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1973-07-10 第71回国会 衆議院 商工委員会 第40号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年七月十日(火曜日)    午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 浦野 幸男君   理事 稻村左四郎君 理事 左藤  恵君    理事 田中 六助君 理事 羽田野忠文君    理事 山田 久就君 理事 板川 正吾君    理事 中村 重光君 理事 神崎 敏雄君       天野 公義君    稲村 利幸君       小川 平二君    越智 伊平君       大久保武雄君    木部 佳昭君       小山 省二君    近藤 鉄雄君       笹山茂太郎君    塩崎  潤君       島村 一郎君    田中 榮一君       西村 直己君    八田 貞義君       増岡 博之君    松永  光君       岡田 哲児君    加藤 清政君       加藤 清二君    上坂  昇君       佐野  進君    竹村 幸雄君       藤田 高敏君    渡辺 三郎君       荒木  宏君    野間 友一君       近江巳記夫君    松尾 信人君       玉置 一徳君    宮田 早苗君  出席国務大臣         通商産業大臣  中曽根康弘君  出席政府委員         内閣法制局第四         部長      別府 正夫君         公正取引委員会         事務局長    吉田 文剛君         経済企画庁物価         局長      小島 英敏君         通商産業省企業         局長      山下 英明君         通商産業省企業         局次長     橋本 利一君         通商産業省公害         保安局参事官  田中 芳秋君         通商産業省化学         工業局長    齋藤 太一君         通商産業省繊維         雑貨局長    齋藤 英雄君         中小企業庁長官 莊   清君         中小企業庁計画         部長      原山 義史君         中小企業庁指導         部長      生田 豊朗君  委員外出席者         議     員稻村左四郎君         議     員 福田  一君         議     員 加藤 清二君         議     員 中村 重光君         議     員 近江巳記夫君         議     員 玉置 一徳君         衆議院法制局第         三部長     大竹 清一君         大蔵大臣官房審         議官      旦  弘昌君         厚生省社会局生         活課長     田川  明君         会計検査院事務         総局第四局長事         務取扱     鎌田 英夫君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 七月十日  辞任         補欠選任   米原  昶君     荒木  宏君 同日  辞任         補欠選任   荒木  宏君     米原  昶君     ————————————— 本日の会議に付した案件  中小企業団体組織に関する法律に基づく命令  の規定による織機登録特例等に関する法律  案(稻村左四郎君外五名提出衆法第四八号)  大規模小売店舗における小売業事業活動の調  整に関する法律案内閣提出第一〇九号)  通商産業基本施策に関する件(出光石油化学  徳山工場の事故)      ————◇—————
  2. 浦野幸男

    浦野委員長 これより会議を開きます。  稻村左四郎君外五名提出の自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党四党共同提案にかかる中小企業団体組織に関する法律に基づく命令規定による織機登録特例等に関する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野間友一君。
  3. 野間友一

    野間委員 まず法案の釈明から入りたいと思いますが、初めに第二条の届け出告示というのがありますが、これはいつごろ出すつもりなのか、それが一点です。  それから、届け出内容ですね。これは通産当局の当委員会における私の質疑に対する答弁にもあったわけですが、経済的負担あるいは削減計画、これは要件ではない、こういう答弁もここで得ておるわけですが、その届け出内容ですね。  それから次に、現に届け出告示がない時点において金を集めた工連があるわけですが、この金の返還についてはどうするのか。このあたりについて、提案者を代表してどなたか御説明願いたいと思うのです。
  4. 加藤清二

    加藤清二議員 野間委員の御質問お答えいたします。  第二条の「この法律において「特定織機」とは、次の各号に掲げる規定による届出をした織機をいう。」こういうことでございますが、これは野間委員案内のとおり、いままで通産省には、有籍とはいうものの籍がなかったのですね。記録がなかった。ただ工連にこれがございました。工連にありまする籍というのは、これはもうそのつど登録されておりました。そこで、去年の国会で特定繊維法案が改定されたみぎりに附帯決議がつきまして、その附帯決議から登録無籍を明らかにするようにということになり、その時点において通産省のほうにも台帳を整えるということがきめられたわけでございます。その附帯決議を受けまして、去年の五月から六月にかけて調査をしました。これは主として五工連が主体でございますが、その調査に基づいてそれを集約されたものが通産省のほうに届け出された登録、無登録ということに区別されまして、記録されているわけでございます。その時点のことを届け出をした織機をいう、こういうふうに解釈しているわけでございます。
  5. 野間友一

    野間委員 どうも私の質問にはお答えになっていないわけですが、私の質問は、届け出告示はいつ出すのかというのが一点と、次に届け出内容はどうなのかということ、それから三つ目は、届け出告示はまだ出ていない現段階で、すでに工連が事実上金の徴収をしている、こういうことについて、その返還についてはどのような見解をとっておるのか、この三点です。時間の制約もありますので、簡潔にひとつお願いします。
  6. 加藤清二

    加藤清二議員 工連が集めました金ですね、これは野間さんよく御存じのとおり、当委員会において、過ぐる委員会質疑応答の結果、あれはあやまちであった、したがって、通産省の出しましたのは通達ではなくてメモである、結果御破算にする、立法措置によらなければならぬ、こういうことになっておるわけでございまして、当然その結果から、あの時点において集められました金額というものは返還ないしは保管されているところもあるやにも聞いておりますが、当然効果を喪失している。むしろ集めることはあやまちであると私は解釈しているわけでございます。組合によりましては、すでに返還をしたというところもあるようでございます。
  7. 野間友一

    野間委員 どうもかみ合わないので困るのですがね。届け出をいつ出すのかということと、それから内容はどうなのかということをお答え願いたいと思います。
  8. 加藤清二

    加藤清二議員 質問意味がとりかねているようですから、もう少しあなたの質問内容を詳細にしていただきたい。あなたのおっしゃる二条、「この法律において「特定織機」とは、次の各号に掲げる規定による届出をした織機をいう。」この「届出」のことじゃございませんですか。その届け出ということになりますと、それは去年の五月から六月にかけて調査された時点、つまりそれを届け出という、こういうふうに言っているのですが、あなた、もう少し解釈してみてください。かみ合わぬじゃぐあいが悪いですからね。
  9. 野間友一

    野間委員 どうもこれは前に進まないですね。これはどうしようかな。時間の関係がありますので……。(「どうぞごゆっくり」と呼ぶ者あり)そうですが。二条に、「届出をした織機をいう。」とありますね。届け出は、たとえば綿スフの場合には附則の七項で、これについての告示をする、こういう規定があるわけですね。ですから、この届け出告示を一体いつごろなさるのかということが第一点です。  それから第二点は、それじゃ一体届け出内容について、これはどういう基準あるいは条件があるのか、こういうことをお聞きしておるわけです。
  10. 加藤清二

    加藤清二議員 わかりました。その点ですと行政措置でございます。ここでお断わりしておきますが、私ども議員提案法案は、この法案にかかわる案件だけでございまして、これが発生する以前の問題やら、この法案が通過しました後において行政措置で行なわれることについては、私ども守備範囲外でございますから、行政の問題ですから、そちらのほうにに答えさせます。
  11. 中村重光

    中村(重)議員 私から補足してお答えいたします。  十一月一日にこの規則が施行されております。したがいまして、この時点において稼働しておるところの織機、それを基本にいたします。したがいまして、この法律案が成立をいたしました直後に告示をする、そのように考えておるわけであります。
  12. 野間友一

    野間委員 そうしますと、要するに届け出は、いわゆる昨年の六月十日の時点調査をして、確認をした、しかも十一月一日時点においてそれが稼働しておる、設置してあるという織機についてこれを届け出をする、こういうことになるわけですね。それについては、この法案が成立した直後にこれをつくる、こういうことになるわけですか。  それから第三条関係についてお伺いするわけですが、ここでは通産省令というのがずいぶん出てくるのですが、一つは、第三条第一項の省令とは何ぞやということです。第三条第一項の「通商産業省令」というのがありますが、これは何をさしているのか、まずお答え願いたいと思います。
  13. 大竹清一

    大竹法制局参事 お答えいたします。  この法案の第三条第一項に「通商産業省令で定める種類及び区分ごとに、」とありますが、この「通商産業省令で定める種類及び区分」とは、一体何を意味しているのか、こういう御質問かと思います。  御承知のとおり、この第二条でもちまして現在綿スフ織物調整規則ほか五つ調整規則が出ておるわけでございまして、この三条で、特定織機登録をした場合に、ある織機がどの種類のどの区分であるかということをこの法律ではっきりさせる必要がございます。その種類及び区分分けをこの法律でどうするかという点をこの通商産業省令できめさせようというのがこの通商産業省令で定める云々趣旨でございます。
  14. 野間友一

    野間委員 そうしますと、第二条に、五つ綿スフ絹人絹云々がありますが、これとはどういう関係にあるわけですか。
  15. 齋藤太一

    齋藤(英)政府委員 私は補助説明員としてお答え申し上げます。  第三条の第一項にございます「通商産業省令で定める種類及び区分」というその内容でございますが、種類と申しますのは、この第二条に一号から五号までございます。たとえば綿スフ絹人絹、毛織物、麻、タオル、これを一応私ども種類というふうに考えております。  それから区分と申しますのは、この省令の中に、たとえば綿スフでございますと、綿スフ織物調整規則の中の三条にそれぞれ「登録は、次の各号に掲げる織機区分により行なうものとする。」という区分がございます。これは一号から五号までございます。一号の例を申し上げますと、「広幅生地織物製造の用に供すべきもの」第二号は「広幅先染め織物製造の用に供すべきもの」以下ずっとございますが、そういうふうな区分を考えております。
  16. 野間友一

    野間委員 そうしますと、ここでいう種類は二条でいうこの五つ種類、これをさしていうわけですか。これ以外はないということ、こういうふうに理解していいわけですね。
  17. 齋藤太一

    齋藤(英)政府委員 そのとおりでございます。
  18. 野間友一

    野間委員 できるだけひとつ提案者が御説明願いたいと思うのです。  次に三項の「通商産業大臣確認を受けたもの」というのがあります。この法案の九ページに「通商産業省令で定めるところにより通商産業大臣確認を受けたもの」とありますが、この省令内容はどういうものであるのか、お答え願いたいと思います。
  19. 大竹清一

    大竹法制局参事 お答えいたします。  この第三条の三項は、四分の三という台数算定する場合についての規定でございます。そこで、四分の三の台数を計算いたしますときに、現にある台数の四分の三を計算するということであれば最も簡単なわけでありますが、その現にある台数のうちで昨年のいわば十一月一日以降に、この三条の第三項の第一号ないし第二号のような事情によりまして廃棄されたものがある、こういうものにつきましても、その台数算定をいたします場合に算定基礎に算入してやる必要がある、こういう観点から、ここにございますとおり、確認廃棄織機というものを台数算定基礎に入れよう、しかしその基礎に入れるのにはやはり行政的な手続が必要なものでございますから、一応通商産業大臣確認を受けさせよう、その場合にその確認を受けるのにどういう手続確認を受けるかという点を、要するに行政機関にまかせるという意味におきまして、この通商産業省令でこの確認手続をどうするか、こういうことを書かせようというのがこの通商産業省令趣旨でございます。
  20. 野間友一

    野間委員 どうも提案者お答えにならずに通産省やあるいは法制局のほうからお答えになるわけで、私たち非常に心外に思うわけですが、こんなことでやりとりしておりますと、一週間あっても時間は足らぬと思いますので、中身について質問を続けたいと思うのです。  まず、無籍織機発生及び増加の原因について、それぞれの提案者からお伺いしたいと思うのです。
  21. 福田一

    福田(一)議員 福田一でございます。  先ほど来いろいろ御質問がございまして、われわれ提案者のほうから説明不足であるという御不満でございまして、まことに申しわけないと存じております。しかし、法律は、もう野間さんも御案内のとおり、どういうような実態があるかということを認識いたしまして、その実態をどのように改善するというか、法律において制限をするか、あるいは権利を与えるかということになりますので、法律条文一つ一つについて御質問があれば、もちろん提案者としてお答えすべきことは当然でございますけれども織機には、もうすでに御案内のように、綿とか絹とかタオルとか麻とか絹人繊とか、いろいろな分野がございます。なお、場合によりましては、毛布などの関係等にいたしましても別のまた一つ分野もあり、いろいろ多種多様にわたっております。そういうものを規定いたします上では、どうしても条文一つ絹人繊なら絹人繊というものだけということになりますと、非常にわかりやすく条文で出すことができるのでありますけれども、こういうものをいろいろ踏んまえておりますので、第二条において、通産省省令に基づく分野というものをきめており、それから第三条におきまして、今度はそれを受けて、これを今後どうしていくかというようなことを規定いたしておることは、もちろんあなたももう質問をなさる以上はおわかりを願っておることだと私たちは考えておるわけでございます。これはほんとうを言いますと、御質問者の属しておられる共産党のお方とも御一緒にひとついわゆる零細企業であるところの人たちを救うような法律をつくりたいというのが提案者各党の意見でございまして、その意味では、おそらく御質問のあなたもよくおわかりを願っておると思うところでありますが、ただいま御質問がございました、なぜこういうものが出てきたのかということになりますと、御案内のように、安定法に基づきまして織機登録をするということにしておったわけでありますが、織布業というのは非常に浮き沈みの激しいといいますか、いいときと悪いときが非常に多いわけでございます。そうすると、その浮き沈みが、非常に悪かったときにはやはり零細企業でございますから何らかの措置をとってやらなければいかぬというので買い上げをする。ところが、今度はまた非常に需要がふえてくるということになりますと、いろいろの事情もあります。それは自分でつくりたいと考える者もあるし、あるいはまた問屋とか商社からつくったらどうだということを言われてつくる場合もあるし、いろいろのやり方はあったにしても、やはり需要が非常にきついということになりますと、またそれがふえてくる。いわゆる法律があるのでありますから通産省がそれを取り締まればいいではないかということはわれわれもわかっておるのでありますけれども、なかなかそこまで手が回らなかったということが今日の無籍織機が出てきた一番大きな原因ではなかろうか。これはもう質問者も十分おわかりのことと思いますが、私があえて御質問がございましたのでお答えをいたしました。
  22. 野間友一

    野間委員 私ども、他の党の有力者の方なり、あるいは他の党の書きもの等を通じて、あるいは私自身も調査して、無籍発生理由あるいは存在原因等について調査したわけですが、一つは、登録台数昭和二十九年以降固定しておる。しかも、これは需要がどんどん拡大するにもかかわらず、そのまま変わらない。その中でその登録証が入手できない、あるいはたまに不正な手段あるいはその他の方法によって入手できても、これは多額の経済的な負担が必要である。こういうようなことが前提になりまして、好不況というような業界の中で、大手の織物業者が、これは親機なんですが、無籍安全弁として使ってきた。人手不足や、あるいは危険負担の回避、それから工賃の上下、すべてこれらの安全弁なんですね。こういうことで親機が利用して、賃機業者をずいぶんつくってきた。さらに農業構造改善事業、この中で、田畑を追われた農民というか、百姓ではめしを食えぬ、こういう方々、いまの致命的な農業政策の中で追っ払われた農民がほかに転職するという場合に、たとえば羽島のごときは、市が積極的に賃機業への転換を奨励した、こういう事実もあるわけですね。それからさらに、過疎対策一つとして賃機を奨励して、しかも、無籍織機の買い入れについて県が利子補給をした石川県の能登の例、これは稻村先生、御承知のとおりなんですね。しかも、政府は、このような登録制度を設けながら、繊維産業の原糸の生産、販売あるいはその織機機械生産、これには今度全く歯どめがされていないということ、これはあとでまた申し上げますが、こういうような事態の中で無籍がどんどん出てきた。したがって、私ども考えますのに、無籍発生し、またそれが存在するということについては、無籍業者にはごうも責任はない。したがって、たとえば融資対象にしたり、あるいは山梨県知事の場合には、これは認定書について認めているわけですね。要するに、無籍であっても、工連がそれを認定して、そしてこれがいわゆる社会的に通用する、融資対象にもする、そういうかっこうでやっておるわけですね。こういうような事実を考えますと、やはり何といいましても、高度経済成長の中で、生業的にやむを得ずに、しかもいま申し上げたような範囲の中で無籍がふえていったということがこういう事実の中からうかがわれると思うので、この点については、自民党あるいは社会党その他の文献や話を聞いたわけですが、異論がないと思うのですが、そのような私の指摘は誤りかどうか、加藤先生稻村先生、ひとつお答え願いたいと思うのです。
  23. 福田一

    福田(一)議員 ただいまの無籍織機ができてきた事情についての御説明は、そのとおりだと思っております。しかし、私は、一言だけお答えをさしていただきたいと思いますことは、民主主義をやります上で法律をつくります。その場合に、やはりその法律はいかなる場合においても、国民としては守っていただくということでなければ、民主主義下においてわれわれ立法府がこの法制をつくったものが実行されないということになりまして、これは法理論のようなことを言うのははなはだ失礼ではありますけれども法律を知らないからといって、その法律規定することについて違反したことは、おれは正当なんだ、知らなかったからあたりまえじゃないかということは認められないことになっておることは、もう御承知のとおりでございます。  そのようなことでありまして、したがって、また法律を知らなかった、あるいはよく理解をしておらなかった、あるいは行政庁が何らかの措置をいたしたといたしましても、これを法律に違反しておるような措置をしたとすれば、これは無効と考えなければならない、立法府の権威というものは、やはりあくまでも守っていかなければならないというたてまえからいいますと、登録をしなければならないといっておる以上は、そういうふうに登録をしてもらうべきであって、それがいろいろの事情でできなかったということで、それは正当にやったのであるということは、いささか無理が出るのではないか、こう私は考えております。
  24. 加藤清二

    加藤清二委員 御指名でございますから、お答えをいたします。  やみ発生存在理由存在価値につきましては、本委員会で討議が行なわれましたときに、私もあなたと一緒で、質問台に立って、中曽根通産大臣質問した点でございます。発生理由は、野間委員と大同小異と申しましょうか、大体おっしゃるとおりでございます。そもそもやみ発生をいたしたのは、登録という権利を与えたというところから発生するのでございまして、それは古くて新しい問題でございまするが、一番古いのは小室案時代からでございます。それから磯野案乙竹案と参りまして、最も手近なのは、御案内のように、構造改善にかかわる案件であり、アメリカの日本繊維制限から発生するところの受けざら、そこから発生しておるのでございますが、これがなぜ発生するかということは、あなたの御指摘のとおり、産元であるとか、大機屋であるとか、紡績が自分の母体を守るための調節弁にいたしておるという問題と、自分工場でつくるよりははるかに安上がりであるという問題、ここからやみ——やみと言うては失礼でごさいまするから無登録と申しますが、無登録発生する理由があると存じます。  同時に、このやみの、無登録存在している地図をながめてみますると、大体が過疎地帯、しかも寒冷地単作農業地帯、つまり、いえば農閑期に手間ひまがあるというところが多いようでございます。その地点におきましては、野間委員が御指摘になりましたとおり、町村長までがこれに協力しているということは事実でございます。自分の村に税金を納めてくれる人は、なるべく自分の村にいてくれたほうがよろしい、出かせぎに行けば、本人のみならず、かぎっ子までが困る。過疎過密関係からすれば、当然町村長としては、自分の村に工業化をはかるということは理の当然でございまして、これは発展途上国も、いまなお同じコースをたどっているわけでございます。  こういういろいろな原因を考えてみますると、日本に無登録、すなわち法律の網をくぐってこれが発生するということは、ただ通産行政のみならず、日本の農政を顧みなければ完全な防御策はできないのではないかと思われるほど、農村の過疎地帯に縁が深いようでございます。  まあそういう発生理由があり、存在価値があった。ゆえにこそ、これがいまなお継続されて発生がとまらないということでございまするけれども、とにもかくにも小室案時代から何度も何度もその法律がつくられました。そうして最後は構造改善法でございます。いま福田議員も述べられましたように、法律がある以上は、法治国ではそれを守るのが国民のつとめであり、知らざるをもって免れるということはできないと私も存ずるわけでございます。
  25. 野間友一

    野間委員 私は、法律上これが適法か違法かという問題を論じておるわけじゃないのです。このよって立つ背景、政治的、社会的背景、これは一体どうなのか、そのことについて無籍業者を責める余地があるのかないのかということを私は指摘してお伺いしておるわけです。その点については、いまの福田さんあるいは加藤さん、いずれにしても存在理由については是認していただいた、こういうふうに私は理解するわけです。  そこでお聞きするわけですが、この法案の目的のところにもありますように、「織物製造業者の大部分が小規模企業者である」、これは私ども実態調査したところによりましても、生業として行なっておるというのが大部分だ。この点については皆さんお認めいただけると思うのですが、稻村先生いかがですか。
  26. 稻村佐近四郎

    ○稻村(左)議員 これは無籍発生原因とこの生業というものはうらはらの関係があるわけですが、さきの無籍織機発生は一に通産省の責任であると一言に言うことができると私は思います。いつまでたっても通産省がもたもたいたしておりまして、特に零細業者が多いという零細過多性である、あるいはまた無籍発生等々もその産地によって事情がたいへん異なっております。そういう意味からこのままで放置しておくとするならば、やはりたいへん大きな混乱を来たすのではないか。特に商社の土地投機あるいは商品投機に見られるような目に余るものがあるわけです。そういう意味から、こういう一つの網をかぶせてありながらもこういった状態が続くわけでございますから、これは通産省にまかせておいてもだめだ、こういうようなことから議員立法に踏み切っていった。そこでこの法律が通ったとするならば、当然、今後のポスト効果、日本の将来の繊維産業計画というものも成り立ってまいります。また、現在の零細業者を守るということは時の流れであり、当然過ぎるくらい当然でございますので、この法律の成立によって零細業者をここで守っていかなければならない、こういう意味からここに四党の議員提出という運びになったわけであります。
  27. 野間友一

    野間委員 そこでお伺いするわけですが、そういう事実を前提として考えた場合に、たとえば登録対象になる織機、これは三条等によって四分の三、つまり四分の一については減少していくということが前提になっておると思うのです。五条では、事業計画あるいは資金計画をつくって、通産大臣の認可を受けなければならない、こういうようなことから考えますと、要するに、向こう五年間で二五%これを削減していくということに相なると思うのです。先ほどお答えがありましたけれども、要するに、生業的にやっておる業者が大部分である、しかも労働の実態について考えれば、私は本委員会でもやったわけで丈が、たとえば稼働時間が一宮の場合には一日平均が十四・五時間、最低八時間、最高は十八時間と非常に過酷な長期労働時間の中で、しかも工賃は織機一台月平均が六万四千百二十円、これでいろいろ考えてみますと、まさにつめに火をともすというのですか、零細企業者が工賃を下げられて、そして稼働時間も非常に長期で、身を粉にして働いてやっと生計を立てておるというのが現状だと思うのです。にもかかわらず、この法案によりますと、およそ五年間に二五%が削減される、四分の一が削減される。一体このような生業として生活をしておる、生計を立てておるというような人たちに対してこれ以上削減するということは、いまの提案者の話とは矛盾すると思うのです。したがって、何がゆえにそのような生業者を締め出すために三条あるいは五条、こういう関連からして四分の一を切り捨てるのかというあたりについて説明を求めたいと思います。
  28. 福田一

