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1973-03-06 第71回国会 衆議院 大蔵委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年三月六日(火曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 鴨田 宗一君    理事 大村 襄治君 理事 木村武千代君    理事 松本 十郎君 理事 村山 達雄君    理事 森  美秀君 理事 阿部 助哉君    理事 武藤 山治君 理事 荒木  宏君       赤澤 正道君    宇野 宗佑君       越智 通雄君    金子 一平君       小泉純一郎君    三枝 三郎君       中川 一郎君    野田  毅君       萩原 幸雄君    坊  秀男君       村岡 兼造君    毛利 松平君       山中 貞則君    佐藤 観樹君       高沢 寅男君    塚田 庄平君       広瀬 秀吉君    村山 喜一君       山田 耻目君    小林 政子君       増本 一彦君    広沢 直樹君       伏木 和雄君    竹本 孫一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 愛知 揆一君  出席政府委員         大蔵政務次官  山本 幸雄君         大蔵省主計局次         長       長岡  實君         大蔵省関税局長 大蔵 公雄君         大蔵省理財局長 橋口  收君         大蔵省理財局次         長       後藤 達太君         建設省住宅局長 沢田 光英君  委員外出席者         大蔵省主計局法         規課長     吉岡 孝行君         大蔵省理財局資         金課長     福島 量一君         厚生省年金局企         画課長     大和田 潔君         厚生省年金局資         金課長     持永 和見君         林野庁業務部長 辻 良四郎君         郵政省貯金局次         長       滝本 哲郎君         建設省都市局都         市高速道路公団         監理官     金岡  登君         自治省財政局地         方債課長    石原 信雄君         北海道東北開発         公庫理事   小川としやす君     ————————————— 委員の異動 三月三日  辞任         補欠選任   竹本 孫一君     小平  忠君 同日  辞任         補欠選任   小平  忠君     竹本 孫一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  資金運用部資金並びに簡易生命保険及び郵便年  金の積立金長期運用に対する特別措置に関す  る法律案内閣提出第一号)  関税定率法等の一部を改正する法律案内閣提  出第三一号)      ————◇—————
  2. 鴨田宗一

    鴨田委員長 これより会議を開きます。  資金運用部資金並びに簡易生命保険及び郵便年金積立金長期運用に対する特別措置に関する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。広沢直樹君。
  3. 広沢直樹

    広沢委員 まず、財投計画の具体的な問題について、質問がダブる場合があるかもしれませんけれども、その点よろしくお願いします。  財投計画は、前々から指摘があるように、一般会計の約半分、四十七年度においては半分以上になっているわけですが、これは年々非常に膨張して、いわば第二予算、こういうふうに呼ばれております。そこで、財投ができたときからの意図、あるいは役割り、またその取り扱いについても、最初国会議決にすることは考えていないというところから、今日法案として提出されたように国会議決、こういうようになってきているわけでありますが、財投財政的な意義それから役割り、将来のあるべき方向というものを基本的に、最初にお伺いしておきたいと思います。
  4. 橋口收

    橋口(收)政府委員 財政投融資計画は、たびたび御説明申し上げておりますが、戦後の日本がいわば開発した新しい財政活動一つ形態でございまして、一般会計予算特別会計予算、あるいは政府関係機関予算一体となって、国に課せられた財政活動の任務を果たす、こういう性格のものでございます。いまのような形態が初めてスタートいたしましたのは昭和二十八年のことでございまして、現在のような整備された形式になりましたのは大体昭和三十年代に入ってからでございます。ただいま御質問の中にもございましたように、昭和三十年代におきましては大体一般会計に対して三七、八%のウエートを占めておったわけでございまして、四〇%のウエートまでは占めておらなかったのでございます。三分の一程度のウエートだった時代もございますが、それが最近になりましてただいま御質問の中にもございましたように四割をこえ、四十八年では大体四八%ということで半分近くになっております。一般会計なり特別会計など一般予算一体となって財政活動を担当いたしておりますが、そこにはおのずから性格相違がございまして、受動的に集まっている資金運用形態としての財政活動でございますから、運用された資金は必ず回収されるという、いわば資金が回転するという性格を持っております。したがいまして、当然預託された資金には金利がつき、運用された資金には利息がつく、こういう形でございますから、そういう点から申しまして、一般予算がいわば無償の租税をもととして財政活動を行なうというものとは性格を異にいたしておるわけでございます。  ただ、もちろん一般予算なりあるいは特別会計予算との接点はございます。一般会計予算で負担すべき分野財政投融資で負担すべき分野とはおのずから相違がございますが、しかしその間にはある程度近接した分野と申しますか、隣接した分野というものがございまして、そこで両々相まって一国の財政活動を担当する、こういう性格になっているものであろうと思います。
  5. 広沢直樹

    広沢委員 そこでいま、産業優先あるいは経済第一、こういうような経済政策のもとにあったものを福祉政策優先へ転換しなければならない、そういうことで四十八年度予算においても一応福祉型予算であるということになっているわけでありますが、もちろん財投財政資金的な役割りを多く果たしていくことになっているわけでありますから、当然これも福祉型の方向へ転換させなければならないわけであります。そこで、基本的に財投運用方向をどう考えておるか、これを最初に一点お伺いしておきたい。
  6. 橋口收

    橋口(收)政府委員 財投計画は、原資の面から見ましても時代の推移に伴ってかなりの移動、変更がございます。財投計画が発足いたしました当時は、産投会計が非常に大きなウエートを占めておったのでございまして、これは当時対日援助物資見返資金特別会計産投会計が承継した、あるいは一般会計から産投会計への繰り入れというものに大きく依存するというようなことで、産投会計が非常に大きなウエートを占めておった時代もございます。それから昭和四十一、二年当時は政府保証債というものが原資面で非常に大きな役割りを演じておったのでございます。そういう時代に応じて原資の面でも変遷がございますが、ただいま先生おっしゃいましたように、産投会計が中心の時代には、まあ今日の時点から振り返って考えてみますと、やはり経済の再建、産業開発、貿易の振興という戦後の日本経済に象徴される一つの命題を追求するという姿が確かにあったと思います。それが最近になりまして、昭和四十年代からさらに最近の時点になって、次第に福祉に対する考慮というものが表面に出てまいりました。ことに昭和三十六年に国民年金制度が発足いたしました際に、国民年金積み立て金運用部統合管理をする、そういう際に資金運用部資金法の改正がございまして、資金運用部資金の中で、年金資金につきましての運用実態につきましては使途別分類表というものをつくりまして、これを運用計画に添付して資金運用審議会の議を経るという措置がとられてまいりましたので、そういう国民年金制度の発足に伴って、特に年金資金に対する配慮というものが表面に出てまいりました。まあ昭和三十六年から約十年でございますが、その間に、財政投融資全体としては福祉型の方向に向かって前進をしている、こういうことであろうかと思います。
  7. 広沢直樹

    広沢委員 そこで、この使途別分類表を見ますと、確かにこれは伸び率においては生活環境整備厚生福祉施設関係文教関係、こういう著しい面も見受けられるわけでありますけれども、しかし、構成比で見ますと、ほとんど前年度、四十七年度と変わりないわけです。やはり福祉型へ転換するということになれば、当然構成比においてもこれは転換させなければならない、大きく変わってしかるべきだ、こう思うわけです。これは一般会計についても言えるわけです。  その点を見ますと、確かに伸び率においては、いままでの過程においておくれた部分というものを充足していくという形から相当な伸びを示していることは私どもわからないでもないわけですけれども、その点やはり財投という性格の上からどうとらえていくか、またどう考えていくか、大局的には福祉方向へ転換させる方向であるとはいいながら、財投性格の上からやはりそういうようなことがこの構成比の上で見てもあまり変わってないわけですから、その上から見ると、やはり福祉へ大きく転換しているというふうには受け取れないわけでありますが、その点いかがですか。
  8. 橋口收

    橋口(收)政府委員 昭和四十七年と比べまして、昭和四十八年におきましても構成比前進をしているというふうに考えておりますが、これは計数で明らかになっていると思いますが、しかし、おっしゃいましたように、年々のフローで見ますと、福祉方向資金配分ということが急速にふえております。一年間でさま変わりというわけにはなかなかまいらないわけでございまして、やや長いオーダーで見ますと、そこには相当大きな変化というものが見受けられるのでございます。  たとえば昭和四十年と比較してちょっと申し上げて見ますと、昭和四十年は住宅構成比は一三・九%でございます。それが昭和四十八年には一八・一%になっております。生活環境が四十年が一二・四に対して四十八年は二八・四ということで、第一分類から第六分類までの、いわゆる国民生活に直結した分野というものに対する資金配分は、昭和四十年度には五二・八%でございましたが、四十八年度は五八・八ということで、まあ六・〇%の上昇ということになっておるわけでございまして、これはやはりある程度の五年ないし十年のオーダーで御批判いただくのが適当なことではないかというふうに考えるものでございます。
  9. 広沢直樹

    広沢委員 それではまず財投計画の中で、今回の法律は、資金計画については予算総則の上にのっているわけでありますけれども、原資については、このいわゆる特別会計予算の中には何とも出てないわけですけれども、これはどういうふうになっていますか。
  10. 橋口收

    橋口(收)政府委員 財投計画内容の問題でございますが、御承知のように、財投計画原資は四つございまして、一つ産投会計支出、それから第二が資金運用部資金、第三が簡保資金、第四が政府保証債でございます。  産投会計は、御承知のように、特別会計歳入歳出予算として国会提出をし、国会議決をちょうだいいたしておるわけでございます。政府保証債につきましても、これは民間資金の活用ということでございますが、資金の源泉は民間資金ということでございますが、その保証の限度につきましては一般会計総則国会議決をちょうだいいたしております。その二つにつきましては原資運用ということになるわけでございますが、問題は資金運用部資金簡保資金でございます。  資金運用部資金は全体として約二十兆の資金量を持っております。簡保資金は約三兆でございます。要するに二十兆の資金量を持つ巨大な金融機関資金運用がどうなるか、全体としての運営がどうなるかという問題でございます。それから簡保につきましては、三兆円の責任準備金を持つ保険会社運営全体はどうなるかという問題でございます。したがいまして、年々の活動といたしまして、運用部資金で申しますれば郵便貯金なりあるいは年金保険料というものが収入として受動的に集まってまいります。それから簡保資金につきましても、政府の管掌する保険会社活動として保険料というものが受動的に集まってまいります。本来こういうものにつきましては、財政法第四十四条にいう資金として歳入歳出外現金として行政府管理をする、こういう性格のものでございますが、先ほど来御質問なり答弁の中で明らかになっておりますように、全体としてのウエートというものが非常に高くなっております。同時に財政的資金配分といった性格というものが年々歳々強くなってきております。  そういう観点から申しまして、その資金運用の中の特に長期部分につきまして、国権最高機関としての国会の御判断を求めるという措置をとったわけでございますから、本来資金受け入れなり資金運用というものは行政府行政大臣にまかされた事項でございますが、その中の特に財政的性格の強い部分につきまして、特に国権最高機関としての国会の御判断を仰ぐという措置をとったわけでございます。原資受け入れ保険料収入郵便貯金受け入れ等は、いわゆる租税に基づく一般予算歳入とは性格を異にいたしておりますので、そういう点から申しまして、運用の中の特に重要な部分について国会議決を受ける、こういう措置をとったのでございます。
  11. 広沢直樹

    広沢委員 ただ、私がいま指摘している点は、説明書の中には四十八年度財投計画原資見込みというのがのっておりますし、あるいはそれに基づく資金計画というものがのっているわけですね。ところが、今度の議決対象といわれる——いままで産投その他政府保証債の分については何らかの国会議決対象になっていた、しかしながら、資金運用部資金についてはそれが抜けていた、なっていなかったというようなことで入れたわけですね。その資金運用部資金をこういうふうに運用するのだということはこの予算書にのっているわけでありますけれども、しかしながらそれが、どこのどういう原資でどういうふうになっていくかということは、この予算書を見ただけではわからない。やはり説明書参考にしなければわからないわけですね。これはあくまでも参考ですから、やはり国会議決にしていくということになれば、これだけの原資見込み歳入と言っていいかどうか、第二予算的といえば歳入ですか、見込みがある。それを今度はこのように運用していくのだということを明確にして初めてこれがわかるんじゃないですか。どこから入ってどういうようになってくるかということは、説明書を見なければわからない。そうしてあと、具体的な問題はここへ使うということだけは大まかにこういう計画としてはのっているということでは、これはどうも議決対象として考えていく上においては大いに矛盾があると思うのですが、いかがですか。
  12. 橋口收

    橋口(收)政府委員 この点はたびたび御説明をいたしておりますが、歳入歳出というものが均衡するというのが一般予算のたてまえであろうかと思います。と申しますことは、最初歳出なりあるいは経費の必要性、目的というものがきまりまして、それに必要な財源を、一定租税制度なりあるいは最終的には租税で償還される国債収入金によって調達する。初めに支出があるのが一般予算基本的な性格であろうかと思います。それに対しまして財政投融資活動は、初めに資金があるということでございまして、いわば初めに資金ありきということでございます。資金一定金利条件のもとで受動的に集まってくるものでございますから、集まってまいりました資金は直ちに運用するということが要請されるわけでございます。利息のついたお金をお預りいたしておりますから、政府といえども未利用資産でそのまま置くということはできないわけでございまして、これは必ず運用しなければならないという、いわば宿命を持っております。そういう性格のいわば資金のかたまりでございます。  そうやって集まりました資金を単年度にこれを置き直してみまして、当該年度でどのくらいの資金が処分可能になるかという見通しをつけるのがいわば原資見込みでございます。もちろん原資見込みと無関係に財政需要に対応するわけにはまいりませんが、対象機関からの資金需要というものがありまして、それに対して原資見込み、処分可能な資金というものを推計いたしまして、そのつき合わせをいたしておるのが財投計画でございまして、したがいまして、これもたびたび申し上げておりますように、それでは一体財投原資は幾らあるのかという問題に返ってまいります。これは集まった資金全部を財投計画に乗せて運用するという性格のものでもございませんし、また財政需要が強い場合には当該年度郵便貯金なり簡保資金伸びだけで、それ以上は一銭も金がないという、こういう性格のものではございませんので、資金のかたまりとしての一種の金融機関活動全体の問題でございますから、そういう点から申しまして、その活動の中の財政的資金配分といったような性格を持つ部分について、特に財政民主主義の立場で国会議決をちょうだいする、こういう性格のものでございます。いわゆる一般予算のように歳出見合い歳入歳出最初にきまってそれに必要な財源を調達する、こういう性格のものではございませんので、いわゆる歳入歳出予算とは違った取り扱いをしておるわけでございます。
  13. 広沢直樹

    広沢委員 どういうふうな運用をしていくかということだけこれは一応議決対象にして——いま言われるような根本的な理由はわかりますよ。わかるけれども、どれだけの歳入に見合ういわゆる原資見込みというものがあるかということがわからなければ、これは議決のしようがないじゃないですか。これは全体が一応説明の中で議決対象になっていないときには、この説明書原資見込みと、それから資金配分計画資金計画というものを対象にして話し合いはできますけれども、これで配分運用の分だけを議決して、あと原資見込みはわからないのだということでは、これは議決対象にする場合には基本的に矛盾があるのじゃないか。確かに税金とかそういうものとは違います。違うけれども、大体の見込みというものは歴年あるわけでありますから、それは立ってるわけでありますし、税収にしたってこれはやはり見込みなんです。これは初めからきまっているのじゃないわけですね。自然増収というものも一応見込みとして立ててやっているわけですから、そういう意味から考えてみますと、当然原資見込み議決対象としてのせてこなければこれはわからないじゃないか。この説明書によれば合計は六兆九千二百四十八億、そしてまた運用計画の締めもやはり同じです。そうでしょう。ということになれば、当然これに見合うような、説明書の中でも同じような性格として立てていくわけですね。その点はどうも矛盾しているし、私は理解できないのです。
  14. 橋口收

    橋口(收)政府委員 これはどうも繰り返しになって恐縮でございますが、いわゆる歳入歳出予算との性格相違ということから出てきている問題でございまして、租税国民から何らの対価もなく資金を吸い上げるという性格のものではございませんので、国民が自発的に貯金をする、あるいは保険料をかけるという性格のものでございます。そうやって集まりましたものの総体、これは資金運用部資金なり簡保資金として政府管理いたしております。したがいまして、その中の特に重要な部分について国会にお示しして、国会の御判断を仰ぐということでございますから、資金総体についての内容すべて国会議決対象にするというような歳入歳出予算とは、基本的に性格を異にいたしております。そういう点から申しまして、一番大事なのは、運用実態ということでございます。しかも、運用も五年以上のものでございますから、五年未満のものもございますし、あるいは年々歳々あるいは毎月毎日集まってまいりますものは当然運用をしなければならぬわけでございますから、そういうものは国会にお示しをしたもののほかに五年未満のものとして運用実態があるのでございますから、先生がおっしゃった議論を徹底いたしますと、財政法四十四条の資金というものの存在の基本に触れるということになるのでございまして、そういう歳入歳出外現金としての管理になじむようなものとしての資金運用部資金、こういうものとしてはいろいろほかにも外為資金とか国債整理基金とかございますが、そういう整理基金とか資金勘定というものは、毎日毎日のトランスアクションをベースといたしておりますから、そういうものについてすべて予算化して、すべて国会議決を受けるということは、これは実務的にもきわめて困難でございまして、また本来財政法四十四条が資金というものの設置を認めておるという基本的精神から申しましても、そういう取り扱いはたいへんむずかしい。  したがいまして、資金の中で五年以上という、財政投融資計画の中で、資金配分、資源配分的な機能を持っている部分につきまして、特に国権最高機関としての国会の御判断を仰ぐという性格のものでございますから、そういう性格のものとしてまず運用ということが非常に重要になってまいります。運用の中でも長期運用財投計画の一環としての意味を持つということから、国会議決を仰いでいるわけでございます。したがいまして、原資といたしましては、これは毎日毎日、毎月毎月、年々歳々集まってくるものでございますから、そういうものとしては別途の観点から、その運用というものも必要になってまいります。そういう運用総体について国会判断を仰ぐということは、たいへんおそれ多いことでもございますので、これは行政府責任において管理するというのが法律精神であろうかと思います。
  15. 広沢直樹

    広沢委員 これは幾ら繰り返しても同じような答弁しか返ってこないと思います。前々からそういう議論はあるわけですけれども、しかしこの予算書にいわば歳出に見合うものだけがのって、そしてこの説明書の中ではそれに合う歳出がある、あるいは運用計画があるということは、それに対する原資が当然伴っているわけですから、それは当然一応対象にすべきではないか。産投にしても政府保証債にしても、一応収支というものは何らかの形で議決対象になっているわけです。運用部資金だけは、原資だけは抜いてある。結局資金計画だけが予算総則の中の議決対象にしてある。非常につじつまが合わないと思うのです。  それで、そうであるならば、原資の中身ですけれども、これも指摘がありましたけれども、その他の資金という「その他」というのがありますね。これは全体の五兆六千億の中で一兆六千億有余もあるわけですけれども、これだって「その他」ということで審議対象として考えた場合、非常にあいまいなんです。これに対する質問に対しては、大体回収金がおもであるという話があったわけですけれども、それ自体もやはり財政的な運用を考えていくならば、当然こういった具体的な問題も、国会審議対象にして考えていかなければならない問題であるわけです。これだけの大きな財政一体になった運用を、一般会計一体になった運用をしなければならないものを、いままで議決対象外に置いてきたということが問題であり、それを議決対象にするということは、これもやはり十分審議する必要がある、そしてまた国会として審議した以上は、責任を持つ必要があるという意味から、これは議決対象ということを言っているのであって、ですから、いま指摘申し上げたように、「その他」の資金についても具体的な問題としては明確じゃないわけです。回収金というのは一体どういう回収金がどうなっているか、そしてまた回収されたものはどういうふうに運用されているか、あるいは過去にもそれぞれ機関に貸し付けて、いまはそうじゃない部分もありますが、そういった部分については貸付金の状況はどういうふうになっているかというようなこともあるわけですね。そういうこともこれではひとつもわからないわけですよ。これで審議しろということになれば何を審議すればいいか。ただ皆さんが出したこの数字のつじつまが合っているのを認めろというだけですか。いかがですか。
  16. 橋口收

    橋口(收)政府委員 これはいま御質問の中にもございましたけれども、税金の見積もりであって、景気の状況に応じてはふえることもあるし減ることもあるということでございます。そういう点は預金の面でも同じ事情にございますが、決定的に事情が違いますのは、一般予算の場合には歳出権ということでございまして、歳出権をちょうだいしていなければ、かりに税収が歳出見込みを上回っても歳出は許されないわけでございます。それに対しまして、資金でございますから、当初の見積もりに対して資金の増加がふえたという場合に、一般会計予算と同じように歳出権の制約によって運用をしないというわけにはまいらないのでございまして、これは当然利息のつくお金でございますから、受け入れ資金運用をしなければいけないということで、その中で五年以上のものにつきましては、あくまでも運用権によって政府にまかされている権限を特に縮小して、国権最高機関としての国会判断を仰ぐということでございますから、いわば政府は自分の行動を制約して出ているわけでございます。そういう点から申しまして、一般予算歳入超過と資金運用部資金の預金超過とは基本的に性格を異にしておるわけでございます。超過原資というものが生じた場合には当然運用をする、こういう宿命を持っております。一般予算の場合には歳入が超過すれば、それは剰余金ということになるわけでございます。歳出権がない限りは歳出ができないという、そういう基本的な性格相違がございますから、そこで資金というものの設置が認められ、特別会計予算としては利息の支払いなり、あるいは利息収入という、いわゆる損益予算、収支予算について特別会計予算として国会提出をいたしておるのでございまして、やはりそういう資金としての基本的な性格から見ての特別会計予算取り扱いも生じておるわけでございます。やはりその点は、基本的に一般予算とは性格が違うというところから取り扱い基本的な相違が出てきておるわけでございます。
  17. 広沢直樹

    広沢委員 ですから、私が一番最初基本問題としてお伺いしたのは、当初の財投の意図あるいは役割りというものが変わってきているではないか、これを御指摘申し上げたわけです。昨年の予算委員会あるいは当委員会等でも、議事録をいろいろ見ておりますと、ずっと変わってきたことは明確にわかります。その中で、昨年の予算委員会等では大蔵大臣はちゃんと、これはただ単なる資金の安全、確実、有利な運用というような性格のものではなくて、財政的資金配分性格を持っておる、ですから、これは考えなければならぬのだ。議決対象としてはいままではそういう必要はないと言ってきたのだけれども、いまや一般会計の半数あるいはそれをこえているときもあるわけですから、それだけの問題になってきておりますし、あるいはその運用内容を見ましても、たとえば道路関係予算にしても、住宅にしても、これはもう一体化してやっていかなければ政策目的というものは立たないわけですね。両者を一括して考えていくところに国の経済政策というか、あるいは経済活動というものを発揮させることができるのですから、当然これは財政資金的な色彩であると私は思います。これは出どころは、お話がありましたように、確かに金融的資金という色彩もあるけれども、それは当初の目的とはいま変わってきたんじゃないか。そういう関係から考えていきますと、いま歳出歳入とは違うと申しておりますけれども、それと類似したようなやり方というものを考えていかなければいけないんじゃないだろうか。  したがって、これもすでにいろいろ論議をされておりますが、憲法の第七章財政、その中で八十三条と八十五条ですね、この中にははっきりと明記されているわけですね。「國の財政を處理する権限は、國會の議決に基いて、これを行使しなければならない。」ということでありますし、あるいは「國費を支出し、又は國が債務を負擔するには、國會の議決に基くことを必要とする。」ですから、財政的資金であるということになれば、その運用に関しては当然国会議決を受けるのがあたりまえである。それをいままでやっていなかったということですね。こういうようなやり方をやっていくのであれば、なぜいままでやらなかったかということになるのじゃないでしょうか。いまここで議決対象にしていこうということを、出どころはどうだということよりも、いま置かれているその運用のあり方、その財政的な国の運用のあり方が、この財投の占める地位というものが相当大きくなってきた、単なる金融補完的なそういう色彩だけではもう考えられないときが来ているのだということであるから、これは当然変遷した推移によれば、議決対象にすべきであるという段階が来ているのじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
  18. 橋口收

    橋口(收)政府委員 広沢先生は公共的な性格と申しますか、資金運用部資金なり、あるいは簡保資金の公共的性格を非常に強調しての御質問でございます。これは先ほど来お答えいたしておりますように、公共的な性格の基礎になりますのは、やはり確実かつ有利な運用ということでございまして、国民の零細な貯蓄なり、保険料でございますから、それをお預かりしてまず確実に運用するということが第一命題でございます。  それから第二の命題としては、有利な運用ということでございます。利息の支払いができるようなできるだけ有利な運用という道を見出すというのが第二の課題でございます。  第三の課題は、公共性ということでございまして、これは現在資金運用部資金法なりあるいは簡保積立金に関する法律の第一条に明らかになっておりますところでございまして、われわれ資金管理者、保持者といたしましては、やはり確実かつ有利な運用ということを常に念頭に置いて行動する必要がございます。  しかしながら、今度の法案の提案理由の中でも明らかにされておりまする従来の確実かつ有利な運用に加えて、財政的資金配分といった性格を持つに至っている、こういう社会的事実の変化に着目をいたしまして、特に今回の措置をとったわけでございまして、ただいま御質問の中にございました憲法の条章規定から見まして、従来やっておりましたことが適当でなかったということではないと思うのでございまして、憲法八十三条は財政処理の権限は国会議決に基づくことを要するということをきめておりまして、いままでの取り扱いといたしましては、資金運用部資金法なり、簡保積立金に関する法律によりまして、国会の御意思としてそれぞれ大蔵大臣なり、あるいは郵政大臣が資金管理するということをいわば国会から委託を受けているわけでございます。そういう形でやはり財政民主主義の立場に基づいて憲法の条章の規定に沿っての法律の規定でございますから、その規定に基づいての郵政大臣の管理でございますから、従来は従来としての方式の論理があったわけでございますが、それが今回、社会的事実としての財投計画ウエートの高まり、あるいは質的な面の変化ということに着目いたしまして、さらに財政民主主義の立場から一歩を進めての措置でございます、従来の措置は適当でなかったということは言えないと思います。  それから、現在の法律の規定なり、あるいは運用実態から見まして、やはり公共的な性格とあわせて有利かつ確実な運用ということを常に念頭に置いて行動すべきものでございまして、これは預金者なり、加入者の立場から申しまして、当然の要請でございますから、公共的性格と有利かつ確実な運用とはお互いに矛盾するものではないと思います。二つの性格を合わせ持つということに今後の財投計画の使命なり、あるいは資金運用部資金管理の使命があるのじゃないかというふうに考えているわけでございます。
  19. 広沢直樹

    広沢委員 いまおっしゃっていることは、その財投資金が非常に小さかったときの話でして、いま非常に大きなウエートを占めてきているわけですから、かりに一般会計予算を実際に財政運用として動かそうとしても、それは財投がなければ、実際に道路行政にしても、あるいは先ほど申し上げた住宅行政にしても進まないわけですよ。政策的にはほんとうにごく小さなものになってしまう。ですから、今度はそれを活用して、いわゆる政策目標を達成しようということですね。もちろんそれは金融的なものも非常に大きなウエートを占めておりますよ。これもそれぞれの対策に対する金融の問題ですから、これは運用の面としては、あとまた述べてみたいと思っているのですけれども、考えなければならない問題もあるけれども、総体的な財投の置かれたいまの財政的な財政資金としての役割というものが増大してきているわけですから、当然それの中にあって検討する段階においては、議決ということになっていくことになれば、原資、そしてまたそれの運用計画というものは一応考えていくのが至当ではないだろうか。その重要な部分の、こういうふうに運用することが重要なんだ、その部分だけを認めてくれればいいんだというような、そういうものではないと思うのです。国会議決というものは、やはりどれだけの原資があり、それをどれだけどう使うか、使われたものがどういうふうな形になっていくかというところまで審議をする意味国会議決が必要なのであって、こういうものをこういう形でやるのだったならば、予算説明でいままで論議されてきたことと大差はないわけです。  それから、先ほど申しておりました「その他」の資金の中で私は一つ聞き漏らしているのですが、回収金がおもだということですけれども、たとえば日本航空機製造株式会社に貸し付けてあった。ところがそれが倒産をしているわけですが、その貸し付け条件はどうなっておったのか、そしてまた返済はどうなっておるか、あるいは焦げつきはあるのか、そしていまどういうふうになっているかという状況を——これだけじゃないのです、たくさんあるわけですよ。そういうものをいまここで説明しろというよりも、こういうものを資料として出していただけますか。でなければ、「その他」とだけいったんじゃ、回収金とだけいったんじゃ、どういうふうな運用をまかされているかと言われて、所管大臣のほうにこれがまかされているというのであれば、当然そういうものを検討する必要もあるわけです。それがこういう論議の中で、説明の中で指摘しなければわからないということであれば、これは問題であるから、国会議決対象にしなさいということを主張してきたわけなんですからね。これ、いかがでしょうか。
  20. 橋口收

    橋口(收)政府委員 「その他」の内訳は、回収金が大部分でございますが、そのほかに特別会計からの預託金等もございますが、これは前々回の委員会で御説明申し上げましたように、資金運用部資金として郵便貯金なりあるいは年金資金というものを統合管理いたしておりますので、一般予算と違いまして、融資をいたしておりますから、据え置き期間を経過いたしますとおのずから貸し金が返ってまいります。運用部資金が発足いたしましてから二十年以上経過いたしておりますから、企業に貸した融通金の回収というものが年々歳々相当ふえてきております。そういうものがいわば資金運用部資金全体として伸びる、ふえるという状態であればいわゆる処分可能な資金として新年度原資に充当し得るわけですから、そういうものとして「その他」というものを特に掲げておるわけでございます。これも四十七年まではおもな資金として郵便貯金年金のみを計上いたしておりましたが、特に国会の御注意もございましたので、今回から新たに「その他」という項目を加えたわけでございます。四つを足しますと資金運用部資金の合計に合致する、こういう措置をとったのでございまして、「その他」自体は特別の論理によってあるいは特別の原則によって行動いたしているものではございませんで、運用されたものの回収金でございますから、これは資金運用部全体として統合管理対象になる、こういうことでございます。  それから、日本航空機製造に対する御質問がございましたが、これは短期政府保証民間資金を調達いたしておりますもので、いわゆる財投計画の中の政府保証債とは関係ございませんし、それから資金運用部資金というものを日本航空機製造株式会社に対して融資をするというようなことはいたしておりません。これは一般会計のいわば保証行為でございまして、これはそれなりに国会議決をちょうだいして措置をいたしているものでございます。
  21. 広沢直樹

    広沢委員 そこで私は、「その他」だけでいまの説明じゃよくわからないので、「その他」のことについて具体的に、これは回収金であるならば回収金はどういうふうになっておるかという実情のわかる資料をひとつ出してくださいと申し上げておるのですが、いかがですか。
  22. 橋口收

    橋口(收)政府委員 資料はもちろん提出をいたしますが、一応申し上げますと一兆六千百五十九億円でございます。そのうち回収金は一兆二千七百九十四億円、それから船員保険特別会計三百四億円、労働保険特別会計四百八十億円、補助貨幣回収準備資金八百三十二億円、共済組合五百四十七億円、その他千二百二億円でございます。これは資料として提出をいたします。
  23. 広沢直樹

    広沢委員 それから、いまの問題に続いてですが、私の考えでは、この財投計画そのものをやはり一括的な第二予算という考え方から議決すればいいんじゃないかという考えを持っておるわけなんですが、二重議決だというようないろいろな問題が出てきております。しかし、二重議決になる、しいていえばそうとれるものもありますけれども、やはり一括して議決対象に考えていけるのではないかと思っておるわけですが、これは内閣の法制局でも一事不再議という原則に立って、これは一括的にやることは事実上無理じゃないかというふうに指摘されております。しかし一事不再議、一事ということですけれども、これは内容が同一であっても理由やあるいは目的、その目的を達成する方法、こういうことによって必ずしも一事として一つに考える必要はないのではないかという見解もあるわけであります。  したがって、そういう見地からすると、やはりこれを一括して議決対象として考え得るのではないかというふうに考えるわけです。ただ、その中でも産投会計については、しいていえば二重議決対象になるでしょう。「その他」の部分については、かりに財投計画議決案件として考えてみましても、たとえば資金運用部特別会計予算——こういうことはいままではないし、また一括して議決しておりますからそういうこともないのですが、かりに否決された場合においては実際に財投運用というものができなくなるわけですね。ですから、この目的とかあるいは理由あるいは方法を異にする場合は、それがダブっておったとしても、一事不再議の原則に触れるものではないという考えを持っておるのですが、いかがでしょうか。
  24. 橋口收

