えられる人々の負担にも限界がありましょう。だから、それに全部寄りかかれとは申しませんが、それもある程度負担はしてもらう、これはさっきから申し上げておるとおりなんです。また、ワンマン化はすでに、相当、九〇%以上にまで進んでおります。これなんかも一つ企業努力です。これなどでも、黙っておったら一体どういうことになったかわからぬと思うのです。それからまた、赤字路線といわれる電車などの撤去、合理化の問題でも、従来政府側から強い要請をしなかったならば——これは第一次の再建計画のときからの議論でありますが、それが幸い守られてここへ来ておる。だから、今後も、バス路線等については、十分管理者側においても御協力をいただく、それが前提になって、こういうふうですから国としても助成をいたします、協力をします、ということでなければ、対国民に説明がつかないわけですね。そのことをいま私は申し上げておるわけでございまして、将来にかけて、四十九年度からこれは始まりますので、さっき申しましたように、大都市においては新財源を求める、あるいは不良債については、一応努力したところに対しては相当の措置をしていく、これは考えていかなければならぬというふうに思っております。
  24. 島田安夫

    島田(安)委員 いまの大臣考え方もよくわかったわけなんですが、これに関連いたしまして、この際ぜひ、どのように考えておられるのかお伺いしておきたいと思うわけなんですが、たとえば、今回問題になっておりますのは交通事業に関する問題でございますけれども、御承知のように、公営企業というのは、いま、地方公共団体の、行財政上のたいへんな問題です。そして、電気、ガスにいたしましても、あるいは水道、下水道、病院にしても、これらのいろいろな公営企業があるわけなんですが、将来、こういう問題についてはどのように措置されるわけなんですか。赤字でなかなか再建が容易でないと思われるような他のこういう公営企業等についても、一般財源の繰り入れで何とかめんどうを見てやるとか、事業の公共性から考えてそうされる用意があるかないか、この辺承っておきたいと思います。
  25. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 公営企業は、法適用企業だけでも三千企業現在あるわけなんですが、全体的に申しまして、経営悪化の著しいのは、現在御審議をいただいております交通事業、それに続きましては病院事業、それから、現在まだかろうじて収支均衡点を維持いたしておりますけれども、近く悪化が予想されますものが上水道事業です。大体、この病院、上水道というものは、やはり早目に手を打ってまいりませんといけないだろうと思います。それぞれ、たとえば病院事業でございますと社会保険診療報酬の問題がございますし、あるいは、上水道事業でございますと、今日の事態のもとにおきまして、水源というものを遠くに求めなければいい水が得られないといった点がございまして、広域水道あるいは水源確保という面について、公営企業のらち内だけでは適切な処理ができない問題がございます。  病院事業につきましても、上水道事業につきましても、御案内のとおり、一般会計企業会計との負担区分という考え方を立てておるわけでございまして、この負担区分の考え方に従いまして、当該企業負担に負わせることが酷なものにつきましては、ものによりましては、国庫助成の道を広げ、あるいは一般会計からの繰り入れの幅を広げてまいるということを考えてまいりたい。これは引き続いての大きな検討事項でございます。
  26. 島田安夫

    島田(安)委員 前向きに考えていくということで、よくわかったんですが、この際、大臣の答弁も、私にとりましてはきわめて十分でなかったわけでございますので、公営企業全体の問題として申し上げたいと思うわけなんですが、元来、公営企業というのは、独立採算ができます事業であれば、公営企業でなくても、今日の自由経済の中において民間が幾らでもやるわけなんですね。そう思われませんか。なぜ公営企業として事業の施行をしなければならないかということは、結局、経済的に考えた場合、その事業をやることによって起こる収益と支出というものがアンバランスになる、なかなかもうからぬ、しかし、国民生活に密接な関係があるのでどうしてもやらなければいけないというものが公営企業として取り上げられて、今日、地方公共団体事業としてやられておる。したが、て、努力せい、努力せい、企業としては採算の合うようなことをやらなければいかぬじゃないかということですが、なるほどおっしゃることもわかりますけれども、どうにももうけにならない客観的な要素が前提としてあるということも十分御認識いただきたいと思います。  特に、共通しておりますことは、これらの事業というものは、経費に占める人件費は非常に高い。いわゆる労働集約的な企業ということが、病院にいたしましても、あるいはいまの交通事業にいたしましても、言えると思うわけなんです。したがって、いま局長のほうで話がありました病院であるとか、あるいは水道であるとか、これらは国民生活を営む上においてどうしても欠かせない事業でありますから、できるだけ早くこれらの問題に対処していただかなければ、バス事業のように、どうにもならなくなってあと追いで措置するというのでは、地方財政はますます緊迫すると思いますので、そうした点については特に御留意を願いたいと思います。  第十三条の問題についてちょっとお尋ねしますけれども自治大臣の権限の委任事項がここにうたわれております。「市町村に係るものの一部を都道府県知事に委任する」ということでございますが、いま大臣がおっしゃるとおりに、地方で何とかやらなければいかぬ、国民全体の税金を使うことはどうかというようなお考え方からいきますと、権限の一部でなしに、全面委任でも当然じゃないかというふうにすら私は考えるわけですが、一部とはどの範囲を志向されるのか、承りたい。
  27. 森岡敞

    ○森岡政府委員 十三条に、政令で都道府県知事に自治大臣の権限の一部を委任することができるという規定を設けております。その内容といたしまして、現在考えておりますものは、いわゆる指定市につきましては、再建計画の策定、最初の策定ですね。それから変更、これはかなり広範囲利用者をかかえておるわけでございますので、自治大臣提出していただきます。しかし、それ以外の市町村につきましては、最初の再建計画の策定は、これはやはり当初でございますので、一応自治大臣に出していただきまして、そこで御協議を申し上げ、その後の変更につきまして都道府県知事に委任をしてはどうかというふうに考えているわけでございます。したがいまして、そういう観点から「一部を」というふうに書いておるわけでございます。
  28. 島田安夫

    島田(安)委員 運輸省の方もせっかくおいでいただいておりますのでお尋ねしたいと思うわけなんですが、いまの運輸省の交通全般に対する体系というものは非常に古い、そして、交通事情の緊迫した要請になかなかこたえられぬのじゃないか、こういうふうに考えるわけなんです。  そこで、たまたま十三条にこうした問題が出ましたので運輸省にお尋ねするわけですが、特に、公営企業等については、さいぜんも申しましたように、都道府県議会における議決を経るということは、その地域全体の意見の集約されていることを意味すると思います。運輸行政というものは、百人の中の九十九人が同一の意見を持っておっても、一人が強く反対すれば、その一人の意見のために検討しなければいけないとか、現地意見も聴取しなければいけないとか、あるいは審議会も開かなければならないというように、時代要請に、あるいは時代認識にきわめて欠けるような運営を往々にしてなされておる事例がしばしばあると思うわけてすか、運輸省自体もできるだけ——たとえば料金改定等についても、この際、公営企業については、はっきり知事にその権限を委任されるべきだという強い考え方を私は持っているわけなんですが、こうした点についてはいかがですか。
  29. 佐藤久衛

    佐藤説明員 先生御指摘の、運輸行政について改善すべき点等につきましては、われわれも真剣に反省いたしまして、今後改善のための努力を尽くしてまいりたいと存じます。  バスあるいは地下鉄等につきましては、地域住民の日常の足でございます。したがいまして、住民に対するサービス事業であるというふうなことをわれわれとして謙虚に受けとめまして、それぞれの民営あるいは公営等におきますところのバス事業等の改善努力してまいりたい、こういう趣旨でございまして、現在、地方陸運局に地方陸上交通審議会というのがございますので、そういう場等をも使いまして、今後そのような改善の方向に努力してまいりたい、かように存じております。  それから、御指摘の料金改定の問題でございますが、これにつきましては、一方におきまして物価政策というふうな問題の点もございます。あるいはまた、民営の運賃との調整というふうな問題点もございます。また、料金というふうなものは、単に交通サービスの対価であるという面だけでございませんで、やはり、料金水準というものを通じまして一つの輸送の調整というふうなものが行なわれているわけでありますので、したがいまして、そういう点等をも考慮いたしまして、私どもとしましては、今後とも、公営交通関係料金改定促進等につきましては万全の努力を払ってまいるつもりでございます。  地方公共団体等への権限の委譲というふうな問題につきましては、先ほど申し上げましたように、物価政策上の問題とか、あるいは料金を通じましての交通政策の問題等、いろいろあります。さらには、これは現実の問題でございますけれども、現在の地方交通の事情というものが、単にその一地方公共団体行政区域のみに限ったものではございません。むしろ、逆に、広域化しているような情勢でございます。したがいまして、そういう事情等を考慮いたしますときには、やはり、地方公共団体への権限の委譲というふうな問題につきましては、私どもも非常に消極的な考え方を持っておる次第でございます。ただ、先ほど申し上げたことの繰り返しになりますけれども地域住民の足の確保、交通サービスの向上というふうな面では、われわれも今後とも真剣に努力してまいる所存でございます。
  30. 島田安夫

    島田(安)委員 前向きにということでございますので、私は、いつの日か、私どもの考えておりますそういう切実な要望というものが本気で取り上げられる日の早いことを期待して質問を終わりたいと思いますけれども大臣、私は考えますのに、地方行政というものは、国の行政とややもすれば区分されがちでございますけれども、全然区分されるべきものではないというふうに考えております。ただ、財政的な面で考えていきますと、やはり、地方には、それぞれの特色といいますか、いろいろな実情がございますから、国の行政のみで概括的にこれを行なうということは問題があることは言をまちません。その地方に合ったきめのこまかい行政が必要であることは変わりありませんけれども、しかしながら、だんだん時代も変わってきており、従来の考え方地方行政というものを考えていきますと、たまたま今日バス問題のみが取り上げられておりますけれども行政上のいろいろな問題が出てくると思います。そこで、これも不満ではございますけれども、しかしながら、再建の手がかりにはなります。おっしゃるとおりでございますので、将来、地方行財政が、国の政策と相まって積極的に住民福祉の増進をはかれるような施策を講じてもらいたい。江崎自治大臣なら、本気でやろうと思われたら、大蔵官僚あるいは大蔵大臣等はあなたの正論の前には太刀打ちができぬくらいの力があなたにはあると思っておりますので、そうした点については積極的な施策を切望いたします。  関連質問ということでございまして、二、三の質問だけ用意しておりまして、たいへん失礼な表現もあったかと思いますけれども、何ぶんなれませんので、お許しいただきたいと思います。
  31. 江崎真澄

    江崎国務大臣 非常に御熱心な質問でございまして、御趣旨の点は十分体して努力してまいりたいと思います。
  32. 上村千一郎

    ○上村委員長 岩垂寿喜男君。
  33. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私、あえて申し上げますが、いま自民党の島田先生が御質問をされた意味の中にはっきり明らかにされているわけですが、今度の地方公営交通事業経営健全化促進に関する法律案の中に、幾つかの問題点が含まれております。この辺は、もう大臣みずからもお認めになっていらっしゃるところだろうと思うのでありますが、いま御答弁をお伺いしていて感ずることは、公営というものと民営というものを非常に機械的に並べていらっしゃる。これはやはり問題だと思うのです。こういう見方をしていきますと、つまるところ、地方公営交通事業というものは成り立たないということになってしまうのではないかと思うのであります。とりわけ、率直に申し上げさせていただきますれば、いままで黒字のときもあったわけでございますが、黒字のときには、一般会計へ繰り入れたり、あるいは道路財源にしたり、いろいろな形で一般会計のほうに、いわば力をつけてきたわけですね。歴史的に言えば、ですね。赤字になったときだけ全くまま子を扱うように始末をしていくというやり方は問題があろうと思うのです。とりわけ、民間企業について言えば、その利益というのは、特定の株主なり経営者のところだけに還元されるわけですね。少なくとも、公営企業の問題は、その利益というものは一般大衆に還元をされていくものである。つまり、社会福祉的な、公共福祉的な役割りを果たしているわけであります。ですから、願わくば、民間公営企業を機械的にお並べになるという考え方はぜひやめていただきたいと思いますが、その点だけ最初に聞いておきたいと思います。
  34. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは、私、ことばが足りなかったかもしれませんが、決して機械的に並べたつもりはない。その証拠に、民営にはバス購入の半額の助成もありませんし、不良債務利息の補給もありません。また、一般会計分を今後どう処置するかということはまだ成案は得ておりませんが、一般会計から地方公共団体不良債務を払っていくことになれば、これはやはり何らかの措置をしなければならぬことはさっきお答えしたとおりでございまして、要するに、そういう助成方途も何もない民間企業というものは、民間企業なりに、それはなるほど行政路線もないでしょう。利益路線だけが残っておるかもしれませんが、非常な企業努力をしておるということを申し上げたわけで、公営企業民営とを同列に扱っておるつもりはございません。  しかし、公営企業といえども最大の努力は求めなければならぬ。国民税金を預かって、これを助成という形で支出をしていく責任者としては一応きびしい姿勢で臨まなければならぬという、この基本的な姿勢の問題を申し上げたつもりでございまするので、御了承を願いたいと思います。
  35. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 企業努力ということを一生懸命でおっしゃっていらっしゃるわけですね。そこで、ぜひ伺っておきたいのですが、いろいろなところに書いてありますが、第一次再建計画が、自治省見解によっても、いわば破綻寸前に至っている。こういう今日の危機を招いているおもなる原因というのは一体どこにあったのか。これはいろいろ拝見をしておりますけれども、もう一ぺん大臣の口から伺っておきたい。
  36. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これはいろいろ多岐にわたりますが、御承知のように、自動車がふえた、マイカーが出勤に使われる、交通が渋滞する、したがって、バスが目的地へ到着する時間がはかられないといったようなことで悪循環が起こったこと、これが一番大きな原因でしょうね。それから、人件費が毎年毎年増高する。ワンマンバスにしても、なかなか経費が生み出せない等、人件費の問題もあると思います。また、料金を適正化するというわけでありまするが、これがなかなか押えられて、思うように上げられない。これは問題がありましょう。地方議会で認めても、他の民営その他とのバランスの上でなかなか許可がおりない。許可がおりても、もうそのときはいささかおそきに失しておるといったような問題があろうかと思います。そして、再建債問題等、従来これをどうするかという点について、それなりの助成方途は講ぜられておりましたが、必ずしも十分でなかったということもあったと思います。原因は、数えあげれば多岐にわたります。  これに対して、地方公共団体においても相当な協力体制を示して、経営努力をわれわれとしても十分認める団体もありましたが、そうでない団体もあった。これなどが非常に残念なわけで、企業という以上は、公営であるからといって、放漫であっていいものじゃございません。私は、企業努力、国家の助成というのは、地方公共団体を通じてという意味を含めての国家の助成、そして、この利用者の適当な負担、この三者によって構成されるものではないかと思う。その企業努力の中には、たとえば専用、バスレーンの設定であるとか、通勤時間帯の交通整理の問題であるとか、いろいろなことが出てくるわけでございます。  そこで、この間も、実は、横浜市を視察したときに、何かないかと考えてもなかなか名案があろうはずはないものですから、元議員でもあった飛鳥田さんに、党派は違いましても、もともと議員の仲間でございますので、ぶちまけ話をやったわけです。何か、自転車か何かで通勤時間を考慮することはできぬものだろうか——これも、いまのような問題があると、バスとの悪循環をどこで断ち切るかというあたりに論点があるわけでございまして、たまたま私が、自転車通勤というような問題について、国家公安委員長としても警察庁側に十分話をしてみたいと言ったときに、もし君が本気でそれに取り組まれるなら、自分のところは実験都市になってもいいと言うのです。日本よりももっと国民所得の多いデンマークとかオランダというようなところでも、通勤時間帯というもので、目的地へ安全でしかも的確な時間で到着することができるというので、乗りものとしては、重量の少ないというか、スペースの少ない自転車というものが見直されてきておる。これはひとつやろうじゃないかということでお呼びかけしたわけです。これはだれか共鳴者かありませんとから回りになるのですが、幸い、飛鳥田市長に非常に共鳴していただきまして、自分もあとう限り研究してみるからあなたも研究してくれ、そして、場合によれば、ひとつ実験部市になろうじゃないか、オランダやデンマークも、二、三日で行ってくればいいんだから、見てみればいいんじゃないか、そのくらいの熱意で取り組んでみようというような話が出たわけでございまして、やはり、それも、広い意味での企業努力の一環であるというように考えます。
  37. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 自転車の問題はあとで伺いたいと思うのですが、聞くところによると、どうも、飛鳥田さんや大阪の市長も連れていって、一緒にデンマークに行ったらどうだというような話もなさっているようでありますが、それもあとで、財政措置の問題その他を含めてお話を伺いたいと思います。  いま大臣のおっしゃった企業努力あるいは地方自治体の援助、利用者負担受益者負担、やはり、外に原因があるのですね。モータリゼーションの問題本質的には資本と人口の大都市への集中、それから起こっている交通渋滞の問題、そのことを放置しておいてはどうにもならぬと思うのです。あるいは自動車生産の問題これもあとで伺っておきたいと思うのですけれども、無政府的なモータリゼーションの拡大という問題が、道路と自動車のふえ方との間に基本的なアンバランスを生んでいる。そんなところから、言うところの交通事故や、あるいは交通公害というような問題が深刻になっているわけでありますが、公営企業の内部的な問題ということだけを強調なすっているきらいがある。だから、そういう問題を含めて、もう一ぺん根本的な対策というものを見つめる眼を、この機会に伺っておきたいと思うのであります。
  38. 江崎真澄

    江崎国務大臣 御指摘の点は、非常に重要だと思います。ですから、私どもとしては、企業外の財政措置による不良債務の解消とか、あるいは、将来の経営基盤をしっかりしたものにしていくために、バス購入費の助成とか、そのほかあとう限りの財政措置をして、都市の交通環境を整備するあらゆる立体的な努力をしていこうというので臨んでおるわけでございまして、これで十分でないという御意見が先ほどからあるわけでございますが、しからば、これはどうしたら一番十分であるのか、全部国費で見ればそれが十分かということになりますが、ここらあたりに、やはり、国民税金を使うという問題も出てくるわけでございますので、今後の推移を見きわめながら、必要な交通機関に、しかもこれは大衆のためのものでありますから、十分きめこまかに対処する心がまえは持っております。
  39. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 諸外国で例があるわけでありますが、建設費その他の問題については国、地方公共団体が持っていく、運営費などについては、いわば企業の中で考えていくというふうな考え方日本でもぼつぼつ生かされなければどうにもならなくなっているんじゃないだろうかというふうに思いますが、その点についての見解をお伺いいたします。
  40. 江崎真澄

    江崎国務大臣 そうだと思います。そうなればこそ、私どもも、いま並べ立てましたようないろいろな助成方途を考えたわけでございます。  ただ、先ほど来島田委員の質問にも答えておりましたように、バス路線というものは、地下鉄などと違って——路面電車はむしろ撤去の方向に向かいましたが、施設費にそんなに金のかかるものではないというところに、助成方途にも、おのずと地下鉄などとは違った限界があるというわけでございます。現在としては、あとう限りのことをしたというふうに思っております。
  41. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 今日のモータリゼーションの問題、過密の問題過疎の問題というものは、日本の経済政策の問題、とりわけ、高度経済成長政策のいわば基本的な課題にかかわる矛盾でありますので、これらの問題については、政府責任を感じて、それを含めた対策というものをこの機会に考えなければいけないとぼくは思うのであります。  その点はその辺にしておきまして、その次に申し上げたいことは、このいろいろな答申を拝見しますと、赤字の理由というものの中に、毎年の大幅な給与の改定とか人件費の増大ということが書いてあるわけですね。何か、赤字原因が賃上げにあるというふうに、これもまた短絡して結びつけている見解が述べられていますが、これはやはり問題だと思うのです。賃金が上がるということは、物価が上がるから賃金を上げざるを得ないのであります。しかも、ことしの賃上げのことを言うまでもなく、春闘というものは、ある意味で、賃金をはじめとする日本の労働条件の社会的な相場というものを形式する上で基本的な役割を果たしております。そうしますと、交通労働者だけは賃金を上げなくてもいいという論理はないのでありまして、賃金が上がっていくということを前提にして経営の目標というものが立てられなければいけないと思うのであります。なのに、実は、結果的に振り返ってみると、第一次再建計画が失敗をしたのは、要するに、賃金がべらぼうに上がった、極端なことばを言えば、それに伴って料金がタイムリーに追いつかなかったということになるわけであります。こういうことはおかしいと思うのです。賃金論をここでやるつもりはございませんが、こういう考え方をぜひこの辺で改めていただきたいが、それに対する見解を承っておきたいと思うのであります。
  42. 江崎真澄

    江崎国務大臣 賃金の上がることは、赤字経営であるがゆえに非常にお荷物になるといいますか、重荷になるということは否定できないのであります。しかし、いまおっしゃるように、勤労者の賃金がどんどん上がっていく傾向というものは好ましいものだと私は思っております。もっともっと富が再配分されることはやはり望ましいことでありまして、そのことは自体は、私もここで議論しようと思いませんが、ただ企業全体として赤字であるというところに非常な負担を感じるわけですね。  ですから、この赤字をどう解消するか。これには、政府も、この法案で示しておりますようなあとう限りの助成方途を示しておる。したがって、企業管理者側においてももっともっと努力をしてもらいたい。これはターミナルを整備することばかりではなくて、さっきも申し上げましたように、警察などとも連絡をとって、各関係者で、バスの専用レーンなどをどうするのか、あるいは、出勤時にはもっとバスがすいすいと行けるような方途をどうするのか、こういったことをみんなで考え合う、これが必要だというふうに思います。
  43. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 そうしますと、この赤字を解消していく努力の中で、交通労働者だけが、賃金の面で、あるいは労働条件の面で、いわばしわ寄せをされるという考え方は一切ないというふうに理解してよろしゅうございますか。
  44. 江崎真澄

    江崎国務大臣 一切ないわけではないので、あなたのおっしゃる意味はもうよくわかるのですが、一切ないような形になることが望ましいわけです。しかし、企業である以上、やはり、その企業の背景といいますか、採算割れというような形が非常な不公正を生むわけですから、何とかして企業が健全に育成されるようにわれわれも努力をしてまいります。これは、今後の問題として考えていかなければならぬと思います。
  45. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 ここはちょっとすれ違いできない議論でして、いままで、交通労働者の賃金がきまっていく過程で、たとえば同じ労働者が、都市労連とかいう形で、春闘なら春闘、あるいは賃上げの要求を戦いますね。それが妥結をして、実際に給与を手にするためにはかなりなズレがあるわけです。これは差別です。そういう意味では、やはり公務員労働者なんですから、同種同業の、ということをあえて申し上げておけば、同時解決。そして、現実に公務員労働者の賃金などの面で、交通労働者だけが差別をされるということがないような、そういう約束をいただきたいということなんです。
  46. 江崎真澄

    江崎国務大臣 やはり、事業運営時に要する経費というものは、その経営に伴う収入でまかなう。企業である以上は、これが一つの根本的な原則であるというふうに思います。したがって、それらの給与というものは、国や地方公共団体の職員の給与のほかに、民間給与、それから当該事業経営状況といったものが全部ひっくるまって最終的にきまるわけですね。ですから、似たような地方公共団体の職種、それから民間の給与——これは、あなたはその道の専門家でいらっしゃるが、そこに企業主体のあり方も加味しないで、前の二点だけできめるということには無理があろうかというふうに思います。しかし、あなたのおっしゃる意味はわかりますから、企業内容を少しでもよくし、合理化して、そういう事態のないようにつとめていく。これはわれわれお互いに必要なことだと思いますが、この場面としては、やはり、企業の採算ということも度外視するわけにはまいらぬと思います。
  47. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 どうも少し賃金論に入っちゃうのですが、いわゆる支払い能力論という議論は、民間の場合でも事実上破綻をしているのです。というのは、労働力不足の時代に入っていますから、たとえば大手、中小の格差というものが当然であるという考え方は、今日までは成り立たなくなっているんです。だから、賃金の平準化が非常に急速に進んでいます。そして、組織されていようといまいと、たとえば、春闘なら春闘でかちとった労働者の成果というものがかなり速いテンポで波及効果をもたらしております。とすれば、社会的な相場というものを、極言して言えば、同じ公務員の労働者自身の中で、配分の面で差別をされているというのは耐えられないと思うのです。ですから、他の公務員労働者と差別しないということ、ここのところを大臣にしかと承っておきたいと思うのですが、その点の見解をもう一度承っておきたいと思います。
  48. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは、どうもなかなか歯切れよくお答えできないのを残念に思います。これは、地方公営企業はやはり企業ですから、その事業運営維持の経費は、人件費はその中の主たるものです。したがって、国の公務員、地方の公務員と同じ待遇をしたいわけですが、やはり、企業性のある団体に所属する以上は、その経理内容が影響することはいなめない。だから、今後立体的なあらゆる努力をして、そういう差別のないように、せめて収支とんとんていけるくらい——何も収支とんとんを全部自前でやれということを言っておるわけではないので、私どもも、政府としてあとう限りの助成法等は講じているわけですから、ひとつ努力もしてもらいたい、こういうわけでございます。
  49. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 つまり、収支とんとんになるまで、企業間格差、あるいは公務員の中の賃金の格差というものはしようがないという考え方を、少ししつこいかもしれませんけれども、われわれの側から見るとどうしても感ぜざるを得ないのです。というのは、やはり歴史的な経過があるわけであります。これは横浜の例でありますけれども、四十二年、四十三年、四十四年、四十五年、四十六年、四十七年と、その中で、たとえば市労連の賃金の妥結で、そして、それが市議会で議決され、そのあと制度化するという問題があるわけですね。そうしますと、ほかの公務員労働者はお金をもらっちゃって、ある意味では賃上げの成果を分けてしまっている。にもかかわらず、片方では、依然としてがまんをしている。それから、企業は借金しても何とかしなければいかぬわけですから、そういう形を実は歴史的に繰り返してきたわけです。だから、その辺について、都市交通の労働者は、何とかしてほしい、少なくともほかの公務員の労働者の差別をしないということをはっきりさせてほしいというのがまず第一の切実な要求です。だから、歴史的な経過を、ここでまた悪循環を繰り返すのではなくて、そういう悪循環にここでピリオドを打つという見解をはっきり示しておいていただきたい。しつこいようですが、この点はもう一ぺん見解を承っておきたいと私は思うのであります。
  50. 江崎真澄