    福田(一)議員 お説のとおり、今度認める無籍織機台数のうちの四分の一というものは、全体の織機無籍でないものも含めて五年間に減らすようにする、こういう条文になっておることは仰せのとおりでございます。しかし、いま実際に非常に少数の——少数といいますか、零細企業のお方が仕事をされておって、それが相当過酷な状態にあられるというお話を聞くのでございますけれども、そのとおりであります。しかし、この織布業というもの全体がうまく運営されるような仕組みに持っていかない限りは、そういうような非常に過酷なといいますか、工賃などが安いというようなことも、いままで一つ親機がいろいろやったとか商社がいろいろやったとかいうように、自分の利益のためにそういう人たちに、場合によっては金を貸したり、あるいはあなたおやりなさい、仕事は出してあげます、こういうことを言ってやっておったわけでありますが、そういう場合、工賃などをある程度引き上げるという場合にも、そういう無籍のものが存在いたしておりますと工賃の引き上げということは、いつでも商社とか、あるいは親機から押えられてしまう。親機がそれを利用して、それならおまえのところに頼まないでいい、うちの関係しておる機屋さんで織ってもらうからということでだんだん工賃を下げておる。これが織機関係全体に及ぼしておる悪影響というものはたいへんなものだということはあなた方もよくおわかりを願っておるところだと思うのでありまして、やはりこの際、織機を全部表へ出しまして、そうしてみんなが協力をいたしますれば、いかに綿の関係すなわち紡績関係とか、あるいは化繊の関係、そういう原糸メーカーというものが無理をしようとしてもこれを防ぐことができるわけであります。ところが、無籍存在いたしますと、あそこでやれば安いのに何でおまえのところはやらないのだと言われると、機屋さんというのは非常に弱い立場にありますから、これが非常に困るわけです。これはもうお認め願えると思うのでありますが、そういうような小さい機屋さんが無籍を持っておることも事実でありますから、それならば、ほんとうは法律を認めないでやってもらっておるのだが、しかし、そういう零細のお方を救うためには四分の三は無条件で登録権利を与えましょう、だけど、その残りの四分の一につきましては——全部が全部それを与えてしまいますと、いままで法律をちゃんと守っていた人あるいは省令をちゃんと守っていた人からは非常な不平不満が出るわけでございます。私は、法律というものは、大多数の人の利益というものも少数の人の利益と同様に十分重んじていかなければならないと思うのでありまして、無条件でそういうものを全部認めるということにした場合に非常な不平不満が出てくると思います。  それから、この織物の需給関係を考えてみますと、すでにこれはあなたももうおわかりかと思いますけれども、綿などはどんどん方々で制限をしたりいたしておりまして、これが今度は化繊のほうへ回っていくか毛へ回るか知りませんが、これは非常に問題点が多くなってまいります。それからまた、いまのところは日米綿製品協定が結ばれるということがあって、在庫が非常にタイトになっておったところへ需要がふえてきましたから、そこでどんどん景気がよくなって、いまのところは非常に仕事が忙しいのでありますけれども、しかしもうすでにそのかげりが出てきておることもあなたは御承知だと思うのでございます。御勉強になっておられますから十分おわかりを願っておると思うのでありまして、そのかげりが出てきておる段階がもうすでにきておる。しかも、これからは韓国とか台湾というようなところへ商社が注文をしたりして、同じ品物を安く輸入するというようなことが出てきますと、またそれが影響する。こんなような問題等も踏んまえていきますれば、いまの稼働率が非常にいいということが必ずしも長続きするとは考えられません。また、実は通産省が審議会にいろいろ依頼をいたしまして、今後の需要の見通し、供給の見通し等を研究さしていますが、これにおきましても、やはり五年後においてはいまより以上に織機台数を必要とするというか、生産能力を必要とすることはないだろうというような答申が出ておる関係もございまして、この際そういう不公平とか需給の関係とかをにらみ合わせて、いままで法律に基づいて登録をやっておった人の台数も含めて今度全体の無籍の四分の一、その数字だけは減らすような計画がそれぞれの組合でできるならば、その分は一応先ほど仰せになった零細企業という立場を十分考慮してひとつ認めていこうではないか、こういうことが法律の精神であり、またそれの精神を立法化いたしておる、かように私は理解をいたしておるわけでございます。
  29. 野間友一

    野間委員 結局いままで若干お伺いした中でも明らかなように、要するに、無籍登録制限されて、その後社会的、政治的な配慮によってずっとふえてきた。織機も原糸も全く無制限という中で、しかも、無籍業者が生業としてやっておるというのが大部分だという事態を踏まえた上で、なおかつ四分の三については登録を認めるけれども、四分の一は五年間でこれを切り捨てていく、こういうことになりますと、やはりその前提と矛盾してくる、こういう結果が生まれるのは当然だと思うのです。しかも、五条によりますと、事業計画、資金計画を立てまして、通産大臣の認可がなければ四分の三についての登録もできないわけでしょう。ですからこういうことになりますと、要するに無籍を救うといっても、これからすると結局零細企業者の切り捨てという結果にしか相ならぬと思うのです。加藤先生、この点いかがですか。
  30. 加藤清二

    加藤清二議員 御指名ですからお答えいたします。  無登録存在価値は私どもも十二分に認めております。     〔委員長退席、田中(六)委員長代理着席〕 同時に、したがって、生業だけは助けてやれ、小室案のおりに登録漏れになったものは救ってやれ、国民の義務として税金を納めている者は免除してやれ、これが私ども基本方針であり、この点はすでに二月十日、五月七日の両回にわたって私どもの案として皆さんに御提示してございます。ですから、よく野間先生御案内だと存じますが、その点は意見が一致しているわけでございます。ただ、全部認めるということが可能か可能でないか、需給関係政府当局にも調査させると同時に、私どもも全国各地をちょうど一年半にわたって調査をしてまいりました。その結果からいたしますと、現在の織機の数が必ずしも現状にマッチしているとは思えない。五工連のほうは四分の一程度は多過ぎる、こういう結論のもとに、それでは四分の一は削る計画を立てましょう、こういうことになったのですが、これは何も現在無登録の人から削るということではございません。御案内でございましょうけれども、四、五年の間に周期がございまして、糸へんの景気というものは循環していくのです。その歴史的事実から見ましても、これは削るべきである。しかし、無登録から削るとはどこにもうたってございません。全体の中から希望によってやめていく人の分を買い上げようということでございまして、これは過去においても行なわれたことであり、何も三台、五台とか二十台とか、なりわい以下の分だけが削られていくのではなくて、むしろ過去の状況からいきますと、綿に例をとれば百台、二百台、三百台、五百台というところのほうが転換が多かったようでございます。方向転換をしていくそういう人の場合にこれを適用するということでございます。  もう一点は、かけ込み増設と申しまして、私どもではどうも理解のできないことがございます。いつの場合もそうです。小室案時代からずっとながめてみますと、法律が行なわれるとなりますと必ずかけ込み増設が行なわれる。この糸へんだけがそうかと思っていましたら、百貨店までがそうなっているということでございますが、これが大口に、なりわいではなくて大企業のダミーとして、あるいは一貫作業としてこれが行なわれる状況にございまするので、これを認めるわけにはまいらぬ。むしろ削るならばそういうところを削るべきである。なりわいは希望があれば削るけれども、しからざればこれは削らないという基本方針でございます。
  31. 田中六助

    田中(六)委員長代理 答弁者の方々に申し上げます。答弁はできるだけ簡潔にお願いいたします。
  32. 野間友一

    野間委員 これはあまりかみ合いませんし、時間の関係がありますから、私の質問はこの程度で留保して、荒木委員にかわりたいと思います。
  33. 田中六助

    田中(六)委員長代理 荒木宏君。
  34. 荒木宏

    荒木(宏)委員 私ども日本共産党は、従来から無籍の方々も含めて、小規模零細な繊維業者人たちの営業と生活をどのようにして守っていくかということを考え、またそのために努力をしてまいりました。今回、特繊法の延長に伴って、昨年来無籍実態調査がやられまして、いろいろの経過の末に今回の四党の議員立法になったわけでありますが、法案を拝見しますと、提案者の先生方の御苦労はその中にいろいろとうかがわれるわけであります。しかしながら、まことに残念ながら、今度のこの提案された特例法の内容に盛られておりますことは、決して繊維業者人たちの生活と営業を守るゆえんではない。なぜかと申しますと、戦後ずっと続いてきました繊維行政生産調整と織機の廃棄、はっきり言えばコントロールすることと、それから破砕することに終始をしてきた、こう言っても過言ではないと思うのです。そうして、今回の特例法はその内容を受け継いだ延長線上のものであり、私どもの手元へは業者人たちの非常に強い要望が出されておりまして、まず、日米繊維協定、ああいうのはやめてもらわなければいかぬ、そして、業者人たちの自主的な協業化、協同化に政府はうんと腰を入れて助力をし、そしてその上に立って、現在の業者人たちの営業権を守る、有籍、無籍を問わず営業を守って、買い上げ問題はそういうのを希望する人、自発的な希望者に対して正当な価格で行なうべきである、こういう非常に強い要望が出されています。私は、繊維問題の解決はそういった業者人たちの強い要望を十分くむような方向で民主的にやらなければならない、ところが、今回の特例法案は残念ながらそれに逆行する内容を持っている、このことを申し上げておいて、その立場からお尋ねしたいと思うのであります。  まず第一点は、減少計画であります。御案内のように、昭和四十二年に特繊法ができまして、十六万六千台、五年間でやろうじゃないか。ところがこれがさっぱり予定どおりいきませんで、先年の延長になったのは御承知のとおりでありますが、あれをあのとおりやれば、今度何も減少しなくていいじゃないか。四十六年になりまして二七%、わずか三万そこそこしかできておらぬという。あれをやれば今度こんなものは必要ないと私は思うのでありますが、その点についてまず提案者に伺いたい。
  35. 福田一

    福田(一)議員 お答えをいたします。  お説のように零細業者の問題は十分考えなければなりませんが、いま登録をされているのは御案内のように約七十万台近いものでございます。そして、現在昨年の六月で調査いたしましたのは十二万六千台の無籍がある、こういうような数字が出ておるわけであります。これが一応大まかに見た織布業実態であります。その場合に七十万台の人の権利も、また生業という問題も十分考えなければなりません。同時にまた、そういう十二万六千台の無籍織機人たちのこの立場も十分考えなければならない。それをあわせ考えた場合において、このような法律をつくるのは最も適当であるというのがわれわれ共同提案者の考えでございまして、お説のようにすでに十六万台等の整理をするということは実際にはできておらぬじゃないかということもこれは事実でありますけれども、それが織布業の特徴と申しますか、織布業というのは、いままでは非常に景気のいいときと景気の悪いときが常に一年交代くらいに出てまいりました。そうして、景気のいいときには非常に必要とする織機が、今度は景気が悪くなりますと、全く銀行の利子も払えないというようなひどいことが、浮き沈みが多いのでございます。そういう点から考えまして、今後はひとつそういう浮き沈みが出るのを、工賃が安過ぎるからだ、工賃が安定するようなくふうをするにはやみ織機を全部表へ出してしまって、そうして組合がみんな共同して、商社なり、注文をする人に対抗できるような措置を考えてあげることが七十万台の有籍のお方も救い、同時にまた十二万六千台の無籍人たちの生業も救う道に通ずる、こういう考え方から私どもはこの法案は出したということを御理解願いたいと思います。
  36. 荒木宏

    荒木(宏)委員 ちょっと御注文申し上げておきますが、時間が限られておりますので、実態関係承知しておりますので、お尋ねしたことだけひとつ要領よくお答えいただきたいのであります。  いまお答えを伺っておりますと、有籍と無籍を分けて両方並び立つようにという、こういう御答弁のようでありますが、私がお尋ねしたのはそうじゃなくて、先ほど提案者の御説明の中に、破砕は何も無籍の破砕には限らぬのだ、金は無籍のほうから四分の一出してもらうけれども、破砕は有籍、無籍を含めてこれはつぶすのだ、減少していくのだ、こういう話ですよ。そこで私が聞いておりますのは、かって十六万六千台つぶしましょう、金も出しましょうと言ったのに、四年たって三分の一にもいかない。また、円の切り上げがありましたときに、このことで損失補償せいと言っても、これもまた買い上げの問題が起こりました。御案内のように、日米繊維協定のときも、第一次、第二次といって損失補償で十四、五万台も買い上げをやろうといっている。全部つぶせば三十万台をこえるのですよ。これは御承知のように有籍のほうをやるのです。それがあって、ろくすっぽできていないのに、今度また減少しようといったら、いままでやったのをやめさせて、中途はんぱにたな上げして、うまいこといかぬから、無籍のほう、おまえ今度金を出せ、これじゃ筋が通らぬじゃないか。前のことをちゃんとけじめをつけて、全部きっちりとして幕をおろして次にかかる、これが私は筋だと思うのです。前のことが途中で中途はんぱでどうなったかわかりゃせぬ、それでこれに移るというのはいささか筋が通らぬと思いますが、いかがでしょうか。
  37. 福田一

    福田(一)議員 お説のように、そういう計画を立てて実行できなかったということは、私は、織布業関係人たちのある意味では責任もあるし、また通産省の責任もあると思います。それだからといって、法律によって登録してくださいということをいっておるのに登録をしなかった人、その無籍人たちに全然何らの責任がない、こういうふうに考えるのは、いささか私は過ぎるのではないか、こういうことを申し上げておるのであります。
  38. 荒木宏

    荒木(宏)委員 よくわかりました。  そうすると御提案なさった皆さんは、要するに、通産省もいかぬ、業界もいかぬ、無籍もいかぬ、みんないかぬのだ。私はそういうものじゃなかろうと思うのです。ものには順序があり、ものごとには手順とけじめがあります。ですから、まず一番基本はやはり通産行政でありまして、政府の責任、これはゆるがせにするわけにはいかぬと思うのです。御提案なさった皆さん方は、なるほど登録制度があるにかかわらず、無籍の諸君がそういうことをやっておるから、その辺についてけじめをとれ、こうおっしゃる。納付金が、つまりみせしめ的なものだとすれば、それはそれでまた数量の検討のしようもあります。しかしそれをいうには、まず政府に一体どうなんじや、工連の幹部の人たちに一体どうなんだ、台数はうんとそのほうが多いのでありますから、しかも金は政府から出ておるのでありますから、これは国民の税金ですから、国民の税金を中途はんぱなことに使っておいて、そのけじめをつけずに無籍の皆さんからお金を出しなさいというのは、国政をあずかる立場としては、これは筋の通らぬ話だと私は思いますよ。先ほど来いろいろおっしゃっておるのですが、そのこととあわせて、今度のこの減少計画は、組合もしくは連合会がやる。前の買い上げもやはり連合会、組合がやったわけですよ。うまくいかなかった。それが同じようなことで、今度それがうまくいくという保証がありますか。  私がお尋ねしたいのは、まず最初に、けじめがはっきりついていない。事は税金の問題だ。しかも政府の責任だ。それを四党の皆さん方はどうお考えになっておるか。前にやった同じところ、団体がうまくいかなかったのに、今度またそこへやらせよう、うまくいく保証があるのか、この二点についてお尋ねいたします。
  39. 福田一

    福田(一)議員 私は、政府並びに工連に責任があるということについては否定するわけにはまいりません。これはもうお説のとおりだと思っております。そういう意味ではお説のとおりだと思っております。しかし、前にそれができなかったから今度はできるか、できないか、こういうことでございますが、それは前には全部が登録でもされておればこれが非常にやりよいのであったのでありますが、それができておらなかったり、あるいはまたほかの商社とかそういう方面の圧力があったり、大企業の圧力があったりいたしまして、実際にはできなかった面があると私は思っております。  そこで、今度は零細企業も助け、なおかつ零細企業もほんとうに生業を営む、そして安い工賃でなく仕事ができるようなくふうをするには、いわゆる無籍というものを全部有籍にいたしまして、その上に立ってやるということが織布業全体の利益になるということをわれわれは確信をいたしておるのでありまして、また、それだからといって、いますぐに四分の一は切り捨ててしまうというのではないので、事情を勘案しながら、五年の間にその四分の一を八十何万台のうちから順次減らしていくのである、こういうことでありまして、そこいらにはやはり政府としての手心を、あるいはわれわれが法律をつくりました以上は、これを監視する必要があると思いますが、前にうまくいかないから、それでもうそのままほうっておいていいということにいたしますと、私は今後繊維業界に非常に大きなあらしが吹いてきましたときには、こういう零細なお方たちに対する措置というものが非常に困難になるのじゃないか、こういうことも考え合わせまして、この法律を出したわけであります。
  40. 荒木宏

    荒木(宏)委員 先生にはっきり申し上げておきますが、無籍を有籍にしようというその方向は、これはいままでの質疑で明らかでありますように、私どももそれはそういう方向を支持してまいりました。ただ、一つは、無籍人たちから納付金を取ろうという、これはいまの責任問題とそれから手だての保証から考えればよろしくないのじゃないか、こういうことを言っておるわけであります。この根拠という点から言いますと、先ほど来いろいろなお話があり、御説明いただいた中で、景気は循環するものだということがありましたが、だとしたら、また好景気が回ってくるわけですね。また、あたかも需給現象が自然現象であるかのような表現もありましたけれども、これはそうじゃありませんよ。日米繊維協定それからドル・ショックの問題、切り上げ、あれは政治現象ですよ。しかも、これは自民党政府の責任じゃありませんか。だから、そういったところから起こっている根源を解決すべき問題であって、無籍人たちに納付金というような形で金を取って解決するような性質の問題じゃない。私が申し上げているのはその点なのであります。政府の責任をほおかぶりをし、従来うまくいかなかったところにメスを入れずして、それで納付金を安易にそこから求める、いまなるほど大商社というような話はありましたよ。それなら、その大商社を取り締まる手だてをこの特例法案の中にどうして同時に盛り込まれないのですか。つまり、繊維の問題については、従来からいろいろ問題は出てきておりますけれども、それを無籍零細企業人たちに納付金を出せというような形で解決を進めようとしておられるこの特例法案、そこに私どもはうなずけない点がある。  ことに、戦後の通産行政を見てみますと、御案内のように、三十一年に例の臨時措置法ができまして、三十九年に大改正をやりました。あのときは、スクラップ・アンド・ビルドで、転廃業についての十分な手当ては何もせずに、むしろ輸出増進で、さあやれ、こうやれといって、合繊も、綿紡のほうも、糸も、自由にワクをはずしてしまって、輸出していいからというので、さあ行け、こうなったわけですよ。ところが、景気局面が少し変わると、今度はぎゅっと締めにかかって、しわ寄せがどこにくるかといえば、小規模業者にお金を出せ、政府は二へん、三べんとお金を出したから、今度はめんどう見切れぬ、しかも、出したお金が十分生き切れてない面がある。きょうは時間があれですから、会計検査院のほうにも来ていただいておりますが、この調子ではお尋ねの時間があまりないかもしれません。もう御案内のように、会計検査院が回って、登録制度がそのとおりやられてない。名義だけころっと変えて買い上げ対象になってみたり、無籍が買い上げ対象になってみたり、何件も何件も指摘をされている。そういったことについても、今度の法案では手当てなくして、さあ無籍のほうにお金を出せ、こうきている。ですから私が申し上げているのは、需給関係については景気循環ということをおっしゃる、結果から見ればそういう点はありましょう。それならそれで確固とした見通しを立てた小規模零細業者人たちを保護するという方向での行政基本がなければならない。それが変わるものであるからということで、自然現象であるかのごとく思われている。ですから責任の問題、根源のとらえ方の問題、そうしてこれを手当てする団体の処置の問題、そこらが全部そのままになっておって、しかも結果はみんな提案者もお認めになっている、そうして納付金ということで金を出せ、そこへいっている。私はこのことははっきり指摘したいのです。  それから、実際にこのことで生活を維持しておる業者人たちは、自分のはだ身で感じているから、これは納得できない。従来の自民党の通産行政の路線に乗るものじゃないか、この指摘は当然であり、私はもう提案の皆さん方にこれはぜひ再検討をお願いしたいと思うのです。御意見を伺いたい。
  41. 中村重光

    中村(重)議員 私からお答えいたします。  先ほど野間委員、いままた荒木委員からいろいろ御指摘がございますが、提案者である私どもの考え方と全く逆である。私ども零細企業者の救済をどうするか、このまま放置したならばいまのような通産省の繊維行政のだらしなさ、これを放置したならば、もっと零細企業者は困るであろう、ここで歯どめをしなければならないという、その発想の上に立って、この登録のための法律案を提案をしたということをまず第一点御理解をいただきたい。  それか巨先ほど野間委員はかみ合わないということをおっしゃいました。これは……(発言する者あり)ちょっとお待ち下さい。関連がございますから。かみ合わないという形で残したままあなたの質問に移ったわけでありますから……(荒木(宏)委員「私はそんなことを言っていない」と呼ぶ)野間委員の、先ほどのかみ合わない……(荒木(宏)委員「これは野間委員質問が閉じたときに御答弁いただきたい」と呼ぶ)あなたは、関連という形であなたに移ったわけです。  四分の一の問題は、四分の三というものを有償でやるということですよ。四分の一は切り捨てるということではございません。四分の一というのは納付金という形にし、まず端的に申し上げれば有償であるということであります。零細企業者を四分の一切り捨てろというのではなくて、五十三年を目途にいたしまして工連が事業計画あるいは資金計画を出すわけです。その資金計画、事業計画というのが妥当であるならば通産省がこれを認可する。零細企業者切り捨てという一方的に偏するような事業計画、資金計画であればこれを拒否する。認可をしないという形になってくるわけであります。したがいまして、私どもは、今後皆さん方と一緒になって、通産省が大企業擁護の方向をとるならば断固これに反対をする、これをさせないという形で取り組んでまいりたいという姿勢をまず申し上げておきたいと思うわけです。  なお、いろいろ荒木委員から御指摘がございましたが、このまま放置しておいたらどうなるのだということです。この目的の中にもございますように、無籍業者というものは大部分が小規模企業者であるということです。そうして織機台数は長期的には過剰状態になるということであります。ところが無籍は、過剰状態になってこれを買い上げるという場合、買い上げの対象にならないということであります。どうしてもこのまま放置できないから登録をさせる、その登録をさせるためには、これは法律をくぐって、法律に違反してどんどん織機を設備しているわけでありますから、これは救済の対象になりません。ほんのわずかな金でありましても納付金を出しておいて、そうしてこの買い上げの対象になりました場合に相当価格をもってこれを買い上げさせるというようなことがなければいけないのではないか。無籍なるがゆえにまた大企業からのいわゆる低賃金をもって機を織らせる、低賃機という形になっておる。しかし、登録させることによって、胸を張ってそうした大企業の圧迫をはね返すことだってできるのではないか。そのためにはやはり法律からこれを守っておくという体制をつくり上げておかなければならぬのではないかという点であります。  さらにまた、先ほど何のために大企業の取り締まりを考えないかということでありましたが、この法律案は、そういう取り締まり立法ではございません。これは登録の立法であります。取り締まりは団体法九十四条、その事業停止命令その他によって断固これの取り締まりをやらしていかなければならない。通産省の今日までの繊維行政のだらしなさということは私どももきびしく今日まで指摘をしてまいりました。しかし、どうすることもできないというこの実態の中に立って、これは決して通産行政というものを私どもはカバーをするというような観点からではなくて、どうにもできないのだから、放置できない、ゆゆしき事態になる、零細企業者は私どもが乗り出さなければこれを救済することはできないという、冒頭申し上げましたような考え方の上に立ってこの法律案を提案しておるということをまず御理解をいただきたい、そのことをお答えをいたしまして私の答弁といたします。
  42. 田中六助

    田中(六)委員長代理 荒木委員にお尋ねいたしますが、あなたの質問の焦点をしぼりますと、無籍者からなぜ納付金を取るかということだと思いますが、どうですか。
  43. 荒木宏

    荒木(宏)委員 いまの御答弁で私特に再答弁を求めておりませんので、次の質問に移らしていただきたい。
  44. 田中六助

    田中(六)委員長代理 それの答えはいいですね。なぜ無籍が……。ちょっと整理をいたします。私の言うとおりにしてください。
  45. 加藤清二

    加藤清二議員 私の答弁に対する反論がありましたから、答弁さしてください。
  46. 田中六助

    田中(六)委員長代理 加藤さん、ちょっと待ってください。
  47. 荒木宏

    荒木(宏)委員 これは討論しているんじゃありませんよ。
  48. 加藤清二

    加藤清二議員 討論じゃありませんけれども、私の言っていることに対して……
  49. 田中六助

    田中(六)委員長代理 ちょっと待ってください。荒木宏君。
  50. 荒木宏

    荒木(宏)委員 いま中村先生から御答弁がありまして、私それなりにお考えの基礎がわかったと思うのですが、通産省がお手上げになっている。このまま何もしないでおくとたいへんなことになる。私はそこに御提案の基礎といいますか、発想の出発点があるように思うのですね。私どもは、いまのままで、通産省がお手上げのままの状態でよろしいとは一言も言っておらぬのです。それは行政の責任でありましょう。そのことはきびしく指摘をしなければならぬと思うのです。しかし、私どもが言っておりますのは、無籍を有籍にするんだから、現状よりは少し前進ではないか、こういうような御意向がきっとそこにあるんだろうと思うのですけれども、しかしこの法案に盛られておる内容は、基本的には従来路線の延長だ。一番もとは低労賃、低工賃で、国際競争力が強くなって、労働者や小規模業者人たちの犠牲において景気がよくなれば、輸出に内需にと出ていく。それがだめになったら、今度はそのほうにしわ寄せがいく。だからこの問題を解決して、もっと工賃を上げる、最低工賃というものをきちっときめる。繊維関係の労働者の労賃も上げる。そういうことで、国際的に見ても適正な条件というものをつくり上げていかなければ、国際収支の問題も起こるし、それからそのつどあおりを受ける。私どもが言っておりますのは、そういうことを基本にして、そうして今度の問題を考えれば方向が出ておる。現在の有籍、無籍を問わず全部認めて、そうして納付金問題については、これは責任を持って通産省なり政府が考えるべき問題じゃないか、その財源についてはですね。そういうふうな業者の皆さんの指摘がありますので、そのことを申し上げているわけですよ。そうして、そういった点について提案者が十分に再検討されるように、そのことを要請をするわけでありまして、時間の関係がありますから、それに関連をして続いて質問を申し上げますが、そういった原因関係と関連をして考えますと、綿織物、綿布はいま輸入がどんどんふえておりますね。数字を申し上げるまでもないと思いますが、四十三年に比べますと四十七年は金額にして、六七七・一、六倍以上入ってきておるのがふえておる。国内で、やれ過剰生産であるとか、やれ何だとか言っておきながら、どんどん輸入をふやすのは一体どういうわけだ。しかも、大蔵省のほうは、関税当局が見えておりますから、一言説明を伺いたいのですが、特恵関税といって、これはけっこうなことだと大いに奨励をしている。そのことについては、この特例法で提案なさった提案者の皆さんは一体どうお考えになっているのか。お金を集めて減産計画をしていきます。だから言うてみれば、少し水道のせんをひねって締めるけれども、一方ではどんどんわき水が入ってくる。言うてみれば、片っ方で締めて片っ方で入れるんだから、何のことはない、クーラーをかけておいてストーブをばっと燃やすようなものだ。そういうことについて一体どうお考えになっているのか。
  51. 旦弘昌

