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1973-04-20 第71回国会 衆議院 地方行政委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年四月二十日(金曜日)     午前十時十九分開議  出席委員    委員長 上村千一郎君    理事 小山 省二君 理事 谷垣 專一君    理事 中村 弘海君 理事 中山 利生君   理事 三ツ林弥太郎君 理事 山本弥之助君    理事 林  百郎君       愛野興一郎君    今井  勇君       内田 常雄君    片岡 清一君       亀山 孝一君    島田 安夫君       西村 直巳君    前田治一郎君       山中 貞則君    渡辺 紘三君       佐藤 敬治君    山口 鶴男君       山田 芳治君    多田 光雄君       三谷 秀治君    小川新一郎君       小濱 新次君  出席国務大臣         建 設 大 臣 金丸  信君         自 治 大 臣 江崎 真澄君  出席政府委員         建設省都市局長 吉田 泰夫君         自治大臣官房審         議官      山下  稔君        自治省税務局長 佐々木喜久治君  委員外出席者         経済企画庁長官         官房参事官   斎藤 誠三君         農林省農林経済         局総務課長   関根 秋男君         農林省構造改善         局農政部農政課         長       関谷 俊作君         農林省畜産局畜         産経営課長   白根  亨君         通商産業省企業         局企業調査課長 黒田 明雄君         建設省計画局宅         地部宅地開発課         長       吉田 公二君         建設省住宅局住         宅計画課長   京須  実君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 委員の異動 四月二十日  辞任         補欠選任   吉田 法晴君     山口 鶴男君 同日  辞任         補欠選任   山口 鶴男君     吉田 法晴君     ————————————— 四月十九日  市街化区域内農地宅地並み課税阻止等に関す  る請願外四十九件(田中覚紹介)(第二九七  五号)  同外一件(久保等紹介)(第三〇〇二号)  地方財政危機打開に関する請願外三件(土井  たか子紹介)(第二九七六号)  同(土井たか子紹介)(第三〇〇一号)  同(東中光雄紹介)(第三一〇〇号)  自治体病院財政援助に関する請願小渕恵三  君紹介)(第三〇四二号)  ドライブイン等における酒類の販売禁止に関す  る請願小坂徳三郎紹介)(第三〇四三号)  地方公務員退職年金スライド制早期実現に関  する請願田口一男紹介)(第三〇四四号)  固定資産税免税点引上げ等に関する請願(田  中美智子紹介)(第三一〇一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  四五号)      ————◇—————
  2. 上村千一郎

    ○上村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる地方税法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案に対する内田常雄君外二名提出修正案について質疑を続行いたします。山口鶴男君。
  3. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 いわゆる農地宅地並み課税の問題につきましては、古くは昭和四十三年の新都市計画法審議以来、また、当地方行政委員会といたしましては、昭和四十六年の地方税法審議以来、幾多の国会を通じ、また当地方行政委員会論議を通じて問題になった課題でございます。そういう中で私どもこの審議に参加をいたしてきたわけでありますが、特に、本案経過につきましては、くどくは申しませんが、私、非常に憤激にたえないといいますか、遺憾にたえない問題が非常に多いわけであります。  その間の経過はまた十分議論をいたしたいと思いますが、建設大臣が時間的にお忙しいということでありますから、若干論議の道筋をはずしまして、建設大臣のほうにいろいろお尋ねをいたしたいと思っております。  まず、最初に、事務当局お尋ねをいたしたいと思うのでありますが、昭和四十六年十二月九日、建設省都市局長名によるところの通牒を拝見いたしております。それからまた、昭和四十七年の六月十四日、「市街化区域内の農地に対する固定資産税について」という自治省通牒も拝見をいたしておるわけでありますが、この中で、市街化区域内の農地に関しましていろいろなことばをお使いになっているわけであります。たとえば、建設省通牒には、「生産緑地に係る公園緑地又は墓園都市計画決定等取扱方針について」ということで、「生産緑地」ということばをお使いになっております。それからまた自治省通牒を拝見いたしますと、「施設緑地指定」とございまして、文章の中身は、「生産緑地にかかる公園緑地等都市計画法決定は、原則としておおむね二ヘクタール以上の」云々ということで、「施設緑地」ということばと「生産緑地」ということば両方実はお使いになっておるのであります。  まず、お伺いいたします。施設緑地とは一体何ぞや、生産緑地とは一体何であるか、事務当局のほうからまずお答えをいただきたいと思います。
  4. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 いまの通達に関係するものは、都市計画の正式な感じから言いますと、施設緑地というほうが法律の文面には近いのでございますが、お尋ねの「施設緑地」というのは、都市計画法の中にいろいろな種類の都市計画がございます。そのうちで公園緑地、街路いろいろございますが、そういうものを将来それぞれの事業主体が建設するということを予定いたしまして、その場所をあらかじめ都市計画できめて図面にも表示しておくというものがございます。こういう、将来都市計画施設になるものをあらかじめ都市計画にきめておくものを都市計画施設というふうに言っておりますが、いわば都市計画施設たる緑地というものに該当するわけでございますので、そういう意味施設緑地と言ったほうが、都市計画のどの区分に当たるのかという意味ではわかりやすいわけでございます。  一方、建設省通達で「生産緑地」と書きましたのは、全く同じ施設緑地のことを言っているわけでございますが、結局、計画決定いたしましてからすぐに都市計画上の施設公園として買収し、造成してしまう場合もありますけれども、五年、十年というような先を見越して都市計画決定することも大いにあるわけでございますので、そういう場合には、公的機関によっていよいよ正規の公園なり緑地になるまでの間、これは都市計画の制限はかかりますけれども、従来の用語に従い、従来の土地所有者が所有しておられるわけでありまして、それが農地にかかる場合には、過渡的な生産をしながら、農地としての広い意味緑地意味を持ちつつ存続しておるという状態であります。地方税法の改正にからんでこの種通達を出したわけでございます。農地都市施設としての公園決定したものを考えますと、それは「生産緑地」と表現したほうが実体においてわかりやすいのじゃないか、こういう意味でございます。
  5. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 自治省のほうはどういう考えですか。
  6. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 自治省から出しました通達は、市街化区域農地の取り扱いを取りまとめて市町村のほうに連絡をするという趣旨通達したものでございますが、ここの施設緑地の取り扱い方は、建設省通達を受けまして、同じ趣旨で書いたわけであります。
  7. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そういたしますと、生産緑地ということばは使っているが、法律的に言うならば都市計画施設たる緑地、そういう意味では施設緑地ということばのほうがより正確ではないだろうかということであり、さらに、この通達最後に書いてありますが、「当該農地について公園緑地又は墓園事業実施が見込まれるまでの相当期間農地としての使用を継続する旨を農業を営む者について確認する等の措置を講ずること。」という文章にありますように、事業実施が見込まれるまでの相当期間農地としての営農が継続されるというものをさしてこのように言っているんだというふうに承ったわけであります。  そうしますと、法律的に言えば、これは都市計画法の第十一条の「都市施設」、この中の二号の「緑地」であって、さっき言いました、公園緑地または墓園事業実施が見込まれるまでの相当期間営農が継続されるであろうというものをさして、施設緑地なりあるいは生産緑地と言っているというふうに理解をしてよろしいわけですか。
  8. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 そういうことでございます。この通達で、特に、「相当期間農地としての使用を継続する」、その点が確認されるようなものを考えるということにしておりますのは、先ほど申し上げましたように、この地方税法とのからみのことでございましたからそう申し上げているわけで、一般的に言えば、すぐに、あるいは二、三年後に公園にする施設緑地決定することも大いにあるわけでございます。この場合には、そういう短期間のものは、そういう税法意味であまり意味がないと考えてはずしたわけであります。
  9. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そこでお尋ねしたいのですが、これもあとお尋ねをいたしたいと思いますが、今回自民党さんが修正案としてお出しになりまして、相当広範な地域市街化区域内農地というものに宅地としての課税が行なわれるということが想定せられておるわけでありますが、そういった膨大な地域が、はたして十年以内に都市的施設が完備するであろうかどうかということについては非常に疑問に思います。その点は、大臣がお帰りになったあと、また具体的に数字をあげてお尋ねをいたしたいと思うので、一応保留しておきますが、そういうことが一方においては見込まれる。  そうしますと、せっかく施設緑地あるいは生産緑地ということについて建設省考えておられる。その後二、三年という短期間に、墓園なり、あるいは緑地なり、公園なりとして計画決定が行なわれ、事業が行なわれるというものではなくて、ある程度営農が継続されるというものについて生産緑地というものを考えておられるということになるならば、この都市計画法上の十一条ではなしに、都市計画法の第八条の「地域地区」でいろいろな地区指定されておりますが、「美観地区」でありますとか、「風致地区」でありますとかいうものがあるわけでありますが、こういったものに並んで、生産緑地といいますか、それをあらためて法律の中にうたい込む、ないしは政令等でそういうものを規定する、いずれかの方法があろうかと思いますが、そういうことをお考えになっておりませんか。そう申しますのは、大臣大臣外国等にだいぶ行かれていると思うのですが、たとえばパリなんかに行きましても、パリ市街地の中にブドウ畑というのがたくさんありますね。それじゃそれが、パリの歴史豊かな景観というものをそこなっておるかといえば、私はそうでないと思うのです。東京と違って、パリははるかに公園の面積は多いのです。いろいろな公園もありますが、同時に、そういうものと並んで、このブドウ畑というものが点々と市街地の中に残っています。それじゃ、それがパリ景観というものを汚しておるかというと、決してそうではない。むしろ、そういうものを含めてパリのいまの景観というものを保っていると私は思うのです。しかも、そのブドウ園が二、三年のうちに公園になるとかなんとかというのを予定しているわけじゃないでしょう。長い期間にわたってずっと営農が続けられておるだろうと思うのです。とするならば、私はほんとうはこんなことを議論したくないのですけれども、野党四党で若干の相違はありましたが、ほぼ一致した考え方で、実は、自民党さんにも提示をいたしました形でこの問題は決着をつけるのが一番いいと思っておりますが、しかし、何といいましても自民党さんが過半数を握っておられて、自民党さんとしての修正案を出したという現状を踏まえて、決して好ましいとは思いませんが、あえてそういう議論をやっているわけであります。そういう上に立っての質問でありますけれども、そういう状況考えて、この都市計画法八条の「地域地区」の中に、その「美観地区」「風致区地」の一環として生産緑地というようなものを定義づける、意義づけるということは、決しておかしいことではない、むしろ進んでそういうことをやってよろしいのではないだろうか、かように私は思います。この点、大臣あるいは事務当局両方からでけっこうでありますからお答えをいただきましょう。
  10. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 おっしゃいますように、今後の市街化区域内の宅地化ということをはかっていく上におきまして、先ほど来申し上げましたような施設緑地というものの計画決定を急ぐ、その運用をはかっていくということが一つございますが、そのほかにも、施設緑地ということになれば、相当期間農耕を続けるといたしましても、いずれは公共機関によって公園あるいは緑地になるわけでありますので、そういうものではなくて、いわば民有地のまま緑地として継続的に保全していくという地域があることは、都市計画上も十分意義があると考えております。  現在の都市計画法の「地域地区」としては、ずばりこういった農地対象としたものは必ずしもございませんが、「風致地区」とか、あるいは今回新たに御提案申し上げておる都市緑地保全法案による「緑地保全地区」とか、いずれも八条の地域地区一つとして、規制の形態、強さ、その他、目的に照らして相当差はありますけれども、いずれもできるだけ現況緑地状況をとらえて、宅地化するおそれのないような措置を講じようという地区でございます。現在は、永年作物のようなものは別といたしまして、一般農地につきましては、必ずしもこれを対象としての地域地区たる緑地指定する制度はございませんので、これは今後の検討課題として十分検討いたしたいと考えております。
  11. 金丸信

    金丸国務大臣 ただいま局長からお話のありましたように、この問題は十分に私も考えさせられたわけですが、先生の御指摘のように、パリにも、またわれわれの身近にもそういう問題はたくさんあるわけでありまして、そういう地区は残していくべきだというように考えております。十分検討してみたいと思います。
  12. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 大臣から、そういうものは残しておくようにいたしたいというお答えがあったわけでありますが、そうしますと、ここの第八条の「地域地区」の、具体的に言えばどの条項の中で、——まあ局長の場合は、永年作物とかなんとかよけいなことを、と言ってはあれですが、言っているわけでありますが、その点はまたあと議論しましょうが、どの条項の中で生産緑地というものを定義づけるおつもりでありますか。
  13. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 現行の都市計画法の八条列挙のどの号につきましても、一般農地に適合できるものはないように思います。したがいまして、そういうものを検討した上で実施するとなれば、法律を改正して、新しい一つ緑地制度を掲げるということになろうかと思います。
  14. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 実は、昨年、地方行政委員会で、一年の暫定措置について、当時の自民、社会、公明、民社四党の発議によりまして、委員長提案で一年の暫定措置をきめたわけでありますが、その際、委員会決議というのを実は行ないました。同時に、理事会として、合意メモというものを実はつくったのであります。それについて申し上げますと、果樹花木、それから茶樹のみならず、いわば現に耕作されているものは緑地に寄与するものと認める、こういう趣旨理事会合意メモを実はつくったのであります。したがいまして、当委員会審議経過というものを踏まえれば、単に永年作物についてだけこの地域地区の中の一つとして生産緑地というものを考えるということではなしに、当然、この果樹花木あるいは茶樹というような永年作物以外の他の農作物についても生産緑地として、この法律のままではいかぬというならば、やはり法律を改正してその生産緑地というものを意義づける。あるいは法律を改正しなくてそれができるというならば、そういう形で地域地区として生産緑地を意義づけるということを当然やっていただくことが、この問題について、今日まで長い間議論をしてまいりました国会意思政府が尊重するゆえんだろう、こう私は思わざるを得ないのであります。  さっきパリの話を出しましたが、他の都市においても同じような状況が見られます。ブドウは永年作物だといわれるかもしれないけれども、フランスにおいてはブドウはお酒の原料ですよね。わが国の酒の原料は何であるかといえば、これは米なんですから、そういうことを考えれば、私は、ブドウと米と差別する理由はないだろうと思うのですね。一応鹿児島のイモというのもありますから、それをつけ加えておいてけっこうですが、大臣、どうですか、そういう国会議論経過というものを踏まえて、しかも、昨年の理事会合意メモというものは各党一致できめたのですから、そういう経過考えれば、いま申し上げたような趣旨で、生産緑地というものを都市計画法上に位置づけることは必要ではないかと私は思うのです。この点、大臣政治家としての御判断の上からの御答弁をいただいておきましょう。
  15. 金丸信

    金丸国務大臣 ブドウと稲と同じと考えておるか、これは見解の相違であろうと私は思います。まあ、宅地の問題で非常な御苦心をかけておるこの問題でございますから、この問題について、稲は永年作物ではない、あるいは、いわゆる施設緑地でもあり得ない、こういうようなことを考えてみますと、まことに先生の御議論を反駁するようでございますが、ブドウだとかそういうものは永年作物でありますし、かんきつ類のミカンにしてもしかりだと私は思いますが、そういうものは、やはり緑地市街化地域の中にあるということは好ましい姿でありまして、そういう意味で、私、こういう話を申し上げて恐縮ですが、たとえて言えば、二ヘクタール以上だというような問題につきましても、私はそれにえらくこだわる必要はないというような感じまでいたしておるわけでございます。
  16. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 どうも、一番肝心の語尾がはっきりしなかったのですが、おしまいのほうをもう一度はっきり言ってください。
  17. 金丸信

