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1973-03-06 第71回国会 衆議院 地方行政委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年三月六日(火曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 上村千一郎君    理事 小山 省二君 理事 谷垣 專一君    理事 中村 弘海君 理事 山本弥之助君    理事 林  百郎君       愛野興一郎君    今井  勇君       片岡 清一君    島田 安夫君       高鳥  修君    保岡 興治君       渡辺 紘三君    岩垂寿喜男君       小川 省吾君    佐藤 敬治君       吉田 法晴君    小川新一郎君       小濱 新次君    折小野良一君  出席国務大臣         自 治 大 臣 江崎 真澄君  出席政府委員        自治省税務局長 佐々木喜久治君  委員外出席者         大蔵省主税局税         制第一課長   伊豫田敏雄君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 委員の異動 三月三日  辞任         補欠選任   三谷 秀治君     山原健二郎君 同日  辞任         補欠選任   山原健二郎君     三谷 秀治君 同月六日  辞任         補欠選任   渡辺 紘三君     坂田 道太君   佐藤 敬治君     北山 愛郎君 同日  辞任         補欠選任   坂田 道太君     渡辺 紘三君   北山 愛郎君     佐藤 敬治君     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  四五号)      ————◇—————
  2. 上村千一郎

    ○上村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる地方税法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小川省吾君。
  3. 小川省吾

    小川(省)委員 小川でございます。地方税法の一部を改正する法律案についてお尋ねをいたしたいと存じます。  まず、最初に、基本的な問題についてお尋ねをいたしたいと思います。基本にかかわる問題ですから、この点に関しては自治大臣の御答弁をお願いいたしたいと思います。  第一に、課税最低限の問題でございますが、今回八十六万円に引き上げられたわけでありますけれども所得税との差は縮められつつあるものの、相変わらず約三十万円ほどあるわけでございます。本会議におけるわが党の佐藤議員の質問に対する大臣答弁や、あるいは委員会における説明等を伺っておりましても、十分に納得できません。何か、税における応益負担原則というふうな点を説明されておるようでございますけれども、なぜ、所得税との間に相変わらず課税最低限の差があるのか、重ねてお伺いをいたしたいと存じます。
  4. 江崎真澄

    江崎国務大臣 住民税課税最低限につきましては、地方自治の見地から、いわゆる地域社会費用住民所得に応じて広く負担することが望ましいという観点に立っております。それから、所得税所得の再配分というような意味合いがありまして、これは税率も御承知のように非常に高くなっておることは御承知のとおりですし、累進方式をとっておることも御承知のとおりでございます。それに引きかえて、住民税は、これは税率そのものも少のうございます。そういう特質がありまするので、必ずしも住民税所得税というものが一緒でなければならないということにはならぬと思います。これは税の本質が違うというか、性格が違うと申しますか、しかし、御指摘のように、個人住民税軽減ということも、国民全体の所得の伸びとも見合わせまして、軽減をはかっていく必要は痛感いたしておりますので、今回も八十万円から八十六万円に免税点引き上げたことは御承知のとおりでございます。  なお、今後、住民税納税義務者数、この推移状況等を十分見きわめながら、できるだけこういった免税点引き上げを考慮してまいりたいというふうに考えております。  所得税一緒でない点は、冒頭に申し上げましたような理由によりまして一緒にはなっておりませんが、免税点引き上げにはなお努力をしたい、こういう考え方に立っております。
  5. 小川省吾

    小川(省)委員 地域における費用を広く分担をさせたいという考え方についてはわかります。そういう点に立って、実は、均等割りという制度ができているのではないかというふうに私は思うわけです。そういう点では、所得税地方税との性格なり、あれが違うという点は理解できますけれども、それならば、均等割りという制度は、これこそ広く地域における費用分担をさせるということでできているのではないかというふうに考えますけれども大臣の見解はどうですか。
  6. 江崎真澄

    江崎国務大臣 そのとおりでございます。
  7. 小川省吾

    小川(省)委員 地方税の中には、徴税経費がよけいかかるとか、率の悪い税金がわりと多いわけであります。私は、この所得税地方税との課税最低限の差の中に、ある意味では、地方における税収を確保させてやろうとか、あるいは全体的な中での調整というか、地方財源を確保させてやろうというような考え方自治省の中にあるのかどうかお尋ねをしたいと思います。
  8. 江崎真澄

    江崎国務大臣 ちょっと意味を受け取りかねておるのですが、要するに、市町村自治省が温情的にというか、課税が容易になされるために、この均等割り以外にも所得割りを課しておるのか、そういう意味でございますか。
  9. 小川省吾

    小川(省)委員 そういう考え方が入っておるのかどうかということです。
  10. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは、必ずしもそういう意味ではないのでして、そういう考え方は別に入ってはおりません。御承知のように、均等割りは、さっき御指摘の、住民地方公共団体に均分して負担をする、しかしまた、所得多寡に関しても、自分の日常生活に一番密接な関係のある自治体に、所得多寡に応じて、これも国税における所得税とは違った低い比率で住民参加意味から担税をする、こういう形になっておるわけでございまして、自治省がことさらに税源確保のために無理な課税をするというようなことは一切ございません。
  11. 小川省吾

    小川(省)委員 そういう考え方が入っていないというので安心をいたしました。もしも入っているとすれば、明らかに誤りでございますから、地方財源調整とか、そういう点については、別個な交付税とかほかの方法でやられておるわけでございますから、入っていないということで安心しました。  そこで、所得税地方税との格差をなくするということは、わが党の年来の主張でもございますし、わが党の地方税法改正案の中でもそういう主張をしてきたわけでありますけれども、私は、国民というのは法のもとに平等だと思うのですが、法のもとに平等だという観念については、大臣もそうお思いでしょうか。
  12. 江崎真澄

    江崎国務大臣 そのとおりに思います。
  13. 小川省吾

    小川(省)委員 それが、同じ税法のもとで国税地方税ということで格差がつけられるということは、私は、許しがたいことだというふうに思っています。自治省でも、年々その格差を縮めているわけでありますから、そういう意向を受けて、これを将来に向かってなくしていこうという考え方だというふうに思いますけれども、どういう展望で、どういう計画で、少なくとも所得税地方税格差をなくしていこうというふうに考えておられるのか、お尋ねをしたいと存じます。
  14. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは、私が先ほども申し上げましたように、住民税所得税とでは、その課税の目的が全然違うわけでございます。所得税は、繰り返して申し上げますが、いわゆる所得配分の思想が包含されております。したがいまして、必ずしも免税点一緒にしなければならぬという性格のものではないと思います。ただ、国民生活水準の向上、経済社会推移に伴って、住民税免税点を上げる努力はいたします、こう申し上げたわけでございまして、必ずしも一緒にしなくていい、別の性格の税である、こういう考え方に立っておるわけでございます。
  15. 小川省吾

    小川(省)委員 別な性格のものであるということはわかりますが、そういう努力をされてきておるわけですから、一刻も早く、少なくとも三年くらいの間に所得税との格差をなくしてほしいというのが、実は、多くの働く大衆の強い願望でございます。そういう点では自治省も今後とも努力を続けていってほしいと思います。  基本的な問題の第二点といたしまして、税体系の問題についてお伺いをしたいと思うのです。  国税というのは、比較的徴税経費もかからないし、取りやすい税金である。そしてまた、その次が府県税で、市町村税というのは、これはひがみかどうか知りませんけれども地方職員の中には、どうもそういうことになっておるのではないかという根強い不満なり、批判が事実ございます。税源を再配分して、税体系改正して、地方税充実、拡大していく考え方はおありかどうか、その点についてお尋ねをしたいと存じます。
  16. 江崎真澄

    江崎国務大臣 やはり、市町村あるいは府県のほうが徴税しやすいもの——これは手の込むもの、込まないもの、いろいろありましょうが、それぞれ性格に応じてできるだけ合理的に配分したというのが現在のあり方だというふうに私どもは考えておりまするが、今後とも、この徴税合理化等々につきましては、また、税の配分等につきましても、十分検討をいたしまして、住民の納得の得られるような形でいくことが望ましいというふうに思っております。
  17. 小川省吾

    小川(省)委員 答弁については了解をいたしますが、事実そういうふうに国税は比較的取りやすいし、府県なり市町村に行くと、徴税経費がかかるし、取りにくい税金がある。そういう矛盾があるということはお感じだろうと思うのです。ですから、そういう点でぜひひとつ努力をしてもらいたいと思うのです。  昭和四十八年度の地方税収見込み額五兆五千四百七十一億円の中を見ても、全体の構成比二七%のうち、府県税が二九・七%、市町村税が二四・一%で、市町村税はもっと充実をしていってほしいと思っておりますが、今回の税改正の中で特別土地保有税が新設をされるわけでありますが、これは市町村税ですね。その中の土地取得についての税なんですけれども、元来不動産取得税府県税ですね。これを新設する際に、おそらく論議がかなりされたというふうに思うのですけれども、同じ地方税の中で、特に不動産取得にかかわる問題について、地方税法の中に混乱を持ち込んできたということは避けられないと思うのです。そういう意味では、この論議をされる際に、いっそのこと不動産取得税市町村税に移したほうが税体系上でもすっきりするように私は思うのですけれども、そういう考え、論議がされたかどうか、その辺の経過お尋ねしたいと存じます。
  18. 江崎真澄

    江崎国務大臣 不動産取得税は、土地の移転であるとか、家屋の建築であるとか、そういうことに基づいてかけられるわけであります。そういうことになりますと、これが市町村税という形になったときに、非常に過度に集中する市町村、それからほとんど考えられない市町村、こういう不均衡が出てまいります。それで、これはやはり道府県税という形のほうが望ましい。これは地域的な偏在を緩和するという意味が多分に加わっておるわけであります。  今度の土地保有税の場合は、似たような性格を一面から言うと持っておるわけでありまするが、今度のこれは、土地投機の防止とか、また土地の吐き出しとかということを促進するための保有税であり、府県がこれを把握しようとしましても、なかなか実態が把握しにくい。市町村でやりまする場合は、この移動については非常に把握がしやすいという一面もあるわけでございまして、そういうことなども勘案されて、これは市町村税がよかろうということで市町村税に決定を見たわけでございます。  なお、御指摘の今後のこの税の移譲等につきましては、道府県市町村を通ずる行政事務配分及び地方税体系あり方全体の問題の一つという形で、今後総合的に十分検討をしてまいりたいというふうに思います。今回はこれでいくことが妥当であるというふうにわれわれは考えておる次第でございます。
  19. 小川省吾

    小川(省)委員 経過はわかりました。しかし、おそらく実態をお知りにならないからそういうことを言われるのでしょうが、大体、府県不動産取得税というのは、これはもちろん三税協力という点がありますけれども、大体、市町村における固定資産関係やあるいは不動産関係については、市町村役場、市役所と密接な連絡をとりながら、実は不動産取得税という府県税が課されている。こういう実態があるわけでありますから、そういう最終的な、答弁のような形の中で検討をしていただきたいと思うのです。特に、不動産取得税は、市町村民税固定資産税と実は不離密接な関係にあるわけであります。現在は取り扱い上入り乱れておりますので、地方税独立原則から言っても、また徴税費用の点からしてみても、市町村民税として移譲するほうがより適切であり、市町村財源をふやしていくという形から見ても、税収上からもすっきりすると私は思いますが、その点についてはどうですか。
  20. 江崎真澄

    江崎国務大臣 おっしゃる御趣意は、市町村財源確保という、非常に温情をもってのお話だというふうに思いますが、御承知のように、この保有税税率取得税税率とでは非常な差があります。これは御承知のように、不動産取得税は総額千五百億以上にものぼるわけでありまして、それを移譲するということは、先ほども申し上げましたように、税全体の基本の問題にも関係しまするので、十分そのあたりを勘案しながら、今後の問題として検討をいたしたいと思います。
  21. 小川省吾