    ○旦説明員 お答えいたします。  ただいま御質問のありましたのは、特恵関税の導入の趣旨であろうかと存じますが、特恵関税は、御承知のようにUNCTADで長く先進国及び後進国の間で協議されました結果、先進国が後進国の工業化を促進する、あわせて南北間貿易のアンバランスを是正するという趣旨で設けられたものでございます。したがいまして、わが国は四十六年の八月からこれを実施いたしておりますが、そのスキームにつきましては、通産省あるいは農林省等関係の各省と十分協議いたしまして、それぞれの国内産業に被害を与えないように、また一方後進国に対する特恵関税供与の目的を達しますように十分協議いたしまして、品目、税率あるいはそのスキームのワク等を設定して今日に至っておるわけでございます。
  52. 中村重光

    中村(重)議員 登録をやらせる。そしてまた五十三年をめどにしているわけですが、その際、今回の四分の一集めた金で今度は廃棄をさせる、ぐるぐる回すことだ——私どもはそうは考えておりません。工連需要計画、資金計画を出してまいりますが、どの程度買い上げをするのか。今回は四分の一、しかも零細企業者に対しましては特に二分の一にそれを安く登録をさせる、納付金を出させるということになってまいりますから、総額にいたしまして大体五十億程度であろうというように考えておるわけです。そうすると、いま二倍で工連が買い上げを計画するということになってまいりますと、百億という金が必要になってくるのではないでしょうか。したがいまして、その時点にどのような事業計画が出されてくるのか。不足をいたします場合に、また各業者負担をさせるということになるのか、国がこれを処理しなければならないのか、その時点によっていろいろな、私はその事業計画の内容というものはいま予測はできない、こういう形になっていくのではないか、かように考えているわけでございます。  なお、今回登録する人が、五十三年度の時点において、それがその買い上げの対象になるという意味ではございません。これは織機全体がその計画の対象になるわけでありますから、今回の登録をされる人が五十三年度にこの買い上げの対象にそのままなるんだというようには私どもは考えていないということをお答えをいたしておきたいと思います。
  53. 荒木宏

    荒木(宏)委員 輸入のことをお聞きしたのですよ。減らそうというのに一方ではふやしているじゃないか。はっきり申し上げて、お答え質問と全然……。お答えをいただけないんだったら、それはもうそれで提案者のほうで答弁なさらないということで伺いますがね。
  54. 加藤清二

    加藤清二議員 本法案に直接関係のないことでございましたので、お答えを差し控えておりましたが、御質問のとおり、繊維業界は先進国の制限発展途上国の追い上げ、両方からはさみ打ちを受けていることは事実でございます。特に発展途上国からの追い上げの実例は、荒木さんよく御案内のとおり、しぼりのごときは、今日では、全生産というよりは日本のオール消費量の七割は韓国ものでございます。これに引き続きまして大島、西陣ともにそのような状況になりつつございます。コットンも二十番手以下は、ここ五、六年前までは年間十五、六万俵でございましたが、(荒木(宏)委員「簡潔にやってくださいよ」と呼ぶ)今日ではすでにもう上半期だけでも五十万俵も入っている、こういうことでございまして、お説のとおりでございます。  さて、それについて、では私どもはどうしたか。もう来る年も来る年も、この委員会でこれに対する制限の方針やらあるいは国籍を明らかにすることやら、これに対する中小零細企業の圧迫を除外することやらいろいろ討議してきましたが、急げ急げということでございますから、いずれ時間を見て、わが党の調査対策を詳細に申し上げます。
  55. 荒木宏

    荒木(宏)委員 野党もそれじゃ何もお答えいただけなかったと同じことです。お一人お答えいただいたらまるきり別のことをおっしゃる。お一人お答えいただいたら事実だけをお答えになって、内容は別だとこうおっしゃる。方向だけでも一言おっしゃってください。一体どういう。……(加藤清二議員「時間をいただければ答えます」と呼ぶ)それじゃ、ひとつ留保さしていただきましまう、そうおっしゃるのでしたら。  私は、当初から申し上げております趣旨は、社会党の先生方のおっしゃっております点で、いろいろ理解が共通になっており、将来の方向として私どもも十分意思統一ができる面が確かにあるのです。自民党の先生方がおっしゃればこれはまた別でありますけれども。しかし、ただ何にもないよりはいいとこうおっしゃる。しかし、私どもは、たとえば責任問題、手続問題、そして原因の問題、それらのことについて確たるめどもないままに無籍人たちから納付金を取ろうという従来の線の、それは少しは改善があるかもしれませんが、延長線上にあるような法案については、業者の皆さんの要望に沿うものではありません。このことを一貫して言っているわけです。角度をいろいろに変えておりますけれども、言っている趣旨はみんなそこなんです。たとえば、メーカーとの関係、これは御案内のようにメーカーは、たとえば豊田織機の有価証券報告書を見ますと、これについては、全部受注生産だ、こう報告しているのですよ。しかも、途中に代理店が入らずに直接取引をしているというのが六五%だ一こういう報告であります。また、それぞれ産地組合のほうでは、たとえば織機の発注届け出書というふうな様式を用いておられるところもありまして、ここには納入者が、つまりメーカーがこれこれのとおり納入いたしますというて判を押して渡して届け出るようになっている。だから、こういった一連の経過を見ますと、メーカーは全部登録制度があるということを知っているのですよ。そして、知っているにかかわらず、ルートはいろいろあるけれども、どんどん産地へ送り込んで、そしてこれが登録制度の有無にかかわらず、とにかく売ればいい。ですから、織機のメーカーは、もう詳しい数字は抜きにしますけれども、豊田にしても、石川製作所にしても、遠州にしても、豊和にしても、波はありますけれども、やはりもうけをあげているのです。しかも、それに対して、大蔵省は特定引き当て金名義で内部留保をうんと認めていて、この内部留保も、この数字は省略いたしますが、ずっと豊田なんかはふえてきているのです。そこのところに対して、今度の御提案の方々は一言もお触れになっていない。それはもう別だ。つまり、ぐあいの悪いことはみんな別になってしまうわけです。今度の法案では、一体通産省の責任はどうだ、これは別であります。綿工連がちゃんとできるのか、いままでみんな失敗したじゃないか、これは別であります。メーカーのほうはどうだ、これも別であります。それは、御提案者の立場からすれば別でありましょう。しかし、業者の皆さんからすれば、これは別じゃないのですよ。みんなもとはつながっているのですよ。ですから、解決する方向としては、そういったことで切り刻んでこま切れにして、別だ別だというのでは、これは官僚のやり方と一緒じゃないか、私はそういう点を特に申し上げたいのであります。つまり、メーカーとの関係も、それをそのままにしておいて、私はその点を取り締まれとかどうとか、それを言っておりませんよ。それをそのままにして何にも触れずにおいて、もうけはあげる、特定引き当て金で内部留保で保護してやっている、一方、こっちだけは納付金をうんと取る、これは不公平というものじゃないか。商社の関係にしたってそうですよ。御承知のように糸売り、製品買いで、糸を売ったらこれは二銭とか三銭とか利息がつきますよ。ところが、製品のほうは幾ら先になったって利息がつきやしない。非常に悪い習慣があります。先般、化合繊で、日本公認会計士協会でこの会計処理が大きな問題になった。建て値相場で処理してうんと利益を出している。あれは東レのかわった社長が、こんなふくらみ利益の資料を引き受けられるかというて、一連の同種企業がみなわれもわれもと損失を出した。この経過もよく御存じのはずです。だから対商社との関係で、商社がもう自分かってに値をつけて、自分かってに利息を取って、そうして業者の皆さんをいじめている。     〔田中(六)委員長代理退席、委員長着席〕 メーカーはメーカーのほうでどんどんつくって送り込んでもうけている、保護をされている。それを全部別だと切り離して、そして業者の皆さんだけ納付金を出せというのはあまり聞こえぬじゃないか、これが私の申し上げている趣旨であります。ひとつ商社の関係、メーカーの関係、これについて提案者の御意見を伺いたい。
  56. 中村重光

    中村(重)議員 私どもは別だ別だとは言ってないのです。別じゃないのです。これは一連の関係です。ですから、私どもは、この法律案を提案するにあたりましては、法律案に何とか監視体制であるとか、あるいは取り締まりの関係であるとか、そういうものを入れられるならば入れたい、しかし何といってもこれは登録立法でございますから法体系上それらのことは入れられない、したがってそれではどうするのかということに対しましては、団体法九十四条その他によって、あるいは通産省行政措置にまたなければならぬ点が多々あるわけであります。メーカーの関係、商社の関係その他いろいろ問題があるわけでありますから、これを提案するに至りますまでにいろいろな通産省との話し合い等々いたしまして、あとで資料をお配りいたしますが、御質問いただきます前に、今後の監視体制をどうするのか、九十四条によってそれでは取り締まりができるのはどうなんだ、事業停止命令はどうなんだ、いままで通産省がやらなかったことを私どもは問題として取り上げ、今後はやれるのかどうかということにつきましても、たとえば監視体制は通産省の中にあるいは通産局の中にあるいは産地に監視体制を強化する、専従ではございませんけれども、それに関係をいたします者も数千名の者を監視体制の中に網羅していくといったような点等々、いろいろと今後は通産省を鞭撻をする問題、今日まで取り組まなかったことに対するところの指摘指摘といたしまして、私どもは今後このような事態が再び発生しないようにしなければならないという考え方の上に立っておる。皆さん方と同じように、私ども通産省の今日までの通産行政や繊維行政のあり方に対してきびしく指摘はいたします。いたしますけれども、この登録の問題ということに対しましては、やはり立法措置が必要になってくるということになってまいりますと、私ども議会人という立場から、議員立法もあってもいいじゃないか、政府提案のみにまつ必要はないじゃないか、やはりこれが必要であるとするならば、そのことが零細な業者を守る道につながっていくならば議員立法も可なりという、こういう考え方の上に立って提案をしたということについて十分御理解をいただきたいと思います。
  57. 荒木宏

    荒木(宏)委員 せっかくお答えをいただいたのでありますけれども、私が申し上げたのは、議員立法がいかぬとか、それからこのままほっておけとかということでは決してないのです。私が申し上げましたのは、商社の関係、メーカーの関係通産省関係工連関係、すべてに問題があり、それが未解決ではないか、それをそのままにしておいて、そして無籍人たちに納付金を払えというのは片手落ちではありませんか、このことを申し上げたのであります。ところがそれに対するお答えは、今後の取り締まりをきつくいたします、これでは申し上げている趣旨を私は十分御理解いただいてないと思いますが、しかし、お答えお答えとして、私の申し上げております内容は、それはそれで提案者の先生方にも十分意のあるところは通じておるはずだと思うのです。そんなにむずかしい持って回った理屈は言っておりません。きわめて簡単明瞭なんです。その意味から再検討ということを申し上げておるわけであります。  もう一つ指摘をさせていただきたいと思うのです。これは税金の問題であります。御案内のようにこれは償却資産でありまして、固定資産税の課税対象になります。きょうは自治省が御都合がありましてお見えになっていないようでありますので、私のほうからその点申し上げたいと思うのでありますけれども、償却資産の対象となって固定資産税を徴収している。しかも、その償却については、御存じのように所得税法、法人税法におきましてその償却方法を定め、それを規定しています。だからそれを認めているということは国がこれを償却してそして積んでいきなさい、費用として認めます、これは有籍、無籍を問わずもう一ぺんそれを回転して再設定をすることを法律上承認しておるわけであります。無籍からは税金を取りません。これならまた別ですよ。しかし、たてまえとしては、有籍、無籍を問わず償却資産として償却を積み立てて、積んだ額で償却年度、耐用年数がくればもう一ぺん買いなさい、このことを法律では認めておるわけであります。相続税でありますとか、事業税でありますとか、所得税でありますとか、こういういろいろな関係各税を徴収しておることは言うまでもないと思うのですが、私が指摘したいのは、法律上もう一ぺん買うことを認めておるこの償却資産である無籍について、そのことを今度はこっちの法律では認めないでさあ納付金を出しなさい、これは日陰者ですよということは、これまた国のなすべき処置としては筋が通らない、一貫しない、このことも指摘をしておきたいと思います。  時間の関係がありますからあわせてもう一点申し上げたいのは、皆さんも御存じのように、従来の通産行政工連の処置の中から、いわゆる産地権利というものが起こってまいりました。この存在についてはもう関係の先生方はよく御存じのとおりであります。もちろん天竜社のようにそれがない産地もあります。これは品目がああいうふうになっておりますからその関係もあるのですけれども、またすでにこれが処置をされた産地もあります。しかし、まだ残っておる産地もあります。この産地権利というものについて存在はよく御存じのはずであります。これを今度の特例法では一体どういうふうな方向で処置をなさろうとするのか、これについて提案者から伺いたい。
  58. 福田一

    福田(一)議員 御質問の産地権利というのは、いわゆるいままで無籍であったものをその組合においてある一定の金額を徴収して、そしてそれを認めたという意味と私は解しておりますが、違いますか。ちょっと御質問趣旨がはっきりしないのですが、産地権利とはどういうことをおっしゃるのですか。
  59. 荒木宏

    荒木(宏)委員 では重ねての質問ですけれども、産地権利ということについて御存じの先生からひとつ処理についての方針を伺いたい。
  60. 福田一

    福田(一)議員 私はいまここで提案者みんなで相談をし、話をしましたが、やはり私が申し上げたことを産地権利と言っておるということでございます。したがいまして、それでお答えいたします。  これは一応いままで取り上げておって、その組合が五万円取ったとか十三万円取ったとか、そして一応認定織機というような形のものをつくっておったということがあります。あるいは毛の場合には九千五百円取っておったというふうないろいろなことがあるように聞いておりますが、私は、それはこの問題でこの法案ができました上におきましてはもう解消をいたしまして、この法案に基づいて処理をいたしていく、こういうことに理解をいたしております。
  61. 荒木宏

    荒木(宏)委員 そういたしますと、これは届け出織機として扱うのだ、こういう提案者の御趣旨ですか。
  62. 福田一

    福田(一)議員 届け出織機といいますか、登録織機になるわけであります。今度の無籍のものでもすでに無籍にいろいろございまして、もうそれはあなたは御存じだと思うのでありますけれども、組合が一応認めた認定の織機というのがあり、それから組合と全然関係なく存在しておる無籍織機がある、こういうことでございまして、一応組合として認めておる認定織機というものを認める場合においては相当の金銭の授受がございますが、それは今度この法律ができますれば解消をいたしまして、この法律に基づいてしかるべき措置がとられることになる、かように考えております。
  63. 荒木宏

    荒木(宏)委員 しかるべき措置というのはどういうことになっているのですか。
  64. 福田一

    福田(一)議員 しかるべき措置というのは、一応今度の無籍の場合においていままで取っておった金は全部返すべきである、いままで認定で取っておった金は一応返すことにいたしまして、これは登録があるものと認め、しかも全然組合と関係のない無籍、いままであった無籍のうちで昨年の六月に調査した段階における無籍の十二万六千台については、この法律に基づいて四分の三はもう無条件で登録を認めましょう、しかし残りの四分の一はいままで登録しておる、そして一応通産省令等を守ってやった人との関係もあるし、またこれを認めることによって、今度はそこに買い上げの対象になったり、あるいは銀行等の担保の対象にもできるようにするという特権も出てくるから、一つの金銭を納めてもらうようにする、しかし、その納め方は、零細の方はだんだん逓減法といいますか、少ない人ほどこの金は取らないようにするというやり方をやりましょう、こういうことがこの法律ではっきり出てくるわけでございます。
  65. 荒木宏

    荒木(宏)委員 お尋ねしたのはこういうことなんであります。つまり各産地によっていわゆる産地権利というものの発生の経過もあり、扱いも業者の皆さんの要望でそれぞれさまざまな扱いになっています。そういう歴史的な経過があります。したがって、今後前に預かったお金の上に上のせして取るようなことはしないというふうに考えられる向きもありましょう。これは自然のことであります。だって世間ではいままでそれで済んできたのですからね。また、場合によっては、いま先生お話しのように、いやもうこの際ひとつ返して、認められる機械に、全部権利扱いにしましょう、こういうふうに地元で話し合いが進むところも考えられるでありましょう。そういった地元で、産地で具体的にそれぞれ出てくる意見、要望、方向というものをどういうふうにお考えになるか、全部一律これは五万円だ、どんな話がきまろうとみんな五万円だといったような形でお考えなのか、産地の業者の皆さんの自主的な希望なり意見なり、そういうものを十分くんでいこうということであるのか、これはひとついまも福田先生から伺いましたから、提案者加藤先生からこの点について御意見があればひとつ聞かしてもらいたい。
  66. 加藤清二

    加藤清二議員 前段にも申し上げましたが、六月時点、十一月時点において各地の工連が徴収しました金、これはもう御破算でございます。したがって、すでに一部の組合では半額返済をした組合もあるわけで、当然この法律ができれば、去年の六月時点、十一月時点等々において組合が徴収した金は返さなければならない、こういうふうに思っております。
  67. 荒木宏

    荒木(宏)委員 お尋ねしておりますのは、いま御答弁いただいている今度集めたという金じゃなくて、いわゆる産地のほうで納付金を取って登録書まで渡している、この件のいろいろ解決について現地で話がありますが、それは今度のこの特例法ではどうなるのか、これをお尋ねしているわけです。
  68. 加藤清二

    加藤清二議員 今度の法案が通れば、当然どこの産地も五万円ずつというものは徴収される結果になるわけなんです。(「どうもおかしい」と呼ぶ者あり)それでは、あなたもう一度言ってみてください。
  69. 荒木宏

    荒木(宏)委員 そういうことになりますと、これも十年、十五年の歴史的な経過があって、そして産地ではみんな権利として認めている。それでまかり通っている。登録料も払われている。組合も認めている。そのことを今度は一片の法律で全部ひっくり返してしまう。そんなふうなことをこの特例法ではお考えなんでしょうか。それだとしたら、業者の皆さんの希望を聞いてやるというようなこととは、まるきりうらはらになってしまう。
  70. 加藤清二

    加藤清二議員 いままでの法律によれば、登録と無登録しか通産省にはないわけなんです。認定とか確認というのは、組合が自主的に認めたものなんです。したがって、認定とか確認とかいうものは、これが組合からの報告が無籍になっておれば、今度の法律が適用されるでしょう。しかし、登録になっておれば、それは除外されるでしょう。これは当然のことだと思います。
  71. 荒木宏

    荒木(宏)委員 私は特に加藤先生に御答弁をお願いしたわけでありますけれども、いまお話しの内容は、もうかねがね通産省のお役人がずっと言ってみえたこととあまり変わらぬように思うのであります。あるいは法律の上ではなるほど先生おっしゃるとおりかもしれません。しかし、繊維の問題といいますのは、もう十分御案内のように、そんなに法律をいじくってみたところで、業者人たちの生活と権利が十分守られるかというとそうじゃなくて、やはり実際にどういうところに問題があり、産地で一体どういう扱いをしているか。これはもう先生のほうがよく御存じのはずです。ですから、私が伺っておりますのは、十数年前から無籍の問題が起こるつど、業者人たちが要求をして、取り締まりオンリーではいかぬじゃないか、こういう話がありまして、産地組合の幹部としても、地元産地の振興のためにいろいろな苦労がありまして、その上で遊休権利を認めるとか、あるいは先生御案内のように、換算率をひとつ手直しをするとか、いろいろなことをして権利を生み出して、その上に会計検査院の指摘にもありますように、プレートが紛失したりというふうなことで再交付を受けて、それを張って回るというようなことも一部にはあり、そういうふうないろいろな苦労やら何やらがあって、産地権利は生まれてきておるわけであります。これは先生御承知のとおりです。これは従来の有籍、無籍で一刀両断、無籍は取り締まるという通産行政ではもういかぬのだということがこの事実の中で蓄積され、それなりの話し合いが進み、今日まできておるわけであります。またもう一ぺん振り出しに戻して、産地はどうであれ、話し合いはどうであれ、いままでの関係者の苦労はどうであれ、みんな有籍と無籍に分けてしまうのだ、こういうふうな御意向はまさかお持ちになってはおらぬだろう、こういうことをお尋ねしておるわけであります。
  72. 福田一

    福田(一)議員 その問題についてはそれぞれの組合の幹部の人たちにも、今後無籍の問題の取り扱いをするについてどうしたらいいかということは聞いております。また、組合の幹部の人たちは、下の人たちにも十分相談されたと思いますが、とにかく認定織機はこの際御破算である。しかし認定織機のうちでも、本登録を持っておらない、いわゆる実際の登録を持っておらないものと、そしてまた持っておるものとがあるとすれば、持っておるものはこれは当然であるが、持っておらないものはいわゆる無籍のものと一緒にして計算をしていく、こういう考え方だと思います。
  73. 荒木宏

    荒木(宏)委員 まことに残念でありますけれども、それでは御答弁にはならぬと思うのであります。つまり私が伺っておりますのは、そういう産地のほうからお聞きになっておる実情がありますね、それについてのこの法案上のお取り扱いの基本的な方向を聞いておるのであります。つまり従来の蓄積を認めようという趣旨なのか、あるいはもうそれはだめなんだということであるのか、ここのところであります。
  74. 福田一

    福田(一)議員 簡単に申し上げれば、だめなのだということであります。
  75. 荒木宏

    荒木(宏)委員 はっきり申し上げますが、前にこの委員会で私がこの問題を伺ったときに、この点については業者の皆さんには責任がない、これは通産省関係者がはっきり答えました。つまり政府が、責任がないと言っておるそういう立場の人を、今度は皆さんの御提案で、いや、そういうことは認めないのだ、こういうふうなことに相なると思うのであります。こういう点でいろいろ話を聞いておられるということでありますから、そういう点も含めてぜひ再検討されるべきである。  時間の点がありますから、私の意のあるところを申し上げておきたいのでありますけれども、最初に提案者のお二人の先生から、何もしないということではいかぬというお話がありました。問題はそこのところにあるわけではなくて、この政府の責任、それから従来の買い上げのあと始末の問題、それから従来の実施に当たってきた団体の関係あるいは商社の関係、メーカーの関係にメスを入れなければならぬ、ただすべきところがこんなにたくさんあって、まことに残念ながら、何一つ明快なお答えをいただかなかった。非常にはっきりしたのは、無籍人たちから納付金をもらう、それによって減少していく、こういうことだけであります。  商社の関係については、一体どうするか。これは御意見がなかった。それじゃ二七%、約三万台詰まってしまった。三割にもいかぬのは、これは一体どういうふうな方向に進めていくのか。これについてもお話がなかった。実際に小規模零細業者の利益を守るということで御提案になるならば、この足切りの台数がどうであるとかいうふうな小手先のことではなくて、そういった基本的な点についての要望が出されております。日米繊維協定、これをやめて、そして自主的な民主的な協業化を助成をして、そして買い上げは自発的に希望する人に十分な処置を講ずる。これで御提案者お答えになりました意味での需給の調整も十分可能であります。それをやるのは、従来やるべきことをしてこなかった通産行政の当局がそのことをやるべきでありまして、そういったことをはっきり申し上げておきまして、時間がかなり過ぎておりますから、再検討を強く求めまして、私の質問を終わりたいと思います。
  76. 中村重光

    中村(重)議員 明快に実はお答えをしてきたつもりなんです。いまの商社の関係にいたしましても、この法律では法体系上どうすることもできません。したがいまして、附帯決議等をつけまして、今後の通産行政にまつという点もあることは、これはやむを得ないと思います。また、商社の行為というものに法律に触れる行為があるならば、法律に基づいて断固処分をしていくということであるべきであると私どもは考えます。  また、いま御質問がありました点につきましても、認定織機というものは、この法律上は無籍織機というふうに扱わざるを得ません。しかし、具体的には各産地で適切に措置をしてもらうということを期待いたしたい。  それからまた、産地によっては積み立て金を取っておるところがございますけれども、その積み立て金を取っておるところの産地、たとえば泉州織物工業組合ですか、それらの地域は、今回のこの納付金の措置というものの金額より上回りましても、これを追加をして徴収するということは考えていないということを申し上げておきたいと思います。  明快にしておるつもりでございますから、どうかひとつその点は……。
  77. 荒木宏

