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1973-05-08 第71回国会 衆議院 大蔵委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年五月八日(火曜日)    午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 鴨田 宗一君    理事 大村 襄治君 理事 木村武千代君    理事 松本 十郎君 理事 村山 達雄君    理事 森  美秀君 理事 阿部 助哉君    理事 武藤 山治君 理事 荒木  宏君       宇野 宗佑君    越智 通雄君       大西 正男君    金子 一平君       木野 晴夫君    栗原 祐幸君       小泉純一郎君    三枝 三郎君       地崎宇三郎君    野田  毅君       坊  秀男君    村岡 兼造君       毛利 松平君    高沢 寅男君       塚田 庄平君    広瀬 秀吉君       村山 喜一君    山田 耻目君       増本 一彦君    広沢 直樹君       内海  清君    竹本 孫一君  出席政府委員         大蔵政務次官  山本 幸雄君         大蔵省銀行局長 吉田太郎一君  委員外出席者         大蔵大臣官房審         議官      岩瀬 義郎君         中小企業庁計画         部金融課長   服部 典徳君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ――――――――――――― 五月一日  付加価値税新設反対等に関する請願荒木宏  君紹介)(第三四五六号)  同(神崎敏雄紹介)(第三四五七号)  同(新井彬之君紹介)(第三四五八号)  同(寺前巖紹介)(第三四五九号)  同外一件(三谷秀治紹介)(第三四六〇号)  同(村上弘紹介)(第三四六一号)  同(新井彬之君紹介)(第三五一七号)  同外一件(松尾信人紹介)(第三五一八号)  国民金融公庫の定員増加等に関する請願広瀬  秀吉紹介)(第三四六二号)  同(広沢直樹紹介)(第三五二〇号)  個人事業主報酬制度の創設に関する請願(久保  三郎紹介)(第三四六三号)  同(松尾信人紹介)(第三五一六号)  付加価値税新設反対に関する請願瀬野栄次  郎君紹介)(第三五一九号)  所得税における勤労学生控除引上げに関する請  願(谷口善太郎紹介)(第三五二一号) 同月七日  医業所得に対する租税特別措置継続等に関す  る請願寺前巖紹介)(第三七〇七号)  付加価値税新設反対等に関する請願瀬野栄  次郎君紹介)(第三七七七号)  同(矢野絢也君紹介)(第三七七八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月一日  共済年金制度改善に関する陳情書  (第二七九号)  付加価値税新設反対に関する陳情書  (第三三〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  中小企業金融制度整備改善のための相互銀行  法、信用金庫法等の一部を改正する法律案(内  閣提出第七二号)      ――――◇―――――
  2. 鴨田宗一

    鴨田委員長 これより会議を開きます。  中小企業金融制度整備改善のための相互銀仁法信用金庫法等の一部を改正する法律案議題といたします。     —————————————
  3. 鴨田宗一

    鴨田委員長 まず、政府より提案理由説明を求めます。山本政務次官
  4. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 ただいま議題となりました中小企業金融制度整備改善のための相互銀行法信用金庫法等の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申上げます。  民間中小企業金融専門機関であります相互銀行信用金庫及び信用協同組合の諸制度につきましては、昭年四十三年に基本的な改正が行なわれたところでありますが、その後における中小企業業務国際化進展、労働力不足に対処する中小企業資本装備率上昇、さらには金融サービスに対する社会的要請多様化など、情勢の変化は著しいものがあり、これに対処いたしまして、中小企業金融制度整備改善を行なうことが必要となっております。  以上の理由から、相互銀行信用金庫及び信用協同組合の諸制度につきまして、それぞれの法律に所要の改正を行なう必要があると考え、先般、金融制度調査会にはかりましたところ、中小企業金融制度整備に関する答申を得たのであります。今回の制度改正は、この答申に基づくものであります。  以下、この法律案内容につきまして、その大要を御説明申し上げます。  第一に、相互銀行法改正につきましては、相互銀行外国為替取引を行なうことができるようにするとともに、相互銀行の同一人に対する融資限度をその銀行自己資本の額の百分の十に相当する金額から百分の二十に相当する金額とすることによって取引者需要に応ずることとしております。  第二に、信用金庫法改正につきましては、まず、信用金庫会員資格のうち、資本または出資の額の限度を、中小企業の実態に即し、現行の一億円から二億円に引上げることとしております。  このほか、信用金庫連合会業務に、会員である信用金庫以外の者からの預金受け入れ有価証券払い込み金受け入れ等取り扱い及び公庫等業務代理を加えることにより、信用金庫取引者に対する金融サービスの拡充に資するとともに、同連合会専任役員の数をふやすこととしております。  第三に、信用協同組合につきましては、中小企業等協同組合法改正し、信用協同組合等が行なうことができる業務代理範囲を拡大して、組合員等の利便に資することとしておりますほか、信用協同組合が、組合員資金需要に応ずるため、その組合預金及び定期積み金の総額の百分の二十を限度として、員外預金受け入れることができることといたしております。また、これに伴い、協同組合による金融事業に関する法律改正し、都道府県知事からの要請があった場合には、大蔵大臣信用協同組合の検査を行なうことができることといたしております。  以上、中小企業金融制度整備改善のための相互銀行法信用金庫法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由内容大要を申し述べました。  何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  5. 鴨田宗一

    鴨田委員長 これにて提案理由説明は終わりました。     —————————————
  6. 鴨田宗一

    鴨田委員長 これより質疑に入ります。   質疑の通告がありますので、順次これを許します。武藤山治君。
  7. 武藤山治

    武藤(山)委員 ただいま政務次官から提案理由  の説明がございました。私は、いままで政務次官  にあまり質問したことがないのでありますが、きょうは、政務次官もうたいへん副大臣としてなれたようでありますので、少々副大臣議論をしてみたいと思うわけでありますが、まず冒頭に、昭和四十三年に基本的な改正が行なわれた。その当時、私も法案審議に携わったのでありますが、その後の、金融合併転換法ができた以後における実績と申しますか、効果と申しますか、それをまず冒頭に、副大臣の認識のほどを伺っておきたいと思うのでありますが、四十三年以後の特に目立った状況変化、そういうものをちょっと御説明願いたいと思うのであります。
  8. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 合併ないし転換動きというものはそう活発とまでは言えないかもしれませんけれども、ある程度あったわけでございまして、その中で、同じ種類金融機関の、いわゆる同種合併と、それから性質の違う、種類の違う異種合併と両方に分かれておりますが、それらを合わせまして、合併はすでに実行済みのものが七十三ほどございます。その後実行の段階に入ろうとしておる過程のものも六件ほどございまして、合計七十九件ぐらいがその実績としてあらわれてきた、こういうことであります。  なお、中小金融機関以外に、いわゆる都市銀行の間では、たとえば第一及び勧銀との合併、ある、いは近くは太陽と神戸両銀行合併、それからさらに三井と東都両銀行合併等もございまして、金融機関のそういう合併あるいは統合の動きというものも相当にあった、こう思っておるわけでございます。
  9. 武藤山治

    武藤(山)委員 こういう合併実行によってどういう実はメリットがあったと認識されているのか、合併によってこういう利点が出た、こういう便利さが生まれた、あるいはこういう行政上のメリットがあった、そういうような何か特別なものがあったというように、実行状況を見て、どのような具体的なそういう評価ができます。
  10. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 小さなものが大きくなるということは、まあこれはひとり銀行に限らず、どの機関なり組織なりについても共通のことがいえると思います。やはりそれだけ組織が大きくなればいろいろの合理化というものも行なわれ、いわゆる資金コストというものが下げられるということ、しかし反面において、今度は大きくなることによってまた留意していかなければならない点も出てくるわけでありまして、それらをよく考え合わせながらその運用をしていかなければならないわけでありますが、ある程度長い期間を経過しませんと具体的に一体どういうものがあらわれたかということも簡単には申し上げられない、こういう状態にあるのではないだろうか。ただ、方向としては、なるべくそういう合併等を促進して合理化をはかっていくという方向だけは、そのほうが適切、適当であるという考え方でやってきておるわけでございます。
  11. 武藤山治

    武藤(山)委員 今度は銀行局長にちょっとお尋ねしますが、局長、この合併転換の趨勢というものは今後もまだかなり続く、そう見るべきなのか、大体この辺で一段落ついたと見るべきなのか、さらにその中身都市銀行地方銀行あるいは信金、相互銀行等においてどういう動きが今後予想されているのか、大蔵省の耳に入っている現況からちょっと概要報告を願いたいと思います。
  12. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 金融機関合併の場合には、大きく申しまして銀行の場合と中小金融機関の場合と苦干異なるかと存じます。特に信用金庫におきましては、非常に地域的に限られておる、あるいは規模の面で小さという点から、合併については比較的意欲的であると私ども承知いたしております。ただ、大きな金融機関、特に都市銀行あるいは地方銀行となりますと、これはむしろ比較的少ないのではなかろうか、かように考えております。  そういう関係でございますが、ただ、いわゆる垂直合併と申しますか、大きな金融機関が小さな金融機関合併していくという問題が今後あり得るのではなかろうか。ただ、具体的には私どもの耳には承知いたしておりませんが、その問題については非常に弊害も起こり得るということでございまして、必ずしも私どもはすべて合併はいいというような形では指導いたしておりませんが、一番望ましいのは同種合併であって、その同種合併については信用金庫同士合併というのと、それからその次が信用組合同士合併、場合によっては信用金庫信用組合合併というのは今後比較的多くあらわれてくるのではなかろうか、かように存じております。  現在まで具体的に承知いたしておるものとしては、私どもに話がありますものとしては、相互銀行信用組合の話し合いがまとまったというのが一件あるだけでございます。
  13. 武藤山治

    武藤(山)委員 合併状況についてはそのようであるようでありますが、次に、今回の法案提案された理由が三つ記されております。その一つは中小企業業務国際化進展、第二は資本装備率上昇した、第三は金融サービスに対する社会的要請多様化だ、この三つが提案理由の大きな柱になっているわけであります。  そこでで、ちょっと基本的な幼稚な質問でありますが、まずその中小企業業務国際化進展状況、具体的に昭和四十三年ころから現在までのこの五年間ぐらいの間にこのように国際化進展をしたその内容をひとつ具体的なものを明らかにしてもらいたい。
  14. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 もちろん先生御存じのことだと思いますが、相互銀行なり信用金庫国際化と申しましても、結局は貿易業者との関係が多くなる、あるいは外国為替取引が多くなるといった程度でございます。直接に海外進出というような話はもちろんございませんが、そういう意味からいたしますと、相互銀行取引関係貿易業者の数からいたしますと、四十二年の三月末でございますと二千三百ぐらいの貿易業者に対して融資あるいは取引があるということでございますが、四十七年の三月、昨年の三月末でこれが約四千になっております。したがいまして約七割ほどふえておる。融資金額についても同様、四倍ぐらいの金額にふえておるという実情でございます。それから外国為替業務は、いままでは直接、御承知のように法律では認められておりませんので、どうしても取り次ぎをせざるを得ぬ。地方銀行なりあるいは為替専門銀行に取り次ぐというようなことの様相を見てみますと、四十三年度で、これはサンプルでございますけれども、大体それが倍あるいは東京などにおいては五倍ぐらいに取り次ぎ件数がふえておるというような内容になっておりまして、その取り次ぎ内容も、やはり貿易関係の手形の買い取り、取り立て、信用状開設依頼というようにふえてきておるというのが実情であります。
  15. 武藤山治

