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1973-06-22 第71回国会 衆議院 大蔵委員会 第42号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年六月二十二日(金曜日)     午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 鴨田 宗一君    理事 大村 襄治君 理事 木村武千代君    理事 村山 達雄君 理事 森  美秀君    理事 阿部 助哉君 理事 武藤 山治君    理事 荒木  宏君       宇野 宗佑君    越智 通雄君       加藤 紘一君    金子 一平君       木野 晴夫君    小林 正巳君       三枝 三郎君    田中  覚君       高鳥  修君    地崎宇三郎君       渡海元三郎君    中川 一郎君       野田  毅君    萩原 幸雄君       坊  秀男君    村岡 兼造君       毛利 松平君    佐藤 観樹君       平林  剛君    広瀬 秀吉君       村山 喜一君    山田 耻目君       増本 一彦君    広沢 直樹君       内海  清君    竹本 孫一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 愛知 揆一君  出席政府委員         防衛施設庁次長 鶴崎  敏君         大蔵政務次官  山本 幸雄君         大蔵省理財局長 橋口  收君         大蔵省理財局次         長       小幡 琢也君         建設政務次官  松野 幸泰君         建設省都市局長 吉田 泰夫君        自治省税務局長 佐々木喜久治君  委員外出席者         法務省民事局第         五課長     清水  湛君         外務省アメリカ         局外務参事官  角谷  清君         農林省畜産局畜         産経営課長   白根  亨君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ————————————— 委員の異動 六月二十一日  辞任         補欠選任   塩谷 一夫君     赤城 宗徳君 同日  辞任         補欠選任   赤城 宗徳君     塩谷 一夫君 同月二十二日  辞任         補欠選任   小泉純一郎君     田中  覚君   塩谷 一夫君     小林 正巳君   地崎宇三郎君     加藤 紘一君   中川 一郎君     高鳥  修君 同日  辞任         補欠選任   加藤 紘一君     地崎宇三郎君   小林 正巳君     塩谷 一夫君   田中  覚君     小泉純一郎君   高鳥  修君     中川 一郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国有財産法及び国有財産特別措置法の一部を改  正する法律案内閣提出第八七号)      ————◇—————
  2. 鴨田宗一

    鴨田委員長 これより会議を開きます。  国有財産法及び国有財産特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。広沢直樹君。
  3. 広沢直樹

    広沢委員 今回の国有財産法並び特別措置法の一部改正で、公的な環境保全の問題、あるいは社会福祉のために国有地利用されやすくなるだろうということは、一応考えられるわけでありますけれども、特に国民財産でありますこの国有地あるいは公用地利用処分という問題は、いままでにもいろいろ問題が提起されておりますが、合理的に行なわれておるかどうか、特に厳密にこれはチェックしていかなければならない問題だと思うのです。  そこで、まず基本的にお伺いしておきたいことは、いわゆる公共用に使う、あるいは公用、そういう面にウエートを置いて考えていかなければならない。都市問題の中で、いま特に土地不足ということで問題になっておるわけであります。いままで私権という問題についていろいろ問題が起こっておりますが、基本的に、これからの国有地利用処分についての方向を、まず最初にお伺いしておきたいと思います。
  4. 橋口收

    橋口(收)政府委員 普通財産は、いま先生のおことばの中にもございましたが、国の所有の財産ではございますが、国民に所属する財産ということで、いわば政府がお預りをしている、こういう性格のものでございますから、いまお話がございましたように、その管理処分につきましては、従来から適正を期しておるわけでございます。  ただ、従来の国有財産管理処分考え方は、端的に申しますと、まあ国民からお預りした財産でございますから、国損を来たさない、良好な状態管理をし、しかもそれを貸し付け処分等措置をいたします場合には、国が損をしないように、貸し付け料につきましても有償が筋でございます。それから、処分をいたします場合にも、一般の時価とつり合いのとれた適正な対価をもって行なうという、財政法と申しますか会計法と申しますか、そういう考え方が基本になったのでございます。  そういう考え方を基礎にいたしまして、実際に国の財産管理処分を行ないます場合には、やはり時代要請とともに変化がございまして、詳しく申し上げるのは省略させていただきたいと思いますが、たとえば終戦直後は旧軍財産が大幅に返還になりました。そういうものを転用して日本経済復興に役立てるという趣旨から、処分を大幅に行なった時代もございます。またその際には、産業優先と申しますか、重要産業優先と申しますか、そういうことで、経済の再建、復興に役立つような処分をした、こういう時代もございます。  中間をちょっと省略させていただきますと、最近は、昨年国有財産中央審議会から新しい考え方に基づく管理処分の指針というものが示されておりまして、いわゆる有効利用と申しますか、そういう考え方に基づいて国有財産管理及び処分を、従来のような単に財政法的あるいは会計法的な発想だけではなくて、相当に国民のために有効に利用できるような形で管理処分をすべきである、こういう御趣旨の答申をいただいておりまして、現在その線に沿って、せっかく努力中でございます。  したがいまして、お話がございましたように、公用公共用処分というものが最優先でございまして、純然たる民間用処分というものはできるだけ控えるという方針で、現在措置をいたしておる段階でございます。
  5. 広沢直樹

    広沢委員 その公共優先ということは当然でありますけれども、その利用あり方一つ問題であるということ。いま申し上げた処分あり方についても、最近の例をとらえても、企業だとかあるいはまた不動産業だとか、そういうものに対する払い下げも、現実にはかなり行なわれているわけです。  そこで、やはりこれは具体的にお伺いしてまいりたいと思っておるわけですけれども利用する場合においても、これは各行政財産は各省庁の責任において処分が可能でありますし、普通財産においても、もちろん大蔵大臣でありますけれども、しかしながらそういう利用計画の上から考えていった場合においては、全体的に利用あり方というものを検討した上で、貸し付けなりあるいは譲与なりあるいは処分なりということを考えてまいらなければならないと思うのですけれども、しかしながらいま言う行政財産については行政の長にまかされている。そうすると、その行政の中だけでの利用とか処分というものを考えていくために、全体的な利用計画のバランスがくずれているのじゃないか、こういう面も間々見受けられるわけでありますけれども、これは一括して全部大蔵省大蔵大臣がこれをやるということは、適正を欠く面もあるかもしれません。しかしながら、いま言うように、いまほんとう土地が不足してその利用をどうするかという基本的な問題が起こってきているわけでありまして、したがって、いま申し上げたような各省庁における処分あり方、全体的な利用計画に基づいた貸し付けだとかあるいは譲与だとか、そういうようなあり方については、どういうふうにお考えになっておられるのか。
  6. 橋口收

    橋口(收)政府委員 ただいまの御質問は二つの内容を含んでおると拝聴いたしたのでございますが、第一点は、大蔵省の所管する普通財産のほかに、各省庁の所管いたします行政財産がございますので、その間をつなげるものとしては、大蔵大臣総轄権というものが法律に基づいて与えられているものでございます。現実問題として、普通財産行政財産を通じて完全な有効利用が確保されているかどうか、それに対する配慮として、大蔵省なり大蔵大臣行政措置というものが十分であろうか、こういう問題の御指摘であろうかと思います。  この点につきましては、従来から総括大臣の立場におきまして各省庁国有財産管理者との間に連絡をとりまして、管理あるいは処分方針等について年々歳々協議をいたしておりますが、これは端的に申しまして、それでは現状ではたして十分かということにつきましては、これはまだまだ改善余地があるというふうに自認をいたしております。これは各省庁に協力を要請する分野も非常に多いと思いますし、またわれわれのほうで努力改善を要する面も多々あると思います。  それから第二点の問題は、普通財産行政財産を通じての利用計画というものがはたして十分できているか、その適正な利用計画に基づいて利用をし、あるいは処分する、そういう一つの体系的なと申しますか、即時代的な方法による処理というもの、あるいは管理というものが行なわれているか、こういう御指摘であろうかと思います。  これもまさにわれわれにとっての最大問題点でございまして、従来から国有地利用計画というものを立てるということで財務局及び各省庁を督励してやってまいってきておりますが、これも端的に申しまして、都市化の激しい地域等につきましてはなかなか利用計画そのものが立ちにくいという面はございます。これもやはり端的に申しまして、現状で非常に満足すべき状態であるかと申しますと、それは必ずしもそう言いにくいというふうにこれも自認をいたしております。やはり従来のような、先ほどもちょっと触れましたような、いわば財政法的な発想のワク内で処理をするということになりますと、できるだけ国有財産というものを留保しておきまして、それによってできるだけ国有財産の収入をあげるというような終戦直後の考え方に近接をしてまいるのでございますが、そういう考え方ではなくて、ほんとうにその地域、その土地にふさわしい利用方法というものを確立する。これは都市計画関係等もありましてできない面もございますが、そういう制約条件の中でほんとうに適正な利用計画をつくるというのがわれわれにとって最大の課題になっているわけでありますが、この点もまだまだ努力改善余地があるのではないか。  いま御指摘になりました二つの点につきましては、行政当局にある者といたしまして今後とも努力をしなければならぬ問題だと考えておりますが、率直に申しまして現状は非常に満足であるという状態であるというふうには申し上げにくいと思います。
  7. 広沢直樹

    広沢委員 いまお話があったように、たとえばその地域住民がここに公園をつくってほしい、あるいは緑化の対策としてこれを考えていきたい、こういうような希望がありましたとしても、あとからひとつ具体例でお聞きしたいと思っておりますが、それは各省庁考え方においては、そこに大きな建物を建てるのだとかいろいろこういう問題があるわけです。いま大都市においては特に過密化してきているために緑という問題やらあるいは児童公園遊び場もないので道路を日曜日にせきって遊び場にしたりというようなことで、非常に土地利用という問題については過密になっているところについては特にこの問題が出てきているわけですね。  ですから、都市ごとに基本的な一つ利用計画を立てて、その中でどういう方向づけでこれからの——先どもおっしゃったように時代によって利用あり方というものは変わってきておるといいますか確かに都市においてはいま申し上げた緑の問題だとかあるいは子供遊び場の問題だとかいうことが出てきているわけです。そこでやはり基本的な利用計画というものを立てて、それによって具体的にどう処置していくか。いま特に時代的に要請されているものは、環境の整備あるいは福祉、そういったものが基本的に要請されているようなときでありますから、基本的な計画としてはその方向考えていくならば、整理したあと地利用あるいは空閑地、未利用地、そういったものの利用についても基本的な方向が立つと思うのでありますけれども、そのあと地処分あり方なんかを見ておりましても、そこには地元要請と変わってりっぱな大きな建物が建つ。建つのはけっこうですけれども、そういう点、どんどん建てているというのは一つギャップがあるように思われるわけです。  そういう基本的な利用あり方処分あり方というものについてはどういうふうに考えておられるのか、もう一度その点をお伺いしておきたいと思います。
  8. 橋口收

    橋口(收)政府委員 基本的な考え方は先ほど申し上げたとおりでございますが、国有財産処分の問題に限定して申し上げますと、実際に払い下げを受けたいという要望を受けましてから現実測量もし、調査もし、評価もして、国有財産審議会の議を経て処分する、それには相当時間がかかるのが実情でございます。ことになるたけ国の所有する土地を減らしたくないという潜在的な希望がありますので、なるたけかえ地を取得をするというようなことをいたしますと、やはりかえ地の評価の問題とか測量の問題とかが出てまいりまして実際に非常に時間がかかる、これが一つの問題でございます。そういうことがございますので、最近時点で払い下げを行なっておりますものも、実は話が出ましたのはいまから二年前とかあるいは三年前とか、そういう前に問題が取り上げられて、そういう方角で処理をしようとしたのが最近になって現実処分になっておる。こういうものとの関係等もございまして、いまお話のありましたような矛盾をわれわれ自身も感じておるのでございます。  ただ、現実問題としまして、たとえば地元調和のとれないような処分をするということは、これは最近の御時世で不可能でございまして、そういう調和のとりにくいような処分につきましては、内々処分方針を内定いたしておりましたものを変更したこともございますし、あるいは白紙に戻したこともございます。したがって、そういう意味におきまして、やはりわれわれの基本的な態度としても地元との調和というものを最重点考えて、その際には地域住民福祉の向上というものが最大配慮対象事項になる、こういう基本的な考え方につきましては、これは大蔵省のみならず各省庁を通じて一致した見解であろうと思います。問題は、そういう考え方が具体的にどの程度発揮されているか、あるいは今後どういう希望を持っているか、そういう問題であろうかと思います。
  9. 広沢直樹

    広沢委員 それじゃ具体的に、いま言う地元とのギャップがある問題をひとつ取り上げてみたいと思うのですが、近くの千代田富士見町一丁目に富士見小学校及び幼稚園があるのです。それに隣接して国有地としていままで裁判所書記官研修所及び家庭裁判所調査官研修所というのがあったわけでありますが、これを日本私学振興財団払い下げる。その財団高層建築を建てる計画を決定した。こういうふうになっているわけです。  ところが、そこの問題としては、いまでもその学校の東に属するところは日が当たらないとかいう問題があります。それをそれ以上に高層建築を建てるということになればこれは問題であるということで、地元住民としては、これはまあ公共団体に一応払い下げていただいて、どうせ払い下げるならば、払い下げてもらってそして日照権の問題とからめてそこに適正な運用のしかたをしたい、こういう要望が出ているわけです。これは地域住民こぞってそういったものに——まあ私学に運用することは悪いことではありませんけれども、それはそれなりの方法があると思うのですけれども、こういう地域的に見るといろいろな問題が出てくるわけです。こういった問題についてやはりいま申し上げたような矛盾というものが出てくるのじゃないか。  それからもう一つ千代田の例ですけれども神田税務署あと地というのがありますね。これもやはり地元あるいは地元区議会を通じても、この利用のしかたについて当局方針を決定しているそれについて反対の声が出ているわけです。しかしそれはもうきまってしまって行なわれる、こういう例であります。  それからまた、これは品川の例でありますけれども、現在南品川六丁目七番地、ここにはテニスコートがあって、あと半分の土地があいている。当然ここに子供遊び場をつくってほしい、こういう要望もあるけれども、なかなかそれが通らない。具体的にいま検討されていると思うのですが、それについて二、三の例をあげたわけです。それはどういうふうな形になっておるか。  最初指摘申し上げましたように、環境保全ということ、あるいはそういうものの利用あり方という問題の基本的な方向づけ利用計画というものがきまっていないと、いま言うように、それぞれの所管においてはそれぞれの考え方があるし、その地域住民意向が聞けない場合も出てきているわけですね。そこに問題があるのじゃないかと指摘申し上げているのですが、その点、いかがですか。いま言った具体例についても、どういう経過になっているか、簡単に御説明いただきたいと思います。
  10. 小幡琢也

    小幡政府委員 御指摘のような問題につきましては、私どもも昨年来従来よりも一そう慎重に配慮するということをしておりまして、特に地元公共団体に対しましては、連絡を必ずとり、地元意向を十分聴取いたしまして、できるだけ摩擦のないように円滑に処理したいと考えておるわけでございます。現に、ただいま御指摘の第一の問題、千代田富士見町一丁目にございます元家庭裁判所研修所あと地処理の問題につきましては、かねて私学振興財団のほうから、従来の建物が手狭になりまして何とか新しい建物に移りたいという話がございましたので、その方向で検討していたわけでございます。それがいまから一年半くらい前のことでございまして、その後、私どものほうで地元千代田区のほうにいろいろ話しましたら、その隣に小学校がありまして、そこに高い建物を建てられると、日照権の問題で非常に支障がある、そういうような、いわば苦情がございました。そこで、いろいろ調停にひまどりまして、小学校側、つまり千代田区とよく話しました結果、日照権の問題を解消するために、私学振興財団払い下げる予定にしておりました土地の一部をさきまして、それを小学校用地として千代田区のほうに渡し、なおかつ私学振興財団建物の建て方につきましても区と話し合って、私のほうも注文いたしまして、その辺は円満に調停して処理した次第でございます。  それから第二番目の神田税務署あと地の問題でございますが、これも千代田区といたしましては公園が非常にほしいという事情がございましたので、大体、区の公共用地としていいのではないかということで処理をきめていたわけでございますが、区のほうといたしましては、むしろ産業会館建設用地にしてほしい、公園のほうはまた別の国有地をお願いしたいということでございました。それで実は、同じ区内の別のほうに関東農政局あと地がございますので、それを半分公園にするということで、神田税務署あと地のほうはそういった方向千代田区に払い下げるという方針は内定しているわけでございます。  それからもう一つ南品川の問題でございますが、南品川公務員宿舎が建っておりましたところで、地形といいますか位置が非常に特殊でございまして、ちょうど袋路になっており、道路関係もどうもよくない、非常に扱いにくい土地であることは事実でございます。この辺、いかなる用途に充てることが適当であるかということについては、今後地元とも十分話し合いましてまとめたい、このように思っております。
  11. 広沢直樹

    広沢委員 ほかにもたくさんあるのですけれども一つ一つやっていると、時間がありませんから……。  いま申し上げたように、国有地利用する場合、できるだけ公共にということは一番に考えなければならない問題ですし、その場合に、各省庁のたてまえの上から考えるよりも、地元要望を十分入れた利用のしかたをしていくという方向で今後運営されるということを確認してよろしゅうございますか。
  12. 橋口收

    橋口(收)政府委員 いま公共用というお話がございましたが、もちろん公共用優先でございます。しかし同時に、公用ということも並行して考える必要があるということで、私ども公用公共用というふうに申しております。先生公共用ということを最重点に置いておっしゃったのでございますが、もちろん公共用が最重点であるということには変わりはございません。同時に公用についても配慮をいたしたい、こういうことでございます。
  13. 広沢直樹

    広沢委員 大都市におきましては土地がない、あるいは非常に不足しているということでありますから、地元との問題、公用公共用の問題についてもいま言う問題が起こってまいりますので、特に土地の不足している大都市においての国有地利用のしかたというものについては、やはり地元住民の意見を十分参酌した上で利用計画をお立てになるように強く要望申し上げておきます。  次に、国有財産の売却あるいは貸し付けなどについては、一般ないしは指名競争入札に付するということが原則的なたてまえだと思うのですが、いままでの例を見ますと、ほとんど随契処理をしているわけです。きのう資料を要求して、四十五年度の、二千平方米以上かつ一億円以上の売り払いの競争入札随契別件数と数量をお伺いしたわけですけれども、その中にも競争入札の場合は全く皆無で、四十五年も四十六年もありません。全部随意契約になっております。随契という意味は、いろいろな規定がありますから、それに当てはめてのことであろうと思うわけでありますけれども、やはり基本的には一般ないしは指名競争入札でやることがたてまえになっているわけでありまして、そういうふうな方向で運用すべきじゃないかと思うのです。現実の問題としてはほとんど随契なんですが、その点はどういうふうにお考えになっておられましょうか。
  14. 小幡琢也

    小幡政府委員 国有財産処分する場合におきます契約方式でございますが、会計法では一般競争入札原則でございます。ただ、財産もいろいろ、位置とか規模、環境立地条件というのがございまして、公用公共用優先ということで考えます場合に、一般競争によるよりも特定相手方を選定して有効に利用する、こういった場合には随意契約によることになっております。  それから、こまかい問題でございますが、物納財産とか契約未済の要処理財産あと里道畦畔、そういった特別の縁故の事情がある財産がございます。これもやはり権利者随意契約払い下げる、そういった件数が相当多うございまして、実際問題といたしましては一般競争件数はかなり少なくなっているのが実情でございます。  会計法原則に従いまして、経済性の確保の問題、こういうことからすれば一般競争入札ということは望ましいことではありますけれども、いま申し上げました社会的要請に沿うために特定の、最も適当な相手方処分するということになりますと随意契約になる。それから、そういった特定相手方を必要としない、要するに場所によりまして、特に公用公共用、そういう用途に供する必要のないところもございます。そういうものは当然一般競争入札になるわけでございます。  それと、最後の問題でございますが、もう一つは、現時点におきまして一般競争入札をこういった都市部において実施いたします場合に、市価に与える影響というのは現在非常に心配されるわけでございますので、そこでこういった経過的な時期におきまして、国の国有地契約方式を一体どうしたらいいかということはわれわれとしましても真剣に検討したいということで、実は先般国有財産中央審議会に、こういった国有地を売り払う場合の、処理する場合の契約方式についてこれを諮問いたしまして、現在いろいろと検討していただいている、こういうところでございます。
  15. 広沢直樹

