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1973-04-18 第71回国会 衆議院 大蔵委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年四月十八日(水曜日)    午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 鴨田 宗一君    理事 大村 襄治君 理事 木村武千代君    理事 松本 十郎君 理事 村山 達雄君    理事 森  美秀君 理事 阿部 助哉君    理事 武藤 山治君 理事 荒木  宏君       愛野興一郎君    宇野 宗佑君       越智 通雄君    大西 正男君       金子 一平君    栗原 祐幸君       小泉純一郎君    三枝 三郎君       塩谷 一夫君    地崎宇三郎君       野田  毅君    坊  秀男君       増岡 博之君    村岡 兼造君       毛利 松平君    山中 貞則君       渡辺 紘三君    佐藤 観樹君       塚田 庄平君    広瀬 秀吉君       村山 喜一君    山田 耻目君       小林 政子君    増本 一彦君       広沢 直樹君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 愛知 揆一君  出席政府委員         内閣審議官   藤井 直樹君         内閣法制局第三         部長      茂串  俊君         人事院事務総局         給与局長    尾崎 朝夷君         大蔵政務次官  山本 幸雄君         大蔵大臣官房会         計課長     早田  肇君         大蔵省主計局次         長       吉瀬 維哉君         大蔵省主計局次         長       長岡  實君         大蔵省理財局次         長       後藤 達太君         大蔵省理財局次         長       小幡 琢也君         大蔵省銀行局長 吉田太郎一君         大蔵省国際金融         局長      林  大造君         国税庁次長   江口 健司君         気象庁次長   石原  明君  委員外出席者         大蔵省主計局給         与課長     西垣  昭君         大蔵省銀行局特         別金融課長   額田 毅也君         通商産業省企業         局工業配置課         長       志賀  学君         通商産業省鉱山         石炭局石炭部産         炭地域振興課長 保阪 勘次君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ————————————— 委員の異動 四月十八日  辞任         補欠選任   木野 晴夫君     愛野興一郎君   萩原 幸雄君     渡辺 紘三君   中川 一郎君     増岡 博之君 同日  辞任         補欠選任   愛野興一郎君     木野 晴夫君   増岡 博之君     中川 一郎君   渡辺 紘三君     萩原 幸雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農産物に関する日本国アメリカ合衆国との間  の協定に基づいて借り入れ外貨資金等償還  に関する特別措置法案内閣提出第二〇号)  国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第二五号)      ————◇—————
  2. 鴨田宗一

    鴨田委員長 これより会議を開きます。  農産物に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定に基づいて借り入れ外貨資金等償還に関する特別措置法案を議題として、質疑を続行いたします。広沢直樹君。
  3. 広沢直樹

    広沢委員 まず最初に、余農債務及びガリオア債務についてですが、余農債務の第一次協定分債務総額が一応五千八百三十七万五千ドル、それから第二次の債務が四千七百十六万三千ドルというふうになっているわけでありますけれども、いわゆる農産物見返り代金として日銀合衆国勘定に積み立てられた額は一体総額幾らになっているのか、ちょっと御説明いただきたい。
  4. 林大造

    ○林(大)政府委員 これはそもそもの始まりが、第一次借款、第二次借款ともに、日本農産物買い付け全額債務となったわけではございませんで、第一次の借款におきましては、買い付けました金額のうち、贈与分は別といたしまして、残りの七割が債務とされたわけでございます。したがいまして、五千八百万ドルというのが表向きの金額でございますけれども、積み立てられました金額は八千三百三十九万三千ドルでございます。それから第二次につきましては、全額のうち七五%がただいま御指摘のように債務となりましたので、したがいまして、全額といたしましては、日銀に積み立てられました金額は六千二百八十八万三千ドルでございます。
  5. 広沢直樹

    広沢委員 そこで、七〇%、七五%というふうに第一次、第二次の協定分できめたのですが、ちょっとさかのぼるようですけれども、この七〇%ときめた根拠というのはどういうふうな根拠があるのか。それからガリオア債務についても、一応四億九千万ドルというふうにきめておりますけれども、それも実際は四億九千万ドルであったのかどうか。こういうふうにきめた理由をひとつ説明していただきたい。
  6. 林大造

    ○林(大)政府委員 第一次の農産物借款で七割ときめましたときには、当時いろいろの経緯はあったと存じますが、協定上明らかになっておりますところでは、残り金額の三〇%に相当するものを、別段の合意がある特殊の場合は別でございますが、次の目的のために使用するということをいっております。  その項目に五項目あげられておりまして、第一が、共同防衛のための軍事上の装備、資材、施設及び役務調達のため、第二が、他の国のための物品の購入及び役務調達資金に充てるため、第三が、合衆国農産物の新たな市場を両国の利益になるように発展させることを助長するため、第四が、国際教育交換活動資金に充てるため、第五が、日本国における合衆国債務を支払うため、第一次の農産物借款では、そのように規定されております。第二次におきましても、大体似たような項目協定の中に規定されているわけでございまして、日本が買い付けました全額のうち、それらの項目を別といたしました残りの七割なり七割五分なりが日本債務となったというわけでございます。  それから、ガリオア関係でございますが、四億九千万ドルという金額が確定いたしますまでは、やはりこれも外交上いろいろの経緯がございまして、まず第一に始まりましたのが、現実にガリオア関係で一体幾ら物資日本に対して供給されたかという金額突合から始まりまして、その突合過程では、もちろん戦後混乱の時期でございますから、日米双方完全な突き合わせばできなかったわけでございますが、十七億ドル台ないし十九億ドル台の間でいろいろの話し合いが行なわれました。その全額ということではなく、それからいろいろの項目を差し引きましたり、またドイツの例で約三分の一が債務とされた経緯なども参考といたしまして、全体の中で四億九千万ドルという、二十億ドル近い金額もとにいたしますれば約四分の一、それから十七億ドル台の金額もとにいたしますれば約三割ということになると存じます、その金額債務として分割返済をすることに折れ合ったということが実態であると承知いたしております。     〔委員長退席大村委員長代理着席
  7. 広沢直樹

    広沢委員 前の議論を蒸し返すつもりはないのですが、一応その経過を聞いておきたかったのですが、ガリオアあるいはエロアの債務につきましては、これは一応占領地域の救済という名目で出ておるわけですし、二十年から二十七年までの間に援助を受けておりますし、それからこの協定ができたのがちょうど十年あとですから、その間に贈与をされた分と借款になった分とがいま言うようにちょっと判然としないわけです。しかし、それは一応協定できまったということで、ただこの議論のいままでの過程においては、これはもうほとんど贈与とみなすべきではないかという議論もあったわけですけれども、しかしながら一応両国間の協定できまっているわけですから、いまさらこれを贈与だというわけにいかぬかもしれませんね。  そこで次に伺いたいことは、まずこの措置法第一条にうたっておりますように、いわゆる対外経済関係調整円対策一環、そういうことで余農債務ガリオア債務返済期間を変更して一括して支払おう、こういうことになるわけでありますが、これはアメリカからの要請に基づいたものか、それともわが国円対策一環としてこの際一括して払おうというようにきめたものなのか、まず最初、その点からひとつ……。
  8. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは結論から申しますと、双方の考え方といいますか、あるいは希望というものが一致した、その結果ということが事実でございます。アメリカ側としても、日本政府において繰り上げ償還ということは考えられるであろうかというような内打診はその当時ございましたし、それから日本側としては累次円対策一環として返すべきものは早く返してしまいたい、そしてこれが率直に申しましてドル減らし相当の役に立つ、いわば両方の呼吸といいますか、これがぴったりした、そこで急速にこれを取り計らう、こういうことに合意されたわけでございます。
  9. 広沢直樹

    広沢委員 借り入れに対しては余裕があれば早く返済する、これは当然な話だと思います。しかしアメリカに四十八年度において一括返済するということになりますれば、この法案にありますように、国内的には四十八年、四十九年、五十年の三カ年にわたって借り入れをして、アメリカに対しては一括でありますけれども、国内的にはそういう調整をしなければならないわけですね。そうなれば、一括返済計画というのは、事前考え情勢を踏まえて、それで当然産投会計でそういうものを積み立てるなどして措置を講じておくべきではなかったのだろうか。というのは、一括払いということは別に悪いことではありませんけれども、しかしながら一方では財投なら財投から借り入れをして三年間でそういう措置をするということになりますと、やはりいままで協定で七十年とか五十二年とかいうふうに長期に払うことになっておりますから、当然国内の財政事情から考えてみても、社会資本の充実に相当力を入れなければならぬということになっておりますし、一方においては確かに外貨がたまっておりまして、これは早期に払ったほうがいいというその面から見れば当然だと思うのですけれども、しかし一面から考えていけば、いま言うような国内的な問題を起こしてくるわけですから、当然情勢を踏まえて先に検討して、いわゆる見返り資金は貸してあるものについてはもう早期に取り立てるなり、これは産業開発のために出しているわけですから、そういう措置を講じておくべきではなかったかと思うのですが、その点の感触はいかがでしょう。
  10. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは御案内のように非常に長い経過がございまして、たとえば先ほども御質問がございましたが、一体これは返すべきものかどうかということで非常な大議論がございまして、その結果は、まあ高度の政治判断と申しますか、たとえばガリオアについては四億五千万ドルというようなことになったわけでございますが、しかもそれの返済は、そういう大議論があったことを踏まえて、国民の税金から返済すべきものではないというふうに考えまして、産投会計によって回収されたもの等から返済をするということに相なったわけでございます。     〔大村委員長代理退席委員長着席〕 そしてその経過を踏まえて、最初といいますか、これを決定するまでは一方においては昭和五十二年、一方においては昭和七十年ということで、それまでにはその方式で十分に返してゆうゆうたるものである、こういうふうに考えておりましたが、たまたま国際収支の問題というようなものが日米間の大きな問題になりましたので、従来からの返済方式は変えないで、しかし資金的の余裕、いわばそういう点から予定した返済計画より繰り上がりましたから、そこで資金繰りとしては借り入れ金ということを考えついたわけでございます。  それから同時に、いろいろの見方もあり得ると思いますけれども、たとえば五月一日の残高を見れば二億五千万ドル、これが一億七千五百万ドルということことであれば、これは日本としても国益としてこれだけ割り引かせるわけでございますから、そういう点でこの際日本としても決心して実行したほうがよかろう、それから返済については、いま申しましたように、その資金繰りについては産投会計において特別のくふうをこらし、そしてこれを御審議を願って、議決ができれば、これで多年の大問題であったものがさばさば片づくし、国益としても私は得であったと思いますし、ひいて日米両国国際収支問題にも一つの材料としていい結果になる、こういうふうな判断をいたしたわけでございます。
  11. 広沢直樹

    広沢委員 そこで、いまおっしゃっている意味はわからぬでもありませんが、産投会計の中でも、やはりいまおっしゃったように、一般会計からの繰り入れもありますけれども、それとは別個に区切りをつけて、これは積み立て金の分を、貸し付けた分は返済のほうに充てるというふうになっているわけですね。ですから、それはけっこうなんですけれども、しかしいま言うように、これだけの金額一括返済するということになりますと、財投からにせよ当然社会資本に回るべき原資がそちらのほうにいくわけでありますから、やはり事前に、今日の経済情勢から考え早期にそういうものを整理していくという体制を整えながらやっていけば、他の財源を二、三年にわたってさく必要もなかったのじゃないかと思うわけです。  それから対外関係調整円対策一環ということになれば、当然外貨活用という面での一つとしてお考えになっていらっしゃることになるわけでありますが、それならば外貨活用という面は、いま確かに百八十億ドルを少し割っているようでありますけれども、そういう外貨活用という大ワクの中で、これはこうするという措置をしていかなければならない問題だと思うのです。ただこれは単に目安だけで、こういうふうに相当外貨がたまっているから円対策一環として、借りているものはこの際返せというだけではなくて、総体的な外貨活用の中でこれは考えられなければならない。したがって、外貨活用の総体的なワク組み一環ということになれば、総体的な活用の方針というのは具体的にどういうふうに立っているのかと、こういうことになるわけでありますが、その点いかがでしょう。
  12. 愛知揆一

    愛知国務大臣 それはまことにごもっともでございまして、外貨活用というものは総合的に、並行的にやらなければならない、この点については昨年末以来いろいろあらためてくふうをしているわけでございます。輸入活用もそうでございますし、それからさらに外貨活用ということは積極的にやらなければならぬということで、現に外貨貸しとか外貨預託だとかあるいは輸銀を通じてのいろいろのくふうとかいろいろのことをやって、それなりに相当効果をあげているように思います。たとえば最近の輸入の実績などでも四二%ぐらい増というような計数も出ているようでございますし、今後輸入については外貨活用して、この蓄積された外貨が国民的に活用されるようにということを中心にやっておりますし、また、さらにもっと積極的な方法はないだろうかということで鋭意検討しているわけでございます。あくまでも総合的に考えていかなければならないのではないかと思っております。
  13. 広沢直樹

    広沢委員 その活用については予算委員会でもいろいろ議論が出ておりましたとおり、外貨貸し出し制度だとかあるいは経済協力外貨預託、その他輸銀融資資金の金利の引き下げとかあるいは対外投資自由化完全実施とかいろいろ具体的な方策が打たれているわけであります。ただ、先日も議論になっております第二外為構想については、大蔵大臣も、さらに総理大臣も、そしてまた日銀総裁もその方向に賛成して、検討している、やはり積極的に直接のそういう長期投資ということを考えなければならぬということであるわけでありますけれども、昨今伝えられるところによりますと、いまの時期では外貨貸し出し制度相当効果があがってくるので、そういうことは大蔵省としては一応消極的であるというふうにも伝えられているわけでありますが、その点はいかがですか。
  14. 愛知揆一

    愛知国務大臣 さらに積極的に検討いたしまして、いずれ成案を得たいと考えております。考え方といたしましては、現在の制度の積極的な活用によっても相当効果があるであろう。それから新しい制度をつくりましても、目先の効果がどれだけ出てくるであろうか。たとえば具体的なプロジェクトというようなものが現在の制度以外に新しい制度をつくってエンカレッジされるかどうかという点について、若干の疑問もないわけではないわけでございますけれども、しかしそういうことよりも、やはり新しく活用でき得るような道を開いておくことがこの際より大切なことではないか、そういう観点で積極的に立案をいたしたい、こういうかまえでおります。何しろ相当技術的な問題でもございますし、またかなり財政制度等との関連もございますようで、少し時間がかかるかと思いますが、いずれ久しからざる機会に一つ構想を御批判をいただきたい、かように考えております。
  15. 広沢直樹

    広沢委員 同時に通産当局のほうでも、いわゆる備蓄公団構想というのですか、名前は仮称ですからいろいろ変わってくるでしょうけれども、そういうような構想、来年度、四十九年度において、生活関連物資といいますか、そういう輸入を拡大していくために、外貨活用意味も含めたいわゆる備蓄的なものを考えていくという具体的な構想も立てているようですし、さらに与党のほうでも具体的な成案を得ているようでありますが、その関係と、第二外為構想関係もいま鋭意前向きに検討するということであります。それで、情勢はどうあろうとこういうシステムをつくっておく必要があるというお考えでありますが、四十九年度において具体的に——いま外貨がこれだけたまる、当然活用という問題が出てきているわけでして、これは急速に何らかの状況によって減るということがありますれば、すでにいままでの過程においてこういう構想は必要なかったわけでありまして、こういう情勢になってきたから必要になってくると思うのですが、どうなんでしょう、来年度において一応具体的に検討するといいますけれども、その方向でやっているわけでしょうか。それと備蓄公団構想についての大臣のお考え方をひとつ聞かしていただきたい。
  16. 愛知揆一

    愛知国務大臣 備蓄公団という構想についてもいろいろと考えておりますが、まだ政府としての構想が成果をあげている段階ではございませんので、私の私見の程度でございますけれども、備蓄ということをもう少し広い範囲で考えたほうがいいのじゃないだろうか。そういう意味は、たとえば開発輸入というような点ももっと積極的に加えて、それができやすくなるような方策のほうがより広くなるのではなかろうか。恒久的な制度考えます場合に目前の——現在率直に言って非常に異常な事態だと思います。特定の物資等について異常な投機問題が起こったりしているときに、あまりそこだけにとらわれずに、この点についてはいままでの内外の対策がかなり効果をあげてきておる点にもかんがみまして、恒久的な制度あるいは公団考えるような場合には、相当長期的に、恒久的な観点から問題をとらえていったほうがいいのじゃないだろうか。そのことが当面の問題についてももちろんよい結果を及ぼすであろうと思いますけれども、いわばもう少し長期的でもう少し幅の広い考え方をとったほうがいいのじゃなかろうかというような点について、内々通産大臣等とも意見交換をしておりますが、連休にでもなりまして多少時間の余裕でもできましたら、もう少し掘り下げて意見交換をし、そこから煮詰めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  17. 広沢直樹

    広沢委員 一応現実的な問題として外貨貸し出しとか預託とかそういうものを拡充するということもあるわけですが、こういう日本経済情勢やあるいは通商立国としての立場がありますから、当然こういう恒久的といいますか制度考えなければならないだろうと思います。しかし、それによって輸出入の関係にかえって問題がまだ出てくるというようなことはあるかもしれません。これはいろいろ具体的な法案が出た場合に煮詰めるといたしまして、そうした総体的な外貨活用の中で今回の問題はとらえなければならないと思うわけです。しかしまだ具体的にその効果状況がわからない。そしていま言うような基本的な構想もまだまだこれから検討の段階になるということでありますので、先ほど私が申し上げましたように、一括返済するということだけをとらえていけば私は何ら異論はございませんけれども、しかしそういう影響の問題も考えて、何も四十八年度において一括ということでなくても、二、三年こういう情勢だから早く払おうということで具体的な計画を立てた上でやっていけば影響はなかったのではないだろうか、こういうふうに考えるわけであります。  次に、いわゆる政府対外債務の現状はどうなっているのか、一応簡単に説明いただきたいと思います。
  18. 林大造

    ○林(大)政府委員 日本債務のうち、特に政府が外国に対していかなる債務を負っているかという点でございますが、これは余剰農産物関係債務、それからガリオア関係債務のほかに、大きなものといたしましていわゆる賠償系統債務、それから外貨建て国債債務がございます。この賠償関係債務につきましては、賠償そのものはほとんど終わっておりまして、現在残っておりますのは、フィリピンに対する賠償が昨年末の残高で一億三千三百万ドル残っております。そのほかにビルマ韓国に対しまして、賠償ではございませんけれども賠償に類するものといたしまして、ビルマに対しては経済技術協力関係債務約五千万ドル、それから韓国に対しましては、いわゆる無償の請求権といたしまして八千七百万ドル、いずれも昨年末で残っているわけでございます。  外貨建て国債につきましては、これはやはり昨年末で約一億四千五百万ドル残高がございます。
  19. 広沢直樹

    広沢委員 そこで大蔵大臣、いま余農ガリオア債務円対策一環として一括返済する、これはそういう性格的なものからそういうことも考えるわけでありますけれども、しかしやはり、債務として持っている分については、いま説明がありましたものもあるわけですね。この点についても、やはり円対策一環としてということならば、当然考えてしかるべき問題ではないだろうか、こう思うわけですが、いかがでしょう。
  20. 愛知揆一

    愛知国務大臣 賠償はもう残っているものが、いま説明いたしましたように少ないのと、それから賠償によって供与されるものは日本生産物役務でございます。そして先方においてプロジェクトを進めておるわけでございますから、繰り上げ実施ということを行なうことはきわめて困難であると思います。それからもっと基本的には、生産物役務が供与されるに伴って外貨が流出するわけではございませんから、賠償等の繰り上げ実施を行ないましても、国際収支対策上の効果というものは期待できないわけでございますから、これらの賠償の問題について繰り上げということは特に考えておりません。
  21. 広沢直樹

    広沢委員 それは実際に今回の一括返済する余農債務ガリオア債務との関係は、いまおっしゃったように多少ニュアンスを異にするところもあると思うのです。しかしながら、やはりわが国としては、そういう役務の提供もあるでしょうけれども、その他機械類とかいろいろなものを物で返済するものもあろうかと思うのですが、しかし大きく考えていけば、いま言うような対象として当然取り上げられる問題ではないだろうかと思うのです。ですから、円対策一環でこれだけは返すがこの分についてはということではなくて、両国との関係もあるでしょうから、一方的にこちらからこういう状況だからこうするというわけにいかぬ性質の問題かもしれませんが、その点について相対的に考えてみるべきじゃないかと思いますが一いかがでしょう。
  22. 愛知揆一

    愛知国務大臣 そういう点ももちろん考えなければなりませんでしょうけれども、いま申しましたように、賠償経済協力、具体的なプロジェクトの進行、そういうような点から考えまして、実際問題としても非常に困難でありますし、それから国際収支上の効果ということもございませんから、ガリ・エロとか余農とかとは、これは率直にいいまして同日に論ずべき性格のものではない、こういうふうに考えております。  もう一つ、先ほどのお尋ねで外貨債のお尋ねがございましたが、これは、外貨債はかなり個人的にも普及しておりますし、債権の保有者等に対する権利の尊重、保護ということから申しまして、外貨一括繰り上げ償還ということは、これはいろいろの点から申しましてむしろやるべきではない、やはり期限、条件は尊重していくべきものである、こういうふうに考えておるわけでございます。
  23. 広沢直樹

    広沢委員 この際、産投会計のことについて一言触れておきたいと思うのですが、産投会計の第一条には経済の再建、こういうふうにうたってあるわけですね。したがって、今日の状況から考えていきますと、当然これは達成されたということでありますので、これから産投会計のあり方はどうあるべきかということについて、年々一般会計からの繰り入れもふえていっているわけでありますけれども、そういう貸し付けといいますか、産投会計からの業種別の貸し付け、こういうのはどういう方向になっているのか、簡単に説明してください。
  24. 後藤達太

    ○後藤政府委員 事実関係について御説明申し上げますが、産投会計のただいまの四十八年度の出資の額は、御案内のように八百二億でございます。そのうち輸出入銀行に対するものが六百三十億で一番多うございまして、その次が工配公団に対する出資が百三十億ございます。貸し付けで残っておりますものは、貸し付け金といたしましては四十七年度末に七百八十四億でございます。これは外貨債によりまして調達いたしました資金の貸し付け、それから余農関係の貸し付け金、これが残っておるわけでございます。四十八年度につきましては貸し付けをする予定はございません。
  25. 広沢直樹

    広沢委員 いずれにしましても、大蔵大臣、これから国土の総合開発という問題もいまの大きな問題になってきておりますが、それの主力的なものは何といっても公共投資ですね。道路にしても港湾にしても、あるいは交通にしても、町づくりをやっていくにしましても、公共投資が非常にふえてくると思います。したがって産業投資のあり方につきましても、いままでのような大きな企業だとかあるいはそういうふうな体制の融資のあり方というものは、初めの趣旨から考えてみましても、これも性格を変えていくべきじゃないだろうか、こういうふうに思うわけです。特に地方の開発という問題も出てくるわけであります。しかし、この産投会計の内容を見ておりますと、そういう点も少しうかがえるようなところも出ておりますけれども、八百二億のうちのほとんどが輸出入銀行、こういうことになっております。その他若干いろいろ整理されてきている問題もありますけれども、こういう点から見てもまだこの点は変わっていないのじゃないかというふうにもうかがえるわけでありますけれども、やはり基本的な問題から考えて、これからの性格をどう変えていくかということについて御意見を伺っておきたいと思います。
  26. 愛知揆一

    愛知国務大臣 御指摘がございましたように、産特会計第一条に経済の再建、産業の開発、貿易の振興といったような戦後の混乱から立ち直ることを目ざして産投会計というものが設置された、こういう点から今回のガリオア余農資金返済というようなことが行なわれる機会に、その運営等を洗い直してみるということは確かに必要なことであると思います。たとえば今回国土総合開発公団というものができますが、こういうものに投資をするというようなことも新しい行き方の一つであると思いますけれども、御指摘がありましたような点につきましては、将来の問題としては十分再検討していくに値するものである、かように存じております。
  27. 広沢直樹

    広沢委員 それでは約束の時間も迫っているようでありますので、今度の、いわゆるこれにからんだ通貨問題について若干お伺いしておきたいと思います。  外為市場が再開してから一カ月ぐらいたっておりますけれども、最近のドルの相場は堅調といいますか、そういうふうに推移してきております。相当心配された面がこういうふうに推移してきているという原因は一体どこにあるか、どういうふうに判断しておられるのか、通産省が十二日発表した輸出の認証統計では、対米輸出が非常に減少している、こういうふうに言われておりますけれども、こういうものに関連があるのか、さらに今後の見通しについて簡単にひとつ御説明いただきたいと思います。
  28. 愛知揆一

    愛知国務大臣 簡単に申しますと、三月に行なわれました三回にわたる国際通貨の問題の会議というものが、当時批評されましたように大まかに、具体的な問題にわたっての合意まではできなかった。しかし、各国とも国際通貨問題について摩擦や不安が引き続いて起こるようなことは絶対に避けなければならない、そしてお互いに協力し、理解し合って、終局的にはナイロビの会議等において具体的な合意を取りつけようということがかたく約束され、またそれまでに至る間においては、主要国はみんなフロートをしておりますが、フロート中においても激変が起こらないように相互に理解し合っていこうという合意ができたということが、ヨーロッパの投機筋その他に対しましても非常なささえになって、変な動きが起こらなくなってきたということではないかと思いますが、しかし何といいましても、これは小康状態でありますから、すみやかに国際的な合意がもっと具体的、積極的にできることが望ましい。それに対して日本としてもできるだけの努力を続けていきたい、こういうふうに考えております。
  29. 広沢直樹