    金丸国務大臣 一番最後ですな。そういう緑地という観点からして、二ヘクタールといえば六千坪だが六千坪というものはなかなか求めるのもえらいと思いますし、そういう意味で、二ヘクタールにえらくこだわる必要はない、小さくなったっていいんじゃないか、児童公園式のものでもいい、こういうような考え方を私は持っております。
  18. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 最後の御発言につきましては、これは、先ほど来秋が引用いたしました昭和四十六年十二月九日の「生産緑地に係る公園緑地又は墓園都市計画決定等取扱方針について」の中の「記」としての第三号の「公園緑地又は墓園に関する都市計画決定及び法第五十五条第一項の指定は、原則として、近隣公園以上の規模(おおむね二ヘクタール以上)を有するものについて行なうこと。」というこの文章の中の「二ヘクタール」という縛りについて、これは何も二ヘクタール、六千坪というような縛りをかける必要はない、この縛りについては撤去してもよろしい、実情に即してこれについても運用するのだ、こういう趣旨だと思いまして、この点は了解をいたします。この点につきましては、たとえば宇治の茶畑というようなものを見れば、これは六千坪固まっておるというようなものはあるはずはないのでありまして、せいぜい一反あるいは二反というような小さな形で家のまわりにまとまっておるわけでありますから、こういうものについては、二ヘクタールというような縛りはなくして、実情に即して、いわば施設緑地といいますか、生産緑地はそういうもので指定をすることはかまわないのだ、この点は了解をいたします。この点はひとつあらためて、通達につきましては、そういう大臣趣旨にのっとって、この通達を出し直しをするとか、あるいはこの通達については、そういう趣旨運用するということを各地域に徹底させるとか、そのいずれか一つきちっとやっていただきたいと思いますが、その点はどうですか。
  19. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 ただいま大臣答弁されましたように、私ども事務当局といたしましても、当然その趣旨に沿って通達条項を削除する等の措置により、実際の規模等につきましては、地方公共団体判断にゆだねることに決定いたしたいと思います。
  20. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 その点は了解しました。  ただ、それだけでは問題は解決しないわけですね。結局、大臣も、酒の原料としては同じだが、片方果樹であり、片方は永年作物ではない、九州のしょうちゅうの原料たるイモについても、これもまあ果樹でありませんから、どうもそれは違うのだということはおっしゃらなかったけれども、同じような趣旨の御答弁だと思って承っておりました。また、局長もその点についてはこだわっておられるようでありますが、そうなれば、結局、都市計画法上の十一条の「都市施設」のいわば「緑地」というものを考えた場合は、永年作物、先ほど来言うように、果樹とか花木とかあるいは茶樹とかいうものしかとりあえずは認めるわけにいかないが、しかし、先ほど来私が申し上げた趣旨をお認めいただけるとするならば、当然、そういった永年作物以外の、いわば耕作しているもの、昨年の地方行政委員会理事会合意メモにもあるように、そういうもの以外に、いわば耕作の用に供されているものは緑化に寄与すると認めるのだ、こういう国会としての意思を尊重されるというお考え方であるとするならば、当然この十一条の「緑地」以外の地域地区の中に、営農が継続される地域について、生産緑地というものを何らかの形で定義づける、そういう方向にどうしても前向きに対処をいただかなければならないのではないだろうか。また、そうすることが、他のヨーロッパ各地都市と比較いたしましても、決して無理な議論ではないというふうに思うわけであります。その点江崎自治大臣も聞いておられたと思うのでありますが、金丸建設大臣並びに江崎自治大臣の、閣僚としての、あるいは政治家としてのお考え方というものを重ねてお示しいただきたいものだと思います。
  21. 江崎真澄

    江崎国務大臣 建設大臣から、非常な弾力的運用についてのお話がございました。これは都市の実態に即したものであるというふうに私も考えます。今後の問題としてすみやかに検討しよう、こういうことのようでございますが、そういう形になることは望ましいと思います。
  22. 金丸信

    金丸国務大臣 いろいろあろうと思いますが、宅地化のおそれのないというものがあるならば、十分前向きに検討してみたいと思います。
  23. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 建設大臣の時間があまりないようですから、私は、建設大臣に対する質疑あと一問くらいで終わりたいと思っているのですが、問題は、昭和四十三年の新都市計画法審議の際、当委員会でもしばしばそれが問題になったわけでありますが、市街化区域内に農地が入ったとしても、直ちに宅地並み課税をするということでは決してないのだということを、再三再四当時の保利建設大臣言明をされたわけであります。また、公明党の小川委員が、当時建設省がおつくりになりましたパンフレットをわざわざ持ってまいりまして、それを示してお尋ねもしておられましたが、当時建設省がこの市街化区域線引きにあたって作成をいたしましたパンフレットというものの中にも、保利建設大臣国会において答弁をいたしました趣旨を踏まえまして、同じような趣旨文章も入れてPRをいたしたという経過があるわけです。  問題は、やはり、そういった政府の当時の責任者言明、あるいは建設省PR資料というものを当時の国民は信じて、今回の線引きに応じたのだろうと私は思うのです。それに対して、線引きのときは線引きのとき、線引きが終わったあと、これは、昭和四十六年に政府として地方税法の一部改正を提案したときに、自民党政府としての考え方はそこで一応切りかわったんだというへ理屈を言えば、それは確かにそういう理屈があるかもしれません。しかし、そのようなときも、自民党の議員の方々は、各地域の農業者の大会等に行かれて、保利建設大臣もこういう言明をしておるのだ、また、線引きの際には建設省はこういう公約をしておるのだ、だから心配ないのだ、われわれは農地宅地並み課税については断固反対であるというような趣旨の御発言も、与党の皆さん方の間からずいぶん今日まであったわけです。そういう経過をずっと踏まえていまに来ているわけです。としますと、私は、当該地域の農家の皆さん方がそういう気持ちになることは当然だろうと思うのです。  それから、いま一つ。私たちはそういう面からこの問題を議論すると同時に、いま一つの側面から私ども議論してまいりました。それはなぜかというと、固定資産税課税権者はだれかというと、市町村長なんです。ですから、当該地域の緑化に寄与するかどうか、あるいはまじめに営農しているかどうかという判断は、当然、課税権者たる市町村長の判断にゆだねるべき問題ではないのか。しかも、それを補強する意味で、地域住民から選んだところの農地課税審議会というものがあって、当然その地域の住民の意向というものがそこに反映されるわけでありますから、その農地課税審議会の意見を体して、課税権者である市町村長が——しかも、市町村長は都市計画事業の執行者でもあるわけですから、そういう方が、都市計画法上の観点、あるいは課税権者としての観点、地域住民の意向というものを踏まえて、これは農地課税にすべきだ。これは確かに宅地としての課税が好ましいという判断をする道をやはりつけるべきではないのか。  しかるに、残念ながら、昭和四十六年に政府が提案いたしました地方税法改正の中にも、あるいは今回自民党さんが修正提案いたしました法案の中にも、そういった市町村長が裁量できる余地というものが全く生かされていない。これは、地方自治という観点から言って問題ではないだろうか。したがって、私ども社会党を中心とする野党である程度考えをまとめました際におきましては、そういう観点に立って、課税権者たる市町村長のいわば裁量権というものを大幅に認めた形の法律案というものを実は提案を申し上げたわけです。  したがって、先ほど建設大臣からの御答弁もあり、自治大臣の御答弁もございましたが、この通牒運用にあたって、二ヘクタールというワクは取り払うということは言明をされました。その場合、それじゃ一体どういう農作物についてこの施設緑地なり生産緑地というものを適用するかということについては、私と皆さんの間でまだ合意はありませんけれども、しかし、少なくともそういう問題は、地域の市町村長の意見を尊重する。決定は都道府県知事がやるわけでしょう。やっぱり地域の市町村長の意見というものを尊重して都道府県知事がきめてもよろしい、何も永年作物ということにぎしぎしこだわらない、やはり市町村長の意見というものもそこに尊重する余地は残すというぐらいのことは、私はあってしかるべきではないだろうかと思うのです。この点、建設大臣と自治大臣に再度ひとつお答えをいただきたいと思うわけであります。
  24. 江崎真澄

    江崎国務大臣 この問題は建設省が主管される問題ですから、私があまりとやこう言うことは望ましくないと思います。ただ、場面として、市町村長だけにゆだねますると、課税は市町村長が課税主体でありまするが、都市計画ということになりますると、やはりそこに全体のバランスの問題もありましょう。それぞれの町村によって思い思いに都市計画が進められるということはどうであろうかという危惧の念を持つわけでございまするが、これは、本質的に建設省側において御判断になることだと思います。
  25. 金丸信

    金丸国務大臣 ただいま江崎自治大臣から申し上げたとおり、私もそういうような考え方を持っております。
  26. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 結局、都市計画については、都道府県知事が機関委任されているわけですよ。ですから、建設省の意向というものに沿って自治大臣がその行政を扱う、こういうかっこうになっているわけです。機関委任された事務について、最近、たとえば外国人登録の問題とかいろいろで、実は、機関委任事務に関して自治体と中央官庁との間に若干のトラブルがございます。それは機関委任された仕事だとはいうものの、私は、やはり、当該都道府県知事にある程度の裁量権があってしかるべきだろうと思いますし、それからまた、その際、知事がこの計画決定をする際に、少なくとも都市計画の末端における実施責任者は市町村長であり、固定資産税課税権者は市町村長なんですから、その市町村長の意向というものを尊重して、ある程度裁量の余地を持って、都道府県知事が、機関委任事務ではあるけれども指定をやっていくということは、私は、地方自治の本旨という立場から、あってしかるべきじゃないかと思うのです。建設大臣並びに自治大臣の御答弁はそういう趣旨だと解しておきたいと思いますが、いかがですか。
  27. 江崎真澄

    江崎国務大臣 お説のように、ことばが少し足りませんでしたが、当然、市町村長の意向を体して、規模によって、県知事が認可をするもの、また建設大臣が認可をするもの、こういうことになっておりまするので、地方自治体の意向というものが十分反映されるように実施されていくことが当然だろうというふうに考えます。
  28. 金丸信

    金丸国務大臣 市町村長の意見が十分に反映するように指導もし、前向きで私のほうも検討します。
  29. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 では、建設大臣はけっこうです。  ただいまこまかいことについていろいろお尋ねをいたしましたが、冒頭申し上げたように、私は、このような質問をすることは実は不本意なのであります。私ども野党に自民党さんのほうから、この農地宅地並み課税の問題については、政府・与党の間でいろいろやりとりをした結果、政府提出からははずして、そして昨年の経過もあることだから、地方行政委員会の合意に基づいて議員立法で処理をいただきたい、ついては十分話し合いをいたしたいと、こういう申し出がございました。私ども野党はお互いに地方行政委員会は気がいい人間が多いものですから、その点を快くすんなり受けまして、そして今日まで苦労をいたしまして、この問題について取り組んできた。せっかく三月二十二日の段階では、私ども野党の考え方は——もちろん、その際に共産党さんは、四項目について、これはワンパッケージでなければいけないというような御意見もございました。また、民社党さんの立場で、附則その他において、わが党の考え方がある程度反映されるような字句をひとつ考えていただきたいという御意見もございましたけれども、しかし、まあ野党四党最大公約数をとりました形で、一応四つの原則を——三年間という期間を切って一応営農意思を申請する、その場合は徴税猶予ではなくて農地課税とすべきである、さらに、大都市とその他の地域との区別はしない、政令というものは必要ないのであって、これは行政指導でもって足りるではないかと、こういう趣旨の意向を自民党さん方にお伝えをし、自民党さんの側もそれを受けまして、その四つを全部了承したようではなかったようでありますが、農地課税ではなくて、徴税猶予という形でどうかというような形にして、自民党さんの出先の側においては一応の考え方がまとまり、その段階で返事をすればもう問題なかったんだろうと思うのでありますが、田中総理でありますか、田中総裁でありますか、まあ、田中総裁だろうと思うのでありますが、田中総裁のオーケーをとりに行ったところが拒否された。新聞には、「野党四党案拒否」というようなことで大きく報道されたというような形で今日まで推移をいたしたわけです。  この間、三月三十日に開かれました予算委員会で、わが党の細谷委員がこの問題を取り上げ、江崎自治大臣と田中総理との間で議論をいたしました。法律に優先して行政指導でやるなんということはおかしいではないかというようなこともあり、結局、ここにおいでの内田さんが、どういう資格ですか、たぶん自民党の税制調査会長というような立場で提案者という形になりまして、自民党修正案をこの委員会に提案をされたという経過だろうと思います。  私どもは、そういう経過はまことに遺憾であり、憤激にたえません。結局、私どもとすれば、先ほど来申し上げたように、課税権者は市町村長なんですから、問題は、市町村長がこの農地宅地並み課税の問題について裁量権を持っていないいまの自民党さんの案、それから、四十六年の地方税法改正案、そこにやはり問題がある。さらに、先ほど来議論いたしましたように、都市の緑化というものを考え、環境保全というものを考えると、内田さんもかつて、環境庁ができる以前の厚生大臣として、公害問題については中心になって実はお取り組みになった方ですが、そういう意味で、都市の公害というものが激化する中で、少なくとも都市の環境というものを保全をしたい、まじめに営農する農家の立場を保護したいというようなことを総合いたしまして、私どもは先ほど来申し上げたような案を出したわけです。昨年自治大臣でございました渡海さんも、お話をしたところが、四十六年の法律の中の欠陥の一つは、市町村長の裁量権というものが全くなかった、これは確かに間違いであったということを、実は述懐しておられたわけであります。そういう中で、先ほどあのようなこまかい議論をしなければならないということについて、実は私は非常に残念に思うわけでありますが、率直にお尋ねをいたしたいと思うのです。  繰り返しそのような議論はあったと思いますが、念のために江崎自治大臣に申し上げますが、今回のこのような経過については、やはり率直に反省をしていただきたいと私は思うのです。  地方行政委員会は、今日まで長い歴史がございます。警察法の改正あるいは警職法の問題、近くは定年法の問題で強行採決などをやった歴史はありますけれども、しかし、それ以外にはそういう紛糾した過去というものはないわけです。問題は、与野党立場は違っても、少なくとも自治を守っていこう、地方自治を尊重していこう、こういうことではある程度与野党の間にニュアンスの相違はありましても、共通の土俵というものがあったろうと思うのですね。そのことを大臣に十分考えていただきたい。そういう中で、各党の意見はあるにしても、合意できるものについてはできる限り合意していこう、地方自治を守っていくという観点からはできる限り意見の一致を見出していこうというつもりで、今日までやってきたわけであります。そういう立場で私どもが協力をした。しかるに、自民党の党内事情のために、せっかくのそういったよき伝統に傷をつけたということについては、そのときの自治大臣であった大臣として、やはり率直に反省をいただかなければならぬと私は思うのですが、いかがですか。
  30. 江崎真澄

    江崎国務大臣 責任を痛感しております。これは、先ごろ、今度の修正案の提案者の一人である山中委員からも自民党の立場の表明がありましたが、私は、特に政府側の本問題の責任者といたしまして、少なからざる責任があるというふうに思っております。  これは御承知のような経過でございますので、もうくどくどしい説明は差し控えますが、いずれにいたしましても、政府提案で事が処理できるものならば処置すべき性質のものであった。これは、昨年の各党のあの審議経過、結論等から言いまして、それが理想的であったろうと思います。しかし、昨年も議員の間で話し合いが進められたのだから、党側にゆだねてはどうかというあたりから話が始まりまして、本法もありますことですから、まず早期に結論がなされるであろう、あるいは各党間の合意がなされるであろうということを期待したわけでありますが、せっかくわが党の理事が御努力になっておる間に、たまたま山中委員御表明のとおり、政務調査会等におきましても十分な結論の得られていなかった段階において各党間の話し合いが行なわれておったということもあり、最終的には、総裁等からも政策的に強い意思表明などがありまして、事の次第が非常におくれたということはいかにも恐縮なことでございまして、私自身もその責任は十分負わなければならぬと思っております。幸い、修正案が出ております今日におきましては、どうかひとつ、すでに御協力をいただいておりますが、御了承を願いまして、この修正案を含めての地方税法改正案が通過いたしますようにお願いを申し上げたいと思っております。
  31. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 大臣も反省をしておいでのようでありますが、問題は、私は、その反省の趣旨を生かしていただくのは今後だろうと思います。  そこでお尋ねいたしたいと思うのですが、結局、私どもは、この自民党修正案は、賛成できません。その点は、いずれ、しかるべき機会に各党からそれぞれ党を代表されての討論があろうと思いますから、私はそのことについてはこまかく触れませんが、賛成はできません。反対であるということを申し上げておきたいと思うのですが、同時に、しかし、自民党修正案が当委員会で可決をされ、あるいは本会議で成立をされ、法律で施行をされるという場合に、昭和四十六年以来のこの問題についての議論をしてきた経過を踏まえて、当然、当委員会としての附帯決議、地方税法改正に対する附帯決議等がつくであろうと私は思います。その中には、当然、今日までこの問題に取り組んできました各党の考え方というものが総合的に盛り込まれて、一つ考え方というものが示されると思います。したがって、この農地宅地並み課税を今後運用するにあたっては、従来の附帯決議が——これはあとでまたいろいろ例をあげて議論したいと私は思いますが、必ずしも政府によって尊重されてきたとは言いがたい面もございますが、少なくとも、この農地宅地並み課税に関する問題に関しては、当委員会の意向である附帯決議というものを厳格に厳守して、そして、先ほど来私が建設大臣と自治大臣との間で議論いたしましたような、この経過も踏まえまして、運用に誤りなきを十分に期していただきたい。このことを強く要請をいたしたいと思うのですが、いかがですか。
  32. 江崎真澄

