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1973-06-19 第71回国会 衆議院 大蔵委員会 第41号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年六月十九日(火曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 鴨田 宗一君    理事 大村 襄治君 理事 木村武千代君    理事 松本 十郎君 理事 森  美秀君    理事 阿部 助哉君 理事 武藤 山治君       今井  勇君    宇野 宗佑君       越智 通雄君    大西 正男君       片岡 清一君    金子 一平君       木野 晴夫君    栗原 祐幸君       小泉純一郎君    三枝 三郎君       地崎宇三郎君    渡海元三郎君       中川 一郎君    野田  毅君       萩原 幸雄君    坊  秀男君       村岡 兼造君    毛利 松平君       佐藤 観樹君    塚田 庄平君       広瀬 秀吉君    村山 喜一君       山田 耻目君    増本 一彦君       広沢 直樹君    内海  清君       竹本 孫一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 愛知 揆一君  出席政府委員         大蔵省理財局長 橋口  收君         大蔵省理財局次         長       小幡 琢也君  委員外出席者         内閣法制局第三         部参事官    迫田 泰章君         防衛施設庁総務         部施設調査官  高島 正一君         農林省構造改善         局農政部長   今村 宣夫君         林野庁林政部長 平松甲子雄君         建設省道路局有         料道路課長   高橋  力君         自治省行政局行         政課長     砂子田 隆君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ————————————— 委員の異動 六月十九日  辞任         補欠選任   地崎宇三郎君     今井  勇君   中川 一郎君     片岡 清一君   広瀬 秀吉君     楯 兼次郎君 同日  辞任         補欠選任   今井  勇君     地崎宇三郎君   片岡 清一君     中川 一郎君   楯 兼次郎君     広瀬 秀吉君     ————————————— 六月十八日  付加価値税新設反対に関する請願(瀬野栄次  郎君紹介)(第七二三五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申し入れに関する件  国有財産法及び国有財産特別措置法の一部を改  正する法律案内閣提出第八七号)      ————◇—————
  2. 鴨田宗一

    鴨田委員長 これより会議を開きます。  国有財産法及び国有財産特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては、すでに提案理由説明を聴取しております。  これより質疑に入ります。村岡兼造君。
  3. 村岡兼造

    村岡委員 国有財産法及び国有財産特別措置法の一部改正についての質疑をいたします。  この法案の改正理由は、最近における社会的要請に即応して、国有財産無償貸し付け及び減額譲渡等をすること、という理由になっておるわけでございますけれども、一番先に、国有財産行政財産普通財産とに分かれており、定義は法律に出ておりますけれども、この行政、普通というのは、各省各庁できめることになっておるのですか、その点お伺いしたい。
  4. 小幡琢也

    小幡政府委員 国有財産法国有財産の分類が行政財産普通財産とに分かれておりますが、行政財産のほうは、御承知のように、国の行政目的に直接供用される財産でございまして、庁舎とか、公園、広場、皇室の財産、あるいは国有林野とか造幣局、印刷局工場施設、こういうものがございます。普通財産は、そういった行政財産以外の一切の国有財産をいうということで、いわば、原則として特定行政目的に供用されることのない財産でございます。  問題は、この区別はだれが行なうかということでございますが、これにつきましては、それぞれその財産を所管する各省各庁の長が行ないまして、いわば各省大臣がそれを行なう。しかし、普通財産につきましては、原則として大蔵大臣が管理するということになっております。したがいまして、各省各庁の長が主として行政財産を管理しておるわけでございますが、その用途廃止いたしました場合におきまして、これを普通財産にするといった場合に、原則として大蔵大臣に引き継ぐ、かように相なるわけでございますが、あくまでもこういった区別は、原則としては各省各庁が行なうということになっております。
  5. 村岡兼造

    村岡委員 この行政、普通の区別各省各庁が行なう。そうなりますと、一つの省あるいは庁でこの財産行政財産であるということであればそのまま行政財産になって、それのチェックとか何とかというようなことがどこかでやられているということはないわけですか。それを質問いたします。
  6. 小幡琢也

    小幡政府委員 行政財産は、ただいま申し上げましたように、行政目的に供される財産でございますから、それが行政目的に供されていない場合におきましては、これはやはり各省大臣の責任におきまして、用途廃止いたしまして普通財産にいたすわけでございますけれども、それが行なわれていない場合はどうするかということになりますと、大蔵大臣が、国有財産法上の総括大臣立場から、必要な場合には用途廃止等の必要な措置を求めることができる、かように相なっております。
  7. 村岡兼造

    村岡委員 行政、普通、その問題のほうはこれでやめます。  この法律で、普通財産を借りた場合は無償、そして行政財産無償にならない、こういうふうになっているわけでございますけれども、同じような目的国有財産を借りて、その財産行政であれば無償にならない、普通であれば無償になる、こういう例があるわけですが、この点はどう考えているのでしょうか。
  8. 小幡琢也

    小幡政府委員 国有財産法無償貸し付けができる場合が規定されておりますが、国有財産法のほうでは、行政財産につきましてもこれを準用することになっておりまして、行政財産を使用許可する場合に、普通財産と同じように、対価につきましては無償で使用許可できることになっておるわけでございます。  先生の御指摘の点は、おそらく今回の法律改正におきまして、国有財産特別措置法で、普通財産につきまして、新たに老人福祉施設等につきましての無償措置範囲を拡充するというところから御質問の点があると思いますが、これは確かに、今回の改正措置対象普通財産でございますので、行政財産には適用がない。しかしながら、実体が行政財産ではなくて普通財産になっているものにつきましては、やはり用途廃止各省にお願いいたしまして、それを無償貸し付けするということにすべきではないかと思います。
  9. 村岡兼造

    村岡委員 林野庁の方いらっしゃいますか。──いま、この法律改正案ができれば、行政財産無償にならない、それから普通財産無償になる。こういうことで、山形一つ例があるわけでございますが、老人福祉施設林野庁土地をお借りしている。これはこの法律改正になると、行政財産になるのか、普通財産になるのか、そして無償になるのかどうか、この点をお答え願いたい。
  10. 平松甲子雄

    平松説明員 私のほうで老人ホーム貸し付けております敷地につきましては、国有林野法規定の特性でございまして、行政財産のままそういうふうなものに貸し付けができるということになっておりますので、現在行政財産のほうは貸し付けておりますけれども、今回提案になっております法律案が成立をいたすという段階では、私どものほうでは、これを普通財産のほうに移しまして、この法律の趣旨に沿うような形で運用してまいりたい、このように考えております。
  11. 村岡兼造

    村岡委員 そうしますと、いまの山形の例ばかりでなく、そういうものがもしほかにあればそういうことにするということでございますね。
  12. 平松甲子雄

    平松説明員 一般的にそういうような形で対処してまいりたいというように考えております。
  13. 村岡兼造

    村岡委員 それから、これは大蔵省のほうにも林野庁のほうにも聞くわけでございますが、このように土地値上がりしておるような時代でございますけれども国有財産貸し付け料売却代が非常に高いというようなことも耳にするわけでございます。第一点でございますが、従来国有財産市町村にあるいは個人に売却する場合、競争入札制度というものをとられてきたわけでございます。一つの例を話しますと、国有財産の隣の民有地が坪三万円だ、そうすると、国有財産のほうでは一応予定価格と申しますか、そういうものを二万円くらいに置いて入札をさせる。ところが、入札をさせた結果、やはり競争でございますので三万円くらいで落札をする。国有財産が三万円で落札をするということになりますと、隣の今度は民有のところが、あそこで三万円なんだからこちらが売るのは四万円、五万円だ。そこが五万円くらいで売れますと、今度はまた国有財産を売るときにはあそこが五万円なんだから、予定価格はこっちも五万円なんだ。こういうことになって、二、三年の問にどんどんつり上がっていく、こういうような傾向もあるわけでございます。  この前の新聞に、横浜でございますか、払い下げの場合入札制度をやめる、こういうようなことも新聞の記事にも出ておりました。この点、入札制度というものはいまの制度でございますけれども、普通の隣の単価が上がった、だからそれにつれてそちらもやる、こういうのがはたしていいのかどうかということについて、大蔵省あるいは林野庁のお考えを聞きたいと思います。
  14. 小幡琢也

    小幡政府委員 国有財産を処分する場合の処分の方式でございますが、現在会計法上の原則はやはり競争入札となっているわけでございますけれども、実は最近の土地事情にかんがみまして、公用とか公共優先にできるだけ活用するという社会的要請にこたえる立場、それからもう一つは、非常に件数を多く占めている事例でございますが、物納財産のようなものを処理する場合特定縁故者払い下げをするということがありますので、非常に多くの部分随意契約によっているわけでございます。  それで、競争入札によるということは実際件数といたしましてはかなり少ないわけでございまするけれども競争入札に付するよりほかしかたがないというところもございますので、それはやはり競争入札によって従来もやっているわけでございますが、この問題につきましては、最近競争入札をいたしますと、やはり地価上昇に非常な影響を与えるという問題もございますので、こういった時期に際会しまして、ひとつ契約方式を全般的に再検討しょうということで、競争入札にする場合につきましては従来以上に慎重に取り扱うべきだ。かたがた、つい先日、四月でございますけれども国有財産中央審議会にこういった普通財産であります土地を売り払いする場合の契約方式について諮問をいたしまして、今後のこういった問題に対する対処のしかたについて検討していただいているところでございます。
  15. 村岡兼造

    村岡委員 いま競争入札制度を諮問して契約方式というものを再検討しようということでございますが、非常にそういう面も見られますので、私もどっちがいいかわかりませんけれども、非常に国有財産民有地土地値上がり競争しているというような事例もありますので、その辺のところはひとつ十分お考えになっていただきたい。  この地価上昇と同時に貸し付け料、これも大体三年で更新をしているようですが、どんどん地価が上がってまいりますので、今度は三年ごとの更新のときもどんどん貸し付け料が上がる。ところが、従来からの個人住宅とか何かは別にいたしまして、そういうのはあまり上がってないようでございますが、市町村が借りておる場合、とるほうも官庁、払うほうも官公庁、こういうようなことで高くはなったなということでどんどん払っておる。三年で契約して、あるときには四、五年で倍、三倍になる、こういうような事例があるわけでございますけれども、いまの土地の売り払いのときと同様に、貸し付け料の問題も非常に問題が出てきておる、こう思うわけでございますが、何か基準があるわけでございますか。大蔵省林野庁にお尋ねいたしますが、聞くところによると、大蔵省では貸し付け料の場合は前年の一・三倍を上回らないようにというような規定があるようでございますが、こういう規定があるのかどうか、林野庁はどうか、大蔵省林野庁にお尋ねいたします。
  16. 小幡琢也

    小幡政府委員 普通財産貸し付けます場合に、貸し付け料算定基準が全国統一的にきまっておりまして、一定の率になっておるわけでございますが、その率ではじきますと、前年次に比べまして著しく高くなる場合には、前年次の三割増しでとどめるということに大蔵省では取り扱っております。
  17. 平松甲子雄

    平松説明員 国有林野のほうでも、ただいま大蔵省からお話しの前年の一・三倍以内にとどめるという形で措置をしてまいったわけでございますが、国有林野の所在する町村というような地域は、おおむね過疎地域が多いというようなこともございますので、そういうところでは市町村財政状態もかなり貧弱であるというようなこともございまして、一・三倍に押えることも酷であるというような状態もあるようでございますので、本年から無償貸し付けあるいは減額貸し付けのできる対象になっておりますところの公用であるとかあるいは農用貸し付けておるもの、そういうようなものについては一・一倍にとどめるというような形で措置をいたしておるところでございます。
  18. 村岡兼造

    村岡委員 これはいま林政部長さんの御説明があったけれども大蔵省では一・三倍、三割を上回らないように、それから林野庁では本年から一割、こういうような御答弁をいただきましたけれども、こういう例はないだろうと思うけれども大蔵省国有財産林野庁財産が隣合わさって、それを一緒に借りた場合には、土地が上がった場合に一・三と一・一となるわけですが、こういう点で何かどうも、たとえば国有財産の管理、貸し付けあるいは払い下げの問題でも、各省各庁が一貫していないというふうに考えられるわけでございますが、この点は大蔵省国有財産総括という立場からどうお考えでしょうか。
  19. 小幡琢也

    小幡政府委員 大蔵省としましては、普通財産のそういった貸し付け料算定基準をつくりまして、総括的な立場から各省各庁にそれを流しまして、それを基準としてやっていただきたいということで、統一をはかるべくやっているわけでございますが、ただ各省各庁の財産につきましては、たとえば国有林野のような場合の料率の問題でございますけれども大蔵省のほうは、前年度の相続税課税標準価格の何%となっておる。ところがやはり国有林野につきまして、その相続税課税標準価格というのはなかなかとりにくいという事情もございましたのか、国有林野のほうは、時価掛ける一定料率と、料率も若干異なっておりまして、大体水準を合わせるようにしておられると思いますが、そういったいろいろな事情がありまして、少しずつ変わっている点は確かにありますけれども、本来的には、近くに財産があります場合に、それが権衡を失することは好ましくないのだ。この辺は今後も検討しまして、相談しまして、できるだけ権衡をはかるように努力したいと思っております。
  20. 村岡兼造

    村岡委員 いま御答弁いただきましたけれども、そうすると、これらは今後も各省各庁の考え方でその貸し付け料というものはやらせるということでございますか、それとも何か今後協議をして一貫性を持たせるということでございますか、どちらともとれなかったので、もう一度お伺いいたします。
  21. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これはまことに村岡委員のお尋ね、ごもっともだと思います。本来ならば国有財産処理については、特別会計所属であろうが一般会計所属であろうが、できるだけ同一の基準による取り扱いをすべきものである。今後そういう方向で関係各省の間の一そう緊密な連絡をとってまいりたい、こう考えております。  ただ、ただいまのお話し事例とちょっと逆になるかもしれませんけれども、たとえば林野特別会計は、御案内のように、企業会計であるという特殊の性格を持っておりますから、そういう点から申しましても、ある種の特別な運用といいますか、処理をしなければならないという性格も持っております点もございますから、それらの点も十分考慮に入れまして、しかし、原則的には本来統一的な基準処理をするようにしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  22. 村岡兼造

    村岡委員 大臣からお答えいただきましたので、また別のほうの質問をいたしますけれども、実は東北なんか特に林野庁土地が多いというようなことで、いま企業財産という御答弁があったわけですが、公共企業や何かで学校を建てたいとか、あるいは運動場をつくりたい、あるいは社会福祉施設を建てたい、こういう場合に、それはだれでもかれでも貸すというわけではないでしょうけれども、その地区の要望があった場合、林野庁はそれを調べて、今後も地域のためということであればそういうものを貸し付けたりあるいは譲渡したりするわけでしょうが、従来はたいへん長い年月がかかっておる、一件で何年もかかっている、まだできない、あるいはやっとできたというようなことがありますが、その点についてちょっと御答弁願いたいと思います。
  23. 平松甲子雄

    平松説明員 ただいま村岡先生指摘のように、東北地方には非常に国有林が多いということで、市町村等でいろいろ事業を考え出される場合に、用地取得という意味において国有林を貸してほしい、あるいは譲ってほしいという事例が多いということは御指摘のとおりでございます。そういう際、私どものほうでは、公共用については企業に著しい支障を来たさない限り、できるだけ御要望に沿うというような形で措置してまいってきておるわけでございます。ただ、私ども企業でございますから、企業として、団地として経営しておるところのまんまん中とか、あるいはそれがだんだん切られるというような形でございますと、それはやはり企業としては補完的な修正をしてやらしていただくというようなことも必要になってくるということで、そういう点で多少時間がかかったこともあろうかと思いますけれども、ただいま申し上げたような方針で対処してまいりたいというふうに考えております。
  24. 村岡兼造

    村岡委員 それから、今度法律改正になりますと、普通財産であっても行政財産であっても社会福祉施設については無償になる、これはたいへんありがたいのですが、その無償になる基準の問題でございます。この点、一つの例ということで考えていただきたいのですが、これは林野庁ばかりではなしに全体の問題になろうかと思います。  実は一つ福祉施設で、いままで五割減額対象になっておったところ、一人当たり十五平米、八十人おれば八十人、あとはどういう計算方法かわからないけれども、それに掛けた、十五かける八十、これが五割減額対象になる、それがその半分ぐらいが四割減額対象になる。あとは全然対象にならない。どうも何か私から見ますと、従来厚生省か何かで老人ホーム建物に一人当たり十五平米というような基準補助金を出したり何かしている。それがどうも敷地のほうまでなっている。八十人の老人がおって約三千坪ぐらい借りておるところで、実は減額対象になるのはほんのわずかの場所しか減額対象にならぬ、こういうような事例があるわけでございますが、この点は貸し付けた場合の、今度せっかく無償あるいは減額対象になりましても、何かそういうようなきついワクがはめられておって、三千坪借りても減額対象あるいは無償対象になるのはわずか三百坪とか四百坪、こういうような事例があるわけでございますが、この点についてはひとつ大蔵省のほうでどういうふうに考えておられるでしょうか。
  25. 小幡琢也

    小幡政府委員 国有財産減額措置制度運用の問題でございますけれども、たとえば社会福祉施設国有財産貸し付けます場合に、どの範囲減額対象にしたらいいかという問題でございまして、確かに必要なものは全部対象にするということでけっこうでございます。間々非常に過大な数量がある場合にそれを全部対象にするのは、やはりこういった減額措置制度というものは相手方に特別な利益を与える制度でございますから、乱に流れないようにする必要がある、こういった考え方から、やはり範囲をしぼろうということになりまして、先生いまお示しのとおり、たとえば養護老人ホームにつきましては厚生省と相談いたしまして、適正規模というのを出しまして、その施設を維持運営するに必要な最小の規模である、こういうことで、一人約十五平米というものでそれを運用している、それだけの建物対象にする、しかも土地は建蔽率で割り出した数量である、こういうようなことをしておりまして、それを五割減額対象にしよう。  それで、それからはみ出る部分はどうかといいますと、いま言いました適正規模の五割増し範囲内におきまして、一割その割合を下げて減額しよう、それをさらにオーバーする分につきましてはこれは時価、こういうような制度を現在とっているわけでございますけれども、この基準は何しろかなり古くから使っている基準でございまして、必ずしも現在の実情にそぐわない点もあるのじゃないか。それから、いま言いましたような、建物をまず出して、それから敷地を出すというこのやり方ならば妥当であるかどうか、いろいろ検討すべき問題がございますので、今回の法律改正を機に、こういった運用基準につきまして全面的に洗い直しをしたい、かように考えております。
  26. 村岡兼造

    村岡委員 いま御答弁ありましたのであれですが、たとえば貸す場合ですね、三千坪なら三千坪必要だと思って貸しておるわけですね。その中の一つのいまの例ですが、建物だけのものしか減額対象にならぬ、建物以外はだめだというようないままでの例、極端にいえばそういうふうになっておるわけですが、やはりこれは全般的に見まして、東京なんかの国有財産は貸したくても面積が非常に小さいというようなこともあろうかと思いますが、東北の場合は面積は相当ある。やはり学校であっても、子供らが自由に飛び回れるように、あるいは老人の方々が散歩できるように、せっかくこういう今回の法律改正案でたいへんよかったと社会福祉施設人方が喜んでおるわけだけれども、いざ実際の運用の面になってくると少々の部分しか対象にならない。こういうことではせっかくの今回の法律改正案が泣きますので、いま答弁のありましたように、もう一度何か東京とかあるいは東北とか、面積の大きい小さいなんということを言わないで、やはり必要とした場合にはそれだけの面積を、学校敷地であれ、運動用地であれ、あるいは社会福祉施設であれ、それを認めて三千坪でも五千坪でも貸しておるわけでございますから、そういう点を十分に、東京は貸したくても土地がないのでそういうふうに小さな面積にしかならない、こう思いますので、その点も十分に考慮してひとつ再検討願いたい、こう思うわけでございます。  さて今度、土地値上がりというようなことで、いま一番問題は物価と土地だ、こういわれておるわけでございますが、新聞なんかで一番住宅地が不足な地帯は東京とか名古屋、大阪という三大都市圏、こういうようなことをいわれておりますけれども新聞等によりますと、ずいぶんと国有財産があるんではないか、この国有財産を吐き出せばある程度土地なりあるいはそういう問題の解消になるのではないかということが、ずいぶん新聞等あるいは本などでいわれておるわけでございます。  さらにその中を見ますと、各省各庁のなわ張り争いで、先ほども行政財産あるいは普通財産区別のことを質問いたしましたけれども、がっちり各省でこれは行政財産だということで握ってしまって、普通財産は幾ばくもない。これらは調べるのにたいへんな件数もありたいへんだと思いますが、こういうものは調べておるのでしょうか。行政財産とか普通財産、これは行政財産だけれども普通財産にしてもいい、こういうようなことは大蔵省なんかで調べておるのでございましょうか。
  27. 小幡琢也

    小幡政府委員 国有地の有効利用の問題でございますが、昨年国有財産中央審議会の答申をいただきまして以来、四十七年度一ぱいかかりまして、有効利用の一環としまして、未利用の普通財産の現況、数量がどれくらいあるかといったことを鋭意調査したわけでございます。それから行政財産につきましては、やはり一年かかりまして、各省各庁にわたりまして非効率に使用されている行政財産あるいはほとんど利用されていないような財産につきまして洗いまして、大体全国的な問題となる数字はつかんだわけでございますので、今後この数字をもとにいたしまして、その中をよく吟味いたしまして、必要に応じまして、行政財産につきましては各省各庁に対しまして、これを用途廃止するなり、あるいは有効に転用するなり、そういう措置をお願いするということになろうかと思います。いわゆる未利用の普通財産につきましては、すでにこういう公共用に優先的に活用したいということで公園とかその他公共施設に相当転用いたしております。
  28. 村岡兼造

    村岡委員 いまこの首都圏とか近畿圏とか中部圏という三大都市圏で未利用の普通財産がどの程度の面積あるかということは、大蔵省のほうで大体の線をつかんでおられますか。もしつかんであったら、この未利用の普通財産面積をひとつ出していただければ幸いだと思います。
  29. 小幡琢也