    広沢委員 次に、大蔵大臣は、二十カ国の蔵相会議に出席されて、ワン・ワールド・エコノミーとうことをおっしゃっておられるわけですけれども、最近の報道では円圏の構想ということが非常に問題になってきていますね。これは、好むと好まざるとにかかわわらずアメリカが保護主義的になり、そういう色彩を強めてきているわけですし、あるいはECにおいてもそういうようなECのブロック化ということが問題になってきているわけであります。大蔵大臣も、EC諸国の共同フロートにも見られたように、従来のドル中心の通貨体制が変わりつつある、これはお認めになっているし、また必然的に、いわゆるこういうことになるのは歴史の流れではないかというふうな見方をされているようでありますし、アメリカやEC、そして日本という三本の柱が次第にはっきりと浮かび上がってきているのだ、こういう表現をなさっていらっしゃるわけですね。したがって、その円圏の方向に好むと好まざるとにかかわらず進んでいるというんですが、そういうような状況についてはどういう御判断をなさっていらっしゃるか。
  30. 愛知揆一

    愛知国務大臣 いわゆるワン・ワールド・エコノミーというのは、中国もソ連も加わって、ほんとうに世界的な国際通貨の安定ということを期待して努力を続けなければならないと思います。そして少なくとも二十カ国あるいはIMF参加諸国という中では、そういう考え方が支配的になっていることは否定のできない事実でありますし、たいへんこれはけっこうなことだと思います。しかし同時に、調整過程といいますか、この過程においてはもちろんでありますけれども、将来においてもやはりそのワン・ワールドの中で経済関係で密接なところ、あるいはまた地理的に密接であるところというところに集団といいますか、圏というものができる傾向にあることはこれまた否定できないことであって、現にヨーロッパがいま小康を得ているのは、やはり共同フロートということで、ヨーロッパ圏内あるいはECの中で相互の連絡、協調がとれて共同フロートをやっているということが小康を得ている状況でございますから、将来ワン・ワールドを目ざしながら、しかもこれは何らかの形でできると思いますけれども、しかしその構成分子の中で、日本としても地理的な関係、あるいは経済上の密接な関係のところの中で、かつ円というものが世界的に非常に強い地位になってまいりましたから、何らかのこの情勢に対応するやり方というものがだんだん望まれてくるのではないだろうか。  しかし、これは日本が何もしゃしゃり出て、ことに国際通貨基準の一つになろうというようなことは私は考えるべきではないと思いますけれども、いわばアジアの地域の中、あるいはもう少し狭い範囲の中で、いろいろの国々から円の行動について期待されたりあるいは協力を求められたりするものに対しては対応する積極さが考えられてしかるべきではないだろうか、こういう考え方を持っておりますが、何ぶんにも現在の状況下においては、たとえばナイロビということが世界的な一番望まれている問題でございますから、これに対してかりそめにも支障を与え、あるいは与えかねないような誤解を生ずるようなことは慎しむべきじゃないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  31. 広沢直樹

    広沢委員 やはりワン・ワールド・エコノミーという考え方でいくべきだと思いますけれども、そういうようにだんだんブロック化していくとか、保護主義的になっていくということは好ましいことじゃありませんので、その意味はよくわかりますが、最後にアメリカのいわゆる新通商法案、こういうことが出ておりますけれども、秋の国際ラウンドが大きな山場になってきているわけですが、アメリカがそういうような姿勢を示しているわけです。これに対してはガットの自由、無差別という原則が一応大いに修正されていく方向にあるという見方もできるわけですが、これに対してどういうふうに対処していくか。これはある報道によれば、アメリカの大統領にそれだけの権限を持ってきたということは、実際はそうじゃないので、戦略的な問題じゃないかといういろいろな見方が出てきていると思いますけれども、少なくともそういう姿勢をアメリカがとっているということ自体が、やはりガットの原則に照らしてみましても、いまおっしゃったようなワン・ワールド・エコノミー的な考え方にとっても非常に影響が大きいと思いますので、それに対してどう対処していくのか最後にお伺いして終わることにしたいと思います。
  32. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これまたまことにごもっともな御意見でございまして、政府といたしましてもアメリカが自由貿易主義、ガット主義に反するような道をとることはまことに困ることでございますから、そういう方向にならないように、新通商法というようなものがそういう方向に行く可能性があるように一般的にも懸念をされておりますから、そういうことにならないようにいろいろの方法を通じてやってまいりたいと思います。ことに九月にはガットの閣僚理事会が東京で開かれることになっておりますが、こういうことを目前にいたしまして、日本としても大いに活躍しなければならない。それについては、たとえば大蔵省の立場からいえば、資本自由化というようないままでなかなかやり切れなかったことも日本国益にも通ずる道であると思いますから、できるだけ最近の機会に何とかひとつ各省の協力を得て一つの線を打ち出したい、ただいま鋭意協議中でございますが、これなどもその方法の一つであると思います。要するに日本自身がワン・ワールドということを目ざして進んでいるということを、やはり日本としても具体的にこれを政策や方針の上に乗せていくことが必要である、こういう考え方でただいまも鋭意努力している次第でございます。
  33. 広沢直樹

    広沢委員 日本は開放的だとか自由化だとか、そのほうへ力を入れ、片っ方のほうでは今度は保護的なほうへ逆戻りしていくというような状況でありますので、いまおっしゃったように、これは十分なる決意をもって対処すべきであることを最後に申し上げて終わりにしたいと思います。
  34. 鴨田宗一

    鴨田委員長 村山喜一君。
  35. 村山喜一

    村山(喜)委員 ガリオア・エロアの返済協定については繰り上げ償還をするという条項があるようでありますが、余剰農産物については協定上はどういうふうになっておりましたか。
  36. 林大造

    ○林(大)政府委員 余剰農産物協定にも同様な規定があるわけでございまして、条文を申し上げますと、第一次協定に即して申し上げますと、第二次協定もほぼ同文でございますが、第六条の第一項の(6)のところに、「借款のその他の細目及び手続並びに借款の変更は、日本国政府アメリカ合衆国政府又はその機関たるワシントン輸出入銀行との間で相互に合意するものとする。」という規定がございます。この規定を受けまして、日本国政府とワシントン輸出入銀行との間の借款協定というのが結ばれておりますが、その第七項には、中間は省略いたしますが、日本国はいずれの利子支払い日においても、元金の全部または一部をドルで前払いすることができるというふうに規定がございます。また第九項には、この協定の両当事者が、この協定のいずれかの規定を変更し、または変更するための措置をとることが両当事者共通の利益となると決定したときは両当事者はいつでもその変更または他の改正のための措置をとることができるという規定がございまして、この規定の解釈上繰り上げ返済をすることができるというふうに解釈をいたしております。
  37. 村山喜一

    村山(喜)委員 ストレートに協定の中でそういうような表現がないようにも受け取れるわけですが、それはおいておきます。  今回の特別措置によりまして残存元本を五月の一日に償還をする、こういうような計画であるようでありますが、その日にちは動きませんか。
  38. 林大造

    ○林(大)政府委員 一応五月一日ということを予定いたしまして、金額その他の詰めをいたしたわけでございます。しかし、もとより本件繰り上げ返済をいたしますためには、ただいま御審議を願っております法案が成立することが条件になるわけでございますから、五月一日でなければ絶対にいけないということを行政府のほうで申し上げるわけにもいきません。ただ手続的には、五月一日をおくれますと、いろいろとめんどうなことが起こるということが申し上げられると存じます。
  39. 村山喜一

    村山(喜)委員 そのめんどうなことというのは、外交上の問題ですか、利息の計算の問題ですか。どういうことですか。
  40. 林大造

    ○林(大)政府委員 手続上の問題もございますけれども、具体的には、約二億五百万ドルという五月一日に想定されます残存元本の金額を、約一億七千五百万ドルに削減して、それだけを支払えば債務が完済になるという合意に達しているわけでございますけれども、その前提が五月一日ということを予定しておりますので、その金額をどうするかということをまた話し合わなければいけないというわけでございます。
  41. 村山喜一

    村山(喜)委員 わかりました。  そこで、支払い金の使途に関する交換公文ですが、これの日本側の書簡を見てみますと、日本国政府アメリカ合衆国との間で到達した次の了解事項というのが二項ございますね。アメリカに対して今度繰り上げ償還をする。それは適当な立法措置によってアメリカ合衆国は低開発諸国に対する経済援助に使うのだということになっております。これはきのうも問題になっておった点ですが、この了解事項というのは、この一点と二点について、日本側アメリカに対してどういう制約条項を持っているのか、あるいは日本が制約される条項がどのように書簡の中で明らかにされているというふうに政府は受け取っているのですか。
  42. 愛知揆一

    愛知国務大臣 こまかい点につきましては政府委員から御答弁いたしますが、この書簡は、ここに書いてありますとおり、合衆国政府の意図あるいは両政府の了解が書かれているわけでございますけれども、このガリオア返済あるいは余農返済資金については、合衆国政府は、この交換公文ではこういうことにしておりますが、その後の経過を見てみますと、ガリオア返済されたものはアメリカ側としては一般会計の歳入になる。そしてそれをもとにして歳出を計上するわけでございますから、その一般会計の歳出の中で、低開発諸国に対する経済援助等々の方針をもって、これに相当する額が使われているものと了解いたしている次第であります。  なお、適当な立法措置云々という立法措置は、その後特には行なわれなかったように承知いたしております。
  43. 林大造

    ○林(大)政府委員 ただいま大臣が御説明申し上げましたとおり、この交換公文は、ガリオア関係昭和三十七年に四億九千万ドルの債務日本政府昭和五十二年までに分割返済をするということを合意いたし、また、国会の御承認を得たわけでございますが、その機会に、その四億九千万ドルの返済金の使途に関連いたしまして、日米間で交換された交換公文でございまして、その第一項では、合衆国政府は適当な立法措置を経ることを条件として、ガリオア協定に基づき米側が受け取る資金の大部分を、経済援助に関する合衆国計画を促進するために使用する意図を有するということをまず書いております。それから第二項では、日米両国政府は、東アジアの諸国の経済のすみやかな、かつ均衡のとれた発展が、この両国が深い関心を有する同地、すなわち東アジアの地域の安定と平和に不可欠であること、またこれらの諸国がこのような均衡のとれた発展を遂げるためには、その目的に寄与する開発援助が緊要であるということを双方で認識し合いまして、このために両国政府関係諸国の意向を十分に考慮しながら、この目的に従って引き続き随時相互に密接な協議を行なうものとするということをいっているわけでございまして、先ほどの大臣の御説明のとおり、立法措置そのものが条件になっております。その条件は達成されなかったわけでございますが、しかし、実質的には第一項の合衆国の意図は十分に達成していると思われますし、また二項にあります密接な協議は随時行なっている次第であります。
  44. 村山喜一

    村山(喜)委員 善意な解釈というのですか、アメリカ寄りのサイドから解釈を善意にとられているんだろうと思うのです。適当な立法措置も講じていない。そして一般会計に振り込んで、その中でそれに即してやっているであろう。しかしそれは一般会計に振り込んだのですから、ベトナム侵略のために使われたともまたいえるわけですよ。ですから、立法措置もとらなかった、そういうような責任に対して、この交換公文の趣旨が生かされていないという、まことに私たちは残念に思います。またそれをアメリカの立場に立って善意に解釈をしている、その行政の姿の中にちょっとやはり釈然としないものがあるということだけ指摘をしておきます。  そこで、時間がありませんので次に入りますが、この米国の対日援助債務返済額と返済財源との関係で、三十七年から四十七年までの実績はどういうふうになっておりますか。これは二重払いの問題で、当時から非常に論議をされておりましたので、この点についてお尋ねをしておきます。
  45. 後藤達太

    ○後藤政府委員 対日援助債務返済額は、三十七年度から四十七年度まで合計をいたしまして、円に換算をいたしまして、千六百九億円でございます。これに対しまして開銀に対します貸し付け金、これの回収金がその間に四百四十四億円ございます。また開銀の納付金のうちで、当時のきめられましたとおりその納付金の八七・七三%をかけましたものを財源にいたしております。その関係の財源の合計が千百九十億でございまして、合計をいたしまして千六百三十五億が財源と相なっております。返済額が先ほど申し上げましたように千六百九億でございます。
  46. 村山喜一

    村山(喜)委員 その差額は二十六億。
  47. 後藤達太

    ○後藤政府委員 はい、二十五億九千万でございます。
  48. 村山喜一

    村山(喜)委員 だから、それだけ余裕が出てきた、財源としては十分であったのだ、こういうような認識に立っておいでですか。
  49. 後藤達太

    ○後藤政府委員 事実といたしまして、円資金二十五億九千万円ゆとりが出た、こう思っております。
  50. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこでお尋ねをいたします。というのは、四十六年は協定上のドル返済総額は四十五年度と変わりませんね。ところが実績の日本円で計算をした場合には、前年度よりも十七億一千二百万円少なくなっておりますね。それから四十七年度についても三十三億五千七百万円少なくなっていますね。これはどういうようなわけですか。
  51. 後藤達太

    ○後藤政府委員 先生御指摘のように、四十六年度、四十七年度はこの債務のほうはドル建てに相なっておりまして四千三百九十一万でございます。こう相なっておりますので、変わりはございません。ただこの所要ドルを返済いたしますための円資金のほうは、変動相場制移行並びに通貨の円の切り上げ、こういうことがございましたので、御指摘のように四十六年度につきましては、円にしますと十七億一千二百万円、四十七年度につきましては三十三億五千七百万円、約五十億円だけ少なくて済んだことに相なっております。
  52. 村山喜一

    村山(喜)委員 十七億と三十三億、五十億、そうすると、先ほどゆとりがあったのが二十六億、もしその円の切り上げなかりせば、二十四億財源が足らなかったということが理論上はいえますね、いかがですか。
  53. 後藤達太

    ○後藤政府委員 先生御指摘のように、確かにいまの計算をいたしますと二十四億ほど不足を来たしたであろうということはいえるかと存じます。ただそういうようなことが起こりそうな場合にはいろいろ何か考えたであろうかと思いますが、当時仮定の話でございますので、具体的に詰めたわけではございません。
  54. 村山喜一

    村山(喜)委員 幸いにというんですか、円が切り上げになったものだからドルで返す分に充当する円の資金分がそれだけ減った、このことによってつじつまが合ったようなかっこうになっている。もしそれが、今後においてそういう事態はもうあり得ないことになりますが、実際問題としてそういうような事態がなかった場合には、これはどういうことを予定をしておったわけですか。開銀のいわゆる納付金を、開銀の準備資金でも取りくずして、そうしてふやすことによって処理をしようというふうに考えておったのですか。
  55. 後藤達太

    ○後藤政府委員 仮定の話でございますので、どう申し上げたらいいかよくわかりませんのですけれども、何か二重払いにならないような措置を講ずる必要があったことは事実でございます。ただ、具体的に開銀からさらに納付金を取るようにしたであろうかどうであろうかということはそう詰めたことはございませんので、何とも申し上げる材料がございません。ただ幸いにと申しますか、円の切り上げがございまして、実績としましては米国にも不義理をしないで済み、また国内的の円資金のサイドでもスムーズにまいった、こういうふうに理解をいたしておる次第であります。
  56. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこでお尋ねします。  開銀の納付金の推移額を見てまいりますと、これは決算ベースでいった場合には、昭和四十五年度が百四十九億四千六百万円、四十六年度が百七十億百万円、四十七年度になりますとこれは八十八億八千百万円、四十八年度の予定は九十八億三百万円ですね。こういうような形でやってまいりますると、三百五十億円の資金を借りて処理をしようとしているのですが、開銀からの納付金の金額が、いまのようなベースでいった場合には減っていく、四十七年度はがたっと落ちている形になりますが、それで十分やっていけるのですか。
  57. 後藤達太

    ○後藤政府委員 四十九年度以降につきましては、九十億という開銀の納付金の額を予定をいたしておりますが、これは見通しでございますから確たることは申し上げにくいかと思いますが、ただいまの見通しとしましては、九十億程度はややかた目に見ても確実に見込めるのではないか、そういうふうに考えております。ただ、いま御指摘の四十六年度前後の開銀のが非常に多くて、それ以後減っているという御指摘はまさにそのとおりでございますが、これは当時の円の切り上げ等によりまして多くなっているものでございまして、四十八年度につきましてはかたい数字を見込んだ次第でございます。
  58. 村山喜一

    村山(喜)委員 三百五十億円借りて、それで三年間に処理ができるのだという、そうして開銀の納付金は四十七年度は八十八億しか見込めない、四十六年度は百七十億、これは決算ベースではそういう数字が出ているのですよ。四十八年度は九十八億、そして四十九年からあと、借りた分に対して返済をしていく場合のその見込みは間違いございませんね。
  59. 後藤達太

    ○後藤政府委員 四十九年度以降につきましては、先ほど申し上げましたように見込みでございますからもちろん確定の数字というわけではございませんけれども、ただいまの趨勢から見まして確実に見込めるものと私どもは考えております。
  60. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、二重払いの問題に関連をいたしまして、制定当時の議論の中からお尋ねをしてまいりますが、開銀資金の、いわゆる資本金の八七・七%、二千五十三億が見返り資金による分だ、そういうようなことで、はたして財源的に二重払いにならないように処理ができるかどうかということで当時もずいぶん論議をされました。そのときの炭鉱関係の四十八億の貸し付けについては、これは不良貸し付けが多いんじゃないかということが当時もいわれておりましたが、それの処理状況は、収入済みと償却をした分はどういうふうになっておりますか。
  61. 額田毅也

    ○額田説明員 数字のお話でございますので、事務当局からお答えさせていただきます。  前回この国会審議におきまして御説明した際の、開銀の復金承継分の石炭貸し付けの残高は四十八億円でございます。三十七年首からのこの回収状況を調査いたしました結果、四十七年九月までに回収いたしました金額が二十六億八千五百万円でございます。償却した金額が十億八千六百万円、四十七年九月末現在の残高が四億六千五百万円でございます。
  62. 村山喜一

    村山(喜)委員 回収が大体二十六億ですから半分は回収して、償却分は十億、まあ三分の一程度は償却をしておる、こういうふうな形になった場合、これは貸し付け回収金という形で開銀の収入になるわけですが、それはいわゆる産投会計のほうとの関係はどうなりますか。
  63. 額田毅也

    ○額田説明員 産投会計からいただきましたものは出資金でございます。その出資金のうち八七・七%が見返り資金相当分と考えられておるわけでざいます。石炭関係の貸し付け金は、復興金融金庫から承継いたしました開銀の貸し付け金の一部でございます。したがいまして、先生御指摘の開銀の納付金のガリオア資金返済分という計算には直接の関係はないと考えます。
  64. 村山喜一

    村山(喜)委員 その次に、問題になっておりました第十五次造船以前の造船の海運貸し付け、その中で見返り資金関係分で利子支払いを五年間猶予した。それを一般会計のほうで当時遠慮して、そしてその後海運の市況の立ち直りの中から返還を求めていったわけですが、四十七年度までの間に幾らの回収ができて、そして現在どれだけの債権が残っているか、その内容の説明を願っておきたい。
  65. 額田毅也

    ○額田説明員 数字のお話でございますので、事務当局から答弁させていただきます。  海運の再建整備に関する利子猶予につきましては、当時海運の非常な不況に伴いまして、企業の集約及び整理計画の運輸大臣の認可を経まして、開銀が法律によって利子猶予をしたものでございます。三十九年度から利子猶予が始まりまして、その終了をいたしました四十四年度まで五年間の利子猶予の総額が三百五億九千万円になっております。ただし、この利子猶予の額は、開銀が利子猶予をいたしました結果海運会社がそれだけの援助を受けたわけでございますので、海運企業の再建に伴いましてこれは返還されることに相なっております。それで三十九年から四十四年度までの利子猶予期間におきまして、業績のよかった海運会社からすでに五億六千五百万円の返還を求めました。その後、四十五年度以降現在まで三十五億円、計四十一億円の返済がすでにございまして、開発銀行はこの四十一億円の返済金を国庫に納付いたしております。なお今後、海運会社の状況がかつてのような非常な不況ということではございませんので、毎年度この金額返済されまして、最終的には三百六億全額返済されることになっております。
  66. 村山喜一

    村山(喜)委員 そうしますと、造船の利子の五年間猶予にかかわる分については、開銀の収支関係には関係があるとしても、産投の財源としての対日援助債務返済額の中の開銀貸し付け金の元利回収金との関係はないのですか。
  67. 額田毅也

    ○額田説明員 お答えいたします。  この利子猶予額は、三十九年度までに開発銀行が海運会社に貸し付けました貸し付け金の利子の猶予でございます。具体的に言いますと、十七次船といいます三十六年度の計画造船以前の貸し付け金に対する利子猶予の額でございます。で、当該貸し付け金は、主として運用部資金借り入れによります貸し付けによりまして発生したものでございます。開発銀行が見返り資金を承継いたしました当時の貸し付け金によるものはきわめて少額であると考えます。その数字は、三百六億円の猶予利子の額で、見返り資金から開発銀行が引き継ぎました債権にかかる猶予利子分は三十一億円でございます。その他は、その後開発銀行が資金運用部から借り入れました資金を貸し付けた分の利子猶予でございます。
  68. 村山喜一

    村山(喜)委員 いまおっしゃるように、当時七・五%の計算をして三十一億というものを返済財源に見込んでおったのですね。だから開銀貸し付け金の元利回収金の中に当然予定をされておったものなんでしょう、ということが、その三十一億についてはいえますね。その点ははっきり確認をしておきたい。
  69. 額田毅也

    ○額田説明員 当時のガリオア資金返済もととなります国庫納付金の計算上、当該金額が全然入っていなかったということには相ならぬと思います。もしかりに三十一億円、これが入っておったといたします場合に、御承知のように、この開銀が利子猶予をいたしました金額は、海運企業の再建整備に伴いまして、現在まですでに四十一億返ってきております。今後もこれは返ってくる見込みでございます。したがいまして、その返ってくる金額の中にも、またその見返り資金もある、こういう形に相なりまして、これは両建ての計算でございますので、差し引きはゼロになろうかと思います。
  70. 村山喜一

    村山(喜)委員 大蔵大臣、いまの話ですが、四十八年度の収入見込みとしましては十二億円を予定をしておるわけです。四十七年度までに四十一億返ってきた。まだ二百五十億ぐらいこれから取り立てる分が残っておるわけですね。それから先ほど石炭に対する貸し付け金の回収状況を聞きましたが、四十八億円程度のうち二十六億しか返ってきていないわけですよ。あとは取ることはできないような状態、これは炭鉱がああいうような状態になりましたので、そういうことです。  そこで、幸いにしてといいますか、円の切り上げがあったればこそ、何とかつじつまが合うような形になってきたということにすぎないのであって、もしそれがなければ、そういうような原資が不足をしておったということが言える。だから当時、二重払いになるのではないかということで、その財源が不足をしておるんじゃないかという指摘は、正しかったということが私は言えると思うのですが、その点はいかがお考えになりますか。長い歴史的な経過をたどった中でそういう客観的な数字が出てきている、このことをどういうふうにお考えになるのか、お答えを願っておきたい。
  71. 愛知揆一

    愛知国務大臣 なかなかこれはきびしい御質問で、ただいまこまかい説明はお聞き取りいただいたと思いますが、結局、為替相場の変動ということで決着がついたわけでございますけれども、過去にさかのぼって、見通しとその結果がどうであるかという点につきましては、これは見通しどおりにいかなかったということを率直に認めざるを得ないと思います。
  72. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、三百五十億借りてそれでやっていけるかという質問をしましたら、だいじょうぶだとおっしゃるから、だいじょうぶだろうと思いますが、間違いございませんね、もう一回、確認をしておきます。
  73. 愛知揆一

    愛知国務大臣 間違いないという見通しを持っております。
  74. 村山喜一

    村山(喜)委員 じゃ、次に移ります。  この産投会計の出資残高が、いまどういうふうになっておりますか。
  75. 後藤達太

    ○後藤政府委員 先生のお尋ねは、産投会計からの出資の残高と承知してよろしゅうございますか。——そういたしますと、四十七年度末におきまして一兆二千八百五十七億円に相なっております。
  76. 村山喜一

    村山(喜)委員 各機関ごとの貸し付けの内訳は、また委員会に提出を願いたいと思いますが、大臣、四十八年度も一般会計から七百五十八億円を受け入れて、八百二億円を出資をするという計画ですね。現在残っている残高が一兆二千八百五十七億、それに八百二億を足すということで出資が行なわれるわけです。  ところが、産投会計も、この法律を調べてまいりますと、ずいぶん戦後処理の問題等が入りまして、輸出の振興とか産業の復興とか、そういうために産投会計というものができたわけです。ところが、今度ガリオア、エロアの債務処理を済ませるということになれば、その目的の第三項は当然必要がなくなるというような事態にもなります。そうしてまた、日本の当時の経済状態と今日の状態とはずいぶん違ってきている。その場合に、やはり諸外国からも指摘をされておるように、国家資金をもって低利、長期資金日本は輸出に拍車をかけているではないかというような指摘があるわけですね。そういうような点からいいまして、この産投会計のあり方の問題をどういうふうにこれから検討をしようというふうにお考えになっているのか、見通しについて大臣の所見をお伺いしておきたいと思います。
  77. 愛知揆一

    愛知国務大臣 産投会計については、第一条に目的が書いてありますが、やはり時代の変遷に伴って役割りがだいぶ変わってこなければならない。ことに、今回のこのガリオア返済ということが行なわれることは、一つの歴史的なといいますか、一つのピリオドを打たれることに私は理解してもいいんじゃないか。そこでしからばそれなら産投会計意味はなくなったのかといえば、私はそうじゃないと思うのでありまして、たとえば国土総合開発計画に基づく公団資金というようなものについては、今日の時代の要請のもとに新たな役割りを考えてもいいんじゃないか、こういうふうに私は考えるわけですが、しかし、とにかく時代が変わり、国家目的も変わってきたわけですから、産投会計の今後のあり方ということについては、私はそれらの条件の上に立って再検討をすべきであろう、こういうふうに私は考えております。
  78. 村山喜一

    村山(喜)委員 それはいつごろから再検討をされますか、一応の目安をお承りしておきたい。
  79. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは特別会計の問題でもございますから、早くとも四十九年度以降において考えるべきことであると思います。
  80. 村山喜一