    橋口(收)政府委員 一事不再議ということばが適当であるかどうか、法制の専門家でございませんので、ちょっとお答えするだけの用意がございませんが、同一事項について二つの形式で国会の御判断を仰ぐ、こういう問題の当否の問題であろうかと思います。産投会計歳出財投計画に計上いたします産投会計分とはまさに同一事項について国会の御判断を仰ぐことになりますので、そういうことはないと思います。かりに特別会計歳出予算では国会の御承認をいただいた。いまおあげになりましたように、財投計画に掲載されております産投会計歳出については否決されたという場合には、政府としては去就に迷うわけでございまして、どちらの国会の御判断が正しいのか、あるいは金額につきまして修正されるという場合も想定されるわけでございますが、その場合には修正前の姿と修正後の姿とどちらが国会の御意思であるかということにつきまして確認の道がないのでございます。そういうことを申しておりますのが二重議決ということでございまして、そういう点から申しますと、産投会計とそれから政府保証債につきましては、いま御説明したような事態が起こり得るということでございますので、そういう事態を避けるというのがやはり予算提出する政府としての賢明な判断でございます。そういう意味で、周到な用意をするという立場で申しますと、将来二重議決の問題が生じて国会の御意思が分裂した場合に、行政府としての行動を制約するようなことになるのは適当でないというのが二重議決の趣旨でございまして、そういう点で申しますと、いま一事不再議というのとはやや性格が違うのではないかというふうな気がいたしますが、いずれにいたしましても、全く同一の事項について二つの形式で国会の御判断を受けるのは適当でないのじゃないかというのが、いわゆる二重議決の問題ではなかろうかと思います。
  25. 広沢直樹

    広沢委員 ただ、議決の問題について一番大事なのは、これがどういうふうに使われていくかということを検討することが一番大事なことなんですね。ですから、その面から考えていきますと、この中にあります政府関係機関予算、一応何らかの形でそういうものは議決対象になっているわけです。日本国有鉄道にしてもその他にしてもそうでありますけれども、しかし公団とか事業団、これもいろいろ御指摘があっておりましたけれども、これについてはただ金融的資金を貸し付けたのだということだけでは、具体的にどういうふうに使われたのかということはわからないわけですね、これだけを議決しました場合は。当然やはりこういう問題も、私も皆さんが主張していられると同じように、これは政府関係機関予算としてそれを組み入れて考えなければいけぬのじゃないか。全部が全部というわけにいかぬと思いますが、それはそういえると思うのです。そうだと思います。住宅公団にしてもしかりです。これは説明書のうしろのほうには、住宅が何戸建って、どうなるかということは全部説明されておりますよと申されておりましたけれども、しかしながらそれはやはり説明書の段階で見るべき問題でありて、これはどういうふうに使われ、どういうふうになっていくかという政策目的の上から判断して議決しなければならない場合においては、当然いまのように議決対象としてそこまで考えていかなければいけないのじゃないか、こう思っているわけですね。それはいまこの分だけはこういうふうになっているという理由と、いま私が申し上げているような方向に持っていけないものかということを、時間がありませんので、簡単でいいですから……。
  26. 橋口收

    橋口(收)政府委員 これは政府関係の諸機関の制度をどうするかという問題でございまして、繰り返しお答え申し上げておりますように、政府関係諸機関の中にもいろいろ性格相違なり取り扱い相違がございまして、いまお話がございました公社は、すべての歳入歳出予算というものが国会議決対象になっておりますが、これは御承知のように、特別会計というものを母体として発足した、そういう経過に基づくものでございまして、金融公庫あるいは輸開銀等はそれらと取り扱いを異にいたしておりまして、公庫につきましては、借り入れの限度については国会議決をちょうだいいたしておりますが、その他はいわゆる経費予算利息の支払い、利息収入等の予算について国会議決をちょうだいいたしておりまして、業務の全体についての議決というものははずされておるわけでございます。輸開銀はややそれより行動の自由が保障されたような取り扱いになっておりまして、やや性格相違はございますが、おおむね金融公庫と輸開銀とは似たような取り扱いになっております。  問題は公団、事業団でございまして、これはいずれも公社なりあるいは金融公庫が発足したあとにできた制度でございまして、現在の取り扱いは、御承知のように主務大臣の認可によって事業計画なり資金計画運営が行ない得るような取り扱いになっておるのでございまして、これら政府関係諸機関に対する国会議決のあり方等について問題があることは、たびたび当委員会でも御指摘を受けておるところでございます。これは私ども融資を管理する立場で融資をいたします場合に、それらの機関取り扱い相違によって融資面で相違があるということではないのでございます。当該機関の業務の活動に対する国会議決のあり方によって、融資の取り扱いに差等を設けるということはございませんので、これはむしろ財政投融資の作成官庁としての私どもの立場よりは、政府関係諸機関の制度をどういうふうに位づけるかという別個の問題であろうと思います。  したがいまして、財投計画に対する国会議決をちょうだいするやり方の問題といたしまして、どういう形をとるのがいいかということをいろいろ二年間にわたって検討いたしました結果が、いわゆる出口と申しますか、資金運用の面から国会についての御判断を仰ぐことが適当ではないか。歳出予算とは性格を異にいたしておりますが、それにやや似たものとしての運用運用権というものに対して国会から制約をちょうだいするということのほうが、国会議決を受けるあり方としては、そのほうがより適当ではないかということで、こういうことになっておるわけでございます。
  27. 広沢直樹

    広沢委員 私も予算委員会で、たとえば住宅公団の問題についても問題があるとして質問したことがあるのですが、再々予算委員会あるいは決算委員会等で、この公団、事業団の問題が絶えず問題になっているわけですね。ですから、当然これはほかの機関の問題については何らかの形で、歳出というか、いわゆる運用の面については、これは議決対象としてなっているわけです。討議されているわけです。ところが、いま申し上げた公団、事業団についてはこの問題が明らかじゃないということは、これも一つ大きな矛盾なんですね。再々指摘しているとおりですけれども、いまもおっしゃっているように、それがなぜ、そういうふうな政府関係機関予算としての考え方で、機関の中へ入れて議決対象として、その使用の方法まで検討するという体制ができないのかということですね。これも一つ大きな矛盾があると思うのです。どうしてもそれは具体的にぐあいが悪いというものであれば——それに住宅公団だとかあるいは道路公団なんというものは、ほとんど国の財源でやっているわけですから、これはそう考えてもいいんじゃないかということは言えるでしょう。そうでしょう。時間がありませんし、その問題のお答えは一括していただきたいと思うのです。  その次は、財投計画の中での弾力的運用の問題ですね。これも再三お話があっておりますけれども、百分の五十に増額できる、そこの権限までを認めよということですが、そうしたという理由はどこにあるのか、これも簡単に説明してください。
  28. 橋口收

    橋口(收)政府委員 財投計画原資は、先ほど来御説明をいたしておりますように、資金運用部資金及び簡保資金が大宗を占めておりますが、今回法律案で御審査をわずらわしておりますのは、資金運用部資金及び簡保資金運用の問題でございます。その性格につきましては、先ほど来たびたび申し上げておりますので、重複は避けたいと思いますが、受動的に集まってまいる資金でございますから、それは当然運用を予定いたすわけでございまして、運用形態としては、長期運用であれ、あるいは短期の運用であれ、債券に対する投資であれ、いろいろな形態があろうかと思います。いずれにいたしましても、運用するということがいわば宿命づけられておるわけでございます。  一方、財投計画に対して国会議決を受ける必要があるかどうかということにつきまして、昭和三十六年以来国会の各委員会で議論が展開されておりますが、その際政府が一貫して申しておりますことは、財政投融資は、財政活動の中でも特に景気対策的な配慮によって、その運営を左右する必要のある分野である。そういう点から申しますと、景気の行き過ぎの場合には財投計画を修正したり、あるいは景気が沈滞する場合には、財投計画が景気に対して刺激的な作用を行なうためにその事業を拡大するというような、いわば弾力的な措置を必要とする。と同時に、原資性格から申しまして、弾力的な取り扱いに限るものでございますから、そういうものとして年度途中においても機動的、弾力的な運営が必要になる。そういう点から国会議決を受けることは適当でないということを、十年来一貫して政府は申してまいったのでございます。  それが、今回御説明いたしておりますような趣旨で、特に国会の御判断を仰ぐということにいたしたのでございますから、当然財投計画性格から見まして、相当大幅な弾力的運用というものがいわば保証される必要が生じてまいります。五〇%といたしました理由は、過去の財投追加の事例から申しますと、五〇%をこえて年度中に政府判断で追加された事例も間々ございます。財投計画の金額が小さい場合、たとえば商工中金等の場合には、中小金融対策の要請もあり、従来五割以上、倍あるいは三倍程度にふやした事例もございます。しかしながら、一方金融公庫の借入金につきましては、国会議決をちょうだいいたしておりますが、これにつきましては、予見しがたい経済事情の変動による場合には五割ふやしてよろしいということを昭和三十三年以来国会議決をちょうだいいたしております。それから政府保証債につきましては、これも昭和四十六年度に、いわゆる中立機動型予算ということで、当時の見通しとして、四十六年度に景気が落ち込む可能性がある、いかなる事態にも対応できる措置といたしまして、政府保証債の限度につきましても、行政府判断で五割増額してよろしいという権限をちょうだいいたしております。  それらとのバランスを考えまして、実質的に五割増ではあるいは不十分な事態が生ずるかもしれないということは念頭に置いておりますが、かりにそういうことになりました場合には堂々と補正措置をとると申しますか、補正措置によって対処するということが必要じゃないかというふうに考えまして五割にしたのでございまして、これはよく御承知のように、全体として五割をふやすということは原資面の制約からもちろん不可能でございます、個々の機関について、個々の事情に即して五割までの増額をするということでございますので、特に五割という限度を設けましたのは、過去の二つの先例に準拠したものでございます。
  29. 広沢直樹

    広沢委員 いま、先ほどの、私が最終的に御質問したことにお答えがなかったのですけれども、公団、事業団は政府関係機関と同じような取り扱いにできないかということ、あとから答えてください。  いま、五割というと相当大きな金額ですが、これはいろいろな資料として出ておりますように、非常に景気が落ち込んだとき、四十年あるいは四十六年に一番不況が長かったわけですが、そういうときでも、そういうふうに五割もふやしたというのはないわけです。一番多くて一八%くらいですか。ですから、そんなに大きな弾力的運用をするという必要性はまずないだろうということ。それからもう一つは、約五割というと半分ですから、それだけの運用ができるということ自体も、やはり議決対象として考えていく場合においては、その中においてはどうでも——財政投融資性格あるいは財政運用性格的なものも相当、当初の議決対象として提示されたときから変わっていくというふうにわれわれも考え得るところがあるわけですね。ですから、それが半数というのは、実態から見てもやはり非常に多いんじゃないかと思っております。やはりその点は実情に即して考えていかなければならぬのではないかと考えるわけです。その点に対して、ほかはそうなっている——ほかの政府保証債についても、いままでそういう五割もふやしたという例はないと思うのですね。ですから、その点はもう一度御一考願いたいというふうに申し添えておきたいと思います。  それから次は、いわゆる法律案の第三条、長期運用の予定額の繰り越しなんですが、これについても、一般会計特別会計等においては、繰り越し明許ということで、何がどういうふうにどうなっているかということを具体的に検討できることになっているのですが、しかしこの条文からいいますと、どの機関がどういう形でというふうに具体的にこれを明確にすることができないのです。やはりこれは予算を効率的に運用することから考えてみまして、あるいは財政を効率的に運用すること等を考えてみましても、やはり当然これは一般会計特別会計に準拠した、そういうふうな具体的な問題として考える必要があるのではないか。その点いかがでしょう。
  30. 橋口收

    橋口(收)政府委員 繰り越し明許費の御指摘がございましたが、これは財政法一般予算についての規定がございますが、これも先ほど来御説明をいたしております財投原資としての資金性格から生じてまいる相違でございまして、一般予算の場合には、原則として会計年度区分によって歳出は結了するのでございますから、繰り越しが行なわれるのは例外でございます。ただ、経費の性格から見て繰り越しが必要になる事項につきましては、あらかじめ事項を指定いたしまして国会議決をちょうだいするというのが一般予算の繰り越し明許費の性格でございます。  財投計画は、財投対象機関それ自体も会計年度の区分がございますが、事業としては年々歳々継続をして執行されるものでございます。それから原資のほうで申しますと、これも年度区分に関係なく自然に金が集まってくるものでございますから、したがって、本来繰り越されるべき性格を持ったものでございます。一般予算のように繰り越しが例外ということではなくて、繰り越しが本則でございます。したがいまして、一々予算で事項を指定して、繰り越すべきものと繰り越すのが適当でないものとの区分をするということは不可能でもございますし、また実態に即さないのでございます。そこで法律の規定によりまして、一括して繰り越しができるという措置をお願いをいたしておるわけでございます。これは資金性格から見まして、一般予算とは性格相違がございますので、その性格から基本的に生じてまいるものでございまして、一般予算につきましても、事項を指定いたしますが、それは別に全額を繰り越しするという必要はないのでございまして、その事項に掲載された金額の範囲内での繰り越しを行なう、これはやはり会計年度区分ということを大前提に置いての措置でございます。繰り越しは例外。それに対しまして財政投融資は、原資面性格から申しまして繰り越しが本則ということになるのでございまして、その点を特に法律で明らかにして、一括しての繰り越しが可能になるようにお願いをいたしておるのでございます。
  31. 広沢直樹

    広沢委員 それでは私は、その点はやはり具体的に——繰り越すのが原則なんだという考え方では私はないわけです。やはり一般会計予算が単年度主義をとっておりますし、それに準拠した財政運用をやっていく、財投計画もそれに応じて当然政策的な問題としては考えていかなければならない、財政運用としては考えていかなければならぬ、こう考えておりますので、それがどういうふうに具体的にどの時点で余って、それがどういうふうな時点のために繰り越さなければならないかということは、私はある程度、これは一般会計と同じように準拠して、やはりこれは明確にすべきであろう、こう考えております。  そこで、時間がありませんので、具体的に二、三の資料を要求しておきたいと思います。ということは、海外経済協力基金、それから、これは全部言ったらいろいろ手間がかかるでしょうから、道路公団あるいは住宅公団、年金福祉事業団、以上について、当初の予算計上額と、年度内に使った額、それから翌年に持ち越した額、四十六年、四十七年、それぐらいのところをひとつ出していただきたいと思うのです。それに基づいて今度は、それからの財投配分とかいろんな問題は、その次の問題として出てこようかと思いますので、これをひとつお願い申し上げたいと思います。  それから次は、運用についてでありますが、この年金だとか郵貯だとか、この特別会計予算書を見ておりますと、資金運用部資金が、先日もお話がありましたように、やはり赤字が出ております。これは余剰資金の中からこれを埋めるということでありますけれども、いままで赤字を出したという例はなかったと思うのですが、どうしても赤字を見込まざるを得なかった理由ですね、これはまあ運用のしかたとかいろんな問題がここにあると思うのですが、その点を、これも簡単にひとつ説明してください。
  32. 橋口收

    橋口(收)政府委員 資金運用部資金特別会計は、利殖収入利息支払い、人件費等の経費予算、これで成り立っておりますが、四十七年度は大体四十八億円程度の赤字になるのじゃないかという見通しでございます。いままで赤字を出したことはあるかという御質問でございますが、いままでは赤字を出したことはございません。四十七年度赤字が予想されますのは、一番大きな理由としましては、全体的な金利水準の低下ということでございまして、一年半くらいの間に政府短期証券の金利は一・五%も低下をいたしております。集まってまいります資金は、先ほど来申し上げておりますように、常に運用いたすのでございますが、その運用対象としての政府の発行する短期証券が一・五%金利が下がっておりますので、平均残高でかりに一兆円あれば百五十億の損、二兆円あれば三百億円の損ということになるのでございまして、大体年間の売り上げと申しますか、収入が一兆円強でございますので、その中で百五十億とかあるいは二百億が損になっておるということになりますと、これは非常に大きな比率でございます。主として運用対象としての短期証券の金利の低下ということが大きな理由でございますが、そのほかに全般的な金融緩和の影響を受けまして、実際に融資の約束はいたしておりますが、対象機関なりあるいは地方公共団体が実際に金を引き出さない、約束をいたしておりますから、資金の用意はする必要がございますが、しかし、現実にはなかなか引き出しをしない。その間もやはり運用する必要がございます。六・二%の金利を払ってお預かりをして、それを四・一二五%で運用するということでございますので、その利幅の差というものが赤字の原因になってまいります。そういう金利低下と、それから運用実態面の状況の変化によるものでございまして、ある意味ではいかんともしがたい情勢というふうに考えております。
  33. 広沢直樹

    広沢委員 四十七年度でも大体二兆円少々ですね。そういうふうに残として残っているのではないかと思われますが、年々増加していく傾向にあるかどうか。そういうことになってくるとしますと、いま言うように赤というものが出てくる。どうしてもそれをそのまま置いておくというわけにはいきませんから、短期の運用のしかたをとるでしょう。しかし、そうすると、利率は非常に安いわけですが、それが当然額がふえていくということも予測されるわけですけれども、その点についてはどうか。  それから、時間がありませんので一括して聞いておきたいと思うのですが、総体的にこのところ金利が下がっておるわけでありまして、この運用部資金金利も非常に、〇・三%ですか、昨年の九月に下げているわけです。やはりこれは郵貯の側と、それからあるいは年金のほうから考えてみると、ある程度この金利が、運用として非常に高くしろという意味ではありませんが、適当な運用の利回りということは考えなければいかぬではないか、こういう意見が非常にあるわけです。それで、たとえば年金の場合については、還元融資等をやる場合に、非常に福祉の関係で低金利融資をしなければならぬということもありましょう。ですから、一がいに預託金利を引き上げるという問題は、大幅に引き上げていくということになれば、これは大きな問題になってくると思います。しかし、民間ベース、これは民間ベースとは違いますから、当然政策的にやるわけですから、非常に安いということは考えられるのですが、国債を発行しておりますが、それまでとは言いませんけれども、少なくともある程度利回りについても考慮する必要があるのではないかと思うのです。六・五%であったものが金利の低下に基づいて六・二%に下げた。たとえば〇・一%下げても大体積立金が、年金でも、厚生年金国民年金だけでも約八兆円近くあるわけですから、何十億と違うわけですね。そういう面から考えてみても、金利の利回りについてはどういうふうに考えておられるのか。  それから、これは具体的にお伺いしようと思ったのですが時間がありませんので、郵政省も来ていただいているので、郵政省のほうにも一問聞いておきたいのですけれども、実は郵便貯金金利についても、現在大体定額貯金が一年もので五%だと思います。したがって、現在の物価上昇の面から考えてみますと五%オーバーしているし、あるいは四十八年度経済見通しでも大体五%は物価は上がるということをいっているわけですから、そういう面から考えていきますと、これも非常に低いのじゃないか。それは大きな資産家は、そういうふうに物価が上がり、インフレムードが上がってくると、それだけの資金を投機に動かしたり、いろいろな問題を起こしているわけです。しかし郵便貯金は零細ですから、そういう問題ではそのまま置いておかなければしようがない。預けっぱなしにして、一生懸命汗水流して働いて少しずつためていったものの価値が結局下がっていくということになれば、これは大きな問題じゃないかと思うのです。そういう見地から、郵政省としてはどう考えているか、それをまず伺っておきたいと思います。
  34. 滝本哲郎

    ○滝本説明員 先生の御意見まことにありがたい御意見で、われわれも庶民の貯蓄にできるだけ有利な利子をつけるために常々努力をいたしております。やはり問題は、まず郵便貯金事業が事業を運営してまいる場合、お預かりしました郵便貯金はすべて資金運用部に預託いたしまして、そして預託金利収入をおもな財源といたしまして、事業の中でまず必要な経費をまかなう、それから預金者に対する利子を支払う、こういうことになるわけでございます。私どもといたしましては、現在の六・二%の預託利子の範囲内で私どものほうの定額貯金その他、そういったものをすべてまかなっておりますが、現在以上に引き上げるということは、現実問題としては経営上無理が生じます。したがいまして、現在以上に引き上げるといたしますならば、これは当然に預託利子収入というものをふやさなければならない、いわば預託利子の利率を引き上げなければならないということに結びつくかと思います。
  35. 橋口收

    橋口(收)政府委員 資金運用部資金特別会計の赤字の問題でございますが、先ほど来御説明いたしておりますように、客観情勢の影響を受けましてそういう事態になっておるのでございますが、公定歩合が四・二五%という非常に低い数字になっておりますので、それと連動して幾つかの金利体系というものが設けられておりますので、資金運用部資金管理者の立場においてはいかんともしがたいという情勢でございます。ただいま郵政省からもお答えがございましたように、七年以上の長期の預金につきましては、六・二%の金利をつけておるのでございますが、法律では六%、当分の間一定限度内において特別利子を付することができるということになっております。昨年の八月まではそれを〇・五%つけておったのでございます。六・五%ということで、それとの見合いにおきまして運用も六・五%にいたしておりましたが、昨年の九月から新規の預託につきましては六・二%に引き下げをいたしましたので、運用の面におきましても平仄を合わせて、六・五%から六・二%、〇・三%の引き下げを行なったのでございます。昨年郵便貯金の利下げがございまして、その利下げの利益なり実際の効果というものを国民全体に均てんさせるためには、末端の財投機関運用金利あるいは資金コストが下がることが必要だ、こういう要請がございましたので、そのためにはやはり運用部資金運用金利というものも〇・三%に見合って引き下げるということが必要ではないか、そういう判断措置をとったのでありますが、単純なる管理者の立場で申しますならば、預託金利が下がった際に多少のかすりをとると申しますか、〇・三%そのまま下げないで、〇・二%下げるとか、あるいは期間に応じて、長いものは据え置きにするとか短いものだけ下げるとか、いろいろな操作の余地があるかどうかの検討もいたしたのでございますが、やはり郵便貯金金利が下がったという効果を国民に広く末端まで均てんさせる必要がある、そういう要請のあることを考えますと、途中でこの際多少の利ざやをかせぐというのも適当でないのじゃないか、そういう判断で〇・三%の引き下げを行ないましただけに、よけいに収益面で圧迫を受けるということになった経過もございます。  したがいまして、基本的には金利体系がどうなるかということの影響を受けますが、運用の面におきましても、やはりできるだけ運用の多様化をはかりまして、なるたけ利回りの高い証券類があればそれに投資をする。もちろん法律の制限がございますから、投資の物件というものはたいへん限定されておりますので、現状ではそう思うような運用もできませんが、しかしいま御指摘にございました国債等は表面利率は六・五%でございますが、利回りは六・七%強でございます。われわれの立場で申しますと、たいへん有利な物件でございます。現在は御承知のように、長期の国債は市中銀行と運用部とが分けて持っておりまして、金利調節機能を営む中央銀行にはほとんど国債の残高がないという状況になるぐらい、運用部としてはこの余裕資金運用対象として長期国債というものに期待をしております。ただ、年金については特に高い金利をつける、郵便貯金年金とに差等をつけるという問題になりますと、これは預金者平等の原則と申しますか、そういう立場から申しまして、やはり資金運用部資金として統合管理をするという立場で申しますと、預金者によって差等をつけるということは現実問題としてむずかしいのではないか。現在は期間に応じて差等をつけておりますので、七年から一月までござますが、期間に応じいて差等を設けておりますが、期間による取り扱いの差ということは、これは可能でございます。しかし、相手方によって、預金者によって差等をつけるというのは現実問題としてむずかしいのじゃないか。昨年もいろいろ検討いたしましたが、結論としてそういう差等をつけるのは適当でないということで、現在のような体制になっておるわけであります。
  36. 広沢直樹

    広沢委員 ただ、この財投資金が、大体いま言うように運用部資金がおもなものでありまして、それが年金とそれから郵便貯金簡保、こういうものでありますから、国民大衆から集めたお金です。したがって、これは貸し出し、運用する面においては、福祉関係は非常におくれておるし、福祉の充実のためには相当低利な融資をしなければならぬ。これは一般財源のほうから利子補給するなりそういう方法をとっても、これは具体的な施策を推進していく上での金融というものはできると思うのであります。ただ一面においては、そういうふうな大衆から集めた金ですから、その運用についていま言うような影響が相当出てくるような、先ほども郵政省から話がありましたようなそういうあり方ではやはり運用のしかたに問題があるのではないか。ですから、その点を十分配慮する必要があるのじゃないか。ただ高くしろと言っている意味じゃありません。相対的にいままでの金利の中では、この運用部資金金利というのは非常に安い。ということはまた、運用しやすいという利点もあるわけでございますが、その点について十分に配慮すべきではないかということを申し上げておきます。  時間が三十分も経過しましたので、厚生省にもお伺いすることが二、三点ありましたけれども、一応次回にしておきます。
  37. 鴨田宗一

    鴨田委員長 午後一時より再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午前十一時五十五分休憩      ————◇—————    午後一時十一分開議
  38. 鴨田宗一

    鴨田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。塚田庄平君。
  39. 塚田庄平

    ○塚田委員 長い間私どもの要求していた財投計画国会審議がやっと実現にこぎつけた、こう思いましたら、それはこの法案に出ているとおり、舌をかむようなたいへん長い題名で、運用部資金簡保あるいは郵便年金、この運用についての法案だけに実は終わっております。なぜ一体財投計画全部を出さないかということについては、私はその原因を、けさからの理財局長の答弁の中で、この辺に原因があるのではないかという点が一つ見当たったわけです。それは初めに原資ありきということばを確かに伺いました。つまり、財投計画原資というのは初めにあるんだ、つまり天から降ってきているんだ、しかもそのあれは、何べんも局長が繰り返し答弁するように、自発的で、しかも受動的なんだ。これは原資が今日まで積み立てられてきておるその過程についての認識が非常に甘いんじゃないか、こう私は思うのですよ。率直に言って、財投計画というのは、国民が自発的にとはいうけれども、実は国民年金とか厚生年金は決して自発的にじゃありません。まあいわば半強制的に積み立てていくという性質のものだと思うのですよ。これを政府は、積み立て者には何ら相談なく、かってに借り入れて使う、つまり、国債の発行をしない現実の国の借金政策だと思うのです。この点の観念がかみ合わないと、二重議決の問題もあるいはあとでいろいろ起きてくる。そういう問題についての結論はどうしても合ってこない。私は、初めに原資ありきというこの思想が、実際ほんとうにそう考えておるのかどうか、この点についてまず、局長の所信を承りたいわけです。
  40. 橋口收

    橋口(收)政府委員 資金運用部資金という制度は戦後発足したものでございますが、御承知のように、預金部資金という制度は明治から連綿として続いておるものでございます。戦後、資金運用部資金というふうに名称を変更し、しかも運用につきまして、財政民主主義という立場から、法律によって明定された対象範囲に限定するというふうに法律改定が行なわれましたが、資金運用部資金の前身はあくまでも預金部資金でございますし、その大宗を占めるものは郵便貯金でございます。もちろん、昭和十七年であったかと思いますが、厚生年金の制度が発足いたしまして、その収支差額は資金運用部資金として管理する、三十六年には国民年金の制度ができまして、その積立金資金運用部資金統合管理する、こういう新しい制度の発足がございましたが、やはり国の制度信用によって集める資金としての歴史は明治以来からあるものでございまして、そうやって集まりました資金国民の立場から申しますと、安全な金庫ということで国に預けた資金を、国が十分な用意と周到な配慮のもとに運用するという性格は明治以来からごうまつも変わっておりません。そういう社会的事実というものに着目をいたしまして、最初資金があるということを申し上げたのでありまして、別に財投計画計画表として議決対象にする問題とは直接関係は持たない本来の資金性格でございまして、二重議決になるという問題につきましては、繰り返しお答え申し上げておりますように、産投会計歳出なり政府保証の問題については、同一事項について国会議決を仰ぐということが法律制度上なじまないということで、単一の案件にし得ないというのが二重議決の問題の本質でございます。  で、先生がおっしゃいましたように、資金がある、おそらく先生の御主張は、郵便貯金は全く国民の任意的な貯蓄であるが、厚生年金なり国民年金というものは、いまのおことばにもありましたように、半強制的なものじゃないか、こういうことから発しての御主張ではないかと思いますが、ただ私が申し上げておりますのは、国民から何らの反対給付なしに無償で資金を取り上げると申しますか、資金を獲得する手段としての租税とは本質的に異なるということを申し上げておるのでございます。年金は申すまでもなく強制加入でございますし、一種の強制保険でございます。しかし受益と負担の関係には相互に関連性がありまして、一つの保険集団の中のできごとでございますから、加入者は掛け金の段階においては負担をいたしますけれども、しかし給付を受ける段階で受益者になるのでございまして、その間には明らかに負担と受益には関連性がある。それに対しまして、租税は負担と受益の間に全く関係がないということで、年金につきましてよく強制徴収とか強制保険ということばが出ますけれども、内容的に見ますと、税金とはやはり本質的に性格が違う。  また、運用部としては、何か財投原資を獲得するために、制度として厚生年金積立金とか郵便貯金を無理やりに持ってきているという性格のものではなくて、やはり一種の保険財政でございますから、郵便貯金積立金というものが生じてまいります。積み立て方式をとります以上は、そういう積立金を生じてまいりますから、それをいかに運用するか、そういう立場から、資金運用部資金というものに統合して運用することが一番合目的的だ、こういう考え方によって資金運用部資金に集中管理をされておるのでございまして、別に最初資金があるということを申し上げたからといって、何か税金と違うという性格を強調するために申し上げたのでございまして、政府の意図として資金開発した、こういう性格のものでないということが、申し上げた趣旨でございます。
  41. 塚田庄平

    ○塚田委員 かりに百歩を譲って、そういう意味で初めに資金ありということをおっしゃったんだとしましても、税金とは違うんだ、つまり受益と負担の関係という点からいうと、税金はそういう関係はない、しかし年金については受益と負担の関係があるんだ。そうすれば、なおさら国民が国に預ける、税金と違って、これはあとで受益があるんだということを考えながら預けておるその預け入れ金の使用については、税金よりももっともっと寄与した使い方、つまり国民に知らしめる、あるいは議会のコントロールのもとに置く、これは考えようによってはもっと広範でなければならぬ、こう考えるのですが、一体局長はどういう考えを持っておるか聞きたい。
  42. 橋口收

    橋口(收)政府委員 郵便貯金の場合はたいへんはっきりしていると思います。これは貯金者が便宜上行なう行為でございまして、貯金者が安全な金庫としての郵便局に預金をする、その利益はあげて貯金者に帰属をするものでございますから、これには比較的問題は少ないと思います。  問題は年金でございますが、年金の場合は、積み立て方式をとっておるという制度のたてまえがございますので、問題はやはり掛け金の水準なりあるいは給付の水準なりがどうなるかということでございまして、特別会計収入支出の差額、それは将来に備えてのいわゆる責任準備金的なものでございますから、そういう資金のかたまりというものが生じてまいりますので、こういうものを資金運用部資金に統合して運用しているということでございまして、いま先生のおっしゃった趣旨を延長いたしますと、やはり年金財政のあり方の問題なり、あるいは年金給付の水準の問題なり、あるいは掛け金をどうすべきかという、いわば年金制度の問題でございます。私どものお預かりしておりますのは、そういう積み立て方式という制度のいわば反映として資金管理をいたしておるのでございまして、先ほどの追加になりますが、別にそういう資金をほしいがために、そういう資金を確保するがために、特に積み立て方式を財投計画のサイドから要請しているということではございませんので、これは制度の結果としての預金を受けるということでございます。
  43. 塚田庄平

    ○塚田委員 大蔵省としては、資金運用面の問題であって、私の言ったのは、それは年金制度の問題だ、こういうことですが、しかしそういう経過を経て入ってくる資金ですから、当然その趣旨にのっとった使用のしかたをしなければならぬと思うのです。  たとえば運用部から財投に入ります住宅の例でいいますと、一般会計ですと低家賃住宅その他がどんどん建っていくのに、住宅公団に入りますと、これは非常に家賃の高い、いわば低所得者にとっては手の届かないような事態に資金が転換していく。まあこれは一例ですが、もっとひどいのは、公共投資というところに大きくそのウエートがかけられるということになれば、はたして年金積み立て者の意向を十分そんたくした使い方、運用をしていると言えるかどうか、この点についてひとつ見解を承りたい。
  44. 橋口收