    小幡政府委員 今年の五月一日現在におきます大蔵省所管の普通財産のうち、がけ地とか、利用困難なものは除きまして、ごく普通のいわゆる宅地あるいは宅地見込み地というものについての数字でございますが、首都圏につきましては千六百三十二ヘクタール、近畿圏につきましては二百二十八ヘクタール、中部圏につきましては二百二十三ヘクタール、合わせまして二千八十五ヘクタールございますけれども、実はこの中に、特に首都圏の中に茨城県の水戸の対地射爆撃場がございまして、これが一件だけで千百四十七ヘクタールもございまして、しかもこれは本年の三月十五日に返還になったばかりでございますので、こういう特殊なものをこれから除きますと、この三つの都市圏で大体九百ヘクタールである、こういうふうに考えております。     〔委員長退席、大村委員長代理着席〕
  30. 村岡兼造

    村岡委員 いまお話しになったのは大蔵省所管の普通財産で、それは五月末日現在でございますか。
  31. 小幡琢也

    小幡政府委員 五月一日現在でございます。
  32. 村岡兼造

    村岡委員 それではもう一つお尋ねいたしますが、三大都市圏で、行政財産で低利用の国有地はどのくらいあるのかということを御質問申し上げます。
  33. 小幡琢也

    小幡政府委員 三大都市圏にございます行政財産で未利用ないし低利用のものの数字でございますが、先ほど申し上げましたように、昨年度一ぱいかけまして調査した数字が出ておりますけれども、これはやはりいろいろ中を吟味しなければいかぬという問題もございます。ただ、従来私どもの調査しました数字によりますと、三大都市圏で未利用の行政財産は四十二ヘクタールぐらい、こういう数字もございます。これは先ほどの今年の五月一日の数字ではございません。古い数字でございます。
  34. 村岡兼造

    村岡委員 こういう未利用の普通財産あるいは行政財産の中の低利用の国有地はいまおっしゃった面積だけあるわけでございますけれども、これは大蔵省で今後しっかりした計画を立て、これをどうやって利用していくかというような御計画はいまできているんでしょうか。それともまだできていないのでしょうか。
  35. 小幡琢也

    小幡政府委員 普通財産につきましては、まず現況の把握が大事でございまして、現況把握いたしましてからできるだけ早く利用計画を策定するように各財務局に指示しているわけでございます。  利用計画の策定のしかたといたしましては、国有地を含めまして一定地域におきまする土地利用に関するいろいろな計画、都市計画とか開発計画とかいろいろな計画があろうかと思いますが、そういった計画とのからみ、それから地元の地方公共団体などの意見というものも十分参考といたしまして、なお関係の地方行政機関との連絡を密にいたしまして、できるだけ長期的、総合的な観点に立って検討を加えるようにということで指示し、各財務局におきましては過去につくりました利用計画の見直しをやって、策定がえを行なうということをいま鋭意やっているところでございます。  それから、行政財産につきましては、これから内容を、各財務局に集まっております調査結果の内容を吟味いたしまして、各省に対してどういうようなことを求めるかということを検討したい、こういうふうに考えております。
  36. 村岡兼造

    村岡委員 いまできるだけ早くというようなお答えでございましたが、大臣にちょっとお尋ねいたしますけれども、国有地とかいろんなものがうんとある、なかなか吐き出していない、こういうようなことがしょっちゅう新聞に書かれるわけでございます。そうしますと、国民でもわれわれでも何か隠しているんじゃないか、隠しているわけじゃないでしょうが、こういうような気持ちになるわけで、こういう新聞の中の一つをとっても「建設省が大蔵省に公式文書で児童公園を作りたいので、国有地の一覧表を見せてほしいと申し入れたが、一しゅうされた。拒否した理由は、そんなものを見せたら、代議士が押しかけて児童公園誘致競争が起こり収拾がつかなくなる。」こういうのが堂々と新聞に出ておる。  これがほんとうかうそかは別といたしまして、いまの未利用地あるいは行政財産で低利用というものは、時間をかけてということでなしに、やはりそういうものの疑惑のないようにやっていかなければ、国民は何か国有財産大蔵省あたりでばっちり握っちゃって出していないのだ、中には側溝とかどうにも使いものにならない国有地もあろうかと思いますが、そんなことは決してないと思いますけれども、こういうふうに書かれますと、やはりこれを打ち消すような対策をとっていかなきゃならぬ。国民はやはりまだまだあっても出していないんじゃないか。  この中に、東京二十三区内の国公有地の未利用、低度利用地千二百五十万平米、東京近辺の国鉄用地の非能率利用二百万平米、こういうようなものが読売新聞に出ておるわけでございます。こういう点がもしあればあったで利用計画なりを早く策定してやる。なければ、そういうものはないのだということで、今後そういうような国有財産考え方をしていってもらいたいと思いますが、この点について大臣、いかがでございますか。
  37. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まことにごもっともでございまして、第一にどういう関係でそういう記事が出たか、そこをよく調べてみたいと思いますけれども、建設省その他から要請があって、それを隠しだてしているというようなことはあってはならないことであると私は考えます。  それから、先ほど来小幡次長から申し上げておりますように、現在未利用の普通財産等については、先ほど答弁もありましたが、平米単位とヘクタール単位とで多少食い違いもあろうかと思いますけれども、ヘクタール単位で未利用地であると大蔵省として認めておりますのはこれこれということを申し上げておりますし、さらに詳しく御説明いたすことにやぶさかではございません。  さらにこれから、近い将来において相当大規模な、たとえば米軍との関係などで返還されるものもございますが、これらの関係についても、十分現在の社会的な要請にこたえるように各方面からの御意見を十分尊重しながら利用計画をつくってまいりたいと思います。利用計画といいますか、処理方法を決定したい、こう考えております。  それから、全国的に土地の利用計画というものは、御承知のように建設省その他が中心になって国土総合開発庁ができますれば非常に効率的に仕事が進むと思いますけれども、国全体として全国土にわたって利用計画というものを計画しているぐらいでございますから、いわんや国有財産の面におきましては率先してというか、当然その利用計画を関係の向きでやはり積極的に考えていただいて、それと照応して国有財産処理方法を進めていきたいと、基本的にはこういう考え方でおる次第でございます。
  38. 村岡兼造

    村岡委員 いま大臣から米軍に貸し付けたものの返還というような問題が出ましたけれども東京近辺で今後返還を予定されているもの、これがわかっておりましたらひとつ御発表を願いたいと思いますが、どうでしょうか。
  39. 小幡琢也

    小幡政府委員 首都圏でここ一、二年のうちに返還が見込まれます提供財産は、主として本年一月に発表されました関東平野地域におきます米空軍施設の整理統合に伴う財産でございますが、たとえば立川飛行場、それから大和空軍施設、府中空軍施設、関東村住宅地区、キャンプ朝霞の南地区、ジョンソン飛行場、それに水戸対地射爆撃場がございますが、これはすでに返還になっております。それからこのいわゆる関東計画のほかに、近く返還が見込まれますものといたしまして、神奈川県相模原にありますキャンプ渕野辺とか横浜市の横浜海浜住宅、こういったものがございます。
  40. 村岡兼造

    村岡委員 これらの面積はわからないのですか。いまおっしゃった場所の面積、それから今後そのように順々に返還になってくるけれども、これらの返還になったあとの利用を現在どう考えておるか、この点をひとつ御答弁願いたい。
  41. 小幡琢也

    小幡政府委員 ただいま申し上げました各財産面積でございますが、民有地、公有地も実は提供財産に含んでおりますが、私どものほうで関係いたしておりますのは国有地でございますから国有地の面積を申し上げます。まず立川飛行場が四百八十一万八千平方メートル、それから大和空軍施設、これが三十四万三千平方メートル、それから府中空軍施設が五十五万六千平方メートル、関東村住宅地区が六十一万二千平方メートル、キャンプ朝霞が百十六万一千平方メートル、ジョンソン飛行場が百六十三万三千平方メートル、それに水戸対地射爆撃場が千百四十七万八千平方メートル、それからあとに申し上げましたキャンプ渕野辺が六十六万平方メートル、横浜海浜住宅が三十七万九千平方メートルでございます。  それから、あと地の利用の方針でございますが、何ぶん非常に大規模財産ばかりでございまして、従来にない利用性を持っているということで、これはひとつじっくり検討する必要があると思いまして、そこで先般、国有財産中央審議会に付議いたしまして、このような特別に大規模財産につきましては、従来国有財産地方審議会でやっておりましたものを、国有財産中央審議会に付議して処理することにいたしまして、それで中央審議会では、そのために特に研究調査、検討する、こういう意味におきまして、専門の小委員会をつくろうということになりまして、返還財産処理委員会を設けたわけでございます。そこで広く有識者の意見をお聞きいたしまして、ともかくまあ従来よりも時間をかけて慎重に処理した  い、このように考えておるわけでございます。
  42. 村岡兼造

    村岡委員 いま米軍の返還の敷地は、答弁があったように、東京土地不足から見れば膨大な土地だ。これもじっくりもいいわけでございますが、先ほども言いましたように、いまのおもな焦点は物価と土地だ、こういわれておりますから、まあ順次返還になるでしょうが、この小委員会でやはり早急に結論を出して、住宅でも、あるいは運動場でも公園でも、そういうような利用計画を早目に、いつものように役所ということになりますとおそいという感じを国民に与えないようにひとつしていただきたい。  最後に私、御要望を申し上げて質問を終わりますけれども、どうしてもいままでの国有財産の取り扱いその他については、たとえできても相当長い、こういうような感じが国民にあり、また実際に問題についてそういうことがある。林野庁においても保安林の解除、こういうものが非常に長くかかる、申し込んでから、承諾をしてから、大体いいとなってから半年もかかる、こういうような例もありますので、ひとつ十分その点は考慮していただきたい。  同時にまた、東北地方のことを出しますけれども、町のまん中に国有財産みたいなのがある。あとはたんぼである。いま食糧危機なんということもいわれておりますが、利用できるとなれば、やはり広い面積林野庁所有のところである。そういうようなことで、当該の市町村で要らぬものを貸せと言うわけはないわけでございますので、その点、ひとつ申し込みがありましたら、林野庁でも、何でもかんでも貸せということは決して市町村でも言わぬと思いますので、その点ひとつ貸していただけるか、あるいは売っていただけるか、こういうことにしていただきたい、こう思っております。その点をお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
  43. 大村襄治

    ○大村委員長代理 武藤山治君。
  44. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 今回提案をされている国有財産法及び特別措置法の一部を改正するにあたって、本案並びに関連する諸事項について、それぞれの担当の大蔵省林野庁、農林省等に事実関係をいろいろお尋ねをいたしたいと存じます。  まず最初に、大臣に所見を伺いたいのでありますが、今回の改正は、最近における社会的要請に基づいて行なわれるのだということですが、具体的に現在の全国的な無償貸し付け要望、そういう状況がどういう姿になっているのか、その辺の大体のアウトラインを、ちょっと状況報告を願いたいと思います。
  45. 愛知揆一

    愛知国務大臣 国有財産の管理についての基本方針というものは、やはり国の財産としては常に良好な状態において管理されなければならないというのが一番の基本であると思います。そしてその所有の目的に応じて最も効率的に運用されなければならない。これは財政法の基本原則でございますから、まず行政財産についてはその目的に応ずるような能率的な運用を可能ならしめるように、適正に維持、管理しなければならないと思います。  ところで、ただいまの御質疑でございますが、都市における過密化の現象が著しいので、各方面の要望としては、生活環境保全、それから災害防除というような観点から、あるいはまたオープンスペースを確保して都市の再開発をはかること、まあ大体原則的に申しますと、こういう方向からくる要請が非常に強いと考えられます。したがって、これからのやり方としては、特に都市及び都市周辺に所在する未利用の国有地、それから提供返還財産あと地、これについては総合的な地域計画や長期的な土地利用計画のもとで、従来よりも一そう公共の用に優先的に充てられるように地域の再開発、生活環境の改善に寄与することを主眼として、処理が従来よりも容易になるように、あるいは内容が改善されるようにというふうにしてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから、普通財産につきましては、買い受け勧奨制度とか二十年以内の延納制度というものを、やはり同じような目的からいいまして、積極的に活用して処理の促進をはかることが現下の要請にこたえるゆえんでなかろうか、こういうふうに考えておりますことが、大ざっぱでございますけれども、基本的な考え方でございます。
  46. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 理財局長、現在、無償でぜひ貸し付けを願いたいという件数はどのくらい大蔵省に出ているのですか。
  47. 橋口收

    ○橋口(收)政府委員 お尋ねがございましたのは、国有財産につきまして無償貸し付けをしてほしい、まあこういうことであろうかと思いますが、従来から国有財産の管理の基本方針につきましては、いま大臣からお答えがあったとおりでございますが、国有財産無償貸し付けあるいは減額貸し付けをいたします場合には、それぞれの無償貸し付けなりあるいは減額貸し付けを受けました団体なりあるいは法人なりが、いわば財政的な援助を受けた、こういう考え方処理をいたしてまいっておりますので、減額貸し付けをする場合あるいは無償貸し付けの取り扱いをする場合には、法律規定によりまして限定をされておるわけでございます。  いま無償貸し付けについてどういう希望があるかということでございますが、具体的な件数等についてはあとでお答えいたしたいと思います。一般的に申しますと、要望事項として従来から強くいわれておりますのは、いわゆる義務教育学校施設に対して無償貸し付けをしてほしい、こういう要望が強く出ておるのであります。これに対しまして、いま御説明いたしましたように、当該団体に対する一種の財政的な援助になるという考え方から、従来は大蔵省としては、国有財産の所在市町村と所在してない市町村との間に不均衡が生ずる、そういう考え方から、学校施設に対しましての無償貸し付けは適当でない、こういう考え方をとってきております。したがいまして、件数ということで申しますならば、いわゆる義務教育学校施設に対する無償貸し付け要望件数としては一番多い、こういうことであろうかと思います。
  48. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 現在大蔵省が所管しておる普通財産の未利用地ですね、この面積が三千五百二十万平方メートル、そういう資料を提出願ったのでありますが、その数字と、同じ資料の下段に示されている売り払いの面積を比較すると、これは数字が間違いかどうか、四十六年の売り払い面積が二千二百五十一万一千平方メートル、さらに四十七年度の見込みが二千二百三十万平方メートルになりますね、この資料では。そうすると、国全体の未利用地の三千五百二十万平方メートルと売り払っている面積の差が一千万平方ぐらいしかないのはちょっと理解できないのですが、大蔵省からもらったこの資料は間違いありませんか。
  49. 小幡琢也

    小幡政府委員 この資料は間違いございません。といいますのは、四十六年度の売り払い数量二千二百五十一万一千平方メートルといいますのは、この中に相当多くのものが未利用ではなしに、貸し付け中の物納財産等あるいは特別に占用されているところを特別の縁故ということで売り払ったもの、こういうものが相当含まれてございますので、全部が全部これが未利用地ではございません。それで数字がそういうことになっているわけであります。
  50. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 大臣、ただいま申しましたようなたいへんな面積大蔵省は持っている。未利用地だけでも三千五百二十万平方メートル、さらに売に払っているだけで年々大体二千二百万平方メートル、四十七年が二千二百三十万、四十六年が二千二百五十一万、四十五年が二千百四十四万平方メートルというように、たいへんな広い面積を年間に払い下げをいたしているわけであります。したがって、この払い下げの方法、価格の基準、またいずれのものに払い下げをするかという取得者との関係等々、これは厳正公平を旨としなければならぬと思うのであります。  そういう立場から、少々内容をお尋ねをいたしたいのでありますが、四十七年度の払い下げの中で上位十位までを大体出してみてくれぬか、こういうことで大蔵省から、上位十位までの金額、面積等勘案して提出をされた資料によりますと、個人に、たとえば横浜市港南区上永谷町という所在地で、数量が六万平方メートル、金額が四億三千五百八十六万六千円で払い下げをした、こう書いてある。だれに払い下げをしたか運輸業とだけしか書いていない。もう一つ同じ神奈川県横須賀市長沢字殿前ですか、これが払い下げ価格二億四千九百万円、建設業と書いてある。この個人払い下げた運輸業、建設業の両者についての会社名あるいは個人なら個人名、これをまずどこのだれだかを明らかにしていただきたい。
  51. 小幡琢也

    小幡政府委員 これは運輸業ないし建設業と書いてございます。いずれもこれは相手方が宅地造成をいたしまして、その際に発見いたしました、宅造地内に点在いたします、いわば地形狭長、単独利用困難な畦畔と称するものであります。これが非常に細長いものでございますが、広い土地の中にあるのを全部集計いたしますと、こういったかなりの面積になるわけでございますが、結局介在する畦畔ということでこれは処理したということでございます。したがいまして、特にこれは私どものほうでは問題のないケースではないかと考えております。
  52. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 会社の名前は……。
  53. 小幡琢也

    小幡政府委員 会社名につきましては、運輸業は京浜急行電鉄株式会社、それから下の建設業は大成建設株式会社でございます。
  54. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 大蔵省は問題ない。大蔵省が問題のあることが初めからわかっていて払い下げしたらたいへんなことになるから、問題はないというのは当然の答弁だろうと思いますが、私たちがいまの答弁を聞く限り、六万平方メートルの畦畔、この一つの京浜急行株式会社が買っただけでも六万平方メートルも畦畔が出るということは、ちょっと常識で考えられない。畦畔というのはくろですよ。たんぼとたんぼの間、畑と畑の間のくろ、これを畦畔と呼ぶのですよ。普通畦畔というのは人間のやっと歩ける程度のところです。それが六万平方メートルになるというのは、答弁ではちょっと納得できぬから図面で提示を願いたい。ここの払い下げの地図をひとつ提示を願いたい。それから大成建設に四万八千平方メートル、これも畦畔ですか。
  55. 小幡琢也

    小幡政府委員 私のほうで現地に照会いたしまして調査した結果、これはいずれも畦畔であるということであります。
  56. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 これは図面を見ないとわからぬことでありますが、畦畔が四万八千平方メートル、六万平方メートルあるということになると、相当に広い造成地ですね。この造成地全体の面積はどのくらいのところですか。
  57. 小幡琢也

    小幡政府委員 京浜急行電鉄のほうは造成規模約五十七万六千平方メートル、それから大成建設のほうは造成規模二十五万一千四百七十三平方メートルでございます。
  58. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 五十七万平方メートルの造成に対して一割、一割畦畔があるなんという地形のところがありますか。この造成した地目は山ですか、たんぼですか、畑ですか。
  59. 小幡琢也

    小幡政府委員 ちょっと地形は承知しておりません。いずれ調査いたしましてお答え申し上げます。
  60. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 もしこれが山だとしたら畦畔はそんなにあるはずはない。山に畦畔というのは聞いたことがない。そうすると、大体それだけの造成をする田畑となったらこれはたいへん広いところを買収するのでなかなか容易ならぬことだと思うのですが、しかし、私がこれを質問しても、大蔵省は下からの報告に基づいて、これ以上わからぬということでは質疑をしても先に進まぬから、これは保留にして後日また、あなたのほうが図面を提示して、畦畔というものが明らかにわかる登記書きかえ前の登記図面を複製したものをお見せ願いたい。そうしないとこれはちょっと納得がいきません。  大臣、いかがですか。いいですか、大成建設に払い下げたほうは、二十五万平方メートルの造成のうち四万八千平方メートルがあぜ道だというのですよ。片方、京浜急行に売り払ったのは五十七万平方メートルのうちの六万平方メートルだから約一割強だ。愛知さん、そんなに畦畔というのはあるものだと常識として感じられますか。
  61. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは資料としてもあるいは差し上げておるかとも思いますが、畦畔が一割九分二厘、全体の造成規模の中で〇・一九二の割合である、かようになっておるわけでございますが、これはただいまも御質疑がございましたように、地図等によってまた御説明をいたすことにいたしたいと思います。
  62. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 京浜急行に売り払ったほうは、単価はどういう計算になっておりますか、さらに大成建設のほうも、単価はどのようになっていますか。
  63. 小幡琢也

    小幡政府委員 京浜急行電鉄に売り払いましたほうの売り払い単価でございますが、一平方メートル当たり七千二百六十円、それから大成建設に売り払いましたほうの財産でございますが、売り払い単価一平米当たり五千百四十九円、かようになっております。
  64. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 これを払い下げするときの状況でありますが、中央審議会ですか、それとも地方審議会で売り払いの処理はいたしたのですか。これはどこですか。
  65. 小幡琢也

    小幡政府委員 これは実は地形上単独利用困難な介在畦畔ということで、こういうものは地方審議会にかけないことになっております。したがいまして、地方審議会にかけておりません。
  66. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 おかしいね。そういう大蔵省の恣意にまかせて、これは地方審議会にかける、これは中央審議会でやる、これはまあかけなくてもよかろうというようなことをかってに判断されたのでは、国民の財産が不当に安く売られる場合もある心配もあるし、売ってはならぬような、もっと効率的な使い方のあるような土地を簡単な手続で売り払う場合も起こり得るし、どうもそこらの手続のしかたが納得いかぬですな。  そこで、あとで図面がきてから具体的に状況判断をまたいたしますが、話がちょっと先に進みますが、理財局長、前は国有財産審議会経過報告書というものをきちっとした冊ものにして各大蔵委員に全部配布をしてきたのでありますが、あの審議経過を印刷しなくなってしまったのはいつからですか。
  67. 小幡琢也