    江崎国務大臣 本案の修正決定ということにならないまでも、院の意思としての附帯決議というものが付せられまする場合におきましては、当然、政府は院の意思を尊重して実際の運営に当たっていくしこれは大切なことだと考えます。(「廃案にすればいい」と呼ぶ者あり)
  33. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 自民党さんからすらそういう御意見があるということを、大臣もよくお耳にとめておいてください。自民党さんからそういうお話もあるとすれば、これは廃案になるかもしれませんが、廃案になりますと、昭和四十六年法がそのまま生きるということとなりますから、その点も非常に問題があります。したがって、そういう状態を踏まえて、先ほど来私はそのような発言をいたしたわけでございます。他の附帯決議とは違って、この問題については、附帯決議等が付された場合はより厳格にひとつ守っていただきたい。同時に、今後の地方行政委員会の運営にあたっては、こういう経過もあったことでありますから、野党側の主張というものを——もちろん、政府与党としてこれはどうしても了承できないという問題はあるでしょう。党が違いますから。しかし、野党側の主張というものを、今後の委員会運営にあたって政府の側もできる限り積極的に取り入れるという姿勢を示すことが、今回の、このような、大臣も遺憾の意を表するというような事態を引き起こしたことに対する反省の何よりの道ではないかと私は思うのですが、この点はいかがですか。
  34. 江崎真澄

    江崎国務大臣 地方行政委員会委員の皆さん方から御提示いただいた御意見等については、私もつとに傾聴をいたしております。そればかりか、自治省を心から激励していただくというような面も非常に強いわけでありまして、おっしゃる意味はよくわかりまするので、今後とも十分話し合いの上で事を推進してまいりたいと思います。
  35. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それでは、角度を変えて二、三お尋ねをいたしたいと思います。  今度の地方税法改正について、実は昨年、「地方税財政に関する当面の措置についての答申」という第十五次の地方制度調査会の答申がございまして、これを見ますと、地方税について、各面の問題について触れておるわけでありまするが、まず第一に、大都市財源の充実を期すべきであるということから、都市税源の充実をはかるために、「大都市地域に所在する企業に対し、その保有する固定資産の額等に応じて課税する都市整備のための新税を創設するものとする。」ということをうたっております。また、「地方団体、とくに市町村の道路整備事業における道路目的財源の比重が極めて低い事情にかんがみ、道路整備五箇年計画の改定に即応して、軽油引取税の税率の引上げ等地方道路目的財源の拡充を行なうものとする。」というようなことをうたっております。それから、「地方団体が実施する公害対策に要する経費にあてるため、重油の消費に対し重油消費税を創設するものとする。」ということをうたっております。また、「非課税および租税特別措置については、この際抜本的に見直しを行ない、租税負担の公平をはかるとともに地方税収入の確保に資するものとする。」というようなことをうたっております。それからまた、昨年の地方行政委員会の附帯決議を振り返って思い出すわけでありますが、大都市財源を充実をすることが必要であるとして、したがって、「事務所・事業所税の創設、法人所得課税都市計画税の拡充等税制上の措置を講じ、都市税源の充実に努めること。」「地方道整備の財源確保のため、道路目的財源の国と地方との配分割合を検討するとともに、地方道とくに市町村道の目的財源の拡充に努めること。」「住民税負担の軽減を図るため、引き続き課税最低限の引き上げに努めること。」「中小企業者の税負担の軽減について引き続き検討すること。」となっている。参議院も同じような趣旨の附帯決議を付しておりますが、このような地方制度調査会の答申や、昨年の当委員会が付しました地方税に対する附帯決議というものは必ずしも十分に実現されているとは言えないわけであります。この点は非常に残念に思います。委員会の決議は私どもが付したものでありますし、また十五次の地方制度調査会——ここにお見えの委員を見ましても、十五次の地方制度の調査会の委員であられた方々も多数おられるようでありますが、せっかくそのような方々が一致した意向として付しましたこの答申について、十分守られていないということは非常に残念であります。  そこで、どの点が実行され、どの点が実行されなかったのか、そして、それはどういう理由から実行できなかったのか。この点は、まず税務局長さんからでも、具体的なことですからお伺いしておきましょうか。
  36. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 ただいま御指摘のような、地方制度調査会の答申あるいは当委員会の附帯決議がございまして、私どもも、それらの答申あるいは附帯決議について、その実現方につきまして非常に努力してきたところでございます。  住民税の課税最低限の引き上げあるいは市町村民税の税率の緩和、中小企業対策としての事業税の事業主控除額の引き上げといったような、住民負担の一般的な軽減合理化という点につきましては、私どもなりに相当なところまで実現し得たというふうに考えております。また、土地についての固定資産税課税の適正化ということにつきましても、今回固定資産税の大幅な改正を行ないまして、負担調整措置の撤廃並びに住宅用地についての負担軽減措置ということをいたしたわけでございます。さらにまた、都市政策の一環としての特別土地保有税の創設ということも実現を見たわけでありますが、私どもが従来から非常に検討の対象にしておりましたところの、いわゆる大都市地域における都市整備のための財源としての事務所・事業所に対する課税、これにつきましては、相当具体的な内容で検討も進めてまいったわけでありますが、いわゆる各省から出ました列島改造税制等とだいぶ内容的に競合する面が生じまして、地方中核都市の整備内容の具体性がまだ十分でなかったというようなこともございまして、さらに引き続き検討するということになりましたことはまことに残念だったわけであります。なお、この点につきましては、引き続き努力をしてまいりたいというふうに考えます。  それからまた、地方道路整備財源としての軽油引取税の引き上げの問題並びに公害対策目的税としての重油消費税の創設ということにつきましても、具体的な検討を進めたわけでありますけれども、一面におきましては、道路整備五カ年計画の改定の問題がなお未確定の状態にあったということ、さらにはまた、石油一般について、いわゆるOPECの原油価格の引き上げというような問題との関連から、石油関係の税については、さらに国際経済環境等も十分見きわめる必要があるというような観点から、国税における石油関係税との問題もあわせ、来年度、昭和四十九年度においてさらにこの具体化を検討するということになりまして、昭和四十八年度の改正にこれを盛り込むことができなかったという点につきましは、まことに残念であったわけであります。今後とも、これにつきましては、来年度の具体化を目ざして努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  37. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 一番肝心なものがどうも実現していないわけですね。そういう点は遺憾です。  それから、あまり十分お答えがなかったけれども、地方税としての非課税措置。これは、税の不公平の一つの非常に重要な点になっているわけでありますし、また、国税における租税特別措置がそのまま地方税に影響を及ぼす、所得税と住民税については遮断をしながら、租税特別措置についてはその間何の遮断もなくて、国税の租税特別措置がそのまま地方税に影響を及ぼしているということについては、従来から、問題ではないかということは当委員会でしばしば指摘をされたわけでありますけれども、さっぱり実現を見ていない、前進を見ていないということについてはきわめて遺憾であります。  そこでお尋ねしますが、局長の御答弁にもあったんですが、地方中核都市法律案ですね。これはいまなお国会に提案をされておりません。今国会提出予定法案として、建設省の中には初めからそれが入っておったにかかわらず、いまもってこれが提出の運びに至っておりません。先ほどの局長の御答弁の中にも、事務所・事業所税の問題については、結局地方中核都市等との関連において、一体これをどうするかということでいろいろ難点があったということを説明されたわけでありますが、問題は、こういった地方税法を私たちが審議している過程においてすでに出ております法案の中にも、あるいはこれから提出を予定される法案の中にも、地方税をいじる法律案というのがしばしば出てくるが、そういうことは問題ではないかということは、当委員会で繰り返し実は議論をされたのであります。地方中核都市については、建設省もおられるわけでありますが、一体これはどうなるのか、それがまた地方税に対しては具体的にどういう影響を与えようといたしておるのか、この点をお尋ねしておきましょう。
  38. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 地方中核都市構想につきましては、昨年来関係各省が寄り集まりまして、いろいろの考え方を取りまとめてまいりました。その結果、できれば今国会提出したいということで、建設省だけではございませんが、関係各省と打ち合わせの上、意見の合致するものを取りまとめたいと考えております。  ただ、国土総合開発法案等の提出にあたって、いろいろな新たな全国的な土地利用計画なり、あるいは都市圏の計画なり、あるいは特定地域の整備なりが盛り込まれることになりまして、その成果を見守っておった次第でございまして、それも提出されましたので、そういった関連の諸制度とあわせにらみつつ、たいへんに時期がおくれておりますが、なお極力今国会に何らかの形で提出したいと考えております。  この内容は、まだこれから詰めなければならぬ問題があるのでございますが、いまの地方の税財政にからむ問題としては、当面、四十八年度、今国会提出いたし、成立いたしますといたしましても、国土総合開発公団などの設立予定も十月ごろというふうに見込まれておりますし、実際に事業にかかると特別のいろいろな配慮もしなければならぬということで、実際四十八年度中になかなか進まぬのじゃないか。調査とか、いろいろ具体的な、どういったところに順位を置いていくかというところの検討に今年度中は費消されるのではなかろうか。実際には、四十九年度ごろからこれらの肉づけの施策が必要になるものと考えております。
  39. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 地方中核都市の整備に伴って、地方税でどう考えていくかという問題でございますけれども一つは、財源としての問題があるわけでございます。現在の大都市地域において、事務所、事業所が集中をしてきて、その事務所、事業所等の集中に伴うところの、大都市地域に生じた財政需要というものに対する財源手当てが一つの問題があると思います。それからさらに、工場の再配置を含めまして、こうした事務所、事業所が地方に分散をしていく。その場合の受けざらの整備ということになりますというと、そうした分散した地方の受けざらの整備というものは、結局は、その財政的な需要が、やはり大都市地域における事務所、事業所というものの集中から、これを分散させるために生じた財政需要であるというふうに考えます場合には、その財源としても、大都市地域における事務所、事業所が負担をして一向に差しつかえないのではないかというような考え方で、私どもは、大都市地域における事務所、事業所に対する課税にあたっては、一つは大都市地域の財政需要をまかなうために、一つは地方に分散するための受けざら整備のための財源に充てるためにというような形で、都市整備税の構想を考えておったわけであります。これらにつきましては、さらに中核都市の整備をどういうふうにしていくか、この具体化を待ちまして、財源としての都市整備税の内容を具体化してまいりたいというふうに考えております。  もう一点は、特に工場再配置等に伴う地方の誘導地域に分散をした工場に対する、分散促進のための優遇措置としての固定資産税の軽減、これは相当長期にわたる軽減ということが要請されておるわけです。これらにつきましては、国の政策として工場を地方に分散をさせる。その分散した工場について、分散先の地方公共団体固定資産税を軽減するということは、これは分散先の地方公共団体との関係においてはやや問題があるわけであります。この点につきましては、やはり、国の政策的な税制を地方に要請されるという場合には、そうした長期の地方税の軽減に対しては、当然に、国のほうで十分にそれに対応する財源手当てをすべきである。そういう財源手当てを待って、必要な地方税の特別措置をとる必要があるのではないかというふうに考えております。いずれにしましても、もう少し地方中核都市についての構想がまとまりました段階におきまして具体化してまいりたいというふうに考えております。
  40. 江崎真澄

    江崎国務大臣 租税特別措置について、税の減免がなされておることについて実行ができなかったという御指摘です。そのとおりです。そこで、これはきのうの本会議でもちょっとお答えしておいたわけでございますが、この洗い直しを通産大臣と協議しております。原子力発電所の周辺整備の問題とか火力発電所の周辺整備の問題等々も、深刻な地方の問題としてクローズアップしておるわけでありますが、そういうものの対策等々ともからみ合わせて、電気、ガス税の減免措置をとっておるものの洗い直し、それから、固定資産税の減免の洗い直し、これはいつもは通産省側がむしろ業界の肩を持って議論をしたら非常に抵抗があるわけですが、通産大臣としても、幸いに、これはやろうじゃないかということで合意しておりますので、来年度までには相当な成果をあげたいというように考えております。
  41. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 私がお尋ねしようと思ったことを大臣はちょっとお触れになったのですけれども、発電所の周辺整備に関する法律案、これも近く本会議趣旨説明が行なわれて、本会議議論になるだろうと思うのですが、これにつきましても、発電所につきましては大幅な優遇措置税法上とられているわけですね。しかも、また、優遇措置がとられている上に大規模固定資産税があがりますところは、市町村にそれが全部いかないで、府県に全部頭をはねられているというような問題もあるわけです。そういった税法上の市町村に対する冷遇をそのままにしておいて、発電所が来たから、その周辺に若干補助金等周辺整備のために金を出してやろうというようなことだけでは問題は解決しない。問題は、発電所に対する税制の優遇措置のために、発電所所在の市町村が税制上非常な損をしておる。こういう問題を解決しなければ、やはり、非常に不当な措置が依然として続くことになるだろうということを私は実は指摘をしたかったわけでありますが、この点は、通産大臣とも積極的に話し合いをして、つとめて早い機会に解決をしたいという大臣の意向につきましては、私ども了といたします。この点は、ひとつ積極的にお進めいただきたい。  そこで、佐々木さんの御答弁がございましたが、一つは、都市整備税が一部言われるように国税になるというようなことでは全く話にならないのでありまして、あくまでもこれは自治体の税として確保するということが何よりも必要だろうと私は思います。  それから、誘導地域に対して固定資産税の減免の措置を講ずる。私は新産都市の際にも議論をいたしたわけでありますが、国の施策として優遇措置を講ずるという場合には、やはり、国側が責任を持つべきである。国の施策として優遇措置を講ずる場合に、それが地方税の減免という形で、自治体のせっかくの税源をそれによって食われるということはなすべきではないということを申してまいったわけでありますが、この点、佐々木さんから御答弁になりました問題点につきましては、自治省としても十分問題点は理解しているだろうと私は思うのです。幸い、自民党の税制調査会長もここにおいででありますから、たいへんいい機会だと思うので申し上げるのですが、内田さんも大蔵省の御出身ではありますけれども、長い間政治家として御活躍をされていて、おわかりのとおり、地方自治の確立ということは、国の政治を進めていく上に、何よりもきわめて重大である。いま国が具体的に施策を行なうという場合に、結局、国税、地方税を通じて、国民から税を徴収するうちの七割が国に入り、三割が地方に入るわけですが、現実に金を使う段になると、これが逆転しておりまして、地方が七割、国が三割。ですから、国の施策が十分に行なわれるかどうかは、一にかかって、地方自治体の運営が十分健全に行なわれているかいないかの、この問題にかかるわけであります。  そういう意味では、地方中核都市の問題に関連するこの税の諸問題につきましては、あくまでも、現在のわが国のような税制というのはたいへんおかしいと私は思うのです。内田さんも御存じだと思いますが、西ドイツなんかは州が、税金を徴収して、連邦政府に対しては分担金を出しているのですからね。わが国のように、国でみんないい税金を取って、地方交付税です、補助金ですというような形で恩恵的に流しているのとは全く逆なんでありまして、それは一ぺんに西ドイツのように持っていけということは不可能かもしれませんけれども、少なくとも、税源については、国が七割、地方が三割というのじゃなくて、五対五くらいにして、地方税源を充実することが叫ばれておるときに、地方中核都市の問題に関連をして、さらに税源を国が取り上げるとか、あるいは、誘導地域に対する助成措置は地方税で持ってやろうとか、国はかまわぬとか、そういうようなことは絶対避けることが、おかしな自民党修正案をお出しになったせめてもの罪滅ぼしではないかというふうに考えます。これは御答弁は要りませんけれども、意見として、自民党の税制調査会長である内田さんによく要望申し上げておきますから、聞いておいてください。  そういう点で、自治大臣、御努力をいただけますか。これは大臣から御答弁を聞いておきましょう。
  42. 江崎真澄

