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1973-03-02 第71回国会 衆議院 大蔵委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年三月二日(金曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長代理 理事 大村 襄治君    理事 木村武千代君 理事 松本 十郎君    理事 村山 達雄君 理事 森  美秀君    理事 阿部 助哉君 理事 武藤 山治君    理事 荒木  宏君       宇野 宗佑君    越智 通雄君       金子 一平君    栗原 祐幸君       小泉純一郎君    三枝 三郎君       萩原 幸雄君    坊  秀男君       村岡 兼造君    毛利 松平君       山中 貞則君    佐藤 観樹君       高沢 寅男君    塚田 庄平君       広瀬 秀吉君    村山 喜一君       山田 耻目君    小林 政子君       増本 一彦君    伏木 和雄君       内海  清君    竹本 孫一君  出席政府委員         大蔵政務次官  山本 幸雄君         大蔵省主計局次         長       長岡  實君         大蔵省理財局長 橋口  收君         大蔵省理財局次         長       後藤 達太君         運輸大臣官房審         議官      原田昇左右君  委員外出席者         大蔵大臣官房審         議官      岩瀬 義郎君         大蔵省理財局資         金課長     福島 量一君         日本国有鉄道常         務理事     小林 正知君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ————————————— 委員の異動 三月一日  辞任         補欠選任   木野 晴夫君     松浦周太郎君   塩谷 一夫君     赤澤 正道君     ————————————— 三月一日  付加価値税新設反対に関する請願近江巳記  夫君紹介)(第七二二号)  同(広沢直樹紹介)(第七一四号)  同(伏木和雄紹介)(第七一五号)  同(松尾信人紹介)(第七一六号)  子供劇場入場税免除に関する請願荒木宏君  紹介)(第七一七号)  同(諫山博紹介)(第七一八号)  同(小林政子紹介)(第七一九号)  同(柴田睦夫君紹介)(第七二〇号)  同(田代文久紹介)(第七二一号)  同(東中光雄君外八名紹介)(第七二二号)  同(増本一彦紹介)(第七二三号)  同(三浦久紹介)(第七二四号)  同(木島喜兵衞紹介)(第七二五号)  同(阪上安太郎紹介)(第七二六号)  同外一件(江田三郎紹介)(第八六五号)  同(江田三郎紹介)(第九一〇号)  公共事業等適期施行に関する請願唐沢俊二  郎君紹介)(第八六三号)  同(小坂善太郎紹介)(第八六四号)  身体障害者に対する自動車重量税撤廃等に関す  る請願竹村幸雄紹介)(第九一一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  資金運用部資金並びに簡易生命保険及び郵便年  金の積立金長期運用に対する特別措置に関す  る法律案内閣提出第一号)      ————◇—————
  2. 大村襄治

    大村委員長代理 これより会議を開きます。  本日、鴨田委員長が病気のため出席できませんので、その指名により、私が委員長の職務を行ないます。  資金運用部資金並びに簡易生命保険及び郵便年金積立金長期運用に対する特別措置に関する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。増本一彦君。
  3. 増本一彦

    増本委員 共産党・革新共同増本です。  この特別措置法案が、国家の財政法体系で今度大体どういう位置づけになっていくのかというようなことがまだ明確ではありませんので、少しその点についてお伺いしたいと思います。  法案の二条一項が、長期運用予定額につき「資金及び積立金の別に、かつ、運用対象区分ごとに、予算をもって国会議決を経なければならない。」こういうように書いてあるわけですけれども、予算をもって国会議決を経るということになると、長期運用予定額自身、これを予算だというように見ていいのかどうか、そこからまずお伺いしたいのです。
  4. 橋口收

    橋口(收)政府委員 お尋ねのございましたのは、長期運用予定額、つまり五年以上にわたる運用期間のものにつきまして、特に現在資金運用部資金法なり、あるいは簡易保険積立金に関する法律によりまして、それぞれ主務大臣にこの権限委任をされております中から、特に長期運用のものにつきましては資源配分的な性格を持つということで、国権最高機関としての国会の御判断を仰ぐ、こういうことにいたしてあるわけでございます。国会の御意思なりあるいは国会の御判断を確認する方法としましてはどういう形式があるかということでございますが、御承知のように、法律案あるいは予算あるいは条約というような形が考えられますが、今度の場合は国内問題でございますから、条約ということは一応別にいたしますと、法律案予算かということになるわけでございます。法律案は、御承知のように国会の御意思を確認する有力な方法でございますが、一方予算は、毎年度のいわば一種の規制に関するもの、それから数量的な事項を内容とするものは、いわば予算という形式が最も適当な形であるということであろうかと思います。したがいまして、今回の五年以上の長期運用につきまして、国会の御判断を仰ぐ方法としまして、予算という形式をとるということにいたしたわけでございます。ただ、予算は御承知のようにいろいろな形式がございまして、予算の中にも、歳入歳出予算のほかに四つの形式がございます。その予算の中の予算総則という形をとったわけでございまして、それは予算ということばで一括して表現している、こういうことでございます。
  5. 増本一彦

    増本委員 これは、国会議決形式としても、それがらまた内容ていさいの上からも、予算の一部を構成するものだ、こういうように了解していいわけですか。
  6. 橋口收

    橋口(收)政府委員 そのとおりでございます。
  7. 増本一彦

    増本委員 そうしますと、これは運用対象区分ごとに、予算をもって国会議決を経るということになっていますが、これは運用対象区分ごとにすべて予算の一部分を構成している、こういうようになるわけですか。
  8. 橋口收

    橋口(收)政府委員 これは特別会計予算総則第十四条をごらんいただきますとおわかりのように、資金別に、それから運用対象区分ごとに、予算総則の中に金額が打ち込んでございます。それが予算でございます。
  9. 増本一彦

    増本委員 今度の特別措置法法案内容だけでは、つまりどこにどういう位置づけをするかということは明記してないわけでしょう。だから、政府特別会計の中の予算総則の中にそれを入れたというのは、政府の側の一つ法解釈前提にした形式として、そういうやり方をとられた、こういうことになるわけです。そうですね。——これが予算構成部分であるということでありますと、そうすると、まず財政法とこの措置法との関係はどういうようになるのですか。全面的に適用があるのかどうか、その点はどうですか。
  10. 橋口收

    橋口(收)政府委員 財政法第十六条をごらんいただきますと、予算内容としまして、「予算は、予算総則歳入歳出予算継続費繰越明許費及び国庫債務負担行為」をいうというように書いてございます。この中の歳入歳出予算でないことは、過日の御質問に対するお答えで明らかであろうかと思いますが、財政法にいう収入支出あるいは歳入歳出とは性格を異にしております。したがいまして、歳入歳出予算であるという性格のものではないということになるわけでございます。そういたしますと、継続費繰越明許費及び国庫債務負担行為でございますが、これはいずれも予算形式として長期予定額規定する性格のものにはなじまないものであります。したがいまして、予算という形をとります場合には、残るものは予算総則でございます。  予算総則は、財政法第二十二条にその内容規定してございます。特に規定を読み上げるのは省略をいたしますが、予算総則内容に該当するものとして、さらにどういう会計予算総則が適当かということでございますが、これは資金運用部特別会計あるいは簡保資金積立金運用に関する特別会計という形で、特別会計国会に出ております。その内容利息支払いなり利息収入なり、いわゆる損益計算ということで、国会審議を受けておるわけでございます。その利息支払いなり収入等と密接な関係があるということで、特別会計予算総則長期運用予定額を記載したわけでございます。
  11. 増本一彦

    増本委員 この資金運用部資金や、あるいは簡保年金積立金にしましても、これをそれぞれのところで運用させるには資金調達原資調達の必要があるのですね。前回議論があって、これは歳入歳出予算とは違うのだということを強調されたわけですけれども、要するに予算だとちょうどこれが財源に当たるものですが、この予算いち歳入予算明細書に当たるようなものというものは、こういう特別措置資金運用する場合には必要ないものなのか。
  12. 長岡實

    長岡政府委員 理財局長からお答え申し上げましたように、予算ではございますけれども、予算を形成する各要素のうち予算総則に属するものでございますので、歳入予算ではございませんから、その明細書のようなものを添付する法的な必要性はない、かように考えております。
  13. 増本一彦

    増本委員 そうしますと、原資調達ないし資金調達は、この法案に基づいてそれぞれの運用予定額審議する際には、国会でそれは審議対象には全然入らないということですか、その点はいかがですか。
  14. 橋口收

    橋口(收)政府委員 この点は、先ほどのお答えの裏になるかと思いますが、一般会計予算あるいは特別会計予算のように、歳入というものがあり、その歳入をもととして歳出を行なう、論理的に申しますと、最初経費必要性なり支出目的というものがきまりまして、それに必要な財源を税制その他で調達をするというのが一般予算仕組みでございます。それに対しまして資金運用部資金あるいは簡保資金という性格のものは、自然に受動的に集まる資金原資でございますから、いわゆる財源調達という観念とは性格を異にいたしております。いわば財源のほうは受動的に有償の資金として集まってまいりますから、それを運用するという宿命を本来持っているわけでございます。  そこで従来は、その運用につきましては主務大臣権限委任をされておったのでございますが、今回特に五年以上の運用につきましては資原配分的な性格を持つ、いわば財政資金の配分としての性格を持つということで、財政支出のうちの一つだから、国権最高機関としての国会判断を仰ぐということにいたしたわけでございますから、初めに歳出ありきということでなしに、初めに資金ありきということを前提に申し上げたわけであります。自然に集まってくる資金をいかに運用するかということが本来ものの考え方の端緒になったようなことでありまして、最初経費必要性なり支出がきまって、その必要な財源について国会の御審議を仰ぐ、こういう性格のものではないわけでございます。そういう点から申しましていわゆる財源調達とは性格を異にする、こういうことであろうかと思います。
  15. 増本一彦

    増本委員 それでもそれぞれ運用する予定額対象区分ごとにきめて国会に出して、こういう方向で使います、それについてひとつ承認をしてくれ、こういう内容のものですね。そうすると、国会審議する場合でも、それを認めるという上からいけば、それぞれの使わせるお金がどういうお金で、それはそれぞれの当該年度にどれだけ入ってくるものであるかというようなことについて、やはり当然関心を持つし、国会審議に対して責任を持つという立場からいっても、それはやはり必要なことではないかというように思うのです。  それからもう一つは、今度政府のほうでその資金運用する場合でも、これこれにこういう財源があるし、また当該年度にこういう財源が入ってくるということが見込まれるからということで、原資ないし資金見込みは当然勘定に入れて計画は立てられるわけでしょう。その点はどうなんですか。
  16. 橋口收

    橋口(收)政府委員 財政投融資計画を作成いたします場合には、御指摘がありましたように、原資見込みというものの積算をいたします。これは国会提出をいたしております参考資料財政投融資資金計画の中に、原資見込みというものがございます。まず原資見込みを立てます場合には、資金運用部資金のおもな内容を占めるものとしての郵便貯金、それから年金資金について見込みを立てるわけでございますが、郵便貯金見込みにつきましては、郵政省と話をいたしまして、郵貯特会積算基礎をなす貯蓄目標郵便貯金原資として計上いたします。それから年金につきましては、厚生年金あるいは国民年金につきまして、厚生省の、いわゆる収支差額に相当するものでございますが、収支差額積立金になるということで、それを計上いたします。  それだけで財政投融資必要原資が十分であります場合はよろしいのでございますが、それで足りません場合には、既往の融資の回収金なりあるいはその他の特別会計からの預託金を充当いたしまして財政投融資計画をつくるわけでございまして、これも前回委員会お答えをいたしましたが、集まってくる原資を全部使うという性格のものではございませんで、集まってくる原資一定金利体系のもとにおいて一定の額が集まってまいりますから、これについての目標というものを特に設けておりませんが、その中のおもな郵便貯金年金については、ただいま申しましたとおり、目標を立てて計算をいたしております。したがって、そういう形でもちろん原資についての見当をつけるわけでございますが、しかし資金運用部資金全体として財政投融資の需要に応ずるわけでございますから、特に一定目標を立てて、それ以上は受け入れないとか、あるいは不足する場合にはどうするとか、あるいは一般会計予算のように予備費を設けるとか、そういう形をとっておりません。したがいまして、原資についての見込みはあくまでも見込みでありまして、これは前回お答え申しましたように、一種調整経理なり調整経理なり調整勘定としての「その他」勘定というものを活用いたしておるのでございます。
  17. 増本一彦

    増本委員 そうしますと、この原資ないし資金ですけれども、この積算見込みですね、これについてはどうなんですか。それに関する資料は、見込みの調書やその他で一応参考書類として出るけれども、それについて個別に、入ってくるお金がとれこれだから、だからその分のうちについてそれぞれの政府機関公団、法人その他に対してこれだけの運用をするというこまかい見込みや何かについて、これは審議の際に国会に検討をしてもらうというたてまえでお考えになっているのか。あるいはそれは一般参考書類の中に書いてあるから、それはそれを読んでそして審議に臨んでもらう、こういうことなのか。その点はいかがでしょうか。
  18. 橋口收

    橋口(收)政府委員 財政投融資資金原資性格につきましては、先ほど御説明申し上げたとおりでございますが、法律的に申しますと、資金運用部資金法あるいは簡保積立金に関する法律というのがございまして、その管理運用権大蔵大臣あるいは郵政大臣ということになっております。したがいまして、国会の御意思としては、資金運用部資金あるいは簡保資金のようないわば資金のかたまりとしての性格を持ったものにつきましては、行政府の長としての主務大臣がこれを管理運用するのが適当だという御判断であろうかというように考えるわけでございますが、そのうち特に五年以上の長期のものにつきましては、例外的にさらにその運用につきまして、国権最高機関としての国会の御判断を仰ぐということでございます。したがいまして、前回お答え申し上げましたように、大体二十兆という巨大な金融機関資金の出入りでございますから、どれだけ資金が集まり、それがどういうふうに運用されるということを、すべてを明らかにすることは事前的には困難でございます。したがいまして、そのうちの一定部分、特に資源配分的な影響を持つものにつきまして国会提出をいたしているわけでございまして、資金の総量の動きにつきまして事前に原資見込みなりあるいは運用の総体につきまして国会の御判断を仰ぐということは適当でないし、また困難であるというふうに考えておるわけでございます。
  19. 増本一彦

    増本委員 そういたしますと、たとえば資金運用部資金の二十兆をこえる膨大なお金については、そのうちの一部の郵便貯金とかあるいは国民年金その他資源配分的なことが可能なものだけということになると、それ以外のものについては国会はこれまでもそれについて審議ができなかったし、それから今後もその問題については全然審議が及ばないということになるのですが、ただそのうちの資源配分的な分についてだけ今度の法案で一応明らかにすることができる、こういうことになった、こういうことになるわけですか。
  20. 大村襄治

    大村委員長代理 政府委員に申し上げます。  答弁は、声を大きくし、的確に、簡潔にお願いいたします。
  21. 橋口收

    橋口(收)政府委員 資金運用部資金の全体について国会との関係でどうなっているかという、こういう御発言であろうかと思いますが、これは先ほどもお答え申し上げましたように、現在の資金運用部資金法あるいは簡保積立金に関する法律におきましては、資金管理運用権はそれぞれ大蔵大臣あるいは郵政大臣ということになっております。したがいまして、そのうち特に五年以上の長期のものにつきまして国権最高機関としての国会の御判断を仰ぐという措置をとったわけでございますから、ただいま御質問がございましたように、法律上なりあるいは予算上の性格としては行政府権限でございますが、それは国会として一般的な国政調査権はお持ちでございますから、それはもちろん御調査になることは可能でございますし、またお尋ねがあれば十分お答えする用意はございます。  なお、念のために申し上げておきますが、資金運用部資金法あるいは簡保積立金に関する法律規定によりまして、運用対象というものは法律明定をされております。したがいまして、どういう運用対象運用するか、運用範囲限定されておりますので、したがいまして、どういう形で、あるいはどういう金額運用するかということは郵政大臣の裁量にまかされておるわけでございまして、どういう対象運用するかということは、国権最高機関としての国会の御判断としての法律によってきめられているのでございます。
  22. 増本一彦