    小幡政府委員 従来国有財産地方審議会審議経過というものを作成して、これは委員の方々、それから財務局の関係者等に内部資料として配っていたわけでございますが、作成をやっていたのは四十四年度の審議経過までで、それ以降、要するに四十五年度の分以降はやめることにしております。
  68. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 あの報告書があると、大きな国有地の払い下げというのはあの報告書の中で大体わかる。だから、これは不当であるか当然であるかということをあれをずっと読めば私らも納得がいくのでありますが、四十四年までずっと毎年やってきて、かなりりっぱな本になっています。大臣もおそらく御存じだと思うのです。そういうものは親切にずっとあったほうが審議の材料にもなるし、国民に疑惑を持たれないし、当然発行すべきじゃないでしょうか。  これは大臣の見解ですな。もし発行すべきだという判断なら、これは三、四年切れても新たにまたやるべきだ、いいことはやるべきだ、こう私は思うのでありますが、大臣、お考えいかがですか。
  69. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ごもっともと存じます。どういう経緯でやめたのか、その辺のところも私としても検討しまして、私は御意見ごもっともだと思いますから、そういう御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。
  70. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 理財局長並びに次長、いまの大臣答弁ですね、大臣答弁は、法律に匹敵する重みのある権威のある発言でありますから、十分ひとつ行政当局は直ちに検討に入っていただきたい。これは希望申し上げておきます。  それから理財局長、やがて主計局長になり大蔵次官になるだろうといわれておる理財局長の前に、あまりこまかい質問をするのはあるいは失礼かもしらぬけれども、あなたが今日担当しておるという立場で率直に伺っておきたいのでありますが、一年古くなりますが、今度は四十六年度の大口の払い下げで私が不審に思う問題二点。  それば昭和四十六年度の払い下げの中で広島県呉市広町、面積六万百三十九平方メートル、金額九億一千二百万円、これはだれに売ったのか。それから大分県佐伯市長島という所在地、面積五万七千六百三十一平方メートル、金額三億七千八百八十五万円、この二つは公共団体ではない民間の会社に払い下げをされていると思うが、その会社の名前をひとつ……。
  71. 小幡琢也

    小幡政府委員 広島県呉市広町の売り払い案件でございますが、これはパルプ製造業、相手方は東洋パルプ株式会社でございます。それから大分県佐伯市長島の売り払い案件、これは輸送用機器、つまり造船業でございますが、相手方は株式会社臼杵鉄工所でございます。
  72. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 大蔵省、これもあぜ道ですか、六万平米、五万七千平方メートル全部が。
  73. 小幡琢也

    小幡政府委員 東洋パルプの件は旧軍港市国有財産処理審議会に付議して処理した案件でございますが、隣接の東洋パルプ株式会社に対しまして、公害防止施設、つまり工場の排水処理施設、廃棄物処理加工場並びに無公害パルプ工場の敷地ということで、これはみな旧軍港市転換計画にのっとった計画であるということで処理したわけでございます。それから、臼杵鉄工所の案件でございますが、これは実は昭和三十一年七月から十五年余り国有財産を臼杵鉄工所に貸し付けていたものでございます。それを貸し付けから売り払いに切りかえてほしいという要望があったわけでございまして、つまり特別の縁故ということと、それからもう一つは、造船所として従来木造船をつくっておりましたものを鉄鋼船をつくることに切りかえるということで、産業の保護、奨励という意味から適当じゃなかろうかということで、これは畦畔と違いまして、国有財産南九州地方審議会に付議して処理したものでございます。
  74. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 両件とも用途指定はつけてあるのですか。
  75. 小幡琢也

    小幡政府委員 東洋パルプのほうは用途指定をつけてございます。指定期間もございます。それから、同じく臼杵鉄工所のほうも用途指定をつけて、指定期間もつけて処理しております。
  76. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 その用途指定をつけた状況がそのとおり守られているかどうかというその後の確認調査、そういう点は、大蔵省、きちっとしてありますか。現状は約束どおりきちっと利用されているのかどうか、その辺はいかがですか。もしされていないとすれば、早急にその現状を報告していただきたい。
  77. 小幡琢也

    小幡政府委員 この二件につきましても、最近現地に照会いたしましたところ、いずれも有効に利用されているという報告を受けております。
  78. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 遠くのほうの話だから、次長や局長に聞いても、部下からの報告を答えるだけで、なかなか真実はいずれであるかというのはわかりにくいのでありますが、いまの二件は、他の地方自治団体なり学校なり、そういうところがら、私のほうに払い下げてほしいという競願は全くなかった案件ですか。
  79. 小幡琢也

    小幡政府委員 おそらくそういう競願はなかったろうと思います。特に東洋パルプのほうは、地元の呉市というのが、軍転審議会にかけます場合には必ずサインをいたしますから、そういう競願はなかったと思います。また、臼杵鉄工所のほうも、特にそういうことは聞いておりませんので、おそらく競願はなかったと思っております。
  80. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 大蔵大臣、世間で疑惑を持たれたり、批判をされる、自民党の人気を悪くする──こういう国有財産払い下げをめくってのちまたの批判というのはかってたいへん強いものがありました。われわれは誤解を受けないために、こういう委員会できちっとアフターケアをしなければならぬという立場からやっておるのでありますが、いまのような個人に、あるいは普通の民間法人に払い下げる場合は、十分審議会にかけ、さらに地方自治体の意向なども十分聴取して、しかる後に決断をする、そういう態度をとっていただきたい。同時に、いま住宅用地が足りない、こういう大衆の大きな要望のあるときでありますから、国有地というのはできるだけ住宅用地に活用していく、そういう方向を大臣として明示して、どうしてもそういうものに活用できない、地形上やいろいろな条件からいってどうしても無理だというものはやむを得ません。そうでないものはできるだけ住宅団地に活用していこう、こういう考え方大臣として一本筋を貫くという御意思になれないものかどうか、御見解を承りたいと思います。
  81. 愛知揆一

    愛知国務大臣 前段で御指摘のありました点は、私も非常に気になる点でございまして、私は事実を承認するというわけではございませんが、いろいろの風評が起こるということは、私もよく耳に入るところでございますから、これはほんとうに国民的に、常識的にも非常によく納得していただけるような処理でなければなるまい、こう考えます。  実は私の気持ちを申し上げますと、国有財産法改正を今国会に御提案いたしましたのも、一つには、これから国有財産処理についてきりっとした、また同時に社会的要請にこたえるようにいたしたいという気持ちで、これは率直にいいますと非常に緊急を要するものというふうに、世間のある見方から見れば、いま何で国有財産法をあえて改正する必要があるかというような御意見もあろうかと思うのですが、私の感覚としては、ぜひこの際直すべきところは直すということで、あわせて国有財産処理問題等について、こういう社会的な環境の中でございますし、ことに土地問題、住宅問題、またオープンスペースをもっと広げたい、こういう社会的感覚の強いときでございますから、こういう機会に大いに御審議をいただきたい、こう私は政治的に配慮いたしたつもりでございますから、いろいろの御意見は謙虚に伺って、正すべきところはこの法律改正の機会に正したい。  それから、御質問を先取りするようになるかもしれませんけれども、たとえば中央の審議会と地方の審議会のあり方等につきましても、われわれとしては、先ほど申しましたように、提供財産の返還がごそっと来るようなときでもございますから、これは真剣に取り組むべき問題であるということで、運用も変えることにいたしましたが、それについてはまた別の御意見も伺っておりますから、そういう点もあわせて十分配慮を加えたい、こういうふうに考えております。
  82. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 いまの大臣答弁、前向きで、たいへん期待をするものがあるのでありますが、土曜日ですか金曜日ですか、社会党の楢崎代議士、横路代議士等が大蔵大臣にお会いしたのは、これからの軍事基地のあと地利用の問題で、大蔵省は地方審議会にかけずに中央審議会でこれらのあと地利用の払い下げ方針や貸し付け方針をきめたい、こういう方向だということにたいへん不満がありまして大臣への陳情になったのだろうと思うのであります。大臣新聞によると、再考したい、こう出ておるのですね。これを私なりに理解いたしますと、地方の知事や首長などが加わっている地方審議会というものは、当該地域内の払い下げの問題がからむので好ましくない、それで中央審議会に全部吸い上げて、国ペース、大蔵省ペースで判断をし、ものをきめたい、こういう意図から中央審議会にかけて払い下げをしようということだろうと私は推測いたしたわけでございます。  しかし、大臣のただいまの答弁と、楢崎、横路両代議士の申し入れについての、再考したいという大臣の気持とを加味して考えてみますと、これから検討し直して、従来地方審議会でやっていたようなケースは全部地方審議会、そういう前例をやはりもう一回洗い直して、先ほどの報告書も検討したいということと同じように、取り扱いの基準範囲をもう一回早急に検討し直すという気持ちに受け取っていいのか、その辺ひとつ大臣のしっかりした見解を承っておきたいと思います。
  83. 愛知揆一

    愛知国務大臣 私が楢崎委員等に申し上げたといいますか、ほんの短時間でしたが御意見を伺いましたときに、実は私はこういうふうな印象を受けたのです。今後非常に大きな返還財産の問題を扱わなければならないものですから、これは慎重の上にも慎重にやらなければなるまい。そこで、むしろ中央審議会でがっちり権威をもって審議をしていただきたい。そしてそのために、これは中央審議会の委員の方々の御意見でもございましたが、特に小委員会をまたその中につくって、そうして十分に検討する、それから関係地方団体等の御意見はもう随時そこで御意見を徴することにする、こういうことにしたほうが、私に意見を言ってくださった楢崎さん等の御趣旨に沿うものであると、実はそういうふうにかってな、一方的でございますけれども、私はそう考えていたので、あなたの御心配のことと同じことを心配して、私はむしろこういうふうな扱い方をしたほうがいいと思ったのであるということを率直に申し上げたのです。  ところが、それは方法論としては楢崎さんは逆で、やはり関東計画であれば関東地方審議会で審議をしたほうがよろしいと思います、中央審議会は、あなたはそう考えたかもしれぬが、天下りベースといいますか、そういったことになってしまうおそれがあるから、これは前々からのように関東地方審議会のほうがよろしい、こういう御意見でございましたから、それでは今後それはどちらが──思っていることは同じのように伺いましたから、どういう仕組みでこれをやっていったらいいだろうかということを十分、私も御意見を伺ったんだからひとつ検討いたしましょう、こういうことでお別れをしたわけです。  今日ただいまの私の見解は、これは問をとって、慎重の上にも慎重にやったほうがいいんじゃなかろうか。たとえば基本的な考え方等については中央審議会でいろいろと、せっかく小委員会も中立的な学者さんその他にお願いしているわけですから、いたしまして、具体的な、どういうところにどういうふうに処理したらいいというようなことについては、ひとつ関東地方審議会のほうでまた御審議をいただくことで、並行的に両者いいところを発揮して、社会党の方の御心配と私の心配と、心配するところは同じでございますから、両々相まって円滑にいたしたらどうであろうか。ただいまの見解としては私はそうでございますが、なお十分検討させていただきまして万全を期したいと思います。
  84. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 アメリカ軍の基地返還後の利用については、大蔵大臣は、両審議会で両々相まって審議してもらう、こういう見解でありますが、理財局長、そういうことは行政手続上全く矛盾は起きない、可能である、かように理解してよろしゅうございますか。
  85. 橋口收

    ○橋口(收)政府委員 ただいま大臣からお答えがございましたことで全部尽きておりますが、多少補足して申し上げますと、中央審議会でこの問題を取り上げて検討していただくということを中央審議会におはかりをいたしましたときに、関東の地方審議会の委員が同時に中央の審議会の委員を兼ねておられる方がございます、その先生からも、やはり関東の審議会のいわば権限と申しますか処理事項と、本件に関する中央審議会の処理事項はどういう関係にあるか、こういう御質問が実はございました。したがいまして、具体的な財産をどういう価格でどういう相手にいつ処分するかという問題につきましては、いま大臣からお答えがございましたように、関東の地方審議会で最終的に正式におきめいただく、こういうことは行政的には可能であろうと思います。  ただ、関東の審議会がそういう判断をします場合の基礎的な諸条件あるいは判断の基準となるべき事項等につきましては、全体としての方針と申しますかあるいは大綱と申しますか、そういうことにつきましては、やはり全国的な立場あるいは全国民的な立場という意味におきまして、中央の審議会において方針を御審議いただき、そういう方針に基づいて、具体的な評価の問題あるいは調査の問題、線引きの問題等につきましては、関東の地方審議会で最終的な方針をきめていただく、こういうことは現在の中央審議会の任務なり権限あるいは地方審議会の任務、権限等の関係におきまして、特に矛盾はないというふうに考えております。法律規定におきましても、中央審議会は一般的な方針と重要事項について調査審議するとなっておりますので、重要事項という範囲に入るということであれば、これは中央審議会で方針なり大綱をきめていただく、それに基づいて地方審議会で最終的に判断をしていただくということは行政的に十分可能であるというふうに考えます。
  86. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 中央審議会というのは、定数何名で、どんなメンバーがおるのですか。
  87. 小幡琢也

    小幡政府委員 国有財産中央審議会委員の定数は三十名でございます。三十名のうち、学識経験者、それから地方公共団体職員、それから関係行政機関の職員と、三つに分かれるわけでございますが、学識経験者のほうは、各界からいろいろ意見を徴するという意味で、広くわたっておりますが、人数は十八名。それから地方公共団体の職員は二名でございまして、全国知事会会長と全国市長会会長、この二名でございます。それから関係行政機関の職員、これは各省十名でございます。
  88. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 特に首都圏、東京を中心にしたこの近辺では、東京、神奈川、埼玉、山梨、茨城、この五県が大体該当するのじゃなかろうかと思うのでありますが、そういう場合に、中央審議会は全国知事会の代表であって、全くここに関係のない人が代表で出ていた場合と、この五県の知事が含まれた場合とでは、たいへんまたこの判断が違ってくると思うのです。したがって、こういう広大な面積の軍事基地のあと地利用ということについては、やはり当該広域的な範囲で、関東なら関東の五県くらいのそういう知事が、決断にまで参加できる、ただ意見を聴取するだけではなくて採決に参加できるという配慮も、十分検討に値すると思うのであります。新聞報道によると、この五県の知事の、地方自治体の参加が除外をされ、意思が尊重されないだろうというたいへんな不安を持っているということが朝日新聞に報道されているわけであります。また、東京都知事の意見では、そういうような、中央審議会で一方的にばたばたときめるようなことがあれば、地方自治体としても今後あと地利用について一切協力ができぬぞ、そういうことまで新聞報道をされているのでありますから、ぜひひとつそういう地方自治体の適切な利用というものを十分反映できるように、その方法について今後一そうの検討を願いたい。先ほどの大臣答弁で、うそを言わないまじめな大臣という評判でありますから、あなたの検討するということばを期待しておりますが、ぜひひとつそういう点を重々配慮願いたい、かように希望いたしておく次第でございます。  次に、同じ国有財産でありますが、林野庁管轄の国有林野の売り払いの問題であります。  現在、国有林野面積は七百八十万ヘクタール、たいへんな国有林があるわけでありますが、その七百八十万ヘクタールのうち年々売り払っている最近の状況を見ると、四十六年度は千六百五十二ヘクタール、四十五年が千百五十二ヘクタール。おそらく四十七年の数字もわかっていると思いますが、四十七年はどのくらい売り払いをいたしましたか。数字はいかがですか。
  89. 平松甲子雄

    平松説明員 四十六年度は千九百九十三ヘクタールでございますが、四十七年度はまだ集計をいたしておりません。
  90. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 四十六年度は千九百じゃなくて、私の手元に届いた資料は千六百五十二ヘクタールですよ。千九百ですか。そうすると、この資料はどこから持ってきたのか。これは林野庁から提出願ったのですよ。
  91. 平松甲子雄

    平松説明員 ただいま申し上げました数字は、売り払いのほかに所管がえを含んでおりまして、売り払いの数字でございますと、ただいま先生おっしゃった数字でございます。
  92. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 一年間に大体千六百ヘクタールというのはたいへんな面積でありますが、売り払いの大体の基準というか、こういう場合には売り払いをして、こういう場合は貸し付けだという何か林野庁としての一定基準というのはあるのですか。それをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  93. 平松甲子雄

    平松説明員 国有林野につきましては、先ほども申し上げましたように国有林国有財産でございますから、国有林野事業の円滑、適正、効率的な運営をまず主眼としておりまして、そういうふうなことを頭に置きながら国土の有効利用という観点から公用公共用というようなものに対して売り払いをするという形で考えてまいっております。
  94. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 公共的なものに売り払いをする、その公共的とはどういう範囲ですか。公共的の概念の中身はどうなのですか。
  95. 平松甲子雄

    平松説明員 府県であるとか市町村であるとかあるいはそれに類する公共団体が公用に供するというようなもの、あるいは農業関係等につきましては農業者の集団が公用に供するというようなものも公共用というふうに処理をいたしておるわけでございます。
  96. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そういたしますと、四十六年度の払い下げの中で林野庁は高知県窪川町の梅原里吉なる個人に九十九ヘクタール払い下げをしていますが、これはどういう公共性という観点から個人払い下げをしたのか。
  97. 平松甲子雄

    平松説明員 ただいま先生指摘の件につきましては、個々の経緯があるわけでございまして、国有林野につきまして、国有林野の境界等をはっきりさせるとか、あるいは団地としての経営が十分できるように国有林野整備ということで民有林の買い入れをするわけでありますが、ただいま御指摘の梅原さんも、三年間にわたって梅原さん所有の山林を買い入れるということにいたしたわけでございます。四十四年度に購入しまして、引き続き四十五年、四十六年に購入いたします分についての価格の折り合いがつかないということで、梅原さんのほうでは、そういうことであれば自分のほうとしても国有林として先に売り渡した分について自分のほうで経営したいというふうなことでございましたので、いろいろな事情をしんしゃくいたしまして、この分については御本人に売り戻しをするということが妥当であろうという判断をいたしまして、売り戻しをしたわけでございます。     〔大村委員長代理退席、松本(十)委員長代理着席〕
  98. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 この九十九ヘクタールというのは、最初梅原さんのものだったのを国が三年間で買い上げて、それをまた売り戻した。面積も全部間違いなく一致していますか。
  99. 平松甲子雄

    平松説明員 先ほど申し上げましたように、三年計画で買うということで約百八十ヘクタールの購入を予定しておったわけでありますが、ただいま御指摘の点につきましては、四十四年に購入いたした分でございまして、その後四十五年、四十六年に購入することになっております分について価格が折り合わなかった、こういう状況でございます。
  100. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 よくわからないんだなあ、そのいきさつが。梅原さん個人が山を持っていて、それを国に売ってくれということで個人の山を林野庁が一たん買ったわけですか。その買った面積は幾らです。まず最初に国が買った面積を明らかにしてください。
  101. 平松甲子雄

    平松説明員 当初の計画といたしましては、全体の面積で百八十ヘクタールの購入を三年間にやるということにいたしまして、初年度の四十四年度に九十九ヘクタールを購入いたしておりました。それで残り約八十ヘクタールくらいになりましょうか、その分について四十五年度及び四十六年度に購入するということで折衝いたしましたけれども、価格で折り合いがつかないということでありまして、それなら最初の九十九ヘクタールを売り戻してくれというお話でありましたので売り戻した、こういう事案でございます。
  102. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 今度はわかりました。そうなると計画では国が百八十ヘクタール買うわけだったが、値段が折り合わなくて計画がパアになった。そこで、四十四年度にすでに国が九十九ヘクタールを買っちゃったもんだから、それを返してくれということになった。その場合の価格はどうなんですか。
  103. 平松甲子雄

    平松説明員 当初千二百八十万円で購入いたしましたが、売却いたしましたときには二千六百万円で売り払いをいたしております。
  104. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そうすると三年間で幾らかもうけるわけですね。そこで、地価値上がりの計算の問題なんでありますが、国有財産台帳は五年に一回ずつ評価を改定するわけですね。四十六年の三月に台帳の評価がえをやったわけでしょう。そうすると五十一年の三月三十一日ですね。そうなると、その場合に建設省がいま発表している土地の公示価格、ああいうものを参酌して簿価を改定していくのか。国有財産の台帳価格を変更していく基準は何ですか。これは林野庁あとで答えてもらいたいと思うのです
  105. 小幡琢也

    小幡政府委員 国有財産台帳の改定は五年ごとに行なうわけでございますが、五年目に改定します要領としましては、一応調査をいたしましてできるだけ時価に近寄せる。しかしながら一件一件について一々時価を把握するということはできませんので、一応大まかに一定の率を使いましてそれぞれ財産ごとに倍率で修正する、しかしその修正した結果が著しく不適当、不合理であるというときには個々に修正する、かような手法をとっているわけでございます。
  106. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 だからその場合の基準、目安としては建設省の公示価格というようなものがかなり参考になるのですか。それとも市町村の固定資産税の評価がえの価格というものが大体目安になるのですか。それとも売買実例のそのすぐ隣接最短距離の売買価格が簿価に改定されていくのですか。三つあると思うのですが、どれが一番近い大蔵省の改定例ですか。
  107. 小幡琢也

    小幡政府委員 従来原則として付近の売買実例を見て基準をきめるということをしておりましたが、公示価格の制度ができましてからは、公示価格が付近にありましたならばできるだけそれと均衡をとるようにするということでございますから、そういった公示価格のある地域につきましては公示価格を基準とするということに今後なろうと思います。     〔松本(十)委員長代理退席、大村委員長代理着席〕
  108. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 林野庁はどういう計算なのかわかりませんが、山林で、四十四年に国が買い上げたものを四十六年、二年後に売り戻した場合には倍の値段になっていますね。これはどういう計算根拠ですか。
  109. 平松甲子雄

    平松説明員 国有林野の売却の際の評価といたしましては、山林につきましては、取引事例を参考にいたしまして、その取引事例基準といたしまして、土地の地利の優位性であるとかあるいは等級差であるとか、そういうものを勘案いたしまして価格を算定するということでございますし、この土地につきましては、従来立木もあったわけでございますから、立木及び土地の評価というものが年数の経過とともに上がっておったということが、こういう金額の差になったと考えております。
  110. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 時間がだんだんなくなりますから次へ進みますが、農林省の国有農地のほうの担当の方いらっしゃいますね。──自作農創設特別措置法による特別会計所属の国有地面積は、四十六年度末現在で三千四十六ヘクタール、そのうち現在小作に貸し付けている面積が千六百二ヘクタール、宅地として貸し付けているのが三百二十六ヘクタールある、こういう資料をあなたのほうからいただいたのでありますが、その中で、不在地主の小作地というものは、現在の法律でも、国が買い上げるという法律制度になっていると思いますが、現在でもそうなっていますか。
  111. 今村宣夫

