運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1973-04-17 第71回国会 衆議院 地方行政委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年四月十七日(火曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 上村千一郎君    理事 小山 省二君 理事 谷垣 專一君    理事 中村 弘海君 理事 中山 利生君    理事 山本弥之助君 理事 林  百郎君       愛野興一郎君    今井  勇君       内田 常雄君    片岡 清一君       亀山 孝一君    島田 安夫君       山中 貞則君    渡辺 紘三君       小川 省吾君    佐藤 敬治君       山田 芳治君    吉田 法晴君       多田 光雄君    三谷 秀治君       小川新一郎君    小濱 新次君       折小野良一君  出席国務大臣         自 治 大 臣 江崎 真澄君  出席政府委員         建設省計画局長 高橋 弘篤君         建設省都市局長 吉田 泰夫君         建設省都市局参         事官      大塩洋一郎君         自治政務次官  武藤 嘉文君         自治大臣官房審         議官      山下  稔君        自治省税務局長 佐々木喜久治君  委員外出席者         農林省構造改善         局農政部農政課         長       関谷 俊作君         建設省計画局宅         地部宅地開発課         長       吉田 公二君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 四月十七日  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出  第八三号) 同月十六日  地方財政危機打開に関する請願外三件(土井  たか子君紹介)(第二七三三号)  ドライブイン等における酒類の販売禁止に関す  る請願外一件(田中榮一紹介)(第二七五九  号)  固定資産税免税点引上げ等に関する請願(増  本一彦君紹介)(第二七六〇号)  同(有島重武君紹介)(第二七九五号)  同(津川武一紹介)(第二八四五号)  市街化区域内農地宅地並み課税阻止等に関す  る請願外二十六件(田村元紹介)(第二七六  一号)  同(下平正一紹介)(第二八九七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  四五号)      ————◇—————
  2. 上村千一郎

    ○上村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる地方税法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより、本案に対する修正案について質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。山本弥之助君。
  3. 山本弥之助

    山本(弥)委員 四月五日に、自民党修正案趣旨説明代表者から申し述べられたのですが、この修正案は、もともと、本来地方税法改正の重要な内容をなす修正案だと私は思うのであります。地方税法改正は、年度内審議を結了することに私どもは従来努力をしてまいったのであります。重要な内容をなす修正案、これは委員会に出されましたのは四月五日なんですね。三月五日とは違うのですね。このことにつきまして、提案者は、四月五日にはすらすらと趣旨説明をなされたのですが、趣旨説明は型どおりの趣旨説明でございますが、自民党代表せられまして、釈明というか、私のほうは当然釈明を求めるべきでありますけれども、何かお話しになることはございませんでしょうか。
  4. 内田常雄

    内田委員 私ども自民党代表する三名の委員から、お話しのとおり、先般地方税法の一部改正法案に対する修正案提出させていただきました。趣旨説明は、発議者代表である西村直己君から、お話しのように四月五日でございましたが、当委員会で申し述べたわけでございます。  発議をいたしましたのは、これも御承知のとおり、その当時この委員会審議が継続いたしておりました政府提案地方税法の一部改正法案に対する修正案という形でございましたので、母法といいますか、本来の地方税法改正案がちょうど当委員会でまだ審議過程にございましたので、それを修正するという形が一番よかろう。そうした場合にも、これはお話しのような趣旨から、三月中に出すことがよろしいということで、これも御承知のとおり、その一両日前の衆議院暫定予算審議の際の予算委員会で、田中総理大臣、わが党の総裁田中さんと、それから社会党の代表委員の方といろいろ問答がございました末こういう形になりまして、三月中に出す、こういうような総理総裁のお約束もございましたので、実は、修正発議は、三月中に、成規の手続によりまして、委員長の手元のほうに文書で差し出させていただいたわけでございますが、その発議趣旨説明がたまたま五日になった。こういうふうな過程をたどっておるわけでございます。  その前にいろいろ経過はございますが、それはまただんだんお話によりまして釈明を申し上げたり、あるいは、場合によってはおわびを申し上げたりということになるかとも思いますが、一応の答弁をさせていただきます。
  5. 山本弥之助

    山本(弥)委員 内田さん、私は四月五日と申し上げたのですけれども、三月三十一日も同じなんですね。本来、こういう法案は、前年度の経緯から言いましても、少なくとも三月の上旬には何とかかっこうをつけなければならない内容のものなんですね。それが三月三十一日の夕方に提案なさいまして、年度内衆参両院を通過するというようなお見通しを立てて提案なさったとすれば、これは国会を愚弄するものだと私は思います。四月五日のことを申し上げたのですけれども、三月三十一日に委員会提出したのだ。そういうことは、それは国会の運営に練達な内田さんとしては、釈明にも何にもなりませんね。当然、そういった乱暴な提案のしかたというものはないのです。  これにつきましては、内田先生税制調査会会長をしておられると思うから、よくおわかりだと思うのですけれども、前年度の地方税法宅地並み課税についての改正は、共産党を除く自民党を含めて四党の修正なんですね。そのときに、当然、四十八年度においてはこの問題の改正を行なわなければならない義務づけと責任政府並びに国会は負っておるわけですね。私どもは、本来政府提案として出さるべきものだと考えていたのですけれども、その提案がなされなかったわけですね。そして、国会審議にこれはゆだねられたわけなんですね。国会が、この地方行政委員会中心といたしまして、宅地並み課税についての前年度の附則に従って進めてまいりますと、これは当然、衆議院においては、少なくとも年度内にこの問題の採決、立法が可能なわけだったのですね。  この経緯から言いますと、三月三十一日に、いわゆる実質的な立法事項であるべきものを修正案かっこう提出されるということは、本来の国会の姿ではありません。地方税法がもし従来どおり年度内に成立しておったとするならば——政府自民党は当然その重要な責任を回避して、四十六年度の地方税法が効力を発生するという事態を認めるという結果になるわけなんですね。たまたま地方税法審議が、この重要な問題の関連においておくれたわけなんです。だから、こういう異例措置修正案を出すということが可能になっただけなんですね。これは政党といたしましても、その点を十分お考えにならなければならぬと私は思うのです。  ことに、昨年の改正案附則、四十八年度以降についてはさらに検討してその修正をするんだという、この重要な問題を内閣提出法案として出さないということについては、これは田中総理の大きな責任なんですね。まず、総理大臣としての責任があるわけですね。その責任を果たさないで、国会審議に、あるいは国会立法にゆだねたわけなんですね。そのことは、税制調査会会長としての内田先生は十分御承知だったと思うのです。そして、その審議をゆだねられた地方行政委員会中心審議を進めてきたんですね。しかも、二十二日の段階最後詰めに入るという、その詰めに入る過程におきましては、税制調査会会長としての内田さんは当然御承知だったと思うのです。私は了解のもとにそこまで進んでまいったものと思うのです。その段階で話を煮詰めておれば、当然、年度内地方税法の一部改正法律案は成立していたかもわからぬのです。その経過を踏まえて、十分審議をするに余裕のある期間、その期間を空費いたしまして、そして三月三十一日に修正案提出した。このことは、自民党政党としての責任を放棄したような、非常に奇異の感じを私どもは受けるんですけれども、私は、自民党政策立案はそう弱体なものじゃないと思っているんですけれども、結果におきますと、きわめて弱体ですね。  しかも、総裁が、自民党の案について総裁として指示されることは、私はよくわかるんですよ。そのことは了解できるにしても、その間において、地方自治体に迷惑をかけないように、地方税法改正法律案を早急に成立させなければならないという体制を踏まえて考えていくとするならば、総裁というものはもっと早く決定を下し、しかるべき組織の中でこの法案についての態度を決定して、野党との話し合いにも十分入り得る時間を持って対処されるのが筋だと私は思うのです。突如としてある段階において空白が生じて、自民党単独提案というような形になったあり方は、国会審議にも非常に汚点を残しますと同時に、そういう話し合いで進めてきたということに対する責任は非常に大きいし、野党に対する不信行為でもあり、背任行為であるというふうに私は考えるのですが、どういうふうにお考えになりますか。
  6. 内田常雄

    内田委員 山本先生も、私も、ともに議員同士でございまして、また、市街化農地宅地並み課税のことにつきましては、政党は違いますが、それぞれの考え方からこれを取り上げてまいったわけでございまして、いまお話しになりましたような経緯につきましても、お互い同士はそのことをよく理解しているといいますか、その経緯についてはよく私も承知をしておりますし、山本さんも承知しておるわけでございますので、くどいことは申しませんが、私は委員でございますから、政府と違いますから、いささか気楽のつもりで、そのものずばりでありのままにお答えさしてもらいますと、去年の委員長修正によるこの問題につきましての提案経緯もございますので、私どもは、できるならば、各党の歩み寄りによりまして、お互い話し合いのついたところで委員長提案にするというような、そういう行き方も昨年と同じようにあるのではないかという考え方をもちまして、じっとかまえてある時点まで進んでまいりましたことも御承知のとおりでございます。やり方といたしましては、政府提案別個地方税法の一部を改正する法律案としての、いわば第二列車的の提案の行き方もありましょうし、あるいは、いま申しますような委員長提案その他議員立法の形における別個法律案としての出し方もございましょうが、幸か不幸か、三月末日の現在におきまして、いまお話し地方税法改正の第一列車法律案が当委員会提案をいたしておりましたので、そういう事態のもとにおきまして、当時の時点から言いましても、一番これをスマートに仕上げるのには、単独立法でいくよりも、第一列車修正案というような措置が残されておったということが私ども一つの着眼でございました。  また、中身につきましては、できる限り各党の打ち合わせがまとまることを、私どもいまは当委員会委員でございますが、他方では、党内の政策立案者の一人として期待をいたしておりましたが、最大公約数が三月末目近くになりましてもなかなか見出せないということも御承知のとおりでございましたので、こういう形にして修正発議ということになったわけでございます。  これは、いろいろ申し上げまして議論になることは避けたほうがという私どもの気持ちでございますので、この程度で一応お許しをいただきたいと思います。
  7. 山本弥之助

    山本(弥)委員 単独立法とか、修正案提出とか、その形式はどちらでも可能なわけです。ことに、本税の審議がおくれておりますので、いまの段階で出すとすれば、当然、修正案として出すことが一応妥当でありますので、私は、その形式を問うているのではないです。いわゆる議員立法として話し合いがどんどん進んでいれば、当然、早く問題が決着するか、あるいは意見相違ということで、自民党単独提案というかっこうにもなったかと思うのです。そういう問題のあり方を早く確認して、そして、どういうふうな体制をとるかということを十分野党にも了解を求めるとか、あるいは、この段階ではもう時期的に間に合わないので、自民党単独提案したい、いままでの協議事項については意見相違があるとかいうようなことで、早く措置をとるべきだったのではなかろうか。  そのことが、三十一日まで、形式的にはありました。倉石政調会長から私のほうの堀政審会長にも話があったようであります。しかし、実際に議員立法努力をしておる自民党皆さんが、その十日近い空白時代を経て、そして提案されたときには、単独修正提案最後提案されてからわれわれの了解を、こういうかっこうなんですね。これが与党政党としての、あるいは政策機関を持っておられる自民党としての野党に対する議員立法の進め方かということなんですね。  この経緯ですが、これは内田さんも御承知のとおり、昨年の経緯を負っているわけなんです。しかも、政府提案を放棄して議員立法にゆだね、しかも、前年と同じように、できるだけ超党派でこの問題の解決をはかりたい、あるいは打開の糸口を見つけたいというので努力しているのに、地方自治法改正の重要な部分を空白にして提案していることについて、ここにおられる内閣の当面の担当大臣である自治大臣からも釈明があっていいと思う。これは自民党皆さま方代表する出先理事皆さんの、こういう経緯であるので共同立案をしたい、意見の一致を見る見ないはともかく、共同で進めてまいりたいという懇請によって、私どもは何回も回を重ねて、できるだけ年度内地方税法改正が成立するよう、宅地並み課税の昨年の経緯を踏まえて、われわれに課せられた責任を同時に果たすということで進めてきたのです。それがある時点で、まだ十分、十日も余裕があるという時点で、突如として断絶したといいますか、中断してしまったわけなんですね。そして、突如として年度末に自民党単独修正案という形で出てきている。  このことは、もっと手を打つべきではなかったか。忌憚なく申し上げれば、自民党政策を担当している皆さんは、総裁意見を尊重する、総裁の顔を立てるということで、他の野党との間の、従来の経緯を踏まえての折衝なり、当然踏まなければならない過程ということは、非常に軽視をしておるわけなんですね。これについて、実際に税制について出先理事が折衝しておる背後にあって政策を進めておられる税制調査会会長としての内田さんは、その間にどう処せられたのか。幸い、提案者代表になって来られておりますから、提案のしかたとか何とかではなしに、そういう間の釈明が当然あってしかるべきではないか。それをなさらぬで、修正案で出したとか、単独立法で出したとかいうふうなことはいいとしても、私が冒頭に申し上げたのは、何か、もっとはっきりと端的に釈明なさる必要があるのではないかと申し上げたわけなんです。
  8. 内田常雄

    内田委員 先ほど来申し上げておるとおりでございまして、当委員会における各党代表する理事方々、また、当委員会に設けられた地方税に関する小委員会構成員方々が、それぞれ党の考え方をお持ち寄りになりまして、そして、四十八年度以降におけるこの課題について検討を進めてくださっておりましたことは、私もよく承知をいたしておりまするし、また、正直に申しまして、これはことばじりをとらえていただくと困るのですが、四十八年度の改正におきましても、昨年と同じように、そういう試みがいいものと、私は、個人的には実は考えてまいりましたので、いま申しますような、委員会出先皆さま方に御協議をいただいてまいったわけでございまして、皆さま方の御努力につきましては、私も、これは深く敬意を表しておるわけでございます。  しかし、だんだん三月も押し詰まる最終段階に至りましても、これまた申し上げようが悪いかもしれませんが、先ほども触れましたように、各党考え方を通ずる最大公約数的なもの、あるいはまた、わが党がぜひここまではというような、その限界になるような施策が盛り込まれた成案を得る可能性もなくなってきたことも、これは自民党としての私ども立場からいたしますと、そういう事態も感ぜられてまいりましたので、そこで、最大公約数的内容を盛った委員長提案、あるいは自民党提案ということもいたしかねますので、非常に御迷惑をおかけしたわけでございますけれども、私ども政調会修正といいますか、税制調査会ばかりでなしに、ここに政策審議会代表山中君も発議者の一人になって見えておりますし、また、わが党の政務調査会の副会長である西村君も発議者の一人になっておるわけでありますが、そういう政調会発議というような形で、修正案を出さしていただかざるを得なくなった。したがって、各党の間に、この中身につきましても争点を残したままでありますことも、私ども十分含んでおります。そういう経緯でございまして、その間、野党方々にもたいへん御迷惑をおかけいたしましたことを、私は率直に認めるわけであります。したがって、党の政調会長も、この修正に先立ちまして、各党をおたずねをいたしまして、経緯につきまして御了解を得さしていただくような努力をしてまいった、こういうことでございます。
  9. 山中貞則

    山中(貞)委員 私は、自民党政策審議会を、西村会長が来ておられませんから、一応代表して申し上げたいと思います。  中身の問題は別といたしまして、提案形式にあらわれておりますだけでも、わが党の地方行政委員会の正規のメンバー理事諸君が、だれも提案者になり手がなかったということだけでも、この問題の経緯について、尋常な状態でなかったことは証明されていると思います。  したがって、まず基本的には、与野党間において、思想、政策は違っていても、委員会において議論した後にお互いお互いを信頼し合うという政党間の信義、それに欠けた結果になったという点は、私はまず、わが党の政策審議機関としておわびを申し上げたいと思います。それは結果として、わが党の地方行政委員会皆さんがおられるのに提案者メンバーに名前を連ねることを拒否されたということで証明されていると思います。その点はお許しを願いたいと思いますが、お許しが得られなければ、おわびをいたしたいと考えます。  このような事態に至りました大きな理由一つとしては、まず第一に、本来、わが党が、政府与党立場において、政府提案、あるいは場合によっては議員提案——本日はえさの加工原料米の値下げについても決定いたしましたが、政府提案議員立法のいかんにかかわらず、政策審議会が最終的に党の政策に関する限り決定をするたてまえになっておるわけであります。しかし、異例中の異例として、昨年の法律制定経緯にかんがみまして、この市街化農地宅地並み課税の問題については、与野党の一致した立法となっているので、この一年間をどうするかという問題は、与野党共通課題になっておる。したがって、この問題は、政策審議会できめないで、政府の、わが党の原案というものを持たないで出先皆さま方に御相談を願うことにしたらどうだということにいたしましたことが、いまになっては、振り返ってみて、異例のことをやったことが裏目に出た。すなわち、私たちがきめるということは、経緯がありますから、野党とも相談をした後において、ここらならよかろうという案を、やはり政策審議会できめておくべきだったという気がいたしまして、この点は、政審会議においても、私のほうから率直に地方行政委員会メンバー方々おわびを申し上げた点であります。責任政党として、賛成反対、善悪にかかわらず、今後は私ども責任ある決定をなしていかなければならぬものだというふうに、今回は反省と体験を得たような気がいたします。  それから第二は、ぎりぎりになってどうしてそういうふしぎな行為をとったかということになりますが、その第二点の最大の理由は、やはり、場所予算委員会という異なった場所において問題が提起された。すなわち、このままで日を送ったならばあと二日を数うるのみで、三月三十日の議論でありますが、暫定予算審議予算委員会において、昭和四十六年のきびしい法律がそのまま自動的に息を吹き返す。このような状態になったらどうするのだという野党の御質問に総理が答えて、自治大臣も含めて、それはあとから追って別な立法を早急にやるので、それが発動しないように行政指導をするというふうに答えたことに端を発したわけであります。野党皆さんはもちろん、法律で自動的に動き出したものより政府行政指導が優先するという考え方はあり得ない、そのことについてはっきりしてこない限り、予算委員会再開はさせないという、一応中断をした形式でありましたため、緊急に、内田税調会長あるいは党三役、政審関係諸君代表が呼ばれまして、この差し迫った問題にどう対処するかということで、結局はもう時間的な問題でありますから、年度内に何らかの法案を出さない限り、法律が動いているものを行政措置で手控えさせるということはあり得ないということを、私ども政府のほうも認めたわけでありますから、三十日は徹夜をしてでも、少なくとも三十一日のぎりぎりには、いかなる形においても、新しいそれにかわり得る法案というものが提出されていなければ、いわゆる法律行政指導が優先するのかという論議において、衆議院予算委員会再開ができない。こういうことでございましたので、私は初めから、党は党としての与野党信義があるので、これは政府提案でなければならないという主張を強く政調でとっておりましたし、全体の空気もそうでありましたが、とことん、予算委員会でそのような客観的な情勢になりました以上はやむを得ないということで、万策尽きて議員立法という形態をとって三月三十一日の午前中に、当委員会にその法案議員立法の形において提出せざるを得ない羽目に立ち至った。この点が第二点でございまして、これもまた異常な状態であり、経過として特異な経過であったために、やむを得ずとられた措置とはいえ、やはり結論としては、与野党の間における信義という問題に重大な影響を与えたということは私どもは否定をいたしておりません。その点はつつしんでおわびを申し上げます。中身議論はまた別であります。
  10. 山本弥之助

    山本(弥)委員 いま、内田さん、山中さんからいろいろ釈明お話がありましたので、私は、これ以上突っ込むことよりも、内容にまず入りたいと思うのでありますけれども、本来、こういう段階になって、従来の議員立法努力をしておる経緯から言いましても、一応四十六年度の地方税法発効を停止して、それからこれにかわるべき、四十八年度から適用する法案をどうするかということをやるのが順当じゃないでしょうか。総理としても、自民党総裁としましても、ほんとうに従来のいろいろな経緯を踏まえ、国民のためといいますか、いわゆる法律の、いろいろ利害関係が対立しておるけれども、その調和をはかりながら、いわば国民を拘束する立法をするということは、昨年の経緯から言いましても、四十六年度の税制を直ちに復活させるのだということではないのですね。当然何らかの措置を、将来にわたって、宅地並み課税について再検討するということなんですね。それであるならば、従来の議員立法経緯から言いましても、当然、一応四十六年度の税法発効を阻止して、そのあとでこれにかわるべき案を検討するのがむしろ至当な措置ではないか。それは、いろいろ選挙対策その他にも関連があるかもわかりません。あるいは、総理の自信過剰といいますか、前進する法案をつくれば野党もついてくるんだというような、そういったことは私どもは推定したくありませんけれども法律をつくるという過程から言いまして、過去の経緯から言いますと、効力をとめておいてよりよき立法を行なうということが国会としてのあるべき当然の姿ではなかったかと思うのでありますが、この点におきましても、総裁としても、総理としても、二重、三重のあやまちをおかしたというような感じが私はするわけでありますが、この点は、党内で議論なすったことはないのかどうか。また、そういうことが至当であったのではないかと思うのでありますが、御意見はいかがでありますか。
  11. 内田常雄

    内田委員 いろいろのやり方を実は検討もいたしてまいりました。山本さんのお話しのように、四十六年の法律が四月一日から、ほっておきますとこれは発効するわけでありますから、一応それを停止しておいて、そして、その次に停止したあと措置をどうするかというやり方も想定をいたしましたが、結論を申し上げますと、停止をする際に、それに置きかえられるものはどういう姿のものであるかということを示しておくべきではないかと、こういうことに結論がつきまして、それで今度のような措置にいたした、こういうわけでございます。
  12. 山本弥之助

    山本(弥)委員 総理の、地方自治体を尊重するというような話が、最近、何かの機会に新聞紙上を通じて、あるいはテレビを通じていろいろと出てきておるわけですが、こういうかっこうで処理することが、いかに多くの関係市町村に迷惑と混乱を与えたかということは御承知だろうと思うのであります。発効すれば発効したなりに、四十六年度の税制で直ちに手続をするわけですね。それから是正するわけですね。そのことから考えますと、地方自治体ということについての配慮というものを非常に欠いておると私は考えるのであります。いわば年度当初において、固定資産税の賦課その他に関連いたしまして、非常に関係市町村に迷惑をかけたという責任は、自民党としても、あるいは政府としても免れないと思うのであります。この点は率直にお認めになりますか。
  13. 内田常雄