    小川(省)委員 時間の関係で先に進ませてもらいますが、ぜひ検討を重ねていっていただきたいと思います。  次に、一般的な問題についてお尋ねをいたしたいと存じます。  所得控除がそれぞれ引き上げられたことは当然でありますけれども、新しく、老人扶養控除だとか、扶養親族のない未亡人に対する寡婦控除を適用されたことはたいへんけっこうだと思うのでありますが、現在のインフレの極端な進行状況やあるいは物価高の状況は、正常な職を持っておるわれわれ成人男子であっても容易ではなく、共働きや家族総働きという状態の中で現在生活をしているのが国民実態であろうというふうに思うのです。そういう点では、これらの人たち生計の主たる役割りを果たしておる世帯については、さらに特別な税制上の配慮というものを行なう必要があるというふうに思っておりますけれども、そうだとするならば、それにつけても、やはりあまりに所得控除の額が低過ぎるのではないか。そういう意味で、これらの人たち生計の主たる役割りを営んでおる世帯に対しては、税法上のさらに特別な配慮をぜひお願いをいたしたいと思いますが、そういう点についての所見はいかがですか。
  22. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは、御指摘のように、当然考えなければならない点でありまして、今度の改正あたりましても、それなり改正をしたというふうに評価をいたしておるわけでございます。  詳しいことは政府委員からお答えいたします。
  23. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 寡婦あるいは老年者障害者という人々は、その所得をとらえるにあたりまして、通常の人に比べまして、それなり追加的費用が必要であるというふうな観点から、今回の住民税改正におきましては、課税最低限に属する所得控除につきましては一万円の引き上げを行なったわけでありますけれども、これらの方の所得控除につきましては二万円の引き上げを行ないまして、原則的には国税所得控除の額に合わせるという措置をとっておるわけでございます。住民税といたしましては、できる限りの配慮をしたということを私ども思っております。
  24. 小川省吾

    小川(省)委員 国税に合わせたという点はよくわかるわけでありますが、そういう意味で、現在の生活の中で苦しんでおられる方々、特に、これらのような、いろいろな障害なり、あるいは老年なり、あるいは寡婦なりという状態で、しかも、その方々生計の主たる維持者であるという世帯について、今後とも格別な配慮を、せひひとつとってほしいと思います。  次に、個人事業税についてなんですけれども、八十万円に今回引き上げられたわけですね。私どもはかねがね、大企業に対する優遇措置をなくして、個人事業税は、これ自体は当然なくしていきなさいというふうな主張をしてきたわけなんです。個人事業税についての引き上げはわかるのですけれども、もういいかげんで個人事業税はなくしていったらどうかというふうに考えておりますけれども、この点についてはいかがですか。
  25. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは、それぞれの事業地方団体から受けておるいろいろな行政サービス、これに必要な経費というものを、事業経営に必要な経費という形で、それぞれの事業活動量に応じまして分担すべき原則に立つ、こういう考え方で課しておるわけでございます。そればかりか、事業税は、御承知のように古い歴史も持っておりましてここにきておるわけでございます。したがいまして、六十万円から八十万円に事業主控除額引き上げてきたというあたりに私ども努力があるわけでございまして、今後も、いろいろな情勢を見きわめながら、免税点をどうするか、控除点をどうするかというようなことには十分配慮をしたいと思いまするが、直ちに排除をするということはこの段階ではちょっと考えられない、また、重要な地方財源でもあるというふうに思います。
  26. 小川省吾

    小川(省)委員 今回の改正によって、試算をしてみますと、府県等についても個人事業税該当者が非常に減ってきております。これは税の軽減ということではけっこうなことだと思うのですが、税の対象としてはかなり減ってきておるというような事実。これは、大きなところは法人組織になっているわけでありますから、そういう意味個人事業税をこの程度まで引き上げてきますと、実際はなくしていってもいい段階にきているのではないかというふうに考えておりましたのでお伺いをいたしたわけでありますが、さらに今後同じような形で引き上げていくということになれば、これはやはり存続をしていく税目としての価値が減少をしてくる。こういうふうな状態もありますので、ぜひひとつ、そういう意味で再検討、考慮を今後ともやってほしいと思いますが、どうですか。
  27. 江崎真澄

    江崎国務大臣 御指摘でありますが、これが大体六百億程度財源になっておりまして、低い人が大多数ですが、中には高い人もある、会社組織になっていない、相当な額を納める人もあるというわけでございます。御趣旨の点は承りまし一たが、なお今後の検討課題ということにいたしてまいりたいと思います。
  28. 小川省吾

    小川(省)委員 ぜひ検討をしていただきたいと思います。  次に、料理飲食等消費税についてお伺いをしたいと思うのです。  第一に、料飲税のうち、バーキャバレー等風俗営業取締法第一条各号に掲げる業種についてなんですけれども料飲税納税者というのは、一カ月お客さんから税金を預かって、そして翌月の末日までに申告をして納入するという方法になっているわけですね。この預かり金であるところの税金滞納した場合の話なんですけれども、特に、この種の業者というのは、倒産をする、あるいは経営者がかわるとかいうふうなケースが比較的多いわけなんです。それで、いわゆる預かり金は一カ月おくれですから、結局税金を払えないという事態が出てくるのは税の上からもまずいし、納税感情からもたいへん好ましいことではないと思うのですが、これに対する対策というのを考慮しておられるのかどうか、お伺いをしたいと思います。
  29. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 バーキャバレー等経営者は、ただいまお話しのとおり、料飲税につきましては、その徴収をした翌月の末日までに納付するということになっておるわけですが、確かに、最近の状況を見ますと、こういうものについての倒産というケースが他の業態に比べますと間々多く見受けられるわけでございます。ただ、こういう場合のバーキャバレー倒産の原因というものは、どちらかといいますと、ツケで飲食をしたというような人々について、そうした料金貸し倒れによる倒産というものが非常に多いわけです。貸し倒れになりますと、税のほうも同時に納まらないというようなこともあるわけでございますが、現実問題として、貸し倒れになりました料金にかかる料飲税につきましては、税法上も徴収ができないようなことになっておるわけでございまして、この点は制度的にはやむを得ないことだと思いますが、ただ、現実に料金徴収しておりながら、料飲税を納めないで、いわば経営者が交代をするというような場合、これは確かにそういう事例もないわけではないのでございまして、この点が料飲税にとりまして一番問題になる点でございます。こういう点につきましては、府県としてもそれ相当の注意を払いまして、それについての滞納処分あるいは交付要求というような手続を発動することによりまして、この徴収についての万全を期したいということを考えておるわけでございます。なお、徴税吏員営業件数とのアンバランスから、逃げられるものもなきにしもあらずという状態であろうというふうに考えておりますが、できるだけの努力をいたしたいと思っております。
  30. 小川省吾

    小川(省)委員 どなたか警察庁関係の方はおられますか。
  31. 江崎真澄

    江崎国務大臣 私が国家公安委員長ですから……。
  32. 小川省吾

    小川(省)委員 それでは、風俗営業取締法第一条の各号に掲げている業種なんですが、第七号にパチンコ屋とかマージャン屋というのがありますが、これは、第二条の中で、営業許可更新というものを三カ月なり六カ月ごとに実施をいたしておるわけですね。ですから、バーキャバレー等についても、消費者が一たん納付をした税金経営者が結果的には横領するというようなことがないように、パチンコ屋マージャン屋のように営業許可更新制を実施していけばそういう事態が防げるのではないか、こういうふうに思っておりますけれども、そういうふうに風営法の中で営業許可更新ということを考えられますか。
  33. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 風営法関係におきまして、営業許可更新という点が業態によって若干差があるわけでございます。パチンコ場におきましては、パチンコ売り上げは大体現金で売り上げられておるわけでありまして、終戦直後等におきまましては、税の面で出た問題は、売り上げの中に、娯楽施設利用税になるわけでございますけれども税もろとも料金お客から取って、そしてある期間過ぎると経営者が交代してなかなか取れないというような事態がございましたので、風営法関係におきましては、営業許可更新期間というものを極力短期間にするようにして、税の徴収についての担保ができるような方式をとってきたわけであります。最近は、やはり社会情勢もだんだん落ちついてまいりましたので、営業許可更新期間というものを延長してまいっております。さらに最近におきましては、この営業許可更新期間をもっと延長してもらいたいというような要請もございまして、私どもも、その点について警察当局のほうともいろいろ打ち合わせをいたしておりますが、やはり、滞納なりを防ぐために営業許可更新という手続を全部の特別徴収義務者について強制していくということについてはやや問題があるのではないだろうかというような感じでございまして、現在のところ、まず、現行制度のもとにおきまして徴税側としてはできるだけの努力をしていくということであろうというふうに考えております。
  34. 小川省吾

    小川(省)委員 全部の徴収義務者に対してということでなくて、私はバーキャバレーに限定をして言ったわけですけれども、特に風営法を扱っておる警察当局とも十分連絡をして、消費者である国民が一たん納めた税金が、ほかの事情によって、国なり地方公共団体に入らないで、特定の者が結果的に横領したというふうな形のないように、ぜひひとつ十分な連絡検討をお願いしたいと思うのです。  それから、料飲税の中で、特に旅館等についてお尋ねをしたいのですが、現在は旅館業法の適用を受けておりますが、いわゆるモーテルというのがあります。このモーテルというのが料飲税の中で対象になるのは、大体何%くらいが税金を納めているような形になっているのか、まず最初にお伺いをいたします。
  35. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 現在モーテルは旅館業法の適用を受けております関係で、モーテルとそれ以外の旅館ということは現在税の上では区分をいたしておりませんので、統計的に何%になるかという点は明確でございません。
  36. 小川省吾

    小川(省)委員 その辺のことはやはり承知をしておいていただかなければ困ると思うのですよ。モーテルというものはかなりはやっておりますし、私どもが調べてみると、大体一割なり一割五分くらいしか私どもの県のほうでは課税対象になっておりません。というのは、料金が安いのですよね。大体、宿泊を本来の目的としていないモーテルが旅館業法の適用を受けていること自体が矛盾があると私は思うのですが、モーテル利用者の中には、現在の住宅政策の貧困の中で生活上必要だという方々もおるでしょうけれども、大多数はそうではないだろうと思うのです。そういう点で、ゴルフや何かよりもこれはやはりゆとりがあるというふうに税の上では見てもよろしいのではないか。そういうふうに考えれば、税の徴収の上から当然検討、考慮されてしかるべきだというふうに思うのです。いまの税務局長の答弁では、あまり検討したことがないと言われますけれども、あれだって、一種の、サービスをしないことがサービスだというサービス業でございますから、そういう点では、これらの課税についても当然十分な検討をしてほしいと思うのですが、いかがですか。
  37. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは非常に重要な御指摘だと私も思います。これはやはり、利用の料金制度関係、それから利用のしかた、たとえば宿泊であるとか休憩であるとか、そういう見地から言いまして、税の捕捉が非常にしにくいわけでありますが、これをなおざりにすることはいけませんね。同感です。これはひとつよく検討して、十分円滑に徴税されるような方途を、何らかの形でけじめを立ててまいりたいと思います。
  38. 小川省吾

    小川(省)委員 ぜひ検討してもらいたいと思うのです。現在課税対象になっているのは、デラックスな設備をしておるところだけが対象になっておるようでございますが、ぜひひとつ検討してもらいたいと思います。  次に、自動車税についてお伺いしたいのですが、自動車税の納期が一回になったわけですね。説明なりによれば、省力化であるとか、簡素化ということですが、そういう理由だけなんでしょうか。
  39. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これはまさに御指摘のとおりで、省力化と申しますか、特に、府県の窓口業務をはじめ、福祉事務、そういったものがこのごろ非常に多くなりました。そういうときに、自動車の台数がまたたいへんな伸びを示しております。これを二回で徴税するか、一回で徴税するかということは、非常な手数の問題にからみまして、一回にしようということで、まさにお尋ねのとおりの理由によります。ほかにはございません。
  40. 小川省吾

    小川(省)委員 自動車の保有というのは非常に大衆化をしてきておるわけですが、そうすると、少なくとも、自動車を保有しておる者は一回に納められるんだという考え方基本に立っているわけですね。
  41. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 納期が従来二回のものを一回にするということは、確かに、納税者側から見ますならば、それだけ税の負担というものは実感として大きくなるということは事実でございます。ただ、自動車税の税率は、最終的に現行の税率になりました時期が約十年以前でございました。その間の所得水準の上昇等を考えますならば、以前の税率改正いたしました時期から見ますならば、税負担というものは、その時期に比べますならば、実感としては比較的軽くなってきておる。そういう時期的な問題もございまして、納税者の方には、年二回を一回ということにしてひとつ御協力をお願いしたい。いま府県の事務としては、自動車税の事務が、職員を相当数ふやさなければならない限界にまで来ているような状況でございますので、この際、そうした税率改正の時期から見ましても相当たっておるというようなことも考え合わせまして、納税者の御協力をお願いしたい、こういうつもりでございます。
  42. 小川省吾