    ○今村説明員 さようでございます。
  112. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 現在不在地主の小作地と思われるものは、おそらく迅速に処理されていないのではないかと思いますが、年間どのくらい不在地主の土地を国有農地として買い上げておりますか。
  113. 今村宣夫

    ○今村説明員 現在不在地主が所有する小作地の買収は、農地法九条の規定に基づいて買収することになっていますが、最近の数字で申し上げますと、昭和四十四年度に百四十四ヘクタール、昭和四十五年度に三十二ヘクタール、昭和四十六年度に二十二ヘクタールの買収を行なっております。
  114. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 年々漸減をする傾向でありますが、これはやはり各市町村の農業委員会でこれは不在地主だということを発見をしたら手続をするのか、小作人から申請があったら直ちに許可をするのか、それが一つ。  もう一つは、不在地主だということが発見されて農業委員会へ書類が出る、あわてて地主は寄留をする、不在地主じゃない、おれは引っ越した、そういう場合、あつれきで紛争が起こる場合があると思うのですね。そういう状況はどのようになっているか、この二点をちょっと伺っておきたいと思います。
  115. 今村宣夫

    ○今村説明員 先生よく御存じのところと存じますが、いまの農地法の六条の規定でいきますと、内地では一ヘクタール以上を持てない、北海道では四ヘクタールまでである、こういうことになっておりまして、たとえば私が耕作しておりますのが離農をするということになりますと、その相続人は一代限り在村扱いをするわけでございます。それから、私がたとえば小作地を所有いたしておりまして、私が死んだということになりますと、これは不在地主になるということでありますから、事実関係はわりとはっきりいたしておるわけでございます。  そこで、もしそういう事実が発生いたしますれば、あるいは農業委員会あるいはその他の方法によりまして、わかり次第直ちに不在地主ということで公示をいたすわけでございます。公示をいたしますと、一カ月以内に所有権の譲渡をしない、農業をやる人に土地を売らないということになりますと、初めて買収の規定が働いてくることになるわけです。したがいまして、最近その件数がだんだん落ちておりますのは、一つは、四十四年に農地法の改正をいたしまして、買収は時価によるということにいたしたものでございますから、そこで公示がありますれば直ちに相対で話をつける──譲渡をされれば別に買収ということはあるわけではございませんけれども、そういう相対の話が行なわれるということで、だんだん件数が減っておるというふうに理解をいたしておるわけでございます。
  116. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 この前国会でたいへん騒ぎになって、旧地主に売り払う場合に坪五円何ぼということでたいへんもめて、時価の七割というような法律改正が行なわれて、おそらく一定の期間猶予期間があったものだから、安い旧価格で払い下げをしようという傾向がかなりあったのではなかろうかと思われる。そこで、ちょうどあの改正が行なわれた前年と改正の年とその後の三カ年の払い下げ申請は、件数面積等どんな状況になっておりますか。
  117. 今村宣夫

    ○今村説明員 最近三カ年の売り渡しの実績を申し上げますと、昭和四十四年度には二千七十件ございまして、売り渡しの面積が百八十二・一ヘクタールでございます。四十五年は件数で千四百二十五件で、売り払い面積が八十九・六ヘクタールでございます。四十六年は、法律ができた年でございますが、六百十五件で七十三・七ヘクタールでございます。これは御存じのとおり法律が制定されましたために、制度改正の期間中売り払い事務を留保いたしたということがございまして、数字が七十三・七ヘクタールに相なっております。
  118. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 それから旧地主に一たん返してからでないと他の施設に利用できないという手続上の問題があるのでありますが、公共的に利用する場合には安く払い下げをするという、何かそういう制度というものは農地の場合はないのでしょうか。
  119. 今村宣夫

    ○今村説明員 法律で、適正な価格によるということでございまして、その適正な価格は政令の算出するところによるとございまして、政令で時価の七〇%というふうに一律に書いてございます。  ただ、公共用に促進するという趣旨は法律にもうたわれておりますし、また私たちも関係各省と協議いたしまして、促進のための措置をいろいろ講じておりますけれども、価格そのものは別扱いをいたしておりません。
  120. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 地方自治団体に払い下げする場合には安く評価できるのでしょう。それはできませんか。一切もう七〇%ということで機械的にやっているわけですか。
  121. 今村宣夫

    ○今村説明員 当時いろいろ議論がございましたのですが、その価格をいろいろ売り渡しの相手方によって差をつけますと、どこで線を引くかということが非常にむずかしいことになります。同時にまた、ものごとの発端が御存じのようなことであったものでございますから、公共用に活用を促進するということは考え方に十分取り入れてございますけれども、そういう場合に価格を安くするという扱いはいたしておらないわけでございます。
  122. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 市町村がたとえば児童公園をつくるとか、わずかの面積でありますが、あるいは児童図書館をつくるとか、そういう市町村が主体でやるという場合には、七割よりも値引きをして旧地主は市町村にそれを安い値段で分けてやる、そういう話し合いがついている場合には値段を引いていいんじゃないだろうか。何かそういう制度はあってしかるべきじゃないかと思うのです。大蔵省のほうはかなりそういう方向で、公共的な利用については考え方が非常に柔軟ですね。農林省はそういうことは一切考慮しないということですか。
  123. 今村宣夫

    ○今村説明員 当時あの法律が出ますときにも、ちびっ子広場とかなんとか、いまのような御趣旨のお話がございましたが、御存じのとおり、党のほうの議員立法で処理せられました経緯がございまして、そのときにいろいろそういう話も出ましたけれども、ものの発端がそういうことでございますので、一律にそういう扱いにすべきだという立法の形になってございます。  ただ、価格の点は別にしましても、たびたび申し上げるようでございますけれども公共用の活用につきましては非常に留意しておりまして、たとえば先ほど申し上げました数字のほとんど大部分は、四十六年度は公共用に売り払われたのでございます。
  124. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 国有財産の取り扱いについては、大蔵省、農林省、林野庁等ができるだけ同一の基準、同じような考え方で統一をされることが最も望ましいことであり、国民も奇怪感を持たないと思いますので、今後払い下げをめぐる問題については、三者十分話し合いをして基準を統一してもらいたい。こういう希望を私申し上げて、農林省、林野庁それぞれの担当の大臣おりませんから、大蔵大臣国有財産の管理、監督の中心は大蔵省でありますから、今後そういう面を十分配慮願いたいと思います。  次に、アメリカ軍の基地でこれから返還をされるという目鼻、年次等、大体今日予定が立てられるものをちょっと明らかにしていただきたいと思います。
  125. 小幡琢也

    小幡政府委員 提供財産で今後返還が見込まれるものでございますが、いわゆる関東計画に基づきますものは、向こう三年以内に返還するということに相なっているわけでございます。それで先ほども申し上げましたけれども、関東計画に基づいて見込まれる財産といたしましては、立川飛行場、大和空軍施設、ジョンソン飛行場、キャンプ朝霞、それから関東村住宅地区、府中空軍施設、そういうものがございます。それからそのほかといたしましては、神奈川県相模原のキャンプ渕野辺、横浜海浜住宅、このようなものが近く返還が見込まれておる財産でございます。
  126. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 これは立川飛行場、府中空軍施設、関東村住宅地区、キャンプ朝霞、ジョンソン飛行場、横浜海浜住宅等々、三年以内ということでありますが、このうち最も近い時期に返還されるのはこの年度内ですか、来年度になるのですか。これはいつごろがめど、これはいつごろがめどということをちょっと発表してくれませんか。
  127. 小幡琢也

    小幡政府委員 今後最も近い時期に返されますものは一応この六月末ごろと聞いておりますが、それに該当するものがキャンプ朝霞、大和空軍施設、それからジョンソン飛行場、それから立川飛行場の一部でございますが、立川飛行場のほうは国有地はございませんで民有地ばかりでございます。なお、その後四十八年度、本年度中に返還される予定といたしましては、神奈川県相模原のキャンプ渕野辺が見込まれております。
  128. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 大臣、いま大蔵省が発表されましたように、キャンプ朝霞がこの六月、ジョンソン飛行場も六月ごろ、大和の基地も六月ごろ、もうすぐ目の先でこの三カ所が返還される。面積はキャンプ朝霞が百十六万一千平方メートル、ジョンソン飛行場が百六十三万三千平方メートル、たいへん膨大な面積になるわけであります。これらのあと地利用について、先ほど来大臣質疑応答を行ないました問題点が、地方自治団体に十分その地域の開発、また住民福祉にかなうような方向で払い下げをするなり貸し付けをするなりしなければならぬと思うのでありますが、大蔵省の現時点における基本的な態度は、この膨大な面積は売ろうというのか、貸そうというのか。そういう中心的な目標、基準というものは、何かもうすでに上層部では検討しておるのでしょうか。
  129. 橋口收

    ○橋口(收)政府委員 膨大な財産が返還になりますので、それをどういう方針で処理するかということは、これは大蔵省にとっても大問題でございます。のみならず、政府全体といたしましてもできるだけ有効な活用をはかる、こういう考え方で、処理の方針を中央の審議会にはかって最終的にきめたい、こういうことでございます。  ただ、先ほど来御質問の中にもございましたように、やはりこれだけの財産が国民の手に戻るということでございますから、地域住民の意思なり意向なりあるいは地方団体の御希望というものも十分参酌して最終的な方針をきめたい。こういう時勢でございますから、地元の御意向というものと全くかけ離れた処理というものは現実問題としてむずかしいと考えておりますし、先ほど武藤委員の御意見として、たとえば住宅問題というお話もございましたが、一例をたとえばグラントハイツとかあるいは王子キャンプについて申しますと、地元は、住宅ができるということにつきましては、率直に申しまして必ずしも賛成でない。王子キャンプのごときは一切お断わりということで、結局住宅に対する配分というものは一切できなかった。それからグラントハイツにつきましても、大体三分の一程度が住宅で、残りは学校とか公園とかいうような処理になっておるのでございます。  その他、例は幾つもございますけれども、そういう実情でございますので、住宅問題の処理にも貢献しつつ、同時に地方の公共団体の施設の整備、あるいは国有財産処理でございますから、当該地域の住民の利益だけを考えるということも必ずしも適当でない。国有財産の所在地の地域住民にとりましてはたいへんなプラスでございますけれども、当該の恩恵に浴せない住民のことも考えれば、たとえば住宅等につきましてもこれを配分するということが必要になると思います。住宅につきましても、公団住宅あり公営住宅あり公務員住宅あり、いろいろな問題がありますので、そういう点を総合的に勘案いたしまして、最も適当な方法で最終的な処理をしたい、こういう考え方でおるのでございます。
  130. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 大体終わりますが、先ほどペンディングにしておいた神奈川県横浜市港南区六万平方メートル、さらに横須賀市長沢字殿前の四万八千平方メートル、あぜ道だと答弁をされた問題、これはひとつぜひ図面とその状況について、次の委員会までに明らかになるように願いたい。  それからもう一つ、広島県呉市広町の六万平方メートルの東洋パルプに払い下げした土地の用途指定がどのように守られておるかどうか、この点をひとつ明らかに調査の結果を御報告願いたい。  大臣、ただいま申し上げましたような国有財産、国の財産でありまするから、国民の関心は非常に高いわけでありますから、この六月から返還になるアメリカ軍基地利用の問題については、将来指弾を受けられないような、なるほど公正妥当であるという、そういう審議の過程、最終的な結論、そういうものを生み出すように、大臣としてせっかく一そうの御健闘、御努力を期待をしておりますが、最後に、きょうの質疑を通じて、大臣国有財産管理運営についての決意をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  131. 愛知揆一

    愛知国務大臣 武藤委員から非常に適切で御熱心な御意見を伺って、私も大いに意を強うしたわけでございます。いまお話しのような線に沿って、この上とも一そうの努力をいたしたいと思います。
  132. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 質問を終わります。
  133. 大村襄治

    ○大村委員長代理 本会議散会後直ちに再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時四十二分休憩      ————◇—————     午後二時二十一分開議
  134. 鴨田宗一

    鴨田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。佐藤観樹君。
  135. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 きょう私は、北富士の演習場の国有地の払い下げについて、大蔵省の態度を中心にしてお伺いをしたいと思うのであります。  これを調べていきますと、歴史は長いのでありますけれども、かなり法律を歪曲して解釈をして払い下げをしようとしている態度がありありとうかがわれるわけであります。その背後には、アメリカ軍に貸した演習場を自衛隊が使用している。この自衛隊の不法使用に対して裁判が起こされたわけでありますが、この裁判はおそらく決定的に負けるであろう。こういうことのために、金に糸目をつけず地元の恩賜林保護組合を、あとからお伺いをしますけれども、金銭的なことで納得をさせた形にして演習場を使用する、こういうことが今度の国有地の払い下げの問題の中で、はたしてこれで国有地払い下げというものが法律上適法なのかどうなのかということを疑わざるを得ないようなことが数々行なわれているわけであります。  そこで、まずお伺いをしたいのでありますけれども、時間がむだでありますから、国有地に限って、国有地の払い下げの正しい順序、手続というのは、どういう法律に基づいてどういうふうにされるのがほんとうの正しい順序なのか、これについてまずお伺いをしたいと思います。
  136. 小幡琢也

    小幡政府委員 国有地を払い下げます場合にどういう手続によるかという御質問でございますが、国有地を払い下げることに決定いたしました場合に、だれにどのような対価で払い下げるかという問題になるわけでありますけれども、通常いろいろと要望がございまして、それから具体的な申請書が出てくる、こういうことになるわけでございますが、どの相手方に払い下げるのが適当であるかということを公用公共用優先の見地でいろいろ検討いたします。あるいは環境、規模等立地条件がいろいろございますが、そういった種々の事情を勘案いたしまして利用計画を設定いたしまして、そこで初めて特定の相手方をきめて、それで契約に入る。こういう場合と、それから全然だれでもいい、どの相手方でもいい、こういう国有地は最近まれでございますけれども、そういった場合には会計法原則によりまして一般競争入札となるわけであります。  それは別といたしまして、随意契約によります場合には、通常いま言いましたような申請書を出してもらいまして、それから契約に入る。契約に入る場合におきまして、現在は会計法契約方式のところに規定がございまして、一般競争入札によらない場合におきましては、やはり一定随意契約を受ける資格のあるものでなければならないとなっているわけであります。それが会計法二十九条の三にございまして、それに基づく政令として予算決算及び会計令にいろいろ書いてあるわけでございます。たとえば公用公共用あるいは産業の保護奨励あるいは特別の縁故、いろいろございますが、そういった会計法及びそれに基づきます予算決算及び会計令、これに基づきまして随意契約の適格性があるものに対しましては払い下げるということになるわけであります。
  137. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 そこで、だれにどのような対価でということについて、私は具体的にまたあとでお伺いしますけれども、まずとにかく申請書が出てくる。これについて払い下げるべきか払い下げないほうがいいか、あるいはこの相手が適当であるか、あるいはそれが今後のその地域の利用計画に適合するかしないか、こういったことを審議することになると思うのです。  申請書が出た段階で、国有財産中央審議会あるいは地方審議会、これを経るものと、この審議会にかけなくてもいいものとがあるわけですね。これはどうなっていますか。
  138. 小幡琢也

    小幡政府委員 具体的に払い下げを決定いたします場合に、国有財産中央審議会に付議するものとしないものとがあるわけでございますが、従来は付議する範囲といたしまして、一定の金額以上とか、いろいろあったわけでございます。従来、たとえば一億とか、いろいろございましたけれども、必ずしもそれだけでは規制できないということで、むしろ弾力的にできるだけ重要な案件は付議するということで、現在はそういった金額の規制は基準にはございません。ございませんけれども、重要な事案あるいは地域の住民の福祉に非常に影響のあるもの、こういったものにつきましては、財務局長の判断におきまして重要なものは審議会に付議して処理する、かようになっております。
  139. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 おそらくきょう午前中武藤委員質問にもあったと思うのでありますが、その際に中央審議会と地方審議会、この関係はどうなっているのか。従来は地方審議会できめられたことについては、大体そのまま中央審議会が承認する、答申のまま承認をするという形になったように聞いているわけでありますけれども、この中央審議会と地方審議会の関係はいまどういうふうになっていますか。
  140. 小幡琢也

    小幡政府委員 国有財産中央審議会と地方審議会と二つございますが、これは国有財産法の第九条の三にございまして、「中央審議会は、大蔵大臣の諮問に応じ、国有財産の管理及び処分に関する基本方針その他国有財産に関する重要事項を調査審議し、並びにこれに関し必要と認める事項を大蔵大臣に建議する。」かようになっております。また地方審議会のほうは「財務局長の諮問に応じ、国有財産の管理及び処分について調査審議し、並びにこれに関し必要と認める事項を財務局長に建議する。」かようになっておりますので、中央審議会のほうは、国有財産の管理、処分に関する基本方針、それから国有財産に関する重要な事項、これが中央審議会の審議範囲でございまして、それ以外が地方審議会の分に入る、かように相なっております。
  141. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 確かに条文上は国有財産法第九条の三は、基本方針というところは中央審議会でやる。それから中央審議会のほうはそのほかに、重要事項を調査審議するわけですが、この基本方針というところが地方審議会と中央審議会というものが違う。それから諮問が、中央審議会のほうは大蔵大臣、地方審議会のほうは各財務局長ということになっているわけでありますけれども、これをどちらに付託するかをきめるのはだれがきめるのですか。
  142. 小幡琢也

    小幡政府委員 中央審議会のほうは大蔵大臣でございまして、大蔵大臣が重要であると認めた場合には中央審議会に付議する。したがいまして、それは地方審議会の範囲からはずされる、かようになるわけでございます。
  143. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 そうしますと、地方審議会で審議するものというのは、つまり大蔵大臣が重要でない、これは法的なことばじゃないですが、重要か重要でないかというのは非常にむずかしい判断でありますけれども、そうじゃないと考えられるものは地方審議会におろすということですか。
  144. 橋口收

    ○橋口(收)政府委員 ただいま小幡次長からお答えしたとおりでございますが、多少ふえんして申し上げますと、条文をお読みいただきますとおわかりいただけますように、国有財産の管理及び処分に関する基本方針、これは中央審議会の固有の任務でございます。そのほかに国有財産に関する重要事項を調査審議する。国有財産の管理、処分に限らず、国有財産全般につきましての重要事項につきましては、中央審議会が調査審議する。これは中央審議会の固有の任務でございます。  したがいまして、いま御質問のございました中央審議会と地方審議会の関係を原則的に申しますと、個々の国有財産の管理及び処分に関する事項につきましては本来地方審議会の任務でございます。現在、国有財産の処分の権限は、原則として財務局長に委任をされております。大蔵大臣の処分権も財務局長に委任をするというたてまえになっております。したがいまして、個々の財産の具体的な処分につきましては、財務局長の権限であり、また財務局長の諮問機関である地方審議会がその固有の任務として調査審議をし、答申をする、こういうたてまえでございます。  ただ、いま申し上げましたように、中央審議会の任務といたしまして、国有財産全般に関する重要な事項につきましては調査審議する権限もございます。したがいまして、午前中ですか、次長から申し上げましたように、たとえば国有財産の処分に関する契約方式等につきましても中央審議会で御審議をわずらわしておるわけでございます。したがいまして、中央審議会といたしましては、管理、処分に関する基本的な方針のほかに、国有財産全般に関して、重要な事項があれば、これは大蔵大臣が重要な事項として中央審議会に御審議をわずらわす、そういう決意をすれば、中央審議会の権限になるわけでございます。  そういうことで、中央審議会で御審議をわずらわしたものにつきまして、さらに個々の具体的な処分の態様につきましては、これも午前中に申し上げましたように、たとえば調査するとか、測量するとか、評価をするとか、そういう具体的な作業がございますから、そういう作業を行なうための必要な手続として、地方審議会に再度付議する、これは条理上可能である、こういうふうに考えております。
  145. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 どうも私はよくわからないのですが、つまりある案件がある、国有財産を処分する案件がある、あるいは下から申請書が上がってきた、処分をしてもらいたい、こういう申請書が出てくるわけですね。これの取り扱いについて、非常に重要なものについては、大蔵大臣がこれはどうしたらいいでしょうかといって中央審議会に諮問をするわけですね、形としては。ところが、いま局長が言われましたように、事実上の国有財産の管理者というのは大蔵省の財務局長──理財局長に委任をされておる、こういうことになるわけですね、事実上は。  そういうことになりますと、じゃ問題は、たとえば今度、いま私がこれから論議しようという北富士の演習場のような二百十ヘクタールというたいへん大きな土地、これについて中央審議会で審議をすべきなのか、地方審議会へおろすということになるのかどうか、その辺がよくわからないのですがね、それを決定するのは、どこが決定するのですか。
  146. 橋口收

    ○橋口(收)政府委員 理財局長委任というお話がございましたが、理財局長は申すまでもなく大蔵大臣の補助機関でございますから、独立の行政機関ではございませんから、処分権のようなものは一切持っておりません。処分権は財務局長が運用いたしておるのでございます。  いまお尋ねがございましたような案件につきまして、具体的に申請が出た場合と申請の出る前の予備行為と申しますかあるいは検討行為と申しますか、そういうものがあろうかと思います。したがいまして、いま私がお答えを申し上げましたのは、現実に申請書が出る以前に、当該財産の重要性から見まして、どういうところにどういうふうに処分をしたらいいか、あるいはどういう管理をしたらいいか、そういう全般的な問題につきましては、大蔵大臣の御判断で中央審議会に諮問して御判断をいただくということは法律上可能である。  ただ、いまお示しになりました具体的な問題につきましてどうするかということに対する直接のお答えではございませんけれども、一般論としてはそういう方法で中央審議会で検討していただくということも十分可能ではないか。ただ、いまお示しになりました案件につきましてどうするかということは、これは別の問題であります。
  147. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 もう少しはっきりしておかなければならぬ大事な問題でありますから、はっきりさせていただきますが、そうしますと二つの場合があるわけですね。つまり申請書の出たものをどういうふうに中央審議会にかけるか、地方審議会にかけるかという問題が一つある。それから申請書が出ないで、一般に、たとえばこれから論議するようなアメリカ軍の基地に使っていたものが返還される。これが申請書がたとえば出てなかったとしますね。その場合申請書が出てないものについてどちらで審議するかという二つのケースがあるわけですね。  前段の場合の申請書が出ている場合には、それがきわめて重要だと思われる場合には、中央審議会で審査をする、あるいはこれは地方審議会でいいだろうというものについては地方審議会で審査をする、こういうことでいいですか。それでその判断は具体的には理財局長がなさるのですか。その点はいかがですか。
  148. 橋口收