    内田委員 そのとおり私も感じます。ただ、四十六年の発効を停止しておいて、あとに何が来るのかということもきまらないままに発効停止することは、かえってまた地方公共団体に不測の災いを後になって与えることがあることを心配いたしまして、今度のように、同時に修正案中身を出すということにいたしましたことは、申し上げたとおりでございます。
  14. 山本弥之助

    山本(弥)委員 いや、修正案中身をお示しになることはいいのですよ。ただ、一応発効を停止しておいて、あと修正案審議して、そして、国会立法を待って市町村に処理させるということが順当な手続なんですね。
  15. 内田常雄

    内田委員 正直に申し上げますと、私は税制調査会長を仰せつけられているわけでございますから、いろいろな案を提示いたしました。その案の一つには、四十八年度以降における農地の宅地並み課税については、四十六年の現行法によらず、別に定むるところによるという一本の法律を先に先発さしておこう、そして野党との協議も続けるという方法も、実は方法としては考えたわけでございましたが、結論においてはそれも適当でないということにいたしましたことは、中身のことは別にいたしまして、いろいろ考えました結果こういうことになりました。
  16. 山本弥之助

    山本(弥)委員 いま腹案をお述べになったことのほうが適当なんですね。それが当然な措置なんですね。しかし、市町村に迷惑をかけた責任自民党政府にあるということをお認めになり、また、今後の議員立法措置については、こういう前例をつくらないということについての釈明がお二方からございましたので、この問題は、これ以上私は突っ込む必要はないと思いますので、これくらいにとどめたいと思います。  それから、第二の点は、すでに御質問を申し上げましたように、政府自民党は、農地の宅地並み課税政策に非常に混乱があると私は思うんですね。私は、もともと、市町村の財源である固定資産税政策に利用するということについては、基本的には賛成をしないものであります。本来の市町村の重要な財源は、シャウプ勧告によりまして、安定した財源として市町村に与えられているのですが、これはいかなる団体といえども、その市町村において活動をするためには、収益のあがらない団体といえども固定資産税は、その活動することによって市町村からの便益を受けるという意味において、固定資産税の率の問題にもなってきますけれども、当然固定資産税を納めるべきだという考え方を私は持っておるのです。最近、固定資産税が非課税だとか減免だとかいうことで、非常に政策に乱用されておるということについて、私は非常に不満を持っておる者の一人なんです。  まあ、それはそれといたしまして、四十六年の地方税法で、税制調査会の答申を受けての立法だったと思うのですが、本来、市街化区域の農地と市街化調整区域の農地の間には、都市計画が十年がかりで一応めどをつけるという体制でありますので、実質的には変わりがないんですね。ただ、売買が自由になるということは、将来の市街化の施設を進めることからいくと、当然そういう措置がなさるべきだったと思うのでありますが、実態においては、税の負担の関係において、両区域あるいはその他の地域との間において変わりはないと私は思うのです。それを、四十六年に、いわゆる土地対策として地方税法改正が行なわれまして、市街化区域内の農地に対しましては、全面的に宅地並み課税を推進していくという方針がきまったんですよ。私どもは、固定資産税の本質から言いまして反対をしたわけでありますが、これは他の野党も反対をしたわけであります。  ところが、四十七年になりまして、具体的に税がかかる段階において、私どもは、当然、四十六年度の宅地並み課税につきましては党の修正案を出しまして、全面的に四十六年度の地方税法改正趣旨を排除はしなかったのでありますが、ある程度まで、都市計画の推移の段階に応じまして、宅地並み課税というものを排除するという修正案を出したのです。しかし、それらを審議願う間もなく、今度は自民党のほうから、四十七年度からまず適用になるA農地の宅地並み課税についてのたな上げといいますか、この案が出されまして、私は、当面を糊塗するよりも、将来にわたってのこの問題の処理についての話し合いをしたいというふうに考えたのであります。一応それには時間もかかるということで、地方行政委員会の中に地方税の小委員会を設けまして、一年間みっちり検討しようということで、一年たな上げをしたわけであります。  そして、今回のこの四十七年度の税制改正に応じての経過におきまして、皆さんのほうの考え方は二転、三転しているわけなんですね。最初自治省で提案しようという案も私ども拝見したのですが、それが途中で、自民党内部のことは存じませんけれども野党共同提案することになった。もともと、あらかじめ自治省で提案しようという案を中心に私ども審議を進めているわけなんですね。ところが、またそれが変わってきた。自民党提案になる今度の案は、大都市及びその周辺の市のA農地については本年度、B農地については来年度から、その他の地域のA、B、C農地、大都市及びその周辺のC農地は、これも五十年度において決定をするという、また根本的な改革をしないままに先に持ち越しているという案なんですね。  ですから、私ども推移を見ていますと、しょっちゅう、この宅地並み課税につきましては、前進したり後退したり、あるいは将来に問題を持ち越したり、将来一体どうなるのかというようなことについての方針というものがないままに推移しているわけなんですね。これは、宅地並み課税について、政府自民党も、いかに世論を気にし、また、確たる一定の政策を持ち合わしておらず、その場限りの措置をしていくということであるかとしか私どもには考えられないんですね。いわば、政府自民党も、この農地の宅地並み課税につきましては、確たる方針を持ち合わしていない。だから常に動揺する、問題を先に持ち越す、政策は短期間のうちに常に変更するということなんですね。私どもは、終始一貫してこの問題に対処したいと考えておるわけですが、そのことを御回答得られるはずのものでもありませんけれども、このことは、今回のような混乱を来たしておる大きな原因ではないか。市町村に迷惑をかけた原因について、市町村の意見を吸い上げるという努力もしない。内部でいたずらに混乱を招いている。そういう自民党の内部のことは私は存じませんけれども、その場限りの考え方で対処しようとしておるところに、重要な問題のあるべき姿を見失っておる原因があるような印象を私は受けます。しかし、そのことは自民党の内部のことでありますし、また、今日、土地対策というものが早く解決をつけていなければならぬにもかかわらず、対策が後手後手になりまして、基本的な姿勢をお示しにならない、あと追いの姿勢であるということを明らかに示しておるわけでありまして、これは、自民党の土地対策については、私は全く失敗であるというふうに見なければならぬと思います。  そこで、こういう上に立ちまして御質問しましても、どういう回答が得られるかどうかわかりませんが、第一点は、現在の大都市及びその周辺のC農地、あるいは他の地域のA、B、C農地、これについてはどういう方針で対処されようとしているのか。いろいろ情勢の推移もありましょうけれども、一体どういう方針で対処されようとしておるのか。そのことをまずお聞きしたいと思います。
  17. 内田常雄

    内田委員 これは、今度の修正案発議いたしました私どもからお答えをすべき範囲に必ずしも属しないかとも思います。これはむしろ政府当局から、今後の用意というようなことに関連してお話をいただいたほうがいいかとも思いますが、私は、自民党のその方面の担当者の一人としてお答えを申し述べさしていただきますならば、C農地については、今度の修正案にもございますように、また、山本委員からも述べられましたように、全国的に、三大都市圏以外のA、B農地とあわせて、昭和五十年度末までに方向づけをいたすということになっておるわけであります。  なぜそうしたかといいますと、四十六年の農地の宅地並み課税におきましては、三大都市圏に限らず、全国一律に、市街化区域内は三年ないし六年の間に宅地並み課税をするということになっておることは御承知のとおりでありますが、それが、昨年の各党の検討によって、一年間さらに検討を続けることになりまして、今日に至ったわけでありますが、これをあと戻りをしてしまって、三大都市圏のみならず、全国的に農地の宅地並み課税というものは、非常な弾力性をもってしか行なわないということにしますよりも、少なくとも五十年度までの段階におきましては、三大都市圏の一定の区域内における市の区域におけるA、B農地というものについては、宅地化あるいは住宅供給の線に税法上も乗せることをはっきりさせるべきだということに私どもは踏み切ったわけでございます。  それは他面、御承知のとおり、住宅供給計画というものは五カ年計画で現在進行中でございますが、五カ年間九百何十万戸という供給戸数のうちで、私の記憶によりましても、その六、七割は三大都市圏またはそれに関連する地域において所要とする住宅供給戸数のはずでございます。したがって、それに要する用地の数量を検討いたしてみましても、四十八年度ないし五十年度までの間にとるべき施策としては、三大都市圏の中のA農地またはそれに準ずるB農地につきましては、宅地化の方向でその税制も整えてまいらないと、いま言うような人口、産業稠密地帯である三大都市圏の住宅供給施策というものは円滑にはできないと私どもは判断をいたしまして、そこで、今度のような修正案で、三大都市圏の特定市街化区域農地、A、B農地ということにさせていただいて修正案を出したわけであります。全面的後退は許されない。しかし、全面的に、三大都市圏以外の全国の都市計画施行区域七百何十カ公共団体につきまして、この際一律に、市街化区域農地について、四十六年の線の宅地並み課税を進めるということは、昨年一年間の検討に基づきましても、若干の考慮の期間を置くべきだ、こういう判断から修正案を出した、こういうわけでございます。
  18. 山本弥之助

    山本(弥)委員 山中さんも同意見ですか。
  19. 山中貞則

    山中(貞)委員 あと内田君がずっと……。
  20. 山本弥之助

    山本(弥)委員 自治大臣が退席になりましたが、税務局長はどうお考えになりますか。
  21. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 四十六年の改正法におきましては、C農地につきましては、五十一年度から新しい課税方法が始まるということにもなっておるわけであります。これはやはり、市街化の形成状況あるいは都市施設の整備状況というものが、A、B農地とC農地の地域においては相当差がある。こういう観点から、今後の都市計画事業等の推移を見詰めながら、五十一年度から新たな課税をしていこうという趣旨であろうと思います。  そういうことで、今回議員提案の形で修正が出されました考え方も、おおむね従来の考え方を踏襲しているものというふうに考えるわけでございますけれども、ただ、現実に、市街化区域の設定というものが、当初考えておりましたものよりもだいぶ広がった設定が行なわれている。したがって、四十六年度の改正法律が予想いたしました課税の年度で、これらの都市計画事業等の遂行あるいは市街化の形成というものがはたして行なわれるであろうかどうかという点について、五十年時点においてもう一度振り返ってみるという考え方であろうというふうに考えております。
  22. 山本弥之助

    山本(弥)委員 そういたしますと、今回の修正案は、とりあえず大都市及びその周辺の都市のA、B農地、将来五十年ごろになりますとC農地、あるいはその他の市街化区域のA、B、C農地については、四十六年度の地方税法改正の線によって、市街化の状況とにらみ合わせながら宅地並み課税を実施するという方針で進むというふうに了解していいわけでございますか。
  23. 内田常雄

    内田委員 今度の修正案では、それは五十年度末までに案を設定するということでございますから、その間、総理お得意の日本列島改造政策がどう進むかということにもよることだろうと私は思いまして、それに応じて、その他の自余の地域並びにC農地等については、その対策を盛った法律案を出すということを考えております。もっとも、そのころ私がはたして委員をしているかどうかわかりませんですが……。
  24. 山本弥之助

    山本(弥)委員 この問題は、市街化区域の中の営農者に非常に不安を与えると同時に、問題は、日本農業をどう見直すかということ。あるいは全国の土地利用計画の基礎になります市町村計画、府県計画というものがあると思うのですが、私どもは、この計画の中に農業地域の利用区域をきめるにしましても、わが国の食糧の確保という問題から考えなければいかぬと思うのであります。そういった基本的な問題を放棄して、市街化区域は農地を追い出すというような考え方にいたずらに立つことに賛成しがたいわけでありますが、しかし、方針がその情勢でどうなるかわからぬというような体制で放棄することは、いたずらに営農者に不安あるいはいろいろな憶測を与えると私は思うのです。  まあ、そういう方針だけれども、ざっくばらんにお伺いしますと、五十年度になり、あるいは来年度においても、情勢が変わってくればあるいは再検討する心がまえだというようなことでしょうか。
  25. 内田常雄

    内田委員 私は、国会議員として山本さんと同じめしを食っているわけですから、全く同じ気持ちがございます。でございますが、これは昭和四十三年でございましたか、新しい都市計画法をつくります際に、それに基づいて例の線引きをいたします際に、もっと激しい問題になったことは御承知のとおりでございます。つまり、市街地は別といたしまして、それに準ずる市街化区域の中における都市農業をどうするかという問題が非常に激しく各党で論議されまして、政府でもこの問題は真剣に取り上げられましたが、幸い両三日前に小川新一郎先生から資料要求がございまして、その当時の市街化区域の線引き、また、その線引きの中に入ったA農地、B農地における農業施設というようなものをどう処理するかというような線の引き方と、線が引かれたあとにおけるA農地、B農地における農業施設と施策をどうするかということについての政府の通達の写しを要求されまして、皆さまに配付されておるはずであります。私も、これはあらためて勉強をいたしてみますると、いま御意見のございました問題はこの通達の中に、と言いましても、もちろんこれも時代とともに動いてしかるべきものだと私は思いますが、ほとんど全部カバーをされている問題でございますので、そういう経緯から考えましても、市街化区域内の、少なくともことしからこの私ども修正案で新しい課税が始まるA農地につきましては、これはやはり後退がないもの、B農地についても同じようなことでございまして、C農地並びに全国の各都市のA、B、C農地につきましては、これは私は議員としての想定でございますが、来年度といいますか、四十九年度の施策として都市計画上いろいろな施策が計画をされることになっております。これは単に宅地供給ということばかりでなしに、緑地の問題その他非常に各面にわたりまして、都市計画の新しい事態に応ずる課題が、制度上も、予算上も、法律上も取り上げられることになっておりますので、その際、そのC農地あるいは全国のA、B、C農地に触れるところが必ずあると私は思います。  しかし、A農地につきましては、前段に申しましたように、これは今度の三大都市圏の特定地域でございますが、これが全国のA農地の六、七〇%を実は占めておりますので、三大都市圏以外の全国の各都市における市街化区域内A農地というものは、残された三〇%とか三五%程度のものでございまして、これはもう大体宅地化の方向で考えていただくほかない、また、それがいいと私は思うのでございます。
  26. 山本弥之助

    山本(弥)委員 そういたしますと、確認しておきたいと思うのでありますが、三大都市圏のA、B農地については、今後とも後退の余地はない。五十年度で検討するその他の地域あるいは三大都市圏のC農地につきましては、原則としては、従来の四十六年度の地方税法改正の線で検討するのだが、そのときの情勢あるいは他の施策と相まって、場合によっては十分われわれの意見も聞き、適切な措置を十分とるというふうに理解していいわけですか。
  27. 内田常雄

    内田委員 世の中は変わってまいりますから、変わり方に応ずるわけでありますが、私は、いまのこの修正案を出しました時点におきましては、五十年度以降に残しました地域につきましては、お説のように考えてしかるべきものだと思います。
  28. 山本弥之助

    山本(弥)委員 ちょっと具体的な問題になりますが、今回のA、B農地の中に、永年作物として、果樹だとか、花木だとか、あるいは茶畑とか、こういったようなものは含まれておりますか。
  29. 内田常雄

    内田委員 今度の修正案のたてまえとしては、実は含まれていることと思います。それが非常に問題になるわけでございますが、しかし、私は、A農地においても緑地的なものは必要であると思います。ですから、今度の特定市街化区域の中におけるA農地につきまして緑地的なものが必要であるとしますならば、それも全部宅地化をすることを強制するものではない、私はそういう考え方を持って修正案を出しておる。ただし、税金は、とにかく本来取るべき税金のおそらく二割だけの高さになるわけでございますので、そういう必要のある緑地については、私は、別の見地から当然措置をしなければならないものも出てくるのではなかろうかと思います。  たとえば、都市計画上の一種の施設緑地みたいな観念として取り上げられるものにつきましては、将来これは農耕に戻すことがないとか、あるいは従来の都市計画施設の一環としての総合的施策としての取り上げ方をするというようなことを条件に、そういうものが残されることもあり得る。そういう場合には、現にこれは他の法律で税金が安くなる道も残されておりますので、そういう面から見ると、この修正案では、税金が二割といいますか、本来あるべき姿の二割までということはありますけれども、他の都市計画と関連する税法において特別の取り扱いをするものも出てくるものと考えております。
  30. 山本弥之助

    山本(弥)委員 現在のA農地、B農地にある永年作物としての果樹や花木ですね。これらは、今日、大都市においても周辺都市におきましても——昨年から公園緑地計画という五カ年計画ができましたね。その計画をちょっと建設省の方にお聞きしたいと思うのでありますが、どういう内容の計画になっておりますか。たとえば公園緑地は、東京都あたりは、一人当たり一・五平米ですね。これは大都市では最低です。外国では、一番少ないところで、フランスなんかは五・八平米ぐらいあるのです。あるいはその他のロンドンやニューヨーク、ことにワシントンなんかになるとべらぼうに多いのですが、二〇平米以上なんですね。そういう中で、去年の公園緑地計画は、私ども必ずしも満足のいかない状態でありますが、どのくらいにするかということをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  31. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 お説のとおり、わが国の一人当たりの公園面積は非常に小そうございまして、現在二・八平米という水準でございますが、中でも、大都市ほど小さい。東京なんかは一・一五平米、大阪が一・四平米というような現状にあります。この全国平均で二・八平米という現在の水準を、五カ年計画におきましては、昭和五十一年までに四・二平米の水準に上げていきたい。それから、六十年を目途として、大体九平米の水準に持っていきたいと考えておりまして、この九平米の水準といいますのは、いま御指摘のありました諸外国の諸都市、特に大都市等に比べますと、まだその半分くらいの水準ではございますけれども、その水準まで公園の一人当たり面積を進めてまいりたいと思っておるわけでございまして、五カ年計画におきましては、約九千億の資金をもちまして五カ年計画内に、全国で見ますと、現在の公園面積にプラス一万六千五百ヘクタールをこれからつくり上げていきたいという計画でございます。
  32. 山本弥之助

    山本(弥)委員 内田さんは十分その点は御承知のことだと思うのですけれども、新都市計画法での市街化区域の整備というのは、建設省の考え方というのは大体十年計画なんですね。いまのお話ですと、当面五年計画で二・八を四・二ですか、さらに十年後の六十年には九平米ですね。これは、東京だとか大阪というのは容易ではないと思うのです。大阪は一人当たり一・四平米ですね。東京は、いまのお話ですと、一・五になっているか、なっていないかという数字ですね。これを四・二にする。いま、公害その他大気汚染あるいは水汚染の関係から言って、これはむしろ大都市ほど必要なんですね。九平米というと、どのくらいになりますかね。おそらく東京ですと、一割くらいの面積になると私は思いますが、どのくらいになるか、あとでお答え願いたいと思います。一割をこえるのじゃないかと思うのですけれども、そういう大都市を、単純にみんな宅地化するということですね、あの法案を見ますと。住宅の建設計画の敷地も相当なものだろうと思うのです。ところが、一方、快適な生活環境といいますと、そういった緑地をどう保存するかという大きな問題をかかえているわけですね。それは、大都市はおそらく実現できないのではないか。  ただ、全国平均ですから、これからの町づくりの中にそういう町づくりを加味しながらやるとなれば、三大都市圏以外の公園緑地をどう確保するか、どう保存するかということは、大きな問題なんですね。宅地、宅地というような単純な考え方ではなくて、将来の大きな町づくりに通ずるものだと思うのです。しかも、大都市の中のA農地の中に、ことしから適用される宅地並み課税の中に、そういった大きな役割りを果たす永年作物としての果樹や花木というところがあるのですね。あるいは宇治市の茶畑の問題。それは逆に積極的に保存しなければならぬところなんですね。  大臣も御承知のことだと思うのでありますが、いままで固定資産税が低かったといえばそれまでですけれども、今度の税法で調整を加えながら、今度の新しい税法を適用いたしますと、東京などは、三年後の昭和五十年に住宅用の宅地は三倍になる。あるいはそれ以上になるというところがざらに出てくるのですね。税負担もたえがたいというところが出てくるわけなんです。相当の面積を持った果樹や花木、これらを宅地並みの課税をされるということになりますと、本年度も大体宅地並みの最低限度一・五%より——低いところは一・五%になりますから、一%かけるとなると、ほとんど宅地並みと同じような課税になるわけですね。むしろ保存しなければならぬところを、なぜ同じように追い出す方策をとるのですか。しかも、いまの御答弁によりますと、それは宅地化しないで保存したいというような御答弁もあったようであります。そういうところをなぜ宅地並み課税をしなければならぬのか。他の法律によって、都市計画法その他の改正によって考えるというお話がありましたが、これは確かに積極的にむしろ保存しなければならぬじゃないかと思うのですが、A農地は直ちに課税になるわけですが、それれはいまのいい町づくりのための公園緑地を保存するという考え方に立ったときと、完全に矛盾するような気がするのです。本年から直ちに他の法律なりこの法律で調整しなければいかぬと思うのでありますが、いかがでありますか。
  33. 内田常雄