    江崎国務大臣 ちょっと事務的に、一ぺん、いままでの経緯を踏まえて答えさせます。
  51. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 公営交通事業で働く公務員の給与が一般公務員の場合と差別がないということは、私どもも望ましいところであると考えておるわけでございます。ただ、問題は、先ほど来大臣が申し上げておりますように、そういうためには前提条件がある。要するに、それだけの財源というものを企業内で生み出す努力をしてもらいたい、こういうことで私ども考えておるわけでございます。  しからば、具体的にどういうことがあるかということになりますと、たとえば料金改定ですが、収入がふえなければ当然財源を生み出せないわけでございますから、料金改定というものをタイムリーにやってもらいたい。私ども、第一次財政再建を振り返ってみまして、先ほど大臣からいろいろ申し上げましたような要因がございますけれども企業外の要因と並んで、やはり、企業内部の要因というものをわれわれは無視することはできない。その企業内部の要因の一つといたしましては、再建期間に料金改定というものは一回しか行なわれておらない。こういうことでございまして、そこらのところに、給与改定というものを行ないがたい事情があったというふうに理解をいたしておるわけでございます。  したがいまして、この給与改定において、差別がない、望ましい状態というものを実現するためには、やはり、それに対応しまして料金の適正化というものをタイムリーにやってもらいたい。あるいは、御案内のとおり、民営交通と公営交通を比較しました場合、料金改定のときに政府部内でもいつも論議になりまして、私ども苦境に立ちますのは、民間企業に比べて、公営企業の場合は、キロ当たりの人件費の比重が高いという問題があるわけでございます。その辺のところも含めまして、経営努力というもので財源を生み出してもらいたい、そういうことを前提にして、給与改定というものについて格差が生じないように努力してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  52. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 民間と比べてという議論をすぐ持ち出されるわけですけれども、この議論をここで詰めてしようとは思いません。ただ、交通労働者も、同種同業のほかの公務員と同じように待遇されるということも含めてきめられているわけですね。ですから、そこのところだけを強調されていくといろいろな問題が出てくると思うのでありますが、そういう点は、ぜひひとつ今後とも考慮を願いたい。そして、再建団体のもとでは、いままで、企業管理者というものは事実上自主交渉能力というものを失っていたわけですね。そういう中で、公務員労働者、とりわけ交通労働者が非常に困難な戦いを続けてきたわけです。つまり、賃金確定と制度化という二重の戦いをやってこざるを得なかったわけでございますので、この点は、私のほうからあえて言わせていただけば、財政再建団体の職員に対しても、賃金やその他の労働条件について、当該地方団体の一般職員と差別しないという原則をこの機会にどうしても確認をしていただきたい。そのことをお願いをしておきたいと思うのですが、もう一ぺん見解を承っておきたいと思います。
  53. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは御意見としては私どもも同感でありまするから、そういうふうになる環境づくりを一そう努力する、こういうことで御了解おきを願いたいと思います。
  54. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 第一次再建計画の中で、何だかんだと言っても、一番犠牲にされてきたのはやはり労働者だと思うのです。それは、自治省の統計なり資料を拝見いたしましても、いま大臣のお答えにもありましたように、路面電車の営業キロ数というのは、実は、再建当初の十分の一以下になっております。これは、実は、あの路面電車がなくなっていくときに、東京交通の労働者が、自分の職場であるところの、自分の運転していた電車がこれで廃止になるというので、涙を流して別れを惜しんでいたことがいまでも私は記憶に残っております。つまり、路面電車が撤去されるということは、労働者にとってみれば、文字どおり職場を奪われることであります。しかし、その職場というものがどうして奪われていったかといえば、もちろん、採算の問題があるでしょう。つまり、電車が走れなくなってしまった理由というのは、まさに、自動車のほうが一ぱいになってしまって電車が入れなくなったということですね。  そういう因果関係をとらえてみると、電車が赤字になったというのは交通労働者の責任ではないわけです。にもかかわらず、職場を追われてしまうわけであります。そういうことを考えてみていただきたい。あるいは、この資料によっても、バスのワンマン化率というのは、再建当初の二八・五%から、現在では何と八七%、九〇%近いという数字がここに示されているわけであります。一人の労働者にとっても、いわばたいへんな労働強化であります。  それだけじゃないと思うのです。つまり、人員の削減です。私が申し上げておるのはみんな六大都市のトータルでございますけれども、在籍職員というのは、再建当初四万四千人いました。いまでは四万人を割って、三万七千を割っているというような今日の状況です。そのことは、一人一人の労働者にとってみるとたいへんな労働強化だというふうに言わざるを得ないと思うのであります。諸手当の合理化でも同じです。かっこうは合理化ことば合理化だけれども、中身は既得権を全部奪い去ってきているのであります。たとえば、これは東京の例でありますけれども再建前に四十四種類ありました。それが四十六年には九種類にカットされているのであります。明らかにこれも既得権の侵害だと言わざるを得ないのであります。だから、第一次再建というのは、言うところの再建債とバーターに労働者の犠牲、あるいは一方的な犠牲という形でやってきたというふうに、極端なことばを使えば言えるのじゃないだろうか。つまり、一方的な労働者の犠牲によって、今日まで時間的な推移があったというふうに申し上げなければならぬと思うのでありますが、この合理化という課題と第一次再建計画の失敗の理由との関係において、大臣に、若干の歴史的な経過を踏まえた御見解を承っておきたいと思うのであります。
  55. 江崎真澄

    江崎国務大臣 合理化のために、その職場にあった人々が犠牲になった、これは確かにあったと私も認めております。したがって、当時としては、そういう人々にもあとう限りの措置をする、ところが、企業自体がまた赤字であるために、その措置も十分でなかったろう、ということで、察するに余りがあるものがあります。そういう合理化協力に対しては感謝しなければならぬというふうに私も思っております。
  56. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 今日までの第一次再建計画というものが破綻をしたということは、いろいろな理由があろうにせよ、今日までの政府に、一般的ないまのモータリゼーションの問題や高度成長という問題も含めて責任があったと思うのであります。少なくとも、今度の第二次再建のいわば端緒に、政府の、その政策上の破綻といいましょうか、矛盾といいましょうか、そういう問題についての反省がどうしても必要だと思うのであります。この点について、国民はもちろんのこと当該の交通労働者の前にも、政府としての見解をこの際示しておいていただきたい。このことをお願いしておきたいと思います。
  57. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 先ほど来申し上げておりますように、第一次財政再建の、私ども破綻とまでは思っておりませんけれども、うまくいかなかった原因と申しますと、企業内要因と企業外要因と両方あるわけでございます。企業外要因ということになりますと、これは明らかに都市構造の変化なりあるいはモータリゼーションで、こういう問題がございまして、バスの定時性というものが失われていった。こういうことがお客さんを減少させ、したがって収入が減る。こういうことが大きな原因であったわけでございますが、企業内部の要因といたしましては、やはり、人件費その他の経費の増高に対処しての料金の引き上げというものが適切に行なわれなかった。あるいはまた、経営努力という面におきましても、確かに、ワンマン化あるいは路面電車の撤去、あるいは諸手当の整理等といったことで、企業内部の努力を高くわれわれ評価するのにやぶさかでないのでございますけれども、なお、中には必ずしも十分でない団体があることも事実でございます。  ただ、その場合におきまして、第一次再建——私、この席上でも申し上げた記憶があるわけでございますが、やはり、あの段階におきましては、路面電車というものがどうにもならないが、バスというものについては、まだ若干前途に明るい見通しがあったわけであります。そこで、路面電車の赤字を路面バスがかせいで返すという考え方が私どもの脳裏にあったわけでございますが、この点につきましては、率直に申しまして、もういまや無理でございます。  そこで、第一次財政再建におきましては、路面交通赤字について、利子部分のみを国と地方一般会計とで補給をするという形をとっておりましたけれども、今般は、元本並びに利子、すべてこれを国並びに地方一般会計でまかないをつけるということで、企業負担というものをまるまるこれは荷を軽くした。これはやはり一つの大きな前進であるというふうに考えるわけでございます。  それから地下鉄ですが、大都市の場合でございますと、将来の基幹的な交通手段ということになりますと、地下鉄というものが中心になってまいらざるを得ない。この地下鉄につきましては、御案内のとおり、キロ当たり十七億、近く、百億という時代も目の前にあるわけでございまして、これにつきます国なり地方一般会計なりの公費負担の割合を大幅に引き上げた。あるいはまた、既応の利子に対応しますところの孫利子補給、これを全面的に拡充した。こういうことによりまして地下鉄というものの経営の安定化をはかってまいる。こういうことでございまして、今後残された問題は、路面バスというものがいかにしてそろばんがとれるように運行ができるかということ、この一点に集約できると私は思うわけでございます。  先ほど島田先生からもお尋ねがあったのはその点であろうと思うわけでございまして、この点につきましては、政府各省各庁一体となりまして、いわゆる企業環境の改善ということに全力をあげることによりまして定時性の回復ということをはかってまいる、それによりまして路面バスの採算を回復してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  58. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 いま御指摘をいただきましたけれども、第二次再建計画というのは、国及び地方公共団体一般会計再建債の元利を補給していくということ、あるいはバスの半額補助、あるいは都市間交通の環境整備、こういうことに関する若干の方針が述べられました。しかし、島田さんも伺っておりましたけれども、これで今日の危機に立つ公営交通事業再建される見通しがあるのかないのか。おそらく無理だろうと思うのであります。日ならずしてそのことが明らかになる。そのことは、何よりも第一次再建計画の実質が証明していると思うのであります。そこで、並行的にいまここで提起をしようとしているわけだけれども、並行的に、これらの問題に対する再建の方途について、抜本的なしかるべき手だて、検討、こんなことを続けていかれるつもりがあるかどうか、そういうことについて若干伺っておきたいと思うのであります。
  59. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 この路面交通、特にバスにつきましては、先ほど申しました定時性の回復のためのあらゆる努力をしなければならないということが、政府サイドにおきます今後の課題であろうと思います。  それから、企業内部におきましては、先ほどの賃金問題とも関連するわけでございますけれども料金改定という必要が生じました場合にはタイムリーにやっていただきたい。これは企業内部の努力の問題といたしまして、私どもはどうしても今後お願いをしていかなければならないと考えておるわけでございますし、企業経営の内部努力といたしましても、それぞれの自治体によりましてそれぞれの事情があろうかと思いますが、実情に即した努力は引き続いて行なっていただきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  60. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 いま、料金改定の問題が出ました。いま、あっちこっちの状況を調べてみますと、従来は、料金改定というのは、三年ぐらいを周期にして変更されていたように理解をしています。最近では、もうほとんど二年に一回になっていますね。特に、昨今の慢性インフレというのは、たいへん激烈と申し上げてもことばがあまり誤っていないほど深刻であります。今度の再建計画を策定する過程の中で、二年周期で運賃を値上げすることを予想していたのではないだろうか、こんなふうに考えますが、その点についての見解を承っておきたいと思います。
  61. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 料金改定ということにつきましては、中小都市の場合でございますと、いわゆる二年でございますか、大都市等の場合におきましてどういうふうに料金改定をやっていくか、そういうローテーション方式というものが公営企業の場合にはたして適切かどうかという問題もあろうと思いますが、いかんせん、現実に人件費その他の諸資材等の経費の増高があるわけでございますので、これは、私どもといたしましては、いまのそういう人件費、給与改定といったものを念頭に置きながら、少なくとも二年ないし三年程度の収支のバランスというものを考えながら料金改定をやっていただきたいというふうに考えておる次第でございます。
  62. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 二年ないし三年で地方公営企業料金を値上げせざるを得ないと考えているというふうに承ってようございますね。
  63. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 現在の状況、物価の上昇等、こういうものを前提に置いて考えますと、今後、給与改定が、あるいは物価の騰勢というものが政府施策よろしきを得ましてとまるということになりますれば、あながちいま申し上げたようなことは言えないと思いますが、現在のような情勢を前提として考えますれば、やはり、その程度を目安に置いて料金の引き上げというものを考えざるを得ないのではないかというふうに考える次第でございます。
  64. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 それに関連して、昨年の七月二十二日に、物価対策閣僚協議会で、横浜、名古屋、神戸などで、京都を含めてですが、料金の引き上げに関連して、向こう三年間は運賃水準を維持するように指導するという申し合わせが行なわれていますが、これは大臣に伺いたいと思うのですが、それは今日も生きているというふうに理解してようございますか。
  65. 森岡敞

    ○森岡政府委員 お話しのように、昨年の料金改定の際にそのような申し合わせがございます。現段階ではその考え方は生きているものと、かように考えます。
  66. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 公共料金が引き上げになりますと、一般の物価にストレートに影響するということだけは事実でございます。したがって、二年で、そのたびに引き上げていくということは地方自治体にとってもたいへんなことだろうと思うのです。  それに関連して、物価対策などの観点から、料金の値上げというものをしないで、国がめんどうを見ていく、補てんをしていくという考え方は成り立たないのか。これは、いろいろな答申の中にも、その考え方というものをもうぼつぼつ考えなければいかぬのではないか。これは、公共料金というもののあり方を含めて問われていますが、承っておきたいと思います。
  67. 江崎真澄

    江崎国務大臣 物価対策として公共料金を押える、これは従来でもあったことでございまするが、そういう場合は、全般的に、政府の手の及びまする範囲のものは押えていくという傾向にあったわけでございます。  いま御指摘のように、これはやはり一種の統制を加えることでありまするから、そういうことが臨時的のものでなしに、永続するということになれば、これは政府責任において処置しなければならぬ問題も出てくるものというふうに思います。
  68. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 いままでの大臣とのやりとりを含めて承っておりますと第二次再建計画というのは、部分的でありますけれども、いわゆる独立採算制原則というものがかなり破られてきている、破られざるを得なくなってきているという状況を私ども理解をするわけであります。その意味で、この現実というものをすなおにお認めになって、そして、公営企業法にいうところの例の独立採算制及び負担区分を改めていく見解はないかどうか、承っておきたいと思います。
  69. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 繰り返しになろうかと思いますが、公営企業につきましては、能率的な経営を行なっても収支のバランスがとれない、あるいは、いわゆる経費の性質上、能率的な経営を行なってもペイできないというようなものにつきまして、いわゆる負担区分の原則というものを立てておるわけでございます。そういう負担区分の原則というものを前提にいたしまして、企業会計の負担とせられるものについては、それに必要な経費は収入をもってまかなうという意味での独立採算考え方独立採算と申しますと、世上には、何でもかんでも、企業のまかないは全部その収入でまかなうのだという議論があるわけでございますけれども考え方といたしましては、やはり、一般会計企業会計との負担区分という原則をまず立てておる。その中におきまする独立採算制ということでございまして、この考え方の基調というものは改める必要はないのではないだろうか。  ただ、現実の問題といたしまして、たとえば、現在、累積赤字というものについては、企業以外の負担においてまかないをつけるといった意味におきまして、いわば現実的な解決をはかっておるというふうに理解をいたしておるわけでございます。
  70. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 つまり、公営企業法を改正したくはないけれども、それはたてまえであって、本音は、独立採算制というものが無理になっているということをお認めになっていると私たちは受けとめたいと思うのです。というのは、自治省の皆さんが書いた論文などをいろいろ拝見させていただきますと、独立採算制を行なう基盤を与えることなく、経費のすべてを企業経営に伴う収入でまかなえというのは無理な話だとはっきり書いているのですね。そういうことも含めて、独立採算制の問題について、もう一ぺん負担区分の問題を承って、私は、次に移りたいと思います。
  71. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 その論文は、私、ちょっとよくわかりませんけれども、基本的には、私がただいま申し上げました企業会計と一般会計との負担区分というものを前提にして、一般会計が持つべきものは持つべきもの、企業会計が持つべきものは持つべきものとして、その企業会計が持つべきものとされたものにつきましては、たとえば、地下鉄に対する建設費助成といったような政策的な補助というものは別にいたしまして、そういうもの以外においては、当該企業からあがる収入をもって経費をまかなうという意味での独立採算制原則というものは堅持さるべきものだというふうに考える次第でございます。
  72. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 それは、何ページにどういうふうに書いてあるという話はここではやめておきたいと思います。というのは、大蔵省に予算要求をされる段階でも、自治省が、具体的な予算要求の中身の中に、みずから、独立採算制というものは否定せざるを得ない、企業会計だけではどうにもならなくなっているということを前提にして予算要求をなさっているという背景もあるわけでありますから、これは、いつまでもことばとしての独立採算制を固執さるべきではない。やはり、めんどうを見るべきところは見ざるを得ない。この辺については、決断をすべきだろうというふうに思うのであります。  それに関連して、いま、政策的な補助という問題考え方が出されていますが、これは審議会の答申の中にもありますけれども、それよりもう一つ拡大をして、たとえば、通学、身体障害者、老人あるいは公害病の認定患者などなどの人たちに対する政策的な割引というふうな問題も考えるべき時期が来ている。老人医療の無料化というようなことを考えざるを得ない背景の中にもそれがあると思うのでありますが、それについて、国が負担をしていくという考え方は成り立たないか。この辺で、その辺についてはっきりした見解を承っておきたいと思います。
  73. 森岡敞

    ○森岡政府委員 各種の割引が御指摘のようにございますが、その中で、たとえば通勤通学割引などについて考えますと、料金システムの中の一つのエレメントだというふうに理解すべきものもあるわけでございます。定期券と申しますものは、一枚一枚の切符に比べれば、申し上げるまでもなく、手間もかからないわけでありまして、ある程度の割引が当然あってしかるべきものという考え方交通料金についてはあるわけでございます。  しかし、あとのほうの御指摘の身障割引でございますとか、老人割引でございますとか、そういうふうな問題になってまいりますと、これはまさに政策割引でございます。それらにつきましては、地方公営企業法第十七条の三の「補助」の規定でございます。それによりまして、一般会計から企業会計に助成をしてまいるという形をとることは一向に差しつかえないし、個々の地方団体の政策判断としてやっていただく、こういうことではないかと思います。
  74. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私の伺っているのは、地方自治体がかってにやって、そのままやればいいじゃないかという議論じゃなくて、たとえば、老人医療の無料化に示されたように、最初は地方自治体がやってきましたが、しかし、それは、切実な国民要求を反映して、国の政治として取り上げざるを得なくなっているわけですね。たとえば、地方自治体などでは、公害病認定患者に対する補助をしている。特に、川崎なんかはそういう補助をしています。割引をしています。あるいは無料にしています。これは、実は、必要に迫られてやっているわけでありますから、やはり、国がそういう問題について補助するという見解に立つべき時期だというふうに思うので、大臣、この点について伺いたい。
  75. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは、おっしゃる意味は私もよくわかります。また、福祉政策を推進するというたてまえから言えば、ぜひ将来にわたって実現をしたい問題だというふうに考えますが、これは関係各省庁と緊密に連絡をとりまして、そういった結論づけをしてまいりたいというふうに思います。
  76. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 どうも、大臣と話していると、おっしゃる趣旨がわかると言って、意味はわかっちゃうのですが、その次にもう一歩の足がちっとも出てこないので、そこが困るのですよ。わかったらぼつぼつ足を出さぬと、やはり後手になってしまう。だから、言っている意味がわかるんじゃなくて、わかったらぼつぼつ実行に移してもらいたい。決断と実行なんですからね。この点をぜひひとつ踏み出していただきたい。
  77. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは、各地方公共団体の判断で、財政と見合ってそれぞれの首長が実行しておられるわけですね。国としては、これはやはり国全体の問題ですから、非常に負担も重くなるし、また、いまのこういう企業会計が赤字であるというところに押しつける場合には、当然、国がその分についての裏づけを見るのは、これはあたりまえのことになるわけですから、慎重にならざるを得ぬ。それで、ただ私が腰だめでやりましょうと言うわけにもまいりません。そうかといって、おっしゃる気持ちゃその方向は私も賛成ですから、十分関係各省庁と協議をして結論を見出しますというふうに言っているわけですね。ですから、これはやはり十分協議しませんと、私だけが簡単にやりましょうと言っても、それではあと財源のめんどうをどうしてくれるということになるわけですから、これはもうしばらく時間をおかし願いたいというふうに思います。
  78. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 協議をするときは、だれか言い出さないといけませんからね。これは、地方財政が非常に困難をしておって、そして、福祉行政の一番身近なところにいる地方自治体が悩んでいる問題です。ですから、協議をなさるために大臣が発議をしていくというくらいの決意を承っておかぬと、これはせっかくの機会なんですからね。趣旨はわかります、努力をいたします、前向きにというような、いわゆるやりとりではなくて、たとえば公害病認定患者というふうな問題、社会的な救済を必要としている人たちに対する措置、せめてこの辺のところについては、所管が違うとか言わないで、ぜひ処置を願いたいと思うのですが、いかがでしょう。
  79. 江崎真澄

    江崎国務大臣 ですから、この対象範囲というものが非常に大きくなりますね。たとえば民営バスもありましょう。民営の軌道車もありましょう。また、国鉄をはじめ、こういう公企体の企業もありましょう。したがって、非常に関係する範囲が多方面にわたります。ですから、私は、リーダーシップをとるかどうかということは、これはお答えするのに比較的簡単ですが、これはよく関係閣僚と話し合いまして、少し時間をかけて検討をするということでありませんと、たとえば六十五歳以上の老人医療無料化、これは七十歳になったわけですが、これは足元のお医者さんから反対が出てきたのですね。六十五歳以上を全部無料化なんということにされたら医者の数が足りない、いまでも異常な重労働をしいられておるんだが、この無料化を国策としてやられた場合には、銭金の問題よりもわれわれの能力の問題がからむという、国家的な一つ意見が出てまいりました。国家としては、東京都でいうような、また、特定の地方公共団体でやられるような六十五歳ということは、ただに経費面だけでなしに、実現が不可能であったということもあります。  ですから、私の言っている意味は、たとえば医療の問題でもそういう問題があったように、交通の問題ということになりますと、関係する面も非常に大きゅうございます。ですから時間をおかしいただきたい、こう申しておるわけであります。
  80. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 老人医療の問題で議論するつもりはない。というのは、キャパシティーの問題で六十五歳に下げることができなかったというのは、これは一面でありまして、地方公共団体の財政負担のワクみたいなものがやはりあるわけです。主としてそこなんです。だから、そのキャパシティー、医者の能力がないからというふうにお考えいただくのはちょっと心困るのですが、その点を論争しているわけではありませんから、せめて公害病認定患者などに対する措置というものを、これは切実な問題なんですから、政府の政策として考えるべき時期が来ている。このことをリーダーシップをとっていただきたいと要求をしておきたいと思います。  少し法案の中身について触れてみたいと思うのですが、先ほど申し上げましたとおりに、この法案の中には、第一次再建計画のいわば失敗というか、破綻寸前というようなことが書いてあるわけですから、破綻ではないかもしれませんが、その反省というものが十分にないように私は思うのであります。その立場から言いますと、地方公営交通事業健全化政府がもうちょっと責任を持つというか、特に、財政措置の問題、あるいは交通施設整備の問題あるいは道路使用適正化などに関連をして、国の責任というものを明記すべきではないだろうか。この辺について伺っておきたいと思うのですが、この点で、私どもは、第三条の「国の配慮」を「国の責務」に修正すべきだという立場を明らかにしていることは御承知のとおりであります。当該地域における交通環境の整備改善に、この機会にそういう形でつけ加えていくお考えはないかどうか、伺っておきたいと思います。
  81. 江崎真澄

    江崎国務大臣 事務的には政府委員からお答えいたしますが、当然、政府責任を持てばこそ、利子負担をしたり、あるいはバス購入費に協力をしたり、というわけですね。ですから、これは字句の問題でございまして、国が配慮をするという表現になっておりますが、このあたりで妥当じゃないかというふうに思います。
  82. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 字句の問題なら、私ども要求している「責務」というふうにお考えになっていただきたいと思うのですが、その点を重ねて御質問申し上げながら、この問題については、関係各省もお見えでございますので、御見解を承りたいし、その、今後の施策、とりわけ、交通施設整備あるいは道路使用の適正化という問題についての関係各省の見解を承りたいと思うのであります。特に、運輸行政中の軽微な事項については、地方公共団体にその権限を移し、あるいは強めよというような答申も出ているわけでありますから、その辺についての具体的な措置を承っておきたいと思います。
  83. 森岡敞

    ○森岡政府委員 第三条の条文につきまして、まずお答えいたします。  先ほど大臣から御答弁申し上げましたのに尽きておるわけでございますが、若干補足して申し上げますと、やはり、何と申しましても、公営交通事業でございますから、当該事業経営しております地方公共団体に第一次的な責任が帰属する、これは当然なことであると思います。しかし、その場合に、現在のいろいろな諸条件を考えますと、国が協力をしあるいは援助していくということでなければ、公営交通事業健全化ができない。そういう協力なり援助を「国の配慮」という形で本条に規定をした、こういう趣旨でございますので、条文といたしましては、大臣から申し上げましたように、これで十分ではないだろうか、かように存じております。
  84. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 十分でないから、実は、「責務」というふうにして、そしてその責務を負っていくのだということを要求しているわけであります。この点についてぜひ御配慮をいただきたいと思います。  その次に、法律の第四条の三項二号、これは私が申すまでもなくおわかりがいただけると思うのでありますが、「経営改善及び合理化に関する措置の大綱」で、この「合理化」というところであります。「経営改善及び合理化」という、ここのところを、従来の関係を含めて削除すべきではないかというふうに私どもは主張しています。なぜそうかといいますと、先ほど、第一次再建計画の経過で全部申し上げましたけれども、第一次再建計画の中で、合理化という名においてどんなにか当該労働者が犠牲を強要されてきたかということについては、先ほど私がこまかく申し上げました。いま、労働者の気持ちになってみれば、第一次再建計画合理化されて、ある意味での配転や、ある意味での労働強化や、あるいは賃金の面の差別や、なれない職場への転勤をせざるを得ないということやら、いろいろな苦労をしてきているわけであります。その意味で、合理化ということばが持っている意味について、とりわけ労働者は、本来このことばが持っている意味とは違った意味で受けとめざるを得ない実情にあることを理解をいただきたいと思うのであります。こういう大きな事業再建していくというためには、どうしても当該労働者の協力を得なければいけません。働きやすい職場の環境をつくっていかなければなりません。そういう意味から、この「合理化」ということばについてぜひとも削除をしていただきたい。「改善」ということで尽きているのではないかというふうに思いますが、この点について見解を承っておきたいと思います。
  85. 森岡敞