    江崎国務大臣 地方中核都市構想というものは、ぜひ実現させて、早急に推進することが必要だ、これが過密過疎問題解決の一番重要な具体的な問題であるというふうに考えておりますので、いま御指摘のような点ばかりか、いろいろな面で、やはり、国が中核都市づくりに積極的に乗り出すということでなければ、これは言うべくして、笛吹けども踊らず、中核都市形成というものはできないのじゃないか、そんなふうに私は実際思っております。だから、できるだけそういう面は御期待にこたえられるように、十分関係省庁とも連絡を密にしまして、努力をしてまいりたいと思います。
  43. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 念のために申し上げておきますが、われわれは、地方中核都市構想に別に賛成ではないのですよ。賛成ではないが、やる場合において、しかも税源で自治体に迷惑をかけるようなことがあってはいかぬのだという意味で言っているのですから、その点は、大臣のことですから間違いないのだと思うのだけれども、念のために申し上げておきましょう。  さて、それでは次の問題に移りましょう。せっかく内田さんが長い間そこにすわっておられますので、少しは内田さんにお尋ねをしなければ申しわけありませんので、お尋ねをしたいと思うのです。  今度、自民党さんの修正案によりますと、首都圏、近畿圏、中部圏の非常にたくさんの市に存在するA農地につきましては本年から、B農地につきましては明年から、宅地並み課税が段階的に実施をされることになります。これを見ますと、私は、いろいろな意味で非常に不合理な面があらわれておると実は思わざるを得ないのであります。問題は、昭和四十六年の法律で、A農地、B農地、C農地の定義づけの基準がございます。A農地につきましては、新評価額が当該市町村の市街化区域内の宅地の平均価格以上の農地、新評価額が五万円以上の農地。B農地は新評価額が当該市町村の市街化区域内の宅地の平均価格の二分の一以上、平均価格未満の農地。C農地は、新評価額が当該市町村の市街化区域内の宅地の平均価格の二分の一未満の農地、新評価額が一万円未満の農地。こういうかっこうで定義づけされることになるわけであります。したがって、これを見ますと、東京二十三区を見ますと、A農地が五百五十三ヘクタール、B農地がゼロ、C農地が二千八百八十二ヘクタール、こうなっております。東京都下の各市を拝見いたしますと、たとえば極端なのは国立市、A農地がゼロ、B農地が百三ヘクタール、C農地が七十八ヘクタール。それから小金井市は、A農地が九ヘクタール、B農地が百五十九ヘクタール、C農地が二十ヘクタール、こういうような形であります。結局、東京は二十三区の市街化区域内の宅地の平均価格というものが当然高いわけですね。ところが、都下へ参りますと、市街化区域内の宅地の平均価格が二十三区よりは当然下がってくるということから、二十三区におきましては、A農地はあるがB農地はゼロで、それからC農地が比較的多い。ところが、さっき例にあげましたような小金井市というのは、C農地がほんとうに少ない、そしてB農地が圧倒的に多い、こういう形になるわけです。東久留米市においても同様でございまして、A農地が二ヘクタール、B農地が四百十九ヘクタール、C農地が三十ヘクタール、こういう状況です。  私は、こういうものを見ていきますと、もちろんA、B、C農地の格づけの定義によると思うのでありますが、同じ東京都を例にとっても、二十三区と周辺の市において大きなばらつきができるということについては、非常に問題があるのじゃないかと私は思うのです。そういう状況を無視して、今回のような自民党修正案でまいりますと、東京の都下におきましては、ことしと明年の間にほとんど宅地並み課税が行なわれるが、かえって東京二十三区では膨大なものが、従来どおりのものが五十一年度までそのまま凍結をされて、そして五十一年度からどういう形で新しい方式を打ち出すかどうかは別といたしまして、ともあれ、当面の宅地並み課税からは除外をされるということについて、提案者としてはどうお考えになりますか。
  44. 内田常雄

    内田委員 市街化区域内の農地をA、B、Cに区分する、その線引きのことにつきましては、これは言うまでもなく、今度の私ども修正案そのものは全く触れておりません。これは四十六年の法律のそのままの区分をとっておるわけでありまして、四十六年の法律におきましても、A農地、B農地、C農地に対する課税の段階の取り扱いが異なっておりますこと、これも山口さんよく御承知のとおりでございます。その同じ考え方の一部を今度の修正案の中に盛り込んだわけでございますから、そこのところは、私どもの創作でもまた特別法案でもないということを御承知をいただけると思います。  それから、これも釈迦に説法でございますが、市街化区域内農地の、私は宅地並みということば使いませんが、適正化というものは、これは一方においては、住宅供給のための宅地の確保に事柄を誘導するという手段としても考えられておることはもちろんでございますが、しかし、もう一方におきましては、土地に対する課税の不公平を是正しようというもう一つ考え方から出発をいたしておるものでございますので、ばらつきの状況は御指摘のとおりでございますけれども、A農地はもう市街地の間にはさまったりして、ほとんど市街地と同様の地域で、それが現状農地と言われておりますために、その何百分の一かの固定資産税で済まされておるということは適切でないというところに着目をいたしますと、C農地というものは今後の措置、B農地というものは来年からということにいたしましても、A農地につきましては、その適正化の第一歩をことしから進めるということが公正でうなずかれる処置ではないか、こういうふうに考えるものでございます。
  45. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 確かに、このA、B、C農地の定義づけは内田さんがされたのではなくて、昭和四十六年の法律の中にその定義づけがあるわけでございますから、その点は内田さんの言われることはよくわかるわけですけれども、問題は、当該行政区域の市街地の平均価格以上のものがA農地となってくる。そうすると、二十三区の場合は当然平均価格が高いわけですよ。ところが、都下の市町村になりますと、その市街地の平均価格というものは二十三区よりは当然低いでしょう。そして、その平均価格以上のものがA農地ということになりますから、結局は、当該の新評価額が低くて、都下の場合はA農地になる可能性がきわめて強いということ。さらにまた建設省も資料の中で言っているわけでありますが、当初九十万ヘクタールくらいを想定しておったのが、市街化区域地域が百二十万ヘクタールにもなって非常に広がったために、三十万ヘクタール近い農地がいわば市街化区域内に入ってしまったというような状況もございまして、結局、相当大きな面積がこの市街化区域内の農地として存在することになったわけでありますが、問題は、市街化区域に入った農地について、適正化といいますか、私ども宅地並み課税と言っていますが、それをしていこうというのは、当然その地域は市街化されていくんだ、都市的施設というものがやはり充実をしていくんだ、そういう中でいつまでもそこを農地として利用するというのは、土地の利用の上からいって好ましくない、したがって、当然そういうものは宅地供給に回していくんだということだろうと思うのでありますが、問題は、そういった小金井市だとか、先ほど私があげました都下の地区、あるいは千葉県あるいは埼玉県、さらには京都府、あるいは大阪府、兵庫県、奈良県、そういうような地域、それから愛知県もそうですが、こういう今度宅地並み課税が行なわれる各市というものが、それでは一体どれだけ都市的な施設が進んでいるのかということがやはり問題じゃないだろうかと私は思うのですね。  そこで、建設省にまず聞きたいと思うのですが、昭和四十六年の三月四日、私どもがこの法案を審議している過程において、こういう文書を建設省がお出しになりました。道路、公園、下水道、この都市施設を進めていくんだ、そして、昭和四十五年から五十年度まで六年間で六兆四千億円の経費を使って、道路、公園、下水道の都市的施設をやっていくんだ、この金額は昭和四十五年度の事業費五千八百億円に対して、年平均伸び率二四%を見込んでいる、したがって達成可能であるというのです。それで、上記の投資額六兆四千億円でありますが、既成市街地と新市街地との配分については四対六とする、こういうようなことを文書でお出しになっておるわけであります。具体的に、それでは、ここに載っておりますような各市の下水道というのは、一体どのくらい普及をしておるのですか。
  46. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 今回の修正案によります宅地並み課税対象となっております三大都市圏内の百八十二都市というものを、これにはC農地の区域なども広く入っておりますが、その行政区の市及び特別区の区域について申し上げますと、下水道の排水区域の面積が約九万八千ヘクタール。したがいまして、市街地面積、いわゆるDID面積に対する普及率は約三二%ということになっています。
  47. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 東京が、DID面積が五万四千九百三十ヘクタール、排水区域面積が二万四千六百十二ヘクタール、その割合は、したがって四四・八%ですね。横浜が三二・六%ですな。川崎が二一・六%、名古屋が五九・四%、京都が三七・〇%、大阪が六三・二%、神戸が五三・八%、自治省からいただいた資料にそう書いてある。そうしますと、この数字から見て、百八十二の都市のDID面積に対する排水区域面積、それが三二%というのは、大都市の数字から言ってもちょっと納得できないのですが、いかがですか。
  48. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 四十六年三月の資料で、たとえば大阪市は六六%とか、名古屋市は六三%とか、かなり高いところも入っておりまして、全国の普及率が現在約二五%でございますから、今回の対象になるところが三二%ぐらいになるのは間違いないと思います。
  49. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 自治省からいただいた、「三圏域における大都市市街化区域農地状況」「三圏域における大都市の行政面積等の状況」というので、「行政区域面積」、「人口集中地区面積」、これはいわゆるDIDですね。これは昭和四十五年の数字です。それから「市街化区域面積」、これは線引きによる市街化区域の面積です。それから「排水区域面積」、これは昭和四十七年三月現在です。こういうふうに入っておりますが、政令都市の川崎ですから二一・六%なんですよ。それで、埼玉県の浦和から始まって、川越、川口、大宮、行田、飯能、東松山、岩槻、春日部、狭山、羽生、鴻巣、上尾、与野、草加、越谷、蕨、戸田とずっと続いておりますが、ここのDID区域、それから排水区域面積は一体どのくらいあるのですか。少なくともこういう広大な地域が上のせされて、そして、ここにいただいておる三大圏域における大都市状況とほぼ匹敵する数値が出るなんということは、常識から言ったっておかしいと思うのです。念のために、それだったらこの百八十二都市のDID面積、排水区域面積の表を全部出してもらいましょう。
  50. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 手元には各市別のものを用意いたしておりませんでしたが、先ほど申しました約三二%という数字のもとの数を申し上げますと、三大都市圏で合計市街地面積が三十万四千九百ヘクタール、それに対しまして、下水道整備の排水区域の面積九万八千ヘクタール、したがって、三二・一%ということでございまして、たとえば、そのうち首都圏では市街地面積十七万三千ヘクタールに対し、排水区域の面積は五万一千ヘクタール、二九・六%。同様に計算しますと、中部圏が四一%、近畿圏が三三・五%、平均いたしますと三二・一%、全国は四十六年度末では二三・五%でございます。
  51. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 ちょっと解せぬ気もしますが、資料はあとでいただきましょう。さらにお尋ねしますが、これはDID面積をとった場合ですね。当然、今度議論するのは、市街化区域面積と比べて排水区域面積の割合が一体どうかということだろうと思います。それを見ますと、市街化区域面積に対する排水区域面積の割合は、東京が四三・六%、それから横浜が二一・六%、川崎が一五・九%、名古屋が三七・三%、それから京都が二五・三%、大阪が六二・五%、神戸が二一・九%、平均いたしまして三五・五%、これはさっきのものよりぐっと下がりますね。これでいくと、この百八十二都市市街化区域面積に対する排水区域面積は一体どのくらいでございますか。
  52. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 ただいま計算いたしますが、DID面積よりも市街化面積のほうが大きいわけですから、当然比率は相当下がるわけでございます。
  53. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それはあとで資料を出してもらいましょう。  そこで、概略を見ると、東京都及び横浜、川崎、名古屋、京都、大阪、神戸、この三圏域における大都市の、先ほど申し上げたDIDと排水区域面積の割合は、平均すると四六・一%。これに対して市街化区域面積の割合になりますと、三五・五になります。まあ六割くらいに落ちるわけですね。そうすると、これで類推すれば、先ほどのお話が三二%ということでございますから、二〇%にいくかいかぬかということになるわけですね。そうでしょう、大都市の割合で類推していけば。もっとあるいは下がるかもしれませんよ。二〇%をはるかに割るかもしれぬ。しかも、いまわれわれの議論しているのは、市街化区域内における農地が一体どうなるのかということで、このA農地、B農地、C農地に対して、都市的施設、道路、公園、下水道、特に下水道の排水区域になっていくのは一体どのくらいかかるのかということになれば十年でこれはできますか、どうですか。
  54. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 今度の修正案によって対象となるものは、当面A、B農地でございますので、これにつきましては、もちろん十年以内には完成できると思います。なお、C農地を入れた三大都市圏の市街化区域内ということになれば相当面積が広まりますが、これにつきましても、単に宅地化の要請のみならず、別途水質環境基準の達成、あるいは公害防止計画の達成という命題が出ておりますので、私どもは、下水道の五カ年計画を大幅に伸ばしつつ早急に達成するように努力いたしたいと思います。
  55. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 局長さん、言ったことはひとつ責任を持ってもらいたいと思うのですが、この百八十二都市の中で、下水道が全くないという都市だってあるでしょう。たくさんありますよ。それが十年のうちに、A、B農地については、百八十二都市について必ず下水道の排水区域になりますとあなたは答えたのですからね。その責任を持っていただきますよ。そんなことが可能ですか。私は、今度の農地宅地並み課税もそうだと思うのです。自治大臣が、市街化区域の中に入っても宅地としての課税はやりませんということを国会で何度も言ったわけだ。そういうことを国民は知っているわけですよ。しかるに、それが今回こういう事態が来ようとしている。政治の不信感というのは当然高まりますよね。それはなぜそういうことをやるのかといえば、その間都市的施設はちゃんとやります、十年間のうちに全部下水道の排水区域にしますと言って、それができなかったということになれば、さらに問題になるじゃないですか。そういうできもせぬことを国会でできると言って、そうして事実のほうは、税金をかけるほうは進行するけれども、現実の都市的施設のほうは全くできていなかったということになれば、これはまさに政治が、行政が、国民をだましたということになるじゃありませんか。この農地宅地並み課税の問題がこれだけもめたというのは、今日までの行政府のいわば姿勢というものが、やはり国民をして不信感をつのらせたというところに問題があると思うのですよ。その点ははっきり確認してもらいましょう。どうですか、十年以内に必ずこの百八十二の都市のA、B農地は下水道の排水区域に入ると言ったのですから、責件を持ってもらいましょう。
  56. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 先ほどは総体としてのお話でございましたのでそう申しましたが、これは、私ども、全国的にも市街化区域の整備を急がなければならない、なかんずく下水道の整備を急がなければならないということでございますので申し上げましたけれども、確かに、おっしゃるように、百八十二の都市のうち、下水道の事業にかかっておる都市は約三分の二の百十三都市に限られております。それ以外の都市はこれから始めるわけでございますので、全部の都市について、A、B農地のすべてが十年後に必ず完成するかということは、私ども、努力はいたしますけれども、毎年の予算及び執行の問題でございますので、全く例外なくということで申し上げたわけではございません。誤解を生ずるような発言をしまして恐縮でございましたが、そういった心組みでぜひやりたいということでございます。
  57. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 まだいろいろ議論したいことはありますが、時間の関係で私はやめたいと思います。  最後に、私は内田さんと大臣に質問したいのですが、結局、都市的施設をやるといっても、それが現実にやれるかということになれば、ただいまの議論のとおり問題がたくさん残っているわけであります。そういうことを考えれば、当然、私が冒頭議論いたしましたように、この実施にあたっては、都市計画上の施設緑地生産緑地というものの運用に関して、十分当該都市の緑化ということを考え、また環境保全というものを考え実情に即した措置をとってもらわなければならぬと思います。そしてまた、本来市街化区域というものは十年以内に都市的施設を整備するということから出発をいたしているわけでありますが、その整備の状況というものも、必ずしも当初想定されたような状況には進んでいない。もちろん、当初建設省が予定した八十万ヘクタールの市街化区域が全国的に百二十万ヘクタールにふくれ上がったという事情もあるわけでございますが、そういうことを考えました場合に、当然、市街化区域内の農地の扱いにつきましては、従来までの当委員会といたしまして議論した経過というものを加えて、早急に再検討されるべきであろうと私は思うのです。  昭和四十六年にこの法律を、自民党さんだけの賛成できめましたけれども、その際の附帯決議には、特に自民党さんからの強い要望もあったわけでしょうが、「引き続き長期に営農を希望する者については、市街化調整区域への編入、施設緑地としての指定等により、農地並みの課税とするよう十分に配意すること。」というような附帯決議もつけているわけです。この地方行政委員会議論した経過というものは、都市的施設を進めていくといっても、やはりそれでは十分ではない、まじめに営農を希望する人については、農地としての課税を保障するようにせよ、そしてまた、地方自治の観点から、課税権者である市町村長の十分な裁量権というものを認めろということ、これが今日までこの問題を審議いたしました地方行政委員会与野党を通じての気持ちだったろうと私は思うのです。今回、田中総理の裁断ですか、あるいは総裁としての決断ですか知りませんが、このようなことになったわけでありますが、私どもはあくまでも反対です。当初私どもが野党として主張した方針をあくまでも実現したかったという気持ちは変わりがありません。しかし、もしこの修正が、あるいは自民党の皆さん方がどういう態度をとるか知りませんけれども、かりに成立をした場合におきましても、今日までの地方行政委員会論議を踏まえて、行政的な措置ができる範囲を最大限ひとつ発揮をいただきまして、今日までの附帯決議の精神その他を踏まえて、繰り返し私が主張したような弾力ある措置をとっていただくように強く要請をいたしておきたいと思うのです。  そのことは、私はこの当委員会にある程度汚点を残された自治大臣の責任でもあると思うし、また、自民党を代表してこの修正案を提案された内田先生政治家としての一つの責務ではないだろうかというようにあえて申し上げておきたいと思います。お二人とも、私が申し上げたことにつきまして、もし御感想をお漏らしになるおつもりがあるとするならばお答えをいただきまして、質問を終わっておきたいと思います。
  58. 内田常雄

    内田委員 私ども自民党の中におきましても、山口さんの仰せのとおりではございませんけれども、おおむねその分母を同じくするような論議も重ねておるわけでございまして、したがいまして、C農地につきましては、五十年度までにその対策、その措置決定することになりますので、そういう際に、当委員会における従来の附帯決議等の趣旨を十分生かすようなことを内容といたしながらその措置を進めてまいるつもりで私どもはおりまするし、また、今度の修正案の当面の対象となりますA、B農地における施設緑地等の運用に関する行政措置などにつきましては、先ほど来私もその応答を承っておりましたが、ああいう考え方政府も進まれるということでありますので、私は、今度の修正者、修正案の発議者といたしましても、政府を鞭撻いたしてまいるつもりでおります。
  59. 江崎真澄