    内田委員 市街地におきまして緑地が非常に必要でありますことは私も痛感をいたすわけであります。しかし、その緑地の保存のしかたでありますが、それを農耕あるいは植樹を各所有者の自由にまかせてさせておく限りにおいては、これを農地並み課税として、非常に安い、坪当たり何円というような課税のまま存置するということは、これは近隣の土地に対する固定資産税賦課の状況から見ても、非常に不公平が残るわけでございますが、しかし、それは、所有者は、自分が農耕なり植樹なりをやめたいときにはいつでもやめるのだ——かりにやめたいときにやめれば、これは別の考え方があって、徴収猶予にされたものを、徴収猶予を取り消して、そしてその税金を払えばいいというような、本人の自由にしておくべきではないのであって、市街化区域ですから、これは現在の既成市街地に全く膚接する、市街化の状況が非常に濃厚なところでありますので、そういうところをこそ、本人の積極的意思と協力をもって施設緑地とするといいますか、それは、自分がその上に家を建てたくなれば、自分の所有地だからいつでも家を建てるということはしませんとかいうような一定の条件はつくようでございますが、都市計画法上の施設緑地の条件については私は詳しくはございませんけれども、要するに、都市計画上の必要にマッチすることと、それからもう一つは、都市計画上の一定の規制を受けるということを条件として、そういうところは緑地として存置をしていくべきであろうと私は考える。  そうした場合には、他の法源によりまして、その固定資産は従来の農地並みの課税を受けられるという仕組みがあるそうでございまして、A農地についてはそれでいくのがいいだろうと、こういう想定を実はいたしておるわけでございますが、この点につきましては、建設省ですか、自治省ですか、おられますから、私は一議員でございまして、何でも知っておるわけじゃございませんので、補足説明をしてください。私が間違っておったら、遠慮なく、内田君、間違いだとおっしゃってくださってけっこうです。
  34. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 ただいまの御答弁にありましたように、都市の中の特に貴重なA、B農地、これは大体面積も小そうございますが、これにつきましては、公園あるいは運動場等も不足しておりますおりから、施設緑地として保存すべきものは極力これを計画決定いたしまして、将来の施設緑地とすべく計画決定を進めていくという方針でございます。
  35. 山本弥之助

    山本(弥)委員 地方公共団体に財源がありますと、むしろ買収すべきではないかと思いますね。財源がなくて、都市計画は十年かかるのですね。十年かかるときに、永年作物で、それで生計を立てているわけなんですね。あるいは、そのことは、いろいろ生計上の理由があると思うのですね。しかし、私は、永年作物としては、そう簡単に右から左にぶった切って生計の断たれることについては、相当有利な処分方法、地価をつり下げるのではなくて、むしろつり上げる体制によって解決をするのではないかと思われるのです。それならば、ある程度まで当該住民の意思を受けた市町村長が、将来の財源確保の体制に準じて町づくりをするという過程においては、わずかばかりの宅地並み課税を無理やりにして、重い負担をかけて苦しめるというやり方は、市町村長としては当然できないことなんですね。いわゆる行政の妙味というものは、そういったところを明らかに——あるいは突然そういうものは来年なくなるかもわかりませんけれども、永年作物として、ある程度それで生計を立てていくというものは、何らかの方法で確認できるのですね。その拘束力も、本人との話し合いによって解決する道はあると私は思うのです。それならば、こういう無理なことまでする必要はないんではないか。そういうところは、宅地として建物を建てて密集をさせるということが、本来の町づくりの政策からも反するということであるならば、むしろ、税収もたいしたことはないところを無理に追い出すようなことはせずに——まあ、追い出すことが宅地並み課税という考え方の目的でしょうが、そういう措置をとらなくても、何らかの妙味のある立法をすべきじゃないか。しゃくし定木に、その場合には都市計画の施設として網をかぶせておいて、絶対にこれは売ってはいかぬぞとかというようなことにしておくということではなくて、その地域の町づくりに、市民にもっと協力させるという体制が好ましいのじゃないかと私は思う。そういうところに対するきめのこまかい配慮がなぜできないのですか。宅地にも当分できない、しかも、そういうところをふやしていかなければならぬという趨勢に町づくりというものはあるわけですね。それをふやしていくということは容易じゃないのですよ。東京都なんか、おそらくできないでしょう。四・二平米にすること自体も困難でしょう。大阪もそうでしょう。そうすれば、新しい町づくりは、当然、小さな市町村の考え方によって、そういった配慮を加えながら、緑地、公園をふやしながら町づくりをしなければならない。市町村長がそれをやるんですね。それを宅地並み課税の令書を出して——何らか良心のある市町村であるならば、別個の補助金を出すとか、いろいろな方策をとらざるを得ないと思うのですが、それを画一的に、そういったものまで排除する考え方になぜなるのか。これは何とか考える方法はないんですか。内田さんもおそらくその点をお考えになったと思うのでありますけれども、そういうきめこまかいことをなぜ御主張にならなかったのか、私どもは非常に疑問に思うのです。
  36. 内田常雄

    内田委員 ことしから若干宅地並み課税に近づくA農地につきましては、私が先ほどお答えを申し上げました形でいくのが私はいいと思います。その際、現状農地でありますものを、本人の自由意思を保留しながら、なおかつそれを生産緑地——あるいは環境緑地というようなことばがありますかどうかわかりませんが、税を安くして残しておくよりも、A農地につきましては、都市計画上、当然、最も優先的の中の十年ではなしに、優先的の中の優先的、総合的に、街路なり、公園なり、緑地なり、その他の都市施設を整備すべきところでありますから、幸いいま農地であいているところにつきましては、これは地主と話し合って、施設緑地としての処遇を講じていくのがいいと私は思います。  しかし、来年から出発いたしますB農地、あるいはその他のC農地は、先ほど来お話しになっておりましたように、昭和五十一年度以降にその措置がきまりますので、それまでの間には、来年度における、これも先ほど私が触れました都市計画上の緑地等を含みます新しい積極的な構想、施策というものが樹立されることに政府のほうでなっておりますので、来年から出発するB農地あるいはその他のC農地、さらに都市計画緑地、それから、現在あいている、建物の建っていない農地との関係の調整につきましては、それは生産緑地ということばを使わないにいたしましても、何らかの形において措置を求めるべきではないかという議論を、私どもの党内でも実はいたしておるところでございます。
  37. 山本弥之助

    山本(弥)委員 いろいろ考えておられるようですが、さしあたり四十八年から、A農地については税金が高くなるわけですね。そういう地域についてはどう措置されますか。
  38. 内田常雄

    内田委員 これは、先ほど申し上げましたように、現在すでに施行されて動いている都市計画法上の手段として、また、それに結びつく地方税固定資産税の施策として、それが施設緑地として認められる場合には、従来の農地並み課税ということが行なわれる制度がございますので、客観的に必要なものにつきましては、でき得る限りその制度を活用してまいるように、これは与党内閣でございますから、私どもからも政府を指導してまいりたいと考えております。
  39. 山本弥之助

    山本(弥)委員 その都市計画法上の施設農地以外の土地はお考えになっておりませんか。
  40. 内田常雄

    内田委員 それは、都市計画上の施設農地としての認定を必要なものはする。ただ、条件がある。それで、その条件に合わないものを、いままで農耕しておったからということで、都市のまん中できわめて不均衡な固定資産税のもとにいつまでも農地にしておくということは、今日の三大都市圏の市街地に膚接するA農地の状況から認むべきものではない。だから、客観的にそれはそうすべきものだと認めるものについてはということは、たびたび申し上げているとおりでございます。
  41. 山本弥之助

    山本(弥)委員 税務局長にお尋ねしますが、減免の余地があると思うのですが、その点はどうお考えになりますか。こういう特殊なものについて、永年作物を耕作しておる農地について、ですね。
  42. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 非常に特殊な事例として、宇治市などに見られるような永年性作物の場合に、これを税制上で減免という形で措置をすべきか、あるいは当該市のいわば産業政策上の観点で、そういう特産物についての助成措置という形で処理をすべきか、この辺は市町村の判断の問題があるかと思いますが、私どもは、むしろ、こういう制度ができました場合には、減免の形というよりは、そういうものの産業保護的な観点での対策というものがとり得るのではないだろうかという感じがいたしております。
  43. 山本弥之助

    山本(弥)委員 その場合に、そういった当該市町村の産業政策としてとった措置に対しまして、特殊の財源というものを御配慮になりますか。
  44. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 そうした非常に特殊な事例の場合の対策としましては、財政当局のほうと寄り寄り相談しておるところでございます。
  45. 山本弥之助

    山本(弥)委員 一応そういうことで解決がつくと思うのであります。市町村長がほんとうに血の通った行政を現実に地域住民のためにやるとなりますと、こういったこまかい問題は市町村でやるべきなんですね。内田さんがお考えになっているように、しゃくし定木に、都市計画の施設緑地でなければ認めないという考えでは、公園をとりあえず四・二平米にするとか、十年後に九平米にするなんていうむずかしい問題は、これは絵にかいたもちと同じですね。地方自治体の意思によりまして、こういうものは宅地並みからはずすという英断を認めるような政治が行なわれない限りは、国民のため、地域住民のための施策というものは計画倒れということになると私は思いますね。この点は、私どものほうが政権をとるようなことになればまっ先にやれることなんですけれども自民党が政権をとっておられますので、そういったこまかい問題については、まことに独断、独裁的に問題をきめてかかられて、最も影響を受ける、地域のために救うべき人も緑地から追い出すというようなやり方しかお考えにならないのですね。そして、それが最もいい対処策だというふうに考えておられるわけです。この広い国会の回りの街路樹なんか、まだ芽もふかない木も立っているのです。こういう解決さえできなくて、将来、東京とか大阪に公園や緑地をふやす計画なんて、こんなことができるものですか。  私ども少数なものですから、幾ら反対しても問題の解決はつかないと思いますが、私ども、来年からずっと毎年のようにこの問題に取り組んでいきたいと思いますが、当面、A農地の中のそういった市町村が苦労する問題は、これは思いやりのある措置を早急に講じてもらいたい。  施設緑地についても条件を緩和するとか、あるいは、ある時期になってそれを売りたいというときには、公共団体がそれを買収するような財源を付与するとか、そういったことをしなければならぬと思うのでありますが、公共団体に財源を付与すること自体も、いま問題はなかなか解決がつかないのですね。A農地の中にあるそういった救わなければならぬもの、あるいは国の方針にも沿わなければならない問題についての対策は、これと並行して直ちに考えてもらいたいと思うのです。こういう問題も、あめ法案というか、人をむちでたたきながら、あとであめをしゃぶらすような、そんな政治というものはないと私は思うのです。きめのこまかな、国の政治のあり方に沿うような政治をやることがほんとうの政治だと思うのですが、その点はどうお考えになりますか。もう一度お聞かせを願って、時間もだいぶたちましたので次の問題に移ります。
  46. 内田常雄

    内田委員 私は、実は、その考え方に賛成なんです。賛成なんですが、修正案法律の形で書きますと、私ども発議したような形になるわけであります。そういう修正案発議しながら、いま私とあなたと問答をいたしますように、都市計画上公に認定せられないものについても、そこに盆栽があるとか茶畑があるものは、法律にかかわらず行政指導でみなはずしますということは私には言えません。  そこで、この行政指導については、実は、先般来、予算委員会あるいはこの委員会の関連において手を焼いているわけでありますから、法律はこういう修正案を出しましたが、その辺の行政指導については、ここに京都の谷垣さんもいらっしゃいますし、三大都市圏から出ておられるわが党の代議士の諸君もおられますが、あなたと全く同じ考え方をもって私ども立案者に追られておりますので、その辺は、実は万事承知でございます。私どもも、法律上のたてまえは、こうして、そしていま山本さんが言われるように、また、当局も言っておりましたが、産業政策上の措置として助成をしたり誘導をしたりするようなこともできましょうし、財源的にも、自治省は交付税を含めて何兆という予算を持っているわけでございましょうから、その辺は私にはわかりませんが、私がそこへすわらしていただけば、山本さんと全く同じことを政府当局に申す、こういうわけでございますので、その辺、私どもも十分御趣旨を体しまして、運用上の指導を怠らないようにいたしてまいりたいと思います。
  47. 山本弥之助

    山本(弥)委員 個人的意見でなくて、党の政策立案責任者として、これは審議がずっと続きますので、それまでに再修正について十分御配慮願いたいと思います。これは自民党提案ですからね。いいことはどんどん訂正していいんじゃないかと思いますので、あるいは都市計画法の改正をなさるというんであれば、そのほうもあわせて提案を願うとか、御配慮願いたいと思います。私と意見が同じであれば、内田さん、どうぞそういうものを党内で主張して出してくれませんか。それがほんとうなんですね。賛成であるがいやいや提案したなんという、そんな提案者の発言というのはおかしいと思うのですがね。  次の問題に移りますが、私は、自民党の土地政策というものは全く失敗だと思う。これは失敗のわけなんですね。考え方の転換ができていない。企業優先、輸出第一主義という基本方針のためにいままで来ましたのでね。ほんとうにきめこまかに、福祉に転換するというようなことが土地政策にもあらわれるわけがないんですね。だから、形は整いますけれども実質的な土地対策になっていない。  四十四年の土地税制で、供給面から農民の優遇政策をはかりましたね。たとえば低率な分離課税、一方は、短期譲渡所得については高率の課税。このことは、高率のほうの課税は、地価がどんどん上がっていきますので一向痛痒を感じない。低率のほうは土地成金を出したということと同時に、結局、大企業あるいは商社、デベロッパー、不動産業者の土地投機を誘発したという結果、土地の上昇あるいは土地の投機が行なわれたわけですね。その背景等につきましても、ほとんど手を打っていないですね。ことしになって、金融引き締めだとか、準備率の引き上げだとか、あるいは貸し出し規制をやった。これは、昨年の公有地拡大推進法のときにもそういう傾向がありましたので、むしろ、そういう金融規制をやらなきゃならぬのじゃないかと私は申し上げたことがあるんですが、全然おやりにならない。ですから、もう基本的に全然間違っているんですね。結局、同じようなことを今度もやろうというわけですね。住宅用地の供給を促進するために、高い税金をかけて農民を追い出す。それが、あたかも勤労者の住宅解決のためにということになっていますが、土地の買いあさりで札束をたたきつけますから売り惜しみになるんであって、これは人情なんですね。そのほうのことを規制しないで、そして、農民の売り惜しみ、売り惜しみといって責めてみても、効果があがるはずはないんですね。私は、これは前と同じようなあやまちをおかすものだと、こう考えます。いわば、四十四年の土地税制は供給面からの土地税制であり、利益を与えて土地を供給させようということですが、効果はあがらなかった。今度は、むちを当てて土地を出させようとしておるが、出たものは、決して一般勤労大衆の手には渡らない。やはり大企業、商社の手に入る。むしろ、そういう商社や不動産業者が土地を確保しにくくなるような第二の手を打たなければ、それに協力するような結果に終わるのじゃないかと思いますが、いかがですか。
  48. 内田常雄

    内田委員 私は、必ずしもそうも思っておりません。だれが住宅を供給するにいたしましても、住宅はやはり、下の宅地がなければ建たないわけでございますので、まず宅地化の促進、しこうして、その上にだれがその住宅を建てるかということにつきましては、今度の、一方政府から提案になりました促進法の中身を見ましても、これは、従前の農地の所有者あるいはその団体が、その上に賃貸住宅、貸し家住宅あるいは分譲住宅というものを建てることをできるだけ誘導しようという場合における譲渡所得税とか、固定資産税とか、あるいは不動産取得税とかいうものにつきまして便宜を与えてまいろうというような施策も、他の法律に組んであるようでございますので、必ずしも、民間大資本デベロッパーのために農民の土地を追い出すんだというふうにも解さないで、すなおに、大都市における何百万の住宅難民——と申してはいけませんけれども、住宅困窮者の方々にまず住宅を供給する、その基盤をつくっていこうという善意から出発した修正案であると受け取っていただきたい。そのことをどうぞ御承知おきいただきたいと思います。
  49. 山本弥之助

    山本(弥)委員 わが党の調査によりましても、首都圏におきましては、大手二十社で九千ヘクタール、近畿圏においては、大手二十九社で八千五百ヘクタールの買い占めが行なわれておるというふうな調査もしておるわけですが、この数字が当たる、当たらないにかかわらず、相当な買い占めが行なわれておる。これらを、その利用目的を明示させて、そうじゃないものは吐き出させるという体制をとるべきじゃないかと私は思うのであります。  建設省では、昨年、東京証券の上場会社の七百幾つでしたか、その中から調査をされて、そして、あれは三月三十一日の段階の調査が出ておるようです。あれで見ましても、たな卸資産も相当持っておるということが明らかになっておるわけですが、去年の三月三十一日の段階からもっと非常に激しくなっていると私は思うのであります。去年と同じような調査をなさいますか。
  50. 吉田公二

    吉田説明員 御答弁申し上げます。  昨年の三月三十一日、いまお話がございましたような調査を行ないましたが、今年度ももう少し拡充いたしまして調査をいたしたいということで、準備をしております。
  51. 山本弥之助

    山本(弥)委員 昨年の三月三十一日の段階からことしの三月三十一日の段階まで、相当の買い占めが行なわれておるということは推定できますか。
  52. 吉田公二

    吉田説明員 いろいろの情報を総合いたしますと、かなりの土地の取得というものが行なわれているということは推定できます。
  53. 山本弥之助

    山本(弥)委員 内田さん、そういったものを洗いざらい調査をしまして、そうして目的のないような、単に——農民というのは、現在耕作をしているんですね。それを吐き出させるむちを加えるよりも、目的がなくて土地の値上がりを待っておるようなものを買い上げるというような体制のほうが、むしろ効果的じゃないでしょうか。
  54. 内田常雄

    内田委員 一般論としては、お説のようなことも十分考えなければならぬところでございましょうが、先ほど来触れておりますように、今回の修正案は、本年度においては、A農地における農地の問題でございますので、このような修正案にいたしたわけであります。  なお、先ほど申しそびれましたが、農地を宅地化する場合に、農家が、民間デベロッパーではなしに、地方公共団体でありますとか住宅公団、あるいは地方住宅供給公社等の特定の公的使命を持つ住宅宅地供給機関に農地を譲渡する場合には、これにも従来の制度における制約をはずしまして、そういう方面にも土地が移転しやすいような措置もとっておる。これは私が出した法律案ではございませんが、政府のほうでそういう配慮もいたしておりますことを申し添えさせていただきます。
  55. 山本弥之助