    広沢委員 まあたてまえはそうですが、ほとんど随契になっているということは、私なりの解釈をしていけば、やはり基本的には公共やあるいは公用に使うということがたてまえになっている。したがって、ほとんど随契になっているということは、特定のものを扱っているという関係随契になるのじゃないか。この意味は私はわからぬわけではないわけです。  そこで、処分をする場合に、国有財産中央審議会あるいは地方審議会にかける場合とかけない場合とあるわけであります。その点はどういうふうになっているのでしょうか。私は、主張としては、これはやはり公共用のものあるいは国有地ですね、そういうものを処分なりする場合においては、やはりこれは審議会にすべてかけてやるべきではないか、こういうふうに主張しているわけなんですが、実際の問題としてはある一定の限度を設けている場合とか、あるいは特定の場合、それぞれの所管においてやっているわけでして、かかっている場合とかかっていない場合があるのですが、その点いかがでしょうか。
  16. 小幡琢也

    小幡政府委員 国有財産審議会に付議する事項の基準でございますが、これにつきましては一応私どものほうで通達を出しまして、各財務局に指示しているわけでございますけれども、ただ、それが売り払いの場合に何平方メートル以上とか、あるいは何億円以上とか、こういった一定の線を出すということは、場合によってはかえって実情に沿わない場合もあるんじゃないかということで、最近はそういった一定の線をはずしまして、財務局長の判断によりまして、重要な事案、社会的関心がきわめて強いような事案、それから地方的に問題を起こすような事案、その他財務局長が判断するものはできるだけ審議会に付議するようにということで指導しているわけであります。
  17. 広沢直樹

    広沢委員 しかし現実の問題として、その通達を出されておられるようですけれども、その通達の内容というものはいま説明された内容ですか。
  18. 小幡琢也

    小幡政府委員 さようでございます。
  19. 広沢直樹

    広沢委員 しかし、やはり基本的には、国有地処分するあるいは利用する場合でありますから、当然私は、国民財産ですから審議会にほとんどかけるというようなことでやっていくことが必要じゃないかと思うのですね。ケース・バイ・ケースで財務局長の判断にまかしておくというようなことじゃなくて、そうすべきじゃないかと思うのですが、そうしていくことについて何か不都合があるのでしょうか。
  20. 小幡琢也

    小幡政府委員 現在におきましても、重要な、本省におきまして重要だと思う事案は、積極的に本省から指示いたしまして、必ず地方審議会にかけるようにというふうに財務局を指導しているわけでございます。  それで先生指摘の、基準を改善すべきかどうかという問題でございますが、それは今度国土総合開発法の中にもいろいろなことが規定されているような状況でございますので、その際基準をつくりまして改善いたしまして、重要なものをもうちょっと通達上明確にしたい、こういうような検討作業をいま行なっているところでございます。
  21. 広沢直樹

    広沢委員 処分の場合について、ほとんどがこれは随契の場合が多いということでありますから、特に私はそういう必要があるのではないかと考えるのですが、その全部随契でやっている会計法あるいは予決令の根拠について一応説明していただきたいと思うのです。
  22. 小幡琢也

    小幡政府委員 随意契約の根拠の問題でございますが、これは会計法に根拠がございまして、会計法の第二十九条の三というのがございまして、その規定によりますと、第一項で一般競争入札原則がございまして、それから第四項と第五項でございます、ここに「契約の性質又は目的が競争を許さない場合、」とか、「緊急の必要により競争に付することができない場合」それから「競争に付することが不利と認められる場合」こういった場合におきましては、これは政令、予算決算会計令でございますが、ここにいろいろ手続規定がございまして、その政令の定めるところにより、随意契約によることができる、これが第四項、それから第五項では、「契約に係る予定価格が少額である場合その他政令で定める場合」、この政令で定める場合といたしまして、予算決算会計令の第九十九条に、いろいろな場合、たとえば公用公共用、公益用の場合とか、産業の保護奨励の場合とか、それから特別の縁故がある場合とか、いろいろな場合が列挙をされておりまして、これに従いまして随意契約をしているわけです。
  23. 広沢直樹

    広沢委員 随契によろうとする場合、各省庁の長はいわゆる指名競争契約の場合と同様に、原則としてあらかじめ大蔵大臣に協議しなければならない、次に掲げる場合には協議の要はないとして、予決令の中にいろいろななにがあるわけでございますが、その中で、特に随契によれば時価に比べて著しく有利な価格で契約できる見込みがあること、こういった項もあるわけでありますけれども、こういうことになりますと、随契という特定のものということではなくて、いわゆる一般的に考えても著しく有利な価格で契約できる見込みがある場合においては随契でいいということになっているわけですね。この点はいかがなのですか。
  24. 小幡琢也

    小幡政府委員 確かに規定上は「随意契約によるときは、時価に比べて著しく有利な価格をもつて契約をすることができる見込みがある」場合ということで、これで一般に時価の三割増しということで運用できるということでございますが、ただ、これはあくまでも規定の問題でございまして、それではいかなる場合にもこれでいいのかというと、そういうわけにはまいりませんので、こういったいわゆる有利随意契約ができる場合は厳に規制する必要がある、そういうことで現在すべて本省に上げて、本省でチェックして、有利随意契約にしてもいい、それは公共用に準ずるとか、近いような場合、こういった場合にできるだけ適用することにしたい、こういうことでやっているわけでございます。
  25. 広沢直樹

    広沢委員 こういうような有利随契的なあり方で起こってくる欠陥というのは、競争入札の手続が一切ないということは、その土地についての処分一般にわからないという問題もありますし、いま申されたように、三割アップで有利だという解釈、こういう点にも多少疑惑があるわけですし、相手の選定そのものが随契ですからね、それについての疑惑が出てくる。  ですから、これは中央審議会だとか地方審議会にきちっと全部かけて協議した上でという一つの手順をはっきり踏んでありますと、こういった面についてもある程度は是正されると思うのですが、基本的には土地そのものの性質から考えていって、これは随契というよりもやはり限定指名入札というのですか、あるいは競争入札というのですか、あるいはそういうような方法をとっていくのが当然じゃないだろうか。いままでの例でもいわゆる産業に随契でおろしている例がだいぶあるわけですね。ここにある資料で申し上げますと、関東財務局管内でもそれぞれ製造業あるいは不動産業にも出している。四十六年、四十七年で見ましても、これは全部随契でしょう。  具体的に申し上げますと、横浜市の戸塚区小管ケ谷町、そこの土石の製品の製造業に売り払いをしているわけであります。それからそのほか、これは宇都宮において輸送用の機器を販売している、あるいはつくっている会社、これも払い下げされております。同じ四十六年に横須賀市大津町で二件、不動産業払い下げされているというように、ずっといろいろ出ているわけでありますけれども、こういった随契あり方というものについて、特に不動産業随契で売り払うという意味は具体的にはどういうふうになっているのでしょうか。
  26. 小幡琢也

    小幡政府委員 国が国有地処分する場合に、特に不動産業払い下げるということをやっているわけではございませんので、これはちょっと事情がございまして、ここにあります不動産業は、いずれもこの国有地里道畦畔というふうに、地形が狭長で単独利用が困難な、こういった介在する土地でございまして、それを不動産業におきまして、たとえばこの辺一面に宅地造成する、そういった場合に宅地造成の過程におきまして、いやこの中には実は細長い里道畦畔があったのだということがそこでわかるわけでございます。いわば国としては脱落地でございますけれども、しかしこれはいま国有地という取り扱いになっているわけでございますから、そこでわかりまして、これは国のものだから払い下げてくれ、こういうふうにくるわけです。それが宅地造成の中におきまして、まあ里道畦畔ですから細長いものでございますけれども、それが無数にたくさんございまして、その数量を集めますと何万平方メートルになってしまう、そういうケースがここにあります不動産業のケースでございます。
  27. 広沢直樹

    広沢委員 里道畦畔の場合も、宅地造成の中にそういうこまかなものがたくさん入っているということであります。だからそれは一応随契払い下げてしまう。しかしこれは宅地造成であれば、そこには相当住宅がたくさんできる。緑地も必要でありましょうし、子供遊び場も必要でありましょうし、あるいは公民館も必要になってくるでしょう。  最近具体的によく起こっている例というものは、宅地造成されたあとで公民館がほしい、子供遊び場がほしいといっても、現実にそれは土地がないという問題が出てくるわけですね。こういったものは払い下げるというよりも、むしろそれにかわる交換といいますか、その地域の中にあるまとまった公有地というものを、そういう目的のために交換する、そういう具体的な方法というものも国有地処分あり方については、いま例にあがりましたから申し上げるのですが、とれるんじゃないかと思うのですね。ですから、その範囲に入っているので、宅地造成だから全部払い下げてしまえばいいという問題じゃないのじゃないか。いまのように何万平方メートルもあるということになりますと、それだけでも問題が出てくるのじゃないかと思うのですよ。いかがでしょうか。
  28. 小幡琢也

    小幡政府委員 おっしゃるとおりでございまして、できればそういった交換によって国有地を取得するということが適当ではなかろうかと考えられる場合もあるわけでございます。現に現在の取り扱いにおきましても、その宅造地内にたとえば道路をつくるとか下水道をつくるとか、そういう公共施設をつくるという場合に、その道路、下水道の敷地というものと、それからいま申し上げました里道畦畔というものを交換で処理している、こういうことはいたしております。  それ以外に、たとえば学校とか公園とか保育所とか、こういったまとまったものを里道畦畔と交換して取得して、それを地方団体に有効に利用させたらどうか、こういう考え方もございますので、その辺はケース・バイ・ケースでございまして、できればそういったことも検討したいと考えております。
  29. 広沢直樹

    広沢委員 これは私有地になるというよりも、そういうような宅地造成の場合においても、いま申されておるように、やはりそういう基本原則というものを立てる。まあこの中に含まれるから一括して払い下げればいいのだ。ここにあるのは、具体的に国有地の大口払い下げの中に不動産業として載っている。それに対してはそれは里道畦畔である、ですから大口払い下げをしたのだ。これが表として出ているわけです。  ですから、いまそういう例もあるだろうというようなことではなくて、具体的にそういう方針を立てて、いわゆる公共用に使う用地というものを確保するというようなことが必要じゃないかと思うのですね。こまかいことを言いますと、ほんのちょこっとそこら辺にネコの額みたいな国有地が余っちゃった、それを隣接のほうに分けてあげるだとか、そういうようなことはこれはあり得ることだろうと思うのです。そんなのは利用価値というものはないのですから。しかし活用のしかたによれば、十分そういうような基本的な環境整備の上から考えて当然考えられるような、いまおっしゃったような宅地造成なんかになれば、これはもう払い下げというよりも交換するなり何なりの方法と、いうものを基本的に打ち立てるべきではないだろうか、こう思うわけですが、その辺もう一。へんはっきりしておいていただきたいのです。
  30. 小幡琢也

    小幡政府委員 そのような方向で検討いたしたいと思います。
  31. 広沢直樹

    広沢委員 次に、未利用地の問題でありますけれども、これも全体をいうとこれは大きな数字になってしまいますので、具体的に関東財務局関係の未利用地については、全体でどれぐらいあるのでしょうか。
  32. 小幡琢也

    小幡政府委員 ちょっといま資料が手元にございませんが、東京都の特別区の中の大蔵省普通財産で、ことしの三月三十一日現在未利用となっている土地は全体で約二十三万平方メートルぐらいでございます。
  33. 広沢直樹

    広沢委員 二、三具体的に聞いてみたいのですが、たとえば千代田区の旧気象庁の敷地のあと地ですね、これは道路関係として東京都に、それから政府関係機関の事務所にこれを一応利用するということに方針が決定しているようでありますが、この方針決定したあと、どういうふうな形にそれが利用されているかということは、これはおつかみになっていらっしゃるでしょうか。
  34. 小幡琢也

    小幡政府委員 気象庁のあと地処理でございますが、これは全体で五千五百二十平方メートルの土地でございますが、これはすでに処理済みでございます。相手方は日本輸出入銀行、それから海外経済協力基金、それから国家公務員共済組合連合会、この三者が合同のビルをつくる。これはいずれも政府関係機関でございますが、そういったビル用地として実はこれは先般処理したところでございます。
  35. 広沢直樹

    広沢委員 ただ申し上げたいのは、具体的にそういう要請において未利用地利用ということを考えるわけでありますが、その当初のそういう申請計画現実にそれがそうなっているかどうかというチェックというのはこれはやっているんでしょうか、どうでしょうか。
  36. 小幡琢也

    小幡政府委員 これは実はことしの四月二十八日に契約したばかりでございまして、その利用計画につきましては事前に十分こちらでチェックいたして、いま三機関で協議いたしまして建設の段取りを検討しているところでございます。
  37. 広沢直樹

    広沢委員 そのほかまだきまってない、具体的にいま一つだけ例を申し上げておきますと、目黒区の三田に旧公務員の研修所があります。木造の建物が建っているわけですけれども、そういうところはまだ利用というものがきまってないんですが、今後の利用方針といいますか、方向というのはどういうふうにお考えになっているんでしょうか。
  38. 小幡琢也

    小幡政府委員 目黒区三田のこの人事院研修所のあと地の問題でございますが、これは実はだいぶ前からドイツの文化センターという要望が外務省からございまして、その背景には実は日本のほうはケルン市に在ケルン文化センターというものをつくった。それで相互主義ということでドイツのほうは今度は日本のほうにつくらしてほしい、こういったいわば国際間のいわゆる外務省関係の問題がございまして、そのためにぜひこの用地をリザーブしておいてくれないかという話がございますものですから、それでずっと保留しているわけでございますが、これはあまり長くなりますと、いかにも未利用で放置しているということになるのでございますので、何とかこれは一体めどはどうなんだということをいま外務省を通じて盛んに催促しているわけでございます。もしその計画が見込みがないということになりましたならば、それを急遽振りかえて新しい利用計画をつくるということに持っていきたいと考えております。
  39. 広沢直樹

    広沢委員 ですから、これも先ほど申し上げたように、やはり未利用地利用についてもその所在地あるいはその処理方針だとか、そういう問題については関係住民関係団体にこれを一応公表するというような方法をとって、それが最も適切な地域の活用、利用といいますか、効果のあげ得るような方向でやっていくためにもこれは公表していくというような方法の手段はとれないでしょうか、この点はどうでしょう。
  40. 小幡琢也

    小幡政府委員 先ほど来申し上げておる例はだいぶ前の昔の処理の例でございますが、今後におきましては十分地元意向とか長期的な見方、総合的な見方、いろいろ取り入れまして計画をつくるということになりますので、当然審議会にかける前に関係の地方団体その他と十分協議し、それによって住民の意思も反映するということに持っていったらどうかと考えているわけでございます。
  41. 広沢直樹

    広沢委員 それから都市及び都市周辺の国有地払い下げについて、昭和四十七年五月十日に理財局長の通達が出て、その基本的な方向というものが説明されているわけですが、その中によりますと、都市の再開発に関連なく民間へ処分することは原則として行なわない、こういうふうに理財局長の通達として出ているわけです。  その前に、四十三年の閣議了解事項では、大都市市内の国有地原則として民間には払い下げないという原則というものを打ち立てているわけですね。これは閣議了解事項です。  これによりますと、理財局長の通達は、都市の再開発という場合においてそれに利用する場合においては民間へ処分するということも可能だというふうに解釈できるんですが、その点はどうなんでしょう。
  42. 小幡琢也

    小幡政府委員 四十三年の閣議了解でございますが、これは地価対策についての閣議了解でございまして、現在この地価対策についていろいろな手を打つ、総合的な手を打つということをうたってあるわけでございますが、その中に都市有効利用の促進という問題あるいは都市再開発の推進、それから中高層住宅の建設というのがございまして、それを受けまして国公有地の活用というところで、都市地域における国有地、公有地の民間への払い下げ原則として停止するとともに、その効率的活用をはかるために未利用または高度利用可能な国公有地についてその公共用地公用地としての適切な活用をはかる、ということをうたってあるわけでございまして、考え方はいずれも同じでございまして、私どもの昨年の通達におきましても、それを受けまして今後国有地有効利用を積極的に推進していこう。  それから最近都市及び都市周辺におきましては、こういった都市の再開発、地域開発、こういうものも大いに織り込んでいこうということをうたってあるわけでございますが、ただ、中に国有地といいましても非常に小規模なネコのひたいのようなものもございますし、そういう位置、規模、環境なんかから見まして、公用公共用優先といいましても、だれも公用公共用では振り向きもしないというようなものにつきましては、やはり何か考えなければいかぬということでそういうものを処理する場合にはできるだけ都市の再開発と関連してやるようにということをうたったわけでございます。
  43. 広沢直樹

    広沢委員 そこでへその都市の再開発再開発といっても、いろいろ意味があるのですよ。いまのような過密なところについては緑地をつくったり、あるいはそういう公園をつくったりというのもあるでしょうし、いろいろな意味があると思うのですが、その再開発に関連があるかいなかという判断といいますか、何か客観的なものというものですか、そういうものがあるのでしょうか。
  44. 小幡琢也

    小幡政府委員 この問題につきましては、去る昨年の三月に国有財産中央審議会の答申をいただきます際に、学識経験者の方に研究していただきまして、都市の再開発、いろいろな幅のある解釈でございますけれども、ここで考えておりますのは、できるだけ防災とか生活環境保全等のためにオープンスペースを確保する、こういった形の都市再開発、こういうことでやろうじゃないか、いこうじゃないかというような線が出ているわけでございます。
  45. 広沢直樹

    広沢委員 そういうことになると、これは民間への処分という意味ではなくて、ここに通達の中では民間へ処分することは原則として行なわないけれども、いわゆる再開発の関連する分については、これは例外として考えるのだというふうにこれはとれるわけです。四十三年の閣議了解事項では、これは国有地はもう原則として民間には払い下げない。ということは、基本的には全体的な利用計画とか、いろいろな問題が整備されてないから、当然そうしなければならないと思うのです。一切何もかもだめだという意味ではないのですけれども、しかしそういうたてまえのところでいま再開発ということが非常に問題になってきて、それについて民間へは原則としては払い下げないけれども、再開発については考慮するという通達に変わってきているわけですね。  だから、この点を明確にしておかないと、こういう意味から、再開発の意味は、いろいろな公害の問題もありますし、いろいろな問題を含めて出てくるのじゃないか、そういう基準というものをもう少し明確にしておく必要があるのじゃないだろうか、こういうふうに思うわけであります。その点もう一ぺん確認いたしておきたいと思いますが、いかがですか。
  46. 小幡琢也

    小幡政府委員 これは具体的に個々の国有地につきまして利用計画を策定するときの問題であろうと思いますが、従来のようにその場所だけということでは不適当でありまして、その場所を含めましたある一定の地域一帯の利用計画というものをどうすればいいかということを今後考えていくということで、現在全国の各財務局において利用計画をつくりつつありますので、いろいろなケースを煮詰めましてできるだけ有効適切な利用計画をつくっていきたい、このように考えております。
  47. 広沢直樹