    村山(喜)委員 このガリオア・エロアの問題につきましては、奄美大島関係の分とそれから沖繩の分は一体どういう処理をされておりますか。
  81. 林大造

    ○林(大)政府委員 沖繩に対するガリオア援助もやはり行なわれたわけでございますが、沖繩に対しますガリオア援助は、日本に対しますガリオア援助と当時全くせつ然と切り離して行なわれたわけでございまして、沖繩に対しましては一九四七年度、これは米国会計年度でございますが、それから五七年度までの十一年間にわたりまして、食糧、衣料、それから肥料等の現物援助の形態で実施されました。この沖繩に対する援助は、本土に対する援助とは全く別個に計画されておりまして、今回繰り上げ償還の対象となっておりますこの日米間のガリオア協定による債務は、沖繩に対するガリオア援助とは全く関係がないものでございます。  ちなみに、金額的に幾らであったかということを資料によりまして調査いたしました結果、沖繩関係の、当時奄美大島も含んでいたはずでございますが、このガリオア金額は、合計で一億八千五百万ドルにのぼっていたという調べに相なっております。     〔委員長退席大村委員長代理着席
  82. 村山喜一

    村山(喜)委員 奄美大島関係がこの中に入っておりますか、それとも別個ですか。
  83. 林大造

    ○林(大)政府委員 今回繰り上げ返済をいたしますもとになりました四億九千万ドルの中には含まれておりません。
  84. 村山喜一

    村山(喜)委員 それはわかっているのです。一億八千五百万ドルの中に入っておるのかどうかを聞いておるのです。
  85. 林大造

    ○林(大)政府委員 一億八千五百万ドルの中には奄美大島関係ガリオア援助も含まれております。
  86. 村山喜一

    村山(喜)委員 含まれておって、早く奄美大島が復帰をした、それが結局いわゆる見返り分として出資勘定に残って、基金に残っているということですね。奄美大島の振興信用基金の中に残っておる。
  87. 吉田太郎一

    ○吉田(太)政府委員 ガリオア物資代一億八千六百二十四万円が承継債権になっております。
  88. 村山喜一

    村山(喜)委員 そうしますと、残りは沖繩の民政府一般会計の中で処理をしてしまった、それは債権、債務ともに残っていないし、その使途がどういうふうに使われたかということも明らかでない、こういうことですか。
  89. 林大造

    ○林(大)政府委員 奄美大島が復帰いたします以前のガリオア関係の援助の代金のうち、ただいま銀行局長が答弁いたしました以外の部分につきましては、当時占領下でございまして、アメリカ政府がしかるべく使用したのであろうという推定はつきますけれども、具体的にどういうふうにその使途が行なわれたかというのはただいま調べがついておりません。
  90. 村山喜一

    村山(喜)委員 時間の関係がありますのでこれを最後にやめます。先ほども広沢委員のほうから質問がございました、私も最後に大臣にお尋ねをしようと思っておりました国際通貨の問題でございます。  三月の十六日の愛知大蔵大臣の発言要旨や三月の二十六日のステートメントの要旨を見せていただきました。通貨外交の姿勢というのは一つの世界を目ざしてやっていこうということで、大臣が積極的に発言をされていることについては敬意を表します。しかし先ほどワシントン会議の結論というものは、合意ができたとおっしゃったのですが、それはナイロビの総会に向けていこうという一つの基本的な方向としての考え方の合意ができたにすぎないのであって、中身はどうもフロートの例外を認めるようなうしろ向きのものがあってみたり、それからコミュニケを見てみましても、振り出しに戻ったような感じがしてならないわけであります。通貨改革というのは、やはり固定相場制のルールをどうしてつくるかということを考えなければならないのに、発言なりあるいは態度なりを見ておりますと、どうも消極的な発言が非常に多かったような印象を受けるわけであります。  そこで大臣に私がお尋ねいたしたいのですが、ナイロビの総会で一つの結論が得られてそこで固定制度方向がきっちり固まってそこから動き出していくという見通しを大臣はお持ちになっていらっしゃるのかどうか、それよりも、それから作業に入ってまだ一年ぐらいかかるのではなかろうかという見通しに立っていらっしゃるのかどうか、その点について私はお尋ねしておきたいと思います。というのは、SDRが平価の基準になるというようなことについては大体合意されておるようでありますけれども、一体何を基準にするのか、そして固定平価をどうして維持していくのか、あるいは平価変更の方式の弾力性の問題をどうするかというような問題については、まだまだ合意が遠い先のような感じがしてなりません。ですから、九月のナイロビの総会で結論が出るであろうという想定に立ってこれからの経済運営をやっていくとするならば誤りが出てくるであろうし、どのくらいフロートしていくのだという長期的なかまえの中でやらなければ間違いがあるのではなかろうかという気がいたします。これは経済政策の運営のこれからの基本をきめるきわめて重要なことであると考えますから、そのあたりについての大臣の所見をお尋ねをして、私の質問を終わりたいと思います。
  91. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まことにごもっともなお尋ねであると思います。端的に申しますと、ワシントンでの会議の合意の中心は、調整可能な固定相場をもって国際通貨制度の中心にするということであると思います。したがって、従来的な方式あるいは手段によるかたい固定相場制というのには若干の含みがある。そういうところに合意ができた。しかしとにかくIMF体制というものを捨てるのではなくて、これをむしろ強化して、固定相場制度を若干の融通性は持ちながら守り抜いていきたいということで、その具体的な内容はナイロビで何とか結論をつくり上げたいということで合意ができているわけでございまして、これが具体的な内容のこまかい点等についてのところまでは行っていないということがすべての国々で批判を受けているわけでございますが、しかしそういう点で、一方からいえば、ともすると分極化してそれぞれがかってにやっていこうということを押えて一つの世界でまとめていこうということが合意された点は、その後の各国の為替市場等の状況を見ましても小康を得ている有力な原因であろう、こういうふうに見ております。したがいまして、わが国としては、せっかくそこまでの合意があったわけでございますから、ナイロビでは何とかまとめるようにしようということでございまして、いわゆる蔵相代理会議が精力的にかつ従来の予定よりはスピードをかけて鋭意積極的に案の作成に入るということについて、蔵相会議全体が代理会議に対して指示をしたということで結ばれているわけでございます。これに対してナイロビということをそれまでの目標にするならば、それ以前に七月中にでも一度蔵相会議をやることが適当ではないかという意見もずいぶん出ておったわけでございますし、現在でもまだそれをくずしていないわけでございますが、それもこれも何とかナイロビで一つの新しい体制をつくろうということにみんなが合意している関係であるからでございまして、七月にもう一度開くかどうかはかかって代理会議の作業ぶりによることに相なると思います。それからわがほうとしては、現在のところ為替市場が平静に動いておりますので、ある程度の期間はこれでやっていくことが適切であると思いますけれども、やはり何と申しましても国際的にもう少しお互いの責任体制というものを確立しまして、こういう状態を長く続けていくことはいかがかと思いますので、そういう点も頭に置いて、そして冒頭に申しましたような調整可能な固定相場制度を世界的に維持するということの合意ができるように、この上とも大いに努力をいたしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  92. 村山喜一

    村山(喜)委員 ワシントン会議の結論から言えることは、ドルが再び昔のドルに返ることはもうない。ドルというのは介入通貨としての地位は利用するけれども、平価の基準にはなり得ないというのは大体明らかになってきたと思うのです。それと同時に、EC通貨なりあるいは日本の円というのが決済通貨なりあるいは介入通貨としての地位を持たなければならないというようなことも、自然に生まれてくる現象だろうと思うのです。そういうような意味において、日本の通貨外交政策なりあるいは最近の卸売り物価の上昇等に見られる経済的な問題等がたくさんございますし、また資本の自由化の問題等との関連もステートメントの中にもうかがわれるわけでありますが、今後の国際的な通貨外交の政策について、できるだけ早く固定制度にかえることができるように大臣も努力をされるでありましょうが、そういう円の地位の向上に伴う措置というものを十分に考えながら政策の運営の誤りなきを期していただきたいということを要請いたしまして、私の質問を終わります。  広瀬委員のほうから、関連をして質問がありますのでよろしく。
  93. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 いま議論になっております、村山委員も質問をした問題について、若干関連をして質問しておきたいのですが、この問題については先ほど大臣の答弁の中にもございましたように、あの占領下において占領政策上必要である食糧の確保というような見地から供与したものについて、本来返さなくてもいいものであるというような国民的な立場で私ども議論もしたことを覚えておるわけでありますが、そういう経緯もある。しかしいずれにしても協定ができてこれをずっと返してきたわけでありますが、今回国際通貨の情勢とさらに日本外貨事情も非常に好転しておるというような背景の中で、アメリカの要求に従って、言うならば将来またナイロビ総会あたりで、その前後に固定相場制へ復帰するということになりますれば、さらに相当な円の切り上げというようなことにもなるわけでありますが、そういう意味ではこの期限の利益を放棄するという今回の措置、それについては若干の減額措置というようなことも考えられたわけでありますが、繰り上げ償還するということは、アメリカ側からすれば今日のアメリカ国際収支状況からいってありがたいことになるだろう。  そういうことでありますから、その使い道等については、先ほど国金局長協定案文を読み上げましたけれども、一般会計に入れる、しかし東アジア等の経済開発等に対する協力にその金を振り向けたいということでありますが、そういうものについて日本が、ほんとうにどれだけ東アジアの後進開発地域というものの民生安定といいますか生活の向上というか、そういうものに寄与されるのか、そういうことについては重大な関心を抱かざるを得ないし、あるいはそれが一般会計に入ることによって戦争政策などに使われていくというようなことのないように、真に東アジアの民生安定、経済の伸展、そして国民生活の向上に結びつくような形でどれだけの発言権が実態的に留保されるのか、担保されるのか、その辺のところが、協定上も相互に協議をするということであって、何ともどうもたよりない感じがするわけでありますが、今日までの経緯等においてもそういうものについてどういう態度をとってこられたのか、これからの問題について、日本政府としてそれらに対してどういう考え方、態度をとって、その辺のところ、協定の本旨とするところが実現するような担保が得られるのか、それらのことについて大臣からお答えをいただきたいと思うわけであります。
  94. 愛知揆一

    愛知国務大臣 返済の問題については、ちょうど十年前になりますが、あの当時の大議論を私も関係者の一人として想起をしながら今回の処理に当たったつもりでございまして、したがいまして、返済を繰り上げてやるということは、これはあの当時の議論からいたしまして二重払いとか直接国民の税金の負担にしないということを踏まえて産投会計から支払いをする。ただその資金繰りが足りませんので、これは堂々とその点を明らかにして国会の御審議をいただいて決着をつけようとしたわけでございます。そしてこの繰り上げ返済ということは、二億五百万ドルという現在額に対して一億七千五百万ドルということでございますから、期限の利益は放棄したけれども、実態的に日本国益からいって決して損ではない、むしろ得である。これは西ドイツのガリオア繰り上げ返済をする場合にもこういう例はなかったわけでございますから、こういった減額に日本としては成功したということがいえるのではないかと思います。それからアメリカとしては、やはり現在の先方の国際収支としてもこの際これを繰り上げ返済してもらうことは減額をされてもそのほうが有益であるということで、両方の希望が一致したということがいえると思います。  この金の使い方については、先ほど来御指摘を受けまして、それらの点については当初の希望どおりに形式その他が整わなかったことは私も残念に思いますけれども、しかしアメリカとしては、返済資金についてはこの当時の交換公文を通じて日米両国が内外に方針を宣明したわけでございますから、その方針に基づいてアメリカとしても対処しているということを信じて一向差しつかえないことではないか。それから具体的に交換公文第二項に関しては、これはあえて詳しく申し上げるまでもないと思いますけれども、いわゆるマルチの経済協力、これについてはもちろんでございますし、それから二国間の援助協力等につきましても、十分日本側としてはアメリカ側に随時協議をいたし、そうして少なくとも日本の意向としては平和的な民生の安定ということが徹底されなければならないということについては、常に一貫して日本の主張としては強く態度を続けておるわけでございます。一般的にアメリカの援助計画あるいはアメリカの歳計がどういうふうに動いているかということについては批評の限りでございませんけれども、少なくとも日本との協議に関する限りは、日本としての主張は繰り返し強くしているということは御理解をいただけるところではないだろうか。今後におきましてもそういう点の努力は常に怠らずに続けてまいりたいと考えております。
  95. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 いま大臣が後段で答弁された点、私ども、対米関係はこれはもうまさに平等互恵の関係である、こういう立場で、その点、アメリカ側がかってほうだいなことをやる、特に日本の場合に平和に徹して対象国の、授助供与国の民生の安定ということ、そういう主張をこれからもやっていきますということでありますが、対米従属的なものがいささかでもその間にあってはならない。今日の経済情勢の変転の時代からいいましても、まさにそういう従属的なものから完全に抜け出して、平等互恵の立場であるという立場を貫いて、従属的な立場をとらないで、ものを言うときにはきちんと平和と民生の安定、国民生活の安定、こういうものに徹した立場で堂々と所信を述べてアメリカ側にも要求をしていく、こういう態度でいっていただきたいことを強く要求いたしまして、私の関連質問を終わります。
  96. 大村襄治

    大村委員長代理 武藤山治君。
  97. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 大臣御存じのように、今回出されておる法案は、第一条に趣旨と書いてありますね。普通法律は第一条に目的、こう書いてあるのですが、この法律は趣旨と書いてあるいわれは大臣何だと思いますか。
  98. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ちょうど十年前で、この特別措置法のときには私は提案者でございませんでしたから、私が申し上げますことはいかがかと思いますが、この種の措置法等については趣旨ということばを使っているものがほかにもあるようでございまして、特に何かの意味をもって趣旨ということばを使ったものではない、かように承知いたしております。
  99. 林大造

    ○林(大)政府委員 若干補足して御説明させていただきますが、この種の法律で趣旨というのを第一条のところに書きました例といたしまして、比較的似たような趣旨で、昭和四十一年の一月十九日法律第四号、昭和四十年度における財政処理の特別措置に関する法律というのがございます。この第一条に「この法律は、最近における経済情勢にかえりみ、昭和四十年度における租税収入の異常な減少等に対処するため、必要な財政処理の特別措置を定めるものとする。」ということで、交付税及び譲与税配付金特別会計の借り入れ金を似たような趣旨で年度を区切りまして幾らを限度として借りるというような規定がございますが、このような場合にはしばしば趣旨という見出しが使われているようでございます。
  100. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 その次に、この法律の第一条に、「最近における国際収支状況にかんがみ、対外経済関係調整に資するため、」この最近の国際収支状況にかんがみというのはどんな状況であるか、ひとつ大臣から認識のほどをまず発表してもらいたいと思います。
  101. 愛知揆一

    愛知国務大臣 この「対外経済関係調整に資するため、」と申しますのは、最近における日米間の国際収支状況が累次問題になりますように、非常に日本が黒字国である。そして外貨準備のドルが非常にふえておる。こういうところにそういった状況があらわれておるわけでございます。一口に言えばそういう現象に対してこれを調整する。そして政府の基本方針といたしましても、国際収支の均衡回復といっているのは国際収支のアンバランスをなくしよう。かつては均衡回復ということは日本の赤字を解消しようということでございましたが、このごろ言われていることばは均衡の回復ということで収支の改善をしたい、こういう状況下においてこういう姿勢を持っておりますという気持ちで「対外経済関係調整に資する」ということの認識を持っております。
  102. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 対外経済の姿というものはどこかの国が黒字になればどこかの国が赤字になる、全部の国が黒字になるということはあり得ないわけですね。よほど超均衡経済がどこの国にも行なわれるという姿が生まれない限り、これはもうどこかにアンバランスが出ることは、これは国際経済上当然のことであるし、そのこと自体をとがめることはできないと思うのです。アメリカは、国際収支が赤字の最大原因は貿易じゃないんですね、アメリカ国際収支の中身は。そこのところを一体局長はどのように認識しているか、お考えを明らかにしてください。
  103. 林大造

    ○林(大)政府委員 アメリカ国際収支でございますけれども、アメリカ国際収支は、かつてはドルが世界最強の通貨を誇っていたわけでございます。それが最近になって次第にアメリカの力が弱ってきた。そのゆえんのものをいろいろ調べてみますと、やはりかつてとさま変わりに違ってまいりまして、そしてドルが特に弱くなってきたゆえんのものは、やはりアメリカの産業の国際競争力が次第に弱りまして、貿易収支がかつては大幅な黒字を続けておりましたのが最近では逆にマイナスになってきているということがドルの弱さの基本的な問題であろうと思います。したがいまして、そのような状況を改善いたしますために、一昨年の十二月にはスミソニアンの合意によりましてドルの切り下げ、それから強い通貨の切り上げということでそのレート調整をいたしましたし、またこの二月にもドルは金、SDR等価でございますが、に対しまして一〇%の切り下げをいたしまして、二度にわたる切り下げ、レート調整を経ましてアメリカの産業の国際競争力をかつての水準に取り戻すということがその努力目標になっているわけでございます。やはりドルの弱さの根源はアメリカの産業の国際競争力、ほかの国に対します相対的な意味での国際競争力の弱化にあるというふうに判断いたしております。
  104. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 昭和四十六年まではアメリカの貿易収支というのは黒字が続いてきた。この国際収支の表を見ましても三十三億七千四百万ドル四十六年は黒字である。したがってまだ一年ですね。四十七年から急激にこの傾向が変化してきた。特にアメリカが総合収支でたいへんな赤字になっているのは貿易以外の面、こういうところにたれ流し的な面が非常にウエートを占めているのじゃないか、こういう感じがするのですが、その辺の認識はいかがですか。
  105. 林大造

    ○林(大)政府委員 私どもの手元の計数によりますと、かつて、暦年でございますけれども、一九六五にはアメリカの貿易収支は四十九億四千二百万ドルの黒字を出しております。当時は四十億ドル前後、年によりましてはその前にはもっと大きかったときもございますけれども、その黒字が六七年までは続いておりました。六八年、六九年にそれが一けた台、六億ドルになり、七〇年には若干回復して二十億ドルをこす黒字になりましたが、七一暦年にはマイナスの二十六億八千九百万ドル、赤字になり、七二年には暫定数字でございますが、七十億ドルに近い赤字になったという計数を得ております。  このような産業の国際競争力の弱体化を背景といたしまして、これだけでは最近におけるドルの弱体化は説明できない面もあるかと思います。これはやはり世界的にそのようなある通貨が弱体化していくときには、資本の流れがそれに応じまして、ことに投機的な資本がドルから逃げようという勢いが出てくるわけでございまして、その加速度的な動きと合わせましてドルが弱くなってきた。その一番典型的な例が三月の初めにおきます、ことしに入りましてから第二回の国際通貨危機であったと存じます。当時はレート関係ではドルの弱さというのはすでに解消されたというふうに判断されながらも、投機的な資金の動きが国際通貨危機を引き起こすほどの力になった。そういう貿易及び投機的資金の流れというのが最近の国際通貨危機、アメリカのドルの弱さの根源であるというふうに解釈をいたしております。
  106. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 きのう国金局長は、多国籍企業それから銀行、政府保有のものも幾らか含むと言いましたが、それらのアメリカ外に流れているドルの総量は二千六百八十億ドルとおっしゃいましたね。二千六百八十億ドルという膨大なドルがたれ流しになっている。この内訳は大体どういう傾向のものだという中身は全然分析はされていないのですか。
  107. 林大造

    ○林(大)政府委員 これは米国の関税委員会の報告書の中からとった計数でございまして、その中にはいろいろな分類が詳しくございます。ただいま申し上げましたものは、ドル表示のものと、そのほかの外国通貨表示のもの、これはマルク建てとかスイスフラン建てとかたくさんあると存じますけれども、それが全部で七一年末に二千六百八十億ドルという計数になっているわけでございます。  その内訳は、関税委員会の報告によってみますと、米国の銀行及び銀行以外のもの、それから米国から見た外国、これはもちろんイギリスとかフランスとかドイツとか、あるいは日本も含まれるかと思いますが、その銀行と銀行以外のもの、それから米国の外国にある子会社とか、米国の銀行の外国にある支店とか、分類して掲上してあるわけでございます。詳細でございますから、これは関税委員会の報告の五百何ページかに書いてあるそうでございますが、その内容は必要があれば後ほど申し上げたいと存じます。
  108. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 時間がありませんから、あとで資料でけっこうでございますから、提出を願いたいと思います。  そこで大臣、いま局長がおっしゃいましたように、二千六百八十億ドルもアメリカ外にドルが流れている。こういう状況もとで、本気にドルの信認が回復できるような手だてというものはできるのだろうか、これが国民の知りたい問題点なんですね。細見大蔵省顧問がこの間講演をした中で、なかなかおもしろいことをしゃべっているのですね。どうやってもちょっくらちょいと解決するしろものではないということを言いながら、「世の中全体が地すべりを起こしているときはだれにもわからない。すぐれた指導者が出て全体の意識を集合して旗振りをすればよいのだが、その指導者がいない。結局することがないからフロートでもして成り行きにまかせることになった。」こう言っているのですね。それから「国際通貨の一寸先はやみで何が起こるかよくわからぬ」「ドルの交換性回復となれば、新しい準備資産は何か、早期調整過程におけるドルの役割り、SDRの役割りをどう考えるか。また新しい通貨体制のマネージメントをどうやるかなど、すべてを一緒に解決せねばならない」     〔大村委員長代理退席委員長着席〕 その解決策はあるかというと、彼はないと言って、「大混乱を起こさせることが一番簡単である。大混乱を起こさないで糊塗しようとするのは、手術をしないで胃かいようをなおそうというようなものである。しかし劇薬を注射しながら手術を避けて何とかしばらく続けざるを得ない。」こういう状況だというのですね。私はこれは細見さんの率直な気持ちだと思うのです。  いま私が読み上げた細見さんの考え方なり観察を大臣はどのように感じられますか。
  109. 愛知揆一

    愛知国務大臣 非常に率直に個人的に感じたところを述べているのであろうと思います。したがって、そういう状況下でございますだけに、これからの仕事というものは非常にむずかしいことである、それを否定するわけにはまいりませんが、しかし道はおのずからあると思う。また、投げやりになってしまっては元も子もなくなる。そして日本は国際場裏においてたよられる立場になってきておりますから、大いに責任を感じて、あくまで努力を続けなければなるまいというふうに考えております。
  110. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 三月の貿易収支の状況や昨年度の貿易収支の状況大蔵省から発表されました。これを見ると、何かこの三月から特に変化が起こってきたということが数字の上から感じ取られるわけでありますが、こういう三月の収支状況を見て、これは基調的な変化なのか、それとも濃縮ウランを三億二千万ドル先買いをしたための支払いがあったからこういう状況になったとお考えになるのか、ここらの本質的な、対外貿易関係日本の力というものがここで幾らかスローではあるがダウンをしてきたが、これが定着をするのか、また四月からは前年比の幅がずっと縮んでいくのか、そこらの見通しについては、大臣はどのような見通しをお立てになっていますか。
  111. 愛知揆一

    愛知国務大臣 変動相場制になりましてから小康を得ていると私は思いますが、円の実勢相場というものが貿易の面に、少なくとも理論的には、新しい変化が起こらないはずはないと私は基本的には思っております。したがいまして、それを見通しながら、輸出関連の中小企業対策というようなものは非常に大切である、こう思っております。  それから同時に、今日は私は率直にいって国内経済においても異常な事態であると考えますから、金融政策、財政政策においても陣立てを立ててこれに対処して、相当なきびしい対策を遂行しておりますが、同時に年度後半等においてこれが、いまは国民あげて心配でございますから、引き締め、引き締めということが全面的な御支持をいただいておると思いますけれども、この効果が行き過ぎてデフレ、不況というようなことになることになってはいけませんので、やはり予測といいますか、先見性を持ちながら機動的に、あるいは政策面においての流動的な動かし方などを常に頭に置いていかなければならない、こういうふうに考えております。  具体的には、為替相場の動きにつきましても現在は小康を得ております。御指摘がございましたように、輸入についてもある程度の、たとえば濃縮ウランなどは三億ドル以上のものでございますから、こういう決済というものが市場に影響していることは事実でございますから、十分この動向については注意を払ってまいりたい、こう考えております。しかし基本的には、具体的にいえば輸出減、輸入増、そういう方向は起こらないはずはない、私はこう考えております。
  112. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 国際金融局長、専門家として、三月の収支状況、この程度のものが好ましい姿であると思うか、それとも急激にこの程度の数字を示すことが続いたのでは、これは少々困るという判断なのか、好ましいかどうか、この辺のあなたの判断はどうですか。
  113. 林大造

    ○林(大)政府委員 実は、先ほど武藤先生御指摘のとおり、三月の輸入の計数の中には三億二千万ドルという濃縮ウランの加工料の支払いが計上されております。その結果、輸入の対前年同月比では六四%という非常に高い率になっておりまして、これは明らかに異常であり、このようなことが続いてまいりますと、それこそ国際収支が黒字不均衡から今度は赤字不均衡のほうに大きくフレがゆれるようなことになるわけでございますが、現在のところはまだそのことを心配し過ぎるべき段階ではない。と申しますのは、やはり二月と三月の動きをならしてみますと、二月は九億七千五百万ドル、これは季節調整済みの貿易収支の黒字でございます。これは異常に大きい数字でございます。それに対しまして三月の季節調整済みの数字は九千三百万ドルでございまして、これに濃縮ウランの一時的要因を除去して考えてみますと、その濃縮ウランの三億二千万ドルが季節調整済みで約三億ドルになりますので、三月の貿易収支の季節調整済みの数字は三億九千三百万ドル前後になったであろうというふうに考えられます。ただ二月には若干輸出入のリーズ・アンド・ラグズが見られたようでございまして、二月の十日に市場を閉鎖したわけでございますが、その前に輸出が、船が非常に積み急がれたというような関係がございますから、やはりこの二カ月をならして考えてみないといけないのではないか。  そういうふうに考えてみますと、表向きに出ているほど急激に輸出入の変化があったというふうに即断するわけにはいかない。しかし、いろいろな先行指標をとってみますと、やはりこのところ輸出の伸びは、大体二〇%前後これが実質的な切り上げになっているわけでございます、フロート中でございますが円はかなり切り上げになって強含みでございますから、円建てに直して計算いたしますと、物量ベースではあまり輸出はふえていない。それに対しまして輸入のほうは非常な急激な勢いで伸びております。したがいまして、輸出入の姿が曲がりかどを曲がったと断定するにはまだ若干早いような気はいたしますけれども、どうも輸出入の姿が変わったらしいということは読み取れると判断をいたしております。
  114. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 大蔵大臣大臣が描いている日本の対外経済均衡、特にアメリカとの関係、こういうものを調整するその最終目標という青写真は、貿易関係日本アメリカ関係でほんとうにこの均衡がとれるというところまで考えるのか、日本の貿易が輸入、輸出が全体額としてバランスがとれるあたりでいくのか、それとも総合収支を見て、資本支出、海外援助、そういうようなものを全体を含めてこの程度までいけばアメリカとの経済的摩擦は一切もう解消、調整済み、そういう調整済みといわれる接点はどんなところを描いているわけでしょうか、この辺をちょっと大臣にお聞かせ願いたいと思います。
  115. 愛知揆一