    江崎国務大臣 おっしゃる意味は十分傾聴いたします。御意見の中には、農地等でカバーできるところもあると思いまするが、御趣旨の線は尊重して検討いたしたいと思っております。
  60. 上村千一郎

    ○上村委員長 この際、午後一時から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時十四分休憩      ————◇—————    午後一時九分開議
  61. 上村千一郎

    ○上村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。林百郎君。
  62. 林百郎

    ○林(百)委員 まず、本修正案の提案者にお聞きしますが、この修正をした目的は、いま都市勤労者が欲しておる宅地あるいは安い家賃の住宅を提供しようという意図で、税制の面から、宅地並みといいますか、農地に対して相当高い比率の税金をかけるということでこの制度をお考えになったんですか。
  63. 内田常雄

    内田委員 つづめて言うと林さんが言われたようなことになりますが、しかし、両面がございまして、一つは、市街地に接続するA、B農地固定資産税の不均衡を税の面だけから漸次是正をしてまいるということ、こういうこととあわせて、いまおっしゃったように、そういう農業を経営するよりも、宅地として住宅化をしていただいたほうが適当な地域であるという認識から、これは御承知のもう一つ政府提案の、宅地化促進臨時措置法とあわせて宅地化も促進をしてまいろう、こういう二つの目的がございます。
  64. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、近郊農民がどうしてもここで営農を継続していきたいんだという場合に、そういう者に対してはそれでいいわけなんですか。
  65. 内田常雄

    内田委員 それでいいわけであります。ただし、つまり、私どもの出した修正案は、直接農家追い出しということを庶幾しておりませんので、これは理屈から言いますと、固定資産税が逐次高くなってまいっても、本人が、自分はどうしても農業を続けるんだと言うことを理屈の上から妨げるものではありませんが、しかし、政策誘導といたしましては、さっきも申しました臨時措置法と相まって、できる限り住宅建設のほうに誘導をしてまいる、こういうことでございます。
  66. 林百郎

    ○林(百)委員 提案者は、この都市近郊の農業が、都市に居住しておる人たちに生鮮な食料品あるいは野菜、畜産物というようなものを提供しておるという意義はお認めになっているのですか、どうでしょうか。
  67. 内田常雄

    内田委員 もちろん認めておるわけでありまして、私ども自民党におきましても、都市農業のための検討の小委員会というようなものを政務調査会の中に設けまして、都市農業の意義を高く評価いたしております。しかし、この修正案で取り上げておりますのは、御承知のように、全く市街地の中にはさまれておると申したほうが適切かもしれませんが、集団的に野菜の生産団地として経営するのに適切でないような、そういうA農地、また、それに準ずるB農地ということでございまして、林さんのおっしゃるような、都市農業としての高い位置は、市街化調整区域あるいはまた市街化区域の中におきましても今度取り上げておりませんC農地にこれを期待できると考えております。
  68. 林百郎

    ○林(百)委員 ちょっと農林省にお尋ねしますが、宅地並み課税と申しますが、今度いわゆる宅地並み課税が適用される二十三区と東京都下の市が生産しておる農産物の価格が、東京都全体の農産物の中に占める比率はどのくらいになりますか。
  69. 関根秋男

    ○関根説明員 市街化区域の中から東京及び三大都市圏に提供しておりますところの、主として野菜につきましては、この前の委員会でも野菜課長のほうからお答えいたしましたけれども、東京の場合に、東京の中央卸売市場に対します出荷量の中で、東京都から出ておるものの比率というのは大体五%程度でございます。それから、横浜の場合をとってみますと、横浜の中央卸売市場の中で神奈川県の中から出荷されております比率は、数量にいたしまして大体一五%程度ということになっております。大阪の場合をとってみますと、大阪の中央卸売市場に出荷されておりますものの中で、大阪の府のほうから出ておるものが約八%程度でございます。京都の場合でございますけれども、京都の中央卸売市場に出ております数量の中で、京都府から出ておりますものが約一七%ということになっております。
  70. 林百郎

    ○林(百)委員 大阪府で生産しておる農産物の全価格の中で、大阪市が生産している農産物の全価格の比率はわずか八%ですか。そんなことないですよ。それから神奈川県全体で生産する農産物の中で、このたび適用される市が生産している農産物の価格との比率は、あなたの言うような比率でない。それから東京二十三区と、このたびの法案で適用されます市の生産している農産物の価格と、東京都の生産する農産物の比率が、あなたの言うような比率でないはずですよ。これはとんでもないけたの違いですよ。
  71. 関谷俊作

    ○関谷説明員 ただいまのお尋ねの点でございますが、実は、東京都なり大阪府全体の中で、たとえば東京都と二十三区の比率がどうかという数値につきましては、統計資料の関係では、大体市町村別統計がまだ完全に整備されておりませんから存在いたしませんので、ただいま野菜についてお答え申し上げました八%その他の数字は、たとえば東京なり大阪なりをとってみますと、東京の中央卸売市場に入荷する総量がございます。野菜の総量と申しますのは、御承知のように、全国から東京都中央卸売市場に入荷しておりますので、その中で東京都下産、こういう銘柄ないし産地をもちまして出荷されております野菜の割合が、東京都については四・九%、それから大阪市中央卸売市場に入荷している野菜の中で、大阪近辺の分が八・五%、こういう数値が現在手元にあるわけでございます。
  72. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、野菜のほかに米、麦、果実、花卉、それから乳用牛、豚、鶏、それから畜産物と農産物を全部入れると比率はどうなりますか。全部の農産物ですよ。   〔委員長退席、中村(弘)委員長代理着席〕
  73. 白根亨

    ○白根説明員 畜産物だけで恐縮でございますけれども、畜産物につきまして御説明申し上げます。  東京都の場合、東京で消費されて、おります飲用牛乳の量に対しまして、市街化区域生産されており、供給されております飲用原料乳の比率を見ますと、東京都の場合は約八%に相当いたしております。それから、豚肉の場合で同様なことで御説明申し上げますと、約一五%に相当いたしております。それから、鶏卵の場合も同様、東京都民の消費する量というものに対します供給の割合が五%程度になっております。
  74. 関谷俊作

    ○関谷説明員 ただいま、全体農産物でどうかというお尋ねでございまして、実は、お尋ねのように、東京都とか大阪府というふうなところの統計資料の整理はございますが、大都市近郊というような観点から、全体的に、特に三大都市圏でどうかというような資料はいま整理いたしておるわけでございます。それによりますと、大都市近郊農業地帯では南関東をとってみますと、これは南関東の四県合計でございますが、農業粗生産額全体で見ますと、南関東四県は、日本の農業粗生産額全体におきまして九・七%のシェアを持っております。これは昭和四十六年農業粗生産額の構成割合でございます。  それから、南関東で、ただいまお尋ねがありました産物の種類別に、いまの九・七%に当たりますシェアを申し上げますと、米が五・九%、野菜が一七・六%、果実が四・九%、乳用牛が一一・九%、肉用牛が二・〇%、豚が一六・四%、鶏が九・二%という割合になっておりまして、全国の粗生産額シェアの九・七%という目をもって見ますと、確かに、野菜等の全国の中に占める割合はやや高いような状況になっております。  そのほか、東海、近畿につきましても、東海で申しますと四県で、それから近畿臨海につきましても同様の数値がございますが、粗生産額全体の点についてだけ申し上げますと、東海四県の全国粗生産額に占める割合は一〇・四%、それから、近畿臨海と申しておりますのが四・七%、以上合計いたしますと、南関東、東海、近畿臨海という、われわれのほうで大都市近郊農業地帯と便宜区分しておりますものの農業粗生産額の合計は二四・八%、全国の粗生産額の中で約四分の一のシェアを持っておる、こういうことでございます。
  75. 林百郎

    ○林(百)委員 いま出た数字だけでも、近郊農業が都市区域における住民の食糧に相当大きく寄与しておるという数字が出たと思うのですが、大阪府の調査によりますところの、私のほうの大阪府から取り寄せました数字によりますと、大阪府下における生鮮食料品の供給比率は、野菜で二九%、果実で二二%、牛乳で四五%、鶏卵で三六%。これは四十五年現在ですが、こういう比率を占めておる。大阪府下というと、大阪の府全体が大阪市でほとんど占められておりますから、これは市街化区域あるいは市街化に準ずる区域になると思いますが、こういう大きな役割りを大阪府民の食糧に対して近郊の農民が果たしておるということが言えると私は思うのですね。このことについて、実は、政府の内部でも私の言うような意見を述べているわけですね。四月十七日の内閣委員会で、私のほうの木下委員が、経済企画庁の国民生活局長に対して、野菜の値上がりの問題について質問したわけです。質問の要旨は、「それから次は、国民生活を長い年月にわたって圧迫しております物価の高騰は自民党内閣の慢性の持病であるといわれておるわけでありますが、先ほども少し言われましたけれども、生鮮食品、たとえば野菜について値上がりの中心原因は何であるか、どのようにお考えになっておられるか、伺いたいと思います。」という質問に対して、経済企画庁の国民生活局長の小島政府委員は、「野菜は、長期的な観点といたしましては、私はやはり需要の問題と供給の問題と両面あると思います。需要に関しましては、特に最近、食品の嗜好の変化ということもございまして、昔はなま野菜などというものはあまり食べなかったのが、最近は特に若い人、女性はなま野菜をばりばり食べるというようなこともございまして、そういう点に関してどうも需要がかなり急増した面がございます。それに対して供給のほうはどうかと申しますと、そういう需要の変化に対して十分に機動的に適応できなかったために、需給間にアンバランスが生じたということが一つございます。それからもう一つは、」これからが大事なところですが、「都市化の進行に伴いまして、いままでは近郊の農家で野菜をたくさんにつくっておりまして、それが大都市に送られるということで比較的供給がスムーズでございましたのが、みな近郊農地というものが宅地化されるということに伴って、近所からの供給が非常に少なくなってきたということも無視できないわけでございまして、最近のように、フェリーなどを使って非常に遠くから運んでこざるを得ないということが、やはり運賃の上昇等を通じて野菜の価格を構造的に高くするファクターであるというふうに思っております。」と答えている。要するに、いままでは近郊の農家で野菜をたくさんつくっておりまして、それが大都市に送られているということで、比較的供給がスムーズだったのが、近ごろは、近郊農地というものが宅地化されることに伴って、この供給が、非常に遠いところから持ってこなければならない。そのために、運賃がかかって非常に高くなっているのだということを、政府の企画庁の相当責任ある立場にある人が、同じことを言っているわけですね。きょう経済企画庁の方が見えていますが、この答弁はこのとおりと聞いておいていいですか。これは私は速記録からとってきたのですが、答えてください。
  76. 斎藤誠三

    ○斎藤説明員 お答えいたします。  局長お答えした点は速記のとおりでございますが、われわれといたしましても、野菜価格が四十年以降相当上がっております原因の一番大きな問題は、やはり需給構造で、最近における野菜の需要が多様化、高級化してまいるのになかなか供給面が追いつき得ないという問題が基本的にはございますが、やはり、都市近郊におきます供給のシェアが多少下がってまいりまして、いわゆる中間農業地帯へ野菜供給の立地が移動しているという点も価格上昇の一因ではあろうと思いますが、基本的には、現在、野菜の生産振興対策あるいは価格対策でもっていろいろやっておられまして、四十六年、七年は価格の上昇がきわめて鈍化している状態でございます。そういう背景を含めましてわれわれもお答え申し上げておるわけでございます。
  77. 林百郎

    ○林(百)委員 内田さんも山梨県の出身で、あなたも農家のことはよく知っているわけですよ。農家は営農のために苦労しているわけなんで、何も、欲が深くて、欲の皮がつっぱっているだけというような見方はあなたはできないと思うのですよ。しかも、こういう重要な役割りを近郊農民が果たしている。政府の責任ある地位にある人も、最近の野菜の高騰は、大都市の近郊からの野菜の供給が、宅地化によってシェアが狭められたことに大きな原因の一つがあるのだとまで言っているわけなんです。そういうときに、都市近郊の農家をつぶしていくような政策をやって、あなたは、山梨県出身の議員として、選挙区へ帰って大きな顔ができますか。どうですか。
  78. 内田常雄

    内田委員 でございますから、私の郷里の山梨県でありますとか、林さんの御郷里の長野県というようなところには、都市計画が行なわれている都市があり、また、その市街化区域の中にA、B農地がございましても、私の修正案からは今度は全部はずしまして、長野県や山梨県の農業生産にいささかも支障や戸惑いがないようにいたしておることは御承知のとおりでございます。  ただ、それは別といたしまして、林さんと私とは同じ高等学校で同じめしを食ったんであるから、同じ考え方であると思いますが、土地というものは、客観的、社会的に見て、用法に従ってどう使うのか、社会的にまた経済的に合理的であるか、有効であるかというところに着眼をして、そうしてその用途に合うように合理的に政策指導をしていくべきだと私は思います。  そこで、いまの市街化区域の中にありますA農地というようなものは、市街化されている宅地の平均価格以上の価格を持っている土地でございますから、そういうところで農業をするのがいいか、あるいはまた、宅地化して住宅不足の状況に対応していくのがいいかということについては、その状況によってきめていかなければならないと私は思うわけでございまして、今度私どもが取り上げました三大都市圏の中におきましても、C農地というものについては、御承知のとおり、今後三年間にその取り扱いをきめるということにいたしたものでございまして、今後のその税の適正化におきましても全く触れておりません。  しかりしこうして、この三大都市圏におけるC農地の占める割合というものは、すでに資料としても差し上げておりますように、市街化区域農地内のおおむね八五%程度はC農地が占めておりますので、林さんが先ほどから言われております都市近郊の野菜供給地というようなものは、今度私ども修正案で触れておりませんノータッチのC農地生産されるものがほとんど全部であろう。場合によっては、都市近郊といいましても、市街化調整区域の一部をも含むものでありまして、今度の私ども修正案によりまして、御心配のような、都会における蔬菜の供給源を著しく阻害するということにはならないものという考え方に立ちまして、実はこの修正案を出しました。
  79. 林百郎

    ○林(百)委員 それは内田さん、今後、三大都市圏の百八十二市ですか、東京の区も入れまして、そこのC農地には宅地並み課税をしない、ましてや、三大都市圏以外の市街化区域のA、B、C農地には宅地並み課税をしないという保証をここであなたがおっしゃるならいいですよ。しかし、あなた方のほんとうの考えは、とりあえずここで、三大都市圏の中の百八十二、東京の区と市のA、B農地に対して宅地並み課税をして、漸次それを広げていこうということなんでしょう。だから、それは、近都市郊農業の果たしている役割りの意義を、いまからここでわれわれが言っておくことは決して杞憂ではなくて、これは現実の心配として、農家全体の心配として質問するのは当然です。  それでは、あなたは、三大都市圏の、今度宅地並み課税をしたところ以外のC農地、あるいは三大都市圏の百八十二の市以外のA、B、C農地については、宅地並み課税はしないということをここで言えますか。それを言うなら、また事は一応考えてみる必要もあるかと思いますがね。
  80. 内田常雄

    内田委員 それは、一口に申しますと、今後におけるC農地都市化の進捗状況といいますか、市街地形成の状況に応じて措置されるべきものであると思います。そのことは、私がここでいま申すだけではなくて、昨年の当委員会における、各党でお取りまとめになりました委員長提案の、四十七年度のあの修正案の附則におきましても、四十八年度以降の措置については、市街化形成の進度といいますか、状況に応じて措置さるべきものとするという附則を皆さんでおつけになられたことからも、そういうことを私は申すわけでございます。
  81. 林百郎

    ○林(百)委員 根本的におかしいと思うのです。これは自治大臣に、国務大臣の連帯責任からいっても聞きたいと思います。  私は、ここに「日本列島改造論」を持ってきていますが、田中総理はこう言っているのですね。人口の三二%が国土の一%、太平洋のベルト地帯に住んでいるんだ。そして「許容量を越える東京の大気汚染」「一寸先はやみ、停電のピンチ」「時速九キロの“くるま社会”」「一人、一平方メートルの公園面積」「五時間で焼けつくす東京の下町」これは赤旗の見出しじゃないですよ。「日本列島改造論」の見出しですよ。「生活を脅かす大都市の地価、物価」「一人あたり四畳半の住宅」というようなことがずっと書いてあるわけです。だから、この背後へ二十五万の基幹都市をつくって、背後へ疎開するというんでしょう。それが日本列島改造論の根幹につながっているわけですね。それを、高速道路だとか、あるいは新幹線だとか、あるいは飛行機だとか、こういうネットワークで連係をとるというわけでしょう。  そういうときに、ただでさえこんな「五時間で焼けつくす東京の下町」なんて書いて、人口の密集を日本列島改造で言っている田中内閣が、さらに一そう都市の人口を過密にするような政策をとる。この近郊における農地を手放さして、一方七千ヘクタール、そこへこの人口を——これはあと建設省に聞きたいと思いますが、おそらく百七、八十万人の人がそこへ住むことができるようになるかと思いますが、そんな人口を——一都三県だけでも一万二、三千ヘクタールですか、になると思うのですけれども、そうすると百万ぐらいの人口になります。それを密集するような政策をとるということは、田中さんのこの日本列島改造論と矛盾しているのじゃないですか。むしろ、そういう空地を残しておき、そして、都市へ人口が密集しないような措置をとれということじゃないんですか。
  82. 江崎真澄