    武藤(山)委員 銀行局長、私、三年間ばかり休んだので、ちょっとその後の状況がわからなかったのでありますが、前に日銀総裁銀行局長などに、相互銀行外国為替取り扱いができるようにすべきだ、そういう議論をこの委員会で私も再三要望いたしたのでありますが、この法律案ができるまでの間は、ただ単に取り次ぎだけで、上位のほうの相銀為替取り扱いは一切認めていなかったのですか。それとも何か特別に上位五行とか十行とかだけは認めていたのですか。全く取り次ぎだけですか。
  16. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 内国為替取引のみ法律規定がございますので、御承知のように認めて知りません。ただトレーニングというような形で銀行に派遣をして、いわば訓練というようなことを実際にやっておった銀行が多いようであります。
  17. 武藤山治

    武藤(山)委員 今回の法律案が通りますと、相互銀行は非常に資本金の小さい相銀もすべてが外国為替取り扱いができるようになるのか、何かまた一定チェックをする基準を設けて、規模の大きいところだけしか認めないのか、その辺はどういうことになりますか。
  18. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 これは外国為替管理法に基づく認可という形に形式はなるわけでございます。したがいまして、そちらのいわば審査にかかるわけでございますが、現在の考え方といたしましては、やはりいまも申しましたように、ある程度人員的に訓練が済み、技術と申しますか、ある程度レベルにまで実力が備わっておるということが必要でございますので、そういう意味からいたしますと、取り次ぎの実積でございますとか、あるいはその地域に実際に貿易業者の方がおられるかどうか、あるいは公認銀行がその辺にない場合というようなことを考えて順次認めていく、こういうようなことをいま考えております。
  19. 武藤山治

    武藤(山)委員 そういたしますと、四十八年度で直ちにこの業務を開始しようという希望相互銀行の数というのはたいへん限られていると思うのでありますが、大体大蔵省の予想では、四十八年度さっそくこの業務を開始したいという希望相互銀行の数というのはどのくらいになりそうですか。
  20. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 この法律案が御審議いただいて成立いたしました時点において、最初にスタートを切るのは、おそらく十以下ということでやってみたいと考えております。
  21. 武藤山治

    武藤(山)委員 次に、第二の柱である資本装備率上昇、これがどんな状況に推移しているか。これもあまり長いサイトでは統計はたいへんでしょうから、前回の改正以後くらいのところをめどにしてでけっこうでございますから、その辺を少し明らかにしてください。
  22. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 資本装備率という表現で私どもが考えておりますのは、職員と申しますか、企業従業員の数に対しまして固定資本割合というように考えておるわけでございますが、四十二年と四十六年をたとえば指数という、何倍になっておるかということで調べてみますと、産業全体といたしまして、資本金といたしまして一番小さいところ、五百万円未満のような企業でございますと、大体七割近く資本装備率が上がっておるという状況、特にサービス業は倍近くになっております。それからその次の一千万円未満五百万円以上のレベルでも同様でございますが、資本金が、一千万から五千万程度企業でございますと大体七割をこえておる。小さいところほどそういうことでございまして、ある程度上になりますと、一億円未満から五千万円ぐらいのところでございますと六割ぐらいだという状況でございまして、小規模企業ほど従業員数に対する固定資本割合がふえておるというように統計ではなっております。
  23. 武藤山治

    武藤(山)委員 それらの詳細な内容はたいへん技術的なこまかい問題になりますので、あとでひとつ印刷物で、資料でいただきたいと思います。  第三番目の、金融サービスに対する社会的要請多様化、これは住宅ローンいろいろ庶民金融銀行大衆化路線、そういうことを意味するのだろうと思いますが、これも大蔵省としての把握ではどんなところがどのように多様化してきておるのか、少々中身を明らかにしていただきたいと思うのです。
  24. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 なかなか計数でとりにくい性質でございますので。多少抽象的に申し上げることをお許しいただきたいと思いますが、一番目立ってあらわれておりますのは、やはりパーソナルチェックと申しますか、あるいはそういう預金勘定を利用しての公共料金電力料金といったものの自動振りかえの需要が非常に強くなっておるということだろうと思います。そのほか、非常に身の回りに、近くに店舗がほしいという要求が強いようでございまして、企画庁の機関でございます国民生活審議会においても、その辺について特に配慮してほしいという答申が出ておるわけでございます。それから、いま先生も御指摘のように、いままで預金者として銀行に金を預けるだけであったのが、これから銀行を利用していこう、金を借りようという形での住宅金融を中心とする消費者金融、大体そういうところが大きな変化ではなかろうか、かように考えております。
  25. 武藤山治

    武藤(山)委員 今回の法律改正で、一人に対する給付等の制限という第十条で、従来自己資本の百分の十に相当する額を今回百分の二十まで貸し付けられるようにしよう。ただ問題は、相互銀行というのは七十二行もある。信用金庫になればなお多いのでありますが、その七十二行のうちそれぞれ預金量も違う、たいへんバラエティに富んだ相銀あり方だと思うのであります。そういう場合に、百分の二十という限度を一律に法律できめるということがはたして相銀に対する公平な取り扱い、あるいは悪平等にならないのか、そういう点はもうちょっときめこまかく、たとえば七十二行の中を幾つかに分類をして、一定規模以上のものは百分の二十、それ以下のものは百分の十五とか十とかいうような、そういうこまかい法律規定までは繁雑になるから必要ないという考えなのか、その辺のきめこまかい行政あり方について、ただ百分の二十の一本というのはいかがかという気もするのでありますが、そこら辺どのような考え方になっておるのですか。
  26. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 今回の法律改正をお願いする主たるねらいは、信用金庫自己資本の二〇%までは認められる、同じ地域にある相互銀行が百分の十であるために、資金量の小さな、自己資本の弱小な相互銀行が非常にアンバランスになるというところに主たるねらいがございまして、信用金庫同様中小企業にイコールフッティングで融資をしてもらいたいというのが主たるねらいでございます。  ただそれは、全般的に二割までとなりますので、今度は大きなところ、地方銀行あるいは都市銀行にも匹敵するような大きな相互銀行といったところでは、確かに先生指摘のような問題も、今度は大口融資が起こりはしないかという問題本起こってくるかと思います。そういうようなところから、先生の御指摘のように、従来私ども通達指導しておりまして、たとえば現在でございますと、自己資本の一割以内でございましても、いたずらに一割までぎりぎり貸せるということではなくて、現在は五億までは貸せる、五億をこえるようであれば、たとえば自己資本法律で認められるものであっても、それはひとつ抑制してもらいたい、こういう指導をいたしております。今度、法律改正が行なわれますれば、その辺についても同様の考え方で、ただそれが数年前でございますので、その金額についても見直して、同様の考え方指導してまいりたい、かように考えております。
  27. 武藤山治

    武藤(山)委員 自己資本の百分の二十までは貸せるという法律だけれども、しかしそれは頭打ちの限度を別に通達か省令かとにかくつくるんだ、こういうのですね。どうですか、法律できめておる規定通達でこの限度規定するというのは、法律理論からいっておかしいんじゃないですか。やはり法律で百分の二十まで貸せるということになれば、それを通達で今度チェックするということは、法の精神を全く無視してしまうので、これはいかがなものでしょうかね。
  28. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 確かに、法律できめられておるものを行政的にその範囲内で指導するということについては、いまお話しのような問題もあろうかと思います。ただ、法律規定しておるのは、あくまで銀行健全性と、それから中小企業専門機関であるという特殊性から、小口に分散していくべきであるという理念を表示しておるものでございます。それを法律限度内の金額で私ども通達で非常に厳格にやっていくということになりますと、まさに先生指摘のような問題もあろうかと存じますので、そこのところは一応のめどとして、五億なら五億という指導をやっております。五億をいささかたりともこえるものがあってはいけないということでなく、ただ、五億をこえるものがあまり多くならないように、その限度は全体の二〇%ぐらいのものが五億をこえて法律でみとめられる程度であるならばけっこうだ、それをこえて非常に大口ばかりに片寄ってはいけないという程度行政指導でございます。
  29. 武藤山治

    武藤(山)委員 そうすると、たとえば相互銀行の中でも、西日本のように自己資本が二百九十七億ですか、こういう大相銀は一〇%でも二十九億まで貸せる。今度は二〇%に変えると五十九億まで貸せる。一方では、そういう一企業に五十九億まで貸せる限度のある相銀があるかと思えば、日本で一番小さい資金量しかない相互銀行となると、二〇%、一億七千二百万しか貸せない。たとえば、これは名前を出して恐縮ですが、高千穂という相銀に例をとればその資金量は百四十四億。そうなると、これはたとえば五十九億と一億七千二百万では差があり過ぎて、いま私が局長に聞いたのは、こういう数の多い、しかも内容が千差万別の相銀信用金庫というものを、一本の条文規定をするところ自体に無理があるのではないかという、そういう趣旨なんですね。はたせるかな、この百分の二十の貸し出し限度というものを議論をしていくと、いまのようなたいへん大きいところと小さいところの格差があり過ぎる。だから、やはりこういう条文をきめる場合に、何か一定基準を設けて、上位のもの、中位のもの、下位のもののランクをつけて法的な規定を設けるほうがより適切なものではないのか、こういう実は意見を述べてみたわけですね。  そこで、いままでは五億までは貸せるんだ、今度はそれをもっと引き上げるわけですね。百分の十のときは五億だったんですから、百分の二十となれば従来の倍だから十億まで貸していいということに一応、そのままをならすとなる。これは幾らまでぐらいを一応指導目標ワクにしようとしておるのか、まず相銀の場合。
  30. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 何ぶん法案が通りました上でさらに具体的にはお答えすべき性質のものだろうとは思いますが、現在考えておりますのは、七、八億ぐらいでいかがと、かように考えております。確かに先生の御指摘のような、段階に応じて貸していくということも検討の対象にはなり得ると思いますが、何ぶん御承知のように、金融機関は非常に資金量の増減が著しくて、はなはだ三つなら三つに画然と分けにくいという実情もございますので、現在は従来の方式でそういう程度のことを考えております。
  31. 武藤山治

    武藤(山)委員 次に、信用金庫のほうもやはり同じ議論が成り立つのでありますが、信用金庫が今度、貸し付け対象の企業または個人が資本金二億のものまで貸せるというように引き上げるわけですが、それによって、現在の信用金庫業務範囲というものが非常に大きいほうへ片寄る。たとえばいま資本金一億以下の企業と今度一億から二億になった場合——一億から二億までの間の企業数というのはどのくらいあるものですか。
  32. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 法人企業統計がちょっと古いのでございまして恐縮でございますが、昨年の三月末でございますと、一億から二億までの企業数は三千五百社でございまして、全体の企業のうちの〇・三八%程度でございます。
  33. 武藤山治