    ○橋口(收)政府委員 先ほど申請書というふうに申し上げたのでございますが、これは広い意味でと申しますか、通俗的な意味で申請書と申し上げたわけでございまして、普通払い下げの申請書が出ますのは、行政庁、処分官庁との問に話し合いがついて正式の手続をする場合に申請書という形態になるわけでございます。  したがいまして、いまお示しのような事案について申し上げますと、要望書と申しますか、払い下げをしてほしいといういわば意思の表明でございますから、そういうものの取り扱いについてはどうするということについてお答えを申し上げたわけでございまして、したがいまして、事案の重要性によりましてはこれは大蔵大臣の判断によって、要望事項につきまして、たとえば共願がある、その取り扱いの方針についてどうしたらいいかということにつきましては中央審議会に付議することも可能でございます。  ただ、先ほど来申し上げておりますように、従来の取り扱いの慣例で申しますと、大体においては処分権の所在する財務局長の諮問機関である地方審議会に諮問する、これが通例でございます。
  149. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 そうしますと、もう少し詰めていきますと、中央審議会あるいは地方審議会、しかもそれが数字を言いますれば、おそらく単価坪当たり三万円くらいするだろう、それが二百十ヘクタールでありますからたいへんな額になるわけでありますが、大体二百億だと言われている土地払い下げについて、中央審議会なり地方審議会を経ないで政府ないしは具体的に言えば防衛施設庁、これが公文書において払い下げを約束するということは、現在の法のたてまえからいって適法ですか、どうですか。
  150. 小幡琢也

    小幡政府委員 この北富士演習場の返還されました二百十ヘクタールの処理の問題でございますが、これにつきましてはすでに国有財産中央審議会の返還財産処理委員会で審議する、こういう対象の中に入っているわけでございまして、午前中大臣から御答弁いたしましたように、中央審議会におきまして処理の大綱をきめて、それから具体的な細目につきましては地方審議会に付議するということになろうかと思います。
  151. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 そんなことじゃだめだめ、あなた。それはつい最近の話でしょう、中央審議会に付議するというのは。それではお伺いしますけれども、その中央審議会なり地方審議会にこれを諮問する前に政府が、あるいは防衛施設庁が関係の各地方自治体とこの二百十ヘクタールについて払い下げをしますという約束が、現在の国有財産法の法のたてまえの上からできるのかできないのか。もっと突き詰めまして言うならば、そういった約束をしたものが法的にはたして根拠があるのかないのか。これはどうですか。
  152. 小幡琢也

    小幡政府委員 この返還されましたのは去る五月十九日でございまして、私どもが、ことしの一月二十三日の日米安保協議会で発表されました関東計画に基づく大規模な返還財産について、国有財産中央審議会に付議して処理するということをきめましたのは四月二十六日ということになっておりまして、この処理につきまして、三月三十日の閣議了解は払い下げるというのがございますけれども、これを具体的にどのような方法で、どのような価格で、だれに払い下げるかということは、これは今後いろいろと検討すべき問題であるというふうに考えておりまして、まだきまっているわけじゃございません。
  153. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 値段とかその方法については、これは審議会でやられると思うのです。その前に、払い下げるか下げないかということは、中央審議会では──この場合には中央審議会と思いますが、中央審議会では討議の対象にならないのですか。払い下げるということを前提にして値段とかあるいは相手先とか、これを審議するのですか。払い下げるか下げないかについてはどうなんですか。
  154. 小幡琢也

    小幡政府委員 この問題につきましては、ほかの場合と異なりまして、三月三十日の閣議了解におきまして、演習場周辺地方公共団体に対して林業整備事業を実施するため国有地約二百十ヘクタールの払い下げを行なう、こういう政府の方針がきまっているわけであります。
  155. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 いま払い下げ対象になっているといわれている、正確にいいますと富士吉田市外二カ村恩賜県有財産保護組合という正式な名前でありますが、ここに払い下げ対象というふうにいわれて、これが内定したというふうにいわれているわけでありますが、もっとさかのぼりますれば、昭和四十五年に、この北富士の演習場を使いたいがために、四十五年の七月四日、当時の防衛施設庁長官の山上信重氏と、いま申しました恩賜林保護組合の渡辺孝二郎氏と取りかわした覚え書きの中にも、払い下げに協力をするということばがあるわけですね。私がお伺いをしたいのは、あなたはいまこの場合については何か特別なことのようなことを言っているけれども、これだけの、二百十ヘクタール、しかも坪三万円だといわれているこの地域、この値段についてもお伺いをしますけれども、大体時価にして百九十八億円だといわれるほどのこれだけの土地について、中央審議会の議を経ないで閣議が払い下げを決定するということは、これは現在の国有財産法の法のたてまえからいって間違っているのではないですかということです。大臣いかがですか。
  156. 愛知揆一

    愛知国務大臣 お話がいろいろこんがらかっているように思いますから、整理して私は常識的にお答えしたいと思いますが、北富士演習場の問題はいろいろの経緯がございますが、三月の三十日に閣議了解ができまして、北富士演習場の使用に関する措置について、御承知のとおりでございますが、林業整備事業を実施するために国有地約二百十ヘクタールの払い下げを行なうことが閣議で了解されたわけでございます。それに先立って防衛施設庁が地元の方々との問に了解されたものがあることも承知しておりますけれども、それは払い下げに協力する努力をお約束したものであると思います。  これも一つの経過の中に入ると思いますが、そういったようなことを背景にいたしまして、政府としては、林業整備事業の実施のためにこれだけのものを払い下げを行なうことは適当であろうということで了解をいたしたわけでございまして、この払い下げを具体的に行なうために、これからが実施の段階に入って、どういうやり方が適当であろうかということについて、国有財産法規定によって、必要の場合におきましては、中央審議会か地方審議会かということはまた御議論のあるところでございますが、審議会にはかってこの閣議了解の線に沿って処置をいたそう、現在のところはまだその条件その他が決定するに至っていない、これが現状でございます。
  157. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 そうすると理財局長にもう一回お伺いしますが、中央審議会、地方審議会に諮問をするときには、その地域払い下げする、特にこの場合にはアメリカ軍から返還をされた土地になるわけでありますが、これを払い下げをするという前提で中央審議会に諮問をするのですか。そうして中央審議会というのは技術的な、つまり相手がどこで、値段は幾らか、それからいろいろ付帯条件が、たとえば十年間売ってはいけないとか、いろいろ条件がつくと思いますけれども、その契約の内容がいろいろになってくると思いますけれども、そういったことだけを中央審議会というのはやるのですか。払い下げをするかしないかという決定は、いまの大臣のおことばでは、閣議がきめれば、つまり政府がきめれば払い下げはできる、ただ払い下げ対象をどこにするか、値段は幾らにするか、それを中央審議会がきめるのだ、こういうことですか。
  158. 橋口收

    ○橋口(收)政府委員 一般論とそれから具体的な問題と分けてお答えをいたしたほうがよろしいかと思いますが、一般的な案件につきましてどうするか、地方審議会の任務といたしましては、財務局長が、こういう相手方に払い下げをしたい、こういう行政上の判断をいたしまして、その判断が適当かどうかを地方審議会に諮問をするというのが通常の姿でございます。  中央審議会のほうでございますが、これは先ほどもお答え申し上げましたように、国有財産の管理及び処分に関する一般的な方針について御意見を伺うのが第一の任務でございます。それから第二の任務としましては、国有財産全般につきまして重要な問題であれば調査及び審議をお願いする、こういうのが第二の任務でございます。したがいまして、返還財産処理委員会で御検討いただくというのは、一般的に申しますならば、返還を受けた財産についてどういうところに、どういうかっこうで処分をしたらいいか、あるいは処分をしないで国が直接保有したほうがいいか、あるいは行政機関の中で用途がえと申しますか、使用がえをしたほうがいいかというようなことについて一般的に御審議をわずらわすというのが本来のたてまえでございます。  ただ、国有財産の処分につきましては、御承知のようにいろいろ議論をしていただく問題等従来からいろいろ経緯のある問題でございます。まさにいま問題としてお取り上げになっておられます北富士演習場に関しての払い下げの問題は、かなり経緯のある問題であろうかと思います。したがいましてこういう経緯のある問題、ことに閣議で大体の御方針をおきめいただいているという問題につきまして、重ねて中央審議会でその方針について御審議をお願いするのがいいかどうか、具体的な評価とかあるいは値段の問題等につきましては、これは固有の権限としての中央審議会の任務でございますから、中央審議会で御審議をわずらわすのがいいか、しかしいずれにいたしましても、返還財産という性格に相違ございませんから、あるいは他の返還財産と同様に、一般的な問題の一環として中央審議会で御審議をわずらわしたほうがいいかは、今後の検討課題であろうかというふうに考えております。  ただ、この問題につきましては、端的に申しますと、中央審議会で御方針についていろいろ御審議をわずらわす余地はかなり少ない問題じゃないかというふうに考えております。
  159. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 もう一つ確認をしておきたいのでありますが、今度中央審議会の中に返還財産処理委員会ができたわけでありますが、当然今度のこの北富士演習場の国道百三十八号線寄りの国有地約二百十ヘクタール、つまり三月三十日の閣議了解の出ている国有地というのは、この返還財産処理委員会、ここの諮問の中に入っているということはいいですね。確認してください。
  160. 小幡琢也

    小幡政府委員 大規模であるということで、いま対象に入っております。
  161. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 これについて、これは審議はいつごろ終わるのか、あるいは中央審議会からこれは地方審議会へおろすということばがいいかどうかわからないのでありますが、これは地方審議会に中央審議会できまったことを、この場合には東京の財務局になると思うのでありますが、そのもとでの地方審議会におろすのですか。これはどうするのですか。
  162. 橋口收

    ○橋口(收)政府委員 これは次長からお答え申し上げましたように、返還財産委員会の検討課題として一応取り上げておりますが、閣議で御了解いただきました内容につきましても、約二百十ヘクタールというふうに書いてございます。したがいまして、どの程度の範囲払い下げるかという問題もございますし、それからおいおい御指摘があろうかと思いますけれども、これに伴ういろいろな問題もございます。したがいまして、払い下げ面積なり坪数というものがはっきりきまって、あとは評価とか測量だけの問題というほどまだ問題は煮詰まっているわけではございません。  ただ、先ほど来申し上げましたように、閣議で大体の御方針をおきめいただいているというのは非常に大きな与件でございますので、そういう与件に対して、これを全面的にくつがえすというような意味での中央審議会の答申なりあるいは建議というものは、これはあり得ないと思います。したがいまして、そういう与えられた条件のもとにおいて中央審議会でどういうふうに審議をし、また地方審議会でどういう審議をしたらいいかということは、これは十分慎重に検討いたしてまいりたいというふうに考えます。
  163. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 関連。だからさっき佐藤君が盛んに質問しているのは、国有財産法という法律がびしっとある。法に基づいて処分をすればいいのを、なぜ閣議で先に中央審議会を縛ってしまうようなことをやるのか。そういうことは国有財産法に対する越権行為じゃないのか。こういう気持ちから佐藤君は質問していると思うのですね。それに対して理財局長は、これは長い間の経過がある。まあどういう経過があるか知りませんが、何かそういう経過があるので、特別にこの問題だけは閣議でびしっとワクをきめたのだ。それはしかし国有財産法の精神を無視しておるじゃないかというのが佐藤委員指摘なんですよ。そこはどうなんですか、無視したことにならぬのですか。法律上、国有財産法を無視したことにならぬのですか。
  164. 橋口收

    ○橋口(收)政府委員 これはたいへんむずかしい御質問でございまして、あるいは私の答弁で御納得いただけるかどうかよくわかりませんが、国有財産法規定によりますと、国有財産中央審議会及び地方審議会は諮問機関でございます。したがいまして行政機関の長としての大蔵大臣なりあるいは財務局長がどうしたらいいかということを判断を求める機関でございます。したがいまして、財務局長なり、あるいはこの場合のいまお尋ねの問題でも、最終的な処分権者は財務局長ということになろうと思いますが、その財務局長が判断をいたします場合に、関東の地方審議会に諮問するだけではたして財務局長として十分な心証なり決意を得られるかどうかという問題もございます。さらにそれを中央に上げて、中央の判断を仰ぐということも必要になってくると思います。  そういう意味におきまして、武藤委員から御指摘がございましたが、国有財産法運用も率直に申して多面的でございまして、どういう場合には必ずどう、こういうことは法律ではっきりきまっているわけではございませんし、あるいは審議会固有の任務として建議をするということも可能でございます。そういう意味におきまして、当該案件について申しますならば、相当の経緯のある問題であり、おおむねの御方針というものは閣議で御了解をいただいている案件でございますから、これをどういうふうに受けとめ、どういうふうに処理するかというのがわれわれ事務当局に課された問題でございまして、それを処理する方法として中央審議会で再度御方針を御審議をわずらわすというのも一つの方法であろうと思いますし、またそういう考え方で現在進んでおるわけでございますが、さらに具体的にどういうふうに処分するかということであれば、これはやはり地方審議会に対しまして関東の局長が諮問をして最終的に態度をきめる、こういう手続になろうかと思います。
  165. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 ちょっとおかしい。中央審議会というものが法律できちっときめられて、諮問をすることになっている。したがって、閣議できめる前に諮問を先にして、中央審議会である程度基本方針というものを、意見を出し合ってどうしてもこれは重荷過ぎる、中央審議会は二百十ヘクタールという膨大な面積なんて重荷過ぎる、そこで将来ごたごたが起きてはたいへんだという政治的な配慮から閣議できめてくれと返したのなら別だよ。しかし審議会の意見、基本方針を全然聞かないで、政党内閣がかってにこういう方向でこの国有財産処理するのじゃというようなことを閣議で決定できるということになったら、私は将来たいへんな禍根を残すと思うのですよ、国有財産法という法律を、たとえどういう経緯があるにしてもルールを踏みはずすのですから。そこらはやはり法律をきちっと行政府は守らなければいかぬと思うのですよ。どういう経過があって閣議にかけなければならぬという、ぎりぎりどうしてもこれ以外手だてがなかったのだという積極的な理由は何でしょうか。
  166. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは先ほど私申しましたように「北富士演習場の使用に関する措置について」ということで閣議が了解したわけでございますが、この経緯の中にはいろいろのことがございますが、この閣議了解の一番初めの主文にもありますように「北富士演習場の自衛隊及び米軍による使用について、その正常化をはかり、」ということが一つ目的で、「併せて演習場の使用と周辺地域の発展とを両立させるため、次のとおり措置する」ことが適当であろう、こういう了解でございます。  その中の一つに、周辺地域の発展のための一つ措置として林業整備事業については地元の非常なかねがねの要請もありますから、これについては国有地の演習場とはひとつ分けてこれは民間に払い下げを行なったほうが適当であろうということを了解したわけでございますから、私は、国有財産法の違反の閣議の決定をしたということにはならない。いわば政策として適当であろうという閣議が了解をしたことを踏まえて国有財産の処分に当たるという段階になってきている。したがって、これは国有財産法規定するところに従って処理をいたしたい。  それからまた問題は二つに分かれて、中央がいいのか地方がいいのかということに相なろうか、こういうふうに相なりますし、いま理財局長が申しましたように、もしこういうこともいかぬと思われる場合においては独自に審議会が意見を建議することはできることになっておる、こういうことで全部の論理構成はできている、こういうふうに考えます。
  167. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 どうもこれは論理構成できてないね。しからば、国有財産を処分する場合に、中央審議会の議を経ないでかってに閣議が先にある程度たがをはめてしまう、こういう例はかつて過去にどのくらいあるのですか、理財局長。中央審議会の議を全然経ないで、先に閣議で態度をきめて審議会の行動範囲をある程度縛ってしまう、こういう処理というのは過去にあるのですか。これは大臣じゃないのだ、事務的なことだから。過去にそういうことはありましたか。
  168. 橋口收

    ○橋口(收)政府委員 これは大臣からお答えもございましたように、閣議了解でございますので、政府としてはこういうことで措置を進めたいということでございますから、形式論でお答えをいたしますと、これから大蔵大臣が必要と認めれば中央審議会に諮問するということでございますし、あるいは処分権の主体としての財務局長が関東の審議会に諮問をする、こういう手続になるわけでございますから、武藤先生のおっしゃいますように、これは見方を変えて申し上げますならば大きなワクをかけたということであろうかと思いますが、国有財産法の適用に関しまして考えますならば、国有財産法の適用の余地あるいは運用の余地は十分ある、こういうことであろうかと思います。
  169. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 そういうことになってきますと、閣議了解というのは一体どれだけの法的な権限を持っているのか。たとえば、そこまで言われるのでしたら、この中央審議会にこの土地二百十ヘクタールをかけて、これはいま言われている恩賜林保護組合に払い下げまかりならぬ、そういう結論が出た場合は閣議了解はほごになる、こういうことになるのですか。──ちょっと事務局、法制局を入れてください。  私は、これは非常に大事なことだと思うのです。この国有財産法で言うところの国有財産の処分のしかた、ここは土地に限って言えば、処分のしかたの問題とたびたび武藤委員から補足的に御質問がありましたように、そのしかたと閣議了解というのは一体どちらが優先するのか、これは非常に大きな問題だと思うのですよ。私は純粋に考えて、国有財産法で中央審議会、地方審議会があるのですから、そこに諮問をして、そして了解がとられた場合には、その場合にはそれを何らかの形で執行する、これはいいでしょう。しかし、その前に、何にも審議にかけない前に、あくまでこれは了解であるということで払い下げを約束する、しかも、そのあとに、あとからあとから、山梨県知事と二階堂進官房長官との覚え書きもあるわけだ。  そのことはずっと延長したもので、ずっとさかのぼれば昭和四十五年七月四日の防衛施設庁の長官と恩賜県有財産保護組合とに結ばれた中に、これは確かに大臣が言われるように、払い下げに協力をするということばがあって、そのうらはらに自衛隊使用違憲訴訟について取り下げをするという項目の取り扱いになっているわけでありますけれども、そこまで事はさかのぼるわけでありますが、武藤委員が御指摘になったように、国有財産法できめられている財産の処分のしかた──そこで私は聞いたのですよ、一番最初に。国有財産払い下げの正しい順序、手続、これはどうですかとお伺いをしたわけだ。そこで聞いたわけですよね。そうしたら皆さん方は、申請のあるものあるいはないものについても原則的には審議会にかけてどういうふうにするのだということをきめるのだと言われる。ですから、そうなると、その審議会にはかる前に閣議了解という形で、この林業整備事業を実施するため国有地約二百十ヘクタールの払い下げを行なう、こういうことがはたして国有財産法のたてまえからきめられるのかどうなのか。また、過去にそういうことをやってきたことが実際にあるのかどうなのか。  それともう一つ、それではついでにお伺いしたいのですけれども、この場合には、中央審議会にはおたくのほうからどういう諮問の形になっているのですか。つまり、払い下げをするということを前提にして、値段と相手と契約条件、これだけを審議してくださいという諮問ですか。それとも、こういう二百十ヘクタールが返ってきました、この処分についていかがしたらよろしゅうございますか。しかも、簡単に言えば、富士保全法という法律が今国会に出ているわけですね。今国会まだ成立しておりませんけれども、あるわけですが、これとの関連もあるわけだ。諮問のしかたは、これはどうなっているのですか、どういう文章で諮問になっているのですか。
  170. 橋口收

    ○橋口(收)政府委員 具体的な諮問の形態につきましては次長からお答えを申し上げたいと思いますが、これは、先ほど来お答えを申し上げておりますが、あるいは十分説明が足りないところもあろうかと思いますが、中央審議会あるいは地方審議会に具体的な処分の案件としてかけます場合には、処分権者としての財務局長なり大蔵大臣がみずから決意をして、こういうところにこういう処分をしたいということについて意見を求めるわけでございますが、これは、時間的な前後で申しますと、大蔵大臣が諮問機関としての中央審議会なり、あるいは財務局長が諮問機関としての地方審議会に富士吉田の二百十ヘクタールについてどこどこに幾らで払い下げをしたいと思うがどうか、こういう形で意見の聴取はいたしておりません。したがいまして、国有財産法運用としての大蔵大臣なりあるいは財務局長としてのアクションというものは、まだとっておらないわけでありまして、アクションの前段階として、いわゆる与件としての閣議了解の行為はあったわけであります。したがいまして、国有財産法規定とこの閣議了解の行為とは一切矛盾がないというふうに私は考えております。  したがいまして、あと残された方法としましては、この問題につきまして中央審議会で議論をしていただくのがいいのか、あるいは財務局長の諮問機関としての地方審議会で議論をしていただくのがいいのか、両者、時間的な前後はございますが、並行的な論議をしていくのがいいのか、これは今後の研究課題であろうと思います。  いま、国有財産中央審議会にどういう形で諮問しているかにつきましては、次長のほうからお答えを申し上げさしたいと思います。
  171. 小幡琢也

    小幡政府委員 去る四月二十六日に、国有財産中央審議会にこの問題を諮問したわけでございます。その諮問のしかたでございますが、これは主要な米軍提供財産の返還後の利用について、こういう議題によりまして、今後返ってまいります旧軍施設、全部で十カ所ございますが、その十の財産につきましてこれを一括いたしまして、今後返還になりました場合にその利用計画をどのように策定すればいいか、こういういわば包括的な審議のしかたでございまして、実際に返還になりましてから小委員会においてこまかく検討する、こういう段取りになっているわけでございます。
  172. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 ちょっと待ってくださいよ。その場合には米軍から返還される予定地ですわね、いまの十カ所というのは。この北富士演習場のいま問題になっておる百三十八号線寄りの二百十ヘクタールの地域というのは、この経緯は私から申し上げるまでもなく、すでにこれは民法六百四条二項が働いて、二十年契約で契約が切れたわけですね。契約が切れて、そして山梨県と政府とが三カ月の暫定協定を結んで、そして暫定協定ではいかぬということでいろいろな工作が行なわれて、閣議了解というところまできたわけですね。その意味では、他の地域の、いわゆる関東計画で返還される米軍施設とは若干、私は経緯が違うと思うのですね。それが一緒になっているというところに、どうもふに落ちぬ点があるのですが、その点はどうなっているのですか。
  173. 小幡琢也