    山本(弥)委員 とにかく、土地の投機だとか、そういったものの責任を農民に転嫁するということはよくないことなんですね。投機が行なわれればこそ農民は売り惜しむのです。私どもの地方都市では、札束を持って買いあさるものですから、有利に処分できるかどうかということで農民はからに閉じこもるわけなんです。この買い手のほうの規制を加えない限りは、地価の安定ということは期せられぬですね。幾らむちでたたきましても、できません。  もう一つは、こういう情勢が続いていく限りにおいては、農民団体を中心にいたしまして、売るべきものも自衛上売らないということになる。結果においては、さらに売ることに対する売り惜しみですかね。それは、自分らが売ったものが、業者が転売いたしまして何年もたたないうちに十倍になる。百倍になる。現に、青森県のむつ小川原なんかたいへんなものですね。県の関発公社に売るために、その会社の株主である子会社が買いあさって、さらに高く県の開発公社に売りつけるというやり方をとっておりますね。そういうことを見て、農民は、知らず知らずのうちに地価のつり上げを招来するようなからに閉じこもりますね。こんな小手先の宅地並み課税みたいなもので、簡単に出てくるものではない。いわゆる責任を農民に転嫁することはよくない。元凶を押える対策を講ずることです。これを大局から見ていかなければ、こんな小手先のことで土地がたやすく出てくるなんて考えるのは大間違いですよ。むしろ、農民は、税金をかけられても売らぬで、ぐっとがんばりますね。逆の効果を招来すると思うのであります。世論は、あたかも、この課税をすることによりまして、農民がどんどん手放すんだというふうな見方をしておりますが、私は、買い手の規制をしない限りはこの問題は解決しないというふうに見ております。この点は十分お考えおき願いたい。先ほどからどうも意見があまり違わぬようですが、党内でがんばっていただけないのが残念なんですが、この質疑の終了までにそういうことをもう一ぺんお考えをお願いしたいと思います。  時間がありませんので、もう一つだけ私は申し上げたいのですが、私が冒頭に申し上げましたように、固定資産税というのは市町村の税金なんです。これはできるだけ妥当な税金をかけて、地域の開発に貢献することが必要だと考えておるのです。それを、その当該市町村が活用するならわかるわけですが、市町村というのは数限りなくあるわけです。現に、大都市周辺を見ましても、大都市というのはもう抜き差しならないほどの状況になっていますね。たとえばA、B農地一万六千八百十二ヘクタールのうち、東京二十三区を含めまして、横浜とか川崎とか名古屋、大阪、神戸、京都、そういったところは、A、B農地を含めまして一五%なんですね。大部分が周辺の約百五十市だと思うのです。そういうところほど東京のあおりを食って、どういう町づくりをするか、将来の町づくりに農地をどう活用するかということについて苦慮していると思うのであります。先ほど質問いたしましたが、公園の問題にしましても、緑地の問題にしても、先ほど税務局長も言われましたけれども、緑地のないところは農地を極力残して、これ以上つぶさないようにし、場合によっては奨励金を出しても緑地のかわりをさせようというような市もあるんですね。百五十の市は、それぞれ将来の町づくりを考え、学校も建てなければいかぬし、住宅も建てなければいかぬのですけれども、そういう施設をやる場合に、農地をどう活用し、どう緑地として残そうかということが、これがいろいろ事情が違うんですね。それを一がいに、短兵急に追い出すという対策では、大都市はもうどうにもならぬようになってきて、これの町づくりは容易ならぬことだと思うのです。今回は、当面はA農地、B農地は来年からですが、その町づくりにもろに影響を受けるのは、この百五十の周辺の市なんですね。それはいろいろ事情が違いますので、この農地をつぶすべきであると考えている市もあるでしょう。あるいは、この農地は残しておかなければならぬと考えている市町村もあるでしょう。それらは、一片の画一的な宅地並み課税によって解決をつける問題ではないと思うのですね。  その意味におきまして、昨年、私ども議員立法で、この地域を宅地並み課税にするか、あるいは農地として安い税金で営農を続けさせるかということについての判断は市町村長にまかし、市町村長は、農民だとか、その他勤労者、学識経験者を含めまして、いわば地域住民の参加のもとに農地課税審議会を設けて、それに諮問して、その結論によって、これは営農を続ける農地として農地課税をすべきである、これは外形は農地であるけれども、むしろ住宅にしたほうがいい、あるいは宅地に転用すべきであるという判断のもとに宅地並み課税をするという制度を採用したのですね。これは、地方税の体系の中から見ますと新しい体系ですけれども、将来の町づくりの上に、あるいは将来の住民参加の考え方を取り入れる上におきましても、これは非常にいい制度である。この制度を活用しながら、農地課税についての将来の打開を市町村に一任する。総理が頭からこうやるんだということじゃなくて、総理以上に市町村長は地域住民と密着して、地域住民の要望についてどう利害の調整をはかり、その町の将来の十年間の町づくりをどうやるかということについては、非常に苦心をしているのですね。一国の総理として、そのいろいろな方法を一つの方向に振り向け、こまかい事務的な問題に頭を突っ込んでみずから陣頭指揮されるというやり方は、全く大局を誤る考え方であろうというふうに私は考えているわけなんです。それは市町村長にまかせるべきだ。  その考え方を来年から今度の新しい農地課税に取り入れていくことが最も妥当な策であり、それが宅地供給にも役立ち、あるいは、いわゆる建設省の都市計画に基づく町づくり、都市計画の推進にも役立つのです。農民がみんな宅地に供給しまして、みんなまちまちにスプロール化するような住宅を建ててごらんなさい。将来の町づくりなんかできないですね。そのことを考えますと、私は、去年のやり方は、将来の町づくりといたしましても、宅地課税にいたしましても、妥当な方法であるというふうに考えていたのです。そのことで、自民党皆さんあるいは野党も極力共通点を見出そう、もしそれができなかった場合は、それはやむを得ぬ、できるだけベターな方法できめる以外にはないというのが私どもの腹だったのです。  私は、この問題は、地方公共団体の町づくり、都市計画との関連において宅地並み課税を解決すべきであるということにおいて新しい打開の道を見出すことが最も理想だったと思うのです。しかし、自民党皆さん総理に対する説得が足らなかったのかどうかわかりませんけれども、一国の総理というのは、地価対策をどうするかという全般を考えるものなんですね。市町村長が苦心をしている。その市町村長の創意を生かして、そして施策をやらすということが一国の総理の使命なんですね。総理にも質問したいと思いますが、事務的な各省の局長を集めて代案をつくれなんという、そういうことでは国の将来を誤りますよ。ですから、次から次におかしな問題が出ているじゃありませんか。これはやはり、自民党の失政を重ねるということばかりでなくて、私は、党幹部が、総理というものはそんなことでなくて、もっと大局からものごとを判断すべきだということを極力主張すべきだったと思うのですが、公共団体の果たす役割りとの関係で、それをどうお考えになりますか。  それと、この問題は、あくまで市町村長に将来は権限を委任するんだ、たとえば土地の規制にしても、地方公共団体、ことに市町村を中心に全部権限を委譲して規制するんだ、あるいは、どのくらいの買いだめをしているか、買い占めをやっているかというようなことの調査も、積極的に市町村にまかせて、市町村が、これは農地として残し、将来は公園の一環として、財源にゆとりがあれば農民から買い上げるという意味においての市町村の権限の強化をするんだということが必要です。建設省で考えておられる公有地拡大でも、あれは役に立っていますか。住宅敷地を買うにも、公有地拡大推進法というのは何の足しにもなっていないわけですね。公共団体を拘束する公示価格も、去年から三〇・九%も平均が上がれば、最高はもっと上がっているわけですから、そんな公示価格を売買の基準にして妥当かどうかということも、もっと別の基準価格をもって考えなければいかぬということも言えるわけですね。  そうなりますと、私は、国の全般として考えなければならない土地対策、地価対策は、もっと苦心を払っていただきたいと思うのです。税制にいたしましても、譲渡税にいたしましても、一〇〇%の利益の吸い上げではないんですね。保有税にいたしましても、あれでは出しませんね。土地を吐き出す方策の保有税、地方税ですけれども、これでは出しませんね。そういうことを考え合わせますと、税制で小手先のことをやるよりも、もっと基本的な問題を考えなければならぬというふうに私は考えておるわけであります。  時間もだいぶいただいたんですけれども、私に与えられました時間が参りましたのでこれで打ち切りたいと思いますが、内田さんの御意見、御答弁を願い、さらに、この問題に集中して、私以外からいろいろな貴重な質問や意見が述べられると思いますので、それらを参考にいたしまして、最後総理の英断を——これはこまかいミスがあるということを御認識になれば、再修正考えるだけの強い姿勢でお臨み願いたいと思いますが、総理を説得することができるほど内田さんは党を代表して来られておるのですから、それだけのことをしていただきたいと思います。私どもの要求は全面的に通らぬまでも、これは変えたほうがいいですよという程度のことは主張願いたいと思うのですよ。それでなければ、不信行為不信行為としていつまでも尾を引きますね。と同時に、今後とも、この問題については、私ども自身も検討し、将来に残された問題の究明に全力を尽くしたい、かように考えております。  御答弁をいただきまして、私の質問を終わります。
  56. 内田常雄

    内田委員 山本先生のたいへん御熱心な御所論を十分拝聴さしていただきました。あとの関係もございますので、私がそれに全面的に賛成であるとか反対であるとかとにわかに言うことは留保さしていただきたいと存じます。十分拝聴いたしました。  ただ、御所論の大部分は、今度の特定地域の市街化区域の中でも、C農地に希望が託されるところではないかと思います。それは、すでにお配りした資料でも御承知のように、三大都市圏の市街化区域農地面積、A、B、Cを合わせますと、十万八千ヘクタール余あるのでございます。C農地がそのうち八五%を占めておりまして、今度私ども修正でタッチをいたしますA農地は三・三%という限られた範囲でございまして、この地域におきましては、これは山本さんも御承知のとおり、さっきお述べになりました緑地的のものもございましょうが、大部分は全く市街化の状況を現になしているような地域の中に点在するような農地が多いわけでございますので、当面、こういう修正案として提出をいたしておるわけでございまして、希望の地域、C農地につきましては、先ほど来申し述べましたように、御所論をも十分私ども党人としては——政府は知りませんけれども、同じ委員会の同じめしを食っている私といたしましては、御所論をも十分参考にいたしまして、今後の対策に遺憾なきを期してまいりたいと思います。ありがとうございました。
  57. 上村千一郎

    ○上村委員長 今井勇君。
  58. 今井勇

    ○今井委員 私は、与党立場から、今回提案されております地方税法の一部を改正する法律案について質疑を行ないたいと思います。  まず、最初に、この間の趣旨説明によりますと、今回の措置は、市街化区域農地と宅地との税負担の不公平が著しく、かつ、土地対策の必要性が特に強いと考えられる首都圏等三大都市圏の云云だ、こういうふうに言われておりますが、私は、次に申し上げる幾つかの理由で、この三大都市圏に限られたのがどうもふに落ちないのであります。  それは、まず最初に、最近建設省で発表されました地価公示制度の調査結果を拝見いたしましても、三大都市圏の市街地の宅地のこの一年間における上昇率を見ますと、確かに高いことは高いのですが、人口五十万以上の都市、いわゆる地方における中心的な都市でありますが、たとえば広島であるとか、仙台であるとかというところを見ますと、逆に、三大都市圏の中の名古屋の地域よりもむしろ宅地の価格の上昇率が高いという厳然たる事実があるわけであります。もう一つは、これだけの特定な地域だけに限定したということは、法のもとにおきます公平に反するのではなかろうかということ。また、昭和四十六年の立法のときの趣旨でございますところの、全国を網羅するという方針にも明らかに反しておると思います。このような見地から見ますと、まあ、追っかけてするんだとは御説明がございましたが、その申し上げた三つの理由から考えましても、やはり、今回これを同時にされるべきでなかったかというふうに私は思います。お考えをまず承りたいと思います。
  59. 内田常雄

    内田委員 今井さんに御満足をいただける御答弁になりますかどうか、じくじたるものもございますが、今回三大都市圏の特定地域に限りましたのは、今井さんのおっしゃるような地価上昇などの現状ももちろんございますけれども、この時点における措置としては、私ども考え方ばかりでなしに、この一年間における自治省の研究案の一つにも、三大都市圏というものを対象として取り上げた研究の結果がございましたし、あるいはまた、当委員会地方税委員会に、わが党の理事のお一人からテンタチブな試案として出されました一つのたたき台にも、三大都市圏を対象にした案があったわけでございます。そうしますと、いまこれを四十六年の法律のとおり、全国的に対象を広げることも適当でないとすれば、この際としては、田中総理がしばしば述べられるように、日本の人口の三二%がわずか国土の一%の地域、すなわち、東京圏と近畿圏と中部圏に集中をしておって、そこが都市政策としても一番大きな困難をなしておるというようなことに着眼をいたします場合に、この三つの地域、しかも、それも、ことしは、そのうちのわずか三・三%にしかすぎないA農地だけ限るということで、ごく謙虚なといいますか、修正案を出させていただいた。こういうわけでございまして、今井さんのお考えを決して否定するわけではございませんが、結局、どれかということでこういうことに落ちつきました経緯は、今井さんも党人として御承知のとおりでございます。
  60. 今井勇

    ○今井委員 党人として、と言われますと若干困りますが、先ほどの御答弁の中にもありましたが、この委員会考えましたいろいろな案の中にも、必ずしも三大都市圏だけに限ったものではないというものもあったはずであります。私は、なぜそんなことを言うかといいますと、地価の上昇のみならず、宅地の供給の逼迫度というものを見ますと、あに三大都市圏のみならんやということを、非常に切実なものとして私は感ずるからでありまして、いまちょっと申し上げた五十万以上——私は、むしろ、逆に、五十万以上のみならず、三十万以上でもそうだろうと思いますが、とにかく、こういうものを後手後手でするからこそ、非常に混乱を及ぼすというふうな感じがいたします。したがいまして、やはり今後の問題として考えなければならぬことは、この趣旨説明を読みますと、そのほかの問題は五十年度までに、と書いてありますが、どうもそういうふうなゆうちょうな問題ではないと私は思います。  そこで、ひとつ御提案をいたしたいのでありますが、本年度は万やむを得ないにいたしましても、可及的すみやかに、三大都市圏のみならず、その他の地方都市、特に中核都市に対しまして措置をするようなことを私は強く要求いたしたいと思います。御答弁いただきたいと思います。
  61. 内田常雄

    内田委員 今井さんは、私ども承知をいたしております範囲でも、建設行政については非常な達識をお持ちの方でいらっしゃいますので、今井委員のそのお考え方はまことにごもっともであると存じます。  今年度に引き続く問題として、これはわが党においても取り上げて検討をいたしてまいるべきものと考えます。
  62. 今井勇

    ○今井委員 この問題は、いまのようなことでございますので、これ以上申し上げません。  次に、私は、土地対策の面から一つ取り上げてみたいと思いますが、今回取り上げられました特定市街化区域というのは、確かに、全国で見ましても最も人口稠密なところであることは間違いありません。ただ、私が心配いたしますのは、今回の修正が過密化をさらに促進するものではないだろうかという懸念があります。そこで、まずお尋ねしたいのは、一体、今回の措置で宅地需要はどれだけ充足されるのか、それは一体どういう人たちの宅地需要を考えられているのか、これをまずお伺いしたいと思います。
  63. 内田常雄

    内田委員 まことにごもっともなお尋ねだろうと思います。これは、私は一委員でございますので、お尋ねの数字につきましては、必ずしも今井さんにお答えできない数字もございますので、政府当局からも答えていただきたいと思いますが、今日、御承知の住宅建設五カ年計画が、総数では九百五十万戸。そのうち、これは正確に今度の特定市街化区域農地とは一致しないと思いますけれども、三大都市圏を中心とする区域において必要とする住宅供給戸数が六百数十万戸のはずでございます。しかし、六百数十万戸の住宅を建設するのですが、全部土地が要るわけではない。古い家をぶっこわして、平屋をこわして、五階、六階、八階の住宅をつくるという方向もございますので、用地は必ずしも二戸当たり何十坪ということではございませんで、私が覚えておりますところによりましても、この三大都市圏における新しい用地の所要坪数というものは四万数千ヘクタール、こういうことになるはずでございます。  しこうして、今回の修正案で取り上げました三大都市圏のA農地とB農地を足しますと、おおむね一万六千数百ヘクタールということになりますが、もちろん、一万数千ヘクタールが全部住宅の敷地、宅地になるわけではございません。農地とか、公園とか、さっきの緑地とか、あるいは公共施設もございましょうけれども、しかし、これから建てられる家は、決して平屋建てが多いわけではございませんので、一方、助成法などでも、原則として四階建て以上の家の建設を期待いたしておることから考えますと、この一万数千ヘクタールの土地は、一方の三大都市圏の地域における四万数千ヘクタールの住宅所要地域に対しましては、二割ないし三割ぐらいの供給のシェアといいますか、ウエートを持つものであると私は考えておりますので、今日の住宅事情から考えますときに、この一万数千ヘクタールのA、B農地というものは、宅地供給源といたしまして最も近々の必要がある地域だ、まずそれから始めようということで、この修正案もそういう数字を一方の頭に置きながら構想をいたしてまいりました。  以下、こまかい点につきましては当局から補足してください。
  64. 吉田公二

    吉田説明員 ただいま御答弁がございましたが、事務的に申し上げましても、大体いま先生のおっしゃられましたとおりでございまして、住宅建設五カ年計画におきまして、三大都市圏で大体四万三千ヘクタール程度の新規の宅地の需要を見込んでございます。これに対しまして、三大都市圏のA、B農地が約一万六千あまり、単純に計算いたしますと四〇%程度に当たるわけでございますが、大体、五カ年計画の対象期間あと四十八、四十九、五十年と三年間でございまして、この間に、たとえば一万六千の半分のものが供給されたというふうに見ますと、大体二〇%程度に当たるかというふうに算定しております。
  65. 今井勇

    ○今井委員 数字的には確かにそうであろうかと思います。これは、実は、この間、四月十二日付の朝日新聞にも出ておりまして、お読みになったかと思いますが、その要点は、二十三区で最も農地の多いのは練馬区だが、ある人が、「C農地の人たちはもちろん農業を続けるが、A農地の人たちも、どうしようといいながらも、売ろうという人はゼロ。マンションやアパートを建てようという人も少なくて、駐車場転用希望などが目立つ」というようなことを言っておるのですね。そうすると、宅地になろうとする農地は価格が決して安くない。こうなると、こういった高い地価の実情のもとで、低家賃の住宅が一体供給できるのだろうか。片方は放したくない農民がおる。しかも土地は高いじゃないかというと、ほんとうにいま土地がほしくて家がほしいのは、東京に住んでいるサラリーマンだろうと私は思うのですが、せっかく数字は合っても、実際それがその目的どおりにいかなければ、何のためかわからないというふうに私は思う。その点について、どんなふうにお考えになっておられるか、聞きたい。
  66. 内田常雄

    内田委員 今井さんの御質問はまことにごもっともで、私どももそういう議論をいたしてまいりました。でございますから、三大都市圏の中の土地が坪当たり高いからといって、それでは高い家賃の住宅しかできないということで、この地域の住宅供給を放棄することはできませんので、どうしたならば安い住宅を供給できるかということもあわせて考えなければならないことに当然相なるわけであります。そして、いま引例がございましたガレージなどに転用する場合には、それは、農地は宅地並み課税のなりっぱなしでございますし、また、ガレージのものによっては、当然固定資産税が上ものにもかかりましょうし、譲り渡せば、不動産取得税や譲渡所得税もかかりますが、そういう住宅以外の目的に農地を転用する場合には、今度この委員会政府から提出されております宅地化促進法におきましても、金融、税制その他のフェーバーは何も与えておりませんが、それを貸し家住宅あるいは分譲住宅等にいたします場合には、いま申しましたそれぞれの税の面におきまして、少しでもそういう宅地あるいは住宅になりやすいような税制上の特別措置をとっておりますし、また、建設資金などにつきましても、これは私ども政府とずいぶん交渉いたしたわけでございますが、政府としてはずいぶん思い切ったつもりで、かなり安い住宅金融公庫の金利というようなものも出しております。しかし、それだけでは、今日やはり高い土地の上に安い家賃の住宅はできないはずでございます。一方におきましては、高層住宅は認めないというようなことを述べる向きもあるそうでございますけれども、しかし、それでは、今日の趨勢として、とうてい低家賃あるいは低価格の分譲住宅もできませんので、やはり、高層の住宅をつくることを趣旨として、促進法においても配慮をいたしております。  なおまた、これは先ほどもお話がございましたように、個人家主といたしましては限界もございましょうので、これはできる限り、公共団体なり、あるいは住宅公団なり、あるいは地方の住宅供給公社その他の公的性質を有する機関に地域の住宅を建ててもらう。そういうものにつきましては、国は極力思い切った住宅助成をする。これは今度の修正案そのものではございませんけれども、今日の世相からいたしまして、今日の社会経済状況からいたしまして、国であれ、政党であれ、当然それはなすべきことであると私は思いますので、そういうところへそういう政策が同時に実現するように、最大の努力をわが党といたしましてもやらねばならない、こういうことに落ちついておるわけでございます。
  67. 今井勇

    ○今井委員 私も、土地の価格を安定させ、かつ住宅を大量に供給するためには、やはり公的の機関が思い切って乗り出してまいりましてこれをするということが一つの有力な方法であろうとかねがね考えておりますが、実は、その前に、いまのこの三大圏におきます住宅事情の逼迫度合いも、日本全体のことから考えていかなければ解決がつかない問題だと私は思うのです。入るほうを現在ほっておきますと、建てるそばからどんどん人間がふえてくるので、むしろ、逆に、いまおる人たちを日本全国に散らす、いわゆる改造になりましょうが、そういう方法を積極的にとっていかなければ、いつまでたっても解決のつかない問題であろうかと思う。同時に、現在既成市街地になっておりますそのものの都市改造をやってまいりませんと解決のつかない問題だと私は思いますが、この問題については一体どのような認識を持っておられるのか、承りたいと思います。
  68. 内田常雄

    内田委員 その点については、私どもの認識もさることながら、先生のほうがはるかにすぐれた見識を持っていらっしゃいますので、そういう政策を推進するための有力者の一人として、今井さんに、大いにその御所見の実現を、私どもともども努力をしていただきたい、かように私どものほうからお願いいたします。
  69. 今井勇

    ○今井委員 そこで、都市局長が見えておりますのでちょっとお尋ねしたいのですが、大都会に流入する人口、これを抑制するという方法は、各国でそれぞれ頭を使い、知恵をしぼっているところでありますが、建設省でも、こういう問題についてはいろいろ御検討があろうと思う。たとえば、大都市に用事のないような職業におつきになるような方々に対する規制であるとか、あるいは事務所に対する課税の問題等もあろうかと思うが、一体、どのようなことを建設省で現在考えておられるのか、ひとつ、その考え方を聞かしていただきたいと思います。
  70. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 直接的には、首都圏あるいは近畿圏の特別法に基づきまして、一定規模以上の工場、大学等の新増設を、制限区域内ではほとんど許可しない制度がとられております。そのほか、その人口吸収要因である各種施設を学校や工場以外にも拡大すべきだという議論もあり、それも法律上直接規制するとか、あるいは、その他の間接の手法によって効果を期待するとか、いろいろな構想もあり得ると思います。いずれにしても、学校や工場のように、現に制度化されているものに比べれば、大都市といえども、真に必要なものは都市そのものであるというようなものも多いわけでありまして、困難な点があって現在まで来ているものだと思います。  しかしながら、そういう直接的な規制は非常に端的に効果は出ますけれども、日本じゅうの全国土を広く活用するというためには、やはり、大都市に匹敵する魅力、文化、雇用の機会、教育の機会というものを持った地方の都市あるいは都市群というものが大幅に育成されて、そちらの受けざらの整備ということによって、自然に現在の大都市に集中している人口、あるいは地方から大都市に向かおうとしている人口が、少なくとも地方都市の段階でとどまるということ、むしろそちらを選択するというような方策が根本的には必要ではないかと考えております。
  71. 今井勇

    ○今井委員 そこで、もう一歩進めまして、建設省は地方の中核都市を積極的に育成するのだということをいま言われましたが、しからば、具体的には一体どんなことをやりつつあるか、あるいは何をこれからやろうとするのか、そこらあたりが実は問題だと思う。かけ声だけでできるならばもう簡単なことでありまして、その中身が実は問題だと思う。どんなことをいま考えておるのか、考え方を聞かしてもらいたい。
  72. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 私ども考えておりますものは、フィジカルなものといたしましては、いまの地方都市に欠けていると思われるようなもの、すなわち、大学等を中心とした、あるいは研究所等を中心とした研究学園都市であるとか、あるいは研究学園の新市街地の整備といったものを核とする新都市であるとか、あるいは、その他の工場、流通業務団地というような雇用の機会を提供する施設を、都市計画的に、あるいは地域計画的に、十分のマスタープランをもって環境対策上も配慮しつつ進出をさせること、また、そのための手法であるとか、それを取り巻く下水道や河川、都市公園、鉄道、港湾、こういったもろもろの公共施設の思い切った整備、こういうことでございます。実は、こういったものを制度化して、全体の構想もその制度の中に取り込み、また、その構想に即して、個々の公共施設なり開発事業を行なうというようなものもそこに取り込むという意味におきまして、たいへんおくれておりまして恐縮でございますが、現在、政府部内で、内閣等を中心に関係各省が集まりまして、その構想の制度化を急いでいる段階でございます。
  73. 今井勇