    ○森岡政府委員 この条は、「経営改善及び合理化」と書いてあるわけでございまして、非常に幅広い考え方を私どもはとっているわけでございます。「合理化」ということばは、「改善及び合理化」と一口に読んでいただきますと、おっしゃるような、それほどそのことを強く意識するということではないのではないかという感じがいたします。  それはさておきまして、実体的に考えますと、最初に申し上げましたように非常に幅広く考えているわけでございます。一つには、企業の外的な環境を改善していく。そのためには、後のほうの「措置の申出」の規定などにもありますように、交通企業につきましても、こういうふうにやってもらいたい、ああいうふうにやってもらいたいというものを織り込みまして、それを政府各省に申し出る、それをもって経営改善合理化一つの手だてにしていく、これも必要であります。また、収入の増加というものをはかっていかなければなりません。その中には、サービスの改善ということもありますし、また、先ほど来話が出ておりますように物価上の問題もございますけれども、ある程度コストが上がれば、それに見合った、タイムリーな料金合理化ということも必要である。さらに、支出の面では、経費の節減ということ、これは、大臣からも申し上げておりますように、企業でありますから、経費の節減ということを常に考えてまいる。これは当然のことであろうと思います。  そういうふうな、もろもろの、非常に幅広い経営改善及び合理化を考えておるわけであります。そういう意味合いで御理解ただきますならば、これを特に削除しなければならないということではないというふうに私どもとしては考えております。
  86. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 さっき私が「配慮」を「責務」というふうに直せと言ったら、ことばの問題だということでしたが、ことばの問題なら、やはり、みんなが理解しやすいことばに直せばいいのですよ。いまおっしゃったように、「合理化」というのはとても広い意味を含まれているということはわかりますよ。だけれども企業以外の環境の整備というようなことは、この法律に盛らなければいけない合理化というような問題ではないような気がするのですね。この中には含まれないような気がするのですが、それはこっちへ置いておいて、いままでの歴史的な経過から見ると、この合理化という名において、当該労働者が非常に犠牲を強要されてきたと率直に申し上げたい。だから、ぱっと身がまえざるを得ないような歴史的な経過があるつなげて読めというのじゃなくて、改善の中で尽きているのではないかと思いますので、削除をすることについて、ぜひこれは御同意をいただきたい。もう一ぺん承っておきたいと思います。
  87. 江崎真澄

    江崎国務大臣 またこれは同意ができなくて残念ですが、これはやはり改善をし、合理化もあわせ進めてもらわなければならぬ。いま岩垂さんがおっしゃるような労働条件の問題等がからんでくることは、これは従来でもそうですが、労使間で十分話し合いをすることが一番大事なわけで、それを無視して、「改善」であるとか「合理化」という法文上のことばがあるからといって、押しつけがましいことを自治省がしたり、また、かってなことをしたりすることばできるものじゃありません。現在の労働事情から言っても、情勢から言っても、ですね。ですから、その点は御心配に及ばないのじゃございませんか。
  88. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 この辺は、いろいろここでやりとりをすることだけじゃなくて、もう一ぺん、この法案をどういうふうにしていくかという始末の問題を含めて、同時に、われわれの気持ちをも含めて、幅広く今後ともぜひ検討を願っておきたいと思うのであります。  どうしてそういうことを言いますかというと、これは、この法律に出てきますと、これから政令や省令ということの段階で、具体的にわんさと出てくるわけです。これも合理化だ、これも合理化だ、法律に書いてあるじゃないかといってたくさん出てくる。つまり、拡張解釈という問題も第一次再建過程の中にあったわけですので、それらの問題について、政令や省令というのは国会の審議の対象になりませんから、政令や省令の問題にまで含めて懸念をするわけでありますので、繰り返して、これはぴしゃっと答えてしまわないで、やはりみんなの気持ちをも尊重していくという態度を留保しておいていただきたい、このように思います。(「大臣は了解しているかな」と呼ぶ者あり)大臣は頭を下げましたから……。
  89. 江崎真澄

    江崎国務大臣 留保については、わかりました。
  90. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 次に、第五条の問題ですが、「当該地方公共団体の議会の議決を経て、自治大臣の承認を得なければならない。」というのですが、これも討論し尽くされてきた議論でありますが、ここのところはやはり、「自治大臣への届け出」というように、つまり、「承認」を「届け出」というふうに私どもは修正をしたいと考えているのです。再建計画を策定する際に、これは第一次の場合でもあったのですが、これはあるいは山田委員も御指摘いただいたかもしれませんけれども、事前協議におけるチェックが非常に大きなウエートを占めてきたという経過があるわけであります。地方公共団体がせっかく地方自治の本旨にのっとって地方議会で議決をしてきめてくるわけでありますから、これらの問題について、大臣に承認を得なければならないということではなくて、地方議会の議決が優先する、地方自治の原則をそんたくするという、こういう立場を御理解願いたいと思うのですが、見解を承っておきたいと思います。
  91. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これはなかなか問題のあるところでして、国及び地方公共団体が、一般会計を含めて財政的な援助措置をして再建を推進しようということになりますると、これは議会の議決を経て再建計画を出してこられるわけでありまするが、当然、国民税金を出して、それに積極的に協力をして、いまの改善合理化をはかっていこうということを企図しまする以上は、やはり、責任の所在というものを明確にしなければならぬと思うのです。ですから、いま、届け出制で済むではないかとおっしゃいまするが、民間銀行なんかでも、金を、助成じゃなくて貸すだけでも、銀行側の承認を得なければなかなか金は借りられません。それから思えば、国民税金を、これは貸すのじゃなくて助成するのですから、そういうたてまえから言えば、承認制をとるということは、責任の所在を明確にする上から言っても当然だというふうに考えます。
  92. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 ここのところも、地方議会の議決というものが簡単に行なわれるわけじゃなくて、いろいろな討論を重ねてやるわけです。しかも、与野党でいろいろあるわけです。いろいろな与野党があるわけですが、革新自治体を含めて言えば自民党のほうが野党なんですけれども、そういう討論を経て積み重ねてきている立場、つまり地方自治の尊重ですが、こういう立場というものをやはり優先して考えるべきじゃないだろうか、このことを私は申し上げておきたいと思います。  続いて、事前協議の問題についてですが、これももう担当の皆さんには御理解を願っているとおりでありますが、一歩誤れば、大臣承認権との関係で、労働者の権利を侵害するおそれをやはり持ってくるわけであります。さっき大臣は、労使関係の問題というのは、せっかく話がまとまったものを、いまごろ一方的にこわすことはできない、それは尊重することはあたりまえだとおっしゃいましたが、そこで、その言葉にもう一つ加えて、法律上のたてまえとして、あるいは実際面で、団体交渉の妥結内容を侵害するということが事前協議の中で行なわれることはないとはっきり承っておきたいと思います。
  93. 江崎真澄

    江崎国務大臣 労使関係につきましては、もとより、これは現場で非常な話し合いをされるという上に立って処置されることが最も望ましいわけですし、自治省自体が強圧を加えたり、かりそめにもそれに不当な干渉をするというようなことは考えておりません。
  94. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 もう一ぺん承っておきたいと思いますが、労使間で団体交渉の結果妥結した内容について、今後侵害をするというようなことはない、そういうふうに承りたいと思います。
  95. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 事務的な事前協議という問題でございますので……。
  96. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 大臣の答弁だけでいいです。もう要らぬですよ。
  97. 江崎真澄

    江崎国務大臣 補足をひとつ……。
  98. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 今度の再建というのは、ある意味において企業自身、あるいはそこで働く職員の方々も、われわれ政府当局といたしましても、率直に申しまして、背水の陣に立っておるような感がいたしておるわけであります。でありますから、いかにして長い目で見て企業を存立させるかという前提でこの計画を立ててもらいたい。したがいまして、そういう共通の認識の上に労使双方は立たれてこの団体交渉をされ、団体協約を結ばれるであろうということを確信をいたしております。したがいまして、この再建計画を、かりにも破綻に帰せしめるような協約というものは結ばれないであろうということを前提にいたしまして、極力尊重をいたしたい、こういうことでございますので、若干補足させていただきます。
  99. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 どうも困るのです。というのは、そういう配慮というものをどこまで広げていったらいいかということになるわけですよ。これはどこまでも広げてしまうのですよ。そういうふうに期待をしてとか、背水の陣に立っているということを前提にしてとか、そういうことじゃなくて、公企労法というのは、団交権の範囲を明らかにしているわけですね。そして、それに基づいて、いわばその実現を保障されているわけであります。だから、団交権に基づいて決定された結果については、確実にこれを尊重しなければいけないと思うのです。いやしくも、再建計画行政手続をたてにして、とりわけ、事前協議というふうなことをたてにして、労使の労働条件についての協定を変更させるというようなことはあってはならないと思う。したがって、さっき大臣からお答えをいただいたことをもう一ぺん私は確認しておきたい、このように思うのであります。
  100. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは公営企業でありまするから、いま財政局長が申し上げましたように、この企業再建をどうするかということは、企業内部自体でも前向きに結論づけるということを私どもは信頼するわけであります。企業がつぶれていいなんという再建計画案などというものはないわけですからね。だから、いま財政局長が申しまするように、極端な場合、だれが見てもこれはどうも再建方途にもとるというような場合には、これは政府として黙っておることはできません。しかし、そうでない限りにおいて、労使間において十分話し合いができ、それが再建方途にかなうというものであるのに、それに自治省が要らざる口を出す必要はもとよりないというふうに私は思います。
  101. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 その辺は、極端な非常識ということばを言われたのですが、その極端な非常識ということの意味の中にも、正常な労使の関係に介入する余地というものがあるのじゃないだろうかと、これは心配するわけです。ですから、私どもとしては、この点は、要するに、労使の労働条件についての協定というものを尊重するという立場をはっきりと御確認をいただきたいと思うのであります。  次に移りますが、それに関連をして、公営交通問題研究会の答申によれば、賃金体系の変更という問題を示唆しています。政府はこの点を今後とも強行なさるおつもりなのかどうか、この点について見解を承っておきたいと思います。
  102. 森岡敞

    ○森岡政府委員 御指摘のように、研究会の報告におきましても、給与の問題につきまして、バス事業については、申し上げるまでもなく非常に大きなウエートを占めておりますので、給与費の問題は非常に大きな課題として取り上げているわけでございます。先ほど局長が申し上げましたように、民間バスと比べますと、百キロ当たりの人件費はかなり高うございます。もちろん、これは、年齢構成が高いということと、あるいは都心輸送が多うございますので、なかなか走れない。そういうものの積み重なりでございますが、しかし、給与体系自身も、これは民間と比べますればかなり違った形になっておる。その辺のところをいま少しく検討を進めるべきだという指摘を研究会はしておられるわけであります。  私どもといたしましては、これはなかなかむずかしい問題でございます。むずかしい問題ではございますが、今後の再建計画の確定及び執行を円滑にやっていきますためには、いますぐどうこうということにはかりにならないといたしましても、少し長い目で見て、この問題については、お互いにいろいろと研究をしてまいる必要があるのではないか、かように考えておるわけであります。
  103. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 拙速にやるつもりはないということですが、労働者の気持ち、要求というものを尊重していくということをぜひ考えていただきたい。このことを申し上げておきたいと思います。  関連をいたしまして、今度の財政再建計画に職員の賃金改定費を計上するということを私ども要求をしてまいりました。これも皆さん御存じのとおりでありますが、かねてから要請をしてまいりましたこの点について言えば、たとえば経済社会基本計画でも、所得の増加率は一二・三%程度のアップを見込んでいます。ことしの春闘のごときは二〇%に近い賃上げということになっているわけでありますが、そういう数字をきちんと明らかにすることはできなくても、ある程度賃金に対するアップの見通しみたいなものを明らかにすべきではないだろうかというふうに私どもは考えます。そうしませんと、そこの赤字の部分の中で賃金が、ということになるわけですから、イコールでいつも見られてしまうわけですから、社会的な状況というものが、毎年賃金を改定せざるを得ない物価の状況があるわけでありますので、その辺について一定の目標を——これをガイドポストとされると私どもは困るのですけれども、一定の基礎的なファンドを考える必要があるのではないかと思うのでありますが、承っておきたいと思います。
  104. 森岡敞

    ○森岡政府委員 これもまた非常にむずかしい問題でございますが、お話しの中にもありましたように、経済社会基本計画では一応の目標を立てておりますけれども、しかし、現実の国民所得なり、あるいは生計費の状態というものが、必ずしもそのとおりいくというわけでももちろんないと思います。したがいまして、再建計画は、今後十五年間の一応の各年度の収支見込みなどを入れるわけでありますけれども、その中に給与改定に伴う金額を直に入れてまいるということは、率直に申しまして、これは不確定な要素を入れることになりますので、なかなか困難だろうと思うのであります。反面、また、何度も繰り返して申し上げておるわけでありますが、それを生み出すための財源、それの相当部分、これは申し上げるまでもなく、料金の適正化というようなものも考えてまいらなければならない。再建計画自身は、御案内のように、先ほどお話しがありました再建のガイドポストのようなものでももちろんございません。これは、地方議会の議決を経て確定するわけでございますので、その中に、将来の非常に不確定なベースアップ、あるいはその財源としての料金適正化の問題などを織り込んで議決をするということについては非常に困難な事柄ではないだろうか。そういうふうなことから、これにつきましては、毎年度のベースアップの状況を見、それに伴う財源の状況を見ながら、再建計画の変更という形で処理してまいらざるを得ない、このように私ども考えているわけでございます。
  105. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 自治省がお出しになりました、「大都市公営交通事業財政再建の経過と反省」という文書の中に、やはりその問題について触れているのです。つまり、現行財政再建計画の反省、第一次再建計画のいわば失敗の反省なんですが、一つは、「計画策定上の無理」ということが指摘されていました。その中に、「財政再建計画の策定にあたっては将来の給与改定料金改訂をともにみこまなかったが、毎年七・九%ないし一二・六七%のかなり大巾な給与改定が行なわれた反面、料金改訂は昭和四十六年度までに一回しか行なわれず、その結果給与改定財源の確保ができなかった。」と書いてある。つまり、賃金が料金改定をせざるを得ない理由だというふうに受け取らざるを得ないような、あるいは国民がそういうふうに考えざるを得ないような書き方であると同時に、反省の中には、それが明らかにされなかったことがまずかったんだと言わんばかりの立場が明らかになっているわけです。もちろん、最近の経済状況を見ますと、予定をされたとおりにならないことは認めますが、私ども、それをはね返してやっていかなければならぬと思っているわけですから、それは別として、やはり、一定の財源確保という配慮が生かされなければいけないのじゃないだろうか。いつも、赤字が出ると、それは給与が上がったから、賃金が上がったからということになってしまう。この点についてはもう一ぺん反省をいただいて、御答弁をいただきたいと思います。
  106. 森岡敞

    ○森岡政府委員 お話しの、「大都市公営交通事業財政再建の経過と反省」ということでまとめました文書の「再建計画の反省」というところで、「計画策定上の無理」という項目を立てまして、その中の一つとして、いま御指摘のようなことを書いております。ただ、この問題は、そのあとの(2)の「財政再建計画の実行上のそご」というところをごらんいただきますと、また、同じように書いているわけであります。私どもとしましては、いろいろの問題を洗いざらいここに書いたということでございます。したがって、それの中で、新たな再建計画なり再建のシステムの中で改めること、また、必要なことがあればどんどん改めたい。しかし、洗いざらいここへ出しましたけれども、その中で、現実の再建を進めていきますために、やはり従来と同じような方式でどうしてもやらざるを得ないというような問題についてはやむを得ないのではないか、どちらかと申しますと、実行上のそごという形で認識をしておる、こういうふうに考えておるわけでございます。
  107. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 実行上のそごというふうに考えておっしゃるわけですが、やはり、賃金は毎年上がっていくわけですね。大臣も賃金が上がることはいいことだ、大きいほどいいとおっしゃっていると思うのですが、そういう意味では、この再建計画の中に、最高のものをやれと言っているわけじゃないのですから、最低限の確保を考えたらどうか。そして、賃金が社会的な形成力を持ってきているわけですから、それを加味していくという配慮ができないかどうか、これはやはり大臣に承っておきたいと思います。
  108. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 ただいまの点につきましては、いま審議官からもお答え申し上げたわけでございますけれども、やはり、給与改定は、先ほどの問題とも関連しますが、今後の経済情勢、生計費の上昇がどういう推移をたどるか、率直に申しまして、これは不確定要素になることは間違いないわけでございまして、それを、片一方議会の議決を経る再建計画の中に織り込むということになりますと、それに見合う財源というものは、これは国鉄の再建計画の例でも明らかでありますように、料金改定というものをある程度スケジュール的に織り込まざるを得ない。ところが、国鉄の再建計画の場合と違いまして、この場合の再建計画は、当該自治体の議会の議決を経るということに相なっておるわけでございまして、料金の引き上げをスケジュール的に片一方において織り込みながら給与改定の財源を生み出していくという計画を議会の議決を求めるということには、これはどうしても無理があるのではないだろうか。したがいまして、第一次再建の場合と同様に、給与の改定、それに見合う料金の引き上げ、この問題は一応計画の外に、両落ちという形で落として、そのときどきの給与改定の場におきまして現実的な解決をはかっていくということよりほかにない、こういうのが私どもの結論でございまして、これは、再建計画の中に織り込むということにはどうしても無理があると私は思います。
  109. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 片方で賃金が上がっていくのに、それを見ない立場にあり、片方で、私どもは、はっきり申し上げて、料金の値上げというものに抵抗せざるを得ません。そうすると、その出場所はどこにあるか。これはおのずから明らかになっていると思うのですね。しかし、現実にそれが社会情勢であるとすれば、せめて、そこに働いている労働者に対して、こういうことを考えて、再建に協力をいただくのだという誠意が求められなければ  いかぬと思うのです。この点はこれからの論争になると思うのですけれども、ぜひ、その点についてもう一ぺん御配慮を願いたい。大臣に、この辺はもう一ぺん承りたいと思います。
  110. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは非常に微妙な、しかも重要な点でありますが、いま財政局長がお答えしたように私どもも考えるわけであります。どうも御満足のいく答弁になりませんが、これはひとつ御了承願いたいと思います。
  111. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 どうも、ずいぶん逃げられて困るんですけれども、私の詰め方がへたなのかもしれませんが、ぜひ前向きに処置を願いたいと思うのです。  次に、地方公営企業法四十四条の問題で、これも社会党がすでに修正の立場を明らかにしておりますけれども、「地方公共団体の議会の議決を経て、自治大臣の承認を得なければならない。」という、例の、また承認のところであります。それは、「再建が合理的に達成できるように、」「必要な条件を付けて、」「承認することができる。」という問題も含めて、つまり、第二項の計画変更の問題準用規定の問題を含めて、この辺を、地方議会の意思を尊重して、議会の決定を届け出ることによって効力が生まれるという、さっき申し上げたことと関連をするわけですが、届け出制になさるお気持ちはないかどうか、承りたいと思います。
  112. 森岡敞

    ○森岡政府委員 いまの御質問は、公営企業法四十四条の規定と同じ規定が本法の五条にございますが、それについて、承認制度を届け出制度にしてはどうかという御指摘だと思いますが、先ほども御答弁申し上げましたけれども、公営交通の再建というものにもいろいろな形があると私どもは考えておるわけでございます。自主的な努力によってやってまいるという団体もあるわけであります。しかし、自主的な努力だけではどうにもならない、国とか地方公共団体一般会計の援助を得てやっていこう、こういう判断のもとに再建団体になられ、それに対して、大幅な国の援助あるいは地方公共団体一般会計の援助を行なうわけでありますが、ここは、やはり、承認制度ということで、合理的な計画の達成ができるように進めてまいりたい、かように考えておるわけであります。
  113. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 では、次に移らせていただきます。  自治省が、予算要求段階で、例の行政路線の問題を含めて要請をされているわけですが、かねてから、これについては、基準がむずかしい、一定の基準をどこかで示さなければならぬと言ってこられたわけで、それでいつも食い逃げされてきたわけです。今度、予算を要求されて、大蔵省にカットされたわけですか。違う形になったわけですか。その基準をどんな形でお考えになって予算案の要求をなさったのか、承っておきたいと思います。行政路線ですね。
  114. 森岡敞

    ○森岡政府委員 実は、行政路線考え方につきましては、もう十分御承知でございますので省略させていただきますが、私ども行政路線と考えられるものを各公営交通事業主体から出してもらった。これを見ますと、全路線の八〇%ないし九〇%が行政路線であるというふうな企業もあれば、一、二割程度がそうであるという企業もあり、半分程度そうであるという企業もあれば、しかも、その取り方が一様ではございません。結局、その路線の採算、収支だけではものごとが判断できないわけでございます。その企業としての料金水準がどうであるのか、あるいは路線の配置がどうであるのか、あるいはまた全体としての企業努力はどうであるのかというふうな問題も総合的に勘案いたしませんと、これはなかなか踏み切れない。予算要求としては、そういうふうなことがございましたので、おおむね企業が出しております総体の赤字の二割程度行政路線の持っておる赤字だという、これはまことに大まかなことであったのでございますが、そういう形で出さざるを得なかった予算要求でございますので、大蔵省としても、それはなかなか無理ではなかろうかと、こういうお話でありました。  別途、これも御案内のように、運輸省のほうで過疎地域地方バス路線維持費補助金というのが一年ばかり前から出ております。本年度、団地バスにつきまして、運輸省のほうで補助金を出そうということで、これも一応予算化されました。そこで、私どもといたしましては、行政路線問題をストレートにとらえます場合には、むしろそういう形で、団地バス補助金とか、あるいは過疎地方バス路線維持費補助金とか、そういう形でとらえていただいて、それを拡充していっていただく、別途再建企業につきましては、いまお話しのように、車両購入費補助という形で利用者負担を減らしていく、こういう方向でやっていったらどうであろうか、こういう結論に落ちついたわけであります。
  115. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 いまのお答えにありましたように、バスの購入補助金は、行政路線対策というふうに理解してようございますね。
  116. 森岡敞

    ○森岡政府委員 いまもお答え申しましたが、それが行政路線対策の全部として振りかわったわけではございません。運輸省の補助制度がございまして、それらとあわせまして、行政路線対策の総合的な措置として考えたつもりでございます。
  117. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 もし、そういうお考え方に立つならば、特定の条件をつけて、つまり、再建団体ということだけではなくて、バスの全体の行政路線という考え方をすみやかに定着させながら、これに対する補助という問題を考えるべき段階に来ているのじゃないか、こんなふうに私は思うのです。これは大蔵省からもお見えでございますので、この予算要求の過程の中でやりとりがあったと思いますから、御意見を承りたいと思います。
  118. 加藤隆司

    ○加藤説明員 行政路線の概念につきましては、いま森岡審議官が申しましたとおり、最初自治省の勉強会で報告がありましたのですが、非常に概念があいまいであり、急遽自治省のほうで実態調査をやっていただきましたところ、都市構造とか交通体系におきまして、観念的には行政路線という概念が成立するかのように思えるのですが、具体的に中身がどうも詰まりようがない。それからもう一つは、本質的には公営企業再建の全体の中で考えていくべき問題じゃないか、再建をどういうふうにやっていくかという中でそういうものを織り込んで考えていくべきじゃないか、こういう議論をやりました。結果的には、ただいまの運輸省地方閑散線のバスの補助金、あるいは新団地の補助金、それから車両の購入費——車両の購入費は行政路線に完全に代替するものではないというふうにわれわれは考えております。  したがって再建団体に限定し、五カ年に限定し、それから、償却費は積み立ててもらいまして将来回転ができるようにするという、これは主として中小都市対策を考えているわけであります。これは都市の構造によりまして、大都市の場合は、今後は地下鉄を主にしていく、それから、中小都市の場合はバスが中心になるのではないかというような、全体の構想とのからみで、その中でいまのハス問題を解決していこうじゃないか——もちろん、行政路線意味するところは相当部分吸収はいたしておりますが、概念的には必ずしも一致はしておりません。
  119. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 概念的には行政路線というものの意味はわかるが、具体的にその必要性について明示がないので、という意味ですね。
  120. 加藤隆司

    ○加藤説明員 概念的にその必要性はわかるがという、その必要性がわからないという意味じゃなくて、必要性は重々わかっておりますので、概念的に整理のできない施策でなくて、概念的に整理のできる施策をとろう、そういうことでございます。
  121. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 いまの例を、団地の問題や過疎問題で出されましたけれども公営企業の現実、とりわけ、団地や過疎だけではなくて、交通渋滞その他いろいろあるわけですね。外的な要因がある。にもかかわらず、やめられない、代替機関がないという場合、これは明らかに行政路線としての位置づけを自治省の側はしているわけですよ。おそらく、その中で討論をなさったと思うのですがね。私どもは、バスの購入費というのは、予算のやりくりを見ていると、行政路線対策だというふうにやはりとりたいのです。まあ、正確に言えばね。ですから、この行政路線対策だとすれば、中小あるいは特定の条件に合致する都市のみではなくて、ぼつぼつ行政路線という概念をきちんと確定をして、そして、具体的な補助の対象にすべきではないだろうかというふうに思うのです。もう一ぺん、その点について、来年の展望をも含めて自治省のほうも腰が弱いと思うのです。少しきちんとして、これはこうだという説得力を持ってやらないと逃げられちゃうので、きちんとした姿勢をひとつ示していただきたい。
  122. 森岡敞