    増本委員 ちょっと具体的に聞きますけれども、郵便貯金が二兆三千億円、これは四十八年の郵便貯金残高増加予定額であるというようになっていますけれども、これの見込み合理性とか根拠というもの、これは具体的にはどういうところから出ているのですか。
  23. 橋口收

    橋口(收)政府委員 財政投融資計画作成官庁立場におきましては、できるだけ原資が多いことが望ましいのでございますが、しかし、資金運用部資金として郵便貯金を集めているわけではございませんから、これは郵政省が主体となり郵貯特会において郵便貯金経理をいたしておりますので、これは郵政省貯蓄目標額というものをそのままここに計上しているわけでございます。
  24. 増本一彦

    増本委員 郵政関係はいらっしゃってないですか。——じゃ、質問はあとに保留します。  厚生年金国民年金のそれぞれの金額の算定の根拠もそのまま引き写したものですか。
  25. 橋口收

    橋口(收)政府委員 これも原理的には同じでございまして、厚生省と相談をいたしまして、収支差額をそのまま計上することにいたしております。これは、厚生年金国民年金につきましては制度改正もございますので、制度改正保険料の引き上げを織り込んで厚生省計算いたしました金額をそのままここに計上いたしております。ただ、技術的に申しますと、ずれの関係がございますので、厚生省計算いたしました収支差額のうち当該年度の九割が当年度資金運用部資金に対する預託になる、一割は明年度にずれる、そういう技術的な補正はいたしておりますが、厚生省計算をそのまま計上するという原則を一応とっておるわけでございます。
  26. 増本一彦

    増本委員 このような原資調達ないし資金積算基礎を、たとえばこの運用予定額審議する際に、歳入予算明細書に相当するようなものと同じような形で添付して、一括して国会審議の便宜をはかる、そして審議を十分に行なわせるというような仕組み、こういうものはお考えになっているのですか。
  27. 橋口收

    橋口(收)政府委員 これは二十兆の金融機関が来年度どのくらい資金が伸びるか、こういう問題でございますから、ただ、これは政府の運営する金融機関でございますし、それから原資の源泉になる郵便貯金にしましてもあるいは年金にしましても、国の管理する制度でございますから、そこにはおのずから相違はございますが、それぞれの積立金なりあるいは郵便貯金増加を受け入れるというのが資金運用部資金制度的な使命でございますから、したがいまして、それら各種制度の反映として預金がふえる、資金がふえるということでございますから、いまお尋ねがございましたのは、どちらかと申しますと、それぞれの郵貯特会なりあるいは厚生保険特別会計収支の問題あるいは貯蓄目標の問題であろうと思います。したがいまして、お尋ねがあれば可能な限りお答え申し上げますが、ただ、一定限度を越えますと、これは郵政省なりあるいは厚生省から御聴取いただくべき性格の問題であろうと思います。
  28. 増本一彦

    増本委員 今度は、運用資金をそれぞれのところに流しますね。これについてのそれぞれの使い道の計画、受ける側が使う計画ですね、何の目的で使うのかという使途計画事業計画、こういうものをそれぞれ個別に審議をする必要が国会の中ではあると思うのですが、それについてのそれぞれの仕組みや体制をどのようにお考えになっているのか。この措置法案の具体的な運用としては、どういうようになっているのですか。
  29. 橋口收

    橋口(收)政府委員 これは財政投融資対象機関性格別にどういう制度になっているかという問題であろうかと思いますが、御承知のように、財政投融資対象機関の中には、特別会計がございますが、これは特別会計歳入歳出予算として国会提出をされております。それから政府関係機関の中の公社につきましては、専売公社財政投融資機関になっておりませんが、国鉄、電電につきましては、やはり公社予算というかっこう国会で御審議をいただくわけでございます。それから政府関係機関の中の公庫、輸開銀につきましては、いわゆる損益予算利息支払い利息収入経費予算につきましては、政府関係機関予算という形で国会の御審議をわずらわしておるのでございます。公団事業団その他特殊会社がございますが、こういうものにつきましては、前からいろいろ議論はございますが、いまの公団事業団につきましては、その事業計画なりあるいは資金計画主務大臣認可になっております。行政府に一任をされておるのでございますが、これは前回委員会でもお答え申し上げましたように、経過的に申しますと、公社とかあるいは政府関係機関の運営の実態のいわば反省の上に立って、できるだけ弾力的、自主的な運用を行なうほうが望ましいという国会の御判断もあり、そういうかっこうで、現在は主務大臣認可にまかされておるのでございます。  したがいまして、これらの機関特別会計から特殊会社まで、性格上の差異はございますが、しかし資金運用部資金対象になし得るものとしての性格限定はおのずからございます。これは資金運用部資金法明定をされておりまして、国とか政府関係機関あるいは債券を発行し得るような、いわば民間資金調達し得るような能力を持った機関限定をされております。と同時に、政府なり地方団体以外の、つまり民間の出資がないものということで法律上ははっきりと明定をされておりますので、その範囲内におきまして、これは一般予算の編成と同じような手続によりまして、前年の八月までに財政投融資の要求書というものを大蔵省に出してもらうことになっております。それに基づきまして、事業計画なり資金計画のいわば策定をいたしまして、最終的に機関別の財政投融資計画というものを決定いたすのでございます。  なぜそういう仕組みをとっておるかということでございますが、これは御承知のように、財投対象機関の中には一般会計から補助なり交付金をもらうものもございますし、一般会計からの出資あるいは産投会計からの出資等をもらうものもございますので、それら資金の入り繰り調整の関係もございますので、一般予算と同じような編成手続で財投計画を決定いたしておるのでございまして、その計画の決定に基づいて、個々の資金需要に応じて資金を融資するというのが運営の実態でございます。
  30. 増本一彦

    増本委員 そうしますと、まず政府がする投資ないし融資、これの可否の判断の基準というのは一体どこに求めているわけですか。
  31. 橋口收

    橋口(收)政府委員 財政投融資対象機関になるためには、一定の資格条件がございます。これは先ほど申しましたように法律にきまっておりますので、その法律の適格条件に該当しないものは、幾ら希望いたしましても、法律の制約がございますから、財投の対象機関にはならないということでございます。  そこで、財政投融資対象機関性格的になるということになりましたあとどうするかということでございますが、いまのお尋ねは、投資なり出資と融資とをどういうふうに区分してやるかということでございますが、これは原理的に申しますと、当該機関資金コストをどうするかということできまってまいります。融資機関で申しますならば、運用の金利水準と申しますか、どういう金利水準で融資を行なうか、それから事業機関で申しますと、どういう資金回収コストで事業を行なうか。  たとえば輸出入銀行で申しますと、金利水準を一定に保つためには、資金運用部資金等からの借入金というものは利息のついたお金でございますから、これを出資によって薄めて低い金利水準を確保する、こういうことになるわけでございます。それから事業機関で申しますと、たとえば住宅公団で申しますと、住宅公団資金の回収コストを四・七%にするためには、運用部からの有償の借入金に加えてどの程度一般会計から援助をするか、こういう仕組みになってまいります。主としてそういう観点から、出資をどのくらいにし、融資をどのくらいにするということがきまってまいりますが、ただ、いまの説明の中にも入っておりますが、産投会計からの出資のみでなくて、一般会計からの出資あるいは補助金、交付金というかっこうでも財政援助ができるわけでございますから、そういうものとの組み合わせも考えて、全体として当該機関のコストをどうするかという観点から、資金融資の基準をきめておるのでございます。
  32. 増本一彦

    増本委員 ここで、この法案の第二条は、長期運用予定額運用対象区分ごと国会議決を経るというようになっていますけれども、そこで、各運用対象区分ごと国会の側で審議の際に、このほうについてはさらにこれだけ余分に運用するようにしろとか、あるいはこれについては必要がないから削れとか、そういう修正とかあるいは組みかえとか、そういうものを予定しているのかどうか、その点はいかがですか。
  33. 橋口收

    橋口(收)政府委員 これはいままでの御説明で明らかであろうかと思いますが、特別会計予算総則運用対象区分ごとに、または資金積立金の別に金額をぶち込んでおりますので、問題は予算の修正という問題になろうかと思います。したがいまして、予算総則ではございますが、予算の修正ということが可能かどうか、そういう法律問題として研究すべき問題であろうと思います。
  34. 増本一彦

    増本委員 政府側の見解はどういうことになるのですか、研究するということは。
  35. 橋口收

    橋口(收)政府委員 これは予算全体の問題でございますから、予算の中の項目をどうするかという問題でございますので、法律的、原理的に申しますれば、一般予算の修正の問題と同じ問題というふうに考えております。
  36. 増本一彦

    増本委員 そこで、政府運用資金のうち、五年未満のものを除いて五年以上のもの、これについてだけ国会議決を経るというようにした一番大きな理由というのはどこにあるのですか。
  37. 橋口收

    橋口(收)政府委員 これは政府の財政制度審議会の答申でもるる述べておりますように、資金運用部資金なり簡保資金性格をどういうふうに考えるのかということと関連があるのでございます。資金運用部資金なり簡保資金は、本来いわゆる金融的な資金でございまして、一定の金利条件のもとにおいて国民が任意の貯蓄をするという性格のものでございますから、租税によって強制的に国民から所得を吸い上げるというのと基本的に性格を異にしております。したがって、そういう本来金融的な資金であるという性格に着目いたしますと、従来のように政府判断で財政措置を行なうということは少しも差しつかえない、そういう御意見が財政制度審議会の中にもあったのでございます。ただ、繰り返し申し上げておりますように、財政投融資の規模が大きくなり、その運営の実態というものが経済に対して大きな影響を及ぼすようになってきているという現状に着目いたしまして、特に長期の五年以上の資金につきまして国会の御判断を仰ぐという措置をとったのでございますが、なぜ五年以上にしたかという理由といたしましては、原理的にはいま申し上げたようなことでございますが、本来であれば、長期運用ということになりますと、日本でも国債の償還期限が十年でございますから、一番短く考えましても十年以上ということで、本来であれば平仄が合うということであろうと思います。あるいは諸外国の例で申しますならば、長期債というのは大体二十年以上というものが相場のようでございますから、五年以上ということになりますと、いわば中期の運用も含めまして国会議決にかからしめるということでございますから、政府としてはいわば相当勉強したということであろうかと思います。  それからもう一つは、従来から財政投融資計画表に載せておりますのは、五年以上の長期のものにいたしております。国民金融公庫とか、あるいは商工中金のような運転資金を取り扱う機関につきましては、資金の回転等の関係もございまして、現在五年で融資を行なっております。したがいまして、従来から五年以上のものをすべて財政投融資計画表にのせておりましたということもあり、それについての国会のいろいろな論議の経過も踏まえまして、五年以上ということにしたのでございまして、本来、詰めて考えますれば、あるいは十年以上とかあるいは十五年以上で差しつかえないものを、特に政府としては、従来の経緯にもかんがみ、また国会における御便宜という二とも考えまして、五年以上ということにしたのでございます。
  38. 増本一彦

    増本委員 それじゃ、これまでその五年以上のもので、それぞれの資金を使った結果、それがどういう効果を持ち、どういう結果に終わっているかというような点について、それはすべて国会に報告され、あるいはその事後について国会での審議対象にはなってきたのですか。
  39. 橋口收

    橋口(收)政府委員 これは法律案第四条に明らかなように、運用実績の報告を国会提出することになっております。したがいまして、この法律案法律ということになりますと、この規定に基づきまして、国会に対して実績の報告をするということになるのでございます。
  40. 増本一彦

    増本委員 これまではどうだったのですか。
  41. 橋口收

    橋口(收)政府委員 この法律案が成立する以前は現状でございますから、どういう形で財政投融資機関別に運用をしたかという、運用サイドからの報告というものは一切いたしておりません。これは資金運用部特別会計に関する決算の報告というかっこうで御報告しております。
  42. 増本一彦

    増本委員 一年以下のものの場合でも、たとえば石炭鉱業合理化事業団への貸付金とか石炭鉱害事業団への貸付金とかあるいは地方公共団体への貸付金等々も、貸付金としては含まれていますね。これも政府一つの金融活動ですよね。それから一年をこえて五年未満のものでも特別会計への貸付金も含まれている。こういうのもやはりその政府の金融活動として資源の配分的な機能を持っているわけですね。こういうものについても、政府の金融活動そのものが正しいのかどうかということを含めて国会審議を経るというのが、私は財政民主主義の立場からいえば当然のやり方だというように思うのですが、その点はいかがなんですか。
  43. 橋口收

    橋口(收)政府委員 これは、いわゆる資金運用部資金なり簡保資金の存在それ自体の根幹に触れる問題であろうかと存じます。これは財政法四十四条の規定によりまして、資金運用部資金あるいは外国為替特別会計資金というような資金の存在というものを認めておるのでございまして、これは本来、一本一本の取引なりあるいは収入支出歳入歳出というような性格を持たないものであります。したがって同時に、会計年度区分にはなじみにくいものとして、いわゆる歳入歳出外現金として行政府の管理にまかされておる資金というものが現存するわけでございますから、したがいまして、いまの御発言の延長としては、端的に申しますと、資金の存在なりあるいは資金性格を否定するということであろうかと思います。一定の条件のもとにおいて行なわれる資源配分的な性格を持つものについて特に国会審議を仰ぐということでございますから、日々歳々入ってまいります預金の運用なりあるいは回収金なり、これは一日として利息をつけない運用ということは許されないのでございますから、受け入れた資金には全部利息がつくと、こういう性格でございますから、そういうものにつきましては、日々弾力的にその有利運用ということをする必要がございますので、その一本一本につきまして計画を立て、国権最高機関としての国会の御判断を仰ぐというような性格のものにはなじみにくいのでございます。これは資金として日々のいわばマヌーバーとして政府が行なうものである、こういう基本的な考え方で現在の財政法四十四条ができておるわけでございまして、したがいまして、五年を切るような短い期間のものにつきましてまで資源配分的性格を持つものとして国会提出するということは、実務的にも困難でございます。また実際的意味も少ないというふうに考えております。
  44. 増本一彦

    増本委員 それでは、いままでは一般会計などの予算の場合には、継続して事業をやる場合でも、それは継続費として五年以内の期間のものについて、各年別に年額をきめて、そしてその一年間の支出についてまで含めて国会審議を経る、こういうやり方でしたね。ところが、今度の措置法案によりますと、これは財投というこれまでの沿革的ないろいろの政府運用のしかたを反映して、それを今度一応固定させて立法化しよう。そういうところに一つの原因があるためでもあると思いますけれども、五年をこえて一体何年、どういう形で運営をしていくのか。それぞれのお金を振り向けてやる先についての事業計画あるいはそれが一体何年にわたってそういうものを投資していくのか、あるいは融資していくのかというようなことについての、少なくとも継続費で要件をきめているのと同じような考え方を、五年以上の分についてもやはり考えていく必要もあるのではないかというようにも考えるのですが、その点はいかがなんですか。
  45. 橋口收

    橋口(收)政府委員 継続費と比較しての御意見でございますが、これは二つの点で基本的に性格の相違がございまして、継続費は、御承知のように歳出予算に関する措置でございますから、いわゆる使い切りのものでございます。資金運用部資金運用等は、これは運用でございますから、運用いたしましても、一定期間経過後は返済になる性格のものでございます。その点が一つ。  それからもう一点は、運用期間五年以上というのは、融資期間、貸し出し期間五年以上の意味でありまして、たとえば国鉄の再建債で申しますならば、三十年ということでございます。あるいは二十五年以上の融資が全体の四割ぐらいを占めております。そういう融資期間のことを申しておるのでありまして、それぞれ単年度で、当該年度で各機関に対しまして二十五年とか二十年の融資を決定するわけでございます。二十年間にわたって金が出るという趣旨ではございません。一ぺんで、一回で貸しましたものが、ある程度年賦というのがございますけれども、一定期間たったら返ってくるという性格のものでございまして、何年かにわたって支出をするという性格のものではございませんから、これは継続費と基本的に性格を異にしているのでございます。
  46. 増本一彦

