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山本(弥)
委員 とにかく、土地の投機だとか、そういったものの
責任を農民に転嫁するということはよくないことなんですね。投機が行なわれればこそ農民は売り惜しむのです。私
どもの地方都市では、札束を持って買いあさるものですから、有利に処分できるかどうかということで農民はからに閉じこもるわけなんです。この買い手のほうの規制を加えない限りは、地価の安定ということは期せられぬですね。幾らむちでたたきましても、できません。
もう
一つは、こういう情勢が続いていく限りにおいては、農民団体を
中心にいたしまして、売るべきものも自衛上売らないということになる。結果においては、さらに売ることに対する売り惜しみですかね。それは、自分らが売ったものが、業者が転売いたしまして何年もたたないうちに十倍になる。百倍になる。現に、青森県のむつ
小川原なんかたいへんなものですね。県の関発公社に売るために、その会社の株主である子会社が買いあさって、さらに高く県の開発公社に売りつけるというやり方をとっておりますね。そういうことを見て、農民は、知らず知らずのうちに地価のつり上げを招来するようなからに閉じこもりますね。こんな小手先の
宅地並み課税みたいなもので、簡単に出てくるものではない。いわゆる
責任を農民に転嫁することはよくない。元凶を押える対策を講ずることです。これを大局から見ていかなければ、こんな小手先のことで土地がたやすく出てくるなんて
考えるのは大間違いですよ。むしろ、農民は、税金をかけられても売らぬで、ぐっとがんばりますね。逆の効果を招来すると思うのであります。世論は、あたかも、この課税をすることによりまして、農民がどんどん手放すんだというふうな見方をしておりますが、私は、買い手の規制をしない限りはこの問題は解決しないというふうに見ております。この点は十分お
考えおき願いたい。先ほどからどうも
意見があまり違わぬようですが、党内でがんばっていただけないのが残念なんですが、この
質疑の終了までにそういうことをもう一ぺんお
考えをお願いしたいと思います。
時間がありませんので、もう
一つだけ私は申し上げたいのですが、私が冒頭に申し上げましたように、
固定資産税というのは市町村の税金なんです。これはできるだけ妥当な税金をかけて、地域の開発に貢献することが必要だと
考えておるのです。それを、その当該市町村が活用するならわかるわけですが、市町村というのは数限りなくあるわけです。現に、大都市周辺を見ましても、大都市というのはもう抜き差しならないほどの状況になっていますね。たとえばA、B農地一万六千八百十二ヘクタールのうち、東京二十三区を含めまして、横浜とか川崎とか名古屋、大阪、神戸、京都、そういったところは、A、B農地を含めまして一五%なんですね。大部分が周辺の約百五十市だと思うのです。そういうところほど東京のあおりを食って、どういう町づくりをするか、将来の町づくりに農地をどう活用するかということについて苦慮していると思うのであります。先ほど質問いたしましたが、公園の問題にしましても、緑地の問題にしても、先ほど税務局長も言われましたけれ
ども、緑地のないところは農地を極力残して、これ以上つぶさないようにし、場合によっては奨励金を出しても緑地のかわりをさせようというような市もあるんですね。百五十の市は、それぞれ将来の町づくりを
考え、学校も建てなければいかぬし、住宅も建てなければいかぬのですけれ
ども、そういう施設をやる場合に、農地をどう活用し、どう緑地として残そうかということが、これがいろいろ事情が違うんですね。それを一がいに、短兵急に追い出すという対策では、大都市はもうどうにもならぬようになってきて、これの町づくりは容易ならぬことだと思うのです。今回は、当面はA農地、B農地は来年からですが、その町づくりにもろに影響を受けるのは、この百五十の周辺の市なんですね。それはいろいろ事情が違いますので、この農地をつぶすべきであると
考えている市もあるでしょう。あるいは、この農地は残しておかなければならぬと
考えている市町村もあるでしょう。それらは、一片の画一的な
宅地並み課税によって解決をつける問題ではないと思うのですね。
その意味におきまして、昨年、私
ども、
議員立法で、この地域を
宅地並み課税にするか、あるいは農地として安い税金で営農を続けさせるかということについての判断は市町村長にまかし、市町村長は、農民だとか、その他勤労者、学識経験者を含めまして、いわば地域住民の参加のもとに農地課税
審議会を設けて、それに諮問して、その結論によって、これは営農を続ける農地として農地課税をすべきである、これは外形は農地であるけれ
ども、むしろ住宅にしたほうがいい、あるいは宅地に転用すべきであるという判断のもとに
宅地並み課税をするという制度を採用したのですね。これは、
地方税の体系の中から見ますと新しい体系ですけれ
ども、将来の町づくりの上に、あるいは将来の住民参加の