    愛知国務大臣 たとえば日米の貿易関係でいえば、両三年でGNPの一%ということが昨年来言われておりますが、そういうことが一つの目安であろうと思います。それから全体を総合して総合収支で見ていくのが普通の考え方だと思いますし、そういう点を重視していくべきだと思います。  もう一つは、日本から申せば、もっとグローバルに考えていくべきであるし、これをやはり世界的に理解させる必要があると思います。たとえば一つの例を言えば、オーストラリアと日本アメリカ関係考えてみれば、オーストラリアには資本投下がアメリカから非常に多い。日本はオーストラリアとの間では輸入超過が非常に大きい。あるいはカナダとの関係をとってみても、あるいは中近東その他を入れて考えてみればいろいろのとり方があるわけでございますから、必ずしもバイラテラルの関係だけをたいへんだ、たいへんだと言って論ずるのは当を得ないと私は考えます。ただ、いかにも最近までの日米間の貿易の収支の状況が異常でございました。これはやはり是正することが日本のためにも必要なことである、こういうふうに考えます。
  116. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そこでやはり、国際収支あるいは外貨準備というものは、そうべらぼうに積み立てなくてもいいんだということが、最近ようやく国民の間にも定着をしてきた。結局輸入資金をこと欠かずに保有しておればいいんだ、こういうことで、この前のドル減らしのときですか、あの中にも、海外の賃借権などもこれからは考える、そこへ投資をする、こういうようなことが入っているのでありますが、その場合の賃借、資源のある土地を借り受ける、人の領土でありますから、買うことはなかなかむずかしいでありましょうが、そういう金山や銅山や地下資源のあるところに賃借権を設定して、長期にそれを開発をする、こういう考えだろうと思うのです、政府考えは。  そこで、私は前々からニューギニアに非常な関心を持つ一人なんでありますが、ニューギニアの開発についてはまだほとんど緒についていない。こういうようなことについて、政府は、ボルネオやスマトラやインドネシアばかりじゃなくて、ニューギニアの開発などについては全く相談をしたことはないんですか。
  117. 林大造

    ○林(大)政府委員 ニューギニアと申しましても、東半分と西半分とでおのずと違うわけでございますが、西半分は当然インドネシアの関係一環としていろいろ考えているわけでございますが、東のほうにつきましてはパプアニューギニアということで、いろいろと新興の意気に燃えた動きがあるようでございます。エカフェの関係にもその関係の代表者は来ておられるようでありまして、私ども接触する機会は持つ七おりますけれども、これは御指摘のような、日本だけのために何かの資源開発をしたいということではなくて、お互いに、日本としてはこの資源開発をして日本のために役立つ、それから先方にとりましても、その開発にとって非常に歓迎すべきことであるということで初めて共存共栄ということに相なるわけでございまして、今後とも機会をつかみましてそのような話をそのほかの関係の諸国とも、十分意思疎通をはかりながら進めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  118. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 いまの局長の話の中で、ちょっと認識の違いが一つありますので……。東イリアンと西イリアンの関係で、西はインドネシアの領土のような認識をされては困るのです。あれはアメリカが国際連合で一時信託統治みたいな形でインドネシアに管理権を与えている。その期限はもうとうに切れたのであります。切れたのだけれども、マリク外相が話がわからなくて、土人をどんどん、独立運動をやる者を暗殺をして、すでに七千人も殺されているんだ、六十五万人のうち。日本にも亡命してきている。地元の住民が、土人が、もうたいへん困ったということで、日本にかなりいろいろなことを報告をしている。ぼくも会ったことがあるのです。それで、当時愛知さんが外務大臣のときでしたか、愛知さんの前でしたか、川崎秀二さんが外務委員会で、これはインドネシアの不当な支配であるからすみやかに国連は独立を認めるべきである、こういう質問演説をやっておるのですよ、田原春次さんと。しかも、その土民の人たちは、日本ときょうだい国になりたい、インドネシアとは早く手を切りたいんだ、不当に支配しているんだ、日本とは非常に密接な関係を結びたいということで、亡命をしている政治家がみな口をそろえて言っておるわけですね。だから日本は、そういうことについて、もうちっと関心を持ってしかるべきではないか。これは一局長判断ではどうにもならぬ、これは大きなビジョンの問題であり、日本とニューギニアとの今後の関係について、ひとつ政府としても大きな立場から検討してみる必要があると思うのです。  この間私は、オーストラリアの労働党の書記長と三時間ばかり会談をして、いろいろ述べられた中にも、いまのニューギニアの東のほう、これはもう近々に労働党は独立国として承認をしたい、その際に、やはり東イリアンの開発協力は日本がやる以外におそらくしてもらえないだろう、こういう労働党書記長の発言なども耳にして、これは日本政府としても、いまの外貨減らしの面からもやはり考えていいのではないか、そういう点の密接な検討もしてしかるべきではないか、かように思うのでありますが、大蔵大臣、閣僚としてもしお感じになることがありましたら見解をお聞かせいただきたいと思うのであります。
  119. 愛知揆一

    愛知国務大臣 われわれとしては、イデオロギーを越え、国境を越えて経済協力という問題を考えたい、これが結局ワン・ワールドの主張であるわけでございますが、ただ、現実に紛争のあるところに対するかまえ方としては、慎重の上にも慎重な態度が必要であると思います。イリアンの問題はかねがねの、国際的にもなかなか大きな問題でございますから、慎重に検討をいたすべき筋合いの問題であると思います。
  120. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 次に、この法案の第二条ですね。第二条は借り入れ金の規定であります。産投会計に新たに借り入れ金の規定を設けて、三百五十億円の借り入れをするというのでありますが、なぜ新たに借り入れ金の規定を起こさなければならぬのか、その理由をひとつ。
  121. 後藤達太

    ○後藤政府委員 産投特別会計には、一時借り入れ金の規定はございますけれども、借り入れ金の規定はございません。したがいまして、その一部改正をいたしまして借り入れ金をできるようにする必要があるためでございます。
  122. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 産投会計にも借り入れ金の規定はあるわけですね。一時借り入れ金ができるということになっているわけです。したがって、この一時借り入れ金というのは、年度内に返済をするものが一時借り入れ金なのか、もっと短い、三カ月や六カ月というサイドのものの借り入れ金規定なのか、この産業特別会計の現在ある借り入れ金の規定は。というのは、今回の改正案はみな一年以内に借金は返すのだという。したがって、一年以内に償還するものだったら一時借り入れ金の規定でいいのではなかろうか、こう感じたのでありますが、あなたのほうは、一年一年というと三年間毎年国会にその承認を求めなければならぬから、そんなめんどうな手続は省いて、一回で、この法律で三年分の借り入れができるようにしてもらっちゃおう、こういう手続上の必要性から、今回のこういう法案提出になったのですか。
  123. 長岡實

    ○長岡政府委員 現在の産投特別会計で認めております一時借り入れ金は、年度内に返さなければならない性格のものでございます。今回御提案申し上げておりますのは、なるほど償還の期限は一年内と書いてございますけれども、年度内には限定されないわけでございまして、そういう意味で、新たに法律によって産投特別会計にこういう性格の借り入れができるということを御承認いただきたいというのが、この法律案の趣旨でございます。
  124. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 結局、産投会計の規定は「支払上現金に不足があるときは、」とこういうワクがはまっているので、これでは処理しきれない、それといま言ったように、一年以内ということは年度をまたがるかもしれぬ、翌年度になるかもしれぬ、こういう理解なので新たに法案を出さなければならなかった、こういうことですね。  それから、この産投会計を、先ほど大臣は、古い法律であるからこの辺で一回改正のことも考えねばならぬ、こういう発言を村山議員にいたしたのでありますが、なるほど、この法律の第一条に「経済の再建」ということばがありますね。この「経済の再建」これなどはまさに戦後の、経済復興当時のなごりを物語っている概念だと思うのですね。大臣、これはいかがですか。第一条に「経済の再建、産業の開発及び貿易の振興のために」こうなっておるわけですね。この「経済の再建、産業の開発」ということばは、確かにもう時代にマッチしない表現のような気がするのですが、いかがですか。
  125. 愛知揆一

    愛知国務大臣 私は、産投会計のでき上がったときの経緯あるいは目的とするところについては、時代の流れとともに、少なくとも運用については十分くふうをしていくべきものである、先ほど私も第一条を読み上げながら、そういうふうな私の気持ちを申し上げた次第でございます。  同時に、これはいろいろ意見の分かれるところでございましょうが、必ずしも、法律自体を改正する必要があるのか、あるいは運用上いろいろ考えていけば目的は達成できるかということを考えると、たとえば国土総合開発公団などは、産投会計として現在の状況下においては投資対象として適当なことではないだろうか、こういうふうにも考えられるわけでございますが、ともかく、相当長い時期を経過しましたし、そろそろ再検討してもいいのではないか、こういう気持ちを同時に持っておりますことを表明いたします。
  126. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 なるほど、いままでの産投会計の支出を見ると、貸し付け金の場合は電源開発、出資金の場合は日本輸出入銀行、こういうところが大口でありますが、総理府、来ていますね。——今度、工業再配置・産炭地域振興公団が新しく国土総合開発公団に吸収をされて発足をするわけですね。そこでまず工業再配置のほうの百三十億円、大体どんなことにまずことしは使おうとしているのですか、その予定は。
  127. 志賀学

    ○志賀説明員 御説明いたします。  四十八年度の工業再配置業務といたしまして、いま先生お話しになりましたように、産投出資百三十億というのがついておりますが、そのほかに資金運用部あるいは政保債、そういったものを含めまして財政措置が講じられておるわけでございますが、その財源に基づきまして、工業再配置業務といたしまして移転促進地域から誘導地域に移転いたします企業に対する融資、それから工業団地の造成誘導地域におきます工業団地の造成業務、この二つをやっております。そして事業規模といたしましては百三十億を含めまして七百億ということで四十八年度は事業をいたすということになっております。
  128. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 だから、たとえばその中身を具体的に想定されておるところがあるのだと思うのですが、どういうところをいま想定しているのか。予算が通ったからこれからあわてて一生懸命見つけてここのあと地を買うんだなんということではなくて、大体きまっているんでしょう。目安はあるのでしょう。それをちょっと発表してください。
  129. 志賀学

    ○志賀説明員 公団の業務が昨年の十月から実は事業を開始しておりまして、現在までに融資をいたしましたのが約六十二億円でございます。六十二億円のうち約六十一億円があと地を見返りといたします融資でございまして、残り一億円が移転運転資金に対する融資ということになっておるわけでございます。なお団地の造成につきましては、現在候補地点の選定を急いでおるところでございます。
  130. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 その六十億円融資した会社はどこですか。
  131. 志賀学

    ○志賀説明員 全体で九社でございます。
  132. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 その名前を言ってみてください。
  133. 志賀学

    ○志賀説明員 おもなところを申し上げますと、昭和電極、十条製紙、それから吾嬬製鋼、そういったような会社でございます。
  134. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 これは何年間で金利は幾らですか。
  135. 志賀学

    ○志賀説明員 あと地見返り融資は金利が六分五厘、それから貸し付け期間は原則として三年以内ということになっております。それから移転運転資金融資は金利が七%、貸し付け期間は同じように原則は三年ということになっております。
  136. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 予算書ではあと地融資のほうが六百九億円。どうですか、これを年度内に大体消化するという見通しはあるのですか。
  137. 志賀学

    ○志賀説明員 私どもの調査ないし最近東京電力のほうでいろいろ調査をやっておりますけれども、かなり最近移転に対する給付というのが出てきておりまして、現在私どもとしては年度内に消化できるというふうに考えております。
  138. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 それから中核工業団地造成事業、これは七十億円、これはどんなことをやってどの方面に金が出て現在どんな状況になっておるのか。
  139. 志賀学

    ○志賀説明員 中核団地造成事業は現在まだ地点がきまっておりませんで、非公式に道府県からいろいろお話がございます。そういった地点につきましていろいろ検討を進めておる段階でございます。
  140. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 それはどのくらい申請希望が出ておるか、そしてこれは融資ですか、事業費そのままを出すのですか、その中身はどういう性格のものですか。
  141. 志賀学

    ○志賀説明員 全体で申しますと、私もちょっと最近の事情あれでございますが、十数県の道県からいろいろお話があるように聞いております。この七十億は造成費、事業費でございます。公団が団地造成をする費用でございます。
  142. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 公団が団地造成して、それを移転をしてくる工場に売る、貸すのではなくて売る、そういうことですね。
  143. 志賀学

    ○志賀説明員 さようでございます。
  144. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 それから、産投会計の中からいままで出ていた金の関係で少々尋ねたいのでありますが、輸出入銀行、これは担当は銀行局ですな。昨年十月、日本輸出入銀行法の一部改正が行なわれて、輸入金融を拡充をする、こういうことで法案が通ったわけでありますが、現在十大商社が輸出入銀行を使っている金額、融資残額は幾らありますか。
  145. 吉田太郎一

    ○吉田(太)政府委員 十大商社に対する貸し付けの残高は昨年の九月末で五千四百七億でございます。
  146. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 輸銀の金利は市中金利よりずっと安いと思うのですが、現在は利率はどのくらいですか。
  147. 吉田太郎一

    ○吉田(太)政府委員 輸出と輸入を分けて申し上げますと、輸出の場合は最低四・五%から七・五%になっております。そのうち船舶につきましては、建造時期によって違いますが、頭金三〇%以上の最近の建造許可船でございますと七・二%それから四十六年以降ぐらいの分でございますと七%という状況でございます。プラント輸出については六%から六・五%ということで、いずれにしてもケース・バイ・ケースできめるというたてまえになっております。業務方法書には四・五%から七・五%ということになっております。  輸入につきましては、やはり業務方法書で昨年改正いたしまして四%から七%の間できめることになっておりますが、大体五・五%ということになっております。  なお、投資についても同様でございますが、直接借款についてはケース・バイ・ケースでやっておるという状況であります。
  148. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 大臣、いま局長が発表されましたように、いま物価騰貴問題でたいへん国民の批判の的になっている十大商社、この商社がいま政府資金を利用している輸銀関係だけで五千四百七億円、これは去年の九月末ですから、その後おそらくまだまだふえていると思うのでありまして、おそらく六千億円を上回るのではないかと思うのでありますが、こういうように国民の血税の一部、そういうものが出資金に回って非常に公共的性格の強い輸銀資金活用している商社が、いまのような投機商品の売り惜しみ、買いだめ、そういうことを行なっているというこの姿勢について、大臣どうお考えになりますか、これらどの関連において。
  149. 吉田太郎一

    ○吉田(太)政府委員 最初に、まず事実の関係がございますので申し上げたいと思いますが、特に船舶については、御承知のように、ほとんど商社が介在しております。それからプラントにつきましては、いわゆる超大企業というようなものは自分が輸出契約などをやっておりますので、輸銀としては直接その輸出業者に、輸出契約を結んだ人に貸すという形でやっておるわけでございます。そういういわゆる超大企業以下の企業になりますと、どうしても輸出契約の当事者ということにはなりにくい、たとえば海外の法制に暗いとか、いろいろそういう関係があって、商社がその間に介在して、輸出入契約の当事者になっておるというのが実情でございます。そういう場合に、輸出の場合でございますと、たとえば長期延べ払いのような場合には、むしろ実際に輸出したメーカーに商社は一時払いをいたします。払うという形になります。それから、輸入の場合でございますと、輸銀から借りた資金はそのまま外貨にかえて貸し出す、こういう形になっておるわけでございまして、輸銀の融資が直接流動性の増加にプラスをしておるという実態はないものと私は考えております。  なお、特に、たとえば商社とそれから輸出入業者とさらに下請の関係でどうなっておるかということでございますが、私ども関心を持って見ておるわけでありますが、輸銀の場合は、そういう下請業者とメーカーとの間の下請契約も融資の場合によく確かめておるという実情がございまして、特に輸銀の融資が下請業者という名前を利用されて中間業者がそれをうまいことをするということはないように……
  150. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そんなこと聞いておらぬよ。あなたに商社の弁解をしてもらう話を質問しているのじゃなくて、いま国民の商社に対する風当たりが非常に強い。そして参考人としても呼ばれその社長が今度は消費者団体などに呼ばれて行くと、全く白を切って、反社会的行為があったとみんなにあれだけやられていながら、この間消費者団体でやったときには、新聞の報道によると全く傲慢な態度であった。そういう商社が国家資金を五千四百七億円も使っているのだ。公共的な性格を持たなければならぬ商社がそういう態度をとっているのはいかがかと思うが、大臣はそれについてどういう所見を持たれるかという質問をしているのです。銀行局長は、そうじゃなくて、何だか下請がどうのこうの、中小企業がどうの、一生懸命弁解がましいことを言っているが、そんなことをあなたに聞いているのじゃないですよ。全然筋が違う。
  151. 愛知揆一

    愛知国務大臣 いまお尋ねの件については、輸銀というものが今日以降においてどういう働きをするか、これは政策の転換でございますから、いままでは輸出に重点を置いて大いに活動したわけでございます。これからは、たとえば重要資源の開発輸入といったような、資源の日本に対する安定的な確保ということが重要な使命であると思います。それが基本政策でございますから、その政策目的のために輸銀がどういう役割を持つか、それからその資金の流れが商社等の流動資金になってかりそめにも投機資金に使われるというようなことがないように、万々の注意と措置をしなければならない、これはもう当然のことであると考えます。
  152. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 約束の時間が一時までということでありますから、共産党の増本君が質問するということになっておりますので、たいへん残念でありますが、これで私の質問を終わります。
  153. 鴨田宗一

    鴨田委員長 増本一彦君。
  154. 増本一彦

    ○増本委員 昨日の荒木委員の質問に関連しまして、私のほうから、ガリオア返済金の使途についての計画アメリカから提示を受けて、それで日本としては相談をするのだという趣旨の答弁を、昭和三十八年の二月十五日の参議院の予算委員会で当時の大平外務大臣がなさっていらっしゃる、一括償還をする今日の段階で、この返済計画についての日米双方の相談はどういうぐあいになっているかという点をお尋ねしましたところ、その点については調査の上きょう御答弁いただける、こういうことでありましたので、その調査の結果をまずお伺いしたいと思います。
  155. 愛知揆一

    愛知国務大臣 お答えいたします。  お約束いたしました内容につきましては、局長から答弁をしてもらいたいと思いますけれども、私から申し上げますと、こういうことでございます。  御指摘のとおり、ガリオア返済については、十年前にも大論争がございまして、私もその論争はよく承知し、よく覚えております。したがいまして、私からお答えするのは常識的になるかと思いますけれども、交換公文が支払い金の使途についてございます。これは今日でももちろん生きております。そしてこの交換公文の内容、一項、二項、二つございますが、したがって、この内容の線に沿うて今回返済するものもその使途に向けられるということを私としては信じておる、こう申し上げることが正しいと思います。
  156. 林大造

    ○林(大)政府委員 昨日お答え申し上げましたとおり、日米間におきます協議は、交換公文の第二項、これによりまして、随時行なわれているわけでございますが、それは多角的な経済協力と二国間の経済協力とございまして、多国間の経済協力につきましては、世銀総会あるいは第二世銀の増資の関係の各種の会議、それからアジア開銀の資金調達に関する各種の会議、その他いろいろ毎年毎年各地で協議がなされているわけでございます。その一環として、当然のことながら日米間におきましても接触が保たれ、協議が行なわれている。  一方におきまして、二国間の援助につきましては、たとえば日本対セイロン、それから米国対セイロン、あるいは日本対マレーシア、米国対マレーシアというような関係になっているわけでありますけれども、しかし、最近のように経済協力を受けます国に対します援助供与国が多数になってまいりますと、相互の間の協調というのが非常に大切になってくるわけでございまして、数えあげますだけでもタイに対する協議グループ、マレーシアに対する協議グループ、インドネシアに対する債権国会議、あるいはザイール、ガーナ等等非常に数々ございまして、そのような機会に絶えず日米間では接触が行なわれているわけでございます。そのような過程で、日本日本なりにその予算の定めるところに従いまして援助を行なっておりますし、また米国も米国の議会の授権に基づきまして、その授権の範囲内で種々援助のやり方につきまして意思の疎通をはかっている次第でございます。
  157. 増本一彦

    ○増本委員 きのうも指摘をしたのですが、大平外務大臣の答弁によりますと、「これはもう、ガリオア返済金の使途につきまして、御答弁申し上げましたとおり、目下アメリカ政府側におきまして計画を作案中でございまして、まだ私どもは提示を受けておりません。提示を受けましたら、御相談しようと思っております。」こういうようになっていて、一定の計画が提示を受けた後に日米間でこの問題について相談が行なわれる、こういう趣旨にこの答弁は解釈されるのですが、いまのお答えですと、多国間の問題でも二国間の問題でも、結局交換公文の二項の随時協議、独自で随時協議が行なわれるのではなくて、それぞれの国のそれぞれの会議の際に、この問題でも、東アジア諸国に対する援助問題、一般の問題として協議が行なわれて、それで足りるのだというような趣旨にとれるのですが、そうすると、大平外務大臣の答弁というのは間違った答弁である、こういうことになるのですか。
  158. 愛知揆一

    愛知国務大臣 私は決して間違った答弁ではないと思います。というのは、この大平大臣の三十八年二月十五日の答弁、この中にも出ておりますけれども、私は、こうした交換公文を通じて日米の意図というものが内外に宣明されているというところに政治的な意味があると思います。  それからその次に、一項と二項は多少趣旨が違っていると思います。一項のほうは、直接「前記の協定に基づき」「受領する資金の大部分を、」と書いてあります。それから「適当な立法措置を経ることを条件として、」と書いてございます。これは率直に申しまして、立法措置というものは、特にその後アメリカにおいては行なわれなかったと承知しておりますから、この点については、条件として、」云々ということがこのとおりは実行されていなかった、趣旨は私は実行されていると思いますが。というのは、アメリカ側として、たとえば歳入歳出の計画に、ひもつきでこのガリオア返済資金というものを特掲するということはしなかったわけです。ですから、一般歳入の中に組み入れられている、その歳出の計画の際にこの交換公文の趣旨を十分取り入れる、こういうことで今日に至っているわけでございます。  それから第二項のほうは、ただいま局長から答弁いたしましたように、これはもうこのとおりに行なわれていると思います。一般的に、日本からいえば海外経済協力、それらについて随時密接な協議をするということは、もう十分に行なわれている、こう思います。  問題になる点は、立法措置の問題あるいはひもつきということまでこの交換公文ではうたっておりませんでしたけれども、そのひもつきにアメリカ側も扱っていないという点が御質疑の内容と思います。この点は、率直に、立法措置アメリカ側としてとられていないのが事実である、こうお答えをいたしておる次第でございます。
  159. 増本一彦

    ○増本委員 時間がございませんので、今回一括償還をするに際して、この交換公文の趣旨に基づいてアメリカとの協議ということはおやりになるのでしょうか。それとももうなすったのでしょうか。その点についてはいかがですか。
  160. 愛知揆一

    愛知国務大臣 内協議はいたしましたし、話し合いはまとまっておるわけでございます。一括償還をこちらはしたい、向こうは喜んで受けたい、こういう内交渉はできておりますが、それに基づいて、日本政府といたしましては、予算的な措置を講じ、またこれを明らかに、堂々とということばを先ほど申し上げましたけれども、財源の関係から、産投会計借り入れ金ということは、やはり金額を明示し、このよってきたるところを法律として国会の御審議をいただいて、これを前提として返済をいたしたい、こう考えております。したがって、今後の方法といたしましては、ガリオア・エロアの返還協定がございます。この返還協定は修正する必要がないというのが両国政府の見解でございますが、実務的なもの、五月一日に返還をするということは、実務的な取りきめはやることになると思います。これは、この法律が制定されましたならば、外務省にお願いをしたいと思っております。そうして随時、日米の間ではこの返還ということがきまって実行されるということになりますれば、私としては、さらにあらためて、この国会でもこういう論議があって、そしてこの法律が議決されたということは、十分にひとつ先方にもインフォームしたい、こういうふうに考えております。
  161. 増本一彦

    ○増本委員 大臣は、当時の大平外務大臣の答弁は、交換公文から見て間違っているというわけじゃないというようにおっしゃいますけれども、交換公文を通じて内外に宣明した方針によってやるということをおっしゃったあとで、しかしガリオア返済金の使途については、その計画の提示を受けた上で相談をすると言いながら、結局それについての相談はなされていないという点からいっても、私は、外務大臣のこの問題での政治責任というものは免れることができないと思うのです。しかも、今回一括償還をする上でも、その使途についてアメリカとの間の協議の内容が国民の前に公にされていないという点はたいへん問題でありまして、これは協議の内容を国民の前に公にして、もともと債務であったのかなかったのかという点でも、従来からたいへん大論議を起こした問題でありますから、それを期限の利益をみずから放棄して、そして今回一括償還をするということになれば、なお国民にとってもたいへん重大な問題でありますので、これはぜひその協議の内容を公開すべきであるというように私は思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
  162. 愛知揆一