    小幡政府委員 今回、私どもの取り扱いといたしましては、四十八年一月二十三日に日米安保協議会でいわゆる関東プランですね、この発表があった。これを踏まえまして、この昭和四十八年に入ってから返還されあるいは返還が見込まれる大規模な提供財産、これはこういった処理をしようということで地方審議会にかけるということにしたわけでございまして、いまの関東プラン、全部で七カ所ございますけれども、そのほかにこの北富士演習場、キャンプ渕野辺、横浜海浜住宅地区、このようなものがこの四十八年一月以降、返還の見込みがはっきりしているということで対象にしたわけでございます。  それからもう一つ、御指摘の北富士演習場につきましては、まあ県有地あるいは民有地につきましては、民法六百四条の問題がございまして、多々問題点が存しておりますけれども、この二百十ヘクタールのところはこれは国有地でございますので、そういった借り上げ等の問題はございません。国有地を提供していたわけでございまして、それが返還になる、こういうことでございます。
  174. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 ですから、私が言うのは、直接米軍から今後払い下げられるような土地と、いま小幡次長が最後に言われたような経緯の土地と一緒になっているのはおかしいのではないかということをお聞きしたまでのことなんですよね。  それからいまの、どういう形で諮問になっているかの質問のお答えの中に、最後に、これはどういうような利用計画を答申してもらうか、包括的なものだという話でありますけれども、その内容については、たとえば払い下げの相手とか値段とか条件とか、こういったものもあなたの言った包括的ということばの中に入るのですか。
  175. 小幡琢也

    小幡政府委員 私が包括的と申し上げましたのは、この十カ所の財産について包括的に諮問いたしまして、それから個々の財産につきまして、返還がありましてから一つ一つその利用計画を検討してもらうということでございます。その検討の中身につきましては、これはケース・バイ・ケースでございまして、払い下げるものもございましょうし、あるいはまた公園として無償貸し付けするものもある、いろいろな利用形態があろうかと思います。
  176. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 ですから、諮問をして、払い下げるか、あるいはそのまま国が使うか、どういうふうにするかということも含めて、地方審議会なり中央審議会で審議をするというのが、本来の順序だと思うのですね。それが、この北富士演習場の国有地についてだけはそうではなくして、初めから払い下げるという前提のもとにきまった。しかも、あなたの言っていることは非常に矛盾しているので、各地でいろいろ違う。たとえばキャンプ朝霞の場合、ジョンソン飛行場の場合、立川の飛行場の場合、場合場合が違うわけですね。これを全部一つにして諮問をして、そして包括的に答えをしてもらうが、実際はまだ払い下げるか国が使うかどうするかきまらないということでは、包括的な答えが何も出てこないということじゃないですか。どうもおかしい。
  177. 小幡琢也

    小幡政府委員 ちょっと御説明が不十分だったので恐縮ですが、財産十カ所を包括的に中央審議会にお願いする。しかし、この十カ所の施設につきましては、水戸対地射爆撃場のようにすでに返還になっておるものもあります。それから、近く返還になるもの、二年くらいあとに返還になるもの、いろいろございますので、それは個々の財産について検討いたしまして、検討が済み次第、一つ一つ財産についての利用計画の方向をきめるということでございますから、十カ所全部まとまらなければ答申にならぬということではなしに、逐次答申していく、こういうような予定になっております。
  178. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 とにかく中央審議会に諮問が出ている。そうしますと、話を区切れば、北富士演習場の国有地について──それは解除になりますから、そのものの言い方は正確じゃありませんので、北富士演習場内にある、国道百三十八号線寄りの約二百十ヘクタールの国有地については、具体的に出てくるものは、払い下げるということはもうきまったんだ、問題は、相手がどこで、幾らで、どういう条件かということで、それが答申として出てくるんだ、こういうふうに理解してよろしいでしょうか。
  179. 小幡琢也

    小幡政府委員 閣議了解では大体払い下げの方針ということでございますが、この了解にもございますように、山梨県及び演習場周辺地方公共団体、複数ございます相手方をどうするかという問題、これも一応いま要望が具体的に出てまいっておりますのは、富士吉田市外二カ村恩賜県有財産保護組合でありますから、たぶんそれであろうという察しはつきますけれども、了解の上では、やはり複数になっております。  それからもう一つは、いろいろと調整すべき問題がある。いろいろ権利者もおります。また、道路の計画もあるようでもございます。それらをいろいろ調整しなければならない。それから、林業整備事業といいましても、はたしてどのような整備事業をやってくれるかという利用計画の細目を見なければきまらない。方針はきまったというふうに了解ではなっておりますけれども、具体的な詰めばこれからいろいろとしていかなければならない、こういうふうに考えております。
  180. 鴨田宗一

    鴨田委員長 関連して、広瀬秀吉君。
  181. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 関連質問を許していただきましたので、質問したいと思います。  国有財産法の第六条では「普通財産は、大蔵大臣が、これを管理し、又は処分しなければならない。」七条では「大蔵大臣は、国有財産の総轄をしなければならない。」こういう大臣の、言うならば義務と権限が書いてあるわけです。そして九条の三では、「中央審議会は、大蔵大臣の諮問に応じ、国有財産の管理及び処分に関する基本方針その他国有財産に関する重要事項を調査審議し、並びにこれに関し必要と認める事項を大蔵大臣に建議する。」こうなっておるわけです。そうしますと、この六条の大臣の権限を行使するにあたって、あるいは義務を行使するにあたって、中央審議会に諮問をする、審議会はその諮問を受けて、二百十ヘクタールの、北富士演習場の米軍から返還されたものをどうするかということについて、これは「管理及び処分」の処分ですね、この処分についての基本方針をまとめる、こういうことになるんじゃないですか。それから「国有財産に関する重要事項を調査審議」する。この払い下げるかどうかということ、これはまさに「重要事項」だと思うのですね。  そういう基本方針というものは、まず大臣から中央審議会に諮問をしてということが当然行なわれなければならないものだ、われわれすなおに条文を読んでみてそう考えるわけです。まず閣議了解事項という形で基本的方針というものを決定してしまって、身動きのとれないものをつくっておいて、あとで審議会に事務的なあるいは技術的なそういうこまかい問題について諮問をするということでは、この九条の三の趣旨とは全く相反するのではないか、そういう感がどうしてもするわけです。  先ほど武藤委員の関連質問で、そういう前例はあったかという問いに対して、理財局長はついに答えなかったわけですね。この辺をひとつはっきりしてみてください。そんな前例はおそらくないんだろうと思うのです。今回そういうことをやったということ、閣議了解が先行したということは、まさに大蔵大臣の勇み足というか手順前後というか、この第九条の三に反した取り扱いであったと私は思うのですが、その辺のところをきちっと、ひとつ権威ある答弁をしていただきたいと思うのです。いかがですか。
  182. 愛知揆一

    愛知国務大臣 私は、具体的な、前例があったかどうかということについては、事務当局から答弁をすることが適当だと思いますが、法律論から申せば、大蔵大臣は、国有財産の管理、処分については大きな責任と義務を御指摘のように持っております。同時に、法律論からいえば、国有財産の管理、処分について審議会に諮問をして、その議決を経なければならないということにはなっておりません。審議会もいろいろございますが、この書き方は、大蔵大臣が諮問する、その諮問に応じて対応するというのがこの審議会の性格になっておりますから、極端な法律論をいたしますれば、諮問をしなくとも処分自体はできる。法律論からいえばそういうことになると私は思います。しかし、私はそういう見解をとりませんで、やはりこれは諮問をすべきものである、そして諮問の対象は中央がよろしいか地方がよろしいか、私の見解では、大切な上にも大切なものであるから、返還財産については、特に中央審議会に小委員会を設けて、そこで十分御審議を願うことがよろしい、こういうふうに考えておったわけですが、先ほど、午前中詳しく御答弁いたしましたように、いや、それはむしろ地方審議会のほうがよろしいという御意見もありますから、このやり方についてはさらに十分慎重に検討いたしますということを申し上げておる次第でございます。  ところで、本件につきましては、政府としては、この二百十ヘクタールは、従来の経緯もあるので、政策の問題として払い下げることが適当である、政府の政策としてはそう考えているということは了解されておるわけで、これに大蔵大臣も参加をして了解の一員に加わっておりますから、政府としてのその気持ちを私は持ちながら諮問をいたしたい、こういうふうに考えております。これは先ほど申しましたように、法律論の構成から言っても論理構成から言っても何ら間違っている方法ではない、かように確信をいたします。
  183. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 第九条の三で、中央審議会は大蔵大臣の諮問に応ずるのだという、言うなれば受け身の存在ですね。では、大臣としてはどういう場合に何を諮問するかという点についてはどのようにお考えでしょうか。
  184. 愛知揆一

    愛知国務大臣 たとえば、最近における関東計画というふうなものは非常に大きな事項である、かように考えますから、こういうものを諮問の対象にいたすべきである。そしてそれに対して、たとえば政府の意図としてこれは環境整備のために使用することが適当であろうとか、あるいはオープンスペースを十分とったほうが適当であろうというような、政策的な配慮も加えまして諮問をいたしたい、かように考えております。
  185. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 非常に量的にもまた質的にも重要な個別の土地、国有地の払い下げというようなことについては、これはもう大臣法律的には専決処分でやってもいいんだ、これはやはり法律のたてまえなんだ、こういうことにお考えなんでしょうか。
  186. 愛知揆一

    愛知国務大臣 後刻、地図の上において御説明をすることが留保されてありますが、たとえば、ある電鉄に対して払い下げたものはどういう理由で諮問しないで専決処分したかというお尋ねで留保されておりますけれども、これも法律論といたしましては諮問しなかったからといって違法ではない、かように考えております。同時に、いま申しましたように、私の現在の姿勢といたしましては、せっかくこういう審議会というものがございますから、できるだけ多くのことを諮問して、国民的に御納得が十分得られるような処理の方法をいたしたいということは、午前中にも明確にお答えいたした次第でございます。
  187. 橋口收

    ○橋口(收)政府委員 先ほどお尋ねがございました、審議会にかける前に閣議了解等の手続で払い下げの方針をきめた例があるかということでございますが、これはいま詳細に調査をいたしておりますが、まあ記憶で申し上げますと、東京オリンピックの際に、旧代々木練兵場のあと地の一部をNHKに払い下げるということを、たしかこれは閣議了解で審議会にかける前に方針がきまっていたように記憶いたしております。それから東富士演習場の処理に関連いたしまして、やはり閣議了解がございまして、それに基づいて処理をいたしているように記憶いたしております。そのほか国立劇場の用地の払い下げもあるいはそういう形をとったのではないかと記憶いたしておりますが、なお詳細は正確な調査の上でお答えを申し上げたいと思います。
  188. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 その点正確にあとでひとつ資料をお出しいただきたいと思います。  また、いま大臣はかなりはっきり答弁されましたが、この問題はどうも私どもは、法律論のたてまえ、これは法制局が入ったあとでまたその辺のところの法律解釈において権威ある解釈をその場でしてもらうことにして、関連でもございますからこれでやめておきます。
  189. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 二点、大臣にお伺いしたいのであります。確かに私も、すべての国有財産国有財産審議会にかけなければいけないという法のたてまえにはなってないと思うのです。たとえば非常に小さなもの、これを一つ一つかけていたら、とてもじゃないが行政が麻痺するでありましょうから、すべてのものを国有財産審議会にかけるように法律はなっているとは、私もそうは思っていません。ただ私は、そのために前半にお伺いしましたように、国有財産審議会にかけるものは一体どんなものかというふうにお伺いしましたら、昔はある一定の金額以上のものはかけることにしていたけれども、おそらくその金額というのも非常にばらつきがあって、あまり意味がないということになっていたのだと思いますが、そこで金額上の制限はないけれども非常に重要なものについては審議会にかけるのだという御答弁があったわけですね。したがって、今度のこの北富士演習場内の国有地払い下げについては、一般論はさておき、この北富士演習場については審議会にかけていることになると思うのです。ところが審議会にはたしかにかかっているけれども、その前に閣議了解で払い下げの方針をきめてしまっている。ここに問題が生ずるわけですね。  で、いま局長からお話がありましたように、たとえばオリンピックの際のNHKの代々木練兵場の一部の払い下げ、これをたとえば例にとりましたら、こういう問題が生じてくると思うんですね。閣議了解というのはじゃあ了解で、それがそのまま、先ほど皆さま方の説明だと、これは政策のあらわれである、方針であるという。そこで私は法制局を入れてくれと言っているわけでありますが、閣議決定と閣議了解はおそらく違うのだと思うんですね。ところが前の、過去の例を聞いてみますと閣議了解で行なわれたと言われる。  まず、閣議了解というのは事実上は方針とか政策のあらわれではなく、事実上それによって執行ができるということである、こう思うのでありますが、ここが一つの問題点であります。これについてどういうふうにお考えになるかをお伺いすること。  それから、過去閣議了解で国有地の払い下げが行なわれた場合に、ではその値段はどうやってきめるのか、あるいは相手はどうやってきめるのか、あるいはその際の条件というのは一体どうやってきめるのか、これは具体的にはどういうふうにやってきたんですか。この二点。
  190. 愛知揆一

    愛知国務大臣 閣議決定と閣議了解はお示しのようにこれは違います。  同時にその次の御質問ですが、閣議了解においてこれこれの国有財産が処分されたというのはちょっとことばが足らないのであって、閣議了解としては、こういう国有財産は、たとえばオリンピックに使用すべきものが適当であるということを全閣僚が了解したわけですが、その気持ちを体して所轄の大蔵大臣として所定の手続を踏んで具体的な条件その他を決定して処分を執行した、こういうことになるわけでございまして、これは閣議決定とは性質が全く違います。
  191. 橋口收

    ○橋口(收)政府委員 先ほどお答えいたしました旧代々木練兵場あとの一部をNHKに払い下げをしたという場合には、これも記憶でございますから間違っておりましたら訂正をさせていただきたいと思いますが、当然財産規模等から申しまして一応審議会に付議をして最終的に評価、測量等をいたしまして最終的な方針をきめておる、こういうことであろうかと思います。
  192. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 そのことについては了解をいたしました。  前半については、閣議了解あるいは閣議決定してないもの、その差についてはまた法制局が入ってからお伺いします。とにかく武藤委員広瀬委員から質問がありましたように、審議会にかける前に閣議了解という形で払い下げということがきまるというか、どうもその辺が大きな問題を起こすような気がするわけであります。  ちょっとお伺いしますが、どのようなものを国有財産審議会に、それは中央であれ地方であれかけるかどうかというのは、何らかの規則なり何らかの一定のルールというのはあるのですか。
  193. 愛知揆一

    愛知国務大臣 国有財産処理について、何を閣議決定にするか、了解にするかということはございません。  それからどういう形で何を取り上げて諮問をするかということは、法律的にいえば大蔵大臣の決定によります。
  194. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 ですから、後半の問題については何らかの、たとえば簡単にいえば、土地に限っていえば、これ以上の額のものの使用については審議会に諮問をしなければいけないというような法律条項というのは、現実には現在の法ではないわけですね。いいですね。  その辺で、国有財産の使われ方というのが、政府の多分の、この北富士演習場に見られるようなかなり恣意的なことで行なわれる。ただ値段とか条件はこれはまた別です。これは審議会に通すのでありますけれども払い下げをする、そして政府の、この場合には事実上は四十六年の末に結審がつくであろう、おそらく政府が負けるであろうと言われていた自衛隊の違法使用、この裁判を取り下げるという条件のもとで三点にわたって地元と条件をくみかわして、しかもその中に国有地の払い下げに協力をするということが入ってなされた、こういった恣意的なものも、これは政府の政策かもしれませんけれども、こういった恣意的なものも閣議了解ということで、値段なり条件はあとで審議会できめるのだ、こういうことでもできるということですね。
  195. 愛知揆一

    愛知国務大臣 法律的にいえば、閣議了解によりまして政府の期待する方向というものが了解されておるわけでございます。しかし、いかなる方法、具体的な条件等によって払い下げができるかどうかということは、これは国有財産法規定に従いまして大蔵大臣行政裁量権によって処理することができる。しかしそれに対しては、法律的にいえば消極的な制約として審議会というものがある、こういうふうに私は理解すべきものであると思います。それを権限を持っている者がいかにして諮問をするかということは、これはまた大蔵大臣としての裁量によるものである。裁量によるものであるけれども、これは、したがって先ほど来意図を表明しておるような姿勢によって諮問をいたすべきものである、かように考えておる次第でございます。
  196. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 それではちょっと問題を変えまして、いま国会に、簡単に言いますと富士保全法という法案が出ているわけであります。これによって、富士山地域の開発について国が行なおうということになっているわけでありますけれども、この法案が通るか通らないかによってかなりこの地域の開発は変わってくると思うのですね。また、変えるために富士保全法を出したのだろうと私は思いますが、三月三十日の閣議了解で、相手はまだ決定していないようでありますが、林業整備事業を実施するために国有地二百十ヘクタールを払い下げるということと、いま国会に提出している富士保全法との関係というのは、これは政策的にどういうことになるのですか。
  197. 愛知揆一

    愛知国務大臣 それは、保全法が制定されれば、環境あるいは考え方の条件等が改善されると私は考えます。そのことはこの三月三十日の閣議了解の附記に書いてあることですけれども、たとえば山梨県側はいろいろの事業について、民生安定に総額百三十億円を期待されているのです。     〔委員長退席、大村委員長代理着席〕 しかしこれは、財政当局といたしましては、これから十分協議をした上でなければ、この百三十億円というものはまるのみにしているわけではないことは附記にも明らかでございまして、こういう点はあわせて今後の問題にかかっているわけでございますから、こういういまだ具体的な結果を見ていない、条件の改善の期待というものもある、こういうふうな環境の中で、事態の具体的処理についてはある程度のよい影響がある、あるいは場合によっては悪い影響があるということはあり得ることかと私も考えます。
  198. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 いまの時期はこういうことになっているわけですね。諮問したのは四月の二十六日ですか、返還財産処理委員会にこの北富士演習場内の国有地──演習場内と言うと正確ではありませんが、これはもう演習場から三月三十日閣議了解ではずしておりますから、この国道百三十八号線寄りの土地については、政府のほうでは閣議了解という形で払い下げをするんだ。林業整備事業を行なうんだ、その内容についてはまたあとでお伺いしますし、また、いま大臣から御答弁がありましたように、林業整備事業自体がどのくらいの規模になるかよくわからぬわけでありますが、とにかく返還財産処理委員会に、この北富士のいま問題になっている国有地について諮問をしている。  それから片や、この地域の開発に関係の深い富士保全法については、現在の段階では、五月の十一日に衆議院の環境保全特別委員会説明を聴取したのみになっていて、おそらく本国会は通らないのではないかという状況にあるわけですね。そうしますと、この富士保全法を皆さん方の政府のほうで出してこられて、あの地域の開発についてはこうしたいんだという──内容については反対でありますけれども、とにかく出されたわけだ。     〔大村委員長代理退席、委員長着席〕 それと、諮問しているところの中央審議会あるいはその下の返還財産処理委員会、これとが一体どういう形になっていくのか。当然、法案が通るということになれば、法律のほうが優先でありますから、その範囲の中で小委員会というのは、今後のこの払い下げ後の使い方なりその他のことを考えていくのでありましょうし、法案が通らぬということになれば、その意味では法案の分だけ不利になるわけでありますね。そういったことで、この富士保全法案がどうなるかによって、今後のこの北富士の国有地というのは使い方が変わってくると思うのです。この辺のところはどういうふうにお考えになっているのですか。
  199. 愛知揆一

    愛知国務大臣 それでありますから、先ほど小幡次長からるる御説明いたしましたように、諮問はしておる。その諮問のしかたは、ほかのものといわば一括上程をして諮問をしておるわけでございますが、本件についてはそういったような経緯あるいは環境等は政府側から今後十分御説明をいたしまして、こういう場合になったらどう、あるいはこうならなかった場合はどうというようなことを十分ひとつ、審議会の方々にも情勢の推移を見守りながら適切な御判定をいただくという態度を現在はとっておるわけでございます。
  200. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 じゃ、それをふえんして言いますと、この富士保全法が国会でどうなるかによって、答申の内容も変わってくる、こういうことと理解してよろしいですか。
  201. 愛知揆一

    愛知国務大臣 政府の期待しておりますことは、それもそうでございますが、期待というか閣議了解の趣旨というものは、この二百十ヘクタールは払い下げることが適当であろう、こう考えて、その気持ちで御諮問をしているわけでございます。これは文章の上ではっきり出しているわけでございませんが、閣議了解があります以上は、当然政府としてはそういう方向で適切な御答申がいただけることを期待しているわけですが、それにしても、ありのままの現状あるいはこれまでの経過というものを十分御説明をして、これを御審議の資料にしていただくということについては誠意を尽くしたい、かように考えております。
  202. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 それがら払い下げ対象でありますけれども、これについては本年の四月の七日に参議院の予算委員会の第二分科会でわが党の神沢議員が質問をしております。相手の恩賜県有財産保護組合、これが地方自治法にいうところの一部事務組合であるということになっているわけでありますが、時間の関係上この神沢議員の質問なされた内容については捨象しますけれども、一部事務組合ということになりますと、一つの疑問は、新しい国有地というのはこの一部事務組合というのが取得することができるのかどうなのか、この問題は非常に大きな問題になると思うのですね。国有地を皆さん方は恩賜県有林保護組合に払い下げなさるというけれども、相手が果たして払い下げ対象となり得るかどうか、このことについて自治省はいかがでございますか。
  203. 砂子田隆