    増本委員 あとは投融資と財政の運用についての監督ですね。これは政府の側では具体的なシステムとしてはどうなっているのですか。
  47. 橋口收

    橋口(收)政府委員 これは金融機関でございますから、貸した金が適正に運用され、しかも返済が保証される、こういうことが望ましいわけでございますから、融資の立場において、事前の審査もいたしますし、あるいは必要に応じて対象機関を呼び出して説明を受ける等の措置はいたしております。ただ、それぞれ政府機関でございますから、先ほど来申し上げておりますように、監督大臣というものがございます。事業計画なり資金計画なりにつきましては、これは主務大臣認可になっておりますので、決定の際には大蔵省に合い議がございますから、その内容承知する機会がございます。それから決算もございますから、決算の際にその内容をチェックするという機会も与えられておりますので、融資機関立場において、可能な限りの審査と、可能な限りの事後のチェックはいたしております。しかし、責任という見地で申しますならば、それぞれの行政大臣が責任官庁ということになるわけでございます。
  48. 増本一彦

    増本委員 あとは、いま資料要求している部分がありまして、それが整っていませんので、きょうの私の質問は、総論的なものはこれだけにさせていただきたいと思います。また後ほど発言通告をしまして、個別の問題に入りたいと思います。
  49. 大村襄治

    大村委員長代理 竹本孫一君。
  50. 竹本孫一

    ○竹本委員 最初に、財政投融資計画というふうに簡単にいっておるわけだけれども、ことに今回そういう法改正をやるという場合に、財投計画とは何かという定義と範囲と、それから今回それをピックアップして対象にして論ずるものと、その辺の関係をひとつ伺いたい。
  51. 橋口收

    橋口(收)政府委員 財政投融資計画、あるいは省略して財投計画と申しておりますが、これは先生よく御承知のように、戦後の日本の経済の再建、復興の過程で生まれてきた社会的な事実でございまして、正確に申しますと、昭和二十八年に現在のような財投計画というものを編成いたしまして、国会参考資料として提出をいたしておりますが、現在のような確立されたと申しますか、ある程度社会的にも公認された形の財投計画ができましたのは、昭和三十年代に入ってからでございます。  そこで、財投計画と申しますと、一般には国の財政活動の一環として投融資を行なうものを一切総称するということであろうかと思いますが、日本で開発された手法といたしましては、一定の制約条件がございます。これは財投計画原資の面で明らかになっておりますように、産業投資特別会計からの出資、それから資金運用部資金簡保資金の融資、それから政府保証による民間資金調達、この四つを含めた投融資活動というものが財政投融資活動でございまして、それを計画表にまとめたものが財政投融資計画でございます。したがいまして、御指摘になりましたような学問的な定義あるいは学問的な概念規定というもので国際的に見ましても確立されたというものは、ないように承知をいたしております。したがって、そういう点で申しますと、いわば日本的な形態のものであり、しかも日本の戦後の経済のいわば発明した所産であるという意味におきまして、ある一定の歴史的限定を付した上での概念規定というものはできると思いますけれども、どこにでも通用すると申しますか、国際的に通用するような意味での財政投融資という広範な概念規定というものは、まだできていない。そういう点から申しまして、いわゆる財政投融資計画という表現をとるのが一番実態に即した表現方法ではないかというふうに考えております。
  52. 竹本孫一

    ○竹本委員 次に、今度こういう新しい法律をつくるということになったわけですけれども、資源配分的機能の重要性にかんがみ、その適正かつ効果的な実施に資するのだということですけれども、そういう見地からいえば、財投がウエートを持ってきた時期から、こういう法律を必要としたのではないか。要するに、裏からいえば、二つの点からきょうは質問したいのですが、おそ過ぎておるではないかという問題が一つと、それからせっかくこういうものをやるけれども、また一方からいえば、はたしてどれだけの中身があるかということをあとで承りたいのですけれども、最初に、資金配分的な機能の重要性にかんがみるならば、もっと早くこれは取り上げるべきではなかったかという点については、どういうお考えですか。
  53. 橋口收

    橋口(收)政府委員 これは竹本先生よく御承知のように、昭和三十六年ごろから衆参両院の各委員会で財投計画国会議決対象にすべきではないかという議論がかなり広く行なわれてまいりまして、その際政府側の答弁は、一貫して、これは金融資金を基本とするものであって、その性格から見て機動的、弾力的な運用が必要な性格のものである。したがって、租税なりあるいは租税で返済される公債を財源とする一般予算とは性格を異にしているから国会議決対象とすることは適当でないというふうに一貫してお答えしてまいったものでございますが、御質問の中にございましたように、最近は財投の規模というものも非常に急速に拡大いたしてまいっておりますし、昭和四十年代に入りましてから、国民所得の向上に伴って郵便貯金等の増加というものもかなり急速になってきておりますので、そういう原資を背景といたしまして、一般会計予算の大体半分程度の規模の財投計画が編成されるようになった、こういう一つの社会的事実の顕著な変化がございます。三十六年当時は四〇%になってなかったのでございまして、大体一般会計に対して三分の一かあるいは四割程度、それが最近は五割近くになっている。  それからもう一つは、財政投融資対象機関と申しますか、公団事業団等がやはり急速にふえてまいっておりまして、国民のニードと申しますか社会の要請というものがそういう政府関係機関の活動というものを要請してまいってきております。それに必要な資金を供給するというような、そういう一つの使命というものも新たに強化されてまいってきております。  そういう一切の事実を含めまして、財政投融資の資源配分的機能というものは、最近になりましてさらにより強く認識されるようになってきた。そういう客観的な事実の変化と、それに対する政府側の認識の変化を背景にいたしまして、今回こういう措置をとったものでございまして、資源配分的機能というようないわば現代財政学と申しますか近代経済学に対応される概念を法律に打ち込んで、そういう新しい認識なり認識の変化というものを強く打ち出して今回のこういう措置をとったのでございまして、基本的には財政投融資原資をなす資金運用部資金なり簡保資金性格から見て、基礎的には金融的資金としてのマヌーバーというものはどうしても必要であるけれども、そのうちの一定部分につきましては特に国会の御審議を仰ぐという決意をしたわけでございまして、政府側としては、従来の答弁の延長ではなくて従来の考え方から飛躍してこういう措置をとったのでございまして、おそかったという御批判もあろうかと思いますけれども、財政制度審議会の中でも賛否両論のあった問題でございますので、政府の熱意のほどはひとつおくみ取りいただきたいと思うのでございます。
  54. 竹本孫一

    ○竹本委員 関連してですけれども、財政法四十四条ですか、特別の資金というのがあるわけですね、あれは一体どういうものであるかということです。
  55. 橋口收

    橋口(收)政府委員 あるいは主計局からお答えを申し上げたほうが適当かと思いますが、財政法第四十四条資金というのは、いろいろな資金が前例としてもございますが、いわゆる歳入歳出外現金ということで、歳入歳出の概念になじまないものでございます。国の歳入歳出は、全部歳入歳出予算に計上する、しかもそれは会計年度区分を追ってこれを取り仕切るというのが財政法のたてまえでございます。歳出というものは、いわば使い切りのものでございます。その原資は、いわゆる租税あるいは租税をもって最終的に返済される公債金ということでございます。しかし、政府はその行政機能を行なうためには保持することが必要なものとして、いわゆる基金なりあるいは資金というものが財政法四十四条で認められているのでございまして、資金運用部資金はその代表的なものでございますが、そのほかにもかつては経済基盤強化資金とか、あるいは現在でも外国為替資金、あるいは国債整理基金というようなものもやはり一種資金的なものとして、歳入歳出外現金としてこれは行政府判断国会委任を受けて管理をする、こういう形になっておるものでございます。近代的な財政機能を営むためにはどうしてもそういう資金的なものが必要だ、こういうことであろうかと思います。
  56. 竹本孫一

    ○竹本委員 そこで、四十四条の資金を持っておるだけだから、その運用計画等についてもいわゆる収支計画をそこで示せというようないわゆる四十四条の法改正で、今回のこの法律にかえるというようなことはできなかったか。あるいはそういうことは検討されなかったか。あるいは全然筋違いであるか。その点はどうですか。
  57. 橋口收

    橋口(收)政府委員 預金の受け入れとか預金の支払い、あるいは運用、回収ということでございますので、これを一本一本予算統制あるいは国会議決対象とするということは、先ほど来お答えいたしておりますように、実務的にもきわめて困難でございます。極端なことを申しますと、全部が弾力的運用ということでございまして、いわゆる弾力条項というのがございますけれども、これは収入がふえた場合にはそれに見合って歳出をふやしていくという弾力条項というものが一般予算には認められておりますが、全身これ弾力条項と申しますか、預金がふえればそれはどうしても運用しなければならぬわけでございます。遊ばしておくわけにはいかないということでございますので、やはり資金が入ればそれはおのずから運用を予定するということでございます。したがって、この資金性格を変えた上で措置をするということになりましても、たとえば歳出権の繰り越しを全面的に認めるとかそういう措置が必要になってまいりますし、あるいは全面的に弾力条項を認めるとかいうような措置が必要になってまいりますので、やはりこれは本来の資金性格と基本的に相いれない。したがいまして、資金資金として、そのうちの一定部分について特に国会の御判断を仰ぐという措置をとることが資金の実態にもマッチしているし、この際それが一番適当な方法ではなかろうかというのが財政制度審議会の答申でございます。そういう方角で措置をしたのでございまして、財政法四十四条を発展的にどうするということは、これは主計局の所管の問題でございますけれども、私は個人的にはたいへんむずかしいことではないかというふうに考えておるのでございます。
  58. 竹本孫一

    ○竹本委員 次に、この法律で、予算をもって国会議決を経るというけれども、内容的に見れば、総則のところにちょっと書く、ちょっとと言うと語弊があるかもしれませんが、書くということだけであって、いまの資金の弾力的な運用といったような面の制約あるいは特質からでもありますけれども、新しい法律ができると国会議決になるんだというと非常に何か大きな問題のようにも考えられるし、またそれだけの政治的意義が確かにありますけれども、実質的に考えてみると、従来資金計画収支計画を示しておった、それと一体どこがどの程度に変わるのか、実質的な意義や効果はどのくらいのものがあるのか。まあせっかくの御努力を、私はそれ自身賛成であるし評価しておりますけれども、しかし内容的に実質的に考えてみた場合に、どれだけの具体的な前進があるのだろうか。従来だって大体の資金収支計画は示されておったじゃないかという点について、特にこの新しい法律をつくることによって、これだけの意義と役割りがあるんだという点があればそこを御説明願いたい。
  59. 橋口收

    橋口(收)政府委員 いまお尋ねがございました、実質的にどの程度意味があってどのくらい現状と違うのかという点でございますが、財政投融資対象機関につきましての運用区分ごとに金額をきめまして、それに対して五割の弾力条項というものを予算総則の中でちょうだいするという予定にしておりますが、従来の実績で申しますと、各機関で五割以上増額になった事例が間々ございます。たとえば中小金融機関の商工中金のごときは、従来、年度中に五割以上の増額をいたしたことがございますので、そういう点から申しますと、運用部の資金の貸し付けの額の小さいものにつきましては、やはり景気情勢等に即応して弾力的に対処するのには、いささかふぐあいが生じてまいります。この点は、国会議決をちょうだいする以上は、それぐらいの不便は忍ぶ必要があるのではないか。もし五割以上ふやすような情勢になった場合には、やはり他の一般予算措置とも関連いたしまして、補正の措置をとらざるを得ない。そういう事実上の制約というものが加わってまいります。  そのほかに、繰り越しにつきましても、翌年度までの繰り越しでございますから、翌々年度までの繰り越しというものは法律で認められておりませんので、これはワクとして翌々年度まで持ち込みということが、現状では理屈の上では可能であったのでありますが、今回の措置によってそれはできない。  それからさらに、決算的な処理としまして、実績の報告というものを国会提出することになっております。これはやはり従来なかったことでございまして、初めに計画をつくりますときに国会の御審査をわずらわし、さらにその実績結果につきましても再度国会の御審査を受けるということでございます。  弾力についても制約が加わり、繰り越しについても無制限でないということで、従来よりはいろいろな制約条件というものがきびしくなる。それから同時に、国会提出して正式の議案として御審議を仰ぐわけでありますから、財政投融資作成官庁としての精神的な重圧と申しますか、精神的な義務というものは、従来よりはさらに強まる、こういうことであろうかと思います。
  60. 竹本孫一

    ○竹本委員 すべての取り扱い、取り組み方が非常に重要性を持ってきた、重からしめることができるという意味の政治的効果、これは相当評価しなければならぬと私も思いますが、いま御説明のありました決算の問題ですね、これもいままでは、いまも御答弁がありましたけれども、全然なかったということですか。それから今度も特別会計の決算に添付資料ができるだけであるか、その点はどうですか。
  61. 橋口收

    橋口(收)政府委員 第四条の規定によりまして報告をいたします内容としましては、当初の長期予定額だけではなくて、弾力発動いたしました場合にはその弾力も含めてやりますし、それから前年度からの繰り越しを当年度において運用いたしました場合にはそれも入ってまいりますので、いわば予算現額的なものについての決算なり実績の報告というものが国会に出るのでございまして、現状では財政投融資の側から、つまり融資の側から、その実績について国会に特に御報告するという立場にないのでございまして、そういう点で申しますと、先ほどの当初計画作成の際と同じようなやはり制約というものが加わってくる、こういうことでございまして、事前審査と事後の審査と両方国会の御審議をいただく、こういうことになろうかと思います。
  62. 竹本孫一

    ○竹本委員 この財投で投資したり融資したりした場合のその相手先の公社なり公団なりのこれらの運営がどうなっているか、うまくいっているかということに関する管理や監査の問題ですけれども、従来、そういう財投の投融資先の機関は、会計検査院はどういうところまでいっておるのかという点をひとつ……。
  63. 長岡實

    長岡政府委員 財投対象機関のうち、たとえば特別会計あるいは政府関係機関、これにつきましては、決算が当然国会でも御審議対象になっておるわけでございまして、御質問の趣旨は、公団事業団のように、その監督自体主務大臣にまかせられておる機関の決算面でのチェックであろうかと思いますけれども、会計検査院法によりますと、まず会計検査院が検査をしなければならないものの中に「国が資本金の二分の一以上を出資している法人の会計」というものがございます。それから検査をしなければならないという義務的な対象ではなくて、「検査をすることができる。」という権能を付与されているものの中に「国が資本金の一部を出資しているものの会計」あるいは「国又は公社が直接又は間接に補助金、奨励金、助成金等を交付し又は貸付金、損失補償等の財政援助を与えているものの会計」というものがございます。こういうような規定によりまして会計検査院は、必要なものについては当然義務的に検査を行なっておりますしその他のものにつきましても任意検査の対象として取り上げておるのが実情であろうかと存じます。
  64. 竹本孫一

    ○竹本委員 財政法の第二十八条の七号でいろいろこういう資料を出せということになっておりますが、その資料は大蔵省においては従来どの程度検討されておるものであるかという点はどうですか。
  65. 長岡實

    長岡政府委員 財政法第二十八条七号には「国が、出資している主要な法人の資産、負債、損益その他についての前前年度、前年度及び当該年度の状況に関する調書」というものを国会資料として提出をすることが義務づけられておるわけでございますが、「国が、出資している主要な法人」というその「主要」とはいかなる範囲のものであるかというものにつきましては、現在、私どもが考えておりまして国会提出しております範囲は大体、出資額百億以上の法人というのが一つの原則でございます。ただし、そのうち大半が現物出資等でございまして、財産の管理をしているような法人は除外いたしておりますが、原則としては国の出資額が百億以上の法人、それから出資額のいかんにかかわらず当該年度財政投融資計画対象になっている法人というものも「主要な法人」として参考資料を出しております。なお、この内容につきましても、従来と四十七年度予算とでは、四十七年度に改善を加えて、損益計算書、貸借対照表等以外に収支内容がわかるような表も添付することにいたしております。
  66. 竹本孫一