    ○森岡政府委員 おしかりをこうむっておるわけでありますが、行政路線の問題は、それがなければ交通機関がないということと、それから、その路線がまさに唯一不可欠の交通機関であると同時に、採算がとれない。簡単に申せばその二点だろうと思うのです。ただ公営交通事業全体を通じて考えますれば、前の時期でありますれば、そういう路線をかかえながら、かつ採算のとれる路線と全体の収支をとってやってこられた。それが、いま全体としてレベルダウンしておるものですから、なかなか苦しくなってきている。そこに一つの問題があるのではないか。それの激しくなったのがまさに再建団体。自主的な再建ではだめであって、再建計画を立てて、政府なり地方公共団体の援助を求めてやっていかなければならない。再建団体行政路線の重みというものを一番かかえているというものではないかと思います。  先ほども申しましたように、車両購入費補助というのは行政路線直の問題ではありません。しかし、運輸省の補助金と総合的に、行政路線対策の一環としての機能を果たし得るものと考えておるわけであります。そういたしますと、そういう路線をかかえて、全体として経営が非常に不健全になって再建団体になるところについて、このバス車両購入費は考えていくというのが一つの筋ではないだろうか。別途行政路線問題につきましては、ものの考え方として、たとえば命令運行ですね。企業としてはいやだけれども、交通政策上命令運行させるというふうなもの、そういう行政手段を前提としてやっていけば、おのずから明らかになるじゃないか、そういうものについて思い切った補助をしたらどうだ、こういう意見も議論の過程で出たわけであります。いまの運輸省の補助金はそこまでは至っておりませんけれども、団地のほうで、駐車場でありますとか、あるいは車両購入費についての援助をするとか、そういうふうないろいろな条件をつけまして、それについて団地バスの補助金を出す、こういう仕組みの予算措置がとられているわけです。私どもといたしましても、運輸省と御相談いたしまして、この団地バスの補助金というものは行政路線の典型だと思いますし、思い切って拡充していくような方向を御相談してまいりたいと思います。
  123. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私どもは、例の六百九十五億の再建債元金償還について、国が負担するように、そういう方法を構ずるようにということを要請してまいりました。承るところによれば、大蔵省の壁が厚い、どうにもならぬという話でありますが、私どもは、再建をしていく過程の中でどうしてもその措置が必要であるというふうに考えます。大蔵省の壁が厚ければ、おそらく、別途他の都市財源を含めて考えなければならない状況自治省の側も明らかにしていると思いますが、自治省見解と、もう一つ大蔵省見解を承っておきたいと思います。
  124. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 再建債の元利に対する扱いの問題でございますが、基本的には、公営交通事業は当該自治体の責任負担において行なわれるべきものであることは、地方公営交通の名を冠する以上は当然のことでございますので、これにつきましてどういう負担配分をするかということになりますと、第一義的には、やはり、地方団体一般会計というものがまず前に出ざるを得ない。そこで、私どもといたしましては、この元本の部分につきましては当該地方団体一般会計負担をする、それから、利子補給につきましては、大部分のものを国の利子補給にお願いをする、こういうことでお願いをいたしたわけでございます。  そこで、そうなれば、結局、一般会計の財政負担の問題が出てまいるわけでございますけれども公営交通事業というものが当該自治体の責任負担において行なわれる以上は、一般財源を出すということはあえて避けるべきではない。そこで、全般的な、この当該自治体を含めましての大都市財源の拡充の一環といたしまして、都市税源というものを付与する。先ほど大臣から申しました事務所・事業所税的な、いわゆる都市整備税を今年、私ども構想を打ち出したわけでございます。あるいはまた、法人課税の重課という問題もございましょう。そういった方法で全般的な都市の一般財源の拡充をはかりながら、その中で財源を生み出すもとをつくっていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  125. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 都市財源の拡充を通して、元金償還について国が負担をするという方向を努力する。そして、来年から、おそらくそうやっていただけるんだろうと思うのですが、その点についてお約束をいただきたいと思うのであります。
  126. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは、できるだけ努力をいたします。
  127. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 次に、時間がありませんので飛ばしまして、自動車の問題について少し触れてみたいと思います。  先日の新聞に、自動車の運転免許保持者が三千万をこえたと書いてありました。そして、これに対して自動車の台数は二千三百万台。しかも、ことしは史上最高の売り上げで、業界は四百四十六万台売れるんじゃないかと見込んでいるそうであります。国民三人に対して一台という自動車のふえ方であります。これが大都市において、混雑だけではなくて、深刻な公害の事態をもたらしていることは事実でありますが、これについての規制措置を、生産を含めて考えなければならぬと思うのであります。そこで、とりあえず、たとえば自動車税の増徴などのマイカー規制というものを、税による措置だけでは不十分でありますが、お考えになっているかどうか、承りたいと思います。
  128. 森岡敞

    ○森岡政府委員 乗用車の増加がいろいろな面で大きな問題になっていることは御指摘のとおりでございます。公営交通の問題について考えましても、乗用車の増加による交通混雑が激しくなり、これが端的にあらわれておるわけでございます。  そこで、現在の道路事情などから考えまして、自動車がこのような形で急激に伸びていくことは、国民経済的に考えましても非常に問題であるということはだれしも感じておるところであろうと思います。自動車の規制ということを考えます場合に、いろいろな手だてがあるのだろうと思います。御指摘のような、税の増徴による保有の抑制という方式もございますし、あるいは、警察当局によります違法駐車の取り締まりの徹底というふうなものもございます。それから、公営交通問題に関連して、私どもこれから進めてまいりたいと思いますのは、大量交通輸送機関の優先通行というものを十分徹底すること。そうなりますと、おのずから乗用車というものの機能が狭められていかざるを得ない。道路を無限につくるということは不可能であります。そういうようないろいろな手だてがあるのだろうと思いますが、対策としてはまことに広範、総合にわたるわけでございます。そういう意味合いで、私どもといたしましては、さしあたり、公営交通の健全化対策との関連におきまして、各省と今後十分打ち合わせをしてまいりたい、かように考えます。
  129. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 たとえば、自家用車の都心への乗り入れ制限なんというような問題について、抜本的に考えなければいかぬと思うのです。これは歩行者天国だけじゃなくて、ウィークデーを含めて、あるいは時間帯も含めてもっと考えなければならぬ時期が来ていると思うのです。そうしませんと、全くパンク状態だろうと思います。その意味で、これは公安委員長という立場もあるわけですが、これらの措置を承っておきたい。東京に限らず、大都市では、その周辺の駐車規制の問題やなんかがあるわけですが、そういう問題を含めて、マイカーの乗り入れ規制というものをぜひはっきりさせていただきたいと思います。
  130. 江崎真澄

    江崎国務大臣 この問題は、きのうも、警察本部長会議で重点的な議論になったところでございます。したがって、今度は、車庫の整備、路上駐車の禁止等々を、警察側で規制のできるものについてはあとう限りの規制をしていくわけでありますが、これだけではなかなか簡単に乗用車の増加をとめるということはできません。それから、さっき御指摘のように、自動車の税金を重くするというだけでこれがまたとまるであろうか。むしろ、税金を払っておるからいいのだということになって、反対作用が起きても困りますしね。そこで、総合的な施策が必要であろうかと思うわけでございます。したがって、一定時間は、いま御指摘になるように、乗用車は都心部には乗り入れない。特に、マイカー通勤の規制とか、いろいろこれはやり方があるだろうと思う。そういうところから、先ほどもちょっとお話をしましたが、自転車通勤というような具体策を練ってみてはどうだろうかという発想に出たわけであります。要するに、自転車の見直し、これはやはり必要なことだというふうに考えておる次第でございます。あらゆる規制をしてまいりたいと思います。
  131. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 時間がありませんから、最後に、いまの自転車の問題について質問をしておきたいと思うのですが、この間、大臣は、横浜で、地方公共団体が自転車の置き場などを駅の付近に設置する場合には、これに補助金を出してもよろしいということをおっしゃっていますが、それは事実でしょうか。
  132. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは、関係各省庁と目下慎重に検討をいたしておるわけです。御承知のように、たとえば駅前広場の車置き場の一部に自転車置き場をつくるということになりますときには、積極的に運輸省にも土地提供を求めなければなりませんね。それからまた、歩道の広いところを、たとえば歩道に自転車を乗り上げさせるということになりますと、歩道の段差をなくする構造改善といいますか、修理が必要ですね。これは、身体障害者等の、例の二輪車による歩行というような点からまいりましても、やはり一つ時代要請に沿ったものだと私は思いますが、これは建設省の協力を要するわけであります。  したがって、こういう問題はとかく線香花火に終わりがちなんですが、そういうことにしないように、これはいま警察庁交通局でも真剣にこの問題と取り組んでおります。一定の通勤時間帯の乗用車の乗り入れ禁止なんということは、すでに岡山県ではやっているのだそうですね。それから、積極的な舗道への自転車の乗り入れと、そのかわりに、人に突き当たったりしないように、歩行者優先というマナーを十分心得させた上で舗道を開放しておるというようなこともあります。したがって、自転車の問題は、自転車が安全であれば——まあ、雨か降ったときは困るとか、あるいは薄暮に困るとか、いろいろございましょうが、夕景に自転車と自動車との事故が一番多いわけですから、自転車専用レーンができれば一番いいわけですが、それまでに時間がまだ相当かかります。したがって、通勤時間には、自動車、いわゆるマイカーで通勤することはかえって不便で、ちょうど悪循環がバスに回ってきたように、今度は乗用車に回して、むしろ、自転車とかバスとかいうような一般大衆の足のほうがきわめて便利であるという都市の交通事情改善のための具体化が進めば、これは相当見るべきものが出てくるのではないか。そういう場合に、私どもが一方的にどんな構想を示しましても、それに協力してくれる実験都市といいまするか、モデル都市といいまするか、そういうものがないとこれはどうにもならぬわけであります。  ところが、そのとき話題に出ましたが、岩垂さんの川崎市なんかでもこの自転車奨励を進めておられるそうですね。そういうようなことで、今後横浜市もモデル都市になってみよう、本気でやるならやろうじゃないかということで、本気でやろうというような合意がなされたというわけですから、五つでも十でも、まず、モデル的な実験都市というものができ上がれば、そこから始めていき、そして、なるほどいいぞということになれば、これは全国に普及していくのではなかろうかと思います。これは力で押しつけるものではないが、しかし、合理的であり、それがほんとうにいまの都市の交通事情緩和のためにも役立ち、公害防止にも役立ち、いろいろなメリットもあるわけですが、その反面、デメリットもありましょう。しかし、相対的にこれはいいということが実験されれば、当然、いい意味で他都市にも急速に波及するのではないか、また、そういうふうになるように、これはぜひ御協力を願いたいものだというふうに思っております。
  133. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 飛鳥田さんなりあるいは横浜の首脳部は、研究グループをつくろうというのです。これは市民参加で、自転車を使っている学童の意見もよく聞いてやっていこうというところまで進んできているのです。この問題は大阪も賛成しているようですけれども、願わくは横浜や大阪だけでなくて、政府の中にある程度そういうプログラム、プロジェクトをきちんとつくって、市民を含めて始めるべき段階が来ているのじゃないだろうかという感じがするのです。というのは、路線バス運行スケジュールの調整問題や自動車の乗り入れ制限の問題あるいは川崎市ではやっていますけれども、いわゆる車道に線を引いただけのレーンじゃあぶなくてしようがないのです。そういう意味では、それらの問題を含めて総合的に考えなければいけないと思うのですが、政府の中で、交通関係の労働者を含めてそういう審議会などをつくって議論をしていくおつもりはあるかどうか、承っておきたいと思います。
  134. 江崎真澄

    江崎国務大臣 現在は、もう即刻関係各省の代表者で協議機関を持ちました。しかし、いよいよ実行ということになれば、いまの地方公共団体責任者、あるいはまた実際に自転車を持っている通勤者といいますか、労働者といった人々を含めて協議会方式のものをつくって、そして具体化していきたいというふうに考えます。
  135. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 これで質問を終わらせていただきますけれども御存じのとおりに、先日、都市交労連に結集する労働者がストライキで戦いました。これは、市民の要求あるいは自治体の要求、ことによったら自治省要求まで含めて、その実現を目ざして戦っていると思います。大臣要求の項目については御存じのとおりで、私がここで申し上げる必要はないと思うのですが、あえて申しますれば、独立採算制の打破という問題、職員の賃金決定基準の改正などを中心おする地方公営企業法の改正、あるいは、路面電車、バス及び地下鉄の累積赤字は、国が三分の二、地方公共団体が三分の一を一般会計負担をすることによってたな上げをしていくということ、あるいは、路面電車やバスの不採算路線に対する助成、その増額、地下鉄建設費を四分の三、地方公共団体一般会計で四分の一負担するということ、あるいは、赤字を理由に公営交通職員の賃金、労働条件について一般職公務員と差別をしないこと、最後に、赤字路線の切り捨てをはかるバス路線の再編成、賃金体系や勤務条件を改悪する合理化及び労働条件を不当に制約する今度の地方公営交通事業経営健全化促進に関する法律案の制定に賛成できないこと、こういう立場でその団結の力を示したわけでありますが、だれもストライキをやりたくてやっている人はないと思うのであります。市民の足を確保することと、あわせて、そこに働いていろ労働者の生活、労働条件、労働環境をどうするか、賃金をどうするかという切実な要求をここに持っていると思うのであります。  私は、この法律案が審議される過程の中で、いま政府法律案を提案してしまったからこれで、というのじゃなしに願わくは、この労働者の切実な要求、ストライキまでかけて戦わなければいけない切実な気持ちをこの法律案の中に生かしていただきたいと思うのであります。その意味で、与野党を含めて、この法律案の中に、そこに働いている労働者あるいは地方公共団体、あるいは自治省自身がいままでいろいろな形で述べてきた意見、それらを最大限に生かすための御協力をいただきたい、このように思うのでありますが、最後に、それらの問題を含めた大臣見解を承って、質問を終わりたいと思います。
  136. 江崎真澄

    江崎国務大臣 再建方途を考えてまいりまする上には、従業員はもとより、衆知を集めて、その方途を探求し、また、実行に移していく、このことは大切だと思います。ただ、これから再建をしようということで、国も相当な協力を、現実に法律案によって示しておるわけでございます。国及び地方公共団体の協力方途が必要なときに、禁ぜられたストに訴えて、政策問題を掲げて戦われるということは好ましくなかった。特に、一番犠牲をこうむるのは利用者なわけでありまするから、国鉄の場合を含めて、利用者が犠牲になるストというものは、これはストの方法としても、当該者はほんとうに考えなければならぬ問題でないかということを思うわけです。  そういう一般論は別としまして、にわかに解決することのむずかしい政策問題であのストが争われたということは非常に残念に思います。しかし、そのこととは別に、それぞれの要求項目には、のめるもの、のめぬもの等いろいろあります。しかし、これは、再建のためには、従業員の切実な訴えには耳を傾けるということはやはり大事なことだというふうに思います。
  137. 上村千一郎

    ○上村委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後一時四十分休憩      ————◇—————    午後二時四十六分開議
  138. 上村千一郎

    ○上村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。山田芳治君。   〔委員長退席、中山(利)委員長代理着席〕
  139. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 この間質問をいたしましたのですが、大臣がおられなかったので若干留保しておきました点についてお伺いをいたしたいと思います。  まず第一に、独立採算制の問題について、すでに何べんか出ておりますけれども、ちょっと違った観点からお伺いをしたいと思うのですが、独立採算制というものは、この間も、公営企業制度調査会の答申の文章をいろいろと引用しながら申し上げたわけでありますが、「財貨又はサービスを提供する事業」で、主として「すべての住民が同量の財貨又はサービスを受けるものではなく」というようなもので、「財貨又はサービスの提供を受ける者がそれに要する費用を負担することが衡平の原則に適する」と、こういうことが独立採算制原則だというふうに言われているわけです。しかしながら、現実に独立採算制をとる事業としからざる事業との間の考え方というのは、必ずしも明確でないということを例をあげて質問をしたわけでありますが、明確な答えが返ってこなかったという感じがいたします。  たとえば、私が例にあげました工業用水道というのは、現在、独立採算制のワクの中に、地方公営企業法の中に規定されているわけです。しかしながら、現実に工業用水道というのは政府から補助金を出して、しかも、補助金を出すたてまえの中で工業用水道の料金というものが、通産省の指示する料金に固定をされる。しかも、これを受けるものは特定の企業である。そういうものを独立採算制と言うのか、言わないのか。あえてそういうものも独立採算制であるとするならば、独立採算制というものの定義それ自身がきわめて不明確であって、独立採算制というのは形だけではないかということを申し上げたわけでありますが、沿革的には、工業用水道は地盤沈下対策として発足をしたというだけの話は伺いましたけれども、それでは現在の工業用水道がすべて地盤沈下対策であるかというと、決してそうではありません。地盤沈下でない部分についても補助金を出し、価格を、政府の指導した価格に凍結をする、しかも、それによってバランスをとっておるというようなものを、独立採算制のワクでありますというふうにはたして言われるのかどうか、そこらあたりをまず大臣にお伺いをしたいと思います。
  140. 森岡敞

    ○森岡政府委員 この前もお話し申し上げた事項でございますが、確かに、御指摘のように、工業用水道に対する補助は、地盤沈下という問題を契機として出てまいったことでございます。地盤沈下を防止するために井戸水のくみ上げをやっておったのではどうにもならない。しかし、企業のほうでは、井戸水のくみ上げによりまして、非常に低廉な料金で工業用水がまかなえる。それを国土保全という観点から工業用水道に切りかえさせていく。そういたしますと、使用料金の水準というものが、井戸水をくみ上げていた当時に比較してあまりに高いものになりますとなかなかそういう誘導ができないというふうな政策的な配慮から、この補助金というものができてきたというふうに考えるわけでございます。しかし、工業用水道といえども、この補助金を除きました部分につきましては、当然これは経営に伴う料金収入をもって経費をまかなっていく。まあ、そういう意味合いでの独算制というものが当然当てはまるべきもの、かように考えるわけでございます。
  141. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 そこらあたりがちょっとわからないのですが、補助金を除いた分は独立採算制だと言うならば、公営交通においても、その他の事業においても、住民福祉の観点から言ってきわめて必要であるものがあれば、これは、政策的判断によって、国の補助金あるいは一般会計から繰り出し得るという判断をし得るはずであるわけであります。だから、その判断の基準というものが必ずしも明確ではないではないか。したがって、独算制とは言いながら、厳密な意味の独算制というものはすでにワクがこわれているのではないか、そういう制度がすでに現実にはこわれているのではないかというふうに思うのですが、その点、大臣、いかがでございましょう。
  142. 森岡敞

    ○森岡政府委員 ちょっと工業用水道だけのことを申し上げたので十分でなかったかもしれませんが、交通におきましても、御案内のように、地下鉄事業につきましては、今回、建設費の六六%の補助をいたしております。そういうことによりまして料金負担水準の非常な高騰を避けて、利用者負担合理化をはかる、こういうことも考えているわけでございます。確かに、御指摘のように、公営企業の性格なり、あるいは利用者負担というものを考えまして、必要な負担区分というものをそのときどきに応じて考えていくということは必要だろうと思います。しかし、端的に申しますと、建設費部分について相当な措置があることは望ましいことでありますし、また、適当な場合が多いと思いますけれども、いわゆる経常費について、一般会計の援助なり補助をつぎ込んでいくということにつきましては、単に公営交通だけではなくて、国鉄その他の公企業につきましても現在とられていないところではないか。そういう意味合いにおいて、私どもは、やはり、負担区分以外の独算というものは堅持してまいりたい、かように考えております。
  143. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 森岡審議官の御意見はこの間十分伺ったのですが、きょうは、私は、不明確な点があるので大臣に伺っているので、ひとつ大臣にお答えをいただきたいと思うのですが、独立採算制というものは経常的な経費をある程度まかなうものを料金でやると言うならば、私がこの間も例をあげたものが三つばかりあるわけですが、図書館は、現在、法律によって利用ただになっているわけですね。図書館を利用する人は特定の個人、まあ、これははっきりしている。それは五十円でも百円でも取るというんなら、また、運営費の一部というわけでしょうが、ただです。それから、高等学校教育ですが、これなどは千二百円程度であるけれども、現実には、こんなものは、運営費のそれこそ何%にもならない。しかも、これを受ける者は特定をいたしておる。そういう面でもっと強いのは公営住宅であります。公営住宅は、補助金を出し、しかも、地方団体においては、政策家賃というものをやっておる。しかも、公営住宅は、起債の分は家賃収入をもって償還をするのであるという前提のもとに、交付税の算定からもはずされておる。そういうふうに見てみますと、図書館はただである。高等学校の教育は非常に低廉である。また、公営住宅に至っては、政策判断の中で補助金を出し、長期の耐用年数に近い起債を認めながら、それの償還を行なっている。しかし、それも、先ほど申しましたように、非常に政策的家賃というものをやっているのが実態である。したがって、財貨なりサービスというものが、本来、特定個人によって運営費を料金という形でまかなうということであるならば、いま言ったようなものと公営交通との間にどこに差異があるのかということについて、実は明確な御答弁をいただけなかったので、この点は大臣の御意見を伺いたいということで留保しておったわけですので、よろしく御答弁を願いたいと思います。
  144. 江崎真澄

    江崎国務大臣 なかなかこれはむずかしい御質問だと思います。いま御指摘になった図書館とか高等学校といった施設は、これは教育に関する問題ですね。そこでいわゆる経済活動が行なわれておるものじゃないわけです。それから、公営住宅は、人間の生活していく基本的条件である衣食住の一つであるという点が非常に重要な要素だというふうに考えます。今回問題になっておりますバス等は、これは完全な経済活動を行なっておるわけですね。同様な民営企業もある。その点が図書館とか高等学校の場合とはちょっと根本的に異なっておるということが言えると思うわけでございます。
  145. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 経済活動であるか、住民の福祉であるかというところで、そこで、バスが経済活動であって、図書館にしても、公営企業にしても——先ほど私が触れた工業用水道なんか、まさにこれは経済活動の最たるものですね。だから、私は、工業用水道についてさきに例をあげたのですが、経済活動と言われるなら、工業用水道についてはどうお考えになるのか、伺いたい。
  146. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これも広い意味での経済活動要素は持っておると思います。それが電気であるとか、あるいはガスであるとかといったような、一つの工業生産の有力な要素になるものという感じですね。やはり、広い意味での経済活動の要素を持ったものというふうに思っていいと思います。
  147. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 ですから、工業用水道には、一定の補助金を出し、料金も凍結する形をとっていくというのも、独立採算性のワクでさえできるということであるならば、公営交通についても、いまは、はっきり申し上げて、過去の問題については、一般会計から、あるいは国庫で再建については行なわれているけれども、将来に対しては、工業用水道と同じように、バス料金を、住民の福祉の立場から、あるいは物価対策から押える以上、一般会計からこれを補助していくという道を開くことが適当ではないか。実は、大臣はおられなかったのですが、経済企画庁から来てもらって、物価対策の点から公共料金を押えた場合に、それに対して国は補てんすべきではないかという質問をしたところ、それは一般会計から補助していくべきであろうというようなお答えをいただきました。これは筋から言って、公共料金を押えた以上、それによって採算が合わない部分については国が補てんをする責任があるということが論理的に言えるのではないかという質問に対してそう答えられたわけですから、将来にわたって運営その他が不十分であるという場合に、これを一般会計なりあるいは特定の財源措置をした中で補てんをしていくということは論理的に可能であるかどうかということをひとつ最後にお伺いしておきたい。
  148. 江崎真澄

    江崎国務大臣 教育に関する高等学校とか図書館等の問題とこれが異なる理由は、従来は、モータリゼーションがここまで発達しませんでした場面では、黒字が出て、一般会計にその黒字を財源として認めるという場面もあったわけですね。それからもう一つは、ほとんどの公企体が赤字なわけですが、黒字であるところもないわけではない。それから、今度の再建債をたな上げし、利息の相当部分、ほとんどといっていいぐらいの部分を国のほうで見ていく。これはまたあとで問題になりましょうが、それも見ていくということになれば、さて、そこで企業努力はどうですかという問いかけは、これはやはり国としてあってしかるべきものだと思います。手をこまねいて、ただ地方自治体の責任にのみすべてをまかせておるというわけではないわけです。あとう限りの努力はしておる。特に、今後新規に購入するバスの購入費についてもめんどうを見ようというようなわけですから、工業用水道その他と同じように、度合いの違いはありますが、国がある程度助成方途を講じておるということですから、おっしゃる意味はそんなに違っていないというふうに私は思います。
  149. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 非常に前向きの答弁をいただいたので、再建の問題だけでなくて、いわゆる一般の部分について、外的な要因でできた赤字の中でそれの採算が合わない部分について、一般財源やあるいは国庫負担において見ていくということは将来において考え得るという点については、これはよく伺っておきまして、今後またいろいろお願いをしたいというふうに存じます。  次に、大臣、これも必ずしも十分な答えがなかったのでありますが、いまの公営交通の再建の中で、第二次再建の承認にあたっての手続の中に合理化に関する事項を書けと書いてある。私は、この間、森岡審議官に、合理化の余地があるのか、どう思いますかと聞いたわけです。私どもの党が独自の調査団をつくりまして、大阪並びに仙台に参りました。また、大臣みずからも横浜へ行かれたという話であります。私たちとしては、合理化の余地なんかない、出すべきものはもうほとんど全部出した、特に、大阪のごときは、病院も廃止をする、全部ワンマン化にするということで、三分の一くらいの人を切った、しかし、定年までいかない者については置かざるを得ないので、平均年齢がもう四十をこえておるというような中でやれといったって、もう合理化できないじゃないかという話をしたのでありますが、お答えは、地下鉄バスとが重なっている路線がある等々の部分は合理化の余地はある、重在の路線については余地があるというお話しがございましたけれども、これなどは合理化の余地があるという範疇に入るのかどうかということが疑問であります。大臣もわざわざ横浜まで行かれたわけでありまして、いろいろと事務当局からお聞きしておられると思いますが、私どもは、もう合理化の余地はないと思っておる。しかし、大臣が承認をされる計画の中で、若干のものについては全然ないとは私も言いませんけれども、そんな合理化の余地があるというふうに考えられてあの再建策の中に「合理化」という文字を入れられたのかどうか。その点をひとつお伺いしたいと思います。
  150. 森岡敞