    ○砂子田説明員 ただいまの先生のお話でございますが、前に神沢議員のときにもお答え申し上げておりますけれども、一般的に一部事務組合というのはどういうような仕事をするかというのは規約で定められております。その規約の解釈自身は組合なり、あるいはそれを構成している団体が最後には決定をする、そういう形で解釈されるのだろうと思いますが、いまその規約を見る限りにおきましては、この前お答えいたしましたとおり、組合としては財産を取得する能力があるというふうにわれわれは見ております。
  204. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 それは組合の規約のどういうところでそういう新しい土地を取得することができるようになっているのですか。
  205. 砂子田隆

    ○砂子田説明員 お手元に富士吉田市外二カ村恩賜県有財産保護組合規約というのをお持ちだろうと思いますが、その中に、第二条のところにいろいろな名前が書いてありまして、そして「左の事務」と書いてございます。「左の事務」の中に「恩賜県有財産の保護に関する事項」というのがございまして、それからずっといって七号、この号で「恩賜県有財産に関する一切の事項」というのがございます。「左の事務」のあとに、「並に本組合の財産に関する事務を共同処弁す。」というのが書いてございます。この「本組合の財産に関する事務」ということの解釈の問題だろうと思います。  その本組合の財産に関する事務と申しますのは、この組合自身ずっと沿革をたどりますと、もともとたいへん多くの財産を持っておったようでございまして、それが途中で売却をしたりあるいは県に売却するようないろいろの経過があったようであります。そういうことを見てまいりますと、この組合自身がもともと一千町歩以上の土地を取得しておったようでございます。そういう所有しておったという形から申しますと、もともとこの規約のこの部分を読んでおったというふうにわれわれ解釈をしておるわけでございます。その意味で、この組合自身がいま約二百町歩持っておるようでありますが、新たに二百町歩持ち得るというのは、この組合自身の性格が変更しない限り、やはりこれは持ち得るものだという解釈をしたわけでございます。
  206. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 これがきわめて議論の分かれるところであります。あなたの議論でそのままいきますと、この富士吉田市外二カ村恩賜県有財産保護組合というのは、東京のどまん中に土地を持ってもいい、あるいはどこか九州に土地を持ってもいい、こういう拡大解釈がなされるわけですね。そういうようにも解釈できるわけですか。
  207. 砂子田隆

    ○砂子田説明員 先ほどお答え申し上げましたとおり、この規約をどういうふうに解釈するかというのは、基本的には組合なり、あるいはこれを構成をしている団体が解釈をするということになるだろうと思います。その中で、この組合を組織しておる団体なり組合が、東京のどまん中に持つのだということが、この場合の規約で読むということにさして異議がなければ、あるいはそういうことも可能であろうと思います。ただ、実際問題としてそういうことをやるのかということになりますと、何のために持つのだということになるので、ここでいっておりますのは、この組合の本来の思想というのは、山林の経営なりあるいは整備事業がおもだということを考えますと、東京のどまん中にそういう土地を買って、そういうことができるのだろうかという解釈の問題になりまして、それがはたしてできるかということになりますと、そういうふうになりますと組合の者に会ってみないとわからないということです。
  208. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 いま言われた、そもそもこの組合の経緯というのはずっと長いわけでありますけれども、この組合というのは、本質的には県有財産であった山林、これを払い下げをしてもらった、この財産を管理する組合だと思うのですね。ですから、地方自治法にいうところの一部事務組合に関して疑義が出て議論をするわけです。懐疑をするわけです。したがってこの組合がたとえ土地を買えるにしても、それはこの組合が行なう事業、事業と申しますのは、たとえば造林であるとか財産をふやすということでも、結局木を大きくしたりするということ以上に、私は出られるものじゃないと思うのです。あなたの議論をそのままで言えば、実際にやるかやらないかは別として、この規約の読み方が、たとえばこの恩賜県有財産保護組合に限らず、水道の一部組合なんかありますね。その水道の一部組合が全然別のところに土地を持つ、その水道事業に関係のないところの土地を持つ、これが規約さえ許されればそれもできるということですか。
  209. 砂子田隆

    ○砂子田説明員 先ほどから申し上げておりますように、この恩賜県有財産保護組合のおい立ちというのがありまして、その中で要するにこの組合がどういう仕事をしておるかということがあるいは歴史的にきまっておるという考え方もあると思います。そういう意味ではこの組合がたとえば下水の処理場をやるというようなことを考えました場合に、それはどうもこの規約ではできないのじゃないだろうかということは、非常にはっきりしているのじゃなかろうかと思うのですが、この組合はそういう意味で県有林なりあるいは自分たちの持っております財産をふやすとか経済的価値を高めるとかいうことは現実の問題としてあると思いますから、そういうものが、本組合の財産に関する事務を共同処弁するということを読みますと、これは書き方がたいへん大ざっぱでありまして、組合の財産に関する事項と書いてございます。組合の財産に関するということを法律考えますと、管理なり処分なり、そういうことは全部含まれるのじゃないだろうか。管理というものの中には経済的な価値をふやすこともあるだろう。  ただし、先ほどお話がありましたように、それじゃ墓足のどまん中に土地を持つというのはどうだろうかということになりますと、それはこの組合自身がもともと山林経営なり、そういうことをやるというのが前提ですから、そんなことはしないだろうとわれわれは思っておるだけでありまして、一義的にはわれわれが解釈するのではなくて、要するに組合が解釈することですから、われわれとしては、そういうことがもしあるとすれば、それは適当ではないということをお答えするかもしれませんが、現実にこの組合の規約だけを見ますと、どうもそういうふうに読めるということが書いてあるということを申し上げたわけです。
  210. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 ところが、自治省の立場としてはそういうことでいいかもしれませんが、事は国有林国有財産を二百十ヘクタールも払い下げるというたいへん大きな問題なわけですね。自治省の立場はそういうことになるかもしれませんが、やはりこの組合の実態が、ここに払い下げるというけれども、はたして法律払い下げられる資格があるのかないのかということは、きわめて大事なことになるわけですね。自治省の立場じゃないかもしれません、むしろこれは大蔵省の、恩賜県有財産保護組合をどういうふうに見るか、したがってこれは払い下げられる資格があるかないかということになってこようかと思うのですね。その辺で私は、やはりこの組合の過去の経緯から申せば、自分の従来持っていた財産の維持管理であって、国有地の払い下げ、しかも地域的にこれは隣接でもありませんし、その点からいくと、それは実際やるかやらないかわかりませんが、東京のどまん中にこの組合が土地を持ってもいいというような解釈までできるというのは、どうもおかしな解釈ではないかなというふうに感ずるわけですよ。  それでは法制局が入っているようでありますから、大事な問題でありますから、これをちょっと詰めておきたいと思うのであります。  実は、先ほど大臣以下、閣議了解ということで一つの方針なり政策が出た。これが現在の国有財産法でいういわゆる国有財産中央審議会あるいは地方審議会、大きな国有財産についてはこれの議を経なければいけないというこの条項からいって、閣議了解で国有財産払い下げを行なうということをきめることが、はたして法的にどれだけの権限を持つのだろうかということがたいへん問題になったわけであります。で、基本的なこととして、閣議決定と閣議了解とどういうふうに違うのか。まずその点からお伺いしたいのです。
  211. 愛知揆一

    愛知国務大臣 国有財産の大きなものは審議会にかけなければきめられないとは私は申しておりません。法律的にいえば、これは審議会の態様はいろいろありましょうけれども、この県有財産についての中央審議会と地方審議会は、いずれも大蔵大臣などの諮問に応じて意見を出していただくものでありますから、審議会の議を経なければ処分ができないということには法律論としてはなっておりません。そういう構成でございます。  ただ、大蔵大臣としての姿勢としては、ここに書かれてあるように、重要な事項であると私が認めることは運用上なるべく広く解釈をして諮問をすべきであると思います、こういうふうにお答えしたわけでありますから、前段の御質疑の中のその点は、私の申しましたことと多少違いますから、その点念のために申し上げておきます。
  212. 迫田泰章

    ○迫田説明員 閣議決定と閣議了解の違いでございますが、閣議決定は内閣といたしましての意思を決定する、これを閣議決定といっております。閣議了解のほうは、各省庁の権限に属する事項がございますが、そういうもののうち、特に重要でまた他の省庁にも関係があるであろう、こういう重要な事項につきましてはそれの決定が及ぼす影響が非常に大きいことにかんがみまして、閣議に付議をするということをやっておりますが、こちらのほうを閣議了解、こういうふうにいっております。
  213. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 そうしますと、当然のことだと思うのでありますが、具体的な例の場合には、この場合には中央審議会に諮問されているわけですが、その結果が閣議了解と一致をしない、そういう場合もあり得るわけですね。
  214. 迫田泰章

    ○迫田説明員 それは事実上理論的にいえばあり得ると思います。
  215. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 ただ、審議会で審議したものをそのまま今度は大蔵省がやらなければいけないという条項はないでしょう。これはありませんですね。──そうしますと審議会というのはあくまで諮問に応じてですから、諮問をしたけれどもそのとおりやるかやらないかは、これは今度は行政府としての大蔵大臣、中央審議会にかけた場合には最終的には大蔵大臣になると思うのですけれども大蔵大臣の意思になる、こういうことですね。  そうすると、もう一つお尋ねしておきますけれども、閣議了解に基づいていわゆる民間の団体とこの内容を契約する、その場合にはこの閣議了解というのはどういう権限を持てるのですか。
  216. 迫田泰章

    ○迫田説明員 民間と契約するという場合は別途各省各庁の長がやるわけでありまして、閣議了解というのはそういう方針で了解をしたということでございますから、閣議了解そのものがそういう権限を持つということはございません。
  217. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 そうしますと、あくまで閣議了解というのは、政府の各省に属する権限のものをこういう方針でやりたい、しかもそれが他の省に関係があるようなものについてこういうふうにやりたいという方針、政策を閣議で了解をしたということになるわけですね。そういうふうに理解しておいてよろしいですね。
  218. 迫田泰章

    ○迫田説明員 けっこうでございます。
  219. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 法制局、ありがとうございました。  そこで、この払い下げ対象となる恩賜県有財産保護組合、これがはたして一部組合として払い下げを受け得るかどうか。これは規約をどういうふうに読むかということでたいへんむずかしいところでありますけれども、いろいろ疑問が多いわけでありますが、次に移りまして、もしこれを払い下げにする場合には、この前の神沢委員との質疑によりますと随意契約によるというふうになっておりますが、随意契約をする場合というのはどういう場合ですか。
  220. 小幡琢也

    小幡政府委員 かりにこの恩賜林組合を対象といたします場合に、この組合が地方自治法の一部事務組合である、地方公共団体であるということになりますと、その地方公共団体が公用公共用の用に供するという場合には、予算決算及び会計令九十九条二十一号の規定に基づきまして随意契約の適格性があるということになるわけでございます。
  221. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 その場合にこれは公用ですか公共用ですか、どうなんですか。
  222. 小幡琢也

    小幡政府委員 これは字句の解釈でございますが、地方公共団体がその用に供する、要するに造林の用に供するということであれば、むしろ公共用よりも直接公用であるといっていいのではないかと思います。
  223. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 その場合の公用というのはどういうものを公用というのですか。
  224. 小幡琢也

    小幡政府委員 地方公共団体が直接行ないます事業の用でございます。
  225. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 そうしますと、たとえばここに払い下げた場合に、これは先ほど大臣が言われましたけれども、まだきわめて不確定な部分が多いわけでありますけれども公用として国が国有財産払い下げる場合に──いまの公用の問題、非常に大事なんですが、ちょっと見当たらない資料が一つあるので、非常に大事なことなんですけれども、ちょっとその点については待っていただいて、建設省にお伺いをしたいのであります。  ここに、いま国道百三十八号線沿いにバイパスをつくる、有料道路をつくるという計画があるわけですが、このルートというのはさまったのですか。
  226. 高橋力

    ○高橋説明員 この道路は四十八年度から日本道路公団の手によって着工しようとしている路線でございまして、ただいま技術的な調査並びにルート等につきまして関係方面と協議に入っておる段階でございます。したがいまして、まだルートは確定いたしておりません。
  227. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 確定はしてないのですけれども、山梨県に対しまして、この払い下げ予定の国有地に道路を引かしてもらいたいという陳情をなさいましたね。
  228. 高橋力

    ○高橋説明員 現在私どもあの複雑な、しかも非常に地質の悪いところに道路をつくるわけでございまして、一番大きな問題は篭坂峠のトンネルの位置をどこにするかということが一つの大きな問題になっております。そういうことで、いましばらくその辺の検討をいたしませんと、実際現地にどこに道路をつくるかということはきめられないわけでございますが、おおよその、これは現在五万分の一程度の図面でございますが、一応現地踏査の結果では、おおむね標高千メートル付近を通りたい、こういう希望でございます。
  229. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 希望であるというよりも、四月の二十五日に県のほうに、日本道路公団の東京支社長の栗田さんが、この払い下げ予定地の中を通りたいということを申し込んでいるわけでしょう。これは事実なんでしょう。
  230. 高橋力

    ○高橋説明員 私どもそういう予定地の中を通るかどうかということは具体的に聞いておりませんが、大体この辺の位置で通りたい、こういう意思表示は道路公団のほうから県のほうにしておるかと思います。
  231. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 これは大事な問題なんですよ。払い下げをすると片方で言っていながら、片方ではその中に有料道路を通すということなんですね。いまのお話ではどうも課長さんはっきりしないようだけれども、これは四月の二十六日の朝日新聞が間違っているのかどうか知りませんけれども、四月の二十五日に、とにかくこの払い下げ予定になっている二百十ヘクタールの国有地の中をぜひ通りたいから、県にも協力をしてほしいと要請をしているわけですね。それについて防衛庁は当然難色を示しているわけでありますけれども、この事実自体はいいのでしょう、あったのでしょう、県に協力を要請したわけでしょう。
  232. 高橋力

    ○高橋説明員 実はその二百十ヘクタールの範囲も私ども道路サイドとしてはわからない状態でございまして、おおむねこの辺に道路をつくりたいがどうだろうかという意見をお聞きしている段階だと思います。
  233. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 どうしてそれは逃げられるのかわからないのですが、五万分の一の地図で大体ルートができたものが、私のこれだけの地図の中だって、これは大蔵省がつくってくれた地図でありますけれども、この中だって大体場所がわかるわけですね。しかしこの道路をつくるといっておきながら、その国有地がどういうふうに今後なるのかということがわからなくては、これはもうちょっとつくりようがないし、いろいろ国の政策として現実には相矛盾したことが起こってくるのですね、これは一体だれが総括するのですか、大蔵省になるのですか、どこがやるのですか。  片方では、建設省のほうでは、この国有地払い下げ用地と目されている二百十ヘクタールについては道路をつくりたい、あるいは大蔵省は林業整備事業で恩賜県有林保護組合に払い下げるということを閣議了解までなさっている。この辺の調整というのは一体どこがするのですか。
  234. 橋口收

    ○橋口(收)政府委員 これは三月三十日の閣議了解事項の内容にも「林業整備事業を実施するため、国有地約二一〇ヘクタールの払下げを行なう。」こういうふうに明らかに書いてあるわけでございます。したがいまして、三月三十日以降におきまして、いま先生から御指摘がございましたような問題が具体的に表面化するということになりますと、これはやはり先ほど来お答えを申しておりますような与件としての内容にかなり変更が生じたということであろうかと思います。したがいまして、閣議了解事項の内容についての問題でございますから、この席でのお答えは慎重にならざるを得ないのでございますが、しかしそういう閣議で御了解いただきました内容につきましてかなり大きな変更があるということであれば、その時点で再度考慮する、こういうことになろうかと思います。
  235. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 建設省にお伺いしますが、この東富士道路、これを着工するように考え始めたのはいつごろからですか。またきまったのはいつですか。
  236. 高橋力

    ○高橋説明員 これは四十八年度の予算要求に出しまして、その結果認められた事業でございます。
  237. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 理財局長、どうですか。四十八年度の予算のときにはもう入って、認められているのですよ。総額一二百三十億の事業費が入っているのですよ。それで閣議決定というのは三月三十日ですよ。これはだれかがどこかで調整しなければいかぬわけでしょう。少なくともこの中のルートを通るのだとしたら、私も地元に北陸道が通るということでいろいろ道路公団とやったことがありますが、そう簡単にどのルートということで、どこでもかってにいいというのではないのですよ、地盤の関係その他があって。私も技師じゃありませんから、詳しいことはわかりませんが……。  しかも篭坂峠のどこを通るかということが最終決定できまってくるのですから、そうなってくると、そう簡単にルートというのは、幾ら平地といってもきまるわけじゃないわけですね。そうしますと、皆さん方が富士演習場の中を通すというのなら話は別だけれども、おそらくそれはなさらぬだろう。大体この国道百三十八号線にほとんど二百十ヘクタールの国有地払下げ予定のところはあるわけでありますから、そうなってくると、この払い下げ予定の国有地の中をおそらく通さざるを得ないわけですね。ですから実際に道路公団は県に要請を具体的に出しているわけですよ。だからこの辺のところはだれかが調整をしなければ、片方では林業整備事業へ払い下げるということを閣議了解までしておきながら、片方ではもっと前から予算で有料道路の事業内容がきまっている。明らかに国のやっていることはむちゃくちゃなわけですよ。これはだれが調整して、こういうことが起こるのはだれの責任ですか。
  238. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは百三十八号線の問題はもちろんございますけれども、まだルートがきまっているわけじゃない。この三月三十日の閣議決定のときには、これは大蔵省といわれましたけれども大蔵省というよりは、全閣僚が了解事項を了解しているわけですから、この時点における了解事項において、国有財産処理について、先ほど来しばしば論議されているように、審議会に諮問して御検討をお願いする段階に入ってまいりました。しかし、与件がその後の道路計画によって変更されるようなことがあれば、これは閣議了解のその点は修正しなければならぬということになりますから、関係各省庁で十分協議をした上でなければ、とにかく一たんこういうふうに了解されているわけでございますから、慎重に検討いたしまして、どうしてもそうせざるを得ないということであれば、この個所については別途調整を必要とするかと考えますけれども、いままだ閣議全体としてその段階には至っておりません。
  239. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 これは神沢議員が四月七日質問する段階においても、工事期間というのは四十八年四月から五十四年三月までということになっているわけですので、本来なら着工してなければいかぬルートになるわけですね。そういうことになってきますと、一つはいま大臣が言われたように、閣議了解を重点に置けば、つまり道路の計画のほうはずっと前からあったのですね。ずっと前からあって、そのルートを通るかどうかわからなかったということでありますから、閣議了解を直してこの国有地の中を通すか、あるいは閣議了解を堅持してこの払い下げ予定の国有地を通らないようにするか、どちらかでないと解決がつかぬわけでありますね。  もう一度建設省にお伺いしますけれども、これがはっきりルートが決定するのはいつに目安を置いているのですか。
  240. 高橋力

    ○高橋説明員 実際の事業の着手までに、これは建設大臣の事業の認可が必要でございます。したがいまして、ただいま事業認可の申請書をつくる前の段階でございまして、関係方面との調整ができなければ申請もできないということで、特にいつという目標は置いておりませんが、私どももできるだけ早く着手したいという希望は持っております。
  241. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 それで大臣、私も技術者でないからわかりませんけれども、篭坂峠から河口湖のインターチェンジまでいくということでありますが、篭坂峠のどこを通すか、これが大きな問題になってくるわけであります。ちょっと地図が小さいので申しわけないのでありますが、篭坂峠はここであります。ここに河口湖のインターチェンジがあるわけです。これは百三十八号線であります。そこをもう少し拡大して見てみますと、これが国道百三十八号線なわけですね。いま問題になっている国有地というのはこの斜線の引いてある部分ですね。そうしますと、ここを通さないで演習場の中を通すなら話は別でありますが、この払い下げ予定の国有地の中を通さないというと、百三十八号線とほんとうにもう至近距離のようなところへ有料道路をつくらなければならないという形になるわけですね。これは大臣のことでありますからたいへんうまい答弁をなさると思いますが、普通、われわれの常識的な考えでも、この国有地の中を通らざるを得ないだろう。  したがって、私は四月の二十五日に道路公団が県のほうに要請に行ったのだと思うのですね。そういうことになりますと、国有地の払い下げの直接の責任者である大臣として、この道路建設については十分考える余地が当然あるというふうに理解してよろしいですか。
  242. 愛知揆一

    愛知国務大臣 いまも言いましたように、道路公団としてそういう非常な期待というか計画を持っておることも私は仄聞しておりますから、まだ各省問の相談というところまではきておりませんし、それから道路のほうの当事者もこのもみにもんだといいますか、この北富士演習場の使用に関する問題についても事情はよく承知しておられますので、いろいろ御苦心をされておることと、これまた仄聞しておるわけでございます。  先ほど言いましたように、これはもう非常に率直なことを申し上げておるのですが、その話がついてこの項がどうしても修正されなければならないということになれば、これは修正もやむを得ないと思うのです。ただこれは、ここまでくるのに関係省庁、地元の間でほんとうにもう真剣な、深刻な調整過程があったわけですから、そう簡単にはいくまい。そして、その事情を踏まえてこの閣議了解が苦心の策としてできたわけでございますから、道路の計画の場合においてもそういった点は十二分にひとつ御理解、御協力をいただきたい。いまの段階ではさように考えております。
  243. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 どうもわかってわからないような、たいへん要領がいいのか、どうもわからぬ答弁でありますが、とにかくこういったことで、このそもそもが無理をして国有地払い下げというのを地元と約束したものだから、私はそもそもいろいろな無理が生じてきたと思う。大臣、いまそんなところでうなずいていいのですか。こういう無理をしたことの積み重ねが、また一つここでうみが出てきておると思うのですね。おそらくこの中を通すとなると、またあとでお伺いしますけれども、林業再建整備事業というものもまたこれは影響をこうむると思うのですね。そういうようにそもそも最初からの出発というものが、とにかくこの北富士演習場というものを今後ともアメリカ軍にかわって自衛隊が使いたいということで無理をしたことが、一つ一つここに出てきたというのが今度のこのことだと思うのですね。  それで、閣議了解の中にもある林業再建整備事業でありますけれども、これは一体どういうことをやる予定なんですか。
  244. 小幡琢也