    ○竹本委員 それらの資料を大蔵省ではどこでどの程度に検討するか。これは出してもらって、もちろん国会国会立場でまた論議すべきでしょうけれども、大蔵省ではどういう部局でどういう見地からそういう資料を検討されておるかという点はどうですか。
  67. 長岡實

    長岡政府委員 大蔵省としては、窓口は主計局と理財局になると存じますが、国が出資しております主要な法人についてのただいま申し上げましたような財務諸表的なものが、その法人を監督しております主務大臣がまず第一義のチェックをいたしまして、それが大蔵省に提出されまして、これを両省におきまして、内容に誤りがないか等のチェックをいたした上で資料として調製をして国会提出をしている次第でございます。
  68. 竹本孫一

    ○竹本委員 いまの検討の内容の問題ですけれども、数字の誤りがあるかないかという問題はもちろんあるでしょうが、大体ここにもありますように、財投関係の問題を見るときには、ぼくは二つ基準があると思うのですね。一つ——二つも三つもあるかもしれませんが、一つは、その出した金が経済的なエフィシェンシーを十分にあげておるかどうかという問題が一つあると思うのですね。それから一つは、ここにも書いてあるような社会的なあるいは社会経済的な見地から、資源の再配分的機能を十分に果たしておるかどうかという見地があるのですね。これらは会計検査院が調査、検討する立場とは角度が違うと思うのですね。だから、そういうような別のより高い次元からの検討が加えられておるのであるか、それから加えられた結果、それらについてここを直せとか、あるいはこれはおかしいとかいったような注意をされたような例があるかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  69. 橋口收

    橋口(收)政府委員 いま御指摘がございました二つの基準のうちの後者でございますが、資源配分的な基準というのは、これはまさに財投計画の編成の際の一番大事な事項でございますから、公共部門と民間部門の資源配分をどうするかということがまず第一にある。公共部門の中で、たとえば道路にどうするか、住宅にどれくらい、厚生福祉にどれくらい割り当てをするか、これはまさに公共部門の中の資源の配分でございます。これは十分関係各省とも相談し、政府の最高の方針として、予算案の内容として同時に財投計画も決定される、こういう性格のものでございます。  それから、経済的効率性と申しますか、資金が効率的に使われているかということでございますが、これはたいへん大事なことでございまして、最初に審査をいたしまして、当該機関につきまして全体の額を決定いたしますが、実際に融資をいたします場合は、ほんとうにその資金が必要であるかどうか。これは四半期別あるいは融資のつど、内容を係が審査をして決定をいたしておりますが、問題はそれから先でございます。そうやって融資された金がほんとうに効率よく使われているかどうかということになるのでございますが、これは融資の際に、あるいはその事後のチェックの際に、融資機関としても注意をいたしております。これはやはり主務大臣あるいはそれを主管するものとして会計検査院あるいは行政管理庁の行政監察、いろんな仕組みで現在監督が行なわれておりまして、ただ政府機関全体を通じて、おっしゃるような立場から、経済的な見地からこれを統一的に監督する、管理する、あるいは指導するというような行政組織はいまのところございません。これはそれぞれ関係機関法律に基づきまして、その任務なりあるいは作法というものは厳密にきめられておりますから、普通の株式会社とはもちろん性格を異にいたしておりますし、またものによっては監理官というものが各省に設けられておるものもございます。  そういういろいろな角度からの事前的、事後的なチェックというものをいたしておりますけれども、いまお話がありましたように、全体としてこれを監理するというような性格のものはございませんし、たとえば従来から問題になっております政府関係機関の労使関係の問題につきましても、やや話が飛躍いたしますが、政府関係機関の労使関係を規制する問題につきましても統一的な官庁というものはないわけでございます。これはそれぞれ各省大臣がこれをとり行なうということになっておりますので、確かにこれだけ大きな資金運用するという社会的な実体が現存いたしておりますから、全体について経済的、効率的に適当な運営が行なわれているかどうか、さらにより以上厳格な作法と申しますかあるいはより一そう厳粛なやり方でチェックすべきじゃないか。いまのようなしかた、方法で十分であるかどうか、これは御意見があろうかと思います。許された範囲でいろいろな角度からやっておるのでございますが、おっしゃるように統一的な立場から特に経済的な効率性とかいうことに着目してやっておる組織は日本にはいまのところないのでございます。
  70. 竹本孫一

    ○竹本委員 そこで、いまの問題をさらに発展させて考えたい、こういうことですけれども、私は財投が第二予算としてこれからウエートをますます大きくする、ここにも書いてある資源配分的機能の面は特に重要になってくる、こういうことを考えますと、行政管理庁がどういうことをどの程度にやっているかよく知りませんが、少なくとも会計検査院的な感覚で検討しておるものとは違った角度、より高い次元でその再配分的な機能の問題、やり方が法律に反しているかいないかという問題を越えて、経済のエフィシェンシーの問題も含めて総合的に検討すべきではないか、われわれは一種の混合経済的な立場に立っておりますから。しかし好むと好まざるにかかわらず財政投融資のウエートがだんだんふえて重大になってくるということになれば、それをもう一度角度を変えて点検する機構というものがあっていいではないか。たとえて言えば、公団公社等の監理機構としての、委員会でもよろしいしあるいはそういう部局をつくってもよろしいが、いずれにしても何かそういう制度的なくふうがあって、全面的に新しい角度からの検討と指導、推進を加えていく、あるいは助言をするというものがなければ——法律を新しくつくって、その社会的な資源再配分的な機能が重要であるからこれをやるのだというならば、その重要なる機能がはたして十分に果たされていくのかどうかという問題についてまじめに再検討をする機能もあっていいではないかと思いますが、そういう前向きの取り組みは、部分的にはいまおっしゃったようにあるでしょうけれども、全体的に制度的にそういうくふうをする必要はないか、あるいは御意思はないか、二つの点はどうですか。
  71. 山本幸雄

    ○山本(幸)政府委員 ただいまの御提案は、たいへん日本の今後の経済、特に国が関与しておる経済活動の分野における重要なる問題の提起であったと思うのです。ただ、いま国がいろいろの公団事業団あるいは公庫、いろいろつくっておりますけれども、これらを見てみますと、それぞれいろいろ特色がございます。公共性の非常に強いもので、いまおっしゃるような経済的なエフィシェンシーを考えないわけではありませんけれども、あまりそれに重きを置かなくてもいいものもございますし、また経済的なエフィシェンシーにある程度重きを置かなければならない、企業性を尊重してやらなければならないというようなものもあります。また事業によっては独占性の非常に強いものもございます。それぞれいろいろ特色がありまして、そういうそれぞれの特色に従ったそれぞれの組織体活動というものをしなければならぬ。そこで最大公約数的に、おっしゃるような何らかの経済エフィシェンシーよりも、むしろ資源配分的な機能を重視したそういうコントロールというものをすべきではないかということ、全く私も同感であります。ただ、今日の体制でも、自由主義的な経済、自由主義的な濶達な活動というものに対してある程度のコントロールをやっていかなければならない時代になってきたとは思いますものの、そういう基本的な考え方の制約もまだ何がしか残っているような感じがいたします。とすれば、国でやるのが一体適当であるかどうか、あるいはもっと民間にまかしたらいいじゃないかという議論も一部にあるのでありまして、その辺のところの根本的な考え方にもう少し考えてみる必要があるのではないかという気もいたします。しかしおっしゃるように、いま公社、公庫、銀行、公団事業団といろいろのものがございますけれども、これらを通じまして、いまおっしゃるとおりに、私も会計検査院だけでは不十分だと思いますので、そういう点については今後政府としても十分に検討の対象にすべきものであろう、かように思うわけでございます。
  72. 竹本孫一

    ○竹本委員 ただいまの次官の御答弁、前向きにぜひひとつ取り組んでいただくように要望を申し上げますが、混合経済的な立場からもこれは重要な問題だけれども、いまお話のありましたように、自由経済の基本的な立場に立っておるというならば、むしろそれだからかえってこれが重要な問題になるんではないかという点も逆に言えるのじゃないかと思うのですね。そういう意味で、両方の立場から、とにかくいわゆる一〇〇%の自由主義経済ではいけなくなって、これだけの大きな社会的調整機能を持った第二の財政分野ができてきたわけですね。その分野がそれだけの機能を十分に果たしておるかどうかということについては、やはり真剣に検討を加えるべきであると思いますので、ぜひ前向きに御検討を願いたい。きょうは問題提起だけにとどめておきます。  最後に、金利の問題ですけれども、財投の資金コスト、それから貸し出しの金利等について、現在は大体どうなっておるかということと、新たなる角度からこれまた検討を加えるべき要素がありと考えておられるかどうかという点だけお聞きしたいと思います。
  73. 橋口收

    橋口(收)政府委員 財投の金利ということでございますが、資金運用部資金簡保資金の融資金利という御趣旨かと思いますが、資金運用部資金は、昨年の八月までは六分五厘の利子一本でございましたが、昨年の八月の郵便貯金の利下げに関連をいたしまして〇・三%下げて、現在は六分二厘、六・二%でございます。ただ融資は六分二厘一本でございますが、財投対象機関の中には債券の発行機能を持っておるものがございますので、機関によっては債券の発行を引き受ける、債券を引き受けるという形で資金の供給をいたしておる場合もございまして、その場合は、政府保証債の金利とほぼ同じでございます。それから簡保資金は、従来運用資金と同じ六・五%でございましたが、簡保資金は独立運用という立場もあり、また民間保険との競合の問題もあり、運用利回りの確保ということについてたいへん神経を使っておられますので、ものによっては六分二厘になったものもございますが、まだ六分五厘のままのものもございます。  いま御質問の中にございましたように、運用部についてだけ申しますと、運用金利をどうするかということは、巨大な金融機関としての資金運用部の収支採算の観点から申しますと、たいへん重要な事項でございますが、同時に公共的な性格を持って財投対象機関に対してできるだけ低利の資金を供給する、こういう使命も持っておりますので、いまのところは六・二%ということで、過去ずっと六・五%でやってまいりましたのを昨年六・二%に下げたのでございますが、今後これをどうするか、これは一つの研究課題であろうかと存じております。
  74. 竹本孫一

    ○竹本委員 終わります。
  75. 大村襄治

    大村委員長代理 本会議散会後直ちに再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時五分休憩      ————◇—————    午後三時四分開議
  76. 大村襄治

    大村委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  参考人出席要求に関する件につきましておはかりいたします。  すなわち、先ほどの理事会で協議いたしましたとおり、来たる三月九日、金融及び証券取引に関する件について、日本銀行総裁佐々木直君、東京証券取引所理事長森永貞一郎君、日本証券業協会連合会会長瀬川美能留君の各位に参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じます。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 大村襄治

    大村委員長代理 御異議なしの認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  78. 大村襄治

    大村委員長代理 資金運用部資金並びに簡易生命保険及び郵便年金積立金長期運用に対する特別措置に関する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。山田駐日君。
  79. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 情報によりますと、東京為替市場の閉鎖、きょうあす、いつまで続くかわかりませんけれど、国際通貨が非常に不安定の度を強めておりますし、欧州はおそらくEC共同フロートになるのではないかという予測も的確に立ちそうな気がする時期ですし、この状態が推移をいたしますと、この三、四月ごろには日本の中小企業には壊滅的な打撃がやってくるのではないだろうか。なお、欧州を中心としたこうしたドルの不安の状況というのは、激化をしていく可能性を持っておるようにも判断できますし、こういう抜き打ち的に東京の市場閉鎖をするような状態に立ち至ったので、ここでひとつ大臣を呼びまして、こうした状態にどう対処する方針であるのか、大蔵大臣としての見解を聞かせていただきたい、こういう気持ちが出席の委員諸君の中にも多くございます。そこで、そのような手順を取り計らっていただけるかどうか、それらについて、委員長にお願いでございますが、政府関係の皆さんと御相談をいただきたいと思いますが、いかがでございましょう。
  80. 大村襄治

    大村委員長代理 山田委員に申し上げます。  ただいまの件は理事会にはかって別の機会にすることとし、本日は質疑を進めていただきたいと思います。
  81. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 早急なできごとでしたので、御答弁も十分いただけなかったと思いますし、用意もできなかったと思いますが、非常に重大な問題で、国民も非常に、電話をかけてくるくらい心配をしておりますから、できるだけ早い時期に理事会で御相談いただきまして、適当な措置をとっていただきますように、これはひとつお願いをしておきます。
  82. 大村襄治

    大村委員長代理 さよういたしたいと思います。
  83. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 財投の問題につきまして、すでに基本的な問題などについてはかなり審議が深められてきております。財政法上から見て二重議決になる可能性が多いので、資金運用部の問題と簡保資金の問題以外については御提示がございませんで、はなはだ国会議決、名ばかりという感じが強くいたしておりますけれども、私はこうした公社関係政府機関関係以外に多くの公団事業団がございますので、やはりこれらの公団事業団の実際の受け入れた財投資金の使われ方の適否、こうしたものを十分審査をしなければならない国会議員としての責任があるように思えてなりません。これは運営の弾力性を十分持たせて、大臣の認可条項として措置をするというお話がございました。それなりでちょん切ってしまうのには、財投というものが第二予算性格を持ち、その規模も一般通常会計の半ばに達するという非常に膨大なものになってきております今日、やはりこうした公団事業団が持つこれらの使い方の適否、償還の現状、こうしたものについて十分なる審査ということをする必要があろう、これは二重決議の問題とは別に審査をする必要があろう、こういう気がいたしてなりませんが、その点についてはいかがでございましょうか。
  84. 橋口收

    橋口(收)政府委員 ただいま御質問の中にもございましたように、財投計画の中で占める資金運用部資金あるいは簡保資金の融資というものは、大きなウエートを持っておりますので、ただいま御指摘になりましたような財政投融資対象機関の業務のあり方なり資金の効率的運用につきましては、第一次的にはそれぞれの監督大臣の責任事項ではございますが、財政投融資計画作成官庁といたしましては、その大半を占める資金運用部資金簡保資金についての管理、運用の責任を持っておりますので、ただいまの御質問の中で御注意がございましたように、融資機関立場において、可能な限りの事前審査なりあるいは事後の調査はいたしておるのでございます。  事務の段取りで申しますならば、財政投融資の要求官庁から例年八月までに要求金額及びその内容の説明についての書類が出てまいりますので、それを受け付けましてから編成作業に入りまして、約三月くらい検討いたしまして、最終的には予算編成の時期に合わせて財投計画を決定をいたしておりますので、その間要求機関あるいは要求官庁の説明も聞き、それから資金の現状なり業務の執行の現状につきましても十分調査をいたしまして、必要な資金のワクを決定をいたしておるのでございます。  それから、従来の例で申しますと、財政投融資計画の執行に入りますのは四月以降でございますが、実際に金繰りをそのつど検討いたしまして、もちろんその前に事業計画資金計画年度間の決定がございます。これは主務大臣認可をされます際に大蔵大臣に協議がございます。その際にも重ねて審査をいたします。それから、個々の具体的な事業年度間の進行に伴って資金需要となってあらわれてまいりますが、これもそのつど審査をいたしまして、資金の効率的な使用が行なわれるような努力をいたしておるのでございます。  問題は、それから先でございまして、実際にわれわれが審査をし、可能な限りの努力をいたしまして、融資をいたしました金がほんとうに効率的に使われているかどうか。これは午前中の議論にもございましたが、監督大臣の監督事項のほかに、会計検査院あるいは行政管理庁の監察ということも行なわれておるのでございまして、いわゆる機構としましてはいろいろそろっておる。ただそれが、午前中の議論にもございましたように、ほんとうに適時適切に、しかも統一的な基準なり見地のもとに行なわれておるかどうか。検査院は検査院の立場、角度がございますし、それから行政監察は行政監察の角度がございます。融資機関は融資機関としてのものの見方というものがございますので、それらを統一して、事業の執行なり資金運用がほんとうに効率的に行なわれているかどうかということの事後の調査なり審査については、さらに検討すべき問題もあるかと思います。ただ、私ども財政投融資計画作成官庁といたしましては、現状で可能な限りの努力をいたしておるつもりでございます。
  85. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 大臣の認可事項でもございますし、会計検査院からのいろいろな検査も受けておるし、監査も受けておるし、各省も責任をもってその効率的な運用についても監査もなさっておる、そのことを私は総ワクとしていま疑っておるわけではないのです。特にこの資金運用部の資金にいたしましても、簡保資金にいたしましても、一般の税と違いまして、目的意識的に強制的に集められた資金です。この資金がどのように効率的に運用されておるのか、しかもその額はかなりのものになっておると思いますが、しかもいま国民、労働者、厚生年金をかけておる、国民年金をかけておる、全く働く零細な農民の人々、あるいは老後のことを考えて簡易保険に入っていった人々、そうして蓄積をしていったこうした資金がどのように有効に効果的に使われていっておるかということを、もちろん大臣なり各省のそれぞれの役人なりあるいは会計検査院なり、それぞれ有能で万能に処置をしておるということですべてが了解されるべきものではないと私は思う。やはりこうした膨大な国民の階層を占めておる人々に対して、そうした人々が特に、せんだっても申し上げましたように、この一九七三年は福祉の元年と政府は銘を打っておる、一体おれたちのかけたこの掛け金がどのように使われていっておるのか、やっぱりその効率的運用について深い関心を持つことは私は当然だと思う。それらを、こうした人々の代表として議会に席を置いておる私たちがその内情まで熟知できない。一体償還方法はどうなっておるかということも熟知できない。こういうことだけでは私は不十分だと思うわけです。  だからこうした問題につきまして、これはただ資金運用部の資金簡保資金だけではございませんで、いわゆる政府保証債もございますし、それぞれございますが、こうしたものを受けておる各公団事業団五十社余りに対して、具体的にその運用の実情を把握する、そういう立場をわれわれの中身にはめ込んでいただく、こういうことをするにふしぎなことはないではないか、そういう措置をどうしておとりになれないのか。こういう角度を変えての見方に、どのようにお考えでございますか。
  86. 橋口收