    武藤(山)委員 そういたしますと、この貸し付け対象が資本金二億まで許されるとなると、やはり危険負担を考えて、小さいところへ貸すよりも大きいところへ貸したほうが金庫としては安心だ、もう完全に債権はいつも確保できる。そういう傾向がより強くなって、しかも限度を五億円までぐらいが貸せるとなると、上位信用金庫はさほど他の融資の圧迫要因にはなりませんでしょうが、小さい信用金庫は、かなり大口融資をしてしまうと、住宅ローンや零細商工業者に対する融資のワクというものが狭められて、まさに狭き門になるという心配があるわけですね。そういうようなことに対する行政指導はどうやられるのか。特に私心配するのは、信用金庫の下位のほうですね、非常に預金量の少ない——一番小さい信用金庫預金量は十一億五千五百万円、その次は十四億ということで、下位十位までのところでも二十一億五千五百万円しかない。そうすると、こういうところは、限度目一ぱい貸してしまうと、零細商工業者に対する融資というものの門が非常に狭くなってしまう。資金量の制約がありますからね。そういうようなことに対する行政指導はどういうところにポイントを置いてやられますか、大蔵省は。
  34. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 確かに私どももその辺のところは配慮していかないといけないと思っておりますが、現状でございますと、いま申し上げましたように、約三千ぐらいの企業が新たに会員資格に加わるという程度でございまして、地域的にはむしろ非常に片寄っておる。こういう非常に小さな信用金庫を見てみますと、どうしてもむしろそのような企業がないところにあるものが多い。それだけにそういうところに資金需要が出てきたところは非常に危険になるということもあろうかと思います。ただ、現在までのところでございますと、こういう小さな信用金庫は財務局なんかの目も行き届いておりまして、特にそういうふうに従来の経営態度が非常に変化するということはないのではなかろうかと考えておりますが、しかしこの辺のところは、財務局あるいは財務部と十分連絡をとって心配のないようにしていきたい、こういうふうに考えております。
  35. 武藤山治

    武藤(山)委員 信用金庫は現在四百八十五金庫ですか、ありますね。ところがその四百八十五の中身というのはそれこそまことに格差があり過ぎ、アンバランスで、一つの焦点で議論をするなんということはできない。そういう性格のものである。そこで、この法律案が通ると、信用金庫も今度は貸し出し限度はおそらく上限が五億とか四億とかきまるのでしょうが、大体幾らにきまるかということが一つ。大体幾らぐらいにしようかという目下の大蔵省のきめようとしている額。もう一つは、限度額をきめられて、自己資本比率の二〇%が限度額に達しない——たとえばかりに貸し出し限度相互銀行が五億ときめた場合に、現在の時点の金庫の数の中で、自己資本比率の二〇%が五億に達しない金庫というのはどれくらいございますか。
  36. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 今後、先ほどお答えいたしました、相銀に匹敵する信用金庫の場合の一債務者に対する貸し付け額がたとえ法律で認められる範囲内であってもできるだけそれをこえない程度にというめどは、現在のところ四億前後を考えております。ただ、これもまだきめておりませんので、たとえばどの程度になるか、正確にお答えするのもあれでございますが、現在、自己資本が二億をこえております信用金庫は四百八十四のうち百三十三でございます。これがたとえば倍になりましたときにはおそらく半減するのではなかろうか、正確な数字をいま持ち合わせておりませんが。
  37. 武藤山治

    武藤(山)委員 そうすると現在、この法律案が通ると、四百八十五のうち限度額をオーバーする金庫というのは半分ぐらいというと、七十店ぐらいですかね。六、七十か七、八十、その辺ですね。そうすると、その限度に達しないもののほうが大部分ですね。四百店ぐらいがその限度に達しない。そういう格差のあり過ぎる金庫の指導というものは、法律規定する場合も一本でかちっときめるのはそもそも無理があるような気がするのですね。だから、これをもうちょっと法律上も細分化して、組合員の出資金額のランクでもある程度二段階ぐらいあるいは三段階ぐらいに分けたほうが至当ではないかと思うのですが、どうですか。こういうほうは岩瀬さんのほうが専門家なんですか、やはり銀行局長のほうが専門家なんですか。信用金庫の場合はそこらの指導を一回洗い直してみる必要があるような気がするのですが、いかがですか。
  38. 岩瀬義郎

    ○岩瀬説明員 私のほうも専門家でございませんけれども、私からお答えいたします。  信用金庫というのは、中小金融機関三つの中ではわりあい地域性というものに立脚して当該地域中小企業金融に非常になじんでいる金融機関でございまして、それが大きいからとか小さいからとかいう規模の問題よりも、実際その地域において金融がどのように定着し、かつうまく運行しているかということで見るべきだと思います。したがいまして、小さい金庫が経営上問題があるということでも必ずしもない。したがってその辺は、こういうふうに一律に規定することがいいか悪いかという問題がございますけれども、かりに細分化する場合に、小さいのと大きいのということの分け方では簡単には論じられない問題がございます。したがいまして、これはやはり行政指導の面でかなりこまかく、われわれが実際に見ていく以外にはないのではないかというように考えております。
  39. 武藤山治

    武藤(山)委員 いずれにしても、中小企業の活動が非常に活発になり大きくなって、取引額もふえ、手形の流通量も拡大をされ、サイトも長くなるという傾向でございますから、信用金庫相互銀行取引のワクがたいへん狭いために、あっちの金融機関、こっちの金融機関と持って歩かなければならぬという状況は、私もよく存じております。したがって、貸し出しの限度額が従来よりもそれ相当に引き上げられねばならぬということについて理解をすることは至難ではないのでありますが、ただあまりにもこの信用金庫というものの数が多くてバラエティーに富み過ぎているので、一本の行政指導でばちっとやれないといううらみがあるわけですね。したがって、行政指導の面ではそういう点を十分配意してやらないと、どうも一律に取り扱われては気の毒なものも出てくる。一律では非常に有利なものも上位十行くらいは出てくるというような点を、大蔵省としては今後十分考慮しながら行政指導をすべきではないかと、強く要望しておきたいと思うのであります。  次に、中小企業金融の現在の状況でありますが、二月十四日に政府は変動相場制に移行して、企業もたいへん心配をし不安を抱いているわけでありますが、一方、物価対策や景気過熱の面から、金融引き締めというものはさらに強化をしているという状況でもある。こういう状況下にある中小企業金融というものが現在どういう状況になっておるか。さらに、中小企業庁として、この変動相場制と今日の金融引き締めというものが、産地あるいは中小企業の特にこういう部面に影響が出てきている、あるいはいない、これはどうなのか。その辺を、ひとつ銀行局と中小企業庁の双方から状況の報告を願いたいと思うのであります。
  40. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 まず、前半の中小企業金融についてお答えいたしますが、現在までいわば総体として見ております限りにおきましては、中小企業金融というのは引き締め下においても比較的順調に推移しておるのではなかろうか、かように考えております。たとえますと、銀行の全体の貸し出しの中で中小企業にどれだけ向けておるかという中小企業向け貸し出しの割合は、いまのところむしろ若干微増しておるわけでございまして、これが減ってきておるという傾向は、現在までのところは見られません。それから、いわゆる中小企業金融専門機関相銀、信金の状況は、むしろ預金の増加が非常によろしゅうございまして、したがいまして貸し出しの伸びもいいようでございます。  問題は、いわゆる窓口指導というようなことでワクの影響を受けるかどうかということでございますが、銀行については、いま申し上げましたように中小企業の比率は減っておりません。それから相銀に対する日本銀行の窓口指導も、従来の一−三よりも若干ふやす程度の規制をしておるという状況でございます。信用金庫については、十数行にしか指導していないというようなことからいたしまして、全体的に中小企業金融に向けられるべき資金というものは、現在のところは減っていないという状況でございます。  なお、中小企業の倒産でございますとか手元流動性その他いろいろの指標については、中小企業庁からお答えがあろうかと思いますが、私どもが見ておる限りは、従来と変化を示してない、かように考えております。
  41. 服部典徳

    ○服部説明員 変動相場制移行後の中小企業状況でございますが、景気の好転に伴いまして、全般的には現在のところそれほど差し迫った状況にはないと思いますが、産地によりましては、特に対米輸出の依存度が高い産地におきましては、非常に多大の影響を受けているというふうに考えるわけでございます。御承知の二千二百億の緊急融資の措置等によりまして、できるだけその影響を、滞貨、減産等の影響につきまして、融資でカバーするということで現在考えておる次第でございます。
  42. 武藤山治

    武藤(山)委員 中小企業庁は、下請代金支払遅延防止法を大企業、親企業に厳守させる監督機関でもある。一体こういう変動相場制や金融引き締めが強化されてまいりますと、結局手形のサイトを延ばされたりあるいは検査期間を長くされたり、単価は据え置きにされて、下請企業はいよいよ採算ベースに乗らぬ、こういうような状況が深刻になってくるのでありますが、一体いまの下請代金支払遅延防止法というのは守られているという認織なんですか、中小企業庁としては。
  43. 服部典徳

    ○服部説明員 私、担当でございませんので、恐縮でございますけれど、特に変動相場制移行以後は、下請企業に対する影響というものを非常に重視しまして、私どもとしても万全の努力をするということでやっている次第であります。
  44. 武藤山治

    武藤(山)委員 あなたのほうは金融だけオンリーにやっているわけだな。あと通産省は、そういうほうの担当は、来てないわけですな。——中小企業のほうの資金需要というものはその後、中小企業庁の調査では、どのように推移していますか。具体的数字で答えられるなら答えてみていただきたいのですが、資金需要というのは、どうですか、緩慢ですか、それとも上昇状況ですか、横ばいですか。その辺はどうですか。
  45. 服部典徳

    ○服部説明員 特に政府系の三金融機関中小企業金融公庫、国民公庫、商工中金でございますか、この三機関に対する資金需要というのは、今年度に入りましてから特に急激に伸びておりまして、そういう面から申しますと、景気の動向を反映いたしまして、資金需要というのはかなり旺盛ではないかというふうに考えている次第でございます。
  46. 武藤山治

    武藤(山)委員 では、中小企業庁はいいです。下請関係を聞こうと思ったら、担当が違うから……。  次に、日銀、大蔵省指導でたいへん、預金準備率の引き上げ、窓口規制、こういうようなものが行なわれて、相銀まで今回はかなりの規制が行なわれている。こういうような全般的ないまの規制の状況からいって、かなり中小企業に対する融資が全体ワクとして減ってくるのではないか、こういう感じがいたすわけでありますが、その辺の状況について、大蔵省は、これからの、六月まで、さらに七月から九月まで等の資金需要の見通しと貸し出し量の趨勢、そういうようなものをおそらく予想を立てているのだと思うのでありますがどんな状況になりますか。
  47. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 確かに御指摘のような懸命はございます。ただ、抽象的に申し上げてはなけだ恐縮ですが、いま金融機関全体として非常に大衆化という意織がございまして、いままでの企業金融のあり方から、一般的な中小企業あるいは個人というものに路線を変更していこうという気がまえがまず前提としてございます。これが従来の引き締めと違う状況ではなかろうか、かように考えております。  そこで、私どもといたしまして一番注視をしなくてはいけないのは、中小企業に対する全体の貸し出しの中の割合がどうなるかということでございますが、先ほど申しましたように、現在までのところわれわれが手にし得る数字でございますと、都市銀行地方銀行を含めまして比率は減っておりません。従来の一−三の需要割合を確保しておるという状況でございます。おそらくこの状況は六、七月までは少なくとも続くのではなかろうか、かように考えております。  なお、相互、信金につきましては、先ほど申しましたように、預金の伸びが非常によろしい、しかも貸し出しについての規制はそれほどきびしくない、特に信用金庫については規制をワクとしていないというところから、総体に中小企業に向けられるべき総量はむしろふえていくのではなかろうか、かように考えております。もちろん今後のことは何ともわかりませんが、こういう指導は続けていきまして、たとえば中小企業の倒産がふえますとかあるいはその他の計数で変化がございますれば、またそれに応じた手を考えていくべきではなかろうか、こういうふうに考えております。
  48. 武藤山治