    小川(省)委員 自動車の保有者というのは、実は、車検というものを非常に重要視をしておりまして、車検にある程度金がかかってもしようがないというふうな考え方を持っております。そのために修理屋が実は営業ができておるような状態があるわけですけれども、そういった点では、車検時に自動車税を納めさせるというふうな形を考えたほうが、省力化なりあるいは合理化という点ではよろしいんではないか、車検時に証紙によって納入させるというふうな方法のほうが、省力化という点で考えればむしろいいのではないかと思うのですけれども、そういう点を検討されたことがあるかどうか、お尋ねをしたいと思います。
  43. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 税の徴収側といたしましては、車検の段階で、その車検の際に自動車税を納めていただく、これが実務的には実は非常に楽なわけでございます。ただ、そういうことで、私どもも、以前から、車検時に自動車税を納付してもらうという方式について何度か検討をしたことがございますけれども、一番私どもで感情的にひっかかりましたのは、現在自家用乗用車の数が一番多いわけでございますが、この自家用乗用車の車検期間が二年である、したがって二年間の税金を納めていただく、この点は現在の年税の構成をとっております自動車税の体系から見てはたしていかがなものだろうかと、この点が一番ひっかかっている問題でございます。このほか、技術的には、若干の問題として、車検を受けます場合には車庫所在の府県でなくてもいいという問題がございますが、これは枝葉の問題でありますけれども、二年間の税金を一ぺんで取るということはどうだろうかという点がまだ私ども踏み切れないでおる理由でございます。
  44. 小川省吾

    小川(省)委員 局長の答弁を聞いてある意味では安心をしたのですが、そういう考え方があるならば、私は、年二期の納期を一期にしたことも、おそらく考え及んだのではなかろうかというふうに思うのですが、大衆化をしておる現状では、やはり二期ということで、一般の勤労者などは、個人生活設計といいますか、計画的な設計もできるわけでありますから、いま言われるような、車検時に一括納付ということがそういう理由で避けられたといいますか、もしもしなかったというならば、二期を一期にしたというのも、納税者に対していろいろな意味での影響をもたらすと思うのですが、どうですか。
  45. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 ただいま御指摘のとおり、自動車税の場合に、二回を一回にするという点は、私どもも、これを踏み切るまでに実は何べんか検討しまして、やっとことしになりまして、もうこの辺で割り切っていこうかということになったわけでございます。  それから、確かに、自動車の所有者について、生活の設計に狂いが出てくるのではないかというような問題もございますので、私ども徴税事務の可能な限り、納期を、最初の納期が現在四月になっておりますが、これを五月に一月ずらす、さらに納期一回にするという規定は、来年度昭和四十九年度から適用することにいたしまして、そういうことになりますので、ひとつことしからそういう準備をしていただきたいということで、一年ずらして施行するということにいたしたわけでございます。
  46. 小川省吾

    小川(省)委員 一年ずらしたのはわかるのですが、大体一般の家庭の生活というのは、おそらく自治省の皆さん方だってそうだと思うんですけれども、三月は子供の卒業期であり、四月は子供の新学期ということで、三月、四月という月は大体物入りの季節なんです。そして、その翌月五月にボーナスが出るわけでもない。そうだとすれば、その意味で、六月の、多くの会社のボーナスの出る時期くらいに時期を設定するのが、課税をする側の、税法をきめる側の親心、国民に対する愛情ではないかというふうに私どもは実は考えるわけですが、そういう点まで考えられたのかどうか、たいへん疑わしいと思うんですね。そういう点まで実は検討してほしかったというふうに思います。  それと、実は、自動車税についての課税客体の捕捉でございますけれども、いろいろな意味で捕捉しにくいなんという面があるだろうと思うのですが、いわゆる割賦販売にかかる自動車というのは所有権の移転がないわけですから、ディーラーにその納税義務があるというふうに理解をしてよろしいでしょうか。
  47. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 現在は、割賦販売の場合には、ディーラーとユーザーの共有物とみなして、連帯納税義務があるという規定にいたしております。
  48. 小川省吾

    小川(省)委員 そうなれば、ディーラーとユーザーならば、大体課税客体が捕捉ができないというような事実はほとんどなくなってきたというふうに理解してよろしいですか。
  49. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 現在、自動車税で問題になります滞納が発生する場合に、一番困っておりますものは、一つは車庫規制の問題でございます。車庫規制の関係で、この車庫規制のゆるやかな地、あるいは車庫規制のために、自分の住所地と違ったところに知人あるいはディーラーから提供されるというのもあるかと思います。そういう形で、住所地と車庫所在地が非常に違ったところに設けられているとか、それからまた、特定のナンバーがほしいために、といいますのは、たとえば東京の品川ナンバーがほしいというために、他県からわざわざ東京で買ったような形にして、実際には自分の住所地で使っておるというような点で、現在、割賦販売だけではなしに、全体的にそういう問題が起きておるという点が自動車税の問題としてございます。
  50. 小川省吾

    小川(省)委員 時間の関係で、固定資産税に移ってお尋ねをさしてもらいたいと思います。  現在、固定資産税というのは、住民税と並んで市町村にとっては最も重要な財源になっているわけですね。しかし、はたしてこのままでいいのかという問題が実は起きていると思うのです。私たちは、市街化区域内の農地のみなし課税についても反対をしているように、このままでは、固定資産によって収益をあげていない者は町の中に住んでいられないという状態が実は出つつあると思うのです。固定資産による収益をあげていない、いわゆる非営業者といいますか、一般の勤労者などは、たまたま先祖が町の中心部等に家を持っていて、固定資産があって住んでいたという者が町の中から追い出されてしまうような状態税法上から出てきているんじゃないかというふうに思うのです。税法の中で、もう非生産的な、営業を営んでいない、固定資産によって収益をあげていない一般の者は町の中から追い出されたってしようがないんだという考え方を持っておるんじゃないがと思うような状態になってきつつあると思うのですが、そんな考え方を持っておりますか。
  51. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは土地とか家屋に対してかけられる税金でありまするが、現在の住宅不足というたてまえから言いまするならば、家賃を払っておる人、それを持って家賃を払わないでその住居に住める人、これはもうたいへんな大きな差があると思います。税率もそんなに高いものではございません。特に、住居地においては、標準価格のまたその上に税率をかけ合わせましても半額という形で優遇措置をしておるわけでありまして、家のない人と、財産を持っておることによって恩恵に浴しておる人というのとでは、これはもう非常な差があるわけでありまして、その客体からの収益のいかんにかかわらず、これはやはり適正基準で課税されてしかるべきもの、こういうことでずっと今日に至っておるわけでございます。
  52. 小川省吾

    小川(省)委員 聞いてください。私の町は十万ほどのいなかの町です。過疎ではなく、群馬県の中ではどうやら人口がふえている地域なんですが、私がためしに試算をしてみると、こうなんです。町の中心部に、私のよく知っている、約六十八坪ほどの土地を持っておる家があるのですが、いまの税法でいきますと、昭和三十九年から路線価評価方式が採用された結果、この家は両面に道路が通っていますから側方加算が一五%ついているわけなんですが、評価額が上がってまいりまして、昭和三十九年度の評価額では坪当たり評価が六万六千八百二十七円、地積が六八・四一坪あるのですが、それでいきますと、昭和三十九年の評価額が四百五十七万千六百三十五円、昭和四十五年で一千五十六万四百七十円、四十八年で二千二百三十四万三千六百四十六円です。これを課税標準額で見ますと、昭和三十八年が二十七万九千二百六十五円、四十七年が二百十八万八千六百三十一円。四十八年には、一五%を適用いたしますと、三百三十五万千五百四十六円。四十九年は、三〇%を適用しますと、六百七十万三千九十三円です。これを税額で見ますと、昭和三十八年に三千九百九円であったものが、四十七年には三万六百四十円、四十八年が四万六千九百二十一円。四十九年になりますと、九万三千八百四十三円。昭和五十年になりますと、十五万六千四百五円。実に、昭和三十八年から五十年になりますと四十倍にもなってしまうわけであります。これでは、固定資産税を納めるために町の中から逃げ出さなければならないという事態が出てくると思うのです。先ほど申し上げたように、そういう状態にいまの税法の中で固定資産税推移しているわけでありますが、これらの状態について、税務局長、考えたことがありますか。
  53. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 固定資産税の場合に、現在の地価の上昇というものが、いま先祖伝来とおっしゃったわけでありますけれども、いわば昔から同じ状態で使っているという人に対して非常に高くなってきているのではないか、結局、地価の上昇と所得の上昇というものが非常にアンバランスになっているのではないかという点は、確かに御指摘のとおりだろうと思います。そういう点では、宅地の中でも直接的な収益を生まないところの住宅用地というものについては、他の事業用の資産と区別して税負担を求めるべきではないだろうかというような観点から、今回の固定資産税改正をお願いをするということにいたしたわけであります。ただ、現在の固定資産税負担というものは、他の形で、自分の土地に自分の家を建てているというような人々固定資産税負担、いわば不動産の管理費用というものと、他の形態、たとえば公営住宅、公団住宅、さらにはまた、極端な例で言いますと、その辺の民間のアパートなどを借りて住んでいる人たちの地代、家賃等の負担関係を考えてみますならば、自分の土地に自分の家を建てているという人々の管理費用というのは、どちらかというと一番安いのではないだろうか。現在はいろいろな住宅、宅地関係の問題がありますために、自分の家に住んでいる人々でも、その土地、家屋に対する管理費用の支払いのしかたが非常にアンバランスになっておるということは事実でございますけれども、その中でも、固定資産税を直接負担をしていただいている人々負担というものは、現在のところでは一番安い。そういう意味では、今回改正をお願いしている程度負担というものは、負担をしていただいていいのではないだろうか、こういう感じでございます。
  54. 小川省吾

    小川(省)委員 局長の話を承っていると、地方税を扱っておる責任のある方の答弁ですから当然そういう答弁が出てくるだろうと思いますが、それで、固定資産税というのは大体収益税なのか、財産税なのかという問題があります。これは学説も二通りに分かれているようでありますが、現実に地方税法を担当している自治省としては、固定資産税というのは、大体において財産税なのか、それとも収益税なのか、どういうふうにお考えなんでしょうか。
  55. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 収益税、財産税の定義に一つ問題がございます。私ども考え方は、固定資産税は、普通の意味で言って収益税というふうな考え方をとっております。いわば、その資産自体が持つ収益性、通常現在の経済社会において有効に利用されております場合に生むであろう収益のうちから一部税負担をしてもらう、そういう趣旨の収益税的な性格を持つものだというふうに考えております。
  56. 小川省吾

    小川(省)委員 私は、いまの税の実態から考えてみて、いまの地方税法の中でとられておる固定資産税考え方は、いまも局長のほうから答弁がありましたが、いわゆる固定資産が持っている予想収益力といいますか、期待収益力に課税をしているのだ、こういうふうに理解をしてよろしいわけですか。
  57. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 さようでございます。
  58. 小川省吾

    小川(省)委員 それならば、税というのは応益応能の原則によっているのだというふうにされていますが、課税最低限の説明からしても、税というのは応益応能の原則なんだということに私は理解するわけですけれども、そういう点はお認めになりますか。
  59. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 税金は、その最終的な源泉はやはり負担能力、応能というのが税を求めます場合の最終的な根拠になるであろうというふうに考えるわけでございます。ただ、この応能の、いわば負担能力の所在というものをどういう標準でとらえていくかという点が、税において、所得税なり、その他の補完税が構成されているそれぞれの技術的な理由になるだろう。さらに、また、応益という点になりますと、これは特に地方税の場合応益という点が言われるわけでありますけれども地方税の場合には、課税主体が、府県なりあるいは市町村なり、非常に範囲が限定されておるわけでありますから、結局、納税者がどこの地方団体について最もその受益関係を持っているのか、それに最も受益関係のある地方団体課税権を与える、あるいは納税義務を負わせる、これは応益の原則の点から判断をされるべきであるというふうに考えます。
  60. 小川省吾

    小川(省)委員 収益がないのに固定資産の評価額がどんどん上がっていく一方では、実は、生活ができなくて、生活保護を受けていて、そして固定資産税も納められないというふうな状態が事実あるわけですね。そうだとするならば、応益応能の原則に立っているなんという説明がつかぬのじゃないかというふうに私は思うのですが、こういう事態についてはどういう説明をされるのですか。固定資産税というのは、ほんとうの意味で応益応能の原則の上に立っているのでしょうか、どうでしょうか。
  61. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 現在の税の考え方としましては、土地なり家屋なりを持っておる、一応外形的に資産を持っておるという者については、担税能力があるという判断をして税を組み立てておるわけでございます。ただ、この固定資産税のように、全部の土地、家屋が課税対象になるというような税の場合には、どうしてもその中にきわめて例外的なものが出てくるということは、もう税制としてはやむを得ないところであろうと思います。そういう意味におきまして、最近は生活保護法も改正になりまして、最小限度の住居を持っておる者についても生活保護の対象にするということになってまいりましたので、固定資産税納税義務者の中にも生活保護を受ける者があるというような事態になっております。これらにつきましては、税法上も、公私の扶助を受けておる者については減免をするという制度がとられておりますが、そういう減免制度の運用によりまして対処していくべきであろうというふうに考えております。
  62. 小川省吾