    小幡政府委員 まだその詳細を見ていないわけでございますが、一応いまの段階におきまして、恩賜林組合の意向をただしましたところ、利用計画としましては本地を造林用地及び採草牧地等として利用したい、このように言っておりまして、具体的なことはまだ組合のほうから伺っておりません。
  245. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 その前に、私はたいへん問題だと思うのは、いまの状況では二百十ヘクタールをこの恩賜県有財産保護組合へ払い下げをするというのでありますけれども、問題なのはこの組合が、現在十五ヘクタール貸し、過去に三百ヘクタールだと思いましたけれども、富士急に土地を売り払っているわけですね。それで、この閣議決定があった直後に約六十ヘクタールを富士急に貸すという議決がこの組合でなされているわけであります。こういったところに、新たに林業再建整備事業だといって、はたして国がわざわざ富士急に、かつて三百ヘクタール売り、現在十五ヘクタール貸し、それからまたこの三月三十日の閣議了解後は六十ヘクタールを富士急に貸し付けるということを議決しておるようなところに、林業再建整備事業だといってまた新たに国有地を貸すことが、はたして国の行政として適当なのかどうなのか。ほんとうに林業再建をするつもりならば、富士急に六十ヘクタールを貸すということは一体どういうことなのか。この辺はいかがなのですか。
  246. 小幡琢也

    小幡政府委員 現在組合が富士急に十六ヘクタールの土地を貸しているという問題があります。それからもう一つは、話によりますと、六十五ヘクタールを富士急に貸すというようなことを議決したということを聞いておりますので、実情を調べたわけでございますけれども、十六ヘクタールのほうは隣の富士急に貸しておりますし、それから六十五ヘクタールのほうは、これは議決は条件づきでございまして、六十五ヘクタールといいましても、今回返還になりますところ、これは国有地の外でございますけれども、この六十五ヘクタールのうちのほんの一部でございまして、大部分は今回の返還地——もちろん民有地の返還地でございますが、その対象からはずれましたものですから、おそらくそういった議決はほとんど実行できないのではないか、こういうふうに思っております。  それから、本地の問題でございますが、国有地を処理する場合に用途指定を厳重につけまして、他に転売ないし転貸をすることは絶対にしないようにということで、内容を吟味して処理したい、かように考えております。
  247. 鴨田宗一

    鴨田委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後四時二十二分休憩      ————◇—————     午後四時二十五分開議
  248. 鴨田宗一

    鴨田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、連合審査会開会申し入れの件についておはかりいたします。  目下社会労働委員会において審査中の内閣提出、厚生年金保険法等の一部を改正する法律案、並びに八木一男君外十六名提出、国民年金法、厚生年金保険法等の一部を改正する法律案及び国民年金等の積立金の運用に関する法律案、以上の各案について、社会労働委員会に連合審査会の開会を申し入れたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  249. 鴨田宗一

    鴨田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、連合審査会の開会日時等につきましては、委員長間で協議の上、公報をもってお知らせすることにいたします。      ————◇—————
  250. 鴨田宗一

    鴨田委員長 国有財産法及び国有財産特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。佐藤観樹君。
  251. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 問題は、その組合に二百十ヘクタール払い下げると言うけれども、片方では穴があいたように六十ヘクタール富士急に貸している。あるいは過去には三百ヘクタール売った。あるいはいま現に十六ヘクタール貸しているわけですね。こういったところにあらためて国が国有地を払い下げる。それならばなぜ六十ヘクタール富士急に貸さないで、そこに林業再建整備事業なり整備事業をやらないかという疑問が当然生まれてくるわけですよ。  たとえば従来どおり林業をやっている組合ならばまだわかるけれども、これは富士急との関係が非常に強いわけですね。そういうところになぜ新たに二百十ヘクタール払い下げるのか、この辺がどうも私は納得いかぬわけです。払い下げを受けるくらいだったら、現在富士急に貸す予定になっている六十ヘクタールもやはりやめるべきだし、過去の貸してあるものもやはりやめて、本来どおり林業に終始するというのが私はほんとうじゃないかと思うのですが、そのあたりはどういうふうに御理解なさっているのですか。
  252. 小幡琢也

    小幡政府委員 そのような話がございますので、今後利用計画を十分検討して処理する。したがいまして、これから内容を調査検討する、そういうことでございます。
  253. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 いや、これからと言われるけれども、六十ヘクタールのほうはちゃんと四十八年三月三十日午前十時の会議で議決されているわけですね。
  254. 小幡琢也

    小幡政府委員 その問題につきましては、先ほど御答弁いたしましたように六十ヘクタールでございますけれども、その大部分はまだ返還されない部分に入っておりますので、その議決は大部分実行できないと組合のほうは言っている状況でございます。
  255. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 いろいろとほかにも問題があるものですから少し先を急ぎますけれども、林業再建整備事業であります。  いままでにこの組合というのはいろいろな補償を受けているわけですね。ここはどういう補償を受けていますか。
  256. 高島正一

    ○高島説明員 恩賜林組合有地に対しては、借料を払っておりますし、いま手元に資料がございませんが、過去におきまして林業経営事業のための各種林業経営に要する機械器具等の補助金を出した経緯があったものと承知しております。詳細については、調べた上で先生にお答えいたしたいと思います。
  257. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 ここは県有地ですね。県有地から借地料が入ってくるし、それから爆弾によるところの立ち木の補償もあるし、またたまが当たった被弾木の補償もあるし、演習をやっていることによって経営ができないということで経営阻害の補償もとっているわけですね。ここはきわめて財産が多いので、地元に交付された賃貸料、立ち木補償を合わせると、四十四年まででざっと七億近いお金が出ているわけですね。  ですから、この辺のところを合わせますと、地代なり、あるいは立ち木補償だ、あるいは被弾木だ、あるいは経営阻害がされているというようなことで、そういった意味の補償がいままでかなり出ているわけですよね。それに加えて今度林業再建整備事業だといってやられるというのは、われわれの税金の使い方としてはどうも納得ができないわけですね。その辺はどうなんですか。
  258. 高島正一

    ○高島説明員 この問題は、先ほど大蔵大臣からも御答弁がございましたように非常に長い経緯がございます。最近問題になりましたのは、先ほど先生指摘のように、昨年の八月、民法六百四条の適用期限が切れるということから、この演習場をどうするかというふうな問題が提起されまして、防衛施設庁といたしましては、この演習場は自衛隊にとっても米軍にとっても必要不可欠な演習場である、そういった重要な演習場の安定的な使用を期するためにはどうしてもこの恩賜県有財産保護組合の協力が必要であるというのが防衛施設庁の考え方でございます。この恩賜林組合の協力を得るということにつきましては、先生御案内のように、山梨県からも政府に対しまして強い要望がございまして、この二百十ヘクタールの国有地を地元の民生安定との両立のためにどうしても開放してほしいというのが知事並びに一市二村恩賜林組合の強い要望であったわけでございます。  そういう要望を踏まえまして、私ども施設庁といたしましては、その実現のために関係各省ともいろいろ御相談をいただいた結果、先ほど来御議論になっております閣議了解に至った、こういう経緯になっておる次第でございます。
  259. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 そのあたりで林業再建整備事業というのは何をするかということもからんでくるのですが、先ほど私もちょっと質問を中断した、いわゆる随意契約でやるときに公用であるということで払い下げをするということでありますけれども、そういった林業再建整備事業というものははたして公用になるのかどうか、その辺が非常に疑問なんですね。この行なう内容というのは公用になるのですか。
  260. 小幡琢也

    小幡政府委員 一部事務組合でございますけれども、地方公共団体といたしますと、地方公共団体の造林という事業の用、これはやはり公用ということになると思います。
  261. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 そこがどうもおかしいと私は思うのですね。いろいろな本で公用というのを見てみますと、公用というのは国または地方公共団体の事務、事業または職員の住居の用に供する場合をいうということになっているのですね。それから法令用語辞典、これは大体法制局の方がずっと書いているのですが、公用というのは何かといいますと「国又は地方公共団体の事務、事業又は職員の住居などの用に供することをあらわす場合に、多く用いられる」こういうようなことになっているのですよ。そうしますと、これは国または地方公共団体の事務、事業または職員の住居の用などに供する場合を公用というわけですね。  いままだその内容がはっきりしませんが、林業整備事業にいうところの公用というのは、これは公用範囲に入らないのじゃないかと私は思うのですが、その点はいかがでしょう。
  262. 小幡琢也

    小幡政府委員 国におきましても国有林野の事業がございますが、これはやはり国の事業ということでございますので、地方公共団体が同じような林野の事業、造林の事業をやるというのは、やはり公共団体の事業であると見ていいのではないかと思います。
  263. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 そうしますと、この公用という意味は、いま言ったような造林という事業もこの公用の中に入る、そういう見解ですか。
  264. 小幡琢也

    小幡政府委員 さようでございます。
  265. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 辞書なりあるいはそういう関係のものをいろいろ見てみますと、公用というのは国または地方公共団体が事務とか事業の用に供するものですから、簡単に言えば、事務の用に供するものというのは庁舎とか刑務所とか、事業の用に供するというのは学校とか病院とか図書館、あるいはある程度事業的色彩を有しているけれども企業とはいえないようなもの、こういうものがいわゆる公用であるというふうに解されるのが、少なくとも私が見た範囲公用ということばの一般的な解釈だと思うのですね。そういうことから考えて、林業整備事業の用に供するものというのは、私はこの公用ということばからはずれているものだと思うのですね。この点はいかがですか。
  266. 小幡琢也

    小幡政府委員 わかりました。先生のおっしゃるのは、これは企業であって事業ではないということかと思いますが、しかし広い意味におきまして、企業というものはやはり事業に入ると考えていいのではないかと思います。
  267. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 そのあたりでかなり拡大解釈をしている点があるわけですよ。しかも、この恩賜林組合の経理内容を見て見ますと、これはきわめて裕福であって、地元の産業とか学校とか、こういうところに寄付なんかもしているわけです。そういうところからいいますと、これを国有財産法にいうところの公用ということにするには、私はあまりにも拡大解釈過ぎるのではないかという気がしてならないのです。  そもそもこれは、無理なことを、無理の無理を重ねてきているわけですから、そこでそういった拡大解釈をしなければならないことになっていると私は思うのですけれども、その公用ということについても、いまのような答弁では、実は私はきわめて不満なんです。これが国有財産法にいうところの公用ということだとするなら、私はまだほかのことも少し調べてみなければいかぬ、こう思うのでありますが、それにもう一つ、山梨県との交渉の中で、いわゆる民生安定事業費ということで五年間にわたって百三十億円出す、これは具体的には基地周辺整備事業としてやるのでありましょうけれども、当初四十八年度十五億が計上されておるように聞いておりますけれども、具体的にこれは何をするのですか。
  268. 高島正一

    ○高島説明員 北富士演習場におきますところの周辺整備事業というのは、まず大体の構想をお答え申し上げたほうがよろしいかと思います。まず、この周辺整備事業を政府として策定するにあたりましては、東富士演習場の周辺整備事業との均衡を失しないように配慮すべきであるという方針のもとに、東富士演習場との均衡におきまして山梨県側と折衝を続けました結果、最終的に要望のあった周辺整備事業費の山梨県の要望、それから政府側との折衝結果による見込み額が百三十億円として、閣議了解事項に付されたということでございます。したがいまして、政府としてはこれを今後尊重していくという方針でございます。この見込み額及び各年度の財政需要をわれわれとしては今後参考といたしまして、地元関係市町村等とよく実施計画を具体的に詰めまして、その内容を決定するということに相なっております。  したがいまして、先生指摘の百三十億は、じゃどのように使うのだ、何年計画でどういうことをやるのだということについては、今後の折衝によって詰まることでございまして、現段階におきましてはまだ具体的に申し上げられる段階にな  いということでございます。
  269. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 今年度は一体幾らついたのですか。
  270. 高島正一

    ○高島説明員 昭和四十八年度の成立予算額は九億七千万円でございます。
  271. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 じゃそれは一体どこへどういうふうに使うのですか。
  272. 高島正一

    ○高島説明員 現在この四十八年度の成立予算額は、これは実施計画を大蔵省の承認を得るという段階にございまして、まだその実施計画の承認をとるに至っておりません。その理由といたしましては、一市二村との調整を目下懸命にやっておるところでございます。最終的にまだ煮詰まる段階には至っておりません。一応めどといたしましては、障害防止事業に約五億、民生安定事業に約三億七千万、道路改修事業約一億ということをめどにいたしておりますが、現在盛んに詰めておるところでございまして、まだ結論は得るに至っておりません。
  273. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 私もいずれそのことについては、これに限らず基地周辺整備事業についてもう少し調べてみたいと思うのでありますが、聞くところによりますと、山梨県の場合でもかなり無理をして予算を使わなければいかぬというがごとく、この基地周辺整備事業費が使われている感がきわめて強いのであります。  私がなぜ百二十億あるいは今年度の九億をお伺いしているかといいますと、はたしてそんなに基地周辺整備事業の本来の役目として使い得るのかどうなのかですね、これがきわめて疑問に思うのですよ。これも神沢議員も質問しておりますけれども、非常に使い方が粗雑というか、非常に無理をして、とにかく山梨県と契約を結んだ百三十億円、これを五年間で使い切らなければ損だというような形で、実はこれがはたして基地周辺整備事業かといわれるようなものにも使われているように私は聞いておるわけであります。  これは私はまた別の機会に具体的にもう少し詰めたいと思うわけでありますが、いま私は数々いろいろな部分でお話を聞いてきたわけでありますが、最後に、この土地というのは大体幾らくらいの土地だというふうに見ていらっしゃるのですか。
  274. 小幡琢也

    小幡政府委員 この土地の評価でございますが、まだ現段階における評価に至っておりませんので、何ともお答え申し上げかねますが、この付近における一年ぐらい前の売買実績から見ますと、坪五千円とか一万円とかいろいろございます。
  275. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 いまの数字は、五千円とか一万円ということのようでありますけれども、何か私の聞いたところでは、三万円くらいするんじゃないかという話でありますけれども、ここで一つまた問題なのは、これが坪当たり三百円くらいで払われるのじゃないか、これは向こうの保護組合の総務課長が四月ぐらいに話をされているのが新聞に載っているわけでありますけれども、まさかそんなことはないでしょうね。
  276. 小幡琢也

    小幡政府委員 価格につきましては何ら話し合いもしておりませんし、まだきめてもおりません。
  277. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 おそらく山梨県の方ならたいへん詳しいだろうと思うのでありますけれども、この恩賜林組合はとかく富士急の不動産部ではないかということが地元ではささやかれているのですよね。先ほど私がお伺いした二百十ヘクタールも払い下げるといいながら、片方ではこれは自治省はできないじゃないかと言われますけれども、六十ヘクタール貸すということを議決なさっているということから考えてみても、国有地というものの払い下げが、私はきわめて今度のことも問題だろうと思いますが、さらにそのあとの段階としてこの二百十ヘクタールの払い下げが、またまた富士急のもとに最終的にいくのじゃないか、こういうことになると、私はたいへんなことだと思うのでありますが、たとえばこの組合に払い下げるという場合に、本来の林業再建整備事業に使われるようにどんなような歯どめが具体的に考えられるのか、その辺はいかがですか。
  278. 小幡琢也

    小幡政府委員 それはほかの国有地の売り払いも同じでありますが、用途指定をつけまして、こういった用途に何年間供しなければいかぬということをつけます。それから買い戻しの特約というのをいまつけておりますので、その買い戻しの特約の登記をいたしまして、その期間内に転売等をした場合には契約を解除する、そういった歯どめをするつもりでございます。
  279. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 大臣もずっとお聞きいただいたと思いますけれども、これだけ広大な土地で使おうと思えば幾らでもいろいろな国民に有益な使い方ができると思うのでありますが、これは考え方の相違かもしれませんけれども、とにかく北富士演習場を自衛隊が使いたいということで、その条件としてこの組合に払い下げられようとしていることについては、私も何度も申し上げましたようにこれ自体が問題だし、あるいはこういった払い下げのやり方自体もかなり問題だろうと思うし、さらに富士急行とこの組合が従来から深いつながりがある、こういったようなことから前にも貸したこともあるし売ったこともある、こういったところに国有地が二百十ヘクタールも売られて、最終的にまた富士急の土地になってしまうのじゃないか。というのは、先ほどちょっと私地図でも御説明いたしましたように、百三十八号線とあの国有地の間の土地というのは富士急の土地なんですね。そういうことになりますと、またまたこれが最終的には富士急の手に移ってしまうのじゃないか、国民の財産である国有地がこういったような形になるということは、たいへん私は問題だと思うのです。  そういう点で、今後とも私としても監視を続けていきたいと思うのでありますが、その辺の点について、国有財産の最終的責任者である大臣にお伺いをしたいわけであります。
  280. 愛知揆一

    愛知国務大臣 先ほど申し上げましたように、閣議了解に相当経緯もはっきり出ていると思いますけれども、これは御指摘のように、北富士演習場が自衛隊と米軍のいわば共同使用にされる。その正常化についてできるだけ円滑になるように、同時に周辺地域地域社会の発展等をはかりたい。これを両立するようにするためにずいぶん関係者あるいは関係当局が苦心に苦心を重ねて一つのコンセンサスができたというのがこの閣議了解成立の背景でありましたから、私どもとしてもこれをできるだけ尊重してまいりたいというのが基本でございますが、同時に、本件については先ほどからもいろいろな角度から御論議がございましたように、一つは実態的な問題として道路の問題もございますし、それからさらに将来払い下げた場合に、これが一部の人たちの利権的な対象になるのではないかといううわさあるいは心配というよりなものも相当耳に入りますから、今後の処理につきましては、ほんとうに公正妥当で国民的な御納得が得られるような処理ができるように最善を尽くしたい、こういうふうに考えております。誠意をもって当たってまいりたいと思っております。
  281. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 実はもう一つ聞き忘れたのでありますけれども、国有地は払い下げする場合に、相手がはたして買える能力があるかどうかですね。買えるだけの財産があるかどうか、このことは問題にならぬのですか。
  282. 橋口收

    ○橋口(收)政府委員 国有財産払い下げをいたします場合に、相手方の資力なり財政力なり資金調達能力なりというものは当然審査の対象になるのでございまして、ことに民間企業であります場合にはその支払い能力なり調達能力というものにつきましては審査の対象にいたしております。したがいまして、相手方に支払い能力がない場合には、法律規定によりまして延納手続等がございますから、そういう処理をいたします場合もございますし、あるいは延納を認めても支払い能力がないという場合には、払い下げ対象として適格性を持たない、こういうことになろうかと思います。
  283. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 その場合、延納の最大限の長さはどれだけですか。
  284. 小幡琢也

    小幡政府委員 地方公共団体の場合は十年でございます。
  285. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 いまの恩賜林組合ですね、山林を売ればまた別ですけれども、いまの積立金とか預金とかいわゆるそういった金銭の財産ですね。これは一体どのくらいあるというふうに皆さん方見られているのですか。
  286. 小幡琢也

    小幡政府委員 この問題につきましては、何ぶんまだはっきり相手方を特定しておりませんし、そういった話し合いにも入っておりませんので、まだ何もつかんでおりません。
  287. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 しかし、この前の四月七日の神沢委員とのお話では、閣議了解事項の中のカッコ書きの中からほぼこの組合であろうというふうに答弁なさっているわけですね。そういうことになると、当然この組合がはたしてそれだけ──大体いま坪三万円としますと百八十九億円、約二百億円ですね。大体時価がそれくらいだと言われている。これは次長が言われるように五千円なり一万円なりということになるともう少し安くなるかもしれませんが、私の知る範囲では基本財産としての積立金、お金からだけいきますと、大体決算で六千三百三十四万円なんですよ。あとは自動車とかあるいは山林とかあるいは本庁の庁舎とかそういったものなんですね。こういったところにそれだけの額の二百億円近いものを払い下げる、また払い下げられてもはたして買うだけの能力があるのだろうかどうだろうか、きわめて疑問に思うのですけれども、これは十年でやってもおそらくできないと思うのですね。そこで議決された六十ヘクタールを富士急に貸して、この賃料でこれを買うのだということがささやかれる背景にあると思うのですけれども、これはまだ決定していないということかもしれませんが、その辺はどのように理解なさっているのですか。
  288. 小幡琢也

    小幡政府委員 前回参議院の予算委員会で御答弁申し上げましたのは、その当時ここの払い下げ要望は恩賜林組合だけしかないし、しかも再三にわたって従来から要望があったということで、現段階においては一応恩賜林組合を考えておる、こういう御答弁を申し上げましたわけでございまして、まだきまっているわけじゃございません。  それで、問題はおそらく利用計画それから売り払い価格ということになろうかと思いますが、この辺はあくまでもこれから検討をする、こういった段階でございます。
  289. 佐藤観樹

    ○佐藤(觀)委員 そういうようなことのようでありますので、さらに追及しても同じような御答弁になると思いますので、私としてもこの財産については今後とも見守るということにしたいと思うのでありますが、とにかく北富士演習場を無理をしてアメリカ軍と自衛隊が一緒にやっていて、それがだめだということで、判決がおりそうになる直前に国有地を払い下げる、あるいは林業再建事業をするのだ、あるいは民生安定事業をするのだ。私に言わせれば、また調べていずれ追及させていただきたいと思いますが、金に糸目をつけないで予算をつけて、そしてこの国有地払い下げによってとにかく自衛隊が北富士演習場を使えるようにするというようなそもそもの出発点から無理があったもんですから、私はいろいろなところでたびたび質問しましたように、この団体の性格、あるいははたして林業再建事業という国有財産法にいうところの公用ということになるのかどうなのか、あるいはこの組合自体がそれを買えるだけの能力があるのかどうなのか、そういったようなことについてもきわめておかしなことになっているし、あるいはまた道路との関連においてもたいへん無理に無理を重ねているところが、今度の払い下げを予定していろいろされていることになるのじゃないかと私は思うのです。  こういったようなことで、きょうの質問はこれで終わりますけれども、今後もこの問題について私自身は監視を続けていきたいと思う次第であります。きょうはこれでおしまいにします。
  290. 鴨田宗一

    鴨田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十九分散会