    武藤(山)委員 しかし、特に相銀の問題だけを取り上げてみても、相銀預金の増というのが四千五百億円ぐらいある。そのうち約二千六百億円が今度の窓口規制で凍結をされるわけですね。そうなりますと、四千五百億円から二千六百億円が凍結をされるということになりますと、これは新規増加量について四〇%が引き締めになるわけですね。これはかなり相銀にとっては私は大きな痛手だろうと思うのですね。特に相銀中小企業金融と個人の住宅融資というものにかなりウエートをかけてきつつあったやさきでありますから、相銀を窓口規制の対象にしたということ、これは従来相銀はやったことないでしょう。今回が初めて窓口規制の対象に相互銀行資金をしたわけでしょう。そういう点から見ると、中小企業に対する融資状況というものは、そう影響がないと簡単に割り切れないものがやはりこの辺にあるのじゃなかろうか。一カ所だけを見てそういうことを言うのは合理性があるいはないというかもしれないけれども相銀側のいろいろな資料を調べてみると、増加額に対する二千六百億の窓口規制というのはちょっときつい、こんな感じがするのですか、それはいかがですか。
  49. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 確かに今度相銀が日本銀行窓口指導の対象になるというのは初めてでございます。それだけに非常にある意味ではショックといいますか、なれていないということもございまして、摩擦があろうかと考えております。確かにいま御指摘のように、四月から六月の貸し出しをふやすべき増加額のワクが二千六百億でございまして、ちょうど昨年四十七年の四月から六月よりも一・五%ふやす程度の規制のワクでございます。もちろんこれは全然影響がないのだというわけにはいくまいと思います。あくまで引き締めでございますので、その辺のところは摩擦が起こってくるかとも思いますが、しかし、ことばが適当でございますか、どうですか、不要不急といった角度から、むしろ相互銀行が自主的に国民経済的な判断でその辺を責任を持って対処してもらいたい、資金需要全部にこたえていくことがなかなかできない情勢の中で、その辺を期待したい、かように考えておるわけでございます。もちろん御指摘のように、したがって全然影響ないのだというのも言い過ぎではなかろうかと思います。
  50. 武藤山治

    武藤(山)委員 銀行局長、去年の六月から九月までのプラス一・五だ、しかし政府自体の経済見通しは一〇%上回る経済成長なんですね。しかもこれは去年の六−九月の一・五プラスぐらいではおさまらない経済成長の見通しなんですから、やはりその二重構造の、今日の大企業中小企業の構造転換をして、中小企業というものをさらに底上げをし、近代化をはかっていくという日本の経済構造全体の問題を改革をしていかなければならぬという大きな問題があるわけです。  そういうときでありますから、金融引き締めの事情の中にあっても、あるいは変動相場制の中にあっても、この二重構造の改善ということは推し進めなければならぬ、そういう日本特有の構造問題をかかえているわけでありますから、中小企業に対する融資の絶対量なりが減るという方向は、こういう大きな目標達成に逆行するのでありまして、相銀に対する規制ワクというようなものはできるだけ早く解除していく、そういう方向でひとつ検討をしてしかるべきではなかろうか、こういう感じが私はいたすのであります。これは大蔵大臣日銀総裁でないと、銀行局長にどうじゃと意見聞いても答えは出せないと思いますが、そういう中小企業に対する姿勢のあり方というものを検討してしかるべきだと思うのですが、どなたでもいいです。三人の、副大臣と岩瀬さんと銀行局長と、一番適切に答えられる人、ひとつ答えてください。
  51. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 これはたいへんにむずかしい問題ですが、しかし中小企業金融というものは、どうしても一般的な引き締めをした場合にそこへしわ寄せがいくという心配は確かに私はあると思うのです。現実に第一締でそういう需要者と直接に接する面で、具体的な運用でなかなかきめのこまかい運用というものができにくいという点も私は確かにあると思います。したがって、今後の推移をもう少し私は見ていかなければいかぬ。金融というのは一ぺんに効果がばっと出てきませんから、ある程度の時間的間隔を置いてみながらいかなければなりませんが、政府はいま一番心配していることは、中小企業対策でありますから、この中小企業対策の中でも、もう中小企業金融というものが私は一番ポイントだと思っておりますので、今後の推移に応じて、機動的に適切にひとつ考えて措置をしてまいりたい、こう思っておるわけであります。
  52. 武藤山治

    武藤(山)委員 いま相銀のことだけに限って話をしているのでありますが、相銀協会等のいろいろな資料を調べてみると、相銀協会が住宅ローンセンターをつくって、全国の相銀の窓口に、個人のサラリーマンが住宅をつくりたいという場合を一本の窓口で融資をする、しかも二十五年までの融資をする、こういう画期的な制度をつくったわけですね。それの申し込みが大体八千件ぐらいあるだろう、平均四百五十万円ぐらいの借り入れを個人が希望してくる、そう見ても、それだけでも三百二十億円の資金が必要なんだ。ところが金融引き締めで企業都市銀行から借りられなくなってくると、どんどん押せ押せで相銀にやってくる、また信用金庫にやってくる、こういう傾向になるわけであります。そうなってくると、せっかくつくったこの住宅ローンの資金確保すらむずかしい、こういう状況になってきつつある。相銀協会あたりでもこう言っているわけですね。  そういう点から見ると、かりに中小企業にしわ寄せがいかないにしても、今度は個人の住宅融資にしわ寄せがいく、こういう傾向が出てくると思うのでありますが、その辺の銀行局長の見解はいかがですか。
  53. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 現在住宅金融会社、いま御指摘相互銀行住宅金融会社も一つでございまして、全国でいま四つでき上がったわけでございます。いまお話しの相互銀行のが昨年の秋から実は発足した。あとの三つはようやく一年間を経ようとしておるという状況でございますが、そういう住宅金融会社というものができて、これを今度大蔵省が直接政令で指定して大蔵省が監督していくということにしたのもまさにいま先生の御指摘のような懸念があるからでございまして、こういう住宅金融会社のために、金融引き締めがあってもこういう住宅金融会社を通じて資金が住宅ローンに出ていくということをこれからくふうしていきたい、かように考えております。その一つといたしまして、たとえば住宅金融会社がローン信託というのを試験的に今度実施していきたいというのもそういう考え方であります。  それから日本銀行の窓口指導の中でも、やはり住宅金融に対する融資については弾力的に配慮していくということもやっておるわけでございます。いわば金融引き締めの波が寄らない防波堤として住宅金融会社という窓口では融資が出ていくことを期待したい、かように考えております。たまたま相互銀行住宅金融会社は、できましてまだ日も浅いわけでございますので、その実績はまだ見るべきものがございませんが、しかし四社全体といたしましては、その伸びというものは非常に大きくなっております。おそらく三千億になるというのも間もなくではなかろうか、かように考えております。
  54. 武藤山治

    武藤(山)委員 相銀だけの場合でも、従来この住宅ローンセンターができる前の数字を見ても、個人住宅貸し付け額が四十七年十二月末で三千百九十七億円あるわけですね。これは一般の総貸し出しの比率と比較すると、総貸し出しが二七・七に対して、片方の住宅貸し付けの伸びは一三一なんです。去年の四十七年十二月の対前年度伸び率です。そうしてみると、やはり住宅需要というものは非常に旺盛であるということが、この数字を見ても明らかなわけであります。でありますからこそ、やはり庶民のマイホームの夢を今回のような金融引き締め、経済過熱の状況の中で、これらの個人の夢を破るようなことにならぬように重々配慮しなければいけない問題ではなかろうか。特にいま日本住宅金融会社、それから住宅ローンサービス、住宅総合センター、相銀ローンセンターと四つの住宅専門の会社があるとあなたはいまおっしゃいましたが、この四つの会社の現在の住宅融資申し込み件数、需用者に対する融資ができる完全な消化件数、そういうものがどんな状況になっているか。それからいまあなたがおっしゃった住宅ローン債権信託ですね、新しい制度大蔵省は四月二十四日から認可した。このローン債権信託というようなものが、この四つの住宅会社の資金需要の何%くらいをこれでまかなわせようとしているのか、その債券の発行後の状況はどんな状況にいま推移しているのか、将来これが完全にこの四社の住宅金融専門会社の資金需要をまかなうような発展を見通しできるのか、この住宅債券の問題はどのように考えておるのか、ひとつ大蔵省の現状と見通し、こういうものについても見解を述べてもらいたい。
  55. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 これら四社の見通しでございますが、本年度中におきます各社の貸し出し計画全体を見ますと、おそらく四十九年三月末には二千八百億、三千億近くになるもの、さように考えております。これは全体の住宅金融金額の中では、現在たしか二兆五、六千億が住宅ローンに向けられておりますが、その程度でございますので、わずかなものではございますが、今後はこれは加速度的にふえていくだろうというのがまず第一点でございます。  それから、住宅ローンの債権信託でございますが、これはまだ発足いたしておりません。いろいろ問題もございまして、関係の影響するところもございますので、いわば試験的に近く実施してみよう、そして現在やっております金融制度調査会住宅金融部会でその問題点などを洗い、その上で秋口ぐらいに正式にこれを制度的に取り上げるかどうか結論を出したい。そのほか、いま先生が御指摘のこういう住宅金融会社に対する資金調達の道をどうしていこうかというのも一現在金融制度調査会住宅金融部会で検討しておる段階でございます。
  56. 武藤山治

    武藤(山)委員 そうすると、新聞報道の四月二十四日に大蔵省が認可をしたというのは、認可をする方向をきめたということなんですね。
  57. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 法律的には実は認可の対象にならない制度でございます。現在の信託業法の中でやれるわけでございますが、投資家保護の立場からいいましても、いろいろ問題があるかどうか、金利はどうかというようなところで実は発足を待ってもらっておったということでございまして、四月二十四日にもう試験的にやっていいじゃなかろうかという住宅金融部会の御感触を得て先方に通知したというのが実情でございます。
  58. 武藤山治