    小川(省)委員 固定資産税の質疑だけで全部とるわけにいきませんから、先へ進みますが、御答弁の中にも、やはりいろいろな意味での問題点がかなりあろうと思うのです。そういう意味では、固定資産税について、専門的な立場でさらにぜひ検討をしていってほしいと思います。その点は要望として申し上げておきます。  次に、土地税制の中で一点だけお伺いして、この際ぜひ是正をしてもらいたいものが実はあるわけなんです。  現在、府県なり市町村、自治体で団地造成事業を相当数やっていますね。自治省はこの指導をやっているわけですね。やっているのはどこの部局ですか。
  63. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 団地の造成につきましては、所管は建設省でございまして、建設省の系統におきまして、それぞれ建設行政を所管するという意味におきましての都道府県知事が監督をしているという形になると思います。
  64. 小川省吾

    小川(省)委員 具体的に直接的なのは建設省かもしれませんけれども、都道府県なりあるいは市なりの企画部であるとか、あるいは開発部であるとか、あるいは企業局であるとかいうところがやっているわけですから、自治省が全然かんでいない、全然指導をしないで、地方のさせっぱなしで、何もタッチしないんだということはないでしょう。
  65. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 総合行政を指導するという意味におきまして、あるいはまた、財政措置について自治省が所管をしているという意味におきましては、それらの点について自治省は全然ノータッチだということはあり得ないわけであります。
  66. 小川省吾

    小川(省)委員 この地方公共団体がやっている団地造成事業、住宅なり、工業団地なり、いろいろあるわけですけれども昭和三十年代というのは比較的順調に推移をしてまいりました。三十年代の終わりから四十年くらいにかけて、法人の土地買い占め等が進むにつれて、地方公共団体がやっている団地造成事業もなかなかやりにくくなった。土地取得がしにくくなった。こういうふうな状態で、三割還元であるとか、四割還元とかいう還元方式がとられてきたという事実については御承知でしょうか。
  67. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 所管ではございませんので、どうも明確なお答えはできませんけれども、たとえば鹿島の開発等におきまして、あるいはまた大規模な宅地造成事業等におきまして、土地所有者、地主に対して、ある程度の造成された宅地を還元するという制度がとられた開発方式も県によってはとっておるということは聞いております。
  68. 小川省吾

    小川(省)委員 自治省が知らないと言えばおかしいんで、都道府県や都市がやっているわけですから、これはどこかの部局が——企画部であるか、どこだか知りませんけれども、これは当然承知をしているはずです。この点を、局長、税法上考えたことがありますか。あるか、ないかだけでけっこうです。
  69. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 税制上におきましては、以前宅地開発税というような形のものを考えて税法に規定したわけでありますけれども、現在これを適用している市町村は一県もないというような状態になっております。
  70. 小川省吾

    小川(省)委員 私も専門家ではありませんから、あまり詳細にはよくわからないのですが、大蔵省のほうにもお尋ねをいたしたいのですが、いま一町歩の田畑を持つ農家がありまして、かりに年収益百万円の農家だとします。自分の意思ではないけれども、町の発展や公共の利益、地域の発展というようなことで六反を団地に供出をして、四割が還元を受けたということになりますと、農家というのは、四割になったからといって、収益の四割である四十万が上がるというわけではないのです。これはおそらく農家育ちの方が多いからわかると思うのですが、大体ある一定以上の地積を持っておりますと、桑畑の間にホーレンソウをつくったりいろいろなことをしまして、プラスアルファの収益が上がりますから、十分の四になったからといって収益の十分の四が上がるというわけではないわけですね。ですから、勢い残りの土地を手放していくというふうな傾向が実は出てきておるわけであります。  一般的に、いまの農家というのは、土地を処分しても、おもやを建てかえるとか、子供が何とかうちへ残るなんということになり、自動車の一台くらいを買えば大体終わりで、新しくうちを建てまして、調度品も新しく入りますと、大体生活のレベルが上がりますからなかなかやっていけなくなる。勢い残った土地も手放さざるを得なくなる。こういうのが一般的な農家の通例でございます。大体の状態でございます。これは国税なんですけれども地方税にも、合算所得なりあるいは所得という形で当然関連ができてくるわけです。四十四年に土地課税が変わってきて、長期、短期というふうな形になってまいりましたね。そこで、自分の土地が返ってくるわけですね。四割還元になるわけですから。自分の先祖伝来の土地が返ってくるわけです。ところが、還元された農地は何とか処分をしなければならなくなってしまって、処分をいたしますと、先祖伝来の土地ではあるけれども、新規の所得というふうにみなされて、これに短期の所得税金がかかってくるわけです。五〇%以上が税金でごっそり持っていってしまわれるという状態が実は出てきておるわけなんです。換地によって土地が若干変わることはありますけれども、農家の感情としては、六割を出して四割は自分のところに残ったという形ですが、形式上は十割を買って四割を返したんだということに契約上なっておりますから、新規所得という形になって、短期譲渡の税金がどうしてもかかってくるというふうに私どもは思っているのですが、大蔵省の伊豫田課長さん、その辺のところについてちょっとお尋ねをしたいと思うのです。
  71. 伊豫田敏雄

    ○伊豫田説明員 実情をもう少し詳しく伺いませんと、一般的なお答えをいたしまして間違えるといけませんのですが、ただいまおっしゃいました四割還元の最初に売られましたもの、あるいは供出されましたものは一町歩の農地であり、戻ってまいりました四割はやはり農地でございましょうか、通常は農地でない場合がございますということが一点。  それから、もう一点につきましては、その土地が戻ってきたのか、あるいは同じ団地内、あるいは大きな造成地内であっても別な土地が戻ってまいりましたのか、実はそこにも若干問題点がございます。
  72. 小川省吾

    小川(省)委員 返ってくるのが農地の場合もありますし、工業団地等の場合になりますと、農地でない場合もあるわけです。二通りあるわけです。それから、戻ってくる場合についても、実は、これは土地改良の換地と同じで、自分の土地が返る場合と、換地によって、同じ地籍であるけれども別の土地という場合の、二通りがございます。  しかし、農家とすれば、先祖伝来の土地を、十分の六を売って十分の四が残ったのだという感情は持っておるわけですから、そういう問題が起きてくるわけですね。
  73. 伊豫田敏雄

    ○伊豫田説明員 お答え申し上げます。  実は、税法上、現在、交換という考え方がございまして、同じ土地を出して同じ土地が戻ってきたのならば、これは問題ない。契約上の問題で若干いざこざが出ておるのかもしれませんけれども、実質的に同じ土地が戻ってまいっておりますものですから、これがその次に売られましたときに短期譲渡所得になるということはないと思います。  ただ、たとえば隣でございましても、同じ土地でなく別の土地が戻ってきた場合に、もし農地を出されまして農地が戻ってきた場合には、その部分につきましては、交換という考え方と申しますか、実質的に同じものを同じ人が従来どおり持っているという規定の適用がございまして、これにつきましては、同じく短期譲渡所得でなく、先祖伝来持っていたものとして、昭和四十四年一月一日以降お売りになった場合には長期のほうの譲渡所得課税が適用があると考えております。  ただ、問題は、隣の土地に農地で出したものが宅地で戻ってきたというふうな場合が実は一番問題でございまして、この場合には、やはり、少なくとも六割部分は売られている。これについての譲渡所得がその段階で発生するのはやむを得ないと考えております。問題は、さらに詰めますと、残りの四割部分につきまして、はたしてそのときに一ぺん売って買ったという状態があったのか、あるいは、隣の土地へ移っただけで、そこは交換と同じと考えるかというところが焦点になると考えますけれども、実は、その点につきましては、もし、山林をお売りになって、全然別のところへ宅地をお買いになった場合には、これは当然新たな所得にならざるを得ないということを考えますと、宅地造成の場合であっても、このような大きな団地の造成の場合で還元というふうな方法をとったにしろ、手放されたのが一町歩の農地であり、あるいは山林であり、お受け取りになったのが四割の宅地であるという事実だけを判定いたしますと、これはどうしても短期譲渡にならざるを得ないということで、その点につきましては、短期譲渡として課税になるものと考えております。
  74. 小川省吾

    小川(省)委員 説明はわかりましたが、いずれにしても、農家の感情が実態としては、自分のところが六割出して四割返ったということになるわけですから、そういう点については、長期所得というふうな考え方でぜひひとつ検討をお願いいたしたいと思っております。  次に、これは今回の改正案の中に入っていないのですが、税制の改正に関連をして要望して、ぜひ実現をしてほしいというものがあるわけです。  それは、法人県民税と法人事業税の分割基準に関してであります。これは現在、従業員数によってやられているわけでしょうね。そうですね。
  75. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 法人税割りにつきましては、従業員数によって案分をいたしておりますが、法人事業税の場合にはだいぶ修正がございまして、たとえば電力会社というようなものになりますと、その資産価額、しかも特に発電所に大きなウェートを置いて配分をするというような方式をとっております。あるいはまた、本社の従業員というものと工場の従業員というものについては、比重をつけて分割基準に使っておるというようなことで、できるだけ事業実態に応じた配分方式をとっておるわけでございます。
  76. 小川省吾

    小川(省)委員 最近、これは好むと好まざるとにかかわらず、地方のほうに工場が分散をしたり、あるいは新しい工場等が進出をしてきておるわけであります。新しくできる工場というのは、大体どこでもそうですけれども、新しい設備になるわけですから、オートメ化がたいへん進んでいます。結果的に従業員は非常に少ないわけですね。ですから実際には工場があっても税負担が少ない。本社というのは大体大都市、関東地方の場合には東京にある場合が多いわけであります。だから、工場が来ても、結果的には応益負担原則から税負担が少ない、こういうことがあるわけです。以前あった古い工場の場合は、設備が古いから従業員数は多い。ですから、新しい工場ができても、実際には、税の上ではあまり入ってこないという不合理な状態があります。  そういう意味では、いま電力会社の問題が出ましたが、分割法人のすべてについて、決算期末の従業員数と減価償却資産価額によって案分することが最も妥当であり、大都市周辺のいわゆる首都圏なり、近畿圏なり、あるいは名古屋周辺というか、それらの近県の場合には、そういう形でやられることが望ましいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  77. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 法人事業税の分割基準につきましては、私どもも、常にその分割基準の合理性というものを考えながら試算をしておるところでございます。全法人について、その資産価額によって配分をするということをいたします場合には、全体の事業税といたしましては、必ずしもまだ合理的な結果が出ておらない。むしろ資産価額の場合には、どちらかというと、いなかのほうの県が減少をして大都市周辺部が非常にふえるというような現象が出たりいたしまして、なかなか期待するような結果にならないというのが現状でございます。むしろ、そういう意味におきまして、私どものほうとしましては、昨年のように、電気供給業の場合には発電所にウエートをつけて配分をするといったような個別的な方式でないというと、実際問題としてはうまくいかないようでございます。この点は、私どもも、常にそうした分割基準の合理性を求めて始終試算はやっておるところでございます。
  78. 小川省吾

    小川(省)委員 わかりました。私どもは、ただいま申し上げたような方法がよろしいというふうに実は考えているわけでありますが、いまの局長の御説明によると、電力会社等の場合、そういう状態があるようでございますから、そういう点をさらに十分検討をして、各府県等が均てんをするといいますか、著しい不平なり不満なりが起こらないような形でぜひお願いを申し上げたいと存じます。  それと同じような点があと一つ実はあるのです。それは軽油引取税の問題であります。これは、明らかに道路目的財源ですよね。ところが、最近、大資本の特約業者が地方にガソリンスタンドをたくさん建てたり、あるいはガソリンスタンドを自分の資本系列の傘下におさめたりして、卸売りをやっているわけですね。結果としては、地方なら地方の大都市周辺の府県では、ガソリンスタンドがありながら、ガソリンを販売していることがわかりながら、軽油引取税が地方には入ってこない。こういうことが大都市周辺の府県では出ているわけです。ですから、軽油引取税の本来の趣旨からしても、道路をこわすといいますか、道路に損傷を与えるけれども入ってこないというふうな状態があるわけでありますから、法人事業税のように、特約業者が傘下の販売店あるいは地下タンクを設置して販売している販売量について、各県に対して申告納入させるように改正をしたほうが、軽油引取税については妥当だというふうに考えているのですが、その点についていかがでしょうか。
  79. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 確かに、軽油引取税の場合におきましては、軽油の消費地にその税が納入されるような形になるということは望ましいことでございます。ただ、これはまた徴税技術上の問題にもなるわけでございますけれども、小売りのスタンドを特別徴収義務者にするという点では、税収確保という点から見ますと、資力等から見て非常にむずかしいということで、現在は、特約業者というものを特別徴収義務者にしておるわけでございます。そういう点で、この特約業者の営業範囲が数県にまたがっているというような場合には、御指摘のような事情が出てまいります。それを、特別徴収義務者について、その取引の数量に応じて各府県に分割して納入をさせるということになりますと、また、特別徴収義務者の手数が非常にふえてくるというような形になりますので、この辺が、私どもとしましては、常に研究の課題になっているわけでございますが、できるだけ消費地の府県に納入することができるように、そして、特別徴収義務者の手数としてはできるだけ少なくて済むようにというのがこの軽油引取税のいつも検討の課題になっている点でございます。さらに私どもも研究を進めてまいりまして、不合理のないような扱い方にしてまいりたい、かように考えております。
  80. 小川省吾