    広沢委員 そこで今回の国有財産法の改正は、政府土地政策の一環として政府みずからの所有する国民土地国民福祉優先、これに明確に切りかえていくといいますか、それから先ほどいろいろ指摘申し上げましたような、いわゆる環境保全というものも国民福祉に入るわけですが、そういう裏づけがはっきりしなければ私は意味がないと思うわけです。  それで、いろいろ申し上げてまいりましたけれども国有地については所在、用途あるいは処分方針等、未利用地国民に提供できるというものを全部公表して、そうしてこういうふうにやっていくんだという方向を明示する必要があるのじゃないか、この点が第一点。それから福祉優先の基本方針から貸し付けやあるいは払い下げの契約のあり方については、民間の営利事業に随契払い下げというようなことはもう少し明確に規制していくべきじゃないか。あるいは民間営利企業に払い下げるにあたっては、先ほど申し上げたような競争入札、これもいろいろ一般的なものも指名的なものも限定的なものもありますが、こういうものをやっていくことは公正を期していく上においてもっとも重要なことじゃないかと思いますが、以上締めくくりで三点についてお答えをいただいて終わりにしたいと思います。
  48. 小幡琢也

    小幡政府委員 未利用地を公表すべきじゃないかという第一点の問題でございますが、これにつきましては現在全国のこういった未利用地を再点検させておるわけでございまして、件数も非常に多いわけでございますが、そのうちのある程度大きいものにつきましては、いずれこれはまとめまして中央審議会のほうにも御報告するというようなことにしたらどうかということをいま検討しているわけでございます。  それからもう一つは、随意契約ということで民間に払い下げるということを規制すべきじゃないか、こういった問題につきましては、現在予算決算会計令に産業の保護奨励というああいう規定がございますが、どうもあれはいまの実情に合わないということで、私どものほうでもあの規定はできるだけ使わないようにしておりますし、現にあの随意契約ができる場合がはたしてそれでいいのか、洗い直そうじゃないかということで、これも現在国有財産中央審議会に付議して検討してもらっておるところでございます。
  49. 広沢直樹

    広沢委員 それでは最後に、中央審議会それから地方審議会のメンバーの一覧を一ぺん資料として出していただきたい。それを要望して終わりにいたします。
  50. 鴨田宗一

    鴨田委員長 平林君。
  51. 平林剛

    ○平林委員 きょうは私、国有財産の問題についてお尋ねしますが、きのうかその前か武藤山治委員から質問がございました四十六年度、四十七年度の大口の売り渡しの調べによりますと、四十七年度にしぼってながめてみますと、この十件の中で神奈川県の横浜市港南区上永谷町の運輸業に払い下げ財産、それから神奈川県横須賀市長沢の建設業に払い下げ土地、これについて何かほとんどが畦畔であるという話を聞いたわけですが、実情はどうか、もう一度お聞かせいただきたいと思います。  つけ加えて言うならば、これはおそらく相当数の筆数ですね。契約者もかなり多い。購入をして一括して大蔵省に対して売り渡しの申請を行なったものと判断されるわけですが、そういう規模、内容などについてつけ加えて御説明いただきたい。
  52. 小幡琢也

    小幡政府委員 横浜市の港南区の上永谷町の売り払い事案でございますが、京浜急行電鉄に六万平方メートルの国有畦畔、これを宅造地内に介在するということで処理したわけでございます。それからもう一つの横須賀市の長沢の売り払い、これは大成建設株式会社に対しまして約四万八千平方メートルの、これも国有畦畔払い下げたわけでございます。  それでこの場合は、この二件いずれも相手方の宅地造成の規模に占める割合がかなり高い。前者京浜急行の場合にはこれは一〇・四%、それから大成建設の場合には一九・二%と非常に多い。そこで先日武藤先生からそういうようなのは全部畦畔であったわけがない、何かはかのものが入っているのじゃないかという御指摘を受けましたのでさっそく調査いたしましたところ、やはりこれは全部畦畔である。しかも神奈川県特有の畦畔、田畑の間のあぜ、このほかに傾斜面、田と田との高低差がある場合の傾斜面もその斜面の面積が全部畦畔ということで入っているということがわかったわけであります。それで御参考までに図面を持ってきておりますので、ちょっとこれをごらんいただきたいと思います。
  53. 鴨田宗一

    鴨田委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  54. 鴨田宗一

    鴨田委員長 速記を始めて。
  55. 平林剛

    ○平林委員 それでまだ調べが出てないかもわからないけれども、それだけの広い面積の中の一〇・四あるいは一九・二%の畦畔、これは総トータルだと思うのですが、京浜急行並びに大成建設に対して売り渡したもののもとの地権者、これは何人くらいの規模ですか。
  56. 小幡琢也

    小幡政府委員 まだ調べておりません。
  57. 平林剛

    ○平林委員 おそらく何百人という、あるいは筆数でいえばもっと多くなるかもしれない筆数の集積を買い占めたものと見られるわけですね。本来はこの畦畔というのは個人、個人が大成建設、京浜急行に売り渡し契約を結ぶ場合にその所有権というものをはっきりさせて契約をするという形をとられるのが順序だと思うのですけれども、この場合はその手続を省略して一括して京浜急行なり大成建設が大蔵省に申請したということになっていると思うのでありますが、その点はどうでしょうか。
  58. 小幡琢也

    小幡政府委員 権利者が権利を譲渡するということがよくありますので、この場合も権利を譲渡して、京浜急行に国が譲渡したということになっております。
  59. 平林剛

    ○平林委員 その場合、京浜急行なり大成建設は、地権者に対してその畦畔分についての金額も支払ったのですか。
  60. 小幡琢也

    小幡政府委員 具体的な金額は承知しておりませんけれども、そういった事情を加味した単価でおそらく支払っていると思います。
  61. 平林剛

    ○平林委員 大成建設、京浜急行にその畦畔を売り払った単価は幾らですか。
  62. 小幡琢也

    小幡政府委員 京浜急行の場合には平方メートル当たり七千二百六十円、大成建設の場合は平方メートル当たり単価五千百四十九円でございます。
  63. 平林剛

    ○平林委員 これは時価相場の何割になっていますか。
  64. 小幡琢也

    小幡政府委員 京浜急行の場合は、これは時価といいましても、これは地形によりましていろいろな場合がありますが、この原則はもちろん権利なんかがあれば考慮するわけでございますが、そういう意味の時価でございます。それから大成建設のほうは、これは一部に古くから時効完成ですね、もうすでに時効が完成されていると認められるような部分もございます。これは全部が全部ではございませんけれども、相当の部分が、私どものこういったものを処理する場合の通達の方式によりまして、五割減ということで処理しております。
  65. 平林剛

    ○平林委員 その単価、時価並びに時効完成の部分も含まれているということで考慮して払い下げた価格、それはそれに相当する価格がもとの地権者に支払われていますか。
  66. 小幡琢也

    小幡政府委員 その点につきましては、具体的な問題についてはまだ私ども承知しておりません。
  67. 平林剛

    ○平林委員 この件については、私はかねがね主張しておりますように、国民の固有の権利という点から、そこでさやがかせがれているか、それともそれに相当する価格が地権者に支払われているか、お調べいただいて御報告を願いたいと思いますが、いかがですか。
  68. 小幡琢也

    小幡政府委員 さっそく調査いたします。
  69. 平林剛

    ○平林委員 後日この問題については検討することにいたしまして、引き続いて、これに関連して国有財産の時効取得の問題を取り上げたいと思っています。きょう冒頭取り上げました問題とも深いかかわり合いがございます。そこでまず最初に、今日まで国有財産について時効取得によって地権者、つまり土地を所有している国民が手続をとって取得をした実績というものについてお知らせいただきたいと思います。
  70. 小幡琢也

    小幡政府委員 昭和四十二年度から昭和四十七年度までの合計で千八百五十七件、これを時効の確認をして処理しております。その大部分が国有の畦畔でございます。
  71. 平林剛

    ○平林委員 それは主として東京や神奈川ですか、全国的な調査件数ですか。
  72. 小幡琢也

    小幡政府委員 全国的な件数でございまして千八百五十七件、そのうち関東財務局管内、すなわち東京都と神奈川だけでございますが、この二都県が千二百六十二件、筆数にしますと二千七百八十五筆でございます。
  73. 平林剛

    ○平林委員 ただいまの京浜急行や大成建設、これらはいわゆる時効取得の手続ではなくて払い下げということになると思いますけれども、本来時効取得によっての手続で所有権を獲得できるべきものがそうでないやり方で売り払われたという件数になりますと、いまの問題を含めて、かなり多いのじゃないかと思いますが、そういうことは御調査してございますか。
  74. 小幡琢也

    小幡政府委員 いま申し上げましたのは財務局において時効取得の手続で処理したものでございますので、時効によらずして、ほとんど時効が完成されると認められますけれども相手方の申請によって払い下げたというものは、含まれておりません。その数字につきましては、実はこういったものだけを調査したことはございません。
  75. 平林剛

    ○平林委員 感じとして、どのぐらいあると思いますか。
  76. 小幡琢也

    小幡政府委員 毎年国有地の売り払い件数は一万二千件ぐらいございますが、そのうちの要処理財産というのが八千件ぐらいございますので、おそらくその中に含まれているんじゃないかと思いますが、全体の数字はつかんでおりません。
  77. 平林剛

    ○平林委員 いわゆる土地の所有者が、時効が完成しているとして民法の規定でその時効取得を確認をするというような手続をとった場合に、いや、それはたいへん時間がかかるから、むしろひとつ払い下げという形で処理したらいかがですかというようなことを財務局が勧奨しているようなことはございませんか。
  78. 小幡琢也

    小幡政府委員 特にそのようなことはいたしておりません。ただ相手方も、こういった時効完成を主張しますのはかなり手続も要る。これは、主張は一つの権利でございますから、測量したりいろいろな占有の事実あるいは当人の所有の意思、こういったものを全部立証しなければいかぬ。それにはいろいろ手間や金もかかる。そこで、それを特別の処理払い下げてほしい、こういう場合もございますが、これはあくまでも相手方からそういった払い下げの申請があるわけでございまして、財務局のほうからそれを強要するということはいたしておりません。
  79. 平林剛

    ○平林委員 時効が完成していることを知りながら、あるいは官のことばでいえば、時効が完成していることを承知し、あるいはこれを認めながら、至急処理をする必要、あるいは手続の省略という意味から払い下げという形に変えるという行為は、これは法律上はどういうことになるのでしょうか。
  80. 小幡琢也

    小幡政府委員 これは、あくまでも時効は相手方の主張によって、相手方が立証してそれを認めるということで処理するわけでございますけれども、これも法務省の見解もございまして、国のほうでかってにそれを安易に時効を完成していると認めて国有財産台帳を落とすということになりますといろいろ弊害もございますので、そこを慎重にやれ、そういうことで、先般先生の御指摘もありまして、法務省と財務局とが合同いたしまして、時効確認連絡会というものを各財務局につくってこれを処理する、こういう簡易手続をやっているわけでございます。ですから、その手続によらないでそれを早くやってほしい、それ以外の手続でやってほしいといわれましても、やはりそれは国有財産台帳から落とすということでありますから、慎重にせざるを得ない。そこで、相手が非常に急ぐような場合、それから金額的にもたいした払い下げ価格でないと相手が認めました場合には、やはり払い下げ処理することはやむを得ないのではないかというふうに思っております。
  81. 平林剛

    ○平林委員 国民の権利という点から考えると、権利放棄、こういうことになって、法律上は一種の和解措置だということになると私は思うのですね。一種の便宜措置である。この場合に、いわば権力のある者と権力のない者との和解ということになるわけでありまして、実情としてはわからぬではありませんけれども、何かそこに私は割り切れないものを持つわけであります。したがって問題は、国民の権利という点から考えますと、時効取得の手続というものを簡素化するということ、それからその権利に基づいて時効取得の手続を行なってから取得に至るまでの期間を短縮すること、これがむしろ必要なんでありまして、私は、こうした便宜的措置もやむを得ないとは認めます。認めますが、できれば極力そうした便宜的な措置でない形で行なわれることが望ましいということだけは主張しておきたいと思うのであります。  そこで従来、私はそういう考え法律案の改正あるいはその手続等についても政府に対して注文を発して、いまそのとおり行なわれておるわけでありますが、最近新しい問題が起きてきたわけであります。きょうはその考え方政府に聞きたいわけであります。  実は最近、地権者、土地の所有者である国民が、土地の登記簿謄本を請求しますと、これは法務省の法務局へ行くわけでしょう、そして土地謄本をもらうわけですね。おれの土地はこのぐらいあるということで証明書みたいなものをもらうわけですね。その登記簿謄本の地積表示が平方メートルで表示されておりますけれども、この間の事情をちょっと法務省のほうから御説明いただきたい。
  82. 清水湛

    ○清水説明員 この点につきましては、すでに御承知のとおり、計量法というものが施行されまして、そういう計量の単位は、土地などの面積につきましては平方メートルを用いるということがきめられているわけでございます。そして不動産登記の関係につきましては、計量法施行法第三条という規定あるいは不動産登記法施行令附則第三項もしくは第四項、または土地台帳附則第五条もしくは家屋台帳法施行令第四条第三項という規定によりまして、昭和四十一年三月三十一日までは尺貫法による計量単位を用いて差しつかえないということになっていたわけでありますけれども、四十一年四月一日以降は平方メートルの単位を用いてしなければならないというふうになったわけでございます。
  83. 平林剛

    ○平林委員 あなたも御承知のように、土地登記簿謄本の中には、従来でありますと、この地積表示は、田何反何畝、畑何反何畝、こういう表示になっていたものであります。これが、いまお話しのように、メートル表示になってきておる。同時に、従来は土地謄本の中には田、畑、山林、原野、いろいろな形のほかに畦畔、外畦畔何反何畝あるいは何歩幾ら、こういう表示がされておったわけです。今度メートル法表示になりますと、従来土地台帳に表示をされておりました外畦畔、この字句はなくなって、一括メートル表示の中に包含をされるようになった、こういうふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  84. 清水湛

    ○清水説明員 外畦畔とかあるいは内畦畔という表示が土地台帳に記載がございます。この記載は、メートル法に書きかえるということよりか、その前に、実は昭和三十五年に不動産登記法の一部改正がされまして、この改正の内容は、要するに、従前その土地の物理的状況というものは土地台帳で明らかにし、権利関係は不動産登記簿で明らかにするというような二本立ての制度になっておりまして、これを三十五年の不動産登記法の一部改正の際に一元化するということになったわけであります。その一元化の作業過程におきまして、いままで土地台帳に記載されていた事項を不動産登記法の表題部に移しかえる作業が行なわれまして、この移しかえの作業は土地台帳の記載に基づいてすることになったわけでございます。その際に、土地台帳の記載の中に本地が何反何畝、外畦畔何反何畝というように記載してあるようなものにつきましては、この外畦畔の面積を本地の面積に算入いたしまして、合計面積を記載するというようなことにしたわけでございます。  したがいまして、メートル法の書きかえ作業と、いわゆる土地台帳に基づいて表題部を移記するという作業が並行して行なわれましたため、メートル法の作業の過程でそういうことが行なわれたと評価されたかもしれませんが、理論的には三十五年から始まっておる一元化作業、こういうものに基づいてこういう結果になったということでございます。
  85. 平林剛

    ○平林委員 けっこうでございます。その作業をしなければ憲法違反になるわけです。つまり土地謄本に従来記載をされていた外畦畔の面積、これも新しくメートル表示の中に含めないと、法務局は知らない間に国民の権利を剥奪するということになって、これは財産権侵害になるから当然含めなければならないことになります。また、従来私が議論をしてまいりましたように、土地謄本に記載されている外畦畔というのは、政府のいう二線引き畦畔とは違って、個人の所有の権利である。したがって、土地謄本に記載されている外畦畔の地積は当然国民の権利であり、これはメートル法に換算するときにも包括し加えて表示すべきものである、いまおやりになっておることは正しい処置である、こういうふうに思うのです。これを前提にして質問をいたします。  実は最近神奈川県で、都市計画道路県道秦野—二宮線の拡幅延長工事が行なわれたわけです。私の県のことを持ち出して恐縮でございますが、一つの例として理解をしていただきたい。これは国道二百四十六号線に接続するための道路用地買収であります。そこで県の実地測量が行なわれたわけです。そうして買収予定地の求積が行なわれたわけです。そのとき、秦野市のある地権者、これはAさんとしておきましょう、Aさんが土地の登記簿謄本の証明をお願いしたわけです。メートル法で表示されておる。  この人の例を参考に申し上げますと、従来は田何反、畑何反、外畦畔幾らとなっていたものが、一括で千九平方メートル、こういうふうに表示されたわけであります。これまでは、いま私が質疑応答しておわかりのとおり、正しい措置であります。  さて、この人は、千九平方メートルのうち百八十六平方メートルを道路用地として提供することになったわけです。算術計算で恐縮ですが、あと幾ら残りますか。——質問にお答えいただかなくてもおわかりのとおり、八百二十三平方メートル残るわけですね。これは間違いございません。  ところが、この謄本は、同時に法務局が持っているところのいわゆる地図ですね、公図とも付図ともいうが、それによっていま大蔵省が掲げたああいうものを試算してみると、百八十六平方メートルを除いてしまうと、あと六十五平方メートルしか残らない。そうすると、八百二十三平方メートルあるべきところが、付図の面からいうと六十五平方メートルしかないということは、七百五十八平方メートルがいわゆる外畦畔部分に相当する。おわかりですね、そういうことになるわけです。  従来より登記簿謄本に記載されている外畦畔、これは当然民有であり、その所有権が確認されていました。そうなると七百五十八平方メートルは当然のように、平方メートルで表示されたのですから、すべて所有権はAさんにあると私は理解をするわけですね。     〔委員長退席、木村(武千代)委員長代理着席〕 ならば、千九平方メートルと外畦畔を含めたものとがぴたり合致するわけでありますから、私は、それすべてがAさんの所有である、こういう立論です。  そこで、この場合には、その人の所有権は、登記簿謄本に表示された地積面積が所有権が確認をされるのであって、付図のほうが訂正をされなければならないということになるのじゃないでしょうか。
  86. 清水湛

    ○清水説明員 私が先ほど申し上げましたのは、一元化作業の際に、土地台帳に外畦畔何畝何歩というふうに書いてあるものは、それを本地の地積に算入して、合計額で不動産登記簿の表題部をつくれということになっておるということを申し上げたわけであります。ただ、では具体的に、その外畦畔というふうに土地台帳上表示されていたものが現地のどこに該当し、あるいはそれが図面上どの位置に該当するかということは、これによって直ちにきまってくるというものではないというふうに考えているわけでございます。  このお尋ねの場合、公簿上の面積は千九平米あり、道路用地として百八十六平米提供する、残りが、当該土地のいわゆる台帳付属地図でございますが、その残りの面積を算定しますと六十五平米しかないということになりますと、一つ考え方といたしましては、公簿上の面積と図面の不一致があるということになってくるのではなかろうか。ただ、御承知のように、台帳付属地図というのは、ほとんどが明治時代につくられておりますために、非常に不正確なものが多いというふうに私ども聞いております。したがいまして、どちらが正しいのかということは、一がいに断定できないような状況になっているわけでございますけれども、あるいはこの畦畔の部分というものまで含めて、実際上は六十五平米しか残らないということなのか、あるいは外畦畔というものが別にあるのかということは、ちょっといまの段階では何とも申し上げることができかねるということでございます。
  87. 平林剛