    橋口(收)政府委員 これもたびたびこの委員会で出ている問題でございますが、財政投融資対象機関の中にもいろんな性格のものがございまして、特別会計につきましては、歳入歳出予算として国会で御審査を受けておるのでございますし、それから公社につきましては、歳入歳出予算、建設勘定も含めまして一切の歳入歳出予算国会の御審議を得ておるのでございまして、これは御承知のように、特別会計から発足した電電公社なりあるいは国鉄公社ということで、これもまあ沿革的な理由で特別会計並みの規制を受けておるのでございますが、それ以後発足いたしました公庫、公団等につきましては、これは御承知のように、公庫につきましては借り入れ限度について国会予算総則による規制を受けておりますが、それを除きましては、業務計画資金計画主務大臣認可ということになっております。利息支払い利息収入等のいわゆる経費予算については、政府関係機関予算として国会議決をちょうだいいたしておるのでございます。それ以外の公団事業団、これはたびたび申し上げておりますように、現在の制度のたてまえにおきまして、公共性と経済性、公共性と弾力性、自主性というものとの調和をはかるために、現在の設置法では主務大臣の監督により、また主務大臣認可事項として事業計画あるいは資金計画をきめる、こういうたてまえになっておるのでございまして、ただ、そういう形ではございますが、ただいま御指摘いただいたような問題を念頭におきまして、従来から財政法二十八条の参考書類といたしまして、それぞれ公団事業団の貸借対照表、損益計算書を国会提出をいたしておりますし、昭和四十七年度からはさらにそれに加えて資金収支という計表を提出しておりまして、その資金収支表をごらんいただきますと、大体当該機関当該年度における事業なりあるいは資金計画の概要というものは掌握できるような姿になっておるのでございます。  政府といたしましては、そういう周到な措置をとりまして国会の御審議をわずらわしておるわけでございまして、ただいま先生のおっしゃいましたような問題は、制度の問題、法律のたてまえの問題でございまして、実質的には内容につきまして十分御審査をいただけるような体制になっておるのでございます。したがいまして、あとは財政投融資作成官庁としての私からお答えするのはまあ領域を越えておる問題でございますが、そういう考え方で私どもが財政投融資を作成する場合には、一視同仁に取り扱っておるのでございまして、特に政府関係機関であるかそうでないかということで取り扱いの差等は一切設けてないのでございます。
  87. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 おっしゃっている事柄の中で、財政法二十八条などによって関係資料は添付して出しておる、こういう問題は政府機関なり公社関係についてはわかりますが、ここにやはり二つ私の求めておる気持ちがあるのですが、一つは、お出しになっているものは純増分だけですね。当該年度の純増分だけです。そうでなくて、いわゆる公社公団事業団、こうしたものに対してどれだけ貸し付けているのか、帳簿残高があるのか、そうしてこれらはどういうふうな運用をされてきたのか、そうしてこれに対する償還はどうなっておるのか、そうして当該年度はこのように要請によって配分をする、そうしてこれはこういう事業に向かって投入をされていく、こういうふうなものを体系づけて国民の前にお示しにならないと、さっき申し上げましたような、一体どのように使われていっているのかという不信感が多くあるというわけです。それを求めておるのですが、それについてはいかがでございますか。
  88. 橋口收

    橋口(收)政府委員 ただいま純増というおことばがございましたが、これはおそらく当年度という意味でおっしゃった意味であろうと思いますが、資金収支は純増だけでなくて、当該年度にどのくらいの収入があり、どのくらいの支出があるかということ一切を示した表でございますので、これは純増ということではなくて、当該年度資金計画なり事業の概要が明らかにされておるもの、こういうことであろうかと思います。  それから問題は、それから先の残高の問題でございますが、資金運用部資金全体の残高、その運用の態様につきましては、毎月月報で新聞に発表いたしております。  内容的に申しますと、大きな項目で分けておりますが、政府関係機関に幾ら、それから地方団体に幾ら、国債に幾らということは明らかにいたしております。ただ、さらに内訳ということになりますと、現在は発表をいたしておりません。しかし、これは別段秘匿すべき性格のものではございませんので、お尋ねがあればお答えを申し上げますし、それから先ほどちょっと触れました毎年の資金収支の中にはどういうところから幾ら借り入れるというところまで明らかにいたしております。資金運用部資金から幾ら、簡保資金から幾らということまで明らかにいたしておりまして、当該年度財政投融資運用のほうと平仄が合うように措置をいたしております。  したがいまして、あとは各機関の貸借対照表の表示の問題であろうかと思いますので、貸借対照表の借入金の欄がさらに詳細になるということが望ましいという御意見であろうかと思いますが、その辺のところは、貸借対照表作成の技術の問題でございますから、これは主計局の問題でございますが、私から申し上げるのはあるいは適当でないかと思いますが、その辺は検討の余地があるのじゃないかという感じがいたしておるのでございます。
  89. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 おっしゃっている事柄で、新聞その他で月報として報告できていない部分、こうした報告されていない部分について総括的に私求めているわけです。しかし、それは聞かれれば十分説明もするし、秘匿する気持ちはないとおっしゃることですから、ひとつそれを資料として各公団事業団別ごとに帳簿残高、運用の実態、効率的にどのように投資をなさっておるかという実態を一覧表にして資料としてお出しをいただきたいと思います。  特にあわせてもう一つお願いをするわけですが、一般会計から投入されていく資金もございます。これらについてもあわせてこの公団事業団などについて投入されている部分についても資料提供をお願いしたいと思うのです。特殊法人についても同様お願いをいたしたいと思います。  以上三点、資料要求よろしゅうございますね。
  90. 橋口收

    橋口(收)政府委員 ただいまお尋ねがございましたのは手元に資料がございますので、とりあえず概要お答え申し上げておきますと、四十七年度の、昨年の十二月末でちょっと計数を申し上げますと、特別会計は千八百五十五億円、それから政府関係機関が九兆四千三百三十九億円、それから公団事業団等が三兆五千三百九十九億円、地方団体が三兆二千五百七十四億円でございます。  それから、簡保資金関係をちょっと申し上げますと、これはちょっとくくりが大きくなっておりまして恐縮でございますが、特別会計が六百六十六億円、それから政府関係機関、特別法人合わせまして一兆二千八百四十億円、地方団体が一兆一千四百四十億円でございます。  それから、一般会計からの出資がどのくらいかというのが、予算の説明書に明らかになっておりまして、これは読み上げるのを省略させていただきますが、昭和四十八年度予算の説明の六〇ページに出資金、貸付金の計数が機関別に出ております。念のため合計を申し上げますと、出資金の合計は四千三百五十八億円、それから貸付金の合計が三百十五億円でございます。
  91. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 わかりました。それでは、さっきお約束いたしました三つの資料、ひとつお願いいたします。いまお話を伺っただけでは私たちなかなか十分のみ込み得る余裕がまだございませんから、資料としてお願いをいたします。  それでは二重議決の問題については、なかなか政府部内にもいろいろ御議論もありますし、なお、これから受けざらの公団公社事業団のほうからのいろいろな解明を求めての議論を深めていきながら、いずれ国民の十分な理解の中で、財政投融資という税以外の金が、どのように効率的に使われていっておるのか、こういう立場をこれからなお時期を得て、ひとつ深めていきたいと思いますが、きょうは運輸省、日本国有鉄道お見えになっておりますので、若干これらについてお伺いをいたしておきたいと思います。おもに私は、まだ運賃法が国会に出ておりませんから、いろいろと国鉄の小林さん、差しさわりがあろうと思いますから、具体的にお伺いすることについては、私も遠慮させていただきたいと思います。特に理財局のほうにお伺いすることが多かろうと思います。  一つは、私は財投という日本経済の中に占めておる性格、こういうものをひとつ理解したいわけであります。先ほど申し上げましたように、財政投融資予算というものは、第二次国家予算といわれるぐらい膨大なものになってきておりますし、その主たる目的も、資源の再配分的なものを強く意味しておるのだ、こういうことは承知をいたしておりますけれども、この財政投融資という一つのものが、公団公社事業団にそれぞれ分配をされていきますその過程において、近代経済の原理という立場からながめていきますと、同等の立場で公正に競争する、この原理というものは貫かれていなければならないと思うわけです。いろいろ資料を見さしていただきますと、国鉄の財政投融資計画はばく大なものになってきております。こういうものが国鉄には非常に巨額な金額をもって、企業の再建発展、こういうものに力を与えておるわけですけれども、私は、いま申し上げました資本主義社会における平等な競争原理、同等な公正な競争原理という立場から見たときに、国鉄に投ぜられる財政投融資と、飛行場、空港公団に投入される資金というものが、その企業の形態は同じ輸送業でありながら、はたしてここに平等、同等な資金投入がされて、競争の原理、資本の原理というものが貫かれておるだろうかどうだろうか。そのことが必ずしもそうでなかったら、市場欠落を起こして次の問題を引き起こしてくるということは避けられないのですから、そういう意味で私はお伺いをしてみたいと思うわけです。  一体いま国鉄の財政投融資資金は帳簿残高総額幾らになっておりますか、小林さん。
  92. 橋口收

    橋口(收)政府委員 先ほど読み上げました政府関係機関、昨年の十二月末で運用部の関係九兆四千三百三十九億円と申し上げましたが、そのうち国鉄に対する融資は一兆五千億円でございます。これは十二月の数字でございますが、四十七年度末では一兆六千九百四十二億円、四十八年度末では二兆二千百億円になる予定でございます。そのほかに簡保資金政府保証債等がございますので、それらを全部合計いたしました四十七年度末は二兆五千百七十億円、四十八年度末は三兆三十四億円ということになっております。
  93. 小林正知

    小林説明員 ただいま理財局長から御答弁がございましたとおりでございます。
  94. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 新東京国際空港公団ができましてもう三、四年たちますが、これには幾ら……。
  95. 原田昇左右

    ○原田政府委員 四十七年度末で八百十五億円でございます。四十八年度末の見込みが九百五十八億円ということでございます。
  96. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 これから理財局長の分野ではないかと思いますが、成田がその空港の場所にいろいろな過程を経てきめられてきておるわけでありますが、新設されていく飛行場の土地、これはどういうふうにして措置されておるわけですか。
  97. 原田昇左右

    ○原田政府委員 お答えいたします。  ただいまの御質問でちょっと意味がとれないところがございましたのですが、新設される成田の話でございますか。
  98. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 そうです。
  99. 原田昇左右

    ○原田政府委員 そうしますと、これは新東京国際空港公団が買い上げまして、造成するという形になるわけでございます。
  100. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 これには一般資金は入っているわけですか。
  101. 原田昇左右

    ○原田政府委員 一般資金と申しますのは、一般会計からの出資金財政投融資資金と、両方ございます。
  102. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 一般会計は、出資金は幾ら入っていますか。
  103. 原田昇左右

    ○原田政府委員 四十八年度特別会計から五十億の出資がございます。
  104. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 この飛行場の土地取得というのは、結局公団が取得をする、その出資は、国と公団との出資になるわけですか。
  105. 原田昇左右

    ○原田政府委員 ただいまのは、新空港建設事業全般につきまして申し上げました数字でございますが、五十億は政府出資でございますが、これは空港整備特別会計から出ておりまして、空港整備特別会計財源は、一般会計と空港使用料等からなっておるわけであります。
  106. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 国鉄のほうにお伺いするわけですが、この飛行機に対応する新幹線ということで、かなり競争も激化してきておりますけれども、一体、東海道新幹線、山陽新幹線、これはまだ一部開通でありますけれども、東海道新幹線と山陽新幹線の土地取得の総費用がわかりますか。
  107. 小林正知

    小林説明員 お尋ねでございますが、ちょっと土地そのものにつきましての資料を持ってきておりませんので、後刻御報告させていただきたいと思いますが……、
  108. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 これは、東海道新幹線、山陽新幹線の総費用のおおむねパーセントとしてどのくらい占めているかも御記憶ございませんか。
  109. 小林正知

    小林説明員 もし違っておりましたら、また後刻訂正させていただくことをお許しいただきまして、大体記憶で申し上げますと、東海道の場合は、総費用が大体総建設費三千八百億でございまして、そのうち土地分が六百億ぐらいだったと記憶しておりますので、したがって一五%ないし二〇%ぐらいの勘定になると思います。山陽の場合につきましても、これはかなりございますけれども、やはり総費用に対しまして一割五分ないし二割見当というふうに記憶しておりますが、違っておりましたら訂正させていただきます。
  110. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 飛行場をつくる場合と、それから新幹線をつくる場合とは、同じ財投から金が出ていきましても、片一方はきわめて返済も金利負担もむしろ国の出資的な形というものの色彩を強めております。これは羽田空港も特にそうでございましたが、しかし国鉄の場合は、ほとんど借りた金で、自前で土地を買い、そうして経営の場合も、そこにレールを敷き、管理体制の職員も手前のものを配置し、そうして運賃というものを策定をして、そうして金利も負担しながら経営をしていく。空港の場合は、確かにそこには飛行機を各企業が乗り入れまして、着陸料というものを取っておりますけれども、あるいはガソリン税というものを取っておりますけれども、そしてその着陸が昨年に比べて二倍にはなりましたけれども、この土地の利子分であるとか土地の償還であるとかこういうものには全然匹敵するというしろものではありませんし、飛行場の管理費に充当する程度のものです。それにも足らないかもしれません。こういう状態でそれぞれの運賃、料金が策定をされていくわけですけれども、経済の相対的価格関係という立場から見ていきますと、競争できる筋合いのものではあるまい、こういう感じが私は経済一般としてするわけです。それらについて国が財政投融資というてこ入れをするということが片側で残るわけでありますから、その点についての平等なという相関性についてどのようにお考えになっておられるか、御答弁いただきたいと思います。
  111. 橋口收