    小川(省)委員 軽油引取税が道路目的財源であるという本来の趣旨からしても、ぜひそういう形で検討してほしいと思うのです。  最後に二点だけお伺いをしたいと思うのです。  最近、自主納税という形がかなり進んでまいりました。こういうことは、けっこうなことだと思うのです。それと同時に、徴税に従事をする税務職員の真剣な努力で、地方における税の徴収率というものは非常に実は上がってきておるわけであります。これには、やはり税務行政に従事する職員の人知れない苦労があると思うのです。それにつけても、税務職員の特勤手当の率は、かつてはいわゆる定率制といいますか、パーセンテージでやられている時期が三十年代の初めぐらいまであったのですが、最近では定額制に変わってきて、かなり久しいわけです。そういう意味では、税務職員の特勤手当というのはもう少し引き上げるべきだというふうに私どもは考えているのですが、この点について税務局長の考えはどうですか。
  81. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 税務職員につきましての特勤手当の支給ということは、私どもとしましても、その勤務の実態に対応いたしまして、他の職員との均衡を考慮しながら、適切な額を定めていただきたいというふうに考えておるわけでございます。ただ、県なり市町村なりの場合におきましては、国税職員と違いまして、内部における勤務がえというものが、税務職員以外の職員との間に相当ひんぱんに行なわれているというような実態から、最近は定額制の手当をとっているところが多く見受けられるようでございます。その点は、国税職員の場合の扱い方が若干相違をしているという点は、現在の地方団体実態から見てやむを得ないところだろうというふうに考えておりますけれども、勤務の実態に応じた、各県の実態に応じた適切な措置をとってもらいたいということを私どもは各地方団体にはお願いしているところであります。こうした特勤手当の財源措置というものも、交付税上もその点の計算をしているところでございますが、地方団体におきましての措置を私どもは期待しておるというところでございます。
  82. 小川省吾

    小川(省)委員 地方団体に適切な措置をとってくれということじゃなしに、定率の時代から比べると、実はかなり落ちているというのが実情です。もちろん、交付税の中の算定基準を一応見てもらうことが必要なんです。非常に人知れない苦労をしながら、現在、驚くべきほど地方税徴収率というのは高いわけでありますから、それは、自治省としても、それこそ、地方における税務行政に従事している職員にむしろ感謝すべき状態だろうと思うのです。そういう点では、ひとつぜひ特勤手当を上げていくような形で今後対処してほしいということを要望しておきます。  最後にお尋ねをしたいのですが、最近ではたいへん少なくなってまいりましたが、悪質な滞納者に対して、差し押え処分であるとか、競売だとかいうような執行をいたしますが、この点は、大臣、実は、自治法上に問題があるのですよ。自治法改正の審議の段階で詳細に申し上げるつもりでありますが、要するに、税務吏員でなければ処分の執行ができないわけですね。ところが、地方においては、主事補とかいうふうな形でこの処分の業務に当たるわけです。結局、他人名義でというか、他人の税務吏員証でこの業務に携わっている事実。こういう問題なんですけれども、これは、地方自治法に百七十二条があって、「吏員その他の職員を置く。」というところに問題があって、まさに、有名無実、処分執行ができながらも、たまたま身分が主事補であるという形の中で、そういう矛盾した実態が実は出てくるわけであります。ですから、そういう意味では、百七十二条の「吏員その他の職員」というのは、百害あって一利なしというか、これは「利益」の「利」じゃなしに、「理屈」の「理」もないというふうに私どもは考えているわけであります。そういう地方税法を執行していく上でも、この規定は残しておくことが非常に不都合だというふうに思いますし、こういう点については、地方税法の上から考えても、なくすべき条文だというふうに考えているのですが、いかがでしょうか。
  83. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 税の滞納処分ということになりますと、それによる納税者または特別徴収義務者の権利義務に重大な関係を持つということに相なりますので、やはり、滞納処分をいたします場合には、自分の名前で執行する、独立の権限を持って、その事務について責任を持ち得る吏員に行なわせるというのが、滞納処分というものの仕事の性格から見て適当であろうというふうに私どもは判断しておるわけであります。徴税吏員以外の者が現実に滞納処分を実施するということがないように、私どもとしては指導してまいりたいというふうに考えております。
  84. 小川省吾

    小川(省)委員 ぜひそういう形で、税務局長のほうからも、その税法を執行する上でも、自治法の百七十二条というのはまさに百害あって一利なしの条文であるという点を強く申し入れていただきたいと思うのです。  以上、いろいろお尋ねをいたしましたけれども、税というのは、少なくとも納税者に、義務感といいますか、自主的な形で納税をさせていくことが大切でありますので、その点では、客観性であるとか、妥当性であるとか、いろいろな要素があるわけでありますから、そういう観点に立った上で、改めるべきものはぜひ改めていく、指導上是正すべきものは是正していく。こういう観点に立って、苛斂誅求といいますか、担税力のない者から税金をしぼり取っていくというふうな考え方をなくして、税務に従事する職員が自信と誇りを持って、矛盾を感じないでその行政に従事できるような地方税法にしていただき、地方税法の指導についても、そういう形で自治省は当たっていただきたい。この点を強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
  85. 上村千一郎

    ○上村委員長 この際、午後一時から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時一分休憩      ————◇—————    午後一時六分開議
  86. 上村千一郎

    ○上村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  地方税法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。岩垂寿喜男君。
  87. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 今回の地方税法改正に関連をして、昨年の地方制度調査会の答申があるわけでありますが、その中に、特に「成長と福祉のかい離の解消」という問題が指摘されております。これらの問題に関連をして、今度の法案の討論の中で、あるいは法案に具体化する中で、どんな形になって具体化されているか、その点について伺いたいと思います。
  88. 江崎真澄

    江崎国務大臣 最近の経済社会の発展は非常に目ざましいものがありまするが、特に、地域社会においては、住民の環境整備の問題、いま御指摘の福祉施設の問題、そういったものがぜひ解決されなければならない緊急の課題として要請されておるわけでございます。したがいまして、そういう事業、また要請にこたえられるような財政的措置を極力とる。また、自治省としては、それらに対しましてできるだけ期待にこたえられるような形で財政的措置をしていくという姿勢で臨んでおるようなわけでございます。
  89. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 税制を財政的措置のサイドから見ることも確かに必要でありますけれども、いまの国際的な日本の税体系の問題、とりわけ、実効税率の問題やら、あるいはまたコストの面から国際収支の均衡をはかっていく、そういうことなどから考えてみて、減税という問題についてもう一ぺん見直してみる必要があると思うのですけれども、その点についてはいかがお考えでございましょうか。
  90. 江崎真澄

    江崎国務大臣 税の方面からは、やはり、市町村ないし府県等々の財源をどう充実するかという点に留意をいたしまして、たとえば固定資産税の見直しであるとか、娯楽施設利用税の増徴であるとか、そういう面から極力地方財源充実に貢献をするような形をとっておるわけでございます。
  91. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 きのうも、大蔵大臣答弁によりますと、所得税の減税という課題が具体的な日程にのぼっております。とりわけ、来年度から、今度は所得税軽減していく、そして、法人税をむしろ引き上げていくという考え方が述べられておりますが、これらについて自治大臣の見解を伺いたいと思います。
  92. 江崎真澄

    江崎国務大臣 個人的な所得税は極力軽減措置をする。そして、法人税については、すべての税体系と見合っていくわけでありまするが、最近の著しい経済の伸び等々を考慮いたしまして、適正妥当な形で引き上げをする。これは、やはり、方向としてそのように私どもも考えております。
  93. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 いま、適正妥当なということが指摘をされたわけですが、これは、きのうの衆議院の予算第二分科会で議論になった、例の地方税と合わせた実効税率の問題ですが、これが、日本は二五・〇四%で、五一・六四%のアメリカ、四九・〇五%の西ドイツ、あるいは五〇%のフランスなどと比べて相当に低い。これを、四十九年度はまず三七・八%に引き上げることを目標にして検討していくということが明らかにされておりますが、これは閣議の中で、あるいは政府の中で統一的な見解をまとめた案でありますか。
  94. 江崎真澄

    江崎国務大臣 もとより、そういう議を、それぞれの関係各省庁で検討はしておりまするが、まだ正式の議題に供したことはございません。
  95. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 自治大臣も実力者大臣ですから、大体そういう方向で努力をすべきだというふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  96. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは、税制調査会等の長期答申の線に沿いまして検討をしてまいりたいというふうに思います。
  97. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 福祉社会をつくっていくという問題、その財政的な措置を考える上では、自治体の役割りというものをどうしても再認識する必要があると思うのです。その意味で、国と自治体との財源配分の問題について、基本的な討論がぼつぼつ必要じゃないだろうか、こんなふうに思いますが、その点についてはどうお考えでしょうか。
  98. 江崎真澄

    江崎国務大臣 地方自主財源充実すべきである。これは、地方制度調査会におきましても、また、税制調査会においてもつとに指摘しておるところであります。これは税全体の根本に触れることになりまするが、この配分の問題につきましては、やはり今後十分検討してしかるべき問題だというふうに考えております。
  99. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 三割自治と言われる、つまり七対三の比率を、やはり五対五ぐらいに引き上げていくというような大胆な発想がいまは必要ではないかというふうに思いますが、自治大臣はその点についてはいかがお考えでしょうか。
  100. 江崎真澄

    江崎国務大臣 この比率をもっとふやせという御意見は、予算委員会におきましても、本会議におきましても、しばしば私ども激励の意味を含めて承っておるわけでございます。今後の経済情勢推移や、また、この国の財政、地方の財政をひっくるめまして、大所高所から、これをどこにどう配分することが最も妥当であるか十分検討をしてまいりたいと思います。
  101. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 住民税軽減というものが行なわれていくわけですが、いつも所得税のあと追いになるわけですね。先ほど小川委員の質問に対して、たとえば基礎控除の問題で、負担分任あるいは応益原則というようなことについての議論がありました。しかし、住民税所得課税である限り、やはり応能原則に立つべきであると思いますが、その点についてはいかがでしょう。
  102. 江崎真澄

    江崎国務大臣 御指摘のように、もとより、この住民税におきましても、国民所得推移に照らしまして相当の軽減をはかっていく。これは毎年そういうふうに考慮もしておりまするし、また、今回も軽減措置に出たわけでありますが、今後も十分に検討をしていくべき問題であるというふうに考えております。
  103. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 次に、衆参両院の地方行政委員会をはじめとする附帯決議や、あるいは税制調査会の答申や、いまの経済社会基本計画を拝見すれば、都市財源の確保というものが実は長い間懸案になっているわけであります。しかしながら、これらの問題について、具体的な対応がまだない。引き続いて検討をするということになっておるわけでありますけれども、その点について自治大臣の見解を伺いたいと思います。
  104. 江崎真澄