    ○平林委員 慎重を期してそういうお話をするのもあれですが、私は一つの実例として言った。つまり千九平方メートルと表題をされた土地謄本の表示面積、それから付図、いま明治時代からつくられてきたという付図とがまさしく合致したときは、付図に表示されているところのいわゆる畦畔のような形で書かれているものも、所有権は新たに表示された中に含まれているのであって、合致している限りにおいては、付図の中に記されているいわゆる二線引き畦畔のようなものも所有権は確認されている。したがって、どっちを基本にしてやるかといえば、照合しなければならぬでしょうけれども、合致した場合には明らかに付図のほうが間違ってまぎらわしくなるし混乱を起こすから、付図を訂正するのがあたりまえじゃないでしょうかと言っているわけなんです。  たとえば、千九平方メートルあるというので対照してみたら千十平方メートルあった、一平方メートル多かった、こうなると、一平方メートルだけの所有はどうかという議論が成り立つけれども、その程度のズレはたいして争う必要はないと私は思う。したがって、その場合には付図の訂正がすなおに行なわれないと、かえって土地謄本の表示面積と付図との間の違いが無用な混乱になりはしまいか。したがって、付図の訂正が必要な場合が出てくるでしょう、いやむしろ付図を訂正すべきである、こういうことを申し上げておるわけなんです。
  88. 清水湛

    ○清水説明員 登記所で現在保管しております台帳付属地図というものが非常に現地に合わない不正確なものが多いということで、先生指摘のような事案がしばしば——しばしばというわけではございませんけれども、よくあるというふうに私ども承知しておるわけでございます。  この場合、地図を事実上訂正することが当然問題になるわけですけれども、この訂正の場合におきましても、現地におきまして、その所有者が、自分の所有土地として、つまり当該登記簿に公示された土地に対応する現地としてどこからどこまでを支配していたかということが問題になるわけでありまして、その現実の対応土地ということでその地積を正確に測量し、その周辺の所有者についてそういうことに異議がないというようなことでございますれば、地図を訂正するというような方途が認められるということに相なろうかと思います。
  89. 平林剛

    ○平林委員 おかしなことを言うけれども、この千九平方メートルとあなたが書いてくれたもの、これはあなたは隣の土地の人たちと争いがない、所有権は昔から確認されると思って書いたんですか。それを私はお伺いする。いまAさんの場合を言っているんですよ。あなたがここに表示をされ、謄本を出す、それと付図とはぴたり一致しているということを言っているわけですよ。その場合、あなた方いま国民の側は隣近所の証明を持ってこいと言う。あなたはこれを書いたときは証明か何かもらって書いたのですか。私は、国がこれを確認をした以上、所有権として確認をされたものとみなすものです。まさかこれを書くときに隣近所の証明をもらったりしませんよ。国民はなぜそれをもらわなければ所有権が確認できないのですか。私は間違いだと思う。そんなことをする必要はない。ぴたりしたときには付図を訂正すればいいというふうにすなおにやはり言うてもらわなければいけない。
  90. 清水湛

    ○清水説明員 本来、不動産登記簿の面積とこれに公示されております面積というものは、現地の面積と完全に一致するという姿であるべきであるということは私もそのように思うわけであります。ただ、では常に不動産登記簿に記載された面積が現地において完全に一致するという保証があるかというふうに言われますと、これは非常に食い違う場合がやはりわが国の土地制度の沿革上かなりあります。お尋ねの場合には、たまたま千九平米という面積と本地あるいは外畦畔の面積の合計が一致したということでございまして、あるいはそういう事実があれば、一つの推定としておっしゃるようなことも成り立ち得るかと思いますけれども、しかしながら、あくまでも土地の面積というのは現地に即して実際上その土地の面積がどれだけあるかということをはっきりいたしませんと、これは最終的に確定することができないということになる筋合いのものであろうかと思います。
  91. 平林剛

    ○平林委員 国会の質疑は国民の重大な関心事になるわけですから、もうちょっとはっきりとしてもらわなければ困るのです。謄本に表示をされて、Aさんの例は、付図の求積面積はいわゆる畦畔のように掲示されているものも合わせてちょうど千九、そういう場合には付図の訂正が必要である。それは所有権が同じである。同じものを書きかえたにすぎない。だから付図の訂正が必要である。しかし、これには千九と書いてあるが、実際に求積してみると、千二百あった、あるいは千五百あったという場合には、それはだれの所有になるかということを検討しなければならぬということはあり得ると思う。ここに書かれたものの所有権は認められて、それがぴたりの場合には、付図は訂正されるべきであるというのがやはり法律上の解釈でなければならぬですよ。あいまいなことでなくて、私は例を言っているわけです。そのかわり、千九と書いてあるけれども、実際に付図を調べてその人のものと見られる場合、千五百あった二千あったという場合には、それはその人のものであるかあるいは時効取得で申請をすべきものかあるいは隣近所との話し合いをしたかということを調べる必要があるが、ぴたりの場合は付図の訂正だけ必要であると思います、これぐらい明快に答えないと国民はあなたの出先で困っちゃいますよ。あなたの答弁で法務局の出張所はやるわけですから。その点は私は何もひっかけようとしているわけではない。あたりまえのことを言っているわけですから、あたりまえにひとつ答えてもらいたい。
  92. 清水湛

    ○清水説明員 お尋ねの台帳付属地図の図面上に隣の土地の地番が表示されている、この地番が表示されている区画だけを基準にいたしますと六十五平米しか残らないことになる。その隣に地番が付されていない空白地がある。この空白地まで含めればちょうど千九平米になるという御趣旨のように私伺っているわけですけれども、そういうことになりますと、不動産登記の面といたしましては、登記簿に表示されている地番とそれから当該図面に付されている地番というものとを対応してその面積を考えていかなければならぬ。その場合に千九平米という面積が空白地の部分を含めて一致するということでございます。あるいはそういうことで空白地の部分に本来入っていたというふうに推定されるということも言えようかと思いますけれども現実にその人が支配していた地域はどれであるかということがあくまでもポイントになってくるということになろうかと思うわけであります。  いままでの実例からいきましても、公簿上の面積よりか実際測量した面積のほうが広いという話も多いわけです。わが国の土地の多くは実面積のほうが公簿上の面積よりも多いというふうにいわれておりますけれども、中には公簿上の面積よりか実面積のほうがはるかに少ないというような事例もかなりあるわけでございまして、本件の場合たまたま一致したという点がかなり重要な要素を占めるということも考えられると思いますけれども、所有者が当該地番に対応する現地地域として支配していた地域というものがはっきりされませんと、その面積を訂正するあるいは付図を訂正するということは、いま直ちに言うことができぬのではないかというふうに考えます。
  93. 平林剛

    ○平林委員 いま直ちに言えないと言うけれども、従来のあれがありましたからわかりますが、理屈はそうだと思うのですよ。いま私はAさんの例を用いましたが、これはBさんの例、Cさんの例、Dさんの例、すべてあげても、大蔵省、実はこれがわが神奈川県秦野市周辺の全般の例だったということに気がついたのです。これは一つの例として私、言いましたが、ほとんどの地域が同じなんです。もう全部同じなんです。  そこで私は考えた。そうなると、一体国民は、またこれを取り扱う大蔵省、法務局は何を基準にしてものを考えたらいいか。付図を中心にものを考えるのか、それともいま土地謄本に表示された地積を基準にして考えるのか、こういう問題になる。それがぴたり一致したときは、まさしく争いがないから付図の訂正で足りる、もし実際の面積がここに掲げられたものよりも大きいという場合には初めてその所有について議論をされる、こういう性質のものではないかというふうに考えざるを得ないと思うのですよ。大蔵省はいかがでございますか。
  94. 小幡琢也

    小幡政府委員 土地台帳または不動産登記簿に内畦畔、外畦畔と記載されておりまして地番が付されている、こういうものは従来から国のほうも民有地であるというふうに取り扱っているわけでございます。そこで問題は、土地台帳にもし載ってないで付属図面に無番地として載っている、こういう場合は民有地ではない、国有地である、こういうふうな区別であれしているわけでございます。  したがいまして、先生のおっしゃいます不動産登記簿に外畦畔として載っていた、こういうものは、その部分は民有地である、それは確かでございます。そこで問題は、その場合に付属図面にそういった無番地の部分があった場合にその分は一体どこなんだろうかということになるわけでございます。それはケース・バイ・ケースでございまして、実際にそれを測量してみまして不動産登記簿に載っております部分を引いてもし残りがあれば、それは国有地であるということになろうかと思います。
  95. 平林剛

    ○平林委員 これは大蔵省、一度この問題について検討をして、私が指摘をした問題で法務省と相談をして統一見解を出して、その取り扱いをきめてもらいたいと思うのです。いまの理財局次長のお話でございますが、たとえば地番がついているものは、おそらく法務局は全部これに包含されて書かれているわけですから、ぴたりするわけです。それから地番がついていないで、付図に畦畔のような形になっているものは記載されていないから当然従来のような時効取得の手続が必要になってくる、これはわかります。同時にまた地番がついているという場合に、地積の求積の面積が差があったという場合に、それがわずかであればそれは国のものだなんという議論は私は成り立たないと思う。それは程度の問題ですよ。たとえば本地である畑が千九あった、しかしそれは実際に求積してみたら畦畔と称するものが二千も三千もあったというときには、これは問題でしょう。しかしそれがわずかの差であった場合に、一平方メートルだけは国のものですなんという主張が成り立ちますか。そんな理論があるならば、私は徳川、明治にさかのぼって論争しなければならない。  ですから、こういうことを考えますと、私は最近こういう実際の実例から見て、大蔵省と法務局は相談してこの問題について統一見解を示す必要があると思うのです。そして必要な指示を発しないと混乱が起きる。考えてみると、いままで自分の所有権でありはっきりしているものを、実は関東財務局に対して時効取得の申請をやっていた笑えないナンセンスが行なわれていたということにも相なるわけであります。このことは非常に国民の基本的な権利の問題に関することでありますし、実態から見て不合理が見出されますから、私がAさんをあえて指摘をした。問題があった場合には公図の訂正をすべきである。大蔵省はそれに対しては異議をさしはさまないという形で処理すれば、問題はすみやかに解決をできる。そしてたとえば差があったときにもこの程度ならそれは国有地と主張するかしないかということを大蔵省は態度をきめるべきである。うんと差があった場合どの程度にするか、その場合は従来どおり時効取得が成り立つ場合には措置する、こういうふうに一つの基準を設けて統一見解というものをまとめてもらいたい、まとめるべきである、こう思うのですけれども、ひとつこれをお答えいただいて、私のこの問題についての質問を終わりたいと思います。
  96. 小幡琢也

    小幡政府委員 この問題は十分調査いたしまして、法務省と相談いたしまして取り扱い方針をきめたいと思います。
  97. 平林剛

    ○平林委員 それでは法務省はけっこうです。  次に、いま提出されている法律について三条関係についてお尋ねをいたします。  今度の改正案によりまして、普通財産を地方公共団体に対して時価からその五割以内を減額した対価で譲渡し、または貸し付けることができるものに、新たに公害の防止のために必要な事業にかかる施設とか、一般利用に供するための体育館、水泳プールその他のスポーツ施設とか、水防、消防その他の防災に関する施設をつげ加えるということになりました。  そこで、これに関連をしてお尋ねをいたしたいと思いますが、大蔵省の管轄しておる普通財産と、たとえば農林省とかその他の官庁が所管しておる行政財産とがございますね。その農林省とかその他の官庁が大体いままでは事業用に使っておった、行政上必要な施設として使っていた、それが合理化計画その他事業の変更あるいは縮小などで不用になった土地がございますね。その不用になった土地などについてはどういう取り扱いをしておりますか。
  98. 小幡琢也

    小幡政府委員 行政財産で各省各庁が使っておりまして不用になりましたものは、用途廃止をしまして大蔵省に引き継いでまいりまして、それは大蔵省普通財産として管理いたします。
  99. 平林剛

    ○平林委員 実質上そうなっていますか。
  100. 小幡琢也

    小幡政府委員 各省が不用になった財産につきましてほかの用に転用したいという計画を持っております場合には、なかなか大蔵省のほうに引き継いでこない、こういうような事情であります。
  101. 平林剛

    ○平林委員 そこで、たてまえはそうだけれども、実際上は各行政機関というものは大蔵省がなかなか予算をくれないものだから、自分の行政あるいは事業をやるために必要なところの財産を、他に施設をつくりたいというとき、本来は一たん大蔵省普通財産として戻しておいて、そしてまたその必要なものは予算をつけていくというのがあたりまえなんでしょうけれども大蔵省はしぶいからなかなかやってくれない。そこでやむを得ないから各省各庁は必要な施設を得るために、それを交換あるいは建築交換というような形で必要な施設を手に入れる例が多いのでございますけれども、実態はそうじゃないのですか。
  102. 小幡琢也

    小幡政府委員 そのような場合もございます。
  103. 平林剛

    ○平林委員 その場合に、今回提出された法律案に基づきますと、普通財産については公害の防止とかあるいは体育館、水泳プールとか、水防、消防とかいうことで、普通財産を地方公共団体希望するほうに振り向けるという法律が提案されましたけれども、各省、各庁の場合に、かりに合理化、事業の変更、縮小などで不用になった普通財産があっても、そういうところに必ずしもいかない、こういうことになりはしないかという点が、提出した法律案と同じ役所でありながら矛盾してきはしませんかというのが私の問題提起なんです。そういう場合どうしましょうか。
  104. 小幡琢也

    小幡政府委員 この問題につきましては、私ども大蔵省としまして、もうちょっと総合調整の権能を発揮したいということで、実は昨年度、四十七年度でございますが、一年間かかりまして、各省の行政財産で、庁舎もございますし宿舎もございますが、非常に利用のしかたが非効率である、低利用である、あるいはあいている、こういったものを総点検いたしまして、大体それがいま集まったわけでございます。それは実は昨年の国有財産中央審議会に付議いたしましたときも、そういうものを洗いざらい出して審議会に報告しろ、こういうことを言われておりますので、いまそれを洗いまして、そのうち真に非効率なものはまとめまして審議会に報告した上、各省に対しましてこれを用途廃止なり、是正措置を求めるということをしたいと考えておるわけでございます。
  105. 平林剛

    ○平林委員 逆に今度は、その問題で大きな普通財産ができた場合、不用になった土地等が出た場合はいろいろ考えなければならぬでしょうが、小さな面積の不用になったもの、払い下げてもいいなというような場合に、私は各省各庁の肩を持つわけじゃないけれども、そこにほしい施設、建物を建築するときは相当の予算が必要なんですよ。そうなると、この提出した法律案のように、民間でなく、かりに公共団体がぜひそこを土地の繁栄のために払い下げてもらいたいといっても、五割とか何割とかとなっちゃうと、ほしい建物を入手できない。そうなると、勢い公共団体に譲り渡しあるいは貸し付けるというよりは、民間のほうに高い価格で売り渡したほうが希望した建物を取得できるから、なかなか思うようにはいかないということになると思うのですね。  大臣はこれはおわかりになると思うのです。そうすれば、大蔵省が必要な施設には思い切って予算をつけてやるというような保証がなければ、いかに公共団体払い下げてやろうと思っても、自分が取得するものができなくなるということになれば、そこで地元要望にはこたえられないし、行政官庁のほうではやりたいと思うけれども、予算が大蔵省から認められなければ、勢い一般の人に売り渡して、そこに利益を得るというとおかしいけれども、対価を得て必要な建物を取得する以外にはなくなってしまう、こういう矛盾が出てくる。私はあり得ると思うのですね。大臣はこうした問題についていかに対処するか。
  106. 小幡琢也

    小幡政府委員 先生の御指摘のような場合は、おそらく特別会計の事案ではないかと思いますが、特別会計におきまして、ある庁舎を廃止いたしましてほかに移転するという場合におきまして移転経費が必要である。特別会計でございますから、移転経費を生むだけの財源がなければ、計画として特別会計に計上されないという事情もございますので、そのあとはただというわけにはいかない。そこで、そういった特別会計におきましては、そういうものをできるだけ公用公共用に振り向けたいといたしましても、ただなんだというのでは困る。そういうことで、私ども取り扱いといたしましてはいま検討しておりますけれども、大体せめて半分ぐらいは時価で買ってほしい。それと相手方はできるだけ民間にはしたくないものですから、公共団体に対しましてその半分くらいの時価で処理してほしい。  それからもう一つは建築交換の問題でございます。建築交換計画を、これは一般会計のほうにございますから、つくりまして、土地、それから移転先の土地建物、これをでき上がったときに交換する、こういった処理考えているわけでございます。
  107. 平林剛

    ○平林委員 私は、大臣もひとつこれは検討していただきたいと思うのですが、そうしないと、行政各省各庁でも、あるいは特別会計のところでも同じようにそれはやりたいのだ。この改正案の精神のようにやりたいのだ。やりたいのだけれども、財源がないから、結局建築交換とかあるいはまた民間のほうに払い下げてその対価を得なければできないのだということになりますと、私は、同じ特別会計であろうと、いわゆる各省各庁であろうと、国という点には変わりがないわけでありますから、この法律の精神は一方には及ばないということになる。  ですから、そこに矛盾のないように配慮をすべきであるという主張なんです。そういうことをやるべきではないだろうか。そうでなかったら、片方だけやって、片方のほうは知りませんということに相なることになりますので、どうせおやりになるなら、この提出された法律案の精神を生かしてやったらいかがですか、そういう行政指導というものの幅を考えたらいかがですかということなんです。
  108. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 ただいま伺ってまことにごもっともだと思いますし、事務当局でもそういう点については従来からやはり問題があるということを承知しておるようでございますから、行政指導とか予算の面とかいろいろの点を積極的にくふうをいたしたいと思います。
  109. 平林剛

    ○平林委員 これで私の質問は終わります。
  110. 木村武千代

    ○木村(武千代)委員長代理 増本一彦君。
  111. 増本一彦

    ○増本委員 国有財産の中で、米軍が使っている軍事基地が膨大にあり、これの返還は国民にとって、特に基地周辺の住民にとっては非常に切実な問題であろうと思う。  それで、まず外務省にお伺いしたいのですが、関東計画で本年じゅうに返還されるものについてはおよそわかりましたけれども、それ以外に返還について検討中のものがあったら、まず明らかにしてほしいと思います。
  112. 角谷清

    ○角谷説明員 米軍基地の返還につきましては、安保条約の目的、かつ国内の種々の事案、要因を考慮いたしまして、可能なものから基地の整理統合計画ないし返還ということを進めるという政府方針につきましては、先生御承知のとおりだと思います。それで関東平野につきましても、一月二十三日の安保協議委員会におきまして原則的な合意を見まして、これはさらに具体的に進めておるところであります。  そのほかの点につきましては、ただいまといたしましては主として沖縄につきまして、特に沖繩の整理統合という点に精力を集中して作業しておるわけでございます。しかしながら、本土の基地につきましても、今後先ほど申し上げました政府方針のもとに、可能な範囲でその整理統合を進めてまいりたいと思っております。
  113. 増本一彦

    ○増本委員 一つ具体的な問題を伺いますが、神奈川県相模原市の相模総合補給廠ですが、この総合補給廠については全面返還あるいは一部返還が議題にのっているかどうか、その点はいかがでしょうか。
  114. 角谷清

    ○角谷説明員 御指摘の相模総合補給廠につきましては、同補給廠がベトナム関係のいろいろな補給事務というものをやっておりまして、その部分が漸次縮小しつつあるということは事実でございます。しかしながら、補給廠といたしましてはそのほかに一般的な膨大な補給事務というものを引き続きやっておりまして、現段階におきましては、これの返還ということは計画されておらない次第でございます。
  115. 増本一彦