    橋口(收)政府委員 これは戦後資金運用部資金の制度が発足いたしました際にも、年金資金のうち特に厚生年金国民年金につきましては、いわゆる還元融資という制度がございまして、毎年の積立金の増加額のうち一五%は特に国民生活に直結した分野資金を流す、こういうことで運用をいたしてまいりましたが、昭和三十六年に国民年金の制度が発足いたしました際に、その割合を一五%から二五%に高めて年金資金伸びのうちの四分の一は国民生活に特に密接に関連する分野資金を流すということで、毎年の財投計画財政上そういう配慮をいたしてまいったのでございます。  さらに、昭和三十六年の国民年金制度発足の際に、厚生年金国民年金積立金の増加額に対する還元融資だけでなくて、年金資金全体としてこれをやはり国民生活に深い関係を持つ分野に流すということで、いわゆる使途別分類表——住宅その他幾つかの分類がございますが、そういうものに年金資金がどういうふうに充当されているかという姿を明らかにするということが法律の義務として課せられております。これは年々資金運用計画をつくって資金運用審議会にはかります際に、年金資金につきましては、使途別分類表というものをつくりまして、国民生活に密接に関連する分野にどの程度資金が流されているかということを明らかにした計表をつくって今日までに至っております。  さらに昨年の夏、郵便貯金の利下げに関連をいたしまして、資金運用部資金の預託金利を引き下げるという問題が生じました際に、やはり厚生当局との間にいろいろ相談をいたしまして、従来の還元融資の割合を昭和四十八年度から四分の一から三分の一に上げる、こういうことを約束いたしまして、それは四十八年度財投計画で実施をいたしております。  さらに年金資金全体につきましては、その八五%をいわゆる使途別分類表の一から六までの、国民生活に密接な関連がある分野に流すということを約束いたしまして、それもそのとおり四十八年度からその八五%を一から六の分類のものに充当をいたしております。さらにそのうちでも特に住宅、厚生福祉施設、生活環境整備、この三つの事項につきまして、全体の六七%を一から三の分類のものに充当する、こういう厚生当局との約束もあり、それもそのとおり実施をいたしております。  そういう点から申しまして、資金運用部、特に年金資金につきましては、御説明したような配慮をいたしておりまして、それは従来からの配慮に加えて、昨年から、そういう約束に基づき、ことしは特にそういう周到な配慮を加えて年金資金の使途を明らかにいたしております。  こういう問題について、お金はしるしがないから、これは見せかけだというようなことをおっしゃる向きもございますが、しかし年金資金なりあるいは厚生年金国民年金積立金がふえるということは厳然たる事実でございますから、そのうちの三分の一なりあるいは年金資金の八五%は第一から第六の分類まで流すということは行政当局のいわば義務でございますから、そういう角度からの財投計画編成に対する基本的な制約といったものが生じてまいりますので、これは決してむだな措置ではなくて、お預かりした年金資金がどういうふうに流されているかということを国民の前に明らかにするものとしてたいへん大事なことではないかというふうに考えておるわけでございます。
  45. 塚田庄平

    ○塚田委員 それじゃ次の問題に移ります。財投計画というのは、先ほどいろいろ答弁があったとおり、いろいろな方面に分かれております。産投支出については特別会計議決対象になっておる。あるいはまた政保債については一般予算総則でやる。そうして今度の運用部資金あるいは簡保資金等については、このたびの法律議決になる。  そこで、局長に端的に聞きたいのですが、現在の制度の中では、いま言ったとおり二つ三つに分かれて議決される、こういう形になっておりますが、やはり何年来かの議論というのは、財政投融資計画というものは一本で、よく国民にわかるように国会議決を経る必要がある、こういうことで主張されてきておりますので、一体、これが一本で議決されるという方途はないものかどうか、私はあると考えるのですが、この点ひとつ率直な局長の意見を聞きたいと思います。
  46. 橋口收

    橋口(收)政府委員 財政投融資計画は、戦後の日本開発した一つ財政活動をあらわす方途でございますが、いま御質問の中にもございましたように、原資の面で申しますと、産投会計資金運用部資金簡保資金、それに政府保証債ということでございますので、こういう原資の構成で財政投融資活動を行なうというのがいわゆる財政投融資計画であるとしますならば、これを一本にまとめて、単一の議決行為の対象として処理をするということは、技術的な制約から申しましてたいへんにむずかしいという感じがいたします。したがいまして、問題は、それぞれ別の形で議決されたものについて、総体としてどういうふうになっているかということの一覧性と申しますか、明瞭性と申しますか、そういう角度からの配慮につきましては、前回も武藤委員から御指摘をいただいたのでございますが、現在の計表の整理のしかた、あるいは説明のしかた、しぶり等につきましてさらに改善を要する事項はないかということであれば、これはまだ一段とくふうの余地があるのではないか、国会の御意思を確認する方法としては、それぞれ原資性格によって違いはございますが、確認さるべき国会の御意思の反映としての財投計画の姿につきましては、計表の作成の技術なりあるいは表示の方法なりについて、さらに検討を加える余地があるのではないかという感じがいたしておりますので、前回お約束いたしましたとおり、あと一年ございますが、四十九年度財投計画までには現状よりさらに改善された姿のものとしてお示しをしたいというふうに考えております。
  47. 塚田庄平

    ○塚田委員 私は、この財投計画というのは、ことしは一般会計に比べて四八%、非常に飛躍しておると思うのです。第二予算ということばもあるくらいですので、できるだけ一般会計に準じた形で議決をする、こういう形式をとるのが私はやはり財政民主主義の立場からいって当然だと思う。そこで私の考えですけれども、いま言った三つないし四つの会計なり資金を一本で議決するということになれば、あるいは財政法の改正というところまで進めなければできないかもしれませんが、この際財政法の改正ということをも含めて、これを一本で議決する、つまり歳入の面では、産投会計資金に入れておる資金あるいはまた運用部資金あるいは簡保資金あるいは公募債借入金、これを歳入に立てる、そして歳出面ではこれは先ほどからずいぶん議論になっておりました公社、公団、こういう政府関係機関に対する支出、これを支出に立てて、ほんとに一般会計等に準じた議決のしかたをする、こういう思い切った改革がいま必要なんじゃないか。もうそこまで来ておると思うのですが、局長の考えを聞きたいと思います。
  48. 橋口收

    橋口(收)政府委員 いま御提案のございましたような考え方を一番左の姿というふうに考えますと、一番右の姿というのは、いわばばらばらにしてしまうということではないかと思います。つまり、いまは厚生保険特別会計、厚生年金国民年金、それから郵便貯金、こういうものを統合して資金運用部資金として管理いたしております。これを全部ばらしてしまいまして、たとえば郵便貯金郵便貯金で独立運用をする、それから厚生年金なり国民年金もまたこれを別に独立の機関を設けて運用する、それから政府保証債政府保証債で、これはそれぞれの機関で調達するという、全体をばらばらにしてしまうという考え方が一番極端な右の考え方としますと、先生のおっしゃいましたのは、それじゃ全部どんぶり勘定と申しますか、プール勘定の中にほうり込んで、それを歳入歳出予算としてくくるということでございますが、これはまたそのばらばらにするのと全く逆の考えに出るものだろうと思います。ただ、これは、たびたび申し上げておりますように、いわゆる歳入歳出予算性格を異にするものでございますから、そういうものを一つのプール機関みたいなものに入れて、ただその場合にも政府保証債というのはそれぞれの機関の発行する債券でございますから、そういうプール勘定ができるということであれば、プール勘定の負担において国債を出すということになるのでございます。そこまで徹底して考えますと、郵便貯金もこれは一種の国債でございます。定額貯金利息のついた引き出し自由の国債ということでございますから、これは、まあそこまでまいりますと、いまの郵便貯金の制度から、厚生年金の制度から、資金運用部資金の制度から全部をひとつ白紙に戻して、新しい何か制度を設けるということでございまして、諸外国の例等を見ましても、産投会計のような特別会計を持っている国は幾つかございます。たとえば西独のごときは、日本の見返り資金と似たような、マーシャルプランに基づくファンドというものを基盤として特別会計というものを持っております。あるいはイギリスのごときは、特別会計の負担で国債を出しております。そういうものはやはり国会議決対象になっておりまして、日本産投会計に相当する部分は、明らかに国会議決対象になっております。しかし郵便貯金で集まりましたものは、諸外国は大体国債に運用しております。  したがいまして、資金の流れというものを基本的に変えてしまって、郵便貯金で集まったものを全部国債ということに一回転化をいたしまして、一般会計歳入にとって、それから各機関に出資なり融資の形でやるというような手段をとることも、もちろん仮定の議論としては可能でございますが、これはやや余談になりますが、やはり郵便貯金とか厚生年金とか、自然に集まった資金をそのまま政府機関に流すということは、それを一回国債に転化しますのに比べますと、コストが安くて済むわけでございます。国債ということになりますと、一般の消化ということで、金利体系というもののバランスなりあるいは消化可能という要請が出てまいりますので、そこで一段資金コストが高くなるわけでございます。戦後の日本開発にかかる財投計画というものは、郵便貯金あるいは厚生年金から集まってきた資金を、できるだけ低いコストで、低い金利で活用することができるというところに一つの生活の知恵があるのでございます。先生のおっしゃったようなことを実現するためには、いまの制度の仕組みを根本的に変えなければいかぬ。根本的に変えた場合に、はたして安い資金コストの資金というものが調達できるかどうか、その辺に基本的な問題がありはしないかというふうに考えております。
  49. 塚田庄平

    ○塚田委員 それにしましても、今度出された特別会計予算書では、先ほどいろいろ質問のあったとおり、わずか三ページにわたる予算書で、それぞれの機関からいえば、財投計画からこれだけの金が入るのだ。こういう機関からいえば、歳入だけが実はのっかっていて、どう一体これを運用するのかという、これはことばは適当じゃありませんが、それぞれの機関にとっては支出面、これが一つも出ていない。私はこれはやはり国会議決を得る形式としては不都合じゃないか。これでは議決対象としては重大な欠陥があると考えるのですが、この点をひとつ改める、それぞれ重要な歳出面等について、あげてともに議決する、こういう形でなければ私はどうもおかしいんじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
  50. 橋口收

    橋口(收)政府委員 これもたびたび御質問がございましてお答えを申し上げたのでございますが、財投計画国会議決との関係、そういう観点から申しますならば、今回とりました措置は最善と信じておるのでございまして、産投会計につきましても、歳出のサイドから、それから政府保証債につきましてもどうやって資金を調達するか、そういうサイドからすでに国会議決を受けておりますので、同じように、やはり財投計画原資運用実態というものを国会議決との関係において明らかにするということが、従来の議決と平仄も合っている、こういう観点から最善と信じてこういう措置をとり、法律案として御審議をわずらわしておるのでございます。  その次の問題としてのお尋ねでございますが、政府関係諸機関の制度をどうするかという、いわば財投計画の問題とはやや角度を異にする問題でございまして、公社なりあるいは金融公庫、輸開銀、公団、事業団各種のそういう政府関係諸機関がございますが、それぞれ予算なりあるいは資金計画、事業計画取り扱いににつきましては幾つかの類型がございまして、そういう類型に即して運用をいたしておりますが、午前中もお答えいたしましたように、機関性格相違予算なり資金計画、事業計画取り扱い相違によって、融資の立場から取り扱いに差等を加えるという必要は毛頭ございませんので、いわば財投計画作成官庁の立場で申しますと、いまの政府関係諸機関取り扱いの差等というものは、率直に申しましてそう気にならない、こういうことであろうかと思います。したがいまして、あとはその制度をどうするかという、やや別個の問題として御論議願いたいという感じがいたします。
  51. 塚田庄平

    ○塚田委員 それでは、たとえば一例をあげたいと思うのですけれども、住宅公団の実は予算ですが、きょうは公団を呼んでおりませんから、局長、かわって答弁していただきたいと思うのですが、この計画では、たとえば予算があります。私ども、残念ながらいま言ったような観点から予算書によって質問をすることができなくて、実は説明書質問する、こういう変則的な審議の状況をたどるのですが、たとえば日本住宅公団、これは本年度予算は六千七百九十億、こうなっております。住宅も八万戸建てる、あるいは宅地の造成も大いにやる、こういう計画になっておりますが、さてその所要資金の額になりますと、これからずっと下回りまして五千三百九十六億円の所要資金。これに対する手当てを実は財投でやっているわけなんですが、問題は、たとえばこういう弾力性なんだといえばそれまでなんですが、のっけから四〇%はことしはもう遂行できないんだ、四〇%の遂行はできないんだ、あとは過年度の契約による債務、これを払い、これを合わせまして五千三百九十六億円だ、こういう予算の立て方をしているわけです。これでは四十八年度予算とそれから四十八年度の所要額との間に大きな乖離があるわけですね。つまり、われわれに予算として出されているのは八万戸ですけれども、実際やるのは三万戸、あるいはせいぜいいって四万戸、こういう実際と字づらとの間に大きな乖離があるのです。こういうことはやっぱり国会審議の中で十分検討されなければならぬと思うのですが、いまのこういう出し方では、こういう面についても残念ながら説明書をもっていろいろ聞かなければならぬ、こう言いたいのですよ。これは一体どう考えるか。
  52. 橋口收

    橋口(收)政府委員 これは各公団の事業計画とその執行の問題であり、同時に各公団、事業団の資金計画の問題でございますので、どれだけの事業をやるということがまずきまり、当該公団でどのくらいの自己資金が調達できるか、大ざっぱに申しますとそういう計画と申しますか、契約規模と申しますか、そういう事業規模がきまり、それに対して公団として調達可能な資金の量というものがきまり、その差額を財投で見る、こういう仕組みになっております。  そこで、先生のおっしゃいましたのは、事業計画というものをまずきめて、それに対して年度内にどのくらい事業が実行されるか、前年度からの繰り越しもございますし、それから当該年度から次年度への事業の繰り越しもございますから、そういうものを全部差し引き計算をいたしまして必要な所要資金というものをはじき出しておるのでございます。これは、公団なりあるいは政府関係機関というものは事業をやっておりますから、会計年度区分というものはもちろんございますが、しかし事業そのものは年々歳々継続して行なわれるものでございますから、そういう点から申しまして、どれだけの契約ができるかということをまず計算をいたしまして、それに必要な資金をはじき出す。そして公団の自己調達を除いた差額が財投資金ということになるわけでありますから、これは事業機関である以上は、しかも事業機関の事業というものは年度を越えて執行されるということであれば、そういう一つの必要資金の計算というものが出てまいりますが、これは事業と資金との間にはおのずから不突合がございますから、それはあるいは十分の御説明によって御了解をいただくべき性格のものであろうというふうに考えております。
  53. 塚田庄平

    ○塚田委員 私は、非常にふしぎに思うのは、四十八年度支出予定が事業計画の四〇%そこそこだということなんですよ。つまり、事業計画を満度にやった場合には六〇%の弾力性がなければならぬということを、これは字づらだけでは物語っておるわけです。こういう計画をのっけから出されて財投資金を振り向けていく、これはあまりにも、最初から六〇%の弾力性をもう求めていると言っても過言ではないと思うのですが、これに過年度分を加えれば相当の弾力がなければならぬということになるのですけれども、この点は一体どう考えるか。
  54. 福島量一

    ○福島説明員 ただいまのお尋ねでございますが、局長から御説明申し上げましたように、たとえば住宅公団の事業は宅地造成から始まりまして、最終的に建物を構築し終わるまで三年程度の歳月が実はかかるわけでございます。したがいまして、ここで先生御指摘の事業費というのは、当該年度の契約ベースを示しておるものでございまして、一方、そのために必要な資金は出来高払いで三年程度にわたって順次支出されておる、こういうパターンに実はあるわけでございます。したがいまして、財政投融資はその事業を遂行するための資金繰りを見るものでございますから、たとえば一例をあげて申し上げますと、一〇〇の契約について初年度たとえば五三%、第二年度たとえば三〇%、残りの一七%でございますか、これは第三年度、こういうふうに所要資金を割り振りまして融資を実行するということになるわけでございますから、それは単年度で申し上げますと、前々年度からのいわば契約済みの分で当該年度支出する分と、それから前年度の契約分で当該年度支出する分、それから当年度新たに契約をする分の初年度分、この三つの資金が必要資金になりまして、この必要資金から、たとえば住宅公団で申しますと住宅家賃の収入等がございますから、そういうものを控除したものを当年度資金として貸し出す、こういうことになるわけですから、事業計画、事業規模、契約規模とそれから私どものほうから貸し出す資金と直に比較いたしましても、いまおっしゃるような疑問が生ずるのもやむを得ない面もありますが、そういう仕組みで事業の性格に応じた資金の融資をやっているということで、当初から、たとえばいま御指摘のような六〇%の弾力を当て込んだ資金計画をつくっておるわけではございません。そういう技術的な面から来る資金配分の姿が、表面的にはそのような形になって出てくるというものでございまして、単年度年度で終わるものでございますと単年度で勝負がついてしまうのですが、ある程度ロングランの事業になりますと、そういうふうなことで資金配分が二年なり三年にわたって出てくるということから、いま御指摘のような姿になるわけでございます。
  55. 塚田庄平

    ○塚田委員 そういう仕組みそのものはわかるのですが、四十八年度は四〇%に当たる二千七百二十三億円、四十七年度の繰り越しなんかは五〇%以上繰り越しているのですよ。これは計画と実施ではあまりにも乖離が——半分以上遂行できないということの中で資金繰りを考えておる。一体これはどういうことなのか。こういうあまり予算資金操作との間に乖離があるということは、私どもの感覚としてはこれは思わしくないのではないか。やはり実態をある時点で洗い直してみなければ、これはいつまでたっても整理のつかないものだと思うのですがね。
  56. 福島量一

    ○福島説明員 住宅公団につきましては、新聞紙上等でもいろいろ問題視されておりますが、関係の地方公共団体、具体的に申し上げますと、東京都の場合ですと神奈川、千葉、埼玉の隣接三県におきまして、いわば建設予定地がほとんどそこにあるわけでございますが、人口急増その他の問題から、住宅公団の進出反対という動きが非常に高まっておりまして、なかなか当初計画どおりの建設が進捗しないという状況にあります。したがいまして、従来四十六年度、四十七年度とも当初八万八千戸の計画戸数できたわけでございますが、そのような事情がにわかに打開されないというような見通しもございますので、四十八年度は、残念ながら八万戸に、戸数を八千戸削った計画にせざるを得なかったという状況でございます。それで四十七年度につきましても、まだ確たる計数は確定いたしませんが、結果的には当初私どもが予定しておりました八万八千戸分に見合う資金について相当額の不用が生ずるのではないかと思われます。この点はもう少し年度末まで経過しないと、どの程度不用が出るのかわかりませんけれども、これは明らかに当年度着工に至らない、あるいは契約もできないというものについては、漫然とこれを繰り越すことなく不用処理をいたしたい、かように考えております。
  57. 塚田庄平

    ○塚田委員 それではさらに項を改めて、今度の計画では、公募債借入金の中から政府保証のものはそのまま残し、保証でないものは落としているわけですね。これは二千四百四十一億くらいですか、落としておるのですが、たとえ民間といえども一応政府資金として使われるのですから、これは縮小する、つまり落とすのは間違いじゃないか、これは当然計画の中に入れておくべきものじゃないかと思うのです。どうしてこの資金を縮小するのか、その点がわからぬのです。
  58. 橋口收

    橋口(收)政府委員 四十七年度までは公募債借入金という名称で呼んでおったのでありますが、その中には政府保証債政府保証借入金のほかに、公募地方債、それから住宅公団の生命保険、信託銀行からの政府保証のない借入金、これも含めて表示をいたしておりました。これは主として沿革的な理由に基づくものでございまして、公募形体の地方債、これにつきましては日本銀行の適格担保になるとか、あるいは政府があっせんをするというような時代がかなり続いておりまして、政府があっせんをするという感じの強く出ていた時代のいわばなごりでございます。それから住宅公団の政府保証なしの借入金というものも、やはり政府住宅公団と生保、信託との間に入りましてあっせん行為を行ないまして、そして一定の金額を調達する、そういうことをいたしておった時代がございます。その制度は今日においてもまだ継続はいたしておりますが、やはり住宅公団の中に占めるそれらの資金ウエートというものはだんだん下がってまいってきております。そういうかつて政府が強力なあっせんをしたという時代と、今日は様相を一変いたしておりますので、そういう意味で、財投計画ということで国会の御審議をわずらわすということであれば、財投計画の中でほんとうに政府管理する資金あるいは政府保証する資金政府責任を持つ資金に限定するということが望ましいのじゃないか。  もし公募地方債とかあるいは政府保証のない住宅公団の借入金等を入れるということになりますと、国鉄とかあるいは鉄建公団とか電電公社とか、私募債と申しますか、縁故債というものをたくさん発行いたしております、これもそれぞれの機関がその責任において調達する資金でございますので、それも公募債ということばにはなじまないと思いますが、いずれにしても、それぞれの機関の自己調達でございますから、そういうものも全部含めて公募債あるいは民間資金の調達と申しますか、そういうことで財投計画の中に入れ込むということにするのが実態にマッチした方法でございます。やはりそこまで参りますと、政府がほんとうに管理する資金であり責任を持つ資金というもののみを国会議決対象にするということのほうが、実態に即した処置ではないかということで、従来そこに入れておりました公募債とかあるいは住宅公団の政府保証なしの借入金というものは自己資金のほうに移しておるわけでございます。そういう実態の変化、それから国会における議決との関係、そういう面からそういう処置をとったのでございます。国会議決をわずらわすということであれば、できるだけ純化した姿で政府責任の持てる資金に限定するほうが望ましいであろう、こういう考え方で整理をしたものでございます。
  59. 塚田庄平

    ○塚田委員 しかし、財投資金として繰り入れていく機関というものは政府関係機関なんですから、民間から借りようと、それは一種の資金として入ってくるのですから、当然これは計画の中に織り込むべきものだと思うのですが、これはどうですか、端的に。
  60. 橋口收

    橋口(收)政府委員 これは先ほど来の先生の御主張と首尾一貫するといってははなはだ失礼ですけれども、従来の御主張の延長線上にある話でございまして、それはそれぞれの政府関係諸機関の事業計画なり一般資金計画というものと国会議決との関係をどうするかという問題に帰着するものでございまして、先ほど来申し上げておりますように、出口で——財投計画歳出ということばはもちろん適当でないのですが、運用と申しますか、そういう出口で国会議決を仰ぐ、そういった形をとります以上は、やはり政府管理する資金あるいは政府責任を持つ資金について国会の御議決を得るということが望ましいのではないか。したがって、いまの先生の御主張は、当該政府関係諸機関の業務なり資金というものをどうやって国会議決との関係で調整するかという問題でございます。そういう問題として考えますならば、それぞれ機関によって取り扱いに差等があるということは御承知のとおりでございます。
  61. 塚田庄平

    ○塚田委員 それでは次に、弾力性の問題について御質問いたします。景気のいいときには引き締めなければならぬ。そういう面では、繰り越し明許ということで、極端な場合には全額繰り越すというような場合も考えられるでしょう。悪いときには、何とか浮揚させなければならぬということで、例の百分の五十の弾力値を持っておるわけですが、私、財投は弾力性を持たなければならぬということについては否定しません。これは他の資金と違って弾力性は必要ですが、いま言ったとおり下と上に——下の場合は極端に全額繰り越し、上については百分の五十。つまりわれわれの議決するのは三分の二議決なんですよ。あとの三分の一は議決をしなくたって黙って大蔵大臣の権限で裏書きできる。こういう議決のしかたでは、やはり国会の権威からいってよくないのじゃないか。  そこで私は、できるだけ弾力値を小さくする。そして国会のコントロール下に置く。極端に言えば、それをこえる場合には補正を組んで再度国会審議を仰ぐということを提案したいのです。百分の五十を百分の三十に、そういう実績は、過去の実績で百分の五十をこえたということはめったにないので、四十六年度は少し弾力をとりましたが、これはドル・ショックというああいった特殊の事情の中でとられた措置で、私はせいぜい百分の三十程度でこの弾力性を押えるべきだ、と同時に、繰り越し明許については国会議決対象にすべきだ、こう考えておりますが、この点についての見解を承りたい。
  62. 橋口收

    橋口(收)政府委員 五〇%弾力は過大ではないかという御意見でございますが、これは過去の事例で申しますと、五〇%をこえて政府判断で増額をした事例が幾つかございます。たとえば、商工組合中央金庫に対する財政投融資とか、あるいは地方公共団体、それから電電公社等につきましては、当初の計画額が小さい場合には、経済事情の変動によりまして五割以上ふやす必要の生ずる場合が過去においてあったのでございます。ただ、これは全体として五割をふやすというようなことは、これは原資の制約もありますからとうてい考えられないことでございますので、個々の事態についての五割ということになりますと、過去において五割を超過した例もございますので、本来であれば機関ごとに過去の経験値等をもとにして差等を設けるというのが一番望ましいことであろうかと思いますが、実際問題としてなかなか機関ごとに差等を設けるということは困難でございますので、一律に五割といたしたのでございます。もし五割を上回る必要が生じた場合には補正の措置をお願いするということは覚悟いたしております。同時に、五割といたしましたのは、政府関係の金融公庫につきまして、借入金は予算総則で限度をちょうだいしておりますが、これは昭和三十三年度から予見しがたい経済事情の変動によって五割まで増額してよろしいという授権をちょうだいいたしております。それから政府保証債保証の限度につきましても、昭和四十六年度から中立機動型予算ということで、いかなる景気情勢に対しても機動的に対処できる、そういう含みを残すということで五割の政府保証の限度拡張についての国会議決もちょうだいいたしておりますので、やや余談になりますが、政府保証の五割弾力というものはちょうだいできておるのでございますから、つまり政府が債務を負担する、そういうことについて五割をふやしてよろしいという授権をちょうだいいたしておるのでございますから、本来原資の面において制約がない場合に、当該機関に対して運用権の増額として五割の弾力をちょうだいするというのは、これはこれらとのバランスから申しましても決して過大なものではないと思います。そして事柄の性質から見ましても、許されてしかるべきものではないかということで、全体として五割をふくらますというようなことを念頭に置いておりませんので、その機関において五割程度の弾力は当然あってしかるべきものではないか、こういうことで予算総則で五割をお願いいたしておるのでございます。
  63. 塚田庄平

    ○塚田委員 これは私の調査によると、いままで一番弾力値をとったのは四十六年度、これは例の第一回のドル・ショックのときだと思うのです。それでいま局長の言われた五〇%以上をとった例があるというのは、これは特殊な事情といいますか、あるいは特殊な政府機関、おそらくそれ一つじゃないかと思うのですが、私ども大体機関別に四十六年度一番ショックの大きかったときを考えますと、地方自治体で九九%、それから中小企業の金融公庫で三七、それから国民金融公庫で三四、日本開発銀行二三、道路公団が一三、ここになりますとずっと落ちるのですが、これがベストファイブです。しかも、これは四十六年はドルショックというかつて日本経済が受けたことのない大きな打撃を受けた時期なんですが、私はこういう時期は当然補正で国会に臨むべきだと思うのです。しかし、こういう弾力をとっておる。しかも三〇数%で終わっておる。国会のコントロールを強めるという意味では、やはり三〇%あたりが限度で、それ以上大きな変動については、国会審議、補正予算で臨むべきだと、こう思うのですが、その点について局長はどう考えるか伺いたい。
  64. 橋口收

    橋口(收)政府委員 具体例をあげてのお尋ねでございますが、過去において五割をこえた、オーバーした例をちょっと申し上げますと、昭和四十一年は船舶整備公団が五二・九%、それから四十五年は公害防止事業団七〇・九%、それから四十六年電電公社八〇%、それから四十七年電電公社がやはり二倍、それから商工中金はしばしばございまして、三十八年が二三〇%、それから四十二年が三〇八%、四十五年が六九・七%、四十六年が三八四%ということでございまして、機関別に見ますと、やはり五割を超過した事例がございますので、そういう場合には、ただいま先生がおっしゃいましたように、または先ほどお答え申し上げましたように、そういう状態になりました場合には、堂々と予算の補正措置をお願いする、こういうことを考えておるわけでございます。
  65. 塚田庄平

    ○塚田委員 これは各政府機関に出しておる資金の利子は幾らですか。六・二ですか。
  66. 橋口收

    橋口(收)政府委員 原則として六・二%でございます。それは御承知かと思いますが、貸し出しのほかに、債券の引き受けという方法もとっておりますので、債券の引き受けの方法をとっております場合は大体六・八%程度でございます。
  67. 塚田庄平

    ○塚田委員 北海道東北開発公庫はなぜ高いのですか。
  68. 橋口收

    橋口(收)政府委員 これは午前中の御質問にもお答えをいたしたのでございますが、資金運用部資金としては六・二%でお預かりをいたしまして、六・二%で運用するというのが原則でございますので、そこに原則として利ざやはないという形になっております。したがいまして、有利かつ確実な運用、特に有利運用という立場で申しますと、何とか六・二%より高く回る運用形態というものを開発する必要があるわけでございます。国債の保有とかあるいは法律で許されました一部金融債に対する投資運用とか、そういうことでいろいろ努力をいたしておりますが、それに加えて政府関係機関の一部につきましては、端的に申しまして、比較的収益力のある機関につきましては、債券の発行の引き受けあるいはいまお尋ねがございました北東公庫、これにつきましては、かつて政府保証債を引き受けるという形をとっておった時代がございます。そのときは政府保証債の利回りはおおむね七%という時代でございましたので、北東公庫につきましては、御承知のように政府保証債の発行につきまして法律上の限度がございます。したがいまして、全体として利息収入と、それから利息の支払い、資金構成が何と申しますか適正にできておりますので、比較的収益にゆとりがございます。そういう点から申しまして、かつて北東公庫の債券を引き受けるという形態をとっておりましたので、現在は融資の形態をとっておりますが、有利運用という立場からかつては七%という運用をいたしておりまして、これが昨年の〇・三%の引き下げによりまして、現在は六・七%ということで運用いたしております。これだけが債券の形態によらない融資の唯一の例外でございます。
  69. 塚田庄平

    ○塚田委員 北東からだれか来ていますか。——そこで北海道、東北がいろいろとこの金を使うのですが、利子が高いというのが大体一般の声なんですが、いま財投から受け入れるときは六・七%、公庫が企業に出す場合は利子は幾らにしていますか。
  70. 小川としやす

    ○小川説明員 お答え申し上げます。  年利七・七%でございます。
  71. 塚田庄平

    ○塚田委員 一%の利益をあげているわけですね。
  72. 小川としやす

    ○小川説明員 さようでございます。
  73. 塚田庄平

    ○塚田委員 一%の利益、つまり六・七%に一%上乗せするということについては、昨年まではおそらく八%だったと思うのです、これはいま言われたとおり昨年は七%の利子を払わなければなりませんから。これは非常に高いと思うのですよ。せめて七・五ないし七・三ぐらいに下げないと、一般政府機関からの借り入れだというあれはないと思うのですが、一体利子はどう考えるか伺いたい。
  74. 小川としやす

    ○小川説明員 私どもといたしましては、地元の要望もございまして、できるだけ良質な資金運用いたしまして、北東地域の開発に処したいということで、関係御当局にも、金利引き下げにつきましては常々要望いたしてまいりたわけでございます。その結果、おととしの八月に八・三%が八・二%に下がりました。昨年八・二%から八・〇%、それから昨年の八月に八・〇%から七・七%こういうふうに下がってきております。また、来年度予算で、内示を受けておる段階でございますが、特利につきまして、特段の配慮がなされているということで、今後はさらに良質な資金が北東地域の開発に役立つのではないかと思いますが、さらに私どもとしては、そういう方向で努力いたしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  75. 塚田庄平

    ○塚田委員 特利はどのくらい……。
  76. 小川としやす

    ○小川説明員 特利は、従来七・五%であります。しかも地域につきましては、新産都市指定地域、こういうことに限られておりまして、業種につきましても、五業種に限られておりましたのが、このたびは七・五%と七・二%の二本立てになっておりまして、従来の新産都市指定地域というものが、さらに国または地方の計画的に開発する地域というふうに広くなりました。業種的にも、石油パイプライン事業、熱供給業、それから第三セクター、こういったものにつきまして、従来ございませんでした七・二%の低い特利が認められるということになっております。
  77. 塚田庄平

    ○塚田委員 私は、これは開発銀行も同じだろうと思うのです。北東開発公庫の中で問題なのは、いまの問題の金利の高さと、もう一つは、資金がどういうふうに流れておるかということなんです。たとえば北海道の例をとりますと、東北も大体同じ、あるいはそれ以上なんですが、資金量の七一%は十億円以上の企業に流れておる。これはたいへんな問題だと思うのです。地元あるいは地場産業等に対しては、ほんとうに微々たるものしか流れていない。そのことは、企業別に見て、たとえば中央企業あるいは地元企業の別で見ますと、中央企業については、北海道では大体五六%中央企業に準ずるものを入れますと、つまり、中央とタイアップしているもの、そういう企業を入れますと、七六%がこういう大きな企業、しかも本州企業ですね。北海道、東北に関係のない企業に流れておる。こういう実績なんですが、一体これは公庫の設立されたその趣旨にも合わないのじゃないかと私は思うのですが、どうでしょうか。
  78. 小川としやす