    荒木(宏)委員 ちょっと一言だけ。  いま追加徴収はしないというふうにおっしゃったのでありますが、しかし、この法律の中にそういうことは盛られておりますか。これは、私は特に答弁をお願いしたのじゃなくて、実はもう質問は終わったのでありますけれども、特に御希望になりまして御意見をおっしゃいましたので、これはちょっといままでの御答弁趣旨とは違いますから、はっきりしておきたいと思うのです。  追加徴収をしないということになりますと、ここでは一律五万円ときめておられますけれども、しかし、必ず五万円でなくてもいい。いま中村先生のお答えでありますとこういうことになりますから、これは責任を持ってはっきりしていただきたい。
  78. 中村重光

    中村(重)議員 おっしゃるように、きめてあるわけですね。ところが、先ほど来あなたから産地によって特殊な扱いをしているところもある、従来の蓄積といったようなものは尊重していくということが当然ではないかというような御指摘等があったわけでございます。したがいまして、私どもといたしましても、これは弾力的に運用していくところは弾力的な扱いをしていかなければならないというように実は考えるわけであります。産地によりまして積み立て金制度というようなものによって進められてきておる、その事実を否定し、無視するわけにはいかないのじゃないですか。したがいまして、その場合、差額徴収をしないといったような弾力的な扱いというものは当然あるべきであると私どもは考えるわけであります。そのことは質問者指摘をされましたように、従来の蓄積、産地の事情等々も十分加味して、この法律の運営に当たるべきであるというようなことにつきましては私ども賛成でありますから、そういうようなことで御質問のような点は尊重さるべきであるというふうに考えておるという意味お答えをしたわけであります。
  79. 荒木宏

    荒木(宏)委員 そういたしますと、これは時間の点がありますので私、この指摘だけしておきたいと思うのです。  先ほど御答弁いただいたときにはどっちかに割り切る、いまの場合はそうじゃない、こういうことになりましたから、これは御答弁に矛盾がある、これは指摘しておきます。  それで時間の点で、御意見も出ておりますから私はもう終えたんですけれどもお答えになったからこれは指摘しておきます。答弁は要りません。答弁やるならもう一ぺんやりますよ。
  80. 中村重光

    中村(重)議員 法律上はあなたのおっしゃったとおりなんですよ。ところが、従来の蓄積といったようなものは尊重するというようなことが望ましいのではないか。したがいまして、組合の肩がわりといったようなことを弾力的な扱いをさせるということは、当然よろしいのではないかと私は思います。法律上は、これははっきりしているわけであります。その点は十分御理解をいただきたいわけであります。
  81. 浦野幸男

    浦野委員長 岡田哲児君。
  82. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 時間が非常に短いので端的に御質問をいたします。  まず、この法律施行後、早い時期に一時金として全額負担金を徴収するということでございますが、この織機買い取りが五年間にわたって行なわれる、こういうことでありますので、当然この五年間の分割払いあるいは延納等という措置があってしかるべきだ、こういうふうに思うわけでありますが、その点いかがですか。
  83. 福田一

    福田(一)議員 五年間に整理をするのだから、五年間に分割してもいいじゃないかということでございますけれども、やはり事情によりまして、この買い上げもしくは廃棄するという計画が業界の景気、不景気によって非常に早くやらなければならないというような場合も起きるかもしれません。場合によっては非常に需要が多いから廃棄をしばらく延ばそうという場合も起きるかもしれません。そういうことを考えますと、やはりこの機会に出しておいていただいたほうがいいということがありますし、それからこういう出すべきものは一応出しておきませんと、出さなかったけれども、うちは景気が悪くなったのでとうとう破産したからもう出せないということになっても、これも全体として法律というものはみんな平等に施行しなければなりませんから、そういう場合に不公平が起きやしないか等々の問題も考え合わせまして、やはり当初出していただくようにしよう、しかし出すについては、もし非常にお困りの節は何らかのまた便法も考えられるのじゃないか、こう私たちは考えておるわけであります。
  84. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 大体原則的に一時金として徴収する、こういうふうに理解しておけばいいですね。
  85. 福田一

    福田(一)議員 原則的にということになりますと、おことばを返すようでありますが、例外を認めるということになります。私は、この場合は例外は認めないで、実際に金を出すのに困るような場合のこともあれば、融資その他の点についていろいろ配慮もしていいんじゃないか、こういうことを申し上げたわけです。
  86. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 次に、前に問題になりましたように、省令施行後アウトサイダーにまで業界が、産地組合が及ぼした、いわゆる違法ではないか、こういう問題が出されたわけでありますが、この産地組合の強制によって行なわれた既往の無籍織機の廃棄及び有籍化を救うことにしたのはどういうところにあるか、その理由をお伺いしたい。
  87. 福田一

    福田(一)議員 一応産地組合が承知をいたしまして、そうして昨年の十一月一日の届け出後産地組合が廃棄した分があったといたします。そうすると、廃棄しない人は——例でこれを申し上げたほうがかえっていいのじゃないかと思うのですが、たとえばAの人が十二台、Bの人が十二台持っておる。Aの人は四台だけは廃棄したといたします。Bの人は十二台持っておったといたしましたときに、ここでAの人の場合は八台の四分の三ということになりますと非常に登録をする分が少なくなってしまう、こういう不公平が出ますので、廃棄した分ももともとあったものとして認めてやれば、Aの人も八台、Bの人も八台無条件で認めるということになります。ところがAの人の場合、もう廃棄しておりますから、もう織機をふやさないのですから、何も金を納めないで、とにかく八台は認められる。Bの人は八台は認められるが、残りの四台については一定の基準に従って金を納めなければならない、これが公平の原則に合うのじゃないか、こういうことを申し上げたわけであります。
  88. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 いままでも話が出ておったわけでありますが、これは非常に端的にお答え願いたいわけであります。  もしもこの法律案が成立しなければ、従来の登録制度は一体どういうようになるか。それから織布業界はどのような事態を迎えるか。また逆に、この法律ができることによってどういうような利点といいますか、そういうことになるのかという点をお答え願いたいと思います。
  89. 福田一

    福田(一)議員 この法律は御案内のように特定の織機ということでございまして、昨年の十一月一日をもちまして、いま現実に無籍のものが機を織っておるという場合においては、ことしの十月三十一日まではこれを織ってもよろしいということにしてあるわけでございます。しかしこの法律ができませんと、もう登録という問題は消えていってしまうわけでございますから、もうだれでもが自由にその織機をもって仕事をやれる、いわゆる営業自由の原則というものがそこに適用されていくことになります。そうすると、いまの零細企業のお方を非常に困った場合にお救いするということができないし、またそういう人たち権利を守るというのは、みんな共同して、そして工賃の問題等が処理できるようになれば、従来申し上げておりましたけれどもやみの人が安く、有籍の織機の人が百円で織るならば、わしは五十円で織ってもいいということになりますと、値くずれして結局みんな損をすることになる。業界全体が損をするようになる。それがないようにしなければいけないという意味で、やはり非常な効果があると思われるのでございまして、自由競争にした場合においては、非常に零細な織機業者というもの、機屋さんが、たいへんな不景気のときに非常な困難を感ずることになりはしないか、こういうふうにわれわれは存じております。したがって、これをつくっておきますれば、そのときは、また場合によっては政府に何らかの要望もできるし、何らかの措置をとってもらいたいということもできますが、この法律ができませんと、なかなかそういうことを言っても一般的な問題になってしまいます。ところが、機屋さんというのは非常に数が多いし、日本の中小企業のうちでは昔から一番大事な職種の一つでありますし、そういうものが救われないで壊滅してしまうようなことになってはいけないというのがこの法律をつくった根本趣旨でございます。
  90. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 次に、納付金についてでありますが、この納付金は商工組合に納付することになっているのですが、この納付金の性格、それから使途、それから運用、こういう点について、この際明らかにしておいていただきたいと思います。
  91. 福田一

    福田(一)議員 その法的な性格につきましては、これは補助説明員から御答弁をさせていただきます。
  92. 大竹清一

    大竹法制局参事 納付金の性格につきましてお答え申し上げます。  この法律の第七条に納付金が規定されているのでございます。この納付金を少し分析いたしますと、一方では商工組合等の計画に基づきまして、今後五年間に計画的に減少させよう、そういう予測がございます転廃業者織機に対する買い入れ代金を調達したい、こういう一方の要請がございます。そしてその金を調達することをいわゆる繊維業界における相互連帯というような見地から、現在通産省令で出ております調整規則の附則によって一定の期間内に、要するにことしの十月の終わりまで稼働できる、この法律でいいます特定織機、そういうもののうちで四分の三は無条件に登録しましょう、それから残りの四分の一については、今後五年間に転廃業が予想されるそういうものの見返りとしまして、本来ならばそれは切られる、しかし中小企業という関係もございまして、これを何らかの形において救済するために、その片一方で自然減耗がある、その見返りとして残りの四分の一を生かしてやろう、そして生かしてもらって登録ができる、そういうことの利益がある。その点に着目いたしまして、納付金という形で買い入れ代金の原資を出してもらいたい、これをこの法律で納付金という形で出してもらいたい、これが納付金の性格でございます。したがいまして、ある意味では織機の買い入れ代金的な性質が非常に強いのですが、織機の買い入れ代金と申しますと、Aの人からBの人へ譲渡するという関係がございませんと、買い入れ代金ということにもなりません。これは商工組合等が集団的にいわば一方では減少する、その見返りとして登録しましょう、こういっておりますので、直接的な関係はございませんで、この法律で納付金という形において納めてもらう、その金は商工組合等が転廃業で私はおりる、廃棄します、こういう織機を買い入れるその資金に充てる、こういう性格をこの法律は持っております。
  93. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 次に、わが党としては当然零細事業者について重大な関心を持っているわけでありますが、今回この中で零細事業者への負担の軽減措置がとられているわけですが、その内容をこの際明らかにしていただきたいと思います。
  94. 福田一

    福田(一)議員 その具体的な内容を申し上げますには、まずもっていろいろな考え方があるわけであります。その機がどれだけの付加価値を持っておるかとか、あるいはおさ幅がどれくらいであるかというようなことから見ると、付加価値の問題とかあるいは織っておる品物による付加価値の問題とかいろいろなことが考えられるわけでございまして、そこでおさ幅によって細幅のものと並み幅と広幅と一応考えて、それを一、二、四という数字であらわしてまいりまして、そしてそれに合う台数、細幅を一台持っておれば一、それから並み幅を一台持っておれば二、広幅を一台持っておれば四、合計して七という数字を基礎にして、そしてそれに対して軽減措置をとっていくというようなやり方でございまして、これはちょっと専門的といいますか、われわれもここではっきりこうこう——これは法律できまっておりますからできないことはありませんけれども、これはむしろ資料でこういうことになるのだということを御提出申し上げたほうがいいのじゃないかと思いますので、後刻資料を差し上げるようにさせたいと思います。
  95. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 次に、今後無籍織機発生しないという保証はないと思うのですが、やはり立法する以上、無籍織機発生をさせない、そのためには相当な措置や方法を講じなければならぬと思うのです。その具体的な措置、方法というものをどういうふうにとろうとされておるか、この点をお聞きしたい。
  96. 福田一

    福田(一)議員 それは先ほど共産党のお方から御質問がございましたときにも一部申し上げておるわけでございますけれども、また、この法案を採決していただくにはそういうような内容も盛り込んだ附帯決議をしていただいてはどうかとわれわれも考えておるわけでございますけれども、とにかく各組合に監視員を置き、また通産省に各局がございますが、各地の局におきまして監査の責任者を置いておくというようなことをいたしますとか、相当数の監査員を各組合に配置いたしますとか、また、通産省もそういうような人たちを配置をするということも考えます。要するに、監査制度というものをもっと徹底するということ、それからもう一つは、やはり織機メーカーに対して、ある程度通産省が何かそういう申し込みがあった場合、これをつくる場合には一定の形式を踏んだようなものをひとつつくって渡すようにしてもらいたいというような行政指導とか、あるいはそういうものを渡した場合には通産省にちゃんと報告してもらいたいというようなことを言うとか、いろいろの問題がございます。ほんとうはこれも法律で縛ってしまえばいいのですが、どうも登録の問題で、いま言いましたような織機メーカーの権利まですぐにいきなり縛るということは少し無理があるということでございましたので、これは入れられなかったのはわれわれは残念に考えております。しかし、残念に考えておるほどでありますから通産省に十分それを監督させるようにいたしたいと思います。  また、いままでとは違いまして、各組合が工連の中において、工連自体も責任がありますが、工連の中の各地の組合におきましても、みんな理事人たちがある程度責任を持つようなくふうを考えてもらうとか、いろいろのことを考えまして、ひとつ極力そういうことのないようにいたしまして、そうしていままでのようなやみ工賃といいますか、そういう人がいるために工賃が安くなるようなことはできないようにする、これによって零細な人たちの生計も十分立っていく、あまり長い時間働かぬでも一定の時間働けばちゃんと一定の工賃が入るようにしてあげる、こういうようなことをどうしてもやらなければいけない。そうなれば登録をしておる人たちもお互いにほかの者がやりそうだったらすぐそれをはっきりさせるということになり、もしそれがわかってくれば団体法の適用によってこれを公示するとか、こういう人はこういうやみ織機を使っておりますがこれは困りますということ、それでもまだやめないというような場合においては罰則の適用までやって、そうしていままではできなかったことをやって、この無籍織機が今後発生することを極力防いでいきたい、こういう考え方でやっておるわけでございます。
  97. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 もう一点だけ最後にお尋ねしたいと思うのですが、最近タフティングマシンといったような新しい織機ができてきております。従来毛布などの織機については登録対象になっておりますが、新しい機械については対象になっていない。そこで、毛布などを取り扱ってきている零細な事業者の中に、たいへん今後への不安、心配というものが起こってきているのが実情でございまして、これらに対して何らかの措置、あるいは指導というものをとるべきだ、とらなければならぬ、こういうふうに思うのでありますが、これに対してお答えを願いたいと思います。
  98. 福田一

    福田(一)議員 御指摘の問題は、実はわれわれも非常に重要に考えておるところでございまして、タフティングマシンというのができてきまして、いままでの、毛布を織っている人たちとは違ったものを使ってどんどん能率をあげていくということになると非常に困ったことが起きます。しかし、こういうことも考えまして、実は毛布工業協同組合におきましては、四十五年から五十年までの期間を切って構造改善事業をやっております。これに対して政府措置をいたしておるわけでございますが、その政府がやっておることで——いまタフティングマシンというのが、私の承っておるところでは九十台くらいもう入っておるそうであります。そのうちの三十台弱、二十六、七台はこの構造改善事業費によってつくられておる、こういうことでございますが、しかし、それだからといって構造改善事業をいまのままにしておいて、そうして毛布業者が非常に困るのをほっておいていいということにはなりませんから、これは適当な措置をとるべきであるというような附帯決議をつけていただければ非常にありがたい、かように考えておるわけでございます。
  99. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 以上で終わります。
  100. 浦野幸男

    浦野委員長 竹村幸雄君。
  101. 竹村幸雄

    ○竹村委員 今回の立法措置に関連して、既存登録織機保有者との公平性を確保すること、いわゆる正直者がばかを見ない措置が必要であることは、本法の立法と関連して十分配慮しなければならない問題であります。また、昨年六月末の通産政務次官の談話をはじめ、通産大臣も本委員会において二度も表明しているところであります。  そこでお伺いいたしますけれども、この立法にあたって、いわゆる正直者がばかを見ない配慮をどのように行なおうとしているのか、まず提案者にお尋ねをしたいと思います。
  102. 福田一

    福田(一)議員 お説のとおり、正直者がばかを見るということでは、これは将来もまた無籍の問題が発生する可能性がありますから、そういう意味合いにおきましては、正直者がばかを見ないようにということで問題の解決をはかっていかなければならないわけであります。しかし一方においては、また零細業者が非常に困るというのに政治的に何らの措置もとらないということでは、これは政治として非常に間違いが起きるということになりますので、この立法をいたしたわけであります。  そこで正直者がばかを見ないようにするにはどうか、こういうことでございますが、実は機屋さんのあれというのは非常に複雑でございまして、ある産地産地によっては非常にまじめにやっておられるところもございます。しかし、私の見る限りにおいては、五、六割のところは必ずしもそうまじめにやっておらない、それからまた五、六割のところでも、また組合の中でまじめにやっておる人とまじめにやらない人と分かれておるというような実情でございますので、この人はもう法律がきまったときからずっとまじめにやっておるのだから、これにはどうするとか、この人はやみを少し最初やっておいて、あとで権利を買ったんだからその次ぐらいだとかいう区別をいたしまして、そうして正直者がばかを見るか見ないかというような措置をとるといたしますと、これはなかなかむずかしい、技術的にむずかしいと私は思うのであります。そこでこんなことを言うたらおしかりを受けるかもしれませんけれども、まじめにやっておる人は、自分法律をちゃんと守っておったのだという意味合いにおいて、一つのプライドをお持ちになっておられる。人生におきましては、経済問題だけがほんとうのいわゆる価値でては、経済問題だけがほんとうのいわゆる価値ではないのであって、やはり精神的に自分が正しいそれが一つの大きな報いになっておるというか、あれになるんじゃないか。この程度に考えませんと、まじめにやっておった者はそれじゃ今度報償金をもらえるとか、あるいはまじめにやっておったのだから、今度はその人には構造改善事業をうんとやらせるのだということにいたしますと、今度無籍の人が入ってきたのとは非常に差がついてしまって、平等の原則に合わなくなってくる。ここいらは先ほど共産党の人も指摘になりましたが、いささかわれわれも矛盾を感ずるのでございますが、しかし今後やっていく場合にはそういうふうに平等に取り扱わざるを得ないのではないか、かように考えております。
  103. 加藤清二

    加藤清二委員 福田議員から詳細に御答弁がございましたので、もう補足する必要はございませんが、この点、つまり正直者がばかを見ないように、何とか具体的措置をとるという案件につきましては、過ぐる委員会で私も質問台に立ちまして、中曽根通産大臣と二度のかたい約束がございます。正直者がばかを見ないように、正直なお方は、田地田畑を売ってまでも、法に定められた権利を買って登録業者になられる。しかし今度この法案が通りますと、なりわいなるがゆえにというので、ほとんど四分の三は無償である、残りの四分の一もまた逓減の法則がとられて、バイカイされたときの権利金と比較するとたいへん安い金で権利の取得ができる、これは不平等ではないかという声を、私も産地を回りましてずいぶん聞きました。そこで、何かいい具体的な方法はないだろうかということをあれこれ考えました。その内容は、詳細申し上げますと長くなりますから、附帯決議とか省令とか政令にまかせたいと思いますけれども、要は正直者がばかを見ないための何らかの措置をとるということはすでに具体的に用意されております。したがいまして、その用意されてございますものを、おのおの産地において、ほんとうに正直者が、法律の順法者が損をしないような措置をとっていただきたい、かように存じております。詳細は時間の関係で避けます。
  104. 竹村幸雄

    ○竹村委員 通産省のほうでお考えいただいておる行政措置があればお答えを願いたいと思います。
  105. 齋藤太一

    齋藤(英)政府委員 ただいま加藤先生からお答えいただきました御趣旨に沿いまして私どもも考えておりますが、具体的には私ども、いま頭の中で思い浮かぶままに申し上げまして失礼でございますが、たとえば輸出をいたします場合の輸出ワクの配分の場合に優先をするとか、あるいは構造改善の資金というのがございますが、そういう問題で考える等、私どものほうとしてはいろいろ行政的にも考える問題があろうかと思います。したがいまして、いまの加藤先生の御答弁趣旨に沿いまして私どもも善処いたしたい、さように考えております。
  106. 竹村幸雄

    ○竹村委員 時間の関係で先に進みますけれども、丹後や西陣あるいはまた大島つむぎのように需要が国内に限られている織物の産地で、最近、韓国や台湾に出機をする産地企業あるいは商社が増加をいたしておるわけであります。西陣だけを例にとってみましても、着物と帯の出機に数社、韓国に進出したり、あるいは計画中と聞いておるわけであります。韓国に出機をする商社や企業は、紋紙など織物の技術というものを日本から持ち込み、原料である生糸と労働力を韓国で調達するというやり方をとっております。着物と帯は日本国だけの需要でございます。韓国に技術輸出してもそれが第三国へ輸出をすることには決してならないわけでありまして、日本へ必ず逆上陸してくるものでございます。このまま放置をしておきますと、日本の伝統的技術は外国に持っていかれ、日本一つも残らないようになるわけであります。先ほども話がありましたように、日本で売られているしぼりはほとんどが韓国製品になっておる。いまこの団体法によって生産設備が押えられていながら韓国や台湾に出機を認めることは片手落ちであり、国内の伝統的産業をみずからつぶしていくというのと同じであります。  こうした考え方に立って、国内だけの需要に限られている織物については技術流出を禁止する、あるいは産地表示などをきびしくする、そうした措置を早急に検討して適切な措置を講ずべきであると思いますけれども通産省のほうにお伺いをして、そのあと、設備制限あるいは輸入というものに関して、ひとつ提案者のほうからお答えを願いたいと思います。
  107. 齋藤太一

    齋藤(英)政府委員 お答え申し上げます。  いまお話がございましたように、日本から、日本の昔からございますような織物につきまして無秩序に技術輸出がどんどん行なわれるということに関しましては、私どももそういう事態にならないように考えたいと思っております。これは法律的に規制することはなかなかむずかしい問題がございますけれども、この点に関しましては、私ども関係業界を十分指導いたすつもりでございます。それとともに、関係業界の方にもまた、その点につきまして、私ども一緒になりまして日本古来の織物を守るようにお願いも申し上げたいというふうに考えております。  なお、お話にございましたような意匠問題等につきましては、たとえば大島つむぎ等に対しまして商標登録、意匠登録のようなことも行なわれております。そういうふうな法律的な措置もございますので、そういう点も活用いたしまして、かつ消費者の皆さま方にもそういう意匠、商標のPRをいたしまして、相まちまして無秩序な技術輸出、それに伴うところの固有の織物が危殆に瀕するようなことのないように、私どもも十分心がけていきたいというふうに存じております。
  108. 加藤清二

    加藤清二議員 お説ごもっともでございます。内地の繊維産業は設備制限をする、しかし発展途上国からの輸入は野放しにする、同時に先進諸国からの制限はこれをまるのみにする、これでは日本繊維産業はたまったものではございません。根幹にさかのぼって繊維対策を考えるべきであると、先ほど共産党の委員からも御指摘がございました。ごもっともな御意見だと存じます。  そこで私どもとしましては、すでにこのことが数年前から行なわれておりますがゆえに、歴代の通産大臣——福田先生も通産大臣でいらっしゃったわけですが、このことは何度も陳情なり申し入れなりがしてございます。その結果、徐々に効果があらわれつつございます。つまり韓国の貿易は、これは大体保税加工貿易から発足したものでございまして、いまあなたが御指摘になりましたように、意匠から柄から染色の技術から、すべて日本から持っていったものでございます。イミテーションが参ります。しかしイミテーションなるがゆえに非常に安い。これは業者がもうかる。ただし消費者は、日本物と同じようにごまかされて売られていくのでございますから、にせものをかまされている、こういうたいへんな不利がございます。したがって、これについては少なくとも国籍を明らかにするように、ないしは少なくとも内地でできた本物を表示するというようなことなりともすべきである、それからまた、先ほど話も出ておりました保税加工貿易の輸入関税の特典というものを見直す時期が来ている等々を考えているわけでございます。
  109. 竹村幸雄

    ○竹村委員 最後に一点お伺いしたいわけでありますけれども、織布業は原料買い製品売りの業種で中小零細企業が主体であり、原料である糸は大手紡績、大手商社から供給され、製品は大手商社に売るというサンドイッチにされた弱い立場にあります。しかも織布業は、先ほどからも話にありますように、開発途上国から追い上げにあっており、現行の団体法に基づく設備規制だけでは織布業を維持していくことはますます困難になっております。  最近、商社の買い占め、売り措しみで原糸価格が暴騰したわけであります。このとき、西陣産地では生糸の価格が高くなり、高い原料を買ったのでは製品の値上げをしなければならなくなるし、生糸の値上げを一そう促進することになるからというので、一斉休機、いわゆる生産制限を組合の方針として打ち出したのであります。こういう防衛的行為はやむを得ないと思われるので、敏速にこうした措置が行なわれるよう配慮すべきだと思いますけれども、中小企業庁おいでになったら御答弁願いたいと思います。
  110. 原山義史

    ○原山政府委 お答えいたします。  先生御指摘のように、原材料が非常に高騰して、企業の経営が非常に困難になるというふうな場合におきましては、中小企業団体組織に関する法律によって、これに合法的に対処し得る道が講ぜられることになっております。すなわち、中小企業団体法の十七条の規定によりまして、原材料を非常に高い価格で購入いたしまして、その結果企業経営が非常に困難になるというふうな場合には、所用の手続を経まして、商工組合が生産制限、出荷制限の行為ができるというふうなことになっております。具体的には、組合が特別議決をいたしまして調整規程を作成し、主務大臣の認可を得るということが必要になってまいりますが、この際、主務大臣が、消費者に対する影響等を考慮し、公正取引委員会とも協議してすみやかに認可するということになっております。なお、先生御指摘の西陣のような場合、県内だけにとどまっておるという場合におきましては、主務大臣の権限を県知事に委任いたしておりますので、これによって迅速に措置させたいというふうに思っておるところでございます。
  111. 竹村幸雄