    ○増本委員 防衛施設庁、いらしていますか。——この相模補給廠の整理縮小のために、ここで相当な人員整理が計画され、実行に移されていると思いますが、その整理の部門と、それからそこでの労働者の解雇の計画の具体的な内容をちょっと明らかにしてください。
  116. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 相模原の総合補給廠については、最近人員整理が出ておりますが、これを部門別に申し上げますと、まず補給局でございますが、五月から六月にかけて発効する整理、すでに発効しておりますが、整理された者が七百八十一名、それから七月から八月にかけて発効する予定のものが百九名、合計八百九十名でございます。それから整備局の関係につきましては、五月から六月にかけて十一名、七月から八月にかけて二百七十六名、合計二百八十七名。技術局は五月から六月にかけて二十名。それから司令部その他で五月から六月にかけて六名、七月から八月にかけて二名、合計八名。全体の合計としましては五月から六月で八百十八名、七月から八月で三百八十七名、合計千二百五名ということになっております。そこでことしの四月末の在籍者が三千四百九十二名でございますので、これらの整理人員を差し引きますと九月以降において残る者は二千二百八十七名、こういう計画になっております。
  117. 増本一彦

    ○増本委員 九月以降も大幅な人員整理があるのではないかというようにいわれていますが、その点はいかがですか。
  118. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 その点については、まだ米側から何らの通告がきておりませんが、引き続きあるのではなかろうかとは予想されます。
  119. 増本一彦

    ○増本委員 七月一日以降のアメリカの七四会計年度の予算から見ての計画からすると、相模補給廠ではさらに一千名以上の整理が行なわれるのではないかというように考えられるのですが、その点はいかがですか。
  120. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 ただいま申し上げましたように、傾向としては引き続き整理があるのではなかろうかと予想されますけれども、具体的な数字についてはただいま把握しておりません。
  121. 増本一彦

    ○増本委員 そうしますと、今後補給部門のかなりの部分で人員整理が行なわれ、補給部門が整理縮小される、それから戦車や自動車の修理部門、これもほとんど整理縮小をしていく、こういう計画にはなっているわけですね。その点はいかがですか。
  122. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 ただいま申し上げましたように、整理縮小の傾向が今後も続くであろう。特にベトナム戦争との関連において、戦車とか兵員輸送車というようなものを修理しておった部門につきましては、そういう整理が引き続き必要であろうということは予想されます。
  123. 増本一彦

    ○増本委員 安保条約六条に基づく地位協定の二条三項では、外務省も御承知のように、遊休施設は返還しなければならないというように合意がされているわけですね。そうすると、このように基地が整理縮小の方向にいけば、これは当然日本に返還すべきものであるというようになると思うのですがいかがですか。
  124. 角谷清

    ○角谷説明員 御指摘のとおり地位協定二条三項におきまして、不急の基地というものは当然日本側に返還されるというのが原則でございます。ただ個々の基地につきましては、これはその個々の基地の機能、態様に従いまして、この原則に照らして処理されるということになるわけでございまして、相模原につきましては、まだその段階に至っておらないということでございます。
  125. 増本一彦

    ○増本委員 防衛施設庁に伺いますけれども、この解雇される、人員整理をされる人たちのあとの就職の問題、これは国の政策、米軍の政策によって職を奪われるわけですから、当然十分な手だてが必要だと思うのですが、現在の再就職の見通しやその他についてはどういうようになっていますか。
  126. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 駐留軍関係の従業員で解雇された者につきましては、あらかじめ職業訓練等を基地内で実施いたしまして、再就職のためのいろいろ準備をするというようなことをやっております。さらに整理になった場合には、米側から出ます退職手当のほかに、日本政府から特別給付金というものを出しまして、これはそれぞれの勤務年限に応じて差異がございますけれども、上乗せをするという特別な給付金を交付いたしております。さらに離職後再就職のために離職対策センターというのを関係の府県に設置してございますが、そういうところが窓口になっていろいろ就職のごあっせんをするというような努力をいたしております。  ただ、残念ながら離職になる者が非常に年齢層が高いというようなことから、必ずしも円滑に再就職ができるというような情勢ではございませんけれども政府としてはいろいろな手だて講じて何とか再就職ができるように努力をいたしておるという現状でございます。
  127. 増本一彦

    ○増本委員 防衛施設庁にもう一度お伺いしますが、補給部門、整備部門、技術部門、この人員整理が相模補給廠で行なわれるということになりますと、いま補給廠の中の米軍の施設のうち、戦闘車両や戦車の野積み場、七十万坪からあるうちに野ざらしになっている。あそこは野積みになっていますね。113やM48まで含めて野積みになっている。それから修理された戦車をテストするテスト  ロードがありましたね。この部分は米軍が使用する必要性というのはなくなりませんか。
  128. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 米軍の基地の機能の縮小と返還の問題でございますが、施設の性格その他によっていろいろ違うと思います。現時点において、あいておるから直ちにそれが返還ということにはならないかと思いますけれども、これはケース・バイ・ケースでございます。したがいまして、現時点におきましては、まだ利用しておるのじゃなかろうかと思いますが、これが全く今後利用する見通しがないというようなことがはっきりしますれば、その部分については米側と返還について交渉するということになろうかと思います。
  129. 増本一彦

    ○増本委員 あと施設庁にもう一度お伺いしますが、野積み場とテストロードは合わせてどのくらいの面積になりますか。
  130. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 ちょっといま資料を持ってきておりません。
  131. 増本一彦

    ○増本委員 私のほうの調査だと、三十四万平方メートルぐらいですが、大体そのくらいですか。
  132. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 おおむねその程度かと思います。
  133. 増本一彦

    ○増本委員 大臣にこれはお伺いしたいのですが、いまのやりとりでもおわかりだと思うのですが、米軍基地が遊休施設になっていく。そうすると当然そこの部分についてはやはりきちんと返還を受けて、国民の立場に立ってその利用を自主的に考えていくということが一つは必要だと思いますし、いま問題になっている相模補給廠の場合ですと、防衛施設庁のほうのお話でも、人員整理を受けても再就職が非常に困難であるということになれば、なおさらそういう土地を返還を受けて、そこに無公害の企業を誘致して再就職の道を切り開いていくとか、あるいはその地域住民福祉のために使っていくというようなことが実は安保条約とその運用の中で起きてきている問題であるだけに、その点での十分な配慮が私は必要であるというように思うのですが、所管にかかる部分とそれをはみ出す部分がございますけれども、ひとつ現在の政府の国務大臣、一構成の大臣であるという立場で御見解を伺いたいと思います。
  134. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 米軍に提供している施設が米軍として不必要であるということであれば、返還されることは先ほど来の説明によって明らかであるわけですが、そういう場合に、返還を受けるわがほうとしては、日本の国益上どういうふうにこれを将来使用したらいいか、利用したらいいかということを考えるのは当然でありますし、それから離職者については、これもいま説明がありましたように、とりあえず離職に対する措置としては一応の制度もあり退職金等の支払いもできるわけですけれども、恒久的な措置はこれはいつも大きな問題になるわけでありますから、それも考慮の中に入れて考えなければならないと思います。その国益からいってどう考えるかということの中には、ずいぶんこれは広い範囲を総合的に検討して基本的な利用計画というものをつくるべきである。したがって、先般来当委員会でもいろいろの御意見が出ておりますけれども、審議会の活用等についても十分に配慮をしていきたいと考えております。
  135. 増本一彦

    ○増本委員 防衛施設庁にお伺いしますが、この相模補給廠については、その補給廠を、今度これを自衛隊に使用転換したり、あるいは米軍との共同使用を計画しているというようなお話もあるのですが、この点はいかがですか。
  136. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 先ほど外務省のほうからもお話がありましたように、相模原の総合補給廠については、まだ返還というような話も出ておりません。したがって、防衛庁としてもいまお話がありましたような、返還後自衛隊が使うとかあるいは返還前においても共同使用の形で使うというような計画は現在のところ持っておりません。
  137. 増本一彦

    ○増本委員 少し具体的な話になりますが、ここに赤羽にある自衛隊の戦車修理部門が移ってきて、そしてアメリカとのジョイントユースというような、あるいは単独使用というようなことが計画をされているということで、ここの自治体では非常に憂慮をしておるのですが、そういう計画は現在ないということをはっきりおっしゃられますか。
  138. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 事務レベルの一部でそういうことをあるいは検討はしておるかもわかりませんけれども、防衛庁としてのそういう計画はまだできておりません。なお、そういった問題につきましては、これは防衛庁だけの立場できまる問題ではもちろんございません。地元の相模原市のいろいろな土地利用計画、そういう点も十分考えなくちゃならないということになろうかと思いますけれども、ただいま申し上げましたように、赤羽の補給廠を相模原に持っていくというようなことは、これは事務レベルにおいて一応検討しておるというだけの話でございます。
  139. 増本一彦

    ○増本委員 外務省にお伺いしますが、アメリカとの関係でもこの補給廠については自衛隊との共同使用というようなお話は全然出ていませんか。
  140. 角谷清

    ○角谷説明員 先ほど御答弁申し上げましたとおり、相模補給廠につきましては、現状を変更するようないかなる話し合いもございません。
  141. 増本一彦

    ○増本委員 次に、大蔵省にお伺いするのですが、防衛施設庁が基地の所在の自治体との間で基地の返還後のあと地利用についていろいろ合意をする。せんだっての委員会でも北富士演習場の問題が出ましたけれども、こういうような合意をする場合には、事前に大蔵省との打ち合わせの上でやっているのかどうか、この点はいかがでしょうか。
  142. 小幡琢也

    小幡政府委員 返還になる前のいろいろな打ち合わせについては、大蔵省は承知しておりません。
  143. 増本一彦

    ○増本委員 全く大蔵省には何の相談もなく、防衛施設庁が地元の自治体との間でいろいろ折衝をして合意をしているのだ、こういうことになるのですか。
  144. 小幡琢也

    小幡政府委員 これは一がいにも言えませんが、返還がはっきりもう見込まれまして、すでに日米安保協議会その他で発表されているような場合ですね、これにつきましては返還の具体的な事実があとになりましても、防衛庁からいろいろ相談を受けておりますが、返還がまだわからない、こういった段階におきましては、大蔵省としては防衛施設庁のほうからは連絡を受けておりません。
  145. 増本一彦

    ○増本委員 せんだっての委員会で佐藤委員が質問をしました北富士演習場の場合ですね、大蔵省が承知をしたのはいつの時点ですか。
  146. 小幡琢也

    小幡政府委員 大蔵省が承知しましたのは、あれは北富士演習場の使用転換の問題が起きまして、閣議了解が三月三十日でございますから、それよりも少し前でございます。
  147. 増本一彦

    ○増本委員 そうすると、昭和四十八年の一、二月ごろということですか。
  148. 小幡琢也

    小幡政府委員 正確な時日はちょっといま記憶しておりませんが、本年に入ってからだと思います。
  149. 増本一彦

    ○増本委員 そうしますと、この北富士演習場の問題では、昭和四十五年の七月四日、皆さんの承知されるほぼ二年くらい前にすでに地元の一部事務組合と防衛施設庁長官との間で払い下げについての合意が覚え書きとして取りかわされているのですが、こういうような事実は大蔵省としては全く知らなかった、こういうことになるのですか。
  150. 小幡琢也

    小幡政府委員 覚え書きにつきましては、大蔵省は承知しておりません。
  151. 増本一彦

    ○増本委員 大臣にお伺いするのですが、大蔵省国有財産について最終的に責任を負うものであり、大臣はいわばその最高の責任者である。これが払い下げ、その他についての問題の合意にわたるような事項がほかの官庁でやられているのを全く知らないという事態はきわめて異常であるというように思いますが、いかがでしょう。
  152. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 私は、四十四年か四十五年かの、ちょっと忘れましたが、防衛施設庁長官と地元の人との間に覚え書きがあることはただいま政府委員から御説明したように最近になって知りましたけれども、その文言は、たしか私の記憶では払い下げることに協力をするとか努力をするとか、そういう文言があったように記憶するわけでありまして、防衛施設庁長官としては地元の人たちの要請が非常に強いのでその要請に応ずるということ、つまり防衛施設庁として返還に協力をしましょう、努力しましょう、こういうことを約束したものであったかと思います。しかし、それはそれとしまして、やはり御指摘のように大蔵省としても少し積極的にそういう経緯等についてはつまびらかにすることが望ましいと思います。
  153. 増本一彦

    ○増本委員 いま大臣もおっしゃったように、なるほどそれは協力するということしか書きようがないわけですね、防衛施設庁は払い下げの主体でありませんから。だけれども、こういうことを、払い下げ処分庁である大蔵省あるいはその地元の財務局長も知らないうちにそういう合意を結んでいる。もしこの合意のとおりにいかなかったときには政府としてもこれは閣内不統一を国民の前に明らかにすることになるし、地方自治体のほうの期待を裏切る。その責任はきわめて重大だと思うのです。  もう一点。こういうように防衛施設庁のほうでは、いま大臣もおっしゃったように、北富士演習場の場合には自衛隊に使用転換するという、それを地元の自治体に認めてもらうということのために、そしてまた地元のほうで入会権をめぐって裁判をやっている。その裁判を取り下げるというようなことの合意を得ることの取引として、片方では国有財産払い下げについて協力をするというようなことを大蔵省には全く相談もなしに取りきめをする。これは私は、一つの官署が自分の政策を貫くために国民財産だと政府も言っておられる国有財産を取引の材料にして、もてあそぶようなそういうやり方であるというように思うわけですね。こういうことはきわめて不正常なことであるし、不当だと私は思うのですが、大臣はいかがでしょう。
  154. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 私は必ずしも不当だとは思いませんで、佐藤委員の御質問にもお答えしたくだりがあると思いますけれども、防衛施設庁としても多年にわたってこの北富士演習場の問題については非常な苦心をされて、そしてその経過における一つ地元の人たちとの間に覚え書きができた。覚え書きがあることを承知したのは最近になってからではありますけれども、しかし防衛施設庁のやってこられた努力の経過を踏まえて、そして財政当局というか、大蔵大臣としてもそれを了として閣議了解ができ上がったわけでございますから、閣議了解において、私も参加して北富士演習場の一部を払い下げるについて同意をした。同時に、この了解は閣議決定ではございませんから、これからあとの実施につきましては閣議決定と違って、これは政府希望の意図の表明あるいは政策意図の表明でありますから、必ずしもそのとおりにいかないこともある。  また、手続上あるいは国有財産法に定められたところに基づいて財政当局としては今後所定の手続をとる。所定の手続の中には、私の発意によりまして所定の審議会に諮問をするということを含めて、十分慎重に手続を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  155. 増本一彦

    ○増本委員 私が問題にしているのは、大蔵省も知らないうちに、防衛施設庁なら防衛施設庁の政策目的を実現するため、その地元との取引の材料みたいにしてこの国民財産である国有財産をもてあそぶようなやり方というのは決して正しいことではないのではないか。手続とかたてまえが、いまやっておるようなやり方では非常におかしいのではないかということについての大臣の御意見を伺っておるのです。
  156. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 考え方方針等については、大蔵省考え方と一致したわけでございますから、この経過において、防衛施設庁としてとられた措置についていろいろの御意見ですけれども、取引ということじゃなくて、地元の人たちとの間の話し合いだと思うのです。それを煮詰めたものである。これは有能なる防衛施設庁としては当然の努力であったと思います。覚え書きのつくり方とか関係各省に対する連絡とかについては、多少私は不備なところがあったかとも思いますけれども、私は先ほど申しましたように、必ずしも不当なる措置であったとはいえないと思います。  同時に大蔵省としては、先ほど申しましたように、今後におきましては、こういった事柄について、経過についてももっと注視していかなければならない、また十分関心を深くしなければ国有財産法上の十分な責任を全うすることはできないと思いますから、これからは大いに大蔵省としては戒心いたしたい、こう考えております。
  157. 増本一彦

    ○増本委員 同じような関連する問題ですが、厚木の海軍の航空基地の一部、イーストキャンプの返還の問題について、横浜の防衛施設局長と大和市長との間でいろいろなやりとりがあったという事実は大蔵省としては御存じですか、また、いつお知りになりましたか。
  158. 小幡琢也

    小幡政府委員 厚木の飛行場の話、イーストキャンプ、ピクニックエリア、いずれも地元の地方団体、すなわちイーストキャンプにつきましては大和市、それからピクニックエリアにつきましては綾瀬町から、いろいろこれは公園あるいは学校、その他公共的な施設用地にしたいという、こういった要望は受けております。
  159. 増本一彦

    ○増本委員 私が聞いているのは、横浜防衛施設局長とその関連自治体との間で、この返還後のあと地利用の問題について交渉があったのですが、その事実は大蔵省は御存じなのかということです。
  160. 小幡琢也

    小幡政府委員 私ども直接はその事実は知りません。     〔木村(武千代)委員長代理退席、委員長着席〕
  161. 増本一彦

    ○増本委員 このイーストキャンプについては、防衛施設庁から大蔵省に移管になったのは五月の二十一日ですか。
  162. 小幡琢也

    小幡政府委員 イーストキャンプが返還になりましたのは五月二十一日でございます。
  163. 増本一彦

    ○増本委員 五月二十一日以降今日まで、そういう経過については、横浜防衛施設局長あるいは防衛施設庁から大蔵省には何らの連絡や報告もないわけですか。
  164. 小幡琢也

    小幡政府委員 先生のおっしゃっている意味がよくわかりませんが、あと地利用につきましては、これは前からいろいろ要望を聞いておりますが、それにつきまして防衛施設局との話というのは、実は何のことか私のほうではわかりませんですが……。
  165. 増本一彦

    ○増本委員 たとえば昭和四十六年七月一日付で、横浜防衛施設局長が「厚木海軍飛行場の海上自衛隊による共同使用について」という文書を出していまして、その中で、海上自衛隊との共同使用を認めることとあわせて、防衛施設局としてはイーストキャンプの地区約十四万平方メートルを返還することとして、その部分については大和市の要望に沿い、早期返還を期するというようなことで、払い下げを含む内容についてまで約束をしているのですが、こういうような事実を御存じなのかということです。
  166. 小幡琢也

    小幡政府委員 大蔵省としては承知しておりません。
  167. 増本一彦

    ○増本委員 先ほどのお話は防衛施設庁長官だった。今度の場合は一防衛施設局の局長が十四万平方メートルに近い土地についての払い下げについて約束をするということになりますと、地元としてはもちろん払い下げを受けたい。その土地が基地に大部分取られているために、そこでも住宅が急増し人口も急増し、都市計画もやりたいし学校も建てたい、公園もほしい、自衛隊に来てもらっては困るんだけれども土地がほしいので自衛隊の共同使用をのまざるを得ない。北富士演習場の場合もおそらくそういうケースだろうと思うのです。  そうしますと、それは基地を返還して地元に使わせてもらいたいという要求がある、しかしそれには自衛隊の共同使用を認めなければならないのだぞということで、やはり北富士演習場の場合でも、それから今回の厚木の飛行場の場合でも、それが条件のようになるわけですね。そうして最終的に払い下げをきめるところの、あるいは地元に使用を認めるところの大蔵省は、そういう問題については何ら今日まであずかり知らない状態にあるということですと、地元の自治体のほうは、もうすっかり大蔵省との間でも話のついているものだろうというようにもこれは当然考えているわけで、出先の管理委託をしている各省庁では、何でもかってにそういう国民財産を自分の政策目的を遂行するために利用して、結局そこできめたことを大蔵省が追認をするというようなことになって、この点でも問題は非常に大きいと私は思う。  そういう点で、もともと遊休になれば地位協定に基づいても先ほどの指摘のようにこれは返さなければならない問題なんですね。だから返還についての問題と自衛隊の共同使用などの問題とは、それを抱き合わせにしてきめるというような性質の問題では本来ないというように私は思うのですよ。これまでのこういう事実から見て、大蔵省としては各省庁管理をまかしているような財産について今後どういうような態度で臨まれますか。
  168. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 返還ということは、安保条約、それから地位協定からきているところの特殊のケースということがいえるのじゃないかと思います。それから返還について、いままで提供を受けていたほうの返還についての希望とか条件というものがあるかどうかわかりませんが、これもまた返還に際しての日米間の外交チャンネルを通してのいろいろの話し合いがあり得ると私は思います。同時に返還される場合に、何といってもここの活用については地方公共団体等を通ずる地元要望というものがやはり的確に反映されなければならない。また防衛施設庁としても防衛施設庁の立場というものがあろうかと思います。そういう状況下において関係者が円満に話し合いをしていただくということは、国有財産処理をする立場からいってもむしろ望ましいことではないかと思います。  したがって、先ほど申しましたが、取引であるとか既成事実をつくるとかいうことはけしからぬと言われますが、これは必ずしも不当なことではないので、場合によっては、むしろ国有財産地元希望をいれながら、あるいはまた防衛施設庁の立場というものも反映されながら相当の下話が進むということは、私は場合によっては望ましいことであるともいえると思いますが、同時に先ほども言ったように、国有財産法に基づくところの大蔵大臣としての責任という立場からいえば、審議会に諮問をして適切な処理をはかる、この筋を通してまいるべきである。またそうしておるつもりでございますが、同時にこれは、先ほどから繰り返して申し上げますように、大蔵省としても北富士演習場の例にもかんがみまして、よりよく積極的な情報の収集といいますか、大蔵省の立場においてもっと前向きの、前広の努力が必要であるというふうに私は考えますので、そちらの方面にも大いに努力をいたしたいと思っておる次第でございます。
  169. 増本一彦