    ○今井委員 私は、その内容についてつぶさではありませんが、少なくともそういったものの考え方は正しいと思いますし、やはり、一つきちっと制度化して、それを進めるという努力を続けなければ、かけ声だけでは、言うべくしてなかなか行なわれないような感じが私はいたします。それらの、ただいま建設省の皆さんが研究されておりますものが具体的になりますように、強く要望をいたしておきたいと思います。  計画局長と都市局長が両方見えたので、私は、続きまして、先ほど山本委員の触れられました生産緑地の問題を取り上げてみたいと思いますが、まず、都市局長から、都市計画法にいう緑地というのは何か、教えてください。
  74. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 都市計画法では、都市施設の一つとして、公園などと並べまして緑地というものを都市計画決定する制度を開いております。これは、広い意味での公園緑地と類似の用語で言われておりますが、普通の考え方としては、公園よりももう少し広いようなものが多いのではないか。また、その上に整備される施設などは、公園の場合には、遊戯場であるとか運動場であるとか——もちろんその中には樹林とかを積極的に植えるわけですけれども、何か、そういういわゆる公園という感じになるような施設がかなり積極的に整備されているようなものという感じが強いのに対し、この緑地につきましては、樹林地あるいは池、沼等を中心に、できるだけ自然を保存しつつ、自然の樹木の形態を良好な形で維持していくというようなものが多いかと思います。
  75. 今井勇

    ○今井委員 なぜそのようなことを言うかといいますと、わが国においては、公園、緑地、いわゆるオープンスペースが非常に少ない。先ほどの御答弁どおりでありますが、特に、既成市街地の周辺におきます農地ですね、その使い方を一体どう考えるかというのが大きな問題だと私は思うのです。たとえば、農地を含めまして区画整理を行ない、それに高層住宅、中高層あるいは個人の住宅、公共住宅等をやり、その中に農地を保存いたしまして、それが市民のいこいの場所になるような形のものが考えられれば、緑地を供給するということに非常に役に立つであろうと私は思うのであります。したがって、いまの都市局長の御答弁でも、都市計画法の中の概念の中での生産緑地、要するに農業をやっておるまま、そのままの姿で緑地になるのだ、公園になるのだという思想がないように私は思う。しかし、それを考えていかなければ、人口一人当たり何平米でしたか、先ほど御答弁がありましたが、そういうものにはなかなかなっていかないのではないか。何でもかんでも施設をしなければ緑地にならないのだ、公園にならないのだという考え方をひとつここで改めて、と言ってはいけませんが、一歩前進をした考え方にすべきだというのが私の意見でございます。このような考え方に対して、どんな考え方政府委員が持っておられるか、ちょっと私はお伺いをいたしたいと思います。
  76. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 都市施設としての緑地という制度が、おっしゃいますように都市計画法にありまして、これの計画決定ということを行ない、いずれはこれを公的に買収するなり何なりしまして、正式の施設緑地に持っていく。そのための計画をあらかじめ十分に取り入れておくということはぜひとも必要だと思います。現在も、公園あるいは緑地という都市計画決定だけでは、すぐに緑地なり公園になるわけではありませんが、将来計画としてのそういう計画決定を行なっておりますけれども、まだまだ不足しているわけでございます。そういう都市計画決定をこの際さらに拡大し、将来のために十分の余裕を持った緑地づくりを準備しておきたいと考えております。  ただいまおっしゃいましたような農地につきましても、都市計画施設として将来にわたり保存されるというものであれば、別に、法律上農地はいけないというような制度はないと思いますけれども、実際には、農地の場合に、特に永年作物のようなものは別といたしまして、その他の一般の農作物の場合に、恒久的な緑地というふうにきめてしまうこと自身がむしろ問題ではないかと考えますので、都市計画の施設緑地としての運用については、やはりおのずから限界があるのではないかと思います。
  77. 今井勇

    ○今井委員 それじゃ、角度を変えて御質問をいたしますが、都市計画法の五十五条の一項でしたか、将来そういうものになるということのために指定する措置があったと思いますが、それは条文がありましたか。
  78. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 ございます。
  79. 今井勇

    ○今井委員 そういたしますと、現行制度でも、それを活用いたしまして緑地を確保することが可能であると私は思うのですね。それが実際にできない、なかなかむずかしいとすれば、何が問題なのか、ちょっとそこらあたりの感覚を聞かしていただきたいと思います。
  80. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 現在、都市計画法では、普通に都市計画決定をするというだけのものと、それからさらに、都市計画法五十五条によりまして、知事がその中でも特に指定するというものがございます。五十五条の指定をしますとどういうことになるかといいますと、普通の都市計画決定だけであれば、将来その事業を行ないます場合に、できるだけ建築などは許可したくないという場合でも、木造二階建て程度の建築物は許可しなければならないということになっておるのに対し、五十五条の指定をすれば、一切の建築物、構築物等を許可しないことができるということになっております。一方、その見返りとして、そのようなきびしい制限に対応させるために、土地所有者から買い取りの申し出があった場合には買い取る。こういう制度でございます。その中に、公園なり緑地として都市計画決定をし、さらに五十五条によって知事が指定をするということが現にあるわけでございまして、これにつきましては、将来正式の緑地として整備されるまでの間はいまのようにきびしい建築制限が行なわれますが、反面、買い取り請求が認められるとともに、現行の地方税法におきましても、いわゆる宅地並み課税の適用から除外されているということでありまして、これの運用は十分考えられることでございます。
  81. 今井勇

    ○今井委員 いまの答弁でも、現在の五十五条の一項を活用しても、オープンスペースの確保は必ずしも不可能ではないというふうに答弁をされたものと思いますが、そのものの考え方でありますが、たとえば、何でもかんでも農地をそうしろと私は言っているわけではないのでありまして、毎年毎年種をまいて刈り取るようなものではなくて、五年なり十年なり、あるいは二十年というふうな永年的な作物をやっておるところがあるわけです。そういうところがまた市民のいこいの場所になり得る場所がたくさんあると私は思う。そういうものを都市計画の中で取り入れて、そしてそれを積極的に活用するという姿勢が、いままでの都市計画というものの中にはやや欠けているのではなかろうかというふうに私は思うのです。だから、それを積極的に取り入れることが、今後の環境のよい市民の住まいの場所として大事であるというように私は思う。また、その反面、そういうことが、ほんとうにそこで営農をやっていこうという人たちのためにもなる。言ってみれば、両面の意味から考えても非常にいいのではなかろうかというのが私の考え方であります。  この問題につきましては、実は、建設大臣の出席を求めておりましたが、きょうは都合があって来られないようでありますので、しかるべき機会にまたいたそうと思いますが、きょう都市局長が来ておられますので言っておきますが、そういったものの考え方を、少なくとも建設省の中でも討論をされていただきたい。そして、そういうふうなものの考え方に立って、一体現在の法律で十分なのか、あるいは、不十分であればどうすればいいのかというようなことを具体的に研究をして、その結果をまた報告を願いたい、私はかように思います。  一つの方法としては、地域、地区の中で、新たに生産緑地のような地区を設けるという考え方もあるいはあるかもしれない。また、冒頭に申し上げたように、既成市街地の周辺部におきましても、宅地開発をするときに、意識的にそういう緑地を区画整理のときに残して、そこは農地として当分の間させるんだというふうにしておいて、そういった農地については税の減免をはかるとかいうふうな措置を講すれば、いまの制度でもできないことはないというふうに私は思う。ひとつ、検討を願うことを強く要望をいたしておきます。  いまの問題につきましては、内田委員から御答弁を願いたい。
  82. 内田常雄

    内田委員 先ほど山本さんの御意見もございましたが、今井さんの御所論、私もよくわかるわけであります。これはありていに申しまして、この論議は、自民党税制調査会、あるいは税制調査会を越えた政務調査会の中でもいたしまして、その際、私が先ほど述べたように、都市計画法に基づく施策の全面的の拡大といいますか、その発想の拡張のようなことを、昭和四十九年度の施策として国は、というのは、主として建設省でございますが、やる用意があるということで、そういう場合に、都市計画法の中に、これはさまったことではありませんが、いまの今井さんの御所論のような生産緑地式なものを——何といいますか、計画施設というのでしょうか、少なくともいままでの施設緑地とは違った意味のものを取り入れることについての議論をしよう、きまったというわけじゃございませんけれども議論をしようということに実はなって、その点はそのまま生きておるはずでございますので、今後、今井さんにも参加していただいて、大いに有益な議論をいたすべきであると私は思います。
  83. 谷垣專一

    ○谷垣委員 いまの生産緑地の問題で、関連してちょっと御質問したいと思います。  先ほどからの各委員からのお話の中で生産緑地の考え方が出ておりますが、建設省の方にお伺いをいたしたいのですけれども、施設緑地といい、公園緑地といい、都市計画法全体を考えますと、先ほど今井さんの言われた広い意味の緑地スペースという考え方よりも、どうも発想がやや狭い考え方で進んでおられるように私は思うのです。これは計画法が持っておる性格によると思うのですね。ところが、いま皆さんがおいでになる前からの委員会経過をずっと聞いておりますと、関係者から聞いておる都市関係の参考人の方々の御意見は、すべて、緑地あるいはオープンスペースというものを希求しておられる議論が非常に強い。端的に言えば、人口の流入はこれ以上はもうごめんだというような御意見がほとんど共通してあるわけですね。私は、これは、今日の都市計画の上では非常に不備な点だろうと思います。そして、都市計画が、実際問題として後手後手になっておる。もっと先を見通した大きな計画が先ばしっておればいいのですが、そうでなくて、財政の関係もありましょうし、あるいはまたスタッフの関係もありましょうし、あるいは、都市自体が非常に流動性を持っているということもあると思いますけれども、都市計画自体が後手になっておるという状況であろうと思うのです。  したがって、この際は、先ほどからの生産緑地のものの考え方にいたしましても、現在の都市計画の構想のワクから、よほど思い切った、足を出した考え方に転換をしてもらわないと、先ほど来の御意見の緑地の考え方、生産緑地の考え方というものは信用できないのじゃないかという感じが、私は、議論を聞いておりましていたしておるわけであります。建設省のほうも、この問題についてかなり御議論をされ、研究をされておることはよく承知をいたしておりまするけれども、しかし、先ほど来お話がございまするような、いわゆる農地を、個人の所有で個人の耕作にまかせながら、しかもなおそれを都市の計画的なものの中に入れていこうという、かなり画期的な考え方に対しましては、私は、なお、皆さんの御返答は、非常に腰の定まらない御議論のように拝聴せざるを得ない。これはもっと画期的な考え方を入れていただかないと、どうしても解決しないのではないかというふうに私は思うのであります。  したがいまして、これから議論するということになるでありましょう。しかし、幸いにして、さっき内田さんが、党の立場からの御議論でございますけれども、四十九年度の課税が始まるまでには何とかこれを検討しようということは党の立場としては考えておるのだと、修正案提案された責任者として言っておられます。私は、これはほんとうにそのとおりだと思うのでありますが、しかし、都市計画を遂行し、宅地を開発し、または緑地を希求しておられる建設省当局としてはどういう態度なのであるか。これは、従来の法律の範囲内で若干手足を広げましょうという考え方では、先ほど来の御議論の対象とは少し違うのじゃないか。今井さんはかなり遠慮した質問をしておられるかと思うのでありますが、私は、新しい制度として、生産緑地制度を都市計画の中に規定すべきである、従来の考え方を拡張するという考え方で運用していくべき筋合いのものとは性格が違う、新しい制度として考えていく必要がある、こういうふうに思うのでありますが、幸い都市局長あるいは計画局長自体も来ておられますから、責任者として、そこらのところをはっきり御返答を願いたい、かように思うのであります。
  84. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 先ほど内田先生からもお答えがありましたし、私どもも、現行制度の望ましい活用ということもありますけれども、さらに将来に向かって、市街地周辺における緑地のあり方ということを十分考えたいと思います。非常に緑地が不足してきておること及び計画決定のものも含めましても、なおかつ不足しておるということも確かでございますので、今後宅地化を進めるにあたりましても、こういった計画を積極的に進めるというような、現行制度の運用の拡大ということが一つあるわけですが、それを離れまして、何か新しい制度により、実効があって弊害もないというようなことが考えられないかということにつきましては、政府としても、一緒になって十分研究させていただきたいと思います。  ただ、この宅地並み課税ということにからむ、それの例外としての扱いといえば、現行制度では、非常にきびしい建築規制を伴ったもので永続的な緑地というものが拾われているだけでありますので、その点とのつり合いをどう考えていくかということが最大の問題かと思います。
  85. 谷垣專一

    ○谷垣委員 それだから申し上げておるのであります。すでに、建設省のほうから、生産緑地というような構想について通牒が出ているのを私は知っております。しかし、それは、あくまでも、従来の、将来公園になるであろう、将来何らかの施設になるであろうという、そういうものを予定したところでのみ認めるんだという趣旨のもので、そういう通牒が出ておる。これは、従来の都市計画法の皆さんの運用の上から言いますと、当然の通牒だと思うが、それではいかぬというのであります。三年あとにはそういう意味の公園になるから、五年あとにはおそらくこういう施設を建てるだろうから、その限りにおいて、いわゆる生産緑地を認めようという考え方ではだめだと、こう私は言っておるんです。そこまで言わなかったんですけれども、そういうことなんですよ。そうじゃなくて、少なくとも、将来公園にならぬかもしれぬが、あるいは緑地にならぬかもしれぬが、しかし、十年なら十年の一定の間農業をやっていくということがはっきりしておるし、都市計画の上から見ても、それだけの広がりを持っておるオープンスペースがあるということは非常にけっこうなことだ。もちろん、これは若干の規制力があってしかるべきものです。あるいは、先買い権等があってしかるべきものですが、そういう種類の性格を持った生産緑地を考えてもらいたい、また、考えなければならぬのではないかということを申し上げておるのでありまして、従来の建設省の態度からは出てこない新しい範疇に属するものであると思うから、都市計画法上新しいものとして、生産緑地をはっきり書け、こういうことを言っているのであります。幸い、これは四十九年度までにそういうことを検討するということでありますからけっこうでありますが、少し話がそこは違うのであります。再度建設省のほうから御答弁を願いたいと思います。
  86. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 現行制度の延長でいかないとおっしゃっている趣旨はわかります。先ほど申し上げましたように、十分検討いたしたいと思いますが、本日のところは私ども考え方を述べろということであれば、先ほどのようなことであるということでございます。
  87. 谷垣專一

    ○谷垣委員 もうこれでしまいますが、たいへん苦しい御答弁のようでありますが、こちらから申し上げておる趣旨をよく御了得願って検討していただきたい。私たちは、大臣からでも、建設当局からでも、はっきりお約束を願いたいぐらいに思っております。それは都市計画からも決して悪いことではない。非常に発展的な考え方であると、私はそういうふうに思うのであります。  終わります。
  88. 上村千一郎

    ○上村委員長 島田安夫君。
  89. 島田安夫

    ○島田(安)委員 提案されております修正案についてお尋ねしたいわけでありますけれども、私は自民党の党員でございますし、内田委員にきびしい質問をいたしますことは少しおかしいようでございますが、しかし、今回の問題の取り扱いというのは、将来の党運営にも非常に影響すると思いますので、あえて質問いたしますが、御了承願いたいと思います。  いま、いろいろ山本委員からの質問でやりとりがあったようでございますけれども、若干状況が違うと私は思います。と申しますのは、本案につきましては、御承知のように、党内で、全部合計いたしますと十回をこえているのではないかと思いますが、地方行政部会あるいは税制部会、あるいは農林部会等の機関を通じていろいろ討議され、さらに、政調にもこの案件はかかりまして、その取り扱い等につきましては、ただいまお話があったとおりでございます。いわゆる地方行政委員会を窓口として、各党との話し合いによって一つの成案を得て、これを委員長提案とする。こういう一つの大綱は決定されておったわけでございますけれども、冗長なことは言いませんが、最後になって、総理のほうで、これはいかぬ、こんなことでは世論にこたえられぬではないか、どうするのだということになった。これが経過の事実だと私は思います。したがって、わが党の理事等も、辞表を取りまとめて党に持っていくというような、かつてないような状態まで発生したわけでございます。  そうした経過から考えますと、党でいろいろ試案としてまとめたものが、内閣の行政府の長として、田中総理のほうで、これでは世論にこたえられない、宅地供給の目的は達せられぬというのであれば、当然、党の総裁としてではなく、内閣総理大臣として、行政府の長として、確信のあるものを政府提案されなければ全然筋が通らぬではないか。また、われわれ党員といたしましても、何十回も審議して一つの方向が定まり、決定したものが、総裁の一声で根底からくつがえされて、当委員会理事は辞表を取りまとめてうろうろするというようなことが、将来の党運営に万一重ねてあるとするならば、これは重大な問題だと思います。私は、党員として、たとえ総裁といえども、党議で大綱がきまったものは、そのようなかってなことをすることはできないと思う。これでは、民主主義のルールを基調としておるわが党はおかしいじゃないですか。あなたにそれを責めるのは酷のようですけれども、将来に影響があると思いますので、どうして今回総理の言うことを聞かれて党の提案とされたのか、それをまずはっきりお伺いいたしたい。(「こちらにはわからぬ」と呼ぶ者あり)
  90. 内田常雄

    内田委員 島田さんの御提議の問題は、私も同じめしを食う党人の一人として、たいへんよくわかるわけでございますので——党外の皆さま方にはわからぬという、そういう御迷惑をおかけするわけでありますが、党内の問題として、私も党人として、総裁ともひざ詰め談判をすべきものは今後十分なすことにして処理をいたしてまいりたいと思います。  ただ、一言申しますと、これは私ども中心になりまして、昨年の例もございますので、各党のお打ち合わせを願って成案を得ることを期待をいたしておりました。現にここにすわっておられる委員長の上村さんも、私とともに自民党税制調査会の幹部の一人でいらっしゃいますので、私のみならず党の幹部も上村委員長ともお打ち合わせをして、いま申すような段取りをとってまいりました。そこで、私どもも、また党の総裁としての田中総理大臣も、各党話し合いの結果が、今日の住宅対策にこたえ得るようなりっぱな最大公約数が出ることを期待いたしておったわけでございますけれども最大公約数というものはだんだん小さくなるのが数字の法則でありまして、最大公約数が得られないような事態のもとにおきましては、一党を預かる、ことに政府を預かる総理大臣としては、世論に迎合するというわけでなくても、所信に従って党の方向づけをせざるを得ないという事態に来ておったことも、これもまた理解をしていただければ幸いでございます。  以上でございます。
  91. 島田安夫

    ○島田(安)委員 できてしまったことですから、理解するもしないもありませんし、理解します。しかし、党の総裁として云々ということは、この際当たらぬじゃないかと私は思います。というのは、この委員会に一応まかせて、しかも、内容といたしましては、いろいろ論議されております。農民がどうしても市街化区域内で農業を営まなければならないというような特殊なことについてはやむを得ぬじゃないか、宅地並み課税は酷じゃないか、税法上からも問題がある、そういういろいろな論議を前提として話し合いをして、一つの結論が出る。これが気に入らぬということであれば、総裁としてではなく、行政府の長として、こうしたものでは責任が持てぬ、世論にこたえられぬ、こういう結論に基づいて、当然、内閣総理大臣として、堂々と政府提案されるべきだと思うわけでございますけれども、まあ、これは、党員でありますし、これもまたやむなしと思いますが、ただ、将来の党運営ということから、幾ら総裁であっても、ツルの一声といいますか、これを天の声として、なるほどそうだというわけにはわれわれはまいりません。なぜならば、われわれにはわれわれの、また、その事案におけるいろいろな考え方がございます。それがいわゆる民主主義だと思いますので、将来こうした取り扱いのないように、たいへん失礼ですけれども内田委員のほうから総裁に、厳に慎まれるよう申し入れをしていただきたいと思います。  さて、本題に入りますけれども、時間がございません。実は、私、いろいろ農業団体に関係しておりますが、そうした観点から、今回のこの農地の宅地並み課税につきましては、農民の立場、さらには団体の立場から、いろいろな意見をちょうだいいたしております。したがって、これを十ばかりにまとめまして、ゆっくり時間をかけて、半日くらい、問題点と考えられるような事項、あるいは、これらの問題点を解消するには具体的にどうやればいいかというような点について質疑いたしたかったわけでございますけれども、時間がありませんので、いま提案されております宅地化に伴う臨時措置法案の中で、またいろいろと論議をかわしたいと思います。  そこで、二、三点にしぼってお尋ねしますけれども、まず初めに、今回の法改正では、市街化区域内では一応農業は営めないということになっております。これははっきりしておりませんけれども、しかしながら、たとえば五万円の評価額で十二万円の固定資産税、十万円といたしますと、倍ですから二十四万、現在の農業収入をはるかに上回るような固定資産税、そうした重税を賦課するというのに、農業が現実の問題として営めないというのは、これは歴然とした事実でございます。いわゆる農業収益の何倍もの税金をかけるわけでございますから、そうしたことになると思いますけれども、そうなってくると、われわれが主張しておったことは、若干でも、その市街化区域の中で、都市対策の見地からも言えますし、また、一つには、税法上の問題からも、どうしても農業を営まなければならないものについては、農地として宅地並みの課税をしないことが適切ではないかという意見を持っております。  そういう観点から考えていきますと、個人の職業の自由といいますか、農業をやりたいという、職業選択の自由というものを税金によって剥奪するのだということが言えるのではないかと思います。御承知のように、憲法にも職業選択の自由は認められております。また、職業の自由があるから財産権の問題も関連してくると思うわけでございますけれども、絶対にできないような、させないような制度をつくるということは憲法の精神にも違反すると思うのですけれども、その辺についてはどのように考えておられますか。
  92. 内田常雄