    江崎国務大臣 私もその「日本列島改造論」を読みましたが、これは矛盾しないのです。  それはどういうことかと言いますと、いまのA、B農地宅地化しようというこの政策は、緊急不可欠、どうしても住宅をこの場面で解決しなければならぬという緊急性の高い需要にこたえよう、そして長期展望に立っては、国総法等々とのかね合いによって、二十五万を中心にしてというわけですから、これはまあ三十万でも四十万でもいいわけですが、その地方中核都市というものをつくり、過密現象を魅力ある地方中核都市に吸収をしたり、とめおいたり、工場を再配置したり、これは一年や二年ではとうてい可能ではありません。長期展望に立ってその計画を実施に移していく。ただし、この三都市圏の住宅不足の緊急度については、いまのA、B農地を約半分と、きのう建設省の答えではそう言いましたね。その程度のものに、でき得べくんば平家建てではなくて、四階以上の中高層住宅というものをつくっていただく。そして、その数は、私どもは七十万戸から八十万戸を期待したわけですが、建設省は四十五万戸程度であろうと言っておるわけです。したがって、昭和四十五年の国勢調査によりますと、そのときの住宅不足がたしか三百二十万戸程度だったと思います。そのうちでも三都市圏の住宅需要というものが非常に高かったわけですね。したがって、将来、この日本列島を改造し、地方中核都市を充実し、過密過疎の問題を解決するという理想図に乗せるのには相当な年数がかかるわけです。したがって、緊急の問題と理想的な問題の二つに分けて、緊急な要請を充足させようというのが今度のA農地、B農地の問題である。こういうふうにお考いただきますと、日本列島改造論とは矛盾をしない、適切な措置であるという御回答になるように思いまするが、いかがでございましょう。
  83. 林百郎

    ○林(百)委員 どうもわからないですな。都市へ集中する人口を、これ以上集中しないような措置を積極的にとるという具体案は何らお聞きできなかったわけです。そういう宅地問題を緊急に解決しなければならないともしあなたが言うならば、私は、もっとすぐ役に立つ土地を収用できる手段をひとつ提案したいと思うのです。  ということは、実は、昨日の参議院の物価対策特別委員会で、企業による土地の買い占めの問題が問題になりまして、うちの渡辺議員が質問をいたしました。そのとき渡辺議員から、「「三井不動産、東急不動産など大手不動産十一社の営業用土地が約一億四千万平方メートルと達する」と数字をあげ、住宅に困っている世帯に向け、これらの手持ちの土地を安値で放出する気はないかと迫った。」これはこの新聞が書いているわけですね。赤旗じゃございません。これに対して「江戸参考人は」——江戸という人は不動産業界の代表で、不動産協会の理事、三井不動産の社長ですが「江戸参考人はこの質問に対し「大手不動産業者は市街化調整区域内の土地をかなり保有しており、この部分は金利費用がかさむのに開発のメドが立っていない。政府地方公共団体宅地供給に力を入れ、これを買い上げて住宅用地に転用する考えがあれば“適正価格”で放出する」」と言っているのですよ。だから、大手業者は、適正価格で買ってくれさえすればいつでも放出すると言っている。しかも、これは宅地なんですよ。これを放出させることのほうが先行されるべきじゃないですか。   〔中村(弘)委員長代理退席、委員長着席〕
  84. 江崎真澄

    江崎国務大臣 それはたいへん望ましいことだと思っておるのです。私も実はその記事には注目して、速記録を取り寄せようということで、きょう自治省の秘書官に申したことでありまするが、この問題はきわめて重要です。そればかりか、昨日来公明党の小川委員の御質問でも問題になりましたが、いわゆる市街化調整区域をぜひ買ってくれということで大手不動産が買う、あるいはまた売り主の意図にかかわらず思惑で買い占めておる等、いろいろなケースがありましょう。ありましょうが、その実態について私は調査すると申しましたが、これは自治省には調査のすべがありませんが、幸い、これも農林省において、すでに、各府県知事に対して、そういう市街化調整区域、農業適地と目されるところについての民間デベロッパーをはじめとする買い占めの事実、実態等の実況の報告を求める要請を出しておられるわけです。そういうことによって、今後、公有地拡大推進法に基づきまして、そういう地域地方公共団体が買い上げていく、その金利に、事務費とでも申しまするか、ごく最少の適正利潤を認めた上で買い上げていくというようなことが理想的にでき上がっていけば、今後の公有地拡大にも非常に資するわけでありまして、たいへんけっこうな方向である。これは、三井不動産にかかわらず、事実仮登記などして動きのつかぬのがこの市街化調整区域なんですよね。ですから、そういうものはひとつ吐き出してもらうことが望ましいというふうに考えます。  これは、民間の手に渡るというからには、農業者の側から言うならば、農業適地でないとか、あるいは特殊な事情があって渡ったわけでしょうから、そういうものは今後十分着目して、ひとつ大いに利用をしてまいりたいというふうに考えます。その点は全く同感であります。
  85. 林百郎

    ○林(百)委員 実は、これは私のほうで調査したものですが、市街化調整区域ばかりでなくて、市街化区域、それで、都心から五十キロ内——五十キロというと、東京へ約一時間から一時間半で通えるのですね。それは調整区域もあるが、市街化区域もあるのですね。この範囲で、民間の企業がどの程度宅地に利用できる土地を買い占めているかという調査を私のほうでいたしました。これは赤旗の諸君が非常に奮闘してくれまして、農業団体あるいは市町村、府県、不動産業者そのほかに精力的に当たってくれまして、とりあえず東京都と三県——三県と申しますと千葉、埼玉、神奈川ですが、その三県と、東京都は全都を調べる余裕がまだありませんで、とりあえず八王子と町田と青梅を調べたのです。相当の面積があるのですが、これがいつでも宅地にすることのできるような状態にあるわけなんです。  そこで、これは建設省お尋ねしますが、まず一都三県、東京都と千葉、埼玉、神奈川の三県で民間の企業が買い占めておる土地は、総面積が大体どのくらいありますか。
  86. 吉田公二

    吉田説明員 建設省で昨年行ないました調査の結果でございますが、四十一年の四月から四十七年三月末までの六年間に、アンケートに応じてまいりました企業で取得いたしました土地、その土地の中から、その期間内に処分した土地がございますから、それを差し引きまして、六年間に取得した土地のうちで、昨年の三月末現在持っておりました土地と申しますものは、私どもの調査では六千六百十四ヘクタールということになっております。
  87. 林百郎

    ○林(百)委員 それは一都三県ですか。
  88. 吉田公二

    吉田説明員 一都三県でございます。
  89. 林百郎

    ○林(百)委員 それはアンケートですね。要するに、アンケートを出して答えは何%あったのですか。
  90. 吉田公二

    吉田説明員 この調査は、東京証券取引所の第一部、第二部に上場されております企業千二百九十九社、これにアンケートを出しまして、回答してまいったのが七百四十社、回答率五七%でございますが、その七百四十社のうちで、その六年間に土地を買ったということで表示があった企業の数は二百九十四社でございます。
  91. 林百郎

    ○林(百)委員 買ったものと前から保有してあるものと合わせるとどのくらいになるのですか。私の聞いているのは買ったものだけではない。保有しているものも含めてどれくらいかと聞いているのです。
  92. 吉田公二

    吉田説明員 私どもの行ないました調査は、調査のやり方の問題は一つ御指摘があるかと思いますが、保有土地というものと取得土地、御指摘のとおり二つございます。保有土地のほうは、これは一切がっさい企業の所有している土地は、府県ごと、地域ごとに非常にたくさん数がございますので、私どもの調査の主眼が、最近における土地の取得状況を把握することを中心といたしまして、行ないました性格上、非常にたくさんの数になるという判断をして、早急に取得状況を調査するという目的で、昨年三月末現在の保有状況につきましては、府県別の内訳を実はとっていなかったわけでございます。でございますから、保有状況につきましては、全国の総数と、その事業用資産、それからたなおろし資産、この二つの区分しか残念でございますがとってございませんで、調査の細目につきましては、その六年間に取得した土地というものに限定してやった性格上わかりかねるわけでございます。
  93. 林百郎

    ○林(百)委員 それじゃお聞きしますが、これは普通の商業新聞にも出ているのですよ。商業新聞と言っちゃ失礼ですが、普通のマスコミ新聞ですね。それじゃ、一体、西武のグループが全国で買い占めて持っている土地は何ヘクタールだと建設省は計算しているのですか。——とりあえず、一番土地を買い占めている西武と東急グループ、これを言ってごらんなさいな。あなた方の調査なんというのは全くいいかげんなものだ。
  94. 吉田公二

    吉田説明員 個別の企業の数字を持っておりませんので、私の手元の資料ではちょっと答えかねます。
  95. 林百郎

    ○林(百)委員 通産省で調べたものがありますか。
  96. 黒田明雄

    ○黒田説明員 私どもは、土地問題一般につきましては専門外でございますが、商社六商社につきまして調査した結果はございます。
  97. 林百郎

    ○林(百)委員 それを言ってごらんなさい。
  98. 黒田明雄

    ○黒田説明員 それによりますと、六大商社の四十七年下期における期末残高は、これは四十八年一月末でございますが、三千七十万平米でございます。これは、いま申し上げましたのは、土地のうち営業用土地と売買される商品用土地がございますが、商品用土地についてでございます。
  99. 林百郎

    ○林(百)委員 それはどういう調査ですか。やはりアンケートですか。
  100. 黒田明雄

    ○黒田説明員 六大商社に対しまして協力要請をいたしまして、ヒヤリングをしたものでございます。
  101. 林百郎

    ○林(百)委員 じゃ、六大商社別に、参考までにここで言ってみてください。
  102. 黒田明雄

    ○黒田説明員 商社調査、ヒヤリングを始めます際に、個別商社の数字については公表しないから協力されたいということで調査をいたしておりますので、個別商社ごとの数字については、ちょっと申し上げかねます。
  103. 林百郎

    ○林(百)委員 自治大臣、そんなことでいいんでしょうか。これから国総法を適用して、そして、特別規制地域や、それから総合開発地域指定するというのでしょう。そういうような場合に、だれがどのように土地を持っているかということがわからない。政府も、通産省も、建設省も握ってない。そんなことで国総法の適用ができるのですか。
  104. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これはやはり早急に調べる必要があるというふうに私は思います。そういうことで、さっき申し上げましたように、農林省であるならば各県に通達を出して、特に調整区域内における農地が民間業者の手にわたった地積はどれだけかということを具体的に照会したわけですから、これは、県が市町村を対象にして協力を求めながら調べるということになれば、おそらく、農地の場合は相当的確に把握することができる思います。  建設省あるいは通産省の場合等々は、これは任意に諮問に答えるというような形になっておりますが、当然、今度は、国土総合開発庁がそれぞれの県からの意向に基づいて、開発計画なり、地域指定なり——これは県でもいたしまするし、国のほうもこれに関係してくるわけでありまするから、これは具体的に把握しなければならぬと思いますし、その作業は今後の計画と並行して進められるというふうに思います。私どもも、これは大いに促進をさせたいと思います。
  105. 林百郎

    ○林(百)委員 いまの通産省の黒田さんですか、あなたのほうがつかんでいることをどうして国会で言えないのですか。国会は、言うまでもなく国権の最高機関でしょう。そこであなたのほうの持っておる資料を述べろというのに、通産省は、企業に対する義理を果たして、憲法で規定されている国権の最高機関である国会に各企業別の土地の所有面積をどうして発表できないのですか。公務員は憲法に最も忠実でなければならないと書いてあるのですよ。それが何で言えないのですか。  委員長、資料として提出するように言ってください。そんなばかな話はないですよ。通産省だけ握っていて、国会ではそれが発表できないなんてばかな話はないですよ。
  106. 黒田明雄

    ○黒田説明員 私どもでは、法律上の権限なしにこういう調査をしたわけでございますが、何ぶんにも、最も大事なのは、商社の買い占め、買い急ぎの実態を明らかにするというところにあるというふうに考えまして、真相を究明することを第一に考えておったわけでございます。そのためには、権限なしにやるわけでありますから、商社が包み隠さず私どもに話をしてもらう必要がございましたので、そういう真相を聞き出す約束としまして、いまのような、外に対しては公表しないから真相を包み隠さず出してもらいたいというふうなことで聞き出したわけでございます。今後とも、こういう種類の行政、あるいはいまの商社の問題につきましてさらに指導していかなければいけない立場にございますので、そういう約束に従って動かざるを得ない、こういう考えでございます。
  107. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、通産省は、業者に対する義理は果たすけれども国会に対する公務員としての責務は果たさなくてもいいというふうにお考えになるのですか。そんなばかな話はない。
  108. 黒田明雄

    ○黒田説明員 私ども、そういう約束がございますが、可能な限り明らかにしていくということで、トータルの数字は公表しているわけございます。
  109. 林百郎

    ○林(百)委員 私は、はなはだ遺憾です。そこでトータルが出るということは、各六社別の土地の保有面積がちゃんとわかっているからトータルが出るわけなんだから、それを国会で明らかにしろと言うのに、これは他に発表しないということで業者にアンケートを求めたものであるから国会では発表できないなんということは、これは通りませんよ。
  110. 江崎真澄

    江崎国務大臣 私、国務大臣としてちょっと口出しをいたしますと、いままで聞いておりますと、発表しないという前提で聞き出したものであるから私の判断では言えませんということで、これはおそらく、課長としましては、上司の指令も仰がなければならぬという意味でしょう。それから、もっと言いますと、今後通産省があらゆる商品、資材等を対象にして物資の流動を計画あんばいしていくときに、いろいろ聞き出そうとするときに、正直に協力して実相に触れた者、また、こういうところでそのとおりに説明された者が何となく被害感を覚えて、協力しないでうそを言った者が免れてまかり通るということになったんでは困るという課長としての配慮もあろうかと思うのです。だから、どうでしょう、これは林さんへの御相談ですが、土地の問題というのはここまで緊急性のある非常に重要な問題ですから、こういうことについての資料があるかどうかということを、上司と相談するなり、部内調整をするなりの時間は与えてやっていただきたいというふうに私は思うわけです。  それからまた、今後国土総合開発庁が新しい法律によって発足すれば、さっき私も申し上げましたように、国土の開発計画であるとか、あるいは特別規制地域指定であるとかということも具体的になってまいります。そうなれば、その実態というものは当然把握してまいらなければならぬものでありますし、現に、農林省におきましては、局長ですか次官ですかの通達で、各県に協力を求めて、市街化調整地域のいわゆる第三者に渡った土地の取り調べというようなことを計画しておるわけですから、各省ともに足並みをそろえてやっておることは事実なんです。その発表の方法や時間についてはしばらく猶予を与えていただく、こういうことにしてはいかがですか。
  111. 林百郎

    ○林(百)委員 それじゃ、建設省お尋ねしますが、先ほどの一都三県での六千六百ヘクタール、それを各企業別に言ってみてください。上から二十くらい、どういう企業が買い占めているか。
  112. 吉田公二

    吉田説明員 手元に個別の個票がございませんので、ちょっと申し上げられないわけでございますが、もう一つ、ただいま通産省からのお話もございましたが、私どものほうでは、また、ことしの三月末現在におきます数字の把握ということで、もう少し範囲を拡大して調査をいたしたいということを考えておるわけでございますが、いま自治大臣も言われましたけれども、そうした場合に強制力を持たないということと、それから、具体の場所にどういう目的で取得するかということは、所有者自体でなければわからない内容のものをとろうという調査をする場合に、現在の時点で、昨年の調査の結果が個別に全部そうなるということになりますと、またことし行ないます調査等にも影響があるのではないか。私どものほうといたしましても、できるだけ真実を全体として把握する、その傾向を把握する、そういう意味で、たとえば業種別程度の内訳として発表するということは当然考えるわけでございますが、個別企業にまで立ち入りまして全部発表してまいりますと、今後の調査に相当程度影響があるのではないかということを危惧するわけでございます。
  113. 林百郎