    ○小川説明員 あとで資料をもちまして御説明いたしますが、私どもの北海道東北開発公庫につきましては、一応業務方法書におきまして、資本金一千万円以上、それから最低限一千万円以上の貸し出しを行なう、設備資金及び長期運転資金の貸し出しを行なう。それから北海道、東北地域におきまして企業活動を行なう、これを促進するための政府金融機関といたしましては、ほかにも、たとえば中小企業金融公庫あるいは工業再配置・産炭地域振興公団、そういったようなものがございます。そういった関係で、それとなるべく分野がダブらないような形で、先ほど申し上げましたような、むしろ一千万円以上というようなことで業務方法書で縛っているわけでございます。  それで、先ほど先生御指摘がございました点でございますが、これを段階的に一億円未満と一億円から十億円、それから十億円以上というように分けてみますと、北海道地域だけで見ましても、金額では一億円未満が一〇・九%、約一一%でございます。それから一億円以上十億円未満が一八%でございます。それから十億円以上が七一%でございます。こういうことになっております。  ただ、件数で見ますと逆でございまして、一億円未満が三九・六%、一億円以上十億円未満が三一・三%、十億円以上が二九%でございます。比較的小規模の企業の貸し出しというものは、資金需要も一件当たり少のうございます。そういう意味で、必ずしも私どもといたしましてはこの数字で、件数で見れば、この三段階で分けますと大体三分の一ずつの構成になっておりまして、特に大企業偏重あるいは中小規模の企業に対してきびしいというような取り扱いはいたしておりません。  それからまた、地場企業イコール中小企業ではございませんが、昭和四十七年度の北東公庫の融資の基本方針におきましては、地場中堅企業に対しては重点的に取り上げる、こういうふうにきめております。
  79. 塚田庄平

    ○塚田委員 三分の一、三分の一というのは、件数は小さいのですから当然多くなる。問題はやはり資金残だと思うのですよ。どれだけ一体貸し与えているか。七一%というと、三分の二は大企業、十億以上の企業にいっておる。こういう事態は、私はやはり地元の開発にほんとうに密着した、地域住民に密着した融資のしかたではない、こう考えるので、この点はこれから是正をするという姿勢でいくかどうか。  それから金利についても、特利七・五%というようなものを、一応来年度考えておると言いますが、さらに私は企業によっては七・二、七%、これは利益がないことになりますからあれですが、こういった金利の引き下げをぜひやらなければならぬと思いますが、この際ひとつ理事の決意を秘めた回答をいただきたい。
  80. 小川としやす

    ○小川説明員 大企業だけでなく中小企業にもっと手厚い融資を行なえという御趣旨と存じますが、私ども先ほど申しましたように、重点事項としてこれを取り上げていくという状況でございますので、御了承いただきたいと存じます。  それから、金利の引き下げの問題につきましても、今後も監督官庁といろいろ折衝して、できるだけ良質な資金が北東地域の開発に役立つよう努力いたしたいと考えております。
  81. 塚田庄平

    ○塚田委員 終わりました。
  82. 鴨田宗一

    鴨田委員長 荒木宏君。
  83. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 財投資金運用、調達について、どの程度まで国会のコントロールにゆだねるべきかということで法案が出されて、いろいろ論議があるわけですけれども、ちょうど先ほども北海道東北開発公庫の話が出ておりましたが、私はまず運用面でひとつ、日本輸出入銀行に対する財投資金運用の問題、これを取り上げて今回の法案がはたして目的とするところに適切であるかどうかということからお尋ねをしたいと思うのです。政府委員にお聞きをいたしますが、日本輸出入銀行の事業で、運用先、企業規模によって運用条件あるいはその運用金額、そういったものに差別があるかどうか、このことをまずお尋ねしたいと思います。
  84. 橋口收

    橋口(收)政府委員 お尋ねがございましたのは、輸出入銀行の融資先の規模によって運用条件の差等があるか、こういうお尋ねでございますが、これは所管が銀行局でございますので詳細は後ほどお答え申し上げたほうがよろしいかと思いますが、私の記憶では、相手先によって区別をしておるという例はないと思います。もちろん輸出であるか投資であるか輸入であるか、これによりまして業務方法書で許された範囲での操作をいたしておりますが、同じ輸出の案件につきまして、企業の大小によって差等を設けている例はないように記憶いたしております。
  85. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 いまお答えを伺ったのですが、この根拠法令によりましても、局長御答弁のように確かにその差異は全く認められない。ところが、銀行局のほうでお尋ねしましたところによりますと、四十六年末で輸出入銀行の資本金規模別貸し付け状況、これは十億円以下が構成比で四一%ですが貸し付け残高はわずか四%にしかすぎない。百億円以上になりますと、構成費で二九%しかありませんけれども、貸し付け残高は八二%、つまり三割に満たないところが八割以上の金を運用しておる、こういう結果が出ているわけですね。  そこで私は伺いたいのですけれども、先日来円の問題に関連しまして輸出関連中小企業に対する救済ということがずいぶんと論議をされました。大臣もその点につきましては、先日予算委員会あるいは当委員会で私がお尋ねしましたときに、これには十分今後とも意を用いていくという趣旨の御答弁をいただきました。そういった、いざ事がこうなってあとでいろいろ手当てをする、これはもちろん緊急対策として必要であります。しかし、そもそも金を運用するときに、法律のたてまえやあるいは取り扱いの姿はそうなっておっても、実際の結果として八割以上の金がそういった百億円以上のところに流れている。輸出関連の中小企業はそれじゃ融資は要らないのか、決してそうじゃありません。私の選挙区の地元でも、あるいは真珠でありますとか繊維でありますとかいろいろありますけれども、みんなこういった安いお金を融通してほしい、こう言っておる。ですから、いまのこういった当面の経済情勢と関連をいたしますし、そしてこれを法律は輸出入銀行にまかしているんだ、大ワクだけ輸出入銀行法できめて、あとはもうまかしているんだ、また事柄の性質上そうでなければならぬのだという政府委員の先日来の御答弁ですけれども、しかしこういう結果が出ていて、そして輸出関連中小企業の業者がもっとほしいと言っているときに、それを事前に手当てをする必要がまさにありはしないか、そのことがいまの事態によって証明されているのじゃないか。行政措置とおっしゃるのですけれども、いままで行政措置はその点についてはほとんどやってこなかった、その結果がこう出ているのですから、いまこそ立法機関である国会審議議決、そういった面にこういう問題を含ませる必要がありはしないかということについて、政府委員の御答弁を伺って、大臣お見えでございますから、いまの点御理解いただけましたら御見解を伺いたいと思います。
  86. 橋口收

    橋口(收)政府委員 輸出入銀行は御承知のように二十五年に輸出銀行として発足をいたしまして翌々年輸出入銀行ということになったのでございますが、その本来の任務は、御承知のように、従来日本経済にとっておくれた分野であったプラントものの長期輸出と延べ払い輸出を担当するということでございますので、船舶とかあるいは大型プラント、こういうものの輸出が中心であったのでございます。したがいまして、一件当たりの金額も大きくなり、しかも延べ払いの期間も長くなりますから、やはり資本力のある企業でないとその負担にたえられないのだということでございますので、輸出入銀行本来の任務からいたしまして、先生御指摘のように資本金別で申しますと、いわゆる大企業に対する融資が大きなウエートを占めてきておる。それから投資なりあるいは輸入ということになりましても、やはり開発輸入でございますし開発投資ということが中心でございますので、どうしてもやはり大きな資本力を投入する必要がある、こういう本来の性格から見まして、企業規模別で申しますと大きな企業に片寄るのはやむを得ないところであろうかと思います。  いまお話がございました輸出関連中小企業と申しますのは、どちらかと申しますと延べ払いというような形態でなくて通常の形態の輸出でございますから、これは本来民間金融でカバーし得る分野でございます。で、中小金融につきましては、民間金融のほかに御承知のように政府関係中小企業金融機関等があり、商工中金、国民金融公庫が運転資金を中心として貸し出しをいたしております。そういう点から申しまして、同じ輸出、同じ輸入と申しましても、性格が違う、目的も違うということでございますので、おっしゃるような中小関係の輸出産業につきましては、それはそれなりのふさわしい対策というものをもちろん用意をいたしております。通常の経済状態におきましても、中小三機関に対する財投融資には周到な配慮をいたしております。御承知のように、年末には恒例的な中小企業対策として資金の追加もいたしておりますので、それとこれとはやや性格の異なる問題ではないか、こういうふうに考えます。
  87. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 それじゃ、大臣の御意見を伺う前に、いまの局長の御意見に重ねてお尋ねをしておきたいと思いますが、なるほど中小企業に向けて御答弁金融機関があることはそのとおりですが、しかし事輸出に関して、輸出用中小企業、こういった金融機関というものはまだないと思いますね。この法律の第一条にある目的を見ますと、局長が言われたように、こういった大規模の企業に向けて輸出をするのだということは全然書いてありません。十八条にある業務の範囲にしましても、設備というお話ですけれども、つくった製品を輸出するときにめんどうを見てやるんだ、こうあるわけですよ。  そうすると、この間から問題になっておる真珠にしましても繊維にしましても、いろんな例を十、二十あげましたけれども、全部これは法律上適用するわけです。ですから、この上でこういった運用結果になっておるような法律や行政のたてまえではないわけですね。もちろん企業の規模が違うから、それに応じて相対的に結果に差が出てくることは、これは場合によってありましょう。しかし、実際にこの輸出関連中小業者のところを歩いてみますと、ここで十分めんどうを見てもらいましたといったようなことはありませんよ。また先ほどあげられた中小企業の関連金融機関にしましても、輸出の関係でめんどうを見るということじゃありませんから、それだけでめんどうを見るということじゃありませんから、いろいろな他の目的が入ってきているわけですね、あるいは零細企業の救済でありますとか、中小企業の振興でありますとか。  ですから、輸出ということを掲げてしている以上は、やはり総体的に同じように扱うべきではないか。それをしないで、大企業偏重をしたからこそ、いま問題になっているような外貨の問題、過剰流動性の問題、投機の問題、経済撹乱の問題、こういうことに相なっておるというふうに思うのですが、この点は大臣、いかがでございましょう。
  88. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 いま理財局長から御説明いたしましたように、輸出入銀行の実態的な従来の機能というのは、主としてプラント輸出それから船舶というようなものの融資に充てられていたのが実情でございます。確かに御指摘のような特に中小企業の輸出金融というようなものはやられていなかった、実績はそうであったと私も記憶いたします、数字的な御説明は別といたしまして。そこで、たとえば今度の財投の中で、その計画もずいぶん切りかえまして、たとえば年金関係の積立金運用などで申しますと、こうした関係の財投からの計画はゼロになっておりまして、四十七年度までとは計画を切りかえてしまいました。つまり、そうした面について財投からお世話をする必要はないという考え方でございます。  それから中小の輸出向けの金融については、これは輸出ということを特定するよりも、日本の中小企業の実態から申しまして、これは中小企業金融公庫等政府機関の三機関が、これは資金の総量からいうと、またその配分がいろいろな点から議論対象になると思いますけれども、むしろ中小金融の専門機関としては、これを中心にして、そしてこれはあえて輸出ということに限定をしないで、広い意味で中小企業のために援助をする、したがって、その中に輸出関連の中小企業もそのほうで主力としてお世話をするということになっているわけでございます。したがって、これはお尋ね以外で、先般の御質問に関連いたしますが、現在の状況下において、輸出関連中小企業対策としては、たとえば四十七年度の予備費で申しますと、いま使用見込み残高が百二十億程度と算定されておりますが、これはすべて財政措置として中小企業向けに用意をしております。  それから、三機関等を中心にする、結局これは財投資金の世話も相当見なければならぬわけでありますが、前回は大体千億程度と算定されますが、少なくとも千五百億以上は用意しておくということで、具体的な融資の進捗等によって、結果において幾らになるということについてまだわかりませんけれども、いまのかまえ方もそうやっておるわけでございまして、輸出入銀行を特にこの目的のために使うというふうには考えていないわけでございます。こうした制度のあり方や運用のやり方等については、いろいろの御議論もあると思いますけれども、政府の従来の考え方並びに現在の考え方は、そういうふうな考え方でございます。
  89. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 実情、経過は御説明のとおりであろうと思います。一番最後に大臣がおっしゃった制度の運用のあり方ですね、そのことをまさに申し上げておるわけでありまして、法律のたてまえから申しまして、その間に中小企業はこれは別のほうでやりなさいというたてまえにはなっていないわけですね。輸出入銀行法に明記してあります。また業者の人たちも、高ねの花とは思うけれども、そういったことになればこれはまことによろしいがなという希望を持っておるわけです。そしてまた、そういうふうに運用されておりましたならば、いまのような大企業偏重の輸出第一主義によってこのような事態になっておることも防げたではないか。ですから、先日来政府委員の御答弁で、いや、法律が授権しているのだ、その範囲内で運用しているのだし、また、一々国会審議でワクがはまったのでは業務運営ができない、こういう性質上のお話あるいは法律上の御意見があったわけですけれども、この結果を見れば、まさに適正な弾力部分は保持しながら民主的に国会の統制に服するようなことこそが、いま必要になっているのじゃないか。もっと具体的に言いますと、資金計画あるいは業務計画のうちで、運用先の規模による運用計画、こういったようなことを国会に出して、そしてさあ、これでどうでしょうかということになりますと、この点で、いやこれは大企業が多過ぎるじゃないか、国内の中小企業の所得水準を上げる上でも、これは手直しして、こういった何でやりなさいということが言えるわけで、これが国民の要望に沿うゆえんであり、また、国全体としていまの外貨事情によるたいへんな事態、そういったことをもたらさずに済む。  こういった点から、いままでの実情を踏まえて、今後の問題としてなお従来の運用をお続けになるのか、あるいはそれをこの際、法案提出の機会に、コントロールの範囲を、本法案の内容以上に、私がいま申し上げたような方向で検討なさる御意向はないのか、むしろそうなさるべきではないか、このことを申し上げておるわけです。ですから、大臣が先ほど御答弁になりました一番最後のところですね、いろいろな批判があろうとおっしゃった、その点についての御意見を伺いたい、こう申し上げておるわけです。
  90. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 そこで、その機会に財投全体の運用計画につきましても、一口にいえば福祉関係に重点を置く。その福祉という意味は、たとえば中小企業、農業ということも入っているわけでございますが、そちらのほうに重点を切りかえる。したがって、輸出入銀行の輸出についてはプラントとかあるいは造船とかいうことが重点になっておりましたから、そういう面についての財投計画は、先ほど年金積立金のことを申しましたが、こういうものはゼロにした。それから全体としても、パーセンテージとしては、非常に昨年度に比べては低くいたしました。そして中小企業関係に重点を指向する。そして、中小企業というものは、ここが御意見がいろいろあるところだと思いますけれども、輸出とか輸入とか、あるいは特定の産業を限定するよりは、中小企業というものに対する助成策というものは、金融全体で中小企業ということに焦点を置いてやるほうがベターであるという観点に立って、財投計画全体の考え方を中小企業のほうに振り向ける。つまり、具体的にいえば、輸出入銀行の中に中小向けというものをつくるような考え方よりも、輸銀についてはいま申しましたような態度で、そして余力は中小企業のほうに全体としてできるだけ重点を指向するように切りかえたほうがよいであろう、こういう考え方でおるわけでございます。ですから、従来のあり方等については御批判がいろいろございましょうが、その経験の上に立って、そして現在以降においてはそうやったほうがいいのじゃないか、こういう考え方でございます。  そのほか、いまの御発言の中には国会の御審議を願うそのやり方の点についても若干お触れになったように思いますけれども、これはまた別個の問題というか、性格の問題としていろいろあらためて御質疑をいただく点かと思います。
  91. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 従来問題があった、さればこそ改めたのである、こういうふうに伺ったのですけれども……。  関連しまして、これは一音だけ伺っておきたいのですけれども、ほんとうに転換をされるのかどうか。これは先日の予算委員会の円の集中論議のときにもお尋ねしたところですけれども、新聞の伝えるところでは、昨日細見顧問がアメリカを通ってヨーロッパのほうへ立たれた。そのときの記者会見の内容で、二〇%切り上げになってもやむを得ない、それから自由化もまる裸になってやる、この過剰ドルの問題については中期債券の発行で全面的に協力するのだというふうなことが大蔵大臣と総理と御相談になった上できまって、従来の方針をそういうふうにもう腹をきめた、なりふりかまわずアメリカを助けるのだというふうなことで方針転換になったとある新聞は報じておるのですけれども、だとすれば、これは方向転換どころか、もうもろともに奈落の底まで御一緒に行きましょうというようなことになる危険がありますので、いま転換とおっしゃったのですけれども、関連をして、いま起こっておる事態について、大蔵大臣の御見解を一言伺いたいと思います。
  92. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 われわれの考え方といたしましては、現在の国際的な通貨不安というものが起こりましたその原因等を検討するまでもなく、結局ドルの不信感ということがその基本であると思っております。したがって、国際的な通貨不安を基本的に除去するためには、アメリカとしての取るべき態度について、われわれとしてもいろいろの意見があるわけでございます。そういう点について、これは議題をきめての会議ではございませんし、日本の立場というのはまた独特のものでございますから、アメリカに対する要請あるいはヨーロッパ各国の出方をいろいろと捕捉する目的を持って出かけていったわけでございますから、政府があらかじめかくかくのことということで訓令を出していることはございません。したがって、出発に先立っていろいろ協議もいたしましたけれども、基本的には、この通貨不安を国際的にそれぞれの国がそれぞれの最善を尽くして、建設的に協力し合って、よりよき秩序を回復するように早急に努力をしなければならない、一言に言えば、それを基本的な態度にしてこうした会談に臨むべきである、こういう態度で派遣いたしたわけでございます。
  93. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 これは本日の質疑の主たるテーマでありませんのであまり深くお聞きしませんが、いまの御答弁がありましたので、もう一言伺うのをお許しいただきたいのです。それぞれ最善を目ざして努力しておること、これはもう間違いありません。ありませんが、最善の努力の方法はもう論議の中ではっきり二つ出てきているわけですね。Aの道をとるか、Bの道をとるか。私どもが主張しましたように、アメリカに対してはっきりと自主的、民主的な態度をとって、そしてこの不平等な貿易関係をやめて対等平等の通商関係を結んで、そしてアメリカに対して軍事費の増強だとか海外に対するドルのたれ流しをやめなさい、そのことを筋を通してすかーっと言い切ること、それが最善の道ではないでしょうか。国内では労働者の賃金を上げ、中小業者の所得を上げることによって解決すべきだ、この道を申し上げたのです。  いまおっしゃった関係のそれぞれの国がみな相談をするといいますけれども、こちらのほうに方針があり、かくかくしかじかするのだといって腹をきめて臨まずに、ただ各国の大蔵大臣が集まった席でどういうお話が出るかということを伺って帰るだけというのは、これは大臣のお話ですけれども、ちょっといまの時期における財政金融政策の責任者のおことばとしてはそのままいただけないと思うのです。ことに新聞でもいろいろ政策の転換ということをいっておるわけであります。大臣が財政演説をなさったときに、たまたま今回のような事態はヨーロッパのことをきっかけに起こったのだという御説明でございましたけれども、今度ははっきりとアメリカが出しておる要求に対してどういう態度をとるか。もうこれ以上の切り下げはしないとはっきりいっているわけですね。そして自分のほうはしないから、もうおまえたちのほうでこちらに協力するようにしろとはっきりいい切っているわけですから、それに対して自主的、民主的な態度で、いや、あなたのほうこそやめなさいよ、こういって臨むのか。あるいはドルがもうここまできたらしかたがありません、それじゃおっしゃるとおりできる範囲で連れ立っていきましょうということになるのか。そこのところをはっきりなさって、それでやはり政策というものになるかと思うのです。ですからいまの問題、本日のテーマではありませんけれども、関連してお話が出ましたので、もう一言、大臣からはっきり伺いたいと思うのです。
  94. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 ドルが一〇%切り下げられたということは二月中に起こった一つのできごとでございますが、それをやってもなおかつ旬日を出ずというか、ヨーロッパを中心にしてこういう不安がさらに起こったということは重大な事件であると思います。そして、それは一言で言えば、先ほど申しましたように、ドルの信認というものが回復しないというところにある。ほかにも原因はいろいろございましょう。また各国もそれぞれ考えなければならぬところもございましょうが、やはり基本はそこですから、これで国際通貨の安定をはかるためには、たとえばドルが金との交換性を回復するということも最大の一つの案でございましょうが、それができるかできないか、あるいはそれにかわる方法はどうだろうか。いずれにしても、しかしいまも話になりましたような現状なんですから、これに対してはアメリカが先頭になって、そして建設的にあるいは従来の経験の上に立ってなすべきことを、ほんとうに真剣に対策を探求すべきである。これは日米間だけの問題ではないと思うのです。これは世界全体の安定のために全く必要なことでありますから、そういう観点に立って日本としても積極的な協力をし、あるいはアドバイスをし、あるいは注文を出すということは当然なことである。  ただ、その方法論とか考え方についてはこういう微妙なところでございますから、またいろいろのバリエーションがあり得るわけでございますから、いまこまかくいろいろと申し上げる段階ではございませんし、また方法論等についてはいろいろと意見の違いもあろうかもしれませんけれども、帰するところ、ねらいとするところは、私は荒木さんと同じような考え方ではないかと思います。
  95. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 大臣に申し上げておきたいのですが、これは方法論の問題といいますよりも路線の問題だと思います。わが党がかねてから申してまいりましたように、アメリカの責任においてこのことを解決させる、こういった自主的な路線をとらなければ、結局アメリカのああいったドルの価値がどんどん下がるのに日本が追随的に、国内の労働者や中小業者が被害を受けるような結果において解決を迫られざるを得なくなる、こういったことになりますから、そのことははっきりと申し上げておきたいと思います。  また別の機会に御意見を伺うことになるかと思いますが、先ほどの続きで、今度は開発銀行の運用について伺いたいのですが、大蔵省の担当部局で伺ったところによりますと、開発銀行の四十六年末の運用につきましても、資本金十億円以下が構成比で七〇%を占めるにかかわらず、貸し付け残高でわずか一五%、百億円以上は六%にすぎないのに貸し付け残高で四九%、つまり一割以下のところが約半分の金を運用している、こういった結果が出ています。しかもその運用先は、これは関係書類で明らかでありますけれども、電力、石油あるいは体制整備、こういったようなものですね。電力、石油は、御案内のように、いま公害の問題が非常に大きな社会問題になっております。そういうふうな点から、単にこれは財政金融の問題だといって済まないような事態になってきているのではないか。公害のことは環境庁でおやりなさいといったような官僚セクトといいますか、そういうことで済むような事態ではなくて、人間尊重、人命尊重のために資金運用も考えられなければならない。そういう点からしますと、この体制整備の点にしましても、これはたとえば繊維の問題などでも使われておるようでありますけれども、結局中小零細の繊維業者を切り捨てるような形で体制整備が使われる、そこにこの資金運用されている、こういうことですから、こういう点についても行政の運用だけにまかせておいたのでは、公害の問題、そして中小零細業者の圧迫の問題は少しも解決されないのではないか。  ですから、結果を正面からとらえて対処すると同時に、金の運用の点で国会のそういった点でのコントロール、審議を経る必要がありはしないか、こう思いますが、これは政府委員のほうからそれについての御意見を伺いたいと思います。
  96. 橋口收

    橋口(收)政府委員 規模別の貸し出しの実態でございますが、これはあとで補足していただいたほうがよろしいかと思いますが、先生のおっしゃいましたような状態、これは年々歳々大きく変わってきておると思います。たとえばいま電力のことをおっしゃいましたが、電力はいまから十年前、昭和三十六年度末をとりますと、全体の貸し出しの四〇%が電力に充てられておったわけでございます。それが、十年たちました昭和四十六年度末で申しますと、一七%弱でございます。それから大きく変わったものといたしましては、大都市再開発、そういう項目のものが十年前は〇・五%でございましたが、現在は約一〇%になっております。それから地方開発が当時四%が一一%、それから公害のごときは最近非常に大きくふえてまいっております。残高で見ましてもそういうふうに顕著に変わってきておりまして、年々の貸し出しについて見ますと非常に大きく変わってきております。たとえば、海運のごときは、ことしは前年度に比べて二割も減ってきております。それに対しまして非常に大きくふえておりますのは、都市再開発とかあるいは地方開発、公害防止、公害防止のごときは対前年の八五%の増になっております。こういうふうに開発銀行の運営実態、融資の内容もやはり時代の要請に応じて漸次変わってまいっておりまして、そういう点から申しますと、やはり開発銀行も時代の子であるという意味において、大きく要請が変わってきていることはお認め願えると思います。
  97. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 この業種別貸し付け残の推移について、いま政府委員のほうから御説明を伺いましたが、私が申し上げておりますのは、確かにそのときそのときによって、その目的によって振る旗は違いますよ。輸出でいこうというときもあれば、あるいは重化学工業でいこうという旗が振られるときもあり、今度はそれでいけなければ知識集約、公害防除、こういったことで、旗はそのときそのときでいろいろのが振られるけれども、問題は、運用先が先ほど言いましたように、百億円以上のところがわずか五、六%であるにかかわらず、半分余もとっておる、そういったことについて、行政のほうにゆだねておったのでは少しも解決されない。国会のコントロールをその面に及ぼして、そして国内のいわゆる二重構造といわれておるような、こういう中小企業圧迫の形をこの面でも変えなければ、いま問題になっておるようなこういう事態の解決にもならないのじゃないか。  したがって、いままでの運用の形はすでに数字にも出ておりますし、再々御説明のあったところでございます。この点からも今後、いま申しましたような意味合いで、事業計画のうちの運用先別の範囲についてでも国会計画を出し、議決を受ける、そういったような方法をとられるべきではないか、このことを伺っておる次第でありまして、先ほど輸出入についての中小企業に対する関係は伺いましたが、今度は国内開発関係についていかようにお考えか、これは大臣のほうにひとつお尋ねしたいと思います。
  98. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 最近における傾向は、いま橋口局長から説明いたしましたような状況でございますが、財投計画全体として四十八年度の使途別分類推移などごらんになりましても、四十八年度でかなりくふうをいたしておる次第でございます。   〔委員長退席、大村委員長代理着席〕  それから今後におきましても、全体の基本的な国策の考え方に沿うて、もちろん四十九年度以降にもその年度において適当とするような方向に切りかえていくことは当然である、こう思います。  それから、先ほどもちょっと言及したのですけれども、荒木さんの御意見の中に、こういった財投対象になるような金融機関とか事業団とかいろいろあるわけでございますが、そこの融資計画等についても、もっと国会議決対象にしたらいいのではないかというようなことを含んでの御意見もあったかと思うのですけれども、これらについては、政府の考え方を御説明いたしますと、財投というものがこれほど大きな役割りを持ってきましたし、規模も大きくなってきましたから、かねての国会での御意見もあるので、何とかしてこの財投というものを一体として議決対象にしたいということで、大蔵省のみならず専門家にもずいぶん研究してもらいまして、二重議決にならないようなワクの中で、そして金融機関役割りを補完するような、開銀とか輸銀とかその他の組織の、流動的というか有機的な活動を阻害しないようにというような点を考慮に入れながら、全体についての御審議がいただけるようにということで、今回提案したような案を御審議を願っているわけであります。  こうなりましてまいりますれば、もう従来とは比較にならず、財投というものに対して民主的な御審議が願える、これはもう私は画期的ではないかと思います。これはもういろいろな御意見があり得ると思います。極端にいえば、一つ一つの融資先についても議決対象にすべきであるというような徹底した御意見もありましょう。また、逆な徹底した意見もありましょうが、いま申しましたようなあらゆる角度から考えて、こうしたことの姿にすれば、個々の融資についての直接の御審議は願わなくとも、全体の行き方について、政府にも国会の意向は十分反映する。また政府としても、こうした計画を立てますときに、国会の御審議ということを常に頭に置いて計画をつくらなければならない。これはもう非常な変革だと私は思います。そういう点を御理解いただいて、十分に御審議をいただきたいと思います。
  99. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 大臣のおっしゃった内容は、私はよくわかりました。もうたいへんな勉強なので、これは大きな進歩、発展だというふうにおっしゃったのですけれども、一番肝心な、こういった処置をとる目的ですね。いま両極端をおっしゃいましたけれども、そういった両方の極端な意見は、いま論議の素材にはのぼっていないと思います。問題は、幾ら今度出されたような、原資は置いて運用についてのみ、しかもその長期運用予定額について示された刻み、ワク組みの中で国会審議しろ、こうなりましても、一番肝心なことは、大企業と中小企業、それから産業基盤と生活関連、これをどんなふうに国会で整理をし、国民のためになるようにしていくかということでありますから、一々個々の融資先についてまでというようなことは、もう考えておりませんが、しかしそういった階層についてのワクは、国会のコントロールが及ぶようにすべきではないか。単に参考書類でありますとか、それについての検討の機会がありますというだけではなくて、むしろ国会国民の立場からそのことを審議し、きめるべきではないか。政府の信用のもとに集められる金でありますから、そのことを言っておるのであります。その点について、お尋ねとともに主張しております点を、十分政府としても検討、留意されることを希望したいと思います。   〔大村委員長代理退席、委員長着席〕  次に移ります前に——だいぶ御出席になったようですが……。
  100. 鴨田宗一

    鴨田委員長 どうぞ続行してください。
  101. 荒木宏

    ○荒木(宏)委員 増本委員のほうで関連の質問がありますので、時間があと二、三十分しかありませんから、私の質問は、ここでまとめて意見を申し上げておいて、そして終わりたいと思います。  他の委員からも再三出されましたですけれども、財政民主主義というものを一体どういうふうに考えるかということが基本になると思いますけれども、私どもは全体として、投融資計画内容が明らかになり、一々政府にお尋ねしなくても、また書類をあちこちひっくり返さなくてもわかるような形、そのことをやはり明らかにすべきだというふうに思います。二重議決という問題はありますよ。しかし、これはくふうによって、関連条項ということをきめて、それについては議決が異ならないように、いわばセットでくくるという方法だってあるわけだし、それは技術的な問題で、いかようにも解決できる問題です。二重議決ということだけで、しかもいままでさまざまな経過が出てきたこういったような財投内容を、それぞれ区々に分けてやられるということについては、今度の法案について非常に大きな問題点だというふうに考えています。それから個々の資金計画、事業計画内容についても、国会提出されるべき検討のワク組み、それはもう先ほど来申し上げたとおりです。個々の計画、融資先について言っておるのではなくて、そういった大きな政策転換が審議対象になるような形での運用ワクを計画されるべきだというふうに考えておりますし、また、これも指摘がありましたけれども、原資の性質上、還元されるような方法が国会審議で担保されなければならぬというふうに思っております。  最後に一言お尋ねしておきたいのですが、原資の関係で、金が自然に入ってくるというふうなお話がいままでにありました。しかし実際問題として、資金運用部資金の調達にしてもあるいは簡保資金の調達にしても、目標を定めてそうして叱咤激励をして、ノルマをきめて徴収してしているのじゃありませんか。私のところへも現に郵政労働者の人が、局でこれだけの目標を達成してこいと言われました、こう言って、金盃を持って、あなたこれを差し上げますからいかがですかと、こう言って見えました。私は特に郵政関係の功労者でも何でもありませんが、郵政功労者に差し上げますと言って、こういったものまで持ってお見えになりました。ですから、決してこれは金が高きから低きにつくように自然に入ってくるのじゃなくて、目標をきめて調達していると思うが、その意味からいえば、利子がついているかいないか、あるいはあとの還元形式は違うけれども、更正決定をして税金を集めているのと、労働者の資金調達状況から見れば同じ面があるんじゃありませんか。ですから、そういう原資収集状況について、これまた国会審議にゆだねていく。こういった徴収計画原資目標が妥当かどうか、こういう点についても検討を求める必要があると思います。  時間がありませんから、そのことを申し上げておいて、増本君と交代をいたします。
  102. 鴨田宗一

    鴨田委員長 増本一彦君。
  103. 増本一彦

    ○増本委員 荒木委員に関連して、いま具体的な運用をめぐりまして、要するに、政府の信用で集められたお金を融資先がどういう目的やどういう政策的な意図でそれを使うかというような点についても、一定のワクを押えて、その運用が正しいかどうかということを、やはり国会でも十分に審議をするということが、実は政府もおっしゃっている社会保障を充実するとか、あるいは福祉社会への発想の転換というものを具体的に進めていく上で非常に重要だというふうに思うのです。  たとえば昨年ですか、輸出入銀行が濃縮ウランの緊急輸入のために、電力会社に三億二千万ドルの融資をするということを決定されましたね。これは電力会社がアメリカの原子力委員会から、代金を払えば直ちにそれだけの量の濃縮ウランの引き渡しを受ける、そういう契約内容のものなんですか、その点、まずお伺いしたいと思います。
  104. 橋口收

    橋口(收)政府委員 こまかいお尋ねでございますので、あるいは通産省からお聞き取りいただくのがよろしいかと思いますが、一応私の記憶でお答え申し上げますと、これは日米経済関係の調整ということで、できるだけ早く日本の必要とする器材等につきましては輸入をしたらどうか、こういうことで、米側との間で合意が成立いたしましたものが、濃縮ウランの緊急輸入と、それから航空機の緊急輸入、この二つが大きな項目でございました。濃縮ウラン、それから航空機、これはいずれも四十七年度及び四十八年度の輸出入銀行の資金計画上必要な資金を予定いたしております。  いまお尋ねがございました濃縮ウラン、これはおそらく先生が疑問としてお持ちになっておるのは、金を払えばすぐ物がくるか、こういうことであろうかと思います。私の記憶では、ウランを濃縮いたしますために、付加価値と申しますか、手数料、人件費等がかかりますので、いわばそれを前払いするということでございまして、将来にわたって日本のエネルギーの源泉として必要な濃縮ウランに対して、これを長期的に見て確保するという意味で、いま申し上げました加工賃についての前払い、こういう趣旨であったように記憶いたしております。
  105. 増本一彦