    ○竹村委員 公正取引委員会の人来ておりませんか。
  112. 浦野幸男

    浦野委員長 公取は出席しておりません。
  113. 竹村幸雄

    ○竹村委員 ただいま答弁をいただいたわけですけれども、先般こうした行為をとったときに、公正取引委員会から呼び出しを受けていろいろと注意をされたような経過もありますので、こうした措置が迅速にとられるよう御配慮願いたいというふうに思うわけでありますが、時間の関係もありますので、これで終わります。
  114. 浦野幸男

    浦野委員長 松尾信人君。
  115. 松尾信人

    ○松尾委員 この法案の提案は、無籍を有籍にするということを柱にいたしまして、中小零細の方方の生業を守っていく、これが基本姿勢でありましょう。この基本姿勢というものが一貫してまいらなければなかなか零細の方々の納得を得られない、こういうことを前提にいたしまして、私は若干の質疑を重ねていきたい、こう思うわけであります。  まず、無籍発生した理由等につきましては、詳細いままで質疑が重ねられてまいりました。それで、今回の改正で無籍というものが完全に解消できるか、次いで、今後無籍発生というものを防止できるか、こういう二点でありますけれども福田さん、いかがですか。
  116. 福田一

    福田(一)議員 組合が、非常に無籍発生を防止することに協力をされ、また監視員制度が十分に実行に移されるということ、そうして、それでもなおかつ無籍が起きたような場合には、その人に対しましていわゆる団体法の処罰規定まで持っていくということを今度は実現するわけでございます。いままではそれができませんでした。私は、これは日本人の良識を信ずるわけでございますけれども、このたとえが当たっているかどうか知りませんが、おまえはどろぼうして百万円もうけたじゃないかといわれる、その名誉というものは、経済の問題にかなり優先して考えておる民族であると私は思っております。どろぼうしようがかっぱらおうが、金をもうければいいのだ、こういう考えではないのじゃないか、そういう意味合いで、罰則の適用まで行なうということになれば、おそらく私は無籍をつくるような人はほとんどあり得ないと思います。そうしてまた、そういうような不名誉なことが法律によってちゃんと明らかにされていくという形、そういう形が完全に守られれば私は無籍は防ぎ得るものである、かように日本人の良識を信じております。
  117. 松尾信人

    ○松尾委員 良識はお互い良識でやるべきでありますけれども、いろいろの問題がありまして無籍になったわけであります。ですから無籍というものは今回の措置でなくなるのだ、今後ともに発生しないのだという、その辺の措置がぴしっとなければ、良識だけではいかぬのでありまして、この改正案によってそれがねらいなんだ、こう納得のいくようなお答えが願いたいのです。
  118. 中村重光

    中村(重)議員 先ほど荒木委員にもお答えしたところでしたが、いままで通産省が怠慢です。団体法の九十四条を発動してこの無籍発生に対しまして処分をするといったようなこともやってない。監視体制等につきましても全くおざなりです。ですから、この姿勢をまず変えさせなければなりません。したがいまして私どもは、通産省とも将来の展望についていろいろと話し合いをし、また監視体制のあり方はどうあるべきか、九十四条の発動はどういう場合にできるのかといったようなことについて十分検討を加えてまいりました。やるべきことをやる、職務怠慢なんということを断じてやらさないというようなことをやりますならば、今後無籍発生することを食いとめることができるであろう、かように考えているところでございます。
  119. 松尾信人

    ○松尾委員 そういう中から、零細な方々はだんだん機械を使っているうちに古くなる。そうすると買いかえが必要になってまいりますね。そういうときにきちっとそれが無籍にならないような措置がなければ、またいつの間にかそういうものが無籍になっていくおそれがある。ですから、この買いかえ等を必要とする場合、そういうものも無籍になる心配は絶対ないのだ、この点は一言でけっこうでありますけれども、どなたでもいいですが、いかがですか。
  120. 福田一

    福田(一)議員 買いかえの場合には御案内のように組合を通じて届け出をいたします。そうしてまた監視体制のもとにもその届け出が届くようにいたしますから、それがなければ買いかえをすることができないように措置をいたしますから、その点は御心配はないかと存じます。
  121. 松尾信人

    ○松尾委員 むしろ買いかえというものが円滑に行なわれるようにということを主眼にして私は質問しておるわけです。円滑にいきますね。
  122. 福田一

    福田(一)議員 買いかえの場合に円滑に行なわれない一つ理由は経済問題があるかと思うのでありますが、こういう点についても、私は組合等が、その人が非常に零細業者であるが買いかえをしたいというような場合には、通産省としてはそういうものをできるだけ優遇して、そうして銀行の融資等についても考慮してやるというような配慮はさせるべきである、かように考えております。
  123. 松尾信人

    ○松尾委員 従来の無籍に流れていく傾向をながめますと、織機のブローカーだとか親機産元商社、関係業者、また織機メーカー、こういう人たちに対する措置というものがきちっとなっていませんと、今後とも無籍になっていくおそれがある、そういうところの配慮をどのようにされる考えか。これは法文に明らかでないので、どなたでもけっこうです。
  124. 中村重光

    中村(重)議員 御指摘がありました買いかえなんかの場合もそうでありますが、いままでメーカーと工連との関係が全く無関係の中にあったというように思います。したがいまして、買いかえの場合、いろいろの場合が予想されるわけでありますが、登録をいたしました織機を途中で譲渡するといったいろいろなケースだって生まれてくるであろう。その場合に工連の証明書をつけるといったような措置等が考えられるわけであります。したがいまして、いままでやっていなかった、今後は可能な限りのあらゆる措置を講じて無籍の防止をやる、同時に、この事業の運営が円滑に行なわれるように措置していくということで、今後は御指摘がございましたような点はなめらかに、そして無籍を防止することができる、そのように確信をいたしておるところでございます。
  125. 松尾信人

    ○松尾委員 今回有籍になるわけでありますけれども、従来の登録の方々と今回新たに登録される方々、この間、政府のいろいろの金融等の助成措置がありますけれども、新しく登録したからといって従来の方々と差別待遇をなされてはいけない。この現場におきましては案外そのような意識が強い。今回の登録という制度からいえば、そういう考え方を一掃しまして、すべて登録して、全部に機会を均等に与えて、全部の人々の利益をはかる。その中で中小の方々の利益を中心に考えるというたてまえからいけば、今回登録された人たちに対してかりにも差別的な待遇があっては相ならぬ、こう思うのでありますけれども福田さん、いかがですか。
  126. 福田一

    福田(一)議員 それは先ほど御質問があったのといささか関連がございます。いま正直者はばかを見ないようにせよ、こういうお話と、それからいま言ったように、登録した以上は、いままで無籍であったものでも平等に取り扱わねばいけないんじゃないかという御趣旨と、これはいささか相反する立場になると思いますけれども、私は、そういう場合においても正直者がばかを見ないような措置も考える。と同時に、先ほど通産省が言いましたような輸出の問題、その他にあれするというようなことは、小さい人ではそんな輸出をすぐ自分でやるなんということはできないのです。小さい方で一番大事なことはやはり金融問題等々であると思いますので、こういう面においてはひとつできるだけめんどうを見て差し上げるようにせねばいけない。それからまた、これが一つの買い取りの対象になるような場合もあまり差がないようにする、こういうことはぜひやって、そうしてそこをうまく配分するといいますか、両者が成り立つようなくふうをさせるようにいたしたいと考えております。
  127. 松尾信人

    ○松尾委員 納付金の問題に移りますけれども、これはやがて過剰織機が予想される。ですから買い上げが必要なときが来るであろうというお答えであります。その間、だれが買い上げを必要とするかということでありますけれども、いま中小の方々は自分の生業で手一ぱいでありまして、いま景気がいいからでありましょうけれども、おれは一生懸命やって商売は続けていきたい、そういう中から、日本の経済にも寄与していきたい、こういう考えであります。ですから、先ほど御答弁があったのでありますけれども、当分の間このような景気が続けば、買い上げを希望する人々は零細な方々からは出てこないといえるんじゃないか。そういうものを頭から、四分の一の織機の廃棄をするんだ、そういうふうに割り当てられてきめられたら困るでありましょうから、買い上げ希望者から必ずこれは買い上げるんだということをいって明確にするとともに、この納付金でありますけれども、それがやがてなしくずしに使われていく場合、零細の方々が希望して納付金の中から買い上げを求めてくる場合はけっこうでありますけれども、それ以上の大きな人々が自分の考え方、自分の方向転換等から買い上げを希望してくる場合、いろいろあると思うのです。今回のこの納付金というものは零細な人々の納付金でございますから、これを一律一体に買い上げ希望者に対して適用していくということについては、この基本精神である中小零細な方々を守っていく点からいえばぴんとこないのじゃないか。やはり日本の繊維政策の一環として、また必要であります構造改善事業に伴う買い上げと同じような要素も非常に強い。そういう点から言いますると、納付金即買い上げ資金、このようなことで買い上げはだれでも出てくるということで、大を救い小をないがしろにすることがあっては私はいけないと思うのです。将来買い上げをしようとしてきた場合に、零細な方々が必要として申し出たものを譲渡していく、大についてはまた別に考えていくとかいうような配慮がなければいけないのじゃないか。  これはまずその点につきまして中村議員の答えを求め、最後に福田議員の答えを求めていきたい、こう思います。
  128. 中村重光

    中村(重)議員 傾聴に値する御意見であると思います。買い上げという事態が起こってまいります場合、これは繊維産業の健全な発展ということになるわけであります。その場合も、零細企業者が切り捨てられるということであってはなりません。零細企業者を保護していくという精神が貫かれなければならないと考えます。したがいまして、御指摘のように零細企業者の希望といったようなことが行政運営の上で生かされていくというような方向で、政府に対しましても与党に対しましても、私どもその点は強調してまいりたいと考えるところでございます。
  129. 福田一

    福田(一)議員 ただいま中村議員が御答弁したとおりでございます。
  130. 松尾信人

    ○松尾委員 少し中村議員の答えではっきりしなかったような、ぼくが聞き間違いかもしれませんけれども、納付金というものは今回零細な方々から取るわけであります。ですから、買い上げになった場合に、そのときの情勢に従って、買い上げ資金は納付金だけじゃなくて、政府資金を出す場合もあるんだ、そうして納付金というものは適正に管理、保管して、その管理運営はりっぱにやっていくんだ、こういう答えがあるかないかということであります。
  131. 中村重光

    中村(重)議員 先ほど荒木委員の御質問に対してお答えしたところでございましたが、納付金は一応予想される金額が五十億程度であるわけであります。五十三年度時点になりまして、買い上げ計画が工連から立てられる場合、その金額が幾らになるのか、その時点にならなければ明確にならないわけであります。今回納付金が零細企業者から出されることになりますが、零細企業者から出された金によってこれを買い上げるといったような形だけになりますと、零細企業者の犠牲の上に繊維産業の健全な発展をはかっていくということになります。私どもはそれはとらざるところであります。その納付金というのは零細企業者の保護育成という形に当然運営されなければなりませんし、いま御意見がございましたように、政府のほうからの助成措置、支出といったようなものが当然考えられなければならない、そのように考えているところでございます。
  132. 松尾信人

    ○松尾委員 時間もございませんので以上をもって私の質問を終わります。
  133. 浦野幸男

    浦野委員長 宮田早苗君。
  134. 宮田早苗

    ○宮田委員 時間の関係上二、三質問をして終わらせていただきます。  まず最初に、この法律政府提案ということでなしに議員立法という形で出されたわけでありますが、この理由を簡単にお願いしたいと思います。
  135. 福田一

    福田(一)議員 この法律につきましては、無籍ができた過程その他においてまだ政府の手落ちがあったとかいろいろな問題もございます。こういうようなことを踏んまえてみまして、われわれはいまの状態において、これはどうしてもみんなで協力をして実現をしていかなければならない法律である。それには、ほんとうを言えば、全会一致でもって提案ができれば一番よかったのでありますけれども、それは残念ながらできませんでしたけれども、われわれ四党がお互いにやって、そうしてこれによって零細な業者を救うためには工賃の問題を考える、またやみ織機等があることによって大きな工場における労組の問題も考えるというようなことも含めて、この際、この法案をわれわれ四党でやるがいいじゃないか、こういう意見がまとまったわけでございます。
  136. 宮田早苗

    ○宮田委員 この織機買い取りが五年間ということになっておりまして、この法律が施行されまして早い時期に一時金として全額負担ということになっておりますが、この種の業者そのものの実態から、分割払いとかあるいは延納とかいうような措置をとってよろしいのではないか、こう思いますが、その点についていかがですか。
  137. 福田一

    福田(一)議員 この点につきましてはほかの御質問者からも同様趣旨の御質問があったわけでございますが、やはり一応こうきめまして、そうして五年に分割払いにするというようなことにいたしますと、その人がもし事業に失敗するというと、今度はその金も入らなくなるというようなことも考えられないわけではありません。そこで、やはりこの際は一応納めていただく。しかし、納めていただくについては零細業者のことは十分考えなければいけませんから、漸減方式でもって少ししか機を持っておられない人はできるだけこの負担を少なくする、こういうやり方をしまして、そうしてやはり一応この機会に出していただく、こういうことにいたしたほうがいい、かように存じておるわけでございます。
  138. 宮田早苗

    ○宮田委員 供給と需要関係について前の質問者からもいろいろ出ておりましたが、今日の実態が有籍、無籍にかかわらず供給需要のバランスをとっておったというように判断いたしますが、この法律を施行いたしますと、あるいは供給と需要のバランスがくずれるんじゃないかという考え方もあるわけでございますけれども、こういう点の調整といいますか、どういうふうな措置をなさるのか、お伺いいたします。
  139. 福田一

    福田(一)議員 需要と供給の関係というのは、われわれの日本の経済活動がどう動いていくかということによっても大きく変わってまいりますし、また輸出入の関係がどう変化するかということによっても変わってまいります。そこで、需要をわれわれがっくり過ぎるということが出るか、あるいは足りないということが出るかということは、そのときどきによってどうしても相違が出てくると私は思うのです。それに対処してしかるべき手を打っていくことがこの法律趣旨を守ると同時に、一方において、また別の観点からそれに対処するような政治的な措置が行なわれるべきである、かように私は考えておるのでございまして、この法律ができればすべての問題が解決するというふうには考えておりません。これらはやはりあげて政府が適当な措置をとる考えを持たなければいけないかと思っております。
  140. 宮田早苗

    ○宮田委員 最後でございますが、一、二要望を申し上げますので、通産省といたしましてそれに対する決意のほどを御答弁としてお願いしたいということであります。と申しますのは、無籍織機の操作の人々は、往々にして基準法の適用がない。そこでたいへんな労働過重になるわけでございますが、この法律の施行後認知をされますと、やはり基準法の順守といいますか、そういう面についての指導というものは十分に配慮しなければならぬということが一つと、もう一つは再び無籍織機というものを出さないようにするためには、織機そのもののメーカーに対しまして、その織機を納めますと、それに対するリストの報告をさせるというような措置によって、通産省自体が完全に掌握をするというようなことを私は要望するわけでありますが、その点について通産省側のほうの決意のほどがありましたらお聞かせ願いたいと思います。
  141. 福田一

    福田(一)議員 いまの御質問でございますが、織機メーカーに報告させるということは、場合によっては、あるいはできたら附帯決議にでもしたほうがいいと思いますし、それから通産省のほうもそれは十分考えるということを言っております。この点はあるいは御心配なかろうかと私は考えておるわけでございますが、前段の無籍のものが、何といいますか、非常に労働時間との関係で、有籍になったらやはり相変わらず労働時間を厳守しないということではこれは困るじゃないかという御趣旨だと思うのでありますが、これはやはり十分守っていくようにしなければいけない。それにはやはり工賃が——無籍の人というのはとかく工賃を安く受けるわけでございます。工賃が安いからやはりよけい働かなければならないので、やはり適正な工賃にするようにするには、全部が浮かび出まして、その組合で何らかの交渉ができる形にすれば、いま御心配のようなことも順次解消できるのではないか、われわれはこれを期待いたしておるわけでございます。
  142. 宮田早苗

    ○宮田委員 それでは終わります。
  143. 浦野幸男

    浦野委員長 以上で本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  144. 浦野幸男

    浦野委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  145. 浦野幸男

    浦野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  146. 浦野幸男

    浦野委員長 本法律案に対し、田中六助君外三名より、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党四党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨説明を求めます。岡田哲児君。
  147. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。    中小企業団体組織に関する法律に基づく命令規定による織機登録特例等に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行にあたり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 今後の無登録織機発生を厳重に防止するため   1 新規発生の無登録織機保有者及び本法の登録を受けない者等に対しては、中小企業団体組織に関する法律に基づく事業停止命令等を厳重に適用すること。   2 産地等における監視体制を強化し、廃棄織機の消滅の確認等を行なうこと。   3 無登録織機の設置及び操業に関与する親機産元商社等に対し、取引停止の勧告及びその公表を行なう等必要な措置を講ずること。   4 織機メーカーの協力により織布業者が新たに織機を発注するに際して届出させるよう適切な指導を行なうこと。  二 本法により登録を受けた織機については、当分の間譲渡しないよう強力に指導し、正規の手続きによらないで譲渡された織機については、買取りの対象としないこと。  三 本法の対象となる無登録織機の設置時期を省令施行日の昭和四十七年十一月一日とするよう措置すること。   なお、登録に際しては、当該特定織機に係る固定資産税を納付している旨の証明書を添付させること。  四 中小企業団体組織に関する法律を遵守してきた産地組合等に対しては特別な配慮を行なうこと。  五 本法の対象となるすべての零細無登録業者が円滑に登録できるよう十分配慮すること。  六 織布業の健全な発展と従業者の地位の向上を図るため、賃金、労働時間等について適切な指導を行なうこと。  七 毛布製造業等については、構造改善事業の目標期間内に所期の目的が達成できるよう十分な措置を講ずること。 以上であります。  各項目の内容につきましては、案文により委員各位には十分御理解をいただけると存じますので、この際省略をさせていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。  以上であります。
  148. 浦野幸男

    浦野委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  直ちに採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  149. 浦野幸男

    浦野委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、附帯決議について政府から発言を求められておりますので、これを許します。中曽根通商産業大臣
  150. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 ただいまの附帯決議の御趣旨を体しまして、行政に万遺憾なきを期する所存でございます。     —————————————
  151. 浦野幸男

    浦野委員長 おはかりいたします。  本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  152. 浦野幸男

    浦野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  153. 浦野幸男

    浦野委員長 午後二時四十五分に委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時四十四分休憩      ————◇—————     午後三時八分開議
  154. 浦野幸男

    浦野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件について調査を進めます。  出光石油化学徳山工場の事故について、政府から説明を求めます。中曽根通商産業大臣
  155. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 去る七月七日、出光石油化学徳山工場の第二エチレンプラントで火災事故が発生し、付近の住民をはじめ、各方面に多大の不安と御迷惑をかけましたことは、きわめて遺憾に存じております。  事故の概況について御報告申し上げますと、七日午後六時五十分ごろ、計器に異常が起こったため、エチレンプラントをシャットダウンし、点検を行ない、その後、再び装置を稼働させましたところ、午後十時十五分ごろに至って、第二エチレンプラント内のアセチレン水添装置で火災事故が発生した次第であります。  直ちに工場側は、全系列のシャットダウンを行なうとともに、消防機関の協力を得て消火につとめた結果、第二次引火のおそれはなくなり、八日午前六時二十分窒素ガスの張り込みを完了いたしました。現在のところ、プラント内の残留ガスについて爆発を防ぐためにプラントを冷やしつつ燃え尽きるまで燃焼を続けさせているところであります。  なお、今回の事故により付近住民に少なからぬ不安を与えましたが、山口県庁からの連絡によりますと、幸いにして工場外の第三者被害は生じていない模様であります。ただ、同工場の従業員一名が行くえ不明でありましたが、今朝遺体となって発見されました。  事故原因といたしましては、計器の作動不良等により水素の供給量が過大となり、プラント内が異常に高温高圧となって火災に至ったものと推定されておりますが、通商産業省といたしましては、とりあえず二基のエチレンプラントについて山口県知事名で、高圧ガス取締法に基づく緊急停止を命ずるとともに、今後に備え、関係各省の防災専門家や学識経験者を含めた事故調査委員会を早急に発足させ、事故原因の究明と対策の検討を行なわせ、こうした事故の再発防止に万全を期する所存であります。  さらに、他のコンビナートのエチレンプラントにつきましても、関係府県等と協力し、重点的な施設の総点検を実施し、九月末までに報告書を取りまとめたいと思っております。  また、今回の事故にかんがみまして、高圧ガスを取り扱う事業所に対しまして、計器装置類の整備に心がけるとともに、現場の作業員に対する教育訓練を徹底するよう強力に指導してまいる所存であります。  なお、今回の事故によりまして、エチレン需給に影響がないよう、同業他社による融通など極力応急措置を講じまして供給不足を来たさないよう努力してまいりたいと思っております。
  156. 浦野幸男

    浦野委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。板川正吾君。
  157. 板川正吾

    ○板川委員 ただいま大臣から徳山の出光工場における火災事故について報告を受けました。私どもも新聞で知る程度しか目下知識がございませんが、このコンビナートシステムというのは、実は二重、三重の安全装備がなされておって絶対に災害は起こらない、こういう通産当局の従来のいわゆるPR、宣伝でありましたが、今回は実はそれがうそであったということになるわけであります。幸いにしまして、第二次爆発、付近まで延焼しなかったといいますか、一つの建物の爆発だけに終わったということは不幸中の幸いだと思うのです。コンビナートは従来二重、三重の安全装備をされておるから絶対に心配ない、こう通産当局が言われておりながら、今度の事故は、一体当局として、大臣としてどういうふうにお考えでしょうか。
  158. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 石油化学のコンビナートにつきましては、御説のとおり二重、三重の安全装置がかけてあるわけであったのでございますが、今回このような事故が起きましてまことに遺憾にたえない次第であります。問題は、調べてみますと、六時四十五分ごろ放出ガス燃焼のところで黒い煙が出てきた。それから計器のほうに少しフレミングといいますか故障が出てきた。そこで一たんシャットダウンしまして、それから点検をやって、その点検がいかに行なわれたかということが非常に大きなファクターになると思います。いまその辺の究明をやっておりますが、専門家の話によりますと、そういう事態になった場合には、一方においてはコンピューターの装置によってガスが高圧になってきたものは自動的に調節されるようにしてある。水素を添加しておるわけでありますけれども、その分水素が過重になりますと高温、高圧になるというので、その辺のガスを放出できるようにしてある装置が、コンピューターによって自動的に行なえることは一つできておるそうです。それと同時に、万一の際に備えて手動に切りかえることもできるようになっている由であります。そのどちらが作動したのか、その辺の原因を究明することが一番のポイントになってきているようでありまして、その点につきましてはいまいろいろ資料も取り寄せ、原因を究明しておるところでございます。
  159. 板川正吾

    ○板川委員 コンビナートを持っている地区は徳山だけでなくて、全国で五十六カ所といい十七カ所といわれておりますが、この地域の住民はこの事故をもって非常な不安にかられているわけであります。この徳山の出光工場は四十三年に完成をしたんですね。四十三年に完成して、いわばエチレン三十万トンの新鋭の設備である。古い設備じゃない。それが事故を起こしたということであります。エチレン工場の機械といいますか装備といいますか、同種のものを持っているのは全国でどのくらいあるのでしょうか。五十六といい十七というのですが、どちらがほんとうでしょうか。
  160. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 私の手元の資料では、十七ヵ所のようになっておると思います。
  161. 板川正吾