    武藤(山)委員 新聞報道などによると、個人の住宅資金を銀行の窓口に行くと、もうこのごろはたいへんやっかい者扱いにされて、いままでは返済能力がちょっときついなと思っても、はい、けっこうです、と融資が受けられたのが、どうもおたくは月給がちょっと少ないからというようなけちをつけられたり、うちは全部もう住宅会社のほうにそういう業務はまかしておるので、窓口では少々取り扱いがというようなことで断わられてしまう、こういう件数が非常にふえてきているということを、おとといの日経でも、また朝日新聞でもかなり大きく報道いたしておるのでありますが、そういうような傾向というのは、やはりいまの金融引き締めの中で住宅融資というものがたいへんシビアになってきたということを物語ると思うのです。  銀行局長はその最高の任に当たる者として、そういう傾向を、心配ないのだ、住宅建設は従来どおり窓口からどんどん貸せるようにしておるのだ、こうおっしゃるけれども、なかなかそうはいってないようなんですが、そこらのすれ違いをどのように認識されておりますか。
  59. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 確かに一つは住宅ローンに対する需要が非常にふえておるということが基本的にあろうかと思います。それで、私どもがいままで申し上げましたのも、従来どおりのワクを確保していくということでお答えをしておったのが、それでも足りないじゃないかということが基本的にあろうかと思います。これはできるだけ早く、たとえば全体の引き締め政策の中でむしろ積極的に貸し出し増加をやっていくということができることを期待するわけでございますが、せめて経済全体の引き締めの中でも、住宅ローンのワクだけは減らさないようにというのが、現在やっておる精一ぱいの努力でございまして、現に各銀行から四月から六月までの計画をとっておりますが、住宅ローンだけは減らさないで、したがって全体の引き締めの中のしわはむしろ大企業に寄るという形の計画を出してきております。そういうような結果から、総貸し出しの中の一七%を住宅金融に回すというのが都市銀行から聴取した内容でございまして、そういう意味からいたしますと、なお足りないとは存じますが、できるだけの努力をしている、今後ともそういうことでやっていきたい、かように考えております。
  60. 武藤山治

    武藤(山)委員 最後に、大蔵省は今後当分の間、金融機関に対する大蔵省の検査及び日銀の考査にあたっては、土地関連融資、それから大商社に対する融資というものを重点的にチェックポイントとして臨むのだ、こういう方針を大蔵省はきめて、過般来やってきているようでありますが、その検査の結果は、大蔵省として措置をしたもの、改善を求めたものの状況はどんなぐあいになっていますか。
  61. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 土地だけの検査を特別検査でやるというように報じられたのは、事実と多少違いまして、一般の定期検査の際に、特に投機的な融資その他土地関連を見ていくという形でございます。したがいまして、全部の金融機関を見ておりませんので、的確にはお答えはできませんが、むしろ問題は、全部の金融機関から三カ月ごとに計画を出してもらい、その計画がどれだけ実現したかという行政的なほうでいまやっておるわけでございます。  全体の計画を集計いたしますと、四月から六月の貸し出しの計画は十月−十二月の五分の一程度に押えられるという形になっております。従来の不動産業に対する融資の約五分の一程度になるのではなかろうかというのが四月から六月の計画でございまして、大体この計画は守られると考えております。
  62. 武藤山治

    武藤(山)委員 大商社に対する融資の処理についてはどうですか。
  63. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 商社のほうは、日本銀行の窓口指導のほうでやっております。これは全体の窓口指導の中で特に商社向けをきびしくするということで、商社については二分の一にしていくということでございます。規制ワクが十月から十二月、都市銀行は千八百億ぐらい十大商社に貸しておるのを、四月から六月は六百六十億ぐらい、今期信用銀行は五百億ぐらいを十月から十二月に貸しておったのを、四月から六月は百六十億、信託銀行が四百六十億貸しておったのが二百二十五億、こういうワクでやっております。
  64. 武藤山治

    武藤(山)委員 この土地関連という場合の関連というのは、どの辺まで範囲を限定しているのですか。たとえば土地取得には金は貸さない、しかし土地造成をしてすぐ分譲で売るというような場合の費用についての融資は貸すというのか。土地関連という概念の中でどの範囲までは貸し付け対象にしていいが、これはいかぬという、その限界はどのようにきめているのですか。
  65. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 確かに御指摘のように、銀行が貸します場合に、必ずしも一件一件をひもつきで貸してないのが実情でございまして、特に相手先が大きな企業でございますと、運転資金の最後のしりを見るという形でございますので、なかなか土地にいったものが幾らというようにできないのが実態でございます。そういう意味からいたしまして、金融的な規制というものはどうしても限界があるわけでございまして、今回もむしろ業種別にやらざるを得なかったというのが実情でございます。不動産業に対する融資は全体の総貸し出しの中に押えなさいというようなやり方でございまして、それが数字をもって指導しておることでございます。それから、土地関連融資と思われるものについては銀行が自主的に判断して、銀行の責任で世間の非難を招くことのないようにやってもらいたいという意味で一般的に指導しておるというわけでございます。ただ、非常に土地関連の多い業種、建設業と商社と百貨店とそれから運輸業でございますが、こういうものについては数字を聴取しておりますが、ただ土地が幾らであるということがなかなかつかみ得ないというのが実情でございます。
  66. 武藤山治

    武藤(山)委員 なかなかむずかしい指導だと思いますが、土地を購入して買いだめをするということは、もう現状から見て融資を差し控えるべきであろうと思います。しかし、いま土地を放出させよう、住宅をどんどん建てて庶民の手に入るようにさせようというのがねらいでありますから、整地をして分譲をどんどん早くやりたいというような場合にはそれを融資の対象にしてやるとかいうようにしないと、せっかく総理大臣が住宅がどんどん庶民の手に入るような配慮をするんだと言っても、片方は一切関連はだめなんだという十ぱ一からげの指導をすれば、分譲住宅もストップになってしまうという弊害が出てくる。そこらのきめこまかい指導はどうなっているのか。  それから、差しつかえなければ、追跡調査を十分やるというのでありますから、やった結果をやはり大蔵委員会に、こういう追跡調査をやった結果このようであった、そういうことを親切に大蔵省は資料で理事会に提出をすべきだと思いますが、その辺のことも約束できるかどうか、それを伺って質問を終わりたいと思います。
  67. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 まず、資料はできるだけ早く作成いたしまして、御提出させていただきます。  確かにいま御指摘の現在の規制というのは、いわば緊急事態における非常措置であるという状況でございます。非常に融資が増加をいたしましたのに対してブレーキをかけるという意味から、非常にきびしい規制をやっておるわけでございます。それだけにそういうほんとうの意味で宅地開発に資するものの質的な配慮ができないというのが状況かと思います。しかしこの段階がある程度過ぎた次においては、やはり御示唆のありましたように上物をつくっていくための資金であるとか、あるいは宅地開発というようなことが具体的に証明できるようなものについてはこれを別ワクに考えていくべきではなかろうかと考えております。そのためには金融機関にこれを判断させるというよりは、むしろ建設省なりあるいは公共団体証明制度というようなこともいかがかということで、現在建設省とも話し合っておるのが実情でございます。  ただ、何と申しましてもこういう規制そのものはあくまで過渡的な措置でございまして、あまりこれが長続きするような制度的に複雑な機構ということは考えるべきではなかろうと思いますが、検討の方向としてはいま先生指摘のようなことで、何らかの公的証明というようなものからゆるめていくべきではなかろうか、かように考えております。
  68. 武藤山治

    武藤(山)委員 いまのようなやはりきめこまかいことをやりませんと、ただ関連するものはすべてがいかぬのだということになりますと、弊害が大きいということを十分ひとつ認識をされて、今後の行政指導に万全を期してほしい、要望を付して私の質問を終わります。
  69. 鴨田宗一

    鴨田委員長 増本君。
  70. 増本一彦

    ○増本委員 共産党・革新共同の増本です。  いま中小企業のための金融制度を確立するということが非常に重要な問題の一つになっていると思うのです。民間の中小企業金融機関ということになると、信用金庫信用協同組合、そして相互銀行というようにあげられるわけですけれども、きょうは主として私は信用金庫の問題で幾つか今後の方向を含めて政府の見解を伺いたいというように思うのです。  銀行局長がすでに昨年の十一月とことしの一月の二回にわたって、土地関連融資について規制をするように通達をお出しになりましたけれども、この土地関連融資が非常に促進されたというのは、相互銀行信用金庫の場合でも例外ではなかったというように思うわけですね。まず私が資料でいただいたのを見ますと、土地関連融資では昭和四十七年の三月までぐらいの数字しか出ていないのですが、四十八年の三月から四月ぐらいにかけて、実は土地関連融資がさらに上伸びしているんじゃないかというような推測もされるような幾つかのデータを私は持っているのですけれども政府のほうで、信用金庫相互銀行に関して昭和四十八年の三月、四月ごろまでの土地関連融資がどのぐらいの金額になっているか、その伸び率を含めてひとつ明らかにできたらお願いしたいと思います。
  71. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 信用金庫の場合でございますと、私ども一−三の計画を聴取しておりますが、それがどのようになったかの実績についてはまだ全国から集めておりません。計画につきましては、これは信用金庫の場合でございますと、従来一七、八%の伸び率であったのを一〇%に一−三にするというのが一−三の計画になっております。
  72. 増本一彦

    ○増本委員 それでは局長通達、四十七年の十一月十七日の場合でも、それから四十八年の一月三十日の場合でも、金融機関の土地取得に関連する融資について、その実態について調査を行なってきた、こういうようになっていますが、この調査の結果は具体的にどういうようになっているのですか。
  73. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 一番最近については、先ほど武藤先生にお答えいたしましたように、近く資料として提出したいと思います。  現在手元にございますのはその前の十二月までの段階でございまして、これはまだ不動産業に対する貸し出しが非常に伸びておった時期でございます。全体の貸し出しが二五%程度伸びておるに対して、不動産業者に対しては前年同月比で十二月七三%も伸びておるというような実態でございました。こういう実態を踏まえて、ことしに入りまして私のほうから今度は具体的な数字で貸し出しの計画を提出するようにということを通達したわけでございます。去年の秋はむしろこういう数字の前に、道義的に自主的に判断してやりなさいという程度通達でございましたが、それを調査いたしました結果、それが非常に効果があらわれていないということがわかりましたので、むしろ数字で規制をしていくということに踏み切ったわけでございます。その集計につきましては、先ほど申しましたように、できるだけ早く当委員会に提出させていただきたい、かように考えております。
  74. 増本一彦

    ○増本委員 貸し出し計画を出させてそれに基づいて指導と規制を強めていく、こういうお話ですけれども、この貸し出し計画そのものを一般の貸し出しと土地関連融資とのバランス、これは指導めどとか基準についてはどういうようになすっておったのですか。
  75. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 全体の貸し出しをどのようにやっていくかということは、これは全体の金融調整の問題として総貸し出しをどの程度コントロールするかという問題だと思います。したがいまして、そういう貸し出し、総貸し出しと同じ程度に不動産業に対する貸し出しを伸ばしていくのであれば、これはたいして問題ではなかろうという考え方から、総貸し出しの伸び率と同様というところを目標に不動産業に貸しなさい、こういうのが現在の指導でございます。ところが、先ほども申しましたように、総貸し出しの三倍といった程度を不動産業に対していままでふやしてまいっておりましたので、これにブレーキをかけるということは非常にきびしい措置になるわけでございます。総貸し出しそのものがまた窓口規制ということで非常に今度は押えられてきたという関係から、目標になるべきものが非常に低くなり、しかも従来の水準が高かったということから、武藤先生にもお答えいたしましたように、不動産業に対する貸し出しはむしろ昨年の五分の一程度にならざるを得ないというのが現在の指導内容でございます。
  76. 増本一彦