    ○増本委員 こまかいことをお尋ねして恐縮だったのですが、要するに、新聞などの報道によりますと、この濃縮ウランにしても十年ぐらいにわたって定量が引き渡される。それについて、しかし代金だけは前払いで先に渡してしまうというやり方ですね。こういうことを一応輸銀のほうでは承知をされた上で融資をされているものなんですか。
  106. 橋口收

    橋口(收)政府委員 もちろんそういう内容承知いたしておりますし、それから申し落としましたが、これは外貨貸しの対象になっておりまして、たしか一〇〇%外貨貸しで、金利も三・六二五という、まあ低利の資金ということで、これはどちらかと申しますと、まあ電力会社の便宜ということもございますけれども、日本の国としての必要なり便宜からこういう措置をとったものでございまして、しかし、融資をするに際しましての審査というものは、輸出入銀行の組織で十分審査をいたしますが、大局的に見まして、こういう性質のものとしての取り扱いをする、こういうことになっております。
  107. 増本一彦

    ○増本委員 これも普通国民の常識から見ますと、代金だけ先にやって物が来るのはずっとあとだ。そうすると、お金だけ先に渡しておいて、しかも、いまのお話ですと金利も年三・六二五%くらい、こういう低利で融資をしておいて、お金だけがアメリカに回っていく。大体十年くらいで計算しますと一億ドルくらいの金が、受け取ったアメリカのほうで運用して得をするけれども、しかし輸銀やあるいは日本の国内で考えれば、それだけの分が運用できないからそういう点ではマイナスになるはずだというように考えるのが、言ってみれば国民の常識だというように思うわけですよ。こういう政府の信用で集められたお金について、それが輸出入銀行という政府も出資している一つ金融機関判断できめられてしまう、こういうことも、国民の立場からすると納得ができない。だからこそこういう問題についても、これはこまかい一つ資金運用の問題ですけれども、一年間に融資するお金について、一定の、その運用計画とかあるいは運用のワクというものを、やはり国会審議を経るようにまないたの上にのせるということをすれば、そこでの国会審議を通じて、適切な資金運用あるいはその計画が、より充実したものになるというように考えるのですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
  108. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 そのときの経過については、大体理財局長から御説明したとおりであると思います。要するにこれは、御案内の、まあ平たいことばでいえばドル減らしの一環として行なったことで、どうせ買うべきことが予想されているものならば、ドル減らしというそのときの考え方からいって、ドルを前払いするということにおいて、日本の国際収支対策としても有効であると当時の判断のもとに行なわれた、まあ日米間の話し合いを基礎にして行なわれたことであると私は理解しております。そこで、いわば円のファイナンスとして輸銀からの融資ということになったと思います。ですから、そういったようなドル減らしを政策として行なったことと、それからお話しのように、それだけ円が使われたということで、単にそれなかりせば行なわれたであろうところの融資余力というものが食われたということとの比較考量の問題だと思うのです。当時の政策決定としては、前者のほうがよろしいという決定に立ったのだと思います。  それから第二に、こういうこともあるから融資の問題についてある程度のワクを置いて、これを国会議決対象にすべきであるという御意見でございますけれども、この点については、従来からも政府側から御説明しておると思いますけれども、特にそれにつけ加えて申し上げることはございませんが、同時に、たとえば今後の計画としては、政府としてはかなり具体的な計表等の、御審議参考にしていただくようなものは、従来に増して審議のために御協力いたす用意は持っておりますことは、これも政府側から従来から御説明したとおりでございます。
  109. 増本一彦

    ○増本委員 大臣からドル減らしとしてこの場合にはやったのだというお話があった。これは直接いまの論議の本題とは違うわけですけれども、ドル減らしといっても、これはあまりにもアメリカに一つはサービスをし過ぎているし、この濃縮ウランの購入の契約を見ますと、たとえば電力会社が天然ウランを原子力委員会に渡す、その引き渡しの時期がおくれたときには、できている濃縮ウランについてはそれを日本側には引き渡さずに、アメリカの原子力委員会のほうで保管しておいて、その保管料は別に取るというようなそういう約束までなされているんじゃないですか。こういう契約だと、これは電力会社のほうでもだいぶ文句を言ったそうですが、あまりに不平等だし、そういう点でも譲歩をしているし、しかもドル減らしとはいいながらそのドルをもっと、たとえば国民の生活に必要なものを外国から買うというためにも使う必要があるでしょうし、何もウランを買うことだけがドル減らしによって国民の生活そのものを保障していくということではないわけですから、そういうことで、いわば緊急とはいいながらどうもそういう運用のしかたについて、国民のお金を責任をもって預かっているという立場に立った運用のしかたがなされていないのじゃないだろうかという気が私はするのですが、その点について、まず輸銀の関係の方から、あるいは局長でもけっこうですが、お答えいただいて、その点についてもう一度大臣の所見を伺いたいと思います。
  110. 橋口收

    橋口(收)政府委員 増本先生よく御存じであろうかと思いますが、輸出入銀行の輸入金融の機能は原則として前払い金融でございまして、日本経済が必要な一定の鉱産物を確保するためにあらかじめ前払いとして手金を打つと申しますか、あるいは開発のための投資をするとか、本来単純な金融ではございませんで、将来輸入を確保するために前払いをするというのが、政府金融機関としての輸出入銀行が民間金融機関を補完する立場で行なう長期の金融でありますから、濃縮ウランの問題について御指摘がございましたが、それは一般的に申しまして円を前払いする、もちろん円を外貨にかえて前払いするのでございますが、そういう意味では資金がそういう性格のものであるということについて十分御理解をいただきたいと思います。  したがいまして、濃縮ウランの具体的な契約の当否の問題は直接お答えする立場にございませんが、問題が生じましたのが先ほど大臣からお答えがございましたように、主としてドル減らしの見地からでございますが、しかしやはりビジネスベースの取引でございますから、全く日本側の不利になる行為というものを電力会社が承知するわけもございませんし、また外貨融資の対象にするわけでございますから、もちろん政府も介入いたしておりますので、詳細な点はあるいは通産省からお聞きになったらいいかと思いますが、私ども資金運用部資金を輸銀に対する資金計画の一環として金をつけておりますので、そういう点につきましては十分批判にたえ得るものであるというふうに考えまして措置をいたしたものでございます。
  111. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 先ほど荒木さんにお答えしたところにもあるのですけれども、要するに輸銀の性格というのが、金融機関役割りを補完する、民間の金融機関としてはできない、あるいはできにくいことをやるということで輸出輸入とも、輸出については先ほど申し上げたとおりでありますけれども、輸入についても同様に前金払いということがむしろ原則的に考えられる。ですから、ただいま御指摘になりました問題は、結局濃縮ウランというものが私どもが長い目で見てどうしても国民生活に必要なものである。これを日本の国際収支対策としてこの際輸入するということを約束することが、どっちみちやらなければならぬことですから、これは長い目で見てドル減らしにもなりますから、ここで行なったというそのことがいいか悪いかということの御批判の問題だろうと思いますが、先ほども言及されましたように、同時に飛行機あるいはヘリコプターですか、そういうものも緊急輸入の対象になったことは御承知のとおりでございます。
  112. 増本一彦

    ○増本委員 そこで、再三大臣からもお話があったのですが、現在特別会計総則にこの法案に基づいた提案がなされているわけですけれども、私どもがこれまで主張してきましたような立場、それについてはそれを制度として貫くことには大臣はあまり賛成はなさらないけれども、従来と比べると比較にならないくらい大きな変革であり前進であるというような御趣旨のお答えをいただいているわけです。そうしますと原資の問題ですね、あるいは資金の用途別のワクですね。たとえば先ほどからお話ししていますように、大企業に対してどうなのか中小企業に対してどうなのか、あるいは産業基盤を育成するためにはどのくらいのワクでどうするとかあるいは生活基盤についてはどうするとかいうようなことが制度としては確立できないにしましても、そういうことを国会審議の及ぶ一応の範囲とするという点については、大臣もそれをまっこうから反対なさるような御答弁でもないと思うのですけれども、どの程度のことを国会対象としてのぼせるお考えであるのか、その点についてひとつお伺いをしたいと思います。
  113. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これは二つの問題があると思うのですが、一つ原資の問題であると思います。ところが原資というものがどうやって入ってくるか、これは税金とは違うわけでございますね、一口に言えば。有償の預かり金、いわば金融的な資金であるということがいえるのではないかと思いますから、税金であるとかあるいは税金によって償還される公債金といったようなものとは本来的に性質が違う。要するに数量的な規制にはなじみにくい性質のものであるというのが一つであると思います。  それからもう一つ運用の問題でございますけれども、政府が御提案申し上げておりますものは、御案内のように、運用の期間が長期である、これは五年以上としておりますが、そして議決の形式としては運用予定額を特別会計予算総則に規定する、こういうことにいたしておるわけでございます。それに弾力性の問題その他ございますけれども、要するにこの二点は本来の財投と申しますか、これの特殊な性格から出てくるところの問題であって、原資として入ってくるものについて何らか議決対象になるということは不適当であろうという考え方、それからもう一つは、長期の全体の額を予算総則に規定するということが、政府としていろいろの点を考えましてぎりぎりのところである、こういう考え方でございます。
  114. 増本一彦

    ○増本委員 そうしますと、具体的な資金運用の目的とかそういうものを議決で拘束することは好ましくないし不適当だ、しかし、その長期運用までされる資金が総じてどういう方向に、あるいはどういう事業の達成のために使われるかというような点については、その審議の際に政府側としては十分に明らかにされる御用意があるわけですか。
  115. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 運用対象については、対象別に予算総則に規定するというのが御提案申し上げておるものでございますから、こうした御審議にいろいろと御参考にしていただくような計画表等については、この法律が制定されました後におきましてはいろいろとくふうをいたしたい、こう考えております。
  116. 増本一彦

    ○増本委員 その点については参考資料としてではなくて、その運用そのものについても国民の監視と要求が反映できるようにひとつ配慮をすべきであるというように私どもは思うわけです。  そこで、いま年金の問題が非常に重要な問題になっているし、政府福祉社会への転換とか社会保障の充実ということを強調されるようになっているわけですが、少なくとも運用部資金の中の厚生年金国民年金については、これは再三他の委員からも主張された点ですけれども、大臣がいらっしゃるので大臣にお伺いしたいのですが、これだけは別立てにして、そうしてその使用目的も社会保障とかあるいは国民福祉のためにのみ使うようにすべきであるというように考えるのですが、そういう制度へと転換させていく、そういうお考えがあるか、ひとつ御所見をお伺いしたいと思うのです。
  117. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 財投資金は、全体として大切なお金でございますから、管理を厳正にして有利に運用される、その観点から立ちますと、一元的に管理運用されることが一番望ましい。それから管理の経費その他事務的なことを考えてみましても一番望ましい姿であると思います。しかし、すでに資料としてお配りしているものの中にも明らかかと思いますが、年金資金等の使途別分類計画あるいはその推移は、四十七年度と四十八年度を比べてみましてもだいぶ変わってきております。そして住宅生活環境整備、厚生福祉、文教、中小企業、農林漁業、これだけで比率にいたしまして八五%、いわゆる第一項から第六項までの分類表で八五%を占めているという現状でございまして、先ほどもちょっと言及いたしましたが、基幹産業、貿易・経済協力というようなものは、四十八年度におきましてはこの関係ではゼロにしております。こういう点が政府としても発想の転換を現実にしておる点であることを御理解いただきたいと思います。
  118. 増本一彦

    ○増本委員 国民の立場からしますと、昨年だったと思うのですが、社会保険審議会の答申でも、年金については福祉関係について今度は違うような方向で検討しろという意見も出ているわけでして、そういう立場を政府としてもおとりになるということがたいへん重要だと思うわけです。今回のあれを見ても、なるほど基幹産業や貿易・経済協力については年金資金はなくなってはいますけれども、しかし道路だとか運輸通信、地域開発、こういうような列島改造等に関係のある部分にもかなりな部分が使われるということを見ますと、国民のそういう要求に沿って年金のファンドについては国民の生活を守るためにだけ使う、そのために特別な計画を立てて精力的に進まれるということが正しい態度ではないかというように私は思います。そういう点での具体的な発想の転換をぜひとも政府に要求をしたいと私は思います。もうそろそろ時間なんで、じゃ、これで終わります。
  119. 鴨田宗一

    鴨田委員長 次に、広瀬秀吉君。
  120. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 今回の法改正に踏み切った大蔵大臣の考え方をまず最初に伺いたいのですが、われわれは資金運用部資金あるいは簡保資金、また産投資金あるいは政保債・借入金というようなものを原資とする財政投融資全体について、一体としての国会議決というものが必要であろうということは、わが党の議員からも再々ここで質問をしたわけでありますが、それは二重議決になるおそれがあるとか、これはまた同時に財政制度審議会でもそういうことをいっておられる。政府の立場としてある程度やむを得ないことがあるという気もしないではないわけであります。しかし、財投原資全体の中でいうならば、勤労大衆の拠出した金が私の試算によりましても、この財投資金計画原資の構成割合、これを見ましても、大体八〇%をこえるものが資金運用部資金になっておるし、その資金運用部資金の構成を全部見ましても、これは全部大衆の金である。だとすれば、財政投融資全体の資金源の八割をこえるものは大衆の金である。勤労大衆の金である。こういうところにあるわけであります。そういうようなことが一つあります。  それから、ことしは日本の歴史始まって以来の六兆九千二百四十八億という膨大な資金になっているという点がございます。しかもそういうものが、これは今日国家経済全体における資源配分に及ぼす影響というものは実に大きい。しかもこの資源配分の問題については産業優先、大企業優先というようなところから、国民のそういう庶民大衆の生活最優先、福祉最優先の資源配分に変えなければならない、財政構造、経済構造をそういう方向に持っていかなければならぬのだ、こういう問題意識というものがわれわれの主張の中にはあるわけであります。よくここで前からシーザーのものはシーザーに返せというような議論が行なわれたことをわれわれも記憶しておるわけでありますが、そういう点からいって、今回は形式的に産投会計特別会計で、その歳出について国会議決を受けます、政保債の問題については、特別会計予算総則の中で規定をしますということになる。そういうようなことから、残ったものは今回出されておる資金運用部資金並びに簡保、生命保険及び郵便年金積立金長期運用分だけだ、こういうことで、この問題について特別会計予算総則でこれを規定すれば足りるではないかという発想で、今回こういう法案が出されたわけだけれども、いろいろ私が申し上げたような立場に立って、大蔵大臣はこれでもう事足れり、十分に国民の前に国民の金をどう使うかということが、これでもう必要にして十分な措置はとられた、こういうお考えなのかどうか。その辺のところ、今回法案を提出したあなたの基本的なお考え方について所見を伺いたいと思うわけであります。
  121. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 まず第一は、財投というものが財政的機能をだんだん広くしてくる。それから規模も御指摘のように大きくなってまいりますから、これは従来の国会との関係からいいますならば、国会の中でもしばしば御論議がございましたが、国会議決をいただく条項を何とかして積極的に取り上げたい。これは歴代の大蔵大臣も御検討をお約束しておりましたので、これを誠意をもってひとつ前進させようという考え方で、専門的にも財政制度審議会にわざわざ特別の部会をつくってまで、前向きに検討するのにはどういう方法がいいかということで、得ました結論を国会に付議した次第でございます。  ところで、内容的にはおおよそ三つほどの御議論があると思います。一つは、御承知のとおり二重議決の問題でありますけれども、これは産業投資関係の支出でいえば産投会計歳出予算議決をいただいておりますし、それから政府保証債による資金調達につきましては一般会計予算総則ですでに議決をいただいておりますから、問題になりますものは具体的には資金運用部資金簡保資金、この二つであります。そこで、この二つの資金についてはいかに考えるべきかということ、これがいま広瀬委員からも御指摘の問題点であると思いますが、先ほど申しましたように、この資金原資というもの、入ってくるお金というものは、まず一つは受動的なものである。それから有償的なものであります。そして預かり金でございます。いわば金融的な資金でございます。ですから、これは税収入あるいは税収入で償還さるべき公債金とは本来性質が違いますし、全体として数量的な規制になじまないという機能と性格を持っている。この点は何と申しましても税金その他との性格の明確なる違いである、かように考えざるを得ないわけでございます。  それからもう一つは、これらの資金運用についてどういう点が問題となるかということになりますと、これは大切なお金であり、有効に効果的に運用されなければならないということは当然でございますけれども、やはり原資性格からくるものと、それから機動的な流動的な運用ということを考えますと、その一々の受け皿に入ってきます受け皿のところのどの範囲をチェックするか、どこを議決のポイントにするかということで、やはり相当長期なものであればこそ、これは財政的な職分、機能を持っているものと理解すべきものじゃないか。この点で五年以上という長期にいたしたわけでございます。それから運用対象別に特別会計総則に入れる、運用対象別に計上するというところに重点を置いたわけでございます。そして、これに事柄、資金の性質上から申しましても弾力条項をつけることが必要である。こうすることによりまして、従来より画期的に国会を通して国民の関心を持っていただく。また、従来より画期的に財投というものの運用について政府国会に対する責任を明確にして、運用上の誤りなきことがますます期し得られる。  私は、いまこれで十分と思うかとお尋ねがございましたが、こうした性格資金でございますから、検討し尽くした結果、これで現在におきましては必要にして十分なるものである、こういうふうに政府としては結論づけて御提案を申し上げたわけでございます。
  122. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 大臣は、今度の措置をもって、この財投計画国会議決にかからしめようというわれわれの主張に必要にして十分にこたえたという御見解を表明されたわけですが、いまの大臣の答弁の中で私が残念に思うのは、庶民大衆の金、勤労大衆の金なんですよ。零細な、毎日その日のかてを自分の労働の賃金によって得ているような、そういう人たち、あるいは国民年金等においては零細な事業者、小事業者あるいは農民というような、そういう人たちの金がこの財投計画資金の大宗をなしている。そういうものなんだから、先ほども貴重な金でございますということはおっしゃいましたけれども、そういう貴重な金——資金というのはすべて貴重だと思うけれども、あなたの頭の置きどころが、ポイントが、大衆の金なんだということが答弁の中に私は落ちていると思うのです。そういう点からいうならば、大臣の必要にして十分というのは、その点に焦点を合わせた場合に、はたしてそうなのかという反論を私としてはしたいわけなんですね。そのところはどうなんですか、大臣。いまこの構成比を見てみましても、資金運用部資金が八一%ですよ。それから簡保資金が一〇・七%。政保債等、これが七%です。そして産業投資特別会計の出資等が一・四%という状況ですよ。こういう数字を見て、しかも集中的に八一%を構成しておる資金というのは、いまさらどういう原資が入っているかということを——郵便貯金、厚生年金国民年金、その他。このその他というのも船員保険特会などの特会からのものが大部分である。これはほとんどみなそういう大衆の金であるという、その点が大臣の頭の中にきちんと整理されて入っていないというところにいろいろな問題点が出てくる。いまのような答弁も、やはり形式的にはそのとおりだろうと思うし、私どもも今回の措置を決して後退だとは言っていないし、前進の面であることについては評価を惜しまないのです。しかしながら、そういう重要な部分について、責任ある立場においてその点をどうお考えなのかということを、もう一度お考えを聞きたいと思います。
  123. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 ただいま広瀬委員のお述べになりましたことは、私も同じような考え方を持っておるつもりでございます。先ほど私は、国会議決のポイントをどこに置くかということを、むしろ法律的立場とそれから資金性格ということから御説明申し上げましたので、今度はその大切な庶民大衆から拠出されたお金で、特に重要なお金であるから、これをどういうふうに配分計画をするかという点に触れての御質問、御意見でございますが、私はその点においては同じような考え方を持っておるつもりでございます。  そこで、今後この法律ができ上がりましたら、先ほど来申しておりますように、運用対象別に運用予定額を提起いたしまして国会の御審議をいただく、それから、すでに政府委員から十分お聞き取りいただいておると思いますけれども、たとえば運用の実績については、資金運用部特別会計簡易生命保険及び郵便年金特別会計歳入歳出決算に添付する、それから財投計画表につきましては新たに調整を加えるというような点につきましても、御審議をいただきます参考とし、あるいは添付書類として用意もいたしますというようなことで、従来とは画期的に、運用内容等についてもいろいろ御意見をいただく機会が十分できる、これをも込めまして、法律観点も満足させ、そしてかねがねございます国会からの積極的な御意見に対してもおこたえし得る、こういうふうな考え方を持っておるわけでございます。
  124. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 財政制度審議会の検討の結果で、いま大臣がおっしゃったような、また先ほど私が申し上げたように、産投会計あるいは政保債による資金調達、これはそれぞれ国会議決を経ておる現在、財投計画の全体について議決案件とするということは、二重議決の問題を生ずることとなって、法律制度上採用することはできない、こういうように書かれております。しかし、一体二重議決がいけないというのは何のためなのか、大衆の金を大衆のために使ってもらいたいという国民の要望、そしてそれが国会審議を通じて国民の前に全体としてきわめて明確な形で把握され、国民がほんとに腹に落ちるというか、納得する、そういうようなものとして明確になるというために、そういう非常に大きいところでの基盤というか、そういうものがあってしかるべきだ。そうするならば、二重議決の排除というようなことは、二つのところで議決をして、お互い食い違ったら斉合性が失われるだろう、あるいは一体性というものが失われるだろう、そういうような弊害というものが財政制度上、あるいは法律制度上出てくるわけだけれども、しかし、二重議決が相互に食い違うというようなことがあったりして妙なおかしな形が出る、こういうようなことがない限りにおいては、私は、二重議決があったところで、それは実際に、具体的に申し上げれば、予算委員会で言うならば、財投計画の中で非常に大きな部分を占める公団あるいは事業団というような国民生活に非常に関連の深いそういう機関が、どれだけの金を受け入れてどうそれを支出して国民の役に立っておるかというようなことがわかるように、そういうものを含めた予算が、これは第三の予算というか、第四の予算というか、一般会計あり、特別会計あり、政府関係機関あり、その次にということになれば第四の予算というような形で、公団なり事業団なりというものの予算が、今日のたてまえでは大臣認可というようなことで処理されておるけれども、そういうものについての収入支出の状況というようなものを、予算によってあるいはまた決算によって明らかにするということが、同じ予算委員会で一般会計予算特別会計予算、さらに政府関係機関予算、そして第四の財政投融資関係の予算、あるいは公団、事業団等の予算、こういうもので予算書として出され、一体として予算委員会で議論をされる。二重議決の弊害がどうして起きますか。  弊害というのは、やはり一体性が失われる、二重の違った議決が生まれるという危険性の防止、一体的な斉合性というものが排除されるおそれがあるというところに、やはり二重議決がいけないという一般的な原則があると思うのです。しかし、そういう形で国会審議に付するということになりますならば、これは二重議決何のおそるるところあらんや、一番大事なことはやはり国民の願いにこたえることだ。国民の納得できる、また国民がそういうことを要求しているのですから、そういうものにこたえて国民の前にはっきりさせていく、こういうこれからの——かって国家が野望を遂げさえすればいいという警察国家の時代もあったけれども、いまや国家自身の役割りというものが、国民の生活の中、福祉の中にとけ込んで、それに介入して人間らしい生き方を保障する役割りを持っておるという、非常に多角的な複雑な高度な使命を負わされている、福祉国家にふさわしい使命がどんどんふえておるわけですから、そういう中においては、かつて権力主義的な国家構造の中で確立された二重議決はいかぬというような原則なんかは、必ずしも金科玉条として現在とっておく、けんけん服膺する必要はないのじゃないか、私はそういう疑問を実は持っているわけです。だから、そういう点で、二重議決はいけないということを財政制度審議会としてはいっておるけれども、これはあまりに硬直した量見ではないか、こういうように考えるのですが、その辺のところはいかがでございますか。
  125. 橋口收

    橋口(收)政府委員 法律制度上のみの問題でございますから、一応私からお答え申し上げたいと思いますが、広瀬先生の御主張なり御意見と、政府側で提案いたしました法律案と、実は紙一重であろうかと思います。繰り返し御説明申し上げておりますように、財政投融資原資は四種類ございますが、それぞれ四種類について国会の御判断を仰ぐ手段なり場というものは、それぞれの性格に応じて別な形態でございますが、それによって財投原資全部について国会の御判断をちょうだいする、こういうことでございますから、それを一体として、従来から一体的に取り扱って作成しております財投計画表という形で国会の御判断を仰ぐか、それぞれの資金の源泉の性格に応じて、それにふさわしい場として国会で御判断を仰ぐかという、いわば便宜の問題でございまして、そういう意味で紙一重ということを申し上げたのでございます。  そこで、二重議決になるかどうかという問題は、財政制度審議会でもたいへん議論がございまして、この問題を非常に神経質に考える方は、金融公庫の借入金、それから財投の融資、これも二重議決だ、こういうことをおっしゃられる方すらおったのでございます。しかし、しばしばこの委員会でも御議論がございましたように、歳出歳入ということは二重議決ということはあり得ないのではないか。これは高沢委員からも御指摘をいただいたと思いますけれども、特別会計から見た繰り入れは歳入でございます、一般会計のサイドから見れば歳出でございますから、歳出歳入というのは、これはいまの予算制度でも現存いたしておりますから、そういう意味で、金融公庫の借入金と財投の融資とが二重議決というのはやや神経質に過ぎるのではないか。しかし、産投会計歳出、債務についての政府保証、これは全く同一事項について国会の御判断を仰ぐということになりますから、同一事項について二つの形式で国会の御意向を伺うというのはこれは適当でないという、いわば純粋な気持ちといいますか、たいへんへりくだった気持ちで、二重議決という制度上の問題があるということを財政制度審議会は申しておるのでございまして、したがいまして、先生の御主張も原理的に別に反対はございませんので、ただ、議決をするいわゆる形式なり場なりが違うということでございます。  そこで、大臣からも先ほど来お答え申し上げておりますように、従来の財投計画表というものは従来どおり国会に対する承認を求めるということで、従来と同じ形式を踏んできまして、その一覧性を明瞭にするという立場から提出をいたしておりますけれども、しかし、現在の計画表なりあるいはそれに関連する参考資料も必ずしも十分じゃないという御指摘もいただいておりますので、この点につきまして、明年度から、まだ一年ございますので、十分くふうをいたしまして、いま先生おっしゃいましたような財投計画の明瞭性といいますか一覧性と申しますか、そういう点をさらに前進させるような道をくふうしてみたい。したがいまして、議決を受ける形式と、実際に財投の機能なり、性格なりというものが明らかになる手段とは、これはおのずから違っても差しつかえないのじゃないか。そういういわば周到な用意という点から、二つに分けておるのでございまして、いまの計画表で不十分な点はさらに補足ないし補正をいたして、より一そう財投性格が明らかにできるような措置をさらにくふういたしたいというふうに考えます。
  126. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 大臣、いま主管の理財局長の御答弁によりましても、私が主張することと紙一重のところにきているではないかということなんですね。紙一重のところにきているというならば、二重議決ということも、いま理財局長もおっしゃったけれども、これはあえて言えば、二重議決になっているというスタイルはほかにも幾らでもあるわけですよ。橋口さんが例を引かれたようなことは一ぱいある。そういうようなことだから、この二重議決の問題については、それほど重点を置く必要はないのではないか。何といっても、やはり基本を踏まえた形で、この財政法二十八条によって参考書類として国会に、公団、事業団等に対する融資計画というようなものが添付され、それぞれの公団、事業団等について貸借対照表、損益計算書あるいは資産状況というようなものが提出されてきておるわけなんですね。事態はそういうところまできているのですけれども、全体的な公団なり事業団なりがどういう仕事にどれだけ金を出して、どういう使い道をしようと考えるのかというようなことについては、やはり政府の、大蔵大臣の認可にそういう点はかからしめられておるわけですが、それぞれの事業団、公団法によってそれをもう一歩、百尺竿頭一歩を進めて、この予算書をちゃんと、第四の予算案件になるかどうかということは別として、予算書という形でそういうものを、公団法、事業団法にかかわらず、予算書として国会議決にかからしめるということについてのお考えはいかがでございますか。それが一つ。  それから、大臣がおっしゃった、この原資は受動的な有償の預かり金という性格のものである、これについては数量的規制になじみにくい性格を持っているというその部分は、これは財政制度審議会の答申にもそういうように書いてあるのですが、なぜ数量的規制になじみにくいというのか、どうもわれわれにぴんとこないのです。これはもちろん有償の受動的な資金受け入れる、その受け入れるところについてもいろいろ不確定要素があって、かちっとした税とは違うというのですけれども、税だって景気動向によって違うのだし、そういう点では数量的規制にあるいはなじみがたいというかもしれない。そういう点で、機動的な運用を確保するという意味で数量的規制ということはやりたくないのだ、こういう意向なのか。その辺のところを、数量的規制になじみがたいという点について正直のところ一体どういうことをお考えになっているのか。機動的運用をよくしたいのだ、弾力的運用をよくしたいのだ、そういうことが本心なのか。数量的規制になじみがたいというその表現をどう解明をされて、われわれがなるほどそういうことかと納得できるような御説明をひとついただきたいと思います。以上の二点について、
  127. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 まず二重議決の問題を、私、率直に申しますのですが、これは先ほど局長から申しましたように、政府側としてはきわめて謙虚な立場で、そして国会法その他をはじめといたしまして、これはその道の権威者の方にもずいぶん広範に意見を求めたわけでございます。これは非常に重要な問題である。先ほど神経質なんという表現がございましたけれども、これは法制的にあるいは国会自身の問題としてもなかなかむずかしい問題とは承知いたしております。それから、これは主として法律的な問題でございますが、同時に財政法上も非常に重要な問題であるということは、財政当局としてももちろん重大関心を持っておるということは申すまでもありません。  それから内容の問題でございますけれども、これはどうも論争みたいになるのは恐縮でございますから簡単に申し上げますけれども、やはりこれは税金を国家の国権によって徴収するというのと、それから郵便貯金とか簡易保険の契約に国家の側と申しますか、郵政省なり郵便局なり何なりが、これは何としてもパッシブなんですね。俗なことばで申し上げますと、強権をもって取り上げるというと語弊がございますけれども、そういうものとは違う。そこにやはり性格として大きな違いがございます。先ほども御質問がございましたが、たとえば郵便局ではごほうびを出してそして郵便貯金の勧誘をしているというお話がございましたが、まさにその点に触れているような、郵便貯金というものの性格はまさにそういうところにあると思います。簡保も同様だと思います。これを歳入的なものとして扱うということはいかがでございましょうか。私はにわかに賛成できかねます。  それからもう一つは、おまえらは官僚的に自分で運用したいから国会議決を避けるのだろうが、という御趣旨が第三の点には入っていると思いますけれども、これまた、そうして集まったところの資金を有効に、有利に、しかも国家目的に沿うように運用するという問題でございまして、これはやはり歳出とは違うわけでございます。  そういったような実態性格から考えまして、しかも国民に対して国会を通して財投というものをできるだけよくわかっていただく、わかっていただくのではない、まず国会の意思を反映しなければならない、それには内容を明らかにすべきである、この御要請に応ずるためにはいかにせばよろしいかということで、いろいろと検討した結果がこの政府案が、先ほど申しましたように、私は必要にして十分な、各種の御要請にミートするにはまずこれが最善の選択であると考えておるわけでございます。そしてこれは、私は予算委員会でも申し上げたのでございますけれども、田中武夫委員の御質問にお答えしたのですが、田中さんのねらっておられるところと私の考えとは全く共通な目的であるということを私ははっきり認識しておる。その共通の目的を達する手段、方法として、田中さんは別の方法がさらにあり得るとおっしゃるが、しかし私は、いろいろの点から議論を詰めていきますと、コンセンサスはこの程度になるのではないでしょうか。この共通の目的を達成するために、まずこれでひとつやらしていただければ、もうほんとうに画期的にいままでの財政というものに対する国民の目というものが、このことによって非常に明るく、また扱いやすくなるというふうになると確信するということを申し上げたのですが、その気持ちは全然変わっておりません。どうかひとつ、この政府の原案というものに、そういう意味で御理解を賜わりますようにお願いをする次第でございます。
  128. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 ねらっておるところは、わが党の田中予算委員の考えと一緒だということなんですが、それならば、いままで大臣認可だけで国会議決対象にならない公団、事業団、そういうようなところの予算全体について第四の柱として、入った原資収入にあげる、そして出したものを一切全部歳出でというような表現、われわれはそういうところまで言っておるわけでありますが、ねらいが一緒だとするならば、せめて大臣認可をするというその予算というものを議決事項にするというところまで高めれば、これはねらいが同じで、ほぼ九〇%近く国会議決のあり方においても一致する、具体的な線というものは、そういうところに求められるのではないかと思うのですが、そういうところまでいくお考えはございませんか。将来、来年なりあるいはその次の年度において、そういう方法で検討する。  先ほど申し上げたように、公団、事業団については貸借対照表も損益計算書も出ております。それから資金計画も出ております。これも全部ではありませんけれども、おおよそのものについては、大体出ておるということなんですが、そのすべてにわたってそういうものを出していく。それから運用部資金運用報告書というようなものもございますけれども、これも昭和四十六年度のものが手元に配られておるわけですが、この程度では全く雲をつかむような数字の羅列で、公団、事業団を通じて、生きた金がどう使われておるのかということが、非常に抽象的で具体性を持たない数字になってしまっている。これでは不十分であるということでありますから、予算に見合う決算書というような形で運用報告がなされるというようなことになってくれば、ほとんど九〇何%か一致してくるということになると思うのです。そういう方向に向かってさらに前進をする、前向きに検討をするというお考えはございませんか。
  129. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これは率直に申し上げますと、公団、事業団というものは今日たくさんございますが、これらの公団、事業団はすべて法律で制定されておるものでございまして、その法律が制定されるときの経緯に徴しますと、公団、事業団あるいは特殊金融機関等は、このやり方も法律でいろいろきまっておりますけれども、その幹部といいますか責任者の責任において機動的に、円滑に与えられた業務を執行するという、通常の政府機関と違った役割が与えられておる。そのことが今日の公団とか事業団とかいうものの性格であろうと思うのであります。したがいまして、この法律の成立の趣旨から申しますと、いまにわかに、私どものことばでいう受けざらの予算、決算というものを、純粋政府機関と同様に国会議決にするということは、これまたおしかりを受けるかもしれませんが、なじまないというよりは、法律制定の趣旨にそむくわけになるのではなかろうかと思います。  したがいまして、これは私見でございますけれども、多くある公団や事業団の中で、それならまたあらためて政府機関にしたらいいではないかというようなことから入る議論ならば、これは予算制度の上でそれにマッチするようなくふうというか、自然にそういう結果になる、こういうふうに考えていただくべきものではなかろうかと思います。予算とか財政制度のほうからアプローチする議論ではなくて、むしろ、その事業団に対して何を国会が期待するのか、あるいは国民が何を求めているかという方向からお入りいただく御議論のほうがいいのではないか。これは私見でございますけれども、一がいに、公団、事業団だから、おまえのところの予算、決算はみんな政府機関と同じ議決対象にしろということで、財政観点から入っていただくよりも、公団、事業団等の性格あるいはそれの使命に対する期待というようなことからお入りいただければ、私どもとしては、何といいますか、少し気分をやわらげて御相談の対象にできるのではないか。これは私見でございますけれども、そんなふうに考えます。
  130. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 アプローチのしかたを角度を変えてみたらという私見も述べられたわけでありますが、公団、事業団というものが設立されたのは、そう古い時期ではないはずであります。公団、事業団がつくられた経緯というのは、本来ならば、財政そのもの、政府そのものが行なうべき仕事であるが、やや弾力性、機動性を持たして、さらに資金の調達等においてもそういうものを持たしてやったほうが機動的に働けるのではないかということで、公団、事業団の設立がここ十数年来のところで急速に高まってきた。そしていまやもう四十幾つ、これは正確には私ども数えられないほどあるのです。全体で幾つあるのかというと、四十ぐらいあるのかあるいはそれ以上あるのか、数えられないくらいあるわけであります。今度もまた国土総合開発公団ができて、日本列島改造の実施機関ということになるのでしょう。そういうことで法案も出ているわけであります。そういうことを踏まえて、それはそれなりの理由があって生まれていると思うのです。しかも奉仕すべきものはやはり大体において生活関連福祉部門、そういうようなものに非常に急速に——もちろんそれ以外の分野のものもありますけれども、そういうものを中心にして出てきたということが大づかみにいえばいえるのではないかと思います。  だから、そういうことであるならば、やはりこの予算書というものを国会審議して、その事業団なり公団なりの設立の趣旨に従って運営されているかどうかということを、予算なり決算なりというような具体性を持った資金の使い道、こういうことによって国会判断をできるわけだし、いま大臣が最後に言われたような面も、ここまで重要な庶民大衆の仕事をやっているならば政府関係機関にしてしまったらどうかというようなこともやはりそういう検討の中から生まれてくるだろうと思う。それを大臣の認可ということだものですから、われわれよほどのことがなければ、各事業団ごとに、公団ごとにどういう予算でどういう仕事が現実に行なわれてどれだけの効率があがっているのかということについて、そして、それがまさに大衆の金がこれだけ有効に使われているんだという原点を踏まえながら判断できないという面があるわけであります。したがって、それをやはり国会議決に、ここまで前進してきたならば、ほんとうにあと一歩を進めてそういうものも予算として提出をしてはどうか、こういうことにどうしても私どもこだわるわけなんですけれども、いかがですか。やはりわれわれの考えは間違いだと大臣はおっしゃいますか。
  131. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 間違いだとは決して申し上げているわけではございませんで、たとえば現在でもそういう組織運営ではありますけれども、これもしばしば政府側からお聞き取りいただいておるところでありますけれども、財政法二十八条七号によりまして、政府出資の主要法人——主要法人となりますともうちょっと範囲が広くなるわけですが、主要法人の資産、負債、損益その他に関する調書の内容を充実をいたしました。それから、参考として国会提出されている予算説明に改善をすでに加えておりますし、四十八年度からはさらに、先ほど来申しておりますような運用予定額が国会議決にかかることになるわけでございます。それから、そういうことまで申し上げるのもいかがと思いますが、現に国会の各委員会等におきましては、公団、事業団等の総裁とか理事長とかいう方々が参考人等として直接国会審議といいますか質問にもお答えをして、事業の内容等はつまびらかに御審議をいただいておる、これが現状でございます。これがまた公団、事業団等のいいところではないだろうか、私はそう考えておりますが、決して広瀬委員のお考えを間違いだと言っているわけではございません。それぞれの公団、事業団等の設立の基本法律に基づいていま活動しておるこの現状と、それに対して国会の御審議をいただく手段は相当十分に講ぜられておりますし、それから政府としてやはり法律に基づいてそれぞれの主務大臣が十分に監督をして、国会に対しては政府がこれらの面について責任を十分に持っている、こういうところを総合的にお考えいただきますならば、現在において賛成しろとおっしゃられましても、私はにわかに賛成することはできないと率直にお答え申し上げます。
  132. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 この問題については、これ一問で終わりますが、大臣、今回の措置をもって長い間論争してきた財投国会議決のあり方という問題についてはこれにて一件落着、こういうことで、もう一歩を進めようというお考えは大臣の頭には全くないということなんでしょうか。その点だけ確認をしておきたい。そうでなくて、改善の余地については私どもの意見、そしてあなたの考え方は、広瀬委員が言ったことについては、終局のねらう目的は一緒だという表現までされておるのだけれども、そういうことならばもう一つ考えが何かないかということを検討してみるという弾力性を持ったものなのか。これっきり、これで最高で至上のものであってもう検討の余地なし、これにてすべて一件落着というお考えなんでしょうか。その辺聞かしてもらいたいと思います。
  133. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これは実を申しますと、私も昨年末就任早々でございますが、この扱いをいかにすべきか、どういう法律案で御審議を願うかというときに、比較的短時間でございましたが、これを一生懸命検討いたしまして、そしてこれがただいまの時点において最善である、こういう結論を得まして自信を持って御提案を申し上げた次第でございます。しかし、世の中はいろいろ進化いたしますから、将来長きにわたってこれが必要にして十分とは申しませんが、現段階においては私はこれが最善の選択であると思っておりますので、どうか御賛成いただくようにお願いを申し上げます。
  134. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 大臣の答弁の半分は理解しますけれども、半分はまだわれわれと大きな差があるということを確認して次に進みます。  理財局長に伺いますが、現在年金制度とかいろいろ国家公務員共済年金をはじめ厚生年金あるいは国民年金、その他の年金制度、そういうものを各別にどのくらいの資金の、積み立て額が、現在一番新しい次元でとらえた積み立て残高といいますか、これをひとつお示しをいただきたいと思います。
  135. 橋口收