考え方を取り入れる上におきましても、これは非常にいい制度である。この制度を活用しながら、農地課税についての将来の
打開を市町村に一任する。
総理が頭からこうやるんだということじゃなくて、
総理以上に市町村長は地域住民と密着して、地域住民の要望についてどう利害の調整をはかり、その町の将来の十年間の町づくりをどうやるかということについては、非常に苦心をしているのですね。一国の
総理として、そのいろいろな方法を
一つの方向に振り向け、こまかい事務的な問題に頭を突っ込んでみずから陣頭指揮されるというやり方は、全く大局を誤る
考え方であろうというふうに私は
考えているわけなんです。それは市町村長にまかせるべきだ。
その
考え方を来年から今度の新しい農地課税に取り入れていくことが最も妥当な策であり、それが宅地供給にも役立ち、あるいは、いわゆる建設省の都市計画に基づく町づくり、都市計画の推進にも役立つのです。農民がみんな宅地に供給しまして、みんなまちまちにスプロール化するような住宅を建ててごらんなさい。将来の町づくりなんかできないですね。そのことを
考えますと、私は、去年のやり方は、将来の町づくりといたしましても、宅地課税にいたしましても、妥当な方法であるというふうに
考えていたのです。そのことで、
自民党の
皆さんあるいは
野党も極力共通点を見出そう、もしそれができなかった場合は、それはやむを得ぬ、できるだけベターな方法できめる以外にはないというのが私
どもの腹だったのです。
私は、この問題は、地方公共団体の町づくり、都市計画との関連において
宅地並み課税を解決すべきであるということにおいて新しい
打開の道を見出すことが最も理想だったと思うのです。しかし、
自民党の
皆さんの
総理に対する説得が足らなかったのかどうかわかりませんけれ
ども、一国の
総理というのは、地価対策をどうするかという全般を
考えるものなんですね。市町村長が苦心をしている。その市町村長の創意を生かして、そして施策をやらすということが一国の
総理の使命なんですね。
総理にも質問したいと思いますが、事務的な各省の局長を集めて代案をつくれなんという、そういうことでは国の将来を誤りますよ。ですから、次から次におかしな問題が出ているじゃありませんか。これはやはり、
自民党の失政を重ねるということばかりでなくて、私は、党幹部が、
総理というものはそんなことでなくて、もっと大局からものごとを判断すべきだということを極力主張すべきだったと思うのですが、公共団体の果たす役割りとの関係で、それをどうお
考えになりますか。
それと、この問題は、あくまで市町村長に将来は権限を委任するんだ、たとえば土地の規制にしても、地方公共団体、ことに市町村を
中心に全部権限を委譲して規制するんだ、あるいは、どのくらいの買いだめをしているか、買い占めをやっているかというようなことの調査も、積極的に市町村にまかせて、市町村が、これは農地として残し、将来は公園の一環として、財源にゆとりがあれば農民から買い上げるという意味においての市町村の権限の強化をするんだということが必要です。建設省で
考えておられる公有地拡大でも、あれは役に立っていますか。住宅敷地を買うにも、公有地拡大推進法というのは何の足しにもなっていないわけですね。公共団体を拘束する公示価格も、去年から三〇・九%も平均が上がれば、最高はもっと上がっているわけですから、そんな公示価格を売買の基準にして妥当かどうかということも、もっと別の基準価格をもって
考えなければいかぬということも言えるわけですね。
そうなりますと、私は、国の全般として
考えなければならない土地対策、地価対策は、もっと苦心を払っていただきたいと思うのです。
税制にいたしましても、譲渡税にいたしましても、一〇〇%の利益の吸い上げではないんですね。保有税にいたしましても、あれでは出しませんね。土地を吐き出す方策の保有税、
地方税ですけれ
ども、これでは出しませんね。そういうことを
考え合わせますと、
税制で小手先のことをやるよりも、もっと基本的な問題を
考えなければならぬというふうに私は
考えておるわけであります。
時間もだいぶいただいたんですけれ
ども、私に与えられました時間が参りましたのでこれで打ち切りたいと思いますが、
内田さんの御
意見、御答弁を願い、さらに、この問題に集中して、私以外からいろいろな貴重な質問や
意見が述べられると思いますので、それらを参考にいたしまして、
最後に
総理の英断を——これはこまかいミスがあるということを御認識になれば、再
修正も
考えるだけの強い姿勢でお臨み願いたいと思いますが、
総理を説得することができるほど
内田さんは党を
代表して来られておるのですから、それだけのことをしていただきたいと思います。私
どもの要求は全面的に通らぬまでも、これは変えたほうがいいですよという程度のことは主張願いたいと思うのですよ。それでなければ、
不信行為は
不信行為としていつまでも尾を引きますね。と同時に、今後とも、この問題については、私
ども自身も検討し、将来に残された問題の究明に全力を尽くしたい、かように
考えております。
御答弁をいただきまして、私の質問を終わります。