    ○板川委員 私はこの新聞の記事で見る限りの議論になるのですが、この新聞によりますと、工場長の増森萬一工場長というのがこういうことをはっきり言っておるのです。「装置はすべてコンピューターシステムで運転している。プラントの働きがおかしくなって異常が起こっても、計器の針が正常値を示した場合は、操業を続ける。結果として非正常運転をする可能性があることも否定はできない」こういう工場長の談話が載っておりますが、工場のほうとしてはコンピューターシステムだから計器をにらんで運行するほかはないのだ。だから、実際は非常に危険性があっても、計器に出なければもう操業を続けるほかはない。今度はそれをやっておったら事故になったというのだから、したがって、計器が正常値を示した場合は操業を続けて、結果として非正常運転をする可能性もあることを否定しない、こういうのですね。これでは全国十七ヵ所ですか、このコンビナート地域の住民というものは不安で寝られないのじゃないかと私は思うのです。これも徹底的にこの際調査をして、国民の不安を除去するような対策をとらなくちゃならない、こう思います。とにかく通産省は安全だ、安全だと従来言っておったことが、実は事実をもってくつがえったことを考えなくちゃならぬと思います。時間がございませんから、私はこの工場長の談話から考えたのですが、安全だと思って、実際は不正常な場合でも計器が安全を示せばしかたがないと言いながら、この新聞によると「運転再開四十五分後の同十時ごろ、再び同工場から「また計器の針が異常に下がった。」こういって、異常を示しているのに「従業員が現場に点検に行っている」」といって、工場長の命令で点検にやらせたんですね。これなんかはたいへん人命軽視の措置じゃないかと思います。  時間がないからまたの機会にいたしますが、いまの大臣の報告で、作業員の保安教育の訓練強化、こういうことを事故防止の今後の対策として指摘されております。この新聞等によりますと、もちろん作業員の保安教育訓練も大切でありましょうが、工場長が判断を誤っているのですね。会社側の責任、工場責任者の責任というものにあまり触れない。どうもこれは通産省としては企業側に遠慮しているようなところがあるんじゃないですか。  それから、いま最後にちょっと触れられましたが、エチレンを増産してこれでどこからかくふうして不足なきように取り計らいますということは、この際は、私はその考え方を強調する必要はない報告じゃないだろうかと思います。一日も早く事故の原因を究明して、そして国民の不安をなくするというところに報告の重点が置かるべきであって、国民の側からいえば、他で増産をして、事故のために生産が落ちたのを間に合わせるといって、ほかのほうでまた無理をして事故を起こされては困るのであって、その考え方、作業員の保安教育訓練とか、あるいは他の工場でエチレンを増産して不足なからしむるように取り計らうというのは、通産省の事故防止対策としてどうも企業べったりの感じがいたします。いずれにしましても、現地等の調査をして、国民の不安のないように責任をもって対処していただきたいということを要望いたします。  時間がないのでまたの機会にいたします。
  162. 浦野幸男

    浦野委員長 神崎敏雄君。     〔委員長退席、左藤委員長代理着席〕
  163. 神崎敏雄

    ○神崎委員 通産大臣の談話の第二項の最後に「かかる事態の再発防止に万全を期す」、この出光石油の今度の事件について、談話の中の第二項の最終にそういうふうにおっしゃっているのですが、まず第一に、この「再発防止に万全を期す」というのは具体的に今後どういうことをされようとしておるのか、それを伺いたいと思います。
  164. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 今回の事故の原因を徹底的に究明いたしまして、安全であるといわれておる石油化学の装置の一体どこに欠陥があったのか、装置の欠陥か、操作の欠陥か、そういう点を厳重に究明をして、同じような装置を使っておるほかのコンビナートについても一々その点を点検して、そして再びそういう過失がほかの場所でも起きないようにまず戒めるということが大事であると思いますし、現在稼働している諸設備についても全国一斉点検をやりまして、そして規則あるいは工場のマニュアルどおり機器が稼働しているかどうか、安全性能についてやはり点検する必要がありますし、またもし万一事故が起きたという場合の補修や防除対策等についても、もう一回再点検をさせてみてその万全を期する、そういうようなことをやらしたいと思っておるわけであります。
  165. 神崎敏雄

    ○神崎委員 そこで、いま総点検の話をされて、それは完全実施されたらいいとは思いますが、全国の高圧ガス関係企業ですね、総点検というと一応全部当たられると思うのですが、一体この高圧ガス関係企業というのは全国で何カ所くらいあるのですか。企業数は何ぼくらいあるのですか。
  166. 田中芳秋

    田中(芳)政府委員 高圧ガス取締法に基づきます対象の事業所数という御質問と承りますが、おおむね八千という数を数えるわけでございます。
  167. 神崎敏雄

    ○神崎委員 八千カ所ですか。
  168. 田中芳秋

    田中(芳)政府委員 そうでございます。
  169. 神崎敏雄

    ○神崎委員 八千カ所も全国にあって、いま大臣がおっしゃるような具体的な対策がほんとうに九月末までに全部できますか。
  170. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 私が申しましたのは石油化学……。
  171. 神崎敏雄

    ○神崎委員 高圧のほうはどうですか。
  172. 田中芳秋

    田中(芳)政府委員 今回事故を起こしましたエチレンプラント、これは高圧ガス取締法に基づく対象の設備になっておるわけでございます。そしてこの種の事故が再び起こりますと、付近の環境にかなり大きなインパクトを今回与えたということもございますので、これを重点に私どもは点検をやってまいりたい、このように考えております。
  173. 神崎敏雄

    ○神崎委員 最後に大臣、コンンビナートというものは公害の問題ではよく取り上げられるのですが、同時にいま言われる安全性の問題、これがやはり非常に重要だ。公害の側面はもちろん徹底的にやらなければならない。同時に危険性、安全性といいますか、危険性から守る、そういうようなことからさらに具体的な点検を全く文字どおりして、再びこういう事故のないようにしていただきたい。また実地に見てまいりまして、日を改めて私の意見を申し上げたいと思うのですが、きょうは時間その他の申し合わせもありますのでこれでやめますけれども、大臣、ちょうど昨年のいまごろ、覚えていらっしゃると思うが、関西電力の海南発電所でシャフトカバーが飛びました。単にシャフトカバーが飛んだだけで二トンくらいの鉄のかたまりが百メートル以上飛んだ。これは大事に至らなくてよかったのですけれども、こういうようなこともありますので、いまおっしゃった総点検は、ほんとうに国民が安心できるような総点検をしていただいて、再び徳山事件のような災いがないように責任をもってやっていただきたい、こういうことを申し上げて、あとはまた見てまいった上で考えを申し上げたいと思います。
  174. 左藤恵

  175. 近江巳記夫

    ○近江委員 こういう石油コンビナートの各工場につきましては二重、三重の安全装置がある、事故の心配はないと工場側も主張しておりましたし、監督官庁の通産省も同じ見解をとってこられたのですが、今回のこの事故を見ましても、それはあくまでも神話であった。その点について、いままでとってこられたことに対して誤りであったということを率直にお認めになりますか。
  176. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 監督が十分でなかったと反省いたします。
  177. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで、総点検するということをおっしゃっているわけですが、たとえば川崎市の消防局の調査によりますと、コンビナートの安全確保に対する関心は非常に低調である、工場内の安全対策のために、あき地に引火炎上しやすい第三石油類のプロピレン入りドラムかんを野積みにしておるところもある、こういうようないいかげんな態度もあるわけですが、総点検をなさる上においてどういう点を特に調査なさるのですか。
  178. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 機器が正常に作動しておるかどうか、あるいは従業員がその機器の運転に習熟しておるかどうか、災害が起きた場合の処置について万全を期してあるかどうか、それから周囲の住宅や建物その他の関係において安全性が確保されているかどうか、そういう諸般の点を点検させるつもりです。
  179. 近江巳記夫

    ○近江委員 今回のこの事故を見ましても、爆発してから実際上消火させることは不可能であったわけです。結局自然鎮火を待たなければならない。こういう工場の消防体制、これにまた非常に大きな問題があると思うのです。地方自治体とも協定を結んでおるようでありますが、そういう防災協定も、そういう体制というものが万全でない工場内の模様等につきましても、消防署がほとんど知らない、消防車が入ってもそういう内容がわからないようなことで、日ごろからのそういう連携もうまくいっていない、いろいろそういう問題が出ておるわけですが、その点、この消火体制についてどういうように思われますか。
  180. 田中芳秋

    田中(芳)政府委員 コンビナートにおける防災対策、これはまことに重要な問題でございますので、私どもといたしましては、各地区におきますコンビナートごとに防災協議会を設立させまして、立地企業間の協力体制を確立することはもちろん、地元の消防署関係あるいは県の警察関係、これらとも十分連絡体制をとらせておるところでございます。応急の場合におきましては、これら各企業からの資材の応援のあり方、あるいは地元の消防関係、あるいは警察関係等の指揮命令系統のあり方等につきまして、工場内の地図、危険な器具の設置場所等をいさいこれらに通報いたしまして、常時そうした緊急体制に即応できるような体制の整備に努力をさせておるところでございます。
  181. 近江巳記夫

    ○近江委員 そういう体制について努力をしておるということをおっしゃっておるわけですが、三重県の四日市が二十九年の十月に大協石油四日市精油所の原油タンクの爆発を経験しているわけですが、この場合も自治体消防署、各工場を結ぶ県石油コンビナート防災計画が策定されたのがやっと昨年なんですね。最小限に被害を食いとめるということをいっておるわけですが、結局年一、二回の合同消火訓練を実施しているだけだ、あなたはそういうふうにおっしゃっておるわけですけれども、現実の消火体制というものは、今回のこれを見てもただ手をこまねいて見ているだけだ。絵にかいたもちではだめなんです。その点あなたは反省していますか。今後どういうようにやりますか。
  182. 田中芳秋

    田中(芳)政府委員 ただいま申し上げましたコンビナートの共同処理体制、防災体制につきましては、私ども四十三年から発足させたわけでございます。今回の措置につきまして、はたして十分であったかどうかという点も含めまして、先ほど大臣からお話がございましたように、十七の石油コンビナートにつきまして、もう一度今回の事故の反省のもとに立って再検討をしてみよう、このように考えておるところでございます。
  183. 近江巳記夫

    ○近江委員 いずれ現地も見まして、詳しいことはまた質問したいと思いますが、危険なものはこういう化学工場だけではないわけですね。たとえば火薬工場であるとか、いままでずいぶんとそういういろんな事故が起きておるわけですが、全般のそういう危険なところはたくさんあると思うのですよ。そういう点、他のそういう業種についてどういう危険なところがあると通産省では心配しておるか、また、そういう業種についてはどういう点検をやって、今後どういう対策をとらしていくか、その点についてお聞きしたいと思うのです。
  184. 田中芳秋

    田中(芳)政府委員 高圧ガス取締法あるいは火薬類取締法の関係は、御承知のとおり通商産業大臣が責任者になっております。これのいろいろの具体的な取り締まりは、御承知のとおり各都道府県知事がこれを行なうという法律のたてまえになっておるところでございます。しかして、私どもといたしまして、最近におきますいろいろ社会的に問題となっております地震等の対策をも含めまして、やはりこういった地点におきます危険防止という問題に早急に取り組む必要がある、こういう判断から、本年二月保安審議会におきまして、現在までとってまいりましたこうした措置及び今後とるべき措置についての御意見をいただくこととし、これにできる限り早く御答申をいただくように御審議をお願いしておるところでございます。
  185. 近江巳記夫

    ○近江委員 その答申を待っている間に、事故がまた次々と起きる可能性があるわけですよ。その答申はいつできるのですか。
  186. 田中芳秋

    田中(芳)政府委員 私どもといたしましては、年内には中間答申をいただくつもりでおりましたのですが、こうした事故にかんがみまして、できる限り早く御答申をいただくようにお願いしたいと考えております。
  187. 近江巳記夫

    ○近江委員 それはできる限り早くやってもらって、万全な体制をとっていただきたいと思うのです。先ほど申し上げましたように、これはコンビナートだけではなく、こういう化学工場だけではない、全産業にわたっての危険なそういう面がたくさんあろうかと思うわけです。そういうことも含めまして、大臣に最後にこういう防災問題につきましての今後の決意をお伺いして終わりたいと思います。
  188. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 今回の事故にもかんがみまして、この総点検の結果を踏まえて厳重に規制をするなり、あるいは行政指導いたしまして、こういうことが再び起こらないように注意してまいりたいと思います。
  189. 近江巳記夫

    ○近江委員 終わります。      ————◇—————
  190. 左藤恵

    左藤委員長代理 次に、内閣提出、大規模小売店舗における小売業事業活動の調整に関する法律案を議題といたします。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。塩崎潤君。
  191. 塩崎潤

    ○塩崎委員 ただいま議題となりましたいわゆる大規模小売店舗法案につきまして、御質問申し上げたいと思います。  御承知のように、旧百貨店法は、百四十万人の小売業者が、長い歴史の中でみずからの力で戦い取った自衛の武器だといわれておるわけでございます。この法案小売業者は、バイブルのようにたいへん大事にしてまいりました。しかし、新しい時代の装いといたしましてはどうもぴったりこない。大型スーパー等の進出によりまして、このバイブルがたいへんあぶなくなってきたことは御承知のとおりで、ございます。やっと今回政府から改正案が出されたわけでございますが、このようないきさつから見ますと、何としてもこの法案は早く成立させて、百四十万のうち百万人は生業にしかすぎない零細な小売業者でございますが、その方々の安心をかち得たい、こんなふうな思いを持つわけでございます。そういった角度から、これは非常に大ざっぱな分類でございますけれども、二つの点について御質問を申し上げたいと思います。  一つは、この法案に対してどのような基本的な態度で取り組むかという問題でございます。  もう一つは、この法案に盛り込まれました精神というものはたいへん貴重なものでございますが、その精神は、単に百貨店とかあるいは大型スーパーとか、こういった部面だけではなくて、もう少し広く考えを及ぼすべきではないか、こういった点でございます。  この二点でございますが、まず第一に大臣に一言お尋ねしたいわけでございます。  最初申しましたこの法案に対しまして、どのような基本的な態度で取り組むかという問題でございます。ここでもうすでに私の前に何人かの同僚議員がいろいろと質問をされたのでございますが、まだまだ百四十万人の小売業者の不安は解消しないような法案の仕組みが認められるわけで、そのような質問があり、これをどうするかというような御意見があったわけでございます。私は全部それをひっくるめまして、基本的な態度と申しますか、ほんとうに抜け穴のない、そして小売業者が安心していけるような法律にしたいという意味から御質問申し上げるのです。  大臣、突拍子もないことなんですが、いわゆる脱法行為というものはどういうふうに考えたらいいのか。ちょっと突拍子もない質問でございますが、これは、法律違反ではありません。法律には脱法行為がつきものなんですが、この脱法行為をどういうように考えたらいいか、この点について大臣に御質問申し上げたい。  脱法行為というのは、先ほど申し上げましたように法律違反じゃありません。したがって、一方アメリカでは——大臣、アメリカのことにはたいへん詳しいようでありますが、脱法行為というのはともかく玉つきよりも愉快な室内遊技である、法律の抜け穴をさがして、そうしてうまく泳いで事業の繁栄をもたらすということは玉つきよりも愉快なインドアスポーツだからこれを大いにやるべきだという意見がある。したがって、こまかい点をさがしてやる。しかし、アメリカでは、そんなことに対していろいろと対処することが行なわれておるわけでございます。しかし一方、どうですか、大臣。最近は企業の社会的責任が問われる。単に法律的責任じゃありません。法律違反をしないということだけで済むというような問題じゃなくて、経済活動の節度とかあるいは社会的責任というものは、脱法行為に対しては世間がきびしい目を向けておるような気がするわけでございますが、この脱法行為という問題について大臣はどう考えられるか、そして国会あるいは政府、立法者、われわれを含めてどういうふうに考えていったらいいのか。確かに法的安全性も必要でございます。事業の目安もつけなければならぬのでございますが、最近の世相から見て、特にこの問題は大事である。しかし、私が特にこの問題を取り上げたいのは、単に立法政策一般じゃないのです。この百貨店法、旧百貨店法以来、脱法行為ということを抜きにしてこの法律は語れないだけの歴史がある。一例を申し上げても、御承知のように百貨店法は昭和十二年にでき、またそれが廃止されて、三十一年にでき上がったのですが、もう三十四年ごろから百貨店法を免れるような動きがあったわけです。いろいろと大型スーパー、チェーンストアのすぐれた経営者の本を読んでみますと、自分法律違反はしないけれども脱法は大いにやるのだ、こういうことを言っておられる。しかも、通産省が百貨店法をわれわれに適用しなかったことが今日の繁栄の最大の原因であるというふうに堂々と書いておられるのですね。昭和三十四年ごろから始まって三十九年くらいまでには、盛んにここの商工委員会で野党の方々から百貨店法の修正案が出てきたが、それが審議未了になってきた。しかしそれではたまらないというわけで、わが松山市において商店街の方々が集まって、疑似百貨店という何か忌まわしい名前を使って、疑似百貨店対策協議会というものをつくって、大いに日本にキャンペーンを始めて、大阪の商店街の方々もこれに同調し始めたというような経緯がある。  さて、このような問題があるだけに、脱法行為ということを抜きにしてこの法律案を簡単に通したのでは、また同じ脱法、こういったことが行なわれて、小売業者の不安は依然として去らない、こういうように私は思うのですが、まずこの基本的な態度を大臣から伺って、それから法案内容に入っていきたいと思います。
  192. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 最近における流通事情の大きな変化にかんがみまして、一面においては消費者の利益、一面においては公正取引、そして一面においては中小企業の保護、こういう諸点を考えまして流通体系の再調整を試みて、今回百貨店あるいはスーパー、疑似百貨店、寄り合い百貨店、チェーンストアあるいはさらに個人商店、商店街等の調整をやろうとしたものでございます。ねらいは、やはり一つは消費者の利益ということがございますと同時に、もう一つは、やはり進歩のための公正取引の確保ということもございます。しかし、いま塩崎委員指摘のように、最近は百貨店法の盲点をついたスーパーや大型店舗というものが出てまいりまして、営業時間、休みあるいはサービスその他において、ある意味においては消費者に非常なサービスと利便を与えておるけれども、ある意味においては、公正競争という面からいかがかと思われるというような面も出て、地域の商店やあるいは商店街と摩擦を起こしている部面が非常に続出してきておるわけであります。  そこで、それが脱法行為であるかどうか、私わかりませんが、一面においてスーパーのようなものが出てきたというのは時代の要請もありますし、また、お客さんの利便ということも非常にあると思うのであります。そういう意味において、スーパ一が出てきたということは、百貨店に対しても小売店に対しても明らかに一つの刺激剤にはなってきておる。しかし、といって、そのスーパーのような情勢をそのまま放置することは許されない。そういう意味において今度の再調整となったわけでございますが、塩崎委員の御指摘になった脱法行為に当たりますかどうか、ともかくそういうようなことを防ぐために今度建物主義という原則をとりまして、容積でものを処理する、営業の性質にあらずして建物の大きさで制限していく、そういう形によりまして、いまのような不公正な競争が行なわれないように一応措置しておるわけであります。なおまた、いろいろな行政指導等によりまして、勧告とかあるいは変更命令とか、そういうこともできますから、そういう面を大いに活用いたしまして、今度事前審査制というところまでやっておるわけでございますから、大いにそういう事実上の実益をあげるように行政指導もしていきたいと思っております。
  193. 塩崎潤

    ○塩崎委員 非常にふんわりしたお答えで、まだ核心をついたお答えになっていないような気がするのです。私は脱法行為に対してどう対処するかという問題をお尋ねしておるわけであります。はね返ったお答えの中に、今度、消費者主義と申しますか、消費者の利益を尊重しながらいままでの百貨店法の盲点を改めた店舗主義の法案をつくったのだ、これが一つと、もう一つは、行政指導を行なって、どうも塩崎君の言っておる脱法行為を防ぐのだというお話があったのですけれども、大臣も、少なくとも脱法行為はやはり法のねらいから見て好ましくないというふうに考えておられるのだろうと私は思うのですが、いかがですか。そして、抜け穴封じのためにはできる限りあらゆる手を打つのだ、そして零細な小売業者の心配を救ってやるために、法案の意図と反したやり方をしておれば、それは中曽根大臣らしく正義の剣を抜くのだ、こういうことだと思うのですが、どうなんでしょうか。
  194. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 自由競争の世の中で、われわれはそういう自由経済を信奉しておりますから、創意くふう、あるいは進歩のためにいろいろなアイデアをもって商売を開拓していくということは大いに歓迎すべきことでありますけれども、それが明らかに既存の法律を免れる意図をもって行なわれているというようなものがもしありとすれば、もしそれを脱法行為と称すれば、脱法行為はよくない、そう思います。
  195. 塩崎潤

    ○塩崎委員 そこで、いままで三千平米ありながら百貨店法を免れておったのは、御承知のように各フロアごとに無数の会社をつくっていったために企業主義の規定が働かなかったことにあることはもうたびたび指摘されたとおりなんです。これは一つの脱法だと思うのです。しかし私は、中曽根通産大臣がもう少し早く通産大臣になっておられればやり方が違って、おそらく裁判にまで訴えて、こういったことはほんとうの脱法だから、よってこの法律を適用するのだという訴訟くらいまでやったのじゃないか。アメリカは非常に大ざっぱな法律の書き方をいたしますが、コモンロー方式で、やはり裁判でお互いに争って一つの判例をつくっていく、そして抜け穴を封じていくということに慣習ができ上がっておることはもう御存じのとおりなんですが、本来そういったことをすべきである。それが十何年ここまできたのは、私はやり方に非常に問題があったと思うのです。私は与党ですからあまり攻撃もできませんから、いま大いに大臣を持ち上げておるわけです。しかし、建物主義になって、通産省の案では、脱法不可能な建物別の規制法に改めることにしましたと書いてある。大臣、これは少し誇張で、誇大広告の、公取から取り締まりを受けるような表現だと思う。つまり、建物主義になれば、先般佐野委員の御質問にもありましたように、いや二千九百五十平米でいいですよ、たくさんの建物ができて、大型スーパーらしくできておれば、何も三千でひっかかってスーパーの方々が一番きらっている営業時間、休日までやかましく制限を受けるなら、二千九百五十でいいじゃないですか、そしてちょっと店舗を変えてやれば——これは私は一つの脱法だと思う。ほんとうは、建物主義にする一方、たとえば法律的にはほんとうにスーパ一と認められる、たとえば三千平米の建物を二つも三つも持っている方々が、二千五百平米の建物をつくって、これを免れる意図があっても、この法律規定は適用するというような一条を入れておれば脱法はない。ただ、私が初めてスーパ一をつくるようなときには、これは塩崎商店ですから二千九百五十ならかんべんしてやる、しかし、既存の大型スーパーで、これまで小売業者の方々を心配させたような方々が二千九百五十というふうにこられたら、大臣これはやはり正義の剣を抜きたくなるのじゃないでしょうか。どうですか。
  196. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 やはり社会生活をやっておりますと、何かの基準を置かないと行政法律も運営しにくいわけであります。きのうの都会議員選挙で、二万、三万取った中で、わずか七票で落選という人がおりましたが、七票と八票の間にいかなる差がありや、やはりそういうきめ方で、約束としてみんなで承認してやる、そういうことで落選ということができているのだろうと思います。いまの建物規制の場合でも、じゃ二千九百九十九一平米ならばいいのかといわれると、訴訟や何かになると、形式的にはこれは合法性を持ちます。しかし、実質的に、もしそれが脱法の目的を持って、明らかにそういう行為が行なわれているという場合には、これは私はよくない行為だと申し上げましたとおりでありまして、やはりそういう場合にはまわりの声も大きくなりましょうし、行政指導的に善導するということももちろんあり得る。何も三千平米以下であればいかなることをしてもいいというものではないと私は思います。要するに、この法律の目的は、大きいものの中で、百貨店とスーパー、それから寄り合い百貨店的なもの、要するに建物でそういうふうな基準をつくって、そうして中小零細企業との関係を調整するということも非常に大きな目標の一つでありますから、その法律をつくった趣旨そのものを生かしまして、ある程度脱法行為が明らかであって、目につくというようなものについては行政指導していいのではないか。中小企業を保護せよということは、われわれは中小企業基本法においても命ぜられているところでございますから、そういう法律も考えながら行政指導をやっていいと私は思います。
  197. 塩崎潤