    ○林(百)委員 通産省にしても、建設省にしても、大企業に対して、そんなにはれものにさわるような態度をとるんですか。それで日本の国土の改造をするなんということが一体できますか。権限がないといったって、調査しようと思えば幾らでもできることじゃないですか。各新聞紙が発表しているじゃありませんか。民間の人たちはみんなそれぞれ努力しているじゃありませんか。それを、大きな機構を持っている役所が国会で聞かれて、個別的な土地保有の業者の名前も言えない、そのままの土地の面積も言えない、そんなばかな話がどこにありますか。  自治省お尋ねいたしますが、業界に対しては、そんなはれものにさわるようなことをしておきながら、農民に対しては一体どうしようとするのですか。たとえば、都市計画税のことをお尋ねしますが、都市計画税は、昭和四十七年と五十一年を比較すれば何倍になりますか。
  114. 江崎真澄

    江崎国務大臣 いまの御質問は税務局長からお答えいたしますが、前段の面につきましては、政府が不当に大手商社をかばったりするなんということは全然ございません。もしいま土地を商社が持っておるならば、四十四年以降のものであるならば、当然、特別土地保有税もかけますし、また、今後、それを利益を目的にして譲渡する場合には、二〇%の譲渡に対する重課税をかけて、これを追跡するわけです。ただ、いまの場合は、私がさっき申し上げましたように、正直に報告した者がうしろめたい思いをし、不正直で非協力であった者が、何となく、とりあえず、この場面で、土地を投機対象にしなかったというような印象になったのでは今後の調査等にも支障を来たすから、こう言っておるわけです。ですから、国土総合開発庁が発足すれば、こういうものは当然しっかりと的確に把握すべきですし、表に出すべきものは堂々と出すべきだというふうに私は考えます。ですから、もうしばらくこれには時間をおかし願いたい。いま、通産省等々は、特に、その実態把握に努力したということで協力を求めておったもののようでありますので、今後これは別な面から捕捉できますように、ひとつ私どもも努力をしてまいりたい。また、これを公表するにやぶさかでないというような調査が完了することを期待いたします。そして、そういうことができ上がったときには、すみやかにこれが公にされるというようなことにしたらいかがかというふうに考えます。
  115. 林百郎

    ○林(百)委員 大臣、これはたいへんなことですよ。とにかく、国会へ発表することが各官庁で調査した秘密を漏らすこととなるのだなんて、そんな秘密主義がどこにありますか。あなた、国会は国権の最高権関ですよ。しかも、公務員は、憲法に規定されている条項に忠実に従わなければならないと規定されてあるのです。そうすれば、国会議員が各省庁で持っている資料をここへ明らかにしなさいと言って、あなた方がこれを発表するということは、何も、建設省や通産省が企業に対して、これを公表しないという約束をした、その秘密を漏らした責任を負うということにはならないですよ。国会でそういうことが発表できないとするならば、どこへ行って発表するのですか。われわれは何を対象にして審議するのですか。たとえば、あなたの言う土地保有税だって、もう七月から着手しなければいかぬでしょう。もういまは四月の末じゃありませんか。それなのに、まだ、各企業が幾ら土地を保有しているかということが国会へ発表できない、それを自治大臣が一生懸命弁護をしている、そんなことじゃ国会審議はできませんよ。
  116. 江崎真澄

    江崎国務大臣 林さん、誤解があってはいけませんよ。いまの特別土地保有税は、徴税の中心が市町村でしょう。ですから、市町村が特別土地保有税をかけることに、この法律が通ればなりましょう。そうしますと、この実態というものはぱあっと浮き彫りになってくるのです。これを全部自治省で把握しろとおっしゃるなら、簡単に把握できます。したがって、その時点で公表をせいと言われるときに、役所側が、ここにおる政府側が、発表できませんなんと言ったら、これは国会を愚弄するものということになります。ところが、いまは正規の調査ではありません。取り調べをする、調査をする権限なしで、自発的に協力を求めて出た数字ですから、いまここで自分一人の判断では申し上げることができませんと、こう申しておるわけですね。ですから、正直者がうしろめたい思いをして、不正直な非協力者が何となくいい子であるということは、いずれ不正直な人も暴露されるでしょうけれども、そういう形は望ましくないのではないでしょうか。何も、大手の土地保有者のことを弁護しているということはかけらもないわけですが、ですから、今後七月からいよいよ課税にかかるということになれば、遠からずこの実態は明らかにされます。そういうときに、資料としていままで調べたものがどの程度正しいものであるか、あるいは全然手さぐり的なものであるかということも明らかにされましょう。  そういう点では、私は、いま通産省の話を聞く範囲では、あまり権威のある取り調べではないような気がします。いずれ御納得のいくような調査ができ次第、これはひとつ進んで出します。そういうことにしたいと思います。(「あたりまえのことを聞くなよ」と呼ぶ者あり)
  117. 林百郎

    ○林(百)委員 自民党のほうからあたりまえだと言いますが、いまここで審議していることは、農民に対して——私のほうの計算から言うと、昭和五十一年になりますと、四十七年の都市計画税の約三百七十三倍の税金がかかるのですよ。それから、固定資産税は百八十八倍ですよ。幾ら何だって、この五年間に三百何倍に税金を上げるなんという制度はないのですよ。しかも、農民は、土地をだれが幾ら持っているということはちゃんとわかっている。それにこういう税金をかける。そして、実際に農業をやりたくても、おまえは市街化区域内の農民だから土地を手放せと言う。自民党に言わせれば、国土の根本的な改革をするためには出血もやむを得ない、あるいは、憲法で規定されている職業選択の自由もある程度制限されることもあるかもしれないといって、農民のほうにはこういう大きな負担をかけているときなんです。しかも、それが住宅の緊急の問題を解決しようということなんだから、それならば、もっとたやすく手に入る土地を企業が持っているはずなんですから、それを明らかにしろ、そうでなければ農民に対して不公正になるし、国会審議が国民を納得させることにならないのではないかということで私は言っているわけです。しかも、各省庁はみんな資料を持っているわけなんです。それが発表できないなんというのは、国会審議を全く片ちんばにすることになります。こんなことを自民党の諸君が、もっともだなんて言っていたら、大企業に癒着している連中の言うことを言っていると言っていいと思います。そう言わざるを得ない。それならば、農民の立場に立ってごらんなさい。
  118. 江崎真澄

    江崎国務大臣 私は繰り返しませんが、林さんのおっしゃる意味もよくわかるものですから、御期待にこたえられるような、相当責任のあるものをそれぞれの省庁でまとめさせて、お出しできるようなことをすみやかに実現することを期待いたします。
  119. 林百郎

    ○林(百)委員 税務局長お尋ねしますが、今度のいわゆる宅地並み課税がかけられる場合、A農地、B農地に対しての固定資産税都市計画税が、四十八年と四十七年と比較すると何倍になり、四十七年のものが四十九年にかけられるものと比較すれば何倍になり、それが五十、五十一年と何倍になるか、ちょっと説明してください。A農地とB農地で、固定資産税都市計画税ですね。
  120. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 三圏域内の都市の平均で申しますと、A農地の場合、固定資産税が四十八年度の場合三十八倍でございます。四十九年度が七十六倍、それから、調整の最終年度であります五十一年度の場合百八十八倍でございます。都市計画税は、四十八年度七十六倍、四十九年度百五十二倍、最終年度の五十一年度で三百七十三倍。  それから、B農地につきましては、固定資産税は、初年度であります四十九年度が二十八倍、最終年度の五十二年度が百三十七倍、都市計画税が、初年度の四十九年度が五十七倍、最終年度の五十二年度が二百七十九倍、こういう数字であります。
  121. 林百郎

    ○林(百)委員 提案者の内田さん、こういうことですよ。私は、幾ら何にしても、三百倍もの税金が一挙に上がっていくような制度はむちゃというものだと思うのです。これは、結局、税の面で農業をやめろと言うことと同じじゃないでしょうか。憲法の二十二条によれば、公益に反しない限り職業の自由は奪われないと書いてある。ところが、都市近郊の農民は、ちゃんと都市居住者に対して生鮮な食料品を供給している。あるいは、緑地としての役割りを果たしている。あるいは、防災としての役割りを果たしている。決して公益に反したことをやっているわけじゃないんですよ。それが、一挙に三百倍もの税金が五十一年にはかけられてくる。そして、やむを得ず農業を放棄しなければならないということは、これは、憲法二十二条の職業選択の自由からいって許されないことじゃないですか。こんなことを自民党がやっていいとお考えになりますか。さっきあなたは高等学校の同窓生とも言ったが、こんなことをあなたがやるなんてことは、高等学校の恥ですよ。
  122. 内田常雄

    内田委員 それはまた同窓会でやることにいたしまして、倍数にいたしますと、いま政府の当局から説明した倍数になるはずでございます。しかし、現状、絶対額にいたしましてどういう固定資産税都市計画税が都市のまん中にあるA農地にかかっているかと申しますと、三大都市圏平均いたしまして、固定資産税が年間坪当たり二円五十六銭。これは平米当たりじゃございません。都市計画税は三十七銭、こういう税金しかかかっていない。これを一挙にではなしに、修正案では四十八、四十九、五十、五十一年、その四年間に二、四、七、一〇の率で、いまの評価額の二分の一を最高限として、頭打ちにして……。
  123. 林百郎

    ○林(百)委員 そんなことはわかっていますよ。
  124. 内田常雄

    内田委員 こういうことでございますから、現在の金額を頭に置いてください、林さん。世の中ではいま職業選択の自由もございますが、同じ憲法に、すべての国民は法のもとに平等に取り扱わなければならないという条章がございまして、同じに並んでいる一方の土地が現在何百円かの固定資産税がかかっておるときに、隣は農地という状況にあるからといって、これは二円しかかかっていないということは、これまた憲法違反になるのではないかということも考えてみる必要があるように思います。
  125. 林百郎

    ○林(百)委員 それは、内田さん、税金を納める能力があれば別ですよ。しかし、農業をやっていくという以上は、生きるためには農業所得に見合った税金を納めるというよりほか道がないじゃないですか。そうでなければ農業をやめろということなんですからね。それは、いままでの農業に対する課税は、あなたのおっしゃったように低かったかもしれない。しかし、それは、そういう低い税金を納めるしか農業所得がないというところに問題があるわけでしょう。いずれにしても、そういう歴史的な因縁があって税金が安かったものが、一挙に三百倍も高くなる。おまえのは安かったから三百倍にするぞというので、何にしても何百倍に一挙に税金を高めるということは許されないことだ。(「一挙じゃない」と呼ぶ者あり)一挙じゃなくても、四、五年なら一挙と同じことですよ。何だって、五年の間に三百倍になるものはないですよ。やがてこれが農民から手放されて、そこへ住宅でもできて貸せるということになれば、今度は、それが借家人に転嫁されることになりますから、たいへんなことになるわけです。  そこで、建設省にもう一度お聞きします。あなたのほうは業種別に土地保有は言えないといいますが、中日新聞には、ちゃんと土地買い占め上位十五グループというのが出ているわけです。あなたの言う七百社が六千ヘクタールとかなんとかいうのは、これは一都三県ですか。
  126. 吉田公二

    吉田説明員 そうでございます。
  127. 林百郎

    ○林(百)委員 これは全国的な数字だと思いますが、それにしても、西武グループが一万一千、東急グループが九千、三菱グループが九千、三井グループが八千とかいう数字がずっと出ているのです。新聞にまで発表しているのに、何で建設省国会でそういうことが言えないのかということですよ。(「言わなくていいよ」と呼ぶ者あり)そうでなければ、国会で公正な審議ができないのです。さっきから、そんなことを言わなんでもいいと不規則発言で言う人がいますけれども、そうでなくて、われわれ国会議員として公正な審議ができないのですよ。  そこで、私は参考までに申し上げますが、これは私のほうで調べたものなんですけれども、一都三県、一都という中は三市で、町田市、八王子市、青梅市だけですが、参考までに聞いておいてください。  東急不動産が三千四百二ヘクタール、西武鉄道が千九百六十ヘクタール、伊藤忠が千七百九ヘクタール、角栄建設が千百九ヘクタール、東京急行が七百六十二ヘクタール、東武鉄道が五百九十五ヘクタール、小田急電鉄が四百二十ヘクタール、京浜急行が四百十三ヘクタール、フジタ工業が三百十ヘクタール、長銀不動産が三百ヘクタール、高島という不動産業者が三百ヘクタール、三井不動産が二百八十四ヘクタール、竹中工務店が二百五十二ヘクタール、間組が二百七ヘクタール、大平住宅が百九十七へクタール、京成電鉄が百六十六ヘクタール、三井物産が百五十五ヘクタール、トーメンが百五十四ヘクタール、大林組が百二十ヘクタール、三菱化成が百十四ヘクタール、合わせて一万二千九百二十九ヘクタール、私の調査ではこうなっておるのです。私のほうの調査でもこういうものはできるのですよ。私のほうでこうやって発表しているのに、建設省や通産省が、業者と秘密の話し合いですから発表できないなんて、そんなことを言っていたら、これは建設省や通産省の権威を失墜するもはなはだしいです。これは二十社ですけれども、この二十社以外でも、一都三県で買い占めている土地を合計いたしますと一万九千五百八ヘクタール、約二万ヘクタールになるわけですね。二万ヘクタールというと、東京都の全面積の九・四%、神奈川県の全面積の八・四%になるわけですね。それで、これは、いま地図でお見せしましたけれども、都心から四十キロから五十キロの範囲内のところです。通勤時間で一時間から一時間半のところなんですね。こういうところで一万九千五百八ヘクタールあるわけですね。  そこで、建設省お尋ねしますが、一万九千五百八ヘクタールが東京都心から四十キロ、五十キロの地域にあるとすれば、これに住宅を建設するとして、普通のニュータウン方式のものをつくるとして、どのくらいの人が住むことができるようになりますか。二方ヘクタールですよ。
  128. 吉田公二

    吉田説明員 これは、土地の面積から直ちにどうかというのはいろいろ個別の事情はありましょうが、ごく平均的に、たとえばヘクタール当たり百人くらいが入るということで見ますれば、これは単純に百倍するわけでありますから、約二百万でございますね。大体、通常の市街地でございますと、百人から百二、三十人くらいでございますから、二百万ないしそれにもう少しくらいが通常のベースで言えば入り得るわけでございます。
  129. 林百郎

    ○林(百)委員 この一万九千ヘクタール、約二万ヘクタールといいますと、一都三県のA、B農地の約何倍になりますか。これは自治省でもいい。一都三県といいますが、一都でも、私のほうは、町田、八王子、青梅の三市ですけれども、それはかりに一都三県でもいいでしょう。
  130. 吉田公二

    吉田説明員 首都圏におきますA、B農地の足したものが約一万一千四百ヘクタールでございますから、二倍弱でございます。
  131. 林百郎

    ○林(百)委員 大臣、こういうわけなんですよ。いまあなた方が無理に農民から手放させようとしている土地、——私はあえて無理にと言います。農民で進んで土地を手放す人はありませんからね。その二倍くらいの土地が手つかずで、しかも、都心に一時間から一時間半で通うことのできるところにある。こういう土地があるわけなんです。昨日の参議院では、不動産協会の三井不動産の江戸参考人は、「政府地方公共団体宅地供給に力を入れ、これを買い上げて住宅用地に転用する考えがあれば“適正価格”で放出する」と言っておるのですよ。これを放出させ、そして、交付公債を公共団体等に交付して、これを直ちに買い取らせるような、そういう行政指導をなさるおつもりですか、どうですか。
  132. 江崎真澄

    江崎国務大臣 私がここに持っておる新聞にも、——速記録はいま取り寄せておりますが、私見だが、公団になら放出してもいいと言っている。これは江戸さんの私見を述べておりますが、ですから、これは非常に望ましいことで、私、さっきもお答えしたように、公有地の拡大推進法に基づいて極力こういう土地は適正価格で地方公共団体に譲り渡していただく、これが望ましいことでありまするし、そういう形で現に行なわれていけるような行政指導はぜひしてみたいというふうに考えます。  しかし、宅地要求ならば、直接的には建設省が行政指導の中心でしょうし、それから、農地でありますならば農林省、こういうことになるわけです。そこに不正があれば、当然これはまた取り締まりの対象ということにもなってまいりましょうが、いずれにしろ、直接関係省庁の行政指導にいま自治省としては十分協力していく、こういう体制で臨みたいと思います。林(百)委員 では建設省お尋ねしますが、いまも自治大臣が引用されていますけれども、企業のほうでは、住宅用地に転用する考えがあれば、政府地方公共団体宅地として放出する考えがあると言っています。ちゃんと参議院で三井不動産の社長が証言しています。これを行政的に放出させるような方法をとっていくお考えですか。このことが大事じゃないですか。いま実際に営農をして、花卉をつくったり、あるいは畜産をやったり、あるいは生鮮食料品を供給しておる農民から土地を取り上げるよりは、ブルドーザーが入ればすぐ宅地にもなるようなところがその農地の二倍弱あるのだから、そこを放出させる手段は、建設省としては、行政指導として、あるいは法の適用によって措置をしなければならないと思うのですが、建設大臣が来ておらないので、課長さんでは大きな政治的な責任は負えないとしても、どうお考えになりますか。
  133. 吉田公二