    橋口(收)政府委員 昨年十二月末で厚生年金国民年金合わせまして七兆二千億であろうかと思います。そのほかに共済約三千七百億円がございます。その内訳としては、国家公務員共済、地方公務員共済それから公立学校、あと中小企業退職金共済事業団の余裕金とかあるいは清酒製造業退職金共済組合、そういうのが幾らかございますけれども、大宗を占めておりますのは、国家公務員共済でございます。
  136. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 その点、いま資金運用部に入るものと公企体共済のように入らないものとありますが、年金制度というものを持っておって、いままでは積み立て方式でやってきたわけですから積み立ての累積額があるわけです。責任準備金という形で積み立てられておるのですが、それを一覧の資料としてこの法案の審議が終わるまでに全部提出していただきたい。その内訳でもよろしいし、別立てでもよろしいですから、資金運用部に入るものは幾ら、資金運用部に入る形になっておるものとそうでないものと、要するに年金制度における積み立て残高の一覧表をひとつつくっていただきたいと思いますが、これは総金額にしては八兆をこすであろう、こういうように思うわけでありますが、それをひとつ数字的に正確なものをお出しいただきたい。この点いかがですか。
  137. 橋口收

    橋口(收)政府委員 これは私のほうでお預かりしておるものは直ちに作成はできますが、公企体共済とかあるいは公務員共済でも運用部に預託しておるものはごくわずかでございまして、あとは自主運用というたてまえになっておりますから、そういうものも含めまして、それから厚生年金の大部分を含めた調整年金の基金がどのくらいあるか、その辺になりますと、ちょっと私どものほうで十分掌握できるかどうかわかりませんが、厚生省、主計局とも打ち合わせしまして、できるだけ正確な資料を出すように準備をいたしたいと思います。
  138. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 これは、ぜひそのように取り計らってこの大蔵委員会にお出しをいただきたい。これは委員長よろしゅうございますね。
  139. 鴨田宗一

    鴨田委員長 はい。
  140. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 そこで年金問題と財投の関係、このことについて大臣にお伺いしたいわけなんですが、いま老人福祉の問題、その中でも特に一番大事なのは、何といっても老後の生活を保障する、生きがいのある老後の生活、こういうことが今日の時点における老人問題として最重要の問題である、こういうことはもうどなたの意識の中にも今日あるわけであります。そこで年金制度の改正、そして年金額の大幅な増額、まさに生きがいのある老後の生活を保障する、そういう意味での年金というものの持つ役割りというのは非常に大きい。しかもこれがヨーロッパ諸国から見ても、まさに雲泥の差がある、こういう状態。これにはもちろん、日本年金制度が発足して非常に若いというか、未成熟というか、そういう点もあるわけでありますが、そうはいってられない。もう老人の全人口に占めるシェアもどんどん増大をして、やはり老人国に急速に近づく傾向というものになっておるわけであります。  そういう中で、私どもはこの積み立て方法と、そしてその積み立てられたものが財政投融資という形を通じて貸し出されている。貸し出された限りにおいては、相当長期のものでありますから、それはもう固定されておる。こういうようなことがネックになって、積み立て方式から賦課方式への転換を、むしろ妨げる要因になっているのではないかという気もするわけなんですね。したがって私どもは、この賦課方式をとるといっても、これはなかなか一気に何月何日から、準備期間も置かないでぼっと賦課方式で、ことしこれだけ年金支出があるのですから、いま現在年金掛け金をかけている、保険料をかけているそういう人たちに、その支出分だけ持ちなさい、こういうことは、なかなかこれは事実上困難である、こういう認識を持つわけであります。そうだとすれば、やはりこの積み立ててきた年金を取りくずしながら、激変緩和をはかりながら、そしてその間において国民の全体的な所得、特に勤労大衆の所得というものが——もう老人を養うりっぱな年金を負担し得るだけの期間というのはかなり長期にかかるだろう。その間はやはり積み立ててきたものをなしくずしにしながらそれに投入をしながら、年金所要額に投入をしながらやるというような暫定的な対策というものが当然これは必要になってくるだろう、こういうようなことを考えるわけですが、それをやるにしても、財政投融資でもうばしっと運用して、五年以上二十何年というような長期のものに運用をしておるというようなことだとそれもできないというようなことで、どうもこの積立金をもっとほんとうに年金らしい年金に、生きがいのある老後のしあわせをはかる年金にしたいということのためにせっかく積み立てたものが固定されて、それが有効に使われない。そしてその制度の改善というような方向に、たじろがせる、ちゅうちょさせる大きな原因になっているんじゃないか。その辺を打開する道を何らかやはり発見しなければ、日本のこの老人年金というものが、スライド制もできなければ、またほんとうに人間らしい暮らしを保障する年金にもなり得ないのではないか、こういうように考えるわけなんです。その辺のところについて、年金の積立額を財投原資として投入している、それが貸し出されているというようなことがネックになっていないのかどうかというようなことについて、大臣の所見をひとつ伺いたいと思います。
  141. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 この問題はまず、この年金積立金大蔵省がほしいためにこの年金の賦課方式に反対しているとよくいわれるのですけれども、さようなことは絶対にございませんということをまず第一に明らかにしておきたいと思います。そのことは、まだ不十分というおしかりもいただくかもしれませんけれども、先ほども申しましたように、年金積立金配分、投融資の配分計画をごらんいただきましても、八五%はいわゆる一から六までの分類に投入いたしておりますし、それから先ほど来問題でございました輸銀であるとか大企業であるとか、こういう関連は全部四十八年度はゼロにいたしております。それから、いわゆる還元融資の比率を上げておりますことも御承知のとおりでございます。そういうところにもわれわれの意図が明らかでございますように、年金積立金が、財政機能を発揮させたいために年金に対しての意見をとやかくいっているわけではございませんということをまず一つ明らかに申し上げておきたいと思います。  そこで、賦課方式に対する意見といたしましては、要するに現在受給者が比較的少ない、そして現在ならば積立金に手をつければ負担が軽くて済む、これは確かにそうだと思いますが、それでは今後急速に老齢化する日本の人口構成から申しまして、長期にわたってりっぱな年金制度をつくり上げていくためには、後代非常な負担の不均衡というか、高福祉高負担になることを容認することになる。このことがわれわれとして頭の痛いところでございます。現在もこれは、まあ数字的にいろいろの説明もできると思いますけれども、私どもは、いわば修正積み立て方式とでもいうつもりでやっているわけでございます。  ただいま広瀬委員は、われわれも急速に一ぺんで賦課方式ということは考えられないということはよくわかると言われましたが、その問題が、要するに幅の問題だと思うのです。御指摘のように物価スライド制も思い切って採用いたしましたし、この年金をりっぱなものに育て上げる。それから年金制度は欧米に比べて残念ながら日本では比較的新しい制度である。それから日本の人口構成が欧米に比べて急速に変化をしている。いろいろな事情から申しまして、いま賦課方式に切りかえるということはかえって不幸ではないだろうか、こういう配慮から、年金制度につきましては大蔵省も厚生省も、こういう考え方においては、御承知のように全く一致した考え方を持っております。しかしながら、今後これの改善ということについては、私どもとしてもできるだけよりよき年金制度の確立のためにはどういう建設的な案がいいだろうかということについては、十分に前向きに検討していきたいものである、こういうふうに考えております。
  142. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 どうも大臣の議論はあまりにも慎重で、大体年金についてスライドを、まあことしから恩給等についても、あるいはまた厚生年金等についても物価スライドというか、消費者物価上昇率が五%をこえたらその程度のスライドはやろうという気持ちにはなったようでありますけれども、それぞれ地方公務員共済組合等、共済組合はみな調整規定を持っております。厚生年金もそうであります。そういうものは生活水準、それから物価等の問題、さらに賃金水準というようなことも入っておるわけであります。そういうものも総合して、年金についてこの調整をはからなければならぬということであるが、そのうちの一つの物価というものだけでカバーしていこう、こういう考えで、スライドの問題がまだ、本格的な調整規定にふさわしいスライド、年金におけるスライド制というものが本格的なものとして導入をされない、こういうことなどについても、やはりこの資金運用についてそれが妨げになっているとは思わないということであるけれども、現実にはそういう長期運用をやっておるというようなことによって、これが一つの障害になっていることには私は間違いがないだろう、こういうように思うのですが、このスライド制の問題について、年金の増額の問題についてどうお考えになるのか、われわれの立場ではもうそれをやるためには賦課方式に入らなければならぬのだ、こういう結論を野党側で出しているわけです。  もちろん被保険者というか、そういう人たちの掛け金が上がる、上昇するということは覚悟の上で、それを当然やるべきだ。もちろんそれは政府の負担もそれに見合って上がっていく、あるいは使用者の負担というものも上がっていく、こういうようなことも考えながらそういうところに踏み切っている。しかしながら、激変は緩和をしなければならぬということなんですけれども、そういう点で、この年金のスライドの問題と賦課方式への移行という問題にとって、この積み立てられた大きなものがあるわけでありますが、巨額なそういう積み立て残高というものを見ながら、賦課方式に変えるということができないと、できなければ本格的なスライド制もできないというようなことになる。いつまでたっても日本の老人は現実に生活保障の金額において欧米先進諸国から見れば非常に低いところで年金額が押えられるという事態から脱却し切れない。そのためにはやはり財政投融資の大きな部分をなしている年金積立金、こういうようなものについて取りくずしというような方向でいくというようなことを加味しなければならぬだろうと私は思うのですけれども、そういう方向というものはこれはもう考えられないことですか。どうやって、それならば大臣は年金のスライドというようなことを通じて実質的に生きがいのある老後の暮らしが保障される年金制度を実現しようとされておるか、この点を明らかにしていただきたい。
  143. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 御主張になりますことは私もよく理解できるわけですが、先ほど申しましたように、物価スライドに踏み切ったということは、要するに財政再計算、五年に一ぺんの見直しということを待たずに物価スライド制を採用したということには、政府としてもなみなみならぬ意欲を持っておるつもりでございます。ところが、いまさら広瀬委員の御承知のところを申し上げるまでもないわけでございますけれども、ちょっと手元にある数字を申し上げても、四十八年に、厚生年金でいいますならば受給者七十六万二千人ですか、そして被保険者の割合は三・三%。ところが昭和六十年になれば厚生年金二百五十万二千人、九%に被保険者の割合がなるわけです。三倍にふえる。さらに七十年には一五・七%にふえる。これは国民年金でもほとんど同様な割合になるわけでございます。要するにこの被保険者と受給者との関係が急速にこういうふうに激変することは目に見えてわかっているわけでございますから、率直に言えば、いま積立金を食いつぶすということは、練れないことばを使って恐縮でございますけれども、少し安易に過ぎはしないだろうか。しかもその間において年金自体を充実していかなければならない。これをどうやっていくかということについて、積立金をつぶして食っていけばいいではないかというのは少し安易に過ぎる考え方ではないだろうか。ここが私どもの頭痛の種であるということは御了解いただけると思うのであります。  ですから、いろいろの御提案がありますことは私もよく承知しておりますが、いろいろの御意見を建設的に取りまとめて、何とかして長きにわたる、と申しましても、もう昭和六十年あるいは七十年になればますますでございますが、この今後十年ないし二十年の間の状況を見ながら、この年金というものを充実するためにはいかにせばよろしきか、四十八年度については御承知のような考え方が明らかにされておりますが、今後さらにどう考えていったらいいかということは、急ぎますけれども、少し時間をかけてとっくりコンセンサスをつくり上げるように政府自体も積極的な努力を展開すべきものだと考えております。
  144. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 この点はもう少し詰めた議論を大臣との間にしたかったのでありますが、あまり時間がないので、あと質問者があるものですから、ぜひひとつこの年金問題については、ことしは幾らかの前進は確かに見られました、これはもうその限りにおいては幾ぶんでも前向きであるという評価は惜しみませんけれども、まだまだ諸外国から見て十分ではないし、五万円年金といっても現実には厚生年金でもようやく平均が三万七千円になるという程度でありますし、そういう点ではまだまだ諸外国からおくれておるし、国民所得の中に占めるこの移転収支、こういうようなものが極端に少ないというような日本の状況などを踏まえて、すべての人間が老後を迎えるわけでありますから、まさに全国民的な課題として、政治における最優先の問題としてこれからも努力をしていただくように特に要請をいたしておきます。  それから、林野庁来ておりますね。——国有林野事業特別会計で今度二百億の資金運用部からの借り入れをすることになったわけでありますが、これはたぶん造林資金に使われるということを聞いておりますが、そのとおりでございますか。
  145. 辻良四郎

    ○辻説明員 四十八年度には資金運用部から造林に使うために二百億の借り入れをいたしております。
  146. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 今日この国有林野において、早急に造林をしなければならない面積はどのくらいですか。
  147. 辻良四郎

    ○辻説明員 四十八年度はおおよそ七万ヘクタール前後であると考えております。
  148. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 四十八年度という単年度だけじゃなしに、いま造林をすべきところがはげ山になっているというものはどれだけの面積があるかということを伺いたいのであります。
  149. 辻良四郎

    ○辻説明員 伐採をしまして、伐採をしました個所が一応原則的には造林をする個所になるわけでございますが、平均しまして約一年ないし一年半前後のゆとりは見ております。したがいまして、四十八年度につきましては約七万ヘクタールは国有林としましては早急に造林をなすべき面積である、このように考えております。
  150. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 具体的な数字はどのようになっておりますか。
  151. 辻良四郎

    ○辻説明員 七万ヘクタールでございます。
  152. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 それしかないのですか、全体で。四十八年度で全部造林終わるのですか。
  153. 辻良四郎

    ○辻説明員 たとえば年度初めに切りました個所を年度中に造林する場合もございますが、年度の終わりに切りました場合には翌年度に造林するということになります。と申しますのは、御承知のように、造林には適期がございますので、かりに秋あるいは冬に切りました個所につきましては、すぐといいましても四月あるいは五月を待ちませんと造林ができませんので、伐採してすぐといいましても多少の時期的なズレはあるわけでございます。そういうズレの分を除きますと、約七万ヘクタールは必要な面積である、このように考えております。
  154. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 林野庁に続けて伺いますが、昨年の下半期来木材が急騰いたしました。政府の統計によりましても五八・九%、約六〇%近くも上がった。こういうようなことで庶民、大衆がどんなにこれで苦しんだか、これははかり知れないものがあるわけであります。マイホームの夢が随所で粉砕されるというようなそういう異常事態であったし、しかも外材輸入が——国土の七割は森林だといわれる日本において材木が足らないで外材によるシェアがもはや六〇%にも近づきつつある、こういうような事態を林野庁としてはどういうように考えておられるのか、そしてその中で国有林が果たせる役割りというものをどの程度に見ておるのか、その点を伺います。
  155. 辻良四郎

    ○辻説明員 昨年の秋以来の木材の価格の高騰につきましては、急激に住宅建築等の需要がふえたことが一つの原因ではなかろうかというように考えております。それに対しまして、最近はおおむね国内全体の消費量が約一億立方近くあるわけでございますが、その半分以上、約五割五分近くを外材でまかなっております。したがいまして、国産材では半分以下、四割五分程度しか供給できない、こういう状況でございます。したがいまして、今後とも外材の輸入等につきましては必要な手当てをいたしましてその促進方をはかってまいりたい、このように考えております。しかしながら、やはり国内におきましても、おおむね半分近くの供給をしておりますし、今後とも国内の生産材の供給量は高めていかなければならない、このように考えております。  そうした中で、国有林がどのような役割りといいますかどの程度の供給を果たすべきかという点につきましては、現在国有林を管理しております面積のうち約二百八十万ヘクタール程度は今後人工林といたしまして生産力を一そう高めてまいりまして、そういうことによるところの供給の増あるいは林道網等をさらに一そう適切につくりまして、生産に際しての搬出等の容易さというものを一そうはかってまいりたい、そういうことによりまして国有林材の供給の増加をはかりたい、そのように考えております。
  156. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 大蔵大臣、これは大臣当然御承知のことでありますが、今度国有林特別会計に二百億円資金運用部資金を回すことになったわけであります。これは逆から言えば、国有林の経営、特別会計が赤字を生むようになってきているという現実でもあるわけであります。しかも国有林が今日まで本来的に木材資源というものを確保をする、あるいは国土保全という、あるいは治山治水という、そういう面、最近ではまた空気を浄化する機能、さらに国民のいこいの場としての森林、緑の確保という、そういう自然環境の保護というような問題、実に重要な国有林の経営というものは、経営至上主義であってはならない、そういう国民的な使命というものを強く負わされている。経済的にもそうでありますが、人間の生活そのものに対してもはやたいへんこれは重要な役割りを持ってきている。そういうことは大臣当然お認めになるだろうと思うのです。これは答弁は要りませんが、そういうものだろうと思うのです。  そこで、財政制度審議会において、あるいは国有林関係の審議会等において答申が最近出されてまいりました。ここでは、どうもわれわれ見るところによると、実に経済合理主義というか、もうかる林業をやらせよう、安上がり林政ということばが逆に言えるかと思いますが、そういう方向でのみ経済合理主義だけを追求して、ほんとうに山に木を植えるというような長期にわたる国家百年の大計に根ざすような考え方というものが非常に薄くなって、もうかるようにもうかるように、ペイするように、独立採算ができるようにという、そういう角度からだけしか問題をとらえていないような気がするわけです。やることは、請負に出せるものはどんどん請負にしてしまえ、苗を育てるのもみんな民間でやったらいいじゃないかというのが出ております。しかも国会でも衆参において林業振興に関する決議というものが非常に重要な部分について決議されている。そういうような方向とはまるきり違う方向に、財政の見地から、そういう採算というような見地から、全くその方向と違う、林業振興という見地と相離れる、どんどん乖離していく方向というものが色濃く出ている。そういうことが現地において国有林に働く労務者の待遇を著しく悪化させたり、これが林業労働者として定着をさせないというようなことで、じり貧的に木材資源の確保あるいは国土の保全あるいは治水の問題こういうような問題、あるいは自然環境を保護するというような面でどんどん後退して、国有林がまる裸になっていくというような傾向がそういうところから出ていると思うのです。  そういうものに対して資金運用部からどんどん入れていけばいいというような安易なことではなしに、これはもうやはり国の財源をストレートに、税金を財源とした一般会計からどんどんそういう問題で金を使っていく、そういう方向に行きながら、所要労働力も確保すべし、そうして先ほど申し上げたような国有林の持っている使命というものを完遂させるような、これは高次元の政策の配慮というものがほんとうに必要だろうと思うのですが、そういう点について、今度初めて二百億円だけ資金運用部から融資をするというようなことになりましたけれども、この機会にやはり国有林の今日の経営実態というものをもう一ぺんそういう基本的な国家的な大使命から見て、もっと政策の配慮を厚くしていく、そして一般財源を投入するというようなそういう方向に進むべきであろう、こう思うのですが、その点の大臣の御見解を聞いて、きょうは林野庁の問題もう少し掘り下げてやるつもりだったんですが、時間がございませんので、これだけでとどめたいと思いますが、その点の御見解をお願いしたいと思います。
  157. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 まことにごもっともでございまして、林野関係については今年度一般会計におきましてもある程度、一般会計で治山の関係で六百億を投入しておるような次第でございます。ただいま御指摘のありました財投についても二百億融資をいたしておるようなわけでございますが、今後とも十分関係庁とも御相談をいたしまして、積極的な対策を講じたいと思います。
  158. 鴨田宗一

    鴨田委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後五時一分休憩      ————◇—————    午後五時十一分開議
  159. 鴨田宗一

    鴨田委員長 それでは休憩前に引き続き委員会を再開いたします。  村山喜一君の質問を許します。村山喜一君。
  160. 村山喜一

    村山(喜)委員 私はまず、理財局長にお尋ねをしておきますが、四十七年度財投の追加見込みについてお伺いをしておきます。  四十五年度の場合には追加をいたしましたのは何回かあるわけですが、一月の三日、それから一月の二十九日、それに二月の二十四日、それに四十六年度の場合は三月の十日、それから三月の二十九日、いずれも追加いたしております。四十七年度の場合も、昨年の八月八日、十月の二十日までは追加しているわけですが、その後はまだ追加していないわけですね。最近の郵便貯金伸び率等を考えてまいりますと、原資としては相当なものが私はあると思うのです。そこでどれくらいの追加見込みがあるのか、この際明らかにしておいていただきたいと思います。
  161. 橋口收

    橋口(收)政府委員 過去において第四・四半期に追加をいたした例もございますが、これは年度末に際しての技術的な補正ということでやったことが例として多かったと思います。いまおあげになりました四十六年度のときは、やはり非常な景気調整ということで措置をとったわけでございます。四十七年度につきましては八月と十月に二回追加をいたしておりまして、その後追加いたしておりませんで、当面の経済情勢から申しますと、先ほど大臣からお答えがございましたように、変動相場制移行に伴う中小企業金融対策として、まだ通産省の実態調査も完全に結了いたしておりませんが、実態調査が終わり、中小三機関の金繰りについての検討が終了いたしますれば、必要に応じて中小三機関に対する追加を一応の見込みとして念頭に置いております。  それから、原資の面でございますが、これはいまお話の中にございましたように、郵便貯金伸びは好調でございますので、原資面から制約があって追加ができないというような状況ではございません。
  162. 村山喜一

    村山(喜)委員 この前大臣は、そういう輸出関連のフロートに伴うそういうような緊急な対策のために予備費から百四十億程度金を使いますということを明言をされたわけです。そうするならば当然、財投によって資金の問題も考えていくということになりますと、その原資に見合ってやはり措置をしなければならない。だから、幾らの原資があって、どういうふうにやるんだ。これは資金運用部資金でも、利用しないでただその勘定の中に入れておくだけじゃ意味がないわけですから、積極的に私は利用すべきだと思う。そういうような意味において、原資はあるとおっしゃるのですから、一体どれだけ原資があるのか、そうしてそれをそういうようなのにどうして使うのだということを、もう大体三月の半ばですからはっきりしていただきたいわけです。いかがですか。
  163. 橋口收

    橋口(收)政府委員 当面の財政需要と申しますか、財政投融資に対する期待としては、当面中小三機関の中小企業対策ということであろうかと思います。それ以外の財投機関から特に追加を必要とするような情勢はないと思います。したがいまして、当面は中小三機関に対する財投の追加ということを念頭に置いておりますが、いまお話がございましたように、原資の面で申し上げますと、郵便貯金伸びが好調でございますから、当面——まあ一昨年の九月の変動相場ではドル・ショックに伴う中小企業対策というものの金額が実績として出ておりますので、そういうものの返済猶予を含めましてどの程度の金額にしたらいいか、これは通産省とも相談して最終的にきめたいと思いますが、いまお話のございましたように、原資の面からの制約のために中小企業金融に対して不便を与えるようなことはないということは申し上げられると思います。
  164. 村山喜一

    村山(喜)委員 そんな抽象的なことを聞いているんじゃないですよ。原資一体幾らあるというふうにあなた方は見ているのかということを言っておるわけです。私は四十六年度の先ほどの資料もいただきましたので、あとでその面からも追及しますが、考えられるところでは大体二千億くらいの原資はあるんじゃないだろうかと私は見ているのです。その点いかがですか。
  165. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 かねがね申し上げておりますように、輸出関連中小企業対策は現下の非常に大切な問題でございます。御承知のように、通産省が中心になって、各地各業について実態調査を継続して行なっております。大蔵省としても財務局等を動員して実態の調査をやっております。そしてどんどん対策を打っていかなければならないと考えておりますが、一般会計の予備費で申しますと、年度末で——指摘のように年度末ですから、大体予備費の使用見込み残が百二十億程度はこの関係にいかなる形でか投入ができるつもりでございます。それから財投の関係は、ただいま御質問ございましたが、少なくとも千五百はまかなえる。これは普通の場合の予算措置等と違って、私の考え方といたしましては、実態調査に伴ってケース・バイ・ケースに措置をしていきたい。結局その累積が結果において幾らになるというような考え方でまいりたいと思いますが、これは他の委員会におきましても、私としては、事務的な話でなく、用意としては一般会計の予備費で百二十億、それから財投関係で千五百は用意してございます、そういうふうに御答弁申し上げております。そのとおりでございます。
  166. 村山喜一

    村山(喜)委員 まあ千五百億という数字が明示をされたわけでありますが、原資としてはもっとあるんじゃなかろうかと思っているのですが、その点は理財局長のところではどういうふうに見込みを立てていらっしゃいますか。
  167. 橋口收