    ○増本委員 防衛施設庁にお伺いしますが、あなたのほうでは自衛隊の共同使用、こういうように、国有財産の一部の返還のときには地元の関連自治体に払い下げをする、こういう約束をいわば同一の文書で覚え書きをつくったり、確認書をつくったりする。これは地元の自治体に自衛隊の共同使用をのませる、いわばその代償として、国有財産払い下げについて自分のほうでは大蔵省と話し合ってそれをやるというふうなそういうぐあいになるのですね。そういうたてまえは正しいと思っていらっしゃるのですか、どうですか。
  170. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 防衛施設庁の問題につきましては、施設の安定的な使用ということが国にとってぜひ必要なわけですが、しかしそれだけではなくて、いろいろ周辺の開発その他の関連も考えて両者を調整するというのが政府の基本方針であろうかと思います。  そこで、厚木の場合に、厚木基地の使用という面と、それから周辺から要望が出ております、イーストキャンプ、ピクニックエリアというようなところをぜひ返還してほしいという地元要望を入れながら基地の使用をはかっていきたい、こういうことになるわけです。  そこで、いま取引ではないかというお話でございますけれども、実は海上自衛隊が厚木基地を共同使用するという話が出るずっと前から、このイーストキャンプあるいはピクニックエリアの返還要望がありまして、これは地元ともずっと相談をし、米側とも相談をしてきたわけです。したがって、海上自衛隊の共同使用が出たからそれの取引の材料としてこの問題が出たのではなくて、それはずっと前からの話でございます。  ただ、局長から出した文書というのは、私、文言まで覚えておりませんけれども、その趣旨としては、地元からかねがね要望があるこういうことについては防衛施設庁としてもできるだけの努力をしております、ところが国としては今度こういう問題が起こったのでぜひ御理解を願いたいということであって、その相互理解を求めたということだろうと思います。ずっと前から出ている問題を新たに持ち出して、条件であるというようなことでは決してなかったかと思います。
  171. 増本一彦

    ○増本委員 私は、地元の自治体などが住民福祉のために国有財産を活用したい、ほしい、しかし、土地がほしいという弱みにつけ込むようなやり方ではないかという、そういう意見はあくまでも変わらないのです。  ちょっと、時間の区切りがありますので、あと一点だけ防衛施設庁に聞きたいのですが、イーストキャンプについての返還については地元の自治体に約束された、返還して地元の自治体が使えるように努力をしようという、こういうことは約束されましたね。そのあと、結局自衛隊の航空集団司令部がこの厚木にやっぱり移ってくるという、こういうことになっていますね。この航空集団司令部というのはいつ厚木の基地に移ってくるのですか。
  172. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 航空集団司令部が厚木に移るという問題につきましては、まだ地元との調整がついておりません。したがっていつ厚木に移るか、まだ時期はきまっておりませんけれども、それは人数にして約四十名、わずかの人数でございますが、これが下総の基地から厚木に移るという問題でございます。そこで、いろいろ地元の御意向も伺いながら今後慎重に検討してまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  173. 増本一彦

    ○増本委員 ちょうど区切りになりますので、では、あと会議後にさせていただきたいと思います。
  174. 鴨田宗一

    鴨田委員長 午後二時三十分より再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時三十五分休憩      ————◇—————     午後四時三十八分開議
  175. 鴨田宗一

    鴨田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。増本一彦君。
  176. 増本一彦

    ○増本委員 先ほどの続きのお話になりますけれども、もし防衛施設庁とそれから基地所在の関連自治体との間で基地返還後についてのあと地利用についての合意ができていた場合には、大蔵省としては最大限それを尊重してその趣旨を実現するようにという点ではお考えはいかがなのでしょうか。
  177. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 率直に申しますと、他の行政財産等の場合におきましても、関係省庁とそれから地元あるいは関係者との間にいろいろと経過において話し合いがあるというような場合には、できるだけその経過などをよく伺って、尊重と申しますか、そういったようなむずかしい経過を経ておって相当の経過をたどって合意に達しているようなものはできるだけ尊重してまいりたい、こういうように考えております。
  178. 増本一彦

    ○増本委員 防衛施設庁にお伺いしますけれども、午前中の話に出ました大和のイーストキャンプについての返還は、あと地の問題について地元の自治体との間には合意は成立しているのですか。
  179. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 イーストキャンプのあと地利用の問題につきましては、大蔵省のほうで国有財産処分の決定の権限を持っておりますので、私どものほうでどうするこうするという立場にはないわけですが、ただ、いままでいろいろ地元からその利用計画についてお話がありましたので地元希望大蔵省当局にはお伝えをしておる、こういう関係でございます。
  180. 増本一彦

    ○増本委員 次に移ります。  今回の法案で人口急増地域の義務教育学校施設への無償貸し付けの条項が入りまして、これは非常に積極的な改良であるというように考えるのですが、理財局にお伺いするのですが、無償貸し付けについては特定の期間を定めるとか、その内容、法律関係というのは一体どういうような条件になるのでしょうか。
  181. 小幡琢也

    小幡政府委員 義務教育施設に対します国有財産の無償貸し付けでございますが、法律で政令に定めるところによってやる。その政令で予定しておりますのは、一定の期間を限りまして、対象は災害による著しい被害を受けた市町村、これは激甚災害を受けた市町村を予定しております。それから児童、生徒の急増市町村、これも文部省の基準によりまする児童、生徒の急増地域、これを予定しております。そのほかに過疎の市町村、これも告示のある市町村を予定しております。そういったものに対しまして一定の期間を限り、その期間といたしましては告示のあった後五年程度ということでいま検討しているわけでございます。
  182. 増本一彦

    ○増本委員 現在学校の校舎は鉄筋コンクリート建てが非常に多くなってきていますね。五年ではなかなか本格的な建築の校舎というのは建てられないおそれがあると思うのですが、これは五年ごとの更新ということを当然の前提として無償貸し付けをなさるのでしょうか、その点はいかがですか。
  183. 小幡琢也

    小幡政府委員 五年といいますのは、一応いま検討している段階でございまして、まだきまったわけではございません。それからこの問題は義務教育施設全般ではなしに、特別の地方団体の事情を考慮して措置するわけでございますから、新しく建てるというよりも、現在すでに義務教育施設に貸し付けております財産、これを災害のあった後とかあるいは児童、生徒の急増の告示のあった後五年ぐらい無償にすることによりまして、地方団体の財政を軽減しよう、こういう趣旨によるものでございます。  それからまた、新しく建てます場合、これは御指摘のように五年で建物が済むというのじゃございませんが、それはある一定の期間、要するに地方団体側の事情としまして児童、生徒の急増等によりまして早急にそういった小中学校を建築しなければいかぬ、こういった事情を考慮してある期間だけ考えよう、その後は有償あるいは売り払い、これは五割減額でございますが、そういうことで対処したい、このような予定にしておるわけでございます。
  184. 増本一彦

    ○増本委員 いま地方財政がいろいろな面で非常に圧迫をされておりまして、大体用地費でもその一般会計予算の五%から一〇%近いお金をかけないと一つの学校の敷地を買うことができないというような現実があると思うのです。だから、これまで貸し付けていたものだけでなくて、新規に無償貸し付けをどんどんふやしていくということが一つは必要であるというように思うのです。特に東京近辺で軍事基地をかかえているようなところで、基地の返還が実現されたあと学校を建てたいというような希望は各自治体にあると思うので、その点については積極的に基地周辺の民生を安定させるとか福利厚生を増進するというその政策目的を実現する上からも、そういう特段の配慮というものが必要ではないかというように考えるのですが、この無償貸し付けの運用について、そういう観点でどうだろうかと思うのですが・大臣の所見を伺いたいと思います。
  185. 橋口收

    橋口(收)政府委員 小中学校の施設用地に対する無償貸し付けの問題でございますが、法律が通りました際にどういう政令を出すかということの内容につきましては、次長のほうから御説明を申し上げたとおりでございますが、その中でも触れておりますように、小中学校を設置いたします当該市町村の財政負担を軽減する、こういう考え方に基づいてやる措置でございますから、ただいま御質問の中にございました基地周辺の市町村が私ども考えておりますような財政力の貧困な市町村である場合には当然適用になると思います。しかし、富裕市町村である場合には考え方趣旨から申しまして直ちに適用するということはむずかしいのではないかというふうに考えております。
  186. 増本一彦

    ○増本委員 ところで、この国有財産としての土地現状について若干お尋ねをしたいのですが、かつて陸軍が使っていたような用地ですと、そこに戦争中に本土決戦に備えて防空壕を至るところにつくっておりまして、先ほど大臣にも質問をいたしました厚木基地の今度返還になったイーストキャンプなども、米軍の資料ですけれども、トンネルで穴だらけになっているのですね。いまのこういう事態でそのままそっくり自治体に譲渡をしたり、あるいは貸し付けをしたりしましても、自治体ではなかなか財政の負担をして、それをきちんと使えるような状態にするということができない。国がすでに払い下げをしてしまっている土地でも、恐縮ですけれども、私の住んでいる藤沢市にもそういうところがあって、これは二千百メートルもかつての軍隊がトンネルを掘っているのですね。こういうかつての陸軍省の時代に掘られたトンネル、こういうものを原状にきちんと回復して、そして利用が十分にできるような手だてをとるということがいま非常に重要な問題の一つとなっている。これは地方自治体などの財政ではとてもまかないきれるような状態ではないのですが、こういう問題については当局はどのようにお考えになっているでしょうか。
  187. 松野幸泰

    ○松野政府委員 防空壕の対策については、先般来何回か取り上げられ、その埋め戻し工事については、都市部にあっては建設省、農村部にあっては農林省が担当することになっております。かかる趣旨のもとに、都市部を担当する建設省としては、現在防空壕の位置、規模、危険度等について各都道府県を通じ全国的に調査を実施しております。  藤沢市の善行地区については、すでに藤沢市において概略の調査を終わっておりますが、座間市に存在すると推定される防空壕については、過去の状況が不明であるので、全国的調査の一環として実態を把握してまいりたいと考えております。  各防空壕の復旧については、実態調査の結果をまって、その危険度等に応じ、昭和四十九年度から埋め戻し等の対策工事を行なう方針で予算を要求していきたい考えております。
  188. 増本一彦

    ○増本委員 政務次官お忙しいでしょうから、これでけっこうです。  では次に、国有財産である基地の管理の問題についてお尋ねしたいのですが、アメリカ軍に提供している基地の面積ですが、私のほうにすでにいただいている大蔵省の提供基地国有財産土地の一覧表の地積は、これは正しいものというとあれですが、これはこのままこのとおりの面積であるというように承ってよろしいでしょうか。
  189. 小幡琢也

    小幡政府委員 お手元にあります資料の国有財産土地の一覧表でございますが、これは国有財産台帳に載っております数字でございます。これは歴史的にいいますと旧軍から引き継いだものが相当ございますが、その後実測をしたものは訂正をしたものもありますけれども、必ずしも訂正していないものもありますので、実際に計ってみればこの台帳面積と若干違うのではないかと考えております。
  190. 増本一彦

    ○増本委員 このうちのキャンプ座間の面積についてまずお伺いをしたいのですが、キャンプ座間はこのいただいた資料によりますと二百三十五万九千八百十二平万メートルということになっていますね。これは相模原市の分と座間市の分の内訳で言うとどのようになるのでしょうか。
  191. 小幡琢也

    小幡政府委員 たいへん失礼しました。ここにあげておりますのは国有財産台帳ではなしに、防衛庁のほうで調査いたしました数字でございまして、台帳面積とは違っております。
  192. 増本一彦

    ○増本委員 そうしますと、国有財産台帳上のキャンプ座間の面積は幾らになるのですか。
  193. 小幡琢也

    小幡政府委員 国有財産台帳上のキャンプ座間の面積でございますが、これは時点が本年の三月の数字でございますが、約百三十九万平方メートル、これが国有財産台帳上の面積でございます。
  194. 増本一彦

    ○増本委員 この防衛施設庁から出ている、いただいた数字と約九十万平方メートルばかり違いがありますけれども、この違いはどこに原因があるのでしょうか。
  195. 小幡琢也

    小幡政府委員 御指摘のキャンプ座間の面積は、防衛庁のほうの資料によりますと二百三十六万平方メートル、それから国有財産台帳のほうは、私がいま言いましたのは時点がちょっと違いますが、大体百四十万平方メートルばかりでございまして、これはいかにも違いますので、私も確かにこれはおかしいということでさっそく調査いたしたわけでございますが、その違いの原因は、いろいろ聞いてみますと、大体これは、かつていずれも陸軍の士官学校ないし相武台演習場の土地であったわけで、旧軍から引き継いだわけでございます。引き継ぎまして、そのうちの相当の部分、七割ばかりを、これは相武台演習場のところでございますが、農地ということで農林省に所管がえをしたわけでございます。農林省に所管がえをいたしまして、農林省からこれを農地として払い下げをしたわけでございますが、御承知のように、こういった土地にはなわ延びが相当ございまして、台帳にあった数量で農林省に引き継ぎまして、農林省が払い下げます場合には、実測をいたしまして、実測数量を台帳から落としていく。ところが、実測数量がなわ延びの関係で相当多いものですから、どんどんどんどん落としますと、残ったものが台帳上はほんの少しになってしまう。  ところが、実際は相当あるということでございますが、それが不要になった場合に、逆所管がえといいまして、農林省から大蔵省にまた戻ってきた。戻ってくる段階におきましては、要するに台帳のもとの表の数量から実測数量を引いた数量で戻ってきたわけでございますから、それが実態と合っていない。それをそのままずっと台帳に整理しているものですから違うのじゃないか。大体原因はそういうところにあるのではないかと思いますが、詳細はもうちょっと調査した上、何らかの処理をしたいと考えております。
  196. 増本一彦

    ○増本委員 防衛施設庁にちょっとお伺いしますけれども、防衛施設庁がこのキャンプ座間について二百三十五万九千平方メートルという数字をお出しになったのは、どういう根拠からですか。
  197. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 御存じのように、終戦後米軍が進駐をしてきまして、各地で基地を接収をしたわけでございますが、これは占領軍の占領行為としてなされた。講和条約の発効に伴いまして、新たに安保条約によって提供するということになりましたので、この米軍が現に使用しておる各基地につきまして、実測をしましてその面積を明確にした上であらためて提供するというような趣旨から、各基地について日米で共同の測量調査を実施したわけですが、その際、キャンプ座間につきましても測量調査をしたその結果が、ただいま先生の御指摘になった数字である、こういうことでございます。
  198. 増本一彦

    ○増本委員 この共同実測の結果の二百三十五万九千平方メートルというのは、国有地に当たる部分ですか。
  199. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 国有地でございます。
  200. 増本一彦

    ○増本委員 日本とアメリカと両方で共同実測をして、一定の正確な面積の数字が出ているのですね。これを大蔵省ではどうして台帳は旧態依然たる数字のままにしておくのでしょう。
  201. 小幡琢也

    小幡政府委員 私が知りましたのは最近でございまして、なぜこういった著しい違いがあるにかかわらずそのままになっておるのかということで、急遽財務局のほうに調査を命じまして、是正するようにと言ったわけでございますが、聞いてみますと、これは先ほど申し上げました農林省との所管がえ、逆所管がえの際の整理、この辺の把握になかなか手間がかかるという問題とか、あるいは実測いたします場合に、境界線につきまして権利関係がふくそうしておりましてだいぶ境界争いがあるということで、これは直すのにはたいへん時間がかかるというような事情でございまして、なかなか現地では進まない。そこで、やはりこれだけの違いがあるものを台帳上放置しておくのはおかしいということはおっしゃるとおりでございますので、これから調査を促進して処理したいと考えております。
  202. 増本一彦

    ○増本委員 ところで今度は、国有財産評価額なんですが、これはどのようにして評価をなさるのでしょう。
  203. 小幡琢也

    小幡政府委員 国有財産台帳に登載いたします価格の問題だと思いますが、これにつきましては五年ごとに改定するということにいたしておりまして、その時点におきましてできるだけ時価に近い数字に持っていこうと考えているわけでございますが、ただ、これは膨大な作業になりますものですから、ある地域を一括いたしましていわゆる時価の倍率というものをつくりまして、五年前の価格にその倍率をかけるということで原則として処理し、近傍類地の時価と著しい差があるものにつきましてのみ、そういった事情を考慮しまして手直しをする、そういった作業をしてやっております。
  204. 増本一彦

    ○増本委員 その評価をする際時価を基準にしてやるとおっしゃるのですが、何カ所か基準点を設けて坪単価をはじいて、それに面積を掛けて出される価格になるのですか。この結論の出てくるプロセスをちょっと伺いたいのです。
  205. 小幡琢也

    小幡政府委員 一般国有財産を売り払いますときに評価いたします場合、この場合は、ただいま御指摘がありましたように、三点ないし四点、場合によりましては数点地点を設定いたしまして、その平均ということで倍率を出して処理しておりますが、国有財産台帳価格を改定いたします場合は、そういうことではなしに、もうちょっと幅広くその辺の地域の趨勢というものを考えて倍率を出すというようなことをいたしております。
  206. 増本一彦

    ○増本委員 そうしますと、いまお話をしましたたとえばキャンプ座間の場合、日米共同で実測をしたものと国有財産台帳に書かれているものと約九十万平方メートルも違いがある、こういう場合には、もし防衛施設庁のほうの実測の地積で考えると、固定資産の評価台帳の価格というものはさらに引き上がるということになりますでしょうか、どうですか。
  207. 小幡琢也

    小幡政府委員 価格の問題と数量の問題、関連がございますが、もし数量が訂正されますならば、当然その分だけ上昇すると考えております。
  208. 増本一彦

    ○増本委員 このキャンプ座間の面積が防衛施設庁と国有財産台帳との間に大きな開きがあるということは、すでにこのキャンプ座間の所在地の相模原市長が昭和四十年の段階から大蔵省当局に陳情までしておった問題なんですね。ところが、依然としてこの食い違いについての是正が全然なされてこなかった。これは私は、国民財産だとするとあまりに管理がずさんに過ぎないか、幾らアメリカが基地として使っているといっても、日本の領土の一部ですし、それを大蔵省としても積極的に実測をして、正しい地積を表示するということが非常に必要たというように思うのですよ。  それで、この面積の違いは、このキャンプ座間だけではありませんで、厚木基地の場合にもどうも私の場合には何か違いがあるような気がするのですが、この厚木基地の大蔵省台帳の面積は幾らになっているでしょうか。
  209. 小幡琢也