    内田委員 たいへん基本的な問題で、私一人ではしょい切れないわけでございますが、たびたび申し上げておりますように、今度の修正案は、最も住宅供給が緊急である三大地域の中の、それもまた、A農地だけに限っているということでございまして……(「A、B、修正案は一緒だ」と呼ぶ者あり)B農地は来年からと、こういうことになるわけでございますが、修正案はA、Bです。その点については、島田委員の御所見のように、まずそれは住宅供給優先で、農業経営というものは押しやられているという形にならざるを得ないわけであります。しかし、その地域は、先ほど来たびたび申しますように、この三大地域間におきましてもわずかに三・三%の地域であるということ、並びに、この問題は、昭和四十三年に新都市計画法が制定されまして、市街地、市街化区域、市街化調整区域という三地域が分けられます際に、その中の市街化区域は、A、BのみならずC農地も含む地域でございましょうが、そこにつきましては、農業がどういう形でそこから撤退するかというようなことでかなり激しい論議をいたしました上で、その当時としては、一つの方向を出しておるわけでありますことは御承知のとおりであります。  しかし、私は、これは若干島田委員と同じ考えもございます。私は委員として、政府じゃございませんので、そうはそうであっても、全国の、しかもC農地というようなものにつきまして、そこで農業が撤退をするというようなことは必ずしも——先ほども御引用いたしましたが、農林事務次官の昭和四十四年八月二十二日の地方知事に対する通達によく出ておりますが、そのとおりである必要はないと私は思うわけでありまして、一方、都市計画法などの全面的な検討といいますか、野心的な改定の作業とも見合わせまして、C農地等につきましては、これは生産農地の問題であれ、あるいはまた、四十四年の農業経営の全面的撤退を思わせるような指導のしかたについても、再検討の余地があってしかるべきだと私は思うわけであります。その証拠は、五十年までに、ひとつ島田さんにも一緒に入っていただいて検討してまいりたいと思います。
  93. 島田安夫

    ○島田(安)委員 私は大臣に聞きたかったのですが、税務局長がおられますのでちょっとお尋ねしておきたいと思いますけれども、私有財産の制限という問題につきましては、憲法の中でも、公共の用に供する場合にのみ制限ができるということははっきりとうたってある。そこで、今度の宅地需要というものが公共の用かどうかということでございますけれども、はっきりした解釈といたしましては、調べてみますと、法的には、公共の用とは、その目的を地方公共団体等が代行をするものを一応いうというような一つの判例が出ております。しかしながら、そこまできびしくこの問題を云々しようとは私は思いませんが、原則として考えられますことは、私権の制限をやれば、これにかわる対策というものが、過去のいかなる例におきましても必ず打ち出されております。たとえば、公共の用に供するから、この土地なら土地というものを道路用地として提供しろ、これは幾らで買ってやるというような、強権といいますか、そういう措置に対する取り扱いというものが裏づけとなって示されておるわけでございますけれども、今度の案では全然示されておらぬ。重税を課す。農業はやれない。しかしながら、その農地をそれじゃどうしてやるというような対案もないから、農民は非常に不満を感じている。  税務局長は、今回のいわゆる税金によって土地対策をやるということ、さらには、私権の制限をした場合に、そういう問題についてどう考えておられるかということ、これをちょっとお聞かせ願いたい。
  94. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 固定資産税は、その固定資産について、いわば社会的、経済的に適正に利用される、その場合の一般的な収益というものを課税の対象にするという考え方のもとにつくられている税制でございます。そういう観点で現在の固定資産税の課税標準が定められ、また、税率が定められるということになるわけでございます。そういう意味におきまして、その固定資産が現実にどのような使用状況にあるかということについては、税制としては特に考えておらないわけでございます。そういう意味で、全く利用されておらない固定資産についても、固定資産税は課税をする。全く収益を現実には生んでおらないという資産についても課税をしていくというたてまえをとっておるわけであります。  ただ、実際にこの農地についてこういうような課税方式をとります場合には、確かに、農地のままの利用ということが不可能な土地も出てくるであろうということは考えられるわけであります。税制としてこういう制度をとります場合には、それに対応する措置というものは当然考えていくべきであろうというふうに考えられるわけであります。また、税制自体におきましても、そうした負担を急激に求めていくということではなしに、ある程度の年限を置いて他の土地との税負担の均衡をはかっていくという、一定の調整年限を置いていくという措置をとっているわけであります。  また、今回、こうした新しい立法に伴いまして、別途それに対応する対策というものが考えられておるわけであります。税制自体は、通常の農業経営をいたします場合には、あるいは税負担のほうが農業収入よりは大きくなるということも考えられるわけであります。当然、そうした別個の対策によって転換がはかられざるを得ないということになるだろうと思います。
  95. 島田安夫

    ○島田(安)委員 別個の対策というお話が、さっきから内田委員のほうからも出ますが、おかしいじゃないですか。今後、市街化区域内のA、B農地に対しても、農地として保存すべきものは生産緑地として考えていくと、こうはっきりおっしゃっているわけなんですが、そうしますと、法律の定義なんですけれども、農地とはどういうものか。これを宅地並みに課税すること自体が税制上問題ではないのですか。いわゆる農地を宅地とみなす、宅地に転換していくという、一つの将来にわたる経過があるから、宅地並み課税というものも一応常識的には考えられてまいりますけれども、農地として将来も保存して、使用目的もはっきり農地である。こうしたことがはっきりしているのに、宅地と同じ税金をかける。たとえば、さっきも言いましたように、評価額が十万円であれば、都市計画税等も入れますると二十四万円をこすような税金を一年に払わなければいけない。将来ですよ、制限措置がしてありますから、現在は少ないのですけれども、いまのままで、昭和五十一年になりますと二十四万円。普通農業をやっている場合より若干上回るということに当たらぬじゃないですか。農地法で、法律で農地として認められ、農業を営んでおる、しかも生産緑地として保存する、何らかの具体的なほかの方法で調整をする、これは邪道じゃないのですか。はっきり農地としているものに宅地の課税はできぬじゃないですか。その辺どうですか。
  96. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 市街化区域の農地につきましては、一般の農地と違いまして、農地法上の制約というものは実質上なくなったわけでございます。したがいまして、これをどのように使うかということは、全く所有者の自由になっているわけでありまして、それを宅地に使用するも、あるいは農地として使用するも、これは自由な使用でございます。したがいまして、税制上としましては、その土地が現実にその他の土地と全く同様な自由な使用が認められるという場合におきましては、他の土地と同じような評価の条件が整っておるというふうに考えられるわけでありまして、この点は、一般の農地の場合とは違っておるというふうに考えられるわけであります。  ただ、現在、都市計画法上の施設緑地としての指定がありますような、その使用につきまして非常な制約をこうむっているというような農地につきましては、これは従来の一般の農地と同じような取り扱いをしているわけであります。その点は、市街化農地の場合には、通常の、近傍の宅地の場合と条件は全く同じであり、そして、その税負担というものも、当然宅地の場合と同じような税負担でしかるべきではないかというのが現在の考え方であります。
  97. 島田安夫

    ○島田(安)委員 それはおかしいですわ。そうしますと、登記法の改正をはからねばそういう解釈は成り立たぬじゃないですか。登記法の中には、はっきりと昔のままに残されております。A、B農地といえども、農地としてはっきりしている。ただ、税法上の解釈から、いまおっしゃるように、課税してもこれはやむを得ぬじゃないかというような一つの解釈であって、法律のたてまえ、原則論ということになりますと、そうした関連したものが厳然と残されておる限り、やはり、農地はあくまでも農地ではないですか。いかがですか。
  98. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 市街化区域の農地は、あくまで農地でございます。ただ、一般の農地と農地法上の制約の差がある。こういう観点から、市街化区域の農地とその他の地域の一般農地との差は、税法上その取り扱いを異にしておるわけでございます。
  99. 島田安夫

    ○島田(安)委員 異にしておるのじゃないのですけれども、まあせざるを得ぬのですね。  そうしますと、もう一つお尋ねしますが、これは内田委員に答弁をお願いしたいと思いますけれども、さいぜんもちょっと話が出ましたが、いわゆる税の本質というのは、一律公正な課税をするというのが本質になっておるわけなんですが、今度の修正案の、三大都市圏のみを特別に税法を設けて課税するということは税法上大いに疑義があるわけなんですが、いかがですか。
  100. 内田常雄

    内田委員 いまの御議論を聞いておりましたが、今度の修正案で、私どもが、四年後を目標といたしまして固定資産税の引き上げということをいたしましても、それは、宅地にならない限りは、おっしゃるとおり、登記上も農地ということであろうと思います。  ただ、釈迦に説法でありますが、御承知のように、農地については、今日、昭和三十八年の固定資産税がそのまま据え置かれてきておるわけでございますが、先般の線引き、都市計画法の改正によりまして、市街化区域の市街地と、全くその中にはさまってしまって変わらないような状態にある農地につきましては、市街化区域の宅地については、農地のまま残されているその土地の何十倍かの固定資産税がかけられているという状況から見て、非常に不均衡になるので、これは、表面からは、その人の所有権に干渉して農地を宅地にしてしまえというわけではないのですが、一面また、一方は宅地であれ、一方は農地という名前であれ、あまりにも税が不均衡になってきているという状況に着目をして、いまの三大都市圏の中でも、ことしはA農地、来年はB農地というふうに、そういう不均衡の状況の激しいところをその対象として修正案を出したということでございます。  この御議論は、さかのぼりますと、昭和四十六年の、あの農地の宅地並み課税の制度、これは全国的にですが、これが行なわれましたときに、これもさんざん議論が行なわれたところでございますが、その議論を乗り越えて今日まで来ておる、こういうことです。
  101. 島田安夫

    ○島田(安)委員 いわゆる地域的な差別課税ですね。これが許されるということになりますと、私は、たいへん失礼ですけれども、土地対策なんか一挙に解決できると思います。特定な人口が密集して困った地域に、今回の宅地並み課税に示されたような、二百倍、三百倍というような重税をかけたら、そこは一ぺんで逃げ出しが始まりますし、大体、税の原則として、土地対策を税金でというようなことは根本を誤っておると思いますけれども、しかしながら、政府に総合的な土地対策がない貧困さを税金で何とかということであるようですから、それはやむを得ぬとしましても、そういう地域的な差別課税ができるのか、できぬのか。税務局長、将来に影響するところが非常に大だと思いますので、一口でいいですから、できるかできないかをはっきり言ってください。
  102. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 可能であると考えます。
  103. 島田安夫

    ○島田(安)委員 そうしますと、土地保有税というような、三%、全国で十七億ぐらい税収が見込まれておるようでありますけれども、こんなちゃちなことをせずに、農地にも課税する、そのかわり、大企業の土地の保有等についてもきびしい課税をする。さらにまた、工場等でも、住民サイドから考えて、住宅の密集地帯にある特定な工場の土地だけは特別に課税する。これは課税を強化する。工場であがる収益よりも重い税金をかければ、工場は一ぺんに逃げる。住宅地としてきわめて良好な環境が整備される。こんなことは、現実問題として、憲法にいういわゆる私権の問題等に抵触してできぬじゃないですか。そんなことができるのですか。
  104. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 地域的な課税ということについては、まあ、現行制度にもないわけじゃございませんが、私どもも、新しい税制として、事務所・事業所税等についていままで検討してきたところであります。  それからまた、今回の市街化区域農地についての課税というものは、他の固定資産と比べて何倍も高い税金ということではございませんで、他の土地とバランスをとった税負担を求めるということでございます。いま仰せになりましたような税とは違っておるだろうと思います。
  105. 島田安夫

    ○島田(安)委員 時間がありませんので、これで質問を終わりますけれども、さいぜん申しましたように、宅地化促進の臨時措置法案に関連していろいろお尋ねしたいと思いますが、一口に要約しますと、税金で土地対策をはからんとしたところに、今回の宅地並み農地課税という問題が強行されなければならなかった原因があるという点を非常に憂えております。また、一つには、この税法自体、零細な農業という点から考えていきますと、この問題は、他の市街化区域の農地——まあ、全国に及んでいくことは当然でございますけれども、そうした観点から非常に農民に不安を与える。しかも、さいぜんも指摘しましたように、大企業に対する追い出し税といいますか、都市計画上、あるいは住みよい住宅環境といいますか、そうしたものをつくる意味からも、今回の農地の宅地並み課税並みのもっときびしい措置をやろうと思えば幾らでもできる。これをやらずに、零細な農民に対してはきびしくして、一方、大企業等に非常に甘いというのが、偽らざる一般庶民の声ではなかろうかと私は思います。したがって、そうした点についてはあとできびしく追及します。  以上。
  106. 上村千一郎

    ○上村委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後一時五十四分休憩      ————◇—————    午後三時四十五分開議
  107. 小山省二

    ○小山(省)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  委員長所用のため、委員長の指名により、私が委員長の職務を行ないます。  質疑を続行いたします。吉田法晴君。
  108. 吉田法晴

    吉田委員 先ほどの山本委員の質問に引き続いて、関連をしてお尋ねする部分から始めたいと思います。  先ほど、市街化区域の中の果樹その他永久農業をやっておる地域については、別な法律で除外をされておるところもあるからということでございましたが、三大都市の市街化区域の中のA、B農地の中で、その宅地並み課税を除外される農地はどのくらいございましょうか、お教えを願いたいと思います。
  109. 内田常雄

    内田委員 数字にわたる事項でございますので、お許しを得て、政府委員から答弁をさせていただきたいと思います。
  110. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 いまの施設緑地等の指定によってどれだけ除外されるかという数字は、まだ把握いたしておりません。
  111. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 市街化区域内のA、B農地の中で、いわゆる宅地並み課税をしないで残り得るという農地の数につきましては、まだ把握しておりません。(「数でなくて面積です」と呼ぶ者あり)数及び面積については、いま詳細に把握しておりません。
  112. 吉田法晴

    吉田委員 建設省では、それでは、この三大都市のA、B農地について、宅地並み課税をすることによって宅地になるであろうと想像されます面積はどの程度ですか。
  113. 吉田公二

    吉田説明員 これはいろいろな想定がまじるわけでございますが、当面、第二期五カ年計画の対象期間でございます昭和五十年度までに、おおむね半分くらいのものが宅地化されるのではないか、かように考えております。(「昭和何年まで」と呼ぶ者あり)昭和五十年度でございます。
  114. 吉田法晴

    吉田委員 それじゃ、その見込みと、宅地になる数字とはあとで触れることにいたしまして、先ほどの、市街化区域の中で農地として残る区域がどのくらいかということについては数字が出ませんでしたが、これに関連をして農林省にお尋ねをいたしたいと思います。  都会の中の農業、あるいは近郊農業と言ってもかまいませんが、この近郊農業の地位と、この近郊農業をどういうぐあいに育成をしていこうとするのか、保存していこうとするのかということ、これをまずお尋ねをしたいと思います。
  115. 関谷俊作

    ○関谷説明員 近郊農業というお尋ねでございますが、都市と農業の調整の問題というのは非常に大きい問題でございますので、四十四年以来、新都市計画法の制定されますときから、都市地域におきます都市と農業の土地利用の調整をいたそうということで、市街化区域と調整区域の区分、いわゆる線引きをいたします際に、その地域内で、農業上の土地改良その他の公共投資でありますとか、農業の集団的な状態、あるいは生産力の状態等を勘案しまして、市街化すべき地域の中に含めることが相当であるかどうかという調整を、地方公共団体の段階と、それから最終的には建設省と農林省で協議いたしまして、その調整の結果として現在の線引きがなされております。  それと関連しまして、いわゆる都市地域の農業の扱いにつきましては、市街化区域の中につきましては、御承知のように、おおむね十年以内に計画的にまた優先的に市街化する地域であるという法律上の性格づけになっておりますので、少なくとも、この地域の中で、相当長期間効果を持ちます土地改良等の公共投資は、原則としてやはり差し控えるべきであろうという方針を打ち出します一方、その地域の中でも、御承知のように、園芸でありますとか、豚、鶏等の中小家畜、あるいは花木、こういうような農業が相当期間行なわれますので、そういう農業の経営につきましては、その経営が現に行なわれているという状況に着目しまして、たとえば流通面の対策、それから改良復旧事業その他の技術指導、それから植物の病害虫の防除等のいわゆる防疫対策、それから家畜の防疫対策、こういうような農業経営に関連します施策については、市街化区域内外を問わず講じまして、その地域の経営が行なわれます限りにおいては、都市近郊の農業としてこれを育成していく、こういう方針で対処いたしております。
  116. 吉田法晴

    吉田委員 自分自身の経験によりましても、都会の中の農業あるいは近郊農業の位置というものは、先ほど山本委員内田提案者との質疑の中にも出ましたように、緑地として、あるいは都会の環境を浄化する意味からいっても、たいへん大事なものだと考えますし、これは自治省の都市計画の中にも入っていることだと私は思います。その都市内外の農業についての役割りと、それからこのたびの宅地並み課税、さしあたりは三大都市におけるA農地から、あるいは来年はB農地から始めるわけでありますけれども、少なくとも、提案者によりますと、都会のA農地は全部宅地にするという計画のようであります。これと都会の農業あるいは都市の近郊農業についての農林省のお考えは矛盾があるのではないかとわれわれには考えられますけれども、いかがでしょうか。というのは、先ほど来、この市街化区域の中において、宅地並みの課税をされない農地がどのくらいありますかとお尋ねをしてみても、数字はありません。数字は御提出願えない。そこで、農林省の関係者もお聞きだったと思いますので、これは、農林省の首脳とそれから自治省との間で伺うべき問題だと思いますけれども、いかがでしょうか。
  117. 関谷俊作

    ○関谷説明員 ただいまお尋ねの都市と農業との調整、特に、土地課税の問題としてそれが提起されておる問題につきましては、非常にむずかしい問題でございますが、市街化区域内全域ということになりますと、御承知のように、自治省の資料によりますと、約二十八万ヘクタールある。こういうふうに承知いたしておりまして、その中で、今回のA、B農地は約一万七千ヘクタールというふうにお聞きをいたしておるわけですが、全体としまして、市街化区域内の農地につきましては、都市計画の線引きの経緯からいたしまして、おおむね十年以内に優先的に市街化する、こういう性格づけを土地利用計画制度としていたしておりますことと、その中でも、特にA、B農地のように、評価額の面で非常に高いということは、逆に、都市的施設側から見ますと、都市的な市街化の状況が非常に進んだ地域内に置かれておるというふうに判断をいたすわけでございます。  そういう点からいたしますと、確かに、現にそこで農業が行なわれておりますし、また、野菜その他の農産物供給の面でも、確かに一つの機能を果たしておるわけではございますけれども、総合的な土地利用という観点から見ますと、農業的な土地利用というものよりも、都市的な土地利用という性格のほうに持っていくことがより合理的であるという判断が、より高次の立場からなされるという意味合いは確かにあるのではないかと考えております。  ただ、そう申しましても、現に行なわれております農業の今後の扱いという問題につきましては、先ほどお答え申し上げましたように、現に農業経営が行なわれているものにつきましては、経営面での技術指導、防疫その他の対策を講じております。また、その地域の農業をやっておられる方が、その地域の農業をやめて、他の地域でさらに農業を継続したいという御希望があります場合には、御承知のように譲渡所得課税の面におきましても、特に、市街化区域内から区域外に農業が移りまして、土地の買いかえをする場合の買いかえについても、従来の保有面積の五倍まで買いかえの特例を認めておりますし、農業委員会その他の農業団体におきましても、こういう地域の農家の方々の都市化に伴う経営面、生活面の問題については、特に、経営の相談とか、代替地のあっせんとか、そういう活動を通じまして、特別に配慮をいたしていきたいと考えております。
  118. 吉田法晴

    吉田委員 農民のことについては、買いかえを希望する者については、他の地域で買いかえが可能になる制度を設けてあるというお話ですが、農民の土地については一応おくといたしましても、都市及び都市近郊の農業の地位、それは、緑地内あるいは農業生産物による都会の空気の浄化作用等々は無視できないと考えます。建設省で、これは別の法案ではございますが、さっきは公園の話が出ましたが、公園だけでなくて、緑地を確保するために別に法案が出されておると承知いたしております。そういう観点からいたしまして、いわば三大都市なら三大都市にいたしましても計画があって、その中で、農地については、緑地としてどれだけ確保するかとか、あるいは、永久農地としてこれだけ除外をされておるから、この農業を継続すべきものとしてはどうするかとか、こういう計画があってのことだと思うわけでございますが、先ほど来の提案者説明のように、三大都市におけるA農地あるいはA、B農地、これは宅地化するということになりますと、住宅区域の中で、あるいは工場でさえ現在は緑化が推進されている。それを計画したのが緑地保全法案法案が別に出ておるようでありますが、その計画だと思いますが、それがこわされることになるのではないかということを心配するのでありますが、いかがでしょうか。
  119. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 御質問のように、建設省におきましては、今国会に、仮称緑地保全法という案を提出しております。緑地保全法の中身につきましては、都市の中の樹林地とか、あるいは、森林、あるいは水辺地等と一体となって都市の無秩序なスプロールを防ぐ、そういうかなめのところに存在するような場所、あるいは、それ自体が景観上きわめてすぐれた都市の資産として考えられているような土地につきまして、これを保全いたしますために、相当の保全のための規制措置を加えますとともに、他面、その土地の所有者に対しましては買い取り請求という保護措置を与えるというような組み立てのもとに、一つの地区制としまして、緑地保全地区という制度を創設しようとしておるのでありますが、なお、こういった公的な規制に基づく保全、都市のそういう緑地的な保全ということのほかに、大きな団地なんかをつくります場合でも、緑化協定というものを結びまして、その全員の同意に基づいて緑化協定が結ばれましたならば、これが全体の拘束をする、植栽その他の拘束をするというようなことも、都市計画法の一部改正において守ろうとしておるわけでございます。   〔小川(省)委員長代理退席、委員長着席〕 緑地保全法、都市計画法を通じまして、都市の中に、公共のために、あるいは都市の環境のために、緑地を公共の手で、あるいは民間の手で保全しようという、そういう姿勢で提案いたしておる次第でございます。
  120. 吉田法晴

    吉田委員 緑地保全法案内容についてお尋ねしたのではなくて、都市計画なりあるいは緑地保全法案なり、この法案とは矛盾する面が出てくるのではないかということなんです。ちゃんとした都市計画があって、その中に、緑地はどれだけ確保するんだ、あるいは公園をどれだけ確保するんだという計画があり、それから、せっかくある農地を緑地に転換する、あるいは永久農地としてはどれだけ確保するという計画があって、そして、その現在あるA、B農地のどれだけを宅地に転換をするんだという計画があれば——これは本来は自治体にやらせるべきものですが、それにしても、それを集積して計画されているならば、こういう矛盾は起こってこぬと思いますけれども、いま言われるように、A、B農地については完全に宅地化していくんだ、除外するのが幾らかわからぬというようなことでは、緑地や公園を確保することと、都市計画とは矛盾するのではないか、スプロール化が必然になるのではないかという点をお尋ねをしておるわけであります。ですから、その点については、提案者なり、あるいは自治大臣の所見を伺いたい。
  121. 内田常雄