    愛知国務大臣 十年前のことでございますから、協議の内容というようなことがどういうふうな行なわれ方をしたかということについては、私はつまびらかでございません。これは御理解をいただきたいと思うのですが、いわゆる議事録とかそのほかのペーパーによって明らかにされるような協議はなかったのじゃないかと私は思いますけれども、ガリオア返済金の使途については、ずいぶんいろいろな協議が行なわれたと承知いたしております。同時に私は、今回繰り上げ償還をするということは、期限の利益を放棄したということではありますが、同時に相当な減額をしているということにおいて国益に沿うゆえんであると思います。  しかし、ただいま申しましたように、これは日本としては、アメリカに対しては相当のフェーバーを与えることにもまた一面なるわけでございますから、今回繰り上げ償還をいよいよ国会の議決を経てこういうふうにきめた、払うということになります際に、私としては、先ほど申しましたように、政治的にも考えて、この国会の御論議等の経緯は十分先方にインフォームして、一そうこの趣旨に沿うようにアメリカ側にも努力をしてもらうことを要請するつもりでおります。
  163. 増本一彦

    ○増本委員 あと一つ。  この交換公文で協議をするということになっているわけですから、この段階では日本の意思を明確に表明することができるわけですから、十分にそれをすることが私はきわめて重要だと思うのです。今回の一括償還の際に、これがアメリカの財務省証券を換金してそれで払うんだという趣旨できのう林局長から答弁がなされたわけです。  そこで最後にお伺いしたいのですが、財務省証券がいま金利六%をちょっとこえているという状況になっているときに、このガリオア債務ではもっと金利が低いわけですから、それをわざわざここで一括償還をしよう、しかも財務省証券を換金してそれを支払おうということになりますと、いま問題になっているコンソリデーションの問題との関係で、いまここで財務省証券をあわてて換金をするというからには、コンソリデートの時期がかなり早まってきているというように政府考えてここでそういう手だてをおとりになったのじゃないだろうかというように考えられるわけです。そういうお考えをお持ちなのか。もしそうであるならば、このコンソリデートの問題は、日本にとってきわめて重大な問題でありますので、政府は一体どういうように見通しを持っておられるか最後に伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  164. 愛知揆一

    愛知国務大臣 コンソリデーションとの関係考えてやるわけではないのでございます。しからばコンソリデーションはどういうふうに進んでいるか、見通しはどうかという次のお尋ねでございますが、前々から申し上げておりますように、これはいわば債権者としての日本の立場からいって、御指摘のように非常に大事な問題でございます。その内容等につきましては、一面において日米間だけの話し合いでは煮詰まらない性格の問題、たとえばドイツその他も御同様大株主というか大債権者、また国際通貨、債権の問題とも密接に関係している問題でございます。いま、その内容また時期等についてはまだ見通しをつけるまでに至っておりません。したがって、それが早まるであろうという前提や意識のもとにこの返還方法を考えるというわけではございません。
  165. 増本一彦

    ○増本委員 終わります。
  166. 鴨田宗一

    鴨田委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  167. 鴨田宗一

    鴨田委員長 これより討論に入ります。  討論の通告がありますので、これを許します。阿部助哉君。
  168. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 私は、日本社会党を代表し、ただいま議題となっております農産物に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定に基づいて借り入れ外貨資金等償還に関する特別措置法案につきまして、反対の意見を述べるものであります。  御承知のようにガリオア・エロアによる援助は、アメリカ側から見ればわが国の資本市場の獲得とそこから生ずる超過利得の収集という一石二鳥的な効果を持っていたのであります。また、援助物資に至っては、アメリカにおいて生産過剰ぎみの物資を敗戦国へ放出したものであって、放出によってアメリカ側における物資需給のアンバランスを回避するという意義を持っていたのであります。  このような援助は、余農債務ガリオア債務としてそれぞれ長期にわたって返済することの協定が締結され、現在返済がそれぞれの協定において実施されているわけであります。この協定締結の際、二重払いにならないか、返済財源の問題が論議されましたが、今日までの推移を見ると、円の切り上げによってようやく収支を償ったことが明らかになりました。  また、支払い金の使途に関する交換公文で明らかにされた了解事項につきましても、アメリカ返済金について立法措置も行なわず、一般会計に振り向ける確認事項を無視してきたのであります。  このときにあたり、ここ数年のわが国国際収支の黒字基調とアメリカにおける国際収支の赤字、さらには日本アメリカとの貿易上のアメリカの入超が日米通商の大きな問題となっているのであります。しかし、このような事態を惹起したものは、一つアメリカ側における戦争政策等によるドルの無計画な増発によって基軸通貨としての信認をみずから失墜したものといわなければならないのであります。  今日までわが国は、貿易立国を旗じるしに経済の発展、貿易振興、さらには国際競争力の強化のため全力をあげてまいりましたが、たまたまドルの蓄積を見たのであります。このことは、わが国の労働力の強制的な積み上げ、さらには低賃金に押えられた大資本による労働力の搾取の結果として生み出されたものにほかならないところであります。  このように労働者等の悪条件のもとに蓄積された外貨を、アメリカ側から押しつけられた協定に基づいて返済期日をアメリカ側の申し出によって履行期日の到来しないのにここで一括返済するということは、アメリカ側の意のままになった国益を害する措置として反対せざるを得ないところであります。  以上をもって反対討論どいたします。
  169. 鴨田宗一

    鴨田委員長 荒木宏君。
  170. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、原案に反対する立場から討論をいたします。  まず第一は、この一括返済の使途並びに目的についてであります。  ガリオアについて申しますと、すでにこの支払い金については交換公文で東アジアの経済開発など、その使途が確認されておるのであります。政府答弁によりますと、これはひもつき返済ではないから、個別に特定して吟味することはできない。しかし、全体として米国の海外援助に組み入れられるべきことは前記交換公文の趣旨からも明らかであります。  そこで、米国の対外援助の内容を見ますと、七三会計年度に比し七四会計年度は、軍事援助と防衛支持としての経済金融援助は増加し、他方対外経費としての食糧援助などはかえって減少しているのであります。  このアメリカの対外援助政策は、軍事面においてはベトナム、東南アジアをはじめ海外軍事侵略行動や軍事基地網の設置となり、その誤りはすでにベトナム、ラオス協定により明らかであります。また経済面においては、多国籍企業をはじめ海外経済進出となり、ウイリアムズ委員会などアメリカ関係機関もみずから認めておりますように、これまた国際通貨危機の大きな原因としてその矛盾もまた明らかになっております。  そこへ一括返済するわけですから、その中に組み込まれることになり、とうてい賛成することはできないのであります。しかも政府の趣旨説明によりますと、今回の措置は、国際通貨情勢などに照らして繰り上げ返済するとのことですが、このような節度なきアメリカに無批判に追随する政治姿勢のあらわれであり、国民の要望に反して国際通貨危機を解決するものであって、反対であります。  第二に、手続上の問題でありますが、昭和三十八年ガリオア返済協定が国会で審議されましたとき、わが党の須藤議員の質問に答えて外務大臣は、この返済金についてはアメリカ側からの使途計画の提示を受け、協議する旨明確に答弁しています。この点に関して、昨日政務次官に質問いたしましたところ、前記大臣答弁に沿う趣旨の協議は全くなかったということが明らかになりました。これは国民を欺くものともいうべく、この状態のままでわが党は一括返済を認めることはできないのであります。  第三は、財源についてであります。前記国会で返済金の財源について、それは二重払いになるのではないかとの疑問に対して、政府は開銀の納付金、回収金利子のみでまかない、一般会計にはどんな意味でも迷惑をかけないという旨のことを断言しています。しかるに今回の返済計画によりますと、開銀の納付金は見返り資金に見合う率の八七・七%をこえて全額計上されています。しかも昭和二十八年から三十六年までの開銀の運用益が約千四百億円、昭和三十六年から同四十七年までの運用益、回収金等と返済実積の差額残高が、ガリオア関係では約二十五億円、余農関係で約三百二十億円、それだけの金額があるにもかかわらず、それらは主として大企業向けに運用され、直ちに回収困難もしくは適策でないとの理由で運用部資金から借入することは、結局国民が預けた金に手をつけることであり、前記協定時のたてまえに照らしても認めがたいのであります。  以上、ガリオア関係を中心に今回の一括返済に反対する旨申し述べましたが、そもそも債務自体を見ても、それは国民の利益に反するものであることをこの際想起する必要があります。余農債務はこの買い付け自体、アメリカ農産物輸入による日本農業の破壊への道を開いたものであります。またガリオアは当時占領目的のために放出されたものであり、アメリカでは家畜の飼料とされた脱脂粉乳や雑穀まで含まれており、本来債務性は帯有しないものであり、全くその金額計算も明確でなかったのでありまして、阿波丸関係請求権をはじめ、戦争による国民のはかり知れない被害を考えますと、債務とすべきものでないことは今日ますます明らかであります。これらの基本的観点に立ち、また今次国際通貨危機のよって生まれた原因をあわせ考えまして、今次返済措置に前記問題点を照らして反対である旨討論をいたします。
  171. 鴨田宗一

    鴨田委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  農産物に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定に基づいて借り入れ外貨資金等償還に関する特別措置法案、これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  172. 鴨田宗一

    鴨田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  おはかりいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  173. 鴨田宗一

    鴨田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  174. 鴨田宗一

    鴨田委員長 午後二時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後一時四十三分休憩      ————◇—————     午後二時四十二分開議
  175. 大村襄治

    大村委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。     —————————————
  176. 大村襄治

    大村委員長代理 まず、政府委員より、提案理由の説明を求めます。山本政務次官。
  177. 山本幸雄

    ○山本(幸)政府委員 ただいま議題となりました国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。  この法律案は、最近における国家公務員の旅行の実情等にかんがみ、内国旅行及び外国旅行における日当、宿泊料、移転料等の定額を改定するとともに、あわせて所要の規定の整備を行なうこととするものであります。  次に、改正の概要を御説明申し上げます。  内国旅行につきましては、宿泊料金の実態等を考慮し、宿泊料の定額を平均して約四〇%、日当及び食卓料の定額を約三〇%程度引き上げることとするほか、車賃定額についても若干の引き上げを行なうとともに、その適正化をはかることといたしております。また、移転料につきましても、国家公務員の赴任の実態等にかんがみ、その定額を平均して約三〇%程度引き上げることとするとともに、その際、等級別の支給区分を現行の八段階から七段階に整理することといたしております。  外国旅行につきましては、宿泊料金の実態等を考慮し、日当及び宿泊料の定額を平均して約二〇%程度引き上げ、食卓料についても、その定額を若干引き上げることとするとともに、その際、宿泊料等が特に高い都市への旅行については、旅行の実情に即して特に高い定額を支給することとし、旅費支給の地域区分を改めることといたしております。また、移転料につきましても、国家公務員の赴任の実態等にかんがみ、その定額を約三〇%程度引き上げることといたしております。なお、死亡手当につきましても、以上の定額改定の趣旨に準じて、その定額を倍額に改定することといたしております。  以上が、この法律案の提案の理由及びその概要であります。  何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  178. 大村襄治

    大村委員長代理 これにて提案理由の説明は終わりました。     —————————————
  179. 大村襄治

    大村委員長代理 これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。村山喜一君。
  180. 村山喜一

    村山(喜)委員 国家公務員の旅費の改正案が出されておりますが、これは趣旨としては、実費弁償が今日の事態に即応しないために伴う改正措置でございますから、賛成法案でございますが、内容について若干の質問をいたしてまいりたいと思います。  そこでまず第一に、従来八段階であったもの存七段階に整理をしたということでありますが、この整理をするにあたりまして、できるならば、もっと実情にかんがみまして整理をすべきではないかというふうに考えるわけですけれども、やはり七段階をつくらなければならないのかどうか、そういうようなグレードごとに等級日当額を変え、宿泊料を変えなければならない、その実情について説明を願いたい。
  181. 吉瀬維哉

    ○吉瀬政府委員 御質問のように、宿泊料、日当等は実費弁償的な性格を持っておりますので、必ずしも職務の等級によりまして差はないではないかという御意見があることは、私ども重々承知しているわけでございます。したがいまして、従来から、できるだけ段階を整理、簡素化しようという方向で進んできているわけでございます。ただ、実費弁償と申しましても、旅行者の等級に応じた支出の段階があるのじゃないか。民間等でも、やはり職種によりまして数段階に分けて日当、宿泊料を規定している、こういうような実態を含めまして、従来いろいろ圧縮措置を講じてきたところでありますが、私ども、現段階では、将来の課題としてはなお検討を続けたいと思いますが、これ以上圧縮するという考えを持っていないわけでございます。
  182. 村山喜一

    村山(喜)委員 内国旅行の場合には、これは六段階ですか、赴任旅費は七段階、それから外国の場合には八段階ですか、何でそんな区別をしなければならないのですか。
  183. 吉瀬維哉

    ○吉瀬政府委員 一般に内国の旅行は、大都会とか地方都市とかございますけれども、外国旅行の場合ほど旅行先によりましていろいろな物価の差はないというようなこともありまして、内国旅行と外国旅行では、外国旅行のほうにやや段階の差をつけているわけでございます。  それと同時に、赴任旅費につきましては、やはり等級に応じまして、長年の生活の蓄積と申しますか、家具、家財道具その他の量も違うというようなことから段階を若干多くしているという現状でございます。
  184. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、この金額ですが、宿泊関係の料金を、私もちょっと実態調査というのですか、外国案内あるいは日本交通公社の料金のあれから見てみたのですが、どうも印象的に言って、国内旅費の場合には、この程度のものでは最近の料金の値上がりによりまして中クラスのところしか泊まれない。それに比べて外国旅行の場合には、これはあとから質問をいたしますが、十分余り過ぎるような改定になっているのではなかろうかという印象を受けますが、これで十分なんですか。そして外国旅行の場合には、内国旅行に比べて優遇され過ぎるという感じは受けておりませんか。
  185. 吉瀬維哉

    ○吉瀬政府委員 内国旅行の宿泊料でございますが、財務局が実態調査をいたしまして、前回の改正のときよりも対象のサンプルをふやしまして十分検討したわけでございます。それによりますと、必ずしも今回のアップ率ぐらい各階級において上がっているというような結果が出ていないわけでございます。一方、日本観光旅館連盟に所属している旅館を対象にいたしましていろいろ資料をとりまして、若干それよりは上回っているところを勘案いたしまして内国旅行の宿泊料をきめたわけでございます。現在までの実態調査の結果からいきますれば、これが必要にして十分な額ではなかろうか。なお、調査が四十七年に行なわれているというようなことから、その後の物価上昇等も加えて補正をしているところでございます。  外国旅行につきましては、旅行者のおのおのの旅館の格づけその他につきましての嗜好もございますし、外国旅行の宿泊料がどの程度になっているかということを実態調査いたしておりますけれども、ケース・バイ・ケースで、余っている人もいましょうし、はみ出す人もあるというようなことで、結果としましては今回きめましたような単価で大体まかなえるのではないか。極端に余っているという話もまだ実は聞いていないわけでございます。
  186. 村山喜一

    村山(喜)委員 外国旅行の旅費の改定ですが、これは円で計算をするわけですね。そして円で支給をするわけでしょう。そういたしますと、為替レートは三百八円、実際は二百六十五円程度ですね。それで換算をしてまいりますからドル払いがほとんどですが、事実上その支給を受ける場合には、その分だけプラスになるという働きが出てくることは間違いないですね。そうなりますと表向きは二〇%ですけれども、実際はそれまで計算をしたら幾らになりますか。
  187. 西垣昭

    ○西垣説明員 技術的なことでございますので、ちょっと私から御説明申し上げます。  いまの外国旅費、宿泊料等につきましては、先ほど提案理由説明でも御説明申し上げましたように、平均して二〇%の引き上げになっております。で、いまのお話のように、円が高くなりまして外貨が安くなりますとその分だけさらに上乗せになるのではないか、こういう御質問でございまして、その分がどの程度になるだろうかということでございますが、最近の時点でこれはフロートしておりましてまだ固まっておりませんので、今後とも変わるかと思いますけれども、推計いたしますと約一〇%程度でございます。
  188. 村山喜一

    村山(喜)委員 表向きは二〇%上げるのだけれども、実際は三〇%引き上げ効果を伴うわけですね。そういうような意味において、外国旅行の場合にはわりあいにゆとりがあるような感じがするわけです。ところが、内国旅行の場合には、たとえば総理大臣等、その他の者といえば国務大臣等だろうと思いますが、甲地方にとまった場合に七千四百円ということになりますね。まあ大臣が来てとまったというようなことで支払いをする。これは税込みですからそれよりももっと部屋料は安いところにとまらなければならない。いうならば二割ぐらいは差し引いて計算をしなければならぬわけですから五千円くらいのところに大臣もとまらなければならないという計算になりますね。それで十分なのかどうかですね。やはりとまるところによって品位を下げるというような問題もあるでしょうし、そんなにかってにどこでもおれはいいからということでとまるわけにもいかぬでしょうし、そういうような点からいえば、どうも七千四百円という金額、これは一つの例を申し上げたわけですが、これで十分だとは私は思われないのですが、それに比べて外国の場合には一晩について国務大臣の場合には一万五千五百円というふうな計算でやっていくわけでしょう。最近は円の価値が国内的には下落をして、国外的には円の価値が上がっているというような現象の中で、わずかな旅費規定の改正というのは実情に合わないようになっているのじゃないか。この法案を作成された時点が四十七年のいつの時点かわかりませんが、まだその起草をされるころには円がフロートしていない時代につくられたのではないだろうかと思うのですよ。そういうようなことからいって、今日の実情に合っていない段階になっているのを提案をされてきているのではないだろうかと思いますが、その点はいかがですか。
  189. 吉瀬維哉

    ○吉瀬政府委員 いまの七千何百円になる、五千円になる、それではたして体面が保てるかという議論、確かにございますけれども、私ども、たとえば内閣総理大臣とか国務大臣等の方々が一体幾らまでのところに宿泊すればはたして体面が保てるか、ここら辺になりますと一つの常識的な判断もあるのじゃなかろうか、こう思っている次第でございます。  私ども、やはり民間における一つの職種に応ずる宿泊料の格付の規定等をずっと調べておるわけでございますが、それによりますと社長等のクラスが必ずしも七千円までいっていない、五千数百円というような平均的な調査もあるわけでございます。もちろん民間の旅費規定のほかに、あるいはそういう社長さん方は持っていかれるのじゃなかろうか。実態を調べてみますとあるいはいろいろな結果が出るかとも思いますが、少なくとも旅費規定上ではそこまでいってないというのが実態でございます。  なお、旅費法を用意しましたときは確かにまだフロート前の段階でございまして、フロートの結果どの程度外国旅費に影響があるかということを総括的に言いますと、さっき給与課長が言いましたような一〇%程度の影響がある。その点、外国旅行のほうが国内旅行に比べて優遇されるのじゃなかろうかという問題が出るわけでございますが、御承知のように、諸外国におきましても今度指定都市などという制度を設けましたことでも明らかなとおり、相当特定都市におけるいろいろな宿泊料、物価等も上がっている。こういう現状を考えてみますと、必ずしも外国旅費が極端に優遇されるというようには考えない次第でございます。
  190. 村山喜一

    村山(喜)委員 そう言わなければしょうがないでしょうからそういう説明をされるのだと思うのだけれども、外国の場合、特別指定地というのをつくられるようですが、そういうようなのは今日の実態から見てそうたくさんないはずです。幾つくらい、どういうようなところが該当することになりますか。
  191. 吉瀬維哉

    ○吉瀬政府委員 ただいまのところ考えておりますのは八都市でございまして、ワシントン、ニューヨーク、サンフランシスコ、シカゴ、ロンドン、パリ、ジュネーブ、モスクワ、この八都市を考えております。
  192. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういうようなところは特別に社会的な生活水準の問題、物価の問題いろいろあるのでしょうね。それはさておきまして、次に先ほど質問をいたしました中で、人事院のほうにもおいでをいただいておりますからお尋ねをしたいと思います。  いま職階給といいますか、グレードごとの、号俸ごとの定員がどういうふうに移動をしているのかという実情について承りたいわけです。というのは、ずいぶん前になりますが、本省の局長クラスは一等級ということで、課長といえば二等級、三等級というふうになっておりましたが、最近においては局長はもうほとんど全部指定職俸給表の適用者になって、それから課長が一等級になり、あるいは二等級、課長補佐が三等級に昇格をし、係長が四等級に昇格をしというような形でだいぶ変わってきているようであります。そのことをちょっと説明願いたいのと、それからそういうふうになってまいりますと、人によっては本省の課長でありましても三等級の課長もおる、あるいは一等級、二等級の課長もおる、そういうふうになっていると思うのです。そうなりますと、二等級の職務にある者と三等級の職務にある者と、これは職務の内容から考えますと差はない、課長という仕事においては差はない。とするならば、なぜ指定職の職務と一等級の職務に当たる者を一緒にして、二等級だけはまたそういうグレードを別に一つつくって、そして三等級から五等級までを一緒くたにしているのか、その理由がわからぬわけですよ。  ですから、人事院に尋ねたいのは、最近の職階の位置づけの問題について説明を願いたい。
  193. 尾崎朝夷

    ○尾崎政府委員 現在、公務員の俸給表はいろいろございますけれども、一般的に申しますと、高い官職につきましては指定職の俸給表というのがございます。それから普通の事務、技術につきましては行政職(一)の俸給表が使われておりまして、これは八段階になっておるわけでございます。そして現状の格づけといたしましては、指定職につきましては甲、乙というのがございまして、指定職甲につきましては一官一給与ということで、いわゆる昇給制度というのがないという形になっております。これは次官、長官等、それから局長までがそういう形になっております。それから指定職乙につきましては局次長、大きな管区の局長等が格づけされておりますが、これは一官一給与的でございますけれども、長く在職する場合には一号あるいは二号格づけがえをするという形で運用いたしておるわけでございます。  それから、事務、技術の一般の八等級制につきましては、一等級は指定職に格づけされません管区の局長あるいは本省の部長等が入りますとともに、重要課長が格づけされております。それから二等級はその他の課長、三等級が重要課長補佐、それから総括課長補佐、四等級がその他の課長補佐、本省の段階ではそういう形になっております。それから五等級が係長、六等級が主任ないし上級係員、七等級が中級係員、八等級が初級係員という形になっているわけでございます。  こういう格づけは現在の状況でございますが、これは標準職務表というものを設定いたしまして、これに基づきましてその他の一般の人はそれに見合わせて格づけするという形におきまして等級別定数というものを設定いたしておるわけでございますけれども、こういう現状の格づけと申しますか、標準職務になってきておりますのは、やはり公務員給与は民間給与と比較をしまして適正な形に運用していくという必要がございますので、民間の状況、たとえば役員の給与がやはり一官一給与制的になっておるというような状況、それから民間の職員、部長以下の段階におきましては、その組織の状況、つまり大きな会社の場合と本省を突き合わせますと、民間の部長というのが本省の一等級というふうに考えておりますけれども、大体民間の場合には、民間の部というのが現在三十人くらいの規模を持っております。また民間の大会社の課というのは十人くらいの規模になっておりまして、そういう関係で公務員との格づけの比較をいたしてまいりますと、やはり大きな課は部長相当という形、一等級という形になりますし、その他の者につきましては二等相当という形で考えているわけでございますが、そういう形でやはり官民の給与を適正に維持していくために、こちらの官のほうの組織の状況というものを見ながら、一面において民間における組織及び給与のあり方というものを絶えず注意をいたしておりまして、民間の動きを反映をさせて格づけしていくということで、現状はさっき申し上げたようになっているわけでございます。
  194. 村山喜一

    村山(喜)委員 たとえば本省の課長の中に非常に若い、それから課に所属する人員が少ない、そういうような人の場合は三等級ということになりますね。大きな課の場合には一等級。そうすると、同じ課長という仕事をしながら、片一方のほうは三等級以下五等級のところにある。それで日当と宿泊料をもらって泊まる。片一方は一等級ですからそれよりも一段、二段階高いところの旅費をもらって宿泊をする。そういうようなのは矛盾として考えられませんか。職務の内容は同じなはずです。
  195. 尾崎朝夷

    ○尾崎政府委員 ちょっと補足を申し上げたいのですが、さっき申し上げましたように、本省の課長につきましては重要課長は一等級、その他の課長は二等級という形で標準的に格づけをいたしてございます。ただ課長についた人の問題がございまして、一般には課長につきますれば、直ちに二等級にはするということにいたしてございますけれども、現在たとえば運輸省に五人ほどおりますけれども、三等級の課長がございます。これは昭和三十四年に入省をいたしました方々で、標準的には下の等級に二年くらいいて上の等級に格づけするというのが、現在の標準的なあり方にしておるのでございますけれども、そういう点から申しまして、ほかの省庁に比べて非常に若いという点がございますものですから、少し待っていただいて、七月には二等級にいたしたいということで、原則としましては三等級というのはいないということでございます。
  196. 村山喜一

    村山(喜)委員 原則としてはいないのだけれども、現実には五人はおる、こういうことですね。  そこで政務次官、あなたが北海道に出張で行かれた。ずっと私も旅館やホテル料金なんかを調べてみて、ここに書いておりますが、たとえば札幌グランドホテルにあなたが泊まられる。これは最低は二千二百円から最高は五万円ですね。そうすると政務次官が泊まるようなところは一体どういうようなところですか。
  197. 山本幸雄

    ○山本(幸)政府委員 これはたいへんな難問でございますが、私、ほとんど地方に出張して泊まったこと、ここ数年ありませんのでわかりませんけれども、札幌のグランドホテルというのはどんなホテルか私は存じません。ですから、幾らくらいのところへ泊まったら適当か。しかしこれは本人の気持ちにもよることでございましょうし、ある程度公約数で見ていくよりないのだろうと思います。そういう御質問を受けても、私、ちょっと的確にお答えできないわけでございますが、いずれまたそのうちに政務次官として出張することでもあれば、またそのときにはお答えできるようになるかもしれません。
  198. 村山喜一

    村山(喜)委員 この国家公務員の旅費の規定の改正に伴って、国会議員等についても、あるいは国会職員についても旅費規程の改正が行なわれることになることは、従来の慣例からいってそうなりますね。そうなると、いま国会議員の場合は、日当、宿泊はこれを込みにして一緒にやっているようですが、その場合は甲地、乙地の区分がございますか。——これはありませんね。そこで今度八千六百円とかいうような話を聞くのですが、それはどういうことになりますか。
  199. 吉瀬維哉