    橋口(收)政府委員 鉄道輸送と航空輸送の精密な効率比較という問題は、運輸省からお答えいただくのが適当であろうかと思いますが、現実に国鉄と空港公団に対しまして財投面でどういう措置をとっているのかということを簡単に御説明を申し上げますと、一般会計からの出資あるいは特別会計からの出資等の問題は、これは一応財投のワクの問題でございますので、そういうものも含めて建設勘定資金コストはどうなるかという問題になってまいりますが、一応財投の面だけでどういう取り扱いの差等があるかと申しますと、融資の額については、先ほど御説明いたしましたように、天と地の差がございます。国鉄のほうにうんとたくさん貸しておるわけでございます。貸し出しの条件でございますが、国鉄に対しましては、資金運用部は六・二%で融資をいたしております。空港公団に対しましては、政府保証債と同じ条件で債券の引き受けをいたしておりますので、大体コストで計算いたしますと、六・九%ぐらいになります。それから貸し出しの期間で申しますと、国鉄は、再建債は十年据え置き、三十年、それからその他の貸し付けば三年据え置き、二十五年、最長の融資期間で融資をいたしております。それに対しまして空港公団は、政府保証債と同じ条件でございますから、十年でございます。そういう財投面では国鉄に対して厚い保護の手を差し伸べておりますが、そのほか、補助金等をまぜて考えますと、国鉄は工事費の原価が平均して三・五%になるような補助を行なっております。したがいまして、その面だけに問題を限定して申し上げますと、財投面で国鉄に対して大きく傾斜した取り扱いをいたしている、こういうことになろうかと思います。
  112. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 私は、きょう国鉄の経営内情について触れていこうとは思いませんけれども、三兆円をこえる財政投融資の借金がある。それで金利は六・二%も払っていかなければならないし、簡保のほうは六・五%も払っていかなければならない。こういう状態の中で非常に重みがかかってくる。この事実は、私はそこだけを寸断すれば理解できます。ただきょうは、そういう問題について私は話を深めていこうとするのじゃございませんで、同じ輸送形態を持つ鉄道と飛行機という形を見ていきますと、いまのこの膨大な財政投融資を受けまして、それによって土地をみずから買い、そこにレールを敷き、そこに輸送管制をとりながら輸送しておる。そのコストは運賃にみな加算をされていきます。飛行場のほうは、いまの着陸料にいたしましてもガソリン税にいたしましても、それぞれの航空会社にはね返りはございますけれども、それらは飛行場の管理費にほとんど充当されていくのが着陸料の中身のようです。だから飛行機料金の中にはこれはストレートにはね返ってまいりません。こういうことでだんだんと鉄道運賃のほうは高まっていくし、飛行機のほうは格安になってきますから、旅客の流動というものは飛行機のほうに流れていきます。日本経済センターのほうで調べてみました数値を見ましても、このままの推移をたどっていこうとすれば、現在の運賃格差を一といたしますと、昭和六十年には十三倍の差が生まれてくる。これは客の変化です。たとえば運賃格差が二〇%あるとすれば、それだけのいわゆる客貨の流動を飛行機の側に起こしていきます。この格差が四〇%生ずるということになってまいりますと、三十二倍の差を招来してまいるというのが日経センターの調査のようでございます。  このようになぜ飛行機の側に流れていくか。それは平等な競争原理に基づいて行なわれていない輸送形態、その背景をなしたものは財政投融資である、こういうふうな経済上の理論づけをしておる学者たちも多くございます。このようにながめていくことが、やがて——今日の羽田が成田空港に発展をしていったというのは、羽田自体が年間十七万五千回転もするほど交通が、飛行機が渋滞してどうしようもないということで、こういう状態をかもし出していったその背景には、いま私が申し上げたようないろいろな条件がある。しかもその上に、飛行場を管理をする、管制をなさる人というのは運輸省の役人であります。電波を流してその上を飛んでいけば済むという形でも、十七万五千回転という状態になれば危険でどうしようもない。そこで成田空港を求める。ところが、いまのような経済のワク組みの中でそれがなお強力に進められていくということになると、やがて成田空港も第二、第三の成田空港を求めていかなくちゃならない。こういうことになってまいりますと、平等な、公正な競争原理に基づいた飛行機と新幹線ということでは、どうしようもないという結果が生まれてくるのではないだろうか。  これも日経センターの調査でございますけれども、新全総でいいました新幹線計画あるいは田中さんの出されております新幹線計画を見ましても、膨大な、全日本列島を網羅していきます。しかし、新幹線を網羅していったと仮定をいたしまして、一体これだけの金を借りて、これだけの金利を払って、こういう運賃の収益状態の中では——これは私、何も運賃値上げ賛成という意味じゃないのです。そういう状態の中では、東海・山陽新幹線は黒字、東北新幹線は盛岡程度までが黒字、裏新幹線は黒字、あとはみんな赤字、こういう試算を出しております。また新全総の中で運輸審議会にかけられたこうした一つの新しい輸送体系と輸送予算を見ると、百兆円をこえようとしておる。そうしたものがこういう財投の中身の相当部分を将来にわたって占めていくということになっていけば、一体日本の経済メカニズムはどうなっていくんだろうか。きょうここでは四十八年度の全く単年度の財投計画について議論を深めておりますけれども、過去のそうした歴史と性格、将来に向かってなおそれを持続しようとする政府の態度、この中からは私は日本の経済の上では非常に危険な状態が起こってくるような気がしてなりません。これらについて、財投とからめて一体どういう構想をお持ちなのか、そこらあたりについて答弁をいただきたいと思います。
  113. 原田昇左右

    ○原田政府委員 ただいまの先生のお考え、ごもっともな点があるわけでございますが、一面におきまして、交通機関の輸送市場、輸送を行ないます競争市場の構造でございますが、必ずしも同じレベルで競争していないという点があるわけでございます。飛行機につきましては、きわめて時間の価値の高い人が利用する。つまり長距離を非常に短時間で輸送するという非常な大きい特色がございまして、所得が増大するに従いまして、そういう利用客が非常にふえてまいるという特色がございます。  そこで、航空輸送は四十年から比べまして三・八倍程度に最近ふえてまいっておりまして、一方において、鉄道輸送は四十年から比べまして一・三倍程度の伸びにとどまっておるわけでございますが、われわれはこれは必ずしも競争条件といいますか、たとえばいまおっしゃったイコールフッティングという理論がございますが、通路費の競争条件が片方に有利で片方に不利だということだけでは説明できないんじゃないかという点を指摘したいと思います。  それから、いまの通路費の競争条件の問題でございます。結局、通路費を同じように利用者が負担しておるかどうかという点でございますが、これにつきましてはいろいろな見方があるわけでございます。  たとえば国鉄につきましては、手元にございます四十八年度からの十カ年の財政再建計画におきましては、建設費の約一五%相当額の一般会計の出資のほかに、利子補給が、約一五%程度に相当する額が一般会計から十カ年間に出るわけでございまして、大ざっぱに申し上げて恐縮でございますが、工事費に対しまして約三割程度に相当する部分が一般会計から支出されるということになります。  一方航空機に対しましては、空港整備特会ということで、空港並びに航空路におきます安全施設の整備費の特会がございまして、ここでは一般財源並びに空港使用料、それから借入金等でまかなっておるわけでございますが、その一般財源の中にも、空港の場合通行税を取りますので、通行税相当分と見られる一般財源の投入もございます。そういったものを総計いたしますと、約二八%強ぐらいが一般財源の負担になっておるわけで、これは空港整備五カ年計画の中の通路費負担として一般財源がどの程度負担するかという単純なる比較でございますが、それからいきましても、必ずしも国鉄に不利ではないという結果となっておるわけでございます。つまり国鉄が一般大衆が利用するきわめて公共性が高いという観点からの配慮と考えられないこともないわけでございまして、そういったことを総合して考えますと、必ずしも通路費の負担において有利であるから航空が伸びるんだということにはならないんじゃないかというように考える次第でございます。
  114. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 そのお話は少しいただきかねるわけです。もちろんそれぞれに対する助成、利子補給があることは私も承知をいたしておりますけれども、根本のものの考え方というのは、さっき私が申し上げたとおりでございまして、実際には飛行機の運賃には飛行場の土地取得の経費、支払うべき金利というものは入っておりません。鉄道の新幹線にはこうした経費がみな入っております。東京——大阪間実際の原価計算で黒字が出る金額は、二千五百円程度から黒字になるわけです。それが四千円近くも取るというのは、そういうものがあるからなんです。それでもって赤字路線、不採算路線もまかなっていかなければならない。  だからきょうは、私は国鉄財政の中身について深く入ろうとは思いません。思いませんが、いまもイコールフッティングの話が出ておりましたけれども、こういうような公正な競争原理でないということはもちろんなんです。それをなお引き伸ばしていこうとなさるかどうかということをお伺いしているだけなんです。だからもっと端的に言いますれば、こういうものは市場欠落といわれておりますけれども、当然払うべきものを払わない。そういう一つの分野が拡大をしていくのです。それは今度の五カ年計画で十九兆五千億組んでおります道路費もそうです。道路が広がり自動車がふえる。自動車がふえればまた道路を広げていくんです。それは自動車と道路の競争、鬼ごっこなんです。ここにも市場欠落は広がってくるわけなんです。  だから私は、こういうところに財投というものを振り向けていくということがほんとうに日本経済の将来の安定のために、福祉国家というものを創造、つくり出していく立場からも、そういう財政投融資の使い方が正しいのかどうなのか、こういうことをお尋ねしておるわけです。その点についてもひとつ納得のいくように話していただきたいと思います。
  115. 橋口收

    橋口(收)政府委員 国鉄と航空機との関係についてのお尋ねが中心でございますが、広くとらえれば、公共投資全般どういうバランスをとって今後行なっていくかという問題になるのではないかという感じがするわけでございますが、御承知のように、公共事業の中でも受益者負担になじみやすい事業につきましては、本来収益性なり有償性が強いということで利息のついた財政投融資資金をお貸しして、それによって急速に公共事業を整備する、従来からこういう考え方をとってまいっておるのでございます。もちろんその場合に純然たる財政投融資の金利、標準六・二%でございますが、六・二%を直ちにコストというふうに置いておるのではなくて、それに対して一般会計の出資あるいは産投会計の出資、利子補給、補助金、交付金、こういうようないろいろな形の組み合わせによって資金コストを薄めてきておるのが現状でございまして、純然たる一般道路とかあるいは低所得者に対する住宅のようなものは一般会計の負担でいたしておりますが、受益が特定し、しかも急速に整備することが要請されるような財政投融資資金になじむような事業は、財投の利子負担のついたお金で整備する、こういうのが現在の一般予算と財投との機能的な組み合わせの仕組みであろうと思います。したがいまして、公共投資かいかにバランスがとれて行なわれるかということで、当面の問題としましては、経済社会基本計画というものがありまして、それに公共投資が四十八年から五十二年度まで九十兆ということで終わることがきまっております。その中に鉄道が幾ら、航空が幾ら、住宅が幾らだという小項目もございます。したがいまして、与えられた大きな土俵としては経済社会基本計画にきめられた九十兆の公共投資がはたしていまの日本の財政力でできるかどうかということに帰着をいたします。そういう点に関しましては、あの計画がきめられる過程におきましてわれわれも内々の作業をいたしております。そういう点から申しますと、いまの九十兆の規模であれば、今後の財政投融資見込みを勘案すれば、それがバランスのとれた融資ということであれば、あの程度のものは、日本の見通される財政力の将来の伸長ということを考えますと、おおむね均衡のとれた姿で達成できるのじゃないかというふうに考えておるのでございます。
  116. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 おっしゃっているように基本計画で九十兆、将来のバランスのとれた方向としてある程度の可能性を持たれるという立場で検討しておられるということですが、いまのような形で進めていきますと、いわゆる公共投資という市場欠落を埋めていく投資条項で私は拡大をしていくと思うのです。しかしそれは、一見はなやかで豊かな状態を持っておるかに見えますけれども、中身は一般の経済原則から見て全く適当でない。今日の日本経済の根底の中にも私は一つのそういう問題点が指摘できると思うのです。  だから、時間もございませんから角度を変えて申し上げるわけですが、思い切って公共投資の分野で、住宅を建てるとかあるいは道路整備をするとかいうことは財政投融資を使わずに一般財政をこれに振り向けていく、こういうことをおやりになろうとする考えはございませんか。
  117. 橋口收

    橋口(收)政府委員 たいへん広範な問題についてのお尋ねでございますので、私の能力を越えた面もあろうかと思いますが、一般財政でやる考えはないかというお尋ねでありましたら、一般財政でももちろん応分の措置はするということでございます。もちろん一般財政と申しましても、租税以外に公債金収入というものもございますし、現在は公債のワク内であれば国債に依存するということが可能でございますから、そういう意味におきまして、租税と公債金の組み合わせによって、一般財政は公共投資の促進に力をかすという形になるのでございまして、先生はそこまでおっしゃっておられませんけれども、かりに全部一般財政でやるということになりますと、それは結局は租税負担の限界に突き当たって公債金収入に依存をするということになるのでございまして、公債金は最終的には御承知のように租税で返すということになりますので、やはり世代間の負担の公平の問題が出てまいりますから、そこでやはり任意に現世代が貯蓄した郵便貯金その他を活用いたしまして公共投資をやっていくほうが後代に対する負担を残さないという意味で目的に合致していくのじゃないか。  そこで問題は、利息のついたお金でありますから、それをどの程度薄めるかというところで一般財政が協力をするという形が、現在の財政と財投の仕組みでございまして、日本の、与えられたいろいろな金融制度というものを前提として考えますと、いまのような仕組みを活用して、もちろん実施の過程において配慮を加えるべき問題はいろいろあろうと思いますが、やはり一般財政と財投とが両々相まって公共投資の促進に力をいたすというのが一番望ましい形態ではないかというふうに愚考いたしておるわけであります。
  118. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 いま資金運用部資金の中に入っております厚生年金国民年金ですね、これの総額は一体どれぐらいでございますか。
  119. 橋口收

    橋口(收)政府委員 昨年の十二月末で、厚生年金が六兆一千五百八十億、国民年金が一兆六百七十億でございます。
  120. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 お話のございました、現在の膨張していく財政投融資を、部分的に、特に住宅とか道路とか港湾とか、こうした当然負担すべき人が負担せずに国が肩がわりしていくという分野が、なお一そう拡大をしていくということは間違いないわけですが、そういう一つの方向を改めていくためには、財政投融資をしない、一般会計でやり得るものはやる、そういうような方向に置きかえていくことについては、政府としては十分な姿勢というものは示しておられません。  そこで私は、いま運用資金厚生年金国民年金を聞いたわけですが、大体私が推定をする資金よりは少ない気がいたしますけれども、大体七兆二千億、膨大な金です。この金を、せんだっても御審議いたしましたときに申し上げたわけですが、積み立て方式から賦課方式に切りかえていかなければ、ほんとの意味の国民の老後保障ということは完ぺきを期すことができない。しかし、それを行なおうとすれば、いま積み立てておる七兆二千億のこの年金資金を取りくずしていく以外にはない。これを取りくずしていこうとすれば、政府計画する財政投融資計画にそごを来たすことになる。このもたれ合いの中で、これからずっと進んでいくというのであるならば、私は非常に憂慮すべきものであるというふうに考えざるを得ません。  そこで、こうした住宅とか、道路とか、港湾とかいうものについては、年金部分を財政投融資に使わずに賦課方式に切りかえていく。その総額分について公債を発行する。そういたしませんと、インフレが起こる傾向がございますから、その部分のみに歯どめをかけて公債を発行する、こういうふうな措置をとることが将来予見されるべき一つの方式として採択できないものかどうか、私、非常に憂慮するのはその点でありますけれども、そういう公債発行というものと、その部分についてのしっかりした歯どめをかけるという措置、この二つを検討しながら、将来の賦課方式へ切りかえていく、その道を追っていくということについては、いかがなものでございましょうか。
  121. 橋口收