    内田委員 その議論は、各委員から今朝来提起された問題と関連がございますが、私どもは、農家の方々をつらい目にあわせるという趣旨から今度の修正案を出したものでは決してございませんけれども、いま農林当局からお答えがございましたように、すでに、新しい都市計画法の制定、それに基づく市街化区域の線引きを行なう際に、この議論はずいぶん激しい議論をいたしました結果が、昭和四十四年当時の考え方としては、市街化区域農地については、優先的に計画的に市街化する地域として線を引くものであるから、A農地、B農地ばかりでなしに、C農地についても、農業の長期的計画というものは、新しいものは認めないし、また、すでに行なわれた農業の長期的施設についても、漸次これを市街化の状況と調整するように修正をしてまいる。もっとも、これは十年間でありますから、その間に存在する農業施設については、直ちにそれをつぶすとか追い立てるとかいうことはする必要はないので、やはり、さっき農林当局から言われましたような、技術上の問題とか、その他改良復旧もございましょうし、そこに現に存する農業の指導は続けるけれども、たてまえとしては、市街化優先だということに落ちついたわけでございます。  しかし、私どもの今回の修正案は、そういうことにはなっているが、それは、C農地のように、三大都市圏をとりましても、全体の農地の八五%を占めているし、また、われわれが考えておりましたところよりも都市化がかなりおくれているC農地もあるようでございますから、そういうところにおいては、四十四年当時の考え方よりももう少しゆとりを持った考え方でいいのじゃないかと私は思うのであります。  しかし、今回修正案の対象にいたしましたA農地、B農地というものは、けさほど来申し上げますように市街化区域農地の三大都市圏における割合も、A農地の三・三%、B農地が一二・二%というような非常に小さいところでございまして、ことに今年度から固定資産税が増加をいたし始めますように仕組んでおりますこの修正案におけるA農地というものは、ほとんど市街地の間に狭まれたようなものがおもでございますので、そのA農地に関する限りは、四十四年当時の、その農業と都市化との区分に関する考え方をそのまま取り入れてもいいものだと私は考えます。しかし、その上、けさから議論がありますように、いろいろな人口や都市化の状況が進んでいるところほど緑地の必要があるわけでありますから、そういう緑地は、農業を営ませたままの緑地として取り上げることなしに、現在の都市計画法の手法による、いわば施設緑地として公認をするといいますか、取り上げることによって、すべてのA農地を全部宅地化することを防ぐことができると私は考えております。そうなった場合には、そういう施設緑地につきましては、税金は宅地並み課税ではございませんで、昭和三十七年度の安い税金のままにまた戻れる。こういう仕組みが、今度の法律には書いてございませんが、すでに現存する他の法律の仕組みでございますから、くどいようでありますが、A農地については、それをもって処理する。B農地及びさらに広いC農地につきましては、明年なり、それ以後、昭和五十年度末までに、都市計画法に基づく施策の全面的展開等の計画が別途政府のほうにあるようでございますから、私どもとしては、そのしりをたたいて、そして、かつて線を引いた市街化区域内の農地、C農地などは、全面的にスプロール状態や人口過密状態にならないような都市計画上の施策をも講じさせるように政府を鞭撻してまいりたい、実は、私は、こういうつもりでおるものでございます。
  122. 吉田法晴

    吉田委員 三大都市圏のA、B農地以外のものについては五十年までに提案者説明されたような方策が確立されるように云々ということでございますが、三大都市圏のA、B農地について、別な法律で云々という点がございますけれども、これはこの法律には書いてございません。ですから、その関連は、先ほど来の質問、答弁を聞いておっても、この法律においても手当てを必要とするのではなかろうかという感じがいたします。  それから、もう一つは、永久農地について論及がございましたが、これは野党案にあったところでありますけれども、われわれの考えにありましたけれども、ほんとうに農業をやっておる者については除外してもいいのではないかということが考えられるわけですが、これも、もしほんとうにその考えをあれするとすれば、修正の必要があろうかと思いますが、これについてはどう考えるのですか。
  123. 内田常雄

    内田委員 吉田さんのお心、お気持ちはたいへん私もよくわかるところであります。A農地は四十八年度から宅地並み課税のほうに踏み出しますが、先ほど来たびたび申し述べておりますように、これは農地化するよりも、土地の状況からして、宅地化、市街化の方向に踏み出させるほうが、今日の都市における人間生活の環境から申しますといいと思いますが、しかし、この法律には書いてないと申されますが、他の法律の、これは都市計画法並びに地方税法の中の固定資産税のその章にもあるわけでございますが、A農地のようなところでも、それが都市計画法上の施設農地として取り上げられた場合には、そっちの法律で、農地並みの昭和三十七年以来の安い課税で済むという仕組みがあるから、A農地に関する限りは、そういう意味の制度を、その地域の状況によって認定して生かしていけばいいじゃないか、それ以外に方法ないじゃないかと思うのです。B農地は来年から課税が始まりますし、また、C農地は、全国のC農地ばかりでなしに、三大都市圏のC農地におきましても、昭和五十年末までに、税法上の取り扱いをきめるわけでございますから、それまでの間には、たびたび申しますように、政府に、都市計画法の構想についての特別の野心があるようでございますから、C農地も、ことによったらB農地についても、新しい都市計画法の野心によって、今日私どもがA農地について考えたり申し上げたりしておった以上の措置ができるのではないかと実はひそかに私は期待をいたしておるわけでございます。  それは、具体的には、生産緑地というようなものは、けさから問題になっておりますように、いまの都市計画法の中にはないわけでございますが、しかし、政府が野心を持っておる都市計画法の構想の中身においては、生産緑地とかいうものも大いにひとつ検討してもらいたいと、私は委員として考えておるということを申し上げる意味も含むものでございます。
  124. 吉田法晴

    吉田委員 ひそかに期待するということは、この修正案提案者として言われるべきことではないのではないかと思います。もしそう考えられるならば、この法律について別に定めるところにより云々というか、やはり、規制外、抜け道を法律上つくってもらわなければならぬ。ですから、そういう道が講ぜられるような方法をこの法律の中で——私から言わせれば、先ほど来問題になったように、修正案の再修正ですけれども、これについてひとつ再修正をする御意思があるかどうかということをお尋ねをするわけでございます。
  125. 内田常雄

    内田委員 私は政府ではありませんのに、憎まれ役になっておりましてたいへん残念でございますが、提案者としてお答えをしなければならぬわけでございますが、この提案に入っております今年からのA農地、明年からのB農地に関する限りは、それはすでに線引きの中の市街化区域のいわば目玉のようなところでございますので、この修正案のたてまえから、この法体系の中、この修正案体系の中では抜け道はつくらないというつもりでこの修正案を出しました。しかし、たびたび申し上げましたように、つくらないほうがいいというのは私ども修正者の考え方でございます。しかし、別に申し上げますように、生産緑地という制度があったり、また、いまは触れませんでしたが、けさほど他の委員との問答の中に出ましたように、産業的見地から、ある地域におけるお茶でございますか、これはたとえばの話ですが、たとえばそういう栽培地がA農地の中にあった場合には、この法体系の中からすぱっと抜けるわけではないが、産業助成とか、あるいは都市の風致とかいう見地から、地方公共団体の施策をもって、生産緑地ではないけれども、何らかのそれに似たようなものが、その都市計画法の改正以前の構想においてもできる可能性がなしとしない。さらにまた、来年はその都市計画法の全面的、野心的改正というものを政府が計画しているから、B農地あるいはC農地は、そういうもので御期待のようなことができることを私も期待し、ぜひそうさせたいという気持ちでございます。  これは回りくどいようでございますが、吉田委員のおっしゃることをそのままそうだと言うならば、それは、修正案をもう一ぺん修正したほうがいいということになりますが、しかし、私が修正案を一ぺん出したのは、それは行政措置とは言わないが、運用上一片のすきもないほうがいいとも私は申さぬ。これは皆さんと同じように私は政治家でありまして、政府の言うように抽象化された政治家ではなしに、なま身を持った政治家として考えておるわけでございます。
  126. 吉田法晴

    吉田委員 にやにや笑っておられますが、自治大臣はどういうぐあいに考えられますか。法の運営は、自治大臣が運営されるわけですからね。
  127. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 これは、やはり、今後の問題として、都市計画上、その緑地を生産緑地という形にして残すかどうかということは、今後それぞれの関係省において十分検討をされた上の問題であるというふうに私ども考えます。いまお話がありましたような特殊土壌地帯等についても、いろいろ御意見もあろうかと思いますが、とりあえず今度は、この首都圏、近畿圏、中部圏という場面、しかも、そのまたA農地、B農地に限っての問題でございます。しかも、これも暫定的に二〇、四〇、七〇、そして四年後宅地並みの課税になるというような暫定的な措置もとっておりまするので、十分関係省庁において検討をされた上の問題ということに御了承を願いたいと思います。  たとえば、緑地という場面になりますと、これはなかなか自由に売買がきかない。農地の場合ですと、これが生産緑地という名称にした場合に、自由に売買ができるということに前提されると、そのまた均衡上の問題はどういうことになるであろうか。いろいろ検討しなければならぬ問題もございまするので、これらの問題等については、十分関係省庁で調整をしてもらいたいもの、こう思っております。
  128. 吉田法晴

    吉田委員 自治大臣は逃げられましたが、そういう話でなしに、この法律の中に、生産緑地というか、あるいは産業政策的ということを言われましたけれども、私どもの、農業の関係から言っても、あるいは緑地を保存すべき都市計画の点から言っても、法律余裕を残しておくべきではないか、趣旨においては賛成だけれども、しかし、法律の運営には抜け道をというような、実際に農業をやっている向きについては宅地並みの課税を除外するような規定を設けておくべきじゃないかという具体的な質問に対して、気持ちはわかるけれども法律の上では修正はいたしません、こういう話でございます。それで、この法律を運営していくのは政府ですから、その運営をしていく上で、言われるような余裕を残さなければならぬとするならば、それは法上に何らかの形で規定をしておくべきではないか、その規定をしておくべき再修正考えるつもりはないかということを私はお尋ねをしたわけです。自治大臣として答弁を願いたいと思います。
  129. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 これは、さっきもお答えをしましたように、都市計画上の緑地という形で今後これを取り上げていくということになれば、それについて私どもは異議のあろうものではございません。しかし、それには、ただ本人の意思によって、これは生産緑地である、これは特殊土壌であるということできまるものではないわけでございまして、やはり、建設省なり農林省なり等々の意向によって、そこで公平の原則にもたれて計画が決定されることが当然であろうというふうに思います。そんなわけでございまするので、この場面では、こういう形でお通しいただくことをお願い申し上げたいというふうに思います。
  130. 吉田法晴

    吉田委員 私は、何日か前、宅地並み課税を実施されるようにこの原案がきまりましてから、虎ノ門のところを車で通ってみましたが、あの左右には、昔と違いまして、ほとんど高層建築が建ち並んでいる。正面には文部省、その背後には霞が関ビル、そして、やはり車の排気ガスがたまって、どんより停滞をしている。光化学スモッグとという現象はあそこでは起こらなかったかもしれませんが、私はそこで、「渚にて」という、原爆で地球上から人間が消えて、オーストラリアや、あるいはサンフランシスコに船が進んだところが、人間がいなくなって、風に紙くずが舞い上がっているという情景を映画で見たことを思い出しました。計画的な市街化区域が進められないで、いつの間にか緑地や農地等がつぶされていって、スプロール化の現象が、まあ虎ノ門周辺ではありますが、進んで、だんだん人間が住めなくなってきている区画ができつつあるということを見た。そういう意味ではぞっとした。  そして、小さい市のことですけれども、自分で市長をやってみて、スプロール化した都市を改造して、人間が住みたくなるような都市にするにはどんなに努力が要るかということを経験をしてきました。それだけに、この法律によって、農地が無計画的に宅地に転換をされるということで農地なりあるいは緑地というものが失われていくということは——この都市全体の緑地の面積のパーセンテージは、東京よりも、大阪よりも多いようでありますが、しかし、この法案の推進するところが、少なくとも、大衆向きの宅地が提供されるというよりも、そういうスプロール化になりゃせぬかということを心配するわけです。私は、茨城県の都市で百姓をしている人にきのう会いましたけれども、私どものところでも、その農地の宅地並み課税によって、五年後には固定資産税が二百万円になると言っていました。そうすると、これは農業をもう続ける気はありませんと言っております。そうしますと、農地は手放すかもわからぬ。そして、その農地が計画的に公園、緑地になり、あるいは都市計画法によって、専業的に農業をやっているものは除外をされればいいのですけれども、無計画的に進められることが多いと自然を破壊する。これはたいへんなスプロール化に遭遇するのではないかと考えますだけに、これは自治体でやられることではございますけれども法律の上にも——法律は、これは大ワクですから、そこにも、自治体が自治をやっていく幅がなければならぬのではないか。そういう意味で、A、B農地については——まあ、C農地は、三大都市以外についても、三大都市圏も含めて、五十年までに可能にする計画を立てるのだというお話ですが、大都市のA、B農地、あるいは、少なくともことしから始めるA農地については、法案が通ればあとはもう余裕がないわけです。ないわけですから、その可能にする方法を条文の上においても規定をしておくべき必要があるのではなかろうかということを先ほどから問うているわけです。そうすると、再修正という形式じゃございませんで法案が通りますと、そういう余地が、自治体ですることができなくなります。それだけに、気持の上でわかるということなら、その気持ちが実現し得るような計画を自治体が立てて、このごろみんなやっておりますが、住民参加の道を残しておく必要があるのではないかということでありますが、重ねてお二人の答弁をお願いしたいと思います。
  131. 内田常雄

    内田委員 私は、この修正案を出します際に、全く吉田先生と同じ問題にぶち当たったわけであります。しかし、研究をいたしてまいりますと、先ほど来たびたび申し上げますように、A農地の宅地並み課税をやると、緑地として残るものが全然なくなるということではございませんで、そのA農地にある農地の税金は例外なく高くなるわけでありますけれども、しかし、その中でも、緑地としておいたほうがよろしいと客観的に判断される農地、そのA農地につきましては、これは都市計画法という法律改正されないでも、現在あるわけでありまして、その施設緑地に関する計画の条項を援用いたしまして——ただ、そうなりますと、それは転売というのか、その緑地の上に建物を建てるということは、所有者の自由かってにはできなくなるという点はございますが、しかし、都市計画でありますから、これは、私は、永続性のある緑地である必要があると思います。でありますから、その所有者が、いつ農地をやめて家を建ててしまうかわからない、転売してしまうかわからないという状態の緑地として、安い税金のまま放置しておくよりも、都市計画の線に乗った施設緑地として、A農地の中の必要なる緑地を指定して、公認して、そうして、先ほど来申しますように、その分については、そうなりますと、宅地並み課税でなしに、昔の安い農地課税が適用されるから、それでいいではないかと実は思うようになったわけであります。  その際に、その土地の所有者の意思によって、三年、五年は緑地としてそれは残しておくかもしれないが、あるいは途中でそれは緑地として残さぬかもしれないとか、あるいは、その先は家を建てるかもしれないというような不安定な状態に置くことだけがこのA農地についていいわけではない。それは、繰り返しますように、施設緑地としての都市計画法なり、あるいは地方税法の安い税金の条項を援用をすれば足りるだろうということを考えまして、おしかりは受けていますけれども、こういう修正案にいたしましたということを重ねて申し述べさしていただくわけでございます。
  132. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 ちょっと補足させていただきますが、これは特殊土壌であるとか、これは施設の緑地であるとかというものをどう処遇するかという問題は、これは非常にむずかしい問題だと思うのです。たとえば、緑地指定を受ければ、十年なり、相当な年数、これは右左に売買するわけにはまいりません。これは特殊土壌である、これは施設の緑地として残して耕作をしたいということがあれば、自分が売りたいときには自由に売れるということで、一体、その緑地指定と、いわゆる都市計画法上の緑地との均衡の問題はどういうことになるのか、これは非常に重要な問題でありまするので、やはり、これについてはもうしばらく検討の時間をいただきたい。これが政府側の意向になるわけでございます。  それから、もう一つの重要な点は、さっき御指摘がございましたが、この農地として宅地並みの課税がかかってくるということになると、農業を放棄するよりしようがないというお話でございましたが、これは、さっきも申し上げますように、四年間の漸増で宅地並みにしていこうというわけで、急激な変化がことしから直ちに起こるというていのものではありません。  それからまた、この市街化区域を決定をいたしますときには、将来十年以内にこの地域が市街化するという前提に立ってあの線引きというものがなされたことは御存じのとおりだと思います。それが現実に市街化されるかどうかということは、これは都政の問題ともからみ合いまして、むずかしい問題でありまするが、そういう地域でありまするので、まだ、今後に向けて四年間でようやく宅地並み課税。そこで税の均衡をとるわけでございます。  それじゃ、農耕のできなくなった農家はどうするのか。これは、いままでの農地で花をつくり、野菜をつくり、あるいは米をつくるということで生産性を上げ、これによって生計を営んでこられたというのであるならば、私どもは、それを直ちに売ってくださいと手放されることを望んでおるわけではございません。むしろ手放さないで、あらゆる融資措置を設けたり、特に、四階以上の中高層の住宅供給に御協力をいただくという場合には、融資もいたしましょう、金利も低利にいたしましょう、金融は長期であります、固定資産税も思い切って長期間減免をいたします、こういうわけで、農家に対して、土地を持って賃貸住宅をつくっていただくという転職を要請しておるわけですね。だから、税の負担の公平と宅地供給、しかもそれは、宅地を持ったままで、農家からいわゆる家主へ、こういう転職を求めておるわけで、相当行き届いて対策をしておる。それが、これからまた御審議をいただく特定市街化区域農地の固定資産税の課税の適正化に伴う宅地化促進臨時措置法案、こういうわけでございます。よろしく御了承を願います。
  133. 吉田法晴

    吉田委員 促進法案説明をいまいただきましたが、問題は、A、B農地については、三大都市についてはことしから、あるいは来年から宅地並み課税にしていくわけでありますけれども、それでは、宅地の供給方法としての宅地並み課税によって、どのくらい宅地が得られるのか、数字をあげて説明を願いたい。
  134. 吉田公二

    吉田説明員 先ほども御答弁がございましたが、宅地並み課税、これとあわせて御提案申し上げております宅地化促進臨時措置法、これによって宅地化がはかどってまいるわけでございますので、私どもの期待といたしまして、第二期住宅建設五カ年計画の期間中に、このA、B農地から五割程度のものが、住宅建設用地に充てられてまいるということを期待いたしておる次第でございます。
  135. 吉田法晴

    吉田委員 半分ほどというのは、先ほど承ったわけです。  それでは、この五カ年計画の中で、何戸の住宅を建て得るほどの土地が得られるのか。これは都市によって、一単位が五十坪くらいになるのか、六十坪くらいになるのか、あるいは百坪になるのかという点もございましょうけれども、五カ年計画の中には、公営住宅あるいは住宅金融公庫による住宅その他等ございますが、半分というのは、宅地にして何戸分の宅地が得られるように予測をしておられますか、お尋ねいたします。
  136. 吉田公二

    吉田説明員 個々の土地それぞれをどういう使い方をするかということを、現在時点考えるということはかなりむずかしい問題でございますが、五カ年計画におきまして新しい宅地を供給される場合、全体といたしましては、平均百八十三平米で一戸の宅地というふうに考えておりますので、五割程度の宅地が住宅用地に充てられて、かりに一戸当たり平均百八十三平米というふうに考えますと、合計は約四十六万戸分に相当する宅地となるわけでございます。
  137. 吉田法晴

    吉田委員 そうすると、先ほど自治大臣が答弁されました四階以上云々という促進法案の精神と、いまの考え方とはちょっと食い違うようでありますが……。
  138. 吉田公二

    吉田説明員 これは、平均のとり方の問題でございまして、私が申し上げました百八十三平方メートルと申しますのは、現在の第二期五カ年計画で想定しております一戸当たりの平均所要面積ということでございます。これに対しまして、高層率が高くなってまいりますれば、それだけ戸数は増加するわけでございます。
  139. 吉田法晴

    吉田委員 農地が宅地になるようにという希望を含んで宅地並み課税をされるわけでありますが、実は、それで宅地が安く大衆に提供できるかどうかという可能性になりますと、各新聞の所論を見ましても、高くなることは間違いない。したがって、大衆向けの安い宅地供給にならぬのではないかというのが共通の見解のようであります。つたない自分の経験をもってすれば、公有地として市町村や県が買い上げて宅地を造成するとか、あるいは、いま、四階以上という話もございましたけれども、アパート式の住宅を建築して、しかも、それを、頭金も安く、そして分譲住宅としても安く売れば、これは国民大衆の福祉に役立ちます。宅地並み課税は逐年だんだん上がってまいりまして、最後には二百倍近くにもなる。それならば、農民が自分で住宅を建てるようになればいいと、こう言われますが、地価が高くなりますと、分譲の宅地としても高くなりましょう。それから、多くの者が想像するのには、宅地として安く提供されないで、大会社、商社あるいはブローカー等が買い占めて、高くなった価格で転売することにはなるかもしらぬけれども、少なくとも、大衆的な宅地供給にはならないのではないかという批評が一般にございますが、これについて提案者はどういうぐあいに考えられますか。
  140. 内田常雄