    ○森岡政府委員 ちょっと、恐縮でございますが、私がこの前申し上げたことが必ずしも徹底していなかったと思いますので、若干つけ加えて、大臣がお答えになる前にお答え申し上げたいと思います。  路線の再編、合理化という問題を、この前、例をあげて申しましたが、これはやはりある程度努力をしていただかなければならぬと思います。それから、そのほかに、先ほどもお答え申したことでございますが、経営改善合理化でございますから、非常に幅広く考えています。たとえば料金の適正化の問題これなども努力をする余地がある。さらに、職員につきまして、配置の適正化という問題もございます。かなり人員縮減が進んでまいりましたけれども、現実の問題として、新陳代謝と見合っておる。あるいは配置転換というふうな措置でございますので、企業によりましては、なおある程度の過剰人員をかかえておるものもあるわけであります。その辺のところを、適正配置を考えたり、あるいは新陳代謝の促進をはかったりというふうなことで努力をする余地というものはなおあるんじゃないかと、かように考えております。
  151. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 若干の合理化の余地については、全然ないとは申しておりませんけれども、いまお話しがあった点が合理化されるからといって、私は、それほど大きな要素にはなり得ないというふうに思うわけであります。  合理化ということばにはたしてふさわしいことを言われておるかどうかについては、私は非常に疑問であって、第一次再建の中で、とにかく、いま、これだけ土地が公共的に不足している。車庫の用地であるとか、いろいろな土地のほとんどを売り払っている。今度の計画を見ても、不用地の売り払いなどというものがある。こんな公共的な土地というものはむしろできるだけ留保しなければいけないのであって、それを売り払うのを最大限まで見ながら八百七億という数字を出しておるという点——われわれとしては、合理化の余地などというものは、さかさにしても鼻血も出ないというくらいであるというふうに、現実に調査に行って感じているわけです。ですから、合理化というようなものの余地はもうないと私は考えるんです。森岡審議官は、いろいろな具体的なこまかい作業をしておられるのでそういうお答えなんですが、ここは国会でありますから、あまり行政的なこまかい線じゃなくて、大臣自身としては、合理化の余地はまだあるとお思いになるかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  152. 江崎真澄

    江崎国務大臣 私は、企業と名がつく以上は、合理化というものは、やはり絶えざる課題であるというふうに考えるわけです。整備合理化がなされることにおいて、初めて企業というものは成り立つわけですね。特に、民間企業であるならば、いまは経営者時代ですから、必ず利潤をあげて配当をしなければならぬというわけです。これは公営企業ですから、利潤をそんなにあげる必要はないかもしれません。しかし、少なくとも整備合理化をして、企業がとんとんにいけるように、これだけ国及び地方公共団体がカバーするのですから、その時点で創意くふうをする。合理化というのは創意くふうも含まっておるわけですから、従来の財産をどうするとか、従来のものをどうするということだけにとどまらないで、やはり、絶えざる研究、努力をしていく。こういうところからいろいろなアイデアも生まれるし、それこそ合理化が実現するというふうに考えております。
  153. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 私は、この前も実は質問したのですが、企業で配当しているというふうな話もこの間あったのですが、電鉄会社でも、バス会社でも、付帯事業というか、その他の事業を現実にみんなやっていますね。デパートをやったり、不動産業をやったりしている。そうしなければ独立採算ができないのですね。ですけれども地方団体はそれができないからこそ、合理化というものは創意くふうであるということばで置きかえるということであるならば、自発的な創意くふうは大いにやっていただくことはかまわないけれども合理化の名におけるところの、できもしない無理なことはやってもらっては困るし、合理化ということばが、観念的に言うと、何か、人員を減らしたりするような、大臣の言われた創意くふうとはどうも違ったような意味にとられる。そういう意味で必要があれば、「創意くふう」と書き直していただきたいと思い、ます。この点は、あとでまた質問される方もあると思いますので、この程度にしておきますが、私は、それならば、「創意くふう」というふうに合理化の文字を直してほしいということを、質問の結論としてまず承っておきたい。  その次に、これも実はこの間質問したのですが、十分お答えがいただけなかったのですが、公営交通問題研究会というところから答申をいただいて、そして、今度の第二次再建案を出されました。こういうことに提案理由がなっておるわけでありますが、私どもは、この公営交通事業健全化に関する公営交通問題研究会の答申は必ずしも十分だと思っておりません。しかしながら、その答申の中に緊急にこれだけはやりなさいということが書いてある。ところが、私どもから言うと、何でこういうものを入れてくれなかったのかなという点が漏れている。私もこの委員会に参りまして、何度かいろいろな提案をし、質問をしたわけですが、大臣は、それは地方制度調査会の御意見を承り、あるいは税制調査会の意見を承った上でと、こういうお話です。公営交通の経営健全化に対しては公営交通問題研究会の答申を承られたわけでありますから、私のほうから言うと、いいところだけは抜かしている部分が相当あるという点ですね。大臣としては、いろいろなそういう調査会や研究会から答申をもらっても、現実に緊急にこれだけはやりなさいといったものを抜かしておる。たとえて申しますと、先ほど言いましたように、住民の足を確保するために行政路線というものを置きなさい、そういう場合には二分の一は国庫補助で負担をしなさいというような答申になっているような点は抜けておるし、また、今回、地下鉄については確かに一歩前進をした補助金を出していただいておりますけれども、過去の分について少ないわけでありますから、その分を企業債で負担をして、既往の債務についても、何らかの形において、たとえば交付税なり何なりの形においてしてやらなければ、過去のものを将来の料金でとるということは論理的に合わないではないかということが、この公営交通問題研究会の中で答申がなされているけれども、それをお取り上げをいただいておらない。それから、地下鉄の耐用年数に合わしたところの、五十年くらいの償還の期限の延長というようなものも答申されておるし、その他、交通環境の整備等についても、非常に多くの、われわれとしてもこれはぜひやってほしいというようなよい答申がされているけれども、必ずしも全部が取り上げられていない。答申としては、緊急にこれだけはやりなさいという答申であるにかかわらず、お取り上げをいただいていないということは、非常に遺憾なことであるというふうに思うわけです。  森岡審議官にこの点を質問したところ、各省との折衝でそれができなかったという答えが返ってきた。しかし、国務大臣としての自治大臣としては、各省の折衝でできなかったという御答弁はおそらくされないだろうと思います。この点について、りっぱな答申もあるわけですし、政府におかれても、これはりっぱな答申と思われるだろうと思います。私どもとしては不十分だと思いますけれども、せめてこれだけでもどうして盛り込めなかったか、盛り込んでいただけなかったかという点と、こういう答申に対して、これを尊重するということですね。これは、小選挙区のときでも、ああいう答申があったのを大いに尊重するというふうにおっしゃったわけでありますから、よいところ取りというか、悪いところ取りというか、そういうふうな形は、われわれとしてもどうもいただきかねるわけでありますけれども、そこらあたりの基本的な考え方についてお伺いをしたい。
  154. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは、やはり、私どもとしては尊重しなければならぬと思っております。ただ、それを実行する段階において、各省間にいろいろ意見が分かれるということはあることだと思いますね。ですから、行政路線の問題においても、地方バス路線維持費補助金とか、新住宅地バス路線開設運行費補助金とか、これは運輸省が所管しておる援助措置があるわけです。ですから、こういったものをこれからもだんだん拡充強化していくことで何とかならないものか。行政路線といっても、これはすでに何べんも問題になりましたように、口で言うと行政路線だが、その適格性、基準をどこに見出すかということになると、なかなかむずかしい。そこで、運輸省側としては、いま申し上げたような点で将来カバーできないものかということで、意見が思うように一致しなかった。そこで、この段階では、いまの新住宅地バス路線開設運行費補助金といったようなものを充実強化していくということで行政路線と考えられるものをカバーしよう、こういう態度に出ておるわけでございます。
  155. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 それでは、大臣、答申の漏れている部分について、自治省としては、積極的に今後の問題として取り上げていかれる用意があるかどうか、それだけ伺っておきたい。
  156. 江崎真澄

    江崎国務大臣 合意を得るよう、極力努力するものはしたいと思うのです。私ども自治省は、地方自治体が公営企業をめぐって苦しんでおる実情を一番踏まえておるわけですから、やはり、地方公共団体の側に立って極力努力をする。これは申し上げるまでもないことだと思っております。
  157. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 それでは、今後の努力を大いに期待いたします。  それから、先ほど大臣もちょっと笑いながら言われた金利の問題ですが、これは私はどうしても譲れないのでございますが、私の調べたところによりますと——きのうも実は京都市へ当委員会として調査に行ったわけでありますが、そこで私も具体的な問題として聞いてきたことでありますが、御承知のように、四月二日と五月三十日という二回にわたって公定歩合の引き上げが行なわれましたが、これに従って金利の引き上げが行なわれております。しかも、本年の一般の地方債計画、すなわち二兆二千五百三十億のうち政府資金は一兆二千六百億で五五・九ということになっておるわけであります。政府資金自身も、貸し出し金利が六・五〇から〇・三七%引き上げられることになっているわけであります。まして、いわんや、縁故債においては、三月時点において、府県や大都市においては大体六・九%、市町村では、高いところでは七・三%くらいすでにあるわけですね。しかも、五月からの市場公募債の金利というのが、応募者利回りで七・二九%に引き上げられております。これは自治省の発表でもそういうようになっているはずであります。しかも、縁故債の場合は、七年とか十年とか、今回の場合は十五年になります。ですから、金利がもっとアップすることは当然であります。ところが、今回の法案によると、七・一%というものを最大限にして、「全部または大部分」というふうに提案をされているわけであります。ところが、現実に、市場公募債すら七・二九で折衝が行なわれているところで、七・五%というような数字が、すでに、縁故債の四十八年度の分としてはなされておるし、おおむね七・五%であろうというふうに言われておるわけです。したがって、七・一をこえて、七・五なりあるいは七・六になる。特に、貧弱な財源の市町村については、非常に縁故債の利率も高いというのが現状であるわけであります。したがって、現在の法律案は書き方が間違っているのではないか。七・一以上になるまいというふうに、超金融緩和のときに法案を提案されたので、その辺の事情はわかるけれども、現段階のように二へんも公定歩合の引き上げを行ない、預金準備率の引き上げを行なっている。また、現在でも物価は上がり、しかも、景気は回復し、設備投資は非常にふえているという日銀等の報告があります。したがってこれははっきり法律を直していただきたい。縁故債の、もちろん指導をされるでありましょうが、七・一でとまらないわけで、七・五になるか七・六になるかわかりませんけれども、それまで全部やるというような提案理由の説明であるし、そういうことで折衝されて提案されているわけでありますから、第七条であったかと思いますが、修正をしていただきたいというふうに思いますが、この点について大臣はどうお考えでございましょうか。
  158. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これはなかなかいい御質問だと思うのです。地方公共団体の実態を踏まえながらの御質問ですから、これは傾聴しなければならぬ。特に、金利政策を、物価高を背景にして、まだ高金利にしていこうという方向ですから、その点は確かに一理あると思うのです。ただ問題なのは、いよいよ金利の問題が起こってくるのは四・四半期、とりあえず来年の一月以降の問題ですね。再建計画が出されてからの問題ですから、したがって、そのときはたしてどうなるかという展望も必要だと思うのです。もう引き締めで史上二へん目の中小企業の倒産なんというようなことが言われております。金融引き締めをやってまいりますと、大企業のほうは経済の根が相当張ってまいっておりまするが、中小企業というものは何といったってまだ——特に、日本は、中小企業、零細企業と言われるように根が浅いですから、この引き締めをこれ以上続けていいのか、また、高金利政策を物価対策でそんなに一体とれるのかどうか。それから、ことしの下半期に参りますと、好むと好まざるとによらず、本年度予算は全部消化することになってまいりますね。そのときの金利情勢は一体どういうことになるであろうかという問題も、これからちょっと半年以上先の問題として残されておるわけでございます。  したがって、御質問の趣旨は私どもも十分細心の注意をもって見守らなければならぬところだと思いますが、このことを財政局長などとも相談いたしておりますが、財政局長としても、縁故資金を今度の新しい金利負担の上限で何とか借りられるように自治省側としても全力をあけなければなりませんという決意を披瀝しております。ぜひそうありたいものだというふうに思っておりますし、これは、この経済全体の流れをもうしばらく見ながら行きたいと思います。  それから、これは役所側の言い分でありまするが、新再建債利子補給は上限が設けられておるが、現在の利子補給では、不良債務の多寡に応じて、実際には最高でも三分八厘1これは東京都の場合ですね。最低の場合は一分一厘六毛ということになっておる。だから、今度の場面で最高七分一厘、最低でも五分三厘五毛の助成をするということは、これはたいへんな助成になるということを役所側では申しております。しかし、なお今後の推移を十分見守りたいと思いますし、この引き締めも、さて一体どこまで続けていくものか、これは、今後の経済全般の問題として深刻に受けとめながら、政策的に慎重な考慮を払わなければならぬ問題だというふうに思います。したがって、このあたりでひとつ御了承を願いたいと思います。
  159. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 それはちょっとおかしいと思うのです。現在、四十八年の公募債の金利が、すでに、応募者利回り七・二九でやっているわけですね。再建債は、おっしゃるように、来年というか、半期あとだ。これはおっしゃるとおりでしょう。この法案の関係もある。しかし、一般の、いま私が申し上げたように、地方債計画二兆二千五百三十億のうち、政府資金も上がったのですよ。上がったが、それは一兆二千六百億であって、あと非常に多くの縁故債というものは単独債その他において行なっておるし、市場公募債の金利がすでに七・二九%に上がっているわけです。それが後半で急に下がるということは、私は、同じ年度として、そんなことに急速になるというふうには考えられないし、むしろ、先ほど申しましたように、私の調べたところでは、応募者利回り七分四厘八毛四糸というような、七・四八四というような数字がすでに出されて、話し合いが行なわれておるというようなことが現実です。ですから、これは、決してそう簡単に下がるものではないというふうに思います。たとえば、こういうような高金利政策では、中小企業云々というお話があるにしても、少なくても今回の提案理由では、全部または一部の利子を補給し、というふうにあなたの提案理由に言われたわけですね。だから、そういうふうになれば、全部がないということがあり得るということでは、これは羊頭狗肉であり、ゼロにするものがあるのだということをおっしゃったわけなんですから、法律の書き方も、金利が七分五厘に上がろうと、七分六厘に上がろうと、ゼロになり得るような書き方をしておいていただかなければ、そのときの情勢によってどうなるか。それは、そのときに高かったらどうされるのかということの問題もあるのですから、この際は、カッコ書きのところを——最高限度のものをこれは指導されるわけでしょうから、全部がどうなろうと、補給できるようにいまから法律案を修正をしていくということが提案理由の趣旨に合うゆえんではないか。私は、そういうふうに、金利政策がどうなろうとなるまいと、ゼロから始まって一・七五という利子補給をするんだということに対応できるような法文、条文に修正すべきであるというふうに考えるわけですが、これはいかがでしょうか。
  160. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは山田さんとは議論の分かれるところで、たいへん恐縮なわけですが、来年の四・四半期というものはまだよほど不確定要素がある。特に、先ほど申し上げましたように、この金利の問題というものは、公定歩合を引き下げてまいりましたときは、政府としては、強権に似たくらいの相当の強さで金利引き下げを要請しますから、だから、そういうときにはやはり下がる可能性もあるわけですし、不確定要素がある。したがって、「全部または大部分」ということで御了承をいただきたい。私どももできるだけ上限の七・一%で金が借りられるように、これは県知事等々とも話し合いをしながら、地方公共団体のために努力を払ってまいりたいというふうに思います。
  161. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 だから、努力をしていただいて、大いにやっていただくことはありがたいわけですけれども、私の申しておりますのは、ほかの金利が七分五厘にも六厘にもなって、しかも、府県や六大都市とその他の市町村とは、縁故債の利子というものがはっきり現実に違っておるわけですね。そして、財政の貧弱な市町村ほど縁故債の利率というものは高いという現実は、これはもうあるわけです。ですから、たとえ七分一厘に指導されても——私は、それはならぬと思いますけれども、それは意味の違いだとおっしゃるんだから、これはしばらく置いて、七分一厘に府県や大都市でなったとしても、そのほかの市町村がそれになるという保証は何らない。超金利緩慢のときでも七分一厘という数字なんでありますから、少なくとも、幾らやってみても前の状態に戻すような施策をおとりになるまいというふうに思うときに、私は、やはり、現段階において、七分何厘になろうと、七分五厘になろうと、六厘になろうと、全部補給できるような法律案に直しておいていただくことがいいと思う。自治省の指導と相まって、予算に積算されたものにいけば、これはけっこうですが、いけなかったときには、やはり全部が補給できるように、この際、法案を直しておいていただくことのほうが地方団体にとってもありがたいし、提案理由の説明に合致するゆえんである。高くなるか安くなるかは別ですよ。いま言ったように、指導されるとおっしゃるから期待するとしても、できない場合もあるときに、それに対応できるように法文を直しておいていただくということが正しいのではないかというふうに思いますが、この点はどうでしょう。
  162. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは、さっきも申し上げますように、不確定要素もありまするし、一応こういうことで私ども責任を持って進める。金利の問題、は、何も本法案だけじゃなくて、ほかにも該当するものが一ぱいあるわけです。したがって、今度は、政策的に高金利政策を現在とっておるわけでありまするが、これが長く続いていいはずのものではありません。したがって、ある時点ではこれが緩和されることも当然期待できるわけですし、見解の分かれるところではありまするが、まあ、ひとつ、これは政府責任において処置いたしまするので、おまかせを願いたいと思います。
  163. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 私としては、やはり下げていって、七分一厘になろうと、もっと下がって七分何毛になろうと、あるいは七分五厘、七分六厘になっても、全部またはその大部分ができるように法文をこの際書きかえていただくことのほうが、そのときに対応し得る道があるんだから、地方団体も安心できるし、自治省の皆さん方も非常にいいということになるのではないですか。これは、事務当局として、財政局長に伺いたいと思いますけれども、そのほうがいいのじゃないでしょうか、どうでしょう。
  164. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 実は、私ども、いま金融情勢というものがこんなに急激に激変して上がってくるということを、その当時、神ならぬ身の予測できなかったという点がございます。ただ、先ほど大臣からもお答え申し上げましたように、あのときの段階におきましては、少なくとも七分一厘というものでセットいたしまして、三分五厘から七分一厘までは、これは全部補給します、三分五厘以下のところは、財政力に応じて、最高三・五から最低一・七までは補給しますということで、これまでの利子補給というものに比べますと、これは段違いに大幅に前進を見ておるわけでございまして、その考え方からいたしますれば、われわれといたしましては、当時は「全部または大部分」と思っておったわけでございますけれども、ややそこにそごを生じたということにつきましては、正直いって、どう対処しようかなということで頭を痛めておるところでございます。ただ、金融情勢が今日のように非常に激動するときでございますから、現実に借り入れをする時点においては、金融情勢も金利も若干また下がってまいるということもあるのではないだろうかということでございまして、とつおいつ考えておるというところが現実でございまして、いまのところでは、私ども提出いたしておりまするこの原案で参りまして、現実の借り入れの段階においてどう対処するかという措置を講ぜざるを得ない、こういう気持ちでございます。
  165. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 それは、そのときの情勢に応じて対応できるように条文を書き直すことはできるわけですわね。だから、大いに激動する時期であれば、それに即応して、安ければ安い利子補給で済むんだし、高くなれば高く利子補給をするという形に法文を書きかえておくことのほうが正しい。先ほど大臣が言われたように、金利については、強力なる指導を政府、日銀はやられるわけですし、これは確かにそのとおり言うことを聞くのですから、アトランダムに、かってに、恣意的にものをやるというわけではないのが、現在の日本の、いわゆる財政金融政策の一環としての利子の問題としてセットされるわけですから、これは、法文を、激動すればするほど、その事態に対処し得るような書き方に直しておくことが正しいんじゃないでしょうか。もう一ぺん伺いたい。
  166. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 御指摘の御意見、ごもっともだと思います。ただ、私どもといたしましては、七分一厘ということでセットいたしておりますので、この点につきましては、われわれの立場も御理解ただきまして、検討させていただきたいと思います。
  167. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これはちょっと重要なところだから申し上げておきましょう。これは、山田さんは非常に重要なところをついていらっしゃるのですよね。だから、われわれのほうも何もメンツにこだわる必要はないと思うのです。こだわる必要はないが、まだ不確定要素なんです。来年一月以降の問題ですからね。したがって、あなたの言われるのは、いや、そういう場合に下がっておればけっこうだし、下がらなくてもいいように条文整理しておけというわけでしょう。(山田(芳)委員「そういうわけです。一歩譲って、ですよ」と呼ぶ)ところが、それはこちらから言うと、こういうことでセットして、こういう法案も出してお願いしております。しかも、来年の第四・四半期というものの不確定要素などを考えれば、高金利が実際そういつまでも続いているはずのものじゃないのです。ですから、そのときには来年度予算も当然編成されますし、そういうことになれば、また高金利がいつまでも続くということになれば、そこで金利を全部または大部分見ようという、これは金利負担の政策ですから、そこであらためて考え直したって決しておそくない。いまから条文に幅を持たせて自由自在に、と言わなくても、現実にその不確定要素が高金利ということになった時点で対処することはできます。しかも、それは来年度の予算編成期ですから、これは補正予算等々を含んで当然考えることができまするので、そこら辺でこれは決着をつけてもらえませんでしょうかね。
  168. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 これは、いま財政局長もいみじくも言われたように、考え方は最初からもうきまっていたけれども、情勢に対する判断があの当時においては間違ったわけですから、政府側としても、委員会の皆さんだってここにおられるけれども、私の議論のほうが正しいと腹の中ではおそらく思っておられると思うのですけれども、ひとつ、委員会なり理事会でこの点は判断をしてやらせていただくというふうにさせていただくように、大臣もあまりかたくなに言われないで、私の意見がいいというなら、私の言うことも通していただきたいと思いますが、どうでしょう。
  169. 江崎真澄

    江崎国務大臣 山田さんの御意見は尊重します。尊重しますが、私の意見も尊重してください。だから、そう大きな違いはないので、地方にたいへんな負担やしわ寄せをしないようにやりましょうという点は合意ですね。あなたは、幅を持たせて条文修正をやれとおっしゃるし、私は、補正ないしその時点での考慮でもいいじゃありませんか、めんどうは見ますと言う。そういう方向が固まっていけば、それでどうでしょうか。結論は出たように思いますがね。
  170. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 それでは、委員会なり理事会にひとつおまかせするということにして、一時間ということで私に与えられた時間も迫ってまいりましたが、実はこの間も伺いたかったわけですけれども、おられなかったのですが、横浜で、大臣の言われた自転車道を考えてみて、そこのところは、たとえ四車線があろうとも一車線ぐらいというようなお話しも伺っておるわけです。もちろん、そういう構想をこれからコンクリートに、具体的にされるのであろうと思いますが、大体の方向なり考え方をこの際承りたいと思います。
  171. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは、先ほど、午前中に岩垂さんにもお答えいたしましたが、こういう問題というものは、どこかがモデル地域になってくださるということでありませんとから回りになります。また、どんな構想を述べてみても、それはドグマを披瀝したということになるわけです。幸い、事務当局方では、研究機関を、各省庁、横の連絡を密にして持ってくれました。また、飛鳥田さんにもその気持ちになってもらっておりますし、大阪が熱心、岡山が熱心、名古屋も、もうすでに、歩道と一般交差点の段差を前の市長のときからなくしております。ですから、相当呼びかけていけばモデル地区になろうという都市もあろうと思うのです。そこで、いま、私ども警察庁の関係者が外務省に出向いたしまして、外交官として外国におる例もありまするので、そういう人たちにも、日本と同じ、ないしそれより多い国民所得のところで自転車が奨励されているということは、あれば一体自発的なのか、あるいはしかるべき行政機関か指導してそうなったものなのか、また、自転車の安全度をどの程度に、どういうふうに確保しておるものかということについて、これを調査してもらって、いま至急に回答を求めておるという段階でございます。資料が各省庁そろいましたら一度先生方にも御参加願いたいと思うわけですが、実験都市になっていただけそうな都市の責任者にもお集まりいただいて、衆知を集めてみるということでまいりたいと思っておるわけでございます。  それには、白線一本で、これは自転車、こっちは車道ということにもまさかいかないし、それだけでは安全とは言えませんので、したがって、専用道路をどうするのか、広い歩道であれば、その歩道の乗り入ればどの程度にしていくのか、あるいは、ラッシュの一定時間帯だけは自転車が優先して、乗用車は少々列をなしても、不便であっても、ごしんぼうを願うということで交通規制が可能かどうか、そういうことを考えると同時に、駅のあき地等に、ある程度施錠のできるような自転車置き場をつくらなければなりません。これは駐車場をつくる経費から言えばごくわずかなことでありましょうから、思い切ってそういうものには地方も国も金を投入するというくらいの決意で臨んでまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  172. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 非常にいいアイデアだと思いますので、ひとつ大いに進めていただくことを私ども希望しておきます。  最後に、これは、実は、この間も政務次官に伺ったのですが、非常に十分でないというふうに思いますが、地方公共企業体というものを法制化して、大都市交通の一元化をしたいということを財政局長はあちらこちらで言われているように文書で承っているわけです。私どもとしては、画一的な法制化による問題は反対でありますが、これについての自治省としての現在の考え方をお伺いしておきたいと思います。
  173. 江崎真澄

    江崎国務大臣 ちょっと経緯がありますから……。
  174. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 この地方公共企業体につきましては、御案内のとおり、昭和四十一年の地方公営企業法改正の際に、いわば根拠になる規定を置いたわけでございます。この考え方といたしましては、将来の大都市交通のあり方、それから現状というものを見ました場合に、たとえば東京都の場合におきまして、国電あるいは営団地下鉄、公営のほかに民営の九社あるいは八社というものが乱立して、相当の路線について競合して走っておる。そういう意味におきましては、資源配分におきましてもかなりのロスがあるわけでございます。そういった意味合いから、私どもは、率直に申しまして、諸外国の大都市にも例を見ますように、大都市交通の一元化を地方公共企業体を中心にしてはかるべきではないだろうかという思想を持っておりまして、そういうことで、当時、ある程度この法制化も考えたかったわけでありますけれども政府部内におきましてもなかなか思想の一致を見ないということで、基本的には「別に法律で定めるところにより、」地方公共企業体云々という規定を設けるにとどまったわけであります。  現在のところにおきましては、この地方公共企業体というものを法制化するという具体的な作業はいたしておりません。ただ、将来の方向といたしまして、民営交通を例にとりました場合に、現在においては他の付帯事業をやりましてかろうじて採算がとれておるわけでございますが、将来ある一定の時点になったならばそういうことにも限度があるであろうということになりますと、やはり、地方公共企業体といったもので一元的な経営をやるということは検討に値する一つの有力な方向ではないだろうかという感じを持っております。
  175. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 以上で私の質問を終わりますが、金利の問題については、私のほうとしては、やはり法文を直すべきだという意見を持っておりますことを重ねて申し上げまして、質問を終わります。
  176. 中山利生

