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山田(耻)
委員 大臣のおっしゃいますことは、将来一本化になればこうした一条の第二項などは当然消えていくだろう。しかし
現状では、
公務員共済なり公共
企業体共済はかつての
恩給受給者の継続期間を通算をして
共済年金を受けていく、こういう人たちを吸収しておるから、まあまあ、いまの段階ではこういう二項を持っておるのだ、将来はなくしていくように、そのお
気持ち、私はすなおにいただいて、そうだと思いますし、そうしていただかなくちゃならぬと思うのです。
ただ、ことばじりをとらえるようで恐縮でございますが、先ほどの八
区分一本化の問題を将来の
一つのあり方として検討していかなくちゃならぬとおっしゃっていました。しかしその過程で、いろいろな
制度上の
調整、内容上の
バランスをとる、そうして
国民との
コンセンサスを得るようにする、その段階がいまの段階だとおっしゃっておられます。私は、いまの一条第二項というのが
現状の
年金支給条件の中に基本的な損害を
年金受給者に与えるこういう条項があるとすれば、私は重大だと思うし、その部分についてはぜひとも
バランスをとり、
調整をしていかなくちゃならぬと思うのがございます。
それが、それぞれの
法律にございます
給付制限です。
国家公務員法では第四節、九十七条でございます。公共
企業体では第一節二十条でございますが、いろいろな
給付制限がございます。たとえばこの条文を見ますと、禁錮を受ける、そうした場合は一部または全部の資格を喪失をする。あるいは公共
企業体の中にもございます。この
給付制限の中には——最近
日本の労使
関係が国際的に多くの話題を呼んでおります。ILOの精神並びに諸条約に、
日本の、特に
国家公務員関係、公共
企業体
関係が持つ労働運動への認識、あるいは国内法の未成熟な部分、こういうものが指摘を受けておりますが、そういう、労働運動をやったということで
公務員法に基づいて停職以上の処分を受ける、戒告を受ける、あるいは減給という処分を受ける。ところが
公務員法を見ますと、停職以上の処分、停職、解雇でございますけれども、こうした処分を労働運動上受けた場合には
年金の一部または全部を支給しない、こういう
法律になっております。私は、一条の目的第二項との結びつきが明確にここに存在しておるとは言い切れませんけれども、
社会保障とは何ぞやということにもう一ぺん返りたくなるわけです。病気になったら国が
国民のめんどうを見てあげますよ、働けなくなったら、まだ働く能力を備えない赤ちゃん、子供、こうしたものは
社会保障制度の中でしっかり国が抱きかかえていく
制度をいうのだ、おまえはそういうことで八つの分類に分けて
年金保険をかけなさい、しかしおまえは
企業の意に沿わなかった、おまえは労働運動をやった、そうして
企業で職場規律を乱したということで停職以上の処分をかける。
社会保障制度はあまねく
国民全部を明記しております。その全部に保障すべき、こうした
社会保障制度の
一環であるし
社会福祉政策の重要な部分である
年金制度を減額をし、停止をする。こういうのが
給付制限の骨格を占めている。
そういうことが正しいかどうかわかりませんけれども、現在の
共済組合法に通算をされる以前の
恩給制度の時代ならば別だと私は思う。
日本に
社会保障制度というものはなかった時代は別だと思う。しかし、今日では
国民皆保険
制度がとられ、
社会保障制度の
一環として認め、福祉
政策の根幹をなすものと認めたこの
年金が、そういう
一つの行為があったとして一部停止なり全部停止を行なって
生活権を奪うということがいいのかどうなのか、私はおかしいと思うのですよ。
しかも、私は
法律的には詳しくございませんし、
日本の実定法の中にはそれは存在をしておるので、これまた困ったと思うのでありますけれども、たとえば刑罰の二重制裁主義というものはいけないのだ。裁判で明らかになりました刑期をみごとに服役をして、そうして社会人として帰ってきたら、更生された人間として平等に、差別なく社会復帰させてあげてくださいというのが、法務省の指導であるし、国の指導であったはずです。ところが、懲役一年以上、禁錮を受けますと
年金はゼロになっていくのです。あるいは、制限額がございますけれども、十分の二・五、十分の三・五、十分の四・五と加算をされていく減額措置ができております。それは刑罰を終わって、服役をして罪を償ってきれいなからだになって帰ってきた人に対して終身続きます。生きておる限り続くのです。そうして、その人が死んだら、
恩給、
年金受給者の継続をする奥さんにも影響してまいります。その子供にまで影響してくるのです。一体こういうことが
社会保障制度の
一環としてすなおにながめられますか。
私は二重制裁主義というものは好みません。刑罰を受けて、無事にそれを果たして帰ったら、私は、りっぱに更生された社会人として平等に扱いたい。いまの各
企業内罰の中にも同様、類似したものがありますだけに、私は特に
大臣にこの点
一つだけお答えいただきまして、将来の
方向を御明示いただきまして、
大臣は御退席のようでございますから、以下各論に入っていきたいと思いますが、その点だけ、私は何としてもさびしい気がしてなりませんので、
憲法二十五条なり、いまの
社会保障制度の
一環であるという
立場から見て、この点はどのようにお
考えなのか、お答えいただきたいと思います。