    ○増本委員 さらに、信用金庫が株や有価証券を買ってその譲渡益をだいぶ出している、こういうことを関係者などからいろいろ聞いておるわけです。これはいってみますと、中小企業者から預かっている大事なお金を非常に投機的な資金に短期資金として流用するということになるわけでして、信用金庫の本来の金融機関としての経営の健全性からいっても非常に重大な問題である。仄聞するところによると、ことしの三月末の決算では、信用金庫関係でも資本金や準備金やあるいは営業規模などから見ますと例年にない株式譲渡益が計上されているというようなことも聞いているわけです。一体実態はどうなっているのか、こういう金融機関が株式などの譲渡益を出すために短期資金として預かっているお金を利用するというようなことに対して政府としてどういう手を打ってこられたのか、この点をひとつお伺いしたいと思うのです。
  77. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 まず最初に、信用金庫有価証券の売買を非常にふやしておるというお話でございますが、私ども承知しておる範囲においてはそれほどふやしてないように思います。まず全体の株式の売買のうち、機関投資家が全体の個人だとかその他海外投資家の全体のうちの一六%でございますが、その一六%の中で金融機関というのはさらに七、八%、その七、八%の中の信用金庫はさらに一・二%というのは、信用金庫の株式が昨年の七月から十二月にふえた数字でございまして、金額として五十一億ということでございます。全体五百近くの信用金庫の中で所有株式の増加が五十一億ということはそれほど大きいものではないのではなかろうか。  ただ、残念なことに現在御指摘の三月末の決算という数字がまだでき上がっておりませんので私ども承知いたしておりません。もしもそういう点で目に余る点があれば何らかの措置はいたしたいと思いますが、現在までのところは、むしろ特定の信用金庫にそういうことがあったのかどうか、全体的にはあまり御懸念は要らない程度の数字ではなかろうか、かように考えております。
  78. 増本一彦

    ○増本委員 それでは伺いますけれども、四十六年では、いまおっしゃった信金が一・二%ということですが、四十六年と比べて四十七年の七月から十二月までの伸び率がどういうぐあいになっているのか、そこいらをひとつ御説明願いたい。
  79. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 四十六年年間を通じまして一月から十二月、信用金庫は四・八%でございます、全体の金融機関に持っておる数字が。このときの増加額が百三十九億、それで昨年を通じまして、昨年の、四十七年の一月から十二月を集計いたしましてちょうど九十九億というのが四十七年の数字でございます。
  80. 増本一彦

    ○増本委員 預金者の側からすると、そういうところにまで手を出していながら、なかなか自分のほうにはお金を貸してくれないとか、本来の信用金庫というのは、自分が信用金庫に参加すればいつでも必要なときにお金を貸してもらえるというように思っていたのになかなかそうはいかない、聞けばこういう株式の譲渡にまで手を出しているようだという点での批判なり不満というものが、これは中小業者、特に零細業者であればそういう意見というものが非常に多いわけです。  そこで、昭和四十八年の三月の決算の出た段階で、株式譲渡益が信用金庫あるいはその他の金融機関全体を含めまして実態がどうなっているのかということをひとつ資料で明らかにしていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  81. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 資料で御説明いたします。  なお、これは信用金庫に限らないことでございますが、金融機関預金をお預かりして、それを運用していくために当然支払い準備というものが必要でございまして、現金その他の支払い準備の中に、資産を多様化していくという意味で株式を若干持つということは当然のことではなかろうか。ただそれがあまりにも、先生指摘のようにいわば度を過ぎるというようなことがあれば、これは金融機関として非常に問題であろうかと思いますが、いささかたりとも株式を保有すること自身がおかしいんだということはどうであろうか。これはむしろ取引関係もございましょうし、いろいろな点から、まあ適度な保有ということは、これは通常の姿ではなかろうか、かように考えております。
  82. 増本一彦

    ○増本委員 ところで、今日の信用金庫相互銀行の利用者の側からの資金需要というのは非常に多くなってきているというように思うのです。ところが、なかなか信用金庫にしろ相銀にしろ、一般に借りたい人が借りられないという面も、これは窓口規制やその他の問題が出てきて、あるいはそればかりじゃなくて、一つは供給する資金のほうが需要との関係、それから見ると非常に少ないのではないかというようなことを懸念する向きもあるのですけれども、いま資金の需給状況というのは一体どういうようになっているのか、その点をひとつ明らかにしていただきたい。
  83. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 数字でお答えする前に、一般論として申し上げますと、これはいわばたての両面のようなことではなかろうかと思います。過剰流動性ということばは、単に世の中にございます現金だけではなくて、預金がむしろ八割を占めているわけで、いわば通貨の八割が預金をもとにする貸し出しである、こういう状況がございます。これが過剰流動性ということで今日までいろいろ問題になっておったわけでございます。これが多過ぎるか、多過ぎないかということが問題でございますが、今日のような状況でございますと、やはり多少そういう預金をもとにする貸し出しを押えていく。まあこれはできるだけ大企業のほうではなくて中小企業あるいは個人の利用者の側に向くべきじゃないかという御指摘だろうと思います。その辺のところは、先ほど来お答えいたしておりますように、できるだけそういう方向にはやっていきたいと思いますが、まず供給サイドとして、全体の預金そのもののふえ方というのは、ここ数年に見られない非常な預金量の増加が起こっております。  パーセントで申し上げましても年率にして二割をこすのではないかと考えております。たとえば相互銀行でございますと二二%、信用金庫も二二・八%、信用協同組合が一八・九%という伸びでございまして、そういう伸びそのものは非常に、むしろ従来以上に高いというのが状況でございます。  これに対する融資、貸し出しにつきましても、四十三年から四十七年の春までは大体一〇%の上のほうでございましたが、昨年は二二、三%の伸びになっておるという状況でございます。信用金庫以下については窓口規制というものは総体としては行なっておりません。相互銀行については昨年の同期よりも一・五%くらいにふやしていくという程度の手心でやっておるわけでございます。確かにこれで十分だとは申しませんが、現在の引き締め下における手心といたしましては精一ぱいではなかろうかと私は考えておるわけでございます。
  84. 増本一彦

    ○増本委員 いただいた資料での「相互銀行信用金庫の業種別貸出額の推移」というのを見ますと、相互銀行の場合で四十七年の九月末で、それから信用金庫の場合だと四十七年の三月末なんですが、実は引き締め以降ですね、窓口規制そのものは信用金庫にはやっていないといっても、引き締めの影響というものはいろいろな形で受けるわけです。そういう点から見て、その後の推移は具体的にどうなっているのか。なかんずく製造業、卸売り業、小売り業、それから建設業等々、これらはいずれも中小企業の中では一般的な業種であるわけですね。この辺のところの貸し出しの推移が一体どうなっているのか。これは現状の数字をお持ちでしょうか。
  85. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 非常に古い数字しかございませんので、正確にはちょっと申し上げることを差し控えたほうがいいかと思います。御承知のように、信用金庫は一年決算でございまして、四十八年三月末の時点の数字しか集計できない。しかも全国にまたがっておりますので、多少おくれますので、いましばらくその他の数字、統計などでお答えすべきかと思いますが、いまのところお持ちいたしておりませんので御了承いただきたいと思います。
  86. 増本一彦

    ○増本委員 じゃもう一つ重ねて聞きますけれども、特にこういう中小企業の場合には、やはり資本階級別に貸し付け状況がどうなっているかということを見ることも——これはもちろん資本金が小さくても貸し付け額が大きい、資金需要が多い場合にはそういうこともあり得るでしょう。しかし特に規模が小さい企業ほど信用金庫ないし信用組合に依存する割合も非常に多くなってくる。こういうことを考えますと、資本階級別に一体資金の貸し付け状況がどういうぐあいに推移していっているかということを特に業種別とあわせて見ていくことは、中小企業のために金融政策を進めていく上では非常に重要だと思うのです。こういう資料を要求したところ、資本階級別に貸し付け状況を把握するような資料はない、こういうお話だったのですが、これだと、信用金庫やあるいは相互銀行の場合でも、業種別に現在どのくらい貸し付けの状況が伸びているのか、その推移を把握する資料がつかみ得ないのと相まって、具体的なその時点での中小業者のための金融政策を打ち出していくということができないんじゃないかというように考えるのですが、この点は政府のほうでは一体どういうようにお考えになっているのでしょうか。
  87. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 非常にきめのこまかい数字、統計の上に立って考えるべきではなかろうかということは、お説のとおりだろうと思います。おそらく中小企業庁あるいは中小企業金融公庫の調査部というのが統計的に一番完備しておるものを持っておりますので、私どもその辺のところで今後十分注意していきたいとは思います。ただ、信用金庫全体の統計というのがなかなか時間的におそくなるという意味から、私は、いま引き締め後の状況という御質問でございましたので、なかなかお答えできないということを申し上げたわけでございます。  なお、信用金庫融資の相手の資本金はどうだという御要求でもあったように伺っておりますが、何ぶん融資先の資本金について一々報告を求め統計に載せていくということは、これはおそらく、信用金庫業界がやるべきことではございますが、中小企業というものがそもそも手数がかかり、コストが高くならざるを得ない性質のものであるだけに、できるだけその合理化をはかっていくという点とのかね合いで非常にむずかしい点があるという点で苦慮しておるところでございます。しかし、一般的の方法としてはできるだけそういう縦横十文字の統計を踏まえていかなければならないと思います。今後努力していきたいと思います。
  88. 増本一彦

    ○増本委員 それから、貸し出し総額で伸びていることはいまお答えいただいたのですけれども、貸し出し件数ではどのくらいのどういう伸びになっていますか。
  89. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 貸し出し件数でお答えいたします。たとえば四十四年で申しますと、相互銀行が百万件でございます。信用金庫が百七十七万件、合計二百八十万件でございますが、四十七年の三月でこれが三百九十万件になっておりまして、内訳は相互銀行が百三十四万件、信用金庫が二百五十六万件でございます。なお、ことしの三月、四十八年の三月は、さっき申しましたように信用金庫の計数がまだ参っておりませんが、相互銀行は百五十五万件になっております。
  90. 増本一彦