    小幡政府委員 厚木海軍飛行場の台帳面積でございますが、四百八十九万平方メートルでございます。
  210. 増本一彦

    ○増本委員 防衛施設庁の数字は幾らでしょう。
  211. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 約五百二十一万平万メートルでございます。
  212. 増本一彦

    ○増本委員 これも相当なやはり開きがあるんですね。そうすると、この厚木基地の国有財産の台帳価格も、面積が違ってくればさらにその価格が高くなるということにはなりますか。
  213. 小幡琢也

    小幡政府委員 さようでございます。
  214. 増本一彦

    ○増本委員 自治省に伺いますけれども、いわゆる基地交付金ですが、基地交付金は各自治体にどのように計算されて交付されるのでしょう。
  215. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 いわゆる基地交付金は、その総額の十分の八の額は、国有財産として提供されております土地建物、工作物の価格を基準にしてその市町村ごとにその価格の総額に案分をして配分をする。十分の二の額は、それぞれの市町村における基地の実態あるいはその市町村の財政状況等を勘案をいたしまして、必要な額を配分するという方針によって分けております。十分の八の額を配分いたします土地建物、工作物の価格というものは、国有財産台帳に登録されました価格によるということになっております。
  216. 増本一彦

    ○増本委員 基地を持っている地方自治体は、国から出ます基地交付金が地方財政においてはかなり大きな役割りを果たしているのです。このことは政府も御承知だと思うのですが、こういうように国有財産台帳の価格が、面積が実態と非常にかけ離れているために、本来もらえるべきものがもらえないという状態が、いま申し上げた二つの例でも出るわけですね。このキャンプ座間の場合ですと、大ざっぱにいって九十七万平方メートルも違いがある。厚木の基地の場合だと三十一万平方メートルも違いがある。面積が多くなれば当然国有財産台帳価格もそれだけ高くなるということも政府はお認めになっている。  ひとつ大臣にお伺いしたいのですが、私はこういう面積の違いによって国有財産台帳価格自身も違ってくるというようなことになると、これは関連する地方自治体にも当然受け取るべき基地交付金も実態よりも少なく受け取らざるを得ないというようなことになると思うので、一つは、アメリカに提供している基地のこういうように面積が食い違う場合には、もうすでに日米共同で実測までして一定の面積が正確に出るような事態になっているわけですから、大胆に国有財産台帳の地積を変更すべきであるというように考えるのですが、まずその点はいかがでしょうか。
  217. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これは問題が二つございまして、地積の変更の問題と、それから基地交付金は御案内のように、予算の総額がきめられておりますので、その配分の問題と、二つの問題がございますが、その間をできるだけ調整をはかって現にやっておりますが、今後におきましても、そういう点を考慮に入れながら処理していきたい、かように、考えております。
  218. 増本一彦

    ○増本委員 現に日米共同で測量をして正確な地積が出ている。せめてこの台帳の地積は変更さるべきだと思うのですが、その点はいかがなものでしょう。
  219. 小幡琢也

    小幡政府委員 少なくともただいま御指摘のありましたようなところは著しく食い違っておりますので、それは当然緊急に調査して訂正すべきものだと思っておりますが、ただ、日米共同で調査された数字をそのまま使えるかどうかということにつきましては、実は境界の地主についていろいろと境界争いの問題がございますので、その辺はもう少し事態を究明させていただかなければ何ともお答えいたしかねます。
  220. 増本一彦

    ○増本委員 次長、これは大蔵省として実測をしてこの地積を訂正される、そういうように承ってよろしいですか。
  221. 小幡琢也

    小幡政府委員 そのように検討いたします。
  222. 増本一彦

    ○増本委員 それから、この面積が実際よりも少ないために台帳価格も結果として低くなっている。そのために先ほどからお話ししているように、基地交付金も結局少なく計算をされるという、こういう結果になるわけですね。国有財産は、国が、しかも大蔵省が直接管理の責任をお持ちなんですから、実態と違う面積のままでいたために地方自治体にそれだけ当然もらえるべきものがもらえなかったということですから、これは一つは、この基地交付金に関する法律を正しく運用していなかったという点で、法律的な責任が一つあるだろうと思うのです。  それからもう一つは、この国有財産をそういう形で十分に管理していなかったという点での管理上の責任というものははっきりあると思うのですね。ですから、この点について、地方自治体に対して私は従来、本来申請をすればもらえるべきであった差額については、国としても十分にそれを支払うという、そういう前向きな立場で検討をされるべきだというように考えますけれども、いかがでしょう。
  223. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 基地交付金は、現在固定資産税の身がわり的な運用はいたしておりますけれども法律上の性格は助成交付金でございます。したがいまして、その総額は毎年国の予算できめられるということになっておるわけであります。そしてその総額を各市町村に所在する基地の土地建物、工作物の価格で案分をするという方式になっておるわけであります。したがいまして、特定の市町村における価格が変更になります場合には、結局基地関係の全部の市町村についての配分がそれだけ変更になるというような性格のものでございます。そういう意味におきまして、いま面積なり価格なりの変更が直ちに交付金の額がふえてくるというような形にはならないわけであります。そういう意味におきまして、税とは性格が異なっておりますので、その点御了承願いたいと思います。
  224. 増本一彦

    ○増本委員 それは私は納得できませんね。自治省もこの基地交付金を予算要求するときには大蔵省の台帳価格に基づいて計算を一応されて、そして要求をされますね。その参考になるというか、それを検討に入れる国有財産台帳が実態と比べても低いので、そのために台帳価格も低くなっている。だから面積が正当に正しいものを台帳上記載されれば、台帳価格もそれだけ高くなるのだ、こういうように大蔵省のほうでは言っておられるので、だから基地交付金を実際に扱う窓口は自治省かもしれませんけれども、しかしこれは自治体からすれば、自治体と国との関係ですよ。自治体と自治省という機関との関係じゃないですね。  ですから、私は、これは予算の執行面でも責任を持っておられる大臣にお伺いしたいのですけれども、こういうもとは、国有財産管理する大蔵省で結局起きていることですから、私はしかるべき予算措置もとって、これまでの分について自治体に補てんをするというようなあたたかい態度、誠意ある態度があって政府としてはしかるべきである。もともと基地交付金というのは、アメリカの軍事基地、自衛隊の基地がある、それによって本来固定資産税なりその他の税収も入るのが入らない、また基地そのものがあるために都市計画やその他の民生の福祉もできないというようなところから助成交付金としてできた制度ですから、本来もらえるべきものはもらうし、あげるべきものはあげるというのが国の態度でなければならないと思うのですが、大臣のしかるべき善処を私はお願いしたいし、そういう意味では前向きの答弁を期待したいのですが、いかがでしょう。
  225. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 先ほど私、申しましたとおり、また基地交付金の現在の扱い方は自治省から答弁がありましたとおりでございます。  そこで今後においては、まず面積あるいは台帳との関係もできるだけ整備していきたいと思います。その方向で参りたいと思いますが、さらばといって過去にさかのぼってその年度ごとに基地交付金の全額を、国会の御審議を経てきまったもので、それをそのときどきで自治省で配分されているものでありますから、過去にさかのぼってこれを配慮するということは、せっかくの御提案ですけれども、これは至難である、ほとんどできない相談だというふうに私は考えます。
  226. 増本一彦

    ○増本委員 国のミスによって、あるいは国のこれまでのやらなければならなかった管理そのものをしなかった、そしてそれが地方自治体にしわ寄せがいっている、この事実は大臣もお認めになると思うのです。ならば、それについて特別の手だてをとられるというのが当然だというように私は思います。私は大臣の答弁はきわめて遺憾に思います。  そうしますと、今年度の基地交付金は、従来のこういう実績よりも低い台帳価格で計算をされている。大蔵省で台帳が変更されるまでの間は、各自治体はこの状態を、事実と全く違うということを大蔵省でもお認めになっているのにそれを甘受しろ、こういうようにおっしゃるのですか。いかがですか。
  227. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これは、ただいま自治省からもお答えしたように、固定資産税とは性格が違うわけです。したがって、地積面積が違うからといって、それだからといって過去にさかのぼってまでその面積に合わせて云々というのは少しいかがであるか、こういうふうに考えて申し上げているわけでありますが、基地交付金につきましては、総額としては今年度の予算編成のときにも十分配慮をいたしたところであり、また今後そういったようなことも頭に入れて配分されることが願わしいものである、今後の問題としては十分考えてまいりたい、かように思います。
  228. 増本一彦

    ○増本委員 私は、これは早急に、せめて台帳価格だけでも実態に近いように訂正をし、そしてそれに基づいて、本年度については、こういう著しく違っているところについては、その実態に近い台帳価格に基づいて再度計算し直して交付をするということで今年度ぜひ処理をしていただきたいし、そのことがこういう基地をかかえている各地方自治体の持っている苦しみ、そういうものを幾ぶんでも緩和する、これが政府のとるべき道であるというように私は思うのですよ。  ですから、そういう点で、本年度以降やはり政府としてきちっとした態度をぜひともとってほしいと思いますし、そのことは特に強く大臣にも要求をして、私の質問は終わりたいと思います。最後にその点いかがですか、大臣。本年度なりとも特例なり何なりをお考えになるという余地はないのでしょうか。
  229. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 現行の国有提供施設等所在市町村助成交付金の関係法令におきましては、毎年三月三十一日現在の国有財産台帳に登録された価格というものが配分の基礎になっておるわけでございまして、したがいましてこの十分の八に相当する部分の額につきましては法令の規定に従った配分をしなければならないわけでありまして、これについては考慮する余地がないということにならざるを得ないと思います。ただ十分の二に相当する額は、その基地の現況なりあるいは市町村の財政の状況に応じて必要があると認められる額についての配分を行なうということで、十分の二の額は、その実態に応じた配分がある程度許される規定になっております。そういう実際の事情を考慮しながら配分にあたりましては検討してまいりたいというふうに考えております。
  230. 増本一彦

    ○増本委員 終わります。
  231. 鴨田宗一

    鴨田委員長 広瀬秀吉君。
  232. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 国有財産法及び特別措置法の一部改正について、関連して若干質問をいたしたいと思います。非常に時間もおそいし、かなり熱心に各委員が議論をされた問題ですから、私は簡単にやりたいと思います。  そこで、前回関連質問で質問をしたわけでありますが、何か私ども考えますに、今日土地問題、地価の上昇という問題を中心にして、土地問題というのは実に深刻な事態を迎えていると思うわけでありますが、このことについていまいろいろ申し上げるつもりはありません。しかし、いずれにしましても、ささやかなマイホームの夢を実現させようというようなことで、七十坪、八十坪の土地を求めようという庶民大衆のささやかな願い、こういうようなものも地価上昇というようなことによって、退職金をもらってもやっと宅地を求めただけで全部終わってしまう、その上にマイホームを建てるというようなことはなくなってしまう、そういう深刻な事態になっているわけです。  そういうところで国有財産、特に国有の土地、こういうものについての管理あるいは処分、その問題をめぐる一種の特別な、特定の者に利益を与えるような払い下げ方法が行なわれたり、あるいは価格を不当にそういう面で優遇されたりというようなことがあったら、これは国民の政治に対する信頼をなくする非常に重大な問題だと思うわけであります。そういうような観点から国有財産管理処分については、特別な規定によって各省庁にその責任をまかす場合もあるけれども、終局の責任というのは大蔵大臣が負わなければならない、こういうたてまえに国有財産法もなっておるだろうと思うのです。そして普通財産については、その管理処分の事務を総括をするのだ、こういうことにもなっている。  したがって、そういう立場でお答えを いただきたいのですけれども国有財産管理処分がこの法律だけで必ずしも国民考えておるような形で十二分に行なわれておらない面が非常に多いのではないか、そういう面で大蔵大臣が総括をするといいながら、各省庁にまかされた部分等についてなお非常に問題になっている点なども多いというようなことが、きょうの建設委員会あたりでも問題が新しく提起されている。この問題を詳しくやるつもりはありませんけれども、そういう問題があるわけであります。  こういう問題をめぐって基本的に国有の土地というもの、国有財産管理処分あり方、こういうものについての基本方針、こういうものは一体どうなっておるのだ、これは国有財産法の九条の三で中央審議会は諮問に応じてそういうものをきめるのだということになっておりますが、それはあくまで大蔵大臣が必要と認めるなり何なりしなければならぬことだと思うのですが、この中央審議会で国有財産、特に土地の問題について管理処分等についての基本方針をどういうように定めたことがあるのか、いまどうなっておるのか、この点をまずただしたいと思います。
  233. 橋口收

    橋口(收)政府委員 国有財産管理処分の基本的な方針でございますが、国の所有する財産でございますし、いまの御質問の中にもございましたように、国民からお預かりした財産でございますから、財産管理処分する場合に、基本的な姿勢といたしましては、やはり国の財政活動の一種でございますから、現在の考え方の基礎をなしておりますのは、財政法なり会計法なり、いわば国民からお預かりした財産でございますから、管理をいたします場合には適正な状態において管理をし、処分をいたします場合には国損を与えないように適正な対価を取って処分をするというのが国有財産法並び財政法会計法を通じての財産管理の基本的な態度でございます。  ただ、そういういわば国の所有する財産でございますから、国損がないように、また処分をいたします場合には国損を与えないようにというような、そういう基礎的と申しますか、そういう考え方だけですべての時代要請にこたえるということはむずかしいのでございまして、そういうときどきの要請に対応するためには、いま御質問の中で御指摘がございましたように、国有財産中央審議会にかけまして、おおよその方針についていわば行政府に対して指針をちょうだいいたしております。  詳細な説明は省略させていただきたいと思いますが、そのときどきの時代要請に応じて管理及び処分の態様も変わってまいっておりまして、ごく最近におきましては、昨年の三月に中央審議会から答申をいただいております。現下において、要請される国有財産に対する国民的な要請にこたえるために国有財産の有効な利活用をはかる、こういうのが現在の国有財産の基本的な管理及び処分の態様でございます。  そういう立場から申しますと、単に財政法会計法のそういういわば消極的な一つ考え方だけではなくて、もっと積極的に国有財産というものを国民的利便に提供する、こういう考え方に基づいて管理及び処分がなされておるのが現状でございます。
  234. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 もっと基本的に、財政法の精神もあるし、会計法の精神もあるし、国有財産法を貫く精神もある、こういうものを土台にしてやっているということでございますが、管理処分についてかなり、大蔵大臣が最終的な総括責任者であるにしても、各省庁の長に普通財産管理をまかせておる、特別会計所属のものなんかについては、そこにまかせっきりになっているというようなものなんかについても、これは最終的には大蔵大臣が責任を負うべきものであろうと思うわけなんです。  これは第八条ですね、国有財産の引継の一項のただし書き、それとそれを受けて二項、こういうような点はありますけれども、そういうものを通じて、有効な利活用というようなことがいまのところ、昨年三月の中央審議会の答申ではそういうところを重点に基本方針にすべきだ、こういうものが出ているということでありますが、その面でも何かもの足りないものがまだ一つある。もっと国有財産全体について斉合性を持った、しかも基本的に、管理運営の基本方針というものがいかにあるべきかということについて、もっとしっかりした態様というものが、国損を生じさせないようにというようなことだけではなしに、特に処分の場合において、どういう活用のしかたというものが基本的に正しいものなのかというようなことについて、大臣はもっと積極的に中央審議会に諮問をして——今日いろいろばらばらに行なわれている、不公平もある、差別的な取り扱いが行なわれている。そこで中央審議会にそういう点でどうあるべきかという基本問題を諮問して、答申を得て、これが国有財産管理処分に関する大きな基本方針である、こういって天下に問い得るような、そういうものをやはりやるべきじゃないかと思うのですが、四十七年三月の答申というのは、どういう諮問に対してそういう答えが出たのでありますか。その点を明らかにしながら、そういう気持ちが当面あるかどうか、このことを、これは大臣からお答えいただきたいと思います。
  235. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 その言われる基本的な観念というのは非常にはっきりしていると思うのです。これはただいま理財局長からお答えしたとおりで、財政法というのが一番基本にあって、そして国有財産法それから国有財産特別措置法と、この一連の法律において基本観念はきわめてはっきりしていると思いますから、私は、その基本観念に基づいて大切な国有財産管理運用に当たらなければならない、これは基本的な考え方でございます。  ところが、いま言われている中の基本観念、政策はどう考えているかというお尋ねの中には、たとえば当面する緊急の課題であるところの一般的な土地政策あるいは都市政策その他の国民要請というものにどうこたえるかという点が御質問の一つ重点であると私は理解いたしますが、私は、基本的観念をがっちり踏まえて、そうして当面する緊急の国民的課題であるものに寄与し得るように運用、処分をしていかなければならない、こういうふうに考えておりますから、今後においてもそういう考え方で審議会等には新たに諮問もしたいと思いますし、また従来からの審議会等の意見はできるだけ尊重してまいりたい、こう考えております。  時間がないので多くを申し上げることは控えますけれども、当面の緊急課題に対する対応のしかたにしても、今回この改正案の御審議をお願いして、その過程においても私もしみじみ考えますけれども、一面においては所要なところに無償でどんどんてきぱきと処理をしていくべきであるという角度がございます。また他面においては、基本的な観念からいって大切に扱って、いやしくもこれが国民的に批判を受けることのないように、あるいは、たとえば処分等についても十分高く、国損の生じないようにという御意見もありますが、同時に、当面する緊急課題に対するためにはむしろ減額をするとか、あるいは無償で貸し付けするとかということに重点を置いた御意見もある。なかなかこれは複雑な、御要請が多種多様にわたっているわけでありますが、それらに対処し得ることがより容易になるようにというのがこの改正案を考えましたゆえんでございます。  ですから、この改正案が幸いにして成立いたしましたならば、これとあわせて、さらに運営については審議会等に新たに諮問すべきものは諮問し、また当委員会におけるいろいろな御論議等も十分審議会に反映をして、さらに多様な御要請をどうやって取りまとめて、かつこれを実施するかということに重点を置いていきたいと考えております。  同時に、終戦後相当の年月がたっておりますけれども、過去を考えてみて経過をたどってみますと、こうもやればよかったということも率直にいってあるようでございますから、そういうような点についても十分過去の反省の上に立って今後の処理に当たるべきである、こういうふうに考えております。
  236. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 財政法あるいは国有財産法等を貫く基本観念というもの、これは国損を生じさしてはならないということが一つそういう点であると思う。しかし、国民的な立場において有効に利活用をしなければならぬということ、これもまた大事である。それと同時に、またいろいろ国有財産をめぐって国民の間に不公平感を与えるような問題があってはならぬ。そういうようなことでその間の調和をとりながら、やはり国民だれもが納得するような立場での国有財産管理処分というものがなされなければならぬ、このように考えるわけでありますが、そういう立場をいま述べられたんだ、こういうように理解してよろしゅうございますか。
  237. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 そのとおりでございます。
  238. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 そういう立場におきまして、前に、昨年の予算委員会の分科会で私が取り上げた問題があるわけでありますが、その後の状況について、そしてまた今後の方針について伺いたいと思うわけであります。  栃木県の西那須野町に、元農林省の馬事研究所の土地がありました。これを昭和四十一年の六月五日に契約をいたしまして、俗称全畜連、全国畜産農業協合組合連合会、これは前環境庁長官の大石武一さんが、いま河野一郎さんのあとを受けて会長になっておられるわけでございますが、そこに払い下げをされたわけであります。  そこで、その払い下げの目的として申請書に書かれておったものは、家畜生産体制の改善とその確立、畜産主業農家の創設維持、団体の事業基盤の確保と畜産の企業化、上記の目的のため連合会は直接牧場を経営する、そういうことで、その事業の内容としては、肉豚の肥育、肉用牛の仕上げ肥育、種豚の飼育並びに品種を改良して会員に提供して、畜産企業経営技術者を養成する施設、こういう施設を建設するのだ、こういうことになっておったわけであります。  これがその途中において経営が非常にはかばかしくない、どんどん赤字が出るというようなことで、昭和四十六年の第一・四半期あたりにおいて全従業員を解雇いたしまして、そして横浜にあるビッグサイエンス、これは株式会社で養豚技術をだいぶ研究しており、養豚技術指導なんかをやっておる会社ですが、これに経営をまかしてしまったという事態が起きたわけであります。  畜産局来ておられるのでお伺いいたしますが、この間、地元ではだれもが養豚・研修牧場、こういうように理解をいたしておった。ところが、その研修生なども二、三十名しかやらない。四十一年から四十六年でありますから五年たっている、いわゆる前期。そして用途指定の期間が第一次の契約書では切れておる。切れるまでに養豚研修生をその程度しか、三十名足らずしか研修をしなかった。全然やらない年もあった。そしてそのうちに砂利抜きと称して砂利の販売をやった。これは草地造成ということであとから追加してそういうことも指定用途に加えられたわけだけれども、そういうことをやったというような状況があったわけであります。  そして私の質問に対して、用途指定以外にまだ使ってない土地が九万平方メートルもある、こういうようなところについては状況調査をして買い戻しというようなことをする場合もあり得るというようなことでよく調査をしますということになっておったわけであります。そればかりじゃなくて、後期の事業計画というものを四十四年に提出しなければならないのが二年もおくれておったというような事態もあった。そういう事態の中で今後どうするかという問題で、当時の水田大蔵大臣も予算委員会におきまして、それが事実とするならば非常に遺憾だという答えをされましたし、「いま事務当局から申しましたように、指定した用途に供する見込みが非常に薄いとか困難だという事実がはっきりいたしましたら、やはり一部の契約解除もしくは全部というような、何らかの措置はとらなければならぬものだろうというふうに私も考えております。」こういう答弁で終わっておるわけでありますが、その後この問題がどういうようになっておるのか、この点についてお聞きしておきたい。
  239. 小幡琢也