    江崎国務大臣 地方行政委員会の附帯決議、たとえば「事務所・事業所税の創設、法人所得課税、都市計画税の拡充等税制上の措置を講じ、都市税源充実に努めること。」これはまさに一つの方向を示唆された貴重な附帯決議であるというふうに考えております。この都市税源充実の問題につきましては、税制調査会また地方制度調査会におきましても、大都市地域に所在するところの事務所、事業所等に対して特別な税負担を求めること、法人所得課税市町村への配分を強化することといったような方策が指摘されておるところであります。とりあえず、事務所・事業所税構想に基づきますいわゆる都市整備税というようなものの検討自治省においても行なってきたわけでありますが、課税段階、わけても課税標準率を一体どの程度にすることが妥当であろうかというような点はまだ結論を得ておりません。事務的には政府委員から詳しく御説明いたさせます。
  105. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 昨年の当委員会の附帯決議なりあるいは税制調査会の答申の趣旨に基づきまして、特に、都市財源としての事務所・事業所税あるいは都市整備税というものについて検討を続けてまいっておりますが、その内容としましては、やはり、都市の過密というものに対して、その過密対策として行なわなければならない事業経費に充てる、さらにまた、その過密を分散させるための分散に対応するための経費にも充てるという二つの内容を含めまして、大都市地域におきまして、いわばその集積の利益を受けている。それを何によって表現していったらいいだろうかというようなことを考えまして、昨年都市整備税として検討してまいりましたのは、一つは、物的設備としての事務所、事業所の大きさというものを一つの標準にとったわけでございます。これは具体的には固定資産税課税標準額にとったわけでございます。さらにまた、人的設備としての事務所、事業所の大きさ、これは従業員の数にするのがどうかという問題がございましたけれども、やはり、課税標準的には最もとりやすいということで、給与支払い額というものを課税標準にとる。さらに、これらを総合して、その事務所、事業所の担税力を表現するものとしまして、所得というものを標準にする。こういうような三つの税割りで構成をしました都市整備税というものを検討してまいったわけであります。これにつきましてはいわゆる列島改造税制といったようなものがいろいろ各省からも提案がございまして、それらとの関連を調整してまいったわけでありますが、政府全体としまして、四十八年度から、いわゆる地方分散の事業費、いわゆる地方中核都市の整備事業というものをどういう内容をもって行なうのか、あるいは事業費の総額はどうなるのかという点がまだ十分煮詰まっておらない。こういうことで、さらに検討を続けるという意味で、都市整備税につきましては、今年度改正を見送りにしたということでございます。  ただ、そのかわりと申しましてはなにでございますけれども、長期答申にもございますように、固定資産税充実というようなことで、特に、土地に対する固定資産税を適正化することによりまして、その内容から見ますと、都市税源としての十分な税源の所在状況にございますので、ことしはとりあえず固定資産税改正を行なうというような現状でございます。
  106. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 それでは、いまの都市整備税というか、事務所税ですかは、来年を目標にして具体化していくというような、具体的な目標を持っていらっしゃいますか。
  107. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これはもう国会の附帯決議にもあり、地方制度調査会、税制調査会等の答申の中にもある問題でありますので、ぜひすみやかに実施できるような方向で検討をしておる次第でございます。
  108. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 都市財源の確保の問題に関連をして、大都市税源の強化という東京都の新財源構想研究会の答申が、第一次答申でありますけれども、出ております。これは、大臣は、この前、山田委員の質問に対して、まだ読んでいないのだと言われたけれども、その後検討いただきましたでしょうか。
  109. 江崎真澄

    江崎国務大臣 その後拝見いたしました。
  110. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 この中にいろいろな項目が載っているのですけれども、都市財源の確保について、一般的な御見解を承りたい。
  111. 江崎真澄

    江崎国務大臣 一つの貴重な意見として私拝見いたしましたが、いよいよ実施してまいります上には、問題のあるものも相当ある。貴重な意見ということで読んだ次第です。
  112. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 その中で特に強調しております、例の法人二税の引き上げについて、まあいろいろな意見がありましょうが、賛成か反対か、承っておきたいと思います。
  113. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは、先ほど来お答え申し上げておりまするように、税率引き上げということは、税全般の視野から検討する問題でありますので、それを引き上げるという問題については、にわかにここでお答えいたしかねます。従来は、地方税それぞれの伸びが、昭和四十一年来ずっと二〇%以上の伸びを示して順調に推移してきたということで、いまにわかに引き上げるかどうするかということについてお答えはできませんが、これはやはり、経済社会情勢または国民所得水準というものを見きわめながら十分検討に値する問題だというふうに考えます。
  114. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 これは東京都議会できのう議論になったわけでありますけれども、東京都が、四十九年度から法人二税の引き上げの方針を明らかにいたしました。これは公明党の藤原議員の質問に答えたものでありますけれども、東京都の方針に関連をして、自治大臣はどのようにお考えになっているか、伺いたいと思います。
  115. 江崎真澄

    江崎国務大臣 まあ、都としてどうしても処置しなければならないいろいろな事業、その事業に見合いながら一応考慮に値するものというふうには考えます。しかし、必要不可欠の事業がどういうふうに展開されるか、これによっておのずとまた判断も変わってくるものでございます。
  116. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 法人都民税については、現行の一四・七%を地方税法上の制限税率の一七・三%まで引き上げる。それから、法人事業税も、現在法人所得金額の一二%の税率を、一ないし三%引き上げるというふうに考えている。これは、都の試算によれば、二税の引き上げで年間三百九十四億円ないし七百九十二億円の増収があると見込んでいる。こういう具体的な数字が実は出されているのですが、これらの問題について伺っておきたいと思います。
  117. 江崎真澄

    江崎国務大臣 私もまだ具体的にはきょう新聞で見た程度でございまして、正式の申し入れを受けてはおりませんが、これは十分妥当性があるかどうか、今後の検討題ということで、慎重に検討いたします。
  118. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 慎重に検討するということなんですけれども、制限税率一ぱいのところまで引き上げるということについては、自治省では、それについて、都に対していろいろ言うべき見解を持ち合わせているかどうか、その点も承っておきたい。
  119. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 従来から、自治省の方針としましては、超過課税につきましては、それを行なわなければならない具体的な財政需要といったようなものを十分検討し、そして、計画的な事業の執行とにらみ合わせて超過課税をやるというような判断をそれぞれの地方団体でも行なってもらいたい、ただばく然と超過課税を行なっていくというようなものについては、十分現在までの態度を再検討しながら、できる限り期間を定めて、特定の事業計画を前提にしながら超過課税をするように、という指導をいたしております。この超過課税について、私どものほうで、特定の地方団体に対して指導するというようなことはいたしませんけれども、従来、一般的にそういう方針でやってきておりまして、東京都もそういうことを前提にしながら検討されるであろうというふうに考えております。
  120. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 これは、後ほど均一課税の問題に関連して伺いたいと思いますけれども、引き続きまして、法定外普通税の問題に関連して、この答申の中には、高速道路利用税というような、これも具体的な名目で出ているわけですが、これが具体化されるかどうかは別として、東京都の過密の状況について、こういう具体的な税の面から検討していくという考え方について、いかがお考えになりますか。
  121. 江崎真澄

    江崎国務大臣 高速道路利用税構想というものは、私どももよく承知をいたしておりますが、現在の使用料にもう一つ税金がプラスされるということがありますのと、もう一つは、首都高速道路公団が現在は徴収しておるわけですが、それをどういう形でこれにプラスさせるのか。それから、いまや高速道路というものは日常の生活活動に必要不可欠の道路ということになっております。その利用税がこれに重課されることによって、一体物価等へのはね返りがどういうことになるのか。高速道路とはいいながら、他の道路が非常に整備されておるときならばいざ知らず、まだまだ東京都内の道路というものは狭く、しかも混雑が続いておるというようなあり方のときに、はたしてこれが適正妥当な税であるかどうか。これはまた、今後にかけて十分検討の余地を残しておるものというふうに考えております。
  122. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 同じ項目の中で、たとえば公害を税制的にとらえる考え方といいましょうか、たとえばプラスチックの問題とか、洗剤の問題とか、こういう問題についての、いわばどういう税金になるか私もわからないのですけれども、そういう税金のかけ方について、答申の中ではかなり具体的な議論が行なわれています。これは本来国税でなければならないのかもしれませんけれども、しかし、その国税へ広げていく一つの突破口として、東京都が具体的にそういう税制を考えているとすれば、公害を税制的にとらえる考え方について、これはつまり目的税的な考え方ですけれどもいかがお考えか、承っておきたい。
  123. 江崎真澄

    江崎国務大臣 一種の目的税的なとらえ方だと思いますけれども、これは、私は、まだちょっと案としてなま煮えのものが包蔵されておるように思います。それは、もともと公害を発生させてはならないわけですから、その措置については、原因者は十分負担をし、迷惑にならないようにしていくという道義的な面からも、また、事業の今後の推移の上から見ても、これは国家的に強く要請されておるところであります。それを一種の目的税のような形で、公害排出税というか、公害税といったような形にしますと、つい、税金を納めておるから公害たれ流しでもいたし方ないのではないかといった、非常に要請される道義心とは逆な結果を生むことも予想されるわけであります。したがいまして、私は、ああいう形のものを拝見した範囲では、これはまだまだ議論の余地を残すものというふうに考えておる次第です。
  124. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 議論の余地は確かに残ると思うのですが、たとえば現実に東京都が、プラスチックがごみ全体の一〇%を占めているという状況のもとで、何とももうしかたがない、何とかしてプラスチックそれ自体を制限しなければいかぬという考え方に立たざるを得ないことも、これはお互いに理解ができると思うのです。その生産を規制するというわけにはなかなかいかぬわけで、その意味で、税制の面からそれらの問題について具体的なチェックをするという考え方も一つの考え方として、ぼくらは検討しなければならないと思いますが、その点について大臣の見解を承りたいと思います。
  125. 江崎真澄

    江崎国務大臣 それぞれ意見の存するところだと思うのです。いまおっしゃったような意味も含めて、窮余の策ということばが当たると思うのですが、ああいう課税制度を考え出したものと思いますが、これはやはり十分慎重に考えなければならぬ多くの点があるというふうに思います。  と同時に、やはりこれは、環境庁をはじめ関係省庁が協力いたしまして、今日の時代の反省として、絶対公害を出さないということに急速に配慮、設備をしていくことが先決であるというふうに思います。
  126. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 これは年がら年じゅう議論されることなんですけれども、起債のワクの問題でございます。これは二百五十条の問題がありますけれども、「当分の間」というそれは、ぼつぼつやはり削除していくべきだ。特に、起債のワクの問題については、たとえば起債財源のいわば規制みたいなものですね。公共投資に限るとか、あるいは公債のいわば比率、一定の水準に押えるとか、そういう形で考えながら起債のワクを広げていく、自治体にかなり自由にまかせていく、こういう考え方をもう持たないと、地方財政がパンクしてしまうという状況にあります。これは何べんか言われておる議論でありますが、そのことだけ一言触れておきたいと思いますが、いかがでしょう。
  127. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これも何べんもお答えいたしておりまするから、簡単に申し上げますが、やはり国家の財政、地方の財政、これを国としては把握をして、よく調整をとっていく必要は当然あると思います。それからまた、この起債一つにしましても、縁故債を含めまして、おのずと、比較的借り入れのたやすい地方公共団体、過疎現象などを引き起こして非常に困難な団体、いろいろあろうかと思います。そういうものを調整をとって、特に、過密、過疎の問題を解決していくという根本論から言いましても、この起債の許可制というものは、やはり当分の間適用しなければならぬのではないか。繰り返しになりまするが、私どもの立場から言えばそういうことでございます。
  128. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 大都市財源の拡充の問題については、かなり緊急を要する課題だろうと思います。この点については、政府が真剣に、しかも具体的に対策を講じなければいけないと思いますので、その点については要望を申し上げておきたいと思います。  次に、土地税制と固定資産税、あるいは都市計画税の値上げに関連をして御質問を申し上げたいと思います。  地方税法の中での土地課税というのは、いままでの経過を見ると、かなり無定見ではなかっただろうかという反省をお互い持たなければならないと思います。特に、その中でたいへん土地政策が複雑になっております。早い話が、三月から縦覧が始まっておりますけれども国民にはますますわからなくなっています。特に、台帳を見ても、一体幾ら税がかかるのか、しろうとにはさっぱりわからぬというのが実情だろうと思うのです。だから、土地税制の民主化という課題に関連をして、政府がこの際具体的に考えなければならない時期だろうと思うのですが、この民主化の課題について伺っておきたいと思います。
  129. 江崎真澄