    ○増本委員 都市銀行地方銀行などは、金融機関の中では非常に大きな支配力も持っているし、これが経済の動向や趨勢に与える影響も非常に大きいということはもちろんでありますけれども、しかしその反面やはり中小業者が日ごろ一番利用するようなものはこういう中小向けのプロパーな金融機関である。だから、この金融機関がほんとうに中小業者のための制度として、中小業者の利用者の立場に立った利用のできるような、そういう面でのきめのこまかい政策を、これは政府のほうでも努力をしていただき、政策を具体的に打つということをひとつ強く要求しておきたいと思うのです。  その関係で、この信用金庫連合会とそれから信用金庫そのものが、運営の面でも民主化されるということが、そのことが中小業者の意見が常に反映され、よりよいものになっていく前提であろうというように思うのですね。ところが、いままでの法律ですと、この信用金庫連合会信用金庫の役員以外の役員は五分の一であったものが、今度それを三分の一にしょう。いままでの信金の役員以外の役員の人たち、これが五人くらいだと思うのですけれども、その前歴は一体どういう人たちがなっているのか、その点をひとつ明らかにしていただきます。
  91. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 専務理事一人と常務理事四名がおります。専務理事は、この前歴と申しますと、全信連の常務理事が専務理事に昇格している。常務理事は日本銀行検査部長、それから常務理事もう一名は全信連の調査部長、これは職員から上がったのでございます。それから理事、いわゆる常勤の理事でございますが、全信連の業務推進部長から上がっております。それから同じく理事は、全信連の考査部長でございます。専務理事の前歴は常務理事と申しましたが、その前は大蔵省におった者でございます。
  92. 増本一彦

    ○増本委員 五人のうち二人が日銀ないし大蔵省の出身である、こういうことですか、いまお話しになったのは、そういうことですね。こういう人たちが五人のうち二人にしろ入っているというのは一体どうなんですか、好ましい状況なんでしょうか。政府としてはどうお考えなんですか。
  93. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 これはむしろ本人の力量の問題がひとつあろうかと思います。現在のこの二人について、こういう席で申し上げるのはいかがかと思いますが、私は全く適任だと思っております。ただそれが前に大蔵省におったことがいいことかどうか、あるいは日本銀行におったことがいいことかどうかという御質問かと思いますが、日本銀行から行きました常務理事も、日本銀行の検査部長ですし、金融のむしろ精通家でございます。大蔵省から行きましたのも、これも金融についても十分、信用金庫については特に財務局におりました関係上よく知っておるという点から、私は適任であると思っております。  おそらく御指摘のことが、このために大蔵省なり日本銀行と全信連との関係に不明朗な関係ができておるのではなかろうかということかと思いますが、御承知のように、全信連というものの機能というのは、いわば私企業というようなことでもございませんし、むしろこの辺は実情をよくお聞きいただけば御懸念はなくなるのではなかろうか、かように考えております。
  94. 増本一彦

    ○増本委員 今度は五分の一を三分の一にする、それが一つは有能な人材を信用金庫のこの金融界の中で抜てきしていこう、こういう目的があるわけですね。そういうときに一種の天下り人事のような形のものが、こういうそのワクを広げられることによってふえていくということになると、所期の目的を達成することができないということになるのは当然だと思うのです。四十三年のあの金融二法以来、いわば中小企業のための金融機関の整理統合が促進され、そして今回の場合もその資本金の額や貸し付け限度の額が大幅にふえることによって、だんだんと中小企業でも大口の貸し付けのほうに資金が流れ、そしてまたそのことによって町の金融機関という信用金庫相互銀行の役割りが、だんだん大きな企業のほうへ資金が流れることによってその機能を果たしていけなくなる。またそういう中に、いわば現在の皆さん方政府の側のそういう金融機関の整理統合を進める衝にあった人たち、こういう人たちが今度は全信連の役員に入っていくということになると、そこでの金信連の今後進むべき自主性という点からいっても、いろいろ問題が出てくるのではないか。  そういう点を勘案して、一体こういう問題については、それを法律でワクを広げるというようなことではなくて、全信連の自主的な立場を尊重するようなやはり法制化なり制度化というものをむしろ考えていくべきではないだろうか、こういうように思うのですけれども、その点では政府はどういうようにお考えなんですか。
  95. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 今回法律改正をお願いいたしましたのも、実は全くいまお話しのような事情から来ておるわけでございまして、全信連としてどうしても今度この法案の中に全信連の機能強化、特に中小の信用金庫が非常に仕事をしやすくやるために、全信連が親元としていろいろ機能していくということが骨子になっておるわけでございます。  そういうことからいたしますと、どうしても全信連としての役員も充実していかないといけないということで、これがいわば機能強化に付随する話として全信連から強い要望があったわけでございます。これは現に今後もしもこの法案が成立いたしますれば、四名ふえることになりますが、これは全部全信連の部長あるいは支店長の中からこれを充てるということが予定されておる話でございます。法律の視定上、役員の数字がございますから、これをお改めいただくことをお願いしておるだけでございまして、その背後にある実態は、いまお話しのように内部の職員を登用して機能強化をはかろうということでございます。
  96. 増本一彦

    ○増本委員 それからいま全信連が石油公団へ貸し付けをしていますね。その経過とそれから融資条件、この点をひとつ明らかにしていただきたいのです。
  97. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 全信連が石油公団に貸し付けておるというのは、わが国の石油備蓄対策として、四十七年度から四十九年度末までの三年間に、公団の備蓄水準を現在の四十五日分か六十日分まで引き上げるために、いろいろ金融財政の措置が予算編成の際にきめられたわけでございます。その一環といたしまして、開銀融資、それからもう一つは備蓄用の石油を買うために公団が民間の資金を調達するということで六十億の融資を行なうことにしたわけでございます。後者、その六十億の低利融資につきましては、国は公団に対して利子補給を行なうということ、それから金融機関融資代行の手数料を負担するということ及び政府が保証するということ、こういうことで、これは昨年度予算案及び石油開発公団法の一部改正という形で今国会で御審議をいただいておるところでございます。予算が成立いたしましたわけでございますが、公団は民間から資金調達をするわけでございます。その場合にその借り入れ先は特定の金融機関を対象としているわけでございません。したがって、全信連が公団に資金を貸し付けるかどうかは、これはむしろこれから他の金融機関と同様に話し合いが行なわれる性質のものでございます。
  98. 増本一彦

    ○増本委員 この貸し付け条件やその他については——まだ全信連は貸し付けをしていない。こういうことなんですか。六十億円は四十七年にやったわけでしょう。
  99. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 失礼しました。四十七年度分に六十億円はやりました。四十八年がまだということです。
  100. 増本一彦

    ○増本委員 四十七年の、このときの貸し付け条件は、この公団とそれからこの全信連との関係ではどういうようになっているのですか。金利が幾らで、期間がどのくらいで、そういう具体的な条件はどうなっていますか。
  101. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 長期貸し付けのプライムレートというのがございます。昨年の金利が下がりますまでは八・二%でございますが、その後七・七%になります。そのプライムレートより〇・一%低い金利ということになっております。
  102. 増本一彦

    ○増本委員 四十八年度はどのくらいの貸し付けを見込んでいるわけですか。
  103. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 一応見込みといたしまして、百二十億余りというように聞いております。
  104. 増本一彦

    ○増本委員 四十九年はどのくらいなんでしょう、見込みは。
  105. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 これは借り入れ総額が四十七年から四十九年度まで、全体で六百億でございますので、おそらくこの事情が変わりません限りは差額ということになろうかと思いますが、ただ、これは全体でございますので、まだ全信連からの融資額はどのくらいになるかはわかりません。
  106. 増本一彦

    ○増本委員 なるほど石油のストックのために必要な手だてをとるということも大事ですけれども、これを中小企業金融機関に集まったお金で運用するというのは、中小企業金融政策との関係ではどうなんでしょうね。そういうところにお金を回すんだったら、むしろもっと中小企業の貸し付け条件を緩和するとかしてその分を回す。特に都会の信用金庫などの場合には、むしろ資金の需要が非常に多い。供給が非常に少ないためにいろいろ貸し付けに困難を生じている。また他方では、地方の信用金庫の場合には預金が非常にあるのに貸し出しがなかなか思うにまかせない。だから全信連を通じて資金の運用を十分に円滑にはかるようにしてほしいという要求もあるわけですね。このときに、大体信用金庫が一般利用者に貸し出す金利よりも、七・七%になると低くなりますね。公共性があるということだけでは、中小企業金融政策そのものも非常に公共性のあるものですから、これはもっとほかの手だてで考えて、むしろ資金の運用については中小企業のための金融政策の中で有効に生かしていくということを私は考えるべきだというように思いますけれども、その点については大蔵省ではどういう御指導をなさっていらっしゃいますか。
  107. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 確かに全信連の資金の運用ということは、中小企業あるいは加盟信用金庫の資金の調整ということが主たる目的であることは御指摘のとおりだろうと思います。そういう意味から、現在約七千七百億の貸し出しをやっておるわけでございまして、これのいわば余裕金と申しますと多少語弊がございますが、その運用の一環としてこれを考えていく。もちろん金融の繁閑に応じてこれを考え直していくということも必要かと思います。これは四十七年度からできた制度でございます。非常に今後タイトになっていくということであれば、またその間の交渉も行なわれるかと思いますが、何ぶん全体の資金量七千億の中の数十億、まあ百億といったところでございすので、その辺のところは全体の公共性というものの中で適度に判断していかざるを得ない、かように考えております。
  108. 増本一彦

    ○増本委員 この石油公団のほかに、私の聞いたところでは、ユニバックにも貸し出しが行なわれているというように聞いていますが、これはどうですか。
  109. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 員外貸し出し、直接貸し出しとして行なわれているようでございます。
  110. 増本一彦

    ○増本委員 どのくらいですか。
  111. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 二十億でございます。
  112. 増本一彦

    ○増本委員 これは単に金額が多い少ないという問題ではなくて、やはり真に中小企業のための金融制度として徹するかどうか、そういう点での行政指導なり監督というものを国のほうでなさるかどうか、そういう点に私は大いにかかってくると思うのです。中小企業の人たちから預金はどんどん取って、しかしそのお金は全信連でカッコつきにしろ余裕金としてこういう公団とかあるいはユニバックとか、こういうところに運用される。これはわれわれの、たとえば郵便貯金が資金運用部資金で財投に流れるというのと同じように、中小業者としては、自分はお金を借りたいのだけれども、その点では窓口の規制あるいは貸し出しに困難がある。ところがその一方で、これだけの巨額の金がほかの目的で運用されているということになると、中小企業本来の金融機関の使命という点からいっても非常にいろいろな問題を起こしてくるんじゃないか。この四十七年の段階で石油公団に対して貸し付けを行なったのは、これはちょうど金融も超緩慢で、これは市中銀行でも中小業者に対して、ある程度お金を借りやすい条件にあった時期に、信用金庫から若干高い金利でお金を借りるよりも市中銀行で借りられるほうが借りやすいということも手伝って、そういうところから信用金庫のお客さんが少なくなった時期に石油公団に行ったんだというような経過も、これはいろいろ資料を見てみると推測が可能ですね。ここへ来て、金融が非常に引き締められてくる段階に来て、その超緩慢のときに六十億であったものが今度は百二十億円も貸し出されるということになると、この点で中小業者の貸し出しの点にやはり影響を与えてくるということもあり得ると思うのですね。そういうことまで見通されて、この点については私は、何らかの再検討なり改善について手を打たるべきだと思うのですが、政府のほうはいかがでしょう。
  113. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 ごもっともな御意見かとも思います。ただ全信連は御承知のように、金庫のいわば中央銀行である。したがって、会員の人たちの経営の安定という点で、その資金を集めてこれを運用していくという趣旨と、それから中小企業の金融という両面の趣旨がございますが、従来はどちらかといいますとコールローンというものに非常に運用しておったのが戦後の現象でございますが、最近に至りましてコールレートが下がってきたという点から、信用金庫業界のいわば支払い準備的な資金の有利な運用という点の一つとしてこういう制度が考えられてきたわけでございます。そういう趣旨からいたしまして、私どももこれを野方図にやっておるということではございませんので、むしろ全体の資金の一五%以内で銀行局長が承認する額、しかも一貸し付け先当たりの制限についても全信連の自己資本の二割以内というやり方でやっておるわけでございます。その石油公団がいいか、どこがいいかという問題もあろうかと思いますが、この辺は、御承知のように役員三十名、ほとんど八割までが信用金庫理事長でございます。その辺の決議のもとに厳格にと申しますか、あるいは総体の意思としてこれを考えておる。もちろん中小企業金融をほうり出して、そちらのほうでやっていこうということにはならない。いわば適度、ほどほどの問題ではなかろうか、かように考えております。
  114. 増本一彦