    ○吉瀬政府委員 国会議員につきましても、国家公務員一般の改定にスライドいたしまして、現在の六千三百円が八千六百円になる予定でございます。また外国旅費につきましては、国務大臣と同額ということがいま予想されているわけでございます。
  200. 村山喜一

    村山(喜)委員 私たちが調査に参りまして、現在の日当、宿泊料六千三百円では出張先のいろいろな官庁やその他に迷惑をかけているのではないか、そういうことを一番懸念するわけですよ。そうすると、出先の機関ではいろいろ費用を捻出するということになって、結局、今度はまたいろいろな団体に相談をするというような形のものがいままで慣例的に行なわれてきたのではないか。だから、そこに問題があると私は思うのです。たとえば先ほど私が政務次官にお尋ねをしましたのは、あなたが、おれはこの宿屋に泊まろうということで、選択をして泊まるような形にはならない、ある程度それだけの地位にふさわしいようなところを世話する、そうすると、やはりそこに泊まらざるを得ない、こういうような形になります。  ですから、旅費規程の改正のあり方によっては、実費弁償的なものがかえってそういうようなしわが妙なところに寄せられるというようなことになりかねない。私はそういうような旅費規程というのは間違いだろうと思います。そういうような意味から質問をしたわけですが、どうも国内の旅費単価というものについては十分であるとは思えません。そして今日の物価の上昇というものを見込んでいないというふうに考えますし、六等級以下の職務にある者は日当が一日七百五十円でよろしいというような規定はやはり格上げをして、そして今日の実情に合うようにできるだけワクを縮めていくようにすべきだと思います。それは意見として申し上げておきたい。  そこで、次に入りますが、移転料です。     〔大村委員長代理退席、木村(武千代)委員長代理着席〕 この移転料はどういう計算でこれを出されたのですか。今度国鉄運賃の値上げ法案がかかって、いま論議されている。そうなりますと、それは値上げをしたものを基礎にして計算がしてあるのだろうと思いますが、今日はコンテナ輸送が移転の場合にはほとんど標準的になってまいりました。荷物はコンテナで輸送をするということになると思うのですが、このコンテナ料金等については、この移転料の定額の中に織り込んでありますか。その点についてひとつ……。
  201. 吉瀬維哉

    ○吉瀬政府委員 移転料につきましては、その人の持っている家財道具だとか家族構成等によりまして、相当いろいろな格差があるのじゃなかろうか。また、移転の形態につきましても、国鉄による場合とかトラックによる場合とか、距離によりましては海運を利用するとか、いろいろな計算が出てくると思います。ただ、総括的に移転料の実績を徴しまして、そして私ども総合的な複合単価をもとにいたしまして、移転料を計算しておるわけでございます。コンテナ等の利用も一部にございますので、当然コンテナ等もそのウエートを持って入っております。  なお、お尋ねの国鉄運賃がどのくらいのウエートを占めているかということは、いまの移転料の実態の中では五・八%ぐらいが国鉄の運賃である。なお、これにつきましては、今回の運賃の改正も織り込んで計算しているわけでございます。
  202. 村山喜一

    村山(喜)委員 五・八%で計算がしてあるのですか、織り込んであるという意味は。
  203. 西垣昭

    ○西垣説明員 いま吉瀬次長から説明申し上げましたように、今回も前回と同じように、昨年の六月、七月に実際に移転をしたケースを調べまして、それをもとにして、今度の改定をお願いしているわけでございます。その際、前回集めたケースが少な過ぎるという御批判もございましたので、今回は、前回の三百四十八人に対しまして二倍以上に当たります八百六十六人のケースをもとにしてやっております。その中には、コンテナもあればトラック便もある、船便もあるということでございます。その中で国鉄運賃の占める割合を出しまして、それが今度の運賃の引き上げに伴ってどれだけ上がるかということで算定したものを、全体の移転料の中でどの程度に当たるかということで出しましたのが、いま次長が言われました五・八%でございます。
  204. 村山喜一

    村山(喜)委員 だから、その五・八%しか相当しないから、その分だけは積算の単価に見込んであるけれども、あとはばら積みで計算をしてあるということですか。
  205. 西垣昭

    ○西垣説明員 いまのばら積みとおっしゃる御趣旨がよくわかりません。私が申し上げたかったのは、実際に移転料として必要なものの中で運賃の引き上げがどれだけ響くかということで、国鉄の運賃が響きますのは、貨車扱いのものあるいはコンテナのもの、これが国鉄の運賃の引き上げが響いてくるものでございます。その中で、たとえば国鉄運賃の引き上げが二五%実施されたとした場合には全体にどれだけ響くであろうかという計算をいたしまして、どういった形態で移転をするかは各人の自由でございますので、それを全体にならしまして、五・八%分を上積みした、こういう趣旨でございます。
  206. 村山喜一

    村山(喜)委員 本人だけが、単身赴任というのですか、居住を移した場合には定額の二分の一で足りるというのは、実態調査に即して二分の一で足りるという計算をされたのですか。
  207. 吉瀬維哉

    ○吉瀬政府委員 実態調査の結果でございまして、単身者と家族持ちとで、実際の移転に際しましての荷物の量で申しますと、単身者の場合には七・五立米、家族持ちの場合には二十二・五立米、ほば三倍の家財道具を持っている。もちろん家財道具だけでその量がそのまま反映されるとは思いませんけれども、大体二分の一というところが、こういうような家財道具の量からも判断していいのじゃなかろうかと考えております。
  208. 村山喜一

    村山(喜)委員 最近、子弟の教育の問題なりあるいは老人の扶養の問題なり、いろいろな事情等によりまして、あるいは家を借りることができないというような問題等もあるだろうと思いますが、単身赴任の実態というものがふえているのではなかろうかと思いますが、この点はいかがですか。
  209. 吉瀬維哉

    ○吉瀬政府委員 御質問のような事情で単身赴任の人がふえてくるという形は、正確な計数、私、把握しておりませんが、常識ではそう考えられます。
  210. 村山喜一

    村山(喜)委員 その場合に、荷物の量は三分の一程度だけれども、移転料は半分というのは、そういうような点も加味して荷物を運ぶために移転料というのはあるのか、あるいは本人が赴任地で仕事をするのに必要な経費として計上してあるものか、あるいは単身赴任をせざるを得ないような人がときどき帰らなければならないというようなものは、どういうふうに考えているのか、その移転料の範囲というのは一体どういう内容のものですか。
  211. 西垣昭

    ○西垣説明員 単身赴任のケースにつきましては、実は今度の移転料の積算には使っておりません。使っておりませんが、実は使うべきかどうかという前段階の検討をいたしましたときに、むしろ現在の二分の一よりも低いケースのほうが多いという実態がだんだんわかってきたものですから、そこまで、二分の一を圧縮することもあるまいということで取りやめた次第でございます。
  212. 村山喜一

    村山(喜)委員 この旅費規程の改正に伴って予算上の措置は、国家公務員の場合幾ら見込んでありますか、地方公務員の場合はどういうふうに措置がされているのですか。
  213. 吉瀬維哉

    ○吉瀬政府委員 地方公務員のケース、いま手元にございませんが、後ほど御説明いたしますが、国家公務員の場合、一般会計で内国旅費、外国旅費を合わせまして六十三億ほどの増加になり、特別会計では三十二億、合計で九十六億ほどの増加でございます。
  214. 村山喜一

    村山(喜)委員 地方公務員の場合は、地方財政計画か何かに織り込んで計上してありますか。
  215. 吉瀬維哉

    ○吉瀬政府委員 地方財政計画で所要の措置をとることを予定しております。
  216. 村山喜一

    村山(喜)委員 私の質問はこれで終わりますが、先ほど理事会で、実施の時期等については善処するようにということで意見がまとまっているようでございますので、実際の旅費の支給というのは概算払い、そうしてあとで、処理は一カ月くらいおくれて、あるいは二カ月おくれる官公庁もあるようでありますが、そういうような措置をとっておりますので、実費弁償の概算払いがなされたという角度から、それらの問題については、ここに法案として出されているような措置がとられるように要請をして私の質問を終わります。
  217. 木村武千代

    ○木村(武千代)委員長代理 広瀬秀吉君。
  218. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 今回の改正は、実情にできるだけ近づけようということで、実費弁償の基本原則からいって三〇%なりあるいは四〇%なり、外国旅費二〇%なりという引き上げを、それぞれ日当、宿泊、移転料、こういうものについて行なわれることはけっこうなことでございます。  そこで、私がお伺いしたいことは、等級区分で格差をそれぞれにつけている、これは人事院で、大体それぞれの等級に該当するものはどういうものかという御説明もあったわけでありますが、実費弁償の原則ということからいけば、これほどの差をつける必要は私はもうないのではないか、こういうふうに考えます。もちろん、その地位なり職務の内容なりというようなことで、これは若干の差はあってもやむを得ない点は認めますけれども、今日こういう多段階の等級を設けるということは、やはりこの公務員制度の中における戦前からの身分差というようなものが、この旅費の中にもまだまだ色濃く残っているのではないかという感じを抱かざるを得ないわけであります。  そこで私どもは、この内閣総理大臣等というこのランクは、これはいいだろう。指定職、一等級それから二等級、これぐらいはまあ一つにくくってしまう、そして三等級以下五等級までと六等級という別扱い、こういうようなものは、三等級以下のところはもう一つにくくってしまうという、三段階くらいにしぼってしかるべきではないか、こういう感じが私はするわけであります。こういうことも、やはり旅費というものが実費弁償であるというようなことからいっても、そういうスタイルがより実態に合うし、そういう方向に向かうべきが今日の公務員制度の中で正しいのではないか、こういうように考えるわけであります。非常に単刀直入な聞き方でございますが、そして私どもの一種の提案のようなものを含んでおりますけれども、確かにそういう意見から前よりはこの等級も縮小してまいった努力は認めるわけでありますが、もう一歩そのくらいのところに落ちつけたらどうだろうというこのわれわれの側からの提案を含めて、その辺のところを今後どういうようにお考えになっていかれるか、このことをまずお伺いをしたいと思います。
  219. 吉瀬維哉

    ○吉瀬政府委員 いまの御質問の趣旨もかんがみまして、私ども今度は、移転料につきましては六等級以下というのを五等級以下と統合して、できるだけ簡素化しようということにつとめたわけでございます。  御承知のように、従来九段階あった区分でございますが、三十七年四月に内国旅費につきましては六段階、それから三十八年には外国旅費につきましては七段階と、内閣総理大臣等といういま御指摘のありましたランクを除きますと、一般の職員につきましてはこの表にございますとおり四段階になっておるわけでございます。実態を勘案いたしまして、私ども、もしそういう実態がございますなら、できるだけ簡素化することはやぶさかではないわけでございますが、私どもが実態調査いたしますと、やはり等級に応じまして、たとえば共済組合の施設を使うとか、これは、その旅費が安くくくられているからそういうものを使うのじゃないかというような御反論があるいはあるかもしれませんけれども、実態的にやはりある一つの職責に応じまして、選ぶ旅館とか宿泊施設も違うようでございまして、その実態に応じまして、私どもまだこの四段階の区分は維持すべきではなかろうか、こう考えておるわけでございます。  なお、民間との比較というものは、必ずしも公務員の場合当てはまるかどうか厳密にはいえませんけれども、民間の場合でも、先ほど給与局長が申し上げましたとおり、たとえば部長待遇の課長と普通の課長は違うとか、あるいは取締役でありましても、専務、常務それから普通の取締役、みな区分がついているとか、意外に段階の数が多いようでございます。  なお、御質問の趣旨につきましては、私どもなお実態究明に今後つとめていきたいと思います。
  220. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 たとえばこの出張の場合でも、一等級の局長が出張するというような場合には、課長補佐クラスがついていくとか、あるいは六等級以下の職務にある者もついていくというようなことが現実の問題としても多いと思うのですね。そんなときに、皆さんの場合に、局長の部屋は宿泊料が今度は六千五百円でございますから、大体その辺のところ、それから二等級、あるいは三等級ぐらいの人が四千六百円ですから、その辺ぐらいの部屋を、それからもう一つは三千七百円の部屋を、というように、まずなかなか注文もできないし、そういう形で分散をしたら、出張の能率もあがらないし、いろいろ不便でしかたがないということにもなろうと思うのですね。     〔木村(武千代)委員長代理退席、大村委員長代理着席〕 これはなるほど部屋のよしあし、あるいは部屋の狭い広い、いろいろなことで宿泊料金等も違うだろうと思いますけれども、できるだけ同じフロアにというようなことなんかも、近代的なホテルに泊まるなんという場合にはそういうことにもなるだろう。そういうような場合には、おそらく皆さんの場合でもそういう形で幾部屋ほしいのだということで予約をされるだろうというように考えるわけですね。そうすると、この六千五百円と三千七百円のところで比較をいたしましても、いま一等級のところですから六千五百円と三千七百円、約半分という形ではないけれども、それに近いような格差を設けて、それぞれ部屋をとるというようなことにもなかなか現実の問題としていかないだろうと思うのですね。そういうような場合には、おそらく皆さんの場合でも込みにした形でやりくりをするというようなことも実態的には行なわれているのじゃないかと思うのですね。だから、そういうことなども考えまして、やはりこの辺のところはもう少し差を詰めて上のほうにさや寄せをしてやっていく。  先ほど村山委員の質問の中でも、内国旅費の宿泊費、最近ホテル代等が非常に高騰してべらぼうな値段になっているところもあるわけでありまして、まさに内に弱い円ということになっておるわけですが、そういうことなども考え、また出張の能率、出張旅費を実費弁証するという場合のチームワーク、いろいろな等級に属する者が一緒にコンビでもって効率的な出張の成果をあげるというような場合に、夜泊まるときにたいへんな差をつけて、ほんとうに文字どおりこれだけの、与えられる宿泊費に応ずる格差のところを予約するなんという器用なことはなかなかできないという現実もあるだろうと思うのです。これは行政の能率化、効率化という立場からも、そういう方向が必要だろうし、それから身分制の問題のしっぽをまだつけておるというような点があるのじゃないかと思うわけでありまして、この点についての改善の方向というものはもう一段進めていただきたいと思うのですが、これは先ほど次長からお考えの表明がありましたから、政務次官にそういう方向についてどうか、この点をひとつただしておきたいと思います。
  221. 山本幸雄

    ○山本(幸)政府委員 いま国内出張の場合に、この金額で十分とはもちろんいえないと思いますけれども、足りるかということは、これはいろいろ議論があるだろうと思います。先ほど冒頭にお話がありましたように、今回もできるだけ実態に近づけようという努力をしておるわけでありますから、今後も仰せのように、できるだけ実態に合うようにすべきものであろう。ですから、先ほど次長がお答えいたしましたように、今後もそういう実態把握につとめまして、できるだけ実態に近づけていく努力を今後も続けていきたい、こう思うわけであります。
  222. 吉瀬維哉

    ○吉瀬政府委員 なお、御存じのことかと思いますが、旅費法の四十六条に、上位者と一緒に出張いたしまして、どうしてもある程度のクラスのところに泊まらないと公務遂行に支障ができるというようなときには調整規定もございますので、場合によりましてはその規定を活用するのも一つの手だと思います。  なお、御指摘がございました最近のホテル事情でございますが、先ほど村山委員の御質問にもありましたけれども、二千二百円から一段こえるような段階まで、その宿泊料の額に応じまして通常の分布で確保できるかということも、時期によりましてはなかなか困難な場合もあろうと思いますが、私の二、三の経験によりますと、たとえばあるホテルに泊まるような場合は、やはり号俸に応じまして適当な部屋が確保できているのがいままでの例でございます。
  223. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 しかし、なかなかそうは言ってもフロアを変えるなんということになると、出張というのはやはり夜でもいろいろ仕事があるということもあるわけですから、宿泊したホテルなり旅館なりで打ち合わせ会があるとかいうようなことなんかだって、出張というのはやはりそういうものを活用することで効果もあがるということもあるわけですから、それをフロアが違ったりなんかすると連絡したりなんかするということが現実問題としてなかなかたいへんだということになる。ほぼ同じくらいの、あるいは幾らか差のついたところに泊まるにしましても、そういうことをやっていると、かえって非常な不便を来たして効率を妨げるということにもなりかねないということも現実問題として私は確かにあるということを感ずるわけでありますから、調整規定だけでは足らない、もう一段整理をして多段階を改めていくという方向をぜひひとつとっていただくようにお願いしたいと思うわけであります。  関連して、移転料のほうはさらに段階が多くなっている。これはやはりいまと同じ立場で、いわゆる職務上の等級によってこれだけの開きのある多段階に分けられている。このことは、むしろこういう形より、ほんとうに移転に必要なものという場合に、実態に即してやるということならば、家族をたくさん持つ者はよけい移転料がどうしたってかかるわけでありますから、そういう面でむしろやるというような方向にだんだん転換をするということも考えなければなるまいと実は思うのです。家族が多いというような場合に、家族を全部同伴していかなければならぬというような場合ですね、そういうものが給与の等級表の格づけによってのみ行なわれていくというのはやはりまずいのではないか。そういう家族の多少に関する調整というのはどういうぐあいにこの移転料の場合扱われるのか、その点はどうなっておりますか。
  224. 西垣昭

    ○西垣説明員 移転料につきましては、家財等を全部移転するということで内国旅費の移転費を考えておりますが、家財等につきましては、これは長年の生活の過程で蓄積されていくものだという意味で、ある程度等級とパラレルになっているというのがわれわれの考え方でございます。実態調査の結果によりましても、家族がふえたからといってそれだけ多くなっておるということではございません。大体われわれの考え方でいいようだというふうに考えております。
  225. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 まあ、いいのだというのはたいへん確信に満ちたことばなんですけれども、たいへん独善的に聞こえるわけであります。この移転料というものも、格差をもう少しずつ、五等級は四等級に合わせる、三等級は二等級に合わせるというような形で上にさや寄せをしながらもう少し変えていいのではないか。これを一等級、二等級、三等級、四等級、五等級というように分ける合理的な根拠というもの、やはり皆さんも、私どももこういくのが正しいのだという合理的な、だれもが納得できるような根拠というものがなければ、ただいままでの長い間の歴史があるというだけのことであって、現状それでいいのだということは——移転料だってやはり実費弁償です。旅費全体を通ずる一つの原則として実費弁償的なものであるということからは、これだけの差をつけてそれだけの等級を置かなければならぬという理由は、私は皆さんがどう陳弁されても薄弱であろうと思うのですが、その点合理的な説明がどのようにつけられるか、一等級と二等級の間にかくかくの差があって、この程度の差は必要なんだ。たとえば鉄道百キロ、三百キロくらいのところが出ておりますが、三百キロから五百キロ、このようなところが、一等級の人が十万五百円、五等級の者は七万一千八百円、約三万の開きがある。こういうものはなぜそういう開きがあるのか、それはどういう事情なのかということで、合理的な説明が与えられますか。あったらお聞きしたい。
  226. 吉瀬維哉

    ○吉瀬政府委員 合理的な説明という御質問でございますが、移転料につきましては、たとえば同じ等級に属している者でありましても、家財道具の差とかあるいはピアノを持っている人とかいない人とか、いろいろな変化があるわけでございます。私どもそういうようなところすべて一つの大数観察をいたしまして、今度の移転料の計算にあたりましても、現実の各等級の人がすべての家財を全部運ぶということを想定いたしまして、モデル計算をいたしたわけでございますが、そういたしますと、先ほど給与課長が御説明いたしましたとおり、大体等級によりまして計算上の格差が出てくる。これを踏まえましてこういう結果を出したわけであります。  なお、これではまだ非常に御不満かもしれませんが、前回の附帯決議の趣旨もございますので、一つのランクをはずしたということで若干おこたえしているということになるかと思います。
  227. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 前回の附帯決議にもそういうことがあったから一つの等級をはずした。それにしてももう少しさらに、等級をこういう多段階にしないで、先ほど来の三段階ないし四段階くらいのところまでは、このほうも私は詰めておくべきだろう、こういうように思うのですが、そういう方向一つ置きながら、もうひとつ前向きに前進をする、こういうお考えはございますか。
  228. 吉瀬維哉

    ○吉瀬政府委員 いまの御質問の趣旨を体しまして、私どもなお実態調査を正確に詰めていきたいというふうに思います。
  229. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 それはけっこうでございます。  次に、今回の改正法でいわゆる日額旅費、法二十六条に定める日額旅費について、今回の改正では見送られたわけですね。この問題については、これは日額旅費についてはいろいろ性格や何かをめぐって、前の法改正の際にもいろいろ議論をしたのでありますけれども、今回見送られた。この日額旅費の改定についてはどのようなお考えをいまのところ持っておられるのか。私どもは当然今度これだけ旅費法を改正するなら、日額旅費も同時にひとつ出していただきたかった。これも現状に照らして、やはりこれは実情に合わなくなっている、こういうところにあるだろうと思うのでありますが、その点どのようなお考えを持っておられるか。次の機会、来年なら来年改正を、大体今回の改正に準じたような形で行なうというような方向づけが当然あってしかるべきだと思うのですが、その点についての御見解を承っておきます。
  230. 西垣昭

    ○西垣説明員 日額旅費につきましては、本年直ちにやる予定でございまして、すでに予算措置もしております。
  231. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 これはいつごろやられる予定なんですか。
  232. 西垣昭

    ○西垣説明員 これは各省の長から協議を受けまして、大蔵省との間で決定いたすわけでございますが、いまの方針では、衆議院を通していただきまして、参議院の通過が見込まれるようになりましたら、おくれないようにやりたい、かように考えております。
  233. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 おくれないようにやるということでありますから了解をいたします。  それでは以上で私の質問は終わります。
  234. 大村襄治

    大村委員長代理 増本一彦君。
  235. 増本一彦

    ○増本委員 共産党・革新共同の増本でございます。  今回の改正案につきましては、まだまだ改善する点がたくさんあるというように考えますが、一定の改良を含んでいるということを考慮しまして、私の質問は主としてその運用の問題の一、二の点につきまして皆さんの見解を聞き、ひとつ改善を要求したい、こういう立場から少し論議をしてみたいわけです。  この公務員等の旅費に関する法律の所管庁は言うまでもなく大蔵省ですが、この大蔵省が所管をしている中で、一つふに落ちない問題があるわけであります。それは税務や税関あるいは財務などの新規採用職員の基礎研修に対しては日額旅費を支給しないということが、大蔵省所管の旅費支給規則別表第四の備考の二に書いてあるわけですね。これはこの旅費法の二十六条の一項の二号からいっても、まことにおかしい取りきめではないかというように考えるのですが、先に所管庁のほうのその点についての御意見だけ伺いましょう。
  236. 早田肇

    ○早田政府委員 会計課長でございますが、ただいまの先生の御指摘に対してお答え申し上げます。  確かに先生がおっしゃいますように、研修等日額旅費の表の備考に「完備した寮等施設において全寮制で行なわれる新規採用職員研修の研修者には、研修等日額旅費は支給しない。」こう書いてございます。  ここでこうなっております趣旨につきまして、少し長くなりますが、御説明申し上げますが、元来旅費と申しますものは、旅行に要した費用がある場合にその実費を弁償するものである、これは私が申し上げるまでもないところでございます。現在大蔵省におきましては、国税庁採用の新規職員、それから税関採用の新規職員、それから財務局採用の新規職員、これらに対しまして全寮制の教育を実施いたしております。これは、たとえば地方で採用されました職員でございましても即日——ちょっと具体的に申しますと、広島で採用された職員、これが税関の場合でございますと東京で全部教育しております。したがいまして、広島で採用されました職員でも即日広島から東京に赴任いたします。この赴任の関係については赴任旅費を支給しております。したがいましてそれの身分は、研修所の所在地の在勤官署、税関でございますと東京税関、国税でございますと東京国税局、財務でございますと関東財務局、こういうところの職員になりまして、かつまた即日研修の命令を受けまして、それぞれの研修施設にあります寮に入寮して、そこで全寮制の教育を受けるわけでございます。したがいまして、旅費法の規定に照らしてみますと、これらの研修生の身分は在勤官署、つまり東京税関なり関東財務局なり、そういうところにございますが、実際の生活は研修所に設置されております寮で、その構内の研修所に通うということになっております。  したがいまして、形式的に見ますと、在勤官署から研修所まで日々通勤するというような形になりますが、実体は、税関研修所なり財務研修所なりあるいは税務大学校の敷地の中にある寮に入って、その寮の隣にございます研修所に行くわけでございまして、形式上在勤官署から旅行するというようなことがございましても、実体は同じ構内で教育を受けているということでございます。したがいまして、その間には旅行の実体がない。したがって、弁償すべき実費もない。したがって、こういう職員に対しましては旅費を支給しないということを、大蔵省の訓令で定めておるわけでございます。
  237. 増本一彦

    ○増本委員 こういうことをやっているのは、私の調査したところでも大蔵省だけですね。郵政省の電波監理局だって、二カ月の研修期間があって、全寮制です。だけれども、日額旅費は支払われているはずですね。通産省も同じだし、法務省も同じだし、農林省も同じだし、運輸省も同じ、建設省も同じだ。裁判所も、高裁単位で裁判所職員の研修をやるけれども、日額旅費は払っている。一体、旅行の事実がないと言われるけれども、いまあなたがお話しになったように、これはかりに税関の職員ですと、東京税関の職員になるわけですね。税務職員も東京国税局の職員になる。東京国税局の職員が、東京国税局の所管する研修所で研修を受けるならともかく、この研修所というのは、たとえば税務職員の場合ですと、国税庁所管の税務大学校のそれぞれの研修所で研修を受けるわけでしょう。在勤官署からいえば、それぞれの各国税局の職員が国税庁の研修所へ行って、そこで研修という一つの勤務の形態を行なうわけですから、これに対して旅行の事実がないということ自身が私は形式論であると思う。実体は、あなたのほうで先に——これらの人たちはたぶん八等級職ですね、それで採用した。そして税務職員の場合、国税局の職員として補職をして研修を受ける。籍は国税庁だということになれば、当然、日額旅費が旅費法の上からいったって出てくるし、二十六条の一項二号でいっても、長期間の研修には払わなければいかぬということにちゃんとなっているのじゃないですか。そこはどうなんですか。     〔大村委員長代理退席委員長着席
  238. 早田肇