    内田委員 その問題は、私ども同じ議員として、この修正過程でぶち当たった課題でありますことは今朝も申し上げたとおりでございますが、さればといって、それならば、三大都市圏は土地の価格が高くて、どうせ低家賃の住宅は供給できないから、住宅供給はみなあきらめろというわけにもまいらないものでございますので、正直に告白いたしまして、高い地価の上にできるだけ安い住宅を供給できるような施策を考えたいということでたいへん苦しみました。その一つは、いま吉田さんもおっしゃいましたように、地方公共団体、住宅公団、地方住宅供給公社等々の、そういう公の施設に土地を売りやすいようにする。政府から別個提出をされております宅地化促進法の中でも、御承知のとおり、いままでのフェーバーを受けるための制限を取っ払って、いま言うような道が開けるようにいたしたい。また、農家自身が自分で貸し家住宅をつくることもたいへんいい方法でございますので、その場合には、今度は、その建物そのものの不動産取得税とか、あるいは固定資産税とか、さらには底地の宅地につきまして、宅地並み課税ではなしに、今度はもとへ戻したような話になりますが、宅地の農地並み課税みたいなこともやる。こういう意味のことまで盛り込んだり、それから、金利を安くするとかなんとか、いろいろな手を講じまして、それからまた、階数を、いままでのように一階、二階ではなしに、四階、五階というものを地価の高い土地の上につくることによりまして、それぞれの一戸の負担する土地価格の割合を低めるというような措置、あれやこれやを講じまして、そして、三大都市圏の特定市街化区域内のA農地の中にそういう住宅が供給されて、都市における住宅難に困窮しておる多くの方々が便利を受けるような施策を推進をしたい、こういうことをあわせて考えまして、今度の措置に踏み切ったわけでございます。
  141. 吉田法晴

    吉田委員 都会でいま一番問題なのは、土地の問題について言っても、土地の高騰、それからスプロール化による環境の悪化等である。そこで、大都会のスプロール化をいかにして解決するかというのが一つだと思います。私は、そうたくさん外国の例を見たことはありませんけれども、大ロンドン都市もこれに困っており、特に、ロンドンのスモッグ禍は千名以上の犠牲者を出した。これは真剣に取り組んで、いまでは、スモッグも、それからテムズ川の汚濁も、魚がのぼってくるほど回復されたと聞いておりますが、その問題の解決策の一つとして、ニュータウンのつくられているのを一カ所見たことがございます。考えられているように、A、B農地を全部宅地化するというのでなしに、住宅はたしか二階か三階くらいであったと思いますが、緑地地区あるいは運動場等、環境がちゃんとつくられて、そして、工場は、公害のない軽工業あるいは印刷業、その他機械工業等もありましたが、公害が全くない企業が付属されている。それから、住宅地と作業場との距離はそう遠くありませんのは、それはやはりロンドンが新しい都市づくりを周辺にしたのだと思う。  政府で、総理大臣が、これはこうせいという命令でやって、はたしてうまくいくのだろうかという感じがいたしますが、その自治と、それから政府の方針、しかも総理大臣のいわば強行派、まあ決断と実行なのかもしれませんけれども、この問題はあとでお尋ねいたします。  この土地対策、あるいはスプロール化、それから公害対策というものが、こういう宅地並み課税ということではたして解決するのだろうかという感じがするのであります。少し逆立ちをしておりはせぬかという感じがいたします。この場合に、先ほどから私が言わんと欲しているのは、この宅地並み課税、これは工場の場合にも、いわば過密地帯と過疎地帯とを一緒に解決するということで、都会の周辺から工場を追い出すことを考えられる、追い出し税を考えられる、それと同じ着想だと考えられますが、そういういわば農業を農地から追い出すことによって——農業地を宅地化するというのは、少なくとも農業を追い出すことです。そういう方法ではたして快適な宅地が得られるだろうか。スプロール化した都心から郊外、公害のないところに逃げ出して、しかも、アパートに住んでおった人が、幾らか余裕のある、畑でもつくれるような、あるいは花畑でもつくれるような土地に行こうとしているのが現状だろうと考えられます。アパートをつくるにしても、高層、高層と言われますけれども、高層住宅をつくるにしても、その周辺にはやはり緑のある住宅を欲しているのが現状ではないでしょうか。  いわば、スプロール化に対する対策と公害対策に重点が置いてあるのですが、農作物であろうと、何であろうと、緑です。必然的に緑の付随しております農地から農業を追い出すことによって、快適な宅地が得られるとは私には考えられぬ。いわば、その再修正をこの法案で出されるならば考えられるのではないかということを申し上げましたのもその一つですけれども提案者において、基本的に考え直さるべきものがあるのではなかろうかという気がいたしますが、いかがでしょうか。
  142. 内田常雄

    内田委員 たいへんごもっともな御意向でございまして、私は傾聴をいたしました。実は、そういうことを私ども考えてまいりました結果が、おっしゃるようなスプロール化するような状況でその農地に住宅が建てられましても、それは公害とか環境とかいう面から、都市の混乱あるいは人間生活の不幸を非常にもたすばかりでございますので、A農地につきましても、あるいはB農地を含めまして、こうした宅地化を促進いたします以上は、家さえ建てばいいというものではないので、土地区画整理事業、つまり、その地域における農地の所有者が共同してといいますか、一定の数以上の土地所有者から当該都市に申し出がありました場合には、市がそれを取り上げて、そして、市の責任と助成のもとにおいてその区画整理事業をやってまいるというような規定を、別個の宅地化促進法の第三条に実は入れさしていただいているわけであります。これは、法体系上そっちのほうがよかろう、こちらの私どものほうの修正案にそういうことを載せるよりも、ということでそちらに入れましたのですが、さらに、同じ促進法の第十条をごらんいただけるとわかりますが、スプロール化を避けますために、国はそういう点に十分配慮して、そして、A、B農地の市街化、住宅化を進めなければならない、国はそのための財政上、技術上、資金上の助成もしなければならないということを、これは私ども党のほうから政府のほうに強く申し入れまして、第十条というものも入っておるわけでございますので、これをも御留意をいただければ幸いであると思います。  もちろん、C農地につきましても今日の九百五十万戸の住宅計画をやってまいります場合にも、あるいは都市周辺の六百数十万戸の住宅供給計画をやります場合にも、C農地というものを除外しての住宅供給計画というものは立たないと私は思います。それは、多摩ニュータウンではございませんけれども、英国の例、その他の諸国における例も建設省等が十分研究をして、そして、C農地、あるいはまた市街化調整区域のほうにはみ出しますと、これは農林省からしかられるかもしれませんが、その辺をも考えまして、人間の幸福のための住宅計画を政府に大いに科学的にやってもらわなければ困るというのが修正発議者の考え方であります。
  143. 吉田法晴

    吉田委員 いま、区画整理事業を市町村がやる場合に云々、あるいは、この法律十条に関連をして云々と言われました。あるいは、農地を残す余裕も都市計画の中で言われましたが、本来は、これは、市町村が、自治体がやる仕事である。自治体がやる仕事をやりやすいようにするのが自治省であるし、政府であると私は思うのです。それを抜きにして、総理大臣が事こまかに、とにかく宅地をつくることまで考えていただいたのはたいへんけっこうなことだと思いますけれども、どうも、新聞あるいは雑誌等にもよく書かれたりしますが、美濃部さんに対抗して、都市でいかに人気を回復するかということのために総理大臣考えられたような気がしてならぬのです。これは提案者もそうですけれども、このたてまえは、自治大臣としては、自治体がやりやすいように、そして、スプロール化を防ぐために、あるいは、救済するために都市の改造をしようとするならば、その都市の改造ができるように、いま具体的な土地区画整理の上で云々という話がありましたが、それを可能にする財政的な裏づけをしてやることこそ自治省のやられるべき仕事じゃないかと私は思うのです。こまかく縛ってしまって抜け道もないようなことをするのは、政治の策を得たものではないと思うのですが、いかがですか。
  144. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 御指摘のようなことは、今度の場合はあまり御心配ないのです。それはどういうことかといいますと、大都市、都市、町村を含めまして市街化区域指定をした農地というものは、一口に言うと二十八万ヘクタールあるのですね。そして、しからば首都圏近畿圏、中部圏の市街化区域指定の農地はどれだけかというと、十万八千ヘクタールというわけです。ところが、その中でC農地というのが九万一千ヘクタールなんですね。そうすると、今度指定を受けたいわゆるA、B農地は二十八万ヘクタールのわずか六%、一万六千八百ヘクタールです。さっきからここで、概算して一万六千ヘクタールとも、一万七千ヘクタールとも言われましたが、そういうわけで、ごく小部分であるということがまず前提になると思うのです。ですから、総理自身は、首都圏、近畿圏、中部圏というような極端な税の不公平を、税の公平負担の原則に戻すと同時に、その地域が住宅が一番不足しておるんだから、その地域の住宅供給、いわゆる農家は家主へという転職を促進しようというわけですね。  しからば、自治体とのからみ合わせばどうなるのか。これは、今度御審議をいただいておりますように、公有地拡大推進法案改正を私どものほうでもいたしております。そしてまた、国総法によってこの特別な地域指定をすれば、それは地方公共団体が優先して買い取りをする、また買い取り請求権も持つというような形で、あらゆる法律でがんじがらめにしておる。ですから、これが民間デベロッパーに簡単に渡って、それがまた思惑の対象になるのを極力防ごうという手も講じておるわけであります。これは市町村で名寄せをしますから、もしまたそういう業者が投機の対象にするなんというようなときには、これは取得税もかけてまいりまするし、特別土地保有税もかけてまいりましょう。また、これが売り渡しのときには、不適当なものであるならば、当然、二〇%の税金の重課という形になって締めつけていくわけでありまするから、今後、地方公共団体の手によって住宅建設が行なわれる方途もふさいでおるものじゃありません。(「具体的な資金の裏づけがない」と呼ぶ者あり)  そうすると、その資金はどうするのだ。これは個人に貸しますると同様に、大蔵大臣においても、それが宅地供給という大目的である限りにおいては、十分措置をするよう今後考えますということを予算委員会等においても御答弁いたしておりまするので、私どもも、この大蔵大臣の答弁の実があがるように、実は、目下折衝をしておる段階でございます。(「大蔵大臣が考えると言ったというんで喜んでいたんじゃだめだよ」と呼ぶ者あり)いやいや、大蔵大臣が考えるということは、総理自身の方針でもありまするし、私どもも大蔵大臣とそういう話し合いをした以上は、当然、固定資産税の是正に伴って、宅地供給ということが円滑に勤労者に振り向けられるように十分努力するのが自治大臣の任務でございますから、ひとつ、あらゆる努力をいたしたいと思っております。
  145. 吉田法晴

    吉田委員 資金の裏づけを具体的にお示しを願いたいという同僚議員の御発言でございますけれども、小さな県にとりましては、法律で縛るとかなんとかいうことよりも、自治体に財政的な裏づけをしてやることが安い宅地を供給し得る一番有効な方法です。  小さな例ですけれども、私は、北九州市で、歳計現金二億ないし三億を、三年間供給公社に無利子で貸すことによって、五十万坪の土地を三千円から五千円で買いました。その土地がある間は、この三千円から五千円で買った土地を造成いたしましても、二万円以上にはなりませんでした。二万円程度の土地が何十万坪ある間は、二万円以上にのぼることはそうありません。ところが、それがなくなりますと、いまはそれから四、五年しかたっておりませんけれども、山の荒れ地が二、三万ではありません。道路に面したところでいえばもっと高くなっております。これは都市は別問題です。これは小さい市ですから東京都のようにはいきません。五十万坪を最高二万円でとめましたところが、その付近の宅地はそうたくさん上がらなかった。ですから、何よりも財政的な裏づけをして市町村長にやらせる、あるいは県にやらせるということが一番いい方法です。大蔵大臣も首相も云々という話でありますから、ひとつ、自治大臣の具体的な答弁を求めたいと思います。
  146. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 これは、いま、県にも土地開発公社をつくり上げるよう促進をいたしております。また、主たる市町村においても、特に、今度該当する市などにおいては、宅地供給を中心とする土地開発公社をつくられたいということで指令をしまして、いまちょうど四月に入りまして議会時期でありまするから、許可のために、私どものところへ、その議決を経た進達が来ております。この開発公社の結成は非常に順調に進んでおるわけでございまして、これが資金を必要とする場合には、当然、私どもはできる限り大幅な融資措置をしたい。特に、地方におきましては、縁故資金といいまするか、市中金融を対象にしてまいるわけでありまするが、そういったものも、それが宅地供給という前提であるならば、すみやかに許可をいたしまして促進をしていきたい。それから、農協資金等の場合においては、今度の場合は、農家の場合に限っては特に利子補給もしようという立場に立っておるわけでございます。まあ、相当実効をあげ得るものというふうに考えております。
  147. 吉田法晴

    吉田委員 制度と気持ちだけはお話をいただきましたけれども、具体的な数字と、それから、利子補給あるいは公有地確保についての財政的な裏づけ等については、もう少し進みましたらお示しを願いませんと、抽象的な気持ちだけでは前進をいたさないと思いますから、これはまた追ってお尋ねをいたしたいと思います。  これは三つの自治体に関連をする特別措置でありますが、憲法九十五条との関係は、これは当然考えられるべきことではないかと私は思います。実は、新憲法ができて当初は、平和都市建設法案等にさえ住民投票が行なわれました。ところが、その後は少し無視された段階もあったように思いますが、あらためて読み直し、それから、その権威のある解説書等を見ましても——これは法学協会のものですが、憲法をつくるときに関与されました入江さん、衆議院の法制局長もやり、最高裁の判事にもなられました入江さんの意見を承っても、「「一の地方公共團體」とは必ずしも一箇のみのという意味でないことは一般に認められている。」ところだと言われているのです。そうすると、東京と大阪、名古屋の三つの都市で特に宅地並み課税をするということになりますから、地方自治を保障している新憲法のもとにおいては、当然自治体の住民投票が行なわれるべきだと私は考えますが、大臣はどう思われますか。
  148. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 この問題は、実は、法制局においても十分検討をいたして、抵触しないという結論に立ったわけでございます。それは、いまお示しの「一の地方公共團體のみに適用される特別法」というのは、具体的に特定された地方公共団体のみに適用される特別の法律をいう、こういうものであるが、今度の修正案に規定する首都圏の既成市街地等の区域は、法律上固定されたものじゃございません。また、指定都市は、地方自治法に基づき政令で具体的に指定されるものでありますね。それから市は、同法に定める手続によりまして、市となり、あるいはまた市でなくなることもできる。だから、今後、市になりたい、固定資産税がA農地、B農地にはこういうふうにかかるけれども市になりたいというので、市になろうというものがあれば、これは自動的にまたそれにかかってくるというわけのものでありますから、今度の修正案というものは、いわゆる憲法上の疑義はないという法制局の見解がもたらされておる次第でございます。
  149. 吉田法晴

    吉田委員 法制局も、憲法九条じゃありませんが、だんだん政府に都合のいいような解釈をしてきておられますから、この九十五条についても、だんだん初めの解釈と違ってきたんだろうということは想像されますけれども、憲法のほんとうの精神から言えば、あるいは地方自治を保障をした憲法のたてまえから言えば、問題があることは明らかであります。  それから、もう一つ、先ほど来申し上げますように、地方自治体がそれぞれの住民、市民のしあわせを願って都市計画を立てる。あるいはスプロール化を回復するために、あるいは都市改造をするために、あるいは宅地を確保するために、それぞれの都市計画を立ててまいります。その中で、宅地なら宅地の確保については幾つかの方法がある。あるいは農地なり、あるいは緑地なりを確保するについても、大ワクをこしらえて、住民の参加のもとに自治が行なわれるように裏づけられるのが、自治省の任務あるいは政府の任務だと私は考えますが、それが、こういう民主的な方法が行なわれませんと、問題が起こってくる。矛盾が起こってくる。巷間、週刊誌で騒ぐように、田中首相と美濃部知事とのけんかといったような矛盾が起こってまいります。それを地方自治にまかせて、住民参加によって都市計画をつくっていくということが行なわれていくならば、それを政府が援助する、あるいは保障する、財政的な裏付けをするということになれば、総理と東京都知事のけんかといいますか、自治体の長とのこういう矛盾というものは出てくるはずがない。それを無視されている。九十五条の適用をして住民投票をするということも、一つの方法だと思いますが、住民自治を保障するのでなしに、頭ごなしに政策をきめられるから問題が起こってくるし、あるいは矛盾が起こってくることがあると考えられますが、法の適用の問題もさることながら、運用の面でいろいろいままで議論をしてまいりました点について、さらに反省をし、あるいは考えられるところはありませんか。提案者自治大臣の二人の答弁を求めます。
  150. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 さっき申し上げましたように、この憲法九十五条との問題は、課税対象というものが固定して永久不変のものというものではございませんので、これは抵触をいたさないのであります。  東京都の問題につきましては、これは、今後、建設省なり関係省庁なりの調整にまつ。これは、総理大臣考えと知事の意見が違う場合には、建設省が特にその住宅問題等々について調整をするということはあろうかと思います。私ども固定資産税を扱う立場でございまするから、いま直ちにどうしようという意見の持ち合わせがございませんが、もとより、地方自治を指導する、また、監督していくという、たばねる立場に自治省はあるわけでございますから、関係省庁の今後の具体的な調整の成り行きを見ながら慎重に対処していく、こういうことだと考えます。
  151. 吉田法晴

    吉田委員 今後、三大都市以外の都市にも、A、B、C農地について同じ制度を推進せられますと、先ほど来提案者からも答弁をされましたところの緑地の確保あるいは都市計画との調和の問題等も起こってまいりましょうが、これは、いま申し上げました地方自治を保障する立場から自治行政はなさるべきだ。こういう点は十分に留意せられることを望みます。  最後に、市町村や府県も含めまして、自治体でいま一番困っておるのは、宅地についてもそうですけれども、いわば公共用地の確保について困る。そして、その具体策を講じてもらいたい、講じたいというのが、それぞれのところの事情のようであります。そして、大きな団地が来ることについてさえ、関連をする幼稚園、保育所、あるいはあき地や学校、上下水道の用地等、公共施設の用地確保が不可能なために、住宅建設さえおくれているという事情を聞いております。宅地を供給したいという面について、これが的を射ているかどうかということも考えられますけれども、自治体からいうならば、もっと先にやってもらうことがあるんじゃないか。これは具体的な要望が出ておる。新聞紙上により、あるいはわれわれが聞くところによりますれば、問題があるように思いますが、これらの点についてはどういうぐあいに対処していかれますか、伺いたい。
  152. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 これは重要な御指摘だと思います。ただ、その問題も重要でありまするが、三大都市圏における主要都市の住宅供給も重要であります。そうして、まず今回は宅地供給を先にした。そのことによって、宅地供給が順調に進んで、人口が急増するということになれば、従来の法律その他特例等に沿いましてあらゆる対策をする。これが、ことし宅地供給がなされて、家が建つまでにはちょっと小一年はかかりましょうから、それらの学校の建設であるとか、あるいは集会所の建設であるとか、福祉につながるような環境整備のそれぞれの対策については、来年度予算以降、四十九年度から活発な予算措置を講じて御期待にこたえていこうというような計画で進んでおるわけでございますので、どうぞ御協力をお願いしたいと思います。
  153. 吉田法晴

    吉田委員 たいへん口はおじょうずでございますが、実際に施策がこれに伴うかどうかはこれから見てまいりたいと思いますが、企業についても、これは道議会の議長ですか、言われましたけれども、利潤あるいは所得といいますか、資本主義の基本原則がすでに問われているのではないか。少なくとも四日市判決の中では、かけがえのない人の命のためには、従来のような企業の存立というものが前提になっている点は転回をされている。土地の問題についても、宅地の問題、あるいはこれに関連する公共用地の問題についてもいま論議をいたしましたが、いままでのような考えでは問題は解決しないのではないかという気がいたします。  先ほど小さい経験を申し上げましたけれども、土地全体を公有地にせいとは言いませんけれども、安価な宅地を提供するについては、所要の宅地、あるいは計画の数字、あるいはそれに関連する公共用地については、少なくとも公共団体で取得するだけのことはしなければならぬのではないか、あるいは、それを安く提供するということが必要なのではなかろうか、こういう感じがいたします。そのために思い切った財政的な援助をしていくということは、課税をしたり、あるいは農業、農民を犠牲にして追い出すということではなかろうという感じがいたしますが、最後の、その土地政策についての転回こそ、発案者にはむずかしいことかもしれませんけれども、やるべきことではないかと思いますが、これらの点についてはどう思われますか。最後にお尋ねをいたします。
  154. 内田常雄

    内田委員 直接今度の修正発議の対象になっている事項ではございませんが、しかし、仰せられますとおりに、今度の修正発議は、いま吉田さんがお述べになりましたような広い範囲の土地対策を背景としてのみ、その意義があるものと私は考えますので、これも、私、政府ではございませんので、政府並みの御答弁はいたしませんが、御所見を十分傾聴いたしましたので、議員の一人として、大いに政府を鞭撻いたしてまいる所存でございます。
  155. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 お示しの点につきましては、政府与党側の協力はもとよりでありますが、この事態は国家的な問題でありますので、皆さん方の全体の御激励も得ながら、実効のあがるようにしていきたいと思います。  私、さっき抽象的な答弁にとどまったのは、御承知のように、地方開発公社で、このA、B農地を対象にして、どれだけの宅地をつくってどういうふうにするかという計画が、法案審議中で、まだ立っておりません。これが立って、具体的な計画が、市の場合、県の場合というわけで、当然自治省に県などを通じて上がってくるわけであります。そこで、それについては、できるだけの財政措置をする。それが、さっき申し上げました総理大臣や大蔵大臣の決意でもあるわけでありますから、私も、これは皆さまと一体になって十分予算を確保して、この問題が、ほんとうに裏づけがある措置、実効のあがる措置ということで、特に三大都市圏における住宅不足の解消に役立つように努力をいたしたい、かように考えます。
  156. 吉田法晴

    吉田委員 以上で質問を終わります。
  157. 上村千一郎

    ○上村委員長 次回は、明十八日水曜日、午前十時から理事会、午前十時十五分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時十五分散会