    ○中山(利)委員長代理 三谷秀治君。
  177. 三谷秀治

    ○三谷委員 午前中から適切な質問がありました。そこで、できるだけ重複を避けたいと思いますが、しかし、この問題につきましては幾つか焦点がありまして、その焦点は避けがたいわけであります。  初めに聞きたいのは、昭和四十一年に地方公営企業法を改正して、深刻な財政危機にあった公営交通事業再建することになりました。俗に一次再建と言っておりますが、これは破綻はしなかったが、うまくいかなかったという。そのうまくいかなかったというのはどういう状況なのか、これをまず聞いておきたい。赤字がふえたのか、減ったのか、不良債務がふえたのか、減ったのか、どういう状況に至ったのか、御説明をお伺いしたい。
  178. 森岡敞

    ○森岡政府委員 先ほどからたびたび引用されております「大都市公営交通事業財政再建の経過と反省」という書きものをもとにいたしまして、私ども、公営交通問題研究会で御研究をいただいたわけでございますが、その中でも書いておりますように、まず不良債務状況でございますが、昭和四十一年度の再建当初においては四百四十四億の不良債務をたな上げいたしました。その不良債務は年々計画に従って償還しておるわけでございますが、その後新たな不良債務が出てまいった。したがって、四十七年度末では八百七億円の不良債務が出てくるというふうに見込んでおります。しかし、これは見込みでございますから、若干の異同は出てまいると思います。不良債務の金額は明らかにふえた、そういう意味で、うまくいかなかったということが言えると思います。ただ、都市構造はいろいろ変わってきまして、たとえば路面電車の地下鉄への転換でありますとか、あるいはバスのワンマン化でありますとか、そういうふうな方向につきましては、これはある程度計画どおり実施がされてきた、こういうふうに考えておるわけであります。
  179. 三谷秀治

    ○三谷委員 四十七年度で十分に計数が出なければ、四十六年度の決算の終わった分でいいのですが、この第一次再建計画によりまして大都市のほとんどが再建計画をつくって再建事業を始めました。この再建事業の結果が四十年度末四百六十五億ですか、この不良債務が四十六年度末には八百十六億になった。公営交通事業の四十六年度、単年度の損失だけでも四百二十億だという。累積欠損金が千九百二十九億円だ。不良債務が千四百八十一億円に及んだ。これは一体何を再建したのか。借金を再建したのと違うのか。事業再建になっていないのはなぜかということなんです。どこに主要な原因があるのか。当時の再建の基本方針に基づいて説明してほしいと思うのです。
  180. 森岡敞

    ○森岡政府委員 第一次の再建の基本方針は幾つかございますが、まず、第一は、路面電車の計画的な撤去の問題でございます。大都市の交通手段としての役割りが機能的に果たし得なくなってまいりました。そういう意味合いで、基幹交通は、地下鉄整備をするということで推進してまいる。地下鉄建設までの期間の経過的な措置、あるいは地下鉄建設の及ばないところはバスで補完輸送をする。第二は、バス事業につきましては、ワンマン化などの推進によりまして収支の改善をはかる。同時に、この時点においては、バスについては現在ほどの路面混雑ではございませんでした。したがいまして、ある程度乗客の吸収もできるという前提で、それで収入の増加をはかっていきたい。それから第三番目に、一般会計との負担区分を明確化いたしたいということで、たとえば路面電車を撤去いたしましたあと、路面復旧をするとか、そういうものは全部一般会計負担をするというようなことと。それから、しばしば話が出ております国の利子補給あるいは地方公共団体一般会計利子補給などによりまして援助を行なう。  なお、路面電車の撤去などが行なわれますと、車庫用地とか軌道などの不用財産が出てまいります。そういう不用財産の売却により収入増加をはかる。それらとあわせまして、人員の縮減、物件費の節減などの経費の合理化もはかりたいというふうな点を基本として再建計画を立て、それに基づいて実施してまいったわけであります。  しかし、それが予定どおりの不良債務の解消を行ないながら新たな不良債務が出てきたということにつきましては、これは、先ほど来申しておりますように、まず第一は、路面混雑、交通渋滞ということによりましてバスが予定どおりの機能を果たし得ない。その結果、収入の増加が見込めない。また、料金改定につきましてもなかなか実施ができなかった。反面、歳出につきましては、バス事業でございますので、どうしても人件費のウエートが高うございます。毎年の給与改定による大幅な人件費の増加が見込まれる。こういうふうな要素が相乗されまして新たな不良債務が累増してまいった、こういう状況であるわけでございます。
  181. 三谷秀治

    ○三谷委員 再建の基本方針というものが六つの項目になっておりましたが、このうち、いわゆる企業努力によりまして、大幅にこの方針が進行を見た問題があるわけであります。たとえば路面電車がそうでしょう。これが、再建事業が始まります前年、四十年には、六大都市で五百四十四営業キロであった。四十六年度では百四十営業キロになってしまった。四十八年計画では、残るのは東京京都だけになる。四十五営業キロになる。ほとんどこれは達成した。それから、バスのワンマン化でありますけれども、これは、四十一年では大阪の四四・九%が最高だ。神戸の八・二%が最低でしたけれども、平均で二八%でした。四十八年計画で見ますと、東京、大阪の一〇〇%をはじめといたしまして最低の神戸でも七九・八%になっておる。ワンマン化もほぼ全面的に進んできた。財産処分はどうですか。財産処分も、四十八年までに、六大都市合計で五百九十四万二千平米、千六十八億円の財産処分をやっておる。つまり、売り尽くし、整理し尽くし、合理化し尽くしたと地方公共団体は言っておる。これだけの企業努力をしておるわけです。しかも、これが赤字再建ができないということ、これは重大な責任問題があると思う。  もう一つ聞きますけれども、こういう事態と同時に、地方自治体が、公営企業法に規定する独算制の制約があるにもかかわらず、一般会計から企業会計への繰り入れを余儀なくされておる金があるはずです。それはどのくらいあるか、お聞きしたいと思う。
  182. 森岡敞

    ○森岡政府委員 ちょっと、いま資料を整理いたしますので、御猶予をいただきたいと思います。
  183. 柴田啓次

    ○柴田説明員 昭和四十七年度に、再建団体である交通事業に対して繰り入れました金額は、路面交通事業の分で五十五億三千二百万であります。
  184. 三谷秀治

    ○三谷委員 どこから繰り入れたのですか。
  185. 柴田啓次

    ○柴田説明員 一般会計から企業会計に繰り入れたものであります。
  186. 三谷秀治

    ○三谷委員 全国の自治体で……。
  187. 柴田啓次

    ○柴田説明員 再建団体で……。
  188. 三谷秀治

    ○三谷委員 いわゆる独算制の制約ではどうにも維持できない状況になっておる。一般会計から企業会計へ繰り入れました額というのは、六大都市で、第一次再建以後かなりな額になっておる。東京都の例で見ますと、地方公営企業法で認めました軌道の撤去、道路復旧費、軌道補修費を別にしまして、財政再建債利子補給や資金不足利子補給に、四十一年以降、八年間に四十六億円一般会計から出しておる。大阪市におきましても、四十四億繰り入れておる。横浜、名古屋、神戸、京都を合わせますと、百二十七億円に及んでおります。これは、公営企業法からいきますと、それに反する行為になる。そういう予算が現実にあることを御承知になっておるのかどうか。
  189. 森岡敞

    ○森岡政府委員 お話の軌道撤去以外の再建債利子補給でありますとか、路面電車の新たに生じました不良債利子でありますとか、そういうものにつきましては、再建計画の変更の際にいろいろ協議をいたしまして、負担区分ないしは援助という形で、これは通常の企業収支ではとうてい処理できないということで、一般会計からの繰り入れを再建計画上認めている、こういう方式をとっております。いま御指摘の分はそれらの問題であろうかと思います。
  190. 三谷秀治

    ○三谷委員 それは、法令上から言いますと間違っているわけだ。ですから、現実の事態がそうなってきている。計画変更によって一般会計からの繰り入れを認めるというふうなことを毎年度やってきている。そのことは、すでに、この公営企業法というものが実情に適していないということを示しているわけです。それも少ない額ではないでしょう。六大都市で百二十七億円なんです。こういうことが繰り返し繰り返し行なわれるとすれば、抜本的に公営企業法を改正するという措置がなぜとれないのか。疑問に思ってもこれはやむを得ぬでしょう。
  191. 森岡敞

    ○森岡政府委員 いま申しましたように、再建計画を立て、再建を推進していくということでございますから、通常の経営とはおのずから違ったきびしい状況にあるわけでございます。公営企業法の十七条の三では、「地方公共団体は、災害の復旧その他特別の理由により必要がある場合には、一般会計又は他の特別会計から地方公営企業の特別会計に補助をすることができる。」という規定がございます。私ども考え方といたしましては、根本的な独立採算制考え方を堅持するという考えはもちろん終始持っておるわけでございますが、しかし、たとえば路面電車の新たに生じました不良債務というものは、路面電車は撤去するというが、いろいろな事情でなかなかおくれてまいり、そのために生ずる経過的な不良債務でございますので、こういうものは、まさしく、十七条の三で規定しておりますような新たな補助として、一般会計から助成していいのではないかというふうな考え方をもってこの措置を講じた、こういうことであるわけでございます。
  192. 三谷秀治

    ○三谷委員 その十七条ですがね。いまおっしゃいましたその規定というものが、そういう形でかなり幅をもって運用されるということになってくれば、これはまた別なんですよ。しかし、政令によりましては、きわめてきびしい制限規定を設けているでしょう。   〔中山(利)委員長代理退席、委員長着席〕 それがあるので、地方自治体では、一般財政を特別企業に対して出せなくて困るわけです。だから、その法令、いまあなたがおっしゃいましたその条項をもとにしまして、随時適切な解釈をしていくのだということでありますならば、これはたいへんけっこうだと思うのです。ところが、そうじゃないでしょう、政令は。
  193. 森岡敞

    ○森岡政府委員 一般会計と交通特別会計との間の調節の問題は、まず、第一は、十七条の二の「経費の負担原則」というのがございますが、まあ、これは負担区分と称しております。これが、先生御指摘の軌道撤去でありますとか、本来企業が持つことが適当でないものは当該団体一般会計が持つべきものであるということで、かなり限定的に書いております。十七条の三の「補助」の規定は、そういう補助の限定はございません。しかしながら、そうであるからといって、きわめて弾力的に解するというわけではないのでございまして、やはり、先ほど申しましたように、再建計画を立てている再建企業のようにきわめて特殊性があるとか、それから、軌道の部分というのは、ことばは適当でないかもしれませんが、もう消え去っております。したがって、その赤字か処理されるまでの間は経過的に一般会計でやるべきじゃないか、こういう考え方をとっておるわけでございます。
  194. 三谷秀治

    ○三谷委員 そうしますと、あなたの説明によりますと、この百二十七億の一般財源から支出をしました額というものは軌道撤去に伴うものだ、そういう御見解ですか。その範囲のものですか。そうじゃないでしょう。
  195. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 ただいま審議官から申しました軌道撤去に伴う負担区分は、政令で規定をいたしておるわけでございます。そのほかに、一般会計から繰り入れをいたしております。私どもの調べておりますところでは、この再建団体におきまして再建債利子補給をやる、あるいは路面電車の新規不良債務利子について補給をする、これにつきましては、いまの負担区分の問題ではございませんが、たとえば路面電車の不良債務につきましては、再建債利子補給につきましては、三分五厘から上の部分は国が補給をしているわけでございますね。でありますから、国が補給をして、それと見合いの形で、地方団体一般会計から利子補給の残りの外の部分を補給をする。あるいは、路面電車の撤去というものは計画にございますけれども、現実問題といたしまして撤去がなかなかできない、そのためにおくれる。その分につきましては、やはり、まことに緊急やむを得ないものとして、一般会計からの繰り入れを認めて、その部分の利子補給というものを行なっておる。こういうきわめて限定をした、しかも、現在の国なり一般会計が補給しているものとバスを合わせるものとして十七条の三の規定を活用いたしておる、こういうことでございます。
  196. 三谷秀治

    ○三谷委員 資金不足、利子補給にしましても、これはかなり大きな額になっております。これも、合計しますと五十億なんですね。六大都市で。もっとも、これは名古屋と神戸は出しておりません。三大都市ですね。出ておる。こうして大阪などを例にとりますと、直接この公営企業に関係のない大阪府まで一般会計から補助金を出している。出さざるを得ない状態になってきておる。ですから、この事態というものは、地方公営企業法によります独算制というものが破綻してきておるということをはっきり示しているのです。こういう地方団体が、厳密な意味での地方公営企業法の規定を順守できない状況になっている。厳密に言いますと、違法な予算の支出をやらざるを得ざる状況になっておるということはあなた方は御承知になっているはずなんです。それを知らぬとは言えますまい。そういう状況一つ現実にあるということなんです。これは御承知でしょう。
  197. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 再建計画の執行あるいは変更という際につきまして、私どもも、現実に、それぞれの自治体の非常な御苦心をいただいておる状況というものを踏まえながらこの変更の承認をいたしておるわけでございます。そのときにおきまして、いま申し上げましたように、私どもの基本的な考え方というものからいたしまして、利子補給は認めない。そういうものについては、この十七条の三の規定によりましてその支出を認める、こういうことでございまして、違法の支出をしておるということは当たらないかと思います。
  198. 三谷秀治

    ○三谷委員 そのつど必要やむを得ざるものとして認めていくということをやってきたとおっしゃるわけですけれども、必要やむを得ざるというものの解釈のしかたといいますか、ここにいま問題があるのですよね。必要やむを得ざるですか、規定はどうなっているのですかね。(鎌田政府委員「災害の復旧その他特別の理由により」と呼ぶ)「特別の特別の理由」ですか。——まあ、これも特別な事情になっておるわけなんですね。だが、たとえば一時資金不足の利子補給なんというのも、こんなものは、公営企業法によりますと、一般会計でまかなうべきものじゃないのです。しかし、それをまかなうように、その段階においては認めていくという処置を随時とってきている。その負担額がかなり大きくなってきている。そういう状態なんですね。そういう状態を見てみますと、あなた方がおっしゃっております独立採算という問題が、いろいろな説明をなさっていますけれども、事実上は手直しされていって、独立採算は非常にむずかしくなってきている、破綻しているということになってきているんですね。ですから、この面から見ましても、今度の法案というのは独立採算をたてまえにしている法案になっており、独立採算制の中におきまして一時的あるいは臨時的に再建処置をとっていこうという内容になってきておりますが、こういう基本的な姿勢で、ほんとうに地方公営交通事業再建できるかどうかという問題ですね。これは、さっきからずいぶん質問が出ておりますから繰り返しませんけれども、この独算制というたてまえではだめではないかということが言われておりますし、私もそう思うわけです。独算制をとる根拠としましては、自治大臣企業企業とおっしゃっているんですね。しかし、これは企業ではありますが、同時に公共事業でもあるわけなんです。企業という、いわゆる採算性といいますか、経済性といいますか、この面からだけものを見ちゃだめだということなんでしょう。そうしますと、公共性についてはどう評価していくのかという問題が一つ残ってくるわけなんですよ。その面からいきますと、独立採算という論理そのものが矛盾があるのだということになりはしませんでしょうか。
  199. 江崎真澄

    江崎国務大臣 私は矛盾しないと思うのです。それで、独算制がなかなかむずかしいということで、政府側としても、法的に許される限り、また、財政的に許される限りの助成方途を講じておる、こういうわけですね。あとはやはり企業側の努力が必要だと思うのです。日本人一億人全部が利用するというものじゃないのです。その地域社会の人が利用しておる。そうすると、人口二十万以上の都市には路線バスを設けるべし、人口百万以上のところは地下鉄を設けるべし、そんなことになっていないのですね。ですから、何ら経営再建方途も立たないものに国費をどんどんつぎ込むということはよくありません。そこで、いろいろな規制措置が出てくるわけで、やはり、ある程度企業採算ということはとって、便宜を受ける者が、その便益に応じて便益料を負担することは公平の原則からいっても当然のことだ、これを繰り返し申し上げておるようなわけでございます。
  200. 三谷秀治

    ○三谷委員 この法律の目的にも掲げてありますけれども住民福祉の向上と、経営健全化ということで、目標が二つ出ておりますが、これは本来から言いますと、二律背反的なものなんですよ。ですから、公営交通企業というのは、民営企業と異なります点は、企業の経済性が困難でも、公共的な見地からこれを運営しなくちゃならないという性質のものだ。それが公営交通企業民営と違う基本的な性格だ。その点に立ちますと、あなたがおっしゃいますように、そろばん勘定だけはじいて、そろばんに合わなければこれは話にならないというような性質のものではない。もともと、都市交通というものは、採算を目的としてかかったものではなしに、都市住民の足を保障するという公共的な目的をもって発足したものであって、それを企業性からだけ判断をしていくというところに問題があるのじゃないでしょうか。
  201. 江崎真澄

    江崎国務大臣 企業性だけから判断をすれば、確かに問題があると思います。その点は全く同感なんです。ですから、私どもも、あとう限り、事情の許す範囲の財政協力、援助といいますか、措置をしておる、こういうわけですね。しかし、そうかといって、企業性皆無——これは公益性の強いものだから、全部国ないし地方公共団体で持てということでは、これは、企業主体が地方公共団体のそれぞれの管理者にあるわけですから、そうなると、責任の所在がはなはだ不明確で、利益があがろうとあがるまいと、どれだけでも住民の便益に供してバスならバス運行すればいいというようなことは困る。だから、努力努力でしていただきたい、政府ないし地方公共団体で見るべきものはしっかり見ましょう、これがこの法律なわけでございます。
  202. 三谷秀治

    ○三谷委員 あなたがおっしゃいます話を聞いておりますと、地方交通事業は採算というものを無視できない、しかも、経営主体はその企業体なんだということなんです。そういう面からいきますと、地方公営交通事業経営の困難な障害ですか、これはどこに大きな原因があるのかということになりますと、もうさっきから議論し尽くされましたね。これは都市への人口の集中という問題がありますし、それから、モータリゼーションという問題がある。これは、御承知のように、その地方団体責任じゃないですね。これは、いわば国の基本的政策がもたらしたものである。企業責任に属するものじゃない。企業責任に属しないものにつきましては、これは国が責任を持つというたてまえを言っているわけなんです。この論理には無理があるでしょうか。
  203. 江崎真澄

    江崎国務大臣 いま三谷さんのおっしゃる点は、私も同感なんです。だから、私どもは、不良債務はたな上げをする、金利は大部分を見ましょう、また、不良債務返還のための一般会計からの出し分についても、これは来年度以降の問題ですが、何らか措置を考えてまいりましょうと、非常にわかった話をしておるわけでありまして、政府としてはあとう限りのことを懸命にやっておる。だから、公営企業といっても多岐にわたりますが、いまはバス路線が焦点に立っているわけですが、バス路線管理者は十分ひとつ努力してください、かりそめにも、親方日の丸、赤字は出しほうだいなんということは困りますよということを申しておるわけでございます。
  204. 三谷秀治

    ○三谷委員 今日の都市交通における問題が、交通企業それ自体の問題よりも外部的な要因にあるということですね。これは明らかになりました。そして、バスの運用効率がなぜ落ちたかということと、なぜ巨額の投資をあえてして地下鉄建設をしなければならないかということですね。この主要な原因というものが企業外の原因によるものだということははっきりしてきたのですね。その企業外の原因によりまして膨大な負担を負わなくちゃならない、あるいはバスの効率が下がってしまう、こういう事態になってきた。そうしますと、その要因につきまして責任を負うべき政府処置としましては、幾らか利子の補給率を上げるとか、あるいは孫利子を持つとかいう程度のものでなしに、その赤字そのものに対して責任を持つということが、当然とられるべき処置だと私は思います。その点が全然ないということでしょう。いわば、付随的な利子を補給するとか、利子のまた利子を持つとかという程度に終わっている。これでは少し責任のとり方が足らぬのと違うでしょうか。
  205. 江崎真澄

    江崎国務大臣 責任のとり方は、現段階では、私どもは十分だと思うのです。これは、見解は分かれるかもわかりませんが、出すほうと取る方の理念、これはやはり評価において違うわけですが、私どもとしてはあとう限りのことはした。しかも、路面電車がだめになった、これを撤去した、地下鉄に依存しなければならぬ、その地下鉄施設費の半額は、従来でも政府及び地方公共団体で持ってきたが、今度はこれを六六%補てんをします、と、ここらあたりは、ずっと関連して、責任の所在を国家としても明らかにしておるわけです。ですから、何もかも全部国家で負担をしろということは、これはちょっと、共産党の世の中になっても、そう簡単じゃない……(「われわれならやりますよ」と呼ぶ者あり)いや、むずかしい。
  206. 三谷秀治

    ○三谷委員 これは公営交通問題研究会ですら、この赤字の二分の一は国が負担すべきだという意見を出しておりますね。要するに、今日の地方公営交通事業赤字というものは、その経営主体や、あるいは地方団体責任ではない、責任は外因的なものであり、それはもっぱら政府施策に基づくものだという観点に立って、赤字の処理も国が負担すべきだという意見を出しておりますが、これについてはどうお考えでしょう。
  207. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 おことばを返すようでございますが、今日の公営交通事業赤字は、国の政策が悪いから、全部国が見るべきだということは、これは言ってないわけでありまして、やはり、基本的には、公営交通事業経営の第一次的な責任負担は、あくまでも地方自治体にある。国が地方自治体に公営交通事業をやれと命令してやらしているわけではないわけでございます。でございますから、その点につきましては、私ども、基本的な考え方は、地方自治を守り育てる立場にございますけれども、違うところでございます。ただ、それならば、現在の公営交通の赤字のすべてを地方自治体に負わせることがいいのかどうかという点につきましては、逆の意味におきまして、企業外的な要因があり、企業内的な要因があり、企業外的な要因といたしましては、いまの路面交通あるいはこの混雑、あるいは都市構造の変化、こういう面があるわけでございますから、それは一自治体の力をもってしてはいかんともしがたい時の流れでございますので、その分までまるまる持つということについてはいかがなものであろうか、こういう思想が基本にあるわけでございます。したがいまして、私ども考え方といたしましては、この答申の御趣旨を尊重しながら、意のあるところをそんたくしながら、元本については当該自治体の一般会計で持つ、利子につきましては、その大部分を国が持つ、こういう形で、少なくとも既往赤字の解消は当該企業以外でやらせるというふうに考えておるわけでございまして、その点につきましては、私どもは、この研究会の答申というものとそう逸脱をいたしておらないと考えておる次第でございます。
  208. 三谷秀治

    ○三谷委員 そう逸脱していないとおっしゃいますけれども、債務の二分の一を国が持つべきだという考え方と、利子補給をしようという考え方は、それは同一のものじゃないことは明確なことなんです。  それから、自治省の財政局の「大都市公営交通事業財政再建の経過と反省」というのがありますが、この中で述べていらっしゃいますことで少し聞いておきたいのは「都市交通における公営交通事業の位置づけとその果すべき役割」について「抜本的な検討」が必要だとおっしゃっているんですね。これは一体どういう意味でしょう。  それから、「都市交通における公営交通事業の果す役割の重要性と企業環境の現況にかんがみ、国および一般会計による財政措置の拡大について根本的な見直しを行なうことが必要である。」となっておる。こういうように、「抜本的」とか「根本的」とかいう表現が使われておりますが、ここで述べていらっしゃいますことは、これは具体的には一体どういうことなのか、お聞きしたいと思う。
  209. 森岡敞

    ○森岡政府委員 「経過と反省」におきまして、お話しのように、「単なる財政赤字の解消にとどまらず、都市交通における公営交通事業の位置づけとその果すべき役割を明らかにし、これに即した事業のあり方、経営体制等について抜本的な検討を行なうことが必要である。」と書いておりますのは、都市交通といいます場合に、公営交通事業ですべてカバーをしておるわけではございません。国鉄もございますれば、民営もございます。それと同時に、その実態が将来どうなるかという問題もあるわけでございます。その辺のところが非常にむずかしいわけでございますが、そういう問題を十分総合的に勘案いたしまして、さしあたり現時点、あるいは当分の間、どういう公営交通事業の機能なり位置づけを考えるか、あるいは、遠い将来にわたってどういうふうに考えるか、そういうふうなかなり総合的な問題を考えなければならないだろう、それから、経営体制につきましては、一元化とか、いろいろな提案もあるわけでございますので、そういうふうな問題を含めていろいろ考えなければならないだろう、こういうふうなことを問題点として掲げてあるわけでございます。  それから、「国および一般会計による財政措置の拡大について根本的な見直しを行なうことが必要である。」と申しますのは、先ほど来申しておりますように、第一次再建では、利子については国と地方公共団体一般会計処置をいたしますが、元金につきましては、将来のバス事業その他の収入によりまして、企業の中で償還をしていこう、こういう計画をとっておったわけでございますが、しかし、全体の企業状況から言いまして、その辺のところが非常に行き詰まっておる。そこで、それについて根本的な見直しということで、今回。措置で考えております企業外で措置をするというふうな方向を意識して提案をしたわけでございます。
  210. 三谷秀治

    ○三谷委員 これは、しかし、この文章によりますと、過去のしりぬぐいをするという意味のものでなしに、今後における都市交通における方針等につきまして「根本的な見直し」が必要であるとか、あるいは「抜本的な検討」が必要であるということになっているのでしょう。これは、いままでの赤字をどう処理するかという観点に立っておるものじゃないでしょう。これは将来性にわたる議論の展開になっていることは文脈から見て明らかなことなんです。それについてはどうなのか。ここのところにおきましては、独立採算という問題については、この検討の中に、問題提起の中には全然含まれていないのかどうか。
  211. 森岡敞

    ○森岡政府委員 少しことばが足りませんので補足を申し上げますが、この(3)の「公営交通事業の果す役割の重要性と企業環境の現況にかんがみ、国および一般会計による財政措置の拡大について根本的な見直しを行なう」というくだりは、先ほど申しましたバス事業の累積赤なり、今後の問題等、それから、地下鉄につきまして、これまでの措置というものが必ずしも十分ではない、公営交通問題研究会の報告にも出ておりますように、やはり、これは都市施設の一種と見て思い切った措置を講ずべきである、そういうふうな意識なり認識が強かったわけでございます。そういう意味合いでは、地下鉄事業経営についての独立採算制範囲というものを、たとえば構築部分については、これはもう都市施設の一部と考える、そのものと考えるというふうなところにほぼ近づくような補助率なり、補助対象の拡大を行なったわけでありますので、そういうことを意識しながらこのくだりが提案されておる、かようなことでございます。
  212. 三谷秀治