    橋口(收)政府委員 原資見込みでございますが、郵便貯金だけで申し上げますと、当初、財投計画に計上いたしました一兆七千億でございますが、四十八年度二月末までの実績が大体二兆五千六百億程度でございます。したがいまして、約八千六百億くらい超過原資がございます。それに対しまして、昨年の八月と十月に追加いたしたものが七千二百億弱でございますから、大体千四、五百億の原資のゆとりは郵便貯金の本年度だけの増加で申しましてもございます。そのほかにどのくらい原資があるかということでございますが、これは大臣からお答えがございましたように、一般会計予算でございますと予備費という制約がございますので、それ以上は金がないということでございますが、これはたびたびお答え申し上げておりますように、二十一兆円の巨大な金融機関でございますから、いまのお尋ねに対しまして、千五百億しか金がないのかというお尋ねでございましたら、ないと申し上げることはまた申し上げにくいと思います。ただ、本年度郵便貯金伸びだけを見ましても千四、五百億のものは余裕がある、こういうことでございます。
  168. 村山喜一

    村山(喜)委員 郵便貯金伸びだけでもそれだけあるわけですから、ほかのところからの資金が流入してくるわけですから、十分原資はある。変動相場制の中において、まだ市場を閉鎖するというような状態が続く中においては、相当な影響を受けるわけですから、それについては万全の措置をおとりをいただきたいと思うわけです。いま調査中だということも知っておりますが、一体、いつごろまでにその数字を固めて対策をとられるつもりですか。
  169. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 調査のほうは、事務的なスケジュールとしては今週一ぱいぐらいでと考えておりますが、政治的な配慮といたしましては、先ほども申しましたように、これは主として通産省が窓口になるわけでございますけれども、これはやらなければいけないということが出てくるわけですから、どんどん処理をしていくほうがいいのではないか、こういうふうに考えております。
  170. 村山喜一

    村山(喜)委員 調査が一週間ぐらいで終わる、それからこれだけの資金が必要だというのが通産省から出てくる、それに見合って追加をしていくという形になるわけでしょうが、原資はたっぷりあると思うのです。財投資金でございますので、眠らしておくという手はないわけですから、積極的な活用、十分な措置ができるようにやっていただきたいということを強く要請しておきます。  それから次は、これは理財局長でいいのですが、四十六年度資金運用部資金運用報告書をいただきました。これを見てみまして、ちょっと質問をいたしますが、五ページの二十五ですが、「改定計画額に対する減少額は不用額である。」そこで、その次の原資の部をずっと調べてまいりますと、実績と、それから運用計画、その改定見込みの差を求めて計算をしてまいりますと、一千五百六十六億という数字は、これは運用計画の中でも積極的に運用しなかった、そういうような原資として残ったものだというふうにとらえていいですか。この点はいかがですか。
  171. 橋口收

    橋口(收)政府委員 これは当初、原資につきまして当初の見込みを立てまして、財投計画の改定がございましたので、原資の改定の見込みを立てております。実際に集まったものが実績でございますから、改定見込みと実績の差額は、それだけ運用に対して原資が増加をしている、こういうことでございます。
  172. 村山喜一

    村山(喜)委員 だから、実際の資金が四兆余り集まった。その中で実績が三兆七千四百八十八億ですから、その差額の二千八百五十四億は運用しなかったというふうに、いまの説明は受け取っていいですね。
  173. 橋口收

    橋口(收)政府委員 これは、毎回お答え申し上げておりますように、集まってまいりました資金でございますから、これが先ほど大臣からお答えがございました数量的な規制になじみにくいということでございますので、当初立てました見込みに対してよけいに原資が集まってまいりました場合には、それは財投機関としての融資はいたしておりませんが、しかしお金として利息がついておりますので、一刻も遊ばせるわけにはまいりませんから、そういう超過原資につきましては、長期国債とかあるいは短期国債または運用資産をいわば見つけまして、それに対して運用いたしております。
  174. 村山喜一

    村山(喜)委員 その運用したのは、この表でいえばどこに出てまいりますか。
  175. 福島量一

    ○福島説明員 次のページ、七ページ以下でございますが、そこに資金運用部資金の短期運用実績というのがございます。これは前年度末の現在高、当年度の新規運用額、それから、非常に期間の短いものでございますから、当年度の回収額と差し引き年度末現在高、こういう表の形式になっておるわけですが、いま問題になっております二千二百億余りの金は、二番目の四十六年度運用額、この中にそれぞれ長期国債、短期国債等に分かれて運用に向けられておる、こういうことでございます。
  176. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういうような原資が集まってきたので、平たくいえば、長期国債が四十五年度末と四十六年度末の現在高を比較すると二倍になっておりますね。そういうのに使ったということですか。
  177. 福島量一

    ○福島説明員 そのとおりでございます。
  178. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういたしますと、私はここで疑問に感ずるのは、資金運用部資金を国債等に充当することは法律的にも定められておりますが、国債の保有高が二倍にもふえる、こういうような政策がよろしいのかどうかということですね。その点は、日銀の保有高の中においてもいままでいろいろ問題を提起してきました。日銀直接の引き受けはけしからぬということでやってきたのですが、国民の零細な資金である資金運用部資金の中で、国債が、いままで八千四百億ぐらいあったものが年度末には一兆六千三百九十二億にもなる。こういう資金運用が限度なく認められていくということになると、非常に問題があるというふうに私考えるのですが、これはやむを得ない緊急的な措置としてそういうようなことをやられたわけですか。歯どめをどういうふうに考えていらっしゃるか。
  179. 橋口收

    橋口(收)政府委員 これはお手元の表の七ページにも書いてございますように、短期の運用実績ということでございまして、いま二千二百億くらいの超過原資が生じたというのが四十六年度の実績でございますが、この中には四十七年度になって運用されるいわば繰り越しも入っております。したがいまして、全部が全部余裕資金ということではございませんで、一時的に滞留している資金でございますから、そういうものの運用対象として国債に投資をいたしておるのでございまして、これは財政的な効果はゼロでございます。金融的に申しましても、日本銀行がすでに市中銀行から購入をいたしておりますものを運用部が購入したわけでございまして、金融的な機能から申しましても無色透明のものでございまして、これは資金運用部資金の安全確実かつ有利な運用、そういう見地からやっておるものでございまして、日本銀行との間には、一年以内にいつでも売り戻し、買い戻しができる、日本銀行のオプションで買い戻しができるし、それから運用部の都合で売り戻しもできる、こういう特約づきのものでございます。したがいまして、いま先生のおっしゃいましたような財政的資金配分、そういう機能を持った国債の引き受けではございません。これはあくまで金融的な立場から、金融的な効果から申しましても無色透明の性格のものでございます。
  180. 村山喜一

    村山(喜)委員 わかりました。一〇ページをあけてください。一〇ページの四十六年度における資金運用部資産の異動のところで、四十五年度末の国債の残高は一兆七千百五十五億、それが四十六年度末には二兆六千五百八十七億、九千四百三十二億ふえていますね。そういうふうに資産が、長期資産として国債がふえている。これは全体の原資が多くなってきたからこういうふうになってきたんだということにもなるんでしょうが、その残高として、二兆六千億もかかえるような数字がはたして適正な資金運用部資産としてのあり方であろうかということを私、疑念に感ずるのですが、その点いかがですか。
  181. 橋口收

    橋口(收)政府委員 これは四十六年度末の短期証券を含めました国債の総残高でございまして、先ほどお尋ねがございましてお答えをいたしました国債の短期運用による保有と、それから予算編成の際に、シ団引き受けの分とそれから運用部引き受けの分とを分けております。その資金運用部資金がいわば長期運用として引き受けたものは、正確な計数は後ほど申し上げたいと思いますが、私の記憶では、四十六年度末で大体五千億強でございます。四十八年度は、長期運用として予算総則に計上いたしておりますものは四千七百億でございます。そういう意味で、長期財政的資金配分に寄与する、そういう性格で引き受けましたものが大体七千三百億程度でございます。来年四千七百億を引き受けまして一兆二千億程度になるのが現状でございまして、戦前は、御承知のように、預金部資金運用は、国債と地方債が大宗を占めておったのでございます。戦後は財投機関というものがたくさんできましたので、財投融資が本命になっておりますが、そういう意味で金融的な短期の保有というものを別にいたしまして、持っておりますのが、現状では大体七千三百億程度でございます。
  182. 村山喜一

    村山(喜)委員 一六ページです。貸借対照表の積立金が七百十一億ある。この前、高沢君の質問でございましたか、四十七年度になってから四十八億のマイナスが出ているので、資本勘定に見合うものとしては大体六百五十億ぐらいになっているという話がございましたね。そこで、こういうふうな関連から短期で回すことも必要でしょうが、先ほど二千二百八十億くらいの金が長期的な資金として、財投の追加原資としてこれが生かされておったならば、もっと役に立ったであろうということが言えるわけです。それで、今度の四十七年度の場合でも、四十六年度でこれくらいの原資が出てきたわけですから、長期的な運用にもっと積極的に資金運用部資金等は活用をされるべきだ、私は、そういうような角度から、四十六年度の報告書をもとにして受け取った印象から申し上げたわけです。したがいまして、短期に回して運用を全然しないというわけにはもちろんいかぬわけですから、それよりもできるだけ国民に還元をするというやり方を、大蔵大臣、おとりになるのが当然だと思いますが、その点もう一回確認をしておきたいと思います。
  183. 橋口收

    橋口(收)政府委員 大臣から基本的な問題についてお答えを申し上げます前に御説明をいたしておきたいと思いますが、財政投融資計画は各種財投機関からの資金需要と申しますか、財政需要を積み上げて計画を編成いたしますと同時に、いわばマクロ的な手法によりまして、財政活動経済に与える影響をどの程度にするかということが、予算編成の最大の命題になるのでございまして、その一環として財投計画のいわば経済政策に奉仕するという立場がございますから、どの程度の伸びにするか、どの程度の規模にするかという点からの配慮というものがまた積み上げ以上に重要な要素になってまいります。そういう点から申しまして、集まった資金を全部長期運用ということで運用するのがいいのか、一部は短期的な運用で留保するのがいいのかという問題は、そのときどきの経済政策の要請によるものでございまして、集まった資金を全部使い切ってしまうという性格のものではないと思います。  それから、もう一つ補足して申し上げたいと思いますのは、いまお話しのように、原資にゆとりがあればできるだけ国民に還元するという御主張、これは私どもも全く同感でございます。ただ、実際問題といたしまして、最近金融環境で一般金利が下がっておりますので、融資の約束はいたしておりますけれども、現実に引き出しがない、地方団体のごときはほとんど持っていかないというのが現状でございます。そういう資金のお約束を与えておりますので、いつでも引き出しに応ずるような流動準備というものも必要になってまいります。そういう点で申しまして、私どものほうは、お約束した資金はできるだけ適宜、適切に使っていただきたい、そういうことをむしろ念願いたしておりますが、そういう現実の引き出しがないために、運用部としてはいわゆる短期的な運用を必要とするような余資がふえておるわけであります。これが適時引き出しが行なわれれば、先生から御指摘のような、一見非常に巨大な余資があるかのごとき印象を与えずに済むという意味におきまして、資金運用部資金管理者の立場では、金融情勢の正常化をされることを念願をいたしておるわけでございます
  184. 村山喜一

    村山(喜)委員 それはいろいろ資金のやりくりはたいへんだろうと思います。特に金利が下がりまして、民間の資金のほうが短資の場合には安いわけですから、地方自治団体はそれで借りかえて、そして最後の帳じりのときになってから長期資金にかえてくださいということで持ってくるだろうと思うのですよ。これはやはりやむを得ない、その当該地方団体の利益を守るためにはやらなければならない資金操作だと私は思う。そこで、やはり長期的な資金というものはできるだけ国民に還元をするんだという方向が原則でなければならないということをこの際明確にしておく必要が私はあると思いますので、その点、再度大蔵大臣のほうからはっきりおっしゃっていただきたいと思います。
  185. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 その考え方の筋は、村山委員のお話のとおりであると思います。同時に、何といいますか、巨大な金融機関的な性格から申しまして、短期流動的な余裕金を持っておる必要がある。これがまたいまの金利の状況等からいってなかなか苦心の要るところであるし、またこれもある程度は持っておらなければ国民的な利益に応ずることができないというところに苦心の存するところがある、こういう状況でございます。
  186. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで地方債計画についてお尋ねいたします。  四十五年、四十六年の実績と四十七年度見込み、これを資金別にちょっと数字をあげて説明してください。
  187. 石原信雄

    ○石原説明員 四十六年度につきましては、許可ベースでしか数字がわかりませんけれども、許可額の最終実績額は一兆九千九百三十四億九千三百万でございます。それから四十七年度の最終計画額は、現時点では二兆二千三百五十二億でございます。
  188. 村山喜一

    村山(喜)委員 特別国会に提案をされましたこの地方債計画によりますと、四十七年度分、これは当初で見てあるのだろうと思いますけれども九千六百億、それに対して政府資金の四十八年度分は一兆二千六百億ということになっております。この一兆二千六百億は、九千六百億が最終的には一兆二千九百億ぐらいに四十七年度でなると私は見ているのですが、そういたしますと四十八年度の当初の地方債計画よりも四十七年度の実績の追加分まで見た分が高いという数字が出てくる。これは当初予算比で出してあるのでしょうが、そういう資金計画というのが一体あるだろうかというふうに感ずるのですが、その点は全体の地方債計画をつくる場合にどういうふうにお考えになっておりますか。
  189. 石原信雄

    ○石原説明員 御指摘のように地方債計画ベースで申しますと、昭和四十七年度の当初計画におきます政府資金の額は九千六百億であります。四十七年度は二度にわたりまして相当大型な補正が組まれました結果、現計では政府資金だけで申しますと一兆二千九百億円になっております。四十八年度は一兆二千六百億、こういう計画でございますから、御指摘のとおりその最終額との対比では、若干の減少ということになっております。  ただ、四十七年度は御承知のように年度当初におきましては地方税の増収見込み等が例年になく少ないというような事情もございまして、一般会計債、特に一般公共事業債において三千五百億ほどの例年にない上積みの計画を組んだというような事情もありますし、補正におきましても、通常の年度に比べましてかなり大型の補正を組んだ結果、政府資金ベースで申しますと一兆二千九百億という数字に現在なっておるわけでありますが、実質的に税の増収額あるいは交付税の状況等を考えますというと、最終ベースとの比較で全体としては下がっていないというようにいえると思います。
  190. 村山喜一

    村山(喜)委員 いずれにいたしましても、大臣お聞きのとおりに、四十七年度の実績額よりも下回るような地方債計画原資しか見込んでない。実際はまた追加をしていきますから、四十八年度だってふえるでしょう。しかし、もっと的確なものをおつくりをいただいたほうがいいのではなかろうかというような気がしてなりません。時間がありませんから、私はその点だけ指摘をしておきまして、次の問題へ入ります。  そこで、最近大臣も御承知のように、昨年の八月の中旬から卸売り物価が上昇に転じまして、地方の公共団体等は非常に建築単価が上がることによりまして困っているようであります。私が手元に、地元の問題もございますのでその例を申し上げますが、単価のアップによりまして一般財源の持ち出しが非常にふえているわけです。出水の学校の場合ですが、二百八十六万、それから都城の五十一中学校というところになりますと、一般財源の持ち出しが千八百二十九万七千円、これは校舎だけです。屋体が二百四十九万八千円、こういうような形になりまして、単価のアップ率を調べてみると、校舎の場合で三五・一%、それから屋体の場合で二二・五%、たいへん上がっているわけです。これは単にここだけではとどまりません。ほかの特に都心部に近いところは同じような悩みを一ぱいかかえているわけです。  そこで、こういうような状態になぜなったのであろうかというのを調べてみますと、大臣御承知のように、文部省の建築単価というのがきまっております。その建築単価によって起債の充当率もきまっております。そこでそれだけではつくれないわけですから、一般財源を充当をするかあるいは特別な配慮でワク外債として縁故債等を使うことを認めていただく形で処理をしているわけです。そこで、四十八年度は地方自治団体の負担分を解消をするということで、物価の上昇率等と並んで超過負担の解消を半分ほどはやっていただいている。物価の上昇もあわせてやっておりますから、鉄筋でいうならば一〇・一%単価も引き上げになっておるわけです。ところが四十七年度は残念ながらそういう措置がございません。したがって非常に困っているわけです。おまけに人件費は上がるというようなかっこうでございます。  特にひどいのは沖繩です。沖繩の場合にはたいへんな復興ブームで、おまけに海洋博まであるものですから、学校は一体建つんだろうか。ホテルだけは建ちますよ。しかし学校が一体どういうような状態になっているのか。どれだけ資金が足らないのかということさえも、まだ報告があがってきてないでしょう。あがってきておりますか、理財局長。
  191. 橋口收

    橋口(收)政府委員 村山先生のほうがよく御承知のことであろうかと思いますが、四十七年度は沖繩以外の本土につきましても、弾力的な措置について現在検討いたしておりますが、その沖繩は作業がおくれておりまして、御指摘のようにまだ正確に情報をつかむまでに至っておりません。これはよその局のことになって恐縮でございますが、補助金の交付決定がまだ行なわれてないやに聞いておりますので、そういう関係等もございまして、正確な情報を得るに至っておりません。
  192. 村山喜一

    村山(喜)委員 四十七年度といえば、いまもう三月ですからね、まだそれに補助金の決定もやっていないというような状態で家が建つはずがない。だからもう資材費は値上がりになってたいへんですが、ここの、一つ一つ詰めていきますが、沖繩の建築単価は、学校関係は内地と同じですか。北海道並みですか。
  193. 橋口收

    橋口(收)政府委員 こまかいことはあるいは地方債課長からお答え申し上げたほうがよろしいと思いますが、内地と同じように承知しております。
  194. 村山喜一

    村山(喜)委員 大臣、北海道の場合には特別な措置がとられているわけですよ。沖繩の場合には、資材が現地にあればいいのです。沖繩の先のほうの先島のほうは、本島でないほうですが、砂利もありません。それから運賃も、鉄材にしてもあるいはセメント材にしても運賃コストはかさむのです。そういうようなところの建築単価を内地のほうと同じようにして、そしてそれに見合う起債措置しかしない。そこへもってきてこの海洋博ブームで、まあ人件費は上がる、資材費は上がる、おまけに海外のこのインフレでそういう資材費は値上がりをしている。学校なんか建たぬでもいいというくらいに考えているんではなかろうかとさえ思われるような状態です。ですから、一体これは四十七年度予算がいつまでに消化されるか、私はそのことを考えますと、これはきわめて重要な問題です。ですからすみやかに、できるだけじゃなくて、これは閣議等においてこの問題についての善処をしなければならないということで、はっきりしていただきたいと思いますが、その点をまず大臣から、これは政治的な答弁でございますのでお答えを願いたいと思うのでございます。
  195. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 まず、先ほど来のお尋ねでございますが、超過負担の問題については、政府としても重大な関心を持って四十七年度中に実態調査を行なって、そしてこれは基準単価、物価等についての一応の結論を出して、これを二年度で解消しようということで努力を続けているわけでございます。  それから沖繩につきましては、ただいま局長から御答弁を申し上げましたが、単価はともかくとしまして、一例をあげますと、病院事業等については、単価に五〇%上乗せをしております。それから厚生福祉施設整備事業については、一五%単価に上乗せをしております。義務教育施設整備事業については、こうしたようなほかのところでもやっておるのでありますから、実情に応じた対処のしかたを考慮いたしたいと考えておるわけでございます。  それから、四十七年度の実行がまだ行なわれていないということの御指摘でございますけれども、復帰の初年度でございますことから、補助金の交付決定が本土と違っておくれております。これは残念なことでございますが、早急に手配をいたしたいと考えておる次第でございます。  それからなお、その他の内地の関係におきましても、四十七年度中においても標準単価が実情と著しく相違する場合においては一〇%程度の範囲内において調整することに、地方債の査定基準の中の運用として共通的な事項について一〇%程度の範囲内の調整を行なうことに相なりました。
  196. 村山喜一

    村山(喜)委員 まず初めに、大臣、沖繩の問題ですがね、それは収益性の伴うそういうような病院とかなには特別な配慮をしているんですよ。一般公共事業については配慮してないわけです。そこに問題があるということを私は指摘をしているわけです。だから、やはりこれはそういう特殊事情というものを十分考えていただかなければならないということを大臣に私は申し上げたわけです。そこで、そういうようなのを含めて、二階堂官房長官もこの問題については、千七百億も、昨年はもっと多いわけですか、その千八百億も金を使って公共事業を中心にして復興しようということですから、たいへんな復興ブームが出ておる。おまけに過剰流動性の立場から、いろいろな開発のためとかなんとかというようなことで商社資本等が乗り込んで土地を買いあさる、観光ホテルはつくる、こういうようなことですから、もうこの安い単価で学校を建てていこうと思ったってそれは建つはずがないですよ。四十七年度、これは平米当たり三万八千六百円ですか、そんなので学校をつくろうということでやってみたって、それはできっこないわけですよ。ですから、そういうような単価の問題から起債の充当の問題から、いろいろそういうような面についても、まあ全体がそういうようなインフレ傾向になって、あまりたいへんな復興ブームが生まれて、あそこの県労評あたりはもう海洋博は返上だというようなことまで言っているわけですから、全体的な見直しをひとつやられるべきだと思いますが、その点をはっきりおっしゃっておいてください。
  197. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 海洋博などをめぐって、なかなか沖繩における情勢は関心を深くいたしております。これは内閣全体として関心を深くいたしておる次第でございまして、ひとついま御指摘の問題も含めまして、特に復帰直後のことでございますから、沖繩の問題は特殊の問題として十分これからも注意してまいりたいと思います。
  198. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういうことにお願いします。  そこで、先ほどの問題でございますが、この地方債の査定基準に伴う基本方針、許可方針ですか、いま大臣がおっしゃいました、標準単価と実績と著しく相違する場合においては一〇%程度の範囲内において調整することができるという弾力条項を発動してカバーをしていきましょう、これはまことにけっこうなことです。いままでそういうような措置をとられることがなかったわけですから、その点は地方自治団体は喜ぶだろうと思いますが、やはりそこに基本的な問題があります。それはこの根拠になる法律等、私もずいぶん調べてみました。地方財政法から地方自治法から、それに伴う施行令から規則、それに省令、ずいぶん調べてみましたが、まあ基本的にいえるのは、この起債の許可権者というのは一体だれなんだろうか。これは調べてみると自治大臣なんですね。そのときに大蔵大臣と協議をする。それで協議条項の中で具体的な問題が出てくるわけです。そこで過去における行政監理委員会あたりからの答申等もなされておりますが、私はその内容を振り返りながら、どうも最近は大蔵省の財務部あたりにおいて一つ一つの個別審査をまた始めているんじゃないだろうかと思われるのです。そうではなぐて、財務部長と当該知事との間において起債の方針等については話し合いをして、そしてそれに基づいて自治省のほうが自主的に話し合いに基づいた線で許可をするというのが行政管理庁あたりが過去においてきめた方針だったと思うのです。それがまたくずれてきているのではないだろうかという気がするのですが、この点は理財局長から、一体個別審査権まで財務部長に与えているのかどうか、明確にしておいていただきたいと思う。
  199. 橋口收

    橋口(收)政府委員 地方債に対する許可の権限の問題につきましては、いまお話がございましたように、かって行政改革の臨調の答申にも許認可の簡素化の問題等、それから機構改革の問題として取り上げられておりまして、さらにその後行政管理庁の行政監察に基づく意見書というものもございます。この二つの答申なりあるいは意見書を通じて流れておりますのは、一つは中央の問題と出先の問題とございまして、中央に権限を集中しているということの是正の問題がございます。それからもう一つは、資金運用部資金、政策資金を融資するという立場から審査をする、そういう範囲に仕事を限定すべきじゃないか。この二つが臨調答申なり、あるいは監察の結果に基づく報告の骨子であったように記憶いたしておりますが、そこで中央による許可というものはできるだけ現地限りの許可にすることが望ましいということで、逐年いわゆるワク配分と申しておりますが、資金の総ワクを配分によりまして個々の許可は財務局長なり財務部長がこれを行なう、こういう形でいわば現地的な処理と申しますか、できるだけ地方団体の事情に明るいところで処理をする、こういう措置を講じてきております。  それから、融資の際に審査をすれば十分じゃないか、こういうことにつきましては融資段階で審査をするということになりますと、先ほど来お話が出ておりますように、実際に融資が行なわれますのはずっとおくれてまいりますので、その前に起債許可があってそのあとで融資の審査のときにまた二度意見を言う。こういうことはかえって事務処理上円滑を欠くということで、従来どおり起債の許可の予定額と申しますか、起債の許可予定の段階で自治省と御相談する。ただ財務局長なり財務部長に権限を大幅に委譲いたしておりますから、そういうものにつきましては現地で地方団体、市町村につきましては都道府県知事の部局と御相談をいたしておりますが、何ぶんそういう権限の委譲を開始いたしましてからまだ数年でございますし、昨年にも実は大幅に権限を委譲いたしましたので、そういう点で財務部の能力なり事務処理の段取りなりがまだ実際の仕事についていけないという面もあろうかと思いますので、そういう点につきましては十分指導もいたしまして、許可の段階で財務局なり財務部が必要以上に発言をしたりあるいはむだな作業をすることのないよう十分注意をいたしたいと思います。
  200. 村山喜一

    村山(喜)委員 それでいいですが、大臣、この際私は大臣の御見解を聞いておきたいと思います。それは、学校建築の場合等は、まず適正な補助単価がきまりまして、補助率がきまる、残りの資金についての起債の充当率がきまる、そしてそれで充当率は七五%ですからあと一般財源で見る、こういうような形でやってきたわけです。ところが、それが正常な経済の状態が続き、単価の是正が絶えず行なわれているような状態の場合には問題はあまりないのです。ところが現実に急激な物価の上昇、特に木材などは大臣も御承知のように柱などは短期間に三倍ぐらい上がっておりますね。そういうような状態が生まれてきますと、これは特別な措置を弾力的に講ずる必要があると私は思うのです。そして政府資金をそちらに回せということはたてまえからできませんから、どうしても地方自治団体でまかない得ないようなものについては、縁故債等については弾力的に考えるという、今日の緊急の事態を処理するためには四十八年度以降もそうしなさいとは私は言いませんが、単価が十分に是正をされていないような場合にはそれくらいの配慮はしてやらなければいけないのではないかと思いますが、大臣、そういうような点についての御所見をひとつお伺いしておきたいと思います。
  201. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 縁故債ということについては、いろいろの考え方があると私も思いますけれども、ただいまお話しになりましたような場合におきましては、縁故債の活用といいますか利用、これについては弾力的な考え方でいくことはやむを得ないことだと考えております。  なおよけいなことかもしれませんが、利用債の消化あるいはその条件というようなことについては地方の金融界等々の問題もございまして、いろいろ困難な問題もございますけれども、こういうふうな状況下においては相当流動的に考えてしかるべきものかと思っております。
  202. 村山喜一

    村山(喜)委員 時間がほとんどなくなりましたが、ちょっと最後に住宅の問題について建設省から、呼んでおりますので、一言だけ聞いておきます。  それは住宅というのは社会資本に入るのか入らないのかという考え方です。どうもいまの政府住宅政策というのを見てまいりますと、住宅というのは公共財ではないという思想に基づいているように受けとめられてなりません。それはなぜかというと、経済社会基本計画の中にも書いてありますが、あるいは予算説明にも書いてありますけれども、低所得で住宅に困っている人には公営住宅を、公営住宅の上にランクがあるのが公団住宅、その上は金融公庫が金を貸してあげましょう、その上の人は自分で個人の負担と努力で建てなさい、だから国としては最低のそういう低所得層で住宅に困っている人たちのめんどうだけを見ましょう、こういう思想です。だからそういうようなことで全部家をつくってきたわけです。ところが、最近住宅資金は、建物のほうもそうですが、土地が上がるというようなことで公団住宅などは財投資金のほうもお返ししなければならない。土地が見つからない、あるいは関連公共施設の整備ができないので許可をしてくれないということ等があって、財投資金の割り当てをやっても返上をするという状態が来ておる。そういうような状態に来ておるわけですが、もうここら辺で土地というのはそう無限にあるわけではありませんし、そして庶民も最近まともな生活をしたいと思っても自分で家がつくれないようになってきたと私は思うのです。ですから、そういう状態から考え方を変えなければならないのではないかと私は思うのです。というのは、公営住宅を中心にする住宅政策に移っていくべき段階がもう来ているのじゃないだろうか。そういうふうな意味において、どうもことしの予算のつけぐあい等を見てまいりますと、そういうような面から見たら、あまりにも少な過ぎるのではなかろうかと思うのですが、それについて返納をしなければならないような状態にある建設省側と、それから大蔵大臣として予算措置あるいは財政資金等の割り振りをする立場から見た住宅政策等について、簡単に説明願っておきたいと思います。
  203. 沢田光英

    ○沢田政府委員 住宅の問題につきましては、私ども現在、御承知の五カ年計画、すなわち四十六年度から五十年度までの五カ年計画に従って、建設、供給を進めておるわけでございます。この五カ年を通じて、官民合わせて九百五十万戸、そのうち公的資金によりますものが四割の三百八十万戸、かようなことで進んでおるわけでございます。  これを建てます考え方は、私どもは、住宅一体だれがつくるのか、こういうことでございますが、つくる際に目的といたしますところは、この社会の住宅が良好な水準のものになる、かようなことで、その中における人々の生活が十分に満ち足りる、かような水準に持っていくということをこの五カ年計画のモットーにしております。この一定水準をいま引いておりますけれども、この水準にみずからの負担で達しない、たとえば借家に入る、持ち家は持てない、この方々には公的な援助でもって持てるようにする、自分でその水準に達し得べき人は御自分の力でやってもらう、もちろん税金その他の施策はございますが、さような考え方に立っております。したがいまして、公的援助は、先生のいまおっしゃいましたような公営住宅のような三分の二補助あるいは二分の一補助、かような非常に手厚い援助をしなければ水準が保てないという方々に対しては手厚く、あるいは金利水準を下げて償還額を押えていけば自分で自分の水準が持てるというふうな階層の方には政策金融で、かようなことで実は三百八十万戸が組まれているわけでございます。  それではその進捗状況はどうかという問題でございますが、実は計画上は、四十八年は第三年目になるわけでございますが、これは全体でいいまして五七%ですか、公的援助によるものは五五%が三カ年での進捗状況でございまして、いわゆる定率でいきますれば、順調に計画が進行しておる。四十八年度予算を入れましてさようなことでございます。ただし最近、特に四十七年度からでございますが、急激に宅地問題等にからみまして、この進捗がおくれてきております。  先生御指摘のように、この問題には二つの問題がございます。一つは、地方公共団体の人口抑制、かような見地から、たとえば公団が近県に土地を持っていても、そこにうちを建てることを許さない、かような問題が一つ。それからもう一つは、実はこれは一般の宅地問題と同じように、なかなか土地が買えない、かような問題でございます。かようなことに関しまして、四十七年度に極端に起こってきた問題でございますので、とりあえず地方公共団体のほうと私どももお話し合いをいたしまして、できる限り建設に努力をする、その際には、その一つの理由でございます関連公共施設の負担をなくするために、公団におきましては建てかえ資金の充実とか、あるいは学校のほうでは補助率の増とかそのほかの手当てをして、とりあえず促進をはかる。あるいは公団におきましても宅地造成をはかるというようなことをやっております。  しかし、長期的に考えますと、やはり住宅の問題は質の問題でございますので、市街地形成と申しますか、いい環境のプロジェクト、こういうふうなものを長期的に立てて、その中で住宅計画的に建てていくということが必要だ。すなわち、宅地開発を盛んにするということが一つ、これに住宅建設が乗っかっていく。これは政府のものも乗りますし、個人のものも乗る。かような方向にいくのが、いい町の中にあるいい住宅というかっこうで、いいことじゃないかというふうに実は思っておる次第でございます。  それからもう一つは、実はそれから先の話になるかもしれませんが、いずれにいたしましても、東京のような大都市で一番問題が多うございますので、再開発には緊急に計画を推し進めるべき段取りの時期に入ってきた、かように考えます。
  204. 村山喜一

    村山(喜)委員 もう時間がありませんからこれでやめますが、草加市が学校を五つつくったら超過負担額が二億円かかる、財源がなくて非常に困っているという問題がでているわけです。それはなぜかというと、起債等をやります際に、土地については九〇%、建物七五%ですが、人口が急増していく地帯、そういうようなところは、起債の充当率というような点等についても、将来に財源が見込まれるようなところについては、私はやはり考えていかなければならない段階にあるのじゃないかと思います。  それと、公団住宅にしても五千戸ワクを少なくしなければならないというような事実、そして財投の繰り越し金も五百億をこえているという事実、そういうような点から考えますと、計画は立っても家は建たないというような状態では、これは家なき庶民は困るわけです。流浪の民みたいなかっこうになりますので、そういうようなことのないように、大臣はやはり全体的な点をもっと考えていただいて、そして万遺憾のないように対処を願いたいと思いますが、いかがでございましょう。
  205. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 前段の問題は、先ほど来お答えしておりますように、四十八年度からはだいぶよくなるのではないかと考えております。つまり、単価、あるいはあそこはやはり人口急増地域に入るかと思いますが、国庫負担率のかさ上げ、いろいろな方法が講ぜられますから、四十七年度に完成された場合、今日からいえばたいへんお気の毒なことであったと率直に申し上げますが、四十八年度からはだいぶよくなってくると思います。  それから、住宅の問題については、ただいまも建設省からるる御説明がございましたが、総合的な立場からいって、現在の状態ではまだ御批判をいただくと思いますが、土地対策その他、総合的に政府としても全力をあげて対策を講じておるわけでございまして、せっかくの住宅計画が返上されて繰り延べになるというようなことが今後万々起こらないように、総合的な立場からも努力を新たにいたしたいと思っております。
  206. 鴨田宗一