    ○早田政府委員 御質問の第一点の他省の関係でございますが、実は他省の関係、私、つまびらかにしておりませんが、たとえば大蔵省でございましても、身分が九州にありまして、全寮制の東京の学校に来るというような場合には、これは当然旅費の対象になるわけでございます。それぞれの省庁の研修を受ける職員の身分関係によって、そこは取り扱いが違うのではないか、こう考えるわけであります。  その次に、第二点でございますが、局の職員が庁の研修機関で研修を受けるので、まさに旅費の対象になるのではないかという御指摘でございますが、先ほど御説明いたしましたように、旅費法上は、在勤官署を離れて旅行する場合に出張の扱いになります。先生御指摘のとおり、東京局の人間が国税庁なり、要するにその在勤官署以外のところで研修を受けますと、一応出張の対象になる。したがいまして、この点先ほど、形式上は一応旅行に該当するとお答え申し上げたわけでございます。形式上はそういうことになりますが、実体が、同じ構内であって、何ら交通費がかかるとかそういうようなこともなくして研修を受けているわけでございます。それで、私どもがこういうふうに考えて、新規採用職員に対しまして旅費を支給しないということをきめておりますのは、旅費法の第四十六条に「旅費の調整」というものがございまして、これはやはり実費弁償という趣旨から、実費のないところに旅費を支給するというようなことは所管で調整することができるという規定に基づいて調整をしておるわけでございます。
  239. 増本一彦

    ○増本委員 あなたのほうはちょっと前提を捨象しておると思うのですね。大蔵省関係のこの新規採用職員の基礎研修については、全部全寮制をとっておるわけですね。それで、その学寮に入寮しなければ研修ができないというシステムですね。これはいわばその新規職員にとっては、その意に反してその寮に入らなければ、今後税務職員として巣立っていくことができないという、こういう状態になるわけですよ。そういうことでしょう。全寮制というのはそういうものでしょう。それともほかから通っても研修が受けられるという保障になっていますか。だから、全寮制というのは、そういうように寮に入って、そこで研修を受けるということが義務づけられているわけですね。だけれども、それは、その寮に入って研修を受けるということがこの新規採用職員にとっては、これが職員としてのいわば労務の提供の一つの形態になるし、これ以外の方法の選択が許されていないという、あなた方の側での事情によってそういうようにきめられていることなんじゃないですか。だからそれを、旅行の事実が実体としてないということは言えないというように私は思うのですが、どうですか。
  240. 早田肇

    ○早田政府委員 各所管にわたりますので、実は国税庁なりそれぞれからお答えがあるかと思いますが、私の了解しております限りにおいては、全寮制の教育を行なうということは、採用の際の条件になっておるはずでございます。それぞれの研修所へ入ってきます人間は、それを承知の上で採用になると思います。
  241. 増本一彦

    ○増本委員 それは、いまのあなたの答弁は、私がその意に反してということを言ったから、それに対する答弁だけであって、全寮制のシステムということでその入寮するということが義務づけられているという点はお認めになるわけでしょう、どうですか。
  242. 江口健司

    ○江口政府委員 国税庁の例でございますので私から御説明いたしますが、全国高等学校新卒者、あるいは若干新卒後一、二年たった方も例外的にはございますが、募集を全国にいたしてございます。大体国家公務員の初級の試験を通った者で人事院の名簿に登載された者の中からもちろん採用するわけでございます。その場合に、全寮制制度であるという前提のもとに応募を求めるわけでございます。したがって、こちらがきめたといえばそのとおりでございますが、応募された皆さんは、そういうシステムのもとに応じられたと見るべきでございますので、強制ということには私はならないというふうに解釈されますし、またなぜそうしたかという御質問はございませんけれども、御案内のとおり、税務の職場というのはいろいろむずかしい点がございますので、しっかりとした教育をしたい、そのためには、全寮制が望ましい、こういうものの考え方から経過的に現在そういうことを継続しておるということでございますので、一方的にきめてそこに住所を設けさせておるということではございません。
  243. 増本一彦

    ○増本委員 江口さんの答弁も、私がその意に反してということを言ったから、そうじゃないんだというだけの答弁だと思うのですよ。けれども、江口次長のお話の最後の部分は正直な御答弁だと私は思っております。つまり、ここが住所ではない、住居として強制しているものではない、こういう御趣旨の答弁がいまあったわけですが——そう言ったじゃないですか。そうだとしたら、これはなおさら勤務の形態が全寮制という形態をとっているだけであって、在勤官署は税務職員の場合にはあくまでも東京国税局の総務課ですよね。それが国税庁の税務研修所で研修をする、こういうことになるんであって、ここに旅行の事実が全くないなんというのは、それこそ私は形式論理だというように思いますが、どうなんです。
  244. 江口健司

    ○江口政府委員 私の説明がまずかったのかもわかりませんが、全寮制に応募されまして、それぞれの採用局で採用されて、直ちに身分は東京局のほうに移された形になりまして、それから東京局の局長のほうから研修命令が出るわけでございます。それを受けまして、それぞれ各地区に八つの研修所がございますが、それぞれの研修所長が研修命令を出すという形をとります。そういたしますと、おのずから全寮制度の中に生活を置くということになりまして、少なくとも普通科研修を受けている期間はその全寮制の寮が住所であるということになるわけでございます。したがって、あるいは住所ではないと間違って申し上げたのかもわかりませんが、もしそうであるとすれば、その点は訂正させていただきたいと思います。
  245. 増本一彦

    ○増本委員 そうすると、あなたのほうはここが住所だ、こういうことになるのですか。——では江口さん、ついでに聞きますが、国税庁の場合でも、それから税関の場合でもそうですが、全寮制のこういう施設は公務員宿舎法の適用があるのですかどうですか。
  246. 江口健司

    ○江口政府委員 宿舎法の適用はございません。庁舎でございます。
  247. 増本一彦

    ○増本委員 庁舎であるならば、その庁舎に入ってそこで研修を受けるという勤務をするわけでしょう。これは一つの勤務の形態であって、それを住所だと言うのは暴論だと私は思うのですよ。少なくとも住所だとか住居だと言うからには、ほかに移転する可能性とか移転の自由というものが認められているかというと、皆さん方のこの学寮の管理規則などによれば、少なくとも研修が修了するまでの間はそういう自由というものは認められないという立場に立っておりますね。だから、それを住居だというように言うのはいかがかと私は思うのですが、どうですか。  これはあくまでも庁舎なんでしょう。庁舎で集団生活をして、そこで研修を受ける、こういう勤務の形態なんですね。あくまでも在勤官署は、国税職員の場合にはそれぞれの研修所が全国で八カ所あって、そこの所管の局の局員という身分になるわけですね。そういうのがあくまでも在勤官署じゃないですか。だから、そこから出張してそういう継続勤務をやっている、こういうことがすなおなんだと思うのですよ。それに日額旅費を、ほかの研修には払っているのに大蔵省の研修に対してだけは別表二でそれをはばんでいる。これは、他の官署の新規採用職員の研修の場合と比較しても非常に不平等だと言わざるを得ないと思うのですが、もう一度だけ伺いましょう。
  248. 早田肇

    ○早田政府委員 日額旅費を大別いたしますと、研修を受けるために研修所まで行く交通費、それから研修を受けるために通常であれば使わないところの食堂を使うとかという食費、その他要するに俗に申します日当分でございますが、それを合わせまして事務簡素化なりの見地から日額旅費としておるわけでございます。  先生おっしゃいますとおり、確かに身分は局員でございますが、研修所内に寝泊まりいたしておりまして、交通費がかかるわけでもございませんし、研修所の中に給食施設もございます。それらを勘案いたしますと、旅行の事実がないということばが悪いようでございますが、要するに弁償すべき実費を特に研修のためにそこで支出していないという意味において、弁償すべき実費がない、したがって旅費も支給しないということになっておるわけでございます。
  249. 増本一彦

    ○増本委員 あなたは、どうも実態をおわかりにならないで答弁しているみたいですね。研修のために教材や参考書、それぞれの税関小六法から税務の六法まで、全部自弁で買っているわけですよ。ノートだって鉛筆だって、そのほかいろいろなものを研修のためにみんな買っているわけですよ。全然支弁すべき実費がないなどというような、そういうものじゃないですね。研修という勤務に必要不可欠のものとして、そういうものは自弁しているわけですよ。  もともと日額旅費というのは、これは法律調整したものですよね。先ほど課長さんは、四十六条の第一項で減額調整したのが大蔵省の旅費支給規則の別表の四の備考二である、こう言われたけれども、これだと減額調整のダブルパンチだと思うのですね。もともと普通旅費を払うと不公平になるからというので、二十六条の日額旅費というものを法律で減額調整したのですね。この四十六条が予想しているのは、普通旅費と同じように支払うと不公正や不公平が生ずるおそれがあるときには、今度は個々のケースでそれを減額調整したり、二項では増額調整もできるという仕組みでしょう。二十六条の日額旅費を四十六条でさらに調整するということは、これは法律そのものが予想していないことなんじゃないですか。  だから、そういう意味では日額旅費を二十六条で一つパンチをやっておいて、さらに四十六条の第一項でもう一度パンチをやる、それでも減額だからわずかでも金額が残るならともかく、ゼロにしてしまっているのですね。ノックアウトしているじゃないですか。これは私は四十六条の第一項の法律の適用までも間違えているというように思うのですが、どうなんでしょう。
  250. 早田肇

    ○早田政府委員 第一点のノート、六法等の実費がかかるという点でございますが、ノート、六法等の実費がかかるのは旅費法以外の分野でございまして、もしそういうものが必要であれば、あるいは研修手当というようなものを考えるとかということでございまして、旅費法の分野で弁償すべき経費ではないのではないかと考えます。  それから、第二のダブルパンチとおっしゃる点でございますが、御指摘のようなお考えもあり得るのかとも思いますが、いずれにいたしましても、旅費全体を通じまして実費弁償というような点から考えますと、余分の支出というものは調整し得る、それは四十六条からも当然でございますし、現に各省、私どももそうでございますが、たとえば日額旅費の支給を受けるべき職員が公用の車で旅行した場合には、交通部分が要りませんので、半額調整するというようなことは、どこでもやっていることでございます。
  251. 増本一彦

    ○増本委員 聞いてないことまで答えていますね。あなたはノートとか六法とかそういうものは違う性質のものだと言うけれども、この研修という勤務の形態に必要不可欠のものでしょう。それによって生ずる実費ですよ。これは出張という勤務をして、それに要する実費は旅費として支弁をされるわけだから同じことじゃないですか。どこが違うんですか。  もう一つは、しかもどこでも学寮では、光熱費だとか水道料金等々に充てるという名目で、月額千円くらいのお金は徴収されているんですね。その事実は御存じでしょう。では、こういうものをあがなう制度が、これらの基礎研修を受けている職員にはあるかといったら、これはいま全然ないですね。だから日額旅費を支給しろというのは、こういう基礎研修を受けている研修生の切実な要求になっているのじゃないですか。これを一片の規定で旅費法の二十六条を曲げるというのは、たいへんな間違いだと思うし、ほかでやっていることだから同じようにやるべきだというふうに思うのですが、やる方向——では政務次官に伺いますけれども、次官、よろしいですか。いまお聞きのように、法律上の問題がこういうようにいろいろあるのですね。だけれども、ほかの官庁では、基礎研修ではやっているのですよ。日額旅費が出ているのです。それは払うというたてまえになって、そういう旅費支給の規程が、建設省でも農林省でも、私がいただいたものには全部出ているのですね。大蔵省だけがこういう基礎研修に対してその支払いをストップしているのです。これをひとつ廃止して改善するという、そういう方向で検討されるべきだと思うのですが、いかがでしょう。
  252. 山本幸雄

    ○山本(幸)政府委員 私もあんまり実態をよく存じません。また、その法律関係もよくわかりません。わかりませんが、話を伺っておりまして、日額旅費というのは一体どういう場合に支給されるのだろう。どうも常識的に言えば、つまり一応出張という形というのか、そういう旅費がとにかく実際にかかる、かかるんだけれども、毎日のことだから、それをそのたびそのたびに支給するのはたいへんだから、日額できめて、一括したような形にするというものではないだろうか。先ほどから会計課長が説明しましたのは、そういういろいろな調整をいたしますとか、そういうことではなくて、つまり、そういう旅費が要るという実態がありませんから、そういう実態に即してお払いしていないのですというふうに答えた、私はこう思うのです。  そこで、勤務の中身を伺っておりますと、つまり東京国税局なら国税局に勤務場所を移して、今度は研修所に研修命令で研修をしてもらう、それは全寮制度であります。つまり、こういう一つの研修の目的の達成上、やはり全寮制度というものが望ましい。これは私は、いろいろ教育のといいますか、研修のやり方としては全寮制度というのはたいへんおもしろい、たいへん意味がある、こう思うのです。私、初めて伺ったのですけれども、全寮制度でやっているという制度は、研修の上からいってたいへん私はおもしろい。そこで寮がありまして、その寮で研修生の皆さんは生活をされている。先ほど庁舎というお話が出ましたけれども、これは私は、ある意味ではおそらく独身の方でしょう、高等学校を卒業したばかりですから。そういう方々の宿舎のような性格を持っているような気がしてならないわけです。庁舎というと、何か役所のような感じがしますけれども、宿舎のほうが——そこで生活の本拠を一時、ある一定の期間ではあるけれども持たれるわけですから、したがって、むしろ宿舎的な性格が強いんじゃないだろうか。そこで、今度は選挙権なんかどうなっているのか、私にはわかりませんけれども、おそらく生活の本拠をしばらくではあるけれども持たれるんじゃないだろうかということになれば、その構内にあるところに通われるというのなら、日額旅費は、実態としてさて支給すべきものであろうかどうだろうか、少し私は疑問のような気がしてならないわけです。よその省では支給しておるというお話ではありますが、さてよその省ではどういうふうなことをやっておられるのか、それもよくつまびらかにしないわけでありまして、大蔵省のやり方としては、一応、私は、筋はちゃんと立てて通っておる、こういうふうに思うのです。  そこでお尋ねもございます、御意見もございますから、私も実態なりをひとついろいろ勉強もしてみたいとは思ってはおりますが、しかし、いままで伺ったところでは、少なくもそういう考え方大蔵省としては筋を立ててやっているのではないだろうか、こういう気がするわけであります。なお、あるいは多少私の考えに不十分なところがあるかもしれません。しかし、ただいまのところではそういう感じがするわけであります。
  253. 増本一彦

    ○増本委員 次官は、二十六条の「日額旅費を支給することを適当と認めて大蔵大臣が指定するものとする。」ということで、「長期間の研修、講習、訓練その他これらに類する目的のための旅行」という、これには日額旅費を支給するということになっているのですよ。だから、ほかの官署でやっているのは、大蔵大臣がこれに対しては責任持っているわけですね。だから、副大臣である政務次官も責任を持っているのですよ。御自分の所管のところには適用をしないで、そうしてほかの官署がどうやっているかわからないとおっしゃるんじゃ困るので、ほかではやっているのですから、これは同じように私はやるべきだと思うのです。  もう一つお伺いしますけれども、江口次長、たとえば税務大学校の研究科、本科で研修をする人がいますね。この人たちはやはり寮に入って研修を受けるものなんですか、いかがですか。
  254. 江口健司

    ○江口政府委員 本科研修生になりますといろいろございまして、大部分は寮に入っておりますが、たとえば東京地区の人で自宅があるような場合、この場合には自宅からの通学を認めるということになっております。  なお、本科の場合には、家族を国元に置いたままで、身分を局に置いたままで本科のほうに参加する、こういう仕組みになっております。
  255. 増本一彦

    ○増本委員 身分はそれぞれの所管の税務署とか局にある、それはわかります。在勤官署がそこだということですね。だから、それは国税庁に来るのでもなければ、そこにあるわけですからね。だけれども、この基礎研修生の場合に、東京国税局の職員になってそれで研修する場合と、ほかにばらばらに身分を置いてあっても、そこのところは同じことですよ。在勤官署と見られるものは局か、それぞれの所管の税務署かという点は、同じですね。同じでしょう。じゃ、この寮に入る人たち、学寮に入って本科あるいは研究科の研修を受けるという人たちについては、その寮と研修所は一体のもの、同じところにありますね。場所的も同じでしょう。この場合には旅行の事実がないと見て日額旅費は払っていないのですか。どうですか。
  256. 江口健司

    ○江口政府委員 本科研修生の場合には家族が国元に置かれたままになりまして、つまり家族のおるところが生活の本拠でございます。したがって住所地は移しておりません。ただ、その限りにおきましては一般の出張と同じ形態になりますので、この場合には日額旅費を支払っております。
  257. 増本一彦

    ○増本委員 そうすると、旅行の事実がないから日額旅費は払わないのだという理屈は成り立たないんですね。あと一つは、この学寮が生活の本拠地であるかどうかということ、この一点だけにかかっている、こういうことになるのですか。国税庁のほうはそういう認識ですか。
  258. 江口健司

    ○江口政府委員 そのとおり認識しております。
  259. 増本一彦

    ○増本委員 そうすると、先ほどの話に戻りますけれども、学寮に入って基礎研修を受ける。しかしその人については研修が終わるまではそこから出る自由というものがない。そういうものを住居だあるいは生活の本拠だというように大蔵省のほうは強弁するのでしょうか。
  260. 早田肇

    ○早田政府委員 そのとおりでございます。生活の本拠だと思います。
  261. 増本一彦

    ○増本委員 そうすると、そのこと自身憲法二十二条との関係でもたいへん問題だと思うのですね。私は基礎研修をやっている税関なりあるいは国税庁の税務研修所の研修の内容や実態についてはきょうは問題にしません。それはまた別の機会に論議をしたいと思うのです。だけれども、そこが生活の本拠だというように言えるかというと、どうなんですか、じゃ具体的にどういう根拠で生活の本拠だと言えるのです。その根拠を明らかにしてください。
  262. 早田肇

    ○早田政府委員 それぞれそこに赴任してきて、そこで生活しておりますし、住民登録等もそこで行なっております。いわばその人の一日、二十四時間全部そこを本拠として生活しておるからでございます。
  263. 増本一彦

    ○増本委員 住民登録をみんな任意で持ってきてそこに登録をするのですか。どうなんです。取り扱いはどうなっているのですか。
  264. 江口健司

    ○江口政府委員 試験に応募して合格しまして採用発令がございますれば、そういうもともと自分の親元で生活しておった人が採用されまして、そういう条件で採用されるわけでございますので、そうした手続をもって上京するわけでございます。したがって、手続は本人が個々にやるのでなくて、そこはちょっと不確かかもしれませんが、税大または東京局のほうでまとめて届け出をしているものと理解しております。
  265. 増本一彦

    ○増本委員 住民登録を学寮に移せということになって、一括して移させているのじゃないのですか。次長の答弁もそういう趣旨に伺いますけれども、よろしいですね、江口さん。いいですね、そういうことで。
  266. 江口健司

    ○江口政府委員 ちょっと御質問の趣旨がわかりませんでした。
  267. 増本一彦

    ○増本委員 聞いてないんだ。けしからぬじゃないか。住民登録は全部持ってそれで学寮に入りなさいという、そういう指示をして、そういう形でやっているわけでしょう。そういうことですね。
  268. 江口健司

    ○江口政府委員 そうでございます。
  269. 増本一彦

    ○増本委員 だったら、当局のほうで住民登録を移させてそういう事実をつくって、だから生活の根拠だというのはこれは実態に合わないじゃないですか。そこを選ばざるを得ないわけでしょう、職員になるからには。研修をするからには。そこで二十四時間生活をしている。当然ですよ。だって全寮制で、ほかから通っちゃいけないということになっているのだから。だからそれをもって生活の根拠地だというように言うこと自身が、これは非常に問題があるというように思うのですね。生活の本拠については民法でもはっきりときめられていますね。これには生活の実態があることと同時に、御本人さんがそこがやはり生活の本拠地だという、こういう客観的にも確かめられる意思がなくちゃならぬ、いまそういう折衷説というのがいわば通説ですよ。ところが、システムとしてそういう学寮に入寮をし、そしてそこでの共同生活とそれから研修というものとが勤務の内容になっているのであって、だからやはり勤務の形態としてそういうものがとられているということだと思うのですよ。だからそれに対して日額旅費を払うのは私は当然だと思うのですよ。だからしかるべくその点はひとつ、ほかの寮に入っている本科や研究科の研修生については日額旅費を払っているのですからね。それはもう私はそういう点は当然改善すべきだというように思うのです。あまり時間があれですから、次に移ります。  気象庁の方お見えでしょうか。——富士山山頂の測候所とかあるいは伊吹山の測候所とか、こういうところはたいへんきびしい環境のもとで勤務をしているわけですね。ところがその定額旅費を規定に基づいて見ますと、六等級以下で千二百九十円でしたか、非常に安いのですね。この千二百九十円とかこういう日額旅費を出された根拠ですね、これをひとつ御説明いただきたいと思います。
  270. 石原明

    ○石原政府委員 ただいま御指摘がございましたように、富士山の場合は六等給の千二百九十円であります。この根拠といいますと、現在の山岳等滞在旅費というのは三種類に分かれておりまして、そういう点からいたしますと、山の高さとかあるいはその高さによります生活なり勤務の環境とか、そういうようなことが加味されているのは事実であろうと思いますけれども、その算定いたしました試算根拠については実はあまり詳しく私ども承知しておりません。ただ、従来からこういったものにつきましては、旅費法のほうの単価の改定がございますと、大体そのあとを追いまして、随伴いたしまして、同様のその辺の旅費のほうの単価の改定の率を参照いたしまして改定をされるというふうな経緯をたどってございます。
  271. 増本一彦

    ○増本委員 六等給以下が、たとえば富士山の場合、南鳥島の場合千二百九十円、それから五等級以上が千三百九十円、これは山岳等の滞在日額旅費ですね。じゃこれの内訳、なぜこういう金額が出てきたかというそこのところを御説明いただきたいのですよ。
  272. 石原明

    ○石原政府委員 内訳といいますか、現在の額は四十五年の六月一日から実施しておるのでございます。それまでは額は四十一年の五月一日から実施しておりまして、その場合に、山の高さ等によりまして七段階に分かれておりましたが、その四十五年の改正のときに大体二つないし三つをくくりまして現在の三段階。富士山につきましては、六等級以下でいいますと千二百九十円、それから四国の剣山あるいは伊吹山では八百四十円、弥彦山等では五百六十五円というものが現在定められておるわけでございまして、そのそれぞれの種類につきまして五等級以上と六等級以下の二段階に分けて指定しております。
  273. 増本一彦

    ○増本委員 気象庁からいただいた資料によりましても、富士山の場合にはだいぶ遭難する、そういう人が出たり、あるいはかぜを引いたりして高熱を発する。非常に気圧が低い上に特に冬場はたいへん自然条件もきびしい。私も知っていますけれども、飲料水を確保するためにつららをとってそれを溶かしてやるとか、そういうことでいろいろ苦労をしている。こういう非常にきびしい勤務条件の中で働いている人たちの点から見ますと、これは日額旅費一般についていえるのですが、非常にまだまだ低いのじゃないだろうか、これで実費をほんとうにまかなっているだろうか、そういうように考えるんですよ。私たちは、当然この日額旅費は全体として引き上げるべきだというように思うのですがね。その点での気象庁としてのお考えをひとつ伺いたいと思います。
  274. 石原明

    ○石原政府委員 ただいま御指摘のございましたように、たとえば富士山という測候所はたいへん私どもの気象の観測の点から見ましても大事なところでございます。特にあそこのレーダーは、非常な威力を発揮いたしております。そういうようなところでぜひ私ども、今後ともこういう測候所の施設というものは維持したいと思います。しかしながら、こういう非常に高い山で観測をしているというのは、世界でも例がないと思います。そういうところで現在、常時五、六名の職員が滞在して勤務いたしております。したがいまして、そういうところで勤務するような職員に対しましては、その生活環境あるいはこういうふうな旅費等の金額的な面、そういう面についてできるだけの考慮をいたしたいというふうに私どもとしても考えております。  具体的には、先ほど申し上げましたように大体旅費法のほうの金額の水準というものが改正されるときに改正されているようでございますので、今回も、もし現在審議されておりますものが成立いたしましたときには、それに引き続きましてただいま申しましたような趣旨に基づきましてできるだけの改正をするように、運輸本省なりあるいは大蔵省のほうにお願いしたいと考えております。
  275. 増本一彦

    ○増本委員 ちょっと主計局次長にお伺いするのですけれども、いま二つだけ私、運用の問題を話したのですが、議論の内容はもうおわかりだと思うのです。これは結局、基礎研修の問題につきましては、これはほかの官庁ではやっているという事実はない。皆さんならよく御存じだと思うのです。大蔵省だけがこの別表の備考の二でそれが出されていないという。これはすぐ規定をお取り寄せになって調べてみればよくわかると思うのです。こういう事態をそのままにしておくということは、これはいずれにしてもたいへんまずいことだと思うのです。いろいろ西垣さんもそれから江口さんも、まあ現状を弁護するような形で答弁されたけれども、しかし基礎研修を受けている人たちにとってプラスになることを、だめだとかいやだとかいうことはまさか言わないだろうと思うのです。  だから皆さんも率直にこういう問題は大蔵省と協議をして、大蔵省の主計局のほうもこういう問題については前向きに私は検討すべきだというように思うのです。その点で、どういうように今後なさるおつもりか。これは一応所管の局ですから、先ほど政務次官から伺いましたけれども、ひとつ前向きで検討するというお約束をしていただきたいと思うのですけれども、私のほうからその点についてひとつ所見だけ伺っておきたいと思います。
  276. 吉瀬維哉

    ○吉瀬政府委員 日額旅費の問題につきましても、四十六条、調整規定に定められております。この四十六条の旅費の調整は各庁の長に委任されているわけでございます。  御指摘のように、研修生が日額旅費を支給されれば収入の増になることは事実でございますが、先ほど政務次官が御答弁になりましたように、私ども現在の大蔵省の教育方針といいますか、全寮制をとった研修制度という現段階では、先ほど早田会計課長や江口次長が御説明申し上げた線で進めざるを得ないのじゃなかろうか、かように考えているわけでございます。
  277. 増本一彦