    ○塩崎委員 そうすると大臣、基本的には露骨なる脱法行為はやはりこれに対処すべきである。法的安定性と申しますか、一つの目安をつけての事業経営は確かに必要でございますし、私は自由民主党でございますから、官僚の恣意的な統制に服することはよくないと思います。だからまた、いたずらな許可主義、届け出主義はよくないと思うのですが、問題はいま大臣が心配される、露骨な、だれが見ても明瞭なる脱法、これにどう対処するかということだと思うのです。大臣は、行政指導、行政指導だと言われる。通産省の諸君も、立てば行政指導、行政指導と言われるが、それはまた世界で有名なMITIの行政指導で、私はたいへんここに問題があると思う。ここで大臣、率直に言って、私がいま言ったような脱法を防ぐような規定を一本入れるほうがよりすぐれたる方法ではなかろうか。つまり、法律が一ぺん通りますと、百貨店法が三十一年に出てきて以来四十八年まで十七年間ぐらいの硬直性を持っている。世の中はそれだけ動いても直らぬのですよ。自民党の中ですら、法律を直すのはたいへんなことになるし、官僚の諸君に相談すると、法律を直して、国会で委員の顔を見るのもいやだから、こうおっしやるから直らぬ。この際、これを一本入れるかどうか、これを伺いたいのと、もう一つは、行政指導というのはどうも根拠がない。大臣も憲法学者だから、私もよくわかりますが、明治憲法の大権事項があったころなら、これはやはり役所のいうことは聞くのだろうと思うのですが、いま行政指導で効果がないのじゃないか。何らの制裁がない。ただ江戸のかたきを長崎で討つ、いろいろな統制の際のえさとか、あるいは何か罰則でちらちらとおどかすような、他のほうで、江戸のかたきを長崎のほうで討つ、こんなことぐらいしかやれぬ。それなら堂々とアメリカ式に裁判でやるか、裁判でやれるような法的な仕組みにするか、私は行政指導がたいへんな弊害があることを片一方気がついておるわけでございます。  そうして、私はきょう頼まれたのですが、四十五年からさすがに通産省の諸君も動き出して大型スーパーの行政指導を始めたのですが、わが松山がやっと一つぐらい月一回の休日を始めたぐらいで、ほかのところはなかなか月一回の休日の話もできないくらい行政指導が効果がない。今度そんなことを言ったところでまた効果がないのじゃないか。それならこの法律を直すのは意味がないじゃないかということを質問してくれと言っておられる議員がおるのですよ、大臣。こんなことを考えたらどうですか。  私の言う第一点は、十七年に一ぺんしか直らぬ法律なんだから、抜け穴のない法律にし、脱法をもって得意とするような人がいるのだから、それに対処できるだけの法律にする気持ちがないか。あるいはその次に、戦うなら裁判で戦えるようにする、判決によってひとつそういう脱法はやはりこの法のもとで規制されるのだということにするか、行政指導というのはほんとうに限局された、明治憲法のなごりだと私は思うのですが、いかがですか。
  198. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 御趣旨はよくわかりますが、いわゆる脱法行為を防ごうとして一本入れると、非常にむずかしい問題を惹起いたしまして、その基準をどうするかということで、裁判の対象にもなった場合になかなかこれは扱いにくい問題になる可能性があります。地方、松山あたりは千五百平米でしょうけれども、千四百平米、千三百平米——千三百平米がいいなら千二百でもいいのかいかぬのか、その接点、周辺地域というようなものはいかに判定するか、そうなると、結局それは見てどうだとか、まわりがどう言っているとか、非常に主観的要素が強くなります。そういう意味において、隣接地帯が次々に広がっていって判定がしにくいという問題が出て、裁判の場合に、裁判所でも困るし、こちらのほうでもなかなかつけにくい、そういう問題が起こるおそれがある。脱法行為全般についてそういうことはいえるのだろうと私は思います。そこで、やはりある一定点で限界はぴしっときめておいて、規制は法の精神に基づいて、中小企業保護という大きな仕事を法律によっても通産省は与えられてもおるわけでございますから、それを撹乱するような行為については警告を発したり、あるいはそのほか諸般の処置を適切にとる、そうして調和ある発展をはかる、そういうこともできるのではないか、またやらなければならないのじゃないか、そう思うわけであります。
  199. 塩崎潤

    ○塩崎委員 大臣の言われるとおりなら苦労はないのですね。ほんとうに旧百貨店法をこのように直さぬでも済んだのです。企業主義の定義を免れるためにたくさんの会社をつくって、全くこれはダミーというのですか、かいらい会社というのですか、それは税法なんかで私らも多分に経験したのですけれども、そういった同一の法人は一蓮托生で見るというふうな規定があるので課税の公平が保たれておるわけなんです。通産省の諸君があまりにも法の形式にこだわり過ぎて慎重過ぎた、ことばを言いかえれば憶病過ぎたといえるくらいのことがここまできた。逆に言えば、何か消費者主義というようなことで大型スーパーを伸ばしているのかもしれませんけれども、私はなかなか納得できないいまの御答弁なんです。  そこで、建物の問題は対処できますが、もう少し経過的な問題になると抜け穴だらけ、これは同僚委員の方々も御指摘したとおりなんですが、これはひとつ考えていただかなければならぬ。  私はまず第一に法律でいつも附則を読むくせがある。この附則、経過規定が一番むずかしい。既存のものをどういうふうに扱うか、この取り扱いがむずかしいのですね。これはもう中村委員からもお話がありましたように、既存のものについて、しかもデパートなんかについては、うまくつなぎができておるのです。過去の法律にのっとりましたから、うまくつなぎがついております。しかし、これから規制しようとするところの大型スーパーについては、たとえば営業時間、休日について、これからも無制限で、野放しであるというふうなことになっておるのかどうかというふうな御質問があったのですが、私もこれは抜け穴の代表だと思うのです。     〔左藤委員長代理退席、委員長着席〕 この点についてはいろいろとお考えになっているようでございますが、私は既得権というのは問題じゃないと思うのです。でき上がった建物について、これをつぶせとか営業を禁止するということは既得権の問題になるかもしれませんが、今後同じく商売をやっていく上に、取引をやっていく上に、すべての企業が営業時間、休日について、この法のねらいであるごとき規制をされるなら、既存のものについても今後規制するということは当然許されることだと思うのです。  ただ、一挙にやりますと寝耳に水だからということはございましょうが、私はこのようなことはまた脱法行為といわれ、あるいは抜け穴といわれるようなことはいやなんです。これは私は当然考えられることなんですが、大臣いかがですか。このような問題でまだまだ指摘したい点があるのですけれども、まず営業時間、休日の問題について、大型スーパーの既存のものについて何かやらなければならぬ特別な理由があるかどうかですね。ことにこれからのものは別なんです。既存のもの、これがまたかけ込み新増設を大いに刺激しておると思うのですが、いかがですか。
  200. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 その点につきましては、中村委員からも前に御指摘がありまして、われわれとしても大いに検討すべき点であると考えております。
  201. 塩崎潤

    ○塩崎委員 私は、このような不公平な問題は、この法案が是認される以上はぜひとも平等に扱っていただきたいと思うわけでございます。  それとまた第三に、かけ込み新増設の問題がたいへん問題になっておるわけでございます。それも今度新しく規制される新増設の大型スーパーに限られるわけでございますが、たとえば、この間、通産省がチェーンストア協会に対しまして行政指導と申しますか、非常に抽象的ではございますが、自粛しなさいという通達を出しました。しかし、これまで、施行期日までにどんどんつくっていって、これは野放しだというようなことで刺激して、まだどんどんかけ込みをやっているように見受けられるのです。私の選挙区の中にもある。ほかの地区にもたくさんあるのです。たとえばイギリスによくありますが、法案提出した三月十六日から工事に着工するような大型スーパー等については、この法案の規制を受けるような法案の修正と申しますか一項追加、これが考えられるかどうか。このような手を打つこと、いろいろ手があるのですが、大臣このようなことまで考えられるかどうか。特に私は旧百貨店法を読んでみたのです。そのときの移り変わりもたいへんだったに違いない。ところが、旧百貨店法はうまくできているのですよ。旧百貨店法は、第一に施行期日が一ヵ月以内でやっている。非常に早目にやっている。それから第二は、企業主義の結果だろうと思うのですが、いままで野放しだった百貨店を締めたときに、いま営んでおる百貨店業者は、この新しくできた百貨店法によって許可を受けた百貨店とみなすとして、休日や祭日は全部縛るようなことをしている。いままでのものを野放しにしてない。それから、現在着工中のものについては許可の際に十分考慮していくんだとか、中小企業への影響を考えるんだという経過規定まで入っている。ところが、今度の大規模店舗法案はそこまでの配慮が足りない。どうもコンシューマリズムということばに押されたかどうか知らぬが、何かあるような気がしてならないのですが、大臣いかがですか。
  202. 橋本利一

    ○橋本政府委員 ただいま塩崎先生から御指摘ございましたように、昨年の十月以降の特定店舗の届け出件数を見ますと、月平均にして二十件程度になっておりまして、若干かけ込みと申しますか申請がふえてきております。それに対しまして、ただいま御指摘ございましたような三月十六日の法案提出日以降着工するものを対象とするかどうかという点につきましては、本法ではさような前例もないようでございますし、私たちといたしましては、先ほど御指摘の六月十二日付の自粛通達のほかに、昨年の十月から従来の企業局長通達を改正いたしまして、新法案に盛っておりますような勧告制度をまず導入いたしたわけでございます。また、以前の通達では少なくとも三ヵ月前に届け出するべき旨規定しておったところを、六ヵ月前、より早く届け出を出すように指示しておるわけでございます。この三ヵ月を六ヵ月にいたしたところが、先ほど申し上げました月間届け出件数の増加にも影響しておるかと思いますが、さような行政通達によるところの指導あるいは自粛通達による指導を通じまして、少なくとも法律施行までの間に間隙ができないように、強力に行政指導を展開してまいりたい、かように考えておるわけでございます。  それから、現実の届け出件数の内容を見ますと、その大半のものが、新法が成立した場合にその本則の適用を受けるような時点において開店を予定しておるといったような事情にもございますので、さような対策を打つことによってかけ込みは是正できるものと考えております。
  203. 塩崎潤

    ○塩崎委員 通産省の方々は行政指導が万能のようなことを言われるのですが、まだお答えがなかったのですが、これまでの行政指導の効果はどうなんですか。行政指導、行政指導と言われるが、罰則もなければ他に制裁が見当たらない。行政指導がうまくいっておるならその企業主義の脱法ということ自体もないはずだと私は思ったのです。どうも行政指導、行政指導と言われるのですが、どうなんですか。今後とも効果があると見られておるかどうか。一ぺん橋本次長、答えてください。
  204. 橋本利一

    ○橋本政府委員 私たちといたしましても、行政指導の効果はかなり出ておるというふうに解釈しております。一件別に紛争事例を掲げて御説明申し上げればおわかりやすいかと思いますが、個別の企業名をあげてお話しするということは適当でないかと思います。少なくとも特定店舗につきましては、百貨店法に基づきます商工会あるいは商工会議所に付設される商調協と同じような、たとえば特定店舗問題懇談会といったような組織を商工会議所あるいは商工会に設置いたしまして、その場で現実の調整の場を設けまして、地元の消費者、小売業者あるいは学識経験者等が相つどいまして、問題点の究明に当たり、ものによっては店舗面積の削減、開店日の延期あるいは休業日数、営業時刻等につきましても、現実の問題としてケース・バイ・ケースで調整をはかっておりまして、その結果を現実に実施していっておるといったような状況でございますので、私たちといたしましては、なるほど最終的には法定根拠はございませんが、現実の問題としてやはり地元との協調という立場に立ちまして、大規模小売店舗と申しますか大型スーパー等も、そういった事実上の調整に服しておるというような現状かと考えております。
  205. 塩崎潤

    ○塩崎委員 この機会に、行政指導も、形はどんな形か私もよくわかりませんけれども、かけ込み新増設に対して何らかの手を強力に打つべきである。このことは、いま地価問題とかインフレ問題が一番大事な経済政策の目標だといわれるだけに、これは大臣何か考えられるかどうか、ひとつ大臣からお答えをいただきたいと思うのです。
  206. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 かけ込み新増設の問題は、この経過における措置として一番われわれも注目しておるところでございまして、これらに関する行政指導は厳重にやりたいと思っております。
  207. 塩崎潤

    ○塩崎委員 そこで、やはり抜け穴のない完ぺきな、小売業者に不安のない法案をつくりたいので、若干角度を変えまして、十条の改善勧告について御質問をしたいわけでございます。  いま零細な小売業者が非常におそれておりますのは、百貨店よりもむしろ大型スーパーにあるといわれている。大型スーパーは何かといわれますと、御承知のようにディスカウントストアといわれる安売り、この武器が小規模なわずかな商品をわずかなマージンで売っている小売業者にとってたいへん脅威なわけでございます。十条を見ますと、この改善勧告は、前の百貨店法から引き継いだとみえましてなかなか含蓄があると私は思うのですが、この改善勧告の中に、たとえば安売りの問題が入るかどうか。小売業者の顧客の送迎その他の営業に関する行為、これが中小小売業者にたいへん悪影響を及ぼすときには勧告ができるのだということが書いてありますが、どうも小売業者の顧客の送迎、これは大型スーパーなどにはないわけですね。これはおそらく昭和初期の百貨店の過当競争に着目した昔からのいきさつのある規定にしかすぎないのでありまして、最近の状況に応ずるところの改善勧告の内容をあらわすものではないと思うのですが、ただ幸いにこの法律のできが珍しくよくて、「その他の営業に関する行為」というふうに書いてある。そこで、この大型スーパーの安売りの問題、特に目玉商品の安売りの問題を通産省はどう考えておられるか。たいへんむずかしい問題でございますから、ひとつお答えを願いたいと思います。
  208. 橋本利一

    ○橋本政府委員 スーパーの安売りの問題につきましては、その程度によりましては、いわゆる独禁法第二条第七項の規定に基づきます不公正な取引方法の指定、いわゆる一般指定による問題かと思いますが、直接御質問の十条の関係において申し述べますと、かような一般指定の問題とあわせまして、営業姿勢の一環として目に余るものがある場合には、十条の規定によりまして勧告、公表まで持っていきたいと考えております。
  209. 塩崎潤

    ○塩崎委員 この安売りの問題は、不公正な取引方法の問題としても考えられるというお話がいまあったわけでございます。  そこで、幸いに公正取引委員会から事務局長がお見えでございますから、ちょっと御質問をいたしたいと思うわけであります。  四十七年版の公正取引委員会の年次報告の一七一ページを見ますと、大量販売店における取引方法について調査をした、四十六年度二千十八店についての取りまとめの作業を開始しておると書いてありますが、そこで私は二点ばかりお聞きしたいのです。第一は、この調査の結果独占禁止法第二条第七項の不公正な取引方法あるいは取引上の地位の不当利用、優越した地位の乱用行為、これに該当するような行為があったかどうか。特に買いたたきの問題が私はあろうと思いますし、西ドイツでも問題になっておるようでございますが、そのような事実があったかどうか。第二は、百貨店法の改正がなくても、消費者も中小企業者も含めての経済の番人でございますところの、自由競争の番人でございますところの公正取引委員会でございますから、百貨店だけを二条七項の指定をして、この大型スーパー等を指定しなかった意味がわからないのですが、それはなぜ指定しなかったのか。そういう事実がなかったから指定しなかったのか。何かそこで、コンシューマリズムというようなことでやらなかったのか。私はこの二点についてお伺いしたいと思います。
  210. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 お答え申し上げます。  先ほど先生がおっしゃいました四十六年でございますか、いわゆる量販店に対する調査の結果一体どうなったのか、どういう措置をとったのか、それは不当廉売あるいはその優越した地位の乱用行為についてという御質問でございますが、これはまだ現在取りまとめ中で問題点の解明がまだ十分でないというので発表の段階にはなっておりませんが、このときの調査は大量販売店約二千を対象にいたしまして、仕入れ返品の状況、手伝い店員の有無、特売の実態等についての調査を行なったわけでございます。手伝い店員の使用及び返品問題につきましては、百貨店ほど問題はないと思われます。  中身を申し上げますと、手伝い店員の使用、これは四十七年の一月で一店当たりの手伝い店員は、年間五十億円以上の量販店では十四名、ところが百貨店の同時点におきます一店当たりの手伝い店員は百六十一名というふうになっております。それから返品の問題につきましては、買い取り、仕入れ商品の返品率が、いわゆるスーパーの場合は、これは四十七年の一月でございますが、平均して二・五%、百貨店の場合は九%というふうになっておりまして、両方とも百貨店に比べてだいぶ低いということになっております。  それからなお、特売に関連しましておとり廉売あるいは不当廉売、この関係についてはまだ調査が十分ではございませんので、特に特売について、おとり廉売あるいは不当廉売との関連を現在まだ調査中でございます。  それから、あとの御質問の二十九年の百貨店の特殊指定の場合になぜスーパーを入れなかったかということでございますが、これはその当時の事情を私はつまびらかにいたしておりませんけれども、とにかく二十九年の百貨店についての特殊指定と申しますのは、これはまだ新しい百貨店法ができる前で、旧百貨店法にのっとりまして、百貨店業というものの定義をきめて、それで百貨店というものは一応三千平米あるいは千五百平米というところで線を引きまして、取引上の優越した地位の乱用行為の規制という趣旨で百貨店に対して——その当時スーパーというものがいまほど一般的に数も多くなかったんじゃないかと私は思いますけれども、とりあえず百貨店を優越した地位の乱用行為の規制という意味から、その仕入れ活動について規制をしていこうという趣旨で特殊指定をやったのであろうというふうに思います。
  211. 塩崎潤

    ○塩崎委員 私は、小規模の小売業者の保護のために、大規模店舗の売り場面積の削減、これだけで対処すること、また営業時間、休日だけでは足りない、一番中身はこの安売りの問題だと思うのですが、これが一番むずかしい。消費者の保護の問題と関連するわけでございます。しかし、そこに独禁法違反の買いたたきとか、あるいは不当廉売があれば、これはやはり法律どおりに適用すべきだと私は思うわけでございます。たとえば、とうふなどを見ておりますと、目玉商品になっておる。零細な小売業者は五十円でしか売れないのに、大型スーパーならそれを目玉商品、おとり商品として三十三円で売っておる実情なんです。これらをどういうふうに考えたらいいのか、私は非常に悩むのですが、小規模業者は五十円で売らなければ食っていけないのですね。しかし、とうふ専業でございますから、これを割ることはなかなかむずかしい。ところが、大型スーパーでは目玉商品として、他でもうければいいからということで、日常生活品的なものにまでこの安売りの方法を及ぼしてくる。これをどう考えたらいいか。ひとつ中小企業庁から、このような場合に対して中小企業はどうして生きたらいいか——皆さん方が小売商業振興法に基づいて国が援助を与えて三十三円で売れるようにするんだと言われても、そんなようなことになかなかならぬですね。やはり大きな資本の力のほうが、その圧迫のほうが、皆さん方の国からの援助よりもはるかにスピードが早くて、小売業者は困っておる。大型スーパーは三十九年から四十六年までに四・六倍に伸びておるのですが、一般の小売店は二倍とちょっとしか伸びてないような実情なんです。消費者の保護も大事なんですけれども、このような零細な専業小売業者はどうして生きたらいいか、ひとつこのあたりの目安を与えていただいたらいいと思うのですが、中小企業庁長官、いかがですか。
  212. 莊清

    ○荘政府委員 先生もいまお話しになりましたように、とうふを三十三円で売っておる、これはたいへんむずかしい問題を含んだ事柄であると存じますけれども、一般的に、いかに大型スーパーが大資本でいろいろな商品を多角的に売っており、総合的な採算がとれればよろしいということであっても、やはり個々の商品についての適正な原価それから通常確保さるべきマージンというふうなものは、これは商取引の一般的な通念としてそのときそのときあってしかるべきものだと私は思うわけでございます。そういうものを考えまして、それが不当な安値の廉売であるというふうな場合には、やはり法に照らして個々に処置さるべき性質のものである、かように考える次第でございます。
  213. 塩崎潤

    ○塩崎委員 もう時間がありませんので、私もたいへんむずかしい問題に対してすっきりと割り切ったお答えがいただけると思わないのですけれども、独占禁止法の精神からこの問題はひとつ十分研究していただくことをお願いして、その次の第二の問題に移らしていただきたいと思います。  時間がなくなりましたので簡単に御質問申し上げますが、第二の問題は、小規模な事業者を保護して自由競争の精神をますます高めていくのだという考え方は、大臣、私は大いに尊重すべきだと思うのでございます。単に大型スーパーに対してだけこの問題を置いておくのはもったいないような気がするのです。  そこで、私は二つこの際大臣の考え方をお聞きいたしたいのですが、一つは、大型スーパーに悩まされておるだけじゃない、百貨店に悩まされておるだけじゃなしに、小規模の業者が悩まされておりますのは、ここでも議論が出ました大企業が、中小企業が粒々辛苦して開拓した分野へ突如として乗り出して、信用の力、資本の力でこれを荒らしていくことへの不満がいまたいへん高まっておることでございます。七月四日の日経新聞に「高まる大手参入反対運動」とありますが、これは輸出アンチモニー工業協同組合と、それからリネンサプライ協議会——リネンサプライと申しますとクリーニング屋さんですね。ここはこの二つの団体が大企業の進出に対してたいへんな心配をしておるわけでございます。  私はどこかで読んだのですけれども、大臣は、中小企業が粒々辛苦した分野への大企業の進出は好ましくないと言っておられる。確かに、大臣ですからこのようなお考えが出るのも当然でございます。やはり大臣は、強きをくじき弱きを助ける国定忠治の上州の御出身だけに、いいことを言われたと思ったのですが、いかに国定忠治でもことばだけではいけない。どういう方法で大企業が中小企業の分野へ進出するのを防ごうとするのか。単に行政指導と言われたって、先ほど来申し上げておりますように、いまなかなか聞くような世の中じゃないですよ。行政指導でいけるなら買い占め、売り惜しみもなかったと思うのですが、あんな法律をつくらなければいけないような現代なんです。大臣、今度大企業が中小企業の分野に出るような場合には、ひとつこの精神をもって事前審査制でもやるようなお気持で言っておられるのじゃないかと思って、私はさすがは中曽根大臣だ、こう思ったのですが、大臣、どんなふうな手段、方法を考えておられるか、ひとつ伺いたい。
  214. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 これは商社の問題が問題になりましたときにも申し上げたのでありますが、元来商社というものは貿易商社というのがほんとうのあり方であって、戦前には三菱商事でも、三井物産でも、住友商事でも、あるいは五綿でも、みんな海外貿易を主にして伸びてきた。そして国内の中小企業を富ますことこそすれ、彼らと競争するということはなかったはずだ。しかし戦後、戦争に負けて海外から引き揚げてくる商社員を収容しなければならぬ、海外貿易もできないというところから国内に手を伸ばして、戦後はむしろ国内から発展してきて、それが次第に伸びてきて海外貿易に伸びたので、その発生的ないきさつから国内に手を伸ばすことがあたりまえであり、また、 それが自分たちのいままでの生活領域であるというような感じを持っていたのではないかと思われております。それはいけない。現在大企業で商社といわれているものは金融力、情報力、人材、能力、そういう面において格段のものがあるのであるから、これが自由を乱用してそういうところへ入ってくるというと中小企業は一たまりもない、そういう道義性を商社は持たなければならぬ、そういうことを私言いまして、もし商社がそういうふうに自由を乱用して中小企業のところへ侵入してくるというようなことが行なわれるならば、総合商社法という法律的規制も検討しなければならぬ、その推移をもう少し見る、そうここでお答え申し上げたので、いまでもそういう考えでおります。  最近、洗たく屋さんの世界に入ってくるとか、いろいろそういうことがわれわれのところに叫ばれておりますが、それらの問題は、やはり商社が社会的責任を持つと一たん宣言して、自由を乱用しないということも言っておるわけでありますから、まず自粛を求めます。自粛しないという場合には、その宣言に違反するではないか、そういうことで行政指導したい、そういう弊害の著しいものについては、そういうふうに考えております。
  215. 塩崎潤

    ○塩崎委員 私は、もう単純に手段、方法は何かということを聞いておるので、精神は大臣と同感なんですが、手段、方法は総合商社法というようなことも一つの方法です。しかし、メーカーがショールームというようなことで商店街なんかに進出しておる例もありますから、私は商社だけの問題を言っておるのではないのです。大企業の進出、これを言っておりますので、これは大臣の発言で世の中がだいぶ変わろうと思うのですが、なかなか発言ぐらいで動かないことを考えると、何とか将来、この大規模小売店舗法案に盛られたところの、開店の場合には事前審査制をとるのだ、届け出主義をとって事前審査をやるのだぐらいの気持ちをいまから言っておけばだいぶ変わってくると思うので、ひとつこのようなことを御研究願いたいと思います。  委員長がなかなかやかましく言っておられるので、次の第二問に移らしていただいて、これも大事な、ほんとうに小規模な小売業者の不安の一つなんですが、大臣、ひとつぜひとも御解決を願いたい。大企業に悩まされているばかりではありません。まあ消費者主義という旗じるしがあるかもしれませんけれども小売業者が悩んでおりますのは、地域的な消費生活協同組合の員外利用の乱用によりたいへん苦しんでおる事例、これもここで議論になったようでございますが、私はまのあたりに見ておるわけでございます。実は先週、私のところの者を消費生協に卵を買いに行かせた。若干値段は安いですが、当然私のところの者は組合員でありません。買うときにあなたは組合員ですかどうかも何ら尋ねないで売ってくれる。そしてその組合には組合員でなければ利用できないという表示もないわけであります。大臣も御存じのように、消費生協というのは法律によって保護されておる、特別の特権を与えられておる団体でございます。中小企業がたいへん税金で苦しんでおるときに税の特権があることはもう御承知のとおりでございます。私は、ロッチデールの消費生活協同組合の原理は十分理解できるし、職域生協にはそれが比較的うまく動かされておると思うのです。しかし、地域生協はどう考えてみても私はうまくいってないと思うのです。消費者の保護も大事でございますが、やはりこれは消費生協なんですから、法律どおりやっていただかなければならぬ。員外利用は必ず行政庁の許可がなければできないはずでございます。しかし、よくよく考えてみると、夕方になって奥さんが殺到して買いものに行っているようなときに、あなたは組合員ですかというふうなことを聞いて売れるはずがない。私は、この問題は立法政策の問題と申しますか、できないことを法律に書いて強制しておるというたいへんな問題点を含んでおると思うのです。法治国家といいながら、できないこと、守れないことを法律に書いておる、この問題を含んでおりますが、この消費生協の員外利用、この問題を大臣、どう考えられるか。私は、小売業者が悩んでおるのは同様にこの問題だと思うので、大臣、いつも行政指導、行政指導と言われるが、大臣はいつまで通産大臣をやられるか、これは大臣が永久におれば楽なんですけれども行政指導だけでは小売業者は安心しませんよ。何か法律で、法治国家ですから、消費生協が出てくるときには届け出主義と事前審査を通産局あるいは消費者団体がやるのだというくらいのことをやるか、消費生協、地域生協については根本的に消費生協法を直すくらいのことをやるか、このような問題を考えていただけるかどうか、大臣から一言伺いたい。
  216. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 いままでいろいろそういう問題がありましたのは、消費生活協同組合と農業協同組合両方の陳情や何かがわれわれのところへ来ております。消費生協につきましては、法律によって員外利用は禁止されているということになっておりますけれども、いまのお話しのように、案外ルーズになっている面も非常に多いようです。農協についても同じように、二割以上はいけない、そういう制限もあるようです。それで、消費生協については、厚生省からしばしば通達を出して厳守するようにということを注意しておるようでありますが、これが漫然として行なわれておるということは御指摘のとおりであります。そこで、やはり法律できめられ、あるいはそういうふうに官庁から示達されていることが厳重に守られるということが大事でありますから、第一段階としてはそれを厳重に守らせるように指導するということ、第二段階には、もしそれ以上それがはびこるような状態であるならば、立法行為も考慮しなければいかぬ、そう思います。
  217. 塩崎潤

