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吉田(太)
政府委員 まず、
消費者ローンについて御説明させていただきますと、もともと
消費者ローンについては
金利の
規制という形で指導はいたしておりません。ただ先ほど
先生が御
指摘のように、
金融機関がこれから単に
預金をお預かりするだけではなくて、
預金を利用してもらうという立場での大衆化という方向は今後の基本的な方向である、そういうことからすると、こういう
消費者ローンはできるだけ拡大していくのだということが最近における
金融機関の
考え方であったように思います。私
どもといたしましても、それはいいことであるということで指導をしてまいったわけでございます。ただ、こういう
引き締め下において、それもあくまで別ものであると考えていいかどうかという段階が今日の段階ではなかろうか、かように考えているわけでございます。現在、
消費者
金融の残高といたしましては、四十八年の六月に約一兆三千億ございます。この中の一兆は住宅
資金でございまして、残りのいわゆる
消費者ローンといいますのは約二千億というのが
都市銀行の姿でございます。これを
全国銀行で見ましても大体そういう形でございまして、約二兆九千億の
消費者
金融の中で住宅
資金は二兆五千億である。残りの四千五百億が
消費者ローンでございます。その中で自動車というものが千五百億でございます。あと大きなものは電化製品、電気製品にかかわるものが千二百億、要するに三千五百億のうちの二千七百億を上回るものが乗用車と電化製品である。残りの無目的のローンというのはまだ残念ながら三百億くらいである。これが現実にはやはりレジャーである。私はレジャーをけしからぬと言っている
意味ではございませんが、レジャーあるいはゴルフの会員権、こういう実態でございます。
そういうことから判断いたしまして、
消費者ローンについて住宅
金融と同様の扱いをしてこれを優先していくべきものであるかどうかということからいたしますと、
消費者
金融についてもこの際
企業金融同様に協力してもらいたいという形で、
日本銀行はその指導をしておるわけでございます。その結果、
消費者
金融の
金利というものも
金融機関に聞いてみますと、十月ぐらいからは上がるのではなかろうかというふうに言っております。もっともこれはそれぞれの
金融機関がサービスという
意味で各自がきめておるたてまえになっておりますので、いわゆる一律に引き上げるというようなかっこうにはならないと思いますが、ぼつぼつと上がっていくだろう、かように考えております。
次に、住宅
金融の
金利の問題でございますが、これはもう御
承知のとおり、現在
金融制度
調査会の住宅
金融部会で
金利のあり方も含めまして御審議をいただいておるわけでございます。その中での大きな
考え方といたしましては、
一つは、住宅
金融の
金利というものはどうあればいいかということが
一つの問題でございます。それはすなわち一律に
規制していくのがいいか、あるいは
金融機関の競争にまかしていくほうが
金利をより安くできるかどうかということが
一つのものの
考え方の論点でございます。
基本的にはできるだけ住宅
金融の
金利を低く据え置くためにはいずれの方法をとればいいのかということで研究は進んでおるわけでございますが、御
承知のように、住宅
金融は全国あらゆる
金融機関がやっておるわけでございまして、これを一律に
規制してしまいます場合にはどうしても高いほうへさや寄せされる形で、一番コストの高いものにさや寄せされることになりがちでございます。もしもそれをそれ以上に低く押えます場合には、ある地域の
金融機関はもう住宅ローンを出せないというような
状況になってもいけませんので、できるだけ競争をしてそういうさや寄せが起こらないようにという
意味からすると、むしろ自主的にきめていくべきではなかろうかということが大体の
考え方でございます。これは都市周辺の
金融機関とその他の
金融機関の場合もございますし、あるいは大
銀行と小
銀行という場合でもコストが違うということから、むしろ低いところはできるだけ低くきめられるような体制にしておいたほうがいいのではないかというのが
一つの問題点でございます。
それからもう
一つの
考え方は、それではその
金利の変動をどういうふうに考えていくべきかということでございます。これは諸外国の例などいろいろ調べて、研究が進み、
議論が重ねられておるわけでございますが、下げる場合にはできるだけ下げさせていくべきであるということから、下げる場合にはもう下げる場合の基準はつくらないで、ただどうしても、これも
金融の一環でございますから、全体の
金融の姿の中から上げざるを得ない、上げないと量との
関係において問題が起こってくるというようなときには、それを上げる場合には国民の納得をしていただく基準以外はかってにしてはいけない、こういう
考え方が大体煮詰まりつつあるわけでございます。
そういう場合に、国民の納得を得やすい基準は一体何かといいますと、やはり
銀行のコストが上がった場合であるということが
一つの基準になるのではないか。その場合に
金融機関は全部上げなくてはいけないのだという指導ではなくて、そういう場合には上げることもやむを得ないであろう、それ以外の場合にはかってに短期の
金利、公定歩合が上がったからといって
貸し出しの
金利を上げるというようなことがあってはならない、
預金金利の変動以外は市中
金利の変動とは切り離して考えるべきではなかろうか、かような
考え方が現在の
金融制度
調査会の中の
議論の大宗でございます。
ただ、これはまだ結論は必ずしも出ておりません。住宅
金融についてその他の面がございまして、貸し付け
資金をいかに豊富に用意できるかというようなこととのかね合いで最終的に結論を出したい、こういうことが
金融制度
調査会の御意向でございまして、早ければ十一月、場合によっては十二月ぐらいにそういう全体についての答申をいただいた上で、住宅
金融の
金利についても各
銀行はそれに従う、こういう段取りにしたいと考えております。したがいまして、現在の段階においては、特に住宅
金融の
金利についてはこれを動かすということは、たとえ
預金金利の変動があっても、答申が出ない間はそういうことは考えていないというのが実情でございます。