    江崎国務大臣 一口に言えば、やはりわかりやすいということ、これはもう大事なことだと思います。それから、いまの固定資産税の評価額、相続税の評価額、また、建設省が売買対象としての適正価格と称する地価表示価格、これが三つともそれぞれ違います話、これもよく議論に出るわけですが、率直に言えば、複雑過ぎて何が何だかわからないという議論にもなろうかと思いますが、くどくなりまするから私は繰り返しません。なぜ相違があるかという点については繰り返しお答えもしておりますが、それなりの事情はあるわけです。しかし、だんだんこれを接近させ、あとうべくは一本化していくということは、やはり一つの方向であろうというふうに考えます。
  130. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 課税標準が、たとえば、いま大臣がおっしゃいましたけれども、時価とか、あるいは評価額とか、あるいは負担調整額などで五つも六つもあるわけですね。これは法人と個人事業用と非事業用を税目の上で明確にするという考え方があるわけですが、その点についてはいかがお考えでありましょう。
  131. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 現在、土地に対する固定資産税が、御承知のとおり、昭和三十九年の評価がえによりまして非常に大きくはね上がったということから、負担調整措置というものが設けられたのは御指摘のとおりでございます。これが十年も継続してまいりますと、御承知のとおり、課税標準額というものと評価額との間に非常に複雑な関係が生じてまいりまして、納税者も直ちに自分の課税標準額がわからないというような状況になり、そしてまた、税務職員自体も、どういうことで現在こういうふうになってきておるのかということが説明をしにくくなっておるというような状況でございます。私どもとしましても、できるだけ早い時期に、土地に対する固定資産税の問題をわかりやすい簡素化したものにしなければならないということを考えておったわけです。これが今回の改正になったわけでございますけれども、その際に、やはり地価の上昇というものが非常に急激である。いま、評価額につきましては、今回評価いたしましても、おそらく時価に対して二分の一程度だろうと思いますけれども、そういうような低い評価水準にありながら、やはり評価額の上昇割合というものは相当高いわけでございます。  そういうことで、それが所得の上昇と見合うような形になっているかどうかという点が非常に問題であろうというふうに私ども考えたわけでございまして、そういうことで、ことしはやはり直接収益に結びつかないという意味で、住宅用地については課税標準の特例を設けるということにいたしたわけであります。この課税標準の特例は、改正案をごらんいただきますとわかりますように、本文中に規定をいたしております。やや永久的な措置として考えておるわけでございます。  ただ御指摘になりましたように、これを事業用地であるとか何かに分けてみますと、実際には、土地税制の際にも問題になりました未利用地とは何かという問題と同じような問題がまた出てまいります。そういう意味から、逆からまた規定せざるを得なかったという事情にございまして、この点は、固定資産税が、全部の土地が対象になるという意味で、技術的にも非常にむずかしい点がございますので、いまの段階では、この住宅用地だけを抜き出してくるというのが、まず税務事務の執行の上から言いますと限度であろう。さらに、将来また、いろいろ私ども検討を積み重ねてまいりまして、もう少し区分ができるものであるのか、あるいは、税負担との関連もございますので、税負担について差をつける必要があるのかどうか、その辺もさらに検討を続けていきたいというふうに考えております。
  132. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 事業用の土地課税というのは、負担調整撤廃の主張が通らないで、結局三年間でやることになりまして、たとえばNHKの売買に見られるように、たいへん大きなズレがあるわけであります。ところが、その事業用の資産の税金というのは経費に算入されちゃうわけですね。この問題については、やはり時価で課税すべきではないかということを東京都の答申の中に述べておりますけれども、この点について御意見を伺っておきたいと思います。
  133. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 税制調査会の長期答申におきましても、固定資産税を時価課税に近づけるというような趣旨の答申もいただいておるわけでございまして、現在法律の規定が「適正な時価」というふうに書かれておりますが、これは税務の執行上は当然に時価課税ということが税制上も必要なわけでございます。ただ、現実の問題として、最近における地価の上昇というものが非常に大きい関係で、そうした課税標準を時価に近づければ近づけるほど、評価額課税をいたします場合には、その負担との関係をどう調整するか。結局、税率等の問題にもなるかと思いますけれども、そうした固定資産税負担というものを考えながらその措置を考えていく必要があるだろうというふうに思っております。
  134. 江崎真澄

    江崎国務大臣 政治的な意味を含みますから私がお答えいたしますが、これは、私、自治大臣に就任しまして、予算委員会等でいろいろ議論をしておりまして思いますことは、御指摘のように、幾色にも分かれた標準価格なり地価表示価格なりというものが同じものであることが望ましい、そしてそれに見合った形で税率で処置をしていくことが本来の姿でなかろうかというふうに考えるのです。売買を対象にした地価表示価格と、それからまた、納税という面に見合う固定資産税の標準価格と違っておる意味はわかっても、これは率直にすらっとわかりませんね。ですから、いま前段で申し上げたような形にしていくことのほうが望ましいというふうに私も思っております。これは、今後関係各省庁と十分連絡を密にしまして、今後の検討課題として、しかも重要な課題として処置してまいりたいと思います。
  135. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 政府の説明では、住宅用地の税金というのは、今度評価額の二分の一で頭打ちにする、実はこういうふうになるから大衆負担は緩和した、こういうふうにおっしゃっているわけですけれども、はたしてそうでしょうか。その点について見解を伺いたいと思います。
  136. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 住宅用地について二分の一にいたしたわけでありますから、形式的にはそのような軽減措置がとられたということになるわけでありますけれども、現在、評価額に対する課税標準の割合というものは、住宅用地の場合におきましても、おそらく、平均的には、昭和四十八年度の現行制度のままにおきましても、約三〇%前後のところであるというふうに考えるわけでございます。したがいまして、この二分の一に到達するためには、平均的には昭和五十年、三年かかるというような形になるわけでございまして、ただ、そういう形になりましても、従来と同じような負担調整措置の値上がりぐあいが続きまして、そして、五十年の段階でやや緩和された形で二分の一に落ちつくというのが平均的な姿であろうと思います。しかし、それによって住宅用地の税負担軽減されたかということになりますと、形式上は軽減されておる。それにしましても、あるいは、実感的にはさっぱり前と変わらなかったではないかというようなことになるかと思いますが、一応目標ができて、上げるのがとまったということができるのが、いわば納税者の感情としては、一応のケリがつくといいますか、目標がついたというような感じになるのではなかろうかというような感じはいたしております。
  137. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 全く感じの問題でありまして、現実にはたいへんどうも重たい感じにならざるを得ないのです。と申しますのは、三年ごとに評価がえですから、二分の一になったらまた評価がえになっちゃうわけですね。だから、そういう意味では、いわば固定資産税の基礎控除とでもいいましょうか、たとえば一定面積以下の住宅用地には税金をかけないというような考え方がもうぼつぼつ導入されないと、一般の庶民にとって、この固定資産はますます重いものになってしまう。こういうふうに思いますけれども、そういう考え方はございませんでしょうか。
  138. 江崎真澄

    江崎国務大臣 一つの御提案だと思います。これは十分検討してまいりたいと思います。
  139. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 いまの質問に関連をいたしますけれども固定資産税というのは市町村基本的な財源だから、地価騰貴にあわせて増税になってもやむを得ないという見解も一方ではあるわけであります。しかし、率直に申し上げて、増税というものは、家賃の値上げとか、あるいはまた、特に住宅政策の面でたいへん深刻な問題になろうと思いますけれども、その関係をどのようにお考えになっていらっしゃるか、伺っておきたいと思います。
  140. 江崎真澄

    江崎国務大臣 さっきから税務局長がお答えしておりますように、地価騰貴に見合って、標準価格は低いものでありましても、これがだんだん改定されていく、所得がはたしてそれに見合うだけ伸びているかどうか、これは非常に重要な点だというふうに考えます。したがいまして、これが、午前中にも議論になりましたが、一つの財産税であるのか、収益税であるのかという、あの議論にも勢い関連するわけでありますが、にわかに売りがたいものであるというたてまえから申しまして、今後、この課税率等々についてはよほど慎重に配慮する必要がある問題だというふうに思います。
  141. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 これも東京都の委員会で議論をした中身なんですけれども、東京都の住宅地の税金というものは、三十八年以来十年間で、固定資産税で十倍だそうであります。それから、都市計画税では三十五倍になっているそうであります。こういうたいへんな倍率になっていることについて、どのようにお考えになっているか。
  142. 江崎真澄

    江崎国務大臣 まさに御指摘のような形になっておると思います。それだけに、これはやはり十分検討の余地ありというふうに先ほどから申し上げている次第であります。
  143. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 四十八年度の評価がえで、川崎、これは私の選挙区なんですが、ここは二・四倍、東京都は一・八倍、横浜は一・七倍の評価額になると言われております。そこで、東京都内のほとんどの土地は四割くらいの値上がりにならざるを得ないだろう、こういうふうに言われております。しかも、御存じのとおり、評価額の一五%を最低限としますから、プラスアルファがつくわけです。その点について、特に、住宅政策として、これではたしていいのかどうか。この辺を、先ほどから個々には御答弁をいただいておりますけれども、御見解を承りたいと思います。
  144. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 各都市ごとの値上がりぐあいは、まだ私ども十分承知いたしておりませんけれども、大体、宅地の全国の平均的な上昇割合は一・八倍程度であろうというふうに考えております。そういたしますと、現行の負担調整措置を継続いたします場合には、大体三割の上昇区分になるものと、四割の上昇区分になるものがほぼ半々くらいでございます。大体一割二割の上昇区分が適用になるものは、ほとんど限られたものになってくるだろうというふうに考えられるわけです。  それから、都市計画税につきましては、特に負担調整措置を講じておらないのが現実でございますので、三割ないし四割プラスアルファということになるということは御指摘のとおりでございます。ただ、都市計画税につきましては、これも税制調査会なり、地方制度調査会におきまして、最近の街路事業なり、下水道事業なり、いろいろな都市計画事業が相当ふえてまいりまして、特定財源比率というものがもう一〇%前後のものになってきておるというような関係から、都市計画税を何とか増強しろ、いわゆる現行の制限税率というものをもう少し引き上げるべきだという意見も相当強いわけでございます。そういうことで、その税率についてどう考えるかというようなことも検討したわけでありますけれども、やはり評価額が相当引き上がるというような事態が四十八年度の場合出てまいります。税率については据え置きにしておいて、評価額の引き上がった分は負担をしてもらうというような体制で進むべきであろうというような結論で、都市計画税は、評価額をそのまま税負担にはね返すという方針をとったわけでございます。これはすでに昭和四十七年におきまして、都市計画税は評価額課税になっておりますので、その制度をそのまま踏襲をしたということにしておるわけでございます。  確かに、御指摘のとおり、そういう意味では、来年度は三割ないし四割、平均しますとおそらく四割ぐらいの値上がりになるかと思いますけれども、その点住宅政策上からどうかという御意見もあるわけでございますけれども、これは午前中の小川委員答弁にも申し上げましたとおり、現在自分の土地に自分のうちを持っている人たち負担というものが、他の住宅を利用されている方々との間においてそれほど負担的に問題がないのではないかという観点があるわけでございます。それから、やはり一番気になりますのは、民間アパート等を借りております人が、現在ですらも、それこそほんとうの意味での時価で家賃を負担しておる。そういうところで、またそれが家賃にはね返るではないか、この辺が一番気になるところでございますけれども、そういうところでの税負担は、家賃に対する比率が非常に小さいわけでございます。そういう点で、このいわば家賃にはね返る度合いというものは、通常、古くからの住宅等に比べますと、比率は非常に少ない。私どもが調査したところでは、大体一、二%程度のウェートになるということから見ますと、それほど大きなはね返りではないのではないか、こういう感じでございます。
  145. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 これは感じの問題でありまして、議論をしていても始まらないのですけれども、さっきの都市計画税の問題にちょっと関連しますと、先ほど出ましたように、負担調整措置を撤廃しまして、今度十割上がるわけですね。これはやはり法人と個人は区別すべきじゃなかろうかという議論があるのですが、この点についてはいかがでしょうか。
  146. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 都市計画税は、御承知のとおり、都市計画事業に対するいわば目的税で、受益に応じて負担をしていくという性格のものでございます。そういう意味におきまして、その税の性格から見て、はたして法人、個人というものを区別すべきかどうか、やはりこの点がやや私どもとしては問題であろうと思います。都市計画事業の実施に伴って、個人と法人がそれによって影響を受ける度合いが違うというようなものになるのかどうか、非常に問題があろうと思います。確かに、この税の負担という、負担の態様から見ますと、個人の場合は自分のふところから払うのだし、事業の場合には経費から支弁するのだということになりますけれども、これは、私どもは、固定資産税のような普通の税金の場合にはそういうような考え方というものを一応念頭に置かなければならぬだろうというふうに考えますが、やはり、受益者負担的な意味での目的税というものにつきましては、普通税の場合とはやや違った考え方を持っていくべきではなかろうかというふうに考えております。
  147. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 固定資産税事業用と非事業用が区別されて、都市計画税は負担調整がなくなって、税率は、先ほどから議論になっているように一・四%とか〇・二%とか言っても、課税される対象から見ると、これは同じ土地に違う税率がかかるわけですね。これはむしろ税率を変えるべきではないだろうかという見解に立つわけですけれども、その点はいかがでしょう。
  148. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 まあ、一つの考え方といたしまして、私ども検討したいと思いますが、この都市計画税というものを、どの辺の負担まで、あるいは都市計画事業費に対してどれほどの割合のところまで都市計画税というものを考えていくべきか。それからさらに、ここ数年問題になっておりますのは、都市計画税について、償却資産も課税対象にすべきものではないだろうかというような、いろいろな御意見もあるわけでございますので、やはり、この都市計画税について、税率等も再検討をしなければならないという、そういう全体の問題がございます。その一環として、私どもさらに検討を進めたいと思います。
  149. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 大都市とその他の市では、地価の値上がりの状況というのは違うわけですね。画一的な評価制度負担調整はやめて、そして、自治体がもっと自由に政策を打ち出せるような制度にすべきではないだろうか、こういう見解が実はあるわけであります。それについて、たとえば不均一課税の問題とか累進課税の問題などを考えて、その立場を認めるべきではないだろうかという考え方がありますが、それについてはいかがお考えでございましょう。
  150. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 現在、固定資産税は、課税標準となるべき価格というものは「適正な時価」ということになっておるわけでございます。それで、固定資産評価基準というものを自治大臣が出しておりますけれども、これは評価の技術的な援助として出しておるわけでございまして、固定資産税の目標はあくまでも「適正な時価」ということになっているわけであります。  それから、固定資産税について累進課税方式というものを採用すべきかどうかという点になりますと、この辺が固定資産税としては非常に問題でございますが、課税団体が市町村であるということでございます。それからまた、大都市の場合におきましても、区ごとにしかその課税対象の捕捉ができておらない。こういうような状態でございますので、累進課税方式をとるということは、現在の税務行政の執行面からしましても非常に困難な問題で、特に、大都市地域においてまず非常に問題が出ますと同時に、各市町村に分散をしております資産をまとめるということ自体が、税務上は非常にむずかしい問題になるだろう。  それから、累進課税制度の問題がございますが、この累進課税といいますのは、いわば所得の多い人ほど税金を多く負担をしてもらうという、所得再分配の観点からきておる制度でございます。したがいまして、固定資産税のように、これは、現在の経済社会の中で、いわば有効に土地利用をされた場合の期待される収益というものを目標にした課税でございますが、その資産が直ちに所得全体を構成するような状態になるかどうかという点につきましては、やや問題があるわけでございます。この点が固定資産税のいろいろな問題を派生している原因にもなっているわけでございますが、そういう意味では、むしろ累進課税のほうは、そうした収益の集積がいわば所得として表現されるわけでありますので、所得税のほうでは累進課税、いわば所得再分配機能というものを強く働かせるという税制のほうがむしろ望ましいのであって、固定資産税のような物税の場合には、その累進課税をいたしますにはどうしても限界があるということだろうと思います。
  151. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 時間が参りますので、次に、不均一課税自治省の通達の問題について少し伺っておきたいと思います。四十七年の通達、これはもう私がこまかく御説明するまでもないですが、これは自治の侵害にならないかどうか、その点を承っておきたいと思います。つまり、不均一課税を認めないという立場の問題であります。
  152. 江崎真澄