    ○増本委員 非常に私は遺憾だと思うのです。で、この点はさらにまた別の機会にもっと、時間がきょうは限られていますから、議論をしたいと存じます。  いまの日額旅費等の問題に関連して荒木委員のほうから関連質問がありますので、ひとつお許しいただきたいと思います。
  278. 鴨田宗一

    鴨田委員長 荒木宏君。
  279. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 関連してお尋ねをいたしますが、今度のこの国家公務員の旅費の改正案は、聞くところによりますと、全部の党が賛成しておられる、賛意を表しておられるというふうに聞きましたし、また施行日の問題につきましても、けさほどの理事会で、四月一日にさかのぼって実施すべきである。これも各党理事の非常に強い御意向のようでありました。ということは、事ほどさように現在の公務員の皆さんの受け取っておられる旅費がまだまだ低い。まあ今度改定になりましたけれども、しかし仕事の内容でありますとか、あるいはいまの物価高でありますとか、そういったいろいろな点から考えて、まだまだ低いということが否定することのできない事実だというふうに認識をされておるというふうに私は思うのです。そこで、公務員の皆さんが文字どおり国民の皆さんのための奉仕者として仕事を能率的に遂行される上においても、旅費の増額はもっと見直されなければならぬと思いますし、また旅費の予算の増額ですね、いま本委員会での直接の議題じゃありませんが、このことも大いに必要なことだというふうに思うのですが、そのことを初めに強くお願いをしておくとともに、中でも特にこの矛盾のひどい部分、これは早急に各省庁の取り扱い規程をつくられる上で十分に注意をして検討していただきたい。  そこで、きょうは時間の関係もありますので、運輸省の船舶職員の方々の航海日当とそれから食卓料、こういった問題についてお尋ねをしたいのでありますが、関係で気象庁のほうからもお見えのように聞いておりますから、運輸省の船舶職員の方の航海日当について、そのほうからお答えをいただきたいと思いますが、等級区分が六等級になっておりまして、しかもこの旅行先といいますか、航海先が一区から五区まで、沿海から近海、ずっと遠洋までさまざまに分かれておる。しかしながら、これはほかとの対比から見ますと非常に区分がこまかくなり過ぎておって、しかも上のほうが必ずしも高くないところから刻みが多いために下ほど低くなる、こういった不合理な結果が指摘されておるわけでありますけれども、どうしてこのように刻みがこまかいのか、ここのところをひとつ簡単に御説明をいただきたい。
  280. 石原明

    ○石原政府委員 確かに御指摘のような区分になっておるのは事実でございますが、どうしてこんなにこまかいのかというおことばがございましたけれども、それに対して的確な知識がございませんので、ちょっとお答えしかねるのでございます。
  281. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 そこで、いまのお話によりますと、よくわからないということのようでありますが、つまりどうしてもこういうこまかい刻みを維持し続けなければならぬという強い理由、それはないのではないか。むしろ逆に考えますと、陸路の場合でありますと、これは甲と乙二つしかありませんね、外国旅行の場合も含めて。ということは、日当というものは車賃とかそういったものとは違って、必ずしも路程に比例をしてそんなにこまかくしなくてもいいというふうな本来の性質によるものでもありましょうし、また実際の航海の実際からしても二区と三区、近海と遠海は実際の従事日数、乗船日数から見てもそう大きな違いはないし、また航海の中における仕事の内容もほとんど変わりはない。  ですから端的に申しますと、たとえば二区と三区は一緒にして、高いほうに合わせて整理をすべきではないか、こういうふうにも思うわけですけれども、その点はいかがでしょうか。
  282. 石原明

    ○石原政府委員 実はこれは運輸省全般の問題でございまして、私のほうの問題ではございませんし、ただいま申し上げましたように、こまかいということになりました事情につきましてそれほどよく承知しておるわけではございませんけれども、大体旅費法のいろいろな規定の推移を見ますと、確かにあまりにこまかい区分をしておるのではないかという御指摘はごもっともであろうと思います。したがいまして、そういう点で、こういうような区分をできるだけ簡素化するという方向で検討するのも当然かと思いますので、実はあまり知識のない者がそういうことを申し上げてはどうかと思いますけれども、そういうふうな先生の御意見をよく検討いたしまして、今回の旅費法の改正がありますと、単価のほうの引き上げがありますと、その場合の航海日当の改定ということが従来そのつど行なわれているわけでございますので、今回も当然そういった点の検討は必要かと思いますが、その際には、ただいま御指摘のありましたような点も十分考慮して改正を検討するように運輸本省、大蔵省のほうにお願いをしたいというふうに考えております。
  283. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 前向きの御答弁でございますので、ぜひお願いしたいと思うのです。その際に、これは申すまでもないのですが、低いほうに簡素化なさらないように、高いほうにひとつお願いしたいと思います。  関連してあわせて申し述べておきますが、この刻みがこまかいために六段階、五区となっておりますから、全部で三十刻みになるわけですね、形式的に見ますと。一般の公務員の場合ですと、総理大臣とか特別な方は別として、四段階で甲、乙と二つですから八つですね。一番高いところのなには、今度の改正で見ますと大体千三百円前後で、これは変わりはない。下になりますとうんと違っておりまして、一般の職員の場合は、総理も含めて、最低と上とは二倍ほどしか日当は変わらない。ところが航海日当の場合には三倍半ほどの大きな開きになっている。これは今度の見直しのときに、いま申し上げたような趣旨で御検討いただくようにお約束もいただきましたから、ぜひ善処をお願いしたいと思います。  それからもう一つの点でございますが、同じく船舶関係の食卓料でございますけれども、これは現行で遠洋が一種で三百四十五円、それから近海二種の甲で三百十三円、ところが民間のほうを見ますと、これが同じく去年内航で四百二十五円、外航で五百七円。ですから、内航の場合には百十二円、外航の場合には百六十二円という開きがあるわけですね。そこで今回三〇%余りのアップということで、当然それに見合って取り扱い規程の上でも見直されるだろうとは思いますが、それでも民間の去年の分にもまだ足らない。そこでこれもさらに格差を縮めるように増額の方向でひとつ御検討いただきたい、そうされるべしと思うのでありますが、あわせて御意見を伺っておきたいと思います。
  284. 石原明

    ○石原政府委員 食卓料につきましては、実は旅費法のほうの改正とやや異にしておりまして、大体主食だとかあるいは副食等の値上がりということが根拠になって改正がされております。したがいまして、最近のような情勢では、食卓料につきましては毎年のように改正をいたされております。そういう点で四十八年度につきましても、同様な改定を検討する必要があろうかと存じておりますが、ただこの区分につきましては、ただいまの御指摘でございますが、その点につきましては、ちょっと私は申し上げるほど知識がございませんので、この点もあわせて検討させていただきたいと思います。  いまの航海日当のほうは、そういう区分がこまか過ぎるということについてはよく検討すると申し上げましたのは、私だけの考えみたいなものでございますけれども、確かにそういう点がございます。この点につきましても同様にこまかいじゃないかという点については、よく検討いたしたいと思いますが、この点につきましては区分がそう多いほうでございませんので、ただいま先生の御指摘がございました点を十分に意にとめて検討するように、運輸本省等にお願いしたいというふうに考えております。
  285. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 全体として低いということは、再三申し上げておるとおりでありますけれども、特に船の関係は、海の仲間といいますか、労働組合関係でも全部単一のユニオンということになっておる。民間の場合はそうなっておるわけですね。やはり民間比較というのが特に強いという関係がありますから、そういう意味合いで、いま申し上げた一食に直しますと、遠洋で八十六円強、近海で七十八円強、これは特殊な関係がありますから、一日四食の計算ですけれども、こういう金額になっておりますから、これもぜひいまおっしゃったような方向で検討をお願いしたい、前向きの方向でお願いしたいと思います。  時間の関係がありますから、もう一言だけお聞きをしておきたいのですが、宿泊料ということが今度の中にありますので、直接関係はないのですけれども、類似のことで、公務員の皆さんの宿舎費の増額がいま問題になっておるように聞いております。そこで理財局のほうにお尋ねをしたいのですが、四月十一日に各省人事担当者の中でこの問題が出されて、近く閣議できめられる予定だという話もありますが、この経緯はどのようになっておりますでしょうか。
  286. 小幡琢也

    ○小幡政府委員 公務員宿舎の使用料の改定問題でございます。この問題につきましては、現在標準的な建設費用の償却額、修繕費あるいは地代、こういったものを基礎としましてきめるというふうに法律にございまして、前回は昭和四十六年に改定をいたしました。二年たっておりますし、この際見直しをするという意味でいろいろ試算をいたしまして、現在改定するという方向でいま検討しているわけでございます。
  287. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 そうすると日程として、たとえば二十日の閣議できめるとか五月一日から実施をするとか、そういった具体的な日程まではいっていないのですか。
  288. 小幡琢也

    ○小幡政府委員 現在検討しておりまして、できましたならばこの四月の下旬に方針を固めまして、五月ごろから実施に移るようにしたい、かように予定しているわけでございます。
  289. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 これは政務次官にお尋ねをいたしますが、いま物価問題は、申すまでもなくこの委員会で再三緊要な問題だとして指摘申し上げたとおりですけれども、こういう時期に公務員の皆さんの生活を守るという点も含めて、旅費の増額は皆さん御異存のないところなんであります。一方宿舎費のほうの値上げが、事務レベルにしてもあるいはまた定期的な見直しにしても、進められておるということは、これは政策的に見てたいへん問題ではないかと思います。したがって、これは内閣の取り扱いとして、政府の取り扱いとして十分慎重に、検討の上にも検討を重ねられて諸般の影響、ことに物価対策関係をつまびらかにしなければならぬと思うのでありますが、政務次官のお考えはその点はいかがでありましょうか。
  290. 山本幸雄

    ○山本(幸)政府委員 私も実はこれは初めてここで聞いたようなわけでして、理財局のほうで各省と打ち合わせをしたのだろうと思いますが、どういうふうになっておるのか、つまびらかにいたしません。公務員宿舎に入るということはたいへん、まあ全公務員が入れればいいのですけれども、なかなか現状ではそうもいっていないと思うのです。公務員宿舎に入るというのは、公務員の中でも比較的限られた人が入っているのではないだろうかと思います。これはまた均衡の問題がいろいろあると私は思います。そういう公務員の中での均衡の問題もありますし、またほかのいろいろの宿舎といいますか住宅といいますか、そういうものとの均衡も考えていかなければならぬ。なるほど低廉である、安いということにこしたことはないわけでありますけれども、そういうことも考えなければならぬ要素だろうと思います。その辺のところを考えて、政府としては善処をしていきたいと考えているわけでございます。
  291. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 事務当局で間近までいろいろ検討されておって、次官が委員会でお尋ねして初耳だということではたいへん心もとないわけでありまして、お尋ねを申し上げた趣旨は物価対策の面からどうかということで、値上げの理由はこれはいろいろありましょう。ありましょうけれども、しかし公務員労働者の皆さんの生活の安定と、それから物価問題を最高の政策の一つとして進めていくという点から、いまおっしゃったように慎重に検討をお願いしたい、こういうことを申し上げて私の質問を終わります。
  292. 鴨田宗一

  293. 広沢直樹

    広沢委員 この国家公務員等の旅費に関する法律の一部改正については賛成でありますので、将来にわたって今後も改正が行なわれるし、そういう観点から二、三検討すべき点をお伺いしていきたいと思います。  まず、この法律の改正にあたっては、国内旅費については四十一年から四十五年、また外国旅費については四十二年に改正して四十五年、こうなっておりますが、四十五年以降は今回で四十八年ですから、三年間開きがある。大体三年、四年の時間的経過というものがあるわけでありますが、これは大体三年ごとの改正ということになっていますが、その理由について簡単に……。
  294. 吉瀬維哉

    ○吉瀬政府委員 従来、御指摘のとおり、内国は四年だったわけでございますが、最近における宿泊費等の実情を考慮いたしまして、今回三年目に踏み切ったわけでございます。旅費法は、そのときどきの実態に応じまして、できるだけ臨機に即応して改正するにこしたことはないわけでございますが、やはり現在の旅費の実情からいきまして、現行の旅費規程では相当問題がむずかしくなってきておる、こういう時期をとらえまして改正いたしたい。そして御指摘のとおり一年ごとにきめこまかくやればよろしいわけでございますが、私どもといたしましては、やはり三、四年くらいを一刻みに考えていきたいと思います。
  295. 広沢直樹

    広沢委員 大体先ほどからの議論の中でも、実態調査に基づいて改正というのが行なわれておるわけでして、実態調査は前年の大体ある月からある月までをとって、その実態を踏まえて翌年の改正ということになっているわけです。そうですね。したがって、やはり今日のように物価並びに料金が非常に上がっている段階においては、これは実態調査ということになれば毎年毎年実態調査をして、実情に即して改正ということをしていかなければいかぬのじゃないか、こう思うわけですけれども、いかがですか、その点。いまのところ過去を比べると四年というのもあるし三年というのもあるし、四十五年以降は今回初めてですけれども、三年になっておるわけですから、その三年間の物価の動きだとか料金の動きというのは実態調査をされたあなたのほうではよくおつかみになっていると思いますけれども、これは相当変わってきていると思うんですね。いかがでしょうか、その点は。
  296. 吉瀬維哉

    ○吉瀬政府委員 御指摘のとおり実態調査の時点は昨年でございます。ただそれに対しまして、この法施行日までの物価の上昇率も加味いたしまして、私ども三割、四割のアップをきめたわけであります。なお実態調査をするにあたりましては、先ほど御説明申し上げましたとおり、従来よりも調査対象を倍ほどふやしまして精密を期しているわけでございます。まあ宿泊料の実態と全国の消費者物価指数、必ずしもパラレルじゃありませんけれども、四十五年から四十七年までに消費者物価指数でいいますと約十数%高い、ただ宿泊料はそれに比べてさらに上昇の傾向があるということを織り込みましてきめたわけでございます。
  297. 広沢直樹

    広沢委員 要するに、これは実費弁償ですから、やはり実態に即した改正というものが行なわれるものじゃないといかぬと思うのです。これは払ってしまったあと、けさもちょっとお話があったように、なかなかいろいろな関係で、それを遡及して云々ということもいろいろ問題があったわけでございますから、当然そういうことに関しては一年ごとに物価やあるいは労賃の値上がり等が激しい、経済情勢の変化が激しいときには、それに即応した改正というものが行なわれてしかるべきではないか、今後の改正にあたってこの面を指摘申し上げておきたいと思うのです。特にこれは毎回、この改正案については附帯決議も出ておりますけれども、その附帯決議の第一項には物価、公共料金等経済情勢の変化に対応して適宜にこの改正につとめよということが附帯決議として毎回ついているわけですから、その意味からいうと、どうもこの三年とか四年とか一つのきまった基準みたいなかっこうで改正が行なわれておるということは、ちょっと実際に適しないのじゃないか、こう思いますので、この点十分検討してください。  それから宿泊料金でありますけれども、これは実態調査をされて甲地、乙地の格差というのはどれくらいの開きがあるのか。いわゆる四十一年度に改正したときの四十年の調査の段階では、大体甲乙地では二五%の格差があった、こう答弁されておるわけです。四十五年の改正、いわゆる実態調査は四十四年になるわけですが、これが縮小して一七%になっている。現在大体物価とか料金というものは全国的に見てだんだんこの差は縮まっているのではないかというのが常識でありますけれども、現在どういうふうになっておりますですか、その実態は。
  298. 吉瀬維哉

    ○吉瀬政府委員 私ども全国の財務局を通ずる調査と、それから日本観光連盟に所属する旅館の調査と二つを併用したわけであります。財務局の調査によりますと、実は格差はまだ相当ある、一〇〇に対して七八というような数字が出ております。それから日観連の所属の旅館の調査によりますと、九二ということで非常に格差は少ない。私どもそこらの、たとえば中間をとるというような考え方もございますが、高いほうの日観連の調査に合わせまして格差を縮小いたしまして、一〇〇に対して九〇ということで計算をしてあるわけであります。
  299. 広沢直樹

    広沢委員 それから地域別なんですが、これは大蔵省令の中でその地域を定めておりますけれども、東京都、大阪市、名古屋市それから横浜市、京都、神戸その他、いま福岡とか入っておりますけれども、これは人事院の調整手当の中で検討されているようでありますけれども、やはりこれも実態に即して、これはある程度見直すべきじゃないだろうか。ですから、もちろん人事院においてこれは見直していただかなければならぬかと存じますが、当然こういった基準をもってきめている以上は、大蔵省令でその地域の定めに準拠して定めている以上は、これもやはりいまのお話のとおり、一〇〇に対して九〇ですから、大体平準化みたいなかっこうになってきておりますし、やはり十分に見直した改正をすべきじゃないかと思いますが、その点いかがでしょうか。
  300. 吉瀬維哉

    ○吉瀬政府委員 御指摘のように、平準化の実態は進んでおると思います。そういう意味合いも含めまして、私ども先ほども格差を縮小したわけでございます。なお調整手当に基準を、甲地をきめているわけでございますが、人事院はことし調整手当の調整をやる予定のように聞いております。
  301. 広沢直樹

    広沢委員 それでは、調整をやるということでありますから、それは実態に即して適正な調整をやっていただきたいと思います。  それから、今度は移転料についてであります。これは先ほどからお話があるし、毎回お話があるのですけれども、やはり私はこれは等級に分けるのはどういう意味なんだろうか。何でもこの改正にあたっては実費弁償のたてまえ上、実態調査実態調査ということをおっしゃいますけれども、そういう観点から考えてみますと、等級に分ける意味合いというものが移転料の場合等を例にとりますとこれはどうもしっくりいかないのですね。ですから、これをどういう意味で分けておられるかということをお伺いしたいのですが、特にほかの面はともかく、勤労の対価によって給与等というのはさまっているわけでして、それに対しては、この場合は性格を異にしているのじゃないか。そういったところを基準にして推しはかって等級をきめたり、すべてをきめているわけでありますけれども、しかし、これはやはり実質的な実費弁償であるというようなことであれば、それぞれ要った費用をそのまま出してきて、それによって払うというのは繁雑なことだし、基準ということは、ある程度そこに線を引かなければならぬということはわかるわけですけれども、しかし、こういうふうに等級を設けているということ自体が、どうもその点ぴったり、いまの趣旨からいって、こないのじゃないかと思うのです。もちろんそれは皆さんのほうでも六等級以下であったものを五等級以下というふうに一段階縮めているわけでありますけれども、そういうふうなことからいいますと、五等級と四等級では移転料がどう違うかということになると、これまたややこしい問題になってしまうわけですね。そういうようなことから考えていきますと、これは分けるという意味をもう少し整理して、実態に即して考えるべきじゃないかと思うのですが、その点いかがでしょうか。
  302. 吉瀬維哉

    ○吉瀬政府委員 先ほど御答弁申し上げましたとおり、移転料につきましては実は個人差が相当あると思います。ただ、その個人差を御質問のように一つ一つ取り上げていきますと収拾つかないようなことにもなりますので、大数観察の基準をつくっているわけでございます。私どもいろいろ実態の調査をやりますと、やはり相当等級の高い人のほうが長年の蓄積で家財道具等も多いというような実態もございまして、それから現在の公務員の一種の年功序列的な給与体系からいきますと、やはり等級の多い人のほうが家財道具も多いというような感じを持つのであります。  なお、御質問にございましたけれども、私ども一等級を整理したわけでございますが、今後とも、先ほど申し上げましたとおりこの点の実態につきまして十分に究明していきたい。  なお、私どもの調査によりますと、やはり高給者の高年齢の人のほうが移転料の実費が不足しているというような実態もあるわけであります。
  303. 広沢直樹

    広沢委員 前向きにいま言うようなことを検討するということですから、それは検討して実態に合わしていただきたいと思うのですがね。ただ高給取りのほうがそれだけ家財道具も資産もよけい持っているというような考え方、それはいままでは、土地がありそれに応じて所得やいろいろなこと、財産に応じてといいますか、家もりっぱなものを建てたり、調度品も備えたりというような情勢があったのでしょうけれども、最近は御存じのように、住宅だとか、一つのきまり切ったものの中に入っていく、先ほどもお話があったかもしれませんが、核家族といいますか、そういうものもありますし、それから給料は少なくても必要品というものは室内に必要なものなのですから、それだけ整えているわけでありまして、それから移転する場合のあり方についても、いままではいろいろなにもあるでしょうけれども、簡便な方法も生まれてきているわけですね。  そういうところから見ると、特に移転料の問題等については、やはりこういう等級というのを設けているということは、だんだん社会情勢の変化に伴って実態にそぐわない。すべてが給与体系で、そういうふうな関係できめてくるということだけでは、これが本来実費弁償ということのたてまえでこの改正を行なおうとするにあたってはおかしい問題じゃないかと思うのです。その点もう少し具体的に実態に合うように検討するということを明確にしておいていただかなければ、毎回改正のときに同じような改正で、段階を一段階へずったというようなことではこれはいけないと思うのですがね、いかがでしょう。
  304. 吉瀬維哉

    ○吉瀬政府委員 御質問の趣旨を体しまして、私ども、家族構成とかあるいは年齢構成、俸給別、こういうものと移転料の実態がどうなっているかということをさらに検討していきたい、こう思います。
  305. 広沢直樹

    広沢委員 それでは一応賛成法案でありますので、前向きの御答弁で検討するということでありますから、これで質問を終わりたいと思いますが、要するに附帯決議にあります、いわゆる物価、料金に基づいて旅費の改正を行なうという問題、さらには移転料はいま御指摘申し上げたとおりですから、その点について鋭意検討して、次の改正のときにはこういう形ではなくて、ある程度いま申し上げた趣旨に沿った改正ができるようにしていただきたいと思いますし、それから日額旅費についても、これは先ほどから御指摘がありました。私もこれはもう実態にそぐわないと思います。今度の改正も相当引き上げたというけれども、これではまだ実質を下回っておるものであるというふうに考えておりますので、この点ももう少し広範囲に、もっと深く実態を調査されてひとつやっていただきたいと思うわけです。  そういうことを強く要望しまして終わります。
  306. 鴨田宗一

    鴨田委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  307. 鴨田宗一

    鴨田委員長 本案に対し、自由民主党を代表して木村武千代君外四名より修正案が提出されております。     —————————————
  308. 鴨田宗一

    鴨田委員長 この際、提出者より趣旨の説明を求めます。木村武千代君。
  309. 木村武千代

    ○木村(武千代)委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、提出者を代表して、その内容を簡単に御説明申し上げます。  案文は、お手元に配付してございますので、その朗続は省略させていただきます。  この修正案は、政府原案におきまして、この法律の施行日を本年四月一日からに予定いたしておりましたが、御承知のとおり、すでに四月一日を経過しておりますので、改正法律の施行日を「公布の日」に改めるとともに、改正後の国家公務員等の旅費に関する法律の規定は、本年四月一日にさかのぼって実施することとして、同日以後から施行日までの期間におきまして、すでに出発し、または完了している旅行に対しても適用するために、必要な措置を講ずることといたしたものであります。  以上が本修正案の内容であります。  何とぞ、御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  310. 鴨田宗一

    鴨田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  311. 鴨田宗一

    鴨田委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。  討論の通告がありますので、これを許します。増本一彦君。
  312. 増本一彦

    ○増本委員 私は、ただいま議題となりました国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案並びに自民党提出の修正案のいずれにも賛成の立場で討論をいたします。  本法案は、公務員等の旅費を三〇ないし四〇%引き上げようとするもので、公務員等の労働条件の一定の改善となるものであります。したがって、わが党はこれに賛成をいたします。  しかし、本改正案は、一般公務員労働者にとって、決して十分なものとは言えません。  その第一は、引き上げ額がまだまだ低いことであります。公務員労働者は、昨今の異常な物価高の中で、労働密度と労働強化を余儀なくされており、この点はもはや論証を要するまでもなく、周知のことであります。全体として一般公務員労働者の日額旅費や普通旅費を引き上げるべきであります。  その第二は、上に厚く下に薄い差別がある点であります。旅費額を、等級によって高下の差別を著しくしている点は、激しく、きびしい労働条件と環境の中で国民の生命や財産、利益を守って誠実に勤務している一般公務員労働者に報いるものではありません。  当委員会の審議でも明らかになったように、たとえば富士山測候所に勤務する者は、十九日から二十日間山頂での勤務をしていますが、ふぶきの中を登下山しても、一キロ当たり改正案で十一円、雪と氷に閉ざされた生活と勤務で山岳手当は千二百九十円という状態であります。しかも、食費は自己負担という実態であります。  特に、大蔵省関係の新規採用者の研修に日額旅費を支払わないことの不当性を指摘しなければなりません。これは旅費法を所管する大蔵大臣の処置としてきわめて遺憾であります。新規採用者は八等級の行政職の公務員であり、税務職員は研修所所在地の国税局に、税関職員は東京税関に補職されて国税庁あるいは大蔵省関税局所管の研修所で研修を受けるものであって、それが全寮生であろうとそうでなかろうと、在勤官署から研修所に旅行しているものであります。そして旅費法六条十五項、二十六条一項二号にもはっきり、日額旅費を支給できるものであり、また支給しなくてはならないものであります。  大蔵省所管旅費支給規則別表第四備考2は撤廃して、旅費法を正しく運用することを強く要求いたします。  なお、極端に区分されている運輸省関係の船舶職員の航海日当や食卓料についても、増額する方向でこの際整備されることを要求いたします。  以上のとおり、旅費は労働者の労働条件の重要な内容なので、あだやおろそかにすべきものではありません。その改善を強く政府に要求して、討論といたします。
  313. 鴨田宗一

    鴨田委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  まず、木村武千代君外四名提出の修正案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  314. 鴨田宗一

    鴨田委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いて、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  315. 鴨田宗一

    鴨田委員長 起立総員。よって、修正部分を除く原案は可決し、本案は修正議決いたしました。  おはかりいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  316. 鴨田宗一

    鴨田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  317. 鴨田宗一

    鴨田委員長 次回は、来たる二十日金曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。午後五時十五分散会      ————◇—————