    鴨田委員長 次に、高沢寅男君。
  207. 高沢寅男

    ○高沢委員 もう時間がわずかですから、私はもう一度財政投融資一体性の関係で大臣にお尋ねをしたいと思います。  われわれがいままでずっと主張してまいりましたのは、財政投融資に入る面の資金が四つある、資金性格がですね。これをいわば一つの袋にして、一つ特別会計にできないかということでお尋ねしてきたわけですが、これについては、二重議決の問題がある、あるいは四つの資金性格にそれぞれ違いがあるとか、一つのプールに入りがたいというふうなことが、大臣なりあるいは理財局長から繰り返し御答弁があったのですね。この点はわれわれも見解を保留したいと思います。それで、この一体性の問題で、今度は財投資金の出ていく面ですね、各特別会計、それから政府関係機関それから公団、事業団、こういうふうな出ていく面を、これがいわば一体的に国会審議を受けるようにということで、現状では特別会計は当然国会議決を経ておる、政府関係機関予算国会議決を経ておる、あと公団、事業団の関係は、これは主務大臣の認可事項で国会議決を受けていない、ここのところを議決を受けるようにという面もまたわれわれ繰り返し主張してきたわけです。きょうは広瀬委員のこの面の質問があったわけですが、これに対して理財局長からは、今後財投計画一体性をより明らかにする措置をくふうしたい、こういうふうな意味の御発言がありましたし、また大臣からは、公団、事業団の設置はそれぞれの法律で規定されているが、政府関係機関に繰り入れるような方向のアプローチでいけばかなり前進できるんじゃないかという意味の、私見ではあるがということで大臣の見解の表明があったわけです。  そこで、これに関連をしてお尋ねをしたいと思うわけです。  国鉄なりあるいは電電公社なりあるいは住宅その他の各種金融公庫の政府機関、それから開発銀行、輸出入銀行、これらの政府関係機関と、それから公団、事業団との間には、私はそう本質的な違いはないんじゃないか、こう思うわけです。大臣は、それぞれの公団、事業団はそれぞれの法律によって設置されておるということを説明されるわけですが、特別会計といえども、あるいは政府関係機関といえども、同じようにそれぞれの法律によって設置されて運営がきめられているわけです。そういう点においては同じであるし、それから公団、事業団の関係も政府の出資があり、さらに加えて財政投融資資金が入って、それら出資と財投資金を合わせてその事業が行なわれておる、こういう点においても、私は、政府関係機関と同じような性格のものである、こういうふうに考えていいんじゃないかと思うわけです。  過去において、この点においてはわが党の田中武夫委員と当時の福田大蔵大臣との間でも論議がありましたし、また今国会でも田中委員と愛知大臣との間で、この関係の論議もまたあったと思いますが、私はその点、政府の政策遂行のための機関であるという点、それからいま言った政府出資と財投資金運営されているという点、それからいわゆる資源配分に重要な役割りを果たしているという点、こういうふうな点において、公団、事業団と政府関係機関との間には同じ性格がある、こういうふうな考え方を持つわけですが、いかがでしょうか。
  208. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 先ほども広瀬委員にお答えしたように、公団、事業団というのが、いまずいぶん数がふえておるわけでございます。そうして理屈の問題としていえば、公団と事業団とは一体どう違うかとか、あるいは特殊金融機関と基金というものはどう性格が違うものであるか、いろいろの角度からいろいろ御論議がありますが、総じて言えば、事業団あるいは特殊金融機関というようなものは、法律で定まっているということを私が言うだけでなくて、その法律にその性格や事業の運営について触れて、それぞれの法律が特殊性を持っている、それに基づいて設立されているということを私は指摘したいわけでございます。  つまり、これらの組織は、一般政府機関と異なりまして、事業体として機動的、流動的に活発に運営ができるようにということが一つ性格ではないかと私は考えるわけでございます。その性格、使命を発揮するためには、予算、決算等を一つ一つ国会議決にすることが適当であるかどうかということから御判断をいただきたいと思うわけでございまして、たとえば大蔵省の所管、あるいは所管に関連する企画庁の所管でありますけれども、海外経済協力基金と輸出入銀行との間には、収支予算取り扱い方が違うのはおかしいではないか、こういうお尋ねがよくあり、これは常識的に見ると同じような仕事をしているようでありますが、事実異なるのです。これはやはりそれぞれの法律に基づいて、性格、使命が違う。たとえば輸出入銀行は、金融機関の正常に行なわれる以外の仕事をしなければならないという、金融機関を補完するような使命を持っておる。ところが基金のほうは、海外開発というようなことの、たとえばプロジェクトそれ自身の開発というようなことも担当している。そうすれば、その使命を遂行するために、やはり資金の使い方あるいはそれに対する議決の方式というものがおのずから異なってくる、そういうところにこの両組織の性格上の差異がありますから、したがって財政的な処置も違うわけでございます。  ですから、一がいに事業団、公団だからそれは政府機関と同じように予算の収支を明確に項目を分けてすべて国会議決にかからしめるということは、その組織の性格や使命からいって、かえっていかがであろうかということ、やはり一がいに論議することはどうであろうか。その組織のそれぞれの性格や使命、ことに国会議決されて設立されたその趣旨ということにさかのぼって御検討いただくほうがよろしいのではないか。これは私の私見でございます。  したがって、現在はそういう制度になっておりますから、一々の各項ごとの収支予算について議決をいただくということはなじまない。しかし、資金の使用配分等については対象別に予算総則に掲げまして、御審議をいただくことにしたのでございますから、そういう趣旨から見れば、私はさっき必要にして十分と申しまして御批判をいただきましたが、ただいまのところにおいては非常に前進した考え方ではないか。国会のお立場から申しましても、こういう方式になれば、財投全体について十分御議論いただく機会ができ、民主的な扱いになったのではないだろうかと思いますし、それから政府側も、この法律ができますれば、参考資料とか計表の出し方とか、説明内容とか、これについては十分に用意をいたします、こう申しておるわけでございますから、目的については共通するところが大いにある、その共通の目的に対して、政府が御提案申しておりますことも、現状においてはひとつ御理解を進めていただきたい、こう申し上げておるわけでございます。
  209. 高沢寅男

    ○高沢委員 いま、公団、事業団と政府関係機関との違う面ということを特に大臣から御説明があったわけです。私は、たとえばここに、首都高速道路公団法の施行規則というものがありますが、この中でも、その経理原則の中で、その予算予算総則及び収入支出予算とする、そして予算総則にはこれこれの規定を入れる、収入支出予算にはこれこれのことを規定するというふうな定めがあって、このこと自体はつまり主務大臣の認可事項ということになっておるわけですね。  ですから、私が申し上げたいことは、こうやって主務大臣の認可を受ける事項として施行規則で規定されておるその内容をそのまま国会へ出されるということで、その場合に、一々の議決事項で弾力的な運用ができないというお考えがいまあるいはあろうかと思いますが、これは今回のこの論議の中でも弾力性ということが論議されて、これ自体一つの論議になっておりますが、そういう場合には、必要な弾力性はこれだけ必要なんだというふうなことを入れれば、十分そういう、いま大臣の言われた目的に合致しながら、しかし国会議決対象になり得る、こういうふうに考えるわけです。そういう点で政府関係機関ということでいえば、現在労働組合関係のほうでいえば、すでに公団、事業団のほうの労働組合もいわゆる政府関係機関の労働組合協議会、いわゆる政労協というふうな組織になっておるわけでありまして、そういう点では政府関係機関という概念をもう少し拡大して、公団、事業団等まで含めて政府関係機関という扱いにされて、それでその予算国会議決対象にする、こういうふうにされるべきだと私は思うわけですが、重ねてもう一度大臣の御見解をお聞きします。
  210. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 御意見は私も理解できるんです。理解できますからこそ申し上げておるのですが、しかし目的とされておることは、今回御提案申し上げているこれによって、少なくともあなたからごらんになっても相当目的を達せられる、私から言えば相当じゃなくて十分目的が達せられる、要するに同じ線に向かった多少の幅のある意見の相違であろうか、こう理解しているわけでございます。
  211. 高沢寅男

    ○高沢委員 その公団、事業団の予算国会審議対象になったほうがいいということの一つの例として、ここに東京の都内の高速道路の料金の徴収員の方からわれわれに訴えた手紙が来ておりますので、これに関連してお尋ねをしたいと思います。これにつきましては、道路の関係がありますので建設省からお見えになってますね。——この訴えの趣旨は、要するに料金を徴収される職員の人たちは、ある会社に所属してそういう仕事をしておられる。その会社は首都高速道路公団との間でそういう料金徴収の仕事を委託契約でもって受けておられる、こういう関係にあるわけですね。そこでその職員の人に言わせると、一カ月のうち十日も深夜の仕事があるとか等々で労働条件はなかなかきつい。ところが受け取っておる賃金、報酬のほうは非常に低い水準にあるということで、会社に対してもう少し上げてくれというふうな要求をすると、今度は会社側に言わせると、公団との間に結んだ委託契約の中ではそういう人件費部分というものは非常に低い単価できめられてきておる、ここには数字で、人件費単価はいまでも三万七千円という世間の相場ではとても考えられないような低い、そういう水準で委託契約が結ばれてきておる、そこでなかなか出せない、こういうふうに会社側は職員の人に言ってくる。こういうことで、そこのところを何とかしてもらうには、ぜひ公団と料金の徴収を受けている会社との間の委託契約の中でそういう人件費部分を今日の妥当な線に上げてほしい、こういうふうな訴えの手紙が来ているわけです。  これは公団の問題であると同時に、今度はそのことを認められる大蔵省側のその査定の問題もまた私は当然出てくると思うわけですが、この点について建設省のお考え、あわせて大蔵省側のお考えをお尋ねしたい、こう思うわけです。
  212. 金岡登

    ○金岡説明員 お尋ねの趣旨のように、料金徴収業務につきましては民間業者に委託しております。これは民間業者と公団との委託契約によりましてやっておるわけでございますけれども、委託契約の内容につきましては、公団からそれぞれ委託をする前に業者の選定、いわゆる見積もり合わせあるいは競争入札ということできめるわけでございますけれども、委託いたしましたあと、委託契約の内容といたしましては、契約書の締結されましたあとに内訳明細書というものを提出させております。その委託契約費の内訳は、人件費、物件費、その他経費という内訳になっておりますけれども、契約は総金額で契約しております。公団の予算は毎年公団が建設大臣の認可を受けて実行されることになるわけでございますけれども、毎年の人件費物件費等につきましては、物価の変動あるいは人件費のアップということ等も考えあわせまして、毎年一二、三%内外のアップを見込んで予算に計上されておる次第でございます。
  213. 高沢寅男

    ○高沢委員 四十七年度はその人件費はどのくらいの金額で入っていますか。
  214. 金岡登

    ○金岡説明員 人件費、物件費及びその他の経費につきましては全部込めて契約しておりますので、その点につきましては公団からあれこれ言う前に指示をするということはございません。ただ、内訳明細書をとりまして、人件費は総額で見ておりますけれども、その中で人件費が公団の積算と著しく相違するということについては、その内容について是正するように公団が指導しておるというふうに報告を受けております。
  215. 高沢寅男

    ○高沢委員 人件費、物件費は全部込めてと言われるわけですが、まさかつかみじゃないと思うのですね。当然その前提には、人員が何名必要だ、その何名は一人当たり幾らだから人件費は全体で幾ら、こうなると思うのです。そうすると、その一人当たりの人件費というのは、一カ月あるいは一日、どういうふうな単位でもって得られておるわけですか。
  216. 金岡登

    ○金岡説明員 御質問のように、人件費は、それぞれ公団から仕様書によりまして徴収員の人員配置については人数等が指示をされますから、当然単価が積算されておりますけれども、各委託業者によりましてそれぞれ徴収員に支払う金銭というのは異なっております。しかし一般的に平均いたしまして、四十七年度はこれは平均でございますけれども、五万二千円強の賃金の支払いがなされておる。これは基本賃金を含めて、いろいろな諸手当等も含めて支払われておるというふうに報告を受けております。
  217. 高沢寅男

    ○高沢委員 それはあなたの言われるのは回答になっていないのです。つまり、公団とその会社が委託契約する場合に、一体人件費が幾らの単価で入っておるか、こう聞いている。あなたはいま、会社は職員に対して五万幾ら払っている。確かにこの手紙にもいま五万幾らぐらいもらっていると書いてあります。しかし、それは公団から来る単価に会社自体が加えて五万幾らの金になっているのです。その公団から認められる委託契約の中の人件費は三万七千円にすぎない、こういうふうに書いてあるわけですから、そこで私は、公団とその会社の委託契約の中の人件費は幾らになっているか、こう聞いているのです。現状はその委託契約を受けた会社はそれにその会社自体が何がしかを足して職員の人に賃金を払っておる、こういうことになっておるわけですから、払われておる実態はたしか五万幾らということを書いてありますが、その契約の中の人件費は一体幾らか、こういうふうに私は聞いておるのです。
  218. 金岡登

    ○金岡説明員 契約の中には特別に人件費という項目は設けておりません。総金額ということで契約しております。
  219. 高沢寅男

    ○高沢委員 ですから、その総金額の出る前提の人員が何名だから、その何名に対して一人当たり幾らだからこれだけだと、こうきまるはずですからね。それが一体幾らという基準になっているのかを聞いているのです。人件費のつまり積算の基礎ですよ。
  220. 金岡登

    ○金岡説明員 いま申し上げましたように、五万二千円というのは、基本給それから諸手当等を含めまして公団としては積算しておるということになっております。その会社が事実上支払う金額は五万二千円前後しておるかもしれませんが、大体その五万二千円に積算しております。
  221. 高沢寅男

    ○高沢委員 つまり、公団がそういう会社と委託契約するその契約条件の中の人件費部分は、一人当たり五万二千円という単価で計算しておるということですね。いまのお答えはそうですね。
  222. 金岡登

    ○金岡説明員 大体そういう計算になっております。
  223. 高沢寅男

    ○高沢委員 それではそれはそれでけっこうです。こんなようなことがありますので、そこでこういうふうなことも十分国会審議の中でされれば、これらの矛盾も当然正されるというふうな意味から、こういう公団、事業団の予算でも、いまのようにあれすれば、ずいぶん隠された部面があるということで、国会審議対象にされるように、こう私は言っておるわけです。  なお、最後に申し上げたいのですが、政府関係機関の職員の労働組合協議会、政労協というのがありますが、この政労協の中には、公団、事業団の職員の組合もみな入っているわけです。ところが、その組合は、毎年の賃金の要求が、人事院勧告の結論が出ないとできないというような扱いにされているわけです。このこと自体、労働条件でいえばすでに政府関係機関の扱いになっているのです。しかし予算のほうは政府関係機関と別な扱いをするというふうなことでは、非常に矛盾があるわけでありまして、そういう面からいっても、公団、事業団を政府関係機関と同じような国会議決対象にされることを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  224. 鴨田宗一

  225. 広沢直樹

    広沢委員 大臣に二、三質問申し上げたいと思いますが、財投国会議決につきましては再三論議されてきております。これまで予算参考資料として提出されておったものでありますが、資金運用部資金予算議決対象として計上された、これは大いに努力したとおっしゃっているし、一応は一歩前進であろう、それは私も考えております。しかし、なぜ国会議決にすべきかという点について、これまでずっと歴代大臣の発言、あるいはいまも大臣から発言がありましたけれども、そのことについては認識が十分じゃないのではないかというふうにしか受け取れないわけです。  財投が、御承知のように、金融的資金から財政資金としてとらえなければならなくなったということについては、これは大臣も認めておられる。ですから、いままでその必要なしと言った分が、いまはこのようにして一応予算総則の中で計上されている、こういうかっこうになっているわけです。しかし私、午前中にはこの問題についてちょっとお話しておりまして、基本的にはそれは課徴的ないわゆる税金をもとにした一般会計と、あるいは財投の有償性の金融的資金であるという点については十分認識しているわけです。しかし、経済政策あるいは政策目的の上から、財政運用面でこれを取り上げますと、運用面では同じように運用していかなければその目的を達成できない。政策目的を達成するための裏づけになるのは予算でありますから、一体のものであると運用面では考えなければならないわけです。そういうことになりますと、当然それは十分な、そこまで審議ということができる対象にしていかなければ、国会議決意味が薄れてくるのではないかというところが問題であろうと思うのです。特に産業優先から福祉へということで財政需要も拡大していくわけでありますから、これまでにもわれわれは再三そういうことを主張してきた、ところが、財投については産業育成的な運用をなされてきたわけですが、これからやはり福祉的な方向にこれを転換していかなければならないわけですから、そういう面に関しては、具体的に政策上その裏づけになっている予算はどういうふうになっているかということを十分審議して議決していく、こういう立場に立っていかなければならないと思うわけなんです。  ところが、いま提案されている中には、二重議決といわれる分を除いて、予算総則に一条設けて、資金計画だけを議決対象に乗せている。予見しがたい経済の変動に対しては、一応増額するときには百分の五十増額できる、こういう弾力条項をつけている。これではあまりにも形式的になるのではないか。いま申し上げたように運用財政資金配分、こういう意味を持っているからこそ、国会の意思表示が必要になってくるわけです。そういう意味から、この国会議決が政策的なあるいは経済政策などの配分に及ぼさなければ意味がない、こういうふうな考えでこれまで主張してきたのですが、その点に対して大臣は基本的にどういうふうに考えているか。いまもお話があったようにそれは認識の違いであって、十分にそれは及ぼしているんだというお考えのようですけれども、それを審議し、議決するのは国会でありまして、われわれとしてはそういうふうにしていかなければいけない。ところが予算書だけ見たのではそのことが十分わからないし、もちろん説明書というのが要らぬというわけではありません。しかし、予算書の中に歳入歳出的にあらわれてきてこそ具体的な検討ができるわけですから、そういう意味を含めてもう一度基本的にお伺いしておきたいのです。
  226. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 第一は、原資というものをどういうふうに見るかということだと思うのです。これは租税とか公債とは性質の違う、受動的な、有償的に入ってくるお金であるということが原資の特徴でございますから、これを議決対象として制約するのでありますから、努力目標を掲げるのでありますから、これはもう性格が全然違うと私は思うのです。  それからその次の問題は、運用の問題でございます。運用については対象ごとに総額は総則に掲げます、こういうことを提案しておるわけでございます。そしてそれに従来なかったような説明参考書類やあるいはそのほかの計表等もつけるのでございます。それで中身がいままでよりははるかに明確になるはずであるということを申し上げているわけでございます。  それから、そもそもこうした財投資金というようなものは政策として運用を切りかえろ、これは基本的政策の問題で運用対象別の上に明らかになります。これは、いかに政策を変更するかということは、政策の論議として御論議をしていただくべき問題である。そこで二重議決の問題とか法制上の問題とか、資金性格、使命というものをそこにかみ合わせてまいりますと、誠意をもっていろいろとむずかしい点を克服しながらコンセンサスを出してまいりますと、こういう案になるというのが政府の立場なのでございます。そして私は、これで国会議決ということの目的あるいは審議をしていただくという目的が、もちろん国会の御判断でございます、政府は何も押しつけがましいことを言っているわけではございませんが、私も国会議員の一人としての立場から見れば、これでずいぶん明るくなった、かねがね国会でいろいろ論議があったことが、今度これによって私は相当の評価をしていただけるのじゃないか、こう思って、自信を持って提出したようなわけでございます。
  227. 広沢直樹

    広沢委員 いま申し上げたように一応努力せられ、前進したということは、過去の経験から考えますとそれは認めるのです。全部だめだといっているわけじゃないのですよ。しかし、先ほどもありましたように、具体的にはいま前の委員のほうから御指摘がありました、公社、公団の問題についても総則の中ではこうだということがのっておるけれども、具体的な、たとえば住宅公団についてもあるいは道路公団についても、こういうふうな道路、こういうふうな住宅をこういうふうに何戸建て、こうなるのだ、これは説明の中にのっていることはわかります。しかし、そこまでの具体的な政策的なものの裏づけは予算ですから、それがわかるような計上のしかたというものが必要ではないだろうか。第一、公社と公団とどこが違うか。地方に行けば、いまもいろいろな立場から御質問ありましたけれども、やはり住宅公団にしても、あるいは住宅公社というような呼び方でしているところもあるわけですね。結局それは地方団体にせよ、国にせよ、財政一〇〇%がそこへ出ているわけでありますから、そういう見地から考えていくと、やはりそこまでは審議対象として入れるようにすべきではないか。基本的なことは先ほど私も申し上げたし、大臣がいまおっしゃったようにそれはよくわかるのです。しかしながら、やはり弾力条項というのが今度大幅についているわけでしょう。ここに出してきています。ですから、それでいまの金融的資金運用をかっちりそのワクの中できめてしまうというようなことにはならない。そのためにこれでも、いま言っている弾力条項がついているということは、そのことを意味していると私は理解しているわけですが、その点もう一ぺん最後にお答えいただきたい。  時間がありませんので、その次に、これも午前中に若干理財局長にお尋ねしておいたのですけれども、運用部資金金利の問題についてでありますけれども、けさは郵政省にもお伺いしたわけですが、とにかく福祉財投資金配分をふやすということを主張されているわけですけれども、しかしその場合において、いわゆる郵便貯金だとか年金だというのは国民からそれぞれ集められた金、あるいは預金された金、こういうことになっておるわけですね。特に郵便貯金等においては、これは一年ものの定額預金というものが大体四・五%から五%というくらいな非常にいま金利は低いのです。ところが現実は、物価は非常に上がっているし、さらに四十八年度経済計画から考えてみても大体五%ということをいっているわけですね。  そういうことになっていくと、そういう集めた金、有償性の金を一括今度は財投として運用している場合において、ここにやはり問題があるのじゃないか。けさも申し上げたのですけれども、今日そういうふうに預金していること自体無意味なほどのインフレ状態になった場合は、それを引き出してそして投機に使うことができるような人はそういうようなこともやっている、それが問題になっているわけですけれども。しかしながら、それはわずかな少額の貯金を積み立てていくのが郵貯ですから、そういう意味においては汗水流して働いて預金したものがそのまま価値が下がっていくという状況になる。それについて郵政省の見解としては、いまのこの状態の中で現在の経済の実勢に合うように金利を上げるということになると、いま預託金利としている六・二%というのは非常に上げてもらわなければやっていけない。いま預金金利を上げるということはむずかしい、こういうふうに言っておるわけです。またそういう面から考えると、やはりこれは一応この金利というものはもう少し考え直さなければいかぬのではないか。さらに一面、還元融資等をやって福祉あるいは生活関係を整備していくために今後それを使っていくわけですが、それについてはこれはまた福祉の充実の上からいくと非常に借りやすい、そして運用しやすいような利子でなければいけない、こういうことになりますので、そういう場合においてはやはり福祉の面から考えて非常に低金利で融資しなければならない、こういうことになるかと思います。  そうすると、当然一応財投運用金利というものの中には、非常に問題が出てくるであろうし、赤字が出てくるということも考えられるわけですから、その場合は一般財源の中で利子補給をしても低利融資を福祉関係についてはやるというようなところを、ひとつ明確にお考えを伺っておきたい。よろしいですか。
  228. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 まず、第一の問題でございますけれども、これは私の認識では先ほど申しましたような資金性格でございますから、したがって弾力条項というものは、かなり大幅になければ国民のために有効な作用ができないと私は思うのです。弾力条項の幅を狭めたりあるいは弾力条項をなくして一般会計歳出のような立て方をすれば、これは財投というものの意味とか使命というものはなくなると私は思います。これはあえて率直に申し上げます。  それから、金利の問題は、午前中に郵政省からどういう話が出たか、これから私も確かめてみますけれども、たとえば七年以上の預託金の金利はなるほど六分二厘でございますが、同時に貸し出し金利も六分二厘、これは金利問題は郵貯あるいは簡保だけに限りませんで、やはりこうした国民大衆のために融資がされるようなものは、やはり貸し出しの金利というものをできるだけ低くするということがまた大切なことではないかと思います。四十八年度予算の中にも随所に出ておるはずでございますけれども、貸し出しの金利をできるだけ低下させて、中小金融あるいは農業関係の金融、それから住宅もそうでございますが、資するところあるようにという配慮で予算を組んでおりますことは御承知のとおりでございまして、金利問題というものは、そういう点から申しまして非常にむずかしいものであるということも御理解をいただきたいと思います。
  229. 広沢直樹

    広沢委員 最後に一点お伺いしておきたいのですが、財投の大きな原資になっております年金ですけれども、この年金について一番年金制度の中で問題になっておりますのは、いわゆる給付の水準を上げるということが一番問題になってきているわけです。したがって、給付の水準を上げて、老後あるいはその他生活の保障が確立されるようにしていくためには、これはやはり賦課方式をとらざるを得ないと私は考えているわけです。いまの積み立て方式ないしは修正積み立て方式というものを続けていったんでは、これは現実的な手が打てない。いま盛んに問題になっておる通貨問題だって、その一つの中には経済大国であるわが国が、福祉なかんづく社会保障が非常におくれている。これは言われるまでもなく、大臣も十分御存じのはずなんですね。そこで賦課方式をとっていくということになりますと、これは財投運用の方法というものも、この大きな原資であるものがそういうことになれば変わるわけですから問題になってくると思いますが、しかしながら、その前提となる、——いま積み立て方式をやっている。しかしそれがいま申し上げたように賦課方式に変えなければ現実の問題としてはこれは年金受給者加入者の希望にこたえることはできないわけですが、その点についてどういうふうに考えておられるか、これは将来の問題になるとは思いますけれども、一応伺っておきたい。
  230. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 年金について、こまかく各種の年金について一々申し上げますと長くなりますから、省略して申し上げることにいたしますけれども、たとえば物価スライド制を五年に一ぺん見直しをするということでは追っつかないから、とにかく物価スライド制をとろうということにいたしましたのも、これは政府としては相当の苦心の策でございます。今後のことを考えていきますときに、積み立て方式を政府がとるからけしからぬというお話でございますけれども、これは先ほども広瀬委員に申し上げましたように、私どもは、この年金積立金をわれわれの手によって活用したいからそれで反対をしているなどと言われると心外なのでありまして、何とかしてことしを年金のスタートの年にして、これから充実してよりよき年金制度を確立したいというのが、私どもの自由民主党の大念願でございます。積極的、建設的にこれからも引き続きよい案をつくり上げていこうという意欲に燃えているわけでございますから、積立金を活用したいからそこに拘泥している、こんなけちな考えは毛頭持っておりません。しかし、ほんとにまじめに考えてみて、先ほど数字の上でもちょっと申し上げましたけれども、日本の現在の人口構成、そして受給者の数がいまは被保険者に対して比較的少ない、これらも逐年激増していくわけですね。だから、積立金がこれだけあるから、これを取りくずして年金を充実し、かつこれを増額しようというのは少しやすきにつき過ぎる考え方ではないか。これから逐年受給者がどんどんふえていきます。昭和六十年になったらどういう姿になるか、七十年になったらどういう姿になるか、そしてそのころ積立金がなくなったら、逆に高福祉高負担になってしまうではないか、こういうことを考えますと、私は修正積み立て方式とでもいうような現在の考え方を基礎にして、そして広沢委員の言われるようなお考えも十分謙虚に取り入れながら、よりよき制度をつくりたい、こう考えておるわけでございますから、どうぞその辺のところは相ともに建設的に、長い目をもって、、日本ですばらしい年金制度ができるように考えてまいろうではございませんかというのが、こちらからのお願いでもございます。
  231. 広沢直樹

    広沢委員 違うんですね。きょうは年金問題でここでいろいろ議論しようと思っておりません、時間もありませんし、所管の委員会もありますから。ただ、いま財投の中で大きなウエートを占めておるわけですから関連してお伺いしたのですが、あるべき姿としては、それは過渡期の問題もありましょうし、将来に対するいろんな問題もありましょう。いまちょっと述べられたようなことも、これは将来の保険料にしても、年金の受給者増が起こってきて公平負担という問題も問題になるということもちょっと触れられましたけれども、現実のお年寄りに対する不公平という問題がありながら、そのまま積み残しをしていくということもどうかと考えるわけです。したがって、あるべき姿の基本だけ、それは賦課方式でやっていくのが基本的なあるべき姿なのかどうかという、その点だけをお伺いしたいのです。いかがですか。
  232. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 私は、完全な賦課方式ということは若干抵抗を持ちます。もっといい方法があるのではないか、こう考えます。
  233. 広沢直樹

    広沢委員 私が申し上げているのは、完全な賦課方式ではありません。きょうは意見というか、われわれの主張を申し上げておきますが、修正賦課方式と申しますか、そういう併用的な考え方を持っていかなければならないだろうと考えております。  では、これで終わります。
  234. 鴨田宗一

    鴨田委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  235. 鴨田宗一

    鴨田委員長 次に、関税定率法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
  236. 鴨田宗一

    鴨田委員長 まず、政府より提案理由の説明を求めます。愛知大蔵大臣。
  237. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 ただいま議題となりました関税定率法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。  政府は、昨年十月二十日、対外経済政策の推進のための総合的な諸施策を決定し、その一環として、昨年十一月二十二日より、総計一千八百六十五品目にのぼる物品の関税率を一律に二〇%引き下げたところであります。  今回、さらに最近における内外の経済情勢の推移に対応し、対外経済関係の調整、国民生活の安定に資する等の見地から、特恵関税制度の改正を行なうほか、生活関連物資を中心に関税率の引き下げをはかるとともに、各種の関税制度の整備等を行なう必要がありますので、この法律案提出することとした次第であります。  以下、この法律案につきまして、その大要を御説明申し上げます。  第一に、開発途上国との経済取引を拡大し、これら諸国の経済発展に寄与するための特恵関税制度の改正について申し上げます。  まず、農水産物の特恵関税につきましては、その適用品目を拡充するため、新たに、魚卵、タコ等十一品目を追加するとともに、現行の特恵関税適用品目のうち、サンゴ、グリセリン、魚のかん詰等十四品目について、特恵税率の引き下げを行なうことといたしております。  次に、鉱工業産品であって、国内産業への配慮から特恵税率を一般税率の二分の一にとどめている品目のうち、鉛の塊、蓄電器等六品目について、その特恵税率を無税に引き下げることといたしております。  また、現在、鉱工業産品の特恵関税適用輸入額が一定の限度額に達した場合には、特恵税率の適用を停止することとしておりますが、この制度につきまして、輸入動向等を勘案し、国内産業に損害を与えるおそれがないと認められる品目については、特恵適用輸入額が限度額に達しても特恵税率の適用を継続することができることとし、特恵関税適用品目の輸入拡大をはかることといたしております。  第二に、関税率の改正について申し上げます。  関税率については、先般、一律二〇%引き下げという画期的な措置を講じたところでありますが、今回、これに加えて、国民生活に関連の深い物資を中心に三十二品目の関税率を引き下げることといたしております。主要な物資としては、農産品では、コーヒー、紅茶、ココア、バナナ、食用植物油等が含まれており、また、工業品では、エアコンディショナー、建築用ボード等がその対象となっております。  次に、関税割当制度の改善をはかるため、最近における産業の状況等を勘案し、硫化鉄鉱及び天然黒鉛につきこの制度の適用を廃止し、その関税率を無税とするとともに、魚粉、木炭の二次税率を引き下げる等の改正を行なうことといたしております。  また、通関実務を簡素化し、輸入者の便宜をはかる見地から、識別困難な類似品目等の税率を低いものに統一することとし、タイプライター、アートペーパー等三十五品目について、関税引き下げを行なうことといたしております。  このほか、本年三月三十一日に期限の到来する百八十七品目の暫定税率につきましては、生産や輸入の動向を勘案し、その適用期限を一年間延長することといたしております。  第三に、各種の関税制度の改正について申し上げます。  まず、わが国の居住者に対する贈与品について、政令で関税を免除し得る限度額を五千円から一万円に引き上げるほか、輸入後一定期間使用されて再び輸出される物品に対する減税制度の対象の拡大、保税展示場に関する制度の要件の緩和等を行なうことといたしております。  また、わが国の宇宙開発の推進に資するため、人工衛生等宇宙開発の用に供する物品等について、関税を免除する制度を創設することといたしております。  以上、この法律案につきまして、提案の理由及びその概要を申し述べました。  何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  238. 鴨田宗一

    鴨田委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ります。  次回は、明七日水曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後七時九分散会      ————◇—————