    橋口(收)政府委員 年金資金収支差額と申しますか、保険財政でございますから、責任準備金に相当するものを資金運用部でお預かりをいたしております。その制度の反映の結果としてお預かりをいたしておりますので、年金財政のあり方について発言をするような立場ではございません。その点は御了承いただきたいと思いますが、御承知のように、いまの年金財政はいわゆる修正実額積み立て方式ということでございまして、完全に積み立てをするという形になっておりませんから、これは御承知のように一部賦課方式に移行しているという見方もできるのでございまして、いわゆる修正率が五〇%をこえない限度になっておりますから、まだもちろん積み立て方式のほうが力が強いということは御承知のとおりであろうと思います。  そこで、将来の年金財政のあり方はどうなるかということでございますが、かりに先生のおっしゃったような形で修正実額積み立て方式の修正率を高めていく、だんだん賦課方式に近づく、一挙にいま七兆円を取りくずすという問題は別といたしまして、今後の積み立ての割合が減るという場合にどうするか、その減っていった部分を公債に置きかえたらどうか、こういう御主張ではないかと思いますが、公債は御承知のように建設公債という一つの大きな歯どめがございますし、それから今度の経済社会基本計画を見ましても、租税負担なりあるいは社会保険料負担というものは相当上がるという計算になっております。その辺の関係がどういうふうになるかという問題は別にいたしまして、先生のおっしゃったように、かりに修正率というものは高くなっていって、財政投融資原資として振り向けられるものがだんだん伸びが小さくなるというようなことになった場合はどうするかという問題でございますが、それは前回の佐藤先生の御質問にもお答えをいたしましたが、いまの財投の原資資金運用部資金が非常に大きな割合を占めておりますが、かつては政府保証債等が非常に大きなウエートを占めた時代もございます。もちろん運用資金のほうがウエートとしては高いのですが、しかし政府保証債というものが非常に増発された時代もございます。昭和四十一年、二年等は政府保証債等は非常に大きくなっている。したがいまして、かりに年金給付というものの内容が改善され、給付の状態がよくなれば、それだけ民力がつくわけでございますから、したがってその分を引き当てとして政府保証債を発行するということは、原理的な問題としては考え得るのじゃないかという感じがするのでございます。  したがいまして、そういう状態になるのかならないのか、それからどの程度なるのか、いつなるのかという問題等については、もちろん青写真を持ち得る立場じゃございませんけれども、かりにそういう状態になれば、いま御説明したような対応の方式もあるのじゃないか。したがって財政投融資原資を確保する目的で積み立て方式を特に制度として固定しているという考え方は、実は考え方としてはさか立ちをしているのではないかという感じがしているのでございまして、私どもは制度の反映としてお預かりをいたしておりますので、お預かりしましたものの運用には適正を期する必要がありますが、そういう基本的な諸条件が変わった場合に、必要な対応の道ということを考えていく必要もありますし、かりにそういう資金の流れが変わるということになれば、いまの財政投融資対象機関というものは、いまのままで存在する合理性があるかどうかというような問題も生じてまいりますから、これは遠い将来の問題として考えますと、いろいろ対処のしかたがあるのじゃないかという感じがいたしておるのでございます。
  122. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 お聞きしていますと、年金基金は財政投融資を進めるために主たる目的を置いて使われておるという、せんだっての私の意見に対する強い反対の意思表明でありますが、しかし実際には、いま財政投融資部分を占めておる年金基金の総量というのは非常に多いわけですね。しかしそんなものを、そのことのために預かっておるのじゃないというふうな言い方をなさいますと、じゃおやめになったらいかがですか、私たちが主張しておるような、賦課方式に切り変えになったらいかがですか。しかしそれができない。現実の財政投融資の中にはしっかりとこれが組み込まれている。それはできない。できないほど有効に働いているわけです。だから私は、そういう言い方というものは、真正面からいただくというわけにはいきません。ただ将来のあり方の中で、経済の安定というものを片側でしっかり育てながら、老後の安定というものをしっかり考えてあげるという立場をとるならば、何とかしなくちゃならぬ、こういう気持ちは、これは当然政治として必ず突き当たる大きな一つの課題なんです。このままの推移で、これから五年、八年とたつわけにはいかない、必ず突き当たる。だから、当面の一つの課題として使われておるこうした部分の中で、歯どめをかけて公債を出してインフレにならないように、しっかり運用措置を固めながら逐次積み立て方式から賦課方式へということを意見としていま申し上げたわけです。  かりにあなたのおっしゃっている部分の中でお譲りをいたしまして、いま預託をしておる七兆二千億というものを、これをそのまま財政投融資資金の中に入れ込んでおく、そうしてこれから純増の分、年ごとにふえていく部分については、それを年金の賦課に払い出していく、こういう一つの操作というものもできないことはないと私は思う。これが財政投融資資金とうらはらの関係にあるから私は申し上げておるわけです。そういう措置でもとっていくことによって、日本の国民の老後の安定ということを考えてあげるのがより高い政治の認識であろうし、そうして財政投融資議論をするときには、そういうものを側面にしっかり見定めながら、これからの資金計画を立てていくということが大事なのではないだろうか、私はこういう気持ちを持っておるのでございますが、間違いでございましょうか。
  123. 橋口收

    橋口(收)政府委員 たいへん奥行きの深い御質問でございますので、ちょっと私がお答えする領域を越えた問題であろうと思いますし、また先生と議論をするほどの素養もございませんので、お答えするのをお許しいただきたいと思います。  ただ、私も国民の一人として考えますのは、要するに世代間の負担の問題でございますから、まあ私ももうリタイアする年でございますから、個人的には賦課方式というほうが、私の負担が少なくなりますから、そういう意味では個人的には賛成と申しますか、その部類でございますが、しかし負担を全部若い世代に負わしてしまうというのが賦課方式であるとすれば、それはいろいろ問題があるんじゃないか。やはり積み立て方式の中で積み立てされたものを有利に運用するというのが従来の年金積み立ての有力な基盤になっておったと思いますが、これも私の個人的な見解でございますが、有利運用と同時に福祉運用という考え方をもっと入れ込んでいく必要があるのではないか。そういう考え方を入れまして、今回年金福祉事業団から掛け金者に対して福祉還元融資が行なわれるような道を開いたのでございまして、それは公務員とか公企体の共済につきましては、共済の掛け金者に福祉還元が行なわれておりますが、現在の厚生年金の掛け金者には、事業主までは還元融資が行なわれておりますが、折半負担をしている従業員に対しては還元融資というものが行なわれておらなかったのでございます。まあ福祉還元、福祉運用ということに重点を置いていくということが年金原価の維持という大問題を控えておりますだけに、やはり現世代が積み立てたものは現世代が受益する、こういう形が積み立て方式をとる以上は望ましいのではないかというふうに考えまして、特に大蔵省のほうからアドバイスをいたしまして、年金福祉事業団にああいう住宅融資の措置をとったのでございます。  したがいまして、理財局長という立場で、財政所管官庁という立場で申しますど、もちろん原資は多いにこしたことはないのでございまして、ただいま先生おっしゃいましたように、来年度から純増分がゼロということになりますと、これは実際問題として財政投融資の編成ということができないこともございますので、そういう、ちょっと極端と言っては失礼なんですけれども、そこまでお考えを詰めていただくのがいいかどうか、もう少し漸進的な方法もあるのじゃないか。その中で、決して有利運用ということだけに固執するのではなくて、やはり福祉運用ということをもう少し考えていく必要があるのじゃないかというのが財政投融資を所管しておる者の立場としての感想でございます。そういう点から積み立て金を、お預かりしたものは、やはりできれば掛け金者の手元にまで返すような道を考えていくというのが今後の一つの課題じゃないかという考えを持っている一人でございます。
  124. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 これで終わりますが、最後に、次官にお伺いをしておきます。  お話ございましたやりとりの中で、御承知いただけていると思いますけれども、財政投融資計画はこれから逐年ふえていきますし、その中の主要な財源として年金ファンドが使われていきます。しかし片一方では老後の問題ということを保障していく財源でもあります。こういう両面の目的を持っておりますこれらにつきまして、将来何らかの形でチェックをしていかなくちゃならぬと思うのです。そのチェックをしていく方法として、私は相当の部分について、もしも財政投融資資金に回さない、なしくずし、取りくずしの金額に相当する部分に公債を発行して、そうして歯どめをかけてインフレにならないようにする方法一つと、それから現在の七兆二千億のこうした基金に対してはそれはそのまま置く、そのまま財投の中に据え置いて、これからの純増分だけを取り返していくというふうな方向に措置をして老後を見ていく。  この老後関係を申し上げておるのは、特に財投の中に主体的部分があるからこそ委員会で申し上げているわけでございますので、その立場もしっかりと御理解いただきました上で、いま私が申した公債の部分と、そして現在の積み立て分はそのままにして純増分をこれから賦課の方式を高めていくように使っていく、この二つの方向について、次官として一体どのようにお考えになっておられるのか。先ほど申し上げたように、きわめて近い将来直面をするたいへんな政治の課題でありますだけに、次官としての見解を伺えればと思います。  以上で終わります。
  125. 山本幸雄

    ○山本(幸)政府委員 先ほど来のいろいろの御質問、また政府側から御答弁を申し上げた中で、確かにもう国全体の体制というものが福祉に転換をしていかなければならないという、そういう方向はもうだれも否定できないことでございます。そういう観点からいたしまして、最近だんだんと大きくなってまいりましたこの財投がどう使われているか、いかなる方面に重点を置いて使われていくかということは、たいへん大きな国民経済の中での問題であることは先ほど来もお話しのとおりだと私は思います。  そこで、この財投というものの使い道が一体いままでの考え方でいいかといえば、私はやはりそれは大きな国の社会、経済の方向に沿っていかなければならぬ。ことしの財投の使い道にいたしましても、国民の生活をよくしていくという方向にウエートを置いている、また財投というものがどこから出てきたかということのその本質に立ち返った考え方で、ことしの財投は去年に比べますれば、そうした国民生活にプラスになる方向に使われてくるようになってきた、そういう体制だと思うのです。しかし、財投はやはり国からお預かりしたお金でございますから、これはやはりお返しするというたてまえで、運用をする立場の者にはどうしてもそういう考え方が先に立つのは当然であります。そういう立場から考えていきますと、これをお預かりしている以上、正しくまた全体として体制に沿った方向で運営はいたしますものの、返していくという経済的な面もどうしても考えの中に入れていかなければならない。しかし、先ほど局長から御答弁申し上げましたように、福祉の方向で今度は考えていかなければならぬわけですから、そういう方向をひとつ今後もとっていかなければならぬということは申すまでもないところでございます。  そこで具体的な問題として、先ほど来年金の賦課方式あるいは積み立て方式の問題についていろいろ新しい御提案がございました。公債を一つの歯どめをつけて発行していくということ、公債発行はこれは国全体の財政の面でややともするとインフレに拍車をかけるというのがいままでの考え方でございまして、やたらと公債を出すわけにはまいらぬだろう。これにはやはりただいま守っておりますような歯どめというものがしっかりいま財政法の上でもついておるわけでありまして、やたらとこれもふやしていくわけにはいかぬのだろうと私は思います。また先ほど来七兆二千億を一つの基金としてそれはそのまま賦課方式の方向に向けたらどうか、それは基金として置いておけというお話、純増の今後の分だけはひとつ使っていくようにしろ、こういうお話でございます。これも一つの新しい御提案でございますが、今日までのこの財投のずっと経緯してまいりました経過から見まして、直ちにそういうことができるかどうか、非常に検討を要する点も多々あるように思います。やはり何がしかの時間をかけてやらなければならないのではないだろうか、そういう方向だけは見間違うことなく漸進的にやっていくというそういう意味で、現在政府は修正的な賦課方式というものを行っておるのであります。現状におきましてはそういうことでやっておるわけでありますが、将来の大きな長い目で見た長期的な観点に立った場合、ただいまのお話も年金というものの重要性から考えまして、いろいろ考えさせられる問題を含んでおるように思うわけでありまして、政府としても、こういう日本の経済の現状に立ち至っておる今日、ある程度私は思い切った考え方をしていかなければならぬ時期がだんだんにくるような気がいたしますので、十分に検討をさせていただきたいと思うわけであります。
  126. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 終わります。
  127. 大村襄治

    大村委員長代理 武藤山治君。
  128. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 理財局長、あなた専門家ですから別にそう支障はないと感じているかもしれませんが、われわれしろうとは、財投関係を少し調べようという場合にまことに不便ですね。たとえば二十八条による参考資料一つ持ってきて見なければならぬ、今度は特別会計予算書を並べなければならぬ、政府関係予算書も持ってくる。ちょっと勉強しようとすると全部予算書をひざの前へずらっと並べないと調べがつかないのですね。これを国会議決事項にしてくれという要求は、国民にわかりやすい方法内容というものが掌握できるようにしよう、これがねらいですね。三つも四つもみんな持ってきて、予算書、参考書類を見なければ内容がつまびらかに把握できないといういまのこのあり方は、理財局長としていいじゃないかと思いますが、それはどうですか。
  129. 橋口收

    橋口(收)政府委員 今回この特別措置法案を立案をいたしまして、いろいろ御批判をいただいておりますように、それぞれ原資別に国会議決を受ける形が異なっておりますので、それを一表にまとめてやったらどうかというようなことをしばしば伺っておりますが、これは法律的な性格から見ましてやむを得ずとった措置でございまして、そういうふうにあちらこちらでそれぞれ国会議決を受けるという形をとりましたが、従来作成しておりました財政投融資計画書は従来どおり予算参考資料として予算の説明の中に突っ込んで国会提出をしております。ただ、先生がいまおっしゃいましたことは、実は私ども全く同感でございまして、われわれ自身も先生と同じようにあっちを見たり、こっちを見たりしないと財投計画の全貌がわからない、こういう現状にあることも事実でありますので、いろいろ考えております。四十七年度は二十八条による参考資料も加えたのでありますが、これもよけいなことでございますが、二十八条による参考資料は、実は目次がなくて、その機関をさがすのに一々めくっていかなければならぬという不便な形になっております。そういう個所はほかにも多々ございますので、いまお約束するのも少し潜越でございますが、四十九年度には何かもっといま先生がおっしゃったように、財投はどこだと言ったら一ぺんでそこを見れば政府機関から公団事業団から、特別会計から全部わかるような形をくふうしてみたい。可能ならば予算の説明と分けて財政投融資の説明というのを一つつくるのも一案ではないか。あるいは予算の説明の中にはっきり分けて、全部そこを見れば財政投融資の事項が一覧できるようなものにするということでくふうをしたいということで実は考えております。
  130. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 いまの理財局長の答弁で、そういうものがくふうできれば、私どもの要求してきた趣旨は完全に生かされるので大いに賛成ということになるわけでありますから、せっかくひとつ御努力を期待いたしたいと思います。  そこで、今度の改正案で、運用実績の報告を年々やらせますね。この運用実績の報告書がまたどういう形になるか。その形式いかんによっては、次の四十九年度なり五十年度の編成の際にたいへんこれが参考になるのじゃないかと思うのです。だから、運用実績の報告というのは一冊にまとめる予定なのか、またいまの予算審議みたいに三つにも四つにもまたがった形になるのか、これは一体どんなことを一応考えますか。理財局でいま考えているこれから運用実績の報告書を国会に出す場合の形式、どんなことを一応考えておりますか。
  131. 橋口收

    橋口(收)政府委員 いま考えております実績報告書は一表にいたしたいと思っております。事項別に国債とか特別会計政府関係機関というのが縦になりまして、横に当初の長期運用予定額、それから弾力条項の発動があれば弾力による増額、それから前年度からの繰越し、その合計がいわゆる予算現額みたいなものになります。それが長期運用可能額になりまして、それがいわばワクでございます。それに対して、当該年度運用した実績、それから翌年度へ繰り越した額、最後に不用額というような、一覧でわかるようなものを実は考えております。
  132. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 同時に現在予算で出しておる貸借対照表、損益計算書、そういうようなものもその報告書には添付されるわけですか。ただ単に一枚の表で全部わかるというだけですか。それともたとえば特殊法人などの場合もありますね。これが二十八条の報告のようなスタイルで下へ全部貸借対照表までつくのかつかぬのか、それはどうですか。
  133. 橋口收