    ○塩崎委員 通産大臣はわりあいのんびりしたお答えで、はびこるようなことであればというようなことでは、いまの悩みが解決せぬのです。大臣、どうなのですか。私は、この消費生協を見ましたら、いままでの悩みの反映であると思うのですが、十二条の七項を見ると、通産大臣は必要があると認めるときは、都道府県知事に対して、員外利用の状況の報告を求めることができるとありますが、求めたことがありますか。ちょっと中小企業庁かどなたか答えてください。
  218. 莊清

    ○荘政府委員 ことしの春、各都道府県知事に対して通牒を出しまして員外利用の状況等について調査報告を求めたことはございます。
  219. 塩崎潤

    ○塩崎委員 その内容についてはいろいろとあとで御報告を伺いたいと思うのですが、もう大臣、長年の問題なんです。そして厳重に守らねばならぬのが守れないから、こういった問題が起きておる。私どもは国会で守れないような法律をつくっておる。これはやはり罪じゃないでしょうか。そして小売業者が悩むということはこれはたいへんな罪悪を二度重ねているということになると思うのです。  そこで企画庁に伺いますが、消費者保護あるいは消費者に安い値段で売るのはこれはけっこうですが、これは法律に違反してもということじゃないでしょうね。これはどうですか、小島局長
  220. 小島英敏

    ○小島政府委員 法律に違反してもということではないと思います。
  221. 塩崎潤

    ○塩崎委員 厚生省にお尋ねしたいのですが、厚生省も消費者の立場を考えていろいろ保護を考えておられることは私は非常にけっこうなことだと思います。しかし、員外利用の問題は、あの町のまん中に商店を置いて、店舗を置いて、そして雑踏するときに員外利用を禁止すること自体、これを取り締まれということも無理なんじゃないでしょうか。そのような団体を協同組合と称して租税の特権等を与えること自体、これは非常に不自然な虚偽じゃないでしょうか。この点について厚生省はどう考えられるか。これは中小企業者の悩みが非常にふえたときなんですから、お答えを願  いたいと思います。
  222. 田川明

    ○田川説明員 お尋ねの点につきましては、消費生活協同組合法の現在のたてまえ自体の問題、それから実際において行なわれております消費生活協同組合の実態の問題、この二つの問題に分けられようかと存じます。  もう先生十分御案内で、ございますので、失礼かと存じますが、いまお尋ねの協同組合原理、これを貫くという点につきましては全く仰せのとおりでございまして、私どももそのように基本的に観念いたしております。したがいまして、現在の法律では組合員のみの利用が原則でございまして、例外として行政庁の許可を受けました場合に員外利用ができるということになっておりまして、これにつきましては、やはり協同組合の原理ということは自主的な人と人との結合でございますので、社会局長通達によりまして組合員の利用を妨げない限度においてのみ許可を与えるべきであるという基本要件を示しております。  また、特に中小小売商との関係につきましては、同じく消費生活協同組合法の十二条の第三項に員外利用関係規定がございます。そのすぐあとに員外利用をさせることを認めることが中小小売商の事業活動に影響を及ぼし、その利益を著しく害すると認められるときは許可をしてはならないというはっきりとした法律上の明文がございます。したがいまして、この基本的な立場、つまり協同組合原理を貫くという点と、それから調和のある社会的な斉合性、この二面から、員外利用については特に慎重にいたすように従前から指導してまいったわけでございます。  ところで、いま具体的な事例をあげての御指摘の点でございますが、この点につきましては確かに非常にむずかしい問題でございまして、これもやはり協同組合の店舗には、組合員以外の者は利用していただいてはいけない、利用手続は簡単であるから、こういうふうにして協同組合に積極的に加入して利用してほしいという店頭掲示をさせる等の方法をとっておりますが、私どもの力不足でございまして、御例示のようなケースが間々見られるという残念な事態になっております。しかし、やはり自主的な消費者の組織でございますので、特に近年の消費者の生活の安定という面からいたしまして、消費生活協同組合というものが健全な方向で育ちますように指導しなければいけない。したがいまして、なるべく多くの方が自覚をもって協同組合に加入していただいて、そしてそれらの方々の人と人との結合で、自主的な活動で消費生活を安定させていただく、こういうことがねらいでございますので、先ほど申し上げましたように力不足の点はございます。それからいままで考えましたが、ここで決定的だという案は現在のところ残念ながら申し上げることができませんけれども、しかしやはりそういうことを踏まえながらここで一気にいわゆる員外利用を排除するというところまでは現在のところ考えておりません。したがいまして、先ほどの協同組合原理を貫くということと、それから社会的な調和性、こういう点をどのように確保しながらこの消費者組織を見ていくかということにつきまして、さらに、これは決して口先だけではございませんで、いろいろ先生から御意見も承りまして具体的な方途を考えてまいり、実施に移してまいりたい、かように考えております。
  223. 塩崎潤

    ○塩崎委員 これで終わらせていただきたいと思いますが、守れない法律、脱法行為のできるような法律はできる限りつくらないようなことを私どもは考えてみたいと思います。いまの消費生協はその例でございますが、そういった意味でいろいろとこれからも研究を大いにやっていただく。これで質問を終わらせていただきたいと思います。
  224. 浦野幸男

  225. 加藤清二

    加藤清二委員 ただいま四時四十二分ですか、質問したい内容がたくさんございまして時間が少のうございますが、本日は何時までいただけるのですか。
  226. 浦野幸男

    浦野委員長 五時二十分ごろまでに結論を出していただきたいと思います。
  227. 加藤清二

    加藤清二委員 約三十分ですね。私が結論を出すのではなくて、答弁者のほうでひとつ結論を出していただきますようお願いいたします。  最初にお尋ねします。先日行なわれました参考人の陳述の中で、特にデパートの代表とスーパーの代表の御意見を政府側ではどう受け取ってみえますか。あれはおっしゃるとおりでございますか。それとも間違いがございますか。どう受け取ってみえますか。
  228. 山下英明

    ○山下(英)政府委員 デパート、スーパーの代表陳述はいろいろな面にわたりましたが、私どもは聞いておりまして事実を述べておると思いましたし、また、百貨店協会からは後日当委員会にも提出されたと思いますが、文書で参っておりますので、私どもはその書いてあることは事実だと存じます。
  229. 加藤清二

    加藤清二委員 遺憾ながら、私もあなたと同意見と言いたいのですけれども、あれは事実に反することのほうが多いと受け取っておるのです。たとえて申しますと——具体的に言いましょう。ただいまスーパーはかけ込み増設をやっているのかいないのですか、この間の答弁では、そういうものはありませんと言われたのですよ。ところが、先ほどの次長さんの答弁ですと月々二十件もふえておる、こういう話です。それについて、塩崎委員から何とかこのかけ込み増設を禁止する手はないかという御質問がありました。私はあると思うのです。すなわちこの法案は、これが参議院を通過したらとたんに実行に移せばいいわけなんです。塩崎さん、いかがですか。そうすれば、かけ込み増設は直ちに禁止できるわけです。しかもなお、この間の中内さんは、そういうものはありませんとお答えですから、かけ込み増設がなければ直ちにこれを実行に移したって影響はないはずでございますね。あにはからんや、このかけ込み増設が、私の地元の名古屋でもダイエーさんだけでも二つも行なわれておることを知っておるのです。だから、それではちょっとかわいそうだから少し延期してあげて大目にと、こういう気がするのですけれども、ないとおっしゃるのですから、なければ、ずばりやったって影響はないはずですから、どうぞ、私要求いたします。あの答弁が正しくて、しかもそういうものがないとおっしゃるならば、この法律が参議院を通過したとたんにすぐ実行に移すことを要求いたします。
  230. 橋本利一

    ○橋本政府委員 何がかけ込みであるかということの判断は非常にむずかしいと思います。私が先ほど申し上げましたのは、例月の届け出件数に比して二十件ふえておる、こういうふうに申し上げたわけでございます。その一つの例といたしましては、従来の通牒では三ヵ月前に届け出るべしといたしておりましたのを昨年の十一月一日以降は少なくとも六ヵ月前に届けをするように、こういうふうに指示いたしておりますので、その関係から若干ふえておる向きもあるかと思います。  それから、法案が成立したら直ちに施行したらいかがかという御指摘でございますが、本法案は現行百貨店法よりもその運用の面において非常にむずかしい点もございます。特に勧告なり命令の出す期間等につきましても一定の期間を限っておる、さような事情もございますので、やはり直ちにというわけにはまいらないので、原案にございます六ヵ月の期間をわれわれの準備期間としていただきたい、それは決して、かりにかけ込みがありとするならばそれを自由にするということではなくて、それにつきましては、昨年十一月一日以降適用いたしております新しい通牒の線に従って厳重に取り締まってまいりたい、かように考えております。
  231. 加藤清二

    加藤清二委員 あなたはかけ込み増設があることをちゃんと認めてみえるのです。知ってみえるのです。だからやりにくいのです。ほんとうになければ直ちに行なうべきなのです。これはよく検討しておいてくださいね。  次に、止め柄、返品についてお尋ねいたしました。そうしたら、そういうものはスーパーは一切やっておりませんということなのです。ありませんということなのです。しかし、ただいま公取の御答弁によりますとあるということなのです。どっちがほんとうですか。
  232. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 確かに私どもが調べた範囲ではございます。ただ、その全部が不当な違法なものかどうか、これはわかりません。
  233. 加藤清二

    加藤清二委員 私も納入業者から聞いて返品があることを知っております。返品されたものは投げ売りしなければならないという、そういう事態が起こったことを知っております。にもかかわらず、いま政府側は参考人の答弁が正しいと受け取っていらっしゃるようです。これもおかしな話でございます。  ところでもう一つ問題になりまする点は、私の手元へも答弁書が参りましたが、どうもあの答弁はうそが多い、間違いが多い。ですから聞き間違いということもあるといけないと思いまして書面にしていただきたいとお願いしました。書面が参りました。そうすると、この場でおっしゃったことと書面で来たことと答えが違っておる。たとえて申しますと、派遣店員、こういうものはないというスーパーのほうのお答えでございました。ところで今度デパート側はあるとおっしゃられました。公取のお調べでもあるということです。わが党の政審の調べによると五万人の余ございます。公取の調べでは四万余あるということです。その給与はだれが払っていますかとお尋ねしましたら、デパート側で払っていますというお答えでございました。書面で見ると、給与の支払い者は派遣元が支払っておりますと書いてある。これはどっちがほんとうですか。
  234. 橋本利一

    ○橋本政府委員 百貨店協会に関する限り、派遣元が支払っているのが事実かと思います。
  235. 加藤清二

    加藤清二委員 そうすると、この間ここでおっしゃられたことがうそだということでございます一ね。これをかりにボーナスその他を入れて年間収入通算して百万円と見積もりますと、それだけで五十億余になります。それだけデパート側は不労所得があるということである。逆に納入側はそれだけ別途給付させられておるということになるわけです。こういうことが、納入業者がどうしてもデパートへ入れるときに値を上げなければならぬという結果になってくる。これが消費者に及ぼす影響ですね。これを非常に心配するわけなんです。派遣店員、派遣店員といいますけれども、年間五十億余の違いがあるということはゆゆしい大問題だと思います。四万人と申しますと、これは東京都の義務教育の教職者全員に匹敵する人数なんです。それが毎年ただで行なわれているということになったら、たいへんなことでございましょう。政府側はこれに対してどうなさいますか。
  236. 橋本利一

    ○橋本政府委員 御指摘のとおりであればまことに遺憾なことでございますが、問題はむしろ特殊指定に抵触するような手伝い店員を早急に削減するということに第一目標を置きまして、百貨店協会等を通じて極力指導いたしておるわけでございますが、まだ一向にその弊害が改まらないという点は残念なことでございます。ある社によりましては、すでに手伝い店員の大幅削減計画といったようなものも検討いたしておるようでございますので、極力早い機会に納入業者との間に正常な関係が回復するように指導してまいりたいと考えております。
  237. 加藤清二

    加藤清二委員 公取にお願いいたします。不当表示ということはいけないことになっておりますね。しかも、信用を旨とするスーパーやデパートが不当表示があってはいけないと思います。もしあったらどうなるのですか。  具体的に例を申し上げます。先ほども問題になりましたが、いまや日本のしぼりの総消費量の七割は輸入でございます。韓国ものでございます。それに加えて大島つむぎと称するものも韓国から入ります。先ほど同僚委員から西陣もその傾向があって、地元の同業者が困っているというお話がございました。  そこでちょっとお尋ねしますが、公取のあなた、韓国ノリというものの味をおわかりでございますか。大臣でも企業局長でもいいです。韓国ノリと日本ノリの味の区別ができますか。今日日本生産は五十億枚でございます。韓国から表輸入されるのが十億枚でございます。裏五億枚と言われて、都合十五億枚入っているということです。十五億枚ということは、日本の総人口に対して一人頭十五枚ずつ入っておるということでございます。赤んぼうはこれを食べません。ですから、おとなだけで言いますと少なくとも二十枚から二十五、六枚消費しているということなんです。にもかかわらず、韓国ノリの味はわからない。なぜわからないか。御案内のとおりです。日本ノリに化けて売られている。上から読んでも山本山、下から読んでも山本山、化けてやっておる。これは韓国ノリでございという表示をしていない。これは韓国しぼりでありますという表示をしていない。これは安いから、これを扱う商社は、内地を扱うよりはもうかるでしょう。しかし、安く入ったならば、これは韓国ノリでございますから安いです、韓国しぼりでございますから安く売りますというならば、安いものが買えますから、まだ消費者は助かるのです。しかし、それがとたんに日本ものに化けて売られるとなりますと、消費者はどういうことになるか。にせものをつかまされておる。     〔委員長退席、稻村(佐)委員長代理着席〕 したがって、毎年十何枚ずつ食べておっても味もわからない、こういうことになり、その結果は、日本のノリ全体の品質を評価される。日本のしぼりというものは、こんなに高いけれどもこんなに早く悪くなるものであるかといって、日本の伝統産業のしぼりや西陣や大島の評価価値を下げることになる。同時に、それが化けて本物と同じように売られたら、これは不当表示といわざるを得ない。これは何もデパートやスーパーだけだとは申しておりません。ノリだけで金額をとってみますと、輸入一枚十円のものが最低二十五円に売られている。十五円の開きがある。十億枚だったらこれで百五十億になるわけなんです。しぼりも、大島や西陣も、ともに何十億という不当利得が行なわれているわけだ。それをほっておいてよろしいですか。
  238. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 確かにいま先生がおっしゃいましたように、ノリにしろ、しぼりにしろ、外国産のものを日本製というような表示をして売れば、明らかに不当表示に該当するのじゃないかと思います。ただ、こういう原産地表示の問題、いわゆる原産国表示の問題でございますが、これが現在景品表示法四条三号の指定を検討中でございまして、近く結論が出るというふうに考えます。それでできましたらその告示に従って規制をするということになると思います。
  239. 加藤清二

    加藤清二委員 調査完了の暁には法に従ってこれを規制する、こう受け取ってよろしゅうございますか。——けっこうです。そのことが消費者を守るゆえんの道に通ずると思います。ぜひそれをやっていただきたいと存じます。  次に止め柄、返品、これは先ほど公取ではあるとおっしゃいました。ところが、この間の答弁ではないとおっしゃいました。デパートのほうはややあるということです。ここらあたりもよく公取のほうで再吟味をお願いしたいところでございます。  次に、建物主義とおっしゃられておりますが、それは床面積のことですか、壁面積はどうなるのでございましょうか。
  240. 橋本利一

    ○橋本政府委員 店舗面積とは、店舗の用に供される床面積でございます。
  241. 加藤清二

    加藤清二委員 壁は営業面積になりませんか。
  242. 橋本利一

    ○橋本政府委員 本法の規定では読んでおりません。大規模小売店舗なるものを定義するにあたりまして、販売面積を床面積で計算する、こういうことでございます。
  243. 加藤清二

    加藤清二委員 廊下、踊り場はどうなりますか。
  244. 橋本利一

    ○橋本政府委員 廊下、踊り場等は、床面積に含まないことにしております。ただし、そういったところに販売用の商品を並べるという場合には、場合によっては、やはり床面積として計上する必要があるかもしれませんが、これは第五条に基づく届け出の際に、必要な書類を添付させることにしておりますので、その添付書類をもって判断いたしたいと思います。
  245. 加藤清二

    加藤清二委員 私は、この営業が行なわれる場所は、それが垂直であっても水平であっても、加算されてしかるべきだと思います。先日のどなたかの御質問に、階段や廊下は、これは消火その他の関係で使わせないから、当然加算はいたしませんという答弁がございました。ほんとうにそうでしょうか。皆さんデパートを思い起こしてみてください。踊り場にちゃんと展示していますよ。うば車に似た何とかワゴンというやつ、あれがずらずら並んでいるでしょう。あえて私は聞きました。美術館で展示会をすれば、壁面積百メートル、これを五日間借りますると大体五十万円でございます。しかし、デパートでこれを借りますると、最低二百五十万から三百万、最初に要求されます。その展示品が売られますると、これまた売られたものから、一〇%から一五%を差っ引かれていきます。完全に営業でございます。まあ美術館と比べて高いのはやむを得ぬとしましても、ただふしぎに思えることは、どうしてそんな三倍も五倍もするであろうかということです。これは疑問が解決できませんから解決してみてください。どうしてそんなに高くなるのだろうか。これについて、中内さんは、自分の売り場で売ったものの利潤、これは一〇%から一%でございますと書いてありながら、他の者に貸すと、これはこの間ここで一八%取っておると言われました。自分の商品を売った場合に、利潤は一〇%から一五%しかかけていないという人が、他人に場所を提供して、これから徴発するときには一八%取っていると言われました。これもふしぎなことでございます。床面積だけではございません。壁面積もやはり完全に営業用に使われているということは事実でございます。なぜ営業用に使われているところを除外なさったでありましょうか。根拠がありましたらお教え願いたいと思います。
  246. 橋本利一

    ○橋本政府委員 壁につきましては、その厚み全体は含みませんが、その下の床面積に当たるところは店舗面積として計算いたします。訂正いたします。
  247. 加藤清二

    加藤清二委員 デパートなりスーパーが全部それをやっていると申し上げるのではございません。中には、無償提供をしていただけるような、いわゆる公共的責任を感じて、その公共的な展覧会などは、犠牲的に寄付行為をなさっていただける、ありがたいところもあるということを私は知っております。あえてここで私は、固有名詞を申し上げることを差し控えますが、そういう社会、公共に奉仕するという精神を発揮していただけるところもあるのです。しかし、中には、そういうものをするとお客が少ないのでごめんこうむるというところもあるわけです。二百万なり三百万なり、ちゃんと使用料を取っておきながら、なおその展覧会はお客が少ないゆえをもって断わるというところがある。あくまで営業主義でございます。それならば、当然ここは営業面積として加算すべきではないかと思われます。いかがですか。もう一度お答えください。
  248. 橋本利一

    ○橋本政府委員 商品販売の用に供される場合には、面積に算入いたします。
  249. 加藤清二

    加藤清二委員 それはどこできめなさるのですか。あるときには使い、あるときには使わないという場合はどうなりますか。あなたのほうは、廊下は除外する、階段の踊り場も除外するとおっしゃってみえましたが、四六時中使うわけではない。そういう場合にどうなさいますか。
  250. 橋本利一

    ○橋本政府委員 むしろ届け出をするサイドにおきまして、あらかじめ全く使わないという挙証がない限り、これは算入してまいりたいと考えております。
  251. 加藤清二

    加藤清二委員 算入すると受け取ってよろしいですね。——わかりました。次に、デパートやスーパーがだんだん大きくなりますと、マイカー族と申しましょうか、自分の自動車で買いものに来る人が多くなりますね。この場合に、デパートさんのような大きなところは、大体自動車置き場をおつくりになるようでございます。しかし、スーパーの中には自動車置き場がなくて、近所隣の道路を占用してしまって、スーパーのお客さんが交通妨害をしてみえるという案件がたくさんにございますが、これについて政府側は、お得意の行政指導はどうやってみえるのですか。デパートをつくり、スーパーをつくる場合には、自動車置き場を必ず兼ね備えなければならないのか。備えるとするならば、どのくらいの面積を必要としているのか、あるいはそれは野放しであるのか。交通事故の多いやさき、自分がもうけるための面積はふやすけれども、お客さんの自動車の問題についてはわれ関せずえんでは、公共的責任を負っているとは思えないからでございます。
  252. 橋本利一

    ○橋本政府委員 大型スーパーについて問題とされるところに、いま御指摘の交通公害と申しますか、自動車の混雑というような問題があげられておりますが、御承知のように、大型スーパーにつきましては、現在届け出制をとって行政指導をやっておる、そういった事情にございますので、直接、法的に規制はできませんが、特定店舗懇談会等の場において調整をする場合に、その問題もあわせて御検討を願っております。
  253. 加藤清二

    加藤清二委員 最後に、与えられた時間が参りましたので、これを本日の最後にしたいと思いますが、スーパーの場合に、スーパーには手伝い店員はございません、こうはっきりおっしゃられました。そうじゃない、あるでしょうと念を押しましたら、化粧品のところだけは、ございます。その化粧品売り場でなぜ手伝い店員が来ているかといえば——公取さん、ここからよく聞いてください。なぜ店員が来ているかといえば、その理由は、販売価格を監視に来ているのだ、こういう話なんです。販売価格を監視に来ている人が白い上っ張りを着て、おしろいを塗ったり、香水を振りかけたり、まあご丁寧な御監視をなさいますなと私は思いました。しかし問題は、販売価格を納入業者の問屋のほうが監視に来るというのは、一体どういうことでございましょう。そういう商習慣がかりにあるとするならば、それは公取のほうで取り締まるべき再販価格の問題が発生するように受け取れますが、これはいかがなものでございましょうか。
  254. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 私は、いわゆるデパート等の化粧品売り場で白い上っ張りを着ている女の子が販売価格を監視に来ているということは初耳でございまして、あれは販売促進のために来ているのだと考えます。もっとも化粧品は再販価格指定商品にはなっております。
  255. 加藤清二

    加藤清二委員 お説のとおりであります。再販価格の指定商品でございます。私も、販売を促進に来てみえる、あるいは効能を消費者によく知らせるために来てみえる方だと思っておりました。しかしそうではなくて、その本人が、販売価格の監視に来ている監視人であるとおっしゃられます。もしそれが事実であるとするならば、これは公取が権限を発動しなければならぬことになるではないかと思われるから、お尋ねしたわけでございます。この真偽のほどを一度よく御調査を願えますでしょうか。
  256. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 真偽のほどは調査いたします。
  257. 加藤清二

    加藤清二委員 はい、わかりました。真偽のほどを調査する。  本日の最後に申し上げます。私は、デパートやスーパーがけしからぬとか、中小零細企業だけが日本の小売市場をまかなえばよろしいなどとは考えておりません。ともに存立の意義があり価値があるからこそ、栄えてきたものだと思っております。したがって、いずれを否定し、いずれを肯定するという立場には立っておりません。ただ、資本が大きくなりますと、どうしても弱いものや消費者をいじめる結果になる。消費者に不利な行為を行なう結果になる。それは防がなければならない。こういう立法の時点にあたって、消費者を守るためのあまたあまたの商習慣をぜひ洗い直す必要がある、かように思いましたればこそ、質問したわけでございます。  与えられた時間がちょうど一分前になりました。残余の質問は、この次にいたします。どうもありがとうございました。
  258. 稻村佐近四郎

    ○稻村(左)委員長代理 次回は、明十一日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十四分散会