    ○増本委員 そうすると、検討の余地はないと、こういうことですか。
  115. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 常に検討していくべき性質ではあろうかと思いますが、現状がそれほど弊害を及ぼしておるかどうかということになりますと、もちろん常に検討はいたしますが、この石油公団がいいかどうか、あるいはユニバックがいいかどうか、一々これを個別に判断して立ち入ってやるべき段階まではいかない。むしろ大蔵省といたしましては、総体のワクの中で金庫の自主的な運用にまかすべき段階ではなかろうか、かように考えております。
  116. 増本一彦

    ○増本委員 じゃ、この点はさらに、中小企業のための金融制度なんだ、このたてまえははずさないで、ひとつ運用の面でも厳重にいろいろな点で指導、監督をしていただきたい、このことを特に念を押しておきたいと思います。  この中小企業金融機関としての経営の実態を持っていくためには、やはり経営者とそのもとで働く従業員との間の円滑な状況がつくられる、それはとりもなおさず労使間が非常に民主化されているということが、従業員にとっても仕事の励みになるし、そのことが本来信用金庫中小企業金融機関としての、庶民の金融機関としての使命でもあろうと思うのです。私は、そのための指導とか監督についての基本的な姿勢について最後にお伺いしたいのです。  非常に卑近で具体的な例を一つ申し上げたいのですが、私は仕事が弁護士なものですから、私も直接具体的にいろいろ相談に乗っている事件なんですが、たとえば、非常に極端だと思いますので申し上げるのですが、これは関東財務局でも現実に調査をしてもらっている段階でもあるのですが、芝信用金庫というのが東京にあるのです。ここで、いま労使の間で非常にいろいろ問題があるのですが、中でも支店長が第一組合組合員に対して、金庫をやめろとか、いろいろそういうばり雑言をやる、つるし上げを数十人の従業員で一人の従業員、しかも女の子を囲んでやるというようなことがひんぱんに行なわれている。全然経営者との間には交渉の余地もないというような、こういう非常に困った状態がいま生まれているのですけれども、この点での調査がいま具体的にどういうようになっているのか、また、こういうような事案に対しては政府としてどういうような指導とか監督をやろうとなさるのか、ひとつこの辺の方向と姿勢と、それから調査の実態などについてまずお伺いしたいと思います。
  117. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 いまのお話、具体的なケースについては、私、ただいま初めて耳にしたことでございますので御報告申し上げる段階ではございません。ただ、一般的な立場といたしまして、私どもは、金融機関の労使の関係についてはあぐまで労働法規のもとにおいてその規制を受けるべきである、これに対して監督——私どもが監督いたしておりますのは、あくまで法人としての金融機関でございます。その労使間の問題に対しましては、私どもはあくまで中立的であるべきである、かように考えております。この基本的な線の中で許されることについてはいたしますが、あくまでこのワクを踏み出してはいけない、かように考えておるわけでございます。
  118. 増本一彦

    ○増本委員 これは私は、単に労働事件の問題というよりも人権侵害だというように考えるのですよ。皆さんの監督している法人の中で人権侵害が行なわれているということであれば、これは憲法でも保障されている基本的人権にかかわる問題ですから、それだけで直接国政にもかかわる問題だというように思うのです。中小企業金融機関として健全な育成をはかろうということが皆さん方のやはり本来の使命であると思います。たとえば荏原町の支店では、婦人に対して、朝礼のときに、得意先係の部屋に五十分間監禁して、宮崎という支店長代理やそのほかの支店長代理や、得意先の係員六、七名で、女の子の机をたたいて、いつまでもいなくてもいいんだ、あるいは、いい玉だ、爆破事件の赤軍派はカンパでスキーに行って遊んでいるという記事が出ているが、あんたたらもそんな感覚で仕事をしているんだろう、こういうようなことを、職制で、その支店では責任を持つべき者が、しかも仲間うちの、めんどうを見なくてはならない従業員に対してやっているわけです。私は一つだけしか言いませんけれども、支店長が朝礼のときに、やはり第一組合組合員だけをとらえて、名ざしで攻撃をするということは枚挙にいとまがない。これは単に労使間の問題だから中立を旨とすべきだ、それは介入はしてはならないと思いますけれども、しかし、健全な労使慣行をつくり上げていくためにいろいろ指導するということも重要なことだし、これは労働省の任務かもしれぬが、しかし、ちゃんとした金融機関で、それが中小企業金融機関として健全に育っていく。それがそういう基本的人権が侵害されたりというような職場の環境では、それは得意先やあるいはその利用者に対してだっていろいろな影響を与えることは当然だろうと思うのです。こういうような点について、まずひとつ十分な調査もしていただいて、そして健全な金融機関として発展していくような道筋をきちんと立ててやる、そのために一定の、政府としても力をかすということが非常に重要だというように思うのですが、まずそういう実態調査を含めてそういう指導監督をしていただけるかどうか、その点での政府の見解をひとつお伺いしたいと思います。
  119. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 各職域における労働問題というのは、それぞれの所管といいますか、たとえば銀行あるいは信用金庫という場合には大蔵省ということでございますが、いま局長がお答えしましたように、大蔵省としては金融の運営ということについては第一次責任がもちろんあるわけですからそれは当然のことでございます。しかし、いまおっしゃるような労使間の紛争といいますか、そういうことにつきましては、これはいまもちょっと触れられましたけれども行政という立場から言えばやはり政府の側におきましてはそれぞれの所管があるのでありまして、そういう所管に従ってそれぞれその処理をしていくという筋合いのものであろうと思います。大蔵省が直ちにいまこの問題について乗り出して調査すべきものかどうか、私も少し慎重な考慮を要するのではないだろうか、むしろそれぞれの政府行政の筋にのっとって、その筋道をたどってそれぞれ処置すべきものではないだろうか、このお話もいま初めて聞くわけでありますから、感じを申し上げればそういうことでございます。
  120. 増本一彦

    ○増本委員 政務次官、具体的な例を私申し上げましたけれども、こういうようなことが白昼、勤務時間中に行なわれるとしたら、これはやはり人権侵害だという点はお認めになるでしょうね。それはいかがですか。
  121. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 具体的なそこだけ取り出したらどういうことか、私もいまお聞きしたままでありますけれども、いろいろの経緯もあるのだろうと思います。一がいにそれをどうこうとここで私が批評というか、感想を述べる問題でもないのではないだろうか、こう思います。
  122. 増本一彦

    ○増本委員 具体的な事実について、これだったらやはり人権侵害でしょう、こういうことが行なわれるとすれば。そのことが一つの中小企業金融機関として、しかもこれは固定資産税の減免をはじめ、いろいろな税制上の特典を受けている信用金庫で、しかも信用金庫法という法律中小企業のための金融機関としていろいろ助成までされて、だから経営は民間かもしれないけれども公共性の非常に強いものだということは、先ほど来政府の答弁の中にも随所におっしゃってこられた点ですよ。そういう中で問題が起きているときに、まず具体的な事案についてひとつ、いま関東財務局のほうにお願いもしているのですが、調査をしていただいて、それでその結果を御報告いただきたいと思うのですが、この点はいかがでしょう。  むしろ委員長にもひとつ善処を強くお願いをしたいと思います。
  123. 鴨田宗一

    鴨田委員長 あとで理事会にひとつはかってみましょう。
  124. 増本一彦

    ○増本委員 ほかにも、職業病ですでに認定を労働基準監督署で受けているそういう患者に対しても命令を履行しないとか、いろいろな問題ありますけれども、では最後にひとつお伺いしますが、中小企業金融機関としてやはり健全な発展をしていくように、それを指導監督するというのが政府のたてまえだと思うのですが、今後のこういう中小企業のための金融制度方向について、最後に政務次官に伺って私の質問を終わりたいと思います。
  125. 吉田太郎一

    吉田(太)政府委員 まず、私から先にお答えさせていただきます。  中小企業金融制度は今後いかにあるべきかということについては、実は昭和四十二年に金融制度調査会において、中小企業金融制度あり方ということで基本的に見直したわけでございます。その際いろいろ問題は出てまいりましたが、中小企業金融の専門機関をつくっていくことはどうしても必要だ、そのためには相銀、信金、信用協同組合という三段階制がいいか、あるいは二段階制がいいかというようなことも議論になったわけでございますが、結論といたしましては、専門機関をこれから育成していくべきであるという趣旨で答申が出ております。その答申内容はここで申し上げることは省略させていただきますが、今回の提案申し上げております改正案もこれの線を踏まえまして、この中で、その後五年たっております現状にむしろ合わしていくということを基本的な考え方として出しておるわけでございます。「中小企業金融制度あり方について」という昭和四十二年の答申というのは、今後当分の間、金融行政の柱として踏まえていくべき考え方ではなかろうか、かように考えております。
  126. 山本幸雄

    山本(幸)政府委員 いま局長の御答弁いたしましたように、四十二年のそういう一つの答申、当分の柱ともいうべきものがございますので、これに今日においても基本的な変更を加える必要はない。ただ、わが国の経済情勢というものの推移がいろいろございますから、その推移に即応するような、そのときそのときの時点において必要な改正を加えて、それでもって中小企業金融の要請にこたえる、こういう基本線を貫いていきたい、こう考えておるわけであります。
  127. 増本一彦

    ○増本委員 いま特に中小企業、中でもその規模が小さくなればなるほど金融環境も非常に逼迫してきて、非常に困難な状況に置かれているわけですね。そういう中で無担保、無保証の融資制度ばかりか、輸出関連産業などでは無利息の融資制度ということまで要求するような、そういう事態になっているわけです。この中で、やはり中小企業金融機関としてほんとうに正しく発展させていくという点では、四十二年の答申を受けての問題では、かえって零細な、あるいは規模の小さいところの金融環境を改善していくという点では、必ずしも十分ではないのではないかという気がしてなりません。その問題については、またあとで荒木議員などの質疑の中で、ひとつ関連で質疑をさせていただきたいというように思います。      ————◇—————
  128. 鴨田宗一

    鴨田委員長 この際、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  すなわち、本案について参考人の出席を求め、その意見を聴取することとし、その日時及び人選につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  129. 鴨田宗一

    鴨田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、明九日水曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時二分散会      ————◇—————