    橋口(收)政府委員 これは決算の報告がある機関につきましては、従来から決算の報告で国会に出ております。いま先生のおっしゃったところまでまだ考え及んでおりませんが、いま御説明した一表だけにこだわるつもりは毛頭ございませんので、よく検討してみたいと思います。
  134. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 私の感じでは、運用実績報告書をつくった際に、これが導火線になっていろいろ改善策が、形式の問題が考えられるのじゃなかろうかという感じがしたものですから、なるべくしろうとのわれわれが見やすく、中身がなるほどとすぐ把握できる、そういう親切なものに報告書はぜひつくり上げてもらいたい。そういうものができれば、次の予算作成のときにもそれが土台になって非常にいいものができていくのではなかろうか。そういうことを期待をして、理財局長、頭のいいところでひとつ在任中にりっぱな形式のものを、初めでありますから、きちっとしたものをつくり上げていただきたいと期待をいたしておきます。  それから次に、政策の面に入るわけでありますが、各機関に配分をするときに、大蔵省としてはかなり高所からながめて、ことしの物価情勢はどうなる、ことしの金融情勢はどうなる、したがって、資金運用部資金の配分はこうしようじゃないかというような、大所高所からながめた金融や物価動向というようなものをにらみ合わせて配分をしているのかどうか。そこらの配分のしかた、いままでの下からの積み上げで各機関が要求をしてきたら、そんなに原資はないのだからおまえのところはこのくらい、このくらいという形で惰性に流れて配分をしているのではないかという疑いがあるので、この辺、ひとつ内容をつまびらかに聞きたいと思います。
  135. 橋口收

    橋口(收)政府委員 われわれは積み上げ作業ももちろんいたしておりますし、ことに個々の機関について申しますと、やはり積み上げの作業というものがどうしても必要になってまいりますけれども、冒頭におっしゃいました全体のワク組みと申しますか、フレームをどうするか、来年度財政投融資計画の伸びをどうするか、しかもその中で事業期間と融資期間とをどういう程度の配分にするかというようなことは、おおよそマクロ的な手法で検討いたします。四十八年度で申しますと、一般会計予算の伸びがかつてないほどの高率になっておりますので、財政投融資の伸びは四十七年度の景気対策として行なわれました三一・六%よりは何としても下回ることが必要だ、そういう大きなフレームを組んで予算の財投関係の編成の基礎作業をいたすのでございます。もちろんそれとあわせて、並行いたしまして来年度の経済見通しというものの作業がございますので、いわゆる国民経済計算の約束ごとで、財政投融資を追加すればどのくらい財貨サービスの購入なり政府の固定資本形成に貢献するかということも大まかな試算をいたします。  そういうマクロ的な手法の中でも、公共部門と民間部門との配分の問題、それから公共部門の中で住宅、道路その他の施設への配分の問題というものもやはり一種のマクロ的な手法、ことに各種の五カ年計画がございますし、それから来年度以降になれば、先ほどちょっと触れました経済社会基本計画というものが一つの大きな基盤になると思います。そういう実需の面からも積み上げる。同時にマクロ的な手法によりまして、来年度資金需給なりあるいは金融に対する影響というものも十分考えた上で、積み上げとそれからマクロ的な手法との接点で財政投融資計画というものの作業を行なっているわけでございます。
  136. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 御承知のように、昨年の総選挙でも各党が大企業優先から福祉優先へということで、かじとりを大きく転換せよということが国民の期待でもあったし、大きな世論だったと思いますね。大臣もまたそういう答弁を本会議においても施政方針演説の中でもみんなそう述べておる。ところが実際に組まれているこの資金運用部資金の配分の内容などを見ると、そういう配慮というのがほとんどないのじゃないか、私は、そう感ずるような個所がたくさん見受けられるのであります。  たとえば具体的にお尋ねをすると、開発銀行の中身でありますが、一応開発銀行の四十八年度末の貸し付け額合計が二兆六千九百四十七億円になる、こう貸借対照表には書かれておるわけでありますが、二兆六千九百四十七億円という開発銀行の融資口数などはたいへん少ないわけですね。五千五百五十六口でこれだけの金を貸し付けるわけでありますから、一企業あたりの融資額はたいへんな金額になるわけであります。一方、中小企業金融公庫が一兆四千五百七十四億円、国民金融公庫が一兆一千六百十二億円。したがって国民金融公庫と中小企業金融公庫と合わせたぐらい開発銀行だけで使うわけですね。いまは大企業優先から転換しろ、かじを変えろと怨嗟の批判があるのに、なぜこういう開発銀行の膨大な資金利用というものを改善しようとしないのか。ここらが私は先ほど言った、大所高処からながめた資金配分というものについての配慮がないんじゃなかろうか。  特にいま過剰流動性問題が議論されて、都市銀行では企業が金を返そうとすると、いや、うちのほうの収益が悪くなるから返さずに使っていてくれよ。ますます資金はタブついて、株にいったり土地にいったり、国をあげて大騒ぎをしているわけでしょう。そういうときに最も簡単にやりやすくチェックできる部門というものは、そういうものが可能な範囲は限られておる。私はやはりこの資金運用部資金の利用というものが、かなり効果的に作用できる財政金融政策上の問題点だろうと思うのです。そういう意味からいくと、どうも開発銀行に対する姿勢というものがさっぱり変わっておらぬのじゃないだろうか。それを変えた、福祉優先に切りかえた、これは時代に適合した利用のしかたであると考えておりますが、この辺のいきさつはどうですか。
  137. 橋口收

    橋口(收)政府委員 開発銀行の貸し出しの内容の問題でございますから、銀行局からも見えておりますので、詳細は銀行局から御説明したほうがよろしいかと思いますが、私ども財政投融資対象機関として開銀に資金を配分いたします場合には、やはり開銀の業務の内容がどういうふうに変わってきているかということに最大の重点を置いておるのでございまして、御承知のように、昨年開発銀行法も久しぶりに改正がございまして、従来の終戦直後の経済の再建、産業の開発、貿易の振興というなつかしい、いわば合いことばがございますが、そういうものから社会経済の発展というような時代に即したような機能に発展をいたしてきております。それは法律的な面だけでなくて、やはり開銀の業務の内容を実態に即して見てまいりますと、たいへん大きく変わってまいってきておりまして、たとえば当該年度の貸し出し計画で申しますと、四十八年度は都市開発というのが一千百七十億円になっております。これは全体の貸し出しを一〇〇といたしますと二一・三%になっています。これを五年前、四十三年度で見てみますと、金額で二百五十億円でございましてわずか一〇%でございます。それから顕著なもので申しますと海運でございますが、海運は四十八年度は九百七十六億円、全体の構成比が一七・七%。これも五年前、四十三年度をとってみますと、金額が八百九十三億円でございまして構成比は実に三五・六%ということで、三分の一が海運に向けられていた。今回はわずか一七%というふうに変わってきております。それからその他国民生活の改善に寄与するような公害防止が中心でございますが、これは四十八年が八百二十五億円で、全体の構成比は一五%でございますが、四十三年度はわずかに十億円でございまして、〇・四%ということで、年々の伸びで見ますと、開銀の業務の内容というものも著しく変わってきておりまして、これは残高で見ましてもやはりそういう傾向は出ております。  たとえば、これも蛇足になりますが、電力で申しますと、四十一年度末は二九・二%でございましたが、四十六年度末は一六・九%、非常に大きく下がっております。それから、いま申しました大都市開発のごときは、四十一年度末は二・九が九・九。技術開発のごときは、やはり四十一年度が二・九が七・二というふうに変わってまいってきておりまして、やはり開発銀行も時代の流れに即した業務の発展的な進化を遂げている、そういう現実に着目をいたしまして、必要な資金の配分をいたしておるつもりでございます。
  138. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 いま理財局長のおっしゃった五千五百億円の新しい四十八年度の貸し付け計画、この内容というのは、資本金別に分けると、やはり大企業がこれらの資金を利用することになるのでしょう。この内訳はどうですか。たとえば都市開発の場合、貸し付け対象というのはどういうところですか。中小企業ですか、市町村ですか。
  139. 橋口收

    橋口(收)政府委員 大企業、中小企業という区分を実はいたしておりませんので、的確に何割はどうなっているということは申し上げにくいのですが、都市開発の内容を申しますと、私鉄の輸送力増強というのがございますから、これは武藤先生のおっしゃった範疇でいえば、当然大企業ということになると思います。それから大都市再開発、これはいろいろなものがございます。民間デベロッパーもございますし、それから組合もございます。ということで、こう一々ずっと見てまいりますと、時間の関係もございますし、どれが大企業かということはそういう資料もありませんので実はあれですが、地方開発は、普通の観念で申しますとまあ中堅企業ということになろうかと思いますので、開発銀行として特に大企業のみを相手にするという性格ではございませんけれども、やはりそういう資本力を必要とするような企業ということになれば、おのずからいわゆる大企業の範疇に入らざるを得ないと思います。そういう点から申しますれば、やはり大企業が相当多いということはいえると思います。   〔大村委員長代理退席、木村(武千代)委員長     代理着席〕
  140. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 ですから、ことしのような、過剰流動性がたいへん問題になっているというようなこういうときには、私は、やはり開発銀行などは、もっと政策的に国が大きな見地から、従来の貸し付けてあるものなども回収を少し急がせて、市中銀行へ融資依頼が転換をされていく、そういうようなことをやったって、大企業は決して困らないですね。しかも、市中金融がゆるやかで、ほんとうにだぶついて、災いをたいへん起こしているのでありますから、こういうようなときにこそ、やはりこの中身を再検討してしかるべきではないか。  時間がありませんから、こまかい議論はできませんが、二兆六千九百四十七億円の開発銀行の貸し付け金の行くえを少しあとで——資本金一億以下、一億から十億程度、十億から百億程度、そういうような区分を、大蔵省のほうで出しやすい区分でいいですから、なるべく資本金別の貸し付け状況、それをひとつ資料として出してもらいたい。  それからもう一つ国会でたたかれるものですから、都市開発とか地方開発、国民生活改善、エネルギーというような、名称はたいへんスマートに切りかえて予算書に大きく書かれているわけでありますが、この中身もやはりなかなか問題があると私は思うのでありますので、これも、担当は特別金融課長のほうですか、こちらでひとつこの内容も、おもなものでいいから、たとえば全国的にこれがどんなぐあいに配分されるか、北海道のほうへうんと行くのか、九州のほうへ行くのか、中部のほうへ行くのか、そういう地域別に、国民生活改善なんというのは一体どういうものに、どの方面に主として公害の問題が利用されているのか、そういうようなのを——中には公害だといって借りておいて全く違ったものに使ったなんて、この間国会でたたかれているような問題もあるわけですから、国家資金を有利に利用を認められる大企業のそういうモラルを欠いた資金利用というものも、われわれとしてはできるだけ監督、監視をしなければいかぬ、そういう立場から、このことしのスマートな表現になっている内容も、少々資料をつくって、たとえば都市開発と地方開発でけっこうですから、この二つの中身をこまかにひとつ……。ちょっと説明ができればここで説明してもらってもけっこうです。
  141. 岩瀬義郎

    ○岩瀬説明員 ただいま御要求のこまかい資料でございますが、調べてみませんと、はたして御要求のとおりにいけるかどうか、地域別の内訳というのは提出するのが困難かと思いますが、手元にございます資料で簡単に御報告いたしますと、四十五年度、四十六年度におきます資本金十億円未満の企業、これの総貸し付けに対する割合、金額等が出ておりますので、ちょっと申し上げますと、四十五年度の総貸し付けが三千四百十九億、それに対しまして、資本金十億円未満の企業に対して六百六十六億、件数の割合でまいりますと、これが約四五%でございます。四十六年度は、総貸し付けが四千二百五十一億でございまして、それに対しまして十億円未満の企業に対しまして八百三億、全体の割合は、件数で申しますと四十三件ということになっております。
  142. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 あとでそういう資料を、手元にできているものでいいですから、ひとつ説明をしてもらいたいと思います。  それから、さっき理財局長が山田委員に答えたときに、簡保資金三兆四百十七億円のうち、特別会計六百六十六、政府機関一兆三千八百四十億、地方が一兆一千四百四十億、こうお答えになりましたね。あとの残は何に使われるわけですか。三兆四百十七億のうち二兆。三兆になりませんね。
  143. 橋口收

    橋口(收)政府委員 それら三つを合わせまして大体二兆五千億ぐらいになろうかと思います。で、残りでございますが、大きいのを申しますと、契約者貸し付けが千五百億、それから電発四百六十億、それから金融債二千三百六十億、それから短期国債が百二十三億、預託金が九十八億、大体そんなものでございます。
  144. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 それから理財局長のほうは、結局資金運用部資金二十一兆円を握っておるわけですね。これがたいへん大きな権限になるわけですが、この二十一兆円の運用資金というものを運用する感覚は、運用する大蔵省の考え方は、何とか利回りをよくして、うまい運用をしなくちゃという経済合理主義というか、そういうことばかり先ばしっていて、金融政策上の配慮、ぼくが冒頭に言った物価や過剰流動性、そういうようなものを考慮する余裕がないのじゃないか。というのは、この二十一兆円でどのくらいの、先ほどは平均して六・二%ぐらいの利回りで運用したいということだが、そういう利回りのことを非常に気にし過ぎて、政策的な配慮に欠けているのではないだろうか。国民年金もあれですが、厚生年金資金も全部同じ運用利回りで運用しておる、こういうことですか。簡保もそれから郵貯もそれからコストのほとんどかからない厚年も国民年金も同じ利回りですか。
  145. 橋口收

    橋口(收)政府委員 厚生年金郵便貯金も、いずれも資金運用部資金として統合管理をいたしておりますので、原資として区分はございますが、運用収益は全部プール計算でございます。したがいまして、七年以上の預託金には、預金者平等の原則という立場から全部六・二%の金利をつけておりますので、運用のほうが六・二%でございますから、ほとんど利ざやがないという状態でございます。したがって、貸し付けのほかに債券発行機関で、何と申しますか、比較的収益能力のある機関には債券引き受けということで、これは六・七%程度に回りますので、そういうことでわずかに従来は利益を出しておったのでございますが、最近約二年間の間に短期証券の利回りが一・五%低下をいたしましたので、この一・五%の低下は、かりに平均残高で一兆円の短期証券をもっているといたしますと、年間で百五十億円のマイナスになるということでございます。  そういう点で、最近は非常に収益が苦しくなってまいりまして、この前もお答え申し上げましたが、四十七年度では大体四十八億円という推計をいたしておりますけれども赤字になる、こういう状況でございます。したがって、別に利回りを考えてということではなくて、むしろ運用と申しましても法律で全部きまっておりますので、うまい運用をするというような余地は、実は全くといっていいほど残されておりませんので、日本銀行と打ち合わせて、できるだけ債券類があればこれに運用するということで、わずかに利益を出しておったのでございますけれども、ことしはいま御説明したようなことで赤字になるのではないかと  いうことでございます。
  146. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そうすると理財局長厚生年金国民年金で約七兆二千億円ありますね。これは  ほとんどコストがかかっていないわけでしょう。金利は払っていないわけでしょう、郵便貯金と違うから。やっぱり払うのですか。
  147. 橋口收

    橋口(收)政府委員 払っています。
  148. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 それはどこへ払うのですか。
  149. 橋口收

    橋口(收)委員 これは厚生保険特別会計に対して、郵便貯金と同じように、七年以上の預託金に対しては六・二%の金利を払っております。
  150. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 それならわかりました。私は国民年金厚生年金には金利がついておらぬ、したがって相当の運用利回りが出るのではないかという感じを持っておったが、それは特別会計のほうへちゃんと六・二%で計算して大蔵省は払っているわけですね。では年金も大蔵省は預金を預かっているかっこうになるわけですね。それはわかりました。  そこで、先ほど資料として一、二要求したものを出していただいて、五時にどうしても次の会合がありますので、次の質問はまた保留しておきたいと思いますが、ひとつ開発銀行の資金の利用状況、この資料がありましたらあとでお届けをいただきたいと思います。
  151. 木村武千代

    ○木村(武千代)委員長代理 次回は、来たる六日火曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時五分散会