    小幡政府委員 栃木県の西那須野町に所在する国有地を全畜連に昭和四十一年に売り払ったわけでございますが、用途指定をつけまして養豚及び畜産経営技術者の研修用の牧場の用途に供する、こういうことを指定いたしまして指定期間を五年間、昨年の、四十七年六月十六日までと指定したわけでございますけれども、その後全畜連のほうで経営不振、それから養豚経営環境がだいぶ変化したということで計画が思うように進展していない、そういった事情があり、昨年予算委員会で先生から御指摘を受けましたので、大蔵省といたしましては、もう昭和四十七年六月十六日の期間が経過いたしますものですから、とりあえず一年間期間を延長いたしまして、その間に農林省と協議いたしまして、何とか対策を立てるということにいたしたわけでございます。  その後全畜連のほうから、いわゆる後期の四カ年の計画が出てまいりまして、その計画につきましても専門の担当であります農林省のほうに十分検討していただいたわけでございますが、農林省のほうもこの後期の計画は適当であるというふうに認めておられますし、当時問題になりましたいろいろな問題、たとえば砂利抜きによります草地造成の問題にいたしましても、それによりまして草地造成の事業費以外に、これによって利益をあげるものではないということもはっきりいたしましたし、またビッグサイエンスに対しまする技術提携の契約につきましても、これは一時的に職員の身分を切りかえているわけでございまして、これもすぐ切りかえるということでもございますので、大蔵省といたしましてはこの国有地払い下げにつきましては全畜連のこれに対する姿勢も積極的になってまいりましたので、またもう五年間、すなわち昭和五十一年三月三十一日まで延長するということで先般契約変更をいたしたわけでございます。
  240. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 御説明があったとおり、その後一年間猶予期間を置いて検討した結果、草地造成ということも用途指定の中に含めましょうというようなことも措置をされる、こういうことになったわけであります。  しかし、この出てまいりました後期事業計画ということで、これは農林省に聞きますけれども、当時私のところに全畜連から出してきたので四十七年度で千四百四十七万、これは四十六年度の決算で一億五千九百万ですか、それだけもう負債があるということになっておったわけですが、それを返さなければならない。これも農林中金との間に特別な契約をして債務の凍結をして返していくということになったようでありますが、それを返すのに四十七年においては一千四百四十七万七千円返せます。それから四十八年度には二千六百万円返せます。四十九年度になれば五千九百万、これだけ返せますと、こういう計画ができておった。四十七年度はもう終わったわけでありますが、この当時全畜連が言ったこれだけのものはきちんと返済がされておるわけですか。
  241. 白根亨

    ○白根説明員 お答えいたします。  私ども、先ほど大蔵省のほうからの御答弁がありましたように、後期の計画に五十年度を目標にいたします計画をこの一年間技術的なあるいは畜産経営の面、あるいは畜産の中で団体としましてどういうふうに役割りを果たしていくか、私ども自身も非常に関心のあるところでございますので、詰めてきたわけでございます。  その中で、私、その計画を詰める段階で承知をいたしておりますことは、詳細に千四百四十七万の件、ちょっと私現在不明なんでございますが、おもに農林中金から借りております金額、これが三億何がしというものが記憶に残っておりますが、それにつきましては、五十一年か二年ころだったと思いますが、たな上げをするという形で、それまでに鋭意当初もくろんでおりました計画目標に早く経営の実態を備えていく、こういう計画を持っておりました。  その計画がはたしてうまくいくかどうかというような面を、畜産の研修というものの効果をあげるということと、経営としてそれをなし遂げていけるというような面からおもに検討をいたしまして、過日大蔵省のほうからもそういう面についての検討も十分にするようにというような御依頼もございますし、私ども自体もこれは必要なことと考えまして、計画を徴しまして一時ヒヤリングをいたしまして詰めてきた経過がございます。過日私どもとしましてもこの後期の五十年度を目標にいたします計画、これはおおむね妥当というふうに考えて、その意を伝え、大蔵省のほうにもいろいろと御相談を申し上げたわけでございます。  私どもなおそういう詰めをいたしますと同時に、最終の段階で過日も指導官を現地に派遣いたしまして、実際のところをひとつもう一ぺん現地で確かめるというようなことをいたしましたし、それからもう一つ今後やはり私どもといたしましても定期的にきちんきちんと報告を徴しまして、その実績を確かめていくということがこれは必要である。それで公文をもちまして逐次報告を出す、そういう形をとっておりまして、今後計画が着実に進むかどうか、その間におきまして私どもとしましても指導を十分やっていく。それでいやしくも国有財産払い下げ趣旨に反するようなことのないように、かつまた私どもといたしましては畜産団体が団体として先生が冒頭申し述べておられましたように、会員団体に対する豚の配布でございますとか、あるいは研修というような点で十分機能を発揮するようにというようなことに一そう逐次定期的に確認をしながら指導していくということでまいりたい、こういうふうに思っている次第でございます。
  242. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 いまお聞きしますと、相当詰めた議論をして後期の事業計画を立てられたということであります。常時飼養頭数を年次別にどれくらいに目標を設定するか、あるいは子豚の分譲頭数をどのくらいにするか、研修生の受け入れ計画はどうするか、土地利用区分は、草地造成というものが入りまして新たに用途指定の中に入れた、認可をしたというようなことで計画が出ております。施設利用計画としても詳細書いてまいっておりますが、私どもがこの問題を取り上げたのは、地元の人たちが、全畜連はこれを申請の目的どおりに、そしてその事業をそれに見合うものとしてどこまでもやっていこうという気持ちはないのではないか、すでに借金も相当ある。  四十六年当時に私どもが知り得た負債額が一億五千何ぼ、いま三億というようなことでありますが、こうなりますと、またさらにこの負債の返済ということが非常に重要な問題になる。ところが、昭和四十一年、この契約をした当時にはこれは坪大体七百円から八百円ですか、大体七百七十円といわれておったわけです。これは三十三万平米、十万坪あるわけですから、それが私が取り上げた昨年の三月当時においてももう六億六千万以上になっているということが言われておりますし、さらに全国の地価公示価格が三〇・九%上がったということ、そしてあの辺はちょうど東北縦貫道の通るインターチェンジ近くになるというようなことで、近隣の土地も非常に値上がりをしております。もう坪一万円ははるかにこえただろう。そういうようになりますと十数倍というようなことにもなる。  だとするならば、このように計画計画として出しながら、ほんとうにその払い下げの目的であったものはもうやる気はないのじゃないか、それだけ赤字を出してしまったいまは、もう十年たってしまえば国の買い戻し権もなくなる、用途指定に違反しながらも、そういうことで農林省も突っかい棒をかっていろいろ指導している、そしてこの用途指定なんかも次々に広げたりしてめんどうも見ているけれども、そういうことで時間をかせぎながら、その十年の買い戻し期間を解かしたならばあとはもう自由であるということで、これはいずれそういうことで土地を売却して譲渡益をごっそりかせげば三億やそこらの借金なんかも問題ではない、そういうことになるのではないかということを、地元ではみんなまわりの人たちがうわさをしておるわけなんです。  私、そういう立場で、皆さんの指導が本物であるか、そしてまた何といっても全畜連が主体でありますから、全畜連はほんとう払い下げの目的をどこまでもやっていこうという立場であるのか。  これはそういうことをやるのには非常に適当な土地ですよ。確かに西那須野駅からもそう遠い距離でもないし、近くには農林省の草地試験場もある。道一つおけばいままで県の畜産試験場があった。こういうようなところで、あの辺はまさに畜産指導センターみたいなところなんです。これはその一画ですから、そういうことも考えるならば、これはあくまでうわさされているようなことがないようにやれるんだという自信があるならばたいへんけっこうなことだし、現在でも食用の肉が豚肉の場合でも牛肉の場合でも絶対的に足りないということで非常に問題になっているときですから、そういう方向に非常に役立つ。これはほんとうにそのとおりまじめにやるならば役立つはずなんです。  ところが、そういう形で計画をごまかしながら引き延ばしていって、十年たったらいいんだということになったら、これはたいへんな政治的大スキャンダルである、こういうことがおそれられるわけですよ。だからその点で、農林省は全畜連との接触も非常に深いわけだけれども、その辺のところは自信が持てるのかどうか、全畜連もやる気になっているのかどうか、そういう点についてきちんと答えておいてもらいたい。
  243. 白根亨

    ○白根説明員 お答え申し上げます。  いま先生から御指摘ございましたような不安、こういう点は私ども十分配慮いたします。それから、冒頭にもお話がございました金の償還の問題、こういうものも十分詰めてやったつもりでございます。  簡単に申し上げますと、豚の指導状況をちょっとつけ加えさせていただきたいと思いますが、御案内かと思いますけれども、畜産全般の問題ではございますが、最近特に養豚を中心にいたしまして、ふん尿を適正に処理するということが非常に問題になっておりまして、今後の食肉の安定供給をはかります上に、一つの大きな問題として私どもにかかっておるわけでございます。特にこのような施設が土地を使いましてうまくやれるというような点では、これまた将来の大きな指導拠点になり得る、また、そういう点は十分果たしてもらわなければ困るというような観点から、今回の計画あたりでも特に詰めたつもりでございますし、先生御不安の点は、先ほど申しましたように、私ども逐次指導を強めていきたいと思っております。現在そういう心配はないものというふうに私ども確信しておる次第でございます。
  244. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 大臣、この国有財産法第十条四項ですか、「大蔵大臣は、一定の用途に供する目的で国有財産の譲渡又は貸付を受けた者に対し、その用途に供されているかどうかを確めるため、自ら、又は各省各庁の長に委任して、当該財産について、その状況に関する資料若しくは報告を求め、又は当該職員をして実地監査をさせることができる。」こういうことが書かれておるわけです。これをやはりきちんとやって、大蔵当局としてもその面についてのわれわれなり地域住民が抱いているような疑惑というようなものが現実の姿にならないように、今後この問題についてどのように対処されるおつもりであるか、この点をきちっとひとつ伺っておきたいと思うのであります。
  245. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 本件については、昨年も御指摘をいただき、また今日もこうして御熱心に御質疑をいただいているわけでございますので、ただいま農林省からも確信をもって御答弁しておられるわけですから、政府としては今後とも十分ひとつ戒心してまいりたいと思います。  国有財産法第十条は、御指摘のとおりであります。私も冒頭に申し上げましたような決意でありますから、随時監査権等を発動してまいりたいと思います。本件にかかわらず、従来からやっておったはずだと思いますけれども、今後特にこういう点についてはひとつ十二分に配慮してまいりたいと思います。
  246. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 そこで非常に具体的なあれなんですが、もう契約の変更は調印をされたのでありますか。
  247. 小幡琢也

    小幡政府委員 本年の六月十三日に契約変更をいたしております。
  248. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 六月十三日に変更したわけでありますが、その中で、用途指定期間が五十一年の三月三十一日までということになったわけですね。当初の計画の段階で、最初の五年間の用途指定ということがまるっきりがたがたになって、その五年が四十八年の六月から五十一年まで延ばされた、それに従っていま農林省から言われたようなことが担保されるというか、保証の裏づけがなされるというような意味では、全畜連ともあろうものが——私はあえてそう言いたいのですけれども、これは全国畜産協同組合連合会としての使命に徹するというような立場ならば、そしてその申請した目的に従って、その事業の内容を確実にやっていくというならば、これだけ用途指定の期間を延ばしているわけですから、この買い戻しの期間というのも四十一年からではなくて、ことしから十年ということにして、全畜連も本気にそのことをやろうとするならば少しも痛痒を感じないはずだ。そしてその間においてもう一ぺんきちっとした監視をしていく。こういう立場でいくならば、そういう心配というのも非常になくなる、私どもの心配もなくなるわけです。また全畜連としても、それだけの買い戻し期間を延長されているということで、なお一そう当初の目的どおりにしっかりやろうという気持ちにもなろうというもの、だと思うのです。  その辺のところは、いま調印したものをもう一回すぐ直せというようなやぼなことは言うつもりはございませんけれども、四十八年度なり四十九年度において、またこの後期事業計画とかなりの食い違いが出るようなことがあったら、そういう買い戻しの期間はさらに延長するぞということぐらいぴしっとやるようなかまえは必要だろうと思うのですが、いかがでございますか。
  249. 小幡琢也

    小幡政府委員 本件につきましては、これだけの経緯のある問題でございますので、このために専担の監査官を設けまして、あと残りの用途指定期間を厳重に監視したいと考えております。
  250. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 あとほかにもいろいろあるのですけれども、時間もあれですから、残余の問題についてはまた一般質問等の機会に譲りまして、これで終わります。
  251. 鴨田宗一

    鴨田委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
  252. 鴨田宗一

    鴨田委員長 これより討論に入るのでありますが、本案につきましては討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  国有財産法及び国有財産特別措置法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  253. 鴨田宗一

    鴨田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  254. 鴨田宗一

    鴨田委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党を代表して、木村武千代君外三名より、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、提出者より趣旨の説明を求めます。武藤山治君。
  255. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨と内容を簡単に御説明申し上げます。  案文は、お手元に配付してございますので、朗読は省略させていただきます。  本附帯決議案の趣旨は、政府に対して、国有財産管理及び処分について、一そうその適正な措置を講ずるよう要望するものでありまして、その内容は次のとおりであります。  まず第一に、行政財産処分等の制限に対する特例について歯どめを行なうことであります。  御承知のとおり、行政財産は、国の直接行政目的である事務、事業等の用に供されているものであり、その管理運用については、きびしく規制されているところであります。  一方、最近における都市問題、土地問題は日増しに逼迫して、国有財産有効利用等に対する社会的要請も一段と高まってきております。そこで今回、行政財産に私権を設定することができる特例措置が設けられたのでありますが、これが無制限に拡大され、乱用されることとなれば、国政に著しく支障を来たすことは明白であり、また、国民から信託された財産管理主体としてその責めを免れないこととなります。したがって、私権の設定ができる範囲は、一部の私益に供することのないように、国民福祉に役立つ公用公共用またはこれに準ずる用途に供する場合に限定するよう十分留意すべきであります。  第二は、米軍に提供している普通財産の返還後の利用方針についてであります。  現在、国有財産行政の中で、この返還財産処理に対して、国民は、重大な関心を持って見守っております。この返還財産利用計画については、当然、国有財産中央審議会及び地方審議会に付議するとともに、あらゆる機会をとらえて、国民の合意を求めることにやぶさかであってはならないのであります。しかしながら、特に、返還財産地域住民をめぐるこれまでの経過を思い起こすとき、第一義的には、地元民の利便に供する姿勢が、民主政治の理にかなった措置であると思います。したがいまして、公用公共用に充てる場合においても、できる限り地域の再開発、住民福祉の向上等に資するよう十分に配慮すべきであります。  第三は、国有財産中央審議会及び地方審議会制度を一そう積極的に活用することであります。  すなわち、国有財産管理及び処分については、これが国民経済国民生活に与える影響がきわめて大なるものがあります。しかしながら、昨今の管理及び処分方法を見ると、ややもすると政府独断になりがちな面も見受けられ、また、不明瞭な点も少なからずありますので、審議会の経過の報告書を国会に提出すること、及びこの際、国有財産中央審議会及び地方審議会の機能をより一そう活用することにより、広く国民の理解のできる民主的な国有財産行政を行なうよう配慮すべきであります。  第四は、普通財産管理の委託制度の拡大に伴い、この制度の乱用を防止する措置を講ずることであります。  すなわち、管理委託のできる国有財産は、旧軍用財産に限られておりましたが、今回、この管理委託のできる範囲が普通財産全体に拡大されたことは、国有財産有効利用等の見地から、十分評価することができます。しかしながら、本制度の運用が一歩でも誤れば、国民の非難を受けることにもなりかねないのであります。  したがいまして、管理委託のできる場合として、地方公共団体のほか、地方公共団体管理のもとに町内会、地域自治会等が運営する遊園地、ちびっ子広場等の地域福祉をはかるものにも適用できることとするとともに、いたずらに私人の営利に適用を拡大することのないよう十分に留意する必要があります。  以上が、本附帯決議案の趣旨であります。  何とぞ、御賛成くださいますようお願い申し上げます。     —————————————   国有財産法及び国有財産特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、国有財産管理及び処分については、一層その適正を図るため、次のごとく措置すべきである。 一行政財産である土地について私権を設定することができる場合は、これを無制限に拡大することなく、国民福祉に役立つ公用公共用又はこれに準ずる用途に供する場合に限るよう十分留意すること。 二米軍提供財産の返還後の処理については、国民福祉に役立つ公用公共用優先的にあてることを原則とし、できるだけ住民の意思を反映させ地域の再開発、住民福祉の向上等に資するよう配慮すること。 三国有財産管理及び処分は、これが国民経済及び国民生活に与える影響が少なくないことにかんがみ、国有財産中央審議会及び国有財産地方審議会の機能を一層積極的に活用すること。 四普通財産管理を委託する場合は、地方公共団体のほか、地方公共団体管理のもとに町内会、地域自治会等が運営する遊園地・ちびっ子広場等地域福祉を図るものにも適用できることとすると共に、徒らに私人の営利のために適用を拡大しないよう十分留意すること。
  256. 鴨田宗一

    鴨田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  おはかりいたします。  本動議のごとく附帯決議を付するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  257. 鴨田宗一

    鴨田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。愛知大蔵大臣
  258. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その趣旨を十分尊重してまいりたいと存じます。     —————————————
  259. 鴨田宗一

    鴨田委員長 おはかりいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  260. 鴨田宗一

    鴨田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  261. 鴨田宗一

    鴨田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時十八分散会