    江崎国務大臣 それじゃ私から原則的にそのことについて申し上げますが、零細企業の負担軽減という趣旨から、事業税におきましては、すでに軽減税率制度が現存しております。また、法人税割りにつきましては、法人税において、資本金一億円以下の法人等においてもやはり軽減税率適用後の法人税額を基礎としており、こういうふうに、中小法人の税負担については法律上の措置が講ぜられておる。そういうたてまえからああいう通達になったわけでございます。  詳しい点については税務局長から答弁させます。
  153. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 地方税の執行に関しまして、私どものほうから各地方団体に通達をしておるわけでございますが、御承知のとおり、国と地方団体との間におきましては指揮命令の関係はございません。私どものほうから出します通達は、法律の一般的解釈、あるいはまた、地方団体がこの税法を執行します場合の注意事項、留意事項をお知らせするという形のものでございます。そういうことで、不均一課税につきましては、現在行なっている内容等について十分検討を加えて乱に流れないようにしろという通達でございまして、これは別に自治権の侵害でも何でもないというふうに私どもは考えております。
  154. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 いま大臣が言われましたように、事実上不均一課税というのはケース・バイ・ケースで行なわれているわけであります。また、いまの自治省の通達というのは、いわば上下の関係じゃないのだからかってだと、つまり一つの指導の指針であるというふうに言われましたけれども、やはり、地方自治体にしてみると、それはかなりシビアに受けとめざるを得ない仕組みがあるわけです。  その点について、関連をして申し上げますと、昭和二十六年の行政実例、これも同じであります。不均一課税の問題は、これらは今日でも正しいとお考えになっていらっしゃるかどうか、これを承っておきたいと思います。
  155. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 現在、地方税法の規定というものは、憲法上におきます租税法律主義と、それから地方自治の本旨の規定がございます。その地方自治を保障しております憲法の規定との接点がこの地方税法の規定だろうと思います。そういうことで、この法律の解釈にあたりましては、地方税法として、国がその地方税負担について考えている事項と、それから、地方団体がその地方団体のいろいろな実態に応じてこの税法を執行していきます場合、その実態に応じた取り扱いをしなければならないものについて不均一課税の規定があるわけでございます。この不均一課税の規定につきましては、やはり、立法の趣旨というものを十分に考えながら、その執行にあたっては十分注意をしていく必要があるわけでございます。そういう意味で、私どもが出しております不均一課税の通達につきましては、現在もその扱い方は変わっておりません。
  156. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 いま私が申し上げたのは、個人事業税の問題に関連をして、昭和二十六年の八月三十一日に、行政実例として、「低所得者に対し、単に低額所得であることのみを要件として、一律かつ無条件に事業税の不均一課税をし、あるいは減免措置を講ずることは地方税法第六条および第七十二条の六十二の規定の精神に背反し、適当でない。」と書いてあります。事実はその後、全国の地方自治体が、御存じのとおりに、この事業税についてさまざまな不均一課税をやらざるを得ないところに追い込まれて、事実上それは行なわれているわけです。これは、実は、林委員もおられるけれども、ちょうど民商がこのときからかなり活発な活動をしていくことになるわけでありますけれども、事実上そうなっているわけであります。したがって、この行政実例を……(林(百)委員「私とは関係ないよ」と呼ぶ)林委員とは関係ないことでありますけれども、それは別として、ともかく、この行政実例を取り消すという考え方はないのかどうか。今日実情に合っていないというふうにお考えにならないかどうか。
  157. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 現在、地方団体で、事業税について軽減措置をとっておる団体があるということは承知いたしております。ただ、この税につきまして、特に担税力の弱い方々について軽減措置をとるといいます場合には、やはり、それぞれの納税者の経済的な事情を考慮しながら、その担税力を見て判断をすべきものであって、それを一律的な条件のもとに一律的に軽減をするということは、法律の趣旨から言いまして問題があるというふうに私どもは考えざるを得ないのであります。  それから、もう一点は、この軽減の内容が、その扶養親族数というような形で軽減措置をされているという点にやや問題があるというふうに考えているわけであります。事業税は御承知のとおり物税である、そういうことで、所得税とは違った控除方式がとられておるわけであります。その点が、いわば所得税的な方法軽減措置がとられているという点に非常に問題があるわけであります。この両面から見て、現在の不均一課税のやり方というものについては問題があるというふうに私どもは判断せざるを得ないわけであります。ただ、そうした軽減措置をとらざるを得なかったという点については、私ども十分税制上の問題として反省しなければならない点があるわけであります。過去の事業税におきましては、事業主控除の額が非常に低かった、そのために相当零細な納税義務者も実際に税を負担するという姿になった、この点はやはり制度的な問題として私どもとしては解決をしなければならない、こういう観点から、事業主控除につきまして昨年二十四万円の引き上げをやり、ことしまた二十万円の引き上げをやりました。それで、事業主控除につきましては、八十万円ということになってまいりますと、大体所得税の控除失格者が課税対象になるということはほぼ例外的な状態になってまいりました。それから、所得税納税義務がある者でありましても、大体四分の一は事業税納税義務がなくなるというようなことになってまいりましたので、各府県でやっておりますものは、この実際上の不均一課税制度というものをやめていただきたいというのが私ども考え方でございます。やはり、あくまでも軽減措置をとる必要がある場合には、その個々の納税者についての経済的事情を十分判断して、それで必要なものについては軽減措置をとるということは、これは当然のことであろうというふうに考えております。
  158. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 先ほど御質問を申し上げましたけれども、東京の美濃部都知事が来年度から法人二税の引き上げをする。その中で、当然、中小企業、零細企業に対するいわゆる不均一課税の条例化という問題が問題になってこようと思います。もし、その法人二税の不均一課税を条例化して、つまり、それを都議会が可決をした場合に、具体的に自治省はどのようになさるか。これは大臣に承りたいと思います。
  159. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これはせっかくの御要望といいますか、御質問ですが、やはり、先ほど申し上げました根本趣旨に基づきまして、これ以上不均一課税がなされるということについては、どうもにわかに賛成しかねるというお答えをしなければならぬと思うわけです。
  160. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 東京都と自治省が不均一課税の問題をめぐって、まっこうから対決という局面になっていかざるを得ないような政治状況がここにあるわけです。不均一課税の問題については、いま局長からお話がありましたけれども、しかし、今日の地方財政の状況から見て、地方自治の本旨から見て、地方自治体にその判断をまかせるべきである。このように私どもは思いますけれども、もう一ぺんその点について御見解を承りたいと思います。
  161. 江崎真澄

    江崎国務大臣 どうも繰り返しになって恐縮ですが、やはり問題が残ると思います。これは慎重に検討すると申しましても、結論はノーというふうに出ざるを得ないように思っております。
  162. 佐々木喜久治

    佐々木政府委員 先ほど、この地方税法というものが、租税法律主義と地方自治との接点の規定であろうということを申し上げたわけであります。事業税につきましては、法人事業税の場合には、その所得段階によりまして、六%、九%、一二%という税率が設けられておるわけでございます。これは標準税率として設けられておるわけでございまして、これが国会を含めての国の意思として、事業税負担というものについてはこういう形であることが望ましいということでの規定になっておるわけであります。  したがいまして、他の税のように、たとえば現行制度でございますというと、自動車税につきましては、一定の税率を基準にして、その車の大きさによって税率の区分をするというような規定が設けられております。こういうようなものにつきましては、これは国の意思として、そういう規定を地方団体の判断によって設けることができるというようなことを規定しておるわけであります。それからまた、たとえばこれは過去の例でございますけれども住民税の場合には、課税方式が五つありました時期におきましては、税率の規定はなかったわけであります。これが各地方団体の実施の結果、なかなか税負担の均衡の面から問題があるというようなことで、現行の住民税におきましては、標準税率でありますけれども、相当段階の刻んだ累進税率制度が規定されるというような事態になってきた。そういう点は、地方税法というものは、各税のそれぞれの税負担あり方というものにつきまして、いわば租税法律主義の規定に基づくところの国の意思というものがそこで規定されておるわけでございます。したがいまして、地方団体が、国全体としての税負担の均衡を考えます場合には、地方自治のたてまえから言いましても、その範囲内において当然住民の税負担を考えていくべきであるということで、現行の六%、九%、一二%という税率については、それと同じような割合で超過課税をしていくというのが地方税法の規定に基づいたものだろうし、それ以外の税率、たとえば一二%の部分を引き上げるという場合は、やはり、これは、国としても税負担あり方というものについて十分検討を加えて、それが妥当であるならば、法律の改正という形式をもってこれにこたえるよりいたし方ないのではないかということだろうと思います。
  163. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 もう時間ですから、この問題はやがてまた議論の問題になってくると思いますから、ここではこのくらいにしておきたいと思います。  最後に、地方税全般の問題について意見を申し上げておきたいと思うのですが、これはあとでまとめて申し上げなければなりませんけれども、減税がまだまだ小幅だと思います。かなり熱意をもってやったというふうにおっしゃっておりますけれども、小幅だというふうに言わざるを得ません。それから、国の公債発行や、特に不況対策の問題に関連をして、地方自治体の税収が減るという傾向もこれから出てくるであろうと思うのであります。そして、地方自治体というのは景気対策で、当然各都道府県は全部そうなんですけれども、出費を強制されております。いわば国の政策の失敗を地方自治体がしりぬぐいをせざるを得ないという状況であります。あるいは、租税特別措置法の問題はもう私から言うまでもないわけでありますけれども、今回の地方税法改正の中で、特にキャピタルゲインに対する非課税状況だとか、あるいは事業税固定資産税の大企業に対する減免措置であるとか、こういう問題というものをもう一ぺん見直すべきじゃないだろうかというふうに考えますけれども、その点について伺って、質問を終わりたいと思います。
  164. 江崎真澄

    江崎国務大臣 租税の特別措置につきまして、私の就任以来、十分ひとつ検討するようにということで、税務局長とも話し合いをいたしております。これは、たとえば従来の輸出貢献企業などということばであらわされております輸出企業への減免措置どもそのまま生きておる。時代は推移しておるというような経緯もありますので、今後にかけて十分検討していきたいと思っております。これは大蔵省側とも相談をしておるところであります。
  165. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 以上で終わります。
  166. 上村千一郎

    ○上村委員長 次回は、来たる八日木曜日、午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後二時十七分散会