    ○三谷委員 奥歯にものがはさまったようなことを言っておったんでは、説明を聞きましても了解できませんが、東京都の総合交通対策会議の答申というのがありますね。これはこういうことを主張している。都市の公共交通は市民生活に不可欠なものだから、企業的収支を最終基準に料金を決定すべきではないという見解。もう一つは生活防衛をたてまえとする自治体は、物価対策料金を抑制せざるを得ない場合があり、その場合の収入の減少分は一般財源で補てんすべきものであるということ。もう一つは、固定施設、固定設備は公共財源でまかない、運用費用を料金で支弁すべきで、独立採算制にこだわるのは現実的ではないということ。こういうように結論しておりますが、これについてはどのような御見解でしょうか。
  213. 森岡敞

    ○森岡政府委員 東京都の交通対策担当専門委員の中間報告を御引用になってのお話だと思うのですが、これは三谷委員御承知のように、この中間報告の中でも、この委員の中で、別の意見も若干——それは少数意見であるのかとうか、そこは私どもよくわかりませんが、出ておるところでございます。  私どもは、先ほど来申し上げてまいっておりますように、抽象的な言い方で恐縮でございますけれども企業会計の中で収支をまかなうべきものでないもの、あるいは能率的な経営を行なってもまかない得ないものにつきましては、これは、負担区分なり援助として措置してまいるということが基本であり、また、反面、それを除いた部分については、経営に伴う収入をもってまかなうという基本的なたてまえというものは誤っていない、正しいと考えるわけでございます。  その場合に、その負担区分なり援助という形でやってまいります範囲でございますけれども、そこのところは、建設費の全部ということになりますと、電車から、何から何まで全部ということになりましょうが、それは、そこまでということはやはり問題があるわけでございます。たとえば地下の構築物とか、そういうものにつきましては、国なり一般会計負担でできるだけ処置をしていく、その他については経営に伴う収入をまってまかなう、そういうふうな考え方を基本としつ今回の対策を講じたということでございます。
  214. 三谷秀治

    ○三谷委員 固定施設、固定設備は公共財源でまかなう、運用費用を料金で支弁する、こういうやり方ですね、このやり方というものは合理的ではないとおっしゃわけですか。
  215. 森岡敞

    ○森岡政府委員 現段階では、電車の車両でありますとか、あるいは線路設備でありますとか、地下鉄について考えました場合に、そういう、いわば地上の鉄道とほぼ同じような設備投資として行なわれるものについては、これはやはり料金でもって経費をまかなっていくということではないだろうかと考えます。地下鉄特有の、地下に構築物をめぐらし、その結果たいへん大きな建設投資がかかるという部分につきましては、これは公費でもってまかなっていく。その辺のところが一つの私ども考え方であるわけであります。
  216. 三谷秀治

    ○三谷委員 もともと、資本の負担料金によってまかなうという考え方自体が公共企業としてはおかしいわけなんです。資本は公共投資として見る、そして、運用経費につきましては料金でまかなうというたてまえ、これが公共企業としては当然とるべきたてまえなんだ。これはここに指摘されている。そのことがなぜできませんのか。  それから、生活防衛をたてまえとする自治体が——これは国にしても一緒ですけれども、この場合は地方公営企業ですから、自治体が、物価政策上料金を抑制せざるを得ない、その場合の収入の減少分は一般財源で補てんすべきである。この理論はどうですか。これも間違っておりますか。  それから、もう一つ。都市の公共交通は市民生活に不可欠のものだから、つまり、公共的なものだから、企業的収支を最終基準に料金などをきめるべきものじゃないという規定、これは間違っていますか。
  217. 森岡敞

    ○森岡政府委員 まず、第一点の、およそ資本費は、たとえば交通につきまして、全部、料金でなくて公費でまかなってはどうかということでございますが、交通企業は、先ほども申しましたが、地上を走っております鉄道もあります。また、その中には、国鉄もあれば、民営もあれば、公営企業もあるわけであります。したがいまして、その全部を、この料金でまかなわないで公費で持ってしまうという現在の情勢にはないというふうに私どもは考えるわけでございます。やはり、地下鉄に特有の地下構築物の大きな負担というものを軽減していく、こういうことではないかと思うのであります。  それから、物価政策と料金との関連でございますが、確かに、料金の問題というのは、物価との関連で非常にむずかしい問題を常に包蔵しておるわけであります。しかし、やはり、コストも上がっていきますし、また、反面、利用者の所得もある程度ふえていくという状況のもとにおきましては、私どもは、負担区分なり援助として公費でまかなうものと定めた部分以外のところは利用者に適正な負担をしていただくということでなければ、これは経営のめどが立たないのではないかという感じを持っております。  それから、企業経営なり企業収支だけで料金をきめるということは間違いだという提案でございますが、これまた、先ほど来申しておりますように、負担区分なり援助として、公費なり租税負担を導入してやっていきますためにこれを考えてまいりますと、何も、企業経営なり採算だけを考えておるわけではないわけであります。むしろ、それを拡充してまいってきておるわけでありますから、それを除いた部分については、やはり、収支、採算というものを考えていくということは必要なことではないだろうか、かように考えております。
  218. 三谷秀治

    ○三谷委員 私の質問しておりますのは、独立採算制という制度というものを踏んまえてものを言っているのですがね。いまあなた方がちょろちょろと、赤字を埋めるための一時的な、あるいは暫定的な処置を講じようとして法案をお出しになっている。これはこれとしてあとで質問しますけれども、いま議論しておりますのは、独立採算制というものの論拠に対するアンチテーゼをあげる立場でものを言っているわけなんです。ですから、あなたの御説明ではよく合点がいきませんが、もう一つお尋ねしますと、たとえば都市交通整備調査会第三次提案がありますね。これは第一次再建の結果を見て提案をしておりますが、これによりますと、公営交通事業は都市住民生活に不可欠な輸送サービス機関だから、最終的には地方公共団体一般会計もしくは国家財政による助成が必要であるとしている。結局、最終的には、当然これは一般会計や国家財政で責任を持っていくべきものだという立場なんです。それから、都市における交通機関のコスト上昇には、企業外的な要因が含まれておる、コストを利用者のみの責任に帰するのは適当ではないということ、これも当然のことです。それから、交通コストの一部を社会全体の責任で補償するのは、そういう必要が生じてきておる、こういう企業外における要因というものが強まっておる段階においては、これは当然社会全体の責任でコストの一部を補償すべきだと、こういう立場をとっておる。そして地下鉄整備につきましても一項あげております。まあ、地下鉄あとで聞きますけれども、これも、その整備は、企業外的要因によって必要性を増しておるから、資本費負担を軽減するための財政処置はどうしても必要であるというように提案している。これに対する所見はどうですか。  要するに、交通問題についていろいろな研究、調査がなされ、報告、答申、提案がなされておる。これらをずっと見てみますと、そこでいずれも共通しておりますのは、このような公共性の主張と、それから地方公営交通事業経営難の根拠、それに対する責任のあり方、そして独立採算制というものを批判をするという立場に一貫して立っているが、あなた方は、まるでそういうことがないかのようにおっしゃっておる。この間、田中総理は、小選挙区法案を国会に出す前にとやかく言うのは議会制民主主義に反するなんということを言っておったけれども、出すと、あなた方は出したこと自体にこだわってしまって、道理のある意見であろうと、論理のある議論であろうと、耳を傾けようとしない。しかし、これはやはり聞かなければいけませんよ。いま指摘しました問題は、私どもが指摘しているのじゃないのですからね。専門学者や、あるいはそういう交通事業の担当者が集まって出した提案であり、答申であり、報告であるわけです。それが全部軌を一にしてあなた方のおっしゃっていることが道理に合わぬことを指摘しでおりますから、こういうことについては、もっと謙虚にこれを聞き入れていくという態度をとらなければいけません。選挙制度審議会の報告を答申だと言って、これを通さなければ批判を受けるなんということを言う人か——これはあなたと違いますよ。それが、これだけの提案や、報告や、答申というものについては耳を傾けようとしないのはどういうわけですか。
  219. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 耳を十分に傾けておるつもりでありまして、地下鉄に対する財政措置の問題でございますとか、あるいは公営交通事業再建対策といったものは、いわゆる無限定の意味での独立採算というものからは説明がつかないところでございまして、その辺のところは私どもも十分承知してやっておるつもりでございます。  ただ、たとえば先ほどお読み上げになりましたところの、公営交通事業について、その固定設備というものはまるまる税金でやれ、残りのいわゆるランニングコストは料金でやれという御提案につきましては、私どもも十分検討いたしたのでございますけれども、やはり、他の行政、警察、消防あるいは一般道路といったものと違いまして、いわゆる排除原則の働く分野におきましてはこの考え方はとり得ないのではないだろうかと思います。  もう一つ、これは乗客人員についてでございますが、現在、たとえば首都交通圏でございますれば、国鉄が三割のシェアを持ち、公営は八%のシェアしか持っておらない。民営が六割のシェアを持っておる。こういうもとで、公営交通だけそういう形で税金を投入するということのバランスの問題、税金の使い方における公平の問題というものがやはりあろうかと思います。
  220. 三谷秀治

    ○三谷委員 その国鉄との対比の問題ですけれども、国鉄との財政負担のアンバランスに伴う権衡をなくするという問題ですが、こういう問題につきましては、それはそれでいいじゃないですか。国鉄には国鉄の要因があるのですよ。国鉄なんというものは、大資本の貨物を二束三文で運んだり、あるいは米軍の輸送費を無料にしたり、そういう要因も含まれているわけだが、都市交通におきましてはそういうものは存在してない。そういう点につきましては、それぞれの企業別によって違った条件というものがあり得るわけだ。だから、負担の同一性だけをここで特別に取り上げて強調する根拠にはなりません。内容が違っているのだ。また、地下鉄などになりますと、これはまた特別な建設費を必要とする。これもまた国鉄とは事情が違ってくる。それはずいぶんいろいろな相違点があるわけだ。だから、その中におきまして、その面だけの同一性を主張するということは道理に合いません。それはおやめになったほうがよろしい。  それで、あなた方の答えを聞いておりますと、一つも的確に質問に答えるという要素がない。さらに、もう一つ言いますならば、たとえば公営交通問題研究会ですね。これもあなたの一番関係の深い研究会なんだけれども、これにおきましてもいろいろな指摘をしておるのですね。たとえば累積不良債務の処理についての企業外の財政負担、これは今度おやりになった。それから、地下鉄の特例債の利子補給だけではだめだということ、これは今度おやりになった。それから、この元本部分につきましては、国と地方自治体が折半して処理するという内容、それから、行政路線につきましての規定というものが示されて、これは全然無視されてしまっている。しかし、この公営交通問題研究会の報告というものは、あなた方が一番尊重されておりますものでもありますし、今度の再建促進法の中で最もこれを取り入れた要素がありますが、これを全体見てみますと、やはり、いままでの状態は、さらにいまの状態は、これで不十分だということをはっきり示している。これは明確です。従来の処置については明確な批判が下されている。たとえば地下鉄にしましても、この程度では企業債の元利償還金の一九%程度にすぎない、だから、この程度では地下鉄経営健全化しない、ということをはっきり出している。それで、将来についての改善案もやはり出しているわけですけれども、この分につきましても、あなた方は、今度の法案や予算措置の中に十分盛り込んでおりませんですよ。盛り込んでおりませんが、この全体の方向はいまのままじゃだめだということを示しています。  それから、もう一つ、財政制度審議会というのがありますね。この内容は、従来の交通問題専門の報告とは若干異質のものです。しかし、公営交通事業経営の悪化は現状のまま放置できないとする基本見解は一致しているのですよ。ただ、路面交通事業の提供するサービスの受益者地域的に限定されておって、その経営独立採算制原則とすべきだという単純な論旨をとっているんですね。しかし、この独立採算制は、現行のそれとは、これまた異質のものですね。ここで示しておりますのは、赤字負担利用者地方団体が行なうべきだというんです。この独立採算制というのは、あなた方が言っている企業独立採算制じゃないんだ。つまり、国家財政からの独立採算制を言っているわけですね。ですから、この財政制度審議会、これは大蔵省機関だと思いますけれども、こういうところにおきましても、いまの企業料金を土台にする独立採算では無理だ、利用者地方団体責任を持つべきだという立場に立っております。ですから、この発想は、今日の都市問題の中心的な課題に国は全く無関係であって、責任をまるっきり有しないという、とんでもない論理に立っておりますし、なおかつ、地方財政の実情における無知も示しておりますが、しかし、ともかく、一般会計の財政の援助の強化と、地方公営企業に関する現行法制を見直して、これの改定を検討する必要を認めておる。この財政制度審議会でもそうなんです。  そういう幾多の答申、提案、報告があるのにかかわらず、あなた方は、依然として、独算制というものを金科玉条のようにして、いささかもひるまないというような態度でありますけれども、少しそれは無理があります。全体の世論の方向というものは、独算制はもはや無理な段階に来ているということが示されてきている。大臣もちょっと勉強せぬとだめですよ。そういう見解が出ているところのこういう幾つかの答申とか報告につきまして、これを率直に取り入れて現行制度を改正するという立場になぜ立てないのか、お尋ねしたいのであります。
  221. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 いまお読み上げになりましたもので、独立採算制を否定しているものは一つもないと思います。たとえば東京都の「都営交通事業独立採算制について」というものでございましても、いわゆる建設費は公共負担でやるべきだということは書いておりますけれども運営経費については、やはり料金収入をもって充てるということで、独立採算制を否定しているということは言えないというふうに私は理解をいたしておるわけでございます。  公営交通の基本的な考え方としては、独立採算制というものはあくまでも堅持すべきものである、でなければ、税金というものと利用者負担というものとの公平の観念を誤る、こういうふうに私どもは考える次第でございます。ただ、そういうものの中におきまして、いまお読み上げになりましたもろもろの調査会あるいは研究会等の答申に盛られておりまするエッセンスは、すべて今度予算措置をし、法制化しておるというふうに考えておる次第でございます。
  222. 三谷秀治

    ○三谷委員 いま、あなたは、東京都の答申についてだけ、しかも、一つの項目についてだけ答えたんだ。これは、固定施設と固定設備を公共投資でやって、運営費を料金で支弁するというやり方ですね。そして、独算制にこだわるべきではないというやり方ですね。要するに、固定施設や固定設備を公共投資でやるということはいまの独算制じゃないということだ。いまの独算制はそうなっていない。資本的な経費も企業負担で、企業責任でやっていくという立場をとっているわけだからね。これはまるっきりそうでないということは、独算制にこだわるのは現実的ではないとそのあとに続けて書いてあるのを見てもわかるやないか。妙なところだけとって答えたらだめだ。前のほうは、生活防衛をたてまえとする自治体は、物価政策上料金を抑制せざるを得ない場合がある、その場合の収入減は一般財源だという、これは独立採算じゃないじゃないか。それから、都市の公共交通は市民生活に不可欠のものだから、企業的収支を最終基準に料金をきめるべきじゃないという、これは独立採算じゃないがな。企業の採算を基準にしてきめるべきじゃないというんだから、そうでしょう。だから、それは全面的にこれを取り上げて答えてもらわぬといかぬ。幾つか申し上げました中で、一章か二章取り上げて、それを否定的な根拠にしようとするような態度はやめてもらいたい。これらの全体を見ますと、独立採算制というものは、もはや今日においては無理になってきておる。第一、財政制度審議会の報告自体がそうでしょうが、これは独立採算制の問題について言うておりますよ。これは、地方公営企業に関する現行法制を見直し、これの改定を検討する必要を認める、こうなっている。地方公営企業に関する現行法制、これはいまの独立採算制内容とするものでしょう、これを見直して改定を検討する必要を認める、これは財政制度審議会である。あなた方は、そういう片言隻句をとらえて、それは独算制を否定するものじゃないというふうな、えこじなといいますか、独断的なというか、そういう態度をいつまでもとるべきではない、こういう調査研究がなされ、そして幾つかの答申が出ておる。それを貫いておるのは何か。それは独算制じゃだめだ。公共性の主張になってきている。それなら、やはりそれに適した方向を打ち出して、少なくとも模索していくという、そういう態度がないといけません。独算制というものは、これはもう絶対譲りがたい鉄則であるかのごとくおっしゃっているが、実際の研究や調査というものはそうなっていないということなんです。それを自治省も無視しちゃだめではないかということなんですよ。大臣、そうでっしゃろ。これは政府がつくられました審議会やその他におきまして研究の結果出てきている一定の方向的なものなんですよ。それはやはり生かしてもらうということをやってもらわぬといかぬと違いますでしょうか。
  223. 江崎真澄

    江崎国務大臣 先ほど財政局長がお答えしましたように、私もいろいろ見ておりますが、独算制そのものをまっ正面から否定している答申というものはないというふうに私も思っております。やはり、これは、全部が全部独立採算を言っておるわけじゃないんだ、建設費については、あとう限り政府及び地方公共団体助成をする、運営のいわゆる経常費くらいは、これは当然受益者負担もあるし、経営努力によって見てもらう、これは当然な思想だ、こういうふうに私ども考えて、独立採算制のいいところを今後ひとつ大いに伸ばしていこう、また、建設費等、どうしても助成しなければならぬものについては、これは事業の性格上、その性格、性格に応じてあとう限りの助成方途を講ずる、こういう形でまいりたいというふうに思っております。
  224. 三谷秀治

    ○三谷委員 長いこと言うておりますけれども、聞いていることがよくわからぬのでしょうかな。私の言うのがまずいものですから、あなたはよく御理解ができぬのでしょうかな。  いまおっしゃいましたことも含めてお尋ねしているつもりでおるのですけれども、お答えになりますと、その時点に返ってしまうのですね。同じところに返ってくるものですから堂々めぐりしているのです。つまり、独算制はすでに無理なのだが、いまの法案再建促進法そのものは、独算制の破綻をびほうしようとするものなんですよ。要するに、独算制をもってしましては、この続出する赤字を処理できなくなってしまった。だから、それを何とか継ぎ当てをしようというのが今度の法案なんでしょう。要するに、独算制というものがいろいろな面から破綻してきたということが示されておるわけなんです。そうすれば、そこのところを抜本的に解決するという態度をとりませんと、地方公営交通事業再建なんというものは、とてもじゃありませんができっこありません。そこで、その再建促進法というのは、独立採算制を維持する地方公営企業法をそのままにしまして臨時的、一時的に財政のびほう策をとろうという、そういう法案になっております。ですから、これは研究や答申の方向とはかけはなれております。地方公営企業法の改正は必要だし、改正をすべきだ。いろいろな手直しをあっちこっちでして、継ぎはぎだらけにするのじゃなしにその手直しや継ぎはぎをしなければならない根本的な規定そのものを改善するということをやるべきだと私は思います。  この法律のもう一つの重要な点は、地方自治体に加重されました負担と、これに対する具体的な財政処置か示されておりませんですね。これはどうされますのか。不確定要素とかなんとかおっしゃっておりますけれども、これをきめておきませんと、いずれ地方自治体が背負わされるんですよ。たとえば、一次再建計画利子の補給ですね。利子の補給は、一部国が補給するようになっておりますが、元利償還金につきましては規定がないのですね。国がやるとも、地方がやるとも書いてない。これは地方がやるわけなんですか。これも、ある程度事情を見て、その段階できめるというふうな方針と違っておりましたんですか。
  225. 森岡敞

    ○森岡政府委員 第一次の再建の場合には、先ほど申し上げたことでございますが、利子の一部を国が補給する、利子の残りの部分は地方公共団体一般会計助成する、元金企業収入でもって償還をしていく、こういう考え方をとっておったのでございます。そこがうまくいかなかったということでございます。今回の場合には、利子の大部分は国が補給をする、利子の残っている部分は地方公共団体一般会計——これは非常に少のうございますが、これが補給をする、なお、元金地方公共団体一般会計が償還をする、こういう考え方を持っております。
  226. 三谷秀治

    ○三谷委員 そこで、企業収入でまかなうべき予定になっておりました第一次再建計画不良債務ですね。これは、いま、事実上地方団体負担になってしまっていますね。もちろん、地方団体がやるとも、国がやるとも書いてなかった。企業負担になっておる。結局、事実上は地方団体負担になってしまっておる。たとえば、今度の、国が行なう利子補給分の不足額、これは何とも書いてないですから、八条に、「交通事業再建団体は、」「毎年度、交通事業再建債の当該年度の元金償還額及び利子支払額に相当する額から」国の「利子補給金に相当する額を控除した額を一般会計から再建事業の特別会計に補助するものとする。」という規定になっておりますが、これによりまして、公営交通事業の借金と利子の一部を地方財政でまかなうことになりますね。その財源に対する規定がないんですよ。いまのままでいきますと地方団体負担になるわけですけれども、国の財源の処置が全然書いてない。これも、結局、地方団体が最終的に背負わされるという結果になってしまうわけですか。
  227. 森岡敞

    ○森岡政府委員 この法律では、御指摘のように、利子の一部、これはわずかでございますけれども、それと元金地方公共団体一般会計負担をして償還をしていくという仕組みになっております。そういう意味合いにおきましては、地方公共団体一般会計負担にまさになっておるわけであります。問題は、地方公共団体一般会計がそういう負担をしていくことによりまして、他の行政支障を及ぼすようなことになってはたいへん困ったことにも相なります。ですから、それは総合的な当該地方公共団体の財政の問題として処理をしていかなければならないわけでございます。その場合に、これも繰り返して申しておるわけでございますが、元金償還は四十八年度には出てまいりません。四十九年度から出てまいります。現在、大都市につきましては、都市財源の充実という問題が非常に重大な課題になっておりますので、いろいろな手だてを明年度以降考えてまいらなければならない。そういう問題の一環といたしましてこの問題を処理してまいりたい、私どもとしてはさように考えております。
  228. 三谷秀治

    ○三谷委員 つまり、四十九年から負担かかかるものだから、それまでの間に検討するという意味ですか。いまは方針はないというわけですか。
  229. 森岡敞

    ○森岡政府委員 そのことにつきましては、地方公共団体一般会計に対する措置でございますので、公営事業経営健全化促進の問題の外であろうと思います。それの時期が、いま申しましたように、四十九年度以降の問題でございますので、いま考えておりません。四十九年度以降の問題として適切な措置を考えたい、かようなことで検討いたしております。
  230. 三谷秀治

    ○三谷委員 この法律によりまして、地方団体に新しい負担が生まれてくるわけなんでしょう。その事態に対して、地方財政上の問題としてはどうするかという対応策がなくちゃならぬじゃないですか。それはあとのほうで一ぺん出すんだというふうな計画性のない処置であっていいものでしょうか。新しい負担が生まれてくる、それに対してはどうするんだという方針が生まれなくちゃなりません。たとえば、これに対応するものとして地方交付税法の改正をやるとか、あるいは国庫補助事業一つの規定を設けるとか、何らかの方針が要るのではないですか。
  231. 森岡敞

    ○森岡政府委員 まず、私どもといたしましては、再建の期間をどうきめるかというのが一つの問題であろうかと考えております。従来は七年ということでございました。企業再建自身も非常に困難な問題をかかえておりますので、それ自体相当長期間を要するだろう、反面、また、一般会計元金の償還をしていきますのも、ある程度ならしませんと、これはなかなかたいへんだろうということで、十五年というきわめて長い期間の再建期間の上限をきめたわけでございます。そういう意味合いで、各団体の一般財政負担もならされるという効果は持っておると思います。しかし、それでも、先ほど申し上げましたように、一般会計としてそのしわ寄せを受けて、財政運営支障を生じるという事態があってはならないと思いますので、それにつきましては、繰り返すようでございますけれども、四十九年度までに適切な措置を考えたい、このように考えております。
  232. 三谷秀治

    ○三谷委員 こういう法定をされますときには、新しく生じてくる負担についての措置もきめておくということをしてもらいませんと、結局、いつでもしわ寄せは地方団体に来るわけですよ。さっきの一次再建計画の場合の例でもそうなんです。企業負担できなければ地方団体だ、こうなっているのですよ。何も、地方団体負担ということがそこできまっているわけじゃない。しかし、何か指導とかなんとかという中で、あるいは計画変更とかなんとかという中で、地方団体が背負わされてしまう、こういう事態がしばしば起きてきます。そうすると、これほどの負担を新しく加重させるためには、それは地方財政上の問題として別個に考えてもらってもよろしいけれども、それに対応する措置をとってもらいませんと、これはたまったものじゃないですよ。いまの地方財政の状態を一体どうお考えになっておるか。地方財政の実情をよく御承知になっておられれば、当然、これはいまにして一定の措置を考えていくということにしなければ、地方団体は不安でかなわぬですよ。また、事業計画にも一定の影響を与えてくるわけですよ。それをおとりになりませんのは、なぜでしょう。
  233. 森岡敞

    ○森岡政府委員 昭和四十九年度の地方財政の状況につきましては、今後の経済情勢その他いろいろな要素を前提として見通しをきめていかなければならないと思います。また、新たな財政支出要因もいろいろ出てまいると思います。でございますので、それらの中にこの問題を含めまして、総体の財政事情のいかんを見定め、必要な地方財源を確保する、同時に、この分につきましても、各団体一般会計財政に支障を生ずることのないような何らかの措置を講じてまいる、このように考えておるわけでございます。
  234. 三谷秀治

    ○三谷委員 規定はないけれども、それは地方団体負担を加重するような措置はとらないということですか。
  235. 森岡敞

    ○森岡政府委員 ただいまお答え申し上げましたように、明年度以降何らか適切な措置を講じたい、かように考えておるわけであります。
  236. 三谷秀治

    ○三谷委員 そこら辺は、もう少しはっきり言うたらどうや。何やら、もう、歯切れの悪い、どこやらにあいまいさが残った、そういういわゆる符人用語というものをやたらに使うものじゃない。もっとはっきりと、今後において地方団体負担をかける措置はとらないならとらないという態度をはっきりしてほしいと思いますね。どうなんですか、それは。
  237. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは、いま森岡君が答えましたように、今後に属することですし、それから、まだこれから再建計画などが出てくるわけですね。ですから、再建への努力、そういったものを十分見きわめて、そしてあとのことは考えていく。それから、もっと言うならば、さっきも彼が申しましたように、これは地方財政自体の問題で、公営企業の問題とは切り離して考えるという考え方自治省としてはあろうかと私は思うのです。要するに、一般会計からの四十九年度以降の不良債の償還がどの程度財政に影響するのか。たとえば大都市の場合は、事務所・事業所税だとかいった新税なども新設して、財源そのものを強化していこうという構想もあるわけですから、そういう意味でちょっと歯切れが悪くなるというか、お答えしにくい点もあるわけですね。ですから、いずれにいたしましても、政府としては、今後そういう全般を十分見きわめながら対処するという方向には変わりないわけですから、そういうふうに思っていただいていいと思います。
  238. 三谷秀治