    吉田説明員 課長として申し上げるのはいかがかと思いますが、実態として、住宅地として開発することが適当な土地がございますれば、前向きで考えて取り組むという方向で私は考えております。
  134. 林百郎

    ○林(百)委員 もう一つ土地があるわけなんですね。宅地にすぐできる土地がある。それはゴルフ場なんですが、これはゴルフ場だから、管轄は建設省でしょう。厚生省じゃないでしょう。  そこで、千葉県でゴルフ場の総面積が幾らか、神奈川県で幾らか、埼玉県で幾らか。首都圏三県でゴルフ場の面積が幾らか、ここで言ってください。
  135. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 各県の個別の数字はいま手元にございませんけれども、ゴルフ場用地として課税しております総面積は二万九千ヘクタールということになっております。全体の数字でございますが、二万九千ヘクタールでございます。
  136. 林百郎

    ○林(百)委員 トータルがあれば、各県別がわからないわけはないでしょう。何でトータルが出てくるのですか。
  137. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 各県別の数はいま手元にございません。各県別の数字がもし必要であれば、資料として直ちに提出いたします。
  138. 林百郎

    ○林(百)委員 じゃ、やむを得ません。私のほうから言いましょう。  これも東京都へ通えるようなところの三県を調べてみますと、千葉県では、実に一万三千二百二十七ヘクタール。これは七三年二月現在の調査です。神奈川県で三千五十五ヘクタール。これは七三年三月現在。埼玉県で一千三百四十ヘクタール。首都圏三県だけで一万七千六百二十二ヘクタール。これは東京都心から五、六十キロの圏内です。面積規模は、住宅の用地面積とほぼ匹敵する。こういう数字が出ておるわけなんですけれども、この一万七千六百二十二ヘクタールという面積を、もし住宅の宅地として利用するとすれば、どのくらいのうちが建って、何人くらいが居住ができるようになるわけですか。
  139. 吉田公二

    吉田説明員 一万七千ヘクタールでございますので、単純にいまヘクタール百人とすれば、百七十万人でございます。
  140. 林百郎

    ○林(百)委員 ゴルフ場だけでも、百七十万人の人々が住めるところがゴルフ場になっているのですよ。ゴルフ場なんてものは何も生産していないのですよ。江崎さん、内田さん、こういうところを何で収用しないのですか。そして、実際に農業生産をしている農地を奪わなければ宅地問題が解決しないなんて考え方をどうしてお持ちになるのですか。ゴルフなんかやるなんて人は、一体何人いるのですか。その人のために百七十万人分の住宅用の土地がつぶされているわけでしょう。それにまず手をつけるべきじゃないですか。そして、農民のほうは、あなたに言わせれば五年間だというけれども、五年たって三百倍もの税金をかけてくる。これでは、片手落ちだといって農民から非難を受けてもやむを得ないのじゃないですか。
  141. 江崎真澄

    江崎国務大臣 ゴルフ場については、当然、さっきも私、私語で申しましたように、特別土地保有税がかかるわけですね。いま御指摘の住宅地域に隣接するような住宅適地については、これはやはり住宅用地として提供されることが望ましいというような行政指導なり何なりをしていくことは、私は必要だと思います。きのうもどなたかの質問に私はそういうお答えをしたわけでございます。  それから、また、固定資産税についても、ことしは評価がえの年でございますから、あの宅地近傍のゴルフ場というものの評価がえは、相当きびしく見直せということで、もう作業しておるというわけです。  そこで、さて、それじゃそれも全部宅地に出したらどうかという林さんの御指摘ですが、山林であったり、とても住宅にはたえられないような地域もありましょう。また、反面、住宅に適するところも相当あるだろうということを思います。そういうことで、このごろ、何か、ゴルフ場の会員権がばか高くなって、これが投機の対象になっておるなんというような話も聞きますが、少なくとも健全な屋外スポーツであるべきものがそういう形で運営されておるということは、これまた非常に遺憾なことだと思っております。そのことと農地固定資産税課税とは、これまた別な問題ということでお考えを願いたいわけなんです。私どもは、何も農民から農地を取り上げるなんということは、これは林さんのおことばですけれども、そんな荒っぽいことは夢にも考えてないわけで、むしろ、土地を持ったままで、いま日陰が多くなったり、自動車が砂利道の砂利をたんぼにはね飛ばすといったようなことで、農耕にも必ずしも適さない。住宅と住宅の間にあるA農地、B農地というようなものは、むしろ野菜をつくったり何かするよりも、それだけの土地をお持ちならば、もっとメリットの多い賃貸住宅でもお建てください、これが時代の要請にこたえるものですというわけで、融資もいたします、お建てになった建物は十五年間固定資産税はうんと減免いたしますというわけで、むしろ農地の効率的運用をはかろう——これからその法案はあらためて御審議いただくわけですから簡単にいたしておきますが、そういうことで考えておるわけで、何も、農家を締め出すの、追い出すの、農地を取り上げるなどという、そんなことを考えておりませんので、どうぞその点は御了解願います。
  142. 林百郎

    ○林(百)委員 しかし、結果的に言えば、先ほどの自治省の税務局長の佐々木さんの言われましたように、自治大臣、そうやって農民が農業をやりたいというならば、職業の選択の自由があるわけなんですから、その農業をやらしておけばいいんで、それをあなたが頭の中で、いや、あなたはマンションをつくって貸したほうがいいんですよ、そのほうがあなたのおためになりますよと言ったって、農業をやりたいという人が、それに自分の生涯を打ち込んで一番やりたいと思っているのだったら、それはそれで憲法で規定されているのだから、無理に三百倍もの——これは一挙にならないとしても、五十一年になれば三百倍になるわけですから、そういう税金で、農業所得ではとうてい支払うことのできないような固定資産税をかけて、いやでもおうでも土地を手放さしていくというようなことをするということは、これは農民に土地を手放させることになる。乱暴な言い方であるなしにかかわらず、結果的にはそうなる。しかも、新聞の報ずるところによれば、しかしそれにしても農民は土地をなかなか手放さないと、こういっているわけですね。だから、なかなか政府の思うようにはいかない。だから、政府がほんとうに都市勤労住民のための安い住宅の敷地なり住宅を供給するということをお考えになるならば、私の言ったような、大企業が持っておる土地、あるいにゴルフ場が、百七十万人も住めるような広大な面積が首都圏の三県だけでもあるわけですから、こういうところにまず目を向けるべきではないだろうかということを私は言っているわけです。  そこで、これは建設省お尋ねしますが、先ほど大臣も言われましたが、農地宅地化促進に関する法案がいずれこれから審議になるわけですね。このことを盛んに引用なさるので、ちょっと私のほうからこの問題について聞いておきたいと思うのですけれども、これを見ますと、大体四階建ての、地上階数四つ以上を有する中高層耐火建築物ということが大体のモデルとして考えられているようですけれども建設省お尋ねしますが、敷地がかりに百坪として、そこへ地上階数四階以上の建物を建てるということになると、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。
  143. 京須実

    京須説明員 百坪の土地に四階以上のアパートを建てるというお話でございましたが、実は、百坪でございますと狭うございまして、あまりいい家は建ちません。そのために、住宅金融公庫等の融資の際にも、なるべく千平方メートル、三百三十坪以上ないと、特に低利のお金は貸しませんという指導をしておりますが、せっかくの御質問でございますから、かりに百坪で計算いたしますと、大体一階には二戸建つと思います。約十六坪ぐらいの建物が二戸並びますと、三十三坪くらいでございます。ですから、百坪の敷地に三十三坪くらいの建物が建ちますと、一階で二棟できます。五階になりますと十棟になると思いますが、大ざっぱに申しますと、一棟あたりが三百三十万でございますので、十戸建てますと三千三百万になると思います。
  144. 林百郎

    ○林(百)委員 三千三百万で建物が全部できることになるわけですか。そうすると、建坪が百坪ということになると、その三倍と考えていいのですか。あなたの言われるローンが借りられるのは、そうなるとその三倍になるわけですか。そうすると、どのくらいの金がかかるわけですか。
  145. 京須実

    京須説明員 約一億円でございます。
  146. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、普通一億でマンションになるわけですね。マンションを建てるとして、一区画をかりに借りるとすれば、大体どのくらいで借りられるのですか。
  147. 京須実

    京須説明員 お話しのように、建坪が百坪といたしますと、一戸当たり大体月に三万三千円くらいの家賃になります。
  148. 林百郎

    ○林(百)委員 自治大臣、特定市街化区域農地の、これは長いですが、宅地化促進の臨時措置法案、これによって政府考えているのが、あなたの言うところの、農民から土地を取るわけじゃないのだ、それにうちを建てて貸したらどうかというのですけれども、そこへできた建物を借りるとしても、家賃が三万幾らかかるのです。三万幾らの家賃を払える勤労者というのは、おそらく、いまの俸給生活者の中の中以上の人で、ほんとうの勤労者というのは、やはり安い家賃の高級住宅を望んでいると思うのですよ。だから、これでは住宅問題はほんとうに解決できないじゃないですか。あなたの言うように、農民から土地を手放させるわけじゃないのだ、そこに建物を建てさせるのだ、そのためには公庫の金も貸し付けるのだ、あるいは固定資産税も一定の期間免除するのだ、あるいは利子補給もするのだといろいろ言いますけれども、しかし、それによってはほんとうの勤労者の住宅問題は解決できぬと私は思いますが、どうでしょう。
  149. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは、特に低所得者のためには、御承知のとおり公営住宅がございます。しかも、その公営住宅の土地が、三都市付近においては、住宅公団においてなかなか入手できない。そこで、割り当てられた年度予算すら消化し切れないという不測の事態を生んでおるという状況でありますから、農家が売り渡される場合には、譲渡税をこれまた減免するというような形で、でき得べくんば、公庫、公団あるいは地方開発公社という地方公共団体の経営する関連団体に売り渡しをしていただいて、そしてそこへ低家賃の公営住宅をつくる。これが一つの理想ですね。そして、農家みずからがつくるものについては、これは民間デベロッパーの場合と違いますのは、土地のコストがずいぶん変わってまいりますね。そこで、少しでも安くということを念願するわけですが、きのうも、あれは建設省でしたか、ここで問答があるうちに、あまり安く安くというので規制しますというと、また家をつくる意欲をそいでしまいますから、おのずと限界があるということも言っておりましたが、公営住宅と、それから農家がみずからつくるものとをバランスをとりまして、そして振り分けていくというような努力は、これは当然行政的に配慮しなければならぬと思っております。
  150. 林百郎

    ○林(百)委員 あと二間で終わります。  これは自治大臣、あなたの所管ではありませんが、あなたの言う高級住宅建設という考え方ですが、またわれわれもこれが重要だと思いますが、諸外国と比較してみますと、一九六八年現在で、全住宅建設のうち公共住宅は、イギリスは四七%、フランスが三三%、日本は一〇%。ことに田中さんは民間建て家方式を考えていられるようなんですね。そういうことからいきますと、結局、農民がかりにこれによって農地を手放しても、その土地は民間デベロッパーにいくだろうし、そして、そこへ建てる建物は、公共住宅ではなくて、民間建て家方式で建てられて、非常に高い家賃のマンションになるのではないか、こういうように私は推測しているわけです。したがって、これによっては、この農地宅地供結促進の法案によっても、ほんとうに勤労者の住宅問題は解決できないじゃないか。これはやはり、いま民間大企業が持っている土地を交付公債等によって地方自治体が買い取ることができて——買い取った値段と、それから造成した費用と金利も入れて、適正な値段で自治体が買い取る権限ですね。これは国総法によっても買い取る権限はない。買ってくれという権限はあるけれども、買い取る権限は国総法にはないわけですから、やっぱり、そういう方法で土地が地方自治体のものになり、そしてそれが地方自治体の財政的な負担になる場合には国が見てやって、そして土地を地方自治体のものにして、そこへ公共住宅を建てるということを考えていきませんと、勤労者の住宅問題の解決にはならぬじゃないか、こういうように私は思います。  そこで、もう時間がありませんから、もう一つだけ建設省に聞いておきますが、昭和四十六年度の経済白書によりますと、住宅ローンを利用できる階層を都心からの通勤距離で出しておる表があるわけですが、ここで、敷地百五十平方メートル、建物五十平方メートルの住宅を住宅ローンを利用して買うことの空きる勤労者というのは、その割合はどのくらいになっているのでしょうか。都心から二十キロではどのくらいでしょうか。
  151. 京須実

    京須説明員 二十キロ圏で地価がどのくらいか、あるいは実際の売り値がどのくらいかという資料はただいま持っておりませんので、詳しくわかりかねます。
  152. 林百郎

    ○林(百)委員 経済白書を見ますと、都心から二十キロ圏で住宅ローンを利用できる勤労者は一%にすぎない、五十キロまで行って二一・三%、こういうようにあるわけなんですけれども、これでは、市街化区域農地が農民からかりに手放ざれたとしても、勤労者がその土地を利用するということはなかなか困難ではないか。この農民が手放した農地が勤労者の手に入るのだ、大企業やデベロッパーの手には渡らないのだという保証はあるのでしょうか。これは自治大臣、どうでしょうか。私はないと思うのですがね。
  153. 江崎真澄

    江崎国務大臣 保証は、これはないと言えばないですが、しかし、民間デベロッパー等に売り渡すときには譲渡税の減免等はありませんね。それからまた、それを民間業者が一定地積以上買いますと、これはまた、土地保有税だとか、取得税だとか、いろいろなものをかけてまいりますから、いま御心配になるような点は、投機対象、商品対象としては、今度の新しい税金で相当抑制することができるというふうに私ども考えておるわけです。いわゆる妙味がもう薄れた、なくなったということは断言できます。  それから、いま御指摘のように、前段でお話があったように、これはやはり公庫とか地方開発公社に売って、そうして低家賃の住宅ができることが望ましいわけですが、農家自体も少し家賃の高い賃貸住宅ができる。これも、住宅の絶対量が不足しておるという場面から言うならばやはり望ましいというふうにも思えるわけで、その振り分け、その比率のあんばい等については、建設省が今後十分きめこまかに配意をしていくところであるというふうに考えています。
  154. 林百郎

    ○林(百)委員 では、私はこれで質問を終わりますが、自治大臣、あなた、土地保有税を盛んに援用しますが……(江崎国務大臣「それから取得税」と呼ぶ)取得税の二〇%を言いますけれども、土地保有税一つ見ましても、財政計画の中で見ますと、これは今年度で十一億ですね。それから平年度が三十一億ですよ。こればかりのものでは、大企業が保有している土地を手放すてこにはならぬですよ。盛んにあなたはこれを援用されますけれども、私はこれは結論として申しますが、結局、いま勤労者が住宅を、マイホームを欲している気持ちは非常に切実なものだと思うのですよ。しかし、これを自民党さんのほうは逆手にとって、大企業が保有している大きな土地だとか、あるいはゴルフ場だとか、そういう方面はちっとも手をつけないで……(江崎国務大臣「つけている」と呼ぶ)まあ、幾らかつけているジェスチャーだけはしますけれども、そうしておいて、農民の土地だけに、これが何か解決のかぎだというように向かわせることは、農民と勤労者をかみ合わさして、そして実際この住宅問題を困難にし、宅地問題を困難にしている大企業の膨大な土地保有を開放させるということから目をそらさせることになる、こういうように私は考えるわけなんです。  その点をひとつ十分に考慮をして、自治大臣としても——いま自治体でほしいのは、やはり公共住宅を建てるための土地であり、それに対しては国の財政的な援助も欲しているわけですね。それから同時に、無計画的につくられている日本の都市において、やはり緑地の非常な重要性ということがあるわけですから、施設の中の緑地としての農地だけでなくて、農地自体を緑地として保護するということも非常に重要だと思うのですよ。酸素の補給だとか、いろいろなことから言ってもそう思うのです。そういう点を考慮して、この宅地並み課税についてはもう一度考え直すように、さらに、提案者である内田さんにももう一度考え直すように、あなたが農民に対して大きな顔ができるかできないか、事をお考えくださって、もう一度よく考え直すように、こういうことを私は心から要望しまして、私の質問をこれで終わらしていただきます。
  155. 上村千一郎

    ○上村委員長 以上で、申し出の質疑は終了いたしました。  なお、山本弥之助君外二名提出修正案及び中村弘海君外四名提出修正案については、別に発言の申し出もありませんので、これにて、内閣提出にかかる地方税法の一部を改正する法律案並びにこれに対する内田常雄君外二名提出修正案山本弥之助君外二名提出修正案及び中村弘海君外四名提出修正案に対する質疑は終局いたしました。  次回は、来たる二十四日火曜日、午前九時五十分から理事会、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後二時五十六分散会