    ○三谷委員 あなたのお答えも一向にすっぱりしませんけれども、繰り返すことはやめておきますが、地下鉄建設費の補助についても、建設工事費の六六%を国及び地方団体で折半して補助することになりましたね。ここでも、地方の財政負担がふえてきておる。これについてはどういうふうな措置をお考えになっていますか。
  239. 森岡敞

    ○森岡政府委員 地下鉄建設費の補助は、国が二分の一、地方団体が二分の一、従来五〇%でございましたが、それは折半して持っているわけでございます。地方公共団体一般会計負担分につきましては、地方交付税の基準財政需要額に、事業費補正という形で四割を算入したあと、それと同額程度地方債で措置をするという形式でいままでとってまいりました。  今後、四十八年度以降これをどうするかという問題でございますが、これにつきましては、八月の地方交付税の算定時期までに結論を得たいと思っておりますが、しかし、全体といたしまして、従来の一般会計に対する助成といいますか、財源措置は、ほぼ同程度の額のものをやってまいりたい、かように考えます。
  240. 三谷秀治

    ○三谷委員 出資金についても、三〇%だけここの対象とするというんですけれども、七〇%はどうするということですか。
  241. 森岡敞

    ○森岡政府委員 出資金につきましては、一応地方債を認めまして、それの元金償還はまだ出ておりません。利子につきましては、三〇%を特別交付税に算入いたしております。これは、出資といいますのは、地方公共団体自身がその企業経営するいわば基本でございますので、その部分をまるまる地方交付税の中に入れるということは妥当ではないのではないか、これは大都市の責任として、相当部分はみずからの財源でやっていただくということが必要ではないだろうか、かように私は考えます。
  242. 三谷秀治

    ○三谷委員 地下鉄につきまして、この地下鉄事業というのが再建計画の対象外になっておるのはなぜでしょうか。
  243. 森岡敞

    ○森岡政府委員 地下鉄事業は、申し上げるまでもなく、非常に長期間を見通して収支のバランスを確保するという体制で経費の見込みあるいは料金の算定を行なうものでございますので、企業不良債も解消し、今後の経営健全化をはかるというバス事業の場合と同じような再建計画の中にはめ込むことが本来無理があるというふうに考えておるわけでございます。しかし、計画的な経営健全化をはかっていきたいと思いますので、別途法律に基づくものではございませんが、経営健全化計画をつくってもらいまして、各団体ごとのその計画に沿って指導してまいりたい、かように考えます。
  244. 三谷秀治

    ○三谷委員 この地下鉄につきましても、今度の措置によりまして企業債の利子がしばらくたな上げになりますから、この四、五年というものは収支の内容がかなり改善されるようであります。しかし、大阪市などの例で見ますと、単年度資金につきましては、五十三年から赤字になり、累積資金につきましては、五十四年以降におきましては赤字になるという計算が出ております。この計算についてどうお考えでしょうか。
  245. 森岡敞

    ○森岡政府委員 地下鉄建設費につきましては、建設補助六年分割で行ないますので、当初の六年間は明らかに資金不足は解消いたします。したがいまして、余裕が出てまいります。それから、企業債の利子につきましても、十年間たな上げをいたしますために、その期間たな上げして孫利子の補給が行なわれることに相なります。モデル計算をいたしましても、おおむね十年程度は資金不足は生じない、こういう状況に相なっておるわけであります。  問題は、さらに長期間を通じてどういうふうに考えていくかということでございますが、これは、いま申しました健全化計画によりましての乗各の見込み——新線の当初は、申し上げるまでもなく、非常に乗客数が少ないわけでございますが、それもふえてまいるというふうな要素も織り込んで、二十年ないし三十年の期間経営健全化計画を立てますれば、おおむね収支のバランスをとれるような方向に持っていけるもの、かように考えております。
  246. 三谷秀治

    ○三谷委員 それは、札幌市の計算も、長期にわたりまして見ますと、結局は赤字になっていく。大阪市の計算もそうなっている。いまの処置をやりまして、暫定的に四、五年というものたな上げ期間がありますから、この期間はこれは黒字だけれども、その時期が終わりますと赤くなる。そういう状況になっておる。そうしますと、ここにつきましてもやはり抜本的な対策を考えなければ、結局、路面交通と同じ轍を踏んでいくことになりやしないかというふうに考えますけれども、どうでしょうか。  それから、利子を支払うための特例債を出しまして、利子利子を払うというふうな愚劣な処置をとろうとされるわけですけれども自治省は、元利償還について、直接一部負担方式、一部補助方式ですか、これを主張しておりました。これがどういう経過でこんなふうになったのでしょうか。
  247. 森岡敞

    ○森岡政府委員 地下鉄経営収支は、先ほども申しましたように、非常に長期間を見通さなければなりません。その場合に、乗客増の見方の問題がございます。それから、料金の問題がございます。そういうものを一定の仮定を置いて計算してまいるわけでございますので、計算によりましてはなかなか苦しいというものも出てまいりましょうけれども、しかし、そういうふうな要素をできるだけ的確に見込んで、健全な経営計画というものを立て得るものと、かように私どもは考えておるわけでございます。  それから、孫利子補給になったということの件でございますが、これは、予算要求は、元利償還費につきまして、一定の国及び地方団体の援助という要求をしておりましたが、国鉄につきまして、御承知のように、既往債の元金には手を触れないで、孫利子補給という形になりました。やはり同じ交通企業でございますので、地下鉄につきましても孫利子補給方式をとったわけでございます。ただ、御承知のように、四十六年度末の政府資金に限っておりましたのを、四十八年度の政府資金、縁故債全部について行ない、かつ、全額国の孫利子補給をしていただくことになりましたので、非常に助成としては改善されたと考えております。
  248. 三谷秀治

    ○三谷委員 国鉄をついでに引用されますけれども、国鉄とはいろいろな相違性があるということですよ。ですから、その面だけの同一性を強調されてはだめですよ。これは一々いま国鉄と地方公営交通との差を並べ立てる必要もないでしょうけれども、いろいろな条件の差があることは明確なんです。その条件の差を無視して、いつでも財政上の処置においては一緒だというふうな立場をおとりになろうとしている。実情に応じた財政処置をとっていくということが必要じゃないですか。  それから、この法律によりますと、交通事業再建計画の策定を義務づけてあります。地方公営企業法のワク内における再建計画提出しなくてはならぬわけですね。しかし、それでほんとうに再建ができるだろうかということですよ。この地方交通事業再建のためには、国が都市問題や都市交通問題解決についての根本的な責任を持つという立場が明確にならぬとだめですよ。その責任におきまして企業内外の根本的な問題の解決をはかっていく、これを除外しまして再建計画の策定を求めれば、その再建計画などというものは、おのずから企業内の一定の限界に限られてしまうわけです。それは結局は料金の値上げと、賃金の抑制と、人減らし、労働強化、これ以外にないわけだ。つまり、第一次再建計画をそのまま第二次でやっていこうという内容になってしまっている。これではだめでしょう。労働条件や賃金体系にだけ解決を求めようとするようなやり方ではだめなんでしょう。企業外の問題についてどうするかという問題、このほうが一番根本になってくるわけなんです。そのほうの対策が非常に弱い。この法律によりますと、一カ条出ているだけなんですね。しかも、きわめてあいまいな、努力義務といいますか、そういうものを規定した条項があるだけですね。もっと具体的な問題を提起して、これを実際にやる段階にもう来ているのと違いますか。それはどうお考えになっていますか。
  249. 森岡敞

    ○森岡政府委員 確かに、公営交通の経営健全化の問題は、単に財政問題だけではないということは御指摘のとおりでございます。第一次再建公営企業法の改正という形で措置しましたのを、今回、特に、公営交通事業経営健全化促進に関する法律という形で、別の法律にいたしました。公営企業法とは別個の法体系でやりましたこと、これ自身が、やはり、そういう認識が私どもにあるわけでございます。  それから、一カ条では非常に弱いという御指摘がございましたが、私どもは、この十条の規定の、「関係行政機関の長等に対する措置の申出」をフルに活用してまいりたいと思っております。  また、先ほど来「経営改善及び合理化に関する措置の大綱」という字句について御意見がございましたけれども、これは非常に幅広く考えておるわけでございます。この十条による措置の申し出によって改善される事項ということを織り込んで、経営改善合理化というものをかなり広範囲再建計画の中で樹立していただきたいものだ、私どももそういう方向で指導してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  250. 三谷秀治

    ○三谷委員 それを樹立していただきたいというのは、だれに樹立してもらうのですか。要するに、権限は国が持っているわけなんでしょう。国がそれをやるという体制といいますか、方針といいますか、そういうものを打ち出していかなくてはだめですよ。たとえば、国の責任で解決しなくちゃならぬ問題としましては、都市交通需要の抑制、それから分散対策ですね。たとえば都市部への人口、産業の集中を抑制するためにとるべき処置はどのようなことができるのか、こういう点につきまして、一定の方針が要りはしませんか。たとえば、大都市の中心部における超高層ビルですね。そこらにずいぶん建っておりますけれども、こういう超高層ビルの新増築に対して、交通量その他の都市施設の能力と実情に応じて建築規制の権限を地方自治体に与えるというような処置はどうですか。こういうことについては御研究になっておりませんか。
  251. 森岡敞

    ○森岡政府委員 全般的な人口、産業の大都市集中をある程度排除する、あるいは積極的に分散させていく、あるいは都市における交通需要の総体的な抑制をはかっていく、こういう問題になりますと、これは政府全体の非常に広範な行政分野に相なります。これはもちろんゆるがせにすべき問題ではないと思いますけれども、この公営交通の経営健全化促進に関する法律の中に盛り込むには、非常に大きな問題でございます。したがいまして、字句上はそれはもちろん入っておりませんけれども、当然、その問題は、交通健全化の前提として、私ども政府各省にも要請してまいりたいと思います。ただ、先ほど、再建計画の中でそういうことを樹立していきたいと申しましたのは、きめこまかに、交通健全化のために必要な各般の措置を具体的に積み上げますのは、やはり大都市の交通企業でございますので、交通企業におきまして、ああもしてもらいたい、こうもしてもらいたいという内容を全部盛り込んで、私どものほうに再建計画として持ってきてもらい、それを基礎にして、私ども、各省に当たっていきたいと思っているわけでございます。  なお、超高層ビルの新増築の規制等の問題でございますが、私、所管でございませんので、十分承知いたしておりませんけれども、都市計画の責任なり、権限は、都道府県知事なり、大都市が持っておるわけでございますので、現在の権限のもとにおいて、ある程度の抑制といいますか、そういうことはもちろんできると思います。
  252. 三谷秀治

    ○三谷委員 ある程度ということではだめですから、交通量その他の都市施設の観点からして規制権を持たせる。  それから、議論の中で出ておりましたけれども、この都市交通量の激増の要因となっております一定規模以上の工場、事業場、これに対する課税問題ですね。おっしゃっておりました。これにつきましては、具体的な方策がきまっているわけなんですか。これは、私どもも、面積とか、従業員数とか、一定規模以上の工場、事業場ということを研究的には考えてみておりますけれども、事務所・事業所とおっしゃいましたが、これは、田中総理の日本列島改造計画の中で出てきた一つの構想なんですよね。それと、この都市交通の観点から立つ租税の問題ですね。これはどういうふうな関係に立ってお考えになっておるのか。  それから、財政制度審議会報告でも、受益者負担制度を言っておりますね。公営交通問題研究会の報告におきましても、受益者負担という一項が設けてありますね。この受益者負担というのは、いわゆる利用者じゃないですよね。間接受益者なんでしょう。これはいろいろな報告ではっきり出ておりますけれども、これについての、さっき聞きましたような観点からのお考え方をお尋ねしたいと思います。
  253. 森岡敞

    ○森岡政府委員 事務所・事業所税は、昨年昭和四十七年度の予算編成及び税制改正の際に、自治省といたしましては、大都市財源の充実ということを目途にいたしまして提案したわけでございます。しかし、税制調査会その他での十分な結論を得るに至らずに、四十七年度実現を見なかったわけでございます。四十八年度におきまして、いま御指摘の列島改造との関連、単に大都市財源の充実ということだけでなくて、一面において大都市の再開発を行なうと同時に、分散すべき地方都市の整備の財源を確保するという意味合いで、自治省といたしましては、都市整備税という新たな税を起こしてはどうか、その場合に、固定資産の価格でありますとか、あるいは法人所得でありますとか、あるいは従業員の給与でありますとか、そういうふうなものをいろいろ組み合わせて課税標準を考えていったらどうか、と、こういうふうな提案をしたわけでございます。しかし、この点に関しては、各省でそれぞれ、御承知のようにいろいろな案が出ておりまして、これまた、いま少しく時間をかけて検討するということになっております。  なお、受益者負担につきましては三つあると思っておるわけでございまして、第一は、住宅団地の建設者、いわゆる開発者でございますが、その場合には、バス路線とか鉄道がなければその団地の機能を発揮できませんから、当然、開発者負担として一定の負担をしてもらいたい。これは、現実には、たとえばバスの駐車場、停留所を提供するとか、あるいは若干援助するとか、そういう形でかなりな開発者負担が実際に行なわれております。  いま一つの問題は、バスの場合にはあまり多くはございませんが、鉄道の場合には、沿線の地価が上がる。その場合に、土地所有者の受益になるわけでございますから、その開発利益をどういう形で吸収するか。現在は固定資産税、都市計画税という形で吸収しているわけでございますが、その上にさらにオンをして、何らかの措置がある。これは、実は、範囲などについてもなかなかむずかしいいろいろな問題がありますから、具体化するには至っておりません。  最後に、通勤需要でありますけれども企業が都心に立地いたしまして、そのための鉄道なりバスが必要なわけでございますから、その通勤してまいる事務所・事業所をどう考えるか。これは、最初の事務所・事業所税の問題に再び帰ってまいるというふうに考えます。
  254. 三谷秀治

    ○三谷委員 時間がありませんからもう繰り返しては聞きませんけれども、簡単に答えていただきたいと思います。  もう一つは、一元化されました都市交通行政を実現するために、都市交通行政の権限を地方団体に委譲すべきものがあるのではないか。たとえば、バス路線の認可権ですね。これは全面的に地方団体に委譲するという必要がありはしないかと思いますが、どうでしょうか。  それから、私鉄との関係ですけれども、私鉄の地域性をきめました陸上交通事業調整法ですね。これは地域性を撤廃してもらうことが、地方公営交通事業の発展の面からいきまして必要があるんだという考え方ですけれども、この点はどうでしょうか。
  255. 高橋寿夫

    ○高橋説明員 自動車行政立場から、バスの権限委譲の問題についてお答え申し上げます。  現在のやり方は、先生も御承知のように、運輸省地方陸運局等の諸機関を使いましてバス行政をやっております。権限の大小によりまして、大臣権限、あるいは地方の局長権限、さらには陸運事務所長権限ということになるわけでございますが、これは、実質的には運輸省の体系の中の仕事でございます。  これを、最近の地域問題の重要性といった点から考えまして、国の一元的な行政の中からはずして、地域のものは地域で始末するという意味で、都道府県知事等に大幅に委譲したらどうかという点につきましては、すでに、だいぶ前から各方面で御提案もございました。私どもも、その方向につきまして、やはり検討すべき必要を感じております。現在の段階では、交通行政は、国鉄でありますとか、あるいは地下鉄、私鉄、バス、それらとの関連で広域的に調整する行政をしておりますので、バスに関する権限を、いま直ちに大幅に都道府県に譲るという点に行っておりませんけれども、これは時代の趨勢でございますので、できるだけ早くそういった方向で検討したいと私は思っております。ただ、急激にやりますといろいろなフリクションが起こりますので、漸を追って進めたいというふうに考えております。
  256. 佐藤久衛

    佐藤説明員 先生御指摘の、陸上交通事業調整法に規定しております地域的な限定性というふうなものを排除したらいかがかという御質問でございますが、この陸上交通事業調整法というのは、昭和十三年にできました法律でございまして、本来の目的が、旅客の利便を増進する、それから事業経営合理化をはかり、そのむだを排除する、それから、交通事業の過度の対立強化を排除する、というようなことを目的としてできました立法でございまして、東京のほか二、三の都市におきまして、本法に基づく調整が行なわれたわけでございます。  ところが、その後、昭和二十五年に、この法律に盛られてございますところの鉄軌道にどうしても欠くことのできない交通事業調整審議会というのがございますが、この機構が廃止されて現在に至っておりまして、したがいまして、現状といたしましては、この法律は機能を停止しておる、こういうような実情でございます。
  257. 三谷秀治

    ○三谷委員 これが機能を停止しておるかどうか私は知りませんが、私鉄の地域性というのが明確に存在しているということは間違いないのです。たとえば大阪あたりで、阪急との相互乗り入れをやりました。御承知と思いますけれども地下鉄堺筋線と阪急沿線との相互乗り入れですけれども、大阪府が建設費を四百二十億負担する、阪急は車庫の用地を十四億円負担する、それで相互乗り入れだ、こんなことになってくるのです。これは、一つは、地域性というのが、実際の扱いの段階におきましては生きているわけです。たとえば万博をやりましても、あの万博の地域というのは、要するに大阪の北部であって、阪急地域なんですね。ここに北大阪電鉄を新しくつくるというような事態になってきますと、阪神も無視できなくなってくる。ですから、この地域調整という問題は、現実には依然として扱いの中で生きてきているということです。これらにつきましては、それでは地域性は撤廃されたのか、これをひとつお聞きしておきたいと思う。
  258. 中村四郎

    中村説明員 お答え申し上げます。  鉄道の関係につきましては、東京におきましても、都営地下鉄が現在一号線、六号線をやっておりますが、一号線は西馬込まで、あるいは、六号線については高島平まで、また、十号線につきましても、現在工事中でございますが、東大島から千葉県の元八幡まで延伸する計画を持っております。  それから、現在申請中のものとしましては、練馬区の高松町から新宿を経まして江東地帯を通った循環線の計画を出しておるところでございます。  先ほどお話のありました直通運転の問題につきましては、別に、地域的に、その地域についてある一社が独占的にやるという考えではございませんで、地下鉄を都心部から郊外へどこまで延伸していくのが合理的だろうかということで、それを継いで、私鉄が郊外で枝線を出す、そして、放客利便のためには、あくまでも相互に直通運転をやって利便をはかる、このような考え方で推進してきておりまして、地域別の考え方というものを固執しておる状態ではございません。
  259. 三谷秀治

    ○三谷委員 いまおっしゃいましたのは、結局、その地域の私鉄と相互に乗り入れ関係を樹立するのだとおっしゃっているわけなんですね。新線許可につきましても、地域的な地域割りの制度はないというわけですか。実際の許可の段階におきましても、それはそういう扱いはしていないということでしょうか。  もう一つは、路線の認可権というのは運輸省が持っているのですね。それで、交通規制権は警察が持っている。それから、公営交通の所管は自治省になっている。行政が非常に多元的になっておりますね。これは住民本意に、統一的な、有機的な運営ができるような改革をやるべきだ、そして、自治体の権限をもっと拡大すべきだと思いますが、この点についてはどうでしょう。
  260. 森岡敞

    ○森岡政府委員 私どもといたしましては、何のかんのと申しましても、地域の交通の最終的な持っていきどころは地方公共団体にならざるを得ないことになるわけでございますから、いまお話しのような路線の問題あるいは交通規制問題等につきまして、地方公共団体がイニシアチブをとり、また、相当程度の権限と責任を持って措置ができるという体制が望ましいのではないか、かように思います。  ただ、現実問題といたしまして、それぞれの立場で、いま少し府県の区域を越えて処理しなければならない面もあるというふうな部面もかなりございますので、さしあたりの問題といたしましては、地方公共団体あるいは各省の出先などを総合いたしました意見調整の場といいますか、協議の場所といいますか、そういうふうなものを早急にしつらえまして、そこで、地方公共団体なり、あるいは公営交通、あるいは民営交通も含めました交通企業の提案なり意見なりが積極的に盛り込まれ、生かされていくようなシステムというものを、関係各省と寄り寄り相談して早急にまとめてまいりたい、かように考えておるわけであります。
  261. 三谷秀治

    ○三谷委員 これは、行政的に一元化しませんと、寄り合って相談をする、その実践というものは各行政庁が個別にやっていくというようなことではうまくいきませんです。やはり、地方自治体にもう少し権限を持たせるということにしませんと、権限はまともにないわけですよ。そして、責任地方自治体だ、あるいは企業自体だとおっしゃるわけだ。企業自体責任を持たせるという立場に立ちますならば、もう少し地方団体に対して権限を持たせるべきだ。実際のそういう交通問題についての権限というものを与えずにおいて、責任だけは、これは地方公営企業だから地方団体責任である、あるいは、一元的には企業責任なんだというような、こういう矛盾した行政の進め方は改善せぬとだめだと思いますね。そういういろいろな面で分散しております行政の権限というものをある程度一元化するということ、地方に委譲するということ、これらをお考えになれぬでしょうか。
  262. 森岡敞

    ○森岡政府委員 いま申しましたように考えておりますし、さらに、都市交通の問題は都市計画と非常に関連がございます。あと追い的な交通投資になりますと非常なロスがありますので、先行的な投資でなければならない。そんな点を考えますと、御指摘のように、地方公共団体のイニシアチブがとれるような形というものについては、私どもとしてはぜひ努力をしてまいりたい、かように思うわけでございます。  ただ、それぞれの立場でそれぞれの意見もあるわけでございますので、早急にその結論を得るというまでに至っておりません。引き続き努力をしてまいりたいと思いますが、その間におきまして、意見調整の場というものをしっかり立てるということはやはり必要ではなかろうか、かように考えておるわけであります。
  263. 三谷秀治

    ○三谷委員 時間もないようですから重ねては言いませんけれども、これはあなたがお答えになるものでなしに、大臣が答えるのでなければいかぬのですよ。大臣は黙して語らず。何ということですか。それほど権限をお持ちでなさそうな方がお答えになるというふうな状態を見ておりますと、どう考えておるのか疑問を持たざるを得ません。  皆さんに御迷惑をかけてはいけませんから、それはその程度にして、良好な居住環境基準をつくるということと、道路の容量基準をつくるということですね。そして、それに基づきました自動車の生産、販売の規制をやる段階に来ているというふうに思いますが、この点についてはどうでしょうか。
  264. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これはなかなかむずかしい問題ですが、さっきの認許可の問題ですね。これは、法案はこういうことにしてありますが、この間田中総理も言うておりますように、いつまででも役所同士で、権限がどうだとか、やれ民営とのバランスがどうだとかやっていることは、これは、少なくとも地方議会というものがあるわけですし、この地方議会は民営地方の交通機関とのバランスを考えてきめるわけですから、まあ、たいがいにしておかなければいかぬと思うのです。ですから、それは法律はこういうことになっておりますけれども、知事ともだんだん話しまして調整しますから、どうぞ御了解ください。  それから、自動車の購入規制といいましても、このごろはセコハンが町にはんらんしておる時代ですから、これはなかなかむずかしいと思うのです。ですから、交通規制についても、自動車の便をはかって、いままでは道路を広げるという傾向だったですね。これはわれわれもあとになって気がつくということですが、やはり、一応自動車の利用度というものが限界に参りませんと、人間というものはなかなか反省が生まれない。ようやく反省の時期が来たわけですから、通勤時などは、自動車で都心部に乗り込めば、いまのバスみたいに、目的地へは予定時間には絶対着かないというような規制をして、そして、バスだとか自転車だとかいうものが幅をきかせるような交通規制のやり方というものは考えればあるのじゃないかと私は思うのです。そういうようなことについて措置をする。いま自動車購入規制をやるといいましても、セコハンものまでどうやって一体制約するかという話も出てきましょうから、そのあたりは十分御意見を体しながら検討してみたいということでどうでしょうか。
  265. 三谷秀治

    ○三谷委員 最後に一つだけ聞いておきますが、さっき賃金の問題が出ましたけれども再建計画策定、それに対する自治大臣の指導、この過程におきまして、賃金、労働条件については干渉されるかどうか、これを聞いておきたい。
  266. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 干渉という表現はなかなかむずかしいことでございますけれども、給与改定という問題になりますれば、当然管理者並びに労働団体との間で交渉が持たれるわけでございます。あるいは、その結果に基づきまして、再建計画の変更という問題が出てまいります。私どもといたし・ましては、毎々申し上げておりますように、再建の趣旨に即応する給与改定を行なわれる場合におきましては、財源というものをみずから見出して、適切な給与改定ができるようなことを期待をいたしておるわけでございまして、こちらから積極的にああせい、こうせいという意味での干渉ということはいたしません。当該組合並びに管理者間の良識ある交渉の結果に待つ、こういうことでございます。
  267. 三谷秀治

    ○三谷委員 午前中の大臣の答弁とちょっと違って、あなたは帰りを急いでしりが落ちつかぬものだから、うわのそらでいらっしゃるような感じを受けますが、社会的な平均賃金の保障は、これは、いかなる企業におきましても基本になるものです。平均賃金というものは不可欠のものですよ。労働者の生活の維持と労働の再生産に必要なものでありますから、資本主義体制のもとにおきましても、労働者が生きていくという問題、労働力の再生産をするという問題は絶対に必要なものですから、これはちゃんと盛り込んで、そして企業経営をやっていくというものであるべきであって、企業の都合によって賃金を押えてしまうとか、削るとか、そんなことをするのはあべこべであって、それをしてはならぬということを午前中に岩垂さんがおっしゃっておりましたが、この点につきましては、私も繰り返して申し上げておきたいと思います。  時間が来たようでありますから、これで終わらせていただきます。
  268. 江崎真澄

    江崎国務大臣 いまの計画に織り込むということはなかなか問題だと思いますが、地方公務員並み、それから国の同じような職員並みということが標準になると思いますけれども企業努力が足りなくて、その企業が極端に悪いということになりますと、その条件も無視するということはなかなかむずかしいわけです。しかし、御趣旨の存する点は十分承りました。
  269. 上村千一郎

    ○上村委員長 次回は、来たる十四日木躍日、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時五十六分散会